いぬの生活 (アスラン)
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いぬの生活
一話:犬になっちゃった・・・


なんとかは小説より奇なりとか言うけど

 

あれは本当なんだね

皆覚えておくと咄嗟の時に慌てなくてすむよ

僕みたいに慌てると犬にリードひっぱられることになるから

 

あれ、本当に苦しいから

 

繰り返せば犬も急ダッシュしなくなるな

 

僕は学んだからもうしない、苦しいから

 

でも人と違うからすごく痛いわけじゃないのはわかった

飼い主が慌ててペースを合わせるから思わず嬉しくて調子にのっちゃうんだね

 

うん、よくわかった

 

という事で

何故か

なんで?

なんでさーーーー

 

犬になっている。

 

それもリード引いてるのは

 

どういうこと?

なんなの?

なんでさーーーーーー

 

「そろそろ落ちつきましたか?」

 

僕の姿でなんか大人っぽい話口調の僕が声をかけてきた

 

「わう。わわう(何が落ち着くの)」

「ふつうそうですよね、私も驚いていますから」

「がうっ!(どこがだよっ)」

 

あれ?会話成立してる??

 

「そうですね、人間になっても言葉が通じるし、人の言葉も話せるとか驚きばかりですよ」

 

へ?

 

「あ、挨拶どころではなかったですけど、私白鷺レオンと申します」

 

「わうっ(ご丁寧にありがとうございます)」

 

って、頭の中で色々と記憶がつながっていくんだけど??

え?これって

 

「わう?(あなたの記憶?)」

「名前で記憶がつながったみたいですね」

 

なんかこの人僕の姿なのに格好いい・・・

 

 

そういえばこんなことになってるのに凄く落ち着いてるなぁ

 

「この歳になるとなにがあってもあまり驚かないんですよ」

「わわぅ?(ん?その割には熱いじゃないですか、溺れた子供を助けようとするなんて)」

「それを言ったらあなたもですよね?」

 

そう、川?用水路?で溺れる子供を助けようと吠えて飛び込んだ格好いい犬がいたんだよね。

溺れる人って子供でも危なくて、助けに来たものまで道連れにしかねない、例にもれず一緒に溺れそうになってたのを

 

「少し乱暴でしたけど、的確でした」

 

そう、子供に抱き着かれて動けない犬(レオン)を引きはがし岸に押しやり、溺れる子供を沈めて少し弱らせてから岸に引っ張っていったのだ

 

「映像で見ただけのものを実践できるのは素晴らしいですね」

 

あ、そうか向こうも僕の記憶見れるのは当たり前か

 

「私は年齢と環境で受け入れが早かったですけど、柴田さんも順応が早いですね」

 

僕の姿をしたレオンさんに褒められすこし面がゆくなる、自然と尻尾が振れてるのに驚いた、自分の意志じゃないのか・・・

 

「それにしても、柴田さんと私が入れ替わってるのか記憶が混同してるのか困った状態なのは変わりませんね」

 

ですよねー

僕、柴田賢人(まさと)と白鷺レオンさんはなぜか入れ替わっていた

子供を助けて、レオンさんの飼い主さんが何か言っていたけど

気づいたらこうなっていた

 

「わぅ(ん?ちょ、白鷺って・・・)」

 

レオンさん(犬換算だと僕より全然歳上だし)の記憶が流れてくる

なんか見たことある女性だとは思ってたけど千聖さんだったとは・・・

 

まてよ、ちょっとこれは

 

「元に戻るまでの間お嬢をよろしくお願いしますね」

 

そんな余裕のある顔僕はできないよぉ

 

しかし元に戻る方法も、原因も、何もわからなく

 

唯一助かってるのは

 

「お互い意思疎通が可能なのは僥倖ですね」

 

そう、それもあるけど

 

「大丈夫ですよ、あなたの記憶もありますけど、お嬢と長く過ごしたおかげで人の在り方は理解しているつもりです」

 

先に言われてしまった

 

よく動物と中身が入れ替わると動物の本能?に人の姿で行動されてひどい目に合う話が多いよね

レオンさんに限ってはその心配はなさそうだった、千聖さんの家はしっかりしてるんだろうね

 

「くぅん(逆に僕の方が心配になってきました)」

 

レオンさんは僕の頭をなでながら

 

「こうされても大丈夫なようですし、体の習慣的なものはそのままなのかもしれませんね」

 

いや頭をなでられるのは犬も人も関係ないみたいだと思うけど、レオンさんの体だからかもしれないと思ってると

耳慣れた足音が聞こえて、尻尾が大きく振られる

 

なんだ?と思ったら千聖さんの姿が頭に浮かぶ

 

「待たせたわね、溺れた子はどこも異常かったから、うちの方に迎えに来てもらったわ」

 

金色の髪で、その意志の強さをそのまま表したかのような瞳を持った女性、レオンさんの飼い主である白鷺千聖さんが

最低限必要事項だけを業務連絡のように、僕の姿をしたレオンさんにそう告げると、僕の前でひざを折り

 

「偉かったわねレオン」

 

テレビでも見たことのない優しい笑顔を向けて頭をなでてくれる。この人こんな顔もできるんだと驚いた

 

なぜか僕に好意を寄せてくれてる女性の妹さんの友達だったりする

 

「ケ、柴田さんもぶ・・・・・・、もう少し体力をつけた方がいいんじゃない?」

 

助けて安心して寝ちゃったからね、面目ないのは僕なのにレオンさんにそうやっていつもの営業用の笑顔で告げてる

何故愛称をいいかけて苗字で呼んだんだろう?

 

僕の代わりに言われてしまったレオンさんに申し訳なく見上げると、落ち着いた穏やかな笑みを返していた

僕の顔なのに全然印象が変わっちゃうなぁと感心してみてたら

 

「・・・大丈夫なの?やっぱり病院に行った方が?」

 

なんか凄く心配されてる

 

「大丈夫、まだ少し体がだるいだけだから」

 

あ、なんか僕っぽい、レオンさん凄い

 

「・・・一応レオンの恩人だから、何かあったら困るのよ。花音の先生なんだし」

 

そう、僕とこの白鷺千聖さんは一応面識がある。

 

彼女の親友である松原花音ちゃんを通じてだけど一応知り合い程度だと僕は思ってる

 

「ありがとう、でも大丈夫だし、まぁ大事をとって今日の家庭教師はお休みにしてもらうよ」

 

レオンさんの僕の振り凄いなぁと感心してると

 

「本当に大丈夫なの?」

 

千聖さんはまだ心配してくれている、顔を合わせるとお小言をもらう彼女に心配させてしまって申し訳なく思う。

そう思ったらなんかうつむいてしまっていたらしい

 

「レオン?大丈夫レオン?」

 

両手で顔を挟まれ顔を覗き込まれる

 

凄く心配させてしまってる、いいひとなんだと印象を改めていたら

 

「えーと、レオン君であってるのかな?多分疲れてるから早く休ませてあげた方が良いですよ」

 

・・・レオンさん、それ僕っぽくないです。

 

そうか・・・僕もレオンさんぽくしなくちゃいけないのか、大変な事になったと今更思い至ったときには

 

「そ、そうね。そうするわ、このお礼はまたにでもするから。レオン家まで歩ける?車呼んだ方が良いかしら?そうね柴田さんおくる・・・」

 

いつもならもっとしっかりしている千聖さんが、私は何を今頃気づいてるのという顔で僕の体なレオンさんに話をもちかけようとしたら

 

「またね」

 

レオンさんが穏やかな笑顔を見せてその場を離れていく

 

え?いっちゃうの??

 

「わうっわうぅ(ちょ、レオンさん大丈夫?行っちゃうの??)」

「レオン君もまたね」

 

えー、帰っちゃったよあの人、それが最善だったのかな??

 

なんて考えていたら

 

「・・・あれ本当にケントさんなの?」

 

千聖さんが僕の頭を撫でながら愛称を呟く

 

ケントじゃなくてマサトなんだけどね

 

更にいうなら

 

苗字と合わせて、シバケンと言われてるよ

間違ってるよ、柴犬はシバイヌだし

僕はケントじゃなくてマサトなんだよね

 

レオンさんと入れ替わってしまった

僕、柴田賢人(しばたまさと)の少し変わった話はここから始まった。

 

あれ?そういえばなんでレオンさん僕の記憶みれてるんだ?

千聖さん、僕の事ケントって言ってたから、本名知らないはずだよね??

 

あれ?

まぁ今度会って聞いてみればいいか



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二話:え?これって・・・

色々な方に見ていただけてる様でありがたいです。

頑張るのは当たり前ですが
喜んでもらえるものを書けるようにしていきます。

二話目の投稿ですよろしくおねがいします。


衝撃(笑撃?)的な事件から一晩たった朝

 

うん、笑うしかないよとか微妙に達観することにした僕が今いるのは

 

白鷺家のリビング

 

広くとった庭に面した窓際

窓越しに犬小屋があるから

普段は余程の天気じゃないと外に居ることを記憶から読み取って知っている

 

そえそう嘆いていても仕方ないので、とにかくレオンさんぽくしなくちゃとレオンさんの記憶を読み解いてみた

記憶って自分のじゃないとインデックスがないから、慣れるまでは順を追って開いていかなくてはならないみたい、感じ的には

無記名のフォルダが散乱してるのを神経衰弱よろしく開けていって、それに自分なりの記号をつけてわかりやすくしていく

それと同時に残りのフォルダの規則性を読み取っていく

ロジスティックでシステマティックに考えるとこうなるけど

 

僕は何故か

 

うん、なるほど、ならこっちと繋がって…

 

感覚でわかってしまう

それに規則性を上乗せしていくと大抵の事ができる

昔からこうだったからこの歳になっても治らないというか

普通のやり方がわからない

 

大学でも同じ実験でアプローチ方法が違うため、面倒だと敬遠されることもある

でも、大学に行ってよかったと思う、感覚だけではなんともならない事が増えた

 

今回の事もそうだよね

朝まで考えちゃったから

 

それにしても、僕って犬より体力ないのね

普段だと途中で寝落ちしてるから

徹夜したのはじめてだよ

 

そんな事を考えていると

 

リビングにつながる廊下に足音が聴こえてきた

「レオン?もう起きてるの?」

リビングに顔を見せたのは飼い主の1人白鷺千聖さん

花音ちゃんこと松原花音の親友であり、面識はある方だと思う

僕が覚えているくらいだし・・・

「大丈夫?私がわからないみたいな顔してたけど?」

寝間着姿のまま傍らにしゃがみ頭と背を撫でてくれる

これ結構気持ちいい、犬が喜ぶのがわかった

 

「あの天然中二病で日菜ちゃんの劣化版みたいな顔してるから心配したわよ」

撫でながらそんなことを言うけど、誰の事だろう?

多分僕の知らない人だ、千聖さんの交友関係は広いからね

 

「それにしても、レオンがあんなことするなんて思わなくてびっくりしたわ」

撫でてた手を止めると、僕の顔を両手で挟みじっと見つめると

 

「いい、あんなことは二度としないのよ。あの人がいなかったらレオンが死んでたかもしれないんだから」

昨日も怒られたけど、本当に心配してるんだなぁと人ごとになってしまう、犬ごと?

 

確かに、レオンさんのしたことは凄いけど、相手との大きさを考えたらあまりいい手ではない

あの場合もう少し溺れさせて弱ってから背後から引っ張ってやるか、岸まで押してやるのが最良だと思う

あの状況だとレオンさんが沈められて一緒に沈んでいくか、最悪レオンさんだけ沈められていたからね

 

「レオン?本当に大丈夫なの??」

千聖さんが表情を曇らせてそんなことを言ってくる

おかしいな?レオンさんはそんなに吠えないと記憶から読んだのに?

「わうっ(大丈夫ですよ、お嬢)」

形だけの言葉ではなく、意味を込めた返事に

少し安堵に表情を緩めると立ち上がり

「お散歩はやめた方が良いのかしら?」

すこしまっててねとリビングを後にする、身支度するのかな?

 

 

 

犬になって少しわかったこと

犬猫だからって外でおしっこは平気じゃないんだね

恥ずかしいよ、固定概念だよね電柱におしっことか

地下配電で電柱なくなったらどうすんのさ

他所のお家の壁にかけるの?

怒られるよそんなの

レオンさんは川原とか公園とか植え込みを利用していたみたい

散歩コースもそんな感じのところが多い

実際してるのは家でが多いみたいだけど

 

あまり馴染みのない道を歩いていてふと思ったのが

千聖さん、ジャージなのに歩いていていいの?

イメージカラーの黄色いジャージを着てきたからジョギングを兼ねた散歩だと思ったのに

心配してくれてるのかと少し駆け足をしてみようかと思ったら

基本走り回るのは川原でリードを外されたときに一人?で走り回るらしい(レオンさんの記憶より)

僕も体力の事はあまりいえないけど・・・少しはつけないと役者さんとか奏者としてどうなんだろう?

 

「どうしたのレオン?」

こんなことも思ったことなかったから

なんだろうレオンさんの影響かな?

 

「・・・居たわね」

なんとなく見覚えがある場所なのかなと思ったら

僕がいた、お気に入りの真っ黒のジャージに真っ黒のスニーカー真っ黒なスポーツタオル

うん、僕には黒がよく似合う、中身がレオンさんになってもそれは変わらないんだね

千聖さんに振り向いたときに気付いた

あ、方向が違うからわからなかったけど、いつもロードワークしてる道だった

 

「え?なんで?」

僕たちに気付いたレオンさんが爽やかにこちらに向かってくるけど

千聖さんが驚いていた

 

「おはようございます、千聖さん、レオン君」

うん、千聖さんが驚くのも分かった

僕の体なのにそんなに体力あったんだね

駆け寄ってきて、息もそんなに切らさずに爽やかに挨拶決めちゃったよこの人

 

「お、おはようございます柴田さん、お早いんですね」

いつもこの時間ならここにきてるんだよね

「えぇ、日課ですから」

一応体力無いのを気にして少しは、本当に少しはジョギングをしてる

・・・すぐ歩くんだけどね、よく最初から早歩きの散歩の方が良いと提案されてるんだけどね

 

「レオン君はまだ走らせてあげてないんですね」

リードをつけたままの僕を見てそんな言を言い出す

そうなの?ここなの?

「知ってたの?」

え?だってレオンさん本人がいつもここで走ってると言ってるしそうなんじゃないの?

 

「えぇ、よくここでおみかけしますから」

「・・・なら挨拶位しなさいよ」

なんか僕ってこんな対応?と思いながら二人を見ていると

ぼそっと千聖さんがこぼす

今レオンさん挨拶に来てくれたよね?

おかしなことを言うなぁと思っていたら

 

「昨日のこともありましたし、普段は声をかけてもいいものかとおもって・・・」

昨日の今日だもんね

「べ、別に挨拶位気にしないわよ」

顔を少し赤くしながら僕の首輪からリードを外すと

「れ、レオン行ってらっしゃい」

僕の頭を撫でながら・・・なんか少し痛いというか荒々しいのは気のせい?

レオンさんも僕の習慣を守ってくれて・・・いや、守らされたのかな?

まぁ人?の体だけどどこまで動けるか覚えておかないとね

四足歩行って犬の体には普通なんだよね

当たり前なんだけど

「わうっ♪(行ってきまーす)」

 

 

(しまった・・・慌ててレオン放したけど、この人と二人きりになってしまったわね)

何故か隣に並びレオンを眺めている「この人」こと、柴田賢人さん

いつもの黒い格好だった

そういつもこうなのだこの人は

タオルを首に巻いているから顔の一部の日本人にしては白い肌色以外真っ黒だ

夏は手袋はしてないけど黒の長袖シャツと代わり映えしない

気分で赤や白や青のラインが入っている時があるくらいの違いしかない

本人は格好いいつもりなのかうち(pastel*palettes)のファンに多い・・・

(黒単一とかもっと酷いわよね)

 

「どうかしましたか?」

「ひぇ?え?」

いきなり言葉をかけられ本気で驚いて彩ちゃんみたいな反応をしてしてしまったわ

この人(柴田さん)が声かけてくるなんて??

 

一拍置いて

「大丈夫です?」

首を軽く傾げて少し不安げに問いかけてくる・・・なにこの可愛い生き物?

「大丈夫です!」

大丈夫じゃないのはそっちじゃないの?

なんなの?本当どうしたのこの人??

 

今までろくに話しかけてこなかったじゃないの?

 

(レオン早く帰ってきて頂戴、もたないわ、間が持たないのよ)

川原をダッシュしてみたり止まったり急に方向を変えてみたりなんかおかしな動きしているわよね

レオンまでおかしなことしないでほしいわ、本当なんなの

「レオン君大丈夫そうですね」

(どこが大丈夫に見えるのよ!)

普段この人、無視してるの?と思いたくなるくらいこちらに気づかない

気づいてないと知ったのはあまりの対応に自尊心が傷つけられまくり

花音に恥ずかしげもなくクレームを入れてしまった時だ

性格上本人に直接言うのがいつもの私私だけど

この人はどうしても駄目、どこがとか何かとかうまく言えないのだけど駄目なの

 

本当調子が狂う

 

花音はそんな私を珍しいものを見る目で見る、それは私もそう感じているから否めない

 

話がそれたわね

この男、柴田賢人は、基本周りを見ていない、自分のすぐ周辺さえ見えていない

教え子の花音とさえすれ違って気づかない、花音は手を振っていたにもかかわらず

眼が悪いのかと花音が聞いたところ

「うん、悪いよ。でも見えてるから」

ふぇぇ、それ見えてないよぅ。

と花音も慌てていた…今の似てたと思う

コンタクトかと思ったけど怖くて使ってないとか言っていたらしいし

本当に理解ができない、初めて会った頃の日菜ちゃんかしら

 

何より

私に興味が無さすぎるのが面白いと正直思った

(それでもpastel*palettesは知ってたのよね)

興味を持ったきっかけが知りたかったから丁度いいかもと隣の柴田さんを向くと

「え?な、なにかしら」

なんでこっちを見いるの?この人

「いえ、お気になさらず」

お気になさらずって、お気になるわよ

なに、なんでこの人こんなにみてるの?

近いわけでもないけど、こんな距離で見られるのなんか別になんともないけど

なに、なんなの、どうしたのよ私

なにより

どうしたのよこの人??

か、花音助けて、あなたの先生が私を射殺そうとしてるの

視線で殺すってこういうのよ、私狙われる役したことあったわよね?

あれ?私何?どうなったの??

 

「わう?(どうしたの?)」

あ、レオン帰って来たのね

「あなた、その姿でもフラグ壊すんですね」

なんのこと?

レオン誰と・・・ケントさん??

あれ?え?

私本当にどうしたのかしら?

「お嬢?お嬢??大丈夫ですか?」

え?ケントさん?レオン??え?あ・・・これ夢ね

そうね夢よ

寝てしまってもいいわよね

 

そして私は意識を手放した

 



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三話:犬の目線って・・・

今回もよろしくお付き合いください。


 

何故か千聖さんが気を失ったので

 

川原で僕とレオンさんは話をしていた

 

「お嬢に近い私と賢人さんが一緒に居たから違和感を感じ取ったのでしょうね」

 

違和感を感じ取るって、千聖さん凄いなぁ

「私の姿なのに賢人さんみたいだとか、賢人さんの姿なのに私みたいだとわずかながらに感じ取ったのを常識が否定して意識を切ったのでしょう」

 

気を失った千聖さんを膝枕をしているレオンさんはそう推察していた

凄いねレオンさんも千聖さんも

 

「それにしても、お嬢は何か言ってましたか?」

なんか凄く心配されたし怒られたし心配された

良い飼い主さんだよね、家族として本当に愛情を持ってくれていて

僕レオンさんじゃないのに申し訳なかったよ

 

「・・・そういう事ではなかったのですけど、まぁ昨日の今日ですしね」

 

何だろ?レオンさん少し困ってる?

そうだよね、人の生活だもんね

でも僕一応一人暮らしだし大丈夫だよね??

 

「それに関しては助かりました、賢人さんのご家族も多分多少の変化に気づくでしょうし・・・」

 

あ、ということはあの人、なんか違和感抱いたのかな?

大学からの付き合いだと思うんだけど、仲良くさせてもらっている友人がいる

面倒見がよくて助かっているけど

面倒見がよすぎて頼ってしまっているのが問題

でも変に厳しくて真面目だから、今日も早朝からレオンさんな僕を連れ出して体力作りをさせているんだろう

お陰で人並みの体力と食生活は維持して貰っているから文句は言えない

本人はロードワークでもっと先を走りこんでいるはずだ

 

「あ、そういえば、毎日これはしてくれってことはありますか?」

レオンさんが千聖さんの頭を撫でながらそんなことを聞いてくる

 

なんか、お父さんと娘みたいだよね

これはしてくれか・・・

 

「わうぅ(これといってないですけど、毎朝のこれと。夕方の散歩かな)」

 

夕方の散歩

ひとりでのんびりこの周辺を歩き回る、特に商店街を回るのが好きでしている

きっかけは友人に夕食の材料の買い出しを頼まれたのが最初なんだけどね

 

「楽器の方はいいのですか?」

あれは、本気でしてる人には申し訳ないけど

もういいんだ、最近触ってるのは完全に趣味でしかないしね

 

「そうですか、わかりました」

レオンさんは何か言いたげだったけど、こんな状況じゃ無理も言えないしね

 

そういえば、友人以外の誰かとは接触したのか気になり聞いてみたら

「いえ、あのお方くらいですね。あとは電話で花音さんのお宅に連絡を入れたくらいです」

千聖さんから松原家には連絡が入っており心配をされたそうだ

あのお宅も本当優しいいいお宅で心配をかけて申し訳なかった

次回お伺いする際確りお礼を言わないと

 

あまりまだ変化がないので簡単な情報交換と確認をしていると

「ん・・・」

千聖さんが目を覚ましたけど

「し、柴田さん??」

レオンさんというか僕の体に膝枕されている事に気付き

「ご、ごめんなさい!私ったら」

顔を真っ赤にして飛び起きた

あまりの動きに僕が驚くのはわかるけど、レオンさんもびっくりした顔をしている

僕あんな顔するんだ

 

「本当、レオンの事が昨日あったというのにごめんなさい」

そう謝ると、僕のつながっていないリードを引いてこの場を離れようとする

 

え?千聖さんっ??

もしかして??ぽ・・・

 

一瞬不穏なことを思ったけど、レオンさんが僕の顔なのに凄くいいいい表情を向けてくるので繋がってるふりで家路を急いだ

 

そうか、千聖さんでもこういう可愛い反応するんだと思ったら

レオンさんの記憶から、幼い頃の可愛い千聖さんから最近の千聖さんまでが浮かんだ

ターゲットが無意識につながって記憶が読みだされたみたいだけど

 

そうか、千聖さんって可愛いんだ

 

僕はそういう事に疎いからなぁ

うん、千聖さんは可愛い

 

この後リードが繋がってないことに気付きまた可愛い千聖さんが見れたよ

 

 

 

朝こんなことがあったから、のんびりした時間を送ってるように見えるけど

家についてからが大変だった

主に千聖さんが

 

今日まだ平日なんだよね

「今日お仕事ってことにしようかしら?」

 

千聖さんって結構なんというか面白い人なんだね

「バカ言ってないで行ってらっしゃい」

お母さんに送り出されて学校に向かった

「わうぅう(いってらっしゃ~~い)」

自分も倒れた?のに確り学校に行くんだよね

ストイックというか、格好いいよね

最近の女子高生ってみんなこうなのかな?

 

自分に好意を持ってくれているらしい女子高生を思い出す

うん、あの子は千聖さんに負けず劣らずだろうなぁ

 

それにしても、犬ってそんなにすることないんだよなぁ

何か色々しなくちゃいけないことあるはずなんだけど

ん?小説とかなら自力で抜け出してなにかするって?

何するのさ

二日目だけど変化はないし

記憶の閲覧とか、レオンさんが老成してることで人間の生活はあまり心配してない

 

なんて言うとおもう?

 

本当は怖いよ

こんな事になって

でもね

 

【なるようになる】

 

この言葉が呪いのように僕の性格形成に影響している

なるようにしかならない

とも言うんだけどね

 

まぁ、今までも本当になんとかなってるからそう思い込むしかないんだけどね

色々考えすぎて寝れなかったのが今頃睡魔になってきたみたい

僕より体力ありそうに見えてレオンさんももう結構な年齢なんだから

あまり無茶せずに身体返せるといいな・・・

 

 

 

いろいろ思うことはあったけど学校に来た

まずは花音に話を聞かないといけないけど

 

「おはよう紗夜ちゃん」

「おはようございます、その白鷺さんお聞きしていいですか?」

わが校が誇る風紀委員であり、狂い咲く青薔薇Roseliaのギターリスト氷川紗夜

私のバンドメンバーの日菜ちゃんの双子のお姉さん

 

そして、男の趣味が悪い人と認識している

 

挨拶と一緒に遠慮がちに質問が帰ってきた

多分昨日の事だ

彩ちゃんを経由して日菜ちゃんから聞いたのだろう

 

「心配をかけてごめんなさい、一応本人は無事と言い張ってたけど、花音の家庭教師も休ませたたわ」

本当に休んだかの確認は昨日の夜花音に確認してある

「そうですか、意外な事をきかされて驚きました」

 

まさか子供を助けるのに川に飛び込むとか実際にする人初めて見たわ

 

私なら・・・今の私ならやらかすわね、彩ちゃんが考え無しに飛び込むだろうし

イブちゃんも続いて飛び込むし、麻弥ちゃんも飛び込むわよね

そうすると日菜ちゃんはその時加減ね、面白いとかいって一緒に飛び込みそうだけど・・・私の手を掴んで

なんか私は一人冷静に人を呼ぶとか救急に連絡するとかする役のはずなのに、というかそういう役必要でしょ?

一緒に飛び込んじゃダメじゃない?

 

「白鷺さん?」

紗夜ちゃんと会話中だったのに日菜ちゃんのせいで話がそれてしまったわ

「ごめんなさい、今朝柴田さんから声を掛けられるなんて驚くことがあったのを思い出して」

「え?なんですかそれ?」

紗夜ちゃんが、何故か私に正気なのと言いたげな顔をする、私が悪いの?

「だから花音に確認しようとおもっていて・・・」

丁度良く花音が登校してきた

「千聖ちゃん、紗夜ちゃんおはよぉ」

今日も可愛いわね

なんて観察してる場合じゃなくて

「おはよう花音、ちょっと聞きたいんだけどいいかしら?」

「ふぇ、どぉしたの?」

 

「柴田さんって、眼見えてるかしら?」

極端な訊き方をしてるけど、多分誰もがおもっているし

私は数回花音に訊いている

 

「ふぇぇぇ、先生またなんかしたのぉ?」

花音が泣きそうな顔をする、この子もあの人に懐いてる

お兄ちゃん感覚なのは見ていてわかるけど

 

「視力は悪いみたいだけどみえてるよぉ・・・あ、車運転するときはメガネしてたかな?」

 

『え・・・』

紗夜ちゃんとはもってしまったけど

 

「賢人さん、車運転されるんですね」

「意外ね、運転できるなんて」

 

「え?えぇぇ?どういうイメージなの?」

花音がなぜか慌ててる

これは大好きなお兄ちゃんが貶されて少し怒っている

 

けど今は関係ない

私達のイメージとしては

 

『助手席に乗せられてるイメージよね(ですね)』

 

紗夜ちゃんと頷きあってしまった

「先生運転上手だけどなぁ?」

・・・

・・・・・・・

 

・・・は?

今何と言った、親友?

運転上手・・・

乗ったのか?乗ったのね??助手席に!

左側に乗ったのね!!

 

「ふぇ、二人共こわいよ?」

「花音、少し詳しく洗いざらい話してもらおうかしら?」

「そうですね」

今日は意見が凄く合うわね紗夜ちゃん

 

「ちょ、千聖ちゃん?紗夜ちゃん??」

花音を両サイドで確保し、どこに連行しようか考えていると

 

「おはようござい・・・」

朝の生徒会の活動を終えた白金さんが教室に入ってきた

「白金さん、生徒会室お借りします」

鍵をすっと受け取る、奪うなんて表現が似合わない位スマートだったわよ、紗夜ちゃん

 

「え?氷川さん・・・白鷺さん?」

花音を二人で生徒会室に連行していく

「じゅ、じゅぎょうはじまっちゃうよぉぉぉ」

 

三年生だから大丈夫よ

風紀委員と・・・

「・・・なにか、あったのですか?」

生徒会長もいるのだから更に大丈夫だろう

 

まぁ実際、一・二時間目は自習になってたのだけど

 

・・・白金さん、それクラスのみんなに伝えなくてよかったのかしら?



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四話:預けられるって・・・

同時に書くとかおかしなことしてたので時間がかかりました。


レオンさんと入れ替わって初めての週末を迎えようとしているんだけど

 

何にもない

驚くどころというか流石に泣きたくなるくらい何にもない

 

なんか違うなーと思うのは

朝必ず僕の身体のレオンさんと会う

知らなかったけど散歩コースが同じだったらしい

 

気付かなかったよ・・・

 

それと、千聖さんが面白い子だということがわかった

いろいろな表情を見せてくれる

友人さん並に親密になってるかもしれない

 

しかし、僕本当に小さいよね

千聖さんと10cmくらいしか違わない気がする

 

ちなみに、友人さん・・・僕より高いんだよね

悔しい・・・牛乳ちゃんと飲めば良かった

煮干とかも今からでも食べようかな?

レオンさんに食べるように頼んでおこう(自分で食べるとは言ってない)

 

 

そして、初の問題が今週末に併せて起きたというか

飼い主が芸能人なんだから起きても不思議じゃなかったんだけど

 

結構早くにその問題は起こったよ

 

 

「どうしよう、お母さん達も出かけるなんて・・・」

週末に私個人の仕事とパスパレの仕事で家を空けることになった

 

普段は妹と母にレオンをまかせていたけど、

(元々レオンの飼い主は妹でもある)

妹の用事で母と妹も家を空けることになった

会社勤めをしている父に頼むのは申し訳なくて頼んだことがないの

 

いつもそういう時は彩ちゃんを頼るようにしてたけど…

 

今回はパスパレの皆も一緒で、流石にご家族には迷惑はかけられない

(彩ちゃんのご家族は本人と同じくいい人なので快く預かってくれるのはわかってはいるのだけど)

と悩んでいると

 

「ねぇねぇ千里ちゃん、レオンくんの預け先ってうちじゃだめなのかなぁ?」

 

ペットホテルには心配があるため、やはり花音か、最悪お母さん経由で薫にお願いするしかないと答えを出したところに日菜ちゃんのこの一言

「え?ご迷惑にならないの?」

日菜ちゃんも撮影ということは、紗夜ちゃんが面倒を…

 

紗夜ちゃんなら凄く安心かも

 

なんて考えていたけど

「うん、レオンくんの散歩コースってケントくんと会えるんだよねっ♪」

この子、紗夜ちゃんの為なら人の家の飼い犬も利用する気ね

 

「会えるというか、向こうが認識してくれればね」

そう、あの人は周りを…

あれ?最近見てるわね?

 

「最近のケントくん、なんか、るんっ♪としないんだよねー」

おねーちゃん趣味悪いよねー、なんて言い出してる

お姉ちゃん子な日菜ちゃんとしては複雑なのかなと愚痴?を聞いててあげてるうちに、レオンを氷川家に預けることになった

 

あれ?日菜ちゃん家マンションじゃなかったかしら?

 

・・・分譲というのを知らなかったわ…

 

更に賃貸でもペット可能も増えているらしい

 

子役の時、子犬を拾う役をした時にどうやら勘違いして記憶してしまったらしい

日菜ちゃんに笑われたのが恥ずかしくて悔しい

彩ちゃんが慌てていたけどどうしてかしら?

 

 

 

「本当に、日菜ったら勝手にきめてくるなんて…」

 

なんて朝からため息をつかれた元凶の僕です。

 

日菜ちゃんはご両親には許可取ってるんだよね

かなり事後承諾に感じるんだけど・・・

 

そんなこんなで週末撮影に先に出た千聖さんに代わり、お母さんと妹ちゃんに連れられてきたのは

 

氷川さんの家(マンション)

 

流石に玄関に間借りすることになったけど

大きい…普通の戸建ての玄関より広いよここ

もともと外飼いペット用のスペースも考慮されてるのかな?

 

そんな広い玄関脇のスペースに白鷺家のリビングに引いてもらってるマットを引いてもらいそこに落ち着いている

なんか人の家ってわくわくするよね

 

日菜ちゃんが慌ただしく世話をしてくれる

よく日菜ちゃんの事を天才であるがゆえに人の心がわからないとか言う人いるけど、そうなのかな?と身近で見てみて思った

感性的、直感的、それが目立つからかな?

考えずに動いているから、まず思ったことをするからそれが目立つんだよね

 

だって、人の心なんて誰もわからないじゃない?

 

日菜ちゃんは十分に思いやりはあるけど、まず自分の思ったことを言うからなんだなと納得した

 

「おねーちゃーん、ケントくんの餌きたよー♪」

まって、僕食べられるの?

なにその餌って??

 

「日菜、もう少し言い方を選びなさい、会う口実とか、その…」

部屋から出てきた紗夜さんは赤くなりながらそんな事を言っている

「おねーちゃんかわいいーー♪」

紗夜さんに抱きつく日菜ちゃん

やめなさいとか言ってるけど紗夜さんも満更ではないのは見ててもわかる、仲良いよねぇ

 

どこかで、氷川姉妹不仲説を聞いたことあるけど

嘘だよね?デマだねデマ

そんな仲良し姉妹を見ていたら

紗夜さんと眼があった

それと同時に紗夜さんが何故か凄く驚いた顔をしてこちらを凝視してくる

犬嫌いなのかな?

それとも大型犬がだめだったのかな?

え?どうしよう?僕どうなるの??

 

「なぜか無性に違和感を覚えたわ」

え?どういうこと?

「え?千聖ちゃんの妹ちゃんが連れてきたからレオンくんだよ?」

千聖さん先入りなんだよね

だからお母さんと妹ちゃんに連れてきてもらった

 

「そう言うことじゃなくて、なんというか、、、」

どうしたんだろ?

「あたしはレオンくん、るんっ♪てするけどなぁ?」

日菜ちゃんががしがしと撫でてくれる、結構気持ちいい

 

「犬よね?」

「もー、おねーちゃん何言ってるの?どうみても犬だよ?」

日菜ちゃんがブラシまでかけてくれだした、これ、本当きもちいい、なに天才ってこんな所にも活きるの??本当すごいね

犬の本能なのか、日菜ちゃんの手に頬擦りしてしまった

「よーしよしよし♪」

顔をもふもふされる、気持ちいい

なに、ビーストテイマーなの日菜ちゃん??

 

そんな僕と日菜ちゃんの様子を見ていた紗夜さんが

「何故かわからないけどモヤモヤするわね?」

なんて言っている

 

大事な日菜ちゃんが僕にかかりっきりで面白くないのかな?

「おねーちゃんも一緒にもふもふすればいいんだよっ♪」

なんて、紗夜さんを手招きする

「仕方ないわね…」

紗夜さんが傍らにしゃがんで背中を撫でてくれる

 

こ、これは、なに気持ちいい

ギターリストは撫でるのが上手いのかな??

まずい、もとに戻ってからも試してみたい…紗夜さんに頼めばしてくれるかな?どうかな??

「なっ、なんです??」

紗夜さんに目を向けたら

撫でていた手を引っ込められてしまった、あぁ残念

「?もしかして、良かったのかしら?」

おそるおそる手をまた背に乗せてゆっくりと撫でてくれる

これ、すごくいいなんでだろ?

日菜ちゃんとは違うなにか不思議な感じ、日菜ちゃん風に言うなら

 

「わうぅぅん(るるるんっ)♪」

 

「え?るるるんっ♪てきたの?おねーちゃんケントくん気持ちいいって♪」

 

…え?

「え?」

その場が固まった

「日菜?白鷺さんの犬の名前はレオンじゃなかったかしら?」

撫でる手が止まっているけど、手は離してない

 

「そうだよね?なんでケントくんの名前が出たんだろ?おねーちゃんわかる?」

「あなたにわからないのに私に、ちょっとまって、日菜、撫でてるときなにか考えてた?」

「んーと、なんにも?ただこうすると気持ちいいかなーとかそういうことは考えてたよ?」

「潜在意識で意識しているのかしら?」

 

紗夜さんから変な気が出てるよ

なに?どうしたの??

 

「もーおねーちゃん変に考えすぎだよ?それになんか最近のケントくんってさ、るんっ♪て来ないんだよね」

凄くあきれたように日菜ちゃんが言うと

「そうなの?」

「そうだよっ!おねーちゃんの好きな人だから興味はあるのは確かだけどね」

 

でも、この間見たけどるんっ♪

てしなかったと…

日菜ちゃんはもしかしたら

僕とレオンさんが入れ替わってるの本能的にわかったのかも

すごいなーと感心していたら

 

更に紗夜さんからなんか黒い気配が、ちょ、紗夜さんっ痛い、なんか痛いよ!!毛が、毛引っ張っちゃダメ!地味に痛い痛いよ

 

「なんであなたはそうやって賢人さんに会いに行けるの!」

 

え?そんなことで怒ってるの?

僕は会いたくないなんて言ってないよ?

 

「おねぇちゃんの気にしすぎだよ、というか、あの人絶対おねぇちゃんの告白解ってないというか、気にしてないよ?」

告白なんかされたかな?

好意は持ってくれてるよね?

好きだって言ってくれたし

 

「なんか思い当たって腹が立つわね」

え?なんで怒ってるの?

だって、紗夜さんと知り合ってそんなに経ってないよ??

 

「多分おねぇちゃんと知り合ってそんなに経ってないから、知人として好きと言われたと思ってると思うよー」

うん、ちがうの?

 

「貴方が言うならそうなのよね」

え?なんで??

確かに日菜ちゃんとは不思議と波長が合うというか、多分日菜ちゃんが合わせてくれてるんだろうね

 

「なんであんな人好きになったのかしら?」

え?だれ?だれなの??紗夜さんって好きな人いたんだ

 

「多分あたしに似てるからだねっ♪」

え?紗夜さん女の子好きなの??

それも妹と似た人??

なにそのシスコン、ちょっと紗夜さん見る目が変わるかも

 

「なにかそこの犬からすごくあの人に似た失礼なものが感じられるんだけど?」

ちょ、動物虐待はだめ、怒られちゃうから

「ホントだ、すごくケントくんぽいよね、レオンくんってケントくんの親戚かなにか?」

なにそのトンでも発想

 

「確かに賢人さん犬っぽいわね」

あれ?

紗夜さんも?

「おねぇちゃん?今さらだけど、そのまさとってだれ?」

僕だよ!!

「柴田さんよ?」

「えー?ケントくん柴田ケントまさとって言うの?ミドルネームなんて面白いね」

 

違うから

「違うわよ、柴田賢人、賢者のケンに人で、まさと、ケントと普通読む人が多いからケントと呼ばれているのよ」

その通りです

名前負けしてるんだよね

賢人(けんじん)、賢(まさる)人

ケントとしなかったのは父親のこだわりらしい

 

「なんか、ケントっぽいのにね」

「そうかしら?まさとの方が可愛くない?」

なんて人の名前で盛り上がってる

あまり気にしたことも無かったけど、結構気にしてくれる人っているんだなぁと思った

千聖さんも結構僕の事みてたらしい、まぁ花音ちゃんの先生だしね、花音ちゃんが心配なんだね

 

「それにしても、おねえちゃんが名前呼びって珍しいよね?」

「本人の前でも呼べるように普段から練習しているのよ」

そんなことまで練習しなくてもいいのに

まさとでもケントでも好きな方で読んでくれていいのに

 

「あー、あれだね。あたしもいるから名前で読んでってやつのだよね」

 

そう、基本僕は苗字に敬称で呼ぶ

なので紗夜さんも最初は氷川さんと呼んでいた、日菜ちゃん達の言葉だと結構顔は会わせてたらしいけど

病的なほどに認識できないんだよね

親戚が病気を疑って脳の検査もされたよ、異常はなかったけどね

子供心にちょっとトラウマ、サヴァン症候群まで疑われたもん

 

と、少し沈んでいたら

 

「知らないところで不安かもしれないけど・・・」

紗夜さんの触れている背中が暖かい

「日菜の大切な仲間であり、私の友人の千聖ちゃんの愛犬なんだから確りお世話するわよ」

優しい子なんだなぁと

「そうだよ、あたしも明日から撮影だけど、それまではしっかりお世話するからね♪」

日菜ちゃんは顔をもふもふしてくれる、この子も優しい子だと判るし伝わってくる

 

なんか

この姿になって知ることがいっぱいあるなぁ



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五話:散歩って・・・

もっと無茶苦茶したほうがいいのでしょうか?


「あの子ったら本当元気よね」

 

収録で土日と家を空けることになった日菜を早朝から見送り

そのままレオンさん?レオンくん?

犬の年齢だと「さん」だと思うでレオンさんと呼びかけることにした

呼び捨てはなぜか憚れた

 

なんか白鷺さんに怒られそうな気がしたからなのは秘密です

 

それにしても昨日は・・・日を跨いでいたので今日が正しいけど、遅くまで日菜はレオンさんと戯れていた

うちでは動物は飼ったことがないから嬉しさと珍しさで興奮していたんだろう

父と母まで様子がおかしかった、私たちも大きくなったし犬でも飼おうかとか言い出している始末だ

 

それにしても昨日のあれは・・・お世話という名の

 

「あれは一歩間違えると動物g・・・」

「わふぅ」

レオンさんが眠いでしょうに散歩の準備をする私を待っていてくれた

 

・・・?

「レオンさん、あなた逃げないのね?」

リードも付けてなくて玄関が開いていたのにレオンさんはそこで待っていた

白鷺さんの躾?育て方が良かったのね。

人に馴れているし

もし家で犬を飼うことになったらいろいろ教えてもらわないと・・・って犬確定なの?

 

私も日菜に付き合って夜ふかししてたから頭が回ってないかもしれない

 

 

 

いつもの川原に来れた・・・

「ここでレオンさんを放せばいいのね」

スマホ片手に携帯アプリを確認しながら紗夜さんが辺りを見回している

あってる

いつもの川原についてようやくいつもの川原だと認識できたけど

 

僕も紗夜さんも睡眠不足で頭回ってないのかもしれない

 

でもすることだけはしないとね、結構切実だったりするし

川原に走り出す

 

あれ?そう言えば何か物足りない

 

あ・・・レオンさんは・・・あれ?少し離れたところ、あそこに居るの僕の身体のレオンさんだよね?

今日も黒が似合ってる、あ、今日は赤のラインがフォトンブラッドみたいで好きな奴だ

それにしても犬の視力って凄い・・・じゃなくて僕の身体のほうが目が悪いんだよね

それにしても気づいてないのかな?いつもなら向こうから来るのに?

 

「わぅぅぅぅ(レオンさーーん)」

呼びかけてみると、気づいた

なんだろ、目つき悪いなぁ

・・・あ、あれが友人に注意されたあれか

「おはようございます」

うん、メガネかけたほうがいいんだね・・・

「いえ、見えてるんですけどね」

どこかで聞いたようなこと言ってるし(僕がいつも言ってるんだけど)

なんか申し訳なさでいっぱいだよ

 

なんて軽く落ち込んでいたら

「おはようございます、賢人さん」

リードとエチケットバックを持った紗夜さんが少し早足でやってきた

「おはようございます、氷川さん」

レオンさん、なんで苗字呼び?

「わうっ(紗夜さんでいいよ)」

目でだけで応えて

「紗夜さんって呼ばないとダメだったね、日菜さんとわからなくなっちゃうから」

レオンさん~日菜ちゃんだよ

あれ?紗夜さん?

「苗字呼びから名前呼びなんて・・・ご褒美かしら、レオンさん預かって良かったわ」

あれ?僕ちゃんと普段名前で呼んでるよね??

レオンさんはレオンさんでなんか難しい顔してるし

僕の顔なのになんか中身が違うだけで変わってくるんだなぁと感心していると

「あなたは元に戻ったらもっと周りをみましょうね」

なんでさー?

 

「レオン君は紗夜さんのところでお世話になってるんですね」

「はい、日菜、いえ妹が白鷺さんに」

川原を見下ろせるいつもの場所で二人がこちらを見ている

いや紗夜さんはレオンさんの方をほわんと見ている

紗夜さんってあんな顔する子だったっけ?

なんか凛としててハンサムな子だなという印象だけど少し優しい子で、、、

でも昨日だけでも凄く優しい子、いや優しい姉妹なのはわかった

認識を改められちゃったんだよね

 

それにしても僕本当背低いな

猫背気味で姿勢が悪いからかな、辛うじて紗夜さんより高いのに

・・・低く見えるよ

猫背も直さないとね

戻ったらやることいくつかあるなぁ

 

「レオンさんはいつもどれくらい運動するのかしら?」

「そうですね、一日家にいるのでなるべく動けるときに動いていますね」

「く、詳しいんですね?」

まぁ本人のことだし知ってるよね

「えぇ、いつものことですし」

「え?いつも??賢人さん毎日ここに来てるんですか?」

僕じゃなくてレオンさんだし・・・

あれ?そうか千聖ちゃん居なくてもお母さんか妹ちゃんが散歩はしてるんだよね

今回がたまたま・・・あれ?レオンさんの記憶が流れてきた

これはパスパレのメンバーさんかな?今回が本当レアケースなんだよね

 

まぁ僕とレオンさんの入れ替わりに比べたらレア度も下がるけど

そこからのレアだからもっとレアになるのかな?

レアの定義って

 

「レオンさん大丈夫ですか?」

動きを止めて考え込んでたら紗夜さんが慌てて駆け寄ってきた

あ、わかった違和感の正体

紗夜さん私服だからだ、千聖さんはジャージだもんね

・・・走ってるところ見た記憶ないけど

顔をわしっと両手で挟むと顔を向かせて

「異常はないわよね?寝不足でいつも通りにうごいたせいかしら?」

真剣な顔で言われると心配をかけてしまって申し訳なくなる

こういう時どうしたらいいんだろう

犬の時でも人間の時でも

 

 

「少し休ませてあげたらどうですか?」

相変わらずいつの間にか傍にいるこの人が川原に設置されているベンチを示す

「そうですね、レオンさんベンチで少し休みましょうか」

リードをつなげて促すだけでそちらに向かってくれる

本当賢い犬です

それにしても、いつもどおりで何かが違うこの人に違和感を覚える

「どうしました?」

私によそよそしい話し方は変わらない

「いえ、レオンさんは白鷺さんの大切な家族ですから」

しっかりお世話をしてあげなくてはならない、何かあっては日菜にも申し訳ない

・・・寝不足はあの子のせいでもあるのだけど

 

「・・・・・」

ベンチに座ると足元でレオンさんがやはり疲れたのか寝そべっている

背中を撫でてあげると気持ちよさそうに目を細めてる

季節的にまだこの時間は日差しが強くなく暖かくも感じる

季節のことに気を回せるくらいには私も余裕が出来てきたと自分でも思う

それにしても

「・・・・・・・」

普段からあまり口数が多い人ではないけど

少なすぎるというか無言が続く、いつもならこの人なりに気を使ってくれるのだけど

違和感の正体はそこなのか?

日菜ならどうするのか?

こういう時あの子の感覚的なところが羨ましく思える

 

 

 

黙り込んでしまった氷川姉こと紗夜さん

お嬢の大事仲間なである日菜さんの双子の姉ということと

この身体の持ち主柴田様に好意を寄せる一人

・・・ここまで頑張って好意を伝えているのにどうしてこの人には伝わっていないのか?

記憶から読み取った情報を見ると気の毒になりますが

お嬢の為です、心を鬼にします

 

「・・・・・・」

それにしても、柴田様気持ちよさそうですね

少し興味を惹かれます、戻ってから撫でてもらえるようにあまり変なことはできませんね

 

「・・・・・・・」

それにしても、この身体は、本当不便です

一番の問題は視覚

視えるものは視える

見えないものは見えない

驚く事は犬の身体で視えていたものが変わらなく視える

よくわからない色が見えるようになったのは意識で切り替えれることが解りました

人の色彩にもここ数日で慣れましたが

見えてるのに視えていない

視えないはずなのに見える

視力が悪いはずなのに眼鏡をかけていないのに見えるのは本当感覚的にわからない

 

戸惑っていたら、柴田様のご友人、かなり親しい様子の方に

『またそんな目で、眼鏡運転以外もかけたら?』

見えるんですけよねと答えたら

『印象が少しでも変わるでしょ?』

見えている事は受け入れてくれているご様子でその先を考えてくれているとは

お嬢もこのご友人以上を目指さないと欲しいものは手に入りませんね

・・・最悪な手段は流石に色々と申し訳ないので

私も長く生きて大事にされたから人のあり方もなんとなくわかったつもりですからね

でも、お嬢の手助けのためになるべくこちらからは話しかけないようにしています

 

様子を見ていると心苦しいのですけどね

特にこの氷川姉妹の姉、氷川紗夜様は手ごわいのです

身長もこの身体に釣り合うほど長身で・・・ご友人は少し高いですよね

柴田様の眼に、認識されやすい髪型・・・ご友人も綺麗なロングヘアですね

なによりこの方は自分をより良く変えていく

柴田様は気づいていない様ですがこの方はお嬢に似た芯の強さを持ちながら

過去の自分を省みて前に進む

身体の中の読み取れる記憶だけでも解る

お嬢にないものがある

お嬢も苦しんでもがいて今の強さがあるのは私も知っています

しかし、更に一歩、Pastel✽Palettesに入ってからの変化以上をしないと勝てません

それほどに私から見ても手ごわいですよこの氷川紗夜様は・・・

 

・・・ご友人は更に上なのですけどね

 

「あれ?そちらは」

ご友人が自分の分のロードワークを終えて戻ってきた

どれくらい走り込んでいるのか興味は尽きませんが、この身体ではついていけません

犬の体ならいい運動になる気がしますね

 

「レオン君の飼い主さんのご友人です」

柴田様寝てしまっていますね

どれだけ気持ち良いのか本当に気になります、魔性の手ですか?神の手ですか??

「氷川紗夜です、よろしくお願いします」

氷川紗夜様も少し気が抜けていたようで慌てて挨拶をしている

「よろしく、その子がレオン君なのね。あ、寝てる、残念」

そう言えば初めてですね

「あ、ごめんなさい。今日はお仕事があって」

柴田様が起きるまで待ちそうな雰囲気でしたが、今日は時間がないようで、すごく名残惜しそうにご友人が帰っていく

一緒に帰ろうかと思いましたが

「まさとくんはレオン君が起きるまで居てあげてくださいね」

そう言われては残るしかありません

 

「本当に綺麗な方ですね、実物始めてみました」

ご友人を見送りながら氷川紗夜様が呟く

あなたももう数年すればあの方以上になれるかもしれませんよ?

とは言っては差し上げれませんが、お嬢共々可能性は高いです。

「・・・・・・」

また会話がなくなる

何かを訊きたそうにしながら訊けない

そんな彼女に助け舟は出せません

 

柴田様

あなた本当に酷いですね

起きたら少しお話しましょう

お嬢の事抜きでも少しお話しなくてはいけませんね



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六話:日常って・・・

すこしづつ方向性を見ながらいじっていきます
今回こんな感じですけどどうでしょう?


主に家にいて、家から出るのは朝の散歩と夕方の散歩

希に夜の散歩

 

家の庭でそこそこ動ければ・・・

残念ながらレオンさんは大型犬で小型犬なら十分な広さでも

 

正直全力で体動かしたら体ぶつけちゃうよね

今度レオンさんに家での過ごし方を聞かないと

どうも記憶に関しては全部が全部見れるわけではないことがわかった

隠しておきたいこととかプライベートは確り流れてこないようになっているんだね

 

・・・良かった、自分のもだけど人の(犬の?)黒いものは触れたくないもんね

 

「レオン?どうしたの?」

千聖さんがリードを持って、私服でやってきた

普通のお散歩?

朝は絶対ジャージ(命名:スポーツカモフラ、レオンさんが笑いを堪えていた)

夕方は私服かジャージのどちらか(ジャージは星3位な確率)

そして今は・・・星4なのかな?

芸能人のお出かけスタイル?

隠してるようで変にキラキラしている

これが有名な隠しきれていないというものなのか

 

友人は変装とかしてないから不思議で仕方ないんだよね

これ聞いちゃいけないことだと思って聞いたことないけど

それはともかく、昼過ぎにお出かけは珍しい

えーと、そうか今日は日曜日か

この姿になってからあまり曜日感覚がいらないから忘れがちだよね

 

 

 

「わーレオン君久しぶり♪」

ピンク色に星をまとったようなキラキラした子が両手で顔を挟んでもふもふしてくれる

これ気持ちいいんだよね

あ、レオンさんの記憶流れてきた

丸山彩ちゃん 千聖さんの大切な仲間の一人で内心尊敬もしている子

努力するのは当たり前で、努力は必ず報われると信じている眩しい子だね

何かあるときのレオンさんの預け先候補筆頭なのでかなり馴れている

 

「レオンくん一週間ぶりだねっ」

日菜ちゃんが背中を撫でてくれる、気持いいけど

最高を知ってしまった今は何か物足りない

また紗夜さん所いきたいなぁ

「ん、なんかるんっ♪てこないんだけど・・・」

 

「ヒナさんどうかしたんですか?」

すごいスラっとした子が現れた

え?外人さん?可愛いのに綺麗な雰囲気をまとってる

若宮イヴちゃん、メンバー最年少、フィランド人の母を持つハーフモデル

純粋を人で表すとこの子になるんだって

 

そしてドッグランに併設されたカフェで少し距離を取ってこちらを見てる眼鏡をかけた子

大和麻弥さん、ちゃん?判断が難しいので麻弥ちゃん

だいぶ馴れてきてはいるけど

犬は苦手らしい

なのにレオンさん事あるごとに舐めたりしてスキンシップしてる

・・・レオンさん年齢の割にお茶目だよね

 

パスパレことPastel*Palettesのメンバーが勢揃いなドッグランって凄いね

「レオン行ってらっしゃい」

千聖さんがリードを外してくれる

日曜なので他の犬もいるけど

全力で走るくらいはしても大丈夫だよね

外周を回るように少しずつペースを上げて走り出す

「わ、レオン君速っ」

彩ちゃんがフェンスから声をかけてくれる

隣にはイヴちゃんと麻弥ちゃんもいる

千聖さんと日菜ちゃんはテーブルでお茶をしているみたい

全員揃っていて誰もよってこないんだね

何か番組の収録とかと思われてるのかな??

 

 

 

「で、千聖ちゃんどうしたの?」

日菜ちゃんが少し訳知り顔で訊いてくる

以前なら日菜ちゃんも一緒にドッグランに行って一番はしゃいでいたかもしれない

変わってないようで彼女も変わっているのかもしれない

「知ってるでしょ?紗夜ちゃんからあの人の話を聞いたのよ」

先週の朝の散歩で、私もまだ見たことのない柴田さんのご友人に遭遇したらしい

 

「あー知ってる、撮影から帰ってきたらおねーちゃんが玄関でずっとレオンくんブラシかけてるんだもん」

私もレオンを迎えに一緒に見てかなり怖かったわ

あれギターをブラシに持ち替えただけで昔の紗夜ちゃんの姿なのね

日菜ちゃんが一瞬で涙目になって

「おねーちゃん!おねーちゃん!!」って抱きついてたんだから

 

・・・凄いトラウマよね本当

 

結局二人で紗夜ちゃんから話を聞きながら(日菜ちゃんは泣いてるだけだったけど)

紗夜ちゃんが落ち着くのを待った

おかげで一週間経ってもレオンはブラシ要らずだったけど

この姉妹変に天才すぎるわよ

ブリーダー目指しても頂点で狂えるわよ(毒舌)

 

「ケントくんの友人ってあの人だよね?」

日菜ちゃんが頭の後ろで手を組んで空を見る

日菜ちゃんと紗夜ちゃんの色が混じったような青色の綺麗なグラデーションのかかった空

夜空が好きな日菜ちゃんが二番目に好きな青空だけど

今日は難しい顔をしている

「そうね、あの人よ」

昨日番組の撮影で行った別スタジオで見かけたわ

アイドルとしての年数はこちら(パスパレ)もあちらもそんなに変わらないと思う

向こうは大きなユニットだったりデュオだったり小さなユニットだったりソロだったりと活動の範囲が広い

「忙しそうだよね~」

そう、なのに柴田さんとの朝の時間はしっかり確保しているとか

 

なにより

「おねーちゃん負けてないと思うんだけどなぁ」

「そうよね、身長もルックスも同じ歳になれば確実に勝ってるわよね」

そう、あくまで「なら・れば・たら」の話になってしまう

現状は勝てないとは言いたくない、でも分は向こうにある

 

「千聖ちゃんと15センチ差だっけ?」

「13センチよ」

身長の話はやめてもらいたいわ

「それにあれ、公式データと絶対違うよね?」

なんて胸を寄せてみせる

「やめなさい」

本当・・・大きくなったのなら、どうしてどうやって大きくなったのかしら…

「千聖ちゃんなんか黒いの出てるよ、なんかいびつにでてるよぉ」

あら私としたことが

 

なによりイラつき始めたのは

日菜ちゃんだから仕方ないけど

なんで対抗馬が紗夜ちゃんだけなのよ・・・

私だって・・・妹と身長が変わらなくなってきた、抜かされる節がある

発育は・・・大きいのなんて詰めればなんとかなるのよ、減らす方が大変じゃない

なにより私はアイドルで女優なのよ!

 

って・・・私は何を熱くなってるのかしら

 

「千聖ちゃんも結構素直じゃないよね~」

なんて言ってくるし

「でもごめんね、千聖ちゃんは大事な仲間だけど。おねーちゃんの邪魔はさせない」

なんて宣戦布告されちゃったわ

 

「私的にはまずあの女神を倒さないと進まないと思うけど・・・」

手強いのよね

なにより

「あの女神にさえ靡いてない朴念仁をどう攻略するかが一番の問題なのよ」

確信を突くと

「そうなんだよねー、本当おねーちゃんも面倒くさいのを選んだよね。でも・・・」

そうそれを引いても

「・・・るんぅ♪ってくるんだよね」

正直に言えばそうなる

 

あの分かりにくい良さをわかる人が少ないから助かっている

それを広めるつもりはない

ただでさえ彼と波長の合う天才の後ろ盾を得ている紗夜ちゃんが相手で分が悪いのに

 

「日菜ちゃん的には今の状態はどう見えるの?」

それくらいは加担してくれるでしょ?と微笑むと

「うーん正直言うとね、最近のケントくんは解りにくいんだよね」

解りにくい?

「なんかちょっと違うんだよね、ねぇあれ本当にケントくん?」

「それを私に聞くの?」

おねーちゃんも同じこと言うんだよねってお手上げと言いたげに空を仰いでから

 

「でもそこが面白いんだよね♪」

私と一緒のようで違う人っていうのも初めてだからね

日菜ちゃんは少し怖い笑みを見せるとドッグランに向かっていった

私や紗夜ちゃんはもしかしたら突かなくていい藪をつついたのかもしれない

 

 

 

川原と違って比較的犬が走りやすいようになっているドッグランは思い切り走れて楽しかったよ

走るのとか運動に目覚めそう・・・元の身体じゃ無理かもだけど

満足して帰ってくると

なんか彩ちゃんがキラキラ3割増になってる

「レオンくんすごい!すごく格好よかったよぉぉ♪」

抱きつかれてしまった

どうしたんだろうかこの子、困って周りを見ると

え・・・

「なに?なんなのレオンくん?先週よりもっともっとるん♪ってきたよぉぉ♪」

日菜ちゃんまで抱きついてきた

「レオンさんブシドーでした!!」

「ジブンもなんかわからないけどすごいと思いました!」

え・・・イヴちゃんと麻弥ちゃんまで

 

なんなのなにがあったの?

千聖さんに助けを求めようとカフェを見ると

千聖さんまでこっちをなんか何をしたのって顔で見てる

ん・・・

『れ・・レオンに、柴田が感染した・・・感染するのアレ?え?うちのレオンどうしちゃったの??』

なんて言ってる

 

なんでさーーーー!!



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七話:夜って・・・

アンケートとか取ってみた方がいいのでしょうか・・・


レオンさんに悪いことをした気がする

ドックランでの騒ぎ

主に騒いでたのはパスパレメンバーなんだけど

他の利用者にもなんかいろいろな視線を送られた

 

僕なんかしたの??

 

 

 

「いままでこんなそぶり見せたことないのに、本当大丈夫なのレオン?」

今は白鷺家のリビングの定位置で千聖さんに膝枕?をされながら頭と背中を撫でられている

 

お昼のドッグランでの一件

どうやら意識せずになにかやらかしていたみたい

パスパレメンバーだけではなく、他の飼い主さんにまで「すごい」だの「犬なのに紳士」「犬でもいい!」とか言われたけど

僕はいつもどおりの偽善を…

 

……

………

レオンさんごめん、普通犬はしないよね偽善とか…

まずい、犬に怒られるとか普通に受け入れてるよ僕

 

「彩ちゃんの話だと、すごい勢いでも走ってたっていうし」

四足走行最高!

AWDの車買うよ僕!!

元に戻ったら今の車好きだから、頑張って二台維持する!!

…うん、バイトしないとね

花音ちゃんのとこ以外かぁ

 

なんて考えていたら

「こら?聞いてるの?」

え、お説教だったの?

「あの日からなんか柴田さんに感化されてないかしら?」

顔を少し強目にもふもふされる

感化もなにも、本人なんだけど

「もう、歳なんだから無理とかして心配させないで頂戴」

本気のやつだった、この顔は始めてここに来た時にも見せられた

申し訳なく思っていると

また膝に上に頭をのせてくれて撫でてくれはじめた

 

入れ替わって二週間が過ぎたんだよね

 

あまり無理をしないようにしつつ過ごしているつもりだけど、レオンさんの体、そんなに高齢には感じないんだよね。

むしろ動けるのを我慢している気がする

なんでだろう?

あれだけ動けるのに??

よくわからないけど、よく人で言う30代40代を脂が乗っているというけどそんな感じかな??

こればかりは本人(犬だけど)の考えだからなんとも

 

「それにしても、あの短い間に色々あったみたいね?」

あれ?なに?

千聖さん?

笑ってるよね??

笑ってるよね???

「彩ちゃんと日菜ちゃんが事細かに教えてくれたけど、なにしてるのかしら?」

え、なに?

さっきまでのシリアスは?

なんかいいムードだったのは??

 

「レオンはいつからそんな悪い犬になったのかしら?」

痛くないけど顔を両手で挟んで目線を合わせるようにしてくる

「あなた今日何をしたのかしら?」

なにをって、走りやすかったから限界を試してみようかと・・・

「どこの世界にボルゾイというハウンド系をぶち抜くレトリバーがいるのかしら?」

遠縁にグレイハウンドとかいるんじゃないのかな?

「・・・ゴールデンレトリバーも造られた犬種だからどこかで混じってるのかしら?」

そうそう、きっとそうだよ

「それはまぁ置いておいて、無茶はしちゃダメって約束したわよね?」

無茶?全速力してただけだけど??

「どこの世界に犬の誘拐犯に突撃かましてノックアウトする犬がいるの?」

助けてって言ってたから思わずそのままの勢いで突っ込んじゃいました

人の姿ならいい飛び蹴りができたと思う!

・・・僕の身体じゃ無理だろうけど

 

「・・・柴田さんじゃないんだから。誰でも彼でも助けなくていいのよ」

え?

「どうも最近のあなたはあの人みたいに綺麗に生きた証を残そうとしてるみたいで不安になるわ」

え?誰それ??僕じゃないよね???

 

綺麗に生きた証ってなんか嫌だよね

「あなたは私にとっては弟であって兄であって大切な家族なのだから」

千聖さんの顔が目の前に

いつもの凛とした姿はなく

歳より幼く見えた

「もう、生き急いでるみたいなことはしないでね」

人と人がするように額をくっつける

想いがまっすぐに伝わってくる

そうだね、レオンさんの体だしね

レオンさんが全力で動かないのは千聖さんとの約束なのかな?

 

「それにしても・・・彩ちゃん達が見た、格好いいレオンも見たかったわね」

額でぐりぐりしないで

まだ怒ってる?怒ってるよね??

 

 

「今日本当るん♪って来たんだよ!」

Roseliaの練習帰り何時になく興奮気味の日菜と一緒になった

パスパレのメンバーでドッグランに行っていたらしい

レオンさんが何か凄かったらしい

らしいというのは、日菜のとりとめのない感覚話だからだけど

帰り道からさっきまで延々とその話題だったから内容は十分に理解できた筈

後で丸山さんと答え合わせをしてみましょう

 

でも正直日菜がここまで興味を示してるのが珍しい

人ではなく犬なのが余計に混乱を招いているけど

 

「ボルゾイやコリーより速かったのですか?」

確かボルゾイはハウンドの血統でかなり足の速い犬種だったと記憶している

コリーも速い犬種がいたと記憶している

『そうなんだよね、軽く走ってると思ったらだんだん速くなって、気づいたらそんなことに』

電話の相手である丸山さんに、みんな犬種には詳しくないので不確かな話と付け加えられたけど

 

「日菜に聞きましたけど、捕物があったとか」

日菜が一番話していたから少し気になっていた

『うん。やっぱり血統書とかで高い犬が多いのと…』

少子化で子供の代わりに犬を愛でている世帯も多い

身代金目当ての本当の誘拐というわけだ

 

「それをレオンさんが体当たりでのしてしまったと」

ゴールデンレトリバーの体当たり

話だけで判断してもかなりの速度での体当たり

『凄かったよ、悲鳴と鳴き声?と思ったら、犯人が吹っ飛んでたから』

それ、レオンさんの体的に大丈夫だったのかしら?

『日菜ちゃんが言うには、身体に頭から突っ込んだんじゃなくて…』

足下から顎めがけて少し体を丸めて首から背中でぶつかったと…

 

「・・・・・・なんですそれ?」

犬の動きなの?

『私もちゃんと見てないから何とも言えないけど、日菜ちゃんの話だから』

なら間違はないというか、何回も聞いている私より丸山さんの方が理解しているの?

現場にいたからよね・・・

『紗夜ちゃんどうかした?』

「気にしないでください、少しアイデンティティが揺らいだだけです」

『?』

 

丸山さんとの通話を終えて物思いに耽ける

レオンさんの動き・・・白鷺さんがそんな動きをさせるはずがない

いや、もしかしたらボディガードとして・・・

邪魔な人間を消すとか・・・

 

「私の冗談は笑えないわね」

レオンさんの動きは多分レオンさんの意志だろう

それにしても

「・・・賢人さんみたいなことをするのね」

動きの話じゃない

あのもやしにそんな動きはできない

でも誰もが動けない、動かない時に動く、動こうとする

その心のあり方が似ている?犬だけど・・・

 

本人は「偽善者だから、偽善をしないとね」と片付ける

その心の元はわからない

けど、その歪でわかりにくいのを私はよしとしてしまった

 

「本当、なんであんな面倒くさいのを好きになったのかしら」

 

それにしても最近の私は前にも増しておかしい

どうして犬であるレオンさんの事で賢人さんに繋がるのか

「それだけあの人のこと考えてるのかしら?」

自分で言って気恥ずかしくなった

 

 

 

ね、眠れない・・・

あのあと、なぜか眠ってしまい

気がついたら

「・・・・・スゥスゥ」

小さな寝息をつく千聖さんが隣に

人の姿に戻ったのかと一瞬思ったけど

レオンさんの体のままだった

抱き枕にされてしまっている

 

犬の姿とはいえ、その、なにこれ?

すごくドキドキするんだけど・・・

 

あれ?なに?なんでこんな?

レオンさんの記憶に引っ張られてるの??

・・・千聖さんあったかくて柔らかいんだね

 

じゃなくて、どうしよう、どうなってるの?

よくわからない

なにこれ

眠れない・・・

 

ドキドキして眠れないよぉ



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八話:テレビって・・・

書きたいことはあるけど

ゆっくりのんびりお付き合いください


朝がきた

眠いよ

あれかな、やっぱり無理したのかな

心臓ドキドキしてたし

本当レオンさんに悪いことしたよ

 

 

早朝、いつもどおり散歩にいく準備を主に千聖さんがしていると

「事務所から一斉LINE?」

いつものスポーツカモフラこと黄色のジャージを着て、いざ散歩にと思ったら…

 

「朝の情報番組?」

内容を読んで、少し考えると

 

「レオン、散歩ちょっとお休みにするわね」

確認をしてくれるけど、選択権はないよね?

ひと鳴き返事をすると

「ありが、、、偶然よね?」

少し驚いた顔をされたんだけど

あれ?レオンさん返事するよね?

 

朝の情報番組にPastel*Palettesことパスパレが出るらしい

千聖さんを含め誰もそんな仕事した記憶がないが事務所からの連絡だから、特集かなにかだろうと

録画しても良かったけど

 

千聖さん、散歩すら結構な運動なのか

結構サボりたがる

 

変にストイックだから、なにかと理由を作ってサボる口実にしようと考えては自分で取り消すとかしてて面白い

 

今回は、自分で録画が出来ないかららしい

ちゃんと録画できるか不安とかなんとか

意外な話で少し驚いた

 

なんでできないんだろ?

 

不思議だった

 

「…でも、朝の情報番組って?」

新曲のリリースの宣伝なら本人たちが朝から局に詰めるんだよね?

僕朝はお笑いの狂犬さんの見てるよ?

 

犬繋がりだけに!

はいっ、ケントでないとぉ~!

 

……

友人の

「『と』しか合ってない、まさとくん渾身の捨て身のギャグになってないギャグでございます」

がないと少し寂しい

 

「他のみんなも心当たりないみたいだし…」

少し訝しげに番組を見ていると

視聴者投稿コーナーになった…

かわいい動物やペットの動画が寄せられるやつだよね?

どの局もよくやってるよね

「え?ここって…」

千聖さんの呟きに画面に目を戻すと…

アナウンサーらしき人のナレーションで、あ、日曜朝に特撮流してる局だからBGMと効果音がそれっぽいね

画面ではレオンさんに似たレトリバー種が小さな子犬を両脇に抱えている男を突き上げ式の体当たりを顎に決めて吹っ飛ばしていた

ライダーキックの効果音だけど、ヒット数出てる辺り少し前の素材で面白くされてしまってるなぁ

 

個人的には嫌いじゃないけどね

 

と、他人事(犬だし)決め込んでいたら

 

「…お母さん、お母さん!!レオンがテレビデビューしちゃったわ!!」

 

千聖さんが大声をあげる

 

え!?本当に千聖さん…なの??

千聖さんが発したとは思えない、驚声というか叫声というかに驚かされつつも

画面に目を戻すと、彩ちゃんに抱きつかれ、日菜ちゃんに抱きつかれている犬が映って、パスパレメンバーの写真がカットインして

千聖さんの飼い犬と紹介されている

 

うん、レオンさんだったのか

見たことあると思った…

見たこと…えーと…見たというか

 

「あら?レオン君モテモテだったのね♪」

「そうじゃなくて!」

そうそう違うよ、もて…

「うちのレオンがテレビデビューしたのよ♪」

 

え?そっち?

お母さんも、この子は何言ってるの?という顔してるよ?

「別に千聖ちゃんの飼い犬してるんだから、いつかはテレビで紹介されたでしょ?」

うんうん、ペット番組多いし

今だってある意味ペット番組だし

 

「私の力じゃなくて、自力でテレビに出てるのよ!?」

 

兄とか弟と言ってたのに

親バカでした

 

そう言えばLINEがさっきから来てるような?

千聖さんも音消してるんだよね

 

「…なんでみんな盛り上がってるのかしら?」

逆に冷静になれたみたいだね

 

しかし、なんで撮影なんて?

 

数回繰り返して流されてたけど

『あのレトリバーすごいよね?』

『撮っとけ、あの白鷺千聖の犬みたいだぞ』

最初の一回にそんなのが入ってたから

 

うん、千聖さんの飼い犬だから目立ったんだね♪

 

なに?千聖さんなんでそんな困ったものみる目でみるの??

 

「…事務所からレオン込みの仕事がきてるって」

「良かったじゃない、前からレオン君とテレビ出るの!っていってたじゃない♪」

「いくつの頃のはなしよっ!」

恥ずかしそうにしてる千聖さん可愛いなぁ

 

それにしても

僕レオンさんじゃないのにレオンさんとしてテレビ出ていいのかな?

今度相談してみよう

呆れられるか、またお小言言われるんだろうなぁ

 

なんてのんきにしてたんだけど

 

朝の情報番組は色々と波紋が広がっていたんだね

それは僕の周りであったり、レオンさんの周りを含めていた

 

僕は知らないでいたことが多すぎたとかなり後から思い知らされた

 

 

 

いつもどおりの朝と思ったら

日菜がもう起きていて騒がしかった

私はいつもこの時間にはロードワークに出ているけど、日菜がこの時間に起きているのは珍しい

「どうしたの?日菜」

リビングでHDDデッキを触っている、天才の日菜でも録画予約に手間取るという姿をたまに見ていたけど、どうやら今日もらしい

「おねーちゃん、ごめん、ちょっと急ぎで録画したいの!」

慌てているから余計に訳がわからなくなっているみたいだわ

 

「仕方ないわね」

リモコンを貰い、画面を変える

「どの番組なの?」

番組表を開いて、日菜に目的の番組を聞くと朝の情報番組とか珍しい

 

「なんか事務所から連絡あってね、撮影も取材もされた記憶がないから見ておこうかと思って」

日菜にしては珍しい動機なのと、今からならリアタイ(リアルタイム)すればいいのにと思ったら

 

「彩ちゃんピンの仕事で地方だから録ってあげようと思ってさ」

…正直少し驚いた

日菜がそんなことをするとは思わなかったから

パスパレは日菜にいい影響をくれてるみたいね

 

なんとなく流れでその番組を観ることにした

録画出来てるか不安で観てたわけではありませんよ?

「芸能コーナーは何時なのかしら?」

何時もはこの時間はロードワーク中であまり詳しくないし、私は他局派だ

最近はあのパンダがお気に入りなのは秘密にしている

 

「もう一回寝ようかなー」

飽きている日菜はそんなことを言い出す、日菜にとっては同じニュースを繰り返す朝の情報番組は退屈に違いない

私も自然とながら見になってくると

 

「ちょ、おねーちゃん!!レオンくん!!」

日菜が慌てて大きな声を出す、私も意識を画面に向けると

子犬を二匹抱えたそこまでいい体格をしてはいないけど、大の大人を一撃でのしてしまったレオンさんが子供受けする編集で画面にいた

その後丸山さん、日菜とパスパレメンバーが映され、白鷺さんの家の犬だと紹介されていた

 

「おねーちゃん!これだよ!これっ!昨日わたしが話してたの♪」

レオンくんるんっ♪とキターー!とか言いながら両手を突き上げてるけど

日菜わかってやってるのかしら?

 

しかし、これは、日菜の話以上ね

日曜の朝にヒーローものを流してる局だけあって賢人さんが好きそうな編集だと思いながらも

繰り返されるレオンさんの勇姿?

少し前のお医者さんのやつよね確か…

なんて考えていると日菜が

 

「うーん、やっぱりなんかるんっ♪がちがうんだよねぇ」

よくわからないけどなにか違和感があるらしい

コーナーが終わったので録画を止めて見返している

「なんか、すごく企んでる感じがするんだよね」

「企むって…」

言葉が悪いわよ、計算尽くされたというかなんか…

 

「ケントくんの黒いとこみたい」

それだ!

あのもやしと同じ黒さが見えた

日菜もそれを感じ取ったのだろう

 

黒いとは言うけど悪い黒さではない

人の見せない部分という意味に近い

私で言うならこのストイックさも黒だと思っているし

日菜は自分の才能をたまに黒だと思っているらしい

だからだろう賢人さんの天才に見える部分が黒く思えるのだろう

 

「・・・?」

この前からずっと引っかかっている事がある

何気ない日菜の一言だったけど

日菜の感覚はその才能以上に特異だ

ありえない荒唐無稽だと一笑に付す事だけどと考えてしまうのは

 

最近のあの人は、どこかあの人らしくない

 

 

 

 

 












・・・平成ライダー好きです
ゼロワンは平成でもあって令和でもあるw


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九話:出会いって・・・

少し過去話ぽいのを


私があの人、柴田賢人さんに出会ったのは一年ちょっと前になるだろうか

まだRoseliaとも出会わず、一人兎に角何かに逃げるように、何かに縋る様にギターをしていた頃だ

 

日菜の天才を否定していた癖に自分も自分の縋っているもの(ギター)には妥協を許していなかった時期

 

そう、バンドを転々としていた時期だった

 

納得されての離脱もあれば

相手に不満しか残さない、自信(安い自尊心)を全て踏み躙っての決別もあった

あまりの事に辛辣を通り過ぎた侮蔑以外の言葉しか残さなかった事も・・・

 

今考えると、他人を思いやる余裕がなかったというより

私も自分の才能ゆえに他人がわからなかったのだと思う

 

だから自分の認識外の事には考えが及んでいなかった

 

「それでは失礼いたします」

「うん、頑張ってね。応援してるからね」

今日もまた一つのバンドを辞めることになった

いえ語弊がある、お試し期間だったのだから辞めたことにはならないし

向こうも私の事を知っていてのお誘いだったのだから

今考えると、いい人だった

あの頃の私みたいな人間の事を考えてくれていたのだから

 

・・・そう考えるとあの頃から人との出会いはいいものがあったのかもしれない

 

ライブハウス兼スタジオを出て家路を進んでいると

嫌な感じのする軽のワンボックスが併走していたかと思うと走り去っていった

何だったのだろう?

少し不審に思いつつも先を進むと

先ほどの軽自動車が脇に停められ

印象としては最悪な感じのする男の人達が三人たむろしていた

こちらを確認するような視線

嫌な予感がした

回れ右をして走り出した

 

「な、逃げたぞ!!」

「なんでわかったんだあの女!」

馬鹿ですか、ドラマや小説の向う見ずなヒロインや馬鹿なヤラレ役じゃあるまいし・・・

後ろを振り向いている余裕はない

大事なギターを背負って安全な場所・・・スタジオに戻るしかない

耳をすませると

「なっ!」

思わず声を出してしまった

一人だけ追って来て・・・車で追いかけてきた!?

慣れているのか冷静なのか全員で追ってこなかったなんて意外に慣れているとかとんでもない状況だ

 

スタジオまで逃げ切れる確率が一気に下がったのは確かだ

しかし諦めることなく走った・・・

 

 

-キィッ

車が追い越して止まる

ギターをケースごと鈍器にするのは躊躇われるけど仕方ない

ハードケースなら殺傷力も得られたのでしょうね・・・

 

ため息をつきつつ

なるべく底を垂直にぶつけるようにしようとギターを下ろす

「なにやる気満々なんだよこの女?」

「話に聞いたとおりクソ生意気な感じだな」

・・・話に聞いた?

なる程、だれかの差金ね

先日抜けたバンドに頭の悪いチャラチャラした男うけしか考えていないボーカルがいたのが頭をよぎった

・・・泣くくらい詰ったからその仕返しね

 

「・・・とに頭の悪い」

思わず言葉にしてしまった

自覚があるのか

「本当に生意気だな、歳上に対する態度から教えてやろうか?」

なんて言っている

そういえばあのボーカル()も似たような事を言っていた気がする

似た者同士仲がよろしいことで、私の関係ないところで仲良くしててくれればいいのに・・・

近づいてきたらどこを崩そうか・・・なるべくギターに負担をというより

 

正直、こんな人達に私の大事なギターにさえ触れさせたくもない

かといって素手でやり合うのは無理なのが分からないほど愚かではな・・・い?

 

「あのー、車邪魔なんですけどぉ?退けてもらえませんかぁ?」

場違いなのだけど、真っ当な言葉がかかる

でも・・・

「あぁっぷぎゃっ」

普通は空気を読んで立ち入らないし、立ち入るのはよほどの正義感の人か

優越感に浸りたい歪んだヒーロー願望者だとおもったら

 

面倒くさそうに威嚇しようとした車側の男が手のひらの手首の付け根の堅い部分で顎を張り手のように打ち上げられていた・・・

「・・・え?」

男の人が変な声を上げるのとその場にいた全員が状態を一瞬認識しなおすかのように固まった

「こっちだよ」

倒れた男の人の方から先ほどの場違いな声がかけられる

直感的にその声に従い走り出す

「スタジオに向かって」

黒づくめの同い年くらいの少年だった

小柄で彼が一撃で倒したとは思えなかったというのが第一印象だった

 

「ありがとうございます」

脇を通り抜けスタジオに向か・・・えるはずもなく

スマホを取り出し警察に連絡をしようとしたら・・・

道に放置された軽自動車のクラクションが鳴り出した

「え?・・・」

少年がすぐさま乗り込んでクラクションを鳴らしていた・・・

倒れた男の人以外の二人が私を追うより、それを止めようと車のドアを開けようとしているけど

「なんなの?この状態は?」

エンジンがかかったままで鍵はついていた

車に乗り込んでロック(集中ドアロック)されては外から開けることは不可能

なのに躍起にドアを開けようとしている

そして、私が呼ぶはずだった警察がもう到着していた

 

連絡済だった・・・

全て計算づくとか

状況的にはもう少し緊迫してもいいはずなのに

何とも人を小馬鹿にしたような気分になる

日菜が頭をよぎり、気分が悪くなった

 

 

 

「結局巻き込んじゃったね、ごめんね」

なんて警察署の取調室の前の廊下で謝られた

話によると本当は三人とものして逃げるつもりだったらしい

 

私が逃げていれば最小最短の時間で面倒は回避できたと

・・・遠まわしに文句を言われたわけではなかった

なぜなら

「まぁ根本から解決するなら仕方ないよね。本当はスタジオでお話しようと思っていたけど・・・」

話は大きくなったけど問題を根本から解決するのと、再発防止だと思えばいいか、と言っている

 

しかし・・・そもそも

「あの、あなたは何者ですか?」

私はこの少年を知らない

「通りすがりの偽善者です」

「ふざけないでください!」

 

「柴田さんはたまたま聞いた会話で私を助けにきたと言うんですか?」

「はい、そうです」

私の剣幕に大人しくなった少年改め、青年柴田さんが神妙に答える、廊下に設置された長椅子に正座しかねない感じだった

まだ馬鹿にされている気分がしたけど

どこの世界にそんな人の話だけで助けに来ようなんて思う人がいるのか?

 

「ならどうしてあのスタジオに?」

あのスタジオではあまり男性を見かけないから、その場に居たら目立つはず

「幼馴染に迎えを頼まれました。受付で待っていたら・・・」

あの馬鹿(ボーカル)が下品に大声で襲撃指示を出していたのを聞いたと・・・

「失礼ですけど私と面識ありましたか?」

まさか私のストーカー?

「いえ、無いです。その、信じてもらえないでしょうが、僕偽善者で・・・」

「不可解すぎます」

どこの世界に自分を偽善者と言って善行を行う偽善者がいるのか?

「ならその偽善をしてあなたは何を得るのですか?」

「自己満足というか・・・」

「信じられません」

そんな偽善者はありえない

「そう言われても・・・」

信用はできない

 

「シバケンいたいた、氷川さんも一緒だったんだ」

聞き覚えのある声、本日抜けさせてもらったバンドのリーダーさん?

「その呼び方やめてよ、柴犬(しばいぬ)に申し訳ないよ」

なによそれは?

「氷川さんの事で相談する前に片付けてくれるとは相変わらずの斜め上の空気の読めなさだよね」

幼馴染ってもしかして・・・

「あ、氷川さん。これ私の幼馴染で柴田ケントって・・・」

賢人(まさと)なのでは?」

本人じゃなく私が訂正してしまった

「そうだったっけ?」

 

リーダーさんと柴田さんは地元が一緒で幼馴染の特権でいろいろさせていたらしい

今回は私を逆恨みした・・・私の言い方もきつかったのは少しは認めますが、逆恨みです

あの大して上手くもセンスの欠片もなく、胸ばっか大きくて脳みそが…失礼、とにかくあのボーカルが人を使って襲わせようとしているのを知り、柴田さんに相談という名の体で何とかさせようとして、その相談の為にスタジオに迎えにこさせたら、勝手にもう解決してしまったと・・・

それも犯罪じみた事を平気でしていた人達を・・・

「余罪たっぷりだから実刑もあるんじゃないかな?」

そういえばこの人、私が件のバンドを抜けてから、声をかけてくれていた

「あなたも、この人(柴田さん)も人が良すぎます」

そう言うと

「残念ながら私は氷川さんをメンバーにして演奏の質をあげようという目論見付きだったからね」

と言い

「こいつは本当に偽善者なだけだから気にしなくていいよ」

なんて言いながら柴田さんの身元引受人として帰っていった

柴田さんは少し怯えた顔をしつつ帰っていったのは何?

私に怯えてるのですか?

 

…納得いきませんね

 

その後、私は母に迎えに来てもらい、日菜に心配されたが平静を装ってあまり相手をせず部屋に篭った

 

部屋に一人になってから急に怖くなった

 

犯罪者に何かされていたのかもしれないという実感が今頃になって来た

正確には迎えに来た母と日菜の動揺する様を見て実感してしまった

あの巫山戯た男(柴田さん)のお陰で実感が無かったのかと思い至る

 

「お礼にいかないといけないわね」

何故かあの偽善者を名乗る男の事を考えたら少し落ち着けた

あの小柄な男に安心とかまだどこか動揺しているに違いない




賢人は強いのではなく
体がどう動くか知った上で効果的に結果を出そうとするだけで
難しいと思ったら保険もかけるタイプです

過去話少しだけしたいと思います。


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十話:記憶って・・・

過去編もう少しだけ続きます。


 

-♪♪♪-♪♪♪-♪♪♪

スマホの電子音がなり、それを停めて起き上がる

 

あんな事でも精神的に疲れていたみたいね

普段ならアラームの前に目を覚ましている

いつもどおりロードワークに出ようかと思ったけど、窓の外がまだ暗く

昨日の今日で少し躊躇われた

 

スマホの待機画面を見て苦笑いを漏らす、今日は日曜だった

昨日はやはり自分でも思った以上に動揺していたみたいで休みなのに態々アラームをセットしていた

 

-フッ

シニカルな笑いとは思うけど、少し笑えるくらいには回復した

LINEのアイコンにメッセージの通知数が表示されていた

私は着信数もあまりないことと、緊急なら直で通話してくるでしょう?の考えから普段から音を消している

(後で知ったのだけど、賢人さんも同じらしく・・・LINEの既読も返信も遅目なので少しやきもきさせられたわね)

 

通知を見てみると昨日の事でアフターケアなのかリーダーさんからだった

(・・・そうだった、杏子(あんこ)さんだったわね)

・・・苗字は、忘れて・・・いえ、訊いてないわね。今度改めて本名を訊かなくては。

杏子さんからはとりとめのない話と気晴らしでよければ少しセッションしないかというお誘いだった

 

・・・昨日抜けたバンドでセッションって

普段の私なら一笑に付したと思うけど、バンドメンバーとしてではなく気晴らしのセッションと態々言ってくれている

お礼も兼ねて良いだろう、もうひとりお礼を言わないといけないし

 

 

 

昨日の今日での一人の外出には、流石に母に心配されたが行き先とお礼を言いに行く旨を話て許可を得た

外に出てスタジオに向かう、流石に用心をしてスマホを片手に移動している

遠回りになっても人通りの多い道を選んでいた

もう大丈夫だからと昨日と同じ道を使う事は憚れた

(後日、警察も動いたのでしばらくあの周辺は巡回を増やされ安全だったと言われ少し微妙な気分にさせられたのよね)

 

スタジオに着くと杏子さんがもう受付にいた

「おはようございます」

「おはよ、みんなまだ来てないから座って待ってて」

「その前にすみません、これを」

母に持たされたお礼の品を手渡し、母に連絡を入れるので電話に出てもらうことを了承してもらい電話をした

 

「氷川さんってやっぱりいいところのお嬢さんだったんだね」

「いえ、うちは普通の家庭です」

電話も終わり、待合室の丸テーブルで杏子(あんこ)さんこと三藤杏子|(さとうきょうこ)さんはそんな事を言う

あの人(柴田さん)といい、名前の読み方に特徴がある。幼馴染とか言っていたのはそういうのもあるのかもしれない

「お金持ちという意味じゃないよ?しっかりしてるっていう意味。普段の氷川さんの言葉使いとかからもそう思ってたんだけどね」

「そうですか」

 

杏子(あんこ)さん-本人からそのまま呼び続けてくれればいいからとのこと-は人としてはいい人なのだろう

「そうでした、柴田さんにもお礼をしたいのですけど」

柴田さんの分のお礼の品も持たされている、最悪杏子さんに渡せばいいのだけど

「シバケン?呼べば来るんじゃないかな?バイトかも・・・」

スマホを取り出すと、通話で呼び出す

「ら、LINEとかメールで先にお伺いとかは?」

「シバケンはスマホ気が向かないと見ないから、あ、私私、いまから昨日のスタジオ来れる?え、バイト中、バイトなんかしてたんだ?どしよ、氷川さんがお礼したいって態々来てくれてるんだけど?無理?うん、わかった伝えておくね」

通話が終わると杏子さんが

「ごめんね、シバケンバイト中だって。呼び出そうと思ったんだけど、今日は無理みたい。どうしよう?預かっておく?」

お礼の品を見る、直接渡してお礼を言うのが筋だし・・・

「ご迷惑でなければ、また取り次いでいただけますか?」

「うーん、いいよ。面倒だと思ったら本人に直電教えていいか訊いて教えるね」

含みもなく言ってくれて助かる

 

「あ、そうだ、教えておかないといけないことがあったよ」

昨日の事かと気を引き締めると

「違う違う、昨日の事じゃなくて、えっとね湊友希那って聞いたことない?」

湊友希那、噂には聞いてる孤高の歌姫だ

実物も、その歌声もまだ触れたことがない、私は私の事(ギター)で手一杯だから

「一応は噂程度なら」

その湊友希那がどうしたのだろう?

「その湊友希那がバンドメンバーを探しているわ」

それがなんなのだろうと思っていると

「氷川さん、あなたならあの孤高の歌姫についていけるんじゃない?」

なるほど、私の新しい場所を提案してくれているのだ

本当人がいい

「そうですね、本人にまだあったこともありませんから選択肢の一つとして覚えておきます」

「そうして、それまではセッションとか練習くらいならうちで付き合うから」

どうやらバンドの質を上げる方法を変えたみたい

「しばらくお試し期間延長ですか」

「そういうこと、私としては願ったりだわ」

練習と考えればそこまで無碍にする必要もない

多分杏子さんに裏はないと思う

この人のベースは凄く上手いわけではないけどいい音を響かせている

(今思うと、Roselia結成当時の今井さんのベースにそこまで不満がなかったのはこの人(杏子さん)に似てるからかもしれないわね)

 

 

 

それから湊さんと出会う少し前に柴田さんと再会した

あれから何かと世話を焼いてくれる杏子さんと一緒することが多くなった

共通の話題が音楽か柴田さんしか無いため

会えてもいないのに柴田さんに詳しくなっていた

 

杏子さん共々こちらの出身と思っていたら違ったこと

大学生であること、頭はかなりいいのに浪人をしていたこと

名前に関しては少しコンプレックスがあるらしいこと

子供の頃から黒が好きで、たまに変な事を言っていること

(・・・宇田川さんと同じよね。そう言えばあの二人が話してるところ見たことないわね。賢人さんが避けて・・・認識してないわね多分)

 

兎に角あまり接したことのない・・・男の人自体父と教師くらいしか接してないけど・・・変人タイプの人間であり

その突飛な所は日菜を連想させて微妙な感情にさせる人だという認識だった

 

柴田さんがどんな人だったか杏子さんの話だけで人物像が固まった頃にそれをぶち壊す再会をした

 

杏子さんと待ち合わせでスタジオを訪れたら

「え?あんたなにそれ??」

相変わらず先に来ている杏子さんと

大きなハードケースを持った黒づくめの人がいた

ハードケースまで黒とかどれだけ黒が好きなのだろう・・って

「柴田さん?」

「・・・・・?」

「氷川さんおはよ~、これみてよコイツまた変なもの持ち込んで」

ギターケースにしては大きく、キーボードケースにしては小さい?

「柴田さん、演奏されるんですか?」

素朴な疑問だった

「こいつピアニストでヴァイオリニストだよ」

なら小型のキーボード?

 

それより・・・

「あの柴田さん?」

反応がおかしい?

「あ、ごめん氷川さん、シバケン!!この子!少し前にお菓子もらっただろ?」

・・・え?もしかして?まさかでしょ??

「・・・?」

「この前警察行っただろ?」

「うん」

「どうしてだった?」

「偽善をしにいって・・・ん?」

まさかと思うのですが・・・

「あ、あの時のクッキー缶の家の子か、ありがとう美味しかったよ、いや僕クッキー大好きなんだよ♪」

「嘘でしょ?」

「いや、こういう奴なんだよ。数年ぶりだからって幼馴染の顔も忘れてたくらいだ」

 

忘れられていたとは、それも思い出したのがお礼の品のクッキー缶とは、なんか情けなくな・・・る要素がどこにあるんです!!

これだから天才って人種は・・・

「いやごめんね、正直三回は会わないと人の顔って覚えられないんだよ」

とんでもない事を言っている

「幼馴染の顔忘れてたのは?」

「お前はがらっと変わりすぎだし、二年も顔見てなければ仕方ないよ」

諦めるところ?切り捨てるの潔良すぎない?

 

更にクッキー缶と結びつけたから覚えたと思うと言われても・・・

 

「思うって・・・」

なんなのこの人、馬鹿よね?バカじゃないはずがないわ!

(この時はこんな人を好きになるとは思いもしなかったから、人生は楽しいのかもしれない)



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十一話:天才って・・・

切りどころが解らず
きづいたら少しグダ長くなってしまいました。


いえ、決してガルパのPastel✽Palettesイベント頑張って・・・ました。

だってもう見ないと!
ちなみに石はなくなりましたが千聖さんはいませんorz
最後虹だったから一枚は出るかな?なんて喜んでいたら
花音ちゃんが2枚・・・あなたの親友が欲しいんです(泣)


再会からいきなり疲れさせられた

その後もこの規格外生物(柴田賢人)はやらかしてくれ続けました

 

「なんですこれ?」

黒いハードケースに入れられたのは

「ツインネックギターです」

…先程の一件で怖がられてるみたいでかなり余所余所しい

見ればわかる、ネックが二本という変態ギター(個人的主観)だった

あと黒い、黒の中にオフホワイトで羽根のついた星が描かれていた

 

問題は…4弦と6弦という

「ギター・ベースのツインとか、なんてシバケン向け…」

そう一本?でギターとベースを扱うことになる

普通は6弦12弦との組み合わせがオーソドックスだと思われている

ギター・ギターの組み合わせがメジャーであり

ギター・ベースの組み合わせは使い勝手がいいとは言えない

当たり前だ、ベースとギターを同時に引くなんてありえない

「流石にシバケンでも両方を同時には弾けないよね?」

「手がもう一対あれば…」

真剣に言ってるなら馬鹿ですね

それ以前に…

「柴田さん、それ()けるんですか?」

知りたくて、それでいて答えを聞きたくない内容だった

「いや弾けないから杏子にベースとギター教えてもらおうと思ってきたんです」

…やっぱ…え?

「杏子さん…?」

「何?」

「杏子さん、ギター演奏()れるんです?」

「まぁ人並み以下程度には」

…それはダメじゃない?

「まぁ基本を教えることくらいはできるから」

なんて言っている

なんなのこの人たちは?

 

 

 

「…ベースもギターも弾いてる」

「面白いでしょ。基礎をしっかりやり込むんだけど習熟度がおかしいから」

幼馴染は慣れてるのか笑っている、笑えない冗談なのに

「まぁシバケンは弦楽器大好きだから」

大好きってなんなのかしら?

「こいつピアノなら初見でどんな曲も弾くからね、うちの教室でも先生泣かせだったから」

……あれ?

「杏子さんもピアノしてたのですか?」

「そだよ、シバケンほど才能なかったし情熱もなかったけど、楽譜の早読みと微妙な絶対音感は手に入れたよ」

この人も天才もどき(アレ)だったのか、そう言えばチューニングしてるところ見たことない事に気がついた

…チューナー使わずやっていたのね

類友って本当にあるのだと呆れたように見てたけど…

柴田さんは凄い反復練習をしていた

出来たら次、また次と新しい事をするものだと思っていたら

基礎の基礎の反復練習を見てるこちらが止めたくなるくらいすごい勢いで弾いている

「変わってないなぁ、練習嫌いだけど基礎練だけはやるんだよね」

基礎をおざなりにしないのは少し好感が持てるかも知れない

「まぁ教室に来てががががって基礎練やって、レッスン受けてたから」

前言撤回

 

「面白いけど、腹立つよね~。真面目にレッスン受けに来てる他の子なんか目の敵にしてたもん」

それで居づらくなって教室来なくなったんだけどね、と付け加えていた

「まぁあの頃は子供だからねぇ」

子供の方が素直に残酷だ、と困った笑い顔をしていた。

「でもシバケンはピアノ(弦楽器)はやめなかったんだよね…」

杏子さんが何かを言ったけど聞き取れなかった

 

 

柴田さんが延々と基礎練習をしはじめてどれくらい経ったか

それにしてもこれは異常な光景だった

それでも杏子さんは柴田さんを止めなかったし

柴田さんは指に極端に負荷をかけないように手を止めるときは止めていた

あの人たちにはあれが普通なのだと思うことにした

 

天才のやることはわからない

 

日菜とのことがあって私はそう片付けるだけで済ませてしまった

杏子さんも、柴田さんも日菜ほどの才能はないけど天才の部類なのだからと

今思うとそれは僻みにも似ていたのかもしれない

 

 

 

それからも杏子さんとの関係は不思議と続いていた

柴田さんは、結局

「腕が四本あっても無理だ…重いし」

ギター弾きながらベースを出来るはずもなく

サイドギターをしても逆にベースと同じリズム隊だしやっぱり弾けないと気づき

…普通最初に気づくと思いますが

でも折角のツインネックだからと

「持ち替えるの面倒くさいから、練習はこれでやる。筋トレにもなるし…」

どれだけもやしなのかと持たせてもらったら、意外に重かったのに驚いた

少しだけですが…

 

それから湊さんに見出され、ライブハウスを荒らしまわり(杏子さん談)

Roseliaになり日々忙しくなり杏子さんとは少し疎遠になった

やはり杏子さんは湊さんと組む事を自分の事のように喜んで送り出してくれた

…柴田さんは相変わらず「クッキー缶の子」という認識だったけど

LINE等での連絡だけは今でもしていて、湊さんとの活動で相変わらず心配をかけていたと思う

 

そして、頂点を見る事で周りを見ないように突き進んだ私は心配された通り

大きく転倒して身動きがとれなくなった

もう何もかもがどうでもよくなりそうだった…いえなっていましたね

 

そこに現れたのが柴田さんでした

相変わらずの自称偽善者はどこからともなくやってきて

いつもの、そして懐かしいスタジオに連れてこられた

「なんかすごい顔してるけど大丈夫?」

今思うと相変わらず失礼な人ですが、それよりなによりもう天才という人種が無差別に憎かった

天才というだけで…とにかく憎く疎ましかった

 

「天才天才って、天才じゃないのに天才の何がわかるの?」

一瞬その言葉に意識を持って行かれたけど、今の私はそんなことでは止まれない

「…天才じゃないんです!わかるわけないじゃないですか!!」

「でしょ?天才だったら苦労しないって思ってるよね?」

「あたりまえじゃないですか!!なんの苦労もせずになんでもかんでも真似して追い抜いて!」

もうどうでもよくなっていた、この先何もかもこんな感じならもう私の存在意義なんて…

「だからね、どうして天才だと苦労してないと思うの?」

「苦労してないなんて言わせない!!」

感情的になっている私に柴田さんが急に熱を失ったように一言

 

「だからどうして天才でもないのに苦労してないって言い切るの?」

 

同じ言葉なのに急に冷水をかけられた気分になった

先程までの勢いなら、馬鹿にされたと思い更に激高して返していただろうけど

その、柴田さんらしからぬ佇まいに私の勢いが削がれ

…急に不安になり、言葉が止まる

目の前にいるのに意識を向けられていない

 

「天才ってだけでなんでも出来ると思われたり、苦労してないと思われるんだよね」

つまらなさそうに言葉を続け

「天才なんて言葉がもう差別用語なんだよ?」

…確かに、天才という言葉で片付けられてしまうし片付けてしまう

「君の怖れてる天才も苦労してないって言い切れる?」

「日菜はなんでもできて…」

「なんでもできると苦労しないの?」

「なんでもできるのだから…」

「なんでもできるからなんでもさせられるし、出来ないと勝手に落胆されるんだよ?それってどう思う?」

「しかし日菜は…」

思わず言い募ると、柴田さんの熱がまた一段と冷めていくのがわかる

見えているのに見ていない、何を見ているのかわからない目をしていた

さらに不安になる

 

「日菜ちゃんはすごい天才なんだね。天才だからって差別されて、実の姉に疎まれて、天才ってだけで」

「そうやって皆日菜の肩をもつ…」

この人も私なんかより日菜に興味があるのだ、だからもう私なんかに

「肩を持つって、知らない子の味方なんかできないよね普通」

「日菜を知ったらみんな私から離れていくんです!天才じゃないから」

同じ双子(人間)なら日菜を…日菜を知ればRoseliaも私を必要としなくなるだろう

「ちょ、なんでそっちに??」

「私なんて面白みもないし、友達も少ないですし、取り柄はどんどん日菜に追い抜かれるし」

なにより、目の前にいる人にさえ認識されないとかもう…天才とかそんなことより泣きたくなった

 

「何女の子泣かせてんの!!」

スタジオに入ってくるなり杏子さんが柴田さんの頭をカバンでフルスイングしていた

止める間もなかった

-重くにぶい音がした

「え?よけない??」

叩いた本人が驚いている

「ちょ、本入ってるから殺傷力あったけど大丈夫?」

あまりのことにすべてが止まってしまった

柴田さんは椅子に座っていることも不可能らしく床に膝をついていた

「大丈夫ですか!?」

自分が泣いていたことも忘れて、蹲る柴田さんに駆け寄ると

「なっ!?」

強い力で手を取られ、柴田さんに引き寄せられ…

「さっきから天才天才ってぐだぐだぐだぐだと!」

凄い目で見られた…さっきとは真逆だった、しっかりと見据えられていた

 

「天才が苦労知らず?誰にも理解されないんだよ天才ってのは!」

まっすぐに、まるで自分の思いをたたきつけるような言葉

「孤独にさせられて、絶望して、弱いとこんなことになるんだよ!!」

そういうと左の袖をまくって見せられた…大きな傷跡が一本、大きな血管に沿う様に走っていた

その傷から目が離せなかった

 

リストカット(かまってちゃん)はバカだと個人的に思っていた

腕を切った(本気の)人には何も告げれなかった

そしてこの傷からは目が離せなかった、その覚悟と潔さをもった絶望に

確実に死ぬ気だったのだろう

この人なら首の血管でも平気で斬ったのかもしれないと直感でわかった

 

ただ死にざまを見せつけるように、世の中を、天才であることを恨んで死んでいこうとしていたにちがいない

 

「天才だからって…」

日菜にこんなことをさせてはいけない

日菜だからないとは言い切れない、現に目の前の人がそうだった…

 

天才だからと敬遠されて、勝手に期待されて、落胆され、貶され、絶望させられるなんて

「ごめんなさい…」

私は目の前の人に謝るようで、その先にいる日菜に謝っていた

姉なのに…魂を分けた双子なのに…

何を私は卑屈になっていたのだろう

今はもう泣くしかなかった

 

 

 

「あーなんか久々に怒鳴ったら疲れた」

落ち着いた頃、柴田さんが何故か機材の準備を始めていた

いつもみたいな調子で、ちょっとまっててねとスタジオを出ると、何時ものとは違うハードケースを持ってきた

 

「本当は見せる気はなかったけど」

入っていたのは、黒い、私のと同じM-Ⅱだ

相変わらず羽根の生えた星が意匠されていた

 

「真似されて追い抜かれると思っちゃうでしょ?」

…確かに気分はよくなかったと思う

「多分日菜ちゃんと一緒だよ、僕は氷川さんのギターする姿が格好いいと思ったからね」

そんなことがあるのでしょうか?…でも実際柴田さんは私を真似てM-Ⅱを持っている

恥ずかしそうに照れくさそうにストラップをつけて準備をしていた

 

「さて、身近すぎる相手だから多分気づけてなかったことを僭越ながら」

軽く指を動かして確認をする

…そう言えば柴田さんはよく左手の動きを確かめる事があった

変わった癖だと思っていたけど、先程の傷を思い出した

 

疑問を挟む前に流れてきたのは…これは「BLACK SHOUT」

天才に完コピされ、それを見せ付けられるのかと身構えると…

「え?」

全然違う?

わざと私と違う弾き方を…違う、まだ出来ないところを自分の出来ることでカバーして、機材でもごまかしを入れている?

ギター初心者ということを知らなければ騙されていただろう

日菜の天才が身近すぎて、天才と呼ばれる人は皆一緒だと思い込んでいた

この人も天才なのは実感できた

「もうこのレベルで聴かせれるなんて…」

違う、基礎練習が出来ているからだ

基礎をとにかく異常とも思えるやり込み方をしているこの人(柴田さん)だからだろう

 

基礎を応用して昇華する

昇華いい言葉です、昇り咲く華

Roselia(湊さん)の「頂点で狂い咲く」にはこの言葉も含まれているのでしょうね

 

日菜を模倣の天才だとすると、この人は応用の天才

そしてどちらも差はあれど礎が必要…いくら日菜でもいきなり難しい模倣を何もない状態ですることはできない、培ってきたものがあるからできる事だと

目の前の天才に演奏で教えられた

私が日菜に追いつかれて捨ててきた事、日菜はそれを大事に仕舞って蓄えて力にしていたのだろう

 

やはり日菜は天才だ、それが出来るから天才なのに気づけていなかった

簡単なことが出来る出来ないは人それぞれだ

日菜はそのできない事がたまたま少なかっただけ、私も少ない方だった

そして目の前の人(柴田賢人)は、できなかったことが多かった人なのだろう

 

「天才の概念がいきなり崩されましたね」

今までの焦りに似たあれは何だったのだろう

「そんな概念いらないでしょ?なんなら天才って言葉もいらないよ」

演奏()きおわり、どこを直したほうがそれっぽくなるかとか考えている柴田さん

「いえ、必要です」

「なんでさ?」

少し不満げだ

「天才であろうとする努力に対する賞賛する言葉が必要です」

そんなもんいらないけどねと言いながら、弾いてる本人に改善点訊けばいいんだと言い出した

自分の興味に意識が全て持って行かれているようだ

…こういうところは天才故の欠点なのね

 

「あの、いい雰囲気の中申し訳ないんですけど、そろそろ崩していいですか」

スタジオの隅から御伺いします的な感じで声がかかる

杏子さんが隅っこで正座させられていた

ツインネックの入っているあの重いハードケースを石抱のように抱えさせられて…

 

…柴田さんは結構抉いのかもしれない

そんな杏子さんを当たり前のように無視していた

…演奏のことに意識が割り振られているから認識していない

 

それにしても、同じ「BLACK SHOUT」()なのにアプローチが違うとこんなに変わるとは思わなかった

自分以外の演奏(やり方)は全く無視していた

それは天才の悪いところと同じなのでは?

違う、天才を蔑称としている人達の悪いイメージがこれかもしれない

そう考えたとき

私が一番天才を解っていなかった、わからないからこそ間違った怯え方をしていた

身近にいるのにわかろうともしなかったことに気づけた

 

それと

音楽も何事も道はひとつではないこと

追いつかれた、追い抜かれたと思っても道はひとつではない

頂きは一つではないし道もひとつではない

自分のやり方を、自分の道を、自分の音を昇華させていけばいい

 

他人の意見を求める天才

天才は独りよがりで人の意見を求めないと思い込んでいた

逆だった、人の意見さえ寛容に受け入れ取り入れていくのが天才

独りよがりでいたからこそ私はだめなのだろう

この歳下にさえ恥も外聞もなく教えを乞うてくる天才を見ていたらおかしくなってきた

気分がすごく楽になった気がする

 

「だからいい雰囲気のとこすみませんけど、マジもう許してください」

 

杏子さんの悲痛な叫びがスタジオに響いた



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十二話:事務所って・・・

何気にここ数話主人公なにもしてないような(していないわけではない)


誰かの投稿によって俄に騒がしくなりつつあるレオンの周り

私としてはお母さんが言っていたように

 

嬉しい

 

だって、レオンを自慢する機会がとうとうやってきたのだから

 

反面、困っていることもある

それは彩ちゃん

彩ちゃんはレオンをテレビに露出させることを嫌がる

ある意味第三か第四の飼い主だから心配してのことだと思うけど

 

「えー?事務所にタレント登録されてたの?」

そう、子供の頃に私とバーターで仕事がくるかもと事務所に登録だけしてあったの、動物タレント第0号として

(元々は1号なのだけど、バーターの仕事来なくて、幻の番号として0を贈られてしまったのよね)

なので、彩ちゃんが嫌がっても契約なので申し訳ないけど従うしかない

「レオン君に変な虫がついたらどうしよう」

彩ちゃんはレオンのお母さんなの?

 

いきなりテレビ局というわけではなく、事務所での打ち合わせと顔合わせとなったので彩ちゃんも自然と打ち合わせにいたけど

「彩ちゃん?」

「どうしたの千聖ちゃん?」

レオンを挟んで反対側にいる彩ちゃんは私の問いかけに何かあった?と言う顔

ちなみに他のパスパレメンバーは少しはなれたところからうかがっている、まぁ麻弥ちゃんはいつものことだけど

彩ちゃんも飼い主の一人みたいなものだしそれを売りにするのもいいかもと思っていると、テレビ局の人が事務所との打ち合わせを終えたのかやってきた

 

「これがワンチャンか」

挨拶もそこそこにレオンを見てそう言う

(聞き間違いかしら?)

レオンを「これ」と言ったような気がしたのたのだけど?

聞き間違いじゃなかったわね、あの彩ちゃんが

コンタクトどうしたの?

と聞きたくなるような目をしていた、実際彩ちゃんの視力はいい方だけど

パスパレは麻弥ちゃん以外は割りと視力お化けよね、私はたまに眼鏡してるからお化けじゃないわね

 

…そう現実逃避をしてしまうくらいのアイドルがしちゃいけない眼よね?ちょっと本気で怖かったわ

 

「ワンちゃんって可愛い言い方ですね?」

イヴちゃんはイントネーションの違いは気にしていなかったけど

あの言い方は、ワンチャンスあるのワンチャンに近いと思った

なにか含みがあるのかしら?

なんて考えていたら

 

「おっとなしぃですねぇ、こいつ」

距離的には麻弥ちゃんくらい?

そんな位置から話しかけてくる

もしかして、犬が苦手なのかしら?

麻弥ちゃんがなにか苦笑いのようなひきつった顔をしている

レオンなら咬んだりしないの判ってるし最近は触ってたのにどうしたのかしら?

 

違う?え?彩ちゃん??

彩ちゃんが噛みつきそうな顔をしているとかアイドルがしちゃいけない顔をしてる!?

よく見るとイヴちゃんはそんな彩ちゃんをみて泣きそうになってるし、日菜ちゃんは…通常運転ね、ニコニコと彩ちゃんを観察しているわ

テレビ局の下請けの制作会社のスタッフさんは気づいていないの…気づかないの?大丈夫なの?この人?柴田さん(くそ鈍感)でも気づくわよ多分、…確証はないけれど

 

そして、当のレオンはどこを見ているかわからない目で周りを見ていた、まるで他人事のように…

私はこの眼をする人を何人か知っている

そう、人であって、犬とか動物では見た記憶が無い…と思う

見てないようで見ている、見ているようで無関心、そのくせ全てが視野に入っているという

一番身近でいるのは…あのくそ中二病(柴田さん)というなにかと話題の欠かない人

最近はパスパレ(うち)以外だと、Roseliaは紗夜ちゃん絡みだと思うけど、何故かRAISE A SUILEN(RAS)とも仲がいいとか聞いた

 

それにしても今回もレオンがあの自称偽善者のお節介みたいな事をしたのが発端だし、影響を受けたのかしら?

嫌だわ

あんなのが二人も傍にいるなんて

え?二人って??

えぇ、私はかなり前から、それこそ10年くらい前からあの人(柴田賢人さん)に好意をもっているわ

それは紗夜ちゃんやあのご友人さんなんか比にならないくらい前から恋焦がれている

 

 

 

「イメージしやすいように演奏できる子役さん呼びましたので」

子役時代、歳上の指揮者に憧れ一流のバイオリン奏者への道を進む少女役を受けた、最初はピアニストという事で了承したのが、当時の流行りで印象が薄れることやピアノよりバイオリンでの立ち姿や屋外ロケーションとの親和性からバイオリンに変更されたのだけど

 

…ピアノは多少弾けても、バイオリンは触ったことしかない

 

その為、見せ場のひとつ本人演奏はなくなってしまったけど、監督と脚本家のイメージが私で固まった為役は交代することなく撮影されることになった

 

そこに現れたのが、あの中二病(柴田さん)だった

 

監督か脚本家の誰かの血縁でいつか撮影()りたかったのだとか

第一印象は今と変わらず黒の一言

中二発言はかなりひどく

薫の「儚い…」はこの時の影響だ

 

なぜ薫がでてくるのか?

 

柴田さんの役者デビューは無かったの

中二病(照れ隠し)が酷すぎて、全てカットにする予定がたまたま私についてきていた薫が背格好が同じでイメージ的に近かったから代役となった

驚いたのは、ピアノもヴァイオリンも柴田さんが演技指導(正直説明はわけがわからなかった)と代理演奏(当て振り)をしたことだ

正直スタッフさんにダビングの時にピアノとヴァイオリンの編集が要らなかったことを聞き驚かされた

そして、この時の一件で薫が「かおちゃん」から今の「薫」になったのは別の話だわ

 

でも、ひとつだけ言わせて

薫が「儚い…」と言う度

小さくて(今もそんなに大きくないわね)

可愛くて(童顔よね?)

格好いい(たまに格好いいのよ本当これが)

私の好きで恋い焦がれている柴田賢人(あの人)を思い起こさせて不機嫌にさせる

薫も幼心に憧れたいたから真似をしていたのだし

 

余談としては薫には柴田さんと再会した話はしていないし、花音にも家庭教師の話は薫にはしないようにいっている

薫のファンを泣かせるわけにはいかないでしょ?

でも会わせたらどうなるかは正直見てみたいかも…薫の乙女モード可愛いのよ、でかいけど…私に少し寄越しなさいよ

 

話がそれたけど

私はピアノもバイオリンも思わず聞き惚れる演奏ができる天才の柴田賢人(まさと)ではなく

天才ゆえに落胆され、期待に応えられなかったことに悔し泣きする中二病で道化を飾る天才の柴田賢人(ケント)に恋をしている

いつか「あの人に会いたい企画」で会うと決めていたのに…その為にレオンとのバーターでバラエティも出れるように準備だけはしていたのに…

 

あの人(柴田さん)、進学でこちらで生活しているとか

本当予定が狂うわね

 

 

 

なんて考えていたら、周りが異様に静かだ

まさか彩ちゃん、()っちゃったの!?

そんなわけもなく、彩ちゃんはなぜかレオンを誉めながら撫でて

他のみんなは苦笑い??どうしたのかしら?

 

「どうしたのみんな?」

私の問いかけに三者三様な微妙な苦笑いをして返す、みんな?アイドルがしちゃいけない顔よ?

よく見ると…失礼などこかの下請けさんが仰向けに倒れていた

「?彩ちゃんがやったの?」

「ちがうよー、レオン君が一撃でやっつけちゃったんだよ!」

いつのまに?

「あれはニンジャのごとき素早さでした、まさにブシドーです!」

イヴちゃん、ニンジャって言ってるのにブシドーってもう無茶苦茶ね

「あれはジブンもすこしイラッと来てましたから少し溜飲が下がる思いでした」

苦笑いで言われても困るわよ麻弥ちゃん

「あたしは千聖ちゃんがやれって命令だしてたとおもってたよー」

日菜ちゃんはどうしても私を悪役にしたいのかしら?

…え?ということは?

「レオンがまたやらかしたの?」

 

二人とも気づいてなかったんだ(ですね)みたいな顔をしないで頂戴

イヴちゃん、その気づいてないふりをするチサトさん女優です!!

みたいに見ないで一周回って申し訳なくなるわ

 

そこでのびてるなんちゃって業界人が

私に

「そこのお嬢ちゃんがこれの飼い主なんだって?」

私が存在さえ気にするのをやめていたら(柴田さんの悪い影響だとずっと思っている悪癖)

そんなことをのたまわったらし いけど

私は聞いてなかったので無反応、それで「なんとか言えよ」と近づき、私に手を伸ばしたところ

流石にマネージャーが止めようとした時に

「レオン君!」

彩ちゃんがけしかけたかと思ったけど、日菜ちゃんが言うには

「彩ちゃんが叫んでたときにはもうレオンくんのアッパーがるんっ♪って入っててもう、るるるんっ♪て来てたよ、本当に犬なの?」

最近まではというか、今も犬だと思う

柴田(ケント)菌に汚染されてる気がするけど…

え?私の方が汚染されている?

柴田さん色に染められちゃったわね♪

…なんてやってる場合じゃないわよね

どうしよう、これはかなり不味いことになるかも…

まずマネージャーと…え?

何故ニコニコとしてるのかしら?

まさか…

「はい、皆さんお疲れさまでした。レオン君も本当すごいですね」

カメラクルーが入ってきた

 

ため息が出そうになったけど、これがバラエティのやり方

馴れてきたと思っていたけど

今度からは事務所も気を付けないと

「本当素晴らしい、主従いや!家族愛ですよね!」

なんていっている

私が物思いに耽っている姿は

愛犬を貶され堪えているようにとられたらしい

こののびてる腐れ外道役な三下は殺陣もできるイケメン(自称)で、パスパレ会いたさについてきた制作さんの社員さんらしく、流石に慌てて謝罪をすると

「調子にのって推しの千聖さんに触れようとした不届者なので構いません」

何て言うから

「不届者はセイバイです!」

と、イヴちゃんがのりのりで

「レオンさんはブシドーです」

「さん」つけになってしまった

そんな代表さんはいかにもイヴちゃん推しなのだろう

イヴちゃんがニコニコしてるのを眺めて、同じようにニコニコしていた

 

制作会社が来るのが早いと思ったら、まさかパスパレ推しだからとかいうオチがついてしまった

 

あと、レオンがのしてしまった社員さんに一応謝った方がいいのかと思っていたら

「千聖ちゃんの家族とか羨ましい、俺も犬になりたい」

とか言っていたそうで軽く引いてしまい謝るきっかけを逃した

 

そんなことがあったお陰で

たまに感じる違和感も深く追求することもなく日々は過ぎていく

 

最近は事務所にレオンと行くことが増えている

一時的とはわかっているけど嬉しい

 

余談として

レオンの効果音がヒーローものから(制作依頼した会社が違う為NG)、一昔前のゲームの獣人キャラの効果音に代わりゲーム好きなスタッフ(オジサマ)からの支持を受けていた

燐子ちゃんに訊けば何のゲームかわかるのかと聞いてみたら

 

いかにも柴田さんが好きそうな格闘ゲームと判明した

ちなみにあこちゃんも好きらしい

紗夜ちゃん経由で燐子ちゃんから借りた家庭用ゲーム機とソフトとレバーのコントローラー(ジョイスティック)を日菜ちゃんが持ってきてくれた

 

日菜ちゃんがゲームを見ていて

「千聖ちゃんが大きくなったらこのキャラの2Pカラーに似てるよね」

コウモリをあしらったデザインな妖艶なようで可愛い印象のキャラクターではあるけれど…

日菜ちゃん?少しお話しましょうか?えぇ私あなたと同い歳よね?

大きくなったらって…ナニイッテルノカシラ?



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十三話:密談って・・・

千聖さんがだんだん本音ダダ漏れに…


最近忙しくなって(身から出た錆)散歩に行けてない気がする

次にあった時に思いっきり説教されそうだなぁと思っていたら

 

早々にその機会はやってきた

うん千聖さんも変にストイックだもんね

いつものスポフラ(スポーツカモフラを更に略してみた)な千聖さんと川原に行くと

いい笑顔の僕(の身体のレオンさん)がいた

 

「あら?どうしたのかしら、有名になっちゃったレオンにミーハー気分で触りに来たのかしら?」

千聖さん、本人に対して絶好調だね…って僕に言ってるのか

「そうですね、久々にレオン君と遊ばせてもらえないかなと思いまして」

僕そんなスマートに返せないよ?

 

 

何故か僕の姿のレオンさんの爽やかな返しに千聖さんはベンチで休むといいファンに見せちゃいけない顔して歩いて行った

やっぱり忙しくて情緒不安定になってるのかな?

「違います」

そうなの?

「ところで、最近色々とご活躍みたいですね」

あ、いい笑顔…

すみません、本当、もう習慣なんです

きっと一日一回偽善をしないと死んじゃうんです、体じゃなくて心の方が安定しなくて

「むちゃくちゃ言いますね。まぁ…お陰でお嬢の昔からの夢もひとつ叶いましたしね」

そうそうしちゃったことは仕方ないですからね

「貴方そうやって工学部のレーザーの出力実験邪魔したんですか?」

あ、被害でちゃった?

工学部のレーザー実験用のレーザーが調子が悪いということで…トドメを刺した

事故になるもんあんなの

「ちゃんと説明しないから問題になるんですよ」

説明したつもりなんだけどなぁ、やっぱりダメだね

「一方的に相手が理解してないのに話をすすめるの良くないですよ」

はい…周りがそれでもわかってくれちゃってましたからね気をつけます

「貴方の周りは自覚がない天才が多すぎます、お嬢もご友人も皆」

そうなんだよねー、その中抜きん出てるから日菜ちゃんがぶっちぎって目立ってるだけなんだよね

 

「そういえば、家庭教師の仕事ですが、どうします?」

どうって?

「貴方の記憶で大抵のことはなんとかなりますけど」

うん?

「音楽関係の期待にはどう応えればいいです?」

え?そんなことあった??

「気づいてませんね、あそこ(松原家)の弟君のヴァイオリン教師も望まれてますよ」

気付かなかった…、ピアノは断ってるんだけどね

基本感覚でやってる事を人に教えれるのは基礎だけだからね

 

「あと、直接LINE確認してください」

スマホを見せてもらうと

未読が結構ある…おかしい、こんなに話し相手いたかな?

 

「お友達とパスパレ関係は既読にしていますが確認してください」

あの人(友人)は起きてるかの確認とかそういうのだね、レオンさんがちゃんと前のを参考に返してくれている

パスパレは…レオンさん?彩ちゃんと結構やりとりしてません?それも自分()ネタで

日菜ちゃんが相変わらず着信多いね、殆どおねーちゃん(紗夜さん)の話だけど

所々なんか変なの混じってるのもいつも通りだね

 

ん?あ…マニュピレーター操作どうしよう

「これ学校からのですよね」

工学部に入り浸ってるせいでマニュピレーター操作を覚えたら、誰よりもできるようになっちゃって

難しいものを頼まれるようになっちゃったんだよね

これはいつものでお願いします

「貴方結構黒いですよね」

偽善者ですから

「それもう口癖ですよね。では向こうには延期か断りで」

なんか秘書か執事みたいだね

「貴方の能力ですよね?」

まぁ興味あって執事喫茶とか秘書検定とか受けたからね、バイトもしたし

「学生で就職先に困ってないって凄いですよね、最悪うち(お嬢)の事務所でマネージャーすればいいですしね」

そういえば事務所から最近連絡ないよね

「忙しいのでしょう、主に貴方のせいで」

そうなの?ってため息つかないでくださいよぉ

 

「それと、貴方所有の乗り物関係ですけどエンジン始動(火入れ)だけはしていますので」

そうだった、頼むの忘れてたや、乗れるなら乗ってみてもいいよ?

「いきなりは怖いので今度隣に乗ってください」

いいけど、どうやろう?

「今度考えてみます、柴田様もなにか手があれば」

乗ってみたいんですね、うんうんやっぱり男の子は乗り物に憧れと執着もつよね♪

僕元に戻ったら今度はAWDに乗りたいんですよ

「発想がわかり易いですね」

うん、レオンさんの体で走ってみてすっごい楽しいんだよね

「この身体ももう少し体力つけたらいかがですか?」

うん、やってみてくれるとわかるよ。

多分今以上はつかないから

「貴方の記憶から読み取るとそうですよね、折角なので試してみます」

少しでも上がるとうれしいです♪

「ご友人について走れるくらいになりたいですね」

そうだね~それくらいはやっぱり欲しいかも…

 

レオンさんの体の影響でもう少し身体動かせるといいなぁとおもうんだよね

「あまり私の体で無理をしないでくださいよ」

気をつけます、が、レオンさんかなり動けるよね?なんで隠してるの??

「いざという時動けると格好いいじゃないですか」

そうだよね!!あれ?でも、なんで??この間…

「そろそろご友人が戻りますね」

時間が来たようだ

 

学校もあるので千聖さんの元に向かうと

「あらレオン、柴田さんとのお話はもういいの?」

うん、そろそろ友人さん来ちゃうしね

レオンさんが何故か千聖さんと友人さんが接触するのを回避したがるんだよね

 

「お話って…?」

よく考えたら話してるってなんだろ?レオンさんがなんか苦笑いしてる

「柴田さん、あまりレオンに変なことを教えないでくださいね。何を見せてたんです??」

スマホ見せてもらってたの見られてたのかも…

「先日の動画ですよ」

しれっと答える、確かに見せてもらったから嘘ではないんだよね

証拠にすぐ動画が出てくるし履歴もある

…これ、僕のやり口なんだよね。誤魔化す時の…

ある意味レオンさんに悪い影響与えてるよね

 

「確かに…まぁあなた達は先日から嫌に仲がいいのよね?レオンもあなたに凄く懐いて…」

そう映るんだなぁ

「良かったら朝か晩の散歩しましょうか?」

早速仕掛けるレオンさん、やっぱり乗り物関係は興味あるんだよね

男の子だなぁ、僕もこの姿でどうやってレクチャーできるか考えないと

「それは柴田さんに悪いですけど…考えておきますね」

そう言うと千聖さんは帰路に…うんだから僕忘れてるんだよね

リード無しでついていくことが最近増えてるよね?

 

 

 

「柴田さんが家にくるのかしら?」

帰り道、柴田さんが言っていたことを思い返す

レオンの散歩を受けてくれるとか…

それって家族になるってことよね?♪

…それは無いとはわかっているけど思うくらいいじゃない

これを普通に言葉にしてしまうのが中二病なのね!!

 

やっぱり柴田さん色にされてるわ(感染させられてる)

私のイメージカラー黄色なのに黒が混じったら…虎柄かしら?

…いけないいけない、

「レオンはどうしたい?本当最近柴田さんに懐いてるけど?」

やっぱり命の恩人とかあるのかしら、元々賢い犬種なのは知っているけど

だとすると…柴田さんとの接点が増えるのよね

前は本当気づかないというか、見えてないというか、認識されてなかったのよね…少し腹が立つわ…

 

残念ながら私は紗夜ちゃんほど素直にはなれない

芸能人としてのプライドも少しはあるし

何よりなんか私からなんて負けた気がするじゃない?

…これが問題なのよね

紗夜ちゃんくらい分かりやすく好意を示しても伝わらない鈍い人(柴田さん)

今の私でなんとかなるとは思ってはいない…

使えるものはなんでも使う!!

「レオン…協力してもらうわよ?」

 

私は皆よりアドバンテージがある…はず

機会も増やしていけばいいのよ

事務所へのバイト斡旋や就職斡旋も抜かりなく続けるし…実際有能で事務所も望んでいる

プライベートでもレオンのお陰で更に接触が増えるなら!

花音の親友という立場以上に近づける…

 

私、こう見えても負けず嫌いですから

…知ってたとか言うのは誰です?スコシオハナシシマスカ?

 

それにしても、あんなの(柴田さん)を好きになる人間が少しも居るとは

みんな趣味が悪いわよね…




少し崩し過ぎでしょうか?


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十四話:楽屋って・・・

あれからなんかバラエティ番組にパスパレと一緒に出ることが増えた

たまに千聖さんが思い悩んだりしてるけど

まぁ良いんじゃないかな?名前も売れるし

個人的に嬉しかったのは某動物園に出れた♪

僕D-gOさん大好きなので少しテンションが上がったよ♪

星屑王子の頃のCDも持ってるよ!(ミーハー)

 

あまりになついていたら

「レオン君…私よりおとこの人(D-gOさん)の方が好きなのかな?かな??」

なんか彩ちゃんの目が怖かったけど気のせいだよね?

 

「同性愛疑惑とかケントくんみたいだよねー」

え?そんな疑惑あるの??

まって、僕好きな人居ないけどノーマルだから!

女の人の方が好きだから!!

こう見えても一途なんだよ?

あの人(柴田さん)は節操がないだけよ」

言い捨てないで千聖さん、イヴちゃんが本気にするから!

「マサトさんは好色一代男ですね!さすがブシドーです」

いや、もう、いいや、やっぱり女の子怖いよ

ホモが嫌いな女子はいないって本当なんだね…(偏見)

 

 

 

「それにしてもレオンくんって本当に犬なの?」

控え室で日菜ちゃんがそんなことを言い出した

ちなみに僕は寝てるふりをしてる

だって控え室だよ?

着替えるんだよ??

ドキドキしちゃうんだよ!!

レオンさんの体になってからおかしいんだよね

あまり意識しないようにしてたのに目に入っちゃって本当…

特に麻弥さんとか地味に凄いんだよ?知ってる??

本人頓着してないからか結構無防備なんだよね

彩ちゃんはもっと無防備に目の前で着替えるし

イヴちゃんはありがたいことになんか着替えるの早いんだよね

 

「また言ってるの?レオンが犬じゃなかったらなんなの?」

「それが分かんないから千聖ちゃんにきいてるんだよ?」

ありがたいことにこの二人は僕の視界に入らないように着替えてくれる

今みたいに寝てるふりをしてても視界の端にいてくれて本当助かる

千聖さんは家でも確りしてるんだよね、兄弟でも羞恥心をもってくれてるんだね

…でもたまに抱き枕にされるのはなんだろう?

 

「レオンくん、レオンくん?」

日菜ちゃんが呼んでいるけど…

騙されないよ!まだ着替え終わってないよね?

寝てるふりを続行してると

「ほら、童貞みたいな意固地さだよね?」

ちょ、なに言ってんの日菜ちゃんは!!

「ひ、日菜ちゃん!?」

流石にびっくりして起きてしまった…あ、やられた

獲物を見つけた猫のように笑うと

「かかったねレオンくん♪」

物凄く嬉しそうに僕を見てる

背後に『るるるるるんっ♪』て見えるよ、これは…

「どういうこと?」

千聖さんが日菜ちゃんの言葉に流石に驚かされてる

さっきの発言からこの発言とか本当振り回されてるよね

「レオンくんは、人の言葉をかなりの精度で理解してるってこと♪うーん、ひさびさにギュンっときてるんっ♪てきたーーー♪」

脚を肩幅に開いて、両腕を宇宙(そら)に向かって突き上げる!

なっ、日菜ちゃんがなんでそんな…

上着くらい着ようよ、紗夜さんが見たら怒るよ?

というか千聖さんがなんか笑顔がひきつってるんだよ

思わず日菜ちゃんの正気を疑って顔を向けると

またあの顔だ…けど

 

「なんだぁ、びっくりして損したぁ」

彩ちゃんが凄くほっとした感じで洩らす

「そうね、もう日菜ちゃんたら驚かさないでよ」

千聖さんも同じ反応をする

あれ?

思わず僕と日菜ちゃんが首をかしげる

「レオンというか、レトリバー種は賢いから人の言葉くらいわかるわよ、返事もするわよ?ね、レオン」

うん、レオンさん元から理解してるからね

「流石に、日菜ちゃんがあぁいう言葉を言ったことに反応するくらい理解してるのは驚いたけど」

いや、レオンさんなら聞き流してたね、大人だから

「そうだよー、もうビックリしたよ、レオン君は童貞じゃないもんねっ!」

え?そうなの??

「彩ちゃん?」

あ、千聖さんすごい笑顔だね

うん、アイドルがいっちゃいけない言葉だもんね、そうだよね?

「え?ちがうの?…てっきりもうどこかに子供くらい…と思ってたんだけ…どっ」

そうなの??

千聖さんを見ると…笑顔だよね?笑顔だよねそれ??

「彩ちゃ~ん、うちのレオンを勝手にプレイボーイの女誑しにしないでくれる?」

「え?だって…その、ご、ごめんねレオン君~」

にじり寄る千聖さんから逃げようとする彩ちゃん、それを笑ってみてるみんな

パスパレは本当仲が良いなぁ

 

そんな姿を見ていたら、日菜ちゃんが傍らに来て皆に聞こえない音量で

「ということで、ケントくん。私には正体ばれてるからね♪」

!!……心臓止まるかと思った

「おっもしろい顔♪犬にも表情って出るんだね♪」

この天才の天才加減を侮っていたかなぁ

なんで分かっちゃったんだろう?

感覚かな?

思い当たる節が無いから多分感覚で分かっちゃったんだろうね

そう言えば、前お世話になった時にレオンさん()の姿なのに()の名前で呼んだもんね

あの時もびくりしたよ、この感覚派本当怖いよね

 

とぼけ通そうかとも思ったけど

「協力者は多い方がいいんじゃないかなぁ」

この子感覚型なのに万能なんだよなぁ

それゆえに変人で突拍子がないこと言ってもやってもすまされちゃうんだよね

 

「あたしなんか味方にうってつけじゃない?」

敵にすると一番厄介なんだよね、このタイプって

「なんか黒いの出てるよ?」

なんで吐いてもないのに毒がわかるの??

人を超えるの?天使じゃなくて女神がいいの??

 

本当厄介だけど、逆に味方でいてくれるなら凄く頼もしくはあるんだよね

「OKって事でいいのかな?」

軽く頷くと

「本当にケントくんだったんだ♪」

まて、ここまで確証なかったんかいっ!!

やられた、歳下に手玉にとられたよ…

そう言えばなにか忘れて…

 

あぁ…

控え室の隅で正座させられた彩ちゃんが助けを求める様に視線をこちらに向けていたけど

 

うん、仕方ないよ、千聖さん免疫あるようで全くないからね

うん、あと兄弟が間違った認識されてたんだからね…でもそこまで怒るの?

千聖さんってブラコン拗らせてるよね多分

 

あと

「日菜ちゃん!いい加減上着なさい!!」

「はーい、見せたって減るもんじゃないのにねぇ」

僕に言わないで

なんかこの体()になってから、本当なんかおかしいんだから

下着なんて水着と一緒と思ってたのに…今じゃ水着が下着じゃないか!!な気分なんだよ

これ本当どういうことよ??

 

「女の矜持が減るの!」

流石千聖さん、日菜ちゃんに上着を着せてお説教タイム入っちゃった

僕も驚かされ過ぎて忘れてたよ、日菜ちゃん僕が中身レオンさんじゃないの判っててその格好はダメでしょ??

 

でもみんな好きな色とかメンバーカラーなんだね

みんな下着もお洒落なんだなあと少し感心してたら

「こらレオン見ちゃダメ!!」

千聖さんにタオルを被せられて怒られた

…うん、これが普通の反応だよね?

 

 

 

『賑やかでいつも楽しそうね?』

あれ?友人さんの声が聞こえた??

『急いっでくださいっ入りが遅れてっ押し気味なんです!!』

『はいっ!急ぎましょう』

駆け足で遠ざかる足音…走っちゃダメだよ?

そうだね、ここテレビ局だもんね

ニアミスすることもあるよね~

 

「レオン!聞いてるの?」

え?僕お説教されるの??

僕被害者だよね??

なんでさーーー

 

 

 




天才が攻めに転じてくる?


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十五話:再びって・・・

日菜ちゃん参戦?


という事で

 

日菜ちゃんが(元々少しは)感づいてなんとなくで畳み込んできたから観念したんだけど…

 

レオンさんと違って意思疎通(会話)ができない

でもね…

「やっぱりケントくんだったんだよね♪前からおかしいな~とは思ってたんだよね。なんかこうぬーーーんと来てんんん?ってきてるのにるんっ♪てくるし…」

いつもどおり一方的にまくし立てられるかのような話は変わらなかった

日菜ちゃん(天才)は人の心がわからないとか言われてたけど、空気や機微は読めるんだよ?

読めるんだけど、それを気にしない故の天才(心がわからない)なんだけどね

だから言葉に出さなくても多少の会話は成立するから凄いよね

僕も一度やろうと思ったけど…うんまず人の機微にもっと興味持たないとダメだよね

 

ちなみにここは氷川さん家だったりする

日菜ちゃんが、

「おねえーちゃんもだけど、おとーさんおかーさんが有名になったレオンくんに久々に会いたいって言うんだけどいいかな?」

こう言われては預けた手前嫌とは言えないし、紗夜さんが確りお世話してくれた実績がある

あの撫ではもう麻薬だよね

「ケントくん聞いてないよね?」

いけないいけない、ごめんね

「いいよいいよ、流石に犬と人間じゃ感覚が違って大変だもんね」

やっぱり日菜ちゃんは天使だよ、紗夜さんは天使より女神って感じだよね

昔は戦乙女って感じだったのにね

「おねーちゃんのこと考えてる?」

どこからその発想になったの?

でもその感覚当たってるから怖いよね、もう天才とかのじゃないよね?

「うーん、なんとなくかな?特におねーちゃんとかパスパレのみんなとかは特にね」

凄いね…意思疎通になってるよ

「?」

と思ったら通じてなくて可愛く小首かしげてるし、普段やんないよね?僕相手にあざとくしてどうするの??

「そうだ、ちょっとケントくん足見せて」

もうケント呼びやめる気ないよね?

足を見るとちょっと待っててと部屋に引っ込む

 

ものの5分くらいでA3くらいの紙をもってきたんだけど

「まずはカンタンにこんな感じかな?」

五十音が書かれた紙を目の前に置かれる

これで会話をしろということだね

大きくもなく小さすぎることもなく、文字の間隔はちょうど足の大きさより一回り大きい

『そ…(うだね)』

「でしょ?もっと早く作ればよかったね♪」

いらないでしょこれ!!

 

 

まぁ会話が異常にスムーズになったよね

『は…』

「犯人はヤス…ってなにそれ?」

発言の一文字目で会話が成立するとか、ダメ人間製造機だこの子

何も発しないで察されて対応されていくなんて、ダメな人を生み出していく以外のなんだろうね

なんて考えていたら

「そうだね、ケントくんが()に戻れないならあたしがお婿に貰ってあげるから安心してよ♪」

その前に姉であり妹である千聖さんが立ちふさがるよ?

「そっかぁ、ブラコン小姑が立ちふさがるのかぁ」

日菜ちゃんも言うよねぇ

「その前に彩ちゃんが一番怖いんだけどね?」

そうなの?白鷺家に次ぐ飼い主だからかな?

「あーーー本当に中身ケントくんなんだね」

なにその残念そうな目は、僕なんかした??

「あ、そうか、ケントくんって教えないほうがいいのかな?」

紗夜さんには黙っておくって話しかな?

「教えても面白いと思うんだよね、でも…敢えて黙っておくのが一番だよね♪」

あれ?日菜ちゃんなんか黒い羽としっぽが見えるよ??

「びっくりしたおねーちゃんも、慌てるおねーちゃんも可愛いんだよね♪」

あ、この子もなんか拗らせてるんだね

「拗らせてないよ?みんなおねーちゃんが可愛いのが悪いんだよ?

私に負けて涙目になってるのも可愛かったし

それで無理に意固地になって私を避けてたのも可愛かったし

引っ込みがつかなくなって悩んでる時も可愛かったし

私がギター始めた時のあの焦ったような絶望したような顔なんか最高だったんだよ!♪」

 

…クレイジーサイコシスコンだ

怖いよこの子

「なんてね♪ケントくん、いえ。柴田賢人(しばたまさと)さん」

はい…

「おねーちゃんと仲直りさせてくれて本当にありがとうございました」

「違うね。おねーちゃんと仲直りできる切っ掛けをおねーちゃんに教えてくれてありがとう」

うん、そうだね

「まぁこんな時じゃないと言えなかったからね」

日菜ちゃんにしては珍しく照れたような困ったような歳相応な素直な顔だった

 

 

「そうだった、ケントくん。すっごい訊きたかったんだけど…」

なんだろ、困ったことじゃなければ

「ドッグフードって人としてどうなの?」

…流石日菜ちゃん(天才)興味がぽんぽん散らかって飛んでいく

え?人のこと言えないって?

「まえさぁ、犬用のクッキー食べちゃったんだけど、あれ本当人の食べるものじゃなくて、贔屓目入れても不味かったんだよね」

あれ本当の話だったんだ…

「犬用で味がうすくなってる話は聞いたことあるんだよね」

そういえばそうだよね、あまり意識してなかった

「そうなの?」

考えたら負けかなって

「その勝ち負けはわからないよ」

まぁこの体返す時に何かあったら申し訳ないから、何も考えずに出されるもの食べてたんだよね

「ケントくんは本当ケントくんなんだね」

なにその呆れた感じは

「なんかおねーちゃんが頑張ってお菓子作ってるの気の毒になってくる」

なんで?僕紗夜さんのクッキー大好きだよ?

「そうなの?」

僕クッキーにはうるさいよ?美味しくないとジャム塗ったり紅茶で流し込んだりするよ?

「そうなの?意外だー」

あまりクッキークッキー言うと紗夜さん嫌な顔するんだよね

「あ、それ知ってる『クッキー缶の子』って呼んでたんだよね」

今はだいぶマシになったけどね、そういう関連つけないと人が覚えてられなくてね、本当

「少しわかるかな、私は興味無くても覚えちゃって面倒くさいって…逆なんだけどね」

紗夜さんのクッキーかぁ食べたいなぁ

「ちょっと、ここ天才同士共感してって良いシーンだよ?」

シーンって…最近パスパレのみんなは役者さんでもあるんだよね

「そうだね、千聖ちゃんを筆頭に、私、みんなで映画?、今度は千聖ちゃんと彩ちゃんのダブルアクト♪」

みたいだよね

パスパレは着実に前に進んでるよね

「ケントくんはレオンくんになってからパスパレにどっぷりだもんね」

言われてみればそうだね

前は、花音ちゃんの親友の千聖さん、紗夜さんの妹の日菜ちゃん、その仲間で花音ちゃんのバイト仲間の彩ちゃん位の認識だったもんね

「それでもパスパレの半分とは面識あるとか、ファンから見たらやっかみ対象だよね」

認知ヲタに絡まれたりしちゃうよね

よく歌は耳にしてたんだけど、あれがPastel✽Palettesの曲だって知らなかったんだよね

ひどいねーなんて笑われたけど、今じゃパスオタさんと混じってイントロゲームもできる自信あるよ

ファンと混じってイントロゲームに奮戦する犬…また取材きちゃうね

「あははーやっちゃいそうだよね」

バンドみんな楽しそうだよね

戻ったらまず…やっぱりピアノ弾きたいかなぁ

左前足を見て、感覚があるのを確かめるように少し体重をかけたり浮かしたりする

 

まずは…紗夜さんのクッキー食べたい

「頼んであげるよ♪」

嬉しい~~

 

 

 

おねーちゃんが練習から帰ってきて、家にレオン(ケント)くんがいて驚いてたけど嬉しそうにしてた

早速撫でられてケントくんが骨抜きになっていたのが面白かった…少しイラっとしたけどね

ケントくんの事はしばらく黙っておくことにした

だっておねーちゃんだよ?

何をおいてもケントくんの為になんとかしようとするよね?

どうすればいいのかも全くわからないのに

あたし的にはおねーちゃんにはもう笑っていてもらいたいんだよね

Roseliaの事やギターの事やケントくんの事(色恋)で悩むのはまだ許容範囲かな?

度が過ぎたらあたしも黙ってるつもりはないけどね

 

「日菜がお願いなんて珍しいわね?」

レオン(ケント)くんが来てて機嫌もいいのかな?

Roselia(バンド)の差し入れ分もつくるつもりだったしと二つ返事だった

ケントくん待望のおねーちゃんのクッキー

市販品なんて目じゃないるんっ♪るるるんっ♪な一品だよ

パスパレでも好評なんだよね、千聖ちゃんもかなりお気に入りなんだよね

ケントくんは匂いに玄関で尻尾振って喜んでるし…

ある意味胃袋掴んでるよおねーちゃん?

 

柴田賢人(しばたまさと)、おねーちゃんから存在を聞かされたとき

正直面白くなかった、全然るんともかんともなかった!

だって『私の』おねーちゃんが気にしてる天才ってなに?

でもおねーちゃんと昔みたいに…昔より仲良くなれたのは悔しいけどにこにこるんっ♪だけど…

会ってみたらもっとぬぬぬんっとなったんだよね

 

ただの中二病の人見知りのちびじゃん(私よりは大きいけど)

…私がかなり威嚇してたのは認めるけどさぁ

本当今でも思うよ、おねーちゃんは男の趣味が悪い

そんな双子の妹のあたしも本当に趣味が悪いんだよね

 

いつからかその動作を目で追ってることがあったんだよね

だからるんってきたんだ

レオンくん()ケントくん()だって

夏でも長袖のケントくん、中二病の拘りかな?と思ってたら

左手の傷を偶然見てしまった

「こんなの見せちゃってごめんね」って慌てて隠してたけど

イヴちゃんの言葉を借りるなら

『るるるんっなブシドー』

あんな傷は事故じゃできない

血管に沿って正確にひと思いに()ったんだ…

あまりに場違いな印象としては『高潔』だ

あたしでもできないと思う

あたしなら首か内腿の太い血管でひと思いにだろう

あたしはおねーちゃん共々そんな事はしないし出来ないけどね

あれ(傷痕)を見た時にケントくんの歪な天才さにピンッとるんっ♪としたんだよね

なぜそんなのに、るんっ♪ときたのか?

おねーちゃんがケントくんじゃなくて闇を持った賢人(まさと)さんを好きになり

あたしはそれ()を隠すケントくん(虚飾)を好きになったんだとおもう

 

そうなんだよね中二病だから、何かをするのにルーティンを入れる

必ず左手が動くかの確認を大なり小なり入れる

それをレオン()くんの体でもやってんだもん

わかるよ、あたしはケントくんに関してはおねーちゃんにも負ける気はないからね

 

うん、本来ない者(虚飾)ってわかってるんだけどね♪



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幕間:本来あってはいけないお茶会

初評価頂きました♪

ぽぽぐさんありがとうございます。

イージーモードで感想・要望・評価宜しくお願い致します。


そして今回は…

【注意事項】
このお茶会は本編のメタ発言的な補足にもなってない勢いだけのものです
本編には積極的にかかわりません?
何も考えずに楽しんでいただけたらとおもいます。


「おかしよーし、のみものよーし」

 

ここはとあるライブハウス兼スタジオの小さなスタジオ

基本100人程度しか入らない箱だけど、どこかアットホームで気に入っている

前使っていたスタジオは閉店してしまった、シバケンもオーナーには懐いていたから残念だったけど

 

オーナー元気かな?

私たちが心配すると「年寄り扱いするんじゃないよ!」と怒るくせに

シバケンが心配すると満更じゃないんだよね

シバケンがおばあちゃん子だった話してやろうか…とちょっとモヤっとする

 

私は杏子(あんこ)

こう見えても大学生だよ

みんなフリーターか美容師見習いとか専門学校生と思ってるよね?

私の幼馴染を舐めちゃダメだよ?昔流行った底辺からの最高学府へ!さながらの手腕で私を合格させてくれたんだよ

その本人は翌年浪人したんだけどね♪

…歳下に受験勉強見てもらってたんだよね…

 

あそこ(柴田)の家はおかしいんだよね、だからあんなふうに育つんだよきっと

なんて考えていたらLINEに通知が来た

久々な子とはじめましてな子達がやってきたようだ

 

「ここはあそこ(前のスタジオ)に似てますね」

紗夜ちゃん(氷川さん呼びからランクアップできたよ!!)が懐かしそうな顔をしながら入ってきた

「私の勝手な予想だと、あのスタジオ出身の人がオーナーだと思うんだよね」

そうかもしれませんねなんて素っ気無く言ってるけど嬉しそうなのはわかる

「はじめまして!日菜だよ♪あんこちゃんでいいのかな?」

おっとこいつか!こいつが大穴の天才氷川妹なんだね

 

「いいよー私も日菜ちゃんでいいかな?」

要点以外の飾りのない会話はシバケンで慣れてる

紗夜ちゃんがあの言葉足らず(シバケン)と会話が成立してるのはこの子が妹だからなんだね

「あんこちゃんケントくんに近い感じがするね?」

「私は鍍金だよ」

あーケントくんが先生なんだなんて理解してるよこの子、会話数を重視しないシバケンとか相性良すぎるよこの子

日菜ちゃん恐ろしい子!!

 

「はじめまして…白鷺千聖です(キラキラ)」

何今の?光が舞ったよ??小さいのに凄いねー挨拶しっかりできるんだね

「かなり失礼なこと考えてないですか?」

この人やっぱり柴田さんの関係者ですねなんて怒ってるのも可愛い

私千聖ちゃん子供の頃から大好きなんだよね、そのままの千聖ちゃんでいて!!って願掛けも神頼みも呪いもかけたもん♪

 

多分同じことした人は何人もいる筈!!

 

その甲斐あって千聖ちゃんは小さくてかぁわいぃ♪本来の器(成長した体)に収まる分の存在感が溢れ出して神々しくもある

欲を言えば身長をもう15cmほど縮めて欲しい

「杏子さん、なんか目が犯罪者じみてますよ?」

紗夜ちゃんが理性を引き戻してくれた

危なかった…『人のせいかつ』に持ち込むところだったわ

 

って…

「まんま…え?な、なに??えーーーーー」

なんか居てはいけないピンクのカービィ(ひまり)モドキがいたからスタジオから追い出した

カービィ(アレ)こっち側(いぬの生活)じゃない!

みんな気づいてるよね?

丸山彩(あの子)はヤバイんだよ!!

『うぅ…私もヒロインのはずなのにぃぃ、千聖ちゃぁぁん』

私はあなたのあざとさと天然さを知ってるのよ!!

「そうだったの彩ちゃん…」

まぁ私の思い込みだけどね♪

 

 

 

「さて、メインヒロインが揃ったわね」

もうメタとか関係ない、だって今回そういう話だもんw

「この場限りというか、本来ない事ですからね」

「なんだっけ、本当は私たち三人で何もない空間で会話だけする予定だっけ?」

そうそう、私はもう出ない予定だしね

「まだ出張ってくると…」

「それは書く人のみが知ってることだよ、私は代理人。あんパんだけにあんこが代理人~~~っ!!はいあんこじゃないとぉっ!!」

「えーと『あん』を『ある』に韻をかぶせて、あんパんとアンパンの『餡』と『あん』をかけたギャグですか?」

「ちょくちょく平成Rネタ仕込みますよね」

「好きだもん、もっと露骨に入れたいけど、それ書いてる人の私生活の会話とかわらなくなるからやめたみたいw」

「あー、バイトしてた時に『お前の間違い()を数えろ』ってやったら『数えられるかぁ!!(エターナル返し)それがわからないからお前雇ってんだよw』されてたもんね」

「ノリのいい雇用主で良かったわよね、デバッカーの仕事ってあんな感じなのかしら?」

「さぁ?特例みたいだから、って書いてる人のことはいいから、話進めましょう」

「あんこちゃんが脱線したんだよw」

 

「えーと何話せばいいんだろ?」

「その為の代理人(あなた)なのでしょう?」

「ははー千聖様。なんとか進めてみせます」

本当千聖ちゃん可愛い♪しゅきぃ…シバケンもげろ!

「この人自由すぎ…」

「いつもはもうすこし大人な女性なんですよ?」

「そうそう、三藤杏子(さとうきょうこ)17歳大3だよ?」

「あからさまに年齢詐称入れてくるわね、学生さんなんですね」

「うん、学業とバンド両立してる21歳シバケンの元愛人だよ♪」

一瞬皆固まる、あ、紗夜ちゃんまで固まったの?

「あれ?みんなそこ結構デリケート??冗談だけど」

『当たり前です!!』

メタ話でも結構触れちゃダメな部分あるのかな?

あの人(柴田さん)ってまともに恋愛感情あるのかしら?」

千聖ちゃん苦労してるもんね、千聖ちゃんの初恋なのかな?シバケン禿げろ…

「あるよー、好き嫌いくらいしか見せないけどね。恋愛はからっきしわかってないけどね。私が保証する」

「やっぱり童て『言っちゃダメ!!』」

紗夜ちゃんと千聖ちゃんに止められる

日菜ちゃんそのフレーズ言いたいだけでしょ?

「言わせたいだけの癖に♪」

私いるの?この子(日菜ちゃん)で話進むわよね??

いきなり代理人()のアイデンティティの危機だ

 

「まぁシバケンは変な人枠だったからねぇ」

「なんとなくわかるわね」

『そうなんです(なの)?』

「千聖様はシバケンの中二病見てるもんね」

今はまだ黒い服位で済んでるけど

中二病まっさかりの時なんか、魔道書とか短刀とか試験管(コルク栓付)とか常備してたもん、名残でスマホケース魔道書じゃない?前はそうだったよ?

 

『うわー(引き)』

「なんかるんっ♪てくるね♪」

え、日菜ちゃん素質あるの?天才ってそういえばそういう人多いような…(偏見)

 

「学生服をいかにそれっぽく着るとか研究してたよ」

どうやってもダサいから、シャツを黒やら灰色やら金縁やら試行錯誤してたけど

結局何故か仮面Rぽくなったんだよねw

「そっち行ったんだー、リーゼントとかしてたの?(宇宙R好き)」

一回やったけど、似合わなかったからすぐやめてた、何より身長がね…

「小さいですものね(161cm)」

「ちびだよね(156cm)」

「日菜ちゃん♪(152cm)」

千聖ちゃん身長気にしてるんだね、シバケンあれでも162cmあるんだよ?

「イヴちゃんより小さいんだー」

「女神さん165cmですよね?」

165で大きい…なんで私がダメージ食らってんだろう?

 

「あんこちゃん大きいよね?」

「うん、171くらいかな?」

「薫より大きい?」

「その言い方ですと、172か173ですよね?」

紗夜ちゃん…付き合い少しは長いもんね

「モデルさん身長だ~」

私のことはいいから!!

『照れてて可愛い♪』

このっ、あんたたちの方がもっと可愛いわよ!!

 

「そういえば、今は犬の姿だからあまり出てこないけど…まさとさんって楽器どれくらい弾けるんです?」

「ピアノとヴァイオリンは凄いわよ!」

千聖ちゃんがドヤ顔で可愛い…やっぱしゅきぃ

「ヴァイオリンも演奏()けるんですね…モニカ狙いかしら?」

ないないないない

 

「ほかも弾けるの?」

「えーと、弦楽器は大抵基礎は出来てるはず?」

ツィター属(代表ピアノ)・ヴァイオリン属(代表ヴァイオリン)・ハープ属(代表ハープ)

和琴に三味線で・リュート属(代表ギター)だったかな?

 

「ピアノは何気に触れられてないけど私達三人とも経験者よ?」

ですよねー

「大抵子供の頃してるよね?(間違った見解)」

「それにしてもお化けですかまさとさんは、演奏()ってないのヴィオラ(ヴィオール属)くらいじゃないのかしら?」

そうだねー、ギターしてないの嘘なくらい弦楽器愛好者だから

 

「で、杏子さんもどれくらいできるんです?」

紗夜ちゃん私の話題はいいのよ私は代理人だけどモブなんだから

 

「二人は柴田さんのピアノとヴァイオリンは聴いたことはないの?」

千聖ちゃんすっごい嬉しそう、まぁ私の次にアドバンテージあるし…って私はモブなのよ!!

「残念ながら一度も、その…弾けるのですか?」

窺う様に私を見る、紗夜ちゃんはあれ(左手の傷痕)が原因でピアノ弾けないとか思ってるよね?

「?おねーちゃん、ケントくんて、手普通に動くよ?」

日菜ちゃんがあっけらかんという

「日菜知ってるの?まさとさんの左腕のこと?」

「うん、前から気になってたから、夏なのに長袖なんだーって」

「なんのこと?え?柴田さん怪我してるの?」

流石に知らなくて困惑してる…かぁわいぃ♪

「千聖様は出会ったのは早くても再会が遅かったもんね、シバケンが花音ちゃんの家庭教師始めたのって紗夜ちゃんと知り合ったかなり後だからね」

知らなくても仕方ないのかな?

 

「ケントくん左腕にポーっとしちゃう傷があるよ」

あれ(傷痕)は潔すぎて見惚れてしまいました」

なにこの変な姉妹…

「てっきり後遺症があるのかと思っていましたが…そんなヘマはしませんよね」

なにその変な信頼感は?惨たらしく死のうとしてたんだよシバケン(あのバカ)は!

「…紗夜ちゃん、その信頼感はなんか変よ?」

ですよねー

 

「ケントくんギターもベースも弾くよね(上手いよね)?」

「そうよね、あの癖のせいで騙されるわよね」

これ?って日菜ちゃんが左手を軽く握ったり開いたりしたり、指先についた何かを払う仕草をする

「毎回あれ(ルーティン)を目の前でするから、本当は動かないのかもと思い込まされてたわ…」

「シバケンのあれ()ルーティンじゃなくて本人はファンクションって言ってたかな?」

あぁと納得する三人…なんでこれだけでわかるの?この天才ども(内二人は自覚なし)

「いつもの中二病動作だと思っていたわ。何かする時必ずするから」

「えーとなんだっけ携帯電話の(R)意識してるよね」

日菜ちゃんが紗夜ちゃんに確認するように聞く、紗夜ちゃんも観てるの?

「一番好きだって嬉しそうに言うから、日菜と二人で観たら…その案外面白くて」

紗夜ちゃんはプリティでキュアキュアとかも見てなさそうだもんね?

「今見ると面白いのかしら…プリティでキュア(アレ)が始まる前の終わりくらいしか観た事ないのよね」

キュアキュアな方見てた人いたw、今は放映順逆だから気をつけてね♪

「凄いと思ってる役者さんが出てるし、観てみようかしら」

もう千聖ちゃん可愛い♪二人に追いつこうと言い訳してぇもうっ♪

「なんか不愉快な感じがするわね…私は時計のを観てみるだけよ?」

日菜ちゃんは気にしてないけど、紗夜ちゃんが苦い顔をしてる…追いつかれるの嫌だよねぇ?

「白鷺さん…先に時計(それ)を観るのは…でもそこから興味をもっていただくのも…」

そっちかい!!子供の頃見てないと反動が出てハマるって本当みたいw

「ちなみに私は探偵のRが好きです」

「『風』紀員だけに?」

あんこじゃ~…

「ちがいます!その…右の人が最近活躍してるので」

結構ミーハーだった

「おねーちゃん風紀委員の仕事で『貴方の罪を数えなさい』とか言えばいいのに」

なにそれ、すごく見たい…w代理人報酬それでいいから!!本編で見せて

 

オチ(報酬のおねだり)が付いたところで

「そろそろ第一回のあってはいけないお茶会は終わりね」

 

「またしたーい♪」

「しばらくは遠慮します」

「結局初評価に浮かれた書いてる人(あんパん)がやらかしただけなのよね?」

『…第二回あるの?(♪)』

 




再度注意事項
このお茶会は本編のメタ発言的な補足にもなってない勢いだけのものです
本編にはあまり積極的にかかわらなくてもいいかな?というかこれは関われない…
メタ発言だけするより面白いかな?と思ってしてみました。

今度はもう少し実のある話にしたほうがいいよね??
女神さんのことちょっとしか触れて無いしw


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十六話:前兆って・・・

前回のはあるようななかったような…
いや、無いことなんですけどね


氷川家でお世話になった翌日朝

紗夜さんの撫でや日菜ちゃんのブラシとかレオンさんの体じゃなかったら、氷川(ここ)の家の子になりたい♪

魔性だよこの姉妹は…なんて思ってたら

「レオンくんにはちゃんと話さないとね」

散歩には日菜ちゃんもついてきた、二人共軽く私服なんだよね

千聖さんのスポフラに慣れちゃうと、着替えないの??と思っちゃう

 

「何かこういうのもるんっ♪だよね」

日菜ちゃんは鼻歌まで出てきそ…歌いだしたね

それを苦笑いしながらも優しく見てる紗夜さん

本当仲睦まじくていいよね~

実家たまには帰ろうかなぁ…杏子にも声かけとこ

って犬の姿なんだけどね

 

「おねーちゃんケントく…!え?あれ携帯のR()みたいだよね」

日菜ちゃんははじめてだっけ、加速フォームぽいジャージ見つけたんだよね♪

「10秒だけ本気出すフォームとか皮肉が効いてるわね」

あ、呆れてる?格好いいよね??入ってる反射ラインがあれっぽくて

「たいむあーっぷとか聞こえてきそう♪」

日菜ちゃんが急加速して行ってしまった…あ、先に事情を知ってることを話すのか

 

 

 

「ケントく~~~ん」

日菜さんとは珍しいですね、子犬というよりは猫なのに走り寄ってきます

朝から元気ですね、お嬢に何かあったのかと紗夜さんに連れられてる柴田様を見て身構えてしまいましたけど

「おっはよ~~~レオンくん」

近くに来るとそんなことを言われました!?この身体になって一番驚かされましたね

「なんのこと?」

より一層柴田様らしく振舞わなくてはいけません

「うん♪レオンくんも天才なんだね?」

「ひどいよ日菜ちゃん、犬っぽいっていじるにしてもレオン君呼びはレオン君にわるいよ」

千聖ちゃんの教育の賜物なのかな?と言われて、話聞いてないですね

「うん、確証した♪るんっとはするけどちょっと違うんだよね。レオンくんも天才なのはピーンとくるよ」

…天才には誤魔化せなかったということですかね

「違うよ…私はケントくんに関しては誰にも負けないからだよ」

私を通してその向こうのお嬢に挑むかのような強気な微笑み

「まさとくんはおねーちゃんのなんだけどね」

少し困惑することを言う

「まぁ協力者ということで覚えておいてね」

 

紗夜さんを連れた柴田様が声の聞こえる範囲に入ってきた

「おはようございます、まさとさん」

日菜さんを威嚇するような目をしますねこのお姉さんは

「おはようございます」

サービスとばかりにお嬢もイチコロにする柴田様のスマイルを向けましたが

「…?何朝から何してるんです?」

はい、効果ないですよね、少し自惚れていました

 

 

 

「……」

レオンさんを放してベンチに腰掛ける

「おねーちゃんギュンギュン来てたでしょ?」

レオンさんを追ってのんびり川原に向かうまさとさんを見ていたら

日菜がそんな事を言ってくる

「…少しよ」

なにあの反則な笑顔は…目覚めたのかしら?不味いわあんな武器手にしたら大量殺戮(誑し)が起きるわ

「まぁケントくんは意識してはああいうのしないよね」

無意識なんてもっとダメよ、あんなの

 

「それにしてもケントくんって犬好きなのかな?」

「…人よりは好きなんじゃないかしら?」

あの人見知りはパーソナルスペースが極端だから

私は日菜との事でぶち切れられて気付いたら距離が一気に無くなった

日菜は同じ天才だからか、日菜の特性なのかすんなり入り込んでいたのよね

「日菜?」

今日は何か引っかかっていたので、訊いてみましょう

「うーん、前から言ってるけど、なんかケントくんるんっ♪ってこないんだよね」

前にも言っていたわね

「でも、なんかピーンというかピンポーンというか来るんだよね」

波長が合うのは変わらないということかしら?

「多分そうだね」

日菜にしては答えがはっきりしていない

「おねーちゃんへの援護射撃はできるから♪」

「ありがとう…?」

どこか気になる違和感が拭えないけど気にしすぎかしら?

 

 

 

「天才ゆえに分かってしまったと…」

前から感覚的に気づかれてたみたいなんだけどね

「敵に回すよりは味方でいて頂く方が心強くはありますね」

やっぱりそうなるよね

「なにより、これで教習ができますよね?」

結構楽しみにしてらっしゃる?

「年甲斐もなくお恥ずかしいですが」

僕もそろそろ楽器弾きたいし戻りたくなってきたけどね

「そうですね、簡単に戻れたり出来るといいですよね」

その会話の途中…急で強力な眠気に襲われた

眠気というより意識を刈られる感じだったけど…

「…?」

今のは?

「なんでしょう今のは?」

レオンさんも同時になっていた??

「戻る前兆か?」

なのかな?

 

「ケントくん大丈夫?レオンくんも!!」

傍目には二人共?同時に立ちくらみ(座ってたけど)を起こした様にみえたんだって

事情を知っている日菜ちゃんだからこそ気づいて走り寄ってきてくれたんだね

「大丈夫です、何故か同時に起きましたね」

「柴田様?」

「ケントくん??」

……

戻るれるね…どういう仕組みかはイマイチわからないけど

「そうなのですか??」

うん、多分ね

「……戻れるの?」

レオンさんの独り言にしか見えない会話と感覚で察した日菜ちゃんの驚きと嬉しさと残念さが見事に混ざっている顔

…面白がってたもんね、あたしはケントくんって知ってるんだよね♪って

「日菜どうしたの?」

遅れて紗夜さんがやってきた、僕達の変化というより、日菜さんが飛び出して慌てて追ってきたんだよね

ショートパンツ(日菜ちゃん)ロングスカート(紗夜さん)の差は大きいね…

「なんかレオンくんが変な動きしたからドキッってビュンとしちゃった」

何かあったら大変だもんね

「そうだったのね、あまりびっくりさせないで頂戴…で大丈夫なの?」

「口の中に虫が飛び込んだだけみたい」

日菜ちゃん…しれっと誤魔化すよね。女優もしてるもんね?

あれ?レオンさんがなんか不機嫌そうな顔してる…その顔あまり好きじゃないんだよね

「……まさとさん?」

ほら、紗夜さんが心配そうな顔するんだよ

「はい?」

「何かありましたか?」

この顔の僕知ってるのは杏子と紗夜さんくらいだから

あとは小さい時に励ましてくれたあの子くらいなんだよね

あー恥ずかしいから見たくないんだよね

それにしても、なんであんな顔したんだろう??

「いえ、ちょっと昨日遅かったもので…」

朝何時まで起きてたの?なんか急な用件あったっけ??

ゲーム(NFO)ですか?」

NFOの垢は残してあるけど、やってるのかな?

なんでも挑戦し(やっ)てみてもらいたいからいいんだけどね

寝ないと…友人に怒られるんだよ、あと杏子にも

今でこそ大分改善してるけど

4時間半睡眠で大丈夫って気取ってた時期が僕にもありました…

入院した時に寝てない事が判明して見回りで寝てるか必ず確認されたんだよね

…子供の頃からの習慣だったから今の6時間睡眠にするのも大変だったよ…今でも途中で起きるし

「あまりログインされてないみたいでしたので…」

紗夜さんは結構ヘビーユーザーだったよね?

「いえ、そちら(NFO)はまた始めようかとはおもってるんですけどね、学校絡みです」

フレンド登録してあるからログインしてないのはバレバレだもんね

…レオンさんも嘘はつかないタイプだからね

 

賢人(まさと)くんどうしたの?」

控えめな音量なのにしっかり耳に届くこの声音、本人の意思の強さを感じる声だ

「あれ?あなたこの間の?…ということはレオン君??」

ロードワークを終えて戻ってきた友人さんだった

なんかすごく久しぶりに見た気がする

動物好きなのも相変わらずみたいで、撫でたくて仕方ないみたい

 

『修羅場だ…』

本人達の思惑とは別に、レオンさんと日菜ちゃんがそんな事を呟く

なんでよ?




そろそろクライマックス?

「えー最初からクライマックスじゃなかったの?」

その言葉に僕が泣いた!


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十七話:帰宅って・・・

今日はお仕事ということで日菜ちゃんは学校はお休み

元々成績優秀で生徒会長とか学校にも影響力があるとか

なにその末恐ろしい人?

と、ちょっと思ったけど、日菜ちゃんのことだ全部副産物だよね

 

「それで戻り方わかったの?」

という事で仕事まで時間のある日菜ちゃんと二人きりなので今朝の話になる

紗夜さんはなんか心ここにあらずで学校に行ってしまった

日菜ちゃんが居なかったらどうなってたんだろ?

友人が()に抱きつくように撫でてたら

凄く戸惑った表情になってたんだけどなんだったんだろうね?

日菜ちゃんは意外?みたいな顔してたし

レオンさんは辺りを気にしてた、なんでだろ?

 

「ケントくん?」

ごめんなさいちょっと意識が迷子してた

なんとなくわかったよ?

理由も原理もわからないけど多分あってる

「ピンと来たの?」

るん♪ときたの

二人で笑い合う…そんな姿を気にした風もなく微笑ましく見てる氷川家お母さんさすが大物だ

 

「おはようございます♪」

事務所につくと…

「おあひょレオン君♪」

噛みながら抱きつくとか何事?

「彩ちゃんはホントおもしろいなぁ♪」

それで済ましちゃうの??

「レオンおはよう」

千聖さんおはよう♪

「…相変わらず日菜ちゃん家から帰ってくると毛艶がいいわね」

「レオンさん今日もブシドーですね」

「おはようございます」

パスパレ全員もういた…日菜ちゃん…まさか

「日菜さんは相変わらずギリギリですね」

遅刻じゃなかっただけいいか

それにしても彩ちゃん…そろそろ放して欲しい

「~~~♪」

 

 

 

「…日菜ちゃんそういえば、どうしてレオン連れてきたのかしら?」

え?お仕事じゃないの??

「うん?あ…今日雑誌の後、練習だったね」

えーーーー

「更に言うなら、私今日撮影だからレオン迎えに行けるのは夜になるっておねがいしたじゃない」

そんな話あったような…ま、いっか

「何かあったのかしら?」

 

雑誌インタビューは(レオン)も紙面に載ることになった

記者さんは最近話題のKO(ノックアウト)犬も一緒で得をしたとか言っていた

千聖さんは凄くご満悦だった

 

-♪

流石大手プロダクション練習スタジオもミキサールームもある、レコーディングは出来るのかな?

「そこは外注になるみたいだよ♪」

こそっと日菜ちゃんが教えてくれる、なんだろうその度彩ちゃんから黒いのがちらちら見える

ラブポーション13みたいだなぁ…なんて思ってたら

「帰りにみんなでアイス食べにいこか?」

「まだ練習始まってもいないわよ」

「いくいくいく♪」

本当パスパレは仲がいいなぁ

 

練習が始まって…いい音させてる♪

事務所所属のスタジオミュージシャンを講師にした練習

…元々事務所(ここ)所属のスタジオミュージシャンな麻弥さんが恐縮してる、多分他事務所(よそ)から来てもらっているのかな?

天才な日菜ちゃんをきちんと指導できるとかすごい人いるんだね

少しでも技術を見ておこうと見てたら

「お、白鷺のとこのか、音楽もわかるのか?」

ガシガシ撫でられる、嫌じゃないけど強い…なんか気持いいかも

上手いギタリストはみんな撫でがうまいのかもしれない…

「レオンくん音感はあるよね?千聖ちゃん~」

「そうね、ピアノの音とか好きよ」

レオンさんもピアノ好きなのか

 

スタジオミュージシャン(プロ)のレッスンが終わると、パスパレだけでの練習

上手いよね♪

特に日菜ちゃんは吸収が早すぎるんだよね、あの人が先生じゃなかったら詰んでたかも…いろんな意味で

それにしてもPastel✽Palettesの曲でもギターソロ格好いいよね♪

きゅ~まいとか僕大好きだよ!イヴちゃんのショルキーも格好いいよね

千聖さんも麻耶さんと確りリズム隊の仕事をこなしてて格好いい♪

彩ちゃんも普段あぁだけどボーカルとしては本当凄いよね

見せ方というか魅せ方が上手い、流石自撮りを研究してるだけはある

なんか本当どっぷりだね、紗夜さん絡みでRoseliaの曲は聞いてたけど、ガールズバンドって凄いよね

影響されて楽器触りたくなる

「レオンくんリズムも取れるんですね」

麻弥さんが感心したように言う、大分馴れてくれてみたいで撫でてくれるくらいにはなった

「そうなのよね、最近は演奏も見てるみたいなのよ」

ベースはあまり見本がいないから千聖さんも良いお手本の一人だしね

ギターと違って堅実な演奏が必要なんだよね…僕がベース手に取る理由になったUSGのベースは特殊だと思うけどね

あれくらい振り回せる演奏技術が欲しいよね、本当格好いい♪

「今度はリズム犬とかるん♪てきそうだよね?」

日菜ちゃんは知ってて言ってるのかな?違うよね

「これ以上レオンくん有名になったら悪い虫が来ちゃうよ~~」

悪い虫って何?マラリアとか??

「レオンにお見合い話なら結構来てるのよ?断ってるけど」

そうなの?

記憶を探っても出てこないんだよね、レオンさん見られたくないんだろうね

「千聖ちゃぁぁ~ん」

はいはいなんてあしらってるけど本当千聖さんと彩ちゃんって仲いいよね

 

 

千聖さんが撮影、彩ちゃんと麻弥さんがバラエティ、イヴちゃんはモデルの仕事

…日菜ちゃん芸能界にあまり頓着ないのはわかるけど、もう少しはパスパレ以外の仕事しようよ?

「失礼だね、今日は無いだけだよ。これでも千聖ちゃん除いてパスパレ女優1号なんだよ?」

そうなんだ

「パスパレ以外の仕事もしないと、折角のパスパレなくなっちゃうからね」

それはすっごくるんとしないって、大事にしてるのが伝わってきて微笑ましくなる

「まぁみんながみんないろいろな仕事しすぎて、なくなるかとおもっちゃったんだけどね」

軽く言うねー

「おかげでなんだろ、みんながパスパレ好きだってね♪」

ならいいのかな?日菜ちゃんもいろいろあるんだね

「それで、戻れる方法って?」

流石に五十音シートを敷いてもらう

あと…犬ってアイス食べていいの??カップに入ってるアイスを食べながら言ってても遅いけど

彩ちゃん見てたら食べたくなっちゃったんだよね、このピンクにハートチョコなのが

それなんかわかる♪って日菜ちゃんは猫型ロボットモチーフのを食べていたけど

 

「そんなので戻っちゃうの?」

多分戻れちゃうね、感覚的な部分もあるから説明が難しい…これは流石に日菜ちゃんでもわからないと思う

「なんとなくなっちゃいそうなのはわかるけどね」

その時に騒ぎになると困るから、日菜ちゃん居てもらっていい?

「その為の協力者だよ」

なんかるんっ♪ってくるようなこないような変な気分だけどねって

「ここがケントくんの家?なんだ」

そう、疑問になるよね

最初はマンションだったんだよ

でもね…

「車庫の上に部屋があるんだ、なんか面白ーい♪」

メゾネットタイプのガレージハウスとかホビースタジオと呼ばれる物件を紹介されちゃって

そう…面白そうだからって借りちゃったんだよね

 

ここロフトもついててなんか秘密基地みたいで気に入っちゃったんだ

あとホビースタジオとか名乗ってるだけあって防音も多少はあって

練習するにはちょうど良かったんだよね

マンションの敷金礼金?運が良かったんだよね

オーナーさんが一緒だった…というか管理人のお爺さんがオーナーさんだったんだよね

前の部屋…ペット楽器禁止で弾いてない事を証明したくて管理人室にアレ(ツインネック)を預けに行ったら

困った顔をされた後に

近所の一軒家と認識していた二軒並びのこの家を紹介された

業者に勧められて建てたはいいけど、最近の学生は車を所有してなかったり、少し古い為1階()が車庫だと寒くて人気がないとか

片方が1K+ロフト+ガレージ、反対が1LDK+ロフト+ガレージ(2台)という作りで金額が1万しか違わないとか

微妙物件とか言われてるんだって、そこを貸してくれることになったんだけど

実はお爺さん一つ誤算があって

 

「こっちだよね?」

1Kの玄関に向かう日菜ちゃん…1LDKの車庫に向かう僕

そう…お爺さん僕が車持ってると思ってなかったんだよね、マンションの駐車場借りてないから(でもおじいさん所有の屋根有り車庫借りてたんだよね)

なので実は家賃+管理費+駐車場代+ちょっと=1LDKの家賃と考えていた僕と

家賃+管理費<1Kの家賃を自分の車を置いてるから引いて=1K家賃と考えてたお爺さんの思惑はずれた

結局楽器の練習もするだろうし、1Kの方借り手がついたらお爺さんの車を預かる事と今まで通り何かする時に手伝ったり暇な時に顔見せに来てくれればいいと

「ちょっと」分無しにしてくれたんだよね

更にご厚意で敷金礼金は据え置き?クリーニングは流石に業者に頼むから出してくれと言われたけど、そのまま上乗せなく請求額だけでいいとかお徳金額だった

家賃管理の会社とか変えるのが手間(敷金礼金とか含めて)だからと色々本当ありがたいごとづくし

偽善が役に立っちゃった?んだよね??

近所だからあまり変わらず、ほぼ毎日ごみ捨て(マンションに捨てに行く)ついでにエントランス片付けたり、自販機周り片付けたりはしてる

お爺さん結構車の趣味も通じるものがあって、たまに飲みに行くと何かあったら車と建物をくれるとか怖い冗談を言うんだよ

車はちょっと本当だと嬉しいけどね、お爺さんも僕の車見て「若いのに変に渋いな」と笑っていたりと良い関係だと思う

 

そんな久々の我が家は…

 



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十八話:運転って・・・

減ったりもするんですね…(泣)


日菜ちゃんにガレージ隣の赤いドアをノックしてもらうと予想通り

レオンさんがすぐドアを開けてくれた、待ち遠しいもんね

 

「お待ちしていました!」

尻尾があったら全開で振ってたのが見えたね

「本当に中身レオンくんなんだね♪」

その様に日菜ちゃんが面白そうに言う

そして中に入ると…

「ガレージ広いね?」

中は収納の他には車が1台と、サイドカーが1台と・・・

「け、ケントくん!!あれ携帯の(R)が乗ってたやつ??」

流石日菜ちゃんすぐ気づいた、オフシルバーのバイクに走り寄って

「なにこれるんっ♪てくる~~~♪」

おねーちゃんにも見せたい~~って写メ撮りだしたんだけど

JKにウケるとは思わなかった

「ねぇねぇハードボイルダーとかないの?」

紗夜さんの好みを先に訊く事に正直驚いたけど…本当お姉さん大好きっ子だよね

バッシャーじゃないの(サイドカー)もあるね…まっしぐらもないよね?」

そこまで揃えられる経済力を持ちたいよね~

それに携帯の(R)は○|は大好きだけど…○×の人好きじゃないし…

「ケントくんでも好き嫌いあるんだ?」

そんな意外な顔をされても困る

そしてそわそわしてるレオンさん

はいはいわかってますよ~

反対側に鎮座している、屋根のない車…日菜ちゃん的にはそこじゃなくて

「これヘッドライトないんだね?るんっ♪てくる~」

車好き女子はポイント高いんだよ?僕的には特に…ってまた写メ撮ってるし

「聞いてませんね?」

なぜホッとするのレオンさん?

しかし2シーターだからどうしよう?

「私がケントくん抱っこするよ?」

足元は危ないもんね…日菜ちゃんスカートだし

「留守番してもらうとかでは?」

何かあった時の為に来てもらってるんだよ?

 

暗くならないうちにいこうか~

運転席を開けてもらいシートに乗る

…すっごく変な気分

レオンさんには僕の記憶とのすり合わせをしてもらうように説明をしていく

本当はATで練習させてあげたいけど、生憎ないので僕の体に残ってる感覚と上手く同調してもらうしかないね

 

 

感覚的な教え方と、勝手に読み取って理解してる日菜ちゃんの感覚講義という地獄に耐え切ったレオンさんが

「これが運転するという感覚なんですね」

感動していた…

ちなみに…

「………」

日菜ちゃんは車酔いをしていた、うん、荷重移動が独特なんだよね

犬の感覚だと平気なんだねー今だけ犬で良かったよ

「人を乗せるにはまだまだですね」

無口になってる日菜ちゃんを見て少し悔しそうなレオンさん

もう少しくらいかな~

「もう少し頑張っていいですか?」

ちょっとだけそこの公園の駐車場で休憩してからね

「…ありがと」

日菜ちゃんはしばらく公園で休ませておくことにした

天才でも耐えられなかったか…

 

日菜ちゃんが公園で休んでる間に

レオンさんには僕流感覚修正術を伝授してみた

「そういえば私の体()になった時にもしてましたね」

ありがたい事に公園の広い駐車場は第二・第三と有り、舗装がどんどん悪くなっていく…つまり人気もなく滑らせやすくなる

 

「どれくらい踏み込めるか…どれくらいで曲がれるか…どれくらい急制動がかかるか…」

全部やってみてもらった♪

やりすぎると近所の人に通報されちゃうから注意が必要だけどね

試しに乗ってみたターボ付きの軽自動車のFRでねずみ花火してたら通報されて怒られたんだよね

…逃げないのは偉いけど、近所の人に通報されるまでやるのは控えるようにね

いい人だったなぁ、僕は基本公僕に協力的な偽善者だからね?

おっと片側が上がったね…うんこれドキドキするけど、どうすればどう動くか

どこまでやらかすとやばいかを覚えるにはいいんだよね

広いとこが必要なんだけどね~

暗くなってきたしそろそろご近所さんも寛容じゃなくなるかな?という頃にレオンさんが運転をやめた

「暗くなってきたので戻りましょう」

公園についたころとは段違いに安定した感じで日菜ちゃんを迎えにいけた

僕の身体を使っての運転と車の挙動感覚が擦り合ってきたかな?

帰りは日菜ちゃんも饒舌になっていたしね

 

 

時間的な問題と言うか…紗夜さんの練習が終わるから、帰り道なので降ろしてもらうことに

慣れてきたおかげかスムーズについたので時間が余った、少し離れたコンビニの駐車場に停めると

「水買ってきてあげるよ」

ドリンクホルダーのペットボトルの水がなくなっていたのを目ざとく見つけてる

まだ緊張するもんね~

「えぇ」

でもその緊張は無くしちゃダメだからね

「わかりました、それにしても人は便利なものを使える代わりに苦労しているのですね」

そう見えるかもね

「私も人であればなんて思っていましたけど…やはり()の姿が一番ですね」

だよねー

「柴田様は戻りたいですか?」

そりゃ、そろそろ演奏()らないと楽しく弾くのに時間がかかっちゃう

戻ったら杏子に練習付き合わせるのは確定事項…あとPastel✽Palettesの曲も弾きたいんだよね

「そうですね、やはり私も元の姿で…」

レオンさんがしみじみといった感じで言う

…きた!

これだね、日菜ちゃん任せたからね…

急に来た眠気にも似た意識の途切れ…

…どういう理屈かは後々考えていこう

 

 

 

コンビニから出たら

駐車場で車のクラクションが鳴っている

近所迷惑だよね~…って、ケントくんの車だよね?

「なんかるんっ♪てきた~~~~」

ケントくんの言っていた「戻れる」が関係してるんだよね

慌てて車に向かうと…予想通りだった

まずクラクション止めないと人が来ちゃうよね

ハンドルに突っ伏しているケントくんの身体を引き剥がして…

なんでこの車シート倒せないの!とおねーちゃんみたいに怒っちゃったけど

ケントくん起きてたら似てるって笑ってくれたよね?

それももう叶うんだよね、るんっ♪ってくるよ

今回の事であたしは決めたんだよ色々

おねーちゃんの為にもあたしは頑張るんだ、この本心を全く見せない天才に挑むことにしたんだ

おねーちゃんは自分も十分天才なのにどこか気後れしたみたいに踏みとどまってる

なら私が押していこう引っ張っていこう三人で笑っていたいんだ、それが一番るんっ♪くるからね

 

 

 

「日菜はまだみたいね」

練習が終わり、日菜が待っていると悪いからと少し早めにライブハウス兼スタジオである【CiRCLE】の入口に行く

カフェは閉店準備をしている

日菜はまだみたい、レオンさんを連れてるらしいから散歩がてら白鷺さんの家に送る感じね

入口のセンサーに感知させてしまい扉が開くと…

-!!!

どこかでクラクションが鳴っている

なんかまさとさんとの出会いを思い起こされる

なぜかしら?クラクションの音にホッとする

「紗夜~どうしたの?」

次の予約を入れていた今井さんが声をかけてくる

「いえ、クラクションが…収まったわね」

「めずらしいね~この辺りでクラクションなんて?」

あの時もスタジオまで届いたのかしら?

「日菜が近くまで来てるみたいなのでそのまま帰ります」

なんとなくそんな気がしたからという…日菜みたいな感じね

「中途半端に暗いから気をつけてね✩」

今井さんが何時も通り手を振って送り出してくれる

 

あの頃とは何かが明らかに違う

私の周り…日菜との関係…なにより私のあり方が変わってきた

 

でも、過去は自分が精算したつもりでも怨みを勝手に持ってる人間はいる

私はやりすぎた、湊さんが加わり本当にやらかしすぎていた…

杏子さんが心配していたのはこれだったのでしょう

…?

日菜はどこなのかしら?とスマホを確認していると

暗がりから急に人が出てきたと思ったら何かを振り上げて迫ってくる

時間的にまだ点いているのが少ない街灯の光を反射したのは短い刃物

通り魔?

身体を捻るようにしてギターケースのショルダーを左肩から抜きながらギターケースを右で支えて、一歩踏み出してその底面を相手にぶつける

アレ(拉致暴行未遂)から、なんとなくケースの底に鉄板と一度終わらせた復習用の薄い参考書を入れていた

まさとさんからは筋力つけてるの?と揶揄されたけど役に立ちましたね

-ぐしゃっとした嫌な感覚が伝わってくる、綺麗に入り過ぎたと思うのと同じくらいにアスファルトに刃物が転がる音がする

手を使う仕事ならしばらくは不自由かもしれないと思いつつも

ギターケースのメッシュポケットから出ている紐を引きちぎる勢いで引っ張ると

-!!!!

先ほどのクラクションばりに大きな警報が鳴り響く、迷惑レベルの騒音

流石まさとさんカスタマイズの痴漢ブザーです小さいのに高性能…本人みたいと言ったら泣くわねきっと

それと同時に背後の路地から小さなワンボックス…見覚えのある色…

突発的かと思った通り魔は…私を狙ったものだった、私が複数で帰ろうとしても対処できるような人数?

よく見たら右手を押えて蹲ってるのはあのボーカル()だ…湊さんにも敵意むき出しとか

何を基本に妬んでるのかわからない人でしたけど、本格的におかしくなったみたいですね

 

この女をまず潰しておかなくては…誰に感化されたのか合理的に逃げる方法を冷酷に考えていたら

女の背後にすごい勢いで来た車が轢いてしまうのかと思わせる制動で止まったと同時に影が二つ降りてきました

何故か身構えることなくほっと警戒を解いた私の横を通り過ぎ…

「な、おまっぐひゃっん」

「ぷぎゃ」

一瞬でした…さすが短期決戦しかできない人です。

前と同じく身体の伸びる力と腰から腕にかけて綺麗に力が通った掌底打ちで沈めると

最後は…脚は長いけど身長が低いから相手に届かないと認識しての少し跳躍しての上から踵を斜めに振り下ろす蹴り方…

体重と振り下ろす脚力が乗った踵が綺麗に顎を斜め上から打ち下ろす…相変わらず一撃で仕留める為には容赦がないですね

「おねーちゃんだったんだ」

車の来た方から日菜が走ってきた

…日菜?もうひとつの影はレオンさんだったのね、流石KO犬ですね

そして、影というか黒い人(まさとさん)がのしてしまった人達の指を結束バンド(何故か持ち歩いてる)で縛りながら警察を呼んでいた

コウモリの人(民間の娯楽)みたいだね」

姉妹だから発想が似るのかしら?

でも…

「ならもう少し持久力と上背が必要ね」

おねーちゃん厳しい♪と嬉しそうに言うけど

私は、この人(柴田賢人)のこの様な中二病じみた本人曰く【偽善行為】は好きになれないから

 

一通り終わり、まさとさんが自分の身体を不思議そうに動かしていると警察が来てくれた

日菜とレオンさんは散歩途中私を迎えに来たという事で帰したところ、後日調書を取らせて欲しいと言われたので事務所と相談してもらうことにした

日菜がついてきたがったのは言うまでもないけど…芸能人の自覚がないのも困ったものよね

「車の持ち主さん誰ですか?」

一通り現場写真を撮り、任意とは言われたけど調書のために同行することになった…パトカーに乗り慣れたくはないわよね

「僕のです♪」

やけに嬉しそうにスポーツカー?に走り寄るまさとさん…尻尾振ってる姿が何故か目に浮かんだ

え?助手席ですか…こんな…これロードスターですよね?ライトがリトラクタブルってデート車としては最高じゃないですか♪

…嬉しすぎます

 

この後日菜の方が先に乗ってたのを知り少しの間不機嫌だったのは別の話です




「いぬ」がそろそろ終わります。

引き続きよろしくお願いします


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十九話:懲りない人って・・・

やっとRoselia全員出せました
…タグ詐欺にならなくてよかった

#20201210
時系列を完全に勘違いして(忘れてたとも言う)矛盾点を無視していましたが
ちゃんと読んでくれている方がいらっしゃるので変更しました

あと最近紗夜さんの「まさとさん」が「賢人さん」になっているのは
シバケンの本名読みも馴染んできたかな?というのと
いつまでも平仮名表記は紗夜さんぽくないなと2章から意識的に漢字に移行しています

また今後共よろしくお願いいたします。


「ケントくんもレオンくんもすっごい深いね」

二人が意識を失うようにして眠っちゃってから5分くらいかな?

つついても引っ張っても起きない

キスでもしたら起きるかな?

なんて考えてたら…

 

-!!!!!

どこかから大きな防犯ブザー?痴漢ブザー??が鳴り響いてきた

なにこのイラってくる感覚??

「!?」

いきなりケントくんの車のエンジンが動いたかと思ったら飛び出してった

「なんか、るんっ♪ってきた~~~!!」

車を追わなくちゃ♪

 

 

 

襲われてたのがおねーちゃんとわかって、なんかケントくんにるんっ♪としてたんだけど

二人に先に帰されちゃったんだよねー

千聖ちゃん家に向かう道すがら

「ねぇ、ケントくんなの?レオンくんなの?」

ずっと気になってる事を聞いてみるけど…

「わう?」

…レオンくんかな?

あたし的にも…なんかピンと来なくてるんっ♪としない

 

 

 

「今度こそ二度と目の前に現れないように致しますから」

また、まさとさんのお陰で未遂になっているだけだというのにどの口が言っているのか不愉快になる

…いえ本当の理由は日菜の方が先に助手席に乗っていた事に不機嫌になっていたのですけど

「何回目ですか?」

私が黙っていると、まさとさんの身元引受人としてやってきた杏子さんが静かに詰め寄る

未遂だから刑事事件にせずに示談にしてくれというのだ…また

「あなたには関係ないでしょう?」

これも何回目だろう

「そうですね、では今回こそ親御さんと弁護士さんを通してお話をいたしましょう」

「だからあなたには関係がないと!」

「えぇですから、もう出るところでてお話してください」

杏子さんが言ってることは間違っていない、でも…

「いいでしょう、ではそちらの方が一方的に暴力を振るったということでこちらも…」

そう、まさとさんは今回珍しく全員を一撃で仕留める為手を出させる前にやってしまった…

「いいですよ、ドライブレコーダーにも全部残ってますしね」

なんて簡単に言い返す杏子さん

「こちらの認識では、そちらのお嬢さんが暴漢に襲われそうなのを助けた氷川さんが代わりに暴漢に襲われそうなのを多勢に相手ではと…」

「そんな事実はない!!」

事実はもっと最低なのだから…

「そうですか?こちらは証拠として提出もできますよ?まぁ柴田は過剰防衛になりますけどね」

憎々しげに杏子さんを睨みつける向こうの保護者という名の…秘書みたいな人

「お前議員に逆らって」

…うそ?そんな…

「……」

杏子さんまで黙ってしまった…そう

「あははは!ここ何回かいつ言うかと楽しみにしてたんだよね~ww」

まさとさんが笑いだした

「いや~~まさかこんなセリフ聞ける日がくるなんてw本当頭腐ってるね性根も腐ってるからかぁ」

…微妙にケントが入ってる、ちょっと怒ってるわね…ちょっとなの??

 

杏子さんは耐えてたのを笑い出して…

「何でしたら三昇会との癒着の話もしちゃいましょうか?」

杏子さんは何を言っているの?

相手は信じられないものを見る目をしている

「そうですね、そちらは気にしたこともないでしょうから名乗ったことりませんでしたね。三つの藤で三藤(さとう)と申します」

まさとさんは…黄門様の印籠が出たとこっそり教えてくれた

「さ、三藤…三ツ藤の三藤…」

「お見知りおきを…何でしたら一報入れさせていただきましょうか?」

今まで見てた杏子さんは誰だったの?今目の前にいる杏子さんは…専門学生や理容師見習いに間違われる大学生どころではなく

「三ツ藤の紅い鬼子…」

凄い字名…まさとさんが笑うのを堪えるのではなく…言っちゃったよと相手を憐れむ顔をしていたこちらも珍しい

「ひとつよろしいでしょうか?」

にこやかに笑うと…

「どこの三下かは聞かないですけど…その名を軽々出す覚悟はおありですよね?」

目が笑ってない…あれは本当に杏子さんなの?

それにしても女子大生に気圧されてる大人って…これも一生に見れるものではないわよね?と場違いに少し現実逃避してしまいました

 

「今回の落としどころはどうしますか?」

…あれはすっごく怒ってるなぁと暢気にまさとさんが呟く

呟きが聞こえるほど傍にずっといてくれている…

さっきまで不機嫌になってたのを忘れていました…こんな近くにずっと居てくれて

そう言えば…何気に毎回こうですね

しかし今回は…念の為に鉄板を敷いていたのが冗談ではなく役に立ってしまった事実に流石に震えが出てきた…

杏子(きょうこ)…」

私の震える手を取って、杏子さんを本名で呼ぶ

「…一度この子の受けた心的外傷を与えてあげましょうか?」

その一言と、よく相談なさることですねと一言残し話はここまでと言わんばかりに相手を放置してこちらに駆け寄てきてくれる

「紗夜ちゃん、鉄板役に立っちゃったね~w」

いつもの杏子さんでした…この人もまさとさんの関係者でしたねと苦笑いで返す

「流石に本当に役に立つことになると怖くなりますね」

手はまだ震えてる…そうか、だからまさとさんも杏子さんも今回は示談にはさせないと言ってくれているのですね

「おねーちゃん!」

日菜の声と

紗夜(氷川)(さん)!』

Roselia(みんな)の声が廊下に響く、みなさんこういう場所では静かにしないと…

「ひさしぶりね」

私の手を握っているまさとさんに湊さんが少し申し訳なさそうに会釈する

私個人がやらかした過去なのに、湊さんは私も同罪よと前言ってくれている

二人して周りを見ないようにして上しか見てなかった頃のことだからと…

「……」

何故か白金さんは白金さんでまさとさんを凝視していた…特にその手を…白金さん?

「あれ?ケントじゃん、本当に番犬だねぇ✩」

今井さんがまさとさんに今気づいたように言う、番犬設定懐かしいですね

「えーと…?誰…??」

…まさとさんはどこまでも柴田賢人ですね、今井さん級の綺麗で可愛いギャル(死語)を忘れている???

何故かホッとしてしまいました

「えー、マジ?…ほらケント良く来るコンビニの…それに海の…」

「…モカ(青葉)の保護者の子!?」

…すごい覚えられ方ね、しかし…青葉さんは認識してるということよね??

「モカの保護者…」

流石にこの扱いには今井さんは慣れてないからショックみたいですね…私なんか「クッキー缶の子」から中々抜け出せませんでしたからね…

「ケントくんリサちーの事覚えてなかったの?」

日菜止めを刺さないであげて…

 

あれ?そういえばこういう時一番騒がしい筈の宇田川さんが最初私に抱きついてから静かね?

「…宇田川さん?」

私とまさとさんを見て何かを考え込んでいる、どうしたのかと声をかけると

「紗夜さん!!ケント兄といつからお付き合い始めたんですか!?」

あこ…ぶっこみすぎ…と今井さんが呟いていたけど

「そ、それはその…恩人というかなんというかその成り行きというか……」

 

…なんでしょう?

 

考えてみると、私の好きな人であるのは変わらない

しかしそれ以外となると…なんだろう?考えたこともありませんでした

「前も思いましたけど…魔術師さんみたいで格好いいです!」

そういえば海でもいつもの黒装備でしたね…

宇田川さんの基準はわかりかねるけど…頭でっかちなもやしなところとか、スペシャリストでないところとか…魔術師はしっくりきてしまったわね

なんか可笑しくなってしまい笑ってしまった

さっきまで不安と恐怖で震えていたのに…状況はまだ怖いけど

『何事もなんとかなる』

私の大好きな魔術師(柴田賢人)さんの受け売りだけど、そんな気もしてきたから不思議ね

仲間っていいものと恥ずかしながら再認識した

「じゃ、送っていくから紗夜ちゃん家でいいよね?」

多分Roselia(みんな)を呼んだのは杏子さん(この人)だ、湊さんか今井さんに連絡を入れてみんなをここに集めたのだろう

ならお母さんじゃなく日菜が来たのは…?

 

 

 

「さて…レオン?またやらかしたのね」

日菜ちゃんをお母さんに頼んで一緒に警察に送ってもらう

Roseliaのメンバーも居たから大丈夫と判断して家に帰る事にした

 

レオンは何故かすごく眠そうにしていると思ったら後部座席で寝ていた

ここしばらく見ていないレオンらしい(寝ている)姿…なぜか喪失感を感じる

「あなた、今日は日菜ちゃんとどこいってたのよ?」

最近は何時見ても起きてる姿の印象があったから、なにかして疲れているのかしら?

本当あまり無理はして欲しくないので今日はそのまま寝かせてあげることにした

 

 

 

「あの…みなさん…そろそろ休みませんか?」

あの後杏子さんのミニバンとまさとさんの車に分乗して家に帰ってきた

杏子さんのミニバンは機材も運ぶので6人は軽く乗れる…

そう6人(湊さん・今井さん・白金さん・宇田川さん・日菜に運転手の杏子さん)

…おかしい8人は乗れるはずなのに?

そして今は日菜は自室で、私はRoseliaのメンバー(みんな)と客間にいる

話題は…

私を助手席に乗せて家に送ってくれた人(柴田・ケント・賢人)についての話だ

流石に両親もまさとさんの事は知っている、お母さんは日菜みたいな笑顔を浮かべるし、お父さんは私みたいに眉間に皺を寄せるし…

今井さんが双子なのに紗夜はお父さん似なんだねって、自覚が有るだけに何も言えなかった

 

そして自覚があるといえば…

「そうね紗夜は柴田賢人(番犬)と仲がいいわ…」

湊さん??何を…ってまだ番犬呼びなのですか?

「ケント兄って、黒くて闇の眷族みたいで、あこ憧れます!」

「宇田川さん、眷属ですか…」

「…柴田賢人…?」

いつも大人しい白金さんがさらに大人しい…というか…夏に会いましたよね?どうしたのでしょう?

「その……氷川さん、柴田さんは…ピアノとか…されてませんか?」

「今は知りませんけど、杏子さんが言うには、かなりの腕前だったとは…」

「…あの方も、見覚えが…あるのですけど、もしかして…あんずの杏に子供の子ですか?」

読み方は本来は「きょうこ」と教えると、つっかえていた物が取れたのか胸をなでおろしていた

「…お二人とも、その筋では有名な方…でしたね」

どこの筋ですか?

「何故ベースをしているのかしら?」

その話には湊さんも興味があるようだ、それを言ったらまさとさんはベースとギターしてますよ

杏子さんは(あの人)いい人だよ✩」

今井さんも面識があったんですね…驚きませんよ、あなたも杏子さんも面倒見がいいコミュ力お化けですからね

「アタシがベースまた始めた時に練習付き合ってくれたんだよね、なんか技術の向上に利用させてもらったとか言ってたけどね✩」

半分本当で半分照れね…どこか杏子さんに今井さんが被ったのは接点があったからなのね

「確か、ギターも演奏()いてましたよ?」

「そうそう、相手に合わせてくれるんだよねー」

もしかしたら私の思ってる更に4段飛ばしくらいにとんでもない人かも知れないわね

 

いつもならすごーい♪を連発している宇田川さんが静かね?…寝ていたわ

心配してくれていたみたいだし疲れたのね

「本当みなさん今日はありがとうございます…」

宇田川さんも寝てしまったことだしそろそろ…

「な~に終わらせようとしてるのかな~♪肝心な話がマダだぞ✩」

「そうね、まだだわ」

「……(コクコク)」

今井さんはともかくあなた達もですか?

「あこが寝たし、ちょ~っとアダルトトークもOKだよ✩」

そこ二人も頷かない!

「はーい!お菓子と飲み物もってきたよ~♪」

日菜…あなたまで

今井さんの仕業ですね…

「さ~夜はこれからだよ♪」

不安も恐怖も関係なくなりありがたかったけど…

私達(Roselia)は明日も練習ですよ?

だから、そういう話は…

 

他のメンバーの色恋沙汰は絶対逃さないようにしようと固く決意しました




紗夜さんはRoseliaの後押しも手に入れました♪

千聖さんは?どうなるどうするワンマンアーミー


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二十話:お礼の品って・・・

氷川家は何回賢人にお礼してるんだろう?


「先日のお礼に伺いました」

インターホンを鳴らすと少し時間が経ってから目的の相手が出てきた

流石に家を知っているとは思ってなかったのでしょう、驚いていましたね

「そうなんだ、で…どうしてって日菜ちゃんか」

日菜からまさとさんの家の場所を教えてもらった…日菜曰く「おねーちゃんが昔に戻ったぁぁ」と泣いたとか泣かせたとか

…助手席事件にお家訪問事件とか『あなたの罪を数えなさい』をしてしまいました

 

車庫を通り、住居スペースに…まさとさんの部屋にあげていただいた

「いつも本当に申し訳ありません、今回もお世話になりました…」

持参した袋から箱とラッピングした…

「紗夜さんのクッキー♪」

日菜の言っていたことは本当だったのね…クッキー缶(だと思う)より、私のクッキーを喜んでくれている

 

「紅茶とコーヒーどっちがいい?」

キッチンに向かいながら声がかかる…キッチン対面式なのですね

部屋にお邪魔して最初の印象は…

変わった家とは聞きましたけど…男の人が好きそうな家ですよね

車庫の上に部屋とか好きそうですね…女性の観点から言わせると…階段の上り下りとか無駄が多いです、でも対面キッチンはポイント高いですね…

なにより…無駄に綺麗です?整頓されすぎていませんか??

これはご友人が掃除に来るのですね?通い妻状態なのですか!!??

 

「紗夜さん?」

「すみませんコーヒーをお願いします」

インスタントだろうと思っていたら…いい香りがしてくる

フィルターで淹れるペーパードリップでした…結構凝るタイプですよね?

紅茶だったら…Fortnum & Masonとか用意してきそうねと思ったら…Wedgwoodが棚にあった

知らないメーカーも…紅茶党なのかしら?…クッキー好きだからかしら?なんて考えていたら

「はいどうぞ」

青いマグカップとスティックシュガーと…コーヒーミルクに粉ミルクにミルクポッドを出された

「…?」

この乳製品(一部植物性)は…?

「ブラック派だった?」

「いえ、こんなにミルクが出てくると思わなくて」

人によっては植物性の油に色々足していて体に悪いとコーヒーミルクを嫌う人もいるし、粉より液体のほうがいい人もいるからと…

 

なんですその気遣い?普段空気読まない、人の気も知らない、恋心さえダイレクトに告白しても気づかないのに??

「まぁ、紗夜さんのクッキーがあるから砂糖はいいかなぁ~」

言いながら、いただきますと私に言うと早速クッキーを食べ…目を細めて美味しそうに食べている

…一気に毒気が抜かれた、何この可愛い生き物?なんなの??歳上なのに

「そういえば、思ったより片付いてますよね?」

部屋を見渡す、学生のひとり暮らしにしては広い、今はソファーとローテーブルと大きなテレビが置かれてる窓際にいるけど

キッチンには小さな1人用のテーブルが置かれて、小さなノートPCが置かれている普段はあそこがライフスペースなのだろう

…その証拠に二頭身フィギュアの充電台や何かが置かれている

こちらは、ローボードの上に小さいフィギュアやカプセルトイ、バイクとかが置かれている、ハードボイルダーとメモリーも並んでいて気になってしまう

「あ、全然触っていいからね」

…気になっていることがバレバレでした

男子玩具(こういうもの)には縁がなかったので…」

並んでいるメモリーを見ると…端子の色が…T2メモリー??

「まさとさん…こ、これって…」

「流石紗夜さん気づいた?」

「プレミア価格ついてる『J』のT2メモリですよね??」

テンションが上がってしまった…

でも一番は…『C』と『疾風』が♪触っていいと言われているので…

『しっぷぅ!』…あぁ…『しっぷぅ!』『きぃりふぅだぁ!』…『さぁいくろんっ!!』『さぁいくろんっ!』

「右派なんだね」

恥ずかしながら堪能しました…

 

「結局二人きりという恥ずかしさからRグッズに気を取られてしまったと…」

【CiRCLE】のロビーで作ってきたクッキーとお礼の…バームクーヘンを食べながらの結果報告

「はい…」

あの男(柴田賢人)は難しいわよ?紗夜」

「…友希那、両手に猫型クッキー持ってると格好つかないよ♪」

そういえば湊さんもまさとさんには多少縁がありましたね

「……」

宇田川さんが何か言いたそうにこっちを見ている

「なんですか?宇田川さん」

「いえ、紗夜さんもR好きなんだなぁって♪あこは魔法使いのRが好きなんです♪」

なんとなくそんな気はしていました、吸血鬼のRはどうなのでしょう?

姉である巴さんは予想通り太鼓のRが好きとの情報もくれた…渋いわね、そういえばたまに人差し指と中指を揃えてやる『しゅっ』をやっているような…

 

「……柴田さんは…好意はあるのですよね?」

白金さんが根本なことを言う…あると思いたい…

「そこが問題なのです…」

なんて私だけが少し暗くなっていたら

「ねぇねぇ、誰かの知り合いかなぁ?」

ほぼCiRCLE(ここ)のオーナーですよね?な月島まりなさんがおすそわけのバームクーヘンを食べかけのままカウンターから出てきた

「どうしました?」

CiRCLE(ここ)ではあまり見かけない車が止まって動かないから誰かの知り合い?」

今日はRoselia(私たち)が最後で、閉店まで報告会(お茶)をしようとロビーをいつものように使わせていただいていた

皆が身に覚えがない…いや…その…

「どんな車ですか?」

今井さんがあからさまにニヤ顔でこちらを見てる

「後ろだけだとわからないけど、緑のオープンカーだからロードスター…かな?」

『!♪』

な、なんですか、その生暖かい目はっ

「ほら、紗夜ぉ?早く行ってあげないとねっ✩」

「白馬じゃなくてかぼちゃの馬車が迎えに来たわね」

「そ、そんなこと」

確かにまさとさんの家から出る時に今日はラスト(閉店)まで練習とは言いましたけど…

迎えに来てもらえるなんて♪

いそいそと準備をするとまりなさんにお礼を言い、メンバーに挨拶を済ませると早足でCiRCLEを出る

『がんばってね~~♪』

何を頑張れというのですか!!

 

 

 

「リサ、何かしたのね」

「杏子さんに練習終わった連絡入れてみたよ♪」

閉店間近でスタッフの清掃もほぼ終わり、スタッフさんからおすそわけのお礼を言われながら

まりなさんを加えての話し合い(恋バナ?)が続いていた

傍目には次のライブの構成の話し合いに見えるでしょうね、たまにこんな事もあるから…

でも内容が…

「Roseliaで最初の彼氏持ちがまさか紗夜だったとはなぁ~」

本命リサ、対抗燐子、大穴あこ、私と紗夜は色恋に縁がないというか興味がないと思われている。

実際、紗夜を見ていてもあまりわからない…あの男(柴田賢人)は紗夜には悪くはないと思う

応援もしてもいいと思っている

でも…紗夜の音に何かあったら許さない

…今のところは良い影響しかないので大丈夫とは思う

「友希那~なにクッキー食べながら百面相してるの?」

それにしても…紗夜は腕を上げたわね、リサのクッキーに勝るとも劣らないわ

これで胃袋を掴んだのね、少し置いて行かれた気分になったわ…美味しいけど

 

 

 

「…で?何もなかったの??」

やはりまさとさんの車だった、まだ危ないからと送って頂きました

帰ってきてすぐ日菜にリビングで捕まり話をさせられた

それなのに、なにそのるんってしないのーーーーって日菜が呆れている

呆れられても困るわ、私から何かするなんてクッキー作るくらいしかないのだから

 

部屋でRグッズを見てきた話や、メモリーの音声が好きという話をしたら

剣のRのBD-Boxを貸していただいた話をしたら

「でも、ケントくんの部屋ってそうなってるんだね」

「え?見てないの?」

てっきり日菜のことだから上がり込んでると思っていた

「私は車庫だけだよ~、おねーちゃんも見てきた?あのバジンたん♪」

…逆に緊張して見ていなかった

「ほらこれ」

スマホを見せてくる、本当ね…何を考えてるのかしらあの人(まさとさん)

「そっかー部屋にまで上がっちゃったんだ、おねーちゃんがねぇ」

やめなさいそのニヤ顔

「…ところで日菜?」

どうして…まさとさんの家を知っていたのかしら??

そこら辺ちょっとお姉ちゃん教えて欲しいな♪

「おねーちゃん…怖いよ?」

そう見えるのは何かやましいことがあるのかしら?

「また、あなたの罪を数えてみる?」

あら、日菜ったら泣き顔も可愛いわね♪




次で「いぬ」が一応締めです。
「人」ではなく「ひと」に続きます

指摘いただいたように関係性の進みが遅いですからね


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二十一話:どうなったかって・・・

当初の予想通り戻れた…

 

目が覚めたというか、防犯ブザーの音に起こされた

カスタム防犯ブザー(あれ)を持っているのは三人、杏子と友人さんと紗夜さん…

聴覚が場所を教えてくれている…自分の感覚ともあっている

エンジンをスタートさせると一気に向かった

 

しかしここまでくると…お約束すぎる

手を押さえて車のフロント前に蹲る(お約束1)と軽バンを背に紗夜さんを取り囲もうとしていた覆面の人たち(お約束2)

 

なんかもう面倒になって一気に片付けてしまった

「なんか身体がすっごい楽に動くんだよねぇ」

『私もなぜかこんな動きが…』

レオンさんも1人…ん?

『どうしました?…あれ?』

…意識が繋がってる?

『後遺症みたいなものですか?』

なのかな、聴覚がレオンさんの時くらいになってるし

嗅覚はそこそこ普通…じゃないな…日菜ちゃんの匂い?

これ…普通に戻るのどれくらいかかるかな?

『楽観的ですね?』

レオンさんもどこかおかしいところありますか?

『大丈夫ですね、どこも劣化していないですね』

…ジャケットに入れてある結束バンドで気を失ってる暴漢の親指を纏めて覆面を剥がしておく

まぁ、なんとかなるよね

 

 

 

お馴染みの警察署…馴れたくないけどね

どうやら、レオンさんとは意識がつながっているというより、より明確な意思疎通が出来るって認識でいいのかも

聴覚がちょっと(・・・・)良くなってるのと嗅覚は…これはちょっと困るかもってレベルだよ

犬の嗅覚は内面も嗅ぎ分けてるのかもしれないね、人に戻って感覚が変わったからかもしれないけど

嫌な臭いに辟易していたら、腐臭を放ってるいつものインテリヤクザモドキと杏子が軽くやりあっていた

杏子も忙しくなるから(司法試験準備)いい加減見過ごせないんだよね

それにしても…とうとう言っちゃたセリフに大笑いしちゃったね

今時

「お前議員に逆らって」

言う人間がいるなんて、アホ過ぎて笑った

「いや~~まさかこんなセリフ聞ける日がくるなんてw本当頭腐ってるね性根も腐ってるから」

嗅覚が異常認識してるから吐き気がしてきた

その匂いより強い不安・恐怖の匂いがしてきた…紗夜さんだね。流石に今回は本当ダメだろう

震えてる手を握る、少しでも不安感が減少するように、不安を受け取れればと…

 

杏子がほぼ壁をしてくれたけど、流石にまたさせるわけには行かないよねと考えてたら

いい匂い…いや香りと言う方がいいよね、刺激臭の中に清涼感がある

「おねーちゃん!」

紗夜(氷川)(さん)!』

かなり紗夜さんから不安感が薄まってきた…妹とか仲間って本当いいものだよね~

「ひさしぶりね」

そう言えば友希那()仲間(メンバー)だったよね

性格は相変わらずなのかな?

 

その後は新しい感覚のせいで疲れたので認識がいい加減かも知れない

なんかJKに囲まれるというめず…いやレオンさんで体験したや

でも何かいたたまれないのは変わらないよね

 

その後なぜか紗夜さんを助手席に乗せて家に向かったけど…(杏子が1人乗れないからと言ってきた)

僕紗夜さん家知らない(事になってる)はずなのに案内(ナビ)してもらうの忘れてたよ

紗夜さんも精神的に疲れてるから気づいていなかったようだけど

いざとなったら…日菜ちゃんごめんね♪

 

 

 

「数日経ってみたけど」

いつもの川原でそれぞれ元には戻ったけど相談(密会)は続けてたんだよね

『私は変わりありませんね…多分』

「レオンさん…ごめんレオンさんの影響で匂いで色々わかるみたいなんだよね」

『どういうことです?』

「感情とは違うけど…なんか匂いで判るみたい、今レオンさんちょっと隠し事してるでしょ?」

嫌悪というか困惑した匂いでも優しい…心配してくれてるんだね

『またやっかいなものを…』

「まだよくわからないんだけど…」

多分感情に鈍い僕への置き土産と思ってる

『よくわからない?』

「千聖さんから紗夜さんと同じにお…いやこれも香りだね、出てるんだよ」

『氷川様とですか?』

「レオンさんなにか察してるでしょ…さっきの隠してる匂い強くなったよ」

『そうですね、これは人に教えて貰うものではないですから、自分で答えを導き出して下さい』

「なんかレオンさんはなんだかんだでお兄さんだよね」

『私は友人と思っていましたけど、嬉しいですね』

嘘のないいい香りが漂う

「やっぱりいいひと(犬)だよね」

『犬ですけどね』

表情もわかってくる…やっぱり僕がその体でいる時より格好いいし大人っぽく見える

『入れ替わりの仕組みはわかったのですか?』

「仮説だけどね、また車運転したくなったら言ってよ。叶えるから」

案外単純なことだとわかった…あと…

『そう言えば、日菜様とも意思疎通ができるみたいです。思考までは追いつきませんでしたけど』

日菜ちゃんは表情と感覚で的確に理解してくるんだよね、さらに精度が上がったんだね

「…助かるけど、なんだろね?仮説増えちゃったよ」

実は人間に親しく知能のある動物の言葉が分かるようになった…

「人の言葉を理解している動物とは話が出来るみたいなんだよね」

ドクタービーストの三代目を目指すのか僕は?

初代黒人、二代目白人、三代目黄色人種?

『それは…どうして?』

「人に馴れた近所の猫から、『あの猫のお嬢ちゃんはもうこないのかい?』って聞かれたよ」

びっくりしたよ本当、どこから聞こえるのかと聴力良すぎてとうとう精神にきちゃたかぁと観念するところだったもん

『ひとに戻ったのに、それは驚かれましたね』

「映画のあの驚きが他人事じゃなくなるとは思わなかったよ」

笑い合う…日菜ちゃんの都合が付いたら今度はレオンさんはバイクに乗りたいそうだ

それもサイドカーの方に、なんでだろうね?

でもこの時のレオンさんからも千聖さんや紗夜さんに似た香りが感じられた

「いつか解ったらそういう話もしようか、お兄さん」

『いつでも歓迎ですよ(義)弟(きょうだい)

この歳になって同性の親友といえるひと(犬)が増えた

やること考えること挑戦することは相変わらず増えていく

やりたいこと再挑戦することも山積み

今回の事で人に相談するという事を思い出したし大事だと再認識した

ありがたい事に僕の周りは自覚のない天才が多い

『なんとかなる』し『なるようになる』のだから

「さて、今日は午後からもレオンさんと会うかもだよ」

『とうとう受けられますか!?』

「お金も欲しいし、見聞を広めたいからね」

『車一台増やすんですよね?』

「それはちょっと悩んでるんだよね、外の駐車スペースも使えるから車庫はスタジオにしようかなって」

レオンさんその呆れた空気出さないで…匂いとしてわかるんだから

『お金…どうするんです?』

貯めればいいんだよ、貯めれば♪

 

「レオ~~ン帰るわよ♪柴田さんもまた後でよろしくお願いします!」

ベンチから千聖さんの声がかかる

『お嬢ご機嫌ですよ』

「みたいだね~なんかいい香りでてるみいたいだし」

『では健闘をいのります』

「うん、ありがとう」

手を振って見送ると

 

「賢人くん?」

ロードワークの終わったご友人が戻ってきた

「お疲れ様」

この人もいい香りを出してて落ち着く

「今日はバイトの面接ですよね?」

「そうだね」

家に向かいながら会話をする、そういえばこれも久しぶりなんだよね

「うちの事務所も募集していればよかったのに…」

事務所までお世話してもらえませんって

「応援してますね!」

「ありがとう」

じゃ、家までは走りますかって…そんな事してたのねレオンさん

 

そして、いきなり面接が決まったのと

ここ数日の問題の波が一気にやってきた

 

「ひとの生活は大変だよね…」

 

 

第一章 いぬの生活

 

終了?




なんとか第一章終了?です

「ひとの生活」に続きますが
「人のせいかつ」ではありません

今後共よろしくお願いします

「ひとの生活」始まる前にヒロイン座談会をまたやります♪


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終幕?:本来あってはならない座談会inシバケンの部屋

見ていただいている方ありがとうございます。

ちょっとやりすぎた気がします…が

よければお楽しみください。


ということで

本来あってはいけない座談会inシバケンの部屋ーー!!

『わー♪わー♪どんどんばふぱふー』

はい、メインヒロインだれもぱふぱふ出来ません♪

『おいっそこのモデル(スレンダー)体型!』

そう、私もそこまで大きくないのよ…

 

ということで、第一章?終了あんど評価とお気に入り少し増えた記念の座談会です

 

はい、代理人の実はいいとこ(任侠)の困ったお嬢さんこと杏子だよ

では順番に~

「本命ヒロインの筈?な白鷺千聖です(キラキラ)」

もう、その光の粒子だけでも頂戴!もう、千聖ちゃんしゅきぃぃ

「対抗ヒロインの氷川紗夜です」

書いてる人を肥らせる要因(ポテトイーター)きたー!

でも、この話あまりポテト出ないよね?

「皆さんがネタにするのであまり表立ってないですね」

「というか、犬の姿だと食べれないからだよ。はい、大抵の事を知る大穴ヒロイン日菜だよ♪」

クッキー食べたくらいだっけ?

「某有名アイスクリーム店のラブなんたら店の名前も食べたよ♪」

「日菜ちゃん?」

「あ、みんなあたしが食べさせてるや」

「レオンさんの体的には大丈夫なのかしら?」

そんなに食べさせてなければいいんじゃない?

「まぁ、作中何気に犬の姿でも欲しがったのはおねーちゃんのクッキーだからねぇ」

そうなんだよね、あのシバケンが拘るからねぇ

「柴田さん犬のご飯でも平気だったのかしら?食べさせておいてなんだけど」

あー、みんな知らないよね

シバケンは出されたものは余程嫌いなもの以外は食べるよ、味に関わらず

極辛ラーメンとかあるじゃない?

「人の食べ物じゃないやつかしら?」

「えー、味がはっきりしててあたしは好きだよ?」

「日菜ちゃんはバラエティでも完食してたわね」

うん、それ(極辛)だけど、手震わせながらも食べきろうとするから

嫌がらせで更に辛くした店員さんに謝られながら止められてたのよね

「でも、もったいないからって…食べきった…と」

その通り、さすが紗夜ちゃん

その後しばらく胃がおかしくて店長さんにまで謝らせる始末という

「馬鹿かしら?馬鹿よね??頭の良い馬鹿よね???」

あれから流石に極辛は食べなくなったかな?

「出せばなんでも食べきるのは…嬉しいような複雑な気分になりますね」

まぁ犬のご飯に関しては、レオンくんの体の為にあまり気にせず食べてたみたいだよね

「そんなこと言ってたね♪」

 

そんなシバケンが望んで美味しい美味しいと食べる紗夜ちゃんのクッキーは凄いのよ!

「あたしも好きだよー♪」

「確かにあのクッキーはおいしくて日菜ちゃんに持ってきてもらうと嬉しいわ」

え?食べたことないの私だけ??

紗夜ちゃん?私そこそこ付き合い長いよね??なんで??ねぇ?

「はぁ、なにも泣かなくても…ちゃんと今日のために持ってきていますから」

紗夜ちゃんのクッキーー♪

「湊さんも微笑んだ自信作です!」

…犬と猫の形?

「…あ」

日菜ちゃん言っちゃ駄目よ!

友希那ちゃんが微笑んだのは猫型だからだったなんて!

「いえ、普段なら猫型のを後回しにしてすぐには食べない湊さんが食べたので…」

それは本当に美味しいわ!

どうするコーヒー?紅茶??

「私は紅茶をお願いします」

「私もお願いします」

「あたしはチャイで♪」

チャイはないからミルクティーで我慢しようね

って、みんなコーヒー嫌いなの?

「折角のクッキーだもの」

「だよねー♪」

パスパレは紅茶ぽいよね?

千聖ちゃんの影響かな?

ロゼは…友希那ちゃんコーヒーダメじゃない??

「砂糖とミルク大量に投入しますね…甘いカフェオレですよあれは」

でも、コーヒーイメージよね?

「私と今井さんはブラックでも平気ですから」

燐子ちゃんもコーヒーぽいよね、あれ?あこちゃんもそんな感じしてきたんだけど??

「Roseliaは比較的というか…みんなライブ前は詰めるから必然的に飲む習慣ができた気がします」

あーあれか…ドリンク剤に頼らないだけいいのかな?

だから普段はのまないの?

「普段というか…そのここでコーヒーは…」

あーなにその乙女発想はーー三藤だけに砂糖吐いちゃうわよ~~

もう、昔の剥き出しの刃物みたいな紗夜ちゃん返してよ!!シバケンもげろーーー!!

「なんで説明してないのにわかるんですか!?」

代理人だから♪

「うんうん、おねーちゃん乙女だもん♪」

「日菜ちゃんわかるの?」

「え?なんでわからないの?おねーちゃんはケントくんの部屋(ここ)では、ケントくんの入れたコーヒーしかるんって来ないんだよね♪」

でた、日菜ちゃんの心ない「なんでわからないの?」わざとだね、千聖ちゃんを牽制してるの?

「ひ、日菜…」

紗夜ちゃん顔真っ赤だねー、反対に千聖ちゃん真っ青だね

「私の知らない間に…」

千聖ちゃんはもう少し素直に周り頼らないとだよね、花音ちゃんとか、日菜ちゃんも無下にはしないよね?

「おねーちゃんを裏切れないけど、千聖ちゃんも大事だからね」

「日菜ちゃん…」

そして、ケントの方は日菜ちゃんが貰うと…

「あんこちゃん言っちゃダメだよー」

あ、ふたりが変な顔してる

「日菜?」

「日菜ちゃん?」

だよねー、ダークホースだもんね

「おねーちゃんはまさとくんがいいんでしょ?ケントくんじゃなくて?」

あたしはケントくんにるんっ♪て来るんだって言われても、困るよねー

特に千聖ちゃんは柴田ケント賢人が欲しいんだもんね♪

「千聖ちゃんよくばりーー」

それちがうから普通は

まぁ、日菜ちゃんの考え方は紗夜ちゃんとの在り方を考えてだからねー

 

 

それにしても、氷川姉妹はR好きだよね?

「そ、そんなことは」

「好きだよー♪」

そこの引き出し開けてみ?

『!!ダフルドライバー??それも2個!!』

「あれをやれと?」

「おねーちゃんやりたいなら付き合うよ?」

キャッチは私がやるよー

「紗夜ちゃん、十分にケントに染められてるじゃないの」

この後疾風:紗夜、切り札:日菜で数回遊んでみた、『F』のメモリも見つけてくるんだもん…

「でも、ケントくんって左派だよね?」

…紗夜ちゃん、左もやりたがるなんて乙女過ぎない?

 

 

 

「で、結局なんで戻ったの?」

さぁ?

「うちのレオンも関わっているのよ?」

結果オーライ♪

「…杏子さん、少しお話しましょうか?それか一生口きかないでもいいかしら?」

あ、ごめんなさい、その、口止めされてて

「…本当に?」

多分なにも考えてないかとおもいます、千聖さま

あぁ、千聖さまに蔑まされてるぅ

かわいいのに女王さまなんてぇ

でも、千聖さま?レオンくんも結構あれですよ?

「知っているわよ」

え?どこまで??

「『人』のプロットまでなら」

それかなりメタですよ?

「ここでの会話用に教えてもらったわ」

え?私が代理人ですよ?なぜ?

「ふふ、私が白鷺千聖だからよ(キラキラキラ)」

千聖ちゃんしゅきぃ!!

 

「日菜、杏子さんはともかく、まさとさんは戻っているの?」

「あれから会えてないからわかんないけど、るんっときたから多分戻ってるよ?」

「確かに違和感は…感じられるほど余裕がなかったわ」

紗夜ちゃんどんどん可愛くなるね?

「おねーちゃんは綺麗で可愛いんだよ?」

さすがね日菜ちゃん

日菜ちゃんも可愛いよ♪

「そんなのあたりまえじゃん♪」

この子…

「あたしアイドルだし、おねーちゃんの双子の妹だよ?」

変な自覚はあるのね…

千聖ちゃん?うんうんて頷くのここ?

紗夜ちゃんも?シスコンだもんね…

「違います!」

「えー、おねーちゃんもシスコンになろうよー♪」

…ある意味ナルシスト??

「違います!!」

 

 

「それで、なにかカットした馬鹿場面の話をしたいとか?」

あー、流石に馬鹿すぎてやめたやつね

「まさとさんが、『お前の罪を数えろ』するんですよね、『J』のスーツ着て」

シバケン本当Rすきだからねー

ちなみに、Roseliaの『R』も好きだよー紗夜ちゃんのギターの入りが格好良いって

「///」

でも、練習したのはリサちゃんのベースパート♪

「落とさないでください」

「ベースと言えば、柴田さんはバンドするのかしら?」

あー、無理。私もだけど弾いてれば楽しいタイプだから

でも、合わせるのは得意だよね

「それは杏子さんもですよね?」

私はその程度のレベルだからね♪

「練習を見てもらった、Roselia(うち)のベーシストもその程度扱いですか?」

や、そう言うわけでは…

「冗談です、あまり自分を卑下しないでください」

女神の笑顔だ…や、紗夜ちゃん惚れちゃうかも、シバケン私と入れ替わって!!合法的に千聖ちゃんも紗夜ちゃんも頂くから!!

「うわー、とんでもないこと言い出したね」

あ、二人の眼が、ゴミを見るような蔑んだ眼に♪

って、馬鹿なこと言い過ぎると本当に嫌われちゃうから

「……」

千聖さま??

「よく考えたら私、杏子さんの事知らなのよね?本編では」

おめでとうございます!

次章では、シバケンがひととして動いているので、会えると思います♪わーわー

「試験の準備は大丈夫なのですか?」

…言わないで、あれ本当に大変なの

書いてる人の天才な友人でもなんたら黄帝液の高いの飲みまくって勉強して身体壊しかけて合格してたから

「現役一発って…」

無駄なことしたくない人種らしいです、書く人の正反対だよねー

 

「それはそうとして、杏子さんは何者ですか?」

んー、今は代理人という進行役?

「いえ、普段というか、本編では?」

なに?千聖ちゃん私が気になっちゃうの?惚れちゃったの??

「千聖ちゃーん、あんこちゃん(その人)そうやってごまかすからねー」

「わかっているわ、私の方が演技のキャリアは上なのよ?」

天才怖い(泣)

まぁ、ね、うん、そりゃ、シバケン良いやつだしね、うん、でもね?

私の方が背高いじゃん?

「そんなことなの?」

あとね、やっぱりシバケンにとっては手の掛かる姉なんだよね

私もどちらかというとおとーとだと思ってるんだよ?

だから紗夜ちゃん応援してるんだし♪

「……」

あ、千聖ちゃんは応援したいけどまだ会えてないからね、会えたら…

「あんこちゃんが千聖ちゃんをいただくと♪」

それいいかも……

「日菜ちゃん?ちょーっとお話ししましょうね」

にこやかに黒い千聖ちゃんが日菜ちゃんを引きずって部屋に…

あ、あそこまずくない?

 

「紗夜ちゃん?」

「なんでしょうか?」

外したベルトにメモリー挿して色々遊んでるの可愛い…

「…?二人は?」

気づいてなかったのね…

「あっちのお部屋だけど?」

「あぁ、あそこですか」

落ち着いてる?知ってるの??

「いいえ、なんとなく予想がついてて、簡単にいうと、開けるのが怖い扉ですね」

確かに怖いよね

「私はまだこちらの世界でいいです」

あれ?なんか勘違いしてない??

「勘違いもなにも、あそこにはご友人の服とか下着とかありますよね?」

紗夜ちゃんって損するタイプだよね?

「そうですよ、雨女ですし」

うん、確かに有るけど…?

「やっぱり…」

親友?(わたし)のだよ??

「やはりあなたがラスボスでしたか…」

まって!玩具でも痛いから!ちょっと待って!!

それ玩具にしては作りがしっかりしてるから危ないから!

「さぁ、あなたの罪を数えなさい」

それ、違うから、それオンドゥルさんの最終フォームのだから!!

「…オンドゥルルラギッタンディスカー!!」

紗夜ちゃんって染まりやすい??

 

 

「勉強部屋?」

はい…ここ何かないものないと思わない?

「あれ?ツインネックもM-Ⅱも無いですね」

あそこに入ってます

他には?

「本…も無いですね」

あそこに入ってます

「リビングすごい片付いてますけど…まさか」

うん、シバケン…いつ人が来てもいいように、人が集まってもいいようにしてるんだよ

「あ…」

紗夜ちゃん来てあげてね…話によると隣の借り手を見つけたら、となりのガレージ練習スタジオにするらしいから

「…迷惑になりませんか?」

大丈夫…私も借りるから!!

「あたしも借りる♪」

「そうね、事務所と契約してもいいし…なんとかできるわね」

ありがとう、でも…シバケン男友達欲しいんだよね

「レオンが友達…」

人の友達も作ってあげて欲しいんだけどね

「私達がその分も!」

…うん、ずっと言ってなかったけど

『?』

シバケン…女の子苦手なんだよ

『えーーー』

「それあたしわかる♪」

そう言えば日菜ちゃん距離のとり方上手だよね?

「うん、なんとなくピーンとるんっ♪ってくるから」

日菜ちゃん恐ろしい子…さすが大穴

「それ以前に私なんか全然触れてないわね、膝枕くらいかしら?」

「そんなことしていたのですか!?」

「紗夜ちゃんは何かと手繋いだり、手握られたりいっぱいしてるじゃない」

なんか本編で一切ない修羅場?修羅場なの??

 

「はいおねーちゃん」

「えぇありがとう、『P(プリズムッ!)マキシマムドライブッ』」

え?プリズムビッカー?

「千聖ちゃんもはいこれ」

「ありがとう日菜ちゃん…『ジオウサイキョーフィニッシュターイム』」

サイキョージカンギレード??

日菜ちゃん煽らないでーーー

 

この後無茶苦茶玩具で遊んだ…




ありがとうございました。

次章「ひとの生活」もよろしくお願いします。

ちなみによく話題にしてる「人のせいかつ」ではありません。
あれは書いていいものか…となっています。

ご意見・ご感想・評価、イージーモードをお待ちしています♪


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ひとの生活
一話:バイト以上社員見習い未満


新章「ひとの生活」です

よろしくお願いします。

ご意見・ご感想・評価…イージーモードでお願いいたします。


誤字・脱字報告もあると大変うれしいです。


だから呼ばれたのか…

 

前から千聖さんの口利きで芸能事務所のアルバイト(手伝い)をするか悩んでいたけど

こちらが決める前に事務所から来て欲しいと呼ばれたので話だけ聞こうと面接?に訪れたら…

 

会議室にいたのは

いかにもやり手です!という感じの女性と、正反対に穏やかだけど怖い臭いのする女性

そして、色々な臭いの混ざったおじさん達(多分偉い人だろうなぁ)

なに?この就職の面接??僕まだ卒業見込みもないからね?

 

「白鷺の方からよく話は聞いていますが、これはどういうことですか?」

出されたのは、スマホ、画面には…運転するレオンさん(僕の体onメガネ)とレオンさん(僕)と顔色の悪い日菜ちゃんがドライブしているのが映っていた

 

面接じゃなかったー

裁判だ、検事しかいないフルボッコにされるやつだー

「あー、それは千聖さん家のレオンさんが車に乗りたいと言うことで…」

嘘は言ってないけど、どう見ても

「なら、なぜ当社所属のアイドルが同乗しているのでしょうか?」

そうだよねー

日菜ちゃん変装とか一切しないからなぁ

レオンさん連れてたら余計にパスパレの氷川日菜と宣伝してるものだよね

忘れてたよ

 

「彼女とは、お姉さんと知己でして」

嘘じゃないよ?向こうは違うかもだけど…違うだろうなぁ

やり手の人が何か言う前にそれを抑えるように怖い人が口を出す

「そうでしたか、そうだとしても軽率ではありませんか?」

あ、まずい、こういう人苦手だ

注意するならすれば良いのに回りくどくて嫌味ったらしい…苦手だ…極力関わり合いたくない…面接中断してもらって帰ろうかなぁ

 

「そうですね、すみません考えが及んでいませんでした」

しかし!僕も成長したんだよ!耐えたんだよ

「本心かしら?」

やーーーだめーーー本当こういう人

これ昔から直さなくちゃと思ってるんだけど

 

上から目線の人には無性にやり返したくなる

…これ本当病気なんだよね、だから善を積まないといけないんだよ

そんな内心を見抜いて来たのか、人生経験の差なのか、そう考えると若干落ち着いてくる

 

「聞いていた以上に癖があるわね」

さっきから本当なんなのこの人、にこやかにいう、まぁ、試したいのは判ってたから

「年齢のわりには老成してる…というより、大人のなかで育ったのね」

はいはいだから友達も少ないですよ…嘘です皆無ですよ

なんなのこの人本当…よっぽど僕嫌われてるのかなぁ

「で、うちのアイドルに手を出した責任はどうつけてくれるのかしら?」

うーんこの人僕を煽ってるのかなぁ?

手をだすって言われてもなぁ

「具体的に言った方がいいかしら?」

え?何かあるの??記憶がないんだけど??

 

「これは?」

次の画面は…

千聖さんと川原にいる写真だ

これ…いつ撮られたのだろう?

あ、すごーく嫌な笑いしてる

これ、まさか、ここに永久就職させられる??

それはつまらないから嫌だなぁ

 

「あなたとの記事を抑えるのに…」

「良かったですね、記事にされるくらいにはなってきて」

言葉を最後まで言わせないことにした

つまらない…日菜ちゃん風に言うなら、るんってこない

急につまらないことを言い出すんだもんなぁ…

全部読めちゃったし…多分合ってるからもういいや

 

記事にされるのは多分千聖さんくらいだよね

日菜ちゃんは本人が芸能人の自覚がないから記事に意外性がまったくないんだよね

だから、取り上げることはない

レオンさん(その時は僕だけど)抱っこした吐きそうなのを堪えたアイドルの写真売り込む馬鹿がいたらあってみたい

千聖さんはこれは確証はないけど

ゴシップにはなるなぁ、でもね…どう見ても表情ないよ?

これ見てなにか思う人いる??

いつもの微笑みでも黒い微笑みでもない、これ見てもどう関係性を疑うの?

僕でもわかるよ??

この人本当になんなの??

あからさまに顔に出てきたらしく、やり手っぽい人がいい加減黙るのをやめて

 

「あーもう、なんでそう関係を拗らせたがるんですか!柴田さんになんかあるんですか!」

しびれを切らしたようにいう

この人匂いが一貫してて嘘がないタイプだね

「だって、彩ちゃんにあんな顔させる男なのよ?」

彩ちゃん?…2号か…

花音ちゃんのバイト先にひぃ(ひー?)ちゃん(青葉の幼馴染みと後で判明)という今風の子がいる、印象はぴんくでまるい?女の子女の子してて実はかなり苦手だったりするよ、花音ちゃんは大分馴れたけど…

 

どこが女の子?は推して察してね、母性がすごいところだよ

 

相変わらず関係ないかなと認識してないと、向こうから声をかけてきてくれるんだよね。よくいくコンビニ(紗夜さんの仲間の子(Roseliaのメンバー)がバイトしてたらしい)でコンビニスイーツをよく買ってる印象ができた、いや青葉がいうには「ひぃちゃんはぁ、その場でもがっつりぃ~」それ、かーびぃじゃない?とひぃちゃん?とかけてかーびぃと認識した。そして、同じく花音ちゃんのバイト先で少し細いかーびぃ(ぴんく)が現れたので「かーびぃ2号」と認識して、通称2号と呼んでいたけど、日菜ちゃんとも関わるようになって一応2号は丸山さんと関連付け、彩ちゃんにまで繋がったのは最近だったり…嫌に(犬の姿の僕に)抱きついてくる娘なんだよね

悪い子じゃないけど、なんか怖い

努力家で明るくて本当に良い子だと思ったけど、方向性が怖いときがある。僕の考えすぎかも知れないけどね

 

「あの子は色々気にしすぎなだけですよ」

だよねーって、日菜ちゃんとの(あの)写真や千聖さんとの(この)写真は彩ちゃんなのね、何時撮ったの?…怖いなぁ

パスパレに何かあったらと写真撮って事務所に報告かな??

「犬の心配までしてるんですから、本当あの子は…」

なにか複雑な気分な匂いがするけどなんか大変なんだろなぁきっと

毒気が抜かれてしまった…

うん、この怖い臭の人は、この人なりに心配をしてるんだね。

で、僕を敵視していると…なんでだろ?

 

「あの、話が見えなくなってきたので、本来の用件でお願いして良いですか?」

本来の用件は裁判じゃなくて、バイトの面接だ

…社員面接みたいだけどね

もう終わらせて帰りたい…

「あっさりぶった切るわね」

呆れた匂いさせないで?話進まないといけないよね?

「言うことはきちんと言うということですよね?」

好意的に取ってくれる人だなぁ…この人となら仕事できそうな気にもなるけどなぁ

「聞き取り調査によると、能力的には充分であると」

何の能力??

上の人達?ずっと黙ってる…

よく見てもわからないけど、違和感がする、嗅覚に意識すると…

複雑な匂いから同じ匂いがいくつかわかってきた、隠してる?楽しんでる?暖かい?

なんだ、この人達パスパレ好きな所属の役者さんか

なんかほほえましくなった

「どうしたのかしら?」

「いえ、みなさんパスパレが大好きなんですね」

おじさん達が顔を見合わせる

怖い人は「私は彩ちゃんが好きなのよ!!」

そんなことは聞いてないのに…出来る人は苦笑いして

「どこから判りましたか?」

この人が担当マネージャーさんかな?

「なんとなくです」

感覚的であって、本当にそうなのだから仕方ない

「氷川にも対応できるというのはこういうところなのね」

2号(彩ちゃん)推しさんが感心している、やはり日菜ちゃんとは合わないタイプだから苦労してるよね

「白鷺が推してますからね」

そんなに推してくれてるんだ…

「あの子は珍しく自分の為に動いてるだけよ」

どういうことだろう?

 

 

 

パスパレ専属見習い兼レオンさん専属マネージャーというよくわからない、バイトにしては良いのか悪いのか?な仕事になったのだけど…

あれで採用なの?コンビニのバイトの方がなんか内容濃くないかな?(一応少し経験したことある)

学生だし掛け持ちだしいいのかな?と思ってはや数日経っているのだけど…

とにかく事務所でよく視線を感じる

そうそう、レオンさんに指摘されたけど、結局僕は認識しないとなんでもどうでもよく見てないらしく、匂いも感じてないみたい。

言われてみればそうだよね、今も彩ちゃんと彩ちゃん推し(チーフマネージャー)さんの匂いしかわからないし…

で、なんで二人とも隠れてるの?

『なんでですかね?』

事務所に一緒に顔を出したレオンさんが恍けるように言う

心当たりはもちろんあるんだろうね、臭いが嫌でもしてくるからね

レオンさんは隠し事多いよね?

『それ、かなり厄介な能力になってますね』

親しいひと限定とか、余程強烈なのしかわからないよ

…親しい人?がレオンさん含めて少ししかいないけどね

『いい人なのに…』

偽善者だからね…わがままだから仕方ないんだよ…コミュ力ないし…

「ケントさん!レオンくんに暗いの感染(うつ)さないでください!」

隠れてた彩ちゃん(ピンク)が出てきた

この子の匂い(香り)はまっすぐで嫌いじゃないけど、なんか、僕にはよくわからない匂いなんだよね、香りなのか匂いなのかもわからなくなる強さなんだよね

いつもポンコツなのに芯があって、応援したくなるんだけどね

 

でも、なぜか敵意に似たものを感じる、なんだろ真っ直ぐな子はこんな偽善者きらいなんだよね

なんか悲しくなったきた…

「あ、その、ケントさん?」

なんだろ?嫌いな僕に慌てて声をかけて

「その、あの、言い過ぎたのかなと」

本当に良い子だよなぁ

って、レオンさん??なんで僕に軽く敵意みたいなの出してるんです??

『…いえ、なんとなくです』

どうしたの?

なんだろ、彩ちゃん(女の子)を困らせたから紳士として敵と見なされたのかな?

え、友達また減っちゃう??

『そんなことで減るようなのは友達じゃありませんよ』

レオンさん…本当格好良い

「あの?なんでレオンくんと見つめあってるのかな?かな??」

 

 

という事で、パスパレのメンバーと一緒することが増えた。

あと、アニマルタレントとして認知されてしまったレオンさんとも

本当ごめんなさい僕のせいです

『まぁ、お嬢が喜んでいるからかまいません』

本当大人です

現状ほぼピンの仕事がないのでパスパレと一緒なんだけど

パスパレのメンバーって女の子女の子してるようで違うから凄くありがたい

見てると凄く女の子なのにね?

『普通に女の子ですよ?どれだけ偏見を…』

そうなの?よくわかってなくてすみません

 

女の子って無防備にパーソナルスペースぶち抜いてくるイメージとかあるんだけど?

『パーソナルスペースあるんですね』

半径5メートルくらい

『一回よくお話しましょうか?』

千聖さんに似てますね…

「また二人してこそこそと…るんってしないなぁ」

タイミングよく話に割ってくる日菜ちゃん、今日は元気じゃなさそう?

「あれ?どうしたの?」

珍しすぎて聞いてしまった

「おねーちゃんが最近なんなおかしくて」

「紗夜さんが?」

 

何があったんだろう??




どなただったか
ひまりちゃんをカービィと言っていたのが
ずっとツボってて

普段もひーちゃん見ると「あ、カービィ」と思うし
「カービィ」のねんどろいど見ると「ひまり」と貼りたくなるくらいです。

オマージュという事でお見逃しください


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二話:学生以上社会人未満

「紗夜さんが?」

日菜ちゃんがあまり元気がない、理由は紗夜さん、それしかないよねー

「なんか、前みたいに部屋に籠ってて」

それは…ちょっと心配だよね

昨年秋頃をふと思い出す

黒歴史だけどまぁうん知ってるのは僕含めて三人だし

「杏子に探らせる?」

困ったときの姉貴分

千聖さんが誰?という顔をして皆を見ているけど、そか日菜ちゃんくらいしか知らないか

「うちの不出来な姉貴分ですが、紗夜さんとはそこそこ仲がいいので探りいれてもらおうかと」

「お姉さんではなく?」

幼馴染みだからね

「おねーちゃんとバンド組んではいないけど色々してもらってたみたいなんだよね」

「そんな人いたのね…」

そんな人って…意外すぎるのかな?

あれ?確か杏子って…あれ?何かあったような??

「ただいまー♪シフト出してきたよ」

何かあったような?思い出せないなぁとやっていたら

いつも明るく元気なピンクが参加してきた、トレーに飲み物とパイをのせてピンク(彩ちゃん)が戻ってきた

そう、ここは彩ちゃんのバイト先のファストフード店

紗夜さんにポテトでも差し入れたら?と言うことでやって来たついでになのか、シフトを出しに来るために提案したのか?彩ちゃんの提案で来たけど…何故か千聖さんも同席している。ちなみにレオンさんは外に繋がれている

彩ちゃんはレオンさんをバイト先まで散歩できて嬉しそうだった

「花音は休みなのよね?」

そういえば花音ちゃんのバイト先でもあるんだよね…って…

…あ、他の事思い出した…今日花音ちゃんの家庭教師の日だ!

「久々で忘れてた、ごめ、バイトだった」

慌てて立ち上がると、彩ちゃん以外のピンクが丁度紙袋とレシートをもってやってきていた

「あ、柴田さん!タイミング良かったですか?」

えーと、誰だっけ…そだ【かーびぃちゃん】だ、そうそうここのアルバイトさんだったね

「ありがとう、んー、日菜ちゃん送ってくよ」

紙袋をもち店を出る

まぁ、千聖さんと彩ちゃんはレオンさんがいるし大丈夫だよね?

外に出てレオンさんにそれだけ伝えると日菜ちゃんがついてきてるのを確認しつつ、いや、僕より日菜ちゃんの方が速いし体力あるよね…

 

 

 

「柴田さんと日菜先輩行っちゃいましたね?珍しい組み合わせですね?」

普段は花音を迎えに来るのかしら?あれ?私聞いてないわよ?

「花音の家庭教師、本当に忘れていたみたいなのよ」

なんで忘れているのかしら?時間とか約束には几帳面なイメージあるのに?だから事務所にも推薦してた。

実際学生なのに社会人並に真面目というよくわからない評価を得ている

そんな柴田さんが珍しいと考えていたら

「あれ?え?家までレオンくんと一緒?」

彩ちゃんの嬉しそうな声に、レオンなら立派にボディガードが出来る

…それを見越しての行動なのはわかるけど

 

本当何か言っていきなさいよ!

 

日菜ちゃんだけ特別みたいじゃないのよ!

…本当に特別なんじゃ?

いえ、いえ、いえ、ポテトもあったし…

でも、氷川姉妹と仲良いわよね…

なんかモヤモヤするというか、これは嫉妬ね、妬みね、僻みだわ。

あー、私はこういう感情に左右されるのが嫌いなのよ!

柴田さんが事務所位入り(入っていません)前より一緒の時間はたしかに増えた、でもそれは日菜ちゃんにも言えること

そして、日菜ちゃんは…なにその天才ってそういうことにも応用利くの??なレベルで柴田さんのパーソナルスペースに入っていく、正確には間合いの取り方が感心する位上手なの

柴田さんはなんというかあれよね?DTと言われる部類よね?

だから極端に女の子してる女の子が苦手みたい、いまもひまりちゃんとの会話数の少なさや目線が若干浮わついてるというか泳いでいるから…、確り一度は胸にいくのはまぁ柴田さんも男なのねという事で…

兎に角苦手にしてるのはわかる、普通の男子はひまりちゃん好きでしょ?

燐子ちゃんとか有咲ちゃんとか麻弥ちゃんとか??

あれ?でも、麻弥ちゃんとは話してるわよね??

胸じゃないの??

女神さん(ご友人)も大きいわよね?柴田さん(あの男)の基準がわからない!!

 

「千聖ちゃん??」

彩ちゃんが珍しいものを見る目でこちらを見ている、なんなのかしら?

「どうかしたかしら?」

なんなのかは私だ…慌てて取り繕う

「なんか、煮詰まってるのかな?なんて、なにかあるなら話聞くくらいしかできないと思うけど、聞くよ?」

そんなに傍目にわかるのかしら?

「ありがとう、彩ちゃん。でも、もう少し頑張ってみるわ」

またやった…、ここで相談が出来ないのが私の弱いところだ、前も心配かけたのを思い出して申し訳なく思う。でも、なんというか、こういうことはね…恥ずかしいじゃない?ハンドの事なら大分話せるようにはなったけどね

「帰るときすこしお散歩(遠回り)して帰っていいかな?」

話をすぐ切り替えてくれるのも彩ちゃんのいいところね

「レオンくんとお散歩久しぶりだし♪楽しみなんだ♪」

本当うちのレオンを好いててくれて嬉しく思うわ

 

 

 

「遅れてすみません」

家に戻り、日菜ちゃんを送り松原家へ到着したときには予定していた時間より少し過ぎていた…遅刻をしてしまった、時間を守らないの嫌いと公言してるだけにへこむ

「いえいえ、連絡いただいてますし、ほんの少しですから気にしないで下さい」

玄関で迎えてくれた花音ちゃんのお母さんはそう言ってくれれたけど、本当気を付けよう

レオンさんと入れ替わって、家庭教師習慣が薄れていたんだね、本当に忘れていたんだから申し訳ない

切り替えて、花音ちゃんの部屋に向かう、ノックをするとすぐ返事が返ってくる

「待たせてごめんね、その分ちゃんと頑張るから」

 

女の子女の子した部屋だと思っていたけど、大分なれたんだよね。

全体的に白に近いアイボリーで落ち着いてて、ライトブラウンやブラウンで纏まっててなんか花音ちゃんぽい

クッションとか置いてあるぬいぐるみがクラゲなのが個人的に好きだ、丸いものを愛でることには僕はかなり拘る

某らいおんや、某ねこ型ロボとか、某くまとか節操がないくらい好きだったりする

先日バンドのメンバーからプレゼントに貰ったという大きなクラゲクッションが正直羨ましい

 

さて、花音ちゃんに何を教えてるかというと…なんだろね?

なんでも教えるよ?

花音ちゃんが学校で解らなかったことをメインに教えてく感じかな?

実は前は家庭教師センター発行の教材を使っていたんだけど…

この教材が、今だから言うけど…カス、正直初家庭教師先が松原家でよかったよ

最初は我慢して使ってたけど、意味が無さすぎる

という事で、お母さんに話をしてお父さんを交えて話をしたところ

 

なんと、クビになった(笑)

 

そして、個人契約で家庭教師をすることになった

なんか、凄く喜ばれたんだよね

どうやら今までの先生達は疑問にも思わず教えていたらしい

学校によってというか、極端に言えば先生によって進み方もなにもかも違う

僕が極端な学校にいたのもあるけど、塾とかもそういうこと考えてないから(考えいる塾は同じクラスの生徒がほぼ学校と同じメンツになる)

 

同じ学校出身の大学生さんに家庭教師をお願いしたんだよね、OBだからわかって教えてくれるから本当助かった記憶がある

だから花音ちゃんもちゃんと学校の内容を聞き確り学習計画を…するはずだったんだけど

花音ちゃん家庭教師いらないでしょ本当は

だって…教える事少ないんだよ

この子も学校の授業だけで何とかなっちゃうタイプなんだろうね

アルバイトして、バンドもして凄いよね

ご両親はそれを応援してるから家庭教師をつけてるのだろう

 

…最近はなんか勉強より違うことを期待されてる気がするけど

 

まぁ花音ちゃんは妹みたいで可愛いから懐かれるのも悪い気分はしない

弟くんも男同士なにか通じ合うものがあったのか…単に僕の精神年齢が低いからなのか、懐かれているみたいだ

わざわざ携帯のRのエクシードチャージングファイズプログライズキー見せに来てくれるくらいだし…

いや、うん、多分絶対、精神年齢だよね

R好きは仕方ないんだよね

格好いいんだもん(中二発言)

 

あれ?そういえば何か忘れてうような?




千聖さん…君の親友も油断ならないぞw


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三話:先生以上お兄ちゃん未満

-家庭教師の斡旋(家庭教師センター)の家庭教師

 

両親を心配させないために黙っていたけど、やる気がないというか、マニュアルをこなす人しかいなかったんだ。

 

家庭教師センターが発行している教材をただやるだけ、それだけの家庭教師、それって教師なのかな?

そんな人、「先生」って呼びたくないよね?

 

あと、私の生来の人見知りもあって、なるべく女性(花咲川のOGが良かったんだけど)の先生をお願いしていたけど、何かしら理由をつけて来なくなる人が大半で

 

…とうとう男の人が来ることになった。

 

もうどうしよう(泣)

と千聖ちゃんに相談をしたら

 

「流石に、家庭教師に同席はダメよね?」

それは判っているけど、本当どうしようと困ってたの

「初回は家の人と顔合わせもあるのでしょう?」

特に今回は初めての男性の先生という事で、両親も心配しているから初回はそういう話になってる。

「その時に、どうしてもダメそうなら初回の授業だけは友達と一緒はダメか訊いてみるのはどうかしら?…そう伝えてもらうのはどう?」

千聖ちゃん、私が自分で言えないの見越して言葉を付け足したよね?うん…言えないと思うけど

「うん、そうしてみる、ありがとう千聖ちゃん」

少し気が楽になった気がする

本当千聖ちゃんには頼ってばかりでごめんねって思う。

 

結果として、柴田さんは男性だけど小柄で大人しいタイプで今までの家庭教師の人より、真面目で優しい人だった。

なんでも、自分も家庭教師さんに助けられたから、やるならそんな家庭教師をしたいんだって、すごい人だね。

初めは指定された教材を使おうと私に学校での各授業の進み具合の確認や内容とのすりあわせをしていたけど…

「ご両親にお話があるんだけど」

人生で言われたい台詞のひとつだけど、何か違うよね?

ちょっとだけ慌てたのは忘れて欲しいな

 

結果、両親を交えて色々と話し合いをして…

 

柴田さんが「教材を使わない家庭教師」としてクビになった。

 

教材費の返却は請求しない(出来ない?)で、そのままその家庭教師派遣の会社との契約を断った(何回も先生が代わっているのと、今回は意に沿わない男性だったから違約金的なものも無し)

 

今は柴田さんに個人的に家庭教師をお願いしている。

 

すごいよね、確りしているのは世間の相場と自分の払われてた報酬額と家庭教師派遣会社にお父さん()が支払っていたお金をきちんと比較して、報酬的にも丸く納めてくれた。

お母さんが「取るとこはきちんと取って、経済観念が確りしてる」と誉めていた。

最近は事あるごとに「柴田さんが長男なのがねぇ」と溢している。

何を期待しているんだろ?

勉強中(柴田さんが)わざと開けている部屋のドアをお茶を持ってきたタイミングで閉めていったり、もう少しラフな格好にしたら?とか…

 

私は柴田さんはお兄ちゃんであって、恋愛(そういう)対象としてはみていないんだけどね

なにより

千聖ちゃんだよね

あの千聖ちゃんが柴田さんが絡むとかなり面白いことになるんだ

初めて会わせた時からおかしかったよね?

あの千聖ちゃんが動揺を隠せないの初めて見た気がする

なにかあるとは思ってるけど

千聖ちゃんはどうして私になにも言わないのかな?

いつも助けてもらってるから力になれることは力になるのに…

 

でもね、賢人お兄ちゃん(柴田さん)の妹になりたいと言うのはダメだよ?

 

そうだ♪

千聖ちゃんとは姉妹みたいなものだから、

柴田さんと千聖ちゃんをくっつければ…実質私は柴田さんの妹だよね?

 

うん、私は妹がいいんだ

だって、恋人や夫婦は別れたら終わりだもん

妹は違うでしょ?

 

確かに別れなければ、恋人・夫婦(その)関係は続くけど

 

妹は、嫌でもその関係は続くから…

 

弟くんも協力してくれてるし、両親はなにか勘違いしてるけど応援してくれている。

 

私は賢人お兄ちゃんの妹がいいんだよ?

 

 

 

???

「どうしたの?」

…なんか怖い思念に襲われた気がする?

昔から似たものを感じたことはあったけど、最近無かったからなんか怖いね

「なんか懐かしい??」

本日は花音ちゃんの家庭教師だったので、そのテンションのままで教えれるという事で同じ日に杏子の勉強を見ている。

と言っても、流石に専門的なことは付け焼き刃なので兎に角過去問をさせている。

昔からこの方法が杏子にはあっている、間違えたところを確り解釈させて覚えさせる。

理解力があるから結構すんなりだけど、今回の国家試験(相手)に効くのかは…まぁきっと大丈夫かな?

 

「なんか、昔よく食らった感覚が、ゾクッときた」

読んでいた本を置き肩を回す

元々憑いたなにかを剥がす気分でやっていたけど、久々だけど身体がそう動くようになってるね

「うーん、あの馬鹿達かなぁ」

三流政治家さんの息子さんとその彼女さんは親が失脚(これまた馬鹿みたいた理由)したので今どうなってるのかは杏子任せだけど

「あれは、ちゃんと更正するとこに入れたから」

え?あれ(20歳)より歳下(未成年)なの??なんか複雑な気分だ

と言っても、全然顔とか覚えてないけどね

一通り区切りが付いたのか伸びをしながら

「そう言えばこの間紗夜ちゃん部屋(ここ)に来たんだって?」

お茶請けに出したバームクーヘンで気づいたのだろう

氷川さんのお母さんはお礼の品のセレクトが良いよね

最近はこのバームクーヘンを貰う

最近人気な外側にコーティングしてあるやつではなく

シンプルなんだけど本当美味しい

実はクッキーに次いで好きなお菓子だったりする

 

「お礼に来て、少し話したくらいかな」

部屋(ここ)に来た女性では三人目になるのかな?杏子はカウントしていいのかわからないけど、一応女性だしね。

日菜ちゃんは車庫だけだったからノーカンだね。

ふーんと興味があるのか無いのか…ってそうだ!!

「危ない、忘れるところだった」

「どうしたの?」

「その紗夜さんがなんか引き篭ってるらしくて日菜ちゃんが心配してたんだよ」

「あー」

心配じゃないというより…心当たりがある感じだよね?

「なんか知ってる?」

「うーん、まぁ大丈夫なのは間違いないから、日菜ちゃんには私からLINEしとくよ」

杏子がそう言うなら大丈夫だろうけど

「気になる?」

「まぁ、なんだかんだでね」

いつの間にやら付き合いも長くなってるし、あの姉妹はどこか波長が合う。

紗夜さんとは本当色々あったと思う、大学からのあの友人より関わってるかもしれない

「あれ?」

杏子が珍しいものを見る顔をしている

「なに?」

「シバケンにしては見えてない相手を気にしてるなぁって」

見えてない…視覚的にという意味だ、

目に入る人間が困っていたら助ける。

目に入っていない(見えてない)人間は助けることができない…だから偽善者

「流石に見えてなくても気にはするよ」

何故か杏子が嬉しそうな顔をしている。

なんかお姉さんぶってるな

まぁ実際面倒見も良くてお姉さんだけどね。

「うんうん♪いい傾向だね」

なんだそれは?

なんか勘違いされてるんだよね

こう見えてもちゃんと恋愛観はあるんだよ?

ただ…自分でも面倒くさいと思うんだけど…

 

子供の頃に一目惚れをしたあの子をまだ気にしてる

 

その影響かな、違うとわかっていても綺麗な長髪(ロング)の女性に自然と目が行く。

自分の記憶の割り振り方の潔さがこればかりは恨めしくて仕方ない。

普通の使い方なら、顔や名前をしっかり覚えてるものなんだろうけど…

覚えているのは髪が綺麗で長かった印象と、何故か惹かれ、未だに気にいている。

 

まぁ、そのあまりの気持ち悪さに杏子は長くしていた紙をバッサリ切ったんだよね。

あの時はなんか複雑な気分だった。

今でも、長いほうが美人なのにと言うと

「それ絶対拗らせてるよね?気持ちわるいよ」

酷い言い様だった。

 

ここまでくると病気か呪いなんだろうなと諦めも出てきた。




あれ?
それって…誰?
(バンドリは幼少期から髪の長い子多いからねぇ)


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四話:小火以上焚火未満

いつも見ていただいてる方ありがとうございます。

少し間が空きすみません

モチベが上がらないとか書きたくないのですが

…上がらないorz


ご意見・ご感想お待ちしています。


白金さんにまさとさんの過去がわかるものを提供して頂いた

「本当にピアノ弾いてたのね…」

小さな子のピアノの発表会と思いきや歴としたコンクールの動画だった

…その、新しい扉が開くかと思ったわ

なにこの可愛い子?

半袖半ズボン♪サスペンダーに蝶ネクタイって…

今も男性にしては小さめだけど、反則な可愛さだわ

そんな子がピアノを大人顔負けの正確さで弾いている、その正確な演奏は私の音楽(ギター)に通じるものを感じた

この頃に講師に基礎の大事さを叩き込まれたのかしら?

そして、動画(これ)を見ていて、凄いと圧巻されても楽しい音だとは思えなかった…

少し前の私と同じだ

…少しだけ興奮が冷めたのか、まともに動画を見ることができた。

なんというか、今のまさとさんに感じる変な面白味はない

子供に混じっている事への違和感?変な老成感がある

なにより、感じるのは真っ向勝負、今みたいな応用を利かすというのではなく、愚直なほど頑なに真っ直ぐな印象

このまま育っていたらどうなっていたのかしら?

 

「それにしても…白金さんも可愛いわね」

元々白金さんのご家族が撮影したのだろう、白金さんの演奏もあった、印象は今と変わらないけど、その持った音楽性はこの頃から凄かったのだとわかった

それにしても…

「この頃は普通なのに…」

どうしたらあのように育つのか…いつも生徒会室で市ケ谷さんと二人に見せつけられる身としては甚だ遺憾だ

なんて考えていたら、腰まで伸ばした少し赤が入った綺麗な茶髪を靡かせた身長が若干高めの子が出てきた

どこかで見たような?

その演奏は苛烈だった、白金さんのあとだと際立ってわかる感情で弾いているけど技術も伴っている

…格好良い

子供に使う言葉なのか分からない けど、その姿は際立っていた

演奏が終わり、その満足そうな顔に見覚えが…

杏子さんだ、今でこそショートカットにしてるけど面影がある

なにより演奏後の顔が今も変わらない

正確無比な奏者に感情を豊かに楽しんで演奏する奏者

こんな二人が同期にいたら白金さんも性格的以前にコンクールから遠のくのが少し納得でき…

違う…年齢的にこの二人が居なくなったからコンクールがつまらなくなった?

白金さんはあぁ見えて負けず嫌いで芯が強い、あの二人が居なくなり面白くなくなったのね

だからあの二人を覚えていたのね…まさとさんは覚えているのかしら?

…覚えてないわね

確証を得るくらい分かっている

まさとさんは記憶の割り振りが潔い程極端

人の事を覚えないのは、その分の記憶容量を他に回してるらしい

あきれたけど、何故か納得できる

 

だから、覚えていても

「(髪が)黒くて長いピアノの子」くらいかしら?

覚えてないわね…

お母さん「クッキー缶の子」は不本意だったけど記憶させるのにこれ以上無い要因をありがとう!

バームクーヘンの子よりは本当覚えやすいし…違うわ…

「しかし、白金さんはあの二人に固執していたのかもしれないわね」

データ量が凄い、見るために部屋に籠ってしまった。

日菜にも見せてあげようかしら?

まずは自分で目を通してみましょう

「杏子さんにも聞いてみましょう」

当事者で幼馴染みだ、なにか秘蔵の品があるかもしれない

 

 

 

「もう、おねーちゃんあまりびっくりさせないでよね」

流石に篭りすぎて心配をかけたみたいね

今は部屋を出てリビングの大きなテレビの前にいる。

こんな大きな画面は必要ないと普段は思っていたけど、映画を観る以外にも役に立ってくれている

子供の頃のまさとさんの演奏を見ながら

「え、なにこれ?おねーちゃん??るんっと来ちゃうよ?」

…やっぱりこうなるわよね?私間違ってないわよね?

年下趣味に走っても不思議じゃないわよね?本人はもう成人していますけど

良かった、少し悩んでいたのよ

「一人でこんなの見てたんだね?」

そのニヤ顔やめなさい

流石にすこし反省しているから

 

 

「ご心配お掛けしました」

何故か目の前にポテトを積まれた状態で同席している、まさとさんと杏子さんに頭を下げる

少しだけ納得していないのは

私なにもしてないのになんで?まぁ心配していただいたのは嬉しいですけど…

 

それにしても、あの可愛い子がこうなるのですね…

 

相変わらず黒い装いのまさとさんを眺める

童顔なのよね…(目付きは微妙だけど)

相変わらず肌は白いし…(ちゃんと日にあたっているのかしら?)

これで背がもう少しあれば文句無いのに…(私の背の高さを恨みます)

「紗夜ちゃんどうしたの?」

何故か杏子さんがニヤ顔で訊いてくる、多分わかっててきいている

「時の残酷さについて少し考察していただけです」

なぜかつぼだったらしく大笑いをこらえている、あなた(杏子さん)の事も含めてですよ?

 

席は、座席奥に杏子さん、その隣通路側に私、ポテト()挟んでまさとさん、無言でポテトを食べ続けるまさとさん、ここのは美味しいから気持ちはわかります

「人外盛りがもうなくなりつつあるんだけど…」

杏子さん何を驚いているのかしら?

「お待たせしました~追加のやけ食いウルトラ(人外)盛りです♪」

上原さんが追加の揚げたてを運んできてくれた

トレーに山盛りになってるように見える、これがウルトラ盛りの醍醐味です

「家だとフライヤー出さないとこの味でないんだよね」

揚げたてをおいしくいただきながらまさとさんがそんなことを言う

あの部屋色々あるんですね…またお邪魔したいです。

ちなみに、ウルトラ盛りはテイクアウトが多いらしい、揚げたてが最高なのに…冷めてもおいしいのだけど

「柴田さんも結構食べるんですね?」

上原さんが空いたトレーをもちそんなことを言う、少し言い回しが気になりますが、下手なことを言うとこちらが危うくなるのは察しているから何も言わないわ

「揚げたて本当に美味しいんだよ」

「ケチャップとか大丈夫なんです?」

言えばもらえることは知っている、この塩だけのシンプルさがいいのに分かっていない

「美味しくないとこのはもちろんもらうよ?」

ここは美味しいと言えばいいのに…

「巴、喜ぶと思います♪」

あら、会話が成立するのね…

少しだけ黒いものが生まれかけました

「紗夜ちゃん?」

なんです、そのニヤ顔やめてください

「ところで、その、柴田さん?」

上原さんが先程からしきりに気にしているのが

「そちらの方は…」

そう、杏子さんってファストフード店(ここ)に来たことが無かったみたい…柴田さんと来たものだから一部の人間の詮索する視線が集まっている

「紗夜さんの友達で僕の幼馴染みだよ」

柴田さんにしては解りやすい

「その、多分、【TRINITY】の杏子(あんこ)さんじゃないですか?」

そう言えばそんなバンド名だったような?スリーピースバンドなのよね?

「Afterglowのベースさんに知られてるとは…ベース繋がりで目つけられたかな?」

言われ慣れてないのか、少し恥ずかしそうだけど…凄い言いぐさよね、そんなものだと私も思っているけど

「ボーカルなしのインストバンドなのにカッコよく聴かせるって玄人受けしてるじゃないですか!」

確かに、私が居たときもボーカルいませんでしたね、それであのボーカル(ヘタクソ)に目をつけられて、さらに燃焼物()が入ってあの事件

…更に湊さんと色々やらかしましたからね…

 

あれ?火薬庫にガソリン撒いて踊ってた感じかしら?

よくあれだけで済んだものね

「そう言えば、数回だけだけど友希那さんと紗夜さん含めてセッションしてましたよね?」

そう、少しだけ一緒にしたこともある、あの頃の湊さんと私はあの演奏では我慢ができなかったのよね…今は?

そんなのRoselia(うち)があるのに何を言っているのかしら?でも、そうですね、いつかセッションはしてみたいですね

なんて思いを馳せていたら

 

目の前に不快な突起物があった、パンチングマシーンみたいにベチベチしたいのを堪える

白金さんのといい市ヶ谷さんのといい、なんですかこの邪魔で邪な物体は!

「TRINITYの杏子さんと繋がっちゃったよぉ♪」

バイト中に個人携帯持ち歩けるとか、ゆるゆるですね、丸山さんも持ってましたね…松原さんと宇田川さんしかまともな人はいないのかしら?

脂肉の塊がどいたので…退いたので…

「あの、ポテトが…」

ほぼなくなっている…柴田ぁ!!

なんて言いませんよ、この人変なところで子供っぽいことするんですよね

「そんな涙目にならなくても」

慌てて、上原さんから再度受け取ったトレーに移していたポテトを慌ててだす

「泣いてなんかいません!」

 

 

 

「何この人達…ポテトでバカップルし始めたんだけど」

信じられない光景だった…

だってシバケンだよ?

「最近たまにこうみたいですよ?」

ひまりちゃんが何故か微笑ましげに見ている、え?なに目線なの?

それより嘘でしょ??

…これはお赤飯炊かないとだめかも

「賢人が、人にちょっかいかけるなんて…」

思わす本名呼びしちゃうわよ

信じられない…人に全く興味がないわけではないけど、自分からこういう嫌がられる?というかちょっかいかける様な事は殆どしない

しても、私やかなり親い人間にくらいの賢人が…お姉さんなんか…

 

(餌付けされたのかな~。それか髪なんだろうなー、本当髪の綺麗な子には靡きやすいからなぁ)

と、冷静に考えてしまった。

まぁ、それでも普段の賢人から考えると、かなり特別ではあるけど

(紗夜ちゃんも気づいてるのかな?)

少しだけなんか癪なので教えるのはやめておこう、多分Roselia(メンバー)の誰か…リサちゃんか、案外友希那ちゃんが気づくに違いないから

「上原さんおかわりを!」

え?食べきったの??

「オーダーはカウンターでお願いします♪」

いつものことなのか上原さんは戻りながら、「人外追加で~」って、『人外』って正式名なの??

で、こちらは

「私がだします!」

「いやいや、僕の方が食べてるから」

「私も食べてます」

なに?なにこのなかよしさん?

賢人に連れてきてもらった何の変鉄もないファストフード店(お店)で、見たものは何故か微笑ましくなる…なる?

 

その数秒後に衝撃的な出会いと

新たな何かを私は見ることになった…



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五話:知人以上推し未満

間が空いてすみません

ほかの話の構想をしていたら
こっちの改修点と「人」のマイルド化と

やっぱ彩ちゃん可愛い♪

になっていました。

ご意見ご感想、誤字報告も宜しくお願い致します。


私は目の前の事が信じられなかった…いや、信じたくなかった

 

いつから付き合ってるの?

 

彩ちゃんが忘れ物をしたらしく、事務所での練習帰りに彩ちゃんのバイト先によることになった、

ついでに先日販売終了したベリーパイの在庫をこっそりだしてくれると言うことでついてきてしまった

実は食べ損なって、少し興味があったから甘えることにした。

 

そして店に入り、いつも使う席が若干賑やかな感じがするのを気にしつつ向かうと…

 

そこには、なんと形容すればいいのか…例えるなら付き合いたてみたいなカップルが「私が払う」「払わせない」と言い合っていた…

 

微笑ましいわね…

うん、微笑ましい

そのカップルが、花咲川の鬼の風紀と名高い紗夜ちゃんと

私の想い人である柴田さんでなければ…

 

どうしてこうなった?

どうなった?

私は遅すぎた?

何時から?

なにこれ?

なんで?

 

考えがまとまらない

なにが起きているの?

これは悪夢かしら、悪夢よね

悪夢にしたい…

リアリストな一面が現実逃避を許してくれない、このまま倒れてしまえば場も混乱して良いかもしれないと

後ろ向きで打算的な考えが浮かんだ

 

「千聖ちゃんおまたせ、ごめん…ね?どうしたの?」

番号札の乗ったトレーを持った彩ちゃんが状況に流石に戸惑いを見せている。

忘れ物はやはりここにあったみたいね、良かったわね♪

彩ちゃん、私は現在最高に最低な気分よ

「やっぱり!」

気づくと目下いちゃつき?中のバカップルに同席者がいた、全く目に入らなかった…

それだけ衝撃的だったのよ

誰かさん(柴田さん)に似てしまったのよ

「あの、白鷺千聖さんでは?」

声をかけてきた女性は落ち込ませてもくれないらしい

それ以前にこの店での暗黙のルール(不干渉)を知らないのね

そこのバカップルちゃんと教えておきなさい!

…カップルと認めてしまったわ…カップル…はぁ…カップル…

 

ドラマだとこんな時どうしていたかしら、柴田さんの横っ面でも叩いて…って付き合ってもいないわよ

「あの」

なによこの…大きいわね薫より背が高いわよね?

赤の入った茶髪をベリーショートにしている、切れ長の目に相まってすごく似合っている。

すごい美人ではないけど、美人さんだ、系統的には…リサちゃんを思い浮かべた。

それより…柴田さんと一緒にいたわよね?彼女?この人も紗夜ちゃんも…身長かしら?背が高いのが良いのね!?

私なんか、もう伸びないかもしれないものね…ふふ…

 

「あ、あのですね」

なおも言い募りたそうにしている女性との間に彩ちゃんが割って入ってくれる

いつもなら、羨ましそうな目を向けて来るだけなのに…そうね、私やっぱりおかしいみたい、笑っちゃうわ

「ちょ、千聖ちゃん??」

「えぇぇぇぇ!!」

彩ちゃんと女の人が慌てる

わらっちゃうわ

なのに視界がゆがむ

「ど、とうしたの??」

彩ちゃんはパニックしてるし

「し、シバケン!なんかちょっと…まさと!?」

「呼んだ?」

女の人も慌てて、柴田さんを…

そこで紗夜ちゃんといちゃついていたわよね?なんで後ろから声がするのよ?

「千聖さんもポテト食べる?」

場の空気を読まない発言、確かに柴田さんだ…あれ?紗夜ちゃん

あれ?女性と席を代わっている?すごい心配顔されてる??

やっぱりさっきのは夢?

…じゃないわよね?

 

「彩ちゃんも食べるよね?追加頼んできたから」

トレーを机に置きながら通路に予備椅子(誕生席)を運んできた

彩ちゃんを奥に私が通路側に座る

先ほどの女性が対面になる、女性は「また追加したの?」って少し引きつっている

柴田さんは「食べなよ?」と紙ナプキンとプラスチックフォークを渡してくれる

普段柴田さんこんなにポテト食べたかしら?

…少し考える…お店(ここ)で何か食べてるイメージがない?

彩ちゃんは「いただきます♪」ってしっかり食べ始めてる

「彩ちゃん?柴田さんて…?」

「千聖ちゃんはあまり見てないかな?柴田さんうちのポテト大好きだよ?」

どうやら私が知らなかっただけみたい…花音を送り迎えに来るついで?に食べるのがお約束だったみたい

「だって『ウルトラ盛』テイクアウトしない個人なんて柴田さんと紗夜ちゃん・日菜ちゃんくらいだよ?」

…このトレーに山盛りに見える(正確にはトレーより若干小さめの容器に盛られている)ポテトってパーティサイズよね?

それを囲んでいるという不思議な空間…

 

さっきまでのあれはなんだったのかしら?

空気読まない柴田さんというより…私が勝手に勘違いして…でもあれは絶対そう見えるわよね?

「それで、そちらは?」

先程から私の対面でずーと私の一挙手一投足を観察している女性

絶対柴田さんの知り合いだとは思うのだけど…なんというか…怖い

「三藤杏子です!三つの藤に杏の子できょうこです!パスパレラジオも『白杏(プラム)』で投書してます!!」

ファンだった…というか…常連さんね…何回か読んだことがある、漢字で白い杏でプラムって当て字だったような?

 

「あ…思い出した、杏子、千聖さん推しだったや」

納得しました…私推しの方でしたか

「忘れてたの!!だからこんな天国教えてくれなかったの??それともわざと??」

それはないわね、紗夜ちゃんも同じ意見みたい

「リスナーさんがここ来ちゃったのかぁ」

彩ちゃんが複雑な顔をしている…でも実はみんな不干渉をしてるだけで結構来ているのよね?

 

私が推してる人は斜め前にいるけど

この人推しってあるのかしら?

私を推しなさいよ!本当…

 

そして、目の前の女性(杏子さん)は私の一挙手一投足を観て悦にいっているし…

正直怖い

オタクさんは慣れたけど、この女性はなんというかそれを越えている気がする、パスパレ前からの生粋なファンとは本人の弁だけど…

握手会とかお渡し会で見かけた記憶がないのよね

これだけインパクトがあれば忘れないと思うし…

何かしらこの人?

 

「うん、杏子が千聖さん超絶好きなの忘れてたや、子供の頃から大好きとか言ってた気がする?」

え、そっち方面はちょっと…

私はその目の前の男性が好きなのよ?目の前の女性ではなくて

そうしたら、件の女性が変な顔をしている、いえ、顔は整ってますよ本人の名誉のために

「どうした?」

「シバケン?私が千聖ちゃん推しになったのアンタだよ?原因は」

え?…柴田さんがその場の空気を読んだ…女性の表情に違和感を覚えた??

衝撃のあまり逆に席が沈静化した

山火事消すのに爆弾使ったりするのと一緒よね…すごい衝撃だった

「おれ?」

柴田さんが僕じゃなくて俺って…

レアだわ

紗夜ちゃんもやっぱりびっくりしてるし

「え?覚えてないの??」

女性が少し呆れている、気持ち少しだけわかります

「なにを?」

やはり柴田さんよねと会話を聞いているけど

女性が気の毒なものを見る目をしてため息をついていた

え?私も見られてないかしら?

「まぁ、紗夜ちゃんもいるし贔屓はできないか」

なんてぼそっと、わざと聞こえるように言うし

事情通ね、どうしようこの人味方につけた方がいいわよね

どうしよう…私…自分から連絡先交換するのってしたことないのよ

 

「杏子さんってバンドしてるんですね♪」

え、彩ちゃん?彩ちゃんがスマホを…もしかしてまたエゴサ(エゴサーチ)してたのかしら?

「ひまりちゃんから、柴田さんの連れの女性すごいファンだからバイト終わるまで引き止めてって頼まれちゃったんだ♪」

それ…バカ正直に言っていいのかしら?

まぁそういう隠し事が下手なのが彩ちゃんといえば彩ちゃんだし

「折角だし私も繋がっていいですか?ほら千聖ちゃんも」

あれ…え、彩ちゃん??あなた…私あなたと友達で、メンバーで本当に良かったと改めて思うわ!

「え?いいの!!??千聖ちゃんと繋がっちゃうなんて…あ、でも恐れ多くて送信できない…でも…あぁ」

あ…でもちょっと怖いかも

結果…

柴田さんの電話番号以外の連絡先を入手できた。

え?電話番号知っていますよ、花音をダシにしましたけど…

 

それと…彩ちゃんは私が柴田さんを好きなのを知らずにの行動だったわ

「その、彩ちゃん?あ…」

お礼を言おうとしたら…

「ごめんね千聖ちゃん、あぁでもしないと間が持たなくて、時間稼げなかったんだよ」

謝られた

「柴田さんの知り合いだし悪い人じゃないと思うし」

 

…私の感謝を返して欲しい




ここで打ち明けさせてくれない周りも問題があったか…


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幕間:本来あってはならない座談会inスタジオ予定車庫

なんかこれ書くの好きかも…

危険な情報が入り乱れてます(いつものこと)

本編には影響がないと思いますが
さらっと流して頂ければ…

ご意見・ご感想お待ちしています。


はい、私本編で千聖ちゃんと絡めた記念、あってはならない座談会~!

 

ヒロインズ?『わーわーわー♪』

 

はい、皆さん学習してます♪(なにを?)

 

「やっと、やっと有力な味方が得られると思ったのにロリペド女郎とポンコツリーダーという最悪な状態な本命ヒロイン!白鷺千聖です」

え?誰のこと?

それよりキラキラがない!どうしたの??

それにパスパレのリーダーって千聖ちゃんでしょ?

「違いますよ、えーと、安定しすぎて本命乗っ取り?と噂の対抗ヒロインの氷川紗夜です」

「パスパレのリーダーは彩ちゃんだよ?千聖ちゃんは裏のボスだよ?あ、オールマイティすぎて便利な子になりつつある大穴ヒロインの氷川日菜だよ」

裏ボスって…合ってるわね、もう千聖ちゃんらしさ全開よね?

「あの、そんなリーダーな私、ここにいていいのかな?」

丸山は自己紹介もできないの?リーダーなのに?

「え、ま、まんまる…」

はい、しゅーりょー♪

「えぇーーー」

「杏子さん、流石に虐めすぎですよ?」

もう、紗夜ちゃんは優しいなぁ、パスパレ三人にRoselia一人の構図になってるのに、もう誰かつれてきてもいいのよ?

「今度、白金さん…」

E以上は立ち入り禁止!!

かーびぃ(ひまり)ちゃんもダメだからね!!

ギリギリでリサちゃんだから!

「杏子ちゃんオーボーだ♪」

大きいのは敵なのよ!みんなそうでしょ?違う??

シバケンが大きいの好きって言ったらどうするの??

「わ、わたし、なんでここに?前は追い出されたのにぃ?」

 

 

 

はい、問題です、座談会場所(ここ)はどこでしょう?

ヒント、スタジオみたいです。

なんか黒いのが目立ちます

なぜかアップライトのピアノがあります。

はい、丸山!

「え、えぇ?パスパレの秘密練習場?」

…なぜその勘の良さを千聖ちゃんに役立ててあげないかな君は?

「八つ当たりだよぉ!」

私は千聖ちゃんの味方なだけよ?

 

という事で、今回は

シバケンハウスの隣、借り手がつかなすぎてとうとうシバケンのいいようにされてしまった貸しスタジオ『StarWind』予定の車庫の一角です!

「普通狭い方が柴田さんで広い方が貸しスタジオですよね?」

はい、原因はそこに鎮座してる車です♪

「るん♪てくるよねー」

「シャープですよね?要らないもの全部削ぎ落としたような?」

「年代が分かりにくい車よね?」

なにこの子達?車女子なの?

私なんか初めて見たとき、ルパンが乗ってたやつ?って言ったらシバケンに凄いため息つかれたよ?

丸山は車興味ないの?

「格好いいとは思うけど、なんか実感わかないかな?」

案外リアリスト?

まぁ、ここのオーナーさんの持ち物で、思い入れのある車だそうです。

シバケンが好きな車のひとつなんだけどね

「ケントくんって、実用性の無い車好きだよね?」

日菜ちゃん?

「まぁ、外国産の高級スポーツとか欲しがらないのは救いよね」

千聖ちゃん??

「白鷺さん、この車は英国車ですよ、確かロータスという、赤いのとか牛のとかに比べれば手の届く車ですけど…」

…紗夜ちゃんはシバケンに詳しすぎない?

それにしてもヒロインがみんな厳しいよね?

「あの仕打ちじゃねー」

「私は甘やかしてますよ?」

「紗夜ちゃんは甘やかしすぎなのよ!」

千聖ちゃんのはやっかみだよね♪

「え?みんな柴田さん好きなの?」

丸山は何しにきたの?

え?なに?「人」をマイルドにしてぶっ混む?

…恐ろしい子を呼んでしまったのね

「なんでぇ??」

「彩ちゃん…信じてたのに…」

ゆらぁって立ち上がる千聖ちゃんは迫力あるなぁ…しゅきぃ♪

「はい、千聖ちゃんの♪」

「あら日菜ちゃん用意がいいわね、ありがとう。-ジオウサイキョー」

ジカンギレードとサイキョーギレード普通に組み立てちゃうし…

千聖ちゃんはもうサイキョージカンギレード(それ)普通に構えちゃうよね

だから日菜ちゃんもシバケンのコレクション持ち出さないの!

「彩ちゃんは何がいいのか…るんってこない…」

落ち込むとこそこなの?

「パスパレっていつも楽しそうですよね」

そうだねー、主にあなたの妹が振り回してますけどね

「…医者のRなら!!」

まだ考えてたの?

まぁ、ピンクだしねぇ

最近紗夜ちゃんは乗らないの?

「通りすがりのRですから。-カメンッライドゥッ」

シバケンのおもちゃ大活躍だね

「それがあった!!新しいのピンクだよね♪」

まだ考えてたの??って取りに行かないの!

 

ちなみに、この車はシバケンの車庫を片付けてそこに預かることになっています。

この車庫は改装が入るとそこそこなスタジオになります、上の居住スペースは休憩とか用になるのかな?

え?人住むの??誰だろ?…

「あ、千聖ちゃんが私達に内緒でここで練習するのかな?」

丸山…あんたって子は

「そうなの?」

まぁ、本編には影響しないからいいけど、勘の良い子は嫌われるよ

「私の扱いやっぱりひどい!」

「もしかして、柴田さんのピアノ伴奏で弾けるの!?」

スッゴい嬉しそうだけど、シバケンピアノ弾かないよ?

「え?やっぱり腕が!?」

もう、紗夜ちゃんったら優しいぃ~~♪

まぁ私が弾くからだけどね

「…」

紗夜ちゃんのその視線がもう気持ちいいかも

「紗夜ちゃん、杏子さん(この人)にはご褒美なだけだから相手しないの」

千聖ちゃんのその言葉がいぃ!

「杏子ちゃんキャラかわってない?」

うん、変化が欲しくてちょっとやってみたけどダメだね、彩ちゃんもごめんね。

「いつもこんな人かと焦ったよぉ~」

 

 

 

「それにしてもいいですね、杏子さんの伴奏ですか、普通はキーボードはメロディ隊なのに…」

?紗夜ちゃんもセッションするわよ?

「えー、おねーちゃんずるい!」

「…ずるいと言われても」

「ねえ?なら柴田さん何弾くの?ベースは千聖ちゃんでしょ?紗夜ちゃんのギター、杏子さんのピアノ…ドラム??」

『それはないわね』

息ぴったりだ…

シバケン弦楽器しかできないよ?

「なら、ツインギター?」

日菜ちゃんすごく羨ましそうだね

「あたりまえじゃん、おねーちゃんとケントくんと…あたしも弾きたいよっ!」

トリプルって…3rdの最終回じゃないんだから

「ツインベース?」

「あ、」

彩ちゃんだめ!本当に彩ちゃんは無駄に勘が良いのね、もしかして…?

「うん、なんとなく判ってたよ」

いつから?

「ドッグランで間違いなくそうかな?って思ったくらいかな」

なぜその勘の良さを千聖ちゃんのために使わないのかなぁ

「だって千聖ちゃん話してくれないから、違うのかな?って」

また自滅してるのね千聖ちゃんは…

「私そんなにダメダメなの??」

うん、本命ヒロインなのにもうダメすぎ、どうするの?紗夜ちゃんのひとり勝ちになっちゃうよ?

「あたしは?」

日菜ちゃんはなんか友達感覚強いみたいだよ?

シバケン友達少ないし…

 

「あれ?女神さんっていなかったかな?」

彩ちゃん…本当にその勘の良さを千聖ちゃんに使ってあげてよぉ

「え?だって、燐子ちゃんとかひまりちゃんも…?」

だからぁぁぁ、彩ちゃん!あなたもなのよ!!

「え?えぇぇぇぇ??なんで?私絡みないよぉ?それに…あ…」

だからその勘の良さを千聖ちゃんにつかってあげてよぉぉぉぉ~~~

 

「…まさか大事な仲間(リーダー)が…獅子身中の虫ってこのことなのね…」

千聖ちゃん、それは危ないから…似てるけどそれダメ!

デンカメンソードとかどこから見つけてきたの!

「あ、千聖ちゃんこれ入れないとダメみたい」

日菜ちゃんだからパス渡さないの!!更に刀身が重くなっちゃうから危ないって

「…そう?ふふふ…-ライナーフォーム」

-ガチャン・ガチャン・ガチャン・ガチャン

四回回したぁぁぁ~~~

「ち…千聖ちゃん?」

「そうね…山小屋の時も…そうだったのね?…私をなきものに…」

「落ち着いて千聖ちゃん?それなんか音怖いんだけど…ね、千聖ちゃん??」

 

「…話は聞いてない」

 

 

 




…なんだこれ?(いつものこと)

次回は誰が増えるんだろう?(いつものこと)

よろしくお願いします。


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六話:着工以上完成未満

気付いたらいつもより長かったです

段々本性(?)が漏れ始めるメインヒロインと
そろそろ正体が暴かれる(元々知られている)女神さん

彩ちゃんの扱いがまともになります(もともとなかった設定にされた)

今回もよろしくお付き合いください。

ご意見・ご感想いつでもお待ちしています。

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こちらも宜しくお願い致します。


「羽丘と花咲川で合同開催?」

いつも以上にるんるん言っている日菜ちゃんの言葉に何故か彩ちゃんが慌てている、そして花音からのLINE…

「スペシャルバンド?」

思わず言葉に出してしまい、彩ちゃんが怯え、日菜ちゃんは一層表情を明るくする

「結局やるのね」

教室でもそんなこと言っていた…日菜ちゃんが紗夜ちゃんの机に頬擦りしそうな勢いなのを止めていて忘れていたけど

「パスパレからは彩ちゃんと日菜ちゃんなのかしら?」

そんな事を言っていたわよね?

花音が巻き込まれたのね

「羽丘からはリサちーとつぐちゃんとモカちゃんだよ」

すごく楽しそうね日菜ちゃん?

 

「あれ?日菜ちゃんは?」

モカちゃんてギターよね?ツインギターかしら?

「あたしはプロデューサー♪」

あぁ、だから余計に楽しそうなのね

「このメンバーって…」

「気づいた?流石千聖ちゃん♪」

全員バイトしてるわね、つぐみちゃんは微妙だけど(お家の手伝い?)

流石に合同文化祭とはいえパスパレで出るには事務所を通さないわけにはいけなから…とは考えていたけど

日菜ちゃんの思い付きで凄いことになってきたわね

「練習はもしかして…」

嫌な予感しかしない

「うん、少し狭くなるけど『StarWind 』でいいかなって」

やっぱり…少し前に出来たスタジオで、まだ本格稼働してないから無料で借りれるという、個人練習にはありがたいスタジオだったのに、最近利用者が増えている…

主にパスパレメンバーが借りているのだけど

レオン担当マネージャーの家の隣という好条件なのよね

 

…そうよ!柴田さんの部屋のとなりなのよ、悪いのかしら?

柴田さんがマンションのオーナーさんと話し合ってスタジオにすることにしたのよね。

上の部屋に住む人が決まるまでは不定期でしか貸せないから無料って言うひどい(破格な)話なのよね…

上に住む人って、それ従業員じゃないのそれって?オーナーさんも柴田さんもわかっているのかしら?

オーナーさんは少し自棄になっている気がするのよね…スタジオの名前の命名権柴田さんだったし

実際は日菜ちゃんがつけたんだけど(皆で考えて、日菜ちゃんのが採用された)

オーナーさんが少し変な顔をしていたのが印象的だった

 

『StarWind 』星の風、そのままだと意味がわからない

モチーフは柴田さんのマーク(あれ)

なにかとつけている羽のついた星のマーク

なら『WingStar』では?となるけど…どこかで聞いたことがある気がして仕方ないのでやめになった。

『星』が好きなのは知っていたけど(愛車がロードスターだし)そこまで拘るのかしら?と皆が他の候補を考えたのよね。

 

 

「まさとさんは星と羽どちらに拘りがあるのです?」

紗夜ちゃんがRグッズを手に弄びながら質問をする…相変わらずメモリが好きよね…

スタジオ隣の柴田さんの部屋に来ての雑談からの話し合いになっていた。

紗夜ちゃんがポイント高いことを訊く、流石ね…

「星とか羽とか翼が昔から好きで、このマーク作ったとき自画自賛だったよ」

いつもの星に簡単な羽の翼が生えた意匠…どこかにありそうだけどと誰も突っ込まないようにしているオリジナルデザイン…

ギターにもついてるし、シールや大きなステッカーもある、私達も何枚かもらったけど星の色がとにかく色々あって凝っているのよね

 

私や彩ちゃんのを見て、香澄ちゃんが凄く欲しがっていたし、星好きには好評なのかしら?

 

星好きの一人である日菜ちゃんもパスパレのメンバーカラーであるパステルブルーの星のシールをもらって喜んでいたもの

(あれは柴田さんから貰ったのが大きいと私は思っているけど)

ちなみに紗夜ちゃんは青のグラデーションが綺麗な星、私はわかりにくいけど同じくパスパレのメンバーカラーのパステルイエローの星のを好んでつけている。

ちなみに、パスパレカラーはそれぞれみんなもらったのだけど、あまり興味なかったみたい。

彩ちゃんだけみんなのカラーを並べて貼ってたのがなんか可愛かったけど…その時の一言が彩ちゃんだった…

そう、よく考えたらパスパレはみんなのメンバーカラーのマーク(*)あるのよね。

少し受かれていたかもしれない…自重しないといけないわね

 

 

「前見た『WING☆WIND』というのは?」

本当紗夜ちゃんは良く見てるわよね、私も気づいていたけど…

ギターケースとかに必ず入っている、広げた大きめの羽(翼)の下に☆を真ん中に左右にWING(左)WIND(右)(その言葉)が入っている。

多分柴田さん(本人)のブランドを意識しているのだからスタジオもその名前にすればいいのに…

「あれは、造語なんだけど羽の起こす風、『羽撃き』を意味してるつもりなんだよね」

「本来ならFlapping wingsですよね、私は『WingWind』まとまりが良くて気に入りました」

ちょ、まっ、私は有咲ちゃんなの?

じゃなくて、紗夜ちゃん…なにそれあなた?完全に仕留めにきてるじゃないの?

あぁ、柴田さんもなんかすごく嬉しそうよね?

「飛行機とか翔ぶものが好きなんだよね、鳥とかもいいよねあの無駄の無さ故の…」

今絶対、飛行機の飛ぶじゃなくて、飛翔の翔ぶっていったわよね?なんて思っていたら

「るんってきたーー!」

どうしたの日菜ちゃん?

「星が起こす風、『STAR☆WIND』は?どう?どうかな?」

なにか強そうね、時間も止められるのかしら?

「それいいかも…」

氷川姉妹にもっていかれた…、おいしいところ全部もっていかれたわよ!

彩ちゃんはさっきから会話に参加してないし…って何しているの?

「こんな感じどうかな?」

彩ちゃんがいつもアイデアや思い付きを走り書きしてるノートを皆に見せてくれる

『StarWind』と大文字と小文字で書かれて『d』の斜め上に星が小さく三つ描かれている

まとまりが良いかも…

「シンプルでくどくないのに☆も入っているわね」

話聞きながら色々考えていたのね

「本当は『i』の点を☆にしようかと思ったんだけどね」

「彩ちゃんすごいっ!るんってきたよぉ!シンプルで凝ってないところが彩ちゃんらしくてすごくいいよっ!!」

日菜ちゃんそれ誉めてるのよね?

「☆を三つにしたのには理由がありますか?」

紗夜ちゃんも気に入ったのかしら?

「スタジオだからバンドの5とも思ったんだけどね、なんか多いし、よく『三星』っていうよね?それなら3が良くないかな?って」

三星スタジオとか面白いかも…

「あと、柴田さんって数に拘りありませんか?特に3とか9のあたり?」

そうなのかしら?変に数を揃えようとするのは理系出身文系の拘りかと思っていたわ…って驚いた顔してるから当たっているのね。

「よく判るね?そんな話したことあったかな?」

なんと柴田さんのラッキーナンバーが3と9だった、星を三つ三段にしたものも考えていた彩ちゃんは「3が基本なんだねやっぱり」なんて言ってる

あれ?私なんか参加していないわよね?

不味いわ、ただ紅茶のんでクッキー食べてたなんて思われない?

「ちょっとまっててね」

柴田さんが自分の部屋に引っ込んで、背面に林檎のマークの入ったノートパソコンとタブレットを持ってきた、燐子ちゃんも持っていた高い(いい)やつよね?

趣味の人は本当こういうところにお金かけるわよね、ちなみに柴田さんのシール(『WING☆WIND』)が確り貼られている。

持ち物と言うことかしら?私も何処かに貼ろうかしら?…これはもらってないわよね?

紗夜ちゃんもなにか思うところがあるのかしらスマホでなにかを検索している

 

「こんな感じだよね?」

柴田さんは彩ちゃんのラフからマークを早速作製していた

「そうです!☆の位置はカギカッコの反対くらいのイメージでどうですか?」

彩ちゃんのイメージと柴田さんのイメージが合わさっていく…あ…なんかモヤっとする

「これくらいかな?」

「うーん、☆の大きさによりますね、私的には小さく三つだけど、あまり小さいのも目立たないし…」

あれ?彩ちゃんはいつから柴田さんとそんな仲良しになったのかしら?おかしいわね?

あなた確か…『アイドルは人の男性と接触なんかしちゃダメなんだから!』ってレオンにベタベタしてたわよね?

レオンはどうなったのかしら?遊びだったのかしら??とんだビッチだわ

「ち、千聖ちゃん?」

私の心でも読めるのかしら?彩ちゃんがどこか遠慮がちに声をかけてくる、パスパレの初顔合わせの時みたいね?

「なにかしら彩ちゃん?」

「千聖ちゃんなんかすごい目してるよ?」

日菜ちゃんは相変わらずとんでもないこと言い出すんだから

「え?そうかしら?」

もしかしたら疲れ目かしら?

「☆なんだけどね、どう決めようかなって」

画面を見せてもらうと☆の大きさもほぼ決まって色を決めかねているみたい、黄色ピンク水色になってるのを見て、なぜ私はさっき気分を害していたのか忘れた

「普通だと黄色なんだよね?」

あら日菜ちゃんも今日はまともなこと言うのね、いきなり深青から水色のグラデーション(紗夜ちゃんが最近好んでいる)とか言い出したらどうしようかと思っていたのに

「RGBの三色、信号…トリコロール、青・赤・黄…白?」

紗夜ちゃんが見ていたスマホを見せる、何故黄色を白と言い直したの?と思ったけど、確かに…男の子の好きなあれよね

「ふりーだむがんぼーい」

柴田さんも好きなのかしら?なんて考えてたら日菜ちゃんがテレビラックの上をちょいちょい指差してた

肩幅の広い印象で青というか紺を基調にしたロボット?え?まさか??

日菜ちゃんがこくこくと頷く

趣味が広すぎる…というか日菜ちゃんもなんで知ってるの?

…ニヤリと笑われた

なに?すごく悔しいわ?なんなの?

「千聖ちゃんはどう思う?」

☆の色の話だったわよね…

「そうね、白は?」

何故か柴田さん以外みんなに変な顔をされた(顔は整っているわよ?)

「アウトライン入れないから白いバックだと見えなくなるよ?」

早速見せてくれる、うん見えなくなるのはわかっている

「でも、それって背景(バック)は必ず白なの?」

白なら赤にも黒にも何色にも映えるし

「その背景、上の方だけ少しグラデーション入れてみてください」

柴田さんが慣れた感じで黒から白のグラデーションを入れた途端

「るんってくるね♪」

日菜ちゃんがまず気づいた

星が浮かぶ、大きな☆ひとつだと判りにくいけど三つあるから何が浮かんでるかわかる

「背面によって印象が変わりますね、白だと何もないけど、実はある。本来の星の見え方ですよね」

気づかなかったと紗夜ちゃんが感心してくれている

「それに…」

「あっ、白星だよね?」

彩ちゃん?まぁ気にせずに…

「そう、白星よ。三星で白星」

これ以上ない縁起の良さよね?

「縁起が良さそうですね」

紗夜ちゃんがしきりに感心してくれている

「採用、白は何にでも映えるし、塗ってもらってもいいしね」

染まりやすくもあるのよね

柴田さんが何処かに決定稿としてメールしてしまったみたい、オーナーさんにでしょうね

「うちのも白だけにしようかな」

そんな柴田さんは自分がつけているのは基本みんな白だ、白星黒星の縁起も気にしているのを私は知っている

「色数減らすのは賛成ですね、正直多すぎます」

無い色あるのかしら?なラインナップよね。紗夜ちゃんのグラデーションは特別なのを私は知っているけど…

パスパレカラーも特別なのよ?わざわざ作ってくれたのを覚えている

実は私よりリアリストなんじゃないの?な彩ちゃんが

「メンバーカラーでなんか嬉しいです♪パスパレのマーク以外も可愛い♪」

そう、パスパレのマークがメンバーみんなの色分でもうあるのを柴田さんは忘れていた、それを皆が言いにくそうにしてたのをズバッと斬り捨てたのよね。

でも、本人悪気がないのよね、嬉しそうにみんなのカラーの星をペンケースに貼って写メも撮ってアップしていたから

柴田さんもあまりダメージ受けなかったみたいでよかった。

 

余談としては、暫くメンバーカラーの小物が届く日々が続いてる。

一番受けたのは、ひまりちゃんの代名詞に勝手になってる、丸くてピンクのアレがパスパレカラーで届いた

わざわざ彩ちゃんのパステルピンクに塗装された一品で…感心しつつも苦笑いだった。

イヴちゃんが思いの外気に入っていたのが印象的だったのを覚えている

みんな色々考えるのよね、でもひとつだけ

 

下着を贈ってくるのはただのセクハラよ?わかる?ワカルワヨネ?

 

 

「こっちの方が居心地がいい~」

個人練習が終わった三藤さんとひまりちゃんが入ってきた

スタジオ(向こう)はまだ完成してないから仕方ないわよね

私達もお陰で普通に柴田さんの部屋でくつろいでいるのだから

多分ちゃんと仕上がっても惰性と言う名の打算でこちらに上がり込むのは確定だけど

柴田さんも人が来て嬉しそうだし、本当友達が少ないのね…

やっぱり、大学でいつもとなりにいる人が問題なのよね(関係ないとは言わない)

あの女神…本当女神なのよ

他事務所の私達にも優しいし、なにより私を敬ってるとか(まぁ、芸歴は私の方が長いからだけど)

パスパレの業界での扱い考えたら…本当に女神なのよ。

彩ちゃんなんか心酔してるし、イヴちゃんも最初は「敵です、見敵必殺!モノドモデアエぇ!」なんて珍しいから皆が驚いたわ

今では女神のお付きの天使よね?

あの女神本当に非がないのよね、男の趣味の悪さ以外は完璧よ

なんでこの判りにくくて面倒くさい男に皆興味を持つの?

そういう特殊嗜好は私や紗夜ちゃんで十分間に合っているのに?

 

…いいところに気づいちゃったのよね

 

私は本当、初めは嫌いだったのよ、この面倒くさい男




久々に過去編へいくと見せかけて…


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七話:犬以上人未満

今回もよろしくお付き合いください。

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こちらも宜しくお願い致します。



「なんなのあの素人は?」

撮影中私はとうとう我慢ができなくなり怒りをたまたまついてきていたかおちゃんこと薫にぶつけていた

「で、でもふざけてるようには見えないよっ…?」

私の剣幕に怯える薫

「ふざけてるなら、ぶん殴ってるわよっ!」

「まぁまぁ、今も練習…なのかな?」

あがっているのか全てがオーバーアクションでわざとらしい、舞台の動きよねあれ

「あぁいう演技もあるんだ…」

薫が変な関心をもっている

あぁいう(演技)が好みなのかしら?

オーバーアクションというか、正確には中二病というものよね?

後年わかったけど、中二病もオーバーアクションもナルシストも薫もみんな同じようなものよね?

「ことあるごとに苦しむのには何か理由があるのかな?」

左手を押さえたり、額を押さえたり、兎に角忙しいし煩わしい、ドラマには要らない動きばかりする

「あ、演担休憩いれたよ」

流石に素人相手に疲れたのね

残されたあの子は、悔しそうにしていた…あんな顔もするんだ

気分を入れ換えるためか、背伸びをして体を捻り体をほぐすと、ピアノの前に座った。

「どうして何かを抑えるように腕を掴むのかしら?」

必ずやってる気がする。

「なんかかっこういい…」

薫の情操教育によくない気がしてきた

「え?」

響いてきたのは爆音?

なにこの音?ピアノの音なのこんなの??私はこんな音出したことはない

「!!」

薫の目が陶酔している、凄くキラキラしてる…これはまずいかも

爆音みたいな音が抑えられていき、調った音が抑制された音が響いてくる

「なんなの?この音は?」

中からなにかが破裂しそうな音

力強いというより怖い

その音が更に制御され纏まった旋律に変化していく、なんなの?このとんでもない音楽は?

「すごい、綺麗な音になっていく…」

力強く正確無比、まるでCD音源のような音楽に変わっていく

「なんなの一体…」

訳がわからない

わかることは…あの男の子がこの音を出していること

「音楽も不安定なのかしら?」

あの爆音を聴いた後では今の演奏が嘘のようだわ

「…泣かない代わりに音で泣いていたんだよ」

薫が変なことを言う

なぜ泣く必要があるの?

「ちーちゃんは強いからだよ」

薫がそんなことを言うけど、よくわからない

「でも本当、上手いわね」

あの爆音がなければ素直に聴き入れれたのに

「よくわからない子ね」

 

 

 

結局、素人の舞台演技を越えれなかった男の子は、薫と交代になった、背格好が近く、薫の方がまだドラマ向けの演技ができたからだ

「演奏パートだけお願いします」

彼はただ頷いていた

そして、私は彼にバイオリンを弾く振りを教えられるはずが、演奏()き方を教わった

音楽は面白いと言うことを…人に教えるのがあまり上手くないなりに一生懸命伝えようとしてくれた

鬱陶しい素人から、不器用な器用貧乏に印象は変わった

撮影で薫の代わり(本来は彼の役なのだから変な言い回しよね?)で演奏をする彼は、薫じゃないけど『かっこういい』と思わず思ってしまった

あの爆音のことを忘れるくらいに…

 

「あなたのお陰でいいドラマになったわ」

独奏協奏(コンチェルト)パートの撮影が終わったら、元々メインの役ではない為彼とはお別れと思っていたのよね…

結局私のバイオリンパートは演技中、何回でも彼が演奏()いてくれた、だんだん自分が弾いているのではと錯覚するくらいになる頃には『かっこういい』は『恋心』に変わっていた。

今思うと、私ちょろくないかしら?

「礼はいい、こんなことしかできなかったんだから」

こんなことと言い捨てる彼のことは少しわかってきていた

「そう?でも私は、そのお陰で楽しく演技できたわ」

本当に自分が弾いてる気分を味わえた、脚本がピアノからバイオリンになって本当よかった

私の演奏じゃ駄目だったと心底思う、この不器用な天才の演奏だから私の演技も活きた、視聴者は私が弾いていると思っている人が殆どらしい、それくらいの出来だった

「…期待に応えられたのか」

歳不相応にシニカルに笑う、今もたまにするのよね。これは私にも言えるけど大人に囲まれて育った影響、よくも悪くも大人びてしまったのよね、

でも…それに対抗して幼児退行(中二病を発症)するのはどうなのかしら?

(…中二病の合間に大人びてる?)

本当よくわからなくて面倒くさい

 

でも、一緒にずっとこうしていたいかもと思わせられたのはこの面倒くさい男の子なのよね

 

別れは寂しかったけど、私は子役の女優よ?

大きくなった頃に「あの人に会いたい番組」に出て、再会してお付き合いをするつもりだったのに(母に凄く笑われた)

なに普通に大学進学で引っ越してきてて、何食わぬ顔で花音の家庭教師してたり、Roseliaの潤滑剤(殆ど紗夜ちゃん)してたり、ピアノ辞めてるし!

更に…

私の事忘れてるとか

かなり酷いわよね?

私よく怒っていきなり叩かないわよね本当…

うん、それしたらただの頭のおかしい人認定だからしないのよ

 

全く覚えてないって流石に堪えたわよ

 

私は結構追っていたのに…

え?番組、それはそれよ

 

コンクールに出なくなっていたことも知っていた

実は三藤さんや白金さんと競っていた事も知っている(本人は競っている感が全く無いけど)

妹に演奏後の花束のプレゼントを渡す役を御願いしたくらいには知っている

コンクール以後の足取りが追えないのは本当やきもきした、本当に「あの人に会いたい企画」に頼るしかないとか考えてずるずると時が過ぎ、

Pastel*Palettes(バンド)の話が来た、女優だけでなく名前にもう少し話題性という箔がつけば「あのひと企画」も来やすいと思ったのもある。

まさか番組企画の前に再会出来るとは…嬉しいけど、なんか納得いかないものを感じた、

企画が来たら彩ちゃんに出てもらうことにしようと思いつつ

…公然カップルという手段も取れるのではと最近の柴田さんの周りを考えるとかなり強引な方が良いのではとも考えている

 

本当、あんな面倒くさい男は、私くらい面倒な女の方が釣り合っているのに…

確かに紗夜ちゃんも…特に日菜ちゃんは面倒くさい上位ランクなのは友達であり仲間である私から見てもわかるけど…

まだあの二人はましじゃない?

…なんかポジティブに自分を卑下(ディ)するって訳がわからなくなってきたわね、え?ちなみに独り言じゃないわよ?

レオンが黙って聞いていてくれているもの

最近たまに迷惑そうな顔をするようになったのが気になるけど

兄で弟なんだから少しは付き合いなさい

え?妹?

…子供の頃に花束の代役とか色々お願いしたものだから、強く出れないのよ

柴田さんと再会したのはまだ話してないわよ

(絶対弄られるもの!!)

最近身長も伸びてなんか勝手に私の服を着たりするくらいになっているのよ…

余裕を見せていないと姉としての尊厳が揺らぎそうよ

レオンが膝をぽふぽふと叩いて慰めてくれる

なんか少し複雑な気分になる

なんなのその余裕は?

弟の癖に兄ぶってるの??

このお見合い申込み急増中のリア充!

 

 

 

(柴田様…本当、貰うか徹底的に振るかなんとかしてください)

あのあとお酒を飲んでもいないのに延々と愚痴られ…

(お嬢お友達に素直になりましょうよ…)

花音さんにもこのような姿は見せてないでしょうし

(柴田様にもそろそろ知らない振りはやめていただかないと)

記憶の共有でダイレクトではないにしても、幼少期にお嬢と出会ってることは伝えられたはずですけど

(柴田様の記憶は解りにくくて、特に過去の事は無くしているのかもと思いたくなるほど少ないですよね)

思いきりの良い記憶の住み別けなのですよ、要るものと要らないだろうという潔さ、頭おかしいですよね?記憶容量をどれだけ節約しているのかと

その中でも微妙な位置にある記憶

(お嬢をみると反応する記憶なんですよね、氷川様にも反応しますけど…なにか鍵があるのでしょうか?)

ご友人にも反応していますしね。

多分本人も気づいていないというか…忘れてますね。

一度入れ替わった身としては、再度入れ替わった時に記憶を無理矢理開く事に挑戦するのもやぶさかではありません

お嬢のためにも…そして

「柴田さんはぁ…」

抱き枕にされるこの身のためにも

柴田様の(共有)した記憶によると、柴田様も抱きつかれて…あれ?

(お嬢…かなり脈が出てきていますよ)

また車の運転をしたいと願いしなくてはいけませんね。

 

 

あと、少しお節介なお説教をさせていただきましょうか…




久々のいぬパートかもしれません


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八話:お小言以上説教未満

少し間が開きましたが再開です。

また宜うお願いいたします。

ご意見ご感想お待ちしています。


 

「最近なんかおかしい…」

いつもの川原での会話

 

離れたベンチでお嬢は何故か柴田様のご友人と話し込んでいる。

いつから仲がよくなったのでしょうか?

お嬢、その方は氷川様以上の敵だと判っていますか?

女神ですよその女性!

 

「レオンさん聞いてる?」

声をかけながら両手で顔を挟み自分に向ける

…お嬢と同じウザ絡みしますね?

(スタジオにしたんですよね?)

「まだ完成してないし、住み込みの人見つからないし・・・」

経営者みたいなことおっしゃる

もう柴田様がすればいいのでは?と答えたいのを堪えます。

この方、腐っても天才なので大学も院への進学、それなりに期待されているのですよね。

それなりというのは、文系学科に在籍しているのに、工学、農学と手を出しているという節操がない部分が悪いのでしょうね。

 

それはそれとして、お嬢のヒモという選択肢もあるのですよ?

 

スタジオも共同経営と言い張れば、マスコミに青年実業家として取り上げられるので

お嬢と婚約してもおおっぴらにヒモ扱いはされませんよ?陰では確実に言われるでしょうけど…

 

「なんかレオンさんもなんかおかしいよね?」

判るのですか?本当に判るならお嬢を貰ってください。静観するのもそろそろ限界ですよ?

(…そうかもしれませんね…)

「なにか凄く含みませんでした?」

こんな時だけ心情に気がつかないでください、お嬢の心情をもう少し重んじてあげてください!

って、お嬢もご友人さんと凄く楽しげに話しているし…

なんか気苦労してるのが滑稽になってきましたね…

「レオンさん気晴らししたいんじゃないです?」

(そうですね…柴田さまがうらや…)

ん?今?あれ…なんか…これは……

 

 

 

「レオン!?」

近くでお嬢の安堵する声が聞こえる…

「こっちも起きましたよ!」

よく通る声が近くでする…これは女神?…ご友人さんですね。

…記憶が混濁して、整理されて意識がはっきりしてくる

(柴田様、普通に入れ替わり出来るのですね…なんか簡単なんですね…でも)

恐ろしい…こういう事(入れ替わり)を簡単にしてしまうのが怖い事だと多分分かって…いるのですね。

記憶として読みやすいようにわざと入れ替わりのシステムを残してくれています。

…しかし、前からご自分でも仰ってましたけど、本当に説明が苦手なのですね、わかりにくいです…

なんとか、読み解けたのは

 

『一回やってるから大丈夫だよ』

 

おい、天才!!無茶苦茶だな本当に…えーと、落ち着きましょう…

 

………落ち着けません!

何ですかこの状況は?

え?その、女神って本当にいるのですね…ここはヴァルハラですか?

私には心に決めたアイドルがいましてそんな、他のアイドルに推し変とかは考えていなくてですね?

 

「賢人くん大丈夫ですか?」

顔を覗きこまれる、綺麗な髪がさらりとひとふさ顔にかかる、ごめんなさいと慌てて髪の毛を後ろに払う仕草が様になっていますね…

 

?なんか、記憶が…柴田様の記憶?が揺さぶられます

顔にかかる髪の毛?

 

『もみーがかおに…』

『その言い方なんか嫌ね』

女の子がサイドから流れた髪の束を払って指で弄っている

 

これは、お嬢?

 

「賢人くん本当に大丈夫?」

顔を覗きこまれる、近!近いです

私も柴田様と同じく一途…

「え?…」

記憶が混濁している?

柴田様の本来の記憶容量とは?

処理速度が追い付いていないのか気持ちが悪く…入れ替わるときに気を使ったつもりで裏目に出ています、おかげで普段の柴田様の処理、認識速度では分からなくなっていることもわかりました

不便なんですね本当天才って…

 

柴田様は忘れているのではなく、膨大な記憶・知識量を自覚して選り分けている他に、選り分けられた記憶がその異常な処理速度と認識の齟齬で把握しきれていないのですね、昔の記憶ほど人が思い出せないのは幼少期からの成長過程で処理や認識速度が変わってしまい、老後ほど昔を思い出すのは速度を自由に制御できるからなのでしょう。

 

しかし、お嬢がサイドを結うようになったのはこんな出来事のせいとは…

柴田様の影響力恐るべしですね

 

その柴田様はそのサイド(もみー)を含めた髪の長さの印象で記憶してるとは…確かに氷川様もご友人も綺麗に流してますものね。

…何故髪色の違いに気づかない?

あ、白金様ですね

 

柴田様の幼少期、お嬢くらいの髪の長さで綺麗な髪は、三藤様と白金様ですね、お二方ともお嬢並みに気が強かったのですね…

それは今の柴田様では余計にわからなくなりますね

 

あまり面識はありませんが、白金様は気が強いという印象がないのと、柴田様の表面的な記憶だけで判断してもやはり繋がりません

特に…いえ、私も雄ですから、まぁ…

 

あまり姿が変わらないのはお嬢なのでは?

…いえ、よく考えると、本当にあまり変わっていない、有名子役の宿命とか冗談ではないのかもしれませんね

 

私には、氷川様やご友人のように背の高いかたより、やはりお嬢が一番つりあっていると思うのですが…

 

「本当、大丈夫ですか?」

聞きなれた声、お嬢がさすがにいたたまれずに様子を見にきた、(レオン)より優先するべきか悩んだでしょうに、本当愛すべき姉で妹です。

…本来なら柴田様にさえ渡すのは吝かではないのですよ。

「はい、何故か急に眠気が…」

お礼と大丈夫ということを伝えるが、お嬢はどこか訝しげにして

「前もこんなことあった気がするわ」

そんなことをわざと言いこちらの様子を窺う

忘れるわけがないです、初めて柴田様と入れ換わった時ですよね

柴田様なら…

「あぁ、寝不足で泳いで疲れちゃったときだね」

ご友人がいるので核心は言わず

ぼかした物言いをするんですよ

でも…近しくなるほどわかってしまうものです

 

「相変わらず何してるんです?」

 

あの出来事は話してないです、その当時は私が柴田様ですから

どう話していいものかわかりませんでしたしね

「この人が偽善に偽善を重ねていたのよ」

お嬢、ご友人に少し砕けた口調ですね、年上の方ですよ?

 

…いつものことでしたね

 

柴田様は他人事のように欠伸をしていますし…私はこんなところでそんな大口開けませんよ?

以前虫が口に飛び込んでから気を付けていますからね

 

「…そうでしたか、相変わらずですね」

…お嬢とご友人が結託している気がするのですが?

 

柴田様…まさか?

 

『ごめん、なんかにげちゃった』

 

逃げちゃった…じゃないです!

後でお話しましょう!いえ、流石に文句と愚痴を聞いていただきます!



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九話:いぬ以上ひと未満

読んでいただきありがとうございます。

ご意見ご感想は随時イージーモードなものをお待ちしています。

今回もよろしくお願いいたします。


あのあと二人がかりの小言をなぜか(レオン)が受けると言う不条理…

柴田様に鉄槌のひとつもお見舞いしたいのですが…

今は(レオン)の体であり、なら柴田様の身体(自分)を叩いても痛いのは(レオン)でしかないというジレンマ…戻ったら脚に噛み付くくらい許されますよね?

 

 

 

今回は柴田様が戻り方を理解しているお陰で不安はありませんので比較的穏やか?に過ごせています。

お陰で前回気づけなかったことに気がつけたりと収穫はあります。

まず

「柴田様?普段お嬢と話とかされてます?」

事務所で仕事(レオン担当マネージャー)をしながらクッションの上でのんびりしている柴田様に訊く

(してないよ?嫌われてるみたいだしね)

 

そう、お嬢との会話が極端に事務的なものしかない、ほかのメンバーの方が会話が多いくらいですよ。

これでお嬢は「柴田さんと会話をした」と思っているのですよ?

お陰で当の柴田様には若干の皮肉なのか…いえあれは本気で言ってますね、嫌われていると思われていると…

なにこの人達、面倒くさい

っと、いけません。お嬢も柴田様も良くも悪くも特殊な方ですから仕方ないとも言えなくはありませんよね。

 

今回も日菜さんは速攻正体を見破って来ましたが

メンバーでも若干違和感を覚えている方はいらっしゃいます。

 

丸山彩さん

 

私が推しているアイドルで、お嬢の親友の一人とも言える方です。

自意識過剰かもしれませんが、(レオン)の時と柴田様がレオンの時では接触率が違うような気がします。

私の主観なのでわかりませんし、柴田様に訊いても「そうかなぁ?」という一言です。

柴田様はなんというかあの年齢にしては女性に対して関心がないというか枯れているというか残念な方ですよね。

 

あと、これは日菜さんのせいとも言えるのですが、私と柴田様が入れ替わっている時に丸山家にお泊まりしたことはありません。

これは日菜さんが預かる話を先に纏めてしまうからなのですけど

まぁ、柴田様を丸山家にというのもどこか不安なものがあるようなないような気がしますので私的には構いませんが…

 

「あ、レオンくんは今日は事務所待機なんだね」

その丸山彩さんがスタッフルームにやって来た、学校帰りなのかお嬢と同じ花咲川の特徴のある制服が良くお似合いです。

本当に可愛らしい方です。

「柴田さんもお疲れ様です♪」

きちんと挨拶をするのが身についているお嬢さんです。

まぁ、当たり前のことなのですけどね、パスパレの皆さんは皆がそういうところは本当確りされてます。

してなさそうに思われがちな日菜さんも紗夜さんの影響と思われるくらいそういうことは確りしています。

 

「お疲れ様です、今日は練習でしたか?」

お嬢はドラマの撮影に行っています。

確か大和さんもスタジオのお仕事が入り、若宮さんは雑誌の撮影、全体練習は出来ないので個人練習ですね。

向上心があり本当素晴らしい方です。

 

「いえ、ファンレターを取りに来たついでに顔を見に来ただけですよ?」

そうでしたか、(レオン)でしょうか?それとも柴田様(中身レオン)をでしょうか?少し気になります。

 

「柴田さん?最近千聖ちゃんとお話しできてますか?」

私が柴田様にした質問ですね、気が合いますね。

「どうでしょう?あまり出来てないような気もしますね」

柴田様の答えを私風にして答えると、少し目を見開いて

「ダメですよ?もっと自分から声かけてあげないと、千聖ちゃん自分から話しかけるタイプじゃないんですから」

良くご存じです。

柴田様もそこをもう少し…無理ですね。

 

「あ?」

何かに気づいたように言葉を止めて

「ごめんなさい私ったら、柴田さんのことなのに」

慌てて頭を下げてくる、困ったとは思いましたが目に見える態度に出てしまいましたか?申し訳ない

「そんな、僕もレオンさんのマネージャーですからもう少し会話を心がけないとと思いましたので、謝らないでください」

謝らせてしまった事に罪悪感を覚える

「そうですか?なら良かったです、今言っても仕方ないですよね」

「そうですよね」

お嬢もいませんし、今の話題ではありませんね。

「私、帰りますね」

そう言うと来たときと微妙に違う雰囲気で部屋を出ていく。

申し訳ないことをしましたね。

私の推しはやはり可愛いです。

 

 

 

「ケントくん迎えに来たよー♪」

入れ違いに日菜さんが飛び込んでくる、あ、柴田様寝てましたね。すごくびくっと起きましたよ。

しかし、この状態で今のは第三者にはどう取れるのかとふと考えてから、なにか気になることがありましたが日菜さんの帰ろう催促で考えをやめてしまうほどに他愛のないことだったのでしょう。

 

 

 

「レオンくんも運転上手になったよね?」

帰り道、氷川家のあるマンションに向かいながら、柴田様()を抱っこした?日菜さんに誉めていただきました。

確かに初めての時は車酔いさせてしまいましたからね。

それに比べたら話ができるようになっただけ幾分上達…いえ、油断が事故につながりますね。

柴田様特有の何も映していないようで何かを訴えかけている(つもり)の目で注意を促されます。

あの目、私の体()でも出来るのですね。

 

「ありがとうございます」

当たり障りのない礼を述べると、やはりつまらなかったのか流れる景色を見ながら

「私も早く免許ほしいなー」

とこぼされました、日菜さんなら教習所通わずに取得してきそうで怖いですね。

紗夜さんも日菜さんも早生まれの3月、それも下旬何気にちょうど良い時期ですよね。

お嬢は4月、本来なら新学期早々に取得は可能でした、校則で禁止されていなければ…

などと他愛のない話をしていたところ、突然

「そういえば、入れ替わりの条件ってなんなの?」

と切り出されてしまいました。

入れ替わりたい!と書き文字が見えそうな感じです。

「あたしは多分猫と波長が合うと思うんだよねー」

…理解してますね多分、私もまだよくわかっていませんが柴田様と私の波長はかなり近しい様でそれが要因の一つの様子です。

「ケントくんなら見つけてきそうだよね?」

(そんな猫見つけても…連れてこれそうで嫌かも)

「と、仰ってますが?」

そのままをお伝えすると

「出来るんだよね??なんかるんって来たよ!!??」

精油前の油のプールに火炎瓶を投げ込んだ気分です。

お陰で助手席がこれだけ賑やかでも支障なく運転ができるくらいには上達できました。

 

 

 

柴田様と日菜さんを送り届け、柴田様の家のガレージに到着すると

改装業者さんがお帰りなられた隣のガレージに人影が…

「やっと帰ってきたわね」

人影は知らない顔ではありませんでしたが、なぜここにいらっしゃるのかが思い至りません。

「湊さん?」

…Roseliaのボーカル、孤高の歌姫と言われた女性、湊友希那さんがいました。

私の呼びかけに一瞬訝しげに目を細めると

「…あなたじゃないわ、柴田賢人出てきなさい」

今現在柴田様である私から視線を外し、その姿と佇まいと同じように凛とした声で呼びかけました…



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十話:迷惑以上厄介未満

今回もよろしくお願いします。

誤字報告ありがとうございます!!
はじめてで嬉しいけど恥ずかしい( ̄▽ ̄;)
今後ともよろしくお願いしますm(__)m


あらぬ方向にお声かけされてますが…

「湊さん?」

「柴田賢人はどこにいるのかしら?」

じっと、今度はこちらをその綺麗かつ鋭利な刃物の様な眼で見据えながら仰られる

「友希那さん…」

「あら、柴田賢人だったのね。相変わらず覚えの悪い処理に片寄った脳髄の使い方をしているわね」

…この方名前呼びをしない限りこの調子で、ここまでが挨拶の範疇になるということです。

柴田様があまり関わりたくないのも少し納得いたします。

 

「今日はどうしたのかな?」

なるべく柴田様ぽく喋るのには慣れてきました。

日菜さんに言わせると、少しキザっぽくて怪しさが二割増しとのことですが

「用があるから来たに決まっているじゃない?その天才と言われている脳は子供と同じでもうおねむなのかしら?」

この方何故か柴田様にはこの調子が普通でいらっしゃいます。

「僕は天才じゃないよ?」

「そうよね、私がなにをしに来たかも分からないような愚鈍な頭脳が天才なんてお笑い草よ」

よくここまで悪意が尽きないと感心します。

「では、その愚鈍な僕に用件を教えてくれないかな?」

言い回しを間違えましたか?

湊さんがまた訝しげにこちらを見つめます。この方も微妙な違和感に気づくタイプですから気を付けなければいけません。

「…なによその、キザったらしい言い回しは…」

ポツリと呟くと、しゃがみこみ黒猫を脇に抱えるように抱き上げこちらに見せる

「猫?」

毛並みもよく、野良には見えないです。

「眼までおかしいのかしら?にゃ、…猫以外の何に見えるのかしら?」

言い直しましたね。

 

「友希那さんの猫?」

私の問いに対して、物凄く残念なもの見る眼と大きなため息をついて

「にゃ、猫ちゃ、んんっ、私の猫ならこんなところに連れてくるわけがないでしょう?厳重に部屋で保護するに決まっているじゃない?飼えるものならね…」

最後は少し弱くなっています、この方隠しているようでかなりの猫好きなのですよ。

それにしても、なついていますね?湊さんのあの抱えるような抱き方は猫は嫌がるのですけどね。

おとなしいですし、何故かとある人物が浮かびましたが、気のせいですね。

…気のせいですよね?

「という事でお願いするわ」

何をですか?

私に黒猫を名残惜しそうにしつつもしっかり押し付けると、スマホを(流石にガラケーではないのですよね)少しにらむように見ると、

大きなボタン(…高齢者用スマホ?)を押して通話をする。

「えぇ、柴田賢人に任せたわ…えぇ、そうね。面倒見はいいものね…」

電話だと評価上がるのですね。相手は幼馴染みのあの方ですね。

通話を終えると

「あとは、あなたごときでは心配だけど致し方ないのよ…」

それだけ言うと名残惜しそうに何回も振り返りながら帰っていかれました…なんだったのでしょう?

 

「困りましたね…預かればいいのでしょうか?飼い主を見つけろということでしょうか?」

思わず洩れた言葉に

(あの…出来れば…その…元に戻るお手伝いを…)

…気のせいです

にゃーにゃー言ってるはずです。

(…やはり、通じませんよね…もう戻れないのですね…はぁ、こんなことなら…この人に恨み言をしっかり言うべきでした……黒猫が死んだ時の……呪いましょうか……)

「あぁ、もう、わかりました。呪うとか言わないでください」

抱いた黒猫が驚いて体を起こす。

(言葉…通じているんですか!?)

「残念ながら、よく通じていますよ」

驚いたのか腕に爪を立てられる、このジャケットバイト用に買ったばかりでしたよね。

(天才って…動物の言葉まで……理解できるのですか?)

普通そうとりますよね?どうしましょうか…

(ピアノ…だけじゃなく……なんなんですか?あなたは??)

爪を立てるどころか引っ掻き出されたのでたまりません

「や、やめてください。私は柴田様ではありませんよ?」

投げ捨てるわけにもいかず、抱き抱え直し押さえるようにして話を聞いていただく

(追いかけることさえさせてもらえなくなって…そのくせ謗らぬ顔でまた表れて…氷川さんとなかよくして……私だって…私だって…)

「あの、流石に投げ捨てそうなので止めていただけませんか?やるなら本人にお願いしたいのですけど」

首の後ろ、皮が厚く痛覚も鈍いところを掴み引き剥がす、俗に言う猫つかみというんですね。

よく子猫を運ぶのに咥えていました。

しかし…ちょっと血が洒落になりません。

(あ、…ご、ごめんなさい)

力なく手足から力を抜き吊られたままにされる黒猫をゆっくり地面に下ろし、腕の様子を見る。

「……猫の爪は本当に怖いですね」

ジャケットとシャツはもうダメですね。血の割に怪我はそこまで酷くはありませんね。

「一先ず部屋に入りましょう」

車をしまわないといけませんし

(……)

流石に怪我をさせたことに気落ちしている黒猫を再度抱き上げると

「足拭きを用意しますので玄関でおとなしくしてていただけますか?」

頭と背を撫でながら言うと中身が人間なのがわかる、頷くという仕草で答えていただけました。

柴田様を噛むのはこの傷の代償としてやめておきましょう…

 

 

 

「お腹は減っていませんか?」

車を車庫に入れ、雑巾とタオルを用意して黒猫の足を綺麗にすると部屋に迎え入れます。この部屋はペット大丈夫ですよね?

(は、はい。友希那さんに猫缶をいくつか…)

タオルを用意するときに怪我の治療は済ませて、シャツも着替えました、同じ黒なのでわからないと思いますけど

 

「では、改めて。柴田賢人様の身体をお借りしている、白鷺レオンです」

(……白鷺?…千聖さんの…お家の?)

「はい、ゴールデンレトリバーのレオンです」

(…KO(ノックアウト)犬のレオンさん…)

そちらも本当認知度高くなっていますね…

(あの…私は……白金…燐子です…)

何となくそんな気はしていました、特に柴田様への怨念にも近い当たりの強さで、えぇ、なんとなくそんな気はしてましたとも…

「湊さんはこの事はご…」

泣きそうな顔をされてますね。あの方、触れる猫には加減がないみたいですからね。

(やめて…って言っても…友希那さん……興奮してて…)

はい、止めましょう。なんか取り方によっては物凄くダメな気がしますから。

「湊さんは結局、白金さんと知らずにうちに預けに来たのですね」

(おうちでは飼えないのと…今井さんが……)

あの御仁も結構酷いですね。

「もう、お分かりかと思いますけど、私と柴田様も白金様と同じように入れ替わっている状態です」

(…人の…生活に……なれてます?)

「そうですね、車の運転も少しできる程度にはですが」

(すごいです!黒は私と入れ替わってもちゃんと出来てるのか心配です)

黒というのが白金さんが入れ替わった猫の名前でしょう。

「確証はありませんが大丈夫なのでは?入れ替わりには条件もあるみたいですから」

自分でもかなり適当なことを言っている気はしますがあまり不安がらせるのもよくありません。

ある程度の知能がある、人に馴れた動物と私も柴田様も認識しています。

もしそうでなければ今頃白金さんも黒も意識が対応できずに…そうならないことも前提条件なのでしょうね。

「しかし、白金さんは猫を飼っていらしたのですね」

あの猫狂い(湊友希那)が入り浸りそうで怖い案件ですが尋ねてみたところ。

近所に住む野良猫をかなり長く世話をしていたそうです。毛並みや手入れから察するにほぼ飼い猫に近い様ですね。

飼い猫でないのは名前が『黒』と単調であることと首輪ではなく白と黒のグラデーションのリボンがチョーカーのように巻かれている事でしょう。

名前は飼えないから勝手につけるわけにはいかないと特徴を現した『黒』と呼んでいたのがほぼ名前として定着してしまったのでしょうね。

白金さんは『ノワール』とつけたかったと少し残念そうに仰ってました。

雄だったら『シュヴァルツ』だったとか…

…どちらにしろ黒なのですね

 

そして、困った事態が待っていました。

そう、協力者の問題です。

柴田様と私の場合は日菜さんが普通に介入してきての今の状態ですが、白金さんは人間関係的に特殊というか特異というか、現状ではどう動こうにも協力者が得られません。

自分の時を省みてみる…柴田様のふりをするので慌ただしい日々でした、反対に『なるようになる』といつも憚らないあの天才(柴田様)はどうしていたのでしょう?

 

少し困った気分になりましたね。

 




…またレオンさんが苦労しそうです。

そしてあの人が介入してきます。
武力介入??


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十一話:謎解き以上真実未満

今回もよろしくお願いします。



「…ということなのですけど」

朝の散歩の柴田様との少し久しぶりの打合せ。

情報交換だけをして、問題が出そうなら事務所で考えるというのが最近のお決まりでしたが今回は私と柴田様の話ではないので少し込み入ってしまいそうなので、日菜さんに先にLINEを入れたのですけど…

あの天才寝起き悪いのですね。

紗夜さんは本当確りされていますよね。

しかし、紗夜さんは柴田様と話をしているとこちらを若干訝しげに見られるので本当困ります。

流石に別の事をお話しながらの意思疏通という器用なことは…柴田様は出来そうですけど私には無理ですのでなるべく離れて撫でたりしながらの会話になります。

「困りました…」

現状どう動けば良いのかわかりません

(確かに、白金さんの家にいこうにも、どう言えば良いのかわかりませんしね)

その、白金さんの身体に入っている『黒』が通学してるのかもわからないので調べたいのですが、女子高生の身辺を探るのは怪しいですよね?

(花咲川だから日菜ちゃんは頼れないし)

あの方なら学校関係なく動いてくれそうで怖いですけど…

あれ?

何か忘れているような気がしますね

 

「あの、賢人さん?」

紗夜さんの待つベンチに戻ると、なにやら思い詰めた顔をして紗夜さんが…

これは不味いかも、お嬢とうとう紗夜さんが行動に移りましたよ!

「なにかな?」

逃げる算段をしつつも露骨に逃げては柴田様に申し訳がなく…若干引き気味に応えるしかないのですが

「花咲川と羽丘の合同文化祭のことは覚えていますか?」

思い出しました、何か忘れていたのはこれです。

柴田様と再度入れ替わってしまいましたので改装中のスタジオを貸して良いものかと考えて(私では何かボロが出そうなので)配線工事のため少しの間使用できないと合同バンドの方にはお伝えしていました。

推しである丸山彩さんにもそうお伝えしました、身を切る思いでした。

嫌なことなのでどうやら記憶の隅に追いやっていたようです。

「はい、それがどうか…」

嫌な予感がしますね

「開催にそこまで瀕してはいないのですが、生徒会長である白金さんがここ最近登校していないのです…」

あの方、生徒会長でしたね。

これ、開催はなんとかなるとしても色々と問題ですよね

「連絡は…」

話を伺うと、LINEの既読もつくしスタンプは返ってくる為、病状がより判りにくく、家に行っても良いものかと判断に窮しているという。

バンドの仲間であり、同級生、同じ生徒会となれば紗夜さんが心配をしないはずがない。

NFOもログインしていない為、深刻なのではとも思っているそうです。

…猫の手でPC触ろうとしてましたね、そういえば

 

「そこで…」

(柴田賢人の体)に向けていた眼を、柴田様(レオンの体)に向けて

「賢人さん、私が手持ちの情報と今までの事で憶測としてお願いがあります」

()ではなく、柴田様()に確りと向き

「あなたの家に居る黒猫、あなた達同様に入れ替わっている、私の友人、白金燐子を元に戻してください」

迷いなくきっぱりと言い切る言葉

確信をもっての言葉です

…天才の姉は、やはり天才…

対して、犬の姿の天才(柴田様)は、興味無さそうに欠伸をしてあらぬ方向を見ています。

完璧な犬の演技…本気で興味なくしてませんか?流石にそれは人として…今は犬ですけど

「そうくるのは想定済みです、色々と指摘する点はありますが…」

そんなにあるのですか?

言葉を切った紗夜さんが次に口を開いていった言葉は…

「金輪際、撫でるのも、ブラシもなしです。それどころかうちで預かるのもお断りします」

 

…犬に人間的な表情が出来るのを知りました。

(え、なんで、そんなこと…)

もともと四つん這いなのに、何故かくずおれて見えます。

私はされたことないのですがそんなに凄いのですか?

(何でそんな酷いことを…)

凄くうちひしがれているような柴田様に更なる追い討ちが…

「賢人さん、クッキーも作りませんよ?」

あ、柴田様のメンタルが折れました…伏せなのに、土下座してるように見えます。

紗夜さん流石お強いです…って、お嬢は女神さんと氷川紗夜(この方)に勝たないとダメなのですよね??

不安しかないです。

 

 

 

「確信はしていましたけど、本当に入れ替わっているのですね」

ご友人を待たずして(話が話だけに)

白金さん(黒猫)がまつ柴田様の部屋に紗夜さんを連れてというか…気分は連行されている感じでしたが…戻り

黒猫姿の白金さんをじっと見つめると

「本当に白金さんね…」

優しく黒猫を抱き上げると子供を安心させるように背中を撫でる

安心したのか白金さん(黒猫)が紗夜さんにしがみつくように震えていました。

やはり、普通は不安ですよね。柴田様でも戻るまではかなり色々お考えでしたし

しかし、紗夜さんは慈愛にも満ちて…私の推しは丸山彩さん、丸山彩さん…丸山彩は天使…天使…、

ふう、ご友人以外も女神が現れるとは…お嬢はこの戦い乗りきれるのでしょうか?

 

「そんな簡単に戻れるものなのですか?」

あまりの事に紗夜さんの表情が崩れる。

「そだよー、仕組みはなんとなくわかってるんだよね?」

隣には先程、中々散歩から帰ってこない紗夜さんを心配して連絡を入れてきた、朝は役に立たない天才こと日菜さんが何故か出されたフレンチトーストを食べています。

「そうだね、レオンさんと僕はかなり波長があってるからだと思うけどね」

元に戻った柴田様がコーヒーのおかわりを紗夜さんと日菜さんに振る舞いながら説明されますが

感覚的というか、理解されてるのは多分日菜さんだけですね。

「るんっ♪てくるよね?ね、おねーちゃん♪」

「何をしたいのかはわかるけど、やめておきなさい」

本当仲がよろしいですね。

黒猫な白金さんは、日菜さんに湊さんと同じなにか危険なものを感じたのか紗夜さんから離れる事なく紗夜さんを挟んだ反対側から全く動きませんね。

たまに紗夜さんに撫でられて幸せそうにしてます、紗夜さんのあの手は本当に凄いのでしょう、撫でられてみたいですね。

 

 

「紗夜さんが来たことで、動くことはできるね?」

柴田様?

解決するのではなく、動ける?

「確かにそうですね、後は賢人さんとレオンさんみたいに簡単に戻れればいいのですけど」

「大丈夫じゃない?おねーちゃんが目の前で燐子ちゃん撫でればそれで何とかなるとおもうよ?」

あ、なにか解ってる方達の会話にはついていけません。白金さんは…撫でられて気持ち良さそうにしていますね、もう黒猫のままでいいのではないですか?

「しかし、どうして僕とレオンさんが入れ替わってた時期まで的確にわかったの?」

そう、確証は無かったと前置きされて話された内容は見事に私と柴田様が入れ替わっていた時期でした。

少し照れながらも

「日菜を含めて、大事な人の事ですから」

確り見ていますよ。と

 

お嬢、本当に勝てますか?

などと考えていましたら、紗夜さんがこちらを向き、小さく「負けませんよ」と、微笑まれました、宣戦布告ですか?私伝でお嬢への

…お嬢、どうしましょう、敵は女神と戦女神(ヴァルキリー)ですよ…

 

目の前の問題より頭が痛くなってきました。




もう常勝の女神感が漂ってる気もします。

次回は久々のアレです。

また宜しくお願い致します。


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幕間:本来ないはずの座談会inいつものシバケンの部屋

息抜きの方が早い…


はい、ひと編になって出番が全くないあんこさんですよー

えーと、今回は『ゼロツー誕生記念、スラッシュライザーが25000とかどんだけ足元見やがる!クソヤロー』って、私怨じゃない!!

それは置いといて、場所はいつものシバケンの部屋で、いつものメンバーでーす

「…はい、かませヒロイン、白鷺千聖よ…」

ちょ、千聖ちゃん駄目よそんな事言っちゃ

「ふふ、もうここまで差を見せつけられると…笑うしかないわ」

あー、重症ね

「その、対抗ヒロインだったはずの氷川紗夜です」

紗夜ちゃんも困るわよね

「その本命ヒロインになったおねーちゃんの双子の妹で大穴ヒロインの日菜だよ♪」

って、とどめさしに来たわね

「そんな事で負けるような千聖ちゃんなら、もう潰して良いと思うよ?」

あ、なにこの、パスパレの絆を見せられた気がするのは?

言ってることはかなりひどいのに(笑)

 

どうよ、そこのカービィ2号!リーダーなんだから慰めてあげなさいよ!

「まん、なんですか!その2号って!?」

ピンクだから、ひまりちゃんを越えたら1号に昇格だから♪

「…相変わらず私の扱いひどくないです?」

いいじゃない、レオン()に最推ししてもらえて♪

「私もヒロインのはずなのに…」

 

そして、今回から参加の

「ノワールじゃ、のわちゃんと読んでくれればよいぞ」

え?

…まじ?

「燐子もおるぞ」

『ニャッ(…初参加です)』

「本編まだ出てないキャラが来ちゃったね」

そっちじゃない!!

「そうですね、黒からノワールになりましたね」

え?紗夜さんまで?

「私猫の言葉わかるの??」

あー、もーーまだ一番まともな反応が2号とかどうなってるの?

「だから、私の扱いっ!!」

 

 

 

さて、気を取り直して

「落ち着いてないのは彩ちゃんとあんこちゃんだけだよ?」

うん、千聖ちゃんはもう達観した眼になってるわね。

というか…

「私、猫にもヒロイン追いやられるの…私ってなんなの…なんか私に恨みあるの?ねぇ…」

うわ言が怖いんですけど

「千聖ちゃん?大丈夫?まだこれからだよ?」

「彩ちゃーーん(泣)」

弱ってる千聖ちゃん貴重かも…

 

「今の『これから』って…」

日菜ちゃん言っちゃだめ!!

『ニャニャ(…まだ地獄を観る…ですね)』

あなた達…あまり酷いと後でなんかあるわよ?

「だって、あたしはおねーちゃんが幸せならいいもん♪」

『ニャッ(…私、まだ過去編してもらってないです…)』

「のわは燐子が楽しければいいぞ?」

なんか、私よりアクの強そうなキャラよね、のわちゃん

「もう少し頑張れば猫又になる予定じゃからのう」

…そこまで続かないと思うよ?

 

 

さて、ここのところ良いところが目立ってない千聖ちゃんにアドバイスをみんなで…(言っても本編関係ないけど)

「賢人さんをよく見てればわかります、あの人かなり分かりやすいですよ?」

「流石おねーちゃん♪過去の記憶頼りのかませヒロインとは違うよね♪」

あの、日菜ちゃん、千聖ちゃんのLIFEはもう0だから、生死判定で辛うじて生きてるだけみたいなものだからね、本当やめたげて

「だって、本命ヒロインなのになにもしないんだよ?大穴と言われるあたしの方が仲良いよね?」

あれ?

「もうちょっと頼ろうよ、あたしじゃなくても彩ちゃんもいるし、イヴちゃんとか麻弥ちゃん出番ほぼないよ?」

日菜ちゃん?

「今の千聖ちゃんはるんってこない!」

氷川姉妹は尊いわぁ~

「えーと、頼りないとは思うけど、頼ってよね?」

2号は、シバケンとレオンさんが入れ替わってるの気づいてたしねー

「え?そうなの彩ちゃん?本当に??なんで教えてくれないの???」

本命ヒロインだけが気づいてないと…

「確証ないし、違ったらただの変な子だし、電波系アイドルとかじゃないしっ」

「そうよね、普通はそんなこと…」

ふつうじゃないのがシバケン(笑)

「妾らも普通じゃない認定されたようじゃぞ?」

『フミャー!(…ふ、普通です!)』

ガルパ内最強をお持ちの方が普通を主張していますよ?

「最強?」

千聖ちゃんも背の割りに…は視覚効果だね?うん、可愛い♪

「なっ?」

 

「燐子のは凶悪じゃからなぁ、妾もたまに窒息するかと思うぞ?」

のわちゃん、両手で持ち上げてたぷたぷたせない!

螺伐るよ?

「お主眼が本気じゃぞ?」

1号も凶悪なんだよね、私にベース教わりに来るならもっと控え目にしてきなさい!ってなもんよ

リサちゃんもそこそこあるのよね…なんか千聖ちゃん以外にベース教えてもいい子なんて…ポピパのコロネちゃんがいた!!

レイちゃんも身長の割りにないし…あ、仲間はいたよ…千聖ちゃん!仲間がいたよ!!

「泣いて喜ばないで下さい、流石に…でもあんこさんは背が高いじゃないですか!」

シバケンよりも大きいよ?

多分バンドの子達より大きいよ?

私は小柄がよかったのよ!!

「なんか今日のあんこちゃん変だね?」

日菜ちゃん気のせいよ

「あ、のわちゃんにキャラで負けて次回からの進行取られないか心配してるんだね♪」

あーもーーだからこの子は!

「妾は燐子とバーターじゃから燐子がやるならやるぞ?」

…バーター知ってる猫って

にしても、りんりんの姿でこの喋りはなんか変な感じよね?

「うむ、だから親御様に心配されてしもうたのじゃ」

おい猫!それくらい気を付けようよ、本当レオンさんって凄いんだね。

「でも、レオンくんがケントくんのふりしてるときって、気障ったらしくて怪しさ三割増しだよね?」

うんうんと頷く2号と紗夜さん

千聖ちゃん気づいてない?

いつもの病気(中二病)だと思っていたわ…薫とダブってむかついて気づけてなかったのね」

ここまでくると人災もあるよね…

 

ところで日菜ちゃん?それ触ると流石にシバケンも泣くかもよ?

「え?格好いいよねこれ、おねーちゃん、これRoseliaぽくない?」

メタリックレッドの刃物をイメージした感じのベルトを日菜ちゃんが弄っている。

「私はこれにも驚いてるわ」

真っ赤なゼロワンドライバー…気がついたらゼロワンのベルトとプログライズキーが並んでいる。もちろんレジェンドライダーキーも揃ってるのよねぇ

「リサちーに似合いそうだよね、あたしとおねーちゃんはショットライザーだよね」

「私がバルカン?」

「バルキリーの方が合ってる?」

「複雑ね…」

最近もう見てるの隠さなくなったわよね

「わたしはどうせ…ふふ…」

サウザンドライバー持ってるし…あ、サウザー(犬)?

「かませ犬だもの…」

 

「やっぱりこれピンクで可愛いねっ」

…2号、それも買いそびれて足元価格で買ったやつだからね、傷つけないようにね

「…通りすがりの私に言われても」

悪い影響出てきてない?

そして、こっちの新参組も…

「これが燐子が小さい頃から観ていたやつじゃな」

『ニャ、ニャニャ(のわ、それです、そのコウモリみたいなのです)』

…なんとなくわかってた

「ふむふむ、キバット!!『よっしゃーきばっていくぜぇ!』」

『ニャァ~~~(尊い)』

「燐子?燐子しっかりするのじゃ?」

シバケンと同じこと言ってるし…、実はかなりのダークホースじゃないの?

 

あーそこのやさぐれに戦女神に天才ヒロイン達?

そこで幸せそうにしてる黒猫にきをつけるんだよー

おーい

かませ犬がお似合いよとやさぐれてたり

ランペイジガトリングプログライズキー奪い合ってる場合じゃないぞー

 

「そうだよね、あの朴念仁相手なんだからねっ」

彩ちゃん…あなたも結構したたかね

「あんこちゃんもまだ諦めきってないんでしょ?」

私はもう姉でいいよ

「そうだよね、姉ならずっと一緒にいれるもんねっ」

彩ちゃん…恐ろしい子っ!!

「世界の破壊者だよ?『カメンライドゥッ』」

 

 




次回からはまた本編です。

よろしくお願いします。


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十二話:ねこ以上ひと未満

今回もよろしくお願いいたします。


 

「やっとついた…」

白金さんの家の門にたどり着く

部屋からは少し距離があったので車を出そうとしたら

「日菜も私もいますよ?」

助手席に紗夜さん日菜ちゃん、トランクにレオンさん白金さんと…は行けるわけもなく。

皆でお散歩になった。

「普段からバイクや車に頼っているからですよ」

紗夜さんに軽く注意をされる、ごもっともです

「燐子ちゃん家も大きいねー」

日菜ちゃんが感心している、白金さんお嬢様ぽいもんね。

裁縫が得意で自分の服もステージ衣装も縫うお嬢様?

…趣味の人なんだなぁ

「今なら本人しかいないはずです」

紗夜さんが黒猫の白金さんを抱き直しインターホンに近付けて呼鈴をおす。

…一回で出るかな?

状況的に居留守するよね??

と思っていたら…

ばーんっ!!

いきなり玄関が開け放たれ、長い黒髪と存在感のあるものを振り乱し門まで一直線…裸足って…

「燐子ぉ、りんこぉぉぉぉぉぉ」

白金燐子さんがすごいかぉ(あんな顔出来るんだ…)で飛び出してきた。

つくづく入れ代わりがレオンさんで良かったと思う一瞬だった。

「ちょっ!」

白金さんが門を開けるどころか飛び越そうとする

慌てて止めにはいる日菜ちゃん、いや、日菜ちゃん?君もどういう運動神経かな??

いつ門から中に入ったの??

そのまま紗夜さんが門を開けて…あれ?開いてたの??

「まずは家に入りましょう」

慣れてるの?

あれ?慣れてるのこういうこと?

面倒起こしそうな孤高の薔薇がふと頭をよぎったが違うよね?

 

 

「りんこ、りんこぉぉぉぉ、心配したのじゃぁぁぁぁ」

…じゃ?

白金さんの姿な猫『黒』が、黒猫姿の白金さんを抱き締めて泣いている、ん、あれ?

「ちょ、窒息しかけてるからっ!」

慌てて黒猫な白金さんをを引き剥がす、ぐったりしている。

口数が少ない子だけど、なにも話さないからおかしいと思ったら…

 

「本当に凶器なのね」

「あれは犯罪だよね」

氷川姉妹が何を思ったのかそんな言葉を洩らしていた、触れないようにしておこう

(…思い…出しました)

意識を取り戻した白金さんが、ぐったりしたまま話し出した

(入れ替わった…ことに…驚いた黒に…今みたいに失神させられて…気づいたら友希那さんに…)

どういった経由で湊さんに預けられたの?

「友希那さんに預けられたのは偶然みたいですよ」

紗夜さんが湊さんから聞いたというか、RoseliaのグループLINEに駄々流されたトークを教えてくれた

…あの人、猫絡むとネタの宝庫だな

『あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!』ネタから始まって気を失っている猫をどれだけ写メして、目を覚まして怯えてる写メまで流してるし、リサちゃんが止めるまで続いてた

紗夜さんによると、部屋に乗り込んでの制止とかどんだけなの?

その後でうちに預けに来たらしい

…うちに預けにこさせたのは紗夜さんの手引きだって

 

ふと気になって

「あれ?あのちっちゃい娘は?」

中二病のあの元気な娘、LINEとかでも一番喋ってそうじゃない?

「宇田川さんは、ある意味白金さんの反対で…」

オンラインは静からしい

「まぁ、Roseliaでは一番年下ですからね」

それもあるよね、NFOでは元気だもんね

「あと、燐子にやっと伝えられるのじゃが」

膝にのせた白金(黒猫)さんを撫でながら

「妾な、野良じゃなくて、ここのうち(白金)飼い猫()じゃよ」

黒猫が凄い顔をしていた、猫も人間ぽい表情できるんだと感心していたら

「賢人さんもレオンさんの時あんなでしたよ?」

と、紗夜さんに嗜められた

そうなのか…

「御母堂様が幼少の燐子の為に妾を飼っていたのじゃが、庭で一人居た燐子のところに妾がひとりで勝手にいってしまい、燐子が野良と勘違いをしてしまったのじゃよ」

…お母さん?飼い猫ってなぜ教えなかった??

(そ、そんな…おかしいとは思ってはいたんです、予防接種もしてなかったし、毛並みはいつも艶々だし、飼い猫だとしたら私が首輪の代わりにつけたリボンとかそのままだったし、おかしいとはおもっていたんですよ)

…ポンコツか?

Roseliaはポンコツの集まりか??

(…なにより、予防接種とか…動物病院に連れていっても、…お代請求されたことありませんでした…)

気づこうよ!!

こんな娘がよく生徒会長してるな

(…ラッキー、得しました。…と思っていたので…)

ちゃっかりしてるし

ん?もしかして…

「もしかして、『黒』と読んでるのは?」

「燐子だけじゃ?親御さんもご近所のかたも、宅配のかたも『ノワール』でのわちゃんと呼ぶぞ?」

……日菜ちゃん、紗夜さんに止められなかったら大爆笑してたな

そんな紗夜さんも堪えてるし

黒猫(白金さん)の言葉が理解出来ている、僕とレオンさんは複雑な心境だ

笑えないよ…これは…

(…え、…えぇ?)

呆然としてしまった白金さんを見てる手前こらえる以前に気の毒で仕方なくなる

 

「猫の身では伝えることも出来ず、本当伝えたくて伝えたくてなぁ」

(黒、いえ、ノワールは悪くないわ)

…うん、誰が悪いと言えば…でも、飼われてたんだよね?

誰が悪いと…

(ご両親と気づかない白金さんですよね)

だよねぇ、ノワールは被害者?だよね

これも人間のエゴだよね

「燐子ぉぉぉぉぉ」

感極まってまた白金さん(黒猫)を胸に抱き締める

本当は少しは意趣返ししてない?

 

「と、言うことで賢人さん、早くもとに戻してあげてください」

繰り返される窒息劇(ギャグ)に流石に紗夜さんもお疲れ気味だ

「戻れるのか??」

「まぁ、戻った見本だからね」

レオンさんも同意で一言吠えた

(でも、…どうやったら…もどれるのですか?)

「それを今から考えるよ」

うん、猫でも胡散臭い顔って出来るんだね。

「私達はどうしましょう?」

紗夜さんが察して訊いてくれる

この人のこういうところ凄いよね

周りを全然見てる、前は周りが見えててあの態度をしていたのだから本当追い詰められていたんだね。

「おねーちゃん、のわちゃんの部屋あったんだけど荷物はこぼうか?」

…部屋まであったの?

「こらっ、日菜は他所様のおうちでまた」

紗夜さんが嗜めるけど、あまり聞いてないよね。

…うちの未開封のCMS開けてくれたよね…うん、保存用までね(遠い目)

「妾の部屋というか、トイレと寝床と玩具がおいてあるだけぞ?」

それ、部屋と言わない?

「勝手に動かして良いのかしら?」

確かに難しい

(…氷川さんは…NFOでもして待ってていただいても…)

そのまま紗夜さんに伝えると

変な顔をされた、なんで?

「いえ、仕組みがまたわからなくなってしまっただけです」

「ケントくんは受信チャンネルが広いんだよ♪」

日菜ちゃんはそう捉えたんだね

入れ替わった者同士の会話(意思疏通)と思われてたのかな?

黒猫の白金さんと会話が成り立ったので少し混乱しているのかな?

 

結局、居てもいいし、家を見ててもいいとなり、紗夜さんは残り、日菜ちゃんは家を見て回ってる

 

さて、じゃぁ

「話をしようか」

 




なんだかんだで同席する紗夜さん

ちょっと愚痴混ざりの過去話になりそうです。

またよろしくお願いします。


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十三話:きらい以上すき未満

今回もよろしくお願いいたします。

感想で指摘がありましたが…

あこちゃん忘れてませんよ??
予定通りですよ

本当ですよ?


「話しとはなんぞ?」

「そのままの意味だよ?」

話をしておとしどころを見つける

極端な方法なら、本当に目の前で紗夜さんに白金さん(黒猫)を撫でさせるのも手かもしれない。

…僕が黒猫に入る確率が出てくるけどね

 

「話もなにも、妾は柴田賢人、お主が嫌いじゃ」

いきなりぶっちゃけられた、そうか猫にまで嫌われているのか僕は…

「地味にどころか大ダメージ?」

紗夜さんが驚いている、あぁ、いてくれて良かった。

「子供の頃はお主の話ばかりで、やーーっと聞かなくなって久しくなったらまたお主の話じゃ、妾は燐子とのんびりきやっきゃうふふするのが好きなのじゃ!」

語弊があるようで、白金さんが慌てている

(くろっ!なに言い出すの!やめなさいっ!)

おー、饒舌な白金さんだ。なんか懐かしい…ん?懐かしい??

「妾はノワールじゃ、燐子でも名をちゃんと呼ばぬと言うこときかぬのじゃ!燐子は子供の頃は柴田賢人に負けたじゃの、さとうなんとかには勝ったとか、柴田賢人の演奏は爆弾みたいだとか誉めたり貶したりそればかりで妾はうんざりするときもあったのじゃ!」

(今暴露することですか!やめてー、やめなさーい)

さとうなんとか?杏子のこと?

勝った負けた?…

 

「柴田賢人のせいで燐子までビアノやめてしまって妾は心底柴田賢人が嫌いなのじゃ!まぁ、お陰で燐子が構ってくれる時間が増えたのは感謝しておるが…」

ピアノ?

「のわさんのあれはツンデレなのですか?」

紗夜さんがツンデレだよ…何て言ったらずっとツンツンされそうなので冗談でも言えない

っと、なんか、あれー?まさかなぁ

 

「もしかして、子供の頃コンクールでいやに僕や杏子に突っ掛かってきたオカッパ??」

黒猫な白金さんを指差す

「なんじゃ、今ごろ思い出したのか?」

(おかっぱじゃありません!肩甲骨まで伸ばしてました!!)

あ、そう言えば名前に見覚えがあった気がしてきた…

「お主、実に失礼なやつじゃな?燐子はお前…」

(くろ!いっちゃだめー!ー!)

あー、なんか、あれ?そうするとん??

なんか物凄いことを忘れてる気がする…

「白金さん…猫だとすごくアクティブね」

普段物静かで無口なイメージだもんね、跳ねたり鳴いたり見てるだけで忙しい

「そういう話じゃなくて、いやそういう話なのかな??」

レオンさんを見ると、残念なものを見る目をこちらに向けてる

なんですか?僕なんかしました?

(柴田様の残念加減が増しただけです)

ひどっ!

 

「賢人さん、収拾がつかないのなら一度休憩しますか?」

紗夜さんが場を仕切ろうとしてくれる

「そなたか?仕切り屋の泥棒猫は?」

は?なんかすごいこと言い出した?

「…」

あれ?紗夜さん、のわちゃんじゃなくて、なんで白金さん(黒猫)の方に目を向けてますか?

(…?なんです?氷川さん?)

「疑いました、すみません」

そう頭を下げる、なにを疑ったの??

「お詫びに、少し撫でさせてください」

紗夜さんが正座した腿をぽんぽんと叩き黒猫を招く

「燐子?なにをしておる?罠じゃ、そやつの罠じゃ!」

のわちゃんが慌ててるが、お構いなしで黒猫は紗夜さんの膝にのり…

「燐子?気持ちよいのか?その、その御仁の撫ではそんなに良いのか?」

あれは、された人間しかわからない、いや犬猫か

人間であることを思わず忘れるくらいいいんだよねー

白金さん、堕ちたな…

「燐子?燐子??」

完全に猫になっている黒猫(白金さん)を羨ましそうに見つめるのわちゃんことノワール

「そんなに気持ちよい…のか?」

あ、来たかも

って、白金さんの方が…まずいかな?と思ったら

 

「ケントくん!ゆるす!!のわちゃんを抱き締めてあげて♪」

日菜ちゃんがドアをバーンと開けて言い放つ、なにやってんの?この子は?

「は?なにそれ?」

「いいからはやくっ!!おねーちゃんも我慢だからねっ♪」

楽しそうだね?

急な睡魔にくずおれるのわちゃんと言うか白金さんの細いのにボリュームのある体を抱き支えると

「おねーちゃん寝ちゃダメだよっ!」

何故か紗夜さんが眠そうにしていたのを日菜ちゃんが起こす

あ、白金さん(黒猫)が堕ちた!

「もー、危なかった。流石におねーちゃんが混じって入れ替わられたらあたしも困るよ」

日菜ちゃんがにこにこしてるけど、何故か目は笑っていない?

黒猫を膝に乗せたままの紗夜さんは完全に無表情になって、こちらを視線だけで殺すみたいに見てる

「賢人さん、いつまで白金さんを抱いているのですか?」

え?なにその語弊のある言い方は

支えてるだけだよ?

あ、やっぱりそれでも女性に軽々しく触るのダメだよね…

ベットにでも運ぶかと体勢を変えようとしてたら

 

「りんりーーんっ、既読はつくのにスタンプしか返ってこないし、最近学校休んでたって…あれ?紗夜さん?」

さっきの日菜ちゃんを彷彿させるドアのあけかたをして、やかまし元気なのが入ってきた

「け、ケント兄ぃ、な、なにしてるの??」

なにって、ベットに運ぼうかと、体勢変えようとしたら…あれ?

「りんりんとケント兄って…?あれ?でも紗夜さんもいて…え?でもりんりんと??え?えぇ??」

煙吹きそうだね

「どうして、ふたりはだきあってるの?」

その言葉を発したとき

「悲しい事故なんだよ」

どこにいたのか日菜ちゃんが背後から手刀であこちゃんの首後ろを一閃、意識を刈り取っていた

あれ出来る人初めて見たけど

 

『いま、やる必要あったの?』

 

紗夜さんと僕の言葉が一字一句違わず重なった

「やってみたかったんだよねー♪」

 

天才怖い

 

ベットに白金さんを運び

…何故か紗夜さんと日菜ちゃんの眼が怖かった

ついでにあこちゃんもベットに寝かす

…だからなんで睨まれるの?

女の子引きずるわけにはいかないし、どうしろと?

 

「ケントくんってもやしの癖にそういうことは出来るんだね♪」

だから眼の笑ってない笑顔って怖いって

「…そういう事だけ得意とか最悪ですね」

なんか紗夜さん昔に戻ってない??

助けを求めてレオンさんを見ると…寝てる…

 

「え?…レオンさん寝てるんだけど…」

「え?うそっ…」

日菜ちゃんも気にしていなかったのか驚いている

「…入れ替わりに性別は関与するのですか?」

知らないって…これ…

 

もしかして…まずい展開??




りんりんなレオンさん?

いやそれはないでしょう…

次回もよろしくお願いいたします。


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十四話:他人以上友達未満

今回もよろしくお願いします


 

結果から言うと

「…助かりました。…ありがとうございます」

賢人さんが凄い苦笑いをしていますね

お礼を言う眼じゃないわよ、白金さん

黒猫ののわさんも鳴いていますけど、生憎私にはわかりません

対応しているのは賢人さんと白金さん

少し面白くありませんね

「うーん、やっぱりわからないや」

日菜でもわからないですか、って分かったら流石に引くわよ?

「おねーちゃん、ひどいっ!」

 

「一応落着ですね」

文句を言う日菜を黙止して話を進める

猫が何か言ってますが、悪意のある言葉のようなので無視しま…

「あ、白金さん、というかノワールさん」

黒猫が挑むようにこちらを見ます

「湊さんに、白金さんのお宅には黒い綺麗な猫がいます。と伝えればよろしいですよね?」

わかっていないのでしょう、挑むような眼をまだ向けていましたが

「くろっ、やめなさい。氷川さんごめんなさい、黒にそれはあまりにも過酷です!」

飼い主と本人が自覚した白金さんが庇うように抱き上げて、頭を下げさせていた

「なんか燐子ちゃんスッゴい喋るね♪」

「昔はあんなもんだった気がする…」

賢人さん何か仰ってますね

昔ですか、昔…

「貴重な資料を提供して頂いているご主人様に感謝をするように」

猫の言葉なんかわかりませんけど、人を舐めてると…湊さんを呼びますからね?

「おねーちゃん?おねーちゃんの撫でお預けもかなり効くと思うよ?具体的に言うなら、ケントくんが参るくらいには有効だよ?」

そのようですね

私には自覚がありませんけど、娜でと胃袋は掴んだようです

私より日菜が喜んでいるのはなぜなのかしら?

 

「一件落着だよね??」

賢人さんが居づらくて帰りたくて仕方がない様子です

私としても少し面白くない状況ですし帰るとしましょう

「日菜帰るわよ」

日菜はまだ黒猫と意思疏通ができないか試していたので引っ張ってきた

 

「これで学祭もなんとかなるのかな?」

帰り道賢人さんが珍しく沈黙に耐えかねたみたいで話を振ってきた

「…そうですね、白金さんも賢人さんも戻りましたしね」

合同バンドの練習スタジオも復活ですね

私も話題が多い方ではないし

なにより今は面白くない気分が強いので会話も簡素になる

日菜が言い出したとはいえ

好意を持っている女性の目の前で

他の女性を抱き締めるとは…

不覚にも羨ましく思ってしまった自分にも、そして簡単に白金さんの身体を抱き締めてしまった賢人さんにも気分が悪くなっていた

そういえば、何故か睡魔に襲われましたけど…あれはなんだったのでしょうか?日菜は何かに気づいている様子ですが

実はそれも面白くないのです

「おねーちゃん、ごめんね」

日菜は私が不機嫌になっているのにやはり気づいてる

「気にしないで、自分にも不快感を覚えているの」

「うん、でも、ごめんね」

そんな顔をされては自分が悪い気がしてしまう

そんな私達をレオンさんのリードをもった賢人さんが少し微笑ましくみていた、気恥ずかしい

「はやく帰りましょう」

…レオンさんは白鷺さんの家に帰るのですよね?

白鷺さんでふと思い出した、白金さんの提供してくれている賢人さんや杏子さん、そして白金さんの昔のコンクールやリサイタルの動画、必ず現れる白鷺さんになんとなく雰囲気が似た花束の少女のことを思い出した、何故か聞いてみたいと思ったのよね

 

 

「…凄く久しぶりに顔を見た気がするわね」

開口一番それですか

え?私ですか?

言われてみれば最近は白鷺家より氷川家や丸山家、柴田様の部屋が多いですね、感覚的にも

「そうかな?事務所によくいるけど?」

専用デスクというか、事務所待機が退屈らしく柴田様が色々なものをミーティングルームに持ち込んでいます。

気づくとweb関係の内職まで始めてましたね

事務所のサイトが一見わかりませんが誰でも更新できるように作り替えられています。難しいことはわかりませんが、かなり喜ばれて副職としてなにか頼まれていますね

「…」

お嬢がかなり不満顔をしています

「お茶でもいかがしら?」

緊張から顔が強ばってましたか

「流石に少し疲れたのでいただきます」

柴田様本気で体力ありませんね

部屋から白金さんの家からの氷川さん家途中経由の白鷺家ですよ?

 

「どうぞ」

リビングに通されて、柴田様は応接セットのソファーに、私は定位置であるペットシートへ

「いただきます」

出された紅茶を一口ふくみほっと頬を緩める

気持ちも少しほぐれてますね

「おいしいです」

そんな姿を見ていたお嬢は

「ストレートで飲むのね」

以外そうにいう

「まず、お茶の味を楽しまないと」

…あれ?

「コーヒーもだったかしら?」

「そうだよ?」

その言葉にお嬢が怪訝な顔をする

ん?…あ、申し訳ないです。私が柴田様の時に普通にお砂糖入れます

「そうなのね」

お茶請けでクッキーを、犬用も出してくれましたので私もお嬢の傍らでいただきます

「本当ムーンライト好きは変わらないのね」

お嬢が出したのは、既製品のお菓子、高級品ではなく一般にコンビニでも買える品です。柴田様の家にもストックがありましたね

「事務所の机(半公認)にもかくしてあるからね♪」

引き出しに詰めるほど入れるのは隠してはいませんよね?

「あれを隠しているというなら、日菜ちゃんは探し物も天才ね」

パスパレがミーティングをするときにおやつとして日菜ちゃんが出してくるそうです

「…数が減ってるから、無意識でそんなに食べたのかと家計を見直そうとしていたのに」

ムーンライト購入資金を食費と別にしようかと考えていたそうです

「相変わらず馬鹿ね」

お嬢…

「お菓子を食費にするなんて、交際費でしょう?」

そこですか!

「え?交際費?」

柴田様も…

「お菓子って一人で食べるものかしら?」

あ、お嬢、柴田様がなにか刺さってます

「あら?女の子に囲まれてる貴方なら、お菓子なんて【交際費】でしょう?それとも寂しく一人でたべてるのかしら?」

お嬢、攻めはダメです

こう見えて柴田様は耐性がないです、打たれ弱いです、メンタルがお豆腐なんです

「…そうだったのか、お菓子は【交際費】なんだね、でも僕友達いないから食費か雑費だよやっぱり」

お嬢…柴田様元がネガティブなのであまり効いてませんよ

「まぁ、うちで食べる分には気にせず食べれば良いよの」

すっと、もう一箱未開封で机におく

…お嬢…ツンデレのつもりですか?

地でやってますね…ん?

あれ?

「…ん?」

柴田様が箱を見つめてなにか考え込んでいます

ダメです、貴方の思考スピードで考えると思い出せるものも見落としますから!

「今日は、なにか引っ掛かることが多いんだよね」

思い出せないからか頭を揺らしたりしてます、そう言えば白金さんの事をなんとなく思い出せてましたね

「Roseliaのキーボードが多分子供の頃の顔見知りだったみたいなんだけど、なんか、変わってるのか変わってないのかわからなくて」

頭揺らしすぎじゃないですか?

思考がまとまらないのかお嬢いるのに思った事を羅列し始めてますよ?

「最近なんか子供の頃なのか最近なのかわからないこともあるし」

なんですかそれ?

「それにしても、あの攻撃的なおかっぱが何をこじらせたらあぁあるのかな?」

白金さんってそういう方なのですか?

「僕より身長高い宝塚なのか中二なのかわからないのに兄さん呼びされるし、最近なんかおかしいんだよなぁ、杏子の弟子にも睨まれるしぃ~」

それだけ言うと、ピタッと動きを止めて

「リラックスしすぎた、ごめん、千聖(ちさ)っちゃん」

え?…

お嬢!?

「そう、薫は私に教える気がないのね…」

そっちじゃないです!

今…あれ?聞き違いですか?

「戯れ言は終わりましたか?」

お嬢、言い方、言い方を

「なんかリラックスしすぎたみたい、紅茶ごちそうさまでした」

柴田様が流石に腰をあげ帰ろうとすると

「それ、持っていきなさいよ」

先程の青いパッケージの箱を指差す

「あ、ありがとう♪レオンさんもまたね」

…なんですか今の歳不相応な笑顔は?あれ?あれですか?お嬢の言っていた天使も堕ちる純真無垢なベイビースマイルですか??

あんなの見たことないですよ?

だって入れ替わってますしって混乱してますね私も

「…」

お嬢?

「…久しぶり…に、見れた…」

お嬢が白金さん?ではなく

これは人に見せられませんね

私も久しぶりに見ましたよ、お嬢のこんなだらしなくて気持ち悪い笑い顔、天使も堕ちるとは本当良い得て妙ですけど…お二人とも、

 

歳を考えてくださいね?




千聖さんはやっぱり人災もあると思う…

またよろしくお願いいたします。


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十五話:練習以上本番未満

ルーター壊れるアクシデントから

なぜかルーター壊してもノートPCがネットにつながらないとか
内心焦っていましたが

なんとかなりました( ̄▽ ̄;)


またよろしくお願いいたします。


 

合同文化祭は、気付いたら終わっていた

 

何気に色々あったみたいだけど

私はどうも蚊帳の外感が強いのよね?仕方ないけど

 

なんだか少しいらっとしたのはいくつか覚えているわね

 

 

スケジュールがなんとか空いて

みんなのステージを見に行ったのよね

彩ちゃんが頑張っていた

観客側から見てみると彩ちゃんのアイドル性がよくわかって今後の参考になったわ

パスパレ(うち)じゃないのに楽しそうなのに少し嫉妬じみたものを感じたのはそれだけ私も更にパスパレを大事に思っている証拠よね?

【StarWind 】練習組が柴田さんに労われてたのが面白くなかっただけじゃないと思いたいわ…

花音はともかく、彩ちゃんはなぜそんなに柴田さんに近いのかしら?

その後の時間稼ぎ?の一人MCをさせられて、いつも以上にパニックしてる彩ちゃんを見て少し溜飲が下がったのは内緒よ?

 

「…たえちゃんや紗夜ちゃんより?…いえそんな、上手い?こんな子どこに」

一人の少女がギターソロで場を更に繋ごうとしている、どうも何かあったのは確かだけどどうしてあげることも出来なくステージを見ていたら

「何かしら、何故かすごく嫌な予感がする」

ステージ上の子のプレイは本当すごくて、

(…やっぱり)

案の定、ステージ端で柴田さんがかなり興味を持っていた…あの人の自分に出来ないことが出来る人への敬愛にも近い好奇心は対象を選ばないから

(更に、あの子、髪解いたのよね)

ステージに上がって眼鏡と髪をまとめていたシュシュを取った瞬間に雰囲気が変わった、あれでオンオフ切り替えているのね

そして、それを見てなぜか嬉しそうな柴田さん…

あの嗜好は子供の頃から変わってないのね、私も何回か髪を結ったりほどいたりをやった記憶がある

(あの髪フェチ…)

なんかまたイライラしてきた

更にいうならあの子のギター…ヘッドレスなのよ。柴田さんのベースも多分同じメーカー…ストラディバリウスみたいな名前のところよね確か、私も変えようかしら…なんて考えていたら、ステージ上のギターソロが終わり、間がもたなくなりそうなところで、いくつかある出入り口のひとつが騒がしくなる

友希那ちゃん?

紗夜ちゃんを伴って入ってきたかと思ったらステージに上がってしまう、気がつくとRoselia全員が上がっていた、Roseliaも時間をのばすために繋ぎをするなんて…正直驚いたわ。パスパレ(うち)もしたかったかも

 

紗夜ちゃんがギターを誰か(日菜ちゃんか柴田さんなのはわかりきっているけど)に貸してくれと声かけをしていた、日菜ちゃんがすぐに動いていたのは流石おねーちゃん子だと思ったけど…あの子は仕事しすぎよ

渡したのは黒いM-Ⅱ、星と羽が入ってるあれよね…柴田さんのよね

自分の貸しなさいよ!

紗夜ちゃんも驚きながらも満更じゃない顔してるし…面白くないわ

と、かなりイライラしてたらマネージャーから連絡がきた、時間切れね

後ろ髪はありがたいことに引かれることなく仕事に向かえた

 

 

「どうしたの?そんな怒った顔して」

講堂を出て、校門に足早に向かっていると黒づくめの人物に声をかけられる、噛みつきそうなのをこらえて返事をする

「みんなが演奏をしてるのを見て、パスパレ(うち)でもしたくなっただけよ」

全くの嘘でもない、学校行事に全く縁の無かった私だ、彩ちゃんの言うことに少しは賛同もできた

 

でも、やはり仕事が大事なのも私だと思っている

「そんな千聖さんにほいっ」

コンビニ袋を渡された、中にはたい焼きリンゴ飴杏飴にクレープ、お祭りの食べ物セットだった

「あと、たこ焼きお好み焼きと焼きそばタコスとケバブもあるよ」

まだコンビニ袋をもっている

「こんなに出店していたの?」

流石に種類に驚く

「学生だけじゃなく、店舗や企業も混じっていたよ」

流石は羽丘というべきか、花咲川ではありえない事ね

デザート系だけ渡されて、後の温かい系?の数袋は渡されないままマネージャーの待つ車に向かう

珍しく車まで送ってくれるのかと少し機嫌が直っている自分のチョロさに少し呆れる

 

機嫌が直るどころじゃなかった…

 

「え?柴田さん?」

何故か車の外で待っていたマネージャーに柴田さんがお土産?差し入れ?の袋を渡すと、マネージャー後部座席じゃなくて助手席を開けて、袋を置く?目につく感じで鞄なども置いている?

私がいつも通り運転席側の後部座席に座ると、何故か助手席側の後部ドアを開き柴田さんが乗り込んできた

「取材の見学お願いしてたんだけど聞いてない?」

聞いていないわよ!?

え?マネージャー??

もしかして、気づいて…ないわよね

単に助手席に置いた方が食べやすかっただけね、食べながら運転とかどれだけ食べたかったのよ?

「学祭のこのチープさがいいですよね」

臭いにつられて食欲がでてくる

クレープ…生クリームだったら大変だし食べた方がいいわよね?

「お店で買うのと違うのね」

気を使ってカスタードクリームのにしてくれたのね、珍しくて面白いかも

隣で柴田さんもクレープを食べている、この人見かけによらずというか昔からこういうものが好きなのを思い出した

シュークリームとかエクレアとか好きだったわね

千聖(ちさっ)ちゃん、おいしい?」

幸せそうな顔をして食べているわね

あれ?今なんか??まぁ気のせいよね

「美味しいわね、生じゃなくてカスタードって珍しいわよね?」

何軒かあるクレープ屋台でシュークリームみたいに生クリームとカスタードを混ぜている屋台があり、持ち帰りようにカスタードのみを作ってもらったらしい

変なことには気が利くのも変わらない…まって?

「柴田さん?それいくつ目?」

嬉しそうに食べるのはいい

彩ちゃんの食べてる姿見てていつもそう思う

「まだ三個目だよ?」

『まだ』と言い切ったわね?

…なにか思い出したわ

『山シュー』…いくつかの大きな箱に入った差し入れの硬いクッキー生地のシュークリーム、後入りされた大物俳優さんが子供が多いと聞かされてか、かなりの数を差し入れてくれたのだ多目に配り終わってもまだ余っていたシュークリームを山のように積んで…一人嬉しそうに幸せそうに食べていたのを大物俳優さんと『あいつ絶対肥る』と予想しあっていたのを思い出した

食べっぷりと、嬉しそうに幸せそうに食べるのが余程気に入られたのか、度々他の俳優さん(主に女優さん)から、積める『山シュー』に適したシュークリームが差し入れられ、1クールのドラマなのに一年分はシュークリームを食べた気がする

しかし、一番食べていた人物(柴田さん)が肥るどころかすべての数値が平均以下の体型となっているのを今度教えてあげてみるのも一興よね、飲める年齢にもなったし拉致されるかもしれないわ。

と、昔を懐かしんでいたら

「ごちそうさまでした」

食べきったみたいね

「…結局何個食べたの?」

ゴミ入れとなったコンビニ袋の中の包装紙はきれいに畳まれていて逆にその個数の多さがわからない

「10個だよ?」

ま、まぁ山シューに比べたら可愛いものよね

「これ手軽で食べやすいですよね、私も三個はいけましたよ♪」

マネージャーはクレープ以外に取りかかっていた

流石運転者だけあって、運転しながら食べやすいものを選んでいたみたいね

 

車外の景色が目に入り、ふと

「雑誌の対談はどこでするの?」

てっきり事務所か出版社だと思っていたら、それとは違う見覚えのある景色に疑問が口をついた

「今日は先方の都合もあってA局ですよ」

歌番組に力を入れている局よね

…あれ?なにか、嫌な予感がするわ

 

嫌なことは外れないのよね…

 

 

 

 

 

 



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十六話:仕事以上趣味未満

現実に居る人っぽい人が出てきますが
本人のことをよく知らないので、オマージュ的な感じでとっていただけると

女神女神と引っ張っていた、同じ大学の世話焼き女神さんの正体がちょっぴり…

タグは増やした歩がいいですよね

今回もよろしくお願いいたします。


 

音楽雑誌の対談は控え室ではなく

何故かロビーで行われた

個室だと私が未成年であることとアイドルであることを考慮したらしいけど…

 

どう見ても控え室より写真映えするからだろう、急遽決めたようで局に許可を貰いに行っている

 

今回の企画はアーティストさんとの対談

同じ楽器をパートとしている同士の第一弾

相手は今年で15周年のスリーピースバンドで話題性はなにかと多いバンドで私でも名前を知っている。

特にこの対談相手のベーシストさんは幅広い楽曲提供でも業界では有名、更に付け足すと柴田さんがベースをしだしたのはこの人の影響らしい

その柴田さんは対談の邪魔にならないように離れて見ているけど

 

(すごくこっち見ているわね)

 

柴田さんがゲイ容疑をかけられる由縁のひとつでもあるよのね…

尊敬が殆ど敬愛にしか見えない

(あれで入館証がなかったら即通報ものよね)

「白鷺さんのファンなのかな?」

その視線が離れていてもわかる為対談相手のベーシストの多渕さんが気をまぎらわせるためか気さくに話しかけてくれる

(いいえ、あなたのファンですよ、それも重度の…)

男の人に負けてるのよね…昔は女の子()に興味あったのに…

この多渕さんがバンドのベーシストであり、作詞と作曲もしている。最近は主にアニメ関連の主題歌は元より劇中の音にキャラソンまでやっているため、パスパレ(うち)のファン層と被ることから今回の対談になった…と事前情報を教えてもらっている(柴田さんに)。

小柄で細身なのにかなり激しい演奏をするので更に小柄な柴田さんはかなり憧れている

ステージを駆け回る姿を真似しようとして一曲保せる事も出来なかったモヤシが凄い熱視線を送っているわ…本当ゲイなのかしら?

そ、そうよね私も出来るようになればいいんじゃない?

 

以前ライブでリサちゃんがベース弾いたまま綺麗なターンを決めたのをみて杏子さんに「あぁいうの僕にも教えてよー教えてよー」としつこくしていたのを思い出した

 

「正確にリズムキープしながらあれだけのパフォーマンスは本当に凄いです」

対談が進み、勉強させてもらうつもりで話をしていたら

「千聖ちゃんは真面目だね、それが音にも出ているよね」

そうなのかしら?

「でも音楽はやっぱり楽しんでやらなくちゃ」

本人は楽しむためにむちゃくちゃしている、音も自分に良いようにしていたらあぁなったとか

 

「でも、楽しむためにはどうしても上手く、自分の中の及第点以上は最低持っていないと難しいと思うんですよね」

「そこはプロ視点だよね」

感心される

「正直そこまで考えてると思ってなかったからごめんね、パスパレのリズムキープの正確さはドラムだけじゃなかったんだとわかったよ」

謝られてしまったわ

「いえ、そんな。でも本当麻弥ちゃんのドラムには助けられていますし」

「パスパレってドラムにおんぶにだっこのアイドルバンドって勝手に思ってたから今日は話せて認識が変わってよかったよ」

やはり麻弥ちゃんはその筋には定評がかなりあるのを再認識した。でも私の頑張りも少しは認められているみたいでよかった…

まぁ、業界内の評価はそうだと思っていたからダメージはそこまでないし、それを覆したくて頑張っているし頑張っていきたい、あのメンバーと

「メンバーが好きなんだね」

色々あったからこそ言える

簡単だけどこれ以上ない明確な答え

「はいっ」

その瞬間に合わせてシャッターを切られた、なかなか腕がいいわこのカメラマンさん

「パスパレにも曲提供したくなったね、やってみる?」

「是非!あ、でも彩ちゃんに歌えるかしら?」

一応笑いもとっておかないと

柴田さんがすごく嬉しそうにしてる、我が事のように思ってくれるのは嬉しいけど本当不審者よ?

「そうでした、私ももっと楽しんで音楽したいので色々教えてもらえますか?」

そして対談も終わりに差し掛かってきたので私は今日の目的を誌面を借りて言質をとった

 

結果、パフォーマンスはその場の勢いだから教えられないから、技術を教えてくれることになったわ

事務所通して連絡でもいいしと、言いながらLINE交換を誌面でしたことになっている(お互い仕事中に携帯を持ち込まない為楽屋に置いてある)

 

柴田さんの羨ましがる顔がみれるわ、(レオンの)マネージャーとして同行を許可なんかしたらどうなるのかしら?なんて少し調子に乗っていたわね…

取材が終わり振り向くと

 

ステージ衣装の亜麻色の髪の女神(大学の同級生さん)と話していたわ

 

居てもおかしくない

逆に居たらおかしい人物、それも知り合いがいれば話しかけるのも無理はないわよね

「なんだ新田ちゃんの知り合いだったのか」

多渕さんが次の収録のために軽く挨拶だけして楽屋に引き上げていく

 

うちの(レオン専属だけど)マネージャー(アルバイトだけど)は他の大手プロダクション所属のアイドルと仲が良いと認識されてしまったわね…

ここはテレビ局のロビー

 

あらぬ噂がたたないといいわよね

 

えぇ、悪い予想ほど当たるわよ?

 

でも、今までなんでゴシップにすっぱ抜かれなかったのかしら?

 

その疑問は結構早く解消された

 

「あちらのボーイッシュな子は346の新人さんだったんですね」

機材を片付けていたカメラマンさんがそんなことを言う

「え?」

…まさか…?

「女の子にしては少し背が高い部類で若干骨太気味ですけど、346さんは色々な子がいるからなぁ」

…そう見えるの??

確かにゲイ疑惑とかはあるけど

まさか…

これは…

 

すごく面白いわ♪

 

『男』としてずっと見ていたから意外な盲点だと思った

確かに、背も普通の男子に比べて若干低め、もやしだから筋肉は適当にある程度で男子にしては線が細い、更に童顔、変声期を終えたのに高めな地声…あれ?

かなり高スペックな男の娘じゃないかしら??

 

私はともかく、紗夜ちゃんは男性面を強烈に見ているから盲目的になっているだけで…

 

知らない人から見たら、柴田さんって(男性面)を見せなければかなりイケる?

…なんか業界の暗い所も見ていたからか、なんかよからぬことを…

男として手に入らないなら…ふ…

 

「ていっ!」

現在パスパレ総マネージャー(と言っても二人しか部下いない(一人はアルバイトで兼任)けど)で、元白鷺千聖()専属マネージャーが軽くのはずなのに脳に響く手刀を綺麗に入れてくれた

「?あれ?」

「久々に悪い顔しながら崩れてましたよ」

以前その手刀の痛さに抗議をすると「人に見せられない顔だった」と即答され、売り言葉に買い言葉で「どういう顔をしているっていうのよ?」と外見に自信がある私がそんな見せられない顔になるはずがないと更に問い返すと…とんでもない写メを見せられた、即消してもらったのをトラウマレベルで覚えている

慌てて顔を押さえて周りを窺う、大丈夫みたいね、黒いとか言われるのはパスパレ内でのキャラつけや玄人感が出てる気がするけど…あの顔は駄目だ、不細工ではない、基が良いのだから、でも…自分でみても気持ち悪いのは流石に心にくるものがあったから黒いと言われても冷静(クール)にいようと心に刻み込んだのに…

 

柴田さんが絡むと戻ってしまうみたいね

 

少し自分の中の乙女な部分?に驚いた

「ケントくんは昔は男の子してたのに、歳を経て男の娘の要素が追加されたの?」

子供の頃から面倒を見てもらっていたので柴田さんの事を記憶している大人の一人でもあるけど…まだ若いからとんでもな事を言う

 

それ全然うまくないわよ

 

前から思ってはいたけど、男性にしては女子馴れしてるように見えるけど…あれは性別全く意識してないのよね

だから…距離が近い、女子のパーソナルスペースを平気で越えてくる。

意識も何もしてないから、余程の男性恐怖症じゃない限り気づかないのよね

それも相まって、346の個性的なアイドルの一人と思われているからゴシップにならないのね、変に納得したけど

 

私と居てもゴシップにはならないということなのかしら?

 




最近
千聖ちゃんは獣
と吹聴している罪滅しかも…

でもなんかR18混ぜると千聖ちゃんはかなりの獣な気がw
逆に紗夜さんは狩られる側の上位だと思うww

またよろしくお願いいたします。


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十七話:通常以上特別未満

少し間が空きすみません

また今回もよろしくお願いします。


 

「レーザー睡蓮?」

聞き慣れない不思議な単語だった

レーザーは好きだ、あれは良い、また工学部に入り浸って弄らせてもらいたいなぁ…

「RAISE A SUILEN です」

紗夜さんが言い直してくれる

レーザーに思いを馳せていたのばれてるね

「簾を上げる?またすごい名前だね」

「「(…)え?」」

そこ、現役高校一年生と三年生、睡蓮だと思ってたな?睡蓮を上乗せ《レイズ》してどうする??余計ワケわからないよね?

「そのRAISE A SUILENがどうしたの?」

本日は何故か『StarWind 』にRoseliaの面々が来ている、正直苦手だったりする

特に銀と黒の髪は綺麗で顔も整っていて歌は上手いしキーボードも魅せる口数少ない二人が怖い

「なんかさ、友希那に何かと構って欲しくて絡んでくるちびっ子がいてねぇ」

キッズバンドなのだろうか?

「今井さん、それだと賢人さんには伝わっていないわ」

紗夜さんが註釈をしてくれる

 

Poppin'Party(ポピパ)騒動の原因らしい、あのギターの上手い黒髪の綺麗な子がそのRAISE A SUILEN(RAS)のサポートメンバーとして加入したのは良いけどそれで文化祭ライブに間に合わなかったらしい、紗夜さんの話によると結成一周年のライブだったらしいから本人達はかなりショックを受けているらしい

「で?それがどうしたの?」

あこちゃんとリサさんの表情が固まる、どうしたの?

紗夜さんはため息ついてるし、白金さんは「こういうひとなんです」とか言ってるし、表情変わらないのは友希那くらいだよね?

だって、話の流れ的に

 

どうしようもない。

 

別にRAS側も悪意で文化祭ライブの妨害をしたわけではないだろうし、詳しいことはわからないけど意思疏通と認識の齟齬が原因だと思う

まぁ、文化祭実行側としては真実はどうであれ、悪者を作りたいのはわかる。

でも、ここでそれを言っていても全く意味がないと思う

「それに関しては私も同意見よ、起きた事実は変わらないもの」

こういうところはあっさりしているよね

「まぁ、そうだけどさぁ」

「ここでポピパを悼んでいても仕方がないわ」

本人達の問題であって他人がとやかく言っても拗れるだけだ、手を貸せるものでもないよね?

「そん…」

「二人とも言葉が足りてないですよ、あと湊さん誰も死んでませんから」

あこちゃんがなにか言いかけたのを紗夜さんが征する

友希那…素で間違えたな

あこちゃんもわかってないみたいだよなぁ、まぁ中二的(アレ)な言い回しをしていると結構勝手に相手を殺している事多いからなぁ

「ケントはそう言うとこ友希那より冷たいよね?」

なぜ僕が責められるの?

そうは言われても何も出来ないので答えに窮していると

「この男はこれが地なのよ」

お前(友希那)に言われたくない…とは思うけど、友希那が絡んでくるのはいつものことだからそのままにしておいたら

「…その人は、興味が無いと…目の前にいても…目に入らないんです」

黒いの(白金さん)が何か言っている、流石に目の前だと邪魔だと思うよ?

「最近二人仲良いんですか?」

紗夜さんが怖い、なんで少し怒ってそんな問いかけなの?

どう見ても僕白金さんに嫌われてるよね?

「あー、あこもそう思います!なんかりんりんとケント兄って空気にてますよね?」

え?

その一言に、僕含めた学力少し心配組以外が凍りついたあと慌てて言葉を募る

「あ、あこちゃん?」

「宇田川さん?」

「あこすごいじゃん、良くわかったね?」

空気が似ている?

どこがだろう?

あこちゃん中二拗らせすぎちゃったかな?

あ、お互い黒いからか?

不味いな黒は僕のアイデンティティとまではいかないけど、私服が黒か白しかない…

困った

なんて考えていたら

「何を騒いでいるの?単に基本色が同じだけでしょう?」

友希那が全うなことを言うなんて…

リサさんがなんか瞳潤ませてるよ?本当、友希那のお母さんだね

お父さんはどうしてい…?

「誰が父親ですか!」

まだ何も言ってないのに…紗夜さん分かってるなぁ

でも、Roseliaってリサさんが正妻で紗夜さんが堅物なのに初めてが友希那だからころっとほだされたチョロい愛人で娘二人と無職ニートなダメ趣味人親父が友希那というイメージもあるんだよなぁ

あ、すっごい睨まれてる

「あの、紗夜さん?」

「かなり失礼なこと考えてましたよね?」

なんでわかるの?

「紗夜すごいじゃん、読心術か何かなの?」

リサさんが話題を変えようとしたのかな?変な食い付きをみせる

「賢人さんは表情に出やすいですから」

友希那ばりにポーカーフェイス(無表情)を自負してるのになぁ

「いや、出来てないから。アタシでも今何考えたかわかったもん」

…そんな

「えーと、友希那さんと同じつもりなのになんで?だよね、リサ姉♪」

あこちゃんにまでわかるのか?

「…動揺してますね、昔と変わりません」

…昔かぁ、なんか酷く悔しいことがあった記憶があるのはわかってるんだけどなぁ

「ところで、柴田賢人(しばたケント)、預けた黒猫はどうしたのかしら?」

預けた?

…白金さんが固まっている

あ、ノワたんの事か

「あの猫なら…」

と、言いかけたところ

「あの、すみません。賢人くんちょっといいかな?」

何故か面倒見の良すぎる同級生が顔を出した…黒猫を抱えて

「どうしたの?」

約2名を除き視線が同級生を注視していたので慌てず速やかに扉の外へと出ることになった

いや、うん、この同級生、本当にアイドルなのをこの間実感させられたのだ

でも、Roseliaのメンバーからしたらあまりアイドルは関係ないかもなぁ、身近にPastel*Palettesが居るわけだし、紗夜さんなんか実の妹だしあまり気にしない方がよかったかな?と思っていたら

「ごめんなさい、打ち合わせだった?」

「いや、それより?猫どうしたの?」

どう見てもノワたんことノワールだ

僕を威嚇してるし間違いないだろう

「賢人くんの部屋の前でずっと鳴いてるから、何かあると思って」

猫にも気遣いとか本当万物に優しいんだなぁと偽善者としては見習わなくては

「飼い主が心配できたのかな?」

「バンドの子の飼い猫なの?」

最近飼い猫と発覚したと言うと流石にまた変なこと言ってと笑われる、本当のことなのに…

「ん?なにか用事あったの?」

朝以外部屋に来るのは久々な気がする

「ゼミのノートの照らし合わせさせてほしいかなって」

そう言えばなんか欠席してたなぁ

「全然良いよ、先まっててよ」

部屋の鍵を預けて、ノワールを預り見送ると

『紗夜!紗夜!確りして!!』

スタジオの中が騒がしい?

「友希那いるけど大丈夫なのかな?」

何故か少し開いていた扉の向こうで紗夜さんが倒れているのをリサさんが大慌てで介抱している為、ノワールの心配を忘れてしまったのはまぁ仕方ない

 

 

 

「紗夜~女神は手強いねぇ」

手強いというより、あれは慣れの差です

『StarWind 』の休憩用のソファーに運ばれた私に今井さんの一言だ

「でも、紗夜もやるようになったねぇ、倒れた振りなんかするなんておどろいたよっ」

ノワさんの事もあるのでそれが最善策と思ったら、思わぬ御褒美を頂いた

「ケントってモヤシなのにやるときは決めるからよくわかんないよね?」

そう、頭を打ってないか確認すると…ソファーまで横抱き、いわゆるお姫様抱っこで運ばれた

もう、そのまま本当に気を失うかと思ったわ

「支点と力点を正確に把握した介護士のテクニックですよ」

たぶん本で読んだか、元々理系だから簡単に体現できたのだろう

そう、密接することで…密接すること、思い出したら恥ずかしくなってきました

「紗夜は本当にケントが好きなんだね」

今井さんは湊さん一筋だから…と賢人さんみたいな事を言いたくなったのは悪い影響です

「ケントに会うときは絶対ヒールの高い靴ははなかいし」

1センチ差は苦労するんです、女神さんは2センチ高いの気にしてないのかしら?

 

賢人さん背結構気にしてると思うんですけど?

 

 

 

 

 

 



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十八話:膠着以上奮戦未満

すみません

紗夜さん分が全く足りてなくて
すみぺで千聖さん分を補って紗夜さん分に変換しようとしたら…

彩ちゃん・千聖さんのゆらゆらにやられてしまいました。

なんとか11月予定の紗夜さんねんどろいどを自分誕生日に用意してたら

発売延期…orz

更に誕生日を相変わらず仲間内に忘れられ
うん…きっと仲間じゃなかったんだ…もうなんもしてやらん…

と世捨て人してましたw<7割実話


らうくれが私を癒してくれた…ロックカワイイよ<まて
パレオも可愛いよ♪<もっとまて

紗夜さんは後ろ姿も美しい…

読んでた二次がみんな停滞してしまって自分も停滞してどうするんだろう?
ということで復帰しますので見捨てないでください。

…ビッチシリーズ好きだったのになあ…


 

-りゅうこあいまみえる?

 

そんな事をあこちゃんがもらしたけど

なんで?

どっちが龍なの??

僕龍好きだよ!あこちゃんも好きでしょ?

え?竜の方が好きなんだ…黒龍とか憧れない?

 

虎はホワイトタイガーなら好き!

某電気ネズミぽくカッティングシートでラッピングされた丸い外車をみかけてから、免許を取得していやに車高を低くした車をみせびらかせにきたいわゆる裕福層特有な少し残念な親戚が格好よくしたいと言うのでカッティングシートを一緒に買いにいき(免許取り立てでなかなかスリリングだった)ホワイトタイガー仕様にしてあげたほど好きだ

 

え?、自分のにしろ?

車じゃ折角のホワイトタイガー仕様がみれない!、バイクには施したいけど虎をイメージさせるバイクは高い…残念すぎる

 

なんて考えてたけど、別に誰か争ってる?

というかどうして僕の部屋に移動するの?

「やっぱりあった!」

あこちゃんが入るなりテレビ前に置いてあるワンダーライドブックとソードライバーを見つける

「ケント兄、触っていい?」

「いいよー」

今期のはあこちゃんには刺さったようだ

個人的にはなんか違うそれじゃない感がしていたけど、まぁ面白いので観ている

「相変わらずおもちゃすきだねぇ♪」

リサさんにはおもちゃの一言で片付けられる。

「…そうね」

黒猫(ノワール)が逃走したため不機嫌な友希那が応える

友希那の反応を伺いながらあこちゃんと新しいソードドライバーを触っている白金さん

あれ?紗夜さんは?

「賢人さん、新田さんはどちらですか?」

キッチンでお茶をいれてくれているのだけど、キョロキョロしてる

美波にお茶を出した方がいいのか困っているのかな

「えーと、部屋。マグカップ消えてるから大丈夫だと思う」

何故かその一言に紗夜さんの顔が固まる、なんで?

白金さんがワンダーライドブックを落としてあこちゃんが慌ててたり…リビングのテレビ回りは痛くないようにカーペット敷いているから大丈夫だよ?

そして、リサさんが面白そうなものを見つけた顔をしている、なんでさ?

 

「紗夜~♪折角だからクッキー差し入れしようよ☆」

気の利く人だよね、流石Roseliaのお母さん…って、なんで紗夜さんと二人で行くの?あ、二人で作ったからかな?

なんて考えていたら事務所から電話が入った、珍しい

事務所からの電話と断って内階段を降りて外に出ると、逃げたはずのノワたんことノワールが戻っていた。

「はい、柴田です」

と、応えたら部屋から悲鳴が!?

相手を確認するまえに断って扉を明け内階段をかけあがりドアを開けると「驚いただけだからと」美波が顔を真っ赤にしていた、悲鳴を上げたのが恥ずかしかったのか…

電話をしに外に戻ると…ノワたんいないんだけど?どこいったの?

事務所に折り返しかけ直すと、かけたという人間が運悪く離席したらしくわからないとか、かけ直しをお願いして部屋に戻ろうともう一度辺りを見るけどやっぱりノワたんはいない、あいつ不幸の黒猫か?と少しだけ思ってしまった。

 

その数分後…白鷺千聖率いるパスパレメンバーが部屋に押し掛けてきたりと人が来たのは嬉しいけど

おかしい、僕の望んだ形じゃない…

 

 

 

「柴田さん?女子に乱暴って!!」

ちょっとまって??

その千聖さんに今両手で襟首捕まれ乱暴されそうなんですけど?

彩ちゃんも麻弥さんも見てないで助けてほしい

どうやら、事務所のスタジオで練習中、「気分を変えよう!」と『StarWind 』を使おうという話になり(現在パスパレの常用練習スタジオとしての契約をオーナーと折衝中)日菜ちゃんが今日はRoseliaが借りていることを伝えた為、空いているかの確認の電話が先程のものだったらしい。

そこに美波の悲鳴が入り、間違った伝言ゲームがスタートして

『あの草食犬(シバケン)が肉食に化けた』

になったのと、日菜ちゃんからの連絡に紗夜さんが返さなかった(スタジオにスマホを置き忘れていた)ことから変な信憑性が数秒で増して、僕が折り返したときには関係者が事務所からこちらに向かっていたらしい

「僕、そんなに信用なかったのか…」

かなりショックだった

反対に練習をするはずのパスパレメンバーはRoseliaと暢気にお茶している…慌てて楽器持ってこなかったらしく、同僚?マネージャーが取りに戻っている…酷いな

よく見ると美波も混じっている、両サイドを千聖(ちさ)っちゃんと紗夜さんに挟まれてなんか笑顔が微妙に固い気がする、人見知りだったっけ?いや、あの二人とは面識あるよね??なんだろ

 

ん?最近なんか千聖さんを「ちさっちゃん」と呼んでないか?レオンさんとの入れ替わりの影響かな??

気を付けないと睨まれるからなぁ

千聖さんも眼力強いから射ぬかれるかと思う

 

 

 

「この間から少し気になっていたのですが」

紗夜ちゃんがンミナミィ、いえ新田さんと私に詰め寄るかの感じで小声で質問をする、嫌な予感がする

「お二人とも呼ばれ方変わってませんか?」

…?

「え?」

「えっ///」

理解に少し時間が必要だったけど、新田さんは何故か顔を赤らめる…まって?何その反応??

「…黒でしたか」

紗夜ちゃんが射殺すかのような目をしてる…いや、紗夜ちゃん弓道部だから洒落にならないわよね

「え?なんなの?」

私おいてきぼりになってない?

「紗夜さん?美波?千聖(ちさ)っちゃん?」

え?…まち…って

紗夜ちゃんがなんか口から何か出てそうな死んだような顔してる…って、いま、敬称なし名前呼びしていたわよね?!なんなの??

耳を疑ってメンバーを見ると、彩ちゃんなんでそんな生暖かい目で私をみてるの?麻弥ちゃんもイヴちゃんもビックリした顔してるわよね?え?なんなの?って日菜ちゃん?なに?なんで私を睨んでるの??睨むのはそこのアイドルって私もアイドルだけど…なんなの?どういうこと??わからなくてRoseliaのメンバーを見ると…

ここは仲が良いのよね??リサちゃんは笑ってるし、友希那ちゃんは我関せず、あこちゃんは紗夜ちゃんを慌てて介抱しにきて、燐子ちゃん??なんであなたまで私を睨んで?って、私の後ろに新田さんが…いないわよね?

え?どういうこと??

いま、柴田さん、新田さんのこと名前呼びしてたわよね?それも敬称なしで??なのになぜ私が睨まれているの??

え?

私なにかしたかしら??紗夜ちゃんが魂出ちゃってるの私が無意識でなにかしたのかしら?

え?私無自覚でそんなことするの?サイコパスなの?そんな役まだしてないわよ??

「なんで千聖(ちさ)っちゃんが大慌てになってるの?」

魂出ちゃって、あこちゃんに膝枕されてる紗夜ちゃんの前髪をかきあげて熱を測りながら…え?

いま?

「わ、紗夜さん?さよさんっ!!??」

あこちゃんが大騒ぎしている

「あははー☆紗夜ったら額つけられただけですっごいことになってる♪」

なにやってんのよ!

手で熱を測ったらわからなくて、そのまま額つけて熱測りやがりましたよこの男!!

紗夜ちゃんも一気に熱も上がるわよ、私も平常でいられる自信はない、新田さんもなにか言いたげに柴田さんを見ているけど

当の本人は

「ちょ、紗夜さん?またこんな無理して?日菜ちゃん送るからお家の方に連絡して!」

紗夜ちゃんを本日二回目(リサちゃんに聞いた)のお姫様抱っこで部屋を出ると階下の車庫(ガレージ)のシャッターが開く音と開ききる前に柴田さんの愛車が出ていくのが音でわかった

「シャッター開ききる前になんて初めて見たかも…」

しばらくして新田さんがそんなことを言いながら部屋に戻ってきた、ドアの開閉などの気遣いや後処理とか勝手知ったるなんとかみたいで少し面白くないと思ってしまったのは仕方ないわよね?

 

私?私は日菜ちゃんは親に説明するにも伝わらず、私が変わって説明をした

日菜ちゃんの天才語を翻訳できるのは少ない…ではなくて、要点しか言わないで理解させるのは難しいわよね?紗夜ちゃん(もう一人の娘)も絡んでるからかなり親御さんは困惑していた

 

Roseliaの面々は紗夜ちゃんの荷物をまとめてくれていたけど

リサちゃんが満面の笑みだ

「いやー☆これでケントと紗夜も親公認だ♪☆」

 

…?

え?

…私、さっき日菜ちゃんのお家の方に事情を説明したのよね…はめられた?メンバーにはめられた??

ギギギと音が出たかもしれないほどの重い動きで日菜ちゃんを見ると

「ごめん、でも千聖ちゃん別にケントくんと何もないでしょ?」

何て言っている

あれ?私、好きな人と好きな人を好きな人の後押ししたの??

「千聖ちゃんだとうちの親も安心納得だからね♪」

彩ちゃんと違って~、何て言っている

あれ?

どうして?

私柴田さんのこと…

 

好きって誰にも話してない

 

今更後悔をすることになるとは思わなかった

 

 

 

 




ということで
波乱が起きかけてます

次回は意外な人視点で(もうバレている)

復帰していきますのでよろしくお願いいたします。


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十九話:思惑以上偶然未満

今回もよろしくお願いします。

感想…やっぱりうれしいです・゜・(ノД`)・゜・
これからもよろしくお願いします。

もう少ししたら幕間やりたいなぁ


 

女神さま視点

 

最近の女子高生って元気なのね?

何て言っても私も2年前は同じ女子高生だったけど

バンドやってる子達はなんかパワフルで微笑ましいけど、なんというかそれが怖くもある

賢人(まさと)くんの知り合いにどんどんバンド関係者が増えていく

最近まで知らなかったけど賢人くんは子供の頃に音楽でやらかした子らしい(彼の幼馴染み談)

 

本人の意図しないことに殆ど女の子で少し困っているなんて、普通の男子が聞いたら怒ると思うよ?

その中でよく聞く名前が、

「Pastel*Palettes」と「Roselia」

Pastel*Palettesことパスパレはアイドルバンドとして売り出してるので私も知っているし、(TV)局でも顔を合わせる。

まだ数回だけど同じ番組にも出たことはある。

メンバーの数名が異質な事で話題のあるバンドだ、なかでも一番が有名子役を経て女優としても名高い「白鷺千聖さん」

どんな縁なのかはわからないけど、賢人くんの周りでよく見かけていたけど

最近は千聖さんの所属事務所で「KO犬」で少し有名なレオンくん(千聖さんの飼い犬)のマネージャー兼パスパレ見習いバイトマネージャーをする関係でメンバーもよく見かけるようになった

 

そして、アマチュアガールズバンドながら芸能界にも名前が轟いている「Roselia」

うちの事務所でもファンがいるくらいだから、私が賢人くん経由とはいえ知り合いだと言えば美城(346)もスカウトに動くかもしれないそんな子達もよく顔を合わせるようになった

他にも「Afterglow」「ハロー、ハッピーワールド!」「Poppin'Party」と詳しい子に言わせるとかなりの実力ガールズバンドと知り合いになったみたい

 

こんな変人(賢人くん)のどこがいいのか?なついてる子が多い

特にこの目の前にいる2バンドは普通に部屋に上がるくらいには関係が深い

私でも部屋に上がるのに一年かかったのに…引っ越しの手伝いからの上がり込みという流れは我ながら運が良かった…

特にさっき賢人くんにお姫様抱っこで運ばれていった、氷川紗夜ちゃんは川原でもみかけるし、あの態度から、私と同じく(・・・・・)男の趣味が悪いみたい

そして、周りは気づいているのか、わざと気づいてない振りをしているのか、芸能界の先輩でもある千聖さんも賢人くんに含むものがあるみたいなのが気になる

あの賢人くん(変人)はいったい何をやらかしたのだろう?

 

しかし、パスパレは練習をしに隣の(・・)スタジオに来たはずよね?

Roseliaは練習後だけ…

ん?

さっきから変な視線を複数感じていたけど、その一人と目があった

少しだけ(鷺沢)文香ちゃんを彷彿させる子だ…雰囲気も…その胸の辺りも

慌てて逸らしていたけど窺うような視線を向けていたのはあの子だ

…まさか、あの子も?

他には前から(テレビ)局でも敵意にも似た視線をまっすぐに放ってくる子、パスパレの氷川日菜ちゃん、さっき運ばれた紗夜ちゃんの双子の妹、お姉ちゃん子なのはかなり有名だから私を敵視しているのかな?

あんな男の為に嫌われるのは嫌なので仲良くしたいところだけど

あとは彩ちゃんもちらちらとこちらをうかがっている、あの子は「THEアイドル!」な子なので346のアイドルな私に興味があるのかな?

 

と思っていたら…あの子が一番危険だと私の直感が訴える

 

正直賢人くんには早く帰ってきてほしい

「ミナミさん!」

私の友達でもある年下の異国の女の子を少し思わせるイヴちゃんが人懐っこい天使の笑顔できて

「マサトさんとはコイビト同士なのですか?」

凄い、無垢な笑顔で爆弾暴発させた…

みんな黙ってしまった、私の父親じゃないかと言われている海洋生物学者のもつスタンド(幽波紋)レベルに時が止まっている

 

ここで「そうだよ」と答えるのはずるい気がするし

さっきリサちゃんと紗夜ちゃんにはまずいところ見られたからあまり強く出れない

「ゼミが一緒の一番の(・・・)男友達かな?」

かなりへんな言い回しだと思うけど少しの牽制にはなったかな?

「ソウなのですね、でも仲がよくてウラヤマしいです!」

天使は納得してくれたうえに、仲がよいと持ち上げてくれる。

私が女神なんて言われてるからかしら?

「イヴちゃん達も仲がいいんじゃないの?」

あえて地雷を踏むことも大切なの、今は天使という爆弾も平気な味方もいる

「…ソウですね、マサトさんはダレにでも(・・・・・)優しいですからね」

少しの間の後、また爆弾を投げる

わざとじゃないわよね?

パスパレメンバーを見ると、麻弥ちゃんが苦笑いしていた、あの子とイヴちゃんは安全みたい

露骨にダメージ受けてる彩ちゃんと千聖さん、面白がってる日菜ちゃんも私は怪しいとにらんでる

え?Roseliaにまで飛び火してる

燐子ちゃんが複雑な顔をして

うそ…

友希那ちゃんが一瞬だけど表情に変化が、見間違いかと思ったら

リサちゃんがこの世の終わりみたいな顔をしているから見間違いじゃないと思う

そうかリサちゃんはそうなのか、さっき私の醜態見られたからいい交換材料が見つかった

 

「Roseliaもケント兄とは仲良いですよ♪紗夜さんはもちろんだけど、りんりんも友希那さんも、もちろんあこも♪」

な、なんだっけ堕天魔姫だっけ?のあこちゃんが仲間に爆弾投げつけた

リサちゃんが死にそうな顔してる、やめてあげてもう彼女のライフは0なのよ!

ん?Roseliaでリサちゃんは賢人くんと仲悪いのかしら?

「あ、リサ姉とケント兄は姉弟(きょうだい)みたいなものですから」

意味がわからないけど、そんなフォローをされてるリサちゃんは友希那ちゃんに介抱されて幸せそうだ

 

間が間が持たない、どうしようと困っていたら

誰かの携帯が鳴り出した

千聖さんのスマホだった

 

 

 

「みんな、もうすぐ楽器が来るわ」

楽器を取りに引き返してくれたサブマネから連絡があった

気分を切り替えるにはちょうどいい

…本音を言うともうかえりたい

今日はなんか疲れた、本当に疲れた

全部柴田さん絡みなのが本当ここ最近多くてなんでこうなるのかしら?と愚痴も言いたいけど

言えるのはレオンだけ…せめて花音にだけでもと最近思うのは弱くなったのかも

「千聖ちゃん」

私の肩に手を置き

「私もいるからね?」

言葉の真意はわからなかったけど、私そんなに気落ちしているように見えるのかしら?

「そうね、ありがとう彩ちゃん」

でも何故かその笑顔が私と同種のものに感じられたのは私がよほど疲れている証拠なのかもしれない

 

その日の練習は何故かいい水準だったのは

環境(『StarWind 』)が狭いながらに良かったのか、みんな微妙に疲れてて変な力みがなかったのか、日菜ちゃんが大人しくて音が走らなかったからか…

最後はなんかパスパレっぽくないわよね、麻弥ちゃんが物足りなさそうにしていた、私もなにか物足りないという

何故かリズム隊がギターが走ること前提で構えてるというおかしなことに麻弥ちゃんと苦笑いしてしまったわね

 

パスパレ(私達)が練習にキリをつけた頃にちょうど柴田さんは帰ってきた…

「うわ…ケントくんが気疲れしてる」

そんな日菜ちゃんも疲れてるわよね?

「お疲れ様、遅かったわね」

---

Roseliaのみんなは私達が移動するときに一緒に部屋を出ている

新田さんは何故か(・・・)『StarWind 』の扉の鍵をもって開けてくれた…なにか面白くない

日菜ちゃんは紗夜ちゃんのスマホを見つけてロック外すのに躍起になってたし…それダメじゃない?

「おねーちゃんも私とPASSいっしょだった♪るるるんってくる♪」

…紗夜ちゃんどうせ誕生日なんでしょうね

「…え?私の画像?もーおねーちゃんたらぁ♪」

練習そっちのけで喜んでいるけど…

「え、これ…おねーちゃん…これはダメでしょ…」

日菜ちゃん何を見たのかしら?すごく気になるけど…さすが紗夜ちゃん覗き込み防止シート貼ってあるみたいで見えないわ

その日菜ちゃんはダウンしたまま、私は中身と柴田さんの安否を気にしたまま練習はいい水準で終わった…どうしてよ?

---

 

「なんか…すごく追求されるし、おじさんには敵視されされるし、おばさんには生暖かく見られるし…紗夜さんはフォローしてくれないし…」

かなり本気で疲れてるわね

それでもスタジオ閉めに来るのは偉いと思う。

ご飯とかどうするのかしら?この人自炊上手そうだからあまり心配はしてないけど…今日くらいは…

メンバー(みんな)に視線を走らせながら

「ねぇ、こんな時間だからふぁみ…」

「賢人くんご飯…きたけど片付け…あ、ごめんなさい」

ドアを開けながら新田さんの声が…踏み込んでこないのは流石というか、でもその爆弾は十分私にダメージをくれた

 

…ゴハン「デ」キタ…意味がわからなかった…分かりたくなかったのかも

 

名前呼びでご飯も作る

紗夜ちゃん…私達は女神への反逆者(トリーズナー)にならなくちゃいけないみたいよ




千聖さんがなにかしようとすると強制力が働くみたいです。

千聖さんは紗夜さんを同位に見てるようですが
紗夜さんは着々と勝手に堀は埋められるし既成事実はつくられるし…

どうするんでしょう?

そして本当の意味でのダークホースが千聖さんの背後に!!w

次回もよろしくお願いいたします。


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二十話:詮索以上追求未満

今回もよろしくお願いいたします。

ねんどろ紗夜さんやっと発売~~♪
…届いたけどまだ我慢…
全部回収してから状態見て保存用を決めなくては♪


 

氷川宅に大事な娘さん送り狼になれない柴犬(シバケン)事件の翌日

本当に体を壊したわけではないからちゃんと登校してきた、

The風紀委員な紗夜ちゃんが教室にいた…けど様子がおかしい。

 

何か考えてると思ったら赤面したり落ち込んだりしている。

「分かりやすいくらいテンプレな恋する乙女状態だよね」

三年になり一人クラスの違う彩ちゃんが音もなく隣にいた

「お、おはよう彩ちゃん」

「うん、おはよ千聖ちゃん」

私気がつかないくらい紗夜ちゃん見てたのかしらと考えていると燐子ちゃんや花音も登校してきた

みんなで遠巻きに紗夜ちゃんをみていると

「…氷川さん、本気なんですね」

燐子ちゃんが考え込んでいる

「なんのことかな?」

花音は知らない

(あなたの家庭教師(お兄ちゃん)を好きな人間が最低三人いるのよ)

…本当、みんな男の趣味が悪い

柴田さんなんかみんな見限ってしまえばいいのにと思う

あんなのに合わせてられるのは私くらいなのだから

 

「紗夜ちゃんのあれはやっぱりご両親絡みみたい」

彩ちゃんが日菜ちゃんからのLINEを教えてくれる

夜に娘を男が送ってこれば騒ぎになるわよね(流石にお姫様抱っこはやめてもらったらしい)

「でも、お兄ちゃん(柴田さん)なら紗夜さんのご両親も…」

いいかけて、考え込む花音

何か心当たりがあるのよね

「柴田さんは人見知りだからね」

うんうんと彩ちゃんが頷く

 

あれで人見知りなのよね

初対面の印象が悪いのはすごく緊張してるのに普通に話せる、だけど…素っ気ない、冷たい、感じ悪いという酷さ

子供の頃はまだ少しましだったし

ピアノの発表会やコンクールとか知ってて見てるこっちはハラハラさせられた

クールでいいとか喜んでる勘違い女子とか本当ハラハラさせられた…

 

「なんで彩ちゃんが知っているのかしら?」

あれ?そう言えばパスパレ(メンバー)ときちんと顔合わせしたとき…あれ?普通だった?ような?

「柴田さん、なるべく一緒に居ないように走り回ってたからね」

走っていたかしら??

私の記憶もいい加減よね

 

そんなこんなしてたら

「あの、みなさん?」

紗夜ちゃんがこっちを困った顔で見ていた、遠巻きに観察されればそうなるわよね

朝の挨拶とともに紗夜ちゃんの席に溜まる

「あれから大変だったみたいね」

紗夜ちゃんが苦笑しながら

「母が『あの人が噂のケントくん?』なんて言い出したら、父がそんな噂知らないといじけるとか本当面倒くさかったです」

氷川家は女系だからお父さん大変そうね。レオンが居た時男が増えたと喜んでいたというのは本当みたいね

「それは…」

花音が苦笑いしている

 

「そうです、私のことより。白鷺さん気になっていたのですけど…」

 

私に何か気になること?

何かあったかしら?

紗夜ちゃんにも私が柴田さんを好きなのはばれてないはずだし…なんて考えていたら

「いつから賢人さんに『ちさっちゃん』と呼ばれてるのですか?」

 

…?

なにそれ?

私、千聖だから『ちさとちゃん』はわかるわよ?

『ちさっちゃん』?え?

…それって…

「え??」

私の反応に紗夜ちゃんが聞き間違いかしら?と顔に出してたけど

「昨日何回か『ちさっちゃん』呼びだったよ?」

彩ちゃん…

「それ、本当??」

私が一番信じられない

 

「千聖ちゃん昨日は美波さんの名前呼びで混乱してたからね」

そうなのよ、新田さんは名前呼びの敬称なしなのよ?

………

なんで彩ちゃんが気づいてるの?

「え?」

顔どころか声に出てしまった

「どうしたの?」

いつもの人懐こい年齢並に少し大人びた笑顔、彩ちゃんだけど…

「彩ちゃんよね?」

思わず確認してしまった

「?そうだよ?どうしたの千聖ちゃん??どこか悪いの?え?どうしよう?保健室?それとも早退する?」

あ…彩ちゃんね。

『大丈夫?あるける?保健室までついていこうか?』の前に止めた

 

「あの柴田さんが、アイドルを呼び捨てにしてるのに驚いたから、私の呼び方なんか気にしていなかったわ」

ちなみに友希那ちゃんも呼び捨てなのよね。あとは…Afterglowのメンバーも呼び捨てじゃないかしらそういえば?

 

基準が分からないわ?

 

「で、いつからなんですか?」

紗夜ちゃんが怖い…

いつから…いつからと言われると、最近ではないと言うべきかなんというべきか考えていると

「子供の頃からだよね?」

か、花音なんでそれを知っているの??

私が驚いていると

「少し前に薫ちゃんがお兄ちゃんとの事をいきなり聞いてきたの」

…薫

「千聖ちゃんには薫ちゃんにお兄ちゃんの事は黙っておいた方が良いと言われてたんだけど、薫ちゃん珍しく『素』だったから…」

薫は柴田さんと再会したの私には黙っていたのね!?

「あのバ薫…」

「ち、千聖ちゃん?」

いつものつもりで少し怒気を漏らしていたら花音に止められた

薫が絡んで花音がいるものだからいつもの調子になってしまった

「じゃあ花音は柴田さんの事を薫からも聞いたのね」

…これは、恥ずかしがってる場合じゃなくなったわね

察しのいい紗夜ちゃんが困惑しつつも厳しい目線を送ってくる

「それで、どういうこと…」

いいタイミングなのかわからないけど予鈴が鳴り響いた

朝礼まで時間がない

「…話は後で生徒会で聞きましょう」

逃げられないわね…彩ちゃんなんでそんなに楽しそうなの??

 

私、柴田さん(あの男)の為に親友と友達がいなくなるのね…

 

 




千聖さんVS紗夜さんが…

起きないだろうなぁ(笑)

方や腹黒策士、方や表面クールなポンコツだし

あれ?まともにやりあったら紗夜さん負けない?
物理攻撃だったら余裕で勝てるのになぁ~(しません)

このふたりが争ってる間の漁夫の利狙いは多いだろうし…

またよろしくお願いいたします。


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二十一話:思い出以上愚痴未満

今回もよろしくお願いいたします。

ねんどろ紗夜さん可愛い♪


 

昼休み

 

なぜ私がここに…

花咲川生徒会室

表上燐子ちゃんがこの学校の実権握り、紗夜ちゃんが裏でこの学校を牛耳るという…

あら?羽丘は日菜ちゃんが生徒会長よね?

…氷川姉妹はこの地域の二大女子校を仕切ってることになるわね

なんて恐ろしい…

 

「白鷺さん、声に出てます」

「わざとよ」

 

端から見ると、険悪に見える?

でも、しっかり話したおかげで紗夜ちゃんとの関係が少し深くなったかもしれないわ

扱いが微妙に薫に近いかもしれないのは仕方がないわよね?

 

 

 

ー少し前に遡ると

 

お弁当を食べながら簡単に話をしていた、三年生である私達は丁度授業がないのでこのまま生徒会室で話を続けてもいいので結構のんびりしていた。

ポピパのメンバーも(市ケ谷)有咲ちゃんが生徒会室に居る為、お昼を同席していたけど

よく考えなくても柴田さんの事はあまり知らない子達のはずなので興味も何もなく私の昔話として聞いてくれていたはずなのに

 

なぜこうなった?

 

私は花音や彩ちゃんの後押し(結局薫から話を聞いた花音に追求の迷惑がかかるのも嫌だった)や

花音が聞いた薫の話との整合性を確かめるために柴田さんの話をしていた

 

薫はやっぱりバカだ

何一つ自分に有利になるように話を変えずに、ありのままを花音に伝えていた

そして、薫もどちらかというと花音と同じで異性というより兄という立ち位置の柴田さんを好ましく思っているようだ

『まぁ、賢人(まさと)兄さんが私より背が低くなければ私ももっと近くにいたいと思えたのだろうけどね』

薫なりの気遣いなのだろう

私は自分の呪われたようなこの身体の成長のなさを改めてありがたく思った

「あの?いいですか?」

珍しく、有咲ちゃんが入ってくる

「どうしたの?」

「その、お話しにあった。しばたさんとかまさとさんとかは、柴犬(しばいぬ)の柴に田んぼの田で賢人(ケンジン)と書く『柴田賢人(しばたまさと)』さんですか?」

………

あの草食系…胸?胸なの??

燐子ちゃんといいひまりちゃんといい…

『千聖ちゃん!?』

花音と彩ちゃんに正気に引き戻してもらう、僻みよね…紗夜ちゃんを見ると同じように目線が下を見ている

「そ、そうね。そう書くわ、有咲ちゃんの知り合いなのかしら」

若干動揺したのは認めなくてはならない

「市ケ谷さんもピアノを…」

紗夜ちゃんが気づき、燐子ちゃんが頷く

おかしい、私も子供の頃ピアノしていたわよ?

紗夜ちゃんも同じらしく少し納得のいかない顔をしていた

「はい、あの気難しいクールキザですよね?」

…ねぇ、柴田さんってみんなにどう写ってるのかしら?

「そうなの?なら珍しいわね同姓同名かしら?」

あんな名前は多くはないけど

違う人としてマトメテシマオウ

 

「あれ?それ星のひとだよね?」

星の人

?確かに星が好きよね

…香澄ちゃんとも接点あるのかしら

「ほら、さーやじゅんじゅんと本気でライダーごっこしてた人じゃないかな?」

…あの人は…

「そういえばそんな名前だったかも、たまにうちのパン買いに来てくれてますよ」

「それは、間違いなく賢人(まさと)さんですね」

紗夜ちゃん苦笑いしてる、子供相手に本気でライダーごっこが出来る大学生(おとな)は確かに少ない気がする

「いつもじゅんじゅん達とも遊んでくれてるから悪い人じゃないよね?」

…とも?

「他にも誰かと遊んでるのかしら?」

「知りませんけど、じゅん達と別れるときにそんなことを言っていたような気がします」

あの偽善者は他でもイイ人ポイントを稼いで…違うわね

事務所の仕事(アルバイト)

って、私達子供と同列なの??

複雑な気分ね…

 

「おたえは知ってる?星のひと」

星のひとで定着してる?

「んー、知らないかな?」

あら、柴田さんってたえちゃんみたいな子好きそうなのに?

ギターも上手いし、髪も綺麗だし…

 

「黒のM-Ⅱに羽根の生えた星が入ってるとか、strandbergの黒のベースに星と羽…」

たえちゃんがstrandbergに反応した

「変態だ…」

そっちなのね

「でも」

でも?

「4弦と6弦のツインネックの変態なら良くみますよ?」

「…」

紗夜ちゃんも私も黙ってしまう

そんなの持ってる知り合いは一人しか心当たりがない

「そう言えばそのツインネックも黒で星と羽あったような?」

たえちゃんのバイト先(不定)にたまに現れるらしい

…それって、ストーカー?

紗夜ちゃん、私達の好きなひとはJKのストーカーかもしれないわよ

把握してしまった私と紗夜ちゃんが少し気落ちしていると

「どうしたんです?」

たえちゃんってスラッとして、新田さんを少し思い起こさせるわよね…なんて考えていたら

「…あの、それって誰かと一緒じゃなかったのかな?」

ずっと黙っていたりみちゃんがたえちゃんに尋ねる

「うん、背の高い女の人につれ回されてる感じだったかな?」

なぜ疑問形?そういう情報は確りと話しなさいよ、思い至る事があるらしく紗夜ちゃんが胸を撫で下ろしていた。

「紗夜ちゃん知ってる人?」

「そうですね、花園さん紅い派手な人じゃなかったですか?」

…あかいって、あれ?なんかそんな人いたような?

「あ、うん。そうですね。あれは紅いですね」

どんな人なのよ?

「賢人さんの姉のような人ですよ、確か今井さんが練習に付き合ってもらった事があります」

紗夜ちゃんは何気に柴田さん絡みの人との面識が多いわね

 

「私も少しお世話になったから」

どうやらりみちゃんもお世話になったなら、ベーシストさんなのかしら?私もお世話になりたいかも

それにしても、柴田さんの姉か…ありうるのかしら?

…あ、紅い?あの激しいピアノ演奏の子!?

遅れて記憶が開いた

いつも紅いドレスに薔薇を散らすような、烈火のような激しい演奏をする柴田さんと同じ世代のピアニスト…姉なのね

「…柴田さんといい、その人といいピアノやめて弦楽器って」

柴田さんは自分でもピアノ含めて弦楽器大好きを公言しているけど

「千聖先輩ピアノって…その柴田賢人です!」

繋がっちゃったわね、ごまかしたかったのに

「世の中狭いですね」

紗夜ちゃんも呆れている

燐子ちゃんが「また被害者が…」なんて言ってるし

「賢人さんモテモテだね♪」

彩ちゃん嬉しそうね?

まぁ、私も嬉しくない訳じゃないのよ、好きな人が嫌われものよりはねぇ?

でも、みんな男の趣味が悪いわよね

 

「ち、ちが、違います。あんなヤツは大嫌いです!ピアノ勝手に辞めるような根性なし」

照れ隠しよね?

燐子ちゃんが深く同意しているけど

「え?有咲、星のひと好きなの?」

香澄ちゃんが嫉妬なのかいつも以上に抱きついて有咲ちゃんをいじっている、「バ、バカッ!ちげーよ!」と私達がいても言葉が悪くなってるからかなり慌ててるわよね、こういうツンデレもあるのね演技の参考にしましょう

しかし…有咲ちゃんもか

「また賢人さんの幼少期を知る人が…」

紗夜ちゃんも困惑している

うん、ピアノね

燐子ちゃんはコンクール出てたくらいだし

「有咲ちゃんはコンクール出てたのかしら?」

そんな話は聞いたことがない

「いえ、そのスクールで見学というか、予行演習というか」

いつかはあなた達もあそこで競い合いなさい!というやつかしら

…後に全国を制覇した燐子ちゃん

年上とはいえその燐子ちゃんの上位入賞を延々と阻んできた柴田さんに紅い人

子供心にどう写ったのか少し興味があるわ

 

 




やっとPoppin'Partyが出せた…

またよろしくお願いいたします。


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二十二話:思い出以上失望未満

今回もよろしくお願いいたします。

ねんどろ紗夜さんを追加で買おうとしたら…

無い( ̄▽ ̄;)

もう足元価格で出回ってる…


何時も通り生徒会室でお昼をしようとすると、今日は珍しい人が三人いた

彩先輩と千聖先輩、そして花音先輩だった…

 

花音先輩が薫先輩からの話を話していた

どうも幼馴染の話らしく、千聖先輩も関わっているらしい

りみの奴が出てくる男?しばた?まさと??に過剰に反応している

 

しばたまさと?

思い当たる名前が浮かんだ…

子供(スクール)の頃、私に星のシールを獲得(集め)させた元凶と同じ名前

だけど話から珍しくも同姓同名の別人だと思っていたら…

 

アイツだった…

そして何故か私に話を促す千聖先輩

 

「当時って、かなり熾烈だったみたいよね?」

燐子先輩が深く頷いている

なんで知ってんだよ?

…いや、黒い子じゃないか?

キザヤローに、紅いのに、黒い子にあと何人か

私とたいして年齢変わらないのにとんでもない化け物ばかりの世代だった

上位二人はさっさとピアノ演奏をやめてしまい、残った黒い子が全国を獲ったのを覚えている

そうか、燐子先輩だったんだな、なんか納得した

「あの二人なんでピアノをやめたんだよ」

私はずっとそう思っていた、あんなすごい演奏が出来るのに簡単に手放した、そんなものなのかと私も何故かピアノから離れてしまった

あいつらの影響かとおもうと面白くなくて思い出さないようにしていたのに

 

「…市ケ谷さん…あのふたりは、ジュニアの年齢を越したからです」

黒い子こと燐子先輩が教えてくれた

「え?」

「私達より、三つ歳上です」

三つも歳上だったのか、確かにジュニアには年齢制限あったよな

「…え?それって」

「…辞めた、のではなくステージがあがったからです」

でも、元々あのふたりを含めたあの世代は大人に混ざって戦って(演奏して)

 

「そう言えば途中からジュニア部門にしか出てませんでしたね」

なぜ紗夜先輩が知っている?

「名目上は『大人達に混ざってもまれすぎて今後の活動に影響がでては損失になる』、でした」

「実際は、あの二人に劣る大人(先人)からの意見(クレーム)よね。子供が混じってはレベルが下がるとかよね?」

「あの二人の性格では、そんなことがあればさっさと見限りますね」

 

「子供に負けたくないならもっと研けばいいのに怠けよ」

子役として名を馳せ、今は女優としての道とバンドの道を歩んでいる千聖先輩

「まったくです」

己にさえわずかな妥協を許さずその腕を研き続ける紗夜先輩

この二人だから言えることなのだろう

しかし、千聖先輩も紗夜先輩も詳しい…どういうことだ?

「あの、先輩方は柴田さんとなにか?」

いい聞き方が思い浮かばない

「大切な恩人です」

紗夜先輩は即答

「…忘れられた幼馴染みかしら?」

千聖先輩はまたよく分からない表現を

「恩人ですか?」

香澄が早速食いついた

「それも大切って、それって?」

沙綾まで、りみは好奇心でうんうん頷いてる、おたえは相変わらずなにを考えているかわからない

「えぇ、私は賢人さんに好意をもっています」

言い切った、紗夜先輩ってこういう…こういうキャラだな恋愛方面でもこんな感じなんだと感心させられた

 

『きゃー♪』

三人が盛り上がるが、何故か香澄がこっちを見て、「あ…」なんて気まずげな顔をする、なんだよそれ!?

「ちょまっ、香澄お前ぜってー勘違いしてるだろ!」

沙綾やりみまでそんな顔すんなよなっ!!

何年ぶりかに聞いた男の事で仲間にそんな顔させるなんてあり得ないだろ!?

「有咲、何処か痛い?」

おたえが心配そうにそんな事を聞いてくる

なんだよそれ?

私が何処か痛い??

そんなわけないだろうが!

 

私はお昼の授業の予鈴のおかげで香澄がなにかをやらかす前に生徒会室から出られた幸運に感謝した

 

不幸中の幸い

 

何故かそんな言葉が出て来て

なにが不幸なんだよっ!!

と面白くない気分になった

 

 

 

「えーっと」

授業のある二年生達が生徒会室を出ていき、残された三年生(私達)

彩ちゃんが思わぬ地雷を踏んで困っている顔をしていた、そんなんじゃバラエティじゃやっていけないわよ!私達アイドルだけど…

「…市ケ谷さんも、何かおもうところが」

有咲ちゃん(あの子)にあんな顔させるなんて

柴田さん(あの男)は子供の頃何してたのかしら?

「天然のたらしですね」

総括して紗夜ちゃんが言い切った

「私の話と有咲ちゃんの様子だけでそれはちょっと…」

「白金さんの様子もありますよ」

強い…

「わ、私はなにも…」

慌てる燐子ちゃんに

「昔は好きだったのですよね?」

今は違うと言わんばかりの切り捨て方に紗夜ちゃんが焦っているのがわかった、ある意味余裕がない少し前の紗夜ちゃんの姿がそこにあった

「…そうです」

燐子ちゃん弱い…

私は…

「有咲ちゃん、キザヤローって言ってたけど千聖ちゃんや燐子ちゃんは心当たりあるの?」

そう、そこだ

「キザ、ですか?」

燐子ちゃんも思い当たらない

「薫の話にあったように小学生で中二病発症してたから、キザというより痛々しいというか…」

私の言葉に

「え、本当に?」

薫の話と私の証言で燐子ちゃんの中で中二病ワードが固まったらしい

本当、みんなにはどう写っているのか聞いてみたい

「紗夜ちゃんには王子さまに写ってそうだけど…」

紗夜ちゃんとの馴れ初めは、日菜ちゃんが教えてくれている

あのもやしが人をのすなんて信じられない、余程怒っていたのが窺える、日菜ちゃんは軽く言うけど人を傷つけるのを絶対に善しとしない人だから意外すぎる話だった、お陰で私の知っている柴田さんとはじめは結び付かなくて、柴田賢人(あんな名前)が他にも居るんだと感心したくらいだから

 

「そうですね、見た目は全く…ではないですけど、少し頼りないのに、いざという時には本当に何とかしてくれますから…王子さまというより、そう賢人さんですからヒーローですね」

私のろけられてるわよね?

柴田さんは昔から天才という呪いのせいで、周りからの過剰な期待に滅多うちにされていたイメージしかない

今は天才ゆえの奇行として好きな事をしすぎて呆れられて、だいぶ楽になっているみたいだけど

これは教えていいものか考えていると

「…賢人さんは、賢人さんでかなり迷ったり傷ついたりはしているのですけどね。そこまで含めて私はヒーローだと思っています。」

……私は何も言えなくなった

 

 




千聖さん巻き返しかと思ったら…

どうしてこうなった…

またよろしくお願いいたします。


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二十三話:冷戦以上団結未満

今回もよろしくお願いいたします。

もうねんどろいど紗夜さんが足元価格で辛い…
え?持ってるのに何言ってるって
花咲川の制服紗夜さんみたいじゃないですか!!
おたえもう一個買い足して待ってたんですよ
そうしたら…リボンハットくっついてるんだもの…切ったり削らなきゃなんですよ

定価ではもう買えないorz



「さ、紗夜ちゃんは本当に賢人さんが好きなんだね」

黙ってしまった私の代わりに彩ちゃんが少し圧倒されながらも言ってくれる。最近の彩ちゃんは何故か頼れる…時もあるような気がしなくもないわ

あら、彩ちゃんは何か言いたげな目でこちらみてるわね

「千聖ちゃん、動揺しすぎて口に出してるからね!」

あら、ごめんなさい

かなり動揺してるわね、私

 

「そうですね、最初は『何ですか?この自他共に認める偽善者ぶったお節介な気に食わない人は?』でしたからね」

評価低い…

まぁ私も評価低いスタートだったわよね…

なんであんなのが良いんだろう?

「それがわかってるから、白鷺さんも賢人さんが好きなのでしょう?」

また私口に出していた!?

彩ちゃんを見ると苦笑いしながら頷かれた…

「す、好きとかは…」

辛うじてそう言うと、紗夜ちゃんはあの新田美波(女神)にも匹敵する笑みを湛えて

「お互い、地味に(恋敵)も多いし、本人はあんなのですけど頑張りましょう」

え?なにこれ私下に見られてる?

…でも、いまは確かに素直になれなかった分私が出遅れている様に見える

 

「彩ちゃん、花音協力してもらうわよ」

花音はうんうんと頷いてくれているけど

「彩ちゃん?」

彩ちゃんは笑顔のままだけど様子がおかしい

「千聖ちゃん」

あれ?なんかあの笑い方私に似てない?

「私、賢人さんの事『好き』って前言ったよね?」

彩ちゃんあなたもなの!!??

「それは、ライクというもので、ら、らぶではないと判断してそれで、彩ちゃんはアイドルだから」

動揺しすぎて支離滅裂よね

 

これはまずいわ

彩ちゃんかぁ、全然考えてなかったわ

うち(パスパレ)はみんなもっと分かりやすい王子さまタイプ…でもないわね…

冷静に考えなくても、エゴサにブシドーにるんっ♪にふひひよね

普通の人を恋愛対象にはしないわよね

「千聖ちゃんかなり失礼だよっ!」

「その中で一番趣味が悪いのが私じゃない?」

彩ちゃんがきょとんとしている、その後はいつもの彩ちゃんの笑顔になって

「やっと千聖ちゃんらしくなったね」

花音もうんうん頷いている、花音あなた今日頷いてばかりよ?

「千聖ちゃんひどいよぉ」

言いながらも嬉しそうだ

 

ふぅ、紗夜ちゃんじゃないけど私もかなり余裕がなかったのね

「そんなんじゃ、レオンくんも心配するよ?」

「そうね、ありがとう彩ちゃん」

あら何か急に楽になったわね

「なんか色々考えてたのが馬鹿らしくなったら急に楽になったわ」

その場の全員が苦笑いしている

おかしな事言ったかしら?

 

「そうね、幼馴染みアドバンテージもほぼ無いのと、お礼をかねて」

特に紗夜ちゃんを見て

「薫も知らない柴田さんの事話すわよ?」

でもとっておきは話さない

どうせみんな切り札は伏せている

そのあたりの駆け引きは私に一日以上の長がある

 

私も鬼札(ジョーカー)がある

 

でもRoseliaの二人が伏せていたのも鬼札で、彩ちゃんは鬼札と気づかず持っていたというのと

ずるいことに、紗夜ちゃんは鬼札どころかブランクカード(真っ白無地)まで持っていたことだった

 

私の切り札(鬼札)も大概だけど

紗夜ちゃんは本当柴田さんが好きなんだと後になるにつれ思わされた、なにそのファンタジーかつ火曜サスペンスドラマ(火サス)

私も出てみたいわよ柴田さんのヒロインなら!

 

しかし、柴田さんの幼少期の話っていま考えても…子供にしてはちょっとその…変質的よね?

特に髪の話は

「だから柴田さん私がお仕事の時と普段とで髪型違うの気にしてたんだ」

そう、彩ちゃんくらい露骨に髪型を変えるのをすんなりやれちゃう子とか凄く興味深く見てる

「そう言えば確かに…」

紗夜ちゃんも思い当たる節があるらしい

「去年の、あれですね」

燐子ちゃんも知っているみたい

「まだ、そのRoseliaもいまほどの状態ではなく」

誰しも過去は恥ずかしい、少し言いにくそうにしつつも話してくれる

「白金さんの関係で海の近くのコテージが借りられたので、メンバーで詰めて練習が出来ると赴いたのですが」

あ、察した

リサちゃんとあこちゃんが海で遊ぶと言う選択肢を捨てられるはずがない

「ちょうど戸山さん達も来てて」

巻き込まれたのね

あれ?

「その話どこに柴田さんが?」

Roseliaの二人が苦笑いをして

「湊さんが、『番犬』と称して引っ張ってきました、コテージの外にテント(犬小屋)まで張らせて」

そう言えばその時期は花音も家族旅行かハロハピのいつもの(・・・・)に巻き込まれて居なかったわね、柴田さんも見かけなかったけどそんなことになっていたとは…

しかし、友希那ちゃん…あの子は柴田さんをいいように使っていたわよね、最近はうちの事務所で働いている(アルバイト)からおとなしく感じるけど、Roseliaのマネージャーと思われていたくらいだし

…『CiRCLE』より『StarWind 』の方が使用頻度上がらないかしら?

なんて考えていたら、彩ちゃんが話を促してくれた

「その、ビーチバレーをすることになり」

頑なに私服で参加していた紗夜ちゃんもあまりの不甲斐なさに柴田さん(おとこ)に見せるなんて絶対嫌だった水着姿、動きやすくする為に髪を後ろで纏めてアップにしてみせたらしい

「あ、それは…」

当時の紗夜ちゃんにしてみれば、嫌悪の対象よね、水着に着替えたら急に視線を感じたら

「当時は男なんてみんなこんなものよと思いましたが…今思うと、髪型を変えたのを見ていたのですよね」

確実にそうだ

あの髪フェチは本当、何なんだろう?

「原因が千聖ちゃんだったなんてねー」

え?私なの?

「どう考えても白鷺さんが原因です」

私そんなに髪の毛いじってないわよ?サイド纏めて後ろで止めてるだけで…

「自覚がない人がここにもいましたね」

何て言われる

確かに慣れるまでは大変だったけど、今は起き抜けで寝ぼけていても出来る

まぁ、私が寝ぼけることはあまりないけど

ふと

「ねぇ、あこちゃんの髪型って…」

あんなのを自分で出来る子なんて…

「彼女の髪型(あれ)は巴さんがやっていますから」

自分でやってないのはダメね

海の時に知って興味失ってるらしい

「でも高校生になって…色々と成長しはじめたりは…」

私は実はあこちゃんも危惧している、同じ中二病だし、変に感性似てるし

「そうですね、彼女は普段の言動から侮られがちですがRoselia(うち)のドラマーなんですよ」

結構ひどいことを言う、燐子ちゃんが慌てている

「ふふ、紗夜ちゃんとは柴田さんの事がなければ花音以上の親友になれた気がするわ」

「私もです」

 

「二人がフュージョンすれば女神さまにも勝てるのにね」

彩ちゃん、また何を言い出すの?

紗夜ちゃんが何の事か判ってないわよ?

 

そう、あの内縁の妻みたいな女神がいるのよね…




ということで
千聖さんは早めに注文だしておかないと…

じゃなくて、千聖さんがちょっと復調と恋敵同盟発足(?)
女神さまが一人で受けて立つなんて…

それどう考えても女神さま勝ちフラグでは?
それに気づかない二人ではないのでどうなって行くのでしょう?

次回は久々の幕間したいなぁと

またよろしくお願いいたします


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幕間:本来あってはならない座談会in『StarWind 』二階居住予定スペース

どさくさ紛れで2章終了記念幕間

…なおメタなのに誰も知りませんw

今回もよろしくお願いいたします。


私の推し(千聖ちゃん)復活記念いつものやつー!

イン『StarWind 』二階、居住予定スペースぅ!!

わーわーわー

あれ?みんな大人しい?

「…流石に疲れたわ」

「そうですね」

そうなの?漸く初期コンセプトから変更したせいでバカ長くなった話の…あれ?長さ(メタ)が降りてこない

おーい、書いてるひと?どうしたの?

「現実逃避しすぎて、同時に書いてるのをリメイクしてたら、また1本書き出したから、もうどうなるかわからなくなってきた?」

丸山…私のポジションをとるなぁ!

ただでさえ私の千聖ちゃんといちゃいちゃしててもう本当…

「あなたのじゃないわよ?」

はいっ、でもそこをなんとか!

千聖ちゃんがやらかした時の為に弁護士になるんですよ!!私

「検事じゃなかったのですか?」

家の事がバレたらどちらにしてもダメだから諦めたわよ

「…杏子さんの家って」

地域密着で私的に色々護る一家です♪

「あ…だからそう(お嬢)なんだ…」

 

昔は嫌で嫌で黙ってたんだけどね

シバケンいわく

『三ツ藤はすごく地域密着で、江戸時代の火消し並みに好かれてるぞ?』

なかに居る方が分かってなかったのよね

うちって、漫画やドラマにある堅気なおうちだったらしい

言われてみれば、一番若いのでも私の勉強がみれる高学歴だったと思い出す

爺さんとかに悪いことしたなぁと思いつつまぁ弁護士になるから勘弁してもらおうと思っている

 

って、私のことはどうでもいいの!

千聖ちゃんおめでとーー

「え?なに?」

やっと女神へ挑戦が出来るステージにはたてれるね♪

「それは軽くディスられてないかしら?」

シバケンは良いヤツだけど面倒…

は、二人とも知ってるよね

「私も知ってるよぉ!?」

丸山はちょっと違うからスルー

「……一応…私も…」

りんりんは巨乳()だからだめ!

「…酷いです」

あれ?なんかおかしいと思ったら日菜ちゃんは?

「二軍がどうとか言ってましたけどわかりますか?」

二軍?

 

 

―ところかわって

「ということで、ツンデレムーヴしちゃって損してるグループ座談会!inみんなのケントハウス」

自由じゃな双子妹

「本当は千聖ちゃんがやる予定だったけど、なんかこっちもるんっ♪てしそうじゃない?」

何故妾がこっちなのじゃ?

燐子はあっちだというのに

「えー、ノワール(のわたん)ツンデレじゃん?」

ちがうわっ!!

「しかし、ネコにまでツンデレされるケントくんってなに?本当に嫌われてるの??」

だから妾はあやつは嫌いだと言うておる!妾は燐子が大事なのじゃ

燐子を蔑ろにするあやつは好かんのじゃ…

「それって、あたしと一緒?おねーちゃんを大事にしてくれるからケントくんるんっ♪てくるけど、関係なかったらどうでもいいかもだもん、多分」

お主も大概じゃな…

「ね、ねぇ、日菜?」

「どうしたの?なんかすごい複雑な顔になってるよ友希那ちゃん?」

「あ、貴女、にゃーち、んっんん、ネコと会話していない?というか、私も会話内容がわかる?え?なにここ天国(ヘブン)?柴田賢人の部屋というのが気に入らなかったけど、どういうことなの?」

物凄く動揺しながら喜びつつツンデレするとか器用じゃな…こやつ、猫の姿の燐子をかなり可愛がってくれたから良いヤツじゃぞ?

「ある意味一番安全なケントくんとこに預けてたしねぇ、打算込みで♪」

「な、なにを?」

「黒猫にも会えるし、ケントくんにも会えるしで少しは狙ったよね?」

「私にはそんな事にかまけている時間はないわ」

「リサちーの監視を掻い潜っての逢瀬は少しドラマチックだと思っている?乙女じゃん♪」

双子妹よ、お主全能過ぎないか?妾ここにおらんでもよいのではないか?

「そういう役回りだもん♪」

いいのかそれで?

 

で…部屋にあと居るのが

ツインテ巨乳にピンクの巨乳に水色髪の巨乳におさげ眼鏡の巨乳?に何故数名隠れておるのじゃ?隠れきれてないカラフルな頭髪のヤツもおるのう

「別名『柴田ケント賢人(しばたけんとまさと)被害者友の会』だね♪」

なにをしておるのじゃあやつは

にしても、燐子並みが多いのう

「だよねー、寂しいのは友希那ちゃんに…」

双子妹がそうカウントしかけたとき

「私、実は貴女達(氷川姉妹)よりあるわよ」

なんじゃ?このグループは胸の大きさで集まっておるのか??

「友希那ちゃん、嘘は…」

「OVAを観てみなさい、確実に紗夜よりあるわよ」

メタ発言しながらすごいどや顔じゃ、あんなもの(大きな胸)がアイデンティティになるのか?

燐子の(巨乳)に何度も殺されかけておるゆえ凶器にしか思えんぞ?

 

「なぁ、ロック。なんでお前まで居るんだ?」

所在なげにキョロキョロしている眼鏡っ子にツインテが声をかける

「私もよくわからな…」

「じゃなくてだな、ここにいる連中はどうやら柴田賢人(アイツ)に関係があるみたいなんだよ、なっ?」

「あいつって誰ですか?」

「柴田賢人だよ?知らないって事はないだろ?」

眼鏡っ子が何かを思い出すかのようにして…

「チュチュさんがマネージャーにと騒いでいるパスパレのマネージャーさんですか?」

「ケントくんはPastel✽Palettes(うち)のマネージャーじゃないよ?まぁあたしも含めてみんなマネージャーにしようと狙ってるけどねぇ♪」

双子妹…結構独占欲強いのう

柴田賢人(アイツ)って何やってんだ??」

「どうしてそんな人絡みで私いるんですか??」

「私が知りたいんだよ!千聖先輩に紗夜先輩に燐子先輩まで知り合いみたいで、花音先輩やひまりちゃん達までここにいるし…」

「あれ?ロックちゃん、ケントくんを誰かと勘違いしてないかな?」

双子妹…お主なんでも知っておるのか?…怖いぞ

「え?」

「大ヒントー♪ケントくんは中部圏(地方)出身だよ?」

「そういえばロックも岐阜だっけ?」

あ、なんか眼鏡っ子が何かに気づいたようじゃ、あわあわしておる

…この部屋もしかしてこれからこんなのばかりなのかえ?

 

 

―もどって『StarWind 』

「…これ凄い画面(えづら)よね」

日菜ちゃんにやらせたからね~

「止めなさいよ」

止めて聞く?

「うちの妹が申し訳ありません」

実の姉が悟って謝罪してるし

「にしても…カメラなんていつ仕掛けたの?」

本来は『StarWind 』(こっち)の防犯用にこっちのスタジオに付けるのを業者が間違えて向こうにもつけたんだよね

「なにその怠慢業者…余分につけてるなら怠慢ではないのかしら?」

「…柴田さんも…何故放置して…?」

オーナーがそのうちこっちに引っ越させると思ったんじゃないかな?

向こうはやっぱり広すぎるよね

「…白鷺さん」

「えぇ多分そうよね」

なに?どうししたの?

「オーナーさんはお歳をめした方ですよね?」

「多分…『StarWind 』(ここ)の経営から始めて取り込むつもりよ」

あんな社会不適合者を?

「それは普通の会社で考えたらでしょ?」

…あー

「うちの事務所でも入社を勧められているわ」

普通の概念から外れていれば確かに使えるかも

「杏子さん、白々しいですよ…あなたの家に迎える算段をしたことないとは言わせませんよ?」

…爺さんがシバケン大好きなんだよねー

普段あぁなのに、たまにアレでしょ

成長したら()を支えてくれると力説していたんだよね

…でもあの身長だからねぇ。爺さんもかなり悔しがってるんだよね

せめて私より高くないとねぇ

「杏子さんより高いのは…」

「レイヤちゃんより高いのよね?」

…174です

「本当は?」

176です…

「なぜ2cm程度のサバを読むのですか!!??」

だって…175以上ってなんかダメな気がしない?

「私は羨ましいけどなぁ?」

「気持ちは少しだけわかります」

「…無いものねだりよね」

 

「……」

「……」

「……」

「……」

………

ねぇ、何か物足りなくない?

「そうですよね…日菜かしら?」

「そうなのかしら?」

「…少し…シバケンハウス(向こう)…見てみますか?」

「そ、そうだよね」

…なんか悪い予感しかしなくなってるんだけど

 

 

-シバケンハウス

「うっせー!!アイツは私んだぁ!!!」

ツインテが叫んでおる

「誰がそんなこと決めたんですか!!賢人(マサト)さまはパレオがいただきますよ」

カラフルな頭の娘が挑発するように笑いながら言うておる

いや、双子妹よお主本当とんでもないな、火の無いところに煙…ちがうな

鎮火してたり燻っている火種をよくもまぁここまで煽れるものじゃなぁ

ストレスかストレスなのかえ?

「ふふふ、皆が動けば流石にあのケントくんでも意識はするよね?」

いや、妾には潰し合わせてるようにしかみえんぞ??

「のわたん?そんなこと言うと猫だからって言ってもるんっ(・・・)としちゃうよ?」

お主なんかそれ使い方違わないか?凄く不穏にしか聞こえんぞ?

「日菜!にゃーちゃんには手を出させないわ!」

おぉ、エセ鉄面皮娘お前本当に猫にはいいやつじゃぁ

「エセって…」

あ、しまった今は通じるんじゃったなぁ

「ほらほら、友希那ちゃんもそんな猫を口実にケントくんを責めつつ意識させようなんてツンな方法じゃだめだよ?」

「そ、そんなことは!」

この鉄面皮動揺すると弱いな、やはりエセじゃ

「エセってまた言われた…」

…通じてたのじゃったなすまぬ

「のわたん?バカなの?ダメージ与えてどうするの?」

天才にバカにされた

こいつきらいじゃぁ

「私も嫌いだよ?」

 

 

「なんか日菜先輩いつもより酷いね」

「そうだねひまりちゃん」

「悪意を持った日菜先輩って本当酷い」

「いつもが酷くないとはいってないけどね」

「言うねぇつぐも」

「ひまりちゃんも、柴田さんの事黙ってたから同罪だよ?」

「え?つぐ?つぐみさん??なんか黒いものが漏れてないかな?」

「さてと、モカちゃんに蘭ちゃんと自覚する前にツブセテキタノニナンデコノかーびぃは気づかせなかったかなぁ」

「つぐ?つぐーーー!?」

 

 

―『StarWind 』2F

…日菜ちゃん怖い

「あの子が妹で(敵じゃなくて)良かったです」

「ここでのことって記憶には無いはずなのに深層心理に刷り込もうとか、容赦がないわ」

「日菜ちゃんが本気出したら賢人さんでもダメなんじゃないかな」

いや、二人ともそっち方面は(うぶ)過ぎるから大丈夫かと…思いたい

しかし、友希那ちゃんってシバケンに当たり強いのやっぱりツンだったのかぁ

かーびぃ(ひまりちゃん)のとこは、まさかのつぐちゃんダークホースだし

「羽沢さんと賢人さんって接点あ…りますね」

シバケン珈琲好きよ?

紅茶党なのに珈琲好きという反逆者だから

あと、シバケンの唯一の弟子って言ってもいいからね

「誰がですか?何のですか?」

紗夜ちゃん食いつき怖い…

「…羽沢さんの…成長度合いが……おかしいのは……本人の努力以外にも……柴田さんが関与…していたのですね」

まぁピアノはつぐちゃんだけどそれだけとは言ってないよ?

「……あの人本当何してるの?」

パスパレ(うち)の練習はあまり見てくれないのにね!ちょっと気分悪いよね」

そうよ!おこよおこ!!結局私巻き込むんだから!

かーびぃ(ひまり)ちゃんなんかほぼ私の弟子よ?おかしくない??あの子巨乳()なのよ!?

「杏子さんはぶれませんね」

「ねぇねぇ向こうにパスパレ(うち)のファンの子いるよね?あの有咲ちゃんと言い合いしているのパスパレオちゃんこと令王那ちゃんだよね?」

「…私に手を出さずにファンに手を出すとか、もう殺そう、私も死ぬから」

千聖ちゃんそれよ!!

「なに?邪魔するなら杏子(きょうこ)さんは長生きさせるわよ!」

わ、本名呼びって…私の推し死神になったの?

じゃなくて、シバケン…ヤンデレに弱いわよ!!

「なんですそれ?」

昔付き合ってた…やべ…

「昔の女…」

「やっぱりいましたか…」

あの、二人とも?

「千聖ちゃん!」

「…氷川さんっ!」

まって!なんでサイキョージカンギレードとキングラウザー持ち込んでるのよ!!

こ、こうなったらシバケンに内緒でこっそり買った

「…に、日輪刀…だと…」

いつから、私が鬼滅にはまっていないと思った?

「それ斬魄刀じゃないよね?」

ふふふ、1/1のも予約してあるわよ♪

「杏子さんが好きなのは氷輪丸の持ち主だよね♪」

ま、丸山ぁ!!勘の良いガキは嫌いだよ?

 

このあと何故か年甲斐もなくちゃんばらをした

シバケンごめん

キングラウザー…カード読み込まなくなったよ…いいよね?『立木さんじゃない!』とずっと言ってたし…ね?ね??

 

 

 

-シバケンハウス

 

「あ、そうそう」

なんじゃいきなり

「2章「ひとの生活」完結で次回から3章「みんなの生活」開始記念幕間だったんだよ」

…今言うのか?

「次回、次章「みなの生活」よろしくね♪」




ということで2章「ひとの生活」終了の

3章「みなの生活」が始まります。

引き続きよろしくお願いいたします。


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みなの生活
一話:「濡れ衣だよぉ!」


いつもありがとうございます。

新章「みなの生活」です

今回はいろいろなヒロイン視点で行こうかと思っています。
よろしくお付き合いください。

あと出来れば評価と感想をいただけたらと思います。

まずは読んでいただけるだけでも嬉しいのですが、あると嬉しいです♪

よろしくお願いいたします。


あれからなんとなく柴田さん包囲網的な関係が出来ている気がする

 

多分少し前までの紗夜ちゃんの一人勝ち状態が面白くない子達がいたのね(女神の存在を知らないか、紗夜ちゃんを女神と勘違いしている)

 

私もだけど

 

紗夜ちゃんには悪いけどこのまま一人勝ちはさせるつもりはない

 

まぁ、相手が柴田さん(あの人)では一人勝ち以前に色々怪しい

だから紗夜ちゃんも協調している感じね

打倒女神もあるわけだし

…女神も話す時間があれば包囲網に参加する気がとてもする、間違いなく協力してくれる

 

あの女神(ひと)も苦労してそうだから

 

それにしても、いつからこんな面倒な男になったのだろう?

…昔から少し面倒ではあったけど

 

 

 

先日から凄く気になる人がおる

好きとか嫌いとかいうんではないとおもうんやけど…

懐かしいいうか、どこか変な安心感を覚える不思議な人

香澄先輩やポピパの皆さんを観るときのあの高揚感とはまた全然違うのにドキドキさせられるん

安心感を覚えるのにドキドキするとか私おかしな事言っとるよね?

どうしたんやろ本当

 

―少し前の羽丘

「でさ、うちの紗夜さんが、あの紗夜さんが本当に大好きオーラ出してて見てるこっちがほんわかしちゃうんだよ♪」

自分の事のように嬉しそうに話しとるあこちゃん

その恋のお相手が最近RAS(うち)でも話題になっとる人なのがわけがわからん

名前がいくつもあって胡散臭い

しばけん、しばた、けんと、まさと

うち(RAS)のメンバーだけでも

レイヤさんは『柴田さん』

ますきさんは『ケント』

パレオさんは『賢人(マサト)さま』

(かしこ)(ひと)と書いて『まさと』と読むらしい、確かに『ケント』とも読めるからあながち間違っとらんけど

チュチュさんは『シバタケント』と間違った読みをフルネームで使っとる、かなり失礼と思うけどチュチュさんもようわからんくなっとると思う

そして、これがかなりの問題で

私がずっと初恋しとる人が良く似た名前で『しばたまさひと』さん言うからさらにわやになる

「ろっかどうしたの?」

一通り話終えたあこちゃんが私が考え込どるのに気づいた

「その人、うちでも話題になるけど…怪しくない?」

「ケント兄?んー、いい人だけどなぁ」

あこちゃんもケント呼びで慕っとるけど

「六花の言いたいこと少しわかる、自分の名前間違えられてて訂正しないっておかしくない?」

明日香ちゃんはまともな意見!さすが香澄先輩の妹だけはある

「うーん、もう慣れちゃってるみたいなんだよね。紗夜さんが『人の名前を間違って呼び続けるのは失礼です』って注意したんだよ」

紗夜先輩流石です

「でも、ケント兄本人が『まだマシなアダ名と思えば別に気にならないけど?』って」

実際アダ名なんだよね

他がひどいと言うか、いかんよね

人を呼ぶ名前じゃない

「ずれてるのは『柴犬(しばいぬ)に失礼だよね』だもん、紗夜さん毒気抜かれちゃってたよ」

いい人だけど変な人だ

実はまだ私だけが本人に会ったことがない

「いい人だけどお姉ちゃん並みにずれてるというか、星好きな人はみんなあぁなるの?」

星が好きらしい

私の好きな人も星が好きらしい、本人に聞いたことはないけど、見掛けるときは大抵星が入ったメーカーのものを身に付けとった

私も真似して似たメーカーの靴とか買ってもらったりした

しかし、明日香ちゃんは香澄先輩(実の姉)に対してもひどい、シスコんなんは知っとるけどツンすぎないかな?

「この間は近所の子供に懐かしの遊びってペットボトルロケット教えてたし」

…懐かしいの?

「その後は一周回って新しいって割り箸の輪ゴム鉄砲教えてたんだよね」

青空工作教室?

「それ怪我とか大丈夫だったの?」

最近の親は放任主義(いいかげん)の癖にお金の絡む面倒(そういう)事にだけ煩いから、私が小学生の頃は彫刻刀とか学校管理だった、小刀なんてあり得ない

「あの人、変な人だけど真面目で誠実だから怪我も最小限で済んだし揉め事にもならなかったよ」

小刀というか刃物全般の怖さを学習させたらしい、なんかあの人と同じことしとる

私が刃物の怖さを知ったのはあの人(初恋の人)のお陰だ

…あの人のは何だろう、身から出た錆というか自業自得?

なんでか小刀?で手頃な大きさの木を削り、木彫りの何かを作ろうとして指とか切っとった

お陰で刃物を扱う時は慎重にというのを覚えた

格好つけて削っとったもんなぁ

…手元見とらんもん当たり前やね

その時の木彫りの何かは回収しといたいつか渡そうと思っとる

 

「六花どうしたの?」

私が思いを馳せとったら心配そうに声をかけられた

「べ、別になにも?」

「ならいいけど…」

明日香ちゃんは少し心配性かもしれん

「でも、キングもみんなケント兄に会ってるのになんでろっかだけ会えてないんだろうね?」

そんなこと言うけど

「別に無理に会うこともないし…」

あまり興味がないのが本音だ

私が興味があるのんはあの人(しばたまさひと)だ、紛い物やパチもんくさい人(しばたまさと・ケント)ではない

 

 

 

「ところで、柴田さん?」

事務所のミーティングルームのひとつ、柴田さんの半オフィス(さぎょうば)とレオン待機部屋になっているため、パスパレ(私達)の専用ミーティングルームになっている、別名『パスパレ部屋』もともと使用頻度は高かったけど完全に私物まで置き始めたのはどうかしら?柴田さんの私物が酷いのは仕方ない

 

前にファンから届いたパスパレカラーのかーびぃと鎧をつけた黒いかーびぃ?(彩ちゃんが見つけてきた)が大机の真ん中に鎮座しているのが微笑ましい

気を付けていないと黒いのの隣を自分の色のかーびぃに皆が置き換えるようになったので油断できなかったけど

今現在は黒いのを中心に取り囲んでいる状態で、柴田さんが嫌な顔をして「この歳になっていじめを体験するとは…」と洩らしていた

そんなものなのかしら?

 

「なに~?」

モニターから目を離さずに返事をされる

今何か画像処理をしているらしく、ペンタブの上を忙しくペンが動いている

…あれ?

「私の見間違いでなければ、今処理してるのは『Roselia』の画像よね?」

正確にはRoseliaのギタリスト氷川紗夜ちゃんの画像だ

この男内職している…

「そうだよ」

わ、悪びれもしない

「就業時間中にプライベート(私事)を持ち込むのは感心しないわね」

「そう?もう、写真だけでも良いから何時でも見ていたいかなって」

え?

この人こういうこと言う人だったかしら?

「そんなこと言うとこうだよ♪」

どこからか出てきた彩ちゃんが、電源タップの元を抜いた…

ぶつっという怖い音と共にモニターが真っ黒になった

え?

彩ちゃん??何してるの??

「彩、嫉いてるのか?」

え??名前呼びなの?何時からなの??

というか、柴田さんがおかしくない?

「この寂しがり屋さんめ」

彩ちゃんの頭自然に撫でてる??

え??なに?なにしるの??

「うん、紗夜ちゃんばかりじゃなくて私も見てよね?」

あ、彩ちゃんなぜ柴田さんの膝に乗ってるの??

それも対面って?

事務所だからって何してるの??

え?近くない?顔近くない??

ちょ、な、距離!距離がぁっ!!

 

「という夢だったわ…」

「だ、だよね」

花音が顔を真っ赤にしている

そして

「わ、わたし、そっ、そげんことっ!!」

彩ちゃん、あなたは地方出身じゃ無いでしょ?というかどこの言葉よ?

同じく顔を真っ赤にしている

私は起きた時は反対に真っ青だったわよ

「今まであんな夢見たこと無いのに、なんでかしら?」

横目で彩ちゃんをると

「濡れ衣だよぉ!」

彩ちゃんが何かしているとは思えないけど、原因のひとつではある

『花咲川柴田さん包囲網同盟』結成時というか、私が柴田さん好きをカミングアウトした時

何故かその場にいた

氷川紗夜、白金燐子、丸山彩、松原花音、そして私白鷺千聖が柴田さんに好意があると…

花音あなた?お兄ちゃんじゃなかったの?彩ちゃんもだし

今更カミングアウトした私に対する虐めかと思ったわよ

これに二年生組は多分有咲ちゃんとイヴちゃん

他はいないわよね?ね??

 

羽丘は日菜ちゃん、麻弥ちゃん、バ薫かしら?

…日菜ちゃんに今度訊いてみなくてはいけないわね

今まで敵は女神と紗夜ちゃんの二人だと思っていたのになんてことかしら

 

私の平和な生活があの男(柴田さん)のせいで崩れていくわ…

 




ありがとうございました。

ぜひ評価と感想をいただけると嬉しいです。

次回もよろしくお願いいたします。


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クリスマス番外:「ナイトとはブシドーでマサトさんらしいですね」

本編はじまったばかりでいきなり道がそれましたがよろしくお願いいたします。

クリスマスという事で
時系列が若干飛びます

多分そんなに狂わないとは思いますが
世界線が変動する可能性はあります

リーディングシュタイナーを持っていても後々突っ込まないでくださいw

ではよろしくお願いいたします。


評価や感想が少しでもあるとかなりやる気になりますのでよろしくお願いします。


-もしかしたら少し後にあるかもしれない世界線(IF時系列)

 

 

「クリスマスを一緒に過ごす?」

そんな事をゼミ室の片付けを手伝ってくれながら言う賢人くん

試験も終わり長い休みに入ってはいるけど学校自体は開いている

研究で帰れない人、ゼミの発表に追われる人、卒論の準備にサークルの集まりと色々ある

そしてうちのゼミは…誰も年末の掃除をしないの?というくらいもう帰省している人が多い

普段から綺麗にはしているけど…

棄てたいものがあるのよね

この際だからと教授とゼミ生には大掃除の許可をもらったので棄てまくろうと意気込んでいたら

いつものごとく手伝ってくれるという賢人くん

そして、廃棄したい物(ゴミ)の大半が賢人くんの私物だった

ねえ?なんで同じ雑誌が四冊とか食べてもいないお菓子が段ボールに詰め込まれているのかしら?

結構わかってきたようで全然賢人くん(この人)の事を知らないと実感した、私もあまり知られてないけどなんか釈然としない

 

そうこうしていたら

少し早いクリスマスに誘われた

仕事でクリスマスは空いてないと見越してのお誘いとか

本当に賢人くん?と疑ったら

 

「そうよね、そうなるわよね」

例のバンド女子達に誘われたらしい

彼女達もクリスマスライブやカウントダウンライブ、いろんなライブへの参加の準備とアイドル並みに予定が詰まっている…パスパレはアイドルだけど…

その為早めにやっておこうと各バンドで調整をしたらしい

賢人くんを参加させるために?

それは勘ぐりすぎだったけど

 

お呼ばれしているのは間違いない、そして、何故か私も誘えるなら誘ってきてほしいと言われたらしい

だいぶ顔なじみになったり、仲良くはなっているとは思うけど

私が懇意にしている子達はそこまで多くはないからそうなったのかな?

 

他のバンドの子達を交えて

私に宣戦布告かしら?

 

…それはないわよね

 

でも私の見立てというか実際に分かってるだけで

Roseliaは背の高い双子のお姉ちゃん(氷川紗夜ちゃん)文香ちゃんに少し似た子(白金燐子ちゃん)、ビックリしたけどあのクールな感じの子(湊友希那ちゃん)の三人が賢人くんを狙っている、堕天魔姫?(宇田川あこちゃん)はなついているけど危険度は低いかな?友希那ちゃんガチ?(今井リサちゃん)は安心よね?

 

あとPastel✽Palettes(パスパレ)は難しいけど双子の妹ちゃんこと日菜ちゃんはお姉ちゃんを推しつつ自分もと考えているみたい、なかなかな思考(嗜好)の持ち主よね

彩ちゃんも怪しいけど

一番なのは千聖さんよね?

賢人くんとの距離を正確に取っているし…なにより、あの女優白鷺千聖が素をだしている?隠しきれていない時がある

 

距離の取り方、千聖さんと双子姉妹が巧いと感心させられた

でも私の目の前でも、倒れて見せたり、怒って掴みかかったりとたまに色々とやってくれる

この二つのバンドだけでも気が気じゃないのに更になん組か来るとか

あのかーびぃちゃんとかも来るのかな?

賢人くんがこれ以上関与していないことを祈ろう

 

うん、知ってる

そんな希望はあっさり打ち砕かれることなんてよくあるって

 

 

 

当日は賢人くんの部屋に集合しての出発にした

いきなり商店街で待ち合わせは私の心の準備の問題がある

バンドの子達にどう接していいかわからない

…というのは建前で、少しでも他の子達よりアドバンテージ取らなくちゃ

 

今日の出で立ちは賢人くんは相変わらずの黒一色だ、いつもと違うのはパンツがデニム系でもなくテーパードでもなくきちんとタックの入ったスラックスを履いている

黒のシャツにベストにタイそしてコート、お店の人は止めなかった…のよね似合ってる

肌の白さが際立つ

所々のクロームの装飾が拘りなのかも

反対に私は白に纏めてみた、差し色にライトブルーをいれた、白カーディガン、白ブラウス、ライトデニムのマキシ丈スカートにしてみた、これに白のコート

対照的でいいかな?と

 

しかし道中、普段何者にもとらわれない賢人くんが何故かキョロキョロしたり不審な動きをしている、女子高生に興奮してるならまだ救いがあるんだけど…この人本当に興味のあることにしか興味がないから

普通大学生って合コンとかとにかく女の子とその…あれよね?

なのに、賢人くんは紳士通り越してゲイ疑惑まで出てる

最初は私との噂があったけど、一緒にいても全くそんな風には言われなくなった

原因は私との噂で興味を持った女子を全て袖にしたからだ

合コンとかあまり興味がないであろううちのゼミでも最初は私一筋とか見習いたいとか言われていたけど、私ともそんな素振りはない

 

そんなやり取りしか見当たらない私達を疑問に思う人はやっぱり多くてどこかの先輩が私の同級生に頼んで探りを入れてきたけど

いくら探られても最初から無いものは見つからない

私も健全な女子だから(変な二つ名は流石にあれだけど)期待をしていた時期も正直ある

でも、なにもない

恋愛感情が欠如してる?

でも好き嫌いの話は聞いたこともしたこともある

男性に関してなのがなんかすごく引っかかってるし、ゲイ疑惑の発端なんだけど

正直わからない

だから今日もいつもと違った場所で様子を見たいと思っていたんだけど…なんだろうこの落ち着きのなさは?

 

「賢人くん?」

「うん、なんかね嫌な視線を感じるんだよ」

流石に自分でもおかしいと私の言わんとしていることに答えてくれる

そこまで怯えるのは何かおかしい

私も同じく辺りを見回すけど何もない

「自意識過剰?」

「美波たまにすごいこと言うよね」

鍛えられましたから

 

 

「ここライブハウスだったんだ…」

たまについて行く八百屋さん銀河青果店の地下がライブハウスだった

【LIVE HOUSE Galaxy】お店の左手に入口があったの気付かなかった…

階段を降りると見知った顔が待っていた

「ようやく来たわね」

「時間の5分前、相変わらず微妙な時間ですね」

待っていたというより待ち構えていた

千聖さんも紗夜ちゃんもそれぞれ白が基調(パスパレ)黒が基調(Roselia)になっている

…微妙に賢人くんに合わせてない?

 

 

「来たわね!ケントシバタ!今日こそは…「こんにちは賢人(マサト)さま♪」」

猫耳ヘッドホンが可愛い小学生の子が賢人くんに噛み付いていたら、白黒ツートンのツインテちゃんが割り込んできた

自毛なのかしら?綺麗に分かれてると感心してみていたら

「ちょ、パレオ!なんで邪魔するのよっ!」

「チュチュ様でも賢人さまは譲りません♪」

「な、何を言っているのっ!ワタシはこの男をマネージャーにしようと…」

そんなやり取りがされているけど、当の本人はまたキョロキョロしている今日は特におかしい

 

「なんか、地元で感じた怖い視線に似たものを感じるんだよね」

なんて変な事を言っていると

「あ、柴田さん」

「こんにちは、美波さんもお久しぶりです」

かーびぃちゃんとお姉さん気質を感じる長身の子がやってくる

「本当に来てくれて嬉しいです」

「お誘いありがとうね」

「蘭、モカ、つぐー柴田さん来たよぉ♪」

かーびぃちゃんが近くの子に声をかけると

なにこの色とりどりの美少女達は…和風な黒髪に切れ長の目にひと房赤メッシュを入れている子が

「賢人さんこんにちは」

少し照れているのか言葉少なめな挨拶をしていると

「マサトさんモカちゃんもいるよ~、早いけどめりくり~」

その子を後ろから抱きしめるようにして顔を出したこれまた美少女がゆるやかに挨拶をするけど

ここに来て初めてクリスマスの挨拶をしたのが彼女なのも驚いた

「新田さんもこんにちは」

こちらは顔見知りだった、たまに賢人くんに連れて行かれる珈琲とケーキの美味しいお店のお嬢さんだ

「こんにちはつぐみちゃん、つぐみちゃんかーびぃちゃんと同じバンドだったのね」

「ひまりです!もう柴田さんが変な紹介するから定着してきちゃったじゃないですか!」

かーびぃちゃん改めひまりちゃんが訂正する、賢人くんにピンクで可愛いからかーびぃと紹介されてから…

「違いますぞ、ひーちゃんだから『かーひぃ』だよ~」

濁らないのね

「違うからぁ!!あんなにピンクで丸っこくないもんっ!!」

「可愛いのに…」

否定するひまりちゃんことかーひぃちゃんだったけど、賢人くんの一言に黙ってしまう

「カービィは可愛いですよね♪ピンクで太ったペンギンみたいで」

繋ぐというかさらうようにつぐみちゃんが話を持っていく、ペンギン…賢人くんが好きな鳥(鳥以外で認識していると不機嫌になる)の種類だ

今年バレンタインにペンギンのチョコをあげたら喜んでいたけど、「食べれない」と今でも冷凍庫に眠っているのを知っている(同じ様に眠っているペンギンが結構いる)

 

…なんて考えていたら、つぐみちゃんとペンギン話しをして少しご満悦な賢人くんが「かーびぃ」に反応してこちらに来た彩ちゃんとイヴちゃんに引かれて移動していた

 

私目に入ってない?と思ったら、彩ちゃんが「美波さんもこっち来てください♪」と呼ばれた、最近新田さんから美波さんになってきたのよね

「これって…懐かしい」

パスパレの陣取ったテーブルには何故か色違い(メンバーカラー)のカービィが並んでて、記憶とちょっと色が違う黒くて丸いのが居る

「これメタナイトよね?」

甲冑と剣を装備したカービィのライバル?がいた、弟がゲームも好きだからなんとなく覚えている

もっと青とか紫っぽかった気がするけど全体的に黒と抑えた銀の配色になっている…もしかして賢人くんカラー?

カービィ(ピンク)とアイスカービィ(ブルー)とビームカービィ(イエロー)以外は塗ってあるのね、麻弥ちゃんが塗ったのかしら?

「これメタナイトって言うんですね」

知らなかったんかい

「黒カービィとかケントさん(代理)と呼んでましたね」

みんなが感心している…やっぱり賢人くんイメージだったのね

本当バイトマネージャー(兼務)なのに愛されているわね

「ナイトとはブシドーでマサトさんらしいですね」

…騎士に武士道って相変わらずなイヴちゃんで安心した

 

 




なんか気付いたら長くなっていました…

2まで行ってしまったのですが
3も頑張ります。

よろしくお願いします


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クリスマス番外2:「かーひぃじゃなーい!!」

続いてます

今回珍しく時事に走ったのは
クリスマスケーキ♪
なにこのシバケンが泣いて喜びそうなケーキは??
というのを出されて思わずw

…私も星好きですが、ショートケーキが好きですw

感想評価少しでも増えると嬉しくて活力になります。
よろしくお願いいたします。


-パスパレのみんなと話しこんでいたら

 

「やっと挨拶に来たわね、紗夜に手を引いてもらわないと来れないくらい足腰が弱いのかしら?」

紗夜ちゃんに引かれてRoseliaが固まってるところ(と言っても隣にいたんだけど)に連れて行かれた賢人くんに開口一番の友希那ちゃんの毒舌

「ケント♪メリクリ~?」

そんな友希那ちゃんの隣にサンタコス?真っ赤な肩むき出しのミニのリサちゃん、ノリがいい彼女のことだ着せられたのだろう、あこちゃんもトナカイを着ているし

「リサさんメリクリ~」

友希那ちゃんの毒舌を華麗にスルーしている賢人くん、スルーというか事実だからと言い返さないのよね

「美波さんもめりくり~」

トナカイあこちゃんがもうひとりのサンタさんの手を引いてやってくる、ケープで肩は覆われているけどその見事な胸元は隠せきれていない、リサちゃんがセクシーサンタなら燐子ちゃんはエロエロサンタね…私今年のサンタ衣装大丈夫かなあと少し不安になったPさんを信じよう

「!!??」

燐子ちゃんは私の視線とかに恥ずかしげにしてるけど、その視線は賢人くんを追っているのは丸わかりだ

そんな賢人くんは

「あこちゃん可愛いいよ♪」なんてあこちゃんのトナカイを褒めて頭撫でてたりする

ダイナマイトエロボディ(そういうのに)興味がないんだよね…こういうところがゲイ疑惑を深める

でも…

「賢人さん、松原さんにも挨拶してきたらどうですか?」

少し不機嫌になってる紗夜ちゃん…どうやら燐子ちゃんをしっかり見ていたらしい、賢人くん見るものは見てるから

…興味本当に持ってないのかな?

 

「マサト来たわね!今日は皆で楽しむわよ♪」

元気溌剌と背後に見えそうな女の子(弦巻こころちゃん)が普通の可愛いサンタ衣装で表れた、可愛い

「やぁ、賢人兄さん今日も儚いね」

少し離れたところから賢人くんを兄と呼ぶ人(瀬田薫さん)(なぜトナカイ?)…背が高い、だから近づかないのかしら?

「薫も久しぶり!トナカイなんて珍しいね」

「ふ…たまには…つまり、そういことさ」

あ、説明諦めた、賢人くんの視線が向いてないのに気づいてる?

よく見てるわね

「こころ、花音ちゃんやはぐみちゃんや美咲ちゃんは?」

他のメンバーが見当たらない

「花音と美咲はミッシェルを迎えに行ったわ、はぐみはコロッケの補充って出て行ったけどすぐに戻るわ!」

コロッケの補充…まだ結構残ってる気がするけど?気にしちゃダメなのよね?

「おーーーやっと生ミッシェルに会える♪」

うん、賢人くん気にしてないし…

ミッシェルさん確かピンクのDJクマだよね?

…賢人くん、クマも好きなのよね。りらっくすするクマとか狂いクマとか限定モノ持ってるのを私は知っている

更にい言うなら、りらっくすするクマはぬいぐるみに入りたくてバイトを探していたことも知っている

その時に「僕の身長なら無理なく着れるのに…」珍しく低身長を推していたのが涙を誘ったのはいつだったかな?

 

 

「あ、まさとさんだ、めりくり~~」

星の子が現れた

あの子どこかほかでも(・・・・)見たことある気がするのよね、リサちゃんもだけど、千聖さんなんかすごく身近に感じる時あるけどなんでだろ?

って…このこギターは常備なの?アンプは??って…腰になんか小さいアンプつけてるし

「めりくり~~」

間延びしたその声とは正反対のキレッキレのギタープレイを見せてくれたのはおたえちゃんだったわよね(たえちゃんと呼ぶと返事してくれない)

この子も腰に小型のアンプつけてる…駅前で演奏してるところを数回見かけているから、この腰アンプは彼女が言い出したのね

ポピパもだけどみんなメンバー同士仲がいいわね

「美波さんこんにちは」

「こ、こんにちは」

沙綾ちゃんとりみちゃんが声をかけてくれる、りみちゃんは白いもこもこしたセーターで逆サンタになってて可愛い

「こんにちは、ポピパのみんなはサンタっぽい衣装なの?」

デフォルトのサンタ衣装なのはギター二人だけ…あれ?もうひとりは?

「ま、まさと!メリークリスマスっ!!」

…いた、居たけど

え?どうしたの?有咲ちゃんって確か頭かなりいいのよね?こじらせすぎちゃったのかな?

沙綾ちゃんとりみちゃん(常識人の二人)を見ると苦笑いをしている、止めなかったのね

セクシーサンタ(リサちゃん)エロエロサンタ(燐子ちゃん)を超えちゃった?

言うならば『プレゼントサンタ(大きなお友達向け)』…これは私のソロのステージ衣装より恥ずかしい(恥ずかしいんですよ?)

トップとボトムに別れてるミニのサンタ衣装?に金縁の緑のリボンで身体を申し訳程度に巻いている

私これの酷いの見たことある…『プレゼントはワ・タ・シ(はーとまーく)』のクリスマス版よね

「…」

賢人くん?固まってる?え?そういうのが良いの??エロエロサンタ(燐子ちゃん)にも興味なかったのに??

「…有咲ちゃん」

えー、ミニマムダイナマイトボディがいいの?

ポピパのギター二人は「イェーイっ!」ってハイタッチしてるし、常識人二人は顔真っ赤にしながらも成り行き見てるし…

「な、なんだよ、やっぱりお前もこうい…「髪解くと長いんだね」…」

賢人くんは賢人くんよね、うんわかってた、わかってたけど…ちょっと有咲ちゃんに同情

「もうぜってーお前の前じゃ髪解かない!!ぜってー解かないからなっ!!」

え?そっち?

 

 

「ましろちゃん、柴田先生来てるけど挨拶いいの?」

「うん…忙しそうだし、私がいっても困るだろうし」

そんな会話がふと耳に入ったけど

目の前の飛び火した痴話喧嘩?をどうしようかなぁと

彼女ぶって静観するべきか…止めたほうがいいわよね?

あぁもう最近の高校生は発育がいいわね!!(意味不明のやっかみ)

「はいはい、紗夜ちゃんも千聖さんも歳上なんだからそんなにムキにならないで、香澄ちゃんもそろそろ有咲ちゃん放して有咲ちゃんもコート羽織って、かーひぃちゃんもせめてケープ羽織ろうね」

一旦でもいいから場を収めるしかない

「かーびぃじゃないです!」

「ひまりちゃん、かーひぃってちゃんと言ってくれてるよ?」

咄嗟に訂正を求めるかーひぃちゃんにコートを被せるつぐみちゃん、私は燐子ちゃんと同じエロエロサンタで来ようとしたひまりちゃんを止めなかった彼女を見ているので少し怖いものを感じたけど今は忘れておこう

「かーひぃじゃなーい!!」

 

パーティ始まったばかりなのよね?




お付き合いありがとうございます。

続きます

またよろしくお願いいたします。


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クリスマス番外3:「…当たった…」

年越してしまいましたね

今年もよろしくお願いいたします


結局

色仕掛け的なもの(そういうの)が効果がないという事で落ち着いた

…かーひぃちゃん「そうだよね、新田美波が傍にいてあれなんだもんね」はどういう意味かな??

 

同情するのは有咲ちゃんくらいかな?

それにしても香澄ちゃん・おたえちゃん(ギター二人)は友達に何させてるのか…やっぱりかなり恥ずかしかったのか有咲ちゃんに怒られていた

 

RAISE A SUILEN

Afterglow

Pastel✽Palettes

Roselia{

ハロー、ハッピーワールド!

Poppin'Party

それと、他のバンドに比べてこの場に馴染めてなさそうな子達もバンドの子よね?

香澄ちゃんや紗夜ちゃん達がきにして声かけとか気を配ってるし

「私いて大丈夫?」

すこし心配になってきたかも

「んー、いいんじゃない?」

そして、相変わらず挙動不審気な賢人くん

「まだ視線感じるの?」

「商店街にいるときより強く(酷く)なってる」

あ、少し素がでてるからかなり本当だ

うーん、とは言っても

なんだろ?と辺りを見回してみると先程から香澄ちゃんや紗夜ちゃんが相手をしている子達がこちらを窺うように見ている

アイドル新田美波()がここにいるのが不思議なのかな?

紗夜ちゃんも香澄ちゃんも説明してないのかな?

すると代表してなのか一人背の小さい黒髪をサイドに二つまとめてる子がやってきて

「柴田先生こんにちは」

先生?そう言えばカリキュラム先取りしてたから教育実習行っていたような

私は来年いく予定、先生の資格も持っておいた方がいいものね

「えーと…」

多分忘れてる?相変わらず賢人くんだ…

「先生制服かステージ衣装じゃないとわかりにくいですよね?」

と遠回りのヒントに、珍しく思い出したのか

「?ドラムの上手い卵でとじると美味しいのと同じ名前の子?」

まって、まってまってまって酷い!それは駄目だよね?

クッキー缶の子(紗夜ちゃん)もため息ついてる

「つくしですよ先生」

強いというか、なぜ喜んでるの?

「るいさん以外名前覚えてないと思ってましたから」

るい?新しいワードねメンバーの子ね残りの四人の誰かよね?

誰だろ…?

「あの、こちらの方は先生の?」

あれ?私そこまで認知度ない?

そうよね、うん、一般にはそんなにないよね

日商とかしか名前出てないし、テレビCMもそんなにないし…

「う〒@※*▲@だよ」

あれ?今なんて答えたの?

え?紗夜ちゃん?どうしたの?

え?千聖さんいま紅茶カップごと落としました?なんかすごい殺気が飛んできだしたんだけど??

なんて答えたの??

生徒の一人?無表情な子が蔑む目で賢人くんを見てるし、白いおとなしそうな子はなにかキョロキョロしてる

なに?何を言ったの??

「先生また誰かに騙されてますね。多分同じゼミの友達の意味ですよね?」

少し強ばってるけど冷静に分析してくれている、賢人くんもうんうんと同意している…騙されてる?

「賢人くんなんて答えたの?」

恐る恐る聞いてみた

「ん?美波とは『セフレ』って答えたんだけど」

…は?

「な、な、んでそうなるの!?い、いみわかっ…てないわよね?」

本人はキョトンとしてる

「The same seminar friend を略してこう言うって?」

…誰、賢人くん(この男)にこう言う単純な嘘を吹き込むのは

この人天才と言われるけど、そういうのすぐ信じちゃうタイプ…って!!

私の変な二つ名の拡散原因ここ!!??ここじゃないの???

よし、責任とってもらわなくちゃ

なんて考えていたら

「あれ?違うの?」

「ケント先生、それ言うならセムセミフレじゃん?長いからセムフレかセミフレだよ?なんでセフレにしちゃうかなぁ?ウケる♪」

金髪の今時の子というか、リサちゃんや美嘉ちゃんに近い

「略しすぎなのか、難しいね」

「ほんっとチョーウケる♪、先生女子高以外行かない方がゼッタイいいよ(笑)…って、紗夜さん大丈夫ですか??」

どうやらこの子は紗夜ちゃんになついているみたい

「そうですね、何事も限度がありますよ。略せば良いというものではありません」

いつもの紗夜ちゃんがいた、若干顔が赤いのはまぁ見なかったことにしよう

それにしても、ひとつ疑問なんだけど…

この子達『セフレ』って意味わかってるのよね??見ていると

「しろちゃん、トーコちゃんに聞いてみた方がいいよ、つーちゃんだと多分ばぐるから」

「そ、そうなのかな?つくしちゃん、先生に解説?してたし」

「んー、どっちも耳年増だけど、多分トーコちゃんにしといた方が無難」

いや、あなたもわかっているでしょ?

 

今時だと知らない方が貴重なのかも、パスパレを見ると千聖さんがイヴちゃんと日菜ちゃんに聞かれて困っている、日菜ちゃんは知っててやっているのはわかる

ロゼは…予想通りリサちゃんと燐子ちゃんが困っている…友希那ちゃん、本当に知らないの?

 

 

「どっとつかれた…」

序盤から飛ばしすぎなのは所属事務所で慣れているけど、爆弾の暴発が近くで起きすぎて巻き込まれすぎでかなりキツいかも

「休んでたら?」

賢人くんもやしのくせにタフというより…爆発に全く巻き込まれていない、これだけ誘爆してるなかというか…

「爆発の中心なのになんで?」

「…全く…気にして、いないから…です」

燐子ちゃんが飲み物を持ってきてくれた

会場は和気あいあいと楽しんで見える、賢人くんが教育実習に行っていた月ノ森女子学園の高等部一年生のバンド『Morfonica』も普通に楽しんでいる

どうやら賢人くんが来た事と私を連れていた事に驚いて動けていなかったらしい(紗夜ちゃん情報)

あの無表情な子るいちゃん…一年だったのね、三年かと思ってた

「…八潮さんも、柴田さんと…因縁が…あります…もしかしたら…私以上に」

うん、そんな気はしてた

「それにしても…燐子ちゃん思い切ったね」

今はRoseliaの衣装っぽい服になっている

「…あの新田美波…が傍らに……いつもいるから、これくらいしなくちゃ✩…と今井さんが…付き合うからと」

リサちゃんか、もう状況を楽しむ気だ…しかし人を『あの』とか言わないで、私どう思われているの?

「それにしても…」

「…相変わらず…意味不明に……女子に…絡まれていますね」

今はいつものメンバーと商店街メンバー?に囲まれている

たまにこっちを見てるから、多分私のことで絡まれてると思う

「…そうでした、これを」

くじ引きの箱を渡される、出し物か余興かなにかよね?引くと

「外れがあるんだ」

外れくじだった、何かが必ず当たるものでもないのね

「……私も…外れでした」

燐子ちゃんがハズレくじをみせてくれる、ん?

「これ、なんのくじなの?」

聞かずに引いていた

「これは…ボーカル箱…です」

よく見ると何個か箱があり引いている姿もちらほら

「やーーー!もう一回引かせてぇ!!るんってしなぁいっ!」

日菜ちゃんが叫んでいる、と言うことは…紗夜ちゃんがくじを持っているから紗夜ちゃんは当たったのね

「こうなったら全部引く!!」

あの子(日菜ちゃん)なら全パート出来そうだから怖い、他の子達の為にも紗夜ちゃんには止めてもらわないと

「シャッフルじゃなくて、くじ引きユニットなんだ」

流石に全7バンドでは多いわよね

「…柴田さんには専用箱が……用意されています」

「なにかさせるのは確定なんだ」

「…あ…引かされていますね」

無理矢理感がすごいけど、パート被らないのかしら?

「………友希那さん」

すっごくガッツポーズしてる

「もしかして、ボーカルってもう決まっていたの?」

私が引いた意味は?

「……その…当たりは…一枚とは…聞いていませんので……」

若干目を逸らして言う、残ったくじ開けてみようかしら?

「どれくらい決まってるのかな?」

「vo.友希那さん、key.パレオさん、drキングさん、bassレイヤさん、gt.氷川さんですね」

…なにその狙いすましたメンバーはというか…RoseliaとRASの混成とかとんでもない事になってる?

「あれ?ベースってRASのボーカルの人じゃ?」

「…楽器ボーカルは…御褒美?で…両方……引けます?」

何故疑問形?香澄ちゃんや蘭ちゃんは二種類引けるんだ

あれ?1バンドならどうして日菜ちゃんは騒いで…まぁ、いつも賑やかな子だけど

「第二バンドが、key.羽沢さん、bass.白鷺さん、dr.松原さんですね」

「え?第二?賢人くんは?」

2バンドなのね、あれ?なにか引っ掛かるけど…

「両方のサポートです」

…ボーカルのサポートって

「あの、す、すみません、くじいいですか?」

賢人くんの元教え子の白い子、ましろちゃんはまだ引いてなかったみたい

「ごめんなさい私持ったままだったわね」

慌てて箱を引きやすいように向けてあげると、恐縮しながらもすごく真剣に選んで…

 

「…当たった…」

え?当たり本当にあったの

残り物には福があるというか、ましろちゃん賢人くんがボーカルサポートって分かって引きに来たわね?

「ましろちゃんすごーい」

「おー、やったじゃんシロ♪」

モニカさんで盛り上がっているけど

「柴田さん第二サポートはギターでーす!」

って、かーひぃちゃんが発表した

「……」

声掛かけづらい…、賢人くん空気読んでお願いだから




また引き続きよろしくお願いいたします


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クリスマス番外4:「キングの嫁にならなってもいいかも」

引っ張りすぎな気もしますが
お付き合いください

今回もよろしくお願いします。


「嘘をつくな嘘をっ!」

かーひぃ(ひまり)ちゃんが赤メッシュ()ちゃんに絞められている

どうやら蘭ちゃんが引く前にチャチャを入れたようでガセだったみたい

 

「よかったぁ…」

すごくほっとしたのか言葉に出ている、ましろちゃん良かったね

モニカのみんなもなんか暖かい、ここのバンドはみんな仲間思いでいいね

 

「あ、アタシも引いてないや」

その中透子ちゃんが今更ながらくじを引きにいった、モニカの子達は引いてないのかも?

ところで、ふとした疑問だけど

ギーボードとDJとヴァイオリンは同じカテゴリーなの?

 

「…という事で、短時間ではありますが各バンド演奏する曲目を選んでください」

進行の一人なのに、くじ引きバンドにも入ってしまった紗夜ちゃんが指示を出している

苦労人よね、さっきもなにか手伝えないかと訊いてみたら、『美波さんはお客様だから楽しんでください』とやんわり断られてしまった

仕方ないので各テーブルを気づいたところを片付けたり整えたりしていたら

燐子ちゃんというお目付け役をつけられてしまった訳だけど何か手持ちぶさたなので燐子ちゃんに色々訊いてみることにした、どこか事務所の同い年の友人(鷺沢文香ちゃん)を思わせる子なので話しかけやすい

 

「それで、賢人くんはどうして戻ってきたの?」

サポートボーカル(笑)の賢人くんは珍しく嫌そうな顔をしている

まだ曲も決まってないから何もすることがないとのこと、おかしいみんな何か企んでる?

何故かサポートなのに蚊帳の外にされたらしい、ある意味いつものことの気もするけど?

私のところに戻ってくるあたり、苦労が報われてる気がする

だって賢人くんゼミの催しでもあっちふらふらと定位置にいたことがないのよね

 

同じテーブルにつきながら

「頂点目指すボーカルと比べられると流石に見劣りするんだよなぁ」

あれ?これ『僕歌も上手いよ』って言ってないかな?

私もプロの歌手(アイドル)だけどここまで言えない、やはり天才は変なところが強い?

 

「賢人、曲はこれに決めたわ」

友希那ちゃんがいそいそとやってきてスコアを渡すとまたいそいそと戻っていく

うん、少しだけど判ってきたからなんだけど楽しみで落ち着きがなさげな猫にしか見えない

ギャップ萌えというやつよね?

え?違う??

 

「せん…」

ボーカルが曲目を報告に来ることになったのかな?…まぁ楽器はみんな忙しく譜面さらってるからそうなるかな?

でも、千聖さんも花音ちゃんもあとロックちゃん?も凄い目でこっちみるのはやめようね、ましろちゃん声かけるの怖くて詰まってるから

「ゆきんこありがとう」

スコアを受け取っているけど、『ゆきんこ』?

…?

ましろちゃん慌てて戻っていくけど、どこか嬉しそうなのであだ名なのかな?でもモニカの子達は「ましろ」「シロ」で統一しているような?

「賢人くん?ゆきんこって?」

気になったので訊いてみたら、真顔で

鎌倉まゆき(・・・・・)だから、ゆきんこ」

雪のかまくらと真雪(まゆき)だから「ゆきんこ」と力説している

燐子ちゃんが不満を分かりやすく伝えるように頭を押さえている、私は本人がよろこんでるならいいかなと少し諦めている

「…人の…名前、きちんと…覚えてください!」

きっと苦労した口なんだね…

 

倉田ましろちゃん

確かに雪をイメージさせる子だから本人も気に入っているのかも知れないけど

相変わらず記憶力の使い方を間違えている

まさか全然違う名前で覚えられているとは本人に知られてはいけない

もしかして、先程つくしちゃんがあのひどい連想でも呆れも怒りもしなかったのは、しっかり自分の名前をイメージして覚えてくれてることに満足していたのかも?

他の二人は担当クラスが違うからきれいさっぱり記憶されていなかったのは本人達も諦めていたから結構賢人くんを知っているのかも?

 

こんな教師いやじゃない?

 

と思うのは当然だと思うけど

賢人くんは賢人くんという事例で、担当するクラス全員の名前や生年月日の基本データだけは完全に記憶していたらしい(実習が終わったらほぼ記憶から消してるから本当酷いと思う)

その中まだ変な関連付けとはいえ覚えてくれていることがうれしいなんていじらしい

可愛いなぁ本当

「うわっ」

譜面に目を通した賢人くんが嬉しそうなのに嫌な声をあげる

何だこの反応は?

燐子ちゃんと譜面を覗きこむと…

「…『ラスリア』…はこうきましたか」

『ラスリア』、RASとRoseliaの混成だからと賢人くんが言い出したらしい、ちなみにチュチュちゃんはRASが頭なのでご満悦だ

Roseliaの二人(友希那・紗夜)は賢人くんとのセッションでそんな事気にもとめてなくて、またチュチュちゃんが癇癪起こしていたのはいつものことなの?

「…『The second』は、…これは無難です…ね」

ましろちゃん、ロックちゃん、千聖さん、花音ちゃん、つぐみちゃんの二番目の混成バンド

Poppin'PartyとRoselia以外みんな一人は入っている…略しようがないので『The second』と呼んでいる

(仮)はついていないのは名前を決める努力を放棄したからだけど…

正直その呼び方やめてあげてほしい、呼ぶ度になんか千聖さんに何かが刺さってる気がするから

 

「もあ、はっぴーラストパレード」

いきなり賢人くんが呟いた

「モニカの『も』、アフロの『あ』、ハロハピの『はっぴー』、『ラス』にパスパレの『パレ』、もあはぴらすぱれ、かな」

賢人くんの中で略すのが流行ってるのかもしれない

 

「それは楽しそうででいい名前なのだわ!」

びっくりした

こころちゃんがそれは楽しそうに現れた、この子は世界を笑顔に本気でしようとしてる凄い子で、個人資産も凄いけど…お祖父ちゃんというのは孫に甘いというけど、曾お祖父ちゃんは更に激甘らしく、マンション数棟と数件の貸し家(賢人くんのとことか)と思いでの車以外全部こころちゃんにあげちゃった(生前贈与)らしいです…

そう、お爺ちゃんことオーナーの曾孫さんでした、オーナーさん(お爺ちゃん)凄い人だったんです

「こころ、なんか気落ちしてるからその名前つけてやってきて」

自分でいけばいいのに、そんなご令嬢をパシリにするとか…

「わかったわ!なんならそのままバンド活動続ける提案もしてくるわ!」

即行ってしまった、アクティブなのが本当すごい…ピンクのクマさんことミッシェルさんが慌てて追いかけていく

…出来ることならバンド活動の話はやめてあげて欲しい、止めれる千聖さんがダメージ負ってて対応できないから本当に押し進められかねないから本当やめてあげて欲しい

 

テーブルの上に新しいケーキが置かれる

 

【挿絵表示】

 

「あぁ、そうだったケント、みんなに頼まれてたお前用のケーキな。これ食べて待ってろよ」

心優しいヤンキー(ますき)ちゃんが混成バンドの個別練習の前に手作りケーキを追加してくれた(今みんなが食べてるケーキの8割はますきちゃんのお手製だから本当凄い)

「星♪星可愛い、マカロンもくどくなくていい、なによりモンブランベースでチョコより黒くないけど、むっちゃ好き♪キングありがと♪すごいこれ僕も作ってみたい♪」

テンション爆上がりでスマホを取り出すと写メしまくる賢人くん、女子?

いつも思うけど女子力私より高いよね?インスタ映えとかは意識してないみたいだけど

羽沢珈琲のケーキやお菓子もよく撮している

ますきちゃんもそんな賢人くんに照れながらも苦笑いしつつ

「少し音合わせてから呼ぶから食べて待ってろよ」

え?格好いい…

賢人くんはケーキを写メしてた手をとめて、ますきちゃんの背を目でおっている…

「キングの嫁にならなってもいいかも」

やめて!

少し洒落になってないから!!




読了「ありがちうございます。

番外は次回で終わりです

このケーキ出された時に
「いぬの生活」読んでるの??と疑いましたw

ちなみに私は白いブッシュドノエルを作り
家族に苦笑いされましたorz

またよろしくお願いいたします


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クリスマス番外5:「元生徒を壁というか盾にしてる…」

クリスマス番外編終わります

ずっと美波視点というバンドりSSなのに暴挙w

今回もよろしくお願いいたします。


聖夜のケーキ(Pastel de noche santa)』(賢人くん命名)をケーキナイフで嬉しそうに賢人くんが切り別けてくれる

私、燐子ちゃん、いきなり現れた香澄ちゃんと連れてこられた有咲ちゃん、かーひぃちゃん、リサちゃん

「賢人さん、いいんです??」

乗っていた星のひとつを貰ってご満悦な香澄ちゃん、すこし羨ましそうな有咲ちゃんが少し気になったがチョコプレートを器用に割ってつけてあげる辺り気の使い方が間違ってるのも賢人くんだよね

器用に八等分ではなく九等分にしていたのに皆が気づいていたけど誰も何も言わなかったけど、すこし今いない二人が羨ましかった

 

ちなみにケーキはモンブランとミルフィーユ、そしてクッキータルトを合わせた手の込んだもので美味しかった、ますきちゃん本当女子力最強なのでは?

「美味しい、凄く手が入ってて綺麗で見映えもいい…負けた気がする★」

「本当…美味しいですよね…それでいてドラムも凄いとかずるい」

リサちゃんは何処か悔しそうだし、かーひぃちゃんはキャラ変わってないかな?

 

「さてと、僕はサポートに行ってくるよ」

自分の分を含めて、残ったケーキを箱に戻して、それをもってテーブルを離れる、その際私はみんなと話してなよと置いていかれた

「…新田さん…良いのですか?」

燐子ちゃんが遠慮がちに聞いてくる

「あはは、まぁ賢人くんにしてはよくやってるかな?って誉めてあげたいかな?」

「そう言われると、まぁケントにしては頑張ってるかな?☆」

リサちゃんは何処か嬉しげだ

「あーもぅ、有咲ぁ私の星あげるから元気だしなよぉ」

星のマエストロ(香澄ちゃん)が星をあげるとか!!??

「ば、ばかっ!ちげーよ!おまえ相変わらずなにいってんだよぉっ!?」

おまえの方が星好きじゃねえかと気持ちだけもらっとくと、微笑ましい

みんなでそんな目で見てたら

「みるなぁ、そんな目でみるなぁーー!」

恥ずかしさに耐えられなかったみたい、可愛いなぁ本当

 

 

テーブルでおしゃべりをしていると(大学や事務所の子以外なので新鮮な感じ)くじ引きバンドの演奏の準備(制限時間?)ができたみたい

1バンド一曲、出きるようなら二曲ということらしいけど

…『ラスリア(RAS・Roselia)』はチュチュちゃんが口出しして二曲になったみたい、本人がなぜか私に自慢気に教えてくれたから素直に誉めてあげたら上機嫌だった、背伸びしててもやっぱり根本は小学生なんだなぁと微笑ましくなった、可愛い♪

 

「…教えて…」

「知らない……お……幸せじゃない?☆」

燐子ちゃんとリサちゃんが微妙な笑みを浮かべてるどうしたの?

 

 

バンドは本当…即興なのにとんでもなかった…リサちゃんと燐子ちゃんとあれ?あこちゃんは??

お姉さんである巴ちゃんに励まされてるみたい、でも目は爛々としてるから大丈夫よね?

それにしても今日は巴ちゃんの側かRoseliaメンバー以外とは絡んでないような?

それはともかく、みんなかなり刺激になったみたい

ちなみに、一曲目が全開過ぎて今回限りなのが本当勿体なかった、友希那ちゃんの冴えたボーカルにレイアさんの芯の強いボーカル、演奏もバンドは素人の私でも驚いたから、夏樹ちゃんや李衣菜ちゃんがいたら爆上がり?だったんじゃないかな?

チュチュちゃんが叫んでいたのが印象的だった、あれ?RASはチュチュちゃん以外全員参加だ…凄いくじ運だけど、チュチュちゃんを見る保護者役がいなくなってることに気がついた、いいのかな?と心配していたらポピパのパン屋の子や商店街グループが面倒見がよくてひと安心だった

小学生ってライブハウスの入場規制なかったかな?

 

二曲目にして、ようやく賢人くんがいたことを思い出した

正直みんないたのを忘れていたと思う

曲が…紗夜ちゃんのギターから始まったけど…私これ聞いたことある、それもかなり頻繁に、それもくどいほど(笑)

みんな賢人くん好きすぎない?

「WBX!おねーちゃーん格好いいっ!!」

日菜ちゃんが紗夜ちゃんのカラーのサイリウムふってる…いつ用意したの??

男性と女性のボーカルパート入れ換えとかしてる…正直

「うん、いくら賢人くんでもあの二人相手じゃ見劣りするよね」

私の呟きに、皆が頷く

頂点を目指す青薔薇と当初はそれと同じく革命的を起こす(何故か途中RoseliaやPoppin'Partyを潰すとか言い出したらしい)為に集められた精鋭…

「まぁ、ケントは気持ちよく歌えればいいやってタイプだしねぇ☆」

そう、最高のバックに酔っている気がする、不用意にセンターから離れてギターに寄ろうとして友希那ちゃんに引っ張られてセンターに戻されたりしている、紗夜ちゃんが少しムッとしていたのは誰もが気づいたに違いない

「賢人さん高音よく出ますね?」

あれは特殊、器用なことに裏声も自由に使いこなすから高音域の幅がかなりある、反対に地声が高いのもあって低音が狭い、私たちの歌を平気で唄えるけど、男声の歌は苦手にしているものも多い、結局歌うんだけどね、目指してるのが悪魔の人だからもう少し低音が欲しいらしい

 

「それにしても、紗夜が気持ちよーく弾いてるよね☆けど…」

『何の曲なのこれ?』

そうだよね、普通の女子はあまり縁がないのかな、主役の役者さんが大ブレイクして少し認知度は高いと思うけど?(賢人くん知識より)

ここにいる子でわかるのは最初から知っているか、賢人くんの悪い影響としか言えないかも

その最たるが紗夜ちゃんだけど

 

「あの、The second改め『MORE HAPPY Last Parade』です、よろしくお願いします」

ましろちゃんが隣を気にしながらMCを始めるけど

普段頑なに左側に女性を置きたがらない賢人くんがましろちゃんを左に置いている

それに気づいている私や千聖さん、紗夜ちゃんはただただ驚いているんだけど

何があったの??

「一曲だけですがテンポがいいそこそこ知られてる…のかな?…」

不安気にメンバーを見てる

つぐみちゃんが大きく頷き

千聖さんは軽く微笑んでいる

そして賢人くんも頷くということは…またわかる人にはわかるやつね

その証拠に花音ちゃんは少し慌てているし、ロックちゃんは何処か冷めた目をしている

『最高潮に飛び上がれ!!』と賢人くんが叫び始まった

やっぱり!

主演が当時から人気のイケメン俳優で、いまだに人気の根強い…ライダーの主題歌だ、色んなアレンジがあり多分全部聴かされたと思うくらい聴いたし覚えやすくて私も唄える

商店街組がのりのりで一緒に歌っている、よく賢人くんが「最近の特撮の歌は格好いいけど、本来は子供がみんなで唄えるのが一番なんだよね」なんて格好つけていたのを思い出す、それもいまだに人気の要因なのかも

隣をみると燐子ちゃんもリズムとってるし世代的にもあっているのかも?

楽しい歌を選んだのかも?

そしてステージを見てて、なぜ賢人くんが左にましろちゃんを置いたのかがわかった、情けない…

「元生徒を壁というか盾にしてる…」

そう、更に左には眼鏡を外したから見えない?と言う言い訳では通じない狂戦士(バーサーカー)の目をしたロックちゃんが獲物を暴力的に追い詰め残酷に嫐る事を想像したかのような恍惚とした表情をしていた

ギター狂戦士と言われているらしいけど、今の彼女は獲物を前にして更に迫力が増している

 

そして、獲物は…賢人くん

 

これは逃げるよね、女の子を盾にしてるのはいささか情けないけど

「ギター持つと性格が変わるというけど…」

普段の…あれ?

普段のロックちゃん…って??

……き、気づかなかったことにしようかな?

あ、千聖さん賢人くんが逃げてるの気づいてる?

…なんで煽ってるんですか?

わざと賢人くんの右隣詰めてきて一緒のマイクで歌ってるし

最近攻めですよね?

怖い怖い怖い狂戦士怖い

…あの子ヤバイ子だ…

 

そして、やっぱり演奏聴くだけじゃ我慢できるはずもないバンドガールズは(進行側は見越していた)飛び入りライブと私や賢人くんに何かさせよう争奪戦が勝手に始まっていたのは余談かな?

 

その騒ぎ(私がステージにあげられるなど)に紛れて、ライブハウスのロビーでとある三人がケーキを食べていたのは誰かの密告(たれこみ)によって暴かれたのも余談かな?

 

シバケンくじで、ヴァイオリンが引かれてしまいるいちゃんが物凄く嫌そうにヴァイオリンを貸していたのが印象的だったのも余談…

 

あえて、賢人くんと千聖さん・紗夜ちゃん(あの二人)の事をあまり意識してないのは…

あの二人も名前呼びになったのがちょっと悔しかったのは正直にここに反省しておきます

少し大人げないですよね

 

でも話によると(紗夜ちゃん経由日菜ちゃん情報)

千聖さん、二人っきりだと

まさとくん、ちさっちゃん

呼びらしいです…

おかしいよね?

人前では相変わらず柴田さん呼びなのにね?

 

それにしても、どこで間違ったんだろう??

 

こうなったら…ふふ、うふふ♪

 

-この世界線は限りなく今の世界線の延長上にある可能性が高いです




読了ありがとうございます。

次回より通常の「みなの生活」にもどります。

今後共よろしくお願いいたします。


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二話:「ばーん!でどーん!!ですか?」

今回もよろしくお願い致します。

番外何かしてるから本編進まない…


よろしくお付き合いください。


Pastel✽Palettes略してパスパレ

のメンバー全員が恋敵()になってしまった

まぁ、麻弥ちゃんイヴちゃんはそんな大騒ぎするほどではないけど…日菜ちゃんは紗夜ちゃんの為とか言いつつ結構柴田さんと仲が良い

 

そして、私が危険視してるのは

彩ちゃんよ

 

彩ちゃんは私から見ても可愛い、容姿なら私の方が可愛いし綺麗だと自負しているけど

容姿の可愛さに人として可愛さが不思議な可愛さを与えている

これは彩ちゃんを知れば知るほど強くなるから、古参のファンが彩ちゃんをずっと推しているのも頷ける

私もパスパレで推すなら彩ちゃんだけど

これが魔性というか、私としては怖い

私も容姿に関しては魔性と言われる(良くも悪くもだけど)

彩ちゃんのは近くに居れば居るほどその魅力に惹かれる

良い例が麻弥ちゃん

麻弥ちゃんは最初から彩ちゃんを誉めていたけど、今では敬い崇拝している感じがするくらいだ

あの日菜ちゃんだって、『面白いから』とは言っているけど、私を含めてあのタイプが他人にあれほど興味を持つのは珍しいと思う

 

まぁイヴちゃんは天使だから…

 

一番ヤバイのは彩ちゃん

 

と、私は思っている

「ち、千聖ちゃん?本人の目の前でいわないでよぉっ!?」

あたふたしてる姿も可愛いわね

「さ、紗夜ちゃんや新田さんの方がヤバイとおもうんだよ??」

あたふたとそんなことを言うと

「丸山さんこそ、本人目の前にヤバイはないでしょう?」

少しご立腹?な紗夜ちゃんがお弁当箱を片付けながら彩ちゃんと私を嗜める

 

「あのー、最近先輩たちどうされたんですか?」

そう、生徒会室には『花咲川柴田賢人包囲網(私達三年生)』だけではなくPoppin'Party(ポピパ)の二年生もいる事が多い、代表してリーダーの香澄ちゃんが訊いてきた

ちなみに花音はこころちゃんに拐われたのでここにはいない

「どうされたって?」

私がにこやかに訪ねると、有咲ちゃんが何故か怯える

「いえ、仲が良いような悪いようなでもなんか仲が良いような?」

多分言ってる本人も感覚で話してて分かってないわね

「そうかしら?前からこんなものよ?」

特に彩ちゃんとはそうよね?

「そうですか?うーん」

香澄ちゃんはどこか府に落ちてないようだけど

「この間の、星のひとの話からのような?」

香澄ちゃんが有咲ちゃんに爆弾を投げつけた

有咲ちゃん可哀想なくらいひきつっている

「そうかしら?」

あえて紗夜ちゃんにふる

「あまり意識していませんでしたね」

紗夜ちゃんらしい嘘にはならない正確な返しだ、彩ちゃんだとボロがでて有咲ちゃんが可哀想なことになったわね

ここで潰しても…って、私悪役じゃないわよ?

今度有咲ちゃんとは皆で話してみないと…だから悪い意味に取らないで!?

彩ちゃん!あなたがそんな顔するから誤解を産むのよ?

なによその皆で有咲ちゃんに何かするみたいなのを心配するような不審な動きは??

「白鷺さん、余計に状況が悪くなっていますよ」

紗夜ちゃん、なに?貫禄なの?

流石に裏で花咲川を牛耳っているだけはあるわ

表のボス(生徒会長)の燐子ちゃんが休みだから尚更ね

 

「市ヶ谷さん」

紗夜ちゃんが有咲ちゃんに優しく笑いかける

「私は賢人さんの幼少期をあまり知らないので今度教えてくださいね」

何故かそれで強ばる有咲ちゃん

何故かと思ったら

「あ、有咲ちゃん?賢人さんの事キザヤローって言ったこと怒ってなんかないからね?ねぇ?」

彩ちゃんが同意を求める

「それよ!その話も訊きたかったのよ」

紗夜ちゃんも頷く

彩ちゃんはなんで?と言わんばかりの不思議顔だ

「違ったんですね、いやもうあいつの事で先輩達に目をつけられたかと思うとヒヤヒヤしてました」

有咲ちゃんがすごく安心したのか息を大きく吐く

内容によるわよね?なんて内心思っていたら紗夜ちゃんに困った顔をされてしまった

「有咲は星のひとのこと前から知ってるんだよね?」

香澄ちゃんがいつも以上に寄っている気がする

「こっちが一方的に知ってるだけだけどな」

気にした風もなく答える有咲ちゃん、そこに

「片想いだー♪」

「だからちげーって!!」

あの人相手では片想いもしんどいものね

 

 

 

「…すごい」

私は素直に感心と感動をしていた

外部のコンクールとかそういうのに無縁だと思っていたスクールが今後のためにととあるコンクールに生徒の希望者と講師に勧められて後学の為にと連れられて大きめなピアノコンクールに来ていた

正直ジュニア部門でも私なんかより巧い同年代が数多くいて闘志がわいていた

でも私はそいつらを観てしまった

正確無比な超絶技巧

感情を音に激しくのせ響かせる技

自分の世界を音に乗せ広げる技

私と大して年齢が変わらない子供が大人達を圧倒する演奏をしていた

「ジュニアのレベルじゃないわ…」

先生が困惑していた

連れてきたのは不味かったのでは?と

幸か不幸か私が最年長で事態を理解してしまった以外はみんな暢気に感動しているだけだから心配はないはず

あれに勝つのは私には無理だと自分でもすぐにわかった

挑むことはない、でも憧れるのは自由だ

特に私の性格に合っている、超絶技巧、あれはすごく憧れる

どれだけ練習するとあそこまで出来るんだろ?

先生に私はそんな事を素直に訊いた、そんな時代もあったよなぁ

私がブランクがあっても演奏()れたのはこの時の練習のお陰だと思う

 

「確かに賢人さんの正確無比な超絶技巧は市ケ谷さんにあっていますね」

なんて紗夜先輩が言っているけど、私に言わせるとピアノかギターかの違いだけでその真摯で揺るがない姿勢と卓越した技巧は二人ともそっくりじゃないか?なんか少し寂しさに似たものを感じていたら、香澄のやつが励ますかのように抱きついてた腕に力を込めてきた、こいつのこういうところ本当すげーよな

「コンクール以外の柴田さんの演奏はしらない?」

少し余裕の笑みを浮かべて千聖先輩が言う、最近この人が一番キャラ崩れてるよなぁ、キザヤロー(あいつ)大好きオーラ隠してないもんな

「白鷺さんは確かあるのでしたよね?」

紗夜先輩は燐子先輩から動画をもらったとか言ってて、生を聴いたことがないって嘆いてる

この人はキャラ崩してないけど、真面目に好きオーラ出してて少し怖い

「私は逆にコンクールあまり見れてないのよね」

千聖先輩が少し羨ましそうにしている

「…?あれ、白鷺さん、賢人さんに花束渡してるのやはり違う方でしたか」

動画に千聖先輩とは違うけど似た少女がよく演奏後に花束を渡していたと言う

そういえばいたなと私も思い出す

発表会やコンクールのとき演奏後にステージから掃ける時に舞台そで近くの舞台(ステージ)下からプレゼントを渡されるというのはよくある

キザヤロー(あいつ)も貰えるんだと感心したのを思い出した

「あれ、私の妹よ」

…あっさり判明した

「妹さんでしたか」

「私が仕事で行けないから、代わりにね」

どうせ柴田さんに贈りものする人はいないからと言う、確かにあの頃のあいつに近づくのは朱いのと黒い子(燐子先輩)と数人の演奏者で一般人で近づくのは千聖先輩の妹(花束の子)位だった気がする

私はなんというか心の準備がなかなかできなかったから、千聖先輩いわく荒れてる頃に話しかけたらしい

「多分、キザと言うか…あこちゃんみたいな感じじゃなかったかしら?」

少し考えて千聖先輩がいう

「ばーん!でどーん!!ですか?」

あこちゃんと言えばこれだから、柴田(あいつ)とは違わないか?

私の答えに「そういえば」みたいな顔をしてから、すごく嫌そうに

「…薫のような感じじゃなかったかしら?」

「あ…」

言われてみれば薫さんを思わせる感じだったような?

「…」

りみが薫さまを汚されたとか小声で怒っているこえーよ

「賢人さんが瀬田さんのような喋り方ですか?」

想像がつきませんと紗夜先輩

いまの気の抜けたような話し方はこっちが驚いたけどな

「正確には、当時の柴田さんに薫が影響を受けたのよね」

面白くなさそうに言う千聖先輩

その情報でりみが怖いんですが、紗綾チョココロネもってないか?

視線で問うと苦笑いで返された、品切のようだ

確かに、思い出してみるとあの自分に酔った話し方だった気がする

「でも、子猫ちゃんは言われませんでしたよ?」

「あれは薫が勝手に言い出したのよ!柴田さんは普通に中二病だから」

普通にって…

そうかーあれが薫さんのルーツなのかーうんなんかどうでもよくなってきた、りみが怖いからな

「そうね、なら柴田さんの【爆縮】はみんな知らないのね?」

また物騒な名前だなおい

「超絶技巧な柴田さんが感情のままに鍵盤を叩いてたのよ」

千聖先輩がめずらしくマウントとった♪な顔をしているのがすっごい気になるんだけど

あの技巧で感情って…

「とんでもなかったわ、あの頃は語彙が少なかったから【爆発が収まって整った音になっていく】と表現してたけど、あれはまさに【爆縮】」

勢いも何もかもを納めるのではなく、そのまま押し込む、範囲を縮小するだけ、どんな演奏だよ

「かなりアレな演奏なのでは?」

紗夜先輩の語彙が削られてる

「正直、うるさかったわ」

そう言う千聖先輩は嬉し気な顔になってる、知られていない柴田(あいつ)の事をひけらかせて嬉しのか?

…そういえば、あいつの好きなピアニストはピアノぶっ壊すような演奏をするジャズピアニストだったのをふと思い出した、そこらへんは燐子先輩が詳しいはずだよな

なんて考えてたら、千聖先輩が

「昔のICレコーダだから煩いだけなんだけど…」

持ち歩いてるのかよっ!

お弁当袋から片手操作するマウスのような、大きさ的にはTVのリモコンの2/3と大きめの銀色なICレコーダを取り出した

いつかみんなに聞かせようと袋に入れたままにしていたとか

…どんだけ優位に立ちたいんだこの嬢王様は?

 

-【♪♪♪♪♪】

リストが強いとかだけではなく、本当に鬱憤を晴らすかのような演奏が無理矢理圧縮されて整っていく、確かに【爆縮】だな、どんな演奏だよ本当

音に関する感性の強い香澄やおたえなんか圧倒されてる

「星が生まれた…」

「ビックバンだぁ」

口々に感想を漏らしてんだけど…

あれ?ちょ…ちょまっ!?なんでそんな恋する少女みたいな目になってんだよっ!!

『星のひとすごい…』

千聖先輩…自分で(恋敵)増やしてどうすんだよ!

 




お読み下さりありがとうございます。

感想・評価いただけるとかなり嬉しいです♪

またお付き合いください


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三話:「入れ替わってるのにみんな全然違和感抱いてないでしょ?」

今回もよろしくお願いします。

ちょっと短めです


 

…私…白金燐子は困っています

「にゃにゃーん♪(りんりーん♪)」

そう

「燐子、妾と出掛けようぞ!」

 

何故か、私ではなく

あこちゃんとノワールが入れ替わってしまいました。

 

前に私とノワールが入れ替わった時は氷川さんとついでに一応柴田さんのお陰で元に戻れましたが

 

「にゃにゃにゃ!(あこが猫になるなんて夢だよね?でもすごくリアル!)」

そうだねあこちゃん、夢だったらよかったね

「燐子!妾ともキャッキャ、うふふをしようぞ!」

あこちゃんの姿になったノワールがそんなことを言いながらすり寄ってくる

何故か違和感がない

これなら変に無理矢理な理由であこちゃんを学校休ませなくても良かった?と思うのは仕方ないよね?

 

話は昨日に戻る

あこちゃんが遊びに来た

それはよくあることだけど、いつもと違うのは

「え?りんりん、この子(黒猫)使い魔なの??」

今はノワール(黒猫)が普通に部屋にいて私の足元でノンビリしている事が多い

先日家の猫(飼い猫)と判明してから私の部屋に棲み処を移したノワールを見てあこちゃんがノワールを撫でながら言う

意外に気難しいノワールが簡単に頭を撫でさせていることに、空気を読んだのか無理をしてないか心配したけど杞憂だった

「にゃぁ(燐子の友達じゃな♪大丈夫じゃぞ)」

「うん…そんな…ところかな」

意思疏通が出来るからある意味そうかも

「にゃっ!(姉じゃ!)」

またどこかから変な知識を得たらしく、姉妹(スール)制度を偉く気に入り、私を(プティスール)とか言い出し、自分を黒薔薇(RosaMezzanotte)と言い出したのはまだ最近のこと

教えたのは日菜さんあたりな気がする…(先日合宿で氷川さんのお家に預かってもらいました)

 

「黒猫さんすごくかわいい♪」

ノワールと戯れるあこちゃん

なにこの可愛い生き物

それで事が済めば良かったのに…

私とあこちゃんとノワールと戯れていたら

あこちゃんとノワールがだんだん眠くなり、私もつられてうとうととしていたら…

「燐子!これで姉妹じゃ♪」

うん、そうだね終い…?

「寝ぼけるな?終いじゃなくてスールの姉妹じゃ♪妾も晴れて黒薔薇が名乗れるのじゃ♪」

いつも聖堕天使名乗ってるよね?

…ん?あこちゃんが??

あれ?私を呼び捨て?

…夢ね

「夢オチは嫌いじゃぞ?」

……

「…どうして?」

目の前の絶好調なあこちゃん

「どうしてもなにも、わからん」

…どう見てもあこちゃん、でも中身は

「なんでまたいれかわってるの!?」

すごく久しぶりに大声が出ました

 

色々と混乱しすぎて、氷川さんからの欠席を心配したLINEでようやく相談できる人が居ることを思い出せました

慌てすぎて要領を得ない返事をしてしまい、氷川さんにご迷惑をお掛けしました

 

 

 

「宇田川さんはそのままなのに、ノワールが異様に人懐こいのはなかなか驚かされますね」

なんて紗夜さんが黒猫を撫でながら言う

確かに違和感がなかったのが怖い

「妾は黒薔薇なるぞ!聖堕天なんとか一緒にするでないぞ!?」

あこちゃんなノワールは絶好調だ、白金さんの時よりしっくり来てるんじゃないかな?

「…宇田川さんは猫と同じレベルなのか、ノワールが宇田川さんレベルなのかという本人に不名誉な話はこの際は置いておきましょう」

紗夜さんが黒猫なあこちゃんを撫でながら言う

相変わらず動物を魅了する魔手は健在であこちゃんは考えることを放棄して完全に猫になってしまっている…

 

…それってまずくないか??

 

「賢人さん?宇田川さんが夢と認識している間に早く戻してあげてください」

どうもこの入れ替わり現象、僕がやらかしてると思ってる節があるよね?

「考えてみたけど、難しいよ?」

正直に答える

大まかなルールはわかってきたけど、今回のは正直単純なだけに余計に解決しづらい

「もう少し複雑だと隙間につけこむやり方でなんとかなるんだけど…」

僕とレオンさんの入れ替わりや、前回の入れ替わり解消が大雑把に見えてその方法だ

白金さんが出してくれた紅茶とバタークッキーをいただきながら説明をする

なんか最近どこでもクッキー食べてる気がする

「単純ゆえに隙間がないということですね」

二人の理解は早くて助かる

「…なら、無理矢理…隙間をつくるのは」

紅茶のおかわりを注いでくれながら白金さんが言う

ちなみに、あこちゃん(ノワール)がぴったりくっついている。

違和感が全くない…そこがまた問題なんだよね

「それが正攻法だけど…」

言い淀むと

「正攻法ゆえに危険が大きい?」

紗夜さんが困った顔をしているけど頷くしかない

「まぁ問題としては、僕は専門家じゃないからね」

実は危険と言っているけど本当に危険なのかもわからないのが正直なところだ

 

どうしよう…

今回一番の問題は

 

「入れ替わってるのにみんな全然違和感抱いてないでしょ?」

 

そう、僕とレオンさんの時は誰かが少なからず若干違和感を抱いていたらしい。

白金さんとノワールはノワールが強烈すぎて全員が違和感を持った

 

今回…

「妾がどうかしたのか?」

小さい体で胸をはる小さな魔王

どうみても「闇の波動がアレする黒っぽい堕天使」だ…

 

違和感仕事してくれ




読了ありがとうございます。

しかし
…どうしよう…

またよろしくお願いいたします。


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四話:「無くなっていますね…」

今回もよろしくお願いいたします。

最近好きだった作家さんが復帰してたのを知ってかなり喜んでいます♪
…過去作品もまた見たいなぁ…

今回は若干時間が戻ってます

※今回感想をいただいたうちの一件が何故か「運対」され、削除されています。
私はいつも見て感想を頂いていることを喜んでいるので運営に申し立てさせていただきました。

私は感想をものくごく楽しみにしていますので、読み返したりしていますからわかりました。
かなりショックでしたが
これに懲りず感想をいただけたらと思います。

今後ともよろしくお願いします


-時間は少し戻って、花咲川のお昼の後

 

宇田川さんが、ノワール(黒猫)と入れ替わったらしい

病欠を心配した白金さんの混乱したまとまりのない返信から類推するとそうなります

 

(また面倒なことに…)

と思いながらも賢人さんに相談の連絡をすると、放課後に合わせて迎えに来てくれました。

星好きの賢人さんの愛車『ユーノスロードスター』黒好きの賢人さんにしてはブリティッシュグリーンという珍しい色なので調べたところこの車のグレードはこの色か黒しかない、そこそこ古い車で黒は手に入らなかったのでしょう。ちなみに私はこの色が少し気に入っている。

ツーシーターと言われる二名のみ乗車可能という、非効率な車ではありますが二人きりというのは…その悪くありませんね。

運転している賢人さんは眼鏡をしていて少し新鮮な感じというか…眼鏡は運転の時だけですね?

「賢人さんひとつよろしいでしょうか?」

あまり運転の妨げになってはいけないのでしょうけど、松原さんが言うには話すくらいは全然平気とのことですし…

「どうしたの?」

一瞬だけこちらに目線をくれましたが、すぐに視線を前に戻す

「視力はいくつぐらいなのですか?」

「裸眼なら免許ギリギリ」

確か片眼0.3で両眼0.7でしたね

…ん?

安全のために運転の時は眼鏡をしているとして、普段かけていませんよね?

「賢人さん?普段は眼鏡はしないのですか?」

嫌な予感しかしませんが聞いてみます

「近視で乱視なだけだから、見えてるからしないよ?」

確かに読書とかモニターも楽器も不自由なくそつなくこなしますね

でも前から感じていた違和感がわかりました

この人は見えるものしか見ていない

今でこそ私もその視界に入っていますが、思い当たる事が多すぎます

日菜を『髪の短い氷川さん』と呼んでいたことや

私に成りすました日菜を一目で見破り『え?雰囲気でわかるでしょ?』この時は少し恥ずかしくもありうれしくもあったのですけど

(視ないでわかったということですね)

複雑な嬉しさだった

一応外見にはそれなりには自信もあるのですが…!?

そして急に納得できました、綺麗で魅力的な新田さんがあんなに傍らにいても普通なのは、よく言われる男色とかではなく…

(確り視えてないのですね?)

興味がないという言い方はよくないとは思いますけど、賢人さんは『人』にあまり興味がない、『氷川紗夜』や『新田美波』という個人は認識してくれている

これは日菜と似ているからなんとなくわかる、あの子も興味ある無しの違いが認識の仕方で分かりやすい

(『クッキー缶の子』でしたからね…)

クッキーに負けていたという屈辱からむきになっていたのも確かにありますけど、この人は知れば知るほど駄目な気がします。

でも、何故か放っておけないし、その、一応というか、好きですから

(私は駄目な人が好きなのかしら?)

自分の妹(日菜)といい、『天才』は万能で隙がないイメージからどんどんかけはなれていく

 

なんて考えていたら

「僕の視力でそんなに悩むことあるの?安全運転だし絶対とは言わないけどそこまで思い込むの?やっぱり歩きの方がよかった??」

賢人さんが慌てている

普段ならこれくらいの機微には気づいてくれませんから、眼鏡って偉大な利器だと思いましたが

「あれ?熱?紗夜さんまた無理してない??」

普段より見られている事に少し赤面したら、また変な勘違いをしてくれます

(この人は…本当に眼も不器用なのかもしれません…)

 

しかし…この情報は共有した方がいいのかしら?と考えていたら

「はい、時間通りなので揚げたてです♪ウルトラ(人外)盛2つ~」

目の前に、テイクアウト用の袋にはいった…ポテト?と丸山さん?

「特別ドライブスルーだよ♪」

賢人さんからお金を受け取っている松原さん、このお店ドライブスルーは…特別というからには特別なのですね。

「ありがとう♪バイト頑張ってね」

二人にそう声をかけると、二人も慣れてるのかスッと離れて

「気を付けてね♪」

「安全運転だからね?」

見送ってくれました、あまりの手際の良さに驚いていたら

「車でのお客さんが意外とお多いから、デリバリーのシステムを簡単に応用して簡易ドライブスルーにしてみたんだよね」

よくわかりませんが、ピザ屋さんのデリバリーシステムを逆利用しての簡易ドライブスルーというのを…

 

勝手に作ったらしいです

 

「試験段階で花音ちゃんと彩ちゃんとかーひぃちゃんと数人のアルバイト・パートさんの携帯で運用実験してるんだけどね」

…この人は何をしているのでしょう?

「個人携帯の職場での私用はあまり感心できないと思うのですけど…」

「…確かに!かーひぃに乗せられて騙された!!」

…多分上原さんが職場でも携帯が使えるようにそんなことを言いだしたのだろう

(最近賢人さんの利用の仕方が上手くなってますね…これは共有しておきましょう)

「よし!かーひぃのだけ止めてやるついでにバイト中は携帯動かないように出勤システムと連動させてやろう」

車を脇道に寄せて止めると

「ちょっとだけ待っててね」

シート後ろの隙間に無造作に放り込んであるせいでまさかノートパソコンが入ったケースとは思えない100円均一で買えるクッションケースから

少し前まで賢人さんが部屋や仕事で使っていた私でも多少はわかる高性能なコンパクトなノートパソコン風のタブレットを取り出した。

上着から各種ケーブルを取り出し携帯と直接つないだり、どこからか直接車の電源を取りだした。

(あ、本気モードですね…)

すごく楽しげに、いい悪戯を思いついた顔と、部活の先輩が後輩を嗜める時のような少し偉そうな顔をしている。

…以外にというか、日菜を含めて子供っぽい

スマホとガラケーという携帯二台持ちなのを初めて知りました(これは共有事項ですね)

 

…なにをどうしているのかわからないですが

スマホを確認しながらキーボードを叩いていきます。

よく見ているとピアノの演奏のようにリズミカルで心地よくなってくる。

「はい、終わりっと」

仕事が早いです

「何をしたんです?」

この短時間に何が出来たのか気になりました

「えーと、さっき言ってた簡易デリバリーシステムは試験段階だけど、お店にも繋がってるというか、繋がらないと意味がないよね」

頷く、でも現状は「勝手に作った」から非公認です

「あそこのバイトのシフトはスマホでの登録か直接お店の端末に入力するシステムなのは花音ちゃん彩ちゃんで分かってる」

頷く、丸山さんが仕事の都合でシフト変更をしにお店に来ているのを何度か見ている

「ということは、かーひぃちゃんはスマホでシフト登録のタイプだよね?」

「…賢人さん、それって犯罪では?」

お店の端末に勝手に侵入しているのでは?

「実は、彩ちゃん花音ちゃん経由で店長さんには本社に話を通して接続許可はもらってたり♪」

…日菜といいどうしてこう手筈をしっかり整えるのでしょうか…

「という事で、正式なシフト表を参照すると、そのシフト表に合わせて通信を全部止めれるようにしてみた」

簡単に言います

しかし…

「あの…それは上原さんが正式なシフト表を自分のスマホで見ないと意味がないのでは?」

 

 

「あ!?」

気づいていませんでしたね、多分上原さんに限らず自分の提出したシフトと確定したシフトの違いを確認したら、自分の予定表しか見ないですよね?

「…オートで見るようにしようかな」

危険なことを言いだした、上原さんのスマホが危険です

「賢人さん…?上原さんの携帯(スマホ)を覗くのですか?」

最大限の軽蔑の眼差しを送ってみた…

「え?あ…紗夜さん、その、そういう目は心にくるから許して」

…!?あれ?普段なら「クッキーあげませんよ」まで言わないと止まらないのに

!!眼鏡…眼鏡本当にすごいですね

(残念ですけどこれは共有情報にするしかありませんね)

これから普段も賢人さんに眼鏡をかけさせる方法を皆で考えなくてはいけません

 

…何か忘れているような?

 

「紗夜さん?その…お土産の分は?」

私の視線から逃れるように片付けて運転に戻った賢人さんが、恐る恐る訊ねてくる

お土産?

…!?

「無くなっていますね…」

丸山さんに渡されたレジ袋には紙袋が4つ…その全てが空になっています

冗談で半分は食べていいけど、残りはお土産だから食べないでねと言われていた…ような気がします。

気がするので無効です。

 

 

 

-同時刻

「なんで?なんでぇ??」

バックヤードではなくレジ前でスマホの電波を探るように忙しく動くピンクの物体と

「ひまりちゃん、ここレジ前だから…(汗)」

お客さんを捌きながら、仕事をせずにスマホに電波が入らないと挙動不審な同僚を困って見ていると

「ひまり!!いい加減に仕事しなっ!!」

先日から妹が友人宅から帰って来なくて心配と寂しさから気が立っている心優しき(シスコン)姉こと宇田川巴に一撃を入れられ奥に引っ張られていった…

「あの…巴ちゃん?レジにひまりちゃん必要なんだけど??」

これからの時間帯二人で乗り切れと…さっき二人で柴田さんのドライブスルー受けたのがまずかったかな?と少し反省したピンク()水色(花音)はなんとか氷川日菜の邪魔(営業妨害な愚痴)も含めてなんとか乗り切ったとかなんとか

 

 

「私のスマホぉぉぉぉ~~~~っ!!」




読了ありがとうございます。

なんとなく紗夜さん正ヒロイン感を出そうかと
…え?千聖さんじゃないのかって?




忘れてたw

嘘です、少し素直になった彼女には大きな幸運がこれでもかと降り注いできます
隕石直撃するくらいの幸運が!<それ幸運?

またよろしくお願いいたします。


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五話:「なんですかその物騒な称号は!」

今回もよろしくお願いいたします。

今回一つ
前回「四話:「無くなっていますね…」」の感想をいただいたのですが
私の中では全く支障はなかったのですが【運対】のリクエストにどうやら抵触したらしく、私が返信しているのに削除されていました。

感想は糧であり動力源なので、かなりショックです。

今回はどうやらキャラを出してほしいというのがダメだったのかな?と思ってます
結構そういう話前もあったような??
今度過去分も感想を洗いなおしてみようと思います。
「出して」じゃなくて「出るんですかねぇ」がグレーでいいのかもしれませんw

運営には一応
返信入れてる段階で私は気にしてない
嫌ならスルーか削除する
その時こそ運営さんに泣きつきます
と意見要望としてだけは出してみました。

あの程度はいいと思うのは私が甘いのかなと少し意識を変えようと思いつつ
これからもよろしくお願いいたします。


―時間は戻り、白金邸燐子の部屋

 

なんとか原状把握を終え

出されたお茶と青い包みのバタークッキーと同様な茶色い包みのチョコクッキーとお土産(大量のポテト)を全て食べてしまった事への口止めとして差し出された紗夜さんのクッキーを食べていた

「クッキー好きすぎじゃろ?」とあこちゃんの姿のノワール(のわたん)が言うけど、そんなのわたんも口の中一杯とは言わないけど途切れることなく食べているのは如何なものかな?

 

「ちなみに正攻法はなんです?」

ノワール(あこちゃん)を撫でながら紗夜さんが訊くけど

「今の状況が一気に崩れるよ」

綺麗な接地面である静な水面に波紋を作って、乱れた水面を利用する訳だから

波紋の作り方が問題になる

小石一個でいいのか、それとも隕石落下の衝撃くらい必要なのか…

 

(小石ひとつだとありがたいなぁ…)

紗夜さんのクッキーは相変わらず進化してて食べてておいしくて気持ちが穏やかになる。

 

「状況が崩れる?…それはどういうことですか?」

事態の収集をまず考えている紗夜さんだけど、その後に気づいた

 

…言い方が難しい、あまり人と関わらないようにしていた少し前なら平気で言える言葉も、今は言い淀んでしまう

「うーん、例えばその、人間関係が壊れるというか…」

紗夜さんも白金さんもこの言葉に敏感だ、黒猫になってるあこちゃんでさえビクッと反応していた

あー友希那が言葉足らずの鉄面皮だからやらかしたアレだよなぁ

杏子(あんこ)が、「リサちゃんが戻れなくなった」と言っていたけど正直なんのことかわからないし、興味がない。Roseliaがちゃんと機能しているし人間関係は前より確かで親密になっているし悪いことがあるのかな?と思った事件だ

…あれから何故か友希那にことあるごとに(挨拶のように)ボロクソに言われるようになった、感謝をあぁ表現しているのだろうと思うから気にしてないけど、変に子供じみてるところがある。

 

人間関係(それ)をどうかしてしまうのは全員の精神に悪い影響しか与えないよなぁ…その影響を利用するやり方は今回も取らない方がいい

紗夜さんとか友希那とかリサさんはあれで精神が弱ると一気に崩壊していくタイプだから

本当白金さんやあこちゃんの精神が三人に比べてかなり強い方(タフ)なのが今回は仇になっているね…

僕の見立てではあこちゃんはアレだけど回りを確り観ているから、この状況(入れ替わり)は多分現実逃避しているんじゃないかな?と

(白金さんといい、器用なんだよなぁ…)

割りきりが早いというのか、逃げることを知っている強さというか、RoseliaのVo.(友希那)Gt.(紗夜さん)には全くないものだ

(友希那もだけど、紗夜さんも真っ向勝負の人だからなぁ)

意外なのはリサさん、器用に回避しそうな感じなのに、真っ正面から受け止めようとする、それは受け止めきれないと本人も相手も傷つける

…というのは杏子の受け売りだ、正直僕にはあまりわからない

 

「やっぱり難しい…」

思わず呟いてしまい、紗夜さんと白金さんが意外そうにしつつ表情を固めている。

 

あ…誤解させたなと思ったけど、今回は本当に難しい

 

いろいろ考えていると。あこちゃんが撫でが止まってる小夜さんにもっと撫でてと催促している鳴き声が聞こえた。

あれ?難しく考えすぎてなかったか??

「なんだ簡単じゃないか」

そう思ったら急に全部がうまくいくような気がしてきた。

 

今回悩んでいたのは感情面

僕は人としての欠陥が大きい、それは人の感情や気持ちに関して察する感覚がかなり鈍いというか…なかった。

日菜ちゃんのことを良く例に出すけど、あの子はまだましだと思う、杏子には「そう思えるだけだいぶマシになった」とは言われているけど

 

僕は杏子達(理解ある幼馴染)がいたからまだ変な人で済むくらいには隠せているけど

人の感情が自分のを含めてよくわからないものがある

それに気づいた両親や面倒見のいい杏子のおかげで「こういうもの」というのは概ね把握しているけど

機微まではわからない

だから今回二人を戻す方法は難しいと勝手に思い込んでいた

よく考えたら…白金さんとノワール(前回)って日菜ちゃんが解決してないか?

 

(っと、そんな事考えてる場合じゃない)

当人たちに気取られたら意味がないのでどう伝えようかと考えていたら

あこちゃん(黒猫)が眠ってしまったようだ…本当小夜さんの撫では凄い

あれは本当にいい、その為だけにレオンさんと頻繁に入れ替わってもいいと思う

「ノワール?」

静かだと思ったらあこちゃんの姿のノワールが白金さんによりかかるように眠っている…

 

……

解決した…

 

「…白金さん、今度からノワールとあこちゃんは一緒にしないようにね」

波長が合いすぎるんだね

簡単に入れ替わるようだ

「二人とも白金さんが大好きだからですね」

恥ずかしそうにしつつも、「なるべくそうしまう」と答える白金さん、まぁこの二人がお互い会いたがるんだろうなぁ

あこちゃんは、白金さんの可愛いくて格好いい?黒猫に会いたいだけで

ノワールはあこちゃんの体目当てだな…あ、でも入れ替わりの副産物(意思疎通)とか大丈夫かなぁとか考えていたら

 

「にゃぁっ(そんなへまはせんよ)」

 

起きたらしく伸びをしながらノワール(黒猫)がこちらを不敵な顔で見ている

「のわ?…戻った?」

嬉しそうに白金さんの膝の上にのりまるまり背中を撫でさせるとまた目を閉じた

少し大丈夫か?と思ったら反対にあこちゃんが目を覚ました

なんか…なにもせずに勝手に解決された

予想通り

「あこね、ノワールになって紗夜さんに撫でられる夢をみたんだよね。すごく気持ちいい夢だったんだぁ」

うん、予定通り!!

 

…結果オーライですはい

しかし…

「紗夜さんの撫ではもうルールブレイカーとかそげぶとかレベルかもしれない…」

「なんですかその物騒な称号は!」

なんてやり取りしていると

「紗夜さんカッコいいです!!その右手にやどりし…えーとなんだっけ?」

相変わらずな…

「にゃぁ(「常さえ覆し混沌」じゃ)」

「そうそう、常さえ覆し…え?」

あこちゃんがどこからの声かと驚いていたけど

「あこちゃん?常さえ覆し混沌だよ??」

白金さんがフォローをいれていた

 

…これはこれでこんなものかもしれないと思った

 

「お願いです…二人は合わせないでください」

苦労人な紗夜さんだけは眉根がよっていた

 




読了ありがとうございます。

なんか色々あって

難しく考えるのをやめたとたんにこうなりましたw

うん、あこちゃんとのわたんはきっと似た者同士なのだと思う
燐子大好きすぎる種族違いの姉妹かもしれない…

…巴に何かある前振りみたいだなw

感想に関しては今回色々ありましたが
懲りずに頂ければと思います。

いつもの方以外でも全然お待ちしていますよ?

またよろしくお願いいたします。


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幕間:あってはならない女子会?in『StarWind 』控室

何故か間が空きました…

作風変えるかなやみつつ

こっち書いてあったの忘れてたので慌てました。


今回もよろしくお付き合いください。


あってはならない女子会!

in『StarWind 』控室~~!!

はい!全く出番がないと腐っていたら、名前だけ出てきた杏子さんですよ~~?

そしてちょっと関係が進んだヒロインズ!!

「はい、安定の本命ヒロイン邁進中?の対抗ヒロイン?氷川紗夜です」

「その…対抗ヒロインに…引かれた大穴ヒロイン?白金燐子です」

「え?ちょっと??日菜ちゃんは???紗夜ちゃん!日菜ちゃんじゃないの?あ、本命ヒロインの筈?の白鷺千聖です」

パワーバランス的には変わらないんじゃない?というか千聖ちゃんも強くなったからいいんじゃない?

紗夜ちゃん最強布陣だけどねー

 

「あたしいるよ♪ほぼ本命ヒロインな対抗ヒロインの妹で大穴ヒロインでもある氷川日菜だよ♪」

「私もいるよ!本命ヒロイン?な千聖ちゃんの親友のひとりでPastel?Palettesボーカルで一応リーダー?のまんまる…」

丸山長い!!

「私の扱い相変わらず酷いよぉ」

 

「あの、私ここいていいの?なんか師匠がすごい目してるんだけど」

かーひぃなんであんた来てんのよ!?巨乳はお呼びじゃないんだけど!?

「えーと…なんか日菜先輩が大穴はいっぱいあってもいいんだよ♪って…」

やりたい放題だな天才?

あと…そこの隅っこでこっち伺ってる子!

「その、あの、はじめまして倉田ましろです。よろしくお願いします」

…可愛い…なにこの雪国に居そうなコロボックルみたいな子??

「あーやっぱりケントくんと同じこと言ってる」

くぁわいぃ~~なにこの庇護欲の塊みたいな子、どこで拾ってきたの?いつもの公園でダンボールで捨てられてたの??

「…賢人さんより酷いですね」

 

あれ?日菜ちゃん、もう一人は?

新しいマグカップ用意させてたよね?紫だからイヴちゃんまで引き込んでパスパレで埋めるかと思ったけど

「イヴちゃんのは元々あるじゃん、おねーちゃんと燐子ちゃんにまかせたんだけど?」

「…いつもので来ませんでした」

いつもの?

「…ツンデレ…です」

…呼ぶな!!この空間を巨乳で埋め尽くす気かあんたらは!!

ただでさえ巨乳四天王の二人がいるのに!!

「師匠、四天王はひどいよぉ」

だまれピンクの丸いの!

「とうとう呼び方まで雑にぃ」

「私はなんになるの?」

ピンクの

「なんかまだそれの方がいいかもなんて思っちゃったよ」

 

さて、最近なんか順調なのよね?

「どうなのでしょう?」

いや、紗夜ちゃんは安定でしょう?女神さえ恐れる存在だし

「私は少しよくなったかしら」

千聖さまは本当あのバカ(シバケン)には勿体ないんですけどね

「最近の千聖ちゃん見てて、るんっ♪てくるよ♪乙女だしっ♪」

「そ、そうかしら?」

「ケントくんの事で一喜一憂してて本当可愛いし♪変なとこでヘタレだし、見てて可愛い♪」

「それは、いい意味なのかしら?」

 

「あ、あの…」

どうしたのましろん?

「師匠がもう愛称で呼んでる…」

「先生の彼女さんって、新田美波さんじゃないんですか?」

『あ゛んっ?』

そこ、ジカンギレードとキングラウザーすぐ取り出さない!ましろちゃんも刺激しないでね、すっごくデリケートな部分だから

「でも…学校にもみえてたし…」

…あの女神はアイドルの自覚はないのかな?

あの人(女神)はなんというか、保護者?守護神??そんなんだよねー」

日菜ちゃんぶった切るわね?

「おねーちゃんパワーと友情?で宇宙も斬るよ♪」

年下だけどお姉さんポジションだよね…だよねー、あっち(女神)の方がお姉さんぽいよね…私なんかもうなんというか…

「師匠がダメージ受けてる!大丈夫です身長なら師匠がぶっちぎりです!!」

慰めにならんわぁっ!!

慰めるならその脂肪の塊の25%でもよこしなさいっ!!

「微妙に真実味(リアリティ)があって嫌な数値ですね」

黒いの!あんたが10%でひまりが10%でツンデレが20%でもいいからよこしなさい!!

「師匠!増えてますからっ!何気に有咲から奪うの多いし!」

(あんこちゃんに胸の話ふるとすごいんだよねー、今度から四天王はひとりにしないとだめだねー、ん?全員とか逆にるんっ♪てくるかな?)

そこ!不穏なこと考えるなぁっ!!

 

「杏子さん、そんなものは飾りです…えぇ、本当に飾りです。虚飾の飾は飾りと書きますから」

完璧な紗夜ちゃんの唯一の弱点だもんね

「いえ、私は無駄に大きくないだけで普通にはありますから」

はじめて紗夜ちゃんに殺意を待ったわ…ん?でもやっぱり気にはしてるんじゃん♪やっぱり仲間だ♪

「…(ダマレゼッペキ)」

おおぅ、これが視線で殺すなのね

「胸と言えば、千聖ちゃんって大きいの?小さいの??」

日菜ちゃん!!何て事言うの!!

千聖ちゃんさまはこのお姿がパーフェクトなのよ!これ以上の成長は神も人類も!とにかく私が許さない!!

「こういう人がいるから子役出身俳優は大きくならない呪いがかかるのよね」

でも、千聖ちゃんツンデレ娘と比べられるからあれですけど、ミニマムグラマーですよね?

「言葉選んでるけど、『ロリ巨乳』だよね♪有咲ちゃんは『ロリ爆乳』なんだよねぇ♪」

そう、あのツンデレは危険よ、みんな!黒いのやひまりの破壊力にあの身長で対抗している事実に気づいて!!

「あの…杏子さん?…そろそろ黒いの黒いの言うのやめて…くれませんか?『()ーちゃん』って呼びますよ?」

お、黒いの私や賢人相手だと強いね♪いいよ?私のシンボルカラーでパーソナルカラーなんだから♪

そのかわり、賢人の事も昔の呼び方にしなよ?

「…くっ、汚い…」

『何て呼んでたの(ですか)?』

「あの…その、それは」

そこふたりにじりよらない!

千聖ちゃんだって似たような呼び方してたんでしょ?

「私は普通に『ダーリン』と『ハニー』で呼びあっていたわよ?」

「…嘘ですね」

「嘘だね」

「あからさまに嘘ですね」

「千聖ちゃんおもしろーーい♪」

いや、これが嘘じゃないから頭沸いてるのよね

『えーーーっ!!』

まぁ、本人は黒歴史過ぎて完全に記憶の底にあるかないか切り捨ててるかだから

「まぁ、あれは私もちょっと恋に恋する女の子状態だったから流石に痛々しいというか…なんというか…忘れたくもあるけど…」

ICレコーダに残してるもんね♪

『え?あれまだ他にも入っているの(ですか)??』

まぁ、聴かれないようにパスかけて、そのパス忘れちゃうのが千聖ちゃんさまクオリティよね♪

「だって私が連想できちゃうようなの誰かが解いちゃうかもしれないでしょ?」

本当千聖ちゃんポンコツ可愛い♪

(普段もあの可愛さ出せばいいのにねぇ~、うちのおねーちゃんもポンコツ可愛さたまに出してるからね♪)

「日菜ちゃんは天才可愛いよ♪」

「彩ちゃん!!??なに?いきなりっ、…ほんっと彩ちゃんは面白いよね♪」

「え?なんで??私変なこと言った??」

「もうっ彩ちゃんは人たらしだからね~♪」

(この無自覚な人のよさと気遣いとか、女神(あの人)に通じるんだよねぇ~、流石Theアイドル♪うちのリーダー本当面白いよねっ♪)

 

「師匠、何故私を読んだのかわかりました。なんですこの百合百合しい空気?」

かーひぃならこの居たたまれない空気わかるよね??

Afterglow(うち)にもいますから!!」

「あの、私は何故呼ばれたんですか?」

ましろんは可愛いと聞いていたから私の癒しにしようかと♪

「やっぱりそうですよね、私が先生と…なんてないですよね」

あー、それに関しては可能性がなくはないんだよね

「え?」

ひまりも『かーひぃ』と呼ばれてるでしょ?

ましろんは『ゆきんこ』だっけ?

「は、はいっゆきんこです!」

シバケンって、人の識別が上手な方じゃないからいきなり愛称で呼んでるの凄いことなんだよ?

「師匠?」

ひまりも本当…まぁひまりはピンクで丸くて可愛いからだろうけど(笑)

「持ち上げて落とさないでくださいっ!!」

「特別?私が??」

おーい、ましろん?なんか妄想空間イッチャッテる?

弟子よ、これが正統恋する乙女だから良くみておきなさい

「今時いないぴゅあな可愛さですよね、つぐも昔はぴゅあだったのになぁ」

まっくろくろすけだもんねぇ

あれは日菜ちゃんに振り回されて鍛えられたのも要因だと私は思ってるけどね

 

 

 

で、相変わらずのメタとぐだぐだだけど

なんだっけ?

シバケンの教育実習?

「はい、先生が瑠唯さんとひと悶着します!」

なにやってんだあいつは

というか、あのクールヤンデレちゃんかぁ(遠い目)

地元の狂戦士といいヤンデレホイホイなんだよね?なんでだろ??

「優良物件だから!!」

どこが?大分マシになったけど人格破綻というより、感情の機微がないとかまっさらな人工知能が反応だけして何もリアクションしないとか、どんだけサヴァン症候群なのよだったのよ?

「そこにつけこんだのが幼い日の白鷺さんということですね」

爆音出してた頃だよね、懐かしい

「私本命というより、悪役令嬢ポジション?」

最近悪役令嬢(それ)がヒロインもあるからありなんじゃない?

「押してだめなら引いてみろね?」

「千聖ちゃん押してもいないじゃん♪ヘタレだから~」

日菜ちゃん嫌なことでもあったの?

「うーん、なんかこのままケントくんにおねーちゃん取られるのもなんか、るんっ♪てしないなぁって」

それで、千聖ちゃん焚き付けてると…流石おねーちゃん大好きっ子だよね

「…え?」

どうしたの丸山?

「うぅん、なんでもないよ」

なんか大丈夫疲れてる?

かーひぃのおっぱい揉む??

「なんで私の!」

無駄に大きいからよ!

「大きさなら燐子さんだって!…あれ?」

居ないね?

「白金さんなら倉田さん連れて、賢人さんの部屋にライダーグッズ見に行きましたよ?」

布教に余念がないわね…

 

「これが先生がいっていたファイズギア…」

「倉田さん、…それはオートバジンですよ。バジンたんと呼ばれてます。このハンドルを…」

「え?抜ける??」

「…ここまで改造して…ますね。そこの…銀色のスーツケース…」

 

ライダー女子が着々と増えていくらしい

 




読了ありがとうございます。

基本座談会・女子会(その時の気分で名前変わってるな)は

時空がぐっちゃぐちゃなので
実はあそこに集まっているのは別の世界線からそれぞれ来てるとも
世界線超えて共通認識で本人は繋がってるとか

SSの中身に全く関係がないですがw


ちなみに最後のりんりんは…

「あの燐子さん?」
「…はい、なんですか?」
「それ、ロゼリアの衣装ですか?」
「これはアズの衣装です」
(『Azu』?そんな曲あったかな?何かの曲の略かな??」

劇場版のアズの出番とか、これ続くよね??とか思いませんでしたか?

と関係ないところで
またお付き合いよろしくお願いいたします。


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氷川姉妹誕生日記念1:「だって…私が寄り添って…」

氷川姉妹の誕生日♪
(※生誕祭と言わないのは
「『生誕』は死人に使うんだよ、オタクは馬鹿が多いの?」
「自分達でキャラ殺してるのわかんねーの?」
と言われてるのを見てから、頑なに使いません】
でも、『偉人』と捉えれば使っていいんじゃね??と考える私もいますw

時系列は進んでおり、クリスマス後の時系列で世界線は…
『氷川姉妹エンドよりな・・・』ですw

今回もよろしくお願いいたします。


-3月1日

休日でない限り例年花咲川を含め周辺の学校は皆同じ日に卒業式を行う

 

そんな大事な日の数日前に起こった事件は…

「お父さんとお母さん別々で式に出る?」

「らしいよ?」

部屋でいつものようにギターの練習をしていたら日菜が入ってきた

リビングで二人が私と日菜の卒業式にどちらが行くかで相談をしていて

何故か喧嘩になっているらしい…いつものことなので放っておきますが

「別に羽丘にいけばいいでしょうに…」

「おねーちゃん!」

興味なさそうに言うと日菜に咎められる、どうして怒っているのかしら?

「卒業式はいくらあたしでも別の日に操作できなかったんだよ!」

もう生徒会長でもないのに何を強権を揮う気でいたのかしら?

「おねーちゃん?またあたしの事嫌いなの??」

「…!?」

古傷を抉ってくるわね…本来私も羽丘の高等部を日菜やみな…友希那さんやリサ…さ…と卒業するという事も無くはない未来でした。

日菜に対するコンプレックスから花咲川女子(共学では父が反対する)を受験し高等部からは別々の学校になった

(そう言えば、高等部の入学式は私しか無かったわね…)

中等部からそのまま高等部に進んだ日菜に入学式はなかった、外部受験者用の入学式に出ようとしてたのは聞いているけど

「そんなことないわ…」

ただ、そう…

「だって…私の我儘で花咲川に行って、私だけ入学式に来てもらってたし…」

卒業式は二人で羽丘に行って欲しいと思っていた…そう…

 

「『建前』だよね?」

 

ここでギターを一音ずらすとかするのがお約束なのでしょうが、残念ながら私にそれはありえません

『サッドネスメトロノーム』とまで揶揄された私です、そんなことは…

「おねーちゃん、顔真っ赤だよ♪」

でも顔には出てしまいました、まだまだです。

というかあの人と知り合ってから私の感情は良くも悪くも素直に顔に出やすくなっている

 

「ふふ~ん♪…そっかーケントくんが来るのかな?」

「そんな事は決まっていません」

そう、まだ決まっていないから両親に「卒業式に来なくてもいい」と言えず、今の状況です。

「あれ?ケントくん1日ってなにか用事あったかな??」

日菜が自分のスマホでスケジュールを確認する、全て覚えているがほかのメンバーの予定が急に変更になっている場合もあるからだろう。

「パスパレ関係もレオンくん絡みもないよ?」

レオンさんは最近は一時ほどメディアを賑わせていない、でも白…千聖さんとバーターの仕事がまだまだある。

(中身が賢人さんじゃなくても人語をしっかり理解して、自分でも判断できるし、何より紳士な大型犬。人気なのよね)

レオンさん自身とも賢人さんと入れ替わった時にお話をさせてもらっている、紳士な大人な方という印象です。

(少しキザったらしいけど…)

 

「卒論のお手伝いだそうです」

「あーーーあんこちゃん今年卒業だったね?え?卒論って今の時期まだやるの??」

日菜の言う「あんこちゃん」は賢人さんこと柴田賢人の幼馴染で姉的存在の三藤杏子(さとうきょうこ)さん

賢人さんと同じくしろが…燐子さんとコンクールを席捲した一人で、

趣味で今はスリーピースバンド【Trinity】でベースをしながら、色んなバンドの事で困ってる人を助けている。

主に楽器指導をして…ある意味賢人さん並みに万能キャラですよね。

さらに今年無事司法試験を通過し、司法研修所に入りこれからさらに大変だというのに卒論があると泣いていた。

賢人さんはその手伝いをさせられているのだ、私の…そのか、彼氏は…こ、こい、恋人の卒業式には間に合わせると言っていたけど

「2月いっぱいの提出らしいわ」

「法曹って大変なんだねー」

なんて言っていたら…リビングから大きな音が

 

お母さんが切れたのかもしれない

あの人は手は出ないけど…怪しい武器が出る。

 

いくらお父さんが頑丈でも(世間体的に)まずいので仲裁にいかないとと愛用のギターをスタンドに立てかけ

リビングに向かおうとしたら私のスマホが着信通知の鳴動をしてから通話着信をした。

誰かのLINEの後に…相手は

「え?賢人さん?」

「おねーちゃん私先に行ってるからね」

気をきかせてか日菜が先に部屋を出た、どうやら両親には卒業式には来なくていいときちんと言えそうだ。

 

それでも父が最後までごねて、母が花咲川、父が羽丘の卒業式に参加することになった。

お母さんが「賢人くんが来るなら、おめかししないとね♪」なんて不穏な事を言うのが気がかりだったけど気にしない

私たち姉妹は、私が父に似て、日菜が母に似ていると認識されているし私たちもそうだと思っている。

両親はそれぞれ肉体派と頭脳派で…母は現在は違うが父の上司だったこともあるらしい。

海外で教鞭をとっていた母が警視庁の刑事である父の上司だったというのが私にもよくわからないけどそういうものらしい

私の正義感は父譲りらしいし、日菜の破天荒な天才は母譲りらしい

 

その…お付き合いを始めたのだからと、両親に挨拶に来た時に

父にはその真面目さを気に入られ、母にはこの面倒くさい娘を気に入ったことを気に入られていた

日菜が両親にもう少し反対しなよとか理不尽なことを言っていたけど、あの子は何を求めているのか?

 

 

 

-卒業式当日になり…

卒業式はつつがなく進行しすぎた…戸山さんあたりが何かしでかすと心配していたのに杞憂に終わった

…かにみえたら、お母さんと一緒に参加してると思っていた賢人さんが居なかった

お母さんが日菜みたいな笑い方をしているから何かあったのだろう

気を取り直して壇上に目を戻すと…前生徒会長であった燐子さんが…壇上に並んだ椅子にまだ腰掛けている?

打ち合わせでは舞台袖に捌けてピアノ伴奏に…ピアノを見ると…

 

「!!??」

 

立ち上がりそうになるのを千聖さんに止められた、その笑みはすごく楽しそうだ、その向こうにいる花音さんは物凄く慌てている

「知ってたんですね!?」

「紗夜ちゃんにサプライズよ♪」

納得が言った、あの天才が人の卒論ごときで時間を取られることはないから

「…賢人さん」

この日の為にギリギリまで杏子さんと調整していたのだろう

あの格好付けの見栄っ張りな人のことだ

目処が立たない限り私に卒業式参加の連絡をしないつもりだったに違いない

そして、いつものようにLINEだけで済ませようとしたのを杏子さんにこういう時くらい直接連絡しろと怒られたのだろう

「さ、コンクール荒らしの爆縮が復活よ♪」

賢人さんはピアノが嫌いになったわけじゃない、思い通りに弾けなくなっただけだ

あの傷がどうしても引き攣るのだろうと思っていた

傷で思い通りに弾けないことでジレンマを起こして

その度ピアノから遠ざかっていたと思う

それを…

「悔しい…」

『え(ふぇぇ)?』

 

私の意外な言葉に千聖さんと花音さんが慌てる

 

「だって…私が寄り添って…」

 

私のためにピアノを弾いてくれているであろう私の大事な人

その姿に私は感動ではなく悔しさで泣いてしまった…

 

 




あれ?
なんでこうなった??

続いてしまいます


引き続き宜しくお願い致します。

氷川姉妹の「両親:父・誠 母・澄子」は
以前なんとなく
あの二人が結婚して娘が出来るとこんな感じじゃね??と自分の中で納得したのを使っていますw
私の中ではこの設定で通そうかと思っています。

またよろしくお願いいたします。


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六話:教育実習編「いや、瞳がすごく綺麗で印象的だなって、髪も長くて綺麗だし」

今回もよろしくお願いいたします。

氷川姉妹誕生日記念の前に実は書き進めていましたw

あの人がいきなり出ますw
私の印象では
「スチールブルー」の人なんですよね

よろしくお付き合いください


「え?賢人くん教育実習行けるの??」

相変わらずのゼミ室で昼食代わりのカロリーブロック片手に提出用の実習プラン作っていたら、新田さんがさすがに驚いていた。

まぁ、これは履修方法と手回しで実は出来るんじゃない?と試してみたらゼミ教授(せんせい)から「気づいて実際にやった生徒は初めてだよ」と快諾されたけどちょっと特殊な方法だ

「これで来年は物理か科学でまたいける」

「なんで今回は国語教科なの?」

高校ぶりの現国と古文、漢文の教科書を新田さんも懐かしそうに見ている

「お嬢様学校だから、語学か国語教科か社会教科にして欲しいと先方から釘刺された」

「賢人くんの語学は独特だから…」

独特と言われてしまった…まぁ、否定はできないけど

「私は来年のつもりだったけど…」

「来年は理系でいくから」

凄く綺麗な苦笑いをされた…

 

「お嬢様学校ってどこのなのかな?」

遠いなら部屋の換気とかするから鍵を預けてということらしい

本当いい人だよね、アイドルもしてて忙しいだろうに

今もカロリーブロックを取り上げられ代わりにとサンドウィッチを渡された、ハムとキュウリのとたまごのものであまり公言してないけど実はかなり好きな具だから嬉しい。

コンビニのではないので三角ではなく長方形に持ちやすい大きさに切られている、行儀が悪いけど一度口に運んだらそのままくわえられるサイズだ(たまごは無理だけど)

「おいしい、いつも思うけどこれ本当にあそこのパン屋?」

美味しいのでたまに見に行く商店街のパン屋さん、家族経営で小さい子がいる、たまに遊んでいるのを見かけて混ぜてもらっている。しかし家族経営だからか何度も行くがサンドウィッチを見たことは無い、これだけ美味しければ売り切れるよなぁと納得しつつ

新田さんは何時買いに行って手に入れてるのだろう?と疑問にも思う、アイドル特権かな?とか

「良かった、あそこのパン本当に美味しいから♪」

どうやら新田さんもファンなようだ、余計に売り切れるよね

「いつもありがとう♪」

サンドウィッチ代として500円玉を渡す、新田さんはいつもこれ以上取ってくれない。自分で買いに行っても買えないから手間賃もとってほしいのにハムサンドとタマゴサンド分のお金しかとってくれない、よく女神と称されてるのもあるのかな?

午後の講義まで時間があるのでそのままのんびり過ごしていると

部屋の扉がノックされる

「どうぞ」

うちのゼミ生なのは確かだ、必ずノックして少し待つという暗黙の取り決めが徹底している

新田さんの声に静かに扉が開き同じように静かに入ってきた人物

「文香ちゃんこんにちは」

女子にしては長身な新田さんより少し低いくらい…僕と同じくらいだろう、少し目にかかる長い綺麗な黒髪の子だ。

印象が…似た人が知り合いのJKに居た気がする?

「…こんにちは美波さん、柴田さん」

「こんにちは」

…当たり障りなく挨拶をするが、苗字が思い出せない。正確には覚えていないのかもしれない。

新田さんを名前呼びしているならきちんと記憶しないとだめだと認識したところで

「柴田さん、先生が…用があるから、来て欲しいと…」

と助けの一声、教授(せんせい)に苗字きいてこよう

「ありがとう、新田さんもありがとうね」

お礼をいい書きかけの計画書を表示したノートを持ってゼミ室を出た

 

 

 

柴田賢人(あの男)が出ていった

正直、人、特に男性は苦手ですが…

 

柴田さんは嫌いの部類です。

 

見た目ほど軽薄でもなく真面目で気がつけば色々手を貸してくれるし、頼れば力にもなってくれます。

珍しいことに下心もなくです…

それは単に柴田さんにとって、男も女も関係なく興味がないから

 

その証拠に、彼は一度も私の苗字を呼んだことがありません。

美波さんが私を「文香ちゃん」と呼んでくれるので、名前はご存じでしょう、でも名前呼びする仲ではありませんから私を特定して呼び掛けることは滅多にありません。

(美波さんはなんであんな男がいいのでしょうか?)

この疑問はいつもついてまわります、今だってにこやかに送り出してるし…新妻ですか?アイドルですよね??

あと、

「文香ちゃんはお昼はもう済ませた?」

ゼミの冷蔵庫からタッパーを取り出しながら訊いてくる

お母さんですか?

女神で新妻でお母さんですか?

…少し混乱していました…

「…いえ、美波さんとご一緒できればと」

今日の午後一の講義は同じ選択だけど休講になったので遅めのランチを一緒にするつもりだったから

「なら、丁度良かった♪」

八枚切りの食パン四枚、ちょうど半斤サイズのタッパーが手渡された…

これも私の不興の元凶です

「良かったら一緒に食べない?」

美波さんも同サイズの色違いを持っている

中身はサンドウィッチ

柴田さん(あの鈍感)は、教えられたパン屋さんのサンドウィッチを探しています、

確かに教えられている美波さんの部屋の近くの商店街にある山吹ベーカリー(パン屋)さんのパンです、

 

えぇあのパン屋さんの食パンを使った美波さんお手製のサンドウィッチなのを知らないのです

(ちゃんと教えないのもどうかと思うのですけど…)

 

 

ピークが過ぎ人が減った学食に向かいます、カフェテリア風のおしゃれな方です、私は普通のいかにも昔の学食!も味があって平気なのですけど…これを以前言うと「文香さん?柴田さん(当時の呼び方)みたいな事いうから驚いちゃった」

二度と言わないと誓いました。

 

「この学校の人はいい人よね」

二人で構内を歩いていると、美波さんがそんな事を言います

「…そうですね」

私たち二人が一緒に行動していても、遠巻きに見ている人はいても声をかけてくる人は少ない

「まぁ、何%かは賢人くん…というより千聖さんのおかげかな?」

 

そんな前の話ではないですが…何故かパスパレのメンバーと数人の女子高生が学校見学としてやって来たことがあります。

来年受験を考えているそうです

 

『皆さんが優しく適度に干渉せずに居てくださって良い学校ですね』

分かっていないのか牽制なのか私たちの先輩にあたる女優でアイドルなJKはにこやかに言い放った

言葉の外に

『あんまりしつこいと、この学校は選択から外します』

と言っているみたいでした、一応この学校難関校なのですけど…

志望校ではなく、入学が当たり前ですか…多分柴田さん見てるからでしょうね、少し黒い感情を出していたら

「千聖さん?賢人くん参考にしちゃダメですよ?頭おかしいけど一応天才ですからね?」

…戦女神?凄いことを平気でにこやかに言います、学力を侮るなと諌めているのですよね?柴田さんに依存していないか牽制してるわけではないですよね?

「大丈夫、負けられないものが有る限り私は退かないから」

…千聖さん?どうして全方位に敵意を向けているのですか?

 

私は柴田さん関係ないですよ?

 

え?美波さん?なぜ私を見て…って

「な、やっぱり白金さんに似てるよな」

いつの間にか隣に柴田さんがいた。

パスパレの彩ちゃん・日菜ちゃん、そして日菜ちゃんに似た私と同じくらいの背の少女、彼女が有名な『日菜ちゃんのおねーちゃん』だろう。

「確かに…失礼ですけどご実家はどちらですか?」

年下なのになにか迫力がある

「な、…長野です」

私が答えるると

「すごい♪答えあ方まで燐子ちゃんに似てるぅ♪」

「あの、文香さん、親戚に『白金』っておうちはありますか?」

聞いたことはないけど、多分彼女たちの友人に私がよく似ているのだろう

「…(じー)」

日菜ちゃんのお姉さんの視線が怖い

「丸山さん」

「そうだよね。千聖ちゃんもそう思うよね?」

「そうね、どこかで繋がっているのかも、この間も居たでしょ?あのDJの…?」

「なんだっけ?」

「あーあーあーあーえーっと『はぴあら』だよ、名前は想い出せないけど♪」

 

「本当に世の中には似た人が三人いるのですね」

 

勝手に話をまとめられてしまい、流石にあまりいい気がしない…と思ったら

やはり一番の常識人みたいな日菜ちゃんのお姉さんがスマホを見せてくれた

「すみません、鷺沢さんが私のバンドのメンバーにあまりにも似ていたので…」

見せられた画像は…黒くてグレーな子だった、私は言うなら黒くて蒼い子だから違う

でも…確かに血縁を疑われても不思議はないかも知れないと納得してしまった。

「そして、こちらが先日偶然知り合った…『Happy Around!』の渡月 麗(とげつ れい)さんです」

「!?」

流石に驚かされた、私に似てなくもない…けど先ほど見せられた娘と姉妹と言われたら信じるだろう

「そうですね…私でも、流石に好奇心にかられますね」

そこでふと、なぜ連れてこなかったかと思ったら…

「すみません、彼女は極度の人見知りで。更にテレビ局に行くと聞いただけで気を遠くしてしまいまして…」

どこまで似てるのだろう、そのうち美波さん経由で会いに行ってもいいだろうと思える程には興味が持てた。

 

「で、賢人くんはいつまで文香ちゃんの顔をジロジロと見てるのかな?」

「…顔だけじゃないですよね」

あ…なんか美波さんが怖い、日菜ちゃんのお姉さん?どうして私を…特にその胸を睨んでるのですか?

「よ。余裕がないわね」

なんて余裕を装って髪を意味もなく流してキメ顔をしている千聖さん、それ今必要ですか?

その前に千聖さん煽ってどうするんです?あ…まさか…あなたもですか!!??

パスパレの彩ちゃん・日菜ちゃんが諦めた顔をしている。

あれ?パスパレって5人ですよね??え?残りは…誰かこの…え?

 

「いや、瞳がすごく綺麗で印象的だなって、髪も長くて綺麗だし」

じーっと見つめたままの柴田さんがそんなことを真顔で言う

灯油どころかニトロを投げ込まないでください!だからあなたは嫌いなんです!!

と思いながら私の思考は恥ずかしさにショートした…

 

その後三人に「女性にダイレクトにそういうことを言わない!!」と説教をされている姿を見ながら

呆然とお茶をしていたのが…

 

 

このカフェテリアでこの席ですよね…美波さんわざとですか??牽制ですか??

でも…サンドウィッチは本当美味しかったです




読了ありがとうございます。

という事で
たまに名前だけ出ていましたが

予定通り(本当ですよ?)
教育実習に合わせてふみふみが表に出てきました。

大学だけは死守するつもりが、正ヒロインの筈?の微笑みの鉄仮面が入ってきました。

ふみふみを護れるのは美波しかいない!!

…なにその展開?


またよろしくお願いいたします。


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氷川姉妹誕生日記念2:「…き、きのせいですよ」

今回もよろしくお願いいたします。

毎回言い訳のように言いますが

本編の少し先の時間軸で、「氷川姉妹エンド?」な世界線のお話です。
私本人は結果が確定されてて楽しくて仕方ないのですがw

一部キャラクターが成長過程というか起きるイベントによって
「逞しくなった」というか「壊れた」というか「本性大暴走」になってます

お楽しみいただけたらと思います。

タグに氷川姉妹の親は「氷川誠と澄子さん」とか入れてみたい衝動が起きています。


 

「あれ?おねーちゃんは?」

職員用駐車場に入ってきたオフシルバーなオフロードバイク

羽丘の制服に卒業生のコサージュを着けたまま運転してきた羽丘の前生徒会長、氷川日菜こと日菜さんが入って来てヘルメットを取りながらの第一声です。

 

羽丘の卒業式が終わり、後輩や同級生との別れもそこそこに(本人は卒業で別れるとは露ほども考えてないそうです)、「卒業したから校則違反じゃないよね♪」と柴田賢人秘蔵の一台を借り出し羽丘から花咲川にやってきました

…ミニスカートでバイクに乗るなんて…スパッツ履いてるとは言え、周りがびっくりですよね

 

「実は…」

ちょっとした行き違いと、氷…紗夜さんの変に弱いメンタルが災いして…大喧嘩が起こっている話をする

「あー、おねーちゃんはケントくんの器用さをわかってないなぁ」

そこじゃないと思います

「なにより、このすごい倍率と女神さえ押し退けて、ケントくんの彼女をしているという事がわかってないのは、おねーちゃんぽいと言うかなんと言うか…」

そんな事を言いながら、紗夜さんを休ませている生徒会室に向かいます

「それにしても燐子ちゃんはいい人だよね、あたしならここぞとばかりにケントくん貰うのになぁ」

紗夜さんの妹(日菜さん)は相変わらずです

柴田さんが紗夜さんと付き合えば、紗夜さんも柴田さんも手に入ると考えていたのに、予想に反して柴田さんが紗夜さんにべったりなので構ってもらえない日菜さんは不満を日々漏らしています。

 

「燐子ちゃんはケントくんの好みのどストライクなのにね♪」

そうだったらしいです。

そう言えば珍しく柴田さんの口から、美波さんのお友達に私に似たアイドルの方がいるとかおっしゃってましたね…それくらいに好みなのですね

でも、紗夜さんに勝てませんでしたけどね!

 

 

生徒会室前には中を窺っている不審人物なツンデレ後輩がいますね

それを遠巻きに苦笑いして見ている友人達(メンバー)

「燐子先輩、日菜先輩」

私たちに気づいた戸山さんが手をふる

「どうですか?」

大泣きしてしまい、式からの退場さえ千聖さんと花音さんに支えられての状態で生徒会室に運び込まれた紗夜さん、壇上で見ていて気が気ではありませんでした。

「有沙?」

私の問いかけに、山吹さんが生徒会室の中をしきりに窺っている市ヶ谷さんに問いかけると…

現生徒会長がこちらを向き

「すっげー痴話喧嘩してる」

複雑な笑顔ですね

中には千聖さん花音さんを交えて当事者二人もいます

あの二人相性は最悪の筈なのにくっついたという不思議なカップルですから

方や真性どマゾ?と疑いたくなる自分にも他人にも厳しいストイックの化身、外見サドの完全無欠な風紀委員長

すべてに興味が失せた怠惰の象徴、才能だけで目的もなくたまに気になった事にだけ干渉する、お前何様だよ?な実はどろどろに甘やかす真性どエスな偽善者

 

…中身の相性はいいですよね?

 

ではなくて、紆余曲折、アイドルの女神さえ押しきってのお付き合いなのに、付き合いだした途端歯車が全く噛み合っていない二人です。

これにはRoselia(うち)のメンバーも呆れています。

友希那さんは、「やはりあの世捨て人には、同じ何物も捨てて高みを目指す私のような更にダメな人間が丁度良いのよ…」とまだ諦めてない様子でリサさんがやきもきしています。

しかし、友希那さんも自分をダメと認識できるようになったんですね…って、私も言うようになったんですよ?

と、いうことで痴話喧嘩の場に乗り込もうとしたら…

 

「やっほー、ケントくん♪バジンたんありがとうね♪大事に乗るよ!」

…先を越されました

「あげないよっ!」

「わかってるって♪私が大型とったらハードボイルダーくれるんだもんね♪」

「作らないし、あげないよっ!1000ccだよ??」

意外とケチです、自分は紗夜さんとダンデムするためにワルキューレ買ったくせに…まぁ代わりにサイドバッシャーが消えてましたけど

…って、紗夜さんが凄く私をにらんでます…え?なぜ私??また柴田さんなにか失言しましたか!?

…違いますね、卒業式のピアノ演奏代わった事に怒ってますね

「紗夜さん?」

「なにか申し開きはありますか?白金さん」

苗字呼びに戻ってますね、柴田さんに頼まれただけなのに…あの男!!

「…やはり賢人さんが頼み込んだんじゃないですか!!」

私の目の動きだけでそこまでわかってくれた紗夜さん!好きです!その男には勿体ないです!

 

「ちょっと頼んだら快く代わってくれたのに!?」

それはその時の雰囲気とか、紗夜さんが感動して泣くかなー?とか、柴田さん顔近いですよー?いいんですか??私顔近づけたらキスできちゃいますよ?結婚してる訳じゃないですしいいですよね??とか色々と…その…

…あれは…その一時の間違いです!

 

結果として演奏で紗夜さんは大泣きしましたけど…

「燐子ちゃんもあきらめてないじゃん♪」

日菜さん?言葉の調子と真逆に目の光が…オフになってません?

「友希那ちゃんといい、なんでこうRoseliaは諦めが悪いかなぁ?」

怖いですよ?

「はい、日菜ちゃんストップ」

私ににじりよるように詰めてきていた日菜さんの背後からその頭に綺麗に上からの衝撃が下に抜けるような手刀が入れられていた

「ーーー!!」

軽くいれてるようにしか見えないのに…日菜さんが頭を抱えて蹲っている

「正気に戻ったかしら?」

にこやかな笑顔です。

「千聖ちゃん?それ本当に痛いというか、衝撃が真っ直ぐ抜けていくんだけど??」

涙目の日菜さんが抗議する

「マネージャー直伝よ♪」

「千聖ちゃんの暴走を止めていただけはあるよねー」

立ち上がった日菜さんは首をぐるんっと回す

『くらくらするぜ』

とか言いそうですね、ユナイトベントとか使うんですか?

「向こうは相変わらずよ」

千聖さんがやれやれと言いたげに問題の二人をみやる

 

「私のためとかなら、そんな無理しなくてもいいっていってるじゃないですか!」

まだやってますね、逃げ遅れた花音さんがあたふたしてます、本当綺麗なのに可愛らしいとかおいし…可愛らしいですよね。

「無理なんかしてないよ?まぁ、昔みたいに真っ向から弾けないのはちょっと嫌だったけど…」

柴田さんがピアノを弾かなくなった理由は私も聞きました…あの頃のアレはまだ安定してなかったのかと思うと残念でしかたありません

私が鼻っ柱へし折って膝ま付かせてあげたかったです…ふふふ…

「ほら!無理してるじゃないですか!」

…あの

「紗夜の為なら無理じゃない!!」

千聖さん?そろそろ止めません?

見ててこう内側から黒いものとかこう「このバカップルが!!」とか湧いてきません?

「そんなの望んで…?どうしたの日菜?」

痴話喧嘩は犬も食わないと言いますが、猫っぽい妹は食べるみたいです。

紗夜さんの袖口をつんつんと引っ張って注意を引いたと思ったら

「私はおねーちゃんの味方だから♪もうこんなケントくんとは別れてしまおうよ♪」

何を言い出すこの天才?

『え??』

その言葉に反応する居合わせた面々マイナス日菜さん

「ちょ、ままっ、それ!!」

市ヶ谷さん追加乱入です

「日菜!なんてことを…」

喧嘩していた当事者の紗夜さんが慌てています

「…え?」

そして片割れの柴田さんは…

「ナニヲイッテルカナ日菜ちゃんは??」

あれは人に向けて良い目なのでしょうか?あ、紗夜さんが顔真っ赤にして座り込んでますね…あーあれが外見どエスな中身どMというやつですか?なにこのメンバーの性癖見せられるとか私も少し興奮するじゃないですか!柴田さんカモンです!多頭飼い推奨ですよ♪

もう、私ならおそとも…ぎゃんっ!

「燐子ちゃん…そろそろ帰って来ましょうね?」

千聖さん?…痛いです、本当に頭から下に抜けるとか、すごく効きますねその手刀?

「…お陰で正気に戻りました」

外ではなく中に通るとはこの事なのですね…

「燐子ちゃんもストレスためるタイプだったかしら?」

見るといつの間にか部屋の大半が頭をおさえて蹲っていますね

「そこのバカップル一家!」

千聖さんが、紗夜さん、柴田さん、そして日菜さんを指す、トラップ一家みたいに呼びますね?苦労するの前提ですか?

日菜さん凄く嬉しそうなんですけど?

 

「イチャバカに巻き込まないでくれるかしら?特にそこの黒一点」

そう言えば柴田さん今日はワイシャツは白…あーはい、もういいです、なんだこのデレデレ野郎は!

私とお付き合いしてたら灰色のシャツにブラックダイヤでもつけてくれるんですかね?

カフスが紗夜さんの色であるサファイアで、襟のタックを紗夜さんの瞳の色と髪の色を意識した翡翠で飾っている…なにこの溺愛っぷりは?

花咲川は制服ですから紗夜さんは風紀委員らしく制服を着こなしてますよね?

というか、気づいているの私だけですか?そうですか…この腹ただしさ誰かと共感したい!!

「もう一発いく?」

私がまた暴走しかけていたのが分かったのか、千聖さんがにこやかに手刀をみせてくる

千聖さん気がついてますよね?それで八つ当たりしてるんですよね??

「燐子ちゃん、後で花音とカフェに行くけど一緒に梯子しない?」

そんな飲み屋みたいに…飲まなきゃやってられないのはわかりますけど

 

「おにいちゃん落ち着いた?」

花音さんが妹ポジションを発揮し二人に割って入りはしないけど、逆サイドから袖を引っ張って注意をそらす…高等テクニックですね

あ、サファイアのカフスに一瞬眉がよりましたね

「むー!…そうだよ!?あたしにとっても義理のおにーちゃんだ♪」

今さら気づいたのは何処かで紗夜さんにとって変わろうと思ってましたよね?ね?

紗夜さんとの間に割って入り花音さんと同じように…?

無理ですね

花音さんは摘まむようにおずおずと引くから可愛いのに、日菜さんはガシッと手首極めにかかるかのように捕って引っ張りましたから

…いえ、袖のカフス狙ってますよこの人、おねーちゃん子なのに男が絡むと怖いです

「あれ?カフスなんて珍しいね♪演奏の時邪魔じゃなかった?」

更に話を蒸し返す気です…日菜さん怖い子…

「え?カフス?」

…紗夜さんは今気付いた様です、この彼女少し油断が過ぎませんか?

「ほらほら♪白のシャツなんか着てるからなんか変だなーと思ったら、所々変にお洒落してるんだよ♪」

カフスと襟のタックは私も気づきましたけど、タイピンがスチールブルーの金具に控えめに煌めくのは星形のにカットされた…明るい黄緑の石、光の加減で紗夜さんの瞳と同じように印象が変わります、それを目にした紗夜さんが真っ赤になります。

「着けてく、くれたんですね」

どうやら紗夜さんのプレゼントですね、自分の色のものを贈るとか結構束縛も強いです?

「あたしのあげたバングルは?」

不満げをダイレクトに訴える日菜さん、双子に貢がれてるのですか?

「あれはバングルとは言わない、籠手だと何回もいってるよね?」

籠手って…

「パスパレのみんなであげたのにぃ~」

一体何を贈ったのか気になっていたら

「賢人の誕生日に日菜ちゃんが『バングルにしようよ♪』と探してきたのがこれよ」

…柴田さんの誕生日ですか、、、

何故教えてくれなかったのかなーとか思いながらスマホを覗くと…

「籠手というか…アンクですよね…これ?」

どこで見つけてきたんです?これプレミアついてる様な気がします

「日菜ちゃんも同じこと言うんだけど?どうしてアンクレットになるのかしら?」

「え?」

千聖さん?

「どうしたの?アンクってアンクレットじゃないの?」

…し、知らないだと?…

…紗夜さんここにも勝因がありましたよ!!

「何故かすごく手刀を振るいたくなったのだけど?」

「…き、きのせいですよ」

千聖さんが私の中の何かに気づき手刀を構える…私は詳しくないし柴田さんも『昭和は怖い』とかいうピラニアモチーフのものをふと思い出していたら…

 

「あ、やっぱりここだった♪紗夜ちゃん、お父さんがしんぱ…い…」

一人違うクラスのため、退場時の騒ぎを遠巻きにしか見ていなかった彩さんが誰かを案内してきたようです




読了ありがとうございます。

氷川姉妹の両親設定は私の大好きな「ただの人間(?)」氷川誠さんなのですが
ついてこれてる人いないんじゃないか??と今更不安になっています。
ジオウにも出れてなくて、中の人が呟いてましたけど…

紗夜さんの風紀員ぷりや日菜ちゃんの天才(天災)っぷりを知るたび
…氷川誠と小沢澄子がくっつくとこの双子生まれるんじゃないか?と

SSなんでそんな思いを形にしましたw

ちなみに私、氷川誠がいなければ平成ライダーも見なかったかもなんですよね
アギト途中からのクウガ見つつの平成どはまりという

またよろしくお付き合いください


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氷川姉妹誕生日記念3:おねーちゃんを私から盗る気なの?

今回もよろしくお願いいたします

毎度しつこいかもしれませんが

現在の時間軸の少し先の「氷川姉妹ENDっぽい世界線」のお話です。

楽しんでいただけたらと思います。

よろしくお願いいたします。


「紗夜がいながら何をしている?」

 

彩ちゃんに案内をされてやって来たのは、すごく長身でスーツが似合う、高校を卒業する娘が二人も居るようには見えないまだ若く格好良い人…

 

「お義父さん?」

そう、紗夜と日菜ちゃんの父親であり、僕の未来の義理の父親『(まこと)さん』だ

「まだ早い!!自分で稼いで家族を養えるまでは許さない!」

全娘を持つ父親が言いたい台詞のひとつだよね!格好良い!!

誠さんは本当に格好良い…

「あー、ケントくんのおとーさん大好きがもう始まったよ」

日菜ちゃんはあきれた声を出してるけど、こんな格好良い人父親に持つなんて羨ましい!

いや、僕の義理の父親になるんだけどね♪

「お父さん、賢人さんに格好つけたいからって慌てて来ましたね?お母さんはどうしました?」

紗夜のあきれながらの問いかけに、誠さんが固まる…あれは忘れているな…この人格好良いのに変に抜けていてそこがまた格好良さを引き立たせるのだけど…

紗夜は本当に色濃く血を継いでいて惚れ直す

「そんな事で惚れ直さないでください」

なんでわかるの?!

 

「えーと、紗夜か日菜ちゃん澄子さんに連絡しないと?」

二人の母親である澄子さんに誠さんが連絡できるはずがない、姉さん女房というやつで恐妻家だ、格好良いのに…

 

―♪

誠さんの背広から着信音が…ここで暗黒卿のテーマとかだとお約束過ぎるけど…そこはバレたら怖いのか普通に着信音はデフォルト音だった(日菜ちゃんが言うには「機械オンチだから変えられないだけ」とのこと)

「はい、いえ、その、そんな事は…見てたなら声を!…いえ、はい…」

誠さんは澄子さんには逆らえない…そんな澄子さんは誠さんにベタ惚れなのを僕は知っているけど

通話が終わると…

「皆さんにはご迷惑をお掛けしたので、お時間があればせめてお茶だけでもご馳走させてください」

深々と頭を下げる、つられて紗夜が頭を下げるので僕も下げたら…

「賢人はもう完全に氷川家の婿養子ね」

千聖(ちさっ)ちゃんが複雑な一言を呟いた

いや、たぶんマスオさん状態になるかと思うよ?うん

「そこじゃないわよ!」

なんでわかるの?

 

 

一人残された事より、お父さんが賢人さんに格好つける事を優先したことに少し呆れていたお母さんと合流して向かったのはファミレスかと思ったら…

『羽沢珈琲店』だった、学校から近く勝手知ったる知り合いの店ではあるけど…今日は貸しきりとかに…はなっていなかった。

千聖さんが元々花音さんと来るつもりでケーキの予約をしていたらしいし

「ここのコーヒーなんか好きなのよ」

豪快なイメージを持たれやすいお母さんが実はこう渋さを求めているのを私は知っている。お父さんがまだ若々しいのを少し愚痴られたことがあるくらいだから

 

(しかし、羽沢珈琲店…)

正直入りにくい、ある意味ここはAfterglow(大敵)の本拠地です

「二人で来るのはいつぶりだろ?」

最後に来たのはまだ賢人さんとはお付き合いはしていなかった頃です

さすがに追い返されて塩を蒔かれたりはしないと思いますが

つぐみさんとは少し気まずいと勝手に思っています

『いらっしゃいませ』

中からお店の看板娘である、つぐみさんと若宮さん二人の私達を歓迎する声がかかる

「アヤさんっ!チサトさん、カノンさん卒業おめでとうございます♪」

「紗夜さん、燐子さんもおめでとうございます!」

私達の来店を知っていた?

千聖さんが微笑むと

「みんなを誘って来ようと思っていたの」

 

私が驚いていたら

「賢人と二人きりになりたいとしても強制連行のつもりだったのよ?」

私の最強の恋敵(ライバル)はいたずらっぽく笑う

「だって、3年間の愚痴大会でもあるんだから」

と、私の彼氏になった賢人さんを意味ありげに見る

これはある意味久々の『柴田賢人包囲網』の活動ですね

 

促されて店内にはいると…

「紗夜、燐子遅かったわね、どうせそこの才能にあ…」

「紗夜ぉ式で大泣きしたんだってぇ~☆」

先に入店していた友希那さんがいつものごとく賢人さんに突っかかるのを遮るようにリサが出迎えてくれた

 

「千聖、花音遅かったね、や、やぁ兄さん今日も儚いね」

「みなさんお待ちしていましたよ、あれ?柴田さんもご一緒でしたか?」

瀬田さんと大和さんが賢人さんが一緒の事に驚く?

(うちの両親もいるのだけど…)

千聖さんは相変わらず瀬田さんには賢人さん情報を流さない徹底ぶりを通している様子です

 

そして

「はいはい、貸し切りじゃないんだからさっさと席についたついた」

制服に羽沢珈琲店のエプロンをつけた、巴さん・美竹さん・青葉さん…

「ひまりお前なにしてんの?」

『かーひぃ』から名前呼び、賢人さんの姉弟子にあたる上原さんが店の雰囲気に全く合わないピンクの胸元が大きく開いたミニ丈メイド服で異彩を放っていた

「つぐに着ろって…私もノリで着ちゃったけどさぁ…なんで賢人くんくるのぉ!!??」

恥ずかしそうに奥に引っ込もうとするのをにこやかに阻止する美竹さんとつぐみさん…酷い、私も隙を突かれないように注意をしないといけませんね

 

「青葉…そのコップをどうするつもりだ?」

注意が二人にいっていたら…青葉さんが水の入ったコップをもち死角から近付いていたのを賢人さんが止めた

「なんのこと?モカちゃんは、ケントくんに紗夜さんの黒メイド姿を見せてあげたいなーと」

私にその水かけるつもりでしたか…

「僕はクラッシックメイドしか興味はない」

青葉さんからコップを取り上げて、近くのテーブルに置く。

その手練にお父さんが感心して頷いているのが目の端に見えた

 

しかし…メイド服に興味はあるんですね?

彼氏の意外な好みとカミングアウトにふと…何か引っ掛かる記憶が

「んー☆ならケントはこんなのどうかな?☆」

リサがスマホを操作して賢人さんに見せる

 

「…」

 

賢人さんが笑顔で固まった…え?リサ?何を見せたの!

メイド服…!!あれですか!!

「リサ!それは!!」

慌てて止めに入ろうとしましたが…

 

「リサちゃん、その関連の画像全部くれないかな?友希那の衣装もこれはこれで白と藤色で綺麗で可愛いね、NFOとのコラボのだよねすごく似合ってるよ♪」

「そ、そうかしら?」

少し不機嫌そうにしつつも頬を染める、満更でもないを装ってかなりデレデレになっている時の友希那さんだ

「リサちゃんも何時もとぜんぜん違って驚いたよ、新しい魅力というのかな?二人とも可愛いね」

「そ、そうかな?なんか照れるね☆」

リサは友希那さんのデレモードが見れたのと素直に褒められたことに照れていた

(普段運動神経使わないくせに!!)

私より速く、そしてスマートにリサと友希那さんに接している

友希那さんを一瞬で味方につけているあたりもう抵抗ができない

「このころケントは友希那とは知り合いだったっけ?」

リサ?人の彼氏になんで赤面しつつ誤魔化すようにスマホを慌ただしく操作してるのですか?

この頃はもうRoselia結成してるじゃないですか!

「そうよ、賢人とは私が先に運命の出会いをしていたのよ!」

友希那さん?声楽の推薦で先に大学進学決めて気が大きくなっていませんか??

「燐子も可愛いね」

彼女の前で自分の好みの娘を褒めるとか…この場にいないからか宇田川さんは放置のようです

「青葉さん…」

コップを取り上げられ手持ち無沙汰のまま近くにいた青葉さんを捕まえると何故か青葉さんが怯えていますね?

あの怖いもの知らずのような青葉さんがどうしたというのでしょう?

「ちなみに、メイド服というのはどのようなものですか?上原さんの様なのではないと思いたいのですが?」

何故か小刻みに震える青葉さん?体調が本当は良くなかったのでしょうか?言葉が発せられない様子で目線でメンバーを促している

「だ、だいじょうぶです、はい。つぐのお店用にと白金さんの監修のもと作らさせていただきました、はい」

美竹さん?いつも通りじゃないですよ?どうしたのです??

「ひまりちゃんのは、その、その過程でひまりちゃんに着せようと作ったひまりちゃん用のなので、紗夜さんに着せようとしたのはお店用の、ぜんぜん、本当普通の普通以上に普通の普通です、はい、絶対」

つぐみさんも?これがつぐってるというのかしら??

「では、着替えますから」

私の言葉に三人が目を点にする

『え?』

「え?ではありません、折角用意していただいたのなら厚意には応えないといけません」

捕まえたままの青葉さんに先導させ…していただき私は店の奥、勝手知ったる羽沢家の脱衣所に向かいました

 

「紗夜さん柴田さんと付き合いだしてから本当怖いね…」

「だよね、賢人さん絡むと本当…」

美竹さん?つぐみさん?そういう会話は本人に聞こえないところでしてください

まぁ、私も聴力が賢人さん並みになってしまいましたから無理ですけどね…

 

 

「ねぇ、賢人くん?うちの長女自分にすごく正直になったと思うんだけど…なんであぁ拗れてるの?」

おかーさんが呆れたようにおねーちゃんの可愛さがわかってないことを言う

「そんなところも凄く可愛いです!」

にこにことメイド服姿をりさちーや燐子ちゃんに撮影(りさちーがスマホに対して、燐子ちゃんはガチな一眼を何故か持ってきていた)されているおねーちゃんを見ながらと言うか、おねーちゃんしか見てないよね?

この人はこんなキャラだったかなー?

るんっ♪とはするんだけどね

「さて、あとは合格発表よね」

そう、おねーちゃんはやらかすから、家族もそれだけは心配しているけど

「後期日程で合格かぁと思わせて前期で(すぐ)合格決めますよ」

ケントくんがにこやかにいう

「後期も落として補欠とかでほっとしてうっすら泣いてるのも可愛いとは思うけど、本当堅実ですから」

その発言におかーさんが若干引いている

そう、ケントくんってこういう人らしい

なにせ、怒ってるおねーちゃんも可愛いけど泣いてるおねーちゃんは最高に可愛かったと惚気(?)られた時はあたしも日本語が理解できなかったもん

「で?賢人くんはあの子が大学に入ってから早く環境に慣れるように一緒に住みたいとか言ってたわよね?」

ケントくん外堀埋めるの早すぎない??入り婿希望なの?

でもケントくんそれは流石にちょっと…

「誠さんの言っていた『家族を養う』はまだまだ贅沢させてあげられませんけど、卒業したらもっと働けるので!前向きに考えて許してもらえませんか!」

半分空気になってるおとーさんと面白そうに笑ってるおかーさんに頭を下げて…え?

…あれ?

おかしいな、またあたし日本語がわからないや?

お母さん英語で話してるのかな?

ケントくんの英語は無茶苦茶だから余計わかんないよね??

 

ケントくん?

おねーちゃんを私から盗る気なの?

 




読了ありがとうございます。

当初2話で終わるはずだったのに…
なんか楽しくなってしまいましたw

早々に上げて教育実習編に移らないと…

氷川姉妹の両親について誰か共感してくれるかと思いましたが…
今のところ反応がなく、マニアック過ぎたかな?と今更不安になってますw

しかい!このまま続けるのでよろしくお願いいたします。

またよろしくお願いいたします。


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氷川姉妹誕生日記念4:「これは?」

今回もよろしくお願いします

本編が…本編が進まない…


 

 

「…」

賢人がだらしなく…はないけど、自慢の彼女(紗夜ちゃん)のメイド服姿にご満悦だ…、クラシックメイドにしては装飾が派手というか、メイドモチーフのステージ衣装というか

(Roseliaのステージ衣装みたいよね?)

燐子ちゃんが監修ではそうなるわよね

燐子ちゃんとお互いにサムズアップ決めて良い顔していた、二人とも黒が基調なところといい仲の良い兄妹という感じよね??

(燐子ちゃんは近すぎたのよね)

私はいまでも敗因を考えてしまうけど、そこそこには吹っ切ったつもりではある…

まぁ、彼女なんて…私もある意味元彼女いわゆる元カノだし…

元カノとよりを戻すことだって…とか考えてしまうのは仕方ない

賢人と紗夜ちゃんの事はショックではないと言えば嘘にはなる

これでも彩ちゃんや花音に物凄く心配されるくらいには落ち込んだ

 

なにより一番落ち込んだ原因が

 

レオンだった

 

(彩ちゃんも気づいていたのに…)

どれだけ本質を見ていなかったのか?

浮かれていたの?

悔やむことは多い

だから私は物凄くあっさり敗けを認めてしまった

今もどこか心配をさせる弟みたいな初恋の人を見守ることにした

 

けど

 

「賢人!なにご両親に結婚の承諾みたいになっているの?」

紗夜ちゃん日菜ちゃんの両親と賢人の会話がふと耳に入った…

日菜ちゃんが日菜ちゃんらしからぬ…表情が抜けた顔をしてるし

(…これはまたやらかしてるわね)

賢人と紗夜ちゃんが正式にお付き合いし出してから、日菜ちゃんの様子がおかしい時がある

丁度今みたいに表情が抜け落ちている時がある…

(まだ瞳に光が入って無い方がましよね?)

日菜ちゃんの中では整理が追い付かないのかも、こればかりは頭ではなく心の問題だから

賢人のように心が極端な上に他人をあまり気遣わない人間を装った心さえ頭で理解してしまった人間(天才)と同じようにはいかないのは正直友人としてほっとする

「そ、そうだよ!ケントくんはうちに入り婿かマスオさんじゃないとダメだよ♪」

いつもの少しいたずらっぽい笑顔になった…

「なにより、おねーちゃんはまだ学生なんだからね!千聖ちゃんはともかく!!」

『私(僕)も学生(だ)よっ!』

残念ながら私は賢人や紗夜ちゃんと違う大学を選んだ、外語に強い学校、賢人のおかげで海外()に目を向けることにした、あんな出鱈目な英語でもなんとかなる世界なら、ハリウッドなんかを目指しても良いかもしれない、そして何故か彩ちゃんと日菜ちゃんがついてきた

羽丘は賢人の大学の推薦枠がなく「あたし一人分でもおねーちゃんの合格率をあげるんだ♪」と他の推薦枠を使い私や彩ちゃんと同じ大学に進学を決めた。ある意味紗夜ちゃんを軽視してそうな発言だけど、日菜ちゃんはそんなつもりは全くなく、本気で紗夜ちゃんを想っての発言なのを紗夜ちゃんを含めてみんなは知っている

ちなみに私と彩ちゃんも花咲川からの推薦枠で合格している、パスパレで残るのは麻弥ちゃんだけど、麻弥ちゃんは賢人さんと同じ大学の工学部の合格発表まちだ

美波さんや文香さんというアイドルも安心して通える大学というのは麻弥ちゃんにはかなり良いイメージを与えたみたい

賢人に言わせると

「設備が随時最新に更新されるから、麻弥ちゃん好み」

文学部の賢人が工学部に入り浸る要因であり、麻弥ちゃんも音響設備だけではなく機械全般に造詣が深いからかかなり進学に意欲をもって勉強を頑張っていたわ

 

…ん?なにか引っ掛かるけどまぁ大丈夫…よね…?

 

 

(しかし、よくあの賢人が紗夜ちゃんが受験生なのに付き合い始めたわよね?)

賢人はあれでというかあれだから、一般常識に縛られやすい。

偽善者を名乗るのもその一般常識を徹すための大義名分

そんな賢人が『大学受験控えているのに…』を破ったから私や杏子さんは何事かと思った

メンタルが何気にRoselia最弱(僅差でリサちゃん友希那ちゃん)だから逆に受験のために付き合いだしたのかとも私達は思っている、とにかく賢人は甘いから

 

でも、受験結果が出る前からなにを言い出すのかしら?

 

 

 

-卒業式から数日後の某大学事務所前

 

「これで来月からは先輩後輩ですね」

受付を終えた紗夜が不満気に少し嫌味を含んだ物言いになってる

折角合格したのに、紗夜がやらかす不安から入学手続きまで確り見届けたのが不味かったらしい

いつものカフェテリアで休憩がてらお茶をしていた…いつもと違い何か寂しい感じもしている

 

「これでジブンも柴田さんの後輩です」

紗夜も麻弥ちゃんも合格していた、学力に関してはこの二人はあまり心配していなかったけど

紗夜はやらかす時があるから少し心配しただけだし…

澄子さんや誠さんは合格までは心配していなかったけど

『賢人くん、悪いけど手続きまで付き合ってね!絶対なにかやらかすから』

と頼まれてしまったのだから仕方ない

まぁ最悪合格はしてるから手続きが一日遅れても何とか出来ると思う

こう、「うちの院にすすもーかなー?、よその院にいこーかなー」とぼやくと良いらしい

うちの教授(先生)がにこやかにそんな事を吹き込んできた

なんか怖いのでやらないに越したことはないから、今日は手続きまで確り付き合った

大学の自販機なのにSAとかにある本格ドリップコーヒー販売機が置いてあったりなにかと凄いこのカフェ

合格発表で人が来ると見越して営業をしていて、お気に入りのコーヒーと紗夜のクッキーで僕はご満悦だったけど…

「これで、パスパレもRoseliaも全員進が……あれ?」

何か忘れている

…えーと…こう、友希那の保護者とか、あと他にも月とか海とか儚いとか…

「紗夜…」

折角のコーヒーが不味くなりそうなのを覚悟を決めて

「僕、多分何か忘れてるよね?」

「どれでしょうか?」

にこやかに応えてくれるけど、『どれ』と言うことは多数あるし、思い出せと言葉の外で言われてる

「まず、友希那の保護者とか、儚いとか、海とか月とか…逆か?月とか海とか??」

紗夜だけではなく麻弥ちゃんにまで盛大に溜め息をつかれた

 

「花音さんは教え子でしょう!?」

…花音ちゃんは全く心配していないから忘れていた、当日試験会場までたどり着けるかだけが心配で送っただけだ

「確か…千聖(ちさっ)ちゃんと同じ大学(ところ)だったよね?…えーと麻弥ちゃん?」

「千聖さんから花音さんも合格だったと来てますよ?」

二人で合格発表に行っているとは思ったけど正解だったようだ

花音ちゃんは推薦の締切まで迷い続けてそのまま推薦枠を逃した

ここまで迷子スキルを発揮されると本当心配になる

「僕のLINEにはなにも来てない…」

…相変わらず皆に嫌われているのだろうと悲しくなる

 

「瀬田さんは弦巻さんの伝で海外留学の準備をしていると聞いてますよ?」

流石薫のよき被害者、良く把握している

「友希那の保護者は?」

恐る恐る聞くと

何故かまた二人に溜め息をつかれた

「賢人さん?いい加減リサの名前覚えてください。青葉さんの保護者とか友希那さんの保護者じゃなく…」

「覚えてるよ?こっちの方がしっくりくるし…」

そう、本人がいればちゃんと名前呼べる、この間も呼べたし

「それに友希那さんの保護者というより友希那さんの介護人?」

紗夜も酷い…

「あれ?友希那はあれだよね燐子と同じ大学だっけ?」

確か奇跡というか、一芸推薦で音大に進む、燐子もまた始めたピアノで推薦を決めている…Roseliaすごいよね

で、介護人もといリサちゃんは?

「リサは…」

言い淀む紗夜が告げたのは

「無意味に大学に行くより、好きなことのために手に職をつけると調理師の専門学校に…」

なぜ言い淀んだの!?

紗夜は杏子と同じく司法の道に…

あ、僕か…好き勝手しつつ運だけで生きてるからなぁ

耳が痛い

「まぁそろそろ本当にやりたいことは見えてきたんだけどね」

それはまだ言えない

この僕でもやりたいことが見つかりそうだし、夢もなんとなく出来た

彼女たちに出会えたからだろう、それだけはわかる

 

「そうだ、紗夜。卒業祝と合格祝いね」

用意していたものを紗夜の目の前に置く

「わ!こ、これは!!」

麻弥ちゃんが真っ赤になっている、なんで??

「これは?」

皮の台座に銀の星のキーホルダーごとそれをつまみ上げる

「部屋のスペアキー、このタイプは複製するのに付け替えるくらいの金額かかるから二本のうちの一本」

大小の穴が特徴のディンプルキーに波が入っていて複製は難しいタイプ、鍵にも拘る所はあのオーナーらしい。

マンションの鍵も同じディンプルキーだけど向こうのは若干短く波もなく複製がまだ楽な汎用性が高い物だった筈だ

「私が言いたいのは、何故賢人さんが普段使っている方の鍵なのですか?という事です」

目敏い

「この場の思い付きでしたか?」

これはちゃんと理由がはっきりするまで誤魔化せない

付き合うようになり物事に対する追求は容赦がなくなった

仕方なく用意していた方のラッピングされた袋を机に乗せる

「あることに気付かなくて、こちらを用意してた」

紗夜が失礼しますと袋を開けると

真新しい同じ鍵とそれを繋ぐ短い銀鎖の先には深い青い石で作られた星がついた銀のピン

女性の鞄の中で鍵固定し、取り出すのに便利なアイテムを見つけたので用意したけど…

「気にしなくていいのに…」

紗夜がそちらを机に置くと先程渡したものを返してくる

「タイピンとは全然違いますよ?」

そう、紗夜に貰ったタイピンをふと思い出したから、なんか被ってないかなとやめようとしたけど大事そうにしてくれている

どうやらまた間違ったようだ

紗夜には間違ったら教えてもらうことを付き合う前から約束している

「もっと早く紗夜に会えたら良かったのにね」

冷めはじめたコーヒーの残りを飲みながら、今更ながらの素直な感想(気持ち)だった

その言葉に紗夜が少し考えて…

「もし、れば、たら、は私も思うことはあります。でもそれでは先を見据えることが出来ません」

紗夜でもそんなことあるんだと言いそうになったけど、思い出すと紗夜も後悔していることはある

「それに、早く賢人さんと出会っていたら、確実に毛嫌いして今のような関係はありえませんでしたよ?」

そんなことを言い出す

紗夜が言うならそうなのかも…とは流石に思わない

「それこそ、ればたらだ、僕は紗夜に会えば絶対この関係を掴み取った筈だよ」

そう思わせてくれた大事な人だから

「前にも言いましたが、私かなり面倒くさくて難しいタイプですよ?」

それは良く知っている

「紗夜だからね」

「もう…」

分かっているから言葉だけで怒る

実は素直で優しい面が強い、だからこそ人を傷つけた倍以上に傷つき、更に自分を責めるような女性だ…お互い生きるのには不器用すぎる

残りのコーヒーを飲もうと…視界に

ん?

「…」

あ、麻弥ちゃんが居たの忘れてた

顔真っ赤にして、視線が安定していないし、何かぶつぶついってる

「…」

紗夜も流石に恥ずかしくなったのか僕を睨む

 

僕が悪いの??

 

このあと花音ちゃんの分を含めて千聖ちゃんに罵られた

新しい世界の扉は生憎無かったけど

友希那といいどうして遠慮がない女子が増えてるかな?

 




読了ありがとうございます。

励みになるので
感想とかいただけると嬉しいです。

またお付き合いください。


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氷川姉妹誕生日記念5:「…振り回されたのって私達じゃない?」

すごくお久しぶりです

なんといか…
色々とありすぎた(遠い目)

再開しますのでよろしくお願いいたします。

…モニカ編は考えてたら何故か紗夜さんと透子のキャッキャウフフにシバケンがダメージ受ける本編しか思い浮かばず

あれ?これ正規ルートじゃないの??と悩むw


志望校に合格でき進学が決まり一息つけました。

何故か賢人さんが両親に頼まれて(言われて)、確り手続きまで付き合ってくれましたが、そこが少し腑に落ちませんがまぁ良いとしましょう

私は合格祝いでいただいた青い星のついたピンクリップを見てはその先に繋がっている使用感のほとんど無い鍵に少し恥ずかしくなったり、あの美波さんでも預けられたことはあっても贈られたことのないものを貰ったと柄にもなく浮かれていたのかもしれません…

 

そんな私を見て日菜が少し思い詰めていたことに気づけませんでした

 

 

「賢人、ちゃんと周り見えてるのかしら?」

事務所で作業をしていたら千聖(ちさっ)ちゃんがそんなことを訊いてきた

「視力は悪いけど見えてはいるよ?」

現に今は事務所のホームページを誰にでも更新しやすい様にする為にシステム(アプリ)を構築しつつマニュアルを作っているのだけど…

「見えてないわよ」

溜め息をつかれる

なにが?と周りを見る

「あれ?今日は千聖ちゃんだけ?」

「さっきまで皆居たわよ」

呆れ顔をされる、以前よりこの顔をよく見る気がする

それにしても、みんな居たんだ…練習かな?

「賢人、周りへの関心がなくなっているの気づいてる?」

千聖ちゃんが変なことを言う

「それは無いよ、あの頃(・・・)じゃないんだし」

今は紗夜という大事な彼女もいるし…

「そうね、あの頃とは全く逆の意味で関心がなくなっているわよ」

どういう意味かわからない

「もう少し紗夜ちゃん以外も気にしなさい」

それだけ言うと千聖ちゃんも出ていった、なんのことだろう?

良く見るとミーティング用の大テーブルの上がどこか乱雑なような?練習に事務所のスタジオに移動するとしても片付けてから行くのに珍しい

…あれ?レオンさんは??

今日はレオンさんと一緒に来たけどいない?

…そう言えば、千聖ちゃんから声かけられるまでモニターしか見てなかったような…

 

やらかした?

 

大机の上をもう一度見る

座り位置はみな固定と言って良いほど変わらないから…

これは?机の上の散らかりは…

えーと、日菜ちゃんが飛び出した??

慌ててそれを彩ちゃんが追って、イヴちゃん麻弥ちゃんと続いたのかな?

原因は千聖ちゃんから察するに…

「僕…だな」

 

どうしたものか…

 

 

 

「日菜ちゃん落ち着いた?」

事務所からそんなに離れていない公園に皆はいた

「ごめんねー、あそこまでやって無反応なのは流石になんかきちゃったや~」

そう、今日の賢人は酷かった

私と出会った頃より酷かった

「あの集中力は異常ですよ!」

麻弥ちゃんでも怒るレベルとか

「昔の賢人はあんなものだったのよ」

一応フォローを入れておく、フォローにならないけど

「千聖ちゃん?よくあんなの好きになったね??」

今はあなたのお姉さんの恋人よ?

(天才ゆえのアレなんだけどね、自覚無いひと多いよね)

こそっと彩ちゃんが言う、大分逞しくなっちゃったわね

「さて、レオンは戻りなさい」

なに食わぬ顔で彩ちゃんと私の間にいるモフモフに言う

多分日菜ちゃんを追った一番の功労者であろうレオン(モフモフ)はさっさと事務所に帰らせる

この(モフモフ)スパイだから…

姉で妹()さえ裏切るんだから!!

飼い犬に手を噛まれたわよ!

 

「なら、私が連れてくね♪」

 

嬉しそうにレオンに手をさしのべて顔を撫でると連れそって事務所に戻っていく彩ちゃん、

…リードなしが様になってるわね…

でも彩ちゃん…人から犬に乗り換えるのは私は友人としてそして身内として複雑よ?

レオンも満更じゃない顔してるのが少しむかつくわ

 

「千聖ちゃんもなんか大変だね」

いま一番心配かけて手を焼かせる娘にいわれた!

「チサトさん落チ着イテください!武士は喰わねどタカヨウジです!」

…なんというかもう…

「イヴちゃんありがとう、一気に落ち着いたわ…」

「流石ですイヴさん!!」

パスパレっていつからボケばかりになったの?

「ほんと、千聖ちゃん大変だね」

えぇお陰で失恋して落ち込んでる暇なんかすぐなくなったわよ

 

「鍵?」

どうやら賢人が紗夜ちゃんに部屋の鍵をあげたらしい

あの男墜ちたら豹変しまくりじゃない!…知ってたけど…

「おねーちゃんにあげたなら、あたしにもちょーだいって言ってるのに無視ばかりとか酷くない?」

…えーと

「話の内容はともかくジブンとしては無視は絶対に許せません!」

麻弥ちゃんなにかあったの?

「そうです!セイバイです!!」

イヴちゃんは成敗っていいたいだけよね、あと言い出しそうなのは峰打ちあたりかしら?

「ミネウチでキリステゴメンです!!」

 

…私パスパレの突っ込み担当だったかしら?…

 

それ以前にアイドルであってお笑いの人ではないはずよね?

 

「でも、鍵よね…無視は誤解だけど、鍵は難しいわよ?」

私は一応フォローしてあげることにした、元カノだし、復縁もあるかもしれないし、

善行を積んでおくのはいいことだから…

 

私なに賢人みたいな事言ってるのかしら??

 

 

 

「はーい、賢人さん(あなた)の天使丸山彩がレオンさん(強力助っ人)を連れて帰ってきました♪」

私を連れて事務所に戻るなり、現場の状況だけで推察することしか出来ないで困っているであろう柴田様に若干アピールをする彩さん

 

彩さんは強かですのでお嬢もあまり油断をして欲しくないのですが…

まぁ、なんというか惚れた弱味ですので許してください

ちなみに、紗夜嬢には定期的に事務所や現場の報告はさせていただいています、しないと怖いんですよ?

あの撫でとブラシは本当至高の極みですから、あれを引き換えにされてはお嬢を裏切らざるえないのです!!

 

「えーとなんか僕だよね?」

自己反省をしていたのか床に正座して待っていた柴田様、紗夜嬢の躾の賜物ですね

「なにを今さらですよ♪」

彩さんは逞しくなりました、柴田様のおかげというかなんというか…

「日菜ちゃんが飛び出すとは思わなかった」

現場を見て日菜さんが飛び出し、そのあとどう続いたのかも推察してたみたいです

その無駄な観察力をもっと人に向けてください!!

 

「私もびっくりでしたよ。まぁ日菜ちゃんだから理由はアレでしたけどね」

衝動的に走りたくなって、走ったらなんかるんっ♪てなったとは

まだまだ人の感情の機微と言うか自分の感情も理解しきれてないのでしょうね

「未来の義理の妹だからなるべく要望には応えてあげたいんだけどね」

「…、すごい先の話していますよね??」

彩さんが一寸堪えるような溜めから明るい声を出す、彩さんは言う(告白する)つもりはないと話してくれました。

お嬢や紗夜嬢との関係を選ぶと泣きながら教えてくれました。でも・・・

『まぁ、私がトップアイドルになったら既成事実という社会情勢利用もありだよね?』

お嬢でも言いませんよソレ

『キープでレオンくんもいるしね』

私キープですか??

 

 

 

「そんなに欲しいものなのかなぁ…?」

賢人さんが車とバイクと部屋と何かの鍵がついたジャラジャラと重そうなってしまっているキーホルダを指にかけて回し見せる

どれだけつけてるのかな?

その中のいくつか穴やラインの入ったディンプルキーと呼ばれる防犯性が高いと言われる鍵がある

うん、日菜ちゃんが欲しがってる鍵はその複製が面倒でお金もかかる鍵なんだったよね?

でも、それくらいしてあげても…未来の義妹(・・・・・)の為なんだからねぇ?

結構ケチ?

自分のもの(趣味のもの)には結構簡単にお金使うし…男の人ってみんなこんななのかな?

 

「そこのカービィ2号、ケチとか思っただろ」

「その2号ってやめてください!」

ひまりちゃんは「かーひぃ」なのになんで2号呼びされるんだろう?

「賃貸だから勝手に複製できないの」

私の抗議は無視しながらも、至極真っ当な答えを教えてくれた

「そういうものなんですか?」

「なら丸山、少し考えてご覧。自分の貸した自転車の鍵が勝手に複製されてて勝手に乗られてたらどう思う?」

なぜ丸山呼び?そして自転車??普通に家の鍵で例えればいいんじゃない???

「でも、なら退去の後に鍵を付け替えれば…」

多分普通の賃貸ならそうだと思う、そうしたら中から一本他のディンプルキーより長いものを取り出し

「この長さのは複雑で更に複製が高いのは何となく知ってるでしょ?」

それくらいは…

「鍵、シリンダー自体も高いんだよ。いつか出てくのにオーナーにそんな負担かけさせたくないでしょ」

「あ、確かに。でもオーナーさんは賢人さんを信頼…あ、そうですね」

複製しても悪用はしないと信頼されているから、複製もしないと信頼に応えたいんだ

「あそこに後から入った人に何かあって文句言われるのはオーナーだからね。複製したら記録が残るだろうからそれさえ残したくないんだよ」

ん?

「えーと、なら、オーナーさんに許可取って、退去する時にそれも一緒に渡せば??」

 

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

 

「いや、そんな許可なんか取ったら、複製費出すとか言われそうだし…」

これは、気づいてなかったのかな?

この人天才の筈だけどこういうところが面白いんだよね

「…お世話になってるし、複製した鍵なんか一緒に渡してもいいよなぁ…」

そしてやっぱり変なところでケチだ、というか…

身内以外にはお金にはシビアなんだよね

事務所の机の青い箱(クッキー)が減ってても気にしないのに

テレビ局の都合で駐車代が発生した時かなり細かく質問していたのは毎回なので記憶に強い

(後から入居す(はい)る人は他人だもんね)

こういう線引きが見事なくらいしっかりしている

 

「でもね、やっぱり家の鍵って特別じゃない?」

 

そんな言葉に物凄く胸が痛んだ、私は千聖ちゃんみたいに戦ったわけじゃないからその資格はないけど

その特別を貰える特別にはなれなかったと再認識させられてしまった

…多分日菜ちゃんもそれに気づいててあんなことを言い出したんだろう

 

 

 

結局

「~♪るんってくる~~♪」

【StarWind 】隣の同じような建物の車庫から銀色のバイクが出て行く

ヘルメットから見えている明るい青緑の髪、日菜ちゃんだ

結局家の鍵ではなく車庫の鍵と銀色のオートバイ…バジンたん?の鍵で手を打たされたらしい

紗夜ちゃんが本当に申し訳なさそうにしている

賢人が苦笑いしているからまぁ紗夜ちゃんも恐縮するわよね

今度また賢人に注意しとかないといけないわね

「結構顔に出てるわよ」って

元カノとしてはそれくらいしてあげないと

「ねぇねぇ千聖ちゃん」

レオンを連れている彩ちゃん…デートですか?…が悪目立ちしてるお忍び変装のサングラスを上げながら

「日菜ちゃん、絶対あのオートバジン(バイク)が欲しかったんじゃないかな?」

「やっぱり彩ちゃんもそう思う?」

「うん…卒業式の時『絶対貰うんだ♪』て言ってたし」

…今回のはなんだったんだろう?…

「…振り回されたのって私達じゃない?」

「だよね~」




お読みいただきありがとうございます。

今後とも宜しくお願いいたします。


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氷川姉妹誕生日記念6:「…本当に天才ですか?」

最後まで書いてしまおうとしたら…

ということで連続投稿です。

別名:氷川紗夜ルートEND

よろしくお願いします。


そんなこんながあり

3月20日

氷川紗夜

氷川日菜

氷川姉妹の誕生日だ

兼ねてからの準備は出来ている

 

と思う、というかあまり色んことを意識しない僕がここ数日おかしい

リサちゃんには

「ケントって乙女?☆」と言われたり

燐子には

「…その技能??…こっち見ないでください!!」と怒られたり

千聖(ちさっ)ちゃんには

「あーほんとう腹立つわね!私にそんなこと訊くの?バカでしょ??あぁ天才だったわよね???」と罵られたりと

なんというか、僕らしいようで僕らしくないという日々だった

 

あと当日日菜ちゃんを黙らせる(言い方!)のは予想外に早く終わった…バジンたんを貸し出すのと車庫の合鍵で…

そして少し前にサイドバッシャーを手放して、これを用意したのは知られているけど…

 

【凱火】

 

竜巻か悩んだんだけど

なんかベース車が『影』より『戦女神』の方が今の僕にはあってる気がする。

ちなみに杏子や千聖(ちさっ)ちゃんに

『あーもーこういう奴だって知ってたけど、なんかはらたつー』

という顔をされた

ちなみに慣らしで学校に乗っていったら

『てめ!うちの二大アイドルそでにして嫌味か?天才だからって調子にのるなよ!!』

と、何故か数人に囲まれマジギレされた

美波にも苦笑いされ、鷺沢さんには凄く冷めた眼で見られた…

 

なんでさ?

 

 

紗夜のというかRoseliaのメンバーを祝うのが定番になっているCiRCLEでサプライズは考えずに集まっている、予定より早く付いたのでカフェで皆を待ちながら紗夜にその話をすると

「それは美波さんと鷺沢さんが所属しているユニットに由縁があるからでしょうね」

ぼんやりそれを聞きつつ、そういえばRoseliaもメジャーに乗り込むと誰かに聞いたなぁ

紗夜なんにも言わないんだけど?

言われたかな??

…うちの大学芸能活動(そういうこと)寛容なのを美波に確認してたような??

「聞いてますか?」

「紗夜、なんか怖い?」

ちょっと怒ってるのはなんでだろ?

「美波と鷺沢さんのユニットがアインフェリア?エインフェリアじゃないんだよね?」

「そこですか?女神みたいな人達が『戦死者の魂』おかしいと思われるかもしれませんが、これは美波さんが、、、、、」

何故か講釈が始まった…詳しい…

自分の彼女がアイドルオタクになってしまったのかと心配になった一瞬だった…いやアイドルオタクだったよ!Pastel✽Palettesの氷川日菜推しのガチ勢だったよ(笑)

 

「賢人さん?いま凄く失礼なこと考えましたよね?」

鋭い、隠してるけど結構日菜ちゃんの番組とかこまめにチエックしてるのは結構Roseliaのメンバーには知られているけど自覚ないのかな?そこが可愛い

「な、なんですかその、ひ…卑怯ですよ」

何故か紗夜が慌てている、そんな顔も可愛い

「まーたケントが紗夜にやらかしてるし☆」

「…そうね」

時間前に現れたのはいつも通りのリサちゃん(さん付け本気で嫌がられだした)と、どこかいつもと違う友希那だった。

 

どうした?

 

「なに?なにか言いたそうね?な…「はーい☆ストップ、友希那はこっちで大人しくしてようね♪、アイスコーヒーガムシロたっぷりでいいよね?」」

なにか言いかけた友希那をリサちゃんが連れていってしまった、ガムシロとミルクそんなに入れるならもうカフェオレじゃない?と言うツッコミはやめておく

相変わらず仲が良いね

なんて見ていたら

「あっ、やっぱりケント兄のだよ!」

いつも通りの元気なあこちゃんが入り口からこちらを確認すると後に続くであろう燐子にそんな事を言いながら入ってきた

「ねぇねぇ、あの響鬼さんのバイクケント兄のだよね?」

そうだ巴が好きだからあこちゃんも見ていたからわかるのか!?

なんて納得してたら

「…凱火だよあこちゃん、こんにちは紗夜さん、賢人さん」

相変わらず丁寧だけど、なんでそんな眼でみてるの?

「…竜巻じゃないんですね」

なんてため息をつかれたんだけど??

燐子は威吹鬼派らしい、斬鬼好みだと思ってたけどイケメン好きかな?

「…違います。…っとに凱火なんか乗るから…ゲイ疑惑が未だに払拭されないんですよ…その癖ほんとう…」

なんてことを言い出すんだ?

竜巻なら…ロリコンじゃない?

「…まだマシかと」

君達人の思考読み取りすぎ!!

いや、なに差別的な?じゃなくて、僕サトラレになったの??

確かサトラレって…

 

「ケント兄がスッゴク混乱してるね?なんで」

え?な、なんだと…本当にサトラレだったのか??

「賢人さんは慣れると顔に凄く出てますからね」

呆れ顔で教えられた

「え?そうなの?」

自覚は、うん、少しそうかな?と思ってはいた、杏子とか黙ってても察してくるし、美波とかもそうだし…あれ?紗夜なんか怒ってる?

「気づいてないのは本人だけ、その程度で天才とか世の才能ある方達への冒涜ね、責任とって紗夜と別れなさい」

「友希那ー?なぁに言ってるのかな?★」

なんか紗夜と別れろとか言い出した友希那がリサさんに後ろ頭捕まれて連行…

「あ、ケント?今度『さん』付けしたら酷いからね★」

…そんなに分かりやすいのかな?

「そうですね、最近は特に分かりやすいです」

一連の騒ぎとは関係なさそうにカップに残る若干冷めたカフェオレを飲み紗夜が言う

「前は何考えてるかわからなくて気持ち悪いとまで言われたのになぁ」

環境が良いんだね、紗夜だけがわかってくれてれば良いやと思ってたのに

「…だからそういう」

紗夜が照れてる、顔に出すぎだよなぁ…

「本当にあの暴君(ぼーくん)とは思えません…ホンモノですか?」

何故か椅子をわざわざ運んできて同席する燐子(黒いの)、最近人の過去のあだ名を使うんだよなぁ

「どんだけ前の話をしてるのやら」

ため息しかでない、今はあまりというか、黒歴史だよ

「…まだ、10年は経ってないですよ?」

あっさりいう、黒いの、黒いよなぁ、モノトーンだから際立つのかな?

「…黒いのは僕がほしかったのに…」

『えっ?!』

紗夜も燐子も驚いているけど?

「え?…その、私はその…さ、紗夜さん??」

何故か嬉しそうに紗夜に向く燐子

「燐子さん、わざとらしく慌てないでください。賢人さんも言い方を気を付けてください」

冷静にばっさり斬って捨てられた

「『黒い』と言えば僕の筈なのに、何故か燐子が『黒い子』で僕は『(ぼー)君』なんだよなぁ」

なんか嵐を呼んじゃう幼稚園児の友達みたいで嫌だったのは記憶してる

「…私だって、腹黒みたいな呼ばれかた好きじゃありませんでした…」

と、何故か睨むけど

どうやら僕が杏子を「(あか)」と認識してて燐子を「黒」と認識したのが発端らしい…

 

あれ?自業自得??

 

「ケント兄?サイドバッシャーあるのに大型(おおきいの)増やしたの?」

あこちゃんも椅子を持ってきた

「売った(笑)」

「えー?513なのに?」

どうやらあこちゃんは5のライダーならなんでも好きだと認識してるな?

「…あこちゃん、この人はダンデムがしたくてルーンじゃなくて普通のを凱火にした、…とんだすけべやろうなんだよ?」

なっ!

く、黒いの!?燐子さんや??

あってるけどそれはあこちゃんには!!

「ケント兄?」

あ、純真な目でみないで

サイドカーついてるとダムデム出来ないから売った上に

ルーンは一人乗りだから、二人乗りできる前の型か新しい型か悩んで新車買っちゃったとか下心で汚れた僕を見ないでほしい…

「サイドカーに荷物のせれば普通に二人乗り(ダンデム)出来たんじゃないの?」

 

……

………

 

あれ?

えーっと

あこちゃんがダンデム知ってたこととか

エロ野郎認定されてる?みたいなこととか

なんか色々あったけど…

 

あれ?

 

「…本当に天才ですか?」

「りんりん、男のひとはね。よくぼうの前ではみんなけものなみなんだよ」

!!!

巴か?いや、モカか?かーひぃか??

天使なあこちゃんになに吹き込んでやがる!!

あのピンク!!ゆるさん!!!

 

後日確証はないけど…つぐが吹き込んだらしいと巴からの連絡が…

ひまりごめん、いいすぎたかも

 

 

 




引き続きよろしくお願いします。


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氷川姉妹誕生日記念7:『紗夜?捨てるの??僕棄てられるの???』

引き続きよろしくお願いします。


-数時間後

 

「なんか今までで一番あっさりなお祝いだった気がします」

紗夜は何を求めているんだろう?

犬耳とか猫耳とか巨大ぬいぐるみ?舞台装置な衣装(まりなさんから引き取ってくれないかなーと度々言われる)に慣れすぎてない?

 

今はみんなが帰ったCiRCLEにまだ紗夜といた、外のカフェは閉じてるけどスタジオ自体はまだ営業中でケースを背負った人達がたまに紗夜に気づき驚いていた、有名人だなぁ本当

ちなみに、スタジオでするつもりの誕生祝いはそのままの流れでカフェのテーブルを占領して行ってしまった、飲み物はもちろん軽食(こちらはもともと頼んであった)も全てお店にお願いして持ち込みのケーキはバースデーケーキなので許容(見逃)して貰った

 

帰るときのリサちゃんとあこちゃんのニヤ顔と、友希那と燐子の複雑な顔が少し気になったけど…

今は僕個人の都合で外のベンチでのんびりしているふりをしている!

内心じつはかなり危ない

レオンさんと入れ替わったときに千聖(ちさっ)ちゃんに抱き枕にされた時よりやばいと思う

どうしよう落ち着いて(格好つけて)あそこまで行けるだろうか?

「賢人さん?」

無言になってたから心配させたみたい

「う、うん」

「あまり無理はしないようにお願いしますね」

僕の動揺?が伝わったのか不安そうな顔をさせてしまった

「えーと、本当はこれから行く場所で渡したかったけど、このままだとかなり運転も危ないからここで渡すね?答えはきいてない」

どきどきに耐えられなく、これは本当に不味いと紗夜に向き直ると

いつもの柔らかな笑いと仕方ないという感じで

「本当にこういうところは子供並みですね」

紗夜達の方がよっぽど大人びているよね

「子供の頃の方が傍若無人だったよ」

「ぼー君でしたね」

若獅子とか貴公子とかは嫌だったから暴君でよかったけど、気持ち伸ばし気味に言われるのが嫌だったけど、それ以外はなんか黒くて好きだった当時の自分の感性を疑いたい

「で、先伸ばしてもいいんだけど、どうも僕でも焦ることがあるみたいで…」

「知ってますよ?」

何を今さらと言われる

あれ?僕年上だよね??

付き合いだして逆転されてる??

「まぁ、情けないのも知ってると思うけど」

ドキドキを押さえ込んで

「それに、どうしても人として足りないところもまだあるけど」

言葉を紡いでいく

「それでも、紗夜とこれからもずっと居たいという我儘を聞いてほしい」

震える手を押さえて小箱を取りだした

 

 

 

賢人さんは自分だけが緊張していると思っていますが

私も今日はずっと緊張していますよ?

Roselia(メンバー)のみんながなにか隠しているのは気づいています、誕生日のサプライズだろうと思っていましたがそれも違いました、拍子抜けするくらい普通に祝っていただけました、まりなさんがなにか言いたげなのは多分舞台装置衣装(あれ)が用意されていたのかもしれませんね。舞台装置衣装(あれ)は宇田川さん以外は意識的にCiRCLEに埋もれさせておこうと思っていますから、まりなさんの思惑は外れてしまいましたね。

と、意識をまぎらわしてないと、その、賢人さんの緊張にのまれて更に緊張してしまう私がいます

なんでこの人(賢人さん)こんなに緊張してるんですか??

いつものらりくらりのほほんとしてるのに、そのくせ格好いいとか

頼りになりそうな雰囲気全くないのに頼りにしてしまうところとか

なのに鈍感でチキンでネガティブで

でも、今は私の彼氏です!

 

その彼氏が挙動不審すぎます

 

家の鍵さえすんなり渡してきたこの人が私の誕生日でなにを緊張してるんでしょうか??

まさか、え?

 

私付き合いだしたのに、もう棄てられる?

 

女神の逆襲かしら?

芸能界の先輩特権とか言い出した千聖さんが何かしたのかしら?

それとも日菜が…そんなことはないはずだけど、もしかしてが?

 

と、以前の私なら思ったでしょう

 

鍛えられました

Roseliaの皆さんにも、千聖さんをはじめとした『花咲川柴田賢人包囲網同盟』や『とある日本犬の生態報告会』(恋敵たち)に鍛えられました。

なにより実はネガティブに振れやすい賢人さんと一緒にネガティブになっていてはだめですよね?(これは悔しいけど千聖さんに諭されました)

 

リサにも「紗夜は大分楽観視も出来るようになったよね☆」と言われているからお墨付きです

 

さぁ、これは私に高価なそれもかなりロマンティックなプレゼントを、その、指環とか婚約指環とかエンゲージリングとかですよね?

 

えぇ、私もさすがに落ち着けません

この朴念仁が付き合いだしてからといって急に普通になるわけがないのですから

 

でも私に結構激甘なんですよ?

…いえ、基本甘いですよね女性には

 

千聖さんが言うには

幼少期(あの頃)の教育の賜物よ!」

なにをしたのかしら?

「何かあったら『髪切ろうかな?』だけで黙るから」

そう言えば賢人さんの髪フェチは千聖さんのせいでしたね

あの元カノはトラウマレベルでなにをしたのでしょうか?

 

と、やはり現実逃避気味になっていた私の目の前には

深い青色(ロイヤルブルー)のベロア地の小さな箱、私のギターの色に似ている

こ、これは『箱パカッ』!?

 

開けられた箱の中は黒のベロア地、外周を青薔薇10本に囲まれて青白い白金の土台(プラチナリング)に青と黒のメレダイヤであしらわれた11本目の薔薇が収まっていた

 

「まだ、気が早いけど、その紗夜を予約したい」

 

こ、これ?

世にきくプロポーズリングですか?

私的には婚約指環(エンゲージリング)でも構わないのですけど?

あ、私嬉しさでおかしくなってますね?

今この指環と人外盛りポテト選べと言われたら私でも0.5秒の逡巡は要しますが指環に手を伸ばす自信があります!かなりの確率で!!

はい、まだおかしいですね

夢オチかもしれませんしね?

 

「紗夜?」

緊張でお互い余裕がないです

「えと、その、嬉しいです、すごく」

なんとか言葉にして箱を受けとると

「はぁ~~~~っ多分記憶としてないけど一番緊張したぁ」

…えーと

「もらって貰えてよかったぁ」

あの賢人さん?

「さ、これなら運転も大丈夫だ♪」

……

「あれ?どうしたの紗夜?」

そうでした、賢人さんでしたね

握った箱をぶつけた方が堪えるのでしょうけど

…そうでした賢人さんに普通を期待するのは無駄だと…持上げられて落とされる気分は何回も味わっているのに忘れてました…

「…、せ…ざ…」

「え?どうしたの?」

いつもの調子にもう戻っている

なら私も…

 

「賢人さん!そこに正座(お座り)!!」

 

芝生で整えられています、痛いからヤダとか言わせません!

付き合うときに約束しましたから

「僕またなにかしたね」

正座しながら苦笑いしている

「途中までは完璧でした、もう20点満点中100をあげたいくらいでした…その後がマイナス200点です」

そこまでなの?と顔に出ていますよ?当たり前です。私じゃなければ泣き崩れてますよ?千聖さんなら手が出てますね。

「賢人さんがかなり頑張ってたのも、でもあと少しが足らずへたれてここで渡してしまったのも些細どころか結構きました」

正直嬉し泣きでしたよ?あの賢人さんが…と思うだけで『とある日本犬の生態報告会(LINEグループ)』の皆さんに惚気という報告を即したいくらいでした…よかったぁと胸撫で下ろさないでください!可愛い仕草禁止です!

「賢人さんは最後の詰めが甘過ぎます!私が受け取って安心してその後の事すっとびましたか?千聖さんなら箱投げ()つけられてますよ?美波さんでも流石に怒りますよ?

まさか、プロポーズリングを渡されて放置されるとは…誰が経験しますか?私が今経験しましたけど!」

注意(お説教)を始めたら、あまりの事にヒートアップしてきました、前の私ならここで泣いてますね。でも柴田賢人(この人)と一緒にいることを決めた時に『泣いたら負け』と学習しました。

「いいですか?女性には指環をいえ、訂正します。私のような特別な相手(・・・・・・・・・・)に、特別な意味をもつ指環を渡す時は…」

ここまで言わないと、賢人さん(この男)は何かのプレゼント(ねだられたりした場合)でもやりかねないですから!

「ちゃんと着けください!それと、その、ほ、抱擁とか、その、それ以外も…もうっ!言わせないでください!!」

歳上の癖に!というのはこの人の場合無理でした

サキュバスと同棲しても何もないそのままの賢人さんである確率が九割予想の人だ

えーと、わかりやすい例え、例えになるような…

「ライダーにも…そ、そうですよドライブにもあったでしょう!?」

いえ、魔法使いの方がそれっぽい、いえ吸血鬼のほうが…

いえ!燐子さんが言ってた響鬼の方が…ってあれは燐子さん(腐女子)向けのBLでしたね(個人的見解)

って、あれ?あ…私も流石に…

「紗夜?えーとその、指環はその今から行くところではめさせていただければと思うのですが…その言葉足らずですみません」

土下座された

あ、これはその、あ…

遠目に『Roseliaの氷川紗夜が癇癪起こして男に土下座させている』様にしか見えない…ま、まりなさん?その生暖かい目でギャラリーになってしまった閉店作業の終わったカフェスタッフさんやお客さんを中に連れていかないでください!!

わかってやってますね?

 

最近『StarWind 』使用率が高めだからですか?そんなことするとライブ以外使わなくなりますよ?!

 

 

 

『紗夜?捨てるの??僕棄てられるの???』

 

しまった、一瞬の判断の遅れ(余計な考え事)で賢人さんのネガティブスイッチが入り始めました

「賢人さん!何を自分がさも凄い人だとでも思い上がってるんですか?」

友希那さん直伝、ネガティブ抑止法です。友希那さん…どれだけ賢人さん好きなんです?

私達誰も…いえ、私は少しその片鱗を見せられてましたが、ここまで賢人さんが歪にネガティブだと気づいてませんでしたよ?たまにネガティブ見せるなぁとは思っていましたけど

「そんな大したことない賢人さんと一緒にいると決めた私もそんなに大したことないのですよ」

友希那さんが言えない言葉のひとつを私は言える

「私としては、せっかく頂いた特別な指環は、その場でつけてくれるのが嬉しいです」

渡された箱をもう一度開けて賢人さんに向けると

「勉強になった、婚約指環の時は気を付けるね」

さらっと婚約指環をくれる約束をされてしまいましたね

偽善者だから約束を守って頂けるとはおもっていますけど…

破ったら酷いですからね?

 

左手の薬指に通された指環はサイズがぴったりで、賢人さん(向こう)からの抱擁を待つつもりが感極まって私から抱きついてしまい…それでまた賢人さんは動悸が激しくなり落ち着くのに時間を要してしまいました

 

 




引き続きよろしくお願いします。


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氷川姉妹誕生日記念8:「いいじゃないですか!一途なんですよ!!」

別名:氷川紗夜END 最終話

よろしくお願いします。


賢人さんが落ち着くのを(私もですが)待っていると

 

ふとCiRCLEの入り口を見るとまりなさんが凄いニヤ顔でスマホを向けていた…嫌な予感しかしません

音を切ってある私のスマホが着信を知らせます…見れません見ません

リサにしばらくCiRCLE(ここ)は使わないと念を押しますからね!

 

なんとか落ち着いた私達は、賢人さん運転で凱火(よく考えなくても定着してしまいましたよね?)でとあるところに来てました

「これは…」

どこかのビルの屋上

眼下に広がるのは地上の星の瞬き

空の星が好きな賢人さんが特別なところと呼んでいる場所

本当はここで指環をくれる予定だったらしい

私はCiRCLEも思いでの地なので構いませんでしたが…賢人さん変に格好つけたがりますよね?

でも、ヘタレてここまで来れなかったと

流石賢人さんですよね

「えーと、紗夜?」

先程までのことを忘れたかのようににこやかに手を出している?

え?本当に指環もう一回ここでつけるとか言い出しますかこの人は??

まぁ、ここで指環してくれるのが本来の目的だったようですし…

ロマンもへったくれもありませんね?

仕方なく左手を差し出すと

「いや、箱。箱を貸して」

箱からするんですか??

ポケットに入れたままだったロイヤルブルーのリングケースを渡すと

「小夜がギター奏でる(弾く)とき邪魔になるのもなんか嫌だし、かと言って身につけててほしいし…」

箱を開けて、青薔薇の中から青銀に光る細いチェーン…え?ネックレス?を取り出し

「まぁ、ありきたりだけどね」

驚いている私から指環をいつの間にか受け取り、環に通し

「その、つ、つけさせてもらってもいいかな?」

やはり賢人さんは最後までスマートにいかない

背中を向け髪を束ねつけやすくすると

私もそこそこかは緊張していましたけど、あの賢人さんが少し震えていました、そんなところも愛しく思えます

「これならどうかな?」

若干髪を纏めている手にかなりの視線を感じたのは気になりますけど?千聖さんは本当なにしたのかしら?

若干青みがかった銀鎖は指環と同じものらしく、最初からこうするために作られていたようです

嬉しくてまた抱きついてしまい賢人さんが再起動するまで地上の星を堪能しました。

 

固まってる賢人さんを見ながら…背が伸びましたねと改めて思う

 

そうそう、賢人さんは私とお付き合いを始める前、たまに関節が痛いと溢していて周りから「またライダーごっこでアホなことしたな」と認識されていたのですが…

私とお付き合いを始めてからふと気づいたのですが…

「賢人さん?少し背が?」

私に合わせて変な靴(厚底・底上げ)履いてないかと目をおとしたらいつもの黒のバッシュです

「うん、なんか伸びてきてる。紗夜さ…紗夜が合わせてローファーとかばかりで、ヒール高いの履けないのは勿体ないから嫌いを克服しつつカルシュームウエハースを食べてる!」

少し自慢気ですね?

固形のカロリー栄養食とか本当好きですよね?

 

実はこれレオンさんと美波さんのおかげだったりします。

レオンさんと入れ替わってるときは、コーヒーは一切飲まず牛乳か水のみ。(レオンさんの好みの問題もありますが)

食生活は美波さんがバランスよく野菜を多く食べさせてくれていました。(朝昼は固形や菓子パンだけで済まそうとするのを阻止してくれていました)

私も実はクッキーにカルシウムと鉄分を混ぜたりしていましたけど(友希那さんにはかなり不評でしたから別で作るようにしました)

結果遅れてきた成長期がやってきたらしく、現在167cm短期間で5cm伸びてます、目指せ170cm越えです。

千聖さんは少し複雑な顔をしていますが、賢人さんのコンプレックスが減るのは良いことです。

 

目下目線が少し高くなり、少し見上げる感じになった眼は相変わらず全てを見ているのに興味のあるものしか写さない瞳です

「紗夜?」

そこには私がきちんと写っています。

そして、私の瞳にも…

 

まだ背伸びをするほどではありませんけど

少し意識して背筋を伸ばして顔を上げないと届きません

軽く触れ合うと・・・

 

今度はオーバーヒートしてしまいました

本当、前途多難な最愛な人です

 

 

 

-後日談

 

「?!これは!?」

ライブ衣装の仮縫いの時にふと気づきました

「紗夜ぉ?私らの前だとしてないみたいだけど☆それがアレかな?ケントの愛の形♪☆」

まじまじと胸元、座骨から胸元という微妙な位置に見え隠れする指環をジロジロとニヤ顔で見てくる

見えなさそうで見える、見えるようで見えない微妙な位置だ

「指環にチェーンって、ケントってどんだけ独占欲強いの?☆」

さらに、これは

「燐子さん?」

さっきまで仮止めをしていた燐子さんが少し離れて目をそらしている

「その…私は、だいたいの…採寸しか教えてません」

胸元やネックラインは私の好き嫌いがありほぼ統一してもらっている

つまり…

「ケントって結構気持ち悪いかも★」

「…そうですね」

な、言うに事欠いて…

「いいじゃないですか!一途なんですよ!!」

そう、ライブ衣装の時に指環が見えるか見えないかの長さにチェーンの長さを調節したのです

プロに行くという事はそれだけメディアへの露出が増えるということで

どうもその心配…というか…嫉きもちを…♪

変に独占欲だしてくるのが少し恥ずかしいけど嬉しいです

 

「…でも、私に確認したの…胸元の開き具合だけですよ?」

「紗夜、指環のサイズってぴったりだったんだよね?★」

賢人さん(あの天才)の無駄なスキルと割りきりましょう、賢人さんの記憶処理と同じです。

…スリーサイズとかも分かるのかしら?

ふと不安になり燐子さんを見ると、頷かれた。

無意識セクハラ案件発生ですか!

「で☆どうする?胸元もう少し深くする?☆」

浅くするの間違いでしょう!

「いえ、このままでいいです」

見えるか見えないかの指環を押さえてきっぱり断ると

リサは分かるとして、燐子さんにまでニヤ顔をされるとか?

 

なんですか本当に!?

 

ちなみに、私の誕生日にプロポーズリング(指環)を奨めたのは

友希那さんだったそうです

Roselia(私達)メジャー(プロ)に進む事で賢人さんが精神ストレスからネガティブモードに入ることを見越したみたいです。

本当、どういう関わり方をしたのでしょう?賢人さんは相変わらず賢人さんなので本人はあてになりません。

 

そして、指環をチェーンで隠すのを提案したのはリサでした

知っててからかって来ましたね、本当に困ったものです。

賢人さんは最初「指環はギタリスト的に邪魔じゃない?」と夢もへったくれもないことを相変わらず言ってしまい

いつ集まったのか私と宇田川さん以外のRoselia(メンバー)と千聖さん、彩さん、花音さん、まりなさん、杏子さん全員に溜息つかせたそうです。

まりなさん…一枚かんでいたのですね?

 

 

 

そして新生活

お父さんと日菜がごねるのを無視して家を出た話は機会があれば…




読了ありがとうございます。


止まってるモニカ編も再開します

次は久々にあれします。

引き続きよろしくお願いします。


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幕間:あってはならない女子会!inスィートハウス(笑)

いつものですが…

色々メタぶっ込んでおります

本編にあまり関係がないようなあるような
実際一気にかわるしなぁ?です

よろしくお願いいたします。


はい、いつもの

あってはならない女子会!inスィートハウス(笑)

という名のシバケンハウス!

本日もいつものぉ!ヒロインズ?

「対抗ヒロインなのに本命より先にゴールインした氷川紗夜です」

「大穴なのに出番が少ない氷川日菜だよ♪」

「本命のはずなのに忘れられてる?作者私好きじゃなかったの?な白鷺千聖です」

「まんまるお…」

はい、丸山カーヒィ2号です!

「だから私の扱いぃ(汗)」

「…その、黒いのこと…白金燐子です」

なんか固定メンバーよね

「本当は友希那ちゃんとのわたん(ノワール)も来る予定だったんだけどね」

「…ノワは、その…友希那さんが…来るから嫌だと」

「友希那さんは、『頂点で狂い咲けないから』とよくわからないコメントをもらってます」

あぁシバケンに対しては徹底的にツンドラだからねぇあの孤高の姫さんは

「姫なんです?それにしても…友希那ちゃんって賢人とどういう関係なのかしら?」

え?千聖さま覚えてないんです?

「え?なんのこと??」

 

まぁ、相変わらずですが

ここはすべての時系列世界線が合わさったメタ空間です

過去から未来までぐちゃぐちゃだったりします

だから…

―キラーンッ

「え?それは!」

紗夜ちゃん、チェーンじゃなくて左手にしてきたみたいだけど

「私もそうしてきたわ!」

流石千聖さま!神々しいです!金剛石だけに!

しかしシバケンは各世界線ごととはいえ、みんなの指環にどれだけつぎ込んでるの?

特にここのみんなのは土台のプラチナリング自体かなりよ?高価よね??

「紗夜ちゃんのと私のは賢人の頭の線がとんだ時に出来た希少金属(レアメタル)なのよ?」

白金(プラチナ)に青色とか黄色とか普通入らないよねー♪相変わらずケントくん頭おかしいよねー」

そんな日菜ちゃんのは紗夜ちゃんより薄い水色入ってるけど?

「偶然出来上がったシバケニュウム(希少金属)をケントくんがこれまたいつもの摸倣と改修と贋作でシバケニュウムγ(ガンマ)にしたんだよねー、ちなみに私も作れないことはないよ?」

シバケニュウムって…もう少し良い名前なかったの?

「んー、だってケントくん、当時お世話になったからって『ミナミュウム』ってつけようとしたんだよ?」

あ、シバケン(あの子)の思い付きネームは相変わらずだった…

「…(黒いの)杏子さん()も苦労しましたよね…」

私は気に入ってたから別に?

そんなことより、りんりんもクロムハーツのチェーンに見せかけた指環をその脂肪の塊に隠して なんのつもりなの?!

「愛と夢の塊です!!」

「わーケントくん本当に器用だよね?これ贋作扱いにされたりしないの??」

「ちょ、日菜さん!!」

女同士でも谷間から平気で取るとか本当日菜ちゃんフリーダムよね

「…手込んでるわよね?」

「これ、本物と同じ字体だよね?彫ったのかな??」

「まぁ、凝り性ですから…でも流石に賢人さんでも?」

えーっとりんりんのは、シバケニュウムを会社に持ち込むとか正気の沙汰じゃない方法を使ったみたいだね?材料だけシバケン製であとは一応公式?

シバケン無知で無恥(バカ)だからやらかしたねー

クロムだからなんか毛色の違う金属使ってると思い込んでワクワクして見に行ったら、シルバーと22kで勝手に気落ちしてシバケニュウム持ち込んで「これでつくったらもっと格好よくなる!!」とりんりんのを試作で作ったみたい

で、向こうも販路にのせようと考えたけど、コストがとにかく悪い!幻の逸品と言われる作品となったみたいだよ?

って、みんな指環なのか胸なのかどっち凝視してるの??

 

「金属って創れるんですね」

「賢人だからよ、ってコストに合わないって??これ一本どれくらいになるの??変わったプラチナと認識していたわよ??」

シバケンの感覚では、「自分で作ったから安くついたかな?」程度で実際はフルオーダーだからね!?

「…魔術要素とか…あったり?」

りんりんのはあるかもね?

「あり得て嫌ですね…」

 

「日菜もしてるのよね?」

「おねーちゃんのと色違いな上にシンメトリーだよ♪」

「…本当、まさか?」

「うん、私達とお付き合いするよ♪」

「やっばりぃぃぃぃぃ?!?」

日菜ちゃん単体はないのかな?

「無いよ、私もケントくんもそれだと不幸になるから。大穴だからね♪」

「大穴の意味がちょっと違うような気がしなくもないわね」

 

えーと、他の指環の持ち主?は

えーーーーーー!!

意外すぎて叫んじゃったわ

「どうしたんです?」

ねぇ?みんな『都築 詩船』って誰?知ってる??

「いえ、心当たりないですね」

「古風かつ綺麗な感じよね?」

「…でも、…どこか聞き覚えが?」

あれ?日菜ちゃんどうしたの?

「や、それはないよね?」

あれ?彩ちゃんも?

「私も大概な感じだけど、それはないはずだよ!」

え?二人は知ってるの?

「おねーちゃんたちも知ってるはずだよ?」

「同姓同名かもしれませんけど、『SPACE』のオーナーですよ!」

あ、え?ばぁちゃん??

…いや確かに賢人もなついてたけど?ないわーそれは私に指環くれるくらいないわー

私もらってないし!!!

「「「「「え!本当?」」」」」

そんな哀れむように見ないでぇ!

どうせ姉なのよ、え?なに祖母として見てなかったの??賢人あの子本当何こじらせ…え?

あ?

あぁ?

あー?

 

「杏子さん動揺しすぎて賢人さんの事ずっと本名呼びですね」

「何か受信したみたいよ?」

あー、そう言うことね

えーとパスパレ組に忠告します

 

やりすぎるな!

賢人を追い込むな!!

お前ら規格外の自覚もて!!!

 

「え?私たち?」

「なんか酷いこといわれてるー」

「………」

千聖さまは思い当たるのね

「私、パスパレ抜けようかしら…」

千聖さま爆弾発言だっ!ハイライト仕事してないし!

「ち、千聖ちゃん??」

「千聖ちゃん!それは面白くないよ?るんっ♪ってこないよ??」

 

うん、なんかこの三人のルートが絡むととてつもなく面倒くさくなるし、賢人がばぁちゃんに走る!

なんで私じゃないのさ!!

 

 

「落ち着きましたか?」

紗夜ちゃんとりんりんの用意してくれたアイスコーヒーでひといきつけました。とんでもないメタを見せられたわよ本当

「で、他に指環を持ってるのどなたですか?」

紗夜ちゃん相変わらずね…

えーとシバケニュウムは全部で5本?シバケニュウムγは12本らしいけど

「らしい?」

「増えるの?減るの??新種が出るの???」

んー、紗夜ちゃんと千聖さまのシバケニュウムは「β」なのよ「γ」はあくまでシバケンの摸倣で贋作みたいなものだから

「自分が作ったものを摸倣とか贋作って?」

で、さらに「β」ということは「α」があるんじゃないのかな?

…忘れてるのかな?失ってるのかな??

「それはまたなにかいわくがありそうですね?」

「本家ミナミュウムということかしら?」

「ということは、女神達(アインフェリア)が!?」

誰の影響?みんなこんな血気盛んだった??

 

…まぁ「α」も試作と「β」前の後期型しかないとのことだから

 

「過去の女…」

「過去の女ですね」

うん、「γ」もち以外は面倒だと認識した(笑)

 

「…あの、杏子さん」

どしたのりんりん?

「私に対する…あたりが…その…かなり変わったような?」

巨乳は敵よ!!

「…ぶれませんね」

私はシバケンと違って牛乳好きで飲んでたのに(泣)縦にしか伸びなかったのよ!!

…まぁ「β」もちはシバケン()の本命だからね

「え?」

なんでもなーい

 

「ということは、彩ちゃんのと燐子ちゃんのと私のは同じ材質なんだよね?」

「…ぱっと見、見分けが全くつきませんね?」

まぁ、りんりんのは完全にクロムハーツ仕様だしね

「私のは?」

「なんか彩ちゃんって感じだよね?ピンクで可愛いよね♪」

「…そうですね、デザインとかは誰がとかはわかるんですか?」

そこまでは、りんりん以外は弦巻のおじいちゃん(オーナー)絡みじゃないかな?

…「β」は賢人監修だけどね

「「え?」」

 

「そう言えば、指環なのに燐子ちゃんの以外は遊びがないのよね?」

「…私のは遊び扱いですか!」

あー、うん

おかいしね?

まぁ、むかーしシバケンったらあれ(魔法使い)の真似して指環摸倣(造って)るんだけどね?

千聖さまは覚えてないのかー

「なによそれ?知らないわよ?」

そっかそっかー

…「α」は一個しか残ってないのかな?

「今日の杏子ちゃん、なんかぽそぽそ怖いの挟むよね??」

うん、なんか関係ないなーと思ったらガンガン電波受信してる♪

「「「(…)それ危ないんじゃ」」」

 

 

 

『お主は本当一人が好きじゃの』

「一人じゃないと思うわ?」

『妾を人とカウントするでない』

「…本当あの男は変わらず面倒くさいわ」

『いきなり愚痴るな!その割にお主は…や、やめ!お前のなでは止めるのじゃぁ!!!』

「そこまでいやがらなくても…」

『そのゴテゴテした指環をまず外すのじゃ!』

「…これは魔法使い(契約)の指環だからダメよ」

『どう見てもオモチャじゃ!?』

「そうよね、でも魔法使い(呪い)の指環でもあるわ」

 

-ドライバーオンッ!

 

…シャバドゥビタッチヘンシ~ン




最近ライダー成分が足りない…

実は未だに01引きずってますw
どうしてもセイバーは戦隊モノに見えてしまってorz
結構好きなんですけどね

新しいのは木村昴か…少し楽しみw

αとかβとかγとかネタ分かる人いるのかしら?

またよろしくお願いいたします。


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七話:教育実習編『『「は?私は何を今?!」』』

本編再開です

よろしくお願いいたします。


「…早くつきすぎた」

あらかじめ指定されていた教員用駐車場の門をサイドバッシャーでくぐり駐輪場に停める(所有していたサイドカーがなんかマニア垂涎のもので、交換条件で冗談で「サイドバッシャーとならいいですよ?」言ったら用意されてしまった為泣く泣く交換するという馬鹿…)

荷物があるので側車があるサイドバッシャーで来たけど…

「なんか草加気分…」

知られていないけど、実はあまり好きじゃない

-結構好き嫌い出してると思うけど周り は気づいてくれていない-

 

しかし、いい人ぶる時に失敗しない反面教師には良かった

特例を作らずみんなにいい人ぶることを続ければ大丈夫だと確信している!

 

しかし天気の事もあるし、明日からは車でこれないか聞いてみよう

駄目なら最悪バジンたんで来よう…

学校から推奨されている公共交通機関?

死んじゃうよ、見ず知らずの他人の運転するものなんか僕は信用できない、それに電車は背が低いとね空気が薄くて死んじゃうんだよ…(大袈裟とは言われる)

 

天気はいいよなぁ、明日も晴れだよなぁ。でも風向きがなんか…と現実逃避をしつつ

 

(…やはりまだ教育実習とか早かったかな?)

最近は大分擬態できてると思うんだけどなぁ

柄にもなく緊張とかしてるなぁ、早くつきすぎたのもそのせいだよなぁ

もともと教師になる予定はない・・

「格好良いですね?」しぃ…!?

気づいたらなんかふわふわしたのが傍らでサイドバッシャーを物珍しそうに観察するように見ていた

「あ、広町は広町と言います」

こちら()の反応を気にした風もなく

「あのもう少し近くでみてもいいですか?」なんて言ってくるし

 

(えらく好奇心の強い子だなぁ)

月ノ森(ここ)の生徒さんだろうけど…

バイク好きとか居るのは流石女子校(偏見?)

 

(あ、やばい同類かも…)

周りを気にしていないのか熱心に見ている『ひろまちさん』の鞄で揺れているチャームに気づいて納得した

(音銃剣錫音…やるなこの子!?)

感心しつつ時間もかなり余裕があるので好きなように見せていたら、突然

「あなたは、教生の先生ですよね?」

何だろう話し方が気になるというか、なんだろう違和感というか既視感というか

主語もなく端的に話すわけでもないのに妙な感覚を感じた。

 

柄にもなく緊張をしているから関係ないことに引っ掛かっているのかなぁ?

まぁただ今確実なのは…

 

「そうですね、今日からお世話になります。柴田と言いますよろしくお願いします広町さん」

 

この子は趣味が合いそうな気だけは凄くしていたけど

一応猫を被りまくっておいた…うんサイドバッシャー(こんなんで)学校来てる時点でアウトだったと後で職員室で教えられたけど…

 

 

 

『それが一日目の報告なのですか?何をしに行ってるんです賢人さんは?』

通話の声は、「分かっていますけど呆れてます」というのが全面に出ている

『呆れたわね、同志を探しにいってたのかしら?』

辛辣というより、率直な感想なだけな声もある

今私は最近お友達?になったガールズバンドの子達とグループチャットをしている

グループの名前は『とある日本犬の生態報告会』

そのまま意味『柴田賢人(とある日本犬)』の情報を交換するチャットだったりする。

『花咲川柴田賢人包囲網同盟』というグループの派生?枠を越えたもの??みたいだけど、最近のJK()は色々してて感心させられる、

…私二年前はJKだったんだけどなぁ…

 

『あの、お兄ちゃん、ちゃんと先生出来てるんでしょうか?』

賢人くんをお兄ちゃん呼び出来るこの子は『海月』のアイコン、賢人くんの教え子のあの子だろう、まだ直接会ったことはないけど賢人くんから話は聞いたことがある。

ゆるゆるふわふわに見えてしっかりした信念(一撃)を持っている、本当に海月の様な子らしい。

 

『松原さん、まだ一日目ですよ?それに人格はともかく教えることに関してはあなたが一番知っているでしょう?』

場をしきる感じなのは『和弓』のアイコンのいかにも委員長…実際は風紀委員…なあの子だ

真面目で凛としてて弓道とか剣道とか似合いそうと思ってたら、弓道部所属だったのであながち印象通りの子だ

そして…、賢人くんの口からよく出る名前の一人。

 

『そうよ花音、可もなく不可もないのはあなたが一番知っているでしょう?』

そしてもう一人場をしきる感じのする人物、アイコンは『愛犬レオン君(レトリバー)』になっている芸能界の先輩千聖さんだ

このグループには千聖さんから誘われた

しかし、賢人くんが連れていたレトリバーがレオン君だったなんて、どんな繋がりなんだろう?

 

というか、なんでJKに包囲されてるの?

なにしたの賢人くん(あの人)??

「ま、まぁ初日だしそこまでやらかすことも…」

フォローをしようとしたら

『学校の敷地に入って即女の子とお知り合いとかおかしくないですか?』

確かに…

「まぁ女子校だから…」

『なんでサイドバッシャー乗っていったのかしら?別に車でもいいんじゃないのかしら?』

生徒と同じ、公共交通機関が推奨されてるから…って車での送迎が多いって文香ちゃんが教えてくれていたわね。

『どちらにしても悪目立ちだよねぇ?』

大学だとそんなに…そんなには…浮いてない?よね??と思うのは慣れのせいかな?

『女の子は変わったもの好きですからね…』

あなた達がいいますか?

『なにより…』

『そうですね』

『うん、』

『『『柴田さん《まさとさん・お兄ちゃん》が人の名字覚えてるとかおかしすぎ(ます・だよ)!?』』』

それは確かに…

「でも、ゼミの時最初は全員の名字覚えていたのよ?」

文香ちゃんの名字とか当時は覚えてたよね?

『あ、あの男がそんな…』

そんな天変地異が起こるみたいな

 

でも、そのあと関与する人間(私・ゼミ教授・一部講師・一部助手)以外きれいさっぱり記憶から消しているからフォローしにくいのは確かなのよね。。

 

『しかし、よりによって月ノ森女子学園(お嬢様校)にいかせるなんて!なに考えているのかしら…』

『別に賢人さんだからなにもないと思いますが?』

信頼なのかな?諦めなのかな?

『あの珍獣を入れたらどうなるかわかるじゃない!』

…その珍獣に一番振り回されていますものね…

『お兄ちゃんは男子校に行ってみて欲しかったかも』

『『「え?」』』

海月の子の一刺しだった…

……

『『「は?私は何を今?!」』』

赤黒い薔薇が舞っていた気がする…

『白金さんの悪い影響よね?』

『…私を勝手にそっちにしないでください』

あ、やっと発言してくれた、『漆黒』のアイコンの子、文字だと饒舌なのに?

『…確かに…嫌いでは……ないですけど』

うん、スルーしておこう

 

なんだかんだと話をしてお開きになった

久しぶりに楽しい時間だった気がする。

しかし、なんで賢人くんがもてるのかわからなくなってきた。

女の子みんなタイプ違うよね?

謎過ぎる…

 

そして、その謎はまた増えていくのを私は多分一番近いところで見ていくことになる

 




読了ありがとうございます。

今後共よろしくお願いいたします。


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八話:教育実習編『『『何ですか(なに)それは(♪)』』』

今回もよろしくおねがいいたいします。

…書いてあってもアップできないとか盲点だった…


―2日目

 

「ふう、授業準備とか色々することあるとは思っていたけど、先生って大変だな」

教育実習生用に割りあてられた会議室で一人準備を終えて一息つく

コーヒーが欲しくなり、荷物からボトルを一本を取りだして飲む、家で淹れてきた自分の好みに合わせたオリジナルブレンドの苦味に少し落ち着く。

自他ともに認める珈琲好き(緑茶紅茶も好き)だけど、実習先が私立とはいえ珈琲が飲めないと困るとボトルを何本か用意してきた。

…だから大荷物になるんだけど。

杏子には昔から、「あんたと出掛けると荷物に驚かされるわ」と言われている。

あまり人には見せない(見せれない)けどロードスターのトランクは結構色々入れていてFRだからトラクション稼ぐために荷物を入れていると思っている人もいるらしいけどそれは間違いだったりする、やるならフロントを軽量化する!!

と話が飛んだけど…

(せめて大学の食堂や購買みたいなドリップ式の自販機があればなぁ)

なんて珈琲で意識をはっきりさせながら考えていたら、廊下が賑やかになる。

他の教育実習生が登校してきたようだ、彼等は公共交通機関でやってくる、体質とはいえ(そう言い張ってある)実習生が車通勤なので一番乗りで簡単な掃除くらいはしておかないとと偽善ポイントを稼いでいるのだけど

「ん?良い匂い??柴田くんか、早いね」

嫌味とかではなく率直に思った事を口にするタイプらしい…名前は忘れたけど。

今回の実習生で男性二人の片割れなのだけど…だからと関与する事はない

続々と他の教育実習生も挨拶しながら入室しつつ

「すごく珈琲臭がするとおもったら…」

紅茶党なのか女の子がしちゃいけない目でみてくる娘がいる

2日目にしてあれはもうストレスでやられてるなと思ったら

「彼女、担当クラスがあまりよくなかったみたいなんだ…」

こっそり教えてくれた…いい人?事情通ぶってる??人の悪い話が好き???

初対面で「あのオタクな世界な乗り物は君のかい?」とリアル草加?と悪印象をもったけど…帰りに、「実は俺もライダー好きだったんだ」とカミングアウトしてきたので一応いい人かな?状態

「あの、柴田さん?」

準備をする手を止めて眼鏡をかけたショートカットの真面目そうな人が(確か…誰だっけ?)換気も終わったので窓を閉めていた僕に声をかけてきた

「はい、いかがされました?」

猫を重ねて被れと杏子にもアドバイスされているので頑張っている、やっぱり執事マニュアルとか読んでみたよ

「あの、掃除とかは…」

「早く来すぎたので軽く済ましてますよ」

床掃きと机吹きくらいしかやることないから楽だし

 

昨日早くついたので(教頭先生による注意後も時間があった)

手持ち無沙汰で掃除をしていたら担当教員に案内された彼女等がやってきたのが初対面の場面だったりする。

流石にサイドバッシャーで登校してきたことを延々と注意されて、普通のバイクなら良いですか?と言質を取ったところ…バジンたんは普通のバイクじゃない認定をされたのは悲しい事案だった

(しかし事のあらましを知ったら…端から見たらどうみても怒られての罰掃除だよね)

そこで窓から職員用駐輪場からはみ出してるサイドバッシャーを見つけて草加台詞を吐いたのがさっきの人との初会話だった、おかげで名前忘れた(言い訳)

 

しかし、なんでさ?

バトルモードになれないのに??

ファイズエッジはついてるけど!

 

というか、教頭先生…詳しくないかな?画像だけで…いや、もしかして僕感覚麻痺してる?

 

まぁ、そう言うことで車通勤の許可を得て、無理矢理一台分のスペースを空けてもらったことになっている(本当に空いてないのか疑って窓下に見える職員駐車場をチェックしてるのは内緒だ)

数人の生徒が何故か駐輪場を見に来ているのが気になるけど、まぁまた注意させるのも申し訳ないのでまたサイドバッシャーで登校することはない。

(バイク好きなのかライダー好きなのか気にはなるけど)

昨日のふわふわした子(名前は…なんだっけ?)も居たから確実に一人はライダー好きなのはわかっている、名前忘れたけどふわふわしたのは良い趣味だったなと思っている(不破だっけ?)

 

「そのですね」

目の前の女性が言いにくそうにしている、あ、なんか既視感があるとおもったらなんとなく麻弥ちゃんに似ているのか

「掃除とかは皆でやった方が良いと思います」

うん、この人以外が面倒くさいこと言い出したって顔になる

それくらいは気にするようになったんだよ?

いや、うん、新田さんと鷺沢さん(苗字教授に訊きました)にくどいほど注意されたからなんだけどね

この場合…は

「うん、そうだね。でも僕はまぁ特例で車通勤なので皆さんより早くこれますし、掃いて拭くだけですから」

ガールズバンドの子達(みんな)曰く、「初対面なら騙される人畜無害スマイル」で取り繕いつつ

「本格的な掃除の時は流石に皆でやりましょう」

と提案して両方をたてて終わらせた

「しかし、柴田くんのバイクは余程センセーショナルだったんだね」

草加さん(名前忘れたので仮称)が窓の外に目をやりながら言うと

「あのロードスター、柴田くんのかな?」

幌をはってあるけど目立つことには変わらない

「え?あれNAじゃないですか?」

マヤさん(同じく名前忘れたので)は詳しいのかな?

ほかの実習生は会話についてこれないながらも興味をもった人もいたようだ

「柴田くんは良いとこの子なのかな?車に大型とか大学生にしてはすごいよね」

草加さんが草加ぽいこと言い出した、嫌われたかな?どうでもいいけど

「自分でレストアしたから持てただけですよ」

大したことないように言う

浪人してるときに教えてもらいながらレストアしたのが懐かしい

修理工(先生)には大学行けなかったら働きに来ないかと誘われていたんだけどね。

NSXをレストアすることになったらまたお世話になりにいこうと思う、トライドロン欲しいし

「遠目じゃわかりませんけど綺麗に出来てますよね!」

マヤさんが眼をキラキラさせている、麻弥ちゃんと同じ人種なのかな?

「柴田くんは工学の人だっけ?」

草加さんが草加スマイルになってる、嫌われたら僕たっくんになれるかな?

 

こうして2日目も始まった

 

「…らしいです」

『………』

みんな呆れてるのかな?

『あの人の人物相関図はライダー基本なのですか?』

うん、そう思うよね

リアルな人間関係全く無視?

『同期の名前くらい覚えなさいよ…なにその、草加とか麻弥ちゃんに似た人って』

『紗夜さん!その人確かシロとふーすけの1-A(クラス)だったような?』

『桐ヶ谷さんに被害は出ていませんか?まってください、広町さんって、もしかして』

『ななみですか?そう言えば朝からふらふらなにか探しにいってましたよ?』

え?誰?バンドの子だろうけど、月ノ森の生徒さんなの?

『昨日話に出てた、ゆるふわちゃんはななみちゃんかぁ♪またなんというか流石ケントくんだよねぇ』

水色の♪アイコンは紗夜ちゃんの双子の妹の日菜ちゃんよね?紗夜ちゃんから話を聞いたのかな?

『日菜さん?それどーいう事ですか?』

『んー?るんってくるよねぇ♪』

何がなにかわからないけど、数人は理解しているみたいね

『賢人さんは同類になつかれやすいのでしょうか?』

同類って?

ライダー好きのことかな?

『なんか、馬車で来たとかなんとか言ってたような?なにその貴族?って思いましたよ』

うん、普通はサイドバッシャーて言われて判る方がおかしい

私もおかしい部類か…

『桐ヶ谷さんのクラスではまだ授業はないのですか?』

『無いですね、もう一人の方は初日に来ましたよ?なんというか教生のくせになんか生徒受けを意識したというか、下心見え見えで気持ち悪かったですね』

手厳しい

下心か、まぁ賢人くんには無縁かな?

『柴田さんには無縁な心配ね』

『そうですね。ある意味唯我独尊ですから』

確かに、変に気にするくせに考えていないというか、興味が薄い

『そんなオレサマな人なんですか?それはそれでイヤだなぁ』

俺様な賢人くん…

『まず、俺って言わないからねー♪僕様だよねボクサマ』

俺様な賢人くんがツボにはまったのか大笑いしている

『あれ?そう言えば昔は「俺」だったような?』

『…そう言えば、そうですね?』

ぼーくん(暴君)」とかの話かな?

『…』

『おねーちゃん?』

『いえ、「俺」呼びな賢人さんって想像がつかなくて…』

私もあまりピンとこない

前聞いたバイオレンスな賢人くんもあまりピンと来てないし

…マッドエンジニアな賢人くんなら見たことあるんだけどね

『『『何ですか(なに)それは(♪)』』』

声に出てたみたい、久々に同じ学校イニシアティブを見せておきますか

『え?1-A(となり)の教生の先生って現国・古文担当じゃないの??』

一人の混乱者を出したのは事故と言うことで…




読了ありがとうございます。


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九話:教育実習編『紗夜さんと千聖さんが言うなら気を付けてますね?』

今回もよろしくお願いいたします。


 

―3日目

 

「先生?サイドバッシャーでくるのやめちゃいましたか?」

教員用駐車場に止めて荷物を出していると、初日のゆるふわちゃんが声をかけてきた

「おはようございます、早いですね?えっと、広町さんでしたね」

本日授業があるため名簿に目を通させてもらったので覚えた

「はい、広町です♪」

ふにゃっと笑う、今まで会ったことの無いタイプだなと思っていると

「先生はバンド関係者ですよね?」

…いきなりぶっこんできたけど

「そうだけど、どこかのスタジオで見かけたのかな?」

隠すことでもないので肯定すると

「やっぱりですよね、CiRCLEでこの子()見たことありますよ?」

「そうなんだね」

…会話終了、と思ったら

「黒のツインネックですよね?」

…最近はstrandbergばかりなんだけど?いつ見られたんだろ?

「あと黒のM-2に…特注なんです?黒のベースなんてstrandbergにないですよね?」

…あれ?なんか、地元に居たときのような寒気が?

「あれ?私、何か変なこと言いました?」

目の前の生徒に違和感を覚えてしまい閉口していたら、そんな事を聞かれた。

ふと思い当たったのは日菜ちゃんや僕がよく指摘される「主語の無い、相手も判っている前提の話し方」だった

「いえ、広町さんはかなり記憶力と洞察力が高いのですね、驚きました」

「そんなことありません、私普通ですから」

何故か慌てて否定するとそのまま慌てて校舎に戻っていった…

 

多分日菜ちゃん並だなと感心していると

「柴田くんどうした?なにかトラブルかい?」

会議室の窓から草加さんが身を乗り出して声をかけてきた、良く通る声が羨ましい…というか、もうそんな時間??

大丈夫とサインをして頭を下げて荷物を持ち校舎に慌てて向かう

あれ?でも他の職員の車まだそんなに無いよ?

 

「先日からお世話になっている、教育実習の柴田です。短い間ですがよろしくお願いします」

初めて授業を受持つクラスなのだけど、視線がおかしい?

挨拶しただけだけど…僕もうなにかやらかした?

指導担当の先生もなんか変な顔してるし?

「先生質問よろしいですか?」

どこかで見た気がする生徒が手をあげる、まだ授業始めていないのだけど?

「どうしました?桐ヶ谷さん」

写真よりは綺麗だけど、もう少し髪に注意を払ってもいいのでは?という長さと綺麗さをもった子だ

「私達自己紹介していませんけど?名前と顔一致していますよね??」

そんなことか

「はい、受持つクラスの皆さんは名前と顔を一致させていますけど、どうかしましたか?」

指導担当の先生をはじめ一部を除いて小さな動揺がおきている

あれ?これ普通やることじゃないの?名前と顔の一致って

「え、えーっと、彼女!彼女の名前わかりますか?」

桐ヶ谷さんの指した生徒に目を向けると…あぁ

「平野さんですね?あっていますよね?」

確認をとるとまた動揺が走る

彼女は髪の長い子だったのに切ってしまったらしい、実にもったいないと思う。見せてもらった写真では綺麗な長い黒髪だったのに、今はショートボブ位になっている。

「えっと、彼女は?」

また一人指名されるが

「洲崎さんですよね?」

また動揺が走る

この子は逆に、エクステでロングにした髪を後頭部でシニョンに纏めている、ちなみに髪質はよくない。エクステの方が綺麗かもしれない。誤魔化している。

スタイリストさんの腕が良いね、お見合いか何かの準備かな?

「…なに?本当になにものなの?」

ぽそっと呟く桐ヶ谷さん

聞こえているけど聞こえないふりをしておこうと思ったら

「トーコちゃん、柴田先生だよ?」

怖いゆるふわな広町さんが桐ヶ谷さんに指摘してる、トーコ?あれ?桐ヶ谷トーコ??最近耳にしたような?関係無さそうで記憶に残ってない

「ほら、あの変態ギターとトーコちゃんが真似して買った黒のギターの人だよ?」

変態ギターってツインネックだろうな、格好良いのはギター?ベース?って、桐ヶ谷トーコも知ってるのか?

流石にその言葉と、それに驚いたのが表情に出たのか他の生徒が

「柴田先生!先生も軽音楽を嗜んでおみえなんですか?」

なんて質問が来だした

初回授業からこれはまずいと指導担当教員を見るとなにか微笑ましい顔をして話を促している

え?なに話せば良いの??

困っていると

「柴田先生緊張されてますか?まずは私達とお話しして親睦を深めましょう」

なんて言い出す生徒まで

「えーと正直(大勢の人と話すことに)慣れてなくて困惑してます」

「(女性と話すのに)慣れてないなんてお可愛いですね」

まってなんで可愛いと?言われるの?

 

「なんて泣き言いってました」

本日もグループチャットをしている…私暇人みたい?仕事はしてるし明日は差し入れをするつもりで準備もしてある

『見ました!ていうか、あたし当事者です!』

月ノ森の生徒さんが今日も元気?

『昨日のアレに比べたら、もう大人気ですよ!可愛いのにスマートで気づいたら授業に入ってましたから、担当員の先生も驚いてましたよ!』

アレって草加さん(仮称)かな?

『賢人さんってまとまに教えれるのですね…』

『お兄ちゃん教えるの上手だよ?なんというの、引き込むのが上手なのかな?』

家庭教師の生徒の証言も出てきた

『そうです!それです!気づいたらみんな授業に引き込まれてました』

『…そういう類いの本を読んだのかしら?』

『うーん、興味あることへの共有化?そういうのじゃないかな?ライダー(アレ)とかと同じで』

言われてみれば、気づいたら普通の人よりは詳しくなっている、見ただけでバイクの名前が判るくらいにはなってるとかちょっと怖い

『それって、一歩間違えるとなんかの団体とか興せそうだよねー♪流石ケントくん♪』

そっちには行かないように願いたいです。

『政治家からテロリストまであらゆる道が見えてるって…気持ち悪いわね』

『そうですね』

約二名が落としにかかってませんか?

『でも授業面白いし、分かりやすくて好評ですよ?あたしも現国とか古文なんてあまり得意ではないけど、少し見方が変わりました』

そうなんだと感心していると

『まだボロが出てないようね…』

『鍍金が剥げるのは何時でしょうね?』

あくまで千聖さん・紗夜ちゃん(この二人)は懐疑的に言い、落とす気みたいだ、それやらない方が良いと思うんだよね

 

賢人くんには逆効果だから

 

『紗夜さんと千聖さんが言うなら気を付けてますね?』

ほらもうフラグ立ってる

 

まぁ、無自覚にへし折っていくのも賢人くんなんだけどね

 

しかし、まだ3日目なのに…

多分草加さん(仮称)にはもう嫌われてるんだろうな

気にしてなければ良いけど

休みに愚痴くらい聞いてあげようかなランニングに連れ出して




読了ありがとうございます。


…おかしい…シロが全然出てこない( ̄▽ ̄;)


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十話:教育実習編『『『(…)それよ(です)!』』』

今回もよろしくお願いいたします。


―4日目

 

昼休み、会議室でお弁当(差し入れてもらったサンドイッチ♪)を食べていると、対面でコンビニのサンドイッチを口に運びながら

「いったい君はどんな媚を売ったのかな?」

草加さんが草加さんになっていた

 

でも、早く来て掃除を手分けしてくれたり、お昼は学食ではなくこうして一緒してくれるので根はいい人なんだと思うけど…

なんで嫌われてるの?

「媚って、そんな言い方は無いと思いますよ!」

同じくお手製のお弁当で一緒してくれているマヤさん(今更名前が聞けない)

「なにもしてないつもりなんですけどね(興味ないし)」

すると草加さんが口の中の物を飲み込むと

「担当クラスの生徒を全員覚えているとか、軽音楽を嗜んでるとか、ソロキャンプをするとか、なによりパスパレの事務所で仕事してるとかなんなんだい?」

なんなんだと言われても?

「生徒を覚えるのは当たり前ですし…、趣味はなんとも?アルバイトは偶然の産物としか?」

何を言っているのだろう?と返すと、草加さんの口が開いたままになっている。

「全員覚えたんですか?」

マヤさんまで驚いて箸が止まっている

「名簿を予め渡してもらえたのもありますけど、一応書庫でクラス写真を見せてもらいましたよ?」

受持つのは多くて5クラスだからそれくらいは準備のうちだ。

クラス写真は名前とある程度の雰囲気が判る便利アイテムだからとお奨めしておいた。

「柴田くんは良くも悪くも規格外なのか…」

規格外って言われても、趣味は趣味だし、事務所には伝があったと言えばあったけどレオンさん絡みがなければバイトも無かっただろうし

 

「そういえば、柴田さんの学校って、確かアイドルの人何人か在籍してませんでしたか?」

話題を変えようとしたマヤさんの言葉に草加さんが眉だけで反応する

「同じゼミに新田さんと鷺沢さんと言う方が居ますけど、他はよく知りません」

関係しない人には興味ないし

「346のアイドルさんじゃないですか!?」

マヤさん詳しいな

「…ふみふみと同じゼミ?」

ふみふみって誰?新田さんは美波だし、鷺沢さんが…あ、文香ちゃんでふみふみなのか?

「あれ?あの二人は確か私達より一学年下だったような?」

「そうだ、二人とも未成年だね。こんなことで嘘までついてどういうつもりなのかな?」

未成年と学年は関係ないと思うけど、草加さんの僕への印象駄々下がりだ…もうすぐたっくんになれるかな?

狼になったら紗夜さんに撫でてみてもらおう

 

なんて考えていたら

「あの、もしかして柴田さんって…私達より年下ですか?」

なんて訊かれる、僕浪人したから同い年だけどなぁ

「いえ、成人してますよ。(学年は一つ下だけど)」

その言葉に変に満足気に草加さんが

「そらみたことか、自分からボロを出したね。」

鬼の首を獲ったような感じだけど

なんでこうなってるんだろう?

わざわざ嘘ついて関心集めても僕にはなんの得もないのに?

そこら辺が僕にはわからないし、まぁどうでも良いから放置しておこうとしたら

「柴田くん?嘘をついたなら謝らないといけないんじゃないかな?」

なんて言われる

(あ、たっくんとは立場は違うけど気持ちが少し判ったかも…)

草加と同じで自分に注目が集まってないと駄目な人なんだね

かといって嘘つき呼ばわりは偽善者とはいえ心証が悪いので

「ここで(あなた達相手に)嘘をついて(僕に全く)得はありませんよ?」

と言っても引かないだろうから

「嘘つき呼ばわりは好きではないので…」

バックからスマホを取り出すと

「(朝差し入れしてくれてるから)今日は学校だと思うけど…」

スピーカーにして電話をする、無料通話アプリはあまり得意じゃないんだよね

『はい、美波です。賢人くんどうしたの?なにかあったの?』

数コール後に電話相手が出てくれた、今日はゼミもあるから出てくれるとは思ったけど助かった

相手の声に草加さんもマヤさんも驚きを顕にしている

「いや、なんというか学年詐称?ちょっと証言してくれると助かるかなって」

詳しく言うと嫌味になるので、僕の学年を証言してくれるだけでもいいかなと…

『やっぱりなにかやらかしたんでしょ?本来は三年次からだもんね、あ、もしかしてスピーカーにしてる?』

「ごめん、確認する前にしてた」

素直に謝る

このやり方は僕らしくないけど流石に偽善者としては嘘つき呼ばわりはちょっと面白くなかったのかもしれない

 

『柴田くんと同じ学年で同じゼミに在籍している、二年の新田美波と申します。彼は単位を先まで見通して教育実習の資格を得ていますので安心してください。しかし、若輩なのでご迷惑をお掛けしていると思いますが皆様寛容に宜しくお願い致します』

うん、保護者の挨拶だった、年下で同級生なのに姉だよね?(新田さん弟がいるのを後で知った、それも草加さんの口から)

「…え?新田美波本人?」

二人がざわつく、しょうがないじゃないゼミで連絡先知ってるの新田さんと教授だけなんだから

『え?女性?生徒さんでした?』

「い、いえ。同じ教育実習の…」

『美波さん?どうしました?また柴田さんがなにかやらかしましたか!?』

割って入る声、これは…

「ふ、ふみふみ!!」

草加さんが叫ぶのと

『きゃっ!?』

大声に驚いたのか、通話が途切れた…スマホを落としたかな?壊れてたら申し訳ないと

「ちょっとすみません」

興奮しているのをマヤさんにたしなめられている草加さんを置いておいて再度電話をすると

『ごめん、ビックリして切っちゃった』

と申し訳なさそうな声に

「こっちこそごめん、落としてない?故障して無いみたいだけど傷とか割れてたら申し訳ないから」

と応えると大丈夫みたいだけど今度確認をしないと

『お昼はちゃんと食べれてる?』

「うん、ありがとう。今食べてるよ。いつも(買ってきてくれて)ありがとうね」

向こうも折角の昼休みだから早々に会話を締めて通話を切ると、二人が僕の目の前のサンドイッチに注目している。

新田さんに差し入れてもらった、山吹ベーカリーのサンドイッチなんだけどな?

「えーと、珈琲でも飲みます?」

バックからボトルを新たに取り出して勧めると

「もしかしてこれも新田さんからの?」

昨日も飲んだのに何を言い出すのかと思ったけど、どうも新田さんは僕が思った以上に認知度が高いのだと知ることになった

 

 

 

「と言うのを美波さんから現場で聞きました!」

美波さんに後から柴田さんの事情説明と再度お礼と謝罪があったみたい。

『…そういうところは確りしてるのよね』

千聖ちゃんとは今日は現場(この言い方なんか好き)が違ったから報告しなきゃとグループのチャットを繋いだ。

美波さんは今日はお仕事で参加できないからと私に教えてくれたんだ。

『紗夜さん草加ってアイツですよ!』

えーっと透子ちゃんは見たことあるんだよね?

『話には聞いてますけど、賢人さんが『草加(仮称)』にしたのも頷けますね』

『ちょっとあたしも興味出てきました!今度買ってみますね』

簡単に買っちゃうんだ…

『そう言えば、沙綾ちゃん丁度良かったわ、山吹ベーカリー(おうち)でサンドイッチなんて出してたかしら?見た記憶がないんだけど?私も食べてみたいのだけど?』

なんか気になるよね、食べたことないから

『あのー、うち惣菜パンで手一杯でサンドイッチはかなり前からやってないです。多分と言うか、それ新田さんがうちのパンで作ったサンドイッチですね。よくお店には来てくれますから…昨日も来てくれていたみたいですし』

お店の証言とれちゃったよ!?

アイドルお手製のサンドイッチとか賢人さん判ってないよね??

私も食べたい!

『彩ちゃん…あなたもアイドルよ?私もだけど』

そうでした。

でも、美波さん料理上手みたいだから羨ましいなぁ

『そ、そうね』

千聖ちゃん?

『そうでした!柴田さん今日お店(うち)寄っていってくれたんですよ。だから今日チャット入ったんでした!』

千聖ちゃん?ほっとしてなかったかな?

『そんなことないわよ?で、弟さん達と遊んでたのかしら?』

賢人さんはたまに商店街の子供達と遊んでるけど、教育実習中なのにそんな余裕あるのかな?…いやあの人ならありそうだけど

『…そうですね、賢人さんならやりかねませんね』

みんな納得しちゃったよ

 

『なんか爽やかを張り付けて人当たりを良さそうにした男の人と来ましたよ?』

沙綾ちゃん?言い方おかしくない?

『サンドイッチが無くて不機嫌になってましたから、多分話題の草加(仮称)さんじゃないかと?』

連れてきてもらうとか凄い!

連れていってあげる賢人さんが偽善者と言うより、お人好し??

『違うわね、無視して放置すると面倒臭くなるからよ』

基本人が良いけど、関係してない人には興味ないもんね

『先生クールなんですね、優しそうな眼してるのに』

優しそう?あれ??

『桐ヶ谷さんにはどう見えてるのでしょうか?』

『あのすべて見えてるのになにも写さない眼が優しい?』

『えぇーなんですか?その排他的で刹那主義な世捨て人みたいな評価は??』

教育実習の先生って小学生の頃は憧れだったよね??

花咲川(うち)には男性の教育実習生は滅多に来ないからよくわからないけど高校生になってもそうなのかな?

『違うと思いますよ?レンズ越しですけどや…』

『『『(…)それよ(です)!』』』

そうだね、賢人さん眼鏡してるんだ。普段運転の時と事務所でPC作業してる時以外全然しないもん、忘れてたね。

『「見えてる」とか言いながら、乱視だからしっかり見ようとすると目付き少し悪くなるのが無いからよ!』

『近視じゃないのですか?』

『両方だけど乱視が酷いのよ』

千聖ちゃんは本当よく知ってるよねー

『先生の普段はちょいワルなんですね!』

って言ってから…

『あー!思い出しました!!CiRCLEでモニカ(うち)のメンバー募集を難しい顔して見てた人!!あれ多分先生だ!?』

ガールズバンドの募集を近寄って見るのが恥ずかしくて遠目に内容を確認してたんだろうね

うちの事務所で千聖ちゃんに怒られてから事務所で作業してるときは眼鏡(ブルーライトカット50)してるもんね。

(75はかなりの色が入るのでこれまた千聖ちゃんに止められていたけど、え?パスパレのみんなで見に行ったんだよ?)

『あー、あの人だったんだ、シロが怖がってたから覚えてますよ。眼鏡一つで印象全然変わるんですね』

 

あれ?気にしてなかったけど…

「ねえ?透子ちゃん?賢人さんはどんな格好で先生してるのかな?」

私の疑問に皆がそう言えばと今更ながらに興味をもったんだけど

『え?どんなって奇抜な姿ではないですよ?背広にネクタイに…あ、うち上靴に履き替えますけど、先生は黒に赤のラインが入ったバッシュ履いてましたね。あれそこそこレアじゃなかったかな?他の教生の先生は学校のスリッパとかなんで印象に残ってますね』

そうだね、賢人さんはスリッパとかサンダル嫌いだよね。

それにしても…

『背広…思い付かないわ。黒に黒重ねて黒着ちゃう様な人だから』

だよね

『そうですね、黒いですよ?でもよく見るとストライプスーツなんですよね。細くて薄いからパット見気づかないくらいの、シャツは無地で少し灰色入ってたかな?タイも無地で暗い赤…クリムゾンとかそのあたりかな?少しおしゃれですよね』

『桐ヶ谷さんに誉められるなんて…真黒黒助がお洒落なんですね』

みんなすごく見たそう、私は見たことあるような?あれだよね?アクセルフォームイメージのだよね?

『『『『『え?』』』』』

みんな同じ言葉をそれぞれ違う意味発音で言うの怖いよ?

特に千聖ちゃん?賢人さん絡むと本当たまに怖いんだけど…?

『彩ちゃん?なんであなたが知ってて私が知らないの??』

えーっ?千聖ちゃんも見たよ!?ため息ついてたよ??

『本当?』

疑われても、ちゃんとメンバーのみんなもいたし、レオンくんも居たよ?

『なんで私覚えてないのかしら?そんな筈ないわよね??』

じ、自分を疑おうね?なんで私が疑われてるの??

『彩ちゃん、私が忘れていると言うなら、思い出すまで付き合ってもらうわよ!』

ちょ、えーーなんで日菜ちゃんいないの?

『では、今日はここまでですね』

ちょ、みんな切らないで!?

 

千聖ちゃんと二人だけにしないでー!!




読了ありがとうございます。

よく言われるPoppin'Partyは出ないんですか??

ここからがポピパのターンですw
…いえ、ちょこちょこ出してますし、出すところも決めてはあったんですけどね…

そしてやっとシロの名前が…また名前しか出ていないorz


またよろしくお願いいたします。


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十一話:教育実習編『小さいから大きい人が好きとかじゃないかしら?』

今回もよろしくお願いいたします。」


―5日目

 

「なぁ柴田くん?」

朝の掃除も終わり、いつものごとくボトルで持ってきている珈琲を飲んでいると

「この珈琲は昨日の羽沢珈琲なのかい…ブレンドが少し違うような気がするけど?」

思ったより舌が良い?というか昨日山吹ベーカリーにサンドイッチ(お目当て)が無かったのであからさまに機嫌が悪くなったてたから仕方なく連れていったんだよね

「そうですよ、マスターが僕の好みに合わせてブレンドしてくれています。」

僕、つぐちゃんの師匠だしね。

そのつぐちゃんは昨日もお店の手伝いしてて偉いよね。

 

「君は何処にでも入り込む才能があるのかな?」

そんな才能は興味はないけどね

どうせなら人との距離が解る才能がほしい

「君はそれを自分が好かれていると思い込んでるのかな?」

なんて言われた

 

そこらへんの感情とか、そう言う言葉は僕には全く縁の無いものだと思うんだけどなぁ

 

 

 

「古文は言い回しが独特ですが、実際は同じ日本語です。下手したら今流行りのラノベも10世紀も過ぎると古文の題材になるのかもしれません、考えると面白いようで怖いですよね?未来もののラノベが古文の題材になったら検証が難しくなると考えると…?ある意味今取り組んでいる古文の題材はシンプルで分かりやすいと思えませんか?」

生徒達が笑っているけど

これ、先の未来で本当になると思ってるけど、そんな時代になると古文という概念事態がないかもね

「苦手意識がなくなりますね」

生徒さんからは好意的な感想が出てて嬉しいね

「同じ日本の言葉だと思えば、方言とか、あれです、中二病の人の言葉とか近いと思いますよ?」

わかる人が限られるこの説明…やっぱりダメかな?

受け入れられない場合もあるから止めておこうかな?

特定の人物をどうこうするような学校じゃないからいけるかな?

と…思ったけどやっぱり隠してるものかな?

なんて柄にもなく少し考えていたら

「本やテレビで出る言い回しが独特でいやに左手を押さえたり眼帯したがる人ですよね?」

助け船が来た!

えーっと確かこのクラス(1-A)の委員長をしている…

「そうですね、二葉さんの言う特徴の方達です。あ、間違えて「拙者」とか「⚪⚪氏《うじ》とか氏《し》」って会話してる人と間違えないでくださいね、カテゴリー的には同じですけど分類が微妙に違いますから」

…って、引いてる?

担当教員の先生が苦笑いしている

(この学校純粋培養すぎる!?)

何人かは僕の反応を窺ってるけど、ここでオタクの生態話したらちょっとまずいよね?

担当の先生にアイコンタクトすると駄目と睨まれた

(ですよねー)

それくらいは僕でもわかる、うん

 

仕方なく

「まぁ、そういう変わった人も世の中には多いということで」

と話を閉めたら

「先生!そんないい加減な締め方では困ります」

うわー、わざと?わざとだよね?二葉さんだもの、委員長マインドからかな?

「そうですね、でも皆さんはそんな人種に出会うことがあると思いますか?」

うん、目の前にいるんだけどね(自虐的黒歴史)

「私は後学のために教えていただくのも大事だと思いますよ!?」

なかなか食いつく

ふと、紗夜さんに勉強なんて教えたこと無いけどこうなのかな?と何故か場違いに思ったら

「一理ありますね。では私の一存では問題が起きたら大変ですので担当の先生やほかの先生方にも相談や方向性の指示をいただいてから?という形でもよろしいですか?」

相手の意見を尊重しつつの逃げをうっておく、委員長だからと強行はしないだろう…

「では、後で質問に伺います!」

食いついたら離さないタイプか

紗夜さんや千聖ちゃんがおおらかな大型犬タイプだとすると、この子は忙しない小型犬だな

小型犬って結構獰猛というか欲に正直なんだよね

(…千聖ちゃんとそんなに身長差ないよね?)

いつも思うんだけど、千聖ちゃんのあの「実は小さい!?」と錯覚させるあれは何なんだろうね、落ち着いているからかな?

はぁ、僕も落ち着きがほしい

 

と、現実逃避してたら

 

「二葉さん流石に先生がお困りですよ?」

「つくしちゃん?どうしたの?」

他の生徒さん達が嗜めていてくれる助かります。

名前は…三住さんと、倉田さん?ん?倉田てつをと覚えたせいでギャップがすごい…倉田ましろ

(名は体を表すと言うけど、白いなぁ、色素薄いなぁ夏とか焼けるというより溶けそうだよね)

雪のイメージが最初に浮かんだ

そして『かまくらゆきのじょう』と何故か思い浮かんだ、コロボックルみたいだし(これは二葉さん印象のせいだと後から気づいたけど)、雪ん子だなと一人納得していたら授業が終わるチャイムが流れた

これは後で指導(注意)される案件だな、と指導教員を見るとにこやかに良い笑顔だった

 

 

 

「って、泣き言が来てました」

今日はポテトとバーガーをやけ食いしてましたから

何人かに目撃されている

『だから黙々と食べてたんだ』

『ケントの精神安定はつぐの家の珈琲かバーガーショップ(うち)でのやけ食いなのか?』

めずらしく、ひまりちゃんと巴ちゃんが参加していたけど、

巴ちゃんは「来てた報告だし、ひまり居るからいいよな?」と即落ちていった。

 

『ふーすけが先生を困らせたってのはシロからも聞いてたけど、あの人案外メンタルとうふですか?』

うん、そうだね。豆腐も豆腐形が保てない不可思議などろどろ豆腐だね

(…それって物理衝撃には強いと教えて貰ったような?)

『二葉さんはどうしてそんなことをしたのでしょう?』

紗夜ちゃんが普通に疑問としてあげたけど、本人はまだ招待してないから勿論わからないので…

『なんかですね、偽草加(アレ)がふーすけになんか吹き込んだみたいなんですよ!』

アレって草加(仮)さん?かな?

『本当に草加なのね…どんな人か見てみたくなったわ』

千聖さん少し怒気をはらんでないかな?大丈夫かな?

『まだ草加出てこないんですけど、ジャケ写を見る限りでは偽草加(アレ)は完全に劣化版ですよ』

本当に買ったんだ…すごい行動力…

『あ、そうだ「おーず」ってなんです?ふーすけがそんな事言ってたんですけど?』

…は?

『つくしちゃんはそっちなのね』

千聖さん?呆れてるようで少し上擦ってません?

『「ばーす?」昔の野球選手かなにかがいいとか』

私は広島ファンなので関与していませんよ?

『二葉さんは渋いですね』

『小さいから大きい人が好きとかじゃないかしら?』

言いたい放題ですね?

少し嬉しそうなのが隠せてませんよ?

『あのー?なんで二人とも(紗夜さん・千聖さん)嬉しそうなんですか?なんとなく新田さんもですけど?』

そうかしら?

髪型を自分でアレンジできる子は色々と危ないのよ?




読了ありがとうございます。

シロ出てきたよ!!
…るいるいはいつになるやら…

またよろしくお願いいたします。


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十二話:教育実習編「「「七深(ちゃん)!?」」」

今回もよろしくお願いいたします。


―6日目

 

隔週土曜休みというのはゆとりだけだった!!

まぁゆとりじゃないんでうらやましかったけど何か?

「もともと月ノ森(うち)はずっと土曜は半日でしたよ?」

月ノ森(ここ)出身のOGな人も教育実習ではもちろん来るわけで、昔は男性の実習生の受け入れなんかも無かった話をしてくれた

 

一週間もすると多少は話せる人も増えてくる。向こうが大人なので話してくれてるんだろうね

そう考えるとバンドの子達はみんな大人だよね?やっぱり人生経験が違うのか…

 

しかし羽沢珈琲の珈琲で情報がもらえるんだよ!

マスターがなにか危険な薬物入れてないといいけど!

いや、僕が常飲してないと落ち着かないから勝手に言ってるだけだけど

 

「でも、柴田くんみたいな人は絶対前例は無かったと思うよ?」

この人は大学行って気安く(軽く)なったのかな?月ノ森(ここ)のOGだよね?

「そんなことはないと…」

「駐車場でソロキャンしだす人は普通はいないよ?」

うっ、珈琲が切れたから駐車場でコンパクトバーナーにケトルのせてお湯沸かして珈琲淹れてたら教頭先生が飛んできた…煙なんか出てないしロードスター(愛車)の影でしてたのに何故気づかれたんだろう?ゆるふ…広町さんが興味深げに見てただけなんだけどなぁ?

僕的には理科室のアルコールランプは駄目だろうなと気を利かせたつもりだったのに…(高校時代よくやったよね?インスタントラーメン作るために?)

まぁお陰で給湯室の使用許可貰えたのは良かったけど…先生達にまで珈琲を振る舞うことになってしまったのは解せないけど羽沢珈琲の宣伝になるからまぁいいか

 

…しかし翌日また数名の生徒が駐車場に出没していたのはなんだったのだろう?

 

「柴田くんは人気取りの仕方が奇抜というか汚いよね?」

草加(仮称)さんはもう仮称なしでいいかもしれない、でも、根はいい人なんだよな…

しかし回りに非難するような視線を向けられて僕のせいだとばかりに睨んでくるのは心が強いなぁと感心する

「せめてあざといにしといた方がよくない?」

あざといって…

「それはなんというか、女性に向ける言葉のような気がするのだけど?」

そこら辺を気にしてくれる辺り根は悪い人ではない

「柴田くんなら可愛いしいいんじゃない?」

よくないよ?

ここの生徒さん(元を含む)は、どうして僕を可愛いと認識したがるのだろうか?

…身長かな…

泣くよ?

「柴田さん?生徒さんが質問があるそうですよ?」

丁度帰ってきたマヤさんが生徒の来訪を教えてくれる。

土曜の昼過ぎ、まだ残っている生徒がいるとはみんな真面目だよね、生徒さんは二人、入り口に急ぎ声をかける

「二年の津田さんと風間さんですね、入りますか?」

確かに受け持っているクラスの子なので、中に通して入り口に近い席を勧める

「本当に全員覚えてるのね?」

なんて声が聞こえる

「初質問訪問は柴田くんだったかー」

競争でもしてたのかな?また草加(仮)さんの支線が刺さるんだけど

 

で、生徒さんがその視線を見て黄色い声をあげてるんだけど?

草加(仮)さん人気あるよね?

 

質問はそんな大したものではなかったので案外早く終わってしまった

「ありがとうございました」

「いえ、またなにかありましたら」

「はい!是非また!」

質問に満足してくれたのか生徒さん達はにこやかに帰っていく

「帰り道お気を付けて」

と背を見送ると、悲鳴をあげられた…泣ける

「柴田くんは人気だね?」

今悲鳴あげられたんだけど?

軽く精神的負傷を負っているところに止めを刺された

普段なら気にしないけど、流石に悲鳴は…

「…もしかしてかなり鈍い?」

そんな言葉まで聞こえたような

 

 

 

「せんせー?まだ帰ってなかったんですか?」

他の教員もかなり減り、車もまばらになった駐車場でのんびり愛車のチェックをしながら時間を潰していると楽器の入ったケースを持った一団が校舎から手を振っている…

(えーと、ゆるふわちゃんに桐ヶ谷トーコに二葉さんとゆきんこか)

軽く手を振りかえすと、何故かこっちに来るとか言い出したから何の用だろう?

「今日はどうしましたか?」

ゆるふわちゃんが先頭でやってきた、そう言えばバンドしてるとか言ってたような

「桐ヶ谷さんがギターでしたよね?」

トランクからアウトドアテーブルを出しながらケースを見る…みんな色々なの使ってるよね

「せんせー、こんなの持ち歩いてんの?」

ベンチに腰掛けながら同色のテーブルをを指差す

「なんとなく要りそうですから」

シングルバーナーをテーブルにのせて大きめのケトルでお湯を沸かし始める

「この間のとは違いますね?」

ゆるふわちゃんはまた興味深げに見てるけど

「…先生?」

他の三人は若干ひきつってる?

「どうしました?」

トランクからハンドル付きの紙コップを取り出す(最近消費が激しい)

「なかなかこういう経験はできないかなーって、るいるいいたらまじやばだよね?」

るいるい?メンバーは多いのかな

「広町さんがベースかな?」

珈琲の準備は終わっている、あとは沸くのをまつだけだし、教生の先生らしく生徒さんと話をすることにしてみた

「はい!ベースしてます」

嬉しそうに先生と一緒ですよ?なんていってるからあのヘッドレスベースを使ってるのだろうか?

という事は…

「ふたりでツインボーカルなのかな?」

るいるいさんとやらががドラムだろう

…と思ったら

「先生、私はドラムでましろちゃんがボーカルです」

どうも僕の回りでは背の小さい子がドラムを叩く傾向があるようだ、あこちゃんとか花音ちゃんとか…いや、他が大きいんだみんな!

巴もますき(お嬢)も大きいよね?あれ?でも沙綾(パン屋)ちゃんと麻弥ちゃんは普通か…

「先生どうしました?」

ゆきんこがおずおずと聞いてくる

「ドラムって大変だから凄いなっていつも思うんだよ」

リズム隊の要

弦楽器が大好きすぎる僕でもあのドラムと言う要の楽器は尊敬している。

ますき(お嬢)のドラムも麻弥ちゃんのドラムも本当凄い

巴も凄いけど、その巴を一番格好いいと言うあこちゃんの凄さをこの間花音ちゃんに教えられた

「二葉さんすごいね」

ドラムを叩くだけでも凄いことだと認識している僕は、ただただ二葉さんに感心してたら、タイミング良くお湯が沸いたので慌ててサーバーの上に置いたドリッパーのフィルターに豆(羽沢珈琲ブレンド)を入れ淹れていく

「手慣れていますね?」

「珈琲店のマスターに仕込まれたからね」

外での煎れ方なんか普通教えてないと思うとは誰も突っ込まないあたりいい子達ばかりだ

サーバーから紙コップに分けて、クッキー(いつもの青いの)をつけて出す、スティックシュガーと粉クリームと植物油のクリームも出しておく

「まるでオープンテラスの喫茶店じゃん?」

桐ヶ谷トーコは口調がかなり砕けてきたみたいで少し嬉しいかも?

「シバタ珈琲月ノ森店ですね」

ゆるふわちゃんにどこかのチェーン店みたいな名前にされてしまったけど、あんトーストどころかクッキーしか出てこないよ?

「え?なにこれ?羽沢珈琲と遜色無い?先生すごすぎない?」

桐ヶ谷トーコは羽沢珈琲を知ってるみたいだ。

「バンドしてるから、羽沢珈琲知ってるのかな?」

Afterglow(アフロ)の本拠地だからね

「あたしのギターの先生が羽沢珈琲の娘さんと懇意にされてるので、よくお邪魔しています」

どこかで聞いたような?

「桐ヶ谷さんはどなたかに師事されているんですね?」

すると自慢するかのように胸を反らし

「はい!凄い人達に教えてもらってます♪」

綺麗なドヤ顔は初めて見たかも

「透子ちゃんの先生は凄いですよ!」

二葉さんまで何故ドヤ顔?

「柴田先生もCiRCLE使われるんですよね?私達は主に学校の空き教室を許可をとって使用させて頂いていますけど。私達もたまにCiRCLEは利用させて頂いています、その時の縁もあって…」

二葉さんがリーダーらしい、本当に委員長体質だね

「柴田先生は『Roselia』ってご存…」

「トーコちゃんの先生の氷川紗夜さんは柴田先生と仲が良いですよね?」

その場が一瞬だけ空気がかわりかけた?

「仲が良いかと訊かれると、面識もそれなりにありますしそうですね」

ありのままに答えると

「そうなんですね、ロードスター(この子)の助手席によく乗ってるのを見た気がします?」

本当洞察力と記憶力がすごいね、でも

「それは多分…紗夜さんの妹の日菜さんですね。仕事の関係で送迎もしたりしていますから」

レオンさん絡みや、レオンさんが運転してる時じゃないかな?

「パスパレの仕事してるの本当なんだー、先生何気に業界の人?」

なんて言われるけど僕はそう思ってないし、正確には

「パスパレの仕事と言うか、パスパレの所属事務所でお仕事いただいてますよ?」

一応訂正をしておく

「先生になら無くてもいいんじゃない?」

なる選択肢は一応作りたいんだけどね?

「資格はあっても損はないですからね、みなさんも取れるものは取るといいですよ?」

少し先生らしいことを言うけど、同級生(新田さん)の受け売りだね

「でも先生はスタジオ経営も任されそうですし。特許もいくつか取るつもりですよね?最悪白鷺さんの婿の道もありますよね?」

一気にとんでもない物を投げてくる、まって?最後のなに?なんで千聖(ちさっ)ちゃんの婿なんてでてくるの??

「あとは、弦巻さんのおうちとも繋がりがあるし?…あれ?」

ゆるふわちゃん?

「「「七深(ちゃん)!?」」」

「あれ?私何か変なこと言いました?」

…怖いよゆるふわちゃん…

お陰で待ち人が来る前に閉店(解散)になったけど

その際にも

「恋人さんの新田さんが来るんですね?」

なんて言い出す

「本人の名誉のためにそこは違うとちゃんと言うよ。ゼミが一緒の同級生だよ」

 

何故かゆるふわちゃんと桐ヶ谷トーコと二葉さんに盛大にため息つかれたんだけど?

そういえば、ゆきんこは全然会話してなかったような?

人見知りされたかな?

 

 

『と言うことがありました!』

ずっと誰も何も言わないと言うか

「え?その会議室での内容って?」

賢人くんから聞いている内容と相違ないんだけど??

『ななみが調べてきましたけど?』

怖いね、怖いけど…良い子♪

『美波さん?』

気にしないでください、賢人くんに聞いてるのとほぼ間違いないですよ?

…最後のくだりは聞いてないけど♪

『で、先日の事が気になってうちのメンバー一人呼びましたから』

新しく入ったつくしのアイコンって…

『リーダーです!Morfonicaリーダーでドラム担当の二葉つくしです。よろしくおねがいします』

真面目な子みたい?

『なんだっけ?アレになにか言われたんだよね?』

みんな次の言葉に構えると

『アレ?トーコちゃん!何回も言うけど先生なんだから、村上先生って呼ばないと駄目だよ?!』

『『『「村上なんだ!!」』』』

ここ数日のみんなの疑問が解けただけでも有益だったかも

『いやー、でもふーすけもアレの言葉真に受けて柴田先生困らせたりよくするよねー』

だから先生をつけて!と注意してるけど…

『つくしちゃん(笑)アレ先生になるよ?(笑)』

みんな突っ込まなかったのに…

 

結果…

賢人くんに会いに月ノ森に行ったのはうやむやになった

けど

村上さんがつくしちゃんになにを吹き込んだのかもうやむやになった

え?村上さんって?

草加(仮)ですよ?

 




読了ありがとうございます。

あとはるいるいだけw


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十三話:教育実習編『だよねー♪何するんだろね?』

今回もよろしくお願いします。


―休日

 

日曜日は教育機関は実は休みではない、でも休めないわけでもない。

大変なのは部活動の顧問の先生達だ、運動部はもちろん文化系の部活だって日曜の活動はある。

教育実習一週目という事で部活動には関わらず休みを謳歌(一日ごろ寝)するつもりが…

 

 

なのに何故僕は早朝から川原に居るんだろう?

『疲れていますね?』

レオンさん久し振り

そう休みに千聖(ちさっ)ちゃんの強襲を受け、川原に引っ張ってこられたのだ

(なんかこんな事するイメージなかったけどなぁ?)

『お嬢はこんなもんですよ?』

飼い主のイメージぶち壊しにかかってます?

『柴田様はご存じの筈ですが?』

そうかな?記憶に無いなぁ?

『まぁ柴田様はそう言うでしょうね』

え?今レオンさん呆れた?すごく呆れてなかった?

『気のせいです』

…この紳士犬め

入れ替わったらまた偽善を働いてやる!

『悪いことじゃないのになんで悪そうに言いますかね?』

今度は強引なナンパに困っている女性でも助けて回ろうかな♪

『地味に実現可能で洒落になら無いのでやめてくださいね』

なんて言いながら最近の近況をお互い話していると

「相変わらず仲が良いわね?本当、会話してるみたいよね?」

ベンチで休んでいた筈の『かもフラ』な千聖ちゃんが現れた

『かもフラ』とは、『運動かも?』と『カモフラージュ』の韻を持たせた、

運動しないくせにジャージ姿な白鷺千聖の為のファッションスポーツを更に貶めた言葉である(作:賢人・レオン(犬コンビ))

「二人ですごく失礼なこと考えているわね?」

鋭い…千聖ちゃん…?あれ?なんかこんなやりとり何処かで?

まぁ事務所でかな?

レオンさん?なんでため息ついてるの?犬のため息なんてあんまり見ないよ??

 

…気のせいか良く見るけど

 

 

 

「それにしても、貴方達は本当に話をしているみたいよね?」

柴田さんとの逢瀬…と言うには色気のない散歩。

途中紗夜ちゃんと日菜ちゃん、そして美波さんまで加わっての柴田さんの教育実習の話となったけど…

 

柴田さん(あの人)は何をしに教育実習に行っているのかしら?

 

家に戻り、レオンの足を拭きながら話しかけてみる

『わうっ(そうですよ)』

そう返された気がする、私はレオンと家族だからそんな気がしているだけだけど、柴田さんは?

「天才だからかしら?日菜ちゃんもできるのかしら?」

二人の天才、系統がかなり違うけど、そのせいか日菜ちゃんはかなり柴田さんを気に入っている

 

「ケントくんはおねーちゃんの好きな人だから♪るんっ♪♪てくるよね♪」

 

なんて言っているけど、日菜ちゃんがあそこまで興味を持つのは姉である紗夜ちゃんの想い人だからだけではないとパスパレのメンバーはみんな確信に近いものをもっている

「そう言えば燐子ちゃんのノワール(黒猫)とも会話していたような?」

あの友希那ちゃんが物凄く羨ましそうにしていたから印象的だった

友希那ちゃんはポーカーフェイスというより、興味が音楽か猫と極端に薄い

…ある意味柴田さんに近い

その辺りで同属思慕とでも言うのか、同属嫌悪に見せかけた、所謂ツンデレをよくしている。

「良くというか…ほぼ見かけると罵詈雑言放ってるわよね?」

それを毎回受ける柴田さん

「なんで怒らないのかしら?」

…Mなのかしら?

と少し怖い考えになっていたら

「わぅっ!」

レオンが意識を引き戻してくれた

そうよね、本質は変わらないわよね?あの俺様が本当、久し振りに会ったら忘れられてるわ、別人と本当に納得するとこだったわよ!

 

 

 

「バイト?まだ本格的なオープンもしてない(正式な従業員も雇用していない)のにですか?」

電話の相手はオーナーこと弦巻曾祖父

『いつまでもあの状態にしておいても仕方なし、バイトの一人も出来れば格好はつくだろう?』

元が住み手の無かったオーナーの車庫みたいなものだったような?

『伝に即戦力になる経験者を紹介してもらったから』

初対面の人は苦手なんだけどなぁ

「鍵だけ置いとけばいいですか?」

なんて言っていたら

『流石にそれは無責任だよな?』

それは分かってますが

『それに、多分君の知り合いだよ、こころの知り合いだから』

…嫌な予感はしないけど

「スタジオスタッフ経験者の知り合いですか?名前が出てきませんけど…」

唯一出てきたのは、まりなさんだけど

まりなさんをCiRCLEから引っ張ってきたとしたら凄い話だけど、ありそうで怖い

『いや、こころと同じガールズバンドをしている子だね』

「ハロハピのメンバーで?」

美咲ちゃんかな?

『すまない、他のバンドの子だ』

誰だろ?

『こころの学校の級友のメンバーと聞いているよ』

…級友までは興味持てないよ

『こころには負けるけど可愛らしいお嬢さんだったよ』

可愛らしいか、仕事でき…いや即戦力の経験者らしいから

ん?なんか一瞬だけゾワッとした

なにか引っ掛かったのかな?

『ちなみに伝というのは?』

聞いても良いものかと思いながらも聞いてしまった

『まぁ、昔の馴染みだ』

弦巻曾祖父(オーナー)の馴染みというだけでどれくらいの人間になるのだろう、そこから昔の馴染みとなると魑魅魍魎とかもいそうな気がする

ちなみに今代の魑魅魍魎は僕らしい

 

なんでさ!?

 

という電話から数日経ち

「たえちゃんなの!?」

StarWind (スタジオ)』に現れたのはポピパのリードギター花園たえだったけど…なぜか横を向いている

「どうしたの?」

「『たえ』じゃなくて『おたえ』お・た・え!」

拘りらしい

「わかった、花園さんなら確かに大丈夫だな」

ポピパは基本ギター以外はまともだ、ドラムの沙綾(パン屋)ちゃん、ピンクのベースの子、キーボードが…あの…えーと小さい子!はまともな常識人だと思う。

ギターは…花園さんとボーカルギターの星の子…なんだっけ星のかー…カービィしか思い浮かばない

(星の子、星の子呼んでるからなぁ)

 

しかし、そうだよな、弦巻曾祖父(オーナー)にしてみれば、同世代で少し大人びてても「可愛い」に分類されるんだよな

(花園さんは綺麗の部類だと思うのだけど…?)

中身はともかくだけど

「きいてる?」

目の前で手を振るのではなく、背を比べるように頭の上で水平に振ると

「おおっ?!伸びてる??1cmくらい??」

本当自由だなって

伸びてるの??

「イヴくらいになってる?20歳(はたち)になっても伸びるんだぁ」

本当なのか少しだけ気になる

じゃなくて!

「花園さんはバイト掛け持ちしまくってるだろ?『StarWind (うち)』でもバイトするなんて大変だろ?」

この自由人これでも接客はちゃんと出来るし確かに即戦力だけど…

楽器店にライブハウスにスタジオとバイトの掛け持ちが凄い。

『StarWind 』のコンセプトというより内装や機材や備品をどうしようと生活範囲から少し離れたスタジオで受付に現れたときは感心より呆れが勝ちそうだった

「大丈夫(ぶいっ)!暫くは楽器店と『StarWind (ここ)』だけだから」

うん、ブイサインは良いけど言いながら言うものなのかな?

「もうすぐ夏休みだから住み込みもできる(ぶいっ)」

それはダメだろう?

沙綾(パン屋)ちゃん達が居ないから止める人間がいない!

と焦っていたら

「流石にそれはしないけど」

この子は本当にもう…疲れる

「あと!花園さんじゃなくて、おたえ!」

「はいはい、おたえちゃん」

少しむすっとしたけど納得してくれたらしい

「ケントは「店長」で良いの?」

……

「僕、何かするの?」

 

 

 

『あれ?今日更に少ない?』

今日はまぁその…

『みんながみんな抜け駆け?』しようとして大騒ぎだったからね♪』

日菜ちゃんもだよね?

『あたしはおねーちゃんの付き添いだよ♪』

うん、いちばんくっついてたけどね、あの後紗夜ちゃんに怒られなかった?

日菜ちゃんがくっついてても慣れてるという賢人くんにも問題あるけど

『あのー大変申し訳ない情報いいですか?』

あれ沙綾ちゃんアイコンが新作のパンに変わってる?

じゃなくて、どうしたの?

『あの、うちのおたえが『StarWind 』のバイトに採用されました』

……

…え?

『『あのスタジオちゃんとやる気あったんだ?!(♪)』』

おたえちゃん?

ポピパ(うち)のリードギターです。ライブハウスやスタジオ、楽器店のバイトしてるから確かに適任です』

隣のお店ちゃんと始めるんだ

…賢人くんはなにするの?

 

『『『え?』』』

『だよねー♪何するんだろね?』

 

賢人くん、したことないことはなにもできない

今もあの『StarWind (スタジオ)』の管理と掃除しかしていない、機材とかは貸した子達まかせと聞いている

 

『夏休みで覚えるのかな?』

そうかも

『それって、夏休みずーっとおたえちゃんと一緒じゃない?なんかるんっ♪てこないなぁ』

そうなるのかな?

今日は千聖さんも紗夜ちゃんも居なくて良かったのかも?

『よしっ!パスパレ(うち)も夏休みは全部『StarWind 』つめちゃおー♪』

なんて言い出したけど

『それが、おたえが従業員割引で借りれるからって結構予定いれまして、蔵があるのになにやりだすかと本当』

怖い未来が見える気がする

 

どうするんだろう??




読了ありがとうございます。


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十四話:教育実習編『みんな拗らせてるねー♪』

今回もよろしくお願いします。


―7日目

 

「?なんだろあれ?」

 

職員用駐車場にロードスター()を止めると駐輪場に…

 

これは…

【SHADOW SLASHER】…ダークレイダーのベース車だよね♪

なんて少し上がりかけてたら

 

「せんせーもそっちですよね?」

ゆるふわちゃんが現れた(気配はあったけど)

「おはようございます、広町さん」

ごきげんようだったっけ?

「おはようございます♪」

普通に返してくれたけど

バイク(あれ)村上先生のですよ」

誰だっけ?

きっと休んでた先生だね。

と知らない名前に納得していると

 

「え?」

ゆるふわちゃんに変な顔をされた?

あれ?なんで??

 

「柴田くん、ちょっといいかな?」

なんて困惑していやら…教頭先生が教師用昇降口からにこやかに僕を手招きしているんだけど?

え?

僕いま駐車場に車停めてましたよね?

そこのバイク僕のじゃないですよ??

 

 

 

「いや流石に申し訳無いとは思っているよ」

教頭からの理不尽な注意を受けていると、草加(仮)さんが慌てて自分のバイクだと申請に来た

…あれ?ゆるふわちゃん休んでた先生のバイクって??あれ?

 

「しかし、変わった乗り物や、変わった事は全て柴田くんになるとは…君は本当すごいね」

誉められている気が全くしない

そんな事を言われながら会議室に入ると

「柴田くん、自分の荷物を人のとこに放置しちゃだめだよ?」

OGさんが…黒に白のパターンが入ったヘルメットを指さしながら窘めてくる。

うん、そこ草加(仮)さんのとこだね、そして、それは草加(仮)さんのだよ?

 

(いま登校してきたばかりの僕が疑われるってどういうこと??)

 

僕が複雑な顔をしていると

「なんか、本当悪いね」

こういうところは草加ぽくないんだけど、それ草加のヘルメットと同じやつだよね?そこそこ高いよね??ライダースジャケットも同じやつだよね???

草加でいいよね?

もう若干自棄気味になっていた…これも草加(仮)って奴の仕業なんだ。

 

 

ちなみに後でゆるふわちゃんから、Shadow Slasherは草加のバイクでもあると教えられた

あと

「村上さんと言うのか…」

草加(仮)から村上さんに上書きしたけど、かなり草加を意識してるから草加と呼んだ方が喜ぶんじゃないかな?

 

…後にサイドバッシャーを引き取ったのは村上さんだったりする…

 

 

 

「やはり君はずるい…」

お昼を一緒に食べながら

草加(仮)改め村上さんからまたそんな事を言われる

なんか段々可愛そうになってきた

「ずるいと言われても、割りを食ってるのは僕ですよ?」

新たに月ノ森に闖入してきたShadow Slasher(変わった乗り物)がどうやら生徒の間では僕の乗り物ではないかと噂がたっているらしい

 

「しらんわ!」

 

とは偽善者だから言えず(狭い人間関係の軋轢を生まないのも今回の目標!)

仕方ないので、偶然廊下にいたゆるふわちゃんにクッキー(いつもの青いの)を一箱を渡して

誤解を解くのではなく

 

『あの先生が普通の(まともなバイク)に乗ってくるはずがない』というものに差し替えてもらうように頼んだ

 

え?人選ミス?他に頼めなかったのか?

…だって僕になついてくれてるのゆるふわちゃんだけだし(涙目)…

 

それを見ていての村上さんの発言だったけど…

あれ?元を正せばこの人のせいのような気がしてきたぞ??

 

「もう女生徒になつかれてるなんて…

パスパレとも仕事(バイト)で会えるし…なにより、ふみふみと同じゼミとか、君は本当にずるい!」

 

「新田さんは眼中にないのか!!」

 

あれ?なんで今僕少しいらっとしたの??

 

まぁ、それは置いといて

草加(仮)改め村上さんはアイドルが大好きらしい…あと女の子も

そんな人間女子校で教育実習させて大丈夫なのかな?

傍目はまぁ草加だからいいのかな?

いや駄目だよね?

と困っていると

 

「せんせー?」

入口にゆるふわちゃんがいた、もう終わったのかな?

「広町さんどうしたの?」

入口にいくと、あげたクッキー(青い箱)を見せ

「これおいしいですね、何処のお菓子屋さんのものなのか訊いて来てほしいって頼まれました」

…まさか

「この薄い紙の箱といい、この間も思いましたけど小分けにされているところといいすごく機能的ですよね?」

普通に流通しているお菓子を知らない?

 

頑張ってもらうためにもう二箱渡したら喜んで戻っていった…大丈夫なのかな?

 

 

OGの人にクッキー(青いの)を見せながら珈琲飲みながら訊いたら

「私も大学はいるまでコンビニも知らなかったからねー」

何て言われた

改めて、月ノ森(ここ)って凄いね

 

 

 

そう言えば帰りの申し合わせで困った事を聞かされた…

そろそろ部活動の方にも視野にいれてほしいとのこと…

 

「柴田くんは軽音部の子達と仲が良いから一択でしょ?」

最近お決まりのグループ?で残っていた

村上さん、マヤさん、OGさん、僕

「僕だって音楽なら少しは…」

村上さんが対抗しようとするが、このメンバーでは意味がないのを解っているのですぐやめた

(空気読めるし僕よりよっぽどまともだと思うけどなぁ、なにより背が高い!)

182だよね…羨ましい

なんて考えていたら

「な、なぁなんで柴田くんがこっちずっと見てるんだ?」

なぜか怯えるような感じで村上さんが言うと

「あの噂は本当なんですね!」

マヤさんが本家よろしく喜色の声をあげる

「え?あれ本当だったの?」

OGさんまで?

いったいなんのこと?

「な、ないからな!僕は至ってノーマルだから」

また村上さんが慌ててる

そして生暖かいマヤさん・OGさん(女子)の目線

あれ?この目線って?

えーと確か誰かにこう言えって言われてたよな?

 

「え?村上さん、僕のこと狙ってるんですか?」

 

-場が一瞬固まったあと

「そんな『きゃーーーーやっぱりそうなんだァ!!!』ある…かぁ…」

村上さんの叫びより女子二人の黄色い声が勝っていた

 

本当女性はこういうの好きだよね(個人的偏見)

 

 

 

「だそうです」

確か誰かが前に賢人くんにこうしてみたら?と教えた手だけど

『相変わらず使いどころのタイミングが最悪に悪い』

『すみません、ななみです!あいつが噂の元凶です!』

まぁ、なんとなく解ってたけど

『せんせーの誤解を解こうとしてたら何故か村上先生とせんせーが付き合ってるなんて話になって』

…どう話したらそうなるの?

『アハハ♪ななみちゃんおっもしろーい♪ケントくんのゲイ疑惑がここに来て大爆発だね♪』

面白がってるし

『…お兄ちゃんの誘い攻めだよね!草加さんのへたれ受けで!!』

約一名スッゴク食いついてる

『…松原さん…それは、…なにか違うと思いますよ?』

よくわからないけど違うらしい

『そうよ花音、草加の強気へたれ攻めからの柴田さんの天然無自覚ドSリバが鉄板よ!』

もっとわからない…

『…』

「…」

ねぇなんでみんな黙ってるの?今のわかったの??

最近のJK怖い…(あくまで2年前私もJKだったと主張するけど)

 

『誰か解説をお願いします…』

委員長(紗夜ちゃん)のドスの効いたその一言で全員が我にかえったみたい

『わ、私は何を?』

千聖さん我を失ってましたね

『えっとね、おにいちゃんが…』

『説明しなくていいです!』

…もしかしてあの呪文のようなの理解しちゃったのかな?

 

『みんな拗らせてるねー♪』

だよね

 




読了ありがとうございます。


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十五話:教育実習編「よろしくお願いします、先生」

2週ほどあいてしましました

いえ決して日テレ系の日曜夜の番組MCがゆあたんで喜んでおかしくなっていたわけではありません…多分w

今回もよろしくお願いいたします。



―8日目

 

「ここまで予想通りとはね」

会議室から駐車場を見下ろしながら、村上さんが複雑な顔をしている

そう、教員用駐車場に生徒の姿は少なかった

ゆるふわちゃんがクッキー(いつもの青いの)三箱で頑張ってくれたようだ

ちなみに、本日も村上さんはバイク通勤して、一緒に掃除をして一息ついて(珈琲タイム)いるところ

 

「なんだろうね?柴田くんが小さいからか?大きいと怖いからかな?」

なんか失礼な事いわれてるけど、自虐してるし…大丈夫かな?

 

「で、何を朝から二人は黄昏てるの?」

OGさん、なんか叔父さんみたいな発音になりそうとか考えていると

「柴田くんはもう少し人に興味持とうね!」

なんて言われた…名前忘れてるのバレてるね…

 

朝の申し合わせで、そろそろ顔出しする部活を決めて申告してほしいと言われる

OGさんをはじめとした月ノ森OGの人達は元々在学中に所属していた部活に顔を出しているらしい

…うーんどうしよう

「ふふんっ」

村上さんが草加スマイルをしている、なにか悪いこと考えてるのかな?

「僕の受け持つクラスにも軽音部の生徒がいたんだよね」

あー、なるほど

「柴田くんはどうする?」

あれ?誘ってくれるとか…やっぱり形だけ草加ないい人だなぁと感心してたら

「ほら、柴田くんが受けだよ…」

なんて不穏な言葉が聞こえた

僕は受けじゃなくて「避け」とか「無」とか「逃げ」だと思うのだけど?

野球とかやる気ないし、受けたり投げたりとか得意じゃないし

運動系の部活は駄目だよなぁ

「柴田くん?おーい?否定しないと噂が拡がるよ??」

OGさんが言うけどなんのことだろう?

「なんの事です?運動系の部活じゃなくて文化系の部活がいいんですけど?」

答えるといつもの三人以外は絶賛変な顔をしている

ん?この三人の顔は平均以上というかかなり整ってるけど、残りの皆さんが整ってないという意味じゃないけど?

「相変わらず無関心だよねー?先生するならもう少しなんとか興味とアンテナもちなよ?」

なんか正論を言われてるけど

何を間違ったか解らないんだけど?

なんか無性に間違いが気になる…

 

 

「やっぱり科学部とか機械工作部とかはないのか…」

やはり文化系の部活動に顔を出すことにしたけど

興味をそそられる部活がない

僕の母校には色々な文化系の部活動があり約3割に所属していた

「ん?」

廊下を歩いていると弦楽器特有のはりつめたような綺麗なおとが聞こえてくる

単音が重なり、ピアノのような?物凄く興味を引かれて音に引かれるように進むと…

「琴か?!」

そう言えば三味線は少しかじったけど(蛇味線がなんか刺さった)

大正琴がピアノの作りに似てるなぁ程度で終わっていたのを思い出す

「教生の柴田先生ですよね?」

弾いてるのを止めてこちらを向くのは…綺麗な黒髪の理知的な顔をした生徒だった

(なんというか、似合う!)

白金燐子(黒いの)とは逆のベクトルで匹敵する髪の綺麗さとあいまった佇まいだった

(でもどこかで見た気がする?)

非常識に振り回されて…るようで喜んでる苦労人(?)の姿がなんとなくちらつきつつも

「はじめまして、教育実習で勉強させていただいている柴田です」

扉から伺うように挨拶をすると

「和奏響と申します、3年なので先生の授業は残念ながら拝聴させていただいていません」

…うん、何気に先生と言いつつ『拝聴』か、少し挫けそう

なんて考えつつも、その彼女の前に置かれている和琴に興味が惹かれる、弦楽器だけに弾かれる!はいっケントじゃナイトぉっ!

 

…一家に一人ヒューマノイドだよね

 

「えっと、弾くと惹くまでなら上手かったのに、先生の名前を間違えての捨て身のお約束が台無しにしてる?でいいのかな?」

って、ゆるふわちゃん??

「珍しいですね、あなたは確か広町さんでしたね」

ワカナヒビキさんがゆるふわ(広町)ちゃんを認識している、生徒会か何かかな?

「はい、お久しぶりです会長。すみませんるいさ…八潮さんがどこにいるかはご存知ありませんか?」

誰かを探している?

「今日は生徒会は無いわよ?それを知っているから貴方もここにきたのでしょう?」

どうやら生徒会の人らしい

生徒会の役員とは挨拶をした記憶はあるけど覚えてないなぁ

こんなに髪綺麗なのに…記憶容量をもっと確保しないと駄目だな

「こちらに顔を出しているかと思ったので、他を探してみますね」

ゆるふわちゃんが礼をすると廊下を戻っていく

「気になりますか?」

「えぇ、あの子が探して見つからないというのが気になります」

カナデヒビキさんの言葉にそのまま返すと驚いた顔をされる

「柴田先生は彼女とはお知り合いとかでしたか?」

「この学園で最初に声をかけてくれたのが彼女ですけど、知り合いというべきなのでしょうか?」

ここらへんが昔からわからない

「…先生は『変わっている』と言われませんか?」

「自称偽善者の変わり者です」

その言葉に

「やはりあなたには教師は向いていませんね」

あっさりさっぱりと生徒からダメ出しをされてしまった

「教職は教え導くものであり、生徒の手本、少しは見栄を張ることをおすすめします」

なかなかに辛辣だった

そして

「生徒にこんなことを言われて受け入れてしまうのも問題ですよ?」

あ、これはなんというか

もし同級生だったら、紗夜さんが僕に対して取りそうな言動な気がする、歳上だから何か言いたいの我慢してるみたいだし

「先生?よく『お可愛いですね?』と言われますよね」

決めつけられた!

でも、まぁ、否定は…したいなぁ

何がというか、僕の反応が面白かったのかワカナヒビキさんは薄く笑うと

「広町さんといい、本当にお可愛いです…」

悪意に疎い僕にも判る悪意が感じられたけど残念にはすこし思ったけど気にしない

というか、何故ゆるふわちゃん?

 

なんて考えていたら

「会長!八潮さんが!!」

多分見たことのない生徒が走り込んできた、体育の時間以外は学校内はのんびりとしたイメージを持っていたので正直何事かと思ったら

「や、八潮さんが!!教生の先生を打ったそうです!!」

 

え?暴力沙汰??

 

「それは本当ですか??」

ワカナヒビキさんが慌てている

そう言えばゆるふわちゃんとの会話をなんとか思い出す(もう少し経ったら忘れるつもりだった)

(生徒会関係者が暴力沙汰か、これはまずいよね)

教育実習生(教生)とはいえ…教生??

だれ?誰が打たれたの??

「その、村上先生です」

あれ?僕口に出してた??

というか

「「あ、やっぱり」」

どうやら共通見解だった

流石に知らせに来た生徒も苦笑いしている

「あの先生(ひと)なら?と思ってしまいましたけど、ちなみに柴田先生は八潮さんとは面識は?」

ワカナヒビキさんが聞いてくる

暴力沙汰はいいのだろうか?

「いえ、そういう生徒さんなのですか?」

そういうと言うのは、いろんな意味にとれる

「そうですね、真面目ですが…最近は大分融通が効くようにはなったと思います」

真面目だから女子生徒(現役JK)に絡む村上さんを嗜めてからの

「…手を払った程度?」

行き着いた答えだった

村上さん(あの人)は見目もいいから多分モテている

月ノ森(ここ)は外の世界(社会)とは若干違う事に気づけてない程普通に一般人だ

僕?

僕は地元の中高一貫の進学校(男子校)だから、この空気はすこし判る、女子部とか近所のお嬢様佼の空気だ、月ノ森(ここ)の方が気品というか本物感が違う。

うちの地元のなんか純金に成金に鍍金とか混ざってたからなぁ

ちなみに杏子(あんこ)は鍍金に見られがちだけど純金と言われる部類だったりする。だってあの家何気に歴史古いよ?新興とは違うからね?

そんな杏子にうざ絡む様な新興は成金や鍍金と称される部類に入る。ちなみに凄く迷惑をかけられた様な気がする(記憶から消してる)

 

「そうなの?」

ワカナヒビキさんが駆け込んだ女生徒に訊ねると大きく頷いていた

「八潮さんの嫌いなタイプでしょうしね」

そして何故か僕をみる、僕も嫌いなタイプなのだろう。

「で、手を払われただけで騒いでる自信過剰な先生擬きが騒いでいると…」

先生擬きその2です!だからこっち見てたのね…というか

「場所はどこですか?」

仕方ないので収拾しにいきます

偽善者だから…

「よろしくお願いします、先生(・・)




読了ありがとうございます。

またよろしくお願いいたします。


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十六話:教育実習編「それは本当ですか?ミロード!」

お久しぶりです

三回消えると
私でもくじけますorz

ノートが古いから油断すると・゜・(ノД`)・゜・

今回はスマホに打ち込んでいるのがノートの方に上書きされてとか
悲しいことがありました…

おかげで外伝もちょっと投稿しますw<マテ


-8日目 その2

 

「あれ?柴田先生?」

「ケント先生(センセ)どうしたの?」

案内された空き(?)教室に入ると

楽器を持った…えーと…ここまで出てるんだけど…そうそう桐ヶ谷トーコ(桐ヶ谷さん)委員長(二葉さん)ゆきんこ(倉田さん)がいた

本名わかるの?って?覚えてるよ、まだ実習期間だから

そうか、その八潮さんはゆるふわちゃんが探してたからバンドのメンバーだよね。

ゆるふわ(広町)ちゃんはまだ帰ってきていない様子

で?当の本人たちはどこよ?

って、居ないから探してるんだよね…

「村上先生も居ないか…あ、ちょっとごめんね」

空き教室は丁度職員駐車場が見下ろせたので…顔を出すと

村上先生のShadowSlasher(バイク)はある?

会議室(した)かな?」

どうやら教育実習生用に割り当てられている会議室の2階上にある教室だったようだ…え?音聞こえてきたことないよ??

どんだけ防音効いてるの?凄いな

「先生危ないですよ?」

癖で身を乗り出しすぎた

新田さんにも怒られるけど

教室移動って直線距離の方が早いよね?

母校は校庭側に運動部の球避けに4階まで覆うフェンスがあったんだよね

1階分くらいならそれで移動した方が早い…ちなみに、本館にある職員室に鍵を取りに往復するのが面倒で校庭側の窓の鍵をひとつ開けておくという暗黙の了解もあった

もやしのシバケン(自分)でも出来た為

結構な人間がそんな教室移動をしていた

ちなみに、フェンスから屋上に行くのは…危ないからお勧めしない

下が芝生で土が柔らかいのと校舎とフェンスの間が狭くて良かった…

 

と昔を懐かしみながら

1階分くらいならフェンスなしでも降りられるので…

2階下の会議室に行こうとしたら

「ちょっ!センセ!?」

桐ヶ谷トーコにジャケットの裾を掴まれ止められ…

「え?なに?おもっ!!センセ?体重いくつ??」

「50くらいだよ?」

『うそっ!!』

何故かハモって抗議された

そんな嘘言っても仕方ないんだけど?

「え?なら??え?あたし引っ張られるとこんな手応えなの?」

そうか桐ヶ谷トーコは50くらいなのか…

「まだそこまでいってないから!ちがうからっ!!」

また口に出てた?

これは殺されかねない事案なのは新田さんで学習したのに…

女神も人を殺せるんだよ?知ってた?僕はその時知ったよ…

「んじゃこれ置いてくから、またあとでね」

ジャケットを脱いで窓から下に下にと降りる、換気目的で窓は開いているはず!?

「ちょっ!?センセ?って、おもっ!!なにこれ?スッゴク重いんだけどっ!」

桐ヶ谷トーコがまた叫んでいる

賑やかな娘だ

 

 

 

「あれ?村上さんは?」

窓から入ってきた僕の質問は軽くスルーされて

「柴田さん?何処から??ここ2階ですよ!?」

「下からじゃなくて上からだったよね?上から??」

残っていたマヤさんとOGさんに詰め寄られる

うん、ジャケット脱いでおいて良かった、3階の窓閉じてたからそのまま降りたけど、ジャケット着たままだとちょっと危なかった気がする

上着着てると嵩張って動きにくいからね

 

「で、村上さんは?なにしてるんです?」

掃除用具入れになっているロッカーをあけてその前でなにか呟いている…ネタがわからない

「ネタじゃない!」

あ、反応したというかまた口に出てた?

マヤさんもOGさんも縦に首をふってる

これ不味いよね?

「いや、柴田くん。俺のこと少しは気にかけてくれないか?」

俺の事を好きにならないやつは消す!とか言わないんだ

「いや、本家もそこまでは…似たようなこと言ってたなぁ…」

なんだろ村上さんの好感度が二割増しくらいになってるなぁ

OGさん引かないで、あとマヤさんは目を輝かせないで怖いから

 

 

 

「えーと、事実確認していいですか?」

話を聞こうと残ったメンバーでお茶をしていた

「僕の予想では、えーとや、八代さんでしたっけ?」

「八潮さん」

自分の受け持ち以外は記憶してないのであやふやなのを訂正される

「その八潮さんを介して軽音部に顔を出して、なにかやらかして、不興を買って、八潮さんに拒絶され、更に強気に取り繕うとしたら、手を(はた)かれたのを見られてしまったと…」

僕の予想を話すと

村上さんが「見てたのか?」と驚いていた

「僕はその頃和琴を聴いてましたよ」

確かワカナヒビキと自己紹介されたよね?会長って生徒会長だと思うけど…記憶がない。おかしい…

「あのクール会長か!?」

本当よく知ってるなぁ…

「えーと…ワカナさんだったよね?」

OGさんが頷いて肯定してくれるが

「村上くんのあだ名の付け方もアレだけど、柴田くんもあだ名とか愛称とかってわかるでしょ?」

すっごくあきれた顔をされた

「まぁ、村上くんの教師への道は閉ざされたわけだけど、後は途中退場になるかだよね」

草加はテレビも映画も途中退場してたしね…OGさん嬉しそうだね?

「俺はあんなんじゃない!好きだけどあぁはなりたくない!」

好きなんだ、でもあぁはなりたくないって…矛盾してる?

というか教師の道はいいの??

「男二人だけでわかる話は…」

「私わかります!513ですよね!」

食い気味で割って入ってきたマヤさんはわかる人だったけど

「テレビは巧×雅と思わせての雅人のヘタレ受けと思ってたんですけど、やっぱり巧×直が王道ですよね!あとのテレ朝のドラマも一緒に出てましたし!映画は…」

マヤさんが絶好調だった

 

マヤさんが落ち着いた頃

携帯から古代文明に戻って順に辿りだしたのは驚かされた

ちなみに好感度はプラスマイナスゼロだった…怖いんだもん…

「柴田せんせー」

入り口にゆるふわ(広町)ちゃんが来ていた、小さく手招きをしているから

「ちょっと聞いてきます」

鞄から青いの(いつもの)を三箱出して廊下に出ると、僕のジャケットを重そうに抱えて桐ヶ谷トーコというか軽音部がいた…三箱じゃ足りないな

 

 

「羽沢珈琲柴田支店再びです!」

場所を移して、また部室へ…会議室に備品のごとく置かれている紙コップやら給湯室で沸かしたケトルも持ち込んでいる

「いや、前回は柴田珈琲だったよね?」

フィルタードリップしながら言うと

「先生の珈琲の出所が羽沢珈琲なのはばれてますよ?」

隠しているつもりもないけど…少しだけ残念気分なのはなんでだろ?

「というか誰から情報なの?」

「あたしのギターの先生だよ」

…桐ヶ谷トーコのギターの先生

ギター…誰だろ?日菜ちゃんそんなことしてる暇無いし、あの娘は人にものは教えられないよね?

「それより、村上先生?さっきはるいさんがすみませんでした」

二葉さんが村上さんに頭を下げている

ここで調子に乗るような人じゃないと思うけどなんか嬉しそうだ?

「いや、僕の方こそ悪かったよ。多少かじったくらいの人間に教えられることなんかないのに…」

殊勝だ…

「村上さんなにか悪いもの食べた?」

草加ムーブしないなんてなんて残念なイケメンなんだ…

「失礼な!君もあの演奏を聞いてみればわかるよ、少しかじった程度の自分じゃなにもいえないことを…」

あれ?えーと…

委員長(二葉さん)がドラム」

「はい、そうです」

桐ヶ谷トーコ(桐ヶ谷さん)がギター」

「だよ」

ゆるふわちゃん(広町さん)がベース…って、キーボードなのかな?村上さんもピアノ経験者?」

消去法だった、たしかゆきんこがボーカルと作詞だから

残りはキーボードだから作曲もしてるのかな?と思ったら

「僕は『ヴァイオリン』経験者だよ」

「へ?キーボードなしのフロント、それもストリングス編成って凄いね」

というか、『バイオリン』『ヴァイオリン』の拘りは少しだけわかる

『ヴァルキリー』と『バルキリー』の違いみたいなものだよね?

まぁ僕はあまり拘りがないんだけどね

「それは少し興味がわくね」

なんて言っていると、LIVEに来ませんかとか社交辞令だよね?とか村上さん忘れられてない?とか

若干紗夜さん達にはあまり感じない女子高生ムーブに困惑しつつも

「そうだね是非…」

と口にした瞬間

「それは本当ですか?ミロード(My lord)!」

?教室の扉が開き、背の高い凛々しい子が突入してきた…村上さんが若干怯えたので…

「るいさん?「ルイ?」「るいるい?」「るいさん?」

この子が話題の『八代ルイ』だろう…

「柴田くん…『八潮(やしお)』さんだからね」

 

何故か突っ込まれた(訂正された)




読了ありがとうございます。

私も愛読させていただいてる方たちに比べるとはっちゃけてないからなぁと
ネガってたのもあって遅れましたが

今後もがんばりますのでお付き合いください


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寄道戯言:まさとくんとちさとちゃん①

いつもありがとうございます。

寄道は正規ルート(?)のこんな話もあったんですよ?な位置づけです

短めですがお楽しみいただけたらと思います。


『どっちがしっかりしてる?』

 

―パスパレ所属事務所内中ミーティングルームA(通称「パスパレ部屋」蔑称「犬小屋」)

 

「おはようございます」

誰もいないことはあらかじめ知っているけどノックと挨拶は基本よね

(うん、誰もいないわね)

大机に荷物をおろすとミーティングルームを見渡す、いろいろ物が増えたわよね

その中で若干異彩を放っているのが…壁際に置かれた

『アニマルタレント課バイトリーダー用PC』とネームタグが貼られたパソコンが置かれたオフィスデスク

パソコン本体にまだよく分からないネームタグが貼られているけど記号の羅列なのでよく分からないのよ

まぁ、簡単にいうと柴田さんの机よね。

ちなみに私の記憶だと営業部の部長さん達の机と同じサイズで引き出しも多い立派な机だけど…余っていたのかしら?

 

そんなことより

皆(とくに日菜ちゃん)が勝手知ったるん♪と鍵をかけてないから開ける引き出しをあけると…

「やっぱり減ってるわよね?」

柴田さんが好んで買い込んでいるお菓子が詰まっているのだけど

本人の預かり知らないところで減っている(主に日菜ちゃんと共犯として彩ちゃん)

あと、傍目からはこんなにごちゃごちゃしてるとは誰も思わないくらい整理されていない

「賞味期限がまたばらばらに」

私が補充用に買ってきた…

(あのコンビニあまり回って(繁盛して)ないのかしら?)

私が買ってきたのが一番賞味期限が先だと思ったのにそこまで新しくない、柴田さんは何処で購入しているのかしら?

 

ドラマの台本あわせがあるのでそこそこ綺麗に整えて、少し満足できたから引き出しを閉めてマネージャーのもとへ向かった

 

 

 

「おはようございましたー」

ノックをして返事をまつ

返答がないけど少しまってもう一度…誰もいないのを確認して挨拶をしつつ中に入る

ノックして待たないと大変なことになるからね、特に着替えとかしてたら本当…

日菜ちゃんとかは「見せても減るものじゃない」とあっけらかんとしてるけど

千聖(ちさっ)ちゃんは「矜持が減る」と日菜ちゃんを叱る。

叱り方がどことなく紗夜さんぽくなっているのは日菜ちゃんに効果がある叱り方を追求した結果だろうけど

(正直紗夜さんに見えるんだよね)

千聖ちゃんの女優としての能力なんだろうけど感心させられる

 

ん?誰かもう来てたかな?

空のコンビニ袋や荷物が大机に放置されている

畳んで鞄に入れておけばエコになるのに…と縦に畳み三角折りにしていく。

畳んだ二つを大机の上の(飴入れ)に放り込みつつモニターの電源を入れ…引き出しを開けると…あれ?増えてる?

あー、多分また日菜ちゃんあたりが漁ったのを見てて誰かが補充してくれたんだね。

コンビニ袋の出所がわかった。

けど、コンビニで買うなんて…

引き出しを全開にして確認をする

(賞味期限順にしてくれている)

前から置いてある分の箱の横にこっそり貼った青い星のシールを確認する

コンビニは商品入れ換えが店によってちがうし、なにより定価

コンビニのオリジナルもあるから扱いが複雑らしい、あるコンビニは青い箱のミニ版を展開してて一時期買っていたけど…割りにあわない(笑)

ということで、もっぱらスーパーで購入をしているのが星のシールをつけた箱だったりする。

なんでシールを貼るか?

買いすぎて余っているからなんだよね

あと、こっそり補充してくれてる子にお礼しないと

 

モニターを向き、防犯カメラの映像を探る(事務所の許可あり)

千聖(ちさっ)ちゃんだな…やっぱり」

少し前にコンビニ袋をもってパスパレ(この)部屋まで来てたのは千聖ちゃんだった

なぜか嬉しくなり

シールを貼っていない(・・・・・・・・・・)箱を取りだし自分の鞄から出した少し大きめのコンビニ袋に入れてくるむようにして鞄に戻す

「本当…定価で買ってくるなんてお嬢だよね」

するとタイミングよくドアがノックされるので返事をすると

「良かった、柴田さんちょっと教えて下さい」

どうやら先日作った管理用Webページが分かりにくいみたいだ

「実際どうなってるか見ながらしましょう」

なんか先生みたいと言われた、一応教職も考えてはいるから少し嬉しいかもと思いつつ部屋を出る

 

 

 

…い、いきましたよね?

なんですか!!

なんなんですかあの甘々ぽい空気は?

挟まっていたのでしっかり見えませんでしたけど…空気だけでジブン口の中甘いんですけど!!

そうでしたか、柴田さんはやっぱり…

少しだけ胸に微かな痛みを感じましたけど気にしません!

でも、柴田さんあんな顔もするんですねぇ、フヒヒヒ、挟まった甲斐がありましたね、役得です

 

それにしても、声をかけないジブンもですけど

何故お二人とも挟まって動けないのに気づいてくれないのですか?

そんなに影薄いですか??

コンビニ袋ジブンのですよ!!(千聖さんは確り畳んでいましたよ?)

 

ちなみにジブンは

その後雑誌の撮影が終わったイヴさんに発見され事なきを得ました

 

しかし、柴田さんのあんな顔を見てしまったジブンとしては…

あまり柴田さんの青い箱は勝手に食べてはいけないなと思っていましたけど…

 

(あんな顔をするほど好きなのですねぇ…)

 

イヴさんに相談したら、

「そうですね、マサトさんがくれるとき以外はガマンです!武士はクワネドタカヨージです!!」

 

流石イヴさんです!

 

でも、クッキーに向けた顔とはいえ、あんな顔で見られたら嬉しいでしょうねぇ

 

え?違う?何がですか?

柴田さんあのクッキー大好きだからあんな顔してたんですよね?

食べてもいないのに甘い空気になるくらいに?

 




読了ありがとうございます。

なんとなくIFルート(対抗ルート)やIFelse(大穴ルート)にもやりそうだな
と思ってたら…

IFの更にswitch(case)が現れるとは…

今後ともよろしくお願いいたします。


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氷川紗夜ルート外伝:蕾の青薔薇1 「その後の二人」

今回もよろしくお願いします。

対抗ルートのENDである「氷川紗夜ルート」と思わせつつ
根元は全ルート共通だったりしますw

偶に出てきて間違ったツンデレブームをしていく友希那さんの話だったりします。


よろしくお願いします。


 

 

羽丘(高校)を卒業して、一芸特待生として燐子と同じ大学(音大)に入学した

 

そして、正式にRoseliaがメジャーに上がり(デビュー)

 

私の当初描いていた思惑とは道はかなり変わったけど…目指す(頂点)は変わらない

Roselia(みんな)がいれば大丈夫だと思っていた…

 

 

そう…

 

紗夜が学生結婚するってなに!?

 

相手はもちろんあの柴田賢人(バカ犬)だけど

 

あの男、理性の塊どころか情欲の獣、本当に犬だったのね…

 

そう紗夜のお腹には新しい命が宿っている

あの犬獣(しばたまさと)との子だ

紗夜の事だから育休中(大学生だけどメジャーアーティストだから、間違ってないわよね?)もギターを手放さないとは思う…

というか、正直胎児の胎教的には…どうなのかしら?お母さんに聞いてみよう…

多分「お父さんがあれであなたみたいな子になったから、あまりお薦めしないわね」なんて言われると思うけど…

ま、まぁ、駄犬(しばたまさと)との子だから…

 

あれ?それって、、、

 

「り、リサ?ちょ、ちょっといいかしら?」

部屋に来ていたリサに怖い考えを聞いてもらおうと思うのは、まだ私も普通の人とおなじなのだと少し安心しつつも…

「ゆーきな♪前期試験の勉強はいいのかなぁ?さっきから紗夜とケントの事ばかり考えてるみたいだけど★」

…大学に進み、同じ学舎ではないのにこの幼馴染みは相も変わらず面倒見がいい……のだけど…

「どうせ、紗夜とケントの子だからトンでもない天才が産まれる☆とか考えてたんでしょ♪」

「え、エスパー?」

リサは超能力者だったのね…

鞄に入ったりするのかしら?

「ちがうよっ、その話はもう過ぎたからだよ★友希那そのとき紗夜が妊娠したことでパニくってたから聞いてなかったでしょ?」

そういえば、紗夜の妊娠報告で頭が真っ白になっていたわね…

あの狂犬が…私に牙を剥けばいいものを…

「友希那、そろそろ本当諦めなよ★ケントは忠犬だから、万が一の話として紗夜が死んでも想い続けるし、ましてや忘れ形見まで居たら勝ち目ないよ?★」

こんな話は何気に何回もされていて聞きたくもない

 

リサには悪いとは思っている、『とある日本犬の生態報告会(グループ)』にも入ってもらい情報を流してもらっていた

私は白鷺さんのように立ち向かう勇気も胆力もなかった、現実を目の当たりにしなければなんとかなると避けていた

 

(…なんとかならなかったけれど)

 

紗夜は大切な仲間、その幸せは祝福している

しかしどこか現実と認識して、いえ、認識しないようにしていた。

 

婚約指輪も大きすぎて薬指に嵌めたピンキーリングだと思うようにしていた…

あの男が独占欲を見せるように演奏中はチェーンに通して衣装から見えるか見えないかにしているのも…

 

本当は羨ましかった。

 

なぜ私じゃないの?

 

私の方がずっとずっと…

 

「わ、わたしの、ほっ、私の方が、先に…」

そう賢人と出会ったのは私の方がずっと先だ、そして、好きになったのも…

「知ってるよ、友希那がケントを好きなことくらい」

リサは知らない

私がどれだけ前から賢人(しばたまさと)を好きだったかを

 

 

あれはまだ私が感情を上手く出す(表現する)方法をあまり知らない頃だった

今もあまり上手いとは思わないけど、あの頃の私の感情をちゃんと理解していたのは、そう、賢人だった

誰かに話しても、あの男が?と思われるだけだろうけど、実際あの頃の賢人は人の感情の機微に凄く敏感で、そして臆病だった。

彼の回りでそれを知っているのは賢人の姉みたいな紅い女の子(杏子さん)くらいだったろう。

初めて会ったのは…私はお父さんに連れられてあまり大きくない規模のピアノ演奏会だった。

リサは知っているけど、私もピアノをしていたのよ?

リサも家で少しかじっていたし…?

リサがベースの復帰が早かったのは根底にピアノの基礎があったからとお父さんは言っていた。

ベースは譜面もピアノ経験者にはわかりやすいらしい。

その事が少しだけどこかリサだけ賢人と繋がっているみたいで面白くなかったのはまだ新しい記憶よね

 

…ではなくて

当時の賢人は、なんと言うか

捨てられないかと怯える仔犬だった

今思うとどういう家庭で育つとあぁなるのか気にはなる

白鷺さんは賢人の演奏を爆縮と呼ぶけど、あれは後天的なもの、私と同じく感情の出し先が無かった賢人、そう、あの演奏から彼はケントになった

 

「友希那?それ私に聞かせていいの?★」

言葉とは裏腹に瞳をキラキラさせて喰い気味よね?

「そうね、いいんじゃないかしら?」

柴田賢人(当の本人)は忘れているだろうし…




読了ありがとうございます。

あるいみ過去話です
シバケンのあの面倒くさい性格の根底と巻き込みっぷりが出せればと

またよろしくお願いいたします。


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氷川紗夜ルート外伝:蕾の青薔薇2 「目を奪われた」

今回もお願いします。

ここまでサルベージできましたw
あとは…さて書くか!!w

よろしくお願いします。


 

「すごいレベルだろ?友希那」

わざわざ新幹線を使ってでも、お父さんはこれを見せたかったのね

私と同年代でかなり弾けている子達が多い

コンクールかと思っていたら、ピアノスクールの発表会みたい

お父さんが手に持つプログラムを覗くとどうやらスクールの生徒のある意味順位発表の場でもあるみたい

後ろに在籍年数が書かれているのがなかなか悪趣味よね

 

驚いたことに、今現在でまだ中盤位らしい

どれだけ優秀な生徒が多い?と思いつつおかしな事にきづきお父さんからプログラムを貸してもらう

 

(なぜ在籍年数がここだけおかしいのかしら?間違いかしら?)

中盤以降の生徒の年齢と在籍年数が周りと比べて若い、若いと言っても私と変わらないのだけど…

初盤が幼小の部とすると中盤は中学生や高校生になるはず、年齢と在籍年数は同じくらいになるはず

なのに…小学生の中学年あたりの生徒が中盤以降に名を連ねている

周りに比べても在籍年数も少ない

そんな事が気になっていると、お父さんがつけたのか印がついている生徒が二人

(私より二つ上と三つ上…)

名前が

(みつふじあんこ?しばたなんとかじん?)

二人とも変な名前だ…だから印がついているのかしら?

「友希那どうした?」

印の意味が気になりお父さんを見ていると視線に気づいてくれた

「この印は何?」

プログラムのその部分を見せる

お父さんは嬉しそうに

「今日ここ(発表会)に来た目的だよ」

と教えてくれたけど

(へんな名前?だからかしら?)

私は肝心なところを見落としていた

この二人の在籍年数もだけど学年がおかしいことに

 

 

プログラムは滞りなく進み

目的の二人のひとりめ

みつふじあんこの番が来た

(紅い…薔薇と言うより炎…焔ね)

え?なんでそんな漢字を知っているか?

格好いいからに決まっているわ

でも『賢』が読めないのが少し悔しい…

その後『賢い(かしこい)』と読むと知り、柴田賢人が嫌いになった

まるで読めなかった私が賢くないみたいだから

それに、『けん』なのになぜ『まさ』と読ませるの?

なら『人』も『ひと』と読ませて『まさひと』でいいじゃない?

『まさと』ってなんなのよ?

…今でもリサをはじめとして『ケント』の方が格好いいと言う人がいるけど

くやしいけど『まさと』ってなんか雅よね…格好いいと思うわ。

くやしいから私は『しばたまさと(ケント)』呼びをやめるつもりはない

 

その『柴田賢人』の姉である、三藤杏子(さとうきょうこ)、この人も地味に読み方がアレよね…の演奏は印象通りの苛烈な、いえ、華烈な演奏だった、ロックな人よね

お父さんが気にしたのも少しわかった、そうなると、しばたなんとかひとはどんな演奏をするのかしら?

もう一度プログラムに目を通して私はようやく気がついた

(え?周りが…高校生?)

そう、三藤杏子で高校生と中学生が混在したグループが終わり高校生ばかりになっていた

そう、あの二人というか、あの二人と同期であろう生徒達は小学生ながらに中学生や高校生を押し退けるレベルと言うことになる

(これが見たかったの?)

この教室自体のレベルも高く思えるのに、先程の三藤杏子は異質なほどの演奏を魅せた

(なら、このなんとかひとは、、、)

 

 

出てきたのは

(私と同じくらい?)

無表情で体格的にはどこも特徴がない少年だった

緊張でと言うより、もともと無関心なのか表情がない

変な人気があるのか、舞台下に花束やらもった人達が集まっていた

それにさえ興味がないのか…クールと言えなくもないけど、いやあれは

「噂ほどじゃないのかな?」

そう、緊張を誤魔化しているのだ、視界にいれず情報量を極端に減らす

私にわかるならお父さんにはバレバレだ

「ほう」

椅子の高さ調整が終わり、鍵盤の前に座るなんとかひと

お父さんが感心をもらした、何がわかったの?

「友希那よくみておくんだよ」

そんなことを言われると私が緊張してしまう…あれ?なんとかひと緊張していない?

静かに滑らかに走り出す指先…

「なにを?」

はや、速すぎる?

早弾きというのがあるけど、その度を越している…まさに速弾

「あの早さでミスタッチなしか」

この速さは音楽への侮辱では?

と思っていたら一曲が終わっていた、本来4分から5分の曲のはず

(なにこれ?これは音楽でも表現でもないわ…)

音の出る倍速動画だ、ピッチを高くして遊んでるみたいなものだ

「あの歳で超絶技巧とはすごいな」

確かにミスタッチなしであの速度はすごい、けどなにか面白くない

二曲目にはいる、また更に速く弾くのかと思えば

普通に弾いている

しかし

(上手い、でも巧くはない)

譜面を間違いなくさらうだけ

まださっきの速弾の方が印象が強い

「彼は音楽には向いてないな」

お父さんの評価はそれで終わった

そして私もそれで興味が終わるはずだった…

「?」

演奏が終わると、それに合わせて三藤杏子(紅い子)がバイオリンを持って現れた

舞台袖では講師の先生達が慌てているみたいだ

「まさ、やるわよ、合わせてよね」

その言葉に無表情なしばたまさ?が嫌そうな顔をつくり意思をはっきり伝えているがおかまいなしで紅い子はバイオリンを構えると…

「あの子はバイオリンもかなりのレベルだったのか…」

お父さんは三藤杏子にかなり興味を持っているようだけど

「なによ、楽しそうに弾けるじゃない…」

私はしばたまさなんとかに興味を引かれた

お父さんにならわかると思ったけど、お父さんは変に頭が固いから自分の中の評価を変える気がないからしばたまさなんとかの演奏を無視しているのかもしれない

「…」

悪く言えば自己主張がない

良く言えば異常なほどの協調性

気持ち悪くなった

周りを気にして周りに合わせて自分を殺し、自分以外のために音を奏でている

(…偽善)

しかし、その音の中に何かが潜んでいる、私はそれが気になっていた

そして、その上っ面の演奏の中に潜むなにかとの温度差に

(…気持ち悪い)

言い知れぬ恐怖も感じていた

 

「あんなのに負けているなんて」

近くからそんな声が聞こえる

年齢は舞台にいる二人に近そうな年頃の子とその兄の高校生だろうか?

「あんな卑怯なやつ、やめさせてやりたいのに」

男の子が悔しそうに言う

(卑怯?)

「まぁ、譜面みただけで弾けるのはチートだわな」

(…)

「でも、それが出来る基礎があるのは本物じゃないのか?」

兄の方は比較的常識人というか…

「でも…僕たちより後に入って…」

「まぁ、大先生にたまに指導してもらってるからなぁアイツ」

「だよね!ずるいよね」

しばたまさなんとかのレッスン風景を知っているのか擁護はしないけど否定も侮蔑もしない

「お前、アイツの早弾きできるか?」

「…あんなのできるわけない」

「俺でもミスタッチ無しは多分今はできないな、でもアイツより順番は後だぞ?」

(…ここの生徒は質がいいのね)

自分の弟に諭してはいないけど、しばたまさなんとかを卑下することなく実力を評価している

「それに、大先生だからなアイツに早弾きさせてたのは」

(…大先生?あのお婆さんかしら?)

「…ずるいよね」

「それに関しては俺もちょっとは思うけどな、大先生に見てもらえるなんて羨ましいよな」

そんな話を聞きながら

傍目にはピアノ教室の発表会でバイオリンとの協奏曲を披露するというパフォーマンスを見ていた

 

(あの紅いの…過保護すぎよね)

技術はあるのに演奏を楽しめていないまさなんたら、長いのでシバマサと仮称する、の評価を上げようとしての奇策だろう

(逆効果だったけど…)

紅い子の評価が上がっただけよね?

私はお父さんに席をはずすことを伝えると「一緒にいかなくていいかい?」と幾つだと…いえ、デリカシーの問題よね?

 

私はロビーに出るとある場所に向かった…

(居た…)

来る時にもあの紅い子はみかけたのよ、多分演奏が終わって同じところにいると思ったら当たっていた、そしてシバマサもやはり居た

「まさ、あんたねぇ。もうちょっとこう溢れる情熱(パトス)をねぇ」

情熱だだもれのような子ね?

そして…

「え…?」

落ち着いた自然体のシバマサに目を奪われた




読了ありがとうございます。

つぎはMorfonicaの続きだと思います

またよろしくお願いします。


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十七話:教育実習編「今、お姫様だっこって聞こえた(ました)?」

今回もよろしくお願いします。

現実逃避気味に「まさとくんとちさとちゃん」をちょこちょこ書いていたら

彩ちゃんの誕生日を忘れていて…続く


「「「「「「『ミロード?』」」」」」」

新宿の?

 

なんてボケたかったけど

なんだろうこの空気は?

「し、柴田くん、きみ?は、女子高生にそんなふうに呼ばせてるのかな??」

村上さんが立派な眉毛をいからせている…あれは多分

「なんてうらやまけしからん!」

本音がすぐに出てきた!

軽音部?の四人も愕然とこの状況をみている

 

「私の『暴君』…」

手を捕まれ(握られるという表現は生易しい)ている、この女子は?

「誰かとお間違えでは??」

『暴君』なんて黒歴史を知る人物なんて昔の音楽関係者、それも関わりがあった人間に間違いはないとは思うけど…

(誰かわからないや)

タイプは女性面を全面に出した、まともそうな(・・・・・・)薫というか…

この子も背高いよね…羨ましくなんか…ないんだからね!

「忘れて…いる?」

その意思の強そうな目に落胆が写される

(えーと?んーだれだろ?)

「白金さんに、この学園に赴任すると聞かされ楽しみにしていたのに…」

黒いの(白金燐子)繋がりか!

あれ?ならピアノじゃないの?

バイオリン?

ん?

あれ??

なんか???

 

「ん?あれ??なんか???」

 

物凄くなにか

地元の怖いなにかのおかげで忘れて、、、あれ?

いやいや要らない記憶や記録は記憶容量の無駄だから

 

なんか???

あれ??

ん?

 

ん?

………

 

 

「し、柴田くん?!」

「せんせー?」

「先生?」

「ちょっ、ルイなにしたの?センセなんかぶつぶつ言い出して完全に目が何処むいてるかわかんないんだけど!?」

柴田先生がるいさんに、あのるいさんが人にあそこまで積極的なのも驚いたけど

『ミロード』って新宿駅の?

じゃなくて、手!手を握ってる?

そうしたら先生がなにかぶつぶつ呟きだして、正直…その、透子ちゃんも言ってるけどなにか怖い…

「あ、そだ、紗夜さん!紗夜さん達に訊いてみよう?!」

透子ちゃんがスマホを取り出して素早く…透子ちゃんの先生に連絡を入れた

 

 

 

授業も終わり

委員会の活動も一区切りつき生徒会室で白金さん市ケ谷さん(いつもの三人)で休憩をしていると

私達のスマホが鳴動する

放課後であり着信は構わないのですが、何故通話なのでしょう?

「なにかあったのでは?」

慌てて白金さんがスマホを確認する

「透子だ?」

市ケ谷さんが発信者の名を読み上げる、何かありましたね!

私はノールックで通話ボタンを押していた

 

『みなさん、スミマセン。どうして良いかわからなくて!』

桐ケ谷さんが珍しく慌てている

騒がしい子ではありますが、あれで取り乱すことがない確りしたところあるので深刻かもしれせん

「まずは落ち着いてください桐ケ谷さん、何がありました?」

私の教え子でもあるので代表して声をかけます

『柴田センセがなんか「『何がありました!?(あったの!?)』」

ふぅ、白鷺さんが何時のまにか通話に参加していましたね

『透子ちゃん!?何があったか極力冷静にかつ明瞭簡潔にはなして』

先に言われてしまいました

賢人さんが絡むと普段の30%増しで頼りになりますね

…すこしもやっとしますけど

 

 

 

「…それはまた面倒ね」

珍しくまだ校内に残っていた白鷺さんがスマホ片手に生徒会室に入る(もちろんノックという入室伺いをしています)

「こんにちはー」

丸山さんもいるので何か話をしていたのでしょう

五人がそれぞれのスマホで話すのもなんなので一台のスマホ(一番機種が新しくスペックが高い白金さんのもの)を五人(私、白金さん、白鷺さん、丸山さん、市ケ谷さん)で囲む

「それで、柴田さんはまだなにかぶつぶつ言っているのかしら?」

白鷺さんが様子を詳しく伝えてもらおうと細かく要点を問う

内容を聞いていてある違和感が私のなかで生まれる

「あの、根本の質問に戻りますけど…八潮さんはどうしていますか?」

それ以上に何者なのですか?

『あ、えと、ルイは、、、ちょっ、ルイ?キャラ変わりすぎじゃない??』

『るいるいが情熱的だー』

なにがおきている?

『ミロードがお考え中だから、邪魔はできない』

…ミロード?

遠くから聞こえる八潮さんの声

「ミロード呼びって…あの泣き虫ちゃん??」

腹黒魔女(クレバーウィッチ)!?』

…、わかりました、きっと賢人さんが触れないというか消したとか無くしたとか失った記憶部分ですね

「透子ちゃん!そっち向かうから入園許可を取って!」

言いながら事務所の車を回すように自分のスマホで連絡をしている

本当賢人さんが絡むと凄いですね

…タクシーを呼ぶという選択肢を選ばないのが変に普通ですよね?

「氷川さん、八潮さんは柴田さんとの…」

『白金さんもいるのかしら?ミロードが深く思案をされていて、私との感動の再会が止まっているのよ』

こんなに話す人でしたか?

「まぁ、柴田さんの関係者(被害者)ですから」

それ、白金さんにもあてはまりますよ?いいのですか?

なぜそこで頬を赤らめてはにかむのか私にはわかりません、そしてすごくもやっとします

「『泣き虫(男女)ちゃん』が八潮さんだったなんて…」

言いながらも車を待ちつつ下校準備をしていると

『どうしよう!時間的に許可がとれないよ!』

別の声が聞こえてきた

『ふーすけでもダメかぁ』

「どちらにしても、そのままにはしておけませんね」

教育実習先で問題を起こすわけにはいきませんし…

「車を回すから、CiRCLEで落ち合いましょう、柴田さんをなんとか動かせる?」

本当、賢人さんが絡むと凄いです…

本当に白鷺さんですか?誰かと入れ替わってませんよね?…流石に失礼でした

『僕が先に連れていくよ』

聞き覚えのない声です?

『村上先生?』

あぁ草加(仮)さんでしたか…なんかそう…

「賢人さんやっと友達できたのかな?」

丸山さん結構はっきり言いますね…

『CiRCLEならわかる、柴田くんの車で先に向かえばいいかな?』

…賢人さんの車にも簡単に乗れてしまう仲??こんな短期間にあの賢人さんに入り込めるなんて…

「草加さんに似てるというのはアドバンテージとしては凄いのね…」

白鷺さんも同じ事を思っているみたいですね…余程男友達欲しかったんですね…少し涙が

『この、ミロードになにをするの!』

揉めていますね…

…そこに

『わーお姫様だっこだぁ~』

…何が起きているの?

しかし、いまかなりのパワーワードがあったような?

「「「「「今、お姫様だっこって聞こえた(ました)?」」」」」

 




読了ありがとうございます

そしてなぜか
『魔砲のアイドル ゲバルト彩ちゃん』
という変なタイトルが頭に浮かんだという…

ちなみに敵はロシア戦車砲をあやつる…とか…

またよろしくお願いします


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寄道戯言:まさとくんとちさとちゃん②

かなり短いですがよろしくお願いします。


『短くない?』

 

Pastel*Palettes事務所内

中ミーティングルームA

通称:パスパレ部屋

蔑称:犬小屋

 

「あーこれも可愛い♪でもこれもいいよね?」

大机に広げられているのは、新曲の衣装のラフ

いくつか案が出ていて、それに意見を出しあい煮詰めていく

他の事務所はわからないけど、うちの事務所は所属タレントの意思を尊重してくれる傾向がかなり強いから、衣装もこういう感じで事前に相談がある

人によっては全て事務所任せの人もいるけど、こういうところが本当良心的よね

たまに相談もなく変な仕事入れるのは事務所というより、元私のマネージャー、現総括マネージャー(でも部下二人、そのうち一人はバイトなうえアニマル課と兼課)が悪い

衣装チェックも気を付けないととんでもないものが…

「これは…」

一枚のラフが紛れ込んでいた

そう、紛れ込んでいたのよ?

こんなの誰が着るのよ?

パスパレのイメージでもないし、ヴィヴィキャンでもない

(美城さんにならいそうだけど…)

その場で捨てるわけにもいかず、皆に気づかれないように折り畳みポケットに入れた

新しい衣装はいつものパステルカラー基調の可愛らしいものになり、ほっと息をついた

 

 

 

そんなことがあったのも忘れた頃

「何かしら?」

上着のポケットに折り畳まれた用紙…

以前出ていた衣装案のラフだった…そして…なんでこんな時に

「千聖ちゃんなにそれ?」

そして一番気がつかれたくない人物(日菜ちゃん)は目ざとく見つけてきた

「なになに~♪ってみんな!これるん♪ってこない♪♪」

なんで捨てて置かなかったの過去の私!!

「千聖ちゃんこんなの用意してたなんてすごいやる気だったんだね!」

「流石です千聖さん!」

「まさにブシドーです!」

そう…

『魔法戦隊パステル*レンジャー』

という企画が上がり、それに対するやるかやらないかの意見を出し合う席だった

 

私が避けていた衣装案のラフ画は、羽根やらゴーグルやらついたいかにも(・・・・)な衣装だったのよ

まさかこの席でこれが出てくるなんて…

結果…みんなが乗り気になってしまい、企画は通ってしまった

 

 

 

「ねぇ?これ一回限りのうえ短くない?」

日曜日の8時台が好きな柴田さんが見ないはずもなく

「戦隊もの最近見てなかったけど」

…え?、あぁ前のライダーで戦隊臭くてなんか違うとか言っていたのを思い出した

柴田さんは戦隊よりライダー派なのよね

「これなら2クール見たいなぁ…」

そんな人がそんなことを言いながら、何故か3DCADで『パステルブローチ』を設計しているのは気のせいかしら?気のせいよね??

「せめてVシネクストとか…」

なんで本物より精密かつ変に凝ったものを作ってるの??

…後日某おもちゃ会社からのちょっとお高い大人向けの製品に使われたとか使われなかったとか…

 

 

「アイドルヒューマギアとか女優ヒューマギアで出番ないのかな??」

柴田賢人(この人)はどこまでVを引っ張りたいの??

 

余談

ちなみに少し後に『パステルブラスター』を見せたら

柴田さんが目を輝かせていたのを見て呆れつつも内心喜んでくれてよかったと思ったのは内緒よ

…その後で五人の固有武器を合体する武器がレンケツバズーカ以来だとかうんちくを教え込まれたのは失敗だったかも…




読了ありがとうございます。

こんなの書いてたから
ゲバルト彩ちゃんなんて頭がよぎるんだよね…

ちなみに「ゲバルト彩」じゃなくて「ゲバルト彩ちゃん」ですw

またよろしくお願いいたします。


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十八話:教育実習編「まさ、どうしたの?…話してみなさい」

いつもありがとうございます

少しなんというか…いろいろありましたw

今回もよろしくお付き合いください。


「あ…ありのまま 起こった事を話すぜ!

 

広町は せんせーをどうすればよいかと思ったら (せんせー)いつのまにか消えていてOHIMESAMA抱っこされていた

 

な… 何を言っているのか わからねーと思うが 

 

広町も (せんせーが)何をされたのか わからなかった…

 

頭がどうにかなりそうだった… 催眠術だとか超スピードだとか

 

そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ

 

もっと恐ろしいものの片鱗を 味わったぜ…

 

と言う感じですねー」

 

何ですかそれは!?何故かもうロビーにいた広町さんに状況を聞こうとした答えが今のものです

「やるわね七深ちゃん」

白鷺さんが感心しているのですが…何がですか??

え?まりなさんまで頷いてる?私がおかしいのですか??

「千聖ちゃん、J○J○は後にしようよ」

丸山さん?伏字になってない気がするのは私だけですか?

 

ちなみに

「みんな今日は練習?」

問題の賢人さんは呑気にカフェでお茶をしていた。

ロビーに居ないから何処に!?と思っていたら外のカフェでのんびりしているのですよ?

慌てて皆で駆け寄り安否を問うと

「柴田くんはJKの知り合い多すぎないかな?」

件の草加(偽)な村上さんもご一緒でした、賢人さんの少ない男性の友達ですよね、よかったですね

「パスパレの彩ちゃんに千聖さまとか、柴田くんに親切にし続けよう」

心の声が漏れてましたが気にするのはやめてあげましょう

 

「で、どうやって戻ったのかしら?」

白鷺さんがいきなり真相を訪ねる

まだMorfonica(モニカ)の広町さん以外の四人は月ノ森から到着していませんがいいのでしょうか?

「戻った?なにかあったの??」

はい、賢人さんはこうでしょうね判っていましたとも

そうなると…

「村上さんでしたよね♪」

丸山さんがもう動いていました

「は、はい。わ、彩ちゃんが近い」

…四人掛けの丸テーブルの隣に座っただけですよね?

「柴田さんがお世話になっているようでありがとうございます」

その丸山さんの対面に白鷺さんが腰かけながらお礼を言う

村上さんの眉毛が忙しく上下している対面の席で「ラテおいし~♪」なんて他人事な賢人さんに助けを求めていますが、内心はかなり嬉しいようすですね…

「村上さんいい人だよ~」

?…しかし、賢人さん若干年齢退行していませんか?

村上さんに話を聞くと

まずCiRCLEの前に停車して、賢人さんをロビーに運び(またお姫様抱っこかの確認で一波瀾ありました…)、駐車違反は不味いと駐車場にいれてロビーに戻ったら、元に戻っていた?この賢人さんになっていたそうです

ちなみに、広町さんが村上さんのバイクを運んできた為駐輪場ですこし会話をしたためすぐに戻った訳ではないそうです

(や、役に立ちませんね…)

時間経過で戻ったのでしょうか?

それもですけど、広町さんは二輪の免許をもっていたのですね…?意外で驚きました

「16になったらすぐ取得()るって決めてましたから、『家の手伝い』といえばなんとかなるものですねー」

この方は賢人さんや日菜に似た歪な感じがしますよね…

 

 

「紗夜?どうしたの、個人練習かしら?」

CiRCLEから出てきた湊さんに声をかけられる、個人練習でしたか

「い、いいえ。少し賢人さんが…」

幼児退行してる感じが若干するので湊さんに引き締めてもらえるかと思えば…

「またなにかやらかしたのね?まぁいつものことね。それじゃ私はいくから」

あっさりと背を向けて行ってしまいました

流石にこの様子の賢人さんでは意味がないと興味も持てなかったのでしょうか?

ふと視線を感じてCiRCLEの入り口を見るとまりなさんかニマニマこちらを見ていますね、なんでしょう?私の困惑の表情にまたニマニマしてカウンターに戻っていきましたけど、なにか面白いことありましたか?

 

 

 

そうなんだ、ふーん、へーー♪

あの友希那ちゃんがねーーー♪

いつもの態度から柴田くんとは何かあるんだろうなとは思っていたけど…

顔真っ赤にして可愛いんだからぁ♪

 

―少し前

「いらっしゃいませ♪あら友希那ちゃん?忘れ物?」

学校帰りにリサちゃんを伴って、リサちゃんのバイトまでの個人(?)練習に来ていたRoseliaのVo.(友希那ちゃん)&Bass.(リサちゃん)

ついさっき二人で帰ったと思ったら友希那ちゃんだけが戻ってきた

「…そうね、もう少し練習をしようかと」

個人練習用の個室ブースに入っていった

個人練習用に安価で貸せるように小さな個室を始めたら結構需要があり思わぬ収入増なのは余談ね

星風とかいう新参もの(他のスタジオ)で練習するために個人練習するという意味不明な案件は目を瞑りましょう、えぇ、柴田くん?一応売上増だからね?増だからそれなりに許すけど、弦巻一族絡みだからって調子に乗ってると抉るからね♪

 

ちょっとストレス出ていたわね

 

まぁ、そんな街の小さな貸スタジオの発起人(売上増の貢献人という裏切者)が私のタイプではないけど10人中6~7人は振り替える高身長のイケメンにお姫様抱っこされて入ってきたから流石に大抵の事に耐性がついた私でも驚くわよね?

このイケメンなに?と驚いていると、スマートではないけどきちんと事情説明をしてくれて、CiRCLE《お店》の前に路駐しているからと慌てて駐車場に向かった

なんか遠い目でぶつぶついってる柴田くん(不審人物)を残して…

 

正直あれは関わり合いたくないなーと遠巻きにカウンターに隠れるように様子を見ていたら…

「柴田賢人?」

友希那ちゃんが個室から出て来て柴田くんを見つけた

いつもならここから辛辣というかただの悪口?がはじまるけど…

(いつも思うけど柴田くん友希那ちゃんになにかしたの?)

と思いつつ、あぁ紗夜ちゃん(ギタリスト)が御執心だからかな?とも納得していたのだけど…あの口撃は普通の人なら心に来ると思う、その趣味のある人ならご褒美なんだろうけど

 

「何をしているのかしら?」

様子のおかしい柴田くん相手にも容赦は無いみたいなので止めようかと思い隠れていたカウンターから出ようとしたら

(え!?)

友希那ちゃんが柴田くんの手を取っている??

(め、眼の錯覚よね?)

だって、あの友希那ちゃんよ?

そ、そうよね、油断させて闘魂注入(ビンタ)に違いない!

だって右手が柴田くんの頬を撫でてるもん!

あれは闘魂注入(ビンタ)の予備動作よ!私知ってるもん!!

 

「感情の爆発のしかたを忘れたのかしら?なに、この腑抜けは…」

(く、くるっ!!)

友希那ちゃんを止めるのも忘れて、身体を張った芸人さんのフリというより

大晦日にプロレスラーにビンタされる芸人さんを見ている気分になっている私は怖いもの見たさな感じで見守ってしまっていた

 

「そうね、貴方はどちらも喪ってしまったものね」

(え?)

友希那ちゃん?

私はもしかしたら見てはいけないものを見ている??

「貴方の半身、比翼…私が補えれば良かったのに…」

え?

えっ!?

私なに見てるの?

あの孤高の青薔薇と言われた

あの歌姫、湊友希那が?

型破りとはいえ、普通(?)の冴えない小さな厨二男よ?

(…紗夜ちゃんの男の趣味の悪さって伝染(うつ)るのかしら?)

なんて普段から思ってる(若干怨恨あり)事を思わず思うほどに、普段をとにかく求めるくらい異質で異様な空間になっていた

 

「まさ、どうしたの?…話してみなさい」

 

あの湊友希那が柴田賢人()の頭を胸に抱いて、愛しげに撫でているんですけど?!?

どう言うことなの??これ???

 




読了ありがとうございます。

ちょっと真相が混じりはいるかも?

またよろしくお付き合いください。


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十九話:教育実習編「ブラックなのにクソ甘く感じる…」

今回もよろしくお願いします。

コロナ嫌いw

そしてRoseliaの先行申し込み31日だけど…まだ迷ってます


「センセイ戻ってる…の?これ?」

モニカの残り四人がPastel✽Palettes(パスパレ)の事務所の車で到着した

…八潮さんが音もなくすごい速さでやってきたのに正直引きましたが…

 

「村上先生お疲れ様です」

二葉さんと倉田さんが村上さんにお礼を言っている、それを見て桐ケ谷さんも合わせる。私の教え子(生徒)しっかりしてますね

村上さん嬉しそうですね?

「…」

その中八潮さんがいつも以上に厳しい顔をして

「この男はミロードであって、ちがうわ…」

なんて言い出した

確かに少し幼児退行してる気がしますが賢人さん本人ですよね?

賢人さんだけに若干自信があるようなないような気もしますが

「何を言っているのかしら?どう見ても柴田さんでしょ?」

そんな八潮さんを挑発するかのように揶揄するような白鷺さん

(え?白鷺さん?いつもと少し違いませんか?人当たりが悪いというか、丸山さんの笑顔が固まっていますね)

「白鷺さん!また何かしましたね」

八潮さんってこんなキャラ()でしたか?

モニカの皆さんも驚いていますね

るいるいが激アツだーなんて言っていますし

(しかし、「また」とは?)

「人聞きが悪いわね、貴女がなにかしたから柴田さんがおかしくなったのでしょう?」

そういえばその辺りの話を聞いていませんでしたね

広町さんの話によると、八潮さんに手を握られたからとか言う話でしたね

八潮さんが本当に男性の手を握る(そんなこと)をするのでしょうか?

些か現実味がありませんでしたが、目の前の八潮さんを見ていると真実味も帯びてきました。

この八潮さんこそ、『八潮さんであって、八潮さんではない』ですよね?

(しかし、賢人さんの過去ですか…)

腕の傷や色々と訊けない不明点が多いです。

傷痕は知っていますが、経緯は知りませんし…

どうしたらあんな潔い傷をつけられる事態になるのでしょう?と思ったことはありますけど

その賢人さんには直接訊きにくい謎の欠片ががここにあるのかもしれませんね

(案外あっさり話してくれる気もしますが…)

ちなみに、杏子(あんこ)さんも傷は知っているけど、どうしてあんなことをしたかは推測しか出来ないとのことでしたし…

私はこっそり録音状態にしたスマホを意識した

私一人では解らなくても、私の洞察力と日菜の直感と閃きがあれば自ずと答えが導き出せるかもしれません

 

 

「結局、白鷺さんと八潮さんが賢人さん絡みであまり仲が良くないというのはよく判りましたね」

あの後全く展開はなく

「ん?あれこれ?CiRCLE??というか紗夜さんのクッキーも!?」

賢人さんがまたラテ(これも珍しいことですけど)のお代わりを飲みだしたのでそう言えば今日は生徒会室で出していない(それどころではありませんでしたし)のを思い出し、白鷺さんが出した青い箱(市販品)と一緒に出してみたら、幼児退行が収まったみたいですけど…

 

私のクッキーって何かあるんですか?嬉しいですけど複雑ですよね?

 

 

「ってかさー、ルイとセンセイは何があったのよ?」

あたしは自分の部屋(アトリエ?)で新しいデザイン画から起こされた衣装の確認をしながら考えていた

(あのルイがかなりオカシすぎる)

『だよねートーコちゃんも流石におかしいと思うよね?』

通話相手は七深だ、今日の出来事で相変わらず底が見えないと再認識させられた

(アンタもおかしいけどね?)

誕生日で原付の免許はまだなんとかわかる、どうして小型限定じゃなくて普通二輪もってんの?取れんの??(取れます)

教習所に通ってた素振りは全く無かったよね?一発試験とかいうヤツ?

(どーせ他の受験者(ひと)の(動きを)見て出来ちゃったんだろーなぁ)

それにしてもなんで取得()ったんだろ?

なにより先に訊いてみたら

『んー、ライダーに憧れてるからかな?』

なんかワイルドなこと言い出した

ライダーってバイク乗る人のことだよね?

そーいえば柴田センセイもバイク乗り(ライダー)じゃん、だからなついてんの?

『ちょっと調べてみるねー』

ルイのことは七深に任せておけばいいのかな?

 

 

(あれは、多分柴田さんは若干幼児退行していたわよね?)

両手に物をもって食べていた、昔見た好きなものを食べるときの仕草だ、沢山ある(山になってる)シュークリームやクッキーを両手にひとつずつもって食べる(かぶりつく)。今は絶対にしない、…しないわよね??

(いつもの青い箱と紗夜ちゃんのクッキーで戻ったみたいだけど…)

本当まさか八潮さんがいたとは…

薫と遇っても大丈夫だったから油断をしていた、薫はあの頃の面影が外見的には全くない

でも、八潮さんは…あのまま大きくなったのよね。柴田さんが予測値で認識できるくらい順当に…

(…すこし納得いかないわね)

特に胸囲とか胸回りとかバストとか

(柴田さん(あの男)意外にむっつりなのよね)

子役の呪いで助かったような忌々しいような、いつも陥るジレンマを抱えつつ台本読みやベースの指確認をしてその日は眠ることにした

(まぁ、ひさびさに腕白なまさとくんを見れたのはすこし嬉しかったかも)

 

 

私はある女の子からの連絡を受けていた

「そう、ありがとう。様子見とくからね。」

言葉少なめな彼女が多くを語るのは珍しい、状況の説明から対処方と結果。その後に原因の推測をしてくれた。

しかし、彼女はなにをして、なぜそんな報告を私にしているのだろう?

「友希那ちゃん?なに言ってるのかな?」

現実感のなさにそれだけを言うと

『そういうことよ』

彼女のそんな一言で電話を切られた

 

え?

撫でて

ハグして

押し付けて

すりすりした?

あのー?

もしかしてなんだけど

惚気聞かされたの?もしかしなくても?

「なにしてんんだろうかねーあの馬鹿弟はぁ」

その馬鹿弟(シバケン)がマメに差し入れてくれる羽沢珈琲のドリップパックで淹れた珈琲の残りを飲み干した

「ブラックなのにクソ甘く感じる…」

あの弟はどうせまたキヅイテナイフリシテルんだろうなぁとそろそろ(当事者以外に)刺されないか心配になってきたけど

その辺はまぁうん多分なんとかなるだろうなぁ…司法面は本当やらかして欲しくないなぁ…と目の前に広がる課題(試験対策)に再度挑みますか

 

 

 

 

そして…

「ねぇ?なんで今日『とある日本犬の生態報告会(グループ)』誰もいないの?」

何かあったのはなんとなく判るけど…

えぇとこういう時は、誰に聞けばいいんだろ?

直接紗夜ちゃんに聞いてみようかな?

確か明日は直接大学(学校)に報告にくる筈だから情報は集めておかないと…

あと朝に差し入れるお弁当を捨てやすいものじゃなくて、明日返しにこさせるためにもお弁当箱(ランチBOX)にしないとね

やることが多いけど頑張ります!




読了ありがとうございます。

そろそろ教育実習は折り返して終わりですね

ここからが頭が痛いw

またよろしくお付き合いお願いします。


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二十話:教育実習編「ごめんなさい」

お久しぶりです

色々悩んでましたが、開き直ることにしましたw

またよろしくお願いします。


……

………

…………

…そろそろ大丈夫かな?

時計を見ると5時すこし前

いつもよりは眠れた様な気がする

昨日は精神負荷が凄くて現実逃避をしていたらしく記憶が曖昧すぎる

杏子姉(きょうこねぇ)からも連絡が来ていた

(あの人は弁護士より精神科医になった方がいいんじゃないか?)

面倒臭い自分との腐れ縁でそっち方面にも精通している姉貴分とのやり取りの履歴を見て苦笑しか出ない、

(これは、周りにかなり迷惑かけた様な気がするな)

空気は読めないけど文章や目に見えるものにしてくれれば理解はできる、感情面は後付けだから極端だと自分でもわかっている

 

ありがたいことに今日は休みだ

しかし、やることはなくはない

週明けにゼミに顔を出さなければならない

教授(せんせい)から(教育実習の)途中報告がてらお昼を一緒にしようと言われている。

レポートはちゃんと出してはいるのだけど、こういう事も必要なのか?といまだにこういう触れあいじみたものには慣れない。

(ふつうに生きてるつもりで全然違うみたいだからなぁ)

 

普通の(子供)と同じものを見てみようとして、意外に気に入ってしまい長年見続けている特撮ヒーローのアイテムが飾られている棚を眺めながら癖になっている左手の動作を確認するように人指し指から順番に小指まで折り込み最後に親指で被せるように握り込むと手首を返すように払い拳を開くを繰り返していた

 

 

業界老舗の美城(346)プロダクション、旧シンデレラプロジェクトの控え室で

「週明け急なお仕事が入りました、美波はがんばれません…文香ちゃん代わりにがんばってください…」

いつもではあり得ない事が起きていました

あの美波さんがこんな事を言い出したのです

「え?、その、美波さん?」

「教授(と賢人くん)との昼食会だったのに…」

私それ知りませんよ?同じゼミですよね??

「(ここしばらく食事なんて一緒できてないから)楽しみだったのに…」

美波さん?結構食い意地はってます?いや、なら

「な、なら私が…(美波さんと一緒に食事にいきますよ♪)」

 

―ギンッ!!

美波さんから強い波動が、な、なんですかこれ?

「…ここにもいたのね…」

ーユラァッ

とか書き文字が見えそうな緩慢かつ不気味に揺れる動きでこちらを向く美波さん

「…胸なのかしら…髪?そうよね髪よね…いえ、瞳?そう言えばきれいって…ふふ…」

私は夢を悪夢を見ている?

そ、そうですよね、あの女神(美波さん)がこんな、こんな、え?本当?え?美波さんなんですその後ろにいる幽体?人ではないですよね?

あ、これ私かなりまずいのでは?

 

という夢を見ました

夢オチとか作品としては本当最悪ですよね、今時のラノベやweb小説でもしませんよね??

これもこれもこれも全てあの柴田賢人(駄犬)が悪いんです!あ、ここ駄犬と(ピアノの)打鍵をかけたつもりです。

でも、週明けにお仕事は本当です、美波さんが若干戸惑ったのを女神検定準一級の私が見逃すはずがありません(一級所持者はアナスタシアさんです)

アインフェリアでの久々にというか、いきなりのお仕事です。

私は嬉しいのですけど…問題は美波さん

どうも教授込みであの柴田さんとお昼をする予定だったみたいです

最近みかけないから安寧の日々が続いていたのに、本当腹立たしい人です

 

え?どうしてそんなに嫌うかですか?

勝手なイメージでとんでもないことを私に言いましたからね!

 

 

あの日は大学生活にもアイドル活動にも馴れてきて、久々に鷺沢古書堂(お店)の手伝いにお店番をしていました

相変わらず雑多な上に取り扱いにまとまりがなく一見様殺しです。

しかし常連さんも多く、そこからの紹介で訪れるひとも多いです、柴田さん(あの男)もそんな一人でした。

 

「F-16のマニュアルですか?」

店内をひとしきり回り、レジにやって来た黒づくめの小柄な男性。

知らなければ性別に戸惑うかもしれない外見をしている、よく言えば中性的、悪く言えば線が細くて小柄で男らしくないです。

「無ければF-2の日本語マニュアルでも…」

大学構内で見かけるのとは若干印象が違うがあの有名人(変人)でした。

「…」

私に気づかない事への驚きにとらわれていると

「あれ?この店(ここ)じゃない?」

その言葉に慌てて取り繕おうとしたら

「あっ、こっち(・・・)あれ(・・)なのか…」

そう残念そうにすると私に背を向けて出ていった

私が悪いのは判っています

えぇ、百歩譲って大学も同じで学部や授業もいくつか同じ(後々ゼミも同じ)なのに私に気づかないとか、そんなことに驚いて対応が遅れたのは私です。

 

だからこの時は申し訳なさがありました。

 

ならなぜこんなに嫌うかですか?

 

この後が酷かったのです。

叔父に訊くと柴田さんは紹介で来店されたらしく、ご所望のマニュアルは確かに取り置いてありました。

申し訳なさで叔父に理由を話し、学校に持っていってあげることにしました。

結構重いので一冊だけにしたのですが…この選択が間違いでした。

 

私的に興味があまりなかったため、本来柴田さんが欲しがっていた『F-16運用マニュアル(全て英語表記)』ではなく、代替えとして言われた『F-2メンテナンスマニュアル(実はこれも少し違っていました)』を持っていったのです。

 

ここで問題です

当時あまり柴田さんを知らなかった私が数日前に鷺沢古書堂(お店)で顔を会わせてからの再会でなんと言われたでしょう?

 

答え

「あれ?これ?なんで君が??」

 

はい、全く覚えられていませんでした。

ちょっと自信なくしてPさんに弱音吐いてたところを美波さんに

「柴田くんは、ちょっと変わってるから」

と慰められました。

Pさんが「その方に認識される位のアイドルになりましょう」とその時は容易な目標と思えた目標をくれましたが…

まさかこんなに大変とは、Pさんまで「か、かなり独特な方のようですね」とか言い出しましたからね!

 

先日お店に来店され、このマニュアルがご所望だったのでは?と説明をした、その後に続いたとんでもない言葉

「あ、あの(ヤク)の売買してる古本屋…?」

 

それ!それです!!風評被害ですから!!!

一見潰れそうな古本屋の経営が成り立つには…

…悪いことをしている…

そんなわけありません!

稀少本の取り扱い故のお得意様や、お店によっては教科書販売や面に出てこない仕事もあるんです

面に出せない(・・・・)仕事ではなく目立たない仕事です!

後副業でしてる方やデイトレードなどしつつの方も多いようです。

それを、薬の密売とかとんでもないことを言う人がいるんです!

確かにありそうですよねーと私も思ったことはありますけど、いざ自分が言われると流石に業腹です

なので…

「ちがいます!!」

きっぱりと断言すると

「そ、そうだよね、こんなとこでする話じゃないし、うん、僕から言えるのは止めれるうちにやめた方がいいよ」

気まずそうに目を逸らしながらそっとその場を離れていきました…

あれ?マニュアルは?

といいますか、全然誤解解けてませんよね!?

 

それからがまた腹ただしいのが

「なんで人の顔覚えないくせに私だけ認識して逃げますか!」

そうマニュアルと誤解を解くために柴田さんを探すようになると

何故かタイミングよく逃げられます

その時は怒りで気がついてませんでしたけど

柴田さん(あの人)、覚えないのではなく認識出来てないのですよね。目が悪いから

あの頃は講義の後とか、眼鏡かけてましたね

そして、それに気づいたのがプレゼミで一緒になったとき

美波さんに連れられゼミ室に赴くと、何故か柴田さんが…一瞬こちらを見ましたが逃げません?

もしかしてと美波さんに隠れるように近づくと、美波さんが話しかけてることにも少し驚きましたが、まずは退路を絶って…

「柴田さん?これいい加減重いのですけど…」

押し付けるようにマニュアル(ブツ)を手渡すと、ようやく認識できたみたいで

「バイニンちゃん!?」

慌てて逃げようとします、ちょっ、『古本屋ちゃん』ならまだしも『売人(バイニン)』!?なんてあだ名つけてくれてるんですか!

美波さんと私とで退路は絶っています

美波さんは驚きつつも

「柴田くんは文香ちゃんと知り合いだったの?というか『バイニンちゃん』って『店員さん』をそんな風に呼ぶのは良くないと思いますよ?」

通常運転な美波さんをすり抜けていく…

「それに、その本の代金は?」

のは普通にできませんよね?

 

 

「ごめんなさい」

何故か私が謝っています

いえ、責があるのは実際私なのですけど、少し納得できません。

結局私が持ってきたマニュアル()ではなく、置いてきた重い方がご所望でした。

美波さんの取り成しもあり誤解は一応晴れましたが、私は柴田さんが私の腕をちらちら気にしたり、眼の動きを気にしたりしてるのに気づいていますよ!あからさまに眼鏡かけますからね!!しつこいです!!!

なんでこんな人が良いのか?美波さんの男性の趣味はおかしいです

 

でも、その、本を読んでるときとか、何故か工学部で実験をする姿はその、悪くはないと思います




読了ありがとうございます。

またよろしくお願いいたします。


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二十一話:教育実習編『賢人さんの聴力って?』

今回もよろしくお願いします。

なんか切り時間違えていつもより長いです。

お楽しみいただければと思います。


…うん、死屍累々?

「どうしてこうなってんの?」

杏子姉が呆れている

…うん、こちらが聞きたいんだけどね、まぁ言えるのは

「み、みんな感受性が強いんだね」

なんかすごく否定するように首を横に振ってるんだけど?

 

「まぁ、ちょっとお茶でもして落ち着こうか」

杏子姉が皆を連れてフードコートへ、空いているスペースを見つけてそこに向かう、そのままついていこうとすると

「あんたは飲み物とか適当に買ってきて」

なんかこの状況が僕のせいみたいに追い払われるように言われるのは心外なんだけど?

 

 

―お昼時あと

「時間が余った、、」

教授(せんせい)との昼御飯は予想より早く終わった。

まぁ食べることにあまり興味がない学生がいるとは思わないよね。

お昼をご馳走しがいがないとか今までなかったのかも

「こういう生徒だった」と洩らしてたから

でも、新しい発見があったらしく

「この価格設定ならゼミ生全員つれてきてもいいな!」と美味しそうにバーガーとポテトを食べていたのは意外だった、本人も意識して英国紳士然としてるのでポテトはともかくバーガーは、、、一応バーグサンドとは言うからまぁセーフ?

なんて他愛のないことを考えていたら

「今度はこちらで店を考えておくよ、君はもう少し食にも興味を持ちなさい」

なんて言われて解散となった。

ご馳走しがいがなかったようだ…

「あの人が賢人さんの大学の教授(先生)?」

ひょっこり顔を出すピンク

何で私服?と思ったんだよね

祝日なの完全に失念してたのと、反対に祝日ってバイトはシフトに入っている(稼ぎ時)ものじゃないのか?

なんて、『StarWind (お店)』を今日も好き勝手回してるバイト(おたえ)ちゃんをふと思い出す。

「まさとさーん?」

そして目の前のピンクはシフトにはいれなかったのか暇をしていて、バイト先に来たらしい。

もう一人のピンク(彩ちゃん)本業?(収録)だから、シフト入ればいいのにね?

「こんな可愛いJKが同席してるのに相変わらずですよね?」

許可した覚えはないけど…、まぁ姉弟子だし…相変わらず賑やかだ。

「そういえば賢人さん10thは観てます?」

いきなりだな、でも嫌いじゃない

「ゴーカイまではみたよ」

何かと10周年ものが出てきている…ファイズはやらんかったやないか!って地元の言葉になってしまうくらいに少し残念なのだけど

「あれ?オーズもうすぐ終わりますよ?」

スマホの画面をみせてくれる。

「ん、今日観ないと前売り勿体ないな」

特典ほしさに複数買うよね?

「…」

なんだろう、この見透かしたような目は

「まさとさーん、私今日時間ありますよ?」

…おごれと?

「ひとりで何回…」

「もう一日一回上演ですね♪」

ぐっ…

無駄にするのも勿体ないな…

「騒ぐなよ、静かにゆったり観る派なんだから」

若干地を出して姉弟子に釘を刺してしまったけど、映画に関しては人と観ることは皆無に等しいから仕方ない。

「あと何枚あるんです?」

…無駄にするよりはいいよな…

あと二枚の意味で指を二本立てた

「先着2名様まで…っと。わ、もうきた」

みんなオーズそんなに好きなのか?

「えーっと、つぐと燐子さ、あ、取り消したから…あこちゃんも取り消しの…あ、紗夜さんが怒ってる」

燐子さんとあこちゃんは観たくて咄嗟に飛び付いたけど、二人じゃないというより、Roseliaの練習か打合せ中だから、紗夜さん(練習の鬼)に睨まれたな。

「ということで、つぐだけです」

あら、一枚無駄になるか…いや

「一人誘っていいかな?」

ふとある人物を思い浮かべたので誘うことにしてみる

「新田さんですか?」

なんだそのニマニマした目は…?

「いや、教生先の子だけど…」

「ほおっ、私たち(Afterglow)や燐子さんやあこちゃん以外で賢人さんとライダー語れる有力新人ですか?」

なんか嬉しそうだね

商店街組(Afterglow)は宇田川姉妹を筆頭に結構イケる口なんだよね。パン屋(山吹ベーカリー)の娘も何気に詳しいけど卒業した振りをしているからあまり巻き込むのは可哀想だよね、代わりに弟と妹は確り沼にいる(モカ談)

肉屋の子はウルトラマン派らしい

まぁそれは置いておいて、なんだっけ、えーと、広町だ、担当クラスじゃないから油断すると忘れそうになる。

「え!?賢人さん?!?」

LINEを送っていると、ひまりが信じられないものを見たという顔でこちらを見ている。

LINEくらい使えるよ?あまり相手がいなくて使わないだけだ…なんかこう寂しくなった

「なんだよ?」

「私、賢人さんのLINE知らないんだけど?」

なぜ不機嫌なんだ?

「ひまりに用事はあまりないし、杏子に言えば連絡つくだろ?」

「はっ…?」

なんかすごい呆れた顔された…ひまりでもこんな顔するんだな。これは蘭の悪影響だな。

「賢人さんは本当に現役大学生か疑うよね?」

なんか似たことをトーコ?そうだ桐ヶ谷に言われたな

「普通女子高生の連絡先(ID)が手にはいるチャンスは逃さないよ!?」

「同じ学校でもないのに?

というか…商店街組(おまえら)は携帯番号知ってるだろ?」

実際あまりかかってこないが商店街組には携帯の番号は知られている。本当全くかかってこないけどね。巴がラーメンの誘い(奢り)に電話してくるくらいかな?

「でもLINEなら便利ですよ?」

まぁ、便利さはわかるけどねとLINEを交換したけど、何で嬉しそうなんだ?よく分からない

携帯番号で登録できなかったかな??と思ったけどまぁいいや

 

時間に余裕があるので現地まで姉弟子(ひまり)といくことにしたけど、途中弟子(つぐ)も合流した、モールは人がやはり多くてMPがガシガシ削られていく気がする。

流石に付き合いの長い商店街組二人は人気の少ないフードコートに避難させてくれた。

「あ、せんせー」

えーと、ゆきのくら?いや、あ、倉田だったなを連れた広町さんがいた。

「早いな?」

「せんせーも早いですね、あ、しろちゃんをこの機会に沼に落とそうかと連れてきました!」

綺麗に敬礼をする、なんでそこまで見事に出来るの?と思いつつも…本人に聞こえてるし、ゆきんこビクビクしてない?

「ん、あ…」

前売り券残ってないから、ゆきんこの分はポイントから出すか…と考えてたら

ん?今度は広町さんが少し困った顔をしている?

あ、もしかして

「広町も元々前売り持ってたんですよー」

2枚の意味なのかピースサインしてる…ということは

(…一枚余った…)

と思ったら

ん?あれ?

「あれ?蘭じゃないか?」

少し遠くに見知った赤メッシュがなにかを探すように歩いている。

眼鏡をとりだして見てみると…

「やっぱり蘭だ」

大声で呼ぶのを嫌うので足早に、足早に?…

 

「ねぇ賢人さん?ナニしてんの?」

近づいた頃には息切れしていた

「いや、おおごえで、よばれるの嫌いだろ、お前」

息を整えながら言い訳をすると

「そんな息切らすくらいなら、呼びなよ。本当モヤシだよね…

と言うか、ひまりが呼べばいいじゃん!」

遅れてひまり達がやってくるのを見て怒る、なんで怒るの?

確かに、それいつものことだよね?なんでしなかった??

「で、お前暇か?」

「賢人さん言い方、そんなだから誤解されるんだよ」

バッサリ切られる

「…暇だけど」

ん?ひまりは商店街組に声かけたんじゃないのか?

「あぁ、最近新しいグループが出来たんだよ、あたしは興味ないから入ってないからだよ」

顔に出てたのかフォローを即いれる蘭に微笑ましくなる。

仲間はずれとか正直嫌いだ、やる方は平気でもやられる方はたまったものじゃない。

どこかの歌でけものはいてものけものはいないとあるけど、それをするこものは多いんだよね。

言うに事欠いて「天才さまには一般ピーポーの感覚はわからないだろうから」とか…あ、なんかトラウマが…

「ちょっと!大丈夫なの?」

蘭が心配してくれている

「ちょっと考えすぎた…」

お決まり(約束)で落ち込んでいるのを正直に申告する

「はぁ、本当に賢人さんは…」

なんてしてたら

「蘭どうしたの?こんなところに??」

ひまりとつぐがやっときた、どうやら一部のグループにだけ呼びかけたのは本当のようだ

この場合、なぜ商店街組には呼びかけなかったのかを聞くべきなのだろうかと考えていると

何故か三人ともが驚いた顔をしてこちらを見ている

「どうした?」

どこかおかしなことしてるか不安になって訊くと

「いや。賢人さんなのか?と思って」

他の誰だと言うかなこの髪綺麗なのに伸ばさないはメッシュはいれるは和に対する反逆心の塊は?

「そうそう、少し前の賢人さんなら、平気で『なんで蘭に声かけしてないの?そういうの嫌いなんだけど?』って、理由もなくバッサリきたよ?」

このかーひぃは人の顔見てそこまで察したのか?杏子姉吸い込んで能力コピーしたのか?なんて恐ろしい「なんかかなり酷いこと考えてない?」読まれた!?

「…これが新田美波の力なの?あの賢人さんが、表面上、額面上の気遣いしかしない賢人さんが、人の機微に…なに?何をさせたいのあの女神は…本当になんなの…」

つぐは変につぐってよくわからないことを延々と呟いているし、たまにこうなるのはなんだろうとモカに一度訊いたら「それはつぐってるの最強(凶)状態だぁ!ケントさん逃げなきゃだよねぇ」なんて、意味がわからなかった。

 

結局余った?一枚は蘭に渡し、全員で観ることになったけど…

「蘭とつぐははなれたとこでいいの?」

じゃんけんで席取りが行われ

…通路前の真ん中しか嫌なので先に取ってしまっていた…

参加しなかった蘭とつぐが少し離れたところに席を取っていたのでひまりが変な顔をしていたが…

 

―約一時間半後

「やっぱりこうなった…」

と呟く蘭…、大泣きするひまりを介抱するつぐも半泣き、何故か半泣き状態のゆきんこと困惑している広町さん

半泣き、大泣き状態?

「みんな感動しすぎ?」

これは車出してもらうかと杏子姉を呼んだ…便利に使ってごめん

 

 

 

その夜

「…仕方なく参加しました」

ひまりから参加要請のあった『とある日本犬の生態報告会』?名前あってる?あ、シバケンだから…に参加して今日の出来事を語る

ひまりは大泣きしてたし、つぐも離れてたのに半泣きなら仕方ないよね

『そう言えば賢人さんと映画は観たことありませんでしたね』

観ない方がいい、あれは一緒にいく人間が神経を削ぎ取られるから

『もういかないです』

『あんなだったっけ?あんなひどかったっけ??』

商店街組でもダメージ負ってるから、月ノ森(モニカ)の子達は大丈夫なのかな?…いや、ひとりだけ平気な顔してたのに周りに合わせて困った顔してるのがいた

『広町は正直少し神経質かな?とは思いましたね』

この子だ!

よくあれに耐えられるよね、あたしでも少し離れないと怖くて仕方ないのに

「まぁ、とにかく、賢人さんは観たい映画は一人で早朝に見に行くタイプだから…」

そう、人がほぼいない貸切状態に近くないと…

周りが危険なんだよね…呪詛みたいな何かが聴こえてくる…その方がよっぽど迷惑だと思うけど本人は珍しく

「あいつが悪い」と切ってしまう…内容が本当抉くて怖い…

 

『賢人さんの聴力って?』

今日見ててわかった、何故か異常に上がってる。つぐもそこに気づいたみたいで

『前ならあれくらいは我慢してくれました!だよね?蘭ちゃん』

「そうだね、あれはどうしたのか本当に犬並みになってるよ」

咀嚼音を嫌うのは商店街組はみんな知っている、しかし今日のは酷かった

『普通聞こえる?隣ならまだしも三つも四つも離れた席のおじさんのポップコーンの咀嚼音!』

聞こえたんだよね、どんどん賢人さんの機嫌が悪くなっていったから、口元押さえてたから臭いもしたのかもしれない

(賢人さんが何か食べながら映画見てるの見たことないね)

臭いの元はひまりだけど…、ポップコーンで音立てるなんて取るときだけくらいだけどひまりは訓練されてるから立てない。隣で音を立てて賢人さんの不興を買ったからね、あの時でも神経質すぎると話をしたよね。

私やつぐはそんなにしてまで食べたくないから食べない派だし、賢人さんが前売りまで買ってるのは隣では観たくない…あれはおかしい。

「ひまりは本当よく、(鑑賞してる)賢人さんの隣で食べたよね」

本当称賛ものだよ、チャレンジャー過ぎるよ

『いや、賢人さん珍しくお腹減ってたみたいだからどうかなって…』

本当チャレンジャー

「広町さんだっけ、一緒に居た子は大丈夫なの?」

かなりおとなしい子みたいだし…ってでもあの子…

『あー、しろちゃんあれで結構すごいんで、明日映画の感想言えるように頑張るって言ってましたよ』

…本当にタフだ、ボーカルだしそうかもね。頑張るポイントがなんか違う気がするけど?

『言われてみると賢人さんと映画鑑賞ってあまり繋がる印象ありませんね』

紗夜さんがふともらす。そういう印象かも、でも…

『柴田さんはあれでかなりの映画好きなのよね。字幕とか読んでないけど』

知っている!?

『白鷺さんなんで!?』

商店街組でも知ってる人間は少ないのに?

『柴田さんのあの変な語学力は全部映画からよ?目悪いのに眼鏡かけないで観るとかするくらいだし、多分構成を理解して言語理解してるからあのへ…独特な英会話とかになるのよね』

言い直した!というか白鷺さんなんで知ってるの?

『おかしい、ここ最近は一人でしか観てないはずなのに…』

つぐがなにか気になることを言うけど、まぁ仕事(バイト)の絡みだよね

その後は、賢人さんのあのおかしな神経質さと普段との差の話くらいでお開きになった。

「なんだ、こう変なグループかと思い込んでたけど普通に話すだけじゃない?」

そう私はそんな軽く思ったことを直ぐに後悔することになった。




読了ありがとうございます。

10th観てきたので久々の女子会かな?

よろしくお願いいたします。


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幕間:あってはならない女子会?in杏子さんの某ライダーみたいな車

書いてあったのに投稿忘れていました。

よろしくお願いします。


はいはーい

今回は杏子さん運転中の車からでーす

ちなみに、シバケンに「なんでベーシックカラーにしないの?バカなの?」とひどいこと言われた某令和ライダーぽい車の赤だよ!

本当あのイエローだとゼロワン・ゼロツーにしか見えないとかシバケンがうるさい車で移動してます!

という事でいつもの娘たちー!

 

「対抗ヒロイン?なんか本命より進んでる?え?子供はやっぱり双子の女の子?な、氷川紗夜です」

女の子だとやっぱり、シバケンデレデレなのかな?

「男の子だったら…なんか子供が不憫ですね」

シバケン子供にも容赦なさそうだもんね…長男くん強く育ちそう

「そうなのかな?結構可愛がると思うけどなぁ?大穴ヒロインと偽った実は影の対抗ヒロインだった日菜だよ♪」

まぁ紗夜ちゃんか日菜ちゃんかの対抗ヒロインだったからね

「いきなり私だとお姉ちゃんがね?進んだあとでもお姉ちゃんがね??私、『日』菜なのに日陰者なんだよねー???」

あ、紗夜ちゃん地味にダメージ入ってる?

「これくらいの軽口もう全然大丈夫?だよねっ♪おねーちゃん♪」

(この子絶対狙ってる…何があったの?何があったの日菜ちゃん!!??)

 

あれ?そうすると大穴枠は?って、ずぅっと無言で助手席にいますけどね

「本当の大穴…攻略できない大穴なっ!あいb「やらせないよっ!!」」

友希那ちゃん、地味に切れて怖いことしないでね?ねっ!?

「…柴田賢人の三番目の犠牲者、湊友希那よ…逃げれないように車にしたわね?」

正解!だって普通に呼んでも来たことないじゃない?

「いえ、一回だけあるわよ、その、黒猫(ノワール)につられて…」

日菜ちゃん主体の時のかな?二章が終った時のだね

「で、にゃ…ノワールは今日は?」

また黒猫で釣ったわけだけど、その紗夜ちゃん撫でにやられちゃってて…その

「男だけじゃなく猫まで紗夜に獲られるのね…」

あー、その、なんというか、ゴメン

「…いいわ、貴女とは本当の意味で解り合えていると思っているから」

のわたんはまた来るから、あの猫は飼い主ににて…空気読まないかぁ

 

 

「最後部座席だから目立たないけど丸山いまーす!!」

うん、三列だけどミニバンだから小さいからわかるよ?

「本命なのになんかズタボロでハイライト堕ちてる千聖ちゃんもいまーす!!」

千聖ちゃん様(泣)

「誕生日の本来あり得る未来編が…私の栄光が…」

あ、千聖ちゃん様遅れたけどお誕生日おめでとう♪うん、きっといいことあるよ!あるよね?約束された未来は…明るい…よね?

「…もう頭(髪型)シニョンにして…白青な服にして…腹ペコキャラになるしか…」

髪型はよいかもねー、シバケンあのひとすきだよー

『…!!??』

あんたたち(汗)

偉人英霊を基にしたキャラクターだってば…

「そう言えば、FNOで使っているキャラがそんな(金髪纏め髪青騎士)感じ?ですよね」

あいつネカマしてんの?

「『可愛いキャラ使わずしてなにがゲームかよ?』って言ってましたね」

「?…私は黒髪(ハーフアップ)の暗殺者を見たけど?」

…あいつゲームに何を求めてる?

「友希那さん?賢人さんとゲームしたりするんですね?」

咎めるというより素直に驚いているわね紗夜ちゃん

「…あこや貴女達と差がありすぎるから」

まぁ、確かにあこちゃんりんりん紗夜ちゃん(ガチ組三人)は上級職だしね

「そうでしたか」

「むー!なんかるんってこないなぁ」

妬かない妬かない♪

日菜ちゃんもすればいいじゃん?パスパレのみんなでパーティ組んで

「ケントくんが…いや!おねーちゃんが引っ張ってくれる?」

「まぁ、壁(そこそこ強いモンスターのターゲットをとり横から倒させて経験値を稼がせる育成方法)くらいになら…」

紗夜ちゃん本当ガチ勢よね。

(?柴田賢人は経験値配分できるパーティで手伝ってくれたけど?)

後に紗夜ちゃんに探し当てられ、友希那ちゃんのキャラクターに合わせたレベル上限(経験値配分可能)にして引っ張っていたことが判明しNFO組(と言ってもRoseliaだけど)を呆れさせたのは別の話らしい。

ちなみに、引っ張る条件として、『あの衣装(エミリア)』装備をさせていたので余計に呆れられていた。

本人にコスプレさせなさいよ!

え?そんなのシバケンじゃない?

「『いいよなー、いいよなー』って、欲しかったみたいよ?」

あー、そっちね…あの子は本当よくわからんとこある

「そう?変わってない気がするわ」

そう?まー友希那ちゃんが言うならまぁ

「そこ!!黙ってれば本命ヒロイン差し置いてダーリン談義しないで!!」

千聖ちゃん様切れた?

「あーもうっ!友希那ちゃん!彩ちゃん!!ばっかり作者(愚獅子)に贔屓されて!!」

え?どこが?と流石にみんな困惑してますよ??

どう見ても、紗夜ちゃん贔屓じゃない??あと女神(ンミナミィ)だよね?

「美波さんはあれはもう仕方ないわ、世界線が違うのに強力すぎるから、まさに女神よね」

それは納得するんだ?

この世界(バンドリ)どころか元は私達になんか全く興味なかったのよ?」

うん、なんとなくポピパは面白がって興味もってて、黒髪長髪(たえちゃん)推しを自認してたよね、実際新宿の花園に住んでたときは喜んでたし

「単純な方ですね…」

「でも、その程度、それがどっぷりはまったのは…(びしぃっ!)彩ちゃんあなたよ!」

「え?ぇぇぇ?!!?なんで?」

「きゅ~まいよ、あの曲、いえあのシーンでパスパレ(うち)の推しになったのよ?そして…」

「FIRE BIRDでRoselia(私達)?」

…ところがぎっちょんっ!

「エミリア風の友希那ちゃんよ!」

確かに、エミリア友希那ちゃん欲しさにおたえちゃんやラム紗夜ちゃんやレムりんりん揃ってるデータリセマラしたよね(遠い目)

「…どれだけ私に興味なかったのですか!!」

あいつ(愚獅子)は…そういう男だから

「で、でも私と丸山さんの扱いかなり悪いわよ?…ね?」

あー、彩ちゃんは本当、何をトチ狂ったかとんでもないコンセプト進められてたのよ?

「あ、うん。少しだけ名残あるからなんとなくわかるよ?」

友希那ちゃんは最近恋心が刺激されたらしいわよ?

「あれね、あの悲恋よね…」

書くの可愛そうで結末までかけないとかバカ言い出したわよ?

「バカなの?」

バカよ?

しばらくなに考えてるかと思ったら、二次創作のガイドラインの捉え方とか矛盾点を突いて送ってみようかとか(やるな!)いままでの分をしれっと直してしまおうかとか(する気で構成直してたら、とんでもないもの見つけてしまった)、ゲパルト彩ちゃんが変な方向になりかけたとか…

「え?あれ(ゲパルト彩ちゃん)本気でやるつもりなの??」

だって作者(愚獅子)相変わらず彩ちゃん推しよ?

あと友希那ちゃんも?

「まさか?」

うん、ゲパルト彩ちゃんの敵は当初はシュトルモビクのイリューシンだったのに、フォッケウルフ(途中で仲間になる)とか言い出したから

「私イリューシン(ロシア)?」

「私がフォッケウルフ(ドイツ)?」

そそ、あとメッサーとシュミットという双子の設定とか

「どちらがメッサーでシュミットですか?」

「あたしメッサーで!!るんっ♪てくるー!」

いいの?途中で死んじゃわない??死神とか言われない?

「あ、ならおねーちゃんに譲る」

「日菜!?」

 

 

 

-大騒ぎな車内で一人(?)静かな

 

双子姉の撫では本当おかしいのう

燐子以外に撫でられても、妾としては撫でさせてやっておるのだが

 

燐子に撫でられるのに通じるものがあるのじゃ、あの銀髪も少し似ておるがあやつは緊張して余分な力がはいるからな…まだまだじゃ

妾で修行を積ませてやらないこともないがのう…

 

で、車内で騒いでおるが

あの犬臭い存在感はでかい小さいのは、いつまで嘘をつき続けるのかえ?

人間はよくわからぬわ




読了ありがとうございます。

次回教育実習編後半です。

ルイルイが無双する?

よろしくお願いいたします。


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