恐竜少女のヒーローアカデミア (抹茶)
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入学前編
1話 恐竜少女は流される


初めまして抹茶と申します。
この小説は私の自身で考えた個性が活躍する小説を書きたいという動機で書き始めたものになります。
処女作なため、色々な表現が拙い部分やおかしな所もあると思いますがご容赦ください。
また「ここがよかった!」や「ここはこうするといい」などのご感想、ご指摘ありましたらどんどん書いてくださいm(_ _)m
投稿頻度は考えながらの執筆なため遅めとなりますが温かく見守って頂けると幸いです。
では本編をどうぞ...




中国の軽慶市で「発光する赤児」が見つかったのを皮切りに世界各地で超常現象が報告され、世界人口の約8割が超常能力"個性"を持つに至った超人社会。

"個性"を悪用する敵(ヴィラン)

"個性"で人々を守るヒーロー 

そんなもの達が存在する世界。

"個性"によって人の価値が決定づけられてしまう世界。

そんな世界に強力な個性を持って生まれた少女は選ぶことができなかった、ただ流されるままに... ただ求められるままに...

 

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肌寒い12月中旬の冬空の下、住宅街の中にある小さな公園に一人の少女がいた。           

木製のベンチに座り込みなにをするでもなくただ空を見上げていた。

名を「古代 竜音」(こしろ りゅうね)。灰色の髪は肩甲骨程で綺麗に切り揃えられ。。白磁のように白い肌。赤い虹彩の中に爬虫類のような黒の瞳孔を持つ瞳をたたえ。中学校のものと思われるセーラー服に身を包み。可愛らし顔を持つ少女。

竜音は現在の空模様を表すような重い溜息を吐いた。

 

「はぁ~」

 

そして薄暗い空を見上げひとりごちる。

 

「そんなにみんな個性が大事かなぁ~」

 

そんなことを呟きながら今日の出来事について振り返る。

 

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「古代さんは進路についての相談があるのでHRが終わったら進路指導室に来てもらえる?」

 

「・・・はい」

 

担任の言葉に気乗りしない声音で返事をした竜音。

HR終了後重たい足を動かし進路指導室に向かう、部屋に入り適当な椅子に座って担任を待つこと数分、ガラガラガラッという音共に担任が入ってきて竜音の前に椅子を持ってきて座った。そして開口一番に本題をぶつけてきた。

 

「雄英の推薦の件はどうする?」

 

以前から雄英から竜音に推薦を出すという話がありその答えを求められたのだ。竜音は個性も強く、素行も真面目で勉学についても優れているので。雄英が推薦を出す基準としては問題がなく個性の性質上目立つので推薦の話が出るのは必然といえた。しかし竜音の方はというと別にどっちでもいいという心境だった。竜音自身雄英から推薦をもらえるのは嬉しかった。しかしどうしてもヒーローになりたいかと言われたら首をかがげてしまう程度のものだった。そもそも竜音には『やりたいこと』『興味』といったものがなかった。その原因は周りの環境にあった。

竜音の個性が発現したのは四歳のときだった、4歳の少女が大の大人を簡単に殺せてしまうような個性に周りの環境は期待と嫉妬ばかりになっていった。あるもの達は『将来は絶対に有名なヒーローになるな』といった期待の言葉を投げかけ来た。またあるもの達は『いいよな強個性のやつは選択肢が多くて』という嫉妬の言葉を浴びせてきた。そんな環境のなかで竜音は自己が弱くなっていった。結果的に周りの望むように、周りを刺激しないように行動するようになっていった、なぜならそれが一番楽な生き方だから...

 

「推薦受けたいです」

 

結果今回も周りの期待のままに自分の意見が介入しない選択肢を選んだ。

 

「本当?!やっぱり古代さんなら受けてくれると思ってた!担任としても学校としてももし古代さんが雄英に受かればとても鼻が高いです!」

 

担任はまるで自分のことのように喜んでいたが当の竜音は顔は笑っていても内心はたいして何も感じていなかった。

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帰ろうと思い教室に戻ると半分程の生徒が帰っておらずなにかを話していた。

一人の女性徒が竜音に気づくと小走りで駆け寄ってきてなにか期待するような視線を向けてきた。

 

「やっぱり雄英の推薦受けるの??」

 

予め予想していた質問だったので用意していた答えをだした。

 

「受けたよ、これで夢へ一歩近づける!」

 

まるでやる気がみなぎるような雰囲気で答える。

 

「よかったね!前からヒーローになりたいって言ってたもんね!」

 

女性徒が賛辞を言い終わると同時に周りの生徒達も次々に近寄って来て『おめでとう!』や『頑張って!』という言葉をかけてきた。竜音は笑顔で答えていた。さもヒーローになることが夢というように語っていたが結局これも周りに合わせた故うまれた虚像の夢だった。そして次に言われるのはやはり"個性"のこと。

 

「やっぱり竜音ちゃんみたいに個性が強い人ばっかりなのかな?」

 

「そりゃそうだろー、なんたってあの雄英なんだから!」

 

「俺も強個性だったら雄英いけたのかなぁ」

 

「お前に強個性があったところで宝の持ち腐れだろ」

 

「そんな感じする~」

 

ワハハハハハと笑い合う中で竜音は考えていた。

『結局みんな私個人ではなく"個性"というフィルターを通して私を見る、そこまで個性が大事だろうか?結局私という人間を知る人はひとりもいない。』

 

_______________________________________________________________________

 

「はぁ~」

 

そして冒頭に戻る。これ以上考えても仕方がないと立ち上がり、

 

「帰ろ...」

 

ボソッと呟き唯一の理解者の元に帰る竜音だった。

 

 

 

 

 

 




初回から鬱っぽい話になりましたがちゃんと竜音は仲間や友達とわかり合える時が来ます!
あと章の題の付け方とか色々分からないところ多くこれから少しづつ勉強してきたいと思います。
オリ個性についてはその個性が登場した話の後書きに個性紹介コーナーを作って詳細な情報とか乗せられたらって思ってます。


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2話 恐竜少女は母と話す

竜音は家に向かって住宅街を歩いていた、あたりは薄暗く人通りもないせいか竜音の足音だけがコツコツと響いていた。やがて10分程度で一般的な二階建ての家屋に着いた、クリーム色の壁にグレーの屋根がある竜音の実家である。竜音は玄関に行き扉を開けた、『ただいま』と言うと奥のリビングの方から『お帰り~』という声と空腹なお腹を刺激する美味しそうな夜ご飯の匂いに迎えられた。玄関で靴を脱ぎリビングに向かう、リビングのドアを開けて部屋に入るとキッチンでせっせと野菜を切っている女性が目に入る。

亜麻色の髪をボブカットにし、竜音と同じ赤い虹彩に爬虫類独特の縦に切れ長な瞳孔を持つ瞳をたたえ、40歳を越えているとは思えない艶のある肌に優しげな顔をした女性が竜音の母である 古代 白奈(こしろ しろな)だった。

 

「ただいまー」

 

竜音はリビングに竜音が入ったことに気づいていない白奈に向けて最初に言った時に比べて声量を落とし同じ部屋内で聞こえる程度の声で繰り返した。

 

「おかえり」

 

白奈はたださえ優しげな顔に柔らかな微笑を追加して答えた。

 

「お腹減った~」

 

「もうすぐ出来るから着替えてきな」

 

「は~い」

 

いつものように繰り返されるようなやりとりをしたあと竜音はリビングを後にした、階段を上がり右手にある自分の部屋に入る、全体的に薄い緑色で統一された部屋に入り鞄を壁に掛けて手早く制服を脱いだ、そいてクローゼットの中から簡素なルームウェアに着替えた。そして階段を降りてリビングに戻るのだった。リビングに戻るとなにやら白奈がなにかをよそっているのが見えた。キッチンに覗きに行くと大きめの深皿にご飯が小山のようによそられていた、そして丁度白奈が皿を手に取りなにかをご飯にかけている最中だった、それは食欲を刺激をするスパイシーな匂いを放つカレーだった。

 

「わぁカレーだ!」

 

竜音が嬉しそうに呟くと白奈はフフッと笑っ。

 

「この前竜音が食べたいって言ってたでしょう?だから久しぶりにやろうと思って」

 

「覚えてくれたんだ!ありがと!」

 

「よそったやつから運んでくれる?」

 

「は~い」

 

竜音はカレーやサラダ、福神漬けなどをダイニングテーブルに運び席に着いた、少し待つと軽く片付けを終えた白奈が竜音の前に陣取るようにして席に着いた。驚くべきことに竜音と白奈の前にあるカレーは軽い山程になっており一般的な女性の食べる量の5倍はあろうかという量だった、これは古代家では結構日常的な光景だったりする。尚父親は単身赴任をしているため家を空けている。

 

「「いただきます」」

 

二人で同時に食事に感謝の言葉を述べて食べ始める。竜音は早速スプーンを手に取り、口にいっぱいになってしまうほどカレーを頬張った出来たてなのでハフハフと言いながら食べる竜音を見て白奈は柔らかい眼差しを向け見守っていった。

 

「美味しい?」

 

「ムグムグ!」

 

「いっぱいあるんだから落ち着いて食べな」

 

白奈は竜音が美味しそうに食べるのを見届けてからスプーンを手に取りカレーを食べ始めた。

 

「カレーのルーも案外侮れないわね」

 

久しくカレーを作っていなかったため手頃に作れて味も間違いないカレーのルーを使ったがなかなかに美味しかったため驚きと共に感嘆の声を漏らした。そうして母娘は和やかな雰囲気で夜ご飯を食べて行くのだった。

 

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「はぁ~お腹いっぱい!」

 

カレーを食べ終え食後の休憩をしている時だった。

 

「竜音」

 

白奈が真剣な声音で竜音のことを真っ直ぐ見つめて竜音に話しかけた。竜音はすぐに大事な話をするのだろうという事に気づき居住まいを正し、白奈をしっかりと見返した。

 

 

「雄英の推薦のことどうするの?」

 

 

数瞬の沈黙の後、白奈は今日の放課後のついて聞いてきた。

 

「受けるよ、やっぱり雄英に行くのがヒーローになる上で一番経験を積めるだろうし、私の個性で誰かを救えたらいいし、みんなも期待してくれてるから」

 

竜音まるで予め用意していた台本を機械的に読むような風に答えた。

 

「そっか...」

 

白奈は眉間にしわをよせ、一応の理解をしたように呟いた後、少し迷いながらも竜音に問うた。

 

「ねぇ...それはさ、ほんとに竜音のやりたいことなの?」

 

瞬間、竜音は自分の顔がこわばっていることがわかった。図星をつかれたのを誤魔化す様に早口でまくしたてるように答え、うつむき下を向いていた。

 

「そうだよ!...前からヒーローになりたいとは思ってたから、それに私の個性は強力だからヒーローになった方がいいじゃん、みんな応援してくれるし...」

 

末尾なるにつれて弱くなる声で答えた竜音、実際には自分でもなんて言っているのかわからないような状態だった。そんな竜音を白奈は心配そうな表情で見つめていた、そしてまたリビングを沈黙が支配していた。そんな空間の中で先に切り出したのは白奈だった。

 

「竜音はきっと個性というものがなくなったら竜音の価値がなくなってしまうような気がしてそれが怖いんでしょう?」

 

先ほど見せていた心配の面影を残すことなく、慈しみを含んだ声音で語りかけるように、諭すように竜音に質問した。

当の竜音は冷や水を浴びせられたよう気持ちだった、竜音は他人から"個性"という色眼鏡を通して見られ価値をつけられる事を憂いていた、にもかかわらず竜音も竜音自身を"個性"通して見て自分を決定してしまっていたことに気づいたからだった。周りから期待されるだけなく無意識のうちに『私は強個性だから』や『個性が強いから仕方ない』と自分で選択することを放棄し、それを周りの期待や嫉妬のせいにして逃げているだけだった。それを自覚してしまった竜音は内心『そんなことはない』と強気に否定する自分もいたが『もうどうしたらいいの...』という弱気な気持ちでる自分もいた。そして頭の中では色々な考えが渦巻き混沌とした状況だった。それ故か目尻にうっすらと涙を浮かべていた。

 

「わかんないよ...」

 

自分でも意識せずに漏れ出てしまった本音、竜音は自分の口から漏れ出た言葉の驚きつつも自分で弁解する気力もないほど参ってしまっていた。そんな中でも白奈は優しく言葉を続けた。

 

「きっと竜音は勘違いしてるよ、確かに竜音の個性は強いしそれも竜音の価値だとは思う」

 

「でもね、竜音の価値は個性だけじゃないよ、竜音は素敵な人間だもの価値なんていくらでもあるよ」

 

「人を思いやれる優しい心、意外と負けず嫌いで頑張り屋さんな所、こうやって今竜音が悩んでるのもちゃんと自分について考えられているって事だしね、後ご飯をすごく美味しそうに食べるところとかね」

 

「上げ始めたらきりがないような素敵な所がいっぱいな竜音だもん近くにいる人が竜音の素敵な所に気づかないはずないよ、竜音自身も周りの個性に対する期待が大きくてそれに隠れちゃっているだけできっと竜音の個性以外に気づいてくれている人がいるけど気づけないだけだよ」

 

竜音は白奈の言葉を聞いて考えていた、そして『私が個性を意識するあまり他の部分に関心を向けてくれる人たちに気づけなったのではないか』と思うようになっていた。

 

「そう...かな...」

 

「そうだよ!」

 

弱々しく問う竜音に自身満々で答える白奈。

 

「そっか...」

 

なにかつきものが落ちたような顔をしている竜音、そんな竜音をみて白奈はとても安心した顔をし竜音の頭を優しく撫でる、竜音の髪はサラサラで灰色だが光の当たる角度によっては銀髪に見えなくもなく一本一本が細く繊細な竜音の髪を丁寧になでるのだった、撫でられている竜音の方も気持ち良さそうに目を細め身を任せていた。

 

「お母さん...ありがと!」

 

元気に感謝を述べると共に少し頬を染めはにかみながら可憐に笑う竜音に白奈は同性、ましてや親子ながらも魅了され惚けているのだった、そして気を紛らすようにわざとらしく『オホンッ』と咳払いをするのだった。

 

「竜音今みたいな笑みは簡単にやっちゃだめよ」

 

「...?」

 

竜音は突然の指摘に不思議そうに小首をかがげるのだった。そんな様子を見て白奈は戦慄し『こんなにも恐ろしい価値があるじゃない』と苦笑いするのだった。

 

 

 

 

 




一回書いた話が消えてしまってちょっと萎えそうですT_T
おおまかなストーリーは頭のなかに入っているのでいいですが、試行錯誤の結果が!と思うと結構心にくるものがありますね。
でもまぁタイピングの練習と思って頑張って書きたいと思います


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3話 恐竜少女とカミングアウト

今回はマッマが大活躍!?
やはり母は偉大ですね。
全く物語りと関係のない私事になるのですが、先日母の誕生日がありましてプレゼントに名刺入れをあげました、えらく喜んでたのでこちらとしても嬉しかったです。会社の同僚にも自慢したと言っていて少し恥ずかしかったです...
こんな感じに時々前書きに日常ラジオ的なものをかくのでよかったら見てください。

では本編どぞッ!


竜音の心を少しでも軽くしてあげたいとする白奈の願い通りに、つきものが落ちたような笑顔を見ることができ安心した所で白奈は話を本題に戻そうとした。

 

「話は戻るんだけどね、お母さんは雄英に行くこといいと思うよ」

 

竜音はあまりの話の展開の移り変わりに目を白黒とさせ話しの流れについて行けずにいた。そんな竜音を見て白奈はフフッと笑った

 

「なんの話してるのって顔をしてるよ、そもそもさっきの話は雄英の推薦云々の話から始まったんだよ」

 

「そうだった!」

 

「やっぱり忘れてる!」

 

先ほどの暗い雰囲気が嘘のように和気藹々とした雰囲気となっていた。

 

「それでね、もう一回言うけど雄英に行くのは悪くないと思うよ」

 

白奈は竜音に雄英で多くのことを学んでほしいと考えていた、竜音は強個性を持ち,賢い方とは言っても所詮はまだ15歳の少女、精神的な部分ではまだまだ幼いと言えた、そんな竜音だからこさ雄英で多くの苦難を乗り越え精神的にも、肉体的にも、そして個性的にももっと伸びしろはあると考えていた、確かに竜音の個性は強個性と言えるものだろう、しかし個性というのは本人の工夫次第でいくらでも価値が変わりうるものである、今周りから持て囃されいるのはあくまでも井の中の蛙、もっと広い世界、大きな視点で見れば現時点で竜音より個性そのもの強弱に関わらず強いものなどいくらでもいるだろう、そして個性が強いからと周りから言われるうちにヒーローなんて簡単になれると思っているその根性をたたき折ってもらう意味でも雄英は白奈が考える竜音の成長に最適の場だと考えていた。また他にも雄英を推す理由はあるのだが...

 

「雄英は先生が現役のプロヒーローで、直々に教えてくれるからためになることは多いと思うし、竜音が言われるような強個性なんて言われるものを持ってる人もいっぱいいる、それに雄英はね、個性が強くても、勉強が出来ても一番肝心なものがなきゃダメなの」

 

「肝心なものって?」

 

「当ててごらん、何だと思う?」

 

竜音は『う~~ん』と眉間にしわを寄せ考えていた、そんな時に『悩んでる顔もかわいい』なんて考えている白奈は間違いなく親バカである。

 

「勇気とか?」

 

「確かに勇気も大事だね!でもねちょっとおしいかなぁ~」

 

「惜しい...?...う~ん...わかった!」

 

「お?なになに答えをどーぞ」

 

「Plus Ultra!」

 

「なるほど校是をとっちゃったか!」

 

「え!?違うの!」

 

「まぁ~正解でいっか!」

 

「なんかスッキリしない~!ちゃんとした答え教えて!」

 

「いいよ、正解はね自己犠牲の精神だよ」

 

「自己犠牲の精神...?」

 

「そう、自己犠牲の精神、きっとまだわからないと思うけど雄英に入ればそのうちきっとわかるよ」

 

ヒーローには自分の身を顧みずに人々を守らなければいけない時が来る、そんな時に自己犠牲の精神がないと立ち向かえないという事態に陥ることがある。実際、この自己犠牲の精神の重要性は白奈の身をもった経験則から来ていた。

 

「それにしてもお母さんなんか雄英に詳しくない?」

 

先ほどから竜音は疑問に思っていた、妙に白奈が雄英に詳しく、パンフレットなどに載っていないようなことまで言っていた事に頭の上に疑問符が浮かぶばかりである。

 

「あー、言ってなかったっけお母さんね元雄英生なの」

 

「ついでに言うと一応元プロヒーローなの」

 

さらっと言われたカミングアウトに竜音は思考を停止していた、まさかこの優しくおっとりとした母が雄英卒で元プロヒーローなど誰が考えられるだろうか、いや考えられない、と心の中で反語表現を使ってしまうくらいには竜音は気が動転していた、また竜音の表の様子からもその状態がありありと見て取れた『エ..エッ..』と声にならない音を口から漏らし、半開きになった口をパクパクさせている様子はさながら餌をせがむ金魚のよう、一言で表すならアホ面だった、そんな状態の竜音を見て白奈はアハハハと笑っているが当の竜音からしてみれば全く笑い事ではない状況である。

 

「そんなにおどろくこと?」

 

「驚くよ!!だってお母さん今まで全くヒーロー関係の話してこなかったじゃん!」

 

「だって聞かれてないし」

 

「確かにそうだけど!」

 

基本的に白奈は温厚でいつもポヤ~っとしているタイプの人間だった、竜音自身も直接聞きはしないが結婚して専業主婦になる前は花屋さんで働いていそうだな~と考えたりすることがあるくらい戦闘や災害などとは縁遠い人物と思っていた、しかし蓋を開けてみればヒーローだった、しかも雄英卒のエリートと呼べるようなヒーロー。まさかの斜め上の答えに...斜め上どころか180度回転してもおかしないくらいの答えに目が飛び出そうだった。仮に竜音の個性が【ギャグ】だったなら『ドヒャー』と言いながらその場ですっころんでいたであろうというくらいには竜音にとって驚くべきことだった。そして驚くと同時に疑問が浮かんだ『なぜヒーローをやめたのか』。確かに今現在の歳では流石にキツイかもしれない、しかし若い頃ならまだまだ十分活躍できたというのは想像できる、母はこんな温厚な性格だが個性はかなり戦闘向きだからだ。白奈の個性は【トカゲ】変形型の個性で発動すると全身が鱗で覆われ防御力が高くなるだけでなく壁に張り付くことができたりと他にもかなり汎用性も高い、そんな活役所が多い個性であるのになぜやめてしまったのか。

 

「なんでお母さんはヒーローやめちゃったの?」

 

「それはね竜音が生まれたからよ」

 

竜音が白奈にヒーローをやめた原因について聞くと、その答えは竜音自身であった。確かにヒーローは時間が明確に決まった仕事ではないので子供が小さいうちは離れるわけにいかず仕事ができないだろう、しかしある程度大きくなったら幼稚園に預けるなどすればよかったのではないかと思う、世のお母さん方の中にも子供を幼稚園や保育所などに預けて働くお母さんは多いだろう、しかしなぜそうしなっかたのか考えてもわからなかった、それでもヒーローをやめた理由が自分だと言われたら罪悪感を感じるだろう。竜音はうつむき下を向いた。

 

「ごめん...」

 

「なんで竜音があやまるの?」

 

「え...?」

 

竜音は自分のせいで考えていたため戸惑っていた、白奈の方もなぜ竜音がこのタイミングで謝るのだろうと困惑していた、二人して困惑顔をしていると白奈が閃いた!とばかりに手をたたき竜音の頭を撫でる、撫でられている竜音はますます困惑しているようだった。

 

「わかった!竜音は竜音が生まれて私がヒーローを続けられないからやめたと思ってるんでしょう?」

 

「違うの..?」

 

「違うよ、勘違いさせちゃってごめんね...」

 

白奈はおもむろに椅子から立ちリビングのラグの所に座り込むと竜音に向かって手招きした。手招きされた竜音は白奈の突然の行動に真意を計りかねながらも椅子から降り白奈に近づく、すると急に右手をグイッと引っ張られ白奈のあぐらの上にちょこんと座り後ろから抱きつかれる形になった。

 

「え!?いきなりなに!?」

 

「大きくなったね~」

 

竜音は背丈の差的に頭の後ろから声が聞こえていた、その声は今までで1番柔らかく、温かいものだった。

 

「私がヒーローをやめた理由はね、竜音の成長を見守りたかったからなの」

 

そう言われた竜音は静かに聞いていたが、心の中はとてもポカポカしてあったかいと感じていた。

 

「私はヒーローをやめたことを1ミリも後悔してないよ...むしろ竜音の成長を見守れて、貴女を1番近くで守れてよかったと思ってるよ」

 

「そっか...」

 

竜音は白奈がヒーローをやめた真の理由を聞き、嬉しそうに返事をしたと同時にお腹に回されている白奈の手に自分の手を重ねるのだった。

 

「ねぇねぇお母さんのヒーロー時代の話聞きたい!」

 

「いいよじゃあお母さんが1番ヤバイ!と思ったときの話をしてあげる」

 

_________________________________________________________

 

午後7時頃、緊急の報告を受けた白奈は全力で現場に急行していた。数分前に受け取った報告の依頼はこういうものだった。

 

『ある植物学者がヴィランにさらわれ廃ビルに立てこもっている、ビルの入り口などにはそこかしこに罠ようなものがあって突入できない応援を願う』

 

というかなり犯罪性が高いもの。下手をすれば植物学者が殺されてしまうような一刻を争う状況だった。

 

「急がないと...」

                      ・

                      ・

                      ・

                      ・

現場につくとほかにもヒーロー達がいたが立ち往生しているようだった。白奈は近くのヒーローに声をかけ状況を聞いた。

 

「ヒーローのレプタードです、今どんな状況ですか?」

 

「ああ、ヴィランの野郎が玄関や階段に植物みてぇな罠が仕掛けやがって迂闊にはいれねぇ、既に3人やられた」

 

「なるほど...」

 

話を聞いた白奈は玄関や階段付近に視線を向け目を個性を発動する、全身に光沢を持つ薄い茶色の鱗が浮き上がり、爪はかぎ爪のようなもに変わった、また視界にも変化が訪れていた温度が高い所は赤系統の色、温度が低い所は青系統の色に変わるというサーモグラフィーのような機能を果たすようになっていた。そして視線を向けた先に赤い点々が見えることに気づいた。

 

「なるほど...」

 

おもむろに呟くと玄関に向けて歩を進める。

 

「おいおいやめといた方がいい、相手が植物なら炎系ヒーローを待ったほうがいいぜ」

 

「いや事態は一刻を争う、私ならもしかしたら突破出来るかもしれない」

 

そして赤い点々の1つに近づく...

 

ザシュッという音共に腕程度の植物の茎が飛び出してきたが元々位置が分かっているので危なげなく回避することができた、玄関や階段付近にあった赤い点々の正体は壁にくっついた植物の種子だった、罠の正体がわかれば避けるのは簡単だった近づいてから茎が出るまでにタイムラグがあるので余裕をもって避けることができるため1階ずつ慎重に進み白奈は遂に最上階にたどりついた、そこには横たわっている男性と怪しげな土で汚れたコートをきた男性がいた。

 

「ヒーローのレプタードです、大人しくそこの男性の身柄を引き渡し抵抗はやめなさい」

 

白奈が問いかけるとなにやらこちらに背を向け袋を漁っていた男はこちらを振り返りながら呟いた。

 

「チッ、もう炎系ヒーローがきたのかァ?」

 

こちらに振り向いた男の様相を見て白奈は顔を強張らせた、何故なら相手がネームドヴィランのグロウリーであったからだ。

 

「お前のそのなり、てめぇ炎系ヒーローじゃねぇなァ?」

 

男は振り返るとクツクツと笑いながら聞いてくる。

 

「あァなんだ警戒して損したじゃねぇかァ」

 

白奈はそんな敵と相対し内心かなりの焦りを感じていた、ヴィランとはいえども千差万別、そんな中ネームドヴィランというのはその凶悪姓故にヒーロー側にも名前を覚えられているようなヴィランであるまともに戦っても勝ち目は薄いと言えた。しかし目の前に救える人がいるのに逃げるなど出来るはずがない、白奈は覚悟を決め油断なくあいてを見据える。

 

「あァ...?なんだその目はやろうってのかァ?」

 

「まァいいぜ少しかわいがってやるよ」

 

その言葉を発した直後、白奈は地を蹴ってグロウリーに接近を試みるしかしグロウリーはその直線上に種撒き発芽させることで道を塞ぐと共に茎の射出による攻撃をしかけてきた。

 

「...ッ!」

 

なんとか左にそれ紙一重で避ける。

その後は近づこうとしては迎撃され、茎の射出による攻撃をかわし逸らす攻防が続いた。

 

「らちあかねぇなァ」

 

グロウリーはそういうとポケットから袋のようなものをこちらに投げた、その袋は白奈の2メートル手前程に着地し黄色い粉末をまき散らした。黄色い粉末が撒き散らされると同時に白奈は目を瞬膜で覆った(瞬膜というのは主にトカゲやヤモリなどが持つ目を保護する瞼とは別の透明の膜)おかげで黄色い粉末は体表面に付着しピリピリとするだけだった。

 

「なんで目が潰れねぇんだァ?」

 

「まァいいそろそろ仕舞いだァ」

 

そういうとグロウリーは拳大の大きさの種子を取り出しそれを地面に落とし発芽させた、発芽した植物はその場でうねうねとうごめきやがて色々な植物が組み合わさってできた四足歩行の異形の化けものとなった、白奈は個性による動物的な本能が警告を発しているのがわかった『あいつはやばい...』そう思いつつも植物の化け物を攻略するために思考はやめなかった、頬を冷や汗がつたう...、瞬間植物の化け物が白奈めがけ突っ込んできた、なんとか転がり回避するも予想していたかのようにグロウリーに射出された茎をなんとか避けようとするが左の脇腹にかすり一本は深々と右肩に刺さった。

 

『イッ...』

 

白奈は怪我に一瞬気をとられ、接近する植物の化け物の丸太のように太い尻尾に気づかなかった、気づいた時には既に遅く、白奈は尻尾にはじき飛ばされるようにして吹っ飛びコンクリートの柱に叩きつけられた。

 

『カハッ』

 

肺の中の空気を強制的に出され出血量もひどく意識も朦朧としていた。

 

『ハァハァ』

 

荒い息を吐き、肩で息をしているような状態でもまだっ!白奈は諦めていなかった。

(このまま戦っても負けるだけこうなったら一か八か賭けるしかない...)

白奈は覚悟を決めると重たい体に鞭を打って立ち上がり最初と同じようにあいてを見据えた。

 

「往生際がわりぃなァさっさとくたばれ」

 

白奈はグロウリーに向かって走り出した、それと同時に植物の化け物もこっちに向かってくる、会敵する寸前、白奈は高く跳躍し天井に張り付き植物の化け物を飛び越える、そして天井を伝って可能な限りグロウリーに接近する、後ろから尻尾が迫るが急に動きが止まる。

(やはり...)

白奈がグロウリーに接近したことで尻尾の攻撃範囲にグロウリーが入ったため植物の化け物は攻撃をやめてしまった、グロウリーがだす植物はグロウリーには攻撃をしないように設定されていたが今回はそれが徒となった。グロウリーは油断していたため種子の準備に手間取り迎撃をしようとするが間に合うはずもなく...

 

『フッ!!』

 

白奈に首を抉られた

 

『ゴホァッ』

 

大量に吐血し、ドサッという音ともに倒れ気絶した。それとともに植物の化け物は枯れて崩れていった

白奈はというと植物学者を救えたことに安堵し、応援の足音が近づいてくるの感じながらゆっくりと意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回は"白奈の回想"を書いてみました!
初めての戦闘描写、やっぱり頭の中に思い描くものを言葉にするのは難しですね、いつかは私も手に汗握るような戦闘シーンをかけるようになりたいです。
そしてこの後今回登場した2人に関するパーソナルデータを置いときます、よかったら流し見程度でいいので見て頂けるとより私の小説を楽しめるかも...?

後タグに微百合とつけてますが、白奈と竜音は親子なので百合ではないのであしからず、この2人ただ単にマザコンと娘大好きなだけです!!

PERSONAL DATA
・古代 白奈(こしろ しろな)
元ヒーロー名:レプタード
...とかげのLizardと爬虫類のreptilesを合わせました(意外と安直w)
個性:トカゲ
...変形型個性で発動すると全身に鱗が浮かび上がり、かぎ爪になり、目にサーモグラフィーのような能力が追加される、鱗があるため防御力は高め、かぎ爪を使って天井や壁を伝うことが出来、汎用性が高い。しかし爬虫類なので寒さに滅法弱く凍系個性が天敵。
身長:168cm
性格:温厚だがやる時はやる!


・グロウリー
名の由来...適当に成長のgrowからとってます。
個性:品種改良
本来配合できない植物同士を配合し色々な植物を生み出せる、かなり汎用性が高く強個性、話の都合上あまり多くの植物が出せませんでしたが一応出た3つは紹介したいと思います。
・射出型の茎
...近くに誰かが接近すると発芽し、その反動で射出されている、さきが鋭利にとがっており殺傷力抜群。
・麻痺茸の胞子
...この胞子は触れると神経毒を発するため感覚が麻痺ししびれたような感じになる
・植物キメラ
...自立型植物をベースにあらゆる植物と配合させ生み出された一応植物。グロウリーの切り札。
(植物学者をさらっていたのは新たな植物を生み出すためだったりする)
性格:自身過剰で油断しがち...


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4話 恐竜少女と雄英受験 上

今話でやっと主人公の個性が発覚!?
今回原作ちょっと改変します。
原作では推薦組と一般組は実技試験を別のタイミングもしくは会場で行っています、ですが今作では合同で行いますが総合実技成績は別々に出すということにします、またA組B組の定員は20→24、推薦組もそれぞれ2→3にしたいと思います。
オリキャラがいっぱいです...体育祭とかも改変があると思います...どっかで矛盾が起きそうで怖いです、てか多分起こります、はい...そこは温かく見守って頂けると嬉しいです。

それはさておき...
戦闘描写はテンポよく擬音を多様することで臨場感を出すか?とか戦闘を地の文で説明する形がいいのかとか色々試行錯誤していくため話によって表現の差異とかがでてしまうとは思うんですがそれも醍醐味の1つとして楽しんで頂けたら幸いです。

では本編どうぞ..


時は経て入学実技試験当日。

 

竜音は試験会場に向けて巨大な雄英校舎を前にして歩いていた。

 

(は~でっか~)

 

なんて呑気な事を考えつつも試験に向け気合いを入れるのだった。

 

(推薦を貰ってるんだしがんばらなきゃ!)

 

濃い緑色のモサモサとした髪の男の子が転びそうになった所を茶色の髪の女の子が触れると、男の子がマイケル・ジャクソンのような姿勢で静止するという可笑しな光景を視界の端に入れつつ竜音は受験会場へ向かう。

 

 

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『受験生のリスナー!今日は俺のライブにようこそ!EVERYBODY!SAY!HEY!』

 

『『『...』』』

 

ボイスヒーロー・プレゼントマイクが壇上でハイテンションで演説を行うが会場はシーンとした空気に包まれる。

 

『こいつはしびぃ、なら受験生のリスナーに実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜぇ、ARE YOU READY!!YEAH~!!』

 

     ・

     ・

     ・

     ・

その後もプレゼントマイクによる実技試験の説明が行われている時...

 

「質問よろしいでしょうか!」

 

その声と共に眼鏡をかけた真面目そうな男子が手を上げて立ち上がった。なにやらプリントには4種のヴィランが記載されているが紹介されているのは3種これはどいうことか!?ということだった。加えて...

 

「ついでにそこの縮れ毛の君!先程からボソボソと気が散る!物見遺産のつもりなら即刻ここからさりたまえ!」

 

という言葉を放った。

 

(ふぇ~、こっわ)

 

なんて竜音は考えていた。

 

そしてプレゼントマイクが答え始める、プレゼントマイクによると0Pのお邪魔虫がいる、倒すも倒さないも本人次第ということだった。

そして説明が終わると...

 

『最後にリスナーへ我が校、校訓をプレゼントしよう。かの英雄ナポレオン・ボナパルトは言った、真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていくものと、さらに向こうへPlus Ultra!それではみんなよい受難を』

 

と言ってプレゼントマイクは去って行った。その後は各々生徒ごとに試験会場に分かれていった。

 

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SIDE 演習場会場 B

 

竜音は大きな門を前に落ち着いていた。

 

(お!さっきの注意されたモサモサ君いる!ガチガチに緊張してるじゃん)

 

クスッ笑うと前を見据える。

 

(まだやりたこととかは見つからない、でも願いはある...母のように私は大事な人を守れるようになりたい!)

 

そこいたのは周りに対していつも作り笑顔を振りまいていた竜音ではなかった、そこには不敵に笑い覚悟の籠もった瞳を持つ1人の少女がいた。

ガヤガヤと後ろでなにやらもめているようだったが竜音は気にせず集中力を高めていた。すると...

 

『はい!スタート!』

 

(えっ?)

 

竜音は戸惑いつつ声が発せられた塔を見上げる。

 

『実践にカウントなんかねぇんだよ、走れ走れ賽は投げられてんぞぉー』

 

(なるほどね)

 

理解するやいなや竜音は個性を発動する。両手両足からは灰色の鱗が浮かび上がる、手は指が3本になり爪が伸び鋭利なかぎ爪に、尾てい骨の部分が盛り上がり服を突き破るようにして灰色の鱗を持つ尻尾が現れる。強靱な足の筋肉を活かして飛び出す様に走り出す、徐々に加速し先頭集団との距離を開けていく。

 

「いた!」

 

早速仮想ヴィランを見つけると素早く近づき右腕を勢いよく振り下ろす。

 

ザンッ!!

 

「なんだ大したことないじゃん」

 

仮想ヴィランは竜音の右腕の攻撃によってあっけなく鉄くずに成り果てる。

 

「よし!これなら行ける」

 

そう呟くと次の獲物を探しに走り出すのだった。

 

 

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SIDE ???

CASE1

 

艶やかな黒髪をポニーテールにした長身の少女が仮想ヴィランと相対していた。仮想ヴィランによる攻撃が繰り出されるがその少女はほとんどその場を動かず最低限の動きで回避する、そして仮想ヴィランの懐に潜り込むと右手に持っていた鈍色の棒を両手に持ち替え一閃。

 

シュンッ!

 

小気味よい風切り音と共に目にもとまらぬ速さで振り抜かれた棒は寸分違わず仮想ヴィランの動力部を打ち砕いていた。

 

「かの雄英高校の入学試験、どんな化け物が出てくるかと思っていれば、案外なんて事はないのね、まぁ最初から手をぬくきなんて更々ないのだけれど」

 

そう呟くと仮想ヴィランの群れに飛び込んでいく、多数の敵に囲まれながらもその少女に攻撃は当たらない、そして一体ずつ的確に動力部を潰していく、端から見ればその少女は舞踏をしているようにも見えた、その少女の美しさも相まって周りにいた受験生達は男女関係なくその少女に見惚れ動きを止めるのだった。

 

「この(わたくし)の雄英での晴れ舞台、精々踏ん張ってくださいね人形さん達」

 

その少女は唇を三日月型に歪め,蠱惑的な表情を浮かべ舞い続けるのだった...

 

 

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SIDE ???

CASE2

 

そこには辺り一面にぺしゃんこに潰れた仮想ヴィランが散らばっていた。

 

「う~んこの仮想ヴィラン達は何で出来てるんだろう?鉄?アルミニウム?鉛?チタン?ニッケル?銅?はたまた合金?でもなぁ金属にしては延性がない気がするし金属光沢は...まぁなにかコーティングされているだろうしこの場での判断は不可能かな」

 

しゃがみ込み潰れた仮想ヴィラン達をのぞき込むようにしてなにか独り言を話していた者は納得したような声をだすと立ち上がり辺りを見回すと、腕を組み考える像のように右手を顎?のような場所に当て再び独り言をブツブツと呟きながらも歩き出す、時折仮想ヴィランがその者に攻撃を加えようと近づくがなにか見えない力によってあっけなくぺしゃんこにされていく、当の攻撃されている本人は攻撃している仮想ヴィランに見向きもせずただなにかを思案しているように独り言を漏らしながら歩いているだけだった。その奇っ怪な様子に受験生達は混乱するばかりだった、またその者の容姿も混乱に拍車をかけていた。その者は見るからに異形型個性の見た目をしていた、195は有ろうかという長身に受験には場違いな丈の長い白衣を着ていた、そしてなんと言ってもその者は首から上が赤々としたリンゴだった。

 

「それにしてもこの仮想ヴィラン一体作るのにいくら掛かるのだろうか、これだけのサイズそして性能なら一千万は下らないだろう、それを何百体も用意しているということは一回の試験に低く見積もっても何十億もかけていることになる...一体どこからそんなお金が沸いてくるのだろうか?雄英高校は公立高校、故に生徒からの学費ということはない、税で賄われているというのも考えずらい、かの雄英とは言え1つの高校、たった1つの高校に何十億も毎年支給されているというのはあまりにも偏りが過ぎる、では有力なバックがいるのはどうだろうか、これはあり得そうだ。他にも・・・」

 

そんな試験と関係のないことをボソボソと延延と呟きながら歩き続ける姿から『潰されリンゴジャムにされたリンゴ達の亡霊』なんていう噂が出来上がっていたのは本人のあずかり知らぬ所であった。

 

 

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今回は登場予定のキャラの2キャラのシーンを出して見ました、両名ともかなりくせが強そうなキャラとなっております、片方のリンゴさんについては分かる人は分かると思います!ある漫画のキャラをほぼそのまま丸パクリさせて頂いたものとなっております、これって追加でタグ付けしたほうがいいのかななんて心配になっております、オリキャラとは言いつつも他の作品を参考にさせて頂いてるのが多いのでタグが色々な作品でいっぱいになってしまいそうで心配だったりします...

それは置いといて主人公、竜音の個性の真価が発揮せれるのは次回となります乞うご期待です!


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5話 恐竜少女と雄英受験 下

前書きに書くことが早くも尽きようとしています。
抹茶です。
今話では竜音の個性の真の姿?...をお見せできたらと思っています。まァそんな大層なものではないので気持ちハードル低めで見るくらいがいいかな、なんて思ったりしてます。

では本編どうぞ...


辺りで爆発音や破砕音が響く中、竜音は着実に一体ずつ仮想ヴィランを相手にしポイントを稼いでいた。

 

(一体ずつだと効率が悪いな...仮想ヴィランを一カ所に集められればいいんだけど)

 

思案するように辺りを見回し仮想ヴィランを見つけると滑るように近づき、体ををひねり、尻尾を叩きつける。メギャという音と共にボディをひしゃげさせ、吹き飛ばすようにしてビルにぶち当てる。吹き飛ばした仮想ヴィランの方を見、動かなくなったことを確認すると走り出す。

 

(仮想ヴィランを集める方法あるにはあるんだけど悪目立ちしたくないな~)

 

実際竜音の頭の中には仮想ヴィランを集め一網打尽にできるであろう方法があった、それは単純に大きな音を出すというもの、大きな音を出せば仮想ヴィランがそれを感知し音源であろうところに向かうのは予想できる、しかし普通人間の体躯よりも大きい仮想ヴィラン数体に囲まれたら対処できなくなるのが普通である、しかしここは雄英、そんな規格外のことをやってのけるもの達が存在するような場所、故に竜音は焦りを感じていた、『自分は先程から一体ばかりを相手にして遅れをとっているのではないか』と、その焦りから渋っていた一網打尽の方法を決行しようと覚悟を決める、そんな規格外のことを出来るのは雄英受験者の中でもほんの一握りだとは知らずに...

 

覚悟決めた竜音は立ち止まり深呼吸すると竜音の個性本来の姿に変身する。両手両足のみに浮き上がっていた灰色の鱗は全身へと移り、やや前傾姿勢になると体が巨大化していく、顔は捕食者のそれになり鋭い牙をのぞかせていた、そこには全長9メートル体高4.5メートルはあろうかという灰色に輝く鱗を持った恐竜(竜音)がいた。

 

GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA

 

天を見据えるように咆哮を轟かせる。

 

少しするとビルの陰から3体の仮想ヴィランが飛び出しこちらに迫ってくる、それ見つけた恐竜(竜音)はそちらに重い足音を響かせ走り出す。ズシンズシンと加速し躊躇もなく仮想ヴィラン達に体当たりをかます、体当たりされた仮想ヴィラン達は各々の方向に吹き飛び鉄のガラクタとなった。

 

GRRRRR....

 

威嚇するように周りを見渡すと気づけば多数の仮想ヴィラン達に囲まれていた、横から飛びかかってくる仮想ヴィランを体当たりでビルと挟むようにして押しつぶし、後ろから攻撃してくる仮想ヴィランを尻尾でなぎ払う、比較的体躯が大きい3Pの仮想ヴィランは掴みかかるようにしてのしかかり強靱な顎で噛みつき食い千切っていた、そこで行われていることは正しく『蹂躙』であった。

 

しばらくしあらかたの仮想ヴィランを片付けると竜音は個性を解き人型に戻りペタンとその場に座り込む。

 

「疲れた~!!」

 

一仕事終えた後のように達成感のある声を出すと共に脱力する。

 

「こんだけ倒せば流石に大丈夫かなぁ~」

 

辺りには様々なポイントの仮想ヴィラン達が無惨な姿になって20体近く横たわっていた。また竜音が及ぼした影響は仮想ヴィラン達だけに留まらなかった、辺りの大地はコンクリートが剥がれ所々がひび割れていた、周囲に存在するビルにも亀裂が走りそこら一帯だけ天変地異が起きたかのような様相をしていた。

 

「ちょっとやりすぎた感が否めないけど不合格になるよりはましだよね!」

 

そう言うと立ち上がりもう一度部位変身を行う。試験開始時と同じように両手両足に鱗が浮き出、尻尾が突き出る。

 

「まだ試験は終わってないんだし気を引き締めなきゃ!」

 

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ある一室で大きなモニターに映し出される受験生達を眺め議論しているもの達がいた。

 

『今年はなかなかすごい子達が集まったんじゃない?』

 

『うむ、確かに今年は豊作といえるのかもしれんな』

 

『推薦組はともかく一般組にも見所のありそうなヤツがいっぱいいる』

 

そのもの達は雄英の先生であった、リアルタイムで流れてくる映像を見、少々喜びを含ませた声で話し合っていた。

 

『まだ決めるのは早いんじゃないかい?真価が問われるのはこれからさ』

 

一人がそう呟くと赤いボタンを押した。

 

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竜音は最初と同じように堅実に一体ずつ相手にしポイントを増やしていた。すると...

 

『ゴゴゴゴゴッ』

 

という音がし地鳴りがし始める。

 

「えっ!なにっ!」

 

すると地中からそれまでの仮想ヴィラン達とは比べるまでもなくビル程に大きい仮想ヴィランが現れる。

 

(あれがお邪魔虫か...流石にあれは無理だー)

 

迫る超巨大ヴィランを前にし逃亡を選択しようとする。

 

(あの子足が挟まって動けないのか!でもあの大きさは...)

 

瓦礫に足が挟まり動けない子を見つけ振り返り、躊躇していると視界の端で超巨大仮想ヴィランに向かって走る人影を捉える。

 

(誰かが向かってる!?ってあれモサモサ君!)

 

勢いよく飛び上がるとを引き絞った右腕を振りかぶり仮想ヴィランの頭部に強烈な一撃を加えた。

 

(すごい...)

 

ビル程の高さまで飛び上がり超巨大ヴィランを倒すことが出来る個性もさることながら、なにより迷いなく巨大な敵向かっていけるその勇気に感嘆していると...

 

「えっ?落ちてる!?」

 

巨大ヴィランを吹き飛ばした男の子が明らかに自由落下しているのが見えた。

 

(えぇ!どうしようどうしよう)

 

竜音は焦りつつも個性で全身変身し恐竜形態になる。

 

「私を投げて!」

 

声がした下の方を見ると瓦礫に挟まれていた女の子が喋りかけてきていた。しかし、『投げてと言われてもそんな危ないことは出来ない』と思い、この恐竜形態では言葉を話すことができないため首をかしげる。

 

「大丈夫!私なら助けられる!」

 

その覚悟の籠もった瞳にほだされ、竜音は器用に襟の部分を口で掴み首をうねるようにしてその女の子を落ちている男の子めがけ投げ出す。投げ出された女の子は男の子に触れる距離まで近づくとビンタをした、すると自由落下が止まりフヨフヨと緩やかに落ちてきた。落ちてきた男の子は両足が折れあらぬ方向に曲り右腕が変色し腫れながらも、涙を流し左腕で這いずるようにしていた、女の子は顔色が悪く口を押さえるとキラキラとした吐瀉物をぶちまけていた、そんな若干のカオスな状況にどうするか竜音が動きあぐねていると。

 

『試験終了!』

 

声と共にアラームが鳴り響き試験終了がプレゼントマイクによってアナウンスされた。竜音は個性を解除し人型形態に戻り二人のもとに駆け寄る。

 

「大丈夫!?」

 

心配の声をかけるも竜音の個性では特に出来ることはないので側で様態を見ることしか出来なかった。

 

(モサモサ君体がすごいボロボロだ...ヴィランの攻撃は食らって無かったから自分の個性の反動でここまで!?そんな強力すぎる個性もあるんだ...それにしてもこれはあまりにも...)

 

女の子の方は吐き気があるだけだったが、男の子は目をそらしたくなる程に酷い怪我をしていた、その原因や要因を考え竜音の内心は驚きと困惑が浮かんでいた。

 

「はぁ~いお疲れ様~」

 

「はいはいグミだよ、グミをお食べ」

 

杖をついた老婆がこちらに歩いてきていた。

 

「おやまぁ...自身の個性でこうも傷つくかねぇ」

 

『チユーーー!』

 

謎の効果音と共におもむろに唇が伸び怪我をした男の子に接吻すると怪我がみるみる治っていた。

 

(すごい傷が一瞬で...)

 

「雄英校の看護教諭、ようれいヒーローリカバリーガール、あの人の個性は治癒力の超活性化、雄英がこんなに無茶な入試を慣行できるは彼女のよるところが大きいみたいだね」

 

(癒やしの個性なんてものもあるのか!世間は広いんだなぁ...)

 

金髪の腹巻きのような個性補助器具をつけた男子による説明を聞きつつ竜音は今まで自分がいかに狭い世界で生きてきたのかを実感し試験を終えた。

 

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「竜音~!雄英から通知きてるよ~」

 

竜音は家でいつもどうり過ごしているとそんな母の声が聞こえた。

 

(来た!筆記の方は問題なかったし結構ポイント稼げたし、推薦を貰ってるんだし心配すること無いんだろうけど緊張する~!)

 

竜音は通知を自室に持って入り封を開けた。

 

『私が投影された!』

 

「わっ!」

 

封を開けるとオールマイトが映写機のようなもので投影された。

 

『おっと驚かせてしまった、すまないすまない、なぜ私が雄英からのディスクに映っているんだそうおもっているね?』

 

(これ本当に録画だよね?なんか心を読まれているみたい)

 

的確に心の中を言い当てられ驚きながらも続きに耳を傾ける。

 

『今年から私も雄英で講師をすることになってね、これから共に切磋琢磨していこう!それはともかく結果を知りたいだろう?』

 

竜音はゴクッとつばを飲み手を組むようにして祈る体勢のようになりながら聞いていた。

 

『古代竜音君...もちろん合格だ!筆記も実技も素晴らしい成績だ!今回の実技にはヴィランポイント以外にもレスキューポイントという項目があった、それも含めて古代少女の実技の点数は75ポイント!、推薦組になかでは3位の成績だ素晴らしい!君の将来が楽しみだ!それでは雄英で会おう!』

 

そう締めくくると映像は終了した。

 

「やったーーーー!」

 

歓喜の声を上げ、両手でガッツポーズを作り振り上げめいいっぱい喜びを表す。

 

「お母さん!受かったよ!」

 

「ほんと!?よかったね!竜音!」

 

1階に駆け下り母親に告げると我がことのように喜び、抱き合ってピョンピョンとはねて喜びを分かち合った。

 

「今度の土日、お父さんが帰ってくるからお祝いにしましょ!」

 

「うん!お肉が食べたい!」

 

「とっておきのを買ってくるね」

 

「やった!楽しみーー」

 

白奈は興奮冷めやらぬ様子ではしゃぐ竜音を柔らかな目で見守り優しく微笑むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ちょっと更新が遅れてしまいました!バイトがとても忙しくなかなか執筆する時間や気力が捻出出来ず...
それはさておき、竜音の個性が判明しましたね!由来はかのワンピース様のディエス・ドレークってキャラなんですけど知っているでしょうか、私がワンピースの中でローの次に好きなキャラです!
では竜音のパーソナルデータ良ければ軽く目を通してくれると嬉しいです。

PERSONAL DATA
・古代 竜音(こしろ りゅうね)
・ヒーロー名:未定
・個性:恐竜
..変形型個性で恐竜に変身できる、部分変身と全身変身があり、部分変身では体の一部、足や腕、尻尾のみ変身出来る、全身変身は完全に恐竜の姿になりアロサウルスという恐竜に近い形をしている、全体変身をした時には声帯まで恐竜のものとなるので人語を話すことが出来ない、また生物学的に爬虫類に属するため寒さが非常に苦手とい弱点を持つ。
・身長:165㎝
・性格:明るく元気だがまわりに流されやすい


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6話 恐竜少女と入学前&実技成績一覧

今回はほのぼの回にしたいと思います。
そして以前原作改変として増やすといっていたA組B組の人数なのですが増やしすぎるとどうしても話がおかしくなってしまうため20→22にそれぞれしようと考えています。期待されていた方がいたら申し訳ございません。
加えてなぜ推薦組が一般と一緒に実技試験を受けているのか?という方がいらっしゃるかもしれませんがこれは原作改変になります、話の都合上返させて頂いたものになるのでご了承ください。

では本編どうぞ。


暗く大きなモニターに様々な映像が映されている一室で雄英高校で教鞭をとるヒーロー達による先の入試実技試験の講評が行われていた。

 

「実技総合成績出ました。」

 

一般入試総合成績

 

1位 爆豪 勝己   VILLAN 77 RESCUE 0 TOTAL 77

 

2位 切島 鋭児朗  VILLAN 39 RESCUE 35 TOTAL 74

 

3位 麗日 お茶子  VILLAN 28 RESCUE 45 TOTAL 73

 

4位 塩崎 茨    VILLAN 36 RESCUE 32 TOTAL 68

 

5位 予見野(よみの) (かぞえ)   VILLAN 49 RESCUE 16 TOTAL 65

 

6位 飯田 天哉   VILLAN 52 RESCUE 9 TOTAL 61

 

7位 緑谷 出久   VILLAN 0 RESCUE 60 TOTAL 60

 

8位 鉄哲 徹鐵   VILLAN 49 RESCUE 10 TOTAL 59

 

9位 常闇 踏陰   VILLAN 47 RESCUE 10 TOTAL 57

 

10位 集目(あつめ) (たつ)     VILLAN 30 RESCUE 25 TOTAL 55

 

推薦入試総合成績

 

1位 夜嵐 イサナ  VILLAN 72 RESCUE 10 TOTAL 82

 

2位 轟 焦凍    VILLAN 77 RESCUE 3 TOTAL 80

 

3位 古代(こしろ) 竜音(りゅうね)   VILLAN 67 RESCUE 10 TOTAL 77

 

4位 万力場(ばんりきば) 林檎(りんご)  VILLAN 62 RESCUE 14 TOTAL 76

 

5位 骨抜 柔造   VILLAN 49 RESCUE 22 TOTAL 71

 

6位 八百万 百   VILLAN 40 RESCUE 27 TOTAL 67

 

7位 取蔭 切奈   VILLAN 34 RESCUR 29 TOTAL 63

 

一人の男が部屋に入ってくると共にモニターに入試実技成績の結果が表示された。

 

「なるほど今年はかなり優秀なものが多いようだ」

 

「そうですね、期待できそうです」

 

「それにしても、一般の主席がレスキューポイント0とは...」

 

「確かにこの子はちょっと心配になるね...」

 

入試実技成績が公表され様々な意見飛び交う中その最初の的となったのは爆豪だった。

 

「この爆豪って子は個性もかなり強いし、10分間仮想ヴィランを倒し続けるスタミナもある、でも少し感性のほうに問題ありかな?」

 

「そうですね、この爆豪君仮想ヴィランを倒すときに毎回『死ねぇっ』って叫んでるんですよ」

 

「本人なりのルーティンなのかもしれんがヒーローとしてなぁ...将来ヒーローになる時に大きな問題となってしまうかもしれん、在学中に直すことができればいいが」

 

雄英の教師達はモニターに映る『死ねぇっ』と言いながら仮想ヴィランを倒す爆豪 勝己に目を向け苦笑いをする。

 

「反対にこの7位の少年はヴィランポイント0でレスキューポイントが60とは偏りのある取り方だな」

 

「あの巨大仮想ヴィランを一撃で倒すものがいるなんて想像もしてませんでした...」

 

「だがその後体は反動でボロボロ、自傷を伴う個性なのか?」

 

「う~む、わからん」

 

次に話の中心に上がったのは緑谷だった。巨大仮想ヴィランを一撃で倒すその個性の強力さに驚きの声を上げる先生もいるなか、個性の反動によるものなのか大きな怪我をしたという事実に怪訝な顔をする者もいた。

 

「まぁあまりに個性が強力でまだ体が伴わないかもしれません、これからに期待しましょう」

 

オールマイトは思い入れのある緑谷に若干の助け船を出すためにこれからの成長に期待ということにした、実際緑谷は個性を譲渡されたばかりで個性に慣れておらず個性を使うことで体が反動に耐えられないことは仕方のないことだった。

 

「また今年の推薦組もクセが強そうなのが集まったな」

 

「ええ、推薦組の上位の方はヴィランポイントが高くレスキューポイントが低めの傾向にありますね」

 

「それは仕方あるまい、個性が強力故に推薦をもらっているもの達なのだから」

 

「1位の夜嵐君は風の個性ですね、言わずもがな強力な個性です」

 

「ああ、機動力もあり戦闘力もある、また発動規模としても申し分ない」

 

次に議論れているのは推薦組とその個性についてだった、推薦組は推薦されるだけあって実力も申し分なく皆が高得点を出していたために多くの考察がなされていた。

 

「発動規模という意味ではこの2位の轟君もすごいですね」

 

「仮想ヴィランをまとめて氷漬けにした大氷塊はすごかったな、しかい規模がでかすぎる故に他のリスナー達を巻き込まないかヒヤヒヤしたぜ」

 

「ですがこの轟君の個性自己調査表には『半凍半燃』と書いてあります」

 

「この轟君はあのエンデヴァーの息子ですから炎系の個性かと思っていましたが...」

 

「個性の名前からして炎と氷のハイブリットなのではないでしょうか?ですがこの実技試験では特に炎熱系の個性を使っている様子が見られません、なにか発動条件があるのでしょうか...」

 

「なんにせよ相当強力な個性ですね...」

 

轟についての考察もなされていたが話されていることは個性の規模の話とエンデヴァーの息子であるということが多かった、またそんな中、自己申告表では炎熱系と氷結系のハイブリット個性であると思われるがなぜ炎を使わなかったのか、また使えないのかなども話されていた。

 

「そしてこの3位の古代さん」

 

「あの咆哮をあげた子か...他の会場まで響く程の声を出すとは」

 

「いきなり怪獣みたいな声が響くから腰抜かしちまったぜ!」

 

「この古代さんその突飛な行動は仮想ヴィランを集める目的でやったようです、集まってきた仮想ヴィラン達をなんなく倒していますし、この子もかなり個性としては強力ですね、ですが周囲の被害がかなり大きい巨大化してしまう都合上仕方ないのかもしれませんがもっと周囲への配慮など覚えなくては複数人でのヒーロー活動の時に困りそうです」

 

 

 

 

 

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そんな話がされていた後も多くの受験生達がいるため教師達による議論は一日を通して行われていった。

 

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「久しぶりに来たけどやっぱり人が多いね~」

 

「そうね~」

 

竜音は白奈と共に大型ショッピングセンターに来ていた。

 

「わぁお母さん見て!あの服可愛い!」

 

「どれどれ、確かに竜音に似合いそうね!」

 

「でしょー?」

 

そういうと竜音はもの言いたげな目で上目遣いをする。

 

「だから~買って欲しいな~?なんてっ」

 

あざとく目をウルウルとさせながら懇願する竜音に白奈はフッと笑うと...

 

「いいよ」

 

「ほんと?!」

 

「竜音が試験頑張ったご褒美ね」

 

「やったーー!」

 

竜音ははねて喜んでいた。

 

「じゃあポーチも欲しい!」

 

「調子に乗らないの!」

 

「あ、イタッ」

 

「むー、別にデコピンしなくともいいじゃん」

 

白奈がこつんとデコピンをすると竜音はおでこの部分を摩りながらほっぺを膨らまして、いかにも『怒っている』というような顔を作ろうとするが竜音の可愛らしい顔ではいくら怒った顔を作っても、結局可愛い顔にしかならないのだった。

 

「あはははは」

 

「笑い事じゃないもん」

 

「だって竜音がなにか可愛い顔をしてるから...」

 

「可愛くないー!私は怒ってるの!」

 

ツーンという様子で顔を背ける竜音に白奈は竜音の頭を撫でながら言う。

 

「デコピンしてごめんね?ポーチ買ってあげるからそんな怒らないの」

 

「なら許してあげる!」

 

口では『許してあげる』と気丈な態度をとっているが顔は口角があがりニマニマとした顔になっていた。

 

「じゃあ早速見に行こ!」

 

「もう、調子がいいんだから」

 

二人は両手に荷物を抱えながらポーチを求めて人混みに向かって歩いていくのだった。

 

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「はぁ~疲れたー」

 

ショッピングセンターにある休憩用のベンチに座り、側に大量の荷物を置いて竜音は呟いた。

 

「この量、駐車場に持って帰れる?二人で持っても両手からあふれるくらいあるよ」

 

「大丈夫!手が足りないなら尻尾を使えばいい!」

 

そう言うと竜音は部分的に個性を発動し尻尾をはやす、その尻尾を荷物の持ち手の部分に通していくつかの荷物をも持ち上げる。

 

「変な個性の使い方ね」

 

「別にいいじゃん!そんなことよりお腹すいた~、あそこにあるクレープ食べたい!」

 

「さっきお昼食べたばかりじゃない」

 

「動き回ったからお腹減ったの!」

 

「まぁいいけどあんまり食べ過ぎると太るよー?」

 

「平気平気!私太らない体質だから!」

 

「そうね、じゃあ好きなのかってきなー」

 

「うん!」

 

お金を受け取った竜音は小走りでクレープ屋さんに近づきメニューを吟味する。

 

「うーん、甘い系もいいけど食べ物系も捨てがたいなぁ」

 

メニューを前にして眉間にしわを寄せ一世一代の決断をするような雰囲気を作っていた。

 

「よし決めた!お姉さん、生チョコホイップクレープください!」

 

結局竜音が選択したのはスイーツ系のクレープだった。

 

「んん~!美味しい~!」

 

クレープを食べると頬を押さえて幸せそうに咀嚼する。

 

「そんなに美味しいの?お母さんにも一口ちょうだい」

 

「いいよ、あ~ん」

 

「あ~ん」

 

白奈は竜音があまりにも美味しそうに食べるので興味を示し『あ~ん』と一口貰うとモグモグと食べる。

 

「んー!美味しいね!甘いだけじゃなくて少しビターな感じもする、多分コーヒーエキスかな?」

 

「でしょ!美味しいよね!やっぱ私の見極めに狂いなかった!」

 

「そっか、よかったね」

 

白奈は柔らかな笑みを浮かべると遠くを見るような目をする、竜音は実技試験以来少し考えるような雰囲気を出すことが多くなっていた、おそらく実技試験で世界の広さというものの一端を見たため今までの環境との差異に少し戸惑ってしまっているに違いない、しかいそれは少なからず新たな変化に適応しようと成長しているというこでもあり嬉しくもあるがやはり心配にもなってしまうのだった、しかし今日は竜音の笑顔と元気な姿を見られたので気分転換になりとてもよかったと思える一日だった。これから竜音には多くの困難や壁がぶつかり、悩むこともいっぱいあるだろう、そんな時、側しっかり寄り添い励ましてあげようと白奈は決心する。

 

「そろそろ疲れたし帰ろうか」

 

「わかったー」

 

二人は大量の荷物を抱え、または尻尾で持ち帰路につくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




小説を書くってすごい難しいですね、書く側としてはもっと知的な文を作りたいと思ってもいざ自分で読んでみるとただあくどい文章になってしまったり、日々練習ですね。
なんてことを考えたり考えなかったりの今日この頃でした。


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