Warrior beyond despair (レオ2)
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番外編 光輝と〇〇
光輝と祖父


おはようございます((。´・ω・)。´_ _))ペコリ。
加筆とかしていたらやっぱりあまり光輝の家族の描写があまりにも少なすぎて少しな〜と思い文字数は少ないですけど光輝と家族の描写を入れます。今回は祖父です。


「やああああ!」

 

「いいぞ光輝!」

 

と言って小さい手を止めてるのは老人だがその体つきはがっしりとしている人だ。幾らか光輝の攻撃を受け流し光輝は下がって息をゼェゼェとする。

 

「はぁはぁ、全然当たらない・・・」

 

そう言って少し落ち込んだ顔になる。そんな光輝に老人・・・光輝の祖父、西沢武蔵だ。息子・・・つまり光輝のお父さんは武蔵のような武人ではなく割とガリ勉タイプで武蔵はそれに少し悲しいなあと思いながらも息子の道を行かせた。そしてそんな息子が結婚して孫娘とその孫娘が生まれてから10年後に男の孫が生まれた。そして孫は隔世遺伝したのか小さい頃からウルトラマン等を見て武蔵によく勝負と言ってよく懐いた。そんな孫・・・光輝を武蔵が可愛がらないはずがなく4歳頃からよく一緒に修行をしていた。そして拳を振るう意味などを光輝が使い方を間違えないように説いていた。

 

「いいか光輝。拳は弱いものいじめをする為にあるんじゃない。弱いものを守る為にあるんだ。」

 

「はーい!」

 

武蔵は光輝に何度もそう言った。光輝は今6歳だ。

 

「おじいちゃんに全然勝てない。」

 

と落ち込んでいるのは光輝だ。武道でも剣道でもまだ勝てない事に落ち込んでいた。そんな光輝に苦笑いしながら武蔵はわしゃわしゃと光輝の頭を撫でた。

 

「そう簡単にじいちゃんは負けないぞ?だけど・・・いつかはじいちゃんを超えてくれ。いいな、光輝?」

 

「うん!おじいちゃんを頑張って超える!だから次は剣〜。」

 

「おう!」

 

そう言って2人は竹刀を取った。武蔵は一刀、光輝は二刀流だ。ただ普通の剣道では長刀の竹刀を2本とは認められていない。だから光輝は大会などに出たいならば一刀か、小太刀を1本の二刀流にせねばならない。だが光輝がやってる理由はただ強くなりたいというものだしまだ小一で言う必要は無いと武蔵は考えて敢えてほっといてる。それにどちらにせよ小学生じゃ二刀流は認められていないのもある。

光輝は二刀を持って少しぐらついている。竹刀は光輝用に短めとはいえそれでも今の光輝には少し重たい。そんな光輝が武蔵の所に突撃した。

右の竹刀を振りかざしたが武蔵の竹刀で止められた。そんな武蔵に光輝は左の竹刀を横払いで胴を攻撃したが武蔵は下がって躱した。

そして武蔵は距離を詰めて上から光輝目掛け振り下ろした。それにギリギリ反応した光輝はニ刀を交差させて歯を食いしばって止めた。

 

「やああああ!」

 

そう言って弾こうとするが武蔵の方が力が強く押し込まれそうになる。光輝はそれに耐えながら作戦を変えた。さっとニ刀を戻すのと同時に自分も下がった。力を入れてた武蔵は前のめりになる。そこを狙って下がった瞬間に突撃した。だがそんな作戦が武蔵に引っかかる筈なくぐっと足を踏ん張ってコマのように回転した。そんな回転した武蔵の横に光輝は左の竹刀を振っていた。だがもう武蔵は回転し終わり飛び込んできた光輝に面を取ろうと竹刀を振り上げた。

 

「うおおおおぉ!」

 

と、光輝は気合いの声をあげて無理やり体を反転させて右の竹刀で止めた・・・のだが片方だけでは受けきれずそのまま少し吹っ飛んだ。

 

「また負けた〜!」

 

「光輝の課題はやっぱり力をつけることだな。幾らか竹刀に振り回されてる場面があったからな。」

 

「う〜、はーい。」

 

そう返事して光輝は息を整え武蔵に聞いた。

 

「う〜、おじいちゃんみたいなそう言う流派がないから独学するしかないのが辛いな〜。」

 

武蔵は武人と言うだけあって色んな流派を知っているし、また身につけてもいる。だが武蔵は先程の試合の通り一刀だ。だから剣道・・・剣術を始めた時から何故か好んで二刀流の光輝には独学でさせるしかなかったのだ。あまり二刀流がいないという事も相まって光輝の二刀流修行は光輝オリジナルが増えている。

 

「そうだな、だが光輝の年から二刀流は中々いない。だから戸惑ったりする気持ちも分かる。だけどな光輝、お前もその内良い流派に出会うだろう。その流派がお前の力になる。だから今は光輝自身で頑張って見るんだ。」

 

そうまた頭を撫でながら武蔵は言った。それに光輝は嬉しそうに返事した。

 

「はーい!僕も早く真剣使えるようになりたいな〜」

 

さらっと恐ろしい事を言うが光輝はガチである。初めて祖父が真剣を使ってるのを見た時から自分も使いたいと思い剣術も始めたのだ。それに苦笑いしながら撫でながら祖父は言う。

 

「光輝、真剣を使う時には掟があるんだ。」

 

光輝はそれに不思議そうな顔をして首をコテっとする。

 

「それはな、自分に取って大事な人や場所を守る為に使うんだ。」

 

「守る為?」

 

「そうだ。そうしたら剣はお前に答えてくれるだろう。剣に込められた記憶や思いは永遠にそこにある。例えあの真剣の形が変わろうともな。」

 

この時の光輝にはあまり祖父が言ってる事は分からなかったがそれでも祖父が良い事を言ってると理解し笑顔で頷いた。

その時家のチャイムが鳴った。そして外から声が聞こえてきた。

 

「光輝〜!遊ぼ〜!」

 

「あ、愛美だ。」

 

「ははは、人気だな光輝。きりもいいし今日は終わるか。」

 

「うん!」

 

そう言って孫と祖父は母屋に行った。




お疲れ様です。これからも偶に光輝の笠木と戦う前の話は入れます。(*´∇`)ノ ではでは~


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光輝と愛美と西沢家

光輝&愛美の話。余り物語とは関係ない。というかただの息抜き
レッツラゴー


 2008年 6月の土曜日 西沢家の家にて

 

「じゃあバターをヘラで切るように混ぜて」

 

「うん」

 

 そう言って小1の光輝はボールの中のバターと薄力粉と卵が混ざった物体をこねこねと混ぜる。その隣では愛美も同じ事をしている。混ぜている物体はクッキーの元で力を入れないと碌に混ぜれない。

 現に力がない愛美はせっせと混ぜようとしているがそのスピードは遅い。対して光輝は普通にしんどそうだが混ぜれている。完全に混ぜ終わり光輝は困ってそうな愛美に聞く

 

「やろうか?」

 

 悪戦苦闘している愛美を見かねて聞いたが恋心を持っている愛美は光輝にダサいところを見せたくなくて虚勢を張る

 

「私がやるの!」

 

 そうぷんぷんと怒る愛美に光輝はタジタジになりながらも母……西沢蓮花に助けを求めたが蓮花は光輝が愛美を相手にした時タジタジになるのが可愛くて気づかないふりをした。それに光輝は困った顔になり愛美を見る。

 愛美は混ぜるために力を入れているが元々非力な為少ししか混ぜれない。光輝はそれを見て少し躊躇った後、愛美の後ろに回ってヘラを持っている右手にゆっくり自分の手を添えた。それに愛美はビクンとして思いっきり叫ぶ

 

「こ、光輝、何すんのよ!」

 

 愛美は全体的にイメージとしては髪と瞳の蒼の筈なのだが今だけは頬が赤くなっている。その上げた声は嫌がっているという訳ではなく好きな人の手がいきなり自分の手に添えられた事への羞恥が大概だ。その羞恥を光輝に悟らせない為に大声を上げたのだ。しかし光輝は愛美とは違い赤くなりもせず理由を言った

 

「こうしたら愛美がする事になるからいいでしょ?」

 

 そう言って愛美の手に自分の手を添え一緒にクッキーの元を混ぜ始める。愛美の内心はそれ所ではなく光輝が後ろにいなかったら悶えて心臓が主に羞恥でおかしくなる所だ。そうはしなくとも今愛美の心拍数がやたらと上がっている事だろう。現に愛美の頬は先程よりも濃くなっている。

 

「……ばか」

 

 精一杯の抵抗で愛美はそれだけ言ったが声が小さすぎて光輝には聞こえなかった。光輝もこの状況に体が熱くなって混ぜるという行為が無ければ愛美へ抱き着いてしまいそうになっている。そんな時光輝は間違えて少し愛美の頭部に突撃しかけて愛美のサラサラの髪の匂いを嗅いだ。そのどこか甘い匂いはクッキーを作るという体裁が無ければずっと嗅いでいたいと思ってしまう。

 一方愛美も光輝のおかげで簡単に回る薄力粉と卵とバターが混ざった物体を見てから光輝の手と腕をチラ見する。

 

(愛美……良い匂いがする。どんなシャンプー使ってるんだろ?)

 

(光輝……また少し筋肉ついて男っぽくなってる。これ以上男らしくなったら私がおかしくなっちゃうよ)

 

 そんな絵面だけ見ていれば完全にカップルの光輝と愛美を蓮花や父の零斗は二コニコと見ている。まさか小1から彼女を連れてくるとは思わなかった。……まあ付き合ってるわけではないがその内そうなりそうだから良いだろう。

 そして触れ合ってみればいい子で直ぐに気に入った。愛美がこの家にいる間は西沢家の一員として面倒を見ている。因みに今祖父母は出かけている。姉は買い物に行っている。

 そして二人はクッキーの元を作り終え蓮花に見せた

 

「どう? お母さん」

 

 光輝は作業が終われば愛美から離れてそう言った。愛美はそんな光輝の後ろで先程まで光輝に触れられていた腕を名残惜しそうに見ていた。蓮花はそんな愛美を横目で見つつ二人のクッキーの生地を見て言った

 

「うん。ばっちりね。後は麗華が買ってくるデコするやつがあれば……」

 

「ただいまー!」

 

 蓮花が言ったら噂をすれば何とやらで麗華が帰ってきた。麗華はクッキーに乗せるデコレーション用の材料やクッキーの型を買いに行っていたのだ。麗華の声を聞いた光輝は「タタタタ!」とエプロン姿で向かった

 

「お姉ちゃんお帰りー!」

 

「ただいま、光輝。おまたせ、はい」

 

 そう言って麗華は微笑み買ってきた袋を光輝に渡した。光輝はそれを受け取り麗華に笑って言った

 

「お姉ちゃんありがとう! 大好き!」

 

 そう家族としての好意の表明をした光輝に麗華も嬉しくなりギューッと光輝を抱きしめる。

 

「お姉ちゃんも光輝の事好きだよー!」

 

「ぐへっ!」

 

 いきなり抱き着かれたからか光輝から変な声が出てくる。しかしそんな光景を唖然として見ている者が1人。

 

「なっ!?」

 

 もしかしなくとも愛美である。頬を先程とは別の赤色に染めあわわと言っている。そしてその視線は姉に抱き着かれ嬉しそうな表情を見せる光輝だ。

 

(私といる時そんな顔しないのに)

 

 そう考えたら愛美の中で嫉妬が出てきて愛美もタタタタ! と光輝と麗華に近寄った

 

「光輝続きするよ!」

 

 抱擁されている光輝の腕を掴み引っ張る。そんな愛美をからかうように麗華は光輝の抱擁を強める

 

「もうちょっと抱かせて―!」

 

 10歳も年が離れているからか麗華からすれば光輝が可愛い過ぎるのだ。それももう目に入れても痛くない程に。

 しかしそれは愛美も同じ事、あの日から一所懸命光輝を自分に振り向かせようとしているがやはり家族と言うアドバンテージがあるからか余り麗華から自分に見てくれないという。でも……

 

「こ、光輝は私の……」

 

 愛美がそこまで言ったら本人は「はっ!」とした顔になった。周りを見ると先程まで光輝を抱きしめていた麗華や蓮花はニヤリとしている。そして愛美はもう一度自分が言おうとした事を思い出した。

 

(私、今何言おうとしたの?)

 

「私の」とは普通は何かしらの物が自分の物と言うときに使う言葉だ。そしてその次に自分は何を言おうとしたのか。それは愛美が光輝の事を……

 

「あ……あわわわわ」

 

 小1でもそれは分かったのか愛美の顔がどんどん赤く染まっていく。流石に愛美の様子がおかしい事に気が付いたのか光輝は麗華の抱擁から抜け出し愛美の目の前に歩いてくる。

 そして心配そうに声をかける

 

「愛美大丈夫?」

 

「ひゃ……ひゃい!?」

 

 謎の声を出し愛美はようやく目の前に光輝が来ていることに気が付いた。目の前の光輝は学校では中々見せない本気で人を心配している時の顔だ。その顔を自分に対して見せてくれているという嬉しさとさっき自分が言った事の意味を分かってないという悲しさが入り乱れて

 

「はぁう」

 

 そんな声を出しながら愛美の視界は暗転した

 

 ★

 

 お姉ちゃんが帰ってきてから愛美の様子がおかしい。いつも通りの事をしていただけなんだけどな。多分見るのは初めてだったと思うけど家族なんだから普通の事じゃないの? 

 ……とか思っていたら愛美が変な声を出しながら後ろに倒れてしまった

 

「え……愛美!?」

 

 僕は咄嗟に袋を手放し愛美の腰あたりに手を添えて気絶してしまった愛美を支えてゆっくりと倒れさせた。

 

「ええええ愛美どうしたの!?」

 

 流石にこんな事態は初めてなので光輝が慌てる。その慌て様は蓮花と麗華が内心悶えていた。光輝がヘルプの顔で見てきてようやく我慢できた。麗華が取り合えず言った

 

「お母さんたちの部屋に寝かしたら?」

 

 光輝達の両親の部屋は和室となっている。今光輝達は玄関にいて一番近いのが蓮花達の部屋だからだ。

 因みに西沢家は二世帯住宅なのも合わさり二階建て+道場付きと言う結構広かったりする。間取りは一回リフォームをしたので初期から変わっているが一階は夫婦の寝室と言う名の和室が二つ。リビングが一つ。そのリビングの中にはキッチンもある。二階には麗華と光輝の個室が一つずつある。この事を光輝が愛美に言った時

 

『自分の部屋いいなぁー!』

 

 と羨ましがられた。これをきっかけに愛美も自分の両親に頼み込み個室をゲットした。

 閑話休題

 と言う訳で光輝は愛美を背負おうとする

 

「光輝大丈夫?」

 

 麗華が心配なのか聞くが光輝は重たそうな顔になりつつも言った

 

「僕が運ぶの!」

 

 そう無意識なのか知らないが頬を染めながら言った。それを見た麗華は少し寂しさと嬉しさをごっちゃに感じる顔で言った。

 

「光輝は愛美ちゃんの事好きなんだね!」

 

 それを聞いた光輝は顔だけ思いっきり振り向きその顔を真っ赤に染めながら叫んだ

 

「ちち違うよ! 愛美とは友達だよ!」

 

 傍から見ても両想いなのだが。光輝は意識してないかもしれないが今だって愛美を大事そうに運んでいる。というより小1なのに力持ち過ぎないかと麗華は思ってる。

 

「ふーん?」

 

 光輝は姉の視線を見て見ぬふりして愛美を横にゆっくりと倒した。未だに愛美はやたらと赤くなり「はぅ」という言葉をずっと言っている。光輝はそんな愛美に「よいしょ」と言いながら布団を持ってきてかけてあげた。

 麗華はもうちょっとで夏の時期にそれは暑くないか? と思ったが改めて感じてみると風も入ってきているから問題なかった。そんな光輝を見ながら麗華は愛美が初めて家に来た時の事を思い出していた。

 

『その……今度お友達連れてきてもいい?』

 

 四月に入り麗華も高校のクラスにも慣れてきた頃、余り学校での話をしない光輝が食卓の場でいきなりそう言ってきた。それに麗華はびっくりしたと同時に嬉しかった。麗華が所謂ブラコンになったのは光輝が可愛いのもあるが光輝が余り他人と一緒に遊ぶことが出来ていなかったからだ。保育園の時なんかそれで孤立していた。何回か麗華が迎えに行った事があるが大概端っこで一人で遊んでいた。その理由が保育園の人曰く

 

『正直すぎるんですよ』

 

 確かに光輝は割かし正直だ。だがそれ故にハブられやすかった。曲がった事が嫌いで自分にとって正しいと思う事を貫いている。

 それは蓮花につられて見ていた相棒や珍しく光輝がハマったウルトラマンメビウスの影響により更に顕著になったと言えるだろう。だが麗華は知っている。本当は誰よりも優しい子なんだと。正直に言ってしまうのは相手への心配の裏返し。

 だから光輝の事が麗華は大好きなのだ。そんな光輝からお友達と言う単語が出てきて内心結構舞い上がったのだ。

 

『もちろん! 連れてきて良いよ!』

 

 そしていざ連れて来たお友達……麗華はてっきり男の子だと勝手に思っていた。しかし当日光輝に付いて来て現れたのは

 

『は……初めまして。古原愛美っていいます』

 

 少しもじもじと頬を少し染めているのは色々ぶっ飛んでいてアニメにいると言われた方が通用するリュックを背負った美少女だった。まさか蒼髪に蒼眼なんて子も初めて見た。少し唖然としていた家族を見て光輝は疑問の表情で聞いた

 

『皆どうしたの?』

 

『ちょ……ちょっと光輝借りるね!』

 

 と言って麗華はちょっと光輝を引っ張り聞いた

 

『お、女の子なんて聞いてないよ!?』

 

 それに対する光輝の答えは

 

『性別なんて関係ないと思う。だって一緒にいて安心できる人なら皆友達でしょ』

 

 我が末っ子ながらなぜ偶にこんな確信をついた言葉を言うのだろうかと麗華や蓮花、零斗は思ったがそれが光輝が思っていることならばそれを尊重する。

 そして愛美をリビングに通したら愛美がリュックの中からお土産を出した

 

『あの……これお母さんからです』

 

 まさかお土産まで持ってくるとは……今の子供にしては珍しい。緊張しているのは光輝の親だからだろう。

 

『わぁ! ありがとう! お昼もう少しで出来るから食べて行ってね』

 

『あ……ありがとうございます!』

 

 そうしたら光輝がちょっと恥ずかしそうに愛美に言った

 

『じゃあ僕の部屋に行く?』

 

『待った!』

 

 そこで麗華が待ったをかけた。いや光輝に他意はないのは分かっている。光輝はお昼を待っている間に愛美と何かで遊ぶつもりだったのだろう。しかし弟を正しき道に導かなければならない姉の身としては問題である。と言う訳で

 

『お姉ちゃんの部屋に行こっか』

 

 この時の姉の表情について光輝が愛美に尋ねたところ

 

『ちょっと怖かったかも』

 

 とのほほーんと教えてくれた。麗華からしたら光輝のお友達を見定めるつもりだった……いやはっきり言うとこの時の愛美の光輝に向ける視線が完全に恋する乙女だったので光輝に相応しいかを見るつもりだった。最終的には二人が良いなら良いがそれはそれ、これはこれである。……一回あっただけでこんなぶっ飛んだ発想になるあたり麗華も大概ブラコンである。

 その後は麗華の圧に押され二人は麗華の部屋で遊んでいた。麗華は意識を現代に向け愛美を心配そうに見ている光輝を見る。

 

「なんか変な事したかなぁ」

 

 本人はやはり愛美がこうなった原因が分かっておらず愛美の体調不良だと勝手に思っている。単純に羞恥が限界突破したからだとは微塵も思っていない。

 

(我が弟ながら鈍感すぎるぞ)

 

 いや小1でそんな関係になって良いのかとは思うが小さいころからだからこそ永遠になるかもしれない。ただし一線はせめて大学生までは超えさせないつもりだが……とか最早麗華の頭の中が恋愛脳である。

 

『やっ!』

 

『愛美強い……』

 

 と当時は何故か二人してオセロをしていたのを麗華は二人の中間で見ていた。結果は光輝のぼろ負けである。愛美は最初光輝の姉の部屋だからか緊張した面持ちだったが光輝と遊んでいたら笑顔が増えて行った。その笑顔を見ていた光輝が少し恥ずかしそうに見ていたのを麗華は見逃さなかった。

 

『皆ご飯よー』

 

 その蓮花の言葉により西沢家はお昼にしていた。蓮花はおいしそうにご飯を食べている愛美を見ながら先程三人が二階にいる時に起きていた出来事を思い出していた。

 三人が麗華に連れられて二階に行った後、お土産のお饅頭の箱を開けてみればそこには紙があった。それは電話番号だった。早速蓮花は電話をかけ出たのは愛美の母親だった。

 挨拶もそこそこに少し母親同士話が盛り上がった。

 

『えっ!? 光輝がそんなイケメンな事を!?』

 

 何故愛美と光輝が仲良くなったのかという経緯を蓮花は愛美の母親……美月から初めて聞いた。本当に光輝は何も学校の事を話してくれない。

 

『家では光輝君の事ばっかり話すんですよ』

 

 それ以降は昼ご飯の準備もあったのでまた今度と言う事になったがその電話のおかげで蓮花は愛美を気に入った。それだけ一途な子なら……となったのである。

 それに……と蓮花は愛美を心配そうに覗き込んでいる光輝を見て心で続けた

 

(光輝も愛美ちゃんの事は好きみたいだし)

 

 先程は愛美とは友達と言っていたが光輝が愛美を見る視線は友達に向ける類の視線ではなかった。

 

(孫の顔が見れるのは早いかもね)

 

 母娘そろって恋愛脳だ。蓮花は残りのクッキーの工程を頭の中で計算した。残りは出来た生地を型取りしてオーブンで焼くだけだ。これだけなら光輝達だけでもできるだろう。

 

「じゃあ光輝、私達出かけてくるから」

 

「えっ!?」

 

 それに光輝は驚いた顔になる。それもそうである。倒れている愛美がいるのにどこか行くというのだ。不安にならない方が可笑しい。蓮花の意図に気が付いたのか麗華も

 

「そうだね。私丁度本屋に行きたかったの」

 

「え、愛美はどうするの?」

 

「愛美ちゃんは光輝が見てあげて。別に病気って訳じゃないから心配しないで。そのうち起きると思うから」

 

 光輝が唖然としていたが蓮花は零斗にも話を付けに行っていた。それを光輝はそれを見ていたがこうなった母親たちは止められない。……本当は愛美と二人きりになれるのが嬉しかったりする。

 

 ★

 

 蓮花達が晩御飯の準備の為に家を出て30分程経過した。光輝は取り合えず作りかけのクッキーの生地を冷蔵庫に保存し愛美の隣で瞑想しながらイメージ修業をしていた。

 イメージ修業と言っても頭の中で架空の敵を作り出し戦うだけだが。何故小1でこんなに修業好きになってしまったのかは本人にも分からない。本当にメビウスとヒカリだけの影響なのか……何故か祖父だけはそうなる事を予感していたような態度を取っていたのが光輝には不思議だった。

 ちらりと横を見てみると先程まで真っ赤になって気絶していた愛美がもう平常の表情に戻っている。この分ならもう少しで起きるだろう。

 

「……可愛い」

 

 愛美のあどけない寝顔を見て光輝は思わずそう呟いた。光輝はほとんど意識せずに愛美の頭を撫でた。少し撫でた後光輝は自分のやっていることに気が付いた、と同時にばっと手を引いた。その顔は先程の愛美の様に真っ赤だ。

 

(な……何で僕こんなことを!?)

 

 と自分でやったのに自分で戸惑っている。内心パニックになっていたら愛美が身じろぎ始めた

 

「ん」

 

 その声に光輝はビクンとして愛美を見たら愛美はその蒼眼をゆっくりと開いた。最初は焦点が合ってなかったが隣で愛美を心配そうに覗き込んでいる光輝を見て思いっきり起き上がった

 

「ここ光輝!? あ……」

 

 いきなり起き上がったからか愛美は一瞬ふらっとした。それを光輝は支えもう一度寝かした。

 

「大丈夫?」

 

「う……うん。ありがとう……って!」

 

 そして今更ながら現状を把握した。光輝が目の前に来ていて自分はそれが恥ずかしすぎて気絶したのだと。それに気が付いたら愛美は少し強引に光輝の支えをほどいた

 

「え……愛美?」

 

「う~!」

 

 言葉にならない位愛美は顔を布団に埋めて光輝にその顔を見せまいとした。光輝はなぜそんな事をするのかが分からずびっくりしている顔で見守る。そして少し時間が経った時、愛美はようやく顔を上げてくれた。

 

「あれからどの位経ったの?」

 

 光輝は部屋に掛けられている時計を見て

 

「30分くらいかな。お母さんたち買い物に行っちゃった」

 

「そう……え!?」

 

 先程の光輝を思い出される唖然とした表情になる。まさか小1の二人を置いて買い物に行くとは思わなかったのだろう。というより……と言う事は

 

(光輝と二人っきり?)

 

 そう気が付いた愛美はまた真っ赤になる。今日だけで何回真っ赤になるのだろうか。愛美は内心で悶えていたら光輝が言った

 

「クッキーは後型取りして焼くだけだからもうちょっと休む?」

 

 愛美は全力で頭を振った。このまま光輝と何もせずに一緒にいたら頭がどうにかなってしまいそうだったのだ。

 それでも寝起きの愛美が心配なのか光輝は聞いた

 

「ほ……ほんとに大丈夫?」

 

「だ、大丈夫! もう元気いっぱいになったから!」

 

 そう言って立ち上がる。確かにもうふらふらしていないみたいだし問題はないかと光輝は思った。光輝も立ち上がりその愛美の手を自分の手で繋いだ。

 

「またいきなり倒れたら駄目だから」

 

 そう先程愛美が倒れた時の様子が不安だったのかその行動の理由を言った。その行動に愛美はドキドキしているが光輝はそれに気が付かずに言った

 

「じゃあ続きしよっか」

 

 愛美は内心「どんかん」と思っているがそれでもいつも自分の心配をしてくれている光輝が嬉しかった。多分光輝の中では優先順位は家族が一番なのかもしれない。だからさっきは麗華とあんな事をしたのだ。

 光輝が家族に向ける視線をいつか自分にも向けられたい。だから今は……

 

「うん!」

 

 愛美は先程の羞恥が嘘のように笑顔になりそう返事し二人はキッチンに向かったのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様です。
小1じゃねえだろこいつらと書いてた自分でも思った。
では次は本編にて


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キャラ設定!
キャラ設定 ! 主人公、ヒロイン、宿敵編 改


 キャラ設定!

 キャラ設定 ! 主人公、ヒロイン、宿敵(?)編

 

 キャラ設定です!随時更新するかもしれません!

 

 物語は2008年からです! 因みにドラゴンボールなどのアニメやマンガ、小説はある設定です。

 

 

 主人公 西沢光輝

 

 

 

 誕生日 2002年 3月8日 小物の最恐編の初登場時 6歳 、 プロローグ時 8歳

 

 

 

 身長は6歳の時は118cm。体重20kg。

 

 黒髪、黒目。顔は普通よりちょっと上(想像に任せます。)、髪型は少しだけ前髪がフワッとしている。イメージとしては未来の悟飯の髪型が抑え目になった感じ

 

 家族構成 光輝を入れて6人家族(母、父、姉、祖父、祖母、光輝) 祖父と祖母は父方である。

 

 小物の最恐編

 

 東京に住んでいる小学1年生。年齢にそぐわない聡明さ持っている。基本的には優しいし正義感も持っている。敵には容赦がない。

また、祖父に教えられた武道や剣術も身につけている。更に物心ついた時からよく紙の棒を2本持ってぶんぶん振り回していたから二刀流がディフォルトになってしまった。一応片手でも戦えない事はないが二刀流には劣る。

 だがその二刀流もほぼ我流であるからまだまだである。アニメなどのサブカルチャーには興味はない。唯一見るドラマは相棒である。

 ある日を境に目が蒼色と赤色になったが慣れたら自由に変える事が出来る。

 蒼色は瞳孔がありで赤色は瞳孔がなしである。

 

 

 武器 竹刀→???

 

 

 ヒロイン 古原愛美

 

 誕生日2001年 5月11日 小物の最恐編の初登場時 7歳、 プロローグ時 9歳

 

 身長は7歳の時117cm 体重は教えん。

 

 蒼髪、蒼目。顔は普通の美人よりも上(想像に任せます。)

 

 家族構成 愛美入れて3人(母、父、愛美)

 

 小物の最恐編

 

 東京に住んでた小学一年生。ある出来事の後に父の都合でアメリカに引越した。

 目は母の祖先にヨーロッパ系の人がいたから遺伝した。髪は・・・ご都合主義でなった(おい笑)。

その髪と目で虐められてた時に光輝に助けられ守る発言された時から恋の眼差しを向ける。頭も良く虐めがなくなり笑顔をよく振る舞うようになった事から同級生達に静かにモテていた。勉強は好きだがそれと同じくらいアニメなどのサブカルチャーも好きである。

 

 武器 そんな危ない物は渡しません。

 

 

 

 主人公の宿敵?    笠木理玖

 

 

 光輝が病む原因にして初代ラスボス。

 ↓より本編では書いてないことです

 

 

 平和な一般家庭生まれ。ただし田舎でご近所さんも少なかった為余り知っている人は少ない。

 幼少時代から勉学面の才能を発揮、両親は喜び笠木に所謂英才教育をさせた。

 大学まで日本一と言われる某大学まで順風満帆だった。笠木が他者を、そして自分を育てた両親が高卒だったからか無意識に見下していた事以外は。

 そんな笠木がおかしくなったのは大学で唯一友達と信じていた女性の人が陰で笠木の悪口を言っていた事。笠木は都合のいい人間と見なしていたこと。それにより笠木は人間不信になり自分の意思で普段は人の良い研究者として、裏では他人を見下し支配欲を徐々に増大させて行った。

 そんな時、笠木が珍しくテレビをつけてやっていたアニメはドラゴンボールGT、ラスボスとの最終局面だった。笠木は柄にもなく最後まで見た。別に王道的な劇的勝利なんてものに興味はない。強いものが勝った、それだけだからだ。笠木が興味を持ったのは元気玉と呼ばれる他者の力を1つにして放つ主人公の最強技だ。

 笠木はそれを見た時、閃いた。自分1人で他者を支配出来ないのなら誰かの力を無理矢理奪いまくり自分を強化し絶対的な力で世界を支配出来るのではないかと。

 好きなものを食べ嫌いなものは殺し·····と色々妄想しながら笠木は目的のものを作った。その過程で皮肉にも世間はきちんと笠木を評価し天才科学者と言い始めたが笠木にはもうそんな事は興味はない。自分が天才なんて生まれた時から知っている。今更それを世間が遅すぎる評価をした。世間には見る目がない程の低脳な奴らと決めつけていた為。それなら自分の野望を叶える為の資金作りの為にもてはやされていた。

 そして笠木はその間違いない頭脳を持って件の「生体エネルギー吸収ナイフ」を作った。色々境界線が見えなくなっていた笠木は先ず手始めに育ての親をそのナイフで殺害。そしてナイフがきちんと両親のエネルギーと言う不可視のものを回収出来ていた事が確認出来た時震えた。

 殺した両親を家の庭に埋めた後、直ぐに家に持ち帰りそのナイフからエネルギーを抽出、りんごの種と併せ育てた。そして出来たものを食べた時、自分の握力がほんの少しだが上がっているのを確認出来た。変換効率は低かったがそんなものは後でどうとでもなる。両親は人との交流が少なかった為、誰も発見出来なかった。

 それから笠木は研究の為に向かった外国や日本で綿密に人を殺して行った。ほぼ皮と骨だけになるので誰が殺されたのかなんて分からないしそもそも知り合いが少ないであろうホームレス等を狙っていたので永遠とバレる事が無かった。それから野良犬等も見かけたら殺して行った。→そして本編に

 

 

 笠木の設定はこんなものです。

 本編で書けたら良かったんですが入れるタイミングが·····

 因みに偶に「笠木が馬鹿で稚拙すぎる」と割と辛めな事言われますがぶっちゃけ作者も思ってます。

 そう感じる理由は恐らく1つは作者も馬鹿なので笠木を頭が良いみたいに書けない事。

 もう1つはSAOの須郷をイメージしていたのもある。須郷も笠木も絶対的な力を持ったら調子に乗り始めるタイプにしてますし。

 稚拙っぽく見えるのは長らく続けてきた計画が達成目前なので興奮してるから、そしてその計画を危うくする光輝の出現によって頭の良さなんかよりも馬鹿っぽさが目立っているからと考えてくれたら嬉しいです(*・ω・)*_ _)

 

 光輝をSAOの世界に行かせる理由を事故にあわせて転生にしようかなって最初は考えたんですがありきたりだしSAOの最初らへんは孤高の存在みたいな感じで書きたくてその為には他者を寄せ付けないほど・・・ボスも1人で勝てる程の力にしなくちゃいけなくてそうなると光輝をめちゃ強くしないといけない。

 でも今度はそんなに強いならなんでドラゴンボール次元の奴いないのにどうやって死んだんだよとなるので光輝と同じ化け物レベルの笠木を用意して戦わせて色々超超超屁理屈を捏ねるしか手が無かったのです( ´・ω・`)

 

 

 

 これから見てくれる方、自分で言うのもあれですがこの作品がめちゃくちゃ面白いとは自分でも正直思えません。

 自分には想像力など小説を書くにあたっている能力が足りないと自分でも思っています。だからって批判しないでね?って言いたい訳ではありません。

 寧ろ批判して直すべき所を教えてくれたら作者は喜びます。例え評価が低く貰っても直したら良い所を教えてくれたら価値ある評価だと思います。

 開き直ってますが面白くしようとする努力はしています。諦めた訳ではありません。

 面白くする為に、批判批評がいります。勿論、褒められたら嬉しいです。

 ドMとかでは無いですよ(。'-')(。._.)

 

 では、長文見てくれてありがとうございます。そしてこれから物語を見てくれる皆さん、どうかよろしくお願い致しますm(*_ _)m。

 ここで面白くなさそうとページバックする皆さん、2次小説はいっぱいありますからあれかもしれませんが、読みたい奴が無くなって暇になった時、読んでみてください。

 

(*´∇`)ノ ではでは~本編で



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キャラ設定! ソードアート・オンライン編

キャラクター設定 ソードアート・オンライン編であります。基本は原作沿いですが偶にオリジナルあります。では(∩´。•ω•)⊃ドゾー


キャラクター設定第2弾!ソードアート・オンライン編!

 

 

 

 

西沢光輝 SAO編の初期 8歳 体重27kg 身長130cm

 

《ソードアート・オンライン》編

小物との戦いの後、謎の世界に飛ばされた主人公。何か自分の話があまり通じなくて凹む。頭自体は良く、同年代の子供なら絶対に負けない。ただ予習とかそう言うのはしなかったので逆に言えば小5などの内容は出来ない。謎の世界《ソードアート・オンライン》に来た後は取り敢えず元の世界に帰る為に最上階の第100層を目指す。・・・誰も死なせない為に戦う。

 

状況 HPはない。その代わり痛みがある。ステータスもない。だけどレベルはある。モンスターへのダメージ計算は素手の時は殴った時の勢いとレベル。剣の時は剣を振るスピードとレベルで変わる。ストレージやフレンド登録などは出来る。

 

趣味 修行、昼寝、お姉ちゃんとお喋りする事

 

武器 片手直剣 《ブルー・ブラッド》&《レッド・ブレイク》→《ブルーレッド・オブウォーリア》&《ウォーリア・ビハインド・ディスペアー》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

枳殻虹架(からたちにじか) SAO編初登場時 16歳 体重 教えない。 身長158cm

 

《ソードアート・オンライン》編

元々《ソードアート・オンライン》のプレイヤー。SAOの世界で唯一の姉属性の持ち主。プレイヤーネームは《レイン》。NPCの鍛治師兼戦いの師匠の元で修行していたが、師匠のお使いクエストの時に光輝に出会った。紆余曲折があり光輝のお姉ちゃんに昇格した。格好はメイド服に似ている。終盤になるとメモデフの修剣士の格好になる。普段は髪を紅くしてるが、偶に現実の髪色になってる。

 

趣味 歌を歌う事、アニメなどのサブカルチャー コスプレ

 

夢 アイドル

 

武器 片手剣《赤き必滅剣》&《クリムゾンディーバー》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桐々谷和人(きりがやかずと) SAO編初登場時14歳 →SAO編終了時16歳

 

《ソードアート・オンライン》編

言わずと知れたSAOの主人公。光輝と初めに会った人でもある。プレイヤーネームは《キリト》。アニールブレード獲得クエストの帰り道に光輝に会った。最初はNPCかと思ったらしい。しかし光輝と話していく内に打ち解けて行く。ビーターの役目を背負った光輝に少なからず罪悪感を感じてる。

 

武器 片手剣《エリュシデータ》&《ダークリパルサー》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結城明日奈(ゆうきあすな) SAO編初登場時15歳→SAO編終了時17歳

 

《ソードアート・オンライン》編

ソードアート・オンライン、アインクラッド編のヒロイン。プレイヤーネームは《アスナ》。血盟騎士団副団長、アインクラッドの中でもその実力は五本の指に入る。光輝の事は最初は変な子と思っていた。しかし徐々にその力を認めてく。

 

武器 細剣《ランベントライト》

 




キャラ設定でした。ではまた本編で。バィ_(・ω・_三_・ω・)_バィ


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キャラ設定! タイムパトローラー

キャラ設定です
9月17日、光輝の技追加


キャラ設定第3弾!タイムパトローラー達であります。

 

 

 

西沢光輝

 

この作品の主人公。6歳の時に家族全員殺され8歳で家族を殺した人物との死闘の果てにソードアート・オンライン・・・浮遊城アインクラッドのNPCかプレイヤーかよく分からない状態でやってきた。そのソードアート・オンラインをクリアに導いた光の解放者・・・。後に正史のアインクラッド攻略を見た時キリトに割と罪悪感を持った。

無手、一刀、二刀を使いこなす。剣術の流派は光輝がアインクラッドで得たものが大半だから「アインクラッド流」としている。ソードアート・オンラインクリア後光輝はトランクスの元にサイヤ人の状態でやってくる。そしてトランクスの頼みでタイムパトローラーとなった。その後に光輝は色んな世界を見て来、技も学んだ。

性格は基本優しいがレインや仲間が傷つけられたら容赦なくバッタバッタ倒す。慈悲も無い。タイムパトロールは1年くらいで終わるかな?と思ってたら予想を遥かに超えてきた。誰かを亡くす事を過度に恐れている。例え歴史だとしても自分が助けたいと思った人はタイムパトロールなのも忘れて戦う。

 

使える技 BORUTO編現在

 

かめはめ波·····言わずと知れたドラゴンボールを代表する技。手のひらに気を集めそれを放出する技

ギャリック砲·····光輝が見様見真似で最初はやり後にちゃんと教えて貰った技である。手をかめはめ波とは違い重なるように構えそこに気を集め放出する技。

 

ビックバン・アタック·····前方に手を突き出し巨大な光弾を放つ技

 

ファイナルフラッシュ·····手を横に広げその手にそれぞれ気を貯めて前方で合わせて合体させた後にそれを放出する技

 

魔閃光·····額に手を重ねるように構えエネルギーを前方に突き出し放出する技

魔閃烈光波·····魔閃光の進化版。魔閃光と動作は基本一緒だが放出されるエネルギーの色は紫色である。

 

バーニングアタック·····前方に人差し指と親指がくっつくように手を突き出しそこから光弾を発射する技

 

残像拳·····文字通り残像を見せる。陽動などに使える。影分身と併用すれば更にやばい事に

 

気合い砲·····手を突き出して気合いで相手を吹き飛ばす技。

 

アインクラッド流

 

スラント·····単発斜め斬り

 

ホリゾンタル·····単発水平斬り

 

ホリゾンタル・アーク·····2連撃技。左から斬った後に右からも斬る

 

ホリゾンタル・スクエア·····水平4連撃技。右から斬った後に左からも斬ってその後一回転しながら左から斬る。そして最後に右から左上に斬る。

 

バーチカル・アーク·····2連撃。真上から斬り下ろした後にそのまま斬りあげる

 

バーチカル・スクエア·····垂直4連撃技。斬りあげ、斬りおろし、斬りあげ、斬り下ろす技。

 

レイジスパイク·····下段突進技。

 

ソニックリープ·····上段突進技。上段だけど左下から斜めに斬りあげる事もできる。

 

ヴォーパルストライク·····単発重突進技。左手を前にかざし右手の剣を肩の上に大きく引く構えから単発の突きをはなつ。刀身の倍以上の射程があり割と重宝している。

 

スネークバイト·····2連撃。剣を左脇に抱えるような構えから右へ斬り即座に左に切り返す

 

シャープネイル·····3連撃。右下から斬り上げ→左から薙ぎ払い→右上から斬り下ろしと描写されている箇所と、左上から垂直斬り→1撃めの右側を垂直斬り→1撃めと2撃めの間の位置を垂直斬り。獣の爪のような痕が残る。

 

サベージフルクライム·····3連撃。右から水平斬り→剣を垂直または右上に跳ね上げて切り裂く→垂直斬り下ろしか、左から水平斬り→真上に切り裂く→突き。

 

デッドリーシンズ·····7連撃。

 

ハウリング・オクターブ·····高速5連突きの後に斬り下ろしてからの斬りあげ、最後に全力上段斬り

 

ライトニングフォール·····重範囲攻撃。前方に飛びながら逆さに持った剣を地面に突き刺す。ALOではスパークが出るのだが現実の光輝はスパークの代わりに千鳥流しをするからあんまり出番が無い技。

 

スピニング・シールド·····防御技。剣を前方で高速で回し盾にする。

 

二刀流

 

ダブルサーキュラー·····突進→右手の剣を左下から斬り上げ→左手の剣で攻撃。

 

スターバーストストリーム·····キリトの十八番。二刀流上位剣技16連撃。

 

ジ・イクリプス·····二刀流最上位剣技。27連撃。

 

クロスブロック·····二刀流防御技。2本の剣を交差させて攻撃を止める。

 

シャイン・ビハインド・ディスペアー·····光輝のオリジナルソードスキルで二刀流16連撃。相手を真一文字に斬った後に少しジャンプし剣を2つ両手を広げながら高速回転し相手の後ろに突き抜けた後に駒回りをしながらまた斬ってその後斬りあげて相手を空中に飛ばした後にバク転でその相手に追いついた後に相手を滅多切りにして最後に右の突きを地面衝突と同じタイミングで繰り出す。

 

武装完全支配術·····剣に眠っている記憶の一部を光輝の気とイメージで呼び起こす技。発動する際には「エンハンス・アーマネント」と叫ぶ。光輝の剣に宿ってる記憶は永久氷塊と蒼薔薇、そして煉獄の炎が渦巻く火山の鉱石。前者の記憶で呼び出した記憶がもたらすのは氷と蒼い蔓が相手を捕えその相手の生命エネルギーを空中に露散させる。後者はその蒼薔薇の武装完全支配術で露散した生命エネルギーを吸収して光輝自身に強さをプラスさせるというものだ。尚、使いすぎたら剣がほんの少しだけ脆くなって言ってしまうので光輝は割とこまめにメンテナンスしている。

 

記憶解放術·····武装完全支配術の上位版。武装完全支配術が記憶の一部なのに対してこれは全ての記憶を解放する。する時は「リリース・リコレクション」と叫ぶ。1つは永久氷塊の記憶を使い周囲一帯を氷漬けにした後今度は蒼薔薇の記憶を使いその氷に拘束されている者達の生命エネルギーを奪う。一見変わらないように見えるが範囲と強さは武装完全支配術の比ではない。何より違うのはその生命エネルギーで蒼薔薇が咲くことだろう。そしてもう1つの記憶解放は基本の効果は同じだが燃え盛っていた炎が更に燃え上がるように生命エネルギーを増幅する。勿論それを扱う光輝自身の肉体が耐えなければ使えない。

 

神聖術っぽい何か·····武装完全支配術の規模を更に低くし球状のエレメントを出して相手にぶつける技。空切りと同じくアンダーワールドから帰ってきて開発した。使用に当たってはやはり光輝の気とイメージでやる。イメージしてそれが光輝の気が剣達に伝わり発動する。イメージを固める為に光輝はアンダーワールドの神聖術の詠唱方法を丸パクリした。光輝は2種類使える。

熱素と凍素である。当たったら割と痛いし熱い。

 

 

 

 

忍術

 

影分身の術·····残像ではなく実体を作り出す忍術。ただし出しすぎたら動きが雑になり1人で戦った方がいい事もあるが光輝は割と使ってる。尚残像拳と組み合わせたら気を読めない人からすれば驚異になる。

 

螺旋丸·····ナルトの十八番。チャクラを圧縮し回転・威力を上げた青い球体の術。光輝は気も一緒に入れることにより独自の進化をさせている。

 

大玉螺旋丸·····文字通り螺旋丸を大玉にした螺旋丸

 

風遁・螺旋手裏剣·····螺旋丸に風遁の性質変化を入れて手裏剣みたいにした忍術。開発者のナルトは最初は投げる事が出来なかったが光輝は素で出来ていた。相手の神経をズタズタに切り裂く。その攻撃回数は放った光輝も分からないほどだ。

 

千鳥·····雷のチャクラを形態変化と性質変化で青白い雷を迸らせる忍術。その汎用性は優れていて光輝はそのまま相手に突っ込んだり剣に千鳥を纏わせガード不能の攻撃をよくやっている。ライトニングフォールの代わりに千鳥を地面に叩きつけ周りの者を感電させる千鳥流しもよくやっている。

 

飛来神の術·····自分のマーキングを施した場所に瞬間移動する術。この術も光輝はよく使っている。因みにマーキングの文字は「光」である。

 

雷遁・影分身·····文字通り雷遁の影分身である。分身が消えた時に一緒に相手を感電させる。その代わり普通の影分身よりもチャクラを使う。·····それでも光輝は普通にシュッシュっと動けるが。

 

火遁・豪火球の術·····口から炎を繰り出す術。光輝は1年の修行の果てに会得出来た。

 

変化·····姿と声を変える術。尚、気とチャクラは本人のままなので悟空達には通じない。ただその2つを感じれない人にとっては厄介である。

 

風遁・空切り·····アンダーワールドにおいての世界最古の整合騎士ベルクーリ・シンセシス・ワンの武装完全支配術を模倣した技。本場の技は未来を斬るなんて言う技だが流石に未来を斬るのは不可能なので風遁の性質変化を尖らせまくりそれを斬撃として空中に置く。完全なる初見殺し

 

 

 

 

 

 

 

孫悟空・ゼノ

 

言わずと知れたドラゴンボールの主人公。光輝の師匠①。GTの世界を経験した後に紆余曲折がありタイムパトローラーになった。そしてタイムパトローラーになった後も数々の激闘を駆け抜けて違う世界の自分とベジータ、トランクス・ゼノとパン・ゼノの力を借り得た最終形態もなれる。最終形態は『超フルパワーサイヤ人4・限界突破』。·····ただ作品中で使う事は無いかもしれない。GTの経験プラスタイムパトロールの経験でどの次元の悟空よりも強い。光輝には超サイヤ人2になるための修行をつけたりした。修行に関しては1番面倒みはいいかもしれない。ただ性格が噛み合わなければ辛い(ヤムチャが悟空との修行を拒んだみたいに)。光輝にかめはめ波を伝授した。

 

 

 

ベジータ・ゼノ

 

悟空のライバル。光輝の師匠②。GTの世界で老衰で亡くなった後に時の界王神が閻魔に頼み込みベジータにも頼み若い頃の肉体でタイムパトローラーとして復活した。つまり強くてニューゲーム状態であった訳である。時の巣で神龍と一体化してどっか行ったと思ってた悟空がいて思わず歓喜して戦ったのは悟空にとってもいい思い出である。このベジータも悟空がいなくなった後も修行を続けていたが故にどの次元のベジータよりも強くなってる。最終形態は悟空・ゼノと同じ。光輝には戦いの覚悟を決めさせた。伝授した技はギャリック砲、ビックバン・アタック、ファイナルフラッシュ。

 

 

 

 

孫悟飯・ゼノ

 

悟空の長男。光輝の師匠③。タイムパトロールになった経緯はベジータと同じ。一星龍の件から修行を本格的にやりどの次元の悟飯も超えている。最終形態は超サイヤ人4。光輝と未来悟飯のやり取りを複雑な気持ちで見ていた。光輝には修行が終わったら勉強を見ていた。伝授した技は魔閃光と魔閃烈光波。

 

 

 

 

孫悟天・ゼノ

 

悟空の次男。光輝の師匠④。お約束の全ての次元の悟天は超えている。最終形態は老界王神の潜在能力開放。伝授した技は·····特にない。

 

 

トランクス・ゼノ

 

ベジータの長男。光輝の師匠⑤。タイムパトロールになって日が浅かった光輝を世話していた。最終形態は超サイヤ人ゴッド。タイムパトロールになった経緯は他の人とは違いタイムマシンを使った罰である。悟空達の元いた世界のトランクスと所謂同化をしており2人のトランクスの記憶を持っている。これはベジータ達だけタイムパトロールになったのはいいがトランクスが2人になってしまい色々ややこしくなるからである。剣術に関しては光輝が上回るがそれ以上のスピードで光輝には未だ一撃も与えさせていない。伝授した技はバーニングアタックである。

 

 

 

バーダック・ゼノ

 

悟空の父親。光輝の師匠⑥。フリーザとの戦いの果てに過去に飛んでしまいそこで色々やったからタイムパトロールにならされた。だが本人は強敵と戦える事にウキウキしてた。フリーザ編でクウラから光輝を助けた。最終形態は超サイヤ人4。伝授した技はない。

 

 




お疲れ様でしたm(*_ _)m。


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序章
プロローグ 改


プロローグ書き直しました。評価や感想待ってます(`・ω・´)ゞ



 風と一体化する感覚を纏う。ボロボロな街の中俺は敵めがけて走る。俺が見ている光景が高速で動く。

 その背にある剣の重みがスピードダウンをさせる筈だが今の俺には寧ろこの重みが無いと思うように動けない。

 血が沸き上がり俺の世界がスローモーションになった様に感じる。それだけ集中しているという事。この戦いは俺の大事な人達を守る為の戦い、あの時の様な心臓を抉るような思いはしたくない。後悔なんてあの1回で十分だ

 2年間の無茶苦茶な修行の成果で空中でどこぞのアニメの様な翼を広げて滞空している敵のそのムカつく顔面目掛け8歳らしく小さな拳を握り肉薄する

 

「はぁぁぁぁ!」

 

 夢中で叫びその拳を突き出す。だけど敵はその拳を止める。威力は十分過ぎる。現に受け止めた敵の後ろは一瞬空気がざわめいた。しかし目の前の敵をぶっ飛ばすには足りなかった。

 その敵は自分の力でも無いのにまるで自分の力と言わんばかりに叫ぶ。その表情も何もかも大嫌いだ。

 

「どうした? 遅すぎるぞ!」

 

「ぐっ!」

 

 掴まれた拳を離されその代わり敵は俺へ2年前なら見えなかっただろう蹴撃を放つ。そのスピードは拳銃や銃器には及ばないだろうが一般人を殺すには十分過ぎるパワーとスピードを持っているだろう。俺は自分で言うのも寂しいが化け物だと思っているから易々とやられはしない。

 手を離された瞬間にその蹴りに間に合うように腕をクロスする。そこへ蹴りがヒットして俺は慣性の法則にしたがって吹き飛ばされる。腕がじんじんするがそんな事を言っている訳にはいかない

 

「チッ!」

 

 何回やっても面倒くさい状況に思わず舌打ちする。少年はそこら辺の下手な体操選手よりも上手な一回転し着地する。それでも威力を殺し切れずに後ろに下がり続ける。蹴りの威力を証明する様に地面を抉る。漸く止まった時、敵が語りかけてきた。少年の顔は地面へと向けていて見えない。

 

「何故まだ抵抗する? この覆らないこの圧倒的な力に勝てるわけないだろう?」

 

 敵が今の状況を客観的に見てそう言ってくる。無論自らの力に酔ってる部分もあるだろう。しかしそれを差し引いても今の状況を見れば100人いたら100人その言葉に同意するだろう。

 

 そのくらい力が離れているのだ

 

 少年が敵と渡りあえたのは最初だけだった。否、最初だけならば少年が圧倒していた。敵が力を解放·····と言うよりも力を得た時からはまるっきり形成が逆転してしまった。そう世界中の人々は思った。

 少年の顔はまだ見えない。だが少し肩が震えている。

 敵が上から更にバカにしてくる

 

「君もバカだねぇ、さっさと死んだら大好きな家族の元に行けるのにねぇ」

 

 そんな事を言ってくる。少年の血の繋がった家族はもうこの世に居ない。母も父も姉も……祖母も、そして祖父も。目の前に居るやつがあの世に葬り去った。そして第一発見者は少年自身である。

 

 俺はこのイラつく法なんてものが無かったら今すぐにでも殺したいと思う敵の言葉を聞きながら胸の中がドス黒い感情に支配されていく。

 それに抗う事もせず寧ろ受け入れて俺は目の前の敵の言ってる事にフラストレーションを溜める。そのフラストレーションは直ぐに爆発させるがな

 

「……れ」

 

 小さい声だが絞り出すように言った言葉があったが敵は全く聞いていなく人をバカにしたような笑みで言ってくる。と言うよりバカにしている。

 幼少から才能があった敵はその才能に溺れ同級生を先生達や教授、挙句の果てに自分の両親さえ見下していた。その両親に関しては敵の傍迷惑な実験の最初の被害者となりこの世にはいない。

然し両親を殺したのにも関わらず目の前の敵は悲しむ事なんてせず寧ろ喜んでいた辺り異常者だろう。

 

「まあ君の家族のおかげもあって今の僕のこの力があるんだ。感謝してるよ。君の家族が僕に殺されてくれたおかげでね!」

 

 敵は元々世間でも優秀な科学者だった。だが敵はどれだけ世間に褒められても嬉しくなかった。それどころかイラついてさえいた。表面上だけ褒め言葉を受け取り裏では罵倒していたりした。自分よりも頭の悪い奴に褒められるのが嫌で嫌でしょうがなかった。

 そしていつしか世界中を掌握したいとさえ思った。だが普通にやったら当たり前だがそんな事は出来ない。

 そこでたまたま見たアニメで主人公側が仲間の力を集めて敵を倒すなんて言う王道故に熱い展開を見た。……まあ敵はそんなのはどうでもよく力を集める……そう思い恐ろしい計画を立てたのだ。

 敵はその後自分の生態学の知識と科学の知識を駆使し内密に恐ろしい武器を作った。それは……生体エネルギー吸収ナイフ。相手を刺したり掠ったりするだけで相手の生体エネルギーを奪う事が出来る恐ろしいナイフである。

 某バトル漫画の敵の劣化版の効果だがそのバトル漫画のレベルの戦士達がいないこの世界ならば劣化版でも十分に世界征服は可能だ。

 勿論容量は存在するが敵は予備に2本作ったから無いに等しかった。だが敵はそれだけでは飽き足らず敵はそれを使い世界中の人を殺し回った。それも全員一撃で殺られた。ただの一般人やホームレスが対象だった。

 

「……まれ」

 

 そう少年が言うがまだ敵には聞こえていない。まだ自分に酔っているらしい。少年は後にこの敵の事を言った時「全ての欲望のレベルをMAXにしている奴」と単刀直入に言った。

自分の手に入れたいものは手に入れないと気が済まず……と言う奴である。そして思い通りにならなかったら相手を殺すなんて極端な奴でもある。

 そんな才能に溺れている人の言葉とは

 

「君の世間の役に立ってなかっただろう家族のエネルギーを僕が有効活用してあげてるんだ。感謝したまえよ。最も君の家族を狙ったのは君が僕の邪魔したからでもあるから君のせいでもあるけどね。後悔するなら君が僕の邪魔した事を後悔したまえ」

 

 そう言ってにやにやと笑う。勝手に人の家族が世間の役に立っていないと思い込む。世界は一人一人の歯車で成り立っているというのにそれすら忘れている哀れな奴である。

 だが敵は自分が全てだと思っている。自分が正しい事は全て正しいと本気で考えている。だからそれを邪魔した少年に恨みに恨みまくっている。いや、一種の当てつけだろう。思考回路が稚拙過ぎる。それも計画達成の間近だろう。目の前の少年さえ倒せば終わりなのだから。

 

「君を瀕死にした後は君のエネルギーを手に入れ僕は更に完璧な強さを手に入れる。そしたら最早この世界で僕に敵うものは存在しない!」

 

 俺は自分で言うのも自己中心的な奴と思われるから嫌だがその強さはこの世界では飛び抜けているって自負している。目の前こいつをぶっ倒す、或いは大切な人達を今度こそ死なせない為に何度もボロボロになって地に這いつくばり苦い泥水も啜った時もあった。

 世界の格闘家なんて目じゃない程修行をした。朝も昼も夜もどうやって強くなるかを考え続けそれを実践し睡眠時間もめちゃ削って怒髪天に様に義理の母から怒られた後はほんの少し自粛したがおおよそ小学生がする様な修行では無かった。

 でも……そのおかげで相性があったとは言えアメリカ軍を壊滅させたこいつと張り合えたから決して無駄では無かった。その修行の成果をこいつに取られたら本末転倒だ。守りたい為に得た力なのにだ。

 

「そして抜け殻になった君をあの世に送った後は僕の邪魔をする奴ら全てを皆殺しにし、そして僕好みの女は皆調教して僕に従順な女にして、男は奴隷にしてこき使ってやる。僕がこの世界の神になるんだ!! くくく、ハハハハハハハハ!」

 

 言ってる事はただの変態である。この敵は確かにイケメンの部類には入る。だが本人の気質が滲み出ていたのだろうか女性から避けられていた。

 だがそんなのは少年や世界中の関係ない人達からすれば意味わからん。そもそも8歳の少年に調教やら分かるはずもなく。

 ただ少年はニュアンスで悪い事と……敵が言ってる時点で悪い事なのだが分かった。

 

 その言葉一つ一つが俺の逆鱗に触れる。怒りのボルテージが上がり俺の体感温度が上がっていく。何でこいつがこんなにも捻くれてそんなめちゃくちゃな支配欲を持っているのか俺は知らない。

 

どうでもいいからな

 

 だがそれは他人の人生を……幸せをぶっ潰してまでいる事だとは到底思えない。支配なんてつまんない事をほざいてる時点でこいつの精神年齢が大分低いという事しか分からない。そんな世界が……未来が来るのなら俺はそんな未来を受け入れない。

 その為に俺は何個も楔をつけられてこの場に立っている。そして……あの返事をあの人に返すまで俺は死ねない、負けられない。

 だから俺は目の前の勘違いナルシスト野郎に向けて叫ぶ

 

黙れ! 

 

 そう俺は……家族の皆の皮や目玉が飛び出た死体を見た時位に泣いた声量と同じ位の声量で叫ぶ。それと同時に俺の脳に回っている血がふつふつと湧き上がる感覚が始まる。

 そして俺は空中にどんな原理か知らんが飛んでいる勘違いナルシスト野郎を見上げる。

 

「な、なんだその眼は!? さ、さっきまでは黒目だったはず!」

 

 敵が少し焦った声をだした。

 それもそうだろう。なんせ少年の目は変色してるからだ。普通ならばカラーコンタクトなどで変えることが出来るが少年がそんな事をしていないのは見ていたら分かる。つまり少年は元々この眼に自由になれる事ができる。……だが普通の人間は眼を自由に変えることなど出来ない。

 左眼は蒼色、そして右眼は赤色になってる。その綺麗な眼を敵へ向ける。

 その瞬間、少年が消えた。少なくともこの戦いをテレビで見届けている人達には消えたように見えた。次の瞬間には敵の目の前へ肉薄していた。その変わりすぎたスピードに敵すらも目を丸くし一撃その少年からすればイラつく顔面の敵をぶん殴った。敵は頬が思いっきり凹み、目を見開き少し地面へと吹き飛んだ

 

「グハッ!」

 

 そう苦渋の声を上げたが何とか地面に上手く着地した。だがその鼻からは鼻血が出ている。今まで届かなかった攻撃が通った事により両者の反応はそれぞれだった。

 図らずとも世界の運命をかけて戦ってる少年は半分闘志、もう半分を憎悪で埋めた顔、そして世界の運命を脅かそうとしてる敵は驚愕を露わにした顔で。

 

 沈黙の時間

 

 それを先に破ったのは少年だった。忌々しく舌打ちをしながらボヤいた。

 

「チッ! あまり使いたくなかったんだけどな。まあ·····皆を悲しめるよりもずっとマシだから良いか」

 

 少年の眼が変わる時色んな変化を少年にもたらす。だがその代償が大きく少年はあまり使う事を躊躇ってきた。この眼に自由になれるようになってからこの眼になった事があるのは2年間の間たったの1回。どっかの馬鹿が拳銃を乱射してそれを止める為に使った時だけだ。少年は赤眼を閉じた。

 敵は未だ驚愕してる顔で問うてきた。

 

「な、なんだ。なんなんだそれは!!」

 

 そりゃそうなる。誰も知らない変化を少年がやったのだから。眼だけ変わる……某格闘漫画のように金髪に変わるには及ばないがそれでもインパクトがありすぎる。だが少年からすればそんな敵の問に答える義務はない。

 

「知るか、仮に知っていたとしても敵にわざわざ教える馬鹿はいないだろう」

 

 至極当然である。わざわざ敵に有利な情報を教える義理はない。それが家族の仇なら尚更である。そして少年は少し笑いながら言う

 

「それにしても……神になるだって? 笑わせるな。人から無理やり奪った力がなければ何も出来ないのによくそんな事が言えるな。お前はただの泥棒だ! 人から幸せを……家族を奪いその上にある仮想の玉座にふんぞり返る事しか出来ない泥棒の王だ!」

 

 敵はその言葉を聞き顔をプルプルとさせ憤怒の表情になっている。全ての欲望レベルがMAXの敵は自分が否定された時、例え相手が正しくても理不尽に怒り出す奴だ。8歳が相手でもそれは変わらない。だが少年の怒りはそれ以上だ。

 

「黙れ! 黙れ黙れ! 低脳の分際で僕に反論するな!」

 

 自分以外の全てが下だと決めつけ自分だけが正しいと思っている自称神がたったの8歳の少年に鬼気迫る表情で突撃した。そんな様子を見ながら少年は心底嫌という声を出しながら言った。

 

「決着をつけよう。もうてめぇの顔すら見たくない。貴様との因縁も今日ここで終わらせる!」

 

 少年と敵の因縁……それは2年前までに遡る




お疲れ様でしたm(*_ _)m。前の少年が思い出したというふうにするのはやっぱり状況的に無理だと思い変更しました。これから見てくれる方、暖かい目で見てくれると嬉しいですm(*_ _)m

追記
一般人のエネルギー吸収した程度で世界征服なんて出来るわけ無いだろ笑·····って考えてる人向けに僕が出来ると思った理由を話しときます。
僕が出来ると思った理由はセルの第1形態にあります。セルの第1形態は最初神コロにボコボコにされていきましたが何人かは詳細不明ですが一般人の生体エネルギーを回収し続けてボコボコにされてた神コロを疲労があったとは言え倒して、疲労がない17号にも勝ってました。
勿論セルの方が圧倒的に吸収した人数は多いでしょうが別にドラゴンボール次元の人がいないこの世界なら少なくても普通に世界征服位なら出来ると思ってます。

あと設定が雑なのは否定しません。

追記の追記
キャラ設定にて笠木の来歴追加しました〜

長文ありがとうございました。(*´∇`)ノ ではでは~


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小物の最恐編
2人の少年と少女 改


描写不足の所を加筆したりしました。大筋は変わってませんけども前よりは見やすくなったと思います。いじったりする時は6時には出さないんでそれでよろしくです。
どぞ(っ´∀`)っ


 少年が少女と共に歩いてる。

 少年は短髪で前髪が少しふわっとしている。少年の名前は西沢光輝(にしざわこうき)、何処にでもいる小学1年生である。そんな少年に1度は眼を疑うだろう容姿を持っている少女が光輝に話かける。

 

「ね、明日お星様一緒に見に行こう! 土曜日なんだから」

 

 少女の言葉を聞いた光輝は微妙な顔をする。幾つか理由があるが先ず思った事はもし星を見に行くのなら夜に出かけなければならない。そうすると光輝からしたら怖いのが

 

「愛美のお母さん怒ると怖いから嫌だよ。というか何処まで行く気なんだよ」

 

 光輝自身は怒られた事はないが目の前で愛美が怒られている所を見た事あってその時の事を思い出す。しかし愛美はなんのそのそんな事忘れて指を指す

 

「あのおっきい高台!」

 

 そう言って指さしたのは今2人がいる場所からでも見える高台だった。東京にしては珍しい。だが光輝はそれを聞いても微妙な顔をしたまま首を振った。そして辛辣だが妥当な答えを返す

 

「あそこじゃ見えないでしょ。僕も家族で夜にあそこ行った事あるけど全然見えなかったし」

 

 そう言って光輝が思い出したのはある日父と母が夜の散歩に行くと言って光輝がついて行った時に見た空だった。確かに星は見えたがあまり地上で見るのと変わらないくないか? と思った。しかし少女は強情にも主張し続ける

 

「雲があっただけかもしれないでしょ? ねっ、お願い。一緒に来て! 思い出欲しいの」

 

 と何故か必死に頼んで来る少女に訝しげな視線を向けながらも光輝は首を振った。

 

「思い出ならこれからもいっぱい作れば良いでしょ。明日する必要ないよ」

 

 少女が暗い顔になる。確かに光輝からすればそう思うのは必然だろう。光輝は目の前の少女と別れる事になるなんて微塵も思っていないからだ。そして少女の方もそう思っていた。だが少女の方はそんな事を言える状況では無くなった。だから思い出が欲しいのだ。目の前の光輝との思い出をだ。

 だから知らないとは言え光輝がそんな事を言ってきて理不尽だが徐々に怒りの表情を出しながら言う。

 

「良いでしょ。明日が良いの!」

 

 だけれども光輝にもきちんと否定する理由がある。それは心配性の領域だろう。だが光輝は心配性でも良いと思っている。もしもの事があるよりも遥かにマシだろうと考えているからだ。そしてその心配性の内容が

 

「駄目だ! 子供だけで夜出かけるのは駄目だ! それにもう何年も前から続いている連続無差別殺人事件を知らないわけないでしょ? あれは殆ど夜の間に行われてるんだよ? もし狙われたらどうするんだよ」

 

 そう、今世界のあちこちで発生している連続無差別殺人事件。それが今世紀最大の事件である。何故なら犯人の人相が分からず、狙う人物が無差別殺人って言ってるのだからあたり前だが不確定なのだ。

 更に殺害方法が奇怪すぎるし更に奇妙なのはその無差別殺人犯に殺されたであろう人達の死体である。

 ほぼ皮だけの状態なのである。筋肉など存在せず眼球は瞼の筋肉がなくなり飛び出したりしてるものもあり最早それが本当に人間なのか疑いたくなるほどの変わり様になっているそうだからだ。

 しかし少女は楽観的だ。

 

「でもあれは世界中で起きてるんだよ? そんな都合よく日本、しかもここら辺にいるわけないじゃん。お願い。だから明日が良いの。というか明日じゃないとダメなの!」

 

「なんでそんなに明日に拘るんさ?」

 

 光輝は何故そもそも明日なのかを聞いた。そんなに明日がいいならそれ相応の理由なんだろうなというのもあった。だが少女は顔に影を落とす。そして悩んでいたがそもそも光輝が強情なのだと1人で納得し光輝への怒りが出てくる。

 

「それは…もうわかったわよ! いいもん!光輝が行かないなら勝手に1人で行くもん!」

 

 そう言って少女は帰路を走る。だがそんな少女をはいそうですかとする訳にはいかず慌てて声をかけた。

 

「ちょ、おい!」

 

 少女は怒った顔のまま振り返って

 

「何よ! 来てくれないんでしょ!」

 

「当たり前だ、もし狙われたらどうするんだよ!」

 

「そんなのあるわけないじゃん! 心配しすぎ。それに私1人で行くって言ったでしょ!」

 

本当は光輝が拒否した時点で1人で行く必要は無いのだが少女は引くにひけなくなった。

 

「だから狙われたら.」

 

「もーう! うるさい! もうほっといてよ!」

 

「でも.」

 

「もう光輝なんて大嫌い!」

 

 そう少女が半ば反射的に叫んだ言葉を聞いて悲しみの顔になり少し呆然とする光輝。光輝自身は目の前の少女を嫌いになった事なんてない。でも今少女からその言葉を聞いて理解出来なくなったのだ。

 

「え…な…んで?」

 

「なんでって、光輝がお母さんみたいな事言うからでしょ! 何よ今の光輝よりあの時の光輝の方がかっこよかった!」

 

 ふん! と言って少女は帰路についた。

 光輝はそんな少女の背中を悲しいようななんと言うか……そんな喪失感でショックを受けたまま立ち尽くした。

この時、愛美を傷つけてでも行かせないべきだったことに気がついたのは光輝の不覚でもあった。

 

 

 

 ★★★★★

 

 

 少女は少し重たい家の玄関のドアを開けてくぐりながら母親に言った。

 

「ただいまー」

 

「おかえりなさい。愛美(えみ)

 

「うん」

 

 愛美と呼ばれた少女はリビングをサッと見渡す。この家は3人で過ごしている。そしてその大黒柱たる父親がいないのを見て聞いた

 

「お父さん今日も遅いの?」

 

「うん、お引越し前だからお父さん忙しいのよ」

 

 それを聞いた少女、古原愛美(こはらえみ)は顔に影を落とす。別に父親が遅くなる事じゃない。それ自体は何回かあったからもう気にしていない。愛美が暗い顔をしたのは引っ越しと言うワードを聞いたからだ

 

「そう、だよね」

 

 そして料理中の母が聞いてくる。今の愛美を悩ませている事を

 

「光輝君にちゃんと言った?」

 

 愛美はソファーの上で体育座りして

 

「言える訳、ないじゃん」

 

 悲しみの顔でそう言う。

 そう、古原一家は来週にはお父さんの転勤にあわせアメリカに引越しする事になっているのだ。当たり前だが小学1年生だけ残して行く事なんて出来なかった。

愛美の気持ちも分からんでもないが何も言わずにお別れする方がショックを受けるだろうと母親…美咲は思い慰めるように言った。

 

「でもどっち道言わなきゃだめよ?」

 

「わかってる! わかってるけど.」

 

 愛美の心を憂鬱と後悔が満たしていた。せっかく少しの間だけどなれた友達と離れてしまう。そして何より凄く仲良くしてくれ、恋心を抱いた男の子と離れてしまう心境は小学1年生には辛いだろう。さっきのやり取りを心の中で後悔する。

 

「あんな事言っちゃった。光輝は私の事を心配してくれたのに」

 

 西沢光輝と古原愛美の初めて出会ったのは入学式である。しかしその時から仲良くなった訳では無い。寧ろ何も接点等無かった。何でそんな2人が一緒に遊ぶ程仲良くなったのか。

その出来事、入学してからしばらくたった日光輝が教室に入って見た光景は

 

「がーいじん! がーいじん! がーいじん!」

 

 いかにも自分ガキ大将ですという風貌の男子が愛美の外見を理由に虐めてる所である。

ここで古原愛美の外見を見てみよう。髪は首あたりまででどちらかというとショートに入る。

 顔は当時の1年生、いや学年中の人と比べても将来美人になるだろうなと思わせる顔であった。しかし虐めてる原因なのは髪色と目の色なのである。髪は薄い蒼色、そして眼の色は蒼色である。

 だから男子はそんな愛美を外国人と言って精神的に虐めていた。日本人で日本人だけのクラスにいるのにそんな事を言われたら否定するのが小一ならば普通だろう。愛美自身その容姿にコンプレックスを持っているから余計にだ。

 そして愛美と男子のこんなやり取りはもう何回もされている。男子は自分達と容姿が違う事が気に食わないのかそんな差別発言をしまくっているのだ。愛美は涙目になりながら

 

「外国人じゃ、ないもん」

 

 その声は小さく男子が詰め寄る。

 

「えっ? なんて? ガイジンの言葉なんてわからーない」

 

「うっうっ」

 

 涙を堪えてる愛美。そんな光景が光輝が来た時からしばらく続いた。その間誰も止めようとはしなかった。ガキ大将みたいな風貌なだけあってがたいが良いだけじゃなく親が空手をやってる家庭なので強さも普通の1年生では止められない。

 だから自分達が矢面に立ちたくないというそんな自己保身である。しかしまあ、だからって小学1年生に立ち向かえって言うのは酷な話である。

光輝はそんな光景を見ながら愛美といじめてるやつの所に向かいゆっくりと口を開け声を発した

 

「なあ」

 

「あっ? なんだよ?」

 

「邪魔」

 

 教室の空気が凍った。クラスメイトは基本的に寡黙の光輝がいじめっ子の男にそんな事を言うとは思わなかったのだ。クラスメイトはその様子をビクビクしながら、或いは面白そうと遠回しに思い見守る。

 だがいじめてる方はそれを聞いて一気に不快な顔をして凄みを利かせて光輝に詰め寄り言った。

 

「回れよ」

 

「やだ」

 

「なんでだよ」

 

「ここが近道だから」

 

 光輝の席は愛美の後ろであるから愛美の席の隣を通るのが近道っちゃ近道である。

 しかしそんなのは男子にとっては関係ない。この歳でそんなガキ大将の素質を身につけられるあたり違う意味で凄い。親から武道のやる意味を聞かなかったのか? と光輝はこの時思った

 

「知るか! いいから回れ!」

 

「嫌だ、面倒くさい」

 

「俺に逆らったってどうなっても知らねーぞ」

 

 にやにやとそう言ってくる。暗に逆らったら痛い目見るぞと言ってるのと同義である。しかし光輝は相手の目を見て

 

「そんな事元々知らねーし興味がないから早くどいて」

 

 そして男子は怒りの顔になった。光輝自身はこんな1人の男子が愛美に差別発言している光景を見るのは初めてだ。だけどやっている事に怒りを感じたし男子が空手をやっているのは知っていた。知っていたからこそ怒った。武道は誰かを追い詰める為にするものでは無い。それを光輝は祖父のおかげでよく知っているからだ。

 そして愛美がいじめられているのが見るに耐えなかったからだ。人間が一人一人違うのなんて当たり前だ。だから光輝は愛美の事は「可愛い同級生」だと思っているしそれ以上も以下もない。少なくとも本当に愛美が外国人だとしても光輝は気にしない。

 

「は!? そんなに痛い目を見たいんだなあ! 

 

 拳を硬く振り上げその拳は光輝の顔面に…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 届いた

 

 

 光輝が殴られた事により頬に痣を作りながら少し吹っ飛び尻もちついた。

 男子は笑う

 

「ハハハハ! だっせ! あんな事言ってクソ弱いじゃねぇか! 俺に逆らうからそうなるんだよ!」

 

「ほーう? 誰に逆らうとそうなるんだ?」

 

 その第三者の言葉を聞いた男子は一瞬でその動きを止めた。教室の入口に立ちながらそう言うのはこのクラスの担任である新井という男だ。

機械のように入口に目を見せる男子。そして驚愕しながらも何とか口を開いた

 

「せ、先生いつから」

 

「西沢と一緒に来た。今まで手を出さなかったのは西沢が待ってと言ったからだ。決定的な場面を押さえないとお前は知らんぷりすると言ったからな」

 

 そうして先生·····新井はここに来るまでの事を思い出した。

 

 ★★★★★

 

 いきなり職員室のドアが開けられ1人の少年が顔を出す。

 俺のクラスの西沢光輝だ。

 周りの先生方が怒ろうと詰め寄る

 

「君もうちょっとゆっくり……」

 

「そんなのは今どうでも良いんです! 怒られるのは後でされますから新井先生いますか?」

 

 焦った顔でそう言うから只事では無いと職員室の誰もが思った。

 少し注目を浴びながら俺の生徒の元まで向かう

 

「どうしたんだ?」

 

「村田が古原さんを見た目で虐めてる」

 

 これを聞いて俺は疑った、何故なら俺が知ってる限りはそんな事するようなやつじゃないと思ったからだ。

しかしそれは後に村田が他の生徒を脅して裏の顔を知られないようにしてたり自分の前では猫を被ってただけと知ったが。当時の俺は恥ずかしい事に知らなかったので西沢に優しく言った

 

「でもね、西沢君、彼はそんな事する子じゃないと思うけどな」

 

「じゃあ一緒に来て! 自分の目で見たら良いでしょ」

 

「わかった、わかった」

 

 ヤケに必死なのを見て「はいはい」みたいな感じで俺は返事をした。どの道もう教室には行くつもりだったから良いだろうと思ったのだ。

そして2人で職員室を出てその途中で西沢君が

 

「先生、古原さんが虐められてるのを見ても取りあえず止めないで、僕が最初に行きます。あいつの裏の顔をまず見せてやりますよ」

 

 そんな事を言った。私は同意しかねた。仮に本当ならば西沢君が酷い目にあってしまうと考えたのだ。その前に俺が止めれば良いのだが。しかし彼に押し切られてしまう。西沢君は私が初めて見る焦った表情を見せていた。

 

「あいつは根本的に直さないとダメなんです! あんなのが癖になってしまったら古原さんが可哀想だから」

 

 そうさっきの愛美の泣いてる表情を思い出す。あの顔を見た時、光輝の心臓が抉られるような感覚になった。愛美の事は「可愛い…」とか思って眼で偶に追った位。所謂一目惚れだ。最も光輝自身は認めないだろうが。でも…だからこそ見た目なんかでいじめられて泣いている愛美をほっとけなかったのだ。

新井はそれが分かった訳では無いが光輝の悲しげな表情を見た時、光輝の言ってるいる事が本当何だと漠然と分かってきた。

 

「わかった、でも無理はするなよ? やばいと思ったら止めるからな」

 

 正直先生としてはどうかと思うが西沢の言っている事が本当なら自分が来た瞬間にまた猫を被るかもしれないと思い西沢の案に乗った。

 

「はい」

 

 と西沢は返事をして教室に早歩きする。しかしその慌てようは今まで見せた事がない。小一の割には何時もしっかりしている俺は思う。基本は寡黙な子だが頭は良いし恐らくあのクラスの中では1番古原の事を大事に思っているだろう。でなければ自分がいじめられるリスクを考えてまで俺の所に来ないだろう。

そしてとうとう着いた教室の入口で

 

「うっ…うっ」

 

 古原が泣いてた、そして

 

「ガイジンが泣いてやんの。笑えるな!」

 

 そう言って笑ってる村田の顔が見えた。その瞬間、胸の中がとんでもない怒りと自分の情けなさが渦巻いた。私は作戦も忘れ思わず出ようと思ったが西沢に止められた。

 

「あいつはまだ全部の顔を見せてないから僕が行きます」

 

 私の返事を待たずに教室に入り

 

「なあ」

 

 今に至る

 

 ★★★★★

 

 村田は光輝を指差しながら吠える。

 

「こ、これはこいつが悪いんです! こいつが俺の邪魔をするから」

 

仮にそうだとしても今尻もちをついて頬に軽い痣を作っている光輝と村田、どちらが悪いかなんて一目瞭然だ。

 

「ほう、なんの邪魔をされたのかな?」

 

「そ、それは…」

 

 どんどん墓穴をほっていく村田。最早詰みである。性懲りも無く否定しようとする村田や周りをほっといて先生は古原さんに話しかける。

 

「古原さん、すまないが西沢君を保健室へ連れて行ってくれるかな?」

 

「は、はい。ありがとうございます」

 

「お礼なら西沢君に言って」

 

「えっ…?」

 

「彼がいなかったら私はここに来ていなかっただろうから、それと」

 

 先生が愛美に向けて頭を下げた。他人事ながら綺麗な礼だと思う。俺は一体何に感心しているんだろうか?

 

「すまなかった! 気づいてやれなくて。本当に申し訳ない!」

 

 新井は謝った。自分の知らない間にいじめられそれに気づかず挙句の果てに村田の真の姿にすら気がつかなったのだ。元々正義感があったのでこうなってしまうのは当然の様な気もする。

 

「は、はい」

 

 そして愛美は思わずそう返す。いや、誰だって先生に腰を90度に折られて謝られたらそうなってしまうだろう。光輝もなる。新井は頭を下げるのを止めてお願いした

 

「じゃあ、西沢君の事をお願いするね」

 

「は、はい」

 

 愛美は光輝の元に行き初めて父親以外の異性と話した

 

「じゃあ、その、行こっ?」

 

「えっ…う、うん」

 

 光輝は初めて話しかけられた愛美の容姿やら美貌に心臓がドキドキしながらも頷き立ち上がる。そして少し遠い保健室まで2人は歩き出した。

 

 

 

 

 




これからも加筆したりするのでした場合はタイトルの横に改と書くので分かる思います。
(*´∇`)ノ ではでは~これからもどうぞよろしくお願いいたします。


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保健室までの道 改

加筆しまくったら2000文字増えた笑。
ボルトとスミレの小説やり始めてから何か恋愛描写スキルが上がった笑。会話文だらけが少し心情描写増えましたY(><。)Y。
では⊂('ω'⊂ )))Σ≡GO!!


 

 

春も終わりに近づいているからか2人の歩いている廊下の窓から落ちて来る桜の花が見える。しかし光輝と愛美の心拍数は落ちる所か上がりまくっている。

保健室までの道を2人は無言で歩いてる。先程までの騒がしさとは正反対だ。

2人が話さない理由は簡単である。2人とも異性とは中々話したことは無いのだ。光輝は姉とよく喋ってるがそれは姉だから普通なのであって赤の他人の異性……愛美とは全く話した事はない。……それでも光輝は偶に目で追いかけたことはあるが。

 

「え、えと。その.」

 

 と思ったら沈黙に耐えかねて愛美がそんな事言い出した。光輝の訝しげな視線が刺さる。

 

「えっと、そのう…」

 

 また沈黙が10秒くらい続き光輝は言う勇気が出なさそうだなと思い光輝も勇気をだして呟いた。初会話の第一声とは何ともきの抜けた言葉だが

 

「あんにゃろ〜本気で殴りやがって」

 

 光輝がそんな事言った。これしか場を和ます方法が思いつかなかったのだ。まあそれはしょうがない。大人びては見えるが小一なのだから語彙力もそんなにない。愛美は不思議そうな顔で

 

「えっ、あれわざとじゃなかったの?」

 

 愛美が素っ頓狂な声をあげて聞いた。実際村田の性格を考えれば殴ってくるのは目に見えているのだがいかんせん、光輝も村田の実態はあまり見た事ないのだ。それに小一からいじめをするバカもいるとは思ってなかったのもある。

 

「誰がわざわざ殴られに行くんだよ。僕も殴られるとは思ってなかったよ」

 

 至極当然である。光輝じゃなくてもわざと殴られたい人間なんて普通はいない。

 

「じゃあなにを?」

 

「いやー僕的にはあいつが平気で人を脅すようなやつだと先生に分からせれば良かっただけなんだけども先生が止める前に殴られた」

 

 そう言って殴られた箇所を押さえてる。愛美は何を思ったのか無意識に手を伸ばし光輝の殴られた場所に手をだした。そのまま少し触る。だが殴られたばっかでまだ痛いから少し拒否する。

 

「その、痛いからやめてよ」

 

 少し顔を赤くしてそう言った。同年代に触られる事なんて光輝には恥ずかしかったのだ。それが愛美だったから余計に。

 

「あっ、ごめんなさい」

 

 そう言って離す。そんな愛美の頬もほんのり赤くなってる。自分でも何で今光輝の痣に手を伸ばしたのか分からない。分からないからこそまた心臓の鼓動がおかしな事になる。そして愛美はちらりと光輝の横顔を見た。痣で最初は分かりにくかったが

 

(なんか…かっこいいかも)

 

男という事を知らなければ思わず女の人に間違えそうになるが男として見れば整った顔。よく見れば少しふわっとしている髪。俗に言うかっこかわいい。先程村田と対峙した時に見せた厳しげな表情とのギャップが愛美の中でそんな感想を生ませた。

そして光輝の事を見る度に早くなってしまう心臓の鼓動を自覚する。

 

(うそ…今までこんな事無かったのに…)

 

そう心の中で言ってしまう。愛美が見たのはやられている光輝だけで傍から見れば大分ダサい奴な筈なのに愛美は光輝の普段は見せない優しさに気がついた。そしてそれを知っているのは自分だけ…それに何となく嬉しくなりながらも鼓動を誤魔化す為に口を開いた

 

「あっ、あのねその…」

 

「?」

 

「助けてくれてありがとう」

 

 そう少し恥ずかしながら愛美は言った。そんな恥ずかしがっている愛美に光輝は頬を赤くしながらも微妙な表情をした。それに気がついた愛美は疑問の顔で

 

「ど、どうしたの?」

 

「え、いやその…」

 

 今度は愛美が訝しげな顔になる。そして光輝は微妙な視線の真意言った。

 

「僕がやった事って、ただたんに先生連れてきてあいつと少し話して殴られただけだから。なんか、よくよく考えたらなんかかっこ悪いなーと思っ…」

 

「そんな事ない!」

 

 そんなでかい声で遮られた。それに光輝はビクッとした。愛美からそんな声量の声が飛び出るとは思わなかったのだ。先程の弱々しいイメージのせいで余計にそう思った。

 

「あの時誰も助けてくれなかった。嫌だった。怖かった。でも…西沢君が助けてくれて嬉しかった」

 

 そう涙ぐみながら言う。小一で見た目でいじめられるなんて誰だって嫌だろう。光輝は愛美の事は変わった見た目の人だなと思った事はあるが別にそれだけだ。それが悪いと思った事なんてなかったしこれからもないだろう。

 

「でもそれなら僕も今まで古原さんが嫌な事されてるの知らなかったし」

 

それを聞いた愛美は少し笑う

 

「だってそれは西沢君がいつも遅く来るからでしょ。何時も私が虐められた後に来てるから知らなかったのは、無理ないよ」

 

 そう言って涙を拭って笑いながら聞いてくる。

 

「毎日寝坊でもしてるの?」

 

 愛美は割と気になってた事を聞いた。光輝は始業のギリギリに来る事が殆どだ。小一でまだ遅刻魔もいない中唯一光輝だけは毎度の如くギリギリ来てる。来る順ランキングがあればぶっちぎりで最下位だろう。

 

「なっ、そんな訳ないだろう」

 

 だがそれは光輝なりの理由があるし光輝から言えば遅刻しなきゃいいみたいな考え方だから別にギリギリでいいと思ってる。……まあ社会人なったらアウトだが。それに光輝はやろうと思えば普通に最初に来る事は出来る。来るのが遅いだけで寝坊してる訳ではないからだ。

 

「じゃあなんでいつも朝の会の始まるギリギリに来るのかな〜?」

 

 だが愛美はそんな事は知らないから少し面白がって聞く。……まあ面白がって言うなら最早村田と同じだが光輝は特に気にしてないからノーカン。光輝は少し照れながら返す。

 

「それは毎朝家の周り走ってるからだけど」

 

「毎日?」

 

「うん」

 

 ……正直小一からランニングはどうかと思うが特に光輝は気にしたことは無い。武人である光輝の祖父もよくやってたと言ってたから光輝は負けるもんか! って感じでやろうと思ってやってるだけなのだから。·····まあ小一1人で流石に行かせるのはどうかと思うが。

 

「ふーん、そうなんだ」

 

 愛美は光輝の始業ギリギリの秘密を知って少し面をくらったが取り敢えず納得した。·····光輝の秘密を初めて知ったのが自分っていうのが何故か嬉しかった。

 

「そうだよ」

 

 そう光輝はこの話題を早く終わらせたく無理やり終わらせた。そんな光輝を見て愛美は笑って言った。

 

「ほら早く行こっ」

 

 そう言って走ろうとしたら

 

「きゃ!」

 

 転びかけた。ドジだ。だがこの時の愛美は早くなった心臓の鼓動を紛らわす為に走ろうとしたのだ。

 

 パシッ! 

 

 そんな音が聞こえた。光輝が倒れかけた愛美の手を取ったのだ。そして呆れの視線を向けながら言う。

 

「いきなり走るなよ。危ないだろ」

 

「う、うん。あ、ありがとう」

 

 愛美はそうお礼を言った。だがその頬は赤い。父以外の男に手を握られた事なんてなかったからだ。そして走って鎮めようとした鼓動は逆にどんどん早くなっていった。そんな愛美の心情なんて知らず言った。

 

「どういたしまして、ほら行こう」

 

 そう言って助ける為に掴んだ手を離さないまま歩きだした。光輝はこの行動は割と無意識だ。変な所で女たらしである。

 

「あっ、ちょ」

 

 だが愛美からすればそんな事は知らないし心臓の鼓動を抑えるために離してもらおうとするが当の光輝が気づいてない。

 

「ん? 何?」

 

「な、何でもない!」

 

 そうもう諦めと羞恥の声で言った。今からわざわざ言うのも恥ずかしかったのだ。だがそれでも何か隣で自分の手をひょうひょうと握ってる光輝に一泡吹かせたくてちらちらと光輝の様子を見る。その視線に気がついた光輝は少し? を出しながら聞いた。

 

「えーと、古原さんなんか言いたい?」

 

 疑問の声で聞く。自分何か変な事しただろうかと。·····実際はしまくりなのだが今の光輝には分からなかった。

 そして愛美はそんな光輝に言った。

 

「名前で」

 

「え」

 

「だから名字じゃなくて名前で呼んで!」

 

 愛美はアニメなどが好きだ。そんなアニメの中の恋人は下の名前でよく呼んでいる。母に聞いた所下の名前で呼ぶのは普通は親しい人や恋人が呼ぶ事が普通って言っていた。何故かその事を思い出し愛美は咄嗟に名前で呼んでと言った。何故光輝にそう言ったのかは正直分からない。だけど光輝には名前で呼んで欲しい、そう思ったのだ。そんな羞恥の顔と声で言っているが光輝はサブカルチャーにはあまり興味が無い……今よりも小さい頃はウルトラマンが好きだし今も割と好きな部類に入るがそれ以外はさっぱりであるから愛美の名前で呼んでと言った意味は分からず思わず首を傾げながら聞く。因みに1番好きなウルトラマンはヒカリだ。次点でメビウスである。メビウスが光輝が4歳の時に放送していたのだ。そしてヒカリには名前の親近感が湧き好きになったのだ。

 

「なんで?」

 

 愛美は光輝が名前で呼ぶ意味を知らない事に少し怒りながらも返す。

 

「何でも良いでしょ! その代わり私も名前で呼ぶから!」

 

 光輝としては名字で呼ばれようが名前で呼ばれようがどっちでも良いから普通に返す。

 

「? まあ良いけど。じゃあこれからもよろしくね、愛美さん」

 

「さんづけもダメ」

 

「え、なんで?」

 

「何でも」

 

 そう言われ光輝は愛美が割と芯が強い事を知りこのままだとずっと何か言われるかもしれないと諦めた。

 

「はぁ、わかったよ。……愛美」

 

 だが光輝は愛美の名前を言った瞬間何故か恥ずかしかった。だから少し愛美の手を少し強めに握り顔を赤くした。

 

「よく出来ました! ……光輝」

 

 そんな光輝が手を少し強く握った事を知りながらも愛美は特に不快には感じなかった。それどころかそれが嬉しいと思う自分がいて·····また赤面になった。

 

 そんな赤面の2人が残り少ない廊下を歩くのだった。




お疲れ様でした。
光輝→愛美の事は少し気にしていた。しょうがないね、美人さんだもん。

愛美→光輝の事は最初変な人と思っていた。だって遅刻ギリギリだし。でも助けてくれた後からは見る目が変わった。
そして決定的なのは光輝が無意識に転んだ愛美の手を離さなかった事。そして光輝に名前で呼んでもらって堕ちた。


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それぞれの様子 改

加筆しました三┏( ^o^)┛


「美、愛美!」

 

 そう言われてお母さんに揺さぶられ出ることに気づいた。そして何か心配そうな顔をしている母に顔を光輝との思い出を思い出していて頬を赤くした状態で見上げ少し心臓がバクバクしている状態で聞いた。

 

「な、何? お母さん」

 

「何じゃないわよ! どうしたの? ぼーっとして?」

 

「うんうん。なんでもないよ」

 

 本当は光輝と出会った頃の頃を思い出してたのだが恥ずかしくて誤魔化した。もう少しで小2になると言っても恋愛云々の事で母に言うのは恥ずかしい年頃である。少なくとも愛美は。

 

「ふーん、お母さんはてっきり光輝君の事を思い出してたのかなと思ったけど?」

 

 だがそんな誤魔化しが全く役に立たず母が心配そうな顔から少し子を面白がっている顔で言われた。愛美はと言えば図星をつかれて元々頬を赤くしていたのを一気に赤くし全力否定した。

 

「な、な、そんなんじゃないもん!」

 

 全く迫力はなくそれ所か母親は余計に面白がって言う。

 

「えー、違うの? 残念」

 

「な、何が残念なのよ!」

 

「べっつにー」

 

 そして母親の顔が申し訳ない顔になる。母親は愛美が光輝の事を好きなのを知っているから·····少なくとも気になっている事に気がついているから2人を離してしまう事情に申し訳なくなっているのだ。その理由は

 

「ごめんなさいね、愛美。引っ越す事になって」

 

「しょうがないよ、お父さんの都合だもん」

 

 その言葉とは裏腹に表情は暗かった。愛美の父親は有名な大企業の社員である。そしてそんな社員の中でも愛美のお父さんは優秀でそれ故に大事な仕事などを任される事が多かった。そして父からすれば嬉しいが愛美からすればショックな出来事が起きた。それがアメリカへの転勤だ。愛美のお父さんの能力が買われアメリカに行く事になったのだ。それでも愛美は父が自分達の為に頑張ってくれてる事を知っているから引越しを了承した。

 

「あっ、そうだ。そ、その明日光輝のお家で晩ご飯食べて来て良い?」

 

 勿論嘘である。今までに何度かあったから言っただけである。愛美の家の事情を知った光輝の母から提案され偶に愛美は西沢家にお邪魔している。その間に古原夫妻はデートしたりしている。デート云々は愛美にはまだ分からないが愛美は光輝と一緒にいれる機会だから愛美は西沢家に行く時間が大好きだ。そして母親にその区別はつかない。偶に愛美が光輝に誘われて唐突に言ってくるからだ。

 

「光輝君のご両親にはちゃんと言った?」

 

「うん」

 

「わかった、良いわよ」

 

「う、うん。ありがとう」

 

 愛美の心を少しの罪悪感が埋めた。

 

「あっ、ご両親にお礼言わないと」

 

「あっ、あ。お礼はいらないって言ってたよ」

 

 ここで連絡されたらあっさりと嘘がバレる。

 

「え、そ、そう?」

 

「うん」

 

「ふーん、そう。わかったわ。迷惑かけないようにね」

 

「うん」

 

 そう言って後に双方後悔する事になった会話を終えた。愛美はキッチンの方を向いて聞いた。

 

「何かお手伝いする事ある?」

 

「んー、それじゃあ.」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は〜、光輝を嘘に使っちゃった」

 

 ご飯を食べ部屋に戻って来るなりそう言った。

 

『駄目だ! 子供だけで夜出かけるのは駄目だ! それにもう何年も前から続いている連続無差別殺人事件を知らないわけないでしょ? あれは殆ど夜の間に行われてるんだよ? もし狙われたらどうするんだよ!』

 

 光輝が言ってた事が思い出された。言っている事は正直愛美からすれば大袈裟と感じる。母とニュースを見て犠牲者が出たと聞いてもあまり感情は湧かなかったからだ。誰かがどこかで殺されたってだけだ。言ってる事なら少し酷いが小一のコメント何てそんなもんである。

 

「光輝は、私の心配してくれたのかな?」

 

 心配してくれるのは嬉しいがあんな過剰に言われたら嫌だし何より

 

「どんな割合で来ると思ってんのよ。殺される場所は世界中なのよ?」

 

 しばらく考え

 

「バカみたい」

 

 と言って切り捨てた。

 

 思考は別の所に行く。

 

「私……、嫌われたかな?」

 

 そう、愛美は光輝に大嫌い発言をしていた事を後悔していた

 

「で、でもあんな弱気な事言う光輝だって悪いもん」

 

 そう無理やり納得するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっ、う」

 

 同時刻 光輝の部屋

 

 絶賛泣いていた。殴られても泣かなかったのに謎である。だが光輝の性格を考えれば当たり前なのかもしれない。光輝は相棒の影響か曲がったことが大嫌いであり信じるものはとことん信じる性格である。だから信じてた愛美に大嫌いと言われた時光輝は本気で落ち込んだ。一方愛美はそんなこと無く寧ろ光輝の事は好きなのだが言っても分かってくれなくて思わず口走った意味合いが強い。そんなこんなで光輝は落ち込んだ。

 

 

「う、う。愛美に嫌われた。嫌われ‥た」

 

 母親にどうしたの? と聞かれたが男の子の意地で何も言わなかった。·····まあ母親は……それ所か家族は何故光輝がこうなったか思い当たる節はあるがいつもみたいに仲直りするだろうと考え誰も突っ込まなかった。

 

「何が、悪かったのかな? 愛美の事心配して言ったのに」

 

 しばらく考え

 

「.わかんないよ」

 

 考えを放棄した。




お疲れ様でした。約1000文字増えました。(*´∇`)ノ ではでは~


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迎合・初めての死闘 改

(`・∀・)ノオッスオッス
さしぶりの加筆。2話合体しました。では⊂('ω'⊂ )))Σ≡GO!!


 土曜日 光輝宅

 

「……おはよう」

 

「おはよう」

 

「おっはよう!」

 

「おはよう」

 

「おー、おはよう」

 

「おはよう」

 

 

 

 光輝が挨拶したら父、姉、母、おじいちゃん、おばあちゃんが返して来た。光輝は少し眠そうな目を擦っている。母が光輝に話しかけた。

 

「今日は起きるの遅かったわね」

 

 光輝は普段は家族の中でもランニングする為に早く起きるほうである。しかし、昨日の愛美に嫌われた事がショックで(実際は嫌われてないのだが)中々寝つけなかったのである。光輝の寝る時間ランキングがあればぶっちぎりでワースト1位だっただろう。

 

「うん。ちょっと寝坊しちゃった」

 

「ふーん、そうなの」

 

 何故か母が微笑んでいるのが見え変な事を勘ぐられないように念を押しとく。

 

「そうなの」

 

 そう言いいつも通りのリビングを見回した。

 光輝は家族が大好きだ。よく心配してくれる母、勉強を教えてくれる父、普段はお調子者だが頭が良くて、弟思いの10歳くらい離れてる姉、よくお話してくれるおばあちゃん。そして自己防衛用の武術と剣道を教えてくれるおじいちゃんである。家には小さな道場もある。

 

 特に光輝はおじいちゃんとよく一緒にいた。教えられる時は厳しいがそれに伴い上がる実力が嬉しくて嬉嬉としてよく学んでいた。あの村田に殴られた時避けようと思えば普通に避けてカウンター浴びせる事が出来た。それをしなかったのは先生にこいつこんなやつですっていうの教える為っていうのと痛い目に合わせたくなかったというそんな優しさである。

 

「何か考え事でもしてたの?」

 

「し、してないよ」

 

 愛美の事で悩んで泣いてたのを知られたくなくそう意地張った。

 

「ふーん」

 

 ぶっちゃけると家族全員『あっ、愛美ちゃんの事だな』と察していたのだが悩んでる時は普段はしっかりしてるのだが愛美関連になるとポンコツになる光輝が可愛くて突っ込まなかった。因みに光輝自身は愛美の事は友達と思ってるが自分の思いには気づいてない。

 

「お、おじいちゃん、今日も稽古しよ!」

 

 母の視線が痛かったので話を変えた。露骨である。

 

「おう!」

 

「うん!」

 

「今日は愛美ちゃんに会わないの〜?」

 

 

 と姉が言ってきた。いじるのが好きなのである。そして光輝は少し頬を赤くしながら返した。

 

「毎日会ってる訳じゃないし.」

 

「へぇー」

 

「べ、別に良いでしょ!」

 

 

 

 そんな最後の賑やかな朝が過ぎていった。

★★★★★

 

 

 同日 夜7時頃 愛美宅

 

「じゃあ行ってきます!」

 

「行ってらっしゃい」

 

 星を見たいならもうちょっと遅い方が良いのだが愛美の認識は取り敢えず暗かったら見えるだろうというそんな子供っぽい認識なのだった。……実際子供なのだが。

 

「ご迷惑かけないようにね」

 

「う、うん。わかってる」

 

 そう嘘をつきながら光輝の家に行く振りをして高台に向かった。

 

★★★★★

 

 20分後 高台

 

「着いた〜。ふぅ、疲れたー」

 

 そう言って高台のベンチに座る。

 

「わあ、お星様が下にいた時より見える〜! 綺麗だな〜」

 

 そして思い返されるのは昨日の光輝の事

 

「……なによ、こんなに綺麗じゃん、光輝の嘘つき」

 

 愛美には知る由もなかったが光輝は昔に山の頂上付近でキャンプした事があり、その時の星空と比べたからあまり星見えないと言ったのでありその後に見に来たこの普通より多少高いだけの高台から見える星空では満足出気なかっただけである。

 

 まあ、それを言わない光輝も悪い。

 

「……光輝と見たかったな」

 

 そう無意識に言ってしまう。

 

「へぇ、君みたいな可愛い子にそう言ってもらえるなんてその子は果報者だな」

 

「だ、誰!?」

 

 バッといきよいよく振り向いていたのは1人の男性だった。

 世間的に見ればイケメンの部類に入るであろう顔とよくジムにでも行くのだろうか、引き締まった体型をしている人だった。

 

「待っ、待った待った! 怪しい者じゃないよ!」

 

 愛美の射抜くのような視線に思わずと言った感じでそう言って降参のポーズをする。

 

「えーと、座ってもいいかな?」

 

「……どうぞ」

 

 そう言われて隣のベンチに座った。

 

「……あの」

 

「ん? なんだい?」

 

「もしかして、天才科学者の笠木理玖さんですか?」

 

 と愛美は聞いた。この人は割と有名人だ。確か人間の体についての科学者で何か趣味で空手をやっていた筈だ。別に愛美が率先して見た訳では無い。光輝の家にお邪魔した時についてたテレビにこの人が映っていた。確かに大学は東京だったからここにいることも別段不思議では無い。

 

「そうだよ。いやー君みたいな可愛い子ちゃんにも知られてるなんて光栄だなぁ」

 

 言ってる事は完璧にやばいやろーである。そう直感的に感じた愛美は辛辣に返す。

 

「いえ、この前たまたまテレビで見ただけです」

 

「そうなのか」

 

「はい」

 

 また無言になったが笠木が聞いた。

 

「君がさっき言っていた光輝君ってのはどんな子なのかな?」

 

 愛美は少し不機嫌そうな声で返した。

 

「なんでそんな事聞くんですか?」

 

「君にそんなに思われてる子がどんな子なのか知りたいだけだよ」

 

「…………」

 

 愛美は言うか迷った。が、別に減るもんじゃないと思い言い出す。

 

「……同じ学校で同じクラスに通ってるクラスメイトです」

 

「へー、それだけ?」

 

 正直言うのもどうかと悩んだがこれも減るもんじゃないと思い言った。

 

「私虐められてたんです。この青い髪と目のせいで。『ガイジン、ガイジン』って言われて、どんなに違うって言っても聞いてくれなくて、もう泣くことしか出来なかった私を助けてくれたんです」

 

「ほう、かっこいいじゃないか。その光輝君」

 

 光輝が褒められて嬉しくなった愛美は笑って返す。

 

「はい! 私もそう思います。それにあんな事言ってくれた時は凄く嬉しかった」

 

「あんな事って?」

 

「私を虐めてた人は先生怒られて謝って来たんですけど、やっぱりまた虐められるかもしれない。そう思ってたら怖くて怖くて。そんな時に光輝にどうしたの? って聞かれて正直に言ったんです。『怖い』って。そしたら『愛美が危ない時は絶対僕が守るから大丈夫!』って言われて、そうしたらもう怖く無くなったんです」

 

 

 

 自分の誇りに思う話なんだろうか凄く誇らしげに語る。

 

 笠木の不敵な笑みに気づかずに。

 

 

 

「へぇー、じゃあさしずめ光輝君は君の王子様って事かな? 

 

「お、王子様って」

 

 一瞬で頬を赤くする。

 

「それでその王子様とは今日は一緒じゃなかったのかい?」

 

 愛美は暗い顔になる。

 

「……いえ、誘ったのに行かないの一点張りで。子供だけなんて危ないって」

 

「まあ、確かに子供だけでは危ないけど星を見るだけなら別に危なくないと思うけどなー」

 

「光輝はもう何年も前から世界中で起きている無差別殺人に狙われたらどうすんだよって言ってました」

 

 それを聞いた瞬間笠木の表情が変化した。所謂悪い顔である。

 

「……へー、でもその彼の言う事もあながち間違ってないと思うけど君はなんで言う事聞かなかったのかな?」

 

「だってそれが起きているのは世界中なんですよ? そんなたまたま日本、それもここら辺にいる可能性なんて殆どないのにビビる方がおかしいんです」

 

 沈黙の時間が過ぎて

 

「よいしょ」

 

 そう言って笠木は立ち上がった。

 

「帰るんですか?」

 

「ああ、探し人は見つかったからね」

 

「誰を探してたんですか?」

 

「それは今にわかるさ」

 

「?」

 

 分からないと愛美は思った。自分が来た時は誰もいなかったし、この人がここに来てからも誰かを探してる素振りを見せなかったからだ。しかしまあ、自分には関係ないだろうと思い会話する。

 

「そうですか」

 

「あー、そうだ。1つだけ言っていいかな?」

 

「なんですか?」

 

 笠木が近づいてくる。その時愛美は嫌な予感がした。

 

「君はさっきそんな無差別殺人者がこんな近くにいる可能性なんて殆どないって言ったね?」

 

「は、はい」

 

 愛美の体が嫌な予感で埋められていく。

 

「でもね、覚えといた方がいいよ、可能性を0にしない限り油断しちゃダメだよ!」

 

 そう言って勢いよく愛美をベンチに押さえつけた。

 

「な、何するんですか!」

 

「何って今君が言ったじゃないか! 無差別殺人の事をね!」

 

 そう言って笠木は狂気の顔になった。

 

「ハハハ! ちゃんと光輝君に言われた通りに来なかったら殺されずにすんだのにねえ!」

 

「え、う、嘘」

 

「君には残念だが本当何だよね。ひひひ!」

 

 愛美は恐怖で動けない。逆にこんな場面で動けた方がすごい。

 

「まあ君のエネルギーを貰った所でそんなに今と変わらないだろうから選ばせてあげるよ」

 

 そう言ってナイフを取り出した。

 

「これはね、ただのナイフじゃないんだよ。刺した人間の生体エネルギーを刺してる限り奪い続けるんだ。聞いた事ないかい? ほぼ皮だけの死体ってのを?」

 

 愛美は見た事はないが知っている。

 

「あ、あ」

 

「そうさ、あれは僕がやったんだ。僕の壮大な実験のためにね!」

 

「さ、さっきは。さ、探し人が見つかったって……」

 

 そう震える声を出して聞く

 

「あー、あれかい? それはね、君だよ」

 

「え、な、なんで?」

 

「次はこの町の誰かを殺そうと思ってたんだけどね、出来るだけ生体エネルギーを持ってそうな人をね。しかし、君は大人になったら美人さんになりそうだから君に急遽変更したのさ」

 

「な、何を?」

 

「簡単な事さ、君が僕のものになるかそれとも、ここで死ぬか。それを選ばせてあげるよ」

 

 小一にえらい事言うやつである。

 

「こんな事してても、誰かがすぐに来てくれるわよ」

 

 苦しそうに言う。

 

「残念だがこの高台はお昼ならいざ知らず夜になると殆ど人なんて来ない。既に調査済みだよ。そしてこの高台からの逃走ルートも調べてある。僕が何度も世界の低脳な警察から逃れてるを忘れてるのかい?」

 

 笑って希望を断つ。そして割と真面目に気持ち悪い顔で詰め寄る。

 

「さあ、どっちだい? 僕の女になるか……、ここで殺されるか。さあ、選べ!」

 

「光輝が……助けに来てくれる、はぁはぁ、もん」

 

「ハハハ! 来るわけないだろう! 行かないって言ったんだろう?」

 

「来る……もん。だから誰があなたの……女になるもんですか! はぁはぁ、私は光輝のお嫁さんになるんだもん!」

 

 そう無我夢中で叫んだ。

 

「そうか、ならば僕の崇高な実験のために死ねー!」

 

 ナイフが愛美めがけ振り下ろされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こっちを見ろ!」

 

 振り下ろす瞬間そんな声が聞こえ笠木の視界を光で埋められた。

 

「く、な、何だ?」

 

 ダン! 

 

 何かが蹴られる音が聞こえ風きり音と共に笠木の視界は一気に上に向けられた。

 

「グワーッ!」

 

 笠木が吹っ飛んだ。少しじたばたした後吹き飛ぶほどの威力の攻撃したのは誰だと見る

 

「何だ、何が起きた!」

 

 そんな笠木の前にはこの高台の入口にあったドッヂボールが転がっていた

 

「な、な」

 

 驚いて前を見ると愛美の隣に笠木にとっては見知らぬ竹刀を2本背負って手に懐中電灯を持ってる少年が笠木を睨んでいた。

 

「だ、誰だお前は!」

 

「こう……き」

 

 愛美の顔も驚愕と安堵の顔で埋まっている。光輝が自分の危機に来てくれたのだ。乙女としては嬉しいに決まっている。

 

「きて、くれたんだ」

 

 光輝が優しげな顔で振り返った。だがその顔は安堵の色もあった。

 

「うん。良かった。間に合って」

 

 笠木が声を荒らげて聞いてくる。そりゃそうだ。もう少しデンキ人を殺すという快感を·····それも笠木基準で可愛い女の子の絶望しながら死ぬ様を見れたというのにそれを邪魔されたのだ。·····ぶっちゃけ言うならヤバいやつこの上ない。

 

「何だ、なんなんだお前は!」

 

 再び前を向きながら答える。その眼光は愛美に向けてたものとは180度違った。

 

「西沢、光輝!」

 

 光輝は彼にしては珍しく怒った顔になり言った。その迫力は並の小学一年生では出せない迫力だ。村田など足元にも及ばない。

 沈黙が場を支配して少したって動き出したのは笠木であった。

 

「なっ、お前は今日来ないんじゃなかったのか!」

 

 先程の愛美との会話を思い出しながらそう聞く。愛美も光輝の言葉を待っていた。愛美も何故光輝がここにいるのか全く分からない。何故なら自分がここに来る事を反対したのは他ならない光輝なのだ。

 

「いや、なんで来ないと思ったのかは知らないけど確かに最初は来ないつもりだった。だけど訳あってやっぱり来た。1つはただの嫌な予感。そしてもう1つは愛美のお母さんの電話だ」

 

「え、お母さん電話してきたの?」

 

 愛美がそんな素っ頓狂な声を出しながら聞いた。母には連絡は良いと言ったから母の電話がここに来る要因とは思わなかったのだ。光輝は目を笠木から離さず答える。

 

「ああ、電話来て取ったのが僕なんだけども挨拶もそこそこにいきなり迷惑かけたらごめんなさいね? って言われていきなりそんな事言われるから理由を聞いたらお前が家にご飯食べに行ったって言われたからどんどん嫌な予感が大きくなってくから。取り敢えずお前が嘘言ったのを報告して竹刀持ってこの高台にまで来たらこいつがお前にナイフを振り下ろそうとしてた所だったってわけで咄嗟にこのライトで照らして入口にあったそのボールを蹴ったって訳だ」

 

 そう理由を言ったら笠木が笑いながら言う。気持ち悪いったらありゃしない。

 

「ふっふっ、こいつなんて失礼じゃないか。僕を知らないのかい? この世紀の天才科学者の笠木理玖を!」

 

 だが光輝は即答する。

 

「知らん。僕はそもそもあまりテレビ見ないし見るとしても武術系のテレビしか見ない」

 

 そこ迄言った所何かどこかで見た事あるなともう一度少し見たら

 

「ああ、そう言えば1回テレビで見た事あるな。まあどうでもいいが」

 

 本当に心底どうでもいいと言う顔した。そんな光輝にプライドの高い笠木が我慢出来るはずなく

 

「き、貴様! さっさとそこをどいてその子を渡してもらおうか。最も君にはその後死んでもらうが」

 

 言ってる事は支離滅裂である。

 

 こんな奴と愛美は2人きりだったのか。気持ち悪いったらありゃしない。愛美を……俺の愛美を傷つけようとしてる奴に絶対に負けない……

 

「そんな事言っといて素直に退くと思うのか?」

 

「いや、思ってないさ」

 

 そう言って光輝めがけて走る。光輝はライトを左手に持ってるから左手は使えない。だが光輝は冷静に尚且つ大声で言った。

 

「愛美! 高台の下にある交番に行ってお巡りさんを連れてこい!」

 

 高台の下には交番がある。さっき光輝も目の前を通って通り過ぎる瞬間に中に誰かいるか見たが2人ほどいた。

 

「で、でも光輝は?」

 

 笠木は話してる間に近づいて右手に持ってるナイフで突きだした。だがその動きは雑くどこも洗練されてる感じはしなかった

 

「死ねーっ!」

 

「はぁ!」

 

 光輝は笠木の右の手首に左手の甲を当てナイフを逸らし、そしてがら空きになった腹に右の拳で一撃決めた。

 

「がはっ!」

 

 少し後ずさる笠木、光輝の一撃は小一から生み出される威力では無い。そしてそんな笠木を見ながら光輝は叫ぶ

 

「僕の事はいい! 早く行け!」

 

「で、でも!」

 

「良いから行け! 僕をを助けたいなら全力で走って呼んでこい!」

 

 早く連れてくる事が回り回って光輝を助ける事になる。愛美はそれに気がついた。

 

「わ、わかった!」

 

 そう言って出口まで走り振り返り光輝の背中に少し涙ぐみながら言った。その声は不安な声だった。

 

「死んじゃダメだよ?」

 

「僕は、いや。俺は死なない」

 

 そう一言言い合って愛美は駆けて行った。距離自体はそんなに無いが高台なだけあって坂道が割とあるから少し遅くなるかもしれない。

 足音が遠ざかるのを聞きながら光輝は2本の竹刀の内1本鞘から取り出し片手で構える。

 

「いやー、驚いたよ。まさか竹刀だけを持ってるから剣道だけをしていたのかなと思ったのに武道もしていたとは」

 

 そう獲物が逃げられ代わりにイラつく少年が目の前にいることにイライラしながらも早々に逃げなければならないが事にに追いかけられたらどっち道パーだ。ならここで痛めつけて追えなくした方がいい。道が入り組んでたりするが反対に走っていけばもう道路だからだ。

 

「武術系のテレビを見ると言ったろ。だったらそっちの道も行ってると考えるのが普通だ。自称天才の割に変な所で抜けてるな」

 

 そう小一の割に悪い顔をした光輝。そんな光輝の一言が笠木のプライドを傷つける。

 

「……言ってくれるじゃないか。君には絶望を与えないとダメみたいだな」

 

「生憎だがそんなもんは与えられたくないし、与えられない。俺がここでお前をお巡りさんが来るまで足止めするからだ」

 

「調子に乗るな!」

 

 その掛け声と共に突っ込んで来る。出される突きを躱すまたは受け流す。もう普通の小一なら致命傷をグサグサやられてる所だが光輝は渡り合う。しかし偶にカスってってカスった所から血が出て来る。光輝は一旦後退したが

 

「くっ!」

 

「ほらほらどうした!」

 

 笠木は光輝が後退したから自分が押してると勘違いして突っ込んだ。だが光輝が何も無く後退する筈なく

 

「くらえ!」

 

 そう言いながら投げてきたのは懐中電灯だ。笠木はいきなりのそれに反応出来ずに顔を手で覆った。

 

「なっ」

 

 目を隠し懐中電灯が顔にぶつかった。凄い音と共に懐中電灯が壊れ一瞬で周りは軽い明かりしか見えなくなった。そしてそうやって顔を守ったのが決定的な"隙"。がら空きの体に竹刀が叩きつけられた。

 

 何かの試合ならばいざ知らず俺……そして愛美の命がかかってるのに卑怯もラッキョウもない。……何かどこかで聞いた事あるセリフだから頂いた。

 

「がっ」

 

「まだだーっ!」

 

 そう言ってまた竹刀を縦に振るう。だが笠木も割と冷静に立て直して

 

 カっ! 

 

 そんな音と共に振り下ろされる竹刀がナイフで止められる。笠木の顔はそれはそれは憎悪になっていた。

 

「調子に乗るな!」

 

 元より大人と子供の戦いであり、その元々の力量差はかなりある。それが光輝が武道をやってると言ってもそうそうその力関係が変わる訳ではない。大人の笠木が光輝の右手の竹刀を弾くのは時間の問題だ。右手……の竹刀だけならばであるが。

 

「僕に楯突いた事をあの世で後悔するが良い!」

 

 そんな小物臭いセリフを吐きながら竹刀を弾いてトドメを刺そうとした瞬間笠木の右の腹部に強烈な痛みが走った。

 

「グハッ!!」

 

 思わず後ずさり痛みに耐えながら光輝を見た。

 

「はぁぁぁ!」

 

 光輝が2本(……)の竹刀を持って突撃してきた。

 

「な!? グハッ! がはっ!」

 

 無数の竹刀の嵐が笠木を襲う。顔面、腹、腕、ありとあらゆる場所が竹刀で叩きつけられる。笠木は何とかどれかを掴もうとするのだが痛みのせいで捕まえれなかった。だが徐々に光輝の力が……光輝からすれば出なくなっていった。笠木はそれで自分のナイフの事を思い出してニヤっとしながら行動した。

 

「ふっ!」

 

 がしっ! 

 

 その弱まった時を狙って左の竹刀を掴んだ。そして調子が良いみたいに高笑いする

 

「くっ!」

 

「ハハ、どうした力がどんどん弱くなってるぞ!」

 

「くそ、な、なんで力がでないんだ」

 

 そう思わず呟いた光輝に笠木はそう言えばみたいな顔をして言った。

 

「そうか、君には言ってなかったな。このナイフは僕の特注品でね、あの子に説明した時はこれが刺さってる間はその刺してる相手の生体エネルギーをとるって言ったんだけどね? 正確にはカスったりしても生体エネルギーをとるんだ」

 

「なっ!?」

 

 光輝は幼いが頭は良い方である。……まあ愛美の気持ちには気づいてないが。そんな光輝には笠木の言ってる事は分かる。

 

「ふっふっふっ」

 

 カスる度に生体エネルギーを持ってく事とはすなわち戦えば戦うほど光輝が不利になるという事。更に光輝はこの高台に来るまでに家からダッシュしていた。だからその分体力も無くなっていった。光輝が勝つ為には短期決戦が必要だった

 

「はぁ、はぁ。くそ、短期決戦じゃないとダメだったか」

 

「そういう事だよ!」

 

 そう言って竹刀ごと光輝を持ち上げナイフを突き刺そうと右手を突き出した。ギリギリで竹刀ごと離し躱そうとしたが左手腹部にカスった。光輝は掠った時表情を歪めたそして空中にいる間は時がスローモーションになった

 

「くそ! なっ、しまっ!」

 

 ドンッ! 

 

 笠木の左の拳が小さな体に入った。

 

 

 

「グハッ!!」

 

 そう言って吹き飛ぶ。その時に右の竹刀が手から離された。転がって倒れる。光輝の服は所々破れ血が出ている。笠木の力も弱まってるが故戦闘不能になる事はなかったが何度も掠ったりしていたせいでそのまま直ぐには立てない

 

「はぁ、はぁ、手こずらせやがって」

 

 倒れた光輝に近づき何度も殴る。

 

「がはっ! グハッ! かハッ!」

 

「僕に、逆らう、から、こうなるんだ!!」

 

 その絵はもう誰かがいたら悲鳴が上がる光景だった。夜だしまさかこんな所で起きてるとは誰も思うまい。

 

「はぁはぁ……」

 

 そしてとうとうナイフを振り上げた。

 

「君には一撃で死んでもらうよ。時間がないからね。じゃあ今度こそ死ねーっ!」

 

 

(ああ、僕は死ぬのかな。でも頑張ったから皆許してくれるかな?)

 

 スローモーションで振り下ろされるナイフを見ながらそんな事を思う。その瞬間に様々な思考が動き出した。

 残された家族、自分が死んだ後の家族の顔が浮かんだ。皆泣いている。悲しそうな顔で泣いている。

 そして愛美も泣いている。悲しそうな顔で泣いている。そして泣きながら愛美が離れて行く。

 

(ああ、こんなに皆を悲しませるのかな?)

 

 僕は親不孝の息子になるのだろうか? 6年間育ててくれたお礼も何もしないままあの世に行くのだろうか? でも·····愛美は守れたから良いのかな? 

 

『毎日お寝坊してるのかな〜?』

 

『名前で、呼んで』

 

『ありがとう、助けてくれて』

 

『死んじゃダメだよ?』

 

 光輝の走馬灯のように愛美とお話をするようになった頃を思い出した。あの後からでも笑い、悲しみ、何か変な事したのだろうか叩かれたりしたが嫌な気分ではなかった。最初見た暗そうな顔をした愛美よりも笑ってる愛美が好きなのだ。そして先程自分と愛美で約束したことを思い出した。笠木のナイフが迫る中光輝は目を見開いて

 

(俺は死ぬ訳には)

 

「いかないんだーっ!」

 

 顔を逸らしナイフを躱すと同時雄叫びを上げながら小さな頭で頭突きする。

 

「がはっ!」

 

 笠木はいきなりの反撃に反応出来ずに頭突きを食らった。そのまま思わず目を閉じる。だが光輝からすれば好機だ。

 

「ダリゃーっ!」

 

 そのままありったけの力でぶん殴った。 そのぶん殴りは笠木の顔面に見事に入った。

 

「グハッ!!」

 

 少し後ずさり、睨みつけてくる。鼻血が出ている。そして思いっきり叫ぶ。光輝は立ちながら答える

 

「しぶといんだよ!」

 

「そう簡単に、死ぬ訳にはいかないんだ」

 

 俺はそう血だらけの体で答える。こいつを逃がしたらまた誰かが死んでしまう。そんな事は絶対にさせない。そして光輝は皮肉げな顔で笠木に言う

 

「ハハっ……、何だよ。小一相手に大分手こずってるな」

 

「ならとっとと死ねーっ!」

 

 もう一度突進してくる。俺はそんな笠木を見ながら寸瞬で思考する

 

(勝負はあいつのナイフが本当に当たるかどうかの所で避けての一撃、これしかない!)

 

 憎悪の顔で走って来る。ほんとに武道家なのかと思うくらい傍から見れば思うがそんな事はどうでもいい。というより光輝からすればそっちの方が有難い。

 またもやスローモーションの世界が形成される。

 

(あいつと俺の身長の関係上100%の力であのナイフを刺すのならどうやっても俺の顔に刺すのがベスト)

 

 笠木はナイフを突き出した。コースは光輝の顔面に直撃コースだ。だが思いっきり腕を伸ばして来ているからカウンターには対応出来ない。それを光輝は直感で悟った

 

(まだだ、まだ、まだだ)

 

 そして笠木の顔が勝利を確信した顔になった。だが光輝からすれば隙だらけだ。だから 

 

(今だ!)

 

 ナイフスレスレで躱しながら光輝は小一故に小さい拳を握って

 

「はぁぁぁ!」

 

 強烈なアッパーが笠木に突き刺さった。笠木は一瞬白目むいて浮き上がった。

 

「かっ! は!」

 

 笠木は思いっきり背中から倒れた。が、光輝も体力での限界で倒れた。そのまま5秒ほど2人とも倒れていた。だが笠木は奥歯をかみ締めながらも立ち上がった。その執念を別の所で使えれたら良いのだが笠木はそうしなかった。

 

「よくも……、よくも……」

 

 そう呪怨を言いながら光輝に近づく。

 光輝は体力が尽きて動けない。そんな光輝に今度こそナイフを振り上げた

 

「はぁはぁ、くっくっく。今度の今度こそ死ねーっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前何してる!」

 

 

 

 そんな声と共に笠木の視界は光で埋められた。この状況で言うべきではないがデジャブである。

 

「光輝!」

 

 2人のお巡りさんと一緒に愛美が帰ってきた。少し遅くなったのは説得が大変だったのかもしれない。笠木は露骨に慌てた顔になった

 

「く、クソ! 絶対にお前らを絶望させてやる!」

 

 そう言って逃走し始める。夜の中では分かりにくい道を通って逃げて行った。どこからそんな力が出るのだろうか? 

 

「待て!」

 

 2人のお巡りさんの内1人が追った。

 

「救急車は呼んだから、ここで待ってて!」

 

「はい」

 

 そう言ってもう1人も追って行った。そして愛美は

 

「光輝、光輝!」

 

 怪我人を全力で揺さぶっていた。

 

「痛! 痛いからやめて!」

 

 光輝がそう涙ぐみながら言う。内心は安堵で一杯だった。

 

「よ、良かった。良かったよ……、ほんとに」

 

 そう言って光輝に抱きついた。光輝はそんな経験が初めてだから·····愛美に抱きつかれた事は今までなかった。

 

「え、えと、その」

 

 そんな戸惑う声を出す光輝。

 

「う、う、う」

 

「……泣いてるの?」

 

 光輝はそう思わず聞いた。愛美はあの日以来笑う事が増えた。だから泣いてるのを見るのは久しぶりだった。

 

「当たり前……でしょ?」

 

 そう愛美は答える。その状態のまましばらくたってサイレンが聞こえて来た。

 

「ごめん‥なさい」

 

「……なんで謝るの?」

 

「だって‥ちゃんと光輝の言う通りにしてたら、光輝はこんな怪我しなくて良かったのに」

 

 まあ顛末だけ聞いとくなら確かにその通りなのだが多分というか絶対に光輝程心配性はいないだろう。世界中なのだから。·····まあ後に笠木が研究とかなんとか言って行っていた国ばっかりという事が分かったのだが。光輝はそんな愛美を慰める。

 

「こうなったのは僕の力不足何だから、愛美は関係ないよ」

 

「でも……」

 

「迷惑かけたって思うならちょっと寝させて?」

 

 割と真面目に眠い。もう疲れきってるからだ。今にも眠りに落ちそうだ。

 

「うん、わかった」

 

 そう言って光輝の頭を自分の膝においた。所謂膝枕である。光輝は何か力が出ないのをいい事にされ·····愛美が割と無意識にしたのだが……戸惑った声を出す。

 

「な! えっと」

 

「ふふっ、お母さんによくしてもらうんだ」

 

 そう愛美が泣き顔と笑顔を継ぎ足したような顔で言う

 

「そう、何だ」

 

「うん。おやすみなさい、光輝」

 

「うん。おやすみ。愛美」

 

 それが光輝と愛美の一旦の別れの合図であった。




お疲れ様でしたm(*_ _)m
(*´∇`)ノシ ではでは~


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その後と別れ 改

加筆しましたm(*_ _)m


 ⚫⚫病院 光輝の個室 夜8時頃にて

 

「光輝!」

 

「愛美!」

 

 そんな声が病院の廊下に響いて走って来たのは光輝の家族と愛美の母と父だった。病院の距離はどちらも同じくらいだから途中で合流したのだろう。愛美の両親が愛美の肩に手を置いて聞いた

 

「愛美! 大丈夫? 怪我はない?」

 

「愛美、無事か?」

 

「わたしは、大丈夫。でも、光輝が」

 

 そう言って横で寝ている光輝を見る。それと同時に体は罪悪感でいっぱいになり光輝の家族に頭を下げた。

 

「ごめんなさい! わたしが、私が高台になんて行かなかったら、こんな事にならなかったんです! 全部私が悪いんです。ごめんなさい! ごめん……なさい」

 

 光輝の言う通り思い出作りに拘らなきゃ光輝はこんなボロボロな状態にならなかった。愛美が思い出作りをした事により今こんな状態になっている。それに愛美が自分を責めるのは当然だった。

 

「今回は本っ当に娘が迷惑かけました。すいません!」

 

 愛美の母と父も頭を下げた。 

 

「皆さん顔をあげてください」

 

 光輝の母が愛美としゃがんで視線を合わせた。愛美の顔は涙でぐちゃぐちゃだった。愛美がこんなに泣いたのはいじめられた時以来である。

 

「こらこら、可愛い顔が台無しよ? ……確かにね、愛美ちゃんがあそこに行かなきゃ光輝はまだ人からしか聞いてないけど酷い怪我なんて負わなかったかもしれない。でもね、それでも私は愛美ちゃんを責める気はないよ?」

 

「えっ……、な‥んで?」

 

 どう考えても自分が悪いのに何で責めないの? と愛美はなった。

 

「だってそれでも立ち向かうって決めたのは光輝自身でしょ? それに光輝だって怪我を負ったのは自分の力不足だったってきっと言うはずよ? あの子は誰かさんのせいでそう言う性格になっちゃったからね」

 

 そう言ってジト目でおじいちゃんを見た。実際光輝は割と祖父の性格が移った。光輝がおじいちゃんっ子なのもあったのだろう。祖父は苦笑いでその視線を受ける。母は視線を愛美に戻し言った。

 

「そりゃあまあ、もし愛美ちゃんが反省してなかったら叱るつもりだったけどね。でも愛美ちゃんはそんな事する子じゃないって皆知ってるから」

 

 愛美は光輝の家族の顔を見た。皆怒った顔はしてなかった。今度は違う罪悪感でいっぱいになり小一らしく泣いた

 

「ごめん‥なさい。ごめんなさい。うわぁぁぁぁん!」

 

 光輝母はそんな愛美を抱きしめた。愛美も思わず手を回して泣いた。自分の好きな人が目の前でボロボロになって倒れていたのだ。血の気が引いたのは間違いない。だがそれ以上に光輝の家族の方が傷つくはずなのに光輝の家族の方が落ち着いてるのを見て自分が子供の気がしたのだ。……実際子供なのだが。そんな愛美の背中をポンポンしながら言った。

 

「大丈夫、大丈夫だから。光輝が強いのは知ってるでしょ?」

 

「あ、あい」

 

「ちゃんと元気になってひょっこり戻ってくるわよ」

 

「あい」

 

「だから、これからも光輝と仲良くしてあげてね?」

 

 母が懸念していたのは今回ので愛美が光輝に顔合わせれなくなって友達をやめてしまうかもしれないということだった。それは愛美と光輝の精神的にもやめて欲しかったから言ったのだ。だがその言葉を聞いて愛美はしゃっくりしながら答える。

 

「無理、なんです」

 

「え、どうして?」

 

 困惑した声で母は聞いた。まさか本当に友達を辞めるつもりかと。だが答えは想像の斜め上に行った。

 

「来週……アメリカに引っ越すんです」

 

 愛美の代わりに母が答えた。その答えに家族全員で「えっ?」ってなり母が心底驚いた顔で聞いた。

 

「そうなんですか!? 光輝からそんな事全然聞いてないですけど」

 

「まだ、言ってなかったんです」

 

 そう申し訳なさそうな顔で言った。

 

「そう、ですか」

 

「はい」

 

 そんな少し気まずい空気になった時に病室のドアがノックされた。光輝の姉の麗華がドアを開けるとそこには光輝の担当になったお医者さん……櫂俊樹が頭を下げ看護師と共に入ってきた。

 

「先生! 光輝は、息子は大丈夫ですか?」

 

 母は事を見ながら聞いた。素人目じゃどこかに異常があるのか分からないのだ。……まあそれでも少しやせていってるのは見れば分かるがそれ以外は分からなかったのだ。櫂はその答えに首を振って言った。

 

「命に別状はありません。しかし……」

 

「しかし? なんですか?」

 

 愛美に振り返り。

 

「笠木のナイフで刺されたら生体エネルギーを奪われるって笠木は言ってたんだよね?」

 

 いきなり話を振られたが愛美は頷いた。

 

「は、はい」

 

「恐らくそれの影響で酷く弱っています。それに光輝君のダメージが大き過ぎていつ目覚めるかは分かりません」

 

 割と何回もぶん殴られたし。櫂から見ても今の光輝の状態は酷かった。痩せてるし所々に痣あったし·····それから何故かおでこにもあったし。まあおでこのは光輝が思いっきり頭突きした時のものだが。

 

「そう、ですか」

 

 酷く落胆した声を出して答える。他の面々も似たような反応だ。沈黙が場を支配した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 1週間後 土曜日 ⚫⚫病院 光輝の病室

 

 

 

「……ほら、行ってきなさい。愛美」

 

「うん」

 

 そう母親に言って愛美は護衛の人に頭を下げて病室に入ってく。

 

 

 

「光輝‥」

 

 光輝はまだ目を覚ましていなかった。医者曰くもう少しで目が覚めるかもしれないという事だが今日には目を覚めなかった。愛美はこの1週間ずっとお見舞いに来ていたがとうとう起きなかった。

 

「今日ね、私アメリカに引越しちゃうんだ。お父さんの都合でね。言ってなくてごめんね」

 

 そう聞こえてるか分からないが言った。

 この1週間は色々あったが特に世間が驚いたのは何年も続いてる無差別殺人の犯人が笠木理玖だったという事だろう。天才から一転、殺人鬼の烙印が押された。犯行は恐らく後ろからの一撃ばっかり尚且つ独り身の人しか狙っていなかったのもあり今までは分からなかったのだが愛美の絶望した顔を見たいとかいう心底おぞましい理由でそのジンクスを崩し挙句光輝に見つかって今はとんでもない目にあっている。

 そしてそれさえも上回って世間を恐怖で埋めているのはその笠木理玖の逃亡であろう。そう、捕まえられなかったのだ。逃走が入り組んだ道しか使われず見失ったようである。そして、笠木が持ってる武器にも世間を恐怖を埋めた。何しろ生体エネルギーをとるナイフなんて現代技術では作れないとされているのだ。腐っても天才である。だから自分の殺人が失敗した腹いせにまた光輝か愛美を襲うかもしれないという懸念から護衛が置かれているのである。

 

「……お手紙書いてきたんだ。起きたら読んでね?」

 

 そう言って一通の手紙を置いた。そのまま顔を触る。そして少し余韻に浸っていたら母が声をかけてきた

 

「愛美、そろそろ」

 

「うん、わかった」

 

 ベッドから離れドアに向かって閉める前に言った。

 

「じゃあ、さようなら。光輝。……大好きだよ」

 

 そう、涙と共に言って病室から出て行くのであった。

 

 




お疲れ様でしたm(*_ _)m


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〜目覚め〜 改

加筆しました(* • ω • )b。先にいえば割とご都合主義があります


「ん、うん」

 

 知らない天井で目覚めた。こんな天井割と和風なうちの家にはないしここどこだ? ·····僕は取り敢えず状況を把握しようと思い体を起こそうとした。·····だけど

 

「痛っつ!」

 

 何かいきなり激痛とまではいかないけど痛くなってまた倒れた。なんで痛い所があるんだ。

 

 光輝は倒れてる所から見える範囲をキョロキョロと見た。だがまあ分からない。よく見たら自分がいるのはベットだとはなったがそれ以上は分からなかった。

 

 そもそもここどこだ? 俺は何でここにいるんだ? そんな思考になり思い出した。

 

(ああ、そうかあの野郎と戦って、あの野郎子供相手に本気でやりやがって。って事はここは病院か)

 

 そんな愚痴が出てきた。だけど初めての生死をかけた戦いでこんな傷だけだったのは幸運だったかもしれない。あの戦いで振り返るべき点は沢山ある。そう思いながら思い出していた。そして思い出した。僕の意識が消える前に見た光景を。

 

(な、な。え、愛美に膝枕さ、されて!! で、でももうあの時は力なんて出なかったからしょ、しょうがないよね)

 

 どんどん赤面になってく事を自覚しながらもそう自分に言い訳する。恋愛耐性のない光輝は愛美の事を考えると割と赤面になっている。·····ついでに言うなら愛美の事を考えてる時はやたらと過剰反応してしまう事があり今日は特に·····

 

 ガラッ! 

 

 そんな音と一緒にドアが開いた。そして2秒ほど看護師は何やら赤面になって口をパクパクしている光輝を見てびっくりした声を出した。

 

「こ、光輝君!」

 

「ひゃ、ひゃい!!」

 

 思いっきり声が裏返り変な声になってしまった。看護師はそんな光輝の様子にクスクスっと笑い言ってきた

 

「ふふふ、どうしたのその顔?」

 

「にゃ、にゃんでもないです!」

 

 自分の顔がどんどん赤くなってると自覚出来る。というか何だろうこの猫みたいな返事は·····俺はこんなキャラじゃないぞ。そんな俺の返事にまたクスクスしながら看護師さんは言った。

 

「取り敢えず先生呼んで来ますから待っててくださいね?」

 

「は、はい」

 

 そう言われて今度こそちゃんと返事した。

 

 光輝はドアが閉まる音を聞きながら隣にあった棚の上を見た。そこにあったのは少し色あせてる花と2本の竹刀。その内の1本は少し切れ目が入ってる。ナイフで止められた時に出来たもんだろう。それからもうひとつあったのは……

 

(ん? 手紙? 誰かな?)

 

 そう思い手を伸ばし取ろうとベットから限界まではみ出て手を伸ばしたが

 

(届かない)

 

 うー、うーと言いながら手を伸ばしてたがその時にドアが開いた

 

「君は何してるんですか?」

 

 

 

 そう言って近づいて来たのはお医者さん·····櫂だった。光輝は少し頬を赤くしながら言った。

 

「え、えと。そこの手紙を取ろうして……」

 

「まだ無理しちゃダメだよ? じゃあ少し話と軽い検査するね。親御さんにはもう連絡したから直ぐに来ますよ」

 

「はい。ありがとうございます。あの、貴方は?」

 

 皆来ると聞いて嬉しかった。だけどこの人の名前まだ知らないから聞いた。

 

「ああ、申し遅れました。櫂俊樹と申します。君の検査やらなんやらを務めさせてもらいます」

 

「は、はぁ」

 

 そう言いながらつい観察する。見た目は凄く若い。実際若いんだろうが、20代くらいだとあたりをつける。それにがたいもいい気がする。あと顔も良いからモテそうだなぁと思った。あと眼鏡も似合ってる。そう思ってたら問うて来た。

 

「気分はどうかな?」

 

「良くも悪くもないって感じです」

 

 ·····強いて言うなら体重たいし何かやせ細ってる気がする。だけど気分は割と普通だからそう答えた。櫂さんは頷きながら次の質問をした。

 

「そうか。じゃあ何で病院にいるかは分かりますか?」

 

「えっと、確か。……んー、あいつ名前なんて言ったっけ?」

 

 割と誰と戦ったのか忘れてた。名前よりもあいつの小物っぽい所の方がインパクトありすぎて余計に。そんな俺に櫂さんが助け舟出してくれた

 

「笠木理玖?」

 

「あっ、はい。そうです。その人と戦って、もう力が出なくなって……。そうしたらもう意識はなかったと思います」

 

「うん。記憶に問題はないと」

 

「そ、その愛美は、救急車来た時に僕と一緒にいた女の子は大丈夫なんですか?」

 

 記憶を思い出して1番心配してた事を聞いた。乱暴される前に乱入したはずだし意識を失う前の愛美はそんな怪我あったように見えなかったが万が一という事がある。

 

「ん? ああ、彼女なら特に大きな怪我はないよ。あと小さな怪我もね」

 

「よ、良かった。本当に、良かった」

 

 思わずそんな事言った。胸は安堵でいっぱいであった。そんな時に櫂さんが優しげな顔で見て来た。

 

「な、なんですか?」

 

「いや、泣くほど嬉しいんだなと思って」

 

「え」

 

 それを聞いて目に指を当て、漸く自分が泣いてるのに気づいた。

 

「あっ、えっと、その」

 

「ははは、わかるよ。大切な人がどんな形であれ守れたら凄く嬉しいし、安心するよね」

 

「は、はい」

 

 そんな事言うんだったらこの人はそんな経験した事あるんだろうかとつい失礼な事を考える。

 

「あとで警察の人も来て事情を聞かれると思うけど気分が悪くなったら直ぐに呼んでください。何か質問はありますか?」

 

「は、はい。あの、いつ家に帰れますか?」

 

 早く家に帰りたくて聞いた。櫂は少し手を顎に当てながら言った

 

「ん〜、そうだね。あとは君が目を覚めるのを待つだけだったからね。この分だと2日後には退院出来ると思うよ」

 

「あ、ありがとうございます。あとその、僕どれくらい寝てたまんまだったんですか?」

 

 体細くなってるし体重いし……こんな状態になるまでどれくらいかかるのか分からなかったら質問した

 

「約2週間ぐらいだね」

 

「えっ、そんなに!?」

 

「うん。そんなに」

 

 そんなに寝ていたとは思わなかった。でも言われてみたら確かに身体は少し重い気がする。それが本当だと思わせるには十分だった。

 

「うー、入院費とか高そう」

 

 そう頭を抱える。小一が考える事としてはどうかと思うが自分のせいで親に迷惑がかかるのは光輝の性格的に申し訳なさが出るのはしょうがない。だが櫂は首を振って返す

 

「ああ、それは君にはまだ難しいかもしれないけどね、保険ってのがあってね、幾らかは国が払ってくれるんだ」

 

 光輝は滅多に怪我しないし病気ならないしで保険の出番なんてなかったから今初めて聞いた。

 

「へぇ! そうなんですか?」

 

「うん。あと君の残りの入院費はもう支払われてるよ」

 

「早いですね」

 

 もう出してくれてたのか……何か申し訳ない

 

「うん。事情があるからって言ってたね。それから払ったのは君の家族ではないよ?」

 

「えっ、じゃあ誰が?」

 

 そう首をコテンとしながら聞いた

 

「えーっと、古原さんって言ってたね」

 

「え、なんで?」

 

「君のご両親は遠慮してたんだけどね、せめてもの償いって言って払って行ったよ」

 

「そう、ですか」

 

 光輝は少し罪悪感を感じた。だが小原家が感じた罪悪感は光輝の比では無い。命すらもしかしたら危なかったかもしれないからだ。光輝の返事を聞いた櫂は立ち上がった。

 

「それじゃあ僕は行きますね」

 

「あ、はい。ありがとうございました」

 

「いえいえ、お大事に」

 

 そう言って病室から出て行った。光輝は櫂が出て行ったのを見てベットにまた倒れた。

 

「ふう」

 

 これからの事を考えた。取り敢えず1番に考えたのは

 

「やっぱり怒られるかな」

 

 そんな事だった。いや、自分でも寝起きに考える事としてはどうなのかとも思わない事もないが、でもしょうがないと思いたい。だってどこの親も怒ると怖いと思うから。だが、それが怖くても構ってくれるから嬉しいと思う事にした。

 

 

 ★★★★★★

 

 

 コンコン

 

 しばらくしドアがノックされた音がした。

 

「入ってもいいかな?」

 

 とそんな見知らぬ声が聞こえた。次来るのは家族だと思ってただけに残念になる気持ちを抑えながら返事をする。

 まさか笠木が襲いに来たのかと思ったが流石にもう捕まってるだろうと思った。笠木が逃げて行った方角の事は僕はあまり知らないけどあんな怪我で無理やり逃げるのは無理だ。

 

「どうぞ」

 

「失礼します」

 

 その声と共に入って来たのは中年だががたいの良い男とこちらもがたいが良い少し若い男が2人と櫂さんだった。

 この2人誰だろう? と想像する。病院の関係者? は却下。櫂さんが僕のを務めるって言ってたしこんな小一に複数の医者をつける意味なんてない。

 じゃあ僕のどっかの親戚? それも却下。家族の誰とも似てないしそれにそもそもお父さんに聞いてたのはもう西沢家はあの家に住んでる者だけって言ってたから。じゃあ誰だろうと思い相手の言葉を待つ。相手の人は礼してから椅子に座った。

 

「こんにちは。警視庁捜査一課の光定賢治と申します」

 

「同じく捜査一課の山下剛です」

 

 そう言いながら警察手帳を見せる。光定さんが警部で山下さんが巡査部長だった。

 

「あっ、えっと。西沢光輝です」

 

 刑事さんだったのか、と納得する。確かによくよく考えたら愛美を殺そうとしたんだから警察が来るのは普通だなと思った。まあ後対峙したのは僕だし愛美からはもう事情聞いただろうし事実確認するのかな? 

 

「君が目覚めたって聞いてね、捜査本部から飛んできたよ」

 

 そう言いながらHAHAHAと笑う。見た目を見た時はちょっと怖そうと思ったものの話しやすそうな人で安心した。この前お母さんが見てたテレビの刑事さんはちょっと怖かったから刑事さんは皆あんくらい怖いのかなと思った。とそこまで考えて今ちょっと聞き逃せないことを聞いた。

 

「えっ、ちょっと待ってください。捜査本部ってなんか事件あった時に出来る捜査の拠点みたいなものですよね? でも犯人とか捕まえたなら解散するんじゃないんですか?」

 

 そう疑問に思った事を言った。そこら辺の知識はドラマで身につけた。笠木は確かに逃げたがそれでも自分と戦った時のダメージがあったはずだ。

 自分はあそこら辺の地理に詳しくないがそれでも1人で逃げるあいつと違って警察は人海戦術が出来る。それで捕まえられるもんだと思っていた。が現実は違った。警部さん達が申し訳ない顔になってるから何かあると思ったのだ。そう思っていたら警部さん達が頭を下げて来た。

 

「な、なんですか?」

 

「すまない! 笠木は、……まだ逃亡したままだ」

 

 それを聞いて一瞬頭が真っ白になった。あんな深手を負った笠木が⋯入り組んでそうな道だけど逃げれた? 何で? 

 

「な……んで?」

 

「君を助けに来た警察官がそのまま笠木を追跡していたが途中で道が2手に別れていたんだ。だから2人の警察官も2手に別れた。だがそれが悪かった。あんな時間だったから周りは真っ暗で更に普通逃亡犯はずっと逃げ続けるものだが、笠木はその逆、待ち伏せをしていたんだ。まだ警察が来るには時間がかかる事を見越して。そして2手に別れてくるだろうというのも見越されてた。そして自分のルートに来た警察官を……殺害した」

 

「なっ!」

 

 その瞬間僕の胸の中を罪悪感が貫いた。深手だけじゃなくてもうあの場から動けない程のダメージを是が非でも負わせるべきだった。僕が死ぬ気でやれば出来た筈だ。その場合は僕が死ぬだろうけど。頭が混乱し始めているが警部さんは続けた

 

「不意打ちだったらしい。そして刺した場所は右腕だ。そして、あの少女、古原愛美ちゃんの証言でわかった生体エネルギーをとるナイフのせいで力も出なくなりそして……。テレビのニュースを見た事あるならどんな死体になってるかは知ってるね?」

 

「……はい。って笠木があの無差別殺人の犯人なんですか!?」

 

 と思わず言った。まじで知らなかった。やばい雰囲気があるのは分かったがまさか本当にそれだとは思わなかった。·····絶対に愛美も罪悪感感じてるよな。

 

「そこは知らなかったんだね。ああ、その通りだ。そして話を戻すがその死体は衣服も脱がされていた。交番の制服をね」

 

「って事は、その制服を着て途中で合流したであろう刑事さん達と合流して一緒に探す振りをして逃げたって所ですか?」

 

 目深に帽子を被れば少しなら顔の痣も誤魔化せるだろうし何より暗かったから逃げやすくなる筈だ。

 

「……ああ、その通りだ。すまない。君が残してくれた好機を無駄にしてしまって。本当にすまない」

 

 そう再び頭を下げられた。何とも言えない気分になった。確かに取り逃したのは言い訳の出来ない失敗だろう。だが、それでも人1人死んでしまったのだ。同じ仲間を殺され怒りを抱いてるはこの人も多分同じだと思うから。

 

「あ、頭を上げてください。それにそれを言うなら僕だってあいつを気絶ぐらいまで追い込んだらその人だって死ぬ事もなかったかもしれないんですから、そんなのはお互い様です」

 

「いや、こっちの責任だ。それに君みたいな少年が死ぬかもしれない戦いをする勇気を持って笠木を食い止めてくれたのに逃がしたのは完全に我々の失敗だ。本当にすまない!」

 

 責任感が強い人だなって思った。普通こういうのは誰かに責任を押し付ける人が多いと思うのだが。実際お母さんが見てた刑事ドラマじゃ参事官って人が刑事部長って言う人に責任を押し付けられてた。その人よりこの人方がいい人だなと思う。まあドラマの人と比べてもしょうがないが。

 

「……じゃあ、ちゃんと捕まえてください。そうしたらチャラで良いです」

 

「ああ、必ず捕まえるよ。約束する。その為に話してくれないかな? あそこで何があったのかを」

 

「分かりました」

 

 そう言われて僕は話した。何故あそこに行ったのかとか、戦ってる最中に話した事を。ざっくり10分程で言い終えた。メモをとっていた光定さんは頷いて口を開いた

 

「ふむ、成程。問題はやはりその実験ってのがなんなのかって事だね」

 

「はい。……あのナイフで奪ったエネルギーってただ奪うだけですかね?」

 

 何故奪うのか? 奪ってもそのエネルギーをどうするのか? 奪っても何かに使えないと牢獄に入る危険を犯す価値なんかないじゃないか? ならそんな危険を侵してまでエネルギーを奪う理由は·····。ただ放置するだけならまだ全然マシだけど僕の予想した事が現実に起き得るなら·····もう最悪だ。

 

「どういう事かね?」

 

「……簡単です。もしその奪ったエネルギーを何らかの形で1つにしてそれを得ることでそのエネルギーをもしあいつが得たらって事です」

 

「なっ!」

 

 警部さん達が絶句している。でも実際あいつならやりかねないと思う。たった1度の迎合だが何となくあいつの性格はわかったから尚更に。それに腐っても天才という頭脳までが消える訳じゃない。いや、この場合は天災の間違いか。

 

「で、でもそんな事が可能なんですか?」

 

 そう山下さんが少し声を裏返しながら言って来た。小一にそんな事聞かれてもなぁと思う僕は悪くないと信じたい。それはさておき僕は正直に答えた

 

「分かりません。正直に言うならあって欲しくないです。もしそうなったら今あいつが殺した人の数は約50人、単純計算であいつの相手を誰かがするなら戦う相手があいつが1人でも50人相手にするのと大差はないです。そして実際はそれよりも上の力がでると思います」

 

「そ、それは何で?」

 

 話してる最中また嫌な予想が脳裏によぎったからもう嫌だけど答えとく

 

「あのナイフで奪うのは生体エネルギーです。つまりあのナイフは即死しない限りはエネルギーを吸えるって事。つまり人間じゃなくてもいいって事です。例えば犬とか」

 

「なっ!」

 

 刑事2人は驚愕で顔を染めた。それはそうだろう。自分でもそんな馬鹿なって思うがいかんせん、あいつは腐っても天才である。だから簡単に否定出来ないのがもどかしい。オマケに犬とかなら野良犬とかを殺ればいいし。探したら居そうな気がする。俺犬好きなんだけどもし殺っていたら犬達の分まで怨み続けてやる

 

「もしあいつが奪ったエネルギーを自分に足すことが出来れば単純計算で握力、体力、スピード、脚力、スタミナ。その全てを50人以上足される事になります。まあ、この計算が合うかはそれが起きえない限りは分かりませんけど可能性はないと信じたいのですが……」

 

 そう言って僕は櫂さんを見た。櫂さんも顎に手を当て考えてた。そして

 

「……確かに出来るかどうかは置いといて可能性としては有り得なくはないです。ただ直ぐには起きえないとは思います」

 

「それには同感です」

 

 肯定する。実際それは自分も思ってた。そう思ってたら刑事さん達がよく分からないって顔で見てきた。

 

「簡単です。もし今そんな事出来るなら僕はとっくにあの世ですよ。僕があの時力を上回れられても戦えたのはスピードが全然戦う分にはまだいけたからです。そして櫂さんが考えてる理由は多分肉体の問題だと思います」

 

「その通りです。そのエネルギーを身体に集めるには自身の肉体も鍛えないといけません。もし身体を鍛えずそのままエネルギーを得てしまったら恐らく自分を抑えられず暴走してしまうと思いますから。まあ、よくアニメであるやつですね」

 

「逆に言えば僕と戦った時はまだそれが出来ないかそもそもそんなエネルギーを1つにする物がなかっただけか。そのどちらかです」

 

 後者だとすれば僕は運が良かった。そしてそんなものが出来上がる前にあいつをとっ捕まえないと·····。

 

「……もしそうなったらそのエネルギーを使われる前に逮捕するか、もしエネルギーを使われたら人海戦術か兵器を持ち出して挑むしか」

 

 そう山下さんが言ったけど。僕は反対だ何故なら

 

「人海戦術はやめた方がいいと思います」

 

「え、何で? その分だとそうするしかないと思うんだが」

 

「まあ、確かに普通に考えたらそうだと思います。ですがナイフの存在も忘れちゃダメです」

 

 厄介な問題はそのエネルギー変換だけではない。ナイフの存在も忘れてはならない。光輝が戦ってみた所強度自体は多分普通のナイフよりも脆い。エネルギー吸収の為にそうせざる負えなかったのだろう。光輝の祖父が持っている真剣ならば少し練習したら折る事は出来そうと光輝は考えている。·····まだ光輝に真剣は扱えないが。重いから。

 

「それにそんな大乱戦になったらエネルギー吸収されながらバッタバッタ倒されるのがオチです」

 

 ·····それに最悪一瞬で何人も死んでしまうような攻撃もあるかもしれないし。

 

「兵器も味方に当たるかもしれないしそもそも笠木に当たらないかもしれない。50人⋯人数だけ聞いとけば少ない気もしますがされど50人です。1人で動くよりも何倍も速い筈です」

 

 僕の言葉を聞いて場は暗い雰囲気になった。それもそうだろうなって言った張本人の僕が言うのはあれだが実際にあるかもしれないんだ。今のうちに言っとくのだって悪くないはずだ。それにもしそうなったら、恐らく誰もあいつに勝てない。

 

(本当になんてもん作ってんだ)

 

 そう思わず心の中で愚痴る。

 

「……君には何か策はあるかい?」

 

 そう警部さんが聞いてきた。その言葉を聞いて残りの2人も僕を見てくる。

 うー、小一に頼られてもなと思うがあるにはある。だが反対する人が大半だろうし僕もしたくはないが言うだけ言ってみた。それにこの方法の打開案ならある。

 

「……あるにはあります」

 

「何かな?」

 

「……イレギュラーにはイレギュラーをぶつけるんです。つまり、あいつと同じ事をすればいい」

 

 そう言った。3人とも驚愕の顔になっている。まあ、僕でも同じ立場ならそんな顔するだろうなと思うが注釈をつける。

 

「ああ、別にエネルギーを奪い尽くせって言ってるわけじゃないですよ。色んな人からほんの少しずつ貰えばいいって意味で」

 

 それを聞いて安堵した顔をした皆。なんか僕がヤバいやつに見えるような顔されてたからちょっとショックだった。

 

「確かにそれが出来れば対抗は出来るかもしれない。ただ問題は……」

 

「そう、あいつにはあのナイフがありますがこっちにはそんなもんないし仮に出来たとしても今度はそれを1つに出来ないと意味がない。そして更にそのエネルギーを扱える人がいないと」

 

 そう、だからこの方法は出来るかどうかすら分からない策であるのだ。因みにこの策を聞いた3人はドラゴンボールの元気玉を思い浮かべた。光輝は知らないから少しあれだけども。

 

「……そうだな」

 

「はい」

 

 皆静かになってるなー。というかこんな小一の事を信じるのかな? まあいっか。

 

「それじゃあ、今日はこの辺にしましょうか」

 

 沈黙を警部さんのその言葉で打ち砕いた。

 

「そうですね。光輝君も疲れたでしょうし」

 

「あ、はい。ははは」

 

 ぶっちゃけ普通に疲れてる。退院したら修行しよ! 警部さん達は立って聞いてきた

 

「何か光輝君から聞いときたいことはないかい? そんなに事件に深い事じゃなかったら教えられるよ」

 

 そう言われ少し腕を組んで考えて速攻出た

 

「え、うーん。あっ、そうだ。笠木って本当に武道やってたんですか? 戦った時あまりそんな動きをしてなかった気がするんですが」

 

 というよりあんな動きなら誰でも出来る。何故テレビに出たのか分からん。

 

「ああ、彼はそんなにやってた訳では無いんだ。だからだろうね」

 

「あー、成程。ありがとうございます」

 

 本当に何でテレビ出れたんだ? 

 

「どういたしまして、他には?」

 

「じゃあ笠木の事で世界はどう動いてるんですか?」

 

「まあ、血眼になって探すだろうね。実際国際指名手配されたし」

 

「そうですか。ありがとうございます、もう結構です」

 

「わかった。事情聴取のご協力感謝します。明日も来るかもしれないからよろしく頼むよ」

 

 そう礼を言って出て行った。残ったのは僕と櫂さんだけだった。僕は不安を口にした

 

「あ、あの。家族がまだ来ないんですけど……」

 

「ああ、さっきは連絡したって言ったけどね。本当は留守番電話だったんだ。でも直ぐに来ると思ってそう言ったんだ。ごめんね」

 

「あ、大丈夫です。その内来ると思うんで待ってます。あっ、もう1つ」

 

「ん? 何かな?」

 

「えっと、その棚の手紙取ってくれませんか? 届かなくて」

 

 そう僕は竹刀と花瓶の近くにある手紙を指さした。櫂さんは少し暗い顔で返事をしてきた。

 

「あ、うん。良いよ。はいどうぞ」

 

「ありがとうございます」

 

「うん、じゃあ僕は行くね」

 

「はい、ありがとうございました」

 

「どういたしまして」

 

 何であんな顔をしたのだろうと思ったが手紙の方が気になった。ドアの閉まる音を聞きながら手紙に目を向け名前を書いてないか見たら書いてあった。名前は

 

『古原愛美より』

 

「え、愛美? 何で?」

 

 うーん、と唸りながら考えるがわからん。取り敢えず開けてみようと思い手紙を入れ物から出した。そして取り敢えず読み始める。

 

『光輝へ

 もし今この手紙を読んでるって事は私はもう光輝の前からいなくなってると思います』

 

 ……一瞬何が書いているのかわからなかった。

 

「え、…………な、んで?」

 

 理解してない頭に認識させるためにそこだけ何度も読んだ。そして理解した。理解……してしまった。

 

「あ、ああ」

 

 そんな情けない声が光輝からしてる。……光輝は取り敢えず先を読む。

 

『いきなりこんな事書いてごめんね。ちゃんと話すね。実はね、私お父さんの都合でアメリカに引っ越す事になったの。ずっと言おうと思ってたんだけど言えなくてごめんね。出来るなら許して欲しいな』

 

 読むにつれて愛美の声が再生される。光輝は目に涙を貯め始め言った 

 

「当たり前……だろ」

 

 そう、嗚咽をもらしながら言う。……続きを読む

 

『光輝と初めてあったのは入学式の時だったね。あの時の光輝はあまり目立つ人じゃなかったね。良くも悪くも目立つようになったのは私を助けてくれた後だったね。それにしてもビックリしたよね。村田君のお父さんが光輝のおじいちゃんの弟子だったなんて。あの後村田君の様子が凄く変わったけど何が起きたんだろうね? ちょっと気になる』

 

 目立ちたくはなかったけどまあしょうがないよね。……だってあの時の愛美を見てらんなかったから。ただ、村田のあの後の変わりぶりは自分も結構気になってる。

 

『あのいじめの後に不安になってた私に光輝が言ってくれたよね? 私が危ない時は絶対助ける、って言ってくれて凄く嬉しかった。ほんとに守ってくれて嬉しかった。あの時の光輝の後ろ姿、すっごくかっこよかった。そして私の青い髪と目を見ても何も言わなくてくれて。1回私がこの髪と目の事聞いた時にこう言ってくれたね? 「何でそんなの気にしないと行けないの? 同じ人間でしょ? それで十分だよ」ってこの言葉も嬉しかったんだ。自分を見てくれた気がするから』

 

「愛美は愛美だよ……」

 

『あれ、おかしいな、書きたいこといっぱいあるのに言葉が震えてかけないよ。だから言いたい事はまた会った時に言うね! だから、だから、他の女の子とあまり仲良くしないでね。光輝、意外に人気あるんだから』

 

 光輝は愛美の1件から割と女の子の間で話題になっている。それにどこからか武術と剣道もやっているという噂が流れ村田の時はわざと受けたのではないかとまで言われている。光輝が知らないだけだ。

 

「そんなアホな。僕が人気な訳ないだろ」

 

 そう涙流してることを自覚しながら言う。自分はそんな人気はないだろと。

 

『ずっと言いたい事あったんだ。でも直接言うのは恥ずかしいからこれだけはこの手紙に書かせて。いつかちゃんと口にして言うから。今はこれで許してね』

 

 何だろうと思いを手紙の表面を探すがない。俺は疑問符をつけながら何か裏にも書いてると思い見た。そして裏の手紙には

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『またね! 大好き!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日、一日中ある部屋から泣いてる声が聞こえたという。




お疲れ様でしたm(*_ _)m
(*´∇`)ノシ ではでは~


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自覚と絶望 改

加筆修正。・*・:≡( ε:)


「う、ん」

 

 光輝は昨日の愛美の言葉の後、嬉しさの涙を流し続けいつの間にか寝ていた。それでも手紙は濡らさないように大事にタンスの上に置いといた。そして光輝は今起きて昨日の手紙の事をまた考えてタンスの上の手紙を取ってもう1回読んで見る。また涙腺が緩んで来てるが我慢し読み終えた。

 

「またね、か」

 

 そして……

 

(大好き……)

 

 光輝は家族からは何度も好き好きと言われた事がある。それが嫌だと思った事はないし嬉しかった。だけれども·····今の感情はそんな嬉しさとは違うベクトルの嬉しさであった。今まで家族以外の異性に·····ていうか家族以外には好きなどと言われた事がない。だからこんな感情になるんだと思っていた。光輝が手紙の事考えてたらドアをノックする音が聞こえた。光輝は慌てて手紙を丁寧に入れ物に入れて棚に戻しながら言った。

 

「は、はい。どうぞ」

 

「失礼します。光輝君おはよう。気分はどうかな?」

 

 その声と共に入ってきたのは櫂さんだった。来るの早いな。病院に泊まっていたのだろうか? 

 

「はい。特に悪くはないです」

 

「そうか、あんな話した後だから気が滅入って寝れないんじゃないかと思ったけど杞憂だったみたいだ」

 

 そう言って櫂さんは首を竦めた。まあ確かに笠木の事を考えなかったと言ったら嘘になるがそんなのは愛美の手紙に比べればどうでもよくその内捕まるだろって思ってたから寝る前はあまり考えなかったな。そしてただ気になった事を聞いた。

 

「櫂さんはここに泊まったんですか?」

 

「いや、病院の近くに家があるんだ。急患とかあったら直ぐに駆けつけられるからね」

 

「成程」

 

 僕の予想は外れたみたいだ。残念。それはさておいてちょっと恥ずかしいけど聞いてみよう。櫂さんは年上だからきっと良いアドバイスをくれる筈だ。

 

「あの……、櫂さんって好きな人いますか?」

 

「どうしたんだい、藪から棒に」

 

「えっと、そのちょっと気になって」

 

「そうか、それで質問だね。うん、いるというかもう僕は結婚してるよ」

 

「えっ!」

 

 そう思い思わず櫂さんの手を見た。確かに指輪があった。昨日は全然そんな素振りなかったから分からなかった。

 

「ははは、そんなに驚くことかな?」

 

「あっ、えっと。すいません」

 

「大丈夫だよ、初めて会う人にあってその事行ったら皆似たような反応だから」

 

「そうなんですか」

 

「うん」

 

「じゃあ、その.」

 

 その言葉で止まった僕の言葉に? ってな感じの顔の櫂さんが見てくる。なんかやっぱり恥ずかしいよ。

 

「な、何でその人を好きになったんですか?」

 

 ちょっとビックリした顔で見られてる。まあ自分でも何聞いてんだと思わない事もない。だが今の自分には重要だと思ってたりする。だってお姉ちゃんに彼氏なんていなかったしお父さんとお母さんはまだ来てないしおじいちゃんとおばあちゃん何て何で結婚したんだろうと思う程性格は優しいという以外は逆だった気がしたし。櫂さんは腕を組んで少し考えながら言った。

 

「うーん、そうだね。分からない」

 

「え、何でですか?」

 

 少し落胆して聞く。

 

「僕と彼女の場合は無意識だったんだ。いつも小さい頃から一緒にいてそれが当たり前だったんだ」

 

 櫂の奥さん·····名を楓と言うが2人は所謂幼なじみの関係であり紆余曲折画あり去年結ばれ直後に娘が産まれた。

 

「そう、ですか」

 

「何でそんな事聞くんだい?」

 

 言うか迷った。正直に言うなら恥ずかしいけどそれでもこの人なら別にいいかなと思い言う事にした。僕は手紙を取って櫂さんに向いた。

 

「……その。愛美の手紙の最後に……」

 

 そう言って手紙を櫂さんに渡す。それを読む櫂さん。·····だんだんニヤっとしているのは気の所為かな? 

 

「……成程。良かったじゃないか。好きだって言って貰えて」

 

 やっぱりニヤっとしている。ただ問題はそこじゃない。嬉しいのなんて分かってる。けど·····僕は友達だと思ってたし·····プール行ったり映画行ったり近くの公園とかクッキー作りを一緒に教えて貰いながらしたり

 

「そこは普通に嬉しいんです。でも、僕はどうなんだろうって思って」

 

「というと?」

 

「だって今までは愛美の事は友達って思ってました。でも、その……」

 

「?」

 

「もし僕のお父さんとお母さんみたいな関係みたいになっても上手くできるのかなと思って」

 

 はっきり言って小一で持つ悩みとしてはどうかとは思うが恋は盲目と言うし光輝もそんな事を気にしていない。光輝は両親がどう出会ってどう結婚したのか知らないと言うよりあんまり興味がなかった。2人が互いが好きで夫婦、これで充分だったからだ。だけれどもいざ自分がそんな状況になったら頭が変になってまともな事すら考えれなかった。だから他人頼りしたのだ。それも信用出来そうな櫂に。そんな櫂はそんな早計な光輝にふっと笑った。光輝は何でなのか分からず困惑しながら聞いた。

 

「な、何ですか?」

 

「いや、もうそういう事考えてるんだなと思って。それはちょっと早いと思うけどね。でも僕はね? 結婚するなら一緒にいて安心出来る人が良いと思うんだ。どんなに美人やお金持ちでも結局お互いの相性が悪かったら時間の無駄だと思うから。でもその点君はもう答えを出してるんじゃないかな?」

 

 櫂は光輝も愛美も互いが互いをどう思っているのか分かっている。愛美の気持ちは手紙の通りだろうし光輝だって命を懸けて愛美を守ろうとしたのだ。それもただ嫌な予感と母親の電話だけで愛美の所に駆けつけて死闘をしたのだ。そんな必死になる光輝が愛美をどう思っているのか何て一目瞭然だ。

 

「え?」

 

 しかし光輝はまだよく分かっていないようである。櫂は穏やかに続けた。

 

「だって君は愛美ちゃんとの生活を想像したんでしょ? それに君はよく愛美ちゃんと一緒にいた。それは愛美ちゃんと一緒にいるのが安心したからなんじゃないかな?」

 

 櫂も妻といる時は安心するし幸せだ〜と思う。それが結婚するのに1番必要な感情であると櫂は思っている。光輝は愛美との思い出を思い出していた。姉に2人して我儘言って映画連れて行って貰ったりまた姉に2人してねだってプールや山に連れて行って貰ったり。2人で少し遠いショッピングモールまで行ってはぐれてしまってショッピングモール内を泣きながら互いを探したり·····愛美がいれば安心したしいなければ不安になったし·····というより泣いてたし。それがもう答えだ。

 

「そう、だったんだ」

 

「うん、そうだと思うよ」

 

 お互いにその後は静かになった。場が沈黙になって5分くらいたった。その間黙っててくれた櫂さんが聞いてきた

 

「そういえば」

 

「はい?」

 

「あの後ご家族の方は来られたんかい?」

 

 その事で思い出して言った。·····決して忘れてた訳じゃない。うん。

 

「あっ、その事も言おうともってたんです。寝てる間は分かりませんけど多分来てないと思うんです」

 

「えっ、それはどうして?」

 

 そう聞かれて棚の上の花を指さす。それでわかったようだ。花は昨日よりも色あせてるから必然的に水が変えられてないって事になるから。

 

「おかしいな、普通なら飛んでくるのに」

 

 家族が意識不明から脱したなら飛んで来るはずなのに来ないとはどういう事だ? と櫂は思った。用事があるのか? まさか旅行に何て行っている訳ないだろうし。光輝は少し厳しい顔をしながらも言った。

 

「なんか、嫌な予感がします」

 

「僕も同感だよ。流石に遅すぎる」

 

 そう櫂の見解も聞き光輝は考えてた事を聞いた。

 

「……今日家に帰ってもいいですか? どうせ明日帰れるはずだったんでしょ?」

 

「……わかった。ただし僕も行く。それが条件だ」

 

 光輝は恐らく立ってもふらふらだ。まともに歩けるかすら分からない。その位弱っている。勿論鍛え直せば前のように戻れるから問題ないがそれは未来の話であって今の光輝はふらふらだから櫂が付き添いという訳だ。光輝もそう分かったのか頷いた。

 

「はい、分かりました」

 

「じゃあ、すまないが今日の夜で良いかい? まあ、その間に来たら来たでいいんだがね」

 

 少し安心するように言った。

 

「分かりました」

 

「じゃあ最終検査もしないといけないから準備してくるよ」

 

「はい」

 

 そう言って櫂さんは出て言った。1人になった病室であの時のあいつの言葉を思い出してた。

 

『お前らは絶対に絶望させてやる!』

 

 こんな内容だったはずだ。

 

(まさか、な)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 周りが暗くなり街灯や家の電気がつき始めた夜、病院の駐車場にて櫂さんの車の前にいた。

 

「じゃあ光輝君良いかい?」

 

「はい。問題ないです」

 

 荷物を持ちながらそう返す。結局夜まで家族は誰も来なかった。そのせいでどんどん嫌な予感が広がっていった。昼間の内に警部さん達がまた来たが進展は特になかったらしい。僕が立てた予想は結局話さなかったそうだ。僕もそれで良かったと思う。それと昨日言い忘れてた事で僕と愛美に護衛さんがついてるらしい。どうりでなんか病室の前に誰かいたなと思った。因みに愛美にはFBIがつくそうだ。まあアメリカの人も殺害されてたからな。まあそれはさておいていよいよ病院を出て櫂さんと家に帰る事になった。櫂さんの車に乗り込んだ。車の種類は分からないが蒼と白のスプライト入ってかっこいい車だと思う。

 

「それじゃあ行くね」

 

「はい」

 

 そう返事して家に帰るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 家の近くの駐車場に車を止めてこっからは歩く。まだ身体は痛いし重いがまあ距離は短いから大丈夫だと思う。本当は家と病院は割と近いからリハビリの意味も歩きでも良いって言ったんだけど却下された。護衛の人も車を降りたから歩き出す。ちょっとしたら家が見えてきた。しかし

 

「電気がついてない? 何で?」

 

 光輝はふらふらな体を無理やり動かし走り出した。何度も転けそうになるが体幹を駆使して耐えながらインターホンの存在も忘れてドアを叩いて少し喉が痛いがそれさえ忘れて必死に叫んだ。

 

「おじいちゃん! お母さん! 皆開けて!」

 

 しかし答えはなかった。鍵は愛美を助ける為に慌てて家を出て行ったから持っていない。櫂達も追いつきインターホンを鳴らすが返事がなく光輝は不吉な予感が加速した。

 

「光輝君鍵は?」

 

「ないです! 持っていかなかったんで」

 

「どこか入れる場所は?」

 

 ないならもう無理矢理入るしかない。勿論全員出かけてる可能性だってあるが車もあるし何か少し変な匂いがしていたのもある。そしてその匂いは医者の櫂と警察官の護衛には馴染みになってしまう匂いだった。

 光輝は急いで庭の窓に回った。光輝の家は1階に所謂リビングと祖父母の寝室と両親の寝室が繋がって割と広い家になっている。2階には姉の部屋と光輝の部屋がある。そして光輝は庭の窓から中を見れば·····

 

「え……」

 

 光輝はそんな理解不能な声をあげた。光輝が見た光景は·····父と母であっただろうほぼ皮だけの死体だった。そんな非現実的な光景に光輝は呟いた

 

「おかあ……さん? おとう……さん?」

 

 光輝は何故か開いている窓から入って生死を確かめようとした。櫂はこれ以上光輝に見せたら駄目だと即座に考え光輝の腕を掴もうとしたが光輝は無意識にそのホールドを避けて膝をついて父と母を触った。だが肉がなく·····骨が直接感じられる感触で·····そして筋肉の縮小のせいで飛び出ている目を見て現実だと知らせて·····

 

あ·····ああ……あ

 

「……! 光輝君他の方達は?」

 

 と護衛の人が言って櫂は余計な事言うな! という顔をしたが光輝は反射的に急いで駆け出した。隣の部屋にいるはずのおじいちゃんとおばあちゃんの部屋に飛び込んだ。あったものはおばあちゃんだったであろう死体だけだった。状態はさっきの父と母よりも酷かった。元々筋肉がそんなに無かったから余計に酷く見える。光輝は今更のように口元を抑えて何かが込み上げてくるのを必死に耐えた。

 

「あ、あ」

 

 光輝は目だけで祖父を探して部屋にはいないととぼとぼと櫂の制止を聞かずに2階に上がる為の階段の所にやってきて·····涙腺が崩壊した。感動などではなく大切な人達がいなくなったショックの涙でありこんな状況が訳分からない。最後に光輝が家族に会ったのは愛美を助ける為に晩御飯いらない! と言って飛び出した時のが最後だ。その時は皆元気だったのに·····。祖父はいた。3人と違って血だらけで倒れている。

 

「あ、あ。おじい……ちゃん」

 

 光輝が話しかけたが返事は無く冷たかった。呆然と祖父を見ていたが

 

(お姉ちゃん!)

 

 姉の部屋は上だ。犯人はもしかしたら自分1人の一人っ子だと思ってくれたかもしれない! と一縷の望みを賭けて階段をふらふらで登って残ってる力でドアを強引に開けた。だが·····希望の光景では無く·····両親や祖母と同じように変わり果てた姿になっていた。光輝はその光景を見た瞬間膝をつき頭を抱え床に叫んだ。

 

ああああああああぁぁぁ!! 

 

「光輝君!」

 

 櫂が声をかける。今すぐここから光輝を離さなければ壊れてしまうと感じたのだ。だが光輝の小さな体のどこにそんな力が残っているのか引っ張ろうとしても全く動かない。姉の骸を見て泣き叫び·····徐々に目が変色し始めていた。だが光輝はそんな変化に気づかない。気づく余裕などある筈がない。猛烈な吐き気と劣悪な感情が体を支配している。櫂の声など届いてない。

 

(何で、何で何で何で!)

 

 そう何度も自問する。だがそんなの分かる筈がない。何で自分の大好きな家族がこんな事にならなければならないのだ! 光輝は両手を握りしめそこから爪のせいで血が出てきているがそれにも気づかない。櫂は止めさせようとするが止めれない。そんな時光輝は呆然と立ち上がりとぼとぼと足取りが最早ゾンビのそれと同じで歩き出した。そして階段を降りた所でそれに気がついた。それは録音テープだった。光輝は制止を聞かずすぐ様再生した。

 

 

 

『ハイっ!! これを聞いてるって事はもう君はこの家に帰って来てるって事だね!? そんな君の為に良い事を教えてあげよう! ヒヒヒ! 今から君の家族を殺してくるよ! よく聞いててね!? 因みに今は3月2日午前2時だよ!』

 

 

 

 2人が息を飲んで聞いている。俺は黙って聞く、がそれからは笠木·····このクズ野郎の声は聞こえず代わりに恐らく窓に空いてる穴を空けてる音が聞こえそれが終わったあとは鍵を開ける音が聞こえる。家はおじいちゃんとおばあちゃんが建てたって言ってたから防犯はザルだ。それが牙を向いた。そしてまずは何かが刺す音がして呻き声が聞こえた。位置的に多分母だろう。恐らく口を押さえられてるんだ。そして小さな呻き声が聞こえなくなった。

 また刺す音がした。今度は父だろう。父も呻き声を出すが押さえられて大きい声で叫べず聞こえなくなった。

 それから隣の部屋の襖を開けた音が聞こえそして今度の刺す音は小さかったから呻き声もそんなに大きくなかったがその時

 

『お前何してる!』

 

 祖父の激昴の声が聞こえ布団から立ち上がった音が聞こえた。だがクズ野郎は慌てる素振りも無く

 

『あらぁ、起きちゃったみたいですねぇ? まあ良いでしょう』

 

『き、貴様ぁ!』

 

 そう言って恐らく掛けていた真剣を取ったであろう音がした。俺が産まれる前からある真剣でおじいちゃんはよく手入れして隣からよく見ていた。

 

『おう、怖い怖い。低脳の奴らは直ぐに暴力的な手段に出るから困る』

 

 自分の事は棚にあげてそう言う。自分が同じ事してる自覚は笠木には無い。自分がやれば正義となり反する者がやれば悪となる。それが仮面が外れた笠木の流儀である。しかし一周まわってダサい。それから何か自信があるのかやけに饒舌だ。

 

『しかし。私はもう負けませんよ? 貴方のお孫さんにボコボコにされた時のようにはいきません』

 

 やはり根に持っていたらしい。

 

『何?』

 

 そう言って真剣とナイフがぶつかりあう音が聞こえ場所を移動してるだろう足音が聞こえ恐らくおじいちゃんが階段前に来た時に会話が再開した。

 

『お見事ですねぇ。あの孫ありにして貴方ありって感じですね? ですが私は負ける気はしませんよ?』

 

 そう馬鹿にしたように言ってゴソゴソと音がした。

 

『何だそれは?』

 

『低脳の貴方の為に教えてさしげましょう! これは今まで奪ったエネルギーを一部凝縮したものです!』

 

『な、なに!?』

 

 祖父が驚愕した声を出す。

 

『まあ、貴方ごときに使うつもりはなかったんですがね。あなたのお孫さんの時は何時もは不意打ちで殺していたので使う必要もなかった、そもそも僕の身体が耐えられなかった使わなかっただけですがね? だから持ってなかっただけですが、想像以上に貴方お強いので使わせて貰いますよ?』

 

 本来肉体が耐えられるか分からないが欲張らなければ本の少しでもパワーアップを果たす事が出来ると直感的に悟った祖父は

 

『させるか!』

 

『ふっ!』

 

 キンっ! とそんな音が聞こえた多分クズ野郎がナイフを投げそれを真剣で弾いたんだろう。そして何かを噛む音がしそして

 

『ぐっ!?』

 

 祖父の唇を噛み締めたような声が聞こえた。それはパワーアップさせてしまった自分への怒りかどう戦うかの思考が入り交じった声だったのかもしれない。せめて姉の麗華だけは殺させはしないと。

 

『ハハハハハ! 素晴らしい! 何だこのみなぎる力は』

 

『くっ!』

 

『キエェー!』

 

 そんな奇声を上げながらドタドタと音がし

 

『かハッ!』

 

 強烈な一撃だったのであろう。いくら鍛えていても年齢に伴う肉体の劣化は簡単には止められない。おじいちゃんは多分この一撃で……

 

『ふぅ、汚い血がついてしまったな。それに勢い余って殺してしまった。がまあいい、あとは小娘だけだ。まあ命乞いをして僕に従事するなら殺すのは勘弁してやろうと思うがな』

 

 クックックと言いながら階段を上り始めただろう音がするが直ぐに

 

『あ、あんたは! な、おじいちゃん?』

 

 そんな姉の声が聞こえた。

 

「おねぇちゃんにげて……」

 

 そんな事を言っても2階にいる姉の骸が答えなのだから意味は無い。だが光輝はそう言わずにはいられなかった。そして笠木が階段を上がる音が聞こえた。

 

『隠れても無駄だよ?』

 

 ダンダンと音がする。多分ドアを閉めたんだ、でも……

 

 ダンっ! 

 

 常識外のパワーを手に入れた笠木には意味をなさなかった。

 

『ひっ!』

 

 そんな姉の怯えた声を聞き光輝は拳をめいいっぱい握りそこからまた血が出てくる。怒りと憎しみと後悔と·····色んな感情が訳もわからず蠢いて……それでも録音は聞き続ける。

 

『ほう? 可愛いじゃないか?』

 

『あんたに褒められても全く嬉しくない』

 

『良いのかな? 僕にそんな口聞いて?』

 

『ぐっ!』

 

『選ばせてあげるよ。僕の女になるか……、死ぬか』

 

 笠木がこんな事をしているのは光輝の当てつけであり自分の道を邪魔された事による復讐だ。もし姉が自分に従順になった姿を見せつければそれはそれで光輝は苦しむと考えたのだ。

 

「お姉ちゃん……」

 

『断固拒否するわ!』

 

 そんな姉の祖父譲りの毅然とした答えが聞こえ苛立ちがともった声で言った。

 

『そうか、ならば死ね!』

 

 姉は光輝と違って武道などやっていない。小さい頃から父親譲りの勉強の方がどちらかと言うと好きだった。それでも運動はしていたが女性故の非力さで止めることは出来ずに姉の苦渋の呻き声が聞こえ

 

『……こうきはい……きて』

 

 そんな言葉を境に静かになってしまった。光輝は最早何も言わず口から血が出るほど噛み締め手にも血がついてきている。顔は下げられ櫂からはそんな光輝の様子は分からない。何を言えば良いのか全く分からない。病や事故で倒れ病院に運ばれてそのまま死んでしまった人達になら何度も立ち会った。だが今はそんな状況とは違いすぎる。光輝はまだ小一で死闘を終えて帰ってきたら家族全員皆殺しにされていたなんて·····何を言えば良いのか分かるはずが無い。

 

『ははは! あのガキも直ぐに殺してあの世に送ってやるから安心しろ!』

 

殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殴って顔面ぶっ刺して殺す

 

 

『ははは! これであいつの家族はあいつ以外全滅した! これ程愉快な事はない! ねぇ聞いてる? 光輝君聞いてる? 無様に死ぬ家族の声聞けて良かったね? 僕の慈悲に感謝するんだよ? くくく、はははははは……は』

 

 唐突に笠木の愉快な声が途切れ少し理解不能のような声を出した。そしてそれと同時に聞き馴染んでいる超えが聞こえた。

 

『はぁはぁ……、貴様だけはここで止める。光輝は絶対に殺させん!』

 

「おじい、ちゃん」

 

 

 

『グハッ! なっ、貴様、まだ生きて。クソジジイがーっ!」

 

 吐血の音が聞こえ笠木は荒れ狂った

 

『がハッ! ぐっ!』

 

 

 そしてまた静かになって

 

 

 

『はぁはぁ、クソジジイが! 僕の身体に穴空けやがって! はぁはぁ、早く治療しなければ……。だが、この録音はあのクソガキの為に残さなきゃな。ヒヒヒ!」

 

 気持ち悪い声を出しながら重症を負ってしまったのが足を引きずりながらもレコーダーを床に置いた

 

『光輝君、君を殺すのは君のおじいさんのせいで時間がかかりそうだよ。でも安心してくれていい。絶対に殺しに行くから待っててね? 時間はかかってしまうだろうがね。でも君のせいで君の家族皆殺しにしちゃったよ? まあこれも君が悪いって事で。じゃあね、光輝君』

 

 そしてドアの開閉の音も聞こえず音が何もしなくなった。どんな脱出をしたのか。少なくとも駐車場から家までの道には血痕などなかった。だがそんな事は今の光輝には考える余裕も無かった。

 

 

「··········」

 

「·····光輝君」

 

『··……こ、うき』

 

 と、ぶっ刺されたせいなのかレコーダーをどうやら切るのを忘れていたらしく祖父はそんな事を確かめる余裕がある筈が無いから意地で言ったのかもしれない。

 

「!! おじいちゃんまだ生きて」

 

『こ、れがあの子の言ってた……事、なんだろうな。こうゆう……事か』

 

 祖父がそんな事を言い始める。だが光輝には"あの子"など心当たりがない。祖父は家に居る事が多かったし姉と光輝以外の子供との接点など知らない。

 

「何の事だよわかんないよ!」

 

『こうき、ここで死んでしまう不甲斐ないおじいちゃん達を許して……く、れ。おまえは、いき……ろ』

 

 それを機に何も聞こえなくなった。

 

「み、んな」

 

 何も考えられなくなった。絶対的な心の痛みが体を貫き血が沸騰しているように体が熱くなり猛烈な憎悪の感情が迸る。頭を理解不能な顔をし抱え始め

 

「光輝く……」

 

うあああああああああああああああああああああああああああああ!! 殺す! 絶対に殺す! 道ずれしても絶対に殺す! 

 

 慟哭が響き渡り光輝は涙しもう既に眼の色は変色を終えていた。この後光輝はショックで倒れてしまった。だが無意識なのか祖父の血だらけの真剣を握っていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でしたm(*_ _)m。
では(^^)/


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考察と決心 改

加筆修正。・*・:≡( ε:)


 こんな悲惨の子は見た事がない。それが今の僕の光輝君の印象だ。僕がまだ他の医者の方々と比べても経験は少ないとは思う、が知識だけなら誰にも負けないと自負している。

 

 櫂は一流大学の医学部卒業後国家試験に1発で合格し2年の臨床研修医として実績を積み運良く今の病院に就職する事が出来た。研修医の時に幼なじみの今の妻とも結婚した。櫂は自覚は無いが所謂秀才である。誰よりも努力し勉強して……それが実を結び医者になれた。そんな櫂でもあんな死体を見る事は稀だ。櫂が見る死体は言ってはあれだがきちんと原型が残ってるのが大半だ。しかし……話には聞いていても光輝の家族の死体を見るのは堪えた。それも何人もだ。正直吐き気がでかけた。

 

 光輝君みたいな子を見た事ある医者はどのくらいいるのだろう? 医者の1割? いやそれよりも少ないと思う。確かに不運の事故とかの子を含めたらもう少し増えるだろう。だけど言い方は悪いがまだ割り切れない事はない。時間が経てばそれもやりやすくなる。しかし悪意がある者に家族をあんな風にされている6歳の子供など少ないだろう。もしかしたら光輝君だけかもしれない。そんなもので胸が張れる訳でもないが……。

 

 光輝はあの慟哭の後、吊るされた糸が無くなった様に意識が無くなり倒れた。櫂は光定が来る前に病院に向かった。退院した筈の光輝を背負って櫂が来たものだから看護師達は疑問符を浮かべたが櫂は看護師の1人に少しだけ事情を話し唖然としていたが空いていたこの部屋……と言っても光輝が入院していた部屋だが教えてもらいここに寝かせた。櫂は事情を話した看護師に光輝を少し見てもらい病院近くの自分の家に電話し事情を話し着替えを持ってきてくれと頼み光定にも電話し勝手に帰ってすいませんと謝った後掻い摘んで話した。光定は悔しげで悲しい声を出しながら話を聞き病院に行った事を許した。

 

「それにしてもあの眼はいったい……?」

 

 僕は思い出していた。あの慟哭の最中彼の肩に手を置こうとした時に気がついた。彼の眼の色が変わっていた事に。眼の色を変える方法としては一般的にカラーコンタクトや特定の食べ物を摂取し続ける事やレーザー手術などが挙げられるが光輝君の場合はどれでもない。それにあんな病気も知らない。じゃあなんなんだ? 

 赤い眼と蒼い眼になる現象なんてアニメとかなら兎も角現実にある筈がない。しかしそれでも光輝くんがそんな現象を起こしたのは事実だ。もしかしたらあの時だけのものだったのかも知れないが·····光輝君に聞かない事には分からない。

 

『こちらです』

 

『ありがとうございます』

 

 そんな声がドア越しに聞こえた。幼なじみで、癒される自分の妻の声だ。ノックした後返事を待たず開けられた。そこには自慢の妻が鞄と赤ん坊を胸に固定していた。

 

「あなた、服持ってきたわよ」

 

 そう声をかけて来たのは僕の妻、櫂楓(かいかえで)だ。そしてその胸にいるのは僕のもう少しで1歳になる娘の咲良だ。

 今日は光輝君が起きようが起きまいが一緒にいるつもりだ。立ち上がり楓の元に行き服を受け取りながらお礼を言った。

 

「ありがとう、楓」

 

「どういたしまして。あなた、その子が?」

 

 そう言ってベッドに横になり顔色が悪すぎる光輝を見た。小一でしていい顔色ではない。櫂の光輝のイメージは……可愛いだ。男に言う感想としてはどうかと思うが笠木について論議してる顔よりも愛美の手紙を見た後の印象が強い。好きな人のことになるとポンコツになるのが昔の自分を見てるように思えたのだ。しかし……光輝があの表情になる事は·····もう無いかもしれない。そう思いながら返事した

 

「ああ」

 

「こんなに小さな子なんて……」

 

 話には先程の電話で聞いていた。だがまさかこれ程小さい少年だとは思わなかったのだろう。楓は咲良を櫂に預け膝を折って光輝の頭を撫でた。それを見続け櫂は突拍子もない事を考え……それでも実行したくなった。楓の撫でに光輝は気絶しながらも悔しそうにしながら

 

「ん、おかあ、さん」

 

 光輝君がそう言った。楓は撫で続ける。楓に僕が考えてた事を言おうと思ったら逆に話しかけられた。

 

「……俊樹、この子の他のご家族は?」

 

 それはもう光定から聞いていた。

 

「……いない。母方の祖父母はもうなくなってる。それに光輝君のお父さんとお母さんにも兄弟はいない。親戚の類もいない」

 

 つまりそれは引き取ってくれるかもしれない血の繋がった家族すらもいないという事だ。光輝の姉の麗華は小さい頃周りに比べてお年玉少ないとシュンとした事がある。光輝は特に思わなかったが。お金はあまり使わない。お菓子もあまり買わない……と言うより母や姉と作る事の方が多かったから買う必要もなかった。裁縫は祖母に教えて貰っていた。文房具は父が買ってくれたからだ。

 

「そんな……」

 

 その現状に楓は絶句した。そんな状況をイメージするだけでもこの先真っ暗ではないか。櫂は辛そうな顔をしながらも追い打ちをかけた

 

「それに、正直に言って施設にも入れるか怪しい」

 

「何で!?」

 

「今回の光輝君の家族の皆殺しは笠木が光輝君の大切な物を奪うためにやったんだ。それは言い方悪いけど要は彼らが狙われたのは光輝君が笠木と戦ったからだ」

 

 笠木は復讐で光輝の家を調べあげ光輝の家族を皆殺しにした。光輝自身を殺さなかったのは光輝よりも強い護衛がいるのもあったが死ぬよりもあんな風に自分のせいで家族が皆殺しにされる方が絶望するだろうと思ったからだ。事実だ。光輝はこれ以降これを楔に生きていく。

 勿論光輝が笠木と戦わなければ愛美は死んでいただろう。間違いなく。だから一概には悪いとは言えない……と言うよりも何が間違っているのか逆に聞きたい。

 

「俊樹!」

 

 だからこそ楓は責めるような声を出した。当たり前だ。傍から聞いていれば光輝が悪いみたいに聞こえたのだ。そんな事を本気で言えば速攻離婚だ。……まあそんな訳なく

 

「落ち着いて、別に僕は光輝君が悪いとは思ってないし思えるはずがないだろ。だが客観的にみれば光輝君のせいで人が死んだって事になるだろう。そして光輝君が生きてる以上あいつはまた動き出すだろう。そして今度狙われるのは光輝君を受け入れた自分達だって思うはずだ」

 

 実際は笠木は光輝がどこかに引き取られても行くつもりは無い。護衛がつくだろうし逃亡と治療と研究の方が優先だからだ。それでも根に持つのは止まらない。しかしそんなもんは櫂達には分からない。そんな櫂の説明に思わず苛立った声を上げる

 

「そんな!」

 

 そう言ったきり楓は黙って光輝君を撫で続ける。こんな理不尽すぎる目にあっている喋った事も無い光輝の事を考えているのだろう。楓には昨日夜帰った時に光輝君の事を少しだけ話した。それを思い出してるのかもしれない。

 

「ねぇ俊樹?」

 

 そんな時唐突に語りかけてきた

 

「なんだい?」

 

「……この子を引き取りたい」

 

 単純明快だった。そしてそれは僕も考えていた事だった。昨日今日話してみて光輝君の事は賢い子だと感じたしそしてそれを実行する勇気を持ち合わせてる。しかし、それと反対に涙脆い。だからどこかほっとけない。昔の自分を見てるようにも思える。

 

 櫂と楓は幼なじみである。楓の方が気が強くそれでも家族が病気になった時は泣いてしまう涙脆い少女でもあった。そんな涙を止めたいが為に少年ながら楓よりも泣き虫だったのに楓に笑っていて欲しくて自分が医者になって楓の家族皆治すって言う約束をした。歳が取れるにつれあの約束が恥ずかしくなっていくが楓は微笑んで待ってくれていた。医者になりたい夢はその内現実味を帯び始めいつしか本当に叶えたい夢にもなっていた。

 

 だから、だからこそ……

 

「僕もそう考えてたよ」

 

「そうなんだ、ふふ。家族が増えるかもしれないよ、咲良」

 

 そう言って今度は咲良を撫でる楓。それにきゃっきゃっ言ってる咲良。

 

「でも、光輝君の意見も聞かないとな」

 

 光輝君が納得しなければ養子には出来ない。それを聞いた楓は振り向きながら少し好戦的な笑みを浮かべて

 

「わかってるわよ。でも今回は少し強気で行かせてもらうわ!」

 

 いつも強気だろうにと思い苦笑いしながら返す

 

「まあ、それでも時間は置かないと」

 

 いきなり起きて養子にならないか? なんて聞かれても考えられる筈ない。

 

「う、そうね」

 

 コンコン

 

 またそんな音がした。そして聞いた事がある声が聞こえた。

 

「入ってもいいですかな?」

 

「どうぞ」

 

「失礼します」

 

 そんな声と共に入って来たのは光定さんだった。悲しげな顔だ。何度も何度も笠木に人々を殺されチャンスがあったのにも関わらず取り逃し捕まえると約束した光輝君の家族が皆殺しにされる可能性を考えられなかった自分達の不甲斐なさでその光輝君辛すぎる目に合わせた自分達を責めているのだろう。光輝君とドアの間には仕切りがある。歩きながら聞いてきた

 

「櫂さん、光輝君は?」

 

「まだ寝ています」

 

「そうですか·····、ん? あなたは?」

 

 そこで光定が光輝の隣にいる楓に気がついた。

 

「あ、俊樹の妻です。この子は娘です」

 

「ああ、これは失礼しました」

 

 そう謝罪した光定を見ながらまさか事情聴取しに来たのかと思って念の為に言った。

 

「あの、事情聴取ならまだ無理だと」

 

「ああ、違います。光輝君の様子を見に来ただけです。·····今この瞬間光輝君ほど辛い子はいないはずですから。流石にそこまでするほど鬼じゃありませんよ」

 

「そうですか……、捜査は?」

 

 血痕の足跡でもあったのか聞いたが首を振りながら言った

 

「鑑識作業などは一通り、だが……」

 

「やはり手がかりは」

 

「……すいません」

 

「そうですか、しょうがないです。今までも手がかりがなかったんですから」

 

 そんなのは慰めにもならないが光定は光輝を見て少し経ち言った。

 

「……彼を引き取ってくれる施設を探さなければな」

 

 光定さんがそう言った。それに楓が反応する。

 

「あの、光輝君を家で引き取ってもいいですか?」

 

「櫂さんのお宅で!?」

 

 そんな唐突な提案に思わず少し声を荒らげた。しかし楓は決意の眼を崩さず光定さんを見て頷いた

 

「はい」

 

 光定さんはその眼を数秒見て帽子を被りながら言った

 

「……分かりました。しかし最終的に光輝君が頷いてくれないとダメですよ?」

 

「はい、分かりました」

 

「それでは私は失礼します」

 

「はい、お疲れ様でした」

 

 そう言って光定さんは出て行った。残ったのは僕と楓と咲良だけだ。5分程また沈黙の時間があったが楓は立ちながら言った

 

「じゃあ私も1回帰るね」

 

 楓自身はいつまでもいても良いのだが咲良はそうはいかない。光輝よりも子供なのだから。

 

「ああ、ありがとな。……ん? 1回?」

 

「うんそうだよ。明日も来るよ」

 

「そ、そうか」

 

「うん、じゃあ行くね。光輝君もばいばい。あなたも頑張ってね」

 

「うん、また明日」

 

 楓は小さい頃から変わらないなといつも思う。そう思いながら僕は光輝君が起きるのを待つのだった。

 

 

 

 




おつかれm(*_ _)m


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あれから2年 改

加筆修正。・*・:≡( ε:)

結構追加。では(˙꒳˙ )͟͟͞͞ =


 光輝の家族が皆殺しにされ約2年の歳月が経った。その間に光輝の環境は大きく変わった。

 病院で目覚めた光輝に待っていたのは家族の顔でもなくとんでもない頭痛だった。頭がおかしくなるほどの頭痛に光輝を見ていた櫂も驚いた。起きた光輝の眼があの変色している眼だったからだ。直ちに光輝を診療室に運び検査したが原因はわからなかった。そしてそのうち光輝は目を閉じていれば頭痛が止むことに気が付きもっといい方法があるのかもしれないが光輝は2、3日は殆ど眼を閉じて過ごした。

 過ごしたと言っても精神はどん底、気がつけば机や壁に向かって笠木のイラつく顔面を投影し何度も殴り骨に罅が入る始末。オマケに目も閉じているから自分がどんな状態なのかも分からない。ほっといたら何しでかすのか分からない精神状態だったからずっと誰かがついていることになった。櫂や看護師達、偶に光定もやって来て光輝を元気付かせようとしたが·····無理だった。小一でしていい精神状態では無かった。

 恐慌状態にもなり硬い壁に思いっきり頭突きを仕掛けるところでお見舞いに来た楓が血の気を引きながら全力で抱きしめながら止めた。光輝の体が万全ならば危なかったがまだ回復しきっていなかったのが幸いした。

 3日ほど経って光輝は櫂の前で眼を開けてみた。そうすれば黒目に戻っていて櫂は取り敢えず安心した。永遠となるわけじゃないと分かったからだ。出来るならこのまま黒目でいて欲しかったが……病院のテレビで笠木のニュースがあった時光輝は再びあの眼になった。そして光輝と櫂が色々試した結果どうやら怒りや憎しみを感じた時、あの眼になってしまう事が発覚した。それも·····自分への怒りでもなってしまうからコントロールするのも一筋縄ではいかなかった。漸く怒りや憎しみ無しでも慣れるようになったのは1年ほどかかった。まあ今でも突発的な怒りの時にはなってしまうのだが。

 そして家替わりになっていた病院のベッドを占領する訳にもいかない。櫂や楓は光輝に養子にならないか? と虚ろな眼の光輝に聞いた。だが光輝は首を振った。笠木の復讐の対象の自分といたら絶対に不幸になると泣きながら言った。そして自分は1人で生きるとも。だがそこで楓が引っぱたいた。1人で生きられる訳ないでしょと。だが光輝は引っぱたたかれてもずっと泣いて拒否しまくった。その駄々をこねる様子はちゃんと子供なのだがその駄々の中身が子供が悩んではダメな内容だった。だが楓はそれでも何度も光輝の元へ咲良と共に通い·····漸く根負けして首を縦に振った。ただし養子は嫌だと言った。名字も名前も変えたくないからだ。それが光輝に出来る精一杯の反抗で·····家族の繋がりだからだ。

 

 俺の家族を殺したあいつはまだ何もしてきてない。おじいちゃんの最後の一撃で身体に穴空いたって言ってたから治療してるか出血多量で死んだかそのどっちかだろう。国際指名手配されているらしいがまだ見つけて逮捕されたっていう報道は出てない。もし生きてるならエネルギーを1つにしそれを得る研究でもしてるかもしれない。

 

 だが光輝はあの日の記憶にフィルターがかかって音声の細部までは覚えていなかった。あの録音テープは光定達が回収して行ってしまったからだ。まあ光輝も聞きたいとは思わなかったから別に構わないのだが。だから笠木が既にエネルギーを1つにする云々は出来る事は知らなかった。光定達もそれを光輝が知れば絶対に無理にでも自分の力を上げようとするのが目に見えていたから教えなかった。

 

「···2年か」

 

 そう2年経った。あれから色々変わった。まあ行ってる学校は変わってないが。

 例えば俺の目とか、って言ってもこんな事言ってる間の目は黒色に戻ってるんだが俺の眼は左右それぞれ蒼色と赤色になる。だがこの目は色々おかしい。

 まず蒼眼の方はどういう訳かこの眼になっている時は瞬間記憶能力が上がる。

 そして更に物の動きがよく見えるようになる。それからその動きに慣れたら黒目になってる時にもその動きを追えるようになった。俺は自由にこの眼になれるようになってからは1度しか蒼眼は使っていない。どっかの馬鹿が覚醒剤をやりまくり暴走してどこかの違法サイトから買った拳銃をショッピングモールで乱射するって事件があっていきなり乱射し始めたから当たり所が悪い重傷者も出てしまい当時の俺も流石に弾丸は見えなかったから蒼眼になり接近して行って気絶させ事件を終わらせた。

 そして赤色は何故か普段よりも身体が動くようになる。……2倍から4倍ほど。

 ここまでメリットしか言ってないがデメリットもある。というか個人的にはデメリットの方が大きい。この眼になってる間は徐々に頭が痛くなってくる。片方眼を閉じれば頭痛は少ないが閉じてる眼の力は使えない。そして片眼の時にそれを使える時間は10分程度で耐えられなくなる。両眼を一緒に使ってる時は5分耐えたら良い方である。だから俺はこの眼を出来るだけ使わないようにしている。もうダメだと思う時にしか使わないようにしている。

 そんな状況にならないように俺はあの後退院した後に修行を始めた。まずは2週間分のブランクを取り戻した。そして重りを左右それぞれのリストバンドやインナー、更には靴までもおじいちゃんの知り合いの人に作ってもらった。

 それに慣れる度に重さを増やしていき今は合計30kgの重りをしている。今はそれが慣れてきた頃だ。因みにこの慣れたって言うのは重りをつけた状態で前の重りの重さをつけてる時と同じくらい慣れて動けるようになる事だ。例えば今の状態なら25kgの時に慣れた時ぐらい動けるようになる事だ。

 

 そして櫂達が寝た後の夜中にも取り憑かれたように外に行き近所の神社の階段を往復しまくったり町内をぐるぐる走ったりしている。勿論警官達に見つからないようにだ。だが楓がその事に気が付きめちゃくちゃ怒られた。

 偶に光定について行って警察の人の訓練にもちゃっかり混ざってる。最初は出ていけ! と言われたがじゃあ自分がそこにいた警察官50人に一撃当てたら脱落のバトルロイヤルで勝ったら混ざらせてと言い警察官達は現実を見せてあげようとしたが既にめちゃくちゃな修行をして1年経った光輝には通じずに全員バッタバッタと倒されていき了承した。もうそこから光輝の異質さが滲み出ていた。櫂や楓、光定は笠木の事を言わなければ無茶しないだろうと思っていたが完全な誤算だった。光輝は元々強さへの探究心は持っていた。それが笠木の存在により悪い意味で強さへの執着と共に出てしまったのだ。

 それに歯車をかけたのは家族の遺品整理をしていた時に光輝が少し成長すれば同じくらいのサイズの蒼い羽織、赤のインナーや帯、そして黒い道着のズボン。どんな空手着や柔道着とも違うが·····光輝には分かった。これは道着なんだと。

 空手着や柔道着では無いのは光輝は空手や柔道をする訳ではないから、光輝がやっているのはどちらかと言うと総合格闘技に近いからだろう。何故家族の誰か·····多分祖父辺りだろうがそんな道着を作っていたのかは知らない。蒼色と赤色なのは光輝の好きな色だからだろう。蒼色は愛美とウルトラマンヒカリの影響。赤色はウルトラマンメビウスだ。

 だから光輝はその道着を着るために修行をしたのもある。

 

 

 ……別に俺は復讐をしたい訳では無い。お母さんと相棒を見てた時にお母さんに聞いた事がある。「もしお母さんが大事な人が誰かのせいで亡くなった時その人に復讐をしたいと思う?」って聞いて返事は「……確かにその人を凄く恨むと思う。でも、そんな奴の為に自分の命をかける必要なんてないと思うよ。だって、その亡くなった大切な人がそんな復讐なんて望んでないと思うもん。仮に復讐なんてやってできたとしても結局それは唯の偽善だよ」って言ってたからだ。

 俺もあのクズは怨みに怨みまくってる。だがそもそもあのクズが生きてるかすら分からないのだからあいつを目指しても意味はない。

 ……だから俺は自身の身と櫂一家、そして未だに気にかけてくれてる光定さんとその奥さんを護る力が欲しくて修行をしている。それにあの野郎が生きてても俺が会うことは無いだろう、と思っている。だから明日を皆で生きれればそれで良いと思ってる。……だから友達も作ってない。また俺のせいで誰かが傷つくなんて俺が許せないからだ。だから学校の皆には冷たくあたっている。それに自分で言うのもあれだが俺は学校で常に上位にいるから余計がタチが悪い奴に見えてるはずだ。因みに学校の皆は俺の家族の事件は知らない。ニュースにもならなかったしそれに参観の時も楓さんが来てくれてたからだ。それでも噂はあったらしいが。

 

 光輝のクラスメイトが光輝に出来るだけ関わらないようにしたのは光輝がわざと遠ざけたのもあるがその噂を聞いたクラスメイトの親達が関わってはダメと子供に言い聞かせたのだ。

 光輝は小2から人が変わったようになった。人が話しかけてきてもどうでもいいとバッサリ斬って小2なのに愛の告白してきた女子も冷徹な瞳で見てバッサリ斬る。どう見ても柄が悪くなり·····本質は変わっていないが低学年の子供達に人の本質を考えろなんて土台無理な話だ。柄が悪いと言っても授業はサボってないし静かにしている。ただやはりその内避けられるようになっていった。光輝はそれを狙ってたから別に構わない。これで周りの皆は狙われないとかそういう事しか考えてなかった。光輝の担任の新井は光輝の意志とは反対に仲良くさせようとしていたが本人の光輝がその気がないから無理だった。

 

 愛美とはもう連絡をとっていない。住む場所が櫂さんの家になった事もあるが俺も愛美の電話番号も住所も知らないし愛美も櫂さんの家の電話番号や住所は知らないからだ。……愛美への想いは変わってない。

 

 そんな平和っちゃ平和の日々を俺は送っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてその平和がまたクズ野郎に唐突に脅かされた

 

 




お疲れ様でしたm(*_ _)m
光輝の道着の説明と病院起きた時の説明追加。後なんで蒼色か赤色なのかの説明。好きな人のイメージカラーとメビウスという笑。


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世界の絶望 改

加筆修正。・*・:≡( ε:)


 2010年 4月17日

 

 

 この日光輝はクラス替えが終わって授業が始まった学校が無かったから最早日常風景となってしまった修行を何時もより早くやり何時もよりも早く終わり櫂家の長女、咲良とサッカーで遊んでいた。ボールは本場の奴ではなく勿論ゴムボールである。成長し少し長めになっている髪を靡かせながらボールを蹴って転がす

 

「にいちゃん!」

 

 そう言って咲良がボールを蹴るが確かにこっちに向かって蹴られたのだがどうゆう訳か違う方向に飛んで行った。もう慣れたからそのボールが跳ねない内にトラップする。因みに櫂家の家の庭は結構でかかったりする(さすがお医者さんの家)。

 

「にいちゃんすごーい!」

 

 そんな光輝からすれば出来て当たり前なんだが咲良からすれば難度の高い事をし咲良は無邪気に手を叩きながら言った。

 

「ははは、ありがとう」

 

 少し苦笑いしながら光輝は言う。咲良は返されたボールを両手で押さえてまた後ろに下がり言った。

 

「じゃあもう1回!」

 

「ああ、何時でもいいぞ」

 

 光輝がここに来て約2年、最初の1年は咲良の事を考える余裕は·····無かった。楓にめちゃくちゃな修行をめちゃくちゃ怒られた後落ち込んでる光輝にてくてく寄ってきて無邪気に光輝の頭を撫でたりしたのが咲良である。その後は少し戸惑いながらも光輝は咲良と仲良くなって行った。確かに今の時間は光輝にとっても楽しい。楽しいのだが·····嫌な予感がしてきた

 

「光輝君!」

 

 とそんな大声で楓さんが庭に面してる窓から出てきた。めちゃくちゃ焦った顔をしている。嫌な予感が加速する。そう思いながらも咲良を止めて聞く

 

「どうしたんですか?」

 

「て、テレビのニュースを見て!」

 

 有無を言わさなぬ口調で言ってきた。ただ事ではないと思ったから直ぐに答える。

 

「何ですか!?」

 

 どんな内容なのか気になる。別に口で言えば良いのではないか? と思ってしまったのだ。

 

「いいから!」

 

「分かりました」

 

「えー、にいちゃん遊ぼう!」

 

 だがそんな事が分からない咲良は光輝の足にしがみつき不満げな顔で光輝を見上げる。そんな咲良を光輝は優しげな顔で言った。

 

「ごめんな、今日はもう終わりだ」

 

「ぶー」

 

 それでも不満げだが楓の方が気になる。

 

「また今度な」

 

 そう言って頭を撫でた。そうされると咲良は顔がへにゃへにゃになって可愛い。1年経った後に可愛くなってきた。お姉ちゃんもこんな気持ちだったのかな? 

 

「うー、わかった」

 

「いい子だ」

 

「えへへ、咲良も行く!」

 

 まあ……ニュースの内容によるけど見ても分からないだろう。多分。分からない筈だ。うん。

 

「咲良はママと一緒にいましょうね」

 

 そう楓さんは言って咲良の手を握ってソファーに向かった。

 

「はーい」

 

 そう言って咲良は楓の膝枕で寝ながら疲れたのか寝た。光輝はそんな咲良を見た後にテレビを見た。そこにあった内容とは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アメリカの首都ワシントンDCが唐突に襲撃され、そして迎撃する為に出動した軍と一般人合わせて約20万人が殺害された。たったの1人(…………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「·····は?」

 

 光輝は唖然とした。ワシントンDCの人口は知らないがそれでも途方もない人数の筈だ。そしてアメリカは軍事力だってある。街中だから思うように戦えなかったのかもしれないがそれでも飛び道具で貫通力がある武器を持っているっていう優位性は揺るがないはずだ。

 そんな時その虐殺が行われている映像が出た。どうやら自己顕示の為に何らかの方法で自分の所業を撮った様だ。そしてそこにあった嬉嬉として虐殺していたのは……笠木だった。あのナイフを持ち虐殺していた。砲弾か何かが飛んだ時笠木の体が霞み消えた。だが光輝には追えていた。フィードアウトしてしまい全容は見えなかったが。

 

「愛美·····」

 

 そんな事よりも愛美の生死が気になった。愛美の引越し先がアメリカという事しか知らない。それが余計に光輝の不安を加速させる。

 

 

「無事でいて。おねがい……だから」

 

 そう思ってる最中テレビがおかしくなった。映っていたニュース番組の映像が徐々に乱れ始めていきそして最終的に切れたかのように真っ暗になった。俺も楓さんも不気味な感じで見る。そして再びついた。あの野郎の顔が思いっきり出ながら。痣はもうない。穴も塞がっている。個人で再生する術でもあるのか。

 

『はい! 世界の皆さんこんにちは! 天才科学者の笠木璃玖でーす! そして今回のアメリカワシントンDCを襲撃した犯人でーぇす。ついでに言うならあの約50人ほど殺した連続殺人の犯人でもありまーす』

 

 ·····光輝の眼はもう既にあの眼へ変化している。コントロール出来ると言ってもやはり限度はあるもんのだ。誰でも憎くて大嫌いな奴がいけしゃあしゃあ出てきたらこうなってしまう。·····今の所光輝にしか発現していないから参照出来るのは光輝しかいないのがあれだが。

 櫂は光輝の眼の事を調べたが結局全く分からずじまいだった。

 

『因みに今はテレビをジャックさせてもらってるよ。いやー、簡単だったね。警察共から逃げるのも楽だったね。ははは! さてさて、世間は僕の事を殺人鬼扱いしてるけど失礼だねー。僕の偉大な研究は素晴らしい物なのに。低能な人類共はその偉大さに気づいてないみたいだね。そんな低能な者達の為に僕の偉大な研究を説明しよう!』

 

好き勝手言いやがって

 

 

『その実験は人のエネルギーを1つにする実験さ。よくアニメで主人公側がよくやるやつだよ。みんなの力を1つに〜とか言うやつだよあれを現実にやるのさ。ああいうのを見る度に反吐が出るんだなぁこれが。そんな事が現実でも出来るなら世界を掌握するなんて簡単だと思わないか? 何故くだらない人助けの為にそんな事をするのかが全く分からない。この世は弱肉強食、強い者が全てを手に入れる、それ即ちこの世の真理だ。そしてそんなのは低能な者達にはできない。だから天才である僕がしてあげようとしている。だから僕がこの世界を支配してやる。実際僕はこうやってアメリカの軍事的力を真っ向からねじ伏せた。コレではったりではないとわかって貰えただろう。しかもバカだねぇー、アメリカは更に僕の強化を手伝ってくれたんだから。ハハハ! 世界を征服するなんて簡単だね! まあ時間はかかってしまうがね』

 

ムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつく

 

 

 

『しかしただ征服するのではつまらない。それに今の僕の力も試したいからね。某格闘漫画に倣ってゲームをしようじゃないか』

 

 ゲーム……だと? ふざけるな……! 皆は貴様の為に生きてる訳じゃない! 

 

『それは僕と1VS1で戦うんだよ、僕の指定した奴と僕がね!』

 

 光輝の中ではもう誰を指定するのか分かった。笠木が本性を現す原因になった人物。勿論逃亡先でも何か恨みを買われたかもしれないが2年の間笠木のニュースは逃亡中としか無かった。だからマスコミが知らないどこかで何かあったのかもしれないが少なくとも光輝の知っている限り笠木の怒りや恨みを買っているのは1人だけだからだ。

 

『指定する奴の名を発表する前にゲームのルールを説明しよう! ルールと言っても単純さ、僕か僕が指定した奴が死ぬまで戦いそして生き残ったものが勝者さ。そして僕が勝ったら世界は僕のものになる。つまり世界を賭けた1戦って訳だ』

 

 絶対的な自信があるからか愉しそうに嬉嬉として話す。光輝からすれば世界を賭けるなんざどうでもいい。自分の大切な人を守りたいそれだけだからだ。だがそんなもんは笠木は知らない。

 というよりもう自分が世界を手に入れる前提で言っている当たり痛い奴である。そこで笠木は思い出したように言った

 

『ああ、因みに別に僕はこの後直ぐに向かうが先に喧嘩売るなら買ってあげるからどんどんかかってきたまえ。まあ散るのがオチだけどね』

 

 実際生半端な奴が挑めば散るのがオチだろう。人外には人外をぶつけるしかいない。

 

『では日時、場所を発表する。これも某格闘漫画に倣い10日後、そして戦いの舞台は』

 

 恐らく今テレビを見てるであろう人達は祈ってるであろう。どうか自分達の場所じゃないようにと。そんな事しなくとも笠木は止まることを知らないのだが。

 

『日本の東京、そして渋谷にしようじゃないか!』

 

 

 

 ある者は逃げる時間が出来た、ある者はバカバカしいと切り捨てた、ある者は恐怖した。世界中でいま多様な反応が示されてるんだろうなと思った。……何で俺は他人事のように思っているんだろう? 

 

 

 

『ああ、安心したまえ、そのゲームが始まるまで僕は誰1人殺さないと約束しよう。もっとも喧嘩を売りに来た人達には分からないけどね』

 

 

 

 拳を握る。皆の殺された時の死体が呼び起こされる

 

 

 

『では待ちに待った僕に挑んでもらう奴を発表しよう!』

 

 

 

 またこれを見てるであろう世界の人達は祈ってる。どうかこいつを倒せるであろう人だと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『唯一僕の連続殺人を見事警察より先に防いでみせた日本の東京に住んでいる西沢光輝君! 君が僕に挑んでもらう!』

 

 




(*´∇`)ノ ではでは~


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ネットの反応 絶望か希望か

加筆修正じゃなくて話追加ですから朝6時にあげるべきだと思ったけど多分気づかないの大半だろうからもう上げときます
初めてのネットスレ・:*+.(( °ω° ))/.:+


笠木璃玖と西沢光輝について語り合うスレ

 

1名無しさん

スレ立て乙

 

2名無しさん

 

3名無しさん

皆これ現実だと思う?

 

4名無しさん

現実逃避したくなるのは分かるが・・・

 

5名無しさん

映像と大統領が事実っていう言っちゃったし・・・

 

6名無しさん

俺ら死ぬんかな?

 

7名無しさん

待て!まだ希望はある(꜆꜄•௰•)꜆꜄꜆

 

8名無しさん

その希望・・・西沢光輝君の情報ч(゜д゜ч)ぷり〜ず

 

9名無しさん

····というよりあの笠木ってやつ普通にムカついたんだが

 

10名無しさん

安心しろ、皆ムカついてる筈だ。

 

11名無しさん

(。'-')(。._.)

 

12名無しさん

当たり前だろ!何だよあいつ!人を散々殺しやがった癖にいけしゃあしゃあと出てきやがって!

 

13名無しさん

荒れてるなぁ・・・いいゾもっとやれ

 

14名無しさん

生きてる価値すらないだろ!

 

15名無しさん

同意だ。だけど今の所あいつを殺す手段が無いのも事実。

 

16名無しさん

何だよあのスピード、全然見えなかったんだが

 

17名無しさん

編集って事は?

 

18名無しさん

無いな。運良く生き残ってた監視カメラにすら霞むほどの動きしか見えなかった。笠木は兎も角アメリカ側がそんな事するメリットはない。

 

19名無しさん

人外何だが

 

20名無しさん

何でアニメの主人公側が使う力を集める王道をあいつがやってんだよ

 

21名無しさん

それな!·····家族に遺言書いとこう

 

22名無しさん

・・・普通の人間が勝てる要素がない。

 

23名無しさん

誰かヤムチャでも誰でもいいからZ戦士連れてきて

 

24名無しさん

連れてこれたらいいな(白目)

 

25名無しさん

スケールがドラゴンボールになってる

 

26名無しさん

·····流石に皆(笑)とかw使う余裕ないか

 

27名無しさん

あるのは笠木だけだろ

 

28名無しさん

低脳で悪かったな

 

29名無しさん

低脳でも低脳なりに生きていけるんだよ!!

 

30名無しさん

それな。

 

31名無しさん

叶うのならあいつの顔面ぶん殴りたい

 

32名無しさん

俺も

 

33名無しさん

Me too

 

34名無しさん

多分皆思ってる

 

35名無しさん

なら喧嘩しに行けば?

 

36名無しさん

死ぬのヤダ(手のひら返し)

 

37名無しさん

清々しいな。·····応援するよ

 

38名無しさん

(°。◦≡Д≡)。°◦ヤメテエエエエエエエエッッッ!!

 

39名無しさん

西沢光輝君の情報が西沢くんと同じ小学校に通っている生徒の保護者が勝手に出した

 

40名無しさん

ナイスなのと人の個人情報を晒すなという相反する感情がある

 

41名無しさん

この際しょうがない。内容は?

 

42名無しさん

同じクラスのお子さんから聞いた情報だと冷酷無慈悲な今年から小学3年生(・・・・・)

 

43名無しさん

·····は?

 

44名無しさん

嘘だろ?

 

45名無しさん

てっきりもう既に大人か大学生かと思ってたんだけど

 

46名無しさん

もう終わったな。遺言書いてくる

 

47名無しさん

希望捨てるの早すぎーっ!

 

48名無しさん

小3にどんな希望持てって言うんだよ。笠木自分が絶対に勝てる相手を指名しやがって。

 

49名無しさん

無名だったから元々不安だったんだけどな。世界終わったな。

 

49名無しさん

・・・いるか分からないけど続きч(・´д`・ч)

 

50名無しさん

何か小一まで普通だったんだと。

 

51名無しさん

でも何か小2から人が変わったように冷酷になったんだって。

 

52名無しさん

ちょっと待て!笠木が逃亡始めた時期と光輝君が冷酷になった時期って

 

53名無しさん

ああ。重なる

 

54名無しさん

・・・つまり笠木と何か関係が?

 

55名無しさん

今から何と総理自ら光輝君と笠木の関係性を発表するんだと

 

56名無しさん

まじか、行ってこよーぜ

 

 

 

 

 

 

 

 

90名無しさん

政府が光輝君と笠木の関係を発表したな。

91名無しさん

光輝君・・・笠木の犯行を止めたのか・・・

 

92名無しさん

当時小一、女の子を守る為に時間稼ぎしたとか・・・

 

93名無しさん

かっこいい

 

94名無しさん

そしてその時捕まえられなかった警察·····

 

95名無しさん

日本の無能具合が露呈したな。

 

96名無しさん

今回もしょうがないって感じで発表したしな。

 

97名無しさん

まぁそれはスレ違いだからここではもう止めよう

 

98名無しさん

そうだな。スマン

 

99名無しさん

(ó﹏ò。)スイマセンッ

 

100名無しさん

関係なけど100は貰った!

 

101名無しさん

確かに関係ないけどおめでとう(^ω^)

 

102名無しさん

光輝君の集めれるだけ集めた遍歴

現在小学三年生で8歳

犯行を止めた時は小一で6歳。女の子が襲われていた時に光輝君が来て交番の警官呼びに行ってもらっている間時間稼ぎをした。結果的に逃げられたけど捕まえるチャンスを作った功績は大きい。

西沢家で生まれて育ってきた。お祖父さんが武術と剣術の達人らしく光輝君は教えて貰っていたのだとか。

だけど何故か小2から冷徹になった。人が話しかけてもバッサリどうでもいいと一蹴しこれは甚だしく嫉妬の感情が出てしまうが愛の告白をしてきた子もバッサリと一蹴したのとか。

成績は優秀。授業と静かに聞いているがその空気に孤独になって行った。

 

103名無しさん

で未確認情報何だけど・・・西沢家は光輝君以外全滅したかもしれない

 

104名無しさん

は・・・!?

 

105名無しさん

マジで?

 

106名無しさん

マジマジ。光輝君が小2になった後から光輝君の御家族を見たものはいない。それ所か光輝君が住んでた家に夜中にパトカーがやたらと止まってんだって。

 

107名無しさん

光輝君の家族構成ってどうなん?

 

108名無しさん

えっと・・・光輝君、お姉さん、お母さんにお父さんに祖父母で6人家族だな。

 

109名無しさん

まじか・・・全滅って·····

 

110名無しさん

・・・というか光輝君はどこかの施設に引き取られたの?

 

111名無しさん

いや、櫂さんっていうお宅に引き取られたんだって。お医者様のお家

 

112名無しさん

全く関係ないけど小2の癖にモテやがって!・・・俺なんて彼女いない歴=年齢だぞ

 

113名無しさん

何か悲哀を感じるが光輝君振ったからなぁ・・・俺も彼女いない歴年齢だから羨ましいのだが。

 

114名無しさん

(ノシ´・ω・)ノシ バンバン

悲しくなるのは分かるがそんなのよりも俺らの命がかかってるんだが

 

115名無しさん

というより勝てるか云々置いといて8歳の子供に頼らないといけないとか・・・

 

116名無しさん

情けない(ブーメラン)

 

117名無しさん

もう総理と光輝君の間で会談あったらしいな。世界の首相を交えて。

 

118名無しさん

8歳に背をわせる戦いじゃねえ・・・

 

119名無しさん

世界の軍隊で連合軍を結成すれば勝てるんじゃね?

 

120名無しさん

それ、もう警察の人と光輝君はそれについてもう2年前に話し合ったんだって。

 

121名無しさん

マ?

 

122名無しさん

(*´・д・)*´。_。)ゥミュ。光輝君が仮説として力を1つにする云々を警察の人には話していたらしい。

 

123名無しさん

曰くそんなのしたら笠木の思う壷だと。確かに1発でも当たれば決定打かもしれないけど笠木が早すぎて当たらないなら意味が無い。それ所か連合軍の生命エネルギーを取られて却ってパワーアップしてしまうと。

124名無しさん

今でも頭おかしいのにあれよりも上とか・・・

 

125名無しさん

光輝君勝ち目ないやん

 

126名無しさん

というか2年前の時点で光輝君分かってたとか・・・当時小一で。・・・低脳ではなくない?

 

127名無しさん

そうだな。

 

128名無しさん

因みに光輝君ウルトラマンヒカリとウルトラマンメビウスが好きなんだって(小一当時)今は知らん

 

129名無しさん

メビウスは傑作

 

130名無しさん

当たり前だろ\( •̀ω•́ )/

 

131名無しさん

ヒカリは名前繋がりなんだろうな

 

132名無しさん

たし蟹

 

133名無しさん

·····というより光輝君は笠木と戦う事了承したの?

 

134名無しさん

確かに。俺ら戦う前提で話していたけど光輝君が嫌だっていう場合もあるよな。·····光輝君が嫌がっても俺ら責める権利ないけど

 

135名無しさん

は!?何でだよ!戦わないんならクズだろ!?その餓鬼が指名されたんだから戦えってんだ!

 

136名無しさん

135番さんマジで言ってます?

 

137名無しさん

たったの8歳にたった1人の最終決戦しろと?

 

138名無しさん

大人の俺らでさえ死にたくないから戦いたくないのに世界の命運をたったの8歳の少年に背をわすなんておかしいんだが

 

139名無しさん

そもそも俺ら本物の戦いのたの字も知らないんだが。光輝君は小一で死闘を繰り広げたから戦いに関しては光輝君の方が先輩だろ

 

140名無しさん

光輝君は·····戦う事を選んだんだって。

 

141名無しさん

尊い

 

142名無しさん

家族を追わなくたって・・・

 

143名無しさん

皆光輝君が死ぬ前提で話すなや

 

144名無しさん

現実見ろよ。光輝君が勝てる要素あるのか?

相手

俺らの目には追えないスピード

戦車諸共破壊するパワー

腐っても天才の頭脳

 

三種の神器が揃ってる

対して

光輝君

早いっちゃ早いが俺らに追えるスピード

小3のパワー

小3レベルの頭脳

 

こっちは揃ってない。もう世界終わりなんだよ

 

145名無しさん

これも未確認情報なんだけどさ・・・半年位前にショピングモールで拳銃乱射事件あったよな?あの重傷者が結構出たやつ

 

146名無しさん

(´-ω-`)うん。

 

147名無しさん

確か少年が拳銃乱射してる人を気絶させて·····

 

148名無しさん

ん·····?

 

149名無しさん

少年?

 

150名無しさん

そのショピングモールってもしかして光輝君の家の・・・

 

151名無しさん

調べてみたら割と近い。車で30分って所。都会寄りではないからモールはここが1番近い。

 

152名無しさん

・・・もしかしなくても?

 

153名無しさん

どうせ後ろから不意打ちしただけだろ

 

154名無しさん

いや、当時のインタビューで少年が凄いスピードで乱射してる奴に接近、勿論銃口は向けられていたけどその全て(・・)を躱して接近し気絶させ颯爽と消えた

 

149名無しさん

·····もしかして行けるんじゃね?

 

150名無しさん

最後の望みは彼に託されたという訳だ

 

 

 




お疲れ様でしたm(*_ _)m


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決意 改

加筆修正(o^o^)o
大幅追加。


 笠木のゲーム宣告から3日経った。古びている一軒家の前にまで来て光輝は深呼吸してスライド式のドアを開けた。そうすれば目の前には何やら作業場のような場所になっていてその真ん中には光輝の祖父の武蔵と同じぐらいのお爺さんがいた。光輝は小さいながらもしっかりとした意志を持つ声でその背中に声をかけた 

 

「健作さん、来ました」

 

「ああ、よく来たな」

 

 健作と呼ばれたお爺さんは浮かない顔つきで振り返り光輝を見た。健作は武蔵と同い歳の老人であり親友だ。武蔵の真剣を作った人物でもある。光輝も物心ついた時から祖父についてきてよくお話をしてくれたから大好きなお爺さんである。光輝からすればもう1人の祖父と言っても過言ではない。そんな健作に光輝は1年前に祖父の遺品の真剣を持って来てある事頼んだのだ。

 

「出来てますか?」

 

「ああ、出来ておる」

 

 そう言って1本の西洋風のロングソードを渡してきた。光輝は感嘆しながらそれを受け取った。取っ手は手に馴染みやすく刃は光沢がある。思わず少し目を閉じた程だ。少し重いが普段から重りをつけている光輝からすればそんなに気にならない。

 少しだけ離れて少し振り回してみればとても良く光輝は満足だった。·····満足する内容が小3でする事では無いのだが。光輝は健作に振り向きながら言った。

 

「ありがとうございます。お代を渡します」

 

 光輝は楓から2年前からお小遣いを貰っている。お年玉も貰っている。しかし全くと言って良い程使わない。それでも少し足りるか危うい。足りなかったら光定が経費という事で出してくれるとなっている。だけど光輝は自分のお金で足りるなら越したことはない。

 

「いらん」

 

 だからそんなバッサリと要らんと言われ疑問符を出しまくった。1年時間があったとはいえ労力は光輝の想像もつかない程だ。だから光輝からすればお金は払うのは道理。

 

「……元々それは武蔵の物だ。そのお代は元々貰っておる」

 

 そう俺はおじいちゃんの使ってた真剣を1年前この人、健作さんに預け西洋風の剣に作り直して貰うように頼んだ。あの真剣はどちらかというと日本刀に近かったからだ。確かに日本刀は一撃必殺の威力は使い始めは最強の切れ味があるだろう。しかし俺は一撃必殺よりも安定さを求める。それと竹刀の時俺は大体叩き切るスタンスが多いからって言うのもある。

 別に俺は笠木と一騎打ちする事を予言していた訳では無い。おじいちゃんの真剣はあの戦いのせいなのか少しすり斬られていて剣を名乗るには少し心もとない状態だったから。

 

 光輝は理由を聞いたが、それでも元があるってだけで作り直した時の材料費はかかったはずだからやっぱり払うと言う。

 

「でも、作り直す為の材料費とかが」

 

「いらん。儂は言った事は曲げん。どうしてもと言うなら」

 

 そう言って健作は光輝に向いた。その目には涙が溜まっていた。光輝が産まれる前武蔵が男の子と分かった時から武術を教えたいと……麗華の時は女の子だし勉強が好きだったから無理強いは出来ずに伝える事は出来なかった。

 だけど光輝が産まれ、もし武術や剣術をする事があれば武蔵は自分が死ぬ前に自分の真剣を光輝に継承しようと思ってると健作に話していた。健作は自分が作ったものが親友に使われなくなるのは少し悲しかったが親友がそうしたいならそうすれば良いと思っていた。

 そうして光輝が産まれ祖父とメビウスやヒカリの影響を受け武術や剣術をするようになってから武蔵はよく光輝をここに連れてきていた。健作は所帯を持っていない。麗華も偶に連れてこられた事はあるが女の子だからかあまり興味無さそうにしていたが光輝は初めて来た時からキャッキャッ言って嬉しそうに見ていた。そこから健作も光輝への愛情が湧いた。

 

「絶対に、絶対に生きて帰って来るんじゃ! 帰って来た後ならお代は頂こう」

 

 これは楔だ。親友は2年前に死んだ。その知らせを聞いた時健作は目の前が真っ暗になった。親友家族の葬式の時にいた光輝に声をかけようと光輝は抜け殻のように反応せずそれが健作の胸を苦しくした。しかし櫂家に引き取られ1ヶ月程経った時光輝はやってきた。

 当時の事を謝りながら祖父の形見の真剣を健作に渡そうとした。真剣を作った健作が持っておくべきだと思ったからだ。

 だが健作は断った。法律的にももう光輝のものだし健作自身も受け取ることを良しとしなかった。早すぎるが武蔵が言った通り光輝に継承し持っていて欲しかったのだ。それがこんな状況で叶うのは皮肉だが背が腹には変えられない。

 そして光輝は……大事な人の為なら自分を犠牲に出来る人間だ。それが健作には不安だった。だからこそこの楔がいるのだ。

 光輝はその健作の視線を受け真っ直ぐ見つめ返し頷いた。

 

「……分かりました。絶対に払わせていただきます」

 

 その返事に健作は満足そうに頷き最後に戦いの地へ向かう光輝に向かって言った。

 

「お主に生きていて欲しいと思ってる人達がいる。それを忘れるんじゃないぞ」

 

「……はいっ!」

 

 そう気合いの籠った返事をした。その後光輝は剣を入れるための蒼色の鞘と風呂敷を光輝は健作の作業場兼家を出た。帰ってる最中好奇か蔑む目で見られているが光輝は無視しながら健作の言葉を思い出しながらあの笠木のゲーム宣言の後の事を思い出していた。

 

 

 ★★★★★

 

 衝撃の世界への宣戦布告の後直ぐにあいつのあのうざったい顔が見えなくなった。世界は唖然としただろうな。だって何かの世界チャンピオン辺りに言うかなと思ったら名も知らない奴、それも8歳の奴だし。まあ俺の事はもうあのクズ野郎のせいでバレるのは時間の問題だろう。1番唖然しててもおかしくなかった俺は案外頭に血は昇ってるが冷静である。指定するって言われた瞬間にもう何となく予想してたのもある。

 そう思っていたら櫂家の固定電話が鳴り響いた。その電話をとる楓さん。そして2言喋るとこっち向いて手招きした。そして電話に出て聞こえてきたのは光定さんの声だった。

 

『……光輝君、テレビは見たかい?』

 

 神妙そうな声を出していた。そうだろうなと思いながら返事をした。

 

「はい、見ました」

 

『行くな』

 

 単純明快、それだけ言われた。心配してくれたんだろうな。2年前も俺が精神的に死んでる時に毎日お見舞いをして来てくれた人だからな。俺も実際3人目のお父さんだと思ってる。因みに2番目は櫂さんだ。だが、それでもとぼけてみる。

 

「何でですか?」

 

『わざわざ笠木の言うことを聞く必要は無い。場所がわかってるなら一斉に叩けば何とかなるはずだ』

 

 そう2年前にも似たような会話をしたなぁと思いながら俺は返す

 

「俺は何とかならないと思う。何故ならもうあいつは俺があの時戦ったあいつとは別人と言ってもいいくらい強くなってる。そうじゃなければ20万人を殺害なんてできない。例えそれが奪ったエネルギーありきでも。それに俺は2年前にも言いました。あいつには多対1はあいつの強化に繋がりこっちは弱体化する。だったらここは癪だがあいつの言い分に乗る」

 

 元々俺はあいつが俺を指名しようがしまいが戦うと決めていた。結局戦う事になるのなら誰の影響もない1体1で戦った方が良い。ヒーローなるとかなんざどうでもいい。元々俺は英雄にはなれやしない。それでも光定さんは……

 

『駄目だ! まだ君は8歳の子供なんだ! 君を戦わせる訳には行かない!』

 

 年齢的な問題もあるがそれだけが理由ではない。光輝の家族の事にも気が付かなかった自分の不甲斐なさもある。だから光輝だけは戦わせたくないのだ。それを分かってる上で光輝は言う

 

「じゃあ聞きます。今この世界であいつにサシの勝負で勝てる人は俺の他にいるんですか? まあもっとも俺でも勝てるかは正直怪しいですけどね」

 

『それは……』

 

 ニュース番組ではあいつが目立ちたがり屋なのか自分の力を誇示するためなのかあいつが自分で撮ってた襲撃の映像を世界中のテレビ局に送ったそうだ。この撮影に使われてたのが後のドローンである。無駄に時代の先を行ってるな。それを違うことに使えば世間に評価されまくってたんだろうけどな。

 そしてその映像は俺も見たが確かに以前よりは強くなってる。もっとも戦い方自体はどっかのヤンキーの喧嘩スタイルだがそれをパワーとスピードで補ってる。

 だが映像を見る限り戦えないことは無い。今の30kgの重りをつけてる俺のスピードぐらいしか無さそうだし。因みに重りは四六時中つけている。とるのはお風呂の時だけだ。だからそのスピードやらを見た事ある警部さんが俺の質問に簡単にYESと言えないのだ。勝てるかは怪しいと言ったのはもしあいつが全部のエネルギーをまだ集めてない場合の事だ。流石にそこまでは分からない。

 

「あいつは俺がご所望なんです。だから俺が行きます」

 

 もう指定された時から覚悟は決めていた。どっちみち戦わなきゃあいつは元々滅ぼすつもりなんだからどちらにせよ戦うことになる。それが遅いか、早いかの違いでしかない。

 

『しかし……。え、ちょっとすまない』

 

 そう言って誰かと喋っている。そしてまた話しかけてきた。

 

『……明日の日曜日空いてるかい?』

 

「まあ、やっぱり修行ですって言いたい所ですけどそれよりも優先するべき事ですか?」

 

『ああ』

 

「……分かりました。何処に行けばいいですか?」

 

『警視庁の前に来てくれ。迎えに行かせる。明日また話そう。それから櫂さん達も連れてきなさい』

 

 そう言って電話は切れた。

 

「明日警視庁に来てくれって警部さんが」

 

 それを聞いた楓さんが聞いてきた。

 

「あなたは行くつもりなの?」

 

 楓は警視庁に行く事ではなく笠木の所にって意味で聞いた。勿論光輝もそれは分かってる。分かってるが誤魔化す

 

「そりゃぁ、約束しちゃったし」

 

「そうじゃない!」

 

 とぼけてみたが通じなかった。楓さん普段は全然怒らないけど怒ったら凄い怖い。夜中の修行をバレた時の怒り様は半端なかった。それだけ心配させたと知り以後は自粛したが。そう思っていたら楓さんは目に涙を溜めながら言った。

 

「なんで、なんで光輝君ばかりそんな目にあわなきゃいけないのよ! 光輝君が何したのさ!」

 

 だがその声の大きさが問題だった。怒鳴り声だったから光輝は指を口に当てながら言った。

 

「しっ! 咲良が起きますよ?」

 

 咲良は何が起きたのか知らずにすやすや寝てる。可愛い。楓さんはしまったというふうに咲良を見た後ほっと息を着いた。そうして困った顔をしながら聞いてきた

 

「あなたはどうしても行くの?」

 

「……明日櫂一家も来てくれって言われたからその時でいいですか?」

 

「……わかったわ」

 

「ありがとうございます」

 

 その会話の終了と同時に咲良が起きた。伸びてる。

 

「う〜ん。おはよう」

 

「ん、おはよう」

 

「おはよう、咲良」

 

 そう言って寝てたソファから降りるとゴムボールを取りキャッキャッと俺の所に来て笑顔で言った。

 

「にいちゃんちゃっかーしよう!」

 

「サッカーな。まあ、少しだけだぞ」

 

 もしかしたら最後になるかもしれないけどなって心の中で続ける。

 

 

 

 

 ★★★★★

 

 

 

 

 警視庁、大会議室。そこに俺と櫂さんと楓さんとで来た。咲良はおばあちゃんに預けられた。2人は多分保護者……のはず。何故はずなのかと言うと2人は俺を止める役割かもしれないからだ。

 ドアに櫂さんがノックする。そうすれば既にスタンバっていたのか直ぐに返事が来た

 

「どうぞ」

 

 そしていたのは警部さん……だけじゃない。テレビで見た事あるような人達ばかりだ。それも今の日本のトップ達だ。そして後ろのバカでかいモニターに映っているのは多分各国の大統領なりトップに近い人達だろう。よくまあこんな短時間で集まってくれたなと思う。それだけ重要なんだろうな。まあ世界征服宣言されたらこうなるか。因みにアメリカの大統領もいた。逃げきれたようで何よりだ。

 あとから気づいたがあのクズ野郎が世界征服宣言した場所はどうやらホワイトハウスだったらしい。大国に喧嘩売るなーと思った。つーか俺英語わかんないんだけど。そう思ってたら現日本の内閣総理大臣が話しかけてきた。

 

「よく来てくたね、どうぞ座ってくれ」

 

 何かイメージと違って柔らかい声で少し安心したと思いながら光輝は何故か真ん中の椅子に、櫂と楓は光輝の斜め下の左右にそれぞれ立った。櫂達も緊張しまくっている。

 

「はい、ありがとうございます」

 

 礼して座る。櫂さん達も座った所で話が始まった。

 

「単刀直入に聞こう。君はどうするつもりなんだ?」

 

 そうトップ故の厳しい顔になりながら聞いた。8歳の少年に聞くのは酷な質問だ。総理自身も本当はこんな事を聞きたくない。自分にだって家族がいる。息子だって。自分の息子が8歳の時に同じ事を聞かれたら息子が答える前に全力拒否するだろう。8歳なら衛兵隊にすら行かない歳だ。

 

「それは戦うか戦わないかって事ですか?」

 

「ああ」

 

 光輝は改めて聞いた。その言葉に総理は頷いた。そんな総理に光輝はある種の好戦的な笑みを浮かべながら返した

 

「だったら愚問ですね。あいつがわざわざ指定してくれたんだ。あの野郎の自信満々な笑みをぶっ潰すチャンスなのにわざわざ退くことはない。それにあいつは俺が行こうが行かまいが世界を支配するつもりなんならどっち道戦うことになる。ついでに言うならそうなった時は周りに人がいる状態だと思うし人質なんて取られたら俺も戦いにくい。だったらあいつのご所望通りあの場の1VS1でやります」

 

 そんな8歳とは思えない程の意志と力強さを感じさせる言葉で返した。その迫力に画面越しの各国のリーダー達も思わず少し息を飲んだ。

 だが総理は少年が言っていい言葉では無いと思った。だが·····アメリカの軍事力が真っ向から潰されたのも事実。オマケに生命エネルギーまで。……連合軍を結成した所で結果は同じだろうと聞かされた。

 

「……君には勝算はあるのか?」

 

 そんな光輝を見ながら聞いた。何故か自信満々にも見えたからだ。だが光輝は少し考えたが分からんとなり言った。

 

「正直に言うならわかんないってのが現状ですね。アメリカの襲撃の映像を見る限り別について行けないことはない。重りを外したら普通に超えてはいる。だけどあれがあいつの全力じゃなかった場合は分からないってのが本音」

 

 最早最初の言葉だけでも色々おかしい。普通の人間なら絶対に無理だと言う所だろうに分からないとか。そして自分が見えなかったスピードを光輝は追えたという。それだけでも目の前の少年が人外に入っているのは一目瞭然だ。後ろのトップ達も翻訳されたのを聞いたのか少しどよめいている。

 

「そうか」

 

 そう言って今度は櫂さん達に目を向けた。

 

「あなた方はどう思う?」

 

 8歳なのだから保護者の意見を言うのは道理だ。楓は涙を流しながら言った。

 

「私は……反対です。まだ、まだ8歳なんですよ? 普通なら大人に守られて当たり前の年齢なんです! 確かに光輝君はもう人の域を超えてるんじゃないかってぐらい強いです。でも、でもだからってそんな命をかける所になんて行かせたくないです! 血は繋がっていなくても名前を変えていなくてももう光輝君は家族なんです!」

 

 そうはっきり言われ光輝の胸に罪悪感が貫く。楓が言ってる事は至極当然だ。寧ろ光輝が言ってる事の方がおかしいのだ。アニメの主人公ならいざ知らず、リアルにこんな状況でそんな主人公の事を言える人間なんて何人いるのだろう? 

 だが、櫂だけは違った

 

「僕も本音を言うなら反対です。ですが僕は最終的には光輝君の意見を尊重します」

 

「あなた!」

 

 そう言って楓は夫を睨みつける。だが櫂は2年間光輝を見続けたからこそ思った事を言う。

 

「僕らがここで止めても光輝君は行くつもりだと思う。彼がそう言う子なのは君も知っているはずだ。誰かの生死がかかった時彼はいつも飛び込んでた。自分の命を2の次にしてね。だからここで彼を止めても無駄だと思う。この2年間を見てたら余計にそう思ったよ」

 

 それを聞いて思い当たる節があるのか顔を伏せた。ショッピングモールの時も重傷者が出ていたのもあるが光輝の近くに楓や咲良もいたのだ。暴れているその犯人から離れられるか楓達に襲いかかるのが先なのか分からなかった。だから逃げるんじゃなくて迎撃を選んだ。その事を思い出したのだろう。

 

「ただ、君が行くと言ってはいそうですかとは言わない。1つだけは約束して欲しい。絶対(……)に生きて帰る。これが約束できるなら僕は良い」

 

「俊樹……、わかってるの? 最悪光輝君は……」

 

 光輝がすることは或る意味で特攻兵だ。生きていられるかすら分からない。その点でいえば楓達も同じだが光輝の抱く感情は櫂や楓達には想像もつかない。

 

「俺は死なない。だから……その約束は絶対に守ります。俺は恩を返すまでは死にません。絶対に」

 

 そう斜め前に座っている光輝が言った。それは楓達への意思表明だ。絶対に生きるという意思表明、これから自分に何が降り掛かっても生きて帰るという楔で約束だ。

 

「……絶対に?」

 

「はい」

 

 そう返され楓は目を瞑りため息をついた後しょうがないというふうに言った。

 

「……分かったわ。そんなに言うなら思いっきりやりなさい」

 

「うん」

 

 光輝は力強く頷いた。

 

「話は終わりましたか?」

 

 総理が見図らないながら聞いてきた。一切口を挟まず複雑な気持ちで今のやり取りを見ていた。

 

「はい」

 

「君の力はそこの光定警部にも聞いている。警察官の中の訓練に混ざり50VS1の中で君が勝利を収めたことも。まあ聞いた時は正直信じれなかったが映像まで見せられたら文句は言えまい。世界を……よろしく頼む」

 

 あの時の映像取られていたのか。知らなかった。不覚。警察の人50人抜きしたぐらいで世界を守れる力があるとは思えないが俺がやる事は変わらない。だけど……それでも言うべき事がある

 

「……俺は自分の守りたい人達を優先する。世界どうこうってのはその延長線上の話です。極論言うなら俺は守りたいものを守れたらそれで良いって考え方です。それでもいいですか?」

 

 そう言って翻訳されたのを聞いた後ろのトップ達は思いっきりざわついたが知らね。ザワザワしていたが総理が手をあげそれを収めた。そして暗い顔をしながら言った。

 

「わかった。もうアメリカの軍が敗北した時点で我々には笠木のゲームに乗るしかなかったんだ。それに自分の大切な者を守るという事も至極当然だ」

 

「そうですか」

 

 これで落着かな? と思ったら思い出したふうに言った。

 

「君は何か武器を使うのかね? 光定警部の話によると君は1度笠木の犯行を止めた時は竹刀を使ったそうだが。もし何か使うと言うなら用意するよ」

 

 俺がやった事もう聞いたのか。まぁそりゃそうか。総理からすれば犯行止めたってなんの事だってなるだろうし。

 

「いえ、結構です。おじいちゃんの形見の剣を預けてる人がいて昨日の内に連絡しといたので取りに行きますから大丈夫です」

 

「そうか、時間を取らせて悪かったね」

 

「いえ、大丈夫です」

 

「今日はもう帰っても大丈夫だよ」

 

「分かりました。失礼します」

 

 そう言ってまたドアをくぐり外に出た。思いっきり息を吐いた。あの空間肩苦しい。そんな事を思っていたら櫂さん達も出てきた。そして3人とも無言で帰路につくのだった。

 

 

 

 ★★★★★

 

 

 

 決戦当日、俺は開始時間の1時間前に家の玄関を開けた。晴れだ。気分的に良い。今からあの憎たらしい顔を見なきゃいけないと思うと気が少し重いがさっさっとぶっ倒す。あいつの力を全部使わせてエネルギーが無くなれば普通の人間でも捕らえて監獄にぶち込めるはずだ。·····こんな考えは甘いかな。そんな俺の姿は……あの赤と蒼の道着に背中に剣を背をっている姿になっている。

 この数日は対クズ野郎で修行したが……やってみない事には分からないな。

 

「光輝君……」

 

 そんな言葉を聞き光輝は振り返った。そこには櫂や楓がいた。咲良はまだ寝ている。昨日は何故か家族で同じベットに寝た。それでも不安は消えないのか光輝を心配そうに見る。そしてまた抱きついた。それに苦笑いしながら光輝は抱き返し……時間が時間だから離れた。もう家の前には光定の車がある。せめて送迎させてくれと言ってきたのだ。そして光輝はその小さな背中を楓達に向け言った。

 

「じゃっ、行ってきます!」

 

 そう言って車に乗り込んだ。光定も櫂達に礼をした後入って車は渋谷に向かった。既に渋谷の避難は済んでいる。この10日間笠木に喧嘩を売りに行った奴は1人いた。だが·····呆気なく死んだ。その1人はそんなのある訳ないじゃん! と現実を見ずに行った奴である。

 楓は光輝が乗り込み行った後泣き崩れた。そんな様子を後部窓から光輝は見た後前を向いてキッと目をフロントガラスでは無く笠木の幻影を映した。

 この10日間、光輝は学校に行かず修行していた。そんな中光輝の担任の新井が来たが光輝の意志は変わらないと知ると……死ぬなと言った。これでまた楔が増えた。だから……だからこそ

 

(俺は……死なない)

 

 そう心で改めて決意し決戦の地へ向かった。

 

 




お疲れ様です(*`・ω・*)ゞ
楔の数
櫂、楓、光定、健作、新井·····そして願っているのは愛美。
結構追加したなぁ。(*´∇`)ノシ ではでは~


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決戦 改

加筆(˙꒳˙ )͟͟͞͞ =
愛美視点と三者視点入り交じってますが光輝の時と同じですのでご了承ください。


 あの笠木の世界征服宣言とゲーム宣言から10日後、アメリカのカリフォルニア州のマンションの一室で一家揃ってテレビに張り付いている家族……もっと言えば光輝と同い歳くらいの少女がいた。その少女が見ているテレビは先程まではニュース映像だったのかまたもや笠木にジャックされ笠木と笠木の周辺が映った。ビル等が立ち並んでいるが人1人いない。そんな中唯一テレビに映っている笠木が愉しそうに言った。

 

『さあ、光輝君は来るかな〜。今の僕の力にどこまで耐えられるかな。いやそもそも来ないかもしれないね〜』

 

「光輝……」

 

 テレビに張り付いているのは光輝の元同級生で笠木との因縁を持つきっかけとなった少女……古原愛美だった。愛美はアメリカのカリフォルニア州に引っ越していたから笠木の襲撃は回避した。

 愛美は引っ越した後光輝の家に何度か電話をした。しかしそのどれもが今は使われていないというアナウンスがされ愛美は困惑した。手紙を送りたかったが電話出来るだろうと考えていたのと光輝が起きず光輝の家族ともかち合わず住所が聞けなかったのだ。だからこの2年間愛美は光輝の事を知る機会が無かった。光輝の事を知ったのは笠木の宣言したゲームの挑戦者の時だ。

 愛美は勿論笠木がワシントンで暴れている虐殺していた映像を見た。何度も吐きそうになった。だから·····世界なんてどうでもいい。光輝が来ない事だけを祈っていた。……まあ光輝がいなくても渋谷を包囲するように今の日本の最高戦力はいる。今憲法第9条何て言っている場合ではない。愛美にはあの時の光輝が笠木に勝てるビジョンが浮かばなかった。

 勿論2年経ってるのだから強くはなっているかもしれない。だけど·····笠木に対抗するにはドラゴンボールばりの修行するしかない。だが……そんな修行はしないのが普通だ。だから愛美は光輝が来ない事を祈ったのだ。しかしそれは裏切られた

 

『おや? どうやら来たようだね』

 

 そんな笠木の小馬鹿にしたような声を聞きテレビに向いた。端っこから私と同じ位の小さな影が出てきた後普通に見たかった顔……こんな状況で無ければ喜んではしゃぎたい気持ちになれる顔が出てきた。

 

「な、んで?」

 

 その言葉と同時にテレビに映っている光輝の姿を見た。蒼い羽織とその下に真っ赤な服を着た光輝。帯は青色、羽織に隠れて微妙に見えずらいけどズボンは黒色だ。そして背中に1本の西洋風な剣がある。それらの姿の出自を知りたい気もするがそんな気分にはなれない。そして分かりにくいが50メートル程離れ光輝は歩みを止めた。

 

『へぇー、よく来たね。2年ぶりかな? ようこそ、負ける未来しか見えない戦いに』

 

 そんな小馬鹿にしたような声色で笠木は言う。愛美の中でもう見たくないという感情と見届けないとという気持ちがせめぎ合っている。だがそんな愛美の心情は知らず映像は流れる……リアルタイムだから当たり前なのだが。画面の中の光輝は少年らしい声ではなくどこか絞り出すような声で答える。

 

『戦いは最後までやってみなくちゃ分からない』

 

 何事もやってみなければ分からない。それは愛美にも分かっている。だけど……不安が消える事は無かった。

 

『はは、そんなのは分かりきってるよ。僕が勝つってね』

 

 なんか……、私が知ってる光輝と雰囲気が違う。私の知ってる光輝はもう少し穏やかな感じがしてたのに今の光輝は怒りの感じが滲み出てる。でも、なんで? 私の事だけならあんな感じになる事はないと思う。確かに光輝なら怒ってくれる。だけど2年前のあの日ぐらいまでしか怒らないはずだ。やっぱり人の命を弄んだから? でもそれだけじゃ。

 

 愛美は光輝の雰囲気の変化に戸惑う。勿論画面越しだから少ししか分からないがそれでも十分に分かる変化だ。愛美が光輝の変化が何故なのか分からないのは当たり前だ。愛美はあの2年前のあの後の事は全く知らない。自分がまた日本に戻った時光輝に告白する事しか考えていなかった。そして今その2年前のあの後の事が断片的に分かる会話を始めた

 

『そういえば絶望は堪能してくれたかい?』

 

 絶望とはなんの事だ? と愛美は思った。全く心当たりはない。

 

『ああ、癪だが堪能させてもらった。そしてもう2度はない』

 

『安心してくれたまえ。2度目は確かにない。何故なら君はこの戦いが終わったらご家族の所に行くんだから!』

 

「え……」

 

 愛美の中で困惑が広がっていく。何故そんな表現になるのか全く分からない。光輝の家族は生きているのでは無いのか? そんな理解不能になっていく感情が愛美を支配する。そして直ぐに言葉の意味を笠木が高々に話した

 

『そう! 君も君の家族の待つあの世に送ってあげるよ!』

 

 それを聞いた瞬間愛美の頭の中は真っ白になった。何て言ったのか理解出来なかった。そして画面の中の光輝も黙っている。そして愛美は硬直から2、3秒経ち硬直が終わり何とか声を絞り出した

 

「え、う……そ。光輝の家族って……」

 

 愛美の父と母も驚愕している。だが2人以上に西沢家に行っていた愛美には光輝の家族の事が思い浮かんでいた。

 何か何時でもウエルカムでお菓子作りを教えてくれた光輝の母。

 昔の日本の話をよくしてくれた祖母。

 自分が何度家に行っても暖かくいらっしゃいと言ってくれた光輝の父。

 家にいる時や修行の時の光輝の様子を教えてくれた光輝の祖父。

 そして……個人的に1番懐いて遠くの公園や映画やプールに光輝と一緒に連れていってくれた姉。今笠木が言ったのはその全員を·····殺したと言ったも同然。愛美はそれを理解した時……ツーと涙が出てきた。そして光輝も少し沈黙し顔を上げ言った。

 

『生憎だが俺は死なない。1人になるはずだった俺を育ててくれ、そして家族だって言ってくれた人達がいた』

 

 愛美はそれが誰なのか分からない。と言うよりも今光輝が言ってる事すら頭から抜けようとしている。しかし……光輝の決意の言葉とは即座に分かり自分は聞き逃したら駄目と湧き上がる感情を押さえつけ光輝の言葉を聞く。

 

 

『俺の家族が死んだ時何度も謝って毎日お見舞いに来てくれた人がいた』

 

 

 それは決意表明の様に聞こえた。愛美は成長した光輝を見ながらまたあの光輝と遊んだ日々の様に心臓の鼓動を早くする。こんな状況で思うべきではないが自分は本当に光輝の事が好きなんだと再認識する。

 光輝は背中にある剣を引き抜いて中段に構える。

 

 

『俺の死んだ家族にもそして今の家族にも、この剣を作り俺に託してくれた人にも生きてと願われた!』

 

 

 だから……だからこそ·····光輝の家族の事実を知った今、のうのうと生きていた自分には光輝の事を好きでいる資格もないと……悟ってしまった。だが……

 

 

『そしてまた会おうって言って俺にとっての大切な手紙を置いて言ってくれた人にもまた会うため!』

 

 

 それが誰の事なのか、愛美には言うまでもなく分かった。分かったからこそ先程の……寂しさの涙とは別の涙が出てきて絞り出しながら言う

 

「こう、き」

 

 こんな状況で思うべきことでは無いとは分かっている。だけど……自分は光輝の事を好きでいて良いのだと思わせてくれる台詞に愛美の想いは爆発した。

 

『だから·····俺は貴様を倒す!! 

 

『ほざけ!』

 

 そう言い合った瞬間2人の距離はあっという間に縮んだ。そのスピードに放送を見ているものは目を疑った。笠木は兎も角光輝があんなスピードを出せるとは誰も思わなかったのだ。

 当たり前だ。そんな2次元並のスピードを出せる存在なんていないと誰もが思っていたのだから。だが事実して光輝はそんなスピードを出し距離を縮めた。そんな2人の手には互いの得物がある。そして2人は凡人には見えないスピードでそれを振るいあっという間に互いの位置を交換した。

 画面越しでは見えにくいが光輝は特に顔を変えず笠木はニヤニヤしながら勝ち誇った顔をしている。そんな時何処からか金属音がした。だが光輝は気にせず振り向きながら動いた。接近し笠木に向けガチめな剣を上段に振り下ろす。

 笠木は手にあるナイフで止め反撃しようと思って構えた。だがガードした筈なのに笠木は思いっきり顔面ごと斬りつけられた。血が思いっきり出るが光輝は気にせずに今度は左から横に一閃、それで血が更に出るが光輝は止まる事を知らずに更なる斬撃を食らわした。

 

『グハッ!』

 

『はっ!』

 

 光輝は容赦なく斬りつける。何なら隙あらば腕を斬ろうともしている。だが笠木は何とか隙を見つけ激痛に駆られながらも後退した。光輝はそれを追わず構えながら息を整える。返り血が幾らか浴びているが光輝はそんなもん気にしていない。そして笠木は自分の状態を見て叫んだ。

 

『な、なんでお前の攻撃だけ当たるんだ! 僕は確かにその剣に合わせ攻撃したはずだ!』

 

 笠木は最初光輝の剣を弾き滅多斬りにして光輝の生命エネルギーを取ろうとした。普通の自分ならば出来ないが今自分は様々な人間のパワーを得たのだから出来ると思った。

 だが結果は位置を交換しただけだ。ならばと以前と同じく斬撃戦の中で奪おうと思ったが何故か自分が滅多斬りにされていたのだ。叫ばずにはいられない。

 

『いや、お前の目は節穴か。自分の物をよく見てみろよ』

 

 そう言われ私も笠木のナイフを見た、そして確かにナイフはあった。あったのだが持つ所を除きなくなっていた。じゃあさっきの金属音はナイフが折られて地面に落ちた音か。

 

『な?! 貴様どんなイカサマを使った!』

 

 自分はイカサマの中のイカサマをしている癖に自分の事は棚に上げ吠える。だが光輝は皮肉げな笑みを浮かべながら少し馬鹿にしてるようなトーンで話した。

 

『なんでだよ。相手の使ってるものを壊そうと思うのは普通だろ。それに10日も時間あったんだからナイフの対策ぐらい普通にできるわ。ナイフを折る練習は結構したからな。それよりも俺からも1ついいか?』

 

 普通に光輝は気になった事があるから聞く。

 

『ふっ、いいだろう! 低脳の君の為に答えてあげよう!』

 

 愛美はいちいちそんな物言いをする笠木にムカついてるが光輝は特に気にもせず答える

 

『お前なんでピンピンしてる?』

 

 そう言われ愛美も気がついた。何回も斬りつけられ血が出ていたのに笠木は2本の足でしっかりと立ち光輝と会話をしている。と言うより顔面の傷が無くなって行っている。そんな現象等誰も知らない。

 

『そこに気がつくとは流石だね! 僕も答えてもらったから僕も答えてあげよう! 僕はね身体にでっかい穴とか空かない限り、そう、君が今僕を傷つけたくらいの傷なら再生できるんだよ! そして、ついでにもう1つ教えてあげよう!』

 

 そう言って笠木はナイフを捨て右腕を光輝に向けた。そこには機械があり発射口みたいなものがあった。愛美はドラゴンボールのフリーザ軍の下級兵士やアプール達が使っていた機械を思い浮かべた。

 

『これはね、集めたエネルギーを相手に向けて撃つものさ!』

 

 その瞬間その発射口が光ったと思うのと同時に光輝がいた場所が爆発し煙に包まれた。その速さに誰もが唖然となった。愛美も……

 

「光輝!」

 

 煙が黙々と立ち込める。そんな煙が晴れるのがもどかしかった。だがここにいる自分にはどうしようもない。そして煙の中から出てこない光輝に愛美の不安は増えていく。

 

(まさか……今ので……)

 

 だがそれを否定したのは皮肉にも笠木だった。

 

『流石だね〜! 今のを避けるとは』

 

「え」

 

 そう言うのと同時に煙は殆ど無くなりいたのは剣を持ってピンピンしている光輝だ。

 

(あれを……避けたの?)

 

 愛美には先程の攻撃は光った所までしか見えなかった。放送を見ている人達も何が起こったのか分かった人なんて1000人いたら良い方だろう。分かれば良いだけで避けるのもセットならば出来る人間は限られる。

 

『まあ拳銃よりかは遅かったからな』

 

 ちょっと何言ってるのかがわからなかった。なんで光輝が拳銃のスピード知ってるの? いや、そもそも拳銃持ってる人と戦った事があるのだろうか? 

 

 愛美が知らないのは当然だ。愛美の引っ越した後の出来事だしアメリカのニュースにあったとしても少年と言う事しか報道されていない。だがそんな愛美や世界の人達をほっとき光輝は剣を担ぎ少し好戦的な笑みを浮かべながら話す

 

『それにしても、なるほどな。再生か。だったら好都合だ』

 

『なに?』

 

 光輝はそう言いながら剣を背中の鞘に入れリストバンドと脚に着いていた重りを外しその4つの重りを左右2つづつ持ちながら叫んだ

 

『それって、お前を永遠に殴れるって事だろ!! 

 

 そう言ってさっきの4つの物を1つずつ投げつけた。そして最後の1つを投げると同時に駆け出した。投げた物自体は避けられた。が、避けたと同時に聞こえたドスンとという凄い音と共にビビったのか笠木は思わず振り返った。そしてそれが重りが地面に落ちた音がしたと気がついた時にはもう顔を殴られてた。

 

『がっ·····!』

 

 顔が凹みそれが光輝の拳の威力を伝える。だがそんな凹みで光輝が手を止める事はなく更なる連撃をぶつけようとしたが体勢を取り直した笠木が吠えた

 

『はぁ!』

 

『舐めるな!』

 

 そう言って笠木は大振りな一撃を光輝に浴びせようと思ったらしいが、光輝の姿が霞んだと思ったと同時に笠木は大振りな一撃を避けられ、そう思ってたらいきなり笠木の左から光輝が出てきて脇腹を殴って吹っ飛ばした。

 

「な、にあれ? 一瞬光輝が消えた」

 

 本当に霞んだ様にしか見えなかった。いきなり消えたと思えばいきなり現れたのだ。唖然とするのは当然だ。そして笠木にも追えなかったのか口元を拭いながら声を荒らげる。

 

『はぁはぁ、貴様ッ! どんな手品をつかった!』

 

 自分に予測できない事が起これば笠木は怒り出す。だが光輝に言わせれば笠木にブチ切れる資格はないと思っている。

 

『いや、ただ単に一瞬で移動して吹っ飛ばしただけじゃん。それよりも自分の心配をするんだな。今のに反応出来ないんならお前に勝ち目はない。お前の再生能力は確かに傷は直せるんだろう、だけど逆にいえば傷だけだ。体力までは治らない』

 

 笠木の真似をして小馬鹿にしたように光輝は話す。話す内容がいちいちぶっ飛んでいるがそんなの誰も気にしない。それほど状況が右往左往しているのだ。と言うより光輝はまだ息を切らしていない。だが笠木は何故か口元をにたァと歪ませ

 

『く! クク、ハハハハハ!』

 

 そう追い詰められてるのに逆に何故か笑い出した始末。

 

『何がおかしい』

 

 全く関係な人からしてみれば光輝が優勢なのにいきなり笑いだした変なおじさんだ。

 

『いや、何。これを使う事になるとは思わなかったんだよ』

 

 そう言って取り出したのは真っ黒なりんごだった。そしてその瞬間光輝の脳裏にあの日の記憶の一部が浮かんできた。祖父との戦い、その最中何かをむしゃっと食べた様な音……それが目の前のりんごだとするならば……

 

『これはね、僕が集めた全てのエネルギーを詰めたりんごなんだよ』

 

 そう聞いた光輝は人外のスピードを持って距離を詰めようとした。光輝に戦いを楽しむ余裕等ない。食べられた時、この形勢がどうなるのか全く分からない。だからこそ早急に動いた。だが笠木は言ったら直ぐそのりんごをむしゃっと食べた。

 

 

 

 シャリ! 

 

 

 

 そんな歯ごたえの良い音が聞こえたのと同時に光輝は拳をぶつけた。だがビクともせず笠木がにたっと笑った瞬間に立て続けにめちゃくちゃな事が起きた。1つは笠木から真っ黒なバーナーのようなものが吹き上がった。そしてその勢いに光輝は吹き飛ばされた。光輝は上手く着地してキッと笠木を見る。

 

『くっ!』

 

『ははっ……! 何て……なんとういう力·····!! 素晴らしい!! これが人間が至る事が出来る境地! それも……俺だけの力だ! ふははは……っ!』

 

 そんなことを言う。その力は笠木の力ではない。光輝の家族や沢山の犠牲があって初めて得られているものだ。だが笠木は自分が殺し自分で技術を作り自分が使ってるのだから自分だけの力と言う暴論である。だがそんなツッコミをする前に笠木が掻き消えた。次の瞬間には光輝が長い道路の上で吹っ飛んでいた。

 

『くっ……!』

 

 光輝は何とか着地して迎撃体勢になった。だがそれよりも笠木が早く動く。

 

『おら! さっきのお返しだ!』

 

 そう言って何度も攻撃を仕掛けてる。どれも早すぎて目が追いつかない。だけど光輝も動いてガードしてる所を見ると光輝には見えてるのかも。でもまた光輝が吹き飛ばされた。そして何かが光ったと同時に光輝が着地した場所に煙が上がった。さっきの機械の攻撃だ。光輝はもう後ろに飛んで躱してたがまた攻撃される。上から(……)

 

『なっ!!』

 

 驚愕しながらも避けたのは流石だろう。そしてキッと上を見た。暗黒の翼を生やしながら高笑いをして浮かんでいる笠木を見る為に

 

『ふ、ははは! まさか飛べるとは僕も思ってなかったよ! 背中がモゾモゾしていたからエネルギーを翼に変換してみた! だがまだ上手く飛べないから更に上へは上がれないみたいだ。残念。まあ、いい。君を殺したらまた研究しよう。その前に君を生け捕りにしなければならないがな』

 

 それを聞いても光輝は特に反応を示さず笠木をぶん殴る為に動く。笠木は迎撃する。だが空中にいるというアドバンテージは光輝の想像以上にあった。せめて翼を折れば何とかなるかもしれないがエネルギー体で作っているならば折っても意味が無い。幾千のやり取りの後光輝は地面に吹き飛ばされ着地した。そして笠木は愉悦の表情を全面に出しながら話す

 

 そこから語られるはおぞましい笠木の計画。所々言葉の意味は分からなかったが笠木が言っている時点で悪い事なのは確定だ。そして……そんな内容で愛美が正気を保てるはずがなく軽い恐慌状態になっている。頭の中で嫌だという警鐘が鳴り響く。ネットの掲示板ももう駄目だと諦めになっている。嫌、世界の誰もがもう勝てる道筋がないと思っている。それくらい力が離れている。しかし……そんな警鐘や不安を光輝が怒号と共に消した

 

『黙れ!』

 

 そう言って顔をあげた光輝の目は綺麗な赤色と蒼色だった。それが愛美が知っている光輝では無いという証左、余程高性能なカメラを使っているのか光輝の眼がよく見えている。そして……光輝を知っていたからこそ思う当然の反応をする

 

「なに? あの眼」

 

 愛美の両親も唖然としている。いや、世界中の人々は唖然としているだろう。眼が変わる現象など3次元ならいざ知らず現実で起きるとは誰も思わない。この変化を知っているのは櫂や楓、光定に一部の光輝の見張りにいた看護師達、光定から聞いていた総理やほんの一部のトップだけである。そんな事情を知らない世界の人達を置いといて光輝は消えた。霞んだ瞬間すら見えず次の瞬間空中にいた笠木の目の前に一瞬で現れ地面へ殴り飛ばした。笠木と光輝はそれぞれ着地をして相対した。

 

『チッ! あまり使いたくなかったんだけどな。まあ·····皆を悲しめるよりもずっとマシだから良いか』

 

 ……そうどこかしょうがないみたいな声を出しながらその双眼を笠木に向ける。笠木は漸くショックから立ち直り慌てて問いただした。だがその答えは色々辛辣だった

 

『それにしても……神になるだって? 笑わせるな。人から無理やり奪った力がなければ何も出来ないのによくそんな事が言えるな。お前はただの泥棒だ! 人から幸せを……家族を奪いその上にある仮想の玉座にふんぞり返る事しか出来ない泥棒の王だ!』

 

 的をいてる。当たり前だ。光輝自身がその被害者なのだから。笠木のやってきた事を否定する。それは自己中心的に生きていた笠木には耐えられない。案の定憤怒の顔に8歳の少年相手になる。大人げないったらありゃしない。だがそんなもんは今戦いの場にいる2人には関係ない。

 

『決着をつけよう。もうてめぇの顔すら見たくない。貴様との因縁も今日ここで終わらせる!』

 

 そう言った瞬間に2人は真ん中で激突した。目視不能の打撃の応酬が続く。愛美には分からないが最初は互角だった。……だが·····光輝は蒼眼により笠木の動きに慣れていきリーチが短いのを逆に利用し笠木の腹部に強烈な拳が突き刺さった。

 笠木は腐っても研究者だ。だから痛みには慣れていない。それ故に出来る決定的な隙が出来て光輝は強烈な蹴りを食らわし笠木はよろける。光輝が言った通り再生は出来ても体力や痛みまでは消えない。そもそも笠木は攻撃を食らう予定など無かったのだ。

 だが今は拮抗状態……いや、ほんの若干光輝が優勢になった。それが……笠木には許せなかった。笠木は無理やり光輝と距離を飛び再び上空に行きあの機械をセットし光弾を連射し始めた。光輝は最初はバク転で華麗に避けて行ったが数が多く全ては避けきれない。所々に光弾が当たり光輝はとうとう爆発による煙に包まれた。だが笠木は止まらない。

 

「光輝!」

 

『はは! 死ね死ね死ね死ね死ね死ね! もう生け捕りなんか必要ない!』

 

「そんな、そんなの卑怯だよ!」

 

 そう愛美は叫んだ。だが光輝が笠木に言った通り卑怯もラッキョウもない。しかしこの戦いを見ている者達は愛美と同じ感想が大半だろう。

 

『ハハハハハ! 僕が、僕が最強なんだ!』

 

 そう言ってペース配分を考えずに連射しまくる。あの機械に予め繋がれているエネルギータンクの中から取り出しそれを光弾として発射する。

 だがそのタンクにあるエネルギー量は最初は少なかった。しかしある事で大幅に増えた。アメリカ襲撃時に回収しまくったエネルギーだ。

 光輝や櫂達は50人分と1番最初は見積もっていたが今はそんな比では無い。20万全員がエネルギー源になった訳ではないがそれでも途方もない人のエネルギーが蓄えられている。自分の肉体が耐えられない分のエネルギーはこの光弾装置に入れたのだ。流石天才。憎たらしい程無駄がない。そしてその光弾の雨が光輝や光輝の周りに降り注ぐ

 

「もう、もうやめて……」

 

 まだ撃ち続けられる光弾の雨に愛美は涙を流し縋るように言った。そして奥歯を噛み締め届かないと分かっていても眼を閉じながら叫んだ

 

光輝!! 

 

 そう言った瞬間黄金の光が笠木に向けて迸られた。そしてその中から何かが光と共に笠木に向かった。その神速のスピードに本人以外の誰もが眼を見開いた。

 

『なっ!?』

 

 そして笠木の後ろまで黄金の光が行った瞬間笠木が色々な所から攻撃されたように不規則な体の動きをして叩き落とされた。

 

『がハ·····ッ!』

 

 その黄金の光を纏った者は空から落ちる事なくゆっくりと振り返り笠木を上から目線で見る。それと同時に足元の黄金の膜みたいなものがゆっくりと剥がれていき誰もが吸い付くようにその全貌を見届けようとする。

 そして全ての膜が取れた時光のオーラを纏い瞳孔が金色と薄い黒が混ざり瞳孔の外側が金色の眼になり道着がボロボロな光輝がいた




お疲れ様ですm(*_ _)m


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覚醒せし”光” 改

加筆修正三┏( ^o^)┛
・・・言うて増えたの2000文字位だけど。前回と前々回を結構増やした分こっちも増やせるかなと思ったら無理だった笑。


「はぁぁーッ!」

 

 光輝と笠木、2人の人外の決戦は熾烈を極めている。先程まで浮いていた笠木を光輝は無理矢理下に下ろし地上で打撃の応酬を繰り広げる。身長のせいであるリーチの短さを逆に利用し簡単に懐に入り込み強烈な一撃を食らわす。光輝は最初は蒼眼の能力だけを使っていた。それにより最初は危うかった笠木の攻撃スピードを学習していき慣れ始め赤眼を解放した。その瞬間に拮抗状態を崩し強烈なダメージを食らわす事に成功した。だが·····追い詰められていると分かってしまった笠木は逆上し上空に飛んだ。

 それからあのエネルギーの光弾を無作為に光輝に放ちまくる。光輝はそれによりとうとう防戦一方になってしまう。当たり前だ、光輝には空を飛ぶ手段が無いのだから。仮に出来たとしても光弾に押し返される。光輝は光弾をとうとうガードするしか無くなる。だがガードしてる間にもダメージは受け頭痛が酷くなる。片眼を閉じる事すら出来ない状況なのだ。

 

(俺は·····あのクズ野郎に勝てないのか?)

 

 光輝はとうとうそんな弱音を心中に吐いてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……死んだら皆に会えるかな? 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……こうきはい……きて』

 

 その時光輝の脳裏に姉の声が聞こえた。あの日の姉最後の言葉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『こうき、ここで死んでしまう不甲斐ないおじいちゃん達を許して……く、れ。おまえは、いき……ろ』

 

 大好きな祖父の声、剣のように鋭く優しかった祖父の最期の言葉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『絶対に、絶対に生きて帰って来るんじゃ! 帰って来た後ならお代は頂こう』

 

 親友の魂の剣を光輝に託し楔をつけたおじいちゃん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『1つだけは約束して欲しい。絶対(……)に生きて帰る』

 

『そんなに言うなら思いっきりやりなさい』

 

 

 自らの引き取り手になってくれた血の繋がっていない、だけど自分を子供として育て愛情をくれた第2の両親

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『大好き』

 

 そして……時が経っても自分が想い続けて2年間の生きがいをくれた大切な少女の言葉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうだよな。自分で言ったんだよな。こんな所で……終わらない·····終わらせてなるものか!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(俺は……死なない!)

 

 

 

 その時頭の頭痛が無くなった。そして力が湧き出てきた。攻撃もスローモーションに見える。数多の変化が光輝に集う、金色のオーラが光輝を包み込む、その双眼が、体が、光輝の限界を超える

 

 

 

 

 

 

 

『光輝!』

 

 

 

 

 

 

 

 そして同時に声が聞こえた。今ここで聞こえる筈のない声、でも懐かしく何度も聞き惚れた声。その瞬間、光輝の何かが限界を超え爆ぜた

 

 

 

 ★★★★★

 

 

 

 戦いは一旦の沈黙となった。戦いの場にいる2人だけではない。世界中でこの戦いを見てるもの達は皆何が起きたのかが分からずただ単に呆然としていた。

 そして今世界が驚いているのは間違いなく光輝の現状だろう。

 黄金のバーナーみたいな物が溢れ出しており、目も金色になっていてそして何より飛んでいる。笠木の様に翼を作らずにだ。先に口が開いたのは光輝だった。

 

「こっからが……本当の勝負だ、クズ野郎」

 

 厳しく厳か、そして絶対的な怒りの滲み出た声だ。だがどこかに人を安心させるような声でもある

 

「な、なんなんだ! 何なんだお前は!」

 

 焦った顔と声で聞く笠木。当たり前だ、今の光輝は笠木自身も何が起こってるのか分からないのだ。と言うより生物学的にも意味がわからないのだ。笠木じゃなくても同じ反応になるだろう。それだけ光輝の状態は異常なのだ。しかし光輝は辛辣に返す

 

「何なんだってもう自己紹介はとっくに終わってる筈だが?」

 

「くっ」

 

 光輝はその瞬間に消えた。次の瞬間には笠木の後ろに羽織が今の行動によって揺れながら拳を握っている。

 

「な·····ッ?!」

 

「こっちだ」

 

 笠木が振り向いたのを待っていた様に光輝は先程の比ではない威力の拳が笠木の腹部を貫いた。体がゴムの様に一部だけ伸びる。内蔵が可笑しくなり、剣で切り裂かれた時とは別種の痛みが笠木を襲う。

 

 

「グッは·····!」

 

 

 そう言って思わず腹を抱えて後退する。だがそれを見逃す光輝じゃない。更に笠木の前に歩いて行き今度は顔面を左で殴った。笠木が吹っ飛ぶ。しかしギリギリで足でブレーキをかけて空に飛んで浮かんだ。そして光輝はゆっくりと見上げる。笠木は劇場を震わせ憤怒の顔になりつつも恐怖の感情を味わった

 

「たった、たったの2発で……僕がこんなダメージを! 許さない、許さないぞ〜!」

 

 そう言ってあのエネルギー弾を撃つ装置がある右腕を頭上に掲げてそこから徐々にエネルギー弾の塊が出てくる。その塊が丸く大きくなり止まった。その大きさは先程の小さな光弾とは比較にならない。だが光輝は動かない

 

「はぁ、はぁ。これにはここら辺一帯をを破壊するに充分のエネルギーがある! 避けてもいいがここら辺は、少なくとも東京は終わりだ! だが貴様が受ければ貴様が死ぬ! この勝負は僕の勝ちだ! ハハハハハ! 低脳の分際で僕に挑むのが間違いだったんだ!」

 

 どの位の数が笠木の犠牲になったのか、それはもう知る術はない。人間以外の生命体も笠木に殺られたからだ。だから笠木以外にはその総量は分からない。もしかしたら嘘をついているかもしれない。しかし大きさは先程とは桁違い、ハッタリなのかも分からない。光輝は考える。嘘だろうが何だろうがあれは止めなければならない。その為にどうするのかを考える。そうしていたら光輝の黄金のバーナーが消え光輝は顔を下げ眼を閉じる。

 

 

 

「ふっ、諦めたみたいだねぇ。でも貴様はここで殺す! 死ねーっ!」

 

 

 

 そう叫びながら巨大光弾を光輝に向けて投げた。そのスピードは先程の小さい光弾に比べれば遅い。質量が伴う分遅くなったのかもしれない。だが光輝は投げられたのを分かっていながらも目を閉じ思考していた。

 

 俺は頭は良くない。この状況をどうするのかも、どうしたらいいのかも分からない。だけど·····これは……これだけは言える

 

 

 

「誰が! いつ! 諦めたって言った!?」

 

 

 

 そう叫び光輝に再び黄金のオーラが纏う。そして……寸瞬の考えの内今分かる最善手を選び光輝は巨大光弾に突撃した

 

 皆を……殺させやしない! 

 

「なっ!」

 

 

 笠木は目を見開き驚愕する。まさか押し返すなど計算外にも程がある。光輝は気づいていた。光弾が爆発するのは何かに勢いよくぶつかった時。ならゆっくりと触りそれを押し返す事は可能だという事に

 

「な、なんだと!」

 

「このままお前にお返ししてやる!」

 

 

 そう言ってエネルギー弾を押し返し続ける光輝。笠木のエネルギー弾は放ったら放ったでもうコントロールが出来ないのだ。そして笠木にはもうこれを避けるすべはない。笠木自身も今飛んでるので精一杯だし光弾で迎撃しようにもエネルギー残量がほぼゼロなのだ。だがそれは光輝も同じ事。このエネルギー弾を笠木にぶつけた瞬間爆発する。そしてそれを食らうのは光輝も一緒である。

 

 それが示すのは·····自分を犠牲にする方法を取ったのだ

 

 

(皆……、ごめんなさい)

 

 そう自分の出来る誠心誠意の謝罪を心で言う。生きてと言われたのにそれを果たせない無力な自分、大切な人とまた会う事もなくあの世に行ってしまう自分の不甲斐なさ……だが光輝はそれでも自分の大切な人達に生きて欲しかった。だから……

 

はあああああああああああああ……ッ!!!!! 

 

「や、やめろ────ーッ!」

 

 

 笠木と光輝の間にある光弾が笠木にぶつけられた。その瞬間にその光弾は空中で大爆発を起こした。何人分かすら分からない生命エネルギーの塊と光輝がなった異常までの力、その強大な力同士がぶつかった時、この世界でただの1度も開かれなかった穴が出来た

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてそれが晴れた時、誰もいなかった。

 

 




お疲れ様ですm(*_ _)m。次の話からSAO編ですけどSAO編も加筆します。全部光輝視点でやってた分増やす余地あるので。·····その前にネットの反応を入れとこ。・*・:≡( ε:)


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ネットの反応 1週間後

加筆の延長戦という事でお許しください(ノ_ _)ノ


1:名無しさん

スレ立ちお疲れ様

 

2:名無しさん

 

3:名無しさん

・・・あれから1週間経ったね

 

4:名無しさん

喜ぶ気にはなれない

 

5:名無しさん

それな。・・・結局どうなったの?

 

6:名無しさん

この前渋谷に行ってみたけどめちゃくちゃ荒れてた。いや、あの程度で済んで良かったんだけど(崩壊してるワシントン見ながら)

 

7:名無しさん

笠木はどうでもいいとして光輝君は見つかったの?

 

8:名無しさん

両者肉体すらない。吹き飛んだとしてももう1週間経ってるから・・・遺体でも良いから見つかっても可笑しくないんだけど・・・

 

9:名無しさん

やっぱり死んだ?

 

10:名無しさん

そんな不謹慎な事を言うなよ。

 

11:名無しさん

嫌さ、よくよく考えればこれが1番良いだろ笑

 

12:名無しさん

·····は?

 

13:名無しさん

何言ってんの11番

 

14:11番である

いや、だってさ?笠木が危険人物なのはもう周知の事実だけどさ?光輝って餓鬼も大概危険人物だろ?だってあの化け物と張り合えるんだぜ?ならあの餓鬼も笠木と同じ事出来るだろ?危険人物だろwww

なら一緒に死んでくれた方が世界の為だろ笑

それによく考えたらさ、世界征服とか馬鹿馬鹿しいだろ???お前らあんなのに怯えるの?

 

15:名無しさん

こんな無神経なクソガキがいるとは思わなかったな

 

16:名無しさん

それな。そもそも喧嘩売りに行った奴が生首晒されたのだって知ってるだろ。ニュースじゃ濁してたけど俺あれ直接見たけど・・・ガチだった。あの顔夢に出そうで毎晩ビクビクしてる。

 

17:名無しさん

何で見に行くんだよ 

 

18:名無しさん

気になっちゃって・・・行かなきゃ良かったと思った

 

19:名無しさん

笠木は渋谷の道路の真ん中に陣取ってたな。・・・何人か轢き殺そうと思ってたらしいけど返り討ちにされてたな。

 

20:名無しさん

戦う勇気すら持てなかった俺達が光輝君を侮辱できるはずないんだよなぁ

 

21:名無しさん

ホンマにそれ。絶対に褒め称えろとまでは言わないけど少なくとも侮辱するのは絶対に違う。第1光輝君がそんな危険人物なら何で笠木と戦うんだよ。危険人物なら寧ろ共闘するだろ。

 

22:名無しさん

と言うより今回本当に色々ありすぎた

 

23:名無しさん

不謹慎かもしれないけど振り返りでもする?

 

24:名無しさん

確かに不謹慎だな

 

25:名無しさん

まあいいんじゃない?侮辱する訳じゃないんだから

 

26:名無しさん

俺最初光輝君の姿に目を見張ったんだけど同士いる?

 

27:名無しさん

(*・∀・*)ノハーイ

 

28:名無しさん

σ(´・д・`)オレモ

 

29:名無しさん

蒼い羽織に赤のインナーに蒼い帯に黒ズボン、リストバンドに見えた重り。・・・何の道着だ?いや、そもそも道着と言うのかあれは

 

30:名無しさん

・・・どうなんだろう?

 

31:名無しさん

と言うより光輝君成長したら普通にイケイケになりそうな顔だったね

 

32:名無しさん

何か小2女子から告白されるのは分かる気がする·····虚しい。俺の顔変えたい

 

33:名無しさん

整形どうぞ⊂('ω'⊂ )))Σ≡

 

34:名無しさん

高い笑

 

35:名無しさん

道着の話からズレてる( ˊᵕˋ ;) 

 

36:名無しさん

(´•ω•`)スマヌ。実際道着の部類に入るのかあれは

 

37:名無しさん

分からんなぁ。

 

38:名無しさん

その話は置いておこう。うん。

 

39:名無しさん

そうだね。そう言えば光輝君あのナイフを意図して折ったのはびびった笑

 

40:名無しさん

ホンマにそれ!あんなリーチの短い刃の所を的確に当ててたったの1度でぶった斬るとかえぐい。

 

41:名無しさん

練習したって言ってたな。確かに相手の得物を奪うのは当然だよな。・・・それを当たり前の様にやってのける事が凄いんだけど

 

42:名無しさん

ナイフと言えばさ、光輝君が持っていた剣について誰か分かる?

 

43:名無しさん

めちゃくちゃガチの西洋風ロングソード・・・ゲームでよくある形の剣だったよな。あんなのにどこから持ってきたんだろ?

 

44:名無しさん

10日間の間に光輝君が何やら古い家に入っていったと言う情報がある。で、そこは何か包丁とかを作ってる所だった筈

 

45:名無しさん

え?じゃあ包丁作りの人があれ作ったの?

 

46:名無しさん

そうだろうね。・・・まああの戦いの後から休止して一昨日再開したらしいけど。そこの店主の趣味なのか真剣を作ってた時もあるんだって

 

47:名無しさん

何で光輝君がその店の事知ってるの?

 

48:名無しさん

あれじゃね?そこの店主の年齢って光輝君の祖父と同い歳くらいなんじゃね?だからもしかしたら祖父さんと何か繋がりがあったのかもしれないな

 

49:名無しさん

(´-ω-`)ナルホドナ

 

50:名無しさん

それが有力か

 

51:名無しさん

あんな剣を普通に振り回し顔面斬っても止まらなかったあたりガチだったな。再生とかいうチートがあったんですけどねッ!!

 

52:名無しさん

でもそれを知って殴り続けれるって嬉嬉として言った光輝君もちょっと怖かった。

 

53:名無しさん

家族の仇だからなぁ。正当に敵討ちが出来るチャンスだからじゃね?間違っても危険人物と言ってる訳では無い。

笠木はあんなフリーザ軍が使ってる様な装置もあるとか聞いてない。完全に初見殺しだろあれ。

 

54:名無しさん

その初見殺しを避けた8歳の少年·····

 

55:名無しさん

その前のナイフを折るときのスピードもそうだけどさ、見えた人どの位いるの?ちな俺は( 無 ・ ω ・ 理 )

 

56:名無しさん

σ(゚∀゚)オレモオレモ

 

57:名無しさん

オマケにあの時光輝君は重りをしていたと言う事実

 

58:名無しさん

忘れてたわ。マジか。あの重りってどの位の重さなん?

 

59:名無しさん

渋谷の荒地に光輝君の重りがあったらしい。途中で投げてたから。その重りは分からないけど多分引き取り手の櫂さんの所にあるんじゃないかな?落ちた時の音から察するに相当重かったと思うけど・・・何キロだろう

 

60:名無しさん

グラム単位じゃないの?

 

61:名無しさん

あの音はキロに入ってるだろ。

 

62:名無しさん

言っては悪いけど本当に人間?

 

63:名無しさん

人間ですねぇ2人とも

 

64:名無しさん

俺光輝君の住んでる所ら辺に住んでてさ。1度光輝君見かけた事あるよ

 

65:名無しさん

マジ!?どんな感じだった?

 

66:名無しさん

いや、何か小さい女の子と公園で遊んでた。2歳か3歳くらいの女の子と。

 

67:名無しさん

でも光輝君の家族に妹はいなかっただろ?

 

68:名無しさん

あっ、引き取り手の家族の娘じゃない?

 

69:名無しさん

あ〜なるなる(・А・` )

 

70:名無しさん

その時は冷酷無慈悲何て感じはしなくてどこか暗い子だった。女の子が話しかけたら笑顔対応してたけど

 

71:名無しさん

逆に暗くならない要素あるのか?いや、正直光輝君闇堕ちして無くて良かったほんとに。

 

72:名無しさん

ホンマにな。家族殺されてその後に不当な事でギャーギャー言われたら闇堕ちコースまっしぐらだろ。

 

73:名無しさん

櫂さん達に感謝。そう言えば櫂さんどうしてるの?

 

74:名無しさん

奥さんの方は分からないけど櫂さんはもう病院に出勤してるって違うネットスレで言ってた

 

75:名無しさん

どう思ってるんだろ?

 

76:名無しさん

光輝君が生きてる可能性ないかな?

 

77:名無しさん

アニメじゃない。ニュースであの渋谷の惨状見ただろ?あれの殆どが最後の大爆発の余波とかの影響やで?道路とか空中で離れてた筈なのにボロボロ

空中で爆発されてなきゃ真面目にやばかったかもしれない爆発をあの2人マトモにくらってるんやで?生きてる方がやばい

 

78:名無しさん

そんな事言うなよ

希望を持つくらい良いだろ

第1光輝君にこそ救いはあるべきだろ。何だよ、小一まで普通で犯行を止めただけで家族を皆殺しにされその状態はあの皮状態でしかも第1発見者は光輝君自身。そして2年後何で光輝君まで死ななきゃいけないんだよ。

 

79:名無しさん

言いたいことは大変分かる。だけど・・・なら俺達には何が出来たって話になる。単純パワーもスピードも笠木に及ばないし助けに行ったってエネルギー取られて光輝君が不利になってしまう始末。俺らは足でまとい

 

80:名無しさん

というより陸上の世界記録よりも普通にあの二人早いよな

 

81:名無しさん

50mを1か2秒位で詰めてた・・・いやもっと早いかもしれない

 

82:名無しさん

笠木と同じ事を俺らにも出来たら俺生きられる範囲でエネルギー光輝君にあげられたら良かった・・・ないものねだりをしてもしょうがないけど

 

83:名無しさん

多分それ反笠木の連中は皆賛同してくれる

俺も笠木に使われるより光輝君に使ってもらった方が遥かにいい

 

84:名無しさん

それは本当にないものねだりだなぁ·····同意だけど

俺程度でも役に立つならあげる

 

85:名無しさん

話変わるけど光輝君のあの眼は何なの?眼を変えるとか写輪眼かよって思ったんだけど

 

86:名無しさん

右眼が赤色で左が蒼眼だったな。で、最後のあの超サイヤ人みたいな状態の時は金色の眼だった

 

87:名無しさん

ドラゴンボールのあの気を纏ってるやつにもなってた・・・マジであれなんなん?

 

88:名無しさん

誰か情報ч(゜д゜ч)クレ〜

 

89:名無しさん

くれと言われても誰も知らないだろ

櫂さんとかは知ってるかもしれないけど情報出してくれないだろうし

 

90:名無しさん

マスコミは不謹慎にも聞こうと病院の前で陣取ってた時もあったな。今は止んでいるらしいけど

 

91:名無しさん

やっぱり光輝君人間辞めてないか?何だあの眼、リアルにあんな眼になれるとか聞いてないんだけど

 

92:名無しさん

でもさでもさ、あの金色の姿になった時不思議と「これ勝てる!!」って思わなかった?俺は思った

何か悟空が来た時の安心感に似ていた

 

93:名無しさん

何となく分かる

声とかは笠木に向けられていたからめちゃくちゃ何か怖かったけどその中に何か安心するというかなんというか·····そういうものがあった(語彙力なくて(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)スマヌ…)

 

94:名無しさん

まあ分かる。何でだろ?超サイヤ人のあれに似ていたからか?

 

95:名無しさん

多分そうかもな·····警察とかもう光輝君の捜索打ち切ったってマジ?

 

96:名無しさん

マジらしい。本当の行方不明者と違って光輝君がいた所はもう分かってるから範囲も絞れる。でも見つけれなかったから後は情報待ちだけど・・・望み薄だよな。さっき言われてた通り原型が殆ど無くなるような戦いだったから・・・もしかしたらって。でも櫂さん達は行方不明届けを出したからまだ死亡扱いにはなっていない

 

97:名無しさん

もしさ、光輝君だけ生きてて笠木だけ死んでたら光輝君って罪に問われるの?

 

98:名無しさん

街を破壊したのはほぼ笠木の攻撃だったから器物損壊罪は怪しい。まあ仮にあったとしても検察とか国が笠木のせいにする可能性大だけど

それに多分正当防衛にあたるんじゃないかな?笠木は先に宣告と宣言をしてたんだから

 

99:名無しさん

何か暗い話になったてきたから話変えるけどさ。戦う前に光輝君が決意表明か自分への気合いの入れ直しに言ってた事あるよな?最初と2つ目と3つ目はスレ見てたら分かるけど最後のまた会う為ってのは誰の事だ?

 

100:名無しさん

たし蟹

誰だ?

 

101:名無しさん

誰か情報ないの?

 

102:名無しさん

無いなー

そもそも光輝君の情報自体割と少ないし・・・御家族の事のせいも相まって光輝君殆ど学校でも冷酷だったのもあり友達皆無だったらしいから

 

103:名無しさん

そう言えば何でそんなに冷たくなったの?

 

104:名無しさん

あれじゃない?笠木が自分の家族を殺したのは自分への復讐だと思ったからじゃない?だから次は負けない為の修行と守る人を減らしたのかもしれない

 

105:名無しさん

でも櫂さんの所に普通に引き取られてるし・・・

 

106:名無しさん

あれ養子縁組には入ってないと思うぞ?光輝君の名字は変わってないから。色々不便なことあるだろうけど家族の名前は捨てたくなかったんだろうな

 

107:名無しさん

尊い

 

108:名無しさん

世界はどう動いてるの?日本でやってたから忘れがちだけどあれ世界規模の戦いだろ?

 

109:名無しさん

世界じゃ·····アメリカじゃもう光輝君は死亡扱いにして英雄にしている

何か光輝君のおかげでとか何とか演説してるけど正直反吐が出る。

 

110:名無しさん

まだ死亡扱いにはなってないだろ

 

111:名無しさん

仮に生きてても原型留めてるかな?

 

112:名無しさん

あの爆発だからなぁ。割と遠目にあったカメラすら吹き飛んでるし・・・生きてる方が可笑しい気もする

 

113:名無しさん

俺は光輝君が生きてる方に賭けるぜ

 

114:名無しさん

流石に生きてないだろ・・・あの爆発だぞ?そりゃあ原爆よりかは東京自体吹っ飛んでないからあれだがそれでも並の爆弾以上の爆発をその身に受けて無事な訳ないだろ

 

115:名無しさん

守られた方の人間なのにそんなの言うなよ

 

116:名無しさん

事実を言ったまで。くだらない希望に縋る方がダサい

どうせ時が経てば皆忘れるんだろ?

 

117:名無しさん

俺は忘れない。

 

118:名無しさん

どうだかな?

 

119:名無しさん

まあまあ喧嘩する所じゃないから止めよう

 

120:名無しさん

生きてて欲しいなぁ

 

 




お疲れ様ですm(*_ _)m
やっぱり上手く書けぬ(*`ω´)ぐぬぬ...


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《ソードアート・オンライン》編
目覚めた先と新たな剣 改


加筆修正三┏( ^o^)┛


 時の巣と呼ばれる場所である青年が驚愕の声を出しながら自分の上司に駆け寄った。

 

「時の界王神様!」

 

 その言葉を聞いた時の界王神と呼ばれた人物は振り返り聞いた

 

「どうしたの?」

 

 青年はある巻物を持ちながら説明を始めた。

 

「あの世界の時空が開きました」

 

「なんですって!?」

 

 時空が開く、それは生半端な力で空くことは無い。但し例外がある。それはその世界で初めて時空が開く時だ。初めてその扉が開いた後は病気によって免疫が出来たが如く扉は固くなり開けることは困難になるが最初は開きやすい。それでも途方もない力が必要となるがそれが開かれたということはそんな力の持ち主が時空の狭間を漂う事になる。そして……肉体が持つのかすら分からない。だから早急に救出に向かわなけらばならない。

 

「俺が行ってきます」

 

「頼んだわよ、トランクス!」

 

 トランクスと呼ばれた青年は頷き走って腕についてる装置を弄り時空間へ飛んだ。そして様々な時空の流れを通り過ぎ目当ての人物を見つけた。そして急いで近づいて行った。だが……

 

「……遅かった」

 

 その人物はダラーんと脱力している。救出が遅れれば……所謂魂が抜け出し肉体は残る。オカルトみたいだが事実そうなのだから仕方がない。そして魂単独で生きる方法等今の所1つしかない。それは生きたいという想いがどこかの世界のどんな器でもいいからその魂を顕現させる事。だがそんな事になった人間なんて今の所皆無だ。トランクスはそこで思考を止めて取り敢えずその人物の肉体を時の巣に連れて行く事にした。そして連れて来た人物を見て時の界王神は複雑な顔をしてその人物の”歴史”を見る為に動き巻物を取ってきた。そして2人はそれを見て驚愕した。

 

「まさか……そんな方法で生きてるなんて」

 

 そう長らく今の仕事をしている時の界王神すらそう思わず呟いた。その人物は色々問題はあるが生きていた。但しぶっ飛んだ方法でだが。少し厳しい顔をして考えた後トランクスに言った

 

「このままじゃ肉体の方が持たないわ。それに……彼の魂もあそこをクリアした後持ち続けられるかどうか……」

 

「何か……何か策はないんですか!?」

 

 それを聞いても時の界王神は唸ったままだった

 

 

 ★★★★★

 

 

(……ここはどこだろう)

 

 暗闇の中、光輝は自分の体がやたらと揺さぶられているのを感じた。公園で寝っ転がった時に感じる草木の香りが鼻腔をくすぐる。

 

「……い」

 

 頭がぼーっとして何があったのか思い出せない。

 

「……おい」

 

 

 

 あっ、そうだ。あの時のあのクズ野郎のやたらでかいエネルギー弾をあいつに返す為に俺とあいつごと……。皆怒ってるかな……。でもこれで皆は平和に過ごせる。というかさっきからなんか声がする。

 

「おい! 大丈夫か?」

 

 そう大きめの声で言われ目を開けた。そこにいたのはなんか失礼だが貧相の格好をしてなんか少し小さい西洋風な剣を背中に背負った……女? 取り敢えず俺は支えられている状態から上体を上げ

 

「え? あ、はい。大丈夫です!」

 

 そう言って飛び起きた。何が何だが全く分からないが介抱してくれてた様なので素直にお礼を言った。

 

「あ、その。ありがとうございました」

 

「え、ああ」

 

 なんか訝しげな視線で見られている。俺何かこの人にやったけ? いや、まだ何かを思考はあまりしていない筈。強いて言うなら女だと思った事だろうけどまさか声が出てた? それとも心の声が聞こえるのだろうか? ……一応聞いてみよ。

 

「あの、失礼ですけど女の人ですか?」

 

 そう言ったら徐々に顔が赤くなりわなわな震える。敵意は特に無いから臨戦態勢にはならないが返事は待っておく。と言うより何で赤くなっているんだ? 

 

 光輝の頭の中で若干的が外れている議論をしていたら質問された人は鼓膜が破れるんじゃないかと思うくらいの大声で返された

 

「俺は男だ──っ!!」

 

 えっ、マジですかい。そう言われもう1度よく見るが確かに男だった。顔は女って言われても通用するから間違えてしまった。寝起きの頭で見たのもあるのかもしれないが間違ってたのは事実だから急いで腰を折って謝った。

 

「ごごごごめんなさい!」

 

「はぁ、NPCにまで言われるなんて、いやカーソルがないからNPCでもないのか? いや、でもこんな低層でなんでこんな…………」

 

 そうブツブツ言ってる。やっぱりなんか変だ。そもそもなんでこんな格好しているんだ? 俺ならまだわかるのだがそもそも真剣を持ってるか普通? 答えはNOだ。まあ、その普通じゃない部類なのかもしれないが。取り敢えず気になった事を聞いてみる。

 

「NPCって何ですか?」

 

 何故かそこで沈黙される。そしてまたブツブツいう。何なんだ一体。そう俺も内心文句言っとけば取り敢えず答えるかみたいな顔で振り返り言った

 

「えっと、NPCってのはノンプレイヤーキャラクターって意味だ」

 

「ふーん」

 

 そう言われるがやはり何の事だ? ノンはノーの仲間としてプレイヤー? はゲームをする人だよな。キャラクター?? 分からないから思考は取り敢えず諦め周りを見た。そうすると俺の住んでる所ら辺には無さげな森がある。ここは何か森を抜けた所ら辺らしい。でも俺はこんな場所知らないんだけど。……買い物と学校以外でどこか行く時間あるなら修行してた方が良いって言う思考の持ち主だったし……と言うより今も持ってる。今は状況整理の方が重要だ。

 

「あの、ここどこですか?」

 

「え?」

 

 何で変人を見るような眼で見られないといけないのだろうか? ……修行馬鹿だから変人なのは否定しないけど

 

「ここはアインクラッド第1層のホルンカの森だ」

 

 待って一気に情報量が多いです。最後の現在地らしい場所しかわからん。何で都道府県名じゃ無くて第1層とかアインクラッドとか言う言葉を聞かなければならない

 

「え、ここって日本の東京じゃないんですか?」

 

「……なあ、君ナーヴギアって物かぶったかい?」

 

 質問を質問で返された。それは置いといて答える。ナーヴギア等知らん

 

「ナーヴギア? 何ですかそれ?」

 

 そう返せばまた難しい顔になって何かを思考している。だってしょうがないじゃん。本当に知らないんだから。

 

「そ、そうか。なあ、取り敢えず移動してもいいかい? クエストクリアの報告をしなきゃいけないからさ」

 

 クエストとは何ぞやと言う疑問は取り敢えず出さず答える

 

「はい、構いませんよ」

 

 そう言って2人で立った。そこで俺の状態を確認する。格好はあのクズ野郎と戦った時と同じで所々穴が空いているだけだ。剣もそのままだ。体も重りを外した時と同じ位軽い。傷は特に無いな。そんな状態確認ばっかりしてこの女顔の人の名前を聞いてない事に気がついた。

 

「あ、ごめんなさい。まだ名前聞いてなかったですね」

 

「ん、ああ。俺はキリトだ」

 

 キリト? 変わった名前だなと思ったが俺も答える。

 

「俺は西沢光輝です」

 

 そう光輝は自らのフルネームをこの世界がどういう場所なのか知らない故に純粋に答えた。そうすればこの世界がどういう場所なのか知っているキリトは慌てる

 

「待った待った! プレイヤーネーム! プレイヤーネームをお願いします!」

 

 何かすんごい慌てられている。名前を答えただけじゃん。知らない単語言われても困る

 

「プレイヤーネームって何ですか?」

 

「……右手をこうやって振るってみてくれないか?」

 

 そう言ってキリトは右手を虚空に振り下ろした。そしたらなんか音がして出てきた。何これかっこいい。そう思い俺も同じようにやってみた。できた。でも何かよく分からない文字ばっかりだ。

 

「あっ、出た」

 

「そこに名前がないかい?」

 

 キリトさんが出てきたメニューみたいなやつの左上辺りを指した。そこら辺を見てみたが結局何も無い

 

「うーん、無いです」

 

「そ、そうか」

 

 無いもんはしょうがない。そう考えキリトさんが消した方法を思い出しながらメニューを消しながら言った

 

「まあいいや、光輝って呼んでくれていいですよ」

 

「いや、こんなデスゲームになっちゃったけどネットルールは守らないと」

 

 ……なんか色々会話が噛み合わない。そう思ったが取り敢えず先に行く事にした。そして色々聞いた結果、何がなんだか分からなくなった。

 まず俺達がいる場所、アインクラッドとという場所らしい。うん、全く知らない。それでも色々聞いた。まずここは《ソードアート・オンライン》っていうゲームの中らしい。だけど俺はそんなものやった事もないし修行ばっかりしていたから世間に疎いのは知っているがもしこれがゲームの中ならこんなリアルなゲームを俺の学校のやつが噂すらしなかったのはおかしい。

 そして今《ソードアート・オンライン》は普通のゲームから開発者の茅場晶彦なる人のせいでキリトの頭らへんにあるゲージが無くなると本当にキリト達のいる本人達が死ぬっていうデスゲームとなったらしい。アインクラッドは第1層から100層まである。そして今日がその初日。キリトが言うには日本や東京という物はあるらしい。そしてキリトが普段はそこにいたって言う事も聞いた。だから東京の渋谷で2010年の4月27日に起きた事知ってる? と聞いたが知らないと言われた。そして今の事を教えてくれた。そして聞いたのは

 

「は!? 今が2022年!?」

 

「あ、ああ」

 

 なんか俺の様子にビビっているようだ。だがそんなことはどうでもいい。2022年? なんで? ここは未来なのか? でもまあそれならそれでキリトはパッと見14か15位だから2010年の事を知らないのは無理ないかな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……ってそうじゃない! どうすんのこれ!? 何で未来にいる訳? 原因は1つしかないだろうけど、あの爆発で!? 広島で放たれた原爆よりも小規模のあれで!? そんな馬鹿な……現実だよな? 

 でもそんな事を認識できるって事は俺は……生きてる? 

 

 光輝の内心でそんな事を言っていたらキリトが腕を組みながら疑問符を出しながら聞いた

 

「なあ、俺からもいいか?」

 

「ん? 何ですか?」

 

 自分の思考を一旦止めキリトの方に向いた。キリトから見ればそれでも光輝が困惑しているのが分かる。こんな時に自分の知りたい事を聞きたいのは少し罪悪感が出るが好奇心が勝ってしまった。

 

「いや、君はプレイヤーなのか?」

 

 キリトから見ればプレイヤーならば見えるはずのカーソルとライフゲージ……所謂HPが出ておらず装備も自分が見た事ないような物ばかりだ。……と言うよりこんな羽織やら普通は無いのでは? それもこんな100層中の第1層で。仮にあるのだとしたらそれはそれで凄いし黒色があるのなら是非取りに行きたい。だが望んだ答えではなかった。

 

「さあ、分かりません。少なくとも俺はそんなものを被ったことなんてありませんしゲームだってやった事はありません。好きそうな人なら身近にいましたけど」

 

 

 そう言って思い出してたのは頭はやたら良いのにそれと同じくらいアニメやらが好きだった愛美の事だった。今は12年後の訳だが愛美はどんな人になっているのだろうか。やっぱり可愛くなってるのかな? そんな現実逃避をし始めた。その時なんか目の前が光始めてなんかオオカミが出てきた。これを見てキリトの言うことは現実だなと思った。東京にこんな物騒な狼は出てこないだろ。そしてそれを見たキリトが背中の剣を鞘から抜いたが俺が止めた。

 

「な、なんだ?」

 

「いや、色々確認する為に俺がやっていいですか?」

 

「ゲームだから痛くないとは言え大丈夫なのか?」

 

 キリトから見ればどう見ても自分よりも歳下で道着がボロボロなのだから心配になる気持ちは分かる。だから聞いたのだが光輝は前に歩きながら答える

 

「うん。大丈夫」

 

 そう言っておじいちゃんの形見の剣を抜いて走る。向こうも走ってきて噛み付こうとしてきたが、それを右に避けてオオカミさんごめんなさいと思いながら飛んでいて無防備な腹を蹴りあげて一閃……したのだがどういう訳か透けた。キリトから聞いたあの赤くなる線が出ることもなかった。ついでにダメージも減ってなかった。

 

「えっ」

 

 そう思ってたら蹴りのダメージから復活したオオカミさんに噛まれた。

 

「いてっ!!」

 

 痛かった。狼に噛まれた事など無いから初めての体験だがそんな体験は今したくても良い! あの、キリトさん? さっきゲームの中だから当たっても痛くないとか言ってませんでした? おーい、目を逸らすな! 

 

「ちっ!」

 

 舌打ちして噛まれてる腕を狼事思いっきり地面に叩きつけた。それを2回ぐらいやったらまた光って消えた。う、なんか罪悪感が。そう思ったら戦いを見届けたキリトが寄ってくる。驚愕半分、呆れ半分で言ってくる

 

「なんか、凄い戦い方だな」

 

「そいつはどうも」

 

 褒められた訳では無いがそう返しとく

 

「にしても君は色々イレギュラーだな。痛みはある。カーソルと体力ゲージがない。おまけに道端に倒れてた。そして、その剣。透けたな」

 

「そうですね、俺が元々現実で使ってた物なんでただあるだけなのかも知れません」

 

 それしか考えられない。だけど柄や刃の部分は普通に触れる。そう思って少し弄っていたら何やらメニューが出た。何だこれ? インゴット? インゴットとは何ぞや。そう思っていたらキリトが驚愕から復活し聞いてきた

 

「え、現実で使ってた?」

 

「はい、これを使って戦ってましたから」

 

 実際そうなのだからそうとしか答えられない。

 

「君は一体何してたんだ?」

 

「秘密です」

 

「そうか」

 

 そう言って何故かしゅんとするキリト。あっ、呼び捨てはさっき許しをもらいました。まあ知られる訳にはいかないよな。過去から来たなんて。信じられる訳ないし、というか俺なら信じない。というかしまったな。これが使えないとなると無手しかないけど。まあそれでも問題ないけどこの剣は離したくない。そう思ってたらキリトがストレージなるものに入れれないか? と聞いて来てやり方の見本を見せてくれた。その通りにやったらストレージなるものに入れる事が出来た。出す方法も見せてくれた。

 

「ありがとう!」

 

「ああ、どういたしまして。というか剣はどうするんだ?」

 

 ソードアート・オンラインは基本的に武器を使う。例えばキリトならば片手直剣と呼ばれる武器を使っている。他には斧や細剣、短剣etc.実に種類がある。そしてビジュアル的にも物理的にも無手よりも武器で攻撃した方が敵のHPは減る。だが今の光輝は剣が使えない。それは普通にこの世界では大問題だ。普通のプレイヤーが無手で減らせる相手のHPなんてたかが知れている。……光輝には当てはまらない事を一ヶ月後には知る事になるが。光輝は空を見上げ考えてから答えた

 

「うーん、まあ別に俺としては無くても戦えますけど。どんな攻撃も当たらなきゃ意味ないんで」

 

「いや、剣は持っといた方がいいだろ」

 

 そう言ってキリトは何やらメニューを広げて操作している。……ここは本当に別世界なんだな。帰る方法を探さないと。俺は生きている、なら……悲しんでるかもしれない楓さんや櫂さん達に報告しないと……。どうやって帰るのか全く分からないけど。そう思っていたらキリトが何やら変な物を出して渡してきた。何なのか分からず首を傾げ聞く

 

「これは?」

 

「さっき俺達がいたホルンカの森に出てくるリトルペネントの花付きがを倒すと貰える胚珠だ。これを今から行く所でクエストを受けてから直ぐにこれを渡すとこの層では強力な剣が手に入るんだ」

 

「えっ、でもこんな夜中までいるって事は凄く大変だったんでしょ? じゃあ別にいいです!」

 

「ああ、気にするな。今日はリアルラックが良かったのかその花付きが2体同時に出て来てさ。だからそんなに時間はかけてないんだ」

 

「でも……」

 

「なんかさ、上手く言えないけど君はこのアインクラッドの攻略には必要な奴だと思うんだ。だからこれは投資って事で受け取ってくれ」

 

 キリトは真面目にそう思った。確かに見た目は小さいし先程の戦い方だって疑問に思った。だが、それでも光輝に何かを感じたのだ。それが何なのかキリト自身にも分からないがそう思ったのは絶対だ。光輝はキリトの真剣な眼を見たあと頷いた。

 

「……わかりました。恩にきます」

 

 そう言って俺は胚珠を受け取りキリト共にそのクエスト? って所に行き速攻で受けて速攻でクリアしてその剣、《アニールブレード》を受け取った。




原作ブレイクでキリトは胚珠2つ持ってます。

ソードアート・オンラインとは→キリトがいる世界にあるゲームの名前。キリトの世界では世界初めてのVRMMOと呼ばれる五感を仮想世界で再現しコマンドでは無く自らが勇者になれるゲーム。しかしゲーム開始日からデスゲームになってプレイヤーメンタルはガリガリ削られた。尚、光輝はそのデスゲーム開始の宣言を聞いていない。

アインクラッド→ソードアート・オンラインの舞台。100層からなる鋼鉄の城。ソードアート・オンラインはこの第100層をクリアすれば脱出出来る。


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情報屋・ボス戦突入 改

加筆修正・*・:≡( ⊿:)


 あのキリトとの迎合から約1ヶ月たった。その日からキリトには会っていない。フレンド登録ってので一応連絡やキリトの居場所はわかるがこんな謎だらけと疫病神の俺と一緒にいてくれとは思わない。

 そしてあの後にも色々わかった。別れる前にキリトが《ソードスキル》ってのを教えてくれたがどんなに教えられたとおりにやっても出来なかった。なんでそんなのがわかるのかって言うとキリト曰く出来た時、そのスキルに合わせたライトエフェクトが出るらしいが俺はやっても出なかったからだ。

 

 ソードスキル·····所謂格ゲーやらで言う必殺技だ。使う為には所定のモーションとその使うソードスキルの武器種の熟練度を上げなければならない。上げればあげるほど強力なソードスキルを発動出来るようになる。

 先ず使いたいソードスキルプレモーションを起こしシステムが認識、そこからはシステムが勝手に体を動かしそのソードスキルを発動してくれる。この勝手に体を動かしの部分が少し厄介だったりする。急な方向転換等には対応出来ないし軌道もある程度固定されるからだ。困るのは大概対人戦だがソードスキルには致命的な弱点がもう1つある。それが技後硬直だ。必殺技をバンバン出させない為にある奴である。ソードスキルを使った後使ったプレイヤーの動きが使ったソードスキルによる反動で止まる。集団戦ならば他の人にカバーして貰えればいいが1人·····ソロだと使い時を間違えては”死”に繋がる。

 

「まあ、使えなくても別にいいけど」

 

 というのは嘘である。ぶっちゃけ言うと凄いかっこいいから出来たらやりたいなと思うのが本音。自分で再現出来なくもないけど迫力にかける。いや、迫力は正直要らないんだけど気分的に欲しい。そう思ってたらヒソヒソと声が聞こえる。因みに今いるのはトールバーナと言う町だ。

 

「なあ、あいつが?」

 

「ああ、カーソルも何もないやつだ。何なんだろうなあれは」

 

「どうせチートだろ? いいよなチート使えるなら早くクリアしてくれよ」

 

 そんな声が聞こえる。今の俺の格好は変わっていない。蒼い羽織に赤い服に青の帯に黒ズボン。だが1つだけ違いがあるとすれば後ろの剣だ、《アニールブレード》を2本(……)背負っている。そう、2本だ。あれからちょっと経った時にまたあのクエストを受けに行ったのだ。やっぱりずっとやってる二刀流の方がいいからね。元々ソードスキル使えないから手数で圧倒する方がいい。

 変な事をほざいてる奴を無視してキリトが教えてくれた迷宮区って所に行く。何故かゲームって言ってた割に腹は減るからここで腹ごしらえしに来ただけだからである。何故なら俺がここに来てもう1ヶ月だ。それでも元の世界に帰る方法が分からない以上取り敢えずこの世界を制覇してみた方が良いと思ったからだ。

 

(……早く皆の所に帰りたいよ)

 

 そう思って心の中で泣いていたら誰かの視線を感じた。というかぶっちゃけご飯食べてる時から感じてた。あれだ、皆が死んだ後によく感じた好奇心の視線、あれに似ている。だから町を出る前に路地裏に入った。そして声をかけた、ピックを投げ叫びながら。

 

「誰だ!」

 

 そう言ってピックが顔の横に刺さりながら降参ポーズしていたのは小柄の女の人だった。

 

「ちょ、待っテ、待っテ! 怪しい者じゃないヨ!」

 

「そんなフードを深く被って俺をつけてたやつのどこが怪しくないと?」

 

 至極当然である。光輝の知り合いはこの世界ではキリトしかいないしあれから会っていない。フレンドの所にはキリト名があるから死んではいない。

 光輝の知り合いにこんな怪しさ満点の奴はいない。警戒するのは普通である。その女の子は少し焦りながら返す

 

「うっ、と、とにかくほんとに怪しいものじゃないんダ」

 

「だったら名前ぐらい名乗ったらどうだ?」

 

 ストーカーをして怪しい者じゃないなら名乗れよという事である。

 

「アルゴだ。情報屋のアルゴだヨ」

 

 この世界の人達の名前って皆キリトみたいな名前なんかな? というより名字という概念あるのか? そんな全く関係ない事を考えるが聞きなれない言葉があり聞き返す

 

「情報屋?」

 

「そう、情報を教えたり逆に買い取ったりするのがオレっちの仕事さ」

 

「ふーん」

 

 そう言われて俺は剣を下ろした。まあ不意打ちされても普通に躱せるだろと思ったからだけど。そしてアルゴをガン見しながら聞く。

 

「で、その情報屋がなんのようだ?」

 

「いや、依頼を受けたんだヨ。キミがチーターなのか調べてくれ! っテ」

 

 依頼……か。健作さんにまだ依頼料渡してないんだよな。生きて帰るとは言ったけど今俺は生きているのか正直微妙な感じだし。でもその約束を果たす為にも俺は生きて帰らなければならない。·····取り敢えず聞きなれない単語を聞く

 

「なあ……、1つ聞いてもいいか?」

 

「ナ、なんダ?」

 

「チーターってなんだ?」

 

 光輝がそう言うとずっこけた。そりゃそうだ。ソードアート・オンラインにいるのだから小さいけどゲーマーなのかなと思ったら初歩的な事を聞いてきたのだ。アルゴは自分よりも背が低い光輝を不思議と好奇心の眼で見る。そして取り敢えず聞く

 

「し、知らないのカ?」

 

「いや知らないから聞いているんだけど? まあ、何か悪いものっていうのはニュアンスでわかるんだけど」

 

 チーターってあの動物の事かと思ったけど俺がそんなもんじゃないのは見たら分かるし流石に俺は動物の姿なんぞになれないぞ。

 

「そ、そうカ。チーターって言うのは簡単に言うとゲームの中でズルするやつの事ダ」

 

「あー、そうか。ここって一応ゲームの中なんだったけ? 自覚はないけど。で、成果はあったんですか?」

 

 何か今聞き捨てならない言葉を聞いた気もするが光輝が小声だったから聞き取れなかった。そして少し疑念の目を向けアルゴはそれを受けながらにししっと笑いながら言った

 

「その情報は初回サービスで100コルだヨ」

 

「じゃあいいです。さようなら」

 

「あーっ! 待っテ、お願いだから待っテ!」

 

 そう言って光輝の帯辺りを抑えられ止めた。別に振り払うなんざ余裕なんだがここは圏内と言ってプレイヤーには攻撃による衝撃があるから止めておく

 

「はぁ、何ですか?」

 

「いや、何で剣を2本担いでるのかなと思っテ」

 

「それ言ったらなんか情報にされそうだから黙秘します。さいなら」

 

 アルゴの事を分かっておる。アルゴは情報屋·····それも5分話せば何時の間にか情報を抜き取られるとかいう異名の持ち主である。光輝はそんな事聞いたことは無いが何となく分かった。アルゴは帯を抑えながら叫ぶ

 

「待っテ! もう辞めるから話しをさせテ!」

 

「何なんですか一体?」

 

「キミは一体何者ダ?」

 

 そう真面目な顔で言われた。光輝はアルゴをじーっと見た後答えになってない事を言い張る

 

「さあ、分かりません。ただこれだけは言えますよ。少なくとも俺の邪魔をしないなら何もしない。俺は普段は争いなんて好きではない」

 

 それは本当だ。いざとなれば戦うが理由がないと戦わない。話し合いで解決できるならそれに越したことはない。笠木は色々短気過ぎた。

 

「でも·····売られた喧嘩は買うし必ず勝つ」

 

 遠回りしにその依頼主が喧嘩しに来るなら受けてやると言っているようなもんである。

 

 俺がそう言ったら何故か沈黙された。そして何故か笑いだした。何故だ。むー

 

「何で笑うんですか?」

 

「いや、面白くテ」

 

 掴み所ない。別にもう関わる事はないだろうけど何か癪だ。絶対餓鬼だから舐められてる。·····まあそれはほっといて聞いとこ

 

「あ、そうだ」

 

「ン?」

 

「俺の情報を買おうとしたやつの情報を俺が買うのってありなのか?」

 

 俺だけ知られていて不公平だ。俺にだって知る権利はあってもいいはず。アルゴさんは笑いを止めて言った

 

「ありだヨ。ただその場合相手の出した口止め料より多く出さないとダメだけどナ。因みに今回の場合だと1000コルだ」

 

「んー、じゃあ5000コル出すからその人に教えて貰っていいって聞いて?」

 

「わ、わかったヨ」

 

 そう言ってアルゴはシステムウィンドウを開いてメールを打ち始めた。やっぱりここが未来って言われた方がしっくりするなぁと思う。というか5000コルって言った時ちょっと驚いてたけどなんでだ? そしてメールが終わったのかウィンドウを閉じた。

 

 アルゴが驚いた理由は簡単だ。コルというのはアインクラッドの通貨の事だ。つまり何かを食べるにも装備を点検するにも宿に泊まるにもその他の事にもコルはかかる。層が登るにつれて手に入りやすくはなるがそれでも情報代で最初から5000コルは中々ない。光輝が出し惜しみをしないのは簡単だ。光輝は滅多に宿に泊まらない。何故なら先程の様なヒソヒソ言われるのが嫌なのだ。コルを使うのは武器の強化やご飯の時だけ。そのご飯も美味しい所が中々見つからないがその内料理すればいいやと光輝は思っている。

 

「良いそうだヨ。相手のプレイヤーネームはキバオウダ」

 

 キバオウか、なんか噛み付いてきそうな名前だな。というよりやっぱりカタカナの名前多すぎだよな? 皆カナカナなのかな? 

 

「ふーん、キバオウさんね」

 

「ああ、それと1つ頼まれたんだけどキミは今日のボス戦に行くのカ? と聞いてくれって。会議にはいなかっただロ?」

 

 フロアボス·····1層毎にそれぞれのフロアの特徴があるフロアボスが迷宮区の最上階の部屋に待ち受けている。それらを100層まで突破すればゲームクリアである。そして会議とは今の所の最前線·····レベル上位層尚且つボス攻略に行くという人が行く会議である。隊列や7人1組のパーティー等を決めボスの行動パターン等の情報を出し合いボスを倒そう! みたいな奴である。

 

「ボス戦? 会議? なんの事だ?」

 

「やっ、やっぱリ知らないカ」

 

 だが光輝は基本的に迷宮区で籠るしご飯とかにしか帰らないしで全く知らない。仮に知っていたとしても行かない。それは·····笠木の時の様に自分のせいで誰かを死なせたくないから。だから普通に答える

 

「俺は取り敢えずあの迷宮区? って所の1番上の扉に行こうと思ってただけだよ」

 

「いや、それがボスの部屋だっテ! ボスに行くなら皆と行った方ガ……」

 

 アルゴは焦った。当たり前だ。普通のゲームならチャレンジとしては良いのかもしれない。だけど今はデスゲームなのだ。死んだら終わり。光輝にHPやカーソルは見えないがどう見ても小学生の光輝を戦わせるのは良心が痛む。だが光輝はアルゴを振り払いながら冷たく返す

 

「嫌だ。俺は1人で行く。俺の道は俺が決める」

 

「それでもしキミが死んだらどうするんだヨ!」

 

「俺は死なないよ。じゃあね」

 

「あっ!」

 

 そう言って俺はアルゴを振り切るために走った。途中で路地をぐるぐるしながら撒いて。

 

 

(もう俺のせいで誰かを死なせる訳には行かないんだ! だから……学校の時みたいに悪にでもなろう·····!)

 

 そう言って俺は迷宮区に突撃してさっさと最上階まで登りボス部屋に着いた。その迷宮区の入口あたりに人だかりがいたがなんだったんだろうな。休憩中みたいだったけど。というより黒髪の知り合いがいた気がするが気のせいかな? 

 

 光輝はそう言いながら武器の耐久値をチェックする。耐久値が無くなれば木っ端微塵になり剣が無くなる。光輝は無手でも良いが早く終わるに超したことはない。

 

「よし! じゃあ行こっ!」

 

 俺はボス部屋を開けた。俺が部屋を開けたら部屋が明るくなった。そして奥にいたのは全体的に赤いやつだった。名前を見ると《イルファング・ザ・コボルドロード》ってなっている。そして同時に現れたのはなんかコボルドロードと比べたら小さいやつで《ルイン・コボルド・センチネル》ってのが3体だった。

 まあ問題は無い。そう思いまず突撃して来たセンチネルの先頭のやつの首元に一閃、それで消えた。思った通り首の所にはあの頭のやつでは覆いきれなかったらしい。そのまま2体もすれ違いざまに一閃し電子のあの世へ葬った。そのままコボルドロードに突撃した。コボルドロードの武器はあの斧となんか背中にあるやつだけ。おまけに盾があるだけである。

 コボルドロードが斧を振りかざしてきたから横にジャンプで避けてその勢いのまま切り裂いた。なんか斬ってるって感じがしないから違和感はあるけど続ける。

 そんなやり取りが20分ぐらいが過ぎた。その間にまたセンチネルが何回も出てきた。だけどまあ、全部一閃で終わらせたから特に問題はなかった。そしてコボルドロードの体力ゲージが最後の段も赤色になったなと思ったらいきなり雄叫びをあげてきたから取り敢えず下がった。なんか後ろで声が聞こえるような気がするけど無視。そしてコボルドロードが取り出したのは刀だった。それを見た後ろにいる人達が驚いている。何故だ。

 

 後ろの人達が驚いているのは簡単だ。何故なら·····ベータテストと違うのだ、情報が。ソードアート・オンラインは今光輝がいる正規版の前にベータテストと言うものがある。それはプレイヤー達にこうした方が良い等の参考を聞くためだ。まあそれは今は割愛。

 

「まあいい、それがどうした!」

 

 そう言って俺はコボルトロードに向かう。なんか後ろで止めてる声が聞こえるが無視。コボルドロードも左越しに構えて突進してきた。なんか光ってる。そして振るってきたが、

 

「遅い!」

 

 そう言って俺は飛んだ。居合は確かに早い。だけど放たれる場所は限定される。自分の真正面しか当たらないのだ。だから俺はコボルドロードの頭上に来たら目に剣を刺しこんだ。なんかすごい叫んでる。データでも痛みはあるのだろうか。取り敢えずその刺した左の剣は手放して着地した後に右の剣で続ける。

 胴体に3回切り裂いたらまた刀を振るってきたけどただ単にブンブン振り回してるだけ何て恐れる必要は無い。そう思って次の瞬間には刀をしゃがんで避けた後またジャンプした。今度は結構高めに、そしてジャンプした時に回収した二本目の剣を上から振り下ろしてコボルドロードの後ろに着地しそして剣を収めながら。

 

「終わりだ」

 

 コボルドロードが叫び、ポリゴンとなって中に舞爆散した

 

 

 

 

 

 




お疲れさまです (*´∀`)♪

今1度言いますが光輝の相手へのダメージ計算は

剣→剣のスペックとレベル、振るった際のスピードで変わる

無手→レベルと拳や足の振り抜いて当たったスピードで変わる

今の光輝がグリームアイズに殴り込みに行っても勝てません。


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話し合い 改

加筆。アスナの反応を追加。


(何なのあの子は)

 

 そうフードを深く被り左越しにあり隣にいるソードマンの人が選んでくれた細剣に触れながら心で呟く。フードの下の人の名前はアスナ。今年で15歳で受験生だった。だったと言うのは言うまでもなくSAOに捕えられ受験所では無いからだ。アスナは都内の進学校の女子中学生だった。もう少しで受験で模試等に一喜一憂からの勉強漬けの日々だった。

 そんな時アスナの兄がナーヴギアとSAOのソフトを買ってきた。アスナはそれに驚いた。アスナや兄は大企業の子供で所謂令嬢とかと言われる立場の人だ。だから自分も兄も厳格な家庭で育った。ゲーム等スマホにある無料のゲームを少し触る位だ。兄も似たり寄ったりだった筈だ。

 しかし兄はどういう訳か世界初のVRMMOをする為に件の2セットを買ってきた。しかし兄は何とSAOを開始日に海外へ出張が入ってしまい初日からのログインを断念した。アスナはそんなSAOを開始日に今でもよく分からないがフラーっと兄の部屋に入りセットしていたナーヴギアを被りこの世界に来て·····デスゲームとなった。

 

(たった1人で·····)

 

 デスゲームとなったSAOでアスナが最初にした事は宿に閉じこもる事だった。閉じこもり外部からの助けを待つ事。戦うのなんて以ての外。死んでしまうかもしれないのに自分達から戦いに行く神経が分からない。真面目にそう思った。だが·····今は自分がその神経が分からない人達に混じってると思えば思わず笑ってしまう。

 そんなある時アスナはログアウトスポットと呼ばれる所があるという情報を聞いた。アスナは藁にもすがる思いで向かった。現実にやり残した事は沢山あるのだ。だからこそ帰りたかった。だが現実は非情でそんなログアウトスポット等無く挙句の果てにモンスターに吹き飛ばされて死ぬ所だったのだ。そこへ先程光輝が会ったアルゴと隣のソードマンが駆けつけ何とか九死に一生を得たのだ。

 

(ボスと渡り合うなんて……)

 

 それからアスナは外部からの助けはないと諦め……戦う事を選んだ。戦って戦って戦い抜いてその果てで死のうと、そう思った。2ヶ月経っても第1層すら攻略出来てない。単純計算最低2年以上はこのSAOに囚われる。そんなに囚われ抜け出した先に一体何があるのだろうか? そもそも現実の肉体が持つのかすら分からない。点滴だけで寝たきりの人間が何年も生きられる訳ないと思ったのだ。安物の細剣を何個も購入し迷宮区に行き始めてそんな時に隣のソードマンに出会った。そんなやり方では死ぬぞと言われた。当時のアスナの戦闘スキルは極限まで装備を軽くし相手の攻撃を避け続け攻撃を当てるというヒットアンドアウェイ戦法だった。そしてアスナは何と空腹を我慢し続け迷宮区に行き続け3日程籠っていた。

 

(何者なの)

 

 隣のソードマンに誘われアスナは今回のボス会議に出席した。成り行きでソードマンとパーティーを組んで臨もうとしたボス戦。ソードマンはボス戦はレイドを組むのが絶対だと言っていた。レイドとは7×7の合計49人の事だ。やたらとゲームに詳しいソードマンがそういうのだからそうなんだろうと思った。実際この場にいる全員それは分かっている様だった。しかし今ボスを見事に斬った少年はたった1人で挑み対して苦労もしてなさげな顔で

 

「終わりだ」

 

 そう呟くのと同時にあのボスが爆散した。あの少年は確かこのレイドが迷宮区前で休憩していた時にドダダダ! と自分達攻略隊の間をすり抜け迷宮区に入った少年だ。その後自分達はレイドリーダーが少年を追おうと急いでモンスターをばったばったと倒しながら来てた時には少年は既にあの造形がほかの雑魚モンスターとは格が違うボスを相手に全く引かずそのソードマンも使っているアニールブレードを2本携えて戦っていた。レイドリーダーの自称ナイトも着いた時に少年に加勢しようと思ったがそんなのは要らないと少年の小さな背中が語っていた。その少年は何やらメニューウインドウを弄っている。たった1人でボスを討伐したのだからさぞかし豪華なメニュー欄になってるだろう。そんな時攻略隊の1人から声が上がったのだった

 

 ★★★★★

 

 コボルドロードを撃破してなんか《you get the Last attack bonus》って言うホロウウィンドウが出てきた。多分文面から察するに最後にコボルドロードに攻撃して撃破した人が貰えるのかな? と思って取り敢えず装備せずに出して見る。手に収まったのは真っ黒なコートだった。名を《コートオブミッドナイト》。うん、名前の通りだな。でも性能は良いらしい。あのコボルドロードがもう出ないのならこれはこの世界に1つだけなのかもしれないな。·····俺が装備しても意味ないんだけどな。そう思っていたら何か後ろの人達の1人が叫んで来た。

 

「なんや、なんなんや自分は!?」

 

 そう言って結構な人数がいる中から出てきたのはなんか頭が凄くギザギザしてる人で言っちゃ悪いけど面白い。正面切っては言わないけど。その人が前に出てきたのを皮切りに後ろの人達も前に出てきた。そしてその中にはキリトも見える。なんか凄く深くフード被ってる人も隣にいるけど。答えようとしたら向こうの青髪の人も前に出てきてギザギザ頭の人を止める。青髪か……、愛美どうしてるかな。とそんな今この場において全く関係ない事が頭に浮かんだ。

 

「まあまあ、キバオウさん。いきなりそんな事を言われても彼も困るでしょ? 1つずつ聞きませんか?」

 

 この青髪の人はきちんと常識人だ。だが今の言葉で光輝は眉を顰める。今の言葉は光輝からすれば問答無用でこいつらは自分から話を聞くという風に聞こえたからだ。青髪の人には強く出れないのかギザギザ頭の人は仕方がないみたいな顔で言う。

 

「デぃ、ディアベルはんがそう言うなら」

 

「ありがとう。すいません、ヒースクリフさん。大人代表で一緒に聞いてくれませんか?」

 

 悪意はないんだろうがやはり強制みたいに聞こえる。ディアベルと呼ばれた人は群衆の中にいる1人に聞いた。

 

「ふむ、分かった」

 

 そう言って出てきたのは結構身長が高い人でデカ目な盾を持ってる人だった。なんか雰囲気的に人に何か教えていそうな人だ。というか俺の身長の関係上俺はここにいる人達の大半は上を見なきゃいけないからここが現実なら首が痛くなるな。と、そんな事を考えてたら3人が武器を持たず寄ってきた。向こうも武器を持たないなら俺も持たない。だが何か俺に選択権がないのが癪だから俺も言う。

 

「なあ、一応聞いとくがあんた達は俺から話しを聞きたいのか?」

 

「当たり前や!」

 

 そうギザギザ頭の人が答える。結構小柄なのに迫力あるな。というか俺にやっぱり選択権はないのだろうか。でもこんなの完全にアウェーだからちょっと抵抗する。悪いが道ずれになってもらうぜキリト! 

 

「じゃあ、俺も3つだけ条件出していいか? これ飲まない無いなら俺はさっさと上に行く。俺は自分の事を話す義理なんざ無いのにあんたらが話を聞く前提で動いているのがムカつくからな」

 

 そう光輝が言えば近づいてきてた3人はピタと止まった。そしてディアベルはしまったという顔をして言った。確かに自分は光輝の返事等聞かずに聞く前提で話を進めていた。それを恥じたのだ。

 

「確かに君にとってはそうだね。いきなり来た人達が自分たちの中で勝手に君に話しを聞く事になっていた。すまない、目先のことばかりで君の事は考えていなかった」

 

 そう言って頭を下げてくれた。ギザギザの人も不服そうだが下げてくれた。大柄の人も。なんかちょっと面食らったな。まあギザギザの人も態度はでかいけど根本は良い人なのかな? と思い返事を返す。

 

「あっ、いえ。頭をあげてください」

 

 自分よりもどう見ても年上の人に頭を下げられるのは·····まあ光定さんがよく下げてくれてたけどやっぱり慣れない。光定さん元気かな……。とか思っていたらディアベルさん達が顔を上げて聞いてきた。

 

「それで君の言う条件とは?」

 

 光輝は特に考える素振りも見せずに答える

 

「1つは話すのはあなた達3人と俺が指定する奴だけ。残りはあの扉の所にまで下がってもらう。あんたらの聞きたいことが終わったら俺はさっさと上に行く。それからなら後ろの人達も喋ってくれていい。俺が何か言ってる最中に根も葉もない事を言われるなんて嫌だから。まあ、質問タイムはあるからそれまでは黙ってくれると助かるな」

 

 これは絶対条件だ。だってなんか話が気に食わないとかいうそんなくだらない理由で攻撃されたら溜まったものじゃない。あと俺は人が話しをしている真っ最中に話しかけてくるやつは嫌いだからだ。ディアベルさんが頷きながら言った

 

「2つ目は?」

 

「話すメンバーの武器全てを俺は10メートル後方の所、あんたらは扉の横に全ておけ」

 

「はぁ!? 何でお前だけ10mなんだよ? どうせ何かやましい事聞かれたら速攻で攻撃する為なんだろ?」

 

 そう誰かが言ってきた。だけどそれはちょっとアウトじゃないかな? とか思っていたら青眼の人も聞いてきた。

 

「何で君は10メートルなんだい?」

 

 まあどうせ不満は出るだろうと思っていたから用意しといた答えを言う。

 

「簡単。そっちはあんたらを除いても結構な人数がいる。対して俺は1人。だから俺が気に食わないとかいう理由でこっちが攻撃されたら溜まったものじゃないからな。直ぐに反撃できるように俺は10m。何か問題あるのか? そっちはなんならドアの所にいる味方に剣を投げてもらえるなんて言うショートカット技だってできる。さっき俺が攻撃する為なんだろって言ったやつは何も分かってないな。ぶっちゃけ言うとこの話し合いで不利なのは圧倒的に俺なんだから条件も俺有利になるのは火を見るよりも明らかだろ」

 

 当たり前だ。話し合いは対等な状態でやりたいが人数の問題でそういう訳には行かない。ならせめて武器の置く場所だけは光輝が有利でなければならない。だがそれでも吠える奴がいた

 

「はっ! チートしている奴の言うことなんて聞くことないすよ。この人数ならたった1人ぐらい倒せますよ!」

 

 それを聞いて他の面子もそうだそうだ。やりましょうディアべルさんとか言ってる。別に俺は喧嘩しに来るなら買ってやるが? だがそれを意外な人の一言で静まった。

 

「ちょっと黙れや! わしらは人殺しになる為にここにいるんとちゃうやろ!?」

 

 そう言ったのはギザギザ頭の人だった。あれ? この人がいの一番に詰め寄ってきてたのにどうした? と思ってたら聞いてくる。

 

「んで? 自分の条件の3つ目は?」

 

 一瞬自分って何やろと思った。俺ずっと東京暮しだから関西弁は全く知らんから。でも何となく俺の事だと思い返す。

 

「俺と話したいなら、そこにいるキリトも同席させてもらう!」

 

 そう言って俺はキリトを指さしてごめんと思いながら指さした。凄い逃げたそうな顔してる。

 

 キリトが逃げたそうな顔をしている理由は簡単だ。キリトは目立ちたくないのだ。しかし今いやでも目立ってしまった。

 

「それは何でや?」

 

「俺がこの世界に来た時、初めて会った人だからです。そして色々話しをしたんでこの中じゃ唯一俺の事を知っているはずです。俺は殆ど街にはおらず外にいましたから誰ともほぼ会いませんでしたし」

 

 実際、俺だけアウェーなんて嫌だし道ずれになってもらった。そう聞いてディアベルって人がキリトに振り向いて聞いた。

 

「キリトさん、お願いしても良いかい?」

 

 ここでもし拒否したらキリトは色んな意味で吊し上げにされるので不承不承頷いた。

 

「はぁ、分かりました」

 

「よし。俺はこの条件を飲もうと思う。おふた方はどうだい?」

 

 そう言って残りの2人に振り返って聞いた。

 

「私は構わないよ」

 

「ワイもええで」

 

「ありがとう」

 

 返事を聞いて俺は約10メートル後方にアニールブレードを2つ置いた。因みにコートオブミットナイトはもうストレージに入れてる。向こうの4人も武器を扉の前に置いてその他メンバーは扉まで下がった。また真ん中に戻って話しを始める。

 

 現在このアインクラッドに階級なんぞない。あるとしてもレイドリーダー等その位だ。しかしこの3人は後ろの攻略隊の中では重要人物である。

 

「さて、取り敢えず名前を聞いても良いかい? 俺はディアベル。気持ち的にナイトやってます」

 

 この世界にジョブシステムなどないが光輝はそんな事は知らないから真剣にそんなのあったっけ? と考えていた。ディアベルはジョークを言う事で場を和ませようとしただけだ。大の大人が3人、中学生1人が詰め寄っている光景は何も知らなければいじめに見える。

 ディアベルは今後ろにいる攻略隊のレイドリーダーと呼ばれる人物でこのレイドを作ったのも彼自身だ。そして次は隣のギザギザ頭の人の名前は言う

 

「ワイはキバオウって言うもんや! あんさんはワイの事は名前だけでも知ってるやろ?」

 

 光輝は3秒ほどキバオウを見てあ〜と思い出した

 

「あーっ! アルゴって人に俺の事を探らせた人?」

 

「そうや」

 

「そうでしたか。それで調査の結果は聞いたんですか?」

 

「それはおいおい話すわ」

 

 そして次に大柄の人だがなんかすごい見られている。そりゃあさ、自分でも変なやつとは思うけどそんな舐めるように観察するのは遠慮願いたいなと思ったり。でも、なんだろうなこの視線は? 何か世界の異物を見るような目で見られてる。そう思っていたら盾を隣に置き名乗った。

 

「私の名前はヒースクリフという。よろしく頼むよ」

 

 そう言って手を出てきた。俺も返すのが礼儀だと思い握る。でも俺の手が小さく入り切らないから両手で握る。

 

「こちらこそ」

 

 そう言ってまた手を離した。そして最後はお馴染みキリト。

 

「もう知ってるけど一応。キリトだ。久しぶりだな、光輝。後お前絶対フルネームで名乗るなよ」

 

 前回光輝は思いっきりフルネームで名乗った。デスゲームとは言えネットゲームである以上ネットルールは守らなければならない。その1つが呼ぶ時はリアルネームではなくプレイヤーネームで名乗る事だ。

 

「はーい。じゃあ今度は俺か。俺の名前は光輝。漢字は光る輝きで光輝」

 

 そう言ったら? が出そうな感じで首を傾けられた。

 

「えっ、プレイヤーネームに漢字ってありましたっけ?」

 

 ディアベルは疑問符を出しヒースクリフに聞いた。ヒースクリフは第1層の時から前線に出ているプレイヤーでその戦闘力は並のものを凌駕する。そしてその知識も豊富でディアベルは助けられてきた。だから聞いたのだがヒースクリフは顔を振った

 

「いや、ない。プレイヤーネームはアルファベットしかない」

 

「うーん、プレイヤーネームを見せれたら1番早いんですけどね」

 

「できるよ。システムウィンドウに他の者達にも見えるようにする可視ボタンがあるからね」

 

 そうヒースクリフさんが言った。まじですかい。まあ俺は滅多にウィンドウ出さないしね。そう言われ俺はホロウウィンドウを可視状態にして4人に見せた。そしたらなんか皆さんびっくりしてる。ヒースクリフさんが聞いてきた。

 

「プレイし始める時にセットし忘れたとかは?」

 

「いや、そもそもキリトにも言ったが俺はゲームなんてした事ないんですが。ここにだっていつの間にかいただけだし」

 

「それは、どういう事だい?」

 

 今度はディアベルさんが聞いてきた。質問多いな。ただ過去から来たとは言えないから適当にはぐらかす。というよりはぐらかすしかない。そんな有象無象の事なんて誰が信じるのだろうか。

 

「さあ、そんなのは俺が1番聞きたいです。ちょっと色々あったらいつの間にかこの世界のホルンカの森って所にいてキリトに起こされたんですから、何でここにいるかは俺も知りません。というか知ってたら教え欲しいですよ。おまけに記憶も朧気ですし」

 

 ブラフ、はったり、嘘である。本当はバッチリ覚えてるが話す訳にはいかないからな。と言うよりキリトが知らなかったのだから他の人もたぶん知らない。

 

「だから俺は取り敢えずてっぺんを目指す。そこの敵を倒せば記憶も何でここにいるのかも分かるかもしれないから」

 

 そう言ったら沈黙になった。けどまあ、この目的は本当だから嘘ではない。それにこの1ヶ月で分かったことだが俺にはレベルがあるが攻撃力的なやつとかはない。つまり今の俺はあのクズ野郎と戦った時と同じ力だ。蒼眼と赤眼を出せる事は確認済みだ。あの野郎との最後の戦いの時に出したあの力は出ない、というかやり方が全く分からん。でもまあレベルさえあげればあとは攻撃を当てまくったら勝てるから1人でこれからも挑んで問題ない。そう思ってたら次の質問された。

 

「次の質問していいかい?」

 

「どうぞ」

 

「君はチートしてるのかい?」

 

 そうズバリ聞かれた瞬間部屋の空気がちょっと問い詰めるぜみたいな空気になった。だがそんなのものは知らないからそう答える。

 

「チートってアルゴに聞きましたけど要はズルする人の事ですよね? だったら俺はそんなものやってませんよ」

 

「これに関しては私も彼はしていないと思う」

 

「それは何故ですか? ヒースクリフさん」

 

 俺のチート疑惑を否定したのはヒースクリフさんだった。俺も証拠を提示できないのに何で出来ないと言いきれるのか分からんから聞いとく。

 

「仮に彼がチートを使えるならとっくにこの世界から消されてると思うからだよ」

 

 サラッと恐ろしい事言った。

 

「この世界が始まりはや1ヶ月。その間に外側からの接触は一切なかった。普通このようなゲームはメンテナンスなどは人の手によるものだがそんな類のものは1度もなかった。だがしかしこの《ソードアート・オンライン》というゲームもゲームである以上バグなどは発生するだろう。実際、私もいくつか見つけた。だがいつの間にかなくなっていた」

 

 ヒースクリフはSAOが始まり3日ほど経ち行動をし始めた。そしてゲーム等が詳しい故に可笑しいと思ったバグを見つけた。しかし次に見つけた時にはそれらのバグが無くなっていた。ヒースクリフはそれをこう考える

 

「そしてそれを直すためにはメンテナンスがいるからな。しかしそれがないという事は人の手によらない機械がメンテナンスをしているのではないかと思うのだよ。仮に人間がメンテナンスしているなら外から強制ログアウトもできるだろうしね。そしてそんなメンテナンスができる高度な物がチートをしてると認識したら真っ先に消すと思うのだ」

 

 言っている事がいちいち恐ろしいが光輝は成程なぁとか他人事のように思っていた。ディアベルはそんなヒースクリフの仮説を聞き納得し冷や汗を出しながら光輝に向いて言った

 

「な、成程。じゃあ君は本当に」

 

「してませんよ。俺はドーピング何かするより自力でやる方が好きですもん」

 

 これは事実だ。ズルは良くない。皆もルールは守ろう。

 

「そうか、じゃあ次の質問だ。一応聞いておく。君はベータテスターかい?」

 

 ·····何か知らない言葉だけめちゃ聞くな今日は。……そもそも人と喋ったのも久しぶりだったな。

 

「そのベータテスターって何ですか?」

 

 そしてキリト以外ずっこけた。キリトは光輝と1度話した時からこういうのには詳しくないと知っていたから予想出来ていた。復活したキバオウが名前の如く噛み付くような声で言う

 

「ベータテスターってのはこの《ソードアート・オンライン》が始まる前になバグとか実際やってみてどうなんだって言うのをチェックする為に選ばれた1000人の事や! 2ヶ月間今わしらがいる正規版と同じ所に先におったんや!」

 

「へー、まあ要はテストの一部を先に見るような事?」

 

 光輝なりの解釈の仕方だ。因みに光輝は学校のテストでは常に上位にいた。算数やらは元々好きだし覚えられない奴は一瞬だけ蒼眼になって覚えるとかいうチートを·····いや、光輝自身の能力だからチートでは無いがその他の生徒からすればチートの能力を使って点数取ってた。それも普段冷たい癖に頭は良いからとかいう嫌味な奴に見えその他の生徒が離れていくという光輝は望み新井は望まない展開になっていたが割愛。

 

「そ、そうや!」

 

「で、そのベータテスターだったら何ですか?」

 

「決まっとるやろ! 謝ってもらわな気がすまん! あいつらベータテスターがあの始まりの日にワイら9000人を置いて行ったせいでワイらニュービーが苦労した。中にはベータテスターが見捨てたせいで死んで行ったもんだっておる。その落とし前をつけてもらわなあかん!」

 

 それを聞いて俺は色々思う所があった。こいつは何か勘違いしてる。それになんかそれを聞いてたキリトが震えてる。多分キリトはそのベータテスターってやつなんだろうな。そしてディアベルさんも暗い顔になっている。秘密は誰にだってあるだろうに。ヒースクリフさんはこっちの答えを待ってるみたいだ。取り敢えず思った事を言う。

 

「はぁ、くだらない」

 

 光輝がそう言った瞬間に前にいた4人も後ろの輩の一部も唖然とした。今アインクラッドでベータテスターを恨んでる人は全員とは言わないが結構いる。そんな風潮があるからこんな反応になるのだ。元々ベータテスターとか気にしない人は同感だみたいな顔をしている。しかしそれを認めたくないのかキバオウが噛み付く

 

「な、なんやと!? どこがくだらないんや!」

 

「いや、だってくだらないでしょ。確かにそのベータテスター達は先にテストを先取りしたのかもしれない。だけどだからって別に100点を取れるわけないだろ? もしかしたら1度テストを回収されてからどこか変えられたかもしれない」

 

 まあ本当の学校のテストじゃテストは1回きりが殆どだからそんな事はないのだが例えだから大丈夫。

 

「実際あんたら俺が戦ってる時にコボルドロードが刀を出した時驚いてただろ? あれはベータテストの時の情報と違ったからなんじゃないのか?」

 

 光輝はコボルドロードと戦っている間にも後ろのキバオウ達の反応を覚えている。勿論情報じゃなくて武器が変わった事だけに驚いたという事も有り得る。しかしそれは無いだろうなぁとは思ってる。何故ならそのベータテストという奴があったのなら2ヶ月前にコボルドロードを倒した輩がいるということ。なら普通に考えればその時のコボルドロードと同じだと思うはず。だから武器の変更程度では驚かない筈なのだ。驚くとすればその武器が変わる事自体が変更された点かその変わる武器の種類が違うとかそんなもんだろうと当たりをつけた。

 

「おまけにそのベータテストって2ヶ月間だったんだろ? あんたらの言うこの正規版でこの第1層は約1ヶ月。そのベータテストで行けた層なんてせいぜい10層くらいじゃないか? 死に戻りは出来ただろうし。その後のテストは出ないって事だろ。結局ベータテスターがずっと有利って訳では無いって事でしょ」

 

「くっ、そ、そうだとしてもベータテスター共がワイらを置いていかんかったら1500人も死ななかってん! それはどうするつもりや!」

 

 デスゲーム開始日、始まりの街と呼ばれるその場所に光輝以外の全プレイヤーは集められた。そしてそこでSAOとナーヴギアを開発者の茅場晶彦が自主的ログアウト不可・体力全損で仮想世界のアバターもリアルの体も殺されるというデスゲーム宣言があった。そしてキバオウの言うベータテスター達はその後直ぐに始まりの街を抜けてそれぞれレベリング等をしに行った。対外的に見ていればベータテスターが悪い気もするが光輝はそう考えない。

 

「それも知らないよ。だってさよく考えてみてよ。あんたのさっきの言葉聞いてたらこのゲームには最初1万人いたんだろ? で、その9割はあんたらベータテスター以外。たった1割でどうやってあんたら9割の面倒みろと?」

 

 それはそうだ。ベータテスター全員が初心者の世話を出来る訳では無い。比率が多すぎるのだ。

 

「それにそのベータテスターだって全員が戦える訳じゃない。デスゲームってなった以上戦いたくないって人もいるはずだ。そりゃそうだ。ゲームなら普通は楽しむ為に来たのにそれが生死をかけた戦いになったら戦う選択肢を放棄する気持ちも分からんでもない」

 

 光輝自身はゲーム等は愛美が持っていたのを少しやらせてもらうくらいでぶっちゃけ何もかも初心者だ。しかし光輝はゲームをしてる時は楽しかったし楽しくないゲーム何ぞゲームでは無い。光輝はゲームの本質はそうだろうと思っている。しかし今のこの世界は現実と何も変わらない。違うのは非日常なモンスター等がうじゃうじゃいるって事だけ。逃げたくなる気持ちも分かる。

 

「それにそのベータ版と正規版での違いで死んだ人もいるかもしれない。それにあんたの言う始まりの日ベータテスター達は初めての人達を置いてった。って言ったな? ぶっちゃけそれも褒められはしないかもしれないが責める権利も無いと思うぞ?」

 

「な、なんでや!」

 

 キバオウはベータテスターをはっきり言って嫌っている。それは自分が言った通り初心者を見捨てる奴が大概だったからだ。だが光輝はそれすらも否定した。

 

「だってそうでしょ? 生死をかけるんだったら自己強化は必須。多分この世界はさっきヒースクリフさんが言った機械が経験値、敵の出具合を調節してるんだろ? つまりこの世界はその取り合いだ。それに足でまといになるなら連れていく義理もないからな」

 

 至極真っ当な意見だ。確かに怖くて戦えない奴に構う時間も惜しい。光輝も足でまといを連れながら戦う余裕はあるにはあるが構う必要はないと思っている。戦えないのなら永遠と始まりの街に引きこもればいいし周りにいる雑魚モンスターにヒットアンドアウェイでやっとけば勝てるし。それすらも出来ないのなら永遠と空腹に耐えて生きれば良い。冷たく聞こえるが事実そうだ。昔の人だって自分の命を懸けて狩りをして生きていたのだから昔の奴に出来て今の奴らに出来ない道理はない。出来ない人が多いだろうがそれだけメンタル面ではある意味退化したのだ。

 

「そのベータテスターが全員聖人君子なら有り得ただろうが関わりも何も無いやつに何故手取り足取り教えなきゃいけない? あんたがもしベータテスターならそれが出来たんか? 俺はその始まりの日の宣言は聞いていないが多分皆叫んでたりしたんだろ? そんな罵詈雑言の中でもう冷静な思考を失ったやつらに構う暇なんてないだろ普通。ぶっちゃけ俺でも同じ状況なら同じ事すると思う。それに無理に戦わないって言う選択肢もあるしな。生死を賭けた状態で甘ったれた事言うな。現に俺はそんなベータテストの情報なんて無くても普通にコボルドロードを倒せたぜ?」

 

 そう言われ場は静まる。確かにここにいるベータテスター達を忌避してる奴はキバオウを始めいる。そして反論はしたい。だが光輝の言う事にも一理ある……と言うよりほぼ光輝の言う通りだ。確かに見捨てたのはあれだが別にベータテスター全員が見捨てた訳では無い。名乗ってないだけで誰かを助けているかもしれない。そしてデスゲームとなって戦いたくない人だっているかもしれない。そりゃあベストはベータテスター達全員が初心者達にあれこれレクチャーする事だろうが人間は完璧でもないので鼻からそれは無理。少し考えれば分かる事だ。でも光輝はこの攻略隊の事は割かし評価している。何故なら

 

「でもまあ、俺はあんたらは素直に凄いと思うけどな」

 

「「はっ!?」」

 

 と全員仲良く同じ事言った。面白い。これがハモリと言うやつか。成程

 

「だってさ、あんたらの中にベータテスターもいるだろうけど割合としては新しい人の方が多いんだろ? じゃあその人達は普通のベータテスターを極論超えてるってことじゃないの。だってここにいないベータテスターは死にたくないからここに来なかった。対してあんたら初めて組はその恐怖を押し殺してここにいる。俺はその気概は普通に立派だと思うよ。言っちゃ悪いがここに来なかったベータテスター達よりも何倍もかっこいいと思う。だからさ、初めて組は胸張っとけばいいじゃん。ベータテスターが何なんだ? お前らはそいつらよりも今上にいるだろ? そのまま突き放してやったらいいじゃん。持ってる知識や技量がなんなの? そんなの上手い人から吸収して己の物にしたらいいでしょ。それにどっちみち知識は途中で通用しなくなるし」

 

 光輝は思った事は普通に言う性格だ。所謂KYという奴だ。だが別に光輝はこれで後悔した事なんぞない。何かを言わなきゃ伝わらない事もある。そして伝えていなかったらきっと後悔する事だってある。

 光輝が血が繋がった家族と最後に交わした会話は「晩御飯後で!」という作った側からすれば少し傷つく言葉だった。当時愛美の母から電話を貰った光輝はその言葉を晩御飯の準備が整って食卓に並んでいるのに言って愛美の元へ駆けつけた。しかし結果的にその言葉が自分の家族の別れの言葉になってしまった。勿論光輝は次皆に会った時に遺体だなんてこれっぽっちも思っていなかった。思っていなかったからこそ傷つき涙し慟哭をあげたのだ。……いや誰でも同じになると思うが。

 光輝のセリフを聞いた面子はしばらく呆けた顔をした。何故なら考えてみればその通りなのだ。ベータテスターよりも初心者が多いのだから当然なのだが今この場にベータテスターは光輝が確信してるだけでもディアベルとキリトの2人だけ。他にもまだいるだろうがそれでも初心者の方が多いだろう。

 

「そう、だよな。ベータテスターがなんだ! 今ここにいるのは俺たちだ! 俺達がここにいるんだ」

 

「そうだぜ! ベータテスターから貰えるもんは全部貰っちまおうぜ! 技も知識も貰おうぜ!」

 

「そうだ! 今は俺達が1番凄いんだ!」

 

 そう言って何か後ろで盛り上がってる。さっき俺をさっき倒すぜ宣言してた奴は本当は煽りたいができないみたいな空気になっている。あいつは要注意だな。

 そしてディアベルさんが静めてる。

 

「君の言う事は分かった。確かに君の言う通りだな。確かにベータテスターはニュービーの人を見捨てたのかもしれない。だけどそれは責められる事ではないようだ。少なくとも声を大にして言うべきではないようだ。それで良いかい? キバオウさん」

 

「……ふんっ!」

 

 そう言ってそっぽ向いた。そう思ってたら今度はヒースクリフさんが出てきて聞いてきた。

 

「君にはライフゲージが無いようだが?」

 

 そう言ったらまた皆見てきた。·····こんな大勢に見られるなんてこと初めてだなぁ〜

 

「ああ、そうみたいですね。でもその代わりあなた達と違って痛みがあるみたいです」

 

「い、痛みだと?」

 

「はい。だから今から俺が自分の手を刺したらメチャ痛いです。多分俺が死ぬのはショック死か何かじゃないかな?」

 

 これは俺の勝手な推論だ。だが割かし的を射てるんじゃないかな。まあそもそも攻撃を貰わなければ死ぬことも無いんだが。ディアベルさんが何か信じられないみたいな目で見ている。

 

「君はそれで戦えるのか?」

 

「戦いって元々そんなもんじゃないんですか?」

 

 そう言ったらまた皆唖然している。でも実際そうなんだよな。まあここは軍ではないからそんな反応なのかもしれない。·····いや8歳で言う俺が頭おかしいだけか

 

「だって戦いは痛みがあるのが普通でしょ。言っちゃ悪いが痛みの無い戦いはそれと非常に似ている何かだ。だから俺の場合は体力ゲージじゃなくて痛みで良かったよ。ああ、別にあんたらを責めてるわけじゃないよ。そんな痛みなんかあったら戦う人は少なくなるだろうし。変なのは自覚してるからスルーでお願いします」

 

「そう、か。じゃああと2つだけ。君は何で剣を2つ使ってるんだい? 2つ持ってもソードスキルは使えないだろう?」

 

「ああ、それは俺が小さい頃から紙の棒を2本持ってブンブン振り回してたからそれがディフォルトになっただけです。あとソードスキルは俺の場合元々使えません。現にさっき俺がコボルドロードの目に刺したあと片手になってても使えなかっただろ?」

 

 そう俺は説明した。まあ事実だから大丈夫だろ。皆ウンウンしてる。良かった。

 

「で、2つ目は?」

 

「光輝君はさっきてっぺんを目指すって言ったね? なら俺達と行かないかい? ボスを1人で倒せる君が来てくれたら百人力だ」

 

 そんな質問というか勧誘が来た。まあ予想はしてたけど。強い人はスカウトしたいよね。うん。別に俺は自分が強いなんて思っちゃいないが。だから俺は答える。

 

「それは遠慮します」

 

「えっ、そ、それはなぜだい?」

 

「俺は1人で戦った方が強いから」

 

 そう簡潔に言った。そしたら始まるわ罵詈雑言の嵐。ぶっちゃけコソコソ言われるよりこうやって言ってくれた方が気が楽なのは否定しない。

 

「な、なんやと!」

 

 そう言ってキバオウさんがまた噛み付いて来た。

 

「だってそうでしょ? 仮にあんたらと一緒にボス戦したら俺はあんたらのカバーまで務めなきゃなんない。生憎だが俺に誰かを気にかけて戦うのは俺には無理だ」

 

 それは家族の様に、自分の力不足で誰かが死ぬのなんて耐えられない。

 

「それに俺はあんたらが使うポーションやらはいらないからな。痛みさえ我慢したらぶっ続けで戦える。そしてそんな痛みは喰らうつもりもない」

 

「それは何故だい?」

 

「簡単ですよ。痛みが走るのは攻撃を受けた時ならそもそも攻撃なんて貰わなきゃいい。そしてそれは1人の方がやりやすいってだけです。どうしても俺をあんたらの仲間にしたいなら力づくで仲間にするんだな」

 

「それは……決闘と言う事かい?」

 

「はい。ああ、俺は1VS1何て言ってませんよ? 別に全員で来てくれて構いません」

 

「なっ!」

 

 全員唖然としている。そしてどんどん怒りの色が見えてきた。当たり前だ。この1ヶ月間死ぬ物狂いで生きてきた自分達を全員相手に取っても余裕だと言ってる様に聞こえたし実際光輝もそのつもりで言った。それも光輝はボス戦を終えてすぐの疲労の状態でもその口を開いたのだ。舐められていると感じるのも当然だ。そして

 

「上等だ! やってやろうぜ皆!」

 

 その声に反応し武器を構えた。

 

「お、お前達!」

 

「どうします? 何か向こうは俺を引き込もうとしてますが?」

 

「はぁ、分かった。では俺も戦わせてもらおう」

 

「ワイもや!」

 

 結局あんたらもかい。いやキバオウさんは予想出来たけど。

 

「分かりました。取り敢えず全員俺に申請してくださいね。あと武器を回収していいですか?」

 

「もちろんだよ」

 

 俺は武器を回収したが耐久値を見ると結構ギリギリだから使わないようにする。そして一斉に決闘申請が来た。その全てにおけする。そして向こうの人らが全員出てきた。やっぱり結構いるな。でもまあ、素人には負けんがな。そう思い右の拳を右の腰に置き右足を後ろに下げて左手を顔の前に置く。それを見た向こうの奴らはギャーギャー言ってきた。因みにちゃっかりキリトもいる。お前どっちの味方だ? 

 

「てめぇどういうつもりや! 剣を持たないのか!」

 

「ああ、耐久値が無くなりそうだから使わないわ」

 

「そ、それなら後日にするかい?」

 

 そうディアベルさんが聞いてきた。優しい人だな。だが断る。

 

「安心しろ、あんたら程度じゃ俺に傷1つつけれやしないから」

 

 そう言ったらナイトさんもキリトもちょっと怒った顔になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてカウントが0になった

 

 




お疲れ様ですm(*_ _)m。喧嘩は好きじゃないと言いつつも実績作りの為に喧嘩をふっかける光輝なのであります。


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攻略組VS光輝 改

加筆修正三┏( ^o^)┛


 第1層フロアボスのボス部屋。ここは本来第1層フロアボス……イルファング・ザ・コボルドロードとプレイヤー集団が戦う為の場所だ。しかし今は何とその広い部屋にそのプレイヤー集団とボスでは無く少年……光輝が相対していた。集団の人数は約40人。集団のリーダー·····ディアベルが光輝に仲間にならないかい? と言い光輝は拒否。どうしてもと言うのなら俺を倒すんだなという喧嘩をふっかけこうなっている。大半は割と怒りのボルテージが高まっている。何故なら光輝は今剣すら持たずに40人·····攻略隊と相対している。

 攻略隊……後に攻略組と呼ばれる集団はこのアインクラッド内ではレベルが高く、尚且つアインクラッドを攻略する面々だ。だからそれなりのプライドと強さ、自信がある。しかし光輝はそんな全員を一気に相手にすると言ったのだ。それは自分達が舐められている事の証左。積み重ねてきたものを否定された様な感じになったのだ。別に光輝自身は攻略組の事は舐めていない。それなりに強いだろうとは思っている。それに祖父からもどんな人が相手でも敬意を忘れるなと教えられていたのもある。負ける気がないのは本当だが面々を侮辱している訳でもない。まあそんなのは攻略組には分からないので割愛。そして今攻略組と光輝の間にあるカウントが5、4……と減っていく。0になった瞬間に光輝と攻略組との戦いは始まる。そして

 

 カウントが0になり一気に走ってきた。ドアの所には何かスキンヘッドのアフリカン系のおじさんとその仲間であろう人達がいる。決闘申請はしなかったんだろう。因みに決闘のモードは全員初撃決着モードだ。これは先に相手に強攻撃かライフゲージを黄色にしたら勝敗が決するモードだ。あれ? そう言えば俺は決闘の時はどういう扱いになるんだろ? ライフゲージないけど? まあ、そんな事考えながら取り敢えず突っ込んで来た奴らを迎え撃つ。突っ込んで来た奴らと取り敢えず様子見のメンバーで別れている。

 

「おりゃァァ!」

 

「くたばれ!」

 

 この世界は光輝は例外として基本的にステータスがある。レベルが上がる事に体力等が上がりSTR(筋力)とかAIG(敏捷値)等を増やせるポイント等も貰えプレイヤーは自分のプレイスタイルに合ったステータスにする。但し1度ポイントを振れば戻す事は不可能。だからプレイヤーは慎重に自分を成長させる必要がある。

 

 敏捷値を高めにしてるであろう2人の片手剣使いがライトエフェクトを纏わせながら剣を振るってきた。振るってきたというより突っ込んで来たか? 多分これは《レイジスパイク》ってやつか。右に避けすれ違いの瞬間に右側から突っ込んで来た方に左の拳を叩きつける。それでそいつは脱落。そしてくの字に曲がってる所を踏み台にして反対側に居たやつも蹴った。それでそいつも脱落。

 

「うおおおおぉ!」

 

 そんな掛け声を出していたのは斧使いだった。上から斧を落としてくるが左に回りながら避けて背中にエルボーして脱落させた。

 そこからは何かまあ、確かにここに来るだけの力はあるんだろうが俺に1発も当てれないのが焦りになったのかソードスキルを使う奴ばっかりだったな。まあ別に全部初見で躱す事ができるスピードだったけど。ソードスキルは確かに普通にやるよりは早いだろう。だけど発動したらそのスキルをずっとやらなきゃいけないし、なんなら硬直時間もある。更に全部を知ってる訳では無いが、ソードスキルはシステムがやる以上簡単に軌道は変えられない。

 

 周りにプレイヤーが集まり光輝を囲んで戦えばいいのではないかと思うかもしれないがこのSAOでは割とご法度な所がある。何故なら光輝以外のプレイヤー同士が接触しHPが削ればそれだけ”死”に近づくということ。それから今回に関して言えば削れた時点で自爆してしまう事も有りうるからだ。光輝が思った通りソードスキルも軌道は簡単には変えられない。それで他人のプレイヤーにぶつかるのも恐れて囲む事が出来ないのだ。因みにこういう味方に攻撃をしてしまう事をフレンドリーファイアと言う。

 光輝は単語自体は知らないがそうなるだろうなとは思っていた。光輝は6歳からぶっ飛んでたからあれだが普通の一般人は死闘らしい死闘をする人なんて少ないだろう。そしてこの世界は後どれくらいで死になるのか具体的すぎる数字になっている。それが恐怖症に歯車をかける。だから例えただの1斬りでも他人のHPを削るのを恐れている。ある意味では攻略組が不利だ。

 それを証明するが如く光輝は無手でアクロバティックに宙を舞、その小さな体を逆に利用し相手の懐に簡単に入り一撃加える。そして偶に誰かが落とした剣を次の奴に蹴って牽制しつつその人外のスピードで打ち砕く。開始10分も経った頃には既にたった5人までに減っていた。

 

 脱落した人達はまたドア前に行って貰った。残った5人はディアベルさん、キバオウさん、ヒースクリフさん、キリトに謎のフードの人だ。そしてディアベルさんが予想外すぎる強さを前に冷や汗を出しながら話しかけてくる。

 

「光輝さん強すぎません?」

 

 光輝はそれを聞いても構えを解かずに割と辛辣に返す。

 

「俺が強いんじゃなくてあんたらが弱いんだよ。何でソードスキルばっかり使うのかな? 確かにそれが当てれば勝ちだろうけどもう何回もやられても何で同じ手を使おうと思うのかが全くわからん」

 

 光輝の言ってる事は至極当然だ。確かにソードスキルは必殺技だ。だが絶対に当たる訳でもない。寧ろ場合によったら通常攻撃の方が戦局を有利に進められる。光輝はとっくにそれを分かっておりだからこそ出来たらいいな位でそれ以上ソードスキルには憧れてはいない。しかしそんな光輝の事を知らない脱落組は騒ぐ

 

「やっぱりチートしてるんだろ! 何で後ろからの攻撃がわかるんだよ!」

 

 光輝は後ろからのソードスキルを普通に躱した。その時の事を言っているのだろう。だが光輝からすれば

 

「いや、普通に足音でわかるし。あんたらでも普通に出来るようになるよ。あとあんたら攻撃する時叫びすぎ。こっから攻撃するぜ言ってるようなもんだろ」

 

 ソードスキルの時に自分が必殺技を使ってるという快感からか大概叫んでいる人が多かった。それが光輝には相手の居場所を知らせるファクターとなるし蒼眼で得た拳銃の経験で黒目の状態でも止まって見えるは言い過ぎかもしれないが見てから対応出来る程のスピードだ。光輝が元いた場所では既に光輝は人外の少年と知られている。色んな意味で。

 

「うぐっ!」

 

 正論言ったら黙った。でもぶっちゃけこれは蒼眼を持っている光輝だからこそ出来る芸当だから全員が全員出来る訳では無い。しかし足音で分かるようになるのは本当だ。光輝は脱落組に向けていた視線を残り5人に向けた。

 

「で? まだあんたらは続けるか?」

 

「当たり前や! 自分のその余裕な顔を潰したるわ!」

 

 そう言ってキバオウさんが突撃してきた。先程までの攻防でソードスキルが意味無いのが分かったのかソードスキルを使わずに振るって来る。俺は一撃も貰う訳にはいかないから避ける。そしてディアべルさんも攻撃に加わって来た、がまだ避けれる。そして同時に左右から剣が来たのを皮切りにバク転で避けそのまま下がる。

 

 光輝は小一の時の笠木との決戦以降それはもうそこら辺の格闘家とは一味違う修行をした。重りをつけるのもそうだが普通の試合等では要らないバク転やら並の体操選手顔負けの身体能力を得た。その過程でやたらと頭に包帯を巻いてた時期もあってよく楓に怒られていた。バク転やらは咄嗟の回避手段としても良いと思ったからだ。だからなんとしても身につけたくて楓がもう呆れていた時期もあった。因みにバク転の時参考にしていたのはメビウスとヒカリが一緒にバク転をしていた所を参考にした。光輝は着地した後普通に感嘆しながら言った。

 

「へー、中々良いコンビネーションじゃないですか?」

 

「当たり前や!」

 

「悪いですが光輝さん、仲間になってもらいますよ?」

 

 ディアベルが光輝に仲間になって欲しいのは光輝が強いのもあるがそれだけではない。どう見ても小学生の少年が自分達大人ですら危険だと思う戦場に行かせたく無かったのだ。それはディアベルの優しさでもある。キバオウはただ戦力アップになるからとかしか思ってないが。ディアベルの優しさは光輝にも分かっている。分かっているからこそ迷惑をかけたくない

 

「丁重にお断りします」

 

「なんでだい? 万一、いや億が一攻撃を貰ったらどうするんだい? 下手したら痛みで動けなくなるかもしれないんだよ?」

 

 痛みがある·····そんな状況はディアベルには想像もつかない。本来SAOではキリトが言っていた様に痛みはない。もし痛みなんてあったら戦う人が少なくなる。あくまでもゲームをしに来たのであり誰も痛み何ぞ貰いたくない。因みにキリト達普通のプレイヤーが攻撃を貰った時は痛みではなく不快感が来る。

 

「大丈夫、食らったとしても少なくとも今ん所俺はそれ以上の痛みを知ってるからな。そんなんでいちいち戦えなくなるほど俺は弱いつもりは無い。それに·····」

 

 自分のせいで誰かが死ぬなんてごめんだ 

 

「それに?」

 

「いや、なんでもない。兎に角俺はあんたらと一緒にはいかない」

 

 光輝は元々コミュニケーション能力は高くない。煽りスキルはそれなりにあるがコミュニケーション能力は殆どない。元々そんなに話すという事が苦手だ。だから愛美が虐められている時に光輝のちゃんとした声を聞いたという人も割といる。そこからはよく学校でも愛美と話をする様になったから多少マシになったがマシと言うだけ。小2以降は学校で交わす会話は事務的なものばかり。今では告白してきた女の子に少し冷たすぎたかなと反省してる·····ってそういう事では無い。

 

「なら無理矢理でもやらせてもらうよ! キバオウさん!」

 

「わかってる! ディアベルはん!」

 

 そう言って2人は迫る。その速度はキバオウが早くディアベルはわざと遅くしている。先程はほぼ同時に攻撃していたが光輝は普通に避けたり逸らしたりしていた。なら少し遅れさせタイミングをずらし光輝が躱している所に攻撃をしようと思ったのだ。だが光輝は構えながらそれをあっさりと見抜き言う

 

「まあ、いいや。丁度いいから剣を使ってる時の弱点を教えてやる。それは……急な事に対応出来にくい事だ!」

 

 そういい俺は少し本気を出してスピードを上げキバオウさんの懐に入った。剣を振るおうとして剣は上にあるから迎撃が出来ず左の拳で腹パンし、そして中途半端な力で剣を振り下ろしてきたディアべルさんの手首を掴み止めた後少し軌道を逸らしながら自分側に引っ張り思いっきり足の膝をディアベルさんに当て脱落させた。そして残りはキリトとフードの人とヒースクリフさんだけとなった。そこで思い出す

 

「そう言えば俺キリトとは戦ったことなかったな」

 

 最初会った時は色々教えた後フレンド登録してそれぞれ別れた。しかしキリトは光輝の事を心配していた。年齢的な事もあるがトールバーナで聞いた光輝の噂のせいだ。光輝はチーターとか何とか証拠も何も無い噂ばかりがあったからだ。しかし今はきちんとチート説はほぼ消えその素の強さで今の攻略組の自信を打ち砕いている。だからこそ少し弱気な事を言う

 

「そうだな、でも正直勝てる気しないんだが」

 

 キリトも光輝が全員を相手にすると言った時割と怒りを抱いた。自分がめちゃくちゃ強いとは思ってはいないがそれでも時間をかけ培ってきたステータスとプレイヤースキルが通じないと言ってきた様なものだったからだ。だが今では分かる。光輝は本気で出来ると思ったからこのむちゃくちゃな決闘をしてきたのだと。ぶっちゃけもう勝てない事は悟ってしまっている

 

「じゃあ降参する?」

 

 しかしここで止めるのは攻略組としてでは無く男として廃れる。光輝と同じ剣のアニールブレードを構えながら言う。

 

「いや、やるだけやってみるさ。でも悪いが2対1でやらせてもらうよ。アスナ、という訳で手を組んでくれ」

 

「……分かった」

 

 そう言ってキリトとフードの人……アスナさんという人と走ってきた。最初に前に出 たのはアスナさんだ。ライトエフェクトが出てるからソードスキルだろう。そして―早い。ぶっちゃけこの中だったらNo.1だと思う。それにこのタイミングで使ったのも後ろにキリトがいるからだろう。だけどあの野郎の攻撃に比べれば遅い。飛んで躱しキリトとアスナさんの真ん中に着地した。そしてキリトが斬りかかってきたがその剣を手で止めた。完全に手を切られる前に止めたから痛みはそんなにない。

 

「なっ!?」

 

 まさか直接掴むとは思っていなかったキリトは唖然とした。笠木の時は下手したら自分のエネルギーを取られるからやらなかっただけである。ナイフを折る手段として最初は直接持ってぶち折るという案もあったが櫂と光定と相談した結果却下された。

 

「ちゃんと捕まってろよ!」

 

 そう言って光輝は腰を入れ力を入れる。そうするとアニールブレード事キリトが持ち上げられブンブン振り回され始める。その小さな身体のどこにそんな力があるんだよというキリトの心の叫びは無視し光輝はアニールブレードとキリトを思いっきりアスナの方に投げ飛ばした。そのキリトが突っ込んでくるスピードはやたらと早くキリトとアスナは思いっきり激突した。途中でアニールブレードは手から離れていたからアスナに剣のダメージは入っていないがその突進スピードも相まって

 

「ぐほっ!」

 

「きゃっ!」

 

 そう言ってお互いに激突しお互い体力が減って脱落した。ついでにその時にアスナさんのフードが取れた。ドアにいる脱落した組からどよめきが起きた。まあ確かに美人さんだもんな。……愛美も今は可愛くなってるのかなぁ……引っ越す前も凄く可愛かったもんなぁ·····。男の子の間で小一なのに凄い人気だったなぁ。

 そう思ったのも束の間俺はヒースクリフさんを見た。俺の様子見をずっとしてたしどっち道最後だから一応聞いとく。

 

「どうする? ヒースクリフさんもまだ戦う? するなら付き合うけど?」

 

 そう言って場はヒースクリフさんの返事を待つ。俺としてもこの人とは戦ってみたい。何か強者のオーラがあるからね。そう思ってたがその期待は裏切られた。盾をいきなり下ろしこう言った。

 

「いや、辞めておく。今の私では君には勝てなさそうだ。それにどうせ戦うなら君の全力と戦ってみたいしね」

 

 まじか、本気出してないのバレてた。まあ、遠回しに今度戦ってくれるって言ってるようなもんだし別にいいや! 

 

「ありゃ、そんなんですか。それは残念」

 

 そう言ったらヒースクリフさんは「リザイン」と言って降参した。そして俺はまだ負けて不貞腐れて地面に座っているキバオウさんを見た。

 

「それでキバオウさんから見て俺はチートしてるように見えましたか?」

 

 そう問うと沈黙になったあと返事をし始めた。

 

「……確かに自分は強い。ここにいる連中を退けた時点でそれは明白や。それに自分の今の状況は下手したらワイらよりも厳しい。攻撃に痛みが走るなんてな。おまけにあのアルゴの調べでも自分はチートなんかしてなかったらしいからな。今ん所は見逃したる」

 

 今は責める理由なんぞない。HPがあるか痛みがあるか、どちらが厳しいと聞かれたら分からない。しかしキバオウは後者だと思ったのだろう。光輝は取り敢えずお礼を言った。

 

「ありがとうございます」

 

 そうキバオウさんが言ったら不承不承な感じだが取り敢えず罵倒するぜみたいな空気は無くなった。次にディアベルさんに向く。

 

「取り敢えずディアベルさん。俺は約束通りこれからも1人で戦います。ここにいる連中のベータテスターへの恨みは多少無くなったかもしれませんがそれでもまだベータテスター達を憎んでる人達はいると思います」

 

 そう言ったらディアベルさんが何を言うんだ的な顔になっている。キリトはまさかって顔をしてる。でも実際この役目は俺が適任だろ。俺は別に武器だけを調達すればいいしライフゲージもないから所謂バッドステータスもない。まあ毒やら食らったら気分は悪くなるが戦えないほどじゃない。そしてこの世界の中じゃ俺は出鱈目に強い。そして何より今のこの世界には俺の元々の知り合いなんていないから誰も困らない。俺が我慢すれば良いだけだ。くだらない事でこのメンバーを衰退させる訳にはいかない。だから

 

「どう書いてもいいから俺がベータテスト出身の悪い奴みたいな事を広めてくれ」

 

「な、何を言い出すんだ!」

 

「どっち道そんな役は必要だ。あんたらの話を聞く限り正規版で新しく始めた人達の全員とは言わないがかなりの人数がベータテスターを恨んでるはずだ。だったらそんな奴らのはけ口がいる。そしてそれは俺が適任だ。俺をベータテスターの中で最も悪い奴って適当に広めてくれたら今のベータテスターが可愛く思えてくるだろ。そして普通のプレイヤーとベータテスターが手を組みやすくなる。そしたらこの世界のてっぺんにも行きやすくなるはずだ」

 

 光輝は自分が行けたら良いとは思ってはいるが自分とは別に頂上を目指す人が増えるのであればそれで良いと思っている。だがプレイヤー同士がぶつかったら意味が無い。だからそのターゲットを出来るだけ自分に集中させる。

 

「し、しかし! 君はベータテスターでもなんでもないんだろ?」

 

 光輝が言っていることはベータテスターという事が第1条件だ。だが光輝は知らない間にここにいただけでありベータテスター何かでは無い。しかし光輝はこう返す

 

「ああ、でもそう言った方が手っ取り早いし誰も全ベータテスターなんて知らないだろ」

 

 そりゃそうだ。知らないからこそキバオウやディアベルは光輝に聞いたのであり知っていたらそんな事を言う必要なんてない。

 

「しかし……」

 

「別に俺がそうなった所で誰も困らん。そう言えば俺とあんたらの勝負で俺だけ何も賭けてなかったな。じゃあその勝ったぶんでそういう事にしておいてくれ」

 

 そう言ってディアベルさんは沈黙した。自分でも酷な事言ってるのはわかってる。この人は優しいが故に言いたくないんだろう。でも世界はそんな甘ったれた事では回らない。そう思ってたら事態は動いた。

 

「やらせったたら良いんとちゃうかディアベルはん」

 

「キバオウさん!」

 

 全く関係の無い光輝にそんなアインクラッド史上最も辛い事をさせるのはディアベルには出来ない。それが自分を庇う事だから余計にだ。いい大人達が自分達よりも年下の少年がいないと秩序を保てないのも悔しくやらせたくないのもある。しかしキバオウは

 

「こいつが自分で言うてるんや。それもそれ相応の覚悟でな。それにワイらは敗者や。敗者が何言うても変わらん」

 

「そう言う事です。ディアベルさん。さっきも言ったがこの役は絶対に必要になる。それを早めるだけの事。それに実力の面から見れば間違いなく本当の事だと信用されるだろ」

 

 光輝が攻略組に喧嘩をふっかけたのはこの為だ。自分の実力証明もあったがその証明によってその役に相応しい力を持っていると錯覚させる為の喧嘩だったのだ。光輝は階段にまで行って

 

 俺は上に登ろうと歩き出したが、途中で思い出した事がありキリトの所に行く。そしてメニューからラストアタックボーナスの《コートオブミッドナイト》を取り出してキリトに渡す。

 

「あげる」

 

「え、お、おい。これはラストアタックボーナスなんじゃないのか?」

 

 キリトは光輝の予想通りベータテスターだ。だからイルファング・ザ・コボルドロードのラストアタックボーナスも知っている。だからこその反応だ。光輝はそれを聞きながらもしれっと言う

 

「うんそうだよ」

 

「いやいや、じゃあ貰えないよ!」

 

 ラストアタックボーナスはそれはもう色々苦労して漸く取れる位大変な運もいるボーナスだ。光輝みたいにソロでやれば確実に貰えるがSAOでそれは命を捨てるのも同義だ。光輝はって? ·····まあまあ、気にしたら終わり。

 

「いーよ別に。俺にはいらないし、キリトにはこの世界の事を色々教えてもらったしね。そのお礼って事で」

 

 確かに光輝はステータス無いし服も一応変えられるが光輝はこの道着が1番好きだからあんまり変えたくない。それから黒はそんなにというのもある。

 

「で、でも……」

 

 しかしキリトはそのラストアタックボーナスの苦労を知っているが故に躊躇う。それを感じた光輝は無理矢理理由を付けた

 

「うーん、じゃああの胚珠と後出し交換って事で。じゃあな」

 

 そう言ってキリトに押し付ける。交換作業はやってはいないが1時間経てば勝手にキリトの物になるから良いだろう。

 

 キリトに別れを言って俺は第1層のボス部屋を後にするのだった。

 

 




お疲れさまです (*´∀`)♪
偶に2年の間の光輝の様子を書いていくスタイル。(*´∇`)ノ ではでは~


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語りと助け 改

加筆修正三┏( ^o^)┛


 SAO 標準時刻 2023年 6月12日

 

 俺はこの日、剣の強化素材を集めに現在の最前線から少し離れて第27層の迷宮区にいた。あれからあの集まり……通称「攻略組」と俺はフロアボス戦とボス戦は早い者勝ちという事にした。

 まあ向こうは心底嫌そうだったけどな。だって俺はボスの情報を得るためのクエストしてないから俺の方が早くなっちゃうし。

 

 ボス攻略クエスト……正規版から追加されたクエストだ。これの何が重要なのかと言うと例えば、光輝が倒した第1層のイルファング・ザ・コボルドロードはベータテストの時、体力がラスト1本の赤色になった時、それまで使っていた盾と斧を放り投げ曲刀のタルワールに持ち変える筈だったのだ。

 しかし光輝が倒した正規版のコボルドロードはタルワールではなく当時のプレイヤーには使えない「刀」に変更になっていた。

 HPが0になる事は現実の”死”。普通のゲームならば「変更とか聞いてねーし」とか笑い話に出来るが今のSAOでは洒落にならない。

 しかし決して変更点が分からない訳では無い。それが件のボス攻略のクエストだ。第1層の何処かにそのクエストがある。クエストをクリアすればそのフロアのボスの情報をくれるのだ。

 だが第1層の時、全員がベータテストの情報を悪く言えば鵜呑みにしそんなクエストがあるのを知らずにボス戦に向かおうとした。そこで光輝とコボルドロードの戦いを目の当たりにしベータテストと情報が違う事に気がついた。

 事実、第1層の光輝と攻略組の喧嘩の後にアルゴがフィールドを駆け回った時にそのボス攻略クエストを発見した。

 だからそれ以降はボス攻略の為にそのクエストをクリアを普通のプレイヤーならばする必要がある。だが光輝は色んな意味で普通では無いのでやってない。と言うより面倒臭いと思っている。

 

 まあだから俺は攻略組の指揮を高める意味でもディアベルさんやらヒースクリフさんと相談して偶に意図的にボス戦を譲っている。しかしその時に未だに勧誘してくるし。あんたら俺の通り名知ってるくせに、そんなんやったらあんたらのギルドが内部崩壊するがな。

 でも第25層───クォーターボスの時は危うく死者を出す所だったな。あの時キリトが偵察戦も少しガチメンバーで行かないかって言わなかったら危なかったかもしれない。

 

 偵察戦……光輝は意識はあんまりしていないがボスには基本的に攻撃パターンが存在する。文字通りボスが振るう攻撃の方向や威力、範囲等も基本的に同じ行動をするのだ。そして当たり前だがそれらは知っていれば居るほど避けるなりガード出来る。

 偵察戦とはその攻撃パターンを探る為に行われるものだ。ボス攻略クエストもそうだが”想定外”等あってはならないのだ。想定外のせいであの世行きなんて誰も嫌だろう。しかしその想定外が起こったのだ。

 

 そして何度か偵察した後、ガチメンバーで行ったが結構早い段階で逃げる人が多かったらしい。コボルドロードの様に武器が変わったのだ。……何か手が生えてきてその手に色んな武器を持って攻撃してきたんだと。偵察戦では基本深追いはしない。そもそも偵察戦で倒せるならば苦労しない。そしてその深追いの所にその攻撃パターン変更があったんだ。

 だから一旦ガチメンバーも安全を鑑みて全員退いた。因みにその時に大活躍したのはあの学者さんっぽいヒースクリフさん。

 ヒースクリフさんの装備は割とデカ目の盾と片手剣だ。盾でガードしつつ反撃のスタイルをとっている。撤退の時にはヒースクリフさんが全員撤退するまで1人でボスの攻撃を受け止めたのだとか。その時に感じる恐怖は俺には分からない。

 まあ俺は有言実行で全然攻撃を喰らわないからその恐ろしさはあまり分かってないだけかもしれないが。

 

 拳銃やフルパワーの笠木のスピードを蒼眼によって慣れてしまった光輝からすれば今の所どのボスも遅い。そしてスピードが早くとも今の所体は追いつける。

 

「ふう、素材はこれぐらいでいいかな?」

 

 そう俺は額を拭いながら……汗なんてないけど気分的に言った。というか俺もゲーム脳になってきたのは気の所為だろうか? ゲームは愛美がしているのを隣で見てたぐらいだけど。

 第25層では俺は攻略組に譲る予定だったが攻略組からSOSを要請された。ディアベルさん曰く確かに攻略は出来るかもしれないが恐らく深く入りすぎたら死人が出る。そう言われたが俺はあまり気は乗らなかった。

 俺のミスで誰かが死んだら……そんな事を考え初めは断ろうとした。1人で戦う方が俺のミスは俺の”死”だけでいい。笠木の時は愛美や櫂さん達の命もあったから.はっきり言うのなら怖かった。だけど……それ以上に愛美達が死ぬのが嫌だった。あんな思いするのは俺だけで十分。愛美や咲良には普通に小学校卒業して中学行って高校行って……。……生きて帰るって約束を破ってここにいる俺にはそんな事を言う資格はないか。

 

 閑話休題

 

 だけど向こうのしつこいぐらいのSOSに折れた。代わりに条件出したが。俺は取り敢えず攻撃にしか行かず他の面子のリカバリーはしない。俺はずっと攻撃に行きそしてそのせいで誰かが死んでも俺は責任を持たないといった。そして俺はパーティーを組まないとも。

 それで向こうはOKし俺はボス戦に向かった。まあ確かに今までよりかは強かったな手数も結構あったし色んな武器を使ってくるのは聞いていてもちょっとびっくりした。

 それでも俺は攻撃は最大の防御というふうに攻めまくりラストアタックボーナスを頂いた。まあ不満気な声もあったがディアベルさん達が宥めてくれて静まった。ありがとう皆。

 そしてそこからのボス戦は何時も通りに戻った。まあ向こうはこの機会に乗じてどこかのギルドに入れたそうにしてたが華麗にスルーした。

 

 ギルド……要は組織の事だ。自分気の合った仲間達と組んだり、光輝と共に戦った攻略組の4分の3以上は攻略ギルドに入っている。それ以外は光輝の様に1人のソロが殆どだ。攻略ギルドだけでは無く商業ギルド等もある。

 

 ここでギルドを紹介しよう。

 

 まずディアベルさん率いる《青龍騎士団(Blue Dragon of Knights)》でKBDだ。ここにはディアベルさんの他にキバオウさんにリンドという人が所属している。攻略組の中で人数は1番多いここは2つに別れている。この3人が率いてる《攻略隊》と俺は会ったことはないがシンカーって人が主導してる《後衛組》だ。

 後衛組は始まりの街にいる怖くて戦えない人やレーティングギリギリの子供達を保護している。そしてその街にいる戦う勇気を持った人達を支援している。あと相談窓口的なやつがあってそこが意外に人気らしい。まあ弱音を吐けるのはいい事だ·····人の事言えねぇな。

 

 そして小規模だが人のいい侍おじさんギルド、クライン率いる《風林火山》。このギルドは少数だけど今ん所はボス戦での死者は出てないらしい。俺も25層の時に会ったが良い人だったな。ぶっちゃけ個人的にギルドに入るならここがいい。まあ入らないけど。でもキリトはよくこことつるんでる。

 

 

 そして最後にヒースクリフさん率いる《血盟騎士団(Blood of Knights)》でKOBだ。ここにはアスナさんも所属してるというか目の前で25層のボス戦が終わった時に勧誘されてた。そしてキリトもその背を押してアスナさんは入った。攻略第1に考えてるギルドでそれに恥じない精鋭が多い。強さの密度ならNo.1だ。

 

 そして……最後にギルドではないが殆どソロプレイの《ビーター》の俺。このビーターって言うのはチーターとベータテスターの言葉を混ぜたらしい。最初聞いた時は何か苦そうと思った。

 それでもこのあだ名で呼ぶ人は何にも知らない人達が多いしそれも含めてもそんなに言われない。だって俺街にはあんまり行かなくなっちゃったもんな。料理スキルなる物とって朝昼晩のご飯はそれで料理してるし材料もモンスター ─皆に言わせればmobらしい─から手に得れられる物しか使ってないし、皆がよく使ってるポーションやら結晶も俺は宝箱やらからゲットしてるし、なんなら転移結晶以外いらないし。だから俺をそう呼ぶのは迷宮区ですれ違う新参者くらいだ。まあ、それでももし次に会った時には何故か謝られたけど。何でだ? 

 

 実情はその事を話した新参者にディアベルが優しくそうなる事になった真実を話したりしたのだ。それで謝ったりしたのだ。しかしそれでもビーターと毛嫌いする人はいるが光輝は気にしていない。小学校の時と変わらないからだ。·····精神的に徐々に擦れていっているが。

 考えてみれば当たり前だ。確かに学校では大概1人だったが家に帰れば楓や咲良、櫂がいた。しかしこのアインクラッドでは光輝を知っている人間はいない。光輝にとっても全くの未知の世界。光輝はそれでビーターがやりやすいと強がってはいるが小学三年生にそれを我慢しろなんて土台無理な話だ。

 

 何故か謝られた時の事を思い出してたら何か嬉々とした声が聞こえた。曰く隠し扉でしかもその中に宝箱があるんだとさ。しかしそれを取ろうとする側と罠だと言い張る側で別れてるらしい。というか止めてるやつの声聞き覚えあるなと思ってひょこっと覗いて見たらキリトだった。貴方何やってんねん。というか何かギルドマークついてるし。キリト最後見た時は俺と同じソロだったのに。とうとうぼっちは俺だけか。·····まあ良いんだけど。

 

 そう強がる光輝だが状況は動く。

 

 どうやら結局入る事になったらしい。でもこの層は罠が多い事で有名だからお節介だが俺もついてこっと思ったら皆入った瞬間に閉まり始めたからやっぱり罠じゃん! と思いながら全力ダッシュしギリギリ部屋に入れた。キリトの目がぱちくりしてる。面白い。

 そう思ってたらもう感動するくらい出るわ出るわモンスターがめちゃ出てきた。嫌ここまで来たら本当に感動する。普通のゲームならストレス発散には良いかもしれない。·····何回も言うけどゲームしてる自覚はない。

 

「光輝! お前なんでここに!?」

 

 光輝は基本最前線にいる事が多い。キリトもその口だが今は訳あってこの階層にいた。光輝はキリトの問に叫びながら返す

 

「剣の素材を取りに来たんだよ! ってそんなのは今はどうでもいい! そこの奴らは戦えるのか? YESかNOで答えろ!」

 

 キリトが最前線から離れたここにギルドマークを持った人達といる事自体は分かるっちゃ分かる。キリトだって人肌が恋しくなる事はあるだろう。何でこの人達といるのかは知らないが見て見ぬふりするのは俺には出来なかった。それからキリトがこの階層の奴に負けるとは思ってはいないが後ろの奴らに関しては別問題だ。ちらりと見てみると震えてるし。だからこその問でキリトは即答した

 

「NO!」

 

「分かった。俺がこいつらを守っとくから遠慮なくやっとけ!」

 

 光輝もキリトに混ざってバッタバッタ倒しに行っても良いのだが……後ろの奴ら……月夜の黒猫団の面々が戦えるのならそうするつもりだった。しかし戦えないのなら別問題。この光輝曰く感動的に出まくっているモンスターの山に戦えない奴らをほっておいて戦いに行くのはナンセンス。戦えない月夜の黒猫団が壊滅するのがオチだ。だから光輝は黒猫団のボディーガードだ。

 

「光輝……、ありがとう」

 

 そう言ってからのキリトはもうモンスターをバッタバッタ倒して行った。何か見たことも無い技も使ってたな。片手剣の新しいソードスキルかな。今度教えて貰お。

 と思ってたらキリトがやり損なった奴が来たから真一文字に斬った。そんなこんなで敵は全滅。後ろの人達は全員無事でしたとさ。そしたらさっきまでぜえぜえ言ってたキリトがこっちに来た。

 

「光輝……、ありがとな」

 

「どういたしまして」

 

 そう言って俺は後ろにいる組に顔を向けた。

 

「で? あんたら何か弁解あるか?」

 

 下手すれば攻略組の重要な戦力のキリトを失う所だったのだ。言っては悪いが今会ったばかりの黒猫団よりもキリトの方が光輝からすれば大事だ。だからこその厳しい問だ。

 

「光輝……、後は俺に任せてくれないか?」

 

 そうキリトが何か決意した顔で言ってきた。俺は1つため息をついて言う

 

「はぁ……、今回はキリトに免じといてやる。じゃあなキリト。またどこかで」

 

「ああ」

 

 そう言って俺はその部屋を後にした。

 

 

 ★★★★★

 

 

 後の第2クォーターボス戦にて俺は今度は最初から手を組まないかと誘われ前と同じ条件でOKしボス戦に赴いた。そこにいたのはあのギルドマークを持ったキリトだった。

 ボス戦が始まる前にキリトに聞いた所、初めは抜けようと思って自分の偽ってたレベルと元ベータテスターって事を教えたらしい。

 そして抜けようとしたがリーダーを含む全員に止められたらしい。死の恐怖を味わったあのギルド……《月夜の黒猫団》は今も攻略組を目指しているのだとか。だがキリト曰く目付きは変わったらしい。あれなら大丈夫だろうと。そしてあの時後ろで特に怯えていた女の子は凄く気が強くなりひと味もふた味も見違えるようになった。だけどまだ最前線には行けないレベルだから月夜の黒猫団はキリトに先に最前線で待っててくれと言ったらしい。

 

 

 そして暗い顔が無くなり清々しい顔になったキリトによって第50層……第2クォーターボスは打ち倒された。




SAO初めてでいきなり月夜の黒猫団何て分からねえしという方用

月夜の黒猫団→原作2巻に登場。高校の部活仲間で皆でSAO買ってLETS冒険!何て思ってた矢先にデスゲーム化。団員はキリトを除いて5人。
キリトが入った経緯はキリトがたまたま低層で危なげだった黒猫団の面々を助けてそれをきっかけにキリトは黒猫団に入った。ただし自分のかけ離れたレベルとベータテスターと言う事は隠した。あくまでも黒猫団レベルだと思わせていた。
原作では光輝達が入った感動的に出るモンスター部屋は結晶無効化空間となっていて(本作も一応そうですが光輝結晶使わないし試した後に光輝が入って来たので光輝は知らない。)キリト1人では黒猫団を守れず全滅。
光輝飛び入り参加で全員生存。


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絶望の夢と光の出会い 改

加筆修正。
6000文字位追加。


 

「お姉ちゃん!」

 

 小学1年生の光輝が駆け出し1人の女性に飛びつく。女性は光輝を愛おしそうにキャッチし抱擁する。普段学校では見せないとびきりの笑顔の光輝が女性も·····姉も好きなのだ。

 歳は10歳も離れているがそれを気にした事は無い。光輝が愛美を連れて来た時は光輝の未来のガールフレンドになりそうな愛美にもお姉さんと言って貰えていた事は嬉しかった。

 姉の顔立ちは何やら外国の……それもロシアと日本人が混ざった様な顔だが姉自身はれっきとした日本人だ。

 

「こーら、走っちゃダメでしょ?」

 

「えへへ」

 

 そこにいる光輝は笑って姉に抱きつきながら周りを見る。周りでは父が新聞を読み母はキッチンで料理、祖父は最近になってやり始めた読書、祖母は裁縫をして一目で幸せな家族と分かる光景がそこにある。

 この光景は光輝にとっては当たり前でこれからも続くだろうと思っていた。

 光輝はそこで姉から声がかからない事に気が付き姉を見る為に上を向いた。そこにいた姉は光輝から離れていきその顔は寂しさと罪悪感がある。何故そんな顔になるのか光輝は分からない。

 そしてよく周りを見たら先程まで新聞やら料理やら読書やら裁縫をしていた筈の両親と祖父母が姉と同じ表情で立っていた。そんな今まで向けられていた事がない表情に光輝は思わず1歩下がった。

 

「あれ……なんで?」

 

 光輝はそこで先程まで小一で私服だった筈なのに今は小三の体になり道着を着ている事に気がついた。そしてその場から1歩も動けなくなった。

 

「なんで!?」

 

 光輝は思わずそう叫ぶが1歩も言う事を聞いてくれない。

 そうこうしている内に祖父が言った

 

「光輝、すまんな」

 

「·····え?」

 

 謝られる理由が分からない。

 そして家族は口々に光輝に謝りながら遠ざかっていく

 

「待って·····待ってよ」

 

 光輝は手を伸ばし追いかけようとするが足がどうしようもない程動かない。

 

「動いてよ! 動け!」

 

 そう涙を見せ叫ぶ。だが光輝の想いとは裏腹に全く動かない。家族はとうとう光輝から見えなくなり光輝は抵抗をやめた·····やめるしか無かった。これ以上抵抗したら余計に辛くなると分かってるから

 そんな光輝の前に映像が出てくる

 両親、そして祖母が笠木に殺され祖父が立ち向かったが敗北、その後姉も·····

 

「あっ……あ·····う……やめて……やめてよ」

 

 光輝は膝を付き頭を抱える。そんな光輝の頭にあの声が聞こえる

 

「ヒヒヒ、君が僕の邪魔をしたのが悪いんだ! 恨むなら自分を恨むんだね!」

 

 その声と光輝の叫びが真っ暗な空間でこだましたのだった

 

 

 ★★★★★

 

 

「はっ!」

 

 そう言って俺は安全地帯の床から飛び起きた。

 

 迷宮区には安全地帯と呼ばれる休憩所みたいな所がある。休憩所と言っても地べたでありふかふかな布団何て無い。

 プレイヤーはここで休憩したりご飯を食べたりする。ついでに言うなら光輝にとっては臨時のホテルみたいなものだ。光輝はあんまり主街区の宿泊施設には行かない。主街区に行くのも武器の点検とかその辺だけだ。

 光輝が宿泊施設に泊まらないのは単純に面倒くさいと思っているのと攻略組の面々と余り顔を合わせたくないからだ。特に最前線の宿泊施設には攻略組がよくいるのでそれも相まって面倒くさいのだ。

 マイホームと言う手もあるが光輝のマイホームのイメージが大人が買うみたいなイメージなので自分みたいな子供が買うと言うイメージが湧かない。それからコルが高い。そして·····自分と住んでくれる大切な人達がいない

 飛び起きた光輝は呼吸を整え……涙ぐみながらぽつんと言った

 

「み……んな。ねえ……ちゃん」

 

 思い出される皆の事。俺のせいで死んで言った皆の事。俺がもっともっと強かったら死なせないですんだ皆の事

 

 後悔先に立たず、確かにそうだが今の光輝にはそんな事を考える余裕なんて無かった。ここ数日何回も同じ様な夢を見る。見る度に光輝の精神がすり減りとことん気持ちが落ちていく。

 そんな光輝1人で暗い雰囲気になっていた安全地帯に誰かが入って来た。光輝は目線だけ向ける

 

 

「おお! 光輝じゃないか! 第50層の時ぶりだな!」

 

 そう言って入ってきたのはクライン率いる風林火山の面子だった。

 

 クラインはキリト曰く悪趣味な赤いバンダナを巻いているおじさんである。

 キリトがSAOで初めて交流した人でもある。その時クラインはキリトから基本的な戦闘をレクチャーしてもらっていた。そしてその技術は今でも役に立っている。

 クラインはデスゲーム宣言後、キリトと別れリアルの仲間達と合流、風林火山と言うギルドを作り攻略組を目指した。

 

 クラインは直ぐに訝しげな視線になった。何でだと思ったら聞いてきた。

 

「光輝……、おめえ泣いてたのか?」

 

「えっ?」

 

 

 

 そう言って俺は自分の目の辺りを触ったら確かに濡れてた。

 

 何回も見るあの夢のせいで光輝は自分でも知らない内に大分追い詰められている。それをモンスター達に八つ当たりして目を背けて一時的に平常に戻るだけで休憩していたら元に戻るのは道理。

 

 俺は悟らせたくないから目元を拭いながら強がった。

 

「な、何でもない!」

 

 だがそんな子供の強がり何て光輝よりも何年も生きてきたクラインにはバレバレだ。クラインは光輝に近寄りしゃがみながら言った。

 

「いや、なんでもない事はないだろう。お兄さんに話してみな」

 

 お兄さんと言う年齢は過ぎているような気もするが光輝にそんな事を突っ込む余裕は無い。それどころかその優しさが逆に光輝を追い詰める。

 皆優しいからこそ自分1人で迷惑をかけたくない。きっと言ったら皆気分悪くなる。

 だから自分は1人で戦い攻略組の誰かが死ぬ所何て見たくなくて·····

 自分が我慢すればいい。この世界には家族なんていないのだから

 

「何でもないって言ってるだろ!」

 

 そう思わず叫ぶ。クラインはその声に思わず立ち上がっていた。俺は剣を背負い直し安全地帯を出ようとしたが止められた。特に先程の叫びを気にせず

 

「おい、俺らと一緒に行かないか? この先に行くんだろ?」

 

 普通のゲームなら1人で行ったって全く問題は無い。だが今はデスゲーム、死んだらそこでゲームも現実も終わり。

 今のアインクラッドでは大人数で攻略に行くのが普通だ。それこそクラインみたいにギルドを作るとか。キリトだって現状ソロだが帰る場所として月夜の黒猫団がいる。だが光輝にはそんなものは無い。光輝の居場所何て……どこにも無い·····と本人は思っている

 

 俺は立ち止まって振り向かず答えた。

 

「……別にいい。この先にはボス部屋しかないからそこのボスに殴り込みに行くだけだから」

 

 デスゲーム下では確実に馬鹿な言葉にクラインは思わず叫び返す

 

「いやいや、危ねぇだろ!」 

 

「別に。何時もやってる事をやるだけだ」

 

 光輝は事実を言ってるだけだ。今の所アインクラッドは全部で53層まで攻略されている。その半分は光輝が単独で攻略した。残り半分は攻略組、或いはクォーターボスの時に光輝と攻略組が手を組んだ時のものだ。

 だから何時もやっている事と言うのは本当だ。自分だけ挑んで負けたら自分が死ぬだけでいい。

 

(どうせ俺を待っている人なんていない)

 

 そう心で続ける。この世界が未来なのならば自分はとっくに忘れ去られ皆笠木と光輝の事なんて人外同士の喧嘩とでも思っているだろう。

 櫂一家や愛美がいたとしてもそれはもう光輝が知っている人達では無い。だから自分を犠牲に出来る。誰も自分何か必要としていないから

 今攻略をしているのだって1割はもしかしたら元の時代に帰れるかもしれないと密かに希望している事、残り9割はこの世界で得体の知れない自分に親切にしてくれた人達を元の世界に返す為だ。

 だが今に関してはもう嫌な現実に目を背ける為の攻略でもある。

 しかしクラインはそんな事は知らないし推し量る事も出来ないのか自分よりも年下の光輝を1人で行かせることに良心が痛むのか

 

「で、でもよう……」

 

 何かを言おうとしたクラインの声を……その優しく心配してくれる声を光輝は聞きたくなくて

 

「もううるさいな! ほっといてくれ!」

 

 そう迷宮区に響く声で叫び俺は制止の声も聞かずボス部屋に向かった。

 

 

 

 ★★★★★

 

 

 光輝が出て行ってから俺達は腹ごしらえして直ぐに後を追った。光輝の様子は普通じゃなかったからな。幸いギルドメンバーも気のいい奴らばかりで直ぐにOKを貰った。

 そしてmobは光輝の奴が先に片付けて置いたのか少なかったおかげで俺達は結構早くボス部屋についた。ボス部屋は戦闘中は基本開いていて俺達は入り口の所から中を見た

 そして見たものは光輝が吹き飛ばされて壁に叩きつけられていた所だった。血の気が引いた。あいつは痛みがあるんだぞ!? それをあんな勢で叩きつけられたらたまったもんじゃない。ボスは鳥型で多分突風攻撃でもしたんだろう。俺は光輝に駆け寄って退避させようとしたが

 

「邪魔するな!」

 

 そう言われあのクォーターボスでさえこんなに危機迫った感じはしなかったのに今は何かを恐れて戦ってる感じがする。そして俺の返事を待たず駆け出した。俺達も行こうと思った矢先に後ろから足音がして来た。来たのはディアベル達だった。

 

 ディアベル達はクライン達が安全地帯を出たのとほぼ同時に安全地帯に入りクライン達が焦った感じで先に向かったのを見て直ぐに追いかけてきたのだ。ディアベルは光輝が鳥型……グリフォン系のボスと戦っているのを見ながら聞いた

 

「クラインさん! これは一体どうしたんですか!?」

 

「光輝がボス部屋に1人で入った!」

 

 そう言って俺達はボスの鳥を見た。体力は半分にまで削られている。あいつ一体何レベなんだよ! と思った。

 

 光輝の事情は攻略組の中ではほぼ全員に知られている。レベルと武器の性能と威力で相手へのダメージが決まる事等。クライン達がここに来るまで30分程かかった。光輝と別れてからなら45分程だ。光輝が全力ダッシュしてボス部屋に突撃したのなら恐らく20分程かかりそこから逆算して25分位殴りあっていたはずだ。それも空を飛んで攻撃を当てにくい鳥型にだ。だからこそ思ったのだ

 

 光輝が一旦下がってくる。ディアベルは思わず前に出て言った

 

「光輝さん! 俺達も手つだ……」

 

 そしたら俺たちの目の前にピックが投げられてきた。それを投げてきたのは当たり前だが光輝だった。そして今まで見せた事の無い冷徹な瞳で言ってきた。

 

「邪魔するなと言ったはずだ。それに今回の層は元々早い者勝ちだ」

 

「でもよう光輝。あのボスは人数が多い方がいいんじゃねぇか?」

 

 鳥型を倒す基本は羽を折り飛べなくしてフルアタックが鉄板。その為には大人数が良いのは必然。だが光輝はボスに向いて答える

 

「例えそうだとしても俺は1人でやる」

 

「ちょ、おい! 光輝!」

 

 

 

 そう言って光輝は走り出しボスの羽にある針を飛ばす攻撃を躱したり剣でたたき落としたりしながらどんどんボスに近づきそして飛んだ。

 光輝はピックを一つ投げてボスの目に命中させ視界を奪った隙にボスの上に乗り剣を突き立てた。

 ボスは叫んで光輝を振り落とそうとしてるみてぇだが光輝は全く落ちる様子はない。空で暴れているから俺達は手を出せずあいつの無事を祈った。そしてみるみるうちにボスの体力が無くなりポリゴンとなり消え光輝が落ちてきた。そして着地……出来なかった。

 

「がハッ!」

 

 そう言って背中から落ちた。ただのそれだけでもコンクリートに落ちた時の痛みの筈なのだ。俺は心配で近寄った

 

「お、おい。大丈夫か光輝?」

 

 駆け寄りながら俺は手を差し出したが光輝はそれを取らずに立った。やっぱり変だ。少なくとも俺の知ってる光輝はこんなに冷たい感じはしなかったはずだ、今はどこか別人に見える。俺は前から思っていた事を聞いた。

 

「お前は何で1人になりたがる! 皆と一緒に戦えばもっと楽に勝てるだろ!」

 

 MMOは元々大人数VSボスが普通だ。1人で挑むのもチャレンジでするのは良いがデスゲームでするのは普通に自殺行為だ。その自殺行為を普通に切り抜けているあたり光輝は頭おかしいが光輝からすればもう普通だ。

 そして光輝は

 

「…………言いたことはそれだけか?」

 

「なっ!?」

 

 唖然とする俺らを置いて光輝は次の層に登って行った。

 

 

 ★★★★★

 翌日 第50層主街区 アルゲード 

 

「……俺のせいで誰かを死なす訳にはいかないんだ。俺のせいで……」

 

 そう光輝はぶつぶつ言う。脳裏には最早人なのかすら分からなくなった家族の死体、血だらけの祖父がある

 

 今俺は溜まりに溜まってしまったポーションを売るためにあのスキンヘッド……名前をエギルという人の所に行くために第50層の主街区アルゲードにいる。

 でも迷子になった。道が入り組みすぎてわからなくなった。そう思ってブラブラしながら探しながら俺は昨日の事を考えてた。

 ……冷たく当たっちゃった。もう嫌われてるだろうな。味方を自分から遠ざけてもう自分が嫌になる。·····馬鹿だな俺。この世界に味方なんていないのに……

 

 そんな思考を周りを見ないでしていたら当たり前だが人に当たる可能性がある。

 それは今の光輝も例外では無く角を曲がった所で思いっきりぶつかった。

 

「きゃっ!」

 

「いて!」

 

 俺は小学三年生の時の身長だから相手がそれなりに大きかったら不意打ちでぶつかった時は俺が弾かれる。

 それも主街区の中だったので完全に油断していた。

 

「いてて」

 

「ごめんね、僕。大丈夫?」

 

 完全に対応が小さい子にするそれだが光輝は答える余裕も無かった。相手は光輝を立たせる為に手を差し出した

 

 俺は差し出された手を反射的に掴み立ち上がりお礼を言いながら立とうとした。立つ所までは出来た。だけど·····相手の顔を見た時……頭が意味分からなくなった

 

「おねえ……ちゃん」

 

「へ?」

 

 姉に顔がそっくりだった。声も凄く似ていた。というか多分声質は同じだ。

 髪の色は違うが姉にそっくりだった。でも服装も姉が好きな物とは違った。この人の服装はどちらかというと1度秋葉原に行ったことがあるがそこにいたメイドさんの格好に似ている。取り敢えず·····間違った事を謝っとく。

 赤の他人を死んだ姉に重ねるなんて最低だ

 

「ご、ごめんなさい! いきなり間違えて」

 

 確かに見知らぬ子供がいきなりお姉ちゃん何て言ってきたら誰でも驚く。相手の女性も例外では無く普通に変な声が出た。

 女性は少し気になったが返した

 

「あ、ウンウン。大丈夫だよ。所で大丈夫? 泣いてる見たいだけど?」

 

 そう心配している顔で覗いてくる。見れば見る程姉と何もかもそっくりで·····だからこそそんな事言われたら否定したく

 

「えっ? な、泣いてなんか」

 

「うそ。ほら」

 

「あっちょ」

 

 そう言われてその人の指が俺の目の辺りにいき1回押し当ててまた見せてきた。無意識に姉を思い出して泣いたらしい。俺ってばこんなに泣き虫だっけ? 

 俺はもう何が何だかわからなくなって夢中で謝った

 

「ご、ごめんなさい」

 

 だが女性は別に謝られるような事でも無いし子供が泣いているのを我慢している方が見ているのが辛くて

 

「もう、何謝ってるの? 泣きたい時は泣けばいいんだよ」

 

「俺は別に泣いてなんか……」

 

 そう強がっている子供に何を言っても無駄なので女性は光輝を観察しながら聞いた

 

「ふーん。所で僕。何か探し物? さっきもブラブラしてたよね?」

 

 光輝は今日永遠と迷子になっている。アルゲードには来なさすぎて分からなくなっているのだ。そんな様子を女性も見ていてそれを覚えていたのだろう。

 

 俺は本当は目的なんか言わなくてもいい筈何だ。だけど·····別人だとしても姉と同じ顔と同じ声で聞かれて……抵抗出来なかった

 

「え、えと。エギルって人の店に行きたいけど迷子になっちゃって」

 

 それを聞いた女性は

 

「あー、エギルさんね。私も今から行くから一緒に行く?」

 

 そう言われ魅力的な意見だから素直に頷いた。永遠と迷子になっているのも少し疲れた。エギルさんにメールを送って場所を教えてもらう事も考えたがお店だから忙しいだろうから遠慮していた。·····姉と似たこの人と一緒にいたい訳では無い

 そんな事を思っていたらいきなり手を繋がれた

 

「え、えと。その」

 

「ふふっ、迷子にならないように、ね」

 

 アルゲードは人も多い。光輝も迷子になったのは半分は人の波に流されたのもある。だから手を繋ぐのは間違っていないと光輝は自分に言い聞かせた。

 

「は、はい」

 

 そう言われ俺は手を引かれながら歩いた。凄い周りから見られてるけども。このお姉さんは何処吹く風というように華麗にスルーしている。そして俺は無言を突き通し着いた

 

「ここだよ」

 

 そう言ってお姉さんは手を繋いだままドアを開けた。中にいたのはチョコレート色のスキンヘッドのおじさんだ。この人がエギルさんだ。エギルさんはお姉さんを見た

 

「いらっしゃい、レインと……」

 

 そう言って家主は俺を見て目をぱちくりさせてる。そして割と直ぐに復活した。

 

「光輝じゃないか! 何だ、やっと来てくれたのか!」

 

「エギルさんお知り合いなんですか?」

 

 そうお姉さんが聞いた。エギルは頷いた後、あれ? と言う顔でレインに言った

 

「ああ、というかレイン。お前気が付かなかったのか?」

 

 そう言われてからお姉さんは俺の事をじっと見てきて今思い出したように答える。というか俺はカーソルやらないから普通真っ先に気づきそうだが。

 

「も、もしかしてこの子が!?」

 

「ああ、攻略組には一応属すがフロアボスとはクォーターボス以外とは真っ向勝負でしかやり合わずそしてそれに打ち勝っている『蒼赤の戦士』だ」

 

 蒼赤の戦士、それが俺の2つ名だ。まあ見た目が蒼と赤色だからそのまんまだな。因みにキリトは《黒の剣士》、アスナさんは《閃光》って言われてる。何で俺が剣士ではなく戦士なのかはアルゴ曰く普通に剣だけじゃなく無手で殴り込みにも行くから剣士とは言えないよなって事でそうなった。ビーターの方はあまり使われなくなった。皆ベータテスターを責めたってしゃあないってなったんだろうな。……そして密かにこの呼び名は気に入っている。

 

「まあ、俺としては早くどこかのギルドに入って欲しいんだが……」

 

 そう言ってジト目で見られる。だけど俺は1人じゃないとダメなんだ。だからこれからも1人で戦う。1人で戦えば誰も死なないから。死ぬ所なんて見ないで済むから。そしてしばらくジト目見られ続けたが商人の顔に戻った。

 

「まあいい、レインは何の用だ?」

 

「あっ、師匠からお使いを頼まれたんです。このリストのものをください」

 

 そう言って光輝の手を離しメニューを出してエギルに見せる。エギルはそれらのメニューを一瞥した後自分のメニューも開きレインと呼ばれる女性に送る。女性はそれとほぼ同時にコルをエギルに渡した。これで取引成立である。

 

「おう、毎度あり! じゃあ次は光輝だ」

 

「あっ、えっと。このポーションと謎の素材全部を」

 

 初めてNPCじゃなくて人に売るから緊張している。まあ相場なんか知らないから何コルでも良いんだけど。

 俺がエギルさんに見せたメニューを見たエギルさんは

 

「お前どんだけ貯めてたんだよ! もっとこまめに来いよ」

 

 そしてレインはそんなメニューをチラ見して·····信じられないようなものを見る目をしてエギルに言った

 

「あっ、エギルさんちょっと見せて」

 

 そう言ってレインさんはシステムメニューを見てこっちに顔を向けて

 

「こ、これS級食材だよ! 本当に売るの!?」

 

 アインクラッドでは食材にはランク付けがされている。高い順からS・A・B・C・Dとなっていて当たり前だが高い程美味しい。しかしSランク食材はそれをドロップするMOBが滅多に現れず半ば幻状態なのだ。エギルもレインも見るのは初めてだったりするのだ。

 因みにものによるがDランクはこの世のものとは思えない味をしているらしい。光輝は最初期は割と食べてた。そして料理した方が良いということに気がついた。

 

 S級食材と言われたら多分あのラグーラビットの事かなと思い答える。

 

「うん。料理スキルは足りるけど簡易キッチンじゃ美味しく出来ないからそれなら美味しくできる人にあげようかなって思って」

 

 光輝は料理スキルを取っていてその熟練度はもうMAXだ。何故なら永遠とMOBから手に入れた謎の食べ物達を安全地帯等で永遠と料理しているから嫌でも熟練度が上がるのだ。

 そして食材のランクによっても料理の難しさが変わる。Cとかなら低くても料理出来るがSやAになると低い熟練度では大事な食材が黒焦げになる確率が高いので気持ち的に手が出しにくい。その点は光輝はクリアしているので良いのだがもう1つ問題があって光輝は野営用の簡易キッチンしか持っていないということ。料理は設備もある程度ないと出来ない。簡易キッチンでは少なくとも無理だ。

 そんな少し残念そうに売ろうとしている光輝の小さな肩にレインは勢いよく手を乗せて

 

「キッチンがあれば出来るのね!?」

 

 何か凄いぐいっと来られて姉と似てる顔と言うのも相まって思わず「はい」って言っちゃった。そうしたらおね……じゃなくてレインさんはとびきりの笑顔になり言った。

 

「じゃあ師匠のお家のキッチンを貸してあげる!」

 

 そう言われたがちょっと何言ってるか分からなかった。だってそんな師匠さんのキッチンを勝手に使って良いよって言ってるもんだし。

 

 

「という訳でエギルさんラグーラビットは売らないそうです」

 

 

「お、おう」

 

 その勢いに押されエギルさんも思わずそう返した。そして売り終わったら直ぐに手を掴まれ

 

「ほら、行くよ!」

 

 全力ダッシュでアルゲードの転移門を通って転移した。そして主街区を出て色々歩いて山の中にある一軒家に来た。隣には何か工房的なやつがある。

 

 

「ここが師匠の家。インスタンスマップなの」

 

 インスタンスマップとはクエストごとに出現するマップである。だからこの場所はレインとレインが連れてくる人達しか来ることが出来ない。

 

 そう言って俺とお姉さん……レインさんがお家に入って奥にいたのは少し年配に見える女の人だった。訝しげな視線で見てきたがレインさんが話しかけた。

 

「師匠、今日はお客さんを連れて来たの。今日1日泊めさせても良いですか?」

 

 

 そう言った後、レインさんの師匠さんはこっちをじっと見つめてきてやがて視線を戻した。

 

「……勝手にしな」

 

「ありがとうございます。行こっ!」

 

 

 そう言って連れて行かれたのはお部屋だった。

 

「ここが今日泊まる部屋ね。ちゃんと覚えとくようにね」

 

「あの、えっと。速攻で選んでましたけどここは元々客間何ですか?」

 

「? ああ、違うよ。私の部屋だよ」

 

「えぇぇ!」

 

 驚く俺を無視して引っ張られる。そしてそこにあったのは立派なキッチンだった。ちゃんと料理器具もある。これなら作れそう。

 

「じゃあお料理しよっか」

 

「は、はい」

 

 そう言って俺はレインさんと料理し始めたって言っても現実と比べたら割と直ぐに出来るんだけどな。そしてあのお師匠さんの分も作り食卓につく。お弟子さん達が他にもいるらしいが出払ってる設定らしい。

 この世界に来て初めて誰かと食べる。手を合わせていった

 

「「いただきます!」」

 

 そう言って俺達は食べ始めた。結論から先に言うとめちゃくちゃ美味しかった。歯ごたえがB級とかよりもあってなんか肉汁も心なしか沢山出てきた気もする。間違いなくアインクラッドで食べたものでナンバー1だろう。

 これがS級かぁと思いながら食べてたらあっという間に無くなった。

 

「「ご馳走さまでした!」」

 

 そう光輝とレインは手を合わせてい言った。レインは微笑みながら光輝にお礼した。

 

「すっごく美味しかったよ。ありがとう光輝くん」

 

 姉と同じ姿で、姉と同じ声で言われ光輝は今までにないほど緊張して返した

 

「あ、はい。どういたしまして」

 

 お師匠さんの反応を見るが何も言ってくれずちょっとしょげてたらレインさんが美味しかった時は何も言わないんだよって言ってくれたから救われた。そしてそのお師匠さんが話しかけてきた。

 

「お主は何か無理しているな?」

 

 そう直球で聞かれてめちゃくちゃ心臓がバクバクしてる。会ったばかりの筈の子供の様子なんて普通誰も気にしないだろう。それにこの人はNPCの筈なんだ。プレイヤーかすら分からない俺の心情なんて分からない筈なのにそれを見抜いた様に聞かれたことに俺の心臓の鼓動が早くなり現実なら冷や汗が出ているだろう。だけど姉に似たレインさんの前で弱音なんて吐きたくなくて

 

「む、無理なんてしてません」

 

 だけどお師匠さんはその答を予期していたのか特に気にせず手を吹きながら言った。

 

「……そうか、なら明日の明朝私と勝負じゃ」

 

「し、師匠!?」

 

 レインは驚愕の声を出す。レインにとって師匠というのは鍛冶と戦闘の師匠であり何度も稽古した。だが赤の他人にはずっとそっけない態度で接していたのに光輝にだけは今までとは違うアクションを起こした事に困惑の声を出したのだ。

 だが師匠は立ち上がりながら言った

 

「レイン、口出しは無用じゃ。ではな」

 

 そう言ってお師匠さんはまたどこかに言った。俺は鼓動を抑えるために深呼吸していた。だんだん収まっていったのを見計らいレインさんが聞いてきた

 

「……光輝君、大丈夫?」

 

「……大丈夫、です」

 

「そう、じゃあ武器の手入れしてあげようか?」

 

「えっ?」

 

 鍛冶を学んでいる事は知らない光輝は疑問符の声を出した。レインは自慢するように胸を張り言った

 

「私これでも鍛治スキルはもうMAXに近いんだよ。それに明日師匠と戦うなら手入れはどっち道した方が良いでしょ?」

 

 確かにそうかなと思い頷いた

 

「分かりました。ありがとうございます」

 

 そう言ったら着いて来てと言われ後に着いてくと家の隣にあった工房に来た。そして俺は2つの剣、《ブルー・ブラッド》と《レッド・ブレイカー》を取り出してレインさんに渡した。

 結構STR型よりの筈だがレインさんは普通に受け取って見た

 

 

「噂通り二刀流みたいだね」

 

「そういうおねえ……レインさんも2つ持ってるじゃないですか」

 

 レインさんの両腰に2つ剣があるのを見て言った

 

「あはは、そうなんだよね~」

 

 

 そうのほほんと言って耐久値を回復させてくれてる。直接回復させてる所を見るのは初めてだからなんか感心する。少し時間が経った時回復が終わりレインさんが鞘に入れて返して来た。

 

「はいどうぞ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 何か心做しか今までで一番ピカピカしてる。剣達を背中に装備しながらレインさんに顔を向けたら何か凄く心配されてる顔で見られてる。思わず少し困惑していたら聞いてきた

 

「光輝くん、本当に無理してない?」

 

 さっきの会話でレインも光輝の様子を見て純粋に疑問に思って聞いたのだ。だが光輝は強がり

 

「し、してません!」

 

 そう強情を張る光輝を心配の顔で見ていたが

 

「分かった。じゃあ今日は寝ようか。師匠の叩き起されるなんて嫌でしょ?」

 

「……はい」

 

 

 そして俺とレインさんは部屋に行き俺は遠慮したけどレインさんが駄目と言ってシングルベッドに2人で寝転がり俺は姉と寝た日を思い出しながら不思議とあっという間に眠りに落ちた

 

 

 

 ★

 

 

 

 

(寝顔可愛いなぁ)

 

 

 

 私は光輝くんを寝かしつけた後寝顔を観察していた。私に弟はいないけどいたらこんな感じなのかなぁ。

 

 

 

(七色……)

 

 

 

 私には5歳離れている妹がいる。……生き別れだけど。私の両親は母親が日本人で父親がロシア人だ。つまり私はハーフと言うことになる。

 父が妹が優れた能力を持ってる事に気づきそれを開花させる為に色んな勉強をさせるべきだと言い張る父と普通の女の子として育てたいという言い分がぶつかり合い最終的に父が強引に七色の親権を奪って母と離婚しアメリカに行った。そして母と私は日本に戻った。そこからはもう七色と会っていない。今は何してるのかな? 

 

 

「おねえ……ちゃん」

 

 

 光輝くんはさっきからよくこう言ってる。私と今日初めて会った時もそう言ってた。だから思わず変な答えになってしまったが。

 

(聞いてたのとはあんまり違うな〜)

 

 

 私が街で聞いた蒼赤の戦士……あの時はまだビーターだっけ? カーソルも何も無くそして当時の攻略組のほぼ全員を無手で傷1つ負わずに退けた出鱈目に強いプレイヤー。そしてチート疑惑があった。そしてフロアボスをたった1人で挑んで勝てるというプレイヤー。

 だけどフロアボスを部屋自体は見つけたのに攻略しに行かない日もあるという。下の層にいる人達は彼はチートをしているからボスを1人で倒せるんだって言ってたが私はそうは思わない。

 第1チートするにはそのゲームのコードやら何やら難しい事を知らなければならない。だからチーターが出るのは決まってゲームが出て少し経ってからだ。例外と言えばこの子がこの《ソードアート・オンライン》の開発スタッフの中にいた場合だけどこんなに小さな子では日本の法律上働けない。

 それに開発スタッフなら何か私達のコモンアカウントと違って特別なアカウントがあってもいいはずだ。それもかなりの差があるアカウントが。だけどこの子は何時も自力でボス戦に挑んでるらしいからその説は消えた。昨日までの最前線もこの子がフロアボスをその他の攻略組の面々の前で倒したらしいが、そのやり方はかなり強引だったらしいから余計にチーターでは無いと思う。じゃあ何なんだって聞かれたら答えられないけど、今日1日この子を見てたらそんな悪い子じゃないと思った。むしろどこか無理している。

 

 

 

「ねぇ、何で1人で戦うの?」

 

 

 

 そう言って私は眠りに落ちた。

 

 




お疲れ様です。
メモデフでレインの思い出話で登場したレインのお師匠さん登場。尚、話し方はオリジナル。
光輝の病み具合を少しだけ足しました。
(*´∇`)ノ ではでは~


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完膚なきまでの敗北と告白 改

加筆修正
光輝の心情描写追加


 翌日 明朝

 

 俺は懐かしい声によって目が覚める。目の前には微笑んで俺を揺さぶってくれている姉がいた

 

「おはよう、光輝くん」

 

 そう他人の筈なのに目の前の人は姉と同じ表情をしている。だから俺は

 

「ねぇ……ちゃん」

 

「もう寝ぼけてるの? ふふふ」

 

 思わず言ってしまった言葉に俺は漸く冷水を浴びたが如く飛び起きてレインさんに謝った

 

「あ……、ごめんなさい」

 

 レインはそんな光輝の様子をまた心配な表情で見る。初めて会った時も「お姉ちゃん」と言ってきた。だがその顔はこの世にいない筈の人を見た様な表情だった。それがレインにはとても気になったのだ。首をこてんと傾け言った

 

「……そんなに間違えるならもういっその事お姉ちゃんでも良いよ」

 

 そう言われて一瞬頷いてしまう所だった。俺は何とか止まり頭を振った。俺の姉は麗華姉ちゃんだけだ。他人を姉呼ばわりするなんて最低だ。例えレインさんが良いと言ってもだ。

 

「いや、別に……良いです」

 

 その返事を聞いてもレインは特に落胆した様子も無く優しげな笑みを浮かべて言った

 

「そう……、何時でも言っても良いからね」

 

 そう言って微笑んで行こっかって言って俺はベッドから降りた。そしてレインさんの背中を見ながら俺はお家の前まで歩いて行く。そのレインさんの背中は髪色は違えど姉の後ろ姿にそっくりで……俺の胸の中が懐かしさと悔しさで徐々に侵食されて行く。

 考えないようにする程考えてしまう。その度に心臓が抉られるような感覚に陥る。

 さっさとお師匠さんを倒して俺は早くレインさんともう会わないようにしよう。そうすればきっと忘れられる筈。姉に似た人と何か会わなかったって思える、思えなければならない。だって……もうどこの世界にも俺の姉も……家族もいないんだから。

 表まで来たらお師匠さんは左腰に少し大きめの片手直剣を携えて仁王立ちしていた

 

「……来たか」

 

 そうおじいちゃんを思い出させる厳かな声で言ってきた。レインさんは俺達から少し離れて見守っている。

 俺は真正面に立って返事をした

 

「はい」

 

 このお師匠さんはとんでもない迫力があり俺は思わず1歩下がりかけた。だけどレインさんがいるのを思い出し何とか止まった。俺は正直舐めている。俺は2年間、毎日死ぬんじゃないかと思う程修行してきた。それが実って笠木を倒せたんだ。だけど……そんな俺でもこのお師匠さんから言いようのない不安を感じた。何故なのか分からない。お師匠さんはNPCの筈なのに……滲み出る圧力は笠木の比ではない。

 そのお師匠さんが口を開く

 

「全力で来い」

 

 そう言ってお師匠さんは左腰から剣を1つ出して構えた。やはりその剣は大きく片手で持っているから片手直剣なのかもしれないが大きさだけを加味するのなら両手剣でも通用する。

 俺も《ブルー・ブラッド》と《レッド・ブレイカー》を構えた。頼もしい重さと色のコンストラクトが俺の目の前に現れる。

 右足を引いて左手のブルー・ブラッドを前斜めに構え、レッド・ブレイカーは右の腰あたりから右斜めに構えた。構えて準備OKの俺を見てただ一言だけ言った

 

「……来い!」

 

 そう言われ俺はお師匠さん目掛け駆け出した。まずは右を突きを出したが受け流された。

 そのまま体勢を崩してお師匠さんが攻撃しようとしたが俺は思いっきり踏ん張り右足を軸にして回し蹴りをしたが躱されまた二刀流で攻める。

 

(右、左、右、左……)

 

 レインは少し離れ師匠と光輝の戦いを見届けている。光輝のスピードは早くたった1人でフロアボスと何度も戦うだけあると思わせた。だが驚いたのは師匠である。昨日も思ったが弟子のレイン以外には素っ気ない人なのに今は他人の光輝へ修行をつけているようにも見える。

 光輝の攻撃は手数は師匠よりも圧倒的なのに師匠は山の如く動かず全ての攻撃を剣で止めるか最低限の動きで躱す。

 そして光輝が片手を振り抜いた時に出来る隙を遠慮なく狙う。レインの今の課題も二刀流の時、この隙をどうやって克服するかとなっている。

 

「ふっ!」

 

「クッ!」

 

 そして隙あらばと攻撃してくる。今も突きを出してきて後退しながら二刀の腹で受け止めた。俺はふわっと浮き後退する。お師匠さんは追撃して来ずその剣の切っ先を俺に向け怒った声を出した

 

「もっと本気で来な! 私を舐めるんじゃないよ!」

 

 本気を出てないって何でバレるんだよ。だけど……舐めていたのは本当だ。あの圧力の時点で本気を出すべきだったのにそれをしなかったのは俺が悪いか。

 まさかこんなに攻撃が当たらないとは思わなかった。笠木何て一回斬ったらその後もズタズタにさせてくれたのにこの人そもそも当たらねえ。

 だから俺も本気を出す! 

 

「じゃあギアを上げます!」

 

 そう叫び光輝は消えた。そして次の瞬間には羽織を揺らしながら師匠の後ろに出現していた。光輝の正真正銘の本気。笠木でさえ最初反応出来なかったスピードだ。

 

「えっ?」

 

 レインは驚愕の声を出す。何故ならその光輝のスピードが異常だったからだ。SAOはレベル制MMOでプレイヤーは自分自身を育てる。レインもSTR(筋力値)を7割、AGI(敏捷値)が3割だ。レインは最前線でも通じるレベルだと自負している。だがそんなレインでも今の光輝のスピードは出せない。

 何故ならレインは敏捷値は筋力値よりも振っていないからAGIに特化しているプレイヤーよりも遅い。それだけならばまだ良い。光輝がAGI型と思うだけだ。

 だがレインの予想では光輝はAGI型では無い。昨日レインが光輝の剣を点検の為に持った時、どしんと重たかった。STRに多く振っているレインがそう思うのだ。

 ならば普通に考えるのならば光輝の剣はSTR1強の剣な筈。つまり光輝のステータスもSTR型でなければあんなにぶんぶん振り回せない筈。それなのに光輝は今AGI型もびっくりなスピードをあの重い剣を持ちながら出したのだ。

 チートと言う言葉が頭をよぎった

 

 俺は久しぶりあの野郎と戦った時ぐらいのスピードを出して後ろから斬ろうとちょっと躊躇いながら右のブルー・ブラッドを胴体目掛け横に一閃……しようとした

 

「甘い!」

 

 そう言うと同時にいつの間にかお師匠さんの剣が左側で逆持ちで置かれていた。俺の振るった剣はその剣の腹に激突し剣と剣がぶつかった強烈な金属音が響いた。だが俺の驚愕はそんな金属音よりも大きかった。

 

「なっ!?」

 

 何で? 絶対見えないぐらいのスピードで動いたのに……、現におねえ……レインさんは驚いてたからちゃんとそんくらいのスピードは出せたはずだ。なのに、普通に反応してきた。それもノールックで。驚いてる俺をほっといてお師匠さんは思いっきり突きを出してきて俺はギリギリ逸らそうとしたが左の肩にかすった。

 

「──ッ!」

 

 俺はその金属が肌をかする感覚に思わず歯を食いしばる。そのまま俺は一旦後退した。お師匠さんは逆持ちの剣を普通に持ち替え構えて厳しい視線を向けて叫ぶ。見た目はお年寄りなのにそのプレッシャーは俺の想像すらも超えていた。

 

「どうした!? それが全力かい?」

 

 その余裕が無性に悔しくて俺の余裕は無くなって行った。

 

「まだ……だ!」

 

 俺はまた超スピードで今度は正面からしかける。まず右のレッド・ブレイカーを振り下ろした。剣で止められたが左のブルー・ブラッドを無理やり左から右に斬ろうとした。

 しかしギリギリでふっと力を抜いて後退された。俺はいきなり力が無くなったからそのまま前かがみに倒れかれた。そこをまた攻撃しようとしてたお師匠さんだが俺はそのまま前に転がり一回転した時にそのまま飛んだ。

 そうする事で走ってきてたお師匠さんを飛び越えてお師匠さんとは反対向きに着地した。

 その瞬間今度はバク転の動きで後ろに飛んで振り向きながら右の剣で横向きに斬ろうとした。

 だけどそれも止められ俺はそのままお師匠さんの前に出て、振り向こうとしたらいきなり剣が目に飛び込んで来たから腹にかすりながら後ろに下がろうとしたのだが……下がろうとした俺の腹部に強烈な拳がめり込んでいた

 

「がハッ……!」

 

 その拳によって光輝の肺にある空気が一気に吐いてしまった。光輝はその拳で一瞬の隙が出来た。めり込んでいる拳を更にめり込ませ師匠は気合いの言葉と共に

 

「ふっ!」

 

 そのまま少し飛ばされた。俺は草の上に倒れ無駄に再現されている草の匂いが鼻を刺激する。

 左の拳で殴られた。それもかなりの威力で。あの野郎程じゃないが肺辺りを殴られ肺の中の……ゲームにあるのかは知らないが……空気が出され痛いのと合わさって結構苦しい。俺は剣を杖代わりにして立ち上がりながらお師匠さんを見る

 お師匠さんはどういう訳かチャンスなのに攻めてこない。

 

「はぁ……はぁ。どういうつもりですか?」

 

「お前、本気じゃないな? 私は本気でやれって言ったはずだよ! それが本気で戦おうとしてくれてる奴に対する態度かい?」

 

 そう厳しい目で見られた。それと同時に俺の心臓が強敵との戦いによって鼓動が早くなる。この世界に来てから俺に勝てる人はいなかった。攻略組もキリトやアスナさんも……。別に皆の事は舐めている訳では無い。命懸けの戦いの日々に心身共に成長している人が攻略組には沢山いる。

 だけど……俺と互角、或いは俺を圧倒する人はいない。だからこのお師匠さんもそんなにって無意識に舐めていたのかもしれない。……俺は舐めているつもりはないと思っても本当は皆の事を舐めていたのかもしれないな、そう考えると。

 

 ──ははは……最低だ

 

 光輝はそう自分を卑下し眼を閉じた。そして師匠の問に再び眼を開けながら答えた

 

「……分かりました」

 

「えっ? 光輝くん目の色が……」

 

 

 

 俺の目は第三者にはもう蒼色と赤色になっているだろう。今回は片方ずつを使うなんてしない。頭が許す限り全力で戦う。タイムリミットは5分。それ以上は頭が裂けそうなとんでもない頭痛が来るから耐えられない。俺は一回限界まで赤眼と蒼眼になった事があるが2、3日は痛すぎて寝込んでいた事がある。

 何で俺にこんな力があるのかは分からない。あの皆の死体を見た時、俺の脳内で人間の限界を超えた何かがあったのだろうって櫂さんは言っていた。お医者さんとしては失格な答えかもしれない。でも俺ももう何でこの力を手に入れたかなんて気にしない事にした。気にしてもしょうがない。

 そして俺は初めて目の前のお師匠さんに敬意を表しながら深呼吸した後

 

「行きます!」

 

 さっき以上のスピードで切り裂こうとしたがそれも受け止められ斬った反対の方向はその衝撃みたいな物で草草が揺れている。というかこれも止めるのか。この人際限なく強いんじゃないか? そう思えるようになった。

 

 そこから始まった攻防はレインには訳分からなかった。先程までの光輝も大概やばかったのに今は眼を変えてどう見てもパワーアップしている。そしてそのパワーアップした光輝の猛攻を師匠は受け止めている。凄まじいスピードの移動と攻撃の剣戟がの火花が散っている。

 あの小さな体のどこにそんな力があるの? と言うレインの疑問を挟む余地の無い高レベルの戦いがそこにはあった。

 しかし3分程経った時から光輝の動きが鈍くなりその顔は攻撃の痛みではなくリスクの頭痛によって見せる苦痛の顔だ。

 その証拠にレインは最初は光輝の攻撃が霞んでる位しか分からなかったのに今はキレが無くなっているのがレインにも分かる。

 

「ぐっ──ああ!」

 

 そう苦痛の声を上げながら振るう剣に最早技なんて無くがむしゃらに振るっているだけだ。そしてそんなのが師匠に通じる筈もなく光輝に出来た大きすぎる隙をつき強烈な一閃を繰り出した

 

「がハッ!」

 

 光輝はその重く強烈な一閃を躱す事が出来ずまともに当たりとんでもない痛みが光輝を襲う。光輝はそのまま吹き飛ばされ地面に思いっきり倒れた。

 

「光輝くん!」

 

 俺は余りの痛みに直ぐには立てなかった。どんなフロアボスの攻撃も滅多に当たらなかったのにこの人普通に当ててきた。俺が頭痛で鈍くなったのもあるだろうがそれでも一閃が早い。俺の目はもう頭痛に耐えきれずもう黒目に戻ってる。でも頭が裂けそうな頭痛と腹部の一閃のダメージは今まで受けたどんな攻撃よりも痛い。

 レインさんが駆け寄って俺を起こして支えてくれる。その心配げな表情が姉と重なり俺は突き放そうとするけど全然力が出ない。それ所か力を出そうとする度に力が抜けていく

 

「大丈夫?」

 

「あ……あ」

 

 頭が痛くて上手く答えられない。口は震え自分でも何が言いたいのか分からない。今生きてるだけでも奇跡に近い。

 お師匠さんはその剣を鞘に入れて俺に近づき上から目線で言った

 

「お前の剣筋には純粋さがないね。無理している証拠さ」

 

 太刀筋はその人を映す鏡、俺は一昨日までの出来事で余裕が無くなっていた。MOBも殆どやけくそみたいな倒し方を最近はしてきた。一昨日のボスもだ。そんな俺の剣に純粋さがないのは当然だろう。おじいちゃんが今の俺を見たら絶対に怒る。

 でも……それを姉に似たレインさんの前で認めたくなくて俺はその上手く言えない口を一所懸命開いた

 

「むり……なんて」

 

「してるだろ?」

 

 俺のゆっくりの言葉に容赦なく被せてきた。

 

「うぐ」

 

 もうダメだ……体力全開だった筈なのにもう眠気が襲ってきた。寝ないと頭痛と痛みは引かない。だけど今寝たらもう引き返せない……寝る訳にはいかない……いかないんだ

 

「まあいい、しばらく休みな」

 

 だがその言葉が俺を遠慮なく眠りに落とした

 

 

 ★★★★★

 

 光輝はその瞳をゆっくりと開けた。周りは暗く唯一の明かりは窓から射し込む月光だけだ

 

(う、ん。ここは······どこだ?)

 

 知らない天井……では無いな。確かおねえ……レインさんの部屋の天井だ。何で俺ここに。というかもう外暗いし。そう思ってたら重苦しい音と共に部屋のドアが開きレインさんが入ってきた。その扉にロックをかけて近寄って来る。そして安心した顔で言った

 

「あっ、起きた? 心配したよ〜、あれからずっと寝てるんだから〜」

 

 そう心底思ってた声で言っていた。それは姉がよく俺の事を心配してくれた時と似ていた。それを思い出して俺の胸がまた締め付けられる。それを感じながら俺は何とか聞いた

 

「あれからって?」

 

「師匠と戦った後からだよ」

 

 光輝はそう言われてくたばる前の記憶が徐々に戻って来た。この世界に来て以来初めて出した本気の本気をもってしても届かなかった。

 パワーもスピードも光輝は勝っていた自信があった。だけど……それだけでは勝てなかった。2つ共勝っていた筈なのに地に伏したのは自分。それは技でぼろ負けしたと言うこと。

 

(あんなに完封されたのはおじいちゃんとやった以来だな)

 

 光輝は祖父が存命中にはとうとうまともな一撃を合わせる事が出来なかった。武道も剣術も。その事を思い出していた。そして眠りに落ちる前に

 

『お前の剣筋には純粋さがないね。無理してる証拠さ』

 

 光輝はゆっくりと上半身を起こしながら思った。思い込もうとした

 

(無理なんて·····)

 

「してるよね?」

 

 そんな光輝の心の声がまるで聞こえたと言わんばかりのタイミングでレインが言った

 

「えっ?」

 

 あまりのタイミングの良さに光輝は唖然とした声を出した。そしてレインは追い打ちをかけるように再び聞いた

 

「無理、してるよね?」

 

 何で心の声が分かるんだよ

 

 光輝はレインの心の声を聞く能力に口が半開きになって何か抵抗したいが出来ない変な声を出す

 

「な、な……」

 

 その表情は正に「どうして?」と言う顔だ。レインはそんな光輝の顔を見つつベッドに腰掛ける。そしてその顔を心配で埋め話し出す

 

「何で分かるのって顔してるね? だって光輝くん、凄く辛そうな顔してるよ?」

 

「えっ……?」

 

 光輝はそう言われて顔を触る。だが自分の顔を触っただけで自分の表情を把握出来る訳ない。光輝はそんな事も考えられない程に弱っていた。レインは光輝を変えるには今しかないと思って追い打ちをする

 

「それに私を見て泣くなんて情緒不安定過ぎるよ。何か無理してるならお姉さんが聞いてあげるよ?」

 

 そう姉と同じ顔、声で言われて自己嫌悪が俺の中で渦巻く。もうどんな世界にもいない姉を何の接点もなくて昨日会ったばかりのこの人を姉と重ねるなんて……。

 俺は早くこの人の事を忘れなきゃならないんだ。忘れて俺は1人で行かなきゃいけないんだ。俺は1人じゃないとダメなんだ。だから俺は早くここから離れる為にベッドから立ち上がろうとしながら

 

「だ、だから無理なんか……」

 

 性懲りも無く否定しようとした。そして早くこの場から立ち去っておね……レインさんの事も何もかも忘れてボス達に挑み続けてキリトやクラインやエギルさん達を元の世界に返さなきゃならないんだ。

 俺はその先で死のう。櫂さん達も……愛美ももう俺の知っている人達がいないこの世界に俺が生きていたってしょうがない。もう俺はいっぱい戦ったんだ。

 第一俺が死んだ所で誰も悲しまない。俺なんてもうボスと戦う事にしか存在価値はないんだから。全部終わったら俺は家族の所に行こう……そうしよう。本当の姉に……麗華姉ちゃんに会って慰めてもらうんだ。

 そう思いながらベッドから立ち上がろうとしたら俺の肩をどこにそんな力があるのかレインさんが勢いよく抑えベッドに押し倒した。その顔は真っ赤で怒りの顔だ。そんな顔さえも姉にそっくりで思わず微笑みかけたがそんな気がしなくなるほどの声量で叫んだ

 

いい加減にして!! 

 

 その声で俺は先程までの暗い思考を出来なくなった。目の前のレインさんがとんでもなく怒っている事だけは分かる。レインさんの眼には涙が溜まっていてその涙が頬を伝い俺の顔にかかる。

 俺はレインさんを退けること何て簡単な筈なのに力が出ない。抵抗しようとする度にまた力が抜けていく。それは俺がレインさんの言葉を聞きたいと……そう思っているのかもしれない

 そして予想通り怒りの顔と声で押し倒している俺に叫ぶ

 

「私は光輝くんの力になりたいの! あなたみたいな小さな子が無理してたら胸が苦しいの! もっと周りを……私を頼ってよ! そりゃあ昨日会ったばかりの人には言えないのかもしれない! だけど……それでも私は光輝くんの力になりたいの!」

 

 その表情も声も……泣き顔まで姉と何もかも同じ。違うのは髪色だけ。だけどそんなのは些細な違いでしかない。

 俺を心配し叱るその姿は姉と重なり……俺は抵抗が出来なかった。いや……もう出来る訳無かった。だって……俺の胸の中から言葉で言い表せない感情が蠢いてそれは俺の眼から出る涙と言う形で現れてしまっているのだから。

 

「……俺の姉が……殺されたんです」

 

 光輝のその一声にレインは困惑の顔になった。

 

「えっ? 光輝くんのお姉さんが?」

 

 そう思わず聞き返す。だけどそういう事なら光輝の反応は頷けるものだった。だが光輝がこんな事になっている理由は姉だけでは無かった。

 光輝は押し倒されながらも涙声で頷きながら続きを言った

 

「……うん。お姉ちゃんだけじゃない。俺が住んでいた家の家族は皆……殺された。僕が病院で入院してた間に……殺されてた」

 

 そう言葉にするだけで皆の死体が蘇り光輝の精神をえぐる。人はよく大切な人の死も時間が経てば受け入れられ前に進めると言う。だが光輝にはまだ無理だった。

 その皆の死の場面を自らが目の当たりにし最後の言葉を直接聞いた当時小一の光輝には。その時感じた感情は今でもズルズルと引き継いでいる。

 考えないようにする程考えてしまう。だから受け入れられない。家族の死が。自分の力がもっとあれば家族は死なないで済んだんだ、と。そう後悔するのだ。

 

「そんな……どうして?」

 

 レインはただそれだけ聞いた。しかしその声は震えていて困惑を隠せてはいなかった。光輝はやはり言うべきでは無いのではと思ったが1度始めてしまった言葉は光輝が意識せずとも勝手に口が開いてしまう。

 

「復讐……、何だと思う」

 

「復讐? 何で復讐で光輝君の家族が殺されるの?」

 

 そう単純な疑問で聞いた。こんな小さな子が復讐で家族を皆殺し何て絶対に間違えている。だが光輝はもうそうとしか考えられないのかアインクラッドに来てから1番弱々しい声で続けた。

 

「俺が家族を殺したやつの犯行を阻止したから……。当時50人くらい連続で殺されてる事件があったんだけどそれに僕の好きな人が狙われて……、だから俺が時間を稼いでそいつを足止めして警察の人達に追われて行ったんだけど……上手く逃げられて。俺はそいつにめちゃくちゃボコられたから入院しちゃってその間に……。俺はその時竹刀でやったから1日2日経てば痛みは収まっただろうし」

 

 そうボツボツと言った言葉をレインは遮らずに聞いた後、出てきた疑問を押し倒してる光輝に投げかけた

 

「ねぇ、私はそんな連続殺人を知らないんだけど?」

 

 そう不思議な表情で言った。キリトも似た表情になっていた。この世界にあの出来事が無かったのかすら分からない。でもレインさんやキリトの顔を見ていたらそもそもそんな事が無かったのでは無いかと思い始めた

 

「僕にも……分からない。いくらここが未来でもあんな大事件なら誰か1人は知っててもおかしくないのに。皆知らない。キリトもアスナさんも皆」

 

 そう言ったら目の前のレインさんは涙目でも疑問符な顔になっているのを見て俺は何か変な事を言っただろうか? ……そう思っていたら自分の失言に気がついたのと同時にレインさんが言ってきた

 

「未来? 未来ってどういう事?」

 

 もうバレちゃったし良いや……これで頭がおかしい奴って言われるだろうがもういいや

 これでレインさんが離れてくれるなら万々歳だ。

 

「……俺が家族を殺された時点では2008年だったの」

 

「えっ!? で、でも光輝くんどう見ても小学三年生ぐらいだよね?」

 

 驚愕の声を出しつつレインは改めて光輝の姿を見る。やはりその姿は小三位だ。光輝ももうやぶれかぶれで言葉を繋ぎ始めた。

 

「俺がここに来る事になったであろう原因の出来事はその2年後。その阻止した時は小学一年生だったよ」

 

「そう……何だ」

 

 そこまで言ったらもう涙が俺の視界に入る。涙越しに見るレインさんはもう姉としか思えなくなっていた。

 そして姉の最期の姿も思い出した。俺は1人じゃないとダメなんだ……そうしたら誰も死なない、死ぬ所なんて見ずに済む。俺のせいで死んでしまった家族のように俺はショックを受けないで済む。だから……

 

「……俺のせいだ。俺のせいでみんな死んだんだ! だから……だから皆俺と関わったら不幸になっちゃうんだ! だから俺は1人が良いんだ!」

 

 そう叫んだ瞬間、俺の頬をレインさんが思い切り引っ張いた。叩かれた瞬間に手と頬がぶつかり合った大きな音がした。その音が他人事のように聞こえながらも俺の頬は痛みが出る。だけどそんな痛みも目の前の涙を俺の顔にかからせ怒った表情になっているレインさんを見たら吹き飛んだ

 

「な、んで」

 

 少し時間が経って漸くそれだけを口にした。しかしそう言ったらレインさんは怒りの表情を加速させ叫んだ

 

「光輝くんの馬鹿! 何で……何で自分を責めるの? 悪いのは全部その殺人犯でしょ? それとも何? その犯行を止めない方が良かったって言うの? ふざけんな! 確かにその犯行の阻止をしなかったら光輝くんのご家族は殺されなかったかもしれない。だけどじゃあそのあなたの好きな人はどうなっていたの?」

 

 そう言われ想像する。俺は家で皆とご飯を食べてその間に愛美はその間に精気が無くなり目が飛び出しほぼ皮だけになった死体を

 そう考えただけで血の気が引いて心臓が抉り出される感覚に陥る。俺はそれを振り払う為に無我夢中で叫んだ

 

「やだ! そんなのやだ!」

 

「じゃあ後悔なんてしちゃダメ!」

 

 後悔……確かにそうかもしれない。だけど……それでも俺は

 

「でも……、俺は皆に生きていて欲しかった! 皆で平和に生きてそれで愛美と結婚して平和に生きたかった! でもそんなのはもう……来ない」

 

「どうして? ご家族は無理かもしれないけどその愛美ちゃんは生きてるんでしょ?」

 

 確かに今の光輝の言葉だけを聞くのなら家族は死んだかもしれないが愛美は生きているという事が分かる。ならばその愛美の気持ち次第だが結婚は出来るんじゃないかと思ったのだ。というより命からがら助けてくれた光輝にならばアニメとかなら間違いなく恋心を持っている筈だ。

 しかし光輝は目を逸らし言った

 

「生きてるけど……、お父さんの都合でその犯行を阻止した1週間後にアメリカに引っ越しちゃった。だから何時会えるか分からない。そもそも会えないかもしれない。だって俺がここにいるし。誰も過去から来たなんて……信じない。レインさんだって本当は信じてないんでしょ!?」

 

 そう半ば叫び光輝は逸らしていた眼をレインに向けようとした。しかし出来なかった。何故ならベッドに倒されている光輝に重なるように倒れ光輝を抱きしめてきたから

 そして涙声で言った

 

「ばか、そんな訳ないでしょ? そりゃあ私にはそんな大事件の事なんて知らない。だけど光輝くんはそんな重要そうなことでは嘘はつかないでしょ? それに光輝くん嘘ついてる時凄くわかりやすいもん」

 

 光輝は大概嘘が下手である。精神的に参ってる時は余計にだ。初対面の筈のレインでも直ぐに分かった。

 光輝はそう姉と同じ声と容姿で言われて無意識に涙がまた出始める

 

「あ、ああ……」

 

 そしてレインはトドメを指した

 

「ほら! 泣きたいならお姉さんの胸お泣き」

 

 そう言われた時俺の中の何かが崩壊してお姉ちゃん抱きついて泣きまくった。

 あのクズ野郎との戦いの後に誰も知らないこの地で誰にも相談出来ない事を昨日初めて会った人に言ってしまった。

 だけどそんなのはどうでもよく姉と同じ顔で、声で言われもう泣くしかなかった。だけど俺はまだ言ってないことが2つある。それを伝えるのが怖い。やっぱり嫌われるんじゃないかと思って言えないが1つだけ言う。

 

「うわぁぁぁぁぁン! お姉ちゃん、絶対……絶対皆に嫌われた!」

 

 レインは自分も横になり光輝を抱きしめその小さな背中をぽんぽんと叩きながら優しく聞く

 

「それはどうして?」

 

「クラインに、ディアベルさんに冷たい態度を取っちゃった。で、でも皆を死なせたくなくて……。だから……だから」

 

 そこで光輝は止まる。それ以上何を言いたいのかが分かった。家族の様に誰かが死ぬ事が耐えられずそれなら1人で進んで1人で戦った方が良いと思っていたのだろう。そうすれば例え死ぬとしても自分だけ。小三でしていい思考ではない。

 その名前はレインはディアベルしか知らない。大ギルド、青龍騎士団のギルドマスターで攻略組の重要人物。

 

「そう……、悪い事をしたら何しないといけないの?」

 

 光輝はしゃっくりしながら答えた

 

「ヒック、あやまる」

 

「そうだよね。悪い事を言ったりしたなら謝らなきゃ。それに攻略組の強さは光輝くんが1番知ってるでしょ? 今までの攻略組が行ったボス戦での死者数はゼロ。そりゃあ偶に危ない時はあるだろうけどそれでも乗り越えてきた人達なのよ? もっと信用してあげたら? 1人1人は確かに貴方よりは弱いかもしれないけど、それでも今まで戦ってきた猛者なんだから。もっと信用しよ?」

 

 さっきの師匠の時、光輝は心の底で舐めていた。そして恐らくは攻略組も。全員自分よりも下と勝手に心の底の底で思っていたのかもしれない。だけどそれはもう出来なかった。その師匠にボコボコに負けたのだから。

 だから……

 

「うん、わかった」

 

 そう言った光輝の頭を撫で言った

 

「よろしい!」

 

「ひっく、ひっく……。でももう1つあるんだ」

 

 ここまで話したらもう全部言いたくなってしまった

 

「ん? 何?」

 

 俺はこれを言ったら嫌われるかもしれないがここまで聞いてくれてそれは無いように感じたから言う。

 

「……僕、もしかしたら人1人殺したかもしれない」

 

 流石にそれは意外の言葉だったようでレインは驚愕の顔になって思わず聞く

 

「えっ? 何で? 誰を?」

 

「……俺がここに来る事になったであろう原因の出来事で。俺の家族を殺したやつはある実験していたんだ。人から奪ったエネルギーを1つにしてそれをそいつが得るための実験を……。だから簡単に言ったら1人で50人分の力を得る事になるんだ。そして……それが完成して俺がいた世界のアメリカのワシントンDCがそいつに襲撃されて20万人そいつ1人にアメリカ軍の人も含めて殺された。その殺された人達のエネルギーも取られてた人がいた。そしてそいつがテレビをジャックして世界を征服するって宣言したんだ。そしてそのままではつまらないからゲームをするって言い出したんだ」

 

 言っていることがぶっ飛んでいるがレインは嘘だとは思わずに聞き返す。

 

「ゲーム?」

 

「……そいつとそいつの指定した奴が死ぬまで戦って残った方が勝者って言うルールだった。そしてそいつが指定したのは……」

 

 ルールがもう外道だがそれよりもその指定と言うのが引っかかった。世界征服したくてその中から人を選ぶのならばとんでもない確率で不幸の人だ。だけどレインはそんな出来事は知らない。それがどういう事なのか分からないが今目の前の光輝がそう言った時点でその指定した奴というのは

 

「……まさか?」

 

「正解。僕だった。まあ周りには止められたけど。1人で軍も含めた人たちを殺せるような奴と1人で戦うなんて無理だって。だけど少なくとも別にスピードは追いつけた方だからまだ最初は戦えてた方なんだけど途中から何かエネルギーの媒体的な奴を食われて思いっきり形成が逆転しちゃって……。おまけに何故か空飛んでたし、エネルギー砲的な奴も持ってたし」

 

 想像するだけで完全にラスボス感が満載だが光輝が今ここにいるという事は少なくとも勝ったということ。ならばその方法は一体……そう思い口を開く

 

「えっ? じゃあどうしたの?」

 

「あの蒼い眼と赤い眼あったでしょ? あれすると徐々に頭痛するのと引き換え色々強くなれるんだけどあれを使った。でもそれでもやっと互角に持ち込めるぐらいで……。空飛んでるってアドバンテージが結構あって、それでそいつのエネルギー弾の嵐を空から撃ってきて、どうしようもなく、頭痛も酷くなったけど何かその時、声が聞こえたんだ。懐かしくて……可愛い声で……聞いただけでもドキドキした声が」

 

「声?」

 

「うん。それで何か力が湧き上がって来てそれで俺も何となく空飛べてそいつと戦ったんだ。だけど力の差が結構あったことに焦ったあいつはめちゃくちゃ大きいエネルギー弾を出してきた。……東京を吹き飛ばせるくらいの」

 

「えぇぇ! ど、どうしたのそれ?」

 

「取り敢えず不発に終わらせる方法を考えてみたけど思いつかなくて、だから俺がそのエネルギー弾を押し返してそいつにぶつけた……僕ごと」

 

 それならば今目の前にいる光輝は普通に考えて消し飛ばされなければおかしい。東京を吹き飛ばすエネルギー量何てレインには分からないがそれでも途方もないエネルギーの筈だ。それを光輝が受けきれるのかと思ったのだ

 

「じゃ、じゃあ何でここに光輝くんが?」

 

「僕にも分からない。気がついたらキリト……黒の剣士に揺さぶられてたんだ。それでこの世界に来てた事に気がついた。……だからあいつが生きてるのかも分からないし向こうの世界がどうなったのかも分からない」

 

 それは本当だ。今の光輝に櫂達がどうしているのかを知る術はない。逆もまた然り。そして光輝は自虚気味に呟いた

 

「皆怒ってるだろうな。生きて……帰るって言ったのに。嘘ついちゃった。……おまけに理由がどうあれ人殺しになっちゃたかもしれないし。それ自体は後悔してないけど、仮に戻れたとしても俺のせいで迷惑がかかる人がいるかもしれない。いや、少なくとも俺を引き取ってくれた家族は批判されるかもしれない。だからそれも怖くて……」

 

 言っている間にもまた涙声になっていく。それだけで光輝がどれだけ傷ついて疲弊しているのかレインには痛い程分かった。少し時間が経ちまた頭を撫で優しく思った事を言った

 

「·····あなたは確かに人は殺したかもしれない。だけどあなたのおかげで救われた人はいっぱいいるんじゃないかな?」

 

 そう言われ何でってなった。だって人殺しは悪い事だもん。お姉ちゃんは頭を撫でるのをやめて俺の顔を覗き込む。

 

「だって世界を征服するって言ったんでしょ? そしてそれが出来るだけの力を持ってる人を倒した……だったら褒められやしないかもしれないけど批判はするべきじゃないもん。それにその時あなたはまだ小学三年生だったんでしょ? 本当ならそんなのは大人がしなくちゃいけないのに子供に任した大人も悪い。例えあなたが人並みが外れて強かったとしてもね。少なくとも私はそれを聞いてもあなたを責めはしないよ。攻略組の事もお姉ちゃんも一緒に謝ってあげるから」

 

 そう俺を包み込むようにして言ってくれた。俺は涙腺が緩むのが停められなかった

 

「お姉ちゃん、うわぁぁぁぁぁン!」

 

 そう叫び泣きじゃくるのは正に子供でそこにビーターと言われ1人で突き進む少年の影はなかった。光輝はレインの中で泣きまくりまた知らない内に眠りに落ちたのだった

 

 ★★★★★

 翌日

 

「その1泊って言ったのに1週間位泊まってすいませんでした」

 

 光輝はレインから寝ていたのは師匠と戦った後からずっとと言われたから1日位しか経っていなかったのかな? と思っていたが本当は1週間その体をレインのベッドに横たえさせていたのだ。それを聞いた時光輝はマジかとなってしまったが通りで体が普通に戻っていると思ったのだ。

 光輝はキリトとクライン、エギル等とかとはフレンド登録していたからかいつの間にかめちゃくちゃメールが来ていた。それはフレンドを探せる機能をもってしても光輝が行方不明だったからだろう。まぁそれはインスタンスマップにいたから表示されなかっただけだが。

 光輝の言葉を聞いた師匠は鼻を鳴らし言った

 

「ふん、……そう思うならまた美味いもんを作ってくれ」

 

「はい、また来ても良いですか?」

 

「ふん、……受け取れ」

 

 そう言って何か転移結晶的な奴を渡してきた。金色の結晶で綺麗だ。それを見たお姉ちゃんが隣から叫びながら師匠に聞いた

 

「なんですかこれ?」

 

「それはどこからでもここに来る事が出来る結晶だ。好きな時に来い」

 

「えぇぇ! 師匠私にはくれないんですか!?」

 

「お前は修行……、いや離れる以上は構わんか。ほれ受け取れ」

 

 そう言ってお姉ちゃんにも渡された。凄く嬉しそうだな。お姉ちゃんはお師匠さんに話し俺と一緒に来る事になった。だからこの家を離れる。

 俺は本当に大丈夫? と聞いたが「大丈夫! それより光輝くんの方が大事だ」って言ってくれた。まあでも弟子状態のままだからボーナスとかはまだ入ってるらしい。

 因みに俺もこの人の弟子状態になった。だから経験値ボーナスが入るようになった。……本格的にチート言われないかな? 

 

「では、達者でな」

 

 そう言ってお師匠さんは家に戻った。よくよく考えたら凄いAIだよな。俺の超スピード捌き切るとかやばい。いや……プレイヤーの位置をヒースクリフさんが言っていた機械があの師匠に教えていたのか? そうなると納得出来る。

 そんな事を思っていたらお姉ちゃんが言ってきた

 

「それじゃ行こっか」

 

「うん」

 

 そう言ってお姉ちゃんは手を握りだした。ナチュラルに繋いできた姉に俺は困惑する

 

「えっと」

 

「ふふふ、恥ずかしいの? 可愛い!」

 

「そ、そんなんじゃ……」

 

 

 

 そんなやり取りをしながら俺とお姉ちゃんは現在の最前線に行きそして集めておいた攻略組の主力メンバーに今までの事を謝った。

 謝ったのだが自殺の前兆かと思われめちゃくちゃ心配してくれた。でも凄く嬉しかった。そして……俺が過去から来たって言うことも話した。

 皆凄くびっくりしてたが大半は信じてくれたようだ。あのキバオウさんも信じた。何でって聞いたらキリトが俺が今2022年って聞いた時めちゃくちゃびっくりしてたからって言われてそんな事もあったなと思って懐かしく笑った。

 その他メンバーはデスゲームなのに当初からどこか達観してる様子だったからと言った。まあ過去からとは思わなかったらしいけど。後俺が泣きながら言ったことも相まって信じたらしい。

 皆優しいな。まあ、許す代わりにこれからは団体行動なと言われたが。ギルドはお姉ちゃんがいるからいいと言われたが。そしてヒースクリフさんが1番びっくりしてた。何でだ? ……いや普通驚くか。因みにアスナさんはいない。攻略に行ったらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最近ではめちゃくちゃ何かに追いかけられるように攻略に邁進してるらしい。

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。


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激突する意見とレインの夢 改

加筆修正。
心情描写とキリアスのデュエル場面追加。文字数は前の3倍くらいになった


「ここどこだろう? 僕なんでこんなとこいるんだろう?」

 

 光輝は暗闇の中歩いていた。光一つ差し込まれない世界で光輝はただ歩いていた。何が何なのか分からず立ち止まる。そして心細そうに暗闇に呼びかける

 

「おじいちゃん、お姉ちゃん、みんなどこ~?」

 

 そう言うが返事がない。それが余計に光輝を不安にさせる。何時も家族と過ごしていた光輝は世間的には甘えん坊の方に入るだろう。学校ではそんな雰囲気がちっともなかったが安心できる環境でもないのにそうなる訳ないだろう。若干愛美にだけは見せていたかもしれないが。呼びかけながら歩いていた光輝は泣きそうな表情で立ち止まった。

 

「返事してよう……」

 

 光輝は気が付いていないが今の光輝は祖父から受け継いだ道着に変わっている。前にもこんな事があったのを光輝は気が付いていない。

 本当に泣きそうになった光輝はある時人影が見えたのを見て顔を輝かせる。その人影の後ろ姿は光輝にはよく知っている人だったからだ。

 

「おじいちゃん!」

 

 それに気が付いた光輝は自分の持っている違和感にも気が付かず祖父だと思われる人物に走り寄る。光輝が持つべき違和感、それは光輝の背中にある西洋風のロングソードだ。それは祖父が親友から貰った真剣の生まれ変わり、つまり本来持つべきなのは祖父であり光輝ではない。しかしそんな剣が光輝の背中にあると言う事は……

 

「おじいちゃん会いたかったよ~!」

 

 そう言って光輝は祖父の後ろから抱きつく。光輝の記憶が正しければ鍛えられた体を感じることが出来る筈なのだがそんな体ではなく冷たくなっている体だった。それに光輝は気が付き

 

「おじい……ちゃん?」

 

 光輝はそこで自分の手を見た

 

「––え?」

 

 光輝の手は血に染まっていた。自分も最初の笠木との戦いのときに出していたから分かる。だけど今光輝は何ともない状態のはずだ。それなのに何で? と光輝が恐る恐る祖父の目の前に移動すると

 

「ひっ!?」

 

 思わずそんな声を出す。何故なら祖父は何度も殴られ腹部には強烈な攻撃だと思わせる打撃痕があったからだ。そして光輝に見られた後倒れた。それを呆然と見た後、光輝の見ている景色が変わった。身に覚えがある。そこは西沢家の長男夫婦の寝室の場所だ。その布団の中で二つの人影を見た光輝はゆっくりと近づき布団をめくり

 

「あ……あ」

 

 そんなめくっちゃだめだという思いとめくらないとと思う思考が激突しながら光輝はめくった。その中にいたのは光輝の両親だった。ただし原型が殆どなく眼は浮き出て筋肉なんて皆無で分かる形は骨だけだった

 

「……ぁん……で?」

 

「何で?」と言いたかったがそれすらも言葉にならなかった。光輝は両親に触れたが生気はなかった。そんな両親の手だった所に目を向けると西沢家で撮った集合写真があった。光輝は焦点が合わない表情でその写真持ち上げてよろよろと立ち上がった。そうすればまた景色が変わった。今度は祖父と祖母の寝室だった。

 

「おじいちゃん……よく戦えたなあ」

 

 そう疲れ切った声で言った。武蔵は最愛の妻の亡骸を見た後に直ぐに臨戦態勢に入った。その思いは孫だけは守らなければならないという思いだったのだろう。あんな状態では自分の息子も死んでいるとも分かっていたはずだ。それでも戦った。

 

「あれ? 何で()はこうなってる原因知ってるんだ?」

 

 そんな思考をしながら光輝は祖母の布団をめくった

 

「おばあ……ちゃん」

 

 祖母も先程の両親と同じ状態になっていた。光輝の中から何かが込み上げてくる。それは嘔吐物だった。真っ黒な空間に思わず吐き出す。

 

「はあ……はぁ……はぁ」

 

 まだ吐き気がするが光輝は前を向いた。だが今度見た光景は光輝から生気を奪っていた。光輝の大好きな姉が先程の両親、祖母と同じ状態でいた。

 

「お姉ちゃん……お姉ちゃん!」

 

 そう叫び触るが息はなく……

 

「うああああああっ!!」

 

 暗闇の中光輝は雄叫びをあげ……

 

「光輝君!」

 

 その姉とよく似た声の持ち主によって光輝は現実に戻ってきた。ベッドの上で勢いよく上体を起こし目の前の暖炉を見つめていた。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 光輝は荒くなった息を整えようとするが今見た夢のせいで落ち着かせようとする度に逆に息が荒くなっていく。

 

「光輝君」

 

 その声に光輝が横を見るともう一つのシングルベッドで寝ていたはずのレインがパジャマ姿でいつの間にか光輝のベッドに来ていた。

 レインは光輝を見て悲しげな顔になる。光輝の眼は彼が意識せずとも赤眼と蒼眼になっていたからだ。

 

「お姉ちゃん……」

 

 レインは答えず光輝に近寄り抱きしめもう一度ベッドに一緒に倒れこむ。そして光輝の頭を撫で落ち着かせる。光輝はレインを抱き返し顔を埋める。

 

「大丈夫、大丈夫」

 

 そう言い聞かせれば光輝は眼を閉じ息を今度こそ整える。時間が少し経ったとき光輝は顔を上げた。そうすればレインと目が合う。レインは少し安心した顔になる。光輝の眼が黒に戻っていたからだ。ただ眼には涙が溢れている。光輝はぼそぼそと言った

 

「起こしてごめんなさい」

 

 今は夜中の3時だ。こんな時間に起こしてしまった事の謝罪だ。レインは首を振る

 

「光輝君は大丈夫?」

 

「……大丈夫じゃない」

 

 そう小さな声で言った。それを聞きレインは少し強く光輝を抱きしめ光輝も抱き返す。レインは少し嬉しかった。会ったばかりの光輝ならばきっと「大丈夫」と言うと思ったからだ。ちゃんと本音を言ってくれるのが嬉しかった。レインは撫でながら諭すように言った

 

「今日は攻略会議があるからもうちょっと寝ようか」

 

「……うん」

 

 そう言ったらレインは子守歌を歌い始める。綺麗なその歌声は光輝の意識を再び眠りに誘う。光輝は特に抵抗せずレインにしがみつきながら眠りに落ちた。それを見届けたレインはその態勢のまま歌いにくい事この上のないが自分のオリジナルソングを歌っていた。そんな歌を聞いていた光輝の口元が先程よりも緩んでいたのにレインは気が付かなかったのだった。

 

 ★

 

「フィールドボスを、村の中に追い込みます!」

 

 ダンっ! と音を出しながら血盟騎士団副団長《閃光》、最近は《攻略の鬼》のアスナさんが言った。何でそう呼ばれているのかは俺も最近は知らなかったが心に余裕が出来た時に知った。多分攻略に全神経を注いでるような感じからそうなったんだろうなあ。

 俺の感想は兎も角場は驚愕の声が多かった。その理由は色々あるが一番はそんな誰もやりそうでやらなさそうな作戦をあっさりと言ったからだと思う。確かにフィールドボスの近くの村は圏外村と言ってフィールドボスも入ってこられるから作戦として見るだけならありっちゃありだろう。

 そしてそれに反対する者が1人。《黒の剣士》で俺がこの世界に初めて来たときから何かとお世話になっているキリトが焦った表情で言った

 

「待ってくれ! そんな事したら村の人達が……」

 

「死ぬ」とまでは言わなかったが凡そ言いたいことは分かった、嫌……元コンビだからこそ分かったんだろう。キリトの言いたいことが。だがアスナさんは

 

「それが狙いです。フィールドボスが村にまで来れることは確認済みです。そして村の人々を襲ってる間に私達は総攻撃で叩きます」

 

 そうあっさりと言ったアスナさんに流石の俺も苛立ちを込めた視線で見る。何でこんなに変わってしまったんだ。少なくとも第9層辺りのアスナさんならこんな作戦立てなかった筈だ。あの時の俺も余裕があったわけじゃないが今のアスナさんよりも冷静になれていたぞ。

 キリトも過去のアスナさんを知っているからこそ戸惑った声で言う

 

「でも村の人達は……」

 

「生きているとでも言うんですか? あれは単なるオブジェクトです。消えてもまたどうせリポップするのだから問題ありません。それともこの方法以外に何か勝つ方法があるんですか? 月夜の黒猫団のキリトさん?」

 

 わざとらしく、そしてどこか当てつけのように言ったアスナさん。キリトは確かに否定したが他に案がある訳じゃない。だからこそ言い返せない。

 

「くっ」

 

 ないと分かっているアスナさんは余裕の表情で今の立場と共に言った。

 

「ないのでしたら今回のフィールドボス攻略はこの血盟騎士団副団長、アスナが務めます。不服ならこの場から去ってください」

 

 そう言ったらキリトも含め黙った。確かに作戦としては倫理的なものを除けばありだろう。恐らくデスゲーム下じゃなかったらアスナさんと同じ作戦を立てる人はいる。だけど……デスゲーム、そしてその最前線にまで来た人ほどそんな考えにならないはずなんだ。それはこの世界が創造者である茅場が言った通り今いるこの世界が俺たちにとっての現実でそこに住んでいるNPCも生きてるって実感できる事が多いからだ。

 アスナさんがまた始めようとしたが俺も個人的にムカついたから反撃する。思いっきりため息をつき言った

 

「はあ~! わかった。じゃあ俺は抜ける」

 

「「えっ!?」」

 

 光輝の言葉に隣にいたレインはやっぱりねという顔になっていた。しかし他の、特に血盟騎士団の面々は驚いた顔になった。しかしアスナはゆっくりと出口にその足を向け何時でも出ていける光輝を見つめ若干鬼の形相で言った

 

「……わかってるんですか!? どっち道このボスは倒さなきゃ行けないんですよ? あなたに攻略する気はあるんですか!?」

 

 それに光輝は肩をすくめ余裕の表情で言った。

 

「あるよ、当たり前だろ。元の世界に帰る為にはそれを目指すしかないんだから。だけどあんたの作戦で行くなら俺は行かない」

 

 光輝の言葉は光輝の事情を知っているディアベルやヒースクリフ、攻略組の上の立場の人達や他の面々からしてもおかしくない言葉だ。ディアベル達ならそれは過去に帰るための手段として、他の面々からすれば現実世界に帰るために。今のアスナは後者だ。何故ならあの光輝の謝罪会にアスナはいなかったからだ。

 最も今の会話で重要なのは光輝はアスナの作戦では行かないということだ。最近に光輝は攻略組に合流したので忘れがちだが本来光輝はフィールドボスどころかフロアボスにも一人で殴り込みに行くことが出来る実力者、それは皮肉にも笠木との決戦で色々人間としての限界を超えたから出来ている芸当だが。そんな人に抜けられるのは困る。いないならいないで作戦を考えるがこの作戦は攻撃力がある面々がいる事が前提なので光輝がいれば成功率が上がる。そうアスナが言おうとした時光輝の隣にいたレインも悲しそうな視線を向けながらアスナに言った

 

「私も行かないよ。アスナちゃん」

 

「レインさん! あなたまで」

 

 攻略組主力メンバーにまで上がってきた女性メンバーとして仲間意識を持っていたレインにすらそんな事を言われ流石のアスナも動揺の声を出す。レインも何時でも出口に行ける向きになったのを見た光輝は聞いた

 

「じゃああんたはその作戦が正しいとほんとに思ってるのか?」

 

 光輝は基本年上ならさん付けをする。だがそれは何も悪いことはしていないか尊敬できると思った人に限られる。それをやめたのは光輝からすれば悪いことをしようとしているからだ。アスナは冷徹な瞳で見定めようとしている光輝に怒りを露にしながら言った。

 

「当たり前でしょ! 攻略組に被害を出すかNPCに被害を出すか、そんな問いは一目瞭然だわ!」

 

 このSAOはHPが無くなれば現実世界にいる本人達もナーヴギアによって脳を焼き切られ”死ぬ”。それを回避するにはアインクラッド第100層をクリアする必要がある。普通のプレイヤーがゲーム機器を操作するようなゲームならばまだましだっただろう。この世界はプレイヤーがコマンドなんかではなく自分自身が戦わなければならない。つまり自分の精神状態、技術、勝負運、そしていざという時の恐怖に打ち勝つ強靭な意志、それらがないと生き残れない。しかし”死”が具体的な数字になっているこの世界、死闘をしたことが無い人が多いこの世界の人達には厳しすぎるのだ。

 しかし脱出のためには戦わなければならない。それもどれだけ犠牲者を出さずにだ。そういう意味ではアスナの作戦も間違ってはいない。だが光輝はそれが分かっていても嫌だった。光輝は厳し気な視線で聞いた

 

「要は、システムが許してるんだからやってもいいって事か?」

 

 チラッとそれぞれのリーダーを見た。青龍騎士団の面々は苦い顔をしてる。風林火山も同じく。副団長は正しいみたいなKOBの団員もいた。だが意外だったのはヒースクリフさんだ。何か……悲しい顔してる。なんでそんな顔をするんだ? そして不服ならアスナさんに打開案を言えばいい。俺達には無理かもしれないがアスナさんの上司、そしてアルゴと同等、それ以上かもしれないあんたの情報網と頭脳なら考えれそうなものだが。

 ……なんだろうな、このヒースクリフさんの生まれた子供を見守るような眼は。

 だけど今は目の前の事に集中する。

 

「そうよ! 死人を出さないようにするのは当たり前でしょ!」

 

「いや、出てるじゃん死人。NPCだから復活するってあんたは確かめたのか? いや、確かめてたとしても俺はどっち道抜けるがな。だってラフコフと同じ穴の狢になりたくないもん」

 

 そう言ったら場は静まった。ラフコフ、正式名称《ラフィンコフィン》。SAOの最初で最後のレッドギルドでHPが0になればここでも現実でも死ぬと分かっているのに平気でプレイヤー達を殺そうとする殺人ギルド。俺はその首領と会ったことがある。俺がソロ時代の時に俺から何か感じるものでもあったのかラフコフにスカウトをしに来たのだ。だが生憎笠木と同じ外道になりたくなかったので丁重に八つ裂きにしようとしたが転移結晶で逃げられた。

 他のKOB団員は驚愕の顔になり、副団長に関してはわなわなと震えて凄い形相で睨んできてる。だが俺からすればまだ笠木の方がアスナさんよりも凄い顔だったから余り怖くない。……女性と比べるのもダメか。

 

「な!? どこがラフコフと同じ何ですか!? あんな殺人集団と一緒にしないでください! 私達がやってるのは攻略(……)です。あんなゲームクリアの阻害しかしてないヤツらと私達がどっちが正しいなんて明白です!」

 

「そうだ! 副団長の言う通りだ!」

 

 そう口々に副団長を擁護する声が上がるが青龍騎士団やキリト、エギルさんや風林火山の面々は俺の言いたいことがわかったらしい。分かってくれなきゃ困るんだが。他の皆は俺とアスナさんを見守る方を選んだらしい

 

「いや、別にそんな事言ってないんだけど。俺がいつそんな善悪云々の事言ったんだよ。あいつらは自分達が殺人をするのはシステム……ひいては茅場晶彦なる人物がそういう事を許してるから自分達には人を殺していいという権利があるって言ったんだろ?」

 

 それはラフコフがギルド創設宣言の時に話していた。俺は病んでた時期だから知らないが一時期騒ぎになっていたらしい。

 自分達が殺人をしていいのはシステムに許されているからだとか。まあそれは建前だろうが強ち言い分としては理にかなっている。倫理的にアウトだが。もし殺人をしてはダメならそれを責めるのはそんな設定にした茅場にぶつけろと言う事だ。反吐が出る。だけど今は目の前のアスナさんを正気に戻す事の方が大事だ。俺は畳みかける。

 

「ならあんたが今言った方法もあんたのこの作戦においての心理も要するに『システムが良いと言ってるんだからやってもいい』って事に集約する。ほら、どこがラフコフと違うの?」

 

 そう言ったら副団長はハッとした顔になった。あからさまに狼狽している。前のこの人なら俺に言われずとも分かったはずだ。あのダークエルフと触れ合った副団長なら絶対そんな考えにならなかったのにな。

 ついでに言うならそれを度外視しても俺はその作戦には反対だった

 

「それにそれ抜きでも俺はNPCを見殺しになんて絶対にさせたくない」

 

 そう言って思い出されるのは師匠の事だった。確かにあの人はNPCかもしれない。システムによって生まれた人かもしれない。だけどそれでも俺を……直ぐに出ていった奴のことを弟子って言ってくれる人だ。例えそれが決められた物でも俺はあの恩を仇で返すような事はしたくない。

 ディアベルさんも立ち上がり副団長に言った

 

「アスナさん、俺達も今回は降ります。キバオウさんはどうします?」

 

「ワイもや、あんの畜生どもと同じにはなりたくないからな」

 

 そう言ってリーダー格の二人が立ち上がったのを見て青龍騎士団の面々も立ち上がる。光輝の言葉に自分達も嫌な気分になったのだろう。

 それだけに留まらず申し訳なさそうな表情で抜けるものがまた

 

「悪いなアスナ、今回は俺達風林火山も降りるわ」

 

「俺もだアスナ」

 

 そう言って人の良い侍ギルドの風林火山のメンバーとエギルも降りる。彼らもこんな作戦では嫌だったのだろう。更にまた

 

「悪いな。俺も降りる」

 

 そう言ってキリトも降りた。降りた組は出口に歩を進めた。流石にこんな一気に主要メンバーが抜けるとは思わなかったのかアスナが焦った表情で言った

 

「なっ!? 攻略はどうするんですか? あのボスは倒さなきゃ行けないんですよ?」

 

 ボスを倒さなければ100層には行けない。なら最高戦力で行った方が道理。そんなのは俺も分かってる。だが別に血盟騎士団だけが最高戦力ではない

 

「無理ならまた降りたメンバーで行けば良い。少なくとも今降りたメンバーはあんたに従えないってよ。というかあんた、俺がフロアボスに一人で殴り込みに行ってた事忘れたのか? まあ恨むなら自分の言動を恨んでくれ。あんたが不服なら降りろって言ったんだから」

 

 さあこの後どうするかな? 予想は付くが。俺は今アスナさんを否定した。そしてアスナさんが威厳を取り戻す為に必要なことは……

 

 光輝がそう考えた時、光輝の目の前にデュエル申請が現れた。それも予想道理で言われる事は大体予想つくが光輝は後ろのアスナを見た。アスナは

 

「……私と戦いなさい! 私が勝ったらこの作戦を、あなたが勝ったら違う作戦かクエストをもう少し探して考えます」

 

 俺は降りた組を見て皆頷いたのを見てOKしようと思ったがちょっと待ったがかかった。先程までアスナさんと言い合っていたキリトが俺の隣にまで来ていった。

 

「どうしたキリト?」

 

「その決闘、俺がやってもいいか?」

 

 その顔はどこかアスナさんの眼を覚まさなければという使命感のようなものを感じた。確かにキリトは25層までアスナさんとコンビを組んでいたから今のアスナさんに思うところがあるんだろう。申し込んだ本人は

 

「あなたには申し込んでません!」

 

 そう華麗なツッコミが入ったがいいや。確かにアスナさん相手ならキリトがいいかも。25層までコンビ組んでたし。それにこの決闘で仲直りしてくれたらそれに越した事はないからな。

 

 光輝はふっと笑い言った

 

「わかった。じゃあキリトに任せるよ」

 

「な!? 私は光輝くんに申し込んだのよ?」

 

 アスナが「ふざけるな」と言いたげな顔になるのを見ながら光輝はアスナに言った。負けず嫌いなアスナを奮い立たせるための魔法の言葉を

 

「安心しろ、今のあんた程度じゃキリトに勝てないから」

 

 その言葉を聞いた瞬間、アスナが比喩なしで鬼のような顔になった。光輝はそんな表情をまっすぐ受け止める。アスナは叫ぶ

 

「良いでしょう! キリト君が負けても言う事を聞いてもらいますからね!」

 

 今の言葉は副団長としてではなくどこかプレイヤーの一人として言った気がした。デュエルが決まれば一行は会議場の洞窟をでて目の前の広場にまで来た。俺はお姉ちゃんの隣にちょこんと座り見届ける。

 因みに外野は大分盛り上がってる。何故なら攻略組として最初から最前線を走ってきて二つ名を貰ったトッププレイヤーの二人が激突するのだ。盛り上がらない方がおかしい。

 キリトは第50層のフロアボスのラストアタックボーナスであるエリュシデータ(解明者)を中段に構える。あのエリュシデータは片手剣なのに結構重い。だから一撃一撃の破壊力は今の所の片手剣の中は上位に間違いなく入る。だけど重いが故に取り扱いが普通の片手剣と同じようにはいかない。本人曰く最近ようやくまともに持てるようになったらしい。それをこの大事な場面でどれだけ力を引き出せるか。

 

「アスナちゃんの細剣も初めて見るかも」

 

 お姉ちゃんの言葉にそっちを向いたら確かにアスナさんの細剣も前までの物とは違った。だけどあの細剣からは何故か今までアスナさんが使っていた剣たちの魂のようなものが感じられた。何言ってんだと思うかもしれないが俺も似たような経験があるからそう思ったのかもしれない。

 因みにこのデュエルは初撃決着モードだ。強攻撃が当たるかHPを半分切ったら負けだ。

 

 光輝がアスナの観察をしていればそのアスナとキリトの間にあるカウントが0になった。

 

「––ふっ!」

 

 キリトは一気に眼を見開いた。何故ならデュエル開始直後にアスナは仕掛けてきたからだ。アスナの作戦、それは超短期決戦だ。キリトの強さはその今までの戦いで得た経験、ゲーマーだからこそある集中力。そしてその並外れた反射神経。恐らく長期決戦では分が悪いと考えたのだろう。だが開始早々の攻撃は流石のキリトにも隙が出来ると考えたのだろう。

 

「––!」

 

 アスナが選んだソードスキルは「リニアー」、細剣の初期ソードスキルで初動も発動までの時間も早い。更にアスナの繰り出すリニアーはそこら辺の細剣使いの物とは最早別次元の領域にまで行っている。

 その証拠に光輝以外の全ての人は今何が起きたのか分からなかった

 

「–なっ!?」

 

 それはアスナでさえ同じだった。何故ならアスナのリニアーはエリュシデータの真ん中に激突し火花を散らしていた。それをやった本人のキリトでさえ歯を食いしばり何とかできたという顔だ。二人はソードスキルとガード態勢のぶつかり合いで弾かれた。群衆はざわめく。何故なら今の攻防が見えなかった人が大半だったからだ。それはステータスだけでは説明がつかない超速度だった。光輝も拳銃乱射の事件が無ければ見えていたか怪しかった所だ。

 

「今……どうなったんだ?」

 

 隣に立っているクラインが思わず呟いたのを聞き光輝は言った

 

「アスナさんが初っ端から最高速度のリニアーで勝負を決めようとした。で、それをキリトが防いで衝撃で弾かれた」

 

 あっさりと言った光輝にクラインは

 

「……光輝、お前見えたのか?」

 

「まあな。流石にアスナさんがあんな速度をぶっ飛ばしてくるとは思わなかったけど」

 

 それは本当に思った事だ。アインクラッド第1層の時とは比べられないくらい早くなってる。あの修業をしてなかったらキリトも危なかったかもしれない。……いや、それがなくてもキリトなら行けそうな気もしてきた。あいつなんだかんだ言って勝負強さ半端ないからな。

 その二人は再び睨めっこしていた。アスナさんが思わず言った

 

「……どうして分かったの?」

 

 それは先程反応出来たことの事だ。あのスピードはアスナ自身でさえ制御は至難の技だ。キリトなら死なない思ったからやっただけで普通にデュエルならやらない。そしてそれだけではなくキリトはリニアーの攻撃箇所すら分かってるかのようにガードした。それがアスナには意味分からなかったのだ。

 しかしキリトも全然余裕を持った顔ではない。現実なら恐らく冷汗が出ていることだろう

 

「今のは危なかった。いきなり来るとはな。俺もガード出来たのは殆ど勘だ」

 

「勘……ね」

 

 それすらも若干怪しんでいるように見える。しかしキリトは本当勘で今の攻撃をガードした。確かに少しは細剣の動きが見えたっちゃ見えたが本当に少しだけだ。

 アスナは歯ぎしりする。初っ端からの作戦が失敗した。もう同じ手は通じない。ここからは攻略組の最高戦力であるキリトと小細工なしの真っ向勝負しかない。キリトはふっと笑い言った

 

「まだデュエルは終わってないぜ」

 

 それにアスナは眼を見開く。嘗てデュエルのやり方をキリトから教わった時は自分は怖くて出来なかった。だけど今は血盟騎士団副団長としてここにいる。だから戦わない選択肢なんてない。それでも……どこかこのデュエルを楽しんでいる自分がいる事には気が付かなかった。

 

「ええ! 行くわよ!」

 

 二人は激突した。

 キリトの戦い方は基本的に堅実だがいざとなったらの勝負所は逃さない勝負勘や大胆な戦い方にもなることだろう。そして最近はあるスキルの獲得の影響かはたまた取得条件か何かだったのか反応速度もプレイヤーの中ではトップレベルだ。

 

「ふっ!」

 

 対してアスナの持ち味は先程見せた全プレイヤーの中でも圧倒的なスピードだろう。アスナの基本戦闘スタイルはヒット&ウェイだ。攻撃を当てては避け当てては避けだ。

 元々アスナの使ってる武器主の細剣は片手剣よりも1撃1撃のダメージは少ないが片手剣よりも軽いので手数で押し切る武器だ。そんな武器とアスナの戦闘スタイルの相性が悪いわけない。

 

(さあ、どっちが勝つかな)

 

 光輝は二人の戦いを見守る。戦闘が長引くほどキリトとアスナの動きがどこか華麗になっていく。そんな戦いを見ているレインは思わず言った

 

「なんか……綺麗」

 

 二人が斬りあう度に火花が飛び出る。それが二人を照らしまるで二人で踊っているように見える。光輝はそんな姉の言葉を聞き言った

 

「それだけじゃないよ、二人の口元を見て」

 

 その言葉にレインだけではなくクラインやエギルもつられて動き回っている二人の口元を見る。エギルが思わずと言う風に言った

 

「笑ってる……のか?」

 

 その言葉に光輝は頷く。

 

「俺は大切な人を守るための手段として戦いを選んだ。だけど、戦いってそれだけじゃない。ああやって誰かと高めあい、認め合うためにだって出来る」

 

 笠木にそんな感情は持たなかったが光輝自身は武道の本質のようなものを武蔵から教わっていた。家族が死んでからはそんな事忘れていたがキリトとアスナを見ていたら思い出したのだ。どこか郷愁を漂わせながら光輝は言った

 

「俺も何時か……そんな戦いをしてみたいな」

 

 どこか諦めている声にも聞こえレインは光輝を不安そうに見る。光輝はそれに気が付き微笑んでいった

 

「今の俺の目的は皆をもとの世界に帰す事、今はいいんだ」

 

 レインが何かを言おうとしたら光輝が話題を逸らすためか言った

 

「もう決着がつくよ」

 

 レインがその言葉に二人を見れば確かに二人にHPはもう少しで半分と言う事を知らせるイエローゾーンに入る。二人もそれに気が付いたのか一旦二人して後退する。

 

「……次で最後ね」

 

「ああ、どんな戦いにも終わりは来る」

 

 そう言って二人は構える。アスナの脳裏には既に先程の光輝の言葉は殆ど消えている。目の前の戦いが楽しくて忘れるほどにどこか満たされた気分になっている。

 

(ソードスキルをガード出来るのは後一回が限界か)

 

 二人のHPを見ながら心の中でそう言った。最もソードスキルを使わない選択肢もあるが多分そうはならないだろうなと光輝は思っている。少なくともどちらかはソードスキルを使う。もう二人とも長い時間戦っている。集中力も削られている。そんな状態での戦いがその人の強さを示す。

 

「……」

 

「……!」

 

「あ!」

 

 仕掛けたのはアスナ、全神経を注ぎ突進を始める。その手に持つ細剣がピンクに煌めきアスナをキリトに超接近させる。一瞬の静寂

 

「くっ!」

 

 ようやく聞こえた声はキリトの苦虫をかみしめるような声だった。しかしそれは負けたことによる声ではなく

 

「……また!?」

 

 アスナの攻撃……先程よりも洗練されたリニアーが再びキリトのエリュシデータに阻まれアスナは衝撃で少し吹き飛ぶ。

 

(ここが正念場だ、キリト)

 

「うおおおおおお!!」

 

 デュエル中の中で一番の雄叫びを上げキリトは衝撃で吹き飛びリニアーの技後硬直にあって動けないアスナに全力で突撃する。しかしアスナが選んだリニアーは細剣の初級スキル、それ故技後硬直も短い。キリトが眼前まで現れた時、アスナの技後硬直が終わり突撃してきているキリトの腹部目掛け細剣を突き出そうとした

 

(……え?)

 

 だがアスナはその剣を急遽自分を守るために戻した。その理由は突撃していたキリトが唐突に左手を自分の左肩に鮮やか過ぎる程手を伸ばしたからだ。だからアスナはてっきりそっちにも剣があり攻撃してくると思ったのだ。しかしその左手には剣がない。

 

(しまっ!?)

 

 アスナがその事に気が付いた時にはもう遅い。キリトはそのフェイントに引っかかったアスナの持っている剣目掛けエリュシデータを振った。アスナは抵抗も出来ずにアスナの剣「ランベントライト」が弾かれた

 風切り音と共にランベントライトが離れた所に勢いよく突き刺さった。

 

「成程、そんなやり方もあるのか。勉強になった」

 

 と光輝はのほほーんと言っている。件の二人はというと……

 

「俺の勝ちでいいか?」

 

「……はぁ。リザイン」

 

 そう呟けば二人の上空にwinnerキリトと出てキリトの勝利を知らせる。キリトは剣を一度振ってから背中にある鞘に入れた。それと同時に大歓声があがったのだった。

 

 

 

 ★

 

 

 

 勝負の結果もう少しクエストを探してみることになった俺とお姉ちゃんはクエストを探してない。何を言ってるんだと思うかもしれないが本当に探していないのだ。ベンチがあったのでそこで休んでいる。

 今いるこの村は「チナシー」と言う村だ。そしてそれについてお姉ちゃんが何か気がついて今は休憩している。

 

「よう、光輝、レイン」

 

 そう言って近づいてきたのはキリトだった。先程アスナさんと激闘を繰り広げていたのが嘘のようにのほほーんと歩いている。因みに27層で会った黒猫団はあと少しで追いつけるらしい。

 キリトは俺の隣に座り聞いてきた

 

「なあ、今俺が言うのもあれだけどお前らは休憩中なのか?」

 

 そう言って前を向くと小さな女の子がいるがそれ以外は攻略組が聞き込みしまくってる姿が見える。たまーにこっちを向いて「あいつらさぼってんじゃね?」とか言ってそうだがこれにはそれなりの理由があるんだ。

 その理由の言い出しっぺであるお姉ちゃんが笑いながら言った

 

「ほんとだねぇ〜。キリト君も絶賛休憩中じゃない」

 

 実際キリトも今俺の隣で休憩中なので乾いた笑みで返す

 

「ははは、でも言い出しっぺのお前らがこんな無駄とも思えるような事を10分近くする訳ないよな」

 

 それを聞くにどうやら俺たちの行動を見ていたらしい。お姉ちゃんは我が意を得たりって感じで言った

 

「流石キリト君、この村の名前知ってるよね?」

 

「え? ああ、チナシーだろ?」

 

「チナシーはロシア語だと静寂って意味なの。だからもしかしたらクエスト開始の合図は話しかける事ではなくて···」

 

 お姉ちゃんが言いかけたが目の前にいた小さな少女がてくてくと歩いてきてるのを見て黙った。それに気が付いた俺やキリトも黙った。少女はお姉ちゃんの目の前まで来るとクエストアイコンを出しながら言った

 

「お姉ちゃん達はあのおっきい魔物を倒したいの?」

 

 俺達は顔を見合わせてうんと返事した。それがクエスト開始のトリガーになったのか少女が自分の祖母から聞いたという話をしてくれた。

 それを分かりやすく言い換えると何でも少し村を出た所のもう誰もいなくなった家があってそこに魔物·····フィールドボスを一定時間眠らすことが出来る歌詞の紙があるらしい。

 だけどその家には中途半端な者達が魔物に挑まない為に抑止力としてそのフィールドボス程ではないが強い守護獣がいる。でもその守護獣に力を認めて貰えればその家に入ってその歌詞が書いてる紙を手に入れられるらしい。そしてそれを聞き終え少女にお礼を言った俺達はキリトと一緒にその家に行きながら話す。

 

「なる程な。話しかけるんじゃなくて待つのか。それは騙されるな。皆クエストは話しかけるもんだと思ってるから」

 

 そこでキリトは微妙な顔になりレインに言った

 

「というかこれレインがいなけりゃ誰も気がつかなかったんじゃないか?」

 

 勿論、ロシア語が分からなくてもヒントはどこかにあったかもしれないがこんなにストレートに行けたのは何故かロシア語を知っていたレインがいたからこそだろう。レインも自分の推理が当たって嬉しいのか楽しそうに話す

 

「あはは、そうかも。私も半信半疑だったけどね」

 

 そこで光輝はさっきから疑問に思っていた事を聞いた

 

「というかお姉ちゃんよくロシア語知ってたね」

 

 光輝は全くロシア語なんか知らなった。というか何なら言語は世界に日本語と英語しかないとか思っていた。レインは微笑みながら光輝に言った

 

「私、生まれはロシアなんだ。ハーフなの。日本とロシアのね」

 

 意外な事実が判明した。姉を見ていた時も思っていたがどこか日本人離れしているなとは思っていたらレインに関してはハーフと言う。それは確かに日本人離れするなと思った。しかしそうなると光輝からすれば自分のルーツに関して疑問が出てくる。

 

「そうなんだ……うーん」

 

「どうしたの?」

 

 光輝は一瞬言おうか迷ったが別に減るものでもないので言う事にした

 

「いや、俺の方の姉ちゃんとお姉ちゃんが髪の色以外は瓜二つだから俺の家系もどっかにロシアの人がいたのかなって思って」

 

 というかそうでなければ麗華とレインが瓜二つの説明がつかない。そうなると光輝にもどこの代かは分からないがロシアの人がいたと言う事だろうか? でも光輝はそんな話は聞いたことが無い。

 

「うーんそれは分からないなぁ」

 

 流石にレインも生物学的なもの詳しいわけではない。自分に瓜二つという光輝の姉を見てみたいがもう亡くなってるからそれは無理だ。光輝は少し自分の家系について考えていたがもう西沢家は光輝ただ一人になってしまったので分からない。考えを諦めお礼を言った

 

「そうだよね。ありがとうお姉ちゃん」

 

「どういたしまして」

 

「おーい、俺を忘れるな〜」

 

 いつの間にか話を置いてけぼりにされていたキリトの声が聞こえたのだった

 

 ★

 

 

 そんなこんなで守護獣と迎合し俺達の力を認めて貰えれ家の中に入れた。そこにあったのは少女が言っていた歌詞がある紙だった。一つだけ問題があったが取り敢えず持って帰ってディアベルさん達や皆で一緒に見たが·····

 

「歌唱スキル!?」

 

 リンドさんというディアベルさんを意識しているのか青髪の青龍騎士団のナンバー3が思わず叫ぶ。

 歌唱スキルは所謂娯楽スキルだ。戦闘には余り役に立たないと攻略組は考えているからそのスキルを取ってる人は少ない。生きるか死ぬかの二択のこの世界、生きるために必要なスキルを取るのが最善の選択だと思う人が多いからだ。だがそれがここにきて仇になった。

 

「それが無いと眠らすことが出来ないのかい?」

 

 ディアベルさんが思わずみたいな感じで聞いてきたので先にこのアイテムを見ていた俺は付け加えて話す

 

「それも結構な熟練度で。但しそれが出来たら楽出来るらしいです」

 

 そう言って俺はある方向に顔を向けた。だけど俺はこれに関してはそんなに問題がないと思っている。だって俺が顔を向けている人はその歌唱スキルを取ってると思われるもん。

 

「でもそんなマイナーなスキル誰も·····」

 

 歌唱スキルは先程言った通り取得している者は少ない。おまけに熟練度の上がり方も遅いし地道だ。町中に行けばいるかもしれないが攻略組のエゴでレベルがマージンに届いていない人を戦場に連れて行くわけにはいかない。

 ディアベルさんは流石にこればかりは悩むのかうなり始める。俺は視線をお姉ちゃんに向けたままだ。お姉ちゃんはその視線に気が付きめちゃ赤面になっている。だけどこのままでは埒が明かないと思ったのかおずおずと手を上げた

 

「レ、レインさん!? 上げてるんですか? 歌唱スキル」

 

 その手を上げた意味が分かったのかディアベルさんが思わず叫ぶ。会議場にいる皆がお姉ちゃんに注目している。お姉ちゃんは恥ずかしがり屋さんだからこの注目は恥ずかしいのかもしれない。でも自分のせいで攻略が止まるのは流石に嫌だったのかもしれない

 

「は、はい。熟練度は昨日MAXになりました」

 

 そう言ったら攻略組面々は首を傾けた。さっきも言ったが歌唱スキルはマイナーだし熟練度上げも地道にしなければならずはっきり言って面倒だからだ。だから何でお姉ちゃんがそんなマイナーなスキルを持って尚且つ熟練度MAXにしてるのか気になるらしい。

 

「え、えと。その〜」

 

 そう言って段々顔が赤くなるお姉ちゃん。別に熟練度Maxにした理由位教えてもよさそうなものだけど……一体どうしたんだろうと思ってたら答えた。それはもう周知の限界を超えてるんじゃないかって位に赤くなりながら

 

「·····将来の夢がアイドルになる事なんです」

 

 そう言って羞恥で顔を真っ赤にして顔を下げた。別に恥ずかしがあることないのに。

 それを聞いた皆が呆気に取られていたが誰も笑いはしなかった。寧ろ·····

 

「そうか、俺は応援するよ」

 

 そうディアベルさんが言ったのを皮切りに皆応援するぜみたいな事を言い始めた。それにお姉ちゃんは「え?」って顔になる。もしかしたら笑われるかもしれないと思っていたのかもしれない。だけどそんな事する人はここにはいない。デスゲームだから……いや、デスゲームだからこそ夢を持つべきなんだ。それが生きるために必要なこと、目標もなく生きる方が空しいしな。

 そして俺も未だに唖然としているお姉ちゃんの手を引っ張り。

 

「俺も応援するよ、お姉ちゃん」

 

 お姉ちゃんは俺の夢を聞いてくれた。家族と……愛美と結婚して幸せに暮らしたいって小1なりの夢だった。その半分はもう叶えられない願いになった。だけどまだ半分は叶えられるかもしれないって教えてくれたのがお姉ちゃんだ。だから俺もお姉ちゃんの夢を応援したい。

 

 光輝の言葉を聞いた眼から少し涙が出てきた。そして光輝の手を握り返し嗚咽を漏らしながら言った

 

「う、うん……ありがとう、皆」

 

 そう言ってお姉ちゃんは皆に頭を下げた。そしてディアベルが手を叩き皆の気を引き締め直す。だがまたおどけた感じで

 

「じゃあこの歌はレインさんが歌う。皆もそれで良いか?」

 

 そして口々に勿論と言ってる。アスナさんも顔は見えないが異議はないらしい。というか他に歌唱スキルを持つ人が最前線のレベルにいるか分からないってのもあると思うが。ディアベルさんがお姉ちゃんに向き直り言った

 

「それではレインさん。あの世界へ帰る為のファーストライブは任せましたよ」

 

 その言い方絶対緊張させると思うのだが。ただ、こういうところが本当にナイトって所なんだろうな。

 

「は、はい!」

 

 勢いよく返事はしたが絶対緊張しているので俺はまたてをぐいぐいし話しかけた

 

「大丈夫だよ、お姉ちゃん歌上手いもん!」

 

 それにレインは思いっきり驚いた顔になりながら聞いた

 

「こ、光輝君いつ聴いたの!?」

 

 レインは歌唱スキルを今の今まで隠してきた。なのに光輝は確信を持ってるかのようにそんなことを言った。しかし光輝はあっけからんと言った

 

「えっ? 俺が寝てる時に練習してたでしょ?」

 

 レインは光輝と行動するようになってからは歌唱スキルは光輝が寝静まった後に練習していた。それを光輝はたまたま起きて聞いていたのだ。それ以来光輝はレインの歌を聞いてたら寝ていたとしても口元が緩んでいる。

 レインは光輝のまさかのチクリに何故か要求レベルが高くなったと感じ

 

「うっ! もうプレッシャーかけないでよ〜」

 

 そう言って皆で笑いあった。

 そして翌日お姉ちゃんの歌声と共にフィールドボスが討伐された。

 



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お昼寝タイムと圏内事件、そしてその調べ

おはようございます!今日も投稿出来ました!今日から本格的に圏内事件です!では(∩´。•ω•)⊃ドゾー


 2024年 4月11日 第59層 主街区 ダナク

 

 今日も俺とお姉ちゃんは迷宮区に行こうとしたがその途中の原っぱでキリトとキリトが所属し前回の層から攻略組の仲間入りを果たした月夜の黒猫団の面々が寝ているのを見かけ声をかけた。

 

 

「キリト!」

 

「キリト君、プリヴィエート!」

 

「おお、光輝にレインじゃないか。どうしたんだ?」

 

「いや、今から迷宮区に行こうと・・・、そっちは昼寝?」

 

 そう言って答えたのは月夜の黒猫団のリーダーとその仲間だった。

 

「そうそう、キリトがいきなり今日は寝るって言い出して・・・」

 

 そうリーダである、ケイタが言い

 

「何でだって聞いたら」

 

 ササマルが言い

 

「今日はアインクラッドで最高の〜」

 

 テツオが言い

 

「季節で〜」

 

 ダッカーが言い

 

「最高の」

 

 サチさんが言いそして最後に

 

「気象設定だからな。」

 

 キリトがしめた。お前ら息ぴったり過ぎないか?まあ高校の部活の仲間って言ってたしな。キリトも溶け込めてるみたいだし前回のボス戦の黒猫団の活躍は凄かったな。凄い堅実に攻めてタンクがいないから引き際も弁えてる。とてもあの時ドジった奴らとは思えない。

 

「まあ要は今日は昼寝には素晴らしい日って事か?」

 

「そゆこと」

 

 そして見てたら俺も眠くなってきた。それを見たお姉ちゃんが

 

「もう、光輝くんも寝たいなら寝たいって言いなよ。」

 

「う、じゃあ寝たいです。」

 

「おう、じゃあこっちに来いよ。」

 

 そうキリトに言われ俺とお姉ちゃんは横になった。

 

「わぁー、確かに気持ちいい!」

 

「うん!」

 

 そう言ってたらそこに第三者の声が聞こえてきた。

 

「何してるの?あなた達」

 

 そう言って来たのは攻略の・・・ウッホン、閃光で血盟騎士団副団長のアスナさんだった。そしてアスナさんの言い分は皆が一所懸命に迷宮区に挑んでんのに俺達は何やってんだとさ。そしてその不機嫌オーラで当てられたくないからサチさんとキリト以外の黒猫団は寝たフリをしてる。キリトがさっき俺とお姉ちゃんに言ったみたいに返した。そしてアスナさんは何時もと変わらないと言いキリトがだったらあんたも寝てみろよと言いアスナさんは無事キリトの隣で寝始めた。・・・キリトも冗談だったと思うんだけどなぁ。

 そして黒猫団の男メンバーはアスナさんの寝顔を見ようと思ったらしいがサチさんとお姉ちゃんの絶対零度の視線でやめた。そして・・・

 

「はあ!俺が残るの?」

 

「当たり前でしょ!キリトがアスナさんに昼寝を勧めたんだから。」

 

 昼寝にしては長すぎたし中途半端に目が覚めたから迷宮区に行こうとなりそしてアスナさんのガードをする為にキリトにサチさんが残っとけって言ったらこうなった。因みに今日はもう黒猫団に入れてもらう予定だ。キリト・・・お前の事は忘れないよ。

 

「いや、生きてるし!」

 

「何でわかった?」

 

「はぁ、わかったよ。俺が見とく。気をつけてな。」

 

 あれ?無視ですかい。まあいいや。

 

「おう!」

 

「アスナちゃんに変なことしちゃだめだよ?」

 

「誰がするか!」

 

 そうワハハと言いながら黒猫団と俺達は迷宮区に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして8時間後ぐらいに戻って来たらまだいた。一体何時間寝てんねん。あっ

 8時間ぐらいか、そう思いながらキリトに声かける。

 

「キリトまだいたの?」

 

「俺も早く攻略に行きたかった。」

 

 そんな悲しそうな顔で言われてもな。というか美人さんの寝顔を見放題だったんだから普通なら喜ぶべきでは?攻略優先ってお前も大概ゲーム脳だな。

 

「でも女の子を1人ほっといたらダメだよ。最近は睡眠PKがあるんだから」

 

 そうサチさんが言った。

 

「わかってるよ。だからちゃんといただろ」

 

 睡眠PK・・・街中や圏内で安心して寝てた人達の指を第三者に動かされ決闘・・・完全決着モードを選び寝てる奴をズサズサ切り裂いてPKする。ラフコフが発明してしまったPK方だ。あの野郎どもあのクズ野郎よりもタチが悪いかもしれない。

 

「くちゅん!」

 

「へ?」

 

「えっ?」

 

 そんな変なくしゃみとヨダレと共に副団長がお目覚めになった。こう見ると普通の女の子なんだけどな。そして皆でふふふと笑っていたらどんどん赤くなってそしていきなり立ち上がり腰の細剣に手を伸ばした。それで全員思わずキリトが座ってた所に隠れた。だが何時までも抜かず皆で恐る恐る見てみたら

 

「・・・はん1回」

 

『えっ?』

 

「ご飯を1回皆に奢る!それでチャラ。どう?」

 

 そんなどうと聞かれてもと思ったが皆刺激するのはやめた方がいいと思ったのか思わず頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第57層 主街区 マーテン

 

 

「なぁ、あれKOBのアスナ様じゃないか?」

 

「本当だ!閃光のアスナ様だ!」

 

「あとの奴らは誰だ?」

 

「新聞で読んだ事あるわ。確か58層から攻略組に入った月夜の黒猫団よ。」

 

「それと・・・、うおっ!蒼赤の戦士と紅の歌姫(レイン)じゃないか!」

 

「でも歌姫って言ってもめちゃくちゃ強いらしいよ。」

 

「それと蒼赤の戦士の保護者的な人らしい。ほら、手繋いでるだろ?」

 

 ・・・何か恥ずかしくなってきた。レストランに入ったら何か皆ザワザワしてちょっと居づらいというか、お姉ちゃんもちょっと赤色になってる。キリトとサチさんを除く黒猫団は自分達の名が轟いてて嬉しそうだけども。そして何でか分からないけどキリトとアスナさんは2人で食べさせようってなったから俺達と黒猫団は少し離れた所で食べる。お姉ちゃんがサチさんに話しかける。

 

「サチさんはキリト君気にならないの?」

 

『けほっけほっ!』

 

 黒猫団がそれを聞いてむせる。どうしたんだろう?というかこのお店のご飯美味しいな。俺がご飯を美味しく頬張ってる間に会話が進む。

 

「うーん、気にならないって言えば嘘になるかも。でもね、私は自分からアプローチしようとは思わないよ。だって光輝くんとキリトのおかげで今あるこの命、それだけでも幸運だもん。それにその上にキリトも求めるなんて図々しいから。まあ、もう殆ど諦めてるんだけどね。」

 

「・・・そっか。そうだね、何かキリト君にはアスナちゃんがお似合いだもんね。」

 

「今はあんなだけど昔は案外仲良かったと思うけどなぁ。」

 

「そうなの?光輝くん。」

 

「うん。いやー俺が1回思いっきり寝坊してフロアボスを取られた時にそのまま攻略組を見てたんだけどあの2人のコンビネーションは凄かったな。あのコンビネーション捌くには今の俺も少し本気出さなきゃいけないだろうな。おまけにあれ多分無意識レベルだし。」

 

 そう言ったら何か皆ちょっと驚いてるみたいだ。ふふん!そう思ってたらケイタさんが話し始めた。

 

「へぇ〜、あの二人がなぁ。今のあいつらかは想像できないな。俺達はあの二人が喧嘩してるとこしか見てないからな。」

 

 ササマルが返す

 

「本当だな。くそー羨ましいぞキリト!」

 

 そんな感じで皆と談笑していると

 

キャーっ!

 

 外から悲鳴が聞こえてきた。それを聞いて皆頷いて速攻で店を出て悲鳴のあった方が行きそこに居たのは何かごっつい鎧を着てる人でおまけに槍が刺さって更におまけで教会の高い所にいる。

 

「アスナは教会の中から!俺はもし落ちたら受け止める!」

 

「わかった!」

 

 そう言ってアスナさんは教会の中に入ってた。だけどそんなまどろこっしいのを待ってられず俺は飛びそして見た、鎧の中の人の目が全く何も恐れてない事に。強いて言うなら「あっ、やべ!」ってなってるぐらいか。そう思って手を伸ばしたが届く前にポリゴン片となり消えた。残ったのは刺さってた槍だけだった。

 

 その後広場は騒然となった。決闘のWINNER画面がどこにも出ないのだ。つまりあの人は決闘ではなく違うもので殺された事になる。それも・・・起きている限り絶対安全な圏内でだ。アスナさん曰く教会の中も誰もいなかった。

 最初から見てた目撃者を募った所おずおずと出てきたのはヨルコさんという人だった。

 

 ヨルコさん曰く、今日あのフルプレートの男《カインズ》さんと今日はご飯を食べに来たのだがいきなりいなくなりそして教会の上を向いたらあの惨状になっていたそうだ。その後はもう何か無理そうだったから明日って事になった。別れる前にカインズさんの綴りを聞いといた。

 

 そして俺達はお姉ちゃんの鑑定スキルであの槍の鑑定を行い出てきた名前は《ギルティゾーン》・・・アスナさんに聞いたら罪の茨と言うらしい。何それ怖い。そしてこの作り主が《グリムロック》って言う人の事も。そして俺達は第1層の黒鉄宮の全プレイヤーの名前が書いてある所に行き《kainzu》さんが亡くなっているのを確かめた。そして皆が確認したから皆で出て行こうとしたのだが俺は亡くなった方の姉と話した事を思い出して止まった。それを見たキリトが訝しげな視線で見てきた。

 

「光輝?どうしたんだ?」

 

「ねぇ、アルファベットで「か」ってKAとCAがあるよね?」

 

「うん。あるけどヨルコさん自身がカインズさんの綴りを教えてくれたのよ?流石に仲間の綴りは間違えないんじゃ・・・」

 

「うん。でも・・・」

 

「何か引っかかるの?」

 

 そうお姉ちゃんが聞いてきた。

 

「うん。何かあのカインズが消える時の目がね。何か・・・死ぬのは怖くないみたいな目をしてたから。何かあるんじゃないかなと思って」

 

 場に沈黙が走る。でも俺も確信がある訳では無いから顔を下げる。だけどお姉ちゃんがふっと笑って

 

「ねぇ、探すだけ探してみよ。Cの所を見れば良いだけなんだから。」

 

「そうだな。何か役に立つかもしれないしな。」

 

 そう口々に言って皆でまたカインズさん探しをして見つけた。それも生きてる状態で。それを皆で見て今度こそ59層に行こうとして始まりの街の転移門に行こうとしたら

 

「キリトさん!光輝さん!」

 

 そう言って来たのはディアベルさんと・・・確かタンクのシュミットって人だ。面白い人だったからよく覚えてる。それに青龍騎士団のタンクのリーダーだし。何か凄い慌ててる。そう思って声をかける

 

「どうしたの?」

 

「いや、君達が57層の圏内殺人の現場に居たって聞いてね。」

 

「カインズが死んだのは本当なのか?」

 

 そうシュミットさんが聞いて来た。この様子なら関係者なのはディアベルじゃなくてシュミットさんだな。カインズさんの綴りを聞いてみる

 

「その質問に答える前に聞いてもいい?」

 

「なんだ?」

 

「カインズさんの綴りの始まりってKA?」

 

「いや、CAだ。」

 

 それを聞いたら皆で少し驚いた感じがしてディアベルさんとシュミットさんは置いてけぼりを食らわした。そして俺達はまた向き直り

 

「いや、それならカインズさんは生きている。」

 

「はっ!?え、でもカインズは死んだって・・・、お前たちも目の前で見たんだろう?」

 

「うん。確かに見た。だけどもし生きてた場合ならあそこから消えた謎もさっきキリトと話してキリトが言った方法なら出来る。」

 

「あっ!さっきコソコソ話してたのはそれを考えてたの?」

 

「う、うん。ごめんねお姉ちゃん。」

 

「ウンウン、大丈夫。」

 

「それでキリトさん、その方法って?」

 

「ああ」

 

 キリト曰くその方法とはあの鎧の耐久値が無くなるのと同時に転移結晶で転移したんじゃないかっていう物だった。そうすれば限りなく死亡エフェクトに近くそれでいて全く別の物になる。キリト頭良いな!

 

「なるほど、それなら確かに出来るかもしれない。」

 

「そうだね、それでいけそう。」

 

「うん。でも問題は何でヨルコさんが嘘をついたって事だ。ここまで来れば俺はヨルコさんとカインズさんは共犯だと思う。何でそんな事をしてるのかって言う鍵はやっぱりあの槍を作ったグリムロックだろうな。」

 

「なっ!?グリムロックなのか?その槍を作ったのは?」

 

「?ああ。カインズさんに貫いてたのはグリムロックさんが作った物だった。」

 

 そう言ったら何かシュミットさんはビクビクしてる。ディアベルさんが落ち着きさせて話を聞く。

 

「・・・ヨルコとカインズと俺とグリムロックさんは昔同じギルドにいたんだ。黄金林檎っていうな。グリムロックさんとグリゼルダさんっていう夫婦が始めたギルドだ。だけどある出来事をきっかけに解散したんだ。」

 

「ある出来事?」

 

「その時ギルドで敏捷値が20も上がる指輪をドロップして、それをギルド内の誰かがつけるか売却してギルド資金にするかを多数決にしてそして売却になったんだ。そしてリーダーであるグリゼルダさんが売りに言ったんだが・・・、殺されて指輪も無くなっていた。」

 

『なっ!?』

 

「それでギルド内が不審状態になり空中分解したって所か。その売却を知っていたのはギルドメンバーだけだろうからな。 」

 

 そう俺がしめた。そして俺はまた話始める。お姉ちゃんに向かって

 

「ねぇ、お姉ちゃん。」

 

「ん?何?」

 

「結婚しよ!」

 

「へ!?な、な、な、何で!?」

 

「いや、結婚した後の強制離婚ってどうなるのかなって思って。まあ普通に言えば夫婦の内どちらかが勝手に離婚した場合の事だよ。」

 

 そう言ったら女の子メンバーが微妙な顔になり何かお姉ちゃんに怒られた。

 

「光輝くん、女の子にとって結婚は大事なことなの。それを離婚する為だけに結婚するのはお姉ちゃん嫌だな〜。」

 

「うっ、じゃあキリトとアスナさんやってよ。」

 

『なっ!?』

 

「何で俺なんだよ!」

 

「そうよ!誰がキリト君何かと!」

 

 そう言ったらキリトがしゅんとした。今のはちょっと酷いんじゃないかなと思わないことも無い。そう言ってたらお姉ちゃんがしゃがみこんで

 

「・・・結婚し直すなら良いよ。」

 

「「「えっ?」」」

 

 皆でそんな変な事を言った。俺も何で?という目線を送る。

 

「だって光輝くん偶に知らない間にフラーっとどっかに行っちゃうしそれもフレンド登録の追跡も出来ないから知らない間にどっかのダンジョンに行ってるんでしょ?もう心配で心配で。でも結婚したらフレンド追跡できないところも出来るようになるでしょ?だから良いなって思って。」

 

「そう言えばキリトも偶にフラーっとどこかに行ってるよね。最近だと一昨日かな。」

 

 そうサチさんが言って俺とキリトは

 

「「ギクッ!」」

 

 そんな音が出そうなくらい俺達は同期して皆にジト目で見られてる。実際俺とキリトは偶にある事の練習の為にお姉ちゃんに黙ってちょっと簡単めなダンジョンに行ってる。だけどそれを言うわけには行かないからキリトと一緒って事だけ話しておく。

 

「ふーん、何で?お姉ちゃんに言えないこと?」

 

「は、はい。」

 

 そう言ったらめちゃくちゃじーっと見られて居心地悪い。そしたらふっと笑ってシステムウィンドウを開いて何かしてる。そしたら目の前に『rainさんから結婚を申し込まれてます。』って言うウィンドウが出て思わずお姉ちゃんを見た。

 

「ほら、試したいんでしょ?でもこれをやったら軽々しく結婚なんて言わないこと。わかった?」

 

「う、うん。」

 

 そう言って俺はYESを押した。何かファンファーレがなった。そして何か結婚指輪が目の前に出て落ちて来て手の中に収まった。

 そしたらなんか俺とお姉ちゃんの前にウィンドウが出て結婚した時の注意事項と離婚について書いてた。そしてそれによると片方がもし死亡した場合その死んだ方のストレージにある物は全てもう片方の生きている方にいくらしい。

 それを聞いて黒猫団が疑問の声をあげる。

 

「どういう事だ?じゃあ指輪は消えていなかったって事か?」

 

「でも何でグリムロックさんはその事を言わなかったんだろう。」

 

「いやグリゼルダさんが装備してたとか?装備ならその場に落ちるし。」

 

 ケイタ、ササマル、ダッカーがそう言ったがディアベルさんが否定した。

 

「いや、指輪は両手とも既に埋まっていたと思う。その光輝くん達が持ってる結婚指輪とギルドリーダーの指輪で埋まっていたはずだからな。まず間違いなくその指輪はストレージにあったはずだ。」

 

 

 そう言っててチラッとシュミットさんを見たら震えてる。みんなも気がつきディアベルさんが声をかける。

 

「シュミットさんどうしたんですか?」

 

「あ・・・ああ」

 

 ・・・俺が思っていた事を聞く

 

「なぁ、そう言えばシュミットさんは確か装備が入団基準をクリアしたから入れたんですよね?」

 

「あ、ああ。」

 

「じゃあそのお金はどこから出たんだ?別に自力でいけたんならそれはそれでいいんだけど。あなたが入ってきたのも結構今思えば急だったからな。」

 

「·····」

 

 皆で答えを待つ。そして決心がつかないのかディアベルさんが言う。

 

「シュミットさん、俺達はここであったことは言わないです。そしてシュミットさんが言う事を聞いても誰もあなたを責めるつもりはありません。あなたがボス攻略で頑張っている事は皆知っているから。それにあなたが悪い人ではないということも。だから話してください。」

 

「・・・わかった。ある時黄金林檎の俺の部屋に置き手紙があったんだ。回廊結晶と一緒にな。この回廊結晶をグリゼルダさんが泊まる部屋に先回りして登録しろって。その結晶をギルドストレージに入れろって。そしたら報酬を渡すって。その報酬に目がくらみ俺はその通りにした。だが次の日・・・」

 

「グリゼルダさんが殺されたって訳か。」

 

 そうキリトが言ったら頷いた。これで容疑者はギルドメンバーで確定だな。ギルドストレージから取るのはギルド団員しか出来ないからだ。この場合は一概にこの人が悪いとは言えないよな。少なくとも100%ではない。確かにそんな事しなければグリゼルダさんは死ななかっただろう。だけどこの人は犯人に嵌められた訳でもあるからな。報酬に目がくらむのも人間である以上しょうがないとも言える。

 

「だから・・・、そのコルで攻略に貢献するのがグリゼルダさんへのせめてもの償いだと思って・・・」

 

「じゃあそうするんだな。」

 

 そう俺は言ってシュミットさんはえっ?って顔してる。

 

「それが償いだと思うならこれからもそうするんだなって言ってるんだ。人の命で得たものは人の命でしか償えない。」

 

 そう言ってシュミットさんは周りを見たが皆責めるような顔はしていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後俺達はまた明日ヨルコさんに会うことにして別れた。そして57層の宿屋に泊まった。そして部屋に入ったらお姉ちゃんが話しかけて来た。

 

「ねぇ光輝くん。」

 

「ん、何?」

 

「私達も一応結婚したんだから家買わない?」

 

「えっ?結婚したら買わないとダメなの?」

 

 そう言ったら何か冷めた目で見られた。俺変な事言ったんだろうか?

 

「家あった方が色々便利だよ?ストレージの使わない物を棚とかに置いとけるし、帰る場所があるのって安心するでしょ?それとも光輝くんはいや?」

 

「い、嫌じゃないです。じゃあその、47層なんてどう?」

 

「あー、あそこ?うん、良いんじゃない?お花綺麗だしね!じゃあ今度探しに行こうか!」

 

「う、うん。」

 

 返事をしながら俺の頭はあの辺のお家を思い浮かべていた。そうしたらお姉ちゃんがそう言えばとか言ってる。

 

「どうしたの?」

 

「結婚したから光輝くんのステータスが見れるって思って。見てもいい?」

 

「えっ?まあいいけど面白いことなんて無いと思うけど?」

 

「まあまあ、じゃあ拝見します!」

 

 そう言ってお姉ちゃんは俺のステータス画面やらを見始めたのだが·····

 

「·····どういう事?ライフゲージがないのは見ればわかるけど光輝君、ステータスもないの?というか装備欄も剣しかないし。」

 

「うん。その代わり俺はこの世界に来る前のところと同じくらい動ける。」

 

「えっ?じゃあリアルでもあんな動き出来るの?」

 

「うん。」

 

 ふふん!驚いた顔してる。どやっ!

 

 

 

 

 今夜はお姉ちゃんとお話して眠りについた。

 




この話の裏会話

皆で黒鉄宮から出ようとしていた時俺はあのカインズさんが消えた時のエフェクトを思い出してうーんうーんと言っていた。そしたらそれに気がついたキリトがどうしたんだ?と聞いてきた。

「いや、カインズさんが消えた時のエフェクトって本当に死んだ時のだったのかなと思って。」

「まあ確かに別のカインズさんが生きてるって事は分かったしもしかしたら同一人物かもしれないからな。もしそうなっていたらどうやってカインズさんは消えたのか、普通に考えれば転移結晶だろうけどそれだけじゃ不十分だし・・・」

「なーんかあのエフェクトに混じってたのを見た事あるんだよなぁ。」

「それは何なんだ?」

俺は考えていたがサチさんと話しているお姉ちゃんを見て思い出した。思わず口に手を当て少し頬が熱くなったのを自覚する。だがそれを見たキリトがこっちを見て

「何か気がついたなら教えてくれないか?」

俺は迷ったが結局言う事にした。・・・どうかお姉ちゃんに聞こえませんように。

「・・・この前お姉ちゃんと迷宮区に行った時に何か耐久値を減らす攻撃を持った奴がいてさ。ほら、あのスライムみたいな奴。」

「ああ、いたな。それがどうかしたのか?あれの攻略法なら攻略本に書いてるだろ?」

「あー、うん。普通に倒せてはいたんだけど倒したと思ってた奴がまだ生きててお姉ちゃんに攻撃してそれは俺が速攻でぶっ倒したんだけど・・・」

「だけど?」

「・・・お姉ちゃんの服の耐久値がその攻撃で切れて、お姉ちゃんに見ないでーっ!って言われながら殴られた時に見たあの服が消える瞬間に似てた。」

「お前も災難だったな。」

そんな同士を見つけたみたいな顔で見ないでくれ。頼むから。というかキリトもあんのかい!だがキリトは少し顎に手を当てポンっと手を叩いた。

「なるほど。わかったぜ、その死ぬ演出のトリックが。」

「えっ、本当に?」

「ああ、あの槍はずっとカインズさんに刺さっていた。でも抜こうと思えば抜けたはずだ。だけどそうしなかった。」

「その槍を刺してなきゃ出来なかった?」

「そうだ。そしてそれは圏内ならただ1つ、耐久値の消耗だ。圏内ならHPは減らないが耐久値は減るからな。そしてその耐久値が切れるのと同時に転移結晶でどこか違う層に飛んだんだ。」

「おお!成程!」

「サンキューな光輝、お前のおかげで気がつけたよ!」

「・・・じゃあその、さっきの話は忘れて。俺が話したのバレたら殺される。まあバレたらキリトも殺されるけどね。まだ二刀流の扱いは姉ちゃんの方が上手いから。」

「う!わ、分かった。」


裏会話終了!















何か光輝のせいで凄いショートカットした。やはり光輝、チート疑惑(嘘です!全て嘘です!)
明日も多分出せると思うんでよろしくお願いします。ではバイバイ(ヾ(´・ω・`)



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害悪処理とレインの怒り

おはようございます!続きです!前回で光輝とレインが結婚しちゃいましたが光輝は確かにレインのことは好きですがそれは家族とがそっち系の好きです。レインも同じ。だから光輝×愛美は大丈夫です。セーフです。・・・やっぱり光輝の世界の人達の様子書いた方がいいのかな?では今日も(∩´。•ω•)⊃ドゾー


 翌日

 

 俺とお姉ちゃんとキリトと黒猫団とディアベルさんとシュミットさんはヨルコさんの元へ訪れた。

 

「しゅ、シュミット!?貴方何でここに?」

 

「それも含めて今日はお話します。」

 

 そうアスナさんが言って昨日皆で食べていたレストランに行った。そして皆それぞれ席についた。因みに店はディアベルさんの部下の人達がすごい申し訳なさそうに外で入りたい人を断ってくれてる。ありがとう。

 アスナさんが切り出した

 

「単刀直入にお伺いします。カインズさんは生きてますね?」

 

 もうシュミットがいる時点でもう悟っていたんだろう。本人を呼ぶと言ってメールを打ち、ちょっと経ったら来た。

 

「お騒がせして申し訳なかった!私達はただ真実を知りたかっただけなんです!」

 

 そう言って2人とも頭を下げる。

 

「その真実を教えますよ。シュミットさん、あとは出来ますか?」

 

「ああ。」

 

 そう言ってシュミットさんは語り始めた。それもものすごく申し訳ない顔で。実際申し訳ないだろうな。自分のせいで死んでしまったと思ったら余計にな。そしてシュミットさんの話を聞いたお2人はやっぱりって顔になっていた。ある程度シュミットさんの事は疑っていたんだろうな。

 多分この事件を幽霊のせいにしてそれでタンクをしてる時は頼もしいが偶に怖かったら震えるシュミットさんの性格を利用したんだろうな。この人幽霊信じやすそうだもん。そしてグリゼルダさんのお墓があると言ってたからそこにシュミットさんが行くと踏んでそこに先回りして懺悔するシュミットさんの言葉を録音するって所かな。この2人はさっきも言ったように真実を知りたかっただけなんだろう。

 

「これが、俺が知ってる全てだ。」

 

「じゃあ一体誰がグリゼルダさんを殺したんですか!?」

 

 そう言ったら俺達は微妙な顔をした。話しても良いのかなって思うし。まあこの人らは真実を知りたいらしいからまあいっか。俺が切り出した。

 

「それはグリムロックだと思いますよ。グリゼルダさんの夫の。」

 

「「なっ!?」」

 

 凄く動揺してる。この2人には辛いかもしれないが真実を知りたいなら知るべきだ。

 

「な、何でですか?何であんな仲のいい夫婦が、何で?」

 

「さあ?俺はグリムロックさんじゃないから分からない。そうだあんたらこの計画の事をグリムロックさんに話したな?じゃないとあんな槍出来ないからな。」

 

「は、はい。計画を話した時は渋られました。ですが何度も頼んだらようやく首を振ってくれて。」

 

「そのグリゼルダさんの墓はどこにあるの?」

 

「19層の丘の上です。」

 

 そう聞いたら俺は皆と目を合わせて頷いた。

 

「ディアベルさんお願いします。」

 

「はい、わかりました。」

 

 

 

 そう言ってディアベルさんはメールを打って送信した。そして俺達はお2人とシュミットさんに向き直り聞いた。

 

「御三方、すいません。こっからは攻略組の勝手なお願いです。聞いていただけないでしょうか?」

 

「は、はい?何ですか?」

 

「単刀直入に言うと囮になってください!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 同日 夜7時頃 第19層 グリゼルダさんのお墓

 

 

 

 

 

「もう俺にはこれしかないんだ!済まない!グリゼルダさん!」

 

 そして現れたのは黒ローブを纏った2人組だった。シュミットは霊だと思い怯えている。そしてそのまま2人組はシュミットさんにグリゼルダさんの真相について問い詰めてる。そしてシュミットさんが思わず真相を言った。そして

 

「全て録音したわよ。シュミット」

 

「えっ!?ヨルコ?それにカインズ?何でお前らは死んだんじゃ·····、はははそういう事か。」

 

「ええ、悪かったわねこんなマネして。こうでもしないと聞けないと思ったの。」

 

「そう、か」

 

 そして何かが空気を切り裂く音がしてシュミットさんの鎧に突き刺さった。そしてシュミットさんは糸が切れた人形のように倒れそして現れたのは

 

「Wow!こいつは青龍騎士団の幹部様じゃあないか。本当に大物だな。」

 

 笑う棺桶(ラフィンコフィン)、アインクラッド最高に忌み嫌われている殺人ギルドの幹部、《PoH》と《ジョニーブラック》と《ザザ》だった。

 

「でも本当に来るとはな。」

 

「ヘッド〜、あれやりましょうよあれ。仲間で殺しあって最後に生き残ったやつらは生かしておいてやるゲーム。」

 

「お前そんな事言って前普通に残ったやつも殺しただろ?」

 

「あっちゃ〜、そんな事言っちゃダメっすよヘッド〜!」

 

 そんなふざけた会話はしているがこの3人はそれなりに強い。リーダーのPoHは特に強い。攻略組にもレベルは匹敵してるしな。だがそれも今日までだ。

 

「ふっ!」

 

 そうシュミットが笑った。

 

「ヘッド〜、こいつ頭おかしくなっちゃいましたよ〜。」

 

「ああ、漸くお前らを捕まえられるからな!」

 

「何!?」

 

 そう言った瞬間シュミットが倒れてる横から回路結晶の光が出てそこから現攻略組が次々に出てきた。そして幹部3人を囲んだ。

 

 そして俺はPoh目掛けて後ろの木々の間からある物を投げた。そして足音に消されて転移しようとしてたPoHはそれに反応出来ずに当たった。そして崩れ落ちた。それにびっくりしてるザザとジョニーはそれに困惑している間にその他攻略組に引っ捕らえられそれぞれ持ってた麻痺ナイフで麻痺状態にされた。そして木々の間から俺は3人の前に出た。俺はカーソルやら何やらがないから索敵に引っかからなかったのだ。

 そして俺を見た麻痺状態のPoHが話しかけて来た。

 

「Wow!まさ···か、読まれていたとはな。そこの3人は囮か」

 

「ああ、お前は兎に角ヤバくなったら転移結晶でどっかに行っちまうからな。でもワード入力してる時ならそれに多少の時間でも無意識に集中せざるを得ない。それに俺は索敵には引っかからないからな。俺を見つけたいならこんな暗い所ならもう勘しかないからな。」

 

「·····お前は最初の頃の孤高の存在の方がCOOLだったぜ?」

 

「生憎だが今となっては黒歴史だ。俺にはもう仲間がいる。どんなに俺が拒絶しても手を出し続けてくれた人達が。そして1人の殻に閉じ篭ってた俺を引っ張いてその殻から出してくれた人がいた。俺はそんな皆から貰った恩を皆の世界に返す事で返す。それも俺1人の力じゃなく皆と一緒にこの世界のてっぺんに行く。その邪魔しかしないお前らは俺にとって·····、いやこの世界にとって害悪でしかない。監獄の中で永遠とお前らが殺したやつらに懺悔しとくんだな。」

 

 俺がそう言ってから3人は監獄に放り込まれた。俺は緊張が取れたから思わず尻もちをついた。そしてお姉ちゃんやディアベルさんにキリトなどが近寄ってきた。クラインが話しかけて来た。

 

「光輝嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか!くー!あのタイミングで出るなんてな!」

 

「いや打ち合わせしたじゃん。」

 

「それはそうだけどよぉ。やっぱりヒーロー登場みたいな感じでよぉ。かっこいいじゃねぇーか!」

 

「ヒーローは不意打ちでしかも麻痺毒なんて使わないと思うけど?」

 

「う、そ、それはだなぁ!」

 

 そう言った攻略組の皆で笑い合う。

 

「それにしてもよ。よくラフコフが来るって分かったな!」

 

 そう言ってクラインはこの作戦を立てた皆を見る。代表で俺が答えた。

 

「ああ、黄金林檎のリーダーのグリゼルダさんは戦闘タイプで他のギルドメンバーよりもレベルがあったはずなんだ。でもグリムロックさんは非戦闘員、だから確実に殺す為にはレベルが上の·····攻略組が引き受けるわけないから残りは」

 

「ラフコフって訳か。グリムロックってやつはラフコフと知り合いだったんだな。」

 

「ああ、そして元のギルドメンバーがまた調べ始めた。それで自分がやった事を知られたくないグリムロックさんは口封じにまたラフコフを雇うだろうなってなった訳だ。それも攻略組のシュミットさんもいるからそれなりにレベルが高く幹部に近い奴をな。」

 

「成程な。でも何でそのグリムロックは奥さんを殺したんだ?」

 

「さあな、だけどそれは」

 

 俺は振り向いた。そして皆も振り向きアルゴに連れられる形で来たグリムロックさんであろう人を見た

 

「本人に聞きましょうか。あんたがグリゼルダさんが殺したのはわかってるんだ。まあ実際やったのはラフコフだけどな。依頼した時点であんたも同罪だ。あんた敏捷値が20上がる指輪を持ってるのにそれを黙った時点でな。」

 

「さて?なんの事かな?私はそんな物を持ってないよ。」

 

「じゃあ何で隠蔽スキル使ってまでここにいタ?」

 

 そうアルゴが言った。アルゴには来るかもしれないグリムロックを探してくれって依頼しといた。

 

「それはグリゼルダのお墓参りをする為だよ。隠蔽スキルを使ってたのは殺人者に狙われたくないからね。使わせて貰ったよ」

 

 よくまあ今の攻略組の面子を前にしてそんな事言えるな。まあ切り口はあるけどね。

 

「じゃああくまでも自分は関係なく指輪はグリゼルダさんが装備して殺された場でドロップして奪われたとそう言うのか?」

 

「ああ、勿論。夫が妻を殺す訳ないだろう?」

 

それは有り得ません!

 

 そうでかい声で宣言したのはヨルコさんだった。彼女はお墓の所に行きあるものを掘って取り出した。それは箱だった。それも耐久値無限の箱で中に入る物も耐久値が入ってる間は無限になる優れものでめちゃくちゃ高いし材料集めるのが大変で1日では出来ないと言われてる。そしてそこにあったのは結婚指輪とギルドリーダーの指輪だった。曰くグリゼルダさんが殺された場所に行きこれがあったと。結婚指輪にはちゃんとグリゼルダさんの名前が書かれている。

 そしてそれを見たグリムロックさんの顔に影が出て犯行を認めた。

 

「どうして·····、どうして奥さんを殺したんですか!?」

 

 そうヨルコさんが悲しみの顔になりながら問い詰めている。そしてお金の為なのかと聞いた。

 

「お金?お金のためだって?」

 

 そう言ってグリムロックさんはコルが大量に入った袋をだし落とした。

 

「シュミットにあげたもう半分のコルさ。あれから一銭も使ってないよ。」

 

「じゃあどうして·····」

 

「グリゼルダとグリムロック、名前が似てるのは偶然ではない。私達は現実でも夫婦だったんだ。」

 

 そう言って残っていた攻略組の面子は驚愕を露にした。

 

「だがしかし、ソードアート・オンラインがデスゲームになり怯えていたのは私だけだった。純子は現実では私に従順な妻だった。何1つ不満も何もない妻だった。しかしデスゲームになり妻は変わった。デスゲームになり妻は輝いて見えるようになった。デスゲームに怯えていた私とは違い妻は攻略組を目指していた。あの従順だった純子はもういない。ならばいっそこの合法的に殺人が出来るこの世界で純子を殺した私を誰が責められるだろう?」

 

 そう言って攻略組、ひいては女性メンバーの怒りのオーラがめちゃくちゃ出てる。だけど1番ブチギレてるのはお姉ちゃんだった。

 

ふっざけんな!だったらハッキリ言ったら良かったじゃない!私の従順な妻に戻ってくれって!それでも反吐が出るけどね!」

 

「君にもいつかわかる時が来るよ。紅の歌姫くん。大事な物が変わってしまった時にね」

 

 こんなに怒ってるお姉ちゃんは初めて見た。他の皆もびっくりしてる。そして答えを返されたお姉ちゃんの怒りのボルテージが高まっている。そして俺は何でお姉ちゃんが結婚の話をした時に怒ったのか分かった。

 

そんなのはとっくに知っています!私の両親も父の杓変で離婚しましたから!」

 

「「なっ!?」」

 

「私は小さい頃ロシアに住んでた。私とお父さんとお母さんと·····妹と一緒に。でもお父さんが妹が優れた能力を持ってる事に気がついて変わりました。お母さんは妹に普通の人生を歩ませたいと願った、お父さんは妹に勉強させその能力を開花させようとした。そして2人は真っ向からぶつかって最終的には父が強引に妹の親権を取り離婚してアメリカに飛んで行きました。そんな簡単に母を裏切った父を私は許さない。だって結婚ってそう言う物ですよね?お互いを理解し違う面を見てもそんな所をまた好きになるのが夫婦なんじゃないんですか!?自分の独りよがりの勝手な思いで離婚したり妻を·····愛するって決めた人を簡単に裏切るなんて絶対に許さない!」

 

 そうお姉ちゃんが言ったら場が沈黙になりそしてアスナさんがグリムロックさんの前に行きトドメを刺した。

 

「グリムロックさん、貴方が持っていたのは愛ではなくただの所有欲です!」

 

 そう言われたグリムロックさんがとうとう崩れ落ちた。

 そしてその腕をカインズさんとシュミットさんが掴む。

 

「ディアベルさん、皆。この人の処遇は俺たちに任せて貰えないか?」

 

「·····分かった。」

 

 そう言って元黄金林檎のメンバーは一礼して去っていった。俺は泣いてるお姉ちゃんの袖をちょっと掴んで

 

「·····帰ろう。」

 

「うん、そうだね。」

 

 そう言って俺とお姉ちゃんとその他攻略組は帰路についた。キリトとアスナさんいないけどどうしたんだろう?まあいいや。

 

 そして帰り道に俺は言った。

 

「その、簡単に結婚とか離婚とか言ってごめんなさい。」

 

「ほんとだよ〜、次軽々しく言ったら承知しないからね?」

 

「は、はい。」

 

 まだ結婚状態はしぱなっしだけどもう言える雰囲気じゃないからもう諦めた。何かもし俺の世界に帰れてもこれを知った愛美に殺されそうな気がする。




ありがとうございました。今話からアンケートしてます。良かったら答えてください。お願いします。ではまた明日も出せると思うんで6時に出します!ではまた明日に。ヾ('ω'⊂ )))Σ≡サラバ!!


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紅の歌姫と光輝の新たな剣・・・あとキリトも

おはようございます!今日は剣を作ろうぜ回です。但しまたもや光輝のせいでショートカットですが・・・。では(∩´。•ω•)⊃ドゾー


 2024年 6月20日 第47層 光輝とレインの家

 

 俺はお姉ちゃんにある相談をした。それは

 

「えっ?新しい剣が欲しい?」

 

「うん。」

 

 そう言って俺とお姉ちゃんは俺のブルー・ブラッドとレッドブレイクを見てああ、って感じで頷いた。

 

「確かにだいぶ前から使ってるもんね。そろそろ変えないとダメか。」

 

「うん。別に攻撃する分には当てまくれば良いだけなんだけど何か耐久値減るのが早くなっちゃって。」

 

「うん、確かにね。そろそろ替え時かもね。当てはあるの?」

 

「えっと56層のフロアボスのラストアタックボーナスがインゴットだったの。それ使えないかな?」

 

「えーっ!ラストアタックボーナスのインゴット!?」

 

 そう言ってお姉ちゃんは共通ストレージを見てそれを実体化させた。そして出てきたのは赤色と蒼色が綺麗に混じりあったインゴットだった。それも2つ。

 

「ふ、2つも!?」

 

「う、うん。だから1つは俺でもう1つはお姉ちゃんにあげようかなって思って。」

 

「え?悪いよそんなの!だってこれこの世界にこの2つだけ何でしょ!?だったらどっちも光輝くんが使いなよ!」

 

「え、えとその・・・、明日誕生日なんでしょ?だからその、1日早いけどプレゼントって思って」

 

 そう言ったら思いっきり抱きつかれた。

 

「光輝くんが良い子だよ〜」

 

「く、苦しい!」

 

「あ、ごめんね。じゃあ本当にいいの?」

 

「う、うん。」

 

「あれ?でももう1つはどうするの?1つでやるの?」

 

「うーん、一応考えてる事はあるけど取り敢えず今度キリトがもう1つ片手剣が欲しいからってアスナさんに紹介してもらうみたいだからそれに便乗して俺も行こうかなって思って。それにあげておいてなんだけどここじゃ剣作れないでしょ?」

 

「あー、確かにね。剣作るためだけに師匠の所に行ったら殴られそうだもんね。」

 

「うん。はははは!」

 

「ふふふ」

 

 本当にそうなりそうだから笑いあった。師匠の所には偶に行ってご飯作ってる。そして稽古もつけて貰ってる。最近漸くかすり始めた。そしてどういう訳か蒼眼と赤眼の時間も3分ぐらい伸びた。

 

「それにあわよくばそこの鍛治する場所借りてもいいかもしれないし。」

 

「うん、そうだね。」

 

 そして俺は唐突に話を変える。

 

「そう言えば明日バースデーライブするんでしょ?頑張ってね!」

 

「もう〜、プレッシャーかけないでよ〜。」

 

 そう、お姉ちゃんはあのフィールドボス撃破の時に歌ったのを聞いたアルゴがその事をフィールドボス撃破の新聞と共に載せそしてそれを攻略組だけが聞いたのがずるいってな感じでアインクラッド中に広まりディアベルさん達がどうせアイドル目指すなら今の内にやっとくかい?見たいなノリで青龍騎士団がスポンサーとしてお姉ちゃんのライブをやった所それが大成功だったのだ。そして定期的にお姉ちゃんはコンサートしてる。それも自分で作った曲で。元々数曲は作ってたらしいがそれでも大変だったらしい。でもそんなお姉ちゃんのライブを凄い睨んでた人がいた。銀髪の人だった。まあ何するのでもなく睨んでただけだから無視したが。まあ要注意人物にはなったな。近づいてじーっと見た所名前が出てきてノーチラスって言った。

 まあそのライブが成功し、そしてお姉ちゃんは紅の歌姫っていう二つ名がつけられた。本人は凄く恥ずかしがってるがライブになったら結構別人に見える。お姉ちゃんのファンクラブの人数もアスナさんと同じ位らしい。何か凄いな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてこの日の4日後俺とお姉ちゃんはアインクラッド第48層のリンダースに来た。キリトは先に行ってるそうだ。

 

「お姉ちゃんのバースデーライブ大成功だったね!」

 

「もう何回同じ事を言うの?」

 

「だって嬉しいんだもん!」

 

「もう恥ずかしいな〜。」

 

「というかお姉ちゃん何歳になったの?」

 

「花の乙女に聞くことではありません!」

 

 そんなものなのか・・・、知らなかった。不覚。お姉ちゃんのバースデーライブは大成功であった。そしてその後のお姉ちゃんの誕生日会も楽しかったなー。良い思い出だ。

 そうこうしてたら目的の場所についた。

 

「ここがリズベット武具店?」

 

「そうみたいだね。入ろっか。」

 

 そして俺とお姉ちゃんが入った瞬間に見たのは黒猫団の面々と綺麗に何かの剣を叩きおってるキリトとピンク髪の女の子だった。そして女の人が悲鳴を上げてキリトに詰め寄り曰く、私の最高傑作を壊し屋がって〜、インゴットがあればエリュシデータがポキポキ折れるくらいの物が作れると、そしてそのインゴットの当ては55層の雪山の上にいるドラゴンから出るインゴットだと。でもまだ誰も手に入れられず倒してもドロップしないと、でそれがマスタースミス同伴じゃないとためなんじゃないかと、だから要するについてこい!って事でした!

 そして結果キリトと黒猫団は行く事にしたらしい。そして俺とお姉ちゃんも何故か流れでついて行った。

 

 そしてクエスト開始の老人の話を聞いた。・・・2時間ぐらい。そして要点を集めると、ドラゴンは雪山にいる。そして腹の中でインゴットが生成される、そしてドラゴンは夜行性で夜には巣にいない、という事で殆どの寝てた人達をキリトと俺で叩き起こした。・・・お姉ちゃんはちょんちょんぐらいだったけど。

 

 そして皆で防寒しながら道中の敵を攻略組の面子がサラッと倒して行きとうとう到着しました山頂に。そしてドラゴンが出て来た。おお!意外にかっこいい!そう思ったのも束の間キリトがじゃあ倒してくるぜ的なノリで行って八つ裂きにして倒してたがドロップしなかったらしい。因みにパーティーは黒猫団とピンク髪の女の人・・・リズベットさんでワンパーティーだ。だからマスタースミスの同伴はクリアしたはずなんだけどな。それでもドロップしなかったのが全員えーって感じで俺は老人の話を思い出して

 

「あっ!」

 

「どうしたの?」

 

 俺がこの可能性に気づいて声をあげたところお姉ちゃんが聞いてきた。だけどこれ話していいのか?何か引かれそうで言いたくないけど

 

「どうした光輝、何か気がついたなら教えてくれ。」

 

 そうキリトが言ってちょっと恥ずかしいけどそこは皆察してくれる事を願い言った。

 

「えっとね?あの老人はね。ドラゴンのお腹の中でインゴットが生成されるって言ってたの。」

 

「ああ、もしかしてお腹を斬って倒さなきゃいけないのか?」

 

「えっと、そうじゃなくて多分・・・」

 

 だんだん恥ずかしくなって顔を伏せた。心配になったお姉ちゃんが顔を覗いてくる。

 

「ど、どうしたの?」

 

「お、お腹の中で生成されるから・・・、その、もしかして巣の中で・・・」

 

「ああ、もう良いよ。お姉ちゃんわかったから。」

 

「あ、うん。良かった。」

 

 そう言ったら女の子メンバーは少し赤くなってる。だが空気を読めない奴らがいた。

 

「あー、要するにそのインゴットはドラゴンのうんひっ!」

 

 何事だと見たらそんな事を言ってたケイタの眼前にサチの槍がスレスレで止まってる。怖い。

 

「それでどうするの?巣を探すのはいいけど見つけても入れるかは別問題よ?それに帰るのもね。縄かもっと言うなら縄ばしごがあるなら別なんでしょうけど・・・」

 

 そうリズベットさんが言い俺はストレージにしまってるものを思い出して

 

「あっ!縄ハシゴなら俺持ってる!」

 

 そう言って俺は縄ハシゴを取り出した。それもけっこう長めの。

 

「な、何でそんなの持ってるの?」

 

「うーんと、ソロの時に身長の問題で届かない所とかあったから作って貰った。まあ団体行動言われた時からあまり使ってなかったけど。」

 

「そ、そうなんだ。じゃあ誰が行く?夜行性とは言ってたけどもしかしたらイベント戦闘があるかもしれないし。」

 

「あ!それじゃあ俺とお姉ちゃんが行くよ!お姉ちゃんもマスタースミスだし。いざとなったらお姉ちゃんを放り投げるから大丈夫!」

 

「えっ!?それのどこが大丈夫なの!?」

 

「というかレイン、あなた鍛治スキルMAXなのね。そこに驚いたわよ。攻略組で鍛治スキルなんて珍しいもの。」

 

「あはは、そうかな〜」

 

「それでリズベットさん、もしインゴットが取れてきたらお願いがあるんですけど・・・」

 

「うん?何?」

 

 俺じゃなくてお姉ちゃんが答える。パンと手を合わせ頭を下げて

 

「少し工房を使わせてくれない?私と光輝くんも新しい剣が欲しいんだけど作れる所が無くて。」

 

「なんだそんな事、勿論良いわよ!」

 

「「ありがとう!」」

 

 

 そうして俺とお姉ちゃんは巣を見つけてハシゴで降り無事に《クリスタルインゴット》を手に入れイベント戦闘などは起きずに無事に帰還した。

 そして俺達はリズベット武具店に戻ってキリトの剣を打ち始めてそして出来た。名を《ダークリパルサー(闇を祓うもの)》という武器だった。スペックは魔剣級であって情報屋の図鑑にはなかった。皆で盛り上がってたらいきなりドアが開いてアスナさんが来た。曰くキリトとリズベットさんが一緒の所に何故か55層にいたから慌てた。って何でだ?というかあの圏内事件からアスナさんがだいぶ変わった気がする。何かよくキリトを誘おうとして頑張ってるらしい。そんなこんなでリズベットさんがこっちを向き

 

「じゃあレイン、使って良いわよ。でもどんな物を作るのかは興味があるから見させて!」

 

「う、うん。良いよ。でも恥ずかしいなぁ。」

 

「えーっ!ライブの時はあんなに堂々としてるのに?」

 

「あ、あれは直ぐに切り替えられるからいいの!」

 

 そして俺の方向に向き

 

「じゃあまずは私のを作って良い?」

 

「うん、良いよ。」

 

 そう言ってお姉ちゃんは今使ってる2つの剣を取り出して2つ共インゴットに戻した。そして今度はそのインゴットを1つにした。そしてさっきのリズベットさんのようにそれを打っていく。ダークリパルサーより少し叩いたぐらいで変形した。

 見た目は赤かった。でもそれでいて綺麗だった。

 そしてリズベットさんがプロパティを見て驚いた。

 

「・・・何かサラッと目の前で私の最高傑作を越えられたんだけど。」

 

「あはは、でもそれは2つを1つにしたからだと思うよ。」

 

「うう、そうだけどさぁ」

 

「まあまあ、リズ。またこれ以上の物を作ったらいいじゃない。」

 

 そうアスナさんが励ました。そしてそれを見たお姉ちゃんがじゃあもう1つって言って取り出したのはあのラストアタックボーナスのインゴットだった。それを見た皆が驚いている。ふふん!

 

「れ、レイン何なの?そのインゴット、見たことないわよ?」

 

「これはね、光輝くんが誕生日にくれたんだ〜。56層フロアボスのラストアタックボーナスなんだって。」

 

「ら、ラストアタックボーナスのインゴット!?え、それめちゃくちゃ凄いやつじゃない。」

 

「うん!だから失敗は出来ない。」

 

 そう言ってお姉ちゃんは真剣な目になり周りも静かにした。そしてまた打ち始めて今度はさっきの剣を少し超える位の回数で変形した。そして出てきたのは赤色がメインだけど少し蒼色が入ってる剣だった。名を《クリムゾンディーバ(紅の歌姫)》という。

 

「凄いお姉ちゃんにぴったりな剣だね!」

 

「う、うん。でもこれはこれで恥ずかしいかも。」

 

「私の存在意義・・・」

 

 そう言って崩れ落ちてたリズベットさんを皆で励ましてる。何か・・・ごめんなさい。

 

「じゃあ次は光輝くんのするね?」

 

「だ、大丈夫?ぶっ続けだけど?」

 

「こういうのは流れが大事なの。だからやらせて。」

 

「わかった。」

 

 そう言って俺はもう1つのインゴットを渡した。そしたら何かお姉ちゃんが手を繋いで祈るような感じで手の上に顔を置いた。

 

「お、お姉ちゃん?」

 

「よしっ!」

 

 そう言ってお姉ちゃんは俺のインゴットも叩き始めた。普通ならお姉ちゃんとお姉ちゃんと同じ剣になるけど・・・何となく違う剣になる気がした。そしてお姉ちゃんのと同じ位叩いて変形した。そして出来たのは赤色と蒼色が半分ぐらい混ざった感じの剣だった。5対5ぐらいかな。そしてその名は《ブルーレッド・オブウォーリア(蒼赤の戦士)》。・・・何で俺達の2つ名がつくんだろう?そしてスペックは言わずもがな。またリズベットさんが崩れ落ちてた。

 

「よしっ!じゃあ最後!光輝くんどうするの?」

 

 そう言って俺の方向を向いてきた。皆気になるのか見てくる。そして俺はブルー・ブラッドとレッド・ブレイクを取り出した。

 

「この2つをインゴットにして1つにするの?」

 

「うん。それと・・・」

 

 俺はそう言っておじいちゃんの形見の剣を出した。

 

「これも、お願い。」

 

「えっ?でもこれは光輝くんのおじいちゃんの形見なんじゃ・・・」

 

「うん。でも何となく今これを使わないといけないような気がしたんだ。」

 

 そう言ったらじっと見られる。俺も見つめ返す。そしてそのまま沈黙がすぎお姉ちゃんがふっと笑って承諾した。形見の剣がインゴットになれるのは確認済みだ。そしてこの3つの剣がインゴットになり1つになった。そしてお姉ちゃんは再び打ち始める。時には空に行くために血の努力をしたような蒼色が発光し、時には燃え盛るような紅蓮の色に発光し、そしてそれを束ねそれらの色を光で包み込んだ色に発光しそしてその時台の上にあるブルーレッド・オブウォーリアが何故かその光に合わせ光出した。

 

「「なっ!?」」

 

 そう思わず言って全員口を閉じる。まだお姉ちゃんはまだ集中しているからだ。それを邪魔する訳にはいかない。論争なら後ですれば良いからね。そしてそのブルーレッド・オブウォーリアより少し多めに叩いたらとうとう変形した。その姿はこれも蒼色と赤色が5対5ぐらいの割合の剣だった。但し先の剣に比べればこっちの方が綺麗だ。スペックも少しこっちの方が高いみたいだ。そして名前は

 

「《ウォーリア・ビヨンド・ディスペアー(絶望を超えし戦士)》だって。」

 

「何か、今までの剣と何か違うような気がする。というかこんなに長い名前も聞いた事もないし。」

 

「はぁ〜、疲れたー!」

 

 そう言ってお姉ちゃんは座り込む。俺は感謝の気持ちを伝える。

 

「お姉ちゃん!ありがとう!大事にするね!」

 

「うん!そうしてね!それにしても何でブルーレッド・オブウォーリアも光ったんだろう?」

 

 その場にいた全員が考えてみたが分からなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてそれから時が経ち最前線は第74層になった。

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。ここのリズベットはキリトに惚れてません。だってアニメで惚れた理由としてはあの巣に落ちたからであってここでは落ちてませんもん。だからアスナを応援する方にまわりました。まあアニメも一緒ですがそこは。
ではまた次回。ヾ('ω'⊂ )))Σ≡サラバ!!


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黒の剣士と蒼赤の戦士

おはようございます!では今日も(∩´。•ω•)⊃ドゾー


 2024年 10月18日 第74層

 

 

 

 俺とお姉ちゃんの剣が出来4ヶ月が経った。その間の出来事と言えばラフコフの残党も殆ど居なくなりオレンジギルドの活動も少なくなった事だろう。害悪の源のPoHやラフコフの幹部が捕まり監獄にぶち込まれたのが効いたらしい。あの3人にはラフコフのアジトの場所を教えてもらう為に喋るまでご飯をあげなかった。それをギャーギャー言ってきたが知ったこっちゃない。だってあんたらのせいでもうご飯すら食べれなくなった人だっているのに図々しいからな。そして10日経ったらジョニーブラックが折れて吐いた。・・・10日ももつとか敵だけどそれはそれで凄いなと思ったり。そして攻略組の少数精鋭で叩いた。その際に使った麻痺ピックとかはラフコフの捕まった奴らが皆結構な数持ってたからそれを拝借した。自分達の作ったものでやられるんだから嬉しいと思うのだ。

 

「お姉ちゃん今日の晩御飯どうしようか?」

 

「うーん、そうだね〜」

 

 今俺とお姉ちゃんは迷宮区からの帰りだ。そして今夜のご飯の事を考えながら歩いてたら前方に見知った人達がいた。お姉ちゃんと頷いて声をかけに行く。

 

「おーい!キリトに黒猫団の皆!」

 

 そうして皆振り返って挨拶してきた。

 

「よう!光輝とレインも今帰りか?」

 

「プリヴィエート!うん。そうだよ。ご飯どうしようかって話してたの。」

 

「何時も2人で作るの?」

 

 そうサチさんが聞いてきた。

 

「うん。一人でやっても早いけど2人でやった方が余計に早いからね。」

 

「そうなんだ。家の男メンバーにも見習ってほしいなー」

 

 そう言ってサチさんは男メンバーをじっと見た。そして当の男メンバーは誰もが目を逸らした。だが勇者もいた。

 

「で、でも俺はよく食材も一緒に持って帰るよ!」

 

 そう言ったのはキリトだった。サチさんにギロっと睨まれてるが続けた。

 

「い、今だって話しながらなんかいい材料ないかなぁーって」

 

 そう言ってぐるっと見渡したキリトが唐突に止まり皆で訝しげな視線を向けキリトが向いてる方に皆で向くとそれがいた。キリトと俺以外の男メンバーが言った。

 

「「「あれ、ラグー・ラビットじゃん!しかも2匹!」」」

 

 そう、あのS級食材のラグー・ラビットがいたのだ。そして俺とキリトは皆にちょっと黙っててってジェスチャーしてキリトと目を合わせ俺がピックを2本、キリトが1本出してキリトがラグー・ラビット達がいる所の木にぶつけそれにびびったラグー・ラビットが2匹仲良く逃げる為に飛んだ所を俺が2本のピックを同時に投げて仕留めた。2匹共ゲットしたぜい。前回の時は結構運に頼ったが今回は実力でいけたぜい!そしてリザルト画面が出てきてラグー・ラビットの肉が2つ出てきたから1つをキリトにあげた。

 

「サンキュー光輝。」

 

「どういたしまして。お姉ちゃんどうしようか?」

 

「うーん」

 

「まあ、後で考えればいいさ。」

 

「でもキリト、私料理スキルが足りない・・・」

 

「「えっ!?」」

 

 黒猫団が皆で声をあげた。そしてケイタが聞く

 

「た、足りないのか?」

 

「うん。だから私が作っても黒焦げになっちゃうよ。」

 

 だから俺とお姉ちゃんは目を合わせて提案した。

 

「それなら俺達と一緒に食べる?俺もう料理スキルだいぶ前にMAXだし。」

 

 そう言ったら皆俺を見て肩を思いっきり掴まれてブンブンされた。

 

「本当にいいのか!?」

 

「は、はい〜」

 

「「「よっしゃ〜!」」」

 

「で、でも取り敢えずいらないアイテム売りたいからエギルさんの所に行ってもいい?」

 

「「「はーい!」」」

 

 俺達は転移結晶で第50層まで飛びエギルさんの店に行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第50層 アルゲート エギルの店

 

 

 

「これでいいか?」

 

「うん。ありがとう。」

 

「にしてもお前ら何か嬉しそうだな。」

 

 エギルさんは後ろの浮きだっている黒猫団を見てそう聞いてくる。

 

「うん。S級食材手に得れられたからじゃない?」

 

「えっ!?お前また手に入れたのか?」

 

「うん。でも1つ問題があってね。作る分にはいいんだけど食材が足りないかもしれない。家には2人分しかないし。」

 

 そう言ったら黒猫団がえっ!?って顔をしてる。そしてそこで立ち上がったのはエギルさんだった。

 

「じゃあ俺も提供しよう!流石にSはないが普通にAランクならあるからな!その代わり礼と言っちゃなんだが」

 

「うん!皆良い?」

 

「「「オーケー!」」」

 

「よしっ!決まりだな。店を閉める準備をするから待っててくれ。」

 

「「はーい!」」

 

 そしてその話で盛り上がってた時にドアが開き入ってきたのはアスナさんと何かよくわからない人だった。そしてアスナさんは真っ先にキリトの肩を叩いた。

 

「キリト君」

 

「ん?おお!アスナじゃないか。珍しいな、こんなゴミダメに来るなんて」

 

 それは言っちゃダメだと思うな〜。普段からお世話になってるんだから余計に。あっほら、エギルさんも怒ってる顔になってる。

 

「もうすぐ次のボス攻略だから生きてるかどうか確認しに来てあげたんじゃない。」

 

「フレンドリストを見ればわかるだろ?」

 

「生きているならいいのよ。それで皆そんなに嬉しそうにしてどうしたの?。」

 

 皆で顔を合わせどうする?と目で相談してたらダッカーが思いっきり言った。

 

「いやー、S級食材を手に入れたから皆で食おうってング!」

 

 ケイタとササマルとテツオに口を封じられたが遅かった。というかダッカー、お前確かあのトラップの時もお前が戦犯じゃなかったか?

 

「S級食材!?私も食べに行ってもいい?私も食材を提供するわ!」

 

 全員でダッカーを見るが本人ははははと言って苦笑い。そしてもう皆諦めそれを快諾した。しかしアスナさんも料理スキルをコンプリートしてたのはびっくりした。これでお姉ちゃん含めてコンプリートの人が3人だから早く作れる。

 

 

 

 

 そしてもうどうせならクラインやらディアベルさんとかも呼んで軽くパーティーになった。あとキリトとアスナさんはシリカって人とリズベットさんをそれぞれ呼んでた。場所は俺とお姉ちゃんの家を提供した。結構広めだし。庭もあるからな。そしてそのディアベルさん達も手に得れられたけど誰も料理スキルが無くて宝の持ち腐れになっていたS級食材を持ってきたのはびっくりした。

 あと俺が試しに作ってアスナさんに拝借してもらった醤油を入れた醤油ラーメンも美味しかった!何かクラインがヒースクリフさんもラーメンが好きだって言ってたから試しにアスナさんに呼んで貰ったら送って1分後ぐらいに飛んできて美味しく食べてたな。でも何か途中で俺だけ隣にいた時に『まさかこの世界で醤油ラーメンが食べれるとは、面白い、設計した覚えがないものまで作れるとはやはりこの世界の可能性は無限だな』とか言ってたのはなんだろうな?

 キリトとアスナさんは散歩するって言ったから俺もついてこうとしたらお姉ちゃんに抱っこで止められた。何故だ。

 

 そしてそんな楽しい時間は過ぎて次の日、第74層の主街区カームテッドに俺とお姉ちゃんは来た。そして来たら何か群衆ができてて頑張ってかき分けたらいたのは月夜の黒猫団の面々とアスナさんだった。そして昨日エギルさんの店にいたアスナさんの護衛の人と口論になったらしい。俺とお姉ちゃんは黒猫団に近づいたら向こうが気が付き事情を話してくれた。曰くあの男、クラディールがアスナさんに護衛任務にかこつけてストーカーまがいのことをしたと。今日はアスナさんは休みなのにクラディールが家の前にいてそれで逃げるように転移したがクラディールも追ってきて連れ戻そうとしたがキリトにそれを阻まれて私は護衛だ的な事を言ってキリトが俺の方が務まるって言ってそれに怒ったクラディールがキリトに決闘を申し込んだらしい。

 そして決闘が始まり一瞬で終わった。クラディールが何か大振りなソードスキルをやったがキリトは無理に剣で迎撃するのではなく片手剣ソードスキル《ソニックリープ》でシステム外スキル《武器破壊(アームブラスト)》をやりクラディールの剣を破壊した。それでも続けようとしたがアスナさんに勝負は決したと言われ何か宣告されて凄い目でキリトを睨んでまた転移門でギルド本部に行った。

 何か流れで俺とお姉ちゃんは黒猫団のパーティーに入れてもらい、キリトはアスナさんとパーティーを組んで迷宮区に行く事になった。

 

 

 

 

 

 そして見つけましたボス部屋!因みにここに来るまでの戦いは何か殆どキリトとアスナさんが無双してた。やっぱり息ぴったりだな。なんであんなに喧嘩してたのか逆に知りたい。

 そして俺達は取り敢えずボスを見るだけ見てみる事にした。そしてそこにいたのは一言で言うなら悪魔だった。ボスの名を《ザ・グリムアイズ》、アスナさん曰く青眼の悪魔らしい。で、俺は少し戦おうとしたが何かお姉ちゃんに抱っこされて1つ前の安全エリアまで戻された。皆絶叫してる。そんなに怖かったかなぁ?確かに今までよりかは強そうだけど。

 

「はぁはぁ、こ、怖かったー。」

 

「本当だぜ。武器はパッと見あの大型の剣だけだけど特殊攻撃ありだろうな。」

 

「ああ、それに見た目通りならパワータイプだな。」

 

「うん。盾役は10人は欲しいかも。」

 

 そう黒猫団の男メンバーが話していると

 

「盾ねぇ、ねえキリト君何か隠してるでしょ?だってあなた片手剣なのに盾を持たないしリズに作ってもらった剣も使ってないみたいだし。」

 

 キリトがビクッとした。

 

「そうだよねぇ、キリトまだよくふらっとどこかに行ってるもんね。何してるの?レインちゃんも気になるよね?」

 

「えーっと私はもう知っちゃったというか頼まれたから知ってるよ。でもごめん、キリト君が言うまで教えられないな。」

 

「えーっ!知ってるの?」

 

「う、うん。でも教えられない。」

 

「そんなぁ〜」

 

 そう言ってアスナさんはじっとキリトを見てたが

 

「まっ、良いわ。スキルの詮索はマナー違反だもんね。お昼ご飯にしようか。」

 

「あっ、俺達も作ってきたよ。」

 

 そう言って俺とアスナさんはそれぞれバスケットと少し大きいお弁当箱を取り出した。そして皆でアスナさんが昨日発表した調味料とかに驚いていたら新たな人達が来た。クライン率いる風林火山だ。

 

「おーっ!キリの字に光輝にレインちゃん、それにアスナさんも黒猫団も昨日ぶりだな。」

 

「クライン!クラインも攻略?」

 

「おーよ!」

 

 そう言って俺達は話し合っていたら新たな来訪者が来た。ディアベルさんとキバオウさんがいるから青龍騎士団だ。皆近づいてきて声をかけられる。

 

「皆さんお揃いで、休憩中ですか?」

 

「うん。さっきボス部屋に皆で少し入ったんだけど何か皆絶叫してここに退避した。」

 

「何かサラッと凄い事を聞いたな。このメンバーが絶叫するほどなのか?」

 

「えーっと、正確には凄く怖かったって事です。戦ってはいませんよ。まあ光輝くんは戦おうとしてましたが。」

 

 そう言ってお姉ちゃんはジト目でこっちを見てくる。

 

「自分らもそうなってまうとはな。これは今回はきついかもしれまへんなディアベルはん。」

 

「ああ、まだ時間もあるし、今からこのメンバーで偵察戦に行きませんか?このメンバーなら簡単には負けないと思いますし。」

 

 そう聞いて俺は周りを見渡して皆頷いたのを見て

 

「わかった、じゃあ行こ!」

 

「「「おー!」」」

 

 

 

 

 

 俺達はその後皆であのボス部屋に行った。メンバーは俺とお姉ちゃん、月夜の黒猫団、アスナさん、風林火山、青龍騎士団のワンパーティーで22人だ。そしてボス部屋を開けた。そしたらさっきのグリムアイズが出てきた。取り敢えず俺が斬り込む、ヒットアンドウェイで切り裂いていきグリムアイズのライフを削る。そして攻撃力想定の為に青龍騎士団と風林火山のタンクが試しに受けた。やっぱりパワータイプで4分の1ぐらい体力が削られていた。

 そして俺とキリトが2人でグリムアイズの剣を弾いてアスナさんとお姉ちゃんにスイッチした。アスナさんは最近名前を覚えた細剣最上位ソードスキル《フラッシングペネトレーター》で攻撃しそしてお姉ちゃんは

 

「はァァー!」

 

 そう気合いの声と共に右の剣で片手剣4連撃ソードスキル《ホリゾンタルスクエア》をした。これにディアベルさん達は驚いた顔をしたがまだだ、お姉ちゃんの真骨頂はこっからだ。今度は左の剣からライトエフェクトが出て今度は片手剣3連撃ソードスキル《シャープネイル》をして少しグリムアイズをひるました。だがまだ終わらず右手で片手剣4連撃ソードスキル《バーチカルスクエア》を繰り出した。そしてその頃にはグリムアイズは復活して硬直時間をくだされているお姉ちゃんを攻撃しようとしたが俺がその前に思いっきりアッパーして仰け反りをさせた。

 

「素手かよ!」

 

 何かそんな声が聞こえたが無視した。そしてそれからも応酬が続き体力も危なくなったから俺とタンクの人達に任せてみんな結晶で回復しようとして異変に気がついた。

 

「なっ!?結晶が使えない!ここは結晶無効化空間だ!」

 

 そう言ったら皆、特に黒猫団は苦々しい顔になった。あの時の事を思い出したのだろう。まあ俺はそんなに変わらないが普通のプレイヤーである皆は違う。そしてそれに動揺した青龍騎士団の1人が恐慌状態になり背を向け逃げようとしたがそれがまずかった。グリムアイズがそいつめがけブレス攻撃をしてきた。

 

「がハッ!」

 

 結晶が使えないなら転移結晶も使えない。逃げてもブレス。ならここを切り抜けるには、そう思い俺はキリトを見てキリトもこっちを向いてたそして互いに頷き

 

「ここは俺とキリトが前衛をやる!皆は1回この部屋から出て回復しろ!そして俺かキリトがピンチにならない限り絶対に入るな!」

 

 俺がそう言ってる間にキリトはシステムメニューをいじってる。

 だがそれでも反対する者がいた。

 

「ダメだよ光輝くん!たった2人じゃ危ないよ!私も残る!」

 

「私もキリト君の力になりたい!」

 

「ダメだ!お姉ちゃんもアスナさんも体力がもう黄色だろ!絶対にダメだ!俺達の為と思うなら言う通りにして!お願いだから・・・」

 

「・・・わかった」

 

 そう言ってたらグリムアイズが来た。

 

「よしっ!キリト行くぞ!お前の真の力を見せてみろ!俺は援護する!」

 

「ああ!頼むぜ光輝!」

 

 俺とキリトは互いの拳を合わせそして駆け出した。グリムアイズの大型の剣がキリトめがけ突き出されたが俺が割って入り逸らしそしてキリトの背中にもう1つの剣が出てそしてグリムアイズの首がはねた。後ろの面子が退避するのも忘れて見た。キリトの左右には剣が握られておりそれはリズベットさんに作ってもらった《ダークリパルサー》だ。だがグリムアイズもタダでは終わらずキリトの真上から剣を振り下ろしたがキリトは剣を交差させてブロックし弾いた。そして始まるキリトの二刀流16連撃ソードスキル

 

「スターバースト・・・ストリーム!」

 

 そう言ってキリトは早く剣を動かしグリムアイズを切って行く。だけどこれの弱点はスキルが長すぎて隙もある事だ。現にグリムアイズはキリトを殴ろうと拳を振り上げたがそこで俺が入り妨害してキリトに当たらないようにした。そしてそうやっていたらキリトのスターバーストストリームが終わりを迎え最後の左突きを雄叫びと共に繰り出されてボス部屋は沈黙になりそしてグリムアイズがポリゴン片となり消滅した。

 

「はぁはぁ」

 

 そう言って尻もちをついたキリト、俺はブルーレッド・オブウォーリアとウォーリア・ビヨンド・ディスペアーを背中に納めた。そして互いに拳を突き出してぶつけた。

 

「ナイスファイト!キリト。」

 

「ああ、光輝もサンキューな。」

 

「「光輝くん(キリト君)!」」

 

 そう言われて互いに抱きつかれた。

 

「お姉ちゃん苦しいよ。」

 

「アスナそんなに絞めたらHPがなくなっちゃうぞ。」

 

 そう言ったが離してもらえずそのままになった。そしてクラインが話しかけてくる。

 

「それにしてもなんだよキリの字、あれはよ?それにレインちゃんもだ。剣を2つ持ってたのにソードスキルを使ってたじゃねぇか!」

 

 そう言ったらお姉ちゃんは顔だけクラインに向けて説明した。

 

「システム外スキル、スキルコネクト。片手剣ソードスキルを交互に使うんだ。でもタイミングがすごいシビアで硬直が課されるまでのほんの一瞬に次のソードスキルに繋げなきゃいけないから。何で2つ持ってても使えたえたのかは私の剣を1つ光輝くんに装備してもらってるから。」

 

「えっ!?何でそれで使えるんだい?」

 

 そうディアベルさんが聞いてきた。

 

「私と光輝くんは結婚してるでしょ?だから互いの武器の所有者は私と光輝くんなの。だから光輝くんに装備してもらって私はこの右手の剣だけを装備したんだ。それでシステムが誤認して私は片手剣のソードスキルを使えるって訳です。光輝くんは剣で攻撃した時の速度とレベルでダメージ量が決まるだけなんで極端な話ただ単に装備せずに攻撃してもそう減るんで特に光輝くんは困らないから。落ちてた武器でも装備してないのにソードスキル使えるでしょ?それの応用だよ。」

 

「な、なるほど。それでキリトさんのは?」

 

「俺のは二刀流、エクストラスキルだよ。」

 

「でもよ、情報屋のスキル図鑑にはないってことはよ、おめぇ専用のユニークスキルじゃねぇか!」

 

「ああ、多分な。でもこんな事を知られたら」

 

「なるほどなぁ、ネットゲーマーは嫉妬深いからな。俺は人間できてるから大丈夫だが・・・」

 

 そう言ってクラインはキリトの状況を見てニヤっと笑って

 

「まあ、今のうちに苦労しとけ若者よ。」

 

「勝手な事を・・・」

 

「俺達は上に行くがどうする?お前がアクティベートするか?」

 

「いやいい、もうクタクタだ。」

 

「俺もー、意外に軌道を逸らすのって疲れるからな。」

 

「そうか、じゃあな。」

 

 そう言ってクライン達は上に登って言った。気を利かせたのか黒猫団もディアベルさん達も何も言わずに上に行った。

 

「じゃあお姉ちゃん、俺らも帰ろっか」

 

 そう言ったら離れて承諾した。

 

「じゃあね、キリト!」

 

「ダスビダーニャ、キリト君、アスナちゃん」

 

「ああ、またな。」

 

 そうして俺とお姉ちゃんはキリトとアスナさんを残して部屋を出て転移結晶で帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、お疲れ様でした。今回のレインはスキルコネクトを使いました。だってそうじゃなかったら二刀流でソードスキル使えないし。あとオリジナル設定、レインの剣を光輝に装備させておく。そしたらシステムはレインがその光輝が装備している方の剣でソードスキルしてもそれは光輝がやったと誤認してスキル出来る。結婚もしているからいちいち所有者が変わらない。光輝は極論この2つの剣を持って戦うだけでもダメージ普通に通るからデメリットはない。

では明日も出せますんでよろしくお願いします。バイバイ(ヾ(´・ω・`)


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驚愕な知らせと絶望の知らせ

おはようございます!では今日も行ってみましょう!でも今回も原作ブレイクです。しょうが無いね、だって光輝は原作なんて知らないし、という言い訳は置いといてどぞ(っ´∀`)っ


 あの急遽やった第74層ボス攻略から11日経ち俺とお姉ちゃんは75層の迷宮区をクライン達風林火山の面々で攻略していた。何で混ざってるのかって言うとこの層が第3クォーターだから普通のモンスターも強くなって俺はともかくお姉ちゃんは危ないから混ぜてもらった。因みに昨日は黒猫団に入れてもらった。ピッタリパーティーに入れたからな。

 

 この11日間で1番びっくりしたのはやっぱりキリトとアスナさんの結婚だろう。あのボス戦から4日経ったぐらいに唐突に来て「俺達、結婚する。」って手を繋ぎながら言ってきてびっくりしたな。

 何でそうなったのかを聞いたらあのボス戦からアスナさんがキリトが誰かに殺される夢を見てしまいそれが怖くなって会いに行ったらキリトが不意打ちの麻痺毒を食らってアスナさんの元護衛のクラディールがキリトを刺してた最中でアスナさんがキリトを助けて直ぐに回復されアスナさんがクラディールを滅多刺しにして殺そうと思ったが寸前の命乞いで止まってしまい剣を弾かれてしまった、でもそこにキリトが割って入り体術霊距離ソードスキル《エンブレイザー》をしてクラディールを殺してしまい、そのあと色々あって結婚したらしい。うん、これだけ聞いてたら何でだってなる。だけどまあ結婚はいい事だから皆で祝った。

 そしてキリトとアスナさんは次の招集までは新婚生活してくれって皆で言ってあの2人は新婚生活中だ。因みに黒猫団はキリトが襲われていた時はフィールド探索をしていてキリトは武器の調整をしにリズベットさんの所に行く途中だったそうだ。

 

 そんなこんなにで俺とお姉ちゃんはクラインと別れて帰ろうとしたらキリトからメールが来てちょっと来てくれって言われたからお姉ちゃんと第22層のキリトとアスナさんの家に行ってみたら·····

 

「パパ、ママ。この人達はどなたですか?」

 

 何かいつの間にか俺と同い年くらいの女の子のお子さんがいた。この際だから俺も気になってた事を皆に聞いてみた。

 

「ねぇ、子供ってどうやったら出来るの?」

 

「確かに気になります!パパ、ママ。どうするんですか?」

 

 そう言ったらお姉ちゃんもキリトもアスナさんも顔を真っ赤にしながら返してきた。

 

「「「子供は知らないくていいの!」」」

 

 何でそんなに赤くなるんだろう?というか知りたいから聞いただけなのに理不尽だ。

 女の子の名前はユイって言うらしい。でも何か精神が少し幼児化しているような?そしてキリトが俺を呼んだ訳はこのユイちゃんにもカーソルやらライフゲージがないから俺が知ってる奴かと思い呼んだらしい。でも単刀直入に言うと知らない。そう言ったら落胆した声で「そうか、」って言ったキリト。

 キリト曰くユイちゃんは22層の森に倒れていたそうだ。ディアベルさんに頼んで青龍騎士団の後衛組の人に知らないか?って聞いてそれを待ってる間に俺とお姉ちゃんはご飯を頂いた。ユイちゃんが結構食べてたのがびっくりした。食いしん坊だなぁ。そう思って食べ終わったらタイミングよくディアベルさんから返事が来てユイちゃんみたいな子は子供の面倒を見てる人達も誰も知らないそうだ。だけど親探しはしとくから新婚生活堪能しといてくださいって伝えといてとも言われそうキリト夫妻に言った。優しすぎないか?そうして俺達は解散した。

 

「ユイちゃんって一体何者なんだろうね?」

 

 そう姉が聞いて来たが素直に分からないって言った。確かにあの状況は俺に似ているが俺より酷いんじゃないか?だって俺は記憶があるし戦う力もあるけどユイちゃんはないし。そして何よりステータス画面のユイちゃんの名前だ。《MHCP》とはなんぞ?でもそんな変な名前をあんな女の子が作れるかって言ったらNOじゃないか?だってそんな変な名前にするならそれなりに思いやりもある筈だから簡単に忘れる訳はないだろうし。じゃあ強制的にあの名前に?でも名前は自分で決めれるらしいし。うーん。あっ、そうだ!

 

「困った時のヒースクリフさん」

 

「困った時のって」

 

 そう言ってお姉ちゃんは苦笑いをしているがヒースクリフさん博識だから何か知ってるかも、そう思ってフレンドリストからヒースクリフさんを選んでメールを打った。

 

『MHCPって何か分かりますか?By光輝』

 

 超高速で返信が来た。

 

『何故そんな事をいきなり?Byヒースクリフ』

 

 こちらも負けじと高速で返す。

 

『何かキリトとアスナさん夫妻の所に2人をパパママと呼ぶ女の子がいてですね。その子の事を誰も知らないんです。名前はユイちゃんって言ってるんですけどステータス画面の正確な名前がMHCP yuiだったんですよ。でもそんな特徴的な名前をあんな俺と同い年くらいの女の子がつけれるとは思えないんです。だから強制的につけられた名前なんじゃないかなと思ったんですけどヒースクリフさんこの世界の事をめちゃくちゃ知ってるんで雑誌とかでそう言う事を見たりしてないのかなぁと思って聞きました。オマケに俺と同じでカーソルやらライフゲージもないんです。何か知っていたら教えてください。キリト夫妻が凄く可愛がってるのを見て何とかしてあげたいと思ったんです。それに3人とも幸せそうだったんで。By光輝』

 

 そうしたらしばらく何も無く3分ぐらいしたら返信が来た。

 

『すまない、じっくり考えてみたが分からない。力になれなくてすまないね。Byヒースクリフ』

 

 俺は落胆しながら返事を書いた。

 

『そう、ですか。考えてくれてありがとうございます。失礼しました。By光輝』

 

『ああ、本当にすまないね。Byヒースクリフ』

 

「ヒースクリフさんはなんて?」

 

「分からないだって。ヒースクリフさんも人間なんだなぁ。」

 

「当たり前でしょ。」

 

「うん。そうだね。あっ、お姉ちゃんは5日後は女の子メンバーで集まるんだっけ?」

 

「うん。ごめんね?今回は女の子だけってなったから光輝くんは暇つぶしといてね。」

 

「うん、分かった。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして5日後攻略組全員にヒースクリフからあるメールが届いた。

 

 

 

 

「光輝君がたった1人ボス部屋に閉じ込められた。」

 

 

 




思いっきり飛ばしてキリアス結婚しました。文面から分かるようにキリトはヒースクリフと決闘してません。だってあの決闘はキリトがソロだったからできたのであってここのキリトは月夜の黒猫団に入ってますし。あとユイちゃんのも綺麗にスルー。何故ならディアベル生きてるし攻略隊も誰も勝手な行動をせず死んでないし。だから1層に閉じこもるなんてしてないし。それにキバオウは味方サイドだし。何なら子供達が稼ごうとするのも手伝ってるし。そしてヒースクリフ、ユイちゃんの事を知る。ですがスルー。ヒースクリフってある意味ユイちゃんのお父さん的存在だからね。ではまた明日6時に出します!バイバイ(ヾ(´・ω・`)


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信じる心

おはようございます。では今日も行ってみましょう!目線はレイン、光輝、レインの順です。どうぞ(。・ω・)ノ


 私は知らせを聞いた時血の気が引いた。

 私達女の子メンバーの私、リズっち、シリカちゃん、サチさん、アスナちゃんだ。キリト君はユイちゃんと釣りしているそうだ。

 そう言えばヒースクリフさんがユイちゃんを見に来たらしくてユイちゃんがヒースクリフさんに懐いたから少し2人で散歩に行ってもらった所帰って来た後にユイちゃんの記憶が徐々に戻ってきたらしい。ただ、戻り始めた時は凄く弱っていたみたいだけど。そしてユイちゃんから聞いたのは自分の正体であった。MHCP(メンタルヘルスカウンセリングプログラム)それがユイちゃんの正体だった。詳しい事はまだ思い出せないらしいから思い出したら話してくれるって。ユイちゃんの正体が判明してもキリト君とアスナちゃんは娘のように可愛がっていた。そして今はアスナちゃんの新婚生活の話を聞いていた。そして皆でいじっていたが私とアスナちゃんとサチさんにメールが届いた。

 

「「えっ?」」

 

 3人で画面を見て、血の気が引いていたらシリカちゃんが声をかけてきた。

 

「ど、どうしたんですか?皆さんとも。」

 

 顔面が蒼白になりながら答える。

 

「光輝くんが・・・ボス部屋に閉じ込められた。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私とアスナちゃんとサチさんは戦闘服に着替え帰ってきたキリト君と合流しユイちゃんを皆に預けて第75層主街区コリニアに集まった。そこには現攻略組の最大戦力が揃っていた。私達が最後だったらしい。全員集まったのを見てヒースクリフさんが始める。

 

「皆揃ったな。では詳細を説明する。今日第75層のフロアボスの偵察戦をする為に我が血盟騎士団と青龍騎士団の合同メンバーで2時間前偵察戦に行こうとした所そこにソロで潜っていた光輝くんが合流。そして光輝くんの提案で光輝くんがアタッカーとして偵察戦に参加した。そしてまず光輝くんがボス部屋に入った。だが直ぐに扉が閉まりどんな事をしても開かなかったそうだ。そして今この時も光輝くんは戦っている。ラストボス以外で最難関の第3クォーターボスに。そして光輝くんが帰って来れない所を見ると」

 

「結晶無効化空間・・・」

 

「その通りだキリト君。」

 

「う、そ。」

 

 私の頭の中が真っ白になった。周りを見てみるとキリト君もアスナちゃんもクラインさんもエギルさんも皆血の気が引いた顔になっている。だがヒースクリフさんは非情な、でも憎らしく妥当な意見を言った。

 

「・・・諸君には辛いかもしれないがはっきり言って私は勝てる確率は低いと思っている。確かに彼は今までたった1人でフロアボスを打ち倒した。だが今回のボスはそれらとは桁違いという事が想定出来る。今までのクォーターボスのようにね。だが彼もタダでは転ばないはずだ。」

 

「なにを・・・言ってるんですか?」

 

 私は思わず聞いた。

 

「これよりここにいるメンバーで第75層フロアボス戦に向かう。光輝くんが勝ったならそれで良い。しかしもし負けていた時は・・・光輝くんが削ったダメージを引き継ぎ我々が倒す。」

 

 それを聞いた場は怒りに満ちていた。だが同時に妥当な意見って事もわかっている。今までのクォーターボスも普通のボスとは一線を越えていたらしいから。それに光輝くんはクォーターボスを1人で倒した事は無い。全員ヒースクリフさんの言い分に怒りを抱いたがそれを責めはしなかった。だけど私は前に出て言う。

 

「・・・光輝くんは負けません。絶対に」

 

 私はそう言った。光輝くんの力を知っているから。光輝くんは負けない。私の知らない所で世界を救ってみせた英雄の力を私は信じてるから。だから光輝くんは負けない。そう断言した。

 

 

 

 

 そして沈黙になり後ろで足音がした。そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ!そうだぜ!あいつはまたひょこっと出てきてただいまって言ってくるぜ!」

 

 そう熱い侍が言い

 

「ああ、あいつの力を俺達は知ってるだろ?あいつは負けん。」

 

 商人が言った

 

「ああ、あいつが負けてる所を想像できるか?俺は出来ないな。」

 

 そう黒の二刀剣士が言い

 

「うん!私も想像出来ないな。彼強すぎるもん。」

 

 それを白の閃光が返し

 

「そうだぜ皆!あの子はこのアインクラッドの最強の蒼赤の戦士だぜ?負ける要素はないだろ!?」

 

 皆をそう鼓舞する青髪のナイト

 

「そうやな、ディアベルはん。ワイらはボスを倒しに行くんやない。光輝の勝った顔を拝みに行こうやないかい!」

 

 そう特徴的な髪を持つ男が言った。

 

「「「うおーっ!」」」

 

 そしてそれを言い終わった時の返事だ。

 

 私たちはヒースクリフさんに再び向いた。そしてヒースクリフさんは後ろを向き

 

「・・・そうだね。私もそう信じているよ。人間の可能性をね。」

 

 そう言って「コリドーオープン」と言って回廊結晶を開いてそこに入って行った。そして私達は頷いて光の中に入って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まじかぁ、それが俺の第1感想だった。だってさ、まさか閉じ込められるとは思わないじゃん?出るにはボス撃破・・・か、じゃあ久しぶりの一騎打ちをしようか。そう思い俺は取り敢えず真ん中辺りに行ったら何かカサカサと音がしたから上を向いてみたらいた。そして慌てて後ろに退避した。そして落ちてきたのは一言で言うなら骸骨だ。名前は『ザ・スカルリーパー』というらしい。

 そうして俺は突撃した。スカルリーパーは2本ある鎌で俺を突き刺そうとしたが普通にあのクズ野郎よりかは遅いから普通に避けて行きそしてスカルリーパーの顔面まで飛びそして右の拳で殴った。ほんのちょっと体力が減った。これは骨が折れそうだな。側面から攻撃しようにも俺1人しかいないから直ぐに方向転換して側面を狙わせてくれない。

 ・・・という訳で本気を出して高速移動でスカルリーパーの真下に行きそしてジャンプして腹辺りを殴って少し浮かせた。そして俺は反動で地面に着いたと同時にまた飛んで腹を殴ってまた浮かした。それを何回も繰り返して1時間30分位でとうとうスカルリーパーの体力を半分削るのと同時にスカルリーパーが最初にいた所ら辺に来た。スカルリーパーは俺を攻撃しようにもスカルリーパーの全長が長すぎて腹の辺りに殴ろうとする俺に攻撃が当たらず殴られぱなっしだった。

 

「これで勝てたら良いけどなっ!」

 

 そう言って俺はまた飛んだ。だけど何か変なのに気がついた。それは

 

「なっ!?くっついてるだと!?」

 

 そうスカルリーパーは登場の時みたいに天井にくっついていた。そしてスカルリーパーは鎌が俺に当たるように位置を調整しそして上から降ってきた。俺は空中にいて避けられずオマケに向こうは天井を蹴っていてスピードも上がりその鎌が俺の腹に思いっきり突き刺さった。俺は刺されたまま地面に逆戻りした。そして漸く理解し痛みに気がついた。

 

「あ、ああ、がハッ!」

 

 痛てぇ、今まで受けたことの無い痛みが俺を襲った。そりゃあ鎌で刺されたことなんて無いし。今この瞬間だけポリゴン片で良かったと思った。

 

「やべっ!」

 

 スカルリーパーは鎌を一旦抜いてまた俺を突き刺そうとしてきたから俺はこれ以上受けたらやばいと思い気力を振り絞り倒れた状態から後ろ回転し足が地面に着いた瞬間に蹴りあげバク転して避けた。だけど鎌が2本ある事を忘れていた。1つ避けたと思ったら横払いで鎌が襲ってきた。それも俺の身体の真ん中に当たるように。そして剣を取る暇もなく俺は吹き飛ばされ壁に激突した。

 

「かハッ!ぐっ!」

 

 俺は落ちる瞬間に受け身を取ったが痛みで上手くいかず普通に落ちた。

 

「はぁはぁ、やべぇな、ちょっとピンチかも。」

 

 そう思わず本音が出た。まだ痛みのせいでさっきまでの戦いは通用しない。休めて痛みが引いたら出来るが今じゃちょっと無理かも。まだ体力が半分ある状態で蒼眼と赤眼は使えない。

 

「だが・・・、俺は負ける訳には行かないんだ!」

 

 俺はスカルリーパーを見ながら2つの双剣を構える。さっきまでのが無理ならもう道は1つ、俺の全てをかけて攻撃を当てまくる!

 

「お姉ちゃん、皆。おじいちゃん、力を貸してくれ!」

 

 俺を待ってくれてるあろう大事な人達、お姉ちゃん。そして右の剣に宿るおじいちゃんの形見に祈りながらそう俺は叫びスカルリーパーに突撃した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私達が回廊結晶の光を潜り30分たった。そしてボス部屋がやっぱりあかない事を確認しそして各々ボス部屋が開くのを待っていた。今で光輝くんがボス部屋に入りもう2時間半だ。皆さんに聞いたら光輝くんがフロアボスとソロで戦った時は20分から1時間ぐらいで終わっていたそうだ。それを1時間半も超えるなんてやっぱりクォーターボスだ。そして皆に話し声はない。皆光輝くんが帰って来るのを待っている。ヒースクリフさん曰くボス部屋が開くのは勝負が決した時だそうだ。私はボス部屋のすぐ前に来てずっと手を合わせ祈ってる。

 

 そしてその時がきた。更に3分ほどたった時

 

 ゴゴゴゴゴ

 

 そんな音ともにボス部屋が開き始めた。私は早く入りたくてヒースクリフさんがフォーメーションになるようにって言ったが皆言う事を聞かずただ全開になるのを待った。そしていたのは

 

「はぁはぁ」

 

 息を切らし左のブルーレッド・オブウォーリアを地面に落とし右のウォーリア・ビヨンド・ディスペアーを杖代わりにし地に膝をついていた光輝くんだった。

 

「こうき・・・くん」

 

 そう言ったらこっちに振り向きながら立った。そしてその眼は蒼眼と赤眼になっていてちょっと皆驚いていた。私はもう何回か見てるから驚きはないけど。

 

「光輝くん!」

 

「はぁはぁ、勝った・・・よ。」

 

 そう言って光輝くんは目を黒に戻しながら右の剣も手放し前に倒れかけたから私は敏捷値をフルで活用し抱きとめた。

 

「よかった、本当に」

 

 そう思わず泣きながら言う。そして腕の中にいる光輝くんが返す。

 

「はぁはぁ、頭痛いし、つ・・・疲れた〜」

 

「うん、うん。頑張ったね。」

 

「うん。頑張ったよ。だから・・・ちょっと寝てていい?」

 

「うん。おやすみなさい。光輝くん。」

 

 私がそう言ったら光輝くんは寝息をたて寝始めた。皆に目配せしてクラインさんとエギルさんが光輝くんの剣を担いだ。そして私達は次の層に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第76層 主街区 アークソフィア

 

 

 私達は宿を取りその部屋に光輝くんを寝させた。そしてしばらく見ていたがキリト君が来て代わるからお昼ご飯行ってこいって言われたからこの宿の1階のレストランに行った。そこにはクラインさんもエギルさんも攻略組の重要人物達がいた。ディアベルさんが聞いてきた。

 

「レインさん、光輝さんの様子は?」

 

「はい、ずっと寝ています。あの眼を使ったのも相まって凄く疲れたんでしょう。」

 

「そうだ、あの眼は一体なんなんだい?」

 

 私は一瞬言おうか迷ったが結局言う事にした。

 

「私も詳しくは知りませんけどあの眼・・・便宜上右眼を赤眼、左を蒼眼って言いますけどあれを使った時光輝くんは普段の時から数倍強くなるみたいです。」

 

「「「なっ!?」」」

 

 皆驚いてるなぁ。まあ私もそれを聞いた時はびっくりしたが光輝くん曰く光輝くん的にはその超スピードを捌ききった師匠の方がビックリだって言ってた。言われてみれば確かにそうだった。

 

「それは何かのスキルなんですか?いや、もしかしたら光輝くんのユニークスキルかもしれませんけど・・・」

 

 その質問に答えたのはヒースクリフさんだった。

 

「いや、眼が変化するスキルなどは私の知っている限りはない。」

 

「はい。光輝くんは元々・・・少なくとも私と初めて会った時にあれはもう出来てました。そしてあの眼は光輝くんがこの世界に来るまでにももう出来ていたそうです。それに左右の目で能力が違うようです。」

 

「マジかよ!じゃあ一体どんな能力なんだ?」

 

 そうクラインさんが聞いてきた。まあ、気になっちゃうよね。

 

「蒼眼の時は瞬間記憶能力が上がって、更に物の動きがよく見えるようになるらしいです。そしてその見えるようになった動きは黒目に戻った時も見えるようになるらしいです。赤眼の時はさっき言ったように数倍強くなるだけらしいです。」

 

「すげぇな。」

 

 周りを見たら皆そんな感じだった。ただ1人ヒースクリフさんは難しい顔をして聞いてきた。

 

「しかしメリットだけでは無いはずだ。彼がデメリットなしでそれが出来るなら昔からそうしてフロアボスをもっと短時間で終わらせれるはずだからね。」

 

「はい。それを使ってる時は徐々に頭痛がしてくるらしいです。だから光輝くんはあの状態を今は8分しか保てません。それ以上は光輝くんも耐えきれないみたいですから。私が初めて彼があの眼を使った時光輝くんは朝から晩まで寝てましたから。」

 

「頭痛は自分の意思ではどうにも出来ないからな。それを代償にするなら確かに普通に戦った方がいいな。」

 

 そうエギルさんが言って沈黙になった。

 そしてその気分を変えるようにクラインさんが聞いてきた。

 

「でもよ?今あいつはどの位の速さまで見えるんだろうな?俺には結構早い攻撃も普通に避けたりしてたからそれなりに早い物を見続けたんだろう?」

 

 面白い質問だと思ったが残念ながら期待には答えられない。

 

「すいません、それは聞いた事ないです。」

 

 

 

「俺が蒼眼を使って見えるようになった速さは拳銃ぐらいまでだ。」

 

 そんな声と共に聞こえて来たのは少しフラフラな光輝くんだった。隣にはキリト君がいる。でも・・・何か少しヒースクリフさんを見てたな。だが皆は聞いたワードの方がびっくりした。キバオウさんが思わず質問する。

 

「け、拳銃やて!?」

 

「うん。俺がこの世界に来る前の世界で何かめちゃくちゃ覚せい剤をやって暴走した奴がショッピングモールで拳銃を持って暴れだして。オマケにそれを乱射するから重傷者も出ちゃって。警察来るのも待ってられないから蒼眼だけ使って接近して乱射されたのを避けて行って一撃当てて気絶させた事があってその時に。」

 

「そ、そうなんか」

 

 皆呆気に取られていた。私もそんな事があったなんてと思い驚いていた。だけどそんな事を置いといて私は聞く。

 

「こ、光輝くん動いて大丈夫なの?」

 

「うん、ちょっとフラフラするけど動く分にはいいよ。あの眼も4分ぐらいしか使わなかったし。俺的にはその頭痛より攻撃貰った時の方がずっと痛かった。」

 

 それを聞いた場は沈黙になり私が早く復活した。

 

「えっ!?光輝くん攻撃受けたの!?」

 

「う、うん。思いっきり2発だけ。1つは向こうの鎌に刺されてもう1つは横払いが空中で避けられなくて剣を取る暇もなく食らっちゃった。めちゃくちゃ痛かった。」

 

「大丈夫!?まだ痛い?」

 

「えーっとまだちょっとジンジンするけど大丈夫だよ?」

 

「そ、そう?無理しないでね?」

 

「流石に今日はもう行かないよ。」

 

 そう苦笑いで言った。だけどその時にキリト君がヒースクリフさんの前に行きある事を言った。

 

「なあ、ヒースクリフ」

 

「ん?何かねキリト君。」

 

 光輝くんの目付きが変わった。そしてキリト君が切り出した。

 

「こんな時になんだけどさ、ユニークスキル使いの最強を決める為に俺と戦ってくれないか?」

 

「「「!?」」」

 

 皆が唖然としてるな最中ヒースクリフさんが問い返す。

 

「ほう、それは何故かね?」

 

「なあに、簡単な事だアインクラッド1は光輝に譲るが、やっぱり何かで1番になりたいのはゲーマーの性、だろ?」

 

 そう言ったらヒースクリフさんはふっと笑い

 

「よかろう。私も君とは戦ってみたいとは思っていたんだ。」

 

 ヒースクリフさんがそう言ったら血盟騎士団の経理のダイゼンさんが出てきて

 

「それならいっその事祭りにしまへんか?アインクラッドももう4分の3がすぎたんですから祭りがあってもいいはずですやん!」

 

 それを聞いたら皆もいい案だなと言いここに祭りが決定した。私もその場でライブをしてくれって頼まれて光輝くんにもやってと言われたからする事になった。

 スポンサーは二大ギルドの血盟騎士団と青龍騎士団だ。

 そしてその祭りは2日後の11月6日、ソードアート・オンラインが始まり2年という節目に行うことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 でも光輝くんとキリト君は何かを決心したような顔になっていた。

 

 

 




お疲れ様でした。もう少しでSAO編は終了です。昨日家族とオーディナル・スケールを見たんですが光輝がオーディナル・スケールやったら無双ですからエイジやらが瞬殺される未来しかない笑。


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光の解放者

おはようございます。今日も行きましょう!ではでは(∩´。•ω•)⊃ドゾー。・・・もう半分くらいタイトルでネタバレしてるけど


 翌日

 

 

 まだ暗い中俺はある所に降り立った。そして家の中に入っていきある人に声をかけた。

 

「師匠、俺と・・・戦ってください。」

 

 そう言ったらその人は振り返った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 更に翌日の11月6日、第75層の主街区にはコロシアムがありそこで祭りを開く事になった。アインクラッド中にその知らせは行き渡った。やはり目玉はそれぞれ出る屋台やお姉ちゃんのライブ、そしてユニークスキル使い最強を決める戦いだろう。で、どうせなら勝った方が俺と戦わないかって事になり俺もシード枠として参戦する。俺もある事を抜きにしたら結構楽しみにしてる。今回のライブはお姉ちゃんの現実の姿でやるそうだ。お姉ちゃん普段は髪を紅くしてるけど偶に現実の方の髪色でライブしていてそっちの姿も人気らしい。俺はどっちのお姉ちゃんも好きだけどな。

 

「お姉ちゃん、お疲れ様。」

 

「うん、ありがとう光輝くん。ちゃんと見ててくれた?」

 

「勿論!」

 

「そっか、そっか。良かった。今まで1番大きい所だから緊張したよ〜。」

 

「コロシアム大きいもんね。」

 

 お姉ちゃんのライブが終わり俺は声をかけた時の会話だ。因みにこのライブが終わって30分後にキリトとヒースクリフさんが戦う予定だ。

 お姉ちゃんが少し探るような顔で聞いてきた。

 

「ねぇ、光輝くん。」

 

「何?」

 

「昨日の夜何で師匠の所に行ったの?私を置いてって。」

 

「あっ、やっぱりバレた?」

 

「当たり前でしょ?それで何で?」

 

 俺は今回の事はまだ言うつもりはなかった。だから

 

「ごめんなさい、まだ教えられない。」

 

「・・・わかった。でもその内話してね?」

 

「大丈夫、今日の内には言えるから。お姉ちゃん。」

 

「ん?なに?」

 

「これからもよろしくね!」

 

 俺がそう言ったらキョトンとした顔になり

 

「勿論!」

 

 心の中でごめんなさいと言いながら俺はお姉ちゃんとキリト達の試合まで喋っていた。・・・もしかしたらこれが最後になるかもしれないと思いながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺とお姉ちゃん、そしてキリトの付き添いのアスナさんとユイちゃん、本人のキリトはコロシアムの試合をする所に行きそして放送がかかったからキリトは

 

「じゃあ行ってくる!」

 

 そう力強い事を言って俺を見てきて俺もキリトも頷いた。そして決戦の場に出ていった。俺達は出入口の所に行き試合を見守る。そしてヒースクリフさんとキリトが出ていった瞬間に大歓声が起きた。今このコロシアムにはアインクラッドの生存者がほぼ全員揃っていることだろう。その数約7000人。これはこれで壮観だな。そしてヒースクリフさんがキリトに初撃決着モードの申請を送りキリトがそれを受諾した。

 そして両者の間に決闘開始のカウントが出てキリトとヒースクリフさんはそれぞれの武器を構える。キリトは最近じゃディフォルトの二刀流を、ヒースクリフさんは今までライフゲージがイエローになった事がない神聖剣の盾と剣を構えそしてカウントがゼロになった。

 

「はぁ!」

 

 そんな声と共にキリトは二刀を振るったが盾に阻まれそして戦う方からしたらいやらしいタイミングでヒースクリフさんは反撃しキリトはそれをガードしながら後退した。そして直ぐに向かい片手剣ソードスキル《ヴォーパルストライク》をしたが、それも盾に受け流され位置を交換する。そして何事か喋った後に2人が同時に動いた。この場にいる非戦闘員には霞んで見えたと思ったら2人はまた真ん中で激突した。そしてキリトの剣がどんどん早くなっていきとうとうヒースクリフさんの頬にかすり

 

(こっからが正念場だキリト。)

 

 前にいる3人に気づかれないように右のウォーリア・ビヨンド・ディスペアーを抜いた。

 そして場は動いた。頬に掠った事でチャンスだと思ったキリトが二刀流16連撃ソードスキル《スターバーストストリーム》を繰り出して途中までは防がれていたが15連撃目で盾を弾いた。そして16連撃目を当てようとした時世界が歪んだ。弾かれたはずの盾がありえないスピードで戻り16連撃目を防いだ。そしてヒースクリフさんがキリトに剣を突き出して当てようとした瞬間に俺は動いた。

 

「光輝くん!?」

 

「なっ!?」

 

 俺は一瞬だけ眼を変えるとヒースクリフさんの所に向かいそして突き出された剣を上に弾いた。そして皆が唖然としてる所に硬直が終わったキリトが俺の後ろから片手剣ソードスキル《レイジスパイク》をヒースクリフさんに当ててそして・・・紫の障壁に阻まれた。

 

 

 

 

 

 会場はいきなりの沈黙になった。いきなり俺が入り戦いの邪魔をしたから怒ろうと思って立った奴もいただろう。だけどそれはヒースクリフさんの前にある表示を見たら皆呆気に取られて沈黙となった。俺とキリトは1度後退し再びヒースクリフさんと相対した。お姉ちゃん達が来た。

 

「光輝くんこれは一体?」

 

「何故団長に不死属性があるんですか!?」

 

 そうこの紫のシステムウィンドウは不死属性を表すウィンドウだ。適当にそこら辺の壁とか殴っても出るが普通のプレイヤーには出ない。普通(・・・)のプレイヤーにはな。

 

 ヒースクリフさん、いやヒースクリフが聞いてきた。

 

「なるほど、私は嵌められた訳か」

 

「ああ、少なくともあんたが何者なのかはもう俺とキリトは見当がついてるよ。」

 

「ほう、では聞こうではないか。」

 

 俺から話し始めた。

 

「俺が第75層のフロアボス、ザ・スカルリーパーを倒した後にあるやつが俺の前に現れた。そいつはこの世界、ひいてはこのソードアート・オンラインというこの世界を調整している自立型AIプログラム、カーディナルだった。カーディナルがなぜその時俺の前に現れたのかは俺がこの世界にとってイレギュラーという存在で俺の事はずっと監視してチートを疑っていたらしいが俺がそんな事をせずましてやたった1人でクォーターボスに挑み勝利したからだそうだ。その報酬としてカーディナルは今の俺の現状とある人物についてのヒントを教えてきた。そしてそのヒントを1人にだけ教えてもいいと言われた。だから俺はそのヒントを目覚めた時にいたキリトに話しそして2人で相談した結果あんたがその人物だろうと思った。」

 

 キリトが続ける。

 

「光輝がカーディナルから得たヒントは少なかった。だがそれでいて大ヒントだった。そのヒントは『この世界の事に最も詳しくそれでいて強い。』当たり前だな。何故ならその人物はこの世界を創造した張本人。」

 

「キリト君、それってまさか」

 

「ああ、そして俺と光輝はそのヒントを元に考えある1つの結論に至った。」

 

 俺とキリトが声を合わせ宣言する。

 

「「血盟騎士団団長、聖騎士ヒースクリフは茅場晶彦だってな!」」

 

 

 

 コロシアムは静寂に包まれた。そしてヒースクリフが剣を盾に収めて拍手しだした。

 

「参考までに何故それで私だと思ったのかね?」

 

 キリトが返す

 

「なあに、誰でも知っている事だ。他人のやってるRPGを横から見るのはつまらないって事だ。それにあんたは最初から強すぎた。盾を使うタイミングや反撃、ソードスキルの博識さやこの世界の事もな。そしてあんたのライフゲージがイエローゾーンにならない伝説。確かに普通のMOBとかだったらまだわかるさ。だけどそれよりも強いボス戦でもイエローにならないのは変だろ?例えそれが神聖剣の力であったとしてもな。だがそれでも確証はなかった。だからあんたに決闘を申し込んだんだ。そしてどんな勝負になっても絶対にあんたのライフゲージをイエローにするって目的でな。」

 

「なるほど、光輝くんはキリト君が負けそうになった時の保険か。」

 

「そゆこと。」

 

 茅場晶彦はふっと笑ってコロシアムにいる人達に宣言した。

 

「いかにも私が茅場晶彦だ。ついでに言うならこのアインクラッドのラストボスでもある。」

 

 

 それを聞き皆沈黙になったが徐々に罵詈雑言に変わる。当たり前だ、2年間この牢獄に閉じ込めた張本人なんだからな。そして攻略組の面々が出て来た。キバオウさんが噛み付く

 

「ヒースクリフはん、いや茅場晶彦!この世界から出しもらうで!流石にあんたも攻略組全員には勝てんやろ!」

 

 そう言ってキバオウさんが突撃したが茅場晶彦が左手を振り何かの操作をしたらその場にいたキリトと俺以外の攻略組が地に伏せた。よく見ると麻痺のアイコンがついている。めちゃくちゃだな。俺はお姉ちゃんを、キリトはユイちゃんと一緒にアスナさんを支えてる。

 

「どうするつもりだ?今ここで攻略組を全員殺すつもりか?」

 

「まさか、そんな事はしない。私はこれより第100層の紅玉宮の王座にて君たちが来るのを待っているよ。ここまで来て君たちを放置するのは些か心配だがなに、君達なら登って来れるよ。」

 

 俺はそんな言い分がムカついた。

 

「・・・なんだ?この攻略組はあんたが育ててきたみたいな言い方をしてあんた一体何様だ?皆が攻略組を目指したのはみんなの意思だ!あんたが育てた訳じゃない!」

 

「・・・その前に君達には報酬を与えなければな。今ここで私とどちらかが1VS1で私と戦いそして勝てたら・・・ゲームクリアを保証しよう。」

 

 皆が口々に止めろって言ってくる。だけど

 

「キリト、俺がやっても良いか?」

 

「・・・良いんだな?」

 

「ああ、俺が負けると思うか?」

 

 俺は自分を鼓舞する意味もこめてそう言った。別にキリトが弱い訳ではない。寧ろキリトでもヒースクリフには勝てると思っている。だけど万が一と言うこともある。

 

「そうだな、任せたぜ。」

 

 その会話を聞いた茅場晶彦がまた左手を操作しその場にいた全員を観客席に送り返した。だけど俺はまだ言う事がある。

 

「ついでに聞いておくが俺をこの世界に呼んだのはあんたか?」

 

「いや、そんな神がかった事は私には出来ないよ。それに出来るなら私自身がそうしているさ。」

 

「だろうな。じゃあ後3つだけお願いを聞いてもらって良いか?」

 

「何かね?」

 

「まず1つ目、ユイちゃんをキリトのナーヴギアのメモリーに入れてくれ。また向こうの世界でも会えるように。あんたユイちゃんが来たって言ってもユイちゃんを消さなかった。それは流石に自分でも酷な命令をしたと思ったからなんじゃないのか?」

 

「ふっ、そうかもしれないね。」

 

 そう言って左手を操作し観客席にいるユイちゃんが光ったと思ったら戻った。

 

「確かにキリト君のナーヴギアに移した。2つ目は?」

 

「何か嫌な予感がするから俺が勝った時絶対に皆を皆の世界に返せ!時間をかけてもいいから絶対にだ。」

 

「承知した。3つ目は?」

 

 これを言ったら皆にぶちギレられそうだけど俺はこれをして勝たないと気が済まない。

 

「あんたの全力をもって俺と戦え!さっきキリトに使った奴も何もかも全力で使って俺と戦え!俺はその上であんたに・・・勝つ!!!!」

 

「・・・よかろう。」

 

 そして決戦の前に声がかけられる。

 

「光輝!」

 

「エギルさん、何時もポーションやら買ってくれてありがとうございました。知ってましたよ?エギルさんが商売で得たコルの大半を中層のプレイヤーの強化に使ってたの。」

 

 そう商人に声をかけた。

 

「光輝〜!俺は、俺は絶対におめえに飯奢って貰うからな!だからよ、だからよ・・・」

 

「わかってるよクライン。また会えたら奢るのとは違うけど何か作ってあげるよ。あんたは俺が冷たく当たっても声をかけ続けてくれた良い人だ。だからその内ナンパしなくても良い人に出会えるよ。」

 

 そう泣いてる侍に言った。

 

「光輝君、絶対に勝ちなさいよ?」

 

「ああ、光輝。また会ったらオフ会やろうぜ!オフ会って言うのはゲーム内の奴が現実でも会うことだ。」

 

「ああ、わかった。絶対にそのオフ会ってやつに行くよ。キリト、この世界に来た時俺に色々教えてくれてありがとうな。俺、前の世界でも友達なんていなかったけどお前は1番の親友だと思ってる。」

 

 そう黒白夫婦に返した。

 

 そして声をかけて来る色んな人達、黒猫団、ディアベルさんにキバオウさん、そして・・・

 

「お姉ちゃん・・・」

 

「・・・頑張りなさい。光輝くん、私達の為だけじゃなくて自分の為にもね。でも負けたらお姉ちゃん許さないからね。だから・・・」

 

「・・・俺の事を弟みたいに見ていてくれてありがとう。俺が苦しい時、悲しい時にずっと一緒にいてくれてありがとう。俺も楽しかった。だからお姉ちゃんもオフ会で会おうね!」

 

「ばか、弟みたいじゃなくてもう私の中では弟だよ。」

 

「うん。ありがとう、お姉ちゃん。」

 

 俺は茅場晶彦に向き直った。そしてさっき話す前に黒色の目に戻しといた目を茅場晶彦に向けた

 

「茅場晶彦、俺はあんたが何でこんなデスゲームにしたのかはもう問わない。それに俺はあんたにはある意味感謝もしてる。」

 

 コロシアムが静寂になっている最中俺は続ける。

 

「あんたがこのデスゲームをしたから俺は皆に出会えた。キリトとアスナさんが結婚出来た。俺をちゃんと見てくれる人がいた。そして・・・俺は間違ってるって教えてくれた人がいた!」

 

 左肩の剣を抜いた。

 

「それはみんなこの世界で生きて得た物だ。そして今の俺を作ってくれてる物だ!俺が元いた世界の家族にも、そしてこの世界で出会った人達にも生きてと願われた!」

 

 右の剣を斜め横に持ち、左の剣は前斜めに持ち右足をひいて構えた。そして俺の目は再び蒼眼と赤眼になった。そして叫んだ。

 

「だから俺は負けん!容易くこの首を取れるとは思うなよ!俺の名前は西沢光輝!今日で名実共にアインクラッド最強を頂くものだ。心してかかってこい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 光輝くんが宣言した瞬間互いに消えた。そう、消えたと言った方が良い。剣がぶつかり合う音しか聞こえない。そして偶に2人が出て切り合う。茅場晶彦の体力はイエローのままだ。キリト君にももう見えないそうだ。これが光輝くんの全力。そして1度2人はまた真ん中に現れた。そして会話を始めた。

 

「わかってはいたが光輝くん、君少し人間をやめていないかい?」

 

「それをあんたが言うか?だが残念だが茅場晶彦、お前は3番目だ。」

 

「1番は君かい?」

 

「いや、師匠だ。あの人俺の超スピードを防ぎきったけどあれどうなってんだよ。」

 

「いやはや、それは興味深い。」

 

「うるせ!」

 

 そう言って真ん中で激突した。そして目で追い切れない剣の応酬が続いたが変化が起きた。

 

「くっ!」

 

「ふっ」

 

 そう言って茅場晶彦の剣が掠った。頭痛のタイムリミットが近づいているらしく顔を歪めている。だけどその時私の頭に声が聞こえてきた。

 

『力を・・・こいつに勝つための力をくれ!』

 

 周りを見てみると皆困惑した顔になっていた。どうやら皆に聞こえてきたらしい。そうしてまた事態が動いた。

 

「クソ!」

 

「どうした光輝くん、攻撃が当たり始めてるよ!」

 

 光輝くんの動きが鈍くなっている。もう私達の目にも見えるようになっているからそれは明らかだ。

 そしてその時、このコロシアムの中で困惑の声が上がった。それは・・・

 

「なっ!?お、おい!俺達の体力がだんだん無くなっていないか?というか俺達光ってないか?」

 

 そうクラインさんが言い皆で確認すると確かに無くなっていて皆の体が光っている。そしてその光は光輝くんの頭上に集まり光の集まりが形成されていた。そして私達の体力がイエローになると止まり体の光も収まった。

 件の2人はおそらく戦いに集中して気がついていない。そしてその光の集まりが直径50メートルになった時事態が動いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(まだだ、まだやれる!)

 

 俺と茅場晶彦の戦いは熾烈を極めている。最早常人では追えないスピードを出しているがまだ盾に阻まれる。そして俺は頭痛のせいでどんどん動きにキレが無くなっていきとうとう当たり始めてしまった。

 

(力を・・・こいつに勝てる力をくれ!)

 

 俺はそう祈り再び向かった。だが憎たらしく盾で防いできて決定打が与えられずジリ貧だ。だけどその時何故か俺は不思議な予感がした。飛べっで言われているようだ。だから俺は1度ぶつかった後後退し、思いっきり飛んだ。

 

 そして光に包み込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は光の中に飛んで入った。そしてそこにいたのは・・・

 

「み、んな。」

 

「久しぶりね、光輝」

 

 俺の死んで言った家族だった。

 

「俺・・・俺、」

 

 そう何かを言おうとしたが麗華お姉ちゃんに指で口を押し付けられて止められた。

 

「光輝、私達はもうすぐまた行くわ。だからあなたに言いに来たの。」

 

「また・・・行くの?」

 

「ごめんね光輝、でもお姉ちゃんは・・・私達家族は皆あなたの中で生きているから。あなたが忘れない限りずっと。」

 

 母が俺をハグした。父も、おじいちゃんもおばあちゃんも、そしてお姉ちゃんも。もう皆がいっぺんに来たからぐちゃぐちゃだ。でも俺は不思議と安心した。おじいちゃんが話す。

 

「お前にまだ教える事があったのに、先に逝ってしまって済まないな。俺の剣の魂をあの嬢ちゃんが入れてくれたみたいだ。そして嬢ちゃんが鍛えたお前のもう1つの剣も良い剣みたいだ。そしてお前はその剣達に込められたあの嬢ちゃんの想いも分かっているな?」

 

 俺は2つの手に持ってるそれぞれの剣を見てから俺は1つ深呼吸して答えた。

 

「うん。分かってる。だから・・・俺は勝ちに行く!」

 

「そうだ、お前さんはあの嬢ちゃんだけじゃない。あの場にいる皆の想いを背負って立っている。それを忘れるな。光輝、お前の名前の由来を教えてやる。」

 

「由来?」

 

 そう言えばなんで俺は光輝って名前なのか聞いた事がなかったな。考えた事はあるけど。小学二年生の時の宿題で親に自分の名前の意味を教えて貰ってそれを皆の前で発表するって宿題だった。でも俺はそんなの知らなかったし家族が死んでたのを知っていた先生の計らいで俺はその発表の時間だけ体調が悪いって事にして保健室にいたし。・・・新井先生元気かな。良い先生だったな。学校の計らいか何かだったのか俺の担任をずっとしてくれてた。俺があのクズ野郎と戦う前にも止めてきた。そして俺の決意が固いと分かると泣きながら帰ってこいって言ってくれた。新井先生の事を考えてから俺は皆に向き直った。そして自分の名前の由来に耳を澄ます。

 

「それはな光輝、色んな人の光として輝きそして誰かの希望となって欲しい。そして・・・その2つを持って誰かの願いをその光で包み込むような子になって欲しい。そう思って俺は・・・いや俺達はお前の名前を光輝にした。」

 

 いつの間にか皆の顔が泣いている顔になっていた。だけどおじいちゃんがそう言ったらまた皆俺に笑顔を向けて皆で一緒に同じ事を言った。

 

「「「だから光輝、行きなさい!あなたに勝って生きて戻ってきて欲しいという願いを祈ってくれてる人達の為に!」」」

 

 そして光の中に元々いたがより光って思わず目を閉じた。そしてまた開いたら皆はもういなかった。だけど不思議と力が湧き上がっきた。そして左右の剣も光始めた。

 

「うん、ありがとう。皆。俺は皆の願いに答える為に・・・勝つ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 光輝くんが飛んであの光の中に入って行きコロシアムは何が起こるのかがわからず沈黙している。そして出てきたのは

 

「光輝・・・くん。」

 

 その光が爆ぜたと同時に黄金の光が迸った。そしてその中から光の双剣を持った金色(・・)の目の光輝くんだった。

 

「きれい・・・」

 

 そう思わず言った。場は驚愕の嵐になっていた。あの茅場晶彦でさえ驚愕している。そしてその光輝くんが話し始めた。

 

「行くぞ、茅場晶彦!こっからはアインクラッド全生還者が相手だ!」

 

 そう言ったらまた変化が起きた。光輝くんが剣を合わせた瞬間にまた光って出てきたのは1つの巨大な光の剣だった。

 

「こいつはな、皆の願いだ!あんたのせいで何かを諦めざるおえなかった人達の願いだ!そして現実世界で大切な人達を奪われた人達の叫びだ!」

 

 そしてその瞬間空を飛んでいる光輝くんの後ろに人影が出てきた。それも数え切れないくらいの人影が。その中には私もキリト君もアスナちゃんも皆いた。そしてそれらが光輝くんの中に吸い込まれていき、より一層光輝くんの黄金の光が爆ぜた。そして光ったと思ったと同時に突撃してた。茅場晶彦はギリギリ反応し盾がガードした、だが

 

「何っ!」

 

 盾がポリゴン片となり消えた。そして

 

「はああああ!」

 

 茅場晶彦は貫かれた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 コロシアムはもう何度目かも分からない沈黙になっていた。俺の前には光の巨大な剣に貫かれている茅場晶彦がいる。そしてどんどんライフゲージを削りそしてゼロになった。そして消える瞬間に

 

「・・・見事だ」

 

 そう言って茅場晶彦は消滅した。

 

「はぁ、はぁ。確かにあんたはラストボスに相応しかったぜ。」

 

 俺はそう言い剣を地に突き刺した。その時に1つだった剣はまたそれぞれの剣に戻った。そして俺は周りを見渡した。そして宣言した。

 

「勝ったよ、皆」

 

 その瞬間俺は何か予感を感じ耳を塞いだ。そしたら塞いでてもめちゃくちゃ聞こえる大歓声になった。結果塞いでても変わらなかった。

 そして攻略組の面々が次々に降りてきた。

 

「光輝くん!」

 

 そう言ってまたお姉ちゃんに抱かれた。もう何回言ったか分からない事を言う

 

「く、苦しいよ。」

 

「良かった。本当に・・・」

 

「うん、ちゃんと約束は守ったよ。」

 

「うん。良い子だね。本当に良い子だよ。」

 

 クラインが話しかけてきた。

 

「ほんまによ光輝!お前ってやつはよ、やっぱり英雄だよ。俺達の。」

 

「俺は英雄なんかじゃない。英雄は皆だよ。この世界を生き抜いたんだから。」

 

 キリトが来た。そして無言で拳を出てきた。俺も拳を合わせた。

 

「サンキューなキリト、信じてくれて。」

 

「ああ、当たり前だろ?俺達は親友なんだから。」

 

 そして口々に俺に話しかけてくれる皆。でもそんな皆に一つだけ言わなきゃ行けない事がある。そう思って暗い顔になっていた俺を見てお姉ちゃんが声をかけてきた。

 

「光輝くん、どうしたの?」

 

「・・・皆に言わなきゃいけないことがあるんだ。」

 

 そう言ったら皆真剣な話だと思ったのか黙ってくれてる。そして俺は言う。

 

「俺は・・・、この世界の人間じゃない。元々この世界にはいないんだ、西沢光輝という人間もな。」

 

 そう言ったら皆何言ってるんだ?的な顔をされたがお姉ちゃんは何となく分かったらしい。

 

「それって、光輝くんは平行世界の人ってこと?」

 

「うん。多分。ここがやっぱり未来って言うのは概ね賛成だけど、やっぱりあの事件を皆が知らないならそうなるのかなって思ったんだ。皆が知らないんじゃない。知らなくて当たり前だったんだ。そしてそこから導き出せる答えがそれだ。そうじゃないと逆にしっくり来ない。」

 

 そう言ったら皆はまたびっくりしてる顔になった。何回もそんな顔して疲れないのかな?

 

「だからお姉ちゃん・・・」

 

「それがどうしたの?それでも光輝くんはもう私の弟なの!これは決定事項なの!だから・・・その先は言わないで」

 

「・・・わかった。唯、問題はそれだけじゃないんだ。元の所に帰れるのかが分からない。そもそも俺は死んじゃうかもしれない。だから・・・そうしたら皆との約束が守れない!だから・・・謝りt・・・」

 

「馬鹿野郎!お前がそんなに弱気になってどうすんだ!?お前はアインクラッド最強の戦士だろ?元の所に帰れるか分からない?上等だ、そうなったら俺達も一緒に帰る方法を探してやる!」

 

「そうだぜ光輝、俺達はお前にでかい恩が出来ちまったんだ。せめてそれを返させろ。」

 

 そうクラインとエギルさんに言われ周りを見たら皆頷いて俺はもう泣くしかなかった。そんな俺の背中をお姉ちゃんがポンポン叩いてる。そして俺の体が光に包まれて行く。

 

「光輝くん・・・」

 

「どうやら俺が先に退場らしいな」

 

「で、でもログアウトの光り方じゃないな。」

 

 そうベータテスト経験者のキリトが言う。

 

「そうなんだ。皆のログアウトは多分もう少しかかるよ。あいつに時間をかけてもいいから絶対にログアウトさせろって言ったからね。」

 

 代表でキリトが返事した。

 

「ああ、わかった。」

 

 俺はまた耐えきれず泣きながら言った。

 

「皆・・・2年間ありがとう。こんな俺を仲間にしてくれてありがとう。俺と・・・一緒に戦ったり笑ったりしてくれてありがとう!俺・・・、俺絶対に皆の事忘れないよ!」

 

「うん。私も絶対に忘れないよ。でもどうせなら会いに来て欲しいな。オフ会にはちゃんと来てね?」

 

 お姉ちゃんがそう言った。

 

「うん、うん。」

 

 俺は泣きながら返した

 

「オフ会の場所は俺の店を提供してやる。俺達の世界の東京の御徒町にある「ダイシーカフェ」って所だ。絶対来いよ!いつまでも待ってる。」

 

「うん、絶対に行くよ。」

 

「というかエギル、おめえリアルでも商売してるのか?」

 

「おうよ!」

 

 俺はまた周りを見渡しながら別れを言って言った。そしてキリトとアスナさんとユイちゃんに

 

「3人も元気でね、キリトもアスナさんもずっと仲良くしてね?ユイちゃんは暫くはキリトのナーヴギアかパソコンの中で生活になっちゃうけど我慢してキリトが何とかしてくれるの待っててね。」

 

「うん、光輝くんも元気でね。」

 

「ああ、俺はアスナもユイも幸せにしてみせるよ。」

 

「光輝さん、短い間でしたが、本当にありがとうございました。私も光輝さんの事は忘れません。」

 

 それを聞きもう意識も少しなくなり始めてるが気力でお姉ちゃんを見て聞く

 

「お姉ちゃん」

 

「何?」

 

「お姉ちゃんの名前教えて。俺だけはずるいよ。」

 

「うん、そうだね。」

 

 そう言ってお姉ちゃんは俺の顔を見ながら

 

「私の名前は枳殻虹架(からたちにじか)、今年で17歳だよ。」

 

「からたちにじか、うん。いい名前だね!」

 

「でしょう?」

 

 そうしてとうとう俺の視界も光になっていき最後の気力で言う

 

「お姉ちゃん、さようなら」

 

「ばか、そうじゃないでしょ?」

 

 そう言われ考えすぐさま答える。

 

「「またね!」」

 

 そう言った瞬間俺の体は光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 光に包まれた後、どこからか声が聞こえた。

 

 

「お前を呼ぶ者がいる。だが今の状態ではお前を連れて行けん。しかしお前を戦闘民族サイヤ人の肉体にすれば連れて行ける。お前はそれで良いか?」

 

 

 俺は返す。

 

「それは何で?人助けのため?」

 

「そうだ。」

 

「でも俺は俺の家族がくれたものを手離したくない。」

 

「ではお前の肉体をベースにサイヤ人にしよう。それならば問題ない。」

 

「わかった。なら俺は人助けの為にそれになる。」

 

「承知した」

 

 

 

 そして俺の視界がまた光に包まれた。

 

 

 

 




俺が目覚めるとそこは見知らぬ所にいた。周りを見ると綺麗な夕日が出ている。

「キリト君!」

俺はその聞き覚えがありまくりの声が聞こえ振り返った。そこに居たのは俺の妻のアスナだった。アスナは俺に近づいてきて抱きついてきた。

「良かった、また会えた。」

「会えたってもう俺達は住所とか本名は教えあったんだからまた会えるだろ?」

「それはそうなんだけどね。所でここはどこかな?」

俺は下の方に指を指し今俺達がいる所を示した。アスナは俺の指の方を見た。

「えっ?アインクラッド?」

「ああ、システムウィンドウを開いたらデリート作業とか何とか。」

そんな事を言ってる俺達の下には俺達が2年間いたアインクラッドが崩壊している。そして第三者の声が聞こえた。

「中々に絶景だな。」

その言葉を聞いて俺とアスナは声がした方に振り返った。そこに居たのは白衣を着てそしてSAOの雑誌とかでよく見た人、茅場晶彦がそこにはいた。俺はその場で聞いた。

「あそこにいた人達は?」

「心配には及ばない。少し時間は外部の者のせいでてこづったが全員ログアウトが終了する。その外部の者はSAOのログアウトしようとした者達を別のゲームに拉致しようとしてたみたいだけどね。」

「拉致だと?」

「ああ、しかし先程も言ったが心配には及ばない。」

「そうか・・・。死んだ人達は?」

「命は軽々しく扱うものではない。死者が消え去るのはどこの世界も一緒さ。」

俺はあの始まりの日から思っていた事を聞いた。

「何でこんなことを?」

「何故か、私も暫く忘れていたよ。何故だろうな、フルダイブ環境システムの開発を知った時―いやその遥か以前から、私はあの城を、現実世界のあらゆる枠や法則を超越した世界を創り出す事だけを欲して生きてきた。そして私は・・・私の世界をも超えるものを見る事が出来た・・・。」

茅場は俺に顔を向けてまた前を向いた。

「子供は次から次へいろいろと夢想するだろう。空に浮かぶ鉄の城の空想に私が取り憑かれたのは何歳の時だっただろう。その情景だけはいつまでも私の中から去ろうとはしなかった。年経る事にどんどんリアルに、大きく広がっていった。この地上から飛び立ってあの城に行きたいと。長い、長い間、それが私の唯一の欲求だった。私はねキリト君。まだ信じているのだよ。どこか別の世界には、本当にあの城が存在するのだと。」

俺はその城に自分が最初からいて、そこで生まれ育って、栗色の髪の人と恋に落ちて、小さな森の家で住む事を想像した。そして返した。

「ああ、そうだといいな。」

そしてそのまま沈黙になったが茅場がこっちに向いた。そして手のひらを上にした。そしたら何か茅場の手のひらに落ちてきた。

「君にこれを託すとするよ。これはいわば世界の種子だ。ザ・シードという。君の手に渡れば君の好きにしてくれていい。だが君がもしあの世界に憎しみ以外の何かを残しているなら・・・」

そう言って俺の手にザ・シードを乗せた。そして白衣を翻した。

「ではキリト君、アスナ君。私はそろそろ行くよ。」

だが俺は何かいきなり押し付けられたのが癪だし個人的にこいつとはまだやりたい事があるから声をかける。

「待てよ」

「ん?何かね?」

「俺との決着はまだついてないぜ?」

そう言ったら茅場が驚いた顔をしてそして笑ってシステムウィンドウを開いていじった。そしたら茅場がヒースクリフになった。そしてまたいじると今度は俺の背中に重みが増えた。後ろを向いたらエリュシデータとダークリパルサーがあった。

「全く、君という奴は。」

「俺との勝負をほっといて光輝と戦ったんだ。だから続きをやろうぜ。ユニークスキル使い最強決定戦を!」

「よかろう!」

そう言って俺と茅場は互いに俺は剣を、茅場は盾と剣を構えた。アスナは離れた所に行って俺達の戦いを見ている。

「ふっ!」

「ふんっ!」

そう言って俺達は剣と盾をぶつけた。俺は直ぐに反対の剣で攻めるが攻めきれない。やっぱり硬いぜ、神聖剣。だけど光輝、お前は諦めずにこの防御を破ったんだろ?だったら俺にだって出来るはずだ。

(もっと、もっと早く!)

俺は二刀のスピードを上げていったがそれをも防いでくる。だけど余裕の顔はなくなっている。俺はヴォーパルストライクをしたがそれも防がれた。そして互いの位置を交換した。そして俺は提案した。

「このままじゃ埒があかない。そこで1つ提案だ。」

「ほう?何かな?」

「今から俺はソードスキルをする。俺のソードスキルがあんたに届いたら俺の勝ち、あんたが全て防ぎきったらあんたの勝ちだ。」

それを聞いたヒースクリフが微笑んで

「よかろう。あくまでもソードスキルを作った私にその勝負を仕掛けるというのか、面白い!」

そして俺は構えた。茅場も防御姿勢をとった。そして俺は突撃をした。選んだソードスキルは二刀流27連撃スキル《ジ・イクリプス》で勝負をかけた。だが流石開発者、軌道が最初からわかるから普通に防いでくる。そして俺の27連撃目が終わった。

「終わりだ、キリト君!」

「キリト君!」

俺はこの時を待っていた。茅場が盾を下げて攻撃に移る瞬間を!そして俺の二刀にまたライトエフェクトが宿った。そしてその最初の一撃で剣をパリィした。

「な、何だと!?」

「スターバースト・・・ストリーム!」

「ぐっ!うおおおおぉ!」

俺のソードスキルはまだ終わらない。そしてそれが分かった茅場はまた盾でガードしようとしたが遅かった。いきなりの事で反応も遅れたし何より俺の剣は連続ソードスキルで先よりも早くなっている。そして俺は最後の16連撃目を叩きつけた。そしてそのまま暫く無言だったが

「見事だ。キリト君」

そう言って茅場はまた光に包まれ白衣の茅場に戻った。そして聞いてきた。

「まさか2回連続ソードスキルを使ってくるとは。」

俺は剣を収めながら答える。

「システム外スキル、スキルコネクト。最初は俺と光輝が考えたんだ。光輝がソードスキルやったら硬直とか面倒くさいって言ったんだ。俺は苦笑いしながらゲームでそういうのは普通って言おうとしたがそこで思いついたんだ。もし硬直時間に入る寸前に別のソードスキルの動きをしたらどうなるのかって。最初は中々出来なかったけど、コツを掴んでやり始めて3ヶ月位で漸く出来たんだ。あと言っとくが同じ事はレインにも出来るぞ。あっちは片手剣ソードスキルだけどな。光輝と二刀流の修行とスキルコネクトの練習をしようと思ったら光輝がレインにつけられて俺とやっていた二刀流やらとかの事も知られたからもうレインも一緒に練習しようってなったんだ。で、それが出来るようになったのは74層ボス戦前」

「なるほどね。全く君達は色々常識をぶっ壊していくね。」

「あんたに言われたくない。」

「ふっ、そうか。ならば私は今度こそ行くよ。」

そう言ってまた白衣を翻して歩いて言った。そして振り返った。

「ラストボス討伐、おめでとうキリト君。」

俺はそう言って去っていく茅場の背中をみながらアスナの手を繋いだ。そしてそれからは他愛ない事を話して現実でまた会う約束をしたら今度こそログアウトした。

















お疲れ様でした。後書きのキリト対ヒースクリフは絶対にやりたかったんや!だってあのままじゃキリトの役割が光輝に移行してなんかキリトが可哀想だと思ったからです。光輝の言う通りキリトもヒースクリフに勝ちました。((ʚ( / ˙꒳˙/)ɞ))ウェーイ。あとザ・シードが早い登場。しょうがないね。だって須郷の出番を先に言っとくとないもん。あの小物とキャラ被るし(被らせたやつが言うなとか言わないでくださいお願いします。)次話のエピローグも続けてドゾー(*゚-゚)っ。
本当は明日にしようと思ったんですがやっぱり連続でいいや!って思ったのです。熱が冷めないうちに的な?







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エピローグ

おはようございます。では続き(∩´。•ω•)⊃ドゾー。色々原作ブレイクなのは許してください。キリト好きな人達がごめんなさい。先に謝っときます。


 あのSAO解放の日から約6ヶ月、私達SAOを生き抜いた人達はSAO生還者(SAOサバイバー)と呼ばれるようになった。そして政府がSAOの時学生だった人達の救済処置の為に廃校になった校舎を利用し通称《帰還者学校》に試験なしで入れる事になって私達はそこに入った。キリト君もアスナちゃんもリズっちもシリカちゃんも黒猫団の皆も一緒に入学してきた。

 

 私は入院していた時に話を聞きに来た《総務省通信ネットワーク内仮想空間管理課職員》、通称《仮装課》から来た《菊岡誠二郎》という人に内部の事を話す代わりに光輝くんの事を聞いたがそれらしいログはあるがプレイヤー情報には無いと言われた。そしてそれを話せない代わりにもう1つ聞くよと言われたから事情を話してテレビで見た妹の七色の事を調べて教えて欲しいと言った。

 

 SAOが終わった時は日本中の病院が忙しかったそうだ。一斉に全生還者が起きたんだからそうなるよね。

 そしてそんな生還者を《レクト》という会社の《須郷伸之(すごうのぶゆき)》という人が生還者300人を違うゲーム、アルヴヘイムオンラインというゲームに拉致しようとしてたらしいが光輝くんとの約束で茅場晶彦が時間をかけログアウトさせて拉致された者はいなかった。そして茅場さんが須郷がやろうとしていた悪質な実験のデータやらを告発し須郷や、その仲間は逮捕された。

 まあそれがアスナちゃんの婚約者とかだったのはびっくりした。それからレクトはアスナちゃんのお父さんがCEOを引退という形で責任をとった。

 

 

「あの2人、学校でもイチャイチャしちゃって〜」

 

「ちょっとリズさん、行儀悪いですよ。」

 

「うっ!」

 

 そうシリカちゃんに言われてリズっちは学校の外のベンチで食べているキリト君とアスナちゃんを見るのをやめて席に着く。そして私とシリカちゃんに向き直り

 

「それより2人はオフ会行くの?」

 

 シリカちゃんは身を乗り出し

 

「もちろんです!」

 

 そう答えた。私も答える。

 

「うん、私も明日はオフだから行けるよ。」

 

「明日はって事はこの後はあるの?」

 

「うん。今日も頑張るよ!」

 

 私が帰還して2ヶ月後頃に私を探してるという人が私の病院に連絡が来てその連絡を返した所、その人は有名なアイドルを何人も排出してきた所の事務所の人だった。そこで1度会って見たらその人はアインクラッドにいた時私のライブを全部見に来ててくれた人だった。

 曰く、自分は2年間寝たきりだったのに会社は自分をクビにせずに待っていてくれた。だから次の私がスカウトした人をヒットさせて会社に恩を返したい。そしてその時に思い浮かべたのはSAOでライブを結構な頻度していた私の事だった。歌唱スキルありきでも私の歌は上手かったと言ってくれそして自分の為にも私の夢の為にもどうかオークションを受けてくれと言われて私は二つ返事で返した。

 そして2ヶ月間のもう特訓の末に私はそのオークションに合格した。そのスカウトをしてくれた人の推薦の力もあったが自分でも最高のパフォーマンスが出来たと思ってたから凄く嬉しかった。そして私はそれからアイドルになる為にレッスンをしている。オフ会の日はそのスカウトの人がサバイバー同士でやりやすいでしょと言われそのまま私のマネージャーみたいな事をしてくれてるが、私のオフ会にはどうしても行きたいという願いを聞いてくれレッスンの日を増やしてオフ会の日をオフにして貰った。だから今日を乗り切れば明日はオフ会だ。

 

 だけど私はまた暗い顔をしていたらしい。講師に笑顔を忘れてると言われ慌てて取り繕った。そして休憩時間に講師が声をかけてくる。

 

「虹架さん、大丈夫?」

 

「え、え〜と」

 

「光輝君、だっけ?また会えるといいわね。」

 

「はい。」

 

「でもそれとこれとは別!今はその事は頭の片隅に置いて置きなさい。それにまた会うって約束したんでしょ?だったら信じてあげなきゃ!」

 

「そう、ですね。よし!続きやりましょう!」

 

「うん。そう来なくっちゃ!」

 

 

 

 光輝くんの事は世界中に広まっている。何せまだ皆ログアウトする前に平行世界とかの事を言っていたからそれが急速に世界中に駆け回り今は論争の種になってたりする。そして更に私はまだ出していないが政府がナーヴギアを回収してSAOの内部の映像を取り出してそれを公開したりしてるそうだ。そしてサバイバーなら皆が目に焼き付けたあの決戦の動画はもう何千万も再生されている。まあそういう系の進歩になるかもしれないからそうなる理由はわかるっちゃわかるけど。そして光輝くんらしい人を探してる人達も中にはいるらしい。

 

 

 

 

 

 そして翌日、私達帰還者学校組とキリト君の妹の直葉(すぐは)ちゃんと私のマネージャーさんも一緒にダイシー・カフェの扉を開けて入った。そこにいたのはあの頃の皆だった。風林火山の皆さんに店主のエギルさん。そしてデァアベルさんにキバオウさんもいた。

 そして皆揃った事で始まる事になった。店の奥に少し高めの台がありその上にまた椅子が置かれておりその上に今敬意を表して世界中で《光の解放者(リベレイター)》って言われている光輝くんの写真が立てかけられていた。私のナーヴギアのメモリから写真に現像したのだ。

 そして私達は皆泣きながらか泣きかけながら言った。流石に今日皆と初めてあったマネージャーさん····、美葉(うるは)さんはそこまでならなかったが皆でクラッカー向けてリズっちが

 

「それでは皆さん、ご唱和ください。」

 

「「「光輝!SAOをクリア、ありがとう!」」」

 

 そう一斉に鳴らしながらオフ会をスタートさせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱりよ、ありゃあ一体なんだったんだろうな?」

 

「ああ、あれの事を聞くのを忘れていたな。」

 

「もし光輝はんの言った通りならあの光はワイらの体力なんやないか?」

 

「でも、俺たちの体力が変化するなんて今までありましたか?」

 

 そう根っからのゲーマーなのかクラインさん、ディアベルさんにキバオウさん、そしてシンカーという人がそんな事を言い合っている。

 

 私は女の子メンバーで話しをしていたが喉が乾きカウンターに行った。そしてそこにはキリト君もいた。そして話していたのはキリト君があの後茅場晶彦から受け取った《ザ・シード》と言われる所謂ミニカーディナルで知識と設備があれば誰でもVRMMOを作れるという事だ。須郷伸之のせいでまたもやVRMMOは大打撃を受けて世間から批判を受けた。だがそれを覆したのがこのザ・シードだった。これのおかげで今やまたVRMMOは息を吹き返しまた大流行になったのだ。

 

 そしてそんな話をしてた時純粋に疑問だったんだろう。直葉ちゃんがある事を皆に聞いてきた。

 

「光輝くんって子はどんな子だったんですか?」

 

 それを聞いた場は沈黙になりそれに耐えきれず直葉ちゃんは訂正し始めた。

 

「え、えっと、ごめんなさい。そんなつもりじゃなかったんです。」

 

 私は返した

 

「うんうん、大丈夫。そうだね、光輝くんの事を一言で言うなら·····やっぱり光、かな?」

 

「光、ですか?」

 

「うん。どんな状況になっても諦めず立ち向かう。まあ光輝くんは悪になろうとしたらしいけどなりきれなかったみたいだったし。」

 

 そしてそれをキバオウさんが続ける。

 

「そうや、ワイらが不甲斐ないばかりに光輝はんに重いもんを背負わせてしまった。ワイらはそれをずっと悔やまなあかん。」

 

 ディアベルさんが続ける

 

「ああ、俺達がしなきゃいけないことを彼にやらしてしまった。」

 

「でもね?それでいて凄く弱い子だったの」

 

 私が言ったら直葉ちゃんがキョトンとして聞いてきた。

 

「弱いって、だって茅場晶彦を倒したんですよね?」

 

「うんうん、そうじゃなくて心がね。凄く弱かった。凄く涙脆い子だったよ。ずっと誰かが支えてあげなきゃ直ぐに倒れちゃうくらいにね。でもそれでいて芯は強かった。」

 

「に、虹架さん?」

 

 私は泣いてしまっていた。もうまた思い出して泣き始めてしまった。だが周りの光輝君と関わった人達は皆似た表情になっていた。

 

「ほんとによ!何で俺達はもっとあいつの力になれなかったんだ!あいつは自分の事を誰にも言えなかった!それは俺達があいつの本当の意味でダチになれなかった証拠じゃねぇーか!」

 

「壷井さん・・・」

 

 そう美葉さんが心配する声でクラインさんに少し寄った。だがこの場にいた皆はもう泣いてる者の方が多かった。私も思い出し泣きをしていた。そんな状況が出来てしまった時・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それは違うぞクライン。俺はあんたの事も親友だと思ってる。というか俺と一緒に戦ってくれた人達は皆親友の前に戦友だと思ってるよ。」

 

 そうドアが開けられたと同時にそんな声が聞こえてきた。そしてそこにいたのは

 

「こうき・・・くん」

 

「久しぶり!皆、それに・・・お姉ちゃん!」

 

 あの浮遊城にいた時と全く同じ、・・・いや身長が少し伸びた光輝くんがそこにいた。私は思わず聞いた。

 

「光輝くん、だよね?」

 

「うん。ちゃんと約束は守っt・・・」

 

 私は言い終わる前に抱きついた。

 

「光輝君、おかえりなさい。」

 

「・・・うん。ただいま。お姉ちゃん。」

 

 私は久しぶりの光輝君に暫くはハグしていた。今までの分を埋めるように

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺はお姉ちゃんと抱擁を交わした後、皆にも握手なり思わず抱きつかれたりしたが挨拶が終わった。そして何故か俺が尋問されるみたいに次々に質問が降ってきた。先ずは質問というかさっきのクラインの言った事に対してだった。

 

「俺がその事気がついたのって実は第75層フロアボスを倒した後にカーディナルって奴が俺に会いに来たってのは言ったよね?その時にカーディナルに教えられたんだ。俺が発した言動とかを聞いてそう思ったんだって。だから・・・皆に心配をかけたくなかったんだ。祭りもあったから普通に楽しんで欲しかったんだ。だから別に皆の事を信用してなかった訳じゃないんだよ?だからそんなに自分達の事を責めないで。俺は今もここにいるんだから。」

 

 何かそう答えて周りを見てみたら皆泣いてるから少し面食らったがそれだけ俺の事を思ってくれてたんだと思って嬉しくなった。そして次の質問に行った

 今度はリズベットさんが聞いた。

 

「そうだ、光輝、あんたの最後のあれは何だったの?」

 

「あ、あれ?うーん、正直に言うと俺にもよく分からない。でも何となくでいいなら分かる」

 

 そう言ったら皆黙って俺を見てくる。何かこの感じも久しぶりだな。

 

「あれは皆の願いだったんだと思うよ。ユイちゃんがいるんだったらナーヴギアは感情とかも測れるんでしょ?それがその時俺が力が欲しいって言ったことに呼応してあんな事が起きたんじゃないかな?自意識過剰かもしれないけどあの場にいた約7000人は俺に勝って欲しい、って思っただろうから。それにね、あの光の中に入った時に俺の家族と会えたの!」

 

「えっ、だって光輝くんの御家族は・・・」

 

「うん、もう死んじゃってる。あれは多分俺の中にある皆だと思うよ。皆・・・口々に激励してくれて・・・、そしたら力が湧き上がってきたの。そして何か持ってた剣も光始めて何となくこの剣は1つに出来ると思ったら出来たんだ。」

 

 そう言って場は沈黙になるがお姉ちゃんが聞いてきた。

 

「ねぇ、ずっと気になってるんだけど光輝くんの背負ってる剣ってもしかして・・・」

 

「うん、あの時の剣だよ。レッドブルー・オブウォーリアとウォーリア・ビオンド・ディスペアー、俺が目覚めた時、この剣は無くなっていておじいちゃんの剣だけあったんだけど材料を結構頑張って探しに行って今俺が住んでる所にいる鍛治職人さんに作って貰ったもの。だからまあ細かく言ったら別物だけど俺はこれも本物だと思ってるよ。」

 

「うん、本当にそっくりだよ。それに・・・凄く強そう。」

 

「えへへ、ありがとう。」

 

「じゃあ今度は聞かせて?あの後にあった事を」

 

「うん。わかった。俺が目覚めた場所は知らない所だったんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん、うん。ここは・・・」

 

 俺は光が収まったと思い眼を開けた。そして何か周りがくらいなぁと思いちょっと見渡して見たら後ろに緑色の龍がいてめちゃくちゃビックリしちゃって驚いていたらその龍は

 

「願いを叶えてやった、ではさらばだー!」

 

 って言って何か7つの玉に別れてその玉が浮き上がって凄い勢いでまたどっかに行った。そして何か足音がするから振り向いたら何か暖かそうな格好で髪の毛は薄い紫色で背中に剣を背負ってる人だった。そしてその人が話しかけてきた。

 

「驚いていますよね?すいません、それを話す前に先ずはあなたの力を見せてください。」

 

 そう言って背中の剣を抜きこっちに接近してきた。そしてそのスピードが

 

(速い!)

 

 俺はギリギリ躱して後退し俺も突撃した。本気を出さねばならないと思い本気を出してその人の後ろに回った。だけど

 

「ぐっ!」

 

 読まれていた。左の裏拳が俺の顔面に当たった。だけどせめてと思い拳を突き出した。だけどそれを受け止められ俺は後方に蹴られた。

 

「がっ!」

 

 この人本気を出しちゃいない。俺も剣を取り出して再び向かった。上段から斬りにいったが剣でガードされ後ろに押し戻されそして接近され横から斬りかかって来たから俺は剣の腹を横に置き防いだ。だが

 

「くそっ!」

 

 俺はそのまま吹き飛ばされた。ガードしてもその威力を殺すことができない。ジリ貧だ。だから俺は次の一撃にかける事にした。俺に追撃しようと超スピードで迫ってくるこの人が振りかぶった時、俺は赤眼と蒼眼を出しギリギリ躱しそしてカウンターを取ろうとしたのだが

 

「なっ!?」

 

 俺の前からその人が消えた。全く追えずに周りを警戒するが後ろで何か音がしたと思ったから右の手の剣を思いっきり振り抜いた。でも誰もおらず代わりに後ろから突きつけられてる音がした。だから俺は降参した。

 

「参りました。降参です。」

 

「すいません、こんな試すような真似をして。」

 

 そう言って互いに振り向きながら剣を納めた。でもこの人の納め方がかっこいい。だって剣を投げてそれをノールックで鞘に入れるとかどうなってんだよ。

 

「では改めて、すいません、いきなりの事で困惑していますよね?取り敢えず俺の名前から。俺の名前はトランクス。この時の都でタイムパトロールをしています。」

 

「タイム・・・パトロール?」

 

 聞き慣れない単語が出て思わず返す。

 

「はい、あらゆる時間、あらゆる次元、そしてあらゆる歴史を守る為に俺達がいます。それがタイムパトロールです。」

 

「それで、何でトランクスさんが俺を呼んだんですか?そんなに強いなら別に俺の出番なんてないだろうに。」

 

「そういう訳にも行かなくなってしまったんです。だから単刀直入にお願いします。俺に、俺達に力を貸してください!」

 

「それは・・・そのタイムパトロールになってくれって事か?」

 

「はい」

 

「それは誰かの為?」

 

「はい」

 

「わかった。俺はそれになるよ。だからその代わりに修行をつけてくれ、それが交換条件。」

 

「わかりました!ありがとうございます!」

 

「え、えとそんなに腰おられるとちょっといにくいんだけど。」

 

「ああ、すいません。では俺達の仲間を紹介します。皆俺か俺以上に強い人達ですよ。」

 

「本格的に俺いらないような気がしてきた。」

 

「そんな事はありません。頼りにしていますよ。唯・・・ある人とある人の修行には注意してくださいね?」

 

「?わかった。」

 

 

 

 

 そうして俺達は刻蔵庫と呼ばれる所に来た。そしてそこにいたのは

 

「よっ!トランクス、そいつがそうなんか?」

 

「はい、悟空さん。」

 

 トランクスに先ず話しかけたのは俺の格好の色違いの人だった。この人は羽織が赤色で下が黒色で帯は青色、ズボンは黒色で背中に何か棒みたいなものを背負ってる人だった。その人が話しかけてきた。

 

「オッス!おめえがオラ達と一緒に戦ってくれるっちゅう強えー奴か。オラの名前は孫悟空だ。」

 

 何か凄い明るい人だなぁ。そう思い返す。

 

「えっと、西沢光輝です。でも俺は皆さんみたいに強くないと思うんですが・・・だってさっきもトランクスさんにボロ負けしましたし。」

 

「なあに、今から強くなっていけばいいさ、それにオラ達おめぇの戦いを見ていたが少なくともオラがおめえぐらいの歳の時よりかは強いさ!だからおめえはもっと強くなれる!オラが保証する!」

 

「あ、ありがとうございます。ん?見ていた?」

 

「おう!その巻物でな。」

 

「光輝さん、それは後でお話します。」

 

 そう言ってきたのは眼鏡をかけた人で何か・・・どこかの会社にいそうな服を着た人だった。でもどことなく悟空さんに似ている。そして名乗り出した。

 

「僕の名前は孫悟飯、孫悟空の息子です。」

 

「悟空さんの?」

 

「はい。」

 

「兄ちゃん、俺の事も忘れて貰っちゃ困るよ。」

 

 そう言って出てきたのは赤い短めの羽織の下に黒色の服を着て緑色の帯をしている人だった。この人も悟空さんに似ているって事は

 

「もしかして悟空さんの・・・」

 

「うん。俺の名前は孫悟天、次男だよ。」

 

「な、成程」

 

 そう言ってる間にトランクスが何か凄い格好してる人に話しかけてる。

 

「父さんも自己紹介してください。」

 

「ふん!おいトランクス、何故こんな雑魚を呼んだ?」

 

 雑魚・・・まあトランクスにボロ負けしてこの人を父さんって言ってたからこの人もめちゃくちゃ強いんだろうけどはっきり言うな〜、まあ事実だから否定できないのがちょっとあれだけど。

 

 だけど悟空さんが取り持ってくれた。

 

「そんな事を言うなよベジータ、少なくともガキの頃のオラならもう超えられてるんだぜ?これからの伸び代に期待しようぜ!それにオラは思うんだ、これから光輝はすげーやつになるってな。」

 

「ふん!どうだかな」

 

 そう言ってどこかに歩いて行った。そしてトランクスさんが謝ってきた。

 

「すいません、光輝さん。父さんは気難しい人なんです。でも戦いにおいては間違いありません。あの人から得られる事も沢山あると思います。だからよかったら仲良くしてあげてください。」

 

「うーん、それはいいんですけどあの人が怒ってるのって俺の実力に関してだけじゃないと思うんですけど」

 

「はい。これから説明します。先ず、貴方があの人・・・笠木璃玖のエネルギー弾を押し返した所から。あの時あの世界では1度も時空の壁が開いた事はなかったんですが初めてかかったあの負荷に耐えきれず時空の壁が一瞬だけ開いてしまい、そこに光輝さんが入ってしまったんです。そして俺は光輝さんを迎えに時空の壁に入って光輝さんの体は確保できたんですが、光輝さんの所謂魂は違う世界に飛んで行ってしまったんです。その魂は普通また人間の形にはならないんですが、あの世界《ソードアート・オンライン》の世界では貴方が無意識に思っていた生きたいと言う思いに反応したのかその魂がソードアート・オンラインのサーバーに入り込み貴方のアバターを形成したんです。まあ、これは断言は出来ないんですけどね。ですが問題がありました。光輝さんならソードアート・オンラインをクリアは出来ると思いました。ですがもしクリアをしてしまった場合光輝くんの魂がどうなるのかが分からず先ずは普通にさっきの・・・あれは神龍と言うんですがどんな願いも3つだけ叶えてくれるものです。そしてその神龍に光輝さんがクリアした時普通にその魂を連れて来れるかと聞いた所無理だと言われました。光輝さんの地球人としての魂では無理だと。仮に出来たとしても前みたいにはなれないとも。だから光輝さんには申し訳なかったんですが俺達と同じ、戦闘民族サイヤ人の魂と肉体にすればいけると言われそう願いをしました。本当に勝手にして申し訳ありません!」

 

「え、えと顔をあげてください。だってそうしなきゃ俺は下手したら死んでたんでしょ?だったら感謝するのは俺の方です。だってまた皆に会えるかもしれないんですから。」

 

「ありがとうございます、光輝さん。だから父さんはあなたが理由がどうあれ同じ種族になったのが気に食わないんだと思います。ですが父さんは相手の実力は素直に褒れる人です。まあ直接は言いませんけどね。」

 

 そう言って顔をあげてでは時の都を案内しますと言ってくれたが悟空さんが俺と戦いたいと言い出して皆で全力で止めてた。何でだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんな事があったんだ。何か・・・もう凄いとしか言えないね。」

 

 俺は皆に説明をし終えた時のお姉ちゃんの感想だった。周りを見たら皆そんな感じだった。

 

「まあ俺がタイムパトロールになったのもその後の追加条件にもその理由があったからね。」

 

「追加条件?」

 

「うん。簡単に言うと・・・この世界をこのままにして欲しいって頼んだんだ。」

 

「えっ!?それはどういう事?」

 

 俺はどう説明しようかと少し考え返した。

 

「この世界は本来の世界から色々派生しちゃった世界なんだ。所謂パラレルワールドでそれは俺が本来いないソードアート・オンライン1万人の追加の1人になって俺が皆と一緒に戦ったから。つまり俺が皆と会わなかった未来もあったんだよ。普通はそんなにパラレルワールドは出来なくて一本道なんだけど俺が入っちゃって歴史が色々変わっちゃった世界なんだ、ここは。・・・だから俺の上司の上司がこの世界を元に戻さない代わりにタイムパトロールになれって俺が承諾した後なのを気がつかずに言ってきた。」

 

「じゃあ、今があるのは光輝くんのおかげなんだ。ありがとう、光輝くん。」

 

「お、俺は唯皆に会いたかったんだ。だからお礼を言われることは無いよ。」

 

「うんうん、そんな事無いよ、光の解放者さん?」

 

「な、何それ?」

 

「光輝くんの事だよ。あの戦いが実はもうこっちの世界でも見られてるんだ。ナーヴギアのメモリーからとって政府がその映像を公開したの。」

 

「な、何か恥ずかしいな。」

 

「ふふふ」

 

 

 

 

 

 

 

 そうしてから俺と皆はそれぞれの事を話した。学生組が同じ学校に通ってる事、クライン達大人組が社会復帰出来たこと、キリトとアスナさんがこっちでもお付き合いを始めた事、そしてお姉ちゃんがアイドルの卵になった事。そして更に

 

「え?アルヴヘイムオンライン?」

 

「うん。SAOの基盤データを使って作られた新しいVRMMOだよ。今私はそこでアイドル活動もしているの。リアルでもアイドルになった時に速やかにファンが取れるって言う事務所の計らいもあったんだけどね、やっぱり私はあの世界が好きだったんだ。」

 

「そうなんだ、ちゃんと楽しんでる?」

 

 お姉ちゃんはとびきりの笑顔で

 

「勿論!」

 

「良かった。」

 

「ねぇ、光輝くんもこの後時間があるならやらない?」

 

「え?」

 

「今度はちゃんとゲームをしよう!」

 

「で、でも俺は時の巣にいる時はこことは違う世界だから出来ないと思うし・・・」

 

『それならば問題ありませんよ。』

 

 そう言って俺が今左ににつけている時計からトランクスさんの顔が映像化されて目の前に出ていきなりだったからビックリした。みんなも似たような顔をしてる。

 

「と、トランクスさん!?何で問題ないんですか?」

 

『貴方が今使っている時計にはその世界のネットワークにも入れるようになっています。だからこっちの世界にいてもそちらの世界の方々と会う事が出来ますよ。』

 

 そして俺は思わず聞き返そうとしたらお姉ちゃんの方がはやかった

 

「そ、それは本当ですか!?」

 

 そしてトランクスさんはお姉ちゃんをじって見てふっと笑った。

 

『貴方が光輝さんが言っていたレインさんですか。はい、本当です。俺の母が凄く天才で光輝くんの為に作って貰ったんです。但し機材は買わなきゃいけませんが・・・』

 

 それを聞いた瞬間お姉ちゃんが俺の手を掴んで

 

「じゃあ光輝くん今から買いに行こっ!」

 

「えっ!?で、でも俺お金無いよ」

 

『あっ、タイムパトロールは一応働いている事になりますから給料が入ってますよ?そちらの世界に行く前にポイポイカプセルを渡しましたよね?そこに財布があるから大丈夫です。では光輝さん、今日は久しぶりの皆さんと楽しんでください。』

 

 そう言ってトランクスさんからの通信は切れた。そして俺は言われた通りポイポイカプセルを出して見た所確かに財布があってそこにあったお金で買えるという事で俺はお姉ちゃんに引っ張られて《アミュスフィア》と呼ばれるナーヴギアの後継機とアルヴヘイムオンラインのソフトを買った。・・・おかげで財布はすっからかんになったがご飯とかは普通に向こうにいっぱいあるから1ヶ月ぐらいなら大丈夫だろう。そして買ってきた後はまた皆と喋りそしたら一次会はお開きという事になって皆それぞれの家に帰った。

 俺はお姉ちゃんのお家に今日は泊まることになりお姉ちゃんの住んでる家にお邪魔してお姉ちゃんのお母さんに挨拶をしてそしたらお姉ちゃんに手を引っ張られお姉ちゃんの部屋に行き、そしてアミュスフィアの設定などをしてお姉ちゃんと待ち合わせの場所を決めそして

 

「「リンクスタート!」」

 

 その掛け声と共に俺は意識を手放しそして色とりどりのゲートをくぐったのだが・・・そこで変化が起きた。何かお姉ちゃんに聞いてた種族を選ぶ場面ではなく何か光の地面の上に立っていた。一応プレイヤーネームは決めて《ライト》という名前にしたがその後に出るという種族を選ぶ画面ではなくここに飛ばされた。そしていたのは何か白衣をきている人だった。でも何か既視感がある。そしてその人が振り向いて来た。そして話しかけてきた。

 

「久しぶりだね、光輝くん。」

 

 俺はこの時1人の人物に思い当たり聞いてみた。

 

「もしかして・・・ヒースクリフさん、いや茅場晶彦?どっちで呼んだらいいですかね?」

 

「どちらでも構わないよ。私はもう死んでいる身なんだから。」

 

「ああ、そう言えばキリトがアインクラッドの崩壊の時にあんたと話したって言ってたな。そしてあんたが何か凄いスキャニング?って奴をして自殺したって。ん?じゃあ今いるあんたは一体何もんだ?幽霊か?」

 

「私は茅場晶彦のエコー、残像とでも言うべき存在だよ。君が言った大規模スキャニングの時に私の意識を電脳世界にコピーした。」

 

「うん。もう俺にはよく分からないから取り敢えずあんたはこの世界のネットに住み始めたって事で良いか?」

 

「バッチリ理解してるじゃないか、その解釈で構わないよ。」

 

 そうして俺は少し真剣な目に変えた。

 

「それで一体何の用なんですか?俺は早くお姉ちゃんと合流しないといけないんですけど。」

 

「君にSAOクリアの報酬を渡そうと思ってね。君はプレイヤーという訳ではなかったからね。だがまたこの世界にプレイヤーとして参戦した。ならば私からも報酬を与えたいと思ったのだ。ああ、因みにもう君の種族は決定しといたよ。」

 

「そんな大事な事をサラッと言うなよな。というか俺早く行って空の飛び方の練習をしなきゃいけないんだけど、この世界の飛び方は俺がやってる方法とは違うみたいだから練習しないと」

 

「ああ、舞空術ってやつだね?抜かりない、もう私が君のアバターではその舞空術と同じ感じで飛べるようにしといたから問題ない。」

 

「何であんたが舞空術知ってるんだよ」

 

 そう、それが俺が今使っている空の飛び方だ。体の気を利用して飛んでいる。そしてヒースクリフはそれを知っていて尚且つその舞空術のイメージで飛べるようにしたって普通に凄くないかこの人。

 

「君の頭を覗いたんだよ。」

 

 前言撤回、やっぱり変だわこの人。そして気になった事を聞く。

 

「それで?俺をどんな種族にしたんだ?」

 

「君にピッタリな種族さ。光の解放者君。それは光の妖精アルフ」

 

 そう言ってイメージ像的な奴を見せて来た。でも俺は1つ嫌だったからヒースクリフに頼んだ。

 

「うーん、ごめんヒースクリフ。この翼って取れる?俺普段から翼がなくても飛んでるから普通に違和感になってしまうんだけど。」

 

 そうしたら案外心は広いのかよかろうと言って何かシステムウィンドウ出して弄ってる。そして閉じた。

 

「それでここに行きたいという希望はあるかね?そこに転送しよう。」

 

「えーっとじゃあレプラコーンの領で」

 

「わかった。ではそろそろ別れの時間だ。」

 

「何かあんたとはまた会いそうな気がするけどな。」

 

「奇遇だな、私もそう思うよ。そう言えばレインくんに伝えといてくれ、七色・アルシャビーンに気をつけとけと。」

 

「?分かった。伝えとく。」

 

 そして俺の体が光始めた。転送される前にずっと思ってた事を言う。

 

「そうだ、言うの忘れてた。」

 

「何かね?」

 

「俺、ヒースクリフとしてのあんたなら結構好きだったぜ!」

 

 そう言って俺は転送された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして転送が終わったのか目を開けて見たらあの時とほぼ同じ、耳だけがとんがってるお姉ちゃんがいた。何でレプラコーン領なのかと言ったら俺が種族をレプラコーンにしてそのまま同じレプラコーンのお姉ちゃんと一緒に練習しようってなってたんだけど俺が遅かったからか凄く心配した顔で寄ってきた。

 

「こう・・・ライト君、どうしたの?凄く遅かったけど。」

 

「え、うん。あの人に会ってた。」

 

「あの人って?」

 

 ?が出そうな感じで首をこてっとしたお姉ちゃん。びっくりするかなぁと思いながら答える。

 

「茅場晶彦にあってたの。」

 

「え〜っ!か、茅場さんに?な、何を話したの?」

 

「それは皆との待ち合わせの所に行きながら話すよ。」

 

「で、でも光輝くん飛び方まだ知らないでしょ?」

 

「大丈夫だよ。ほら、お姉ちゃん行こっ!置いてっちゃうよ」

 

 そう言って俺は舞空術の要領で飛んで見せた。羽も翼も出さずに。そしてそれを見たお姉ちゃんが驚いていたが直ぐに気を取り直して皆との待ち合わせの場所に向かった。その間に茅場晶彦と話した事を話した。そしたらめちゃくちゃ驚いていた。なぜなら

 

「えっ!?あ、アルフって高位妖精種族だよ!?普通ならなれないんだよ!?」

 

 俺はそんな凄いものとは知らず思わず

 

「えっ、そうなの?」

 

「うん!こう・・・ライト君下手したらずっとPKに狙われるかもね。」

 

「え〜、まあ別に返り討ちにしたら終わりなんだけど。素人には負けないよ。」

 

「ふふふ、そうだね。アインクラッド最強は伊達じゃないわよね。」

 

「そ、そうかな?」

 

「そうなの!あっ皆見えてきた。」

 

「あっ、お姉ちゃん。」

 

「ん?何?」

 

 お姉ちゃんはそんなキョトンとした顔で振り返った。俺は茅場晶彦に言われたことを言う。

 

「茅場晶彦が七色・アルシャビーンに気をつけろだって。」

 

 そう言ったら凄くびっくりした顔になって前を向いた。そして

 

「うん。分かった。」

 

 そう言って顔が見えないまま飛んでった。俺もスピードを上げた。

 そして皆と合流した。そしたら皆俺の状況にビックリしていた。だって背中に何にもなくても普通に飛んでるし。それにどの種族にも特徴が似ていない。そしてお姉ちゃんが俺の種族の事を話したら皆凄く見てきた。そして茅場晶彦と話をしてSAOクリアの報酬って事が伝わったらもう皆諦めたよう「ああ」ってな感じになっていた。そしたら肩にユイちゃんを乗っけたキリトが

 

「皆、そろそろだぞ!」

 

 そう言って空を見上げた。そして皆も見上げている。俺は何なのか分からずキリトに聞く。

 

「ねぇキリト、何が来るの?」

 

「それはな、俺達が2年間過ごした場所だよ。」

 

 まさかと思った瞬間に上空から何かが見えてきた。そしてそれが一気に光ってそこにあったのは

 

「あれって、もしかして」

 

「ああ、俺達が2年間を過ごしたあの場所。アインクラッドだ!」

 

 鉄骨の浮遊城があった。そしてそれを見たクラインの

 

「よっしゃあ!皆行くぜ!」

 

 その掛け声と共に集合場所にいた皆がそこに向かいだした。俺は少しノリについていけず思わずお姉ちゃんを見た。そしてそれを見たお姉ちゃんが手を出してきた。キリトも出してきた。

 

「ほら!行こう光輝くん!」

 

「ああ、そうだぜ光輝!今度こそあの浮遊城の覇者になってやろうぜ!」

 

 俺は1つ深呼吸して

 

「うん!行こう、皆!」

 

 そう言って俺は2人の手を掴み浮遊城に向けて飛んで行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




SAO編完結です。次回からは(というかまあ話自体は少ないですがドラゴンボール
サイヤ人編です。 )
それに伴い原作をドラゴンボールにします。だからこれからも見てくださる方はお気に入り登録して通知ONにするかドラゴンボールの所で探してください。SAO編から見てくれた皆さん、ありがとうございました。良ければこれからも絶望を超えし戦士をよろしくお願いします!


因みに作者としてはクライン×美葉にしようと思います!だって光輝が前話でナンパしなくても〜的な事を言ったからフラグ回収・・・まあこの2人に焦点をめちゃくちゃ当てれるかは正直分からないってのが本音ですが。




お気に入り10人突破!(`・∀・)ノイェ-イ!ありがとうございます!これからも頑張ります!ではまた次回。(* ̄▽ ̄)ノ~~ マタネー♪


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ドラゴンボール サイヤ人編
初のタイムパトロール


今日からドラゴンボールサイヤ人編!・・・まあ割と直ぐに終わるんですが。
ではどぞ(っ´∀`)っ


 俺はこの日は悟空さんと修行をしていた。

 

「はあーーっ!」

 

「まだあめーぞ光輝!」

 

 俺が突き出した右の拳を左の手のひらで受け止め、そして右の拳で突いてきた。俺はそれが避けられずまた吹っ飛ばされたが一回転して着地するのと同時にまた接近しそして悟空さんの目の前に来た瞬間に悟空さんの後ろに周り頭辺りを殴ろうとしたら頭を下げられ躱された。そして振り向きざまに裏拳をされてまた吹っ飛ばされた。そして悟空さんが話しかけてくる。

 

「光輝おめえ、どんどん強くなってくなぁ。オラワクワクしてくっぞ!」

 

 俺は息も絶え絶えに返す。

 

「はぁはぁ、まだ俺誰にも一撃を当てれてないんですけど。」

 

 俺がここに来てから約1ヶ月、俺は皆さんに修行をつけて貰っているがまだ全然誰にも攻撃を当てられず少し病んでた。ベジータさんに関してはもう何度ボコボコにされたのか分からない。だけど悟空さんはとびきりの笑顔で否定してくる。

 

「だけど強くなってるのは本当だ。もうオラが初めてあった時のベジータなら倒せるんじゃねぇか?」

 

 それを修行を見ていたベジータさんが否定する。

 

「いや、まだあの頃の俺にも勝てんだろう!」

 

「そんな事ねぇよ。確かに今の黒目の時の光輝なら無理かも知んねえけどよ、あの眼を使ったなら勝てるだろ。」

 

「ふん!そんなものに何時までも頼る訳にもいかまい。お前の界王拳並にデメリットがあるだろう。それも自分の意思では鍛える事も出来ん。そんな面ではお前の界王拳の方がまだいい。肉体を鍛えれば倍数を上げれるんだからな。」

 

 確かにそうだ。あの眼を使って勝てればいい。だけどそれも使っても勝てない敵が出た時にあれは弱点にもなる。俺は元いた世界やソードアート・オンラインの世界にいた時はそれが弱点になる事はどちらも最終決戦の時しかなかった。そしてその2つの戦いも勝てたはいいが一歩間違えたら自爆になる所だった。皆を守るために俺が今しなきゃいけないのはあの眼を使わずに自分の力を磨く事だ。

 

 そして俺は疑問に思った事を聞いた。

 

「悟空さん、界王拳ってなんですか?」

 

「ああ、それはな」

 

 悟空さんが何かを言おうとしたらトランクスさんが走ってきた。

 

「光輝さん!やって欲しいタイムパトロールが出来ました!」

 

 俺は意識を切り替えて聞いた。

 

「どんなパトロールなの?」

 

「刻蔵庫まで着いてきてください。」

 

 そう言って俺達4人は刻蔵庫に行った。そしてトランクスさんが何か禍々しい巻物を手に取り説明してくれる。

 

「これは終わりと始まりの書。簡単に言うと皆さんが経験した出来事などが記されている巻物です。光輝さんにはこういった物の変えられてしまった歴史を元に戻す為に戦って欲しいんです。」

 

 そう言ってトランクスさんは巻物を開いた。そこにいたのは何か若い悟空さんと何か顔色が悪い人が長髪の人と戦っていてそして悟空さんがその長髪の人の後ろから長髪の人を抑えた。そして何か緑色の人がすごい貫通力がありそうな攻撃をした。そしてそれが当たると思った時に何か長髪の人が紫色の気を纏って拘束を解いてそのままその光線が悟空さんを貫きそして長髪の人が緑色の人にエネルギー波を浴びせてその人が消えてしまった。近くに何か子供もいて倒れてる。あの様子じゃもう・・・

 

「何者かがこの歴史に侵入しラディッツ、あの長髪の人に力を与えこの世界の歴史を変えてしまいました。本来の歴史ならばラディッツは悟空さんの拘束を抜け出せずそのまま悟空さんと一緒に死んでしまいますがピッコロさんと悟飯さんは生き残るはずでした。」

 

 どんな感想を言ったらいいのかわからないから思わず黙ってる。それを見たトランクスさんが謝ってきた。

 

「すいません、光輝さん。少し過激な記録でしたが今から光輝さんにはこの歴史の修正をお願いします。時間が経てば経つほど歴史の修正がしにくくなりますから。」

 

 俺はやる事を頭の中で確認してから聞いた

 

「要は俺は悟空さんと、·····えっとピッコロさんの手伝いをしつつ悟飯さんを守れって事ですか?」

 

「はい。そういう事になります。」

 

 そう言ってトランクスさんは巻物を渡してきた。

 

「わかりました!じゃあ行ってきます!」

 

「お願いします。俺達はここから通信してあなたを援護します。」

 

 そう言われて俺は頷いた後光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 という事で俺はあのラディッツって奴と戦う歴史に来た。そして丁度それは子供の悟飯さんがあの宇宙ポッドってやつをぶっ壊した所だった。そして足で踏まれている悟空さんを見て悟飯さんが

 

「お父さんをいじめるなーっ!」

 

 そう言って人の大体の強さがわかる気を増大させてラディッツに突撃した。だけどまたラディッツに紫の気が纏われその頭突きを躱した。そして悟飯さんにトドメを刺そうとした。

 

「やっべ!」

 

 俺はラディッツの攻撃が放たれたと同時に動き間一髪で悟飯さんを救出した。

 

「ご、ごはーん!」

 

 悟空さんが叫んでる。まだ煙があったしこの頃の悟空さんには追えないスピードで動いたから俺が助けたのを見れず叫んでたんだろう。そしてそんな時ラディッツの顔につけてる機械が反応し俺を見た。俺は悟飯さんをちょっとこんな所でごめんなさいと思いながら地面に寝かせた。そして悟空さんの隣りに行きラディッツに向けて構えをとった。

 

「貴様の知り合いか?孫悟空。」

 

「いんや、だけどよ。どうやら一緒に戦ってくれるみてぇだな。」

 

 そう言ってピッコロさんも悟空さんも構えた。それを見てラディッツが両手に気を集めながら話す。

 

「ふん!どこの誰かは知らんが邪魔をするなら貴様も殺す!」

 

 そう言って1つは俺と悟空さんの所に、もう1つはピッコロさんの所にそれぞれエネルギー弾を打った。俺と2人は空に飛び躱した。そして躱した時にトランクスさんからの通信が入った。

 

『この時代のラディッツは先程も言った通り何者かに強化されています。悟空さんとピッコロさんを守りながら戦ってください。』

 

「分かった。」

 

 俺が会話してる間に2人は連携してラディッツと戦っているが全て対処されてまた反撃を貰ってる。

 

「よし、行くか!」

 

 俺はラディッツに接近して飛び蹴りを食らわすが腕でガードされた、だからそのまま反動で回転して着地した後に俺は2人と一緒に攻めた。俺は2人に当たりそうな攻撃を上手く逸らして2人に決定打が入らないようにしつつちゃっかり弱い攻撃を当てて行ってる。だがそれでもラディッツは反撃して来て俺諸共一旦吹っ飛ばされた。

 そしたら2人が会話し始めた。

 

「孫悟空。お前何かこの状況を打破出来る新技はないのか?」

 

「悪いな、持ってねぇよ。」

 

「ふん!平和ボケしやがって。俺は死にものぐるいで新技を開発したってのによ。」

 

「本当か?」

 

「ああ。だがこの技は気を集中させる必要がある。お前と···お前!2人で足止めをしろ!」

 

「へへ、分かったぜ!ピッコロ!」

 

 俺も頷いて返した。そして俺は突撃した。まず右の拳を繰り出したが体を横に逸らされ躱された。そしてラディッツが俺を殴ろうとしたがそこに悟空さんが蹴りを入れてきたからそのガードに移されて体勢を崩れた所に俺は前かがみの状態から回し蹴りをしたがバックステップで躱された。そしたら悟空さんは飛んだ。何をするのかと思ったら

 

「かーめーはーめー」

 

 そう右の腰に両手を集めそこに気を集中させた。そしたらそこに青色の光が形成された。そして

 

「はーーーっ!」

 

 その叫びと共に両手を突き出しエネルギー波を放った、だが。

 

「ふん!そんなもの避けれるわ!」

 

 そう言ってラディッツは少し飛んで躱した。だけど悟空さんの方が1枚上手だった。

 

「ふっ!」

 

 そう言ったらかめはめ波が曲がった。俺は思わず

 

「マジか」

 

 そうしたらラディッツはギリギリ躱した。だけど悟空さんがやった事に動揺して一瞬鈍った。その隙を見逃さず俺は後ろに高速移動してそして蹴りを食らわした。ラディッツは体勢を取り直したが。結構蹴りがきいたのか紫の気はもう出ていなかった。

 

「き、貴様〜!」

 

 そう言って手に気を集めたがさっきまでよりも小さかった、そして

 

「な、何!」

 

「へへっ!背中貰ったぞ!」

 

 悟空さんがあの巻物の時みたいにラディッツの背中から両腕をラディッツの腕に通して拘束した。その時トランクスさんから通信が入った。

 

『もう大丈夫です。ラディッツからあの気は消えました。戻って来てください。』

 

 その間に事態は動いてた。

 

「ピッコロ、やれーーーーーーっ!」

 

魔貫光殺砲!

 

 俺はその声と共に時の巣に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう」

 

「お疲れ様でした。初めてのタイムパトロール、見事でしたよ。」

 

 帰ってきた俺にトランクスさんがそう言ってくれる。悟空さんも

 

「ホントだぞ!やっぱりおめぇは強くなってる!」

 

 だがベジータさんは辛辣に

 

「ふん!出来て当然だ!俺達が修行しているんだからな。」

 

 そう言って、またどっかに歩いて行った。それを見届けた俺達はまた会話を始める。

 

「にしてもやっぱり自分がやらてるのを見るのは何か嫌だなぁ〜」

 

 俺は確かにそんなのを見るのは嫌かもと思い苦笑いする。そして気になった事をトランクスさん聞いた。

 

「トランクスさん、ラディッツを強化して歴史を変えようとしたやつは誰か分かりましたか?」

 

「いえ、もうあの後は姿を見せずに退散したようなのでまだ・・・」

 

「そうですか・・・。また仕掛けてきますかね?」

 

「確率は高いと思います。だから何時でもパトロールに向かえるようにしててください。」

 

「分かりました。あっ、悟空さん。」

 

「ん?何だ?」

 

「さっきの質問しといた界王拳って技の事なんですけども」

 

 そう言ったら一瞬だけ考えた顔になり直ぐに思い立ったのか教えてくれる。

 

「ああ、界王拳な。界王拳はパワー、スピード、あらゆる身体能力を倍増させる、大昔にオラの師匠の界王様に教えて貰った技だ。そうだ光輝、おめぇも界王拳を習得しようぜ!今のおめぇなら3倍位なら耐えれるかも知んねぇぜ?」

 

 俺はその提案が魅力的に思い返事をした。だがその時巻物の山からまたあの紫の気が出てきた。そしてそれを探してあったのは、悟空さんが深紅のオーラを纏って2人の大猿と戦っている所だった。

 




お疲れ様でした。何か・・・割とカットしたのはゼノバースの主人公がどのくらい戦いに割って入ってるのかがわからず取り敢えず決定打だけ与えないようにしていた。まあキリト(ソードアート・オンラインの主人公)の二刀流の時もグリムアイズの攻撃を逸らしたりしてたから普通にできるだろうという。ではまた次回。ナッパ戦です。(* ̄▽ ̄)ノ~~ マタネー♪


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非情な現実

おはようございます。では(∩´。•ω•)⊃ドゾー


「とうとう終わりの時が来たようだな、カカロット?」

 

「くっ!はああああーっ!」

 

 悟空が突撃したが大猿の攻撃をガードした時ガードを崩されそのまま岩場に吹っ飛ばされた。そしてとうとう悟空の体から深紅のオーラが消えた。

 

「ハアハア、参ったな」

 

 そうして迫り来る2人の大猿。その内青い戦闘服を纏った方が話しかけてくる。

 

「せっかく生き返ったのに残念だったな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが改変された歴史です。サイバイマンまでなら歴史どうりでしたがナッパと父さんが本来の歴史よりも強くなっています。どうか歴史を・・・悟空さん達を守ってください。」

 

 そう言って巻物を渡してきた。俺は頭の中でやる事を考えながら受け取ってそして

 

「よし!じゃあ行ってきます!」

 

 そう言ったら悟空さんが返してきた。

 

「おう!そうだ、この歴史のオラは界王拳を使うから余裕があれば見といた方がいいぞ!」

 

「分かりました!」

 

 俺はそう返し光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は光に包まれたのが終わった後はピッコロさん、天津飯さん、チャオズさん、クリリンさんと悟飯さんが集まってる所に来た。

 

「お前、どこかで」

 

 ピッコロさんがそう聞いてきたが俺は無言の笑みで返した。その他メンバーは

 

「増援か、まだこの地球上にこれ程の人間がいたとは」

 

「でもまた人数が増えた」

 

「ああ、よろしく頼むぜ!」

 

「よ、よろしくお願いします。」

 

 俺は全員に頷いてハゲ頭のサイヤ人・・・ナッパとベジータさんを見た。そしたらナッパが前に出てきた。

 

「ふん!地球人が何人増えようと俺の敵じゃねぇ!」

 

 そう言って紫の気を纏いながら戦闘力を上げた。というかあんたらピッコロさんとかが気をコントロール出来る事に驚いてたのにあんたら普通に出来てないか?

 

「さあ、どいつから来る?」

 

 そして全員が目を合わせて頷いた。そして悟飯さん以外の戦士が気を解放した。そして先ずは天津飯さんが向かってナッパと乱撃戦をしてる。だけど

 

(弄ばれてる)

 

 そしてナッパが大きく腕を振りかぶった。俺は思わず助けに行こうとしたがそこでトランクスさんの通信が入った。

 

『光輝さん待ってください!その攻撃は防いではなりません!』

 

「てーんしーんはーん!避けろーっ!」

 

 俺はそう言われて踏みとどまった。そしてその振りかぶった一撃が天津飯さんの左腕を吹き飛ばした。

 

 

「あ、ああ。」

 

 思わず俺は目を閉じた。そしてその天津飯さんはナッパに蹴飛ばされてダウンした。

 

「・・・何で今のはダメなの?」

 

『それも本来の歴史ですから。・・・辛いのは分かります。ですが我慢してください。お願いします。』

 

「・・・分かった。」

 

 俺がそんな会話をしてる最中どういう訳かピッコロさんとクリリンさんが3人に分身してる。そして合計6人でナッパと戦っているがまだ弄ばれてる。そしてクリリンさんが全員下に叩きつけらて分身が消えた。ピッコロさんも吹き飛ばされて分身が消えた。

 

「よし!」

 

「ん?お前が相手か、いいぜ!かかって来いよ!」

 

 俺は高速移動で接近しパンチしたがそれを受け止められ今度は向こうのパンチが襲ってくる。俺は首を逸らして躱しまた同じ事をする。そんなやり取りをずっとした。だけど

 

「うろちょろと!」

 

 そう言って衝撃波みたいなものを飛ばして来た。俺は不意のそれに反応出来ず地面に落とされた。

 

「くっ!」

 

 そして俺が上を向いた時小さな影がナッパの背中に張り付いた。それは

 

「チャオズーっ!」

 

 天津飯さんが叫んでいる。俺はまた行こうとしたが

 

『光輝さん!ダメです!』

 

「・・・これも?」

 

『・・・はい』

 

 そんな事を言っている間にナッパはチャオズさんを振り落とそうと岩場に背中をぶつけたりしている。だがチャオズさんは離れず、ナッパはとんがってる岩場にチャオズさんをぶつけようと急下降している。そして・・・

 

「やめろーーっ!チャオズーー!」

 

『さよなら天さん。どうか生きて・・・』

 

 そんな声が聞こえたような気がした。そしてナッパ諸共爆発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺はまた目を閉じた。ピッコロさんはチャオズさんがやった事を賞賛しクリリンさんは悲しそうな顔をしてる。天津飯さんはもう泣いている。俺ももう泣きそう。だがそれを非常な現実がぶち壊す。クリリンさんが声をあげる

 

「あ、ああ、嘘だろ!?」

 

「ふう、危なかったぜい!」

 

 そう言って出てきたのは戦闘服がボロボロになっただけのナッパだった。

 

「チャオズは無駄死にかよ!」

 

 クリリンさんがそう言った。本当にその通りだと思う。俺は胸が悲しくなり雄叫びをあげてナッパに向けて接近した。

 

「だりゃあぁ!」

 

「バカ!やめろ!」

 

 ピッコロさんがそう言ってくるが知ったこっちゃない。

 

「ふん!本当にな!」

 

 そう言ってナッパは振りかぶって俺を殴ろうとしたが俺は一瞬でナッパの後ろに回ってそのパンチを躱しつつ両手を合わせて上にあげてそれを思いっきりナッパに叩きつけた。そして落下中のナッパに追いついて思いっきり上に蹴りあげた。

 

「ぐおおおお!」

 

「よし行くぞ!あいつに続け!」

 

 そう言ってピッコロさんもクリリンさんが一緒に攻撃を仕掛けてる。それが3分ほど過ぎた時2人が吹き飛ばされて互いに距離をとった。そして天津飯さんが

 

「こ、これが。さ、最後の、き・・・気功砲だァーーっ!

 

 その声と共に右の手を突き出した。そしてナッパを中心に大爆発が起きた。

 凄い爆発で周りが煙だらけになったが、そこにいたのは・・・

 

「ふう、脅かしやがって」

 

 また少しボロボロになっただけのナッパだった。

 

「む、無念」

 

 そう言って天津飯さんはこの世から去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてその後俺達はナッパと戦ったが天津飯さんが死んだ時にクリリンさんが悟空さんを呼ぶ声がしそれを疑問に思ったベジータさんがナッパを呼び止め3時間だけ待つ事になった。だがそれでも悟空さんがまだ来ずとうとう3時間たってしまった。そして再び戦いが始まり悟飯さんがナッパに蹴りを食らわした時状況が動いた。ナッパが悟飯さんを殺す為にエネルギー弾を形成しそしてそれが放たれた。そして悟飯さんに当たる瞬間、悟飯さんをピッコロさんが庇った。悟飯さんがピッコロさんに近づく。

 

「お、おじさんどうして?」

 

「ちっ!お前ら親子の甘さが移ったのかもな。ピッコロ大魔王がガキを庇って逝くなんてな。悟飯、俺とまともに話してくれたのはお前だけだった。お前と一緒にいたこの1年、悪くなかったぜ」

 

 そう言ってピッコロさんもこの世を去った。

 

「おじさん、おじさーんっ!」

 

「へっへっへっ、殺す順番が逆になっちまったがまあいい。」

 

「・・・も、よくも」

 

 そう言って悟飯さんは立ち上がり気を上昇させた。そしてそれは相手にも伝わりどちらも状況がどう動くのか分からずその場に留まったままだ。そして気を高め終えた悟飯さんが額に両手の手のひらを重ねて

 

魔閃光ーっ!

 

「何っ!?」

 

 技を叫ぶと同時にそれは放たれた。だが

 

「うおりゃあああ!」

 

 そんな気迫の声と共に弾かれ魔閃光は岩に弾き飛ばされた。そして力を使い切った悟飯さんは膝を着きピッコロさんに謝ってる。そしてナッパがそんな悟飯さんにトドメを刺そうとした時悟飯さんが消えた。そして近くに黄色い雲がありその上に悟飯さんはいた。

 

「なッ!?何っ!?」

 

 そして誰かが降り立った。それは

 

「お、お父さん!」

 

「ご、悟空!」

 

 悟空さんだった。

 

「ふん!漸く来たか、カカロット。」

 

 地球育ちのサイヤ人の反撃が始まった。

 




お疲れ様でした。腕が殴って無くなるってある意味あの光輝の家族とかよりもグロいと思うんですよ。あと自爆も結構くると思うんです。オマケにそれらの代償を払っても戦闘服ボロボロになるだけも結構きつい。まあこの辺は皆アニメで見て分かってるでしょうけどね。作者は最初はナッパの事嫌いでしたがレジェンズのストーリーを見てたら結構好きになりました。
ではまた次回。次回は光輝の躊躇いやらが出ます。どうやってその躊躇いを捨てるか楽しみにしてください。


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決断

おはようございます。今日は光輝VSナッパです。(∩´。•ω•)⊃ドゾー


 悟空さんが来た。周りを見てる。ピッコロさんの脈をとってる。

 

「ピッコロ····」

 

「ピッコロさんは僕を庇って死んだんだよ」

 

 それを聞きながらまた呟く。

 

「天津飯、ヤムチャ」

 

 それを見ているナッパがバカにしたような笑みで悟空さんに向かって話をする。

 

「そう言えばチビもいたぜ?最も自爆してもう無駄死にしたがなぁーっ!」

 

「そうかチャオズまで!」

 

 悟空さんの顔が怒りに満ちている。そしてナッパに向けて歩き出した。

 

「おお、何だ?生き返ったばっかで早速死にてぇのか?」

 

 その言葉と同時に止まり腰を低くして拳を握る。そしたら静かに気を高め始めた。悟空さんの周りの小石とかが浮いている。そして悟空さんが叫び終わったら小石が落ちた。

 

(すげー、たった1年だってのにこんなに強くなってる。俺は2年間で相当強くなっていたと思ってたけど悟空さんはそれの比じゃない。それにまだ悟空さんはこんなもんじゃないはずだ。確か界王拳ってやつを使えばまだ強くなれるんだ。)

 

 そして悟空さんはまた歩き出した。だけど途中から走り出した。そしてナッパの目の前に来た瞬間に移動しナッパは悟空さんを殴ろうとしたみたいだけど躱され悟空さんが立った場所はナッパの頭の上だった。髪の毛ない分乗りやすそう·····ってそんなのはどうでもいい!

 

 そしてナッパは頭の上にいる悟空さんを捕まえようと思ったのか両手で勢いよく上にあげたが悟空さんがまた消えて今度は両手を上に上げててがら空きの腹に思いっきりパンチをした。

 

 ·····凄い音してたな。そして思わずナッパは後退した。そしてその時にベジータさんから微力だけど紫の気が出てきてこっちに来た。そして悟空さんに話しかける。

 

「ふん!やるじゃないか、カカロット。では今度は俺が遊んでやろう。」

 

 悟空さんは無言で見てる。だがナッパはその提案に不服だったらしい。

 

「まっ、待ってくれ!俺がカカロットと戦わせてくれ!」

 

 だがベジータさんは冷たく

 

「ふん!貴様がノロノロやっているのが悪い。お前はそいつと戦っておけ!」

 

 そう言ってベジータさんは俺の方に首をクイッとして俺を指名してきた。悟空さんは俺を見てきて聞いた。

 

「おめぇ、悟飯とクリリンを助けてくれてあんがとな。おめぇがいなきゃあの2人も死んでたかもしんね。その上で悪いんだけんどよ、あのナッパちゅう奴の事を任せてもいいか?」

 

『少し歴史とは違いますがまだ許容範囲です。ここでナッパを倒し、後で悟空さんと合流しましょう。』

 

「·····その倒すって、殺す事?」

 

 向こう側は少しの沈黙のあと

 

『…はい。酷な事は分かっています。あなたが優しい心の持ち主という事も。しかしここでナッパを倒せねば更に歴史が変わる事になり敵の思うつぼです。』

 

(で、でも·····。お、俺はそんな簡単に人殺しなんて·····、出来ないよう。例えそれがクズでも、あんなクズ野郎みたいに更生が不可じゃなきゃ誰も·····殺したくなんて·····ないよ。)

 

 悟空さんはこっちを訝しげな視線で見てきてる。だけど俺は葛藤の中にいた。だけどそれを打ち砕いたのは意外な人だった。

 

いい加減にしろ!

 

「ベジータさん!?」

 

「ん?俺がどうかしたか?」

 

 嫌あんたじゃねーよ。

 

『ナッパを倒す事ができない?人殺しを出来ない?ふざけるな!確かにお前はそんな事を自発的にしようとは思った事はないかもしれん!だが、それが今ここでそれをしない理由にはならん!』

 

「でも俺は・・・」

 

『ならいい、そのままナッパを殺す事なんぞせず見守っておけ!悟飯とクリリンが死んで更に歴史がねじ曲がり俺達の敵の思うつぼになるだけだがな。だがそうなるとお前はお前のエゴでお前の大切なものを見殺しにする事になるがな。』

 

「それってどういう・・・」

 

『ふん!バカめ!俺達が追ってる敵がそこの世界にだけ仕掛けて来ると思うか?何かメリットがあるからその世界の歴史を曲げようとしてるんだろう。つまり敵に何かメリットがあれば・・・貴様の大事な奴等がいる世界にも攻めてくるかもしれんという事だ!』

 

「あ、ああ」

 

『そしてそいつらは貴様の気持ちなんぞ知ったこっちゃない。つまり下手したら皆殺しだ。お前の大事な家族も大切な奴等も皆だ!その時も貴様は戦わないのか?お前の身勝手なエゴでそいつらが皆殺しにされても良いのか!それがいいなら今すぐその拳を捨てろ!そして貴様の大事な奴らがそいつらに殺されるさまを黙って見ておけ!』

 

 俺は反論が出来なかった。もう俺の中の常識が色々ぶち壊れているからベジータさんが言う事が正論でしかない。だけどベジータさんの言葉はまだ続いていた。

 

『・・・だがそれでも戦うなら非情になれ。そうしなければ何も守れん。どれだけ貴様が泣き叫んでも貴様のそうなった大事な物も帰っては来ない。それは貴様が1番よく知っているだろう?』

 

 そして俺は皆の死体を思い浮かべて・・・決意した。深呼吸して

 

「分かりました。」

 

 そう言って俺は白色の気を纏った。

 

「俺は俺の出来る全てをかけて・・・戦う!」

 

 それを見た悟空さんがにっと笑って

 

「サンキュー!よしおめぇ戦う場所を変えるぞ!ついてこい!」

 

 そう言って悟空さんは飛んで行った。ベジータさんも行こうとしたがこっちを少し振り向き

 

「ほう?良い顔になったじゃないか」

 

 そう言ってベジータさんも飛んで行った。何か面を食らったな。そして俺はナッパに向き直った。

 

「待たせて悪かったな。始めようぜ。悟飯さんとクリリンさんは下がってどっかに隠れててくれ。今から少しばかり反動があって中々使えなかった技使うから。」

 

 嘘だ。そんなものはあの眼しかない。だがこれまで実力を隠せていたのがバレると何で皆が死んでった時に使わなかったんだって言われるから反動があるって嘘をついた。技名なんてないけどいちいち叫ぶ必要はないからな。

 

「わ、分かった。行くぞ悟飯。あの2人なら大丈夫だ。」

 

「は、はい。」

 

 そう言ってどこかに飛んで行った。

 

「ふん!最後の別れはいいのか?」

 

 俺は左手を顔の前に置き右足を引いて右の拳を握って腰に置いた。

 

「ああ、充分だ。」

 

「ふん!なら死ねぇ!」

 

 ナッパはこっちに走ってきた。そして左の拳で殴ってきたが俺はその拳を飛んで躱して気弾を1つ投げた。それを振り向きながらナッパは弾いた。そしてナッパはまた俺に向かってきてさっきと動きが違ったからか大振りな一撃を振りかぶったが俺はその拳を身長のアドバンテージを利用して軽々避けてそして思いっきりその腹にパンチを食らわした。

 

「かハッ!」

 

 そう言って俺の上側にある顔から何か出る。だがそんな事はほっといて俺は今度は姿勢を低くしそして飛んでアッパーを食らわした。そしてナッパが空中に飛び俺はその空中にいるナッパの後ろ側に周りその背中に両足を思いっきり突き出してまた空に蹴り出した。そして俺は気を纏いナッパの上空に白色の軌跡を描きながら追いつきその腹にハンマーナックルを叩き込みまた真下に落とした。そして高速移動でまた追いつき今度は右の脇腹を回し蹴りで蹴った。凄い勢いで飛んでいたが体勢を整え着地した。だがそれでも威力が止まらず少しザザザといって漸く止まった。そして凄い目で見て来た。

 

「き、貴様〜っ!何だ!何故いきなり力が上がった!」

 

「答える義理は無いな。」

 

「くそ〜!俺は名門出のエリート戦士だ!貴様のような奴に、ましてや地球人のガキなんかに負けるはずがないんだ!」

 

 そう言って右手に気を集めた。ピッコロさんを殺した技だ。

 

「死ねぇーーーーっ!」

 

 そしてそれを放ってきた。俺は手を交差させた。そして耐えきった。

 

「なッ!?何だと!?俺の最高の技だぞ!?」

 

「・・・お前はなんにも罪がない人をまだ殺す気?」

 

 俺は最終確認の為に聞いた。そしてナッパは激昴した様子で答える。

 

「当たり前だ!戦うのが俺達サイヤ人だ!そしてそうやって殺されるのは弱いそいつらが悪い!」

 

「・・・そうか。なら俺も容赦はしない!」

 

 そう言って俺はまた気を引き上げた。ナッパも俺が強くなったのが雰囲気でわかったのか思わず後退している。そして俺はベジータさんが悟空さんとの修行でよく使ってた技を見様見真似でやってみる。左足を引き左の顔の横辺りに右手と左手を重ねてそこにエネルギーを溜める。俺の周りの気が紫色に変化する。それを見たナッパが驚いている。だってこれは

 

「お、お前その技はベジータの技じゃねぇか!?」

 

「お前に1つ良い事を教えてやる。お前はさっき俺の事を地球人のガキって言ったな?だが生憎だが半分は違う。」

 

「な、何っ!?」

 

「俺は・・・地球人であり、そしてあんたらと同じ、戦闘民族サイヤ人だ!

 

 そう聞いたナッパは驚いた顔をした後何故か笑いだした。そして

 

「そうか地球人だと思っても何か親近感があると思ったらサイヤ人だったのか。ふははは!いいぜ!さあ撃ってこい!」

 

 そして何故か今度は胸を張って笑みを浮かべながらそこに立つ。そして俺はお望み通りに撃った。

 

「行きます!ギャリック砲!

 

 そして俺のギャリック砲に巻き込まれてるナッパが最後にこう呟いた。

 

「ははは、フリーザではなく同胞に殺されるのも・・・悪かねぇな。」

 

 そしてそのギャリック砲の煙が晴れた時誰もいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。光輝、かめはめ波ではなくギャリック砲を使うという。次回でサイヤ人編最終回です。


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サイヤ人の王子

おはようございます!今日でサイヤ人編最終回です!早くね?とは言わないでください。ではどぞ(っ´∀`)っ


 俺はナッパが消えた跡を見ていたがトランクスさんの通信で我に返った。

 

『光輝さん、思う所はあると思いますが悟空さんの救援に向かってください。』

 

 俺はナッパが飲み込まれてえぐれた地面に合わせてた視線を悟空さん達が向かった方向に向けた。そして白い気を纏い悟空さん達が行った方向に飛び出した。

 

(ナッパ、お前との戦いは忘れない。お前のおかげで俺はこの世界の現実を知った。お前みたいに強大な力を持つやつを・・・少なくとも普通の人間を超えてる奴には、そして俺の大切な人達に手を出すような奴にはもう俺は容赦は・・・しない!でもナッパ、お前はサイヤ人である事に誇りを持っていた。ベジータさんがよく言っているよ。サイヤ人の誇りって。でも俺は知らない間になっていたからそんな物はまだない。だから俺もこれから探すよ。俺だけの誇りを!)

 

 俺はそう思いながら飛んでいた。そして悟空さんの気が跳ね上がった。だがベジータさんの気も上がってる。

 

(急ぐぞ!)

 

 空に白の軌跡を描きながら俺は急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺が見たのは悟空さんが深紅のオーラを吹き上がらせてベジータさんに突っ込んだ、そして最初は攻撃が通っていたがベジータさんは本気を出していなかったらしく悟空さんに吹っ飛ばされた後に高速移動で消えた。俺も悟空さんも追えないスピードで動き悟空さんを蹴った。悟空さんは岩の上に着地し口当たりに手の甲を合わて出た血を拭った。そして何か思案していたらしいが俺に気がついた。俺は悟空さんの隣に行く。

 

「お、おめえ」

 

「ほう?ナッパを倒したのか?やるじゃないか。」

 

「悟空さん、手を貸しましょうか?まあ俺がどこまで付き合えるかわかりませんが。」

 

 悟空さんが驚いたような顔をしにっと笑った。

 

「・・・ああ、サンキューな。だがもう少しオラ1人でやらせてくれねえか?」

 

 俺は何となく予想していたから返事した

 

「分かりました。」

 

「いいのか?2人でやれば勝てるかもしれんぞ?」

 

「ああ、そうかもしんねえ。だけんどよ、やっぱりオラ自身の力が通用するのかを試してみてえからな。」

 

 そう言って悟空さんは道着の上を剥ぎ取って上半身裸になった。そしてまた深紅のオーラを纏った。そしてベジータさんが立っていた岩が崩れ落ちた。

 

「うああ、」

 

「体持ってくれよ!3倍界王拳だーっ!」

 

 そう言った悟空さんが飛び出した。

 

(速い!)

 

 悟空さんはベジータさんを殴り飛ばし、そして仰向けに吹っ飛んでるベジータさんの背後から蹴り上げた。ベジータさんは途中で体勢を取り直し悟空さんの攻撃に備えた。だが悟空さんはいきなり大きく周りベジータさんはそのまわった悟空さんにエネルギー弾をぶつけようとしたが避けられて蹴っ飛ばされて岩山に突っ込んだ。だがすぐに気を入れてベジータさんは岩山を吹っ飛ばした。そして悟空さんに向けて拳を突きを出したがそれを飛んで躱され後ろにまわられて背中に体当たりをされてベジータさんは少し吹っ飛んだけどまた体勢を取り直して左手に気を集めて悟空さんを殴ろうとしたがしゃがんで躱されそして左の拳で思いっきり腹を殴られた。

 

「ぐおおおお、お・・・お」

 

 そう言って腹を抑えながら思わず後退している。だけど悟空さんも界王拳の反動なのか息を切らして肩を上下に動かしてる。そしてベジータさんが口元を拭うと

 

「血、だと?この俺が、このエリートサイヤ人のこの俺が?下級戦士であるカカロットに気高い血を?許さん・・・絶対に許さんぞーーっ!」

 

 そう言ってこれは多分元々のベジータさんのものである紫の気を纏って上空に思いっきり飛んで行った。そして俺がナッパを倒した時と同じ構えをした。

 

「もうこんな星なんかいるもんか!貴様もろとも木っ端微塵にしてくれるわーーーーっ!」

 

(トランクスさん、これ手伝った方がいいですか?)

 

『いえ、今の所父さんからあの気は感じられません。今は様子見でお願いします。』

 

(分かった)

 

 悟空さんは俺らが会話してるのを知る由もなくかめはめ波の体勢をとった。

 

「3倍界王拳のーー!かめはめ波だーーーっ!」

 

 そして悟空さんの右腰の両手に気が集中していき

 

「かーーー、めーーー、はーーー、めーーー、」

 

 そしての気が最高潮になる所で状況は動いた。

 

「地球諸共宇宙の塵となれーーーーーっ!」

 

 そう言って思いっきりギャリック砲が放たれ

 

「はーーーーーーーーっ!」

 

 悟空さんもかめはめ波を放った。最初は拮抗・・・いや微妙にベジータさんのが押していたが

 

「よ、4べえだああああーーつ!」

 

 そう言った悟空さんの気が膨れ上がり一気にギャリック砲を押し返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてしばらくベジータさんは来なかった。

 

(これが界王拳か、確かにすげえな。やろうと思えばさっきの悟空さんみたいに一瞬で倍率を上げられる。・・・体が許せばだけど。そしてその倍率はこの悟空さんには4倍が限界なのかもしれないけど時の巣にいる方の悟空さんはおそらくそれ以上に倍率をかけれるんだろうな。・・・よし!教えてもらおう!)

 

 俺がそんな事を考えていたらベジータさんが戻ってきた。そしてベジータさん曰く月と同じ物を作り出して俺は大猿になれると言って何か出して上空に投げた。

 

「弾けて混ざれ!」

 

 そう言って手のひらをグッとしたらその投げられた光が拡大し思わず目を閉じた。そして目を開けたら・・・ベジータさんが大猿になっていた。

 

(やっぱりなるのか。)

 

 悟空さんがこっち向いて話しかけてくる。

 

「悪い、おめえちょっと手を貸してくれねえか?」

 

「いいですよ。まあどこまでやれるかは保証しませんが」

 

 だって大猿になった時にまたあの紫色の気が出てるんだもん。それで気も上がってるし。そこでトランクスさんから通信が入った。

 

『もう少しで悟飯さんとクリリンさんがそっちに到着します。この2人が父さんと戦う鍵です。』

 

「分かった。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして悟空さんと俺で戦ったが、まあ予想どうりでめちゃくちゃ強かった。体はでかくなったのにスピード上がってるし。そして俺は悟空さんの元気玉って技のために時間稼ぎをしているが俺が吹っ飛ばされた隙にベジータさんがが悟空さんを大きな手の中に入れて握り潰してた。助けに行こうとしたらその前に救援が来た。

 

「悟飯さんにクリリンさん!」

 

「僕達も戦います!」

 

「あいつの尻尾を切るんだ。そうしたら大猿から普通の奴に戻る!」

 

『悟飯さんとクリリンさんの援護をしてください。』

 

「分かった。」

 

 そして俺と悟飯さんとクリリンさんは尻尾をあの手この手で切ろうとしたがクリリンさんの気円斬が外れてしまいもうダメだと思ったら

 

『ぬあああああ!お、俺の・・・し、しっぽ〜』

 

 そう言ってベジータさんは普通のサイズに戻って行った。そしてその尻尾を切ったのは

 

「後はしーらね」

 

 何か体まん丸でクリリンさんの声に似ていた人だった。そしてサイズが戻ったベジータさんからはあの紫色の気はなかった。トランクスさんから通信が入った。

 

『もう大丈夫です。戻ってきてください。』

 

「分かった。」

 

 そう言って俺は帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お疲れ様でした。今回のパトロールは終わりです。途中ヒヤッとしましたが何とかなり良かったです。・・・今日はもう休んでください。」

 

「・・・分かった。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は時の巣に帰って来た。結構ボロボロだったし俺の気持ちを汲んでくれたのかトランクスさん達はお疲れと言って休んでくださいと言われたから俺は刻倉庫の周りにある庭にある木にもたれて座っていた。

 

(もう俺もあいつらと同じ穴のムジナだな。)

 

 手のひらを見ながらあのクズ野郎とラフコフの奴らを思い出していた。あいつらと俺が殺しをした理由が違うって言うのはわかってる。だけどやった事が同じである以上俺もあいつらの事を怒れなくなったな。・・・まあ会うことはないだろうけど。これからあんな敵ばっかり出てくるんだろうな。俺はその時躊躇いもなく殺せるだろうか?

 

(お姉ちゃんは、愛美はこうなった俺を責めるのだろうか?軽蔑するのかな?・・・いや、お姉ちゃんはあの時と同じ理由で俺を怒りそうだな。愛美は・・・分からない)

 

 あの時のお姉ちゃんは俺が子供なのに世界を背をわす何て間違ってるって言った。だから俺があのクズ野郎を殺していたとしてもお姉ちゃんは責めないでいてくれるだろう。でも愛美は分からない。もう小一の時だし愛美の価値観とかだって変わってるかもしれない。俺はあのクズ野郎を捕らえて法の裁きを受けさせるべきだったって言うかもしれない。だからもう俺の事なんて嫌いになっているかもしれない。そんなifの話で俺の中は支配されて自己嫌悪に陥っていた。

 

「?」

 

 そして俺の目の前が影になった事に気がついた。俺はその影の主を見る為に見上げた。そしていたのは

 

「ベジータさん・・・」

 

 ベジータさんは腕を組んで俺を見下ろしていた。そして口を開き始めた。

 

「何てツラしてやがる。」

 

 俺は思わずまた顔を下げてボツボツ言い出す。

 

「・・・俺はもうあのクズ野郎達と同じになってしまった。」

 

「ふん!そんな事かくだらん!」

 

「なっ!?」

 

 俺は思わずまた顔を上げたがその時に俺の胸ぐらを掴まれベジータさんの顔の前まで持ち上げられた。

 

甘ったれるな!俺達は命をかけて戦っているんだ!確かに結果として貴様は貴様の言うクズ野郎達と同じになったかもしれん!だが貴様はそいつらとは違うはずだ!そのクズ野郎共は自分達の私利私欲の為に、だがお前は自分の大事なもの達のためにやった。その意味は天と地ほどの差がある筈だ。そしてその事は貴様の姉も言ったはずだ!」

 

 分かってる。というかさっき思い浮かべた。お姉ちゃんやベジータさんが言ったことはある意味じゃ正しいのかもしれない。だけど俺がナッパやクズ野郎を殺した時は・・・

 

「でもあの時は・・・俺の意思だった。」

 

「チッ!まだ気がつかんのか。柄にもなく説教をしようと思ったがもうやめだ!」

 

 そう言ってベジータさんは胸ぐらを外して空に浮いた俺を左に吹っ飛ばした。

 

「がハッ!」

 

 俺はいきなりの事で受身が取れず転がった。そして痛む脇腹を抑えながら立った。そしたらベジータさんが話しかけてきた。

 

「そんなに罰が欲しいなら俺が貴様を殺してやる。」

 

 あの目は本気だ。でも直ぐにトランクスさん達が助けにきてくれt

 

「救援は期待しない方がいいぞ?あいつらは今新たな巻物を見つけるために集中しているから気が付かん。」

 

 どうする?どうやって戦う?そんな事を考えながら前を見たらベジータさんが消えた。俺は冷静さをかいて思わず周りを見たが

 

「どこを見ている?」

 

「なっ!?ぐわああああ!」

 

 そんな声が聞こえ背中に衝撃が走り俺はそのまま壁にぶつかった。受身を取ろうとしたがあまりの痛みに取れずそのまま落ちた。

 

「ハアハア、強い。あの歴史のベジータさんの比じゃない。」

 

「当たり前だ!あれから何年経っていると思ってる?」

 

 そう言ってベジータさんは手を前にだしくいくいして挑発してきた。そして腕を組んだ。俺は気を纏って接近して右の拳で殴ろうとしたが顔を右側に移動されて躱された。

 

「く、はああああ!」

 

 俺はがむしゃらに拳を振るったが全く当たらずそのうちの1つを無作為に止められた。俺は外そうとするがビクともしない。そして

 

「なっ!?ああああああああぁぁぁ!」

 

 思いっきり潰しに来た。俺はあまりの痛みに叫び声をあげるが止まらない。

 

「どうした?このままだと手が潰れるぞ?そうしたらお前は晴れてあの世に1歩近づき貴様の大好きな家族に会えるぞ?」

 

 本気だ。本気で俺を殺そうとしてる。でも俺は・・・俺は

 

「最も貴様にそんなくだらん戦い方を教えた家族も大した事はなかったんだろうがな。ふん!子も子なら家族も家族と言った所か。」

 

 ・・・何て言った

 

「ふん!聞こえんかったのか?貴様の家族も大した事がないと言ったんだ。その証拠にただの科学者に殺されるとはな。まあジジイは戦えたらしいがそれでも殺されるとは無様だな。」

 

「・・・れ」

 

「貴様の家族が残したものなどたかが知れている。」

 

「・・・まれ」

 

「だからあんな雑魚に殺されたんだろう。全く笑えるぜ。貴様も貴様の家族も無様だな。」

 

黙れ!俺の事ならいくらでも言ってもいい!だけど皆を・・・皆を侮辱するな!」

 

「ふん!その眼になったぐらいで俺に勝てるとでも?笑わせるな。」

 

 そう言ってベジータさんはまた掴んでる俺の拳を潰しにかかってきた。まだビクともしない。もう赤眼を使っているのに。今の俺の全開を出してるのにビクともしない。でも・・・せめて1発は、1発は絶対に殴ってやる!

 

「ぐあああああああああああ!」

 

「ほらどうした?もう限界か?」

 

 考えろ!この状況を打開する方法を。

 

(見様見真似でやってみるしかない!)

 

 俺は力を抜いた。それを見たベジータさんが忌々しそうに舌打ちをした。

 

「チッ!やはり貴様はその程度だったか。もういい!これで終わらせてやる!」

 

 そう言って右の手を開きそこに俺を消すことが出来るほどの気を溜めた。そして

 

「死ね」

 

「今だーーっ!界王拳ーーっ!」

 

「な!?」

 

 俺は界王拳を使った時に思わず右の拳が離れたのを感じ直ぐに引き抜いてベジータさんの顔面に頭突きした。

 

「がっ!」

 

「うぉぉおおおお!」

 

 俺はそのまま右の拳で殴ろうとしたが

 

「調子に乗るなーーーっ!」

 

 そう言ってベジータさんは俺の拳を紙一重で避けて腹を殴った。俺は声にならない痛みをあげて気絶した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チッ!思わず本気でやってしまったか。それにしても界王拳か、あの状況で見様見真似でやってみるとはな。つくずくあの技とは縁がある。」

 

 そう言いながらベジータは自分の手のひらを見ながらさっきの最後の攻防を思い出していた。そしてさっきまでの戦いをコソコソ覗いてた人にイラッとしてる感じで声をかける。

 

「それでカカロット、貴様は何の用だ?」

 

 そう言って勘弁というかもう隠れる意味は無い的な感じで悟空が出てきた。そしてここにいた理由を言った。

 

「おめえらの戦いを見に来ただけさ。まあベジータが光輝を殺そうと動いた時はオラも動こうと思ったけんどな。でもおめえ本当は殺すつもりなんてなかったんだろう?」

 

「ふん!どうだかな。こいつの甘ったれた理由を聞いていたら無性にムカついたんだ。こいつが言った事の答えはこいつ自信が知っているはずだからな。」

 

「ああ、そうだな。・・・オラ達は色んなつえーやつと戦ってきた。」

 

 そんな悟空の脳裏に浮かんだのは歴史を支配しようとしていた魔神ドミグラや暗黒魔界を復活しようとしていた科学者トワ、そしてそのトワ達が強化した歴代の敵達。それを思い出していた悟空は気絶している光輝を見ながら話した。

 

「オラ達はどうしようもない奴らは倒した、悪く言えば殺した。オラ達は何かを守る為の手段として敵を殺す事はした。それがオラ達の中の当たり前だったからな。だけんど光輝にはそんな常識はねえ。それをオラ達は押し付けてる事になっているとオラは思うんだ。それが今回の1件で余計にそう思った。」

 

「ふん!だからどうした?」

 

「オラは1度光輝にタイムパトロールを辞めるかを考えさせるべきだと思う。光輝は・・・優しすぎる。」

 

「確かにな。あのラフコフとかいう奴らにとった処置は気に食わん。あんな状態ではあいつらはまた現実に帰っても同じ事をするだろう。そしてこいつはそれが分かっていたはずだ。ならばあの場であいつらは殺すべきだった。だがこいつはそうしなかった。こいつが甘い証拠だ。」

 

 そう言って厳しい目で光輝を見ていたベジータだったが悟空に視線を戻した。

 

「だが俺は続けさせるつもりだ。」

 

「ベジータ、おめえ」

 

「話は最後まで聞け!俺はこいつに期待している部分もある。」

 

 そう言ったベジータを驚いた顔で見る悟空にベジータがイラついた感じで続ける。

 

「こいつはある意味では才能はない。技を模倣する事は出来るが完全ではないからな。」

 

 ・・・ぶっちゃけ言えばそれも凄いのだが

 

「だがこいつの真骨頂は追い詰められた時に出るあの力、俺はあの力には限界がないと踏んでいる。自由になれないのが欠点だがな。サイヤ人でもない時からあの力を使えていたこいつの可能性は下手すれば俺達サイヤ人以上かもしれん。俺はその力を見てみたいだけだ。そしてその力を出させる為には今のこの状況が必須だ。生死をかけた戦いをすることがな。こいつにはその場数が圧倒的に足らん。あのゲームとかいう奴にいた時もこいつに適うものなど殆どいなかったからな。」

 

 それを聞いた悟空は一瞬ワクワクした顔になったがまた厳しい顔をしてベジータに聞いた。

 

「だけんど、光輝がその戦いでもし戦う事が嫌になったらどうすんだ?」

 

「ふん!少なくともそれはない。もしもそんな事になって戦いを、武術を辞めるならこいつはあのヒースクリフとかいうやつには勝てんかっただろう。こいつは誰かを守れるなら拳を握る。そんな周りの奴らがこいつを戦いの場に引き上げる。誰かを守るために戦う。お前と同じでな。」

 

 そう言ってしばらくベジータと悟空は無言だったが悟空がいきなりふっと笑った。それを訝しげな視線でベジータが見ながら聞く。

 

「何だ?」

 

「いや悪ぃ、ベジータがそんな事を言うなんてなと思ってよ。」

 

「くだらん!」

 

 そう言ってベジータはそっぽ向いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ここは・・・時の巣の天井、時の巣か。)

 

「いてて」

 

 俺は腹を抑えながら体を起こしたらそこにいたのはベジータさんだった。そして俺が起きたのに気がついたベジータさんが近寄ってきた。そして言った。

 

「人の命で得たものは()は人の命でしか償えない、だったか?」

 

「えっ?それって」

 

 俺が圏内事件の時にシュミットさんに言った言葉だ。でも何で今?

 

「そうだ。お前が言った言葉だ。お前は人を殺す事に忌避感があるだろう。例えそれが自分の、歴史の為だと思ってもそれはある筈だ。」

 

 俺はその通りなので頷いた。

 

「だが貴様の姉も言ったようにそれで救われた奴もいる。それでもお前がそう思うのならお前はその殺したという十字架を背負ってその殺した奴らの分まで生きるんだな。それが償いだ。まあ最も俺はそんなものはあまり背負ったことは無いがな」

 

 そう言ってベジータさんは踵を返してどこかに行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は手を見つめながら考えていた。

 

(そうだよな。俺は自分で言った事も忘れてたのか。俺が誰かを殺すのは人の為、それを正当化しようとは思わない。だから俺はその罪を背負い続ける。それが殺しをした俺に出来る唯一の事。そうですよね?ベジータさん。)

 

 俺は時の巣の天井を見上げてその空に誇り高きサイヤ人の王子の顔を描いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




タイトルで騙された人が多いと思います。普通にサイヤ人編のベジータとガチンコするのかと思ったらベジータゼノとガチンコするという。今回からサイヤ人編を通してアンケートします。良かったら答えてください。では次はNARUTO編です!ぶっちゃけ言うなら敵はドラゴンボールから引っ張って来ます。だって光輝が大筒木と戦っても普通にぶっ飛ばしそうだし。ではまた次回。(・▽・)/ジャマタ


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NARUTO編
忍者の世界


おはようございます。今日からナルト編であります。ではレッツラゴー─=≡Σ((( っ゜∀゜)っ


 あれからもう1ヶ月経ったがまだ歴史の改変は起きていない。悟空さん達が昔戦った人達は結構改変が行なわれるまでのインターバルは短かったそうだけど今回の敵はそうでは無い。そこで俺達はある1つの仮説を立てた。それはあの敵を強制的に強化するにはその術者も同じぐらい強いんじゃダメなんだろうか?そんな結論に達した。つまりあの改変をやってる奴はまだあのベジータさんと同じかそれと少し上のくらいの力という事になる。だから今の内に叩ければ良かったんだが逃げ足だけは早く手がかりを掴ませなかった。だがそいつは俺達の知らない間に歴史から1人倒される瞬間の所を誘拐しそしてそいつが歴史と違う場所に放り込んだ。そしてその場所は・・・

 

「忍者の世界!?忍者ってあの?」

 

 俺が思わずそんな声をあげてトランクスさんを見た。そしてトランクスさんは頷きその世界の説明をしてくれた。

 

「はい。この世界は忍者の世界だそうです。多種多様な忍術・仙術などを持つ忍びが多数住んでいる所で光輝さんに行ってもらいたい所はこの世界の木の葉隠れの里という所です。光輝さんにはそこに行ってもらいその違う歴史からの強敵からこの歴史を守って欲しいんです。」

 

「分かりました。うーんでも、いつ来るかまでは分からないんですよね?」

 

「はい。この世界に放り込んだ事は分かっているんですがどの時間までかはある程度までしか絞れませんでした。だから光輝さんにはその敵が現れるまではその里に留まってもらう事になります。食料などはこのホイポイカプセルに入れておきました。」

 

 そう言って青色のホイポイカプセルを渡してきた。多分この中の冷蔵庫やらに入れたんだろう。でも俺の質問はまだある。

 

「一応聞いておきますがタイムパトロール云々の事はここの長の人には言った方が良いでしょうか?」

 

「はい。大規模な戦いをすればこの世界の情報伝達は早く容易くバレてしまうでしょうから最初にこの里の長に事情を説明し滞在の許可を何とか貰ってください。この里の長はこの人、はたけカカシさんという人です。」

 

 そう言いながらトランクスさんはある1人の写真というかデータみたいなものを見せてきた。そこに映っていたのは何故か目から下を隠して額に木の葉のマークをして髪の毛は銀髪の人だった。何かのほほんとしてる顔だが長なら1番強いんだろうか?そう思っていたらトランクスさんがジト目していた。

 

「な、何ですか?」

 

「光輝さん、今あわよくば戦ってくれないかなと思いましたね?」

 

「ギグっ!」

 

 そう言ったら溜息を疲れて言われた。

 

「はあ、あなたも悟空さんや父さんみたいな性格にならなくていいのに。」

 

「いやー、あはは。」

 

 俺は右手を頭の後ろにやり乾いた声で言った。悟空さんやベジータさんは普段はしっかりしているのだが強い人がいると特に悟空さんがその相手と戦いたがるらしい。・・・俺も移っちゃたかな。

 

「でも確かにこの世界の人達は面白い技を持ってる人が多いです。それを敵を待ってる間に会得するのもいいかもしれません。まあそれは余裕があったらしてみてください。第1目的は敵を倒す事。いいですね?」

 

 俺は頷きながら返した。

 

「分かりました!じゃあ行ってきます!」

 

「はい。頑張ってきてください。その時が来たらまた通信します。」

 

「はい。」

 

 俺はそう言って時計型のタイムマシンで俺は示された座標に向かった。時の道を辿り俺はその忍者の世界に行きながら考える。

 

(忍者か、少ししか本で見た事がないけどホントにいるんだな。楽しみだな。だけど先ずは敵を倒す!)

 

 俺はそんな思考をしながら進んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうしてこうなった?そんな思考になりながらスタンバってる短髪で金色の髪で特徴的な木の葉の額当てをしている青年を見ながらこうなった経緯を考えた。

 

(俺は確かに次元の穴をくぐってここに来た。そしてそれはここに来た。そしてそれを運悪くこの金色の髪の人に見られ話を聞かれた。だけど長の人以外に言う訳にはいかないから俺は惚けてみてそれから長の居場所を聞いたが知りたいなら戦えと言われた。そして自分が勝ったら俺の目的と俺の素性、俺が勝ったら何か長の所に連れて行ってくれると言われたんだった。だからこんな状況になっちゃったのか。)

 

 そんな思考になっていたら向こうの準備運動が終わったのか声をかけてきた。向こうは結構身長が高いから俺は見上げる側になっている。

 

「さあ、準備はいいか?」

 

 俺は少しというかかなりやる気ゲージが自業自得とはいえ下がっているが答えた。

 

「はい、大丈夫です。何時でもいいですよ。」

 

 俺は構えながらこの人について考える。何か口癖が凄いな。てばよとか初めて聞いた。それにこの人・・・気を2つ持っている。何でだ?あっちの町・・・里というのがある方向には一種類の気しか持たない奴が殆どというか全員なのにこの人だけは何か違う気も合わせて2つ持っている。

 

「じゃあ行くってばよ!」

 

 そう言って走ってきた。その速さはそれなりに速かった。まだ本気を出していないだろうがあのクズ野郎と戦った時の俺のスピードを簡単に超えている。

 

(これが忍者か、確かにすげえな。だけど俺は簡単には負けん!)

 

 普段悟空さん達にはボロ負けだがいつか追いつき追い越したいと思ってる。だからこんな所では止まらない。止めてなるものか!

 

「うおりゃああ!」

 

「ふっ!」

 

 金髪の人が飛び蹴りしてきたが右にステップして避けた。だが避けられるのが分かっていたのかすぐさま回し蹴りをしてきた。俺は右に腕をおきガードした。そして反撃した。少し舞空術で浮き腹辺りを殴ろうとしたがガードされた。だがそれでも全ては抑えられなかったのか地面に足をつけながら後退してる。俺はそのまま舞空術しながら近づく。

 

「う、浮いてるだと!?」

 

 何か舞空術に驚いている。まあ確かに空飛ぶ世界って中々ないもんな。それに俺は空を飛ぶ世界を巻物で少し見たがこの舞空術が1番使い勝手がいい。

 俺は驚いている金髪の人をほっといて右から殴ろうとしたが向こうも左腕を顔の前におきガードした。それが分かると俺は左から右に回し蹴りをしたがしゃがんで躱された。そして俺が回っている間に頭辺りを殴ろうとしたらしいけど俺が顔を左にやったから躱しそれと同時にその右側に出た腕を掴んで柔道の要領で投げた。だが着地と共にバク転の要領で空に飛んだ

 

「くっ!」

 

「身の子なしすげえな。」

 

「ふっ!」

 

 そんな声と共に凄い尖ったものを投げてきた。よく見たらそれは手裏剣だった。まじか、やっぱりこういうの使うの?そう思いながら俺は体を左に逸らし躱した。金髪の人も着地した。そして両手を何か不思議な形にしそして叫んだ。

 

多重、影分身の術!

 

 そう言って10人くらいに金髪の人が分身した。俺は思わず

 

「そんなのありなんかい!」

 

 ホントに分身をするとは思わなかった。そう言って俺は背中のおじいちゃんの形見の剣を抜き構えた。そして迫り来る10人くらいの金髪の人達を捌いて行った。

 1人目、俺の後ろに回って何か取っ手がついた尖ったものを俺に刺そうとしたが俺は咄嗟に剣を後ろに構え弾いて振り向きながら一閃、外れだ。

 2人目と3人目、俺は剣を上空に投げた。そして左右から来た2人の拳を掴んで俺の腕を交差させて互いの頭にぶつけたがどちらも外れだった。

 4人目と5人目、あの尖ったものを持ちながら突っ込んできたが1人がそれを投げてきてもう1人はそのまま突っ込んできた。俺は飛びながら躱し戻ってきた剣を回収して突っ込んできた方の腕を切って、その金髪の人を踏み台にし飛び5人目と残りの金髪の人に降り立った。その間に腕を切った分身は消えた。残りの金髪の人達が突っ込んできた。だけどフレンドリーファイアを気にして尖ったものをは使って来なかった。俺は攻撃を上手く捌いた。だけど9人目と10人目の金髪の人はまた手裏剣を投げてきて俺はそれをまた体を横に移動して躱したがその時に何かボフンと音がして俺は思わず振り返ったらそこに金髪の人がいた。

 

「なっ!?」

 

「もらったぜ!」

 

 そう言ってあの尖ったものを投げてきた。反対側の金髪の人も投げてきた。俺は剣をまた上に投げて腰を低くしそして勢いよく左右に手を突き出した。

 

「はあ!」

 

「何!?うわあああ!」

 

 俺がやったのは悟空さんから教えてもらった気合い砲だ。それで飛んできた尖ったものを弾き尚且つ左右の金髪の人にも攻撃をした。そして多分尖ったものとして投げられた方の人だけ吹っ飛び投げた方は吹っ飛びながら消えた。必然としてもう1人が本体と言うことになる。そしてその人が立ってきた。そして何かブツブツ言っている。俺が聞いた所によると

 

「クラマ、ああそうだな。俺も少し舐めてだってばよ。」

 

 何のこっちゃ?クラマさんとはどなただ?俺はそう思い周りを見たがそこにいるのは何か1人だけいるがそれ以外人はいないしそのいる人も違うだろう。だって1回も近づいてきてないし。あっ、でも動いた。でも金髪の人も動いた。

 

「少しばっかり本気で行くってばよ!」

 

 そう言った金髪の人が光ってめちゃくちゃ色々変わった。もう一言では言い表せないぐらいに。取り敢えず第一印象を言うなら・・・光ってるなぁ。だけど直ぐにそれも終わった。

 

「そこまでだ。ナルト!」

 

「えっ!?」

 

 そう言って金髪の人が木々の中にいた俺達の戦いを見ていた人を見た。俺も気で分かっていただけだから見ると

 

「あ、あれ?もしかしてこの里の長さん?」

 

「そう。俺が木ノ葉隠れの里の六代目火影、はたけカカシだ。」

 

 

 




オリジナル設定気とチャクラは一緒にしました。但しドラゴンボールは気とかである程度相手の実力がわかるのに対しナルト達はチャクラだけで全てが決まる訳ではありません。何故ならチャクラ量で全てが決するならそもそもナルトの無双物語で終わったはずです。
・・・まあ作者の本音を言えば正直ドラゴンボールの気とナルトのチャクラは別物だとは思います。いや概念的には同じなような気もしますがね。チャクラはカグヤが何かそのチャクラの実を食ってそしてその後にカグヤの子孫達がそのチャクラをどんどん受け継ぐみたいな奴だった筈なんです。それでカグヤは自身の復活の為に忍びのチャクラをまた1つにして復活しようとしてたんです。だからカグヤが産まれる前の人達はチャクラ何て持ってなかったと思うんです。だからそうなると気との整合性が取れなくなったんで苦渋の決断でごっちゃんにしました。許してください。

因みにナルト達の時系列は戦争とTHELASTが終わったあとです。だからナルトはヒナタとくっついてます。

ではまた次回。ヾ('ω'⊂ )))Σ≡サラバ!!


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説明

おはようございます!自粛期間が続いてますな。皆さんも健康にお気をつけてください。では⊂('ω'⊂ )))Σ≡GO!!


 俺はあの後この里の長・・・カカシさんと金髪の人、ナルトさんに連れられて火影屋敷という所に連れてきてもらった。そして火影室という所に来て少し待ってくれと言われ2人と何か待っている所でナルトさんが話しかけてきた。

 

「それにしてもお前普通に浮いてたよな?あれどうやったんだってばよ?」

 

「あれは自分のエネルギーを上手くしたら出来ますよ。というか俺としてはあなたがやったあの分身やらを知りたいんですが?」

 

 それはあの後から結構思っている。だってあれ出来たら陽動とかも1人で出来るし取り敢えず1人だけ分身を向かわせてその様子を見て対策だって立てられる。それにナルトさんがやったみたいに分身で自分自身だからこそ言葉も交わさずにあんな連携が出来る。俺からしたら結構というかめちゃくちゃ凄い技なんだけど。

 

「あれは影分身って言う術だってばよ!俺の1番の得意忍術だってばよ。」

 

 そう言ってあの時の手の形・・・印と言うそうだがそれをしながらニカッと笑ってる。よっぽど得意な忍術なんだろうな。だけどそれを解いて不思議そうな感じな顔で俺を見てきた。

 

「にしてもお前今何歳なんだ?」

 

「えっ?10歳だけどそれがどうしたの?」

 

 そう言ったら2人は驚いた顔をしてる。何でだ?

 

「普通ならアカデミーに行ってる歳だってばよ。」

 

「アカデミー?ああ、学校みたいなものか。そう言えば俺帰ったら学校はどんな扱いになるんだろう?」

 

 学校か・・・俺全然勉強していないけどどうなるんかな。というか俺義務教育?ってやつを普通に放棄しちゃってるな。因みに俺はこの戦いが終わるまでは帰るつもりはない。何か・・・気まずい。それに今帰ったら決意が鈍りそうだから。でもやっぱり生きてるって報告はするべきだよな。うん、1度帰って手紙を放り込んどいたら大丈夫だろう。会うのは・・・やっぱり止められそうだからやめとく。そうこう考えていたら部屋がノックされた。カカシさんが許可してる。

 

「入ってくれ」

 

「失礼します。」

 

 そう言って入ってきたのは町にいる中忍?って言う人が着ていたものと同じものを着た人や全体的にピンク色の服と髪の人とあと――――――この人強い――――――全体的に格好は黒・・・というか体を覆うほどのマントを着ていてそして何よりの特徴がその目だ。左目が見えにくく分かりずらいが右と同じ黒色では無い。何か全体的に紫色の目だけどその目の中に紋様がある不思議な目だ。そしてその人が俺を見ながらカカシさんに聞く。

 

「カカシ、そいつが?」

 

「ああ。」

 

 ・・・普通にカカシさんを呼び捨てしたが大丈夫なのか?一応1番偉いんでしょ?そんな事を考えてたらカカシさんが俺に話を振ってきた。

 

「それで?君の話を聞かせて貰えないかな?」

 

「えーっと、カカシさんに話すのは良いんですけど、他の皆さんは・・・ちょっと遠慮願いたいなと思ったり。いっぺんに説明して質問されまくったり最悪いきなり攻撃されるのもやだしそれに俺としてはカカシさんに言えばそれで良かったんだし。」

 

 そう言ったら皆さん顔を合わせたがまたカカシさんが優しげな顔で振ってきた。

 

「でもね、君の話の内容によっては俺達も何か対策を出来るかもしれない。そしてそれは人数が多い方が俺はいいと思うんだよね。」

 

「うー、でもやっぱり皆に知られるのはまずいというか信じる人の方が少ないと思う事ですけど・・・」

 

 そう言ったらナルトさんがしゃがんで俺の肩に手をおき語ってきた。

 

「ここにいるやつらはそんなに簡単に人に言いふらしたりお前をいきなり攻撃なんてしないってばよ。だから話してくれないか?」

 

 うーん、どうしようか?でも確かにある程度の人数は知っておいて欲しいかも。俺は最終確認で聞いた。

 

「じゃあ信じていい?」

 

「おう!」

 

「分かりました。では単刀直入に言います。俺は・・・この世界の人間じゃない。」

 

 そう言ったらやっぱりというかなんというか皆無言になった。この空気苦手なんだけどな。そしていち早く復活したカカシさんが聞いてきた。

 

「そ、それはどういう意味だい?」

 

「言葉の通りです。あなた達平行世界って言葉は知ってますか?」

 

 そう言ったら中忍のベストを着た人が答えた。

 

「あ、ああ。」

 

「俺はそこから来た。この世界に来てしまった強敵からこの世界を守る為に。」

 

 そしたらまた無言になった。まあ普通はこんな空気になるよな。正直自分でもこんなこと言われたら病院行ってこいって言うし。そして黒マントの人が聞いてきた。

 

「お前がその平行世界から来たって言う証拠はあるのか?」

 

「そうよ、まずそれがないと・・・」

 

 ピンク色の人もそう言ってきた。証拠か・・・あっ!あった。俺はそう思い腰の布の入れ物に手を伸ばしてその中からホイポイカプセルのケースを取り出し冷蔵庫の入ったやつを投げて冷蔵庫を出した。

 

「「「なっ!?」」」

 

 これで充分に証拠になるはずだ。この里でこんなの使ってなかったしこれで充分なはずだ。多分。それを見た皆は結構早めに復活した。

 

「なるほど、これは確かにそうかもね。あっ、もう直しても構わないよ。」

 

「ありがとうございます。」

 

 俺はそう言ってまた俺は冷蔵庫をカプセルに戻してケースに入れた。そして今度は中忍のベストを着た人が聞いてきた。

 

「それでお前は一体何からこの世界を守るんだ?」

 

 俺は正直に言った。

 

「分からない」

 

「「「はっ!?」」」

 

 黒マントの人以外の反応だ。

 

「わ、分からないってどういうことだってばよ!?」

 

 俺は頭の後ろに手をおいて

 

「いやー、まだそれは調査中でわかり次第連絡は来るようになってるけどその連絡よりも先にそいつが来るかもしれないから俺だけ先に来たんだ。先に俺の事を話します。俺の名前は西沢光輝、歳はさっきも言ったけど10歳、そして俺の仕事は・・・タイムパトローラーです。」

 

 そう言ったらみんなの顔が?になった。だから俺はタイムパトローラーの説明を始めた。

 

「タイムパトローラーの仕事は・・・時空を超え悪い事をしようとしている奴らを捕まえるのが俺達の仕事です。今すぐに信じてくれとは言いません。俺もこの世界の人側だったら正直何言ってんだってなると思いますし。でもこれだけはお願いなんです。どうかその敵が来るまではこの里にいさせて欲しいんです。その敵を倒したらさっさと俺も帰るんでいさせてください。」

 

 そう言ったらというかさっきからこの人達はちゃんと黙って聞いててくれてる。質問はたまにしてくるけどまだ許容範囲内だし。そしたらカカシさんが聞いてきた。

 

「その敵に君が勝てる保証は?」

 

「分かりません。敵の情報がまだこの世界のこの時代のどこかに来るってだけなんで。最悪タイムパトロールの援軍は来ますけど今はまだ皆違う任務に行っているんでいつ来れるかは分かりません。」

 

「・・・少しここにいるメンバーで話をさせてくれないかな?」

 

「はい、大丈夫です。」

 

「ナルト、影分身をこっちに残して本体のお前が一緒にいて里を案内してやれ。」

 

「押っ忍!影分身の術!」

 

 そう言ったらまたナルトさんが今度は2人になって出した方がそれじゃあ行くってばよと言って前を歩いたから俺もドア前に来て皆さんに礼してから扉を閉めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺はその後里の中をナルトさんに案内してもらった。そして気がついたのだがナルトさんがこの里の中ではめちゃくちゃ人気な人らしいという事に気がついた。だって女の子やらがナルトさんを見かける度に声かけられてたし。・・・俺としてはあの影分身?ってやつのやり方教わりたいと思ってたりする。そしてそんな事考えながら里が一望出来る高台に来た。なんかキリもいいから俺は思った事を聞いてみる。

 

「そう言えばナルトさん」

 

「ん?なんだってばよ?」

 

「なんでナルトさんは気を2つ持ってるんですか?」

 

「気ってなんだ?」

 

 ああそうか、ああいう言い方しているのは俺達だけか。まあこれの説明は簡単だからいいか

 

「うーん、なんというか人が皆持ってるエネルギー?みたいなものです。」

 

「ああ、チャクラの事か」

 

「チャクラ?」

 

 今度は俺が聞き返してしまった。でもしょうが無いね。知らないんだもん。

 

「その気?ってやつと同じようなもんだってばよ。影分身とかもそのチャクラを練って出すんだってばよ。」

 

「チャクラを練るってこんな事ですか?」

 

 俺はそう言って手のひらに気弾を1つ出した。だって練るって何かを形にする事じゃないかなーと思ったからだ。予想どうりこれが練るという事らしい。ついでに言うとその気弾はナルトさんの『螺旋丸』という技に似ているらしい。試しにやってもらったら確かに形は似ている。でも螺旋丸の欠点としては投げられず直接近づいて当てるしかないらしい。これの派生系の技は投げられるらしいけど。でも正直に言ったら俺がこの人と同じ質量の気でこの人の螺旋丸にぶつけたら負けると思う。

 何故なら俺は一瞬で作る分硬さ?みたいなものが螺旋丸に比べれば軽いし螺旋丸みたいな乱回転何てものもないからぶつけたらその回転に巻き込まれ負ける。オマケに螺旋丸は慣れたら直ぐにぱっと作れるようになるらしい。・・・何かこの世界ってめちゃくちゃ良い技が多くないか?パトロール終わったら帰らないとダメとかちょっと遠慮願いたいな。

 

「というかお前チャクラを持ってるとか感知タイプでもないのに普通にわかるのかよ。」

 

 この世界では色んなタイプがいるらしい。さっきナルトさんが言った感知タイプとは何か相手の気を探すのに長けた人達で幻術タイプっていうのもあって相手に幻を見せたり解いたりするのが得意な人達もいるらしい。やっぱり根本的に悟空さん達の世界と違うな。だってあの世界ではそんな戦い方何てしないし、殆どの人が真っ向勝負って人が多いし。悟空さんとかその典型例だし。

 

「というかタイムパトローラーの人達は全員そんな気を感知するってのは普通に常識というか出来なきゃダメな事なんです。だって相手の力量が大体分からなきゃどうやって戦うとかの対策立てれないじゃないですか。」

 

「まあ、それはそうなんだろうけどよ。」

 

 でもここの世界の人達は確かにチャクラの量も重要視はするみたいだがやっぱり持ってる技や体術にも目線をあててるみたいだ。どんなにチャクラが多くてもその技とかで一発逆転何て事もよくあるそうだ。

 

「それで、俺が2つチャクラを持ってる理由だったな。それはな・・・あっ、ちょっと待ってくれってばよ。」

 

 そう言って何故か目を閉じた。そしてまた開いたらナルトさんの目が変わっていた。何かあの目見たことあるな・・・あ、本で見た狼の目に似ている。そしたら何か雰囲気が変わったナルトさんが話し始めた。

 

「お前が感じた気とは儂のことだな?」

 

 何か声まで変わってる。多分この声の主がナルトさんのもう1つの気の持ち主なんだろうな。それで普段はナルトさんが表に出ているけど普通にもう1人の方も人格が出れるみたいだ。二重人格かな?まあそんな事は置いといて俺も返す。

 

「はい。あなたがナルトさんのもう1人の人格か何かですか?」

 

 そう言ったら笑われた。何故だ。

 

「違うな。儂はナルトのもう1つの人格などではない。ナルトと儂は元々違う人格の持ち主だ。そして儂は今ナルトの中で生きている。」

 

「?????」

 

 分からん。だってナルトさんの中でどうやって生きるんだ?それならまだ多重人格の方を信じるけどな。でも何となくで聞いてみる。

 

「うーん、あなたがナルトさんに入ってるって事?」

 

「そう言うことだ。儂の名前は九喇嘛(クラマ)だ。」

 

「クラマさんですか、・・・何か漢字が凄く難しいですね。」

 

「そんなのはどうでもいい。」

 

「まあ、それはそうですね。」

 

「では儂ら尾獣の事を教えよう。お前は十尾を知っているか?」

 

「いえ全く。」

 

 俺はそう言って首をブンブン振った。クラマさん曰く尾獣とは元々その十尾?と言うやつだったらしい。でも力が大きすぎたから尾獣を9匹に分けたらしい。その尻尾の数で一尾とか二尾とかを決めたらしい。それでクラマさんはその内の九尾に当たるらしい。クラマさんとは違う他の尾獣の皆さんはその昔ここの里の初代火影さんが何か戦力分散的な意味をこめてここ以外の里に分けたらしい。それでここ木ノ葉隠れの里にはクラマさんがいる。そしてその尾獣を封印されてたりクラマさんとナルトさんみたいに互いの了承を得てその封印を解いても中で暮らしをさせてる人達の事を「人柱力」と言うらしい。俺はその話を聞いて少し思う所があったから少し顔を下げた。それを変に思ったのかクラマさんが聞いてくる。

 

「どうした?何か分からん事があったか?」

 

「いえ、そうじゃなくて。言っちゃ悪いですけどその初代火影の人にムカついただけです。」

 

「ほう?それは何故だ?戦力を分散はある意味では当然だが?」

 

 俺はクラマさんに向き直り

 

「だってそれって尾獣達の気持ちを全く考えてないじゃん。どんなに強くて姿が人間離れしているからって尾獣達にも意思はありやりたい事とかだってあったはずだ。それを人間は戦力、悪く言えば兵器としか見ずに尾獣達自身の意思なんてそこに、少なくとも話に聞いてる限りはない。そんなの・・・可哀想だよ。幾ら尾獣を抑える意味があってその人柱力の皆さんに封印するってのも正直なんでってなりますし。」

 

「ほう、それはまたどうして?」

 

「だって確かに尾獣の皆さんはこの世界の忍びの人達が束になってかかっても倒せないくらい強いんでしょう。でも尾獣達だって本当に最初は人間たちにも何もしてなかったんだと思うんです。その後にしたとしても多分それは人間たちから攻撃を仕掛けたと思うんです。尾獣達は後々の恐怖になるとか何とか言って。だって人間ってそんな生き物だし。そしてその初代火影って人に捕らえられて自分達の意思なんて関係なく行きたくもない所に行かされて、それが今のクラマさんとナルトさんみたいな関係になれたらそれはそれでいいと思うんですけどそうじゃない尾獣の皆さんが可哀想に思います。」

 

 そう言ったら暫く無言になったがいきなりクラマさんが大笑いし始めた。

 

「ははははは!」

 

 俺は笑われるのが結構理不尽だと思ったので返す。

 

「な、何ですか?思った事を言っただけじゃないですか!」

 

「いや何、お前のような事を言うやつがこのナルト以外にもいたとは思わなくてな。」

 

「ナルトさんも?」

 

「ああ、まあナルトは初代火影にムカつくとかは言ってなかったがな。だがナルトは儂ら尾獣を人間扱いした。そういう意味ではお前とナルトは一緒だ。」

 

 多分ナルトさんがそういうのだからこの2人は仲良く出来たんだろうな。だけど俺の心を読んだふうにクラマさんが言ってきた。

 

「言っておくが儂らは最初からこうだった訳では無い。寧ろ今の関係になったのは儂が生まれたてのこいつに封印されてから17年かけたぞ。」

 

 俺はしばし無言になって

 

「えっ、そうなの?普通に人格交代させたりしてるからてっきり互いに認識した時から結構仲良いのかなと思ったけど?」

 

「これには色々訳がある。最初は嫌だったが今は悪くない。」

 

「そうか・・・、良かったね。」

 

「ふん!では儂は引っ込む。」

 

「うん、お話ありがとう。クラマさん。」

 

 そう言ったらナルトさんの目が元の青色の目に戻った。そして俺に聞いてきた。

 

「クラマから話は聞いたな。まあそういう事だってばよ。よし、話し合いが終わったみたいだからカカシ先生達の所に行こうぜ。」

 

 俺は1つ疑問に思ったから聞く。

 

「えっ?なんで終わったってわかるの?」

 

「影分身はその分身が得た経験を分身が消えた時に本体の俺に還元出来るんだってばよ。」

 

 本格的に影分身を習得したくなった。よし、まずは影分身のやり方を教えてもらおう。絶対にこの技便利だ。1人でウンウン行ってる間にナルトさんが歩き出したので俺もついて行く。そしてまた火影室って所に来てノックして入った。そこに居たのはさっきのメンバーだった。ナルトさんが名前をさっき教えてくれて中忍のベストを着ている人がシカマルさんで髪の毛がピンク色の人がサクラさんって人でそして・・・俺が強いと思った黒マントの人はサスケさんと言うらしい。これもさっき聞いたがナルトさんとサスケさんはライバルらしい。そして名前を思い出していたらカカシさんが話し始めたから聞く。

 

「それでね。ここの皆と話した結果、我が木ノ葉隠れの里は君を受け入れる事にしたよ。」

 

 俺は結構驚いていた。だってあんな登場の仕方したから結構怪しまれてるもんだと思ってたし。俺がそう思っていたらシカマルさんが話始めた。

 

「但し住む所はこちらで提供する。」

 

「えっ、俺野宿しようと思ってたんだけど。」

 

「君の年で忍者でもないのにそんな事してたの?」

 

 カカシさんが何か呆れた感じで言ってくる。だってあの世界(アインクラッド)のビーターだった時は偶にPKに狙われたし、街に言ってもヒソヒソされたし。だから野宿で俺がどこにいるのか分からなくした方が良かったんだし。うん、しょうが無い。そう思ってたらシカマルさんが言ってきた。

 

「提供する理由としてはやっぱり俺らがまだお前を信用しきれていない事と怪しい事をしないようにって事もある。」

 

「あー、まあそれは当然だと思いますよ。うん。」

 

 だって俺どう見ても怪しいヤツだし。でも俺は1つ言っておく。

 

「念の為に言っておきます。敵が来た時、戦うのは俺1人でやります。皆さんは手をださないでください。」

 

「「「なっ!?」」」

 

 まあそうなるだろうな。自分達に協力して欲しいと思って言ったと思ってただろうし。でもこの人達を・・・この歴史の人達を誰も死なせちゃいけないんだ。だから俺1人でやる。だけどやっぱり優しいんだろう、ナルトさんが止めてくる。

 

「で、でも俺達に手助けして欲しいから来たんじゃないのか?」

 

「俺がここに来たのはただ単にその敵が放り込まれるであろう場所が近いだけです。本当は里の外に野宿でもしようと思ったけど、調べたらよく巡回がされてるみたいですからどっち道バレるならもう滞在の許可貰った方が早いと思ったんです。あなた達に教えたのは何もこの里には被害を出すつもりは全くありませんが万が一、いや億が1でも何かが起きればカカシさんだけで対処が出来るか分からなかったから皆さんの事を信用してお話しただけです。」

 

 そう言ったら凄くナルトさんが怒った声で言ってきた。

 

「俺達だって戦えるってばよ!お前みたいな子供よりも俺達が戦うってばよ!」

 

 分かってる。ナルトさんやその仲間の人達が強いなんて事は。だけどだからこそダメなんだ。強くて他者を先導出来るからこそここで死なす訳にはいかない。

 

「ダメだ!俺1人で戦う!敵はどんなに強いやつが来るか分からないんだ!俺もあんたらでも勝てないかもしれないような奴が来るかもしれないんだ!そんな不確定の状況であんたらを戦わせないし戦わせる訳にはいかない!俺はもう誰かが俺のせいで死ぬのは嫌なんだ!」

 

 俺がそう叫んだら場は静まった。俺はそれがこれ以上何も言わない事だと思い顔を下げながらカカシさんに聞いた。

 

「・・・俺に提供してくれる住む場所ってどこですか?」

 

「ナルトの家に居候してもらう。ナルトは家事全般は壊滅的だがナルトには頼もしい彼女もいるから何とかなるだろう。」

 

「お、俺だって家事は出来るってばよ!ヒナタほどじゃないけど。」

 

 何か知らない間にそんな会話をしていたがナルトさんがこっちを向いて

 

「それじゃあ行くってばよ。」

 

「あ、はい。」

 

 俺はそう言って礼して出て言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 光輝とナルトが出て行ったのを見て残った面子はまた話を始めた。カカシが皆に話をふる。

 

「それで、お前らは光輝君の事はどう思った?」

 

「正直に言うならまだ信じられないってのが本音です。ですけどあの子は自分が平行世界の人間という証拠は持ってました。それを考えると信じ得るをえないでしょう。でも敵って・・・」

 

「いや、それは本当かもしれん。」

 

「どういう事だ、サスケ」

 

 サクラが光輝を見て話した所を見た所の反応はまあ、至極当然のものだった。そしてサクラは光輝の言った敵について疑問を唱えたがそれを本当だと言ってきたのはうちはサスケだった。サクラやカカシ達は何故と視線で先を促す。

 

「つい最近、どこかで時空間が開けたのを感知した。だがそれは大筒木と言う訳では無さそうだ。もっと別の何かだ。俺はその報告も兼ねて1度里に戻ってきた。そしたらさっきの光輝と言うやつがいて敵の存在を明らかにした。このタイミングで言われたらそう思うだろう。」

 

「なるほど。」

 

「サスケが言うなら里も厳重体制にするべきだな。」

 

「ああ、だがまだ戦争の傷跡が残る中でそれが轢かれれば里の奴らが不安になる。ここは光輝くんの言う通り極秘にしよう。・・・お前らは光輝君の実力はどう思う?」

 

 カカシが得心をしてシカマルが提案をしてカカシが肯定した。そしてカカシは光輝の実力について聞いた。カカシはナルトと戦った所は途中から見たが普通のナルトとは普通に渡り合えていた。いや、それどころか少し押してた。タイムパトロールと言うやつをしているならそれなりに強いだろうが自分達と比べた場合どうなるか分からないから周りに聞いたのだ。

 

「正直に言うなら分からないってのが現状ですね。ナルトと渡り合えたのは素直に凄いと思います。だけどナルトも本気という訳ではなかったのでしょう?」

 

「まあ、ナルトが本気を出したら里が危ないから俺が止めただけなんだけどね。だけど光輝君はナルトの九喇嘛モードを見ても少し驚いただけだった。あの驚きは多分ナルトの変化に対してだけで実力が極端に離れた訳ではないと思う。」

 

「それじゃあ、光輝君はナルトと戦った時は本気ではなかった?」

 

「そうなるな。サスケ」

 

「なんだ?」

 

「明日ナルトと2人がかりで光輝君と戦ってくれ。」

 

「分かった。」

 

 カカシの問いにサクラが返しそしてカカシは光輝の実力を確かめる為にサスケとナルトに戦って貰うように頼んだ。今日はその場で解散となりカカシは火影の椅子に深く座った。そして暫く休憩したが火影の業務に戻った。

 




お疲れ様でした。ではではまたね!(あれ?何もなし?とは言わないでください。)


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実力把握

今日は光輝対ナルサスです!尚、両者本気ではない模様。しょうがない、·····本気でやったら里吹っ飛ぶし。では(-ω-`*)つドゾ‌‌
·····そう言えば原作をNARUTOにするのを忘れていたという。(ó﹏ò。)スイマセンッ


「うーん、こうかなぁ?」

 

 俺の目の前には影分身の印をしている手があるがよくわからずさっきからうーんうーんと言っている。あの後俺はナルトさんに連れられナルトさんのアパートに来た。ナルトさんは今何か家事やるってばよ!と言って何か頑張っているが・・・何故か料理が焦げたりして少し落ち込んでいる。そこに何かナルトさんの彼女さんが来た。

 

「あら?ナルト君、この子は?」

 

 何か目が凄いな。でもまあ目があんた日本人なのに何で緑とか青なの?って人が結構いたから別に変でもないか。そんな事を考えてたらナルトさんが説明してくれる。

 

「こいつは今の任務で少し預かる事になったんだってばよ!」

 

 汗出てますよナルトさん。そう、これが俺がここにいる理由になっている。帰ってる道中で俺がナルトさんにもし彼女さんが来て何か言われたらどうするの?って聞いたらこうなった。便利な用語、「任務」。そんな思考になってたら彼女さんが膝を折って座ってる俺と同じ目線になって聞いてきた。

 

「ねえ、あなたお名前は?」

 

「西沢光輝です。」

 

「光輝君か、宜しくね。私は日向ヒナタって言うの。」

 

「えっと、はい。よろしくお願いします。」

 

 俺はペコッと頭を下げた。ヒナタはニコッと笑いナルトさんに向き直った。

 

「ナルト君、ご飯は食べ・・・」

 

 ヒナタさんは止まった。何故なら目を向けた先にはナルトさんが料理してそして失敗した残骸があったからだろう。別に俺が手伝っても良かったんだがナルトさんに客なんだから俺がやるってばよと言って清々しく失敗した。

 

「ナルト君、これは何?」

 

「え、えーっと」

 

 何かヒナタさんの迫力が凄いなぁと他人事のように思ってその光景を見ていた。そして今度はヒナタさんが作った美味しいご飯を頂いた。美味しかった!え?その時のナルトさん?・・・知らない方がいいよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ、光輝は家族いるのか?」

 

 俺とナルトさんが布団の中に入った時、ナルトさんが聞いてきた。そう言えばナルトさんの御家族っていないのかな?写真の1つぐらいあってもいいと思うんだけど。

 

「・・・います。義理ですけど。」

 

「義理?」

 

 俺は言うべきか迷ったが何かこの事を他人に言うのはそんなに躊躇いは無くなってる。まあパカすか言わないけど。何となくこの人なら話していいやって思った。

 

「俺の家族は・・・この家族は義理の方じゃなく俺と血が繋がってる方のです。俺の家族はもう全員死にました。」

 

「なっ!?わりぃ、そんな事聞いて。」

 

「別に大丈夫ですよ。もうその事なら死ぬほど後悔して死ぬほど泣きましたから。それにナルトさんはそんな事知らなかったんですからしょうがないです。」

 

 実際これは本心だ。もう後にも先にもあれ以上に泣く事なんてないだろう。・・・もしあるとすれば今の櫂さん達や愛美、そしてSAOで出会った仲間達が死んだ時だけだろう。そんな事は絶対にさせない。

 

「・・・お前は何でそのタイムパトロールになったんだ?」

 

「半分は流れ、もう半分は・・・強くなりたかった。そしてその力で今度こそ、大事な物を、大事な人達を守れる力が欲しかった。話し合いなんて通じない奴らと戦うために。」

 

「そうか・・・」

 

 俺がSAOにいた時によく見た皆が離れたり死んでいく夢。お姉ちゃんと同じ部屋で寝るようになってもそれは直らなかった。でもお姉ちゃんがそれでうなされてる俺と一緒のベッドに寝てくれるようになってからは見ることは無くなった皆の死んだ時の夢。あれが俺を突き動かすものだ。あの皆の死んだ時の光景は生涯忘れないというか絶対に忘れられないし、忘れたくない。そんな事考えてたらナルトさんが聞いてきた。

 

「その義理の家族には会いに行ってるのか?」

 

 痛い所をつかれて俺は顔ごと逸らした。それが返事と見たのだろうナルトさんが言ってきた。

 

「ちゃんと会っといた方がいいぜ。義理でもお前の家族なんだから。・・・大事にしろよ。」

 

 そんな事を言ったナルトさんの顔が暗くなっていた。俺は何となくナルトさんの家族がどうなったのか分かりそれ以上何も言わなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、第三演習場という所に俺は来た。そこにいたのは一緒に来たナルトさんや昨日の話をしたメンバーだった。そしてカカシさんが前に出てきて言った。

 

「これより、光輝君にはナルトとサスケ、この2人と戦ってもらう。この戦いの成果で君を信じるか否かを見極める。なお、双方共に里をぶっ飛ばすような技などは使うな。」

 

 ・・・なーんで俺を信じる云々が戦う事なんだろうか?まあわかりやすくていいかもしれないけど。結局影分身の術は昨夜ナルトさんが寝た後に色々やってみたけどとうとう何か意味わからんへにゃへにゃな分身やら最早既に死んでる分身しか出来なかった。まあナルトさんに聞けやってなるだけなんだけど今んとこ俺って完全に怪しいヤツだしナルトさん優しいから教えてくれそうな気もしない事もないけど最初は自分でやってみたかったりする。まあそんな話は置いといて俺は聞く。

 

「別にそれは構いませんがそれは1人ずつですか?それとも・・・」

 

「2人同時だ。」

 

 うん、そうですよね。何となく予想してた。まあ負ける気はないけどな。2対1何てあの世界の攻略組と戦った時よりは人数は遥かにマシだろ。・・・まあナルトさんは途中で増えそうだけど。

 

「分かりました。じゃあ2人とも宜しくお願いします。」

 

 2人に向き直りながら俺は右の拳を左の手のひらに合わせお辞儀した。悟空さんがよくやっているから俺もよくやるようになった。そしてそれを聞いた場はナルトさんとサスケさんと俺を残して離れた場所に行った。

 

「おう、負けないぜ。光輝。」

 

「・・・・・・」

 

 何かサスケさん無言なの怖いんですが。まあそれは置いといて俺は何時もの構えをする。まあ悟空さんと同じ構えだけど。

 

 

 

 

 そして第三演習場は静寂になり草が風に揺られてる音しかしてない。だけど近くの木に止まってた鳥が飛び出したと同時に俺達は動いた。俺と2人は一瞬で移動し真ん中で激突した。俺は体当たりでナルトさんを少し戻した後、サスケさんに向かった。サスケさんが回し蹴りをしてきたが俺は身長が低いため、少し頭を下げて躱し、そのしゃがんだ時にジャンプして左から右に蹴った。サスケさんはそれで少し吹っ飛んだ。俺は直ぐに追撃しようとしたが

 

「俺を忘れるなよ光輝!」

 

 その言葉と共に後ろから飛び蹴りしてきたナルトさんだが俺は舞空術で浮いたままコマのように回転してナルトさんの腹あたりを膝うちした。「ごふっ!」と言う声と共に体がくの字に曲がった。そしてそのまま体に触れて気弾をぶつけて爆発をしながらサスケさんの隣に吹っ飛んで行った。だけど上手く着地した。そして腹を抑えてる。やっといてなんだけどあれ結構痛かったりする。

 

「少し本気を出すってばよ、サスケ!」

 

「ああ、ナルト!」

 

 そう言ったナルトさんとサスケさんの様子が変わった。ナルトさんは昨日の最後に見せた姿に。九喇嘛さんの気も混ざってるから多分2人が協力したんだろう。そしてサスケさんは目が変わった。左目は変わってないけど右目は変わった。全体的に赤く、でもその中に紋様がある。・・・何か感じは俺の蒼眼と赤眼に似ている。そんな事考えてたら2人は動いた。サスケさんが腰の剣を出した。ナルトさんは突っ込んで来た。

 

(結構早いな。)

 

 俺は突き出された拳を掴んで、投げようとしたがその前に後ろにサスケさんが剣を左から右に振って来た。俺はナルトさんの拳を離して剣の上をスレスレで躱してそのまま地面に着地した後にバク転して下がった。だけど2人が見逃すはずもなく何か雷とオレンジの閃光が光ったと思ったらバク転し終わった俺の左右に来て右の拳を出して来た。俺はその拳を腕を交差して止めた。ナルトさんが話しかけてくる。

 

「やっぱり光輝つえぇな」

 

「そいつはどうも。」

 

「だが、俺達も負けないってばよ!」

 

 そう言ってもう一方の手でパンチしようとしたのを見て俺は交差した腕を勢いよく戻した。そしてナルトさんとサスケさんが互いに頭突きして動きが止まったのを見てそれぞれを前に吹っ飛ばした。そしてすぐさまサスケさんがまた雷を纏って来た、俺は背中の剣を取って迎えうった。だけど

 

(何かピリピリする。あの雷も何かの術か、俺もどうにかしてあの雷を防がないと。)

 

 サスケさんの剣には雷がまとわりついてる。何かそれも合わさって剣の威力も上がってる気がする。俺も何か剣を強化しなきゃ・・・そうだ!

 

 俺はサスケさんをナルトさんの横に飛ばした後、気で俺の剣をコーティングした。サスケさんのやつを少し真似してみた。・・・まあ俺は雷なんて出せないけど。似たようなことなら出来る。そしてコーティングされた剣で俺は再び向かった。

 

 ナルトさんはそれを見て影分身をした。・・・数え切れないぐらいの人数になった。何かもう驚き疲れたな。俺は一瞬全員を迎え撃とうと思ったが流石に多すぎたからコーティングしたばっかりだけど剣をしまって腰を落とした。そして気合一閃

 

「はあ!」

 

 俺は気を解放してその出した気でナルトさんの分身を吹っ飛ばした。ボンボンと消えていく分身。だけどその消えてく分身の煙から2人が出てきた。ナルトさんとサスケさんだ。俺は迎え撃とうとしたが

 

(違う!これはどっちもナルトさんの気だ!)

 

 俺がそう思った瞬間に後ろを向こうとしたが遅かった。何か雷の手刀で俺は川まで吹っ飛ばされた。俺は川に叩きつけられてそのまま沈んで行った。沈みながらさっきの攻防を思い出す。

 

(まさかナルトさんの影分身がサスケさんに化けて一緒に突撃してると思わせて本命は後ろからのサスケさんだったとは。あの2人特に相談も何もしてなかったのにあんな作戦をやってのけるとか凄いな。俺もキリトかお姉ちゃんとなら出来る自信はあるけどあんなに完璧には出来ないかもしれない。でもまあ、勝ちをくれてやる訳にはいかない!)

 

 俺は川の中で気を高めた。そして俺を中心に渦が出来た。俺はその渦の真上まで舞空術で飛んだ。そして2人と相対した。お互いにニヤってなる。

 そして真ん中で激突した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そこまで!」

 

 そのカカシさんの声と共に俺達は戦いを終えた。

 周りを見てみたら結構ボロボロになっていた。そして呆れた顔のカカシさん達御一行が寄ってきた。

 

「光輝君、君ちょっと強すぎない?」

 

「ナルトとサスケの本気を出てないとはいえこの2人と普通に渡り合うとか光輝君今までどんな人生歩んだのよ。」

 

 そうカカシさんとサクラさんが言ってきた。むう、俺も本気出してないのに。だってこの前漸く出来るようになった界王拳とか蒼眼と赤眼も使ってないし。何なら俺飛び道具も使ってないし。まあ2人が飛び道具使ったら俺も使うつもりだったけど。

 

「まあ、色々と。でも俺の師匠達の方が俺の1000倍以上強いですよ。あの人達俺との修行では俺の強さに合わせてくれてますけど師匠達同士で修行する時はもう俺もどんな戦いになってるか分かりませんし。」

 

 それを言ったら皆無言になった。全員驚いた顔をしている。でも事実なんだよなぁ。特に悟空さんとベジータさんの組手の時は何が何だかわからなくなるからな。俺以外の人達は見えてるらしいけど。俺もその内見えるようになるかなぁ?まあそれは置いといて聞く。

 

「それでカカシさん、シカマルさん。信じてくれますか?」

 

「まあ、あんな実力を見せつけられたら信じるしかないでしょ。」

 

「ああ、もしお前が侵略者か何かだったらとっくに里は滅びてる。」

 

「ありがとうございます。」

 

 俺は頭を下げた。これがここからの1歩だからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ナルト達はただの力押しではなく頭を使うという。でもまあクリリンとかも頭を使う戦い方をするからやっぱり地球人はそういう戦い方が得意なのだ!·····まあそれは置いといて次回、光輝修行頑張るの回。·····ただしある方法でショートカットですが(えっ?NARUTOファンなら誰でもわかる?·····聞こえない聞こえない(おい笑))


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楽しい·····訳がない修行

今日も出せます!今日は光輝の修行回、だけど短め。ではどぞ(っ´∀`)っ


「影分身の術!」

 

その掛け声と共に左右の人差し指と中指を十字に交差したがボン、という音と共に出たのはやっぱりもう死んでる分身だった。

 

「あーっ!また失敗!」

 

俺は絶賛影分身の練習中である。この世界で出来るようになりたい技が結構出来たから早く影分身を出来るようになりたい。後1回出来なかったらナルトさんに聞こう。うん、それがいい。

 

「はあ〜、ふう。」

 

俺は深呼吸した。ここの世界の人達はチャクラを練ったりしても俺達みたいに身体中に白い気が出たりはしない。それはつまり体の内部で気を練っているからだ。まあ気を解放したら嫌でもあれは出ちゃうけど。俺は深呼吸の時に体の中で気を高める。そして俺が別れるイメージでやる。俺はまた左右の手の人差し指と中指を十字に交差させてそして言った。

 

「影分身の術!」

 

ボンッ!

 

その音と共に俺の隣が煙に包まれた。今回は行った気がする。そして――――――

 

「あ、出来たーっ!」

 

「うん出来たな!」

 

「おう、よく出来たってばよ!」

 

・・・何か途中で違う声混ざったな。俺は分身の俺と共に後ろのドアを見たらナルトさんがいた。決して油断した訳では無いが普通にここがナルトさんの家にいることを忘れてた。何か恥ずかしいから術を解除した。

 

「よく出来たじゃねえか。いい影分身だったぜ。」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

「にしてもまさか俺のを見て自力でやるとはな。それもたったの2日でか。」

 

何かナルトさんが感慨深く頷きながら言っていた。でも俺はまだ一体しか出せないという。まあこれから増やしていけばいいか。取り敢えず印なしで自力解除は出来るようになりたい。ナルトさん曰く誰かに消された分身の気は戻って来ないそうだからだったら消える瞬間に自分から解除してもらえば気は戻ってきて実質デメリットは・・・まあ精神的疲れとかは引き継ぐそうだからデメリットはあるがそれでもメリットの方が大きくなる。ナルトさんも解除には印をしているらしいが俺はその先に行くのだ。という目標で今頑張ってる。まあそれは置いといて俺はある人の場所に行きたいから聞く。

 

「そうだ、サスケさんの所に行って来ていいですか?」

 

「え?何でだ?」

 

「あの雷の技教えて貰えないかなあと思って。あれ自力でやろうと思っても中々出来なくて。」

 

そう言ったら何か微妙な顔をされた。でもあの技って影分身と同じく汎用性高そうだから早めに出来るようになりたい。微妙な顔を終えたナルトさんが言った。

 

「うーん、まあ俺と一緒ならいいんじゃないか?というか螺旋丸はダメなのか?」

 

「あれは確かに強力なのは否定はしません。同じ質量で俺の気弾とぶつけても俺が負けるだろうし。でも螺旋丸は形があるじゃないですか?そしてそれをぶつけたりするだけです。でもあの雷の方は形何てないです。だから例えばサスケさんがやったみたいに剣に雷を纏わせたり雷の影分身だって出来ると思うんです。」

 

「な、なるほどな。じゃあ行くか。場所はわかるのか?」

 

「はい。もうサスケさんの気は覚えたんで大丈夫です。」

 

「そうか、じゃあ行くか。」

 

俺達はナルトさんの家を出て歩き出した。向かうのは火影屋敷・・・何かの作業中なら出直そう。そう思いながら他愛のない話をしながら歩いてたら

 

「ナルト兄ちゃん!」

 

そう言って寄ってきたのはでっかいマフラーみたいな物を首に巻いた子供だった。

 

「よう、木ノ葉丸。」

 

この人の名前は木ノ葉丸というらしい。俺が元いた世界なら絶対にいじめの標的にされそう。

 

「兄ちゃん、その子は何だ?」

 

「ああ、今任務で預かってる子供だ。」

 

やはり便利な用語「任務」。木ノ葉丸さんは一応それで納得言ったようだ。

 

「兄ちゃんはこれからどこに行くんだコレ。」

 

コレ?珍しい口癖の持ち主が多いなこの里。

 

「こいつを連れて火影屋敷にな」

 

そう言いながら俺の頭をわしゃわしゃしてくるナルトさん。

 

「そうか〜、修行つけてもらおうと思ったのになコレ。」

 

向上心がある人だな。

 

「じゃあ俺達は行くってばよ。修行はまた今度な。」

 

「分かったぞコレ」

 

俺達は木ノ葉丸さんと別れて進む。俺はさっきの人の事を聞いた。曰くあの人、猿飛木ノ葉丸は三代目火影の孫らしく、ナルトさんの弟子でもあるらしい。影分身も螺旋丸も出来るそうだ。

 

「へえ、強くなりそうな人ですね。」

 

「強くなりそうじゃなくて強くなるんだよ。」

 

そう言ってニカッと笑うナルトさん。眩しいなあ。そんなこんなで俺達は火影屋敷の火影室に来た。そしてナルトさんがノックする。

 

「どうぞー」

 

「失礼します。」

 

「光輝くんじゃないか、どうしたんだい?まさかもう敵が」

 

俺は違う違うと手を動かしながらここに来た訳を説明した。

 

「ああ、違います。ちょっとサスケさんに用事があったんですけどお取り込み中なら諦めます。」

 

「俺に一体なんのようだ?」

 

「えっと、あの雷の技を教えてくれないかなあと思って。」

 

「千鳥を?何故だ?お前は今のままでも十分すぎるほど強いと思うが?」

 

なんかすんごい試されてる感がある。だ、だけど負けないぞ·····まあ競っても意味ないけど。

 

「あの技、凄く汎用性が高そうだから。色んな場面で使えそうな技だから使えるようになりたい。」

 

そう言ったらカカシさんがなるほどなみたいな感じで頷いてサスケさんに向いた。

 

「いいんじゃない?サスケ、教えてやったらどうだ?」

 

「カカシ、お前もわかってるだろう?あれは写輪眼があって初めて完成する技だ。写輪眼がない光輝に教えても使いこなせるかは別だ。」

 

俺は今の言葉に聞きなれない言葉があったから聞く。

 

「写輪眼って何ですか?」

 

そう言ったら一同ポカンとしてたが俺が違う世界の人という事を思い出してカカシさんが説明してくれた。

 

「ああ、写輪眼っていうのはサスケの一族、まあ訳あって今はサスケ1人だが、そのサスケの一族のうちは一族だけが使える瞳術だ。高い洞察力や術のコピーが出来る。そして千鳥は基本は一点集中型の突き、破壊力とスピードはあるがスピードが早すぎて相手のカウンターを写輪眼なしでは見切ることが難しいからね。そういう意味でサスケは無理だと言ったんだろう。」

 

「高い、洞察力。相手のカウンターを見切ることが大前提。·····なら一応出来ますよ。」

 

「えっ!?出来るのか?」

 

とナルトさんが聞いてきた。

 

「は、はい。その術のコピー?とかは出来ませんが高い洞察力に限って言えば俺は同じ事が出来ますよ。」

 

「で、でもどうやって?」

 

「うーん、まあいいか。」

 

俺はそう言って目を閉じた後にまた目を開けて蒼眼と赤眼になった。

 

「ど、どうなってるのそれ?」

 

「うーん、いやいつの間にか出来るようになったというか·····、まあいいか。家族が死んだ時にこれが出来るようになりました。」

 

「その、すまなかった。」

 

「いや、別にいいですよ。」

 

何かカカシさんがすんごい謝ってきた。俺は取り敢えずこの目の説明をした。そしたらこれでも代用は聞くと言われて、サスケさんに雷の技・・・千鳥を教えてもらう事になった。そして俺とナルトさんとサスケさんはまたまた第三演習場に来た。そしてサスケさんが何か変な紙を出して渡してきた。

 

「これは何ですか?」

 

「チャクラを流し込むと反応する特殊な紙だ。取り敢えずこれでお前のチャクラ性質を見極める。」

 

「気を流し込む。じゃあやりますね。」

 

俺はそう言ってその小さな紙を右手の手のひらの上に置いてその手のひらの上に左の手のひらを重ねて間違えて気弾を出さないように気を入れた。そしたら何か2つの音が聞こえた。

 

「もういいぞ。」

 

「あ、はい。」

 

オープンザハンド!・・・そしてそう思いながらやったらその手のひらにあったのは紙が端っこから切れていてシワが入ってる紙だった。それを見たサスケさんが言ってくる。

 

「お前のチャクラ性質は風と雷だな。なら千鳥の修行を始めるぞ。」

 

「分かりました!・・・影分身でやった方が良いですか?」

 

「お前影分身出来るのか?」

 

「は、はい。」

 

「おう、今朝バッチリできてたってばよ。それに光輝のチャクラ量なら影分身の修行法でやっても大丈夫だってばよ!」

 

影分身の修行法、それは影分身をいっぱい出しといて分身皆で修行してある程度まで行ったら一旦分身を解いてその分身達が得た経験値を本体に還元するという方法だ。簡単な例えで言えば本体は漢字のテストの範囲は勉強してなくても分身に勉強してもらってその分身が術を解いた時、その分身が勉強した漢字は本体もわかるようになってるということだ。

 

「分かった。じゃあ始めるぞ。」

 

「はい!影分身の術!」

 

そんな声が響いた第三演習場から大量の煙と声がこの日は聞こえたという。

 

 

 




光輝、影分身の術を習得!でも先に言っときます、ナルトと違ってあまり多用はしないかも知れません。少なくとも印無しで解除出来るようになるまでは。何故なら話の中でも言ってましたけど影分身にあげた気は消されたら戻って来ないから、これにつきます。影分身はチャクラを等倍にする術です。だからそれをめちゃくちゃな人数にした多重影分身が禁術と言われる所以です。等倍という事は気を半分にまたは3分の1やらにする事。四身の拳を思い浮かべてくれたらいいです。要はあれと殆ど同じ何です。あれの強化版と言うことになります。だから影分身の術を多用出来るようになるのははっきり言ってセル編のあとです(セルは四身の拳を力が分散するデメリット無しでやってたんでそれをヒントに見出すって感じです。)。まあそういう事でまた次回、バイバイ(ヾ(´・ω・`)


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布団にダイブ!·····出来たら良かったな

おはようございます。祝・悟空の日(*゚▽゚ノノ゙☆パチパチ!
謎のタイトル·····というかただ単に思いつかなかっただけと言う。ではでは(∩´。•ω•)⊃ドゾー


「疲れたー!」

 

俺はそう言いながら布団にダイブした。あの後の修行は辛かったー。サスケさん曰く普通なら体づくりから始めるそうだ。だけど俺は界王拳の為にそれはやっていたからその段階は飛ばせた。だけどその後のチャクラの性質変化ってやつと形態変化ってやつの修行が辛かったー。千鳥だけを教えてもらおうと思ってたらナルトさん曰く形態変化なら螺旋丸はその形態変化を極めた術らしい。だから形態変化を極める為に影分身を二手に分かれてナルトさんに教えてもらう螺旋丸組とサスケさんから性質変化を教えてもらう千鳥組に別れた。

性質変化とは気・・・今はチャクラって言うけどそれのタイプみたいな物。チャクラには基本5つの性質変化がある。それは火・風・土・水・雷だそうだ。俺の場合2つの性質変化があった。風と雷でどちらも攻撃的なチャクラ性質だそうだ。これは先天的なもので上忍って言う人達なら基本は2~3個持ってるらしい。

そして形態変化とは気の形を操る事で技の範囲などを決める。こっちは修行次第で皆極められるそうだ。螺旋丸はその形態変化を極めた術なんらしい。だから螺旋丸の修行もしんどかった。水風船とゴム風船を気だけで気弾を出さずに割るとか・・・

 

「でもすげぇじゃねえか!たった1日で螺旋丸と千鳥をマスターするなんてな!」

 

「はぁはぁ、でもまだ応用は出来ませんから明日からはその修行もしなきゃ。」

 

そう、俺は今日1日で螺旋丸と千鳥を出来るようになった。影分身200人だして漸くだけどね。因みにナルトさんは1000人以上に分身出来るらしい。まじか。それに俺が最初に目指した剣に纏わせるとかそういう事は疲れすぎて出来なかった。螺旋丸も投げれるようにならなければ。・・・この世界来てからめちゃくちゃ疲れた。・・・というか今敵が来たらちょっとやばいかも、と本末転倒な事を思ってたらナルトさんの家のドアが開いた。

 

「お邪魔します。ナルト君、光輝君もこんばんは。」

 

「こんばんはです。ヒナタさん。」

 

「よっ、ヒナタ。何時もありがとうな。」

 

「ふふ、どういたしまして。じゃあ直ぐに作るから待っててね。というか光輝君凄く疲れてそうだけど大丈夫?」

 

「ああ、大丈夫です。ありがとうございます。」

 

やっぱり目立つよな。結構汗出てるし。まあ剣とかは隠してるから大丈夫だろう。

 

「あ、いけない。買い忘れがあったわ。ナルト君やっぱりもう少し待ってて、買ってくるわ。」

 

「あ、じゃあ俺が行くってばよ!何時も世話になってるんだからこれぐらいはするってばよ!んじゃまあ行ってきます!」

 

・・・いやまてーい!あなた一応俺の監視役だろ!何ナチュラルに買い物行ってるんだよ!というかヒナタさんと2人とか微妙に気まずいんだけど!?そんな俺のここの叫びは聞こえず行ってしまった。そして少し沈黙が続いたが俺は思った事を言ってみる。

 

「そう言えばナルトさんこの里じゃあ凄く人気なんですね。この前一緒に歩いてた時にめちゃくちゃ声をかけられてたし。」

 

そう言ったらヒナタさんは少し誇らしげに頷いた。

 

「それはそうよ。ナルト君は忍界の英雄なんだから。」

 

「英雄?」

 

「うん、3年前の第四次忍界対戦を集結に導いたの。」

 

「へえ、何か普通に一緒にいる時からそう言う貫禄的なやつがないなぁと思っても凄い人だったんだなあ。」

 

「ふふ、凄いでしょ。・・・というか知らなかったの?」

 

心の中でギクッって言いながら答える。

 

「はい。その、終わらせた人がいるって事は知ってたんですけど名前までは。」

 

嘘です。本当は終わらせたって事の前にそんな戦い自体知りませんでした。忍界対戦·····戦争みたいなものかな?何で人間は争いばかりするのだろう?・・・まあそんな哲学じみた事言ってもわからんから考えないけど。

 

「そうなんだ。そう言えば光輝君は何歳なの?」

 

「え?10歳ですけど?」

「そうなの?すごいしっかりしてるわね。」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

しっかり·····してるかなあ?まあ確かに自分でも言うのもあれだけど同年代よりかはしっかりしてると思うけど。・・・というか同年代に全然もう会ったことないな。小5の友達なんていないしこれからも出来ないだろうし。SAOの時も皆年上だし。それから色々話した。そうこうしてたらナルトさんが帰ってきてヒナタさんの美味しいご飯を頂いてシャワーして寝ようとしたら・・・

 

「光輝、何か腕時計って奴が光ってるってばよ」

 

「あ、本当だ。」

 

俺は時計をポチッと押したらトランクスさんが出てきた。ナルトさんが驚いてるがほっといて聞く。

 

『光輝さん、その世界に行った敵の正体が分かりました!』

 

「分かりました!教えてください。」

 

「お、おい光輝。この人は誰だ?」

 

「うーん、俺の上司?」

 

「何でハテナ何だよ」

 

『あなたはうずまきナルトさんですか?』

 

「おう、そうだってばよ。俺も一緒に聞いていいか?」

 

『分かりました。今からデータを送ります。敵の名前はターレス。俺達と同じサイヤ人です。』

 

そう言ってトランクスさんの顔がその敵の情報の画面に変わった。そして1番に驚いたのは

 

「え?悟空さん!?」

 

肌黒いのと戦闘服と悪そうな顔が無くなれば完璧に悟空さんに被るやつだ。まあ雰囲気で悟空さんではないとは分かるんだけど。

 

『サイヤ人の下級戦士は顔のタイプが少ないそうです。』

 

「悟空さんが下級戦士とか思えないんですが。」

 

というか遺伝少ないなサイヤ人。顔が同じような人ばっかりだったらそれはそれで困る気がするんだけど。因みに悟天さんの小さい頃は悟空さんに瓜二つだったらしい。

 

『ターレスはサイヤ人の生き残りで、ある次元で悟空さん達の地球に来て禁断の実、神精樹の実と言うものを埋めて1度地球を滅ぼしかけました。』

 

何かサラッと恐ろしいこと言ったな。聞けばその神精樹は地球のエネルギーを吸って生えたそうだ。そしてその神精樹からなる実を食えば強くなれるらしい。そして普通なら神精樹の実を植えられた星は滅んでしまう所をその次元の悟空さんは元気玉にその神精樹の実からの元気も貰ってターレスを倒すのと同時にその元気を地球に分けることで地球滅亡を回避したらしい。・・・飛んだドーピング野郎だな。

 

「その神精樹の実をこの世界に持ち込まれたという事はありますか?」

 

取り敢えず俺はそれが知りたい。悟空さんに元気玉を使わせる程のやつがそれを使ってきたら正直勝てるか怪しいからな。

 

『いえ、少なくとも種は持ち込まれてないはずです。そうじゃなければ今頃実がなっているはずです。ターレスは死ぬ間際にその時代に連れていかれんでその傷を癒す間にそれを植えることも出来たはずです。しかしそれをしなかったのは』

 

「元々持っていないからか。成程、でもどんな傷を負ったにせよ結構経ってるからもうそろそろ体も気も戻るはずだ。一際でかい気が出た瞬間俺が向かう。トランクスさん、この世界で動物や人がいない所を探して貰えませんか?そのターレスってやつに接近次第直ぐにその場所に誘導します。」

 

『分かりました。ご武運を祈ります。』

 

その声と共に通信が切れた。俺は布団に倒れたかったがそれを堪えてナルトさん聞いた。

 

「今からカカシさんの所に行ってきますけどナルトさんはどうします?」

 

「もちろん行くってばよ!」

 

それを聞いて俺とナルトさんは出かける準備をして家を出て夜の道を歩いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「成程、事情は分かった。」

 

「はい。ターレスが動き出したら俺が速攻出ます。ターレスは気のコントロールが出来ないそうですからでかい気が出た瞬間に行って被害が出る前に短期決戦をします。」

 

「お、おい。俺達も行くってばよ!」

 

俺はそれを言ったナルトさんに向けて顔を振った。

 

「ダメです。この世界の人達を戦わせる訳には行きません。あんたらの内1人でも死んでしまったらその時点で歴史が変わる。そうしたらそのターレスを連れてきたやつの思う壷です。」

 

「だがお前一人でどうにかなるのか?戦力は多いに越したことはないぞ。」

 

「それでもダメです、シカマルさん。相手は何をするのか分からないんですよ?それに向こうは最悪地球事破壊だってやるかもしれない。そんな奴相手に連れてける訳ないじゃないですか。お願いですからこの里でじっとしててください。お願い・・・ですから。」

 

俺は頭を下げてお願いした。この人達に話したのはただ単にこの里の在住許可が欲しかっただけだしこの人達を戦いに向かわせる訳には行かないから。そう頭を下げ続けてたらある所にでかい気を感じて頭をばっと上げた。

 

「この気は・・・、もう動けるのかターレス。」

 

俺は窓を開けてそこに足をつけた。

 

「お、おい光輝。」

 

「ターレスが動き始めました。絶対に来ないでください!」

 

俺はそう言って静止の声も聞かずに空を駆けた。

 




出ました敵の正体、その名はターレス!·····しょうがないね、サイヤ人編ら辺ならターレス位のしか·····まあドクターウィローとかいるけどあんなでかいヤツ来てたらそれはそれで一瞬で忍びに見つかるだろという。
そしてターレスの存在が分かれば直ぐに動く光輝。
光輝無事に螺旋丸と千鳥を習得!ただ応用やらは命の危険がない時は全然まだ出来ないという。早すぎや!って言う人もいるかもしれませんがナルトやサスケは1人でこの技を習得したんでそれなりに時間がかかったんです。ナルトもまだ影分身修行法やってなかった時代だし。だから影分身修行法をした光輝は当時の2人より早く出来るという。
ではではまた今度です。次は·····月曜日かな?バイバイ(ヾ(´・ω・`)


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邪悪なサイヤ人

おはようございます!愛美·····誕生日おめでとう!まあこっちでは普通に物語が進むんですが。ではでは(∩´。•ω•)⊃ドゾー


俺は飛翔しながら考えていた。

 

(もう直ぐだとは思ってたけどこんなに早いとはな。)

 

俺はそう言いながらトランクスさんから送られてきた人も動物もいない所のマップを見ていた。だが一瞥したら直ぐに前を向いた。そして向こうからも接近してきた奴の拳を止めた。そいつはまだ暗がりだったから途中までは顔が見えなかったが、月の光によって顔が見え始めた。そしたらそいつが口を開いた。

 

「ほう?止めたか。ガキだと思ったらやるじゃないか。」

 

「そいつはどうも。ターレス。」

 

それを言ったら完全に顔が見えた。やっぱりパッと見は悟空さんにそっくりだ。だけどその身に纏う気は邪悪そのものだ。悟空さんとは似ても似つかない。どちらかと言うと一ヶ月前にパトロールした時のベジータさんに近い。だがここら辺で戦う訳にはいかない。まだ少し動物の気があるから誘導かぶっ飛ばすなりしなきゃいけない。

 

「なぜ俺の名を知っている?」

 

ああ、そうか。一応初対面だったな。でもご丁寧に言う必要はないから笑って返す。

 

「お前に教える義理はないな。」

 

「むっ」

 

俺はターレスの拳を自分の方に引いて膝蹴りを食らわそうとしたが右の手で止められた。俺は一旦引いてターレスの目の前で止まった。あの不意打ちを防ぐとはな。いや、不意打ちをよくやるからわかったのかな?―――まあそんなのはどうでもいい。取り敢えずもう少しで誰もいない所だからそこまでぶっ飛ばす!

俺は白色の気を纏い突撃した。そして右の拳を振り抜いた。それ自体は止められたが直ぐに左足を振り抜いて離した。そして離れた瞬間に俺は気を引き上げた。

 

「何!?」

 

俺の引き上げた時に出た風圧に押されてターレスは後退した。それを狙っていた。俺は後退した瞬間に目の前に高速移動してターレスの腹を殴った。

 

「ガはっ!」

 

そのまま俺は回し蹴りをして目的地に吹き飛ばした。そして俺はそれを追ってまた飛翔した。そして気がどこにもない森の近くに来て静止した。そして再び向き合う。

 

「少し油断したな。今度はそうはいかない。お前があいつの言っていたタイムパトロールか。」

 

「・・・ああそうだ。」

 

タイムパトロールの事を知っている、か。こいつを倒すって目的だけどできるなら捕らえたいな。捕らえて歴史を変えようとした奴の情報を得たいところだが·····そんな俺の心を読んだのかニヤニヤしながら言ってきた。

 

「先に言っておくが俺は俺をここに連れてきた奴のことは全く知らんぞ。」

 

「なに?」

 

「そいつから聞いたのはタイムパトロールとか言う奴を殺した後はこの世界を好きにしていいという事だった。まあそれを言ったら直ぐに傷だらけの俺をほっといてどこかに言ってしまったがな。」

 

「成程、じゃあ遠慮なくお前と戦えるという訳か。」

 

「ふっ、そういう事だ。」

 

俺はまた構えをとった。ターレスは仁王立ちをしている。まだこいつの全力を見れてないからまだ分からないけど。

 

――行くぞ

 

そう心の中で言った瞬間に俺はターレスに突撃した。右の拳で攻撃したがターレスは体を逸らして左手で止めた。

ターレスはそのまま右の拳を振り抜いてきた。俺は左手で止めた。

俺はそのまま舞空術で足の向きを上下逆転させた。そしてそのままオーバヘッドの勢いで俺はターレスを地面に叩きつけた。

 

「く!」

 

俺はそのままターレスがいる所に飛び蹴りを食らわそうとしたが地面が割れただけだった。ターレスはゴロゴロしながら転がっていって最後に飛んで着地した。

俺は腰を低くして拳を握って気を今の状態の全力を引き出した。

 

「はああああーーっ!」

 

「何っ!?」

 

俺の今の実力はベジータさん曰く通常状態ならナメック星に最初に来た時の悟空さんぐらいだそうだ。まああの後すんごい修行したからな。何かベジータさんに連れられて重力室とか。2倍3倍と増やしていきその内100倍になったな。しんどかった。何かテレビで人間は100倍の重力には耐えられないとか言ってる人がいるけどそりゃあいきなり100倍やったって耐えれるわけないでしょと思うのが俺の自論である。2倍3倍と引き上げて100倍で過ごすのをディフォルトに出来れば普通に100倍は耐えられる。・・・まあ耐えられるようになったのはこのタイムパトロールに行く結構寸前だったりする。

 

そのままターレスは踏ん張ってるが俺がわざわざ踏ん張り終えるまで待つ義理はない。俺はターレスに向かい右の拳で殴った。

 

「ぐっ!」

 

「だりゃあああーーっ!」

 

そのまま俺は殴り続けようとしたが流石はサイヤ人、俺が与えようとしてる決定打は全て上手く躱したり止めたりしている。

元々感じてた気なら俺に勝算はある。でも何か嫌な予感がする。

 

「ふ!」

 

俺はターレスがそう笑ったのと同時に攻撃をやめて一旦下がった。

 

「ここまでやるとはな、少しばかり貴様の事を舐めてたぜ。貴様、名は?」

 

「・・・西沢光輝。」

 

「西沢光輝?珍しい名だな。」

 

・・・俺的にはサイヤ人の人達の名前の方がよっぽど珍しい・・・くもないか。それならSAOの時の皆の名前もそうだし。もう前も言ったけど俺の中の常識色々ぶっ壊れたから今更名前を気にしてもしゃあない。

 

「どうだ?俺と一緒に来る気は無いか?」

 

・・・・・・勧誘かい!

 

「宇宙を気ままにさすらって好きな星をぶっ壊し美味いものを食いうまい酒に酔う・・・こんなに楽しい生活はないぜぇ・・・。それにこの世界にはフリーザがいないみたいだからな。これほど丁度いい世界はない。」

 

俺は暫くコメントを考えるために油断せず目を閉じて直ぐに返す。

 

「丁重にお断りする。俺に何かを破壊したい衝動なんざないし美味いものは自分で料理するし酒は生憎俺は未成年だ。それに俺は強くなりたいから今タイムパトロールになっている。誰かから逃げる為じゃない。そのフリーザって奴に怯えて生きるお前について行ってもめちゃくちゃつまんなさそうだ。」

 

それを聞いたターレスは途中まではやっぱりなって顔をしていたがフリーザってやつあたりの話になったら怒った顔をした。

 

「俺が怯えてるだと?」

 

「ああ、そうだ。違うのか?」

 

「ふん!俺はいつかフリーザをも超えてやる。神精樹の実を食べ続ければいつかは越えられる。」

 

「そのいつかっていつかなあ。まあお前みたいなドーピング奴についてくなんざどっち道嫌だけどな。それにお前は今神精樹の実の種は無いだろう。その強みすら無くなったお前なんざ敵じゃない。」

 

俺はそう言ってまた気を纏った。それを見たターレスが笑いだした。

 

「クククク、ハハハハハっ!確かに俺は今種は持っていない。」

 

そして戦闘服の中から何かを取り出しながら続けた。

 

「だがいつ、()はないと言った。」

 

そう何か凄いトゲトゲした奴を出した瞬間に俺はターレスに猛スピードで突っ込んで食べさせまいとしたが――――

 

「ふん!馬鹿め!」

 

そう言って気弾で弾幕を張ってきた。その気弾が邪魔で俺はそのまま突っ切ろうとしたが

 

――――何かを食う音がした。

 

「がハッ!!」

 

そして気弾の弾幕から1つの紫色の光が見えたと同時に俺は吹き飛ばされて木々にぶつかってその勢いは止まらずもう何本木を折ったのか分からないほどになって漸く止まったが俺は直ぐに上を向いた。

 

「ちっ!」

 

俺が見たのは数多の紫色の気弾が俺の周りに降り注いでる光景だった。俺はその気弾を縫うように避けて行ってターレスに近づいたが

 

「なっ!?」

 

ターレスが目前に来たら消えた。俺は直ぐに気を感じて後ろを向こうとしたが

 

「遅い!」

 

膝蹴りを食らってくの字に曲がった。

 

「か・・・は」

 

こいつ強くなってる、さっきの倍、その20倍ぐらい強くなっている。そんな思考を一瞬でしたがターレスがくの字に曲がってる俺の頭上で手を合わせてハンマーナックルをした。俺は痛みで反応出来ず地面に突っ込んだ。そしてまた頭上から紫色の気弾がめちゃくちゃ来ていた。

 

「なっ!?うわあああっ!」

 

俺は地面に埋もれながら腕を交差して気弾が止むまで耐えた。そして耐えながら軌道を読んでギリギリ避けた。そして立ち上がるのと同時に

 

「10倍界王拳ーーっ!」

 

俺がそう叫びながら気をコントロールしたら俺の周りを赤いオーラが纏った。これが今の俺に出来る最大の界王拳だ。そして俺は雄叫びを上げながら上にいるターレスに向かった。

 

「なっ!?そいつは」

 

俺は何故かビックリしているターレスをほっといて右腕を振り抜いたが後ろに後退されて避けられたが直ぐに俺も高速移動して追った。そして後ろに回って叩き落とそうとしたが、また避けられた。そして横から気を感じたから俺はまた高速移動でぶっ飛ばそうとしてた攻撃を避けた。そんな応酬が暫く続いたが

 

「クソ!」

 

俺はとうとう見失ってしまった。そして気がついたらまた地面まで真っ逆さまだった。俺は上手く着地した。どういう訳か攻撃をやめたターレスを見上げた。もう周りはターレスの気弾のせいで荒れ果ててる。

 

「貴様、さっきのはカカロットが使った技だな?」

 

ああ、そう言えばこいつ悟空さんに倒される寸前で誘拐されたんだっけ?なら界王拳も知ってるのは道理って訳ね。息を切らしながら返事した。

 

「そうだと言ったら?」

 

「知れたことを、貴様の次はカカロットだ。あの変な技を出されなければ俺が勝っていたんだ。それをあいつは·····」

 

「くだらない。元気玉をされなきゃ勝っていた?笑わせるな、お前はその神精樹の実が無ければ何も出来ないんだろう?お前が言えたセリフじゃない。」

 

俺は界王拳の反動を感じながら言った。向こうは憤怒な顔になってたが知ったこっちゃない。あのクズ野郎といいドーピングしてる奴は勘違い野郎ばっかりだな。

 

「死に損ないが。膝を着き命乞いをすれば許してやろうと思ったがやめだ。」

 

「生憎、俺はそんな事をするつもりは無い。」

 

界王拳の反動で結構体にガタがきてる。割と身体中結構痛い。それに10倍界王拳は後出来て3分ぐらいだ。眼を使うか?でもそれまでやったら正直体と頭の痛みで戦い所では無くなるかもしれない。どうする?

 

「この星をぶっ壊した後にこの世界の真ん中に貴様の墓を立ててやる。俺からのせめてもの贈り物だ。」

 

そう言って俺の方に手を突き出しそこに気を貯めた。

 

「死ねーーっ!」

 

やばい、見た目よりこのエネルギー弾気がこもってる。地面にぶつけたら·····やばい!俺はそのでかいエネルギー弾を止めるべくまたもや界王拳を発動させてそのエネルギー弾の所に向かい止めようとしたが

 

「ぐ、ぎぎぎ!」

 

歯を食いしばっても進行を遅らせただけで根本的な解決になっておらずそれどころか状況は余計に最悪になっている。

 

(くそ!やっぱりリスクを恐れずに使うべきだった!)

 

ジリジリ――――――空にいるから変な擬音だが――――――地面に近づいている。

 

「ふはははは!どうした?死は近いぞ?」

 

そう笑いながら言ってくるがそれどころではない。俺はジリジリ押されてとうとう地面に足をついた。それでも耐えてみるが界王拳も時間切れになってきて倍率を上げるどころか上げたらもう自滅してしまう。赤眼も同様。

だけど俺は・・・俺は

 

『ちゃんとオフ会には来てね?』

 

頭の中で響くお姉ちゃん(レイン)の声、俺は泣きながら返した。約束した。だから·····だから

 

「こんな所で死ぬ訳には行かないんだーーっ!」

 

そう言った瞬間にどういう訳かエネルギー弾がふっと消えた。俺は訳がわからず前を向いたがそこに来たのは黒マントの人とオレンジ色の人だった。この組み合わせはどこかで見た事がある·····何でこの人達がこんな所にあの里から結構離れてるのに。そして上からもう1人が降ってきた。

 

「な、何であなた達が?」

 

そう言ったらオレンジ色の人が振り返って言った。その目はあのクラマさんの目と横向きの太い線がある目だった。そしてその背中には何か黒く丸い物体もある。

 

「忍びの世界で掟やルールを破る奴はクズ呼ばわりされる。だけどよ、仲間(・・)を大切にしない奴はそれ以上のクズだ。」

 

俺は後ろめたさから顔を下げながら言った。

 

「でも、俺はあなた達を拒絶したんですよ?仲間だなんて・・・」

 

「そんな事ねえよ。お前は俺達に危機を知らせてくれた。それだけでもうお前は俺達の仲間だ!」

 

そう言って全員が・・・サスケさん以外が振り返った。

サクラさんにナルトさんだった。

 

「でも・・・あいつは強いですよ。」

 

「ああ、正直俺達でも勝てるかは怪しいってばよ。だけど・・・」

 

「?」

 

「やってみなくちゃわからねえだろ?俺達なら絶対に勝てるぜ、光輝!」

 

そう言ってとびきりの笑顔を見せてきた。

 

「はい!」

 

俺は3人の真ん中に来た。そして見上げるとターレスが降りてきて俺たちより少し上で止まった。腕を組みながら言ってくる。

 

「どこの誰か知らんが俺とやろうってのか?神精樹の実を食べ続けてきたこの俺に、勝てると思うのか?」

 

違う!そんなものは力じゃない!そんな虚構の力に価値なんざない!力はそんな簡単に得られるものなんかじゃない!苦労して努力して・・・そして誰かのおかげで初めて得られるものなんだ!それを俺達が証明してやる!」

 

俺はそう言って再び白色の気を纏った。

 

「死に損ないが!いいだろう、だったらそれを真っ向からぶっ潰して俺が正しいと言う事を教えてやろう!」

 

ターレスは紫色の気を纏った。

 

静寂が夜の荒廃した森を支配した。俺が1歩踏み出した瞬間俺とターレスは動いて真ん中で激突した。真ん中にクレーターを作りながら俺とターレスは乱撃戦をした。そして俺は吹っ飛ばされたが直ぐに立て直した。立て直した時に声が聞こえた。

 

「影分身の術!」

 

それが聞こえた瞬間、夜空がナルトさんで埋め尽くされた。

 

「なんだと!?」

 

「行くってばよ!」

 

「ちっ!だが実体は1つだけだ!」

 

そう言って気弾を撃ちまくった。俺は直ぐに向かおうとしたが

 

「少し待って!」

 

「さ、サクラさん?」

 

俺を止めたのはサクラさんだった、俺に両手を当てて何か緑色の光が出てる。俺の傷がどんどん無くなって言った。後に聞いたが医療忍術と言うらしい。

 

「凄い・・・」

 

「さあ、驚いている暇はないわよ。」

 

「はい!」

 

俺は答えながら再び戦場に駆けた。そして叫んだ!

 

「ナルトさん!スイッチ!」

 

一瞬言っても分からないと思ってしまったが、雰囲気で分かったのか直ぐに引いた、そして俺は再びターレスと拳をぶつけた。

 

「ぐ、はああああーーっ!」

 

「調子に乗るなぁーーっ!」

 

そのまま気を出し合って押し合いをしていたが押されてる。だけど俺は1人じゃない。

 

「ふっ!」

 

横からサスケさんが千鳥を出しながらターレスに攻撃しようとしたがターレスは見た目的にやばいと思ったのか押し合いをやめて直ぐに引いた。だがそんなターレスの上空にサクラさんがいた。

 

「しゃんにゃろー!」

 

「ふっ、」

 

そう言ってまたターレスはスレスレでジャンプして避けたが・・・

 

「何!?」

 

「俺達を忘れるなってばよ!」

 

「はっ!」

 

俺はターレスが大量にいるナルトさんにビックリしている不意をついて気合い砲を放った。そしてそれに反応出来ずターレスは吹っ飛ばされた。そして隣にいたサスケさんとナルトさんの1人が一瞬で入れ替わった。これには俺もビックリした。だって隣にいたと思った人がいきなり変わったし。

 

そして・・・

 

「仙法・超尾獣螺旋手裏剣!」

 

「炎遁・須佐能乎加具土命!」

 

そう言ってえぐいぐらいのエネルギー弾を2人とも形成した。俺も準備をする。

 

合計10個の莫大な技を2人は俺が気合い砲で更に飛ばしてナルトさん達と同じ目線になっているターレスに放った。だがターレスもタダでは終わるはずもなく、吹っ飛ばされながらも気功波を放った。・・・感じる気から言ったらターレスが強いのに、2人は負けていない。

 

「俺は・・・俺は全宇宙を膝まづけさせるターレスだああああっ!」

 

そう言って気功波を大きくして――――――相殺した。俺は動いた。ある印をしながら向かった。周りは煙に包まれて何も見えない。

 

「死に損ないが!」

 

「ぐっ!」

 

「かハッ!」

 

だがターレスは大技を放って少し止まってしまった2人に一瞬で接近しておそらく腹辺りを殴った。2人の呻き声が聞こえた。だけど俺は止まらない、

 

(2人が作ってくれたこのチャンス、ラストアタックは絶対に無駄にはしない!)

 

そう思って俺は突撃した。2人が落ちて来る所だったがナルトさんがクナイを投げた。それ自体は避けられたが、避けた瞬間にそのクナイがふっと消え、その変わりにいたのはサスケさんだった。さっきのと同じように交換したんだろう。そしてその変わった瞬間にサスケさんは横らへんに自身の刀を少し浮かせた、そして俺の隣辺りにいたナルトさんと剣の位置を変えた、俺は刀を出した瞬間に何をやるのか分かったから直ぐに横に手を伸ばして刀を回収して俺の剣も出した。

 

「そんな手に引っかかるかーっ!」

 

「うわあああ!」

 

「ぐっ!」

 

ターレスは振り向き様に広範囲の気功波をした。俺はその間にも突撃したが

 

「調子に乗るなと言ったはずだーーっ!」

 

「ぐっ!かハッ!」

 

俺は首を掴まれた。そして動きが止まった。止まってしまった。

 

「ふっ!ハハハハハ!どうした?このままじゃ死ぬぞ!俺に見せてくれるんだろ?ん?」

 

そう言って勝ち誇った顔で言ってくる。だが・・・

 

「ああ、見せて·····やるさ!」

 

ボン!

 

「何!?」

 

そしてその分身が消えた時のほんの少しの煙が出た瞬間に俺は直ぐにターレスの真ん前に来た。ターレスは俺も出来るとは思わなかったんだろう、影分身の術。俺は分身が持っていた刀を真ん前に来る前に回収してた。そして今朝からの修行で出来るようになった技を発動させた。

 

千鳥!

 

俺はそう叫んで普通の用途とは違うが2つの剣に千鳥を纏わせた。·····ここに来る前は出来なかったがナルトさんのサスケさんの、そしてサクラさんが作ってくれたこの好機、絶対に逃しはしない!俺は赤眼と蒼眼を出しながら言う。

 

(キリト、技借りるぜ!)

 

そして思い浮かべるあのアインクラッドで見たあの美しい二刀流16連撃ソードスキル・・・そしてそれを使う親友。

 

「ふっ!」

 

「グワアア!」

 

俺は一撃目でターレスの胴体を切り裂いた。そしてそれを気分的に言う

 

「スターバースト·····ストリーム!」

 

ライトエフェクトは出ないがそれは千鳥が変わりにそれっぽくなっている。俺はどんどん切り裂いて行った、その間にめちゃくちゃ叫んでたが知ったこっちゃない。

 

「俺が·····負けるかーーーっ!」

 

16連撃目をしようとした所でターレスが振りかぶった。そのスピードは速かった。だけど・・・

 

「お前とは背負ってる物が違うんだーーーーっ!」

 

俺は蒼眼によってギリギリ回避しそして最後の左突きをした。

 

「うわあああああーーっ!」

 

千鳥との相乗効果も相まって叫びながら腹に穴を開けながら吹っ飛んだ。そのターレスの周りには千鳥のあとが残っていた。だが俺はまだ終わらない。自分の剣を収めて直ぐに新たな技を形成した。あの水風船とゴム風船を割ったあの修行、あの今も手に残るあの感覚を今出した。そして今俺の右手には青い玉が形成された。だけどあいつを倒すにはまだ足りない。

 

(こんなんじゃ・・・足りない!)

 

俺は気を入れて螺旋丸を大きくしようとしたが今までの戦いで気がもう結構無くなって俺はふらっとしてしまった。

 

(こんな所で倒れる訳には・・・)

 

「1人でやろうとするなってばよ。」

 

耳に響いた優しげな声、この世界に来た時からずっとお世話になった人の声。そしてその人が俺の右手に手を添えた。そして右手にある螺旋丸がどんどん大きくなって行った。俺の頭上がもう螺旋丸でいっぱいになった時、ナルトさんはオレンジ色の光は無くなった。その瞬間に拳を突き出して落ちながら言ってきた。

 

「行け!光輝!」

 

この技にある暖かさ、ナルトさんや皆の思いを感じ俺は思わず少し泣いたが

 

「はい!」

 

そう言って俺は前を向いた。腹に穴空いてるのに気合いで浮いてるだろうターレスは俺と似たようなでかいエネルギー弾を出した・・・だけど

 

「だけど、負ける気はしない!」

 

俺は無意識に深紅のオーラを纏い

 

「螺旋丸!」

 

「死ねぇぇえええっ!!」

 

互いにぶつけあった。一瞬均衡したが―――

 

「な!?ぐ、うわああああああーー!」

 

俺の·····いや俺達の螺旋丸がその均衡を一瞬で打ち破って満身創痍のターレスにぶつけた。そしてその螺旋丸は俺の手元を離れて空に舞った。そしてその内急上昇して――――――断末魔の悲鳴を上げながら爆発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




超オリジナル設定·····ナルト飛雷神の術を使う。すいません、こうすることでしかターレスのエネルギー弾を回避できなかったんですごめんなさい。
後ナルトとサスケとサクラファンの人達ごめんなさい。それぞれひとつかふたつ位しか出番なかった。でも言い訳すると長期戦になったら負ける確率の方が多いと思ったので超短期決戦にしました。
ではではまたです。アンケートをしています。良かったら答えてください。


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別れ

おはようございます!昨日はボルスミの小説を出してこっちは出しませんでした。ごめんなさい。でもまああっちは結構気まぐれというかシチュエーションが浮かんだらやるって感じなんで基本はこっちをやるんで安心してください。
では(∩´。•ω•)⊃ドゾー


(ここは·····どこだ?)

 

俺は知らない天井·····ではなくよくよく見たらナルトさんの家の天井だった。

 

「お!起きたってばよ!お前凄く寝てたな!」

 

「ちょっとナルト、まだ怪我人なんだから待ちなさい。光輝君大丈夫?」

 

そんな感じでナルトさんとサクラさんがこっちを覗いてきた。

 

「あ、はい。大丈夫です。あまり痛くないですから。もしかしなくてもサクラさんが治してくれたんですか?」

 

「うん、まあね。でも半分位はあなたの回復力の賜物よ。」

 

·····そう言えば何か前より力が湧き出てきてる。何でだ?まあ今度トランクスさん辺りに聞けばいいか。俺はそう思って体を起こしてナルトさんとサクラさんを見た。

 

「そうだ、ターレスはどうなりました?」

 

「ああ、もうあいつのチャクラは完全に消滅したから大丈夫だってばよ。そう言えばお前の上司から連絡が来たぞ。ゆっくり休んでから帰って来てくださいだと。」

 

「·····もしかして俺がくたばってる間に勝手に時計から出てきました?」

 

そう聞いたらコクコク頷いてる2人·····何かここまで来たらこの人達俺の事を忘れられるのかなあ?そんな事を思いながら俺は状態を確認する。傷はサクラさんが治してくれたのか無くなってる。道着はボロボロ、破れてる所が多々ある。けどまあ洗えば使えるな。俺もこの格好が1番好きだし。·····この道着の姿が蒼赤の戦士の俺の姿·····俺の原点だから。

そう感傷に浸っていたらナルトさんがカカシさんの所に一緒に行こうと言ったので俺はこんなボロボロじゃちょっとあれだからナルトさんの小さい頃の·····ナルトさんが12歳頃に着ていた服を拝借した。

そして俺とナルトさんとサクラさんは火影室を目指して歩いてた。

 

「そう言えばナルトさん」

 

「ん?なんだってばよ?」

 

「駆けつけてきた時にターレスのやたらとでかいエネルギー弾を消してましたよね?あれどうやったんですか?全く見当もつかないんですが。」

 

「ああ、あれは飛来神の術って言って俺の父ちゃんがよく使ってた術だってばよ。と言っても俺も最近漸く出来るようになったんだけどな。マーキングをした所に自身や物を飛ばす事ができるんだってばよ。あの時俺は影分身で海の方にマーキングをしてきてそれであのチャクラの塊をその海に飛ばしたって事だ。」

 

「な、なるほど。」

 

どうしよう?その術会得したい。

 

「因みに飛来神の術は会得難易度Sランクで螺旋丸よりもムズいぞ。」

 

「あれよりムズいの?」

 

「おう!まあ俺的には螺旋手裏剣の方が苦労したってばよ。」

 

あの螺旋丸を手裏剣みたいにしてた術か。確か螺旋丸に風遁の性質変化を入れたんだっけ?でも確かナルトさんがめちゃくちゃ影分身しても習得するのに時間がかかったんだっけ?·····というかナルトさん必殺の技なら教えてくれないような気もする。

 

「何ならこの術達の修行法を巻物にしてあげるぞ。」

 

「えっ!?良いんですか!?」

 

「おう、良いってばよ!お前には今回凄く世話になったからな。それに俺もお前がこの術達を使ってくれたら嬉しいしな!」

 

「あっ、じゃあ私も医療忍術の修行法を書いとくわ。あなたやり方知りたいみたいな顔をしてたもんね。」

 

「いいんですか?」

 

「ええ、でも修行は辛いわよ〜。」

 

「うぐ」

 

帰ったらやる事がいっぱい増えたなぁ。・・・というかもう帰らなきゃいけないのか、残念。もうこの世界にはパトロール以外で来る事はないと思うし。本当に短い間だったけど凄い世話になったな。·····というか結局冷蔵庫の中の物使わなかったし。

そんなこんなで火影室に到着。入ったらあの面子が揃った。

 

「光輝君、もう大丈夫なのかい?」

 

「はい、お陰様で。明日の朝には帰らせてもらいます。今までありがとうございました。」

 

「うん、こちらこそ。君がいなきゃ誰も止められなかったそうだからね。感謝するのはこちらの方だよ。」

 

「いえ、それが俺の仕事なんで。·····それでその、言わなきゃいけないことが」

 

「俺達の記憶から君やターレスって奴の記憶が無くなることかい?」

 

「はい。」

「まあ、予想はしていたよ。君の言い分だと本当はターレス何て現れなかったんだから。」

 

「はい…、」

 

俺は暫し無言になった。短い間だったけどお世話になった人達から俺の記憶が消えるっていうのは結構くる。そしてその後は俺は何か自由行動する事になった。俺はぶらぶらしていたがアカデミーなる所に来てみた。俺は昔の学校生活を思い出しながら·····はっきり言えば愛美との思い出を思い出しながら近くのブランコに座っていた。あまりの懐かしさに目元が潤んでるが、何とか耐えていた。そんな時に俺は声をかけられた。

 

「そんな所で何をやってるんだ?うん?君見覚えがないな?」

 

そう言って近寄ってきたのは中忍のベストを着て顔に真一文字の傷?みたいな物がある人だった。その人は俺を見ていたがふっと笑ってきた。

 

「な、何ですか?」

 

「いや、君のその格好でそこに座っていたらナルトの事を思い出してね。」

 

「これ、ちょっと訳あってナルトさんに借りてるんです。·····ナルトさんの知り合いですか?」

 

「ああ、自慢の生徒だ。」

 

ナルトさんが今の俺がいるのはアカデミーの先生のおかげだってばよって言っていた。確か名前は・・・

 

「イルカさん?」

 

「そうだ。ナルトから聞いたのかい?」

 

「は、はい。イルカさんのおかげで今の自分がいるって言ってました。」

 

「そうか、あいつ·····。君はナルトとはどういう?」

 

「えっと、ちょっと訳あってナルトさんの家に居候させてもらってます。まあ、明日には帰るんですけど。·····ナルトさんってこの里じゃ凄い人気何ですね。」

 

「そうだな、今じゃ里の英雄だからな。だけど最初からああだった訳じゃないぞ?」

 

「そうなんですか?」

 

「ああ、最初はアカデミーでドベの成績で落ちこぼれと言われていた。」

 

ちょっと想像出来なかった。今の俺はナルトさんが成長した後のナルトさんにしか会っていなかったからというのもある。

 

「だがあいつは色んな方と出会ってそして師事をした。そしてどんどん強くなっていった。だけどな、その時にナルトが1番落ち込んだ時があったんだ。」

 

「ナルトさんが1番落ち込む?」

 

いつも笑ったりしていたナルトさんにもやっぱりそんな時はあるんだなと思って聞いた。そして返事が

 

「ああ、ナルトの師匠、自来也様の死だ。」

 

「お師匠さんが死んだ時·····」

 

それは·····辛かっただろうな。俺が思った通り両親がいないならそのお師匠さんは父親かおじいちゃんのような人だったはずだ。人を殺める事や殺められる事があるこの世界、だけどそれが大切な人だったら辛いはずだ。

 

「だけど、ナルトは悲しみ乗り越え立ち上がった。そして自来也様の意志を継いだ。自来也様を殺した連中と戦い、勝った。そして話し合いをしたらしい。そのおかげでカカシさん達は今生きている。」

 

俺は顔を下げたまま聞いていた。イルカさんが続けようとしたその時

 

「光輝!イルカ先生!」

 

ナルトさんが手を振りながら走ってきた。

 

「ナルト、どうしたんだ?」

 

「ああ、いや明日には光輝が帰っちまうからよ。ヒナタにそれを話したらご馳走を作るって言って俺はお前を連れ帰るように言われたんだってばよ。」

 

「あ、わかりました。あのイルカさん、その続きは」

 

「ああ、いつでもしてやる。行ってこい。元気でな」

 

「はい、ありがとうございました。」

 

心の中で謝りながら言う。俺が帰った時にはもう皆から俺の記憶は消えるからだ。·····そうしなきゃいけないのはわかってるんだけどね。俺はその後ナルトさんとナルトさんの家に目指してた。

 

「イルカ先生と何を話していたんだってばよ?」

 

「ナルトさんのお話ですよ。」

 

「ええ!?俺の?」

 

「はい。·····そのナルトさんの歴史を帰ったら見てもいいですか?」

 

そう言ったらキョトンとされるから説明する。

 

「その、あっちにはこの世界の歴史の巻物みたいなものがあるんです。それでナルトさんの歴史を見てもいいですか?」

 

「ああ、いいぜ!別に減るもんでもないしな。でも何か恥ずかしいってばよ!」

 

俺はその後ナルトさんと話しながら帰り、そして家に到着後、何か凄いご馳走をヒナタさんが作って待ってくれていて一緒に食べた。そしてその後も戦いに関する話し合いやらをして電気を消した。ヒナタさんは俺の見送りを行きがってたがめちゃくちゃ朝早いから迷惑だから大丈夫と言って最後の別れをした。

 

「光輝、この3日間ありがとうな。」

 

「こちらこそ、色んな技や·····一緒に戦ってくれた事は忘れません。」

 

「おう。·····家族には心配かけるなよ。」

 

「·····分かりました。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日の朝早い時間、もう最近毎日来てる気がする第三演習場に来た。あの火影室に来たメンバーは全員いた。そして俺は皆に振り向いて別れを言った。

 

「その、今までありがとうございました。」

 

俺は頭を下げながら礼をした。

目にもう涙が溜まろうとしているが我慢して顔を上げた。

 

「こちらこそ、ありがとうね。」

 

カカシさんがそう言ったのを皮切りに各々言ってきた。そして最後にナルトさんが

 

「光輝、影分身をしてみろってばよ。」

 

「えっ?どうしてですか?」

 

「いいからいいから。」

 

俺は疑問に思いながら印を組んだ。

 

「影分身の術」

 

隣にボンと言いながらもう1人の俺が出てきた。ナルトさんがもういいと言う事なので消した。そして今度は目を閉じろと言われたから目を閉じた。·····何か頭辺りでゴソゴソされてる。

 

「もういいってばよ。」

 

そう言って俺は目を開けた。何か頭のおでこ辺りに感覚が·····そう思い俺はおでこ辺りに手を置いた。何か金属特有の触り心地がする。

 

「これってもしかして」

 

「ああ、木の葉の額当てだってばよ!俺達がお前と一緒に戦った証だ!」

 

俺は嬉しくなり涙を出しながらお礼を言った。何かナルトさんも地味に泣いてた。だけどこれだけじゃなかった。何かこれまた地味にサイズがある巻物を渡してきた。

 

「もしかしてこれは·····」

 

「ああ、お前に教えてない術の修行書みたいなもんだ。帰ってからやってみてくれ。いつかその術がお前を救ってくれるはずだ。」

 

「ありがとう·····ございます。」

 

もう俺の顔は涙でぐちゃぐちゃだ。だけど胸の中は嬉しさでいっぱいだ。俺は涙を拭いながら、お礼を言った。そして今度は出来るだけ笑った。

 

「皆、この3日間ありがとう。俺絶対皆の事は忘れないよ。皆が教えてくれたこの力で歴史も守ってみせるから。」

 

「ああ、元気でな。光輝。」

 

ナルトさんが拳を突き出したので巻物を左手に移して俺も合わせた。そして俺は腕時計を操作して光に包まれた。そしてその光が晴れるまで俺は手を振り続けた。

 

 

 




次回でNARUTO編最終回です。·····まあ先に言えばナルト達は出ませんが。ではバイバイ(ヾ(´・ω・`)


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手紙

おはようございます。今日はナルトに言われた通り一旦元の世界に帰る話です。まあ誰とも話しませんが。
(*´∇`)ノ ではでは~


ナルトさん達の世界から帰って来た俺はトランクスさんの労いを貰った。その時にトランクスさんに気になった事は言っといた。

まず第1に相手はやっぱり俺たちの事は知っている。そして目的はダメージエネルギーの回収。

そしてターレスが使った神精樹の実、あれはおそらく敵の力か何かで効果が上がっていたということ。

そして2つ目は個人的に聞いた。何かターレスとの戦い後力が湧いて来ると言ったら1度死の淵から治ったからでしょうと言われた。何でもサイヤ人は溺死から回復すると強くなるという。·····流石戦闘民族と言われるだけあるな。

そして俺はある事をトランクスさんに言って1日休暇を貰った。改変があればすぐに飛んでくけども。俺は懐に入ってる大事な物を持ってある所に行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「懐かしいなぁ。」

 

俺は目の前の光景を見ながら呟いた。今俺がいる所はあの最初の死闘があった高台だ。取り敢えず夜中だし目立たないだろうという考えで来た。ナルトさんにはああ言われたがやっぱり·····

 

(すいません、まだ会う訳には行かないんです。会おうとしない俺を許してください。)

 

俺はそう思いながら櫂さんの家に向かってポストに結構太めの封筒を入れた。·····因みに今俺は巻物にあった変化の術というやつで姿やら変わってるから分からない·····はず!

 

「次は光貞さんだな。」

 

そう言って人目がないのを確認して舞空術で空を舞った。そして光貞さんマンションのポストにも内容は違うけど同じぐらいの手紙を入れた。その後は健作さんにも入れといた。後新井先生にも·····同じ学校か分からないけど。こっちは差出人に俺の名前は書かなかった。他の人にあまり知られたくないからな。

 

(本当は愛美にもあげたいけど愛美の気も住んでる場所も知らないからなぁ。)

 

俺は泣く泣く愛美に手紙をあげるのは諦めた。そして空から街を一望した後に戦いの後の原宿に向かった。そこにあったのは綺麗になっていた原宿だった。だけどまだ道路が凸凹になっていた所があり、少し罪悪感が出たが自分にはどうする事も出来ずに心でごめんなさいと言いながら高台に戻った。夜だからか街も綺麗だった。

 

(俺が守った景色·····か。)

 

俺は暫く感慨に浸ってたが太陽が出て来ているがもう1つ行く場所がありそこに向かった。

 

「皆、久しぶり。2年間来れなくてごめんなさい。」

 

俺は家族のお墓の前にいた。あまりお墓のルールは分からないけど取り敢えずお水をお墓にかけて綺麗にしといた。そしてしゃがんで手を合わせた。

 

「SAOの時、俺を激励してくれてありがとう。」

 

悟空さん達の世界にはあの世があるらしい。だからってこの世界にもあるのかは分からない。だけど今、俺を皆が見てくれてる·····そんな気がした。

 

俺はもう周りが明るくなってるから誰もいない事を確認し時の巣に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕が起きた時、外からポストが開いた音がした。まだ新聞は早くないかと思い僕は外に出た·····が誰もいなかった。昨日は重症の患者が来てずっと手術室にこもりきりだった。そして容態が安定したから今日は帰ってこれた。

あの笠木と光輝君の激闘から2年、世界は1人の少年と引き換えに平和を手に入れた。あの大爆発で映像は途切れた。そしてその後についたニュースで戦いの地はボロボロだった。そして2人の体はどちらとも見つからなかった。光貞さんがあの大爆発でと言って説明してきた。楓はもうその報告が来た時は泣きまくった。そして数日間も食事を取れずただ泣きじゃくった。僕も影では泣いていた。だがまだ希望が消えた訳では無いと当時は思った。何故なら何となく、光輝君は生きていると思ったからだ。自分の希望という事はわかっている。だけど·····どうしても光輝君の死が認められない。

咲良はまだ真実を知らない。光輝君は武者修行の旅をしているという·····だいぶ無理だと思ったがアニメとかが好きらしい咲良には通じた。·····流石に上級生辺りになったら通じないからその時になったら言おうという事になっている。咲良は今か今かと光輝君の事を待っている。光輝君がもう旅立ったと言った時はもう泣きに泣きまくられたな。でもしょうがない。咲良は光輝君の事を本当に好きだったからな。·····楓が1度光輝君を婿に取ろうとか言った時はビックリしたけど。

そんな思考になりながら僕はポストに向かって小さな蓋を開けた。

 

「中々大きい封筒だな。」

 

差出人は·····

 

「·····えっ?」

 

西沢光輝、そう差出人の所に書かれていた。住所や郵便番号は書かれていないけど名前だけは書かれていた。最初はイタズラか?と思ったがこの字は光輝君にそっくりだ。僕はそう思った瞬間に家に飛び込み夫婦の寝室を開けて楓を起こした。

 

「楓、起きて楓!」

 

「んう、俊樹どうしたの?」

 

僕は黙って封筒の差出人を見せた。そしてそれを見せて5秒ぐらいで眠そうな顔から完全に覚醒した顔になった。

 

「えっ?光輝·····君?」

 

「僕はこれから見る。楓も見るかい?」

 

「そんなの·····当たり前でしょう。」

 

僕達はリビングに降りた。そして電気をつけてテーブルに座る。そして封を開けた。そこにあったのは手紙と写真だった。まず写真は何枚かあったが取り敢えず手紙を読む。

 

『櫂さん、楓さん、そして咲良へ。

取り敢えず最初に言うのは俺は生きています。でも訳あってまだ帰る訳には行きません。許してください。俺があの爆発の後目覚めた場所は知らない所でした。誰かに揺さぶられながら起きた所は何か森の中でした。その世界·····《ソードアート・オンライン》という世界で俺は2年間過ごしました。』

 

「えっ!?SAO!?」

 

隣で楓が驚いている。僕も内心は驚いていた。だってそれは·····

 

「何で光輝君がSAOに?だってあれはアニメや小説でしょ?」

 

そう、SAO·····正式名称ソードアート・オンラインというアニメや小説は2009年に小説になりそして今年にはアニメ化をしているフィクションだ。実在するわけがない。僕達は取り敢えず読み進める事にした。

 

『その世界は所謂平行世界って所だった。そのソードアート・オンラインって世界では100層からなるアインクラッドって所を全部制覇しなきゃ行けない所で俺は最初元の世界に帰るために100層を目指してた。1人で。誰にも迷惑をかけず1人で戦って。そこにいた人達を死なせたくなくて、何でも無理をして。でもある時夢見ちゃって、家族が離れてく夢。俺は怖くなって、接してきてくれた人たちを拒絶しました。そうする事で皆が守られるって勝手に思っちゃったんです。』

 

僕は読みながら内心めちゃくちゃ心配をした。そんなのは無理だと思った。光輝君には誰かがついていなくちゃ·····壊れる。実際光輝君がまだいた時夜中にも修行を何かに取り憑かれたようにしたのを楓が泣いて怒って辞めさせた事だってあるのだ。

 

『でも、そんな俺を引っ張いた人がいました。写真の1枚目の人がそうです。最初は凄くビックリした。だって死んだお姉ちゃんにそっくりだから。声もそっくりだった。唯一違うのは髪の色ぐらいだったし。その人·····レインさんは俺が間違ってるって、俺が笠木を殺したとしても俺は悪くないって言ってくれた。ハグして撫でてくれてそれがどうしようもなく嬉しくて情けなくめちゃくちゃ泣きました。その後皆にも謝りに行ったんだ。俺の大事な仲間達。2枚目がそうなの。』

 

僕達は手紙についていた写真を見た。そこにあったのは光輝君の頭に手を置きながら優しげな顔が写ってる写真だった。その写真の光輝君はとびきりの笑顔だった。そして確かにレインさんは光輝君の姉にそっくりだった。僕達が光輝君のお家の遺品整理の時に出た写真のお姉さんと瓜二つだった。

そして写真の2枚目の集合写真みたいな物·····僕と楓は絶句した。

 

「これってキリトだよね?で隣にいるのはアスナだよね?」

 

僕はあまりアニメとかに強くないがその2人が主人公とヒロインという事は知っている。キリトが光輝君の隣に立って写真に写ってた。そして写真をじっと見た楓がまた驚いてた。

 

「これってディアベルとそれにキバオウ?何でこの2人が?それに月夜の黒猫団までいる。全然知ってるSAOと違う。」

 

僕達は取り敢えず読み進めた。

 

『そしてそのSAOが始まって丁度2年後に祭りがあったんだ。その祭りである人とキリト·····2枚目の写真の俺の隣にいる真っ黒な人とそして俺が戦ってめちゃくちゃ早いけどソードアート・オンラインはクリアされた。まあ詳細は帰ってきた時に取っておくよ。それに手紙じゃ言い表せないし。』

 

それを残念に思いながら楽しみにして待つ事にして僕と楓は読み進めた。

 

『それでクリアされた後、皆に別れを言った後俺は光に包まれてそれで気がついたらまたまた知らない所だった。封筒の最後にある写真の人達が今俺が一緒にいる人達です。皆良い人ですよ。修行はちょっとあれだけど。』

 

僕達は何枚もあるSAOの写真を横に置いて最後の写真を見た。また絶句した。

 

「これって·····悟空?それに悟飯と悟天とトランクス?」

 

それは今言った4人と光輝君が写ってる写真だった。·····もうSAOの写真だけでも驚きなのに最後にこの人達とは·····。流石にこの人達は疎い僕でも知ってる。ドラゴンボールの主要人物達だ。知っている服装とは全然違うが間違いない。その4人が光輝君を取り囲んで写真は取られてる。

 

『今俺がやってる事を書きます。今俺がやっているのはタイムパトローラーと言う仕事です。あらゆる時代、あらゆる次元、そしてあらゆる歴史を悪い奴らから守るのが仕事です。まあそうは言っても俺は3回ぐらいしかパトロールに行ってませんけども。これを直接言ったら絶対に止められると思った。だからごめんなさい、直接会うことはまだ出来ません。今歴史を変えようとしている奴との戦いが終わるまで或いはある奴と戦う時以外は帰れません。それは明日かもしれないし1週間後かもしれない。或いはそれ以上だと思います。帰ったら絶対にお礼をします。だから、今は俺が行くことを許してください。恩を返すまでは絶対に死にません。』

 

「ばかあ!」

 

僕は楓の背中を撫で続けた。僕はもうあまり驚かないようになっていた。光輝君が言うなら本当なんだろうと、それに証拠もあるから疑う余地もない。

 

『最後に、咲良には本当にごめんと思っています。帰って来た時に何か欲しいものをあげるから許してと言ってください。じゃあまたいつか、会いましょう。俺はもう大丈夫です。これからも色々迷ったり苦しい事や悲しい事があるだろうけど、良い人達と一緒だから。だから皆も立ち上がってください。またね!』

 

そう書かれて手紙は終わった。暫くは楓と2人で泣いていた。それは生きていた事の安堵かそれとも帰らないって言った理由への悲しみかどちらかは分からなかった。

 

ただ祈った。光輝君が元気で帰ってきますようにと。

 

 




超久しぶりの櫂さん視点。悩んだけど時間の流れは一緒って事にした。ではまた今度です(*`・ω・*)ゞ


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ドラゴンボール フリーザ編
戦犯王子


今日からフリーザ編です!ただギニュー特戦隊とか出ませんけども。だって今の光輝と戦ったら光輝普通に勝てちゃうし
ではどぞ(っ´∀`)っ


俺がここに来てから1年が経過した。俺は今日も今日とて修行をしていた。

 

「ふっ!」

 

俺はある物がついたクナイを投げた。それを向かいの相手·····トランクスさんは剣で弾いた。そしてその弾かれてクルクルしているクナイの場所に俺は飛んだ(・・・)。飛んだと言っても舞空術で飛んだ訳では無い。文字通りトランクスさんの真ん前をクルクルしてたクナイの所に瞬間移動した。そしてクナイを掴んで振った。トランクスさんはまた剣でガードしてにっと笑って弾いた。俺はバク転しながらまた構えたが、トランクスさんが解いたから俺も解いた。

 

「今日はこれで終わりにしましょう、光輝さん。」

 

俺としてはさっきの奴·····飛来神の術を練習したかったがまあ無理は良くないからな。俺もクナイを帯にぶら下げてる入れ物に入れた。何か特注品で中に入ってる奴の重さが分からないぐらい軽い。俺は了承して何か貸してもらってる家に行こうとしたがその時に走ってきた小柄の人が

 

「光輝君、歴史の改変があったわ。だからタイムパトロールをお願いするわ。」

 

「今度はどこですか?」

 

俺はその人·····時の界王神様に聞いた。小柄だけどここで1番偉い人だ。

 

「悟空君達が初めてフリーザと戦った時の歴史よ。」

 

そしてトランクスさんが移動しながら補足してくる。

 

「フリーザは宇宙の帝王と言われた程の強敵です。今の光輝さんでも厳しいですが何とか悟空さん達を守ってください!」

 

「分かりました。フリーザってターレスが言っていた奴か、どんなやつだろ。」

 

「俺も1度フリーザを倒した事はありましたが·····」

 

そう言って顎に手を当てて考えてるトランクスさんに聞いた。

 

「どうしたんですか?」

 

「·····はっきり言うなら超サイヤ人になれなければ厳しいです。」

 

超サイヤ人、悟空さん達サイヤ人の人達がなれる姿。惑星ベジータ、ベジータさんの故郷では1000年に1人と言われた伝説の戦士と言われてるそうだ。·····でも皆さんもパカすかなってるけど。俺は·····まだ出来ない。もう基本戦闘力ならいいはずなんだけんどなあとは言われた。悟空さんに。

俺達はそんな話しをしながら刻蔵庫に来た。そして巻物を渡された。

 

「では光輝さん、頑張ってください。健闘を祈ります。」

 

「はい。行ってきます!」

 

俺はそう言って光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺が目を開けた時に見た景色は·····緑だなあと思った。事前に聞いた情報によるとここはナメック星という所であのピッコロさんの故郷らしい。そしてそんなナメック星のある所からでかい気を感じた。

 

(これがフリーザか、確かに凄い気だな。ターレスと戦った頃の俺なら多分持久戦で負けたな。)

 

「だけど今ならいけるはずだ!」

 

俺は右手に握っている赤色の布についている額当てを見て額に巻き付けた。縛り終えるのと同時に

 

「よし!行くか!」

 

俺は空を駆けた。直ぐに集団が見えてくる。悟飯さんとクリリンさんと何かミニピッコロさんみたいな人と·····ベジータさんだった。この頃から仲良くなったのかな?・・・流石に早いか。

 

「また虫けらが死にに来たか。全く、どこの誰かは知らないがそんなに死にたいのなら望み通り殺してやる!」

 

そう言って禍々しい紫の気を纏ったフリーザ。何か身長ちっこいな。だけど俺も油断せず構えた。そして周りに言った。

 

「俺の事は気にしないでもいい。俺もこいつをぶっ倒したいのは同じだから。」

 

3人とも―――あのミニピッコロみたいな人は隠れてて見えないが―――それを胡散臭そうに聞いてたが今はそんな場合じゃないと思って構えをとった。

 

「たった4匹のありが恐竜に勝てると思うか?」

 

「何て気だ、こんなの勝てるわけないぜ。」

 

クリリンさんが弱音を言ったが

 

「いや、勝てる!貴様ら3人とこの俺を入れれば何とか勝てるぞ。貴様達は地球にいた時より強くはなっているしそして何より、俺はもうすぐ目覚められる·····超サイヤ人にな!」

 

マジか、ベジータさんもうなれるのか!と思ったのも束の間、ベジータさんも気を高め始めた。その気は普通にこの世界では短時間という事を考えたら凄い伸び幅だ。基本戦闘力ならターレスと戦った頃の俺を超えてる。やっぱり自分でエリート言うだけのことはあるなあ。

そして激突した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその激突から2、3分後両者離れて会話をし始めた。

 

「変身しろフリーザ。」

 

·····なんでやーーっ!そんな俺の心の叫びはほっとかれ変身した。

 

「一気に最終形態になってやる!」

 

気合一閃

フリーザを中心に爆風が巻起こった。

 

「こいつは·····確かにやべぇな。」

 

そのフリーザから感じた気は今の俺を軽く超えていた。それに·····何かこいつと似たような気がこの星に近ずいてきてる。それもあの禍々しい気も混じって。ここにいる連中は戦いに·····もっと言うならフリーザの変化に驚きすぎて周りに気を配ってる余裕がない。

 

(さあ、どうするかな。)

 

俺はこの後の戦い方に思考を割いた

 




本当にここのベジータさんやらかしたなとは思う。ベジータが気を逸らしてクリリンの気円斬で1発で上手くいけば倒せたのにな(第2形態の時通じたし)。
次回、光輝対フリーザ!


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光輝対宇宙の帝王

おはようございます。(*´∇`)ノ ではでは~


「はああああ!」

 

「きぇぇえええ!」

 

俺とフリーザは雄叫びを上げながら激突した。そして互いに高速移動で出たり消えては周りにクレーターを作っている。他の人は今あのミニピッコロさんみたいな人·····デンデに回復して貰って俺達の戦いを見て入る隙を見つけようとしている。

あの後俺達はフリーザに戦いを挑んだ、ドラゴンボールで復活したピッコロさんも来たが·····強かった。一言でフリーザを言うならやっぱりそうだ。

 

(強い、10倍界王拳をしてるのに全然届かない。)

 

俺は内心めちゃくちゃ焦っていた。界王拳のリミットはまだ大丈夫だがまだ遊ばれている。

 

「どうしたんだい?もう限界かな?」

 

「さあな?」

 

俺はフリーザの背後にいたベジータさんに注意を向けないようにしょうもない会話を続ける。

 

「貰ったあーーっ!」

 

そしてベジータさんが手刀でフリーザの首をはねようとしたが

 

「な―――っ!」

 

「ベジータ、君もその程度なのかい?所詮、伝説の超サイヤ人なんてただの伝説だったんだ。」

 

フリーザは防御も何もせずに腕を組みながらその手刀を受けた。そして結果はただ首を少し動かしただけだった。

 

「く、クソーーーーーーっ!」

 

そう言ってベジータさんは空に行った。・・・何かこの光景はデジャブなような。

俺はその間に離脱して成り行きを見守った。ベジータさんは両手を突き出してそこにエネルギーを貯めた。

 

(って普通にナメック星ぶっ壊れる位だと思うんだけどそれ。)

 

俺はそんな懸念を抱いたがフリーザをじっと見る。やっぱりあのエネルギーに恐れてる節はない。·····通じない。

 

そしてそのエネルギーがフリーザ向けて放たれたがフリーザは奇声を上げながらそのエネルギーを蹴り返した。フリーザの圧倒的な力に皆唖然としている。俺も全部の攻撃が見えるわけじゃない。そしてフリーザはベジータさんに処刑宣告したがその前にとか言って指先に気を溜めた。そしてある所に放った。

轟音と共に横たわっていたのは·····

 

「デンデ!」

 

デンデだった。·····予め聞いていたとはいえ罪悪感で胸がいっぱいになる。そしてそんな驚いている俺達をほっといてフリーザは動いた。俺にも見えないスピードで動くといつの間にかベジータさんを殴っていた。そしてその後は·····もう酷いの一言だった。トランクスさんも本当は見たくないはずなのに。

ベジータさんはフリーザの尻尾に首を巻かれている。背中の戦闘服ももうボロボロだ。思わず目を逸らしたくなったがその時に気を感じた。

暖かく優しい気だった。そしてその気がこっちに凄い勢いで来た。その人は·····

 

「悟空!」

 

「お父さん!」

 

悟空さんだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悟空さんが来てからの状況は良くも悪くもなかった。少なくともさっきよりはマシだった。だけど俺も悟空さんもあまり長く界王拳が出来ない。そしてそんな時に悟空さんは一気に気を引き上げた。そして

 

「20べぇ界王拳にかけるしかねえ!」

 

20倍だと、そんなの体が持つか分からないしそして何よりそれで勝てるかは分からないのに。だが悟空さんはやってのけた。俺も思わず少し吹き飛んだが体勢を整えた時にはもう殴っていた。そしてまた殴った後に腰に手をやりエネルギーを溜めた。そしてそれを放った。

 

「はあーーーーーっ!」

 

そしてそれをフリーザが抑えている。そしてそんな拮抗状態が続いた時、大爆発が起きた。

 

(どっちが勝ったんだ?)

 

俺は気を探る事も忘れて見た。そしてそこにいたのは少しボロボロになっただけのフリーザだった。

 

「今のは痛かった·····痛かったぞーーーっ!

 

「悟空さん!」

 

その後は力を使い果たした悟空さんが一方的にやられていた。俺も戦いに入ったがなすすべもなく吹き飛ばされた。そしてぶっ飛ばされた後に悟空さんを見たら手を空に上げてる。あれは·····

 

「元気玉か!」

 

そこで通信が入った。

 

『元気玉を撃つ時まで何とか悟空さんを守ってください!』

 

「ラジャー!」

 

俺はそう言って再び赤色の気を纏った。

 

(やっぱり対抗するにはこれしかないか、)

 

俺は目を蒼色にして右目を昔のカカシさんがやったように額当てをズラした。

 

(こいつでどこまで見切れるようになるか·····或いは時間切れになるか、その勝負だ!)

 

俺はその後フリーザに1人で戦いを挑んだ。そして問うた。

 

「おまえは何で·····何で罪もない人達を殺すんだ!」

 

「ふっ、何でだと?そんなのはそいつらが弱いからだ。僕は宇宙最強ではないとダメなんだよ。そしてそれを証明する為に僕は殺す。そして奪うものは奪う!これが強者の権利ってやつだよ。」

 

俺は猛烈に怒っていた。こんな奴の為に死んだ人達·····ただ平和に生きたかった人達。そしてこいつ或いはこいつの仲間に抵抗したけど届かずに散った命。確かにこいつが滅ぼした奴の中には同じぐらい罪もないやつを殺した奴らだって·····サイヤ人の人達だって殺しをいっぱいしたと聞いている。それについてトランクスさんに謝られた事だってある。だからってこいつがやっているのはただ自分の力を証明したいだけだ。それなら殺す必要なんてない。一緒に高めあえたらそれでいいじゃないか。何で·····そんな物の為に殺すのかが分からない。

人の命を·····なんとも思っていない。

 

ふざけるな

 

俺はフリーザに接近し先ずは殴ろうとしたが手のひらで止められた。そして今度はフリーザがさっきまでの俺なら見えない速度で顔面辺りを殴ってきた。さっきまで(・・・・・)ならな。

俺はその高速殴りを顔を逸らして躱しそしてまた殴ろうと拳を振り上げ殴ろうとしたがそれももう片方の手に止められた。

そしてその手を離して俺とフリーザは手を勢いよく掴みあって力比べをした。だが俺は律儀にそれを続けるつもりは無い。俺はフリーザの手を無理やり動かした。そしてある形にした。

 

「貴様何グアっ!」

 

途中で変な声になったのはフリーザが俺が自分の手と俺の手で何かをやろうとしたからだろう。そしてその隙をついて俺はフリーザの顎を蹴りあげた。流石にこれはきいただろう。そしてそのままフリーザを踏み台にして蹴飛ばした後に俺は残りの印をした。·····見てると格好良いが実際やるとなったら嫌なランキングで上位に入るであろう忍術。

 

「火遁!豪火球の術!」

 

「何ッ!?」

 

驚いている、そりゃそうだろ。いきなり火を吹くとは思わないし。あの皆がくれた巻物に書いてあった·····のでは無く巻物でナルトさんの歴史を見ている時にサスケさんが使っていたから取り敢えずやってみたら全然出来なかった。まあ俺のチャクラ性質は雷と風だから当たり前っちゃ当たり前かもしれないけど。でもその後めちゃくちゃ頑張った。頑張れば出来ると思ったからだが。何故ならカカシさんも色んな術を使っていたからだ。なら理論上誰にでも努力すればいけるはずだと思ったのだ。

そして最近漸く出来るようになった。·····何かパトロールギリギリで出来るようになる事が多いなぁ。

そしてその豪火球の術がフリーザを包んだと思ったらフリーザは消えて避けた。そのまま豪火球は下の湖?に落ちた。

 

そして後ろを振り向きながら俺はクナイを出して投げた

 

いきなり飛んで来たから焦っただろうに顔を逸らして躱した。そして俺は躱された瞬間にこれもまた漸く出来るようになった術、飛来神の術でマーキングがある投げたクナイの所に飛んだ。それはもう瞬間移動と遜色ないスピードで·····まあ実際瞬間移動のような気がしないことも無い。そして俺は投げたクナイを左手で取りながら右にあの術を出した

 

(借ります、ナルトさん!)

 

「螺旋丸!」

 

俺はがら空きの背中に螺旋丸をぶつけた。何か喚きながら吹っ飛んだフリーザは直ぐに体勢を整えた。フリーザはすんごい俺を睨んでいるが俺はそんなもん無視して悟空さんの少し離れた所にクナイを投げた。何故なら·····

 

「よおぉぉし!出来たぞ!おめえ離れてくれーーっ!」

 

もう元気玉が出来ていたからだ。俺はその声を聞いた瞬間にまた飛来神の術をして悟空さんの隣に行った。そして振り下ろされる両手·····フリーザが元気玉を受け止めながら喚き散らしているがそのまま押し切られた。

 

「伏せろーーっ!」

 

俺と悟空さんは伏せた。そして伏せた瞬間に星を揺るがすほどの振動と地形変化が起きた。

 

 




この作品の今の所の序列(それぞれの全力状態で)
悟空=ベジータ>トランクス=悟飯>悟天>光輝

因みに全力状態は悟空とベジータと悟飯は超サイヤ人4、トランクスはゴット、悟天は潜在能力解放です。
光輝は今の所10倍界王拳と赤眼(2倍〜4倍)で理論上は最高40倍出来るけど頭も肉体も痛くなったら戦いどころじゃないという。

あとすいません、やっぱり気とチャクラは別物にしました。だってやっぱりそうじゃないとナルトの分身の整合性が取れないので。本当に(ó﹏ò。)スイマセンッ。
チャクラ→精神エネルギー的な
気→肉体エネルギー的な
チャクラは光輝の場合サスケ以上ナルト未満って事で。

光輝、相手の腕も使って印をする高等技術をする。あのオビトとカカシの戦いの時のあれやね。
では(*^-^*)ノ~~マタネー


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最凶

おはようございます!今日はダブル投稿です!(このダブルは2話という事ではなくもう1つの作品の事を言ってます)
では(∩´。•ω•)⊃ドゾー


俺は今ナメック星の空を飛行している。あの後の事を一言で言うならもう·····悲しいし凄いという事だ。・・・一言じゃないな。

あの後俺達は運良く残った小さい小さい島に海からはい出た。俺は直ぐに身を隠したがな。そして悟空さん達が何か喋っていたが俺は違う所から近ずいてきてる気に気を取られてた。だがそんな時にクリリンさんが震える声を上げた。そして俺も顔だけその方角を見たが·····絶句した。

フリーザは生きていた。あんな馬鹿でかい気の塊をぶつけられたのに生きてるとか·····

そんな俺の絶句はほっといてその後はもう·····酷かった。ピッコロさんが胸辺りに細長いビームをされて倒れ、そして·····クリリンさんが空中に持ち上げられて悟空さんの懇願も無視されて·····爆発させられた。俺はまたもや目を閉じた。

そして俺は無意識に怒りが出ていたらしく気が上がって行ったが、それは悟空さんもだった。悟空さんの髪が金色になったり黒色になったりを繰り返した。その悟空さんから感じる怒気は俺が今まで見てきたどの悟空さんも超えていた。そして気が一気に爆ぜた。俺は思わず目を閉じた。そして再び目を開けたらそこにいたのは

 

「悟空·····さん。」

 

髪の毛が金色になりそして髪が逆だった悟空さんだった。

 

(めちゃくちゃ怒っている。クリリンさんは親友って言っていた。そしてもう地球のドラゴンボールでは生き返れないということも·····)

 

そして悟空さんは悟飯さんにピッコロさんを連れて自分の宇宙船に行けと言った。その時の口調も俺の知ってる悟空さんより荒々しかった。そして今度は俺に振り向いた。

 

「おめえ、ここまでありがとうな。だがこいつの相手は俺がする。だからおめえには悪いがもう1つの気の所に行ってくれねえか?」

 

それは俺も考えていたから二つ返事をする。

 

「はい。分かりました。悟空さんも頑張ってください。クリリンさんの仇を·····取ってください!」

 

俺はそう言って空を駆けた。俺はポケットにあった仙豆を食った。そしてさっきの話とベジータさんの死に間際に悟空さんに言ったことを思い出してた。

 

(フリーザは超サイヤ人が出ることを恐れてサイヤ人を皆殺しにした·····か。イラつくったらありゃしない。ベジータさん·····泣いてたな。)

 

俺はベジータさんの最期を思い出してた。あの人が誰かに頼るなんてな。本当は自分の手でフリーザを倒したかった筈なのに。·····まあ時の巣にいる方のベジータさんならあのフリーザを瞬殺出来そうな気がするが。

 

(俺は何の為に戦うのか·····。悟空さんは誰かを守る為、そして勝つ為に。ベジータさんはサイヤ人の王子の誇りをかけて。トランクスさんは歴史を守る為。)

 

そんな思考になったがそんなものは本当はわかりきっている。

 

(俺が戦う理由は)

 

「俺の大事な人達を守る為、これに尽きるな。」

 

そう言って俺は止まった。そして目の前から来た4人組を見る。その4人共紫の気を出しているがさっきのフリーザ程じゃない。だけどやっぱり気になるのは1番後ろにいるやつだ。フリーザにそっくりだ。

そして問いかけられる。

 

「貴様、何者だ?」

 

顔が水色の人に聞かれた。だけどタイムパトロールって馬鹿正直に答える訳にはいかないからな

 

「さあな、だったら無理やり聞き出してみろよ。」

 

「貴様、俺達を舐めるなよ!」

 

「行くぞ!ドーレ、ネイズ。」

 

そう言って3人は何かポーズを取りながら「クウラ機甲戦隊!」って行って来た。俺は構えを取らず両手の人差し指と中指をクロスして言った。

 

「影分身の術!」

 

ボン!そんな音と共に左右から2人の俺が緑色の人と茶色の人を迎え撃った。俺も水色の人と戦う。そしてそんな最中俺はトランクスさんに問いかける。

 

(トランクスさん、この4人は倒すんですか?それとも追い返しますか?)

 

『この4人は本来この歴史には出なかった人達です。この4人が悟空さん達の戦いに乱入したら歴史がめちゃくちゃです。ここでその4人を倒してください。ですが、奥にいるクウラは気をつけてください。そいつはフリーザの兄です。』

 

「あ、兄だと!?」

 

俺は水色の人の拳を取って腹を殴って後退させた時にそう叫んだ。

 

(フリーザの兄貴か·····クソ、少しやばいかもな。)

 

『後5分程で増援が来ます。それまでは耐えてください!』

 

(増援?でも悟空さん達はまだ違う任務に行ってるはずだし、)

 

「考えたってしょうがない。」

 

何か水色の人が腕にエネルギーをやってブレードみたいにしている。俺も背中の2つの剣を出した。今の俺のふたつの剣はあの頃の剣とそっくりだ。ブルーレッド・オブウォーリアとウォーリア・ビヨンド・ディスペアー、最初のこの2つはお姉ちゃんが作ってくれたがこの2つは時の巣にいる鍛治職人さんが頑張って作ってくれたものだ。素材は流石に2つとも別々という訳にはいかなかった。何故ならウォーリア・ビヨンド・ディスペアーはその前身の2振り、ブルーブラッドとレッドブレイクをインゴットにしてそしておじいちゃんの剣もインゴットにしてその3つを合わせたものだったからだ。

だからこの2つの剣にはそれぞれ詳しくは分からないけど2つ以上の物体を1つの所謂インゴットのような物に出来る貴重な物もめちゃくちゃ頑張って探しに行って元々の材料と合わせて鍛治職人さんに頼んだ。

材料は永久氷塊の中にあった蒼色の薔薇の花達·····何であんな所に咲く事ができたんだろうとは思ったが。

そして煉獄の炎が蠢く火山のてっぺん付近にあったその世界の中にではもう何年前からそこにあるのかすら分からない、そして誰も近ずけずに取られた事が無かった鉱石だ。何故か離れたあともめちゃくちゃ熱かった。これが運ぶのが1番辛かった。だけどそのおかげで良い剣が出来た。·····まあ鍛治職人さん達はもうやりたくないって顔をしてたけど。出来るのにめちゃくちゃ時間かかったし。

もう感謝してもしきれないな。

 

そんな思考になりながら水色の人と戦っていたが一気に勝負を決めにいった。ブレードと俺の剣がぶつかる瞬間に俺は千鳥を剣に纏わせた。そしてその人のブレードを突き抜けて腕を切った。·····何かもうこういう事に躊躇い無くなってるなー俺。まあ悪人と常識外のやつに限るけどな。

そして何か叫んでいるが知ったこっちゃない。

 

そして俺は右の剣で右から斬った、そしてまた同じ剣で今度は左から斬った。更にコマのように一回転しながら左から斬った。そして最後に右から左上で斬って吹っ飛ばした。

 

(片手剣ソードスキル、ホリゾンタルスクエアだ。)

 

そう心の中で付け加える。そして最後に斬った時に1番後ろの親玉の所にやったのだが·····

 

「ふん、役立たずめ!」

 

そう言って尻尾でその水色の人を下にある海っぽい所に叩き落とした。

 

(こんにゃろ、一応仲間だろ。)

 

「グアアア!」

 

「がハッ!」

 

そんな2つの声の主も親玉の所にぶっ飛ばされたがその2人とも同じ所に叩き落とされた。俺はそれを見届けてから影分身を解除した。そして親玉を見る。その親玉が話しかけてきた。

 

「貴様不思議な技を使ったな。どうだ?あいつらの代わりに俺の部下にならんか?」

 

「誰がてめみたいな最低野郎の部下にならなきゃならんのだ。」

 

「ふっ、そう言うと思ったがな。成程、タイムパトロールと言うだけあってそれなりに強いようだな。」

 

こいつも俺たちの事を知っている、か。

 

「お前の目的は何だ?」

 

「弟がサイヤ人に負けそうなんでな。弟が負けるのは構わんが一族に恥をかかせるサイヤ人は俺が殺さねばならん。貴様も邪魔をするならば·····殺す!」

 

敵討ちって訳でもないわけね。俺は剣を納めながら敵の·····クウラの出方を伺う。クウラも組んでた腕を解いてその冷徹な目で俺を見てくる。そして一瞬の静寂の最中俺達は同時に動いた。

 

俺もクウラも右の拳をぶつけ合った。そしてそのまま押し合いになったが俺は一旦引いた。だが寸前に向こうも引いた。そしてそのまま殴り合いに移行した。

 

だがクウラが動いた。俺の攻撃をガードしたら直ぐに上空に移動した。俺も追った。だがそれを見たクウラがニヤッとした。そして振り向いた。右の手にはエネルギーが集まっている。そしてそれを放ってきた。

 

「チッ!」

 

俺はそのエネルギー弾を両手で抑えた。クウラはどうやらこのまま押し切るみたいらしい。

 

「う·····おらああああああああぁぁぁ!」

 

俺はそのエネルギー弾を気合いの掛け声と共に上にやった。そのエネルギーはナメック星の空を突き抜けて行った。だがそんなものを見送る暇なんて無く俺はまだ上空にいるクウラに突撃した。クウラは気弾の雨を降らしてきたが避けていきそしてクウラの真ん前まで来てまた拳をぶつけた。

 

「ほう?地球人だと思ったらやるじゃないか。」

 

あーそうか、そう言えば俺は地球人の時の肉体と魂をベースにサイヤ人になったから見た目は地球人の時のまんまなんだよなあ。だがまあそんな事を懇切丁寧に教えてやる義理はないから素直に返しとく。

 

「そいつはどうも。」

 

「だが宇宙最強はこの俺だ!」

 

「宇宙最強ってさっきフリーザも言ってたけどぶっちゃけどっちが強いんだよ。」

 

時間稼ぎで聞く。後2〜3分位で増援が来るらしいし。拳を合わせながら問うた。

 

「俺に決まっているだろう!」

 

そう言って力を出してきたが俺も負けじと力を入れて拮抗状態になった。そして刹那、クウラが高速移動で消えたから俺もあとを追う。そして移動しながら俺達は殴り合いをした。

そして俺の拳がクウラの腹を捉えた。

 

「グハッ!」

 

そしてほんの少し離れた瞬間に俺は後方に宙返りしながらクウラの顎を蹴った。心の中で付け加える。

 

(体術ソードスキル、弦月!)

 

あの世界のソードスキルの動きは本当の達人の人から見れば動きは無駄があるかもしれない。だけど俺の剣技はあの世界で磨いたものだ。誰がなんと言おうと俺はあの世界の剣技で戦い抜く!·····まあ弦月は体術だけど。

 

そんな俺の思考はほっといてクウラは少し上に吹っ飛んだ。俺は追撃するべきかどうか迷ったが嫌な予感がし止まった。クウラは俺と同じぐらい目線の所で止まった。そして口元を拭いながらこっちを見てきた。

 

「俺から1本取るとはやるではないか。」

 

こいつの余裕は何だ?確かこいつはフリーザの兄貴だ、だけど今はっきり言うなら俺の方が強い。·····まさかこいつ

 

「後1回」

 

そう言って人差し指を立てた。

 

「後1回だけ、俺は弟よりも多く変身が出来るんだ。」

 

「なっ!?」

 

「光栄に思うが良い、俺の究極の変身を見られるのは貴様が最初で最後だ!」

 

そう言ってクウラは気を高め始めた。そして体が肥大化して何か顔から突起物が出てきた。そして話しかけてきた。

 

「貴様はもう終わりだ!」

 

そう言ってクウラの口辺りが何か隠された。俺はあまりの気の嵐に思わず目を隠した。

目を開けたら変身したクウラが襲いかかってくる所だったから俺は高速移動で離れて上空に行ったが

 

「グハッ!!」

 

俺の移動先にもうクウラがいた。そして叩き落とされた。俺が叩き落とされた場所は湖だった。だが直ぐに何故か湖が開けた。そして次の瞬間

 

「なっ!?あ·····ああ」

 

嘘だろこいつ、ただの上からの蹴りで湖を裂きやがった。オマケにその勢いのまま俺を蹴り抑えた。

 

「どうした?この程度か地球人。」

 

そんな事を言ってくるがあまりの痛みに返す余裕が無い。裂かれた湖が戻ってくるのに合わせてクウラはまた上空に戻って行った。俺は戻ってきた湖の中からクウラがいる所を見上げた。

 

(影分身の術!)

 

俺は一気に20位の分身を出した。そして一部で湖から出た。

最近何か分かった事だがもしかしたら俺達が言う気とナルトさん達が言うチャクラって別物かもしれない。

その根拠はやっぱりナルトさんの行動だ。俺は最初影分身をやると気が分身達にも行っているからてっきりパワーもスピードも全てその別れた分身の分個人個人の力は減ると思ったがナルトさんの歴史を見てみるとナルトさんあまりパワーが落ちてなかったりスピードも1人の時と大差なかったり。

だから俺は気とチャクラは別物という結論に至った。·····まあだから俺のチャクラ量がどの程度か分からないけど。俺はナルトさんみたいに影分身1000体以上は無理だからナルトさん以下だとは思う。でもまあ修行しだいでチャクラは増えるらしいからこれからかな。気もチャクラもどっちも枯渇したらアウトだけど。

 

「「行くぞーーっ!」」

 

分身たちが殴りにかかっている。

 

俺達湖居残り組は分身が変化して風魔手裏剣になった。そしてボンボン消えていく分身達が皆離れた瞬間に分身風魔手裏剣をクウラに投げた。そしてそれと同時に俺も突撃した。残り2人の分身もクウラに殴りかかった。クウラは手裏剣を普通に躱したが

 

(まあ予想どうりだな。)

 

ボン!という音共に変化分身は元の俺に戻った。

 

「何!?」

 

これ初見でやったら皆驚くよな。俺も驚いたし。そんぐらい有効って事だけどな。そして俺は四方から殴ろうとしたが

 

「俺を舐めるなああーーっ!」

 

一瞬消えたと思ったら気を解放して俺諸共全員ぶっ飛ばされた。俺は直ぐに体勢を整えたが整えた瞬間に目の前にクウラがいた。俺は蒼眼になりながら10倍界王拳もやり勝負を挑んだ。だが·····

 

(クソ!動きは見えるようになっているのに肝心の体が追いつかない!)

 

「うわあああーーっ!」

 

俺は地面に叩き落とされかけたが飛雷神のマーキングがついたクナイをクウラの後ろ側に行くように投げたがクナイ諸共破壊された。避けた瞬間に飛雷神しようと思ったのにな。俺は地面にぶつかる瞬間に気を出してブレーキを駆けた。そしてクウラが待つ上空に行きながら呟く。

 

「はあ、はあ。強い。フリーザ以上は伊達じゃない。」

 

俺はそう言いながら自分の状態を確認。気も正直に言うならもう後3割位しかない。出血も所々ある。

 

だがそんな事を思っていたらクウラがいきなり下を向いた。俺は訝しげに下を見た。そしてその瞬間に閃光に包まれた。

 

 

 

 

 

 




光輝対クウラでありました。ゼノバース2でも出たから良いだろという暴論。
最凶の一族の因縁?それは悟空よりあの人の方があるだろ!·····もう半分ばらしたようなものである。
ではまた次回バイバイ 


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伝説の力

おはようございます。
今日はお待ちかねのあの人が登場!ではどぞ(σ・∀・)σ


俺は思わず閉じてた目を開けたらナメック星が崩壊し始めてた。

 

「フリーザめ、やはりあいつは甘い。」

 

クウラがそんな事を言っている。そこでトランクスさんから通信が入った。

 

『フリーザがナメック星ごと破壊しようとしたんです。ですがフリーザは自分もダメージを受けるのを恐れ中途半端に破壊されたんです。ですが後5分程でナメック星は爆発します。それまでにクウラを倒さなければ行けません。』

 

まじか、星爆発か。

 

「まあいい、取り敢えず貴様を殺しサイヤ人も殺し俺は脱出しよう。」

 

「くっ!」

 

俺は体に鞭打って構えをとる。だけど仙豆はもうないし気も少なくなってる、そして額から流れてきた血が目にかかった時に思わず目を閉じた。

 

「がハッ!」

 

俺が目を閉じた一瞬で空いてた間合いを詰められ腹を殴られた。そして多分エルボーされて俺は意識が一瞬飛んだ。俺はそのまま下に落ちて行ったが、途中で意識を取り戻して気功波を撃ち返した。だがそれすらも突き抜けて俺に迫った。そしてエネルギーを右手に溜めている。

 

(これを食らったらやばい!)

 

俺はガードしようとするがクウラの方が速い。俺の腹にその拳がぶつかる瞬間

 

「ぐおっ!」

 

そう言ってクウラは何故か俺から見て右側に吹っ飛んだ。俺は思わずそのクウラを蹴飛ばした人の後ろ姿を見た。

 

「悟空·····さん?」

 

でも、悟空さんの格好ではない。でもだからと言ってターレスみたく邪悪な気って訳でもない。俺がこの人の事を考えていたらその人が振り返りながら言ってきた。

 

「小僧、それでもサイヤ人か!」

 

やっぱり悟空さんではない。赤いバンダナに頬に傷があり、そして何より緑を貴重とした戦闘服。でもベジータさんみたいなやつじゃない。ベジータさんみたいな全身タイツみたいな物の上に着ている訳じゃないからだ。サイヤ人であることは間違いないが誰かは分からない。俺は名前を聞いた。

 

「あの、あなたは?」

 

「俺はカカロットの父親、バーダックだ。」

 

「·····えっ!?悟空さんのお父さん!?」

 

ベジータさんは悟空さんの事をカカロットってよく言っているから分かった。だがそんな俺の困惑なんぞほっとかれバーダックさんはクウラに視線を向けた。

 

「ほう?これがフリーザの野郎の兄貴か。」

 

「貴様は一体何者だ?そして何の用だ?サイヤ人である時点で貴様を殺すことには変わらないがその度胸に免じて聞いてやろう。」

 

「けっ!そんなものは決まってる!どうやらフリーザを殺すのはダメみたいだからな。貴様で我慢してやる。」

 

そう言ったバーダックさんの様子が変わった。一瞬爆ぜたと思ったら今度は髪が金色に染まり重力に逆らって逆だった。そしてそのバーダックさんから感じる気はさっきの黒髪の時から50倍位に跳ね上がった。そして金色の気がバーダックさんを包んでいる。

俺はこれと同じ現象を知っている。さっきの悟空さんと同じだ。という事は

 

「超·····サイヤ人」

 

俺は思わずそう呟いた。

 

「なっ!?何だ?その変わりようは!サイヤ人は大猿にしかならないはず」

 

「情報が古いぜ。」

 

そう言ったバーダックさんが消えた。そして気がついたらクウラは吹き飛ばされてた。そしてまた閃光が走ったと思ったと同時にクウラがバーダックさんに滅多殴りにされてた。

 

「強い。あのクウラを一方的に」

 

クウラは血反吐を吐いているがバーダックさんはお構いなく殴り続けている。

 

(何か·····寧ろストレス発散?)

 

でもその動きの中には歴戦の戦士の動きが出ている。悟空さんのような武術の動きでは無い。どちらかと言うと荒削りだ。だけどそれを経験でカバーしている。いや、あの人は無意識でやっているんだ。経験でカバーとかなんて考えていない。ただ戦闘で得た動きとかを使っている。あんな動きを出来るようになるまでどんだけ戦ってきたんだろう?

 

俺は蒼眼でも未だに霞んで見えるバーダックさんの動きを見ながらそんな思考になる。だがそんな思考も切れた。何故ならバーダックさんが上空にクウラを蹴りあげて両者止まったからだ。バーダックさんはクウラをただ見上げクウラは忌々しそうにバーダックさんを見下げている。

 

「ゆ、許さん!絶対に許さん!」

 

「へっ!てめぇの許しなんかいるかよ!」

 

至極最もである。何か·····やばい感じがする。

クウラは忌々しそうにバーダックさんを見ていたが何故かふっと笑った。

 

「ふ、ふふふ。成程、これが伝説の超サイヤ人か、成程。確かに宇宙一だ。·····俺さえいなければなぁ!」

 

そう言って高々と腕を振り上げた。そしてクウラの上空にめちゃくちゃな気の塊が出た。

 

「こいつにはもう崩壊寸前のこの星を吹き飛ばす程のエネルギーがある。避けてもいいがどっち道貴様達は星の爆発に巻き込まれ終わり。受けても例え超サイヤ人と言えどもタダではすまん。この勝負は俺の勝ちだ!」

 

バーダックさんの反応はない。俺は傷だらけの体で声をかけながら向かう。

 

「バーダックさん、俺も手伝·····」

 

「小僧!お前は来るな!」

 

「ふっ、諦めたか!だがもう遅い!見事だったぞ超サイヤ人!だが宇宙最強はこの俺だァァァ!」

 

そう言ってクウラはそのエネルギーをバーダックさん目掛け投げた。

だけど·····

 

「へっ!その程度のパワーで俺が負けると思ったのか?俺も舐められたものだな。」

 

迫り来るエネルギー弾を見てもそんな事を言っているバーダックさん。だがそんなバーダックさんの右手には気が集中している。そして·····

 

くたばるのは·····てめぇだああああーーっ!

 

そしてその気で気功波を撃った。そしてクウラのエネルギー弾とバーダックさんの気功波がぶつかった。俺はその余波で吹き飛ばされそうなのを耐えながらそのぶつかり合いの結末を見る。

 

「はあああああーーっ!」

 

クウラは雄叫びをあげているがバーダックさんは涼しい顔をしている。そしてクウラの雄叫びと反対にどんどんクウラが押されて行った。

 

そしてとうとうクウラが自分で放ったエネルギー弾にクウラ自信が手をつけた。そしてそのまま押されていきバーダックさんの気功波がクウラ事エネルギー弾を貫いた。そしてそれと同時に思わず目を閉じる程の大爆発をクウラの断末魔の叫びと共に起こった。

 

「ば、馬鹿なーーーーーーーっ!」

 

それがクウラの最期だった。

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。バーダックの光輝の呼び方小僧か貴様かお前で割と悩んだ。因みにこのバーダック、暗黒魔界の戦いが終わったあとなんで超サイヤ人4になれます。今んとこ光輝がパトロールの中では最弱。
クウラ、瞬殺される。可哀想(やったやつが言うなって感じだが)
次回はバーダックと修行してフリーザ編終わりです。フリーザの活躍はほぼ皆無でしたが·····まあ他のSSやアニメ見てくださいそれは。
ではヾ('ω'⊂ )))Σ≡サラバ!!


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伝説との修行

おはようございますm(*_ _)m。
今回でフリーザ編最後です。どぞ(っ´∀`)っ


「2人ともお疲れ様でした。特にバーダックさん、長期任務が終わって直ぐに頼んですいませんでした。」

 

トランクスさんがパトロールから帰ってきた俺とバーダックさんを労った。

 

「ふん、まあストレス発散にはなったがな。やっぱり俺としてはフリーザをボコボコにしたかったがな。」

 

そうバーダックさんが腕を組みながら言う。·····やっぱりあれストレス発散だったんだ。ストレス発散であのクウラを倒すとか。

 

「それはやめてください。あなたが歴史を変えてどうするんですか。」

 

「分かってらぁ!だからあいつの兄貴で我慢しただろ。」

 

そして俺の方を見てきた。

 

「おい、お前少し付き合え!」

 

「·····えっ!?」

 

俺は思わずそんな声をあげた。トランクスさんはやれやれって顔をしている。

 

「お前の実力を試してやる。おいトランクス、修行場を借りるぞ!」

 

そう言ってスタスタ歩いて行った。俺も跡を追い修行場に来た。そしてバーダックさんが体ごと振り返ってくる。

 

(やっぱり悟空さんにそっくりだなあ。)

 

「さあ、小僧。貴様もサイヤ人なら超サイヤ人になれ。」

 

そう言ってバーダックさんは超サイヤ人になった。でも俺は·····

 

「俺は·····なれません。」

 

顔を下げながら言う。

 

「そんなもんは関係ねえ!なれねえならならしてやる。」

 

顔をあげた。そこにいたのは不敵な笑みを浮かべるバーダックさんだった。

 

「実践でな!」

 

そう言った瞬間に消えた。俺は10倍界王拳をやって後ろからのパンチを止めた。

だけど――

 

「なっ!?グッ!」

 

掴まれてもバーダックさんは振り抜いて俺を吹き飛ばした。俺は吹き飛ばされながら一回転して地面をズザザと鳴らしながら着地した。だけどその時にはもうバーダックさんは消えていた。俺は完全に見失った。そう思った瞬間に俺は今度は俺から見て前に吹っ飛んだ。背中に激痛を感じながらかろうじて見えたバーダックさんがいる前に吹き飛ばされながらも気弾を1つ撃ったが弾かれた。

そしていつの間にか後ろに回り込まれ上に蹴りあげられた。

 

俺は吹き飛ばされながらもマーキングつきのクナイを宙に放った。バーダックさんはそんな俺の前に一瞬できたが俺は宙に放ったクナイの所に飛来神の術をして躱したと思った。

 

「うわあああ!」

 

そう思ったらまた一瞬で目の前にバーダックさんがおり俺は防御姿勢をとったが遅かった。そのまま腹に1発当てられ吹き飛ばされた。そして地面に叩きつけられた。バーダックさんはそんな俺の10メートル前ぐらいに降りた。

 

「てめぇの力はそんなものか?貴様はカカロットが超サイヤ人になった所を見たんだろ?だったらお前にも出来るはずだ!元地球人とかは関係ねえ!」

 

悟空さんが超サイヤ人になった時·····悟空さんは親友を·····クリリンさんを殺されて悟空さんの怒りが限界を超えることによってあれになった。それはあの場にいなきゃ分からない事だった。何故ならここにいる人達はもう普通にパカすかなれるからだ。

 

「怒り·····」

 

「そうだ、お前の大事な物がクウラでも何でもいい、そいつらによって失われるのを想像しろ!」

 

俺はあまりというか結構嫌だったが想像した。あのクズ野郎に殺された皆。·····そして俺が守り抜けなかったSAOの仲間達、そして·····冷たくなっていく愛美。そのどれもにあのクズ野郎を思い浮かべた。そしてそれを胸に気を高めた。考えると考える程にあいつへの憎しみや怒りが出てきた。

そしてその内自分が金色の気に包まれている事に気がついた。だが直ぐに俺は意識が無くなっていく事に気がついた。

·····考えればフリーザと戦った後にクウラと戦い少し回復したとはいえバーダックさんと戦って疲れてしまったのかもしれない。そしてそのまま俺は意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「気絶しちまいやがったか。」

 

そう言ってバーダックは黒髪に戻った。そんなバーダックの後ろからトランクスが来た。

 

「バーダックさん、ありがとうございました。これで光輝さんは一段と強くなれるはずです。」

 

「ふん、まあ鍛えがいは確かにあるな。不思議な技を使いやがる。こいつが元地球人とは信じ難いな。」

 

トランクスは笑みを浮かべバーダックが時の巣に戻ってきた時の事を思い出した。

 

「ああ?修行をつけてやってくれだって?元地球人のガキに?そんなものはカカロットに任せとけばいいだろう?」

 

「いえ、悟空さんが教えても光輝さんは超サイヤ人にはなれませんでした。だから悟空さんよりも先になったバーダックさんにお願いしたいんです。」

 

「チッ!まあ、いいだろう。取り敢えず俺はあのクソ野郎の兄貴をぶっ飛ばせばいいってことだな。」

 

そう言ってバーダックは光輝の救援に行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、どうでしたか?光輝さんは」

 

そう言ったトランクスに背を向け答えた。

 

「まあ、少なくとも惑星ベジータにいた連中よりかは筋はいいな。だがまだあめえよ。」

 

そう言ってバーダックはスタスタ歩いて行った。しかしその顔は強者なりうる奴を見つけたっていう顔になっていた。

それを見たトランクスはやっぱりサイヤ人なんだなと思いながら光輝を背負い光輝が一時的に住んでいる所に運んだのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

·····何か俺気絶すること多いよな。

そんな事を天井を見ながら思った。俺は手をおでこ辺りに当て思考した。

 

「バーダックさん強かったな·····、多分と言うか絶対あの人超サイヤ人にならないでも俺に勝てたよな。まあいきなり付き合え言われた時はびっくりしたな。」

 

俺以外のタイムパトロールの人達が強いなーと1年前から思ってることをまた思う。

俺はさっき目覚めトランクスさんにあらましを伝えられた。ほんの一瞬だったけど確かに超サイヤ人になれてたって言われた時は嬉しかったな。トランクスさんから明日からの修行は超サイヤ人に自在になれるようにすること、そしてそれが出来たら超サイヤ人になりっぱなしで生活すること。その状態で通常状態と同じぐらいの生活が出来るようになれば超サイヤ人を極めた事になるそうだ。そのメリットは冷静になれること。悟空さんが最初超サイヤ人になった時は激情にかられてある意味では冷静ではなかったらしい。しかしこれが出来れば冷静さを得る事が出来る。それは戦闘するものにとってはいい事だ。

 

俺はそんな事を考えていたら腕時計型タイムマシン兼ALOに行くためのネット回線兼SAOの皆とのメールが出来る腕時計に着信があった。·····というかこれを作れるトランクスさんのお母さんすげえな。俺が元いた世界なら絶対にどれも無理だろ。あの人以上の天才いるのか?·····茅場晶彦なら張り合えるか?いやいくらなんでもあの人もタイムマシンは作れないだろう。·····作れないよな?

 

『聖剣エクスキャリバーが見つかったよ!でも取りに行く方法が分からなくて皆で意見を出しあってるんだけど光輝君の意見はある?』

 

お姉ちゃんからだ。俺は疲れた体と言うことも忘れてホロキーボードを出して返事を打つ。

 

『というかそのエクスキャリバーってどこにあるの?』

 

少したって連絡が来た。

 

『ヨツンヘイムのだいぶ上側にあるダンジョンの最深部だって。でもヨツンヘイムは飛べないでしょ?だからどうやって取りに行くか皆で議論してるの。』

 

俺は少し考え打開案が直ぐに出たので返事をした。

 

『策ならあるよ。皆いつなら時間ある?ただし俺は外して8人までだけど』

 

そしたらグループになっていたので次次に返事が来た。どうやら向こうは朝らしいから昼ならいいらしい。俺は返事をした。

 

『うーん、わかった。どっち道今日はもう休みだから良いよー!』

 

『うん!そうだ、光輝君今からダイブ出来る?久しぶりにゆっくり会いたいな。』

 

『いいけどお姉ちゃんは大丈夫なの?』

 

『うん!今日は私もオフなの。』

 

『分かったー!じゃあ今から行くね!』

 

俺はメールを切って隣の棚にあるアミュスフィアを手にとって頭につけた。そして仮想世界に行くための呪文を言う。

 

「リンク・スタート!」

 

 

 




お疲れ様でした。次回からはIS編·····っていきたかったんですが途中まで書いててどう考えても一夏達とDBの敵が張りえない。。寧ろ人数が多すぎて描写がクソ難しく大雑把に決めてた自分も悪いですがIS編はカットさせてもらいます。楽しみにしてくれた人達ごめんなさいm(_ _)m。完結した後の番外編でかけるなら書くんで許してください。では繰り上げして次回からは人造人間・セル編に突入します。
バイバイ(ヾ(´・ω・`)


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番外編
絶剣 その後エクスキャリバー


おはようございますm(*_ _)m。今日はソードアート・オンラインです。名前の通り絶剣さんが出ます。ここで初めて来た人用に今回の主人公について少し語ります。今まで見てくれてた人はそのまま⊂('ω'⊂ )))Σ≡GO!!

主人公·····西沢光輝。ぶっちゃけ言うとリアルの運動神経が影響を与えるALOでは普段から戦ってる領域が領域なので当たり前のようにALO最強クラス。特にスキル上げ頑張ろうとはあまりなっておらず片手剣スキルだけやたら早くコンプリートしたらあとは結構ゆっくりめ。戦っている領域とはドラゴンボール次元です。暇になったら最初から是非見てみてください。
そしてレインを姉として慕っている。レインもロストソングとは状況がかなり違いますのでご了承ください。こんな所ですかね?ではどぞ(っ´∀`)っ



俺はこの仮想世界、アルヴヘイムオンライン略してALOに来た。そしたら目覚めた先にお姉ちゃんがもういた。ここはイグドラシルシティにあるお姉ちゃんととっている宿だ。因みに上の階にはキリトとアスナさんの部屋がある。あの2人は新生アインクラッドの22層を突破した暁にはあの森の家を買うらしい。

·····というかお姉ちゃんこっちではアイドルなんだから俺と一緒の部屋って不味いんじゃないかな?と思ってしまう俺。

 

「久しぶり、お姉ちゃん。」

 

「うん!1ヶ月ぶりぐらいだね。」

 

実際その位だ。俺は修行の後とかに割といるがお姉ちゃんはリアルの方のアイドルになる為のレッスンとこっちでのアイドル活動、そして学業もあるからあまり会わない事の方が多い。俺がこっちに割といる理由は剣の修行はこっちの方がいいからな。こっちでも出来る動きは現実でも出来るだろうし·····まあ皆に言わせればそれは俺がおかしいらしい。はは、何の事かな?

そして俺とお姉ちゃんはその後散歩に出かけた。互いの近況報告だ。お姉ちゃんは今度小さい所でライブをするらしい。それで様子を見るということだ。

そして·····

 

「絶剣?」

 

「うん。新生アインクラッドの7層にある小島でいつも辻デュエルしてるんだって。丁度そろそろ時間だし行ってみない?」

 

「うーん、まあいいけど。なんで絶剣?」

 

「今の所1つの試合を除いて全勝しているからよ。確か昨日の時点で60連勝だったかな?まあ昨日の最後でその記録は途切れたんだけどね。因みに由来は絶対無敵の剣とか空前絶後の剣とかそんな感じ。」

 

「ふーん、じゃあ行ってみよ!」

 

そう言った俺とお姉ちゃんは空を飛んで新生アインクラッドに向かった。第7層の小島に着いたら人が結構いたな。そこには

 

「あれ?キリトとアスナさん」

 

「ん?よう光輝。一昨日ぶりだな。」

 

「うん、キリト達は観戦?」

 

「いや、この後アスナが戦うんだよ。」

 

「プレッシャーかけないでよー。」

 

因みに俺のプレイヤーネームは結局また「コウキ」にした。なんか皆癖で光輝言っちゃうからならもういいやとなったからだ。

そんな話をしていたら何か叫び声をあげてサラマンダーの人が空から落ちてきた。そして降参した。場はそれで盛り上がり上から来た少女を見るなりまた盛り上がった。

種族はインプ、武器は見た所片手用直剣、ただしアスナさんの細剣に似ている。

微力ながら回復する魔法を使いながら周りをぐるぐる見ている。

 

「次の方いませんか〜?」

 

何かキリトとアスナさんが行けよとかまだ準備がとか言ってるから俺が聞いた。

 

「んー、じゃあ先に俺がやってもいい?」

 

それを聞いた2人はこっちを向いてきたがアスナさんが良いよと言ってきたから前に出る。

俺の格好はまあSAOの時や普段から着てる服に合わせている。お姉ちゃんが裁縫スキルをめちゃくちゃ頑張って上げて作ってくれたものだ。そして背にあるのは2つの剣。

真っ赤な剣と真っ蒼な剣である。そして俺を見た絶剣さんが聞いてくる。

 

「あっ、僕やる?」

 

「はい。」

 

何かギャラリーがどよめいてるけど。俺別にALOではそんなに有名じゃないと思うんだけど。決闘大会とか1度も出たことないし何か伝説作った覚えもないし。

そして決闘申請が送られてきた。それによると名はユウキと言うそうだ。全損決着モードをOKする。そしたら俺とユウキさんの間に互いのHPとカウントダウンが出てきた。

·····俺のHPははっきり言って結構少なかったりする。

ユウキさんは腰の剣を出して真ん前に構える。

俺は剣を出さずにいつもの構えをする。それを見たユウキさんが思わずというふうに聞いてくる。

 

「えっ!?剣使わないの?」

 

「別に剣を使うのだけが戦いじゃない。剣も必要なら使う。」

 

それでも何か言おうとしたがカウントダウンが0に迫っているたから口を閉じた。そして0になった。

俺は動かなかった。どうせ向こうから来てくれるだろうし。

素手で戦う時の注意点としてはやっぱり掠っただけでHPが無くなる所かな。逆に言えば当たりさえしなければどうってことはないってだけである。

そして業を煮やしたようにやっぱり向こうから来てくれた。

やっぱり細剣に形状が似ているからか突き技がメインらしい。俺はステップや体を逸らしたりするだけで掠らず避けた。そして突き終えた1つの攻撃の時にその腕を掴んで腹パンした。

 

「くはっ、」

 

そしてそのまま腕を離さずアッパーした。アッパーって現実の普通の人がやったら普通に気絶しちまうからなー。仮想世界でも結構頭にグラグラくるよ。

そしてそれで結構というか1割ぐらいHP減っている。何かこの茅場晶彦の置き土産なのか俺は素手で殴っても剣でやった時と同じか少し少ないぐらいのダメージを与えれらる。その代わりHPは低めだけどそんなデメリットあってないようなもんだし。

そして仰け反った所で腕を離して少し浮きながら回し蹴りをして吹き飛ばした。

因みにこの決闘、最初地上戦か空中戦どちらがいい?と聞かれたからどっちもと言っといたから大丈夫。

木にぶつかったユウキさんは難なく着地をした。そして仮想の痛みがあるように腹パンされた所を抑えた。

 

まあ確かに突き技は正直に言ってALOの中でもトップクラスに速かったな。反応速度に関してはまだ分からない。だって俺腕掴んで殴るとかだからそんなもの見れないし。

そしてその後もユウキさんは突撃してきたが難なく躱したり普通に殴ったりした。そしてユウキさんの体力がレッドゾーンに入った時ユウキさんの剣が紫色に煌めいた。そしてそこから出てきた突きはさっきの攻撃スピードの比じゃなかった。

だけど悟空さんとかの方が圧倒的に速いしこのALOはリアルの運動神経が良かったら有利ってのもあり俺は普通に10連撃全てを躱した。そして最後の思いっきりやってきた突きも躱してまたもや腹パンして少し吹っ飛ばした。

多分あれオリジナルソードスキルだろうな。片手剣のソードスキルにはないし。オリジナルソードスキルにはオリジナルソードスキルを返さなきゃな!

俺はユウキさんを吹き飛ばした隙にオリジナルソードスキルを発動させるための印をした。

ナルトさんの世界から帰ってきてオリジナルソードスキルシステムが出た時に速攻で作った技。OSSとしては普通ありえない単発技、何故ならそもそもありとあらゆる武器種に単発技は普通にあるからOSSをやろうと思ったら必然的に連撃になるからだ。しかしそんなのはほっといて俺は単発技にした。しかし普通の体術スキルの単発技よりも威力はでかい。それに外してしまった時の解決策もある。

俺はその他メンバーには霞んで見える程の高速で印をした。そしてそのまま突撃した。その道中に右手が青白い雷に包まれた。それを維持しながらユウキさんに突撃する。ALOの中ではトップクラス以上に速いスピードをユウキさんはちゃんと追えたみたいだ。現に俺が攻撃するであろう所に重突進技ヴォーパルストライクをしてきた。そして交差の瞬間に俺はその軌道を見切りギリギリ躱しつつ最後の一撃を技名と共に叫んだ。

 

「千鳥!」

 

そう言って当てた瞬間に雷光の爆発が起きた。煙が凄い事になっているな。そしてそれが晴れた時、エンドフレイムがただよっていた。

それを見た観戦者は大歓声をあげた。·····まあ多分俺としては普通にここで負けたらベジータさん辺りにめちゃくちゃ怒られてめちゃくちゃ修行やらされて殺されかけるのは目に見えてるんだけど。

 

俺は倒しちゃったけどどうしたもんかと思ったがエンドフレイムが直ぐにぱっと消えた。

キリトやお姉ちゃんが寄ってきた。

 

「クエスト行く前に派手にやったな。」

 

「まあね。そう言えばキリトは戦ったの?」

 

「ああ、昨日な。·····引き分けだったけど。」

 

「お前ちゃんと二刀流でやったのか?」

 

「あー、いや一刀だけどちゃんと本気で。」

 

何かアスナさんがじーっとキリトを見ている。キリトはそれに本当だってずっといる。俺とお姉ちゃんはずっとそれを見て笑ったがそこにさっきの人がめちゃくちゃな勢いで飛んで来た。

そしてこれまためちゃくちゃな勢いで俺の所に来て肩を掴んだ。

 

「ねえ!これから時間ある?」

 

何かいきなり聞いてきたな。てっきり悔しがってると思ったんだけど。だってOSSを真っ向から破られたし。破ったのは俺だけど。

 

「んー、ごめんなさい。これから皆とクエストなんだ。」

 

「そうかー、ねえ今度はいつ時間ある?」

 

「え、えと結構不定期だから分からないっていうのが本音なんだけど。というか何でそんな事聞くんですか?」

 

そう言ったらキョロキョロと周りを見て少し俺を連れ出した。

 

「その、協力して欲しいことがあるんだ。」

 

「?」

 

そう言ってゴニョゴニョ言ってきた。それによると自分達のギルドとプラスアルファ1人でアインクラッドのボス戦をやりたいそうだ。

·····感覚麻痺してる俺が言うのはあれだけど普通は無理なんじゃないかな?まあ俺はこの世界でも偶に憂さ晴らしに1人で殴り込みに行ってる事はあるけど。それとこれとは別だろうし。

 

「うーん、何で俺なの?強い人ならそこにいるじゃん。引き分けたんでしょ?」

 

そう言って俺はキリトを指した。ユウキさんはあーって顔をしたが直ぐにダメって言ってきた。理由としては何か自分の秘密に気が付かれたからって言ってた。

 

「うーん、でもさっきも言った通り俺ここに来るのは不定期だから出来るような人を紹介してもいいんだけど。」

 

俺は今度はアスナさんを指した。お姉ちゃんでも良かったけどお姉ちゃんはリアルが忙しいから無理だと判断。ユウキさんは暫く考えアスナさんの元に行った。そして何か戦おうとなりまた決闘を始めてしまった。もう少しで集合時間なんだけどな〜。

そして激闘を繰り広げアスナさんはあと1歩及ばず寸止めで負けた。やっぱりあのOSSを凌ぐのは結構辛そうだな。まあ硬直時間を狙われてたのもあるだろうけど。俺はずっと素手とかでやってたから硬直時間何てないし。

そう思っていたら何か約束をしてまた飛んで行った。俺は3人の所に行き集合場所のリズベット武具店に向かいながら話した。

曰くアスナさんは明日あのユウキさんのギルドの所に行って手伝いをする約束をしたらしい。

 

リズベット武具店についた時に何か1人知らない人がいた。種族はケットシーの人だ。何か向こうも俺も見てきた。何か驚いてる顔してる。まあ俺の容姿はまんまSAOの時のと似てるしな。

 

「あの、キリト。その人はもしかして·····」

 

「ああ、シノンの想像通りだよ。光輝だよ。」

 

「えっと、よろしくお願いします。」

 

「よ、よろしく。」

 

何かキリトって女の人を連れてくる事多いなとか思いながら挨拶した。そしてメンバーが来た。お姉ちゃん、キリト、アスナさん、リーファさん、シノンさん、クラインさん、シリカさん、リズベットさんだ。

俺は自分の武器をリズベットさんに預けて耐久値を回復させた。そしてポーションやらも買って俺達はヨツンヘイムに向かった。

何か道中でキリトが勇気ある行動をシノンさんにしてたな。まあそんな事はほっといてとうとうヨツンヘイムに来た。

 

「それでよ光輝、何なんだ策って?」

 

「待ってて。レオーーーーっ!」

 

そう俺はヨツンヘイムの空に声を響かせた。そしたら何か象みたいな鳴き声と共に飛んできたのは象水母みたいなモンスターだった。

 

「えっ!?邪神級モンスター!?」

 

何かリーファさんとか皆叫んでる。そんなのはほっといてレオを撫でる。

 

「こ、光輝君何で仲良くなってるの?」

 

アスナさんが聞いてきたから答える。

 

「んー、この前何か皆難しいとか何とか言ってたから試してみたくなって1人で来たんだけどその時に何かモンスター同士殴り合いやっててこの子だけ負けてたから助けたんだけどその後に何か懐かれた。」

 

また沈黙になっているが俺はそんなのほっといて皆を乗せてって頼んだら鼻で皆を乗せた。

 

「光輝君行かないの?」

 

「ん?あれ言ってなかったけ?俺はヨツンヘイムでも普通に飛べるよ。」

 

「「「え、えーーーっ!」」」

 

だってここで飛べない理由としては太陽によって与えられる力みたいなものが羽に力を与えないからで俺は羽ないし。·····あんにゃろこれじゃあチート言われてもしょうがない気がする。

そして俺はみんなをほっといて宙に浮いた。

お姉ちゃんのマップを見ながら俺達はダンジョンが見える所まで来た。

下を見てみると何かレオと同じモンスター達が違うモンスターに襲われている。それもプレイヤーにも攻撃されている。

俺はなんでか全くわからず、暫く見たがいきなり何かいきなり頭上から声をかけられた。それは女の人だった。

名前をウルズと言うそうだ。

何かその後に言った事はちょっとよく分からなかったけど要約すると《霜の巨人族》つまりさっきのレオの仲間達から守って欲しい。

このヨツンヘイムも昔は上にあるアルヴヘイムと同じように世界樹の恩恵を受けてたらしい。そしてこのヨツンヘイムより下にはニブルヘイムって所もあるらしい。この地を支配する霜の巨人の王スリュムって奴がオオカミに変装して件の伝説級武器、聖剣エクスキャリバーを世界の中心のウルズの泉に投げて入れたそうだ。

剣は最も大切な根を断ち切ってヨツンヘイムからイグドラシルの恩恵はなくなった。スリュムとその配下の人達はニブルヘイムからこのヨツンヘイムに押し入って来てかつてウルズの泉だった大氷塊にスリュムヘイムなるものを築きこの地を支配した。そしてレオの仲間がみんな死んでしまった時、この人の力も失われスリュムヘイム上層のアルヴヘイム、つまり普段俺達がいるところに浮き上がって来るそうだ。だからそれを止めるためにはエクスキャリバーを台座から引っこ抜く必要があるわけと言うことだった。

何か俺はよく分からないがお姉ちゃん達は分かったらしい。そして俺たちはダンジョンにまで来た。そして入口の前でさっきの話について話す。

リーファさん曰く、こういうのを神々の黄昏ラグナロクというそうだ。全く分からん。そしてリーファさんの首にはウルズさんから渡されたメダリオンがありそれが真っ黒になったらアウト、なんだそうだ。何か皆沈んでるがこの時間がもったいない。

 

「落ち込むことなんて全てが終わった後にでも出来るよ。最悪を避けたいなら俺達がしなきゃいけないことはなんなんだ?」

 

俺はそう全員に言った。俺だってアルヴヘイムが無くなるのはお断りだ。

俺の言葉を聞いたみんなは頷いてダンジョンの入口をくぐった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺達の目の前にいるのはミノタウロスだ。だけど色は黒と金色、2体いる。金色の方は物理耐性が高く、黒は魔法耐性が強い。

 

「やああああ!」

 

「どりゃあ!」

 

俺とお姉ちゃんはそれぞれの二刀を構え金色に突撃した。俺がパリィしてすかさずお姉ちゃんが入る。そしてソードスキルの硬直が課されているお姉ちゃんを守る。あわよくば一撃加える。俺とお姉ちゃんは1ヶ月会わなかったがコンビネーションはバッチリである。

最初は地道にやっていたが時間がかかり過ぎるという事でキリトがソードスキルの集中攻撃するって言った。

俺とお姉ちゃんは金色から離れた。そしてその瞬間後ろのキリト達が動いた。各々ソードスキルをしている。

そう言えばALOのソードスキルは魔法属性なるものがついたから大分派手になった。俺も念の為に準備する。先程のユウキさんとの決闘でも使った技。剣を2つとも納めてまた印をする。お姉ちゃんは回復中だ。

 

そしてキリトのスキルコネクト最後の攻撃で金色の体力がギリギリ残った。

何でほんの少しやねん!

 

そう思いながら俺は右手に雷をほとばしらせて突撃した。金色は1番近いキリトにその得物を振りあげようとしていたが遅い。

俺は皆の間を雷の跡を残しながら駆け抜けた。そしてキリトが当たる寸前に俺の千鳥が金色に突き刺さった。甲高い叫びの後金色はポリゴンとなり消えた。

残るは黒い方だ。こいつは魔法耐性が強い、でも逆に言えば物理耐性は·····

 

「よぉし、そこで正座!」

 

とクラインが言ったのを皮切りに皆で切りまくった。何か途中で可哀想と思ってしまった。

俺達はHPとMPが回復するまで少し話した。

 

「それにしてもよお、光輝のOSSは本当に速いよな。俺全然追えなかったぜ。」

 

「リアルの俺はあれ以上のスピード普通に出せるけどな。」

 

「仮想世界とリアルを入れ替えてリアルの方が強いのは光輝ぐらいだよ。」

 

「ははは。」

 

そう乾いた笑みをキリトに返す。

俺のオリジナルソードスキル、名を千鳥。ナルトさん達の世界で学んだサスケさんとカカシさんの技だ。体術スキル欄から作った。だから剣を持ったままでは発動できない。残念ながら螺旋丸は無理だった。まああれはどちらかと言うと魔法の範疇だし。

千鳥は単発技だがシステム的には10連撃になっている。印を9つ、そしてそれからの突撃、これでワンセットだ。まあ最初は印をシステムに認識させるのがむずかった。だって剣をぶんぶん振り回す訳じゃないからね。318回やった。

そして次はスキルコネクト、これの使用者は俺とキリトとお姉ちゃんだ。まあ説明は省く。

そしてその後もキリト達と降りて行った。そしてラスボスの部屋に着く前に何か氷の牢獄に閉じ込められてる女の人がいた。

 

「罠だ」

 

それが俺とクライン以外の総意だった。俺は正直微妙だ。罠だとしてもこんな目立つ所にやるか?罠は普通かけさせようとするものじゃないか?あの時の黒猫団みたいに。まああの時は隠し扉って言うレア感があったし。

俺は割と悩んだがお姉ちゃんに振り向いた。

 

「お姉ちゃんごめん、パーティーを1度解散しよ。」

 

「えっ!?なんで?」

 

「俺はこの人を助けようと思う。」

 

「理由は?」

 

「簡単だ、罠だとしてもこれは目立ち過ぎる。だったら逆に考えてみる。わざとプレイヤーを遠ざけてるとも言える。」

 

しばし皆さん静かになったが俺も確信がある訳じゃない。

 

「だから取り敢えずパーティーに入るなら俺の·····って言っても万が一に備えてお姉ちゃんは抜けてもらうけど入れる。」

 

「·····分かった。」

 

「光輝、その言葉を待ってたぜーっ!」

 

そう言ってクラインは牢屋を破壊した。·····コレ見たら美葉さんに殺されるんじゃないかな?お姉ちゃんもめっちゃ怖い顔でクラインを見てる。

 

(美葉さんがいるのに!)

 

多方お姉ちゃんの思考はそんな所だろう。

俺はあまりお姉ちゃん達の世界には行かないがお姉ちゃん曰くクラインと美葉さんの雰囲気がいい時が多々あるらしい。

そしてそのまま俺のパーティーに入れた。と言ってもお姉ちゃんが抜けて俺とこの人だけのパーティーだけど

 

「よろしくです。」

 

「こちらこそ」

 

この人には言語化モジュールがあるらしい。会話が通じるって良いね!その後俺達はラスボスの部屋の前に来た。アスナさんがバフ魔法してると思ったら隣にいるスレイヤさんも魔法をしだした。最大HPが増える魔法だ。すげえな。それも多分レイド単位だ。

そしてボス部屋に突入!

ボスはスリュムというそうだ。何かスレイヤさんとお知り合いらしい。何でも婚約者にならねえから罰としてさっきの氷の檻に閉じ込めたんだと、ひでえやつ!

そんなこんなで俺達はボス戦をスタートさせた。でもこれ時間制限の割に体力多すぎないか?あと10分で決めなきゃ行けないのにあと2段あるのは酷いな。

そう思っていたら俺とキリトの所にスレイヤさんが来た。

何でも宝の山から金ピカのハンマーを探して欲しいと、だから俺はスリュムの時間稼ぎに行ってキリトは片手剣スキルのライトニングフォールでハンマーを探し出した。そしてそのハンマーを投げつけたらスレイヤさんが変わった。けだかい雄叫びをあげ姿が昔のベジータさんが大猿になった時みたいに大きくなりそしてその後姿は

 

「「オッサンじゃん!」」

 

とキリトとクラインが仲良く言い放った。そしてそこから形成逆転した。スレイヤさんと共に俺達もソードスキルをやりまくったら勝った。

でも途中でお姉ちゃんがめちゃくちゃ剣を出してスリュムに投げつけてた。あれはびっくりした。

後に聞いた所名を「サウザンドレイン」と言うそうだ。仕組みは難しく分からなかった。今度詳しく聞こっ!

そんなこんなで何故か俺に黄金のハンマーをくれた。うん、使わない。これが斧あたりならエギルさんにあげるんだけどなぁ。

そして俺達はとうとう辿り着いた。

 

「これが·····エクスキャリバー」

 

リーファさんが思わずというふうに呟いた。それぐらい綺麗だった。

そしてパーティーリーダーのキリトが引き抜こうと頑張ってる。

うわぁ凄いしんどそう。そしてとうとう抜けた。キリトはその重さに思わずよろける。ストレージに入れようとしてるが入らない見たい。どうやらクエストを全部終わらせる必要があるみたいだ。だけどエクスキャリバーが引き抜かれこのダンジョンが崩れ始めてしまった。俺達は·····厳密に言えば俺以外は落ちて行った。流石にステータスに支配されるこの世界じゃ皆を持つのは無理だから俺はこの世界での助っ人を呼んだ。

 

「レオーーーっ!」

 

そう言ったらパォーンという象みたいな鳴き声をあげ近づいてきた。俺は皆を助けてと頼み落ちている最中レオは見事に全員を乗せた。だがその際揺れた時にキリトが思わずというか重さに負けエクスキャリバーを思いっきり話してしまった。

 

「ちょっとキリトさん!?」

 

俺はそう言いながら全力でエクスキャリバーに近づき柄を持った。

 

「重っ!」

 

俺はそう言いながらレオに乗ってる面子の1人に叫んだ。

 

「シノンさん!投げるから弓の魔法で取って!」

 

俺はそう言ってぐるぐる回って上に放り投げた。俺は反動で落ちていくが直ぐに止まり結果を見た。あの状況で適切な魔法が浮かぶか分からなかったが杞憂だったようだ。·····でも200メートル先に当てるのは普通にえぐいと思った。俺は絶対に無理。

俺は落ちてくる瓦礫を避けながらレオの所に行った。

お姉ちゃんの心配の声が上がった。

 

「もういきなり行かないでよ!心配したじゃない!」

 

「ご、ごめんなさい。」

 

なまじ姉と同じ声だから余計に萎縮する。キリトが近づいてきた。

 

「えっと、光輝、こいつの事だけど·····」

 

「え?キリトが貰うんじゃなかったの?というかキリトが引っ張ったから最初からそうだったんじゃないかと思ったんだけど」

 

「ああ、いや、そもそも光輝がレオと仲良くなかったらここにも来れなかったんだ。だからこれは光輝に」

 

「ああ、別にいいよ。別に俺はそれが欲しくて来たわけじゃないし。」

 

「え?じゃあ何で?」

 

「いや、久しぶりに皆と冒険したかっただけだからね。それに·····」

 

俺は途中で声を止め後ろの2つの剣を触った。

 

「俺の二刀はこれまでもこれからも、お姉ちゃんが作ってくれたものだけだから。」

 

「·····そうか。ありがとうな、光輝。」

 

何か後ろではリズベットさんがお姉ちゃんをつついてる。

 

「良かったわね〜、姉思いの弟で」

 

「ほんとだよ〜。」

 

そう言ったお姉ちゃんの顔が一瞬暗くなったのを俺は見逃さなかった。

そしてウルズさんがまた出てきて何か難しい話だけど要は危機が俺達のおかげ去ったからありがとうという事だった。何か報酬で良さそうなものをいっぱいくれた。そんなこんなで俺達はエクスキャリバー獲得クエストを無事に終わらせた。




お疲れ様でした。何かめっちゃカット。光輝、剣の修行を言いながら思いっきり素手でやるという。それはただ千鳥を使わせたかっただけ。
最初はやっぱり剣を使っての千鳥にしようと思ったけどやっぱり千鳥と言えば素手だよなぁと思ったから突進技にしたった。今回は千鳥を外してしまった場合の解決策は出てきてませんが簡単です、千鳥流しのように地面に突きつけて周りを感電させようという魂胆です。印が千鳥を発動させるための動きは正直自分でも無理があるよなぁと思ったんですが印って何かかっこいいからやりたかった。失敗の回数がえぐいけど。
今回に限りのアンケートをしてます。良かったら答えて行ってください。


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レインの誕生日

いやーごめんなさい、結局レインの誕生日話書きたいと思いこの時間に出しましたごめんなさいm(*_ _)m。IFのレインがかわいい(*˙˘˙*)ஐ
急遽書いたので文字数は少なめです。時系列はSAO終わって1回めの誕生日です。では⊂('ω'⊂ )))Σ≡GO!!


「うーん」

 

と唸っているのは光輝だ。何故悩んでいるのかと言うともう少しで姉として慕っているレインの誕生日だからだ。

 

「プレゼントどうしよう」

 

レイン達の世界での去年はまだ2人ともSAOの中だったから鉱石なんて言う現実世界ではノーサンキューなプレゼントをした光輝だが流石にリアルの誕生日プレゼントになんかの武器の鉱石なんて渡されても困るだけだろという。·····まあ光輝の場合は喜んで受け取るのだが。取り敢えず光輝がケーキを作る事は光輝の中では決定している。

レインは誕生日の日にはALOでライブをするので誕生日祭は夕方頃となっている。幸い休日だったから昼頃にライブが出来る。

だからその誕生日パーティーまでにプレゼントを考え用意しなければならない。それでうーんと唸ってるのだ。

そもそも光輝は誕生日プレゼントなどをあまり渡したことは無い。愛美の時も仲良くなった頃にはもう誕生日過ぎてたし血の繋がった方の姉の麗華の時には光輝は頑張って色鉛筆やらで書いた姉をプレゼントするというものだったからだ。

 

「しょうがない、では情報収集行こー!」

 

と言って光輝はキリト達の·····SAOの世界に飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「という訳でエギルさん何か意見ないですか?」

 

「色々な意味で唐突だな」

 

光輝はSAOの世界のダイシーカフェに唐突に現れ唐突に今の問いをしたのだ。幸い平日の昼間だったからまだ客はおらずラッキーだった。

 

「先ずは何を聞きたいのか言えよ。」

 

そう言われたからかくかくしかじかと話す。

 

「というか、俺よりも光輝の方がレインと一緒にいたんだから光輝の方がレインの事を知ってそうだけどな。」

 

「それはまあそうかも知れませんが·····お姉ちゃんの好きな物ってよく分からないのが本音だし。俺はアニメとかよく分からないし」

 

そう言いカウンターに突っ伏した。そんな光輝に苦笑いしながら大人なアドバイスをする。

 

「光輝からのプレゼントならレインは何でも喜ぶと思うがな。」

 

「うー」

 

「まあどうしてもと言うなら2人の思い出の品とか·····2人の共通点をプレゼントにするってのはどうだ?」

 

「·····共通点」

 

そのまま光輝は5分程突っ伏した。その間エギルはグラスを拭いている。そんな大人と子供の時間が過ぎ光輝は顔をあげた。

 

「じゃあプレゼント探しに行ってきます!!」

 

そう言ってカウンターの席から降りて時計をいじって言う。

 

「エギルさんありがとうございました。」

 

「おう!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6月21日

 

「「「レイン(ちゃん)誕生日おめでとう!!」」」

 

「ありがとう皆!!」

 

そう言ったのは満面な笑みのレインだ。

 

「·····というかエギル、ケーキは?」

 

リズベットからそれを聞いたエギルは光輝に顔を向けた。光輝は少し緊張しながらホイポイカプセルを出して真ん中のテーブルに少し大きめなケーキを出した。それでSAOからの参加者はどよめいた。そして光輝はレインに近づいて行き言った。

 

「お姉ちゃん誕生日おめでとう!!」

 

そう言って箱を渡した。

 

「ありがとう!光輝君!!開けてもいい?」

 

「う、うん。」

 

そう言って全員が見守る中レインは箱を開け目を見開いて止まった。そしてゆっくり中にあった物を取り出した。それは剣が2つ交差してその剣の周りに円形の物があるネックレスだった。

 

「綺麗·····。」

 

そしてレインは気がついた。

 

「もしかしてこれウォーリア・ビハインド・ディスペアーとクリムゾン・ディーバー?」

 

その2つの剣の形がSAO時代、そしてALOでも使っているレインの一刀と現実でも光輝が使っている剣と全く同じだったからだ。

 

「う、うん。またあの鉱石取りに行って今度は手作りしてみた。」

 

·····まあ何10回と失敗したが言う必要はない。

 

「流石に実物大持ってても多分というか絶対お姉ちゃん持てないしそもそもそれは困るだろうし。だから頑張って小さくしたんだ。」

 

レインが貰ったネックレスの剣は確かに小さかった。

 

「お姉ちゃんがあの剣を作ってくれたから俺はヒースクリフに勝てた。皆の想いがあの剣に宿った。だから小さいけどその剣にも俺の想いを入れたんだ。お姉ちゃんの夢が叶いますようにって。」

 

そう聞いた瞬間レインは光輝を涙を流しながら抱きしめた。

 

「うん。叶えるよ、絶対に。だから光輝君も無理しないでね?」

 

「うん。分かってる。俺は·····1人じゃないから。」

 

「ふふ、ならよろしい。·····大事にするね?」

 

「うん!」

 

「ねえ、光輝君がかけて?」

 

「え、う、うん。」

 

そう言われ光輝はネックレスを受け取り少し浮いてレインの首にかけた。そして笑顔で言った。

 

「改めて、誕生日おめでとう!!お姉ちゃん!!」

 

そしてレインも光輝に負けないぐらいの顔で答える。

 

「スパシーバ!!」

 




おまけ

「さあ次は誰が歌うの!?」

とリズベットが声をあげた。今はカラオケ大会なうだ。今はレインの本職さながらのライブが終わった所だ。因みに美葉はそんなレインのライブを撮っている。後の反省会にでも利用するのだろう。そして光輝は少し離れた所にいて出来るだけ目立たないようにしている。理由は·····あまり歌を歌った事がないのだ。いやそもそも自分の知ってる曲があるのかすら分からない。忘れがちだがこの世界は光輝悟空住んでた世界とは違うのだ。物理的に。歌える歌は1つあるがそれもあるのかすら分からないからもう歌わないと言う選択肢しかなかったのだ。
だがそんな時リズベットの目が少し隠れてる光輝に目を向けた。そして·····

「そう言えば光輝はまだ歌った事ないわよね?」

それを聞き体がビクッとした。

「そう言えばそうだね、私もSAOの頃から光輝君の歌は1回も聞いたことないかも。」

とレインが言い笑顔で光輝に寄って行った。·····光輝としてはもう逃げたい。

「じゃあ次光輝君ね!」

そして頑張って拒否してみる。

「お、俺歌下手だから大丈夫だよ?」

だが満面な笑みでレインは否定した。

「大丈夫よ、お姉ちゃんも最初は下手だったから。さぁさぁ」

「むむむ無理だよー!!」

そう言って全員に見られてるのが分かり光輝は赤面になって顔を隠した。·····因みにレイン達はそんな恥ずかしそうな光輝に悶絶した。そしてもっといじろうとレインは光輝の背を押した。

「大丈夫大丈夫!!お姉ちゃんも隣にいてあげるから♪」

「でででででも!!」

「お姉ちゃんは光輝君の歌も聞きたいな〜?」

「う、うー」

そのまま光輝は背を押されステージに登った。そして参加者メンバー·····キリト、アスナ、リズベット、シリカ、エギル、クライン達風林火山、ディアベル、キバオウ、美葉、シンカーやユリエールや月夜の黒猫団を一望し

「あわわわわわわわ」

変な事になった。

「えっと光輝君大丈夫?」

「ううううん!!」

((どう見ても大丈夫じゃないよね。))

そしてレインから曲選びの機械を渡され光輝はどうしようどうしようと思いながら懸命に過去の記憶を探り自分が愛美と一緒に初めて見た映画の主題歌を探した。そして

(あ、あった。)

あった、別の世界だがその曲はあった。光輝はそれ幸いとそれを選んだ。それから音楽がなり始め光輝はその音の大きさにびくびくし始めた。そんな時レインの手が光輝のマイクを握ってる手に触れられた。

「大丈夫、私もいるからね。」

「うん!」

そして光輝はぎこちなく歌い始めた。

「暗い雲が染み渡って、街並みに影を落とし始める」

そう言って始めたのだった。


















お疲れ様でしたm(*_ _)m。光輝、歌歌うのが苦手という。·····後々レインに歌に関しても魔改造されますが。(*´∇`)ノ ではでは~





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絶剣の本音

おはようございます。
アンケートでユウキ生存が多かったので生存しました(。•̀㉨-)و ✧
そういう訳で⊂('ω'⊂ )))Σ≡GO!!


エクスキャリバー獲得クエストから少し経った後光輝は今日もALOに降り立った。そしてレインがいないのを残念に思いながら誰か対人戦やってくんねーかな〜と町に繰り出した。

 

「そう言えば結局どうなったんだろ?アスナさんにほっぽり出しちゃったけど。」

 

エクスキャリバー獲得クエストと同日に光輝はある少女と戦った。辻デュエルで何と60連勝、それを止めたのが光輝と引き分けた親友のキリト。そしてその少女、絶剣のユウキに光輝は協力して欲しいと言われでも光輝はタイムパトロールやリアルの修行もあるから来るのは割と不定期だからやめた方が良いと言いその場にいたアスナを薦めた。そしてユウキはアスナと決闘しその実力を認め光輝にしたお願い·····ボスをユウキのギルドスリーピングナイツ(眠れる騎士達)と+‪αのワンパーティーでクリアしたいと。光輝があのクエストの後今ここに来たのは4日後だからボスはもう攻略してたとしてもおかしくないのだが·····そんな時光輝はある人物を見つけた。

 

「あっ、アスナさん!」

 

そう聞いて水色の髪を持つウンディーネの女性は光輝の方に向いた。光輝はそんなアスナを訝しげに見た。何か暗い顔をしていたからだ。光輝の中のアスナのイメージは怖い時もあるけど基本的に優しい人という認識だ。あとキリトの事が大好きということは分かっている。·····将来愛美とそういう関係になれたらキリトとアスナみたいな関係になりたいと思ってたりする。

 

「光輝君·····」

 

そしてアスナははっとした感じで光輝に詰め寄り光輝の肩を掴んだ。

 

「光輝君、確か気ってもので人探せるんだよね!?」

 

光輝はそんな真剣な顔をして·····でもどこか縋り付くような顔もしているアスナにびっくりした。

レインやキリトやアスナ達に光輝は自分の現状報告や修行で得た力を見せたりよくしている。その事を思い出したんだろう。

 

「えっと、探せるっちゃ探せますけど·····」

 

光輝が言葉を続ける前にアスナが必死そうな声で言った。

 

「私会いたい人がいるの!だから探して欲しいの!」

 

光輝は今の文脈でアスナは誰かに会いたいという事とそしてその会いたい人の居場所が分からないから光輝に探してもらおうとしたらしい。だがそれなら問題がある。

 

「アスナさん、俺がその人の事を知ってますか?」

 

「うん。知ってるわ、ユウキよ。エクスキャリバーの前に光輝君も戦ったでしょ?」

 

光輝は何となく会いたい人がユウキなのではとは思っていたが本当にそうだったから言わなきゃいけないことがある。

 

「その、俺が探せるのは俺がリアルで会った人達だけです。仮想世界じゃ流石に気は分かりません。」

 

·····まあ普通に考えれば分かるだろうが冷静さを失っているアスナは気が付かなかった。光輝に言われハッとした顔をしてそして絶望したような顔になった。それに光輝は申し訳なくなり謝った。

 

「えっと、ごめんなさい。」

 

「うんうん、ごめんね、いきなり詰め寄って。」

 

「何が·····あったんですか?」

 

そう光輝は聞いた。2人はその後2人はキリトとアスナが借りている部屋に行った。因みにもう少しで22層が開通されるから2人はあの森の家を買う気満々である。そして光輝はアスナの反対に座って聞いた。

曰く、アスナはエクスキャリバーの翌日約束どうりユウキとユウキのギルドスリーピングナイツのメンバーと会いユウキの頼みを聞き協力した。そして道中色々あったそうだがボス撃破は出来たそうだ。そしてスリーピングナイツとアスナはお祝いをしてアスナはその時お礼は要らないからスリーピングナイツに入れてくれと頼んだ。だがユウキは涙ぐみながら断った。そして気まづくなった場をアスナが剣士の碑を見に行こうと――ワンパーティーでクリアした場合パーティー全員の名前が刻まれる――向かいそこに全員いるのを確認した後ユウキがアスナに姉ちゃんと言ったらしい。そしてそれをアスナが指摘した所ユウキは目に涙を溜め思わずというふうに後ずさりログアウトし以来1度も会ってない·····スリーピングナイツの他のメンバーも1回シウネーがアスナに会ったきりでその後は誰とも会えなかったんだと。一通り聞き終えた光輝は少し経った後に言った。

 

「そう言えばキリトがアスナさんにユウキさんと戦う前に何か言ってましたよね?あれ何なんですか?」

 

アスナは何故今その話を?と思ったが取り敢えず言った。

 

「ユウキは仮想世界の申し子だって」

 

「·····成程。俺の場合は俺が色々おかしいだけだから忘れてたけど確かにそうだな。でも俺そっちの世界の土地勘なんてないしな」

 

そうぶつぶつ言い始めた。

 

「えっと、光輝君。何か気づいたなら教えてくれないかな?」

 

光輝は数瞬考え言った。

 

「すいません、キリトと調べてからでも良いですか?」

 

「え・・・キリト君と?」

 

「はい。調べ終わったらキリトからアスナさんに言ってもらいますから」

 

そう言って光輝は立ち上がって部屋を出た。アスナは今の会話で何が分かったのかが分からず呆然と光輝を見送った。でも不思議とキリトと光輝なら本当に見つけそうな気がした。

 

アスナの部屋を出た後光輝は下の階にある光輝とレインが借りてる部屋に来てキリトにメールした。直ぐに返信があり2人は自分達の予想が合ってるか確認し合いそれぞれ調べ始めた。2人が調べているのは医療用フルダイブマシン、メデュキュボイドの臨床実験をしている場所だった。メデュキュボイドはフルダイブ技術を応用して医療の役に立たせるためのものである。·····終末医療だが。

何故2人がそう思ったのか、それは仮想世界の申し子、つまり仮想世界に順応している·····いや、もう仮想世界にずっといるような自然な動きをユウキは見せていた。だから2人は基本的仮想世界にいるであろうフルダイブマシン、メデュキュボイドの事を思いついたのだ。光輝の場合は今までの経験で知らない内にトッププレイヤーになれただけである。レベル制MMOならあっという間に最下位クラスになるだろう。

キリトはともかく何故光輝がメデュキュボイドを知っているのか?それは·····光輝の全ての戦いが終わって自分の世界にも帰るようになった時、自分の手でフルダイブマシンとSAOみたいなソフトを作りたいと思ったからだ。自分が色んな事を経験し生きた世界を櫂や楓、咲良に·····そして愛美に体験して欲しかったのだ。だから光輝はよくキリトのフォーラムやらについて行っている。勿論変化して。悟空達は騙せないが一般市民なら騙せる。だから修行やALOで特に用事がない時はまずは算数など勉強している。教師は時間があった時にはレインやキリトにアスナ、そして悟飯だ。光輝は影分身があるから少ない時間でも割と成果は出ている。

閑話休題

その後2人は病院を見つけ翌日キリトからアスナに伝えた。光輝はそれから少しALOにはログインしなかった。少しタイムパトロールに·····だが特に敵がいるとかではなくどっかの馬鹿がある星の歴史に介入したからそれを止めに行っただけだ。そして光輝はそのパトロールが終わったら3日ぶりにALOにログインした。そして·····

 

「統一デュエルトーナメント?」

 

「うん!光輝も出るでしょ!?」

 

と凄みを効かせて絶剣、ユウキは聞いてきた。アスナに伝えた後色々あったそうだが光輝はまだ全部は聞いていない。·····というか聞こうと思った矢先にこんな状態だ。ログインしてきたら何かメールがあってアスナからで何か部屋に来て欲しいと言われたから上に向かった。そしてそこにはユウキやらアスナやらキリトやら·····レイン以外のその他メンバーがいて自己紹介が終わるとユウキが言ってきたのだ。

 

「うーん、俺デュエル大会出たことないしなー」

 

「え?どうして?」

 

「いや俺の種族ってアルフでしょ?だから仮に俺が優勝したとしても何かチートとか言われかねないんだよ。勝ったとしても種族の力だーとか何とか言われるだろうし。まあ俺に言わせればそんなのを言い訳にしてる時点でそんなヤツらのタカなんて知れてるんだけどいちいち何か言われるのがめんどくさいから出てないんだよ。」

 

光妖精アルフ、本来ALOの種族選択場面では出ない種族だ。この種族は本来前までのALOにあったグランドクエストをクリアした種族だけがなれる種族だ。前までのアルフの特徴は飛行時間無制限だったがそれはもう今のALOでは全種族共通となっているからそれの有利不利はない。

ここで光輝のアルフの特徴を言っておく。光輝はのアルフは体術スキルや拳術スキルがなくても光輝のただのパンチや蹴りでも剣よりもほんの少し威力が弱いくらいで普通のプレイヤーよりも殴りダメージがある。剣のダメージは皆と同じ。魔法は闇魔法以外は割と使えるのだが光輝は一応覚えてはいるがあまり使わない。剣か(けん)で行くことが多いからだ。そして光の障壁が出ている設定なのだろうか攻撃の余波ダメージを受けない。

そんなアルフの弱点はなんと言ってもHPが少ないことだろう。光輝はあまりくらった事はないが試しに1度キリトに3連撃ソードスキルをちょっとしてもらったらそれだけで死んでしまった。だがまあつまり直撃したら終わりだが光輝の反射神経と動体視力とタイムパトロールの経験があれば別に難しい事じゃない。·····完璧光輝用の種族となっている。

 

「えー!出ようよ!ね!」

 

どうやらユウキはどうやっても光輝にリベンジしたいらしい。あの時はボス戦一緒にしてくれる人を探して自分を倒すほどの人がいたから必死にお願いしたがよくよく考えれば自分光輝に1ダメージも与えられず負けた事を思い出しリベンジしたいのだろう。

 

「いやリベンジマッチならちゃんと後でやりますから許してください。」

 

「やだ。」

 

·····真っ向から拒否されるとは思わなかった。

 

「ね!出ようよ!トーナメント!」

 

「あーもう分かりましたからそんなに顔を近づけないでください。」

 

ユウキは割とグイグイ顔を近づけてきたから光輝はそう言った。ユウキはまたやっちゃったみたいな顔をして笑顔で戻った。

 

「本当!?やったー!」

 

「何かユウキさんって悟空さんと仲良くなれそう。」

 

「あっ、僕のことはユウキでいいよ!·····所で悟空さんって誰?」

 

「ん?んー俺の師匠的な人。」

 

·····ぶっちゃけ言うなら光輝は色んな人に修行つけてもらってるから特定の師匠がいるという訳では無い。

 

「光輝の師匠って光輝よりも強いの!?」

 

「うん。俺の1000倍以上は強いと思うよ。」

 

「·····冗談だよね?」

 

「本気です。俺まだ一撃もあの人に攻撃まともに当てたことはないし。」

 

超サイヤ人になっても特に変わらなかった。

 

「·····何か自信がなくなってきた。」

 

「因みに俺の師匠的な人はあと4人いますよ。」

 

それを聞いたユウキが少し項垂れた。そんなユウキをアスナは励ました。ぶっちゃけこれは光輝が色々おかしいだけでありユウキはALOでもトッププレイヤーだ。その後アスナとユウキはスリーピングナイツの所へ行った。そして光輝はキリトからユウキの事を聞いた。所が

 

「·····エイズって何なの?」

 

まあ数学と英語と工学以外小3で止まっている光輝にそんな病名分かるはずもなく聞いた。

 

「・・・まあ取り敢えず悪いものって考えてくれ。」

 

「はーい。」

 

その後光輝は一通りユウキの事を聞いた。そして光輝も少し暗い顔をしてソファーに座った。

 

「·····だからあんなに明るく振舞おうとするのか、成程。」

 

そう言った光輝の眼光は少し怒ってるような眼になっていた。·····光輝は一つだけユウキ治す方法を知っていた。

 

「まあ・・・個人的にもトーナメントには出る理由が出来たな。」

 

そうぽつんと呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

統一デュエルトーナメント当日キリトや光輝達は順調に予選を勝ち抜き本戦に出た。そして今はトーナメント表が出た所だった。

 

「準決勝か·····」

 

そう光輝は呟いた。準決勝の予想相手はユウキだった。ちらっと見ればワクワクしてる顔になっている。

 

(やっぱり悟空さんと仲良くなれそうだよな。)

 

まあ会わせることはないだろうが。光輝は今日1日休暇にしてもらっている。トーナメントの後に用事が出来るかもしれないからだ。そう考えながら光輝は1回戦に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「負けないよ、光輝。」

 

そう向かい側で言っているのはユウキだ。そうこうして光輝とユウキは準決勝で向かい合った。もう1つのブロックではキリトが決勝にコマを進めた。

ユウキに声をかけられたが光輝は無言で赤い剣を出して切っ先を向けて構える。そんな光輝にユウキや観戦しているアスナやクライン、そしてこのトーナメントの前にライブをして特別見やすい席にいるレインは訝しげに見ていた。だがそれを聞く前にカウントダウンが近づいてきたから誰も指摘せずに見守る。そしてレインはカウントダウンがゼロになったと同時に言った。

 

「準決勝·····始め!」

 

そうレインが言った直後ユウキが仕掛けた。前の時に掠らず負けたのが効いたのだろう前の時よりも短期間で早くなっていた。だが光輝からすれば前より微々たる変化なだけで油断せずに捌く。そして光輝は隙を見つけしゃがんで躱した後にそのまま足払いをかけ転けさせた。

 

「くっ!」

 

だがユウキは転けたのが分かると同時に羽を広げた。そして宙に浮いて光輝の追加攻撃を回避した。ユウキはそのまま光輝を空中から見る。光輝はそんなユウキに顔を上げて見ながら目でかかってこいと言う。そう感じたかは分からないがユウキはキッとして向かった。

 

「やぁ!」

 

そう気合いの雄叫びを上げて斬ろうとしたり突こうとするが光輝はそれを受け流したり逸らしたりするだけだ。反撃をしてこない事に気がついたユウキは下がった。そして怒ってる声で聞いてくる。

 

「·····どういうつもりなの?」

 

光輝はそんなユウキを冷めた目で見ながら言う。

 

「いや、やっぱり生きる事を諦めた人の力なんてこんなもんなんだなって思って反撃するのもめんどくさくなっただけだ。」

 

それを聞いた瞬間場は沈黙した。SAOからの仲間は何を言ってるんだみたいな顔をしてる。スリーピングナイツのメンバーは光輝が言った事が理解できない顔をした。そして面をきって話されたユウキは一瞬何を言われたのか分からない顔をしたが急激に理解したと同時に信じられないみたいな目で光輝を見た。

 

「どういう・・・こと?」

 

「どういう事ってそういう事だよ。あんたの事はキリトやアスナさんに聞いた。それが分かった上で言っている。」

 

「な・・・んで。」

 

「何でってあんたが生きるのを諦めてるからそう言っただけだ。」

 

「諦めて·····」

 

「あんたが出来るだけ笑おうとしたり人に話しかけて嫌われても良いと考えているのはその人の中に自分を残す事が目的なんだって?それが悪い事とは言わん。だけどあんたがそれをするのは自分が死んだ時に誰かの心に自分が片隅でもいいからいて欲しいって理由って聞いた。」

 

それはアスナから聞いた事だ。それを聞いた時から光輝の中にはユウキに冷めた思いがあった。生き様に関しては光輝は普通に悲しい思いになった。だがそれとこれとは別だ。

 

「ふざけるなよ。」

 

だがユウキは光輝のそれを聞いてわなわなと震えて目に涙を溜めながら叫んだ。

 

「ふざけるな?お前に·····お前に何が分かるの!?お前はそんな病気になった事があるの!?」

 

ユウキが人をお前と言うほど今のユウキは怒っていた。

 

「あー分からないな、生きる為の努力もしていないのに生きる事を諦めたやつのことなんざ分からないな。」

 

それを聞き流石にアスナ達も何か言おうとしたがキリトが止めた。

 

「何で!キリト君!あんなの·····」

 

キリトはそれを聞いてもふるふると顔を振って光輝を見た。アスナ達もそれを見てあの顔をどこかで見たと思い思い出した。あの顔にはSAOの時に光輝がアスナを試した時の顔だ。あの時アスナはフィールドボスを村におびき寄せ倒す作戦にしたがそれを光輝が却下した時に光輝がラフコフと同じになりたくないと言ってアスナを試した時と同じ顔だ。

だがそんなのはユウキは見た事ないからそりゃあ勿論怒る訳で·····

 

「僕だって·····僕だって探したよ!治す方法を探したよ!でも·····僕も先生も見つけれなかった。」

 

「で、それはどこまで探した訳なんですか?まさか日本だけじゃないですよね?」

 

ユウキはそれを聞き目を見張った。範囲·····確かに少なくともユウキは·····日本しか探さなかった。

ユウキが無言になったのを見て図星だと分かった光輝は畳み掛ける。

 

「笑わせないでくれます?日本だけってそんなの探したの内に入らないですよ?全部の可能性を探った上で得た結果でもないのによくまあ探した何て言えましたね。」

 

「で、でも海外何てお金が無いよ!」

 

そう叫んだ。光輝の世界でもこの世界でも海外での治療は高い。両親が死んでしまったユウキにそんな大金払える訳ない。だが光輝はそれでも返した。

 

「あんたになくてもクラウドファンディングって手もあった筈だ。」

 

「それは·····」

 

「俺からすればそういう手を使わなかった時点であんたが生きるのを諦めたって思うのは必然だ。」

 

そして決闘中だが静寂になった。観客はなんの会話をしているのかは全く分からないが何か重い話をしてるのは分かってるのか沈黙だ。だがそんな静寂はユウキによって唐突に破られた。

 

「·····れ」

 

下げられて見えない顔から聞こえてきた声は涙ぐみながら言う。

 

「・・・まれ」

 

そしてだんだん大きくなっていく。光輝はそれを聞きながら剣を構える。

 

「黙れ!」

 

そう叫び光輝に突撃した。光輝は特に表情変えずに迎え撃った。そしてユウキは攻撃しながら叫んだ。

 

「お前に何がわかるんだ!僕の事なんにも知らないくせに!」

 

そう叫びながら剣を振るう。だが光輝はユウキを見据え捌きながら答えた。

 

「ああ、お前が俺の事を知らないように知らないな。」

 

そう言いながら光輝は左のこぶしを握り懐に入ると同時に腹に叩きつけた。

 

「かハッ!」

 

「俺の家族のように生きたくても生きれなかった人達だっている!」

 

光輝の脳裏にはあの皆の死体が映っている。光輝の家族は自分達の意志とは関係なしにあの世に行ってしまった。だがユウキは違う。まだ道はどこかにあるかもしれないのにそれを探さずただ諦めてる姿を見れば光輝からすれば怒り案件だ。

 

「ふざけるな!」

 

そう光輝は言いもう一刀抜いて二刀流になった。それに観客席はどよめいた。·····余談だが光の解放者がALOに現れるのは有名だ。だから光輝自身は有名じゃないと思ってるが実は普通に有名だったりする。

そしてそんな光の解放者の二刀流を見る機会はキリト達以外は少ない。だから驚いたのだ。

そんな二刀流の光輝を見てユウキは一瞬だけ尻込みしたが直ぐに向かった。

 

「うるさい!うるさい!」

 

そう言って剣を振るうが光輝には全く通用せずそれ所か増えた手数でユウキを逆に切り裂いていく。

 

「くっ!やああああ!」

 

そう言ってユウキの剣が紫色のライトエフェクトを纏った。そして叫びながら言う。

 

「僕だって·····僕だって生きたい!生きたいに決まってるじゃないか!」

 

そう心から叫びながらユウキのオリジナルソードスキル《マザーズロザリオ》が発動した。そのスピードは怒りパワーか何かなのか最初の決闘の時よりも速かった。そして光輝はそんな叫びをあげたユウキに満足そうな顔をした。·····だがそれとこれとは別であり光輝はユウキのマザーズロザリオを躱したり剣の腹に当て全て受けきった。

 

「なっ!?」

 

ユウキはそれに目を見張った。自分でも今のマザーズロザリオは今までで一番早いと思ったのだ。そしてそれを当たり前のように光輝は防いだ。そして光輝は硬直が下されているユウキに向けて光輝の二刀に金色の光が宿った。そしてゆっくりと噛み締めるように叫んだ。

 

シャイン・ビハインド・ディスペアー(絶望を超える光)!」

 

そう言い光輝の二刀が動いた。ユウキを真一文字に斬った後後ずさったユウキに光輝は飛びながら手を広げ光輝は自分ごと高速回転し5回斬った後ユウキの後ろに着地した後コマ周りしながらユウキの横腹を斬りつけた。その後光輝は剣でユウキの顎を跳ねさせて空中に飛ばした。その際光輝はユウキに背を向けて着地したが直ぐにバク転しながらユウキを追った。そしてそこから振り向け様に滅多斬りにした。それだけでユウキのHPはイエローゾーン、そしてレッドゾーンに入った。そしてユウキが地面に着くのと同時に光輝は右の剣を引き地面につくのと同時にユウキにその剣を叩きつけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

·····と観客は思った。実際砂煙がめちゃしていたから余計に。だが·····

 

「な・・・んで?」

 

そう呟いたユウキの腹寸前で光輝の剣が止まっていた。これには観客もキリト達も唖然となった。そして光輝は剣を左の剣を背中の鞘に入れて右の剣を宙に投げた。そして少し体を斜めにしてその後落ちてきた剣を右の鞘に入れてユウキに言った。

 

「さっき言った事、嘘じゃないだろうな?」

 

さっき·····そう考え一瞬で思い至ったユウキは涙ぐみながら言った。

 

「当たり前·····じゃないか。僕だって·····生きたい!生きてスリーピングナイツの皆と・・・アスナや皆と一緒にいたい!」

 

そう心から叫んだ。それを聞いた光輝はふっと笑った。何故そうなるのか分からないのかユウキは全く分からなかったからまだ涙ぐんでる顔で光輝を見る。

 

「·····分かった。」

 

そう言い光輝は観客席を見てアスナを見た後宣言した。

 

「リザイン!」

 

そう言った瞬間ファンファーレがなってWINNERユウキと表示が出た。それに観客もユウキも今度こそ全員唖然とした。

 

「え·····どうして?」

 

「どうしてって今用事が出来たんだからしょうがないだろ?」

 

光輝はそう言いながら唖然としている皆をほっときアスナ達の所に飛んで言った。

 

「アスナさん、アスナさんの世界で今から会えますか?」

 

「え?どうして?」

 

「いやだって俺ユウキさんの病院の場所知らないし。」

 

「何でユウキの病院に·····?」

 

「じゃあユウキを助けられる方法があるって言ったら良いですか?」

 

そう言って聞いたアスナは目を見開き光輝に迫った。

 

「本当!?」

 

「いや今更嘘つきませんって。」

 

「分かった!今すぐ準備する。」

 

そう言ってアスナはログアウトした。観客は何故今のような展開になっているのか分からずまだ呆然としている。光輝はキリトにアスナの家の場所を聞き今度はレインの元に向かった。

 

「お姉ちゃん、ごめん。俺3位決定戦も出ない。」

 

「·····大切な事なのね?」

 

「うん。」

 

「分かった。行ってらっしゃい。」

 

「うん!」

 

そう言い光輝はログアウトした。時の巣の自室で目覚めた光輝はトランクスに一言言ってキリト達の世界に向かいアスナの家に向かってアスナの家の前で待った。そして割と直ぐにアスナが出てきた。2人はその後電車に乗って横浜のユウキがいる病院に向かった。その間にアスナは窓から景色を楽しんでる光輝に聞いた。

 

「光輝君・・・どうやってユウキを治すの?この前言ってた医療忍術ってもの?」

 

光輝は椅子に座り直し首を振った。

 

「医療忍術で治せるのは怪我だったり毒を抜いたりする事だけですよ。」

 

「え·····じゃあどうやって?」

 

「俺が3日間ぐらいタイムパトロールでALOに来なかった時の事は覚えてますよね?あの時のタイムパトロール先が何か医療がすっごく発達していた星だったんです。·····まあ日本語が通用しなくて焦りましたが。その星の人達が翻訳機をくれたのでよかったです。まあそれは置いといてタイムパトロールで助けてくれたお礼って言われて何か幾つか薬くれたんです。で、その薬の1つの説明を翻訳機を通して見てみたら」

 

「·····もしかしてエイズを治すための薬?」

 

「That's Right.そういう訳です。でもまあ俺が持ってるものだけじゃ流石にユウキが治るのに間に合うか分からないので薬を増やしたいんですが、まあ素人の俺にそんなの出来るわけなく、かと言って時の巣にいる色々万能すぎる人は今自分の時代に帰ってますしだからユウキのお医者さんに頼もうと思ったんです。でもまあ説得出来るかは分からないからアスナさんを連れてきたのもありますけど。」

 

アスナは光輝の話が色々飛び抜けているが取り敢えずユウキを助ける為の薬を増やす為の説得と道案内でアスナを同伴したらしい。·····アスナは光輝自身何言ってるのか理解してるのだろうかと思った。エイズを確実に治す為の薬何て売ればどんなに儲かるのか光輝は分かってるのだろうかと思った。でも今はそれは置いとく。

 

「·····ありがとう、光輝君。」

 

「別に俺が凄い訳じゃないですよ。お礼ならあの星の人達に言ってください。まああの星の人達が俺達と似たような容姿で良かったですね。違ってたら病気の種類も何もかも違ったかもしれませんし。」

 

そんな会話をしながら横浜の病院の最寄り駅に着き2人はアスナが予め伺う事を言ってたから真っ直ぐ病院に向かった後受付でユウキと面会したいからユウキの先生を呼んでくださいと言い先に聞いてたんだろう直ぐに呼ばれた。そしてユウキの担当医の倉橋が来て光輝とアスナは立ち上がってアスナが礼したから光輝も慌てて礼した。·····因みに光輝を見た時倉橋は目を見開いた。光輝の事は倉橋も知っている。倉橋もあの決戦の動画は何度か・・・ニュースにも取り上げられていたから光輝の事は知っている。そして3人はユウキのいる部屋の隣の部屋に向かった。そして光輝話その時初めてユウキの現状を見た。そしてそれを見た後光輝は腰に入れてた巾着の中から薬ケースとその説明書とその後説明書を翻訳したものの3点セットを出して倉橋に渡した。

 

「こ、これは?」

 

「俺が色々あって何かお礼として貰ったものです。」

 

それを聞きながら倉橋は3点セットを受け取ってその説明書を見た。光輝は言う。

 

「·····でも俺はそれで治った人を見た事はありません·····というかそもそも俺の周りにはユウキと会う前にはいなかったから使う必要がなかったっていうのが本音ですが。でもまあその薬を作った星の人達を見れば皆健康そのものみたいな人達が多かった·····というか皆そうでしたし。」

 

そう言い光輝は窓越しにユウキを見て言った。

 

「それを使うかは倉橋さんとユウキに任せます。怪しいと思って拒否するのも望みにかけるのもユウキ次第です。」

 

そして場は少しばかり沈黙した。倉橋は正直悩んでいた。光輝が嘘をついてるとは思えない。色々分からない事があるがそもそも光輝は平行世界の人間だからこの世界に無いものもあるだろう。だが·····はっきり言ってこんな都合のいいことが起こるのだろうかとも考えている。別に光輝はそれは命を預かってる身としては普通だと思うから何も言わない。そんな時·····

 

『先生·····僕飲むよ。』

 

「ユウキ!」

 

そう言ってアスナは窓に張り付いた。薬を飲むためには色々賭けがある。先ず本当に効果があるのか?そしてユウキを1度無菌室から出さねばならないこと。そして·····効果がなかった暁にはユウキの死は早まるかもしれない。

 

『アスナ、僕·····もう一度戦う。戦って・・・絶対に勝つよ!』

 

倉橋はそんなユウキを見た。そして確認するように聞く。

 

「·····良いんですね?」

 

『はい。』

 

そう真っ直ぐ返した。

 

「分かりました。お2人とも、すいませんが少し席を外します。」

 

そう言ってアスナと光輝に一礼し部屋を出て行った。

 

『光輝、ありがとう。』

 

そう言ってきたユウキに再び向いた。

 

「まあ本音を言うならあれでもまだ諦めるようなら本気で見捨てようと思いましたけどね。」

 

『ははは、厳しいね光輝は。』

 

光輝はそこであっと感じで思い出して聞いた。

 

「そう言えば決勝どうなったの?」

 

『実は僕もあの後トーナメント辞退したんだ。』

 

「え?どうして?」

 

と聞いたのはアスナだ。

 

『だって本当は僕が負ける筈だったのに決勝にいくわけにはいかないじゃない。』

 

「変な所で真面目ですね。」

 

『その代わり絶対に2人には勝つよ。キリトも光輝にも。』

 

そう聞いたアスナは嬉しそうな顔をした。ちゃんと生きると宣言したのと同義だからだ。

 

『ねぇ光輝。二刀流でソードスキルしたよね?あんな動きよく思いついたね?』

 

オリジナルソードスキルは基本的に作る時には当たり前だがシステムの恩恵なんてない。自力でしなければならない。だから基本は滅多斬りになったり滅多突きになったりする。だが光輝の動きは色々と変則的だった。最初の真一文字に斬ってからは余計に。誰があんなに剣を持ちながら高速回転したりバク転で相手の上に来たりする動きが出来るのか?少なくともキリト達の世界には1人いたら良い方だろう。

 

「まあ、あれ最初作った時は割と大筋だけ決めてあとは適当だったりするけどな。滅多斬りの所はキリトの技を参考にしたし。」

 

最後の空中での滅多斬りはキリトのスターバーストストリームを参考にした。違うのは最後が左突きではなく右の突きってだけだが。因みに光輝の2つ目のオリジナルソードスキル《シャイン・ビハインド・ディスペアー》はスターバーストストリームと同じ16連撃だ。

 

『そう·····何だ。·····ねえ?あの時言ったよね?光輝の家族のようにって』

 

「ああ。」

 

『あれってどういう意味なの?』

 

光輝は悩む素振りも見せず答えた。

 

「そのまんまだ。俺の家族は祖父を除いて寝てる間に全員殺された。祖父は戦った上で死んだ。」

 

·····こんな話をしたらそりゃあ暗い雰囲気になる訳でユウキも例外ではなかった。

 

『·····ごめんなさい。』

 

「別に謝る必要はない。俺が勝手に言っただけなんで。それに俺にはまだ守りたい人達がいる。そんな人達がいる限り俺は生きられる。」

 

それは光輝の思いそのものだ。

 

「守りたいと思った人は絶対に守る。俺の身が朽ち果てようとな。」

 

·····後に光輝はこの誓いを1人守れなかった事で深く傷つくが少し未来の話。

 

「まあそういう訳で俺は帰ります。2人の時間邪魔したら悪いし何か修行したくなってきたので。」

 

『邪魔何て思ってないけど·····ありがとう、光輝。』

 

「どういたしまして。」

 

そう言って光輝は時計をいじり時の巣に帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1ヶ月半後、光輝はキリト達の世界に降り立った。この1ヶ月半光輝はALOにはいたがユウキとは会わなかった。·····まあ光輝が度々アインクラッドの迷宮行ったりなんならボスに殴り込みに言ってるからメールが届かないだけだが。そして今日はレインに誘われてダイシーカフェに入った。

 

「皆こっちじゃ割と久しぶりだね。」

 

「うん。そうだね、元気そうで良かった。」

 

そうレインは言った。そんなレインに苦笑いしながら返す。

 

「くたばってたら体調管理ぐらいしろってベジータさんに言われちゃうよ。」

 

そう言った後レインと団欒していたがある気を感じその場にいたメンバーに言った。

 

「あっ、来たよ。」

 

そう言ったら皆クラッカーを持った。そしてダイシーカフェの扉が開き一斉にクラッカーを鳴らした。

 

「「「ユウキ!退院と入学おめでとう!」」」

 

それを涙ぐみながら受けた車椅子に乗ってる少女、絶剣のユウキは笑顔で返した。

 

「皆·····ありがとう!」

 

絶剣、ユウキは薬が効き元来持ってた回復力も合わさり完全に回復した。そして今は長年寝たきりだった体を戻す為のリハビリ中だ。そしてユウキはSAO帰還者学校に入学する事が決定した。今日はそんなユウキを祝う会だ。車椅子を押しているのはアスナだ。

ユウキが回復した事により色々あった。例えばユウキの住む場所だ。ユウキが住んでた家はもう取り壊されてしまうことが決定している。そこで名乗りをあげたのはユウキの担当医の倉橋だ。奥さんと相談しユウキを引き取り倉橋家に住むことになった。

そんなユウキはパーティーが始まって直ぐに光輝の所に車椅子を転がした。光輝はレインが作ってくれたロシア料理を口に入れたまま向いて飲み込んだ。

 

「光輝、僕・・・生きてるよ。」

 

「·····うん。頑張ったね。」

 

それだけで会話は十分だった。そしてユウキは思い出したように好戦的な顔になりながら言う。

 

「次は絶対に勝つからね。」

 

光輝も笑って返す。

 

「じゃあ俺は100連勝します。」

 

「む!」

 

そんなやり取りを周りは笑って見ていた。絶剣ユウキは今日この時から新たな人生を刻むのだった。

 

 




お疲れ様でしたm(*_ _)m。
マザーズロザリオ編はやっぱり1話にまとめるべきじゃなかったですね、ごめんなさい。書いてないだけで光輝はユウキの事情はほぼ全部聞きました。その上で光輝は怒りました。

《シャイン・ビハインド・ディスペアー》 光輝の2つ目のオリジナルソードスキル。真一文字に斬って後ずらせた後メモデフの修剣士レインよろしくやたらと回転し相手の後ろに突き抜けたあとホリゾンタル・スクエアの最後のように回りながら斬った後ハウリング・オクターブのあの顎跳ねさせを真似して少し威力を高めにして上空に吹き飛ばした後威力高めにする為にユウキに背を向けてた状態からバク転しユウキに追いつき振り向き様に滅多斬りにして最後に右の突きのソードスキル。

光輝自身は現実の時は割とソードスキルの再現をするがALOだとここぞという場面でしかやらない。プレイヤーになった以上光輝にも技後硬直が出来たからです。
そして細かい説明もないのにユウキ生存(๑•̀ㅂ•́)و✧。
ドラゴンボールGTで医療の星何てあったんで大丈夫かなーとやりました。

·····後本作の時系列は色々カオスだったりする。
SAO編→ファントムバレット編→エクスキャリバー→マザーズロザリオ→まだ書いてないだけでロストソング編です。で、ロストソング編が終わってちょっと経った後が人造人間編です。
(*´∇`)ノ ではでは~


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オーディナルスケール、起動!

おはようございます。今回は番外編でオーディナルスケール編です。ユウキ好きの皆さん、すいませんが多分ユウキはあまり出ません。というのもユウキのエイズが完治してからそんなに経っていないから無理です。ではGO


 ユウキのエイズって病気が完治してから早二週間、それに七色さん……じゃなかった。七姉ちゃんが起こしたクラウドブレイン事件から1週間、俺はALOではなくキリトの家にいた。もっと言えばキリトの家の道場にいた。俺の手の中には俺の背の半分ちょっと位大きい竹刀がある。

 そして俺の向かいにいるのは剣道の面やら服を着ているから分かりにくいがキリトの妹さんのリーファさん……じゃなかった。直葉さんがいる。その手には俺と同じ竹刀が握られている。

 こうなったのはには理由が勿論ある。事の発端は昨日だ。昨日の修業を終えてALOにいた俺は偶々いた直葉さんのアバター……リーファさんに会った。

 俺は正直余りリーファさんと一対一で話した事は少ない。基本誰かと一緒にいる時にしか話さなかった。それがある事でちょっと話しやすくなった。最もリーファさん自体は凄く話しかけやすい人だけど。多分俺の方に原因があっただけだ。守る人が増えたことによる不安のせいで。

 そんなリーファさんと昨日ALOで会って少し話をした後思い出したようにこう聞いてきたのだ。

 

「そうだ! 光輝君明日暇?」

 

 曰くせっかくだからリアルでの鍛錬に付き合ってくれないか? と言われたんだ。別に俺に却下する理由は特にないしオーケーした。どの道今日はこっちでする事があったからな。

 向こうは剣道装備なのに対し俺は何時もの恰好である。最初は剣道装備にしようかと思ったけど俺のサイズに合うやつが無かった。まあ今の俺は竹刀がぶつかった程度痛くも痒くもないから別にいいだろ。

 そういう訳で俺は目の前の直葉さんと鍛錬することになった。

 

 二人は距離を取りながら隙を伺う。構えは直葉が剣道の正当な構えに対し光輝は中段に片手で竹刀を持って構えている。SAOから戻ってきたキリトと戦った事が無ければ「なにこの構え」となった事だろう。しかしそんな事は今は思わない。

 何故なら、あの命がけの世界で磨いてきた強さは直葉も身をもって知っている。ゲームだからとかは関係ない。それを動かしている人達の思いや魂は皆本物だから。直葉は目の前の光輝を見据えながら考える

 

(それに……)

 

 目の前の光輝の強さはあの最後の戦いを見た直葉から見ても強いと思わせるには十分だった。あの時の光輝はヒースクリフが光輝が許可したとはいえ所謂チートをしていたのに光輝は素で食らいつきそして最後には結局光輝自身も推測の域を出ないパワーアップを果たしラスボスを打倒した。

 その事で光輝はキリトにALOで謝ったことがある。曰く、本当の歴史ならばデスゲーム参加者ですらない光輝ではなくキリトがあのデスゲームを終わらせた英雄だというのだ。まあそれは今あまり関係ないので割愛。

 光輝の強さはリアル由来、そしてその強さはタイムパトロールによって更に磨かれている。直接戦うのはこれが初めて。

 二人はじりじりと間合いを図りながら近づいていく。

 

「……やあ!」

 

 先手必勝とばかりに直葉が仕掛ける。そのスピードは流石は中学での全国大会ベスト8に入ってるだけあって早い。上段から竹刀を振り下ろす。光輝はそれを簡単に竹刀を横に置きガードする。

 竹刀と竹刀がぶつかり合った音がする。直葉はそのまま押し切ろうとしてみるがびくともしない。ちらりと光輝の手を見てみると片手しか使っていない。

 

「ふっ!」

 

 光輝は直葉を弾いた。少し直葉はよろけるがすぐさま態勢を取り直した。そんな直葉に光輝が迫る。

 

(早い!)

 

 心の中でそう叫ぶも何とか反応する。光輝は斜め切りで迫る。直葉は避けるか受けるかの二択を選ぶ。選んだのは後者。自分の竹刀を光輝の竹刀にぶつけ相殺しようとする。

 

「──!」

 

 だが相殺しようとこちらも勢いよくぶつけたのにも関わらず直葉は一瞬で押し切られるところだった。押し切れないことを悟った光輝は直ぐに後退する。そして直葉が光輝に迫る。二人は竹刀をぶつけ合う。そんな中光輝は思った

 

(やっぱりリアルでは直葉さんがぶっちぎりで強いな。技術はSAO組も負けてないと思うけどパワー負けするだろうな)

 

 光輝が後退する。直葉は逃がさないとばかりに距離を詰める。光輝も直葉を迎え撃つ。光輝は気を抑えている。だから直葉もある程度渡り合える。互いの竹刀を弾いてはまたぶつけあう。剣道の試合時間は高校生の直葉に合わせ4分としている。その内の三分間は互いの竹刀をぶつけ合っている。

 

(直葉さん上手いな、俺にパワー負けする事を見越して最善の選択をしている)

 

(強い! 全然攻めきれない。これでも手加減してる状態だなんて)

 

 互いの思ってることは概ねそんな事だった。光輝は直葉の技術に舌を巻き直葉は光輝の単純な強さに冷汗をだす。だが二人にはそれ以外の決定的な違いがあった。それは

 

「はぁ……はぁ」

 

 光輝から離れ直葉は息を整える。光輝はそれを黙って見ている。

 二人の決定的な違い、それは体力とスタミナだ。直葉は体力はそこら辺の人達よりも高い。しかし光輝は直葉とは桁が違う体力とスタミナを持っている。普段ならこんなに動かないし試合も終わってる事が多いが今回は体力の消耗が激しすぎる。この三分間半ずっと動きっぱなしなのだ。それも光輝によって余計に体力が持っていかれる動きをしていた。

 直葉がそれに気が付いた時、セットしておいたタイマーがけたたましく鳴り響いた。それを光輝は止める。そして二人は互いに向き合って一礼した。その後直葉はお面を取った

 

「はぁ~!」

 

 思わず大きく息を吸ったのは空気をもっと取り込むためだろう。そんな直葉をスルーし光輝は自分が持ってきていたポイポイカプセルから出現させておいた冷蔵庫に近寄り中開けてキンキンに冷えている水を取り出した

 

「直葉さん!」

 

 そういって光輝は冷たい水が入ったペットボトルを投げ直葉はそれを片手でキャッチした。そしてキャップを開けて乙女としてはいかがなものかと思うほどがぶ飲みする。一気に半分ほど飲み干せば生き返った顔になる。

 

「ありがとう、光輝君」

 

「いや、俺も割と楽しかったです」

 

 この試合の前に光輝は直葉と二人一組で色々鍛錬をしていた。それが祖父からの教えを受けれなくなり独学で剣をやっていた光輝からすれば大分新鮮だったのだ。二人は座ってさっきの鍛錬についてあれこれ話していた。そして技術の話になった時

 

「正直技術に関しては俺はどうこう言えませんね」

 

 それは本当だ。光輝の強さは少し祖父から受け継いだだけで殆どは独学でアインクラッドで得たものだ。そんな光輝の技術を今のやり方に慣れている直葉に今すぐ変えろと言われても出来る訳ないしそしてなにより……

 

「技術は想いだ。どんな思いでそれを磨き今までやってきたのか、それがその人を映す鏡。それを無理に変える必要はないと思います」

 

 直葉のスタイルは今は亡くなった直葉の祖父からも少なからず受け継いでいる。直葉はその言葉に神妙そうに頷いた。もとより変えるつもりもないが光輝に改めて言われたことで自分のスタイルに自信を持っただけだ。その時ふと思い隣で物騒にも自分の二振りの剣を磨いている光輝に聞いた。

 

「光輝君はどんな想いなの?」

 

 光輝自身はどう思ってその手にある剣を振るうのか、その力は何のために使うのか。それを聞きたかったのだ。

 

「俺は……」

 

 俺はそこで磨く手を止め剣たちを見る。この二つの剣を初めて見た時、俺はお姉ちゃんを、キリト達を守りたいと改めて誓わせてくれた。俺がそこまで思うようになった理由、それは

 

「俺は……やっぱり皆との思い出かな。俺は……誰も傷ついてほしくなくて友達も作ってこなかった」

 

 その言葉に直葉は悲しそうな顔をする。光輝の過去は少し知っている。平行世界とは言え笠木と言う外道との戦いは聞いてるだけでも胸が苦しくなった。こんな小さな少年が命を懸けて戦った。大人は助ける事は出来なかったのか? と直葉は考えたことだってある。

 いやそもそも笠木がそんな事をしなければ良かっただけなのだが。しかし光輝の顔を見るとどうやら今はそんなに悲観していないらしい。

 光輝はウォーリア・ビヨンド・ディスペアーを見ながら続けた。

 

「でも……あの世界でキリト達に出会って……お姉ちゃんに怒られて皆と一緒に戦った。それが俺には嬉しかった。今度は俺一人で戦ってるんじゃない、皆と一緒に戦ってるんだって思えたから」

 

 クオーターボス戦以外で初めて攻略組の皆と一緒に戦った時、言葉で言い表せないくらい何故か嬉しかった。俺はあの時まで戦えるのは俺一人しかいないって思っていた。笠木と俺が戦う事になったのも俺しか戦える人がいないからだと思っていたからこの世界でもそうなんだろうって。

 でも初めて攻略組に合流したボス戦で俺にはない戦い方をする皆を見て攻略組も確かにあの時を生きて戦っていたんだなと思った。だからこそあの後自己険悪に落ちてた時もあるんだが。

 

「……そっか」

 

 直葉はそこで寂しそうな顔になった。当時を思い出していたのだろう光輝の顔が輝いて見えたからだ。自分はSAOにはいなかった。だからSAOで生きてきた兄を含め生還者達の死線を共に超えてきたからこそ得られる信頼関係が直葉には眩しいのだ。それは隣にいる光輝にも同じ表情を見ることが出来たから少し寂しいのだ。

 しかし光輝はそんな直葉に気が付かずに続けた

 

「それに」

 

 光輝はそこで言葉を区切り直葉を見て言った

 

「そんな繋がりが俺を直葉さんに出会わせてくれた」

 

 それに驚いたように直葉は光輝を見る。今の流れなら光輝が大切にしてるのはアインクラッドでの思い出だと思っていた。それなのに光輝は自分との出会いも大切だって言ったのだ。その理由は色々あるがやっぱり思うのは

 

「俺が義理の妹の話をした時、凄い親切に話を聞いてくれた」

 

 それは光輝がALOに来るようになってから少し経ったときににキリトとリーファの関係性を偶々知り光輝は思わず自分の妹の話をした。自分は嫌われているのではないか? そもそも忘れられてるんじゃないか? と不安を吐露した。それをリーファは否定した。

 

『血は繋がってなくても……家族の絆はそれだけじゃないよ。どれだけ互いの事を思いあえるのかが大事なんだよ。光輝君が妹ちゃんを本当に案じてきたのなら……妹ちゃんもきっと答えてくれるよ』

 

 ちゃんと妹さんは光輝の行動に答えてくれると。自分だってキリトとは従妹だし光輝とはもう少し状況が違うがそれでも妹と兄の関係に関してはそれなりに分かっているつもりだ。

 それがあの時生きていて尚且つ帰れるのに帰らないという選択肢を選んだ光輝に刺さったのだ。

 

「俺からすればそれだけで十分です」

 

 光輝は言ってないが光輝からすればキリトの仲間は自分の仲間みたいなところがある。だからシノンもユウキも……そして最近どういう訳か姉になった七色も光輝からすれば自分以上に大切な人達だ。大切な人達が増えてしまったのは正直怖いと思う事がある。この世界には悟空達の世界にあるドラゴンボールなんかない。死んだらそこで終わりの世界なのだから。

 それでも光輝が大切な人達を増やした理由、それは……

 

「自然の摂理さえ超越する強靭な意志、その為に必要な事。大切な人達を守りたいと思う力が人を強くするって俺は信じている」

 

 光輝はそう外を見ながら言った。程ほどに夕日が出てそんな映画のワンシーンのような横顔に直葉は兄に似た何かを感じたのか微妙な視線で光輝に言った

 

「光輝君、お兄ちゃんみたいに女の人を引っかけまくっちゃダメだよ?」

 

 それに光輝は思いっきり意味が分からないと言いたげな表情で振り返りながら言った

 

「確かにキリトの周り女の人多いけどそれって何か悪い事なの?」

 

 本当に分かってなさげな光輝に直葉はレインやセブンでもないのに光輝の事が心配になった。どこか光輝相手には母性が出てしまう。少しレインがブラコンになる気持ちが分かった気がした。しかしこのままでは光輝は無意識に誰かを傷つけてしまうかもしれないので例え話を出した

 

「じゃあ、もし光輝君の好きな子が光輝君以外の男の子と仲良くなってたら光輝君はどう思う?」

 

 これを言った直葉は少しまずったかなと思った。まだ光輝との付き合いは1年位しかないが光輝が女の子に夢中になる所なんて想像できなかった。光輝の周りには普通に可愛い女の子が多いのにも関わらずだ。それこそシリカやユウキなんて光輝と年も近いし間接的に命を救ったユウキならばそのまま恋愛関係になったとしても何らおかしくない。最もユウキと光輝の関係は恋人同士というより完全にライバルのそれだが。

 そんな光輝に恋愛系の例え話で分からせる事が出来るか? となってしまったのだ。

 

(あれ?)

 

 しかし意外なことに光輝は若干焦り始めた表情になっている。そしてそれについて何か言おうとしたら光輝が勢いよく言った

 

「そ、そんなの嫌だ!」

 

 思いっきり叫んだ光輝をよく見ると少し頬が赤くなっている。直葉は意外に思った。この感じだと光輝は好きな人がいると言う事になる。まさかレインの事が好きなのだろうか? 確かに姉弟と言っても血は繋がっていないから行けるっちゃ行けるが光輝のレインに向ける視線は恋愛感情というより家族のそれだから違う気がする。ならば最近色々あった七色か? しかしそれも恋愛感情のそれではない気がする。

 その事に突っ込みたい気持ちが出てくるが話を途中で折る訳にもいかないので続けた

 

「でしょ? 光輝君にはそういう人をたぶらかすような人になってほしくないの」

 

 なんか親みたいなこと言ってるなと自分でも思うがキリトのそれで一度傷ついたことがある直葉は本当にそう思ったし光輝に同じようになって欲しくはなかった。

 

「わ、分かりました」

 

 そう勢いよく返事したが正直これは光輝の問題ではなく相手の問題なのでどの道光輝にはどうしようもないとこがある。

 二人が片付けを終え外に出ると夕焼けが見え始めていた。家に入ると一人の女性が二人を迎えた。

 

「あら、お帰りなさい。光輝君はいらっしゃい」

 

「お邪魔してます、翠さん」

 

 女性の名前は桐ケ谷翠、キリトの義理の母で直葉の実母だ。普段は雑誌の編集者として忙しい日々を送っているが偶に早く帰ってくる。今日がたまたまその日だったのだ。

 二人がリビングに入るとキリトが何故か微妙な顔をして座っていた

 

「どうしたのお兄ちゃん?」

 

 そんなキリトの目の前には最近発売されたオーグマーという光輝からすれば若干ナッパやラディッツがつけていたスカウターに形が似ている機器が置かれていた。

 オーグマーはAR機器、つまり拡張現実に特化した機器で例えばメールなどのタスク管理、目の前に出てきた食べ物のカロリー計算。それから簡易的なライブもその場で出来る優れものだ。レインなんかは早速レッスンに取り入れている。レインにおすすめされ光輝も買った。光輝は同年代に比べたらタイムパトロールの給料でお金持ちなので普通に買えた。

 このオーグマー、実はSAO帰還者学校の生徒は無料配布されたのだ。だからキリトやレイン、アスナにリズベットとかは皆持っている。飛び入りしたユウキにもプレゼントされた。光輝は席に座りながらキリトが微妙な視線を向けている理由を言った

 

「キリトはARに慣れないんだよ」

 

 そう簡潔にキリトが微妙な顔になっている理由を言った。キリトは「やっぱりわかるか」と言いたげな顔になる。直葉は少し呆れた顔になりながら言った

 

「もう、便利なものは使わないと損だよ」

 

「いやそれは分かってるんだけどさ……俺はフルダイブの方がやっぱりいいよ」

 

 長年フルダイブ技術と共に過ごしてきたキリトからすればいきなり電子事業に現れたAR機器は受け入れがたいのだ。光輝もキリトの考えが分からない訳ではないが普段リアルの方で命を懸けて戦ってる身からすればそんなに忌避感はない。

 しかし今日はそんな事を言ってる場合ではなくなった。

 

「というより今日アスナさんとボス戦に行くんだろ? そんな調子で大丈夫か?」

 

 今日、オーグマー対応のゲーム、「オーディナルスケール」のイベントがあるのだ。オーディナルスケールとはAR機器であるオーグマーを利用したソードスキルがないリアルSAOのようなゲームだ。

 SAOと違うのはこのオーディナルスケールにはランキングシステムやポイントシステムがある。ランキングが高い程報酬も良いものになる。リアルにあるお店と提携しクーポン券やケーキを一つ無料でもらえるなど色々ある。ついでに若者の運動不足を解消にも一役買っている。

 

「いざとなったら光輝がいるだろ」

 

「俺を当てにするなよ」

 

 今日光輝がこっちに来たのは光輝がオーディナルスケールに訳あって初挑戦するからだ。最もキリトや仲間の中では光輝がやればどんなふうになるのか想像ついているが。光輝はSAO時代よりも強くなってる。SAOが終わり偶にフルダイブ関連の事件で激闘を繰り広げたことはあるが現実だと仮想世界と勝手が違う。

 しかし光輝の戦いの舞台は現実の数多の超戦士達がぶつかり合っている世界なのでその強さは笠木と戦った時の光輝とは比べ物にならない。そんな光輝がオーディナルスケールに参加すればどうなるのか? 恐らく運営側がボスの強さを100倍にしても光輝を倒すのは至難の技だろう。もはや光輝をボスにした方が早い。

 会話は途中だが翠が言った

 

「二人とも今日はいっぱい動くでしょ? 食べなきゃ食べなきゃ!」

 

 そう言って翠はテーブルの上に今日の晩御飯を置いていく。因みに光輝と翠は何回か会っている。最初あった時らへんなんて編集者の性なのか色々聞かれたが生憎光輝は前の世界では色々教えてもらう前に笠木との決戦だったのであまり自分の世界についてはよく分かっていない。だから余り分からなかったという拍子抜けの状態になった。

 キリトも翠の言葉を聞き腹を括りそれらの料理をお腹が膨れすぎない程度に腹に収めた。食事の途中で直葉は言った

 

「あーあ、私も行きたかった」

 

 直葉が今日キリトとアスナ。それに光輝がボス戦に行くと聞いたのはさっきキリトが帰ってきて道場に寄った時だ。直葉がいけない理由としては移動手段がないからだ。キリトはバイクでアスナを迎えてからでも間に合うが3人乗りは色んな意味で危ないので却下しかなかったのだ。因みに光輝は安定の武空術だ。

 

「しょ……しょうがないだろ。バイク三人乗りは流石に不味い」

 

 オーディナルスケールのイベントボスの出現場所は当日イベント開始の30分前に発表される。だからその場所に向かうための足が必要となる。それにキリトは不本意ながら選ばれたのだ。それを聞き今度は隣で行儀よくご飯を食べている光輝に言った

 

「私も空飛べたらなぁ」

 

 直葉自身ALOで空を飛ぶことに魅入られた一人だ。現実でも空を飛べる光輝に憧れるのもある意味必然だ。光輝は野菜炒めを噛んで飲み込んだ後言った

 

「別に武空術はサイヤ人の専売特許って訳じゃないから修業したら直葉さんも飛べるようになると思いますけどね」

 

「うーん……難しい?」

 

「俺基準で言ったら簡単だった。ただそれは気について漠然と分かっていたからそうなっただけで0からの人は多分難しいと思う」

 

「え~!」

 

 一瞬期待したのが馬鹿馬鹿しくなってしまった。そんな反応が面白く光輝は微笑んでいた。そして少し早めの夕食を食べ終えたらキリトと光輝は外に出た。

 

「じゃあキリト、現地集合ってことで。直葉さん、今日はありがとうございました」

 

「うん。こちらこそありがとう、光輝君」

 

「ああ、また後でな」

 

 光輝は周りに誰もいない事を確認し飛翔した。それを見届けたキリトは自分のバイクに乗りアスナの家に向かった。

 光輝はレインのレッスンが行われている場所まで向かった。今日は朝からみっちりレッスンだと聞いていたから光輝特性ドリンクを持参した。これは仙豆をほんの少し削り果汁100%のオレンジジュースにぶち込んだものだ。

 元々オレンジジュースには疲労回復に良いと言われているクエン酸やビタミンCが入っている。そんな中に仙豆をほんの少しでも入れた時の回復量はきっと疲れているだろうレインには良いと思ったのだ。

 

「光輝君!」

 

 光輝が少し待つとちょっと深く帽子を被り珍しい髪色を隠しているレインとレインのマネージャーの美葉が出てきた。レインは光輝に駆け寄った。

 

「お疲れ様、お姉ちゃん」

 

 そう言いながら水筒を渡す。レインはお礼を言いながら受け取り少し飲んだ。

 

「はぁ~! 美味しいしちょっと疲れもとれたよ」

 

 少ししか飲んでないから回復量も少ないのだ。3人は歩き出す。光輝はその間にオーグマーをつけイベント開始時刻30分前になったのでイベント情報を見るとどうやらこの近くの場所みたいだ。その情報をレインに伝えながら心配そうに聞いた。

 

「でも疲れてるんでしょ? 大丈夫?」

 

 それにレインは微妙な顔になりつつも返した。

 

「大丈夫だよ。それにこれも活動の一環だからね。弱気になんてなっていられないよ」

 

 最近、さっき言ったオーグマーがでた当初から台頭してきているアイドルがいる。それはARアイドル、ユナだ。

 動かしているのは機械のはずだがその機械とは思えない言語能力や歌唱能力は瞬く間に日本中に広がっていった。シリカは既にファンだという。

 だから最近レインのライブの人数は少なかったりする。勿論、人数だけが問題ではない。来てくれる人の気持ちがレインは嬉しいのだ。しかしレインの事務所としてはそうはいかない。思わぬところでライバル……それもフルダイブのレインと反対のARアイドルだ。

 そこで事務所は敵を知るのには何とやらでレインにオーディナルスケールに参加してほしいと言われこうなっている。

 

「それに、光輝君が修業を手伝ってくれたんだから私も期待には答えなくっちゃ」

 

 光輝はそんなレインの頼みを受けレッスンの合間にレインの特訓を手伝っていた。レインは元来運動音痴である。それはもうぐうも出ない程に。光輝も最初オーディナルスケールでレインと戦った時その運動音痴さに唖然とした。攻撃は反応できるのに体が追い付かないというクウラと戦った時の光輝と同じことになっていた。

 

「でも……光輝君の特訓は辛かったよ」

 

 そう思い出しただけでも辛さが思い出されるのか苦笑いする。美葉はその模様を見ていたので一緒に苦笑いしている。それでもフォローはする

 

「だけど、光輝君のおかげでボス戦行けそうじゃない」

 

 流石に光輝が悟空達にされてきたサイヤ人形式の修業はレインには出来ないし時間もなかったので光輝が医療忍術が出来る事を良いことに少し無茶なやり方で修業した。それはかつて光輝もやっていた方法、重りを付ける事だ。これが一番手っ取り早かったのだ。その重りを付けたまま光輝とオーディナルスケールで戦い続けた。今のレインは前までのレインとは一味違う。光輝は忠告しておいた

 

「でも……どんなボスが来るのか分からない。気を付けてね」

 

「光輝君も……っていらない心配だね」

 

 寧ろ光輝は現実の方が強いのでシステムに作られた敵程度では今の光輝は止められない。今の光輝とあの時のヒースクリフが戦っても赤眼と蒼眼がなくとも普通に勝てる。知らない間にどんどん強くなっていく光輝にレインは一瞬寂しそうな顔になった。それに光輝は気が付かなかった。そこで思い出したように光輝は美葉に言った。

 

「そう言えば今日はクライン達風林火山も参加するそうですよ」

 

「えっ!?」

 

 思いっきり動揺した声を出す美葉にレインは

 

(早く付き合っちゃえばいいのに)

 

 とか内心思っていた。そんな事を思っていたらとうとう今日のイベント会場に着いた。その場所にはキリトやアスナが既にいた。それだけではなく風林火山の面々もいた。光輝達に気が付き手をあげる

 

「光輝、レイン!」

 

 そう二人に聞こえるように声を上げる。光輝も手を上げながら近づく。だが周りは

 

「なあ、今レインって言ってなかったか?」

 

 その言葉に一斉に光輝とレインに視線が集まる。光輝はキリトに「馬鹿か」と言いたげな視線を向ける。キリトは思いっきり申し訳なさそうな顔になった。しかしレインは敢えて被っている帽子を取った

 

「「うおおおおっ!!」

 

 その場にいたレインのファンたちが叫ぶ。

 

「本物だ!」

 

「握手してください!」

 

 イベントボス戦がもう少しで始まるというのに皆レインの周りに集まりだす。

 

「レインさんも参加するんですか?」

 

「うん! 今日は私も一緒に戦うよ」

 

(お姉ちゃんの切り替えが早すぎる)

 

 その言葉に沸き立つ群衆。それを見ていた光輝はアインクラッドぶりに見る姉の人気者姿に微笑んでいた。そんな時別に怪しいわけではないが変だなと思った気が建物の上からこちらを見ていることに気が付いた。光輝はばっとその場所を見た。そこにいた青年と視線がぶつかり合った。その青年は鼠色の髪で割と背も高い。そんな光輝の様子に気が付いたのかキリトが聞いてきた

 

「光輝、どうしたんだ?」

 

「いや……何でもない」

 

 まあ上から見下ろすくらいで一々怪しむわけにはいかないからな。でもあの人、どこかで見たことがある。どこでだ? 

 そんな事を思っていたらイベント開始の鐘が鳴り響いた。その音でお姉ちゃんに群がっていた人達も臨戦態勢に入った。俺はお姉ちゃんを撮る為にオーグマー対応のカメラを出していた美葉さんに言った

 

「美葉さん、そろそろ離れた方が良いと思いますよ」

 

「え、ええ。レインちゃん頑張ってね」

 

「はい。頑張っちゃいます!」

 

 そう言いながらレインはごそごそと腕をいじりそこからドスンと音を鳴らしながら重りが二つ落ちる。そして少し手首をひねったりする。少し骨の音がした。

 キリトとアスナもレインの隣に立ち四人は一緒にゲームを起動するために必要なコントローラーを持つ。オーグマーもつけ光輝とレインに関しては両手に二つずつ持った。そしてゲーム起動に必要なコマンドを叫んだ

 

「「オーディナルスケール、起動!!」」

 

 そう叫べば俺が見ている景色が変わり始めた。先程見ていた現実の景色も東京だから都市だったのだがオーディナルスケールを起動してから見える景色は年の面影を残しながらもどこか怪しげな建物になっていく。勿論これはオーグマーが俺に見せている仮想のフィールドだがいる場所は本当の現実なので臨場感はフルダイブよりもあるかもしれない。

 そして俺の恰好も変わり始める。蒼色の羽織に帯、唯一何時もと違うのはインナーが黒という位だろう。

 

(これじゃあ蒼黒(そうこく)の戦士だな)

 

 とちょっと内心で遊んでいる。早く赤色のインナーの装備ほしい。あの恰好じゃないと戦闘の時落ち着かないんだよな。

 お姉ちゃんを見るとどこか赤色のバトルドレスを着ている。それに元々お姉ちゃんが付けているカチューシャも合わさりどこかのメイドさんに見える。そんな事を思っていたら目の前から尋常ではない炎が溢れ出してきた。

 

「ボスのおでましって訳……」

 

 光輝は思わずそこで言葉を止めた。その顔はどこかありえないものを見ている眼だからだ。それにレインが気が付き聞いた

 

「どうしたの?」

 

「何でこいつが出てくる」

 

 光輝が思わずそう呟いた言葉にキリトもアスナも出てきたボスを見る。ボスは光輝の2、3倍位の大きさで巨大な甲冑を着ている。顔はどこか鬼に似ている。最もその口から覗かせる舌は蛇に似ているが。光輝は3人と風林火山の面々に聞こえるように言った

 

「こいつは……アインクラッド第十層フロアボス、カガチ・ザ・サムライロードだ」

 

「えっ!?」

 

 嘗て攻略が光輝と攻略組の早い者勝ちになっていた時期、光輝が単独で倒したボスの内の一体だ。光輝が倒したしベータテストでも戦わなかったのでこのボスの存在はこの世界では光輝しか知らない。

 光輝は二刀を構え言った

 

「でも……やることは変わらねえ。またずたずたにしてやる」

 

 そんな物騒な言葉を言っている光輝にレインは苦笑いしていた。そしてサムライロードを見る。そんなサムライロードの後ろに何かUFOみたいな浮遊物が出てきた。そしてその浮遊物からピンク色の光が出てくる。そんな光の中から出てきたのは少女だった。白髪で後ろ髪を二つに分けている。服装は主に黒がメインだがその中に白のラインや赤い部分もある。クラインが思わず言った

 

「ゆ、ユナちゃんだ」

 

(これがユナか)

 

 光輝はレインの事務所がライバル視しているARアイドルの存在は知っていたが直接見るのは初めてだ。確かに挙動や表情は並みのAIではだせない動きをしている。そのユナが参加者に言った

 

「皆~準備はいい? 戦闘開始だよ!」

 

 その言葉と共に何やらBGMが流れ始めた。光輝も町中で聞いたことだある曲だ。それを聞いた光輝達の隣にいるトラ型アバターの人がグッドポーズをしながら言った

 

「よっしゃー! ユナが歌い始めた。ボーナス付きのスペシャルステージだぜ!」

 

 その人が言うのと同時に緑色の雨が降り注ぎ俺達に当たった。そうすると俺達にバフがかかった。お姉ちゃんを見るとユナを見つめていた。俺はその時さっき建物の上にいた青年から視線を感じばっと見た。青年は先程の黒い恰好ではなく黒の中に紫色のラインが入っている格好になっていた。その青年はお姉ちゃんを見ていた。その瞳が俺には「お前にユナは超えられない」って言ってる気がした。

 そしてとうとうボスと戦う10分間のカウントが動き始めた。それと同時にサムライロードが動き始める。

 

「行くぞー!」

 

 そう言って参加者の人達がサムライロードに突撃する。サムライロードは巨大な刀を振り下ろす。その速度はこの世界の人達からすれば早い。ボーナスをもらいたかったのか突撃したプレイヤーは八つ裂きにされている。

 

「どうよキリの字」

 

 始まったフルダイブとは違う戦い、その模様にキリトは複雑そうな顔になる。光輝はそんなキリトの背を押す

 

「どんな場所でも戦いは戦いだ。複雑なのは同情するがそんなじゃリアルで大切な人を守れないぞ」

 

 そう言いながら光輝はレインの横に並ぶ。正直光輝の言ってることは常に戦いの場にいる光輝だから言えるセリフだ。だがだからこそ不思議とその言葉に説得力があった。

 サムライロードとプレイヤーとの激突はサムライロードの優勢だ。HP0で死なないだけマシだがそれでもあんな巨体と戦うのは心理的に圧迫感があるだろう。おまけに飛び道具持ちだし。参加者が減ったのを見計らい光輝はレインに言った

 

「行こう、お姉ちゃん! 俺がサポートする!」

 

「うん!」

 

 二人はそう言い合って未だに攻撃パターンを見切れていないプレイヤー達に猛威を振るっているサムライロードに駆け出す。サムライロードも近づいてくる二人に気が付き刀をレインに振り下ろした。

 それを光輝はレインに当たる前に割って入り二刀で逸らした。とんでもない剣と刀がぶつかり合う音がした。

 

「––!」

 

 レインは光輝の後ろから現れ攻撃を逸らされ胴体を思いっきり逸らしているサムライロードに一閃する。それによりまたサムライロードはよろける。

 そんなサムライロードに光輝は追撃する。その持っている二刀でX形に斬りつけた。サムライロードは態勢を立て直し一番近くにいた光輝に刀を振り下ろす。しかし光輝はそれを簡単に二刀流防御技「クロスブロック」で受け止めパリィした

 

「スイッチ!!」

 

 光輝の叫びにレインが合わせる。また光輝の後ろからサムライロードを斬りつける。そんな姉弟の連携プレイに外野は

 

「すげぇ」

 

 それを見てクラインは触発されたのか自分のギルドメンバー達に呼びかける

 

「よっしゃー! 俺達も光輝達に負けてられねぞ!!」

 

「「おおーっ!!」」

 

 風林火山の面々と共に駆け出す。彼らの動きを気で察知した光輝はサムライロードの足目掛け攻撃した。

 それによりサムライロードは態勢を崩す。しかしそれでも刀は振るえる。

 

「おじさん達、スイッチ!」

 

 おじさんとは何事だという暇もなく光輝と刀を振り下ろしていたサムライロードの間に割り込む。光輝がこけさせたのはサムライロードの攻撃範囲を狭める為だ。

 ゴォーン! という音共にタンクの風林火山のメンバーが刀を止める。その間にクラインともう一人がサムライロードを斬りつける。

 サムライロードは再びクラインともう一人を斬りつけようと刀を振り上げるがその二人の前にもう一人のタンクが割って入り思いっきり弾いた。

 弾かれたサムライロードの目の前に光輝とレインが現れ同時に斬りつけビルまで吹き飛ばした。

 

「な、なあ? レインちゃんと一緒に戦ってる子供ってもしかして……」

 

 観客がそこでようやく光輝の正体に気が付き始めた。ざわざわとし始める。

 

「光の解放者じゃねえか?」

 

「嘘だろ!? あいつ平行世界の奴じゃねえのか? 何でこんな所にいるんだ?」

 

「いや、お前知らないのか? レインちゃんと解放者は姉弟だぞ?」

 

「どこ情報だよ?」

 

「この前でたSAO全記録に書いていたぞ」

 

 第三者がそんな会話をしている。しかし光輝達には関係ない。立ち直ったサムライロードは離れた所にいるキリトをターゲットしている。その証拠にサムライロードが今までノーマークだったキリトに突撃している。

 

「キリト、タゲされてるぞ!」

 

 光輝が叫ぶ。キリトはサムライロードを見据えながら後退を選ばず敢えて迎え撃つために走り出した。その速度はやはり仮想世界の彼と比べれば遅い。しかし現実ならこんなもんだろうと光輝は特に気にしていない。

 そしてサムライロードとキリトが交錯する時……

 

「あ」

 

 光輝が思わず言った時

 

「うわあっ!」

 

 と光輝が思わず言ったのと同時にキリトは盛大にこけ仰向けに倒れた。それもよりによってサムライロードの目の前で。そんなギャグマンガのような展開に光輝は隣にいるレインに聞いた

 

「これって笑っていい場面なのかな?」

 

 レインは苦笑いしながら

 

「それはキリト君の名誉の為にやめてあげて」

 

「はーい」

 

 とか軽いコントをしている間にキリトは何とか態勢を取り直しサムライロードから離れていた。

 キリトとアスナさんは俺達の方に走ってきながら会話している

 

「くそ、体思うように動かない」

 

「ただの運動不足でしょ!」

 

 アスナの叫びが聞こえたのか光輝は首をこてんとしながら聞いた

 

「キリトも俺と修業する?」

 

「お前のは絶対に辛いだろ!」

 

「大丈夫大丈夫。俺ベジータさん程スパルタじゃないからいけるいける」

 

 完全に自分基準になっているのはそのベジータの性格が若干移ってる証拠と言う事に光輝は気が付いてない。

 とかそんな事を思っていたらさっきのトラ型アバターの人が飛び出してきた

 

「よっしゃー、ラストアタックは貰ったぜ!」

 

 そう言って肩に担いでいるバズーカをぶっ放した。別にラストアタックは早い者勝ちだからそれは別に良い。だがコースが問題だった。放たれたバズーカはこちらに突撃してきていたサムライロードに放たれたのだがバズーカのコースが直線的過ぎたのだ。サムライロードは簡単にそのバズーカを躱した。そしてバズーカはその向こう側にいるユナに向かっているではないか。それを見た光輝は少し気を高めた

 

「しょうがない、行くか」

 

 AIとは言え人がくたばる瞬間なんて見たくない光輝は少しだけ気を引き上げユナに向かったバズーカを弾こうと思った。

 

「––!」

 

 しかしその足を光輝は止めた。何故ならそのユナを守るようにさっきから建物の上にいた人物がそのバズーカを簡単に弾いてサムライロードにぶつけたからだ。

 

「やるな」

 

 降り立った人物を見て光輝はそう言った。所謂普通の人達が多いこの世界の中であれだけの動きをするとは思わなかった。建物から跳躍しユナの目の前に現れバズーカを跳ね返す事は難易度が高い。それを当たり前にやってのけた青年は普通に凄いと光輝は思ったのだ。そしてそれは彼のランクを見れば少しだけ納得出来た。青年のランクは

 

「ランキング2位!?」

 

「すげぇ」

 

 と青年の凄さに周りが驚いている間にもサムライロードは立ち上がる。そしてサムライロードも本気を出すという意思表示なのか左手が煌めきそこから右手の刀と同じ刀が出現し二刀流となった。

 それを見てもびくりともせずにせずに青年は普通の人以上のスピードで走りながら周りに言った

 

「大技が来るぞ! タンクはついてこい!」

 

 サムライロードは右の刀を青くきらめかせながら振り下ろす。そこから衝撃波のようなものが出てくる。それだけではなく今度は左の刀を横に振るってさっきの衝撃波を放つ。しかし青年はそれを器用に飛んで躱しつつすれ違いざまに一閃する。

 

「凄いな、この世界のリアルにあんな動きをする人がいるとは」

 

 まあ光輝自身がそれ以上のレベルに達しているが光輝は比べる人の環境も考慮する人間なので素直に誉め言葉が出てくるのだ。

 そこで光輝は青年の頭上にある名前を見た。名前は「エイジ」だそうだ。でもそこで光輝の記憶に何かが引っかかった。それが光輝には分からなかった。だから今はその事を置いておきエイジに続いて突撃した風林火山とアスナを追いかける。

 サムライロードは体力がもう少ないので所謂暴走状態になっている。風林火山のタンク二人が攻撃をガードするがサムライロードの攻撃が激しくなっていきとうとうタンクも支えきれなくなった。しかしそこは元最前線攻略組、咄嗟に避難し逃げていく。

 

「お姉ちゃん、ラスト行くよ!」

 

「うん!」

 

 光輝に答え光輝とレインは風林火山とすれ違う。光輝はさっきのエイジ以上のスピードを簡単にだしレインを置いてサムライロードに突撃する。その際そのスピードに眼を見張っているエイジと一瞬目があった。しかしそれも一瞬、暴走状態の暴れっぷりにクラインが思わず光輝に言った

 

「光輝無茶だ!」

 

 しかし光輝の顔は戦いに集中した時の高揚感を味わっている表情でクラインの言葉を聞いていなかった。

 二つの刀を青い煌めきと共に滅茶苦茶に振るっているサムライロードに突撃してそれらの攻撃を全て躱す

 

「うそぉ!」

 

 とアスナは思わず言った。普通ならあんな暴走状態の暴れ攻撃はさっき風林火山がやったようにタンクが凌ぎその内暴走は止まるからその間に決着をつけるというのがセオリーだ。セオリーのはずなのだが生憎光輝に常識は役に立たない

 

「アスナちゃん行こ!」

 

 そう言いながら光輝に突き放されて走ってきていたレインが言ってアスナも一緒に走り始めた。それと同時に光輝はサムライロードの顎を勢いよく跳ねさせた。

 

「これで最後だよ二人とも! スイッチ!」

 

 光輝はちょっとだけ空を飛びながらバク転し後ろから来た二人と入れ替わる。レインとアスナは光輝と入れ替わりに盛大に態勢を崩しているサムライロードに自分の得物をぶっ刺したのだった。

 それでサムライロードのHPが無くなり……爆散した

 

「「よっしゃ──ーっ!!」」

 

 イベントボス打倒により参加したプレイヤーに貢献度によってポイントが配られた。光輝のとこにもランキング上昇の通知が来た。だが光輝は直ぐに消した。別にランキングに興味はない。ランキングで全てが決まるなら苦労しない。

 光輝は二刀を背中に収めた。アスナと一緒にレインが近寄ってくる。

 

「お疲れ様、お姉ちゃん」

 

「光輝君もね。でも最後は本当にびっくりしたよ」

 

 あの無茶苦茶な軌道の攻撃を受けるのではなく全て躱しきるなんてあのランキング2位のエイジでも出来るか分からない。と思ってレインが辺りを見回したらもう既にエイジの姿は無かった。

 

「だってああする方が手っ取り早かったんだもん」

 

「それを成し遂げる光輝君がおかしいって皆思ってるのよ」

 

 とそんな会話していたら。さっきまで歌っていたユナがフィールドに降りてきて参加者たちが沸き立つ

 

「皆お疲れ様ーっ! ポイントとランキングを確認してね! 更に、今回のMVPにはスペシャルボーナスをあげるよ」

 

 そう言ってユナはアスナとレインの方向に歩いてきた。そしてどちらにしようかと一瞬悩む素振りを見せ結局何と二人まとめて抱擁してきた

 

「「えっ!?」」

 

 とレインとアスナの声が重なる。と思ったらユナは離れ

 

「どっちかなんて決められない! 今回は二人がMVPよ!」

 

 そう言ったらファンファーレが鳴り響きレインとアスナを光に包んだ。二人がリザルト画面を見るとポイントとランキングが上昇していた。

 それを見届けたユナは

 

「じゃあまたね、アスナさん、レインさん」

 

 そう微笑み最初のUFOっぽい浮遊物に吸い込まれていった。光輝は今の会話を聞いて不思議そうな顔をした。

 

(何で二人の名前を知っている)

 

 茅場が作った自立型修正プログラム、カーディナルが作ったAIでさえ名前は一度プレイヤーから聞かなければその後普通に呼ぶことは出来ない。それなのにあのユナってアイドルはそれすらもせずに名前を言った。

 

 光輝は別に何か事件があった訳じゃないが厳し気な表情になっていた。そんな光輝を他所にレインの所に観戦とビデオを撮っていた美葉が近づいてきた

 

「レインちゃんお疲れ様。最後のラストアタック良かったわ」

 

「ありがとうございます、美葉さん」

 

「光輝君もレインちゃんのサポートありがと」

 

 光輝はユナについての思考を止めて美葉に言った

 

「俺がサポート役なのはSAOから変わらないですよ」

 

 そのサポートが強すぎるのだが。レイン達は言わないだけでこう思ってる

 

(光輝君一人でサムライロード倒せたよね)

 

 と。まあ実際光輝は今よりも弱かったころのSAOで一人で倒してるからそう思うのは今更な気がするが。苦笑いしていた光輝にレインは言った

 

「光輝君、今日家に泊まる?」

 

「お姉ちゃん達がいいなら良いけど」

 

「勿論、良いよ」

 

 とご機嫌になってるレインに美葉はこそっと言った。

 

「レインちゃん、皆見てるよ?」

 

 と言われレインが周りを見ると確かにレイン達を見ている人が多かった。レインは光輝に言った

 

「ちょっとだけ待っててね」

 

「うん。頑張って」

 

 その言葉にまあ確かに頑張る時だと頷きレインはファンたちの元に歩いて行った。それを見届けた光輝は再び難しそうな顔になったのだった。気になるのはユナ、そしてエイジ。だけどまた関わるか分からない以上悩んだって意味ないだろう。この時光輝は本当にそう思っていたのだった。

 

 

 




お疲れさまでした。気が向いたら書いてこうと思います。
尚、基本光輝無双です。大筋は変えませんがオリジナル入れます。ではでは


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事件発生

おはようございます。
オーディナルスケール編です。映画よりも色々キャラ増えてるんで結構違います。


 秋葉原DXで俺とお姉ちゃん、キリトにアスナさん、それに風林火山のおじさん達とカガチ・ザ・サムライロードを撃退した夜、俺やお姉ちゃんはキリトとアスナさんが最近解放された22層で一番乗りで購入したあのログハウスに集まっていた。

 

(俺も47層解放されたらあの家また買いたいな)

 

 アインクラッドでレインが光輝が勝手にどこか行かないようにの監視の意味合いも込めて結婚していた時に光輝とレインは47層にホームを構えていた。その家は和風か洋風かと聞かれたら洋風だ。

 光輝の武人的なイメージで言えば和風の方が似合ってるっちゃ似合っているのだが光輝は光輝で洋風の家になんの不満もない。寧ろ思い出の地として今でもよく思い出せる。

 そして一応その時はレインと結婚していたので今度は愛美と結婚した時の事を考え始めた

 

(愛美は和風か洋風どっちがいいのかな? 愛美の住んでた場所はどちらかというと洋風だけど愛美は和風の俺の家を良いなって言ってたし。でも利便性を考えたらやっぱり洋風かな……いやでも最近だと未来部屋ってのもあるよな。AIを搭載した家もいい気がする。出来るなら愛美と触れ合う時間造りたいから自動化できるところはしたいなぁ……)

 

 光輝の思考がSAOから大分子供らしくなった。愛美の事を考えた時だけだが。しかし未来をほぼどうでもいいと思っていたSAO前半期以前の事を考えれば多少妄想癖があったとしてもレインからすれば喜ばしい事である。楓や櫂たちも見てたら同じことを思うだろう。それだけ今の光輝は心に余裕を持っている。それは現状、あの日から守りたいと思った人たちを守り抜いているから生まれる余裕だった。その余裕が崩れた時は……

 

「えーっ! ユナが来たんですか!?」

 

「良いな―アスナたち!」

 

 光輝の意識はシリカユウキの大声によって現実に戻ってきた……いやいる場所はALOで仮想世界なのだが。

 今は今日のオーディナルスケールについての感想会のようなものだった。面子は光輝、レイン、キリトとアスナ、エギルにクライン、リズベット、シリカ、リーファ、シノン、ユウキだった。

 クラインが腕を回しながら言った

 

「しかし、VRと違って結構動くから体バキバキだぜ」

 

「戦闘が終わっても光輝君は全然息を切らしてないけどね」

 

 アスナがそう言ったが光輝は肩をすくめながら

 

「SAOの頃一回倒したやつに息を切らすほど消耗させられたら色んな意味で不味いですし」

 

 本当にソロでボスに挑んでいたあの時の光輝の異常さをしみじみと感じつつVRでもARでも頼りになるのが光輝なんだなと改めて思った面子なのだった。だけれどもユウキはそれには余り興味を持たずボス戦に参加した面子に言った

 

「良いなぁ! 僕も早くオーディナルスケールしたいよ」

 

 ユウキはまだ退院したと言ってもやはりずっと寝たきりの生活だった弊害で筋肉はまだ年相応には戻らない。少しだけなら車いすなしで歩けるようにはなったのだがオーディナルスケールはまだユウキの担当医である倉橋が許可を出していない。寧ろいつ許可を出してくれるのかも分からない。

 エイズが治っただけでも御の字なのは分かっているが早く自由に外を走り回ったり皆と一緒にオーディナルスケールをしたいと思うユウキなのであった。

 そんな事を考えていたらシノンがオーディナルスケールの欠点を言った

 

「オーディナルスケールは移動の時間がかかるから少し面倒よね」

 

「気にした事なかった」

 

 シノンの言葉に唯一距離という概念がないに等しい光輝が思わず口走った。そんな光輝に面々は微妙な顔を見せる。光輝がその場の空気が微妙になっていることに気が付いた時リズベットが言った

 

「できればもう少し参加しやすい時間にしてくれないかしらね」

 

 それに反応したのはリーファの向かい側のソファーに座っているクラインだった。

 

「そんな女性陣の皆さんの為に俺達風林火山が車だしってから、送迎くらいしてやるよ」

 

「そっちの方が余計に危ないわよ」

 

「そんな……ユナちゃん」

 

 まあ本当はリズもそんな事を本気で思っている訳ではないが運営側への要望であってクラインに期待していたわけではないから却下なのだ。そして次は今度行われるユナの新国立競技場で行われるファーストライブの話になった。

 史上初のARアイドルのユナのファーストライブなだけあって抽選確率は相当なものだったらしい。しかしここにいる半分以上の人はその問題は無かった。何故ならキリト達帰還者学校の生徒はユナのそのファーストライブに無料招待されているからだ。しかし舞い上がっている面々とは反対に光輝はレイン以外のライブに余り興味が無かったりする。完全なシスコンである。そして帰還者学校の面々以外がそのライブに行くには抽選に通らなければならない。その抽選に通ればライブチケットを二枚貰える

 そしてその抽選に通った幸運の持ち主はここにいた

 

「あ、私もその抽選に通ったわ」

 

「良いなーっ!」

 

 シノンがその抽選に通った事にユナのファンであるリーファが食いついた。そしてみっともない大人がここにいた

 

「ああ、それなら俺も通ったぜ」

 

「エギルの旦那マジかよ!」

 

 そう叫んだクラインが大人のなのにエギルに泣きつく子供の様に食いつき

 

「ユナちゃんのチケットくれよー!」

 

「わ、分かったから離せ!」

 

 レインはこっそり光輝の耳に顔を近づけ言った

 

「あんな風になっちゃダメだよ」

 

「う、うん」

 

 光輝以外には今のレインは平常運転しているように見えるが光輝には分かる。レインは少し怒っていることに。その理由も大体見当がつく。光輝はあまり見ないがクラインと美葉が仲良くしているのをよく見ているが故に他の女性……それもARアイドルにこんな風になっているのが少し気に食わないのだ。最も似たような対象には自分の妹もなった事があるがキリトとゆかいな仲間たちに加わってからは割と普通になったりしている。

 ユナのコンサートのチケットをゲット出来る事になり上機嫌になっているクラインが光輝に言った

 

「光輝もまたオーディナルスケールやろうぜ。お前がいたら百人力だ!」

 

 仮想世界よりも現実世界の方が強い光輝にとってオーディナルスケールははっきり言ってただの無双ゲーだ。オーディナルスケールは一応パーティー設定とかはなく個人戦だ。ボス戦でどれだけ活躍するのかがポイントの内訳が決まる。

 しかし逆に言えば光輝がクライン達の手助けをしながらポイントを稼げるようにすることは出来る。事実として今日レインは光輝のサポートを受けながら結構貢献していたのでポイントがぐっともらえた。

 光輝はSAOの攻略組と合流した後からは割かしサポーターに徹する事が多かったので得意分野とも言える。しかし光輝はクラインに首を振った

 

「俺はお姉ちゃんの偶にの護衛としてなら行くが多分遊びとしてなら余り行かないぞ」

 

 その答えにクラインが疑問の顔になる。クラインだけではなく他の面子も似たり寄ったりだ。ユウキが不思議そうな表情で聞いてきた

 

「それはどうしてなの?」

 

 光輝は少し考えをまとめるように虚空を見上げた後普通に言った

 

「一つは俺が出しゃばりすぎてチート疑惑をかけらるかもしれないから。それで俺がアカウント停止になるのは兎も角お姉ちゃんまで共犯と言う事でそうなったら笑えない」

 

 普通ならこんなことを言われても本当にチートをしているわけではないと分かる。しかし確かに今日も光輝は実力を100万分の1以下に抑えても1ダメージも受けずボスをズタボロにした。なんならソロでもノーダメージクリアは簡単だっただろう。確かにチートを疑われかねない。

 そしてレインの護衛としてそんな奴がいたらレインも何かしらのチートをしているのではないかと疑われる。

 

「ただ、これは余り可能性はないとは思うけどね。普通にプレイしているのを見てたら俺がなんのチートもしていない事は馬鹿じゃない限り分かる」

 

 ただ皆に見えない位の速さを出した時は分からないけどな

 

 と心で付け加える。そして二つ目の理由を隣のレインからの叱責が来ませんようにと祈りながら言った

 

「もう一つはいつタイムパトロールが来るか分からないから」

 

 その言葉にレインは一瞬ムッとした顔になった。光輝はそれを見ないふりして続けた

 

「一応非番の日は来ない事になってるけれど……緊急時の時は俺も行かないといけないからな」

 

 悟空達が光輝に期待しているから忘れがちだが光輝や悟空達の他にもタイムパトロールはいる。だから危険度がそんなにないタイムパトロールはそのパトローラーが行くことが多い。

 最も緊急事態はほとんどの場合ないが。光輝が時の巣に戻る時間もあるので余りこっち側で熱中する訳にはいかないのだ。クラインも光輝の事情に何とも言えない気持ちになり取り合えず言った

 

「そ、そうか。何か悪いな」

 

「気にするな。ただ絶対に行かないって訳じゃないから非番の日都合が合えば俺も行くよ」

 

 それが気休めなのはここにいるメンバーには分かった。そんな時、ログハウスのリビングに新たな来訪者が来た。ログインの光と共に現れたのは歌妖精<プーカ>で主にエメラルドの装備に銀髪の少女。光輝はその人物を見て

 

「あれ、七色さ……」

 

 その言葉に来訪者は光輝をぎろりと睨み光輝は一瞬目を逸らしもう一度言い直した

 

「七姉ちゃん電話終わったの?」

 

 少女の名は枳殻七色、あのクラウドブレイン事件終了後、父親が行方不明になったので日本にいるレインの母親が引き取り最近日本に引っ越してきたレインの妹だ。

 今レインの部屋で光輝とレインは並んでアミュスフィアを被ってALOにログインしている。七色……プレイヤーネームはセブンも今光輝達と並んでログインしている。最初から参加してなかったのはセブンもログインしようとした矢先電話がかかってきて来るのが遅れたのだ。

 

「ええ。大した電話ではなかったわ。それより皆でなんの話をしていたの?」

 

 それにはアスナが答えた

 

「ユナの事とか……オーディナルスケールの話をしていたのよ」

 

 オーディナルスケールというワードを聞いたセブンが一瞬眼を見開いたのを光輝は見逃さなかった。レインの家にお邪魔した時に少し話した時はそんな反応しなかったから原因は

 

(さっきの電話か)

 

 誰から掛かってきた電話なのかは分からないがその電話の相手は分からない。だけど前ALOでやらかしたばっかりの七姉ちゃんにオーディナルスケール関係で何か電話を来るのか? いや、やらかしと言っても七姉ちゃんの頭脳は俺らの中でも飛びぬけているしフルダイブ技術に関しては世界トップレベルだ。

 ……いやフルダイブ関係に関してはそうかもしれないがARにはそんなに研究してない筈だ。俺がそんなことを考えながら七姉ちゃんを見ていたら目が合った。それを見たからって訳じゃないかもしれないが七姉ちゃんが話しかけて来た

 

「光輝君、ちょっと良い? 今度のお出かけの予定立てたいのよ」

 

 そんな予定はない。その事は光輝が一番分かっているのでここから自然に離れるための嘘と言う事は普通に分かる。

 

「うん、良いよ」

 

「え、私聞いてないよ」

 

 とレインが思わず妹たちに言ったがセブンは飄々として答えた

 

「私も光輝君との時間は必要だもん。お姉ちゃんはずっと光輝君といた時期があるんだから今回は私に貸してよね」

 

 といってそんな姉を光輝は苦笑いしながらついて行った。ログハウスから出て目の前の庭に二人きりになってから光輝は聞いた

 

「さっきの電話の事?」

 

 セブンは少し難しそうな顔をして頷いた。

 

「最近、アインクラッドのボスがオーディナルスケールに出る事は知ってるわよね」

 

 それに光輝は無言で頷いた。それを見たセブンは続けた

 

「それと同時にちょっとおかしなことも起こってるのよ」

 

 セブンはそう言った後、窓から見える姉を見る。レインはその視線に気がついておらず笑って話をしている。それを見ながらセブンは光輝に言った

 

「SAOサバイバーからSAOの記憶がなくなる事件が起きてるのよ」

 

「……マジか」

 

 思わず呟いた光輝にセブンはレインに向けていた視線を光輝に向けて頷いた。

 

「情報元は?」

 

「スメラギ君よ。彼も日本に帰ってきて合間を縫ってオーディナルスケールをやってるみたいなんだけどそのつてで知ったみたい」

 

 スメラギさんというのは元七姉ちゃんの助手的な人だ。クラウドブレイン事件終了後、彼も日本に戻ってきてフルダイブの研究をしているらしい。

 七姉ちゃんにそれを伝えたのは俺達の仲間は半分以上SAOサバイバーで構成されているからだろう。つまり

 

「その内俺達の誰かの記憶も無くなるかもしれないと言う事か」

 

 出来るだけ静かに言っているが光輝の声色に若干の怒気が混ざっている。それもその筈で今の光輝が形成されたのは半分以上あのアインクラッドでの思い出のおかげだ。一人でもいいと思っていた自分が間違っていたと気づかせてくれたのは紛れもないあの場所でありそこで得たものはかけがえのない思い出だ。もっともそれは光輝が思っていることであり他の人にとっては違う感じ方もあるが。

 しかし別種の問題もある。

 

「だけど……もしその二つの事が関係しているならオーグマーに人為的かバグかは知らないが欠陥がある事になる。そっち方面でどうにかならないの?」

 

「無理ね。その事件の二つが結びついているのかは怪しいところ。結果的に見たら関係しているのだけど……まだ証拠としては弱すぎる」

 

 偶々同じタイミングでなくなっただけとと言われたらそれまでだ。物的証拠も何もない。だからオーグマーの開発会社であるカルマ社に強制捜査は出来ない。光輝は少し考えたが結局現状ではその記憶が無くなった人に会った訳でもないし見たわけでもないしどうする事も出来ない。セブンを見るとセブンも光輝を見ていた。気持ち的に光輝の姉になってまだ一週間しか経ってないがセブンの光輝に対する信頼は確かにあった。

 

「光輝君、可能な時でいいわ。出来る限りオーディナルスケールに参加して情報を集めてくれない?」

 

 その言葉に光輝は苦笑いしながら返す

 

「俺も一応SAOサバイバーなんだけど?」

 

 無くなるのがSAOの記憶ならSAOサバイバーである光輝自身が動くのは本末転倒なのではないかと思ったのだ。おまけにどういうシークエンスの後に記憶が無くなるのかが分からない状況下で分かっていても調査に向かわせるとは何事だと思ったのだ。普通この場合はSAOサバイバー以外の誰かを参加させるべきなのではとは思った。

 しかしセブンは微笑みながら言った

 

「光輝君がリアルで負ける訳ないでしょ。お姉ちゃんはアイドル活動に精を出してほしいしキリト君はそもそもオーディナルスケールに乗り気じゃないみたいだし他の人達じゃ犠牲になってしまう可能性もある。その点光輝君ならどんなボスが来ても負ける可能性はほとんどないし頭もいいからね」

 

「褒められた」

 

 と光輝は少し嬉しそうにする。セブンは内心「可愛い」と思いつつも言った

 

「頼める? 私の方でも出来るだけ調査しとくわ」

 

「了解。でも……」

 

 そこで言葉を区切った光輝にセブンは疑問の顔になる

 

「それが罪滅ぼしと思ってるならだれも七姉ちゃんを責めてないと思うけど?」

 

 セブンは一週間前起こったクラウドブレイン事件の首謀者……というより周りの期待にこたえなければならないという強迫観念のようなものでその事件を起こしてしまった。詳細は省くがそれは一歩間違えればセブンを信頼してくれていたファン達、そしてこのALOというゲームも危なかったかもしれない。勿論、セブンに悪気があった訳では無い。しかしその出来事はセブンが罪と考えてしまうのも無理のない事だった。

 だから今回、たとえ畑違いでもその記憶がなくなる事件の真相を突き止めたいと思ったのかもしれないと光輝は思ったのだ。

 

「……そうね。その気持ちがないと言ったら嘘になるわ」

 

 セブンはそう言いながらログハウスにいる人達を見る。皆は笑って談笑している。それを見ながらセブンは言った

 

「光輝君がSAOでの思い出を大事にするのも分かる気がする。この場所は少ししか一緒にいない私でも暖かく感じる場所だもの」

 

 セブンは殆ど家族愛とは無縁だった。父親は自分の才能にしか目に行かず本当の愛情を受けたことが無かった。しかし日本で枳殻家に引き取られてからはその家族愛をレインやレインの母から沢山享受している。まあまだ光輝はそこまでじゃないが徐々にセブンを頭脳方面の頼れる姉として受け入れている。そして自分の才能を色眼鏡で見るのではなく「セブン」や「七色」として見てくれるこの場所の人達がセブンも好きになっていた。

 だからこそセブンは

 

「皆をそんな目にあわせたくないのよ」

 

 その言葉に光輝は嬉しそうにほほ笑んだのだった

 

 ★

 

 先日セブンからの要請があったので光輝は出来る限りオーディナルスケールに赴くことになった。しかしそれは出来る限りの時であってそんな何回も行ける訳では無い……こともない。確かに昼間のボス戦やクエストなら無理の確率が多いが夜はその限りではない。

 基本的に非番じゃない日、つまり余り光輝の年で言うのもあれだが勤務日は夜には終わる事が多い。それこそ今起きている事件の首謀者が分かった時とかならもう少し残業していることがあるが基本的にはない。夜はそれぞれ鍛錬や家族の時間とかになっている。

 光輝はこの夜のフリータイムにALOや最近だとGGOにも顔を出している。GGOではシノンに色々教えてもらって一応ゲーム内だけなら銃を使えるようになった。そんな事はどうでもよく仲間内のグループチャットでクラインが代々木公園でボス戦が来るという情報をゲットし誰か行けないか? という旨のメールが来た。

 光輝はALOにログインしようとアミュスフィアを被りかけていたがそれを見て腕時計型マルチデバイスのホロキーボードをだしてチャットの返信を打つ

 

『俺行くー』

 

 簡潔にそう言って光輝は道着のまま出かけようとしたが思い直しクローゼットに向かう。そして……ファッションセンスは皆無だから蒼色のポロシャツに黒のパンツ、そして黒色のコートを取り出し羽織った。トランクスに一言言った後光輝はレインの実家のリビングに出現した

 

「わっ! びっくりさせないでよ光輝君」

 

 と言ってきたのはレインとセブンの母親である。

 

「ご、ごめんなさい。他に出てくるところ思いつかなくて」

 

 この時間にいきなり出てくる非常識さは分かりつつ他に出てくる場所が思いつかなかったのも本当だ。光輝は挨拶もそこそこに家から出て代々木公園に向かった。因みにレインとセブンは家にはいなかった。セブンはオーディナルスケール関係の調査、レインはただのレッスンだ。ただ時間はもう21時になりかけているので光輝もボス戦が終わったら迎えに行こうと思っている。

 光輝は空を飛んでる途中でアスナを見かけ人目のつかないところで降りてアスナに声をかけた

 

「アスナさん!」

 

「光輝君、こんばんわ」

 

「こんばんわです」

 

 一緒に歩きながら世間話をする。

 光輝とアスナの関係は友達でもあり勉学方面においては先生と生徒である。勿論光輝が生徒だ。なぜそんな事になっているのかというとオフ会の日までに遡る。タイムパトロールの事を話し終えたらアスナがお嬢様だからか直ぐに思いついた質問をしてきたのだ。

 

「あれ? じゃあ学校は?」

 

「えーと……」

 

 そこで光輝が一気に気まずそうになったのだ。つまり光輝は学校に行くつもりはないと言う事。光輝の年なら普通は学校に行かなければならない。それなのに光輝は堂々とサボり宣言をした。

 だからアスナはSAOでの借りを返す意味を込めて光輝の家庭教師を買って出た。だから割とアスナと光輝には接点があったりする。二人して歩いていたら途中でクライン達風林火山を見つけて近寄った

 

「クライン、あと一人いないけど?」

 

 アスナが光輝の言葉を聞くと確かによく見るとメンバーが一人いない。

 

「悪いな、メンバーの1人と連絡が取れないんだ。全員揃ったら行くから先に行っておいてくれ」

 

 それに答えたのは難しそうな顔をしている光輝ではなくアスナだった。

 

「分かりました。もし遅れたらクラインさん達の分のポイントもゲットしちゃいますね」

 

「ええ……そりゃねえよ」

 

 と軽口を言い合いアスナは先に向かった。だが光輝は少しだけ残りクラインに聞いた

 

「クライン、あのおじさんと連絡取れなくなったのは何時からだ?」

 

 光輝が何故そんなことを聞いてくるのか分からないクラインは疑問符を浮かべつつも答えた

 

「あのカガチ・ザ・サムライロードと戦った日からだ。一応グループの方には連絡はしといたんだがな」

 

 あの日からか。でも戦った直後は何もおかしなことは無かったはずだ。事件と結びつけるのは早計か? だけどタイミングが良すぎる。

 

「どうしたんだ光輝?」

 

 光輝は少し思考の海に入っていたがクラインの声により戻ってきた。どんなシークエンスで記憶が無くなるのか分からない以上考えていても仕方がない。そう考え最低限の警告だけしておいた

 

「クライン、気を付けて来いよ」

 

「お、おう」

 

 光輝はそれだけ言ってアスナを追った。クラインは光輝の警告に訝し気になりながら返事をして光輝を見送った。光輝は考えながらもボス戦の場所にまで来た。

 もう既にオーディナルスケールを起動している。光輝はアスナを見つけ近寄る。

 

「あ、光輝君。クラインさん達と何を話してたの?」

 

 ただの時間つぶしでアスナは聞いてきた。光輝は特に変わらない表情で答えた

 

「いや、今回のボスはどんなやつかなって少し話してただけです」

 

 そんな事を言ったタイミングで丁度良くボス戦の鐘が鳴り響いた。それと同時に歩道橋から眩い炎が溢れ出し今回のボスが現れた。今回のボスは鳥型のボスモンスター、名前は

 

「ザ・ストーム・グリフォン」

 

 とアスナがつぶやいた。このボスはアスナたち攻略組が倒したボスなので光輝は知らない。

 

(SAOのボスモンスター、か)

 

 そう厳し気な表情をしていると戦場が見渡せる場所にピンク色の光が現れそこからユナが出て来た。

 

「皆準備は良い? 戦闘開始だよ!」

 

 それと同時にユナの曲のBGMが流れ始めた。光輝はユナを見てふと思いあのランキング2位のプレイヤーを探す。肉眼で見える範囲にはいないことを見たら今度は襲ってくるストームグリフォンをさらっとあしらいながら近くに気を探る。あの秋葉原の戦いのときに気を覚えておいたのだ。そうすると彼はこっちではなくむしろクライン達がいる方にいた、

 

「なんでだ? ボス戦はこっちでやってるのに」

 

 別にナンバー2が怪しいと思っているわけではない。単純に勘としか言えない。少し考え事でボーっとしてた光輝にアスナが叫ぶ

 

「光輝君タゲされてるわ!」

 

 光輝がそれを聞き飛んでいるグリフォンを見ると確かに光輝一人の場所に落雷攻撃を発動しようとしていた。光輝は剣を持ち直したと同時に落雷攻撃が光輝に降り注いだ。

 オーグマーが作り出す映像だと分かっていてもその大規模攻撃には

 

「光輝君!」

 

 叫ばずにはいられなかった。グリフォンが放った落雷攻撃は光輝がいた場所に降り注ぎ煙に包まれた。アスナが緊張した面持ちでそこを見ていたら……彼を心配した自分が馬鹿だなと言う事がよく分かった。

 煙が晴れた時、そこに光輝はいなかった。グリフォンもそれを見て処理速度がオーバーしたのか思わずあたりを見るがどこにも光輝はいなかった。それに他の参加者たちもそれに動揺し周りを見るが光輝はいなかった。地上にいないと言う事は

 

(上!)

 

 アスナが上、つまり上空を見ると同時にグリフォンがもの凄い勢いで落とされてきた。

 それに驚くのと同時に光輝も上からアスナの隣に降ってきた。特に苦労もしてなさげな顔で降りて来た光輝に何とも言えない表情で言った

 

「光輝君、相変わらずぶっ飛んでるわね」

 

 アスナは長年光輝と付き合いがあるからか何が起こったのか普通に分かった。落雷の瞬間、光輝はただのジャンプで落雷を躱すのと同時にグリフォンの上空に現れ剣で叩き落としたのだ。

 この世界の人間基準では人間離れしている身体能力に唖然とするものはいた。だが、光輝の事を知っている人はどこか納得してしまう人もいた。それはSAOの映像を見た人やSAO全記録に載ってたのを見たからとか理由は様々だ。光輝はアスナの言葉を聞き至極真面目に返す

 

「俺よりぶっ飛んでいる人は山ほどいますよ。だからあの人達を超えるために俺は戦い続けたい」

 

 一種の戦闘狂のような事を言っているが光輝は至極真面目だ。光輝は一瞬悟空達タイムパトロールの背中を思い浮かべた。今は届かないその背中に追いつきたい、先行く背中は遠いかもしれないがだからこそ何回も限界を超えさせてくれる。

 完全にバトル漫画の世界に入っている光輝にアスナはもう何も言わなかった。その代わり光輝の行動に唖然としていた他のプレイヤーが群がってグリフォンに攻撃を仕掛けているのを見る、そしてグリフォンがかつて攻略組を苦しめた大規模攻撃の予兆を起こしているのを見て光輝に言った

 

「光輝君、久しぶりに私の指示を聞いて!」

 

「了解」

 

 アスナは手短に話した後他のプレイヤーにも作戦を伝えに行った。タンクには大規模攻撃のタゲをとってもらい、その後グリフォンは逃げようとするので遠距離攻撃手段を持っている人達には羽を狙ってもらい近接武器を持っている人達には最後のアタックを頼む。そのアスナのてきぱきさに光輝は真面目に感心していた。

 

(血盟騎士団副団長、閃光の名は廃れてないな)

 

 アスナに言ったらきっと否定するかもしれないので心の中で光輝は続けた。光輝は最後のアタックがもし失敗してしまった場合のリカバリー役を頼まれた。元々ポイントとかランキングとかに興味はないのでアスナにポイントが集まりやすくするのに抵抗は無かった。寧ろ勉学方面でお世話になってるのでそのくらい何の問題もなかった。

 光輝はタンクの人達が自らの盾をならしわざとタゲを取るのを見ながらクライン達の気を探った。この短時間に何かあるとは思えないが念のためだ。だが……

 

(なんでだ? おじさん達の気が少なくなってる!?)

 

 最初に会った時よりも明らかに気が減っていた。それも風林火山全員だ。どう考えてもおかしい。そして最初に感じてたナンバー2の気も近くにあった。いや、あったというよりもう離れて行っている。それも常人には到底出しえないスピードで。

 

「キッ!」

 

 光輝はそれを認識した時、グリフォンも見た。グリフォンはアタック組の攻撃だけでは仕留めきれず辺りを突進していた。そしてアスナの前まで突進していた。光輝は他の眼があるのも無視しアスナの隣に立ち言った

 

「合わせて!」

 

「え、ええ!」

 

 言うが同時に二人はそれぞれの剣を突進してきたグリフォンの口にぶっ刺しグリフォンはその勢いのまま二人の間を通り抜け……爆散した。アスナが一息つこうと剣を直そうとしたら光輝がもの凄い形相でアスナに言った

 

「アスナさん! クライン達の所に救急車をお願いします!」

 

 いきなりそんな事を言われたらアスナじゃなくても混乱する。アスナもいきなりそんな事を言った光輝に驚き以外何者でもない顔で見て思わず聞き返す

 

「えっ!? ちょどうして!?」

 

「クライン達の所まで来たら分かる! 俺は先に行ってます!」

 

 アスナにそれ以上の追及を許さず光輝はボス戦報酬には目もくれずその場から消えた。アスナははっとし周りを見ると周りは何が起こっているんだという顔でアスナを見ていた。

 アスナはユナを回避しながら急いで光輝を追った。元々そんなに離れていた訳じゃないのですぐに追いついた。そこで見た光景は……

 

「え?」

 

 アスナが見た光景は風林火山の面々が明らかな外傷を負い地に伏している状態だった。光輝を見るとクラインに手を当て神秘的な薄緑色の光を出していた。アスナが来たことを確認した光輝は惨状を見たの見て

 

「救急車、早く!」

 

「わ、分かったわ!」

 

 何があったのかを聞こうとはせずアスナは迅速に救急車を呼んだ。そして呼び終えたアスナは光輝に聞いた

 

「これはどういう事?」

 

「分からない。グリフォンのとどめを刺す前にクライン達が遅いと思って気を探ったらこうなってるのが分かった」

 

 光輝はそう言って他の倒れている風林火山の面子を見る

 

「他の皆もよく見たら外傷がある。完全に悪意のあるやつがやりやがった。それにクラインに関しては骨が折れている」

 

「……うそ」

 

「骨折は俺でも治せねえ。他の人の介護をお願いします」

 

 口調が安定していない。アスナは光輝が猛烈に怒っているのを感じた。よく考えたら光輝が怒っているのをアスナは初めて見たかもしれない。レッドギルド掃討戦ではさっさと終わらすみたいな感じが強かったし茅場には怒りというよりも若干感謝の表情も見えた。だが今はそれらの時とは違う光輝を初めてみた

 アスナも気絶している他のメンバーを介護していたら救急車のサイレンが聞こえて来た。それを聞いた光輝は立ち上がりアスナに言った

 

「俺がいると色々ややこしくなるんで後はお任せしたもいいですか?」

 

「え、ええ。分かったわ」

 

 アスナの返事を聞いた光輝は夜空に向けて飛翔した。あのナンバー2を探すのは簡単だが万一の事もあるのでレインの迎えに行ったのだ。光輝は飛翔しながらも考えた

 

(クソ! 俺がもっと早くクライン達の気を探ってたら……いや、多少怪しくても影分身を置いていくべきだった)

 

 あれをやった奴が狙ってやったのかは分からないが調査していたのにこのざまな事に光輝は奥歯をかみしめる。最悪の場合風林火山の面々は……

 自分の無力さに拳を握りしめながら光輝はレインの迎えに行くのだった

 

 




お疲れ様です。
ユウキ登場。書いてた通りまだユウキの体が全開じゃないのでオーディナルスケールには不参加です。だけれどもそれは逆に言えば仮想世界なら大丈夫ということである。
ではでは


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復讐者(リベンジャー)

おはようございます。映画公開されたのでオーディナルスケール編を更新!



 クライン達が謎の襲撃者に襲われ3日経過した。光輝はあの後レインの迎えに行き家に送り届けた後オーディナルスケールランキング2を見張っていた。タイミング的に一番怪しかったからだ。

 プレイヤーネームはエイジ、鼠色の髪にキリト達よりも年上と言う事は分かった。しかし光輝はタイムパトロールとしての仕事もありこの三日間は見張る事が出来なかった。一応セブンには報告しておいたが難しいと思っていた。こんな大掛かりな事をたった一人でやるはずが無い。エイジのバックには誰かがいる。

 そしてセブンがクラインのお見舞いをした時にSAOでの事を聞くと……やはりSAOでの記憶が無くなっていた。そして光輝は三日ぶりにALOに足を運び……再び拳を強く握りしめる事になった

 

「本当なのか、キリト」

 

 キリトと光輝は今22層のログハウスの庭に出て会話している。二人がログハウスの方を見るとユイとアスナが会話していた。だがアスナの表情がどことなくぎこちない。無理して笑っているように見える。

 光輝の言葉にキリトは奥歯を噛みしめながら頷いた。

 

「アスナさんまで……」

 

「SAOでの記憶が無くなっている」

 

 アスナは昨日、恵比寿ガーデンプレイスで行われたボス戦にリズベットとシリカと共に参戦した。クライン達が襲われたことは恐ろしかったがその動機までは分からなかったのでまさかSAOサバイバーが狙われているとは思わなかったのだ。

 そして、そのボス戦のさなかシリカがエイジとぶつかりエイジは謝ろうとしたシリカを突き飛ばしボスがそのシリカを攻撃しようとしてたのを見てアスナはシリカを庇い……

 

「……そんな」

 

 SAOでの記憶は悪い事ばかりではない。確かにデスゲームとなって絶望した人もいるかもしれない。だけどキリトや光輝にとって今の自分を形成する上で絶対に欠かせないファクターでありそれが無くなる事は自分の魂が無くなってしまうようなものだ。それはキリトにとって愛する人の記憶も同じだ。

 キリトは深呼吸して光輝に聞いた。どこか責めるような……いや八つ当たり気味にだ

 

「光輝、お前は知ってたのか? サバイバーからSAOでの記憶がなくなる事件が発生してるって」

 

 ここまでくればキリトもこの事件を調べてくるのは時間の問題だと光輝は分かっていた。光輝は今更隠すつもりもない。

 

「……ああ。カガチ・ザ・サムライロードを倒した夜に七姉ちゃんから聞かされてた」

 

「どうして教えてくれなかったんだ!」

 

 思わず怒鳴り声でキリトは光輝に詰め寄った。キリトからしたらアスナから記憶が無くなるかもしれない事を光輝は知ってた事になる。その情報があれば少しは違った結果になっていたかもしれないと反射的に感じたのだ。そしてそれは強ち間違いでもない。

 もし光輝が注意喚起をしていればクラインは兎も角としてアスナは記憶が無くなる事はなかったかもしれない。というよりもオーディナルスケールをするなと一言言えば良いだけだった。完全に今回は光輝とセブンの対応が後手に回った。

 しかしそれは結果論だし……光輝は厳しい事を言う自覚はあるがそれでもキリトに言った

 

「仮に教えたとして……お前にどうにか出来たのか?」

 

「──!」

 

 光輝の言葉にキリトは思わず黙ってしまう。そんなキリトを見つつ光輝は続けた。

 

「お前は頭もいいし仮想世界での強さは俺も疑わない。だけど、AR戦闘でアスナさんに負けるお前がどうやって記憶喪失を阻止出来るんだ? 事実としてお前はエイジに手も足も出なかったんだろ?」

 

 キリトは恵比寿ガーデンプレイスでエイジと相対した。そしてアスナに対しての行動にキレて手を出そうとした。だがエイジが簡単にキリトののど元に剣を突き出しキリトは何もする事が出来なかった。それを先程キリト自身が悔しそうに言っていたのだ。それを忘れていた訳じゃないキリトは思わず黙ってしまう。キリトがもう何も言わない事を確認した光輝は聞いた

 

「どういう原理で記憶が無くなるんだ?」

 

 キリトはそれを聞き光輝に意識を戻す。本当は光輝に八つ当たりをしそうになった。しかし光輝の拳を見て止めた。光輝は無意識なのか意識しているのか分からないが音がなりそうなほど……リアルなら血が出そうな勢いで強く拳を握っていた。光輝が怒りを抱いているのは明白だった。 

 光輝がフリーザと戦う前なら超サイヤ人になれてたかもしれない……かは分からない。だがそれくらい今の光輝は怒っていた。

 

「……オーディナルスケールのボス戦でSAOの記憶を強く想起させて記憶のキーとなる単一ニューロンを特定、限定的な記憶スキャニングが起きて記憶が無くなる仕組みらしい」

 

 この診断を下したのはユウキの主治医である倉橋だ。倉橋がこの診断を早急に下せたのはやはりアスナと同じ症状の人が何人かいたからだ。光輝が想像してたよりも被害が広がっている。光輝はそれを感じて視界の右端に見える時間を見る。光輝の時計はキリト達のリアルの時間に合わせている。時間は20時、今日のボス戦までもう少し。

 ユイがボスの……正確にはボスの出現場所である所を突き止めたので今から慌てることはない。……アスナの記憶喪失はそれが仇になったと言えなくもないが。

 

「取り合えず俺は今日のボス戦行くよ。はっきり言って今回は七姉ちゃんの専門外、あまり支援は期待できない。だったら現地調査しかないからな」

 

 眼で「お前はどうする?」と聞く。キリトもそれが分かったのかリスクは承知で言った

 

「俺も行く。あいつが来るかもしれないからな」

 

「そうか、じゃあログアウトする。また後でな」

 

 光輝はそう言ってログアウトした。そして軽く準備した後再びキリト達の世界に向かった。ユイが提供してくれたボス戦の予想場所を見る。この予想場所というのはボスがアインクラッドの迷宮区に重なるような場所に出現する事をユイが突き止めたのだ。正確には重なる迷宮区の最寄りの公園とかだが。

 光輝が影でこそこそしながら行くとキリトがいた。ただしエイジとそっくりさんを間違えている所だったが。光輝は自分も人の事言えないがキリトも相当怒ってると思った。それもその筈で愛する人と出会った場所、思い出、約束をエイジは奪い去ったのだ。光輝も誰かが愛美から光輝と愛美が本格的に仲良くなったあの小学校時代の記憶を消したらキリトと同じ……いやそれ以上に怒る自信がある。それこそ超サイヤ人になってしまう位に。

 しかし人違いは普通にキリトが悪いので擁護しないが。人違いさせられた方が仲間とどっかに行ったのを見計らいキリトに近づいた

 

「落ち着けキリト。お前らしくもない」

 

 光輝に言われるまでもなくキリトはもう落ち着いていた。そしてエイジ探しをしようとしているキリトに言った

 

「エイジはここにいないぞ。あいつの気はここら辺にない。今回は外れかもしれないな」

 

 しかし光輝は落胆している様子はない。犯人の足がつかめないのは今タイムパトロールとして追っている敵達と変わらないからだ。そんな二人の前にシノンがやってきた。キリトはこの前に仲間たちにオーディナルスケールをSAOの記憶が無くなるかもしれないから来るなと言っていた。

 だからキリトが思わずシノンに「何で来たんだ!」と言ったがシノンはどこ吹く風という風に

 

「私はSAOの記憶を持ってないんだから取られる記憶もない」

 

 だそうだ。

 光輝はそれに苦笑いする。シノンに向けたわけじゃなく言いくるめられているキリトに対しての苦笑だった。そんな事を考えていたら時間になった。三人はそれぞれのコントローラーを取り出した

 

「「オーディナルスケール、起動!」」

 

 そう叫ぶと三人の見ている景色がサムライロードの時の様に変わる。サムライロードの時は丸丸都市みたいな印象を受けたが今回はどこか遺跡のような広場を思わせた。

 そして現れたのは

 

「何っ!? アインクラッド第18層フロアボス、ダイア―タスクだと!?」

 

「18!? 今日は13じゃないのか?」

 

 今回も攻略組に譲っていてたフロアボスで光輝は知らないボスモンスターだった。光輝が誰に問いかけたものでもない質問はユイが答えてくれた

 

「現在、各地でアインクラッドのボスモンスターが出現しています! それに伴ってボスがシャッフルされています!」

 

「随分な大盤振る舞いね」

 

「ボスは1体だけじゃないって事か……」

 

 そこで光輝の脳裏にクライン達の事が思い浮かんだ。戦闘場所から少し離れたあそこでクライン達は恐らくエイジの襲撃にあって記憶を失った。

 

 だけど記憶が無くなるのはSAO時代の事を強く想起させる必要がある。エイジにやられたくらいではSAOの記憶を強く呼び覚ますのは無理なんじゃないか? 

 それこそアスナさんみたいに直近で戦ってたとか……

 

「ユイちゃん、今迷宮区以外の場所でボス戦が発生していないか確かめてくれないか?」

 

「構いませんがどうしてですか?」

 

 キリトがダイア―タスクと戦っているのを見ながら答えた

 

「クライン達は記憶喪失になった時、エイジが絡んでいるのは殆ど確定だがあいつにやられたくらいでSAO時代を強く思い出すとは考えにくい」

 

「——ッ! つまりエイジの他にアインクラッドのボスモンスターがクラインさん達に襲い掛かっていたと言う事ですか?」

 

「正解。もっと言うと今回来ていない面子でこの時間に外を歩いている可能性がある……リズさんやシリカさん、それに……お姉ちゃんの近辺を調べてほしい。それ以外は余裕があればでいい」

 

「分かりました、任せてください!」

 

 光輝は頷き巨大な鉄球をキリトに振り下ろされかけたのを見てシノンとアイコンタクトを取り同時に動いた。

 鉄球が振り下ろされる瞬間にシノンの正確無比な狙撃がダイア―タスクの顎にヒットして態勢を崩した。光輝はその間にキリトを救出して距離を取った

 

「キリト、焦り過ぎだ。フルダイブと同じように動けないのはお前が一番分かってるだろ」

 

「ああ、悪い光輝」

 

 他の参加者に猛威を振るっているダイア―タスクを見ながら軽く状況分析をする。そうすると近くで倒れている人を見かけ顔を覗くと光輝にも見覚えがある人物だった。

 名前は全く知らないがまだ20層も行ってなかった時に攻略組にいてくれていた人だった。

 

「どうやら……想像していたよりも生還者(サバイバー)が多いな」

 

「ああ、早く止めないと」

 

「じゃあ、久しぶりの共同戦線と行きますか」

 

「頼むぜ、光輝」

 

 互いの拳を合わせて2人は同時に動き出した。途中で光輝は二刀を引き抜きキリトよりも先行する。

 ダイア―タスクは自身に挑む無謀なる挑戦者だと思ったのか高笑いした後その巨大な鉄球を2人に向けて放った。

 キリトはそれを横に飛んで躱したのに対して光輝はそのまま鉄球を飛んで躱しそのまま突っ込んだ

 

「はっ!」

 

 上段斬りでがら空きの胴に一直線の傷跡を付け、直ぐに一回転する要領で上に跳ね上げた。後方返りで光輝と入れ替わるようにキリトが片手剣で何度も斬りつける。

 

「グオオオオオッ!!」

 

 ダイア―タスクもやられっぱなしではなく直ぐに鎖を引き鉄球をほぼ0距離にいるキリト目掛けて振り下ろした

 

「シノンさん!」

 

 光輝が叫んだ瞬間にその鉄球と繋がっている鎖目掛けてシノンの狙撃がヒットしてちぎれた。鉄球は重力によって落ちていく。そのままではどの道キリトに当たってしまう

 

「伏せろ!」

 

 その声が響いた瞬間にキリトは体勢を低くした。その瞬間、光輝は二刀で鉄球をダイア―タスクに向けて吹き飛ばした。

 ダイア―タスクはそれをガードする間もなく直撃して吹き飛んだ。キリトの隣に降り立ちながら

 

「ラストアタック行くぞ!」

 

「ああ!」

 

 2人は同時に駆け出した。ダイア―タスクは鉄球のダメージを残しながらもボスの意地なのか立ち上がり残った鎖を2人に無作為に振り回す。キリトの前に現れ器用に二刀を振り回してガードした

 シノンは忌々し気に呟く

 

「狙えない」

 

 ある程度動きが予測できるものを狙撃するのは簡単だがこの鎖の様に縦横無尽に振り回されるものに照準を合わせるのは簡単ではない。

 だがそれは動き回っているものに限る。ダイア―タスクの眼に照準を合わせ……撃ち抜いた

 

「グオオオオオ!?」

 

 自分の視界が撃ち抜かれたことに動揺したように叫ぶが……その隙さえあれば光輝には十分だった。

 ダイア―タスクの眼前に現れあっという間に交錯した。

 

「決めろ、キリト」

 

 キリトも一歩遅れてダイアータスクとすれ違いざまに斬りつけて……背後にいたダイア―タスクが爆散した

 辺りを見渡した後、光輝は剣を背中に戻し臨戦態勢を解いた。

 

「お疲れ、キリト」

 

「光輝もな。シノンもお疲れ」

 

 向こうから2人のアシストをしてくれたシノンもやって来る。

 

「2人ともナイスファイト」

 

「シノンさんもサポートありがとうございました」

 

 

 そう他愛のない話をしていたらどこからかユイがしょんぼりと肩を落としながら飛んできた。

 

「すいませんパパ、怪しいデータが動いたので追ったのですがプロテクトに阻まれてしまいました」

 

「そうか……ありがとなユイ」

 

「ユイちゃん、頼んでたの何か分かった?」

 

 光輝がそう問いかけた時、ユイががばっと顔を上げて光輝に報告した

 

「そうでした! 現在、予測の場所以外でボス戦が発生している場所がありました!」

 

「どこ?」

 

「丁度レインさんのスタジオの近くです!」

 

 それを聞いた光輝は顔を険しく歪めた。そして直ぐにキリト達に背を向けレインと美葉の気をサーチする。

 

「不味い!」

 

「光輝?」

 

「悪い、お姉ちゃんの所に行く!」

 

 言うが早く光輝は直ぐにその場から姿を消した。残された2人はそんな光輝を唖然として見送ったのだった

 

 

 ★

 

 

 今日のレッスンも終わらせ、レインは美葉と共にスタジオから近くの駅まで歩いていた

 

「今日も疲れた~!」

 

 体力も消費しているので既に体はクタクタである。最近はいつも光輝が迎えに来てくれていたがこの3日間は仕事と言ってきてくれなかった。

 ただ着替えの時にメールを確認したところ今日はキリト達と一緒にボス戦へ行っているらしい。

 

『SAOのボス戦でSAOの記憶が無くなる事件が発生している。皆出来るだけオーディナルスケールはしないでくれ』

 

 そんな事をグループでキリトが言ったのにも関わらずその本人がボス戦に行っているとはどういうことだ。

 ただ今回は光輝も一緒だから心配はしていない。光輝が記憶無くなる可能性も否定できない。けれども強さがずば抜けている分、精神的余裕は仲間の中で誰よりもある。

 

「アスナちゃん……大丈夫かな」

 

 心配なのはその記憶を失ったアスナの事だった。キリトとの出会いの記憶も思い出も……思い出せなくなったアスナの気持ちはレインには計り知れない。

 

(光輝君との記憶が無くなるなんて……嫌だよ)

 

 ただ自分と光輝に置き換えた時、胸が張り裂けるような痛みを感じる事は間違いない。それだけではない、アイドルという夢が現実味を帯びたのもあのフィールドボス戦があったからこそ。

 自分の今のアイデンティティが形成されたあの場所の記憶を忘れる事はただ怖かった。

 

「心配なのは分かるけれど……目の前の事にも集中よ」

 

「はい。……エイジってプレイヤーには気を付けなきゃですね」

 

 光輝からエイジというプレイヤーには気を付けてと言われている。今も一応オーグマーは付けて光輝のGPSを少しだけ追っていた。

 それを見ていた美葉は苦笑い気味になった

 

「レインちゃん、心配なのは分かるけどGPSはやりすぎじゃ……」

 

「しょ、しょうがないじゃないですか! だって光輝君また心配かけるような事するに決まってるんですからこの世界にいる時位は安心したいんです!」

 

 あくまでもGPSを確認するのは光輝の反応を見て安心するためと言い張るレインに美葉は「ブラコンね」と思いつつレインの光輝への溺愛模様は今に始まった事ではないので諦めた。

 その内2人は公園を通り過ぎる為に入り……足を止めた

 

「貴方は……」

 

 足を止めた理由、それは人が2人を待ち構えていたように立っていたからだ。公園は暗闇に包まれ明かりは電灯の必要最低限だけ、その電灯だけで分かるのは鼠色の髪だった。

 そして2人とも彼に見覚えがある。秋葉原DXのボス戦で現れその存在感を示したオーディナルスケール・ナンバー2

 

「エイジ……」

 

「へえ、僕の事を知っているんですね」

 

 不敵な笑みを浮かべながら彼は姿を現した。レインは咄嗟に美葉を下がらせながら答えた

 

「上位の人だから知っているわよ」

 

「果たしてそれだけが理由かどうかは知りませんが……女性が2人だけでこんな所を通るのは感心しませんね」

 

「何が言いたいの?」

 

 エイジは何も答えず手を上げた。それに反応したように炎が吹き上がりそこからボスが出て来た。

 最初はシリカの使役モンスターであるピナのように小さなドラゴンだったのが徐々に巨大化していく。

 禍々しくどす黒い龍はその赤き瞳でレイン達を見た。レイン達は知らないが目の前の龍はアインクラッド第91層フロアボス「ドルゼル・ザ・カオスドレイク」だ

 

「攻略組の紅の歌姫……僕はお前が気に入らないんだ」

 

「え……?」

 

 憎しみが籠っている怒気を前にレインが意味が分からないと言いたげの顔をする。レインはエイジの事は今回の事で初めて知った。

 最近までオーディナルスケールの事は時間が無くて調べる事もなかったのもある。そんなエイジに自分が恨まれる理由が分からなかった

 

「お前が今いる場所は本来ユナがいるべき場所だったんだ」

 

 そう歯を食いしばるエイジにレインは何が何なのか全くわからずただ黙るしかない。先ず、今いる場所とは何なのかが分からない。

 だが今はそれを問題にしている時ではない。

 

「美葉さん、オーグマーを外して!」

 

 レインは記憶喪失の事を思い出して美葉に叫ぶ。

 

「外しても構いませんがその場合はそれ以上の痛みを負う事になりますよ。……風林火山をやったのは僕なんですから」

 

「——ッ!」

 

 息を詰める。レインも光輝から風林火山の人達が負った傷を聞かされた。それは余りに惨く、聞いていただけなのに辛かった。

 それを思い出したレインは逃げる思いよりも怒りが湧き出て来た

 

「貴方の目的は何なの! こんなことして何がしたいの!?」

 

「お前には分からない。望むものを手にしてのうのうと生きているお前には」

 

 次の瞬間、カオスドレイクが炎の玉をレインに放った。レインはそれを飛びのくことで回避した。

 光輝の地獄のトレーニングを受けていなければ今のは危なかった。

 だがそれはカオスドレイクだけの場合だった。躱した先でエイジがレインに襲い掛かった。レインは咄嗟に剣を引き抜きエイジの剣とぶつけた

 

「くっ!」

 

「お前は攻略組でありながら”歌姫”を名乗りアインクラッド中にその名を轟かせた!!」

 

 エイジは剣を引き抜きオーディナルスケールでは御法度の蹴りを放ってきた。コントローラである剣や武器でダメージを与えるオーディナルスケールではALOとは違って体術ではダメージ判定が入らない。その代わりに身体的なダメージを与える。

 

「——ッ!!」

 

 レインは咄嗟に腕をガードに回した。

 腕にエイジの蹴りがぶち当たりレインはその威力に耐えられず吹き飛ばされた

 

「キャッ!!」

 

 レインは地面に転がり小さな傷が付く。女性としては考え物だがエイジはレインを貶す気で攻撃してきた。

 ジンジンのレベルじゃない痛みがレインの両腕に響く。

 

(痛い……)

 

 フルダイブと違って実際の痛みを感じるARはレインには慣れないものだった。

 しかしそんな事を嘆く暇もなかった

 

「くっ」

 

 レインが顔を上げた先にはカオスドレイクが再び炎の玉を発射していた。痛む身体に鞭を打ちバックステップで躱した。

 しかし、また躱した先にエイジが迫っていた。紫色の閃光と共に剣を振り下ろす

 

(受けちゃダメ!)

 

 まだ腕は痛む。こんな状態で鍔迫り合いは負けに行っているものだ。

 だからレインはエイジの攻撃を躱すことにした

 

「”歌姫”の称号はお前なんかよりもユナの方が相応しかった!!」

 

 激昂と共にエイジの攻撃スピードが速くなっていく。

 

「お前のせいでユナは誰の記憶にも残らなかったんだ!!」

 

 正直レインはエイジに反論している余裕はなかった。それほどにエイジの攻撃が凄まじく受けるので精いっぱいだった。

 

 ──あ

 

 そう思った時だった。レインの足が地面を滑り一気に体勢が崩れた。それを見たエイジはその口元を狂気の笑みに変えた。

 その背後からカオスドレイクが大きく息を吸い込みブレスの準備を完了させた

 

「じゃあな、紅の歌姫」

 

 エイジはそう言って自分の巻き添えを避けるために退却して……ブレスが放たれた

 

「レインちゃん!!」

 

 美葉が悲鳴を上げレインは火炎のブレスに飲み込まれていった

 

「ふ……これで紅の歌姫も終わりだな」

 

 レインが今アイドル活動を本格的にしようと思ったのはSAOでのあのフィールドボス戦があったからだ。

 その記憶が無くなればレインはモチベーションが保てなくなる。それだけじゃない。今のアスナの様に戦う事が怖くなる。

 それでは色んな意味でレインがレインでなくなってしまう

 

「ん?」

 

 しかしエイジは様子が可笑しい事に気が付いた。いつまで経ってもあのブレスの中からレインの悲鳴と記憶のかけらが飛び出してこないのだ。

 そしてブレスが終わった時、レインの姿そのものが無かった

 

「何だと……!?」

 

 ブレスはあくまでもオーグマーが作り出す映像だ。それによって出る恐怖といった感情は本物と言ってもブレスは本物ではない。ただショックを与える分には十分なものだ。

 つまりレインが消える事なんてあり得ない。

 

「どこに……?」

 

 美葉も狼狽えながらあたりを見回した。だがレインの姿は見えない。そんな時だった。どこからか声がした。静かな怒りが満ち溢れ、一瞬で美葉に希望を感じさせた声が

 

「やっと本性を現しやがったな」

 

「——ッ!?」

 

 エイジが勢いよく上空を見ると、月を背後にレインをお姫様抱っこしている光輝がエイジを見下ろしていた

 

「光輝君!」

 

「良かった、間に合った」

 

「な……ん」

 

 何の脈絡もなく空に浮かんでいる光輝をエイジは口をあんぐりと開けたまま見上げていた。光輝は美葉の隣まで降り立ちレインを座らせた

 

「お姉ちゃん大丈夫?」

 

「ちょ、ちょっと大丈夫じゃないかなぁ」

 

 光輝が来た安心感からかレインの気が一気に抜けた。光輝もレインが無意識に庇っている腕を見てそっと手を当てた

 手を当てた所からエメラルドグリーンの輝きが溢れてきて腕を包んだ。瞬く間にレインの腕の痛みが引いていく

 

「なんか……光輝君がどんどん超人になってくね」

 

「まあ俺よりも超人は沢山いるから大丈夫だよ」

 

 何が大丈夫なのか全く分からない。寧ろ大丈夫じゃないんじゃないかなとレインは思った。しかし、その言葉が今は頼もしかった。いやいつでも頼もしいのだが今はいつも以上に頼もしかった

 

「お前は……蒼赤の戦士!!」

 

 エイジが光輝を見て唸るように呟いた。光輝はそんなエイジを見た。

 

「お姉ちゃん、ちょっと待ってて。直ぐに終わらせる」

 

 そう言った瞬間にはカオスドレイクの眼前に現れ目にもとまらぬ斬撃で抵抗する暇すら与えず爆散させた

 

「な……んだと」

 

 その3秒かからない速度にエイジはただただ刮目し光輝を畏怖するように見た。光輝はカオスドレイクのいた場所を興味なさげに見た後、エイジを睨んだ。

 

「ズタボロの泥雑巾になる前に答えろ。何でこんな事をする、アスナさんや皆からSAOの記憶を奪って何が目的だ?」

 

 その眼が「嘘は許さない」と語っていた。

 エイジは狼狽える。光輝は追い打ちを立てるように聞いた

 

「お前、SAOの頃ノーチラスって名前だっただろ」

 

「え……?」

 

 レインはエイジが生還者だと知ってまじまじと見る。しかしエイジは眉を顰め怒鳴る

 

「今の俺はエイジだ! ……ふ。閃光から聞いたのか? KOBの落ちこぼれだと」

 

「いや、お前がKOBにいたのは今知った。俺がお前を知っていたのはお姉ちゃんのバースデーライブで見かけたからな」

 

「バースデーライブ……?」

 

 レインが記憶の棚から当時の事を思い出した。レインが紅の歌姫として台頭してきたときに開かれたバースデーライブ。

 美葉も勿論覚えている。あれがあったからレインをスカウトしようと思ったのだから。

 

「お前、自覚は無かったかもしれないがお姉ちゃんの事めっちゃ睨んでたからな」

 

 と言っても思い出したのはつい最近だけどな。元々どこかで見た奴だとは思っていた。

 

「さあ、先ずはアスナさんの記憶を返してもらうぞ」

 

 そう言って踏み出す。エイジはやられる前にやる作戦で光輝に突貫した。

 

「お前達攻略組は常に最前線に立ちアインクラッドの希望になっていた!!」

 

 エイジが紫色の軌跡を描きながら人間離れした動きで光輝に襲い掛かる。しかし光輝はそれをあっさりと対応する。

 

「だがそれは最前線にいた奴らだけだ! 俺やユナのような力のない奴は誰の記憶にも残らないんだ!!」

 

 光輝はエイジの叫びを聞きながら受け流したり相殺する。その表情は揺らぐことなくエイジの瞳を射貫いていた。

 

「ユナ……か」

 

「お前に分かるものか! 茅場を倒し名実ともに英雄になったお前には! 弱虫の俺は大切な人が死にそうでも足が竦んで動けないんだ!」

 

 激昂の声と共にエイジの動きにキレが増していく。しかしそれすらも光輝は軽々と反応して見せ逆にエイジのHPを削る。

 光輝は途中で目を閉じた。それが舐められていると感じたのかエイジの攻撃は激しくなっていく。だが光輝は眼を閉じながらも完璧に捌いて見せる。その光輝の意識は半分ほどこの場にはなかった

 

 大切な人が死にそうでも……か。俺は最初笠木と戦った時、死を恐れたのだろうか? 恐らく普通に怖かったと思う。

 今でこそ笠木なんて眼中にないけど当時は小1の体格だったし相手は成熟した大人。愛美が警官たちを連れてくるまでタイムリミット戦ってのもあったが当時は相当無茶したと思う。まあ今にして思えば俺の命と道ずれに笠木を再起不能にした方が良かったのかもしれない。

 それを思えば少しだけどこいつの気持ちも分からんでもない

 

「SAOなんてクソゲーの記憶なんて貰ったっていいじゃねえかああッ!!」

 

「だけどな……」

 

 エイジの跳躍斬りを光輝はその場から姿を消して躱した

 

「なっ!?」

 

 その視認不能の速度にせわしなく動き続けていたエイジが止まった。

 

「誰かを守れなくて悔しい気持ちも分からんでもない。俺も大事な人達を守れなかった。守るどころか俺はおねんねしていた」

 

 姿が見えないが光輝の声だけが響く。

 

「悲しくても、悔しくても……もうあの時間は戻ってこない」

 

 自分と愛美を優しいまなざしで見てくれた家族たちを思い出す。今思い出すだけでも胸が苦しくなって当時の悔しさや悲しみが蘇る。

 だけど……そんな経験をしたからこの世界に来ることも出来た

 

「それでも……今俺はここにいる!!」

 

 瞬間、エイジの背後に現れ斬りつけガクンとエイジの体力が減った。

 

「どこだっ!?」

 

「クソゲーだって? そうかよ、お前がそう思うのは勝手にしやがれ!」

 

 次はエイジの眼前に現れ反応出来ないスピードで斬撃痕が現れる。そしてまた光輝は姿を消す

 

「それでも俺やお姉ちゃん、キリトやアスナさんにとっては大事な記憶なんだ!」

 

 エイジが背後を見ても姿は見えず代わりに無数の斬撃がエイジを襲う。手も足も出ずエイジのHPが減っていく。

 エイジのオーグマーに特別に付けられている相手の動きを予測する機能も全く役に立たない。

 

「俺が……俺達が俺達であるためにあの城での記憶は大切なもの。その記憶の価値をお前が決めるんじゃねえ!」

 

 エイジが眼を大きく見開いた時には既にレッドゾーンに入っていた。視認すらも出来ない光輝の連続攻撃、ただの人であるエイジは全く反応出来ない。

 エイジは光輝を探そうとキョロキョロするが見当たらない。

 

「こっちだ!」

 

 光輝の声が響き渡りエイジは勢いよく振り返る。光輝が泰然と仁王立ちしていた。

 

「黙れ! 俺はユナを生き返らせるんだ! お前なんかに邪魔はさせない!」

 

 エイジが放った言葉に流石の光輝も驚く。まさかこの色々な意味で普通のこの世界でドラゴンボールを使って叶えるような願い事が飛び出すとは思わなかったのだ。

 しかし、先程までの言動と今言った生き返らせるというワードのおかげでエイジの……エイジたちの目的が分かった

 

「成程、ユナを生き返らせるためにユナの記憶が必要だったって訳か」

 

 光輝の一言にレインが意味が分からないと言った感じで光輝を見る

 

「どういう事、光輝君」

 

「先ず……今世間で出ているARアイドル”ユナ”にはモデルがいる。……いやいたんだ。SAOに。お姉ちゃんは早い段階から師匠の所にいたから知らないかもしれないけど」

 

「ユナが……SAOに?」

 

「ああ。それで死んだ。SAOで」

 

「——!」

 

 光輝がエイジの反応を見ると苦虫を嚙み潰したような顔で光輝を見ていた。

 

「エイジはSAOサバイバーから断片的にユナの記憶を駆け集め、それを繋ぎ合わせる事でユナをAIとして復活させようとしたんだ」

 

 その余りにコメントのしようもない話にレインは口を開けたままだった。

 エイジは余りの力の差にただただ光輝を見据える事しか出来ない。

 

「そんな事出来るの?」

 

 美葉も呆然と呟く。それだけ衝撃的な発言だったのだ。光輝はエイジから眼を離さず答えた

 

「ああ。オーグマーに記憶抽出機能、それにユナを模したAI、普通の人間に他人の記憶を移すのは出来ない。だけどAIならそれも出来る」

 

 剣の切っ先をエイジに向ける

 

「考えたな。そうしたら確かに疑似的にユナを生き返らせることも可能だ。ただし、何人もの人達の犠牲と引き換えにな!」

 

「煩い! 大事な人を失う事もない力がお前にはあるだろうが! それだけ強いお前に俺の何が分かる!? 大切な人を守れなかった俺の気持ちが……」

 

黙れよ

 

 エイジの自分勝手な言い分に誰よりも光輝の事を見て来たレインが怒鳴ろうとした、がそれよりも先に大気を震わせるほどの圧力が光輝の言葉と共に発せられた。

 光輝は来た時のレインの腕の怪我を思い出しながら聞いた

 

「お前、まさかお姉ちゃんも恨んでたのか?」

 

 そこには嘘を言ったらただでは済まさないと含んでいた。エイジは一瞬淀んだが自分の在り方を証明する為に叫んだ

 

「そうだ! そいつはユナの称号を奪い取り誰もが認める存在となった。俺はそれが許せない!」

 

「……ふざけるな」

 

 光輝の静かな怒りが白色の気として顕現して光輝の身に纏う。その常識ではありえない現象に畏怖のようなものを感じた。

 

「てめえの眼には”そうなった”結果しか見えねえのか?」

 

 その言葉はエイジの背後から聞こえた。それをエイジが認識した時、エイジのHPが残りのゲージをあっさりと砕け散り目の前に「You Lose」と表示が出た

 

「俺もお姉ちゃんも……そうありたいと思う未来の為に修業をした。その為に何度も苦き水を啜り立ち直れなくなりそうなこともあった」

 

 光輝は剣を一回振って背中の鞘に入れた

 

「それでも……何度も立ち上がって自分を越える為に努力した」

 

 そこで背後に向いた。既にエイジはオーディナルスケールが解除され、膝を追っていた

 

「それが今の俺達の現実だ、夢を……そうありたいと思い努力した結果をお前に否定されるいわれはない」

 

 光輝もオーディナルスケールを解除して私服に変わった。

 

「逆にお前に分かるのか? 大切な人との記憶が奪われ記憶の共有が出来なくなった人の悲しみが。その大事な人との繋がりが立ち消えそうになる苦しみが」

 

 思い出すのは今日少しだけ見ていたアスナさんの事。俺の前では平静を装っていたけどそれが無意味だと思う位憔悴していた。

 

「お前がSAOにユナを奪われたように、アスナさんはお前に”自分”を奪われたんだ」

 

 勿論、生きているアスナさんと死んでしまっているユナでは違いもある。それでも……何かを失う事の辛さはエイジにも分かるはずだ。いや分からなきゃならないんだ。

 

「時間をくれてやる。お前がそれでもユナを生き返らせようとするのなら……」

 

 光輝はレインを立たせた

 

「今度こそ貴様を立ち直れない位にズタボロにしてやる」

 

 今の優先順位はお姉ちゃんを家に送り届ける事。それにエイジは恐らく記憶を奪い取る実行犯としての役割だ。

 つまり……記憶をどうこうするのは別の頭脳派の人がいる。こいつを問い詰めて吐かせることは簡単だが……あいつは多分納得がいかない。

 

「俺がこの世界にいる限り、もう誰も記憶を取らせることは出来ない」

 

 その言葉を残して、光輝はレインを連れてその場を離れた。残されたのは圧倒的な力の差を感じ、項垂れ光輝の言葉を考え……結局ユナを生き返らせたいと願うエイジがいた

 

 

 




お疲れ様です。
光輝、エイジをボコボコにするの巻。どうでも良い情報かもしれませんが作者はエイジは割と苦手です。

良いことも悪い事も全部ひっくるめて自分。それをどうこう言ったりする権利なんて誰にもない筈ですからね。

見ていて何となく思った方もいるかもしれませんが光輝はSAOのユナの事を知っています。

多分次回か次々回あたりでオーディナルスケール編は終わりです!
今週の土曜に姉とSAOを見に行きます!


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人造人間・セル編
隻腕の戦士


おはようございますm(*_ _)m。今日は未来悟飯!!ではどぞ(っ´∀`)っ


これ程自分の無力さを呪った事は無い。例えこれが歴史だから·····そう言っても恐らく自分はあの2人にはまだ勝てない。

誰かを無事に殺させる為のパトロール何て·····辛いだけだ。

 

 

 

 

 

フリーザ・クウラとの激闘が終わり2ヶ月後、また歴史の改変が行われた。

 

「トランクスさんの世界、ですか。」

 

「はい。俺達の世界の時代表記でエイジ780年、光輝さんにはその時代に行ってもらいたいんです。」

 

「分かりました。じゃあそこに行って悟空さん達を守ればいいんですよね?」

 

俺がそう言ったら何故か暗い顔になったトランクスさん。俺は訝しげな視線を送ったら言ってきた。

 

「いえ、この歴史では·····俺と悟飯さん以外の地球の戦士は全滅しています。」

 

「·····え?なんで?」

 

「悟空さんは心臓病、父さんや他の皆さんは2人の人造人間によって殺されました。そして·····悟飯さんも後に亡くなりました。」

 

そう言ったトランクスさんの顔が凄く寂しそうだった。だがそれも直ぐに切り替えられ「お願いします。」と言われたから俺はパトロールに出動した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は岩陰に出た。そして耳を澄ませるとどこからか戦闘してる音が聞こえた。まさかもう改変か?と思い俺は岩陰から戦闘してる人達を覗いた。そこには山吹色の道着に背中に飯とある人と

 

(トランクスさんか?)

 

俺の知ってるトランクスさんよりかは小さいけど間違いない。悟飯さんとトランクスさんが修行しているみたいだ。周りを見るとまだ改変は起きてないみたいだ。

2人をよく見ると

 

(悟飯さん、左腕がないのか。)

 

悟飯さんは隻腕だった。それでもトランクスさんを寄せ付けなかったのは凄い。そして唐突に戦いをやめた。そして何事かトランクスさんに呟いたらトランクスさんはどこかに行ってしまった。

それを見届け悟飯さんがいきなり振り返ってきたからやべっと思ったが遅かった。

 

「そこにいるのは誰だ!?」

 

俺はもう諦め降参ポーズしながら出た。勿論気も抑えて、剣も最近ブルマさんがある歴史の技術を参考にした何かよく分からないけど武器を量子化とかなんとかを分析してそれを保存を出来るようにしたんだとか。そしてその保存したものを自分のイメージだけで呼び出せる優れものを貰ったからそれに入れている。しかもそれがめちゃくちゃコンパクトだから敵からすれば俺はなんにも持ってないように見える。実際はクナイやら時の都で売っている殺傷能力がそれなりにある剣とか手裏剣とか入れてるから普通に武器はめちゃくちゃ持ってるんだけどね。

 

「君は?」

 

「西沢光輝と言います。怪しいものじゃありません、はい。」

 

そのままじっと見られるが悟飯さんは力を抜いたから俺も思わず息を吐き出し降参ポーズをやめた。

 

「そんな所にいたら普通は怪しまれるよ?」

 

「ご、ごめんなさい。」

 

至極最もで言い返せなかった。悟飯さんは俺を観察してるみたいだ。そして

 

「君、戦えるのかい?」

 

「は、はい。」

 

「じゃあ少し手合わせを願おうかな?」

 

「わかりました·····あっ、いやでもトラ·····さっきの人はいいんですか?」

 

「ああ、今日はもうブルマさんに心配かけないように帰ってもらった。」

 

そう言って悟飯さんは構えた。俺も構える。そして同時に地を蹴った。右腕どうしをぶつけ一旦離れる。そして地面に足がついたと同時に俺と悟飯さんは高速で移動した。あちこちにクレーターを作りながら俺は考えていた。

 

(動きが時の都にいる悟飯さんよりも実践的だ。悟空さんよりどちらかと言うとバーダックさんに近い。)

 

俺はそう考えながら悟飯さんの蹴りをジャンプして躱しつつ悟飯さんの肩に手を置いて悟飯さんの向こう側に降り立った。そして後ろ回転しながら腕を振り抜いた。悟飯さんはこれを屈んで避けた。そして悟飯さんの後ろ足が襲ってきた。俺はそれを躱しきれず受け少し吹き飛んだ。

俺はそれを見ながら右手に螺旋丸を作った。そして悟飯さんが走ってくるのを見ながら俺も走るそしてもう少しで激突するという所で俺は飛来神の術をした。さっき悟飯さん蹴りを躱した時に肩につけてたマーキングの所に飛んだ。そしてがら空きの背中に螺旋丸を撃とうとしたら

 

(なっ!?こっちを見てる?)

 

そう思いながり螺旋丸を放った。だが悟飯さんはその瞬間に振り返りガードした。

そしてそのままズザザと後ろに行った。深呼吸したら気が抑えられていった。

 

「凄いね君、さっきのは危なかった。」

 

「というか何であれ防げたんですか?見えなかったはずですよ?」

 

「それは勘としか言えないな。」

 

まじか勘か、バーダックさんと同じこと言ってる。勘で防がれてたらちょっとショック。

そんなこんなで今日は悟飯さんと過ごす事になった。どうやら俺を信じられるかのテストだったらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君ほどの戦士がまだこの地球上にいたなんてね。」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

俺はそう言って悟飯さんを観察した。時の巣にいる悟飯さんとは姿だけじゃなく雰囲気も結構違う。戦いの時に見せた厳しさはどこかバーダックさんを沸騰させる。まあ孫にあたる人だから似てるのは当たり前なのかな。

 

「君は人造人間と戦った事はあるかい?」

 

そう問いかけてきた悟飯さんの顔は悔しさが滲み出ていた。俺は黙って首を振った。正直に言う、俺もその人造人間に勝てるかは怪しい。俺の今の基本戦闘力はこの悟飯さんよりも下だ。つまり超サイヤ人になっても悟飯さんの方が強い。俺がさっき戦えたのはこの世界にはない技を使えたからだ。勿論俺も悟飯さんもさっきは本気ではなかったから結局は分からないんだけどな。

 

「すまないね、今はこれしかないんだ。」

 

そう言ってインスタントご飯を出してきた。俺はお礼を言いながらそれを食べ始めた。悟飯さんは基本この洞窟で過ごしてるそうだ。偶にブルマさんの所に行くそうだ。

この時代は人造人間によって破壊されこういうものも手に入れにくいようだ。俺は少し申し訳なくなりながら食べた。心なしか今までの白ご飯のどれよりも美味しかった気がした。

 

「ご馳走でした。」

 

「うん。」

 

俺は悟飯さんに思ってた事を聞いた。

 

「あの、悟飯さんは家には帰られてるんですか?」

 

そう聞いたら首をふるふる振った。

 

「人造人間を倒すまで、俺は帰らない。皆の仇を·····とるんだ!」

 

憎しみ·····それもあるのかもしれないけど1番は自分の無力さに怒ってるように見える。·····分かるよ。その気持ち。俺も何度無力さを呪ったのか分からないからな。俺は家族には会った方がいいと言おうとして止めた。俺が言えるセリフじゃない。もう俺の世界ではあの戦いから3年は経っている。俺は1度手紙を入れただけで会った訳じゃないからだ。

時の巣にいた悟飯さんに教えてもらったことがある。自分の夢は学者だったって。時の巣の悟飯さんは学者になれた後の世界からタイムパトロールになったそうだ。それは悟空さんが生きてたから有り得た世界。

この世界は悟空さんが心臓病で死んでしまった世界。それで戦士達の士気が下がりことごとく殺されてしまった。だからこの悟飯さんは夢を·····諦めざるを得なかった。

 

(·····何でだよ。何で夢を·····諦めなくちゃいけないんだよ。)

 

俺の場合は1つの夢がクズ野郎のせいで消えた。小一なりの夢だった。家族で平和に過ごしていたい。ただそれだけだった。夢をあいつのせいで消された。だから捨てなきゃいけない気持ちは分かるつもりだ。

 

(夢を捨てても届かないなんて·····そんなの、あんまりだ。)

 

そう思っていたら悟飯さんが声をかけてきた。

 

「明日からの修行、君も一緒にするかい?」

 

「あ、はい。」

 

悟飯さんは頷いた。それほど新しい人が来て嬉しいんだろう。だけどいきなり核心をついてきた。

 

「所で君·····サイヤ人か?」

 

俺は暫く声が出なかった。今まで初見で会ってきた人は皆俺を地球人だと思ったのに悟飯さん普通に当ててきた。俺が驚愕な顔をしてたら悟飯さんはふっと笑って言った。

 

「最初は俺も地球人だと思ったさ。でもその君の戦闘力はただの地球人じゃ辿り着けない領域だからね。俺達の仲間内にいた最強の地球人の人も超えていたからね。それに君の戦闘力があれば俺も気がついた筈、ならあと俺の知ってる中で人型の宇宙人はサイヤ人しかいない。どう?当たってるかな?」

 

「ぐうの音も出ません。」

 

「そうか、サイヤ人だったのか·····、君は一体何者なんだい?サイヤ人ならベジータさんを知ってるだろ?ベジータさんが言っていた。サイヤ人は自分と父さんと俺しかもういないって。その2人がいないから後は俺とベジータさんの息子のトランクスだけかと思ったんだけどな。」

 

俺はそれに答える訳にもいかず顔を下げた。それを見た悟飯さんはふっと笑い

 

「いや、君にも君なりの事情があるんだろう。すまなかった。」

 

「ごめんなさい。」

 

そのまま少し無言の時間になったが悟飯さんが言ってきた。

 

「さあ、今日はもう寝よう。」

 

「は、はい。」

 

俺達は簡易ベットで寝た。ブルマさんのホイポイカプセルでもくれたものなんだとか。偶にトランクスさんも来るから2つあるんだと。

そう言う訳で俺は色々思う所はあったが寝た。

 

 




お疲れ様でしたm(*_ _)m。未来悟飯かっこいいなぁ。何か今ヒーローズのプロモアニメ3話を記念してみたいなアンケートの項目でifの話みたいな項目あったから未来悟飯が生存して一緒にタイムマシン乗るみたいなストーリーやって欲しいなぁ。


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超絶怪しい男

おはようございますm(*_ _)m。


翌日

俺は悟飯さんと共に昨日悟飯さんに会った所まで来た。そこにはもうトランクスさんもいた。俺の事をかくかくしかじかと説明し理解してくれた。俺達は一緒に修行を開始した。

 

「じゃあ2人で戦ってみてくれるか?」

 

と悟飯さんに言われたから俺はトランクスさんに向き直った。何かいつも時の巣にいる方のトランクスさんと話すから同い年ぐらいのトランクスさんと戦うのはそれはそれでワクワクする。

ルールは武器はあり、悟飯さんが止めたら戦いは終了。トランクスさんは剣を構えてる。時の巣にいるトランクスさんと同じ剣だ。だから俺も剣をイメージして背中に剣をクロスして鞘ごと出した。何かトランクスさんが驚いている。俺は右のウォーリア・ビヨンド・ディスペアーだけ出した。真ん中で構えて切っ先をトランクスさんに向ける。そして悟飯さんが腕を上げて

 

「始め!」

 

そう聞こえた瞬間に激突し鍔迫り合いになった。しかし直ぐに金属音を鳴らしながら離れ俺は突撃した。見た目はただの突きだが片手剣でこの技はリーチが長いし当たれば威力もでかい。故に俺の親友キリトはこの技を最も得意としていた。片手剣重突進ソードスキル《ヴォーパル・ストライク》。俺のヴォーパル・ストライクはトランクスさんの真ん中辺りに行ってる。だから避けるとすれば左右どちらかか迎え撃つのみ。トランクスさんは前者を選んだ。俺がヴォーパル・ストライクを撃っているのは右手だから俺の右側に回り込んで躱した。これがヴォーパル・ストライクの欠点、あの世界のモンスターとかには通じるが対人戦なら案外避けやすい。トランクスさんはそのまま上段から剣を振りあげようとしたが俺が対策を立ててないわけないだろう。

またもやイメージをして今度はクナイを空いてる左手で掴み後ろにほおり投げた。そのままクルクル回った。トランクスさんはその行動に目を見張って一瞬振り下ろしが遅くなった隙をついて最近俺の十八番になってきてる飛来神の術でそのクナイの所に飛んだ。クナイをイメージしてまたしまいながら俺はいきなり俺がいなくなってびっくりしてほんの数秒動きが止まったトランクスさんに剣を突きつけた。

 

「そこまで!」

 

と悟飯さんが終了の合図をして試合は終わった。このトランクスさんから時の巣にいるトランクスさんぐらいまで強くなったのか、凄いな。·····まあ向こうのトランクスさんの本気を出させたことはないんだけど。その時近くの街から爆発が起きた。

 

「「なっ!?」」

 

「人造人間か!」

 

悟飯さんの言う通り気を感じないから人造人間だろう。その時悟飯さんが超サイヤ人になって言った。

 

「トランクス!君はここにいるんだ!いいな?」

 

「嫌だ!僕も一緒に行く!もう随分強くなったはずだ!」

 

トランクスさんは必死の表情で訴える。悟飯さんはそんなトランクスさんを見てふっと笑って言った。

 

「分かった。じゃあ一緒に行こう。」

 

「はい!」

 

そう言って街の方にトランクスさんが向いた。その時悟飯さんの右の手がトランクスさんを気絶させた。そして呟いた。

 

「トランクス、君が最後の希望だ。もし君まで人造人間にやられてしまったらこの地球を守る戦士がいなくなってしまう。」

 

そして俺にも向いてきた。

 

「答えずらいなら構わない。確認で聞くよ。君は·····本当にこの世界の人間か?」

 

その勘の良さが恐ろしい。

 

「いやいいんだ、一緒に戦ってくれるなら心強いからね。それじゃあ行こうか。」

 

そう言って悟飯さんが浮き始めた。俺も浮く。そして街に向けて飛翔した。飛びながら悟飯さんを観察するが厳しい顔のままだ。その時

 

「!回避!」

 

そう言われ俺は目の前に来てるエネルギー波をギリギリ避けた。そこにいたのはガタイのいいモヒカンの人だ。髪の色はオレンジ色、イメージカラーは緑色か。

 

「人造人間·····まだいたのか。」

 

そこでトランクスさんから通信が入った。

 

『そいつは人造人間16号、本来この世界にはいない存在です。本来は優しい心の持ち主なのですが今は凶悪になっています。悟飯さんを守りながら戦ってください。』

 

それと同時に16号が俺達に向けて動いた。悟飯さんと2人で迎え撃った。2人で拳を振ったが止められた。

 

「なっ!?」

 

「·····」

 

無言だ。そしてその瞬間俺は頭突きされ投げ飛ばされた。

 

「なんつー硬い頭なんだよ!」

 

16号は悟飯さんも投げ飛ばそうとしたがその瞬間に悟飯さんは気を解放し金色の光を放出させた。それによって16号は吹き飛ばされた。

 

「これがこの世界の悟飯さんの超サイヤ人·····。」

 

そう思っていたら悟飯さんがしかけた。16号にラッシュをしかけた。16号は予想どうりパワータイプみたいだ。だがそれでも決定打がない。そう思っていたら悟飯さんがパンチをもらい吹き飛んで俺のところに来た。俺は悟飯さんの背中を抑え止めた。

 

「·····強い。恐らく17号と18号よりも。」

 

17号と18号、悟飯さんの宿敵だ。ここで悟飯さんに無駄に力を使わせる訳にはいかない。俺は悟飯さんの隣に並び金色の光を纏った。俺の気が膨れ上がる。

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!」

 

今の俺は金髪碧眼となっている筈だ。悟飯さんはびっくりしてる顔になってる。

 

「まさか超サイヤ人まで·····」

 

「行きましょう!」

 

「ああ!」

 

そう言って俺達は金色の光を出しながら16号に突撃した。その時どこからか黒色の気弾が飛んできた。俺達に向かって。俺は途中で気が付き気弾で相殺した。気弾と気弾がぶつかったことによる爆発が起きた。俺と悟飯さんは16号を警戒しながらそこに目を向けた。

 

『気をつけてください!そいつとんでもなく冷酷な気をしてます!』

 

トランクスさんの言う通りだった。フリーザよりも背筋が凍るほど冷たすぎる気だった。悟空さんとは対極な気だ。そして煙が晴れそこにいたのは不気味な仮面を被った男だ。多分。何故多分なのかと言うと身長が俺と同じくらいだからだ。そしてそいつが仮面のせいでくぐもった冷たい声で言ってきた。

 

「いい加減にしてもらおうか、タイムパトロール。俺の邪魔をするな。孫悟飯はここで殺す。ついでにお前も殺してダメージエネルギーを頂く。そして歴史がねじ曲がった事で出てきたエネルギーも回収する。」

 

俺は16号に目を向け印をした。

 

「影分身の術。」

 

ボンという音とともにもう1人の俺が出てきた。俺は悟飯さんに言う。

 

「俺がこいつの相手をします。悟飯さんはあの人造人間を倒してください。」

 

「·····頼んだ。」

 

そう言って俺の分身と並んだ。俺は仮面の男と同じ高さまで上がった。そして真正面から見る。背丈はやっぱり俺と同じぐらいだ。元々背が低いのか発展途中なのかは分からないが身長によりメリット・デメリットはなし。俺は超サイヤ人の気を吹きあがらせ聞いた。

 

「お前は·····誰だ?」

 

「いちいち答えると思うのか?あまっちゃんだな。」

 

そう言って真っ黒な気を纏った。そして俺達は激突した。互いの拳をぶつけた。そのまま俺と奴は乱撃戦を繰り広げた。

 

(速い!)

 

俺と同じくらいのスピードだ。考えてみればそれはまだ納得出来る。改変で強化するためには術者もそれと同じぐらい強くないとダメなんじゃないか、それが俺達の仮説だからだ。つまりこいつは多分16号と同じくらいの筈だ。ぶつかり合いの後互いに離れた。だが向こうは失望したかのような声をあげた。

 

「この程度か、つまらん。」

 

「なんだと?」

 

その瞬間仮面の下が何か変わった気がした。その瞬間に仮面の男は消えたと思った時には俺は吹き飛ばされた。ビルを突き抜け抜けた先にあったビルに埋められた。そして目を開けたら真っ黒な気弾の嵐が来ていた。俺はそのまま飲み込まれた。

 

 

 




お疲れ様でした。次回からの戦闘シーンは三人称に戻します。(*´∇`)ノ ではでは~


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風遁・螺旋手裏剣

おはようございます( *・ω・)ノ。
光輝VS仮面の男 後VS16号です


光輝が埋め込まれ謎の仮面の男によって気弾の嵐が吹き荒れたビルは煙をあげていた。仮面の男はそれを落胆じみた声で言う。

 

「やっぱり甘ったれた奴の力なんてこんなものか·····。さて、次は孫悟飯か。あいつは元々今日死ぬ予定だがまあエネルギーを貰うに越したことはない。」

 

そう言って仮面の男は悟飯の所に向かおうとした。がその時光輝がいたビルから金色の光が迸った。仮面の男は少し面倒くさそうに振り向いた。そのビルの残骸から浮いてきたのは所々ボロボロの道着を着た光輝だ。額から血が流れている。

 

(どうする。さっきのスピードは最初とは桁が違った。悟空さんは超サイヤ人の上に界王拳はやめとけって言っていたから使えない。救援は正直頼めない。悟天さん以外はあの悟飯さんと面識があるから歴史が変になっちまう。それならバーダックさんだろうけど今は違う任務中だ。)

 

光輝は心の中で現状把握をしつつ仮面の男を観察した。

 

(そもそもこいつどうやって力をあげた?気を解放したようには見えなかったぞ。)

 

「考えても分からないな。」

 

そう言いながらさっき外れてしまった額当てをつけ直した。そして締め直すのと同時光輝の慧眼の瞳が左右別々の色に変わった。右眼が赤い眼に瞳孔がない眼に、左眼が瞳孔がある蒼い眼にそれぞれ変わった。他人から見れば光輝の気が上がってると分かる。光輝の様子を見た仮面の男は組んでた腕を解いた。

 

「ほう?少しは楽しませてくれよ?」

 

光輝はそれににっと笑いながら返した。

 

「ああ、お望み通り楽しませてやる!」

 

そして両者は真ん中で激突した。光輝は今度はついていけた。乱撃戦を繰り広げながら光輝は隙を見つけ仮面の男の腹を殴った。

 

「ぐはっ!」

 

そしてくの字に曲がった所を両腕を組んで真下に叩き落とした。

 

(お姉ちゃん!技借りるよ!)

 

「エック・カッラ・マーグル・メキアー・レクン!!」

 

技名を言うことでイメージを強固にした。そして光輝の頭上に何十本の剣が出てきた。そのまま仮面の男が落ちた場所に降り注いだ。

 

「まだだ!」

 

そして光輝は高速で印を結んだ。そうしたら降り注いでる剣達が雷を纏った。次々に雷光が光り真下は青白くなっている。

レインのサウザンド・レインとサスケの千鳥を合わせた合体技だ。剣に千鳥を纏わせて殺傷能力を上げた。光輝は撃ち終わった剣をまた消した。そして瓦礫を上から見る。その時何か感じたのか下がった。

その瞬間真っ黒な気が迸って徐々に仮面の男が上がってきた。首を回しながら言ってくる。

 

「あまっちゃんだと思ったらやるじゃないか。これならまだ楽しめそうだ。」

 

光輝は構える。だがその時・・・

 

「そこまでだ。」

 

と上から言ってきたのは長い棒を持って見た目は白色の人間だった。少なくとも地球人では無い。そう思っていたら仮面の男と会話を始めた。

 

「邪魔をするな!」

 

「もうここはいい。エネルギーも取れた。それにもう少しでいいものも見れる事だしな。」

 

「ちっ!まあいい。」

 

そう言って2人は光輝に背を向けた。

 

「お、おい待て!」

 

「タイムパトロール、時の界王神によろしく伝えろ。私は私の正義を遂行するとな。」

 

2人はその瞬間消えた。

 

「気も感じなくなった。この歴史からいなくなったのか?」

 

光輝は少し考え眼を戻し直ぐに反対の方向に行った。そしたらさっきの奴らが言った意味がわかった。

悟飯と分身の光輝が3人の人造人間と対峙していた。

 

「なっ!?」

 

(クソ!さっきの戦いの音を聞かれたか!)

 

光輝はそう言いながら悟飯の横に並んだ。人造人間達からは紫色のオーラが出ている。でも気自体はない。人造人間だからだ。後々光輝は人造人間でも気が出ている奴に会うことになるが・・・。

 

「どうなってるんだ?同じ奴がもう1人?」

 

「そんなのどっちでもいいよ。早く殺っちまおうよ。もうこいつに付きまとわれるのも面倒だしさぁ。」

 

人造人間の金髪の方・・・人造人間18号がそう言った。それに同調するように弟の方·····人造人間17号も肩を竦め言った。

 

「まっ、そうだな。そろそろ目障りだからな。今度は俺達もフルパワーを出して殺す。」

 

「何!?」

 

悟飯が顔を驚愕にして思わず言った。今の言葉は悟飯が片腕を無くした戦いは本気ではないと言ったも同然。つまりここからは未知数という事になる。

 

「あの時のがフルパワーだと思ったのか?あの時は半分くらいのパワーしか出してなかったんだぞ?」

 

光輝達の後ろには16号、前には17、18号がいる。光輝の分身は18号と対峙、悟飯は17号と対峙、本体の光輝は16号と対峙した。そして人造人間はジリジリと距離を詰めている。そんな時悟飯が光輝に声をかけた。

 

「光輝君、君はヤバくなったら逃げろ!」

 

それではい、そうですかと言えないのは光輝だ。

 

「何言ってるんですか!」

 

「さっきまで戦って分かってる。その16号って奴はこの17号と18号よりも強い!そしてこの2人もコンビネーションは半端じゃない!」

 

「でも!」

 

「君にはやらなきゃいけない事があるのだろう!こんな所で君は死んじゃダメだ!」

 

光輝はそれでハッと悟飯を見た。悟飯も前を警戒しながら厳しい目で光輝を見ている。光輝の顔は苦悩と葛藤でいっぱいだ。そんな時光輝にトランクスから連絡があった。それは残酷で、でもタイムパトロールとしてはしょうがない指令だった。

 

『光輝さん。·····16号を倒して戻って来てください。』

 

「なっ!?トランクスさん何言ってるんですか!」

 

そう無我夢中で叫んだ。だが悟飯はそれに少し驚愕していた。何故なら今ここで聞くはずのない名前が聞こえたからだ。だがそんな悟飯をほっといて会話は進められている。

 

『·····悟飯さんは、今日死んでしまう。その人造人間達に殺される。それがその歴史です。俺達が阻止しなきゃいけなかったのは悟飯さんが16号に殺される事だけは阻止しなきゃいけなかったんです。』

 

トランクスは悲しそうな声で光輝に語っている。だが光輝は自分の仕事を忘れて返す。

 

「そんなの・・・あんまりじゃないですか!」

 

(何で·····何で夢を捨ててまで修行して、家族とも別れて、悟空さんや、ピッコロさんにベジータさんみたいな仲間を失ってそれでも何年も戦い続けた悟飯さんが死ななきゃいけないんですか!)

 

『·····光輝さん。気持ちは分かります。ですが·····』

 

「うるさい!」

 

そう言って光輝は超サイヤ人の気を出して16号に突撃した。16号はそれを無言で迎え撃った。光輝は16号に比べると小さい体でラッシュを仕掛けた。16号は大柄の体型故にその小回りの効く光輝に押される。だがラッシュを途中で無理やりで止めた。光輝は止められた腕とは別の腕で振りかぶったが止められた。

 

「グッ!」

 

『光輝さん!冷静になってください!』

 

『トランクス。ここは光輝君の自由にさせてみましょう。』

 

『時の界王神様!』

 

そんな声が光輝に聞こえたが光輝には聞こえない。時の界王神が自由にさせると言った理由は単純だ。光輝が16号に勝っても恐らくというか絶対に17号と18号に勝てないからだ。

そんな時の界王神の事はほっといて光輝は動く。両手を掴まれてるが別にそれだけが光輝の攻撃手段じゃない。光輝は頭上からまた剣を出し16号に放った。光輝の持っているブルーレッド・オブウォーリアやウォーリア・ビハインド・ディスペアーよりも脆いがこの2つの頑丈さがおかしいだけである。牽制する分にはいい。だがただ撃っても千鳥を纏わせられないから16号には傷をつける事はできないだろう。だが人間だろうが人造人間だろうが失ったら致命的な箇所が1つだけある。それは目だ。光輝はその目に向けて剣を放った。

ここで解説を加える。何故光輝は武器をポンポン出せるのか、それはブルマがある世界の科学を真似して出来たのである。その世界は女性しか起動させる事が出来ないマルチフォーム・スーツ、「インフィニットストラトス」と呼ばれるパワード・スーツがある意味世界を支配している世界だ。ここではそのインフィニットストラトス、略してISと言うものにある1つの機能だけをブルマが開発したのだ。その機能とは武器を量子化させて保存出来る機能だ。つまりやろうと思えば一瞬で武器の出し入れが出来るのだ。本来それはISにだけある機能だがブルマは「別に1つの機能だけにすれば更に小型化が出来るわよ?」とサラッと言いそしてその小型化された武器のいわば量子変換機は光輝が持っている。ISとは違い1つの機能だけに集中して作られたのでブルマの科学力を持ってしてはその容量も桁違いだ。

 

流石に目を潰されるのは嫌なんだろう、16号は下がって躱した。光輝は剣を消しながら肉弾戦を仕掛ける。16号もそれに応戦する。だが先程同様に押されている。それでも16号は無表情だ。何故なら・・・

16号は再び無造作に拳を止めた。

 

(クソ!体力が無くなってきている。こいつ人造人間だからそもそも体力っていう概念がないのか!)

 

「だからって・・・負けるかーーーっ!」

 

その激昴の声と共に光輝は再び眼を変えて金色のオーラが吹き上がる。16号はそこで初めて表情を驚愕の顔にした。

先程とは比べられないほどの速度で光輝は左の拳で16号の顔面を殴りつけた。それによって外された右の拳を引きながら今度は右足で16号の顎を蹴りあげた。

16号は地面に背を向けながら上に吹き飛んだ。光輝は直ぐに16号の背に自分と重なるように行った。ここからは光輝は舞空術を使わない。重力によって体が地面に落ちる間に行った。

 

「ふっ!」

 

回し蹴りで16号の脇腹を蹴った。そしてその反動で一回転しながら反対側から殴りかかった。その後16号の上に回り地面に激突するのと同タイミングでラストの回し蹴りを叩き込んだ。

 

「獅子連弾!!」

 

光輝の蹴りから生み出される威力は尋常じゃなく、叩き込まれた地面はえぐれてクレーターが出来た。光輝はそんなクレーターをバク転しながら離れた。

 

「影分身の術!」

 

2人の分身を出し本体の光輝の周りに集まった。そして性質変化を加える役と回転と威力を高める約で本体の光輝の手のひらにでかい螺旋丸とその螺旋丸を極細の風磨手裏剣のような形をした螺旋丸が生み出された。

 

「風遁!螺旋手裏剣!」

 

16号はその間にも復活し光輝を見た瞬間目を見張った。そしてその瞬間光輝は螺旋手裏剣を投げていた。16号はそれを上に飛んで躱したがそこにはそれぞれの役目を終えた分身がおり16号は再び螺旋手裏剣の軌道に押し戻された。そして16号と螺旋手裏剣がぶつかった瞬間に秒間何百回の攻撃をされた。これが人間相手ならば神経も破壊できるほどの攻撃回数だ。そして大規模な爆発を起こした。

 

光輝はそれに目をくれず悟飯の元に向かった。もう分身が消えてしまっている。今悟飯は2対1の状況になっているからだ。

 

「光輝君・・・。」

 

「へえー、あの人造人間を倒したのか。やるじゃないか。」

 

「だけど大分消耗してるみたいだね。」

 

そう18号が言った。実際光輝は消耗している。肉体的にも精神的にも。螺旋手裏剣は今の光輝には3発が限界だ。それに眼を使った事で頭痛もある。トランクスと時の界王神は状況を見る事にした。

 

「はぁはぁ・・・。御託はいい。早くやろうぜ。」

 

そう言って光輝は疲れてる体に鞭打って構えた。

 

「ふっ、今度は楽しませてくれよ?」

 

「まあどうせ今日で孫悟飯もそこのよく分からない奴も死ぬんだけどさ。」

 

17号と18号がそう言った時、悟飯は叫んだ。

 

「俺は死なない!たとえこの肉体が滅んでも!俺の意志を継ぐものが立ち上がり!そして・・・お前達人造人間を倒す!」

 

そう言った瞬間人造人間との第2ラウンドが開始した。

 

 

 

 




お疲れ様でした。
因みに光輝のイメージソングはウルトラマンヒカリのテーマソングです。あれリズムも歌詞も好きですね〜。
という訳でシーラス登場。ドラゴンボールヒーローズ ワールドミッションからです。因みにアムズは出しません。悩んだんですけど仮面の男が出るからいいやって思い却下しました。


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悲しみの暗雲

おはようございますm(*_ _)m。
昨日夜分遅くに更新されて見てしまった方すいません。ただ単に加筆修正したものを挿入投稿して前のやつは消しただけです。
見分け方は朝6時に出されたものは正真正銘更新したものです。それ以外は加筆修正です。

今日で未来編最終回です。どぞ(っ´∀`)っ


悟飯の叫びの後、悟飯は下に気弾をぶつけ煙を出した。その間に光輝と悟飯は上空に行った。そんな2人を17号と18号が追う。そして2人が光輝と悟飯を追い越しそれぞれ2個の少し大きいエネルギー弾を投げた。悟飯は光輝を後ろに下がらせバリアーを張りそれを防いだ。

その間に光輝は後ろから出て18号に向かった。18号は丁度悟飯を殴ろうとしていたから光輝はそれを止め回し蹴りをした。18号はそれをガードしたが勢いを殺せず少し下がらせた。光輝はその間に18号との間合いを詰め肉弾戦を仕掛けた。だが連戦で光輝の体力が落ちている。

 

「どうしたの?この程度なの?」

 

「うるさい!」

 

そう煽られ光輝はどんどん雑になっていく。18号はそれを嘲笑って無造作に1つ止めた。そして光輝の腹に一撃加えた。

 

「がはっ!」

 

光輝はそれで吹き飛んだ。そんな光輝を18号は追いかけ下に叩き落とそうとしたが光輝はギリギリ止まって回避した。そして振り向き様に左の拳で殴ろうとしたがそれも止められた。右の拳でも殴ろうとしたが止められた。

18号はその両手ををつかみながら光輝に膝蹴りした。

 

「ぐはっ!」

 

そしてその膝蹴りは光輝の溝に入りくの字に曲がるのと同時に肺の中の空気が出された。光輝は抵抗できず離された腕を見ながら下降する。

 

(まだだ·····)

 

「まだだーーーっ!」

 

そう言って光輝は金色のオーラを迸ばしらせ18号に向かったが18号は不敵な笑みを浮かべカウンターを取った。光輝はそれでまた吹き飛んだ。

そんな光輝の背中が誰かに支えられた。

 

「悟飯さん·····」

 

「光輝君、君は早く逃げるんだ!」

 

「でも!」

 

「でもじゃない!君はこんな所で死んじゃダメだ!」

 

そう言ってきたがそれに拍手する者がいた。17号だ。

 

「素晴らしいアドバイスだ。確かに俺達を倒したいならば1人でも残してるのが得策だ。」

 

「だけど私達が逃がすと思う?例えガキだろうと容赦はしないよ!」

 

そう言って人造人間は背中合わせになっている悟飯と光輝に接近した。2人は構えて迎え撃つが人間である以上絶対にある体力の消耗が激しかった。光輝は自分の分身の分も引き継いでるから尚更だ。

そして悟飯は17号に、光輝は18号に溝打ちを貰い2人とも真下に叩き落とされた。光輝は地面に叩き落とされた後上を見た。そしたら17号と18号の両手にエネルギー弾が形成されていた。そして・・・

 

「「死ね!!」」

 

そこから光輝の意識が無くなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は絶大な痛みを感じながら重たい目を開けた。体も満足に動かせない。

 

「あ·····あ」

 

それでも周りを見ようと顔を動かした。そして・・・

 

「悟飯·····さん」

 

俺の目の前に悟飯さんがボロボロな状態でいた。俺は這いずり悟飯さんに寄って行こうとした。だが体が動かせなかった。気も殆ど無くなっている。そんな時悟飯さんがゆっくり動いた。そして俺の方に右手を向けている。俺は悟飯さんが何をしようとしてるのか分かり掠れる声で言った。

 

「悟飯・・・さん。ダメ・・・です」

 

そう言ったが悟飯さんの答えは微笑みだった。そして悟飯さんの右手から悟飯さんの残りの気が俺に向かって俺を包み込んだ。そうしたら俺の気が少し回復した。俺は悟飯さんにゆっくり寄っていき悟飯さんの体に両手を当てた。そして綺麗な黄緑の光を出した。ナルトさん達がくれた巻物にあった医療忍術だ。だが気もチャクラも殆どないから全く治らなかった。それでも俺は続けようとしたが悟飯さんの右手が俺の左手首を掴んだ。

 

「·····もう・・・いいよ。」

 

「何・・・言ってるんですか。」

 

「君は・・・本当は俺を助けちゃいけないんじゃないのかい?」

 

それを聞いた瞬間俺は思わず医療忍術を止めて悟飯さんを見た。悟飯さんはそれが肯定だと思ったのか残りの気力で繋ぐ。

 

「さっき・・・君はトランクスって・・・言ったね?あれは俺の知ってる・・・トランクスじゃないんだろう?」

 

俺は涙を流しながら頷いた。そしてそれを聞いた悟飯さんは嬉しそうな顔をして言った。

 

「トランクスがいるって事は·····この未来は大丈夫なんだな?」

 

俺は悟飯さんの右手を握ながら頷いた。

 

「そうか·····なら、この戦いにもきっと意味があった・・・筈だ。俺はそれで十分さ。」

 

悟飯さんの気がもう無くなっている。それでも言葉を繋いでる。

 

「君は·····生きろ。生きて・・・君のやるべきことを·····やり遂げるんだ・・・それが俺の・・・最後の願いだ。」

 

そう言った悟飯さんの目がゆっくり·····閉じられた。その瞬間気も完全に無くなった。

 

「悟飯・・・さん。·····悟飯さん!!」

 

俺は目の前の事が信じれず悟飯さんの名前を連呼した。だがもう悟飯さんの目が開くことがないと悟ると目に涙を溜めどうしようもない悲しみと怒りが出てきた。目の前で自分の正体を深く聞かず仲間として一緒に戦ってくれた悟飯さんがもうこの世界にいない事。そしてそんな悟飯さんを守れなかった自分の怒り。タイムパトロールとしては失格なんて分かってる。でも·····

 

「うあああああああああああぁぁぁ!!」

 

無理だ俺には、これを歴史だからと言って諦めろなんて。そんなの·····無理だ。俺はどこにやっていいのか分からない怒りを悟飯さんの隣のコンクリートにぶつけた。何度も何度も殴った。

 

「何で·····何で!!良い人ばっかり死ぬんだよ!!死ななくちゃいけないんだよ!!そんなの・・・悪い奴らが死ぬ方が良いじゃないか!!何で·····何で!」

 

気がついたらクレーターが出来てた。俺は殴り続け拳から血が出ているのもどうでもいいとさえ思った。そして気がついたら俺の気が膨れ上がっていた。・・・俺の超サイヤ人も超えて。

 

「何で・・・何でこの力がさっき出ないんだよ!!」

 

そう言って俺はコンクリートに頭突きした。それを何回も繰り返した。そんな俺の悲しみを表してるように雨が降っていた。

そしたら俺はいきなり気がふっと無くなって俺はそのまま気絶した。

 

 




お疲れ様でした。
SAO編の時ならばいざ知らずタイムパトロールで歴史を変える訳にはいかないので作者としても不本意ですが悟飯は亡くなりました。タダでは亡くなりませんでしたが。
悟飯が何故最後少しだけ生きてたか・・・放たれたエネルギー弾が光輝にも降り注いでたのでその分当たった数が減ったって事にしといてください。

光輝・・・超サイヤ人2になりました。だけどまだ基本戦闘力云々で少ししかなれないしそもそも自分の意思ではまだなれないと言う。

(*´∇`)ノ ではでは~


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光輝の苦悩

おはようございますm(*_ _)m。今日は未来編の後の光輝です。SAOのキャラも出ます。もし知らなかったらごめんなさい。要するに光輝の友達と言う事で納得してください。
ではどぞ(っ´∀`)っ


光輝が未来の悟飯と共に人造人間と仮面の男と戦ってから2日、光輝は自分に与えられてる部屋のベットで倒れてた。別にでかい怪我を負った訳ではない。いや、頭には包帯が巻かれているから怪我は負っているがそれは自分でやった事なのでノーカン。あの後気絶した光輝をトランクスはもう1人の自分が来る前に回収した。その際悟飯の亡骸を見て悲しそうな顔をしたが光輝を連れて戻りこのベットに寝かした。そして光輝はこの2日間、全く外に出ていない。ご飯も余り食べていない。ずっと泣いてるか寝てるかの2択だ。そんな光輝の腕時計に着信があった。光輝は涙を流しながら無気力に見た。キリトからだった。

 

『もう少しでレインの誕生日だから誕生日パーティーをダイシーカフェでするんだけど光輝は行けるか?』

 

そうだった。もうお姉ちゃんのレインは高3で18歳になるのだった。それは嬉しいはずなのに光輝は手が勝手に動いた。

 

『・・・ごめん、行けない』

 

そう書いて送って返信も見たくなくメール機能だけ切りそのまままたベットに突っ伏した。

 

「俺は·····もう・・・嫌だよ。」

 

あれだけ色んなものを捨てた悟飯が死に、その理不尽さに光輝の心はあの時と同じぐらい疲弊した。自分の家族を殺された時と同じぐらいに。

あの世界の悟飯と光輝はたった1日だけの付き合いだ。戦った時間も短い。だけど・・・光輝はそんな悟飯にどこか自分を重ねていた。自分も小学生の友達を捨ててきたからだ。その子達を守るためとはいえ自分を悪者にするのは堪えた。悟飯はそこまでは言ってないとはいえ光輝は重ねたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃時の巣にて、任務から帰ってきた悟空とベジータが光輝の現状をトランクスから聞いた。それによって両者は片方は心配そうな顔を、片方はイライラしてる顔になっている。その内のイライラした方の人物が光輝のいる所に向かおうとしたがトランクスが止めた。

 

「待ってください父さん。」

 

「ええい!離せトランクス!」

 

「今の光輝さんには何を言ってもダメです!それどころか父さんが何かを言ったら本当に立ち直れなくなるかもしれないんですよ?」

 

それを聞きイライラした方、ベジータが気を沈め腕を組んだ。

 

「ふん!!それならそれで構わん!その程度で根をあげるならばもうこれ以降の戦いにはついてけん!」

 

それに反論しようとしたトランクスだがその前に悟空が言った。

 

「いや、ベジータ。ここは様子を見よう。」

 

「カカロット、貴様は甘い!」

 

それを聞いても悟空は首を振った。

 

「今の光輝には何を言っても無駄だとオラも思う。光輝は・・・元々平和の時代を生きてきた。だが家族を殺された。そして修行したあいつはそれ以前とは違って大事なものを守れていた。SAOちゅう奴にいた人達も光輝を気にかけてくれた人達も皆光輝は守れていた。未来の悟飯は・・・光輝に似ていた。だから光輝は未来の悟飯を助けようとしたんだろうな。それでも・・・届かなかった。」

 

悟空の顔は悲しそうな顔をしていた。光輝の事もそうだが光輝が落ち込む原因が違う次元の自分の息子なのだから。トランクスが続けた。

 

「だから光輝さんは今無力感に支配されている。そんな今の光輝を元気づけるのははっきり言って俺達には不可能です。俺達は光輝さんよりはっきり言って強い。そんな俺達が光輝さんを励ましても光輝さんは余計に自分の無力さを噛み締めて·····最悪戦う事すら出来なくなります。」

 

「ちっ!」

 

そう暗い面持ちでトランクスが言った。ベジータは腕を組み静観の立場をとることに決めた。自分も戦う事をやめた時期があったからだ。種類は違えど無力さを感じる事は分かってる。ベジータは自分らしくないと思いながら光輝の成長の為、何も言わない事を決めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SAO帰還者学校、ここは約1年と半年前にゲームクリアされたデスゲーム、ソードアート・オンラインに囚われていた当時中高生が通う学校である。その帰還者学校の放課後の食堂でバンっと勢いよく立ち上がった人がいた。光輝の親友キリト曰く「ぼったくり鍛冶屋」のリズベットこと篠崎里香だ。それに思わずビクッとしたキリト、いや、恐らくここにいる面子は皆そうだろう。その里香が言った。

 

「光輝が誕生日パーティーに来ないって返した!?」

 

「あ、ああ。」

 

それを聞いて里香は机に座り直した。キリトは食堂に誰もいなくて良かったと思った。それと同時に里香がこうなった理由も分かるから何とも言えない。

そして里香はキリト・・・本名桐々谷和人に聞いた。

 

「理由は聞いたの?」

 

「いや、ごめん、行けないってだけ。」

 

去年は普通に来た。光輝が自作のケーキを作ってレインにあげていた。それに泣きながらレインは光輝をハグしたりそれに光輝が嬉しそうにしたりと微笑ましい光景があった。

アスナ・・・本名結城明日奈が呟いた。

 

「何か・・・あったのかな?」

 

そう呟いたが本人がいないのに分かる訳もなく。余談だがレインはレッスンに行っているからいない。

今度はシリカ・・・本名綾野珪子(あやのけいこ)が言った。この中では1番光輝の年齢に近い。・・・本当に近い人は今アメリカにいるがレインの誕生日には帰ることが決まっている。

 

「でも去年はあんなに嬉しそうに来たのに・・・」

 

そう暗い顔で呟く。それを聞いた面子は似たような表情になっている。明日奈がキリトに聞いた。

 

「キリト君、光輝君から返事はそれだけなの?」

 

「ああ、あの後から既読にすらならない。」

 

それを聞き嫌な予感が4人にはした。光輝がまた無茶をしてるんじゃないかと言う予感を。




お疲れ様でした。文字数少ないですね、ごめんなさい。
未来の悟飯は光輝に似ているので光輝が落ち込みます。タイムパトロールとしては失格ですが人間としては正解だと思います。誰だって自分と似て困ってる人は助けたいと思いますから。
光輝は家族が死んでからは自分の守りたいと思った人達は皆守っています。しかし守りたいと思った悟飯を守れず落ち込むというかほぼ挫折ですね。
(*´∇`)ノ ではでは~


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作戦会議の後殴り込み

おはようございますm(*_ _)m。
今日も行きましょー⊂('ω'⊂ )))Σ≡GO!!


ある次元のアジト、そこで会話をする2人。数日前に光輝と戦った2人だ。名をシーラスと名を捨て仮面を被った男だ。

 

「それで?あのあまっちゃんは今どうしてる?」

 

そう向かい側にいる地球人離れした容姿を持つ人物・・・名をシーラスと言う・・・に聞いた。シーラスは答えた。

 

「私に聞くな。向こう側の事情なんて知るわけないだろう。」

 

時の巣はよく襲撃を受けるから忘れやすいが一応は結界が張られている。それ故に時の巣で飼われてるトキトキと時の界王神が認めたタイムパトロール以外は基本的に入れない。シーラスならば入ることは出来るが情報収集の為の動物を放しても却って向こうにこちらの事を探知されるからどちらにせよ情報収集は無理なのだ。だから今の光輝についても知らない。だが予想は出来る。渋々と答える。

 

「恐らく修行しているか寝込んでるかだろう。」

 

「ふん!ならばもう戦えなくしてやった方がいいんじゃないか?」

 

「お前の場合それは物理的にだろう。それは無理だな。あいつらには数は少ないとはいえ仙豆がある。肉体的には無理だろう。それに今の我々ではあの子供には勝てても孫悟空達には勝てないということを忘れるな。」

 

シーラスと仮面の男、どちらが強いかと言わればシーラスの方が強い。そのシーラスでもまだ溜まってないエネルギーじゃタイムパトロールの悟空達には勝てないと断言した。それに忌々しそうに舌打ちしながらふんぞり返った仮面の男は言う。

 

「じゃあどうするのだ?時の界王神は孫悟空達にはあのあまっちゃんがやってるタイムパトロールが出来ないからあまっちゃんを呼んだんだろう?」

 

悟空達は確かに強い。だがだからと言ってあらゆる時代にタイムパトロールに行けるという訳では無い。悟空達が元々いる世界ではパトロール出来ないのだ。それは万が一、いや、億が一その世界の自分と会ってしまったらややこしくなるからである。だから時の界王神はその問題を解決する為にいきなり次元を破った光輝の体と魂を回収しSAOクリアを待ってサイヤ人として復活させある意味脅してタイムパトロールにさせた。

つまり言い換えれば光輝さえいなくなったらもう少しスマートにエネルギーを回収出来る。そしてその手段は・・・

 

「やり方はいくらでもある。肉体的には無理だろうが・・・精神的ならばな。丁度こいつを試してみたかったからな。」

 

そう言ってシーラスは奥にいるものを見つめた。仮面の男もそれを見て笑った。

 

「なるほど、そいつはいい!あのあまっちゃんに見せてやろうか・・・絶望を」

 

そう言った直後奥にいるものの目が青く光った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6月19日 SAO帰還者学校にて

 

その日光輝の姉のレインは暗い顔をしていた。明後日はレインの誕生日だ。だから普通ならば笑顔の筈なんだが今の顔は真逆だった。その理由は数日前まで遡る。

レインは光輝に誕生日に来てくれるのかメールしたのだが既読にすらならなかったのだ。レインが聞く前にキリトが聞いてその返事が来た後から誰も既読にならないのだ。そしてキリトに来た返事は・・・

 

(ごめん、行けないって)

 

キリト達は誰かの誕生日には必ず集まって祝ってる。光輝も今の所全部出席している。だが今回は行かないじゃなくて行けないと書かれてる。光輝自身の用事かそれとも・・・

そんな時同じクラスの明日奈に声をかけられた。

 

「レインちゃん次は体育よ?」

 

ここではプレイヤーネームはご法度なのだがレインはアイドルネームもレインだから本名よりレインと呼ばれる事の方が多い。

レインはそれを聞きばっと立ち上がって机の横にかけてる体操服を取り明日奈に言った。

 

「ごめん、ありがとう明日奈ちゃん。」

 

「ええ、まあ気持ちは分かるから。・・・返事はやっぱりないの?」

 

「うん。全然・・・」

 

そう暗い顔になったレインの肩に手を置いた。

 

「まあ光輝ならなんだかんだ言ってきっと来るわよ。」

 

そう励ました。レインはそれに頷いた。

 

「そう・・・だね。きっと来るよね。うん。じゃあ2人とも行こ。」

 

そう言ってレインは更衣室に向けて歩き出した。そんなレインを心配そうな顔で明日奈と里香は見て跡を追いかけた。

今日は外だから日焼け止めをしっかり塗り3人は外に出た。晴天だ。そして体育の女性教師が今日のやる事を言う。

 

「今日は100メートルのタイムを測ります。1人ずつするので各自準備運動をしといてね。」

 

女子メンバーは何故こんな暑くなる時期にとは思ったが冬にやれば受験勉強をする体力も無くなるからだろうと納得して我慢した。

レインと明日奈と里香はそれぞれストレッチをして待つ。出席番号順だから3人の中ではレインが1番早い。それに元々SAO帰還者の女子は少ない故に女子生徒が少ないクラスだから回るのもやたら早い。

そしてレインは自分の番が来たから明日奈達と別れ反対側に行った。そこに待っているのはストップウォッチを持ってる先生だ。

 

「じゃあ枳殻さん準備はいい?」

 

「はい。」

 

そう言ってクラウチングスタートの姿勢になろうとした時それが起きた。レインと先生の目の前にいきなり青い光が迸った。ゲームなどアニメではよくある演出だが現実では普通はない。だがそんな現象が起きた。レインは声も出せず唖然と目の前を見た。先生に関してはもう口をあんぐり開けている。異変に気づいたのか校舎にいる生徒も見る。その中にはキリトやシリカ・・・そして色々あってこの学校に通い始めた絶剣・・・紺野木綿季もいた。そしてグラウンドのど真ん中に出現したのは・・・

 

「嘘・・・だろ?」

 

そうキリトが呟いた。もし今目の前にいるこれが本物ならば今こいつに勝てるものは・・・いない。兵器を使えばいけるだろうがこんな学校や街のど真ん中で出来るわけない。そしてこいつの正体は・・・

 

「第74層フロアボス・・・ザ・グリームアイズ·····だと?」

 

そう呟いた直後光輝、キリト達を苦しめたアインクラッド第74層フロアボスは雄叫びをあげた。

 

「ーーーーーーっ!」

 

そしてレインに目標を定めた。




お疲れ様でした。
SAO編見てなかったりSAOを知らない方に向けての補足
レイン→光輝の姉ポジション
キリト→光輝の歳が大分離れた親友
アスナ→光輝にとって大事な人の内の一人
リズベット→同上
シリカ→同上
ユウキ→光輝に命について物理的に学ばせた(後日書きます)

さあ懐かしのグリームアイズが出てきました。何故グリームアイズか·····それはまあ人造人間編ですからね(もうほぼ答えを言った笑)。
まあそう言う訳でシーラスがドクターゲロの技術を応用してグリームアイズを作った。元々アムズなんて言う化け物作れるのだからグリームアイズも作れるだろという暴論。ただし強さにして見ればアインクラッドよりも3割増で強くなったぐらい。
(*´∇`)ノ ではでは~


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強敵再戦

おはようございます(*´ヮ`)ノ。
今日はVSグリームアイズ+‪αです。
٩(・ω・)วlet's go!


「グオオオッ!」

 

「レイン!」

 

その里香の雄叫びでレインは我に返りグリームアイズが大剣を振り下ろし自分を殺そうとする姿を見た。その瞬間レインの足はすくんだ。反射的に腰に仮想世界ならある剣を取ろうとしてここが現実世界の事を忘れていた。当たり前だ。グリームアイズがいるのだからそう勘違いしてもしょうがない。

そしてグリームアイズは振り下ろした。その瞬間レインは悟った。世界の全てがスローモーションに見える。

 

(私·····死ぬんだ)

 

何故いきなりグリームアイズ何か出てるのかは分からない。レインはAR機器のオーグマーすらつけていない。それはこの前問題があったオーディナルスケールもやってないということでありグリームアイズが出てくる訳ないのだ。しかし現実問題として目の前にいて自分を殺そうとしている。SAOにいた頃の戦う力のあった自分ならばいざ知らず今はそんなもの持ってない。いや、持ってない方が普通だ。

 

(ごめんね、皆・・・)

 

そう諦めた声で言った。ただでさえ足がすくんでるのだ、今から避けるなんて至難の業だろう。

 

(夢·····もう少しだったのになぁ。)

 

今レインは小さいライブハウスからアイドル活動をスタートさせていた。だが小さいと言ってもレインのライブは今の所毎回満席だ。その多くがALOのレインを知っておりそこから知らなかった人にも伝わり満席に至ったのだ。勿論デスゲームから帰ってきてもVRMMOをするなんて馬鹿げてるって言う人もいる。そしてその中の成果を現実に反映にするなんてせこいと言う人もいる。・・・だがそう言う意味ではレインの妹も同じ事を考えたからやはり似たもの姉妹なのである。

閑話休題

だから良い意味でも悪い意味でも今のレインはVRMMOを象徴する人物になっている。それはレインのアイドルと言う夢も近づいてる事を意味してる。そんな今の現状だからこそレインは諦めた心の声を出したのだ。

だけどその時・・・

 

(あ·····光輝君・・・。)

 

もし自分が死んだら光輝はどうなるだろうか?やっぱり泣くだろう。光輝は割と泣き虫である。そして光輝にとって大事な人が死んだ時は·····

 

(泣くだけじゃ·····済まない。)

 

光輝は家族を全員亡くしてる。それでも引き取り手が見つかっただけまだマシだが光輝はもう誰かを亡くす事に過剰に反応する。そしてそれが自分ならば·····

 

(光輝君はもう立てなくなる。)

 

光輝が戦う意味は自分の大切な人達を守りたいそれだけだ。でも・・・その大切な人達の1人でも光輝の知らない所で死んだら?光輝は絶対に自分を責め泣き叫んでもう戦うことすら嫌になるかもしれない。

正直レインはタイムパトロールに良い印象を持っていない。光輝はまだ小さいのにそんなアインクラッドの人達の思いを背負うのも辛いのに今度は歴史を背負うなんてそんなの光輝の歳でする事では無い。でも光輝がすると決めたならば何も言うまいとは思っている。でも自分のせいで光輝が立てなくなるのは絶対に・・・

 

「絶対にダメ!」

 

そう叫んで足が戻ったレインは先生がいる方向とは逆に転がった。その時右側に冷たいものが通った。轟音をたてて大剣によってできた跡が残った。その深さは一撃を貰えば一気にあの世行きだった事を知らせていた。オマケにSAOの時とは違って絶対的な痛みを負いながら、だ。それに思わず息を飲みながらもレインはグリームアイズの攻撃の予備動作を見ながら運動場にいるクラスメイトに叫んだ。

 

「皆早く逃げて!!」

 

その言葉と同時にグリームアイズはまた大剣を振り下ろした。幸い横払いではないから軌道はまだ読める。だがここからスピードが上がるか横払いになったら避けるのは難しい。まさかブレスまではないだろう。というかあったら詰みだ。誰もグリームアイズから逃げられない。遠距離攻撃なんぞせこすぎる。

 

「で、でもレインちゃんは!?」

 

そう明日奈が言った。

 

「こいつは今私にタゲしてるから私が助けが来るまで時間を稼ぐ!」

 

それを聞いたそこにいる面子は・・・キリトもギリギリ聞こえたがグリームアイズを倒す為の助っ人なんているのだろうか?今の攻撃力を見た限りほぼ一撃貰ったらお陀仏だろう。というかあの大剣がガチすぎる。そんな危ないやつに近づけるか?レインも明日奈もキリトも仮想世界ならトッププレイヤーだが現実ではそんなに強くはない。オーディナルスケールは仮想世界で培った反応速度や技があったから戦ってこれたのだ。だが今は当たり前だがオーディナルスケールをしてグリームアイズに攻撃した所であれは拡張現実の敵を殴るだけだから実態があるグリームアイズに当たる訳ない。そもそも武器なんて持ってないのだから勝算が全くない。そう一瞬で考えた明日奈と里香が叫んだ。

 

「で·····でもレインちゃんにだけ任せられない!」

 

「そうよ!皆バラバラに動けば·····」

 

「絶対にダメ!皆死んじゃう!」

 

そう大剣を見ながら叫んだ。それを聞いたクラスメイトの女子生徒は顔色が一気に悪くなった。当たり前だ。もう生きる為のゲームは終わったのに今度はリアルでそんな目にあっているのだから。レインや明日奈みたいに最前線で戦っていた女性の方が珍しいのだ。他の女子生徒は非戦闘員なのだから仮想世界で培ったもクソもない。はっきり言って足でまといなのだ。だから逃げてくれた方がいい。明日奈や里香は胆力はあるがダメだ。もし横払いが来てしまったら最悪3人揃ってあの世行きだ。それに・・・

 

「それにもしこいつが街に行ったらもう最悪だよ!」

 

そうだ、SAOの時はちゃんとボス部屋がありそこで戦えた。ボスはボス部屋からは出なかったがこのグリームアイズは違う。行動制限場所が分からないのだ。いや、普通に考えれば行動出来る場所は全世界だろう。歩いて行くしかないだけだ。

SAOの時はボス部屋にいる人達だけが戦うからその戦ってる人達の中にしか死人は出なかった。でもこのグリームアイズは普通に戦ってない人達も殺しにかかってくる。そんなの安全な主街区にいたのにいきなりグリームアイズが襲って来るようなもんだ。理不尽すぎる。だからレインは自分を囮にして街に行かせない方針を取った。

 

「ふっ!」

 

そう言いながら振り下ろしてきた大剣を避けた。避ける度に肌に地面がえぐれた音を響かせたがまだ致命傷は一撃も貰っていない。レインは帰還者学校に行く前は運動は苦手だったがレッスンをし始めた辺りから体力がついた。それを利用して避けていく。今の所まだ縦切りだけだ。これなら怖いが避けきれる。だがまだグリームアイズが来てから3分と経ってない。まだ警察は来れない。だからレインはもう少し時間を稼ごうと思い立った。それでも明日奈達は何か言おうとしたがその前にグリームアイズが動いた。また大剣を振り下ろしたのだ。片手(・・)で。レインはそれに気づかず普通に横に飛んで躱した。だが・・・

 

「え·····?」

 

避けた時にグリームアイズを見たら右手をグーにして構えてたのだ。そしてその時レインは思い出した。グリームアイズの攻撃パターンに殴り攻撃があったことを。そしてその拳が避けていて空中に浮いているレイン目掛け放たれた。レインは咄嗟に腕を交差させた・・・だが

 

「レインちゃん!」

 

「レイン!」

 

そう明日奈達が叫んだが遅かった。グリームアイズの拳はレインの体に当たった。そしてレインのガードなんてものともせずそのままレインを吹き飛ばした。

 

「····か・・・はっ」

 

レインは今までに受けた事の無い痛みを受けて吹き飛んだ。レインはそんな吹き飛んでる時に漠然と今の状態を悟った。交差した腕が折られてる。そして体も少し骨が折れている。もうこれじゃあ・・・。そう思いながらレインは転がった。唯一動かせる顔をグリームアイズに向けた。体は転がった影響でどこも痛すぎる。

 

「レインちゃん!!」

 

そう明日奈が寄ってくる。レインはダメと言おうとしたが口が動かせない。そして明日奈と里香はレインの近くに寄って来た。そしてレインの体を抱える。

 

「·····だ·····め・・・逃げ・・・て」

 

「何言ってるの!?置いてける訳ないでしょ?」

 

だがそんな時3人の影が1つのでかい影で埋め尽くされた。3人は顔を恐怖にあるいは睨めつけた。そんな時明日奈達の目の前にいるグリームアイズが少しよろけた。何だと3人はグリームアイズの後ろを見た。

 

「キリト君!」

 

「早くレインを連れて逃げろ!」

 

そう鬼の形相で言った。キリトの手には何個か石ころがある。グリームアイズはそれでキリトにタゲしキリトの方を向いた。他の生徒はパニックになり校舎に逃げ込んだ。グリームアイズはキリトに大剣を振り下ろした。キリトはさっきのレインの失敗を踏まえきちんと両手か片手かを見極め躱して行った。大剣が振り下ろされる度に地響きが響く。明日奈はそんなキリトを助けに行こうとしたが今目の前で虫の息になっているレインを置いて行ける訳ない。

 

「·····キリト君、頑張って。」

 

そう呟き里香と目を合わせゆっくりレインを立たせた。だが

 

「ああ!」

 

そうあまりの痛みに叫んだ。それに腕の骨は折れているから腕を掴むことはできない。担架もないのに今のレインを運べない。そしてまだ絶望は終わっていなかった。

 

「·····う・・・そ」

 

そう明日奈は呟いた。グリームアイズの背に今度は赤い光が迸ったのだ。どう考えてもいいことでは無い。グリームアイズの前にいるキリトも目を見張らいている。そして赤い光から出てきたのは、

 

「グオオオオ!!」

 

「イルファング・ザ・コボルドロード·····だと?」

 

そうキリトは呟いた。アインクラッド第1層ボスであり違う世界のキリト達を苦しめた強敵だ。この世界ではキリト達が戦う前に光輝が倒してしまったからキリトはベータテストの時にしか戦っていない。そしてそのコボルドロードがあるソードスキルの構えをした。勿論ここは現実世界だからライトエフェクトは出ないが構えは刀単発ソードスキル《辻風》だ。技としては居合切りだ。だがどれだけリーチがあるのかが分からない。それに居合だからコボルドロードが見据えてる3人を切り裂くぐらい訳はない。そうコンマ数秒で考えて逃げろと叫ぼうとしたらキリトは目の前のグリームアイズの行動に気がついた。何か息を吸う動作をしてその口の中に紫色の光が見える。キリトは1度だけグリームアイズのこの攻撃を見た事ある。それは·····

 

「ブレス·····だと?」

 

SAOのブレスは基本ダメージに加え何らかの状態異常が普通だったが現実のブレス何て何が起こるか分からない。そしてブレスの範囲も分からない。つまりキリトはどこまで下がったり飛んだりしたらいいのか分からないのだ。

だがキリトはそんなのよりもコボルドロードの方が気になった。あっち側には親友や愛する人もいるのだ。それなら自分の危機なんて二の次だと思って見た。だがそれと同時にグリームアイズは大きく体勢を仰け反った。と同時にコボルドロードが辻風を発動させた。一気に3人へ間合いを詰めた。その速度はキリトが知っているコボルドロード以上のスピードだった。3人はレインを連れて逃げなければならない。だが逃げるよりも先に斬られるのが先だ。キリトは最悪の光景に自分の事も忘れて恐怖した目になり叫んだ。

 

「アスナーーっ!」

 

それと同時にグリームアイズの紫色のブレスがキリトの視界を塗りつぶした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「·····ごめん、お姉ちゃん」

 

そう光輝は呟いた。レインの誕生日が近づく度に行かない事を謝った。何か用事がある訳では無い。でも今の自分が行ったらきっと自分の誕生日なのも忘れて自分に構うだろう。だけどそんなのはダメだ。ちゃんと誕生日は楽しんで欲しい。誕生日はそういうものだから·····と光輝は考えている。だから今日も光輝はベットに突っ伏した。流石にもうご飯は食べるようになっていた。だが少食だ。そしてレインの誕生日の2日前のこの日も突っ伏していた。だけど何故か胸の中は嫌な予感がある。この予感は·····そう、自分が病院でくたばってる間に家族を殺されていた時と同じ感じだ。そして光輝は何となく·····メールの機能を復活させた。·····そして飛び起きて私服なのも忘れて飛び出した。それにトランクス達はぎょっとしていたが光輝はそんなのはほっといて時計をいじって自分がSAOをクリアした世界に飛んだ。メールの中身は画像だけだ。だがそれでも十分だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイン、明日奈に里香、そしてキリトは目の前にあった光景に思わず目を閉じた。前者3人は自分達が真っ二つに斬れる様を、キリトはブレスに飲み込まれる自分を想像した。だが4人に想像した事は起きなかった。痛みも全く·····レインは未だにあるが今の攻撃によって受けた痛みは4人とも感じなかった。それ所か前者3人は何か凄い金属音が鳴ったのを聞いた。4人は恐る恐る目を開けたそこに居たのは·····

 

「光輝·····君」

 

何時もとは何故か違う私服のような格好だが目の前にいるのは光輝だ。そしてその両手にはレイン達には見覚えのある剣があった。最初はレインが作り、その後は新しい素材を元に時の都にいる鍛治職人が作った剛物《ウォーリア・ビハインド・ディスペアー》だ。それを両手で持って横に置き居合切りを止めたのだ。

 

「ウオらあああ!!」

 

そう気合いの雄叫びを上げて光輝はコボルドロードの刀を弾いた。心做しかコボルドロードの目が驚愕に染まっていた。そして思いっきり弾かれ体勢を崩した所を光輝は腹を殴って吹っ飛ばし運動場の真ん中辺りに戻した。その時コボルドロードは後ろ向きに倒れ足をじたばたし始めた。

明日奈はそんな光輝を漠然と見ていたがはっとなりキリトがいる所を見た。そこに居たのも光輝だ。ただこっちは剣じゃなくて丸いドーム状の光がキリトと光輝を包んでる。そしてそのバリアみたいなものを取って向こうの光輝はグリームアイズとこっちの光輝はじたばたコボルドロードと相対した。その時光輝が急いで振り返って明日奈達の所に寄ってきて何かを怖がっている様子でレインに手を当てて黄緑色の光を出した。

 

「お姉ちゃん·····ごめん、死なないで!」

 

そうするとレインの体に出来てた傷が治っていく。そして骨などは治せない事を悟るとポケットから半分の仙豆を出した。トランクスが光輝を連れて時の巣に戻ってベットに寝かした時仙豆を1粒置いていったのだ。光輝はそれを半分だけ食べた。それでも頭に包帯があるのは食べた後にまた自分の不甲斐なさと理不尽を思い出しまた頭突きした時に出来たものだ。

そして光輝はレインの口に仙豆を持っていった。

 

「お姉ちゃん食べて!」

 

レインはそれが何故なのか全く分からずそれでもこんな時にふざけた事は言わないだろうと考えてゆっくり食べた。後ろにはまだコボルドロードがいるがまだじたばたしてる。レインはそれを食べた後目を見開いてゆっくりと体を起こした。それに明日奈も里香も唖然としている。そんなレインに光輝は抱きついた。

 

「良かった·····良かった・・・」

 

そう涙ぐみながら言う。そんな光輝をレインは微笑んで抱き返す。だがまだ戦いが終わった訳では無い。そう思い光輝はレインを離してようやく立ち上がったコボルドロードに振り返った。そして歩き出した。レイン達はそんな光輝の小さな背中を見た。その背中はあのアインクラッドにいた時と全く変わらなかった。そんな光輝の容姿が歩きながら変わった。光に包まれたのだ。その光に思わず3人は目を隠すがそれでも何が起きるのか見ようと目を頑張って開けた。そして光が取れていくうちに光輝の服装が変わった。後ろからだと蒼い羽織しか見えないが3人は分かった。今の光輝はあの城といた時と·····蒼赤の戦士の姿になっているのだと。そして光輝の背中を交差するように剣の鞘が出た。その内左側にある剣を引き抜いた。《ブルーレッド・オブウォーリア》だ。

そして一定距離にまで近づいたら光輝は走った。走ったと言ってもここにいる面子には誰一人反応できない超スピードだが。コボルドロードも目を見開いたと同時にコボルドロードは斬り付けられていた。レイン達から見ればコボルドロードの腹辺りに斜めに傷が一瞬で出来ていた。そしてそこからはコボルドロードは一方的な展開だった。コボルドロードは何も出来ずどんどん切り裂かれていったのだ。周りから見ればいつの間にかコボルドロードの体に幾つもの切り傷がある。

 

「はあああああ!!」

 

そう言って光輝はコボルドロードを蹴りあげた。コボルドロードは叫びながら上空に吹き飛んだ。そんなコボルドロードを光輝は二刀を持ったまま追いかけた。空に螺旋を描きながらコボルドロードに追いつき2振りの剣に雷·····千鳥を纏わせた。そこからまた滅多切りにした。反撃も与えずにただ一方的に。そして運動場まで後30メートルと言う所で光輝は今度は千鳥では無く気でコーティングした剣を振り下ろしコボルドロードの体を真っ二つに切り裂いた。そして光輝は切った格好のまま運動場に降り立った。何故かグリームアイズは止まっている。

コボルドロードは運動場から30メートル地点でパカッと開きその時分身光輝は見た。コボルドロードの断面図が機械みたいになっている事を。そして割れた瞬間にコボルドロードは大爆発を起こし消えた。そんな爆発を終え光輝は分身を見て頷いた。分身はそれで印して影分身を解除した。それと同時に分身が見た事も経験した。光輝はそれに目を細めながらもグリームアイズを見た。向こうも光輝を見ている。

 

「キリト離れてくれ!」

 

そう言ったらキリトはハッとしてゆっくり離れて回ってレイン達の所に来た。キリトも光輝の後ろ姿を見た。やっぱり頼もしいなと思いながら経過を見守る。

そしてグリームアイズが先に動いた。また息を吸う動作をしたのだ。光輝は動かない。そしてグリームアイズは今度は紫色の球を光輝達の所に撃ってきた。

 

「な!?あんな攻撃パターン知らないぞ?」

 

光輝はそれを聞きながら左の剣を地面に突き刺した。紫色の球は合計7つ。ALOで光輝の後ろにいるキリトと一緒に開発したシステム外スキルが出来る光輝には通じない。光輝は右の剣を少し振り回し肩に構えた。そして迫り来る7つの光弾を見据え軌道を割り出し剣を振った。

 

「はっ!」

 

一撃目·····剣を後ろから勢いよく前を斬り1つ目の光弾をぶった斬る。

二撃目·····一撃目の振り下ろした勢いを利用して剣を体ごと1周させてまた目の前の光弾をぶった斬る。

三・四撃目·····左から横に斬った後に剣を高速で戻し下から上に斬り光輝はバク転の要領で宙舞う。

五撃目·····回り終わる瞬間に下から上に斬り上げて地面に着地しながらぶった斬る。

六・七撃目·····真正面からただぶった斬る。

最後の光弾が消された時爆発の煙が起き煙が晴れるとそこには無傷の4人がいた。

 

「片手剣7連撃ソードスキル《デットリー・シンズ》」

 

そう光輝は呟いた。そして光弾が終わった事を確かめ光輝は突き刺しといた剣を引き抜いた。

 

「お姉ちゃん達をこんな目に遭わせて·····覚悟しろ!」

 

そう叫んだ瞬間に光輝は地を蹴った。走りながら光輝の右の剣が赤く光った。そしてグリームアイズと激突するという瞬間に剣から炎が吹き出した。それに周りは目を見開いて見た。そして光輝の右の剣から周りから見る事すら許されない程の高速突きが5回発動した。そして5連が終われば光輝は胴体を上段から切り裂いた。その後光輝は飛びながらグリームアイズの顎を下から上に斬り顎をはねあげさせた。そして光輝ははねあげさせて頭の上にある剣を思いっきりグリームアイズの頭に叩きつけ着地した。その直後グリームアイズと光輝を取り囲むように炎の渦が一瞬出来た。キリト達から見れば一瞬で炎の渦が出来たように見えた。それだけ早かったのだ。だがキリトには今光輝がやった剣が分かった。炎の渦が出来た瞬間に思わず呟いた。

 

「片手剣8連撃ソードスキル《ハウリング・オクターブ》·····」

 

だが光輝はまだ終わらない今度は左の剣が水色の光に包まれた。そして刹那に動いた。グリームアイズの右の脇腹から腹辺りまで貫かせた。そして腹の真ん中で止まった剣を押し出した。そうするとグリームアイズの背中に氷が背中を侵食するように出てきた。そしてそれは一瞬で消え光輝はグリームアイズに背を向けながら左の剣を貫かせたまま上に抉ってから抜いた。光輝はグリームアイズに背を向けているがグリームアイズは止まっている。

 

「まだだ!!」

 

そう言うと振り返りまた右の剣が炎に染まった。

 

「うおらあああ!!」

 

右から斬りそのまま左にも斬った後に回転しながらまた左から斬り最後に右から左斜め上に斬った。片手剣4連撃《ホリゾンタル・スクエア》だ。最後の一撃でグリームアイズは少し吹き飛んだ。そんなグリームアイズから所々機械音を鳴らしているが光輝からすれば例え機械だろうがレイン達を殺そうとした時点で敵だ。だから全力で倒しに行く。光輝は左の剣を肩に構えながら左の剣を赤く染めた。

そして光輝は剣を持ちながら印をした。片手で印をしてきて出てきたのは影分身の光輝達だ。その光輝達の1人が腰にある刀の鍔を持ちながらグリームアイズに迫りすれ違いざまに一閃し抜いた刀を鞘に戻した。刀単発技《絶空》、クラインが得意とするソードスキル。それと同時に一瞬グリームアイズが2つに別れたように見えたが胴体に深い傷が出来ただけだ。

そしてもう1人の光輝は今度はレッドブルー・オブウォーリアを印をして切れ味抜群の風遁の性質変化を纏わせて両手で剣を持ち2回斬りつけた。

またまたもう1人の光輝が今度はクナイを持ってアクロバティックに斬りつけた。短剣と体術の複合ソードスキル《シャドウ・ステッチ》だ。

そして最後の光輝は上空から千鳥を纏わせた剣を思いっきり叩きつけた。それによって出来た風圧が本体の光輝の羽織を揺らすが本体の光輝は叩きつけが終わると同時に地を蹴った。それと同時に分身達は離れて集まり武器を直して全員上空に飛んで技の作業を始める。

本体の光輝は左の剣に炎纏わせ単発重突進技《ヴォーパル・ストライク》を放った。グリームアイズは反撃する間もなく貫かれた。そして貫いたと同時に光輝は剣を消した。高速でグリームアイズの後ろに回って尻尾を抱えたと同時にブンブン振り回す。徐々に浮きながら光輝はグリームアイズを真上に放り投げた。それと同時に空を覆っていた雲が一瞬で晴れてその真ん中にいた光輝が叫んだ。

 

「風遁・螺旋手裏剣!!」

 

光輝が1年間影分身修行法をやり漸く完成させた技だ。

そしてその螺旋手裏剣を分身光輝は思いっきり同じ目線にいるグリームアイズに思いっきり投げた。それと同時に本体光輝はキリト達に叫んだ。

 

「皆伏せて!!」

 

それと同時に空ではグリームアイズに螺旋手裏剣が当たりドーム状の青い爆発が起きた。キリト達がいる所ではギリギリしか聞こえないがとんでもない高音を発していた。

そして爆発が終わるとそこにはもう何もいなかった。

 

「ふぅ」

 

そう言って光輝は影分身を解除した。そしてグリームアイズがいた場所を見た後にレイン達の方に向いた。レイン達は今の戦いの殆どは速すぎてあまり分からなかったが取り敢えず光輝が勝った事は分かった。

レイン達が全員無事なのを確認し周りに怪しい気がない事を確認したら光輝は時計をいじって帰ろうとした。

 

「待って!!」

 

だがその声を聞きビクッとした。でも今振り返ったら絶対に泣く。だから·····

 

「ごめん⋯お姉ちゃん」

 

そう言って光輝はこの時代を去った

 

 

 




お疲れ様でした。
螺旋手裏剣は光輝はナルトと違ってめっちゃ時間かけて漸く出来た技であります。しょうがないね、ナルト程チャクラないもん。
光輝が光弾をぶった斬る所はSAOのマザーズロザリオ編のキリトがスペルブラストした所とグリームアイズにやった超連撃はエクスキャリバー編のキリト達のスキルコネクトソードスキルをバーチカルアークをホリゾンタルスクエアに変えただけです。
そして光輝、片手で影分身する。いや、サスケもやってたし片手でやるのはチャクラコントロールがむずくなるだけで出来ない訳じゃない。という訳で片手印を出来るようになってます。
あと光輝の剣が燃えたり貫いたグリームアイズの体に氷を出したのは光輝と祖父で言ってた剣には記憶と思い出が宿るという言葉を体現しただけです。剣の材料が煉獄の炎付近にあった鉱石とあとユージオよろしく漢字違いの蒼薔薇と永久氷塊、その2つの記憶が光輝の2振りにはあるので出来ました。·····ウォーリア・ビハインド・ディスペアーに関してはもう1つ記憶がありますが今の所使えないというか使っても意味が無いです。
アンダーワールドはあくまでも仮装世界だろ!ってのが聞こえてきそうですがスルーでお願いします。
(*´∇`)ノ ではでは~


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意気消沈

おはようございます((。´・ω・)。´_ _))。
そしてレイン誕生日おめでとう(((o(*゚▽゚*)o)))。本当は誕生日話を別で書こうと思ったけど書く時間がなくごめんなさい  オマケに今回も短めという
では⊂('ω'⊂ )))Σ≡GO!!


光輝はコボルドロードとグリームアイズをぶっ倒した後、レインの静止の声を振り抜き時の巣に戻ってきた。そしてその場で尻もちをついて体育座りをして泣いた。レイン達が助かって良かったと思うと同時に今自分がした行動でレインが傷ついてしまったかもしれないという自己険悪だ。光輝が受けたメールの画像はグリームアイズがレインを襲ってる画像でキリトからだった。その後にキリトは校舎を駆け下りてグリームアイズと戦った·····と言っても武器なんてないしSAOの光輝みたく力が強い訳じゃないから回避にしか専念出来なかったが。

光輝があの世界に来た時は一瞬で顔面が蒼白になった。キリトにはグリームアイズが、そしてレイン達にはコボルドロードがそれぞれ向かってレインに関しては遠目からでも分かるほど重傷だった。その後コボルドロードが辻風を、グリームアイズがブレスした時には考えるよりも体が動いた。直ぐに印を組んで分身してそれぞれを守った。その時間は僅か1秒あるかないかぐらいだ。そして量子変換器に入れといた自分の道着を纏いながら歩いて邪魔なコボルドロードを滅多斬りにして倒した。レインをあんな目に合わせたのはコボルドロードじゃないとレインの状態を見て分かったからだ。でも殺そうとした時点で死刑だ。そしてグリームアイズには恨みを込めて剣を振るった。そして·····あの2体を送った奴ら・・・あの白いヤツ·····シーラスと仮面の男に光輝は怒ってその場にいたら戦おうと思ったが居なくてレインに顔を合わせたくなくて直ぐに帰ってきた。

そんな光輝にトランクス·····では無く悟飯が声をかけた。

 

「お疲れ様、光輝君。」

 

そんな悟飯を見て光輝は思わずあの世界の悟飯を重ね顔を下げた。そんな光輝に悟飯は何も言わずに隣に座った。そして2人はそのまま無言になった。そしてそんな状態が5分程続いた時、悟飯が語りかけてきた。

 

「違う世界の僕と会ったんだって?」

 

光輝はそれに顔を埋めながら頷いた。悟飯はそうかといい。前を向きながら言った。

 

「·····君がしようとした事は聞いたよ。正直僕じゃ未来の僕が思っていた事は分からない。僕はトランクスさんが未来を変えに来た世界の僕だからね。」

 

光輝はそれを黙って聞いた。

 

「光輝君は·····戦うのが嫌なのかい?」

 

それを聞いた光輝はビクッとした。そして顔を埋めながら言った

 

「だって·····あの時の俺と変わらないなら・・・もう嫌だよ」

 

あの時·····光輝が入院中に家族が殺され光輝はその時祖父の死亡推定時刻からその時は光輝はまだ気を失った状態で悪く言えば絶賛休憩中だった。光輝がそんな状態な時に家族は痛い目にあって力が無くなり皮しかない状態になった事だ。光輝はあの時はもう何回も後悔した。自分が笠木をもっと圧倒するくらい強かったら、もっと重傷を負わせていてたら警官の1人も死なずに普通に無理やり押さえつけて逮捕だって出来てそうしたら回り回って光輝の家族は死ぬ事はなかった。そう言う意味で光輝は2重の後悔をしていた。だから強くなった。誰かを·····新しく出来た家族や自分の守りたいと思った人を守りたくて拳を握り剣をとって戦うと決めて。でも·····また届かなかった。光輝は未来の悟飯を本気で助けようとした。未来の悟飯は夢も家族の時間も全てを捨てて13年間戦って待っていた結末が幸せな未来ではなく"死"何て酷すぎる。

·····それも今回に関しては光輝は余計に傷ついてる。今回行った歴史の悟飯の死因ははっきり言って光輝に気を分けたのが決定的だった。分ける前ならもう光輝の気の方が少なく死ぬのは光輝の方だった筈だ。そして光輝はそれを受け入れようと思った。悟飯に関してはまだ歩くなり出来るほどの気だったから悟飯が生きれば光輝はそれで良かった。櫂やSAOの皆にはぶちギレられるだろうがそれでも光輝はあの悟飯が生きて人造人間を倒して平和な未来を生きて欲しいとたった1日話をして願ったのだ。その為に自分が死ぬなら受け入れようと思った。だがそうはならずそうあって欲しいと思った悟飯が光輝に気を分け憎たらしく歴史通りに悟飯が死んでしまった。

そのまま光輝は体育座りをしていたが悟飯がゴソゴソして巻物を出してきた。光輝はそれを訝しげな目で見る。そして悟飯は言った。

 

「この歴史に行ってきてみて。それが今君がするべき事だ。」

 

そう言って光輝に渡した。タイムスリップする方法は2通りある。巻物からか光輝の持ってる時計からする方法だ。

光輝は何故そんな事を言うのか全くわからなかったが不思議と手が動いて受け取り「行ってきます」と言って飛んだ




お疲れ様でしたm(*_ _)m。
光輝が思った事は作者の思った事でもあります。13年戦ってその後がどうあれ死ぬのは自分でも酷いなとは思う。·····まあ視聴者側からすればそうなる事で輝くんで複雑という。
(*´∇`)ノ ではでは~


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光輝、過去へ

おはようございますm(*_ _)m。
タイトルバレしてくスタイル。
では⊂('ω'⊂ )))Σ≡GO!!


追記 すいません(´・ω・`)。寝ぼけて0時投稿してしまいましたm(*_ _)m


光輝は光に包まれた後ゆっくりと目を開けた。そこはどこかの路地裏だった。そこで悟飯からの通信が入った。

 

『その歴史での出来事は余程印象に残らない限り記憶は無くなります。だから派手な行動は避けてください。それから剣とかもいきなり出すのはやめてください。』

 

「·····分かりました。」

 

そう言い光輝は背負ったままだった双剣を直し服も道着からレインに見積もって貰ってた服に変わった。そして光輝はその路地裏から出た。

 

「ここは·····どこだ?」

 

だけどどこか既視感がある。目の前に広がっているのは·····大都市だ。そしてここは

 

「もしかして·····秋葉原?」

 

そう、光輝は1度だけ秋葉原に行った事がある。でも何で秋葉原?となる。そして取り敢えず移動しようとなりゆっくりと秋葉原を回った。清々しく騒いでる人達の間をすいすい避けて行く。そして光輝は電光掲示板を見て目を見張った。何故なら

 

「え·····2003年?」

 

少なくともここは悟空達が元いた世界ではない。あそこの時代表記はエイジだしでかい町は都で表せることが多いからだ。でも·····キリト達の世界でもない。·····というかキリトは生まれてない。生まれてるのはエギルやクラインだろう。その二つの世界は却下。ということは

 

「俺が·····元いた世界?」

 

そう1人で呟いた。そしてある事に気が付き間違えて秋葉原のど真ん中で舞空術を使う所だったが耐えた。光輝には日常化されてるがここの人達には非日常だ。目立ちすぎる。そう思い取り敢えず光輝は地図が欲しくてコンビニに入って地図を見た。

 

「やっぱり·····」

 

光輝は一瞬だけ眼を蒼眼に変えてその地図を覚えた。そして商品棚に直しコンビニを出て走りたいのを耐えて歩いた。向かったのは駅だ。本当は自分の足で走るなりしたいが目立ちすぎる。そう考え光輝は何年ぶりかの·····そして初めて自分だけで電車に乗ろうとさっき覚えた最寄り駅にどうやって行くかを割り出し切符を買って電車に乗った。·····余談だが光輝は財布も量子変換機に入れてるからわざわざトイレに入って財布を出した。そして着いた所は·····

 

「·····懐かしいなぁ。」

 

一旦手紙を置きに帰ったがその時は高台から見下ろしただけから細かい所まで見てなかった。光輝が今いる所は·····自分の家がある町だ。光輝がいる所からあの高台が見える。

 

(·····見るだけなら良いよね?)

 

そう心で呟き光輝は·····自分が住んでた家に向かった。そして家の近くの曲がり角で止まって少し家を背伸びして覗いて気を探った。·····と言ってもその塀をくぐればもう道場があるのだが。そこにあった気は6個だ。その内1つは他の5人よりも気は少ない。つまりこれは·····

 

「俺か·····」

 

さっきの電光掲示板によると2003年だから光輝は生まれている。日付によるともう1歳だ。光輝は·····家族を見てみたいのとでも見たら耐えられるのだろうか?と言う気持ちの2枚はさみになっている。そんな時、6つの気が動いた。光輝は慌てて塀を降りて西沢邸の入口を見た。そこから出てきたのは

 

「·····皆」

 

SAOの時以外で最後に見た時とは違い皆ピンピンしている。母の腕の中には自分がいる。だが赤ちゃん光輝は母では無く

 

(おじい·····ちゃん。)

 

「じいじ〜」

 

「お!じいじが良いか!?」

 

「うーん!」

 

そう言って一所懸命手を光輝の祖父·····西沢武蔵に伸ばす。武蔵はそんな光輝を嬉しそうに抱っこする。そんな光景に他の家族は笑顔になっている。そして一同は車に乗り込もうと車に近寄る。だがその時

 

(え?)

 

武蔵が一瞬振り返ったように見えた。光輝はそれで思わずサッと身を隠したが隠しきれたのかは微妙だ。そして西沢家は元の時代の光輝の家にまだある車に乗り込みどこかへ向かった。塀を背にずるずると座って息を整えた。

 

「はぁはぁ·····」

 

あの団欒は今の光輝には堪えた。自分では無く違う自分が家族の愛を受けているのを見たのだからそれも必然だ。勿論あの自分を責める気にはなれない。あの自分が受けた愛は自分だって覚えてないだけで受けた事があるのだから。だがそれとこれとは別である。そんな時·····

 

「おにいさんあいじょうぶ?」

 

と目の前からいきなり赤ちゃん言葉で声をかけられた。光輝は思わずばっと前を見て目を見開いた。何故なら目の前にいる赤ん坊の髪や眼は光輝には輝いて見えるからだ。その赤ん坊の髪や目は青色だ。こんな容姿の子がぽんぽん居るわけない。という事はこの子は·····

 

「愛美?」

 

「なんでわたちのなまえちってるの?」

 

「こら愛美!」

 

そう言って寄ってきたのはこれまた光輝には見覚えのある·····知ってる人よりも若いが間違いなく愛美のお母さんその人だった。それも結構焦ってる。そりゃそうだ。塀を背に汗が出て座ってるとか完璧不審者だ。

 

「あ、·····すいません。」

 

そう瞬時に考えた光輝は咄嗟に謝り立った。愛美の母は愛美を連れて不審者を見る目になっていたがこれは光輝が悪いから光輝はまた一瞬だけ愛美を見て角を曲がって車が走って行った方向に歩いた。気は今の光輝からすれば遅めに走ってる·····まあ光輝の方が普通に早いからそう感じるだけなのだが。でも流石に歩いていたら追いつけないから人気が無いのを確認し光輝は一気に上昇した。まさか昼間から空を見上げる人なんていないだろう。そして光輝は気を辿って皆を追いかけた。そんな状態が30分程続いた時光輝にも見覚えのあるショッピングモールに入って行った。そこは光輝が拳銃乱射事件を解決した所だ。光輝は屋上に目を向けどこか隠れて降りれそうな所を探しそこに降り立った。そして何食わぬ顔でエレベーターに乗ってショッピングセンターの中に入って気を探した·····のだが人が多すぎてややこしくなったから光輝は駐車場に向かった。飛来神のマーキングをしとこうと思ったのだ。その時光輝はばっと隠れた。

 

「皆·····」

 

西沢家が入ってきた所だった。そして光輝は遠目に見守る事にした。·····とそこまで考えた時皆がばらばらに動いた。光輝はまた皆の気をちゃんと覚えた。流石にここで影分身する訳にはいかない。

 

(誰を見とこうか。)

 

姉と父は恐らく本屋だ。光輝の記憶ではこの2人は勉学が好きだったからだ。祖父母と母と光輝はぶらぶらだ。

 

「·····おじいちゃん達で良いや。」

 

そう呟き遠目に4人を捉えながら光輝は歩き始めた。変化しようかと思ったが目立ちすぎるから却下。そして30分ぐらい4人のぶらぶらを見てた時にそれは起きた。·····というかこれはタイムパトロール案件だ。何故なら4人が歩いてる道の先に何故か気がそこら辺の奴らよりも普通にある持ち主がいたからだ。そして·····

 

「うぉおおおお!!」

 

めちゃくちゃな雄叫びをあげた。その時いきなり紫色のバーナーのようなものがその不審者からあがり周りの商品が吹き飛んだ。·····と言っても不審者から見て右にしか商品は無かったが。それに反対側にいた人達も謎の男の近くにいた人達も何か雰囲気的にやばいと感じたのか悲鳴をあげて逃げた。

 

「ムカつくムカつくムカつくムカつくムカつく!!」

 

そう呪怨のように言い真正面にいる西沢家を見て懐から刃の部分が長いナイフを取り出し突撃した。今赤ちゃん光輝が祖父の腕にいるから祖父は戦えない。残り2人はそもそも武道をやった事がない。4人はさっさと離れるべきだったが誰だっていきなりこんな事になったら立ち止まってしまう。4人の内誰かがこのままでは刺されてしまう。おまけに紫色の気のせいでスピードもここの一般人についてけないほどになっている。

光輝はこの瞬間あの皆の死体がフィードバックされ無意識に竹刀を出した。何故竹刀を持ってるのかと言うと偶にSAOのキリトの妹の直葉に稽古を手伝ってと言われその時用のものだ。そして光輝は竹刀を出した瞬間に暴走男と西沢家の間に入った。

 

「させない!」

 

そう言って人知を超えたスピードでナイフを上に弾き暴走男を蹴飛ばし後ろに下がらせた。その手にはまだナイフは握られている。

 

「あ、あなたは?」

 

そう母が聞いてきたが光輝は答える訳にもいかず代わりにシーラスかあの仮面の男を探した。だが2人ともいなかった。

 

(·····あの二人気を消せるのか)

 

·····そしてあの仮面の男は恐らく地球人に似ている体だろう。シーラスは目立ちすぎるから残りは仮面の男だけだ。素顔を見てみたい気もするがそれは今はどうでもいい。大方ここで光輝を殺せば今いる光輝が消えるからだろう。昔トランクスもその方法で消されかけたそうだから直ぐにその考えが浮かんだ。

 

「こんな世界生きる意味なんて無いんだよ!!」

 

そう暴走男は言っている。紫色の気を纏った奴は大概性格が余計に悪くなってしまったり何か本音を叫ぶ事がある。この人は普段から何かを溜め込んでそれで漬け込まれたんだろう。だがそんなものは光輝には関係ない。自分の憂さ晴らしで家族を殺そうとした時点で·····敵だ。そして恐らくあの2人の誤算はパトロールの前に光輝を消す筈だったのにもうその光輝がいる事だろう。·····悟飯の名采配である。まあそんなのを血が上ってる光輝が考えられる筈もなく無我夢中で叫んだ。色々アウトな言葉を。

 

「ふざけるな!あんたのそんな理由で皆を·····おじいちゃんを殺させやしない!」

 

その瞬間後ろの3人は目を見張った。光輝は色々周りが見えなくなる事がある。前の悟飯の時も無我夢中でトランクスの名を叫んだし。·····だが悟飯からの叱責は特に無かった。

後ろの3人の驚愕はほっといて光輝右足を引き右に持つ竹刀も一旦後ろに引いた後竹刀の切っ先を暴走男に見せながら少し上下して腰を落として構えた。·····その構えは後に親友キリトとそのキリトの親友がする構えでもある。

 

「黙れ黙れ黙れ!」

 

そう言って突撃してくる暴走男見据え光輝は走った。再現するソードスキルは使い勝手がいい片手剣ソードスキル《ソニックリープ》、そして今やろうとしてるのは親友キリトが恐らく攻略組で1番上手かっただろうシステム外スキル、一瞬で2人は距離を詰め光輝は竹刀を地面スレスレにしながら男では無くナイフを見つめ·····その腹に思いっきり一瞬だけ気のコーティングをした竹刀を叩きつけた。そして2人はそのまま位置を交換した。訪れる静寂、だがそんな静寂の中にいきなり金属音がした。

 

「な·····なな」

 

光輝は振り返った。そこにいた暴走男は信じられないみたいな目でナイフを見つめていた。そのナイフは折られていた。光輝がナイフを折るのはこれで2回目だ。1度目はあの笠木との戦いの時だ。あの時はナイフを使うのが分かっていたから家にあったナイフで折る練習はめっちゃした。·····だが光輝はキリト程システム外スキル·····武器破壊(アームブラスト)はできなかった。SAOの武器には大概弱い部分がある。そこを意図的にソードスキルをぶつけ武器を破壊する。·····まあここは現実だから光輝は多少強引に破壊した。おまけに竹刀で。光輝は背中に出しといた鞘に竹刀を収めながら聞く。まだ紫色の気は出ているが光輝の敵ではない。

 

「まだ続けるか?」

 

「黙れ黙れ黙れ黙れ!!」

 

「俺はあんたに何があったのかは知らないし興味もない。だが、関係ない人達を巻き込むのは絶対に許さん!」

 

そう光輝が言った直後暴走男は折れたナイフを投げて光輝に突撃した。光輝はそのナイフの柄を普通に受け止め迎え撃った。·····と言っても暴走しているからその戦闘スタイルはヤンキースタイルだから光輝はカウンターを取って腹にギリギリ死なないぐらいの力を出して殴った。

 

「かハッ!!」

 

そう言ったと同時に紫色の気は無くなりそのまま気絶したのだった。

 




お疲れ様ですm(_ _)m。
人造人間編がやたらと長いなこれ。
光輝が竹刀を構える所はSAOのアリシゼーション編のop2のRESISTERの最初の所を思い浮かべてくれたらいいです。
(*´∇`)ノ ではでは~


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祖父の想い

おはようございますm(*_ _)m
光輝の過去編はこの話で終わりで次話からはセルゲーム編ですな。レッツラゴー⊂('ω'⊂ )))Σ≡


光輝は今西沢家の車の中にいた。光輝がこの車に乗るのは実に5年ぶりだ。だが光輝は少し顔を下げて顔を見られないようにしてる。そんな光輝に赤ちゃん光輝を膝に乗せている姉、西沢麗華が話しかけてきた。

 

「取り敢えず、お母さん達を守ってくれてありがとね。」

 

「あ、あ·····はい。どういたしまして。」

 

何故光輝が西沢家の車に乗っているのかと言うと先程の暴走事件の後、光輝はさっさと離れようと思ったのだがその前に母に声をかけられてお礼とお詫びがしたいと言われ光輝は萎縮したが真剣な顔になってた祖父にもさせろと言われ渋々·····いや、光輝も心の中では祖父と·····家族と触れ合いたかったんだろう。例え自分が一緒に過ごしてきた自分の家族でもなくても。因みに警察の人には怒られたが称賛もされた。そして·····

 

「さ、着いたわよ。」

 

そう母が言ってる最中に駐車場に車は入った。光輝自身は別に櫂家に引き取られた後もこの家に行かなかった訳じゃない。リフォームやらはやってはいるがとっくにローンは終わっていたから実感は全くないが光輝が大人になったら所有権は光輝にある。だから光輝は皆が死んで現場検証も終わった後から2年間掃除にはよく来ていた。今の所有権は櫂だ。流石に当時小学一年生の光輝にする訳にはいかなかった。

 

「じゃあご馳走作るから待っててね。·····そう言えばお家の方に言わないと!」

 

「あ·····いえ、大丈夫です。」

 

「え?でも夜は家で預かるのだからご連絡しないと·····」

 

光輝は今11歳だ。つまり小6に当たるが光輝の母・・・蓮花には関係ない。預かる以上連絡はしたいのだ。

 

「本当に·····大丈夫ですから・・・」

 

「うーん・・・」

 

「良いだろ蓮花、この子にも言いたくない事があるだろ」

 

「お義父さん・・・はぁ分かったわ。」

 

「すいません、ありがとうございます。」

 

そして顔を下げながら車を降りた。因みに今の光輝は竹刀を背負ったままだ。流石に直す暇がなかった。そして降りた時・・・

 

「坊主、少し来い。」

 

「え?」

 

祖父、武蔵はそれだけ言って母屋ではなく道場に向かった。それを少し光輝以外も唖然として見ていたが蓮花が何かを言う前に光輝が言った。

 

「分かりました。」

 

「えっちょ!」

 

「すいません、多分直ぐに終わります。」

 

そう言って一礼してから武蔵の後を追った。麗華も少し唖然としていたがその時腕の中で赤ちゃん光輝が暴れてるの見てあやしながら聞く。

 

「どうしたの光輝?」

 

「あうあう!じいじとにいたんのとこ〜!」

 

どうやら光輝と祖父に着いていきたいそうだ。麗華は祖母と母と父を見てからあやしながら祖父達の後を追った。麗華が道場に入り見たのは互いに防具を付けずに相対している両者だった。零斗は壁際まで寄り見た。そして祖父はそんな麗華を横目で見た後光輝に言った。

 

「坊主、お前俺達があのショッピングセンターに行く前この家の前にいたな?」

 

「え?」

 

そう蓮花は言って光輝を見た。光輝は驚愕とどこかやっぱりみたいな顔をしていた。····余談だが祖父と相対している光輝は今の麗華と同い年だ。だから最悪麗華のストーカーと言われてもしょうがない。だが祖父は違った。

 

「お前が麗華のストーカーとは思わん。お前が麗華のストーカーならばあの時も俺達じゃなく麗華の方に行っただろうからな。」

 

「·····気づいてたんですね。」

 

「気づけたのはたまたまだ。一瞬だけお前が見えたからな。それにただのストーカーならもう1つ気になる事がある。」

 

「え?おじいちゃんそれって·····」

 

「坊主、お前どうやって竹刀を出した?」

 

その時光輝は冷や汗を流した。観察眼が半端ない。光輝の観察眼は祖父から受け継がれているのだろう。光輝は良く考えれば父も何かを見つけたり推理するの好きだったなとこのタイミングで思い出した。

 

「はーふぅ」

 

深呼吸した後、光輝の姿が変わった。私服だった服が赤いインナーになりその上に蒼色の羽織が現れズボンは蒼色だったのが今は黒色になっている。そして腰には帯が出てきた。光輝は悟飯からの叱責を覚悟したがこれまたどういう訳か何も言われなかった。

 

「·····成程、竹刀ぐらい訳はないという訳か。」

 

祖父は驚いたがどこか納得もしている顔だった。麗華は絶句していたが・・・腕の中では光輝がキャッキャッ言っている。そんな麗華に武蔵は声をかけた。

 

「スマンが麗華、俺とおばあちゃんの部屋にある真剣を取ってきてくれないか?」

 

「え·····?は、はい。ちょっとごめんね光輝。」

 

そう言って光輝を床に下ろし行った。その間に武蔵は光輝に聞いた。

 

「·····お前・・・俺に会った事があるか?」

 

光輝は少しギクットして聞く。

 

「えっと何でですか?」

 

武蔵はそこでふっと笑い言った。

 

「何故かお前とは初めて会った気がしなくてな。」

 

そりゃそうだ、2人の横側にいるんだから。2人はそのまま無言で見合っていたが麗華が真剣を持ってきた。祖父はお礼を言いながら受け取り麗華を下がらせその真剣を出した。その剣はしっかりと磨きこまれている剣だった。

 

「この剣は俺が若い頃に友に作って貰った剣だ。本当は誰かを・・・家族を守る為の時に使いたかったが不思議とお前相手には使わなくてはいけない、そう思った。」

 

そして構えた。その構えは光輝の記憶にある祖父の構えと同じだ。そして祖父は言った。

 

「坊主、お前も自分の剣を出せ。」

 

「え?おじいちゃんそんなの危ないよ・・・。」

 

と麗華が言った。

 

「心配するな、寸止めだ。」

 

「・・・分かりました。」

 

光輝はそう言った瞬間に光輝の背中に交差して剣が出た。光輝は後ろに手を回しその二刀を勢いよく抜き去った。2つの剣は微妙に模様が違ったりするが基本は蒼色と赤色だ。その二刀を見た祖父は目を見張った。勿論こんな凄い色をした剣を初めて見たのもある。だが祖父が驚いたのは光輝の纏う雰囲気だ。たったの11歳で纏う雰囲気では無い。この感じはそう・・・数々の戦いを生きてきた戦士が纏う雰囲気だ。祖父は聞いた。

 

「・・・坊主、お前どこで実践を積んだ?」

 

「今はもう行けない場所です。」

 

「·····そうか。ルールを確認する。剣に関しては寸止め、無手の時は一撃加えたら終わりだ。」

 

「気づいてたんですね、俺が無手もするって。」

 

「剣だけではそんな体はしていない。」

 

そして2人は構えた。光輝は右足を引き腰を落として左の剣を祖父に向け右の剣は外側に向いている。

光輝の気は祖父に合わせられている。別に手加減をしてるわけではない。光輝は技量だけで祖父に勝ちたいのだ。麗華は不安げな目で2人を見ている。孫娘としては祖父を応援するべきなんだろうがどういう訳か麗華は少年の方も応援したい気持ちになっている。何故そうなるのか全く分からないが不思議とそう感じたのだ。そして2人は同時に駆け出した。

 

「ぬん!」

 

「ふっ!」

 

そう言って互いの剣をぶつけあう。その技量は麗華からはよく分からないが素人目で見るならば互角だ。一見二刀流の方が手数が多いから勝ちそうなものだが事はそう単純ではない。二刀流は両手を使うから神経の伝達速度も単純計算では2分の1になる。おまけに最悪間違えて自分の腕を切りましたなんて事になりかねない。

 

「はぁぁぁ!」

 

そう言って祖父は光輝の頭の上に真剣を振り下ろした。麗華は悲鳴をあげそうになったが光輝はその前に頭上に二刀をクロスさせ受け止めた。二刀流防御スキル《クロス・ブロック》だ。祖父は押し切ろうとした。·····祖父は不思議と分かっていた。この目の前にいる少年は本気じゃないと。恐らく自分に合わせて戦ってくれてる事に気がついた。本当の所は本気を出せと怒りたいがそうでは無いと直感的に悟った。目の前にいる少年が本気を出せば自分など足元にも及ばない事に漠然と気づいたのだ。そもそもあの暴走男を止めた時に出したスピードも·····そして何より車だからあのショッピングモールは30分でつけたのだ。歩きや走りならばもっとかかることには想像に難くない。だがこの少年はどういう訳か車で向かった自分達よりも先にあのショッピングモールにいた。車に乗る時間はなかった筈だと思った。そこで出した結論が・・・少年自身のスピードが自分には想像も出来ない領域なのではないかと思ったのだ。最初は自分もまさかと思ったがそうとしか考えられない。

 

「だりゃぁぁあ!」

 

そう言って光輝は押し返した。それに祖父は弾かれる。そして光輝は突撃した。再現するソードスキルは二刀流ソードスキル《ダブルサーキュラー》、右の剣を左下から斬りあげた。祖父はギリギリ反応して剣でガードした。だが威力が強くそのまま弾かれた。そして《ダブルサーキュラー》は2連撃技だ。光輝の左の剣が祖父に迫り·····麗華は悲鳴を出しかけ

 

「·····見事だ。」

 

祖父はそう言いながら自分の脇腹で寸止めされている剣を見た。麗華は安心した顔になっている。

 

「はぁはぁ·····か、勝った」

 

そう言いながらへなへなして尻もちをついた。3年ぶりの祖父との戦い、おまけに光輝が知っている祖父よりも強かった。あの時は手加減してくれてたんだなと光輝は思った。麗華は声をかけようとしたがその前に祖父に言われた。

 

「麗華、ご飯の準備を手伝いに行ってやれ。」

 

「え·····?」

 

「俺は少しこの子と話がある。」

 

麗華はそう聞いた後光輝を見た後に頷いて暴れてる赤ちゃん光輝を連れて道場を出た。·····余談だが赤ちゃん光輝は見知らぬ人が二刀流をしているのを見てこの時から無意識に二刀流に憧れ始めた。麗華が出ていったのを見て光輝は立ち上がった。それを見て祖父は言った。

 

「·····いい勝負・・・という訳では無いな。お前は手加減していたのだから」

 

「·····ごめんなさい。」

 

「いや、謝る必要は無い。手加減したのは俺の身を案じたからなのだろう?その代わり聞きたい事がある。」

 

「な、何ですか?」

 

「答えずらいなら構わん。俺も半信半疑なのだから。·····お前の名前はなんて言うんだ?」

 

そう核心の質問をしてきた。光輝はまだ名前を名乗っていない。だからまあ質問としては至極当然なんだが祖父がした質問の重みは圧倒的に違う。光輝は・・・言う訳にもいかず顔を下げた。

 

「·····言えんか?」

 

「・・・ごめんなさい。」

 

「なら当ててみせよう。違うなら構わん。お前は·····光輝か?」

 

光輝はそれを聞きばっと顔を上げた。そして光輝の反応を見た祖父は嬉しそうな顔をした。祖父は·····武蔵は孫に越えられた事が嬉しいのだ。何でここに麗華と同い年の光輝がいるのかは全く分からない。というより当てれたのは9割は勘だ。もう1割はどことなく麗華や息子、そして息子の嫁に似ているからだ。さっき剣を取った時に出した雰囲気は誰のものでも無かったがあれは光輝自身が手に入れたものだろう。そして先程自分をおじいちゃんと言ったという事もある。·····だがこの時にはまだ半信半疑だ。何故孫が未来から来ているのか·····だがその半信半疑は確信に変わった。

光輝は目元が濡れているのに気がついた。拭おうとするが全く止まらなかった。

 

「う·····あ」

 

そんな光輝に祖父は剣を鞘に入れ置いた後泣いてる光輝を抱擁した。そして頭を撫でる。光輝はこの瞬間だけ小学一年生の時に戻って泣いた。

 

「うわぁぁあ!!」

 

「どうしたどうした?」

 

「守るって・・・誓った人を守れなかった!死なせたくなかった人達を·····守れなかった。」

 

前半は未来の悟飯、後半は目の前にいる祖父や西沢家を含めた人達だ。

 

「俺が·····もっと強かったら守れたのに・・・俺のせいで皆死んだ。·····もう誰も守れないなら·····戦うのは・・・嫌だよ・・・」

 

武蔵はそんな光輝を暫く撫で続けていた。何故守れなかったのか?どんなに理屈を捏ねても最後は結局力不足に落ち着いてしまう。悟飯の時も家族の時も。結局力不足を恨んだ。家族の時の後はそれまでのなん10倍も努力した。そして今度は守れた。そしてその後修行で力を得たのに·····届かなかった。人造人間は勿論はっきり言えば憎い。だが1番恨んでいるのは自分の力不足だった。武蔵はゆっくりと言い出した。

 

「・・・そうか。俺には光輝がどんな道を歩んだのか想像もつかん。だけどな・・・光輝」

 

優しい声で武蔵は続けた。

 

「人である以上負ける事もある。例えそれが大切な人だとしても守れない時もある。だが光輝、心を、光を誰かに繋げられればそれでいい――これまでお前と一緒にいた守りたいと思っていた人達もそう思っている筈だ。俺も含めてな。なら光輝、お前はまだ立てる。何度でも立ち上がれる。お前の大事な人達を・・・守る為なら!」

 

その言葉は光輝の胸の中に染みていった。その後2〜3分そのままにし光輝はゆっくりと離れた。そんな光輝の顔は少しぐちゃぐちゃだったが·····矛盾しているのは置いといて昨日とは違っていた。そんな光輝に祖父は思い出したように聞いてきた。

 

「そうだ光輝、お前の流派は何なんだ?さっきの動きは見た事がないぞ。」

 

「え?うーん・・・」

 

と光輝は悩み始めた。光輝が小一の時に祖父から良い流派に出会うだろうと言われたが結局オリジナルが増え·····いや違う。今の光輝の技はあの城から得ているものだ。基本の動きはオリジナルだがソードスキル·····所謂必殺技はあの世界で得たものばかりだ。だから·····光輝は悩んでいた顔を少し誇らしげにしながら祖父に言った。

 

「俺の流派は·····《アインクラッド流》だ!」

 

「アインクラッド流·····か。聞いた事はないがお前があそこまで技量が伸びたのはアインクラッド流のおかげという訳か。」

 

「うん!」

 

そう光輝は嬉しそうに言った。そして光輝は思い出したように言った。

 

「その·····おじいちゃん。」

 

「?」

 

「皆には俺が光輝って事は言わないで欲しいんだ。」

 

「·····何か訳ありみたいだな。まあ良いだろう。俺だけが知っているというのも中々良いからな。」

 

そう言ってワハハと笑った。そして光輝は私服に戻ったのと同時に麗華が呼びに来て2人は母屋のリビングに向かった。そこにあったのはご馳走だった。光輝は当たり前のように萎縮したが命を助けて貰ったのだからこのぐらい当然と返されさっさと食えと祖父が皿に入れたりしてわちゃわちゃした食卓となった。光輝は·····懐かしの味と雰囲気に少し泣きかけたが耐えた。流石に不自然すぎる。麗華は先程のマジックみたいな出来事を言ってもおかしく無かったのだが特に何も言わなかった。そして光輝は母に聞かれた。

 

「雷斗君は何か夢はあるの?」

 

さっき名前を聞かれた時に咄嗟に『雷斗、俺の名前は沢西雷斗だ!』と某推理漫画のように言ったのだ。その時の光輝の冷や汗は半端では無かった。

 

「夢·····幾つもありすぎてちょっと」

 

「じゃあ全部言っちゃえ!」

 

「え!うーん。仮想世界に五感を直接接続するフルダイブ技術を作りたいです。コマンドとかじゃなくて自分で手足を動かせるようなゲームを作りたいです。」

 

それを聞いた全員は·····赤ちゃん光輝以外は全員唖然としている顔になっていた。

 

「え・・・作れるの?そんなの。」

 

と麗華が思わず聞いた。聞いてるだけなら楽しみなことこの上ない。·····まあ麗華はゲーマーという訳では無いのだが

 

「うん。作れるよ。それに出来たら何か訳あって学校に行けなくなった人達とか勉強とかにも応用出来るよ。仮想世界の中だから疲れたり肩こりなんかしないし。アバターって言って仮の顔は自分で作れるから面向かって話してるけど話してないって言う少し変な状態になっちゃうけど。」

 

「·····随分具体的なのね。」

 

「はい。まあそれでもフルダイブ中は仮想世界に五感が行ってるから無防備になっちゃう問題もあるんですけどね。」

 

「それは流石にしょうがないよ。」

 

と父·····零斗が言った。

 

「それなら人が入ってきたり家のカメラをそのフルダイブ?中に見れるようにしたらいいよ。今は無理かもしれないけどその内今よりももっと早い回線も出るだろうからね。何ならスピーカーをつけてフルダイブ中にも声をかけられるようにしたらいいし。」

 

「な、成程」

 

光輝はそこまで考えていなかった。父のアドバイスは心に刻んだ。·····何年後になるかは全く分からないが作りたいなーと思う。その前にシーラス達と決着をつけなければいけないが。母はフルダイブ云々は気になったが何やら難しい話になりそうだからそれは置いとき聞いた。

 

「2つ目は?」

 

光輝は少し頬を赤くしながら言った。

 

「·····好きな人とずっと一緒に過ごしたい。」

 

そんなLoveな雰囲気な話に母は気になる訳で·····

 

「え?どんな子なの?教えて!」

 

「お、教えませんよ!」

 

そう真っ赤に染まりながら言う。·····光輝は全部の戦いが終わった後愛美に会った時は·····自分がやってきた事を話すつもりだ。冒険や・・・タイムパトロールとして人を殺した事も。その上で告白する。光輝は正直望みは薄いと思っている。だが·····それでも光輝は言うつもりだ。例え自分がフラれてしまう原因になろうと愛美には自分を知って欲しいのだ。·····もしかしたらその時には愛美にもう彼氏がいるかもしれないが。

母は残念と言いながら3つ目を聞いてきた。

 

「夢·····というか目標ですけど」

 

そう言って深呼吸して答えた。

 

「俺の師匠達を全員超えること、です。」

 

「師匠?」

 

麗華は言った。麗華は見ていないがご飯を作る手伝いしていた時に顛末は母から聞いた。一言で言うなら圧倒していたと聞いている。何と竹刀でナイフを折ったとも。そして暴走男の攻撃は掠りもせずたったの一撃で気絶させたと聞いている。剣の腕はさっきの祖父との戦いで分かっている。だからそんな光輝の師匠はどんな人なんだろうかと思ったのだ。

 

「やっぱり強いの?」

 

「うん。俺まだまともなの一撃も入れれた事ないし。」

 

「それは本気を出してもか?」

 

祖父が少し不思議そうな顔をして聞いた。光輝の本気は見た事ないがこの家からあのショピングモールに30分以内で着ける光輝でも勝てないのかと思ったのだ。

 

「うん。本気出してもまだ全然届かないや。」

 

「そ、そうなのか。」

 

「でも·····絶対に超える。」

 

「·····頑張れよ!」

 

「うん!」

 

そして今日1番の笑顔を見せた光輝なのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご馳走でした。美味しかったです。」

 

「良いのよ。この位大丈夫だし。」

 

そう玄関前で母と言い合った後光輝は他の家族とも本当の最後の別れをした。·····本当はあのクズ野郎の事を言いたい気持ちもあるがそれをしたら恐らく今いる自分が消えてしまう。そして最後は祖父だ。祖父が輝を出しながら言う。

 

「·····何があっても頑張れよ。俺達はどこからでも応援しているからな。」

 

「·····はい!」

 

光輝は目元が濡れてるのに気が付き知られたくなくサッと背を向けた。そして·····光輝は光に包まれた。それに西沢家は驚愕と眩しさに目を閉じた。そしてそこにはもう誰もいなかった。西沢家はそこであれ?と顔を祖父と麗華以外がした。

 

「あれ?私達何で玄関に?」

 

「え?何でって·····」

 

麗華はそこでなんだっけ?と考えた。何故か何かを忘れてる気がする。その時腕の中で光輝がキャッキャッ言ってるのに気が付き笑顔であやす。他の家族を見ると何で玄関にいるんだろうと口々に言っている。だが祖父だけは玄関から空を見上げていた。麗華は聞こうとしたがその時祖父が言った。

 

「頑張れよ、光輝。」

 

それに不思議そうな顔をして腕にいる光輝を見た。光輝は不思議そうな顔をしていたが祖父の方に手を伸ばした。

 

「じいじ」

 

「ん?おう光輝どうした?」

 

そう言いながら祖父は光輝を受け取った。そして一緒に空を見上げたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SAOの世界、ダイシーカフェにてそこでは今レインの誕生日パーティーが行われていた。だがそこにいる面子はレイン含めて少し暗い顔をしている。結局光輝から全然返事がなかったのだ。光輝の事は再び話題に登った。流石にあんなに生徒がいる所では隠しきれる訳が無かった。·····おまけに生徒の1人が撮っていたらしくそれがネット上に上がった。それによって世間では色々な話が出てきた。まず光輝の実力について。その動画を見た大半の人は全く光輝の攻撃が見えなかった。かろうじて炎やら氷が見えただけだ。何回攻撃したのかなんてキリトもハウリング・オクターブとサベージフルクライムで11連撃しか分からなかった。その後に色々ありすぎたのだ。影分身が出てきてそれぞれ違う武器で攻撃したりしていたしそして何よりグリームアイズにトドメを刺したあの大規模な技なんて初めて見た。·····というか人にあんな爆発を起こせるのすら初めて見た。

世間では2つの意見が別れている。

1つは光輝の力に興奮している人達だ。いやまじでいるんだこれが。だって影分身したり剣から炎とか氷出したり極めつけにあの螺旋手裏剣を見た人達の中に人間もこういう事出来るんだよ!と言う熱い人達がいるのだ。

2つ目は·····光輝に否定的な人だ。光輝の力は危険だ!って言う人もいる。そもそも剣持ってるとか銃刀法違反で逮捕しろよという人もいる。人間は自分がその立場になった事もないのに無責任に責める事を得意とする人種である。別に光輝は剣がなくてもグリームアイズをボコボコにする位訳はないのだがそれはさて置いて客観的に見れば光輝が剣を使わなければレイン達は死んでいたというのにそれを忘れてあんな大規模な爆発を起こせる光輝は拘束すべきだなんて言う人達もいる。何にも·····少なくとも悪い事は全くやっていないのにもう危険分子と勝手に決めつけている人達もいる。だがこれは割と少数派だ。確かにあの爆発技は危険と言う人は割と多いが剣についてはそんなに言われていない。それよりも光輝の容姿がいきなり変わった事が色々言われている。

それにアインクラッド最終決戦が動画にされニュースになっていた事も大きい。あの戦いの光輝を見て光輝を英雄視する人達が割と多かった。そして何よりALOをやっている人達は光輝の事を知ってる人も多々いるのもあった。

レイン達はインタビューされたが濁しといた。それよりも光輝の方が心配だったからだ。

 

「お姉ちゃん元気出しなさいよ!」

 

とレインの隣から言ってきたのはレインと同じ髪色をしている光輝と同い年位の少女·····実際は少女の方が1つ年上だが言ってきた。

 

「七色、うん。分かってるんだけどね・・・」

 

七色・アルシャビーン·····というのは元の名前で今は枳殻七色だが・・・レインの実の妹でありこの前までアメリカに住んでいたがほんの少し前に七色はALOで事件を起こし光輝とレインとキリトが止めた結果今は再び枳殻性を名乗っている。父親が七色が事件を起こした後、自分の汚点にでもしたくないのかさっさとどこかへ雲隠れしてしまい路頭に迷う筈だった七色を引き取った·····この場合は元に戻したというのが正解かもしれないがレインの母が七色を引き取り七色は再び家族に会うことが出来た。七色は次の週からSAO帰還者学校に行くことが決定している。枳殻七色になり日本に住み国籍も日本にする以上は七色の年齢ならば義務教育がある。·····だが七色はもう既にアメリカのマサチューセッツ工科大学を飛び級で卒業しているから色々あれなんだが。日本にいる以上は日本に合わせなければならない。そういう訳で帰還者学校に通う事になったのだ。·····まあ自習が多くなってしまうのはしょうがない。

 

「光輝君もどうしたのかしら?お姉ちゃんの誕生日なのに!」

 

と少し怒ってそうな顔をして言った。その時·····

 

「えっと、ごめんなさい。」

 

と入口から声がドアの開閉音と共に聞こえてきた。何かデジャブだ。そして入口にいたのは

 

「光輝君!?」

 

「えーっと、久しぶり?」

 

何か気まずそうな顔をしている光輝だった。だが次の瞬間レインが駆け出し光輝を抱擁した。

 

「バカ!何で連絡してくれなかったの!?」

 

「ご、ごめんなさい。ちょっと·····色々ありすぎて・・・」

 

「色々って?」

 

「えと、言わなきゃダメ?」

 

「ダメ」

 

と真っ直ぐ言われてしまった。だがその前に光輝は

 

「お姉ちゃん、お誕生日おめでとう!」

 

そう言って光輝は包装されているプレゼントを渡した。

 

「開けてもいい?」

 

「う、うん」

 

そしてレインは包装を丁寧に取り中身を出した。キリトや七色が後ろからひょこっと覗いた。そこにあったのは

 

「·····ゲーム?」

 

「う、うん。ゲームだけど殆どお姉ちゃん用のゲームだよ。その・・・現実世界の歌をダウンロードしたらそこでカラオケ出来るんだ。ALOとかにもあるにはあるけどやっぱり基本は戦闘だから種類は少ないし·····自分が作った曲もそこで練習出来るしまあ勿論現実での練習もいるだろうけど家でも感じだけでも練習出来たらいいんじゃないかなって思って·····頑張って作った。」

 

「·····え!?作ったの!?」

 

とレインが驚いた顔をして聞いてきた。

 

「う、うん。去年のお姉ちゃんの誕生日が終わった後から時の巣にいる人に手伝って貰いながら作った。ALOみたいなあんな壮大なやつはまだ全然作れないけど、その中にそれなりに大きいライブできる所とかも作ったんだ。MMOトュモローの掲示板とかにライブの日程とIDを書いておけばライブ中に限って他のプレイヤーもそのゲームに入ってお姉ちゃんのライブ見に行けるようになるしザ・シードは使ってないからコンバートをする必要ないし。」

 

そこまで言ったらレインはまた光輝を抱きしめた。そして泣きながら言う。

 

「ありがとう·····光輝君。」

 

「う、うん。えへへ。」

 

そして少し抱き合ってたがレインが離れ聞いてきた。

 

「じゃあ何があったのか、聞かせて?」

 

「·····うん。」

 

そして光輝はカウンターに向かうのだった。

 

(おじいちゃん、俺は大丈夫だよ。·····俺の事を心配してくれる人がこんなにいるんだから)

 

そう心で呟き周りを見て笑った光輝なのであった

 

 




お疲れ様でした。
覚えてる方少ないと思いますが小物の最恐編の自覚と絶望にて祖父が亡くなる前にあの子が言ってた事はこういう事か·····というのは未来の光輝が落ち込んでる原因を覚えていたからです。死ぬ間際に光輝の守りたかった人達=自分達の事と気づいたのです。最後に生きろと言ったのは自分達が死んでも立ち上がれと言うダブルミーニング。光輝に良い流派に会えるだろうと言ったのはもう会うことを確信していたから。祖父の記憶に未来光輝が残っていたのはそりゃあインパクトが強すぎたから残った。
そして光輝が二刀流がディフォルトになった真の理由·····未来の自分が使ってるのを見て潜在的に二刀流に憧れた。
そして今の所の光輝の夢と目標も出ました。悟空達を超えること、·····まあ最終章の終わり間際になっても越えさせる気はありませんがね。一時的に超えるなら有り得ますがディフォルトで越えさせる気は今の所全くないです。あっても悟空達と同等ぐらいです。

壮大な付箋回収やっと終わりました( *˙ω˙*)و グッ!

祖父のセリフはSAOのカーディナルの名言を参考にしています。あの言葉めちゃくちゃ好きです。

悟飯が特に叱責しなかったのはそもそもこれが歴史の流れだからしなかった。祖父の記憶に残る事も知っていたから何も言わなかった。

次回からは割と飛んでセルゲーム編です!(*´∇`)ノシ ではでは~


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悟空との修行と愛美の願い

おはようございますm(*_ _)m。久しぶりに愛美が出ます。では⊂('ω'⊂ )))Σ≡GO!!


光輝が家族に会い、レインの誕生日パーティーに出てから少し経った。まだ歴史改変は行われていないがトランクス達が次の予想はしていた。

 

「セルゲーム·····ですか。」

 

「はい。あらゆる武道の達人の細胞を採取し作られた人造人間、セルが人造人間17号と18号を吸収し完全体になった時、自分の実力を試したいと言い開催されたのがセルゲームです。」

 

「セルってそういう意味でつけられたのか。」

 

光輝は絶賛英語も勉強中だ。キリトの向かったフォーラムについて行った時全く言ってる事が分からなかったのが癪だったのだ。まあそれはさておき光輝はその歴史を見てみる。·····そして悟空とセルの戦いが終わった時光輝は微妙な顔をトランクスに向けた。

 

「·····俺勝てますかね?これ。」

 

そう言った。赤眼と蒼眼を使えばくらいつけないこともないが恐らくというか確実に持久戦で負ける。というか先の戦いの時点で少ししかついていけなかった。別に弱気と言う訳ではないが現実問題としてそうなのだ。だからまあ今すぐ修行をすべきなのだろうが近日中にこのレベルにいけるのか全く分からない。蒼眼で見えることは出来るだろうが肝心の体が追いつかなければ意味がない。そんな時

 

「ああ勝てるさ。1年間オラと修行したらな。」

 

と言って来たのは悟空だった。だが光輝は疑問を言った。

 

「1年間って·····まああいつらがこのセルって奴に追いつくための時間もいるだろうけど流石にそこまではないんじゃ·····」

 

そこで悟空はにっと笑った。

 

「オラ達の世界に1日で1年分の修行が出来る所があるんだ。そこに行けば大丈夫だ。」

 

「·····え!?1日で1年間って360倍で時間が過ぎてるんですか!?」

 

「おう、そうだ。」

 

そう自信満々に言った。悟空は自身が精神と時の部屋に入った後の伸び代を知っている。そして光輝ならその伸び代をも超えてくれるのではないかと期待している。

 

「どうする?やるか?」

 

光輝は少し目を閉じ頷いた。

 

「はい。お願いします。」

 

「よし。じゃあトランクス、少し光輝を預かるぞ。」

 

「はい。お願いします、悟空さん。」

 

それに頷いた後悟空は光輝の肩に触った。そして額に指を当て光輝諸共トランクスの前から消えた。そして来たのは光輝が初めて来る神殿だ。光輝が不思議そうに周りを見渡した。

 

「もしかしてここって空?」

 

「はい。その通りですよ。」

 

と何か聞いた事ある声が聞こえ光輝は前を向いた。そこにいたのは背丈はピッコロよりも小さいがナメック星人だった。光輝は少し考えハッと思い出して聞いた。

 

「も、もしかしてデンデ?」

 

「はい。あなたの事は悟空さんから予め聞いておきましたよ。こちらです。」

 

そう言って歩き出した。悟空と光輝も続いた。そして中に入った後階段を下って行き何か不思議な感じがしてるドアだった。その時デンデの隣にいた黒い人·····ミスターポポが光輝に向けて言った。

 

「準備はいいか?」

 

何かSAOの時にいたNPCみたいな問いだなと思いながら頷いた。そしてミスターポポがドアを開け悟空が入って行ったから光輝もデンデ達に一礼してから後を追い悟空がいる白色のスペースに来た瞬間色んな事が一度に起こった。先ずは何と言っても少し重くなった。ベジータに借りた重力室程ではないが少なくとも笠木と戦った時の光輝ならば耐えられない重さだった。そして何より温度だ。暑いのだ。

 

「へへ、暑いだろ?ここの気温は50度からマイナス40度で変動するらしいぜ?」

 

「·····何か突っ込むのがもう疲れてきた。」

 

「まあ1年間いたら慣れるさ。さあ修行を始める前に目標を決めておくぞ」

 

「目標・・・ですか。」

 

「ああ、おめぇにはこの1年で超サイヤ人2に完璧になってもらう。」

 

「?超サイヤ人2?」

 

そこで悟空は不思議そうな顔をして言った。

 

「おめえはトランクスから1度超サイヤ人2になれたと聞いてるぞ?」

 

光輝はなった事あるだろうかと考え2秒で思い出した。それと同時に少し暗い顔になり頷いた。

 

「·····あの時ですかね。俺が悟飯さんの隣で地面殴ったり頭突きしてた時」

 

「·····ああ。」

 

そこで悟空の雰囲気が変わった。光輝は悟空の気の高まり思わず踏ん張った。

 

「はぁ!」

 

そう言った瞬間悟空の髪色が金髪になり瞳も翠色になった。ここまでは超サイヤ人と同じ特徴だ。

 

「こいつがおめぇの知ってる超サイヤ人。そして·····」

 

そこで悟空はまた気合いを入れた。そうすると悟空の前髪が一房残して全て逆立ち悟空の周りにスパークが走っている。

 

「·····凄い気だ。」

 

光輝は気づいている。これでもまだ本気では無いことに。·····そもそも光輝は超サイヤ人になっても黒髪の悟空に負けるんだが。

 

「おめぇにはもう1つ目標を立てて貰う。」

 

そう言いながら悟空は超サイヤ人2を解いた。光輝はもう1つ?と聞かれて疑問符を出す。

 

「この1年でおめぇの基本戦闘力も底上げする。ただ超サイヤ人になってパワーアップしても基本の戦闘力が無かったらすぐにバテちまうからな。」

 

「分かりました。」

 

「そうだな、なら普通の状態の時でもフリーザ位の奴らに勝てるようにするか。」

 

「·····頑張ります。」

 

そして2人は構えあったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光輝の世界、アメリカのカリフォルニア州のマンションの一室から少女が出ていきながら言った。

 

「お母さん!行ってきます!」

 

「はーい、行ってらっしゃい。」

 

そんな言葉を聞きながら出てきた少女·····古原愛美はカバンを持って中学校に向かった。日本では基本13歳に中学校に行くがアメリカでは州によるが12歳から行くようになる。愛美がアメリカに来た時はもう何もかも分からない状態だった。アメリカの同級生の言ってる事も予め少し勉強してた英語でも全く分からず暫く泣いた。そんな愛美に父は愛美がアニメなどが好きなのを利用し英語版のドラゴンボールやらNARUTOやらの漫画やアニメを見せた。最初はやはり全く分からなかったがそれでもクラスの子達とコミュニケーションを取りたい気持ちが強く愛美はめちゃ勉強した。おかげで今はペラペラと喋れるようになっていた。因みに今ハマっているのはソードアート・オンラインだ。

愛美は信号で止まり少し空を見上げた。

 

(光輝·····、今も戦ってるのかな?)

 

あの3年前の決戦、一旦映像は途切れた。あんな大爆発が起きればそれも当然だ。そして不安な思いを抱えながら迎えた次の日愛美は絶望した。決戦の地原宿がとんでもなくボロボロだったからだ。そしてニュースの内容は

 

『少年所在不明』

 

たったそれだけの英語を見た瞬間愛美は膝を折って何も言わずとも目に涙が溜まっていた。そして次の英文を見た瞬間声を上げて泣いた。

 

『日本警察は周辺を捜索、しかし笠木璃玖、西沢光輝両名の手がかり、そして肉片すら残っていませんでした。日本警察はこれを受け西沢光輝の捜索を打ち切りました。』

 

『何で·····何でもう死んだみたいに言ってるの!?何で!?』

 

この文面はもう光輝と笠木が死んだ事前提に発表されている。別に笠木何てどうでもいい。例え光輝が殺していたとしても愛美は責めるつもりはない。というか光輝のおかげで今があるのに責めるなんて言語同断だ。でも・・・光輝は平和の為に戦って、それで勝ったのに何で光輝が死ななくてはいけないのだ。愛美はその日ずっと泣き崩れ学校も暫く休んだ。何もかも無気力になってしまった。そして割と無意識に包丁で自分の脈を切ろうとした。それを母親と父親が全力で止めたという事もあった。

 

『光輝がいないならもう生きる意味なんかない!』

 

そんな事を言って無理矢理でも包丁を握ろうとしたが母親に引っ張かれ漸く止まった。だがまた泣き崩れ自室に引っ込んだ。そんな時父親がわざわざ日本から送って貰ったDVDを愛美に渡してきた。「大決戦!超ウルトラ8兄弟!」、その名の通りウルトラマンの映画だ。愛美は今も昔も普通に好きだ。偶にバカにされることはあるがそういう人達は子供心を忘れた可哀想な人としか思っていない。そしてこの映画は光輝と愛美が映画館まで行って初めて見た映画だ。因みに引率は光輝の姉の麗華だった。それでも流石に細かい所までは覚えていなかった。愛美は渡されてからも見ようとはしなかった。見ていたら隣に光輝がいる気がして·····でもいないなんて言う悲しい思いになってしまうかもしれないからだ。

そして渡されて少し経って愛美は小学校から帰ってきた時また泣こうとしたがその時そのDVDが目に入った。そんな時不意に少し見たくなってしまった。だが1人で見るのは怖いから自室ではなくリビングに持って行き見た。母と父は特に何も言わなかった。

そして見始めてから愛美は久しぶりに笑った。メビウスがブロンズ像にされた時は普通に絶望した。だがティガ、ダイナ、ガイアの変身シーンや記憶を取り戻したウルトラ兄弟の変身シーンには1度見た筈なのに鳥肌が立った。そしてメビウスも復活し挑んだラスボス戦でのティガの言葉が愛美を元気づけた。

 

『どんな絶望の中でも、人の心から"光"が消え去ることはない!』

 

そうだ、まだ光輝が死んだと決まった訳では無い。光輝ならひょこっと帰って来てくれるかもしれない。そんな事を愛美は考え始めるようになった。それからの愛美は少しづつ前の状態に戻って行った。

そして愛美が決定的に元気が出るようになったのはあの決戦から約2年後だった。その日古原家は久しぶりに日本にいる祖父母に会いに東京に戻ってきた。その時1度原宿に寄ったが少しボコボコしていただけで殆ど直っていた。そして所々の電柱に花が添えられてるのを見て愛美は少し暗い顔をしたがその後祖父母と久しぶりに会った。1週間は日本にいることになっていたから愛美は次の日に両親に言って·····どこか両親は予想していたみたいだが光輝が住んでた家に向かった。懐かしの景色や高台を見ながら一行は西沢家の家に到着した。愛美はインターホンを押しても誰も出ない事に顔を暗くしたがその時

 

『そのお家に何か用ですか?』

 

と横から声をかけられ3人は見た。そこにいたのはまだ20代だろう女性だった。その女性の手には小さい女の子の手がある。

 

『えっと、あなたは?』

 

そう母·····美月が聞いた。

 

『私は·····まあその家を掃除しに来てるものです。』

 

それだけじゃ全く意味わからん。というより3人からすれば完璧怪しい人だ。だがそんな人が愛美を見て少し目を見張った。愛美はこの人もかと思った。愛美は髪色の事をよく人から言われる。この人もそういう類かと思った。だが·····

 

『もしかして·····古原愛美ちゃん?』

 

『·····え?』

 

まさか自分の名前が飛び出して来るとは思わなかった。愛美の反応を肯定と受け取ったのだろう女性は何故か納得したみたいな感じで頷いていた。

 

『確かにこれは光輝君も惚れちゃうな。』

 

その名前が出た瞬間に愛美ははかば叫びながら言った。

 

『あなたは誰ですか!?何で光輝の事を知ってるんですか!?』

 

『ちょっと、愛美』

 

それに気にするなというふうに首を振って言った。

 

『私の名前は櫂楓、残念ながら光輝君が名前を変えるのは嫌がったからちょっとあれだけど私と夫が光輝君の身元受取人、つまり·····光輝君の今の家族って事よ。』

 

そこで愛美は思い出した。確かに光輝は笠木と戦う前に1人になるはずだった自分を育ててくれた人達って言っていた。

 

『じゃあ・・・あなたが?』

 

それに頷きながら言った。

 

『えっと、取り敢えず掃除しながらでも良いですか?』

 

そう光輝の家を指さした。愛美達はそれを了解し皆入って行った。愛美は片付けられている部屋を見渡し光輝の祖父母が寝ていた所にかけられていた真剣がないのに気が付き聞いた。

 

『·····あの映像見たって言う前提にするけど光輝君が剣を背負ってたのは覚えてる?』

 

『はい。でも全然形が·····』

 

『あれば打ち直して貰ったものなのよ。だから光輝君が使ってた剣は光輝君のおじい様の生まれ変わったもの。』

 

そう言いながらテキパキと掃除する。その時楓の隣にいた女の子が聞いてきた。

 

『お姉ちゃんはお兄ちゃんと仲良しさんなの?』

 

『え·····』

 

仲良し·····少なくとも最後らへんは半分喧嘩別れみたいな事になった。だが愛美はまだ光輝の事が好きだ。光輝が死んでしまったと一瞬でも考えてしまった暁には心がズキズキする。だけど·····だからこそ

 

『うん。仲良しだよ。』

 

そう微笑んだ。だが何故か少女はブーッとした顔になった。

 

『私もお兄ちゃんと仲良しだもん!』

 

愛美はそこで思いっきりえ?って顔をした。まさかこの子と光輝って·····

 

『こーら、誤解招く言い方しないの咲良。』

 

少女の名前は櫂咲良。長女だ。年齢的に光輝がお兄さんだが。その時咲良が楓に言った。

 

『お母さんいつお兄ちゃん帰ってくるの?』

 

そう聞いた愛美は少し顔を下げた。咲良は覚えていないと考えたのだ。自称とは言え兄と慕っていた光輝が今の所行方不明と知ったら自分でさえあんなになったのだ。この子はどうなるのか全く分からない。だったらもう少し大きくなってからの方が·····そう考えていたら楓が言った。

 

『お兄ちゃんはちゃんと帰ってくるわ。今やってる冒険が終われば絶対にね。』

 

愛美はそこでちょっ!っていう顔をした。そんな無責任な事を言うべきじゃない、そう思ったのだ。その文脈では光輝は絶対に帰ってくることになる。だがまだそんなのは分からない筈だ。だがそんな顔をしていた愛美を見た楓はあっとした顔になり古原家を見て言った。

 

『そっか·····愛美ちゃん達は知らないのか。』

 

『え?』

 

『この後まだ時間はありますか?』

 

『は、はい。』

 

そう答えたら楓はじゃあ早く終わらせようと言い速攻で終わらせ5人は櫂家に向かった。そしてリビングに通されソファに座らされた。その間に楓はあるでかい封筒を真ん中にいた愛美に渡した。その差出人を見た愛美は目を見開いて楓を見た。差出人は光輝だった。楓は頷いた後お茶を用意しにキッチンに引っ込んだ。そんな気遣いに感謝しながら封を開けて中身を写真も全部見た。そして読み終わった後愛美は泣いた。色々思う事はあったがそれよりも

 

『光輝·····生きてるなら生きてるって言いなさいよ。』

 

流した涙は光輝が死んでしまったと考えた時とは逆の涙だった。事実を知るまで願っていたのは光輝が生きてますようにだったが今は光輝が無事に帰ってくるようにになっていた。そんな愛美にもう1つ嬉しいことがあった。愛美が16歳の時に日本に戻れる事になったのだ。光輝を待ちたい身としては嬉しいことだ。

 

愛美は信号渡り終えもう1度空を見上げた。

 

「生きて帰らなきゃ·····許さないんだから。」

 

そう空にあの暗い中助けに来てくれた光輝の後ろ姿を浮かべた愛美なのであった。

 

 

 

 

 

 




お疲れ様です。セルゲーム行く前に良く考えれば今の光輝じゃ勝てないじゃん!ってなり悟空と修行です。·····まあ次話の初っ端からもう修行終わってるんですが。
因みにここの悟空の黒髪状態は四星龍と同じ位になってます(ヒーローズで黒髪状態で渡り合ってるので)
だからまあ超サイヤ人の光輝が勝てるはずもないです。まあ宇宙創成編では超の悟空達に合わせられてるのか多分同じくらいに設定されてますが。
そして愛美は光輝生存を知ってます。色々偶然が合わさってなりました。

『どんな絶望の中でも、人の心から光が消え去ることはない!』Byウルトラマンティガ。
自分が好きな言葉でも割と上位にランクインしています。後愛美が見た映画は作者が初めて見た映画です笑。
(*´∇`)ノ ではでは~


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やっぱり便利、影分身の術!!

おはようございますm(*_ _)m。タイトルが思いつかなかった笑。
アンケートの4番目の書き方を試作でやってみました。見分け方は言ってた通り光輝の時は「俺〜」がどこかに入ってます。もう1つの見分け方は三者視点と光輝視点が変わる時は1行離しています。アンケートのご参考に(∩´。•ω•)⊃ドゾー


 真っ白の世界、精神と時の部屋で白色の気を纏った2人の戦士が激突した。ここに何か物があれば吹き飛んでしまうぐらい強烈な攻撃の応酬を繰り広げている。

 

「はあ〜ーっ!」

 

 気合いの雄叫びを上げて2人の内の1人·····光輝は悟空の顔面に拳を振るったが悟空はそれをにっと笑いながら受け流しがら空きの胴にカウンターを取った。

 

「ぐっ!」

 

 そう言ってくの字になったが意地で耐え無理やり拳をまた悟空に向けた。だが悟空はその腕を取り勢いよく背負投げをして光輝を下に落とした。光輝は落とされながらも追撃させない為に印を組んで影分身を出し突撃させた。だが悟空は冷静に分身の攻撃をあっさりと捌き消して行く。全ての分身を消し終わった頃にはもう光輝は体勢を取り直し雄叫びを上げ金色の光に包まれた。それだけならば前の超サイヤ人と同じだ。だが今の光輝の周りにはスパークが走っている。光輝の雷遁を纏った訳では無い。ディフォルトで何故かあるスパークだ。つまり今の光輝は新たな力の超サイヤ人2だ。

 

「おめえの本気を見せてみろ!」

 

 そう悟空が楽しみそうな顔で言った。今は精神と時の部屋から出る前の最後の模擬戦だ。だから光輝は普通に超サイヤ人になる。この1年で光輝の基本戦闘力は最終形態のフリーザを超えている。あの時ボロクソにやられたクウラにも勝てるだろう。

 

 やっぱり強いな悟空さんは。俺が超サイヤ人2になってもまだ黒髪状態だ。それに息を切らしていない。だけど俺だってこの1年何もしてなかった訳じゃないんだ。絶対に超サイヤ人にならしてやる!

 

 光輝はそんな事を心で言いながら先程とは比べ物にならないスピードで突撃した。その瞬間真っ白の世界に閃光が走ったという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 トランクスは巻物の整理をしていた。そんな時後ろから声をかけられた。

 

「おうおう、ちゃんと仕事してるのぉ」

 

 トランクスはその声で振り向き笑って言った。

 

「老界王神様、お久しぶりです。」

 

「久しいのぉ。」

 

 老界王神、悟空達の世界にいる悟空の師匠の界王様よりも賢い人だ。トランクス達がトワ達と戦った時のサポートをここからしてくれた。

 

「今日はどうなされたんですか?」

 

「何、あのタマゴから生まれた宇宙から連れてきたタイムパトロールをちょっと見に来たんじゃが·····」

 

 そこで周りを見た。

 

「どうやらいないみたいじゃの。」

 

「はい。光輝さんは今悟空さんと精神と時の部屋にいます。」

 

「あそこか。·····光輝は自分のいる宇宙については分かっておるのか?」

 

「いえ、まだ話していませんし恐らく話さなくても特に大丈夫だと思います。」

 

 あの卵·····トランクス達がトワ··そしてトワが作った人造人間ミラから守り抜いたトキトキのタマゴ、勿論ただのタマゴでは無い。孵化すれば宇宙が生まれるのだ。比喩でもなく本当にだ。トランクス達はそれに立ち会った。そしてその瞬間時の巣にはその宇宙の巻物が一気に増えた事も覚えている。そのタマゴから生まれた宇宙の地球にはどういう訳か悟空達の物語などが広がっていた。まあ悟空は強いやつがいないことを残念に思っていたのだが。·····そんな時光輝が宇宙単位で見れば産まれたばかりの宇宙でいきなり次元の穴を開けた時は心底驚いた。自分達の世界のような達人がいないと思っていた世界でいきなり空いたのだからそれも当然だ。そしてその事が起きた時ら辺に今回の事件が始まった。そこで時の界王神が光輝を回収し少し脅してタイムパトロールになってもらおうと考えたのだ。

 

「·····もう1つの宇宙はどうじゃ?」

 

 光輝が生まれた宇宙とは別にもう1つ宇宙が生まれた。当時はめちゃくちゃ騒然となった。何せ初めてだったからだ。だが·····トランクスは首を振った。

 

「いえ·····もう1つの宇宙はいわば光輝さんの宇宙の双子のような宇宙ですが·····生命エネルギーの6割方が光輝さんの宇宙に行ってしまい·····この宇宙の地球はもう·····」

 

 そう残念そうに言った。残念がるなら助けに行けやって話だがこれはもう歴史として決定づけられている故に変える訳には行かなかった。これがタイムパトロールの辛い所だ。たった1割と思うかもしれないがされど1割だ。光輝の宇宙の一般人なら問題ないが宇宙単位で見れば大問題だ。

 少し暗い雰囲気になった時、後ろの空間の空気が押されたような感じになりトランクスは振り向いた。そして言った。

 

「お疲れ様です。見違えるように強くなったのが分かります。」

 

「結局悟空さんに一撃もグリーンヒット出来なかったですけどね。」

 

「そう簡単にやらせねえぞ?」

 

 そう微妙な顔で光輝と悟空がやり取りした。その道着はもうボロボロだった。そんな光輝に老界王神が声をかけた。

 

「お主が光輝か?」

 

「は、はい。あなたは?」

 

「よく聞いてくれた。ワシはなこの宇宙で·····」

 

 その時整理してた巻物から紫色の気が吹き上がった。トランクスは仕事モードに入り一旦確認した。そして頷きながら光輝に向いて言った。

 

「来ました。シーラス達の速度が早くなっている。」

 

 ·····俺は少しその理由に心当たりがあるから言っておく。

 

「多分俺のダメージエネルギーが使われたんだろうな。超サイヤ人2になって何度も地面殴ったりしてたし。」

 

 そう言いながら光輝は巻物を受け取って少し見た。その巻物はセルが生み出したセルの子供·····セルJrが光輝の世界で言われているZ戦士をいたぶって悟飯を覚醒させようとしている場面だった。だがシーラス達のせいでJrが強化され戦闘力の低い者から·····そして最終局面では悟飯が超サイヤ人になっておらずかめはめ波合戦して最後は悟飯が·····

 

 俺は一通り見た後深呼吸してボロボロの道着から新しい道着に変わってそして俺の相棒の剣がしっかりと磨きこまれてる状態で交差して出てきた。精神と時の部屋を出る前に悟空さんが出たら直ぐにタイムパトロールかもしれないけど今は疲れてるから少し休むかと言った時にやっといた。·····この2つの剣の新しい力も使うかもしれない。

 

 ·····まあその新しい力と似たような事をまさか親友のキリトやキリトの親友がしてるとは全く思わなかったがそれは少し未来のお話。

 

「それじゃあ·····行ってきます!」

 

「おう!修行の成果を見せてやれ!」

 

 悟空のその言葉に頷き光輝は光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は取り敢えずセルJrが来る前の悟空さんとセルが戦う所ら辺に来た。そして気を消して悟空さんとセルの戦いを実際の目で見てみる。

 ·····やっぱりレベルは高い、だけど今ならちゃんとついていける。というより今の状態のセルなら俺なら勝てる。

 

「か〜めーはーめー」

 

 ·····何かめちゃくちゃ上空に上ってかめはめ波を撃とうとしてる·····そこで思い出した。確かこのかめはめ波は·····

 

「·····しまっ!」

 

「はーーーーっ!」

 

 セルの目の前に悟空さんが現れかめはめ波を思いっきりぶつけた。まさか瞬間移動からのゼロ距離で撃つとは思わなかったが。砂煙が上がりそこにあったのはセルの下半身だった。だけど確かこの後は·····そう思っていたらセルが上半身を再生させ復活した。悟空さんは今のかめはめ波で気を結構消費している。そしてまた始まった激戦。だが少し経った時、悟空さんが降参した。これは俺も最初は驚いたから皆さんの気持ちは凄い分かる。

 その後悟飯さんがリングに降り立った。·····というよりここの悟飯さんは俺よりも年下なのか·····いや、でも確か精神と時の部屋に入ったって言ってたから俺と同い年か·····何か親近感出てくる。未来の悟飯さんとは別の。

 ·····未来の悟飯さんも精神と時の部屋に入れたら何か違ったのかな?せめて悟空さん達の誰かが·····ピッコロさんかベジータさん辺りが生きていたら悟飯さんは人造人間に勝てたかもしれない。というより何か16号がいるのだが今は味方なのか?そう言えば元は心優しいって言ってたけ?シーラス達許すまじ。

 そんな事を考えていたら悟飯さんとセルの戦いは一旦止まった。そして何か話していたそんな時16号がセルを背中からホールドした。そして俺は自爆する!とか言ってしようとした。だが·····何故か自爆できなかった。ここからじゃ聞こえない。そして16号はセルに破壊されてしまった。·····俺からすれば未来の16号の方が印象に残っているが。

 

「·····とうとう出たな。」

 

 セルがセルJrを生み出した。そのJr達はもう既に紫色の気が出ていた。そして一斉にZ戦士に襲いかかった。光輝から感じるJrの気はセルよりもほんの少し小さいが悟飯以外の人たちを殺すなら出来る程だ。光輝はJr達が襲いかかった瞬間にマーキングつきのクナイを雷遁を乗せて投げた。そのスピードはまさに電光石火だった。それにより悟空に襲いかかろうとしたセルJrの腕は切れた。Jrと悟空はそれにびっくりしてる間に光輝は飛来神の術をしてびっくりしてるJrの後ろに一瞬で来てまだクナイを投げた人物を探しているセルJrを吹き飛ばした。そんな光輝に悟空は聞く

 

「お、おめぇは!」

 

「あなた達の味方です!」

 

 そう全員に聞こえるように言った。そして光輝はJrの人数をもう一度数え印を結んだ。

 

「影分身の術!」

 

 そう言って5人の光輝が出てそれぞれのZ戦士の元に集った。それにセル含め全員びっくりしているが更にもう一度驚いた。

 

「な、何だと!?」

 

「超サイヤ人·····」

 

 本体含め6人の光輝はそれぞれ超サイヤ人になったのだ。

 

「四身の拳を遥かに超えている。」

 

 そう天津飯が呟いた。四身の拳は気を使って分裂するから4分の1になってしまうが影分身は使うエネルギーはチャクラだから気は全員同じだ。光輝達はそれぞれのZ戦士と共にセルJrと激突した。




お疲れ様でしたm(*_ _)m。
はい、光輝の剣の新しい力はもうSAOアリシゼーションを見てくれた方は想像がつくと言う。因みに時系列的にはまだキリトはアンダーワールドに行ってません。
ユージオどうしようかな。個人的には生還させたいけど光輝をアンダーワールドに放り込む方法もあるにはあるけど・・・最高司祭やらにはキリトがぶっ飛ばして欲しいから光輝を入れるタイミングが・・・。でも光輝を入れないとリコリスルート以外ならユージオが死亡ルートしかないし・・・。·····まあそもそも流石にまだ書けないのですが。また番外編ですね。

そして光輝の宇宙の出生が判明。ドラゴンボールゼノバース2にて最終決戦のミラ戦が終わった後にトキトキのタマゴから生まれた宇宙です。あの後そう言えば何もなかったよな?と思い拝借しました。そしてまさかの双子の宇宙とな。本物のタマゴからも雛は2匹出る事はあるにはあるらしいですが大半はどちらかが栄養分を取り合って負けた方が死んでしまうらしいのでそれがこの宇宙にも当てはまりました。もう殆ど滅亡状態ですね。
そして不思議と違う次元の物語を光輝の宇宙の鳥山明さん達がインスピレーションを起こしたという。

因みに今の光輝やろうと思えば魔人ブウと赤眼蒼眼使えばなってる間だけ張り合えます。まあ4分経った位から少し動き雑になりますが。

(*´∇`)ノ ではでは~


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エンハンス・アーマネント!!

おはようございますm(*_ _)m。今日はSAOでしたね( *˙ω˙*)و 。
ではレッツゴー⊂('ω'⊂ )))Σ≡


光輝はそれぞれのセルjrと激突していた。

 

「うきき!」

 

そんな少し覇気に欠けた声を出しながらセルJrは拳を突き出したが手の甲で逸らしながら膝蹴りでくの字に曲がらせた。そして光輝は腕を掴んでぐるぐると回し上に放り投げた。その先にはピッコロがおりその来たセルjrを吹き飛ばそうとしたがセルJrは体勢を立て直し小柄の体型を利用しサラッと避けていった。そして拳を振り抜き一瞬止まったピッコロを叩き落とした

 

「ぐおお!」

 

・・・正直に言えば光輝は程々に手加減してる。超サイヤ人2にもなってないし。そんな時状況が動いた。何かどっかから何か落ちた音したなと思い横目で悟飯の近くを見てみれば体を破壊され首だけの16号がいたのだ。光輝は地上にいるセルJr達を見据えながら聞いた。

 

「そ…孫悟飯…… 正しいことのためにた…闘うことは罪ではない… は…話し合いなど通用しないあいてもいるのだ… せ…精神を自由に開放してやれ… き…気持ちはわかるがもうガマンすることはない…」

 

「あ・・・あ」

 

「オ…オレのスキだった自然や動物たちを…… ま…守ってやってくれ…」

 

「ふん!出来損ないが・・・私は私のやり方でやっているのだ。」

 

その瞬間、16号はセルに踏み潰された。その時感じた悟飯の感情は何なのだろうか?怒り?悲しみ?·····いや、その両方だ。その瞬間に悟飯の気が爆ぜた。光輝はこれと同じ現象を自分でもやっている。正直に言うなら光輝は未来の16号とこっちの16号のギャップに割と動揺している。

 

「うわああああ!!」

 

悟飯の髪の毛が更に逆立った。光輝は割と冷静に観察していた。

 

(やっぱり悟空さんに似ているな。)

 

まあ親子だから当たり前なのだが。そんな時トランクスからの通信が入った。光輝もそれと同時に何かやな気を感じた。

 

『光輝さん、セルJrの動きを止めるか倒してください。他の場所で禍々しい気があります。そちらに向かってください。』

 

「もうやってます!」

 

光輝はそう言いながらブルーレッド・オブウォーリアから何やら霜が出ている。その霜は先程光輝が地面に叩き落としといたセルJr達の所に来た。だがセルJrは悟飯の変化に気を取られていて全く気づいていない。そして器用にZ戦士達には霜は避けてセルJr達の所に霜がいった

 

「な、何だこれは?」

 

そうヤムチャが思わず呟いたが光輝はそれを無視しブルーレッド・オブウォーリアを勢いよく地面に突き刺しそして叫んだ。

 

エンハンス・アーマネント!!

 

その瞬間不思議なことが立て続けに起こった。霜があった場所からいきなり氷の蔓が出てその霜の所にいたセルJr達が全員拘束されたのだ。

 

「な・・・何だと!?」

 

「きいーーっ!」

 

セルJr達は氷なんてとか思いながら抜けようとするが抜けない。光輝がそんなJr達に言う

 

「この剣の元の姿の1つは永久氷塊の中にあった蒼薔薇だ。今は引き出している記憶は永久氷塊。そして・・・」

 

そこで光輝はぐっと剣を押し込み叫んだ

 

「咲け!蒼薔薇!」

 

その瞬間に氷の蔓の所々に蒼薔薇が咲き始めた。そしてそれに伴いセルJr達の力が抜けていく。そして何か光ってるものが宙に舞っていく。そんな様子を見ながら光輝は悟飯に叫んだ。

 

「悟飯さんはセルを!」

 

それに頷き悟飯はセルと相対した。光輝はウォーリア・ビヨンド・ディスペアーも出してもう1度叫んだ。

 

「エンハンス・アーマネント!!」

 

そう叫べば今度はウォーリア・ビヨンド・ディスペアーに先程セルJr達から出てきた光の粒が集まり煉獄の炎の気に変化した。そしてその炎は光輝の体を包み体全体を覆った時一気に爆ぜた。

 

「まさかおめえセルJrの気を・・・」

 

それに光輝は頷いた。光輝は文字通りセルJrの気を自分用に変換して一時的にプラスしたのだ。勿論使えばまたセルJrから奪わないとダメだがそんな時間はいらない。そもそもここで倒す予定だからだ。それでも暴れようとしているセルJr達に光輝は言う

 

「その蒼薔薇は俺の強さとイメージで強化される。」

 

何故光輝がこんなエグい事を出来るようになったのか?それは精神と時の部屋での修行の時にはまでにバックする。光輝は剣を、悟空は如意棒を使って戦ってた時いきなり剣から霜が出てきた事に気がついた。最初は何でだ?となったが割と直ぐに分かった。当時の修行してた時の気温がマイナスに突入していたのだ。

光輝達が体を動かしてる時に変わっていたから気づかなかったのだ。・・・次いでに気づいた瞬間に悟空も光輝も氷になりかけたが。そしてその気温は光輝が蒼薔薇を取りに行った時に感じた温度に似ていたのだ。それに剣の記憶が解放され出てきたのだ。だが最初は全く使いこなせなかった。休憩の合間にその力を使いこなせるように頑張ったのだが中々できなかった。そんな光輝を見ていた悟空が試しに自分の気とどうなって欲しいかっていうのを剣にやってみたらどうだ?と言われ光輝は極寒の状態でふた振りの剣を見据えイメージしながら解放してみた。それがあの拘束能力と生命エネルギーを少しの間空中に放り出す事だ。・・・というのは割と制限した時の技だ。最初やってみた時、間違えてそれを見ていた悟空も拘束してしまったのだ。光輝は直ぐに解除しようとしたのだが全く剣達が言う事を聞いてくれず悟空は『しょうがねえな〜』とか何とか言った後に『じゃあ次いでに次も見せるか〜』と光輝からすれば意味不明な事を言い気を高め始めた。気を空中に放つよりも早く気が溜まり氷を全て吹き飛ばした。光輝は思わず目を閉じて次に見た悟空の姿は印象に残りすぎた。

 

『こいつがおめえが目指すべき次の姿だ。』

 

髪の毛は更に伸び眉毛が無くなり感じる気はもう今の光輝からすれば訳もわからなくなるほどだ。だがそこで悟空はあっとした感じで言う。

 

『・・・おめえの肉体が耐えれるか分かんねえな。』

 

『??』

 

『この姿・・・超サイヤ人3は確かに超サイヤ人や2比べたらパワーアップはしている。だけんどその代わりエネルギーの消耗が激しいんだ。』

 

そう聞き光輝は悟空の気を感じてみたら確かに超サイヤ人の時は戦ってなかったらあんまり減らなかった気がほんの少しずつだけど無くなってる事に気がついた。

 

『おめえの体はまだ発展途上だ。だから超サイヤ人3に耐えられるかは分かんねえ。』

 

『・・・え?じゃあどうするんですか?』

 

そこで悟空は超サイヤ人3の状態で腕を組みいい事思いついたみたいな顔をして光輝は少し嫌な予感がした。

 

『超サイヤ人2の状態で超サイヤ人3位のパワーアップ出来たら良いんじゃねえか?』

 

暫し光輝は止まった。その間に気温は普通に戻っていった。そして首を振る

 

『って!悟空さん達は出来るんですか!?』

 

『ん?出来ねえぞ?』

 

それを聞き思いっきりズッコケた。驚かないと決めたがやはり無理だった。その間に悟空は元の黒髪に戻った。

 

『だけんど今のおめえが超サイヤ人3に耐えられるかは分からない以上まだ耐えられる超サイヤ人2の状態で超サイヤ人3位のパワーアップが出来た方が良いんだ。それにエネルギーの消耗も超サイヤ人3の時よりかはましな筈だ。』

 

確かに違う世界のトランクスは超サイヤ人3何て知らなかったから独力で超サイヤ人2の状態で超サイヤ人3と同等のパワーアップしている。まあ光輝はまだそれは知らないからちょっとあれだが。光輝は少し考え頷いた。

 

『・・・そうですね。強くなるにはそれが1番ですね。・・・その前にちょっと試したい事があるんですが・・・』

 

『ん?何だ?』

 

『今度は気温を極限まで高くしてみたいんですが』

 

まあ制御盤がある訳では無いのだが光輝の思いに答えたのかだんだん暑くなってきた。これでも光輝からすれば暑いのだが剣は少しだけ反応してそれだけだ。やはりあのエグい煉獄の炎には及ばない。だが光輝はそれでもいいと少しイメージしてから再び自分の気を剣に入れ込みそのまま暫くして光輝は剣を鞘に戻した。

 

『どうしたんだ?』

 

『いえ、もう出来たのでしまっただけです。』

 

『??』

 

まあ悟空からすればこうなる。だって何も起きてないのだから。だが光輝は本当にこれで充分なのだ。光輝がイメージしたのは蒼薔薇のやつで放出されたエネルギーを集める事だ。元々煉獄の炎が渦巻く所にあった鉱石から出来ている。そしてその鉱石はずっと熱を当てられエネルギーを蓄えてきた。そしてそれを利用し燃えてきたのだ。光輝が取りに行った時は運が良かった。·····つまり光輝の剣には2つとも4つの記憶が眠っている。永久氷塊と薔薇、煉獄の炎にそれを使い更に燃え上がる炎。

 

『光輝、それは制限した方がいいと思うぞ?』

 

その悟空の言葉に頷いた。先程光輝は蒼薔薇を扱いきれなかった。だから今の光輝には全力で今の剣の力を使えない。下手したら自滅してしまう。

 

『うーん、でも俺最初から全力状態をイメージしちゃったから・・・間違えてずっと全力状態をイメージしそうになるのですが・・・』

 

『じゃあ名前をつけたらどうだ?』

 

『あっ、なるほど。』

 

名前を2つに分ければイメージしやすくなる。悟空の名案だ。光輝は少し目を閉じて分けた。だが名前・・・多分この力は剣に眠ってる力がたまたま精神と時の部屋の気温で反応したのだろう。なら記憶全解放は恐らくRelease・recollection(記憶の解放)・・・リリース・リコレクションだろう。じゃあその前段階は・・・

 

『うーん・・・前・・・か。』

 

何かカッコ良さそうな名前にしたい。解放の前・・・なら強化だろう。うーん、俺の知ってる言葉でカッコ良さそうな・・・まあ英語だろう。剣は武器・・・強化ならReinforceだろう。でも武器強化・・・Reinforce Armanent·····何かかっこ悪い。・・・あっ、強化を高めるって言い換えたらenhance・・・エンハンス・アーマネント・・・これカッコイイ!・・・そんな訳でこの力が使えるようになった。

 

光輝は取り敢えず影分身を解除しピッコロの前にいたセルJrに一瞬で距離を詰め一閃した。それにより氷漬けにされていたセルJrを真っ二つにした。これでセルと違ってまだ良い子なら全然良かったのだが全くそんな事は無かったから遠慮なくやった。それにより散らばった氷と爆発したセルJrを見ながらも光輝はまた消えた。先程よりもスピードが上がっている。光輝は天津飯の前にいたセルJrをアインクラッド流《スラント》でまた真っ二つにした。直ぐに消えクリリンの近くにいた2匹のセルJrの1匹を単発重突進技《ヴォーパル・ストライク》で氷をごと突き刺した後セルJrをもう1匹にぶつけた後剣を1つ上に放り投げて気功波で2匹消滅させた。そして落ちてきた剣をノールックでキャッチすれば直ぐに消え悟空の前にいたセルJrにこれもアインクラッド流《バーチカル》で薙ぎ払った。そして残りの2匹はもうその場から気功波で消滅させた。

 

「ふぅ。」

 

そう息をつき光輝は悟飯を見た。・・・圧倒してる。なら大丈夫だろう。そう考え光輝は悟空を見た後やな気の所に飛翔した。

 

 




お疲れ様です(*`・ω・*)ゞ
超サイヤ人3・・・7、8歳の悟天とトランクスのフュージョンしたゴテンクスでも5分間はなれたのですがそれ以上は無理とか燃費が悪いので光輝には漫画版の超のトランクスの方を目指してもらいます。
そして出ました武装完全支配術。でもまさかの記憶解放の方が先という。割といつ出そうか悩んだのですがそう言えば精神と時の部屋って・・・となり無理矢理感満載ですが出来るようになりました。でも光輝は割と使うのは最初は悩んでました。だってやってる事は笠木と被るので。まあそこは我らの悟空が説得しました。
後何か悟飯の感動シーンがちょっと全く感動できないような書き方になってる気がするのでごめんなさいm(*_ _)m
因みに光輝はまだ超サイヤ人2状態での3と同等のパワーアップはまだ出来ません。絶賛練習中です。
そして武装完全支配術の前に何やら霜云々がありましたが別にそれがないと出来ないという訳では無いです。霜はネタバレになっちゃいますがSAOのWOUのキリト復活場面の少し前の所に青薔薇の剣から霜が出て〜。みたいな描写があってその後キリトが武装完全支配術を使った時にその霜からpoh側の敵を全員拘束したとなってるので今回はそうやりました。だって普通にやったらセルJr達躱しそうだし。
(*´∇`)ノ ではでは~


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荒ぶる剣技

おはようございますm(*_ _)m
では─=≡Σ((( っ゜∀゜)っ


セルゲーム会場から少し離れた所、そこに光輝は来た。そして目の前にいる光輝からすれば恨みがありまくる人物に刺々しく声をかけた。

 

「こんな所で会うとはな・・・お前達はよっぽど暇なのか?」

 

それに背を向けていた男・・・仮面の男が振り向いてきた。光輝は今更どうでもいいが目も見えてないのにどうやって見てんだろう?と変な事を0.1秒で考え捨てた。

 

「ふっ、さあな。」

 

光輝は仮面の男の後ろから来た白い男・・・シーラスにも目を向けた。

 

「警告だ。これ以上邪魔すれば正義の為の犠牲になってもらう。」

 

「・・・お前達が何を持って正義とするのか全く知らないし興味もないがそれではいそうですかと退くと思うか?」

 

そう言いながら光輝は二刀を構えた。そしてその二刀に千鳥が宿った。だがその時光輝は仮面の男の何か·····憎悪が膨れ上がった気がした。いや、恐らくしている。その時光輝の隣に光が降ってきた。そこから出てきたのは

 

「悟飯さん・・・」

 

それに悟飯は頷きシーラスと対峙した。シーラスはそれに舌打ちをした。

 

「この戦いは元々この歴史には無かった。だから僕も戦えます。」

 

・・・まあこの時代の悟飯が来たら不味いがそれはないだろう。今セルと戦ってるのだから。

 

「・・・お前とは全力だ!」

 

そう光輝が宣言したと同時に光輝の金色の光が膨れ上がった。そして青白のスパークを纏い超サイヤ人の時よりも逆だった髪に・・・超サイヤ人2になった。

 

「ちっ!」

 

そう舌打ちした仮面の男。どうやら悟空達みたいに戦いを楽しむなんて事はないらしい。光輝は一瞬で仮面の男の前に詰め寄りウォーリア・ビヨンド・ディスペアーを振りかざした。だがその時仮面の男が後ろに手をやり出してきた真剣を見て少し目を見張った。そしてぶつかり合い光輝は無理やり仮面の男を弾いた。

 

「グッ!」

 

そう言いながら一回転し止まった。光輝はそんな仮面の男が持ってる真剣を見る。そして仮面の男は光輝が自分の真剣を見てる事に気が付き仮面の下で少し笑って言った

 

「これが気になるのか?」

 

「・・・気の所為だといいのだがな。」

 

仮面の男が握っている真剣・・・それは光輝の祖父、西沢武蔵の持っていたものに少し形など違えどそっくりだった。だがそんな訳はない。光輝の祖父の真剣は1度打たれ直されそしてその2年後に再び打たれ直され今の光輝の右の剣・・・ウォーリア・ビヨンド・ディスペアーに宿っているのだから。

 

「ふっ!」

 

そう言いながら光輝はまた距離を一瞬で詰めて剣を振り下ろした。それを仮面の男は真剣で受け止める。それにより火花が出たが2人は何処吹く風というふうに斬り合いを始めた。

 

「ちっ!」

 

光輝の振った二刀が仮面の男に掠り仮面が一部頬の部分が取れた。そこから肌が見える。だからって光輝は剣を振るのを止めない。光輝が押している。光輝は紙の棒時代から入れてもう10年二刀流なのだ。その内3年間は命懸けの戦いで磨いてきた剣なのだ。そんな光輝の二刀流が弱い訳ない。

 

「くっそーーっ!」

 

そして焦ったのか仮面の男は大振りな一撃を上段から振り下ろしてきた。その剣を二刀流防御技《クロス·ブロック》で止めて弾いた。

 

「がァっ!」

 

光輝はこれが好機と寸瞬で考え千鳥を更に大きくした。そして噛み締めるように言った

 

「シャイン・ビヨンド・ディスペアー!!」

 

そう言ってALOにいる時とは比べ物にならないスピードで弾かれて体勢を崩している仮面の男に一瞬で詰め寄り真一文字に斬って思わずというふうに仮面の男は血を結構出しながら少し後退した。だがここでは終わらない。光輝は舞空術で飛び上がり剣を持って高速前回転をして斬りつける。だが仮面の男はギリギリ真剣でガードした・・・だが千鳥がそのガードを突き抜け仮面の男の動きを痺れで止めた。光輝は高速回転の後そのまま仮面の男の後ろに突き抜け直ぐに回転しながら再び前に来ながら斬った。また血が出るが光輝の知ったこっちゃない。こいつらのせいで誰かが死ぬなら今ここで倒す。そして光輝は右の剣で顎を跳ねさせ浮かせるのと同時に仮面の男に背中を見せ着地した瞬間にバク転で仰向けに吹き飛んでる仮面の男に追いつき滅多斬りにした。

 

「これで·····終わりだーーー〜っ!」

 

そうして光輝は仮面の男が地面に着くのと同時に右の剣を胸元に突き刺そうとした。だがその時・・・

 

「調子に・・・乗るなーー〜っ!」

 

そう痛みを我慢し仮面の男は叫び気を解放した。光輝は油断はしてなかったが突き刺そうとしていた剣ごと自分を弾かれて少し吹き飛び着地して仮面の男を見る。ボロボロだ。当たり前だ。光輝でも自分で受けるのは嫌な超連撃を放ってほぼ全て当たったのだから。現に仮面の男は剣を突き刺してそれを杖代わりにして立っている。

 

「お前らの動機なんてどうでもういい。お姉ちゃんやキリト達を殺そうとした。絶対に許さない!」

 

そう言って再び気を吹き上がらせた。

 

「どうでもいい·····か。」

 

そう仮面の男は呟き笑ったような気がした。

 

「そうだろうな・・・お前からすればどうでもいいよな。そもそも認識すらしてないのだから。·····それが人間の醜さ・・・お前にはそれがないと期待したがどうやら無駄なようだ。」

 

どこか諦めな声で言った。光輝としては真意を聞きたいがそんなのはここで倒せば関係なくもう歴史が変わることもない。そう思いトドメをさそうとしたが。その前に仮面の男の隣にシーラスが降り立った。光輝の横にも悟飯が降り立つ。悟飯は無傷なのに対してシーラスは結構ボロボロである。だが何か企んでいる顔だ。

 

「ここは退くぞ。」

 

そう言った瞬間に光輝は剣を一瞬で消して気弾を放った。みすみすと逃げられてたまるかと・・・だがシーラスはバリアを張りそれを防いだ。そして光を纏った。仮面の男も光に包まれながら恨めしそうに言った。

 

「今回の勝ちはくれてやる。だが俺は絶対に全てを滅ぼす。」

 

本当は光輝と悟飯も殴り込みに行きたいのだが逃げる為の対策をしてないわけないと考え深追いは止めた。そして完全にいなくなった事が分かると光輝は1度超サイヤ人に戻った。そして悟飯に言った。

 

「悟飯さん。ありがとうございます。」

 

「いや、間に合って良かったよ。」

 

そんな悟飯は涼しい顔をしている。そんなに疲れてないんだろう。だが少し厳しめな顔をして言った

 

「あいつらが犯人か・・・。」

 

それに光輝は頷いた。だが光輝はあの仮面の男が持っていた真剣と仮面が所々無くなり声が少し聞きやすくなったのだが・・・まあそれでも曇ってるが前よりも聞きやすくなりその声が光輝は誰かの声に似ていると思った。だがそれ以上は分からなかった。今度会った時には絶対に仮面をぶっ壊してやると思いながら中途半端に出してた剣を再び出して出しっぱなしだった鞘に納めた。

 

「・・・この気は·····あの時か」

 

そう悟飯がセルゲームの会場に向けて呟いた。光輝はセルゲーム全てを・・・というより正しいセルゲームの流れは分かっていない。最後に悟飯が勝つという事しか知らない。だから悟飯のこの一言に?をつけて自分もセルゲームの方に向けて気を感じてみた。

 

「・・・あれ?セルの気が小さくなってる?」

 

そう、気が小さくなってるのだ。だがなぜ?となっていたが悟飯が言った。

 

「あれでもセルの気は僕の知ってるのよりも大きいよ。つまり・・・まだ改変はある。」

 

それを聞き光輝は悟飯を見て聞いた。

 

「じゃあ次は・・・」

 

「うん。この時代の僕の事をお願いします。」

 

そう言って悟飯は時の巣に帰って行った。光輝は深呼吸した後セルゲームの会場に戻った。

 




お疲れ様です(*`・ω・*)ゞ
悟飯、変身もせずにシーラスボコボコにするの巻·····まあ書かなかったんですが。そして光輝も敵さんをボコボコにする。敵にかける情はねえ!って感じですね。
(*´∇`)ノ ではでは~


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諦めない心

おはようございますm(*_ _)m
SAO最新話のベルクーリがカッコよすぎた。


なんかおかしいな・・・セルの気が少なくにはなったが何故かさっさと倒されない。悟飯さんの気はそのまんまだし。

 

光輝はセルゲーム会場に戻りながらそんな事を考えていた。

 

「あれ?悟空さんとセルの気が消えた・・・」

 

光輝はそう思いながらスピードを上げ会場に戻ってきた。そこにいたのは泣き崩れている悟飯と呆然としていたZ戦士達だった。光輝は空中でそれを見ながら何でだ?ってなっていたがトランクスから連絡が入った

 

『セルが悟飯さんに追い詰められ地球ごと自爆しようとしたんです。それを悟空さんが界王星に瞬間移動して免れたのです。』

 

·····悲しいことこの上ないのだが光輝は不思議と悟空はあの世でも笑ってる気がした。だがそこで思い出した。

 

「あれ?じゃあ俺は何の改変を止めればいいんですか?」

 

『それは』

 

トランクスが言おうとした瞬間にいきなり現れた馬鹿でかい気の奔流に光輝は思わず腕を交差した。そして何か気が1つ減っていると思ってZ戦士の陣地に目を向けたら・・・

 

「トランクス・・・さん」

 

この時代のトランクスが腹に穴を空けて倒れていた。光輝はまたトラウマを呼び起こす所だったがぐっと堪えて馬鹿でかい気の所に向いた。

 

「セル・・・!」

 

紫色の気を纏い心做しか目は赤く光っているセルがそこにはいた。高笑いをしながら形勢逆転の事を伝える。

 

「私は頭に核がある。それが破壊されない限り何度でも再生出来るんだ。そして孫悟空が使った瞬間移動も使えるようになった。それにサイヤ人の細胞のおかげか私は更なるパワーアップを果たした。孫悟空は地球を救う所か私に色々プレゼントしてしまったようだ。」

 

「・・・んだよ、それ。悟空さんは・・・無駄死にだったのか?」

 

おまけにこのセル・・・超サイヤ人2の俺よりも強い。

 

「くっそーーーーーーーっ!」

 

「ベジータさん!?」

 

ベジータがそう言いながらセルに特攻をかました。トランクスを殺された事への恨み・・・なのだろうか?光輝はそんなベジータに思わず目を見張った。そして・・・何故か安心した。ちゃんとベジータにも親としての自覚があったと。·····何故そう思ったのかについては時の巣にいるベジータとトランクスが2人でする事と言えば修行で親子らしい事なのだろうか?と偶に思っている。・・・まあ2人にとっては正真正銘親子の時間なのだが。

だがベジータの攻撃は全く通用せず吹き飛ばされデスビームが放たれた。その速度は光輝がいる所からは間に合わずベジータを助けようと悟飯がベジータの所に向かったが・・・間に合わなかった。ベジータを助けようとした悟飯ごとデスビームに当たり悟飯は左腕を負傷した。・・・光輝はそんな悟飯を未来の悟飯と重ねた。

 

「セルーーーっ!」

 

光輝はそう無我夢中で叫びながらセルに突撃した。

 

「貴様か・・・」

 

光輝のストレートを顔を逸らすだけで躱しカウンターをしようとしたが光輝はそこで一気に気を解放し超サイヤ人2になって少しだけセルをあとずらせた。その間に光輝はセルの懐に入り腹に一撃決めて更に後ろに少し吹き飛ばした。だがセルは光輝の様子を見てふっと笑った

 

「ふははは!!貴様もその姿にはなれるのか!面白い。孫悟飯と貴様を倒し私が最強と言うことを証明してやる。」

 

光輝はそれを聞き一旦顔を下げた。そんな光輝の様子を見てセルは笑いながら言った。

 

「怖気付いたのか?仕方あるまい。自分よりも遥かに強いと貴様も分かっているだろうからな!ははは!!」

 

確かに感じる気はセルの方が大きい。・・・まあ眼を変えたら普通に渡り合えるのだが。光輝はそんなセルの言い分に光輝にしては珍しく薄汚いものを見るようにセルを見て言った。

 

この細胞野郎何を勘違いしてやがるんだ?

 

「笑わせるな。人の力を借りなきゃ何にもなれないやつがよく言うよ。お前自身の力を感じた事もないくせにそれでいて最強だと?俺はお前に似た奴を知っている。」

 

もう二言目辺りでセルは割と怒りの顔が出ていたが光輝は続けた。光輝の脳裏にあるのは笠木だ。

 

「そいつは自分の力を鍛えようともせずに他人から無理やり奪った力を使って世界を支配しようとしていた。だがそいつは負けた。当たり前だ。他人から無理矢理奪った力を悪い事に利用するやつの末路なんてそんなもんだ。」

 

光輝は自分の武装完全支配術を・・・蒼薔薇の方を使うのを割と躊躇っていた。やっている事は正直笠木と被らないでもないからだ。これを使えば自分も笠木と同じになってしまうのでは無いのか?そんなジレンマに陥って休憩時間で悟空が寝てる間に2振りの剣を出してずっと自問自答をしていた。そしてそんな時寝ていたと思った悟空が後ろから声をかけてきた

 

『・・・そいつを使うのが嫌なんか?』

 

光輝は特にびっくりもせずに答える。

 

『·····これを使ったら笠木と同じになってしまうんじゃないかって·····』

 

悟空はそれを聞きながら横に座った。

 

『光輝とあいつは違うさ。例えやってる事が似たような事だとしてもおめえとあいつは違う。あいつは悪い事をしようとしたんだ。だけんど、おめえは誰かを守る為にそいつを使うんだろ?だったら良いじゃねえか。』

 

光輝はそれでも悩んだ顔をしていたが悟空が自分の持論を言った。

 

『オラは武器自体には善悪はないと思ってる。使う人の心がそれを決めるんだとオラは思う。』

 

『使う人の心・・・』

 

『そうさ。この如意棒だって悪いやつが使ったら敵になるしオラが使えば味方になる。少なくともオラはそう思う。』

 

そうして2人は少し無言だったが光輝が立ち上がって言った。

 

『じゃあもう少し付き合ってください』

 

『おう!』

 

そう言って2人はまた修行を始めるのだった。

 

「お前はただ他人の細胞を与えられ努力して強くなろうともしなかった怠け者だ。お前のその完全体とかいうくだらないものの為に何人もの人が死んだ。平和に暮らしていたかった人達を殺した。」

 

そう言いながら更に気を引き上げる。それでもまだセルには届いていない。それを分かってるセルは笑いながら言う

 

「くだらない?貴様のその話の方がくだらないな。何故努力などという無駄な事をせねばならない?それに・・・私の栄誉ある完全体の礎となれたのだ。私の栄養となった者たちは私に感謝すべきなのだ。代わりとは言ってなんだが·····貴様らを殺した後は人間を全てあの世に送ってやる。寂しい思いをする事もないぞ。」

 

そう自分の力に酔っているのか饒舌に話すセル。そしてなにかおかしいのか聞いてくる

 

「貴様らこそ何故勝てもしない戦いに挑むのか分からんな。勝てなくとも逃げる事ぐらいはもしかしたら出来るかもしれんぞ?」

 

「少ない悪人の為に、多くの命を見捨てる訳にはいかないんだ!」

 

光輝はそう言った瞬間に空中からクナイを放ったと同時に光輝も駆け出した。セルは顔を逸らすだけで躱した。その間に光輝の右手からは螺旋丸が出ている。チャクラと気を重ね合わせ普通のようなものよりも大きくなっている。

 

「馬鹿め!」

 

そう言ってセルは消えた・・・瞬間に光輝も消えた。先程まで光輝がいた場所にセルが拳をからぶっていて光輝は先程のクナイの所に来てクナイを回収しながらいきなり高速移動でもなく消えた光輝にセルは目を見開きその間に光輝はセルの背中に

 

「螺旋丸!!」

 

地面に押し付ける形で螺旋丸をぶつけた。セルは地面と壮大なキスした。まあそんなのはセルには自覚がないからほっておき

 

「飛来神・二の段だ!!」

 

そう言った瞬間に爆発が起き光輝はそんな爆発の中から出てきた。

 

俺は煙の中にいる気を感じながら舌打ちした

 

「ちっ!やっぱりそう簡単にくたばっちゃくれねえか」

 

「当たり前だ。確かに今のは驚いたが次はそうはいかん。」

 

不敵な笑みでセルが立っていた。確かにもう1度見せた以上飛来神は通じない、エンハンス・アーマネントも同じく。だが

 

「それがどうした?それで諦める理由に何てなんないな。」

 

そう言ってセルの目の前に現れ拳をぶつけ合いその場にいる悟飯以外を置いてけぼりにした戦いが開幕した。

 

何でだ?こいつ・・・シーラス達のせいでパワーアップはしてるんだろうがこの分だと素でもシーラス達は超えていたはずだ。何でシーラス達のパワーアップが効いているんだ?

 

光輝はそんな事を頭の片隅で考えた。光輝達の立てた仮説では無理やりパワーアップ、それで出たエネルギーを回収するためにはシーラス達も同等のパワーがいるはずだ。だが目の前にいるセルはどういう訳かシーラス達よりも普通に強い筈なのにパワーアップしている。

 

「ふん!」

 

「グッ!」

 

光輝は少し吹き飛ばされ空中で停滞した。セルは光輝を見下ろしながら愉快そうに言う

 

「ははは!!どういう訳か知らんが自爆する時から力が漲るぞ!」

 

「·····成程」

 

そう言えば悟飯さんが自爆するときのセルはもう自分が知ってるよりも大きいとか言ってたな。確かに自爆から帰還後は無理やりパワーアップは出来ないかもしれないが最初からパワーアップしておけば関係ないって事か·····

 

「考え事とは余裕だな!」

 

セルが目の前に一瞬で来て左の拳を突き出す。光輝はそれを顔を逸らして躱した。だがセルの方が早く思いっきり掠った。そして光輝も拳を突き出すがセルの手のひらで止められた。光輝は止められた事を悟れば直ぐに左脚でセルの脇腹を蹴ってぶっ飛ばそうとしたがセルは右の腕を横に置きガードし、ガードが終わった瞬間にそのまま右の拳で光輝の腹を殴った

 

「がハッ·····!!」

 

そのままセルはまた殴ろうとしたが

 

「させない!」

 

「む!」

 

横から悟飯が右の拳をセルに向けていた。それに気がついたセルは光輝を掴んでた左手を離して光輝を蹴った後、悟飯の拳を受け流しカウンターを取ろうとしたが悟飯は無理やり回転してセルを蹴ろうとした。セルはそれに気がついた瞬間に後退していた。そして悟飯と相対していた。そんな悟飯の隣に吹き飛ばされた光輝が来た。

 

「いいだろう!2人纏めてかかってこい!」

 

「・・・絶対泣かせてやる!」

 

光輝がそう言った瞬間に3者は消えた。空に3つの金色の光があちこちでぶつかり合う。だが悟飯は左腕が負傷している。光輝が治せばいいのだがセルがそうはさせてはくれまい。

 

「はあ!」

 

光輝と悟飯がセルに拳を突き出したがセルは両手で止める。そしてその掌から気弾を放出した。

 

「うわあああ!!」

 

そのまま2人は吹き飛ばされ体勢を取ろうとするがセルは立て直される前に光輝の上空に来てハンマーナックル叩き落としぶっといデスビームが右腕に放たれた。光輝は避ける事が出来ずに当たった。

 

「がハッ・・・!!」

 

そして隣にも悟飯が降ってきた。もう2人ともボロボロだ。それでも光輝は抵抗した。

 

「影分身の術」

 

痛い右腕を無理に動かし印を組んで3体の分身が超サイヤ人の状態でセルに向かった。光輝の体力が他の分身まで超サイヤ人2に出来るまで回復していなかったのだ。光輝と悟飯はその間に立ち上がったのだが・・・

 

「ぐっ!」

 

そう言って悟飯は膝をついた。腕の負傷、そして今の戦いで更なる致命傷は負わなかったものの気は超サイヤ人2になった時よりかは少なくなっている。そしてそれは光輝も同じだ。光輝は分身が消された事を悟り前を向いた。そこに居たのは憎ったらしいほどに清々しい笑みを浮かべてるセルだった。そして言った。

 

「お遊びはもうせんぞ。終わらせてやる。」

 

そう言ってこの場にいる全員に見覚えのある構えをした。その技は武天老師と呼ばれる人が50年かけて編み出した技でありその技は弟子達に受け継がれ戦う次元が上がっても使われ続けた技

 

「かめはめ波、か。」

 

セルはかめはめ波の構えをしながらも気を高め続けている。その奔流は思わず光輝も踏ん張る程だ。そんな時光輝は・・・光輝からすれば信じられないセリフを吐く悟飯がいた。

 

「ごめんなさいお父さん。地球守れなかった・・・守れたはずの地球を」

 

光輝はその言葉を聞いた瞬間に悟飯の胸ぐらを掴んで吠えた

 

「ふざけるな!諦めるのか!」

 

光輝のその激昴に悟飯は目を見開いたが直ぐに諦めの目になり力なく言った。

 

「無理だ・・・僕と君の力を合わせても今のセルには勝てない。」

 

今のセルの力は正しい歴史の時よりも強い。少し未来の話だが魔人ブウにまでは及ばないもののそれでも今の2人には手が余る。光輝は渡りあえないこともないだろうが持久戦で負けてしまう。眼を使うのは一気に蹴りをつける時だけだ。

 

「で?それがどうした!?俺達が今ここであの野郎をぶっ倒さなければ皆死ぬんだ!お前の家族も大切な人も!お前はそれで・・・あの世にいる悟空さんに顔を合わせられるのか!?」

 

悟飯それでも顔を下げていたが光輝は叫んだ

 

「あのお前ならどんな場面だって諦めなかった!!何度倒されても立ち上がったあの人とお前が同じなら、今ここであんたも立ってみせろ!」

 

光輝が言ったあの人とは未来の悟飯だ。悟飯は何度倒されても立ち上がり修行をしその度に再び挑んだ。それでも結果的に届かなかった、だがそんな勇姿は光輝を目に焼き付けている。この悟飯と未来の悟飯はもう既に強さも違うし人格も少し違うがそれでも本質は一緒だ。・・・この悟飯からすれば誰だよってなるが不思議と悟飯は黙って聞いていた。そして答える事もしなかった。

 

「ふん!仲間割れか、安心しろ。お前達諸共地球を破壊してやる!」

 

「もう仙豆はないのか?」

 

「もう全部使っちまった」

 

「クソーーっ!恨むぞ、俺達の力の無さを」

 

弟子が自分でも敵わない敵の目の前にいるのに助ける力がない自分を恨むピッコロ。

 

「・・・君は悟空さんの背中を·····見続けてきたんじゃないのか?」

 

光輝はそう言い悟飯を離した。悟飯そのまままた膝をついたが光輝を見た。光輝は悟飯の前に行きながら構えを取った。その構えの時に悟飯は気がついた

 

「君・・・右腕が」

 

光輝は先程の戦いで右腕を負傷した。そんな時悟飯の頭に声が聞こえた

 

『そいつの言う通りだぞ、悟飯!』

 

「お父・・・さん」

 

『おめえがそこで諦めっちまったらオラはただの犬死にだ。敵うってくれ!』

 

そう息子を励ました。

 

「ごめんなさいお父さん。僕が調子に乗ってしまったせいで死なせてしまって」

 

『気にすんな!オラはここで界王様達と楽しく過ごすからさ!おめえは夢を叶えるんだ!いいな?』

 

「はい。」

 

そう返事をし悟飯は光輝の左に並んだ。そして光輝とは反対の構えをとる。

 

『最後に見せてくれよ!オラ達2人で作った力を!』

 

「はい!」

 

そして悟飯と光輝は同時に気を高め

 

「「かー!」」

 

悟飯は右を、光輝は左の手のひらを下に向けた。

 

「「めー!」」

 

2人は同時に悟飯は右の、光輝は左の腰辺りにその手を持っていき

 

「「はー!」」

 

その腰にある手のひらから青色の光が煌めいた。その光は手のひらで大きくなっていく。

 

「「めー!」」

 

その光はとうとう手のひらを覆い尽くした。そしてセルと悟飯と光輝は同時に叫んだ

 

「くたばれ!!」

 

「「波ーーーーーーっ!」」

 

同時に目の前に突き出した。悟飯と光輝のかめはめ波はセルのかめはめ波にぶつかる前に1つになりセルの放ったかめはめ波と同じくらいの大きさになった。そしてその2つのかめはめ波がぶつかった。

 

「ぐっ!」

 

その衝撃に足を踏ん張り光輝は耐えかめはめ波を出し続ける。

 

「ふはは!!諦めろ!貴様らでは私には勝てん!!」

 

そうセルが宣言したと同時にセルのかめはめ波が2人のかめはめ波を押して均衡を破る。2人は懸命に耐える。そんな時セルは後ろから攻撃を受けた。そこに居たのはピッコロだった。ピッコロだけではない、クリリン、ヤムチャ、天津飯が気功波をセルに当て続けてる。

 

「虫けらが!」

 

そうセルが言い後ろに気を放った。その衝撃で4人は吹き飛ばされたがすぐさま立ち上がりまた気功波をセルに当てた。

 

『おめえ達は地球へのダメージを気にしすぎて力を出し切ってねえぞ!地球のダメージはドラゴンボールで元に戻る!爆発させろ!力を!!』

 

「ぐっ!はあああああ!!」

 

2人はそれぞれ叫びながら更に気を引き上げた。それにより均衡が元に戻った。だがセルはそれを感じながらも笑みを浮かべる。

 

「どうした?もっと足掻いて見せろ!」

 

「「ぐっ!」」

 

セルがそのセリフを言った瞬間に再び2人のかめはめ波が押され飲み込んでいく。それでも2人は希望を捨てずに耐えている。

 

「諦めろ!貴様らでは私には勝てん!」

 

だが光輝は絞り出すように言う

 

「俺達が諦めるのを·····諦めろ!」

 

その瞬間にセルはピッコロ達よりも強いエネルギー弾が自分に衝突した事に驚き思わずかめはめ波から目を逸らし上空を見た。そこに居たのは

 

「ベジータ!?」

 

千載一遇、セルの力が下がった事を直感で悟った2人に悟空が言った

 

『今だ!!』

 

「「はあああああああああ!!」」

 

悟飯は残った気を、光輝は赤眼になり一気にかめはめ波を強化した。そのかめはめ波はセルのかめはめ波を徐々に飲み込んでいく。セルはその事に気がついたがもう遅い

 

「な!?·····ば···かな。完全無敵の私・・・が」

 

「完全なんてこの世にはいない!人は完璧じゃないから人なり得るんだ!」

 

光輝はそう言った瞬間に1度手を引きもう一度突き出した。それにより飲み込んでいたかめはめ波がとうとうセルに届く。光輝と悟飯は共にゆっくりと歩く。

 

「行きますよ悟飯さん!」

 

「はい!」

 

「「はあああああ!!」」

 

青色の閃光はこの場にいる者を全てを照らす。その閃光の中にいたセルは徐々に消えていく。

 

「ば·····か・・・な」

 

今この瞬間、セルは破片の1つも残さずに消え去った

 

 

 

 

 

 




お疲れ様ですm(*_ _)m

最初はやっぱりかめはめ波合戦は悟飯とセルだけにしようかと思ったんですがやっぱり未来の悟飯と撃つことは無かったかめはめ波を現代の悟飯と一緒に撃たせたかったんです。

ベルクーリがかっこよかったなあ。裏斬りは無理かもしれないけど空斬りは光輝も再現出来そうだな。・・・流石に未来を斬るのは無理だけど。

(*´∇`)ノ ではでは~


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悟飯と勝負・・・秒殺の模様

おはようございますm(*_ _)m

速攻終わります


悟飯さんと一緒にセルをかめはめ波で消し飛ばし俺は残った気力を使い全力で時の巣に帰ってきて直ぐにバタッと倒れた。そんな俺にトランクスさんが労ってきた

 

「お疲れ様です。歴史はきちんと元に戻りましたよ。」

 

「はあ〜疲れた」

 

そう思いっきり言った。今回ばかりは前のクウラ以上に疲れた。クウラの時は途中でバーダックさんが来てくれたから少しだけ余裕があったけど今回は俺も本気の本気を使った。頭痛いし右腕痛いし・・・俺はトランクスさんに聞いた

 

「あの後はどうなるんですか?」

 

「あの後悟飯さん達はドラゴンボールで地球を戻した後、セルに殺された人たちを生き返らせます。悟空さんは自ら生き返る事を拒否したのでこの時は生き返りませんでしたが。」

 

「·····生き返らせる、か。」

 

・・・俺はドラゴンボールの存在を知った時、使う事を考えなかった訳じゃない。家族を生き返らせたくなかったと言えば嘘になる。だけど俺は結局使わなかった。理由としてはそもそも次元を超えるほどの力が神龍にあるか分からなかったから。もう1つは地球の神龍は1年以上前に死んだ者は生き返らせる事が出来ない。・・・そもそも俺の世界にあの世があるのかすら知らないし。·····そして何より多分それをするのは良くない・・・少なくとも俺のいた世界ではきっと。もし笠木に殺されてしまった人達が生き返ったら今度は俺にも知らない事で死んだ人を生き返らせろみたいな事になりかねない。·····まあ俺が言わなければいいだけなんだが。

 

光輝は思考をして床に倒れていたが起き上がって左手を右腕に当てそこから薄い緑色の光を出して怪我した腕を回復させた。そんな光輝に悟飯が話しかけてきた

 

「お疲れ様、光輝君」

 

「悟飯さんも。助けに来てくれてありがとうございました。」

 

正直仮面の男とは渡り合える自信はあったがシーラスの力を知らないのもあったから2対1なら分からなかったが悟飯さんが来てくれた事により仮面の男との戦いに俺は集中して戦えた。

 

「うん。シャイン・ビハインド・ディスペアー、見事だったよ。あれだけ八つ裂きにしたから仙豆みたいな回復手段がない限りすぐには動けない筈だ。」

 

・・・まあ本気で八つ裂きにしたからな。あれだけやったのに生きてる仮面の男がある意味敵ながら凄かった。俺はそれに苦笑いした。

 

「あの技作った自分で言うのもあれですが俺は絶対あんな連撃受けたくないですね。・・・まあそのままくたばってくれたら1番良いんですが」

 

ないだろうな、最後にあんな呪怨めいた事を言ったんだから・・・全てを滅ぼす、か。やれるものならやってみろ。俺が絶対に止めてやる。その為には

 

「・・・新しいオリジナルソードスキル、か。」

 

まずALOでオリジナルソードスキルを作ってみて出来たらリアルでも出来るようにする。ALOで出来ないと出来ない訳じゃないけどイメージを掴むのはあっちの方が良い。キリトにアドバイス貰えるし。

 

·····まさかそのキリトが今割とやばい事になってるのは光輝が知るのはこの後自分のベットに倒れた時なのだが

 

光輝は少し休憩した後悟飯に向いた。

 

「悟飯さん組手してください!」

 

「うん。良いよ。」

 

悟飯が了承した為2人は刻倉庫から出て少し歩き向き直った。悟飯はシーラスを無傷で退けた。ならせめて今の黒髪の悟飯と渡りあえなければあの2人を同時に相手出来ないという事、光輝はそう感じうずうず出来なくて体力は戻ってないが組手を頼んだのだった。悟飯は変身していないのに対して光輝は超サイヤ人2になった。悟飯は別に舐めてる訳じゃない。光輝もそれが分かってるから一気に悟飯の目の前に現れ拳を振るう

 

「はぁ!!」

 

悟飯はそれを涼しい顔で受け流しカウンターをとったが光輝は半分勘で顔を逸らし躱しそこから乱撃戦が始まった。光輝は悟飯の攻撃をガードしたり逆に殴ろうとするがそのどれもがサラッと流される。そんな光輝の腹に一撃が入った

 

「くっ!」

 

悟飯はそのままもう1回殴って吹き飛ばそうとするが光輝は意地で耐え悟飯の腕を取り背負い投げをしようとしたが悟飯は無理やり両足で着地して逆に光輝を投げ返した。光輝は空中にいながらも回転し地面に着くのと同時に消えた。それと同時に悟飯も消えあちこちで轟音が鳴り響いた。そして1つの影が叩き落とされこれまた轟音が上がりその音と共に金色の光が消えた。

 

「はぁはぁ・・・」

 

何と言うかやっぱり光輝であった。まだ体力が完全回復してないのもあり重い一撃を貰っただけで変身が解けてしまった。そんな光輝に悟飯は言う

 

「今日はもう休んだ方が良いよ。無理しても良くないからね」

 

・・・因みに決着まで僅か1分である。

 

「はぁーい」

 

光輝はそんな力が抜けた返事をしノロノロと立ち上がってお礼を言った後これまたノロノロと自室に向かった。そんな光輝を見ながらトランクスと悟飯は言い合う

 

「・・・これからも楽しみですね。」

 

「はい。俺達から教えて貰って得た力だけじゃない、出会った人達と築いた力を大切にしている。光輝さんは強くなりますよ。」

 

アインクラッド流、ナルト達の螺旋丸や千鳥に医療忍術、そしてギャリック砲やかめはめ波・・・光輝は色んな人から貰い得たものを糧とする。アインクラッド流で得たもので光輝はシャイン・ビハインド・ディスペアーを完成させた。光輝は誰かとの"絆"を大事にしている。それがある限り光輝は歩き続ける事が出来るだろう。そんな光輝を2人は微笑んで見送るのだった

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でしたm(*_ _)m
キリトは今ジョニーにやられたらとこらへんです。アリシゼーションは書きませんがユージオは生存です。

さあ次回からはBORUTOです!・・・まあ流石にボルトが放り込まれた敵とは戦うことは無いんですが·····と言うより秒殺。そういう訳で次回からは原作をNARUTOにします。

(*´∇`)ノシ ではでは~


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番外編 アンダーワールド
アンダーワールドへの扉


おはようございますm(*_ _)m。BORUTOじゃなくてSAOです。セル戦が終わって直ぐです。では⊂('ω'⊂ )))Σ≡GO!!


追記 すいません。思いっきりやらかしました。朝6時にするの忘れて直ぐに投稿してしまいました(o*。_。)o


 セルとの激闘の後、悟飯さんと勝負した後俺は自分の部屋に戻りベッドにダイブした。どこか笠木と重なるセルが相手だったから精神的にも疲れた。悟飯さんの事も少し思い出してしまい余計に疲れが増した。それからあの仮面引っ張がせなかった。そんな事を思いながらメールを確認して

 

「はっ!?」

 

 その内容に飛び起きて疲れてる体に鞭打って俺はキリト達がいる世界に向かった。メールの内容はキリトがSAOの殺人ギルド、ラフィンコフィンの1人·····アジトの場所を吐いたジョニーブラックに襲われ意識不明の重体になったという事だ。·····キリトが襲われもう1日が経っていてアスナさんが面会来る?という事で全速力で向かった。そこにはキリトの妹の直葉さんとアスナさんがいて俺達は面会に向かったが·····何と面会謝絶と言われた。俺やアスナさんは兎も角家族である直葉さんもダメだと言われた。面会謝絶という事は普通はこの病院にいる事になる。だけど探ってみた感じキリトの気が無いのを2人に伝えた。

 

「何か心当たりありますか?」

 

 2人は少し考えて言った。

 

「菊岡さんがキリト君に最先端の治療を受けさせるって・・・」

 

「あー、あのおじさんか。」

 

 俺も1度ALOで会ったことある。クリスハイトという名前のプレイヤーだ。何か興味津々で詰められてお姉ちゃんに庇われた記憶がある。後リアルでも1度会った事ある。

 

「んじゃ問答無用で吐かせよ。」

 

 身長低いのにおぞましい事を言ってる光輝に唖然した2人。そんな2人をほっといて光輝は紙を取り出しある所への連絡先を書いてアスナに渡した。直葉はそれを隣から見た。

 

「とりあえず俺があのおじさんの所にまで行きます。どんな事情であれ意識がないキリトを無断で連れて行ったのは誘拐にあたるし事情も聞かなきゃ俺は気が済まない。」

 

「でも・・・これは?」

 

 アスナの貰った手紙には神代凛子とその凛子の連絡先が書かれている

 

「その人はSAOの時の茅場晶彦の身体の世話をしていた人です。そして·····メデュキュボイドの開発者です。」

 

「え?」

 

 メデュキュボイド・・・それはこの前までユウキが入っていた医療用フルダイブマシンだ。従来では麻酔等して痛みを軽減していた手術等もフルダイブマシンの登場によってマシになってきている。その筆頭がこのメデュキュボイドだ。メデュキュボイドは患者がフルダイブする事により痛覚を遮断し麻酔等無理にしなくても痛みを感じる事は無い。ただ病気が体を蝕むのは変わらないから今の所病気を治す事は出来ないがそれでも患者が物理的に苦しまなくてもいいのは大きなアドバンテージである。家族の人達も患者さんと同じVRMMOにフルダイブすれば実質面会みたいなものになるし以前キリトがユイちゃん用に双方向性通信ブローブと呼ばれる通信機器を使えば擬似的に学校にも行ける。光輝がちゃんと生きて自分の世界に戻れば櫂と相談しながらメデュキュボイドに似ながらもメデュキュボイドよりも高性能のものを作りたいと思っている。ユウキを見るまでは光輝も愛美や咲良の為に一般化用のフルダイブマシンを目指していたが優先順位が変わった。

 

「まあメデュキュボイドを開発したのは確かにその人だけど真の設計者は·····言うまでもないですね。」

 

「団長·····」

 

 光輝は頷いた。

 

「それはこの際どっちでもいいです。キリトのバイトの事は知ってますよね?」

 

 それにアスナは頷いた。と言うより昨日襲われる前に聞いた。ラースと呼ばれる企業が開発したVR機器のテストだ。

 

「俺も詳しくは知りませんが俺も1度見に行った事があります。」

 

 企業見学と称してキリトについて行った。ただ何時呼ばれるのか分からなかったからダイブはしなかった。その時に菊岡本人に会った。絶対に内緒だよと言われ光輝もそれに頷いてキリトが入ったVR機器を見た。そしてその外観が·····

 

「メデュキュボイドに似ていた。間違いなく一般化はまだ無理だな。」

 

 アスナはそれを聞きながら連絡先の紙を見て聞いた

 

「でも・・・どうして神代博士の?」

 

「理由付けです。俺はこれからおじさんの気を見つけたしその近くにキリトの気があるのを確認したんで殴り込みに行ってきます。」

 

 そう言いながら光輝はアスナに手を出すように言い手を重ねて小細工する為に印を結んだ。そんなアスナの手には「光」という飛来神のマーキングが出てきて直ぐに消えた。

 

「行った後連絡するんでアスナさん達を瞬間移動させて俺の所にまで来させます。」

 

 何か常識がぶち壊れる事を言っているが今更なので割愛。

 

「神代博士は力になってくれると思います。神代博士が来てくれた時、博士のお付き添いという事で記録してもらうので連絡しておいてください。キリトや俺の名前を出しても構いません。」

 

 そんな回りくどい事は本当はしないでも良いのだが向こうも国の人間、ぞろぞろと行ったら責められるだろうという考慮だ。光輝は言うべき事を言った後病院の駐車場にアスナと直葉以外いないのを確認した後飛翔した。直葉は今思い浮かべるべきではないが空飛ぶの気持ちよさそうと思ったのだった。その後アスナ達は神代博士と連絡を取った。時差の問題があったが何とか連絡は取れ協力してくれる事になった。

 

 一方光輝は猛スピードで菊岡の気がある場所に向かっていた。

 更にもう一方、菊岡、そしてキリトがいるオーシャンタートルの中では菊岡達は本物の異世界·····アンダーワールドを観察していた·····と言ってもアンダーワールドの方が時間の流れが早いから観察も何も無いのだが。それが暇になったのか金髪の青年·····比嘉タケルが欠伸をしながら隣に立っている菊岡に言った。

 

「ほんとに言わなくても良かったんすか?キリト君のこと」

 

「無論だ。アリシゼーション計画は極秘だからね。」

 

「でも向こうには高性能なトップダウン型のAIがいるって聞いてますよ?その子にかかれば見つけられるのは時間の問題っすよ。」

 

「ユイ君の事だね。確かに見つかるかもしれんが·····アスナ君達にここまで来る手段はない。あくまでも一般人なんだからね。」

 

 それが1番の誤算になるのは直ぐだった。考慮してなかった訳じゃない。そもそも知らないのだから。まさか空を飛ぶ人間がいるとは。

 菊岡達がいるメインコントロールルームに飛び込んできた青年がいた。

 

「どうした中西さん?」

 

「しょ、少年が空を飛んで猛スピードでこちらに向かってます!」

 

「「はい?」」

 

 と2人は仲良く言った。中西と呼ばれた青年がコントロールパネルを操作しヘリポートが見える監視カメラを出した。オーシャンタートルにいる自衛隊員が拳銃を持って出ていく。そんなヘリポートの上に少年が降り立った。既に私服ではなく道着の姿になってだ。

 

「こ、光輝君!?」

 

 と思わず菊岡は叫んだ。自衛隊員も見た事がある故に困惑しながら銃を構える。菊岡はあのグリームアイズとイルファング・ザ・コボルドロードを模した化け物の戦いに勝利してた光輝を思い浮かべ冷や汗を出しながらヘリポートに向かった。

 

 一方光輝はヘリポートに降り経てば何人かの自衛隊員が出てきたがビビりもせず相対した。

 

「ここは進入禁止だ!」

 

 そう言って隊員の1人が銃の銃口を向ける。

 

「あなたに用はない。菊岡っていうおじさんを出せ!」

 

「止まれ!止まらないと撃つぞ!」

 

 そう聞いた光輝は止まらずゆっくりと歩いていく。そして臨戦態勢という意思表示か双剣が背中に出て来て隊員達は言い様のない恐怖に駆られ1歩、2歩と下がる。だが流石に入口の所まで来たら下がる訳には行かない。

 

「撃つぞ!」

 

 そこで光輝は初めて止まりながら皮肉げな笑みを浮かべながら言った。

 

「やって見ろよ」

 

 そこで言われた隊員は脅かすつもりで1発発泡した。だが·····

 

「な・・・ん!?」

 

 光輝の左手が動き何かを捕まえたように握った。そしてゆっくりとその手を離す。そこから隊員が撃った弾丸が落ちた。

 

「別に戦うのは良いが2、3日は寝てもらうぞ。」

 

 そう脅しとも取れる言葉を言い放ち常識では有り得ない白色の気をバーナーの様に出した。そんな人外の領域の光輝に常識に止まってる自衛隊員が勝てる筈もない。そうしていたら光輝は出入口の所を見た。そこから菊岡が慌てた顔でやって来る。

 

「こ、光輝君!?」

 

「おじさん・・・アスナさん達に弁明する準備は整いましたか?」

 

「それは・・・えっと·····」

 

「まあこの際貴方の言い分は直接アスナさん達に言ってもらいますけどね」

 

「え?」

 

 光輝は高速で印を結んで地面に叩きつけた。そうすれば白い煙が出てきてその煙が晴れればアスナ、直葉、シノンこと詩乃が手を繋いでいた。アスナに触れておけば一緒に来れると言っておいたのだ。

 

「あれ?翠さんはどうしたんですか?」

 

 キリトの義母の事を聞いたが直葉は苦笑いしながら首を振った。

 

「お母さん仕事が急に入っちゃって・・・光輝君が動いてくれたって聞いたら何か安心して行っちゃった。」

 

 光輝はキリトの義母とは何度か会った事がある。その過程で信頼を得た。まあ雑誌の編集者だから色々聞かれたんだが。そう思っていたら割と冷徹な殺気を出してる人物がいた。なんと言うか案の定アスナだった。流石に一般人には撃たないだろ・・・というより光輝がいる時点で詰みである。

 

「菊岡さん、説明してもらいますよ?キリト君をどこにやったの?!」

 

 そう言えば残りの2人も冷徹な眼になってて光輝は怖いとか思っていた。菊岡も1人だけの冷徹な眼ならば飄々とする自信はあるが3人の冷徹な眼は·····正直恐怖を感じた。いや、銃口を向けられた方が怖いのだがこれは別ベクトルで怖い。正直光輝も愛美に同じ眼を向けられたらショックで寝込むかもしれない。

 

「あは、あはは・・・」

 

 と何か乾いた声を出すがそんなのしたら逆鱗に触れる訳で·····

 

「「「菊岡さん!」」」

 

「はいーーっ!」

 

 という思わず自衛隊員の敬礼の格好になってその後案内させられた。3人とはアスナにマーキングつきのクナイを渡した後ヘリポートで別れ光輝はアメリカに向かった。神代博士を迎えに行ったのだ。勿論着いたら変化して適当に成りすましてアスナの連絡によって近場のカフェにいた神代博士を見つけ人気のない場所に行き変化を解いた後事情を掻い摘んで説明し力になってくれると言うことで光輝はまた印を結んで神代博士をアスナに持たせといたマーキングつきのクナイの所に飛来神で向かわせた後自分も向かった。一言で言うなら·····修羅場だった。

 

 そして光輝はキリトの事、そして菊岡達がやろうとしてる事を聞いた。ボトム型AI、新生児から本当に育ち個性を確立し·····禁忌を破る事が出来るAIを作る事。その為に赤ん坊の魂·····菊岡達はフラクトライトと言っているそうだが赤ん坊のフラクトライトをお金を払いコピーさせ仮想世界・・・アンダーワールドで育てる。そして禁忌目録という言わば法律のようなものを破ったものを回収し·····戦争に行かせる兵士にする事だ。

 

「Artificial Labile Intelligent Cybernated Existence」

 

「・・・人工高適応型知的自立存在、か。」

 

 菊岡が言った計画名の総称を瞬時に訳し言った。

 

「それが略してAlice、アリシゼーション計画という訳だ。そしてその条件に見合うフラクトライトはある。運命かそのフラクトライト・・・少女の名は・・・『アリス』」

 

「·····あんたらはそのAIが、本当の人間だと分かってて言ってるのか?」

 

 例えAIでも、作られた命でも、そこにある意志は紛れもないその人のものだ。そんな人達を戦わせるなんざ間違っている。

 

「勿論だ。だが私にとってのAI1人分の命は1000人の自衛隊員よりも軽い」

 

「・・・あんたがどう思ってようがもうこの際どうでもいい。·····あんたはこの世界が外の世界の人物によって作られた世界だったらどうする?」

 

「何・・・?」

 

 そんな突拍子の無いことを言った光輝に眉を顰める菊岡

 

「そしてその外の世界の人物が自分達の世界で戦えと言ってきたらあんたはどうする?」

 

 光輝は意識していないがこれは殆ど光輝に当てはまる。光輝は悟空達が守り育った宇宙で産まれ、育ち、色々偶然が重なり今は時の界王神・・・ある意味での自分の宇宙の創造者の元で自覚はないが働いている。

 

「戦うか慈悲を請うか、あんたらはどうする?」

 

 そんな事を言われても普通はそんなのある訳ないと言いたい。だがそれはできなかった。何故ならそもそも光輝が平行世界という世界の出身である意味外の世界の人間だからだ。経験者が目の前にいるのに言えるわけない。

 

「まあ俺は自分の大切な人達を守りたいからって言う戦う理由があるが、何故見知らぬ世界の為に自分の命を投げ出さなければならない?」

 

 その答えは菊岡達には持たなかった。・・・そんな時光輝はアメリカの方角から何か気が近づいているのを感じた。何故か海に潜ってる状態で何人もの気がこっちに向かっているのが分かり潜水艦か何かを使ってるのと分かった。

 

「おじさん、アメリカの方から何か来ますけど物資補給とかそんなんですか?」

 

 光輝が聞いたのは色々疑問があるからだ。菊岡が内密にアリシゼーション計画をするのはアメリカに技術提供したくない為だ。なのにそのアメリカの方から来るのは変だと思ったのだ。

 

「いや、そんな予定はない筈だが·····」

 

「・・・ちょっと行ってきます」

 

 そう言いながら光輝はある事を考え内密に影分身を1人だし本体は船を抜けてヘリポートに出た後、海上を飛んだ。その様子をアスナ達はヘリポートの監視カメラで見ていた。そしてある所まで止まると防御技、爆魔障壁を張った後勢いよく海に潜った。そうしていたのはやはり潜水艦だった。光輝は疑問符を出しながら潜水艦の下に行き持ち上げて水圧と重さをものともせずに持ち上げた。そうして海から勢いよく出てきた。光輝は片手で持ちながら連絡用のイヤホンを付け菊岡と比嘉に聞いた

 

「何かいましたけど知ってます?」

 

「·····いや、そんなのは知らない。」

 

 光輝はそう聞いた後少し荒っぽくその潜水艦を投げた。勿論着水は上手く出来るようにやったがドボーンって音を鳴らしながら着水した。そしてその潜水艦の甲板に乗った。

 

「聞いてるか分からないけどあんたらはお呼びじゃないんだと。そのまま回れ右しろ。」

 

 潜水艦の中ではある1人の男性がヒャッハーしているが光輝は現実では会った事はないから気も知らない。現実(・・)ならばだが。

 だが男のリーダーは秘密裏に潜入しようとしていたのに·····何か人外な少年が邪魔をしてきたから機嫌が悪い。そして荒っぽいが依頼を遂行する為に強行手段に出る事にした。即ち少年を瞬殺し強引にオーシャンタートルに入る。そう思い部下を少年がいる甲板に向かわせた。その時先程までヒャッハーしていた男も追った。色々おかしいとは言え少年は少年、少し脅せば離れるだろうと思っていたがはて?と思いよく見れば·····思い出した。平行世界の少年だと。思い出したのと同じ位にオネエ気質の男とチョコレート色のスキンヘッドの男はライフルを持って光輝の目の前に現れ脅した

 

「あなた、どいてちょうだい」

 

 そう英語で言われた。だが光輝は特に慌てもせずに英語で返した

 

「丁重にお断りする。」

 

 任務完了の為の犠牲としてしょうがないと2人はライフルをぶっぱなした。

 

「恨むなよ!」

 

 そう言いながら連射するが何かおかしいと思ったのか2人は止めた。それとほぼ同時に光輝の姿が煙のように消えた。

 

「ざ、残像?」

 

 馬鹿な!残像を残す為のスピードが人間に出せる筈がない。だが現実問題として目の前の光輝の残像に2人は無駄撃ちした事になり2人は背中合わせになり本体の光輝を探す。そんな時2人の真上から声がした

 

「こっちだ」

 

 2人は首を上に向けると腕を組んで仁王立ちしている光輝を見つけ驚愕した。だがそこで固まるようなら軍人をやってない。2人は即座に銃口を上に向けると再びぶっぱなした。だが今度も煙のように消えた。そうしていたら·····

 

「な、何だよこれ!?」

 

 2人を取り囲むようにドーム状に光輝の残像があらゆる所に出てきた。2人は片っ端から連射するが全て残像で本体がいない。2人とも顔を上にあげていたから下半身がお留守だ。光輝は2人の目の前にいきなりやって来て連射している2人の腹部に気絶させる位の力で殴った。それでも2人には痛すぎるのだが。2人はバタッと倒れ撃沈した。

 

「残像拳ってほんと便利だよな。」

 

 別にそんな事しなくても気絶なんぞ一瞬で出来るのだが少し遊んでしまった。悟空達には通用しなかったけど相手によるが通用する所を試したかっただけだ。取り敢えずこの2人を潜水艦の中にまで放り込んで殴り込みに行こうとしたが何かヒャッハーしている人が銃をぶっぱなした。だが光輝は慌てもせず顔を逸らし避けた。アインクラッドに来る前にも拳銃のスピード位なら見えるようになっている。それより成長した今通じないに決まっている。そしてそのヒャッハー男は光輝の前に姿を現した。

 

「よう、久しぶりだな。蒼赤の戦士」

 

 そう拳銃を持ちながら言ってきた男に光輝は何かどっかで会った事あるなと首を傾け男がして欲しい反応とは別の事をした。

 

「誰?」

 

 男は思いっきりズッコケた。

 

「俺を忘れたのか!?」

 

 一方オーシャンタートルからほんの少し豆粒にしか見えなくなってしまったが何とか拡大しまくり映像は荒いが何とか分かった。そしてアスナと直葉、詩乃は何か光輝が電話で音声だけ伝えてくれている。そして今光輝と対峙している男と声を聞いてアスナはどこかで会ったと必死に思い出して·····オーグマーを使って急いで光輝に知らせた。

 

「光輝君!そいつはPoHよ!ラフィンコフィンの首領よ!」

 

「え?PoH?·····あ〜あの害悪か。」

 

 PoH·····旧アインクラッドの低層の時から暗躍し人々を扇動し争いを引き起こさせようとしていた存在。そしてその内ラフィンコフィンというレッドギルドを作った人物だ。

 アインクラッドでは存在は3通りある。1つはグリーンプレイヤー・・・つまり一般プレイヤーという事だ。2つ目はノンプレイヤーキャラクター・・・NPCでクエストの定型文等を言うキャラクター。ただし例外はあって言語モジュールが組み込まれているNPCは余程高度な会話でなければ一般プレイヤーと会話する事ができる。そして3つ目はオレンジプレイヤー・・・犯罪を犯したプレイヤーはオレンジプレイヤーとなり一部の村などは除き主街区と呼ばれる街に入れなくなったりする。

 では何故PoHが作ったギルドはレッドギルドと呼ばれるのかと言うとそのギルドはHPがゼロになると現実でも死んでしまうのに平然と人殺しをする奴らだったからだ。血を流すギルドと言う意味もあるのかもしれない。そして光輝の前にいるPoHはそのリーダーで1番の悪である。アインクラッドでは光輝の作戦にまんまと乗せられ最後は監獄で過ごした。

 別に光輝は本気でPoHを忘れた訳では無い。ちゃんと覚えているのだが光輝はPoHがボロコートを着て顔がよく見れない姿しか見てないし声もアスナやキリト達ほど会った訳じゃないから覚えてなかったのだ。

 

「何だお前。銃持ってるよりあの中華包丁みたいなやつ持ってる方が似合ってるぞ?」

 

 中華包丁みたいなやつ·····PoHはアインクラッドでメイトチョッパーという短剣何だがそれっぽくない武器を使っていた。光輝も詳しく知っている訳ではないが伝聞では確かモンスターを倒す程ステータスダウンしてプレイヤーを殺せばステータスアップとかいうデスゲームじゃなかったら面白い性能で終わったのにそれがデスゲームで機能してしまったしPoH自身も強かったから中々攻略組も手こずったのだ。PoHを監獄に放り込んだ時はプレイヤーカーソルがない光輝、囮になってくれたシュミットやヨルコ達と光輝が投げる麻痺毒付きのナイフの風きり音をかき消してくれ冷静さを欠かせてくれたキリト達攻略組の協力があって初めて成功したのだ。

 光輝はあの圏内事件の前に1度PoHに会ったことがある。まさかの勧誘をしに来たのだ。人を迷わす口調で光輝を引きずり込もうとしたが光輝はバッサリと斬りかかった。その時はPoHは転移結晶でさっさとどこかに行かれてしまった。その時から光輝はPoHに危機感を持ち始めた。

 

「ああ、俺も銃よりあっちの方が良いぜ。」

 

「銃の方が殺傷力あると思うけど?」

 

 PoH·····リアルネームヴァサゴカルゴスはくっくっくと笑い首をすくめる

 

「あの世界が終わっちまった時は無力感が漂ったなァ。兄弟の所に行ってもそれは変わらなかった・・・」

 

「うーん。中華包丁なら持ってるけどいる?」

 

 そう言いながら光輝は中華包丁を量子変換器から出した。何かギャグ漫画っぽくなっているがそんなにメイトチョッパーが良いなら気分だけでも味わせようと思ったのだ。

 

「リアルの殺し合いをするのか!?イイねぇっ!」

 

 光輝はPoHってこんなキャラだっけ?とか思いながら中華包丁を投げ渡した。Pohはその中華包丁をキャッチし拳銃をホルスターに戻した。因みに光輝が中華包丁を持ってる理由は最初は料理に使おうと思ってたけど使う機会が少なかっただけだ。別にPoHを意識してた訳では無い。そうして2人は甲板で向かい合う。あの世界の様な決闘の合図はないが・・・うずうずが止められないのかPohが仕掛けた。

 

「シャアっ!!」

 

 やはり中華包丁っぽい武器の扱いには慣れているのか常識内なら普通に早い部類に入るだろう攻撃である。しかし光輝は特に慌てずに避ける。そもそも戦ってる次元が違うのだからここで負けたらベジータに殺される。精神的にじゃなくて物理的に。そして光輝は剣も何も持たずに淡々と避け続ける。そして・・・いい加減うざくなったのかPoh・・・ヴァサゴはイライラしてる声で言う

 

「どうした蒼赤の戦士、防戦一方か?」

 

「別にそういう訳じゃないけど・・・お前をどうしようかな?って思って。」

 

「What?」

 

「・・・まあ良いや。どこの誰がやったのか気になるだろうし・・・甘いかもしれないが拘束させてもらう」

 

「・・・そう簡単に行くかn・・・」

 

 言うが早く光輝はブルーレッド・オブウォーリアを一瞬で出して切っ先をヴァサゴに向け静かに呟いた

 

「エンハンス・アーマネント」

 

 そうすれば剣の周りから氷の蔓がヴァサゴを拘束しようと蠢いた。

 

「なんっ!?」

 

 驚愕しつつもヴァサゴは躱そうと試みたが元々甲板の場所が狭く呆気なく捕まった。そしてヴァサゴの顔以外の場所が氷によって拘束された。それを確認した光輝は剣を直しながら近づいた。

 

「何だよこれは!?」

 

 そう叫ぶヴァサゴ。そりゃそうである。こんな魔法みたいな事がリアルに出来て溜まるかと思う。

 

「その氷は俺の実力とイメージで強度が決まる。まあ俺がこの世界から離れるか死ぬか、はたまたお前の実力でぶち破るか、まあ抜け出す方法なら割とあるから。」

 

 セルジュニアの時は知性が低かったのと光輝の方が強かったのもある。問答無用で光輝すらも凍らそうとするのは記憶解放だ。

 そして光輝はそのヴァサゴを菊岡の所に連れて行こうと近づいた。その時、イヤホンからどこか恐怖か苦々しい声が聞こえた

 

「光輝君・・・Pohの拘束を解除して·····」

 

 イヤホンから聞こえてきたのはアスナの声だった。そう聞こえた瞬間に光輝は潜水艦内の気を探った。別にそんな事しなくても影分身がいるからしなくても良いのだが念の為だ。そうするとある気が詩乃と密着している。こんな状況でふざけるとは思えないし・・・というより詩乃はそういう事は断固拒否する性格だった筈だから違う。なら後は・・・

 

「詩乃が・・・人質にされてる・・・」

 

 オーシャンタートル船内では今光輝と別ベクトルに緊急事態だ。光輝が武装完全支配術でヴァサゴを拘束して驚愕している時1人の男が動いた。男の名は柳井、アリシゼーション計画に割と初めから携わっている男だ。柳井は自分に価値を付ける為にこんな事をしている。その内容とは・・・柳井はアメリカのスパイであったのだ。柳井はアリシゼーション計画をアメリカに密告し限界突破フラクトライトをアメリカ側に回収させやすくするのが仕事だ。だから柳井は携わりながらも裏で動いていた。そして今日アメリカが限界突破フラクトライト・・・アリスと呼ばれる少女のフラクトライトを回収しそのアメリカの人達と自分もアメリカにトンズラする予定だったのに思わぬ邪魔が入った。言うまでも光輝だ。得体の知れない光輝は柳井からすれば恐怖対象そのもの。だが失敗をするつもりは無い。柳井は光輝のやってる事に驚愕している詩乃の後ろに瞬時に詰め寄り隠し持っていた拳銃を詩乃の頭にくっ付けアスナに光輝へ拘束を止めるように言ったのだ。そしてこの状況は自分が有利だと思ったのか。更なる要求をした。アスナと直葉に拳銃を向けながら言った

 

「おい!お前とお前!アンダーワールドに行ってアリスのライトキューブをイジェクトしてこい!」

 

 イジェクトするとはどういう事か、その前にライトキューブの説明だ。ライトキューブとは人の心、魂・・・菊岡達はそれをフラクトライトと呼んでいるがライトキューブとは人工的にそのフラクトライトを納める為の物だ。そのライトキューブはライトキューブクラスターと呼ばれる保管庫みたいな物にある。だがその中からアリスのライトキューブを取り出すのは不可能だ。だがそれを可能とする方法がある。それが内部・・・つまりアンダーワールドのシステムコンソールからアリスをログアウトさせアスナや菊岡達がいるメインコントロールルームにライトキューブクラスターからアリスのライトキューブをここに来るという算段である。そしてそのやり方はやはり事情を知っている人が行き尚且つ行く人は仮想世界で違和感なく順応してる人が良い。

 アスナと直葉は詩乃の為に・・・覚悟を決め柳井の言う通りにしようとした。これをすれば菊岡達がしようとしてる事はまた1からしなければならないが今目の前の命が大事だ。その時柳井がモニターの光輝を見て言った

 

「おい!あいつ拘束を解いてないじゃないか!」

 

「こ、光輝君!」

 

 詩乃は今内心ではある拳銃絡みの過去のせいで恐慌状態になっている。ある程度は緩和はしているがそれでも乗り越えきれてはいないのだ。そんな詩乃が今冷静になれる筈が無い。

 アスナは光輝に叫んだが・・・その時アスナも・・・その場にいた少し目が虚ろになっている詩乃と柳井以外の誰もが目を見開いた。

 

「早く・・・」

 

 しろ!と言う前に柳井の拳銃を持っている腕を柳井の後ろからぐっと勢いよく掴み掴んだ瞬間に一気に捻ってもう1本の腕を柳井の後ろで交差させて一気に取り押さえた。

 

「ぐあっ!!」

 

 詩乃はショックでそのまま倒れかけたがアスナと直葉が駆け寄り抱きしめた。そして柳井を取り押さえている人物に言った

 

「光輝君、どうして・・・」

 

 柳井を取り押さえていたのはオーシャンタートルから出る前に光輝が出しておいた光輝の影分身だ。光輝は菊岡の部下の中西が持ってきた縄で柳井をぐるぐる巻きにしているのを見ながら言った

 

「あの潜水艦は確証は無かったけどアメリカの奴だった場合おじさん達がそんなの密告する訳がない。あいつらが狙った様に来たのはアリシゼーション計画を知っているという事になる。なら内部にスパイがいると考えて行く前に影分身を残して船内を見張ってたんだ。まああの潜水艦からPohが出てくるとは思わなかったがな。」

 

 こうして柳井の野望はあっさりと散った。めでたしめでたし・・・な訳なく。甲板にいる光輝はPohが入ってる氷を持ち上げ「冷たっ!」とか言いながら菊岡達の場所に行こうと思ったが潜水艦が沈み始めた。勿論その程度で慌てる光輝の筈なくPohを持ち上げながら舞空術で飛んだ。光輝は一旦Pohを上に投げ飛ばして影分身を3人出して甲板にいるオネエ気質とチョコレート色のスキンヘッドの軍人さんを救出した。もう1人の分身はPohキャッチして本体は再び海に潜った潜水艦を追った。その時船内にいた1人がニヤッとしながら言った

 

「お前の魂は甘いのだろうか?」

 

 その瞬間に潜水艦の発射口から魚雷が何個か出て海に潜った光輝に放たれた。・・・戦略的に何の意味も無さそうだがこの男・・・ガブリエル・ミラーは光輝に興味を持っている。自分達とは違う平行世界から来た少年・・・そして世界を震撼させたソードアート・オンラインを仲間と共にクリアに導いた光の解放者、まあ光輝自身はあれはキリトがするべきだったと思ってるのだがガブリエルにそんな事は関係ない。·····この前ガブリエルがやっているGGOと呼ばれるVRMMOのある大会で自分を打ち負かしたプレイヤーに似ていたのもあるが。

 ガブリエルは幼少期、人の魂とは何か?それを確かめる為に幼なじみの少女を殺した。そしてその時に体験した”魂”との接触、それに快楽を見出し合法的に人殺しを出来る傭兵になった。今回アリスの奪取の任務を国から受け取り自ら部隊を組み向かったのも幼少期から探究してきた”魂”をとうとう解明出来ると思ったからだ。

 そして光輝に放たれた魚雷は全て光輝に当たり波状爆発し水しぶきがアスナ達にも見える程に吹き上がり唖然とした。

 

「光輝君!!」

 

 ·····巨大な水しぶきが上がる中見るがアスナ達はまた色々ぶっ飛んでる光輝の事を再確認するのだった。

 

「·····彼は人間をやめてるのかい?」

 

 そう思わず菊岡は聞いたが誰もそれに答えられなかった。先ずヴァサゴ達を持ち上げている光輝達は顔色ひとつ変えていない。そして次の瞬間出てきたのはあの潜水艦と無傷の光輝だった。光輝が菊岡の思わずの言葉を聞いて何言ってんだ?みたいな声で返す。

 

「失礼な。人間が人間を殺す為に作った物なんぞに何で俺が負けなきゃならないんだよ。」

 

 ·····まあ確かに魚雷や銃等は人間や人間がいる潜水艦に向けられる回数が多いが決してそれだけではない。きちんと人助けに使われる時もあるから一概には言えないが光輝は銃と言えばショッピングモールのあの件しか覚えていないからそんな考えになる。

 

「確かに悟空さんが言ったように剣も銃も使う人の心次第、それは否定しない。だけど少なくとも俺は自分達の私利私欲の為にそれを使う奴には絶対に負けない。」

 

 精神と時の部屋での修行中に悟空に言われた事を言いながら光輝は潜水艦の甲板に降り立った。逃げきれないと思ったのか再び扉が開いてそこから出てきた男を見れば光輝は何か既視感に見舞われた。髪は金髪で格好はヴァサゴみたいに軍人のそれだ。だが纏う雰囲気はヴァサゴとは別ベクトルで変だ。漢字で表すならば虚無、心の奥底が分からない。そしてそんな奴を光輝はもう1人、仮想世界で知っている。

 

「·····なぁ、あんたサトライザーって知ってる?」

 

 それを聞き相手は眉を少しビクッとさせた。そして無表情で言う

 

「私だが?」

 

「あ、やっぱり?」

 

「サトライザーというのは?」

 

 とアスナや詩乃達に聞く。女性3人は普通に驚いた。何故なら・・・

 

「なんで・・・サトライザーがここに・・・」

 

「サトライザーは・・・前あったBOBで準優勝したプレイヤーです」

 

 B.o.B・・・バレッツ・オブ・バレッツの略称で詩乃のメインアカウントがあるGGOの最強プレイヤーを決める大会。詩乃と詩乃に誘われた光輝はそれに出た。キリト達も誘ったのだが予定がB.o.Bの途中まであったのが原因とその他のメンバーはいきなり銃の大会に出ても勝てる見込みが少なかったので遠慮した。光輝は詩乃にB.o.Bでも伝説作らない?的な事を言われあっさりとついて行った。レインは光輝がその内不審者について行かないかな?と心配になったがそれはただのブラコンである。

 そしてB.o.B予選を2人は違うブロックでそれぞれ通過しラストのバトルロイヤルに挑んだ。そこで観客は色々叫んだ。何故なら大会に第1回B.o.B優勝者・・・サトライザー、つまり光輝の目の前にいる本物の傭兵が出ていたのだ。サトライザーはその傭兵で培った経験で第1回のB.o.Bではナイフとハンドガンのみで優勝した。本物の傭兵なのだから本物の銃に触った事がないものが9割以上の日本のGGOのプレイヤーの動きを先読みする事など朝飯前だ。因みに第2、3回はそんな本物の軍人がアメリカからわざわざログインして色んな意味で素人の日本プレイヤー相手に無双したのが問題になったのか別サーバーに分けられた。

 

「へー、でも何となくアバターとリアルは似てますね」

 

 光輝は呑気にそんな事を言う。仮想世界で出来る事はリアルでも代償はあるが出来る、それが光輝の持論である。·····そこで菊岡があれ?という感じで女性3人に聞いた

 

「でも準優勝何だよね?優勝は・・・?」

 

 そう菊岡が聞けば3人は隣にいる影分身光輝を指さした。サトライザーは本物の傭兵経験で磨いた日本プレイヤーからすれば反則級なプレイヤースキルを発揮した。例えば第1回大会はハンドガンとナイフだけを使って優勝したのだが第4回では何と何も持たずに現地調達だけでバトルロワイヤルを生き抜いていたのだ。因みに最初は軍用格闘である。そして光輝、サトライザー、詩乃のアバターのシノンは最後まで残った。

 シノンは狙撃手である。だから基本的に位置取りが大事だ。そしてシノンは前大会の優勝者でそのプレイスキルも普通に高い。そのシノンが選ぶ位置取りをサトライザーは予測し何と先回りしたのだ。そして軍用格闘で吹き飛ばされ現地調達していたナイフで腕を封じ挙句の果てに首絞めをしてシノンに勝利した。

 

「やはりお前だったか、西沢光輝」

 

 そうサトライザー·····リアルネームガブリエル・ミラーは言った。バトルロワイヤル決勝戦。光輝は遠目からサトライザーの戦いを見ていた。結果的に言うなら街中で戦うのは危ない印象があった。まあ光輝としてはどちらでも良かったのだが。

 だから光輝はシノンがやられたのを見た後大胆にも砂漠のド真ん中に向かった。B.o.Bでは15分毎にバトルロワイヤル参加者の位置が分かるサテライトスキャンというものがある。参加者はそれで位置取りや相手の方に向かう。光輝が砂漠に着いたのとほぼ同時にそのサテライトスキャンが始まりサトライザーは位置を先読みしようとしたのだがどういう訳か光輝は動かない。サトライザーは初めて少し調子が崩れた。

 そして砂漠に向かった。シノンが落としたスナイパーライフルで狙うのもありだったがサトライザーは速度を早めにステータスを振っていたのでスナイパーライフルを持つのはシステム上無理であった。そうして2人は真正面から向き合った。

 

「あんた普通に強かったから少し驚いたよ。」

 

 光輝は普通にサトライザーに感心してた。サトライザーはもうハンドガンの弾もなかったからナイフ1本だった。そして2人は・・・何と光剣を使うのでもなく普通に格闘戦を始めた。その中でナイフで光輝を斬ろうとしていたが光輝はそれを弾いて正真正銘無手での戦いをした。結果から言うならば光輝の勝ちだ。タイムパトロールで得た反射神経、実戦経験を駆使した。リアルの様に体は動かせないがそれでもそれらの経験で圧倒していた。確かに軍用格闘と比べたら荒削りだがそれをひっくり返す程の死線や修行を繰り返した光輝には通じなかった。サトライザーの一挙一動が光輝にはゆっくりに見えたし。しかしそれを差し引いても光輝は普通にサトライザーの事をすげぇとは思った。あれだけえらい実践的な動きをするとは思わなかったのだ。でもそれが目の前の軍人と同じならなるほどなぁとは思う。

 

「で、まさか俺にリアルでリベンジしに来た訳じゃないよな?」

 

 これは光輝はないと思っている。自分が来たのはついさっきだからこいつらには知る術はないと思っている。柳井のことを差し引いてもだ。仮に柳井が密告した所で来るのが早すぎる。まだアスナ達を連れて来て30分すら経っていない。飛来神様々である。光輝は悟空の瞬間移動も覚えたいなぁとは思っている。飛来神と違ってマーキング無しで出来るし·····その代わり人が近くにいないと出来ないがその時は飛来神を使えばいい。

 

「いや、違う」

 

 サトライザー·····ガブリエルは今頭の中でこの状況をどうするのか高速で考えていた。ソードアート・オンラインで光輝の身体能力はリアルと同じという事は言われている。しかし世間では大概それは嘘だと言われている。当たり前だ。ヒースクリフとの最終決戦、ヒースクリフはゲームマスターのオーバーアシストを使っていたから兎も角光輝は素で常識人なら見えないスピードを出したのだ。それがリアル由来何て規格外にも程がある。だから大概は嘘だと思っている。しかし·····どう見てもあれは本当だ。本物の軍人を3人·····その内の1人は同じソードアート・オンラインを生きたヴァサゴをもあっさりと打ち破ったのだ。オマケに魔法の様なものを使ってだ。

 ならば命乞いでもする?NOだ。膝は立つためにあるのであってつくためにあるのではない。·····だが打つ手がない。ヴァサゴ達は捕らえられ潜水艦で戻ろうにも光輝の力で押し戻される。所謂絶体絶命だ。しかし·····抵抗はする。ホルダーにある拳銃を光輝に放つ。だが特に慌てもせず手で掴む。少し熱いが気にしない。ガブリエルは流石に止められたのは驚いた。そして·····まあ光輝無双の始まり始まり〜!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それであいつらどうするんですか???」

 

 光輝はモニターに映って仲良く並んで気で作った輪っかで拘束しているヴァサゴ含めた軍人共を見る。あの後はもうガブリエル達は逃げる為にあの手この手で戦った。催眠弾やら投げたりして。しかし光輝は普通に風遁でそれらを吹き飛ばしたりするから全く役に立たない。その内弾も使い切りGGOの時の様に格闘戦を仕掛けたが歯が立たずガブリエルも潜水艦の中にいた残りの面子も全員あっさりと拘束して全員オーシャンタートルに連れてきて光輝は案内された別室に全員放り込んだ。気の輪っかで拘束しているからナイフや何かの破片があったとしても切れない。切るには馬鹿力がいるが全員光輝に比べれば非力だった。その後光輝は潜水艦を押してオーシャンタートルの横に位置づけ自衛隊員達が中を調べた所やはりアメリカだった。

 

「これはアメリカへ巨大な貸しに出来るからね。」

 

 そう言って菊岡が悪い顔になっているが光輝はもうヴァサゴ達に興味はない。光輝はベジータにSAOでヴァサゴ達を殺さなかったのは甘いと光輝は言われた。実際光輝も甘かったと思っている。これがナッパやフリーザ程止める声も聞かず一般人には手が出せない程強かったのなら恐らく殺していた。だがこれからヴァサゴ達に待っているのは極秘任務をバラされた挙句に敵地に捕まった無様な奴らだ。国に帰ってもその国からの制裁もあるし。

 そして少し考えた後後ろの女性3人に向いた。

 

「一応聞いときたいんですけど御三方はアンダーワールドに行きたいですか?」

 

「勿論よ」

 

「私も」

 

「私も。」

 

「·····やっぱりそうだよなぁ。俺も行きたいけどここのは後3機しかSTLないって言うし·····しょうがない。比嘉さん」

 

 そう言って金髪青年にむく

 

「な、何すか?」

 

「STLの作り方を教えてください。」

 

 ·····流石に全員唖然とした。

 

「い、いや教えても予算何てないっすよ!?」

 

「別に構いません。当てがあるので大丈夫です。あんたらはアリスに来て欲しいんだろ?だったら戦力は多いに越したことはない筈だ。」

 

 確かにそうだ。だが·····いきなり企業秘密を教えろと言われても困る。

 

「別に他の所に売るとかそんなのしませんよ。以降のフルダイブマシンの参考にならするかもしれませんが。つーか俺はそんなに金に困ってないしな。」

 

 確かに光輝は給料を貰う事はあれどそれを使う事は珍しい。何故なら時の巣で食材は時の界王神が光輝の料理を気に入り食材くれるし電気代等ないし。部屋は貰ってるが家賃を請求されたことなどないし。お金を使うのは武器達の点検で光輝の2振りの剣を作ってくれた鍛冶屋さんに点検してもらう時とか偶にレインやセブンが買い物行こうと誘ってくれた時に使う程度だ。

 

「·····」

 

 比嘉は菊岡と眼で相談した。確かに光輝には今莫大な借りが出来た。それに戦力が多い方がいいのは事実だ。・・・でも何か自分達が作ったマシンが簡単に模倣出来ると思われているのが少し癪だ。眼で相談を終えた後ため息をついて言った

 

「分かったっス。今から製造の仕方が書いてある紙を持って来るっす。」

 

 そう言って部屋を出ていった比嘉を見送ればアスナ達が聞いてきた

 

「光輝君·····STL作れるの?」

 

「まあ·····俺だけじゃ流石に厳しいだろうけど・・・茅場晶彦と同等以上の科学者を知ってるんで手伝ってくれと頼んでみます。それにあの人も多分興味持つと思うし」

 

 茅場晶彦と同等以上の科学者・・・アスナ達は驚いているが光輝には心当たりが本当にあるし。この攻守ともに便利な量子変換器を作ったりした人だし。

 

(悟空さん達の世界も科学は発展してたけど魂を解読する機械は俺の知ってる限り無かったからブルマさんも興味持つだろうな。)

 

 ブルマ·····ベジータの妻でトランクスの母で天才科学者だ。ベジータ達と同様に老衰で亡くなった後ベジータがタイムパトロールになる条件としてブルマの家族·····ブリーフ1家が良かったら時の巣に連れてきてくれ的な事を少し怖めに言ってブルマの父と母は天国でゆっくりすると言ってブルマだけやって来た。因みに悟飯も同じ条件を出しており母と祖父のチチと牛魔王が来て普通に暮らしている。ブルマはその生涯で得た科学力を駆使しタイムパトロール·····は殆ど脳筋だから光輝を科学面でバックアップしてくれている。

 

「これがSTLの作り方っス。」

 

 そう言って戻ってきた比嘉さんがやたらと分厚いファイルを渡してきた。見るのはブルマさんとにしてお礼を言う

 

「うーん。じゃあ多分ここに来るのは3時間位だと思います。」

 

「·····え??」

 

「それから比嘉さん。FLAを下げてた方が良い。キリトも目的が分からないのならアリスさんの事をどうするのかなんて分からないでしょ。」

 

 光輝は言うが早く時の巣に戻った。そしてブルマが時の巣でのんびりしている事を確認した後向かった。何か豪華そうな椅子で寝ているブルマに光輝は少し申し訳なさげな顔で覗き起こした

 

「ブルマさん起きてますか?」

 

「·····ん・・・あら?光輝君どうしたの?」

 

 一応精神年齢はお婆さんの領域に入っているはずだが全くそんなに気配はない。何でだろうと光輝は思いつつもかくかくしかじかと説明しながらSTLの作り方のファイルをブルマに見せる。光輝も説明しつつも横から覗いてみる。やはりナーヴギアよりも色んな面でスペックが半端ない。メデュキュボイドという先例があったとしてもこれを作り上げた比嘉達に素直に凄いと思った。

 

「·····ふーん、成程。これは凄いわね。光輝君が使ってるアミュスフィアよりも何倍もスペックがすごいわ。」

 

「その分大型にはなってしまいますが・・・」

 

 と光輝はSTLの台を思い浮かべながら言う。スペックが高くなればその分大型化してしまう。アミュスフィアはナーヴギアの後継機だがナーヴギアよりもスペックも良いということではない。寧ろスペックは低いだろう。そもそもナーヴギアの何が恐ろしいのかと言うとソードアート・オンラインの時の様にやろうと思えば高出力の電磁パルスを発生させ着用者の脳を破壊出来る事だろう。その機能によってキリトやアスナ、レイン達はデスゲームになってしまったのだ。アミュスフィアはそんな事を踏まえ出力を下げ人を殺す程の電磁パルスを出せない設計になっている。そしてナーヴギアはバッテリーが内蔵されているがアミュスフィアにはないから余計に小型になった。それでも頭を覆うがスタイリッシュにはなった。

 

「へ〜、フラクトライトアクセラレーション·····そのアンダーワールドって所では何時でも精神と時の部屋状態って訳ね。」

 

 フラクトライトアクセラレーション・・・略してFLAと言ってブルマが言った通りSTLでアンダーワールドにダイブした時精神と時の部屋の様に現実とアンダーワールドの内部時間は違う。今は光輝の支持によってFLAの倍率は下げられている。光輝は知らないが今キリトは修剣学院と言う所に入り1年と少し経って上級修剣士というものになった所ら辺だ。そこから既に現実と時間がリンクしている。

 

「はい。でも肉体事ではなく精神的にですからただの精神の部屋になってますが。」

 

 まあ光輝も昨日より1つ歳を取っているんだけども。その事はまだレイン達には話していない。ブルマは一通りファイルを見てもう一度最初に戻り光輝も使ってる自分の量子変換器からペンを取り出しあれこれ書いて行った。

 

(·····返した時に怒られる気もするけど遅かったからまあ良いや。)

 

 ブルマの作業から約1時間、光輝は暇だったからイメージ練習·····このイメージ練習というのは先程ブルマも使った量子変換器からスっと武器達を引っ張り出す為のものだ。慌てて全く関係ないものを持ってきても困る。使い用によっては16号にしたみたいに目潰しに使えるから割と重要な修行だ。悟空達は量子変換器は使っていない。悟空もトランクスも武器は最初から背負っている。ベジータ達はそもそも武器を使わない。

 

「・・・よしっ!お待たせ、始めましょうか。」

 

 ブルマは一通り自分のメモ書きを終え座禅を組んで空から武器達を地面にズサズサしている光輝に言った。光輝は頷いてブルマの工房に向かって取り敢えずブルマに指示された材料を影分身を何十体か出して手伝いを始めた。そしてブルマの天才性と経験、光輝の色々雑務の助力により1時間半でSTLが出来た·····筈だった。そう筈だったのだ。確かにSTLを目指した筈なのだ。しかし今目の前にあるSTLは·····キリトが使ってるSTLよりも小さい。造形としては大きさはナーヴギア、スタイリッシュさはアミュスフィアが足して2に割った感じがする。つまり頭にすっぽり入る形のあれだ。

 

「あのーこれで良いんです·····よね?」

 

「勿論よ!スペックはそのSTLと同じ筈よ。大型化してしまってる所は小型化をしてる。光輝君も頑張ったら自分で作れる様になるわよ。」

 

「本当ですか!?」

 

「ええ。あっ、これ書いちゃったけど返すわ。」

 

 そう言って分厚めなファイルを光輝に返す。光輝は少し覗いて見た。そこにはSTL小型化の秘密的な事がドバーッとブルマの少し読みにくい字で書かれている。光輝も最初はこの字を読めなかったが最近漸く読めるようになってきた。ただブルマと何にも関わって来なかった一般人には分からない。ブルマはファイルを渡した後

 

「それからこれも丁度出来たところだったの」

 

 そう言ってなにやら変な四角形でコンセントの差し込み口が何個かありメーター的なやつがある物体を渡してきた。

 

「何ですかこれ?」

 

「前に暇だったから気について一緒に調べたでしょ?それはその気を電気に変換するものなの。光輝君の雷遁は出力が強すぎて無理だったからね。」

 

「すげえ」

 

 と光輝は純粋に驚きまじまじとそれを見て小型STLを下ろしその機械に自分の気を入れた。そうするとメーターがぐんぐんと上がりMAXになり止めた。ここまで光輝の気の1割も使ってないが

 

「うん。それで普通に使ってたら5年は持つわよ」

 

「·····突っ込むの疲れました」

 

 その後光輝は少し悩み影分身をまた出して小型化STLをもう何台か作る事にした。寝起きのブルマをこれ以上無理させたくなかったのだ。光輝の中でいつかこれ以上のフルダイブマシン作ってやると息巻いているが今は端に置いておく。そして本体の光輝は再びオーシャンタートルで待つアスナ達の元に向かった。

 

「ただいま!」

 

 いきなり出てきたから初見の菊岡や比嘉は真面目にビビった。アスナ達はもう慣れてしまったが。比嘉にファイルは影分身の自分が後から持ってくると言い放ち3人に向いた。

 

「すいません・・・持ってきたのは良いんですが俺今全く本調子じゃないのでダイブするのは明日でも良いですか?」

 

 そう言いながら光輝は欠伸する。

 

「光輝君いつも元気なのにどうしたの?」

 

 アスナが不思議そうに聞いた。あのグリームアイズ達の時だって息一つ切らしていなかったのに今の光輝は普通に疲れている。ソロでクウォーターボスに挑んだ時並にだ。その時よりも強くなってからは精神的に疲れてる事はあれど肉体的に疲れてる事はなかった。菊岡や比嘉からすればその光輝の手にある小型STLの方が圧倒的に気になるのだが。

 

「俺アスナさんに呼ばれる前にタイムパトロール·····死闘クラスのやつをやって来たばっかり何ですよ。そのタイムパトロールが終わって速攻でこっちに来たんです。それから影分身をいっぱい使ったのもあります。」

 

 ·····本調子でもないのに軍人共相手に無双したのかとアスナ以外全員思っているが気にしない。因みにヴァサゴ達は厳重に拘束されている。

 

「・・・そんなの黙ってたらまたレインちゃん怒るよ?」

 

「うぐ!」

 

 今の光輝に怪我の跡はない。しかしアスナ達は医療忍術の存在は知っているからそれだろうと思ってる。それから死闘クラスのパトロールの事を黙ってたらレインが怒る。少なくとも安全にやって欲しいのだが如何せんそれは決められない。

 

「・・・光輝君も疲れてそうだし明日にしよっか。」

 

「何かすいません。それからまだこのちっちゃいSTL作ってるので後4人はアンダーワールドに行けますから来たい人聞いといてください。お姉ちゃんと七姉ちゃんは正直分からないけど。」

 

 言うだけ言った光輝はめちゃくちゃうとうとしている。影分身の疲労まで受け継いでいるのだからそれも当然だ。光輝は客室に案内された後直ぐにぐっすりと寝始めた。因みに光輝はレインのアイドルグッズの人形を貰っておりそれをギューッとしながら寝ている。アスナ達はそんな光輝の寝姿をスマホに収めレインに送っておいた。寝て暫くすれば他の光輝達もやって来て小型STLを渡した後全員眠いと言って消えた。そんな光輝に拍子が少し抜けたがアスナ達も今日は休む事にしつつ仲間達にアンダーワールドに行きたいかメールをしておくのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でしたm(*_ _)m。

光輝とブルマ·····色々チート。ガブリエルが馬鹿に見えますがすいません。原作でもアリスに歓喜シーン以外全然感情的なシーンがかないので描写しにくかったので口数減ってるしどうせ光輝に潜水艦ごと捕まるから良いやとなりました。

それからヴァサゴ達が来るタイミングは完全に弄りました。アスナ達が来て初日で来ました

さあアンダーワールドに行く面子はどうしようか。希望あれば言ってください。まあ何も無かったら自分勝手に決めますが

(*´∇`)ノ ではでは~



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BORUTO編
忍者の世界 再び


おはようございますm(*_ _)m。今日からBORUTO編です。先に言っておくと中忍試験編までやります。ここで一応光輝のスペック

西沢光輝·····命のやり取りの場数だけならSAOの時も入れたら悟空達よりも上である。場数だけ←これ重要。
武器・・・ブルーレッド・オブウォーリア・・・蒼色と赤色が綺麗に混ざった剣。鍔すら蒼色と赤色が混ざってる。
ウォーリア・ビヨンド・ディスペアー・・・光輝のもう1つの剣。色合いはブルーレッド・オブウォーリアと一緒だが模様は違う。この剣はブルーレッド・オブウォーリアと素材は一緒だが一つだけ追加されているものがある。光輝の祖父の剣である。

技 ドラゴンボール·····かめはめ波 ギャリック砲 魔閃光 魔閃列光波 バーニングアタック ビッグバンアタック ファイナルフラッシュ 気合い砲 残像拳

アインクラッド流 片手剣ソードスキル全般 二刀流ソードスキル全般 短剣ソードスキル全般 刀ソードスキル 絶空 武装完全支配術

NARUTO·····影分身の術 螺旋丸 千鳥 飛来神の術 火遁・豪火球の術 風遁・螺旋丸 風遁・螺旋手裏剣 雷遁・影分身



「はああああ!!」

 

時の巣の空を縦横無尽に金色の光の軌跡を描きながら白色の気を纏う悟空に向かう。悟空もにっと笑いながら全ての・・・影分身の攻撃も全て捌き順に消していき残った1人を下に叩き落とした。

 

「くっ!」

 

金色の光を出してた光輝は着地したが思わずグラッと倒れ尻もちをついて超サイヤ人2・・・いや見た目は超サイヤ人2なのだがその変身倍率は超サイヤ人3に匹敵している変身が解かれ黒髪に戻った。そんな光輝の前に悟空が降りてきた

 

「その力使いこなせるようになったな!」

 

「はぁはぁ·····1発しか殴れなかった」

 

修行始めた時に一撃とうとう攻撃が当たったがその後は全く当たらなかった。

 

「でもおめえは強くなってるさ。もっと自信持て。」

 

セルとの激闘から早2年、その間に何も無かった訳では無いがシーラス達は動かなかった。セルの時に得たダメージエネルギーで動いてもおかしくなかったが動きは無かった。・・・この日までは。トランクスが足早に光輝に近づいて来た。

 

「光輝さん!シーラス達が動きました。・・・それも厄介な人物を拉致しました。」

 

そんな不穏な事を言われたから光輝は引き締めた。光輝は刻蔵庫にまでついて行きトランクスが・・・どこか微妙な顔をしてこれから向かう世界について言った。

 

「・・・光輝さんからすれば懐かしい所です。場所はナルトさん達がいる世界です。」

 

光輝はそれを聞き目を見張った。そして少し笑った・・・のだが光輝も微妙な顔をした。

 

「・・・皆から俺の記憶消えてるから少しあれなんだけど·····」

 

そう、それなのだ。普通ならばナルト達から光輝の記憶は無くなっているはずだ。SAOの時は光輝のインパクトが強すぎて消えるに消えなかったがナルト達はたったの3日間だったから普通ならば消える。

 

「ま、まあそうですね。今回は長期になるかもしれません。拉致した存在は分かっていますがその存在がどこに落とされたのかは分かりません。」

 

そう言いながらトランクスは何やら巻物を渡してきた。光輝はそれを見て・・・見終わった後思わずため息を出しながら閉じて少し同情の視線を悟空に向けた

 

「·····悟空さんも色々大変でしたね。赤ん坊からの恨みとか」

 

「あはは!まあな!」

 

光輝はその後巻物を見つめ呟いた

 

「伝説の超サイヤ人・・・か」

 

「はい。名前はブロリー、俺達と同じサイヤ人です。」

 

「オマケに普通のサイヤ人よりも色々厄介な気が・・・」

 

「ああ、ブロリーは本当に強えー。だから油断するなよ。」

 

光輝はそれに頷きながらも準備しに一旦帰った。そして着替えなどをカプセルに詰め込み持った。ブロリーを探し出し倒さなければ帰れないし。

 

「そう言えば火影ってカカシさん何ですか?」

 

光輝はナルト達の世界から帰ってきた後ナルトの歴史を見たには見たのだがどういう訳かナルトとヒナタがくっついた辺りで見れなくなった。時の界王神曰く光輝が見た辺りのナルトしか見れないらしい。何故なら無闇に他人の未来を見るのは良くないからだ。

 

「それは行ってからのお楽しみにしてください。」

 

光輝は疑問符を浮かべたがそれよりもナルト達に会いたい気持ちの方が強く頷いて座標を調べ悟空達に言った。

 

「じゃあ行ってきます!」

 

「おう!行ってこい!」

 

光輝は悟空のその声と共に光に包まれ約3年ぶりのナルトのいる世界に向かった。·····そして光輝はまたどこに出るかの設定を忘れていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しまったーーーーーーーっ!つい嬉しくて適当にやっちまったーーーーっ!俺は今綺麗な空を舞っていた。別に飛べるのだが・・・何か変な物体が火影岩って所に突き刺さって何やら金髪の少年が青年に取り押さえられている所を見てその青年の方がどこかで見たな・・・となり考えていたら何やら人が結構いる所に落ちている事に気がついて俺は一回転しダイナミック着地した。

 

「な、何だってばよ!?」

 

あ、この口癖知ってるぞ!そう思っていたら俺が上げた砂煙が晴れて横見たら何か俺よりも年下っぽい子達がめちゃくちゃいて萎縮した。だがそんな時壇上から視線を感じて見た。そこに居たのは

 

「ナルト・・・さん」

 

何か雰囲気は少し変わってるけどナルトさんに間違いない。そしてナルトさんが次に言った言葉にまた目を見開いた。

 

「お前・・・光輝か?」

 

「あ、あれ?覚えてるんですか?」

 

「あ、ああ。」

 

そのまま思わず2人とも突っ立てたがナルトが思い出したように言った。

 

「こ、光輝。今入学式の最中だから後で話を聞くってばよ。」

 

「え?あ、はい。」

 

そう言って光輝はアカデミーを飛んで去った。光輝はどうしようかと思ったが取り敢えず終わるまでぶらぶらしとこと思い歩いてその前にと木の影に隠れてトランクスに連絡した。

 

「何かナルトさんから記憶無くなってないんですが」

 

『恐らく、レインさん達と同じでしょう。』

 

「·····何かそれは嬉しい。」

 

消えそうでも覚えていてくれたと言うことはそれだけ光輝の事が大事の証だ。光輝はその後また里を回ったのだが驚きばっかりだった。

 

「何かやたらと発展してる。」

 

それだった。光輝が来た時よりもやたらと何か発展していた。秋葉原にはまだ及ばないが光輝はやたらと煙がありそうな秋葉原よりもこっちの方が何か馴染みやすいと思った。光輝は歩きながら気を感じてみたがやっぱり死にかけの所を誘拐されたからか感じなかった。そんな時ナルトの気が離れて行ったのを感じて光輝はナルトの所に向かった。アカデミーを出て少しの所にシカマルと一緒にいた。

 

「ナルトさんにシカマルさん!」

 

「久しぶりだってばよ。」

 

「ああ、本当にな。」

 

あれ?シカマルさんも覚えてる。嬉しいなあ。俺達はその後懐かしの火影室に向かった。ナルトさんは入ったら昔カカシさんがいた所に座った。という事は・・・

 

「火影になれたんですね。おめでとうございます!」

 

「はは、サンキューだってばよ。」

 

そして2人は少し真剣な顔で聞いてきた

 

「それで光輝·····お前なんでそんなに若いんだってばよ。」

 

それに光輝は少しずっこけた。そして良く考えれば確かに何か逆にナルトは知ってるナルトよりも老けたように見える・・・まあまだ若い方だろうが。

 

「あー、俺がいる世界じゃまだナルトさん達と別れてから3年しか経ってませんよ。」

 

「えっ!?そうなのか。どうりで光輝に違和感がある訳だ。こっちじゃお前が帰ってから12年経ってるってばよ。」

 

「4倍か。」

 

そして今度こそシカマルが真剣な顔で聞いてきた

 

「それでお前は何故またこの世界に来たんだ?」

 

「えっと・・・単刀直入に言うならまた俺達が追ってる敵が悪いヤツを拉致ってこの世界のどこかにほっぽりだしました。」

 

それに2人は真剣な顔をした。事情を光輝はかいつまで話した。一通り聞き終わった2人は思わずまた溜息を着いた。

 

「光輝の師匠達でも倒すのに手こずったサイヤ人、ブロリーか。」

 

それに光輝は頷いた。光輝はブロリーと悟空達の戦いを一通り見た。·····正直に言うならあまり戦いたくないというのが本音だがしょうがない。それがタイムパトロールというものであるからだ。何か光輝の話でちょっと顔に影があったナルトに少し申し訳なく光輝は話を変えた

 

「そう言えば·····何か火影岩の所で金髪の人を取り押さえてた大人の人どこかで見た事ある気がするんですけど·····」

 

「ああ、あれ木ノ葉丸だってばよ。」

 

「·····何か凄い成長してましたね。」

 

光輝が木ノ葉丸に会った時木ノ葉丸の身長は光輝よりも少し高いぐらいだったがもう普通に越えられている。光輝も15歳らしく伸びてきてはあいるがまだ木ノ葉丸程じゃない。

ナルトはじっと光輝を見つめてたのに気がついて光輝は聞いた

 

「どうしたんですか?」

 

「いや、その額当てしてくれてるんだなって」

 

光輝はナルト達から貰った額当てをしている。光輝の場合は木の葉の忍びではなくナルト達との繋がりという意味でつけている。

 

「まあ・・・俺の大切なものなんで」

 

「そうか・・・。」

 

「それでまあ取り敢えず気を感じた感じまだ動いてないみたいですし·····ほんとに死にかけの所を誘拐されたみたいなんで動くまでは動けないです。」

 

「まあそうだろうな。・・・お前どこか泊まるあてはあるのか?」

 

「うーん、まあカプセルハウス持ってきたんで適当に木の葉の外のどこかに住んどきますけど·····」

 

基本俺はカプセルハウスは持っている。いつ何が起こるか分からんし

 

「それだが・・・お前アカデミーの入学式に飛び入り参上しただろ?そのせいでお偉いさんから色々言われてな。悪いがお前には俺の家に居候してもらうってばよ。」

 

普通ならばああなった程度では怒られるくらいで済むのだが今回は光輝が額当てをしていたのが悪かった。光輝のような忍びはいないのだ。誰だって「誰だこの子」ってなる。まあ要するに光輝が全部悪い。

 

「え?まあそれは構わないんですけどヒナタさんはいいんですか?」

 

俺がこの世界を去ってからもう12年なら結婚しててもおかしくないはずだ。

 

「ああ、今日は俺も一緒に帰って説明するってばよ。きっとOKしてくれる。」

 

「はあ、そういう事ならお言葉に甘えます。」

 

その返事にナルトは微笑んで頷いて今度は難しい顔になった。

 

「ボルトの処遇も決めないとな。」

 

「ああ、電車で火影岩に突っ込むなんぞイタズラだけなら誰かさんを超えているぞ。」

 

「あはは」

 

「あははじゃねえ。雷門カンパニーが修理代を払ってくれると言ってくれたから良かったものの。」

 

何か俺を置いて多分あの金髪の少年の話をしている。まあ確かに火影岩をぶっ壊すなんて過去のナルトさんもやってなかったからな。確かにナルトさんを超えている。·····まあそんなので越えて結局何がしたいのかよく分からないけど。

 

「光輝、まだ少し仕事あるから外で待っててくれ。」

 

「分かりました。」

 

そう言って光輝は火影室を出た後ドアの横に座って英単語帳を取り出して見ていた。・・・と言ってももう殆ど覚えているのだが·····発音や会話ももう光輝は割とペラペラ出来るようになった。影分身勉強法と教師陣が凄いと言うのもあった。だってレインにキリトやアスナは勿論レインの妹セブンはアメリカのマサチューセッツ工科大学に飛び級and首席で卒業したのだ。この布陣で無理な訳ない。因みに光輝はセブンの事を「七姉ちゃん」と言っている。最初は七色さんだったのだがセブンがレインの妹と判明した後に光輝にそう言うように言ったのだ。光輝は頑張って拒否しようと思ったがセブンの方が頑固で今の呼び方に落ち着いた。因みに光輝はもう既にレイン達には暫くリアルでは会えないと言っといた。

その後少し経った後ドアが開いた。

 

「待たせたな。それじゃあ行くか。」

 

「あ、はい。」

 

その後光輝とナルトとシカマルは火影塔の前で別れた。光輝とナルトは歩きながら別れた後の話をしていた。そうこうしていたらナルトの家に到着した。

 

「·····何か大きくなってないですか?」

 

「そりゃあお前が帰って何年も経っているんだ。結婚もしたし」

 

そう言いながらナルトは家に入った。光輝も恐る恐る家に入って行った。

 

「ただいまー!」

 

「おかえりなさ・・・」

 

あっ、何か歳重なってるけどヒナタさんだ。でもヒナタさんとはそんなに接点持たなかったから多分覚えていない。

 

「えっと・・・ナルト君、その子は?」

 

うん。やっぱり。

 

「今日から暫く預かる西沢光輝だ。」

 

「そうなの。光輝君、自分の家だと思ってゆっくりしてね。」

 

え!?納得すんの早!

 

「え、えと。あ、はい。」

 

「父ちゃん!」

 

「お父さん!」

 

そう言って子供が2人出てきて女の子の方がナルトに突撃した。ナルトはそれを笑って受け止める。光輝は男の子の方を見て思い出した

 

「あれ?あなた確か火影岩に突撃した人?」

 

「お、おう。そうだってばさ。」

 

「お前そんなので胸はるな。」

 

とナルトが呆れた感じで言う。

 

「と、父ちゃんには関係ねえだろ!」

 

·····何かどう考えても反抗期のような気がする。というか俺反抗期何かなった事ないからな。

 

「えーっと・・・ボルト君だっけ?」

 

さっきナルトとシカマルが会話した時の事を思い出しながら聞いた。ボルトは困惑な顔で頷き笑いながら言った

 

「ボルトで良いってばさ。」

 

「あ、分かりました。ボルト。」

 

てばさ・・・か。ちゃんと遺伝するんだな。俺はその後リビングに通されて晩御飯を頂いた。その最中ナルトが言った。

 

「それでボルト。お前は2週間謹慎だ。」

 

「·····分かったよ」

 

何か様子変だな。だが俺はボルトの事よく知らないからそれ以上何も考えずご飯を食べた。その後俺は茶碗洗いを手伝った。

 

「ありがと光輝君。」

 

「いえ、居候の身なので当然ですよ。」

 

「それなら明日は料理も手伝ってもらおうかな?」

 

「良いですよ。」

 

・・・俺は取り敢えず明日の朝から家を出て忍界を一周するつもりだ。本当にそれだけだからブロリーが見つかるとは思えないがやらない訳にはいかない。もうナルトさんにはその旨を伝えた。まあ空から見るだけだから誰にも迷惑かからねえだろ・・・多分。俺はその後リビングの椅子に座っていたが何かボルトが目を輝かせて聞いてきた。

 

「な、なあ!その剣持ってみてもいいか!?」

 

俺は剣2つ壁に立てかけている。別に直そうと思えば直ぐに出来るのだがまさかとは思うがいきなりブロリーが殴り込みに来るとも限らないから出しといたのだ。因みにもう額当ては直してる。ナルトさん曰くお偉いさんにあれこれ言われるからだそうだ。

 

「まあ別に良いけど・・・振り回されないでね。」

 

その返事を聞いたボルトは剣の所に向かいブルーレッド・オブウォーリアを手に取って鞘から出してみたが

 

「お、重い!」

 

そう言って思わず切っ先を下にして落とす所だったが俺がギリギリ入りキャッチした。俺がぶんぶん振り回してるから忘れがちだがこの剣達普通に重い。俺は元々STR型だし·····まあスピードもそりゃあ鍛えてるけどパワー重視の方が多い気がする。

 

「はは、ボルトには少し早かったな。」

 

「何でそんなに重たいんだよ·····」

 

「まあ·····色々あったからね。」

 

そうはぐらかした。その後俺はお風呂に入り出た後にボルトもお風呂に入った。俺はその後窓から外を見ていた。そんな時ナルトさんに声をかけられた。

 

「それで光輝、術は役にたってるか?」

 

「はい。役に立ちまくりです。」

 

「そうか、何か嬉しいってばよ。」

 

「まあ螺旋手裏剣は今の俺は10発ぐらいが限界なんですけどね。」

 

未来の悟飯と共に戦った時は3発だったが今や10発ぐらいなら出来るようになった。

 

「螺旋手裏剣出来るようになったのか!」

 

「まあ1年時間かけましたけどね。最近漸く影分身入れて2人で出来るようになりました。」

 

「へえーすげぇじゃねえか。」

 

その後も少し話をして何か俺はボルトの部屋で寝る事になった。そういう訳で俺はボルトの案内のもと部屋に布団を引いてもらって寝た。・・・その前にボルトが聞いてきた。

 

「光輝さんはさ、父ちゃんと何か仲良いみたいだけどどういう仲何だってばさ?」

 

「·····俺が前回この里に来た時色々お世話になったんだ。命も助けて貰った事もある。」

 

「・・・そうなのか。」

 

俺は気になった事を聞いた

 

「ボルトはお父さんの事は嫌いなの?」

 

少しの沈黙の後言ってきた

 

「·····父ちゃんは火影になってから全然帰ってこねえ。俺はともかくそのせいでヒマワリと母ちゃんは寂しい思いをしてる。」

 

「まあ要はナルトさんと言うよりも火影という役職が嫌な訳ね。」

 

そう答えたがボルトも答えず壁に向いた。俺はもう質問なさそうと思いこの日を終えたのだった。

 

 




お疲れ様でしたm(*_ _)m。
中忍試験編までやると言っても割とダイジェストが多い気がしますが。2、3話でスミレ編終了します。·····まあぶっちゃけあまり光輝自身は関わりませんが
(*´∇`)ノシ ではでは~


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忍界一周の旅(1日)

おはようございますm(*_ _)m
光輝、忍界一周の旅です。尚たった1日で終わる模様。


翌日俺は割と早めに起き布団をボルトの部屋の端っこに置いた後に火影屋敷にナルトさんの気を感じたから向かった。

 

(というかもう早朝なのに行ってるのか・・・すげぇな)

 

と光輝は呑気な事を考えた。因みにもう剣は量子変換器に突っ込んでる。道着はそのままだ。私服とかレインやセブンに選んでもらった物しかないし多分この世界では目立ちすぎる。因みに光輝がこの世界に来るにあたって持ってきたものは着替えとパジャマとカプセルハウスと歯ブラシと·····その他生活にいるものとアミュスフィアと何やら最近ブルマが開発した何と気を電気に変換するという気を扱える人からすればめちゃくちゃ役に立ち使えない人からすれば役に立たないコネクターを貰った。これでナルトの家の電気を使うこと無くフルダイブ出来る。勿論ダイブする時は影分身を出しといて何かあったら直ぐに知らせる事が出来るようにする。そんなこんなで火影室前まで来てノックした。

 

「どうぞー」

 

「失礼します」

 

そう返事し入ったら目にクマがあり栄養ドリンクやら山積みの書類やら何か・・・社畜な光景が15歳の光輝に見せつけられていた。光輝はそんな有様に心の中で言った

 

(・・・これじゃあ中々帰れない訳ね。·····何でこんなに火影室に集中してるんだ?)

 

今のこの光景は大学生になってやたらと論文やら何やらを溜め込むようになったキリトですらこんな量はないぞ。・・・因みにキリトが読み終わった論文は俺も見ている。いやー前からだけど仮想世界で論文見るのって楽だな〜。肩疲れねえし目が悪くなる事ないし····何なら腹のすき具合もある程度誤魔化せるし。まあ誤魔化し過ぎるのは餓死するからアウトだけど。

閑話休題

この光景にある書類全てをナルトさんがやらなきゃいけないならまだ分かるけど・・・絶対そんな事ないよな。カカシさんの時よりも多分2、3倍あるし。と言うよりも割とタフなナルトさんが普通にクマ作ってるし。まあそんなお疲れそうなナルトさんに取り敢えず今から行ってくるという事を伝える。

 

「えーっと、取り敢えず一周してきます。夕方までには帰ります。」

 

「お、おう。行ってらっしゃい。・・・そうだ、もしサスケがいたらよろしく伝えといてくれ。サスケもお前の事は覚えてるぜ。」

 

「分かりました。·····因みに俺の事を覚えてる人ってどれくらいいるんですか?」

 

「俺とサスケとサクラちゃんとカカシ先生とシカマルだな。」

 

「そうなんですか。」

 

そう言って光輝は少し笑った。それだけ嬉しいのだ。そして光輝はナルトに背を向けて言った

 

「じゃっ、行ってきます」

 

「おう。」

 

その後光輝は火影屋敷を出て早朝故に人目が無い事を確認し飛翔した。そして前回は中々見る機会がなかった忍界を飛び始めた。本当なら時間をかけてじっくり見たいがそういう訳にもいかない。光輝は様々な場所まで飛んでは気を感じた。瀕死と言っても生きてる以上は気が出ている筈だ。何か突拍子のない所に気があったら取り敢えず調べるつもりだ。正直ブロリーとはあまり戦いたくない。実力で勝ってるとかそういう事では無い。巻物で見たあのしつこさはあまり戦いたくないと思うに充分だった。だから瀕死で無抵抗なブロリーを倒せたら1番いい。·····まあ戦士なら全力で真っ向からぶつかれ!とか何とか言われそうな気もしないこともないがブロリーだけは光輝も嫌だった。·····別次元のブロリーには割と好感持ったが少し未来のお話。

光輝は忍界を縦横無尽に飛んだ。砂隠れの里や岩隠れの里、何か前者2つの里とは違いやたらと発展している霧隠れの里、そして最後に雲隠れの周りをぐるぐるしまた空を飛んで腕を組んだ。特に気がなかった訳では無いが集団とかでいたから多分泊まりがけの任務だろうとあたりをつけ少し見て直ぐにまた空を飛んだ。

 

「やっぱ簡単には見つけさせてくれねえか」

 

シーラス達の狙いが何なのか・・・多分俺のダメージエネルギーだろう。悟空さん達からは強さの違いがありすぎて狙えないと思った。だが俺からならば取れると思ったんだろう。舐められてるのが少しどころかめちゃくちゃ腹立つが今は我慢する。そんなもう少し夕暮れになりそうな時何か懐かしい気を感じた。その気は1人で森の中を歩いている。光輝はその気の持ち主の所に行った。そして降りたら何か刀を向けられたが

 

「お前は・・・」

 

そう言って刀を直した。今のはいきなり来た俺が悪いから特に何も感じない。今感じてるのは懐かしさだった。

 

「お久しぶりです、サスケさん。」

 

「・・・何故お前がまたいる?」

 

「えーっと・・・まあ最初から話すと」

 

かくかくしかじかと話した。サスケさんは黙って聞いた。そして俺は最後にナルトさんからの伝言を伝えた。

 

「ウスラトンカチが。」

 

ナルトがそんな伝言を何故託したのか分かったからだろう。遠回しに偶にはサクラや娘のサラダにも会えって言ってるように聞こえたんだろう。光輝はそんな事知らないから首を傾げたが。

 

「俺はまだ帰らん。そうナルトに言っておけ。」

 

「は、はい。・・・でも元気そうで良かったです。」

 

「ふん」

 

そう言って再び歩き出した。まだブロリーが襲ってきた訳では無いから旅の続きをするんだろう。光輝はそんなサスケを見えなくなるまで見送り飛翔した。そして朝出たばっかりの木の葉の里の目立たない場所に着地した。本来木の葉の里に見知らぬチャクラが入れば山中いのという女性がナルトに伝えるのだが光輝の事はもうナルトがいのに話して光輝は引っかからないようになっている。光輝はその後うずまき家に向かった。書き置きはしていたが

 

「・・・何か絡まれそうな気がする。」

 

そして光輝はインターホンを押して鍵を開けてもらった。そして予想通りボルトが絡んで・・・

 

「疲れたってばさ」

 

来なかった。それ所かダウンしていた。そんなボルトを見ながら光輝はヒマワリに聞いた

 

「ヒマワリちゃん、お兄さんどうしたの?」

 

「ママがいっぱいお勉強させてたの。」

 

「あ、成程」

 

·····やっぱり勉強は仮想世界だね。うん。ARのオーグマーもいいんだけどね。オーディナル・スケール楽しいし。·····何か俺はチート疑惑出ているんだけど俺の実力だから何とも言えないんだよなぁ。

 

オーグマーとは拡張現実、つまりARの機器の名前だ。機能としては目の前に出てきた食べ物のカロリー検査や携帯やスマホの代わりにメールを打てたり·····とにかく色々便利なのだ。光輝もレインに勧められて買った。割と重宝してる。そしてオーディナル・スケールとはそのオーグマーを使ったARゲームだ。コントローラーを剣や銃に見立ててモンスターと戦うゲームである。仮想世界とは違い自分の肉体を動かすので運動能力が強さに直結する。尚、コントローラーはあくまでもコントローラーなのに何故か鍔迫り合いなどが出来る。そんなゲームで普段から悟空達と戦ってる光輝からすればどんなボスモンスターでも割とあっさりと倒してしまいチート疑惑をかけられている。

 

(まあお姉ちゃんからSAOの記憶取ろうとしていた奴はコテンパンにしたけど)

 

そうサラッとおぞましい事を言う光輝なのであった。約2年前にそのオーディナル・スケールで事件が起き光輝は最初らへんは関わっていたが途中でタイムパトロールが入ったりして全部終わった時には何か疎外感を味わったのだった。光輝がやった事はSAOの記憶を取ろうとしていたエイジという青年が何か調子に乗ってたから全くのノーダメージでエイジの全力を出させた上で光輝はボコボコにした。レインを狙った時点で光輝からすれば敵である。

 

「あっ、ナルトさんだ。」

 

「え!?」

 

光輝はこの家に近づいてくるナルトの気を感じぽつんと呟いたらボルトが反応した。だがボルトはリビングの入口を見ても来る気配がないから少し不快な顔で光輝に抗議した

 

「何だよ、来ねえじゃ・・・」

 

「ただいまー」

 

ボルトが言おうとした所ナルトが帰ってきた。そんな本当に帰ってきたナルトにボルトは目を見開いた後に光輝を見た。光輝はナルトが帰り嬉しそうなヒマワリとそれに応えるナルトを見ていた。ボルトはその後またナルトを見て聞いた

 

「父ちゃんどうしたんだってばさ?」

 

「えっと・・・まあシカマルに帰らせられてな。」

 

·····本当は里の上役がうるさく光輝の監視と言う意味で帰らせられた。勿論シカマルは光輝がやばい事をするとは思ってないから実質ナルトに夕方からの休暇を与えたようなものだ。そんなナルトとシカマルは昼間の内に光輝の事を話しあっていた。光輝はその後ヒナタの晩御飯の手伝いを始めた。光輝は料理は好きである。母と祖母によく教えてもらった。SAOでもやってたしなんなら時の巣で悟空達のを作る事だってある。·····と言うよりも時の界王神に作らせたら食べ物であって食べ物でない何かが出来上がってしまい光輝もそれを食べそれからは光輝が作るようになった。こういう所でも影分身が役に立つ。そして5人は晩御飯を食べ始めその途中で光輝が言った

 

「あっ、そうだ。サスケさんに会えましたよ。」

 

「えっ!?」

 

ナルトが割と驚いた。確かに伝言は託したが流浪してるサスケにそんなサラッと会えました何て言われたらこうなる。元々会える確率は低いと思ってただけに余計に

 

「それからサスケさんからの伝言で『俺はまだ帰らん』って言ってました」

 

「·····そうか。」

 

「サスケさんって誰だってばさ?」

 

そう話しをボルトが割って入った

 

「ナルトさんのライバル?親友?・・・どっちもか。」

 

「何か光輝に言われたがそうだな・・・あいつと俺はライバルだ!」

 

そう胸張ってナルトさんは言った。俺もその過程を見ていたから気持ちは分かる。横目でボルトに向いたら何か目がキラキラしている。·····うーん、ナルトさんもかっこいいと思うんだけどなぁ。そして今度はナルトさんが言ってきた

 

「光輝、お前の用事はいつ終わるのか分からないんだよな?」

 

ブロリーの名前を出さずにナルトが聞いた。光輝は口のお惣菜を飲み込んで答えた

 

「まあ・・・そうですね。今日じゃ終わらなかったし。やっぱり長期になるかもしれません」

 

「そうか・・・そこでシカマルと話したんだけど。光輝、お前2週間ほどボルトとアカデミーに通え」

 

3秒くらい光輝は固まり聞いた

 

「本気ですか?」

 

「本気だ。ただ生徒としてじゃなくて先生になる為の見学という事になってる。もう担任のシノには言っておいた。」

 

「あっ、良かった。どう考えても年下しかいないあそこに放り込まれたらたまったもんじゃない。」

 

「えっ、光輝さんアカデミーに来るのか?」

 

「うん。らしいね。」

 

その後俺はご飯を食べ終え歯磨きした。ナルトさんはヒマワリちゃんと戯れていた。ボルトもそんな様子をテーブルから見ていた。俺からの視点だが・・・嬉しそうに思えた。何であんなに反発するのかは断片的にしか分からないけど少なくとも心の底から嫌ってる訳では無さそうだ。

 

(なら・・・いくらでもやり直せる。)

 

ただ部外者の俺が言っていいものか・・・。まあ取り敢えずしばらく様子見しよ。・・・ていうかもう俺の事を覚えてる時点でもう歴史変わってるような気が・・・。まあそれはさておいて歯磨きを終わらせ俺は先に部屋に行くと言ってボルトの自室に来て影分身を出して本体の俺がアミュスフィアを被った。

 

「じゃあボルト来たらよろしく」

 

「うん。皆によろしく」

 

そう分身と言い合って

 

「リンク・スタート!」

 

仮想世界・・・アルブヘイムオンライン通称ALOに飛び込んだ。そんなこんなで分身は本体の見張りで座禅組んだ。そして30分程した時ボルトが入ってきた

 

「うお!何してんだ?」

 

「え、·····ゲームだね。うん。本体がやってるのは多分勉強だろうけど。」

 

「は、はあ?ゲーム?どう見ても変な機械被ってるだけじゃねえか」

 

「まあ説明しだしたら俺はともかくボルトは多分ややこしくて挫折するのがオチだからやめた方がいい」

 

・・・まあフルダイブって言って簡単に言うならコマンドではなく正真正銘自分自身がゲームのキャラになると言ったら速攻理解できると思うけど変な興味持たれたらあれだからこう答えとく。それでもボルトは興味津々なんだが生憎ボルトの分はない。

 

「ゲームなら俺もやってみてえな」

 

「生憎データは1つしかないし1つしかデータは作れないから無理です。」

 

1つしかデータ無いのは本当だが1つしかデータ作れないのは嘘だ。実際アスナさんは今はお母さんに貸してる事が多いがデータ2つ持ってるし。

 

「ちぇー、つまんねえの。」

 

そう言って椅子に座った。そして聞いてきた

 

「そう言えば・・・光輝さんは親とかいないの?」

 

「まあいるよ。·····俺の血の繋がった方の家族はもう皆天国に行っちゃったけど俺を引き取ってくれた人達が親代わりになってくれてる。」

 

「·····悪ぃ」

 

「別にいいよ。·····と言ってももう5年は会ってないけど」

 

あのクズ野郎と戦ってから直ぐにSAOで2年間、フリーザやクウラと戦うまでに1年間、そしてここに来るまでの2年間。・・・確かにいつ帰れるか分からないとは書いたがまさかこんなに長期になるとは俺も思わなかった。と言うよりも今じゃ悟空さん達の方が長くいるな。

 

「そうなのか·····」

 

ここで特に驚かなかったのは幼なじみのうちはサラダも何年も親に会った事が無い事を知っているが故だ。

 

「その・・・お父さんとはどうだったんだってばさ?」

 

自分とナルトさんの事を思い俺に聞いたんだろうな・・・。

 

「・・・俺の血の繋がった方のお父さんとは普通に仲は良かったと思うよ。」

 

光輝の父親は研究者・・・という訳では無かったが凄い博識だったのは光輝も覚えている。テレビを見てて分かんない事があって聞いたら全部調べる素振りもせずに速攻で教えてくれた。光輝は祖父と父親ならどちらかと言うと祖父寄りだったが父親が嫌いという訳では無い。寧ろ好きである。分かんない勉強教えてくれたりもしてくれた。ちゃんと家にも毎晩帰って来てくれたから寂しいと思った事はない。

 

「そう・・・か。」

 

「それで俺を引き取ってくれた方のお父さんともまあ・・・仲はいいと思う。」

 

光輝は滅多に櫂や楓の事をお父さんとかお母さんとは呼ばない。2人もそれを了承している。咲良はそんな光輝を不思議と思っていた。まあ3歳だった咲良にはまだ分からない歳だったからそれでいいのだが。

 

(咲良も·····もう8歳か)

 

·····覚えてるかな俺の事。というか仮に覚えてたら絶対に怒られてボコられる。

 

「俺の引き取ってくれた方のお父さんは医者で帰る時はまああるけど夜遅い事が多かったな。」

 

「寂しく・・・なかったのか?」

 

「·····まああの時の俺は色々あって周りを見る余裕何て無かったからな」

 

笠木を超え皆を守る為の力を得ることしか考えてなかった。咲良とも仲良くなれたのも俺が櫂家に引き取られ1年後に漸く打ち解けた感じだったし。

 

「そうか・・・。」

 

もうそれからボルトは何も言わずベットに突っ伏した。そして勉強疲れで割と直ぐに寝たのだった

 

 




お疲れ様です(´・ω・`)
光輝、アカデミーに行く。次回は割とダイジェストになります。ヾ('ω'⊂ )))Σ≡サラバ!!


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先生って·····大変

おはようございますm(*_ _)m
ゴースト事件編を半分ダイジェストにしました。光輝目線からのゴースト事件編です。どぞ(っ´∀`)っ


「疲れた」

 

精神的に。俺がアカデミーに先生の教育実習という名目で行き始め少し経った時に思わずそう言った。今は職員室の応接の椅子に座っている。先ずアカデミーのボルト達の担任の先生・・・シノ先生と共に教室に入った時のあの騒ぎようと来たら·····俺の小一とか小二の時のクラスの方が静かだったぞ。まあ授業中は普通だったのがせめてもの救いだ。そんな俺の前にシノ先生が座ってくる。

 

「・・・先生って大変ですね。」

 

思わずそう言った。新井先生もこんくらい大変だったのか。オマケに俺が授業を受け持ってる訳でもないのに大変という事はよく分かった。まだ学校行ってた時に先生に成りたいって言ってた人達結構いたけど·····耐えれる人は少ない気がする。シノ先生はは苦笑いをしながら答える。

 

「確かにな、だがそれ故にやり甲斐がある。何故なら生徒達の成長が嬉しいからだ。」

 

そう微笑みながら言った。昨日までは何か担ぎこんでたみたいだが今日はこんな風にどこか吹っ切れた様子になっている。俺はこの数日で思った事を言う。

 

「・・・イワベエも授業をちゃんと受けるようになって一安心ですね。」

 

シノ先生はそれに頷きながら答える

 

「ああ。あいつは漸く殻を破ったようだ。光輝も一役買ってくれたようだな。感謝する。」

 

「いや、俺の場合は何か勝手に吹きかけられたというか·····実力至上主義は嫌なだけですから。」

 

ボルトと俺の初登校の時にボルトと・・・イワベエという生徒が喧嘩っぽい事をしていた。俺はその時昼休みでシノ先生にアカデミーを案内してもらった後に一足早く教室に行こうとしたらなんか生徒の皆さんの気がさっき案内してもらった修練場にあった。そして何かボルトの気が増えたりしていたから影分身をしたんだろう。そう思いその時の俺は足早に向かった。

イワベエの第1印象は·····不真面目。以上。その理由はシノ先生から聞いた。留年を2回しているからだそうだ。それも下忍試験ではなくてその前の筆記試験で2回落ちている。つまり勉強が嫌いなのだ。忍術や身体能力は何回もアカデミーに通ってる分他の生徒とは一味違った。実際感じる気も他の生徒とは違った。·····まあ他にも手加減してそうな人はいたが。そして俺が来た時イワベエの武器がボルトに振りかぶっていた。ボルトの気は最初とは違って少なくなっていたから避けれないと反射的に考え何か見た事ある絵を書いて実体化させる術をしている生徒がいたが間に合わないと思い俺はボルトとでっかいハンマーみたいな武器をボルトに叩きつけようとしていたイワベエの間に入りハンマーを片手で止めた。

 

『邪魔をするな!』

 

光輝は後で知ったが観客の生徒達が驚いたのは一瞬で来たスピードもあったがハンマーをまさかの片手で止めた事だった。まあそれはさて置いて軽く状況確認をした。修練場に来るほんの少し前にボルトの気達がイワベエに攻撃を叩き込んだ事は知っている。だがその後イワベエは一旦何故か距離を取ったのが何故か分からず光輝はイワベエの問いを無視し観客に聞いた。

 

『この喧嘩のルールは?』

 

それに答えのはいのじんという生徒だった。

 

『クナイと手裏剣以外の武器を使うのは無し。』

 

『じゃあイワベエの負けじゃないのか?』

 

『俺は・・・俺は火影様みたいな忍びになるんだーっ!』

 

そう言ってハンマーに力を込めるがビクともしない。·····これでも光輝はめちゃくちゃ手加減している。光輝はイワベエを見た後ボルトに聞いた。

 

『ボルトはなんでこんな事したんだ?』

 

『·····友達が馬鹿にされたから。』

 

そう言ってボルトは観客席の眼鏡の少年·····雷門デンキの所をちらっと向いた。その時の喧嘩の理由は分からなかったが取り敢えずボルトが嘘をついていないのは分かったからイワベエを向いた。

 

『ルールを破ってまで掴みたいのか?その泥に塗れた勝利を。』

 

勿論光輝は生死をかけた戦いではそんなもの気にしない。死ぬか生きるかどっちかしかないからだ。だがALOなどのルールありの決闘はちゃんとルールを守る。それが相手への礼儀だし光輝もそう思っている。イワベエはそれを聞いた後に目を見開いた。そしていのじんが畳み掛けた

 

『ルールを破って勝負って言えるの?』

 

その言葉イワベエは力を抜いてハンマーを落とした。

 

『確かに·····だせぇな俺』

 

そんな事があり次の日からイワベエはきちんと授業を受けるようになった。·····理解出来てるから別として。

 

「まああいつはやれば出来る人だと思うから勉強さえ乗りきったら良い忍びになると思いますよ。」

 

「ふ、そうだな。」

 

俺は出されてたお茶を頂き机に置いた。

 

「そう言えばこっからじゃいまいち分からないんですけどもう火影岩直ったんですか?」

 

そう言いながら窓から火影岩、それもナルトさんの顔岩の所を見た。そこにあったのは直ってるっぽい顔岩だった。シノ先生は頷きながら答えた

 

「ああ。一時はどうなるかと思ったが何とかなった。」

 

何故火影岩が一旦壊れたのか?それはまあ大元はアカデミーの入学式の時にボルトのダイナミック入学式の時にぶっ壊れたのだがその後また壊れたのだ。その原因は手裏剣の授業にあった。その日は外で手裏剣を的に当てる授業だった。

俺はその時シノ先生に頼まれ事がありいなかったが後にボルト達のクラスの委員長・・・筧スミレに聞いた所概要はこうだ。最初はちゃんと授業をしていたのだが途中でボルトがでかい手裏剣·····風魔手裏剣を持ってきてそれを的に投げたそうだ。だがその的のコースには何故かタイツの少年·····メタル・リーがおりメタルはその風魔手裏剣を蹴り返そうとしたのだけど何か緊張して風魔手裏剣の真ん中の空洞の部分に足を突っ込んでしまいそのまま逆さで手裏剣と一緒に回転し的にぶつかり的を壊したのだ。俺が見た所何か緊張癖が凄いということは分かった。·····まあ俺は緊張とは無縁だったけど。

そしてその後シノ先生が駆けつけてボルトと手裏剣の持ち主のイワベエとメタルと何故か道ずれでシカマルさんの息子さんのシカダイといのじんと·····これまた何か理不尽な委員長のスミレがお目付け役として火影岩の修理を罰として手伝うことになったのだ。俺も遠目から見ていた。だが順調そうだったのにいきなり火影岩の左側がまためちゃくちゃ崩れた。その時の衝撃は···凄かったな。そんな呑気な事を思わず考えた。ボルトに聞いた所メタルが火影岩の修理というプレッシャーに力んでしまい力加減を間違え罅が入ってしまいその罅が徐々に広がり火影岩崩壊という珍事件になったそうだ。

 

(・・・まあ俺的にはその翌日のメタルの方がおかしかったのだが。)

 

その事件の翌日、俺はボルトと共にアカデミーに来ていたのだがその道中シカダイといのじんを見つけボルトと2人が話していた所にメタルがおりシカダイは謝罪しようと近寄ったのだがメタルは何故か凶暴化していた。

何でシカダイがメタルに謝罪しようかと思ったのか?それは火影岩崩壊という珍事件の後にシカダイがメタルの事を要領悪いとか山に籠って修行しとけばいいという訳では無いと正論だが色々棘が刺さる言葉を連発し家でシカダイは考え直しメタルに謝ろうとしたらしい。

だが何故かメタルは校庭に入ったからシカダイもボルトもいのじんも追った。俺は少し遠くに行って遠目で見ていた。確かに凶暴化はしているがトランクスさんから連絡ないから多分あれは元々この世界で起きていた事だと思ったからだ。この世界は俺が元いた世界とは何もかも割と違うし。

そしてメタルは3人に攻撃し始めた。後にボルトに聞いた所『緊張癖がない僕の強さを思い知れ』的な事を言って襲いかかったらしい。そして3人は逃げた。逃げに逃げまくってその日の前日に手裏剣の実地訓練の場所に来て埒があかないと思い迎えった。シカマルさん譲りの頭脳を駆使しメタルを出し抜いて影縛りという術でメタルの動きを止めた。この術は術者から影を伸ばしその影を人の影にくっつけたら自由を奪うという術だ。ただし奈良一族の秘伝の術だから俺やボルト達には使えない。そしてボルトがメタルをぶん殴って暴走を止めようと思ったがメタルが無理やり影縛りを破りその反動でまた的に突撃して凶暴化は終わった。

 

(あの時のメタルの気の乱れは尋常じゃなかった。)

 

だがそれからのメタルはほんの少しだけ緊張癖が治った。·····ほんの少しだけであるが。そんな回想をしていたらシノ先生が立ち上がって時計を見ると確かに授業が始まる所だったから俺も立ち上がり2人で教室に·····では無く校庭に向かった。何故教室じゃないのか?それはメタルの事件から少し経った時まで遡る。その日は口寄せの術という忍術の授業だった。それで大人になった木ノ葉丸さんが特別講師として来て口寄せの術を見せてくれた。因みにカエルだった。どこにあんなでかいカエルいるのだろうか?

それはさて置きその授業で男子と女子がそれぞれの日常の不満を言いまくり喧嘩になりその筆頭はボルトとサスケさんの娘さんのサラダだった。過去のナルトとサスケさんも壮大な喧嘩していたからなんか可愛い規模の喧嘩だなと思った。

その日のお昼に事件が起きた。それはまたボルトとサラダが喧嘩してそれが関係ない男子や女子も巻き込みそうになり·····一部は自分から突っ込んでるがその時にシノ先生が止めに入ってならばと男女対抗戦をしようではないかとなりその日の放課後に男女対抗戦をやった。結果から言うなら女子チームの勝ちだった。それでも割と面白かったな。最後を除いては。

男子チームが基本先行していたがシノ先生が仕掛けたトラップにより段々と人数がそがれていき最後はボルトとシカダイといのじんだけになった。3人は最初は忍具準備室に逃げ込み作戦を立てボルトが蛇とかカエルを口寄せして女子チームを脅かそうとして実際ボルトは屋上で口寄せの術をした。

 

(・・・まあ俺の元いた世界じゃあんなでかい生き物はいないだろうな。)

 

ボルトの口寄せの術で出てきたのはカエルや蛇では無くでかい化け物だった。その蛇はチョウチョウという生徒を吹っ飛ばして校舎から落としかけたがボルトがギリギリチョウチョウの手を掴みそれにシカダイもいのじんも加勢して何とか落下は免れたがその化け物が防御や回避が出来ない4人を襲おうとした。俺は咄嗟に剣を地面に突き刺した。

 

『エンハンス・アーマネント!!』

 

そう叫べば剣から蒼い蔓が出てきてその化け物を拘束した。別に殴りに行っても良かったのだが殴った衝撃でどこかに吹っ飛ばしてしまうかもしれなかったから拘束を選んだ。蔓は化け物を拘束しボルト達を攻撃しようとしていた尻尾も押さえ込んだ。そしてその隙に木ノ葉丸さんが螺旋丸を形成しながらその尻尾に叩きつけた

 

『螺旋丸!!』

 

その化け物は叫んだ。そしていきなり消えた。俺の武装完全支配術も化け物がいなくなったから解いた。

 

『今のは·····カカシさんの神威に似ている』

 

そう解いた後に呟いた。神威とはサスケさんの一族のうちは一族の血継限界と呼ばれる写輪眼という眼の進化版とも言える万華鏡写輪眼・・・それもカカシさんとその親友さんの人が持っていた能力だ。対象を眼で捉えその神威という術でその見ていた対象を無理やり異空間に飛ばすという割と恐ろしい術だ。俺も食らったら一溜りもない。

そしてその化け物の後に校舎前で男子チームはへばっていた。まああんな色々あったらそうなるよな。その後何かシノ先生が話をした後に女子チームは自分達が勝ったけどチョウチョウを助けてくれた礼としてプラマイゼロで何もお願いしなかったそうだ。因みに俺はその後めちゃくちゃ武装完全支配術の事を聞かれた。

 

武装完全支配術·····武器の記憶を光輝の気とイメージで呼び覚ましそのイメージ固めとして光輝は名前をつけてエンハンス・アーマネントと言っている。最初は光輝が自力で名前をつけたがその後に同じ事がある世界でされている事を知りその世界のエンハンス・アーマネントは別名武装完全支配術と呼ばれていたから光輝もその世界での戦いが終わればそう言うようになっていた。因みに光輝が今回呼び覚ました剣の記憶は永久氷塊とその氷塊の中にあった蒼薔薇だ。これは蔓で捉えた相手の生命エネルギーを奪うのと同時に空中に露散させるものだ。余談だがその生命エネルギーを放ったらかしにしていたら生命エネルギーの量によるが草が生えてくる。

 

『あれなんだってばさ!?すげぇかっこよかったぜ!』

 

そうボルトが目をキラキラにしながら詰め寄ってきたのは少し引いた。お姉ちゃん達にも少し見せた時には反応はもう俺は何でもありとか言われた。そうでも無いと思うけどなぁ。·····無いはず。そしてそのボルトの目がキラキラの直前にそれは起きた。何と戦いの舞台になった校舎が崩壊したのだ。そういう訳で今は青空教室という訳である。うん。色々やらかしてて見てて飽きないわ。そして俺はその時ある意味何か異質な気がアカデミー生達を見ていたのに気がついた。

 

(まああれは十中八九ミツキだったんだろうな。というか感じる気は一緒だし。)

 

ミツキ・・・音隠れの里から転校してきた謎の少年である。何か戦い慣れている。転校してきた日にイワベエと戦って割とあっさりと勝利していた。ただその時イワベエをナチュラルに殺そうとしたのは本気でなんでやってなったけど何かボルトにやめろと言われたらやめた。

 

(まああん時は普通にミツキが犯人だと思っていたな。反省反省。)

 

何の犯人だと思ったのか?それはミツキがメタルを暴走させた犯人だと思ったのだ。何か割とミステリアスだったしボルトに止められるまではイワベエを殺そうとする事に躊躇いがなかったり。·····結論から言うなら違った。と言うよりもうメタルや・・・ボルトから聞いたがデンキも何か暴走した事があるらしい。その2人·····そしてシノ先生も暴走させた犯人はもう俺が見つけてるし。

 

光輝はそんな事を思いながら青空教室にあるホワイトボードの横からシノが解説しているのを聞きながら横目でその犯人を見た。その犯人も光輝をちらっと見ていた。そして少し怯えた目になる。

 

(俺そんなに怖い思いさせてない気がするんだけど)

 

光輝がその犯人を見つけたのはシノが暴走する前だ。その日のシノはめちゃくちゃ落ち込んでいた。光輝も声をかけるのを億劫になるほどに。何故シノがそんなに落ち込んだのか?それはその日の朝まで遡る。その日の朝は何故かシノはハイテンションになりはっきり言ってイメージが合わないパーティスタイルの格好になりミツキの歓迎会をしたのだ。勿論それ自体は良かった。クラスの親睦会みたいなものになったからだ。肝心のミツキが意味わからないという顔だったが。だがその途中に事件が起きた。当時の光輝は

 

『何か小さい気の集まりが人形にいっぱい入ってる。』

 

と思っていた。パーティには動く人形が行進してきたりしたのだ。それ自体は光輝は素直にすげぇと思ったのだがその動く原理に少し疑問を持った。どう見ても機械の類ではなかった。と言うより気がある時点でそれは何かしらの生物の筈。そう思ってたらクラスの1人の雀のナミダという少女が人形の可愛さに思わず抱きついてしまいその人形から蟲がめちゃくちゃな数が出てきたのだ。光輝は後に知ったがシノは油女一族という蟲を扱うことを得意とする一族の人だったのだ。蟲が出ただけならまだマシだった。その後にシノのメンタルがやられる事が起きた。

 

(まああれは完全にミツキが悪かったな。)

 

ミツキがその蟲達をパーティ用にあったテーブル事風遁の風で吹き飛ばしてしまいパーティ会場はめちゃくちゃ、オマケにその風遁によって出てきた蟲達が散らばり女子の悲鳴はもう色々とカオスだった。

 

「光輝、これの解説をしてみてくれ。」

 

そうシノ先生が振ってきたから俺は返事をしてマジックを受け取り目の前の算術と言われる所謂数学を解いた。教育実習という名目なのに何もしないのはやっぱり問題となり数学と工学ならいけますと言って2、3日でアカデミーの教科書を読み込んで覚えた。数学は元々好きだったしたまに似たような公式があったから楽だった。教え方も何か好評らしい。·····俺の教え方七姉ちゃんの受け売りなんだけどな。俺はマジックを持ちながら面子を見ながら問題の解説をした。それが終わりまたホワイトボードの横に来てシノ先生の授業を見た。そしてほんの一瞬校舎を見た。

 

あの歓迎会の後にシノのメンタルが更に折られる事が起きた。それはシノが授業を休んだ時に校舎を直しに来ていた人が暴走するという事件だ。その時に光輝は犯人が誰かを知った。光輝はミツキ含めクラス全員の気を覚えておいた。デンキにメタル、2度アカデミーの生徒が暴走したのだ。そうなれば普通に考えたらアカデミーを狙ったテロだと思ったからだ。そしてその犯人はこのクラスにいるとメタルの事件の後に睨んでいた。その後に頑張ってクラスの気は覚えた。そしてその暴走させられた人の近くに近寄った気を感じ光輝は覚えていた。

閑話休題

その暴走させられた人の正気に戻す戦い自体はボルト達が制した。だが責任感の強いシノは自分が休んだばっかりにボルト達を·····生徒を危険な目に合わせたと自分を責めた。そしてそこにボルト達からの・・・シノが聞いてないからこそ言えるある意味の本音を聞きシノの精神は今までにないほど荒れた。その時シノの後ろから蛇のような闇色のものがシノの首筋を噛んだ。それにより起きたのはシノに一瞬闇色のオーラみたいなものが広がり消えたという光景だった。そしてその蛇のようなもの噛ませた本人は荒い息をしていた。光輝はその時シノがどっかに行ったのを見て犯人の後ろに立った。犯人は何か感じたのだろうかばっとそこら辺のアカデミー生よりも忍者の動きで構えた。そして目を見開いた。

 

『·····やっぱり君だったんだね。筧・・・スミレ。』

 

メタルやデンキ·····そしてシノを暴走させた犯人はボルト達のクラスの委員長筧スミレだった。スミレは今の一部始終を全て見られていた事を知り奥歯を噛み締めた。そして実践的な動きでクナイを一瞬でもった。その時の光輝は特に何も反応せずに言った

 

『やめといた方が良い。君じゃ俺に絶対に勝てない。』

 

スミレにもそれは分かっていた。イワベエの攻撃を光輝は軽々と片手で止めて自分も視認出来ないスピードを1度見せたのだ。それもスミレからすれば未知数の武装完全支配術。スミレが光輝に勝てる道理はない。だがスミレはそれでも何かに取り憑かれてるようにクナイを握りしめた。

 

『どうして·····』

 

『?ああ。君が犯人と分かった理由?それはまあ幾つかあるけど・・・まず君自分の実力を隠してたろ?』

 

スミレの気はイワベエを超えていた。それなのに何故か男女対抗戦ではその実力を見せず何か弱いフリをしていたのが光輝は気になった。最初は恥ずかしがり屋なのかと思ったがそれでも実力を隠す意味ってなんだ?となり光輝はスミレの事はミツキと一緒にマークしていた。

 

『それから君が委員長に率先して立候補したというのも気になった。率先してやる事を悪いとは言わないけどそれでも普通最初は迷うもんだ。君が纏められる自信があったからやったのかと思ったけどどう見ても自信は無さげだったし。ああ、でも駄目って言ってる訳じゃないよ。ある意味俺は尊敬もしてるし。』

 

その言葉にスミレはまた目を見開いた。まさか尊敬何て単語が出てくるとは思わなかったからだ。だがこれは光輝の本心だ。自分ならあんなわちゃわちゃしたクラスの委員長になんかなりたくない。絶対に。

 

『まあ委員長に立候補したのは多分生徒や先生に委員長という名目で近づきやすいからかな?』

 

そんな光輝の推理にスミレは奥歯を噛み締めクナイを強く持つ事しか出来ない。だがスミレ本人には気がついてない変化が1つあった。光輝はその変化を見てため息をついた後に背を向けた。

 

『え?』

 

ここで戦うもんだと思っていたスミレはそんな毒気が抜かれた表情をした。

 

『まあ今は見逃しとく。君がどうしようもないクズ野郎ならさっさとぶっ飛ばそうと思ったけどやめだ。』

 

『・・・何で』

 

『何でって・・・君を止めるのは俺の役じゃない。』

 

光輝は静観を決めた。勿論誰かが死にそうになった時は止めるがそうじゃないなら被害者の皆さんには悪いが手を出さない事にした。元々タイムパトロールで無闇に手出しする訳にはいかないからだ。それに光輝はそれも含めて誰がスミレを止めるのか何となく分かっていた。

 

『後君何か悪党ぶろうとしてるみたいだけど君には無理だ。自分の涙さえ隠せないようじゃな。』

 

スミレはそれを聞き自分の目の辺りを触った。濡れていた。スミレは罪悪感があった。アカデミーの生徒を・・・里の為に恩返ししようとしているシノを裏切り自分の·····いや、スミレの父親の目的の為に利用した事に罪悪感があった。光輝はそんなスミレを背にアカデミーから出て行った。スミレはその場にへたりこんだ。

 

次の日光輝は影分身を1人出して暴走したシノが集めたボルト、シカダイ、ミツキを襲っている所に向かわせた。危なくなったら助太刀するつもりだったが杞憂だった。シカダイの親譲りの頭脳とミツキの技の豊富さで何とか切り抜けてシノを正気に戻した。シノは普段の10分の1くらいの力しか出せなかったがそれでも絶望的な差はあったがそれでもボルト達は勝利した。その時ミツキが体力とチャクラを使い果たし湖に沈む所だったがボルトと復活したシノが根性見せて何とか湖から抜けた。その出来事が昨日だ。シノはその後から何か吹っ切れたようだ。

光輝はスミレをまた横目で見た後に心で呟いた。

 

(さぁ、どうなるかな?)

 

光輝は知る由もないがやろうと思えば光輝はスミレを説得出来る。だが光輝は静観する事に決めている。今の光輝はスミレを説得出来るのはボルトだろうなと思ってるからだ。ボルトは人の評価を気にしない。その人がどんな人生を歩み誰の子供かなんか気にしない。そんなボルトだからスミレを説得出来ると思っている。

 

(道を決めるのは自分だぜ?スミレ。)

 

そう心で閉めたのだった

 

 




お疲れ様でしたm(*_ _)m
光輝、スミレが犯人だと割とあっさり看破するが手出しは特にしない。ボルトにも自分からは言わない。
後自分のボルスミ小説から来てくれてる方、先に言いますがアニメ以上にボルトとスミレが関わる事はありません。ごめんなさいm(*_ _)m。

アンケートありがとございましたm(*_ _)m。ボルトとナルトはゴースト事件編が終われば話作ります(๑•̀ㅂ•́)و✧

(*´∇`)ノ ではでは~


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ゴースト事件の顛末

おはようございますm(*_ _)m。ゴースト事件終了です。


あのシノ先生の暴走事件から暫くして俺やアカデミー生はアカデミーの教室にとうとう戻れた。青空教室がとうとう終わったのだ。まあここに来るまでの経緯は色々あったな、うん。俺はそう思いながらスミレを見た。そこに居たスミレは最初よりもどこか開放されたような表情になっていた。あのスミレが起こしていた事件·····ボルト達の命名「ゴースト事件」は終わった。

 

(まあ·····スミレもあの時は自業自得とは言え災難だったな)

 

あの時·····シノの暴走事件の後スミレは光輝にビクビクしながら·····それでも事件を起こし続けた。その1つのきっかけはストーカー事件だった。ストーカーの名前は隠れ蓑マギレという少年でマギレがストーカーしていたのはスミレ自身だった。だがストーカーのしすぎで一緒にいたサラダやチョウチョウに看破されボルトとシカダイとミツキも加わり尋問が始まった。その果てに何故かマギレがスミレに告白する事になりあっけなく散った。その後スミレはマギレにボルト達の言うゴーストをとりつかせた。自分がゴーストを取り憑かせてるところを見られたら危ないからだ。·····まあもう光輝に見つかっているからあんまり変わらないような気もするが。

 

(あんなに粘着質に来るとは思わねぇよな)

 

スミレに後に聞いた所あの時はマギレが自分を振った恨みでスミレを襲ってくると思ったがまさかのストーカー行為を更に加速させるとは思わなかったそうだ。マギレは次の日、美術の授業をしていた教室の黒板に「スミレ今日も可愛いよ」とか言う色々アウトな言葉を書いた。俺以外に見つからずに。俺は気でもう誰かいる事は分かってたけど特に誰かに害を及ぼそうしていた訳ではないから静観した。それがあの黒板のやつなんだが。だがマギレのストーカー行為はそれだけではなかった。マギレはその日学校を休んでおりいなかった。だからボルト達はスミレを1人にさせないように集団で行動していた。何があってもいいようにだ。そんなボルト達の予想を斜め上にいきマギレは新たな行動をした。それはスミレに対する想いを書き連ね何百枚もののそんな事が書かれた紙をスミレ含むボルト軍団の所に放ったのだ。俺も見てみたけどもうあれは症状進んでたな。

その後マギレのストーカー行為は粘着質に続いた。先ずボルト達男子組とシャターで物理的に分離させられたりその後に隠れる為に入った忍具準備室で煙玉が炸裂しサラダとチョウチョウからも分離させられスミレはマギレに屋上まで追い詰められた。うん。あの顔は心の底から怖がってた目だな。·····あれ?俺はそれを遠目に見て何もしないって俺の方が酷いやつに見えるのは気のせいか?

そしてそのストーカー自体はチョウチョウのおかげで収まった。なんかよく分からないけどチョウチョウがマギレに喝を入れマギレは正気を取り戻しストーカーは終わった。

 

(まあスミレもあれで懲りたら良かったんだけどな)

 

そう光輝は心で言う。スミレは止まらなかった。いや、止められなかったと言うべきだろう。何かスミレがやばいという意味じゃなくて精神的に無理だったのだ。そこで光輝は思考をまた変えた。そして思わず少し笑った。本の少しだから誰も光輝に気にとめなかった。光輝が笑った理由はボルトにある。ボルトはある時期に厨二病全開のセリフを朝のリビングで連発していたのだ。もっと言うなら光輝が起きた隣ではもうやってた。光輝がある朝にボルトが大声を上げて起きた。そしてボルトの顔を見てみると何やら奇妙な事があった。ボルトの右眼が何やら

白くでもどこか不思議な感じの眼になっていた事を覚えてる。そんな時ナルトが朝帰りをシカマルに連れられされてきてヒマワリが兄がおかしいと無垢な声で言ってたのを覚えてる。因みに厨二病ボルトが言ったセリフとは

 

『降り注ぐ光よりも俺はShine。太陽より眩い闇。』

 

とか何とか。光輝は笑いを耐えるのに必死だった。そしてボルトがそんな厨二病を拗らせた理由は自分に白眼が宿ったというのだ。だがナルトはそれに懐疑的だった。その時に光輝は思った

 

(·····こういう所だろうなぁ。すれ違ってる所って。)

 

光輝はボルトの言ってる事が本当と分かっているが黙っといた。何かボルトの成長イベントっぽかったからだ。その翌日ボルト達は祖父の日向家宗家に、光輝はスミレの監視をしていた。スミレがカゲマサという俳優さんを暴走させたのも見た。わざわざ眠れず街をブラブラしていたボルトの近くでだ。それはボルトが本当にゴーストを見る事が出来るのか見る為だ。実際ボルトは見えていた。そしてその暴走も何とか止めたみたいだ。そしてそのカゲマサ暴走事件から少し経った時にある出来事があった。

 

(職業体験か〜俺も普通に過ごしてたらあったのかな?)

 

マギレの事件から少し経ちシノが職業体験を実施した。表向きは色んな職業を体験させ里で働いてる人達の有難みを感じさせるもので裏ではボルト達が堂々とゴースト探し出来るようにしたのだ。光輝はお目付け役として色んな体験している生徒の所を回ってたりした。花火工場など光輝は花火を作ってる所を見た事何てなかったから普通に楽しめた。ただ光輝が満足して帰って行った後に花火工場から花火が上がっていたが。

ボルト達は郵便局を選んでいた。光輝も遠目で見ていた。そうしたらナルトが何やら式典でテープを切ってる所を見つけた。ナルトはその後ボルトの前に来て会話をしていたが光輝からすれば

 

(まあ·····から回ってたな。見事に。)

 

ボルトがナルトに反抗しているようにも見えた。ナルトもそんな息子の気持ちに気がついていないんだろう。互いの思ってること、言いたい事を言いあえてないのだ。·····いや、ナルトにとってボルトはまだ子供でボルトは子供扱いされるのが嫌なんだろう。

光輝はボルト達を見るのを辞め浄水場に向かった。ここの生徒達の様子もシノに報告せねばならないからだ。そしてこの浄水場にいるのは雀のナミダと伊豆野ワサビという生徒と件のスミレだった。スミレは光輝がやってきた途端に隠してるつもりなのだろうが割と怯えた顔になった。いつ光輝に殺されるか報告されるかビクビクしていたのだろう。だが光輝は飄々と感想を聞いたり実際に少し仕事もやってみたりで楽しかった。改めて色んな人に支えられて人間は生きるんだなと思った。

翌日光輝は分身を出してボルト達とスミレをそれぞれ見張っていた。そうしていたらスミレの方で事件が起きた。というか起こさせたという方が正解だろう。光輝には気が付かなかったと後に言っていた。

事件は浄水場にいた1人が唐突に暴れだしたのだ。光輝は流石に人も沢山いるかってなり鎮圧に向かった。だが暴れだした最初の一撃ででかい水道管が倒れてきてワサビとナミダがその下敷きになりそうになった所スミレが2人を押し出して代わりに下敷きになった。光輝が浄水場に入るのと同時に近くにいたナルトの影分身もやってきて光輝が陽動をかけてナルトが気絶させた。·····まあ陽動など2人とも要らなかったが念の為という事がある。

 

(まあ·····、あの時ボルトは凄い罪悪感ありそうだったけどな。)

 

まあそれもそうか。自分にしか見えていない。そして自分のせいでスミレ達を危険な目にあわせたと思ったからだろうしな。事情知ってる俺からすれば複雑だが。さすがにまだクラスメイトを疑うのはやらないか。·····多分ミツキはあの時点で気づいてただろうけど。

ボルトにはスミレが取り付かせたゴーストがどうやら見えるらしい。そしてそのゴーストを見る時俺はボルトの右目が白眼っぽくなってるのを一瞬だけ見た。

ボルト達はスミレの一件から更にゴースト事件の犯人探しを敢行したがスミレは検査とかの時以外は看護師など来ないから病室から抜け出しボルト達の配達コースから外れた場所で事件を起こさせた。勿論俺の分身が見張って流石に第三者にまで危害が及ぶ前に気絶させていたりしたが一瞬でやってたから誰にも見られてないはず。勿論スミレがボルト達の作戦に引っかかり郵便局で暴れさせたのも知っている。

 

(スミレからすれば自分が取り付かせたゴーストが見えるボルトは危険人物だろうしな。)

 

まあスミレも心の芯から腐ってなくて良かったな。実を言うと水道管が倒れた時助けようと思えばナミダとワサビを助けれたが俺はほんの一瞬まで静観した。スミレの行動を見る為だ。これで動かなかったらやっぱりナルトさんに言おうと思ったが庇ったのを見てもう少し様子を見た。いや、さっさと報告するべきなのは分かってたんだけどスミレが心から救えなければ意味が無い。俺にそんな説得なんて出来ないし。俺はスミレが入院して初めての夜にお見舞いに行った。あのビビり様はさすがにちょっと傷ついたな。窓の外を見ていた俺にスミレは聞いてきた

 

「·····光輝先生は御家族は?」

 

俺は特に目線を動かさずに普通にボルトに言ったことと同じ事·····でもないが言った

 

「俺が6歳の時に皆殺された。」

 

その言葉を聞いてスミレは下げていた顔を思いっきり上げて光輝を見た。光輝は特に表情を変えずに続きを言った

 

「それで路頭に迷うはずだった俺を引き取ってくれた人はいる。·····まあ5年間はもう会ってないけど」

 

「·····そうですか。·····本当に黙ってるんですね」

 

恐る恐るというふうに聞いてきた。何故ナルトに報告しないのか分からないのだろう。ボルトが光輝はうずまき邸に居候してるとクラスで言っているからだ。

 

「別に容認した訳でもない。」

 

そして少し無言だったが光輝はスミレに聞いた

 

「君は·····誰の為にその力を使うんだ?」

 

スミレはその言葉にビクッとした。光輝自身は予想はしていた。家族を聞いた時点で家族の誰かの為なのは明白だからだ。

光輝はそれ以上何も言わずに病室から立ち去った。そしてボルト達が郵便局でスミレの迎合した後状況は割と早く動いた。ある日ボルトがミツキを伴って家に来た時だ。その日は珍しくナルトも早めに帰ってきてボルトは隠してるつもりなのだろうが嬉しさが滲み出ていた。

光輝も料理を手伝いその料理をさぁ食べようという時に状況が動いたのだ。火影室に残していた影分身のナルトがシカマルから犯人が分かったという報告を受けてその影分身が得た情報を本体ナルトに受けてナルトは火影室に1口目も食わずに行く事になりボルトが思いっきり叫んでたのを光輝は覚えている。そしてそのままボルトはどこかに行ってしまいミツキが追いかけた。光輝も自分の分のご飯を食べた後にボルトを追った。というよりボルト達のいる所にボルト、ミツキ、スミレが集まっていたからだ。

 

(あん時はゆっくりとご飯食いすぎたな。)

 

光輝は自分で作ったご飯を食べない訳にも行かなかったのである。そんなどうでも事は置いとき光輝はこれまた遠目から3人と千手公園に出現した化け物·····後に聞いたが鵺を見ていた。分身の光輝を鵺の方に送ってナルト達と対処した。·····やろうと思えば鵺を跡形もなく吹き飛ばすなんて朝飯前なのだが光輝はそれをする気にはなれなかった。どこか鵺が·····誰かを、スミレを助けようとしてるように見えたからだ。ただスミレが鵺の感情を知らないというか知ろうともしてないだけで。

光輝はご飯を食べてる間にも気で状況把握はしていた。スミレが恐らく病室から抜け出して理由は不明だけど千手公園に行き光輝も1度会ったことがあるサイという人の気がスミレの気をぶれさせた。それは気絶に追い込んだ証拠である。そしてそんな状態ではスミレが鵺を口寄せなど出来ないだろう。だが鵺は出現した。光輝も口寄せの概念は知っているが向こうが契約人物を呼び出す事はあれど向こうが契約人物の所に勝手に来ることはないと思っていた。つまり鵺は自主的に来た訳である。それが意味するものを光輝は分かっていた。

そして遠目から見ていた3人と鵺に異変があった。先ずスミレとミツキの戦いをボルトが光輝も見た事ないボルトのスピードを出して2人を止めた時に鵺がいきなりまた神威に似ている現象を起こし消えていきボルトとスミレとミツキの所に鵺の尻尾が来て何とスミレを食べて異空間に連れて行ってしまった。ボルトは死ぬ事も恐れずスミレを追った。ミツキも激風に引っ張られる形でその異空間に入った。光輝も急いで追った。直感的に今から行く場所は普段いる世界とは別の所だと思ってもしかしたらブロリーがそこにいるかもしれなかったからだ。結果から言うならいなかったが

 

俺はその異界でも遠目から3人を見守った。分身を1人出してブロリーは探しに行かせたが分身は探しに行った後に見つけられず影分身を解除したようだ。それによりナルトさんの所に置いてきた分身にも記憶が還元しナルトさんに説明したようだ。帰ってきた記憶によれば

 

「あっ、スミレ達は異界にいるみたいですね。」

 

「何でそんな事が分かるんだってばよ?」

 

「俺の本体がボルトとミツキが異界に行った扉にギリギリ入れたみたいですね。ついでにブロリーを探したみたいですけどいないみたいです。」

 

「ちょっと待て、ボルトだって!?」

 

「まあ本体の俺もいるから最悪な事態にはさせませんよ。」

 

「·····分かった。何かあった時の為に警戒態勢は維持!」

 

となっていたそうだ。

 

その異界でもボルト達は·····ミツキとスミレは戦っていた。スミレは鵺の力を貸してもらってるのか先程よりも強かった、だがミツキには通じずそれでも決死の覚悟でクナイを持ってミツキと戦おうとしていたスミレとスミレが死体でも良いとかいう物騒な事を言って2人は激突しようとしていたがそこでボルトが身を呈して2人のクナイを受けた。

 

(まああの時のスミレの狼狽は凄かったな。)

 

誰がどう見ても動揺していたし。そしてそれからボルトがスミレに説得し始めた。その時にボルトは鵺に自爆させようとしていたスミレに決定的な事を言った

 

『そいつはお前の事を親だと思ってる!』

 

主の危機に駆けつけスミレを守ろうとしてる様を見れば直ぐに分かる。ただスミレは鵺の事を兵器と思っていたようだが鵺にも心があると知り明らかに戦意は失ってた。

 

『道は自分で選べるんだ!俺も、鵺も、お前も!』

 

『私·····』

 

『スミレ!』

 

そうどこか勇気づける様に名前を叫びスミレの背中にあった鵺を呼ぶ為の刻印·····牛頭天王が崩壊した。

そしてその牛頭天王が蓄えていたチャクラが崩壊した事により異界が崩壊し始めていた。だがスミレはその場でへたり混んでしまい動かなかった。ボルトは一旦はそんなスミレを助けに行こうとしたが瓦礫が降ってきて近寄れずミツキが強引にボルトを引っ張って後退させた。

 

『·····さすがにこれは後味悪いか』

 

そう思って俺は助けに行こうとしたがボルトが凄いスピードでスミレの隣にやってきたのを見てもう少し見守った。遠かったし瓦礫落ちる音がうるさく何て言ってるのかは聞こえなかったがボルトがスミレの手を取り鵺に乗って脱出した。俺は念の為もう一度崩れかけてる異界をぐるっとした。そして本当にブロリーがいないのを確認していたら何か鵺が来た。どうやらボルト達は無事に脱出したらしかった。俺は鵺に少し断りを入れた

 

「悪い、今からちょっとうるさくなるけど我慢してくれ。」

 

「ぬえー!」

 

それを了承の意と取り俺は気を一気に高めて超サイヤ人2·····そして更に限界突破し3レベルの気を解放した。そして思いっきり息を吸い込み叫んだ。精神と時の部屋で悟空さんと修行していた時にもし何かの事故で出れなくなったらどうするんですか?と聞いた所悟空さんが解決法を教えてくれた。精神と時の部屋は文字通り異空間なのでこの異界でも同じ理屈が通じると思ったのだ。その読み通り異空間が裂けた。俺は鵺に手を振り脱出した。その場所にはボルト達もいた。

 

「光輝さん!?何でそこから!?」

 

「いや、俺も異界にいたし。」

 

「で、でもどうやって·····」

 

そうサイさんに立たされていたスミレが聞いてきた

 

「ああいう異空間って大概はめちゃくちゃな力を解放すれば出れるもんなんだよ。行く事は難しいだろうけどね。」

 

そんなその場にいる面子からすれば常識を出ている光輝の言動には?という顔をしていたがその前にサイさんがスミレを連れていく。そんな背中に俺は念の為に鵺は生きてる事を言おうとしたがその前にボルトが言った

 

「あいつ生きてるぜ!微かだけどお前の左手と繋がってる!」

 

その言葉を聞いてスミレは左手を見て微笑んだ。どこかスッキリしたような微笑みだった。その後スミレは拘留された。まあそりゃそうだろうな。ある日ナルトさんが家に帰ってきて俺も話を聞かれた。スミレはどうやら割と躊躇っていたようだがサイには嘘がつけないとなり俺が早々見破っていた事を言ったそうだ。まあ別に全然構わないんだけどもナルトさんは割と普通に怒ってる顔になってたな。

 

「どうして早めに言ってくれないんだってばよ。」

 

「いや、そもそも関わるには俺は何にも知らないし俺が止めるなんて簡単ですよ。だけどそれでスミレが救われるかと聞かれたらNOだと思いますよ。俺にそんな御大層な説得なんて出来ませんし。」

 

光輝も事件の現場にいたからほんの少しだけ事情を聞かされている。「根」と言われるサイが元々いた部隊というか部署みたいなものが今回の事件発端だと。根は戦乱の中で木の葉に尽くしてきた。だが第4次忍界大戦が終わった木の葉はボロボロだった。そんな状況の中で生きる為に、或いは自分の優越感に浸りたいが為に根の人物を晒しあげにしていたそうだ。木の葉の為に尽くしてきたのにも関わらずそんな仕打ちを受けていたスミレの父親、信楽タヌキは妻と赤ん坊のスミレを連れて夜逃げした。そしてスミレが物心着く頃から忍びの修行をさせられていたそうだ。自分の娘を木の葉に復讐する道具にする為に。

 

(聞いた時はスミレの父親ぶっ飛ばしたくなったな。)

 

スミレはそんな父親に逆らう事が出来ずに·····逆らったら叩かれるのが分かっていたから何も言う事が出来ずに・・・そんな幼い頃のスミレが正しい事なんて考えれる筈がなかったのだ。そして時が過ぎスミレの母親が死んだ時本格的に父親の精神がおかしくなった。スミレに自分が研究して完成させたものをスミレの背中に刻んだ。それが牛頭天王·····他人から奪ったチャクラを異界にいる鵺に届ける術式だ。

だがこれを刻むにあたって問題があった。光輝にはよく分からなかったが柱間細胞というその名の通り初代火影の千手柱間の細胞が問題だった。その細胞はもし適合する事が出来ればチャクラの増幅や身体能力も上がったりするようである。だがそんな万能の物には必ず欠点がある。その柱間細胞が適合できなければ逆に細胞に取り込まれてしまう恐ろしい欠点だったのだ。そしてそんな細胞が牛頭天王に使われていた。つまり柱間細胞が適合できなければ逆に取り込まれてしまうのだ。

父親は適合出来なかった、しかしスミレは適合しそれ幸いと牛頭天王を刻まれた。そしてスミレはその後直ぐに家を追い出されその後父親は自害か牛頭天王を刻んだ事により出来た体の負担で亡くなっていた。

 

「スミレは·····まあ暫く拘留で終わりですかね。」

 

光輝がそう思ったのは幾つか理由があるが先ず誰も死んでない事。これが1番大きい。だが他にも理由はある。第1に鵺は人の精神を歪ませ暴れさせる事でチャクラを奪う。だがその最初の精神操作を受けていたのはスミレ自身だった。2つ目、父親から幼い頃からある意味洗脳を受けていた事だ。3つ目、スミレが最後に自首という形で捕まったからだ。

 

(·····まあスミレの状況でアウトならサスケさんなんてヤバいからな。)

 

抜け忍、暁という敵グループに一時的に入ったり·····ありすぎて言いきれないな。

 

「まあそうだな。サイも出来るだけ刑は少なくしたいって言ってた。」

 

そこでボルトが飛び込んできた

 

「だったら委員長をアカデミーに戻してくれよ!」

 

「それは・・・何とも言えない。」

 

「何でだよ!父ちゃん火影だろ!?」

 

「火影だからって何でも好きに出来るわけじゃねえ。里の皆の事も考えないとダメだしな。」

 

(やっぱりどこかから振ってるんだよなぁ。)

 

そう光輝は思っていた。

 

(·····はぁ、しょうがない。お節介だろうけどやるか。)

 

そう光輝は独りでに決意したのだった。このどこか雰囲気が悪いのは光輝の望む所ではない。·····一応後で時の界王神に聞いとくが。というよりももう光輝が覚えられてる時点で歴史変わってるし。

 

ゴースト事件が終わって暫くしてもスミレが帰って来ず流石にアカデミー生の中に不安を持った人達もで始めた。生徒達にはスミレは新たな怪我を負ってしまい入院が延長したと聞かされているがそれにも限度がある。その時の俺はそれを見ながらも生徒にもスミレにも静観していた。そしてスミレはアカデミーに帰ってきた。·····本人は本当にここにいてもいいのかという顔だったがシノ先生が頷く事で勇気づけた。そしてスミレはクラスメイトに囲まれ·····その後ボルトのサムズアップに思わず涙していた。よくよく見たらスミレの髪飾りも変わっていた。そんなスミレはその後授業の休憩時間に俺にも話しかけてきた。

 

「光輝先生·····」

 

「ん?何?」

 

「私は·····皆の為に自分の力を使います。」

 

それはあの病室での問の答えだった。俺は口元を緩ませ言った

 

「そうか、頑張れ。」

 

「はい!」

 

そう今までで1番の笑顔を見せて頷いたのだった。

 

「さぁ、んじゃ次はあの親子か」

 

「え?」

 

「いや、何でもない。もう次の授業始めるから行こう」

 

「は、はい。」

 

そう言って俺達は教室に戻ったのだった

 

 




お疲れ様ですm(*_ _)m。すいません。アニメ見てる前提で書いたので見てない人用に軽く下に書いときました。

スミレがゴースト事件を起こした理由→簡単に言えば父親の復讐をスミレがした。スミレの父親が木の葉に裏切られ絶望して里に自分が研究していた牛頭天王·····鵺で里に復讐させようとしたけどボルトに止められた。

牛頭天王とは→これまた簡単に言えば牛頭天王を通して鵺にチャクラをあげる事が出来る。やり方は精神が弱っている人に鵺·····ボルト達の言うゴーストを取り憑かせて取り憑かせられた人にもよるが大半は恨みの対象に向けて暴れたりする。その暴れたりする時にチャクラを吸い上げて牛頭天王を介して鵺にあげる。ノベライズ版だとチャクラを吸っていればスミレの背中にある牛頭天王の刻印が反応するらしい。

鵺→牛頭天王を介してチャクラを貰ったり出現する事が出来る。チャクラを貯め続けそして敵陣へ突撃させた後に溜め込んだチャクラを使って自爆する事が出来る。スミレはもう戦略的に意味もない自爆をしようとしていたが鵺は早まるなというふうにじゃれ始め何か可愛い一面を見せた。

スミレがアカデミーに復帰出来た理由→死人が1人も出なかった、鵺の最初の精神操作を受けたのがスミレだった、ある意味洗脳状態だったから、最後に自首という形で捕まったから。で、本文には書いてないですけども里にまだいるかもしれない「根」を守るためのものでもあった。スミレがアカデミーに戻る事を決めた理由はシノが「道は自分で選べる」的なセリフを聞いて自分の意思で戻る事にした。尚、罪悪感はある模様。

はい、暫くスミレはお役御免ですね。と言うよりもずっとか?出番はほぼ無いです。

じゃあ次回はボルトとナルトの話です(๑•̀ㅂ•́)و✧

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雨降って地固まる

おはようございますm(*_ _)m
ナルボルの話です。─=≡Σ((( っ゜∀゜)っGO


 ゴースト事件が終わってほんの少し経った平日。今日のアカデミーの授業が終わり俺とボルトは帰路についていた。俺はシノ先生の手伝いをして帰っていたのだがボルトは雷バーガーって言う·····俺の世界で言うマクドナルドみたいな所から出てきた所に通りかかりそのまま一緒に帰ってる。俺は予てよりやろうとしてる事の布石を聞いといた

 

「ボルト、今週の休日空いてるか?」

 

「?いきなりどうしたんだってばさ?」

 

「いや、聞いてみただけ。それでどうなの?」

 

 ボルトはそこで訝しげな顔をしながらも少し考え言った

 

「まあ・・・シカダイ達は修行させられるって言ってたし暇かな。」

 

 シカダイ達·····シカダイといのじん、それにチョウチョウの3人は猪鹿蝶と呼ばれるそうだ。

 

「そうか、んじゃちょっとその日についてきて欲しいんだけど」

 

「良いけどどこに?」

 

「まあ内緒。」

 

 これでボルトの方はOKだ。

 

(今度はナルトさんだな。)

 

 ·····偶に7代目って言えって言われるけどどうしても何か癖でナルトさんって言ってしまう。しょうがないね。うん。俺達はその後家に戻ってきてボルトはゲーム、俺は家事を手伝っていた。手伝いをしながらも俺はナルトさんの気を探った。ナルトさんは忙しなく動き続けている。

 

(·····探ってみた感じどう考えてもナルトさんがやらないでもいい事をやってるんだよなぁ)

 

 例えば里にいる影分身のナルトさんはよくご老人を背負っていたり、道案内したり·····影分身を使ってるから分かるけどやりすぎたら普通にばてる。俺はまだ少人数しか出さないし体力もスタミナも·····後精神力も自分で言うのはあれだけど格別だからセルJrの時に出してもそんなに疲れなかったけど火影って何かとストレスは溜まると思うし・・・でもナルトさんは里の為、そして回り回ってそれが家族を守る為と信じて働いている。勿論それが悪いとは思わない。実際その働きのおかげでボルト達は今日まで生きているんだから。

 

(でもなぁ)

 

 ナルトさんの気持ちも分からんでもないけどボルトの気持ちも分からんでもない。ずっと構っていてくれた父親が火影になり自分達に構わなくなってボルトは兎も角ヒマワリちゃんに寂しそうな表情をさせそれを兄のボルトが見ればナルトさんに怒るのはあの歳ならある意味必然だと思う。·····櫂さんの家に住んでた時は櫂さんが帰ろうが帰らまいが修行してたんだけど。だがボルトにも誤解はある。・・・と言うよりも知らないだけか

 

(里の皆が家族·····か。)

 

 そうナルトは鵺が出現する前の晩御飯の時にボルトにそう言った。確かにその志は光輝には立派と思えたし実際立派だろう。光輝はナルトの過去を見ていたがあれだけ自分を傷つけてきた人達の頂点に立ってそんな人達でさえ家族だと言ってのけるのだから。

 

(だけど・・・そんなのはあの歳の子には分からないと思う。)

 

 実際ボルトにはナルトの偉大さがよく分かっていない。伝聞でしか伝えられずその力を見た事もなく家にいる時の父親のイメージが強いのだ。そんなイメージを覆すのに手っ取り早いのはナルトの力をボルトに見せる事だろうがそんな強敵もいないのにその力を出す必要はない。

 

(ナルトさんにも責任はある。)

 

 ゴースト事件中·····メタルが暴れた日の夕方にナルトは帰ってきた。それも晩御飯の時にだ。だがナルトは徹夜明けという事で眠気が勝ってそのままご飯を食わずに寝た。その時ボルトが拳を握りながら言ったことも分かる

 

『母ちゃんが作ってくれた飯も食わねえのかよ・・・!』

 

 そう言ったのを光輝は聞いた。あれは正直光輝もナルトが悪いと思った。いや、仕事で疲れたのはまだ分かる。だがその仕事の中には別にナルトがやらないでもいい事だってあったはずだ。どう考えてもあの火影室にあった書類の数は半端ではなかった。シカマルのおかげでそれなりには楽なのかもしれないがたかが知れてる。

 

(ナルトさんの場合はあのチャクラ量と影分身がなまじ出来てしまうからそれをフル活用してやってしまうんだろうな。オマケにタフだし。)

 

 人間は普通自分1人で出来る限界は漠然とだが分かる。だがナルトは物理的に自分1人という訳では無い。1人で出来ないことも影分身である程度解決してしまうし実際解決しているのだろう。ナルトがもし影分身を使えなかったら全然マシだった筈だ。他の機関にも上手く行き渡る筈だと光輝は思った。

 

(まあそれは極端すぎか。·····もしかしたら・・・結果が出せなかったら里の人達がまたいじめというか精神的にいじめて来ると思ったのかな?)

 

 ·····ありそうである。だが光輝からすれば

 

(だけど·····その意図が真の意味でボルトに伝わらなきゃ意味が無い。)

 

 そこで光輝はため息をついてヒナタにどうしたの?と聞かれ慌てて首を振った。

 

(まあ·····このままじゃ目覚めが悪いからやらせてもらうかな。)

 

 時の界王神には既に許可を貰ってるというかやはりもう既に光輝が入った事により歴史はやっぱり若干変わっていた。それで時の界王神には少し怒られた。だが光輝からすれば記憶無くならなかったのは俺のせいじゃないし·····とか開き直っていた。時の界王神は今回の事件が終わってもタイムパトロールに就職するなら構わないと言っていた。

 

(よっぽど人材不足なんだろうなぁ)

 

 というか本人は事件の間だけタイムパトロールになってるという約束自体もう忘れていたんだが。だって強くなるの楽しいし。

 

 翌日、休日の前日である。光輝は火影屋敷に入って行った。人がいないのを確認しながら火影室にやってきてノックする。返事があり失礼しますと言いながら入った。やはりそこにあった光景は社畜だった。ナルトは明らかに疲れてる。エナジードリンク置いてるし。

 

「どうしたんだ光輝?まさかブロリーって奴が」

 

「ああ、違いますよ。それでシカマルさん、話はOKなんですか?」

 

「少なくともここにある書類を片付けないと無理だな」

 

 そうデスクにある紙の山に手を置いた。光輝は若干それに呆れながらも言った

 

「そうですか、・・・しょうがない。始めましょう。」

 

「ちょっ、ちょっと待ってくれってばよ。一体何の話だ!?」

 

 あっ、そうか。言ってなかったな。

 

「ナルトさんが明日の休日午後だけでもこの場所から出て行って貰う為に手伝うんですよ。まあ俺はそんな書類の事は分からないんでシカマルさんが押印してって言われたヤツに判子押すだけですけど。後、今すぐ里にいる人助けの為に出してる分身を解除してください。ナルトさんが出してた分の分身は俺が出して変化するので。」

 

 何か国交とか知識がいるやつでは流石に俺は無理だ。だがただの人助けならできる。だがナルトさんは異を唱えた。

 

「いや、それは俺がやる事だし·····と言うより俺をこの場所から出すって·····」

 

「ナルトさんに明日の午後に行ってもらいたい場所があるんですよ。もうシカマルさんには話しましたしシカマルさんの許可も貰ってます。」

 

「な!?シカマル!」

 

「と言うより四六時中働き詰めなのが色々おかしいんですよ。いいから影分身は解除してください。しないんなら俺の分身が消しに回ります。ナルトさんには体力を抑えて明日を迎えてもらわなきゃ困るんですよ。」

 

 いきなりこんな事を言われてもナルトは納得出来ない。だが光輝は強い目でナルトを見返す。何か里に脅威が迫っているのか?だが光輝はどう見ても普通だ。

 

「何を企んでる?」

 

「まあ企んでますがナルトさんにとっても悪い話じゃない・・・と思う。」

 

 ぶっちゃけこれをやっても良い方向に行くのかは分からない。だが普通に話し合いをさせてもボルトは恐らく分からないしナルトも分かってくれとしか言わないだろう。そこにあるボルトの気持ちを見て見ぬふりしてしまう。ならこうするしかないよなぁと光輝の作戦は始まった。

 

「さぁ始めましょう!シカマルさん、俺は何すればいいですか?」

 

「お、おい!」

 

 それでもナルトは光輝を止めようとしたがシカマルが言う

 

「悪いが光輝の力を借りるのは俺も同意してる。流石に重要なものは無理だが仕分けぐらいなら手伝っても問題ない。それとただの押印もな。」

 

 そう言いながらシカマルは書類の一部を持って光輝と有無を言わさずに部屋を出ていった。ナルトは何が何だか分からず困惑したまま椅子に深く腰掛けた。そして暫く光輝の意図について考えたが全く分からない。そしてその内考える事は息子のことになっていた。

 

「·····あいつがまだ子供でいて欲しいのは俺の我儘なのかな」

 

 そうポツン呟いた。だが今はボルトだけの父親になれない時だってある。里の皆が家族なのだ。きっとボルトだって分かってくれてる筈だ·····。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日光輝は眠い目を擦りながらも起きて火影室に向かった。ボルトはまだ寝ている。書き置きで午後から行くからそれまで自由時間でって書いといた。火影室につくと書類の量はめちゃ減っていた。ナルトも寝不足はあるかも知れないが前よりはマシだった。

 

(まあ昨日あんなに頑張ったしな。)

 

 光輝は昨日シカマルの部屋で書類の仕分けとシカマルが判子押してって言っていた書類にシカマルの見本を見ながら押していった。影分身も出してナルトに変化させて里にいかせた。取り敢えず口癖で誤魔化す作戦。それにより書類はバンバンと無くなっていきナルトは今日の午後からはフリータイムだ。勿論もう光輝が行き先を決めてるからそんなにフリーという訳では無いが。

 

「お疲れ様です。」

 

「あ、ああ。光輝もな。·····それで俺を火影室から出してどこに行かせたいんだってばよ?」

 

「ああ、それは」

 

 

 

 

 

 

 

 

 アカデミーの修練場、ボルトとイワベエが喧嘩した所だ。そこに光輝とナルトは来た。ナルトは何故ここまで連れて来られたのか分からず困惑の顔で光輝を見た。2人は観客席から闘技場まで下りて相対した。

 

「えっと、お前と戦うのか?」

 

「いや、別に俺とは戦わなくてもいいですよ。本当に戦って貰いたい人は他にいます。因みにもうシノ先生とイルカ校長には許可貰ってるので約1名を除いて誰も来ませんよ。」

 

「???」

 

 ナルトが疑問符を出してる間にも光輝の分身とある気が近づいて修練場に入ってきた。そして観客席から出てきたのは

 

「なっ!?父ちゃん!?」

 

「ボルト!?」

 

 ボルトだった。ボルトは光輝とナルトを見比べた後に闘技場に降り立った。そしてナルトに少しキツめの視線を見せながらも光輝に聞いた

 

「どう言う事だってばさ光輝さん!」

 

「まあ単刀直入に言えば·····2人に戦ってもらいます。」

 

「「は!?」」

 

 そんな驚いた声を出してる親子を無視し光輝は分身を解除し観客席に戻る前に2人に言った

 

「·····俺の友達の言葉だけど・・・ぶつからなきゃ伝わらない事だってある。例えば·····どれだけ自分が真剣なのか、とかね。」

 

 その言葉はキリト達の世界にいる絶剣·····ユウキがアスナに言った言葉だ。アスナが光輝に自慢げに話してくれた。ユウキは今はSAO帰還者学校の高等部に通い始めている。·····と言ってもSAO帰還者学校とはもう名ばかりで外部からの生徒も受け入れているが。まあそれはさておき2人は光輝の言葉を聞いても「はい?」って感じだが光輝は2人をほっといて観客席にいったが、やっぱり2人きりの方が良いかとなり出ていこうとした。その前にナルトに言った

 

「ああ、ボルトほっといて火影室に戻ろうとしたら世界一周出来るぐらいの威力でぶん殴るのでそのつもりで」

 

「は!?」

 

 サラッとおぞましい事を言って光輝はシカマルの手伝いに行ったのだった。勿論気で2人の様子はある程度分かる。

 

(さぁ、こっからはあの2人しだいだ。)

 

 一方置いてかれた2人は気まずい雰囲気の中にいた。因みにナルトは7代目火影の羽織をしていた無い。

 

(ぶつからなきゃ伝わらない事だってある·····)

 

 ボルトはそう心で呟きナルトを見た。ナルトはまだ困惑の顔をしていた。その時ボルトは光輝に言われた事を思い出した。そして一気にナルトに接近して拳を繰り出した。ナルトは不意打ちでびっくりしたが当たり前のようにそれを片手で受け止めた。だがボルトは気にする素振りもなく左から右に足を振った。ナルトはそれを足の膝で止め逆に拳をボルトに向けた。ボルトはそれを余裕を見せる余裕もなく冷や汗を出しながら顔を逸らして躱しバク転で後退した。

 

「何かよく分かんねえけど丁度いいってばさ!母ちゃんの飯を食わなかった分は絶対殴ってやる!」

 

 そう日頃のナルト·····と言うより火影に向けるストレスをぶつけた。ナルトは何も言わず迎え撃った。ボルトはガンガンと術を使ったがナルトは使わない。

 

「はあっ!」

 

 そう言って並の下忍レベルの動きでナルトに攻撃するがナルトはそのまま攻撃を受け止め反撃する。

 

「ヒマワリは何も言わねえけどずっと悲しんでる!」

 

 ヒマワリはあの歳でナルトが忙しいと・・・だが自分達の為に働いてくれてるという事は理解している。だからボルトと比べて文句は言わない。だけれども理解は出来ても寂しそうな表情は誤魔化せない。そんな表情をボルトは見てきた。そして·····その事はナルトだって知っている筈だ。それが更にボルトの苛立ちを加速させる。勿論自分はまだ恵まれている方だとは自覚している。サラダもスミレも家族に関しては問題があるからだ。だがそれとこれとは別だ。最初からいないならまだ割り切れる。だがナルトは途中で火影になり家にもあまり帰らなくなり·····最近は光輝の監視の意味で帰ることはあるがばてていて寝る時間の方が長い。

 

「父ちゃんにとって·····俺達は何なんだよ!里の皆も家族で俺達の事は何なんだよ!」

 

 ボルトもいわばこれは八つ当たりなのは分かっている。けれどもだからと言ってヒマワリにあんな表情をさせるナルトを·····火影を許せないと思っている。

 

「火影は自分の家族を悲しませないと出来ないのかよ!」

 

 気がついたらボルトは涙を流しながら拳を振っていた。そんなボルトの表情を見てナルトの顔が苦痛に歪む。

 ボルトは今よりも子供の頃は火影ってスゲーなぐらいだったが父親が火影になった後はそんな感情は真逆になっていた。忙しく帰って来ない父親、帰ったとしてもまともにご飯を一緒に食わず最悪は何も会話せずに寝てしまう。昔はずっと構ってくれたのにいきなりそんな事になったからボルトは或る意味ひねくれたのかも知れない。そして·····里の皆を大事にして自分達を大事にしていないと感じたのだ。

 心の奥底では父親が大好きだ。だがその感情を火影という名の仕事が邪魔をして悪感情が心に蔓延する。

 

「1番近くにいる人達を犠牲にするのが火影ってんならそんなの大嫌いだってばさ!!」

 

 そうボルトに自分の叶った夢を否定された。普通なら怒りたい所だがナルトは怒る気にはなれなかった。それ所か自分が甘かったと認識した。心のどこかで家族はちゃんと分かってくれてると·····そんな事を思っていた。だが現実は早い反抗期の息子が答えだ。

 ボルトが分からずやと言ってしまえばそれまでだ。だが果たしてもしミナトが生きていれば自分はミナトの事を理解出来ただろうか?もしもミナトが生きていて火影のままなら自分は火影を目指したのだろうか?火影を目指したのは最初は皆に自分の存在を認めさせてやりたかったからだ。だがミナトが生きていれば自分もボルトと似たようになったかも知れない。忙しいであろう父親に構って欲しくなったかもしれない。自分はそんな時我慢出来るのだろうか?

 

(俺が·····1番知っている筈なのに)

 

 家族と·····父親と触れ合えない。それ所かナルトはペインの時まで誰が父親なのか知らなかった。だが自分は・・・ミナトの時とは違い自分は生きてボルトの成長を見守っていける。ボルトには自分という父親がいる。だから·····どこか自分よりもマシという感情があったのかもしれない。

 

「影分身の術!!」

 

 ボルトが今だせる最大人数の3人を出してナルトに殴りかかる。ボルトが努力とか根性とかダサいと言うのはナルトへの反抗心だ。努力と根性で駆け上がり夢を叶えた忍び、それがナルトだ。勿論その道中には色んな人との出会いや別れ、悲しみだってあった。だがボルトはそんな事は知らない。ただ父親が凄い、英雄という事しか聞かされずそして自分はそんな英雄の息子としか見られない。

 もしヒナタがナルトの最初から·····は無理かもしれないがアカデミー時代のナルトとの馴れ初めじゃなくナルトの落ちこぼれ様を教えていれば少しは違ったのかもしれない。ヒナタは頑張ってナルトは働いて里や自分達を守ってくれてる・・・と何度もボルトに言う。だがボルトにはその実感がない。生まれてこの方そんな戦いなんてなかったからだ。だから少し火影という役職を軽く見る。ただ頑張ってると伝えるだけではダメなのだ。ボルト自身がナルトと火影を理解しなければならない。そしてそれが出来なかった現実が今目の前でナルトに拳を振りかぶっているボルトだ。ナルトはその拳を手のひらで止め蹴りを放った。ボルトはそれを仰け反り躱したそのままバックステップで後退した。ナルトは少し目を閉じた後に言った。

 

「·····来い!ボルト!」

 

「うぉぉおおお!!」

 

 今のボルトはプライドなんぞ捨て泥だらけになっている。何回かナルトの反撃を受け吹き飛んだからだ。いつものボルトならその汚れを気にするが今のボルトはそんなもの気にならなかった。2人はそのままボルトのチャクラが切れるまで戦い続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

 ボルトは忙しなく呼吸をして倒れていた。痣が所々あるがボルトは大して気にしていない。そんなボルトを見てナルトはふっと笑いながら言った。

 

「やるじゃねえか、ボルト。」

 

 そんなナルトの頬にはボルトには及ばないが少し殴られた痕があった。ボルトは1度だけナルトをぶん殴る事に成功した。それ以降は1回もぶん殴れなかったが。ボルトはナルトの言葉を聞いても反応を示さなかった。ただ荒い息を整えた。そして上体を起こした。ナルトもボルトの前に胡座をかいて座った。そして2人は無言になった。そしてそれが1分ほど経った時ナルトが言った。

 

「·····すまなかった。」

 

 そう心底申し訳なさそうに言った。ボルトはそんなナルトを見て驚いた顔をした。ナルトはボルトを見ず下を見ながら呟く

 

「·····お前をガキ扱いしてまともに見ようともせずに・・・お前が怒るのは当然だ。俺もそんな時期があったのにな」

 

 ゴースト事件の時、ボルトは白眼を開眼したとナルトに言った。だがナルトは白眼はめちゃくちゃ修行して初めてなれるものと、そしてそんな修行をしていない事は自分が1番よく知っているとボルトに言った。確かに結果的に白眼ではなかった。だが自分は本当にボルトがそんな修行をしていないと知っていたのだろうか?·····結果から言うならYESである。確かにボルトは修行をしていなかった。だが問題はそこじゃなくてナルトがボルトの事を知った気になっていた事だ。

 そしてこれまたゴースト事件の時浄水場の事件の後にナルトはボルトの耳を引っ張り浄水場で暴れた人の姿を見せた。チャクラが無くなりやせ細った人を見せながらナルトはボルトに戦いの本当の恐ろしさを知らないと・・・だから先ずはアカデミーを卒業しろとボルトからすれば理不尽な事を言った。大人にならなきゃ話も聞かないという意味にボルトには聞こえたし実際ナルトもそのつもりで言った。だが果たして自分はボルトと同じアカデミー生の時にそんな事を言われたら大人しく言う事を聞いただろうか?答えは否だ。クラスメイトが襲われのだ。それも自分の目の前で、なら自分だって恐らく犯人を捕まえたいと思う。

 そして最後にスミレが拘置所にいた時にボルトはスミレをアカデミーに戻してくれと頼んだ。だがナルトは里の皆の事も考えなきゃならないと言った。実際そうだろう。ナルトにとっては里の皆も家族なのだ。だが·····自分は目の前にいる自分の·····自分だけの家族を大事に出来たのだろうか?これも答えは否だ。大事に出来たならばボルトはあんな心の叫びをあげなかっただろう。

「火影になったものが皆に認められるんじゃない。皆に認められたものが火影になるんだ」·····自分は目の前にいるボルトに火影の自分を認められているのだろうか?これも否だ。と言うよりメン切って大嫌いと言われたし。

 ナルトは皆に自分の存在を認めさせる為に火影になるという夢を持った。それは言い返せば誰かに自分の存在を認めて欲しかったからだ。ボルトの場合は父親に認めて欲しかったのだ。

 

「·····父ちゃんが俺みたいな時期?」

 

 ボルトにはそんなナルトが想像つかなかった。ボルトの知ってる父はダサい時はあるがそれでも忙しくだがしっかりと働いている様だからだ。ナルトはボルトの言葉に苦笑いしながら頷いた

 

「ああ。よく周りに構って欲しくてイタズラばっかりしてイルカ先生に怒られてた。」

 

 そう懐かしむように言った。

 

「火影だからって・・・家族をほっといていい訳じゃないのにな。本当に·····すまなかった。」

 

 そんな頭を下げたナルトにボルトは何とも言えない気持ちになった。謝って欲しかったのは確かだがいざ前にしてみると何とも言えなくなる。ボルトはナルトに聞いた

 

「父ちゃんは・・・さ。何で火影になりたかったんだ?」

 

 普段ならそんなの聞きたくなかっただろう。だが今は不思議となぜイタズラばっかりしていたナルトがそれを目指したのか気になったのだ。

 

「そうだな·····」

 

 その日の夕飯までナルトは火影になりたかった夢・・・そしてそれから始まったナルトの物語のほんの一部をナルトはボルトに語った。ボルトは反発せずに黙々と聞いた。ナルトはこれがボルトじゃないなら少し脚色しそうになるがボルトにもう嘘はつくまいと正直に自分の過去を話した。途中で場所を移して誰もいない教室で話していたら恩師のイルカが来て当時の事を懐かしむように話したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「疲れた。」

 

 そう言いながら光輝は背を伸ばした。そんな光輝を見ながらシカマルはお茶を出して光輝に渡した。そんな2人の少し離れた所にはやり終わった書類が積まれていた。勿論ナルトがしなければならない書類もあるが2人で片付けられる分は片付けた。まあシカマルの負担が八割だったが。光輝はお茶を行儀よく飲みナルト達の気を感じた。

 

「·····どうやら上手くいったみたいですね。」

 

 じゃないと親子とイルカさんの気が同じ場所にいないだろうし。

 

「そうか。流石にお前さんもあの空気は嫌だったか。」

 

 そう少しニヤニヤしながらシカマルは言った。シカマルはナルトとボルトの雰囲気にはもう慣れてしまったからあれだが光輝にはあの空気は少し嫌だった。あの何だか2人ともから回っている気がして。

 

「そうですね。ちょっとあの空気は嫌でした。」

 

 シカマルが光輝の作戦に乗ったのはナルトがほんとに偶にボルトの事を気にして仕事が手につかなさそうな時があったからだ。仕事に支障は無い程だから何も言わなかったが光輝がこの話を持ってきた時にこれ幸いと快諾した。親子の時間はいる。シカダイはどこか大人びて文句を言ったことなどないがそれでも親子の時間はいるとシカマルも考えているからだ。

 

「ナルトさんの事が好きなのは目に見えてましたからね。思ってる事を全力でぶつければ何とかなると思ってましたよ。まあ友達の受け売りですけども。」

 

「ふっ、そうか。」

 

 そう言ってシカマルは少し微笑んだのだった。

 

 

 

 

 




お疲れ様でしたm(*_ _)m
一言もないけどイルカ先生参戦。
ユウキは偉大。
サラダ編はダイジェストというか·····ぶっちゃけ飛ばします。光輝がナルト達について行ったら気で誘拐されたサクラの居場所分かってしまって大蛇丸の所に行く必要なくなるからです。次回ボルトの修行回でオリジナルです。サラダファンの皆さんごめんなさいm(*_ _)m


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ボルトと修行

おはようございますm(*_ _)m。
ボルト修行回です。アニメよりは生意気度下がってる・・・筈!

追記·····ごめんなさい(o*。_。)o予約投稿しないまま投稿してしまいましたm(*_ _)m本当にごめんなさいm(*_ _)m


俺は今キッチンに立ってヒナタさんの弁当作りを手伝っている。唐突に何だと言われるかもしれないが事実そうなのだから仕方ない。何故俺が弁当作りを手伝っているのか?それは少し前まで遡る。ナルトさんの元にサスケさんの鷹が来てそこに書かれてる事を確かめる為にナルトさん自らサスケさんと落ち合うからだそうだ。それを聞いたヒナタさんが大急ぎで弁当作りを始めたので俺も手伝った。

 

「ありがとう光輝くん。」

 

「どういたしまして。」

 

そして弁当を作り終えヒナタさんはボルトにあんの門からナルトさんは行くから渡してきてと言ってボルトは頷いてダッシュした。俺も追いかける。道中ミツキもやってきて3人で向かった。そしてあんの門にまだいたナルトさんにギリギリ弁当を渡し終え俺達は里を歩き始めた。·····俺はその時木影に2つの気·····サラダとチョウチョウがいた事に気がついたがナルトさんには追いつけまいとスルーした。そして俺とボルトとミツキは里を歩いていたがボルトが俺の前に来て言った

 

「その・・・修行つけてくれってばさ!」

 

ボルトはあのナルトさんとの喧嘩?っぽい事の後から何やら熱心に修行を始めた。ヒナタさんとよく組手をしている。ボルトが俺に頼んで来たのはさっきのナルトさんの一言が原因だろう。

 

『光輝もすげぇ強いぞ!』

 

と言うナルトさんの一言でどうやらボルトの中の何かに火がついたらしい。

 

「うん。良いよ。ミツキはどうする?」

 

「ボルトが行くなら僕も行きます」

 

相変わらずボルト好きだなぁと思った。少し位我儘でも誰も文句言わないのに。そして俺達は懐かしの第三演習場にやってきて俺は2人と相対した。

 

「どうする?実戦形式でする?それとも何か技でも教えようか?」

 

「技!?どんな技だってばさ!?」

 

「うーん·····そうだなぁ。」

 

そう言いながら光輝は右の手のひらを差し出し青い球体を出した。それを見たボルトが驚いた顔で光輝に聞いた

 

「こ、光輝さんも螺旋丸出来るのか!?」

 

「うん。最初ナルトさんに会った時に教えてもらった。」

 

サラッと光輝は言ったが本来これは会得難易度Aランクで習得は困難である。実際ナルトは1週間以上かけた。だが光輝は影分身を使って大幅にその時間を減らしたった一日で習得した。その後も改良を加えている。

だが光輝はうーんとした顔になりボルトを見た

 

「な、何だってばさ?」

 

「いや・・・途中で飽きたとか言って投げ出したりしない?」

 

「そんなのある訳ないだろ!」

 

心外なみたいな感じで胸を張るボルトを見てそうかそうかと分身1人出してある物を買いに行かせた。

 

「じゃあ分身待ってる間に1戦するか。2人でかかってこい。」

 

「良いぜ!後悔するなよ!」

 

そう言いながら一定距離2人は離れて俺と向かいあった。そう言えばボルト達と戦うのは初めてか。そう思いながらブルーレッド・オブウォーリアを背中に出し少し振り回し肩に構えた

 

「俺を殺すつもりでかかってこい。」

 

流石に手加減はするがボルトは警戒してるみたいだ。そりゃそうだろうな、自分が持てなかった剣を軽々と持ってるんだから。先に仕掛けたのはボルトだった。クナイを取り出し俺に突撃してきた。だがリーチがなく決定打にかける。·····後強度の問題でクナイがポキポキ折れてしまう。俺が持ってるクナイは宇宙一硬いカッチン鋼ってヤツで作ってるからそんなに折れないがボルトの使ってるクナイは普通のだから折れてしまう。

 

「·····」

 

3本くらい折られた所でボルトが折られたクナイを見つめため息をついた。まあ気持ちは分からんでもない。うん。しょうがない。そう思いながら俺は腰に剣を出した。剣と言ってもサスケさんが持ってる刀に近いが·····俺はそれをボルトに鞘事投げた。ボルトはそれを慌ててキャチする。

 

「それは滅多な事じゃ折れないから貸すよ。」

 

「良いのか!?」

 

「だっていちいち折れてたら面倒臭い。」

 

そしてボルトは剣を持った。持ち方はアカデミーで習ってた持ち方だ。そしてかかってきた。初めて剣を使うにしてはやっぱり才能あるんだなと思わせる程に扱っていた。まあだけど仮想世界限定ならまだキリト達の方が強いか。そして俺の死角からミツキが手を伸ばして俺を掴もうとしていたのを見て俺は2人には見えないであろう速度の片手印を組んで剣を振りかぶって空中をミツキの腕が来る前に斬った。ボルトはその行動に外れたと勘違いしたのか突撃してきたがまた俺は空中を斬った。·····そしてミツキの手とボルトは吹き飛んでボルトは背中から倒れた。

 

「な・・・何だよ今の!」

 

そうボルトが立ちながら言った。ミツキも今の現象に目を見開き弾かれた手を見た後に光輝を見た。光輝が手加減したから2人に目立った傷はない。光輝は剣を肩に乗せながら言う

 

「どう言ったらいいかな·····斬撃を置いたんだよ。」

 

「は・・・はぁ!?」

 

いきなり突拍子の無い事を言う光輝に思わず変な声を出した。

 

「俺が2年前に一緒に戦ったベルクーリさんって人の武装完全支配術を参考にしたんだよ。」

 

光輝は2年前·····セルとの激闘が終わった後にアンダーワールドと呼ばれる仮想世界に行った。そこでまあ色々あったがその世界にいた世界最強にして最古の騎士·····ベルクーリ・シンセシス・ワンという伝説の剣豪と1度戦いその後はアンダーワールドで起きた異変の調査の為一緒に戦った事がある。その時に考えついた事をアンダーワールド帰還後光輝はベルクーリの武装完全支配術·····未来を斬る剣«空切り»を参考に自分が持つ風遁の性質変化を取り入れてこの技を完成させた。

ベルクーリ、そしてベルクーリの持つ時を穿つ剣·····時穿剣は元々アンダーワールドと呼ばれる世界ではたった1つしか無かった時計をリソースに作られた大剣だ。そんな剣に眠ってる記憶はやはり時に関する記憶·····それが未来を斬るという空切りだ。

 

「み、未来を斬る!?」

 

「うん。いやーあれ本当に初見殺しだ。あの人が敵じゃなくてほんと良かったと思った。後俺は流石に未来を斬るなんて芸当は出来ないからな。俺の場合は斬撃を風遁を使って置いたんだよ。それも不可視だから厄介だろ?」

 

あくまでも自分は未来を斬るのでは無く風遁を使って斬撃を置いたのだ。それも不可視だから厄介である。悟空達も初めてこれをされた時は割と驚いていた。·····まあ光輝としてはベルクーリの記憶解放術の方がびっくりした。何と過去を斬るのだ。·····流石に光輝も過去を斬られたら一溜りもない。だがボルトは確かに凄いのは分かったが空切りはゲームでよくある派手な技ではないから首を傾げる

 

「でも何か地味じゃね?」

 

「そうでも無いよ。そうだな·····じゃあさ、一撃の力が重い単発剣と威力は一撃に及ばないけど手数が勝る連続剣。パッと見どっちが強い?」

 

ボルトは少し顔を捻り「連続剣」と言った。光輝もそれに頷いた。

 

「うん、そうだね。俺もそう思う。一撃を追求する単発技はひたすら一撃の重さを追求するのに対して連続剣はいかに相手の防御や自分の攻撃を当てるかを突き詰めたものだ。まあどっちが実戦向きなのかは言うまでもないよな。じゃあさ、何が連続剣を連続にするの?」

 

そんな質問されボルトは何言ってんだこの人みたいな目で見て

 

「そりゃあ連続するからじゃねえの?」

 

「そんなのは誰でも答えられるよ。」

 

「うぐ!」

 

そこで光輝は2人の答えを待ったが普段剣を使わないからか出なさそうと思い光輝が言う

 

「連続剣が連続するのは攻撃の時間的な幅を広げるからだ。」

 

それでもボルトはピント来ないのか首を傾げた。

 

「だけど連続技の1発1発が単発の威力に勝ることはない。つまり俺やさっき言ったベルクーリさんは単発で斬撃を置く·····まあベルクーリさんは未来を斬るだけど単発技の威力と連続剣の威力を両立出来る。·····つまり単発技と連続技、その2つの良いとこ取りをしたのがこの技って言えば分かるか?」

 

「おーーーっ!成程!」

 

「まあ名前がないと不便だから便宜上ベルクーリさんの借りて空切りって言ってる。」

 

そんな剣のレクチャーをしていたら水風船を持ってきた分身光輝がやってきてボルトはまだやりたそうだったが螺旋丸もやりたいとなり結局螺旋丸の修行をする事になった。

 

「ミツキはどうする?分身だけど俺と修行する?」

 

「僕はボルトを見てるよ。」

 

「そ、そうか。」

 

そうして光輝は水風船をボルトに1つ渡した。そして光輝も1つ持ちチャクラだけでこの水風船を割ってみろと言って光輝は割って見せた。

 

「よーし!」

 

そう言ってボルトは水風船と向き合ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

その日と翌日ボルトは螺旋丸修行に打ち込んだ。地味な作業で何回も投げ出しそうになったがその度に光輝がじゃあ諦める?って聞いて逆にやる気を燃やしてた。そしてナルトがサスケ達と共に帰ってきた頃にはボルトの才能なのか水風船をぶち破る事に成功してそれをナルトが嬉しそうにわしゃわしゃとボルトの頭を撫でていたのだった。

 

 

 




お疲れ様でしたm(*_ _)m。
まだ螺旋丸は習得出来てません。次はゴムボールですね。·····まあその描写は少ないと思います。次は5影が光輝について話すでございます(*´∇`)ノ ではでは~


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5影会談

おはようございますm(*_ _)m。
5影が光輝について少しフランクに話し合います
⊂('ω'⊂ )))Σ≡GO!!


 サスケさんが久しぶりに里に戻って来てまた旅立って少し経った今日は何やら里がいつもの雰囲気では無かった。それもその筈今日はここ木ノ葉隠れの里以外の里の長たちも集まって何やら会議が行われる日とか何とか。それを五影会談というらしい。何か凄い貫禄のある名前だな。やっぱり強いのだろうか?

 

(って何か悟空さんみたいな事を考えたな。反省反省。)

 

 そんな俺の目の前では何やらイワベエとメタルが喧嘩をしている。喧嘩の理由は5影の中で誰が1番最強なのかを言い争っている。イワベエはナルトさんが最強に決まってるだろ!と言いメタルは時と場合によります!と言い合ってる。だけど今は授業中だから俺は2人の間に入りそれぞれ拳と蹴りを両手で止めた。

 

「はい、そこまで。強さを比べたくなるのは分かるけど授業中なのを忘れるな。少しはシノ先生の疲れを労われ。」

 

 このクラスは本当に疲れる。シノ先生の精神力が凄い。·····まあ1回吹っ切れたから最初よりはましなのだろうがそれでも疲れるもんは疲れる。

 

「続きは放課後どっかでやっとけ。」

 

 と言って俺は離れた。今は手裏剣の授業中である。だからあちらこちらで手裏剣が投げられている。俺も一応ナルトさんの世界から帰った時に手裏剣の練習をしたから素人ではない。·····まあそれでも手裏剣はイメージして出したのと同時に空間から投げ出すイメージでいつもやってるから自分から投げる事は偶にしかないけども。急激なカーブや2つの手裏剣をぶつけてコースを変える事位なら出来るようになってる。

 そんな中でやる気を漲らせながら投げた手裏剣を全てど真ん中に入れた人物がいた。うちはサラダ、サスケさんの娘でうちはの血を引く少女である。成績は優秀、そしてナルトさんについて行った先で何かあったのか戻って来た時に火影になるという夢を持った。それまでは忍者って何?とかいうこの世界では哲学的な事を考えていた。それが夢を持ち真っ直ぐに進んでいる。そしてうちは一族だけが発現出来る血継限界·····写輪眼も開眼しうる少女である。

 

(·····俺の眼ももしかしたら写輪眼に似ているのかもな。)

 

 写輪眼の開眼条件·····愛情の喪失を感じて深い悲しみ怒りの感情に飲まれた時・・・割と俺があの眼を出来た時の状況に似ている。まあ別に俺はうちはでも何でもない一般の家庭だから何故俺の眼が変色などして力や記憶力などの効果を発揮出来るのかは知らないしもうここまできたらあんまり興味無いが。

 そしてそのサラダから目を違う所に向けるとボルトは集中して贅沢に5つの的に5つの手裏剣を投げた。だが

 

「あーーっ!クソ!」

 

 確かに全て的には当たったがど真ん中にはほど遠い。螺旋丸のゴムボールの修行が上手くいかないのも合わさってストレスが溜まっているのかもしれない。

 

(流石にそろそろそのストレスは解放させてあげないと駄目か。)

 

 俺の成功ばかり見せたって劣等感を感じてしまう。それだけは駄目だ。別に俺は悟空さん達が圧倒的強いと知っても劣等感は持たなかったし今も持ってない。悟空さん達は悟空さん達で俺は俺って分かってるからだ。だけどボルトは偉大な父親と比べられてそれが嫌だった事もあってそういう事は割と気にする。今はずっとマシだけどな。俺はボルトに近寄り言った

 

「先ずは2つからやってみたら?」

 

「わ、分かったってばさ。」

 

 そう言って2つ手裏剣を投げた。そうすると1つはど真ん中に入りもう1つはど真ん中の隣に入った。

 

「まあ手裏剣影分身が出来るようになったら手っ取り早いけどあれ影分身より難しいからな。」

 

 俺も最近知って練習中だし。ボルトは悩んだ顔をするが

 

「無い物ねだりしてもしょうがないってばさ。」

 

 そう言って黙々と手裏剣を投げ続け周りはそんなボルトを意外に思っていた。あのいつもボルトと喧嘩する回数が多いサラダでさえ目を丸くしてる。クラスのボルトのイメージは·····まあ天才で要領がよく授業を真面目に受けてない事が多いのに頭が良い。だけど努力はしてなさげのクラスメイト、そんなイメージがあったからだ。それが今は光輝の言う事を聞いて手裏剣を投げている。そんなボルトを意外に思うのはしょうがなかったのだった。

 

 俺は今日もボルトの修行に付き合って放課後一緒に歩いていた。

 

「今日も演習場に行くのか?」

 

 とボルトが聞いて来たから俺は少し考え偶には気分を変えてやるのも良いかとなり指をある所に指した。

 

「あそこでやるか?」

 

「···何か面白そうだから良いってばさ。」

 

 と言って俺達はその場所に向かい着いた。そしてそこからの景色を見て思わず深呼吸した。俺達がいる場所はナルトさんの火影岩の上だ。里を一望出来るここなら新鮮で良いんじゃないかな?と思ったのだ。そして俺はゴムボールを渡した。

 

「よし!今日こそ!!」

 

 そう言って始めたのだった。

 

(まあ今日中にはゴムボールも出来そうだな·····あとは留めるの段階か、まあそれはあの方法でショートカット出来るか。)

 

 一方その頃ナルトは五影会談を行ってサスケの調査の結果やそれで分かった事を伝えた。そして新たな敵の出現予測が何時なのか分からない事に少し暗い面持ちになる。昔の五大国が争っていた時代とは違い今は平和だ。だがそれ故に忍びのレベルが下がっていってる。もしナルト達の時代ではなくそれ以降にその新たな敵がやってきても勝てる保証はどこにもない。だがナルトはそれに異を唱えた。例え争いが無くとも友と競い合ったりする事は出来る。それが強さになる。それはここにいる5影全員が知っている。

 そして少しそれぞれ過去に思いを馳せていたがそんな時間を終わらせ岩隠れの里の長の黒ツチが風の噂で聞いた事をナルトに聞く

 

「木の葉のアカデミーの空から降ってきた少年がいたと聞いてるが?」

 

「ああ、光輝の事か」

 

 とナルトは少し苦笑いしながら返した。その話に他の影も興味が出たのか聞いてくる

 

「何故空から?」

 

 いきなり空から降ってくるなど聞いた事がない。その可能性があるのは空を飛んでいきなり落ちたとかそういう事じゃないと起きえない。

 

「まあそれはあいつにも事情があるから言えねえけど·····敵じゃねえから安心してくれ。」

 

「·····本当だろうな?何だか木の葉に戦力が揃いすぎてる気もするが?」

 

 と少し茶化すように黒ツチは言った。黒ツチもその少年·····光輝が強いとは思ってない。光輝の強さを見ていないのだからそれも当然だがここでナルトは少しやらかす

 

「いや、あいつ俺やサスケよりも強いと思うぞ?」

 

 その瞬間少し空白が生まれた。シカマルは余計な事を言うなという風に頭に手を当てた。そしてナルトの親友であり砂隠れの里の長、我愛羅が少し信じられないという声で聞く

 

「冗談か?」

 

「いや、あいつがまた来た時から戦った事はねえけど分かるさ。あいつは俺と初めて会った時からとんでもなく強くなってる。まだ隠し玉を何個も持ってそうだしな。」

 

 ナルトはまだ知らないがボルト達に使って見せた空切り、武装完全支配術に記憶解放術、そして最初の時にはあんまり見せなかったアインクラッド流の技達に自分達が教えた影分身や飛来神などなど。それから超サイヤ人1、2と超サイヤ人3相当の変身も鵺の異界からの脱出以外で使っていない。と言うより界王拳や変身をしなくてももう今の光輝はあの時のターレスなど100人同時に来ても1人で殲滅など朝飯前だ。

 ナルトは窓の所まで歩いて里を見下ろしながら言った

 

「だけど敵じゃねえ。それはあいつと一緒に戦った俺やサスケが知っている。」

 

 だけどそれではいそうですかと言ったら5影のメンツが少し危ういので雲隠れの里の長·····ダルイが聞く

 

「・・・何でそんなガキがこの忍界にいきなり現れた?」

 

 そりゃあそうである。そんなに強いなら噂になる筈・・・それも火影と一緒に戦った事があるのだから1つくらい噂があっても良い筈なのだがそんなのは寡聞にして聞かなかった。5影が怪しむのは無理ないだろう。

 だがナルトはあまり光輝の事を言いふらしたくはない。本人から話すなら兎も角自分から話すのは駄目だろうと。

 

「・・・すまねぇ、あいつがどこから来たのかは言えねえ。ただ敵じゃねえのは確かだ。それは信じてくれ。頼む」

 

 そう言って頭を下げた。里の長が頭を下げるのは本来好ましくない。しかしナルトは光輝の為に頭を下げた。絶対に光輝は敵じゃないと伝える為に。少し沈黙が場を支配したが我愛羅がふっと笑って言った。

 

「お前がそこまで言うなら信じよう。」

 

「我愛羅·····」

 

 周りを見るとしゃあないかみたいな顔が多数だったがナルトはまた頭を下げてお礼を言った。そして一行は会談を終えた。そんな時窓を閉めてる部屋にも聞こえる程の歓喜の声が聞こえた。

 

「やったーーーー〜っ!出来たぜーーーーーっ!」

 

「今の声・・・ボルトか?」

 

 ナルトは思わず窓を開けて声のした方向を見たが見えなかった。まさか何かイタズラしたのだろうかと·····まさかの火影岩に落書きしたのだろうかと冷や汗を出してたナルトが少し面白く4影は言った

 

「見に行ったらどうだ?」

 

 もう会談は終わった。少し位なら問題ない。ナルトはお礼を言って火影屋敷の屋上に走って行った。4影も面白そうと思いついて行った。そして屋上から声のした方·····火影岩のナルトの所を見れば頭らへんで2人のボルトが未だに凄く喜んでいた。

 

「ぼ、ボルト?」

 

 というナルトの声が聞こえたのだろうか?2人のボルトが下を見てナルトを見つけて掌を上にして突き出した。そしてそこにあったのは

 

「あれは·····螺旋丸か!?」

 

 何故か少し小さいかボルトの掌にあったのは間違いなく螺旋丸だ。アカデミー生の段階で会得難易度Aランクの術を会得した事に少なからず影達は驚いた。

 

「出来たってばさーーっ!」

 

「·····こりゃあ本当に俺達を超えてくるかもしれねえなぁ。」

 

 とダルイが少し微笑みながら言った。そしてその視線をボルトの横辺りに向ければ蒼い羽織に赤いインナーに蒼色の帯に黒色のズボンを履いてる光輝を見た。

 

「あの子か?」

 

「ああ。」

 

 光輝は喜んでるボルトを微笑みながら見ていた。そしてナルト達の視線に気がついたのかナルトを見て口パクで出来ましたと伝えた。

 

(ボルト、お前は強くなれる。挫折や後悔だってきっとする事になるだろうけどお前はそれを乗り越えて立ち上がれる力を持っている。それが強くなる為に必要な事だよ。)

 

 ボルトは未だに嬉しさの笑みを浮かべているのだった。

 

 

 




お疲れ様でしたm(*_ _)m
ボルト・・・螺旋丸習得!ただしまだ1人では出来ません。最初はアニメ版通り1人でやろうとしたけど光輝が先ずは影分身を使ってやってみろと少年ナルトスタイルを勧めてボルトは不承不承やったが元々チャクラコントロールも抜群だった事もあり割と早く螺旋丸出来た。そして直ぐに1人でも螺旋丸が出来るようになります。

アンケート途中経過言うとボルトは不正なしが断トツですね( ´ ▽ ` )やっぱり皆あの空気は辛いか。うん。
じゃあ次は修学旅行編です
(* ̄▽ ̄)ノ~~ マタネー♪


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修学旅行

おはようございますm(*_ _)m
勉強とメモデフが楽しくてサボってましたm(*_ _)m
では─=≡Σ((( っ゜∀゜)っ


 突然だが今アカデミーの教室にいる俺の目の前ではボルトが天井から逆さに吊るされ口を封じられて蜘蛛みたいに吊るされていた。何故こうなっているのか分からん俺は思わずボルトの下から聞いた。

 

「お前一体何やらかしたんだ?」

 

「んんーっ!んっ〜っ!」

 

「うん。分かんないからもう良いよ。」

 

「んんーっ!」

 

 まあ・・・大方何かイタズラでもしたのだろうか?最近ミツキの風遁を習っていたからそれを使いたくなってやらかしたのか?そんな時シノ先生が入ってきて淡々と教壇に登った。俺も右側について委員長のスミレは左側についた。何やらスミレはボルトを見て戸惑っている。うん。気持ちは分かるよ。

 因みにボルトが逆さ吊りの刑になったのはやっぱりミツキから習った風遁を使ってイルカ校長の髪がカツラかどうか試したんだと。

 

(まあボルトってある意味尊敬出来るよな。)

 

 勿論イタズラをするのは駄目だがボルトの場合は意識してるのか無意識なのかはっきり言えば絶対にイタズラが成功する人達·····まあ例えば・・・他のアカデミー生や昔のナルトさんみたいに一般人には手を出さない。いつも成功するか分からない程のギリギリのラインでイタズラをしている。例えばナルトさんだ。普通ならイタズラの前にバレそうなものだがボルトはその後に捕まったとかは置いといてほぼイタズラは成功させている。授業は真剣に聞かない事が多いがイタズラの方法を考えるのは人一倍頑張ってる。まあそれを普段の授業でもやれやとなるのだが。だけどボルトのイタズラはイタズラである意味の修行にはなってるよな。本人は意識してないだろうけど。

 

 光輝がそんな事を考えている間にスミレ黒板にある文字を書きシノが生徒達に言う

 

「里外への修学旅行は当アカデミーにおいても初めてのこと。お前たちには細心の注意を払ってもらいたい」

 

 黒板には水の国修学旅行と書かれている。光輝は旅行などあまり記憶はないが雰囲気的に楽しそうというのは分かる。因みに光輝もついて行く事になった。本来お留守番なんだろうがこの前の5影会談の時修学旅行先の霧隠れの里の長·····長十郎がナルトに是非光輝もどうぞと言ったからだ。

 

 今は修学旅行の注意事項をシノ先生が言っているのだがどいつもこいつも聞いてねえな。職業体験の時に先生を体験させとけば良かったな。授業が無くなるとか水着買わなきゃとか・・・別にそれは後で話せば良いのでは?と思ってしまう。·····まあ一瞬小一の時お姉ちゃんが愛美と一緒にプールに連れてってくれた時の愛美の水着を思い浮かべてしまったが。

 

(愛美ももう14歳か〜。·····と言うより俺はもう死んでると思ってるか。·····他に好きな人出来てたらどうしよう?)

 

 厳密に言えば前までは1歳愛美の方が年上だったが今はもう年は一緒である。精神と時の部屋に1年分入ったからだ。

 光輝は今更のように愛美の状況を考え不安になった。だけど今はその考えを振り払っておく。

 

「では修学旅行委員を選びたいと思う。誰か希望者はいるか?」

 

 とシノ先生が言ったが全員目を逸らした。誰もいないなら委員長って理由でスミレがやらされそうだけど·····

 

(·····どう見ても嫌がってるな。)

 

 まあ気持ちは痛い程分かる。アカデミーの授業とかアカデミーでだけならまだスミレは纏められるのだろう。だけど里の外では何が起こるか分からないのだ。今は平和だが前までは争っていた里に行くのだ。そこで何か起こった時クラスを纏めなければならない。これでまだ全員良い子な子達ばっかりなら全然良いんだけど生憎このクラスは問題児の方が多い。スミレじゃなくてもやりたくない。あっ、でもある意味丁度良い奴いるな。でも俺は指名する側じゃないから見守る。そんな時手が上がった。サラダだ。だけどやるぜ!みたいな顔ではなく良い事思いついたみたいな顔だ。

 

「先生!修学旅行委員はうずまきボルト君が良いと思いまーす!」

 

「んんっ!うんん!」

 

 やっぱりサラダもそう思うか。一緒に住んでて分かったけどボルトはやると決めたらその役割は何だかんだ言ってやり遂げる奴だ。ヒナタさんのお使いも少し文句は言いつつもしっかりとやってくるしヒマワリちゃんと遊ぶ約束していた時は絶対に約束を果たしている。·····後一歩引ける立場で自分に関係ない事なら割と大人の部分がある。

 ボルトは抗議しているが何言ってるか不明なのでこれ幸いとクラスはもうボルトが修学旅行委員になってる雰囲気である。うわぁーこれが同調圧力って奴か。恐ろしい。

 

「いいんんょー!」

 

「でも·····」

 

 ボルトは必死にスミレに抗議する。スミレも救われた過去があるのと委員長としての立場でこれで良いのだろうかと考えたが反対しても代案が浮かばず·····

 

(·····うん。まあ何か違う事で恩を返せば良いよ。返す方法ならいっぱいあるんだから。)

 

 スミレはサラッとボルトを裏切った。光輝は心の中でスミレには同情とボルトへは哀れみの視線を向けといたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 修学旅行当日ヒナタはボルトの荷物の確認を行っていた

 

「ハンカチと着替えと筆記用具と·····」

 

「おやつにゲーム、充電器に忍びバウト」

 

 とボルトは小荷物の方を入れていた。だが入れたものを見てヒナタは微妙な顔で言う

 

「本当にそんなもの必要なの?」

 

(いらないと思いますよヒナタさん。)

 

 とヒナタの呟きに光輝はパッと見何の荷物も持たず心で答えた。光輝はいらないとは思うが別に持っていったらダメとは特に聞いていないからスルーした。ボルトがヒマワリにお土産沢山買ってくるからな!と言ってるのを後目にヒナタはリビングの入口にいる光輝に言った。

 

「光輝君、ボルトの事をお願いね?」

 

「はい。大丈夫です。」

 

 その会話を皮切りに2人は集合場所のあうんの門に向かった。そして点呼の後電車と言う光輝の世界での電車に乗り港に向かった。光輝はシノの隣で瞑想していた。勿論途中で綺麗な海の景色になった事は知っているが特に表情は変えなかった。凄いのは知っているが光輝はもう何回かこの空からこの景色を見てるからだ。

 そして一行は次は船に乗って霧隠れの里を目指していた。待っている間の楽しみ方は人それぞれであった。船についてたプールで遊んだりしてる子もいれば鬼ごっこをしてる人達やお話をしている人達もいた。光輝は何かバカをやってないかの確認で船内をぐるぐるしていた。

 

(·····ブロリーのやつ本当に何処にいるんだ?まだ回復していないのかそれとも·····この忍界とは違う世界にいるのか?でもスミレの鵺の異界にはいなかったし·····あそこ以外でも違う世界があるのか?·····しょうがない。アカデミーが終わったらナルトさんに頼んで俺はサスケさんについて行こっかな。俺も動き回った方が見つかりやすいだろう。)

 

 と1人で問題提起して1人で解決していたらいつのにか1階下のプールと眼前の海の景色を見れる屋外へと来ていた。そしてそこには3人の先客がいた。チョウチョウにスミレ、そしてサラダだ。光輝は女子3人の時間を邪魔するまいと踵を返そとしたがその前に会話が聞こえてきた。

 

「凄いね、この海の向こうに沢山の国があって沢山の里があるんだよ。」

 

「途方にくれちゃうね。」

 

(·····安心しろ。この世界を一周したって他の世界が山ほどあるんだからな。)

 

 光輝自身は行った事ないが·····と言うより最近知った事だが悟空達や違う世界のナルトや他の色んな世界の人達が共闘した事があると聞いている。時の巣にいる悟空達とは違う悟空達だからそういう戦いがあったという事しか知らないが世界が沢山あると言うのは確かだ。

 そして光輝が船内に戻るのと同時に霧隠れの里の天然の要塞·····濃い霧が出てきたのだった。光輝は生徒達と混ざって·····と言うより馬鹿な事しないかの見張りに生徒を見渡せる所で見張っていた。ボルト達は忍びバウトという·····光輝の世界で言うUNOみたいな事をしていた。まあ光輝も名前を知ってるだけでやった事は無い。カード遊びしてる暇あるなら修行していた方が有意義だと小2から小3の笠木との戦いまで思っていたからだ。·····まあその後は偶にキリトやレインに誘われてやる事があったが。そして一行は霧ばっかりの景色と忍びバウトを同じメンバーでやりすぎてとうとう飽きてだらけ始めた。光輝ももう影分身に見張り任せてALOにでも行ってユージオに修行手伝ってもらおうかなと考え始めていた。

 

(·····そういう訳にも行かないか。)

 

 と思い直していたら消灯の時間になった。光輝は全員寝たのを見届け見張りをシノに頼み光輝は甲板に向かった。勿論周りは濃い霧に包まれてはいるがある所まで行けば関係ない。誰もついてきてないことを確認し光輝は飛翔した。この世界では空を飛ぶ人間は珍しい。今飛べるのは3代目土影のオオノキだけと言われている。だから光輝は周りを確認したのだ。そして光輝は一気に霧と雲ごと突き抜け雲の上にやってきた。どんな世界でも雲のうえから見る月は綺麗だなぁと思いつつも光輝は影分身を出して向かい合う。昼間はずっと生徒達を見張っていて修行が出来なかったら今やるのだ。ただし気を解放しまくったら地球が揺れてしまって沢山の方に迷惑がかかるから剣を互いに取り出しぶつけ合った。空では剣戟の音がずっと鳴り響いていたのだった。

 

 

 

 光輝が甲板にそーっと戻ってきたのとほぼ同時にイルミネーションが見えるようになっていた。それは目的地の霧隠れの里が近づいてきたのと同義。そして霧に包まれた夜が終わり朝になったのと同じ位に港に着いた。光輝は少なからず驚いた。ボルト達は田舎と言っていたがどう見ても田舎の類いでは無い。近代化が木の葉よりも進んでおりそこら辺にビルが沢山建っている。だが秋葉原ととは雰囲気が少し違うと光輝は感じたのだった。そして点呼を取っていたら1人のボルト以上光輝未満の身長の男の子が近づいてきた。顔はイケメンでアカデミーの女子が舞い上がっている。

 

「ようこそ霧隠れの里へ。今日から里を案内する枸橘かぐらです。」

 

 そう言って紳士に礼をした後シノに近寄り握手を交わしていた。年上には見えるがボルト達と歳は余り変わらず水影の側近を務めている。そしてもう霧隠れの中忍だ。そしてかぐらはシノと話が終われば一目散にボルトに近寄り七代目火影様のご子息と御学友を向かい入れられて光栄です的な事を言ってボルトは苦笑いしながら

 

「父ちゃんが凄いのは知ってるけど俺は俺だ。俺はうずまきボルト、ボルトって呼び捨てにしてくれよな。」

 

 そう言って手を差し出した。かぐらもその手を握り言った

 

「じゃあ自分の事もかぐらと」

 

「よろしくな、かぐら。」

 

 その後はお昼まで自由時間になった。俺も少し回ってみたが確かに都会っぽいなぁと思いながら回っていた。かぐらに聞いた所ここは流通の拠点で色んな国のものがあるんだとか。そしてかぐらは自慢の国だと言っていた。

 

(·····その気持ちに嘘はないんだろうが・・・)

 

 かぐらは何かを気にしてるようにも見えた。そしてもうすぐ点呼の時間だと言うのに1人の生徒·····ボルトからどうも修学旅行先が霧隠れの里と聞いた時から気がたっているイワベエが居なくなってるのに気がついたサラダがボルトを修学旅行委員としてとお目付け役としてデンキが探しに行った。俺も歩いてついて行った。そして現地の人とボルトがぶつかりと言うか相手がぶつかって来て喧嘩になった。そんな喧嘩を俺が止める前に声をかけてきた奴がいた。少し異質な気を持っている。そしてその男がボルトに急接近したがボルトは反応し後退した。

 

「ほう?今のにビビらないか。火影の息子うずまきボルト、良い目をしてるな。それに八朔を相手に引かないとはいい度胸だ。忍者はそうでなくてはな。行くぞ八朔」

 

 ボルトと喧嘩した奴にそう言って去っていった。

 

(あいつは·····少し注意がいるな。)

 

 何か絶対にまた絡んできそうな雰囲気がある。·····こういうのをお姉ちゃん的にフラグと言うらしいが気にしない気にしない。俺達は集合場所に向かって点呼を取った。その最中にまた霧に里は包まれた。·····そう言えば俺あんまり霧とか見たことないんだよな。東京以外出かけたことないし。

 その後俺達はある所に向かった。ここ霧隠れの里の長·····現水影長十郎さんの元である。その道中先代水影さんのメイさんという人も合流し俺達は水影室に入った。そこに居たのは長身の男の人·····長十郎さんだった。長十郎さんは俺達を歓迎すると言って何やらお話を始めた。

 

(ああいう立場の人って面倒臭いだろうなぁ。小難しい話をしなきゃいけないんだから。)

 

 長は実力だけでなる訳じゃない。あんな演説やそれによって人を束ねる術もいる。まあその点この人は水影に相応しいんだろうな。·····ボルトはやはり退屈なのか欠伸をしてサラダに注意されていたが。だがボルトは要は仲良くしようぜって言えばいいのに小難しい話をされるなんてと文句を言いたげだが長十郎さんはその文句に微笑みを浮かべそれを肯定した。そして楽しい修学旅行にしてくださいと言って締めた。

 俺達はその後一旦荷物を置きにホテルに向かった。因みに俺はシノ先生と同じ部屋である。かぐらがチェックインをしてくれてる間に生徒達は好きに過ごしていた。

 

(·····こんなホテルが珍しくはないって凄いよな。)

 

 俺達がいるホテルは凄く立派なホテルである。·····まあ俺はホテルに泊まったことなどないから偏見も混じってるけどな。ボルト達はかぐらを待ってる間にかぐらの話をしていた。曰くかぐらは2年前に中忍になって今は忍刀七人衆の候補になっているのだとか。忍刀七人衆とは始祖水影から代々伝えられてきた7本の忍刀、使い手を選ぶその刀を扱える選ばれた7人の忍びを忍刀七人衆と言うんだと。まあ肩書きはボルトも似たようなもんだな。·····どこまで伸びるのかはボルト次第だが。

 

「おまたせ、先ずはアカデミーに案内するよ。」

 

 というチェックインを終わらせたかぐらが言って生徒達と先生組はかぐらについて行った。そしてそこは霧隠れの里のアカデミーであり今は何やら剣術の授業らしい。それも不安定な水の上で戦っている。勿論木剣だが当たったら痛いのは変わりないだろう。

 

(木の葉は体術が優れてるのに対してここは剣術が優れてるのか。どっちが良いのかは状況によるけどどっちもやっといて損はないからな。)

 

 実際俺も無手と一刀と二刀使い分けるし。

 

(うーん·····仮想世界ならまだキリトの方が強いかな?)

 

 と下で戦ってる生徒達を見ながら考えた。最終的にいる力は現実なのは分かっている。それでも·····ゲームだとしても命を賭けてきた場数はSAOサバイバー·····それも攻略組は圧倒的に多い。今の忍界は大国の争いが無くなりそんな場数の数は少ない。

 

(·····まあキリトと比べたってしょうがないか。)

 

 と結論づけたのと同時にどうやら剣術の授業が終わってアカデミー生達はどこかに行った。そして先の授業出うずうずしていたボルトを見て長十郎はかぐらと手合わせしてみるかい?と言って2人は先程までアカデミー生がいた水上に向かった。ボルトは授業では習ってそんなに経っていない水上に立つことを普通にやってのけかぐらと向かい合った。

 

「やっぱりああいう所は天才だよね。」

 

 といのじんが言ってるのを聞きながらボルトは木剣を構えた。その構えは俺の一刀の持ち方に少し似ている。腰を下げ右手の木剣は水面に着くかつかないかまで下げて左手を少し突き出している。対してかぐらは剣道の構えに似ている。ボルトの構え方は胴ががら空きだから素人の構えに見えるが実際はそうでも無い。逆に言うと胴が狙われる確率が高いと考えてそれに対応した動きも出来るし真ん中に剣がある訳でもないから避けやすかったりする。対してかぐらは落ち着いている。それが逆に威圧感となってボルトを襲う。そして手合わせが始まりボルトは動いた。威圧感は確かにあったが俺の威圧感に比べればマシだと思ったのだろう。長十郎さんはそんなボルトを見て「ほう?」と少し感心したような声を出した。

 

(隙がないのなら作ればいい。)

 

 ボルトは水上の水を蹴り上げ目をくらましかぐらに迫った。だが想定済みなのか落ち着いてそのフェイントを捌こうとかぐらは動いた。

 

(甘いな。)

 

 ボルトも忍刀七人衆と聞いた時から想定していたのか避けて弾こうとしたかぐらに攻撃される前にギリギリ一歩下がって躱した。そして振り抜いてるかぐらに突撃を仕掛けた。だがそこはやはり選ばれた忍び。体勢を取り直しボルトを迎撃した。かぐらはボルトの木剣を弾いて終わらせたいのかボルトの体勢を乱そうとしているがボルトはそれらの状態崩しを難なく躱して戦っている。

 

「はっ!」

 

 ボルトは斜め切りを繰り出した。斜め切りを捌くには2通りある。ジャンプか後退で躱すか剣を置いてガードする方法か。かぐらは少し息を飲みながら後退を選んだ。だがボルトはそこでにっとし持っていた木剣をかぐらに投げつけた。

 

「なっ!?」

 

 後退している最中で横に逃げようとしても間に合わない。仰け反ったとしても間に合わず腹部に当たる。

 

(なら残りは)

 

「くっ!」

 

 くるくると猛烈な勢いでくる木剣をかぐらは弾いた。宙に木剣が再び舞ったがボルトは直ぐにその飛んでる木剣を回収し上段からかぐらに斬りかかった。そのあまりにスピーディーなやり方に同期達は驚いた。かぐらも上段横に木剣を構えその木剣を止めた。そしてボルトは着水した瞬間にまた詰め寄り縦斬りを仕掛けた。かぐらも反応し止めて鍔迫り合いに入った。勢いのあまり水が跳ねて水のカーテンが無くなると2人はせめぎ合っていた。

 

「くぅーーっ!」

 

 とボルトは両手持ちに変えかぐらも両手持ちに変えて拮抗し始めた。

 

「ボルトも甘かったな」

 

 ボルトは全力の力を入れてかぐらを弾こうとしたがかぐらは無意識なのかは分からないが一気に横にずれた。

 

「わあっ!」

 

 だがボルトも体勢を取り直し再び木剣をぶつけようとしたがその前にかぐらかぐらは1度ボルトの木剣を下げさせた後直ぐに上にぶつけて弾いた。

 

「うおーっ!」

 

 ボルトの木剣は水の上にぽちゃんと落ちていった。長十郎さんがそこまでと言い試合は終わった。歓声が上がったがかぐらは何かを耐えているような表情をしていた。長十郎さんが感心した様子でボルトに近寄った。

 

「かぐらとここまで剣で渡り合えるとは凄いですね。どこかで剣を習ったのですか?」

 

 ·····何か嫌な予感がするから俺は少しづつ後退し始めた。

 

「光輝さんに教わったんだってばさ。」

 

 というボルトの呟きにばっと全員が下がろうとしていた俺を見た。長十郎さんは少しにっと笑いながら言った。

 

「どうです?光輝さんも1戦やりませんか?」

 

 長十郎がこれを聞いたのはナルトが本当の事を言っているのか確かめる為と興味があったのもある。生徒達はそれを聞いてワクワク顔で光輝を見たが光輝は少し疲れてそうな顔で言った。

 

「だ、大丈夫ですよ。かぐら君も疲れたでしょ?」

 

「いえ、たった1戦じゃ疲れませんよ。ね?かぐら?」

 

「は、はい。問題ありません。」

 

「·····マジですかい。」

 

 俺は不本意だが水の上に降り立った。そしてボルトが持ってた木剣を探したが

 

「あ」

 

 木剣は幾度のぶつかり合いの果てに真っ二つになっていた。長十郎さんは新しいのを持ってこようとしたが俺が構わないと言った。

 

「実剣でやりましょう。」

 

 まあ別に木剣でもいいんだけど個人的に確かめたい事があるのもある。長十郎さんは驚いた顔をした後かぐらに聞いた

 

「かぐらもそれでいいですか?」

 

 かぐらは何かを耐えたような表情をして頷き腰にある本物の刀を取り出そうとして·····1度止まった。そして何かを葛藤して勢いよく引き抜いた。だけどそれでも何かを必死に堪えていた。長十郎さんは俺の刀を取ってこようとしたがそれも辞退した。俺の背中にブルーレッド・オブウォーリアが鞘ごと出てきた。そしたら何故か生徒たちはびっくりしている。·····そう言えば剣の出し入れはボルトとミツキ以外には見せたこと無かったな。·····まあ1度武装完全支配術で出した事はあるけども。

 

 光輝はそんな事を考えながら構えを取った。右足を引き右手の剣は顔と同じ高さまで上げ切っ先をかぐらに向け腰を落とす。長十郎が少し離れて言う

 

「ではルールは寸止めの一本勝負です。剣以外のものを使うのは禁止。·····始め!」

 

 と言われたが2人は動かない。それに生徒達は訝しげな視線を向けている。光輝が打ち込めないのかと思ったが長十郎がそれは違うと生徒達に聞こえるように言った。

 

「どちらかと言うとかぐらの方が打ち込めないのです。」

 

 光輝の出す雰囲気は既に何度も命を懸けてきた戦士の雰囲気になっている。かぐらも任務で忍びと戦った事は何度もある。だけれども·····光輝の出す威圧はそんな忍び達を遥かに上回っていた。そして

 

(やっぱり何かを堪えてるな。)

 

 まあ試合には関係ないが一応言っとくか。

 

「お前の過去に何があったのかは知らないし探るつもりもない。ただお前の剣を見せてみろ。」

 

 そう言われかぐらは目を見開いた後目をキッとし仕掛けた。その速さは先程のボルト戦よりも早く鬼気迫る感じがした。だけれどもそれだけだ。光輝はかぐらの斬撃を剣の腹で受け止めた後に弾いてパリィした。

 

「くっ!」

 

 かぐらはあっさりと弾かれた事に思わず苦渋の声をあげた。しかし直ぐに体勢を取り直し斜め切りを行ったが。光輝は後退して避け着水したと同時に飛んで前まわりに一回転して勢いをつけながら縦斬りを行った。かぐらは剣を横に置きガードし火花が散った。その時ピキっと不吉な音がしたがかぐらは気が付かなかった。光輝が縦斬りを不発に終わり後ろに飛んだのを勝機と捉えたのか一気に距離を詰め横に右から左に一閃した。光輝は右手に剣を持っているからガードしにくいと判断したのだ。だけれども

 

「なっ!?」

 

「そうするよな、普通。」

 

 光輝は一瞬で左手に剣を持ち変えてガードした。そして火花が散っている中剣を下に滑り込ませ光輝自身はその剣の上で横回転しかぐらに背を向けた。かぐらも体勢が崩れている中斬撃しようとしたが光輝は大きくバク転してそれを躱しながらついでに剣を横に薙ぎ払う。勿論そのスピードはかぐらに見える程度に抑えられているがかぐらは冷や汗をかきながら仰け反って躱した。かぐらが体勢を取り直したのと同時に光輝は離れた所に着水した。

 

「はぁはぁ·····強い。」

 

「ああ、言ってなかったけど俺の剣での本気は二刀流だ。だから俺は両利きなんだ。」

 

 それに少し戦慄しながらもかぐらは再び剣を構えた。光輝も右に持ち変えて構えた。一方その頃観客席では割と光輝の力に驚愕していた。

 

「嘘だろ。あれで本気じゃねえのか?」

 

「というより普通に忍刀七人衆の候補のかぐらさんと渡り合ってる·····」

 

 シカダイとサラダが思わずというふうに言った。イワベエの全力攻撃を片手で止めた時から思っていたが強いと今更のように分かった。光輝の強さを知っているボルトとミツキとスミレは他の面子よりかは驚愕は少ないがそれでもやはり舌を巻く。後ろに目がついてるかのように光輝は動いているしボルトがめいいっぱい持っても持てなかった剣をかぐらを殺さない程度に振り回しているし。光輝がその気になればかぐらを真っ二つにするなど余裕である。

 

「いえ、かぐらの方が挑戦者になっています。」

 

「「え?」」

 

 サラダの呟きを長十郎は否定した。かぐらの方がチャレンジャーになっていると思ったのだ。光輝はかぐらがギリギリ反応出来るスピードまで手を抜いているのは即座に分かった。光輝の纏う雰囲気にも長十郎は驚いた。15歳と聞いていたが任務を遂行しているだけではあんな雰囲気にはならない。勿論任務で非情になったりする事はあるがそれを差し引いても光輝の雰囲気には少しゾッとするものがあった。

 ·····光輝自身はそれでも結構抑えている方だ。今の雰囲気は言わばALOのデュエルの時の雰囲気に似ている。だからALOで同じ雰囲気を出してもキリト達は対して怯まない。慣れてしまったというのがある。

 

「·····次で終わりますよ。」

 

 という長十郎の呟きに観客は相対している二人を見た。2人は観客のやり取りは聞いていない。かぐらも集中モードに入ってどうやって勝つかとかしか考えていない。·····悪く言えばどう斬るのしか考えていない。かぐらの中では今理性と殺人衝動がせめぎ合っている。

 光輝は知らないがかぐらは4代目水影·····やぐらの孫だ。やぐらが水影の時代、霧隠れの里で血が流れ無かった日はないと言われるほどだ。そんな時代のアカデミーの卒業試験は生徒同士の殺し合いという恐ろしいものだった。しかし今はそんな試験にはなっていない。だがかぐらはそのアカデミーで人を殺しかけた事がある。それもほぼ無意識にだ。それがかぐらは怖くて刀を取ろうとはあまりしなかった。刀を持てば人が変わってしまう。また誰かを殺しかけたり殺してしまうかもしれないからだ。

 だけれども光輝には·····剣を向けた。殺人衝動に負けた訳では無い。どこか光輝なら止めてくれると思ったからだ。

 

「·····来い!」

 

「くっ、はあああああ!!」

 

 最初の爽やかなイケメンの顔ではなく最初よりも鬼気迫る顔で走り出した。光輝も同時に地を·····じゃなくて水を蹴って右の剣を左脇辺りに構えた。かぐらは斜め切りをボルトやさっきまでの光輝との戦い、そして今まで生きていた中で最高の速度で振りかざした。その速度には長十郎も「ほう?」と言った程だ。生徒達が息を飲んで·····少し悲鳴をあげそうになりながら2人は一気に真ん中でかぐらは振りかざし光輝は勢いよくかぐらの持ってる剣に向けて剣をぶつけた。

 

「なっ!?」

 

 かぐら本人ではなく剣を狙って弾かれた事にかぐらは驚愕して目を見開いた。だけれども光輝の攻撃は終わっていない。弾く為に振り抜いた剣を勢いよくかぐらの腹に振りかざして·····

 

「そこまで!」

 

 かぐらの腹に当たる本の寸前で剣は止められていた。生徒達は光輝の2連撃目が当たりそうになった時悲鳴をあげかけた。そんな少し信用してなさげな態度に少し光輝は口を尖らせながら剣を持ち変えて背中の鞘に入れてまた量子変換器に突っ込んだ。そしてかぐらの刀を見て「あっ」という形にした。かぐらも自分の刀を見てあっという顔になった。

 

「えっと·····ごめんなさい」

 

 と言ったらかぐらの刀は半分ポキッと折れてしまった。かぐらもその刀を見て少し何とも言いようのない気分になったが首を振って笑った。

 

「いえ、俺の修行不足のせいですので気にしないでください。」

 

 そんな事を言い合っていたら生徒達が降りて来た。真っ先にボルトが言った

 

「光輝さん!さっきの何だってばさ!?」

 

 光輝が様々な技を持っている事は知っている。だからどの技だろうとボルトは聞いた。

 

「アインクラッド流2連撃技、スネークバイト。」

 

 文字通り蛇が噛むみたいに剣が食らいつくような技だからそうなったんだろうなぁとあの後1度だけ会った茅場晶彦を思い浮かべたのだった。

 

 

 

 




お疲れ様でしたm(*_ _)m。
光輝、ドラゴンボールの世界だとまだ弱い方だけどもNARUTOとBORUTOの世界ではトップクラスの模様。ただもし神威を内臓辺りにやれば一撃死です笑。
そしてボルト、かぐらとの手合わせアニメじゃ速攻やられたけどこっちじゃ粘る。
では(^^)/


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憎むは世界

おはようございますm(*_ _)m
短めです。─=≡Σ((( っ゜∀゜)っ


「おじいちゃん·····お姉ちゃん·····皆起きて」

 

そう言ってビルは倒れ見渡す限りボロボロな町にいる少年は自分が住んでいた家の周りに倒れている家族を揺さぶる。だけれども少年の家族は答えない。顔に血が垂れて誰も息をしていない。少年はその事実を認めたくなく揺さぶり続けるが誰も答えない。

 

あ・・・あぁぁ

 

そんな悲痛の声をあげて少年は自分の家族を揺さぶる。

 

「な・・・んで。何で·····何でだよーーーーーーっ!」

 

そう言って少年のいる町、東京、果ては世界中の生還者全てが思った事を叫んだ。少年は目が虚ろになり自分の家だった場所から歩き出した。せめて彼女だけでも生きてる事を確かめなければと·····そして彼女の家もボロボロで倒壊しかけていた。それでも少年は彼女を探して·····見つけた

 

「あ·····愛美・・・

 

その声に先程の少年と同じく倒れている家族の所で泣いていた少年と同い年か1つ年上くらいの少女は目に涙を貯めながら言った。

 

こう·····き

 

そんなボロボロの彼女の現状を見て少年は目に涙を溜め奥歯を噛み締め天に叫んだ

 

「名も知らない神!絶対に·····絶対に貴様だけは許さない!俺達に·····こんな仕打ちをした貴様だけは絶対にぶっ殺す!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ!」

 

2年前光輝にボコボコにされた仮面の男は光輝にやられた傷は既に無くなって仮面も元通りだ。男はもう自分の名前など覚えていない。この仮面を被った時から自分を捨てた。もし名前を拾う時があるならばそれは自分の望みが叶った時だけだ。

男は先程見ていた自分の過去の夢を見た事に苛立ちが募る。神を殺す·····あの時はそんなのはいる訳が無いと・・・それでも何か当たる奴がいなければ精神も何もかも憎悪に支配される気しか無かった。生きていた少女だけが心の支えだったが·····少女ももう男を庇って目の前から消えた。

 

「クソっ!」

 

そう言って適当に壁をぶん殴った。それによって少し壁が倒壊した。それには目もくれず立ち上がり歩き出した。

 

「どこへ行く?」

 

そうシーラスが言った。シーラスは元タイムパトロール·····と言うよりも初代タイムパトロールと言うべき存在で元は時の界王神に仕えていた。だがシーラスはある時を境に反逆し危険と判断した時の界王神が時の狭間に閉じ込めたのだ。そして長い時が過ぎて綻びが生まれシーラスは抜け出し計画を練った。そんな計画を練って色んな世界を見つからない程度に放浪していた時に仮面の男と出会い結託した。目指す世界は同じ。なら共闘した方がいいのは道理。

男はシーラスに顔を向けずに言った。

 

「あのあまっちゃんの所だ。ブロリーだけに任しておけん!」

 

というのは建前で本当は光輝をぶっ殺したいだけだ。光輝を見ていると自然とイライラする。そんな衝動を2年我慢したのだ。自分の体の改造の為とはいえ長すぎた。そして2年経てば自分ではなく別のやつ·····ブロリー任せなんぞ御免なのだ。光輝だけは自分の手で殺したい。その衝動が男のなかに蠢いている。今ブロリーから得ているダメージエネルギーなど皆無だ。ブロリーがまだ戦闘が出来るほど回復していない。完全回復までは眠りについているだろう。そんなブロリーを待つよりも自分が向かって殺した方が手っ取り早い。

 

「今のお前があのタイムパトロールに勝てるとは思えんが?」

 

「何だと?」

 

シーラスが言った瞬間場の空気が凍った。並の人間なら既に気絶してしまう程の殺気を男が放つ。だがシーラスは当たり前だみたいな顔をしている。

 

「俺が·····あのあまっちゃんに引けを取るだと!?」

 

「傷を負っていたブロリーに負けかけたのはどこのどいつだ?時の界王神はブロリーの実力も加味した上であのパトローラーを寄越したのだぞ?」

 

「それがどうした!?この俺があの餓鬼に負ける筈がないだろう!前は変則的なあいつの動きにいっぱい食わされただけだ!次は無い!」

 

そう言って返事を聞かずに出ていってしまった男を見てシーラスはため息をついた。

 

 




お疲れ様でしたm(*_ _)m
仮面の男に施された改造とは?次·····の次位に分かるかもしれない!
では(^^)/


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修学旅行終了!

おはようございますm(*_ _)m。修学旅行終了です。光輝視点の修学旅行であります。基本ノベライズ版準拠にしてます。では⊂('ω'⊂ )))Σ≡GO!


 ボルト達にとって波乱の修学旅行は色々あったが終わった。やっぱりというかなんと言うかあのボルトにお姉ちゃんから教えてもらった所謂壁ドンをしようとしていたあの少年·····名前を干柿シズマという少年がやらかして危うく国同士の争いが起きる所だった。

 シズマは霧隠れの中忍で自分と仲間達で自称新・忍刀七人衆を作り活動していた。その活動内容とは現水影の長十郎さんと先代のメイさんが自分達の方針に合わない者達を亡き者にしているというデマを作ったり·····戦争の火種になるような事ばかりしていた。

 俺達アカデミー組は霧隠れのアカデミー見学の後に慰霊碑という所まで行った。そこは何でも血霧の里と呼ばれた時期に死んで行った者達を忘れない為になんだそうだ。そしてその慰霊碑の近くではアカデミーの卒業試験で殺し合いが行われた所もあった。かぐらはそれを見ながら血霧の里は終わったんだと言った。だけどそれに異を唱えた者がいた。

 イワベエだ。イワベエの祖父はここの4代目水影·····やぐらという人に殺されたらしい。それ自体イワベエは責めるつもりはない。忍びの世界だ。俺が元いた世界やお姉ちゃん達がいる世界と違って死ぬか生きるかの世界なのだから。

 イワベエがムカついていたのはその血霧の里時代の時の事を無かった事にしようとしている事にムカついたのだ。そんな時蜂谷という下忍の少年が何やらどこかの不良マンガ宜しく煽ってボルトに危害を加えようとしたがかぐらの仲裁とイワベエの拳骨で事なきをえた。

 その後ホテルに俺達はいたのだが出かけてレアパーツを買いに行っていたデンキが蜂谷達に捕まって人質にされた。そんな事があれば修学旅行は中止になってしまう。そう考えたボルト達は俺やシノ先生達に何も言わず喧嘩しに行った。

 俺は外で瞑想して簡易的に生徒の見張りをしていたからそんな事があったことは会話の内容までは知らないが知っている。

 ボルト達は無事デンキを奪還しホテルに戻ってきた。その後は夜の点呼までシカダイ、いのじん、ミツキ、デンキ、イワベエにボルト、そしてかぐらは同じ部屋で集まり何かをしていた。もう流石に何も無いだろうと考え俺は分身を残して久しぶりにお姉ちゃん達に会いにALOに行った。

 翌日生徒は夜の点呼まで自由時間でありその間は問題を起こさない限りぶらぶらしていい。ボルトは朝の訓練を終えた後直ぐにホテルを出て行った。俺は海の上で昨日ALOで思いついたオリジナルソードスキルを試していたがあんまり実践向きじゃないとなりしゅんとしながらホテルに戻った。そしてボルトがまだ1度もホテルに戻ってきてない事に割と驚いていたらスミレが近づいて何かおろおろしながら言った。

 

『えっと、ボルト君は少し道に迷ってて·····』

 

 そこで光輝は皆まで言うなというふうに手を向け人がごった返している里の気を探る為に悟空が瞬間移動する時のように額に指を当ててボルトの気を探った。少し探せばいてスミレに言う。

 

『大方ボルトなら何かあっても大事にしたくないだろうから自分が言い訳係をしてるのか?』

 

 それを聞いて思いっきりギクッとした顔になったスミレを見て苦笑いして言った。

 

『まあ·····あいつはお前に恩を着せたなんて思っちゃいないと思うがな。』

 

「·····はい。きっとそうだと思います。だからこれは私の我儘です。」

 

「·····まあ良いや。戦闘はあったみたいだな。」

 

 それにスミレは驚愕の顔をする。光輝が感じたボルトの気は通常よりも無くなっていた。今は幸いスミレの提案でボルトを探しに行ったサラダの応急処置のおかげか少しずつ元には戻って行っている。

 そしてその少し離れた所にかぐらとシズマとその仲間であろう気があるから戦闘したのだろうと結論付けた。何故かぐらがシズマ何ぞについて行ったのかは光輝には分からなかったけども・・・少しシノ達に知れたら不味い状況なのは分かった。

 そう思っていたらボルトとサラダの気が移動を始め水影屋敷に向かった。そこには長十郎と先代のメイがいた。そして何やら話し込んでいた。

 

 

 ボルトはかぐらに昨日のアカデミーの実習場まで来てくれと言われ向かった。そこにはかぐらがやたらとでかい刀·····忍刀ヒラメカレイを持って修行していた。かぐらは最初はやぐらの大量殺人者の血が流れている自分がトップに立つなんてダメだと考えヒラメカレイ継承を拒んできた。

 だけれどもボルトの励ましのおかげで決心し継承する事に決めた。その証をボルトに見て欲しかったのだ。そんな時シズマがやってきて何とボルトを斬って戦争を起こすと言い出しかぐらを仲間に引き込もうとした。だけどシズマに恩があると言っても悪いことするのはダメだと言う。だがシズマは腐っているのは長十郎の方で自分達の都合が悪い人物を消していってると唆しかぐらはもう何が本当なのか分からず頭を抱えた。ボルトはそんなかぐらを見てシズマと交戦したが次々と仲間が来たのとシズマの方が上手でボルトはダメージ蓄積とかぐらが自分が仲間になる代わりにボルトを見逃せと言ってシズマ達について行ってしまった。

 ボルトはそのまま気絶し倒れた。そこへサラダがやってきて治療を受けかぐらが何故シズマに逆らえないのか昨日のチンピラの蜂谷に聞き長十郎の元へ向かった。そして長十郎がかぐらを斬ろうとしているというのを知ればボルトはものは言い様でシズマ達はただの不良、自分達は吹っかけられた喧嘩をしに行くと言った。それに長十郎は便乗し自分はボルト達の引率者と言う事で戦いの地へと向かった。

 

 一方ホテルに一旦戻ってきた2人は友達に事情を説明し言い訳係を頼んだ。俺の所にも来たが言うのか迷ってた風だったな。俺は何にも知らない聞いてないと言ってさっさと離れた。

 そして決戦の時刻、俺は影分身をホテルに残しボルト達を追ってあの慰霊碑の所にきた。そこでは長十郎さんとボルト、サラダが交戦を始めた。長十郎さんが3人を受け持った。たけども何か縫い針とかいう痛そうな攻撃を受けて動きを封じられていた。だけれども直ぐに分かった。長十郎さんは会話で3人を引き止めボルトとサラダが不利にならないようにしているんだと。·····後それからこいつらの不満を聞きたかったのもあるかもしれない。

 一方サラダは何か二刀流の女の人と激突していた。そこで俺は割と驚いた。サラダが既に写輪眼を開眼していたのだ。·····どんな悲しみでなったんだろう?·····まさかサスケさんが全然帰ってこないから?·····まさかそんなのある訳·····あるな。

 相手の人はどうやら雷遁を主に使うみたいだ。サラダは写輪眼の能力の一つである術のコピーをしようとしているみたいだが相手はそれが分かってるから霧に入り場所を分からなくした上で遠距離攻撃を仕掛けている。だけれどもサラダはボルトからコピーした影分身を上手く使い接近しコピーする事が出来た。同じ術を使い拮抗し始めた。だけれどもサラダはある事に気がついた。それは水に一定以上の電気が流れると電気分解が起きる事、それで出るものは酸素と水素·····つまり何か爆発があれば一網打尽という事である。その為にサラダは攻防の最中相手を幻術にかけ時間稼ぎして自分が爆発に当たらない所まで来て起爆札を落とした。それによって大爆発が起こり相手の女は倒れた。サラダも写輪眼を使う事によってチャクラをやたらと使用し倒れてしまったが。

 チャクラは肉体エネルギーと精神エネルギーが混ざる事によって出来る。だから増やそうと思うならば自分を鍛えるしかない。俺はそんなもん知らずに肉体ばっかり鍛えていたのと色々あって精神エネルギーがあるから一般の忍びよりもチャクラがある。

 

「さあ、かぐらはどうするんだ?」

 

 かぐらはボルトと戦闘していた。ボルトが押される。今は何とかヒラメカレイを使い慣れていないというボルトにとってのアドバンテージがあるから何とか渡り合えているだけだ。ボルトはそのアドバンテージを何とか利用し上着を犠牲にかぐらに一撃食らわす事に成功した。かぐらは自分はやぐらの血に逆らえないとあの鵺の精神操作にも似た状態になっていた。俺は父や祖父を誇りに思った事はあるが成りたいと思った事は無い。俺は俺、SAOの皆や悟空さん達、そして未来の悟飯さんと話し、経験した事は紛れもない俺のものだ。

 シズマはボルトに長十郎さんが間違ってると吠えるがそこにミツキが到着、今のシズマの言葉を否定した。長十郎さん達が暗殺していたのでは無くシズマ達が都合の悪い人達を暗殺していたのだと。

 そこからミツキも交えた戦闘が始まった。シズマが何か赤い霧を出して俺は見にくくなったが気で何とか戦局は分かった。どうやらあの霧とシズマの持っている刀·····鮫肌と言うらしいがその鮫肌はあの霧が傷口からチャクラを出しそれを吸収するみたいだ。チャクラも一種の生命エネルギーだから俺の武装完全支配術でも吸収出来るだろうが俺は極力手を出さない。ボルトの成長の為に手は出さない。あの2人は押されていた。流石に手を貸した方が良いか?となった時、どうやらボルトは一気に決める事にしたようで影分身をした後多分ミツキに教えてもらった風遁を使い加速、そして加速中に同じ事をもう一度すると言うダブルイグニッションで急激に加速しその速さに反応出来なかったシズマに見事一撃を決めた。やっぱ術の使い方上手いよな。俺もいつか拝借するかも。

 その後他の奴らをぶっ倒して何故かついてきていたイワベエ、サラダと倒れたシズマの仲間達を安全な場所に置いてきた長十郎さんと合流、そんな時いきなり鮫肌が生き物みたいに動き出し何と主であるシズマを食った。所謂合体に近い状態になり容姿がやたらと変わって気も何か変な感じになっていた。ぶっ倒さなければ鮫肌は止まる事が無いようで長十郎さんがヒラメカレイでやろうとしていたみたいだけどそれをかぐらが拒否、未来を変えると心強い言葉で暴走した鮫肌と交戦した。だけれどもあのヒラメカレイはチャクラを割かし使うらしくくらくらしてしまう。そんな時ボルトがかぐらの隣にやってきてどんな言葉を言ったのかは分からないがどうやら共闘したみたいで何かヒラメカレイを2つにして鮫肌を左右がぶった斬って戦いは終わった。

 

「本当に見てて飽きないなこいつら。」

 

 つくづくそう思う。キリトの事件の巻き込まれ具合も相当だったけどボルトも大概だよな。いや、ナルトさんもか。そう思いながら俺は帰りの船の皆が騒いでる甲板にやってきた。行きと同じくプールに入ったり思い出話をしてる人が大概だな。そんな中ボルトは上の空だった。

 ボルトが上の空の理由は単純である。かぐらが見送りに来なかったのだ。それがボルトには気がかりで上の空なんだろう。結局あの騒動はボルト達とシズマ達の喧嘩って事で処理されるようである。ボルトもそれを狙ってたから喜ぶべき所なんだろうがそういう訳では無いらしい。

 

「·····!?」

 

 何かすんごい嫌な気を感じた。この世界の誰よりも気が大きく邪悪な·····そんな気が

 

 そんな事を考えた瞬間上空から降り注いだ閃光が海を揺らした。

 

 




お疲れ様でしたm(*_ _)m
ノベライズ版ではサラダがここでうちは一族の罪の一部を知る事なります。やぐらが操られていた事実を文壇·····あの二刀流の雷遁使いの女の人に知らされるのです( ゚ー゚)ウ ( 。_。)ン。アニメじゃカットされてますけどね。
最後の邪悪な気って誰だろうなぁ·····誰だろうなぁ(何回言うねん)
(*´∇`)ノ ではでは~


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アインクラッド最強の戦士

おはようございますm(*_ _)m
光輝VS男、第3ラウンドです。
⊂('ω'⊂ )))Σ≡GO!!


 世界が閃光に包まれた。ボルト達もあまりの眩しさに全員眼を閉じた。波が発生し体が揺れている。生徒達は思わずしゃがんでやり過ごす。

 

「そっちから来てくれるとはな。好都合だ。」

 

 そう光輝の声が聞こえボルトや生徒達は恐る恐る眼を開けた。そうすれば船を守るようにドーム状の黄緑色の光ががボルト達を包んでいるのが見えた。未来の悟飯が使っていた防御技、爆魔障壁だ。

 ボルトは光輝が誰と話してるんだと思い光輝が上空を睨んでるのを見て同じ上空に目を向け·····背筋に冷たいものが通った。冷徹な殺気、シズマなど比じゃない射抜くまでの殺気が船を・・・もっと言えば光輝に向けられていた。シカダイもいのじん、サラダもその上空にいた存在·····不気味な程に目すらも少ししか見えない仮面を付けた存在から放たれる尋常じゃない殺気に思わず足が震える。光輝は2年ぶりに会う仮面の男を見上げ観察する。背丈は光輝が初めて会った時はそれなりに小さかった光輝と同じ位の大きさだったが何故か今の成長した光輝とも背丈は同じ位だ。既に自分が滅多切りにした傷はないと思っていいだろう。1番違うのはやはりやりにくいと思ったのか眼が見えている事だろう。そう思っていたら男は真っ黒な気弾を再び放った・・・のと同時に光輝も甲板を蹴り上空に飛びその気弾を全て弾いて船内から出てきたシノ達に向かって叫んだ。

 

「俺がこいつを引き離す!先生達は船長さんを急かしてでも早く帰ってください!」

 

 だけれどもボルトはそんなの受け入れられる訳もなく叫んだ

 

「何言ってんだ!俺だって·····!」

 

自分の力を見誤るな!

 

 そう今まで聞いた事のないような怒号が光輝から発せられた。ボルト達を殺させる訳には行かない。寧ろ今ここでこいつを倒す。そもそもボルト達は空を飛べないから救援のしようもない。光輝はある意味で懐かしくある意味で最も憎い相手と同じ高さになり双剣を背中に出しながら少し皮肉げな顔で言う

 

「やっぱりお前暇なんじゃねえの?」

 

 初めて見る男の眼を見ながら言った。だけれども·····その眼・・・それも黒目には何故か既視感がある。パッと見今まで会ってきた黒目の人達は変わらない。だけど·····光輝や光輝と深く関わった人が見れば光輝と同じ感想になる。レイン辺りが男の目を見ても同じ感想になるだろう。それだけ何かが引っかかったのだ。

 

「2年ぶりにお前に会いに来てやったんだ。素直に喜べよ。」

 

 そうイライラしている声で言った。男の中では光輝を殺したい衝動が広がっている。男は仮面を付けて自分の名前と大事な人の名前を忘れた。シーラスが計画の邪魔と言ったからだ。シーラスの仲間になった後光輝のSAOでの歴史を見せられた。最初は1人だったのにどんどん仲間が増え姉と言える存在もいて·····レッドプレイヤーを殺さなかった。数奇な運命を辿ってきた男からすればあまっちゃんと呼ぶに足りる存在だった。

 

「・・・何をしに来た。」

 

 そう聞かれ仮面の中でニヤッとしながら超速で光輝の目の前に現れ拳を振りかざした。光輝は反応し片手で止めた。しかし男は気を放出しながら叫んだ

 

「てめぇをぶっ殺す!!」

 

 黒と若干禍々しい紫色の気をバーナーのように迸らせ気を上げる。光輝は分が悪いと考え力を抜いて躱すのと同時に膝を腹にぶつけようと思ったが片手で止め逆に回し蹴りを光輝に放った。光輝はそのスピードに吹き飛ばされボルト達の船に突撃する所だったがぶつかる瞬間に白色の気を放出しながらブレーキをかけ直ぐに男の元まで飛んで行き再び男の真正面にまで来て

 

(しょうがない)

 

 自分の周りに爆魔障壁をやりながら光輝は両手を腰にグーにして握りしめ歯を食いしばる。

 

「はあああああ·····!!」

 

 光輝に金色の気が纏い始める。バリアを張っているから迂闊に攻撃も出来ない。前回男が戦いを楽しむ性格では無いのが分かったからその対策だ。船は先程よりも早いスピードで光輝達から離れて行っているがまだ眼で見えるから安心出来ない。

 

「ああああっ・・・くっ・・・はあああああ·····!!」

 

 そしてとうとう気が全身を包み込み光輝はその両手を左右に勢いよく広げ同時に髪が金髪、瞳が碧色になり蠢いた。この様子を見たトランクスは未来の悟飯と重ねたのだった。光輝の髪は逆立ち周りにその気によってプラズマが発せられ青白い雷が発生している。パッと見雷遁に見えるがそうでは無く光輝の成っている形態·····超サイヤ人2ならば大概なる現象である。

 

「·····行くぜ」

 

 その瞬間にバリアを失くし一瞬で距離を詰め男もギリギリ反応し拳をぶつけ合った。それにより下の海が波立つ。しかし2人はそれに目もくれず拳と拳、蹴りと蹴りをぶつけ合う。ぶつけ合う度に振動する。

 

「はっ・・・っ!」

 

 そう男は蹴りを放つ。光輝は腕を横に置きガードし弾いた瞬間に腹に拳を向ける。男は即座に腕を戻しその拳を止め光輝はもう片方の拳も向けたがこれも止められる。止めた瞬間に男の後ろがざわつくがそんな事を2人とも気にせず力比べを始める。互いに掴んでる手から紫色と青白いスパークが2人を照らし徐々に2人は気を解放し金色と黒紫色の気をバーナーの様にする。そしてどちらかともなくその場に留まりながら再び乱撃戦が始まった。パワーもスピードも5分と5分、しかし·····

 

「がハッ!」

 

 光輝の拳がとうとう男の腹部に直撃し勢いが無くなりくの字曲がった。光輝は瞬時に右手の拳を握りしめ叫んだ。

 

龍翔拳!!

 

 その拳は男の顎にぶち当たり男の意識が一瞬刈り取られ上空に少し吹き飛び光輝は

 

「まだだ!」

 

 すぐ様少し上に吹き飛んでる男に追いつき真正面に来たあと瞬時に強力な蹴りを放ち吹き飛ばす。男はそこで意識が戻り体勢を立て直した。しかしその時横から光輝が猛スピードで通り抜け男は追い越した光輝を見れば更なる蹴りを放って男はギリギリ腕を交差して防いだ。しかし勢いをつけて蹴りを放っていたのもありガードが崩されまた少し吹き飛び何とか落下だけは防いだが顔を向けた瞬間に殴り飛ばされた。

 

「ぐはッ・・・っ!」

 

 その連撃を前に男から血が少し出て仮面の中を蒸らすがそんな事を気にする余裕などない。吹き飛ばされていたと思ったら唐突に脚をガシッと掴まれ·····そして水平に吹き飛んでいたのにどういう訳か水平では無く垂直に猛烈な勢いで海面に向かっているでは無いか。光輝はぶん殴った後直ぐ様男の脚に追いつきその脚を掴み海上に向かって全力で降下し始めた。プールに入る時プールサイドから飛び込んでもあまり痛くはないがその距離がどんどん離れて行けば落下距離も上がり痛くなっていき60メートル辺りから落ちれば普通の人間の生存率は低い。男は普通ではないから普通ならば死なない。しかし今は光輝の猛烈なスピードのせいでそんな前提条件など全てひっくり返ってる。光輝はそのまま男の脚を持ち全力で海面に男をぶつけた。

 

「かハッ·····っ!!」

 

 コンクリート以上の何かに叩きつけられた感じがし男は初めてこの仮面がクソ邪魔な事に気がついたがもう遅い。海面に叩きつけられた事により巨大な水しぶきが上がるが光輝はチャクラをコントロールして海面に立っている。叩きつけが終われば直ぐにバク転で男から離れるのと同時に片手に青白いエネルギーを溜めた。武天老師が50年に渡って開発しその後味方でも敵でも使われる技

 

「かめはめ·····波ーーーーーー〜っ!

 

 片手を突き出し男を叩きつけた海面に向けて放った。光輝は意識はしていないが愛美達がいる世界のドラゴンボールのゲームでは未来悟飯のアルティメットブラスト·····「爆裂乱魔」と呼ばれる連撃技だ。

 

「な・・・めるなーーーーーー〜っ!!」

 

 男は意地で立ち上がりそのかめはめ波を両手で止めた。しかし爆裂乱魔のダメージもあり押されていく。それに伴いボルト達の船からも遠ざかる。狙ってやったの半分、もう半分はこのまま倒せればそれで良いというものだ。まあ光輝はこれでやられるとは思っていない。

 

「ぉぉおおおおお!!うあああっ!」

 

 そう気合いの声を上げながらかめはめ波を上空に投げ飛ばした。·····ここまでが光輝の計算通りだが。

 

「・・・なっ·····!!」

 

 男がやっとの思いでかめはめ波を吹き飛ばしたのと同時に光輝は二刀を携え吹き飛ばして一瞬でも気を緩めてしまった仮面の男の目の前に一瞬で現れその二刀に青白い雷が宿る。超サイヤ人2の雷では無く光輝自身が出した雷·····千鳥だ。甲高い千鳥の音が鳴り響いている中世界がスローモーションに入る。光輝が叫んだ。

 

ジ・イクリプス!!

 

 二刀流最上位ソードスキル、ジ・イクリプス。文字通りアインクラッドにあったキリトのユニークスキル『二刀流』の熟練度がMAXになった時に出来るソードスキルだ。光輝がキリトの二刀流の先生なのだから出来るのは道理。超速の二刀流奥義が男を襲った。吹き上がる太陽のコロナの如く全方位、合計27連撃の剣尖が男のあらゆる所を切り刻む。肉体から血が吹きでているが知らね。

 

「終わりだーーーーッ!」

 

 その言葉と共に左突きが男を貫くのと同時にそのあまりの威力に男は海面を抉りながら吹き飛んだ。光輝は今殺すつもりでやった。あいつを拘束して連行出来るのが一番良いが暴れるだろうからやめた。貫いた格好から片方の剣の切っ先を向け浮上するのを待つ。

 一方男の方は海に仰向けになりながら沈んで行く。

 

(何故だ·····何でだ!?この俺が·····あんな奴に劣るだと!?)

 

 綺麗な海に血が流れる。幸い顔面には当たらないようにしたがそれ以外の箇所はズタズタで体に穴が空いている。

 男はシーラスと共に行く前にもサバイバルを生き抜いてきた。私利私欲の為に自分に襲いかかってきた人間を何度も追い払い少女と生きる為に悪い事と分かっていても人のものを盗んだりした。・・・しかしある人間の不意打ちで少女は男を庇い死んでしまった。最後に少女になんと言われたのかすら覚えていない。その後男は自暴自棄・・・襲ってくる醜い人間を片っ端から自らの肉体と肉親が大事に手入れして瓦礫の中にあった真剣で生き抜いてきた。

 それに比べればたかがゲームの中で生き抜いてきた光輝に自分が劣るとは思えなかった。だが現実はそのゲームの技で滅多切りにされ沈んでいる自分だ。それが許せなかった。拳が血が出るまで握られ歯を食いしばり男は勢いよく穴を開けたまま上昇し海面を突き抜けた。

 

「な·····ん・・・!?」

 

 その上がってきた男を見て光輝は絶句した。穴が空いても上がってきたことでは無い。その男の眼が·····変色していたのだ。瞳孔がある蒼色(・・)と瞳孔が無い赤色(・・)に。それと同じ変化を光輝は知っている。SAO時代の最前線攻略組や悟空達も·····そして櫂一家も知っている変化・・・。そう、光輝の眼と同じ変化だ。絶望の奈落に光輝が落ち慟哭をあげている最中に誰も知らない人外の変化・・・。それと同じ事が今目の前に·····自分と同じ変化になっているものがいる。

 

「お前·····そいつは・・・」

 

 だが光輝の絶句は収まらなかった。今度は何と少しゆっくりめだが男の腹に空いてた穴やズタズタになっていた切り傷が閉じていったのだ。そして·····光輝はそれと似たような現象を知っていた。セルじゃない。セルも再生は出来るがあんなゆっくりではない。しかし光輝はセル以外に再生を使う奴を知っている。再生の後の戦いの方が印象があるが光輝には忘れようもない。しかしそう考えれば納得出来る事でもあった。

 

「・・・成程・・・その変化を成し遂げる為にあのクズ野郎もお前も2年いるのか。」

 

 あいつも何で2年も経ってあんなセルゲームみたいな事をしたんだろうと不思議に思っていた。しかし目の前の何らかの再生能力を得る為と考えれば納得も出来る。

 そしてあいつの生死も。あの爆発で時空を漂ったのは俺だけじゃないって事か・・・。俺は生きたいと言う想い·····心意がSAOサーバーに入り込んで俺を作り上げたがあいつは指図め生への執着って所か·····。肉体と魂が分離する前にシーラス達に捕まえられた·····あいつは

 

あのクズ野郎(笠木)は生きてるな!?」

 

 その答えは先程の比ではないスピードの鉄拳だった。俺は反応出来ず今度は俺が海面に吹き飛ばされた。

 

「がハッ・・・!」

 

 思わず血反吐を吐いてしまった。海汚してごめんなさいとか思いながら俺はゆっくりと上昇し気を纏い再び突撃した。

 

 光輝と変化を遂げた男は海上で激突した。

 

 一方戦いの地から割と猛スピードで遠ざかっている船の上、ボルトは甲板から光輝の所を見るがほんの少ししか見えないバーナーのようなものを吹きあがらせぶつかり合う度に振動が結構離れているここにも伝わり波も荒くなる。宙に浮いていた光輝に言われた事を思い出す

 

『自分の力を見誤るな!』

 

 最初は反発したかった。俺は強くなっている。だから力になれると・・・。だがここから見える戦いは次元が違う。その場に留まり乱撃戦をする事もあれば高速移動しながらぶつかり合う事もある。しかし·····何度も見失う。次見つけた瞬間にまた光輝も相手も消えてしまいまた探すという繰り返しでもう船と光輝が頑張った結果か見えなくなってしまった。見えなくなってしまった光輝を想っているとサラダが近づいてきた

 

「光輝先生って·····何者なの?」

 

 ボルトは光輝が木の葉にいるのはある用事があるからとしか聞いていない。用事って何だ?って5回位聞いたがはぐらされた。用事があると言う割には何かよく分からないゲームしていたりアカデミーに一緒に来たり・・・。

 しかし光輝のお陰で父親と少しマシになれた。それは確かだ。

 

「分からねぇ、だけど·····」

 

「だけど?」

 

 サラダもここから見えていた戦いを見ていた。と言うよりも殆どの生徒達が見ていた。感想としてはやはり驚愕・・・教育実習生のレベルなんてとうに超えている。あれなら普通に任務をやった方が絶対に良いだろと思う生徒もいる。

 

「光輝さんは負けねえ!!」

 

 ボルトの光輝の印象は・・・変な人というのが大半を占めていた。入学式の時なんて自分よりも目立ってたしその後居候して同じ部屋で寝泊まりするようになった時からアミュスフィア被ってゲームしてるし、起きてる時は自分には難解な工学で何かを作ってたり。しかしそれと反対にどんどん頼れる人という印象も抱くようになった。イワベエとの喧嘩を止めた時2人の言い分を聞いてくれたし公平に言ってくれる。そこに7代目の息子だからなんて言う事もない。螺旋丸も教えてくれた。そんな光輝を見てきたボルトには光輝が何者なのか、ミツキの言葉では無いがそんなのはどうだっていい事だ。

 ボルト達は船が港に着くまで光輝がいる方向まで目を向けていた。

 

 

 場面は戻り光輝と男の戦いは熾烈を極めている。光輝の攻撃が全て躱すか受け流され当たらない。だが男の攻撃も光輝は危うい所はあるがまともな一撃はまだ貰っていない。パワーもスピードも男の方が上なのにだ。男の眼が光輝と同じならば2倍から4倍程強くなっている筈だ。それも蒼眼によるスローモーションの効果もある。それなのに一撃も加えられない事にほんの少しの頭痛も合わさり苛立ちが募り男の動きが雑になっていき·····大振りになった所を光輝はカウンターを合わせ腹部に強烈な一撃が突き刺さった

 

「がハッ!」

 

「はっ・・・!」

 

 光輝は回し蹴りを喰らわせようとしたが間一髪体勢を取り直し腕を交差して吹き飛びブレーキをかけ息を荒くしながら光輝をその眼で睨みつける。そして思わず叫んだ

 

「何でだ!?何で当たらない!?」

 

 初めて会った時、自分がこの眼になった時は圧倒した。光輝が同じ眼になってからは互角になってしまったが本気では無かった。だが次に会った時、光輝は比べもならない程強くなり自分を八つ裂きにした。それは男がシーラスに言った通り不規則な動きにいっぱい食わされただけだと思った。だが・・・2年経った今はどうだ?自分が押されているではないか。あまっちゃんと言った光輝に押される・・・男には屈辱以外の何ものでもなかった。

 光輝は渋々相対しながら先程飛ばされた時に手を離してしまった剣達を量子変換器から呼び出す時のイメージで海から引っ張りあげ勢いよく両手に収めながら言った。

 

「そりゃあ何度もお前以上の人達と戦えばある程度は分かるしエネルギーを回収しその蜜に縋ってるだけのお前が俺に勝てる道理はない。」

 

 悟空達との修行で光輝は蒼眼を使いある程度は見えるようにはなっている。肉体が追いつかないが。それに・・・

 

「俺の戦いは勝たなければならない戦いだ!!死んでしまった人達に託された想いがある!こんな俺でも生きて欲しいと願ってくれてる人達もいる!!!」

 

 そう言いながら光輝は気を高めスパークが走る。

 

「俺と一緒に剣の修行してくれた友も、修行をつけてくれた悟空さん達、皆に顔向けする為に俺は負けない!!負けられない!」

 

 そう言って左の剣の切っ先を男に見せて右の剣は外側に向ける。

 

「お前が何を目的としシーラスについてるのか知らないしどうでもいい!お前は敵、それだけで充分だ!」

 

 光輝の言動に歯を食いしばり憎悪が増大するが光輝の出す圧力に初めて何かを感じた。

 

「俺の名前は西沢光輝!!アインクラッド最強の戦士、心してかかって来い!」

 

 光輝が初めて男に名乗った瞬間男の中で何かの記憶を引っ張ろうと頭痛がしたが男は雄叫びを上げながらそれを打ち消し光輝に自分の真剣を出しながら突撃した。

 

「死ねっッッ!!」

 

 そう言って超速の横払いが来るが光輝はスレスレで飛びながら躱すのと同時に振り向きながら剣を振った。男はこれを髪を1センチほど斬られながら躱す。躱されながらも光輝は上空に飛び上がり男が追い剣をぶつけ合う。その最中雷では無く煉獄の炎が剣から蠢き男に7連撃技が襲う。

 

「くっ・・・はっ・・・グッ!!」

 

 3連撃程は何とか防げたがその後の4連撃は防ぎきれず諸に当たった。アインクラッド流7連撃技、デッドリー・シンズだ。生々しい火傷の切り口が出来ているが終わりではない。光輝は右脚で蹴りを放ち吹き飛ばし超接近しながら剣から炎の球が何個か出てきた

 

「ジェネレートサーマルエレメント!!」

 

 光輝は今度は武装完全支配術の規模を低くし珠状に出来るようにした。ただし男の生命エネルギーを使った訳ではなく自分の気を変換させたものだが。参考にしたのはアンダーワールドと呼ばれる世界で神聖術と呼ばれる言わば魔法みたいなものだ。神聖術はシステムコールから成る式句を唱える事によって出来る。勿論何でも出来る訳では無く所謂神聖術のレベルがその神聖術に届いていなければ出来ない。まあそれは今関係ない。アンダーワールドでは無いのだから。

 

「ディスチャージ!!」

 

 それにより合計5個の火の球が男に襲いかかる。男は真剣をもってその5つの火の玉をぶった斬るが再生と並行してしている故に集中力が乱れ一撃当たってしまいよろけた。その間に再び剣に炎を纏わせて光輝は重突進技·····ヴォーパル・ストライクを放った。男はよろけから起きると猛烈な勢いで来てる光輝の剣を·····自分の真剣で受け流した。火花がすれ違う2人を照らす。そして男はすれ違った瞬間に体勢を崩している光輝をぶった斬ろうと振り向きながら上段に構え振り下ろし·····唖然とした。受け流され体勢が崩れたはずなのにそれ所かそれを予期していたみたいに今は右の剣が蒼く輝いている。

 

「ぐはっ!」

 

 自分の斬撃を避けつつその剣で自分の腹部に一閃。

 

「まだだッ!」

 

 光輝は振り向き様にも剣を振り少し間が空いた所を利用し振り抜いた剣をまた戻しながら一閃。それにより光輝は背中を晒す。男は無我夢中で剣を振り下ろすが光輝はアタマを下げて回避しつつまた振り向きながら斜めに一閃。

 

「ホリゾンタル・スクエア!!」

 

 そう叫び今度は左の剣に煉獄の炎が蠢き先程と同じ4連撃技を超速で放った。それにより男は血反吐を吐きながらよろけ・・・

 

(今だ・・・っ!!)

 

リリース・リコレクション!!

 

 そう叫びながら2つの剣の切っ先を男に向けた。そうすると剣から蒼い氷の蔓が大量に出てきて男を拘束しようとする。男は逃げようとしたが合計8連撃の技をまともにくらい動きが鈍くなり為す術もなく捕まった。

 武器の全ての記憶を呼び覚ます記憶解放術だ。その拘束力は武装完全支配術の比ではない。

 

「終わりだ!!」

 

 そう叫びながら片手で印をした後後ろから光輝の影分身が1人出てきて額に手を重ねそこに紫色の光が出てきた

 

「魔閃烈光波!!」

 

 そう叫びながらその額に重ねた手を勢いよく突き出しそこから紫色のエネルギー波が拘束されている仮面の男に突き進んだ。

 

「こんな・・・こんな奴に・・・負ける筈が無い!」

 

 そう負け惜しみとも取れる言葉を叫ぶがそんなので魔閃烈光波が止まる訳もなく·····ぶち当たった。拘束諸共ぶち当たり蔓は切れてしまったが男は紫色の閃光と共に海にまで吹き飛ばされたのだった。海が静寂になり波の音しか聞こえなくなり光輝は息を切らしながら変身を解きながらトランクスに聞いた

 

「あいつは生きてますか?」

 

「·····はい、シーラスがギリギリ救出しその歴史から消えたのが見えました。」

 

「・・・やっぱり。手応えないと思った。」

 

そう言いながら剣にありがとうと言いながら背中の鞘に収めた。

 

「俺も詰めが甘いな。」

 

だけど·····あいつに会う度に何か違和感が増していく。まるで・・・有り得ないもの見ているようなそんな気に・・・

 

 

 

 




お疲れ様ですm(*_ _)m
仮面の男はここからどう変わるのか·····光輝にとって悪い方向に。
それはそうと未来悟飯リスペクト多数。ヒーローズでも未来悟飯のifストーリーを出してくれるらしいんで楽しみです(っ ॑꒳ ॑c)ワクワク
(*´∇`)ノシ ではでは~


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強く

おはようございますm(*_ _)m
最近加筆修正ばっかでした(´•̥ω•̥`)<スイマセン!!
·····後色んなもの書きたくて右往左往していたのもある



光輝は男との戦いの余韻に浸っていたが向きを変え剣を直すと大海原を飛翔しボルト達が待っているであろう港に向かった。港に直接繋がっている電車で帰るからだ。ボルト達が乗っていた船よりも何倍も早いスピード向かったからか直ぐにボルトや他の生徒達が見えてきた。

 

「空飛べるのバレちゃったけどしゃあねえか」

 

出来るなら隠したかったがしょうがない。ボルト達が死ぬよりも何百倍もマシだろう。そう思いながら光輝は着地した。そうすれば待っていた生徒達がめちゃくちゃ駆け出して何かあれこれと聞いてきたがシノ先生が気を利かせ収めてくれた。仕事増やしてすいません。

そして電車に乗り木の葉に戻ってる最中別車両でシノ先生とアンコ先生が厳しい顔で聞いてきた。

 

「あの敵はまた来るのか?」

 

シノもあの戦いを見ていた。だがはっきり言ってついていけなかった。もうこの時点で光輝がただの教育実習生では無いのが丸分かりだ。それに教育実習の期間も長すぎる。アカデミーが始まりアカデミーが終わるまでする教育実習なんぞ聞いた事がない。光輝は少し考えた後首を振り言った

 

「いえ。すぐには来ないと思います。あいつも俺に直ぐに挑む程馬鹿じゃないでしょうし。ただ・・・」

 

「・・・どうした?」

 

「・・・親玉の方は分かりません。だけど少なくとも親玉の提案であいつは来た訳じゃないと思います。もしそうなら最初から2人で来て俺を速攻ぶっ潰せば良いだけですから。」

 

至極当然だ。シーラスが来ない理由は恐らく来たら光輝以外のタイムパトローラーが来るからだろう。シーラスも戦力差を考えないほど馬鹿ではない。

 

(それに·····生命エネルギー云々はシーラスの技術もあるのかもしれないがあいつも協力してるな。間違いなく。)

 

光輝の中で憎悪の感情が少しでかけているが今は置いとく事に専念した。無理やり協力させられているのかもしれないし。

光輝からすれば故意か強制なんざどうでも良いのだが。だが笠木を監獄に入れるのは難しいなと思い始めたのだった。そして光輝は2人に謝った

 

「すいません。危険な目にあわせてしまって。」

 

「謝る事は無い。何故なら、お前のおかげで被害が無かったのだ。それで十分だ。」

 

光輝としてはあの海を少し汚してしまったのだが2人は知らない。そして光輝はもう1つ謝った

 

「もう分かってるかもしれませんけど·····」

 

そこまで言ってシノはみなまで言うなと言うふうに止めた

 

「お前が何者なのか、聞くつもりは無い。言いたくないから黙っていたのだろう?」

 

ナルトとシカマルとサクラ、それにカカシとサスケにはもう事情が伝わっている。だがそれ以外の面子には伝わっていない。そもそも違う世界など言われても実感がないだろう。そして光輝自身も自分の事を黙っていた。それを汲んでのことだった。言いたくないことを無理に聞き出すほどシノ達は鬼では無い。敵ならば容赦しないが敵じゃないからだ。

 

「ありがとう・・・ございます。」

 

何度言われても嬉しい信頼の言葉に言葉を少しつまらせながらお礼を言った。その後電車は木の葉に到着。俺はボルト達とは別れシノ先生とナルトさんの元まで行った。そして粗方報告をし終えた。

 

「光輝、お前はどうするつもりだ?」

 

「・・・アカデミーが終われば俺はサスケさんについて行く事にします。」

 

少なくとも自分が木の葉にいてはダメだ。なら場所を転々とした方が良い。それにサスケさんと一緒なら俺が行ったことのない場所にだって行っている筈だからブロリー探しもマシになる筈だ。

 

「・・・そうか。サスケには俺から言っとくってばよ。」

 

「すいません。ありがとうございます。」

 

これにて俺はサスケさんについて行く事になった。俺は一足先に火影屋敷を出てうずまき邸に向かった。

 

(そう言えば新技結局使わなかったな。まあいいか。火力は千鳥よりも低いし)

 

修学旅行前・・・光輝は久しぶりに六代目火影のはたけカカシに出会った。少し里をぶらぶらしていたら出会ったのだ。光輝とカカシは別れた後の話をした。曰くナルトが火影の就任式に遅刻していたと思ったら娘のヒマワリに気絶させられていた話とか不謹慎だが面白かった。そんな時カカシが千鳥の使い勝手を聞いてきて高評価した。そうすればカカシはめちゃ嬉しそうに、少し残念そうな声を出し光輝は疑問符を浮かべた。曰くもう1つの雷遁も教えようかなと思っていたそうだ。だから光輝はその技を見せてもらった。パッと見それは紫色の千鳥だが千鳥よりも汎用性が優れているように見えた。それに千鳥はそのあまりに早すぎるスピードでカウンターを見切れないから写輪眼や光輝の蒼眼が必須・・・まぁ光輝は慣れたからもう黒目でも行けるのだが普通はその2種の眼の力がいる。しかしカカシがやって見せた技·····紫電は自分の肉体を活性化させない為写輪眼が無くとも使えるという利点がある。光輝はその技を見てやり方を聞いた。・・・やり方は千鳥に似ているからその後試行錯誤の末光輝は新たな術を生み出した。紫電では無い。威力・汎用性共に同等なだけである。

そんな事を考えながら光輝はうずまき邸に入った。そうすればヒマワリが突撃してきた。

 

「危ないぞ、ヒマワリちゃん。」

 

「だって・・・」

 

この様子ならもうボルトから聞いたんだろうな。そうすればリビングの方からボルトとヒナタさんが覗いていた。ヒマワリを離しながら言った。

 

「その様子ならもう聞いたんですか?」

 

その問にヒナタは頷いた。その後リビングに入ればヒナタがお礼を言った。

 

「別に俺は約束を守っただけですよ。」

 

修学旅行前、ヒナタは光輝にボルトの事をお願いねと言われた。その事だろうとヒナタは思いまたお礼を言った。そんな時ボルトが少し不安そうに聞いた

 

「光輝さん・・・あんな奴と戦ってるのか?」

 

光輝の最初の爆魔障壁の時光輝は相手のことをもう知っているかの口ぶりだった。これだけで光輝と男が面識あるのは当然。光輝の実力に・・・ボルトは或る意味の畏怖を抱いた。そもそも空飛んでるし見た事ない変身していたし・・・その変身時海が揺れてたし。・・・最早次元が違うのは見たら分かる。そして・・・それは相手に対しても言える事だった。天狗になっていた自分を殴りたい。そんな不安そうなボルトを見た後光輝はふっと笑い言った。

 

「俺がいる内はお前達を殺させやしないよ」

 

それがタイムパトローラーの使命であり光輝の信念だ。·····だからそれを守れなかった時は未来の悟飯の時の様に落ち込みまくる。

 

「俺・・・強くなりたいってばさ。」

 

ボルトには少年時代のナルトの様な夢はない。しかし・・・あんな敵がまた来た時周りの人を守れる力が欲しいとそう思ったのだ。まあ今言ったのは無意識に言ったのだが。

 

「と言っても俺はお前がアカデミー卒業した後はサスケさんについてくことになるから修行を見る事は出来ないし・・・まぁ術は教えられるだろうけど」

 

それにボルトは食いついた

 

「どんな術だってばさ!?」

 

食いつきすげえなと思いながら光輝は庭に出て印を組んだ。雷遁の印だ。そして掌を自分に向けながらチャクラを練りそこに赤い光が灯った。そして・・・千鳥の様な音を出しながら赤いイナズマが放出された。

 

「名を赤雷・・・まぁカカシさんの紫電と色が違うだけの術だ。火力は術者によるが・・・」

紫電を見た後自分なりに研究して作った術·····本人が言った通りカカシの紫電の色違いバージョンと言って差し支えない。

 

「まぁ教えられるのはこんくらいかな。」

 

そう言いながら光輝は赤雷を収めた。

 

「すげぇ!その術教えてくれってばさ!!」

 

「良いよ。・・・一応言っとくけど投げ出すなよ?」

 

「当然だってばさ!」

 

新たな術、赤雷を学び始めた。

 

 

 

 




お疲れ様ですm(*_ _)m
オリジナル忍術『赤雷』説明どうり紫電を赤くしただけです。アンケート締め切りました。次回からアカデミー卒業編になりますけど・・・どうしよう。光輝関わらせようか悩み中。·····という訳で安定のアンケート。
締切は25日の夜10時にします。
文字数クソ少ないですね。(´•̥ω•̥`)<スイマセン!!
(*´∇`)ノシ ではでは~


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卒業試験・忍の覚悟

おはようございます((。´・ω・)。´_ _))
久しぶりの最新話。アンケートの結果光輝は傍観者です。
⊂('ω'⊂ )))Σ≡GO!!


 修学旅行が終わってボルトの赤雷修行も割と順調に行っている今日、俺はもうバレたから良いやとなり普通に大っぴらに修行している。第3演習場で俺は修行、ボルトは赤雷の修行をしている。

 

「はっ!」

 

 そう気合いの声を出しながら足を振り抜きそれによって出来た風が草木を揺らす。ボルトは唸りながら手にチャクラを集め形態変化、それから性質変化をしようとしているが小さい赤雷が出て直ぐに消える。光輝は千鳥が出来てたから割と直ぐ目に出来たがボルトはある事を忘れ苦戦している。そんなボルトを一目見て光輝は思った事を言う

 

「ボルト、お前もう一度は形態変化の後からの性質変化は出来てるんだぞ?」

 

「えっ?」

 

 その時の感覚さえ思い出せれば後は実践あるのみなのだがボルトはあれを無意識下でやった故になんの事だ?となっている。光輝はボルトの思考を少し待ってから答えを言った

 

「お前の螺旋丸、あれ雷遁の性質が入ってるぞ。」

 

 だってボルトあの螺旋丸を何度か投げた事がある。そのどれもが途中で消えてしまっていたが空気の乱れは続いていた。そして何よりぶつかった木が凹んでいた。威力は雷遁が入っている分心許ないが普通の螺旋丸なら一歩下がって練習すれば出来るだろうし。

 

「指図め消える螺旋丸か」

 

「そ、そんなの俺やってたのか?」

 

「うん。だからあの時の感覚を思い出しながらやったらマシになると思うよ。」

 

 そう聞けばボルトは頷き修行に戻った。やっぱり自称するだけあってチャクラコントロールはバッチリだな。もう少し大きくなってる。俺も生徒のパクるようだけど消える螺旋丸練習しようかな。そんな時気を感じて俺は明後日の方向を見た。そうしていたらサラダが歩いてきていて驚いた顔をする。ボルトも気づいたのか何か少し複雑そうな顔をする。例えるなら秘密にしていた事がバレてしまった時のあの感覚だろう。

 

「何だサラダかよ」

 

 そう幼なじみが言ったのを聞きムッとしながらサラダは尖った声で返す

 

「何よ。私が修行しに来たら悪い訳?」

 

「別にそんなんじゃないけど、何でここなんだよ」

 

「私がどこで修行しようが私の勝手でしょ?」

 

 そりゃそうだ。別にここはボルトの買った場所じゃないしサラダが修行に来るのだってもう少しでアカデミーの卒業試験・・・の先にある下忍試験の為だろうし。

 アカデミーの忍術科の卒業後は3通りある。先ず就職、俺が最初いた世界じゃ割と早すぎる気もするが俺がもうタイムパトロールで働いてるから気にした事は無かったな。この前就職先のパンフレット的なやつ見てみたら科学忍具研究所とか割と興味ある。

 2つ目は戦争後に出来た中等部という所に進学·····まあ要は中学生みたいな所で更なる勉強をする。

 そして3つ目は下忍になる事だ。下忍になれば先ず上忍・・・つまり木ノ葉丸さんと同じ階級の人達の元に配属されてランクに別れてる任務をこなしていく。任務は報奨金と言うものが貰えるから肉体を動かす就職みたいなもの。・・・まあ危険度は比ではないのだが。

 そしてこの下忍はただ卒業すればなれる訳では無い。最初は卒業試験と言う筆記試験をやる。そこで合格したものは次の下忍試験を受ける。イワベエの留年の時は卒業試験で落ちたらしい。サラダが修行するのは不安もあるからだろう。そうしていたらサラダがこっちを向いた。

 

「光輝先生、修行をつけてください!」

 

 ·····え?

 

「ちょっと待てよサラダ!光輝さんは俺に修行をつけてくれてるんだぜ!?」

 

「あんただけの先生じゃないでしょ!」

 

「何をーっ!」

 

 そうやってなんか喧嘩の臨戦態勢に入ってしまった2人を見ながら俺は思い出した事があった。

 

「そう言えばサスケさんに頼まれてたんだった。良いよ、修行しようか」

 

「やった!」

 

 そう言ったあと勝ち誇る顔でボルトを見ているがその余裕どこまで持つかな?·····いや、サラダなら普通に会得出来そうな気もしないことも無い。ボルトは不貞腐れているが赤雷は八割方完成してるから後は大丈夫だろうしサスケさんに言われた事をやるか。

 

「んじゃ・・・豪火球の術でもやるか。」

 

「豪火球・・・と言うよりパパ!?」

 

「ああ、そうか言ってなかったな。昨日俺サスケさんに会いに行ってその時にサラダに豪火球を教えてやれって言われたから。」

 

 サラッとそんな情報を言う光輝にはっ!?と言う顔で見るサラダ。光輝は昨日アカデミーが朝から休みなのを良い事に丁度サスケの気も遠いが見つけたから直接直談判に向かった。やはり直接言った方が良いと思ったのだ。結果は光輝の実力を知ってる故かついてきても大丈夫だろうと判断し許可した。そしてアカデミーの卒業が終わればついて行く事になり光輝は戻った。その時サスケに豪火球の術出来るようになりましたーっ!と嬉嬉として言えばサラダの実力が十分だと判断したら教えてやれと言われた。

 

(つーか俺じゃなくてサスケさんが教えたら良いのに)

 

 と光輝は直接サスケに行ったのだが使えればそれで良い、とばっさり言われ帰ってきたのだ。後、お前は教育実習生なのだろう?と。サラダの実力は霧隠れの件で大体把握出来たしサラダならチャクラ切れで自爆する事もないだろうと判断した。まあ写輪眼使ってる時はスタミナ不足が少し目立つがどうとでもなる。

 

「ボルト、お前はもう殆ど出来てるんだから後は自分で磨けるか?」

 

 別にサラダを贔屓にする訳じゃない。約束は守らないとダメだしボルトの赤雷が完成間近なのは事実だ。ついでに言うなら霧隠れの時はサラダの方が危ない印象があった。まあ初めて自分だけの力で挑んだ死闘としては上等だろう。俺が笠木と戦った時よりも被ダメージ少なそうだったし倒れた原因は写輪眼の使いすぎが大きかったしな。それでも何か不満そうなボルトを見て思い出した事があり言った

 

「そう言えばボルト、お前ヒマワリちゃんにお土産渡したのか?」

 

「··········」

 

 ボルトは修学旅行前にヒマワリにお土産沢山買って帰るからなーっ!って言っていたが俺の覚えている限りボルトは何も買っていない。本来買う時間は2日目の自由時間だがボルトはかぐらの件でバタバタしてたし。つまりボルトは・・・

 

「忘れてたーーーーーーっ!」

 

 だろうな。ヒマワリちゃん悲しむぞ。そう思っていたらボルトは縋る様に光輝に寄ってきた

 

「こ、光輝さん!何か無いのか!?」

 

「いや、俺何も買えないし」

 

 何故なら光輝の貰ってる給料は基本キリトやレイン達の世界のお金を貰っている。光輝はまだ帰る予定もないしキリト達の世界に行く事が多いからだ。そんな別世界のお金しか持っていない光輝がこっちの世界のお金を持っている訳ない。

 

「どうしようどうしよう!!」

 

 ここら辺で慌てる辺り家族思いだな。そんな時サラダが助け舟を出した

 

「私が何でそこの事を知っているのかを追求しないなら何とかなるかもしれない場所教えるよ?」

 

「うんうんうん!絶対聞かないってばさ!」

 

 それを聞いたサラダはため息をついて言った

 

「3丁目の路地を抜けた先に怪しい雰囲気の食料品店があるの。いろんな里の食べ物を扱ってたからそこならたぶんあるんじゃないかな」

 

 全く俺は知らないがサラダがそう言うのならそんなんだろう。ボルトは

 

「ありがとよ!」

 

 そう言いながら走って行った。そう言えば次の日から普通に赤雷の修行始めたからな。そんな事考えていたらサラダが邪魔者は追い出したみたいな眼でボルトを見届けた後向いた

 

「豪火球の術の修行始めましょう!」

 

「あ、うん。じゃあやろうか。」

 

 俺本当は人に教えるの得意じゃないんだけどな。いつも教わってる側だし。未来の悟飯さんは教えるの得意そうだったけどな。今のトランクスさんを見てたらよく分かる。·····と言うより俺まだ悟空さん達の本気を1度も引き出せていないのは少しショック。どんだけ強いんだろあの人達。多分あの人達とシーラスとあの男をぶつけても普通にあっという間に終わるだろ。俺の出番真面目にないような気がする。でもそれ以上にシーラス達コソコソ逃げるスキルがアインクラッドにいたラグーラビット並に高すぎるんだけど。あいつらのアジトが分かれば普通に叩けるし何回か悟空さん達が突き止めて行ったけど罠やら普通にあって逃げられるし。

 

 そんな事をブツブツ内心で言いながら光輝はサラダに豪火球の術を教えて行った。

 

 

 ★★★★★

 

 

 そしてもう少しで卒業試験が近づいているある日、今日は卒業前の三者面談であり授業は早めに終わる。光輝もシノを手伝った後また修行でもしようとアカデミーを出ようとしたら何か覚えがある気を持っている人物を見つけた。その人物は光輝を見たら首に巻いてたマフラーで少し顔を隠した。パッと見は知らない人である。何かカメラを持っているが光輝のこの世界での知り合いにカメラを持ってアカデミー前をうろうろする様な人は・・・だと思ったがしそうな人が1人いた。光輝は苦笑いしながらその人に近寄り小声で聞いた

 

「何やってるんですか、カカシさん」

 

 そう言えば変装をしているはたけカカシその人はあちゃーみたいな顔をして言った

 

「やっぱりバレちゃったか」

 

「変化や変装をしても気の種類までは変わらないですからね。」

 

 偶に不意打ちする分には変化は良いんだけどね。1回仮面の男に使おうと思ったけどあいつさせてくれねえし。

 

「まあ、卒業試験を前にしたアカデミーの生徒にインタビューをね」

 

 光輝は卒業試験・・・その先にある下忍試験の内容は知らない。ボルトと同じ家に居候してるのもあるが教育実習生であって教員ではないからだ。だから下忍試験がどんな内容なのかは光輝も割と気になっているがまあ当日のお楽しみだ。光輝は遠目から見てるだけだが。

 だからこの時の光輝は単純にそうなんだなぁと思う位で頷いた。

 

「あ、インタビューをノリノリで受けてくれそうな奴が来ましたよ」

 

 そう後ろ向きながら言えば疑問符を浮かべて歩いてきたボルトがいた。それを見たカカシは光輝にじゃっ、行ってくるよと言ってボルトに近づいて行った。光輝はそれを見届け第三演習場に向かった。そして修行を始める。光輝には確信があった。あの仮面の男は・・・次に会った時比べもなく強くなって襲ってくると。

 光輝は仮面の男は何にも修行をしておらず回収したエネルギーを得て強くなった、そう考えているし事実だ。仮面の男は確かにサバイバルをほぼ独学で生き抜いた。だが・・・悪く言えばそれだけだ。確かにその過程で得るものだってあった。だが・・・シーラスの元に初めて行きそこであのエネルギーに触れてから男は必要最低限の修行しかしなかった。あのエネルギーとサバイバルを生き抜いた自分が負ける筈ないと力に溺れたのだ。そしてそれを光輝は見抜いた。見抜いたからこそ光輝は負けたくなかった。そんな笠木みたいに、善人でもその命を不当に奪いその蜜に吸って生きている奴に負けたくなかった。

 

(だけど自分の敗因を知ったあいつは絶対に修行して強くなる。)

 

 そう・・・何故か考えた。嘗て自分が家族を、未来の悟飯を守れなかった時の様に自分の力不足を感じめちゃくちゃな修行を始めた時のように。あれはある意味強さに貪欲だった光輝だったからなった思考であり仮面の男が同じ事を考えるとは限らない。だが・・・光輝は何故かあの男は自分と似たもの同士何じゃないかと思い始めた。眼の件もあるし。やっている事はまるきり反対であるが。だからこそ光輝は次に会った時にはあの男も必ず強くなっているという確信があった。

 ぶっちゃけ言うならば男が来た時悟空達の誰か1人でも連れてきたらあっという間に終わるが光輝はそれは嫌だった。自分のエゴだとは分かってる。だけど・・・あの男だけは自分の手で倒したい。そんな因果のようなものを感じ始めた。

 

「・・・やっぱり悟空さん達の性格移ったよな」

 

 そう拳を突き出し苦笑しながら言った。実際移ってる。ALOでも・・・何か皆が偶に行くようになってしまったGGOでも暇なら対人相手探してるバトルジャンキーである。因みに光輝はGGOではやはり剣·····はないから光剣と呼ばれる宇宙の男達が使っている様な光る剣、それもやはり二刀流で行くスタイルである。GGOは銃の世界となっている様に基本は銃がメインで光剣仲間のキリトやユウキ、アスナにレインも最低一丁は銃を持っているのに対して光輝は銃すら持っていない、あってもクナイ代わりのナイフ1本である・・・のにも関わらず今の所対人戦で負け無し。手榴弾等の波状攻撃をされた時もあったが相手が手榴弾を投げる寸前にナイフを投げその手榴弾にぶつけて自爆させるとかいうえぐいやり方である。

 最初フルダイブした時は現実と違って体が重かったし何か違うみたいな事になっていたがそれに慣れたら普通に戦える。

 

「はぁっ!」

 

 そう気合いを入れて拳を打ち出し草木を揺らす。次の為に修行は怠らない、そんな日々を過ごすのだった。

 

 

 ★★★★★

 

 

 そしてまた少し時間が経って筆記の卒業試験、それも終わって下忍試験の日になった。俺は教員の集合場所に向かった。そこには木ノ葉丸さんやシノ先生、そしてみたらしアンコ先生がいた。俺は本来別に来なくても良かったのだが気になったから来た。

 ボルト達が合格できるのかは正直分からないがあいつら俺とあの男の戦いに何か危機感でも持ったのか皆割と修行してたな。所謂天才のボルトが修行していたのもあるか。そう言えばボルトは普通の螺旋丸マスターしてた。だけど・・・チャクラ量か基礎力の問題なのかナルトさんや俺の螺旋丸とは比べ物にならないくらい威力なかったな。まあそこら辺の盗賊やらぶっ飛ばす分には良いだろうから暫くは大丈夫か。多分。

 

「あれ?光輝君来たの?」

 

 そう言いながら何故かカカシさんが来た。え?下忍試験って先代が出るのが普通なの?難易度高くないか?

 

「カカシさんもどうして・・・」

 

「どうしてって・・・光輝君には言ってなかったっけ?俺が試験監督だよ」

 

「・・・あいつらの武運を祈っときます。」

 

 それにニコニコしながら時間になった。俺は誰にも見つからないだろう木々の間に行った。近くで見てたらシノ先生達がボルト達の前に現れた。そして説明を始める。先ず皆白いハチマキを巻くようにに指示された。そのハチマキがボルト達の命、取られたら戦闘不能で試験は脱落。そこでカカシさんが現れ自分が試験監督、そして合格条件。それはカカシさんの腰辺りにある1つの鈴を取れば合格。1つしかない鈴を見ながらシカダイが鈴は人数分あるんですよね?と聞いたが答えはNo、1つしかない。

 

(・・・どういう事だ?)

 

 光輝はうーんと唸った。カカシは強いし人間性も光輝は普通に好きな部類に入る。あんな条件の試験を出す様な人だっけ?となる。

 

「ちょっと待ってくれよ!合格者を1人しか出さないつもりかよ!」

 

「嫌ならやめてもいいよ。勿論不合格だけど。」

 

 ・・・肯定も否定もしていない。どういう意味だ?そうしていたら理不尽だと言う生徒もいたがシノ先生達が忍の世界では理不尽何て当たり前だと冷たく返す。忍に限らず戦いの世界なんて皆理不尽で出来ている。ソードアート・オンラインの世界だってあれは割と真面目に理不尽過ぎるが戦わないという選択肢もあっただけマシかもしれない。フロアボスとかの初見の状態異常攻撃とか最初は喰らう人の方が多かった。別に俺は状態異常もクソも無かったから皆避けてる中遠慮なく殴りに行ってたけどあれは俺が可笑しいのであってキリトやお姉ちゃん達からすれば理不尽である。

 シノ先生達はカカシさんのボディーガード、真ん中にある円形のパネルみたいな所に攻撃を加えられたら戦闘不能とみなすそうだ。そしてカカシさんは仲良しごっこをしているボルト達に負ける訳ないと煽る。

 

「鈴は1つ、でも合格者を1人しか出さないとは言っていない。」

 

 ・・・どういう事だろうなぁ。そう思っていたら何かボルトがさっさと終わらせてやる的な台詞を言いながらクナイをカカシさんに投げた。カカシさんはそれに普通に当たったが変わり身の術であっさりと抜け出し試験スタートとか行ってしまった。生徒達は困惑しながらカカシさんや消えた先生達を追った。シカダイ、いのじん、チョウチョウはどうやら発信機をつけていたようでそれでカカシさんの位置を探すみたいだが・・・甘いな。

 

「先生達の分断作戦に乗せられちまったな」

 

 カカシさんが発信機外す所見ていたし。森の中に入って行った生徒達を追って俺も追う。そうすればもう色んな所で戦ってるなぁ。·····まああっさりと返り討ちにされてるんだけど。でも・・・先生達はハチマキを取っていない。

 

「仲間を大切にしない奴はクズ、か。成程な。」

 

 俺がターレスにやられそうになった時、駆けつけてくれたナルトさんが言ってくれた言葉は俺の中できちんと生きている。そしてそれをナルトさんに言ったのはカカシさんと言うことはもうナルトさんの歴史を見ていて知っている。そしてハチマキを取らない事、制限時間が24時間なのも変、アカデミー卒業前の生徒達を無双するなんて1時間、いや30分あれば十分、それをしないのは試しているんだろうなぁ。

 

「お、ボルト達は木ノ葉丸さんとか。」

 

 ボルト、ミツキ、サラダ、スミレの4人は向かい側から来た木ノ葉丸と対峙·····しないんかい!

 

「面倒臭い文章題は飛ばすって例えがあれだな」

 

 だがサラダとスミレは残った。曰く本当に正解なら通り過ぎたボルトとミツキはスルーさせない筈だと思ったのだとか。俺は少し悩み影分身を出してボルト達を追わせ本体の俺はそのまま見学する。

 

「スタミナ不足は一朝一夕じゃ直せなかったな。気の総量上げてチャクラ量を上げるのも良かったけど結局時間なかったし。」

 

 チャクラは肉体エネルギー・・・気と精神エネルギーが掛け合わさり得る事が出来る。光輝は最初は勘違いしていたが影分身使ってる内に違う事に気がついた。

 光輝の言う気とはチャクラになれなかった余りだと光輝は思っている。・・・精神エネルギーの方が少なく余りの方が圧倒的に多いのは気にしない。気の方がよく使うし。だからチャクラを増やしたければ肉体的な修行をすればある程度増える。ナルトの様に最初から莫大なチャクラは才能としか言いようがないが欲張らなければ堅実に増やす事は出来るし光輝もそうしている。実際未来悟飯のトラウマを乗り越えた後精神エネルギーが増えたのかチャクラ量も増えた。増えたと言ってもナルトには及ばないが。

 

「やっぱり2人と小さくなった鵺だけじゃ辛いかな?」

 

 サラダとスミレはあの手この手で的をぶっ壊そうとするが軽くあしらわれる。サラダはサクラさん譲りのパワーとサスケさん譲りの写輪眼を使い拳を当てようとしている。と言うより俺の蒼眼もそうだけど写輪眼も怪力系の技とかと相性良いよな。俺はそんな技無いけどサラダにはあるし写輪眼は幻術も出来るそうだから幻術かけている間にぶっ飛ばすなんておぞましい事になりかねない。·····俺も仮面の男にやろうとした事あるけど俺幻術苦手だしあいつ前回と前々回眼すら覆ってたから出来なかった。

 スミレは基礎能力ははっきり言ってサラダには及ばない。チャクラは多分スミレの方が多いがそれ以外はサラダの方が上回っていると思う。だけどそれを覆すとまでは言わないが互角に持って行ける技量がある。あいつは確かクソッタレな父親に幼少期にえらい修行させられてたって言ってたしその中に実践だってあった筈だしあの異界でミツキと戦った時も鵺の恩恵があったとは言えやはりそれを使いこなす程の技量があった。戦い慣れていた。スミレは鵺とはゴースト事件後も口寄せ契約していて何か小さくなった鵺を口寄せ出来る。

 

「火遁・豪火球の術!!」

 

 サラダが印を結びチャクラを練りながら大きく吸った後に巨大な炎の球を放出した。だけど時間が無かったから応用は出来なかった。まあそれが出来なくても強力なのは変わらない。あのフリーザも思わず避けたぐらいだし。

 

(それにこれは当てる為じゃない)

 

 豪火球は囮、木ノ葉丸さんは咄嗟に豪火球を上空に飛んで躱した。だがその上空にスミレが先回りしてクナイを振るった。まあそこで慌てるようなら上忍はやってない。スミレの振るってきた腕を逆に掴み背負い投げの要領でサラダの横まで投げ飛ばした。·····それも囮だけど

 

「ぬえーーっ!」

 

「なっ!?こいつ!?」

 

 スミレも囮で本命は今顔面に張り付いた鵺だった。木ノ葉丸さんは顔面に張り付いた鵺をどかそうと両手で掴む。でもそれがサラダ達の狙い。別に倒す事が目的じゃない。的を壊せば良いんだ。視界を制限され両手を鵺に向けた木ノ葉丸さんの的に向かってサラダが手裏剣を何個かの投げた。だが風きり音で分かったのか鵺を取り敢えずほっときクナイを2つ取り出した

 

「上忍を舐めるなよ!」

 

 そう言って鵺を顔面に張り付かせながら全ての手裏剣を弾いた。地面に戻った後雷遁を出して鵺を引っペがして鵺はスミレの肩に乗った。的に向かって投げられるのは大体予測出来るからな。·····でも鵺を顔にやりながら弾く様子はシュールだった。·····ごめんなさい。

 

 一方で分身が追ったボルト達は途中でシノに阻まれた。だがミツキがシノを受け持ちボルトは高い所にまで行って上からカカシを探す作戦に出た。光輝は悩んでもう1人分身を出してミツキとシノの戦いを見に行った。結論から言うならミツキが見事的をぶっ壊しシノを脱落させた。

 

(·····何か界王拳以上にえぐそうな姿になってたな。・・・いや、同じ位かな?どうなんだろう?)

 

 ミツキとシノ先生の戦いの時ミツキが何か変身して気も何か変わった。自然と一体化みたいな感じになって気も透け透けだった。でも代償が割とあるみたい。界王拳の時みたいに少し体がだるそうになってたし。取り敢えず結果は見たから分身解いとこ

 

 そして場面はボルト、カカシさんを見つけて不意打ちを貰ってたがギリギリ反応してガードしてたからダメージはそんなに無さげだな。

 

「油断してると合格は頂きだってばさ」

 

「・・・ふん。」

 

 その後ボルトとカカシさんが戦い始めた。ボルトは影分身を駆使した戦法で、カカシさんは普通に1人で迎え撃った。手数を利用した連続攻撃、だけど影分身は普通に弱点もある。チャクラを等分にして振り分けるからかスタミナも少し減りやすいから動きが少し雑になる。それを上回るだけの手数で攻撃し続ける等工夫しだいでどうにでもなるが格上には割と危ない所がある。

 ・・・カカシさんが手加減しているのか普通に渡り合えてるけどな。

 

「確かにお前の実力は飛び抜けている。既に下忍、いや中忍レベルはあるだろう。」

 

 まあ実際その位はあるだろうなぁ。指揮能力あるかは別として。だけどそれだけでは駄目だねと言われる。

 

「その鈴を取りゃあ合格なんだろ!」

 

「勿論」

 

 そう呟きながらボルトはクナイを持ち印を結び雷遁を纏わせ残りの2人の分身に風遁を用意させた。ボルトストリームという技である。その超加速にその発想に思わず目を見張るがそれで反応が遅れるようでは火影なんてやってなかった。仰け反りそのスピードの攻撃を躱した。だがその時地中からボルトが出てきた。分身に会話とボルトストリームをやらせ本体は地面に潜っていたのだ。そして仰け反りしているカカシさんから鈴を取ろうした。

 

「貰い!」

 

 だがそのカカシさんは変わり身の術で抜け出して姿をくらます。分身は消えた。ボルトは周りを見渡すがその時カカシさんがボルトの後ろに現れ取り押さえ地面に押し倒した。そして語るは今の忍事情、それから忍になる”覚悟”。忍に限らず戦いに行くものは皆覚悟がいる。俺も笠木と戦う前にも、ナッパと戦った時も覚悟が強いられた。そしてその覚悟の違いで負けてしまう事だってある。

 

「この状況をどうすればいいか教えてやろうか?」

 

「何・・・?」

 

 押さえつけられているボルトは苦渋の声を上げるがカカシさんは冷たい瞳で見ながら淡々と言う

 

「腕を折るんだよ」

 

 まあ至極当然だな。俺は押さえ付けられたら気を解放するなりで脱出するがこの世界では気を解放という概念がない。カカシさんが言ったことはこの世界では普通なのかもしれない。だけど・・・ボルトはそれが出来なかった。当たり前だ。ボルトはナルトさんが築いていっている平和の世界で生まれ育ち生きてきたんだ。多分価値観としては俺の世界やキリトの世界と似たようなもんだろ。まあ俺の世界に関しては5年帰ってないから分からないけど。だけど・・・だからこそ”忍”というものを軽く見てしまう。俺やあの男の戦いを見たぐらいじゃ覚悟何て決まらない。自分の大事な人達が危ない時、俺は覚悟を決めた。笠木を牢獄にぶち込めるという建前があったが俺は心のどこかではあいつを殺したかったのかもしれない。倫理的にも法律的にも駄目と分かっていても、そうする事でもう俺の大切な人達が笠木に襲われないと思ったのかもしれない。

 

「・・・まあボルトも脱出出来ないわけでは無いけどな」

 

 光輝がそう呟くのとほぼ同時、ボルトは呻くように、だが確固たる意思の声を発しながらチャクラを練り言った

 

「赤雷!!」

 

「なっ・・・!?」

 

 ボルトが叫びながら自爆覚悟で赤雷を放った。それには思わずカカシさんも目を見開きボルトから離れた。だが赤雷を食らったのはボルトも同じ、でも1杯食わせたのが嬉しいのか口角が吊り上がる。でも今の気でそのまま戦うのはちょっと不味いかな

 

 

 サラダとスミレはあの後も全力で戦い続けたが写輪眼のせいのスタミナ切れでサラダが倒れてしまった。スミレは苦渋の決断で煙玉を投げた後サラダを連れて撤退した。その時木ノ葉丸さんは追うのは簡単だったろうに追わなかった。そんな木ノ葉丸さんの隣に降りて聞いた

 

「この試験の合格条件ってもしかして・・・」

 

 木ノ葉丸はそれにシーっと言うなと言った。それで自分の仮定が正解と知り光輝もふっと笑った。

 

「まっ、これでも分からないなら不合格だろうけど·····多分あいつらは分かるよな」

 

 そう光輝は信頼とも取れる言葉を言い放つ。

 

 場面は戻ってボルトはそのままカカシさんと戦おうとしたがその間にミツキとイワベエが乱入、煙玉を投げ3人は撤退した。そして3人はアンコ先生に拘束され無かった生き残りの奴らが集まっている所に来た。そこに居たのはサラダ、スミレ、ワサビ、ナミダ、デンキ、メタルそして今来たボルトとイワベエとミツキ。ボルトはワサビの医療忍術を受け抑えられながらも赤雷を放った左手を治療してもらう。そんな時ボルトがそこにいたメンバーに謝った。曰く俺が皆をダメにしてるかもしれないと、自分は腕を折れなかったと。

 

「ふざけるな!!」

 

 というボルトの弱音をイワベエが一喝した。曰くボルトがいてくれなきゃ俺は今だって教室の端っこで留年を待っていたはずだと、デンキもボルトのお陰で変われたと、スミレもボルトが一旦外していたハチマキを返しながら自分はボルトがいなければ生きてすらいないと。ボルトのお陰で変われた3人がそう言う。

 

「このクラスはお前を中心に回ってんだよ、悔しいけどな。そんなクラスの連中をお前は否定するのか?」

 

 そしてボルトは考え考え抜いて立ち上がり宣言した

 

「俺は皆といる為に忍者になるってばさ!」

 

 そう吹っ切れたボルトを見てそれこそがボルトだとなりながらも作戦会議を始めた。そこでデンキが気がついた。何で24時間のタイムリミットなのか?何故気絶した生徒のハチマキを取らないのか?そして鈴は1つ、これは覚悟を試す試験、なら答えは・・・

 

「皆で合格するぞ!」

 

 そのボルトの号令に全員頷き作戦の為に散った。先生チームは拘束されてる生徒達を横目に見ながら休憩中。カカシさんは何か「イチャイチャタクティクス」?って奴を持ってどこかに行った。関係ないけどあの本は何書いてんだろ?名前的にイチャイチャの戦略?なんの事だろう?

 捕まってる面子にはシカダイやいのじん、チョウチョウや受験者の約半分がいる。そんな時ガサガサと音がして木ノ葉丸さんは音がした方に向かう。

 だから今捕まってるメンツの見張りはアンコ先生1人、森の方から音がしたから向かう。待ち受けていたのはスミレ、ワサビ、メタルだった。スピードに特化してる。ワサビとメタルが撹乱スミレが隙を見て起爆札をばらまいてそれを爆発させた。

 

「まあ分身だよな」

 

 蛇分身は少し驚くよなぁ。お姉ちゃん辺りにやったら多分永遠に嫌われる。絶対にやめよう。そもそも出来ないけど。本体のアンコ先生は拘束されている生徒の元にいるナミダの元に来た。あっ、これ不味いやつだ。ナミダは所謂泣き虫である。だけどただの泣き虫ではない。超音波を発するのだ、泣く時に。

 

「何やってるの?」

 

 そうアンコ先生がホラーチックにそう呟けばそりゃあ泣くわけで・・・いやこの場合は鳴くか。

 

「あーーーーーー〜っ!」

 

 俺は咄嗟に耳を塞ぎその超音波を回避した。他の皆は何か小さい鵺がシュールに耳を塞ぎ回避した。でも間近で受けたアンコ先生は見事にダウンした。ナミダがこの忍術を使ったのは1回しかない。ある時俺が教室で見張りをしていた時にワサビとナミダが喧嘩してしまいその時にあの超音波の術を発動した。あれはびびった。俺も少し難聴になっちまったし。それを見ていたのは俺やクラスメイトだけ、シノ先生達は見た事無かったら反応出来なかったのだ。見届けた後木ノ葉丸さんを追った。

 残りのボルト達は木ノ葉丸さんと激突していた。何か封印術という動きを抑える術で拘束した後ボルトが力比べをしていたがサラダが上空から怪力で殴ろうとしたのを見て封印術を無理矢理外し抜け出した。

 

(・・・まあ気が読めないからしょうがないか)

 

 光輝がそんな事を思っている中デンキがやけに気合いの入ったパンチを繰り出す。だけどデンキは後方支援タイプでダメージを与えるには非力だった。そして突き放したがその時木ノ葉丸の的が壊された事を教えるブザーがなった。

 

(あの2人の子供なだけあるよな)

 

 ボルトとサラダは互いに変化して逆になっていたのだ。つまり先程木ノ葉丸と力合わせをしていたボルトはサラダで怪力で殴ろうとしていたサラダはボルトだったのだ。俺は気がついていた。カカシさんに言ったように変化や変装じゃ気は変わらないからだ。俺はちゅうりつだからね、しょうがない。その後ボルト達はカカシさんを探しに行き朝日が出ている中見つけた。

 

「イチャイチャタクティクスって本当に何が書いてるんだろうなぁ」

 

 割と気になっているがそれは置いておきボルトは予め影分身を出し、他のクラスメイト全員はボルトに変化した。うわぁ。見ていたら何か面白いな。そうして影分身ボルトと本体ボルトはカカシさんの所に向かった。そして再び戦う。それでも実力差は覆せずに影分身が消されていく。そして残った本体を叩こうとしたがそこで変化したサラダ達クラスメイトが突撃した。

 

「おいおい!何だこれは!」

 

「「待ったなしだーーーっ!」」

 

 それでも実力は消耗していることも相まって普通にいなされ倒され変化が解かれていく。そしてボルト以外が倒れた時ボルトは鈴目掛けて突進し叫んだ

 

「今だ!!」

 

 その瞬間にボルト以外全員が同じ印を結んだ。その瞬間に術式がカカシさんに伸びて封印術にかけた。さっき木ノ葉丸さんにもやっていたやつだ。一糸灯陣と言うらしい。全員が力を合わせ動きを封じる。それでもカカシさんは動きボルトの鈴を取ろうとする手を止めた。

 

(正念場だな)

 

 ボルト達のチャクラと体力が尽きるかカカシさんが競り負けるか。

 

「俺は忍者になる!」

 

「僕も!」

 

「私も!!」

 

 そうイワベエやデンキ、スミレが叫ぶ。

 

「私は火影になるんです!!」

 

「僕もまだここにいたいから」

 

 サラダ、ミツキが言う。口々に決意を叫ぶ。流石にカカシさんも不味いかな、殺してもいいなら抜け出せるけど中途半端に手加減しなくちゃならないから余計に難しい・・・

 

「紫電!!」

 

 ·····それは大人げ・・・まあ良いか。カカシさんは不味いと思ったのか大規模な紫電を放った。それに飲み込まれる生徒達。1人でも封印術が解ければ直ぐに動ける様になるからだろう。だけど・・・それは少しあいつらを舐めましたね

 

「そいつらも覚悟をしたのなら・・・そう簡単に投げ出す様な奴らじゃないですよ」

 

 全員が紫電に耐えたのだ。先代火影が放つ紫電にだ。流石に立っているのは連戦の影響もあるのかボルトともう1人だけだがそれでも封印術を解かず耐えたのはカカシさんには誤算だろう。

 

「ボルト!!」

 

「早く取れ!」

 

「チャクラが持たない!!」

 

「ダチを馬鹿にさせやしねえっ!」

 

 そしてボルトは叫びながらその腰にある鈴に手を触れさせ·····

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 朝日に照らされながら生徒達が各々倒れている。今この時を持って下忍試験が終わった。ボルトの手の中には鈴はなかった。

 

「はーい下忍試験終了!全員合格!」

 

 だからこんな事を言われれば

 

「「はっ!?」」

 

 ってなる訳だ。

 

「なーに驚いてるの?」

 

「だって・・・俺達鈴を取れなかったし・・・」

 

「ん?いーのいーの鈴何て。どうせ天地がひっくり返っても取れやしないんだから」

 

 性格良いのか悪いのか分からんな。あいつら多分合格条件を勘違いしてるよな。いや、全員で鈴を取りに行くのは正解っちゃ正解なんだけどそこに鈴を取るという事は含まれない。最初のカカシさんが言った仲良しごっこ云々はミスリードだ。

 

「じゃあ今までのルールは何だったんすか」

 

「忍者の世界は厳しい。現実では様々なルールや掟がありそれを破るやつはクズよばわりされる、けどな、仲間を大切にしない奴はそれ以上のクズだ。お前ら全員で俺に向かって来た時点で合格だったんだよ」

 

「じゃあどうして止めてくれなかったんですか」

 

「いや〜、良い感じに封印術何て使ってくれちゃってさ!!ついね・・・あはははは!!」

 

 ・・・お茶目だな。その後全員集合しシノ先生の話が始まる。何時もならここで見事に遮られてしまうが今は疲れてるのか誰も口を挟まなかった。そしてそれが分かったのかシノ先生も長話をやめて印を組んで解した。そうすればボルト達の額とかにあったハチマキが煙に包まれ額当てに変化した。ちゃんと全員のイメージカラーに合わせられている当たり流石だな。

 

「でも、大変なのはこれからだぞボルト、お前ら。」

 

 そう和気あいあいしている面子を見ながら言った光輝なのであった。

 

 

 ★★★★★★

 

 

 下忍試験が終わった日の夜、チョウチョウのお父さんのチョウジさんという人がお祝いですき焼きしようとなりボルトやヒマワリちゃん、サラダに猪鹿蝶の3人、それにスミレが秋道家に集まった。親組は猪鹿蝶の親だけ。何でこんな面子になったのかと言うとボルトとヒマワリちゃんはシカマルさんが連れて来た。曰く永遠と子育てしているヒナタさんを偶には休ませてやろう的なやつ。後ナルトさんが早めに帰ってくるというのもある。それが分かった時俺もお呼ばれした。何でだろ?まあいっか。

 サラダも同じ理由。これはいのじんのお母さんのいのさんが連れて来た。曰く医者で疲れているサクラさんを休ませてやろう的なやつ。猪鹿蝶は言うまでもなく。

 スミレはいのじんのお父さんのサイさんが呼んだ。理由は家族がいないから一緒に祝おう的なやつ。

 そしてすき焼きを食べてる時シカマルさんが聞いてきた

 

「光輝、お前は何時行くんだ?」

 

 サスケさんの所へという意味だ。

 

「明後日位ですかね。明日でも良かったんですけど後処理がまだ終わってないので。」

 

 俺は一応職員室で少し狭いけど机を貰っている。そこに積み重なってる資料やらまだ片付けられていない。資料と言ってもフルダイブマシンやらに関しての書類で完全に私用だけど。そんな会話が聞こえたのかボルトが声を上げた

 

「明後日!?光輝さんどこに行くんだってばさ!?」

 

 何か面倒くさくなるような気もしつつも答える

 

「サスケさんについてくんだ。俺の探しもんも見つかりやすくなると思うしな。だから卒業式には行けない。敵も俺が木の葉にいると分かって強襲してきて人質でも取られたらやりにくい。」

 

 敵·····あの仮面の男の様な者がまだいると知って戦慄していたが光輝は無視しお肉を頂いて美味いなぁとか思っている。そんな光輝をボルト達は不安そうな眼で見て光輝はそれに気が付きながらも笑って言った

 

「何か葬式みたいな雰囲気を出すなよ。それに永遠にバイバイって訳じゃないだろうに。」

 

「いや、それはそうだけど・・・さ」

 

 何か暗い雰囲気になっているが俺はそんなに影響力ないと思うんだけど。そしてすき焼きを食べ終えた時ボルトが立ち上がり何故か俺に頭を下げて来た。

 

「ど、どうした?」

 

「光輝さんが居てくれたから・・・俺は強くなれた。父ちゃんともまた少し前の様に戻れた。だから、ありがとうだってばさ。」

 

 確かにアカデミーの最初よりかは強くなった。でもあれはボルトが頑張ったからであって別に俺は何もしてない気がする。ナルトさんの件も俺が勝手にやっただけだし・・・

 

「・・・まっ、大変なのはここからだぞ。ボルトも・・・お前達も」

 

 そうヒマワリちゃん以外の面子を見て言った。忍になると言うことは命を賭けるということ、生と死がせめぎ合う所だ。生半端な気持ちでは・・・死ぬ

 

「「はい!」」

 

 それが分かってるのか全員良い返事をしたのだった。

 

 

 

 




お疲れ様ですm(*_ _)m。
別に最初は赤雷じゃなくて普通に紫電をやれば良いかなーと思ってたんですが最初は光輝自身が使う予定だったし光輝に紫は合わないので赤にしました。
それからこの時赤雷覚えさせたのは対カカシ用ではなくてシンキ用ですね。
最後のすき焼きの話はノベライズ版5巻にあった話ですね。そこに光輝もお邪魔した。因みにボルト達は光輝に試験を見られてるの気がついてません。
さて、次回1話だけオリジナル話を挟んで白夜団とか初任務とかすっ飛ばして中忍試験編行きまーす

(*´∇`)ノ ではでは~


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災難な大筒木

おはようございますm(*_ _)m。
今回はあいつらが出ます。では⊂('ω'⊂ )))Σ≡GO!!


光輝のアカデミー教育実習が唐突に終わり光輝はサスケの元に向かってサスケの手伝いとブロリー探しを始めて約半年が経った。いきなり過ぎるが事実そうなのだ。深い森の中で光輝はサスケと共に歩いている。

 

「カグヤって人は色々やってたんですね。」

 

大筒木カグヤ·····ナルトさんやサスケさんが戦場に向かった第四次忍界大戦での所謂ラスボスだ。俺も巻物でその強さを見たが・・・凄かったなぁ。でもナルトさんの逆ハーレムって術が何であのラスボスに効いたのか未だによく分からない。何でだろ?

カグヤの能力で1番目立っていたのはやっぱり自分だけでは無く他者諸共違う場所に引きづりこむ大規模な転移能力だろう。流石にあれは俺や悟空さん達も出来ない。場所によっては色々不意打ちだったからよくナルトさん達封印出来たなと思う。

 

「そのカグヤも白ゼツみたいな戦力無しじゃ戦えない敵ってどんな奴でしょう」

 

サスケは基本無口だ。ナルトと言うとその限りではないが無口だの方が多い。しかし話題を振って気が向けばきちんと返してくれる

 

「さあな。だが迎え撃つのは変わらん」

 

渋々そう言いながら歩を進める。光輝もサスケがこういう人だと分かってるから特に機嫌も変えずについて行く。

 

(サスケさんって少しだけベジータさんに似てる気がする。)

 

光輝はそんな事を思いながら周囲を見る。今は世界単位で見れば木の葉に割と近い村の近くにサスケの輪廻眼で異空間移動して抜けた先にやってきた。

光輝はボルト達に言った通り下忍試験が終わり2日後にサスケの元に来た。ナルトの家から出る前は何か御礼会みたいなご馳走を出された。萎縮したのだが食え食え!と言われて結局食べた。そして光輝はアカデミーを穏便に去ろうと思っていたがボルトが思いっきりその他のクラスメイトに教えてしまい結局そっちでも手堅いさよならパーティーをした。アカデミー色々あったなーと思いながら光輝は里を離れたのだった。そうしてアカデミーの思い出を思い出していたら気になった事があったからサスケに聞いた。

 

「そうだ、サスケさん。ボルトの右眼が何か白眼と違う白目になってた事があるんですけど何か分かります?」

 

「なに?」

 

ボルトの右眼·····ゴースト事件の途中ボルトは厨二病に覚醒してた時期があった。白眼が宿ったと言った時だ。実際は白眼は開眼はしてなかったのだが光輝はボルトの右眼が白眼とは違う白目になっていたのは知っている。鵺のゴーストを見る時はあの眼になっていたのだ。

 

「それで俺の知る限り牛頭天王を介したあのゴーストは俺とかナルトさんとかには見えてなかったんですけどボルトだけは右眼が変わってその時から異界のチャクラの流れを見る事が出来ました。その時点で白眼とは何か違いますし」

 

白眼はほぼ360度の視界の広さ、相手のチャクラの通り道の経絡系が見える。日向一族はその白眼を使った柔拳と呼ばれる戦い方をする。白眼で見えている経絡系を的確に突きチャクラの流れを止めるんだとか。·····あれ?でも俺この世界で生まれた訳じゃないけど経絡系何てあるのかな?でも螺旋丸とか出来ちゃうし・・。·····突っ込むのは疲れるから止めておこう。

そしてボルトはボルト、スミレ、ミツキが最初に集った時にボルトはスミレとミツキの攻撃を防いだ。あの時のスピードも普段のボルトなら出せないスピードだった。あの眼になった時に身体能力が上がるのかもしれない。

 

「・・・」

 

何やらサスケさんは思案顔だが・・・

 

「いや、分からんな。だがそれが本当ならば少しボルトには注意しなければならん。」

 

「確かに。今の所悪い事は起きてませんが未知数である以上警戒はするべきでしょうね・・・まあ鵺の1件からあの眼になっている所は見てませんが。」

 

実際は修学旅行の時の鮫肌に取り込まれたシズマと戦った時になっていたのだが光輝は霧のせいで見えてなかった。そして光輝は先程まで森だったのにどういう訳か近くの村の洞窟·····では無く廃坑に入っているのを見て

 

「所で何でここに?」

 

唐突に来てるから何故ここに来るのか全く分からん。

 

「カグヤの遺跡がこの辺だからだ。」

 

光輝は先導しているサスケの言葉を聞きながら廃坑内の気を探った。そうすると何個かそこら辺の人間関係よりも·····多分ボルト達よりも大きな気を感じた。

 

「なん10人かいますよ。」

 

「そうか。」

 

関係ない人達ならスルーだ。まあ廃坑に入ってるヤツらがまともな人ならば良いがな。そうして2人で歩いて行けばその気が近づいてくる。どうやら向こうにも俺達が来ている事は分かっているようだ。そうして・・・

 

「やっぱりまともじゃないよなー」

 

光輝の呟きと同時に雷遁の光が放たれ光輝は気功波で相殺した。別に押し切っても良かったがまじで一般人だったら不味いから威力を1割以下に抑えといた。そうして相殺によって出来た光が晴れそこに居たのは何やら白いデカブツだった。

 

「これって白ゼツの亜種か何かですか?」

 

白ゼツ・・・第四次忍界大戦でナルトさん達忍連合軍を苦しめた奴。何か大量発生していた。その能力は対象のチャクラを吸えばその吸った人にチャクラ事変化する能力だ。1人だけなら兎も角それが何万規模でいたからそれのせいで忍連合軍は誰が敵なのか分からなくなり混乱状況になってしまった。幸い九喇嘛さんの力の一部を手に入れたナルトさんにその白ゼツが偽物かどうかを見分けられる能力があったから何とかなった。で、今目の前にいる奴は確かに白ゼツなんだけどどういう訳か合体している。あれ?こいつらそんなに互いの事好きだったの?·····なわけないか。

 

「だろうな。」

 

「·····まあ取り敢えず近くの村に行かせる訳には行きませんね」

 

そう言って光輝は剣を取り出し一刀流になる。そうしていたら何かその白ゼツの後ろからうじゃうじゃと同じような白ゼツ達が出てきて少し気持ち悪くなった。

 

「つーか何匹いるんだろ?」

 

ここがでかい広場的な所だからいいものを

 

「知らん。やるぞ」

 

言うが早くサスケさんは合体白ゼツの一体に刀を取り出し向かった。俺も近場にいた白ゼツに向かう。三体の白ゼツが合体してる。どうやったらこんなになるんだろうか?

 

「――――――!!!!」

 

光輝には理解不能な叫び声を上げながらその鋭利な腕を振り下ろしてきたが光輝はヒョイっと避けてその白ゼツの横腹から腹の真ん中辺までぶっ刺した。

 

「グアア·····ッ!」

 

そして光輝はそのぶっ刺した剣を更に押し出し白ゼツの背中から光輝の剣が出てきて武装完全支配術の要領で腹の中から一気に氷が白ゼツを侵食するように出てきた。そして光輝はその剣を持ちながら抉り出すように一気に上に切り裂いた。

 

「アアア·····!」

 

白ゼツはそれで後ろ向きに倒れどういう訳か爆散した。今やったのは「サベージ・フルクライム」という3連撃技である。終わるが直ぐに別の白ゼツに向かう。向かってる最中数えてみたが10体以上いる。

 

「ふっ···!」

 

そう勢いよく振り下ろす、その剣を勢いよく戻し横に切り裂いてその白ゼツが吹き飛ぶ。そしてサスケが居ない方にいる白ゼツ達に向いた後技名でイメージしながら叫んだ

 

「サウザンドレイン!」

 

そうすると光輝の頭上から悟空達の世界で1番硬いカッチン鋼で出来た1000本の武器達が量子変換器から出てきて白ゼツ軍団に降り注ぐ。サウンドレイン·····光輝の義姉のレインがALOで開発したレインのオリジナルソードスキル。無数の剣の嵐を降り注がせるのだ。普通の人が見れば地獄絵図。そして光輝は終わらない。剣を地面に突き刺した後印を結びながら叫ぶ

 

「ライトニングフォール!」

 

剣に千鳥を流しそれを地面伝いに武器達をガードしようとしている白ゼツ軍団に襲いかかり上からと下からの挟み撃ち攻撃に白ゼツ達はどちらに対応すれば良いのか分からなくなり·····全てまともにくらった。全員雷撃と武器達の波状攻撃をまともにくらい爆散した。光輝がサスケの方に向くとサスケも光輝と同数程の白ゼツをあっさりと葬っていた。光輝はサウンドレインで出した武器達を皆量子変換器に戻した。

サウンドレインは最初から出来たと言う訳では無い。最初は1000本をイメージするなんて割と不可能だった。レインに協力してもらって何度も本物のサウンドレインを見せてもらいイメージを強固にする修行をしてようやく出来た技なのだ。

それぞれ倒し終えたら臨戦態勢を取りながら更に奥に向かう。何かSAOにいた時みたいと思いながら進んで行き何やらマークを見つけた。大きい〇が9つの変なマークだ。更に樹の根があって下に続いている。

 

「これは?」

 

「カグヤの遺跡の紋章だ。この下か。行くぞ」

 

サスケさんがさっさと下に降りて行ってしまい俺も急いで追った。そうすると途中で何かえらい腐った物体·····と言うよりも人だったものがあった。サスケさん曰く無限月読と言う幻術にかけられそのまま白ゼツになる所だったがチャクラの供給が断たれそのまま腐ったものだろうと。と言うより幻術にかけられた人達がそのまま白ゼツになるのか。色んな意味で悪夢だな。そうして奥地まで来た。

 

「・・・やっぱりいるよなー」

 

と光輝は先程も見た白色の奴らがまた大量にこちらに向かってくるのを見た。

 

「そうだよね。奥はボスがいるのが当たり前だよね」

 

「何を言ってる。さっさと終わらせるぞ」

 

そう言ってサスケは先行した。全く疲れを感じさせない華麗な動きだ。光輝も続く。何十体かいる合体白ゼツ達をバッタバッタと倒していく。

 

「はっ!」

 

水平単発技ホリゾンタルで纏めて三体の白ゼツ共を吹き飛ばせ爆散させる。そして振り向き様に気功波で他の纏まって向かって来ている白ゼツ達に放つ。白ゼツ達は為す術もなくそれを喰らい跡形もなく消える。そしてまた2、3体が光輝に向かって走っているが光輝は振り向きながら風遁の印を結び真一文字に届いていないのに斬った。

 

「グアア···!!!」

 

そんなのはおかまないなく突っ込んでくるが唐突に三体ともスバっと切り裂かれ喚いた後爆散した。

 

「空切り」

 

と光輝は呟き剣を背中に直した。サスケの方を見れば既に戦い終わっていた。そして少し遺跡を調べたが何にも手がかりが無く良かった事と言えば村に被害が出る前に白ゼツを全滅させた事だけだ。

 

「・・・次行きましょうか」

 

「ああ。」

 

そう言ってサスケさんは左眼の輪廻眼の能力で何かワームホール的な奴を出しサスケさんはさっさと入った。俺も周りを確認した後サスケさんについて行く。そこを抜けている時そう言えばもう少しでボルト達は中忍試験だったなと思った。まあ中忍試験でも今の所俺もサスケさんも戻る予定はないんだけど·····そう思ってました。はい。

 

★★★★★★

 

「寒っ!」

 

光輝は白銀の世界に降りて直ぐにそう言った。あの白ゼツ軍団との戦闘から1ヶ月位経った。あの後も偶にカグヤの遺跡を発見し調査しているのだが全く成果がない。光輝は少しグロッキー気味になっているが無理言ってついてきてるのは自分だから黙ってる。

 

(と言うよりサスケさんこれだけ目立った成果ないのによく何十年も続けられるな。)

 

と光輝は真面目に尊敬した。自分もSAOの時1年半ぐらいはソロプレイヤーだったがサスケはその何倍も1人で黙々と旅をしている。光輝ならば普通にホームシックになる。決意を鈍らせない為に自分の世界にはまだ戻ってないだけなのだから。ここまで来たらホームシックになる前に一旦帰った方が良いのではないかと思うがシーラス達との戦いはまだ終わっていない。因みに手紙に書いていたある奴というのは笠木の事だ。当時トランクスは笠木も探したが見つからなかった。死んだのかと思ったが巻物を見てもよく分からず生きてる事も考慮していた。そして結果的に恐らく生きてるだろうなぁという事はあの男の変わりようでよく分かった。そこで光輝は初めて目の前の景色を見た。やたらと雪が降って白銀になっているがその景色の真ん中にやたらとでかい城があったのだ。

 

「当たりだと良いなー」

 

と光輝が言っているのを聞きながらサスケは歩を進め光輝もついて行く。そして城に入るとやたらと乱雑にされていて誰も住んでいないようだ。そして奥まで進むと何やら巻物があった。サスケが手に取り内容を確認する。光輝も隣から見るが

 

「何だこれ」

 

読めない。そう、読めないのだ。サスケの様子を見るがどうやらサスケも読めないらしい。サスケの左眼に持つ輪廻眼は大抵の言葉を読めるのだがそれすらも読めないというのは何か怪しい。SAOでなら絶対攻略の鍵になるやつだ。サスケは取り敢えず巻物を懐に入れるのと同時に光輝は気を感じ2人してため息をついた

 

「どうやら当たりみたいですね」

 

「ああ。」

 

その瞬間に2人は横に飛んだ。そうすると先程まで2人がいた場所にやたらとでかい斧が振り下ろされ床を抉った。その斧を振り下ろした人物は巨漢の男だった。全体的に白色で目も白色。しかしその斧はどういう訳か薄紅色だった。恐らくチャクラを武器の形にしたのだろう。そうして光輝はもう1人気を感じてサスケに言った

 

「俺は上に行きます」

 

「分かった。」

 

サスケの返事を聞きながら光輝は上空に向かい城の屋根を超えもう1人の敵と相対した。もう1人は小柄の男だった。だが気に関しては先程の巨漢の男よりもこちらの小柄の男の方が大きい。

 

「貴様、下等生物の分際で我らと同じ空を飛ぶだと?」

 

「生憎空を飛ぶのはお前達の専売特許じゃねえもんで。」

 

そう言いながら光輝は構えた。そのやる気満々な光輝に恨めしそうに小柄の男は見ていたがそこで疑問の顔を出した

 

「貴様あの化け物に似ているな」

 

「なに?」

 

小柄の男は露骨に忌々しそうな顔をした。自分があんな筋肉モリモリだとは思わない。なら雰囲気か。同じサイヤ人としての。と言うよりこいつよく気がついたな。同じサイヤ人のナッパでさえ俺が言うまでサイヤ人かどうか分からなかったのに。·····まあ取り敢えず小柄の男にブロリーを見分ける方法で聞いてみた

 

「·····なあ。もしかしてその化け物ってカカロットーーっ!って叫んでなかった?」

 

「・・・やはり仲間か」

 

「いや、俺はそいつを倒しに来たんだけど」

 

思わぬ所でブロリーの情報が手に入った。

 

「そいつはどこにいる!?」

 

「我らの収穫を邪魔したあの化け物がどこの星にいるかなど知らん!」

 

相当やられまくったんだろうなぁ。うん。悟空さん達が力を合わせて漸く倒せたんだもんなぁ。と言うよりやっぱり回復しているのか。だけど・・・この地球以外にいるとはな。完全にやられた。地球ばっかり探してたからそりゃあ見つからないよなぁ。何とかして俺もあいつの所に行かなきゃならないけど宇宙船なんぞないし・・・。

 

「まあいいや、取り敢えずお前をぶっ倒す!」

 

「ほざけ!下等生物が!」

 

小柄の男は自身の最高速度で光輝に向かった。だが光輝には止まっているように見える。小柄の男蹴りが襲い来るが体を左に逸らしてかわす。その振り上げた足が方向転換して踵蹴りが来るが光輝はその脚を躱し超速の拳を小柄のの顔面にぶつけた。

 

「がハッ・・・!!!」

 

そして痛みで思わず仰け反り血反吐を吐いているが光輝は気にしない。高速移動で仰け反っている小柄の男の背後を取るのと同時にただの気弾を形成し思いっきりぶつけた。

 

「グアーーーっ!」

 

そう叫びながら勢いよく吹き飛ぶ。光輝はそれを追いながら飛来神のマーキングを付けたクナイ達を瞬時に自分の手に収めそれらを吹き飛んでいる男に投げた。男は途中で体勢を取り直しそれらのクナイを弾こうとするがその瞬間に光輝の飛来神が発動し男の前に来ていたクナイの隣に光輝が瞬間移動してくる。

 

「何っ!?」

 

光輝はそのクナイを持つのと同時に螺旋丸を出す。そしてそれを男にぶつけようとした。だが男はそれを見て瞬時にニヤッとして右手をその螺旋丸に向けた。だが

 

「甘い!」

 

クナイは別に1本だけじゃない。今度は既に男よりも後ろに飛んでいたクナイの場所に瞬時に来てそこから高速移動で直ぐにまた男の背後を取ってその螺旋丸を思いっきりぶつけた。そうすると男は叫びながら先程と同じ場所まで吹き飛ぶ。クナイ達を皆量子変換器につっこみながら男に追いつきハンマーナックルで叩き落とした。そして気がついたらサスケさんも巨漢の男にいっぱい食わせた所らしく俺はサスケさんの隣に降り立った。巨漢の男は俺が小柄の男を吹き飛ばした跡を見て叫んだ

 

「モモシキ様!」

 

小柄の男はどうやらモモシキと言うらしい。そうするとモモシキは勢いよく瓦礫の中から飛び出し巨漢の男の隣に降りた。そして忌々しそうな顔を光輝に向ける。光輝とサスケはそのまま2人と対峙する。サスケが1人ならば撤退を選ぶだろうが今はサスケもその力を認めている光輝が一緒にいる。ならここでこの2人を倒す事も可能だと思ったからだ。

 

「退くぞ!」

 

そう言った瞬間にモモシキ達は異空間を開き素早くその身を滑り込ませた。巨漢の男も異空間に入り素早く閉じた。白銀の世界で光輝とサスケは消えた2人を見ていたが気がもうないと知るや構えを解いた。

 

「・・・取り敢えず里に帰ります?」

 

「そうだな。」

 

そう言ってサスケは輪廻眼の空間移動を発動しその中に入った。光輝も入ると砂漠の世界だった。

 

「あの人らってカグヤの親戚ですかね?」

 

「恐らく一族だろう。」

 

そう言ってサスケさんは歩を進めた。俺もついて行く。俺はあの二人組より正直どうやってブロリーの所に行くか或いはおびき寄せるかを考えていた。方法はまああるにはあるけど地球の被害が酷くなるしせめて誰もいない所じゃないとなぁ。

 

ブロリーの復活模様はよく分かったがどうしようと悩んでいる光輝だった。

 

★★★★★

 

あの謎の2人組の強襲から何日か経ち俺とサスケさんは木の葉のあんの門を通った。そして約半年ぶりの里を見る。やっぱりあの俺が最初帰った時から進歩しまくりだよなぁ。凄いなぁ。そんな事を考えていたらサスケさんが聞いてきた

 

「光輝、ナルトはどこにいる?」

 

「あ、ちょっと待ってください」

 

そう言って光輝は先ず火影屋敷を調べる。しかしいなかった。今は夕方を超えて夜だ。前までならそれでいても可笑しくなかったのだが。次にうずまき邸を調べる。里全体で探してたら面倒臭いから居そうな所に絞ってる。そうすれば

 

「あ、家にいるみたいですね。」

 

「そうか。」

 

そう言って歩き始め光輝もついていく。何か冷たく見えるがサスケは平常運転だ。光輝もそれが分かってるから特に気にせずついてく。サスケは普通に光輝の事は買っている。並の感知タイプよりも優秀だしサスケはしてもらった事はないが医療忍術も出来ると聞いている。そして戦闘スキルは言わずもがな。そんな光輝を邪険にする筈がない。そしてうずまき邸に到着し何かサスケが眼で光輝にインターホンを押せと言ってきたから光輝は押した。

 

「·····そう言えば今日誰かの誕生日だった気がする。」

 

と光輝が呟けばドアが開きヒナタが顔を覗かせた。サスケを見た後に光輝を見て驚いた顔をした

 

「ナルトはいるか?」

 

光輝にここにいると聞いてるし間違ってるとも思ってないが万が一という事もある。そうしていたら

 

「サスケ!」

 

と言ってリビングから覗いて来たのはナルトだった。そして次にはボルトが覗いて

 

「光輝さん!」

 

(·····やっぱり親子だなー)

 

その覗いている様子が正に親子だ。うん。取り敢えず俺はそこで思い出した。確か今日は

 

「お兄さん!!」

 

「久しぶり、ヒマワリちゃん。それに誕生日おめでとう。」

 

今日はヒマワリの誕生日だったのだ。危ねぇ危ねぇ。·····いや、良くないな。誕生日プレゼントなんぞない。そもそも今思い出したのに。

 

「2人ともどうしたんだ?」

 

「怪しい2人組に襲われた。」

 

「何かカグヤみたいに肌が白かったんで多分同じ一族だと思います。」

 

と光輝は付け加える。それにナルトは厳しい顔になる。見た所誕生会はもう終盤だろう。ボルトの口当たりに生クリーム付いているからケーキは食い終わったのだろう。

 

「あ〜、それからブロリーの情報もゲットしました。·····まあ色々厄介なんですけど」

 

サラッと重要情報言うあたり光輝は変わらない。その後ボルトは不満げだったが済まないと言って3人は火影屋敷の火影室に向かった。残っていたシカマルは何事だと思った。そしてカグヤの城で手に入れた巻物を渡し解読班にまわすように言う。そして今度はブロリーの話だ。

 

「それでブロリーはどこにいるんだってばよ?」

 

そう聞くと光輝は微妙な顔をしながら上を指し言った。

 

「どっかの星」

 

「·····?」

 

「あのモモシキと呼ばれていた多分大筒木の人は収穫を邪魔した化け物の今の場所なんて知らないと言ってました。収穫ってのはなんの事か知りませんが相当コテンパンにされたみたいですね。」

 

そうブロリーの歴史を見た光輝は敵だけどモモシキ達に少し同情した。

 

「仮に他の星にいるのならどうやって行くんだ?」

 

「まあ誘き寄せる方法ならある·····と言うよりまだ気は感じませんが向かってきてると思いますよ」

 

「え?何でだ?」

 

「俺と向こう側の勢力の1人がこの世界でぶつかりましたから。ブロリーは多分パワーを感じる事が出来る。」

 

光輝と仮面の男の激闘、あれはこの世界水準で言うのなら正に次元が違う戦いだ。だから光輝はその時に高めた自分達の気を感じその内来るのではないかと思ったのだ。しかしまだ感じられる範囲ではブロリーは来ていない。出したのはあの時の1回きりだしブロリーも遠い所にいすぎて分からなかったのかもしれないが可能性としては考えられる。

 

「それでも無理なら誘き寄せるしかないですね。」

 

「でもどうやってだ?」

 

光輝はそこで目を閉じ考えた後話した。

 

「俺がまた全力で気を解放してブロリーに俺の居場所を知らせる。ブロリーはサイヤ人そのものみたいな奴で強いやつは片っ端から倒しに行く奴です。なら俺の所にも来るのは道理。ただ問題があるんですよ」

 

それにナルトとシカマルは疑問符を出していたがサスケが言った

 

「お前の強大な力にそのブロリーが来る前にこの地球がボロボロになってしまうということか」

 

「ははは·····正解です。」

 

この世界を守るために来たのに光輝がボロボロにしてしまったら意味が無い。それを聞いた2人はあーっと言う顔になった。シノが言っていた。光輝が戦ってる時に余波だけで海を揺らしていたと。

 

「ずーっと気になってんだけどよ光輝。お前あの時からどれ位強くなったんだ?」

 

ナルトは常に思っていた事を聞いた。ボルトから光輝はもうすげえつえーと言う事しか聞いてないしその言葉を疑問には思わなかった。しかし今になって猛烈に気になり始めた。光輝はその言葉を聞いてうーんと考え

 

「ナルトさん達と別れてからでしたら多分2000倍以上は強くなったと思いますよ」

 

「「·····」」

 

倍数からもうあれだが光輝は真面目だ。ターレスと戦った時の光輝を戦闘力で言うのなら恐らく13万·····界王拳と蒼眼と赤眼を使えばそれ以上だ。しかし今の光輝はあのターレスが恐れたフリーザ、そしてフリーザの兄のクウラが2人がかりで来たとしても黒髪の状態で圧倒できる。何ならセルの第2形態位ならば蒼眼と赤眼で普通に勝てる。そんな光輝が超サイヤ人、2、3レベルの変身をすれば更にそれ以上。

 

「だからその作戦をするのならどこか誰もいない星でやるしかないです。でもサスケさんの異空間移動じゃある程度絞らないと目当ての所には行けませんし·····。」

 

「戦うのならどこかの何も住んでいない星か異空間という訳か。」

 

それに光輝は頷いた。それから光輝はナルト達と分かれたのだった。

 

 

 

 

 




お疲れ様です(*`・ω・*)ゞ
ブロリー、適当に星をぐるぐるしていた。と言うより光輝のブロリーの見分け方笑。因みに光輝と男がぶつかっていた時ブロリーはまだ気絶してました。起きたのはモモシキが来る時よりも少し前。起きたらモモシキ達が神樹の実を回収しようとしてた。無我夢中で突撃、モモシキ達は辛うじて逃げた。災難。
(*´∇`)ノ ではでは~


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新世代の戦い

おはようございますm(*_ _)m。
中忍試験です。但し1次試験、2次試験はダイジェストです。アンケートでボルトは不正無しだったので不正してません。


 何十の罠をかけた先にある次元のシーラス達のアジト。そこでは仮面の男が不貞腐れて寝そべっていた。仮面が邪魔な事に気がついたからシーラスに取ってくれと言ってもダメだの一点張り。

 

「お前の望む世界の為だ」

 

 と言うだけだ。確かに自分もそれの為に動いているから良いんだが戦いでは邪魔だろこれはとか思っている。そんな男はイラつく感じの気が来たのを見て上半身だけ上げる

 

「コテンパンにされたみたいだねぇ」

 

 そんな案の定馬鹿にしたような声色で言う男·····笠木にイラつきながら返す

 

「黙れ、俺は負けた訳じゃない」

 

 ここに第三者がいれば「いや負けてたじゃん」と返されるが笠木は首を竦める。

 

「誰にコテンパンにされたのかは知らないけどさ、約束は守ってもらうよ」

 

 男は光輝にもそうだが笠木にも割とイラついている。いや、イラつき度で言えば笠木の方が高い。自分の潜在的な何かからもう好きとは真逆の感情を持っている。自分はシーラスと笠木に合流する前に仮面を被って一部の記憶を無くした·····と言ってもきちんと家族の顔や愛してた人の顔は覚えている。·····家族の内1人だけ記憶が落ちているが。忘れてるのはその1人の家族と自分の名前とその家族と愛する人の名前だけだ。

 笠木の言葉に答えたのは男では無く見回りに行っていたシーラスだった。

 

「ああ、我々の目的の半分地点まで行けばお前を元の世界に力を与え返してやる。その後は好きにすれば良い」

 

 笠木はシーラスに救助された後にシーラスは計画を話し協力させた。笠木は最初反抗しようとしたが圧倒的なシーラスの力を前に自分にも力を与え元の世界に返すのなら協力してやると言う条件で仲間になった。しかし黙々とあの生体エネルギー吸収ナイフと暗黒魔界の科学者トワが残したダメージエネルギー変換効率の資料読みながら作るダメージエネルギー回収装置を作ったりしてるばっかで流石に笠木も飽きてきた。2年前は仮面の男に自分も再生出来るようにしろと言う要望を受けその間は暇つぶし出来たが今また暇になった。長い。笠木は再び仮面の男に向く

 

「君も無様だねぇ。あれだけ吠えていたのに」

 

 男は光輝に殴り込みに行く前に自分の力に酔ってるぜ発言を割としていた。しかし帰ってきた時にはめちゃくちゃイラついていた。蒼眼と赤眼を使ったのにも関わらず光輝を殺す事が出来なかったからだ。それも光輝は蒼眼と赤眼すら使っていない超サイヤ人2の状態でだ。そしてそれ所か自分がコテンパンにされていた。それがイラつきの原因だ。笠木はシーラス達が誰と戦っているのかは知らない。

 笠木はいい気味だとか思っていた。笠木もどういう訳かこの仮面の男が嫌いだ。それも初めて会った時からだ。だからこその反応だった。

 

「黙れ雑魚が」

 

 そう言いながら男は立ち上がりどこかへ向かう。シーラスはため息をついて言う

 

「お前達はもう少し仲良くなれないのか?」

 

 ·····シーラス自身はこの2人が潜在的に仲良く出来ない理由を知っている。でも仲間割れはマイナスにしかならない。笠木が男と同じ位強かったらライバルになるかもしれないが男の方が圧倒的に強い。それが余計にマイナス要素になる。

 

「嫌だね。あいつが僕に服従するのなら考えなくもないけど」

 

 そんな土台無理な事を言われシーラスはまたため息をついたのだった。

 

 ★★★★★

 

 光輝は晴天の空を見上げ

 

「いい天気だな〜」

 

 と呑気な事を言っている。そんな光輝が今いる場所は木ノ葉隠れの里の中忍試験第三次試験のトーナメントをする為の場所のコロシアム的な所だった。その観客動員数はめちゃくちゃ多い。

 

「さあ、アカデミー時代からの進化を見せてもらおうかな。」

 

 と光輝は言っている。木ノ葉に帰ってきてから光輝は再びナルトの家で居候を始めた。そしてボルトが何と光輝に弟子入りを志願してきた。光輝が戦った敵の様な存在が来た時対抗出来る力が欲しいと、下忍になってからの戦いの中で思ったんだと。しかし光輝は断った。何故なら自分はそもそもブロリーを倒せば去る。そんな何時になるか分からない曖昧な期間で弟子にする訳にはいかなかった。しかしそれでは何か可哀想となり光輝はサスケにその話を持って行った。ボルトの眼の事もあるし監視の意味合いでも良いだろうとなったのだ。

 結果ボルトは里にさ縛られず旅をしているサスケの事が「カッケーーっ!」となり弟子入りした。最初サスケは弟子入り条件として螺旋丸を要求したがあっさりとクリアした。

 

 俺は観客席でうろうろしていたらサクラさん達親組がいた。どうしようかと悩んでいたらサクラさんに気付かれ声をかけられた

 

「光輝君」

 

 まあ別にスルーしなくてもいいだろうと考え光輝は近づいて行った。

 

「お久しぶりです、皆さん」

 

 そこに居たのはサクラさんの他にシカダイの母のテマリさんにいのじんのお母さんのいのさんだ。何かサクラさんが隣を開けてくれたから座る。

 

「サスケ君との旅はどうだった?」

 

 サクラはサスケの旅について行っていた時期もあったがサラダが産まれたからついて行くことは無くなった。だから光輝から話を聞きたかったのだ。光輝は少し考え心底思った事を言った

 

「よくあんなに旅を続けられるなぁとは思いました」

 

 前光輝が思った通り割かしメンタルやられる。しかしサスケは文句を言わずに黙々と旅をしている。それが光輝にはすげ〜となったのだ。

 

「あっ、でも新しい火遁教えてくれました」

 

 遺跡回ってた時に偶に白ゼツが襲いかかってくる。その時に豪火球の術で光輝は蹴散らしたのだが威力不足で倒し損なった時がある。その時はもう気功波でさっさと倒したが豪火球の火力が最近足りなくなってると光輝は少し悩んだ。

 そんな光輝にサスケは珍しく火遁の威力を強める方法と新しい火遁を教えた。豪火球の術を光輝はサスケの歴史を見て自力で覚えてから約1年なんて凄い年月で出来る様になったがサスケが教えてくれた新術·····「火遁・豪龍火の術」は2週間程で出来た。これはめちゃくちゃ分かりやすく言えば豪火球の進化技的な奴だ。

 

「サスケ君が自分から教えるなんてね。」

 

 とサクラは驚いた。サスケは光輝も思ってる通りナルトといればその限りではないが基本寡黙で自分から何かを教えようなどとする事は少ない。それを知っているからこそ驚いたのだ。そこからは少し旅の話をしていたが帰ってきた辺りの話になった時にいのにそう言えばって感じで言った

 

「中忍試験第1試験は面白い試験だったみたいですね。サイさんが出したって聞いてますよ」

 

「私もあれはびっくりしたわね。」

 

 中忍試験·····名前の通り中忍になれるものの素質を見極める為の試験だ。忍は下忍・中忍・上忍、そして何か突出した事があれば中忍と上忍の間に特別上忍と言うものがある。中忍は部隊を率いるレベルになる。その為中忍になるのは単に強いだけでは無く集団を率いる統率力、戦局を見極める観察眼、判断力も見られる。例え優勝したとしてもそれらが無かったら不合格、優勝しなくてもそれらが伴っていれば合格になる。まあ光輝から言わせれば

 

「実戦で良い動きをする人を現場に寄越して欲しいところだけどな」

 

 その言葉にお母さん達は苦笑いする。試験以外の場所で合否を決めるなど試験の意味が無い。しかし光輝は真面目にそう思っているしサスケもそう思うだろうと思っている。と言うより統率力、観察力、判断力で合否が決まるのであれば

 

(アスナさんとか···後は茅場も合格出来そうだよな、そういう点では)

 

 今やキリトの婚約者になっているアスナの事を思い浮かべた。アスナはデスゲームとなったSAOでボス戦の時にレイド·····7人×7パーティー合計49人もの大部隊を率いてボス戦で戦っていた。ボスの攻撃パターンを見るや直ぐに的確な指示を出すその姿は今でも光輝の頭の中にある。本人はもう自分はあの時程強くないと言っているがやろうと思えば出来るだろうなぁとは思っている。まあデスゲーム何ぞもう誰もが嫌だろうけど。

 

(俺の場合は毎日がデスゲームだよな。)

 

 確かに一応光輝は何回も死にかけたことがあるからそうなる。因みに中忍試験第1試験は

 

「マルバツ問題が試験なのは驚きました」

 

 そう、いのの夫のサイが試験官だったのだがその試験の内容はマルバツ問題だった。つまり2択を選ぶ問題·····はフェイクだった。1次試験は先ず集合場所が2つあった。今回の中忍試験参加者の五大国の下忍達が集合する場所、そして色んな障害を突破した先にあるマルバツ問題を解答する2つ目の集合場所。その障害であっという間に試験を落ちるところもいる。ボルト達木の葉の下忍も障害を突破しマルバツ問題に赴いた。しかしマルバツ問題の問題が光輝にもボルト達にも全く分からなかった。だからボルト達はそれぞれ半分の確率で分かれた。

 

(どちらも不正解、その後の行動が肝心とはな。サイさんも味な問題を出すなぁ。)

 

 そう、クイズ自体はマルもバツも不正解·····と言うより自分達で正解にすると言った方が良いのかもしれない。マルかバツかを選ぶ方法はマルとバツが書かれている方の上に乗るというものだったのだが何とそのマルバツの所が正解発表の時に破れ受験者達は皆真っ逆さまに落ちて行った。落ちて行った先には何と墨のプールがあり落ちて行く受験者が黒くなって行く。しかしそこからが本当の試験であり普段の修行の成果を発揮しその墨のプールに落ちなければ·····つまり黒くならなければ合格という事だったのだ。墨のプールを見て不正解になってしまったと諦めた奴、そんなやつに中忍になるたまはないという事だ。

 

(俺があそこにいたら多分反射的に舞空術で飛んでしまうけどな)

 

 そんな身も蓋もない事を言うが黒くならなければ合格なので別に問題は無い。因みにこの試験を木の葉で通ったのはボルト・サラダ・ミツキの第7班、シカダイ・いのじん・チョウチョウの第10班、イワベエ・メタル・デンキの第5班、スミレ・ナミダ・ワサビの第15班だった。他には霧隠れの里から2チーム。雲隠れから1チーム、砂隠れから1チームだった。

 

 俺はその後元アカデミー生を見つけたのでお母さんズと別れ向かった。そうしていたら何やら応援する気MAXなイワベエ達5班とスミレ達15班が席に座っていて俺はそのまま後ろから声をかけた

 

「よう、お前ら元気だったか?」

 

 その言葉にイワベエ達は振り向き驚いた顔をした。そして何故かイワベエが腰を90度に折って礼してきた

 

「先生、帰ってたんですか!?」

 

 何故か敬語になっているが光輝は頷いといた。

 

「まあな。サスケさんとこの前帰ってきてた。帰ってからは修行ばっかりしていたからな。」

 

 そう言いながらイワベエ達の方の行き会場を見る。そこではボルト達第7班とシカダイ達第10班、そして雲隠れ1チームと砂隠れ1チームの面々が出ていたのを見て後ろのイワベエとスミレ達に言う

 

「お前らも惜しかったんだろ?」

 

 それを聞いたイワベエ達は悔しげな顔で言う

 

「いや、俺達の力不足っす。」

 

「完敗でしたから」

 

 中忍試験第2試験は旗の取り合い。相手の陣地にある旗を取ったら勝ちというルールだ。その第2試験でイワベエ達とスミレ達は負けた。イワベエ達は砂隠れの1チームに、スミレ達は雲隠れの1チームに。

 ボルト達はボルトが水遁と雷遁の組み合わせで霧隠れの1チームを粉砕していた。自分の水遁と相手の水遁をかけあわし空中から雷遁を叩きつける割とえぐい方法だった。シカダイ達はシカダイの作戦であっさりと勝利。

 

「あの砂鉄使いが本当に強かったです」

 

 デンキがそう言いながら砂隠れにいる砂鉄をコート状にしている少年を指差した。名前をシンキ。ナルトさんの親友で5代目風影の我愛羅さんの養子なんだそうだ。·····俺は櫂さん達の養子になっていた訳では無いが小3まで育ててくれた事には感謝している。だから恩返しする為に死ぬ訳にはいかない。·····まあもう櫂さん達よりもキリトや悟空さん達と一緒に過ごした年月の方が長くなっているが。

 

「砂鉄を自在に動かす、か。」

 

 ちょっと大きい磁石を持ってきてあの砂鉄のコートを全部かっさらってみたい。·····まあこの世界確かに自然現象はキリトや俺が元いた場所と同じな所はあるがそこにチャクラと忍術という形で色々変わるから多分磁石じゃ無理かな?·····でもやってみたい。

 その自由自在に操る砂鉄が攻防一体でイワベエ達は負けてしまった様だ。そんな事を思っていたら第3試験出場者の面々がボルトと雲隠れの下忍·····電子掲示板によるとユルイって子が残って対峙する。この2人が1回戦なのだ。その雲隠れの方を見た後スミレ達に向いた。

 

「それでスミレ達はあの雲隠れの子にだったけ?」

 

 それに何故かナミダが涙ぐむ。トラウマ抉ったのなら御免。スミレは苦笑いしながら戦った時の事を言った

 

「ガムを使った術を使ってきたんです。」

 

「ガム?」

 

 それを聞いて光輝はボルト達を見る。そして·····

 

「1回戦、木ノ葉隠れ、うずまきボルト対雲隠れ、ユルイ!始め!」

 

 リーさんって言うメタルのお父さんが宣言したのと同時にボルトはクナイをユルイは二刀の刀を取り出し激突した。二刀の手数があるがボルトは難なくいなす。そして何やら会話した後ユルイが噛んでいたガムが唐突に膨れ上がりそれが爆発を起こした。そしてボルトは吹き飛ばされながらも体勢を取り直した。だけどそれがユルイには十分な時間だったらしくあっという間に周りはガム爆弾だらけになった。

 

「成程、波状攻撃って訳ね。」

 

 あれなら近接特化のワサビも近づけなかっただろうしスミレも遠距離攻撃はあるにはあるがそれでも威力不足だったのだろう。ナミダのある意味一撃必殺は最悪味方も巻き込むから使えなかったんだろうな·····

 

「私があの時捕まらなかったら·····」

 

「もうめげんなよ。次があるよ。」

 

 どうやらそういう訳でも無かったらしいな。予測が偶に外れてまう。

 

「·····だけど…ボルトには少し奥手だったな」

 

「え?」

 

 スミレが素っ頓狂な声を上げたのと同時にボルトは手裏剣を2つ持ちそれらを雷遁を乗せ一気に投げた。ユルイはその手裏剣が来る訳ないと思いつつも一応確認する。その手裏剣はガム爆弾の間を綺麗にすり抜け抜けきった時にはユルイの45度手前にあった。それにユルイが目を見開いて逡巡している時ボルトは風遁の印を結んだ。

 

「風遁・裂風掌!」

 

 その風遁によってユルイが出してボルトに迫ってきていたガム爆弾が風遁に乗って今度はユルイの方に突き進んで行った。

 

「あのガム爆弾は衝撃か術者の意思で爆発する。ならボルトの風遁なら押し返せる。」

 

「あっ」

 

 スミレ達15班に風遁の使い手はいない。だから違う対処法をするべきだったがそれを考える時間も頭脳もなかった。

 

「それにアカデミー時代から俺に手裏剣術を習ってたんだし本場のうちは一族のサスケさんが教えれば·····」

 

 光輝がそう言っている間にユルイの45度の所にあった雷遁を纏った手裏剣が互いにぶつかり合い一気に軌道を変えた。ボルトはサスケさんに弟子入りしてからは手裏剣術を練習した。最初らへんは俺とやってたから出来てたのだが段々と難しくなって行った。俺でも無理な軌道も今のボルトなら出来る。そして

 

「なっ!?」

 

 ユルイはそんな事を言いながらギリギリ仰け反ってその手裏剣を躱す。だが

 

「これで終わりだってばさ!」

 

 そう言いながらボルトはアンダースローで手裏剣を投げた。その手裏剣はボルトの風遁によって押し返されてユルイに近付いている大量のガム爆弾にまで落ちて·····

 

「あーいう爆発系の奴って自爆するのも気をつけないと駄目だよなぁ」

 

 ユルイの周りにあったガム爆弾が手裏剣の衝撃で爆発を起こしそれが連鎖爆発によって1番近くにいたユルイに直撃。おまけにユルイももう1つガム爆弾を作ろうと出てた途中だったから次いでにそいつも爆発。ユルイは見事に自爆した。

 

「利点だけじゃなくて欠点を忘れてあんなにガム爆弾を出してた時点でユルイの負けだろ。」

 

 そう光輝は辛辣に言った。自分の能力のメリットとデメリット位知っておくべきだ。ユルイは利点にばっかり頼った結果の敗北だった。

 

「勝者、うずまきボルト!」

 

 リーが宣言した時大歓声が上がった

 

「よっしゃーっ!」

 

「凄い」

 

 イワベエとスミレがそう思わず漏らす。次の試合はシカダイと砂隠れの里からヨドという何かイヤホンをしてフードを深く被っている女の子だ。

 

「第2試合、木ノ葉隠れ奈良シカダイ対砂隠れヨド。始め!」

 

 その宣言と共にシカダイは下がって構える。だがヨドは構えない。

 

「おい構えろよ。俺が隠したみたいじゃねえか」

 

 そうシカダイが言うがヨドは特に変わらず。

 

「こっちから行くぜ!」

 

 シカダイはそう言って影縛りの術の影を伸ばした。この影に捕まった時影縛りが成功する。成功したら術が解かれない限り動く事が出来ない。自分から外す方法としてはシカダイのチャクラコントロールを妨害して乱すかかけ離れたパワーで無理矢理脱出するか。俺なら量子変換器からそのまま剣やらクナイの雨を降らす。お姉ちゃんの技は偉大。·····でも1番はそもそも捕まらなかったら良いだけでありヨドって子もそうしている。しかしその避け方が凄かった。

 

「ノールックで影を避けるとはな。」

 

 ヨドは影の方を見ずに華麗に躱している。俺や悟空さん達は気や空気の乱れで相手のやってる事や位置を把握するが流石に影の音を見分けるのは困難だ。

 

「俺と同じ方法という訳じゃないな。」

 

 そもそも気はセル以外の人造人間以外は基本皆持っている。そしてそれらを感じるのが光輝や悟空達のやっている方法だ。しかしナルト達の世界では肉体エネルギーの気では無く肉体エネルギーと精神エネルギーが混ざったチャクラを感知する。ヨドがチャクラを感知出来る感知タイプなのかと思ったがそれだけでは影を躱す事は不可能。

 なら空気の乱れとも考えたがそれは余計に影の動きが分からなくなる。

 

「すげえ、後ろに目があるみたいだぜ」

 

 イワベエがそう思わず言うのも当然だ。シカダイはただやるだけでは捕まらないと悟り煙玉や起爆札で陽動を仕掛けてもそれすらヨドは躱していく。そしてシカダイはチャクラが危ないのか影縛りを止めてしまった。それを見たヨドが被っていたフードとイヤホンを取った。光輝の感想は

 

「髪やたらと長いな」

 

 多分スミレと同じ位の長さだな。スミレは三つ編みにしてるから分かりにくいが。·····愛美もそう言えば何かロングヘアに憧れてるとか言ってたけ?あの蒼い髪があんなに長くなってもそれはそれで何か良い気がする。·····流石にもう呆れられて…と言うより愛美は俺が生きてる事知らないか。

 

 光輝がそんな事を思考している間にヨドは自分のその長い髪を持ってそれを振りかざした。それによって何やら猛烈な風と

 

「あれは·····」

 

 シカダイはその風と何かを耳を押えて左にズレて躱した。

 

「高周波って奴か。」

 

 シカダイも同じ結論に至った。しかしそれでもシカダイは負ける訳にはいかない。影縛りをヨドにかけに行く。何も陽動も無しでだ。ヨドは先程までの攻防なら余裕で躱していたのにどういう訳か危なげに躱した。光輝はその時シカダイの足元にガムが落ちているのを見つけ

 

「·····成程な。確かにそれならノールックでも躱せるよな。」

 

「え?どう言う事ですか先生」

 

 そうデンキが言ったのに光輝はずっこけながらも言う

 

「一応俺は先生にはなってないからな。まあシカダイも気がついたから教えてくれるよ。」

 

 そう言えばシカダイは言い始めた。ヨドは恐ろしく耳が良い奴なのだ。シカダイが影縛りをする時の重心移動の音で影の位置を掴む。しかしそれが分かっても対抗出来るかはシカダイの力量次第だ。

 

「重心移動は無意識の癖、シカダイが影縛りを成功させたいのならその重心移動が分からないほどの音を鳴らしながら影縛りをするしかない。」

 

 光輝が解説してる間にもシカダイはただの起爆札を何枚も取り出した。だがヨドはそれを放たれる前に自分の高周波を喰らわせた。シカダイはその高周波に思わず起爆札達を離して自爆した。

 

「シカダイ!」

 

 イワベエが思わず叫んでいるが光輝は

 

「流石シカマルさんの息子だな。ちょっと荒っぽいけど」

 

 起爆札を出した時点でシカダイがする事が分かった。起爆札は当たり前だが爆発する。そして爆発という事はやたらとでかい音がするのは必然。だから

 

「あんた…まさかわざと」

 

 ヨドは自分が勝ったと思い少しニヤッとしていたがその瞬間に自分の体がピクリとも動かない事に気がついた。そしてシカダイを包んだ煙が無くなると膝をつきながらも影縛りの印をしその影がヨドを捕まえているシカダイの姿があった。シカダイは動けないヨドにクナイを持って近づきながら言う

 

「他に靴音を消す方法が思いつかなかったもんでね。参ったでいいか?」

 

 クナイを首にやりながら言った

 

「ま、参った」

 

「勝者、木ノ葉隠れ奈良シカダイ!!」

 

 木の葉が2連勝。中忍試験は中忍になる為の試験でもあるが五大国のパフォーマンスでもある。自分たちの里はこの位強いんだぞというあれだ。まあボルト達はサラダ以外そう言う事は気にしちゃいないが同期が連勝するのはやはり嬉しいものだろう。そして次はサラダと雲隠れのタルイという忍が出てきた。

 

「第3試合、始め!」

 

 リーさんのその合図で2人は真正面に走る。タルイがやろうとしているのはラリアット、そしてサラダは写輪眼の洞察力を使いながらそれをギリギリよけ

 

「あ」

 

 タルイの最後の言葉はそれだった。見事にラリアットを避けられパンチ1発で吹き飛んでKOされた

 

「「しゃんなろー!」」

 

 何か向こうにいるサクラさんと被った気がする。俺は思わずタルイに苦言を言う

 

「ラリアットはスピードがあるからこそ成り立つ技であんなの写輪眼があるサラダには通じないなんて火を見るより明らかなのに。」

 

 タルイのスピードはサラダと同じ位だった。それならサラダが躱すことが出来るのは道理なのになぁ。確かナルトさんが九喇嘛さんの力を使えるように修行してあげてたキラービーって人ラリアットやってたから教えてもらえばよかったのに。因みに試合終了は3秒だった。そして次はいのじんの出番だった。相手は砂隠れのアラヤという何か仮面被っている細身の多分男の子。でもそこで

 

「あれっ?」

 

「どうしたんですか?」

 

 何かスミレが後ろから聞いてきた。

 

「いや…あの子から気を感じない」

 

「気?チャクラじゃなくてですか?」

 

 あ〜そうか。俺こっちじゃあまり気とか言わないからな。

 

「何て言ったら良いかな。チャクラは肉体エネルギーと精神エネルギーが合わさったものだろ?気っていうのはその肉体エネルギーの余りみたいなもの。俺の場合は元々精神エネルギーのキャパがそんなに無いからチャクラはナルトさんの半分位。気は性質変化はない。」

 

 そう言いながら振り向いて左右にただの気弾と螺旋丸を作り上げた。

 

「気はお前らにだってあるさ。まあお前らの場合はチャクラがキレたら肉体もダウンするようだけどな。」

 

 何か光輝の解説にアカデミー組は唖然としているが光輝は再びあの手この手で攻めているいのじんとそれを迎え撃っているアラヤを見る。いのじんの陽動が通じずに長い棒を振り下ろしいのじんは敗北した。

 

「気が無いって事は人造人間·····な訳ないか。」

 

 この世界じゃ16号みたいな完全機械型の人造人間はまだ居ないはず。

 

「でも無生物じゃないと気は普通誰でもあるもんだし·····」

 

 光輝がブツブツと何かを言っている時に光輝は上の屋根の上で気を見つけた。最初はサスケ辺りかなと思ったが全然違った。あそこから観戦·····屋根の上からじゃ何か変。敗北したいのじんが項垂れながら控え室に戻っているのを見て先程までの攻防を思い出す。いのじんは超獣戯画と呼ばれる絵を描いてそれを実態化して戦う方法でやっていた。絵の具を使うからそりゃあ目に入ったりしたら邪魔な訳。おまけにその絵達に起爆札があった。それでもアラヤはものともせず·····いや爆発に反応せずにいのじんを撃破した。そして屋根の上の気…そう言えば確か砂隠れの我愛羅さんの腹心のカンクロウって人って·····

 

「成程なぁ。·····でも何でだ?」

 

 また光輝が1人でブツブツ言っている。しかし今の言葉はどう考えてもからくりが分かった声だからイワベエが聞く

 

「光輝先生、あいつの秘密が分かったんすか!?」

 

「まあ一応分かったけど俺は特に突っ込まないよ。」

 

 次アラヤと戦うのはサラダだ。俺が相手の能力言っちゃったらなんの拍子にバレるか分からないからな。まあ·····サラダが気がつくかは分からないがな。でもまだアラヤについて一つだけ分からない事がある。·····その内分かるか。

 そして次の試合はミツキと雲隠れのトロイって言う子だ。試合開始早々トロイは何か自分の雷遁を纏ってミツキをぶん殴ろうとしている。

 技名は雷遁・オーバードライブ。筋肉を動かすのは脳からの電気信号、雷遁でその伝達スピードを早くしているんだとか。まあ確かに発想は普通に良いんだけどなぁ。雷遁を纏えば速くなれるし。でもそれは格上にはあんまり通じ無い。そもそも格上にはスピードが最初から違ったりしているからそのオーバードライブで上げた伝達速度とディフォルトで同じ何ていう人も普通にいる。まあ今は下忍同士でしか戦ってないからいいか。

 トロイはミツキの頬に掠りミツキの頬からツーと血が出てきた。そして何か少し微笑んだ後シノ先生と戦った時にも出していた透明度のあるエメラルドのチャクラを纏い始めたがハッと何かを気づいたら収めてしまった。そしてその後自分の蛇をトロイに絡ませギブアップさせ勝利した。

 

(そう言えばミツキのあれってナルトさんが仙人モードになってた時のと同じ眼だよな。)

 

 とそんな事を考えていたら次はチョウチョウと先程話題になったシンキ。

 

「先に謝っておく。手加減は苦手でね」

 

 ·····とチョウチョウに言ったシンキ。でもそれは本当なんだろうなぁ。ベジータさんとか本当に俺を殺しに来てるんじゃない?って位攻撃えぐいからな。まあお陰様で波状攻撃の対処法とかは分かったからいいんだけど。

 そして始まったチョウチョウVSシンキ。チョウチョウは部分倍加の術という秋道一族の秘伝忍術で腕を大きくしシンキをぶん殴ろうとしたがシンキは自分が纏っている砂鉄を巨大な手に変化させその拳をいとも簡単に止めチョウチョウを殴り飛ばす。幸いそこでギリギリガードが間に合い後退できた。

 

「痛っー!ネイルしたばかりなのに」

 

 お前12か13でネイルしてんのかい。

 

「あれが砂鉄の防御。砂鉄をあんなに集めたらあんなに固くなるとはなぁ。」

 

(それでも多分俺の持っているカッチン鋼性の剣達の方が強度ありそうだけどな。)

 

 強度があれば砂鉄の防御を敗れるという訳ではないがもし光輝がシンキと戦うのならやはり超スピードだろう。と言うより偶に例外はあるが大概は超スピードでなんとかなる。我愛羅の砂やシンキの砂鉄はそもそも攻撃を”認識”しなければガードに回せない。そしてそんなスピードを光輝は普通に出せる。

 

「砂鉄にチャクラを流し込み操る、か。本当に面白い人ばっかりだよな。」

 

 シンキは自分の砂鉄にチャクラを流し込み砂鉄を自由自在に操る。チョウチョウは会場の瓦礫を投げつけたりするが普通に防がれ砂鉄の腕に叩きつけられる。割と容赦ない攻撃をシンキはしている。だけどチョウチョウも意地があるのか立ち上がりある印を結ぶ。

 

「無駄かどうかやってみないと分かんないって言ってんの!」

 

 そう言って発動したのは体の部位を部分的に大きくする部分倍加の術では無く体ごと大きくなる倍加の術、そしてチョウチョウはその巨体を生かし体を丸め高速回転をしてシンキに突撃した。

 

「肉弾戦車!!」

 

 その突撃をシンキは砂鉄の手で止める。回るチョウチョウと止める砂鉄で摩擦が発生しているが2人は気にせずに激突しその果てに·····

 

「ハァハァ…あんた…少しは見る目変わった?」

 

 摩擦によって出来た煙を出しながらチョウチョウは聞いた

 

「そうだな…。やはり俺のほうが遥かに上だった」

 

「あぁそう…ムカつくわぁ~」

 

 そう言ってチョウチョウは仰向けに目を回しながら倒れ勝者はシンキとなったのだった。

 

「やる気が基本なさげなチョウチョウだけどやる時はなるな」

 

 そう少し元生徒達の成長が嬉しい光輝なのであった

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でしたm(*_ _)m。
長すぎるので分けます。ボルスミの方じゃ一気にやったんですけどオリジナルの対戦カード多めだったので筆が進んだけどこっちアニメと一緒なのでアニメとハーメルン往復するのが疲れる笑。
光輝、豪龍火を覚える。
では(^^)/


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ウスラトンカチ

おはようございますm(*_ _)m。
タイトル思いつかず。
アカデミー卒業からめっちゃ飛ばしてるので割と終盤だったりする。では⊂('ω'⊂ )))Σ≡GO!!


 あの大筒木モモシキって奴が突如襲来してボロボロになってしまった試験会場を見ながら俺は逡巡していた。とうとうこの日が来たかと。タイムパトロール任務の中では今回は断トツ長かった。

しかしそれはこの世界単位で見れば長かっただけで多分トランクスさん達がいる時の巣はこの世界程時間は経っていないと思うけどな。

3年俺が離れてここでは4倍の12年だったから今回俺が1年半いるなら向こうでは4ヶ月位しか経っていない。キリト達の世界も似た様なもんだから俺がログアウトしたばかりなのに割と早めにログインしてるなんて事もあったし。·····そんなのは今どうでもいいがな。

暇だからあの後の事を思い出そう

 

 ★★★★★

 

 中忍試験第3試験の個人戦の準決勝以降も面白い戦いばっかりだった。準決勝第1試合のボルトVSシカダイの親友対決は1度はボルトが影縛りに捕まるという危ない状態になったが、シカダイが降参させようとクナイを持って近づいた瞬間にボルトは印を無しで撃てる赤雷を放ちシカダイのチャクラコントロールを乱れさせ影縛りが解けた瞬間に今度はボルトがシカダイにクナイを当て降参させた。影縛りを成功させて無意識にでも油断したのがシカダイの敗因だった。

 準決勝第2試合、サラダVS砂隠れのアラヤという少年の戦いは手の探り合いが面白かったなぁ。アラヤはいのじんとの戦いでも見せた冷静な戦いを披露し、サラダの写輪眼でも追い切れない攻撃を繰り出して、サラダは危なかったがアラヤが急いで勝負を決めようとしていたのを見て勘づいた。

俺やイワベエ達がいた上の屋根をいきなり雷遁・雷球という術で破壊した。そしてその屋根の上にいたのはもう1人の·····と言うより本物のアラヤがいた。

 

 光輝はほぼ倒壊した試験会場をまた見てから里の方に歩き出し思い出す。

 アラヤは傀儡というチャクラの糸を使って操る人形の様な物を使って戦っていたのだ。そしてその傀儡を操るアラヤ本人は屋根の上からその傀儡を操り戦っていた。

中忍試験のルールでは戦闘を行うものは闘技場にいなければならないが最初から本人がいないのなら失格のしようもないというルールの穴をついた形だ。

そして光輝が何でアラヤは屋上にいるのだろう?と思ってた理由が判明した。アラヤはメタルと同じく·····人目があると緊張癖が半端なかったのだ。そしてアラヤはサラダに傀儡を見破られ敗北したのだった。

 光輝は多くの負傷者がいる病院に来た。そして歩いて行きイワベエ達がいるのを見つけ寄っていく。

 

「お前ら。ミツキは大丈夫なのか?」

 

「はい。シズネさん達が見てくれてるっす。」

 

 シズネさん·····サクラさんの医療の姉弟子さんだ。それなら安心か。ミツキと言えばシンキとの戦いは惜しかったよなぁ。いや、今言うときではない気もするが決戦に行くまでの時間暇だし。

 中忍試験第3試験の準決勝第3試合。ミツキVSシンキは結果から言うのならシンキの勝ちだった。ミツキはシンキの砂鉄の防御をあの手この手で破ろうとしたがとうとう破れなかった。

ミツキのあのエメラルドグリーンのチャクラを纏うやつなら行けそうな気もしたんだけどなぁ。と言うよりあの後大筒木相手に使おうとしたし。それは後程語るとしてミツキはシンキとの戦いは降参した。

 シンキは砂鉄のマーキングをミツキの体につけて砂鉄の性質の磁力を使って回避不能の攻撃をしようとした時にミツキは降参した。

 

「ボルト達は?」

 

「あっちの病室です。」

 

「ありがとう。」

 

 そう言って光輝はボルト達の病室へと歩く。

 ミツキが降参した事によりシンキが決勝戦に進出した。決勝戦はボルト・サラダ・シンキの三つ巴戦で所謂バトルロワイヤルって奴である。

翌日に決勝は開始された。本来ボルトとサラダは敵同士なのだがサラダが中忍試験のホームである木の葉の忍が砂隠れに負けるのは格好がつかないからシンキを最初に倒そうと共闘を持ちかけボルトは受諾した。そして2人はシンキと戦った。

 

「砂鉄を自由自在に動かすって俺がいた世界なら最早超能力だな」

 

 ·····光輝は自分も大概超能力に似ているものを使っているのによく言う。それはさて置きボルトとサラダはそのシンキの砂鉄が電磁場を用いて操っている事を見抜いた。

 電磁場で磁力のフィールドで砂鉄を操っているのだ。そして磁力のフィールドならば雷遁をぶつけそのフィールドを崩壊させれば砂鉄は崩れるのではないか?という事だ。

 そしてボルトは手裏剣に雷遁を、サラダはアラヤとの戦いの時にもやった雷遁・雷球を出してボルト曰く『即席合体奥義・雷遁雷球手裏剣の術』というレールガンの様な技を繰り出してシンキを倒そうとしたがシンキはその奥義を砂鉄の片手で止めた。

 そしてシンキはその砂鉄の巨大な手でボルトとサラダを捕まえ握り潰そうとしたがボルトは何とか躱した。しかしサラダが砂鉄の腕に捕まってしまいサラダは身動き出来ない所か潰されかけた。

 

「ボルトも術の使い所が上手いよなぁ」

 

 ボルトは咄嗟にあの螺旋丸·····それも唯の螺旋丸では無く雷遁の性質変化を入れた消える螺旋丸をシンキに放った。その螺旋丸は案の定途中から消えてシンキは油断し思いっきり弾き飛ばされサラダの拘束を解除した。シンキはその後自分の砂鉄を翼状に広げ空を飛んだ。

 そしてシンキはサラダを先に潰そうとサラダを挑発した。·····サラダって追い詰められてる時はあんまり冷静になれないからそれが今の所欠点だなぁ。サラダはその挑発に見事に乗りシンキへ突撃した。自分の背中にミツキに付けられたのと同じ砂鉄のマーキングがある事に気が付かずに。

 シンキは自分の砂鉄の翼から放たれる黒鉄の翼という技で鳥の羽のような物をサラダにめちゃくちゃ降り注がせた。鳥の羽と言ってもふわふわでは無く寧ろ砂鉄だから痛い。それも鳥の羽の先端が少し痛いようにシンキのそれも先端も尖っていた。

 だけどサラダは写輪眼の洞察力を持ってそれらの羽を躱しシンキの所にまで飛び上がった。飛び上がったというのは言うまでもなくジャンプだ。この世界では普通は空を飛ぶ人は少ないしサラダも飛べない。つまりジャンプしている間は慣性の法則に従い自由意志による移動が出来ない。それがシンキの狙い。サラダが躱した筈の砂鉄の羽達がサラダのマーキングに引っ張られる様に後ろからサラダに迫った。

 ジャンプしている故に躱すのは不可能・背中からなのでガード不可。SAOにいた頃なら理不尽!と叫びたくなる。サラダはその先端が尖った羽達の嵐をまともにくらいシンキの翼に弾き飛ばされサラダは敗退した。

 そして残ったのはボルトとシンキだった。その後言ってることが割かし俺もムカついた。

 

『やはり木ノ葉は七代目頼りの烏合の衆にすぎんな』

 

 まあ確かに砂隠れの里を俺は1度見てきたけど環境は割かしキツそうだった。俺の世界ならサハラ砂漠の中に里がある様なもんだったし。だからそんな厳しい環境で生きていたシンキからすれば恵まれているボルト達は温いだろう。

 しかしそれが烏合の衆になるかは別問題だ。.......シンキも今回の戦いでそれを思い知っただろうがな。

 それを聞いて怒りの顔になったボルトは影分身を2体出して風遁の準備をした。ボルトストリームだ。そして…

 

『お前だけには絶対に負けねぇ!』

 

 そう言って赤雷を出した。両手(・・)に。赤雷は普通片手でやるし俺も二刀流の時以外は千鳥は基本片手で出す。しかしボルトはそんな赤雷を両手に出した。そしてその両手の赤雷をかめはめ波みたいに腰で合わせ巨大化させた。単体での威力が届かないのなら2倍以上にすればいいだけだからな。…発想はいつも驚くが。

 俺は悟空さんに1回だけ見せてもらった10倍かめはめ波を思い出した。10倍かめはめ波はかめはめ波を両手に作りそれをボルトがやったみたいに腰辺りで1つに合わせ威力を上げる技。今の所純粋なかめはめ波の中じゃ1番強い。そしてボルトは風遁の発射台に、シンキは翼を広げ

 

『ボルト』

 

『黒鉄の』

 

『ストリーム!!!』

 

『翼!』

 

 互いの最強技がぶつかり合った。黒鉄の翼は最早翼では無く唯のドリルになっていたが気にしたら終わりだろう。

 ぶっちゃけ言う。アカデミーの時にナルトさんと仲直りしなかったらシンキには勝てなかっただろう。そう…ボルトは勝ったのだ。

 あの赤雷を便宜上悟空さんの借りて10倍赤雷と言うが10倍赤雷がシンキの絶対防御をぶち破りシンキにシンキからすれば強烈な強さの赤雷が突き刺さった。ボルトは当時めちゃくちゃ怒っていた。烏合の衆やら仲間を馬鹿にされたら誰でも怒るはな。怒りを力に変え…。誰かの為に強くなれる。それはどこの誰でもどんな世界や時空でも同じだろう。

 

(あ、ここかな?)

 

 光輝はそう言いながら病室に入った。そこにはヒマワリとサラダ、ヒナタとサクラに倒れて寝ているボルトがいた。ボルトが何故倒れているのかと言うとボルトの優勝直後に俺とサスケさんが戦った大筒木モモシキ、そして大筒木キンシキという2人組が襲来してきたのだ。

 

(あいつら出鱈目に試験会場壊そうとするから焦った。)

 

 そう。2人は挨拶も無しにいきなり闘技場に降り立ちキンシキが会場をめちゃくちゃに揺らし衝撃波的な奴で会場を破壊しようとしたのだ。実際7割は倒壊仕掛けた。しかし俺がいた世界やキリト達の世界ならばいざ知らずここには歴戦の忍達に五影もいたから被害者は.......少なくとも重傷者はそんなに出なかった。瓦礫に当たって血が出たとかは普通にあるが死ぬよりかはマシだろう。俺も救助活動に加わった。

 サスケさんもやって来て襲われていたサラダを救出した後キンシキと相対した。その時に突如ミツキの気がやたらと少なくなっていたから俺は直ぐにミツキの救助に向かった。そうしたらミツキが倒れていて空中に何か赤い釣竿を持っていた大筒木がいた。そんな光輝の隣に水影の長十郎と風影の我愛羅が来た。

 

(釣竿を武器にするとか変わってるよな)

 

 変な所で感心している。光輝はその釣竿の大筒木と我愛羅と長十郎と共に闘技場から出て戦闘を始めた。その釣竿の大筒木.......名をウラシキと言うがウラシキは光輝も知っている白眼になった。そして釣竿を振りかざし攻撃してきた。光輝は少し釣竿だから耐久無いだろ・・・とか思っていたら我愛羅の砂の絶対防御を簡単に突き抜けてきたからマジかよとなった。我愛羅の砂はシンキの砂鉄よりも強度はないがそれでも釣竿は弾けると思ったが簡単にはいかない。

 

『こっちだ!』

 

 光輝はわざと声を出してウラシキに注意を向けさせウラシキは釣竿を振った。しかし光輝からすれば遅い。ぶつかる瞬間に光輝の体は消えた。高速移動でウラシキの後ろに来たのと同時に蹴りを放ちウラシキを吹き飛ばし

 

『長十郎さん!』

 

『水遁・大瀑布の術!』

 

『何っ!?』

 

 ウラシキの白眼は光輝の様に見えないスピードならば兎も角普通はどんな動きも予測出来る。ならば予測すら不可能な飽和攻撃を行えばいいだけだ。長十郎は地下水脈から大量の水を吹きあがらせ吹き飛びから回復したウラシキを包んだ。水圧でウラシキは身動きができない。そんなウラシキに光輝は急接近し

 

『千鳥!!』

 

 千鳥をその吹き上がっている水の中に叩き込んだ。それを見たウラシキが不味いと思いサスケと同じ輪廻写輪眼になり時空間移動に退避した。その際ウラシキは言った

 

『これは痛恨のミスですね。まあ良いでしょう。時間稼ぎは出来た様ですから』

 

『時間稼ぎ?』

 

 それを聞いた光輝はナルト達のいる闘技場を見た。そこでは炎や竜巻に雷鳴が轟いていた。そしてその上空に若干紫色の巨大な球体が出ていた。光輝は巻物で見た事がある。尾獣だけが放てる技・・・尾獣玉だ。しかし光輝が知っているのよりも大きい。そしてそれらが闘技場…恐らくナルト達に振りかざされていた。それと同時にナルトの中の尾獣の九喇嘛のチャクラが闘技場、そしてその尾獣玉を包み込み.......大爆発が起きたのだった。

 

「ん…う」

 

 そんな声を出しながらボルトは目を開けた。そしてガバッと起き上がる。

 

「父ちゃんは・・・?」

 

 俺はサスケさんから一通り何があったのかは聞いたし俺も決戦には行くつもりだ。俺が戦うのはモモシキ達では無いがな。サクラさんが答えた

 

「里の皆を守ろうと攻撃を一身に受けて・・・」

 

 そしてナルトさんはモモシキ達に連れ去られた。その際ヒナタさんが特攻仕掛けたが俺が止めた。ナルトさんが守りに入り続けたのは自分達が攻撃に転じる事でまだ逃げきれていなかった人達にも被害が出る。「里の皆は家族だ!」ボルトによく言っていたあの言葉の通りナルトさんは里の皆を守る為に・・・。そんなナルトさんの想いを無駄にさせる訳にもいかなかったからな。完全にあの釣竿の大筒木にやられた。俺の注意を引くようにでもモモシキが言っていたのだろう。ボルトは次に聞いた

 

「皆は?」

 

「ミツキが危険な状態になってる。あの混乱のなかでチャクラを奪われたらしくて…今シズネさん達が付きっきりで面倒見てくれてる。他の皆は無事だよ。7代目のおかげで」

 

 それを聞いたボルトは顔に影を落とした。その胸の中に今どんな思いがあるのか俺には分からない。・・・本来なら中忍試験優勝してウハウハしてても良かったんだけどなぁ。本当にあいつら最悪なタイミングで来るなよ。・・・5秒くらいボルトを見た後言った

 

「それでお前はどうする?」

 

「え?」

 

 光輝の言葉にボルトだけでは無く他の面子も何言ってんの?的な顔になる。だが光輝は続ける。

 

「これからお前はどうする?この現実を受け止め進むか朽ち果てるか」

 

 今、ボルトの覚悟が試される。ボルトは・・・中忍試験で優勝してはっきり言えば酔った。ミツキもサラダも負けたシンキに勝ったのだから。だが大筒木モモシキ達相手にボルトはその力の差に震え無我夢中で水遁やら雷遁やらを放った。だがそれらの術はモモシキの右手に吸い込まれた。そしてその吸収された忍術をあの巨大な尾獣玉と共に放たれた。何倍にもされて。そして何も出来なかった。そしてだからこそ弱音を言う

 

「俺は·····弱い・・・」

 

「ボルト・・・」

 

 ボルトは涙を流し頬に伝い地面に落ちた。心配の顔でサラダが見る。1度砕かれた強さは脆い。俺が未来の悟飯さんを守れなかった時のように。俺もあの時の傷が完全に癒えたわけでは無い。偶に夢で出てまた泣くなんて言う事も偶にある。

 俺よりも酷い過去を持っている人なら俺も知っている。ベジータさんなんかフリーザに家族も同族も数人を除いて皆殺しにされた挙句にフリーザに何も知らずに仕えてたって言うし。·····まあベジータさん、同族や当時の家族を殺された事よりもそれを知らずにフリーザに仕えて来た生き残りの自分を含めたサイヤ人に怒ってそうだったけど。

 未来の悟飯さんも俺よりも酷いと思う。尊敬していた父親が心臓病で亡くなった後に師匠、ベジータさんや仲間達が人造人間に皆殺しにされ残ったのが無力な自分。その後は「偉い学者さん」の夢を放り捨て何十年も修行してトランクスさんを鍛えて·····それでも人造人間を倒す事が叶わず·····。

 そんな俺やそんな人達を見てきた俺だからこそ思った事を言う。

 

「人間だから、負ける事もどうしようも無い事も、絶望に伏すこともあるかもしれない。」

 

 ボルトはゆっくり顔を上げ光輝を見る。

 

「だけどな、大切なのは諦めない事だ。何かに屈して膝を折り、諦める事なんかそこら辺のクソガキにも同じ事は出来る。でも、俺が出会った強い人達は”諦める”何て選択肢を選んだ人なんかいない」

 

 言ってる事は辛辣で全員同じ事が出来る事ではない。現にキリト達の世界にいる”絶剣”のユウキは光輝と出会った時、半分以上はもうエイズで死ぬ事を受け入れていた。だがユウキは光輝の覚悟の試験を潜り抜け諦めない選択肢を選んだ。その結果ユウキは今高校生活をエンジョイしてる。未来の悟飯も最後まで諦めず未来に繋ぐ為に戦い敗北はしたがその思いはトランクスに受け継がれ結果的に人造人間を倒す事ができた。

 

「最後まで諦めず、不可能を可能にする。俺の師匠達も俺が出会った人もそしてナルトさんもそうして来た」

 

 光輝の脳裏には5歳位の時に借りたDVDで見たメビウスの映画のメビウスの言葉が不思議と大きくなっている今も残っている。メビウスが言った言葉とは若干違うと言うか別に光輝はウルトラマンでは無いから抜かしているだけだ。因みに原文は『最後まで諦めず、不可能を可能にする。それがウルトラマンだ!』だった筈。今の光輝を作っているのは家族や櫂や愛美にキリト達SAO組に悟空達だが1割程はそんな小さい頃に見ていたヒーロー達の影響もある。

 しかしそんな光輝の言葉を聞いてもやはり自信がないのか顔が暗い。そんな様子を見た後ふっと笑い言った

 

「ボルト、少し来い」

 

 そう言って光輝は歩き出した。ボルトは頷き光輝について行った。残された面子は少し呆然としていたがサクラは他の患者、ヒナタとヒマワリは病室の椅子に座った。

 そして光輝とボルトはうずまき家に寄って光輝はある物を持った後向かったのは火影室だ。里が緊急事態の今、シカマルを中心に部隊が編成され警戒態勢になっているからここは今もぬけの殻だ。火影室には一楽のカップラーメンや光輝にはよく分からぬ書類や歴代の火影達の写真。

 

(やっぱり社畜だな。)

 

 過去、ボルトは火影が嫌いだった。ヒナタが作ったご飯を食わず構ってくれなくなり家族を大事にしてないように感じた。ナルトもナルトで自分には父親がいなかったからどうボルトと接すれば良いのか分からなかった。そして里の皆は家族という信念の通り困ってる人の人助けや本来火影自らがやらなくてもいい書類等もやって家に帰らない日々が続いていた。それが本当に忙しいと言うのはこの火影室の様子を見れば一目瞭然である。

 ボルトが改めて見る火影室を見回しているのを見ながら光輝はうずまき家で持った物をボルトに渡した。それはナルトがボルトの歳ぐらいの時に着ていた服だ。修行で何度も泥だらけになり洗濯して・・・。今でも少しボロボロだ。

光輝もターレスの時に道着がボロボロという事で洗濯の間だけ貸してもらっていた。そんなナルトの少年時代の服がボルトの手にある。そして2人の後ろからサスケが来た。ボルトはそんなサスケを自信なさげに見た後自分の上着を脱いでナルトの服を袖に通した。

 

「さっき諦める諦めないの話をしたけどさ。お前にだってあるさ。そんな諦めない心が。」

 

 ボルトは光輝の言葉を聞きながら鏡に映った自分を見る。

 

「俺にそんなの・・・」

 

「ある。お前はナルトさんの息子で」

 

「俺の弟子だろ?」

 

 ボルトの弱音に光輝はすぐに割り込み言葉を言って光輝の言葉をサスケが繋ぐ。そんな2人の力強い言葉にボルトは目を見開き絞り出す様に聞いた

 

「.......父ちゃんはこんな時どうしてたの?」

 

 逆境に立たされた時の父の行動・・・。光輝とサスケはふっと笑い言った

 

「なら直接聞くんだな」

 

「助けに行くぞ」

 

「父ちゃん生きてるの?」

 

 光輝は今ナルトの気が探せない。しかしそれは物理的に別の世界・・・鵺の異界に似ている何処か或いは星にいるから探せないだけだ。現にサスケはナルトのチャクラを感じている。少なくとも死んではいないという事だ。チャクラは繋ぐ力だ。そしてサスケとナルトの繋ぐ力は途切れやしない。

 

「火影を助けに行くっつんなら俺らにも一肌脱がせろよ」

 

 その言葉に3人は振り向いた。そこに居たのはナルト以外の五影達だった。風影の我愛羅。雷影のダルイ。水影の長十郎。土影の黒ツチ。

 

「大筒木となれば捨ておけんからな」

 

「盟友をさらわれて黙っていれば五影の名折れですからね」

 

 長十郎さんの背中には修学旅行の時かぐらが使っていたヒラメカレイがある。

 

「私らを敵に回したこと後悔させて野郎じゃない」

 

 その後面子はナルトがいつも座っている椅子と机に集まりサスケが持ち帰ったあの巻物の解読結果を話す。カグヤがチャクラの供給を止めたので直々に追っ手が来ること。カグヤはその追っ手を迎え撃つための準備をしていた事。そしてそんな大筒木の居場所が記されていた事。そんな説明が一通り終わった時長十郎が光輝に向く

 

「修学旅行以来ですね。先程はドタバタして挨拶も遅れましたが。」

 

「いえ。大丈夫です。それに・・・俺は多分貴方達に力を貸すことは出来ません」

 

「え?」

 

 光輝はそこでサスケを見てサスケは頷いた

 

「俺はある敵を倒す為にここに、嫌、この世界に来ました」

 

「この・・・世界?」

 

 何故そんな表現なのか全く分からない。光輝はここで自分が誤魔化してついて行ったとしてもあいつの強襲に動揺させる事はやめたい。なら・・・ここで話す。

 

「俺の名前は西沢光輝、タイムパトローラーって奴をやってる。」

 

「タイム・・・パトローラー?」

 

 その聞きなれない単語にサスケを除いた5人は疑問符を出しまくる。

 

「簡単に言えば時空や歴史を超えて悪い事をしようとしている奴を捕まえる、或いは倒すのが俺の仕事。そして俺はこの世界に来た奴を倒す為に別の次元からここに来た。」

 

 つまり・・・ボルト達からすれば本物の異世界人。しかしそんな事をいきなり言われても信じられないのが人の心情。

 

「・・・にはかには信じられねえな」

 

 雷影のダルイが言った。光輝は頷き答える

 

「信じてくれとは言わない。そんな事をほざいてる時間もない。だけどここに来た悪い奴は倒さないといけない。」

 

 風影の我愛羅が言った

 

「そもそもその悪い奴とは誰だ?」

 

「名前はブロリー。違う次元で破壊と殺戮を繰り返し何個かの星を消滅に導いた。」

 

「なっ!?」

 

 星が消滅・・・この世界の地球で消滅しかけたことはナルトとヒナタがめでたく付き合う事になるきっかけのあの事件の時しかなかった。しかしそれらはまだ人の手で防ぐ事が出来た。だがブロリーはそんな生温くない。

 

「どうするのですか?」

 

 そう長十郎が聞いた。光輝は好戦的な笑を浮かべながら答える

 

「決まっている。俺が倒す。その為に俺はこの世界に来たんだし都合よくブロリーも発見した事出しな。モモシキ達がナルトさんを連れていこうと異空間の扉を開けた時に確かに感じた。だから俺は大筒木達の相手はする余裕はないしこの世界の貴方達が大筒木を倒すべきです。」

 

 五影は光輝を見つめ真偽を見極めようとする。光輝はその視線を受け止め答えを待つ。誰でも自分異世界人でーす!何て言われても信じられないのが普通だ。信じてくれ!とは言わない。光輝はここで信じられなくても行くつもりだが心構えはあった方が良い。そして・・・我愛羅が口を開いた

 

「.......ナルトはお前を信じたのか?」

 

 五影会談の時、ナルトが光輝の話をした時懐かしそうにしていたのを覚えている。本当に短い間しかいなかったし共に戦ったのも時間にして3分位だけ。しかしそれでもナルトは覚えていてくれた。そして光輝を信用し衣食住を提供してくれた。だから

 

「信じてくれました。」

 

「・・・そうか。ナルトが信じるのならば俺も信じよう」

 

 その言葉に五影は頷いた。

 

「・・・ありがとうございます。」

 

 そう言った後に一行は火影屋敷の屋上に向かおうとした。そしてサスケが出る前にボルトに向いた。

 

「何をしているボルト。行くぞ」

 

 その言葉に五影は何を言ってる?みたいな顔をする。それはそうだ。ボルトはあくまでも下忍だ。そんなボルトを大筒木との戦いに連れていくのは危険すぎるからだ。五影はボルトにお留守番を願おうとするがサスケが一蹴した。

 

「決して冗談では無い。こいつは他でもない。アイツの息子で俺の弟子だ。連れて行く意味がある。」

 

 そう言ってボルトに向いた。ボルトは自信なさげな顔だ。.......そう言えば今気づいたけどボルトの額当て何処かに吹っ飛んでるな。額当てが今無い。

 

「良いかボルトよく聞け。ヤツらは危険だがそれを承知であえてお前を連れていくのには理由がある。俺たちの何人かが倒れたり最悪仲間全員が窮地に陥った場合…そのときはお前がやるんだ。」

 

「そんな事を言われても・・・」

 

 五影とサスケが窮地になる場面なんて想像できないし仮になったとしても自分に出る幕はない・・・というより力が及ばない。

 

「お前は本当は強い忍だ。俺はアイツに負けたがお前がその気になればアイツに勝る忍になるだろう」

 

「なれねえよ!」

 

 父の偉大さを知った今父を越えられるとは思わなかった。だがサスケは

 

「なれるさ。何よりお前はアイツよりもウスラトンカチだ。」

 

「ウスラトンカチ・・・それって」

 

 そこでサスケさんがふっと笑い俺も割と気になっていたウスラトンカチの意味を言った

 

「負けず嫌いって事だ。俺が出来ると言っている。その言葉を信じろ」

 

 そんなサスケさんの言葉にボルトは自信が戻ってきたのか顔が明るくなっていく。

 

「よし。だがその前に渡しておきたいものがある。」

 

 そう言って自分の腰辺りにある物を取りボルトに渡した。木の葉の額当てだ。しかし今のバンド型と違って結ぶ方で真一文字に傷がある。

 

「嘗て俺が1度捨てたものだがお前の父親が持っていてくれた。そして約束を交わした。本当の勝負の時まで取っておくと。それをお前にやる。」

 

 その後俺やボルト達は屋上に向かった。そんな短い距離の中ボルトが聞いてきた

 

「光輝さんってずっとよく分からなかったけど・・・やっぱり凄い人だったんだな」

 

 タイムパトロール・・・聞いてるだけでも楽しそうとは思った。だが病室での光輝の言葉で光輝がどんな経験をしたのか漠然としすぎているが分かったつもりだ。

 

「悪かったな。ずっと黙ってて。」

 

「嫌、言っても信じられないって言われると思ったから何だからしょうがないってばさ」

 

「まあそれもあるけど言ったら言ったでややこしい事になる未来しか無かったからな。」

 

 そして屋上に着けばシカマルや先代のカカシ。サクラやサラダにシカダイがいる。サスケはサラダやサクラと。ボルトはシカダイと気合いを入れ直す。そしていざ向かおうとサスケさんが輪廻眼で異空間の扉を開け、五影の皆さんが決戦の異空間へ入っている時にヒナタさんとヒマワリちゃんがやって来た。ボルトはそんな母娘を見てゆっくりとサスケさんの額当てを巻き、キツくしめた。その眼光は”忍”の眼になっていた。それを見たヒナタは少年時代のナルトと重ね多くは言わず

 

「お父さんの事お願いね」

 

「おう!」

 

「やっと忍らしくなったな。行くぞ。」

 

 サスケはそう言って異空間へ飛び込んだ。

 

「サラダ、シカダイ。皆を頼むぜ!」

 

 シカダイとサラダの答えは突き出した拳だった。

 

「じゃっ、行こう!」

 

 光輝もそう言ってボルトと共に飛び込んだ。鵺の異界に行くために通った道に何か似ていると感じながらボルトは心の中で言った

 

(待ってろよ、父ちゃん!)

 

 




お疲れ様でしたm(*_ _)m。
準決〜モモシキ達襲来までダイジェストでした。
要約
ボルトVSシカダイ アニメ・映画まで展開は一緒。でもクナイ当てようとしたら赤雷ぶっぱなされてシカダイが負けた。

サラダVSアラヤはアニメと同じ。

ミツキVSシンキも同じ。

ボルト&サラダVSシンキ 途中までアニメと同じ。違うのは砂鉄に拘束されたのがサラダだけと10倍かめはめ波ならぬ10倍赤雷。

(*´∇`)ノ ではでは~



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激闘

おはようございますm(*_ _)m。
ナルト達VSモモシキ、光輝VSブロリー開幕です。


 異空間の扉を通り抜け出た先は空が黒赤く巨大な樹が立っていた。そしてその樹に縛り付けられる形でナルトさんがいた。ナルトさんの前にはモモシキとキンシキがいた。あの釣竿の大筒木はいない。それを見た我愛羅さんが先手を仕掛ける

 

「行くぞ!」

 

 瓢箪から砂が出てその砂を弾丸のようにモモシキ達に放った。モモシキ達はそれらを避ける。長十郎さんとダルイさんが自分の刀を振り下ろすがそれも2人は避けた。だが分断には成功した。ナルトさんもボルトとサスケさんが救出した。そんなナルトさん達の元へ俺は降り立つ

 

「光輝、お前も。」

 

「嫌、俺は別件です。」

 

 その言葉にナルトさんは疑問符を出していたがここにいてもひしひしと伝わってくる。アイツの気が。サスケさんはキンシキと戦っている我愛羅さんとダルイさんの元へ向かった。

 ナルトさんは今のボルトの服装を見る。上着は自分が少年時代に着ていた服。額当てはサスケさんのもの。

 

「何だか影分身を見てる気分だってばよ。」

 

「少しはかっこよくなったかな?」

 

「ああ。前よりもかっこいいぜ?」

 

 そんな親子の様子を見た後光輝は空へ飛翔した。ナルトとボルトはそんな光輝を見て何をするんだ?となった。ナルトは全く分かってはいないがここは厳密にはボルト達が元いた地球では無い。そして逆に言えばここで思いっきりやっても誰にも迷惑はかからない。だから・・・

 

「はあああああああッっ!!!」

 

 光輝は気合いを入れる為に叫び拳を握り腰に力を入れ気を高め始めた。それによって光輝からスパークが走り地面から離れているというのに地震が始まった。その気の圧力に交戦を始めていた五影やモモシキ達は思わず光輝に注意を向ける。光輝の周りにはバーナーのような金色の光が光輝を包んでいる

 

「来い!ブロリーッ!お前の相手は・・・俺だーーっ!」

 

 そう言って光輝は更に気を高め始め光輝の黒髪状態での限界値を引き出した。

 

「はあああああああッ!」

 

 その瞬間風が吹き荒れ止んだ。光輝達のいる所よりそれを感じ取った男.......ブロリーは

 

「カカロット・・・?」

 

 この世界に来てから比ではない力を感じブロリーはとうとう見つけたとニット笑った。そして

 

「カカロットーーーッ!」

 

 全速力で向かった。

 ブロリー・・・悟空達のいる世界では伝説の超サイヤ人と呼ばれる存在。そのパワーを持ってブロリーは悟空達の世界の南の銀河という所を滅ぼした。それを鑑みた悟空の師匠の北の界王が悟空に調査を命じ悟空はブロリーと会った。

 カカロットとは悟空のサイヤ人としての名前。ブロリーがその名前を叫ぶ理由は1つ、赤ん坊の頃保育器の中で泣かされ恨んでいるからだ。理由はめちゃしょうもない気もするがブロリーにとっては恨みなのだろう。

 そして当時の悟空や悟飯、トランクスやベジータにピッコロはブロリーと戦った。しかしブロリーは超サイヤ人、そして伝説の超サイヤ人になり5人を圧倒した。悟空達が勝つ事が出来たのは悟空が4人のパワーを集め1点に集中した拳がブロリーのパワーに勝ったからに他ならない。そしてその後悟空達はブロリーの生死を確認せず・・・確認する暇がなかっただけだが帰った。ブロリーがシーラス達に誘拐されている事に気が付かず。

 しかしシーラス達には誤算があった。弱っているブロリーに力を与えたら暴れだしたのだ。仮面の男が取り抑えようとしたら逆に返り討ちにされてしまう始末。シーラスが一瞬の隙をつき何とか気絶させ手に負えなくなり放置した。

 だからブロリーは回復手段が無く自然治癒しか無かったのだ。そんなブロリーは復活した後近くの星から悟空達を探しに行った。その矢先にいたのがモモシキ達だったのだ。それがブロリーがここに来るまでの経緯だ。そして・・・

 

「カカロットーーーッ!」

 

 遠い空からブロリーが来ているのを見て光輝も静かに闘気を高める。そして初めて直接ブロリーを見た。今のブロリーの姿は金髪・・・つまり超サイヤ人だ。ならば・・・

 

「はっ!」

 

 そう叫び光輝も金色の光に包まれブロリーの様に金髪になり超サイヤ人になった。そして小さく後ろにいるナルト達を見る。ナルト達は初めて見た光輝の超サイヤ人に刮目したがやっぱり強くなったんだなと思いボルトを見て立ち上がり掌に拳をぶつけ言う

 

「よしっ!行くか!」

 

 ボルトも頷きナルトと同じ事をして言う

 

「ああ、やってやるってばさ!」

 

 そう言ってナルトとボルトは我愛羅達の加勢に向かった。それを見届け光輝はキッとブロリーを睨み気を纏い

 

「・・・行くか」

 

 低い声で呟き、突進しているブロリーに向け光輝も同じスピードで突撃した。そして赤い空の中でブロリーと光輝は互いの右の拳を空中でぶつけた。轟音が鳴り響き光輝とブロリーの間に風が吹く。

 

「カカロット・・・カカロットーーーッ!!!!」

 

「泣かされたくらいで色んな人を巻き込むなーーっ!」

 

 そう言って光輝は力を入れる。拮抗が崩れブロリーの拳が弾かれ胴体を晒す。光輝は左足を振り抜いた。

 

「ぬんっ!」

 

 ブロリーはその左足を掴んだ。そしてそのまま光輝を放り投げようとするが光輝は空いてる両手で十字に印を結んだ。

 

「影分身の術!」

 

 横から分身光輝が出てきて振り回そうとしているブロリーの空いている顔面を殴った。それでもタフでダメージは無いが衝撃で本物光輝の足を離す。本物光輝は体勢を取り直し分身光輝と共にブロリーに向かう。自分同士故の連続攻撃を仕掛ける。

 

(出来るならあの筋肉いっぱいになられる前に倒したい!)

 

「ぐうう!!?」

 

 ブロリーは光輝が2人に増えるとは思っておらず思わず目を見開く。しかしブロリーがやる事は変わらない。目の前の光輝を殺す、それだけだ。だが現実問題として2人の光輝の連続攻撃が徐々にブロリーを押し始める。

 

「あぁああ!!!」

 

 今まで攻撃を止めるなりしていたがそれでは目の前の光輝に勝てない事を本能的に察したブロリーは

 

「うあああああ!!!」

 

「「なっ!?」」

 

 2人の光輝の拳をノーガードで受け攻撃を受ける代わりに光輝達を捉えた。思わず動きを止めた1人の光輝の頭をわしずかみにして

 

「お前・・・ガッ!」

 

 もう1人の光輝に思いっきりぶつけた。それによってぶつけられた方の分身光輝は消えた。そのままブロリーは本物光輝の頭をわしずかみにしながら急降下を始めた。そのまま地面に突撃しようとしたが

 

(不味い!)

 

「千鳥!!」

 

 光輝は咄嗟に千鳥を纏いブロリーを感電させる。しかしそれで止まるブロリーの筈が無くそのまま光輝を地面に激突させようとする。しかし感電によってブロリーの力が一瞬だけ弱まりその好機を逃さず光輝はブロリーのがら空きの腹部へ膝蹴りをした。

 

「がっ!?」

 

 それにより光輝は離され、気弾を1つ出してブロリーにぶつけた。ブロリーはその気弾をまともにくらい煙に包まれた。光輝は急降下中に離された為に落下中だったので地面に綺麗に着地した。そして煙に包まれているブロリーを見つめる。その煙が晴れればピンピンしているブロリーがいた。そんなブロリーを見て光輝は苦笑いした。

 

「あのナッパを思い出すタフさだな。戦闘力は圧倒的にブロリーだけど。」

 

 光輝はブロリーの人生についてある程度は知っているし同情出来る所もあった。だが、関係の無い他人を巻き込むのが許せなかった。笠木にしてもフリーザにしても目的、或いは何かの証明のために誰かを巻き込むのが許せない。

 

「カカロットーーーッ!」

 

 俺を前にしても狙いは悟空さんただ1人、か。だけどな

 

「悟空さんはこの世界には来ない。だから、俺が代わりに貴様を倒す!」

 

 そう宣言し光輝は垂直に飛び上がりブロリーと激突した。

 

 ★★★★★

 

 光輝とブロリーが激突している地より少し離れている所では忍界の敵、大筒木と五影withサスケが激戦を繰り広げていた。大筒木モモシキとその親方、大筒木キンシキ。釣竿の男、ウラシキはいない。

 そして大筒木キンシキは土影の黒ツチ、水影の長十郎、サスケと戦闘していた。キンシキはその巨体に見合わないスピードを持っている。

 

「図体の割に素早いですね」

 

 長十郎はそう分析しながら忍刀ヒラメカレイを振るう。だがキンシキは自分が持つ赤色の武器で捌く。そこで長十郎は少し賭けに出た。スピードをわざと下げ胴体を晒す。キンシキはそれが好機と捉え斬りかかった。長十郎はそれをくらい鮮血する

 

「胴ががら空きだ!」

 

「そちらもね」

 

「ぬんッ!?」

 

 キンシキが更に斬りかかろうとした時、長十郎が不敵に笑いながら言う。それに不審を抱いた瞬間にキンシキは真横から拳を岩にした黒ツチにぶん殴られ吹き飛ばされた。

 

「舐めるなァ!」

 

 だが流石大筒木、その状態から見事に立ち直り2人に攻撃をしようとした。しかしその時背後から殺気が伝わりキンシキは後ろに向いた。いたのは千鳥を刀に流したサスケだった

 

「千鳥!」

 

 その刀がキンシキにグリーンヒットしまたもや吹き飛ばされた。

 

「土影!」

 

「任せな!熔遁・灰石封の術」

 

 口から石灰を吹き出しそれはキンシキを包み動きを封じる。封じるのと同時に青色のチャクラの刃がキンシキを襲った

 

「骨切り!」

 

 長十郎のヒラメカレイから放ったのだ。完全に動きを抑えられたキンシキを見て黒ツチと長十郎はサスケにナルト達の加勢に向かえという。サスケはそれに頷き向かった。

 モモシキと我愛羅、ダルイの戦いはナルトとサスケが来た事により拮抗が崩れた。

 

「お前は他人が放った術を吸収、放出が出来る。」

 

「なら腕ずくで締めさせてもらうぜ。ダルイけどよ」

 

 ボルトが無我夢中で放った雷遁や水遁を見れば容易に想像がつく。なら対策は術を使わず物理攻撃のみで倒す。そしてモモシキは捕らわれているキンシキを見て奥歯を噛み締める。そしてナルトの隣にいるボルトを見た。

 

「そいつはお前の子か?狐よ」

 

 そう言いながら白眼になり言う

 

「成程、確かに面白い運命を背負っているようだな。不憫だぞ狐よ。それだけの腕がありながら次の世代にそれを伝える術がないとはな」

 

「一体何の話をしてるんだってばさ!」

 

「下がれボルト」

 

 そりゃあ意味分からん話をされれば誰でも怒りたくもなる。ナルトはボルトを下がらせる。そんな2人をほっときモモシキはキンシキに手を向けながら言う

 

「見せてやる。これが我らの力の継承の仕方だ!」

 

 その言葉と同時にキンシキを拘束している石灰と骨抜きが揺れる。黒ツチと長十郎は抑えようとするが脱出しようとする力が上回り拘束が解除されキンシキはモモシキに突撃する。その最中キンシキがなんと禍々しい果物の様になってしまった。光輝が見ていれば一瞬神精樹の実を思い出すだろう。そしてモモシキはその果物を手に入れニヤッと笑った

 

 ★★★★★

 

 一方、ボルト達から離れている空の彼方では光輝とブロリー、2人の超戦士が激闘を繰り広げていた。拳、蹴りがぶつかる度に轟音が鳴り響く。

 

「はっ!」

 

 ブロリーの拳を受け流しそのがら空きの胴に拳が練り込む。ブロリーは思わず苦渋の顔になるが意地で耐えてみせ今度は光輝の体を捕まえ膝蹴りをかました

 

「ぐっ・・・!」

 

「ぬんっ!」

 

 そのままブロリーは光輝を遥か彼方に投げ飛ばした。光輝は吹き飛びながら気弾を何個か放つがブロリーはお構い無しに突撃してくる。あの頑丈さやめろ!とか思いながら一回転し空中でブレーキをかける。だがブロリーはまたもやお構い無しに突撃してくる。おまけに緑色の気弾を出してだ。

 

「ハーッハ!!!」

 

 その気弾を光輝に投げつける。光その気弾は投げられるのと同時に何個にも分裂し光輝を襲う。光輝は予め出していた背中の剣を引き抜きそれらの気弾を斬った。そして光輝は煙に包まれたがブロリーはそんなのは気にせず煙の中にいるだろう光輝を殴ろうと突撃した。しかし光輝は目にも止まらぬスピードで印を結び剣を振りかざした

 

「風遁・空切り!!!」

 

 ブロリーが来るコースを気で悟りながら振るった。その剣・・・ウォーリア・ビヨンド・ディスペアーからボルトとミツキに放ったのと比べ物にならない鋭利な風の刃が”置かれた”。案の定ブロリーは光輝の放った風の刃に自分から突撃した。風の刃故に目視不能。ガード不能。唯一回避だけは出来るが振るったコースを知らなければ不可能。悟空達は予測して回避するがブロリーにそんな芸当は出来ない。

 

「があっ!?」

 

 ブロリーは突撃していたのに自分の胸に絶大な痛みが走り思わず叫ぶ。胸にはエグい傷跡ができた。そして動きが止まる。

 

「はぁっ!」

 

 光輝は動きが止まったブロリーへ一瞬で距離を詰め、ウォーリア・ビヨンド・ディスペアーを勢いよく突き出した。その速度はブロリーには反応出来ない。アインクラッド流重突進技「ヴォーパル・ストライク」だ。

 そしてウォーリア・ビヨンド・ディスペアーがブロリーの腹部に思いっきり突き刺さった。

 

「ぐああアア!!!?」

 

 ブロリーはその体が貫かれる痛みに思わず叫んだ。腹で熱い血が垂れているのを感じる。そして光輝は終わったか?と思った。だがブロリーは憤怒の顔で突き刺している光輝の腕を取った。

 

「こいつ!?」

 

「アアァァ!!」

 

 光輝は咄嗟に貫いている剣を手放し離れようとしたが遅かった。ブロリーの膝蹴りがモロに入り拳を光輝に向け放った。光輝はその拳を避けられずに吹き飛んだ。

 

「うわあああ!」

 

 めちゃくちゃな勢いで光輝は吹き飛び、ナルト達の所まで吹き飛んだ。だが光輝上手く着地をして殴られた所を思わず抑えた

 

「いてて」

 

 ブロリーは自分に刺さっている剣を抜き光輝の元へぶん投げた。光輝は飛んできている剣を量子変換器に入れた。そして血が出ているブロリーを見上げ思考する

 

(致命傷の筈だ。あいつらの様に再生する肉体なんざない筈だから後は押し切る。あの状態であの変身は無理なはずだ。)

 

 レインがいれば「それフラグ」と言うだろうが生憎レインは今正真正銘のアイドルとしての活動を開始しているので最近は会ってなかったりする。そしてそのフラグは無事に回収された。光輝が決着をつけようとした時、ブロリーは空中で気を高め始めた

 

「ううーー!あーーーーっ!」

 

「こいつまだ力出せるのか!」

 

 そう言って光輝は律儀に待つつもりなど無くブロリーへトドメを刺そうと突撃し顔面をぶん殴ろうとしたが

 

「ーーーッ!!?」

 

 ブロリーを中心にドーム状の気が出てきてそれがバリアの役割を果たした。それと同時にブロリー皮膚が割れ一気に爆発を起こした。光輝はその爆発に巻き込まれ吹き飛ばされキッとブロリーを見た。そこには光輝が巻物で見た筋肉がやたらとある伝説の超サイヤ人のブロリーがいた。それも唯の伝説の超サイヤ人では無くシーラス達によって与えられてるパワーも発揮し紫色のオーラが出ている。

 

 それと同時に光輝の後方でも何かが爆ぜた。気で探ってみればキンシキの気が無くなっている代わりにモモシキの気が上がっていた。キンシキがやられたか或いは犠牲にしてモモシキがパワーアップしたのどちらかだろう。

 そして遠目に見るとやはりモモシキの様子が変わっていた。何やら顔の半分が黒く眼も白眼では無く黄色の眼に、そして額に3つ目の眼が出現した。光輝はそれを一瞬で見て

 

(天津飯さんみたいだな)

 

 本当は光輝もそんな事を言っている場合ではない。現にブロリーが刺された恨みを晴らそうと突撃している。光輝はそのブロリーを迎え撃った。急接近し顔面に拳をぶつけたがブロリーはそれをものともせず逆に光輝の頭を掴んだ

 

「またかよ!」

 

「ハーーっハーーッ!」

 

 そう言ってブロリーは急降下を始めた。そのスピードは先程の超サイヤ人の比ではなく光輝が千鳥しようとするよりも早く地面に突撃した。

 轟音と共に光輝は地面に練り込まれ、掴まれている頭を更に地面に押し付ける

 

「がああっ!」

 

 光輝の額から血が出始めているがブロリーは殺意MAXで光輝を地面に押し付ける。光輝は何とかブロリーの腕を掴み蹴ったが全く効かなかった。それどころか更に地面にめり込まれめちゃくちゃ激痛が走っている。そんな激痛に駆られながらも光輝は打開案を考えた。腕を掴んでいた手を離しチャクラをコントロールしながら拘束で印を結んだ

 

「火遁・豪火球の術!!!」

 

 手も足も無理なら口からだ。光輝は豪火球をブロリーの顔面にほぼゼロ距離で放出した。ブロリーはバリアー何も張っていない状態でその火球を諸にくらい思わず手を離す。光輝は頭痛いとか思いながら抜け出しバク転した後ナルトとサスケが並んでいる所へ着地した。

 

「光輝…お前も手こずってるみたいだな」

 

 光輝が周りを見るとナルトとサスケと離れているボルト以外の人達がダウンして、ナルト達の前には変化を遂げたモモシキがいた。モモシキは邪魔なブロリーを光輝が相手して潰しあってくれているとでも思っているのかニタニタと笑っている。

 

「ハアっ!」

 

 ブロリーは気を放出し炎を振り払った。やはり焼くのはダメらしい。あいつ貫かれたのに何でピンピンしてるんだよ。

 

(これが悟空さんが手加減しろと唯一言った相手の本気か)

 

 そう思いながらも光輝は静かに気を高める。今の超サイヤ人の状態では無理だ。今の光輝の超サイヤ人はセルの復活前の完全体を超える位だ。しかし、どうやらそれでは足りない様だ。それなのに光輝は思わず口角が上がる。頭が可笑しくなったとかそんなのではない。どうしてか…ブロリーという強敵に血が沸き上がりワクワクし始めているのだ。悟空達が力を集めて漸く倒せた伝説の超サイヤ人に自分は勝てるか?いや、勝てるかでは無い。勝つのだ。そうだ。だから·····

 

「本当の戦いはここからだ。」

 

 光輝の言葉にナルトは頷きながらオレンジ色の光に包まれる。

 光輝もナルトと同時に気を入れ超サイヤ人の時よりも髪が逆立ち、前髪が1房になる。スパークが走りそれが光輝の変化を知らせる。

 サスケは2人程見た目に変化はないがその右眼の写輪眼の紋様が変わった。そしてナルトはサスケと後ろにいる光輝に言う

 

「ああ、いっちょ、教えてやろうぜ!2人とも!」

 

「「ああ(はい)!!」」

 

 九喇嘛モードと仙人モードを併用しこの中では1番の変化を遂げたナルト。うちは一族の血継限界の写輪眼、そしてその先の万華鏡写輪眼になったサスケ。そして超サイヤ人2へ変身した光輝はそれぞれの敵へ先程とは文字通り次元の違うスピードで距離を詰めた。ナルトとサスケは忍界の敵、モモシキへ。光輝は伝説の超サイヤ人、ブロリーへ。

 それぞれの第2ラウンドが始まった

 

 

 




お疲れ様でしたm(*_ _)m。
ブロリー頑丈案件。貫いたのがこの後どう響くか。

因みにブロリーは光輝の超サイヤ人2よりも強いです。賛否あると思いますが暖かい目で見てください。
次回か次次回でBORUTO編終了です。
(*´∇`)ノ ではでは~


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熱戦・列戦・超激戦!

おはようございますm(*_ _)m。2日連続投稿なんて何時ぶりだろ?BORUTO編ファイナルバトルです。戦闘シーンが行き来しますが変える時は★★★★★挟んでいるので参考にしてください。
では─=≡Σ((( っ゜∀゜)っ


 2人の忍と1人の戦士がそれぞれの第2ラウンドを開始した時、ボルトは遠目に見ていた。3人の戦いは最早ボルトの入る余地は全くない。ナルト、サスケは忍界最強クラスの力を持ってモモシキと激戦を繰り広げている。縦横無尽に青白い千鳥の雷とナルトの九喇嘛モードのオレンジ色の光が霞む程のスピードで移動を繰り返し、体術、剣術がぶつかり合う。

 空を見れば禍々しい紫色のオーラと対象的な金色の光をオーラがぶつかり合っている。

 

(これが.......本当の戦い)

 

 ボルトは今までの自分の戦いとは正に次元が違う戦いを繰り広げている3人に畏怖を抱いた。拳を握る。そして思った

 

(俺は…越えられるのか)

 

 サスケはボルトにお前はナルトを超える男になると言った。ナルトよりもウスラトンカチ・・・負けず嫌いだからと。それでボルトは自信を取り戻した。だがやはり目の前で見ると自信喪失案件だ。だがそれは今は端に置いておく。自分が必要な時は必ず来る。何も無く終わるのが1番だが準備するに越した事は無い。

 

(俺は俺のやる事をやるだけだってばさ)

 

 そう思ったのだった。

 

 ★★★★★

 

 これが伝説の超サイヤ人かよ!

 

「はあああああッ!」

 

 そう叫び拳をぶつけるがブロリーはノーガードで顔面に喰らった。だがブロリーはビクともせずに逆に光輝を捕まえ投げ飛ばそうとするが光輝は

 

「何度も同じ手を食らうかよ!」

 

 アインクラッド流体術技「弦月」が発動した。宙返りしつつ蹴りあげる技でブロリーの腕を上に弾き且つ距離をとる。そして光輝は思考する。

 

(こいつ、殆どノーガードでダメージ無しかよ。成程、これじゃあ悟空さん達も全てを込めた一撃に賭けるしか無かったはずだ。)

 

 細かい攻撃でダメージが与えられないのなら一点集中の攻撃に全てを賭ける、か。賭けがやばいがそれしか方法が無かったのも確かだな。

 

 光輝はそんな事を思考しつつ突進してきているブロリーの腹部を見る。そこでは超サイヤ人の時にぶっ刺された後がある。今は筋肉の肥大化によって誤魔化しているがもう一度あそこをこじ開ける事をしたら行けるかもしれない。

 だがブロリーも本能でそれが分かっているのか腹部への攻撃は全くさせてくれない。

 

(オマケにこいつ怪我ありでも今の俺よりも強い!)

 

 今の俺というのは超サイヤ人2の状態の事だ。単純パワーに関しては俺の2、3・・・いや、5倍位あるんじゃないか?今はまだ大振りな攻撃だから躱す事が出来るがジリ貧だ。受け流そうとも一旦したがそんなのもお構い無しにこじ開けようとしてくるから無理だった。

 ならこっちもパワーを上げるしかない。まともにやっても俺が押し負ける。ただでさえパワーは悟空さん達4人の超サイヤ人でも歯が立たなかったのにシーラス達あれよりもパワーを上乗せさせるとか本当に笑えてくるぜ。

 

「ウオオオオオ!!!」

 

「くっ!」

 

 ブロリーは光輝にラリアットをかまそうととんでもないスピードで迫る。中忍試験でサラダが戦った雲隠れのトロイとは比べられないスピードだ。あの時光輝はラリアットはスピードがあるからこそ成り立つ技と言ったが皮肉にも今目の前のブロリーはそのスピードを持っている。だが光輝は律儀に喰らうつもりなど無い。そのラリアットは左腕で放たれているので光輝はブロリーを迎え撃った。2人が向かい合っているのでその接近スピードは早い。

 ここで少しあれだが伝説の超サイヤ人のブロリーの身長は光輝の2倍程ある。しかしそれは逆に言えば死角が多い事、また、ラリアットはその為に光輝の身長に合わせられている。だがその高さをいちいち変えられる事は出来ない。

 光輝は蒼眼を出してそのスピードを学習する。そしてわざと高さを下げたのと同時に光輝は左の拳に力を込める。ただ力を込めるのではない。

 突然だが光輝はサクラの医療忍術のトレーニングメニューを嘗て貰った。医療忍術は光輝やサクラが当たり前の様にやっているから簡単に見えるが本当はとても難しい。それは木の葉の里の医療忍者が少ない事からも伺える。光輝は医療忍術が漸くものに出来たのはナルト達の世界から最初帰ってから約1年、また、ものに出来ただけで精度に関してはサクラの足元にも及ばない。帰ってからはサクラの凄さをしみじみと感じていた。

 何故医療忍術がそんなに難しいのかと言うと繊細なチャクラコントロールが求められるからだ。繊細にやらなければ治そうと思っている怪我も最悪悪化してしまう。光輝なんぞ最初らへんは間違えて練習台の怪我を負っている魚を治そうとした時間違えて焼いてしまった程だ。光輝は何度も失敗した。最早諦めて仙豆頼りにしようかと思った程だ。だが諦めるのが嫌でナルトの歴史の巻物にあるサクラが医療忍術してる場面を何十、何百回と見て漸くコツを掴んだのだ。

 そして医療忍術はその繊細なチャクラコントロールを使い、攻撃にも転用出来る。サクラがその例だ。サクラは医療忍術のチャクラコントロールで拳に一瞬チャクラを集め怪力を発揮する。その怪力の強さはナルトが嘗て「もう2度と…サクラちゃんに歯向うのはよそう…塵にされる…」と言わせた程だ。光輝が拳の威力を上げるのはただ気を上げるだけだ。悟空達もそうしているし光輝もそれが普通だと思っていたからだ。だが・・・そんなやり方もある事をターレスとの戦いの後にも知った。

 

(まだ・・・まだだ)

 

 蒼眼のスローモーションに入った。光輝とブロリーの距離は約10メートル、その距離を0.何秒間のレベルで接近する。その瞬間光輝の気が上がった。見た目の変化は全く無いが分かるやつには分かる。今の光輝は超サイヤ人2の状態で超サイヤ人3と同等のパワーアップを果たしている。これで光輝の単純パワーが上がる。だがまだだ。光輝のパワーアップ手段はこれだけではない。

 

「ウオオオオオ!!!」

 

(ここだ!)

 

 光輝は左の拳に一瞬のチャクラコントロールをする。左の拳に力が漲るのを感じる。そして光輝はラリアットを躱すのと同時にブロリーをヴォーパル・ストライクでぶっ刺した場所を目掛け

 

「終わりだーーーっ!」

 

 光輝とブロリーが交錯した

 

 ★★★★★

 

 ナルト&サスケVSモモシキの戦いは熾烈を極める。誰にも入る事が出来ない戦い。ボルトには何が起こっているのか良く分からない。

 ナルト・サスケは単体ではモモシキに負ける。だが2人が協力すればその力は何倍にもなる。1度は別れ、だが取り戻した関係と繋がっている絆はモモシキ程度では越えられない。

 

「はあああああ!!!」

 

 空中にいるモモシキにナルトが顔面をぶん殴る。モモシキはその攻撃をどうする事も出来ずに受ける。地面めがけ吹き飛びそれだけに留まらずに跳ね上がった。サスケの左眼の輪廻写輪眼が煌めき右手を掲げた

 

「地爆天星!」

 

 地爆天星・・・近くにあるものを吸い上げでかい岩の球体を作り相手を押し潰す術だ。今回は吹き飛ばされているモモシキを核にして発動した。周囲から岩が剥がれモモシキに接近し押し潰す。巨大な岩の塊が出来た頃にはモモシキが見えなくなった。ナルト達もやったか?と思った。だが相手も大概しつこかった。

 

「イヌカイタケルノミコト!!」

 

 そう叫ぶのと同時に地爆天星の岩の球体から何やらでかい生き物の顔を模した長い物が出てきた。ナルトとサスケはそれぞれナルトはチャクラででかくした拳を、サスケは刀から発する千鳥でそれを止めそれらを消し炭にした。だが地爆天星の中からモモシキが飛び出し地面に手を叩きつけた。モモシキの後ろから先程のものが何体も出てきてナルトとサスケを襲う。2人いるのは不味いと思ったサスケはナルトを蹴飛ばしその攻撃を1人で捌く。だが数が多くその内の一体に捕まった。

 

「はあっ!」

 

 モモシキはサスケを捕まえたものに乗り手を叩きつけた。そうすれば赤くなりとんでもない熱量を持っている事が分かる。それを今無防備なサスケに当たればサスケは罪悪あの世行きだ。

 ナルトはサスケに蹴飛ばされた後直ぐにそれに気が付き彼の父親の様な閃光を出しながら熱線にやられそうなサスケの元へ向かう。そして熱線を放とうとしていたものを尾獣化で吹き飛ばした。

 

「大丈夫か?サスケ。」

 

「ああ。」

 

「漸くお出ましか、化け狐」

 

 モモシキはそう言いながら自分を中心に岩を集め巨大な怪物を作り出した。

 

「そいつの力、我が頂こう!」

 

「させるかよ!」

 

 そう言ってナルトと九喇嘛はその巨大なモモシキが作り出した怪物めがけ殴ったが拳が止められる。そしてモモシキはお返しとばかりに九喇嘛を殴る。そして九喇嘛の首根っこを持ち地面に叩きつけた。衝撃でナルトは下がりかけたが後ろからサスケが抑えた。ナルトはサスケを見、サスケはナルトを見て頷く。それを見たナルトは二っと笑う。

 その瞬間に九喇嘛を纏うように紫色の甲冑の様な物が出てきた。万華鏡写輪眼が両眼にある時に発動出来る力・・・須佐之男だ。須佐之男を九喇嘛の鎧の様にしたのだ。九喇嘛を掴んでいた怪物の手は鎧によって弾かれる。怪物は思わず後退する。須佐之男を纏った九喇嘛は立ち上がりながら右の手に巨大な剣を出現させる。そして怪物が左腕を九喇嘛に振り抜く。

 

「「はあああああああ!!!」」

 

 だが九喇嘛はその攻撃をギリギリで躱しその怪物の胴体を一刀両断した。

 そうされた事により怪物は大爆発を起こし砕け散った。ナルトとサスケは尾獣化と須佐之男を終わらせ地面に着地した。今の攻防を見たボルトは思わず

 

「すげぇ」

 

 最早語彙力が無いがそれだけ凄かったのだ。モモシキは空中でプラ〜んとしている。それは力が無くなっているのだ。

 そしてナルトやサスケの前に他の影達も復活し声をかけた。

 

「おう、火影。やったのか?」

 

「いや、まだだ」

 

「しぶといねえ。もうさっさと派手な術でやっちまおうよ。」

 

「そんな適当な事を言わないでくださいよ。」

 

 だがモモシキが抵抗する力を無くしたのも事実。いや、あるにはあるが力が足りない。ボルトもこれで終わりか?本気でそう思った。馬鹿が現れるまでは

 

 ★★★★★

 

 ブロリーは彼にしては珍しく大きく目を見開いた。そしてゆっくりと自分の腹部を見る。そこには光輝の拳が先程開けた自らの穴を更に大きくし貫いていた。先程までは自分の肥大化した筋肉で誤魔化していたが今はそんなのが意味無いほどに空いていた。

 

「あ·····う・・・ウアア!!」

 

 そう叫び自分の返り血を受け少し額が血がかかっている光輝に何とか動かせる右腕を動かし蹴散らそうとするがそのスピードは先程よりも遅い。光輝は楽々躱すのと同時に貫いていた拳を抜き未だに動揺しているブロリーへアッパーを噛ましブロリーは天にはねあげられた。

 

「ば、馬鹿な!」

 

 そうやっと呟いた言葉はそれだった。パワーもスピードも自分が勝っていた筈なのに自分は貫かれ天に上げられている。今は伝説の超サイヤ人としての生命力を持って生きているが暫くすれば”死ぬ”。伝説の超サイヤ人とて出血多量ならば死ぬ。生物の概念には逆らえない。そしてそれは悟空では無く意味も分からないサイヤ人の小僧。

 

「俺は…俺は悪魔だーーーっ!」

 

 そう叫び気を上げる。だがそんなのは光輝には怖くなかった。確かにブロリーは自称している通り悪魔のように強かった。光輝が今の状況に持っていけたのは空切り、そしてヴォーパル・ストライクがまだ伝説の超サイヤ人の時程頑丈ではない超サイヤ人の時に成功したからこそだ。光輝自身はあれが無ければ正直危なかったと思っている。ブロリーはあの怪我を負っている状態でも段々気を高めて行ったのだ。本調子ならばどれだけパワーアップするのか見当もつかない。光輝は渋々言う

 

「ブロリー、確かにお前は強かった。悟空さんに手加減しろって言わせる程の力だった。お前が本調子なら俺は負けていたかもしれない。だけどな」

 

 そう言いながら光輝は気を纏う。額に両手を集め重ねる。そこから黄色い光が集まる。

 

「お前は悪魔でもなんでもない!人間だ!俺達と同じ人の子として生まれ育った、俺達と同じ人間なんだ!」

 

 その言葉にブロリーは目を見開く。だが認めたく無いのか右手に緑色の球体を出す。

 

「五月蝿い!黙れーーっ!」

 

 そう言って緑色の球体を斜め前下にいる光輝目掛け投げた。その球体は巨大化する。だが光輝は1歩も引かない。

 

「同じサイヤ人として·····お前を倒す!」

 

 額の黄色い光が周りを照らす。そして·····

 

「魔閃光ーーーっ!」

 

 その両手を突き出しそこから黄色いエネルギー波が放たれた。そして2つのエネルギーはぶつかり合った。だが直ぐにその拮抗が崩れた。光輝の魔閃光がブロリーのエネルギー弾を押し始めた。ブロリーは力を入れるがそうする事で腹部から血が垂れまくる。それに伴いブロリーの力がほんの少しずつ抜けているのだ。そしてとうとう自分のエネルギー弾事前に来た時ブロリーは自分の敗北が分かってしまった。分かってしまったからこそそれを認めたくない。伝説の超サイヤ人の自分が負ける事を認めたくないのだ。

 だが現実は非情でブロリーへ魔閃光をぶち当てる事が出来ると思ったその時魔閃光とブロリーのエネルギー弾が何者かに弾かれた。

 

「なっ!?」

 

 光輝は目を見開く。パワーが下がってはいるとはいえブロリーと自分の攻撃を簡単に弾いたのだ。光輝がキッと向けばブロリーと光輝の間には

 

「シーラス・・・!」

 

 シーラスは上から目線で光輝を見下した後ボロボロのブロリーを見る。そして言った

 

「力をやろう。」

 

 それだけを言った。そしてブロリーはその言葉に驚くが力を与える事が洗脳か何かだと思ったのか

 

「断る!お前の手下などにならん!」

 

「お前の意見は聞いていない」

 

 そう言って手をブロリーにかざした。そうするとブロリーの周りに紫色の球体が出てブロリーを包んだ。ブロリーはそれを自力で破ろうとするが光輝との戦いで破る力がなかった。そして頭を抱え始めた

 

「ああああああああぁぁぁ!!!」

 

 その苦しみようを見た光輝はシーラスに向いて一瞬で距離を詰めた。拳を振るがシーラスはそれを簡単に片手で止める。光輝はもう1つの拳で殴ろうとするがそれも簡単に止める。

 

「お前、ブロリーに何をした!」

 

「力を与えた、それだけだ!」

 

 そう叫び膝蹴りをする。光輝はガードが間に合わずもろにくらいくの字に曲がる。

 

「ぐっ!」

 

 更にもう1発とシーラスはしようとしたが光輝は意地で体制を取り直し頭突きをかました。今度はシーラスが仰け反り手が離れた。光輝も同時に仰け反るがすぐ様十字に印を組む。出てきたのは光輝の影分身で仰け反っているシーラスを攻撃する。

 シーラスは直ぐに仰け反りから回復し迎撃する。光輝もブロリー程ではないが疲労している。その影響は分身にもあり簡単にいなされる。本体が元に戻った時点で分身を解除した。無駄なチャクラを使うのは得策ではない。

 

「はぁ・・・はぁ・・・お前の目的はなんだ!」

 

 ダメージエネルギーを回収している事しか分かっていない。それを使い何をするのかが分からない。だがシーラスは答える義理はないと言い放つ。そして後ろのブロリーを見る。そして消えた。

 

「待てっ!」

 

 だが光輝は追えなかった。何故なら目の前のブロリーが先程よりも・・・何なら最初伝説の超サイヤ人になった時よりも気が爆発的に上がっていたからだ。その強さは気だけなら今の超サイヤ人3相当のパワーアップをしている光輝よりも上だ。

 

(何でだ!?)

 

 本人のブロリーは今紫色の球体から抜け出し不気味な眼光を光輝に向けている。紫色のオーラが先程よりも激しくもなっている。だがあの状態からパワーを貰ったとしても今の致命傷のブロリーは対してパワーアップ出来ない筈だ。それなのに現実はパワーアップをしている。そして・・・消えた

 

「なっ!?」

 

 次に光輝がブロリーを見たのは目の前に来た時で認識した時には遅かった

 

 ★★★★★

 

 ボルトはモモシキとの戦いは終わったと思ったのだ。馬鹿が現れるまでは。その馬鹿とは科学技術研究所主任、遠野カタスケという男だ。カタスケは優秀な科学者でありボルトととはゲーム仲間である。

 そんなカタスケが何をやらかしたのかと言うと一言で言うのならば絶体絶命のモモシキの強化を無意識に手伝った。

 経緯はこうだ。後はモモシキを派手な術を使わずに倒すだけだった。だがそこでサスケの異空間移動に紛れ込んだカタスケが乱入。科学忍具、忍籠手という物を使った。この忍籠手と言うのは巻物に任意の術を入れ忍籠手にセット、そしてその任意の術を発射できるという代物だった。術は使い切りの消耗品だが使用者のチャクラを使わず、忍じゃない者でも使う事が出来る。

 カタスケは自らの手で作った科学忍具の実用性を他里にも知らしめようとナルトに中忍試験での使用許可を貰おうとした。だがナルトは断った。忍の素質と力を見る為の中忍試験。未来は兎も角今は趣旨ではないと。しかしカタスケはまるで何かに操られた様にしつこかった。認めて貰えないのであれば実績を出せば良いと。それが今回の件だ。モモシキを忍籠手で倒す事が出来たら良いと。

 そしてカタスケはやってしまった。モモシキが術を吸収、何倍にして放出出来る事を知らないまそれらを放ったのだ。火遁に雷遁、その他色々と螺旋丸までモモシキに吸収された。

 モモシキは吸収した術を放出した。我愛羅がそれらの攻撃を砂で防ぎ止んだのと同時に早めに決着をつけようと一行が動いた時、モモシキは左手をかざした。そうするとナルト達の動きがピタッと止まったのだ。その答えはナルト達の地面が黒くなっている事だった。

 

「こいつは・・・奈良一族のあれか」

 

 そう、モモシキは最初中忍試験の会場を襲った時、シカマルの影縛りを吸収していたのだ。そしてそれをこの最悪なタイミングで拘束力を何倍にもして返した。そしてナルトには杭が何本か刺さった。ナルトだけは動けるかもしれないという用心だ。そしてモモシキは左手に先程吸収した火遁を出した。

 そんな絶体絶命な状態を見てボルトは思考し思い出していた。あれは火影屋敷の屋上に行くまでの事、サスケがボルトに聞いたのだ。

 

「ボルト、お前の忍道は何だ?」

 

「忍道?考えたことなかった。古くせぇし、気持ちの問題だと思ってたしな」

 

「そうか。確かに古くさいかもしれないが今回の戦いで、そしてこれから幾度となく訪れる戦いの中でお前を突き動かすものだ」

 

「何かよく分かんねえよ」

 

「その時が来たら分かる。お前がやるんだ、ボルト。俺が出来ると言っている。その言葉を信じろ!」

 

 そこまで思い出し絶体絶命な五影達を見てボルトは決意する。

 

「俺がやる。ビビっている場合じゃねえ・・・サスケさんを、俺を信じてくれた師匠を信じるんだ!」

 

 そう言って作るのは螺旋丸、だがただの螺旋丸では無い。螺旋丸はそもそも術の威力や形を決める形態変化を極めた術だ。ならばそこに性質変化を入れる余地がある。そしてボルトはその性質変化を無意識にやった事がある。ただの螺旋丸を投げた所で吸収される。だが・・・

 

「行っけーーーーっ!」

 

 ボルトは振りかぶりその小さな螺旋丸を放った。不意打ちならば声をあげない方が良かったのでは?と思うかもしれないが今回はこれでいい。ボルトが投げた螺旋丸は頼りなく小さい。ナルトの普通の5、6分の1位だろう。言い換えれば全く威力がなさげに見える。そしてその印象に歯車がかかる。モモシキはその螺旋丸もついでに吸収しようとしたがその螺旋丸はモモシキに向かっている時、消失した。元々小さい螺旋丸が消えてしまえば思うのは

 

「こいつはお笑いだ。よもや届きもせんとはな。まあ安心しろ、貴様ら全員行く所は同じごアッ!」

 

 光輝がこの場にいれば大爆笑したであろう展開だ。ボルトが投げた螺旋丸は雷遁の性質変化を取り入れた「消える螺旋丸」。モモシキが術を吸収する為にはその術を”認識”しなければならない。ならそもそも見えない術は吸収出来ない。わざと注意を向け消える所まで見せたのは避けさせないため。モモシキは影縛りを解きナルト達は動ける様になった。ボルトはそんなナルト達の元へ降り立った。

 

「助かったぞボルト。」

 

 サスケがそう言う。ナルトも嬉しそうな顔でボルトを見る。だが戦いが終わった訳では無い。それを証明するかの様にモモシキは立ち上がり右手に何かを出す。それは小さい球体の何かだった。それは「丹」と呼ばれる物で有り体に言ってしまえばパワーアップアイテムだ。神精樹の実の様に食べればパワーアップ出来る。その丹をモモシキは食べ雄叫びを上げる。

 

「野郎!次で決める気だぞ!」

 

 ダルイがそういった時、ナルト達の後方へ何かが勢いよく飛来した。

 

「!?」

 

 ナルト達が思わずモモシキを警戒しながら見れば額には血が流れ道着も所々破れている光輝だった。

 

「ハハハハハッッ!」

 

 そう言って上空で高笑いし凶悪なオーラを纏っているのはブロリーだった。ボルトは思わず光輝に声をかける。

 

「光輝さん!」

 

「来るな!」

 

 そう言いながらふらふらと立ち上がる。右のリストバンドで額を拭う。光輝はブロリーの現状について漸く分かった。

 

(シーラスの奴・・・ブロリーの命をリソースに莫大な力を解放したのか!)

 

 通常界王拳や超サイヤ人は個人の戦闘力を引き出す。超サイヤ人に関してはパワーアップに控え寿命を削っているがそれも微々たるものだ。言ってしまえばそれらは元々の許容範囲内の気を解放する手段だ。

 だがシーラスがブロリーにやった事は違う。正真正銘の”命”をリソースにする。命を超サイヤ人の時とは別次元のスピードで減らす代わりに比ではないパワーアップを果たす。それがシーラスのやった事だ。ブロリーは元々光輝に負けかけていた。あのままでは待った割りにダメージエネルギーが少ない。ならばとはっきり言えばシーラス達はブロリーを

 

(捨て駒にした、か。)

 

「・・・ふざけるな」

 

 ブロリーを殺そうとした俺に言えた義理では無いのは分かっている。俺もやっている事は根本的にはブロリーやフリーザ、シーラス達と変わらない。だが、それでも今まで命を取ろうとした事を躊躇わなかった訳では無い。

 笠木にしても殺すのは最悪の手段のつもりだった。エネルギーを使わせダウンすれば監獄にぶち込めれば良いと思っていた。結果はあれだったが今でも命を取るのは最終手段。覚悟する時はする。ベジータさんに言われた通り人の命で得た今は自分の命でしか償えない。勝ったものは負けた者達の怨念を背負い生きていく。俺は殺すにしてもそれだけの覚悟はしている。

 だがシーラスは違う。役に立てないのなら捨て駒。俺も五十歩百歩だが許せなかった

 

(これも俺のエゴなんだろうな)

 

 そう言ってブロリーを見る。ブロリーは笑っているがその表情は何処か苦しんでいる様にも見える。それが気の所為なのか光輝には分からなかった。そしてブロリーは超縮小の気弾を形成した。それを見て光輝も気を高めボルト達を見ずに言う

 

「ボルト、やるぞ!」

 

 何をと言うのは言わなかったが光輝はブロリーと、ボルトはモモシキとの戦いをという事は分かった。だがボルトは自信無さげに手を見つめ言う

 

「でも俺の螺旋丸じゃ・・・」

 

 普通の螺旋丸も出来るが威力が全く足らないし不意を着くのなら消える螺旋丸でなければならない。だが消える螺旋丸は不意打ちする分には良いが威力は圧倒的に足りない。だがそんなボルトにナルトは言う

 

「大丈夫だ」

 

 そしてボルトは消える螺旋丸を作った。その螺旋丸にナルトが手を添える。そうすればその螺旋丸が巨大化して行く。光輝はそれを後ろ目に見る。そのボルトとナルトの光景は光輝がターレスのラストアタックの時、螺旋丸を作ろとした時の光輝とナルトに重なった。それに少し笑い光輝はブロリーへ向く。

 そしてボルトの何倍もの大きさになった時巨大化が止まった。その最中、ボルトは感じた。自分が生まれるまでの軌跡を、そして託されていた側のナルトが託す側になった時、ナルトは手を離した。そうすれば巨大な螺旋丸がボルトの手に乗る

 

(この重さ・・・ここまでするのに一体どれだけの・・・)

 

 その重さに思わず涙が出る。そして徐々に自信満々な顔になっていく。

 

「負ける気がしねえっ!」

 

「ふっ、見たぞ。2度はない!」

 

 モモシキがそう言うがそれを無視しボルトの前にサスケが来る。隻腕の左腕が靡いている。そして言う

 

「チャンスは1度きりだ、行くぞ!」

 

「おう!」

 

 そう言って消える螺旋丸の性質を利用し消した。サスケは目にも止まらぬスピードでモモシキに接近する。だがモモシキも接近を簡単に許す筈がなくナルトを拘束した杭を発射しまくる。だがサスケは写輪眼の洞察力を持って捌く。杭の嵐を抜け飛び上がるのと同時に自分の刀を投げる。だがモモシキはそれをしゃがみ躱す。然しそこでサスケの輪廻眼の能力”天手力”が発動、モモシキの後ろに刺さっている刀と空中にいる自分の位置を交換しつつ千鳥を発動する。

 

「それしきの動きで!」

 

 そう言って千鳥を吸収しようとする。だがその時後ろから煙の音がした。ボルトがサスケの刀に変化していたのを解いたのだ。そしてボルトはクナイをモモシキ目掛け投げる。だがモモシキはノールックでそのクナイを左手でキャッチし千鳥を吸収しようとする。

 だがそこでまた”天手力”が発動し今度はモモシキの左手にあるクナイと自分の千鳥の位置を交換した。サスケの千鳥は左手にぶち当たり、ボルトのクナイはサスケの手元に来てそのまま勢いよくモモシキの右手をぶっ刺した。それが示すのは右手の輪廻眼による術の吸収能力が無くなったと言う事だ。

 

「貴様〜!」

 

 そう叫びモモシキは力を使ったサスケを思い切り蹴飛ばした。

 

「後は任せたぞ・・・ボルト!」

 

 そして光輝は分身を1人だしブロリーの全力攻撃を迎撃する為に分身も一緒に気を高める。そして本体光輝は腰だめに今の全力の気を込め、分身光輝は左右に一旦手を広げその両手にエネルギーを貯めその2つの手を前で突き出しエネルギーが重なる

 

「ファイナル!」

 

か〜!

 

 ボルトはボルトストリームでモモシキに急接近し腹部に拳を叩き込んだ。だがモモシキは意地で耐え逆にボルトの胸ぐらを掴んでみせる。

 

「小癪な、だが残念だったな」

 

「そいつはどうかな?」

 

め〜!

 

 胸ぐらのボルトは分身で4人がモモシキに襲いかかるが地力の違いで簡単にいなされる。

 

はー!

 

 だが最後の分身のボルトが螺旋丸を出しモモシキに突撃する。だがモモシキは憎ったらしい顔で杭を出し突き刺す

 

「そこか!」

 

 だがボルトはその杭を上手すぎるほど手の甲で受け流し螺旋丸を当てた。それと同時にモモシキもそのボルトを消した。だが螺旋丸を貰い思わず後退する。

 

め〜

 

 そしてモモシキの真正面に来たのは

 

「俺はここだーーっ!」

 

 そう言って巨大な螺旋丸を出した。その螺旋丸は雷遁の性質変化のおかげなのか幻想的でそれを持っているボルトも何処か神々しい光を浴びている。そしてナルトは言った

 

「行け、ボルト!」

 

螺旋丸ッ!!

 

はーーーーーーっ!

 

 ボルトは巨大な螺旋丸をモモシキに、光輝はファイナルフラッシュとかめはめ波の合体技、ファイナルかめはめ波をブロリーに放った。だがモモシキもブロリーも簡単にやられる筈が無かった。モモシキはカタスケが発射した忍術の中にあった螺旋丸を瞬時に巨大化しボルトの螺旋丸にぶつけた。

 ブロリーが放った超縮小の気弾は光輝のファイナルかめはめ波にぶつかるのと同時に巨大化した。その圧力に思わず光輝は後ろに押されそうになったが耐えた。

 

「ハハハハハッッ!」

 

 ブロリーは高笑いをして光輝諸共吹き飛ばそうとする。

 モモシキは力は上回っている筈なのにボルトに負けている事に気がついた。

 

「こんな所で・・・我は大筒木モモシキだぞ!」

 

 それとほぼ同時にブロリーは自分の異変に気がついた。力が無くなっていく。証拠として最初はブロリーが圧倒的に押していた撃ち合いが徐々に押し返されていく。

 

「ハ・・・?」

 

 自分の圧倒的な力の減少を意味が分からないという顔でブロリーは見る。凶悪な紫色のオーラがなくなり始める。ブロリーがこの状態になってから既に2分は経っている。その間は光輝を圧倒していた。たった2分、それだけかと思うかもしれないがブロリーは元々致命傷だったのだ。そこから命を削り始めればなっていられる時間が短いのは必然。ブロリーは力を上げようとするが逆に力が抜けてく始末。

 

「ブロリー・・・お前は強かった、だけどな!自分の為にしか力を振るわないお前じゃ絶対に俺達には勝てない!!」

 

「「うおおおおおおお!!!!」」

 

 その瞬間、決定的に2者の拮抗が崩れた。モモシキはボルトに、ブロリーは光輝のそれぞれ自分の技が破られ螺旋丸とファイナルかめはめ波をそれぞれその身にまともにくらった。

 

「「ば・・・馬鹿なああああああああぁぁぁ!!」」

 

 両者、それぞれ反対方向に吹き飛んでいく。ブロリーはバリヤーを張ったがなんの足しにもならずバリヤー事貫かれ空の彼方へ吹き飛びながらその肉体は消し炭になって行った

 一方ボルトの方もモモシキは断末魔を上げ宇宙まで吹き飛び決着した

 

 




お疲れ様ですm(*_ _)m。
因みに光輝とブロリーの強さは
光輝(超サイヤ人2、3同等パワーアップ状態+蒼眼・赤眼)=ブロリー(命リソース・パワーアップ)≧光輝(超サイヤ人2、3同等パワーアップ状態)≧ブロリー(伝説の超サイヤ人)≧光輝(超サイヤ人2)≧ブロリー(今回の致命傷状態)
うん、超サイヤ人3レベルの戦いここでしちゃったから魔人ブウ編は短くなるかもしれない。ブロリーを超サイヤ人3+‪α状態まで強くしちゃったのは賛否あると思いますが·····後悔してません!
・・・まあ本当はブロリーの超サイヤ人3辺りでも出そうかと思った。自分超サイヤ人3は基本なんでもウェルカムですが(ナッパ3も面白かった( *´艸`))ブロリーが3になったらワンチャン魔人ブウ越えしてるよね?となり魔人ブウ編の展開に困るから一時的な超パワーアップにした。
困る程自分のシナリオ能力あるとは思ってませんが(おい)
では次回BORUTO編最終回です。バイバイ(ヾ(´・ω・`)


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最後の言葉

おはようございますm(*_ _)m。BORUTO編最終話であります。⊂('ω'⊂ )))Σ≡GO!!

追記
笠木決戦から数えたら4年ではなく五年でした。申し訳ないです。


 朝日が出始めている木ノ葉隠れの里、火影屋敷の屋上ではそれぞれ五影達が帰ってくるのを待っていた。そして、その時が来た。最初の異空間移動に出た扉が開きそこから五影達とボルト、サスケに光輝が出てきた。

 ナルトとボルトはヒナタとヒマワリの抱擁を受け、サスケはサラダとサクラの抱擁を受ける。そんな家族の様子を光輝は遠目に見ていたのだった。

 大筒木一族の襲来はあったが中忍試験は全ての行程を終えていたので問題なかった。事件は五影達が力を合わせ解決したと発表され里も落ち着きを取り戻している。ナルトもまた忙しい日々が始まった。そして光輝はうずまき邸にて面々に言った

 

「そう言う訳で、俺の目的は達成したので俺は俺のいるべき所に帰ります」

 

 光輝は元々ブロリーを倒す為に来た。ダメージエネルギーを与えず逆に打ち負かしたかったがブロリーの命をリソースにしたパワーアップのせいで恐らくダメージエネルギーは溜まっているはず。トランクス達と対策を練らなければならない。

 光輝の言葉を聞いたナルト達は寂しそうな顔をしながらも何時かは来る別れだと分かっていた。

 しかし光輝の言葉を聞いたヒマワリが露骨に寂しそうな顔をしているのを見て苦笑いしながら言った

 

「そんな顔するなよ。」

 

「帰っちゃうの?」

 

「まあな。俺は俺の戦いに行かなきゃいけないからな。」

 

 そう聞いてショボーンとするヒマワリ。少し罪悪感出るが帰らないと行けないのも本当だからな。

 

「ありがとうね、光輝君」

 

 そうヒナタさんが言って俺も少し笑いながら返す

 

「いえ、居候させてくれてありがとうございました。」

 

「何時帰るんだ?」

 

 今度はナルトさんが聞いてきた。俺は少し考え言った

 

「まあ別に今日の夜でも良いですし・・・と言うよりそうするつもりだったし」

 

 その答えにボルトが驚いて思いっきり言った

 

「今日!?早すぎだってばさ!」

 

「しょうがないだろ、ブロリーか同じかそれ以上の敵が何処にいるのか分からねえんだから。」

 

 その後、光輝はヒマワリを伴い外に出た。何故ヒマワリと一緒なのかと言うと光輝が最後に里をぶらぶらすると言ったらなんかついて行きたいと言い出したのだ。まあ別にそれなら良いかとなり2人でぶらぶらし始める。ボルトは家を出るまで一緒だったがその後別れた。

 2人は里をあれこれ喋りながら歩いていたら目の前の花屋からいのじんが出てきた。

 

「光輝先生!?」

 

「よう、いのじん。お店の手伝いか?」

 

「はい。」

 

 そして3人で少し話し始めたら店の中から母親のいのが出てきた。

 

「あら?光輝君、聞いたわよ。今日帰るんですって?」

 

「·····早すぎません?」

 

 まだ帰る宣言をしてから1時間程しか経っていない。それなのに何故いのさんは知っている。そう思っていたらいのじんが言った。

 

「さっきボルトが来て言ってましたよ」

 

「・・・やっぱり言うんじゃ無かったかな」

 

 俺、静かに帰りたいんだけどこの分だとボルトの奴他の人達にも言ってるだろ。少しボルトの気を探ってみると今はサラダの所にいる。

 内心ため息をついていると何やらいのさんが花を1本持って来て渡して来た。

 

「アカデミーじゃいのじんがお世話になったわね。ありがとう。」

 

「あ、いえ。俺もあの時は凄く勉強になったんでお互い様です。」

 

 いのさんが渡してきた1本の花を丁寧に受け取った。花は「かすみ草」。確か花言葉は「感謝」だった筈。俺もアカデミーの時は勉強になった。新井先生があんな感じだったと思うと尊敬する。

 その後、いのじんといのさんと別れてまた2人でぶらぶらし始める。先程アカデミーの話が出た時に見たくなったのかヒマワリちゃんがアカデミーに行きたいと言って向かった。

 半年ぶりに見るアカデミーは懐かしかった。卒業までいた訳じゃないが俺がこの世界で1番いた場所だろうな。そんな時、学校の出入り口からシノ先生が出てきた。

 

「あ、ご無沙汰してます。」

 

 ヒマワリちゃんが誰?となっているから

 

「ボルトの担任の先生だよ。」

 

「久しぶりだな。元気そうで何よりだ。もう怪我は良いのか?」

 

「はい。もう治しました。今はちょっとぶらぶらしてるんです。」

 

 そう言いながらアカデミーを見る。ここで色んな事があったなぁと。ゴースト事件、修学旅行、卒業試験。生徒が成長する姿を見るのが嬉しいとか何処かで聞いた事があるが確かにそうだなと思った。そう言う意味じゃ新井先生って気が気じゃなかったよな。俺、成長所か寧ろ勉学以外じゃ退化してたし。愛美がいた時はコミュニケーション能力はまだあったが小2以降はコミュニケーション能力はほぼ皆無だったし。SAOの皆と出会ってからは改善された·····筈。

 

「今まで、ありがとうございました。」

 

 そう頭を下げる。

 

「俺も感謝する。光輝のおかげでボルト達もいる。」

 

 仮面の男の時だと思い光輝は少し苦笑いする。結局仮面剥がせなかったし倒せなかったし・・・と。しかしそれは今置いておく。感謝は素直に受け取るものだ。

 

「はい!」

 

 その後、再びぶらぶらし始めるがヒマワリちゃんが疲れたと言い里が一望出来る高台のベンチに座った。里を2人して見ていたらヒマワリちゃんが聞いてきた

 

「お兄さんって家族いるの?」

 

「・・・いるよ。お義父さんとお義母さん、それから義妹。」

 

 口では義父とか義母とか分からないだろう。流石に7歳のヒマワリちゃんにあのえぐい事を言う程鬼ではない。妹、というワードを聞いたヒマワリちゃんが共通点でも発見したと思ったのか人懐っこい笑顔で言ってきた

 

「どんな子なの?」

 

 どんな子、か。もう俺の体感時間なら6年は会ってないんだよなぁ。いや、精神と時の部屋も入れたら7年か。そもそも咲良が3歳の時に別れたからどう成長したのか知らない。そもそも覚えているのかすらも分からない。

 

「もう、7年は会ってないから分からないや。そもそも俺の事は忘れてるだろうな。義妹が3歳の時からもう会ってないし」

 

 向こうでは恐らく8歳だ。俺が時の巣よりも時間が早いここで約1年、精神と時の部屋で1年。時間の流れが違う場所で過ごしているから俺の方が歳をとっている計算になっている。·····と言うより俺もうSAO前まで年上だった愛美よりも年上になったのか。いや・・・精神年齢だけならアンダーワールドでもう少し歳とってる。

 

「そう・・・何だ。でもきっと覚えてるよ!お兄さんみたいな優しいお兄ちゃん忘れる訳ないもん!」

 

 だからそんな真っ直ぐな事を言われ俺は思わず呆けた顔をしてしまった。そんなナルトさんやボルトに似ている真っ直ぐな眼を見て親子だなと思った。

 ヒマワリちゃんの言葉は何にも根拠の無い言葉だ。だけれども本当にそう思っているという顔だ。

 

「そうか·····そうだと良いな」

 

 そう少し微笑んだ光輝なのであった。

 

 ★★★★★

 

「で、これはどういうことだってばよ?」

 

 ナルトの口癖を光輝は言った。光輝の目の前にある光景はキラキラと飾り付けられている部屋とその部屋が最早埋もれるのではないかという位にいるボルトのアカデミーの同期達だった。時間がなかったのか見つけられなかったのかいない人もいたがいても家に入らねえだろと他人事のように思った。

 部屋のど真ん中には豪華なパーティーメニューがあり壁には「光輝さんお別れパーティー」と書いていた。光輝とヒマワリが帰ってリビングに入ったらクラッカーの音が鳴り響き今に至る。

 

「光輝さんがいきなり帰るとか言うから皆集めるの大変だったんだぜ?」

 

 とボルトはやれやれと言っている。因みにこの皆と言うのはボルト達第7班、シカダイ達第10班、イワベエ達第5班、スミレ達第15班でボルト入れて合計9人の事だ。それから公務を早く終わらせたのかナルトも帰ってきてる。

 

「さぁさぁ!主役は真ん中だってばさ!」

 

 そう言って机の真ん中の席に連れてかれる光輝。光輝は本人が言った通り静かに帰りたかったのだがそう言う訳にはいかなかったらしい。そしたらパーティーがスタートしたのだった。光輝は最後かもしれない面々との会話を楽しんだ。

 かもしれないと言うのはもしかしたら遊びに行く分には許可は貰えるかもしれないからである。時の界王神にこの世界の時間の速度の事を聞いて巻物を見てもらった所、何かの不注意で速度が早くなっていたのだとか。まあナルト達にその違いは分からないし分かった所であまり影響は無いから良いが時を守るタイムパトロール側からしたら少し不味いので光輝が帰ってからは時間の流れは統一される。それを聞いていたが故だ。

 

(もしかしたらこの世界の時間の流れが早いからよくここに拉致したのか?)

 

 時間の流れが早いと言うことは光輝達が気がついてからも回復させる時間があるという事、今回の場合はトランクスが早急に見つけてきたから直ぐに対応出来たが遅れていたらやばかったかもしれない。と言うより時間が早いと言う事をシーラス達が知っていたとしたら・・・

 

(成程な。あいつらには時の巣の情報を知る手立てが·····分からないな)

 

 時の巣は光輝が来る前よく襲撃されてたというが何時もはきちんと結界が貼っており時の界王神が認めた戦士達しか入れない。入ろうとしたら直ぐにバレる。

 

(なら・・・もう1つの可能性の方があるか)

 

 もう1つの可能性·····シーラスはある出来事がきっかけで時の狭間に閉じ込められた。しかし、もしシーラスが保険として適当にとった終わりと始まりの書の時間の流れを変え、布石として打っていたのかもしれない。だがもうその手は使えなくなる。·····俺達も気が付かなかったのも馬鹿だったな。

 そして楽しい時間はあっという間に過ぎるもので夜になって行きその時が来た。光輝はアミュスフィア等をホイポイカプセルに入れうずまき邸の庭に出た。

 

「皆さん、お見送り何て良いのに」

 

 光輝は目の前の人達に言った。光輝の言葉に目の前の人達の1人、先代火影のカカシが言う

 

「なーに言ってるの。君のお見送りなら行かない訳には行かないでしょ」

 

 その言葉にお見送りに来ていたサクラも頷く。サクラの隣にはサスケもいる。光輝はサスケに言った。

 

「サスケさんも、半年間ありがとうございました。」

 

「ああ。俺の方も世話になったな」

 

 サスケが素直にそう言った事に周りは驚いているが気にしない。光輝は後ろを向いたら何かイワベエ達は泣き出してるしナミダもやたらと泣きかけだ。他の子も涙がでかけている。

 

「おいおい、お前らこんなんで泣くなよ。先が思いやられるぞ」

 

 そう光輝は苦笑いで言う。だがその光輝の言葉にナルトが言う

 

「光輝、お前も最初別れる時は泣いてたじゃねえか!」

 

「うぐっ!」

 

 確かに泣いていた。人の事を言える訳では無かった。そんな光輝の反応に皆で笑う。そうしていたらボルトが代表の様に言った。

 

「光輝さん、今までありがとうだってばさ!光輝さんがいたから俺は強くなれたってばさ。」

 

 ボルトの言葉に同期達は頷く。だが光輝は首を振りながら言った。

 

「頑張ったのはお前ら自身だろ。それに、お前らの戦いはここからだ。何かに負ける事も、膝を折る事もあるだろうけど、お前らはそれを乗り越えて見せろ。」

 

 光輝の教育実習生としての最後の言葉、ボルト達は聞き

 

「「はいっ!」」

 

 そしてまたボルトが出てくる

 

「もし光輝さんがやばくなった時、今度は俺達が光輝さんを助けに行くってばさ!」

 

 その言葉にボルト達だけでは無くナルト達も頷いた。光輝はボルトの言葉に驚き眼を見開いたがその内ふっと笑い拳を突き出した。ボルトはその拳に自分の拳をコツンとぶつけた。そして光輝は言った。

 

「期待して強くなった皆を待っとくよ。」

 

 5秒程拳をコツンとして光輝はボルト達から離れ再び少し歩きナルト達全員を見る。そして言った。

 

「皆さん、ありがとうございました!」

 

 そう言った瞬間、光輝の体が光に包まれる。

 

「またな!」

 

 その言葉と共に光輝は完全に光に包まれ、次ナルト達が光輝のいた場所に眼を向ければ誰もいなくなっていた。しかし、光輝が去ったとしても思い出は消えない。ボルト達は10秒程感慨に浸り各々家に帰るなり動き始めたのだった。

 

 

 ★★★★★

 

 

 光に包まれ眼を開ければ俺からしたら大分懐かしい時の巣の刻蔵庫に出た。相変わらず終わりと始まりの書が棚にびっしりあるのを見てその量に思わず苦笑いする。そんな俺の後ろからトランクスさん達が声をかけてきた

 

「お疲れ様です。ブロリーを相手に素晴らしい戦いでした。」

 

「運が良かっただけかもしれませんけどね」

 

 実際問題運が良かったのもある。初見殺しの空切り、その後に繋げたヴォーパル・ストライクが超サイヤ人の時にヒットし、伝説の超サイヤ人になった後も響いたのがそれだ。だがトランクスや悟空達に言わせれば

 

「なに言ってんだ?あそこまで持って行けるおめえの技量があるから出来たんだ。もう少し自信を持て。」

 

「そうですよ。俺達が5人がかりでやっと倒したブロリーを貴方はたった1人で倒したのですから。」

 

 そんな2人の言葉に光輝は呆けたがその内微笑みに変えた。そんな光輝を見た悟空がさぁさぁ!という感じで言ってきた

 

「じゃあおめえの修行の成果を見せてもらおうかな!」

 

 こっちではそんなに時間は光輝に比べれば経っていない。しかし光輝は精神と時の部屋みたいに1年半向こうにいたのだ。ならば強くなったのは道理。光輝は1年半ぶりの悟空の誘いに光輝はワクワクの顔に出しながら言った。

 

「はい!」

 

 光輝と悟空は修練場に向かった。その心中で光輝はナルトやボルト達に言った。

 

(俺も強くなる。皆に偉そうに言って俺が出来ないなんて教育実習生として失格だからな。だからお前らも強くなれ。何度倒れても立ち上がって進める力には皆にはあるんだから)

 

 だけど悟空さんとの手合わせが終わったらしないといけないことがあるな。

 

 ★★★★★

 

 2014年、4月27日。カリフォルニア州

 

 家族でテレビのニュースを見ている。そのテレビのニュース内容は日本よりも事件が多い国らしくやたらと事件について出る。しかし、今日はそれも程々に日本のニュースになっている。その日本のニュースとは日本の感謝日。キャスターが早口で・・・今の愛美にはしっかりと聞き取れる英語で言う。それを日本語に直せば

 

「あの戦いから約5年。あの悪魔、笠木理玖から世界を救った英雄、西沢光輝君に敬意を表す「平和感謝日」です。」

 

「光輝が聞いたら絶対嫌がりそうな名前だね」

 

 そんな事を苦笑いで言っているのは小一の頃よりもロングヘアになり色んな意味で成長している愛美なのであった。光輝は偶像視は嫌がるだろう。光輝は昔から自己肯定感が低い。剣術等普通に二刀を振り回す様は愛美にはしっかりと刻み込まれている。しかしそれを凄いと言っても謙遜ばかりしていた。愛美がソードアート・オンラインのキリトが二刀流を使い始めたのを見た時、真っ先に光輝を思い浮かべた。

 ニュース映像ではあの日の決戦の映像が流れている。今でも光輝がどんな戦いをしているのか速すぎて分からない。大半の人がそうだろう。そして光輝は今この時よりも遥かに強くなっているだろう。何故ならどういう訳か本当のドラゴンボールの戦士達の悟空達が一緒なのだ。強くならない訳がない。

 

「ほんと・・・知らない間に光輝の知らない事がどんどん増えてっちゃう」

 

 そう少し涙を見せながら言う。小2から光輝の事は何をやっていたのか、楓達に聞くまで知らなかった。その様子を聞く度に自分が引っ越さなければ光輝を励ます事が出来たかもしれないと、思う事もよくあった。でも・・・今は光輝が帰ってきた時、光輝の冒険をいっぱい聞きたい。聞いて励ましたりしたい。自分が知らなかった光輝を知りたい。そう思うようになった。

 

「これが今でも謎よね」

 

 母がそう言ったのを聞いて愛美はテレビに眼を向けた。そこでは赤眼と蒼眼、そして黄金の眼とオーラを纏った光輝の姿がある。あの2年前から光輝繋がりで交流が始まった櫂家によると赤眼と蒼眼に関しては・・・家族の死体を見た時に発現したと言っていた。使いこなせるまでに約1年間かかったとも言っていた。

 

「黄金の時はネットで名前が付けられてたよ」

 

「え、そうなのか?」

 

 父が疑問符の声を出し頷く愛美。愛美は年齢を重ねるにつれネットも触る様になって行った。溺れることはなく節度を弁えているから問題ない。愛美の成績はアウェイの筈のここでも上位なのがその証左。

 

「光輝がメビウスが好きって知られてたから『光輝・シャイニングブレイブ(光の勇者)』って名前が付けられてたよ。」

 

 メビウスの強化形態「メビウス・バーニングブレイブ」をリスペクトした感じの名前だ。その愛美の言葉に納得している父。愛美も不思議とその名前がしっくりと来るから光輝が帰ってきた時教えてあげようと思っている。光輝が自分で名前を付けてたらあれだが。そう思っていたらニュースが終わりテレビを消した。それと同時に愛美のスマホに連絡が来た。

 

「あ、来たよ。パソコンパソコン」

 

 愛美の言葉にパソコンの近くにいた母がパソコンをテーブルに持ってくる。そしてzoomと言う3年前の2011年から始まったオンライン会議ツールのページを出した。そして少し弄り目の前の画面が3分割にされた。1つは愛美達を映す画面、もう2つは・・・

 

『お姉ちゃん!』

 

「咲良ちゃん!久しぶり!」

 

 1つには櫂家の長女、咲良と咲良の両親の櫂と楓がいる。咲良が画面が出た瞬間にぶんぶん手を振って言ったのを愛美が返したのだ。そして愛美はもう1つの画面に眼を向け挨拶した

 

「光定さんも、ご無沙汰してます」

 

『久しぶりだな。元気そうで何よりだ。』

 

 光定と光定の妻だった。日本とアメリカの時差は州によるが約14時間、今日本は朝ら辺だ。そんな時間から集まったのは皆の近況報告・・・要は光輝から連絡来た?とかそんなのである。

 愛美と光定は愛美が櫂家と出会ってから2回目に日本に来た時にたまたま櫂家で櫂と話していた所に会ったのがきっかけだ。そして光定の所にも光輝からの手紙が来ていたと知り、光輝との関係性も聞いて親近感が湧いた。そしてこの3つの家族はzoomが出てからよくこんな集まりをする様になった。例えば日本での流行や逆にアメリカの流行、違い、色々あって案外面白い。だが今回は違う。

 

「・・笠木の事はずっと内緒にするのですか?」

 

 その問に少し真剣な顔になる他の参加者。咲良だけはまだよく分かってないのか疑問符だが咲良を置いてけぼりにして光定が言った。

 

「国ではその方針で行くようだ。民間人を不安にさせたくないと言うのは分かってくれ」

 

 その言葉に愛美は頷く。こんな話をなるに至った経緯は・・・

 

「ほんと、光輝の手紙、私も欲しいのに」

 

 と少し拗ねる愛美。そう、光輝の手紙が2年ぶりに手紙を寄越したのだ。また夜中に自分で手紙を入れたのか差出人の名前に西沢光輝とだけ書かれまたポストにぽつんとあった。2年間の近況報告と光定に関しては・・・あるやばい情報があった。

 

「まさか・・・笠木が生きているとは」

 

 光輝は手紙を渡す人によって内容を変える。そして前回光輝の櫂家への手紙には「ある奴」と書いていた奴の事を光定へはもう少し詳しく書いていた。曰く笠木が生きているかもしれないと。自分が生きているのだからその可能性もあると。だが光定は今回までそれを黙っていた。まだ可能性だと。だが今回の手紙には「笠木は生きている。念の為に警戒だけはしてください。笠木がそっちに行った場合、俺も直ぐに駆けつけます。」と光定の手紙には書かれていた。

 光定はこれを受け光輝の手紙を国に出した。そして光輝の手紙を筆跡鑑定し本人と断定した後、国の上だけで相談し・・・警戒はするが民間人を不安にさせる訳にはいかないので秘匿する事にしたのだ。光輝が生きてる事を公開するのも考えられたがその場合証拠の写真もあげなければならず他の人が2次元だと思っていた世界が本当にあると知ったらそれはそれでパニックになるかもしれなかったから却下された。因みにこの時点で光輝の捜索願は取り消されちゃっかり戸籍も戻ってる。但し中学入学所か小学校卒業すらしていないが。

 愛美が手紙くれないと拗ねているのは光輝が単に愛美の場所か気を知らないから手紙をあげられないだけである。

 

「お姉ちゃん次いつ来るの〜?」

 

 と咲良は待ちきれないのか聞いた。愛美は直ぐに答える。

 

「次は夏休みかな。」

 

「えっと・・・3ヶ月?」

 

「3ヶ月とちょっとかな」

 

「分かったー!」

 

 とスマイルの咲良を見て思わず口元が緩む。

 

(光輝もこんな気持ちだったのかな)

 

 咲良はよく光輝との思い出を話してくれる。3歳の時だったのによく覚えているなと何時も思っている。咲良はきっと意識していないが光輝が壊れなかったのは咲良のおかげでもある。

 年に数回しか日本には行かないがそれでも妹が出来た様な気がした愛美なのであった。笠木が生きていると言う情報を聞いても愛美は怖くなかった。その笠木を倒した英雄もまた生きている事を知っているから。

 

(早く帰ってきてね、光輝)

 




お疲れさまです (*´∀`)♪
NARUTO系列の編の最後には光輝の世界の様子を写すのが決まりなんですよ。·····言うて2編しか無いけど。
そして光輝の黄金状態の名前(仮)が唐突に出てくる。
オマケにzoom笑。調べたら2011年からあったらしいから良いかな〜と。
次回から魔人ブウ編。と言う訳でアンケートしまーす。ベジットの所をするかどうか。あの時のブウがパワーアップされた所でベジットの勝てる絵が浮かばないのでいるか?となってしまった。というよりゼノバースリスペクトで行くとどの道カットになっちゃいますが。
(*´∇`)ノ ではでは~


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魔人ブウ編
命賭けるは誰の為?


おはようございますm(*_ _)m。魔人ブウ編スタート。BORUTO編よりも少ない筈。では⊂('ω'⊂ )))Σ≡GO!!


 ナルトさん達の世界から帰還して早3ヶ月、その間は何も無かった訳では無いが大半は修行やお姉ちゃんのライブに招待されたりしてワイワイしてた。勿論あいつらを警戒するのは当然だからそんなに遊んでいた訳では無い。寧ろ割と辛めな修行していた。影分身をあんなに多用するとは思わないんだ。でもおかげであの技を習得出来たから良いとするか。

 そしてやはり今度は2年もかからなかった。時の巣の刻蔵庫にてトランクスさんが複雑な顔でその巻物を渡してきた。

 

「これは?」

 

「父さんと悟空さん、そして父さんと魔人ブウが戦った時の歴史です。」

 

 俺は取り敢えずその巻物を見た。場面はセルの戦いから約7年後。魔導師バビディっていう奴が自分の父親、魔導師ビビディって奴に封印された魔人ブウと言う魔人を蘇らせた。魔人ブウは当時4人いた界王神様、そしてその上の大界王神様を東の界王神様を除いて全て殺した。だが力の強すぎた魔人ブウが言う事を聞かず自分の身が危なくなるからビビディは魔人ブウを封印。ビビディは隙を着いた東の界王神様によって倒された。

 だがビビディには息子・・・バビディがいた。バビディは魔人ブウの封印を解くために地球に来て魔人ブウが封印されている玉を確保、シーラス達がやっているダメージエネルギーを回収し魔人ブウに注いでいるのだとか。

 何故か悟空さんとMって額に着いているベジータさんが戦っている。理由は・・・悟空さんはこの時現世に1日しか居られずそれなのに悟空さんがベジータさんとの戦いを後回しにして魔人ブウ復活を阻止しようとなって、ベジータさんはそれに渋々同意したが本音は魔人ブウ等どうでもいいから悟空さんと戦いたかった。だからわざと自分に悪性があるように見せバビディの洗脳を受け無理やり悟空さんとの戦いに持って行ったのだ。

 

「・・・気持ちは分からないでもないですがもう少し我慢するという選択肢は無かったですか?」

 

 そりゃあ1日しか居られないから早く戦いたい気持ちは分かる。だけどそれで地球が危なくなるのは世話がない様な気が・・・。トランクスさんも複雑な顔をしたのはこの歴史だからだろう。しかしもう皆さんの間で決着がついてるのなら俺が言うのは違うから良いや。その巻物を受け取り

 

「じゃっ、行ってきます!」

 

 その言葉と共に光輝は光に包まれ歴史修正に向かった。

 

 ★★★★★

 

 何も無い荒野、宿命の対決が繰り広げられている場所に光輝は降り立ってその対決をしている悟空とベジータを遠目にみた。その戦いの激しさは精神と時の部屋で修行しなければついていけなかった戦いだろう。しかし今ならついていける。だが·····

 

「·····悟空さん達じゃないみたいだな」

 

 その言葉に悟空は背を向く。そこには前のブロリーと同じ紫色のオーラを纏った禍々しい戦士がいた。と言うより主なカラーも紫色だから少し同化して分かりにくい。だが·····そんなのを言うのが億劫になるほど巨大な気だった。

 

『そ、そいつは!?』

 

「ふひひひ·····ふへへへへ!」

 

 光輝は思わず少し武者震いした。どう見ても自分邪悪ですと言う容貌をした奴が目の前にいるのだから。トランクスが慌てた声で言う

 

『気をつけてください!そいつはジャネンバです!』

 

「ジャネンバ?」

 

 光輝は構えをとる。だがジャネンバは不敵な笑みを浮かべ動かない。

 ジャネンバ·····本来の歴史通りなら地獄行きの魂を浄化する装置に溜まった悪の気の塊が鬼を媒体に変化した姿。

 

『そんな奴が暴れたら歴史がめちゃくちゃです!何としてもここで止めてください!』

 

 その言葉に光輝は頷く。そんな光輝とジャネンバの気を感じたのかベジータと戦っていた悟空が言う

 

「お、おい。何かすげえ気があるぞ!」

 

「知るか!俺と貴様の勝負には関係ない!」

 

 光輝もその言葉が聞こえたのかジェスチャーで大丈夫とやっといた。そして光輝は動いた。荒野に思いっきり足を突き刺し地面を割り猛スピードでジャネンバに向かう。その最中超サイヤ人2に変身する。距離を瞬時に詰め右ストレートを出した。

 

「ふひひ・・・!」

 

 だが容易くジャネンバから見て左に躱され代わりにジャネンバが左ストレートを光輝に放つ。しかし光輝も右の拳を直ぐに引きつつジャネンバの拳を掌で細工しながら腕ごと逸らす。そして流れる様に回し蹴りをした。それでもジャネンバは逆にその脚を掴んだ

 

「ふっ!」

 

 光輝は慌てず掴まれた左脚とは反対の右脚を上に振り上げ顎にぶち当てた。ジャネンバはその衝撃に思わず少しよろける。そんな光輝とジャネンバの戦いの最中悟空とベジータは会話する

 

「強くなりたいだけでプライドの高いおめえがあんな奴に支配されたんか?」

 

「俺は・・・昔の俺に戻りたかったんだーーーっ!純粋で冷酷な俺に戻って、何も気にせず貴様と戦いたかったんだ!だ、だからバビディに支配され、もう一度昔の俺に戻る必要があったんだ」

 

(昔の悪い存在に戻りたかった、か。でも・・・それは無理だ。仲間を、家族を知ったベジータさんには無理だ。)

 

 孤独の辛さは俺にも分かる。まぁナルトさんとかに比べたら全然マシだろうけど。俺だって虚勢を張って小学校時代友達作らなかったし、SAO時代も半分以上ソロだった。だけどそんな経験で得た事、人は1人では生きられない。当たり前の事かもしれない、だけどその当たり前を忘れたら自分勝手で誰にも必要とされない人になってしまう。人が1人で生きるなんて土台無理な話だ。人は誰かの助けを受け生きる。どんだけ1人が良いと言っても例えばご飯を作ったりしてくれる人、ご飯の材料を作ってくれる人・・・言い出したらキリがない。

 ベジータさんは家族思いの人だ。時の巣にいるベジータさんを見てたらよく分かる。言っている事は厳しいがそれは期待の裏返し。

 

「そんなの思ってる場合じゃねえな」

 

 そう言いながら光輝は隙を作ろうと気弾を投げた。直ぐに後ろに回って打撃をしようと思ったがそこで光輝は思いっきり驚いた。何故ならジャネンバの顔辺りに放った気弾をジャネンバは何か異空間の様なものを出し気弾をその中に吸い込ませたのだ

 

「なっ!?」

 

 マジか・・・気功波の類いは乱用出来ないって事か。螺旋丸とかも同じく。だとしたら厄介だ。打撃だけで倒せるならまだ良いが・・・そう簡単にはいかないだろう。そんな事を考えていたらまた悟空さん達が会話をしている。

 

「魔人ブウの気がとんでもねえ気に変化したぞ!こっちに向かってきている。こんな事をやっている場合じゃねえぞ!」

 

 その言葉を聞いて魔人ブウの気を感じた。やはり強い。思わず冷や汗が出るくらいにだ。だがだからと言ってジャネンバを無視する訳には行かない。ジャネンバと相対していたら再び不思議な現象が起きる。何と唐突にジャネンバがキューブ状に変化したのだ。

 

「はっ!?」

 

 その瞬間光輝は後ろの空気が乱れたと感じ直ぐに後ろを向いたが遅かった。後ろを向いた瞬間にジャネンバの気弾が光輝に直接ぶつけられた

 

「うわあああ!!!」

 

 不意をつかれ光輝は吹き飛ぶ。だが上手く着地しジャネンバを見る。

 

「何だ今のは?」

 

 キューブ状に変化したと思えばいきなり後ろから攻撃を貰ったのだ。思わずこう言うのも必然だろう。

 

(真正面からの気功波無効に擬似的な瞬間移動。SAOならボスって言われても通用するぞ)

 

 そう心で言いながら光輝は再びジャネンバへ距離を詰め接近戦を仕掛けようとするが光輝が近づいた瞬間に再びキューブ状に変化し光輝の攻撃を躱し今度は横から気弾を直接ぶつけようとした。

 

「くっ!」

 

 光輝は何とかガード体勢になり吹き飛んだ。ガードはしていたので先程よりかはダメージは無い。そして転がりながら印を結んだ。そうする事で5人の光輝が出てきて本体光輝の周りを囲む。瞬間移動するのなら死角を無くせば良いと思ったのが1つ、もう1つは

 

「ふへへへへ!」

 

 ジャネンバは少し驚いたが直ぐに不敵な笑みに変えその5人の光輝を先程使った自身をキューブ状に変化させ瞬間移動を使った。本体の光輝は集中する為に目を閉じる。分身の光輝は本体を守るように立って構える。

 一方悟空とベジータは休戦協定を結び2人で魔人ブウを倒そうと悟空が言った。ベジータはそれを快諾。しかし悟空が仙豆を取るために後ろに向いた瞬間、ベジータは後ろから悟空を気絶させた。そして仙豆を食べ回復した後、魔人ブウの元へ向かった。

 光輝もその流れは知っているからジャネンバに集中する。

 

「ゲヘヘヘ!!」

 

 人間の言葉とは程遠い奇声を出しながらジャネンバは分身の内一体に襲いかかる。分身の光輝はそれに反応出来ず消える。他の光輝がジャネンバに攻撃しようと動いたがジャネンバは直ぐにキューブ状になってまた瞬間移動を始める。

 

(まだだ)

 

 その後また分身がジャネンバに蹴散らされ煙になって消える。ジャネンバの気も一緒に無くなり次の瞬間には他の光輝に攻撃する。そして残りの2人も蹴散らされる。

 

「ヒヘヘヘ!」

 

 全ての分身を蹴散らし不敵な笑みを浮かべたまま再びキューブ状に変化し目をつぶっている本体の光輝に左側から襲いかかり・・・

 

「―――!!」

 

 空気の乱れ、そして影分身は分身が体験した記憶や経験を本体に還元出来る。光輝はそれで小学校時代の勉強の遅れを取り戻すだけではなくぶっちゃけ理系科目や工学、英語、何故かレインやセブンのロシア語も学んでそれらのレベルは今の愛美にも劣らず・・・と言うより勉強してる科目だけはそこら辺の高校生よりも圧倒的に頭が良い。国語や古文はフィーリングでレインや家庭教師っぽい事してくれてるアスナにも怒られてる。タイムパトロールなのに社会や歴史も普通に覚える事は出来ず蒼眼で覚えるチートしている。

 そして光輝は5人分の光輝の経験をした。ジャネンバの攻撃軌道の予測、そして気は当てにならないから空気の乱れを感じ取ったのと同時に量子変換器から瞬時に剣を左手に取り出し

 

「はっ!!」

 

 気合いの入った言葉と共に適当に振った。それにジャネンバは急に対応された事に驚くのと同時に体を仰け反りギリギリ躱した。しかし体勢は崩れてしまう。光輝は右手に青い球体を作り油断し体勢を崩したジャネンバにそれを放った。

 

「螺旋丸!!」

 

 ジャネンバが俺の気功波の類を異次元に飛ばすには気功波を認識し次に異次元に飛ばす空間を作らなければならない。そのスピードはやはり早いが体勢を崩したらその限りではない。

 

「キエエエエ!!」

 

 光輝の螺旋丸はジャネンバにぶち当たりジャネンバは先程の光輝と同じく荒野へ吹き飛んで行った。光輝は今の内にベジータの気を探る。ベジータは魔人ブウと激突している。しかし・・・気だけで見ればベジータが押されている。

 

(·····これが正しい流れなのかもしれないけどやっぱり辛い)

 

 光輝はそう思いながらジャネンバを見る。ジャネンバは既に立ち上がりあんまり堪えてない様子だ。しかしジャネンバに何時までも時間をかける訳には行かない。光輝は左の手にある剣・・・ブルーレッド・オブウォーリアを地面に突き刺し

 

「はあああああッ!」

 

 金色の嵐が吹き荒れ光輝の様子が変わりジャネンバが初めて刮目した。光輝は超サイヤ人2になるのと同時に更に力を引き出し超サイヤ人3相当まで力を上げた。ジャネンバはそれを見て自らもパワーを引き出す

 

「ウキキキキキ!!」

 

 先程の光輝と色違いの紫色の嵐が吹き荒れる。光輝は剣を持ちその奔流に耐える。そしてジャネンバの手に血を連想させる真っ赤な剣が出現した。血のような真っ赤な剣で光輝が思い出すのはやはりSAO時代に使ってた『レッドブレイク』だろう。SAOの時はあの剣の魂もウォーリア・ビヨンド・ディスペアーに入っていたが今はない。しかし光輝が覚えている。それだけで十分だ。

 

「お前に時間をかけられない!」

 

 そう言った瞬間に光輝は消える。ジャネンバも同時に消え真ん中で互いの得物をぶつけ合った。

 

「ヒヘヘヘ!」

 

「ふっ――!」

 

 ぶつけた瞬間に光輝は1歩下がり剣を突き出す。ジャネンバはそれを跳躍し躱す。光輝の後ろに着地した後光輝をぶっ刺そうと振るう。だが光輝は予測済みで咄嗟に剣を背面に構えそれを防ぐ。

 その後剣を弾き尚且つ振り向き剣を振るう。

 

「ゲヘヘ!」

 

 しかしジャネンバは不敵に笑いながらキューブ状に変化し瞬間移動を始め光輝の剣を躱した。それだけでは無く剣を振り抜いて隙を晒している光輝の後ろから真っ赤な剣を・・・

 

「だろうな!」

 

 光輝がそう言った瞬間、蒼眼と赤眼になり光輝は消えた。次の瞬間には剣を振り下ろそうとしているジャネンバの後ろに出現した。自力での移動ではない。最初の光輝とジャネンバの攻防の時、光輝はジャネンバの腕を弾くのと同時に飛来神のマーキングを施していたのだ。ジャネンバの瞬間移動と違いほぼノーモーション、見極めるのは初見では厳しい。ジャネンバは眼を見開くのと同時に後ろの気配を察知したがもう遅い。

 

「はぁっ!」

 

 ジャネンバの背後から上段から下段へ剣を斬りつけた。ジャネンバはそれをモロにくらった。前のめりに倒れかける。しかしそこで終わりではない。左から右に、右から左に切裂きジャネンバは背中に激痛が走る。

 光輝はそんなの知らねと6回剣を振るい9連撃目でジャネンバの背中を真一文字に斬った後、周りながら剣を最後にジャネンバの腹部にぶっ刺し体ごと突き抜けた。ジャネンバの瞬間移動を許さないスピードを出す為に赤眼になったのだ。ジャネンバはただの超サイヤ人3相当のパワーでは勝てない。

 

「キエエエエ!?」

 

 ジャネンバは自分の状態に信じられない様なものを見る目になり絶対的な痛みを感じながらもその怨念は自分を貫いた光輝に向けられる。光輝はそんなジャネンバの視線を感じながらも言った

 

「アインクラッド流最上位剣技、ノヴァアセンション」

 

 文字通り片手剣ソードスキル・・・ユウキのマザーズロザリオを除いて片手剣で最高の連撃数を誇るソードスキル。

 

「シャア!!!」

 

 光輝には何を言っているのか全く分からないが相当怨んでる声だなと思いながらジャネンバの超接近の気配を感じ取る。だがジャネンバは焦ったのが敗因だった。焦り突撃しなければまだやりようはあっただろうに・・・。光輝は接近を感じた瞬間から剣を地面に突き刺した。そして静かに言った

 

「エンハンス・アーマネント」

 

 その瞬間、突き刺した地面から氷ばっかり出現し蔓になりながら接近していたジャネンバを拘束した。ジャネンバはもがくがもがけばもがく程氷の拘束力が高まる。光輝は自分の剣に気を注ぎ込みその拘束力を生み出している。先程まで前回だったジャネンバならば兎も角今負傷を負ったジャネンバでは力不足だった。ジャネンバから空気中に正に命の輝きが放出させられる。

 そして光輝は瞬時にもう1つの剣・・・ウォーリア・ビヨンド・ディスペアーを出し掲げ言う

 

「エンハンス・アーマネント!」

 

 ジャネンバが脱出方法を思い出す前に方をつける。ジャネンバから放出された生命リソースが光輝の剣へ集まり燃え盛る炎の様な気へ変換され光輝に降り注ぐ。ジャネンバはその事実に驚愕したのと同時にここから抜け出す方法を思いついた。

 

「ゲヘヘ!!」

 

 その言葉と共にキューブ状に変化した。そう、別に瞬間移動すれば直ぐに抜け出せたのだ。想定外の連続でジャネンバは冷静な判断力を失っていたのだ。

 本来の歴史のジャネンバは悟空の超サイヤ人3にも歯牙にもかけない。ベジータも戦闘をしたがあっさりと退けた。それはジャネンバの動きが読みにくい事にあった。気功波の類は異次元に飛ばされ瞬間移動の様な技で悟空達は翻弄された。しかしそんなジャネンバが冷静さを失った時があった。それは自分よりも圧倒的に強い敵の出現、或いは自分の想定外の事が起こった時だ。

 

「――遅い」

 

 その言葉と共に赤眼と武装完全支配術により全てのステータスが一時的に底上げされた光輝が腰を下げ気をウォーリア・ビヨンド・ディスペアーにコーティングし一気に突き出した。コーティングされていた気が剣状の刃となってキューブ状に変化しかけていたジャネンバへとてつもないスピードで先程貫いた場所を更に抉りながら貫いた。

 

「ギエ?」

 

 ジャネンバがされた事が分からず呆けた声を出す。そのジャネンバは内部から光が漏れ出ている。そして光輝はジャネンバに背中を向け2振りの剣を1回左右に振った後、背中に出しておいた鞘に収めながら言った。

 

「じゃあな」

 

「キエエエエ!!!」

 

 その瞬間にジャネンバは大爆発を起こし爆散した。相変わらず意味分からない声を出していたがそんな声を背に背負い光輝は邪悪の塊を爆散させた。

 因みに光輝がやった遠距離攻撃は形は違えど重突進技、ヴォーパル・ストライクだ。本来のヴォーパル・ストライクは名前の通り自分で突撃せねばならないが光輝がやったのは少し違う。

 アンダーワールドと呼ばれる世界でキリトがやって見せたヴォーパル・ストライクを現実風にアレンジしたのが今の攻撃だ。

 アンダーワールドは心意・・・所謂イマジネーション、思い、心の強さが何よりも重要だ。キリトはある敵をぶっ倒す為にその心意を高め、あの伸びるヴォーパル・ストライクを放った事がある。それを光輝は現実風に真似てみたのだ。

 光輝は剣を鞘に収め眼も戻した後、ベジータの気を感じとり向かった。頭痛痛いとか思いながら着いた先にはベジータが膝を着き魔人ブウは紫色のオーラを纏っていた。

 

(強化されてる!)

 

「お前殺しちゃお!」

 

「やばい!」

 

 その言葉と共に光輝はベジータへ迫っていた魔人ブウの目の前に現れ顔面をぶん殴り吹き飛ばした。

 

「お、お前は」

 

「話をしている暇は無いです!俺も加勢します!」

 

 ベジータは立ち上がり光輝の隣に並ぶ。

 

「さっきの奴はどうした?」

 

 魔人ブウへ視線を逸らさずに聞く。光輝は構えながら答える

 

「ぶっ倒しました。」

 

「・・・そうか。」

 

「お前、誰だ?」

 

 魔人ブウが無邪気な顔して聞いてくる。その無邪気さが逆に強さを際立たせる。

 

「さあな、無理矢理聞き出して見ろよ」

 

「お前生意気だ!殺しちゃお!」

 

「・・・そう簡単にいくかな?」

 

 光輝は気を高め3レベルを解放する。ベジータは超サイヤ人になっただけでも驚いたが更にその先の領域へ行った光輝に驚愕した。しかし今の状況でこれ程頼りになる奴はいない。そう考えベジータも気を高め構え叫ぶ

 

「行くぞ!」

 

「はい!」

 

 ベジータと共に光輝は魔人ブウに突撃した。光輝はウォーリア・ビヨンド・ディスペアーを出して剣に気を込めながら叫ぶ

 

「ジェネレートダブルエレメント!」

 

 そう叫ぶのと同時、剣から小さな火球と球体の凍素が出た。アンダーワールドの神聖術擬き、しかし威力はアンダーワールドの比ではない。

 

「ディスチャージ!!」

 

 その言葉と共に先行し魔人ブウに襲いかかる。魔人ブウは避ける事をせず、まともにくらい爆発が起こり煙が発生する。それでも2人は止まらず光輝は剣を消しながら煙の中に突撃した。剣を直したのはベジータへフレンドリーファイアーをしない為だ。

 

「「はあああああッ!」」

 

 気合いの叫びをあげながらベジータと光輝は魔人ブウを共に攻撃する。魔人ブウは先程の攻撃のせいか所々体に穴が空いているが2人は手を休めない。

 

「だりゃっ!」

 

「はぁっ!」

 

 魔人ブウは2人の攻撃を一方的に食らう。光輝とベジータは即席のコンビだが光輝は時の巣にいるベジータと何度も修行をしているのである程度動きは分かる。だから光輝は自分の攻撃もちゃっかり当てつつベジータのサポートに回る。

 

「合わせろ!」

 

「はい!」

 

 ベジータの掛け声に答え光輝はベジータと一緒に拳を突き出しブウは抵抗すること無く吹き飛んだ。しかしそこで終わらない。光輝は影分身を出し直ぐに技を作った。形質変化・性質変化と役割分担し出来たのは

 

「風遁・螺旋手裏剣!!!喰らえーーッ!」

 

 吹き飛ばされているブウ目掛け螺旋手裏剣を放った。

 

「はあっ!」

 

 ベジータは初めて見たその技に驚きながらも自分も手を突き出しそこに巨大な光弾を出しながら叫ぶ

 

「ビックバン・アタック!」

 

 螺旋手裏剣に追随する様に放たれ2つの技はブウがいる場所でぶつかり合い相乗効果で螺旋手裏剣の高音とビックバン・アタックの大爆発が共に起きた。セル辺りならばぶっ倒す事が出来たであろうその攻撃は即席の割に結構良いと光輝は思った。だが.......

 

「―――!!躱せ!!!」

 

 ベジータの怒号が響いた瞬間、先程の爆発地点からピンク色のとんでもないエネルギー波が放出された。光輝とベジータは躱そうとした。しかし出来なかった。

 

「ベジータさん、後ろ!」

 

 それだけを言えばベジータは分かってしまった。後ろにある崖の上ではベジータの息子のトランクス、悟空の第2子の悟天やクリリン、ピッコロがいるのだ。昔のベジータならばそんなの関係なく躱しただろう。自分本位で生きてきたベジータならば。しかし・・・

 

「く、クソーーっ!」

 

 2人は咄嗟にバリヤーを張った。少なくともあの4人が気付くまではバリヤーを終わらせられない。そしてピッコロが直ぐにその事に気が付き3人に離れろと言ったのとほぼ同時に

 

(やばい!気が・・・!)

 

 光輝は本来魔人ブウと張り合えるジャネンバと戦い勝利した後なのだ。疲労が溜まっている。それでもジャネンバに勝利するだけ凄いが同レベルの魔人ブウと連戦するのは辛いものがある。

 

「く、くそ!」

 

 光輝のその言葉と共にバリヤーに罅が入りぶち割れた。

 

「うわあああああ!!!」

 

「ぐあああ!」

 

 光輝とベジータは魔人ブウのエネルギー波を為す術もなくぶち当たりその肉体がピンク色のエネルギー波に飲み込まれた。

 

 ·····何度なっても痛いもんは痛いよなぁ・・・

 

「くっ・・・ぐ」

 

 光輝は地面に倒れながら魔人ブウの方へ向いた。魔人ブウはにっこにっこでこちらに歩いてきている。神聖術でぶち開けた穴も殴り攻撃により出来てた凹みも無い。つまり再生能力を持っているという事。

 光輝はただの超サイヤ人2に戻ってしまっている。気もベジータよりエネルギー波を食らったからから下がっている。

 

「だけど・・・終わる訳にはいかないよな」

 

 そう言いながら立ち上がる。光輝よりも一足先に立っていたベジータはそんな光輝を見て魔人ブウに愚痴を言う。

 

「クソ!強い上に不死身何て話にならないぜ!」

 

 本当にそう思う。笠木にしてもセルにしても当時の自分からしたらもう脅威だったなぁ。2人の共通点は他人の力や細胞ありきだけど魔人ブウは違う。生まれ持っての力だから2人よりもマシかもしれないがそれでもくるものがある。そう思っていたら無言だったベジータさんが言ってきた

 

「おい貴様、誰だか知らんが貴様のおかげで最後にカカロットと思う存分戦う事が出来た。感謝する。」

 

「何・・・言ってるんですか」

 

「ここはもういい、貴様はここからとっとと離れやがれ!」

 

 ベジータさん・・・まさか

 そんな時、超サイヤ人のトランクスさんと悟天さんがやって来た。時の巣にいる2人しか知らないから何だか不思議な気分だがそんな事を言っている状況では無かった。魔人ブウは人が増えても無邪気な表情は変わらない。

 

「トランクス、ブルマを・・・ママを大切にしろよ」

 

「え?」

 

 ベジータさんはトランクスさんに向き直り言った

 

「お前は赤ん坊の頃から1度も抱いた事が無かったな、抱かせてくれ」

 

 ・・・それはそれで何か酷い気もするがベジータさんなら失礼ながら納得してしまった。ベジータさんはトランクスさんを抱く。トランクスさんはそれが恥ずかしいみたいだ。悟天さんは少し羨ましそうに見る。確かこの日が来るまで悟空さんに会った事がなかったからだろう。自分の経験が少ない事を友達に目の前でされてるのだからそう思うのも無理無いだろう。しかし魔人ブウが迫っている。

 

「・・・元気でな、トランクス」

 

 それが父親としての最期の言葉だった。トランクスさんはベジータさんに気絶させられ悟天さんも気絶させられた。それと同時にピッコロさんも来てベジータさんが言った

 

「こいつらを連れて出来るだけここから離れるんだ、頼んだぞピッコロ。」

 

 そう言い終えた後、光輝にも向いた。

 

「今の疲れている貴様がいても足でまといだ。貴様もここから離れろ」

 

「でも・・・!」

 

「黙れ!貴様も気絶させられたいか!?」

 

 ベジータさんは死ぬ気だ、それで倒せるかなんて分からないのに命をかけていたトランクスさん達を守る為に・・・でも・・・

 

 何度同じ葛藤をするのかと思うかもしれない。しかし光輝は例え後々ベジータが生き返る事を知っていたとしても誰も死なないのならそれで良いじゃないかと思う。未来の悟飯にしても自分が永遠に罪を償えば良いと思ってるし今でもよく思う。

 そんな光輝の肩をピッコロが叩いた。光輝はピッコロを見る。光輝とピッコロはあんまり接点が無い。それでもピッコロが言わんとする事は分かった。

 

「・・・分かりました」

 

 その後、光輝とトランクス、悟天を持ち上げたピッコロは全速力でその場を離れたのだった。ピッコロは語る

 

「あいつは初めて、自分以外の者の為に戦おうとしている。己の命を捨てて!」

 

 一方、残ったベジータは

 

「貴様を倒す方法がやっと分かったぜ。やっとな」

 

 その言葉と共にベジータを莫大な気が包む。

 

「貴様を倒すには二度と修復出来ないよう粉々に吹っ飛ばすことだ!」

 

 ベジータを中心に光が吹き荒れそれがベジータの尋常ではない気の高まりを表す。それが最頂点になった時心の中で言った

 

(さらばだ、ブルマ、トランクス、そして・・・カカロット)

 

うぉぉおおおおおお!!!

 

 その命と共に雄叫びを上げながらサイヤ人の王子ベジータは巨大な光と共に最期を迎えたのだった

 

 

 ★★★★★

 

 

 

 光輝は時の巣に戻って来た。その心中は辛いものだが自らの誇りではなく家族の為に戦ったベジータあの勇姿は忘れることはないd

 

「おい、何を感傷に浸ってやがる。」

 

「・・・あれ?心読みました?」

 

「甘い貴様の事が考える事なんぞ分かるに決まっているだろう。」

 

 と言ったのはタイムパトロールの方のベジータである。ボロボロな光輝を見た後ベジータは自分の歴史に光輝が行ったから何か思う事があるのか優しく労いを・・・

 

「休んだら修行だ!久しぶりに貴様の力を見てやる。」

 

 くれる訳無かった。しかし逆にそれがベジータらしいと思う光輝なのであった。

 

 




お疲れさまです (*´∀`)♪
影分身、やはりチート。
まあ光輝SAOでも相手の行動パターンなんぞ少し戦えば分かってたし。
対ジャネンバ戦、賛否あると思いますが今の光輝、魔人ブウ編の悟空かそれよりも少し上くらいだし赤眼というリスク付きチートあるので大丈夫かなぁと(そんくらいしないと強化された敵に立ち向かえないのもある)。因みにジャネンバ相手に蒼眼はほぼ意味無い。瞬間移動は点から点にジャンプする様なもんだし。そしてブロリーと同じく滅多斬りにする光輝笑。
後3話か4話で魔人ブウ編終了・・・かな?ベジットアンケート同率なので僕が勝手に決めて飛ばす事にします。
(*´∇`)ノ ではでは~


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究極の解放

おはようございますm(*_ _)m。
ゼノバース2基準で行くのでゴテンクス&悟飯です。
文字数は約1万5000字です。


「はあっ!」

 

 光輝の振るう剣が空気を斬る。その相手は誰もいないが光輝は仮面の男をイメージしながら修行をしている。しかし一連の行動をした場所は時の巣では無く仮想世界・・・アルヴヘイム・オンライン、略称ALOと呼ばれるゲームの中だ。ゲームと言っても舐めたらダメで光輝は剣の修行に関してはALOでよくしている。トランクスや悟空とも武器を使っての修行はするがALOでする事の方が多い。

 トランクスや悟空もそうだがALOは魔法はあるが武器を使う事も勿論ある。光輝やキリトの様に片手剣だったりアスナの様な細剣、他にも刀や斧、メイスや短剣に槍。プレイヤーの数だけ武器があり戦い方がある。ALOでは光輝は現実の様に体は動かせない。しかしそれも光輝がここに来る理由だ。ここでは光輝のスピードはステータスさえあれば誰にでも到達出来る。だからこそ、プレイヤースキルで差が開く。それが光輝がALOを好む理由だ。勿論レインやキリト達もいると言うのもある。

 何を言いたいのかと言うと戦い方が千差満別のこの世界は剣の修行にはうってつけということである。

 

「ふぅ」

 

 ジャネンバと魔人ブウと戦って約1日。久しぶりのベジータとの修行で光輝は普通にボコボコにされた。

 

(ベジータさん達って黒髪の時点で魔人ブウよりも絶対強いよな)

 

 そう、通常状態で光輝が昨日戦った魔人ブウ、ジャネンバを両方相手取っても恐らく1人で普通に勝てるだろう。

 

(今の悟空さん達に本気を出させた一星龍って奴めちゃくちゃ強いよな。と言うより悟空さん達フュージョンしないと勝てなかったらしいし)

 

 悟空がよく過去の敵との戦いを教えてくれる。光輝がタイムパトロールになる前じゃどんな敵が1番強かったですか?と聞いた所懐かしいように目を細めその名を教えてくれた。詳しい事はまだ聞いてはいないがやはり強かったんだろうなと思っている。

 因みにフュージョンとは所謂融合技である。体格が近い者2人とその2人の気を全く一緒に合わせ所定のフュージョンポーズをとる事で融合出来る。融合した戦闘力はただ足すだけでは無く更に大幅パワーアップする。2人が1人になってしまうがそれを覆す程のパワーを得られる。但しフュージョンで融合出来るのは30分だけだ。

 

「俺もまだまだだなぁ」

 

「お前程の腕でまだまだと言う言葉は聞き逃せないですね」

 

 光輝の独り言を拾い毅然とした女性の声が指摘する。光輝は背後に振り向いた。そこには2人の”人間”がいた。

 1人は先程指摘した女性で黄金の鎧を身にまとい遠目からでも分かる長い金髪の髪を持っている。その腰にある片手直剣は鍛冶屋であるリズベットの作品で彼女に似合う黄金の剣だ。その容貌は日本人とは違う。どちらかと言うとまだヨーロッパの方に居そうな女性だ。

 もう1人は亜麻色の髪を持って青色を基調とした服を着ている男性だ。その腰にある剣は同じくリズベットの作品で青色なのだが透明感のある剣だ。

 光輝は2人を見て少し微笑み名前を言った。

 

「久しぶり・・・でもないか。アリスさん、ユージオ」

 

 アリス、ユージオ。アンダーワールドという知っていなければ現実と言われても通用する仮想世界で正真正銘人の子として生まれ育ったボトムアップ型AI。しかし光輝やキリト達はAIとは思っていない。感情があり自分の意思を言えるのならばそれはAIでは無く人間と思っているからだ。今はアンダーワールド存続の為、キリト達の世界で人権を認めてもらう為に動き回っている。

 ユージオはアンダーワールドで路頭に迷う筈だったキリトを助け、親友になった心優しい男だ。光輝とも出会ったら使ってた技が似ていたからか直ぐに仲良くなれた。何故か女性メンバーが多いキリトの周りで光輝と歳が近いのもあっただろう。

 そしてアリスはアンダーワールド最強の騎士団、整合騎士の1人である。

 

「キリトもそうだけど、光輝ももう少し自分に自信を持ったらどうだい?」

 

 少し呆れた声を出しながらユージオは言った。肩を竦めながら光輝は返す

 

「俺はキリト程自己肯定感低くないよ。俺よりも強い人達なんて色んな世界に何人だっているんだからな。そう思うのもある意味必然だろう。」

 

 光輝は2人には自分の事を話している。正真正銘異世界人、そしてタイムパトロール。まあ2人に言った所で言いふらさないだろうとアンダーワールドで思ったのもある。そして今度は光輝が聞いた

 

「2人は今日休みなの?」

 

 本来2人は割と忙しい立場である。それもその筈で客観的に見れば世界初のボトムアップ型人工知能・・・その中でも禁忌に縛られず自分の意思だけでその呪縛を打ち砕いた「限界突破フラクトライト」。フラクトライトとは俗に言えば”魂”だ。何を言っているのかと思うかもしれないがユージオ達がいたアンダーワールドを作った菊岡のおじさんがそういうのだからしょうがない。

 

「ええ。凛子さんから休みを貰いました。」

 

「光輝は休みじゃないの?」

 

 光輝も割とフリーだが修行か勉強してる事の方が多い。修行の方が7割くらいだが。

 

「いや、俺の場合ここでも修行というかなんと言うか・・・仕事が入るなら直ぐに俺のアミュスフィアから直接トランクスさんから連絡来るし」

 

 その時光輝の目の前にメール通知が来た

 

「そうそう、こんな風に・・・あれ?」

 

 これが噂をすればなんとやらか。2人に失礼して俺はメールを見ると矢張りトランクスさんからで出動だとか。そういう訳でメールを閉じて2人に言った

 

「仕事が入ったので俺は行きまーす」

 

「うん。またね。」

 

 ユージオがそう言ってるのを聞きながら光輝はログアウト準備し終え手を上げる。

 

「うん。また。」

 

 ログアウトの光を浴び現実世界へ戻った。そんな光輝を見終えた後ユージオとアリスは忙しそうな光輝について言及する。

 

「あれだけ強いのに更に強くなろうとするとはね」

 

 2人も光輝の強さを知っている。仮想世界でも現実世界でもその強さを見せつけられた。仮想世界はALOでもアンダーワールドでも手合わせした事あるし現実世界の力はキリト達がグリームアイズとの戦いの映像を見せた。

 心意の力も光輝は凄まじい。心意を強めるには「最強の自分」を描くのが正攻法と言える。光輝はアンダーワールドでは現実の自分を描いていたのでその心意の強さも強かった。逆に言えば心が弱まってる時はめちゃくちゃ弱くなる。

 

「ええ、私達も負けていられませんね」

 

 今は現実世界で過ごしている2人だがアンダーワールドでなった”剣士”を捨てた訳では無い。ゴールなんてない。高みをめざし続ける、それはファイターならば持ち続ける気概として不変の真理だろう。

 

 ★★★★★

 

 時の巣、刻蔵庫にて光輝は巻物を見る。

 場面は精神と時の部屋がある神殿だ。その現状に光輝はまたもや悲しげな顔をする。何故なら神殿にいる筈の悟空達の仲間がピッコロと小さき超戦士しかいなくなっているのだ。他の人達は皆お菓子に変えられ食べられてしまった。

 巻物をたたみトランクスを見る。

 

「この歴史の魔人ブウは凄まじい強さを持っています。生半端な力では敵いません。皆さんをお願いします」

 

「はい!」

 

 光輝がタイムパトロールへ見送ったトランクスは光輝の様子を観察する。そんなトランクスの後ろから時の界王神と久しぶりに来ていた老界王神が声をかける。

 

「光輝君も本当に強くなったわね」

 

 最初の頃は恐らくピッコロの生みの親、ピッコロ大魔王にも勝てなかっただろう光輝が今や界王神達も恐れた魔人ブウにも張り合える程強くなった。未だに課題はあるが光輝ならば乗り越えられると悟空達も思っている。

 地球人からサイヤ人になった特異な存在、それが光輝だ。

 

「そうじゃのお、あやつわしのすごーい潜在能力解放も断ってきおったからのぉ。」

 

「え、そうなのですか?」

 

 老界王神の潜在能力解放・・・比喩でもなく本当に潜在能力を全て解放するのだ。ただ儀式が長すぎるのが難点だが。しかし光輝は老界王神の誘いを断った。別に儀式が長いのが嫌だという訳では無い。

 

「自分の力で高みを目指すと言っておった。悟空達の性格が移っておるのぉ。」

 

 少しは楽をする事を覚えても誰も文句は言わないが光輝は拒否する。本当に緊急事態なのならばしょうがない時もあるが違うのなら自ら高みを目指す、それが光輝なのだ。

 

 ★★★★★

 

 光が晴れるとピッコロさんと・・・太っていた魔人ブウでは無く無駄な脂肪が取れ筋肉質な魔人ブウと驚いたが超サイヤ人3の小さい人がいた。いきなり俺が隣に出てきたからその人がびっくりしながら言う

 

「お、お前誰だ!?」

 

 何か2人の声が一緒に発音されている。と言うよりこの声聞いた事がある。悟天さんとトランクスさんの声が合わさってる様な声だ。

 

(成程、これがフュージョンか)

 

 フュージョン・・・悟空達の世界のメタモル星人と言う人達が作った融合技。それを悟天とトランクスがしているのだと察した。超サイヤ人3になっているのは普通に驚いたが。

 因みに光輝は超サイヤ人2の状態で3レベルパワーを出せるが決して超サイヤ人3になれない訳では無い。1回だけやって見せた事はある。しかしやはり燃費が悪く今の状態に落ち着いた。

 

「お前、どっちの味方だ?」

 

 ピッコロが横目に見ながら聞く。

 

「貴方達の味方です。」

 

 そう言っている間にも光輝は魔人ブウの気を感じ取る。やはり前の太っている状態よりも強くなっている。オマケにシーラス達のパワーアップも受けている。

 

「その言葉を信じるぞ。俺も手を貸す。3人で魔人ブウを倒すぞ!」

 

「はい!」

 

「任せてよ!」

 

 その悟天とトランクスの融合した姿·····ゴテンクスが叫び魔人ブウに突撃する。魔人ブウは自分がパワーアップしている事に気がついているのか全く分からないがニヤッと余裕な顔のままである。

 

「はあーーっ!」

 

「へへへ」

 

 ゴテンクスが魔人ブウに突撃し殴りつけようとする。しかし魔人ブウもゴテンクスに攻撃を加え、或いはガードし徐々に乱撃戦が始まる。その余波で神殿に罅が入る。

 

「甘いな!」

 

 魔人ブウはあっさりと隙を見つけ出しゴテンクスを蹴り上げる。

 

「うわあああ!!」

 

「ゴテンクス!クソーっ!」

 

 ピッコロがそう叫び魔人ブウに突撃する。しかしピッコロも簡単にいなし吹き飛ばされる。吹き飛ばされたピッコロとすれ違いながら光輝も突撃する。その最中超サイヤ人2で3レベルを解放しながら突撃する。魔人ブウはそれに気が付き拳を向けるが光輝は懐に入りながら躱し殴りつける。それをくらい魔人ブウは少し後退し光輝と相対する。

 

「お前、ムカつく顔だからお菓子にして食べてやろうか?」

 

「そんなの知るか。お前よりもお菓子の方が存在価値はあるぞ」

 

「やっぱりムカつく。きーめた!お前はなぶり殺しにしてやる!」

 

「やって見やがれーーっ!」

 

 そう両者叫び激突し拳と拳、蹴りと蹴りがぶつかり合う。凄まじい速さの乱撃戦に入った。しかしパワーアップしている魔人ブウの方が上手で光輝の腹部へ強烈な拳が突き刺さった

 

「がハッ!」

 

「ギャオおお!!」

 

 それによって出来た隙を見逃す訳なく右側に蹴り飛ばす。光輝は物凄い勢いで吹き飛ぶ。魔人ブウ·····ブウはそんな光輝を追いかけようとするが空中を浮遊する。

 

「俺達を忘れるなよーーっ!」

 

 そんなブウの上空からゴテンクスとピッコロがブウに接近する。ブウは忘れていたと言う顔をして2人を迎撃する。

 1VS1では危ないが2対1ならばまだマシだ。それでも実力差があるのかピッコロが吹き飛ばされる。そんな吹き飛ばされたピッコロの背を復帰した光輝が抑える。そして3人で再びブウに攻撃をする。

 

「お前達しつこいぞ!」

 

 その叫びと共にブウは3人を気合い砲で吹き飛ばした。吹き飛ばされたゴテンクスが思わず愚痴る

 

「ちっくしょーっ!ちょっとヤバいかな」

 

 本来の歴史ならばゴテンクスだけで善戦·····或いは勝てた筈なのだが今ははっきり言えば3人がかりでも厳しいのが現状だ。それが分かっているのかブウはニタニタの顔のままだ。そして唐突に体を丸めた。文字通り球体状になったのだ。

 

「何をするつもりだ?」

 

 光輝がそう呟いた直後、ブウはその球体状のまま縦横無尽に移動しだした。いや移動なんて生易しいものでは無い。突撃機関車の如く猛スピードで動き回っているのだ。

 

「うわぁっ!」

 

 ゴテンクスがその突進を回避する。ブウはそのまま突き抜け神殿を壊していく。光輝も躱し続けるがこれではジリ貧になってしまう。反対側から来る球体状のブウを見据え速攻でその手に剣を収めその剣に風の刃が燈る

 

「風遁・空切り!!」

 

 ブウの突撃コースを予測し縦に放った空切りは見事にブウを一刀両断にした。ブウは一刀両断されたまま光輝の後ろへ勢い余っていく

 

「よしっ!」

 

「油断するな!」

 

 ピッコロが叫び光輝が慌てて見るとブウは再生し再び球体状になり空を舞っている。

 

(空切りじゃ無理か!)

 

 空切りは当たればブロリーの時の様に致命傷になるが再生能力を持っている敵には一時的な痛みを与えられるだけで効果は薄い。このままでは何も出来ずに終わってしまう。そんな時ゴテンクスが突撃してきているブウに向けて

 

「俺に任せてよ!」

 

 そう言うのとほぼ同時に気で輪っか状のものを突進してきているブウに向けて放った

 

「連続スーパードーナツ!」

 

 それらの輪っか状のものがブウの周りに集まり一気に押さえつけた。そうすれば何やらボール状になった。輪っかの中にブウを押さえ込みボールにしたのだろう。そしてゴテンクスはピッコロを読んだ。曰く自分が「パース!」と言うから「トース!」と上に上げてくれと。

 

「行っくわよーーっ!」

 

 しかし無言のピッコロを見てゴテンクスが違う違うと。「はーい!」と言えと言う。

 

「は、はーい!」

 

(ピッコロさん·····お疲れ様です)

 

「パース!」

 

 ゴテンクスがピッコロにパスしピッコロはそれを上空に上げる。

 

「と、トース!」

 

 上空に舞ったブウ入りのボールへゴテンクスは直ぐに追いつき

 

「ウルトラブウブウバレーボール!!」

 

 カタカナばかりで言い難い。とか思っていたらゴテンクスがそのボールを地上へ思いっきり叩きつけた。ボールは凄まじい速度で地上に向かった。

 

「よーし!追おうぜ!」

 

 ゴテンクスが陽気に言ってブウを追った。しかしピッコロは一連の流れがどうしても自分要らないだろうとか思っていた。そして残ってた光輝に向けて思わず言ってしまう

 

「·····お前がやれば良かったのではないか?」

 

「俺バレーやった事ないです。」

 

 ぶっちゃけスポーツは真剣にやろうと思った事はなかった。せいぜい咲良が興味の持ったスポーツをやったくらいだ。後はALOで偶にやるくらい。でも遊びの範囲内·····まあピッコロもバレーは知識としてあるだけでやった事などないが。2人はゴテンクスを追った。追った先にはやたらとでかいクレーターがあった。そこで光輝は今更な様に気が付きピッコロに聞いた

 

「そう言えば他の地球の人ってどうしたんですか?」

 

 神殿のメンバーはお菓子にされてた所を見たが他の人達は見てなかった。

 

「地球の他の奴らは魔人ブウが皆殺しにした。」

 

「·····そうですか。」

 

 そう言いながら光輝達はゴテンクスに追いつく。ゴテンクスは「もう終わっちゃったかもー!」と上機嫌に言っているが光輝がそんなゴテンクスの肩に手を置く

 

「自信過剰なのは良いですけれど油断は禁物だと思いますよ。」

 

 光輝にはある修行の成果なのかしっかりと感じ取れている。強大で邪悪な気が。魔人ブウは抑えているつもりかもしれないが修行した光輝には感じ取れる。その証拠として光輝が後ろを振り向いた時、クレーターの反対方向からピンク色の光が迸った。

 

「へ?嘘〜」

 

 その光から魔人ブウがニタニタと出てくる。傷はない。体力も消耗した気配もない。というよりまだパワーアップが続行されている。

 

「少しは痛かったぞ?」

 

(元々も強かっただろうにそれを更に上乗せパワーアップされたら強いのは道理だよな)

 

 光輝はそう言いながらピッコロとゴテンクスの前に出てきて気を纏う。

 

(こいつには蒼薔薇の方の武装完全支配術や記憶解放術は通じない)

 

 ブウは自分の体を変形する事が出来る。液体っぽくなったりする事も出来るから拘束したところで抜け出され、自分の剣の方が少し脆くなってしまう。だけれども少なくともパワーアップを解かすまでは帰れない。

 光輝は後ろ目でゴテンクスを見る。今のゴテンクスは蒼眼と赤眼を使っていない今の光輝よりも強い。しかし戦闘経験不足だ。ピッコロはゴテンクスよりも経験は豊富だが戦闘力がゴテンクスよりも下だ。

 

「俺が行きます、2人は援護をお願いします!」

 

「お、おい!」

 

「待ってよぉっ!」

 

 先行した光輝を2人は追う。光輝は瞬時に飛来神のマーキングが付いたクナイを三本取り出し雷遁を乗せてぶん投げる。その速度は適当に出した気弾よりも速い。しかしブウからすればまだ遅い。それらのクナイを振り払った。

 

「!?」

 

 しかし雷遁の追加効果で少しだけブウは感電した。無論感電した時間なんぞ0.1か2秒あるかないかだが光輝にはそれで充分。弾かれた瞬間に光輝は飛来神を発動した。そして固まったブウをぶん殴った。クナイの回収は諦めて叫ぶ

 

「2人とも!」

 

「任せて!」

 

 ゴテンクスがそう叫び吹き飛んだブウへ高速移動で追い付き背に出る。そしてハンマーナックルで下に吹き飛ばす。ピッコロはそんな魔人ブウの周りに気弾を何個も放ち地面に激突寸前のブウの周りに気弾を止めた。それに気が付いたブウは表情は変えない。しかし攻撃の手は休めない。光輝はチャクラを練りながら印をして気弾の牢屋にいる魔人ブウへ口を大きく吸って放つ

 

「火遁・豪龍火の術!!」

 

「魔空包囲弾!!」

 

 その名の通り龍を模した豪火球よりも凄まじい火遁を光輝は放ちそれに合わせる様にピッコロが魔空包囲弾·····ブウの周りに止めていた気弾をブウに向けて放った。

 

「!!」

 

 気弾と焼き尽くすほどの炎を共に放たれブウは躱す間もなくその炎と気弾の嵐に飲み込まれ大爆発が起こった。

 轟音と共に煙が上る。しかしこれで終われば苦労はしない。光輝は全力でイメージした。自らの上空に剣の大群が出来る様を。

 

「何だと!?」

 

 ピッコロが驚愕の声を出すのを聞きながら光輝はそれらの無数の剣を振り下ろし叫ぶ

 

「サウザンドレイン!!」

 

 更に!と言いながらそれらの剣全てに千鳥を絡ませた。殺傷能力が半端ないそれらの嵐を煙が発生している場所へと放ちまくる。

 煙の所では煙に加え青白い雷光も迸る。そして5秒程経ちそれらの光が消えた時光輝は剣を消した。

 

「すげえ!本当に終わっちゃったんじゃないの?」

 

 ゴテンクスが1度は想像した事がある剣の嵐をやって見せた光輝に尊敬の念を出して言った。光輝は少し息を切らしていたのを整え言った。

 

「貴方の技のバリエーション程じゃないですよ」

 

 確かにゴテンクスはオリジナル技がやたらと多い。しかし光輝も大概である。光輝はブウの居場所を見続ける。·····そして気が膨れ上がったのと同時超スピードでブウが出て来た。

 

「はやっ!ぐっ!」

 

 光輝は急激なスピードにギリギリ反応しブウの拳をガードするがお構い無しにブウは光輝を吹き飛ばした。そして次に近くにいたピッコロを殴り飛ばした。そして最後にゴテンクスへ突撃する。ゴテンクスは何とか反応し拳をぶつけ合う。しかし純粋にパワー負けしているのかゴテンクスが押され始める。

 

「ここだ!」

 

 ブウが叫びゴテンクスの腹部へ強烈な拳が突き刺さった。ゴテンクスはそれをもろにくらってくの字に折れ曲がる。そんな隙を見せたゴテンクスへブウは追撃する。何度も殴りつけ終いには先程されたハンマーナックルで下に叩き落とした。

 

「うわあああ!」

 

 ゴテンクスは地面へ真っ逆さまに落ちて地面へ激突した。

 

「ゴテンクス!」

 

 ピッコロが叫ぶ。煙が晴れるとそこには2人の子供がいた。そう、ゴテンクスの元となった悟天とトランクスに別れてしまったのだ。2人は慌てて立ち上がり状態を確認する。

 

「どどどどうしよう!フュージョンが解けちゃったよ!」

 

「どうしようってあの人に頑張って貰うしかないだろう!」

 

 2人が話している間にも光輝はピッコロの隣に来て言う

 

「俺が相手をします。あの2人を守ってあげてください」

 

「·····分かった。」

 

 ピッコロは頷き光輝は融合が解けた悟天とトランクスを見て何やら思案しているブウを見る。ブウもその視線に気が付き笑いながら見て言ってくる

 

「お前じゃ俺に勝てない。絶対に、ぜーったいに!」

 

 確かにそうだろうな。今の俺じゃこいつには勝てない。だけれど別に希望は捨てない。何故なら感じるからだ。今、この歴史の中で1番強い気を。普段のあの人とは気の種類が違うがこの甘さが抜けている感じの気は未来のあの人と似ているから直に気がついた。それをブウが気づいているのかは分からないが

 

「勝負なんて最後までやって見なきゃ分からない。」

 

「まだ分からないのか?お前程度じゃ勝てない!」

 

 そう叫びブウは光輝へ超スピードで接近する。光輝の目の前から消え後ろに出現する。そのままハンマーナックルで叩き落とそうと腕を組み掲げ振り下ろす。光輝は為す術もなく叩き落とされ岩の瓦礫へと勢いよく突っ込む。

 

「やっぱり弱いお前じゃ俺に勝てない」

 

 その結果にブウは笑うがその瓦礫の中から光輝が勢いよく飛び出てブウへ向かう。ブウはそんなしつこい光輝に少し眉を顰めたが直ぐに切り替え気弾の嵐を放った。

 

「ハハハ!!」

 

 光輝はそれらの気弾の嵐をジグザグに躱しながらブウへ接近する。近くまで来たらブウは気弾を撃つのをやめて肉弾戦へ移行した。

 

「どおりゃーーーっ!」

 

 光輝とブウは拳をぶつけ合う。その余波はピッコロ達の所にも響く。

 

「なんと言う力のぶつかり合いだ」

 

「お兄さん頑張って!」

 

「行けーっ!」

 

「はっ!」

 

 光輝が拳を振るうとブウは消え光輝の後ろへ出現し光輝を殴ろうと拳を振るう。しかし光輝も同じく消えてブウの横に現れ蹴ろうと脚を振るう。だがブウも予測済みで掻き消える。そして今度は右から拳を振るう。そして消えては攻撃消えては攻撃の超スピードバトルに突入する。しかし10回程そのやり取りを終えた時

 

「何処だ!」

 

 光輝がとうとうブウを見失った。ブウは徐々にスピードを上げ今の光輝が追えないスピードを出したのだ。ピッコロ達もブウを探す。·····そして

 

「後ろだーーっ!」

 

 ピッコロが光輝へ叫び光輝は後ろへ向こうとした。しかしそれは叶わなかった

 

「遅い」

 

 光輝の心臓の辺りからブウの手刀が出て来た

 

「·····え?」

 

 悟天がそんな理解不能と言いたげな声を出した。だが気持ちはピッコロもトランクスも一緒だ。何故なら空中にいる光輝の心臓からブウの手が出ているのだから。つまり·····戦闘不能は確実。

 

「お兄さん!」

 

 悟天がそう叫ぶが光輝は眼を見開き止まっている。そんな光輝の後ろからブウがニヤニヤしながら言う

 

「お前、終わりだな」

 

 ブウは自分の勝利を確信した。あとの悟天とトランクスとピッコロ何ぞ一瞬で100人は殺せるブウにとって今1番厄介なのは目の前の光輝だ。悟天とトランクスの様に融合すること無く自分とある程度渡り合えるからだ。しかし心臓を貫いた今最早敵ではない。だからこその余裕で悪趣味な笑いだ

 

「ハハハ!!俺に勝つのは無理だと言ったろう!」

 

 そう高笑いする。

 

「勝負は最後までやってみなければ分からないとも言ったけどな」

 

「―――!?」

 

 そんな声が聞こえた瞬間にブウの目の前にいた光輝が青白く輝き

 

「うぎゃぁぁぁぁああああ!!!」

 

 それらの輝きがブウを包み油断していたブウはそんな絶叫を思わずあげた。そんなブウの真上から同じく青白い千鳥を纏った二刀を携えている光輝がいた。

 

「何だと!」

 

 ブウは今思う様に動けず迎撃出来ない。光輝はそんな無防備なブウへ放った。アインクラッド流・二刀流・8連撃技

 

「ナイトメア・レイン!!!」

 

 ナイトメア・レイン·····敵へ超接近し猛烈な剣の嵐を斬り込む技だ。

 

「オラァっ!」

 

「ぐおおおっ!?」

 

 そして最後の振り下ろしで光輝は斬るのと同時にブウを地面へ叩き落とした。先程まで光輝がいたそこに今度はブウが突撃した。そして光輝は二刀をブウへ向けた。

 

「リリース・リコレクション!!!」

 

 武装完全支配術・記憶解放術は通じないと先程まで言っていたがブウが地面に押し付けられている形で発動すればその限りではない。

 昨日ジャネンバへ放ったのとは比にならない程の氷と蔓が地面へ押し付ける形でブウを拘束した。顔や体ごとブウを包んだ。ブウは驚愕な顔のまま閉じ込められた。

 

「す、すげ〜!」

 

「こんな事が」

 

 その驚愕な現象に3人は驚愕する。そんな3人の元へ倒れる感じで光輝は降りて膝をつく。

 

「はぁ・・・はぁ」

 

「すっげぇじゃねえかよ!」

 

 トランクスが興奮した声を出しながら光輝に近づき他の2人も来る。

 

(時の巣のトランクスさんに比べて凄いヤンチャな感じがする)

 

 光輝は今更トランクスの事を観察し始める。時の巣にいるトランクスは色んな戦いや経験をしたからか落ち着きがあるがこのトランクスは光輝が言った通りヤンチャだ。ついでに言うのなら悟天も。悟天の場合は純粋なのだが·····いや、トランクスもある意味純粋だから良いのだろう。

 そんな喜んでる子供を見た後光輝は厳しい顔のまま一時的に拘束しているブウを貼り付けている岩場を見る。

 

「拘束しておけるのは3分あればいい方でしょう。」

 

「そうか・・・」

 

 拘束している間にさっさと消せばいいのでは無いかと思うかもしれないがここでは奥手だ。中途半端な力で攻撃し倒せなかったらブウは再び復活してしまう。ほんの少しだけ休憩の時間が出来た。思わず尻もちをつき光輝は休憩し始める。そんな光輝にピッコロが聞いた

 

「お前は瓦礫に突っ込んだ時何をしたのだ?」

 

「え?あぁ、雷遁・影分身ってやつです。その分身がやられた時ついでに相手も感電させる。さっき投げたクナイとは威力も桁違いですからブウも少し止まったのでしょう。」

 

 光輝はそう言いながら剣を掲げた。ブウのいる所の氷の蔓に蒼薔薇が咲き始めたのを感じたからだ。その蒼薔薇はブウの生命リソースを吸って咲いている。その蒼薔薇から放たれたブウの命の輝きへ剣を向け言った

 

「エンハンス・アーマネント」

 

 そう言って気を流し込み剣の一部の記憶を解放する。そうするとキラキラと光になり舞っていた生命リソースが光輝の剣へ向け突き進み吸収されていく。それらを感じながら光輝は3人へ聞いた

 

「皆さんを回復させましょう。」

 

 少ないがブウから生命リソース·····ややこしいから気と言うが気も回収した。それで皆回復させようとした。しかしピッコロは首を振る

 

「いや、お前が自分を回復させろ。今この中でブウと張り合えるのはお前だけだ。」

 

 その言葉を聞き光輝は悟天とトランクスを見る。2人はフュージョン出来ない今、足でまといなのが分かってしまっているのか頷いた。

 

「・・・ありがとうございます」

 

 そして剣に溜まった煉獄の炎の様な気が光輝に纏う。そうすれば光輝は体力や気にチャクラが回復した。前までの光輝ならばそれでもと言って全員を回復させただろうがブウに勝てなければ意味が無いのは分かっているから言う事を聞いた。そしてタイムリミットが迫っている中ピッコロが更なる質問をした。

 

「お前はいきなりブウの真上にきたがあれはどうやったんだ?」

 

「あれは瞬間移動ですよ。」

 

「瞬間移動だと!?」

 

 光輝は言ってしまったーと口を思わず抑えた。そう、光輝がやって見せたのは瞬間移動だ。ブウが雷遁・影分身に引っかかった瞬間に発動した。光輝は3ヶ月間、毎日ヤードラット星へ向かい悟空にヤードラットの長老・・・ピバラを紹介してもらい瞬間移動を身につけた。

 飛来神があるのだから瞬間移動は要らなくないか?と思うかもしれないが飛来神はマーキングがある場所じゃないと飛べない。対して瞬間移動は知っている気、或いは知っている気に似ている気の場所に瞬間移動する。しかし1つだけ問題がある。

 

(俺悟空さん程瞬間移動上手くないんだよなぁ)

 

 それである。光輝は悟空が1年かけ学んだ瞬間移動を3ヶ月で身につけた。その身につけ方は案の定影分身修行法である。それによって長い座禅で気を安定させる修行などなど超短縮した。しかし急いでやった弊害なのかまだ光輝の瞬間移動の精度は低い。ピッコロが更なる質問をしようとした時光輝が氷の割れる音を耳にした

 

「もうか!」

 

 その言葉と共に後方の岩場のブウを押さえつけている氷や蒼薔薇達が轟音を立て崩壊し代わりに出てきたのはピンクと強化の証である紫色のオーラである。キラキラと氷だったものが宙に舞っている中そのオーラを纏ったブウが光輝達の前に姿を表す。光輝はピッコロ達の前に出てきて構える

 

「さっきはよくもやったな。お前だけは楽に死なさないぞ」

 

「死ぬのはお前かもしれないぜ?」

 

 挑発的な光輝の言葉にブウは憤怒の顔になり消えた。光輝も消え激突する。

 

「はあっ!」

 

 空中でぶつかり合い徐々にピッコロ達から離れていく。

 

「ぐっ!」

 

 ブウの拳が光輝の腹部に突き刺さる。動きが止まった光輝をブウは殴り飛ばした。光輝は仰向けに吹き飛ぶ。しかし光輝も吹き飛ぶだけではなく手のひらを広げ左右の人差し指と親指を重ねその中心にオレンジ色の気を高め

 

「バーニングアタック!!」

 

 吹き飛ばされながらもブウへ向け放った。時の巣にいるトランクスから教わった巨大な光弾の技だ。ブウは更に光輝を殴ろうと接近していたがバーニングアタックを放たれその光弾に飲み込まれ爆発が起きた。光輝は空中でブレーキをかけて止まる。

 

(・・・出て来ない)

 

 煙の中からブウは来ない·····とか思っていたらその煙が勢いよく晴れその中から人影が超スピードで光輝に接近する。光輝はそれに気が付き気弾で弾幕を張る。

 

「甘いわ!」

 

 しかしブウは軽々と避けていき光輝の目の前に現れ拳を振るう。光輝もすぐ様気弾を止めて拳をぶつける。

 

「くそっ!」

 

 純粋にパワー負けし押され返される。その後も乱撃戦が始まるが光輝の攻撃は効かずブウの攻撃は光輝に通る。

 光輝の蹴りを足ごと捕まえブウは地面へと投げつける。光輝はどうする事も出来ずに地面へ突撃する。

 

「がハッ!!」

 

 光輝の額から血が流れ始める。その血を他人事の様に見ながら光輝はふらふらと剣を取り出し地面へ突き刺しそれを支えに立ち上がる。腕を抑えながら思考する

 

(まだ何とか変身は保てる。だけど勝てるかは別問題だな)

 

 そう状況を分析する。そんな時光輝は先程よりも感じた。自分やゴテンクスよりも強い圧倒的な気を。それに気がついた時ブウが目の前に降りてきたにも関わらずニヤッと笑ってしまう。ブウは光輝を消す為の気功波を形成しながらニヤニヤと言う

 

「どうした?死を目の前に頭が可笑しくなったか?」

 

「それは見当違いも甚だしいな。お前は終わりだ」

 

 その言葉と共に一陣の風が吹いた。絶体絶命の光輝と余裕綽々なブウの間にその人物が割り込んだ。それだけではなく驚愕の顔になっているブウの隙をつき強烈な蹴りが放たれブウは吹き飛んで行った。光輝は安心からか思わず尻もちをついた。そんな光輝をその人物は優しげな笑みを浮かべながら振り返る

 

「悟飯さん・・・間に合った〜」

 

 悟空が着ている亀仙流の道着を着てブウを吹き飛ばしたのは孫悟飯その人だった。時の巣にいる普段は学者っぽい・・・というより学者の悟飯よりも今は武道家気質が全開である。

 

「ここまで戦ってくれてありがとうございます。」

 

 その言葉を聞きながら光輝は悟飯を観察する。この世界の悟飯の身長が光輝よりも2、3cm高いのを見て不思議な感慨を抱いた。やはり未来の悟飯と背丈がほぼ同じだからだろうか?前髪は1房で垂れている。

 因みに光輝の髪型はセルの戦いが終わるまでは地球人としての髪型で少しだけ未来の悟飯に似ているだけだったのだがセルとの戦いが終わった後未来の悟飯をリスペクトして短髪に前髪のハネを出した髪型である。超サイヤ人の時もリスペクトしている髪型だからか未来の悟飯と似たような姿になる。

ナルトが光輝に直ぐに気がついたのは顔と一瞬間違えて敵襲だと思いチャクラを感知したら光輝のチャクラだったからだ。

 未来の悟飯と違うのは背丈と顔と隻腕かそうじゃないか・・・後左眼の傷があるかないかである。本来サイヤ人の髪は不気味に変化しないのだが光輝はレインに頼んでやってもらった。レインにもこの光輝の姿は好評である。セットしてもらってからは自分から変えようと思わない限り基本このままである。

 

「いえ、助けてくれてありがとうございます。」

 

 光輝は立ち上がりながらお礼を言う。そして悟飯の隣に並ぶ。

 

「僕達以外にもこれ程の戦士が残っていたなんて・・・それもサイヤ人なのは驚きました」

 

 悟飯は結構悪いサイヤ人にボコボコにされた経験が多いが光輝がピッコロや悟天達を守る為に戦ってくれていると言うのは界王神界でこの歴史の悟空から聞いて知っている。その時点で敵対はしない。

 そんな2人の前に吹き飛ばされていたブウが再び降り立った。

 

「悟飯さん、もう少し俺が戦いますからピッコロさん達に挨拶してきたらどうですか?」

 

 悟飯はその言葉を聞いてピッコロ達をチラ見する。ピッコロは普段の悟飯と雰囲気が違うから驚愕の顔を、悟天は死んだと思っていた兄が生きていた事の安堵と嬉しさの顔を、トランクスもほぼ同じく。

 

「いや、それは後で出来る。僕も・・・いや、俺も一緒に戦います」

 

 遠回しにブウは倒せると言ったのも同然。その自信と強さを間近で感じている光輝は嬉しそうに笑い右手に木の葉のマークが描かれ赤い布に付いている額当てを取り出し額に結んでつけた。つけた瞬間に光輝の超サイヤ人特有の翠色の瞳が変わり左が蒼眼に、右が赤眼に変化する。その内赤眼の方を閉じる。

 悟飯は両手を握り腰を沈め

 

「はあああああ!!」

 

 その叫びと共に気を解放した。普段の悟飯よりも厳しく甘さが抜けた顔つきになる。見た目の変化は特にない。超サイヤ人の様に金髪になる事も無く黒髪のまま気を引き出した

 

(これが老界王神様の言っていた潜在能力を解放させるやつか・・・)

 

「くくく、おい、まさかお前も俺と戦うつもりか?」

 

「違う、貴様を殺すつもりだ!」

 

「ほう!!ほうほうほーう!!」

 

 ブウは未だに余裕な顔だ。俺も少しづつ頭痛が始まっていっているからどの道そのムカつく顔をぶん殴りたい。そう思っていたら隣にいた悟飯さんが消えた。

 

「はやっ!」

 

 光輝のその言葉「は」と言った時には既にブウが吹き飛ばされていた。光輝はすぐ様両手を真ん中で突き刺し強力な光弾を2発悟飯を守るように放つ。それらの光弾は途中で悟飯を追い越して吹き飛びから回復したブウを襲う。

 

「ぐっ!」

 

 光弾はガードしほぼノーダメージだがそのガードした瞬間に悟飯が目の前に現れそのガードをただの殴り攻撃で崩し体を捻りながら裏拳を噛ます。その威力は先程まで光輝達の攻撃でダメージがあったのかは微妙な状態だったが悟飯の攻撃は確実にダメージが入っている。

 

(つえ〜!)

 

 光輝は内心そう言いながらよろけているブウの前に来て拳を握る。しかしブウも何とか体勢を取り直し蹴りを放つ。しかし蒼眼によってスローモーションに見え楽々と頭を下げ躱すのと同時に握っていた拳を勢いよくブウの顎へぶつけた

 

(龍翔拳だ)

 

「うぐぐ」

 

 ブウは上空に吹き飛びその胴体を晒す。悟飯がすぐ様追いつき無防備な腹部に強烈な一撃が突き刺した。ブウの腹部がゴムの様に伸びブウの口から唾液が思いっきり出る。

 悟飯は突き刺していた拳を引いた後くの字に曲がっているブウをエルボーで叩き落とした。

 叩き落とした先には光輝が待っていてブウを横方向に綺麗な回し蹴りで吹き飛ばした。

 

「ぐおおおお!」

 

 ブウは為す術なく地面へ顔を見せながら吹き飛ぶ。そんなブウの背中に重なるように悟飯は飛翔し背中合わせになる

 

「ふんっ!」

 

 悟飯は背中にいるブウへ強力な裏拳を噛まし再び地面へと吹き飛ばす。

 ブウはもがきながらも何とか地面へ着地をし先程まで悟飯がいた場所を見る。しかし悟飯は居らずブウはあちこち見るが光輝とピッコロ達以外いない。そんなブウの後ろから声がかけられる

 

「こっちだ、ウスノロ」

 

「ぐっ!」

 

 ブウは直ぐに振り返りつつ距離をとる。そんなブウへ悟飯は不敵な笑みを浮かべながら言い放つ

 

「勝てんぜ、お前は」

 

「ぐっ・・・うぉぉおおお!」

 

 そこからブウは悟飯へ攻撃を当てようとガムシャラに攻撃を振るうが全て悟飯に躱される、或いは止められ逆に反撃を貰う。光輝が入る余地が無い戦いの最中、悟飯が戦っているので蒼眼と赤眼を普通の翠色に戻していた光輝は気がついた

 

(あれ?悟飯さん強すぎて強化終わっちゃってる。)

 

 いつの間にかブウが纏っていた強化の証である紫色の気が無くなっていた。今のブウの気ならば光輝だけでも勝利に持って行ける可能性がある。可能性あると言うだけで殺しきれるかは別問題だが。

 そしてブウは悟飯にボコボコにされズタボロの様子で何故か笑い始める始末。だが次には憤怒の顔になる

 

「やっぱりお前だったか。遠い遠い・・・ずーっと遠い所で強い力を感じていた。俺は俺より強い力を許さない!」

 

「そいつは残念だったな、魔人ブウ」

 

「よく聞けよ、俺はお前だけは許さない!」

 

 その言葉と共にピンクの気がブウの全身を包む。顔には怒りからなのか血管が出ている。

 

「絶対、絶対、ぜーったいにだーっ!」

 

「ちっ!」

 

 悟飯は舌打ちしてピッコロ達の元へ行く。その最中光輝のいた場所に眼を向ければ光輝は居なくなっていた。そして・・・ブウを起点に自爆による大爆発が起きたのだった。

 

 

 

 

 




お疲れ様ですm(*_ _)m。
魔人ブウ編がやたらと駆け足。
そしてアリス&ユージオ初登場。
赤眼・蒼眼さっさとやって倒せば良いのでは?と思う人いるかも知れないですが再生能力持ってる人には奥手だと勝手に思っている。
ゼノバース2じゃ悟飯とブウが戦ってる時ブロリー来るんですがBORUTO編でぶっ倒してるので来ませんでした。
(*´∇`)ノ ではでは~


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地球と元気玉

おはようございます。
魔人ブウ編ファイナルバトル。
ゼノバース2が基本的にベースなのでいきなり元気玉からです


 時の巣に戻ってきた光輝は仙豆を貰い食べた。それにより結構減っていた気とチャクラ、それから蒼眼を使ってた時に起こっていた頭痛がピタッと止んだ。

 仙豆を栽培出来ないかなと今日この頃思っている光輝なのである。それはさておき光輝は先程の悟飯との戦いを思い出し·····

 

「はぁ·····悟飯さん強かったな〜」

 

「のんびり言ってる所悪いがまだ終わった訳じゃないんだのう」

 

「あれ?老界王神様来てたんですか」

 

 と今更な様に気がついた光輝である。それに苦笑いしながら時の界王神が言う。

 

「次の魔人ブウは自制心を失った悪そのもの。1番厄介な存在になっているわ」

 

 自制心がない、か。つまりどんな事もあっさりとやってしまう奴か。例えば地球を「ほいっ!」って感じでぶっ壊すとか。·····俺も考えてる事がいちいちぶっ飛び始めた気がする。

 

「これが最後の戦いになる筈じゃ!頑張るんじゃぞ!」

 

 光輝はその言葉を聞きつつ巻物を手に取る。全員頷いたのを見て深呼吸した後、光に包まれた。

 

 

 ★★★★★

 

 

 光輝の光が晴れれば後ろでは道着が青のインナーとズボンだけになっている悟空が両手を上に上げ、ベジータが悟空を守るように立っていた。

 場所は界王神界·····老界王神や界王神とその付き人が暮らす世界である。そこはあちこちボロボロになってそれが戦いがあった事を示唆している。

 

(元気玉か)

 

 光輝はそう思いながらブウを見る。さっき戦っていた背が高いブウと違って小柄だ。そして案の定紫のオーラを纏っている。

 因みに元気玉とは生きとし生けるものから少しずつ任意で気を分けてもらいそれを球状にして相手にぶつける技だ。光輝がこの技を見るのは悟空とフリーザが戦った歴史の時以来である。

 

「貴様はあの時の·····どうやってここへ·····嫌、この際どうでもいい!ここに来たと言うことは戦いに来たんだろう?時間稼ぎだ、協力しやがれ!」

 

 そう叫びながらベジータは超サイヤ人2に変身し最後に付け加える

 

「期待してるぜ」

 

 ·····時の巣のベジータさんから褒められた事があんまりないから今の言葉ちょっと嬉しかったりする。期待には答えないとな!

 

「はい!はあああああッッ!」

 

 両手を広げ光輝の髪が逆立ち青白い雷鳴が響く。ベジータと同じ超サイヤ人2へと変身したのである。

 

「ホォーーーーッ!ウホウホウホッホホホーーーッ!」

 

 何かゴリラ見たいと思いながら光輝は消えブウの目の前に現れる。しかしブウ特に反応せずゴリラの様な声を上げ続ける。

 

「舐めるなーっ!」

 

 光輝がブウと交戦している最中ベジータは色々あって人々が生き返っている地球の人々へ言う。

 

「聞こえるか、世界の人間ども!」

 

 光輝はブウと乱撃戦しながら耳を澄ませる。それで分かった事

 

(その言い方非常に不味い!)

 

 一応頼む側なのだからもう少し穏やかに言えないのだろうかと思った光輝。そう思っていたら吹き飛ばされる。

 

「ぐ!」

 

 時の界王神の言う通り1番厄介なのが確かなのが分かった。3レベルを解放しながら再び消える。ブウもニタッと笑った瞬間に消える。あちこちでドゴン!と言う音が鳴り響く。

 

「今ある所で魔人ブウと戦っている戦士がいる!だが状況は劣勢だ。そこでお前達の力を借りたい。力を合わせてブウを倒すんだ!」

 

「皆!オラに可能な限り元気分けてくれーっ!頼む!」

 

 ベジータは呼び掛けを悟空に任し光輝の加勢へと向かった。光輝を吹き飛ばしていたブウへと突撃した。ブウは油断していたのかベジータに蹴り飛ばされる。しかし直ぐに止まり何と首を真後ろへ向けた。

 

(ブウの生態って一体どうなってんだろうな)

 

 と光輝はどうでもいい事を思った。ナメック星人以上の再生能力、今ブウがやったみたいに首をありえない方向に向けたり·····言い出したらキリがない。

 その時ブウが悟空の方向を見た。そして悟空の上空にある程度溜まっている元気玉を見た瞬間に消えた

 

「しまった!」

 

(見つかるのが歴史よりも早い!)

 

 光輝は思った瞬間にマーキング付きクナイ出しそれを悟空の目の前にぶん投げる。ブウは悟空の前に来て攻撃しようとしたがすぐ様クナイが飛んできた事に気が付き後退した。

 それと同時に光輝は飛来神を発動しクナイを取ったのと同時にそのクナイに風遁の刃を尖らせ振るう。

 ブウはそれすら華麗に避け、距離をとる。光輝は悟空の前でクナイを直し代わりに背中に双剣が出てくる。何時になっても頼もしい二刀の重さが乗る。

 それと同時に印を結び影分身が出て悟空を守るように立つ

 

「おめぇ魔法使いみたいだな!」

 

 そう少し楽しそうに笑う。光輝はジト目で見ながら呆れた声を出す

 

「そんな事言っている暇あるなら早く元気玉を完成させてください。」

 

 割とブウを止めるのしんどい。さっき戦った無駄な筋肉がなく背が高い方のブウよりも多分強い·····まあ悟飯さんなら勝てそうだけど・・・そう言えば悟飯さん達どこ行った?

 オマケにこのブウ動きが少し読みにくい。

 

「・・・ふぅ〜はぁ〜!」

 

 光輝は自分よりも強いだろう魔人ブウを相手に少し動悸が激しくなった。それを抑える為に深呼吸し悟空へ言う

 

「・・・早くお願いします!」

 

 そう言いながら光輝はブウへと突撃する。

 ブウは

 

「ウホウホッ!」

 

 光輝はブウの目の前へ来て拳を握る。

 ブウも拳を握り光輝の拳とぶつける。少しの間拮抗したが光輝は直ぐに後退する。

 後退した光輝を追おうとブウはしたが横からベジータが割って入った。光輝も直ぐにベジータへ加勢した。

 

「頼む!地球の皆!オラに元気分けてくれ!」

 

 悟空の必死の嘆願を聞いても大概の地球人は反応しなかった。何故なら死んだと思ったらいつの間にか生き返っていたからきっと今までの魔人ブウというのは嘘だったのだろうと勝手に思い始めるからだ。界王神界ではそんな地球人達の一部の声が聞こえる。

 曰く夢だったとか悟空達が魔人ブウの仲間だから騙されるなとか

 光輝は戦闘中だがそれらの酷い言い分に結構イラついてる。それが隙になったのかブウの重い一撃が光輝の腹部に突き刺さる。

 

「グハッ!」

 

「はあああああッ!」

 

 吹き飛ばされた光輝に入れ替わりベジータがブウへと攻撃を仕掛けるがブウは余裕でそれらの攻撃を躱す。そしてベジータの顔面をぶん殴った。ベジータは少しよろけブウはベジータの足を掴み振り回し始めた。

 

「ウホウホ!」

 

 そして勢いよく地面へ投げつける。それだけではなくブウは追撃する。

 しかし追撃される前に光輝が割り込み気弾を投げつける。ブウは爆発に包まれるがそんなのはお構い無しに突き抜ける。

 

「タフ過ぎだろ!」

 

 光輝は思わず叫び右の拳を振り抜く。そこら辺の岩なら簡単に粉砕出来るその拳をブウは真面に受け少し止まる。

 

「はアッ!」

 

 右から左へ回し蹴りを放ちブウは吹き飛んだ。地面へ足を突き刺し後退を止めたブウの目の前には光輝がその二刀に千鳥を宿していた

 

「ウホ?」

 

「シャイン・ビヨンド・ディスペアーッ!」

 

 光輝のオリジナルソードスキル、二刀流16連撃技。嘗て絶剣のユウキや仮面の男に放った超連撃技だ。雷鳴をほとばしらせブウを斬りつけている光輝を見ながらベジータは悟空に叫ぶ

 

「おい!まだなのか!」

 

「これっぽっちじゃブウは倒せねえ!」

 

「分かっている!どいつもこいつも俺の言う事なんか信じないんだ!やい地球人ども!さっさと協力しやがれ!」

 

「なんでだ!何で皆わかってくれないんだよ!!」

 

 

 ★★★★★

 

 

 これが人間なのだ。

 誰かが困っていても手を差し伸べない。

 自分達が危なくなった時初めて危機を感じる。

 そして危機を感じれば例え小さな子供相手でも平気で暴言を吐き罵る、或いは手にかける

 利益さえあれば親すら子に手をかける

 平和なんて所詮ないのだ

 人間が·····欲望にまみれた人間がこの世界・・・いや、どの次元においてもいる限り平和なんて夢のまた夢

 そして·····無能な神共も同罪だ

 何もせずただ見守るのが神だと?

 

 

 

 

 

 

 

ふざけるな!!

 

 

 

 

 

 どんな世界にも·····”光”なんて存在しない

 

 

 あるのは憎しみと絶望、それだけだ

 

 

 俺が全てを変える

 

 

 

 

 

 

 ★★★★★

 

 

 光輝&ベジータVS魔人ブウは熾烈を極める。2人の攻撃はブウに届くことは届くが決定打にならない。再生能力と体力が·····そもそも体力と言う概念があるのか分からない。

 ベジータは体力の消耗をつかれ重い攻撃が腹部に突き刺さる。

 

「ぐはっ·····!!」

 

「ニヒ!」

 

 その攻撃でベジータの金髪が元の黒髪に戻ってしまう。

 

「ベジータさん!」

 

 光輝がブウとベジータの間に割って入り無理矢理気弾をぶつけブウを後退させる。そして悟空をチラ見するがブウを倒すには元気玉の威力がまだ足りない。今の大きさでも十分·····悟空の身長の2、3倍はあるがそれでも足りない。

 そして聞こえてくる地球人達の無関心·····流石の光輝も普通に憤り始めた。

 

(確かにベジータさんみたいに怒鳴りたくなる)

 

 別に褒めたたえてもらいたい訳では無い。笠木の時もヒースクリフの時も·····そしてタイムパトロールの任務も。全部そうする事で俺の大切な人達が戦う事で守れた。手段としては道を外しているのかもしれない。

 分かっている。話し合いで解決出来るのならそうする。その方が平和的なのは分かっている。

 

(だけど···)

 

 話し合いすらも通じない敵がいる。

 笠木は自分以外を下とみなし暴力で世界を支配しようとした

 ヒースクリフはあいつの夢を終わらせる為に

 ターレスは恐らく征服

 ブロリーは破壊と殺戮

 

(悟空さん達も戦って大切な人やものを守って来たんだ)

 

 ピッコロ大魔王、ベジータ、フリーザ、セル、そして目の前にいる魔人ブウ·····どれも俗に言う悪人か悪人だった人達で普通の人にはどうにも出来ない力を持っている。

 そしてそんな奴らを退けてきた悟空達は本来褒め称えられても良いはずなのだ。

 

(まあ悟空さん達は静かに暮らしたいからそれは良い。)

 

 別に悟空達は褒められたいから戦っている訳では無いからそれはいい。ただ邪険にされるいわれは無いはずだ。それなのに·····

 

『魔人ブウの仲間だろ?』

 

『あんなの無視無視!』

 

 分かっている。ここで怒った所で悟空達は望んではいない。だけれども腹の底から湧き上がってくる怒りはどうする事も出来ず光輝はブウへと突撃する。

 何回かのやり取りで漸くブウの動きを読み始める事が出来た。ブウが突き出した拳を手の甲で受け流して膝を勢いよくブウの腹部にぶつけた。

 

「ぎえっ!」

 

 変な声を出しているブウを無視しその顔面を何度も殴る。嵐のような拳がブウのあちこちにめり込ませられる。

 

「オラァ!!」

 

 光輝は叫び最後に勢いよく蹴り飛ばした。ブウは勢いよく地面へ突撃し煙を巻きあがらせながら吹き飛んで言った。

 そしてまた地球人達のイラつく言葉を聞いてブチ切れマークが出てきた時·····

 

「い、いい加減にしないかお前達―――!!」

 

 その怒号を聞いて光輝は思わずその人を見た。そこに居たのは茶色の道着を着て髪はアフロのおじさんと何故か犬がいた。そのうち叫んだのはおじさんの方だ。そう言えばセルとの戦いの場にもいたような気が·····

 

「さっさと協力しないかーーっ!このミスターサタン様の頼みが聞けないのかーっ!俺が魔人ブウを倒してやるから早く力を貸さんかーっ!」

 

 サタン·····悪魔?

 

 という光輝のツッコミはさておいて光輝は確かに感じた。地球から物凄い数の気が放たれて行っているのを。

 因みに3ヶ月前の光輝ならば界王神界から地球の気を感じるのは不可能だったがヤードラット星の修行後感じられるようになった。

 

「ここが正念場だ!」

 

 光輝はそう言い放ち元気玉が大きくなっているのを見つけ阻止しよう突進しているブウを見て印を結んだ。今出せる影分身100人を出し全員で気弾を撃ちまくった。悟空の護衛にいた光輝も混じり最後の全力の足止めをする

 

「ぎゃおーーーっ!」

 

「だりゃりゃりゃ!」

 

 悟空を止めようと動いていたブウを気弾の嵐で無理やり止める。ブウはターゲットを悟空から光輝へ移し片っ端から光輝の分身を消していく。

 

「まだだ!!」

 

 光輝はそれでもブウを悟空の所へ行かせまいと気弾を放ちまくる。質より量の波状攻撃だ。光輝が受ける側なら間違いなく「ズルいだろそれ!」と言いたくなるが今は卑怯もラッキョウもない。

 そして光輝が残り3人になった時、時間稼ぎが実り···

 

「き、来たーっ!」

 

「うわっ!」

 

 悟空が歓喜して叫んだのと同時に残り2人の光輝はけち出され本体の光輝も吹き飛ばされた。そしてブウは地球人とナメック星人の気を限界まで貰った超元気玉を見る。

 光輝も吹き飛びから回復した後その元気玉を見て思わず「マジか」と言ってしまった。その大きさは先程までとは比にならない大きさにまでなっていた。光輝ならば先ず相手にしたくないと思う。

 

「離れてろお前達!行くぞーーっ!!くたばっちまえーーーーーっ!!」

 

 悟空はその言葉と共にブウへその超元気玉を振り下ろし放った。

 

「うわっ!」

 

 光輝はその元気玉の気と風圧に踏ん張る。肌では色んな人達の気を感じ取る事が出来て

 

(人って·····1つになれるんだな)

 

 そう思った。光輝も似たような経験はある。アインクラッドラストボス、ヒースクリフとの戦いの時、魂が具現化したに過ぎないアバター姿の自分の内から湧き出る力を感じた事はある。

 レイン、キリト、アスナ、エギル、クライン···他の真っ当なアインクラッド全生還者の思いが光輝に不思議な力をくれた。

 

 本音を言うのならあの時、俺に何が起こっていたのか今でもよく分かっていない。だけれどもあの時感じた力と人の想いの感覚は忘れる事は無いだろう。

 

 そしてその超元気玉はブウへ到達した。しかしブウはその元気玉を歯を食いしばりながらも両手で受け止めた。質量が半端ないはずの元気玉を受け止めたのだ。本来ならば直ぐにぶち当たり消滅してもいいはずなのにだ。

 

(何でだ!?)

 

 光輝は寸瞬で考え分かった。

 

(悟空さんの気と体力がもう無いんだ!)

 

「くそーっ!行けーっ!行けーっ!」

 

 悟空は自分の力の全てを込めるが押し切れず逆にブウが押し返し始める始末。そして相変わらず強化の証である紫色のオーラをまとったブウはその元気玉を自分の気で悟空に押し返した。

 

「なっ!?」

 

(あんなのくらったら悟空さんは!)

 

 そう思い動こうとするが逆に膝を付いてしまう。それもそうである。先程の影分身達の精神的疲労も受け継いでいるのだから。オマケにブウとの戦いも光輝がばてる要因になってしまったのだ。

 しかしそんな光輝の心配は要らなかった

 

『悟空さん!ポルンガの3つ目の願いで悟空さんの気が元に戻ったでしょ!?』

 

 それはナメック星にいる地球の神···デンデからのテレパシーだった。それを聞いた悟空は確かに自分の気が戻っている事に気が付き押され返されている元気玉を前にして二っと笑う

 

「サンキュー、ドラゴンボール」

 

 その言葉と共に超サイヤ人へと変身し迫ってきていた元気玉の主導権を再び握った。元気玉をまたブウへ向け押し返したのだ。

 

「はあああああ!!」

 

(·····これでタイムパトロール終了···かな?)

 

 魔人ブウがあの元気玉と拮抗出来るとは思えなかった。例えシーラス達の強化を受けていたとしてもである。事実今は元気玉は受け止めるのが精一杯でいつ消滅しても可笑しくないと思う。だから光輝が帰ろうとした時

 

「ウギャオオオオオオ!!」

 

 ブウがいきなり叫び出し先程よりも更に濃い紫色のオーラに包まれた。

 

「何っ!?」

 

 それに伴って元気玉が徐々に、徐々に押され返され始めた。悟空もそれに気が付き再び気を込める。それによって再び拮抗に入る。

 

(こいつ·····まさか!)

 

 光輝がそれに気がついて辺りを見渡した。そして見つけた。界王神界の上空にシーラスがいるのを。そしてシーラスの手がブウに向けられている。ブウが再びパワーをあげた事を考えると

 

(ブロリーにやったやつか!)

 

 光輝がシーラスの所に行こうとすればシーラスは光輝に気が付き不敵な笑みを浮かべて消えた。気を探ってもいない。つまりこの歴史から退散したという事。厄介な置き土産を残してだ。

 

(命と引き換えのパワーアップ、このままじゃ沸点が高いブウが競り勝っちまう!)

 

 ·····だけど···シーラスが魔人ブウを見る目が何か·····苛立ちか悲しみの様に見えたのは俺の気の所為だろうか?

 

 光輝はその考えを振り払い、寸瞬で考え助けに行こうとするが元気玉の圧力が半端なく近づけない。

 そこで少し考え余り気は進まないが覚悟を決めた。自分の剣を取り出し気を流し込みながら地面へ突き刺し叫ぶ

 

エンハンス・アーマネント!!

 

 そう叫んだら氷と氷の蔓が地面から勢いよく出てきて元気玉を押さえているブウへ行く。

 そしてブウを拘束し始める。

 

「ギ?」

 

 ブウはそんな声を出すが命を削り始めているのと武装完全支配術によってブウの気が空中に散り始めていく。ブウは氷が邪魔をしている事に気が付きぶっ壊そうとするが気を抜けば一瞬で元気玉に、でもそうしなければ気を永遠と取られる。

 しかしやろうと思えば一瞬で氷をぶっ壊すのは出来るから光輝は直ぐにもう1つの剣を掲げる

 

「エンハンス・アーマネント!!」

 

 ブウから出てきた気を剣に吸収、煉獄の炎の様な気に変換され光輝を包む。気が回復した事を瞬時に感じた光輝はブウから回収した気を悟空にぶん投げた。

 

「ウギャギャ!!」

 

 悟空のパワーが上がったのとほぼ同時にブウは氷の拘束をぶち破った。しかし光輝の武装完全支配術によって元々削られていた命の減少が更に加速し始めていた。それに伴いブウの気も下がってパワーが下がっていき···

 

「悟空さん!今です!」

 

 光輝の言葉に悟空は頷き一気にブウを押し返した。

 

「はあああああああッッ!」

 

 ブウにはもう抵抗する力はない。そんなブウに向けて悟空は最後の言葉を言う

 

「おめえはすげぇよ。よく頑張った、たった1人で。」

 

 魔人ブウはビビディが作った存在だが仲間がいた訳では無い。つまり本当に1人で何人もの超戦士達と激突してきたのだ。確かによくよく考えれば凄い事だなと光輝は聞いてて思った。

 

「今度は良い奴に生まれ変われよ。1VS1で勝負してぇ、待ってるからな。オラももっともっと腕を上げて···」

 

 そう言う頃には悟空は既に元気玉を片手で抑えていた。そして左手の人差し指と中指を自分の額に添えて言った

 

「···またな」

 

 その瞬間悟空は元気玉を更に膨れさせた。そして···

 

「はあああああぁぁ!!!」

 

 界王神界が青色の光で包まれた時、光輝は時の巣に帰ったのだった。

 

 

 




お疲れさまです。
次で魔人ブウ編最後です。短いので直ぐに出します。(*´∇`)ノ ではでは~


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シーラスの過去

おはようございますm(*_ _)m
クソ短いです。⊂('ω'⊂ )))Σ≡GO!!


 光輝はくたくたで時の巣に戻ってきて尻もちをついた。今日だけでも歴史の改変を2回止めに行ったのだ。オマケにどちらも魔人ブウが相手と言う中々のハードスケジュールだ。こうなっても不思議ではない。

 

「疲れた」

 

 一言それだけを言う。仙豆で身体的に回復は出来ても精神的なものは回復出来ないのだから仕方がない。分かりやすく言えばキリト達がアインクラッドのボス戦を2回連続するようなものだ。

 そんな光輝に時の界王神は微笑みながら言った

 

「お疲れ様、最後はナイスアシストだったわね。」

 

「まあアシストはSAOの頃から慣れてますから」

 

 そう言いつつ刻蔵庫の天井を見上げる。そこには眩しいライトがあって刻蔵庫を照らす。そして気になった事があり光輝は聞いた

 

「···そう言えば·····シーラスが魔人ブウをやたらと見ていたんですが···」

 

 光輝はシーラスについては少ししか知らない。元々は悟空達の世界の銀河パトロール隊員、その後時の界王神の推薦により初代タイムパトローラーになった。そして何故か時の狭間と呼ばれる所に閉じ込められたと言う事しか。

 時の界王神はそれを聞き

 

「そうね···そろそろ話しとこうかしら」

 

 時の界王神にとっても辛い思い出なのだろう。しかし長年経っても協力してくれている光輝に敬意を表しと言う風に言い始めた。

 

「シーラスが初代タイムパトローラーって言うのは知っているわよね?」

 

 その言葉に光輝は頷く。

 

「シーラスは全ての悪を消し去るって信念を持っていたの。それを貫くだけの正義と強さも持っているわ」

 

 光輝とブロリーの攻撃をあっさりと逸らしたのがそれだ。あの時は光輝も普通に驚いた。悟飯に負けてた所しか見てなかったからあれだけ強いとは思わなかった。

 

「タイムパトローラーとして働いてたある日、シーラスはさっき光輝君が戦っていた魔人ブウが暴れる星に行った事があったの。」

 

 ···それがシーラスの何とも言えない視線だったのか。

 

「その時、ブウに殺されかけた子供を助けたの。私の静止を振り切ってね。」

 

 シーラスは帰ってきた後、時の界王神にこっぴどく怒られたがその持ち前の正義感故に聞き入れる事は無かった。

 そしてその証明としてシーラスが行った歴史を終りと始まりの書を見た。自分が正しいと示す為にだ。だが···

 

「その子供は星ごと魔人ブウにぶっ壊された···ですか」

 

「ええ」

 

 歴史を変えられる立場にいながら守れたはずのものを守れなかった。

 光輝は少し暗くなる。自分も似た様な事があったからだ。言うまでもなく未来の悟飯の時だ。

 そしてシーラスが感じた重責や悔根が元々持っていた正義感を歪め暴走させ「この世から悪を排除する」と言うめちゃ極端な考えになったのだ

 

「で、終りと始まりの書を全部消し去ろうとして」

 

「私が時の狭間に幽閉したのよ」

 

 終りと始まりの書を消せば全ての歴史が消える。キリト達がいる世界もナルト達がいる世界も、他にもめちゃくちゃある世界が消えるのだ。

 

 確かに極端すぎるな。そりゃあ悪人なんてどんな世界にもいるだろう。ぶっちゃけゼロにするにはそれ位しないとはいけないのかもしれない。

 だけどそれ普通に良い人達も消えるし何なら平然と人殺しするって言ってるようなもんじゃん。その悪人と同じ様な事をしようとしたって気づいてるのか?

 

「···そうだったんですか。」

 

 だけど·····消した後はどうするつもりだったんだろうか?

 

 

 

 ★★★★★

 

 

 

 シーラス達のアジトにてシーラスの目の前には仮面の男が膝を着いて息を切らしていた。

 

「どうした?それではあの小僧には勝てないぞ?」

 

「黙れ!」

 

 そう吠え消える。次の瞬間にはシーラスの後ろにいたがシーラスは右手にある棒を回転させ男の顔面にぶつける。

 

「ぐっ!」

 

 怯んだ隙をつきシーラスは左の拳を男へ突き刺す。その一撃は先程光輝が戦っていた魔人ブウにならばダメージが普通に通る程の一撃だ。あの歴史の悟空やベジータ、光輝すらダメージを与えられるのは至難だったと言うのにシーラスはナチュラルにそんな一撃を放つ。

 

「がハッ···!」

 

 そんな一撃に魔人ブウどころか光輝にすら及ばない男が耐えられるはずも無くバタッと意識を手放し倒れた。

 2人がやっているのは見ての通り修行だ。シーラスが師匠で男が弟子だ。ただし様子は同じ師弟のボルトとサスケよりも緊迫している。

 そんなシーラス達へ笠木は解放された!と言う顔で言う

 

「おい!俺はもう帰りたいんだが?」

 

 そんな笠木はパッと見はとても身軽だ。しかし内に秘めるパワーは光輝と2回目に戦った時とは比べ物にならない。笠木自身その力に酔っているのか笑いが止まっていない。

 

「ああ。約束だからな。準備は良いのか?」

 

 約4年間力を貸してくれた事にはシーラスは真面目に感謝している。悪人を仲間に入れるのは気は進まなかったが目的の為にはしょうがないと割り切った。笠木はシーラスの言葉に

 

「当然!あとこいつらも貰っていくぜ?」

 

 そう言って手にホイポイカプセルが5個出す。シーラスはうなずく。

 

「良いだろう。但し送った後、我々の共同戦線は終わりだ」

 

「そりゃあ願ってもないね。こんな狭い所で女の1人もいない研究なんて暇で暇でしょうがない」

 

 笠木はそう言ってシーラスの後ろに周り手を肩に置く。シーラスは笠木の手を感じると目の前に次元の穴を開け飛び込んだ。

 

(今度こそ···俺が世界を支配する!)

 

 そう変わりなき野望と欲望を胸に秘め次元の穴を通るのだった

 

 

 




お疲れ様ですm(*_ _)m
シーラスの過去はワールドミッションと一緒。違うのはアムズがいない事だけ。
(*´∇`)ノ ではでは~


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帰還の英雄編
平和


おはようございますm(*_ _)m。
新章開幕です。但しラスボスは今までのラスボスで1番弱いです笑。
⊂('ω'⊂ )))Σ≡GO!!


 光の勇者さんについて語り合うスレ

 

 

1:名無しさん

 スレ立て乙〜

 

2:名無しさん

 乙

 

3:名無しさん

 тндйк уoц(・´ω`・人)vёгу мцсн☆

 

4:名無しさん

 いや読みにくいな!

 

5:名無しさん

 唐突に筆記体変えんな笑

 

6:名無しさん

 いやー永遠と話題がループするなぁ光輝君は

 

7:名無しさん

 まあそれはしょうがない。目新しいニュースなんて5年前から何一つ無いから。·····身体能力は語っても語っても語り足りない気もするけどな

 

8:名無しさん

(╭☞•́⍛•̀)╭☞それな

 

9:名無しさん

 未だに光輝君のあの強さの秘密が意味分からん。8歳で強すぎるだろ。ぶっちゃけ同い年の悟空なら普通に勝てるんじゃないか説あるぞ。

 

10:名無しさん

 2次元と3次元を比べてもしょうがない気もするけど本当にありそうで怖い

 

11:名無しさん

 そして5年経っても笠木の技術に追いつけないという

 

12:名無しさん

 あー生体エネルギー吸収ナイフやら神精樹の実みたいなリンゴの事か·····ぶっちゃけ出来ない方が平和で良いと思うんだけど

 

13:名無しさん

 確かに笑、あんなおっかないの作らんでええわ。そのおっかないのを吸収した奴と普通に張り合った光輝君とは(戦慄)

 

14:名無しさん

 頭おかしいよな〜大きくなったら武道系のスポーツ選手になったら絶対稼げたよな。

 

15:名無しさん

 剣道でもいけたんじゃね?あの決戦の後に知られた事やけど光輝君の剣での本気って二刀流なんやろ?というより何で二刀流が本気なんだ?

 

16:名無しさん

 そう言えば何でやろうな?二刀流と言えば俺の中では光輝君よりキリトやわ〜

 

17:名無しさん

 光輝君が二刀流を使っている所は実際見られてないからそうなるよな。俺もそう()

 

18:名無しさん

 もう少しでソードアート・オンラインの2期が始まるとか今から楽しみすぎて寝れねえぜ

 

19:名無しさん

 いや寝ろよ

 

20:名無しさん

( ´∀`)ハハハ

 

21:名無しさん

 ヾ(´∀`*)ナァナァ、5年経ったけど光輝君の他にも眼が赤色蒼色になった人って出たん?

 

22:名無しさん

 特にそう言うニュースは無いな。あの眼本当に不思議でしょうがない。光輝君の保護者の医者から何も情報出ないからな。

 

23:名無しさん

 養子じゃないとしても息子として育てた光輝君の情報をそう簡単に明かすか普通

 

24:名無しさん

 それもそうだけどやっぱり気になるやろ?眼の色を自在に変えるとかお前らだって1回は憧れた事あるだろ?

 

25:名無しさん

 否定はしない。しないけど光輝君がなったタイミングを考えると完全に家族の人達が亡くなった時にしか考えられないんだよなぁ

 

26:名無しさん

 つまり俺達が想像出来ないくらい悲しみか怒りか憎しみかの感情がないとなれないかもしれないという

 

27:名無しさん

 やっぱり良いです(掌返し)

 

28:名無しさん

 何か皆さん普通に言っちゃってるけど光輝君って生きてたら俺と同い年だから君付けって何か変(個人の意見)

 

29:名無しさん

 そっか〜光輝君生きてたらもう13か14か〜

 

30:名無しさん

 生きてたらの話だがな。まあ流石にもう死んでるだろ

 

31:名無しさん

 そんな不謹慎な事言うなよ(`‐ω‐´)

 

32:名無しさん

 事実を言っただけ。お前らだってもう程度は違えど死んでるって思ってるんだろ?それをストレートに言っただけ。何が悪いの?

 

33:名無しさん

 例えそうでも言っていい事と悪い事があるだろ。もし光輝君を引き取った家族の人達が見てたらどうするんだよ

 

34:名無しさん

 何言ってんの笑。お前らも大概だろ。光輝君を餌に永遠と光輝君について話し合うお前らも同罪。自分達は良くて俺は成敗するって都合良すぎだろ笑

 

35:蒼の少女

 光輝は生きてる!!

 

36:名無しさん

 うわぁーまだいたんだ。光輝君が生きてるって言う人。

 

37:名無しさん

 俺が言うのもあれなんやけど光輝君が生きてる可能性もう無いよ

 だって渋谷を探しても探しても肉片1つ見つからないんだから

 

38:蒼の少女

 光輝は絶対生きてるもん!!光輝はうんと強くなって帰ってくるよ!

 

39:名無しさん

 あ〜盲目的に光輝君のファンになった人かな?確かに光輝君=英雄みたいになってるし実際そうだしね。でも客観的事実が生存確率をゼロにしてるから諦めな。

 

40:名無しさん

 まあ光輝君のファンって普通にいるらしいからな···

 

41:名無しさん

 命を懸けて平和を守ったって言う事が何かの火についたらしい。本人は亡くなっている確率の方が高いから何とも言えないけど

 

42:名無しさん

 と言うより蒼の少女さん、だったら光輝君が生きてる証拠でも見せてくれたら良いよ。見せられるものならな笑

 

43:蒼の少女

 それは·····出来ません。光輝が望んでいないから

 

44:名無しさん

 あんだけ言っておいて証拠見せれないって舐めてんのかお前?

 

45:蒼の少女

 でも絶対生きてるもん!

 

46:名無しさん

 じゃああと10日で生存を確認出来なかったら個人情報公開しろよ笑

 

47:名無しさん

 いや、そこまで要らないだろ。お前の方がタチ悪い

 

48:名無しさん

 本当にな。生きてるかはさておいて会ったこともない人間にそこまで言う神経が意味わからない。名前的に美少女を想像してしまうから知りたい気持ちはあるけど(すいません)

 

49:蒼の少女

 光輝は···生きてるもん

 

 

 

 ★★★★★

 

 

 ジリジリと日差しが都会に刺さる。地球温暖化の影響で年々気温がほんの少しずつ上がってきているがそれらは最早どうしようもなくなない?と思っている人が大半である。そんなジリジリの太陽の下を飛んでいた飛行機が日本の成田空港に到着する。

 そして搭乗口にて3人の家族が出てきてこれまた3人の家族が迎えた

 

「お姉ちゃん!!」

 

 ぴょんぴょん跳ねて手を振っている少女に気が付き特徴的な髪と眼を持っている少女·····愛美は小走りする。少女·····咲良も走り2人は抱き合った。

 

「久しぶり、咲良ちゃん!」

 

「うん!」

 

 そんな娘同士の会話が繰り広げられている中それぞれの両親は挨拶する。

 

「どうも櫂さん。今回はありがとうございます。」

 

「いえいえ、咲良も悲しんでしまいますからお互い様です。」

 

 光輝がBORUTOの世界から帰ってきてた3ヶ月前、同時期に愛美達は3ヶ月の今日、日本に行くと言っていて今日がその日なのだ

 と言うのも今回、愛美は櫂の家にお泊まりするからだ。愛美の両親は父親の実家の方で寝泊まりするのだが咲良がゴネて愛美は櫂の家でとなったのだ。

 娘達を見ると姉妹と言われても通用する絵面だ。光輝と言う共通点があるのも仲が良くなった要因の1つだろう。

 

「それでは行きましょうか。お話なら車で」

 

「はーい!」

 

 と咲良は愛美が来たからかご機嫌で返事をした。一行は櫂の車に向かい乗った後、取り敢えず櫂の家へ向かう。

 櫂は今日は休みが奇跡的に取れた。

 車の中では愛美が櫂達に送られた2つ目の手紙を見ていた

 

『櫂さん、楓さん、それに咲良へ

 3年間音沙汰無しでごめんなさい。修行とか勉強とタイムパトロールが思いの外忙しく手紙を書く暇が無かったのです。特に社畜という訳じゃないので安心してください。取り敢えず本題として、結論から言うのなら笠木は生きています。ただ、どこにいるのかはまだ分かっていません。

 だけどあいつの目的が世界征服って言うのが変わってなければ必ずそっちの世界に帰る筈です。その時俺も帰るつもりですが警戒だけは一応しておいて下さい。

 2つ目、個人的な用ですが全部の戦いが終わったら櫂さんに手伝って貰いたい事があります。メデュキボイドVer.2.0って言う医療用フルダイブマシンの相談に乗ってくれたら嬉しいです。

 では、また連絡します。お元気で』

 

 一通り読み終えた後愛美はため息をつく。書いてある事が一々ぶっ飛んでいて疲れた。ただでさえ飛行機に10時間以上乗った後なのだ。こうなるのはある意味必然だ。

 そんな愛美の頭を咲良がポンポンと叩く

 

「大丈夫?」

 

「うん。ありがとう。」

 

「もうお兄ちゃんも早く帰ったら良いのに!」

 

 そうプンスカ怒っている咲良の頭を今度は愛美が撫でる。そうすると今度は咲良がへにゃあと笑う。一人っ子の愛美にとって咲良は妹の様な存在で咲良にとっても愛美は姉の様な存在だろう。

 

「テレビでもつけます?」

 

「あ、お願いします。」

 

 流石に何時までも話題がある訳では無いので櫂が気を利かせ聞いて来た。返事に櫂はテレビをつけ何か無いかなと思ってニュース番組の中では櫂が一番推している生放送のニュース番組にした。アメリカのニュース番組ばっかり見ていた愛美の家族は懐かしそうな顔になっていた。アメリカと違い日本語オンリーのニュースは本当に日本に来た事を示している。

 ···まあ愛美は最早日本で過ごした年月よりアメリカで過ごした年月の方が長いのだが

 

「ねぇねぇ!アメリカは日本と違う〜?」

 

 この年頃はニュースはあんまり興味無いのか咲良は愛美に聞く。愛美は少し考え言った

 

「うん。結構違うと思うよ。先ず言語が違うし文化も違う。それから場所によって違うけど中学校に入るタイミングも違うかな。」

 

「お姉ちゃんは英語で授業受けてるの?」

 

「うん。学校じゃずっと英語だね」

 

「凄いなぁ、私英語で会話なんて出来ないよ」

 

 咲良の年齢は笠木との決戦に向かった時の光輝と同い年、つまり8歳だ。

 咲良自身は櫂達が英語は出来ていた方が良いという事で触ってはいるがアメリカの学校を四六時中英語で過ごしている愛美には到底敵わない。まあ8歳の光輝と比べたら英語は出来る方だが。咲良の英語の目標は愛美で必然的にハードルが高くなる。

 そんな会話をしていたら楓がサラッと聞いた

 

「愛美ちゃんは誰かから告白された事あるの?」

 

「え!?」

 

 と愛美は変な声を出した。そして直ぐに微妙な顔になり返事した

 

「あるにはあります。·····5人くらい」

 

「え?そんなに?」

 

 と楓は聞いといてあれだがその告白人数に普通に驚いた。

 確かに愛美はその特徴的な髪と眼に向きがちだがそれを含めた容姿もモテるだろうなぁと誰にも思わせる程である。でも中学生からそんなに告白されていたとは思わなかったのだ。

 ·····まあ日本よりも性教育が進んでいるというのももしかしたらあるのかもしれない。愛美自身知識としては一応知ってる。

 

「はい。でも全員断りました。」

 

「うわぁバッサリね」

 

「私がアメリカに来た時さんざん髪とか眼をバカにしてきたのに告白何て虫がいい話です。助ける事すらしてくれなかった人達も同罪です。」

 

 愛美はアメリカに行った後も特徴的な容姿のせいで割と理不尽な目にあってきた。その理不尽は歳を重ねるごとに無くなって行ったがやはり辛いものは辛い。今では何人か仲のいい友達がいるが当時はアニメや漫画に熱中することで誤魔化していた。

 

「光輝だけですから、私を助けてくれたのは」

 

 そう少し窓の景色を見ながら言った愛美。その恋焦がれる姿はどこか幻想的でもあった。

 そんな愛美は何か空に不思議なものを見た気がして目を細めた

 

「お姉ちゃんどうしたの?」

 

 愛美の隣に座っている咲良が不思議そうな顔で愛美に聞いたが愛美はずっと空を見ていて5秒程経った時気づいて返事した

 

「え、あっ、うん。何か嫌なもの見た気がして…」

 

「嫌なもの?」

 

 愛美の母親が怪訝なものを見る目で愛美を見る。今やアメリカの方に長く住んでいる愛美が日本で嫌なものを見るとはどういう事だ?となったのだ。愛美も自分が変な事を言った自覚があるのか首を振って

 

「ごめん、やっぱり何でもない」

 

 そう言って咲良に向き今日本で流行っている歌を一緒に歌い始める。テレビの音と混ざっているからか櫂がテレビを消そうとした時、テレビの中からとてつもない轟音が響き渡った。櫂は危うくハンドルを切りかけたが何とか体勢を取り直し丁度路肩があったので急遽止めた

 

「な、何だ?」

 

 愛美の父親·····弘樹(ひろき)が思わずというふうに言った。何故なら先程までつけていたニュース番組の撮影現場は唐突の轟音と何と床がぶち抜けていた。そんな世間的に有り得るはずがない現象が唐突に起きてテレビの中は緊急事態に騒いでる人達ばかりだ。

 愛美と咲良、愛美の母親の美咲に楓も車の小さいテレビを見る。そして愛美の嫌な予感が当たっていたことを知ってしまった。   

 

「全世界の低能な皆様、お待たせしました」

 

 その言葉を聞いただけでその声を間近で聞いたことのある愛美の背筋が凍る。どこかねっとりとした声、自分を殺そうとナイフを振り上げた姿。忘れようとする度に動悸が早くなったあの声は忘れようにも忘れられない。勿論、良い意味ではなく悪い意味でだ。逆に良い意味があるのなら聞いてみたい。愛美は拒絶反応の如く眼を閉じるが意味は意味はなかった。 

 

「笠木理玖、世界を支配する為に今一度顕現した!」

 

 その名を聞き愛美はビクッとした後恐る恐る眼を開けた。そしてテレビ局の人達の悲鳴、喧騒と共にテレビ画面に出ていたのは四年前のあの日から容姿も何も変わっていない世紀の連続殺人犯にして光輝のある意味の宿敵、笠木だった。愛美は無意識に呟いた。

 

「本当に・・・生きてたなんて」

 

 光輝の情報が嘘だったとは思っていない。だが、半信半疑だったのは確かだった。自分達の認識が甘すぎたことをたった今痛感した。

 愛美の心臓の鼓動がどうしようもなく早くなる。当然だ。愛美は事実として殺されかけたのだから。寧ろ今パニックにならない方が凄い。

 

「今この番組を見ている人は驚いただろうね。実を言うと僕自身生きていられたのは驚いているんだ」

 

 不謹慎だが今このニュース番組の視聴率は半端なく上がっていることだろう。但し全く嬉しくない方法で。櫂は愛美のために一旦テレビを消そうとするが

 

「大丈夫・・です。付けたままで」

 

 少し過呼吸になりかけているがそう返す。櫂は本来ならば医師として気にしなと駄目だが笠木の動向も知らなければならない。

 

「さて、僕は折角戻って来たんだ、今度こそ世界を支配する。今回はその宣戦布告というわけだ!」

 

 この時点で、5年前のあの日を知っている人々は絶望か或いは少し理解不能みたいな感情になっていることだろう。愛美も何も知らないままだったら恐らくなっていた。

 

「だけど僕が簡単に勝ったらつまらない。というわけであの四年前と同じようにゲームをしようじゃないか!ただルールは少し違う、今回は光輝君が無様に死んでるからね、戦うやつは指定しない。死にたがりの奴からかかってくるがいい」

 

 その言葉に愛美は疑問符を出した。今の言葉通り捉えるのならば笠木は光輝の生存を知らないことになる。光輝は笠木の生存を知っていたのにだ。…考えても分からないから思考を捨てた。内心では早く光輝帰ってきてとなっている。しかし…これだけでは無かった

 

「それだけではない、今回は団体戦だ。アメリカ、中国、イギリス、フランス、ロシア、そして僕がいる日本!各地に強敵を送るから低能な君たちはその強敵を倒せば君たちの勝ちだ。シンプルだろう?」

 

 つまり笠木のいる日本の他にも敵を送るから笠木を含めたその敵たちを倒せば人類チームの勝ちということ。逆に人類チームが負ければその敵たちが人類を殺戮、或いは笠木の奴隷になるというわけだ。そんな拒否権のない言い分に世界の大概は怒り心頭か諦めかけるだろう。普通ならばそんな馬鹿なと言いたくなるがそれが出来ない実績が笠木にはあった。

 

「あー因みに今の僕の力は四年前のあの日から比べ物にならない程パワーアップをした。あの時の光輝君程度ならば一瞬で百人は殺せる」

 

 そう言いながら笠木はニューススタジオの壁に手を向けた。そして笠木がニヤッとした瞬間に画面が光に包まれた

 

 

 

 




お疲れ様です。
ネット掲示板&日常回
蒼の少女って誰だろうな〜(すっとぼけ)
そして笠木本格的に再登場。小物臭が究極進化してます。
(*´∇`)ノ ではでは~


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遍く絶望

おはようございます。
4日連続投稿。
ボルスミ書こうと書こうしているけどこっちの方が手が動いてしまうのは何故だろうか。
では暇つぶしにどうぞ。

追記
4年目→5年目に変更しました


1:名無しさん

 スレ立て乙

 

2:名無しさん

 お疲れ様です

 

3:名無しさん

 THANKS

 

4:名無しさん

 さて、人類は5年前以上の危機に陥っている訳ですが

 

5:名無しさん

 そんなに冷静に言うなよ:(´◦ω◦`):ガクブル

 

6:名無しさん

 俺達が慌ててもなぁ·····勝てる人、或いは兵器ある?と言うより兵器当たる?

 

7:名無しさん

 無理やろうなぁ(諦め)

 5年前の時点でアメリカワシントン崩壊やろ?それも軍事力真っ向からねじ伏せて。光輝君が普通に張り合ってたから忘れがちやけど素でもあれやったからなぁ

 

8:名無しさん

 光輝君を失った今笠木に勝てる奴いるのか?確かに光輝君の1件から格闘系の奴の実力はどの国も上がってきている。多分光輝君に影響されたんやろ。でも世界大会の出場者を見ていてもあの時の光輝にも勝てなさげだからなぁ

 

9:名無しさん

 笠木の言った当時の光輝君なら一瞬で100人殺せる宣言ってはったりかな?

 

10:名無しさん

 あいつはったり言う人間には見えないからな。多分悲しい事に本当じゃない?事実テレビ局から笠木が放った気功波っぽい奴空中で大爆発してたけど5年前以上の威力を平気で出してたからな。あれが東京のど真ん中の地面にに発射されたら·····

 

11:名無しさん

 爆発俺も生で見たけど風圧えぐかった。俺一人暮らししてるんだけどあの爆発で窓に罅が入ったからな。

 

12:名無しさん

 大阪住まいのワイ。マジか?

 

13:名無しさん

 マジ。俺も東京の実家暮らしやけど場所が近い方だったからか窓割れた

 

14:名無しさん

 何その絶望的な展開·····俺も他人事じゃないんだけど

 

15:名無しさん

 と言うより何であんなに強くなってんだよ!前は確かに原宿辺りの建物は最悪倒壊とか地面割れかけとかにはなったけど範囲はそんなにやったやろ?

 

16:名無しさん

 いやあれは光輝君が空中で笠木に無理矢理ぶつけたからあの程度で済んだんやで?直接地面になんかぶつけられたらもっとヤバかった。笠木が言った通り東京は終わっていたかもしれないで?

 

17:名無しさん

 ·····光輝君も生きてる可能性無いかな?

 

18:名無しさん

 確かに

 

19:名無しさん

 どの道対抗出来るの光輝君だけだよなぁ·····笠木のがはったりじゃないのなら光輝君が勝てるビジョン浮かばないけど。

 

20:名無しさん

 決戦は明日、日本時間朝10時に開戦って·····前回ナイフ折りの練習されたからか期限もめちゃくちゃ早くなってる。と言うより外見ると東京から離れている人がめちゃくちゃいる

 

21:名無しさん

 だろうな。俺も今は休憩中だけど防空壕的な奴を作ってるぜ。奴隷何てなりたくないからな。

 

22:名無しさん

 俺も入れてくれ

 

23:名無しさん

 やだよ。家族のスペースしかねえよ。

 

24:名無しさん

 日本国民全員で笠木に殴り込みに行ったら勝てるんじゃないか説

 

25:名無しさん

 あの気功波っぽい奴で全員速攻死亡。かと言って兵器は4年前の時点で無理なのが確定している。出来るだけ遠くに行って隠れる方が無難。それか自殺するかやな

 

26:名無しさん

 自殺するなと言いたいが今回ばかりは真面目にしたくなる。と言うよりこのままでは全員植民地になるのが確定なんですが。それに今回はそれだけが問題じゃないと言う。

 

27:名無しさん

 そうなんだよなぁ·····アメリカ、中国、イギリス、フランス、ロシアにも笠木の味方が送られるんやろ?どんだけ強いのか知らないけど笠木がにやにやしていた時点でもう嫌な予感しかない。

 

28:名無しさん

 というか誰だよあんな外道の味方する奴って

 

29:名無しさん

 人の風上にもおけないやつに協力とかガチでふざけてる

 

30:名無しさん

 ·····ていうより笠木はどうやって生き残ったんだ?

 

31:名無しさん

( ゚∀ ゚)ハッ!

 

32:名無しさん

 確かに

 

33:名無しさん

 肉片も何も無かったのに何で生きてるんだ?つーか笠木昔のまんま過ぎるよな。

 

34:名無しさん

 でも光輝君の事は覚えてるからあの時の笠木やろ?·····俺10歳位だったけど

 

35:名無しさん

 時間が経つのは早いな〜

 

36:名無しさん

 現実逃避するな·····ワイもしたいけど

 

37:名無しさん

 つーか政府はどうするんだ?自衛隊とか引っ張って迎え撃つの?

 

38:名無しさん

 いやそれが不思議なけどんやけどさ、確かに自衛隊は引っ張られてるんだけど数はそんなになんだよ。

 

39:名無しさん

 それはあれじゃない?どうせ勝てないから少なくていいや的なやつじゃない?…引っ張られた人達はご愁傷様としか言いようがないけど。というかお前らどうするんだ?逃げるん?

 

40:名無しさん

 死にたくもないし奴隷にもなりたくないので家族と逃げる。

 

41:名無しさん

 頑張って逃げてくれ。成功を祈ってるよ。

 

42:名無しさん

 俺は逃げることも立ち向かうこともせず家にいる。逃げても逃げ切れる気がしない。5年前だって真面目にやばかったし何なら今回のほうがもっとやばいからな?

 

43:名無しさん

 …前に蒼の少女って名前で光輝くんが生きてるって主張してた人いたけど何で生きてるって言いっきったのかな?

 

44:名無しさん

 確かに。笠木は光輝君が死んだって言ってたけど笠木がそう思ってるだけかもしれないし

 

45:名無しさん

 あんなのただのファンの戯言だろ。証拠も出せないんだからwww

 

46:名無しさん

 あっ、君あのときの人かな?よく思い出してみて。確かに証拠は出してなかったけど「ない」とは一言も言ってなかったよ。今回笠木が生きてたんだから光輝君だって生きている可能性あるよ。というよりあってほしい。…あのとき蒼の少女って人証拠を出すのは光輝君が望んでいないって言ってたな

 

47:名無しさん

 もし生きてるんなら今度は何で報道されないんだ?って問題出てくるけどな

 

48:名無しさん

 取り敢えず皆最後の晩餐かもしれないからなんか旨いもん食えよ。俺も最後かもしれないから豪華な晩餐にするぜ・・・独り身だけどな!

 

49:名無しさん

 涙吹けよ

 

 

 

 ★★★★★

 

 

 櫂家に向かう途中で笠木の二回目の世界征服宣言の後、一行は櫂の家まで戻ってきた。櫂は帰ってきた後、病院にすぐに呼ばれ向かった。笠木の宣告のせいで自殺未遂をする人達がいて人手が足りなくなって休みの櫂も行くことになったのだ。愛美は笠木のせいで起こった過呼吸がようやく収まり落ち着きを取り戻した。

 そしてネットで他の人達の反応をみたところ3種類の人間がいた。

 1種類目はパニックの人達

 2種類目は落ち着いて東京から離れる、或いはドスンと構える人達

 そして3種類目は落ち着いて且つ光輝の生存を信じる人達。笠木が生きてるんだから光輝も・・ということだ

 

「光輝…早く」

 

 愛美はそう祈る。神様がこの世界にいるのか分からないがただ祈った。その時櫂家の固定電話が鳴り響き楓が急いで取ったところ相手は光定だった。挨拶もそこそこに光輝が帰ったかと聞くが返事はノーだ。

 日本の対策としては光輝が早急に帰って来る事を祈り全力で時間稼ぎする為の装備になっている。·····意味があるのか全く分からないが。

 

「お姉ちゃん・・・」

 

 そう不安そうな声を出したのは咲良だ。咲良は笠木に関しては当時の事は殆ど覚えていない。だからこそ不安げな表情をする。

 愛美はスマートフォンをテーブルに置き咲良を抱きしめる。そして安心させる様に頭を撫でながら言う

 

「大丈夫。この世界は滅んだりしない。絶対に」

 

「·····うん。お兄ちゃんがバーンッ!って倒してくれるよね。」

 

「うん。」

 

 そう、愛美が言った言葉は本音だ。この世界は滅びない。愛美を照らしてくれた光がいる事を知っているからだ。

 

 

 ★★★★★

 

 

 翌日、なんと言う度胸なのだろうか。まさか日本の決戦の舞台である原宿にテレビのクルーが行っている。最後の撮影になるかもしれないのにだ。関係ないが愛美はドラゴンボールのセルゲームのカメラマン達を思い出していた。前までなら愛美もフィクションと思っていたが今は実感はあまり湧かないが本当に存在すると思っている。

 そのクルー達は笠木を取り囲んでいる自衛隊の人達に追い出されそうになったが「どこにいても一緒!」という言葉で押し通し今はパッと見結構な数のライフルやら持っている自衛隊員達を見下す様な視線を向けている笠木を映している。

 クルー達がいる場所は位置的に恐らく近くのビルからだろう。テレビのクルーはこの1組だけだ。視聴率は過去最高值になっている事だろう。

 そして·····

 

『時間だね・・・始めようか、低能な人間ども!』

 

 まるで自分は神と言わんばかりに笠木が宣言した瞬間、愛美がスマートフォンに映していたアメリカワシントンDCの映像にも、恐らく他の中国、イギリス、フランス、ロシアにも同じ変化が起きた。予め宣言されていた場所·····アメリカならワシントンDCに尋常ではない光の柱が降り立ったのだ。

 そして·····その柱から出てきたのは

 

「·····う・・・そ」

 

 そう愛美は思わず呟いた。その光の柱から出てきたのは頭部は羊のそれだ。そしてその手に持っているのは普通の人間ならば到底持てないであろう巨大な大剣。その大剣に合わせその体は一般の人の何倍もある。恐らく愛美の知っているものよりも大きいに違いない。その姿は正に悪魔と呼ぶに相応しいもの。その名は·····

 

「なんで·····グリームアイズが?」

 

 正確には「ザ・グリームアイズ」。アインクラッド第74層フロアボス。光輝とキリトが戦いキリト達の世界でもシーラス・・・いや恐らく笠木が作ったのであろうグリームアイズが光輝と戦った。

 そしてこの世界ではフィクションの存在だと思われている。

 だが現実はそんな思考何て待ってはくれない。愛美がグリームアイズに驚愕した直後、テレビの方からとんでもない銃声達が聞こえそちらを見ると自衛隊員達が殺意か、或いは恐怖の感情を持ちながら笠木に兵器をぶっぱなしていた。

 本来ならば笠木はあっさりと死んでもいい筈だが·····

 

「はあっ!」

 

 笠木がそう言って手を前方に、そしてぐるっと体を回しながら突き出せば笠木を守るように光の壁が立ち塞がりそれらの銃弾を止めた。笠木自身は全くの無傷。その壁に守られている笠木は目の前の人達を嘲笑うかのような眼をして口元を汚く歪ませ叫ぶ

 

「ハハハハハ!!弱い!弱すぎる!!」

 

 笠木に全く効果が無い事を知った自衛隊員達はその銃弾の手を止めた。と言うよりほぼ諦めの状態で眼が虚ろになり始めた·····

 

『何だよ·····これ・・・こんなのありかよ』

 

 そう誰かが呟いた言葉が聞こえる。攻撃の手が止まったのを見て笠木はバリアを消した。

 

「あの小僧1人の方がよっぽど強かったな。まあその小僧もとっくに死んでいる!アイツらも俺の邪魔はしない!これ程愉快な事はないねぇ」

 

 そう言って自衛隊員達に向かって歩いていく。自衛隊員達はその力の差なのか恐怖で後退る。当然だ。確かに自衛隊員達は死ぬ覚悟ならある。だがそんな覚悟さえ上書きされてしまう程目の前の笠木は当人達からすれば恐ろしい。

 しかしそんな笠木に勇気を振り絞って拳銃をぶっぱなした人がいた。カメラマンがその恐らく撃った人を映せば・・・

 

「光定さん!?」

 

 櫂が思わず叫ぶ。そう、自衛隊員の前に出てきて拳銃をぶっぱなしたのは愛美の時の事件から光輝をよく気にかけて笠木を追っていた光定だった。その姿は自衛隊員のそれでもなく恐らく防弾チョッキを着ている姿だ。だが櫂達は光定が行くなんて聞いていない。

 笠木に銃弾は当たった。しかし・・・

 

「無駄だよ。今の僕にそんなものが通じる訳ないだろ馬鹿め!」

 

 そうあの時のように心底馬鹿にした表情で言う。愛美はチラ見でアメリカの方を映しているスマホを見る。

 グリームアイズにアメリカの軍は全力で対抗しているが銃弾や兵器すらも通さない硬い装甲になっている。今はグリームアイズが歩いて接近しているから逃げながら戦っているがその内弾丸も尽きてしまうだろう。そしてその大剣で·····

 その最悪な光景に首を振りアメリカにいる友達達がどうか生き残れます様にと祈りながらテレビを見る。

 

「貴様だけは・・・許す訳にはいかないんだ!」

 

 そう光定は言って他の人達は戦意喪失しかけているのに1人だけ何度も弾丸を放つ。笠木は肩を竦め避ける、或いはその手で掴む。弾丸が尽きても直ぐに新しいものを入れて再び放つ。

 今の光定を動かしているのはやはり悔しさと後悔だろう。自分よりも遥かに年下だった光輝が病む原因となった西沢家殺人事件、本来ならば止められた筈なのだ。自分達が無能だったばっかりに光輝に死闘に向かわせ·····今回も正直いつ来るのか分からない光輝頼りだとは分かっている。だけど・・・それでも笠木に一矢報いたいと思って上から止められたがこの場に来た。しかし・・・そんな光定の思いを踏みにじる様にため息をついて

 

「飽きたな。やはり俺は強くなりすぎてしまったらしい。」

 

「ぐっ!」

 

 2カートリッジ程使い切った時笠木がそう言って光定も止まってしまう。笠木はそんな銃弾も無くなった光定を見て鼻で笑う。そして手を上空にかざした。一体何を?と誰もが思った瞬間、笠木の手から何個もの光が発射されそれがその場にいる自衛隊員達、そして光定に向けて落ちていく

 

「逃げて!!」

 

 愛美は思わずそう叫んだが現実は非情で次の瞬間、テレビの画面いっぱいに光が溢れ出しその光と共に自衛隊員達の叫び声が聞こえた。愛美は思わず咲良の耳を塞ぎ自分も眼を閉じた。光に包まれた自衛隊員達の阿鼻叫喚は愛美の精神を切り裂くには十分だった。

 そして経った時間は少ない筈だが体内時間が長く感じた時、愛美は恐る恐る眼を開けた。そのテレビに映っていたのは沢山いたはずの自衛隊員達が全員地に這いつくばり凄まじい血痕や傷を負っている姿だった。アニメではそんな光景見慣れている筈なのに実際に画面越しとは言え目の当たりにした愛美は体が震え始める。笠木の目の前には光定も傷と血だらけで倒れている。

 

「安心したまえ、殺しはしないよ?全員僕の奴隷にするんだからな!!ハハハハハハハハハ!!!」

 

 開戦してから5分も経っていないのにもう地獄絵図が出来てしまった。高笑いする笠木を見ながらリポーターが諦めの声で言う。

 

「もう日本は·····世界は終わってしまうのでしょうか?!」

 

 愛美は日本側から目を逸らしアメリカの方を見ると

 

「う・・・そ」

 

 グリームアイズは大きく口を吸い込みそこから紫色の光弾を放った。アメリカの戦力へとぶち当たり日本側と同じ阿鼻叫喚になっていた。普通でも強いのにその上飛び道具何て反則も良いところだろう。アメリカですらこの絶望的な展開だ。他の国はどうなっているのかなんて·····

 その時テレビの方から再び銃声が聞こえ愛美は弾かれたように見る。そこには倒れながらも上半身を上げて拳銃を笠木に向けている光定がいた

 

「もう·····やめて」

 

 愛美はそう呟く。楓も美咲も・・・家にいる殆どがもう眼を逸らしている。笠木は光定を鬱陶しそうな眼で見て手を光定に向ける。そしてその手に先程放ったものと同じ光が形成される

 

 ―――殺される

 

「早く·····」

 

 その光が光定を消し去るには足りる大きさになる。笠木の口角が上がった。

 

「――死ね」

 

光輝!!!

 

 その光が放たれる瞬間、先頭で倒れている光定とその光定を殺そうとしていた笠木の間にグリームアイズが出現した時と似た様な、それでいてその場を優しげな光で包む柱が空中から2人を割り込むように顕現した。

 

「·····?」

 

 その時愛美のスマホの方からも光を感じ見るとグリームアイズとアメリカ軍の間に同じ光の柱が割って入っていた。恐らく他の国でも同じ現象が起こっている筈だ。

 そして笠木の目の前の光が晴れた時、1人の青年がいた。愛美が知っている姿よりもずっとずっと大人っぽくなりその髪型はドラゴンボールのある人物に似ているが元々似ていた為あまり違和感はない。何故か服が戦場に似つかわしくないお洒落な私服なのが唯一気になる点だ。

 

「お、お前は・・・」

 

 流石の笠木も眼を見開いていた。青年は笠木を睨んだ後少し後ろを向いた。そこにいた光定と眼が合う。数年ぶりに会う筈だが青年は直ぐに気が付いた。

 

「お久しぶりです、光定さん」

 

 青年がそう呟いたのをマイクが拾い愛美に伝わった時、鳥肌が立った。そして知らない内に眼が濡れていた事に気が付き拭こうとするが拭いても拭いても止まらずもう諦めた

 1番近くにいる光定が感じた感情はもう愛美には分からない。だけれど·····

 

「・・・ああ、お帰り、光輝君。」

 

 余程高性能なマイクなのか光定の絞り出すような声も拾った。もうその時、愛美は自分の体を抱きしめ嗚咽を漏らしながら言った

 

「遅いわよ・・・ばか」

 

 

 

 




お疲れ様です。
光輝、愛美の呼び掛けには必ず答えるマン。
但し私服で登場という笑。ちゃんと訳ありですから待っててくださいな。
(*´∇`)ノ ではでは~


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帰還の英雄、決着の時

おはようございます。
5日連続投稿。
前回、光輝が私服だった理由からです。


 魔人ブウとの激闘から1日後、俺は休息も程々にキリト達の世界に向かった。お姉ちゃん達と約束があったからだ。·····怒ったら怖いから魔人ブウのタイムパトロールの事は黙っとこうかな?とか思っていたら普通に見抜かれるのでなるべく自然体で・・・うん。

 俺はキリト達の世界の渋谷にやってきた。服は道着の訳にもいかないのでお姉ちゃん達がセレクトしてくれた奴で髪は目立つから帽子を被っている。

 俺には全くファッションは分からないからほぼお姉ちゃん達におまかせコースだけれど後悔したことはない。渋谷に着いた後、2人の気を探し見つけたから足早に向かう。人混みの中でもきちんと気を見分け見つけた。

 

(毎度思うけどどっからこんな人数が湧いてくるのだろうか?)

 

 とか変な思考しながら近づく。件の2人も変装しているが俺にはバレバレである。

 

「お待たせ〜」

 

「あ、遅いわよ!」

 

「ご、ごめんなさい」

 

 プンプンした様子で怒ってきたのは白色の唾が広い帽子を被ってエメラルドグリーンと青色が混ざった女子高生らしい服装だ。・・・まあ実際女子高生だが。名前は枳殻七色。ある事件をきっかけにキリト一派に仲間入りした女の子。レインの生き別れた妹だ。

 だから年齢的な問題で光輝よりも1つ年上だったからか光輝にお姉ちゃん呼びを強要し無事光輝の姉になった。

 ·····だけれどもナルト達の世界で約1年半、精神と時の部屋で1年時間が違う所にいたから本当を言うと光輝の方がもう年上だ。しかし光輝は黙っている。めんどくさい事にしかならない。

 そして光輝は隣にいる七色と同じく白色の唾が広い帽子を被りサングラスをして大人の女性らしい赤色のワンピースにカーディガンを着ているレインにも言う

 

「お姉ちゃんも久しぶり。」

 

「うん。光輝君も元気そうだね」

 

「う、うん。」

 

 光輝の眼が一瞬逸れたのをレインは見逃さなかった。しかしここは道の往来なので行く事にした

 

「それじゃあ行こうか。」

 

「はーい。光輝君も美人姉妹の護衛宜しくね!」

 

「・・・あれ?今日は俺の為だった様な気が・・・」

 

 今日3人が集まったのは理由がある。それは光輝が言った通り半分は光輝の為だ。

 理由は何と、今度キリトとアスナが結婚する事になったからだ。仲間達は殆ど結婚式に招待され光輝も招待された。それは別に構わない。めでたいめでたい。

 しかし光輝には少し問題があった。まあタイムパトロールに比べれば全然問題では無いのだが結婚式に出る為の正装が無かったのだ。SAO時代なんて洗濯が要らないのをいい事に殆ど道着の姿で過ごした。

 オシャレをするようになったのはレインに現実世界でも道着は不味いという事でよく連れ出されるようになってからだ。それからは七色も混ざり光輝の服の種類は増えて行った。しかし誰かの結婚式やパーティー等行ったことが無いからそんなものは持っていなかった。だから再びレインと七色の助けを借りて選ぼうという訳だ。

 光輝が学校に行っているのであれば制服で良かったのだが生憎光輝は義務教育はほっぽいているので無い。

 3人はこの世界でスーツを扱っている中では1番の有名どころの支店に向かった。

 

「それにしても3人で集まるのは久しぶりよね」

 

 そう七色が言った。確かに最近は割と3人は忙しく会っていなかった。

 七色は12歳でアメリカのマサチューセッツ工科大学を首席で卒業しVRMMOの研究をしていた。その研究が先程言った事件に繋がった。その事件終了後、七色は日本に戻ってきてレインと母親と再び一緒に住むことになった。だから国籍を日本に移しているし実際SAO帰還者学校にも通っていた。そして今は帰還者学校の高等部の一員として過ごしている。

 レインは帰還者学校卒業後もアイドル活動をしている。今やこの世界では大人気のアニメの主題歌など歌っていたりする。それはレインが帰還者学校に入ってから一所懸命努力した結果、夢を叶えれた事なのだ。だから普段はレッスンなりテレビ出演等正直忙しい。

 光輝は基本フリーだから会いに行こうと思えば行けるのだがその忙しさに遠慮して会いに行ってなかった。せいぜいこの前あったレインのライブに招待されて行ったくらい。

 

「そうだね〜。2人はもっと来てくれてもいいのに〜」

 

「お姉ちゃん忙しそうだから遠慮しちゃう」

 

「私も」

 

「え〜!」

 

 まさか2人はレインに遠慮していたとは知らず思わず大きな声を出す。因みに周りでは光輝と2人を・・・もっと言えば光輝に向けてなんか怖い視線が送られている。変装しているからレインとかは分かっていないはずだがそれでも美人に見える2人と一緒に歩いているからだ。

 3人はその後スーツ専門店に到着、光輝の服のサイズを加味しながら選んでいく

 

「スーツって高いんだね」

 

 と光輝はレインにから当てがられているスーツの値札を見ながら言った。スーツは安いものなら安いが気持ち的に何か失礼なので少し高めのスーツを見ている。1万円など軽く超えているのを見た光輝の感想である。但しアミュスフィアの方が高かった事を忘れている。

 ·····と言っても光輝の金銭感覚はアインクラッドにいた時以外は基本8歳程度で止まっている。だから光輝からすれば3000円でも大金だと今でも偶に思っている。アミュスフィアの時はお金と仲間達の時間を天秤にかけアミュスフィアを取った。小3の時の光輝ならばお金を取っただろうがアインクラッドでの思い出がそれを塗り替えた。

 

 俺達は30分程俺のスーツを見繕ってそれを購入した。正直俺には安かったものと高かったものの違いはよく分かっていないがお姉ちゃん達にはよく分かってるらしい。因みにお姉ちゃん達は何かパーティードレスって奴を着るらしい。うん。普通のドレスと違いがよく分からないけどまあいっか。

 そして支店を出て人の並をぼーっと見ていたらお姉ちゃん達が訝しげに見て聞いてきた

 

「どうしたの?」

 

「え、あ、うん。俺がこの世界に来る前に戦っていた場所が渋谷だったからさ・・・」

 

 その言葉にレインと七色はあっと口を開く。因みに光輝の出自は仲間達は全員知っている。それは途中参加した七色も例外では無い。

 平行世界から来てるというのはこの世界では調べたら直ぐに出る。然し何で平行世界に来る事になっているのかは仲間内しか知らない。即ちそれは光輝の世界での激闘の果てということをだ。

 3人はその後、遅めの昼食にする事にして近場のレストランでも良かったのだが電車に乗って御徒町へと向かった。光輝は舞空術を使っても良かったがレインと七色飛べないし目立つから却下された。

 電車の中でレインを真ん中にして左右に光輝と七色が座りレインが出したタブレットで何か最近流行りのアニメを見た。その仲睦まじい様子は周りからすれば光輝のハーレムと言うより姉弟のそれなので逆に微笑ましかったりする。

 30分程経った時、御徒町に到着し3人は降りて歩き始めた。そして着いた先はダイシー・カフェである。ドアを開けた先にはやはり少し遅めだったからかがらんどうであった。そしてテーブルの所にいたのはSAOにいた頃と余り変化が分からないスキンヘッドのアフリカ系アメリカ人でプレイヤーネームはエギル。本名はもう少し長い。と言うより仲間の中では1番長い。だから仲間達はエギルと現実でも呼んでいる。

 

「いらっしゃい・・・ってお前達か。久しぶりだな」

 

「プリヴィエート!マスター」

 

「お久しぶりです、エギルさん。」

 

 各々挨拶しながらカウンター席に座った。そして各々座って注文し始める。七色は昼食としてはどうかと思うスイーツを、レインは控えめにペペロンチーノを、光輝はカレーを頼んだ。

 

「光輝君カレー好きねぇ」

 

 と七色は言った。光輝は昼食にする時、6割はカレーにしている。残りの4割は色々。七色の言葉を聞いたレインは少し笑いながら言う

 

「だって光輝君、アインクラッドでもカレーを作ってたりしたもんね」

 

「え、そこまで好きだったの?」

 

 レインは簡単にカレーを作ったと言ったがアインクラッド、いやVRMMOの中の料理はある意味で難しくある意味で簡単だった。簡単だったのは現実の様な少し面倒臭い材料を切るとかの工程がだいぶ省かれていること。まあその少し面倒臭いをやりたかったという人もいるにはいた。

 難しかったのは味や見た目の事だ。アインクラッドには「醤油」やら「マヨネーズ」等が忘れがちだが無かった。見た目は似ているのに味はめちゃくちゃ不味いなどザラにあった。似た者か同じ調味料の味を出すには自力でしなければならない。それこそアインクラッドの全調味料を調べ尽くさないとほぼ不可能に近い。

 アインクラッドにいた人達はデスゲームにしたこともさることながらこうも茅場に思っただろう・・・「何で普通の調味料か料理を簡単に作れなくした」と。ぶっちゃけ光輝も思っていた。おかげでブレンドスキルが上がった。アインクラッドを去ってからは滅多に使わなくなったスキルだが。

 大雑把に言ってきたが何が言いたかったのかというアインクラッドでカレーを作る為には何百ものある調味料をブレンドしなければならない。聞いてるだけなら簡単に聞こえるがそう単純な話ではなくブレンドのパターンは恐らく何千通り・・・いや最悪何万通りもある。それを光輝は奇跡的に当てたのである。・・・まあずっとブレンドしていったらある程度は絞れるからまだマシかもしれないが。

 

「何でそんなに好きなの?」

 

 醤油とかならまだ分かる。醤油の味さえあれば料理の幅が広がるからだ。だけれどもカレーをピンポイントで作るまで努力したのは何故かと気になった七色なのである。光輝は少し昔を懐かしむおじいちゃんの様な眼になりながら言う

 

「まあ1つは俺が好きだったヒーローの好きな食べ物だったから。」

 

 ウルトラマンメビウスことヒビノ・ミライが地球で初めて食べたものがカレーで好物になってたのがそれだ。

 

「もう1つは・・・俺がそのヒーローが美味しそうに食べてるのを見て初めて我儘言ってお母さんに作ってもらったものだから。」

 

 光輝は小一以前までも基本的に俗に言う「良い子」である。両親に怒られた事は特に無く・・・寧ろ愛美の母親に怒られた事はあるが西沢家ではあまり無い。あまり自分の欲しいものも言わない性格だった。だからこそ光輝の母はそんな簡単に影響を受けた光輝が初めて我儘で「カレー!」と言ってきた光輝の為に作ったカレーのおかげで光輝もカレー好きになった。

 

「·····そっか。」

 

 昔を思い出し少し危うくなった光輝の頭をレインは撫でる。しかし流石の光輝も恥ずかしい年頃なのか頬を染めながら言う

 

「も、もう子供じゃないよ」

 

「私からすれば子供です!」

 

 と成人の余裕なのか微笑むレイン。その余裕さに光輝はむーっとなる。そんな団欒をしていたらエギルがスイーツとペペロンチーノ、カレーを持ってきたからさあ3人で食べ始めよう!·····とした時、光輝の左腕にある特に変わっている所がない時計から何やらコール音がなり始めた

 

「な、なに?」

 

 七色がそう驚いているのを聞きながら光輝は聞いた

 

「トランクスさんどうしました?」

 

 名前がこの世界からすれば大分酷い名前だがもう仲間内では何回か言っているからそこまではない。そしてレインは少し厳しげな顔になる。トランクスとは光輝の上司と聞いている。つまり何か仕事かもしれないからだ。そうすればスピーカーモードか何かなのかトランクスの声が聞こえる

 

「光輝さん、笠木が貴方の世界へと戻り戦闘が始まります!」

 

 その言葉に光輝は立ち上がりカレーを見た後3人に眼を向ける。そしてエギルに言った。

 

「すいません、カレー は·····」

 

「ああ、気にするな。行ってこい!」

 

 そして次はレインと七色を見る。2人には笠木のことを話している。いつか決着をつけなきゃ行けないことも。そしてそれが今日この瞬間だっただけの事だ。光輝はスーツどうしようかと一瞬悩んだがレインが言った。

 

「私が持って帰っとくから行ってきなさい。今度こそ・・・決着をつけるんでしょ?」

 

「·····うん。ありがとう、お姉ちゃん。」

 

 その後七色にも向いて七色は多くを語らず頷く。光輝も頷き返し帽子を取った後、時計を弄り光に包まれ次元へと出た。そして何時も不思議だと思っている空間をトランクスから送られてきた次元座標へと向かいながらトランクスの話を聞く

 

「笠木はアインクラッドのボス達を模したロボットを五体を各地に送っています。」

 

「その五体の座標は?」

 

「送ります」

 

 光輝は今度は時計の画面を見るのではなくオーグマーを取り出しキリト達の世界のネットワークでは無く時の巣のブルマが作ったネットワークに接続する。そうすればトランクスからアインクラッドのボス達を模したロボットの居場所の座標が送られてくる。

 アメリカには第74層フロアボス、ザ・グリームアイズ

 中国には第10層フロアボス、カガチ・ザ・サムライロード

 イギリスには第25層フロアボス、アスラ・ザ・エクスキューショナー

 フランスには第1層フロアボス、イルファング・ザ・コボルドロード

 そして・・・レインと七色の故郷の地、ロシアには第75層フロアボス、ザ・スカル・リーパ

 最後に日本の渋谷には笠木。

 何でグリームアイズとコボルドロードをまた相手にしないといけないんだよとか光輝は思いながらとうとう次元座標へとつき出た。そこは東京渋谷の上空で下に大量の気が割と危ない状態でいる事に気がついた光輝は瞬時に影分身の印を組んで5人の光輝がそれぞれの戦場に向かった。向かったというのは生ぬるい表現でもうほぼテレポートに近い。そして本体光輝は決着をつけるべき相手の元へ降り立った

 

 

 ★★★★★

 

 

 テレビに映るその姿は愛美が知っているのよりもめちゃくちゃ成長しているが面影が残っている。そして光定と交わした会話。だが愛美の驚きはこれで終わりではなかった。

 アメリカの方の映像を見ると何とそこにも光輝がいるでは無いか。そこで愛美の理解能力がオーバーヒートし始めた。しかしそんな愛美を・・・と言うより他の人は置いてけぼりにされテレビの方の状況が変わっていく。

 光輝の登場にとうの笠木は呆けた顔をしていたがすぐ様それは汚い笑いに変わる

 

「ハハ・・・ハハハハハハハ!!」

 

 光輝は光定に向けていた顔を3mしか離れていない笠木に向ける。そして笠木の中に眠るパワーを感じる。やはりシーラス達のせいなのかパワーアップしている。

 

 ―――まあ関係ないがな

 

 そして笠木は笑い終えた後愉快そうに顔を歪め言った。

 

「今更貴様なんかが出た所でもう俺と貴様には天と地ほどの差があるんだ!!一生逃げていればいいものを!わざわざ殺されに来てくれるなんて・・・ハハハハハ!!!」

 

 そう好き勝手に言い放つ。愛美は内心では怒りの炎が出てきているがそれも光輝の顔を見れば晴れた。光輝は特に表情変えずに渋々後ろにいる光定に聞いた。

 

「こう言うのって『弱い犬ほどよく吠える』って言うんでしたっけ?」

 

 それを聞いた途端場はピタッと静かになった。今まで絶対的な力の差を感じていた自衛隊員達は勿論、とうの笠木も最初は呆けた顔をしていたが3秒後には真っ赤になり叫びながら拳を握った。

 

「よ・・・弱いのは貴様だろうがーーーーっ!!!!」

 

 そう叫びながら笠木は光輝との距離を一瞬で詰め丁度振り向き直していた光輝の顔面をぶん殴った。愛美は思わず悲鳴を上げかけた。と言うより咲良や楓はあげた。

 光輝を殴った時、それが殴ったとは思えない程重い音がしてそれが笠木の拳の威力を伝える。そこら辺の一般人ならばその一撃でボーリングの様に1人を吹っ飛ばし後ろの人達諸共殺す事が出来ただろう一撃。笠木も自信があったのかニヤッと口角が上がる。しかし・・・

 

「・・・なぁ、まさか今のが本気なのか?」

 

 光輝から出たのは痛みによる悲鳴ではなくどこか落胆したような声だった。笠木は驚愕の顔になって今度は左の拳を握り再び光輝の顔面を殴る。これも轟音が鳴り響くが・・・

 

「・・・真面目にやってる?」

 

「だ、黙れ黙れ!!」

 

 そう叫びながら再び拳を振り上げたが光輝は辛辣に

 

「五月蝿いのお前の方だよ」

 

 そう言った瞬間光輝の眼が光ったように感じ次の瞬間には・・・

 

「ぐわあああ!!」

 

 笠木が道路の彼方へと道路を抉りながら吹き飛んで行った。今のはただの気合い砲だ。本当に心身共に強くなっているのならあれ位躱す筈だが・・・まあお察しである。

 光輝は吹き飛んで行った笠木を見た後振り向き光定に近寄った。大分ボロボロな光定の前でしゃがみ言った。

 

「すいません、遅くなりました。」

 

 光定は未だに倒れている状態だが笑顔で言う

 

「時間稼ぎを・・・したかいがあったものだ」

 

 それで愛美は合点がいった。光定が無駄だと分かっていても銃弾を撃ちまくっていたのは光輝が来るまでの時間を稼ぐ為だったのだ。そして今の会話を拾ったテレビクルーのリポーターは・・・

 

「さっき・・・あの人光輝君って言ったわよね!?」

 

 そうマイクの人に聞き肯定を貰ったのだろう、興奮を抑えきれないという抑揚で半ば叫んだ

 

「光輝君です!4年前笠木を倒した英雄の光輝君です!!光輝君が・・・光輝君が今、帰って来ましたっ!」

 

 そのリポーターの言葉に愛美は再び鳥肌が立った。恐らく光定が最初に見た光輝の背中はきっと・・・あの時愛美を助けに来た光輝の背中と同じだっただろうから。

 光輝はリポーターの歓喜の叫びに気がついたのかビルを見上げていてカメラがそれを捉えている。その顔はやはり小一の時の光輝が成長すればそうなるだろうなと思わせる顔だ。

 

(・・・やばい·····カッコいい)

 

 と愛美は変な方向に向かうところだった。その時轟音が鳴り響きカメラマンはそっちを映す。そこには笠木が鬼の形相で復活し光輝とパッと見50メートル程離れて着地した。光輝はそんな笠木を見た後立ち上がり光定に言う

 

「後は俺に任せてください。」

 

「・・・ああ。任せた。」

 

 光定も痛みがまだありすぎるが何とかして立ち上がり後ろの自衛隊員達も立てるものは立ち立てない人は肩を貸してもらうなりして立ち上がって急いで後退し始める·····やはり度胸が半端ないのかそれとも馬鹿なのかクルー達はそのままビルにいる。しかし光定達も限界すぎるのか少し不安な距離までしか下がる事ができなかった。

 

「何で・・・何で貴様は生きてるんだっ!!」

 

 笠木は先程の攻防が信じられないのか今度は光輝の生存方法など聞いてくる。

 

「答える義理はないな。つーかお前は生きてんのに何で俺が死なないといけないんだよ。」

 

 そう呆れの声で返す。それもそうだ。別に光輝には答える義理はない。

 

「念の為に言っておくが降参しろ。今のお前程度じゃ俺には勝てない。降参して大人しく死刑囚にでもなった方が良かったと思うようになるぞ。」

 

 その言葉に愛美は・・・いやこの戦いを見ている殆どが「はっ?」となった事だろう。今から戦うと思っていたらまさか降参しろと言うとは思わなかったのだ。それも・・・自分の家族を皆殺しにした笠木にだ。普通ならば殺意で戦いどころか殺しに行ったとしても可笑しくはないのだ。それがまさかの逆である。しかしプライドが高い笠木は憎悪を増大させる

 

「降参?降参するのは君の方だよ!」

 

 そう言ってどこからか取り出したのは紫色の全く美味そうじゃないりんごっぽい果実だった。それを愛美は4年前に見た事がある。4年前善戦していた光輝の戦いを一気に劣勢にまで追い詰めていたあの時の絶望は忘れようもない。

 

「ハハハハハ!覚えているようだね。そう、これで俺と貴様の力関係はまた逆転するんだ!」

 

 そう少し見せびらかす。リポーターは光輝に叫ぶ

 

「は、早く止めてください!」

 

 当たり前だ。5年前の笠木のパワーアップした様は正に絶望的で悪夢でしか無かったのだ。それがまた目の前にあるのだ。叫びたくもなるだろう。だが光輝はリポーターの言葉とは裏腹に冷めた声で言った。

 

「さっさと食えよ」

 

「―――!?」

 

 その言葉に笠木は驚愕し・・・と言うよりこの戦いを見ている人は全員驚愕していることだろう。止めるのかと思ったらまさかの逆なのだ。と言うより光輝が現れてから逆の事しか言ってない気がする。そしてその理由が・・・

 

「全力の貴様を真っ向からぶっ倒す。」

 

 ・・・どこぞの戦闘民族の様な事を言った光輝なのである。しかし光輝は元々こんな性格だ。ブロリーの時はその強さに少し現実逃避しかけたが基本は全力の勝負を望む。サイヤ人になる前、ヒースクリフとのラストバトルもオーバーアシストを許可し全力で戦ったのがそれだ。

 

「・・・ふ・・・ハハハ·····良いだろう」

 

 笠木は勝利の確信なのかニヤニヤしながらその紫色のりんごを食べた。リポーターがあからさまに悲観の声を出すのとほぼ同時、あの時の様な禍々しい真っ黒なバーナーの様なものが吹き上がる。心做しか笠木の眼が赤く光っているようにも見える。

 

「これで君が勝てる確率は0だ!大人しく軍門に下るのなら世界を支配する僕の奴隷として扱ってやるよ!ハハハハハハハハ!!」

 

 愛美や一般人には笠木の気がどうなっているのかなんて全く分からないが見た目がもう強くなっているというのを示している。

 

「そう言えば、貴様のクソ爺もこれを食べた後無様に死んでいったけな?あれは傑作だった!『お前はここで止める!』ってね?ハハハハハ!!クソ爺だけじゃない、お前の家族は全員無様に死んだんだ!フハハハハハハ!!」

 

 西沢家の面々が死ぬ瞬間、それを見たのは他でもない笠木だ。人の死を嘲笑い自分の都合が悪い事は喚き散らす。自己中心型の究極系と言ってもいいだろう。ぶっちゃけ光輝は笠木よりも性格が悪い奴にはまだ会った事がない。

 愛美は心の中から怒りの炎を燃やし始めているが1番怒ってもいい筈の光輝の表情は怒るどころか少し可哀想なやつ・・・と言う視線を送っている。その視線に気がついたのか笠木は

 

「ハハハ?何だ・・・その眼は·····何なんだ!」

 

 絶対的な力の差をつけた筈なのに光輝は絶望どころかそんな視線を出す事にある種の恐怖を覚えた。しかし光輝は特に答えることはせず次の瞬間・・・

 

「え!?」

 

 リポーターが驚愕の声を出した。しかしそれは愛美も同じだ。何故なら光輝の少し上空に真っ赤な鞘と真っ蒼な鞘がその場を空気を押し出し出現しその鞘達が光輝の背中に交差し所謂装備をしたのだ。

 そして光輝はその内右の剣へ手を伸ばし勢いよく引き抜いた。真っ赤な炎を連想させる赤色とその対極の蒼色が織り交ざっている。光輝が蒼赤の戦士と呼ばれる所以。しかしそう呼ばれるのは剣がそう言うのだから全てでは無い。

 光輝が剣を抜いたからか笠木は臨戦態勢に入るが光輝は・・・

 

「確かに・・・皆は死んだ。だけどな皆との思い出や記憶は何時だってここにある!」

 

 そう言って左手で心臓を指す。

 

「勘違いするなよ笠木。俺は1人なんかじゃない!家族は・・・何時だって・・・心の中で繋がってるんだ!」

 

 そう叫びその剣を上空に掲げた。毅然とし何度も逆境を乗り越えた戦士の姿がそこにあった。

 

「消して絆を諦めない・・・それが家族だ!」

 

 愛美は何度も言うようだが小一以降の光輝は知らない。きっと愛美が想像がつかないほど泣き努力し強くなっていき仲間を作り・・・そんな成長した光輝が目の前に・・・テレビ越しだがいる。

 

エンハンス・アーマネント!!

 

 光輝がそう叫び剣が光に包まれたと思ったらその光は天に向けて放たれた。自然現象では無く人為的な不思議な現象に笠木すらも眼を見開いている。そしてその光が空に放たれ見えなくなった後、今度はその天から5つの人型の光が降りてきた。愛美は無意識に口を手で添え泣き声で言った

 

「あれ・・・は・・・」

 

 その5人の人型の光は光輝を包む様に降りてきて光輝を包む。光輝は剣を手に掲げながらも眼を閉じていて居心地がいいと言う顔になっている。そして光輝は5人の人型の光に話しかける

 

「うん・・・ただいま。そして・・・一緒に戦おう。」

 

 その5人の人型の光は愛美にはとても既視感があった。そして5人と言う人数・・・あの光は光輝の死んだ家族達なんだと感情ではなく本能で察した。

 そしてその光が光輝を包み光輝の中に入って行ってる最中、光輝に変化が起きた。黒髪だった髪の毛が所々薄い金髪になり眉毛も薄い金色に、そしてその眼も、あの時の様な濃い黄金の瞳ではないがこれまた薄い金色の眼、瞳孔は黒色に変化した。

 それだけでも驚愕ものなのに光輝の変化はそこで終わらず今度は光輝の服が変わり始めた。先程までのおしゃれな服では無く前回笠木と戦っていた時に着ていた道着へと変化した。変化し終えた光輝は掲げていた剣を下ろした。

 そこにあった姿は先程まで少し気が抜けていた姿では無く知らない間に戦士として成長した光輝の姿だった。

 

「な・・・何なんだ·····何なんだそれは!」

 

 笠木が思わず叫ぶ。光輝は居心地がいいと言う顔だったが今度は気を引き締めた顔になって剣を笠木に見せながら言った

 

「この剣の元になったものは3つある。その内1つの記憶の一部を解放しただけだ。」

 

「剣の元・・・だと?」

 

「ああ、お前も見た事はある筈だ。元になった内の1つはおじいちゃんが使っていたあの真剣だからな。」

 

 愛美も見た事がある。最初見た時普通に怖かった記憶がある。そして笠木との戦いに向け西洋風のロングソードになり更に姿を変えたのが今光輝が右に持っているその剣なのだろう。指図めあの真剣の生まれ変わりの生まれ変わりという訳だ。

 

「この剣に眠っている記憶は西沢家の記憶。おじいちゃんがこの剣を貰い、結婚し、お父さんが生まれ子育てしてお母さんと出会ったお父さんが結婚、お姉ちゃんが生まれ、そして俺が生まれた記憶。」

 

 あの真剣は光輝の祖父の武蔵が古き親友である健作に若い頃作ってもらったもの。そして武蔵が祖母と結婚した後西沢家をあの真剣はずっと見ていた。そして・・・皆が殺される瞬間も。

 光輝が先程までやたらと辛辣だったのにこの問にだけ答えた理由は簡単だ。先程笠木は光輝の家族を侮辱しこの世に居ない人達として扱った。だから光輝は示したかった。例え肉体がこの世界になくとも、思い出と絆はここにあるという事。

 光輝の家族の思い出と絆を力に変える光輝の強化形態、3つ目の武装完全支配術なのだ。

 

「まあ名前は仲間達に考えてもらうとして·····今度こそ、決着をつけようか。」

 

 そう言って光輝は歩き出す。笠木はその圧力に思わず1歩下がるがプライドが許さないのかそれ以上は下がらず吠える

 

「ここは僕の世界だ!膝をつけ!奴隷になれ!」

 

 そんな笠木の言葉に光輝は止まり左肩にあるもう1つの鞘から右の剣と配色は同じだが模様が違う剣も引き抜いた。この世界の公の場では初めて見せる二刀流。

 そして静かに言った。

 

「違うな。お前はただの泥棒だろ。他人の人生を奪い仮想の玉座でしか威張れないただの泥棒だ。世界を・・・そこに生きる人達と手を取り合えない奴に・・・世界の支配者たる資格はない!」

 

 その言葉と共に光輝は腰を落とし左の剣の切っ先を笠木に向けて右の剣は外側に向ける。

 

「黙れ·····黙れ黙れ黙れ黙れ!!」

 

 その自分が否定された事による叫びを発しながら笠木は消えた。次の瞬間には光輝の後ろに出現していてその手刀を光輝の心臓に突き刺そうとしたが光輝が消えた。

 

「なっ!?」

 

 笠木が変な声を出した直後、今度は光輝が笠木の後ろに現れ笠木の腹部をぶっ刺した。

 

「ひゃっ!」

 

 愛美は悲鳴をあげ少し眼を閉じた。そんな愛美は置いといて光輝はすぐ様剣を引き抜き笠木を蹴った。笠木は吹っ飛んで行き地面とキスした。

 光輝は笠木をぶっ刺した方の剣を見ると笠木の血がついている。剣を急速に冷やし血を固め落とした。そして剣に向けていた視線を立ち上がっていた笠木に向ける。腹部に穴が空いているにも関わらず普通に立った笠木にリポーターの人は軽い悲鳴をあげた。

 笠木は更にその腹部の穴を再生した

 

「だろうな。倒すには完全に消滅させるか或いは・・・」

 

 光輝は小声でそう呟き再び剣を構える。

 

「無駄だよ!僕は絶対に死なない!何度攻撃しても僕は再生する!」

 

 再生能力のおかげで余裕が出来たのか笠木は再び余裕な笑顔になる。しかし光輝は特に変わらない。

 光輝は剣を引き腰を落とし右の剣の切っ先を笠木に向け左の剣はその右の剣に添えるように構える。そして光輝の足元から笠木とは対極の薄い金色の光がバーナーの様に光輝を包んだ。その場の全てを光に包む。それを見た笠木は・・・

 

「僕が・・・僕が最強なんだ!!お前みたいなクソガキに·····負ける筈がないんだ!」

 

 真っ黒なバーナーの様なものを吹きあがらせ両手を光輝に向ける。その両手から真っ黒なエネルギーが出現。そして笠木は叫ぶ。

 

「避けられるものなら避けてみろ!貴様の後ろにいる奴らは全員木っ端微塵だ!」

 

 確かに光輝の後ろにはまだ退避しきれていない光定達がいる。前回より範囲が限定的だが光輝には十分だろう。人の死を恐れているのだから。愛美は両手を握りしめる。そして・・・

 

「やってみろよ。俺は逃げも隠れもしない。自分の都合が悪い事には永遠と逃げてきたお前と違ってな」

 

「・・・五月蝿い!五月蝿い五月蝿い!!黙れ黙れ!!死ぬのは・・・貴様だーーーーっ!!!

 

 その言葉と共に真っ黒で巨大なエネルギー波を光輝と光輝の後ろにいる光定達目掛け放った。光輝は纏っていた薄い金色のオーラと共に右の剣を突き刺しながら突進し始めた。アインクラッド流重突進技「ヴォーパル・ストライク」を笠木のエネルギー波へぶつけた。

 

「きゃああああ!!」

 

 そのぶつかり合いにリポーターの悲鳴が聞こえるがカメラはその2つのぶつかり合いをきちんと映していた。光と闇、対極の光は少しの間拮抗し・・・”光”が闇を突き抜けた。光はそのまま闇の発生源へと向かい大爆発が起きた。

 

「光輝!」

 

 愛美はその爆発にあの日の事を思い出して思わず叫ぶ。爆発の瞬間ぶれたカメラも直ぐに爆発地点を映す。黙々と煙がたっていたがあの日程晴れるのが遅かった訳では無く風に吹かれて煙が晴れて行った。そして映していたのは笠木の腹部を再びぶっ刺していた光輝だった。

 

「ごはっ!」

 

 笠木は再生出来ると言っても痛みはあるのか血を吐く。光輝は先程の様に抜いてから蹴る事はせずに剣をゆっくり抜いた。笠木はそれでもふらふらとしながらも立っていた。だが光輝は笠木をもう見る事なく光定の元へとゆっくり歩き出す。

 

「俺は・・・俺は死なないぞ!何度も再生して蘇り、貴様を絶対に殺して僕が支配者になるまでな!」

 

 それは確かにありうる事だ。笠木は最早人型のだけで地球人として領域は出ている。だから光輝さえいなければ普通に世界征服は容易い。そして笠木は光輝にショックを与える方法ならまだある。

 

「それに・・・まだ世界中に僕が作ったロボット共がいr」

 

「ああ、アインクラッドのボスモンスター達を模した奴らか?そいつらなら多分とっくに終わっているよ。」

 

 光輝のその言葉に愛美は弾かれたようにアメリカの方を見る。そうするとアメリカにいる光輝がグリームアイズを八つ裂きにして気功波でぶっ倒していた。恐らく他の国でも光輝の言った通り倒されているだろう。

 

「それからどの道お前はもう終わりだ。」

 

「・・・は?」

 

 笠木がそんな素っ頓狂な声をあげた瞬間、再生しようとしていた笠木の体から氷の蔓が出てきた。笠木はそんな理解不能な光景で

 

「なんだよこれ・・・何だよ!」

 

 笠木が叫んでいる間にも笠木の内側から侵食してきた氷の蔓と氷は笠木を足元から凍らせ始める。笠木の顔が出ている内に光輝は言っておいた

 

「さっきこの剣には3つの記憶があるって言ったろ?1つは西沢家の記憶、2つ目は永久氷塊と蒼薔薇、その2つ目の記憶をお前の中に流し込んだ。永久氷塊は永遠に溶ける事はない。永遠とお前の気を吸収しそれを発散させるだろう。回復しても回復しても抜け出せない氷の牢獄だ」

 

 正確にはほぼ全ての気を発散させれば笠木の力はもう一般人のそれに戻る。得た力のキャパを無理やり広げその無理やり広げた中に回収した気を入れていたようなもの。それが無くなれば笠木の元の実力は一般人のそれと変わらない。光輝の解説を聞いた笠木はその顔を恐怖で埋め無我夢中で叫んだ

 

「頼む!助けてくれ!もうこんな事はしない!死にたくない!」

 

「嫌だね。お前はそうやって「助けて」の声を何度無視した?よしんば俺が良くても他の奴らは許さないだろ。」

 

 光輝が辛辣に返す中でも笠木には氷の侵食が迫りとうとう体の半分は氷漬けにされる。

 

「まあお前を消すなんて今の俺には造作もないがお前には死よりも恐ろしい罰で丁度良いだろ。」

 

 半分氷漬けにされた所で侵食のスピードが上がりとうとう顔の所まで来る。

 

「手足も何も動かせず自分の無様な姿を笑う人達をフラクトライトが尽きるその時まで見続けるんだな」

 

 他人に自分を笑われる・・・それはプライドの高い笠木には耐えられない。氷から解放されようともがくが氷はビクともせずもがけばもがくほど笠木の気を吸収していく。そして氷漬けになった所から氷の蒼薔薇が咲いていく。光輝はそれを見てその蒼薔薇と氷に言った

 

「今度からそいつが遊び相手になってくれるってよ。」

 

 まあ遊び相手に任命したのは光輝だがもう笠木の事なんか知ったこっちゃない。光輝はもう笠木には興味が無い。本当は武装完全支配術辺りで笠木を拘束してシーラス達のアジトの場所を調べようと思ったが笠木は恐らく知らない。ただシーラス達についてきた、ただそれだけと分かったからだ。

 

「や・・・やめろーーーーっ!!」

 

 笠木の断末魔は途中で力弱くなっていき笠木の全てを氷漬けにした。光輝はチラと笠木の顔を見るともはや人とは思えない表情をしている。眼は大きく見開き口は汚く明けもがくその姿、普通に見ていれば好青年だった筈なのに顔と体のポーズでこれ程印象が違うんだと光輝は思ったのだった。

 

 




お疲れ様です。
笠木、イキっている割に瞬殺。

光輝の3つ目の武装完全支配術、祖父の剣が見ていた西沢家の記憶。家族の思い出と絆を力に変える光輝の家族版バーニングブレイブ。
因みに5人の光の人型は厳密には家族本人達が来た訳では無くただの演出です。これからは多分出ません。
今まで使わなかったと言うより使えなかったという方が正しい。光輝と光輝が住んでいた世界じゃないと最高潮に力を発揮出来ないという裏設定。尚、これからは普通に使える模様。1度なったからね。

(*´∇`)ノ ではでは~


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最期と再会

おはようございます。
今日も行きましょー。
文字数約1万3000字です。


「エンハンス・アーマネント」

 

 そう呟けば笠木のものだった気が光輝の剣目掛け吸収されていく。今の所発散されている全ての気を回収した後、光定とその後ろにいるボロボロな自衛隊員達と世界中で笠木のボスモンスター達と戦っていた人達の気を感じ取りながら言った

 

「トランスファー・ヒューマン・ユニット・デュラビリティ、ライト・トュ・ワールド!」

 

 長い気分的な台詞を光輝が言った瞬間、先程笠木から剣へ吸収した気を今度はそれらの気を空へ放った。

 全員がなんだ?と思ったのも束の間、日本、そしてアメリカ、イギリス、フランス、中国、ロシアの戦場に同じ変化が起きた。光の雨が降ってきたのだ。

 愛美が外を見てみると同じ雨が降っていて近所の人達も家から出てその雨を見ていた。その雨へ愛美は少し触れてみたが濡れなかった。水ではない。

 なら何だろうと愛美が思えばテレビから声が聞こえそっちを見る。そうすれば何と先程までボロボロだった自衛隊員達、光定達が自分達の足で立ち始めたのだ。

 アメリカの方を見るとこちらも同じく傷だらけの兵士たちが起き始めていた。と言うより探してみたらアメリカにいた光輝がもう消えていた。

 

「これは・・・どういう事でしょう・・・ボロボロだった自衛隊員達の傷がなくなって立っています!」

 

 そしてリポーターは他のクルー達にビルから降りるよと言って走り出して光輝達の元へ向かう。カメラが雑に揺れまくって真っ暗な所を慌ただしく移動している。恐らく階段を下っているのだろう。リポーター達の荒い息遣いが聞こえる。

 

「皆さん、遅くなってすいませんでした。」

 

 リポーター達がビルから降りれば光輝が最初笠木と戦っていた人達に頭を下げていた。曰く自分がもっと早く来ていたら痛い目に合わなかったのにと。だが自衛隊員達は根が良い人ばかりなのか許して行った。

 光輝は許しを貰った後、光始めた。その光が晴れた時、光輝は元の黒髪黒眼に戻っていた。そして少し手のひらを見つめ微笑んだのだった。

 そしてリポーター達が光輝に突撃する

 

「こ、光輝君ですよね!?」

 

 光輝は少しその勢いに気圧され

 

「そ、そうですけど・・・」

 

「どうやって生き残ったんですか?と言うより笠木をどうやって倒したんですか!?」

 

「あ、あの・・・取り敢えず後でいいですか?」

 

 リポーター達に少し呆れた視線を向けながら光定に聞いた

 

「それで笠木をあんなにしときましたけどどうします?」

 

 そう言って後ろを向く。相変わらず無様な格好で氷漬けにされている笠木がそこにいる。笠木を日本の司法で捌くとしたら間違いなく死刑だろう。だけれども一応聞いておいた

 

「先ずは警視庁に連れてく事になるだろうが・・・」

 

 そこで笠木は微妙な視線を笠木に向ける。それで光輝は疑問符を出したが何でそんな視線なのか分かり言った

 

「・・・?あ〜、大丈夫ですよ。俺か俺と実力が近い奴がぶっ壊さない限り笠木は永遠とあのままです。」

 

「そ、そうか。」

 

「·····と言うより喋れないのに警視庁って連れていくものなんですか?」

 

 それもそうである。笠木は喋るどころか呼吸も正直しているのかパッと見怪しい所だ。まあ光輝からすればもうどうでもいいのだが。気自体は感じているから死なない限り大丈夫だろうと思ってる。と言うより笠木の時間はもう既に止まっている。

 

「まぁ·····取り敢えず送検はしないとダメだからね」

 

「ああ、それもそうですね。」

 

 久しぶりすぎて逆にどんな会話をしたらいいのか分からなくなるやつである。光輝は5年間全く会わなかったと言う後ろめたさがあるから余計にだ。そんな光輝の思いに気がついたのか光定は多くは言わず言うべき事だけ言った

 

「本当に・・・よく帰って来たね。」

 

「·····今まで会いに行かなくてすいませんでした。」

 

「何を言ってる。君はきちんと帰ってきて笠木を倒したんだ。賞賛を拒否するのは良いが君が謝罪をするのは違うぞ。」

 

「・・・ありがとうございます。」

 

 そう言って少し頭を下げ礼をし終えた光輝の表情は少しスッキリした顔なのだった。そして今度は少し楽しそうな表情をしながら

 

「で、あの傑作表情の笠木は今から運ぶんですか?」

 

「そうだ・・・と言いたいが·····冷たいだろあれどう見ても」

 

 確かに氷氷とずっと言ってるから忘れがちだが触ったら普通に冷たい。普通に火傷するだろう。光輝はそれもそうかと思い手のひらを出した。そうすればそこに何故か軍手が出てきた。

 

「ん〜車で運びます?」

 

「いやいや当然の様に話を進めようとするな」

 

 それもそうである。いきなり軍手を出してその説明を思いっきり省いたのだ。

 

「別に説明しても良いですけど多分30分くらい意味分からない説明聞きたいでs·····」

 

 そこで光輝はピタッと止まった。その場にいる誰もが訝しげな視線を光輝に向けた時光輝は「キッ!」と後ろを振り向き軍手を消しながら強力な気弾を笠木の少し上空に放った。

 その速さはここにいる全員が見えないスピードだったがその気弾は何者かに上へ弾き飛ばされた。光輝の気弾の大爆発が起きて漸く光定達も何が起こったのか分かったのだ。

 

「そいつを連れて行こうとしてどう言うつもりだ!」

 

 光輝はその笠木の上に・・・いや、今笠木の隣に降り立った人物に言う。その人物を見た時、リポーターは軽い悲鳴をあげる。その顔に被っている仮面が不気味だったからだろう。そこに居たのはあの仮面の男だった。光輝は瞬時に他の気も探るがシーラスはいない。

 

「勘違いするな。今回は貴様と戦いに来た訳では無い、西沢光輝。」

 

 そう男は初めて光輝の名を呼び笠木の氷漬けにされている顔辺りを触れながら気を出して無理矢理氷をぶっ壊した。無様だった笠木の顔が復活し仮面の男に言う。

 

「お、おい!さっさと僕を助けろ!」

 

 そんな事を言っている間に光輝は後ろにいる光定達に叫ぶ。

 

「全員出来るだけ下がれ!」

 

 有無を言わさない口調に光定達は思わず頷き回復した体で全力で離れる。·····そしてクルーの意地か何かなのかカメラだけはしっかりと光輝達を映していた。

 そして光輝は・・・

 

「はぁあああ!!」

 

 そう叫び光輝は金髪碧眼に変化した。先程とは派手に変化した光輝に光定達は思わず足を止め見た。光輝は足元から体を包むように金色のオーラを纏いその髪は重力に逆らい逆立っている。そんな現象は普通ならば有り得ない。だけれど・・・知っている人は知っている現象・・・金髪になった光輝の後ろ姿しか見えていないが·····愛美はその時、アニメで何度も見たあの姿が光輝と重なったのを見て・・・

 

「超·····サイヤ人」

 

 そう呟いた。

 臨戦態勢の光輝を見て少し鬱陶しそうに男は見た後、次に笠木に言った

 

「言っておくが、俺は貴様を助けに来た訳でも無い。」

 

「は?」

 

「何を言っている?シーラスが言ってなかったのか?『我々の共同戦線もここまでだ』ってな」

 

 その言葉に笠木は眼を見開く。今まで仲の差はあれど一応仲間だった男に言われ·····一気に恐怖が震え上がってきた。

 

「お、おい!お前・・・まさか」

 

 笠木の心底恐怖した声を聞いた仮面の中の顔はニヤッと笑った気がした。その瞬間、腰にある真剣を笠木の顔面に突き刺そうとした。

 だけれど寸前で光輝が割って入り真剣を剣で止める。

 

「・・・俺は貴様と戦いに来た訳では無いと言った筈だが?」

 

「こいつにはもう戦う力も自由も無い。俺的にこいつは死ぬよりも生きてプライドをズタズタにする方がスッキリするんだが?」

 

 その言葉を聞いた仮面の男は愉快そうに笑い始める

 

「ハハハ!!確かにな!·····だがな、やはりそいつは俺が殺す!」

 

 そう叫び黒と紫のオーラを吹きあがらせる。それに伴い光輝が押され始めるが光輝は更に気合いを入れて超サイヤ人2に変身する。そうすれば再び拮抗し金のオーラと黒と紫のオーラが押し合いを始める。

 

「ちっ!」

 

 男は舌打ちしその場から姿を消す。光輝は直ぐに男が向かった上空に飛び上がり空中戦を繰り広げる。いくつもの剣劇の最中光輝が思ったのは

 

(こいつやっぱり強くなってる!)

 

 戦闘力という意味では無い。確かにそれも上がってるが光輝が言ったのはその戦闘スキルの方だ。前までは素人感があったが今は光輝に少し押されている程度で前までよりも善戦している。それも蒼眼と赤眼を使わずにだ。

 そして斬り合いを少ししてキリがないと思ったのか男は一旦距離を取った。これにも光輝は少し驚いた。3回戦った男ならばキリが無くても無理矢理こじ開けようと更に攻めてきただろうに・・・と思ったのだ。

 

「お前…やっぱりただもんじゃないな。敵じゃなかったら良いライバルになれたのに」

 

 そう少し残念そうにいう。だが男は舌打ちして返す

 

「お前は相変わらず甘いな。だが、今の俺では貴様に勝てない、それは認める」

 

 その言葉に光輝は呆けた顔を見せる。前のこいつならば意地でも自分が劣っていることを認めなかっただろうに今は認めているのに驚いたのだ。しかしその胸の中にある感情はそれだけではない。光輝もそれが分かっているのか構えは解かず聞く

 

「だが俺は必ず貴様を超えて貴様を殺し俺は俺の世界を作る」

 

 その言葉の真意を光輝は聞こうと口を開きかけたとき、男は空いている左手を光定達の元へ向けた。光輝は直ぐにやろうとしていることに気が付き光定達の元へ向かったのとほぼ同時に男は真っ黒な気弾を放った。

 光輝はぎりぎり光定達の元にたどり着き空いている左手でその気弾を真上に弾いた。

 

「きゃああああ!!」

 

 リポーターが上に弾かれた気弾の爆発と爆風で悲鳴をあげる。

 光輝はリポーターの悲鳴を無視し上ではなく笠木の方を見る。見たのとほぼ同時に

 

「ぎゃあああああ!!!」

 

 そんな叫び声が笠木からあげられた。笠木は氷ごと四肢を切り落とされていたのだ。その日本では中々お目にかかれない光景にリポーターはおろかテレビで日本側を見ている人達も悲鳴をあげる。愛美も咄嗟に咲良を抱きかかえ見えなくした。

 今の笠木に再生能力はもうない。笠木はもう殆どの気は蒼薔薇に吸われたのだから。

 光輝は男の元に行こうとしたがそれに気が付いた男は光輝たちの所に更に気弾が放たれその数に光輝は舌打ちして右の剣を鞘につっこみ爆魔障壁でそれらの気弾を塞いだ。

 だが笠木は

 

「し、死にたくない!助けてくれ!」

 

 そう男に懇願するが男は無慈悲に笠木を完全に消すのに十分のエネルギーを溜め

 

「あの時もお前をこうやって殺したっけな…今度はお前の肉体ごと消すがな。あばよ」

 

 その言葉と共に男はそのエネルギー波を放ち笠木の命乞いも虚しく

 

「ぐわあああああ!!」

 

 笠木の最後の言葉はそれだった。

 笠木がいた場所は爆発に包まれた後、黙々と煙が上がっていた。男は煙には目もくれず光輝の方を見る。そして光輝を指さし宣言した

 

「次に会うのは決着の時だ。俺は必ず貴様を超え俺の望むものを手に入れる。それまで誰にも殺されるな。貴様を殺すのは俺の役だからな。」

 

 そう不吉の事をいって男は消えた。

 光輝は大体予想がつくが念のため気を探る。予想道理この世界から離れていて男の気は無くなっていた。

 光輝はため息をついて剣を上空に投げる。剣は最高点まで浮いた後、回転しながら落ちていき光輝は見ることなく体を斜めにした。そうすると回転しながら落ちてきた剣は空いてた方の鞘にチャキーンと音を鳴らしながら入った。それと同時に光輝は超サイヤ人を解いた。

 

「ほんとに…あいつは誰なんだ」

 

 考るほど男の事が分からなくなる。

 そのまま光輝は5秒ほど考えたが分かるはずもなく考えるのを諦め後ろにいた光定達に謝った。

 

「すいません、また怖い目に合わせてしまって」

 

 謝る内容が子供同士の喧嘩見たいだが光輝は至極まじめだ。代表として光定が答えた

 

「光輝君の方が大分怖い目な気がするが…また守ってもらってすまない」

 

「別に戦うのは怖くない。俺はきっと何かを護る為に生まれてきたんだし。一番怖いのは力が足りなくて大切な人達が殺されること。だから謝らないでください。どちらかというと多分俺はこれから大分怒られる運命な気がしますが」

 

 そう苦笑いで言う。これから光輝は櫂の家に行くつもりだ。本当なら笠木を倒したら意地でも時の巣に帰ろうと思っていたが時の界王神からいつの間にメールが来ていて「帰ってきてもご飯ないわよ」という遠回しに帰れと言ってきたのだ。今までそんな事言ってきたことは無かったから直ぐに気が付いた。

 光定はそんな事情を知った訳ではないが光輝が帰るつもりなのは分かったのか微笑みながら言った。

 

「ああ、覚悟はしていた方が良いかもしれないな!」

 

 正直光定は光輝の変化に驚いた。笠木と二回目の戦いの時まで光輝ははっきり言って暗かった。唯一笑っていたのは咲良と遊ぶ時ぐらいでそれも心の底からではなかった。毎日見ていたわけではないが基本どうやって強くなるかしか考えていなかった印象だ。それこそ夜こっそり怒られる可能性も考慮せずに修行に言っていたほどだ。

 だが今は苦笑いだがしっかりと笑い怒られる事も分かっている。

 そんな事を考えていたら

 

「……やっぱり怖いからちょっと残骸処理してから行こうかな」

 

 怒られた時の事を想像したのか少し引き伸ばしたくてそう言った。まあ実際先ほどまでの戦いで渋谷の一部は崩れ去っていてその残骸があちこちにある。早く渋谷を復活するためにそうする事は間違いではない。寧ろ正解まであるがその光輝の正直さに現場は

 

「「ハハハハハハハハハ!!!」」

 

 光定も自衛隊員達も大笑いになった。先程までの緊張感が一気に無くなったのだからこうもなりたくなる。先程まで戦っていた厳し気の表情だった光輝とのギャップもあって余計に面白かったのだ。それからさっき戦うのは怖くないって言ったのに怒られるのは怖いと思っている言ったのも面白かったのだろう。

 因みにこの様子は普通に世界に発信されているのでテレビの前の日本語が分かる人も笑っている。愛美も笑っていた。

 

「ふふ、光輝…結構変わったのかと思ったけど…そんなことも無かったな」

 

 笠木との因縁を持つきっかけの高台へ愛美が光輝を誘った時、光輝は何かあった時愛美の母親に怒られるのが嫌で拒否してた事を思い出した。

 

「そ、そんなに笑わなくてもいいじゃないですか」

 

 と恥ずかしさなのか赤くなりながら抗議した。その言葉にようやく光定達は止まった。まだ笑っている人たちはいるが少数なので光輝は今度こそ軍手を出しながら言った。

 

「車って持ってきてますか?」

 

 そう後ろの人達に聞く。そうすれば武器を持ってくるので持って来ていたと言って取りに行った。リポーター達は完全に置いてけぼりを貰っていつ光輝に話しかけようかと思っている。その光輝は車を持ってきてもらう間にそこら辺の岩などの残骸に近づきながら軍手をはめる。光輝についてきていた光定がただの疑問で聞く

 

「光輝君、なんで軍手なんか持っているんだ?」

 

 光輝は残骸を持ち上げ光定の質問に答える

 

「ああ、俺の仲間の引っ越しを手伝った事があってその時に」

 

 それは絶剣こと紺野木綿季が退院した後、嘗ての家から大事なものを倉橋の家に持って行く時、仲間の中で1番暇で尚且つ引越し作業最強の光輝にお呼びがかかり手伝った時だ。影分身で普通に作業出来るから木綿季は大いに助かった。

 後それからクラインと美葉が同棲する事になった時も手伝った。と言うよりほぼ光輝しか手伝わなかった。引越し業者?光輝の仲間に必要ないです。因みにキリトとアスナも新婚の暁に二人暮しするがその時も光輝を予約済みだ。

 そして荷台付きの車がやってきて光輝はそのまま乗せた。その後光輝は適当に残骸を回収しまくり車に乗せていく。自衛隊の人達も手伝い、渋谷に散らかっていた残骸が無くなっていく。光輝がいるので次々に残骸は無くなって行き

 

「後は我々がやっておく。光輝君、色々聞きたい事はあるが君は行くべき所があるだろ?」

 

「…はい。それじゃあ後はをお願いします。」

 

 リポーターは光輝がどこか行く前に質問をしようとダッシュしたが光輝はそれに気が付かず明後日の方角を見て飛び始めた。光輝が残骸を運んでは消え運んでは消えを繰り返していたので質問の暇が無かったのだ。光輝が残骸処理するというシュールな所は映していたが。

 

「…早すぎるわよ」

 

 リポーターの思わずという声が虚しく響いただけだった。光輝は舞空術でどこかに飛んで行ってしまったのだった。それをリポーター達は唖然と見送った後我に返り

 

「こ、光輝君のおかげで今度こそ・・・世界は救われました!し、しかしその光輝君はまたどこかへ飛んでいってしまいました!」

 

 リポーターがそう言ったら今頃日本・・・世界中の人々が沸き立っている事だろうが愛美の心も沸き立ち始める。先程までの会話から次に光輝が来るのは…そう思った時、インターホンがなった。

 

(早くない!?)

 

 愛美はそう思った瞬間立ち上がりつつ楓よりも早く玄関まで走り相手も確かめずに玄関の扉を勢いよく開けた。そして目の前の人物を見る。普通の観点から見れば異様な姿である。蒼の羽織に赤のインナー、黒のズボンに圧倒的な存在感を放っている蒼赤の双剣。

 

「えっ・・・?」

 

 相手の声はそんな素っ頓狂な声だ。

 しかし相手の瞳は黒色の優しげな瞳だ。

 そして相手は・・・

 

「え·····み?」

 

 少し声が掠れているが確かにそう言った。愛美は口元に手を当てる。その蒼色の瞳から綺麗な涙が垂れ始める。自分の事を忘れていなかったと言う安心、光定以外で帰ってきてから名前を呼んでもらった嬉しさ。そして・・・

 

「こう・・・き」

 

 愛美はそう呟き歩を進め・・・その距離をダッシュで詰めて光輝に飛び込んだ。光輝はいきなりだったが流石の反応速度で愛美を受け止める。

 

「ちょっ!?え、愛美!?」

 

「こう・・・き」

 

 最後に会ったのは高台の上、笠木に殺されかけていたという最悪な状況だった。光輝が最後に愛美を見たのは膝枕をしてくれた時の泣き顔が最後だった。あの時の身長は愛美の方が高かったが今は光輝の方が高くなりそれが時が経った事を知らせる。そして驚愕の顔をしている光輝に愛美は言った。

 

「おかえり・・・光輝」

 

 光輝もその言葉に優しげな表情となり愛美をぎこちなく抱き返しながら言った。

 

「ただいま・・・愛美」

 

「・・・うん」

 

 そのまま2人は3秒ほど抱き合っていたが・・・

 

「お兄ちゃん!!」

 

「光輝君!」

 

 今度は咲良と楓が光輝に突撃してきて流石に光輝も3人同時の抱擁何て受けきれる訳なく

 

「ちょっ!?無理ですよ!」

 

 と言う光輝の叫びを2人は無視して愛美の横から抱きつく。咲良に関してはもう大泣きしまくっている。

 その後、光輝は3分間ほど抱きつかれ櫂にも少し抱擁された。流石に愛美の両親はそこまではしていなかったが挨拶もした。

 

 ★★★★★

 

 その日、櫂の家の前に大量のマスコミが来たが光定達が何とか押しとどめ職権も乱用し何とか静かになった。ただ光輝にとっては問題が出てきたが今は良いだろう。

 そして櫂家では・・・

 

「「光輝君、お帰りなさい!」」

 

 勢いよくクラッカーがなりそのクラッカーを向けられていた光輝は少し耳が痛いと思ってしまった。テーブルが2つくっつけられ1番奥にいる光輝に向けてそれらのクラッカーは発射されたのだ。そのクラッカーの数は8つだから光輝の耳が痛くなるのはしょうがない気もする。

 こうなっている理由は先程の4年ぶりの邂逅まで遡る。

 光輝は抱擁を受けた後、4年ぶりの・・・光輝からすれば6年半ぶりの櫂家に足を踏み入れた。懐かしさで少し泣きかけたが何とか止まった。取り敢えず皆でテーブルについたところ、光輝の時計に連絡が入ったのだ。

 

「はい。光輝です」

 

 光輝が他の人の視線を集めながら慌てて出ると

 

「やっほー光輝君。無事に笠木は倒せたようね。」

 

 その言葉と共にホログラムとして出てきたのは時の界王神だった。そのホログラムに一同は驚いて思わず光輝を見たがもう光輝の中ではこれが普通だから何でそんなに驚いてるんだろう?とか思いながら返す

 

「まぁ笠木に負けたらベジータさんに物理的にあの世行きにされますからね」

 

 そんなので家族の後は追いたくない。時の界王神はその言葉に確かにと笑いながら言った

 

「まぁそれはそれとして、これで1つ不安は降りたわね。シーラス達の情報を引き出せなかった・・・て言うより知らなかったのは痛いけど」

 

「あいつは完全に利用されただけでしょうしね。と言うよりシーラスの奴悪を滅ぼすなんて言っておいて悪に頼るってどういう事だよ」

 

「·····えぇ、そうね」

 

 光輝の言葉に時の界王神は思慮をする顔になった事に光輝は気が付き聞いた

 

「ん?どうかしました?」

 

「いえ、何でもないわ。それよりも・・・」

 

 そこで言葉を止めて時の界王神はぐるっとテーブルにいる人達を見渡す。時の界王神の容貌は地球人離れしていて肌もピンク出し背が小さいし・・・だから咲良は

 

「このお姉さん身長低いね。」

 

 と隣にいた愛美に思わず呟いたが時の界王神は地獄耳なのか咲良の方に向き

 

「失礼ね、成長期が終わっちゃったのよ」

 

「次いでに言うのなら時の界王神様ってお姉さんって年齢じゃ・・・」

 

「光輝君、貴方はそれ以上に失礼ね」

 

「え?」

 

 と光輝は変な事を言ったのかなと思い少し考え始める。時の界王神の年齢は7万5000歳以上と聞いているから本当の事を言おうとしただけなのだが何故かそれが失礼と言われる。光輝に女心を分かれと言うのはまだ早かったらしい。

 まぁ光輝の興味はそんな事では無く7万5000歳以上生きているのにフラクトライトがよくキャパオーバーしないなと思う事である。

 

「さて、光輝君。貴方折角帰ったんだから1週間の休暇を言い渡すわ」

 

「ちょっと待ってください。何時シーラス達が動くのか分からないんですよ!?」

 

「それは心配無いわ。魔人ブウを倒した今、ブウ以上の存在は限られる。時間には余裕が出来るわ。それに貴方そこから逃げられるの?」

 

「え?」

 

 光輝が素っ頓狂な声を上げ周りを見ると隣にいた愛美が光輝の腕を掴む。そして眼で「逃がさない」と言っているのを感じて光輝はある種の恐怖を感じた。周りを見ると愛美の両親以外はジト目で見ている。

 

「まっ、そう言う訳で光輝君はゆっくり休みなさい。じゃーね〜!」

 

 と言って通信が切れた。光輝は相変わらず慌ただしい時の界王神に少しぼーっとしたが楓が手を勢いよく叩いた事で我に返った。

 

「じゃっ、今日はうんとお祝いしないと!」

 

 その言葉に咲良はウキウキの表情となった。

 

「うん!お祝いしよう!」

 

「そうと決まれば買い物よ!笠木のおかげで今日は空いている筈!」

 

 笠木がご丁寧に世界征服宣言をしていたので東京の人達は東京以外の場所まで逃げた人が何人もいる。ショッピングモールが開店しているのかは分からないが行く価値はある筈。

 そして愛美達古原一家に向き御一緒しませんか?と言って両親は正直遠慮しかけたのだが愛美の為に参加を決めた。

 知らない間にとんとんと進む話のスピードに光輝はSAOの仲間達を思い出していた。第74層でSランク食材のラグーラビットを捕まえた時、キリトと月夜の黒猫団の皆と騒いで光輝とレインのホームでディアベルやヒースクリフやその他沢山の人達を急に呼んでパーティーした時の事を光輝はよく覚えている。それから散歩に行ったキリトとアスナについてこうとしたらレインに止められたのも。

 正直今は皆と会う回数は少くなった。何時でもフリーの光輝と違い皆働いたり学校に行ったりアイドル活動等・・・。だけど光輝は別に寂しいと思ったことは無い。笠木に言った通り何時だって家族やあの時は言わなかったが仲間とも心の中で繋がっているからだ。それを忘れない限り3つ目の武装完全支配術が出来なくなる事は無い。

 

「あ、お手伝いします」

 

 愛美はそう言って立ち上がったから光輝も

 

「あ、じゃあ俺も手伝・・・」

 

「主役が準備を手伝うお祝い何て無いわよ」

 

 そう愛美にジト目で見られ光輝は小一に戻ったようにたじろぐ。過去も今も愛美には弱いのだ。愛美は光輝の前では強気だ。そして光輝はたじろぐ事が多かった。今もそれは変わらなかった。そして光輝は改めて愛美をじっと見る。

 透き通るような蒼色の腰まである髪、ずっと見ていたら吸い込まれそうになる蒼眼、そして恐らく男がすれ違った時、9割は振り向いてしまうだろう美貌。これでまだ中学2年生だと言うのだ。愛美は光輝がじっと見ていた事に気が付き

 

「な、なに?」

 

 光輝はそれで自分が愛美をずっと見ていた事に気が付き慌てて目を逸らしながら言う

 

「な、な、何でもない」

 

 正直この場にいた咲良と愛美以外は全員思った。

 

(何この甘い空間)

 

 嘗ては自分達も出していただろうその空間を今度は自分達が当てられている。だが櫂家の2人は正直安心している。光輝がいた2年間、正直光輝が心の底から笑ったり照れた事は無かった。家では出来るだけ笑顔を作ろうとしていたがそれが逆にぎこちなさに歯車をかけていた。3歳だった咲良にはその違いがよく分かってなさげだったが大人の2人には分かっていた。だから目の前の光輝が本当の光輝何だと。楓は立ち上がった愛美と咲良に言った

 

「2人は光輝君を見張ってて。また知らない間にどこかに行かれたら堪らないもの」

 

 その言葉と共に楓は愛美にウインクする。それで愛美の頬が一気に赤くなり何かを言い返そうとしたが確かに光輝が抜け出さないとは限らない。そう自分に言い聞かせ

 

「じゃあ・・・お言葉に甘えて。」

 

 その後、愛美の両親も買い物に着いてく事になった。櫂も運転手として4人はそのまま櫂家を出て車に乗ってあのショッピングモールへと向かった。取り残された光輝と愛美、そして咲良は少しの間静かだったが咲良が光輝に言う

 

「お兄ちゃん何時までそんな格好してるの?」

 

 光輝は未だに道着を着ている。双剣はテーブルに立てかけている。

 

「え?ああ忘れてた。」

 

 そう言って光輝は眼を閉じる。そうすれば光輝の道着が上書きされるように最初出現した時に着ていた服へと変化した。ついでに双剣も直した。

 

「ねえ光輝。それどうなってるの?」

 

 光輝は何か当たり前のように服を着替えた。もうキリト達の目の前では何回か同じ事をしているから驚かれないが愛美はほぼ初見なのでこの反応は当然である。咲良は

 

「お兄ちゃん魔法使いみたい!」

 

「えーと・・・魔法では無いけど。えっと先ずは服の分子を分解して」

 

「やっぱり大丈夫。」

 

「え?そうなの?」

 

 一気に難しそうな話になった瞬間愛美は遠慮した。確かに愛美は秀才だが自分から興味のない分野に突っ込もうとは思わない。そして愛美は咲良と話し始めた光輝の横顔を観察し始める。何度も思った事だがやはりきちんと面影が残っている。それも男らしくなってだ。レイン達といると子供のように戻るがこれが光輝の基本状態である。·····ここまで思ったら先程の時の界王神の言葉を思い出して思わず光輝に聞いた

 

「そう言えば光輝、魔人ブウを倒したって言ってなかった!?」

 

「ん?そうだけど愛美は魔人ブウ知らないだろ?」

 

 と言うより出来るならあまり知って欲しくない。違う世界とは言え地球人を皆殺しにした事があるなど聞いてるだけでも気分が悪くなる。

 だが愛美は逆の感情を持った。そして思い出した。光輝はアニメにはあんまり興味が無かったことを・・・

 

「えっと・・・」

 

 愛美はスマートフォンを取り出しある動画の所まで検索し光輝に見せた。光輝はそれを見た後とんでもない程微妙な表情をした。それはアニメだ。ドラゴンボールと呼ばれるそのアニメの中の魔人ブウとの戦いの場面だった。

 

「·····なーんか複雑。」

 

 そう呟く。愛美は少し悪い事したかなと思った。例え愛美達からすれば2次元の存在だとしても、光輝からすれば共に戦ってきた人達なのだから。それによって感じる感情は愛美には想像もつかない。だから愛美は咄嗟に謝ろうとした。だけど

 

「まぁ・・・そんな事もあるか」

 

「え?」

 

 そんな呆気からんと言った光輝に愛美は思わずそう言った。光輝は愛美に向けて言った

 

「愛美、この世界が・・・正確にはこの宇宙がどうやって生まれたか知ってる?」

 

「そ、それは初期宇宙とかビックバンとか·····」

 

「まぁ確かにそれはある意味で正解。だけどそれはきっかけに過ぎない。本当の根っこの部分を言ったらさっき出てた時の界王神様、それに俺の師匠達が関係している。」

 

「光輝の・・・お師匠さん達?」

 

「うん。信じられないかもしれないけどさ、この宇宙は師匠達が守ったトキトキって言う神聖な鳥さんが産んだ卵が孵化して出来た宇宙何だと。」

 

「·····?」

 

 ちょっと何を言っているのか分からない。光輝もそれが分かっているのか頑張って理解しようとしている愛美をふっと笑う

 

「あ、笑ったわね!」

 

「ごめんごめん。まぁ大雑把に言えばこの宇宙はそうやって出来たんだ。テストには出ないだろうからもう言わないよ。」

 

「·····何よ余裕ぶっちゃって、私の方が年上なの忘れたの!?」

 

 小一の時は基本愛美が光輝を引っ張っていた。だが今は立場が逆転したように感じたのだ。だからせめて自分の方が年上という事を思い出させたかったのだ。だが光輝はこれも余裕を持ってる表情で言う。

 

「言うの忘れてたけど俺はもう愛美よりも年上だよ。」

 

「なっ!?何ですって!?」

 

「俺はもう15歳だよ。2年半、時間が違う場所にいたんだから。」

 

「2年半・・・もしかして精神と時の部屋?」

 

「え?それも知ってるの?」

 

 一体アニメの中でどんなにあの世界が描かれたんだろうか?さっきそんな事もあるかと流したがやっぱり気になり始めた。まぁ1年半はナルトさん達の世界なんだが。

 そして俺は·····愛美に言った。

 

「その・・・愛美」

 

「な、何よ」

 

「えっと·····げ、ゲームしない?」

 

 瞬間愛美はジト目で光輝を見た。確かに光輝がゲームをしようと言ってきたのは正直驚いた。小一の光輝はゲームに興味が無く愛美がしているのを隣で見ていただけだったからだ。

 だが8年ぶりの再会だと言うのにゲームとは・・・もっとお話しをしたいと愛美は純粋に思ったのだ。そしてもう1つ理由がある

 

「咲良ちゃんの事を忘れてる訳じゃないよね?」

 

 光輝が咲良を見ると何で私を誘わないの!って顔になっている。だが光輝は苦笑しながら言う

 

「いや、だって咲良はレーティングが足りないし・・・それに心配無いよ。」

 

 そう言って光輝は左右の人差し指と中指を十字に組んだ。その形を見て愛美はまさか!?と顔をした瞬間、椅子に座っていた光輝の隣から煙が出てきた。その煙は直ぐに晴れてそこにはもう1人の光輝がいた。今の技・・・と言うより忍術を同じくアニメで見た事がある愛美は思わず聞く

 

「光輝もしかしてNARUTOの世界にも行ったの!?」

 

 愛美のその反応からどうやらナルトさん達の物語もアニメ化されているらしい。やはり何か複雑だ。それはもう置いといて俺は早くあの世界を愛美に見せたくて急かす。ホイポイカプセルを出してテーブルの上に投げる。そうして出てきたのは俺が何時も使っているアミュスフィアと新品のアミュスフィアだ。既にあのソフトはダウンロードしてある。

 

「もしかしてこれ·····アミュスフィア?」

 

 ·····どうやらキリト達の世界もアニメ化されている様だ。うん。俺やっぱり泣いていい?

 とそんなふざけた事を永遠と言ってる訳にも行かないので俺は愛美に聞いた。

 

「それでその・・・一緒にする?」

 

 愛美は先程までジト目で光輝を見ていたが咲良を見ると既に分身の光輝と遊び始めていた。それなら・・・

 

「·····うん。教えて」

 

 正直に言うのなら愛美の心臓は今まで以上にドキドキし始めている。光輝に言ったら悪いが本当に2次元だと思っていた世界を体験出来るのかもしれないのだから。

 

「えっと·····先ずはフィッティングって言って自分が体をぺたぺた触らないと」

 

 光輝としては至極当然の事を言った。アミュスフィアやナーヴギアは光輝が言ったフィッティングと呼ばれるもので自分の体をぺたぺた触り情報を入力する。そうする事でフルダイブ中のアバターの違和感を減らす事が出来る。初期のSAOではフィッティングはするにはしたがアバターは自由に作れたので例えばキリトならば高身長の好青年を茅場のデスゲーム宣言まではなっていた。結局プレイヤーにこれは現実という事を知らせる為に現実の姿になったのだがその際、このフィッティングのデータが使われた。

 しかし愛美は今の言葉を聞いて少し頬を赤く染め自分の体を抱きしめながら言った。

 

「·····光輝のエッチ」

 

 確かに説明だけを聞いてたら「ぺたぺた」とかそんな表現に聞こえたかもしれないが別に光輝はやましいで言った訳では無い。基本的な事を言ったつもりだから

 

「何で!?」

 

 光輝は本当に意味が分かっていない。異性の体なら何回か触った事はあるにはあるが基本は不可抗力か向こうから突撃が殆どだ。あとついでに言うのなら

 

「ぺたぺたするのは愛美が自分でするんだよ」

 

 と言うよりちゃんと自分がペたぺたしてって言ったし·····あっ、もしかして

 

「あ、ごめん、俺関西の方の自分って言ったつもりなんだ」

 

 自分と言うのは人によっては難しい単語である。特に多いのが外国人か或いは幼い頃から長らく外国に住んでいる人にとっては顕著だろう。

 関西以外では自分と言うのは「I」だが関西では状況にもよるが「You」になる。因みに東京生まれの光輝がこの使い方を使っている理由はSAOにいた頃よく関西出身のキバオウが言っていたことに起因する。

 

「それならそうと言いなさいよ」

 

「ご、ごめん。」

 

 その後、愛美はフィッティングを終わらせ光輝から軽い説明を聞いた後、アミュスフィアのヘッドギアを被る。頭のサイズに調節されたそれはしっかりと愛美の頭にセットされた。

 咲良が不思議そうな目線を向けているが愛美の心情はそれどころではない。

 アミュスフィアのコードを光輝の持っていたコネクターに繋ぎ愛美はリビングのカーペットの上で横になった。

 本体の光輝もアミュスフィアを被って愛美の横になる。そして愛美は不安なのか光輝に言った。

 

「その·····手繋いでくれる?」

 

 そう言って自分の左手を開く。光輝はその手を見た後ゆっくりと右手で握った。それは光輝と愛美の実質初めて話した保健室までの道のりで繋いだ手と同じ手なのだった。

 愛美と光輝は声を合わせ言った。

 

「「リンク・スタート!」」

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様です。
笠木の最期と男の成長。
愛美をALOにご招待。
光輝、怒られるのが怖い事をレイン達のおかげで知ったので引き伸ばさせようとする。

光輝が戦場に放ったのは広範囲回復神聖術・リアル版と思ってください。笠木はあれでも何10万、何百万分ものエネルギー持ってましたから回復出来ました。

(*´∇`)ノ ではでは~


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ネット掲示板 決着後

おはようございます。
ネットです。
面白かったらいいな〜
では暇つぶしにどぞ(っ´∀`)っ


決戦を終えて

 

 

 

1:名無しさん

ここは笠木VS光輝君について語り合うスレです。アンチの方は回れ右

 

2:名無しさん

スレ立て乙

 

3:名無しさん

お疲れ

 

4:名無しさん

 

5:名無しさん

昨日まであんなに絶望一色だったのに今みんなどんな状態?

 

6:名無しさん

なんか現実感がない…いやちゃんと起きた事は分かってるんだけどさ

 

7:名無しさん

分かる。確かに最終決戦感はあったけどゲームでもなんでもなく現実であんな事が立て続けに起こったら少し現実味が・・・ねえ

 

8:名無しさん

全員言葉に出来てなくて草

 

9:名無しさん

と言うより笠木がめちゃくちゃグロテスクな状態で消し飛ばされたんですが(白目)

 

10:名無しさん

俺咄嗟に子供の眼を閉ざさせたわ

 

11:名無しさん

俺はそれがあまりの事で間に合わず子供がその光景見て今病んでる。俺も少し気分悪い。思い出したら吐き気するから出来るだけ思い出さずに今生きてます。

 

12:名無しさん

うわぁーお子さんを気にかけてあげてください。真面目にあれはトラウマになります。

 

13:名無しさん

あんな光景ドラマでもそんなに無いし日本では余計に無いだろ。ドラマはドラマであったとしてもドラマだからってマシ何だけど

 

14:名無しさん

あの仮面の男がめちゃくちゃ不気味過ぎた。オマケにめちゃくちゃ早かったけど光輝君に一方的にやられてなかった辺りあいつ笠木よりも強いだろ

 

15:名無しさん

今日はマジで色々ありすぎた。尚、色々あったと言ってもまだお昼の模様。

 

16:名無しさん

ほんまや。VS笠木は光輝君の分を入れても五分くらいで決着ついてその後のあの仮面の奴との戦いも5分もかかってなかったからな。

 

17:名無しさん

話題が行き来し過ぎてややこしいから最初から話そうや

 

18:名無しさん

お、そうだナ

 

19:名無しさん

賛成

 

20:名無しさん

異議なし( 'ω')/

 

21:名無しさん

先ず、今日の日本時間朝10時、住民避難が行われた渋谷では笠木と笠木と戦う自衛隊員達が集結していた。自衛隊員はそれぞれ殺傷能力が半端ない武器を持っていた。後あの盾っぽい奴も。

 

22:名無しさん

同時刻、中国・北京、アメリカ・ワシントンDC、イギリス・ロンドン、フランスパリ、そしてロシア・モスクワにはそれぞれの国の軍隊やそれに準ずる人達がスタンバっていた。

 

23:名無しさん

そして10時、笠木のデスゲーム開始宣言して各地は戦闘を開始。その時日本以外の場所を襲ったのは知っている人はめちゃくちゃびっくりした。ソードアート・オンラインと呼ばれるアニメのボスモンスター達だった。

 

24:名無しさん

何体か知らない奴があったけど統一されてると仮定したらやっぱりSAOのボス達だよな。

 

25:名無しさん

いや、もうあの光景だけで「あ、終わった」ってなった。

 

26:名無しさん

俺は日本は兎も角他の所はワンチャン・・・ってなってた。SAOと違って銃器があるから行けるかもしれないと思った。全然そんな事無かったんですけどね(白目)

 

27:名無しさん

ガチであいつら何で出来てたん!?銃器を通さないとか硬すぎん!?というかあれ本物が来たの!?

 

28:名無しさん

いやいやそれは無いだろ。あくまでもあれはフィクション。笠木が模して作っただけじゃない?現に笠木は僕が作ったって言ってたし

 

29:名無しさん

うん。良かった。·····いや、良くないわ。各地大分キツかったんやろ?不謹慎やけど死者っているの?

 

30:名無しさん

めちゃくちゃキツかったらしい。グリームアイズとか飛び道具を出して来てアメリカの防御があっさり破れて阿鼻叫喚やったわ。因みに心配している死者は0や。笠木も言ってたけど奴隷にする為に殺さないようにプログラムされていたのかもしれない。それでも出血多量やらあったらしいけど。

 

31:名無しさん

同時刻日本も大ピンチ。銃弾なんてバリアで防がれ挙句何か光弾を機械に頼る事なく日本陣営に降らしてそれだけで日本陣営は壊滅。それでも1人拳銃撃ってたけどほぼ意味が無く笠木も鬱陶しく思ったのか真っ黒なエネルギー波出してその人が大ピンチになった時!

 

32:名無しさん

光と共にやってきたのは!

 

33:名無しさん

5年前よりも成長し身長が伸びてめちゃくちゃカッコ良くなっていた光輝君だった!

 

34:名無しさん

但し私服で登場!

 

35:名無しさん

( ゚∀゚)・∵ブハッ!!

 

36:名無しさん

いや、マジで少し笑ったあの時·····嘘です。めちゃくちゃびっくりしてました。と言うより何が起きてるのか分かってなかった。漸く理解出来たのはそのやられそうになってた人に光輝君が「お久しぶりです。なんちゃらさん」「おかえり、光輝君」って会話でやっと気づいた。呆けて光輝君の言葉は分からんかったけど。

 

37:名無しさん

マジであの時は誰も何が起きてたのか分からんかったと思うよ。

 

38:名無しさん

·····あれ?あの時やられてた人って光輝君の事知ってたの?と言うよりもしかして生きてる事知ってたの?

 

39:名無しさん

·····確かに何か生きてるの知ってた様な会話だったな。

 

40:名無しさん

何で知ってたの!?

 

41:名無しさん

いやそれは直接聞かない限りは分からないけど・・・もう放送は終わってるからどうなってんのか分からない。

 

42:名無しさん

まあその話は後々するとして因縁の対決再びだったな。

 

43:名無しさん

笠木の攻撃が光輝君に全く通じてなくてワロタやった

 

44:名無しさん

「・・本気なのか?」と「真面目にやってる?」って言うもう格の違いを感じさせる言葉やったな笑。

 

45:名無しさん

そして叫びながらまた笠木は殴ろうとしたけど光輝君が五月蝿いのはお前と言う正論を噛ましつつ何をしたのか全く分からないけど笠木が吹っ飛んでいっていた。一瞬でピューん!って飛んでったからめちゃくちゃびっくりした笑

 

46:名無しさん

そしてこれまたほぼ同時刻、何と他の国の戦場にも光輝君が各地にやってきてた。

 

47:名無しさん

ちょっと待て!はっ!?どういう事!?俺日本のやつしか見てないけど他の場所にも光輝君が来たん?

 

48:名無しさん

落ち着け。俺もよく分からないけど確かに光輝君は少なくともアメリカには来ていたで。しかも日本時間ほぼ同時刻に。つまりあの瞬間だけ光輝君が6人いた事に・・・え?

 

49:名無しさん

ん?

 

50:名無しさん

俺は一体なんの文面を見ているんだ?

 

51:名無しさん

全員困惑してて草

 

52:名無しさん

貴方は困惑してないのですか?

 

53:名無しさん

してる(掌返し)

 

54:名無しさん

そして各地の銃器が全く通用してなかったアインクラッドボスモンスター達をあっという間にズタズタにして消滅させていた。それはもう慈悲もなく。でも光輝君がそのボスモンスター達を知っていたのが少し気がかり。だって光輝君が行方不明になった後にSAOのアニメ化とか始まってたし・・・

 

55:名無しさん

もしかしなくても光輝君強くなってるよね?

 

56:名無しさん

それも大分、かなり、次元がもう違う。最早人間では無い。

 

57:名無しさん

そして場面は日本へ戻って笠木が何でお前は生きてるんだ(意訳)を聞いて光輝君は答える義理はないと言い放つ。でもごめん。これは笠木に同意で俺もどうやって生きていたのかは知りたかった。

 

58:名無しさん

まぁ分からんでもないな。俺も知りたい

 

59:名無しさん

そしてここは恐らく全員驚愕しただろう。まさか光輝君が笠木に降参を進めるとか誰も思わなかっただろ

 

60:名無しさん

マジでそれは予想ついてなかった。家族の仇やろ?自分の方が圧倒的に強いって分かってるんなら普通に殺しに行っても可笑しくなかったのに

 

61:名無しさん

どちらかと言うと光輝君は復讐なんてどうでもいいって感じやったな

好きの反対は無関心って偶に言うけど本当かもと思い始めた。

 

62:名無しさん

その後、笠木は5年前のあの神精樹の実に似ている果実を取り出し光輝君にチラつかせてた。リポーターさんは急いで止めてと言ったが光輝君は寧ろ食え!と言った

 

63:名無しさん

「全力のお前を真っ向からぶっ潰す」·····一瞬どこかの星の王子を思い出したわ

 

64:名無しさん

どこの星だろうな〜(白目)

 

65:名無しさん

上2人のコントは置いといてその後笠木はそれを食べ5年前と同じようなドラゴンボールで言う気を纏った。それも大分黒の。そして笠木は光輝君の家族をディスりまくった。因みに自衛隊員達は退避し始めていた。本当なら自衛隊員達が戦わなきゃなんだけど光輝君の安心感がやばすぎた。

 

66:名無しさん

よく光輝君怒りに囚われなかったな

 

67:名無しさん

胸の中では絶対にあっただろ。正直赤の他人の俺でもイラついたし。当人の光輝君の怒りはもう半端なかっただろ。

 

68:名無しさん

まぁ他人の俺達が光輝君の気持ちを推し量るのは何か違うから止めよう。

 

69:名無しさん

光輝君はそんな笠木を可哀想みたいな視線で見て笠木は最早小物っぽくなっていたな。喚き散らしてた。光輝君はそんな笠木を見ながら二刀を装備した

 

70:名無しさん

待て普通に進めようとするな。装備したって·····いやあってるけど突っ込むべきだろあれは。私服で剣何かなかったのに空中から唐突に出て光輝君の背中に装備って

 

71:名無しさん

いや驚き疲れたからありのままに書こうかと

 

72:名無しさん

気持ちは分からんでもない

 

73:名無しさん

あ、うん。分かる。

 

74:名無しさん

ありがとう。そして正直ここからは俺は何か感動した。

 

75:名無しさん

分かる。僕も鳥肌が立った。

 

76:名無しさん

光輝君は右の剣を引き抜いた。剣は蒼色ど赤色がこれでもかと織り混ぜられていてその存在感は半端無かった。

以下原文

「確かに皆は死んだ。皆との思い出や記憶は何時だってここにある」

左手で心臓を指す

「勘違いするなよ笠木。俺は1人なんかじゃない!家族は何時だって心の中で繋がっているんだ!」

右の剣を天に掲げた。

「決して絆を諦めない、それが家族だ!」

そして多分こう言ったと思う

「エンハンス・アーマネント!!」と。

 

77:名無しさん

あれ?エンハンス・アーマネントって確か·····

 

78:名無しさん

そう、先程話に出たソードアート・オンラインに同じエンハンス・アーマネント·····武装完全支配術がある。

 

79:名無しさん

ソードアート・オンラインを知らないワイ

何なんやそれは

 

80:名無しさん

関係ないから続き·····と言いたい所だがSAOファンの名が泣くので教えてしんぜよう。

武装完全支配術とはアンダーワールドと呼ばれる仮想世界にいる古の騎士·····整合騎士と呼ばれる騎士達が使う所謂必殺技だ。

分かりやすく言うと武器の記憶の一部を解放し攻撃力を上げるとんでもない代物である。

小説の中では例えば時計をリソースにして作った剣は”未来を斬る”事が出来たり金木犀の鋭利な花を相手にめちゃくちゃな数を投げ飛ばしたりしてた。

他にも武装完全支配術はあるが簡単に言えばそう言う事ではある。

 

81:名無しさん

成程、分からん。時計を元にしても剣になるのか?

 

82:名無しさん

ま、まぁそれは仮想世界だからとしか言いようがない。因みに今SAOの小説は新章に入ってるぜ。

 

83:名無しさん

はい話が逸れるのでSAOのスレに行ってくれ。ただ解説は助かった。

 

84:名無しさん

そして光輝君が叫びその掲げた剣から謎の光が天に放たれ代わりに来たのは·····5人の人型の光だった。

 

85:名無しさん

あれ?光輝君の元の家族って光輝君抜いて何人だっけ?

 

86:名無しさん

両親、姉、祖父母·····5人ですね

 

87:名無しさん

·····き、気にしたら終わりだべ

 

88:名無しさん

そして光輝君は笠木の前だと言うのに居心地が良さそうな顔をして「うん。ただいま。そして一緒に戦おう!」

そう言った光輝君はその5人の人型の光に包まれ幾つか変化が起きた。先ず黒髪の所々が薄い金色になり眼も薄い金色で瞳孔は黒。あと眉毛も薄い金色になった

 

89:名無しさん

あれってシャイニングブレイブ?

 

90:名無しさん

違うと思う。先ずシャイニングブレイブよりも金色の度合いが薄いしシャイニングブレイブは髪は金色にならなかった筈。

 

91:名無しの女さん

あの〜、すいません。そのシャイニングブレイブって何ですか?

 

92:名無しさん

あ、初見さんかな?

シャイニングブレイブと言うのは5年前、光輝君が笠木と戦った時、最後になった姿だよ。詳しくはシャイニングブレイブとググルかYouTube検索で出てくる。と言うより今年の記念日にも放送されてたな。

 

93:名無しの女さん

見てきました!めちゃくちゃかっこいい!神秘的だった!因みにシャイニングブレイブって光輝君が付けた名前なんですか?

 

94:名無しさん

いや光輝君は行方不明だったからネット民が勝手に付けたんだよ。

名前の由来は光輝君がウルトマランメビウスが好きって言うのが割と知られていたからメビウスの「メビウス・バーニングブレイブ」に因んで「光輝・シャイニングブレイブ」と付けられたのだ

 

95:名無しさん

·····という事は光輝君がもう名前つけてたらどうするの?

 

96:名無しさん

それは·····まぁ光輝君のものなんだし光輝君の名前を尊重するべきじゃない?寂しいけど

 

97:名無しさん

分かる。シャイニングブレイブ·····かっこいい響きだよな

 

98:名無しさん

と言うより光輝君って今もメビウスとかリスペクトしてるかもな

 

99:名無しさん

え?なんで?

 

100:名無しさん

光輝君が笠木に言った言葉で「家族とは心の中で繋がってるんだ!」って言ってたやろ?あれメビウスも似たような事言っててメビウスは「仲間とは心の中で繋がってるんだ!」って言ってた。

 

101:名無しさん

光輝君の中ではきちんと死んでしまった家族がいて光輝君はそれを忘れず戦う・・・俺よりも年下なのにカッコよすぎ

 

102:名無しさん

そして光輝君の変化はそれだけでは無く何と今度は私服まで変化し始めた。下から変わり始め最後には上までたどり着いて光輝君の服が変化した後光輝君はその剣を下ろした。その服は嘗て笠木との決戦の時にも着ていた道着だった

 

103:名無しさん

····マジシャンもびっくりな早着替えだよ

 

104:名無しさん

着替え選手権あればダントツで1位じゃね?

 

105:名無しさん

何で競ってんだよ笑

 

106:名無しさん

私服の時は正直少し気が抜けていたんだけど道着になった瞬間印象めちゃくちゃ変わった。何かこう·····歴戦の戦士みたいな?

 

107:名無しさん

たしかに、もう佇まいから戦士だったよな。笠木も思わず一歩下がってたもん

 

108:名無しさん

そして案の定笠木は光輝君にその姿について聞く。今度は無視せずに答えた。曰くあの右の剣にある3つの記憶の内の1つ、その一部を解放しただけ。

その記憶とはどうやら西沢家の記憶らしい。その思い出の記憶を解放してあの姿になったんだと。

 

109:名無しさん

·····丸々武装完全支配術だよな?

 

110:名無しさん

ツッコムのは疲れる。止めとけ。

 

111:名無しさん

あれ答えたのは皮肉を言ってたよな

例え家族を殺しその事で精神的に追い詰めようとしても自分は家族とずっと思い出と絆で繋がってるから無駄だって意味で

 

112:名無しの女さん

やばい·····私惚れちゃった

 

113:名無しさん

·····女の子にモテるとは光輝君許すまじ

 

114:名無しさん

まぁ別に光輝君ならいいやって感じもする。今までが悲惨だったからさ

 

115:名無しさん

進まないから話を進める。笠木はそうはっきりと返された後一歩下がり「ここは僕の世界だ!膝を付け!奴隷になれ!」と叫んだ。

 

116:名無しさん

光輝君は左の剣も取り出し返した

「違うな、お前はただの泥棒だ。他人の人生を奪い仮想の玉座でしか威張れないただの泥棒だ。世界を·····そこに生きる人達と手を取り合えない奴に·····世界の支配者たる資格は無い!」そう叫びながら二刀を構えた。

 

117:名無しさん

そこから超ハイスピードバトル突入。尚、笠木がボロ負けの模様。

 

118:名無しさん

そして笠木は何かファイナルフラッシュみたいに前方に手を突き出し避ければ後ろにいる自衛隊員達は終わりだ!とクズムーブを噛ました。

 

119:名無しさん

だが光輝君は剣を構え薄い金色の気を纏いながら都合の悪い事は逃げてきたお前とは違う(意訳)と言った。そして笠木はあの真っ黒なエネルギー波を放ち光輝君は気を纏いながらそのエネルギー波に突撃して2秒の拮抗の後あっさりと光輝君が突き破り笠木の腹部に思いっきりぶっ刺した

 

120:名無しさん

正直少し気分悪くなった。血があんなに出るとは思わないんだ

 

121:名無しさん

あれはまだ少ないぞ。光輝君がゆっくり抜かず思いっきり抜いてたらもっとブシャーと出ると思うぞ。

 

122:名無しさん

笠木は刺されても再生能力ある故の余裕か光輝君を殺す宣言していたが光輝君は笠木はどの道終わりだと言って起きたのは笠木が氷漬けと言う超常現象である。聞き取れた言葉によると永久氷塊と青薔薇·····いや光輝君には蒼薔薇か、蒼薔薇の記憶を笠木の中に流し込み氷漬けの刑にしたんだとか。

 

123:名無しさん

その2セットって文字違いだけど完全にユージオ·····

 

124:名無しさん

気にしたら終わりだ。耐えろ。その内判明する·····かもしれない

 

125:名無しさん

光輝君曰く笠木を消すのは簡単だけどそれよりも無様な笠木を人々に見てもらってプライドをズタズタにする方が良い罰だとか

 

126:名無しさん

言っている事は分かる。分かるけど·····怖い

 

127:名無しさん

平然とやったからな。でもごめん。俺も正直いい気味だと思った。最初氷漬けになった笠木の表情は怖かったけど何回か見たら面白くなってしまった

 

128:名無しさん

確かに慣れたらおもろい顔やったな笑

 

129:名無しさん

そして何と笠木を拘束した氷から蒼薔薇が咲いていき何かキラキラと光っていたものが空中に露散した。光輝君はそれを見た後また剣を掲げて「エンハンス・アーマネント」と唱えてその光ってたやつを回収した後確か「トランスファー・ヒューマン・ユニット・デュラビリティ、ライト・トュ・ワールド」と唱えたらその光が今度はそれぞれ戦場だった場所まで行って光の雨を降らした

 

130:名無しさん

その雨に触れた戦場にいた人達の傷が回復した。日本の人達も回復していた

 

131:名無しの女さん

あの時の光輝君、神様みたいだったなぁ

 

132:名無しさん

·····男で連合組んで光輝君に殴り込みに行ったら勝てるかな?

 

133:名無しさん

一瞬で吹き飛ばされるから止めとけ。最悪笠木と同じで氷漬けの刑だぞ。確かにあれは死んだ方がマシだとは思う。

 

134:名無しさん

その後光輝君は自衛隊員の人達に謝罪してた。めちゃくちゃ礼儀正しかったな。と言うよりどう見てもあの笠木に最後まで抵抗してた人と光輝君って知り合いだったよな。さん付けしてたし

 

135:名無しさん

そして光輝君は少し楽しそうに笑いながら笠木をどうするか聞こうとしたところで光輝君が一気に厳しげな顔に戻り多分気弾を放って相手がその気弾を弾いた。そして笠木の隣にいたのは不気味な仮面を付けている多分男。

 

136:名無しさん

あの仮面の奴も光輝君と面識あるよな。光輝君も知ってる反応だったし男は光輝君をフルネームで呼んだし

 

137:名無しさん

そして何と笠木の顔部分の氷を吹っ飛ばし笠木の顔だけオープンされた。笠木は仮面の奴に助けろって言ったが仮面の奴は助けに来た訳でも光輝君と戦いに来た訳でも無いと言う。しかし光輝君は髪は逆立ち金髪碧眼に変化して臨戦態勢に入った

 

138:名無しさん

待て待て!平然と金髪碧眼って言うなよ!

 

139:名無しさん

あれってどう見ても超サイヤ人·····

 

140:名無しさん

だよな!絶対あれ超サイヤ人だよな!?少年なら誰でもなろうとした超サイヤ人だよな!?

 

141:名無しさん

マジであれは超サイヤ人

後ろ姿から何まで超サイヤ人

 

142:名無しさん

永遠とループしそうだから話を進めると光輝君の変化に相手は少し鬱陶しそうにしてたけど取り敢えず感覚で笠木をぶっ刺そうとしてそこに光輝君が剣を1つ持って割って入った。うん。全く見えんかった

 

143:名無しさん

後ろの笠木はほっとかれ仮面の奴の黒紫色のオーラと光輝君の金色のオーラが剣と一緒にぶつかり合って稲妻が走ってたな

めちゃくちゃ迫力があった

 

144:名無しさん

自衛隊員達が感じたのは俺達の比じゃないのがなんかすごい(語彙力皆無)

 

145:名無しさん

その後笠木何か目じゃない高速バトルに突入。両者当たり前の如く空を縦横無尽に飛び回り剣戟をぶつけあってた。

 

146:名無しさん

そして仮面の奴と光輝君が距離を取って何か会話していたらと思ったら仮面の奴が日本陣営に向けて飛び道具を放った。光輝君がギリギリ間に合ってそれは上に弾いて被害ゼロやけど代わりに笠木の四肢が(以下自主規制)

 

147:名無しさん

偉いぞ。よく書かなかった

 

148:名無しさん

あれは·····光輝君が氷漬けにしとかなかったらもっと悲惨になってたよな?

 

149:名無しさん

うん

氷漬けのおかげで赤いやつが(以下自主規制)

 

150:名無しさん

そして笠木は命乞いするが仮面の奴は聞き入れず跡形もなく消し飛ばした。慈悲もない

 

151:名無しさん

そして光輝君を指差して次に会うのは決着の時だ。光輝君を超えて殺すのは俺だから誰にも殺されるな的なセリフを言って消えた

 

152:名無しさん

本当にあいつ何もんなん?

 

153:名無しさん

分からん

光輝君も知らないみたいだし俺達が考えるのは疲れるから止めとこ

 

154:名無しさん

そだナ

 

155:名無しさん

光輝君は警戒した後、何と剣を上に投げてノールックでその剣を鞘に入れた。

 

156:名無しさん

あれトランクス見た奴なら誰もが1回はやったよな。サラッと光輝君やったけど最悪頭にずサッとだったんだけど笑

 

157:名無しさん

やめろ笑

想像したら笑えるじゃねえか

 

158:名無しさん

剣を鞘に入れたら金髪が黒髪に戻った。

 

159:名無しさん

·····やっぱりあれ超サイヤ人

 

160:名無しさん

・・・驚き疲れたからこの後は少し気が抜けて良かったな

 

161:名無しさん

そうやな笑

戦うのは怖くないのに怒られるのが怖いとか可愛いかよ笑

 

162:名無しさん

光輝君ってもしかして今義理の家族の所行ってんのかな?

 

163:名無しさん

そうじゃない?逆にその家族以外で光輝君を怒る人は現状いないし。

これで馬鹿なマスコミがその家族の所に突撃しなきゃいいけど·····多分家族の方も光輝君に会うのは久しぶりやろ?じゃないと怒られるとは思わないだろうし。

 

164:名無しさん

久しぶりの再会位ゆっくりさせてやりたいよな

 

165:名無しさん

どうやろ?マスコミがそこら辺配慮出来るとは思えないけど。

 

166:名無しの女さん

あの怒られるのが怖いって言ってた光輝君がもう可愛すぎる( ⸝⸝•௰•⸝⸝ )

戦ってた時と怒られるのが怖いって言ってた時のギャップがもうやばい!

 

167:名無しさん

確かにギャップがえぐかったよな笑

 

168:名無しの女さん

友達と話してても光輝君の話題で持ち切りですよ!

 

169:名無しさん

あの蒼の少女って子が光輝君生きてるって主張して生きてる訳ないやろって言って蒼の少女をめちゃくちゃディスってた奴今頃赤っ恥やな笑

 

170:名無しさん

そうやな。確かに10日以内に光輝君生存確認出来たんだからあいつ個人情報公開するべきだろ笑

誰得の個人情報かは知らんけどな

 

171:世間の眼を覚ます人間

お前らさ、何であの餓鬼を英雄視してるん?

あんなのあの餓鬼の自作自演に決まってるやろwww

 

172:名無しさん

>>171

何言ってんだこいつ

どうやったら自作自演になるんだ?

 

173:世間の眼を覚ます人間

はっ?わっかんねーの?うわっ、馬鹿だな〜!

単純に考えてあんなアニメみたいな事が起る訳ないやろ?

何だよ武装完全支配術とか超サイヤ人とか、お前ら夢見てるだけだろww

あれは精巧に出来たドラマだ

 

174:名無しさん

いやーどう考えてもそんな思考にはならないだろ

事実として光輝君はそれらの現象を自力で引き起こしたんだから

 

175:世間の眼を覚ます人間

はいバカ乙ww

俺はこう考えるね

先ず餓鬼の家族が殺されたって言うけどあれは嘘なんだよ

餓鬼が子供心に世界的に目立ちたいと思って計画を練ったんだよ

笠木はきっと家餓鬼の知り合いか何かであの決戦の計画を立てたんだ。そして無事にそれは達成した。だけど餓鬼は名声を浴びてもっと英雄視されたくなった。

だから5年経った今また笠木に頼んであんな芝居をさせてかっこよくww登場したんだよ

あの氷とか金髪とか皆合成なんだよ

だからあんなのは全部偽物。お前らいい加減気づけよwwマジで低脳やな

 

176:名無しさん

なーんかめちゃくちゃな事言ってる人いるな

 

177:世間の眼を覚ます人間

めちゃくちゃなのお前らの方やろ笑

あんな餓鬼をなんで英雄視するのか全く分からん

あいつ平気で笠木をぶっ刺したやつやで?

 

178:馬鹿の眼を覚ます人間

取り敢えず反論

光輝君の家族については本気で死んでいる。5年前のスレとか行ったら直ぐに分かる。

それから君の言い分の方がめちゃくちゃ。

先ず自作自演なら世界中で笠木に殺された人達はどう説明する?言っておくが死亡確認はそれぞれの国でされてるしそれも自作自演なら何で国が光輝君の計画に付き合う必要がある?

 

179:名無しさん

5年前渋谷が本気でぶっ壊れてた事も説明してね。

 

180:名無しさん

あと5年前も今回も生放送なの。編集不可能な生放送でどうやって合成したのか教えてね

 

181:名無しさん

ボコボコにしててワロタ

いいゾもっとやれ(本音)

 

182:名無しさん

まぁ上のはもうほっとこう。言ってる事全部事実に比べたら矛盾しまくってるからただのアンチだろ

 

183:名無しさん

でも実際光輝君って殺人未遂になるんじゃないの?だってぶっ刺したのは本当な訳だし。アンチじゃないです寧ろ感謝してます。

 

184:名無しさん

それも無いんじゃない?だって今回光輝君は笠木の攻撃をノーガードで受けてから反撃し始めたし。笠木は前と同じで征服宣言してたし実際自衛隊員達はボロボロになった訳やからな。まぁ光輝君が超広範囲回復をしてたんですけどね()

 

185:名無しさん

そっか、殺意あって笠木から攻撃貰った後に反撃したから一応正当防衛になるんか

 

186:名無しさん

何なら笠木を消したの光輝君じゃないしな

 

187:名無しさん

忘れてたわ笑

 

188:名無しさん

そう言えばアメリカとかにいてた光輝君はどうしたん?

 

189:名無しさん

煙に包まれて消えたらしいよ

どこぞの忍者アニメを思い出してるけど・・・まさかね?

 

190:名無しさん

((((;゜Д゜))))

 

191:名無しさん

本気で1回光輝君に記者会見か何か開いてもらいたい

 

192:名無しさん

分かる。

どうやって生き残ったのとかどこにいたのかとか・・・それからあの技の数々の事も聞きたい

 

193:名無しさん

やれやれ、今晩は中々寝れなさそうだぜ(かっこよく言ってみた)

 

194:名無しさん

今晩と言ってもまだ昼だぞ・・・まぁ同意するけど

 

195:名無しさん

でも俺田舎の実家に東京から逃げてきてたんだけど会社から連絡来て明日普通に出社と言われた

 

196:名無しさん

・・・まぁ世界が滅びるのに比べたらマシじゃない?

 

197:名無しさん

いや俺実家から東京、10時間位車走らせないとダメなんだよ

 

198:名無しさん

今は午後13時やから・・・

 

199:名無しさん

あ(察し)

 

200:名無しさん

がんばれー(棒)

 

 

 

 

 




お疲れ様です。
波乱になっている人々。
ぶっちゃけ本当に2次元の技やら変身を3次元でされた時の世間の反応はこんなもんじゃないと思うんですが僕にはあれが限界でした()
あといつの間にか100話行ってました。ありがとうございます!
(*´∇`)ノ ではでは~


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好きを確かめる方法

おはようございます。

愛美inALOです。
唐突に恋愛要素入れてくる奴は僕です

では暇つぶしにどぞ

後今回は愛美視点が偶にあります。


Welcome to the ALfheim Online

 

 そう書かれた所から慣れていなければ酔ってしまいそうな虹色の場所を突き抜けていき私は気づいたら暗い所にいた。そんな私の目の前がいきなり光だし緊張が走る。

 

「アルヴヘイムオンラインにようこそ」

 

 機械的な女性の声のアナウンスがどこからか聞こえた。そう思っていたら目の前にパソコンのキーボードの様なものが出てきた。但し実体は無く今の世界の技術では見た事がないホロキーボードだ。

 

「先ずはプレイヤーネームを教えてください」

 

 そうアナウンスが聞こえ私は考える。

 ここで考えた名前はこれからも使って行くことになると思ったからだ。

 それに普通のゲームと違ってこの名前はよく呼ばれる名前になる筈。

 

 ―――光輝のプレイヤーネーム教えて貰っとくんだったなぁ

 

 と折角帰ってきたのにあの返事を教えて貰えなかった光輝の事を思う。

 正直光輝がドラゴンボールの世界やNARUTOの世界に行っていた事にはまだ実感が湧かない。だが光輝は舞空術やドラゴンボールの戦士達がよくやる気を纏う事を普通にしていた。更には影分身も。

 本当に光輝の事を全然知らない事に愛美は少し落ち込む。プレイヤーネームを打つ為のホロキーボードを見ながら愛美は思案し手を出した。たった3文字のアルファベットを打ってエンターキーを押す。

 

「Emiさんですね。次は種族を選びましょう。」

 

 そうすると私の目の前に今度は女性のモデル達が出てきて目の前にはシルフと呼ばれる種族の説明とモデルさんが出た。

 SAOの原作の設定道理なら確かシルフは主人公のキリトの妹、リーファの種族でシルフの特徴としては耳が他の種族に比べて良い事だった筈。

 右に手をスライドさせると今度はサラマンダーと呼ばれる種族が出てきた。全体的に赤く攻撃力が高い事が特徴。これも原作と同じならクラインの種族だった筈。

 

「どうしよう·····光輝を待たせてるし・・・」

 

 愛美は色んな種族があるのを見て悩み始める。

 ALOには種族が9つある。どの種族も一長一短で悩むのは当然だった。

 光輝に関しては最初レインと同じ鍛治妖精レプラコーンにしようと思ったが茅場のSAOクリア報酬によって光輝専用種族のアルフになった。

 愛美は悩みに悩み

 

「よし、これにしよ!」

 

 そう言って選択したのは水妖精のウンディーネだった。ウンディーネは後方支援向けの種族。でもアスナとかはデスゲームの経験で前衛にもバリバリ出ていたから絶対に後方支援という訳では無いと思ったの。

 出てきた注意書きを見てみると原作と同じくアバターの容姿はランダムみたい。どうか可愛いアバターでありますようにと願いながらOKボタンを押す。

 

「決まりましたか?今から貴方を種族の領土に送ります。では、楽しんでください。健闘を祈ります」

 

 そう聞こえた直後、愛美は光に包まれ思わず目を閉じる。

 数秒経ち愛美は恐る恐る眼を開けた。

 

「わぁ···」

 

 愛美は言葉をそこまでしか出せなかった。アメリカにも日本でも見た事の無い景色がそこにあった。

 現実離れをしている人達の往来、ウンディーネのイメージは青色か水色だったが他の種族の人達も楽しそうに歩いている。

 愛美は自分の手を動かしてみる。今はフルダイブ·····つまり現実の愛美は光輝の隣で寝ている筈なのに手を思った通りに動かせる。手触りも全て現実と同じに感じる。

 愛美は自分の格好を見る。水色を基調とした初期装備だ。そして後ろを見てみると思わずビクッとした。そこに光輝のものしか見た事が無かった西洋風のロングソードがあったからだ。

 そして次に目線を動かしてみる。自分の斜め左上には自分のHPが表示されてその隣にEmiと書かれている。

 恐らく光輝以外で自分だけが初めてフルダイブを経験しているという事に愛美は感動し始めてしまった。しかし何時までも感傷には浸れない。

 

「あっ、光輝探さないと・・・」

 

 そこで気がついた。私光輝のプレイヤーネームを聞いていない。というより中に入ったら待っててと聞いてるだけでどこで待ち合わせなのか聞いていない。

 

「どうしよう·····」

 

 そこで急速に心細くなった。初めての世界で一人ぼっちなのだ。そう思うのも仕方が無い。

 

「そこのお嬢ちゃん」

 

 その言葉に愛美はビクンとし後ろを見た。そこには如何にもチャラそうな男が3人いた。勿論愛美の知り合いではない。と言うよりこの世界に知り合いは光輝以外にはいない。何故なら光輝以外は愛美からすれば全員異世界人だし。

 

「な、何ですか?」

 

「ニュービーなら俺達が遊び方をレクチャーしてやるよ」

 

「分かりやすく教えてあげるから来なよ」

 

「お前何良い奴ぶってんだよ!」

 

 そんな男三人衆からは下心が見えている。愛美はある種あの時の笠木に似ている雰囲気を出している3人から1歩下がる

 

「あの・・・私、人待ってるので」

 

「そんな事言わずにさぁ楽しくやろうよ」

 

 そう言って1歩前に進む。

 目の前の3人、言ってる事は気持ち悪いが装備はいいものなのかそれなりに強そうと考えられる。そんな3人に今来たばかりで戦いのたの字も知らない愛美が勝てる訳ない。そしてあの時の笠木を思い出してしまい思わず

 

「来ないで!」

 

 そう叫ぶ。そうしたら目の前の3人はあからさまに不機嫌の顔になった。

 

「はあっ!?俺達は優しく教えようとしてあげただけじゃねえか!」

 

「これはお仕置きが必要ですね。」

 

 そうやはり下心丸出しの顔で言って更に愛美に近づき逃げようとしたその腕を無理矢理掴んだ。

 

「離して!」

 

 愛美はそう言いながら周りを見る。だが周りは面倒事に巻き込まれたくないのか遠目に見ているだけだ。その視線に愛美は自分の髪と眼で虐められていた時の周りの視線を思い出した。そして人はそういう生き物ということも思い出した。

 

「さぁ行こうよ〜」

 

 そう言って愛美を無理やり引っ張る。愛美の初期ステータスでは敵う筈もなく引っ張られる。

 初めて来たこの世界にワクワクする筈だったのに・・・

 

「・・・こうき」

 

「あっ?」

 

「光輝早く来てっ!」

 

 愛美がそう叫んだ瞬間、愛美と男達の間に無理矢理割り込んだ人影が男達を吹き飛ばした。それとほぼ同時にもう1人の人影が愛美をその場所から離した。

 

「・・・え?」

 

 愛美は少し理解が追いつかず男達を吹き飛ばした人を見る。後ろから見えるのは蒼色の羽織·····その背中には蒼色と赤色の双剣。

 男達は吹き飛びから回復した後、急いで立ち上がり見た。

 

「お、お前は·····何でこんな所に」

 

「嘘だろ·····」

 

「お前らの困惑なんざ俺からすればどうでも良い。俺の大切な人を傷つけようとした報いを受ける覚悟はあるな?」

 

 そう言いながら目の前の人は右足を後ろに下げ右の拳を引いて構える。私は心配で声をかけようとしたら·····

 

「大丈夫よ、見てて」

 

 そう言われ私は初めてもう1人の人に向いた。そして·····驚愕で声が出なかった。基本的な姿は一緒な筈なのにアバターでもその人が美人だと思わせる優しげな瞳。

 

「アスナ·····さん」

 

 私は途中までつい何時ものように呼び捨てをする所だったけど何とか止まってさん付けにした。

 私の驚愕はほっとかれ男達は目の前の・・・多分光輝に吠える

 

「お、怖気付くな!ここはウンディーネ領だ!アルフのこいつは俺達にダメージは与えられない!」

 

「そ、そうだ!それにこいつを倒したら俺達の名がALO中に広まるぜ!」

 

「それだけじゃなねえ!見たことも無いようなレアアイテムも持ってる筈だ!」

 

 ALOでは種族によって領がある。シルフならシルフ領、サラマンダーならサラマンダー領と分かれている。

 そしてその領の種族はその領にいる間は圏内となり再び外に行かない限りは基本ダメージを負う事はない。目の前の3人はウンディーネなのでこのウンディーネ領ではダメージを受ける事はない。

 そしてウンディーネでは無い光輝はこの場でもダメージを受ける。

 つまりこの男3人は自分達はダメージを受けないが光輝にはダメージを与えられるという勝ちたいだけなら最高の状況なのだ。

 そうと分かれば3人は自分達の武器を持つ。1人は斧、1人は短剣、1人はスタッフだ。

 

「死ねぇぇえ!」

 

 3人の中で1番軽装備の短剣使いがライトエフェクトを伴いながら光輝に迫る。短剣2連撃ソードスキル《ラビット・バイト》だ。ソードスキルによりアバターが加速する。愛美は思わず悲鳴を上げる

 だが光輝は短剣が到達する直前にその短剣を持っている腕を掴み軌道を逸らし強力な膝蹴りをかます。

 

「かハッ·····!」

 

 ソードスキルは一撃目にも関わらず光輝が容赦なく攻撃したのでモーションが終わり技後硬直になる。しかしどの道光輝が地面へ倒したので光輝は追撃はせず次を見る。

 今度は斧使いがその重そうな斧を光輝の真上から振り下ろしていた。

 光輝は最小限の動きで横にズレてその攻撃を躱す。

 そして隙だらけの腹部に拳を練り込ませる。

 唸り声を上げながら斧の男はその胴体を晒す。だが意地か何かなのかそれ以上の後退はせず斧を離した左の拳を光輝に向ける。

 光輝は左の拳が握られたのを見た瞬間に片手を地面へつけ前転の要領で後ろ蹴りを斧使いに放つ

 

「うわっ!!」

 

 その一撃により斧は手から離れ前方に吹き飛んだ。だがその斧使いは吹き飛ばされていながらもにやりと笑う。

 その理由はスタッフ使い·····まあ要は魔法使いの3人目の仲間が氷の魔法を使って5個の氷の玉を作っていたからだ。

 

「これで終わりだーーっ!」

 

 そう叫びそれら5個の弾丸を放った。ALOの魔法は拳銃などに比べたら遅いがそれでも一般人では中々反応が出来ない。昔のALOが魔法使い一強だったのがそれだ。

 今はアップデートなどで武器使いの人も増えているが遠距離攻撃を出来るという魔法はやはり今でも根強く残っている。

 

「光輝!」

 

 愛美は魔法の事は未だに分かってはいないが光輝に迫るその攻撃を見て思わず叫ぶ。光輝はそんな自分を心配してくれている愛美の声が嬉しいと思いつつも弾丸の軌道と核を見極めソードスキル発動の為の構えをとる。

 唸るように体を丸めてから動き出す。その光輝の両手はソードスキルの証のオレンジ色の光が発光している

 1つ目は右の拳右から左に撃ち抜きぶっ潰す

 2つ目はその左に撃ち抜いた腕を再び戻して肘打ちでぶっ潰す。

 3つ目は左手でぶっ潰しながら一回転する

 4つ目はその一回転の威力を利用した回し蹴りでぶっ潰す

 5つ目は自分の右の拳を引いて掌底でぶっ潰す。

 

「う·····嘘だろ」

 

 そう魔法使いが思わず漏らす。それも当然だ。ALOの魔法は先に書いた通り早い。そしてその魔法をぶっ壊すのは至難の業。

 魔法の中心には必ず核がある。光輝やった魔法ぶっ壊す技はシステム外スキル《魔法破壊(スペルブラスト)》と呼ばれ魔法の中心のコア目掛けソードスキルをタイミングよく当てる事でノーダメージにするのだ。

 しかしこのコアとそのコアを壊すために適切なソードスキルを放たれてから選択しなければならない。それが超絶技巧の技で今の所スペルブラストを使えるのは光輝とキリトしかいない。

 因みに今光輝がやったのは体術のオリジナルソードスキルで悟空の「超龍撃拳」という技だ。

 

「くそーーーっ!」

 

 そう立ち上がっていた短剣使いが後ろから光輝に迫るが光輝は横にズレて肘打ちをして短剣使いはそれを顔面に受け斧使いの所まで吹き飛んだ。

 今の攻防両者ダメージは受けていないがどちらが強いかなんて明白だった。

 

「これ以上やっても意味は無い。さっさとどっか行くんだな。俺の気は済んだ」

 

 そう光輝は3人に言う。3人は立ち上がり更に攻撃をしようとしたがそこで周りの視線に気がついた。ALOはMMOだ。だからNPCなど以外は人がいる。今の騒ぎで自分達の評判の事を考え

 

「く…くそ、覚えてろ!」

 

 そうリーダー格であろう斧使いが叫び残りの2人とどこかに行った。そんな安定の捨てセリフを吐いて逃げて行った3人を見送った後、光輝は振り向こうとした·····

 だが振り向いた瞬間、愛美が光輝に飛び込んできた

 

「ちょっ!?え、愛美?」

 

「·····怖かった」

 

 ただそれだけを言った。それもそうである。ある種笠木と重なるようなねっとりとした言い方だったのだから。

 初めて来たVRMMO、愛美は心の中では皆良い人に違いないと思っていた。少なくともアニメのSAOやALOはそうだったから。

 だが違った。来てそうそうあんな奴らから下心丸出しで詰められ腕を捕まれ連れて行かれかけ·····

 愛美が恐怖するのは当然だった。まあ滅多にいない部類の奴らがたまたまと言えばそうかもしれないがそう言う問題ではない。

 光輝はまたぎこちなく愛美を抱き返しその綺麗な水色の髪を撫でる

 

「俺も名前とか待ち合わせ場所言ってなかった。ごめん。」

 

「·····うん。許す」

 

 そのまま2人は少し抱き合っていたのだが光輝が流石に·····という顔になり言った。

 

「その愛美·····そろそろ」

 

「もうちょっと・・・」

 

「いや周りにめちゃ見られてるから!」

 

 その言葉に愛美は弾かれた様に周りを見た。そうすれば確かに周りは暖かい目で・・・偶に光輝に向けて嫉妬の視線を向けている。

 アスナを見ると微笑んでいて愛美は恥ずかしくなりばっと離れた。その顔は真っ赤だ。愛美が恥ずかしさで何も言えなくなっているのを他所に光輝はアスナに言った。

 

「アスナさん、ついてきてくれてありがとうございました。」

 

「うんうん。大丈夫だよ。それに·····」

 

 アスナはそこで愛美に向く。それはどこか楽しそうな顔で言う

 

「女の子のVRMMOプレイヤーが増えるのは私も嬉しいからね。」

 

 その後、3人はウンディーネ領のショップを見に行く。取り敢えず困らない程に愛美の装備を見に来たのだ。その道中愛美は光輝に聞いた

 

「でも何で2人は私がウンディーネにするって分かってたの?」

 

 種族は9つ、つまり領も9つあって場所によるが全部遠い。愛美を助けに来るまでの時間から逆算して来るのなら1つに絞らないと遅くなる前に着けなかった筈だ。

 

「ああそれは1つ目は愛美はウンディーネを選びそうと俺が個人的に思ったのとこれも理由」

 

 そう言いながら光輝はメニューを開き何やら操作した後、私に見せた。それは何かの掲示板らしくそこにはウンディーネの3人組が1人のニュービーを囲んで連れて行こうとしてるっていう書き込みがあった。それで納得した。

 

「それを俺が見てフレンドリストの中でウンディーネ領に近い人達に理由を説明して向かってもらって俺も向かった。」

 

「それで到着したのがほぼ同時だったって訳」

 

「なるほど·····」

 

 そして3人が来たのは武器屋さんだ。光輝やキリト達はリズベット武具店かレインが作った武器を使っている。だがそれらの武器を装備するにはそれなりに装備レベルを上げなければならない。だからさっき始めたばかりの愛美には先ず武器屋からスタートしてもらおうというわけだ。

 

「でも私お金なんて·····」

 

 来たばかりだからお金が無いのは当然。

 

「その位俺が出すよ。俺が誘ったんだから」

 

「光輝君、この前もデュエル大会優勝してユルドいっぱい貰ってたもんね」

 

「いやあれはアリスさんとかに出ろ!って言われたからなんですが」

 

(何で·····こんなに仲が良さそうなの)

 

 アスナと光輝は愛美と光輝が喋るよりも打ち解けているように見える。それが何でなのか愛美には分からなかった。そして心が少し重たくなり

 

 チクッ

 

 そんな音がした気がした。

 そんな愛美の心情は光輝には分からずアスナに確認にで聞いた

 

「と言うよりアスナさん。結婚の準備は良いんですか?」

 

「けっ·····こん?」

 

 と愛美は唐突に出てきたそのワードに素っ頓狂な声でリピートした。愛美がアスナを見るとアスナも少し照れているのか頬を染めながら言った

 

「う、うん。準備は順調よ。お父さんもお母さんも認めてくれてるし。」

 

「えっと·····その、結婚するんですか?」

 

「ええ。今度ね。」

 

「おめでとうございます!」

 

 愛美も女の子、恋愛の話は好きだ。結婚にだって憧れた事がある。

 アスナはそんな愛美のお祝いにも頬を染めながら返す。

 

「ふふっ、ありがとう。」

 

 そうとびきりの笑顔で言った。3人は武器屋に入り光輝は取り敢えず聞いた

 

「それで、愛美。どんな武器使いたい?」

 

 その言葉を聞きながら私は店に並んでいる武器達を見る。だが正直それらの一長一短が分からず結局光輝に聞いた

 

「その、違いってやっぱりあるの?」

 

「まあそりゃああるよ。例えば俺が使っている片手剣は基本はオールラウンダーで相手への一撃のダメージは安定している。」

 

「私が使ってる細剣は素早さと正確さを重視していて一撃一撃は片手剣には及ばないかな。その代わりそのダメージ差は手数で賄うのが基本だね。」

 

「短剣は扱いやすいし手数がある。ただリーチが短いから相手の懐に入り込む度胸がないと無理」

 

「斧は破壊力は凄まじいけど取り扱いは難しいかな。でも慣れたら強力にはなるよ。」

 

「曲刀は殆ど一撃必殺、攻撃に重視しているから防御は少し不得意。発展系の刀も同じ」

 

「槍はリーチは魔法以外では1番あるけどこれも取り扱いが難しいね。でも慣れたら強力」

 

「後弓があるけど殆ど後方支援向け。それに狙いを定めるのも自力でしないといけないから初心者にはおすすめしない。·····初心者なのに200メートル先を撃ち抜いたえぐい人ならいたけどあれはあの人が可笑しいだけだからやっぱりおすすめしない」

 

 そんなスラスラと出てくる2人の解説に愛美は頭がこんがらがって来た。そして脳内で2人が言った事を纏める。地頭は良いので直ぐに纏まる。

 そして悩みに悩み·····

 

「その・・・片手剣にする」

 

 ここにあるもの全て現実離れのものだがやはり愛美は使うのならよくゲームでも使っていた剣が良いと思ったのだ。·····自分が動いて使うのは初めてだが。

 光輝は反対せずに片手剣の場所に愛美を連れていく。そして1つずつ振ってみて感触を確かめて1つ選んだ。光輝がその剣を買い愛美に渡した。

 

「わぁ」

 

 愛美はその初めて持つ武器に思わず詠嘆した。ずっしりと重い訳では無く振り回す分には丁度いい重さ、掴む場所にはまるでずっと使っていたようにフィットした。

 そんな感動し始めた愛美をアスナは少し微笑ましく見る。SAO時代、初めて愛剣を手に入れた時の自分の反応にそっくりだったからだ。

 

「じゃあ次は装備か」

 

 そう言って隣にある武具屋に行こうとした光輝をアスナが止めた

 

「光輝君、女の子の装備は私が見た方が良いと思うよ」

 

 光輝はその言葉に疑問符を浮かべる。

 一方愛美は装備が服のことだと気が付き赤くなる。例えアバターと言えども着替えの瞬間を見せるのは恥ずかしい。フィッティングによって愛美のアバターは顔と髪以外は現実と同じになっているから余計にだ。

 光輝は別にそのことに気が付いた訳ではないが女性同士の方が良いかとなり頷きながら愛美に向く。

 

「それもそうですね。愛美も良い?」

 

「え、あ、はい。」

 

 愛美は未だにアスナにどんな態度で接したらいいのか分からない。今までフィクションの人達と思っていたのに直接会ったらそうなってしまうだろう。それから愛美が会っているアスナは愛美が知っているアスナよりも年上って事が分かる。でなければ結婚というワードは出てこないだろう。

 ため口の訳にもいかずどうしようと思いながら愛美はアスナについていく。

 

 私とアスナ・・・さんがお店に入ったら沢山のお洋服やこれまた現実離れしている鎧等があった。ここにあるのは基本装備だというのにその存在感は凄かった。店に入るとアスナさんが綺麗な水色の髪を靡かせながら振り向いて聞いてきた。

 

「えっと愛美ちゃんだったわね。愛美ちゃんはどんな服が良い?」

 

 そう言われ私は店を見渡す。金属装備から皮装備まで一通り揃っているように感じる。

 でも私がゲームのキャラクターに何かを装備させる時は見た目なんか重視してなくて性能が高いものを装備させてた。大概の私がやっていたゲームがMMOじゃなくて一人用RPGで私以外には分からないし画面上のキャラクター達も何か変わる訳じゃなくてステータスだけが変わる仕様だったから。

 でも今から選ぶ装備は正真正銘ここにいる私が装備する。装備したら私のアバターに反映されステータスだけじゃなくて私の格好も変わる。

 私だって女の子だもん。いくら性能がよくてもダサい服は嫌だ。・・・光輝にも見せることにもなっちゃうし。

 

「愛美ちゃんのアバターも可愛いから悩んじゃうわね」

 

「あっ、私まだ自分のアバター確認してない…」

 

「そうなの?じゃあこっち来て」

 

 そう言われて私はアスナさんについて行くと鏡があって鏡の前に立った。

 そうすると目の前に現れたのは自分で言うのはナルシストの様に見えるから避けたいけれどそれを差し引いても「可愛い」か「美人」のどちらかには入っている顔だちだった。

 そんな時、武具屋の扉が開いてアスナがそっちを見ればパーッと明るい顔になったのを見て愛美はそっちを見て…口を驚きで開けてしまった。

 

「やっほ〜アスナ!」

 

 そう言って来たのはインプと呼ばれる闇妖精の美少女で髪の毛は紫色、服も紫色が主でその腰にある剣も紫色。名前はユウキ、今尚絶剣と呼ばれる少女、但し愛美が知っているユウキは15歳の筈だがそれよりも大人びている事から2歳位は歳が経っていると考えられる。そしてもう1人

 

「アスナさんこんにちは!いや、義姉さんって言った方が良いですか?」

 

「も、もうリーファちゃん」

 

 金色のポニーテールの髪で主に緑色の服を着ている。その腰に持っている剣は片手剣なのか両手剣なのか分からないがとても様になっている。

 名前はリーファ、キリトの義理の妹。でも幼い頃から一緒に育ってきたので妹と言ってもいい。だから今度キリトと結婚するアスナはリーファからすればお義姉ちゃんという訳だ。

 

「アスナその子は?」

 

 そう聞いてきたのは猫妖精のケットシーで猫耳としっぽを持って後ろの腰に大きな弓を携えている。

 名前はシノン、元々GGOのプレイヤーだったがある時を境にALOにもよく来るようになった。但しホームは未だにGGOだ。

 そんな原作でしか見た事のない様な人達の度重なる登場に愛美は空いた口が塞がらない。そんな愛美の心情は知らないだろうがアスナが紹介する

 

「こちらは愛美ちゃん。光輝君が元々住んでいた世界の友達·····いやガールフレンドよ。」

 

 その少しイタズラしたような表情で言ったアスナに愛美は真っ赤になりながら叫ぶ

 

「がががガールフレンドじゃないです!」

 

 だがその顔はどう見ても全否定する様な顔では無い。それからアスナのイタズラに乗ったのかユウキは笑顔で言う

 

「へー!光輝にこんな可愛いガールフレンドいたんだ!」

 

 愛美は慌ててまた否定しようとするがそれよりも早くリーファが

 

「光輝君も幸せものだな〜」

 

 3人が愛美を弄り始めた頃、武具屋の外で待っている光輝は

 

「はっクション!」

 

 武具屋に入って行ったユウキとリーファさんとシノンさんを見送ってから何かいきなりくしゃみをしたくなった。何でだ?

 あの3人は俺が最初ウンディーネ領の近くにいた人達を呼びかけた時にたまたま近くにいて一足遅かったけど来てくれた。俺が暇だったからお礼がてらメールして今の状況も書いたら来た。

 愛美…どんな装備してくるのかな〜。アバターの愛美も·····可愛かった。何となーく現実の愛美にも見えたし。

 ·····初体験なのに嫌な思いさせちゃったな。楽しめるかな?

 

 と愛美の事を色々心配して30分程経った。流石に遅くないかとか光輝が思い始めたらやっと武具屋の扉が開いて5人が出てきた。圧倒的な女子比率の中光輝は普通に近づいて行って·····止まった。

 

「そ、その…どうかな?」

 

 と愛美は少し照れながら言った。

 愛美は買った剣は腰に吊るし、蒼色の布装備で一種のワンピースの様にも見える。腰辺りにはベルトがあってそれが腰と腰より下の境界線を示している。そして腰からはそのワンピースっぽい布が2つに分かれて蒼色のズボンを履いてあった。

 所々にはピンク色のラインも入っていて愛美にはとても似合っている。

 そして先程までただ下げていただけのロングヘアの一部を頭辺りで纏めて薔薇の形にしていた。

 

「うん。似合ってるよ。」

 

 光輝は数秒愛美を見た後漸くそれだけを口にした。

 愛美はその返事にパーッと明るい表情になって

 

「うん。ありがとう!」

 

 

 ★★★★★

 

 

「わわわ!」

 

 愛美はそう思わず言いながら倒れる。愛美の目の前にはイノシシ型のモンスターがいる。

 今は愛美の初めての戦いをしているのだ。

 

「愛美、怖いのなら後回しにしようか?」

 

 と2回ほどイノシシに吹き飛ばされた愛美を見て心配になった光輝が聞く。因みにこの光輝の発言を聞いた外野は

 

((愛美ちゃんには甘いわね))

 

 光輝は基本やれば何とかなると考えるタイプ。回数さえ重ねればと言う奴。勿論相手によって考え方は変えるが基本はそのタイプだ。

 しかし愛美は首を振りながら立つ。

 

「大丈夫、もうちょっとだけお願い」

 

「·····分かった。」

 

 そう言いながら光輝はそこら辺に転がっている石を手に取り投擲のスキルモーションを起こしながらその石をイノシシに投げた。

 その石はイノシシにぶち当たりイノシシは光輝を標的に突撃し始める

 

「こいつは基本こんな突進しかして来ない。だから落ち着いて動きをよく見て躱す」

 

 光輝はイノシシを躱し、その横腹を勢いよく蹴ってイノシシを愛美の方向に向けた。愛美に突撃し始めるイノシシを見ながら光輝は言う

 

「どんな攻撃もよく見れば大概は躱せる。後は度胸の問題。」

 

 光輝の解説を聞きながら愛美は先程光輝に買って貰った剣を両手で握り深呼吸しながらイノシシをよく見る。先程まではどこか現実と違いすぎて怖かった。だから思わず眼を閉じてしまっていたが今度はきちんと目を逸らさずイノシシの動きをよく見る。

 そうすると先程とは感覚が違いイノシシの動きがよく見える。

 

(ほんとだ、真っ直ぐにしか来ない)

 

 愛美はそのイノシシが自らの所に来た瞬間、左足を後ろに回転させ体を横向きにしたのと同時に目の前にはイノシシがやって来て剣を上段に振り下ろした。

 そうするとイノシシに縦に綺麗に入り赤色のダメージエフェクトが出てきた。イノシシの体力が減っていき元々体術ダメージが入りやすい光輝の攻撃の分も合わさりHPが無くなった。

 イノシシは青く輝き消滅した。

 それとほぼ同時に愛美にファンファーレがなりニュービーらしく少なかったHPが上がった。それだけではなく片手剣の熟練度が1から2に上がった。

 

「やった!」

 

 何はともあれ初のバトルで勝利を収めた愛美は思わずそう喜ぶ。

 光輝の仮想世界での最初のバトルはキリトと出会った後に出現したオオカミだった。その時光輝は剣は使えなかったので無理矢理倒したが愛美程喜んだ訳では無かった。それどころかゲームなのに痛みがあるとかそもそも未来に来ちゃったんじゃないか説で色々落ち込んでいたから喜ぶ要素が無かったのだ。

 だけれど、愛美を見ていたら教えた自分まで少し嬉しくなった。

 きっとこれがVRMMOを初めて遊ぶ人が見せる本来の顔なんだろう

 

「ありがとう光輝!!」

 

「どういたしまして。それに、初勝利おめでとう、愛美。」

 

「うん!えへへ」

 

 その後6人は愛美に戦闘を教えた。ソードスキルも初期から使える基本的なものは一通り教え愛美も飲み込みが早いのか直ぐにソードスキルを使える様になって行った。まぁ一行の中に片手剣使いは3人もいるのでそれもあったのだろう。そして最初よりかはスムーズに戦闘が出来る様になって女性メンバーとも打ち解けた時、愛美はやりたかった事を聞いた

 

「その…空飛びたいです」

 

 ずっと地面での戦闘をしていた。

 ALOの目玉機能、空を飛ぶのは愛美も知っている。アニメで見ていた時も楽しそうと思った。そして今、自分がその夢の場所にいるのなら体験したいと思うのは必然。

 

「そうね、そろそろ休憩しに行く為に良いかもね」

 

 アスナがそう言ってこの中では1番の古参のリーファが教える事になる。先ずは取り敢えずコントローラーを使っての飛行を試す。

 

「手をこう握って」

 

 そう言って愛美の世界にあるWiiのヌンチャクを握る様にしたのを見て愛美も左手をそうする。そうすると飛行する為のコントローラーが出てくる。

 

「それを少しづつ持ち上げて」

 

 愛美は言う通りにすると愛美の背中から水色の羽が出てきて徐々に浮かび始める。それを見た面々も羽を出し上昇する。

 

「あわわ!」

 

 その空中を浮遊するという事が初めての愛美はその足がプラ〜んとするのに慣れてなく少し慌てる。そんな愛美の体ををユウキが支える

 

「大丈夫、落ち着いて深呼吸。」

 

「すゥーはぁ〜」

 

 そうすると愛美は冷静になっていき滞空した。そして周りを見ると全員羽は出しているが愛美が使っているコントローラーは使っていない。

 

(やっぱり難しいんだろうなぁ・・・)

 

 とそこで光輝を見て

 

「あれ?光輝何で羽無いの!?」

 

「ん?ああ、俺は厳密にはアスナさんとかやっている随意飛行じゃなくて違う方法で飛んでるからな。俺は現実と同じ様な感じで空飛んでる。」

 

「それに光輝君は私達と種族が根本的に違うからね」

 

「まぁ、と言ってもなりたいかと言われたら絶対に嫌だけどね」

 

 アスナが光輝の種族の違いを言ってシノンは苦笑しながら言う。愛美はそれに疑問符を出しまくるが今集中が切れたら真っ逆さまで死なないとは言え怖いものは怖い。

 取り敢えず愛美はコントローラーの操縦の仕方をリーファに教えて貰いながら飛び始める。

 

「わあ〜!」

 

 空を生身で・・・アバターだが飛ぶのが初めての愛美はその風を感じながら飛ぶ事が気持ちいい事を知った。そして飛行をもっともっと早くしたいとも思った。この風と一緒になる様な感覚、きっと今隣にいるリーファはこの感覚が大好きなんだと思った。

 だからこそ、少し難しくても挑戦してみたいと思った。隣を遅めの愛美に合わしてくれているリーファに向いて

 

「あの、リーファさん」

 

「ん、なに?」

 

「その…随意飛行を」

 

愛美、上!

 

 教えてくださいと言おうとしたら唐突に後ろを飛んでいた光輝が叫ぶ。

 愛美は咄嗟に上を向いた。そうするとでかい鳥型のMOBが愛美に向けて急降下していた。愛美は直ぐに右腰にある剣を取ろうとしたが初めての事で剣を取ろうとしたら左手に持っていたコントローラーを離してしまった。

 

「・・・へ?」

 

 素っ頓狂な声を愛美が上げたのとほぼ同時、愛美は垂直に落下し始めた。

 

「きゃあああああああ!!!」

 

「愛美!そいつは任せます!」

 

 そう残りの4人に言って返事を聞かずに光輝は全速力で垂直落下して下の森に突撃している愛美を追った。

 愛美が随意飛行を出来るのなら光輝もこんなに慌てないのだが愛美は今日始めたばかりの正真正銘の初心者。それに今落下中の愛美はその恐怖故か眼を閉じてしまっている。

 

(クソ!リアルなら普通に追いつけるのに!)

 

 ALOでは流石の光輝も限界速度というものに縛られる。今光輝はその限界速度を出しているが垂直落下している愛美の方が微妙に早い。このままでは愛美が地面に激突して最悪HPが無くなってしまう。愛美が爆散してエンドフレイムになる所を想像し光輝は一瞬家族達を思い出し・・・

 

「死なせない!」

 

 そう叫び限界速度を出しながらオリジナルソードスキルを発動する為の印を高速で結びそれをシステムが認識する。光輝の右手が青白く発光し「チッチッチ」と音がし始める。光輝の元祖オリジナルソードスキル。オリジナルソードスキルとしては有り得ない単発技。だがスピードは桁違いで相手のカウンターを見切れる光輝にしか出来ない技

 

「千鳥!!」

 

 ソードスキルのシステムアシストによって光輝は限界速度から更に加速した。その速度はあっという間に愛美を追い越し光輝が先に着地した。千鳥を消して技後硬直が光輝を襲うが光輝は意地で体勢を取り直し上を向いて

 

「きゃああああ!!」

 

 そんな叫び声を上げならがら落ちてきた愛美を光輝は両手を前に広げ受け止めた。受け止めた瞬間、光輝は感覚的に地面に沈み腰が一気に下がった。そして愛美のHPを確認すると少しだけ減っていただけだった。

 

「愛美、大丈夫?」

 

 愛美は恐る恐る眼を開け光輝の顔を見た。光輝の顔は心配そのものみたいな顔である。

 そしてそれを見た愛美は徐々に涙目になっていく。仮想世界では感情の嘘はつけない。泣きたくなくても泣いてしまうし怖い時は恐怖の表情になってしまう。

 愛美は光輝の首元に手を回し胸に顔を押し付けた

 

「え、愛美!?」

 

 いきなりされたそんな事は血の繋がった方の姉とレインにしかされた事がない光輝は真っ赤になる。そして愛美が泣いている事に気がついた。

 思えばこの短時間で割と怖い目にはあっている。光輝はもう色々あって怖いとは微塵も思っていないが平凡に暮らしていた愛美が耐えれるとは別問題なのだ。

 だから光輝は自分の言える事だけを言った

 

「・・・小学校の時にさ、言ったでしょ?愛美が危なくなったら絶対助けるって」

 

 その言葉に愛美は埋めていた顔を上げ光輝を見る。やはり眼は濡れているが意地か何かでそれ以上の涙は無かった。

 そして光輝の言葉を懐かしそうに聞いて頷いた。

 

「これからも・・・ちゃんと守るから、さ。」

 

「·····」

 

 光輝なりに励ましの言葉を探りながら言っていくが愛美からの言葉が無く逆に不安になる光輝なのである。そう思っていたら愛美は再び首元に手を回しまた顔を埋めて聞いた

 

「・・・ほんとに?」

 

「·····うん。」

 

 光輝がそう言えば愛美は再び顔を上げ間近に顔がある光輝を見る。

 この世界でも光輝の顔は現実と全然変わっていない。その身に纏っているのも現実で着ている道着に限りなく近い。殆ど現実の生き写しだ。だからここにいるのは紛れもない光輝。

 

「・・・じゃあ·····確かめさせて」

 

 確かめたい・・・私の目の前にいる光輝が・・・私が好きになった光輝なのか。私の好きという気持ちが本物なのか。アバター何て関係ない。どんな姿でもそこにいる人の魂は皆同じなんだから。だから・・・きっとここで思った事は現実でも思う事だから

 

 愛美がそう言って首元に回してた手を少し強め、自分の顔も光輝に近づける。光輝は愛美が何をしようとしているのか殆ど分かっていないが何か確かめたい事があるのだろうかと思い特に気にせずノーアクションである。

 ・・・だが無反応でいられたのは最初だけで愛美との顔の距離が5cm程になった時、流石の光輝も真っ赤になった。

 恐らく誰もが振り返る程の整った顔に美貌、そしてそんな人が自分の顔目掛け目を閉じて接近しているのだ。これが悟空辺りならばまだ無反応でいたかもしれないが光輝は普通に無反応が一瞬にて崩れた。

 だけれども何か言う訳にもいかずされるがままに待って愛美との顔の距離がもう殆ど0になり愛美の唇が光輝に触れかけた時・・・

 

「2人とも大丈夫だった〜?」

 

 とユウキの声が聞こえた瞬間、2人の前に先程の鳥型モンスターを倒した4人が降り立った。そして4人は固まった愛美と光輝、そして愛美が光輝の首に手を回しやたらと光輝の顔の近くに自分の顔を近づけているのを見て・・・

 

「·····ごめんね、空気読めなくて」

 

「何か・・・ごめん。」

 

「本当にすいません」

 

「うん。・・・本当にごめんね」

 

 そうアスナ、シノン、リーファ、ユウキの順で謝ってきて愛美は初めて自分が何をしようとしていたのか理解した時・・・もう首元から耳まで真っ赤になってる所を想像出来る程愛美は恥ずかしさの限界を超えた。

 そして愛美は今漸く気がついた。自分が光輝にお姫様抱っこされている事に。

 

「こここここ光輝!お、下りる!」

 

「え?あ、うん。」

 

 光輝はそう言いながらゆっくりと地面に愛美を下ろす。愛美は下ろされる間も恥ずかしすぎてずっと顔を隠していた。下ろされた後も光輝やアスナ達に何を言えば良いのか分からなくなり顔を体育座りした膝の間に埋める。

 

「うー〜っ!」

 

 愛美がそう唸っている間に光輝は愛美に手をかざし回復魔法のスペルを唱え愛美の減ったHPを回復させた。自分ではあまり使わないが仲間がピンチになった時用に覚えておいたのである。

 全力で恥ずかしがっている愛美を見て光輝も微笑むのだった

 

 

 




お疲れさまでした

小1から会って無いくせに愛美さんめちゃくちゃ攻める奴。会って無い分の反動かな?
ちょっと思ったことあるのでアンケートします。物語には関係ないですが。
…あとワンパターンな気もしてる(笑)

ではではまた明日いつも通りの時間に出します。
ではでは


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マスコミと情報屋の違い

おはようございます。
アンケート答えてくれた方、ありがとうございました。タグを追加しときました。
現実側の話です。

暇つぶしにどぞ( *・ω・)ノ


 一方現実にいる影分身光輝は久しぶりの咲良に悪戦苦闘していた。

 咲良は光輝のしてきた冒険の話を聞きたがっていたが8歳に言えないような内容が多く何とか話せそうな事だけを話していく。

 

「いいな〜お兄ちゃん。いっぱい冒険して」

 

「まぁな。咲良もその内出来る様になるよ。」

 

(その為には先ずフルダイブのレーティングを下げるように安全装置を強化しないとダメだけど)

 

 と光輝は心の中で続ける。

 そして先程からにこにこで話を聞いてくれている咲良を見て少し顔を暗くする。

 咲良はそれに気が付き聞いた

 

「どうしたの?」

 

「・・・咲良は、さ。恨んでないの・・・俺の事」

 

 笠木は実は生きていたが昨日までは世間では光輝諸共死んでいたと思われていた筈だ。

 そして光輝は自分のせいで櫂家に迷惑がかかったんじゃないかと思っている。

 それは咲良にもだ。もし学校で光輝の事を知られた場合、最悪人殺しの妹と言われたかもしれない。

 笠木はまぁ世間的に見ればイカれていたのは承知されている。だけれどもやはり殺人は罪だと光輝も考えている。·····だからまだ話していないだけで光輝はもう罪は幾つか犯している。

 ナッパ、ターレス、セル、ブロリー、そしてジャネンバ。光輝は隠しておくつもりはない。きっと櫂達が帰ってきたら打ち明けるだろうし今隣でフルダイブしている愛美にもALOか現実で言うだろう。

 そしてもう1つは5年もの間シーラス達との戦いが終わるまで帰らまいと強情になり会いに行かなかったこと。

 恨まれても光輝は文句言えない。

 事実咲良は光輝の言葉を聞いて徐々に「あっ」という顔になっていく。だが直ぐに微笑みながら言った。

 

「…確かにね、学校で偶にいるよ。私のお兄ちゃんを化け物っていう人。」

 

 その言葉に光輝の顔が暗くなっていく。自分が化け物と言われた事にではない。自分が化け物なんてもう赤眼と蒼眼になった時から知っている。

 暗くなった原因はそんな事ではなく咲良がそう言われた時の咲良の心情にである。きっと悲しい思いをしたはずだ。これで咲良が光輝を元々嫌っていたのならマシだったかもしれない。だが自惚れかもしれないが光輝は自分は結構懐かれていると思っている。だからこそ傷ついていると思ったのだ。

 

「だからこう言い返したの。化け物じゃない、私の自慢のお兄ちゃんだって」

 

 

 咲良のその言葉に光輝は咲良を見る。咲良は3歳の時の面影を残している。元々美人に入っていただろう楓の顔と櫂の優し気な瞳を受け継いでいる。

 咲良は続ける。

 

「私ね、本当の事を言うとお兄ちゃんの事全部は覚えていないんだ。」

 

 その言葉に光輝特に落胆しなかった。咲良は3歳、記憶はあるかもしれないがその保有率は低かっただろう。そして物心がつく頃には光輝はもう櫂家にはいなかった。だから光輝も落胆しなかったのだ。

 

「でもね、私これだけはちゃんと覚えてるよ。お兄ちゃんが私とママを命を懸けて守ってくれたこと」

 

 それは光輝が櫂家に来て1年経った時に起きた拳銃乱射事件の事だと光輝は直ぐに分かった。

 薬をやりまくりまともな理性と判断力を失った男が裏サイトで手に入れた拳銃をあろうことかショッピングモールで乱射しだしたのだ。不意打ちだったこともあり何人かはその銃弾を食らい現場は阿鼻叫喚となった。

 光輝は当時楓と咲良と一緒にそのショッピングモールにいて暴走犯と同じフロアにいた。光輝は無理に動いたら銃弾が飛んでくると分かっていたので二人と一緒に隠れていた。しかし時間がなく隠れていた場所は登り、或いは下りのエレベーターもエスカレーターもなかった。

 だが光輝は暴走男が去るまでには弾丸が無くなるだろうと踏んでいた。だから持久戦に持ち込めば警察か警備員が取り押さえられるだろうと思ったのだ。

 現に警備員はそうして弾丸が無くなった時に少し空いてた距離をダッシュで詰めて拳銃を奪おうとした。光輝も楓と咲良を隠しながらその攻防を見ていた。

 だが暴走犯は無我夢中で空のカートリッジを入れ替えすぐ後ろまで来ていたその警備員を撃った。

 

「あの時の銃声は今でも覚えてるよ。たぶんもう忘れられないかな。」

 

 警備員は思い切り吹き飛び急所は逸れたもののそれでも尋常ではない出血があった。

 そして暴走犯は何か不快にでも思ったのかその血だらけで戦う事なんて出来ないはずの警備員に向け引き金を引こうとした時・・・光輝は警備員の年齢が祖父に近かった事もあり一瞬血だらけで死んだ祖父の事を思い出し

 

『やめろーーーっ!!』

 

 その言葉と共に公の場で初めて赤眼と蒼眼を使いその暴走犯に突撃した。勿論警備員さんを助ける為と言うのは1つ、もう1つはこのままでは最悪楓や咲良も見つかり撃たれる未来しか見えなかったのもある。

 勿論楓は止めようとしたが人外経踏み出し始めていた光輝の手を掴めず光輝は暴走犯に突撃した。

 暴走犯は光輝の叫びを聞き光輝に向き無慈悲に弾丸を放った。だが光輝は蒼眼によって普通は見えなかっただろう銃弾のスピードを学習し最初は危なげだったが2、3発放たれた頃にはすっかり慣れ拳銃を上に逸らさせがら空きの腹部に強烈な一撃を決めて暴走犯を撃沈させた。

 

「私はお兄ちゃんの動きはお母さんに隠されてたから見えなかったけど・・・それでもお兄ちゃんが私達の為に戦った事は覚えてるよ。」

 

 そう真っ直ぐな目で見てきた咲良を光輝は見返す。今の咲良はあの強大な力を持っていた笠木を圧倒した光輝を見た上でこんな感じで接している。例え光輝の強さが化け物クラスだとしても・・・咲良にとっては光輝は兄なのだ。但し結構自由なが付くが。

 

「·····それにね、さっきのお兄ちゃんもすっごくかっこよかった!」

 

 天からの光をその身に纏い、道着になって行ったその姿は咲良もきちんと見ていた。

 そして咲良には結構過激だった筈だが笠木を圧倒した姿も・・・ヴォーパル・ストライクを放つ為に纏った薄い金色のオーラの姿も・・・咲良にはかっこいいと思ったのだ。

 

「だからね、私はお兄ちゃんの事恨んでなんかいないよ」

 

「…」

 

 光輝は胸の中が暖かくなり少し泣きながら咲良をゆっくり抱きしめた。咲良は少しくすぐったそうにしながらも抱き返した。光輝はヒマワリの言葉を思い出していた。そして密かに感謝した。だが咲良は思い出したように言った

 

「あ、でも全然会いに来なかった事は恨んでるよ」

 

「え」

 

 光輝は咲良の言葉に咲良を見ようとしたが咲良は光輝に強く抱き着いているので顔が見えない。でもさっき出した声は本当に少し恨んでいる声だった。

 

「だから…偶にでいいからこれからは帰ってきてね?お兄ちゃんは私達の家族なんだから!」

 

 そう。光輝の家族は血の繫がっている方だけではない。先程の武装完全支配術は西沢光輝と西沢家の記憶を開放したものでそこに櫂達はいなかった。

 だが光輝は櫂達の事もきちんと覚えてるし罪悪感だって持っている。我儘で言うこと聞かずな自分を家族じゃないと言われても光輝はしょうがないって思っている。それでも2年間育ててくれた事は忘れたわけじゃない。

 光輝はやろうと思えば櫂家の思い出も武装完全支配術に組み込めた。あの剣は数日とは言え櫂家にあったのだからそこに光輝の気も注ぎ込めたら出来たはずなのだ。

 それをしなかった理由は1つは西沢家で決着をつけたかった事。もう1つは…自分には櫂家の一員の資格が無いと思ったからだ。

 だからそんな気持ちを察した訳じゃないが咲良の言葉に光輝は少し涙ぐみながら返した

 

「…分かった」

 

「じゃあ指切りしよ!」

 

 そう咲良が言い光輝は咲良から離れ小指を出した。そして交わす約束。

 二人はその後も少し話をしていたら特に脅威な訳ではないが結構な数の気が櫂家の周辺に集まっている事に気が付き咲良を連れて二階の光輝の部屋の筈の場所まで来た。

 部屋は小3当時のままで綺麗に掃除だけされていた。懐かしいランドセルを見た後、光輝はカーテンに覆われている窓に近づき階下の家の周りを見た

 

「…なんだあの人達」

 

 家の周りにカメラやらマイクやらリポーター達が感動する位めちゃくちゃいる。カーテンの隙間から覗いてた咲良を連れリビングに戻ってきたらリビングにある固定電話が鳴り響く。光輝は咲良の手を放し電話を取る。

 

「はい、櫂です」

 

「あっ、櫂さんのお宅ですか?私、報道OVERの雀ケ森と言います。西沢光輝君はいますか?」

 

 ある意味純粋な光輝は正直に

 

「俺ですけど?」

 

 その言葉に電話の向こうの相手は息を飲んだ。そして慎重に事を進めようと絞り出すように話し出す。因みに相手は女性だ

 

「先程の戦いは見事でした。」

 

「はあ」

 

「そこでですね、光輝君をインタビューさせてもらえないでしょうか?」

 

 まずは相手のご機嫌をとる。常套手段だ。

 どこのメディアよりも先に光輝をインタビューし売り上げに貢献する。簡単に言えばそんな事だろう。

 勿論誠心誠意心を込めてだ。あと単純に光輝に興味がある人もいる。

 だが光輝はSAOの世界の仲間の情報屋のアルゴと同じ匂いを感じたので

 

「やだ」

 

「ありがとうございm…今なんて言いました?」

 

「やだよ。めんどくさい」

 

「どうしてですか!?」

 

「落ち着いてくださいよ。まず俺はインタビューを受けるほど偉くない。第一インタビューなんて総理大臣とかするべき人いるだろ。」

 

「嫌々今はどこも貴方にインタビューしたがってますよ!?」

 

「…もしかして家の前に大量にいるのって」

 

「…今気が付いたんですか?」

 

 もしかしなくてもマスコミである。

 その自己肯定感の低さに失礼ながら呆れた。

 だが成程、決戦から少し経って光輝が可愛いと言われてるのも納得した。

 

「まあそういう訳でめんどくさいから却下」

 

「どうしてもですか?」

 

「第一俺からすれば櫂さん達とは会うのは5年ぶりなんですからゆっくりさせてくださいよ」

 

「…分かりました。ではそのうち」

 

「ん?あのーもしかして別の日ならいいと思ってたr」

 

 します?と続けようとしたら切られる。光輝は苦笑いで受話器を置いた。そう思っていたら今度は愛美がテーブルの上に置いてあったスマートフォンから着信が入る。

 光輝はまたか?と思いながら見たら愛美の母親からだった。愛美はフルダイブ中なので代わりにでる。

 

「もしもし、光輝です。愛美は電話に出れないので俺が出ました」

 

「光輝君?丁度よかった。家の周りにマスコミが居すぎて駐車場に入れれないの。なんとか出来る?」

 

「そっか、その問題があった」

 

 光輝はしまったという顔になる。マスコミは最悪光輝が出るまで櫂達を足止めするだろう。光輝は直ぐに打開案を考え聞いた

 

「全員車に乗ってます?」

 

 なぜそんな事を聞くのか分からないが肯定する。

 光輝は内心めんどくさい事しないと駄目な事に少し苛立つが櫂達が巻き込まれるよりもマシと考えた。

 待っててくださいと伝え光輝は電話を切り外に出た。

 光輝目掛けフラッシュがたかる。

 

(眩しい)

 

 とか思いながら光輝は質問してくる記者たちを無視し駐車場まで来て駐車場に飛来神のマーキングを施し記者達を無視しつつ額に人差し指と中指を当てる。覚えておいた櫂の気の所に瞬間移動した。次の瞬間、光輝は道路に駐車していた櫂の車の隣に出現して

 

「こ、光輝君!?いつからそこに?」

 

「今です。説明は後にして」

 

 光輝はそう言いながら櫂の車に飛来神のマーキングを施し印を組み言った

 

「飛来神の術」

 

 次の瞬間光輝と櫂達を乗せた車は櫂家の駐車場に突然出現した。

 それにマスコミはどよめくが光輝は無視し楓達の荷物を受け取りながらいい加減ムカついてきたマスコミの方を見ながら車にいる櫂に聞いた

 

「映りたくないなら壁作りましょうか?」

 

「…色々突っ込みたい事はあるけど出来るならお願いしようかな」

 

 それは愛美の両親達のためだ。櫂や楓はもう顔ばれしてるからどっちでも良いが愛美の両親はそうではない。顔ばれしたら色々めんどくさいだろう。光輝は四人に待っていてくださいと言ってマスコミに近づく。櫂の家は家の全貌がオープンになっている。唯一道との境界線は開け閉め自由なゲートだけ。マスコミはそのゲートに沿うようにいる。

 

「一応聞いておきますけど帰ってくれないんですか?」

 

 光輝の第一声にどよめきが起こるがマスコミも仕事。インタビューさせろさせろと引き締めあう。

 

「はあ、まああんたらも仕事なのは俺も分かっている。あんたらと似たようなことしてた人にも大分追いかけられた事があるからな。今となってはあの追いかけっこも楽しい思い出だけどな」

 

 そう言いながら光輝は簡単な土遁の印を結ぶ。その記者達から見れば不吉な印に思わず下がってしまう人もいた。

 

「だけどな、その人はきちんと相手の思いも汲んで黙ることも出来た人だった。人の久しぶりの再会と帰省を邪魔しに来たあんたらとは違ってな」

 

 アルゴは確かに静かに探る時は探り追いかけるときはとことん追いかける人間だ。

 アルゴと5分話したら何かの情報が取られているのはアインクラッドでは周知の事実だった。

 だがアルゴが光輝の情報追跡をやめた時期があった。アインクラッドも後半戦に入った時、光輝が家族の夢を見て病んでいた時期だ。アルゴは光輝が一人で突き進む理由を知りたく追跡していた。そして一度は光輝を捕まえ聞いた。それからどこかのギルドにも入れようとしていた。

 だが光輝は病んでいたので荒々しく振り抜き逃げた。アルゴは追わなかった。後に聞いたら様子が尋常じゃなかったからまた落ち着いたら行こうと思ったのだとか。そして情報を聞くんじゃなくて励ますつもりだったらしい。

 

『まあ、レーちゃんにその役割は取られたんだけどナ』

 

 そうニャはははと笑っていた情報屋に光輝は密かに感謝していた。だから攻略組にレインが合流した後は出来るだけ答えられる情報を教えていった。それが光輝なりのアルゴへの恩返しだった。あの時放っておいてくれた事、励まそうとしてくれていたことのだ。

 

「というわけで俺はあんたらを拒否する。」

 

 そう言って光輝は両手を地面に叩き付け言った

 

「土遁・土流壁!」

 

 その言葉と共にゲートに沿うように出てきたのは壁だった。土遁の基本の術でアカデミーの生徒だったイワベエが使ってたのを見て見様見真似でやったのだ。完成度は低く厚さはイワベエにも及ばないがマスコミのカメラを遮る位ならば問題なかった。

 …マスコミは別の意味で驚いているんだが。壁を作りマスコミの声だけ聞こえるようになった。

 光輝はジェスチャーで櫂達に家に入ってと言って櫂達は全員家に入った。

 それを見届けた後

 

「解」

 

 術を解けば壁が一瞬で崩れ去り土に帰った。そして未だにパシャパシャ取っているマスコミを見て最後に言った

 

「帰ることお勧めします。暑くて敵わないでしょ?」

 

 そういって光輝は踵を返した。それでも取材しようと声をかけるがゲートが通さない。このゲートを通ったら不法侵入で刑務所行きだ。

 家に入った後、光輝は櫂達に謝った。本当に予想してなかっただけだが絶対に嫌になったと思ったのだ。櫂達は5年前も似たことになったから気にするなと言った。

 

「それよりもこっちの方が気になるんだけど」

 

 そう言って楓が指さしたのはアミュスフィアを被っている愛美と光輝だった。

 光輝はかくかくしかじかと話し危ないものではないと伝える…影分身が出来る事が一番驚いていたが。

 そして櫂は光定に電話しマスコミを何とかできないか?と話ししばらく経ったら光定から電話が来た。

 曰くやはり向こうも仕事だから無理だと。光輝は櫂から受話器を貸してもらいながら言った

 

「はあ、どこの世界のマスコミも変わらないな。」

 

「それでどうする光輝君?」

 

 受話器越しに光定が聞く。光輝は10秒ほど考え妥協案を考え光定に伝えた。光定は唸り了承した後聞いた

 

「いいのか?光輝君は」

 

「まあ永遠に張り付かれるよりもマシでしょ。面倒くさいのは変わらないけど」

 

「…そうか、見ない間に立派になったな」

 

「…俺が一人だったなら俺はアインクラッドで死んでましたよ。」

 

「そうか。」

 

「じゃあ、準備が出来たら連絡ください。迎えに行きます」

 

「ああ、分かった。」

 

 その言葉を最後に光輝は電話を切った。光定と光定の妻も今日のパーティーに招待したのだ。

 光輝は今日は長い1日になりそうと思ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れさまです。
光輝視点でアルゴとマスコミの違い。

光輝の面倒くさいこととはまた今度分かります。

明日は書いてて個人的に一番楽しかった所。

ではでは(*´︶`*)ノ


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おはようございます。
昨日書いてて楽しかったとは言ったけど面白いとは言っていない(最低の掌返し)

⊂('ω'⊂ )))Σ≡GO!!


 あの一幕の後、私はリーファさんにコントローラを使わず飛ぶ随意飛行を教えてもらいながら新生アインクラッドのアスナさんの家へ目指していた。間近で見る本物のアインクラッドは想像してたよりも凄く大きくて何秒かは息をするのも忘れていた。…仮想世界に窒息死は基本無いらしいけど。今は東京では見ることが出来ないだろう幻想的な夜になっている。

 私は火照った顔のまま隣を飛ぶ光輝を見る。光輝はさっきまで赤くなってた癖に今はもう平然としている。

 その余裕が悔しい。

 そう思いながら飛んでいたら気が抜けてしまい思わず態勢を崩した

 

「キャッ!」

 

 落ちかけた愛美をアスナが抱きかかえ止める。先に行ってしまった光輝が振り返りながら聞いた

 

「愛美大丈夫?」

 

「だ、大丈夫。光輝は先に行って」

 

「光輝君、先に行って愛美ちゃんのお茶用意してあげて」

 

 光輝は少し心配な顔をしたが女同士の方が良いと思ったのか頷いてキリトとアスナのログハウスまで飛んで行った。フレンドリストでキリトがいるのは分かっている。

 どう考えても気を使われた事に気が付き

 

「すいません、気を使わせてしまって」

 

 それを聞いた女性陣は首を振る。

 

「何言ってるの、女同士なんだから気にしちゃダメよ。」

 

「そうそう。愛美が仲間になってくれて僕たち嬉しいんだよ」

 

 シノンとユウキの言葉に愛美は不思議と嬉しくなる。

 今愛美はここにいる人達をフィクションの人物とは思っていない。言葉を聞きその言葉が胸の中に響くのだから。

 そして随意飛行の師匠リーファは一転ニヤニヤしながら聞いてきた

 

「それで愛美ちゃんはさっき光輝君になにしようとしたのかな~」

 

「へ!?」

 

 唐突の話題変更に愛美の顔は真っ赤に戻る。

 そして周りを見たら殆どニヤニヤしている。

 愛美は恥ずかしさの中一瞬逃げようかと思ったが全員愛美よりも早いし強いしで詰みである。

 何歳になっても女性は恋愛話が好きな人は多いのだろうと改めて知った愛美なのである

 

 

 ★★★★★

 

 

 愛美はログハウスの短い道のりで手短に話した。その愛美の顔の色は永遠と真っ赤だ。

 

(今まで誰にも言ってなかったのに……)

 

 察してた人はいるが愛美は直接言ったことは無い。それなのにアスナ達に打ち明けた事に困惑していた。

 まあアスナ達は先程の愛美の様子を見て言われずとも分かっていたのだが。

 

「でも…いきなりキスしようとしてたのは流石に驚いたわ」

 

 とシノンは本当に驚いた顔してるのを愛美はやぶれかぶれで言った

 

「だって…光輝鈍感だからあれ位しないと駄目だって思って・・・」

 

「「あー」」

 

 愛美の言葉に全員納得のあげた。

 確かに光輝はあんまり女の子には興味なさげだ。それはアインクラッドの頃からだ。

 ······レインがここに居れば愛美に光輝はずっと愛美の事を気にしていたよって言えるのだが生憎レインは今は光輝と別れた後テレビ番組に出演して帰ってる途中なのでダイブしていない。

 因みにアスナ達は愛美が来るまで光輝から愛美の事は聞いてなかった。

 そんな愛美を引き連れアスナ達はログハウスに到着した。アニメでしか見たことがないそのログハウスに愛美は息を飲む。

 

「いらっしゃい。お帰り、アスナ。」

 

 そう言いながら玄関を開けたのは予想はしていたが目の前で見るのは感慨深かった。

 

「ただいま、キリト君」

 

 SAOの主人公、黒の剣士のキリト

 その存在感は半端では無かった。キリトは愛美に近づき手を差し出した

 

「俺はキリト。光輝の世界から来たんだって。ゆっくりしてくれ」

 

 愛美は慌ててキリトの手を取り

 

「あ、はい!ありがとうございます」

 

 その後愛美は迎え入れられログハウスにでは更なる出会いが待っていた。

 

「おっ!来たわね!」

 

「ちょっとリズさん最初位普通に行きましょうよ。初めまして!」

 

 そう言ってきた二人は一人はピンク色の髪で名前はリズベット。もう一人は小柄でツインテールの女性でシリカ。

 愛美はまた驚きながら挨拶を交わしていく。そして一通り終わって席に着いたら光輝がお茶を持ってきた。

 

「あ、ありがとう」

 

 そう言って受け取り飲んだ

 

「わあ…おいしい」

 

 その愛美の隣では

 

「辛-----っ!!!」

 

 光輝が思わず叫んだのを見て愛美はびっくりする。

 そして隣から光輝のカップの中を見ればこれは辛いだろうという色の物体があった

 

「「ハハハハハハ!!」」

 

 そんな光輝を見て周りは笑い始め愛美も徐々に笑い始める。

 光輝はアスナから普通の水を貰ってようやく収まった。

 

「またはずれひいちゃった」

 

 そう余りの辛さに光輝は涙目になりながら言う

 光輝が言ったのはこのログハウスにある言わばロシアンルーレットのポットの事でお湯をそれに入れてカップに注げばランダムに味が変わるやつだ。愛美はそれを聞き自分のものを見る。愛美のはピンク色でさっき飲んだ通り美味しい。

 愛美は呆れながら言った

 

「どうみても辛いのに何で飲むのよ」

 

「だって前に似たような色飲んだ時は美味しかったからてっきり今回もあれなのかなって思ってさ」

 

「…因みにまたって言ってたけど前は何だったの」

 

「前は味噌汁みたいな見た目だったのに小2の時の修行の時に口に入った泥水の味がした」

 

「突っ込みたいところが多いんだけど」

 

 恐らく全員思っているがSAO組はもう慣れてしまったのかそこまでだった。

 その後、愛美はSAOの人達との交流を深めた。

 どんな話を振れば良いのか分からない愛美を見かねた光輝が自分のいた世界がどの位変わったのか聞いた所だ。

 

「へー、光輝の元いた世界って今2015年なのね」

 

 リズがそう面白そうな声をあげる。

 

「それは確かに光輝がこの世界に初めて来た時未来に来たって勘違いしてもおかしくないな」

 

 キリトがそう言う。光輝とキリトが初めて出会った時、光輝は未来に来てしまったと勘違いしてあたふたしていた。光輝は辛いお茶を水と並行して飲みカップを置いて答える。

 

「あん時は内心意味わかんなかったな~」

 

 そんな事を言っている割に光輝は懐かしそうに笑っている。

 そして少し恨みの視線を込めてキリトを見ながら言った

 

「あの時キリト、ゲームだから痛くないって言ったくせに普通に痛かった事はよく覚えているけどな」

 

「あ、あれはまさか光輝が普通に痛みを貰うなんて思わなかったんだよ」

 

 その仲がよさげな様子は年の離れた親友だ。小1の時でもそんな存在がいなかった事を知っている愛美はその光景がなんか嬉しかった。

 小1の時は光輝は愛美とはよく喋って他の人とも程々に話してた位。小2以降はその程々すら無くなっていたが。

 そしてそうやって光輝の笑い話をしてた時、ログハウスの扉が開いた。そしてリビングにやって来たのは

 

「ただいまです!」

 

 小柄な白色のワンピースを着ている少女でワンピースには少しに合わないかもしれないがその腰に立派な片手剣がある。名前はユイ。キリトとアスナの娘である。

 

「お邪魔します」

 

「お邪魔する」

 

 愛美はその二人を見て驚いた。

 一人は亜麻色の髪で青を基調とした服。

 もう一人は金髪の美少女である。二人とも小説の表紙や扉絵に何度も載っているから直ぐに分かった。

 

(ユウキさんもそうだけど…ユージオも生きてる……私の知っているSAOと全然違う)

 

 思っている事は結構失礼だがある意味しょうがない気もする。本人に思わず言わないだけマシだろう。

 愛美の世界では2次元の存在、そして今の最新刊の1つ前の話でユージオは亡くなっているのだから。愛美は日本から送られたその話を見て泣いたから印象に残っている。その2人は愛美に気が付きアリスが厳しい視線をキリトに向けた

 

「キリト、お前はまた女性をたぶらかしたのですか?」

 

「え?」

 

 と愛美は疑問符の声を出す。キリトはその言葉を慌てて否定した

 

「ちちちち違うぞ!今度は光輝が連れてきたんだ!」

 

 そう慌てて否定したキリトを見た後アリスは光輝を見る。光輝はお茶辛いって顔を残しつつもアリスに頷き今度は愛美を見る。愛美は思わず少し頭を下げた。それでキリトの言葉に嘘が無いと分かりアリスは愛美に謝った

 

「間違えてしまいすまない。」

 

「あっ、いえ。大丈夫です。」

 

「·····これって俺が謝られるべきじゃないか?」

 

「お前は普段の行動を振り返ってみなさい」

 

 とアリスが言えば愛美以外の女性陣とユージオは頷いてこの場に1人も味方がいない事を悟ったキリトなのである。

 そしてユージオとアリスも談笑に混ざり始めた。

 

「そちらの世界にも騎士はいないのですか?」

 

「騎士は昔のヨーロッパとかにはいたんですけど·····日本はどちらかと言うとやっぱり武士とかですね。」

 

「そこら辺は俺達の世界と大差無いんだな」

 

 とキリトは言う。ぶっちゃけフルダイブ技術と拡張現実の技術以外は普通に光輝と愛美がいる世界と大差ない。だがこの2つの技術があるのと無いのとで世界のレベル差は大分明らかだ。この2つだけで色んなものが進化してきた。医療の手段等にもフルダイブが使われるし手足が動かせない人もフルダイブの学校に行けば普通に学校生活を送れる。

 愛美はそんな本物の異世界の人達との会話が楽しく時間を忘れ始めていた。しかし光輝はそんな楽しそうな愛美を見ながら少しずつ暗い顔になって行った。その理由は自分が今までしてきた事の説明

 

(·····言わなきゃ)

 

 光輝は気分が重くなるがそう決意し愛美に向いて話しかけた

 

「その·····愛美」

 

「ん、なに?」

 

 愛美は微笑みを止めて不思議そうな顔で隣の光輝を見る。光輝は何やら苦悩の顔になっていて愛美は一気に心配な顔になった。光輝はそんな愛美の表情に気がついているが口を開いた

 

「その·····ちょっと外行かない?」

 

「え?」

 

「ここじゃダメな訳?」

 

 とリズベットが聞いたのを光輝は返す

 

「いや·····別にここでも良いんだけど・・・多分皆気分悪くなると思うし」

 

「別に良いわよ。それに、そんな事言われたら逆に気になるじゃない。」

 

 そう言われ光輝は周りを見渡す。そうすれば全員頷いたのを見て「分かった。」と返事して光輝は愛美に向いた。愛美は最初もしかしらあの返事をくれるのかもしれないと考えたが違うと光輝の顔で分かった。だけど他に何なのか分からず光輝を待つ

 

「これから話す事で愛美が俺を軽蔑しても俺は良いと思う。だけど·····愛美には知って欲しいから」

 

 いきなり不穏な事を言われ空気が少し冷たくなる。愛美もそれを感じたのか少し声が変になりながら言った

 

「な、なに?」

 

 光輝は深呼吸した後、その重い口を開いた

 

「俺は·····歴史を守る為に、5人の敵を殺した」

 

「·····え?」

 

 愛美がそんな声を出した。

 キリト達はその話かとなりながら誰も口には出さなかった。

 光輝はキリト達には既にタイムパトロールでやっている事を話している。最悪は敵を殺す事も、だ。だがそれでもキリト達は光輝の仲間であり続けた。それが光輝の救いだった。

 だけど愛美は違う。愛美は普通に生まれ普通に育ってきた。当たり前だが殺人はダメということも教えられずとも知っていた。しかし光輝は今、その殺人を5回してきたと言う。笠木と同じ殺人をだ。

 愛美の頭が理解不能のループに陥り始めた時光輝は言った

 

「悟空さん達の物語を知っているなら知ってるかな。ナッパとターレス、セルにブロリー、そしてジャネンバ、そいつらを俺は悟空さんたちの歴史を守る為に殺した」

 

 アニメではよく敵を殺す事を「倒す」と言われる。それは子供達に過激な発言を覚えさせない為でもある。だがよく考えてみれば正義のヒーローが「お前を倒す!」ではなくていつも「お前を殺す!」何て言えばだいぶ怖いヒーローだろう。だが光輝は倒すというのではなく敢えて殺したと言った。本当の自分を知ってもらう為に

 

「····」

 

 黙ってしまい顔を下げた愛美を見ながら光輝は胸が苦しくなっていくのを感じながらも言った。

 

「俺はその5人を殺した事を正当化するつもりなんてない。地獄に行けって言われるなら俺は喜んで行く。だけど·····愛美には·····ホントの俺を知って欲しかったから・・・ごめん·····」

 

 そう謝った光輝を愛美は少し泣きかけながら見上げた。なぜ謝るのか分からないからだ。光輝は・・・決意していたのにも関わらずその眼に涙を見せながら最後に言った。

 

「俺はもう·····この手は血で濡れたから・・・君が大好きって言ってくれた西沢光輝は·····もう・・・いないんだ」

 

 その言葉に愛美は大きく眼を見開いてその眼に大粒の涙が出てきた。何で出る涙なのか本人にも分からない。だけど·····目の前にいる光輝は・・・既に人を殺したという。

 例えそれが愛美にとっては2次元の存在でも、光輝の眼がそれを本気でやったと言っている。愛美はそう認識し始めたら目の前の光輝が殺人犯というレッテルに見えて·····

 

「·····ごめん・・・少しだけ時間ちょうだい」

 

 そう顔を見せず言って速攻で立ち上がり外に出て行った。光輝は手に顔を埋めて泣きながらその場にいた面々に謝った

 

「ごめん·····想像以上に気分悪くなった」

 

 自分でも涙が抑えられなかった。何年も前からこうしようと思っていたのに·····決意していた筈なのに・・・本当は嘘をつきたかったのかもしれない。俺は誰も殺してなんかなく皆気絶なりで済ましたんだって。そうやって愛美の俺への印象を良いままにしようと思ったのかもしれない。

 あいつらを殺してきた事に後悔は本当に無い。歴史を·····回り回ってキリトや愛美達を守る為に俺はそうやって来た。

 だけど·····愛美からすれば俺はもう笠木と同じ『殺人者』

 同じ穴の狢だ。どんな理由であれ俺はもう愛美には·····

 

 どんどん暗くなって行った光輝に励ましの言葉を送る事を出来たものはいなかった

 

 ★★★★★★

 

 アインクラッド 22層 湖畔付近

 

 キリトとアスナとユイのログハウスより少し離れ、大きな湖が目の前に広がるこの場所に来て愛美は体育座りをして膝に顔を埋めていた。

 

 私って·····私は・・・何で·····あの時は笠木を光輝が殺してたとしても責めないって・・・幻滅なんかしないって·····決めてたのに

 でも···笠木が生きてるって知った時、もしかしたら嬉しかったのかもしれない。光輝は誰も殺していないって・・・。

 そうする事で私の目の前にいた光輝をどこか・・・私のヒーローにしようとしたんだ

 

 愛美は自分の行動を振り返り意味分からなくなる。

 愛美は1度は光輝が笠木を殺していたとしても光輝を責めないと決意していた。それ自体は笠木が生きていたからその決意は意味無かったが愛美は正直安堵もしていた。光輝が世間的には殺人犯では無いということに。

 そしてもし自分の彼氏に出来たら・・・自慢出来る黒い所が1つのない彼氏のままにしたかったのかもしれない。

 それはまるで自己保身のそれで

 

「····最低だ、私」

 

 光輝から真正面から殺人を犯したと言われた時、頭が真っ白になった。不意打ちだったのもあり余計に、そして人なんか殺してないと思っていた光輝から凄い辛そうな顔で言われたからそれが本当なんだと知った、知ってしまった。

 その時感じた感情は言葉では言い表せない。悲しいのか落胆したのか怒りたかったのか·····本人にも分からない。

 

「あ・・・う·····う」

 

 愛美の瞳から涙が出始め拭おうとするが止まらない。

 

 ―――本当に·····私の知っている光輝じゃないの?

 

 愛美が3分程泣いていた時、愛美の後ろから愛美の懐かしさを感じさせる声が聞こえた。その人は心配な声で愛美の背中に声をかけた

 

「大丈夫?」

 

 その声を聞いた瞬間、愛美は一旦泣き止んだ。というより驚きで泣いてる暇がなかっただけかもしれないが。

 愛美からすれば8年前に聞いたっきりの声。だけど西沢家の中では1番聞いた声で愛美自身自分でも1番懐いていたと思う。光輝と一緒に自分の親の代わりに映画やプールに連れて行ってくれ本当の妹のように可愛がってくれた・・・でも笠木のせいで既にこの世にはいない筈の人

 愛美はゆっくりと振り返った。

 そこに居たのは大人の女性で恐らく種族は鍛治妖精レプラコーン。髪は赤色でメイドさんがよくしているカチューシャをしている。そして日本人だけの顔つきには見えない顔をしている。その腰には二刀がある。その人を見た愛美は思わず·····

 

「おねえ·····ちゃん」

 

 愛美は一人っ子だ。だから兄弟はいない。だけど咲良が愛美をお姉ちゃんと呼ぶように、愛美は西沢家の長女、西沢麗華をよくお姉ちゃんと言って光輝とついてまわっていた。麗華も愛美を可愛がっていた

 だが麗華はもういない。そう気づいたら愛美は思わず口を押え謝った

 

「ご、ごめんなさい!」

 

 だが女性は気にせず愛美の隣に座った。愛美は見れば見るほど麗華にそっくりの女性に困惑する。そんな愛美に微笑み言った

 

「光輝君も初めて会った時、そんな反応だったよ」

 

「……え?」

 

 光輝の名前が出てきて愛美は思わずそう言った。女性は視線を湖に向けながら言った

 

「私の名前はレイン。初めまして、愛美ちゃん」

 

「……私の事知ってるんですか?」

 

 この世界の人達は光輝以外愛美からすれば全員異世界人だ。つまり普通なら誰も愛美の事なんて知らない筈なのだ。だけどレインはもとから知っている風だった。気になるのは当然だった。レインは湖から愛美に視線を向けて言った

 

「うん。光輝君がよく話してくれたよ」

 

「光輝が……」

 

 その名前を今聞くと胸が締め付けられる。先程までしていた思考が頭によぎる。そして自分はどうしたいのか分からなくなる。

 光輝の罪を知った今、自分はどうしたのか…

 

「聞いたよ、光輝君があの事を話したんでしょ?」

 

 レインがここに来た理由は今日の予定が全て終わった時、少しだけダイブしたらアスナからメールが来ていて先程までの光輝と愛美の顛末が書かれていたのだ。

 それを見た後、レインは光輝とレイン、それから七色ことセブンの三人で買ったアインクラッド47層のプレイヤーホームから来たのだ。愛美の居場所はフレンド登録をしているアスナから送られたのを見て来た。

愛美はレインが麗華では無いと分かっているのに話してしまう

 

「…はい。でも幻滅したのは光輝にじゃなくて…私自身になんです。私は…光輝の事が好きなのに……光輝を励まして許すどころか逃げて来たんです。光輝に…あの時の光輝はもういないって言われて…」

 

 落ち込んで膝に顔を埋めている愛美を見てレインは愛美をゆっくりと抱擁した。愛美はレインの胸に顔を当てられレインはそんな愛美をなでる。愛美は最初こそ目を見開いていたが徐々に目に涙をためて泣き始める。

 そんな愛美をレインは3分ほど撫で続けて優しく言った

 

「……愛美ちゃんから見て光輝君は変わったように見える?」

 

「……え?」

 

 愛美は涙目のままレインから少し離れて聞き返した。レインは愛美からすれば見れば見るほど麗華にそっくりで今は何とも言えない気持ちになっているがレインと話せば気持ちが落ち着いていき冷静になっていく

 

「姉の立場から言わせてもらうと光輝君は全然変わっていない。アインクラッドに居た時も、タイムパトロールになった後も…負けず嫌いで涙もろくて…どんな時も諦めない。あと無駄に正直すぎるのも」

 

 愛美は黙ってその言葉を聞いていた。どれも心当たりがある。1つだけ知らないと思ったのは光輝はそんなに涙もろかったかな?という事だがそれは愛美がアメリカに行った後の事なのだろうと勝手に納得した

 そして愛美は今日一日、光輝と遊んだ時間を思い出す。どれも今まで体験した事のないものばかりで心は人生で一番高鳴ったと自分でも思っている。そしてその隣には光輝が必ずいてくれた。その光輝は小1からなにか変わったのだろうか…一人称が僕から俺に変わった以外の変化…

 

「余り無いかも…しれません」

 

 そう結論を下した愛美にレインは頷いた。

 

「だからって私達は光輝君を褒めたりなんかしてない。人を殺すのは悪い事。だから褒めもしなければ否定もしない。その殺した人達がなにもやっていない一般人なら全力で怒って罪を償わせるけどね。だって光輝君は私達の大切な仲間で…私の大切な弟だから」

 

「おね…レインさん……」

 

 つい昔の癖でお姉ちゃんと言いそうになったが何とか止まり言いなおす。言いなおした事をレインは気にせず続けた

 

「強大な敵への人殺しを肯定もしない。否定もしない。だって光輝君はそうする事で沢山の人を救ってるんだから。」

 

 嘗てレインたちが高校生の時に襲ったグリームアイズとコボルドロードのロボット。光輝が遅かったら帰還者学校は崩壊、その後大都市に繰り出せば何人死んだのか想像がつかなかった。もし光輝がその光景を見ていたら間違いなく病んだ。

 

「だから愛美ちゃんは愛美ちゃんの答を、光輝君に伝えたら?」

 

 その言葉を愛美は聞き五秒後頷いて愛美は決意の顔で立ち上がった。それを見たレインも立ち上がりログハウスまで二人で歩く。そして元々距離は短かったので直ぐに着きレインがインターホンを鳴らす。

 そうすると出たのはアスナである

 

「こんばんわ、アスナちゃん」

 

「うん。いらっしゃい、愛美ちゃんはお帰り」

 

「その…いきなり出て行ってすいませんでした」

 

「大丈夫よ。さ、入って」

 

 ログハウスに入りリビングにも入ると光輝が上の空であった。愛美が帰っているのも気が付いていない。そんな光輝がなんか面白く少し微笑み近寄った。ほかのメンツは少し2人から離れた。

 

「光輝」

 

 愛美のその言葉に光輝は漸く愛美が帰ってた事に気が付いた。光輝は意識してないのかもしれないが割と何を言われるのか怖がっているようにも見える。そんな光輝に愛美は面白いと思いながら言った

 

「私、まだ決闘をしたことないから決闘してくれる?」

 

「え?」

 

 確かにまだ決闘は早いと思って誰も教えていない。愛美はその決闘を光輝とすると言うのだ。はっきり言って愛美に勝ち目はない。そんな事は愛美にも分かっている。愛美は光輝の修行模様を見ていただけで戦いのたの字を知ったのも今日が初めてだ。

 だが愛美はそんな事は関係ない。決闘が大事なのだ。気持ちを落ち着かせ光輝と向き合う為の決闘が

 

「……分かった」

 

「ん、ありがとう」

 

 光輝は立ち上がり周りを置いてログハウスから出て目の前の庭に出た。愛美も光輝について行き光輝と相対した。

レインやアスナ、キリト達は観客として二人を見る。光輝は愛美の真意が分からない。てっきり帰ってきたら軽蔑されて罵られて…と思っていたのにだ。

光輝はメニューを開き決闘申請のページまで行き愛美に申請した。愛美はその申請を全損決着モードを選択しOKを押す。そして2人の間に決闘開始のカウントダウンが現れる。光輝と愛美はそれぞれの一刀を取り出した。愛美は光輝の一刀の姿を手抜きだとは思っていない。光輝は勝負には全力で答えてくれる、そう思ったからだ。

カウントダウンが迫る中観客のアリスは愛美指導チームの面々に聞いた

 

「実際の所あの愛美という者はどれほどの者なのですか?」

 

 それにユウキが答えた

 

「センスは良いと思うよ。最初は怖くて眼をつぶってたけどそれ以降は一回もらった攻撃は普通に対処してたし」

 

「そうね、それに案外思い切りのよさもあるわ」

 

 そうシノンが続ける。シノンの言葉にリーファが頷き続けた

 

「でもやっぱり今日から始めたからか動きが単調だとは思います」

 

 3人の所見にアリスは納得した。その隣ではユージオが懐かしそうに言った

 

「僕もキリトから剣を習った時はあんな風だったなぁ」

 

 過去の剣を習い始めていた時を思い出していたらとうとうカウントが0になった。愛美は恐怖を押しのけ光輝に突撃した。光輝は動かずに愛美を迎え撃った。

 

「やあ!!」

 

 気合を入れて愛美は剣を上段から振り下ろした。光輝はそれを最小限の動きで左にずれて躱した。愛美は直ぐに剣を横払いにして攻撃する。光輝はそれを体を丸め右に回転ジャンプでずれて躱す。そして腕から着地をすれば宙に浮かせたままの足を愛美の足に素早く足払いをかけた。それを見た面々は

 

「あちゃー、これは……」

 

 とリズベットが言った瞬間、愛美はその背中から翅を出した。そして倒れる事無くむしろ自分の下半身の近くにいる光輝に剣を振り下ろした。

 

「――!」

 

 光輝はまさか今日習ったばかりでそれも完璧じゃなかったのに土壇場で随意飛行を成功させた愛美の技量に驚くのと同時に光輝はバク転の要領で愛美の剣を持っているその腕を蹴り上げた。

 それにより愛美の手から剣が上空に舞う。光輝はバク転をしていたので少し愛美と距離を離し着地した。

 直ぐに光輝は無防備な愛美に走る。愛美は空から戻って来た剣をキャッチして光輝と切り結ぶ。

 剣と剣がぶつかり合う度に火花が散る。そんな二人の表情は光輝は楽しさによる微笑み、愛美は必死故の歯を食いしばっている顔、だけどどこか楽しそうな表情だ

 何度も飛ばされては光輝に肉薄している

 

「正直意外ですね。平凡に暮らしていると聞いた愛美が光輝にあそこまで食らいつけるとは」

 

 そうアリスの言葉にキリトは頷く。光輝がHPが減っていないのに対し速いスピードでHPが減っていく愛美を見ながら言った

 

「ああ、光輝のアルフは攻撃の余波ダメージを貰わないから一見光輝が圧倒的に見えるけど愛美もまともな一撃を貰わないように立ち回っている」

 

 光輝のアルフは体力が少ない代わりに剣と剣をぶつけた時にでる余波ダメージや剣で攻撃を防御した時のダメージがない。だからそれを受けまくっている愛美が圧倒的に不利。愛美はそれには気が付いてるが光輝の攻撃はどうやっても剣で止めるしかない。中途半端に避けた時、あっという間に押し切られるのが分かっているから。

 光輝にダメージを与えるには光輝の体に直接叩き込むしかないのが現状だ。だがそれは使っている人間が使ってる人間なのでそこら辺のボスモンスターをソロで倒すくらい至難なのだ。ALOの掲示板ではもう寧ろ光輝がボスモンスターじゃないの?って言われてる。

 光輝と愛美は愛美が距離を取り一旦止まった。

 

「はぁ…はぁ…分かってたけど強い」

 

「まあ、五年間ずっと修業してるからな。」

 

 愛美はそう聞きながら自分のHPを確認する。元々ニュービーなのでHPが低くもう赤色の危険域に入っている。だけど仮にHPが多くても結果は同じだっただろう。つまり次が最後。

 光輝は剣をしまった。愛美は思わず怒ろうとした。だけど光輝が直ぐに両手で高速で印を組む。そして印を組み終えた後左手で右手首を持ち右手から青白い雷鳴が出現した。愛美は呟いた

 

「……千鳥」

 

「正解。次が最後だ」

 

「……上等よ」

 

 愛美はそう答えソードスキルの態勢になる。突進技「ソニックリープ」だ。雷鳴の音が鳴り響く中踏み出したのは同時。現実世界では出すことの出来ないスピードに乗って愛美は超スピードで突撃している光輝の動きをよく見る。

 

 ――千鳥があれと同じなら写輪眼がない光輝はカウンターが取れない筈

 

 そう心で言いながら愛美は光輝の体を捉えもう少しで当たるという所で光輝がめちゃくちゃなスピードで剣を振り下ろしてる内側に行って光輝の体にソニックリープが掠る。そんな光輝のむちゃくちゃな回避行動に愛美の表情は驚愕に染まる。光輝のHPが少し減ったが光輝はその腹部ががら空きの所に

 

「千鳥!!」

 

 光輝がそう叫びそれと同時に愛美は思わず目を閉じた。

 そして少し時間が過ぎ恐る恐る眼を開けると愛美の腹部ぎりぎりに千鳥が止まっていた。それを見た愛美はため息をついて

 

「はぁ…リザイン」

 

 その瞬間二人の上空にWINER光輝と出てきてファンファーレ-がなった。光輝の連勝記録がまた伸びたが光輝はそんな事を気にする事が出来なかった。この決闘が終わり愛美に何を言われるのか分からないからだ

 愛美は自分の剣を腰の鞘に入れた。そして何か言おうとした光輝の胸に倒れて来た。

 

「え、愛美!?」

 

 光輝の胸に飛び込んだ後、愛美はそこで深呼吸してまた離れた。光輝は不安げな表情で愛美を見る。

愛美はそんな光輝の顔が終わりどこかで見たなと思ったら光輝が間違えて愛美の分のおやつも食べてしまった時に愛美を見ていた顔だと思い出し

 

(ほんとだ、全然変わってない)

 

 キリト達は特に干渉せず見守る。愛美はそんな不安そうな光輝の顔を見ながら自分の決意を話し出した

 

「……人を殺すのは悪い事。でもね、私は決めたよ。例え光輝がそうしていたとしても私は…ずっと光輝の味方でいるって」

 

「え……?」

 

 てっきり絶交的なことを言われると予想していただけにそんな変な答えになる。愛美は特に気にせず、それでも決意しても恥ずかしいのか頬を赤くしながら続ける。と言うより周りの視線も忘れ叫んだ

 

「私は…光輝が……西沢光輝の事が好きです!」

 

 そう半ば叫びながら愛美は告白した。

 

 

 




お疲れ様です。

ぶっちゃけこの話まで愛美について分かっていることって
①容姿が日本人離れ
②西沢家と仲がいい
③光輝の事が好き
④櫂家とも仲が良き。咲良の姉的ポジション
と言うたったの4要素だけ。うん。ごめんなさい。全然深堀してません。後はサブカル女子という事位?
ま、またどこかで書こう。うん。

(*´∇`)ノ ではでは~


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月光が照らせし1つの影

おはようございますm(*_ _)m
あらすじをめちゃめちゃ変えました。
今日も行きましょー!


 一瞬何を言われたのか分からなかった。

 目の前にいる愛美は顔を赤く染めそれでも俺の方を上目遣いで見てきている。その恥ずかしがっている姿は何だか·····可愛い。

 どうしようもないくらい顔が熱くなって·····

 

「な・・・んで?だって・・・俺は」

 

「な、何よ!嫌われたかったの!?」

 

 そう愛美が言ってくるが俺は答える余裕が無かった。

 軽蔑されると思っていた。

 受け入れられる筈なんて無いって思っていた

 だけど・・・俺の全部を知ってもそう言ってくれた

 

 ALO最速クラスのスピードで光輝は愛美に抱きついた。

 

「こここ光輝!?」

 

 そんな大胆な事をされた愛美は程々に赤かった顔を真っ赤に変貌させる。

 

「ごめん·····俺も·····意味分からない」

 

 ――体が勝手に動いたんだ

 

 愛美はそんな光輝の涙声を聞きゆっくりと抱き返した

 そんな抱き合い始めた2人を見た後、観客は静かに2人の邪魔をしないようにログハウスの中に戻り始めた。

 だけれども2人は今目の前の相手しか見えていない。考えていない。それしか考えられない。

 2人のアバターに血なんて無いはずなのにそれが沸騰するような感覚に2人は陥った。今が冬で雪が降っていたとしても溶けるかもしれないと2人は思った。

 自分でも意味分からない行動をした光輝は眼に涙を貯めてずっと黙っている。

 そんな光輝の頭を愛美は少しぎこちなく撫でた。撫でながら言った

 

「私は・・・ずっと光輝の隣にいる。例え光輝がこれからも罪を重ねても·····私だけは絶対に光輝の隣にいる。」

 

 その言葉の一つ一つが光輝の胸に染み渡る。

 光輝ははっきり言うのなら愛美の事は半ば諦めていた

 好きなのは変わらない。きっとあの手紙の最後を、そして櫂の言葉を聞いた時から。

 だけど·····人を殺したという罪の意識が・・・もう無理だと思わせていた。

 ならせめて·····歴史を守る事で愛美を守り愛美は愛美で幸せになって貰いたかった。

 

「それに・・・光輝がそうした時はきっと·····誰かを守る為だったんでしょ?」

 

 そうレインが昔光輝に言ったことと同じ事を言った。光輝は愛美への抱擁を少し強めた。

 

「ターレスは邪悪なサイヤ人で人の命を何とも思ってないやつ、ナッパも同じ。·····と言うより光輝が殺したって言った人は皆そうか。」

 

「·····やっぱりなんか複雑」

 

 そう少し笑う。自分が命を懸けて戦ってきたヤツらが愛美の世界では普通に知られているという事にそう思うのは無理ないだろう。

 ·····そこまで思ってもう1つ普通に大事な事を忘れていて思わず

 

「今度こそダメだぁ!」

 

「な、何よ?まだなにかあるの?」

 

 2人は体の熱が冷めないまま少し離れた。光輝は愛美の肩を手で掴んだままだが光輝の顔はまた何か暗くなり始めているのを見て愛美はまだ何かあるのか?となった。

 光輝はもうやぶれかぶれで言った

 

「俺·····もう地球人じゃないんだ」

 

 光輝は真面目に完全に忘れていた。ターレス達の話をされて思い出した。SAOサーバーから出た光輝の魂を時の巣にまで連れていく方法が光輝をサイヤ人にするしかなく今の光輝は戦闘民族サイヤ人·····キリトやレイン達は全く意識していないがこれでも光輝は地球人の愛美達から見れば宇宙人なのだ。

 普通宇宙人を彼氏にしたいと思うのだろうかと恋愛に疎い光輝でもなったのだ

 

「ああ、サイヤ人になったんでしょ?」

 

 だからそんなあっさりと言ってきた愛美に光輝が「へ?」となってしまったのはしょうがない気もする。その顔の光輝が面白かったのか愛美は微笑みながら言った

 

「光輝があの仮面の人と戦った時になったの・・・超サイヤ人なんでしょ?」

 

 もう愛美は光輝がとっておきと思っていた事はほぼ全部知っている。その事に光輝は愕然とする。だけど·····知っていても愛美は

 

「そんなの関係ないもん。私は·····地球人とかサイヤ人とかじゃなくて·····ここにいる光輝を好きになったの!」

 

 地球人としての光輝が好きでサイヤ人としての光輝が嫌いなどではなく今目の前にいて現実では愛美の隣にいる光輝が好きなんだと愛美は言い放つ。そんなまた予想もしていなかった返事に光輝はまたもや赤くなる。

 光輝は普段女性にはあんまり興味は無いがそれは女性への恋愛への興味なんて愛美にしか向けていなかったからでもある。と言うかそうだったから余りレインやセブン以外の女性は好意の対象じゃなくて仲間のそれだった。レインやセブンには家族のそれだが。

 レインは光輝が一途なのを知っている。アインクラッドにいた時、光輝は意識してなかったのかもしれないが愛美と結婚したいとレインに半ば叫んだ事がある。

 その後光輝は割と歳が近い女の子達も会ったのに普通だったが愛美に対する光輝の態度を見ればどれだけ光輝が愛美を大切にしているのか、アインクラッドで嬉しそうに話してくれた時の事を見ればよく分かる。

 愛美の叫びに光輝は少し時間が過ぎた後言った。

 

「ちょっと·····ついて来て」

 

「う、うん。」

 

 光輝は空を飛び愛美もう翅を出す。光輝は愛美の手を握りながら空へと飛翔する。そして長い長い距離を飛びアインクラッドから出た。そこで光輝は止まり愛美も止まった。ここまで光輝が引っ張ってくれたので飛行初心者の愛美でも来れた。

 そして2人が上を見ると

 

「わあ〜!」

 

 愛美が思わず感嘆の声をあげる。

 2人の前にあったのは月だ。ALOは1日の時間が現実とは同期してなくて1日16時間だ。だから今日はたまたま今光輝達の世界ではまだ日は出ているがこっちではこんな月が見える。それもアインクラッドには普通転移門から行く事が殆どなので今2人以外の人影はいない。

 大きな月が2人をまるで祝うかのように照らす

 幻想的な月を仮想とは言え初めてこんなに間近で見て少しうっとりしている愛美に光輝は言った

 

「え、愛美」

 

 その言葉に愛美は光輝の方に向く。正直一瞬でも油断したら真っ逆さまに落ちてしまいそうだが今は不思議とコントロールが出来ていた。

 愛美は自分よりも背が高くなった光輝を見上げる。光輝は愛美の手を握りながら意を決して言った

 

「俺も·····愛美が·····古原愛美が好き!大好き!」

 

 そう今まで家族や家族と同じ人以外には言った事もない言葉を光輝は愛美に言った。

 愛美は月に照らされ光輝の顔が暗い中でもはっきりと見える。光輝は顔を赤くし恥ずかしいのか握られてる手は少し強い。

 だけど視線は愛美の眼に向いている。その気持ちに嘘も偽りも感じない

 愛美は知らない間に瞳から涙が出てきた。だけどそれは先程の悲しみの涙では無く嬉しさの涙だ

 愛美は手を放し光輝の首に手を回した

 普段女性に興味が無いくせに愛美にだけはきちんと恋愛対象を向ける『異性』の眼を光輝は向ける。

 

「え、愛美?」

 

「光輝·····じっとしててね?」

 

 愛美はそう男なら誰でも聞き惚れてしまう美声で言った。だけどそれはどこか色っぽい声でもある。そして愛美は頬を少し赤く染め光輝の顔に迫った。愛美と光輝は体が密着し始め光輝も無意識に愛美の腰に手を添える。

 光輝は愛美が何をするのかと思ったが·····

 

(そう言えば·····お父さんとお母さん・・・)

 

 亡くなった両親が隠れてよくしていた事を思い出した。

 それとほぼ同時に月を背景に2人の人間の影が暫くの間1つの影になっていた

 

 

 

 

 

 ★★★★★★

 

 

 

 

 2人は月の場所から再びアインクラッド22層のキリトとアスナのログハウスまで戻って来た。その手は繋がれたままで2人の鼓動は早いままだが今はその鼓動が2人には気持ち良かった。

 そして2人はログハウス前まで戻って来たがある事を思い出し頭を2人して抱え始めた。

 何故なら先程2人とも相手しか見えておらず周りが完全に見えていなかった。つまりあの告白やら超スピードで抱きつくとかの光景を見られた。

 それも1人や2人ならいざ知らず何とびっくり総勢11人にあの2人の恥ずかしい瞬間を見られたのだ。何なら最悪他の人にも知られる。クラインやエギル、それからセブン・・・考えれば考える程に恥ずかしい。

 ·····ぶっちゃけ2人が数分前に初めてしていた事に比べれば全然マシな気もするが。

 

「ど、どうする愛美?」

 

「どどどどうするって言われても・・・」

 

 と2人は相談していたがそのログハウスの扉が開いた

 

「あーっ!ママ!2人が帰ってきましたーっ!」

 

 と思い切り叫んだのは白色のワンピースを着ているユイであった。その言葉に後ろからアスナが顔を覗かせた。

 

「お帰りなさい。さ、恥ずかしいかもしれないけど入って入って!」

 

 そう楽しそうに言った。

 光輝は正直今までの人生の中で1番恥ずかしい瞬間何?って聞かれたら間違いなく今と答える。愛美も恐らく同じ。

 2人がログハウスに入りリビングに入ると流石に狭いんじゃないかと思う程11人がいた。その11人の手には何やら飲み物が入っていて光輝と愛美にもアスナから渡された。テーブルの上にも何故か少し豪華な食べ物がある。そしてアスナが言った。

 

「じゃあ!光輝君と愛美ちゃんのお付き合い開始を祝して!」

 

「「かんぱーい!!」」

 

 ·····完全に自分達の事が知られている。と言うよりこれは完全に主役達を置いてけぼりにしている。現に光輝と愛美はまだ固まっている。

 そんな2人にリズベットはニヤニヤしながら近づいた

 

「それでお二人さん・・・どこまでしたのかな?」

 

「へ!?」

 

 愛美は真っ赤、光輝は少し赤くなる。

 2人はごにょごにょとし出したがそれを見かねたアスナが助け舟を出した

 

「もうリズったら。そんな事いきなり聞かれても可哀想でしょ」

 

 それもそうかと思ったのか質問は取り消した。だがやはり何かツッコミたいのか今度はレインに言った。

 

「でもレインはちょっと寂しいんじゃない?」

 

 その言葉を聞いた光輝は少し不安そうにレインを見る。レインはジュースを飲んだ後のほほーんとしながらもどこか嬉しそうな顔をしながら言った。

 

「うーんそうでも無いかな。だって光輝君アインクラッドにいた時から愛美ちゃん一筋だったし。こうなるべくしてなったって感じかな」

 

 レインは光輝から愛美の事を聞いている。愛美の話をするだけで頬を赤くして恥ずかしがるその姿は当初は天使かな?とか思っていた。

 

「「へ〜!」」

 

 と全員意外の声を出した。

 光輝は愛美以外の女性には何度も言うが余り興味が無かった。戦いの時も女だからって手加減って何?みたいな感じだった。それをアインクラッドから知っている面々は特に意外に思った。1番恋愛してなさそうな光輝が寧ろめちゃくちゃ恋愛してたという。

 

「お、お姉ちゃん!」

 

 自分の恥ずかしい事を暴露されたからか光輝は真っ赤になりレインに抗議するがレインは何処吹く風と言う表情をしている。

 それでも「あっ」って顔をして愛美に言った。

 

「愛美ちゃんもお姉ちゃんって言ってくれて良いんだよ〜!」

 

 確かに愛美はレインを度々麗華に間違える。それならもうお姉ちゃんで良いと思ったのである。まぁ後は光輝と付き合うのならという事もある。

 愛美は頬を少し赤に染めつつもそれを了承した。

 そこでレインは嬉しそうにしながらも思い出した様に言った。

 

「あ、でもまだ一線は越えちゃダメだからね?」

 

 一線を超える·····その他の行為とは明確に区別された、なんらかの思い切った行為に手を出してしまうことを意味する語。光輝と愛美は男女なのでそれを意味する行為と言えば·····

 それを理解した愛美はアバターなのに体の見える範囲が赤くなっていき

 

「ししししししししません!」

 

 そう全力否定した。·····興味があると聞かれたら否定は出来ないが流石に自分でも早すぎると思っているのである。

 だが隣の光輝は愛美とは対照的に疑問の顔になっていて

 

「一線を超えるってどう言う意味?」

 

 と首をこてんと傾け面々に聞いた。

 それを聞いた面々は光輝に微妙な視線を向けるが光輝らしいかともなった。

 愛美はその顔を赤くしたまま叫んだ

 

「こ、光輝はまだ知らなくていいの!!」

 

「そうなの?じゃあいいや」

 

 そう言った光輝に愛美は残念そうな良かったのか分からなくなったが今はこれで良いんだと一人で納得した。

 その後アスナとレインが作った簡易的なパーティメニューを皆でワイワイと食べ始める。光輝と愛美は割と皆から弄られているがそんなのが気にならない程光輝は嬉しかった。途中からはセブンも合流し更に

 そしてパーティーメニューが無くなって雑談メインになった時、レインは光輝に聞いた

 

「そうだ、光輝君。あの武装完全支配術は出来たの?」

 

 愛美はその会話であの時笠木相手になった姿だと分かった。

 

「うん!出来たよ。丁度良かった。便宜上名前がいるから皆考えてほしいな!」

 

 光輝はそう言いながら恐らくあの映像が出たかな?と思いながら櫂の家のネットに接続して適当に動画サイトを開ければ急上昇ランキング一位になってるのに驚きながら光輝は皆にあの姿を見せた。

 

「うーん……金色状態?」

 

 そうリズベットが言ったが面々から案の定却下された。安直だと。愛美は気になっていたことを光輝に聞いた

 

「光輝……あれってやっぱり……」

 

「……うん。俺の死んだ方の家族だよ。皆と過ごした日々と絆を力に変えたのがあの姿。多分これからは修行次第でいくらでも伸びるだろうけど現状なら復活したセル位ならあの姿で勝てるよ」

 

 セル位……悟飯の超サイヤ人2位と変換した。

 面々はあの姿の詳細を聞いて悩み始める。蒼赤の戦士に因んで名づけるのなら家族の戦士とかファミリー戦士……は言っては悪いがかっこ悪い。

 

「エンハンスウォーリアー?」

 

 とユウキが言ったが微妙な反応だ。武装完全支配術の時はゴロが良いが戦士に付けた時はあまりゴロがよくない。

 一行は悩みに悩み始めたら愛美が関係ないけどと言って光輝に話を振った

 

「あの笠木相手になった黄金の姿って名前付いたの?」

 

 光輝はそう言われてもなんの事だ?となったがレインがヒースクリフと戦った時の姿の事じゃない?と言って思い出した。特に決まってない……というよりなりかたを知らないと答える。それにあの姿に名前をつけようとは考えたことも無かった。

 

「そう……なんだ。こっちの世界じゃ名前つけられてるよ。」

 

「え、そうなの?因みにどんな名前?」

 

「光輝・シャイニングブレイブって名前」

 

「おー!かっこいい!」

 

 と光輝以外の人は言ったが光輝は微妙な顔で聞いた

 

「もしかしてその名前の元ってメビウス?」

 

「正解。」

 

「……まあこれからあの姿になれるのか分からないけどそれもらっとこ。」

 

 とあっさり決まり一行は名前をまた考え始める。だが案外名前が難しい。あだ名とかなら直ぐにつけられるのに光輝の新たな姿の名前は……そして悩みに悩み一周回ってレインが

 

「思い出と絆を一つの語に纏めるのはやっぱり難しいから……安直だけど『リコレクションブレイブ』はどう?」

 

 さっきの愛美が教えてくれたのも組み入れた。絆や家族をロシア語にするという手もレインやセブンは考えたがどちらもゴロが悪い。絆を英語に直しても良かったがそれだと「bonds」で接着剤の方と思ってしまうので言葉で言えば少し意味に反して気持ち悪くなるので却下

 だからレインが言った通り安直だが「思い出」やら「記憶」という意味を引っ張ってきた。それならと1回は「メモリーブレイブ」も考えたが何方が良いかなとレインの中で比べて出した方になった。

 光輝は何か記憶解放術と似て何かゴロも良いとなり

 

「うん!それ何か良い!じゃあ命名『リコレクションブレイブ』に決定!」

 

 約5分程で名前は決定された。光輝は皆にお礼を言いつつメニューを開いて今の光輝たちの世界の時間を見るともう夕方になっているのを見て愛美に言った

 

「愛美、そろそろ戻る?」

 

 光輝の言葉に愛美も時間を確認すると

 

「うん。そうだね。」

 

 2人がそう言うと解散ムードになった。光輝は愛美に軽くログアウト方法を教えて自分もログアウト場面の所まで進めた。そしてユウキは愛美に言った

 

「今度は熟練度上げ一緒に行こうね!」

 

「はい!ありがとうございます!」

 

 そう言ってる間に光輝はレインに言った

 

「じゃあスーツ今度取りに行くね。」

 

「うん。お母さんも光輝君に会いたがってるから来てあげて」

 

「はーい。」

 

 そして二人はログアウトボタンを押した。そうすると光輝と愛美が光はじめ二人は残っている面々に言った

 

「じゃあ皆またねー」

 

「今日は本当にありがとうございました!」

 

 キリト達は光輝たちに手を振って見送ったのだった。

 

 




お疲れ様です。
タグ追加したので遠慮なくくっつけた!

まだ帰還の英雄編は続きまーす。
(*´∇`)ノ ではでは~


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5年前のその後

おはようございます。
今日も行きましょー!


「ん……」

 

 何か久しぶりに感じる鼻で感じる匂いが愛美を刺激する。眼を開ければ家の1階の天井が見える。それで現実に戻って来た事を認識した。隣では本体の光輝が起き上がりアミュスフィアを取っていた。いつの間にか離されてた手を名残惜しそうに見た後、愛美もアミュスフィアを丁寧に取った。伸ばしていた髪が衝撃で揺れる。

 

「うー背中痛い」

 

 そう言いながら愛美は上体を起こす。

 

「まぁ……普通フルダイブする場所ってベットの上が殆どだからな」

 

「·····分かってるのなら教えなさいよ」

 

「ごめん。気持ちの方が先走ってた」

 

 愛美は光輝を観察する。自分と同じくカーペットの上でダイブしてた筈なのに疲れている様子は無い。……ついでにあの時は赤かったのに今は普通だ。やはり光輝に余裕があるのが悔しい。

 普通に背を伸ばしてる。そして残していた影分身に言った。

 

「お疲れ、咲良の相手ありがとう」

 

「おー! じゃあ俺消えるわ」

 

 自分同士で会話して影分身は分身を解除した。言っては悪いが少し面白い光景だった。

 影分身が消えると影分身の記憶が本体の光輝に引き継がれそのいつの間にか面倒くさい事になってた事に額に手を当てる。

 愛美は父親に

 

「凄く楽しかった!」

 

 そう興奮した様子で嬉々としてALOでの出来事を光輝への告白以外の事を語っていた。·····そして願っていた事も叶い新しい夢も持てた。

 恐らく光輝生存不明から見せた笑顔で1番のその表情を見ながら父親は聞く。

 咲良もその話を羨ましそうに聞いて少し面倒くさい事に虚ろな目になっている光輝に言った。

 

「お兄ちゃん私もフルダイブしたい!」

 

 光輝は虚ろな目を瞬時に消して咲良に返した

 

「いや、無理。アミュスフィアのレーティングは13歳以上だからな。自己責任ならやってもいいしやってる子達もいたけど危ないから止めとけ」

 

「うー! やりたいー!」

 

 咲良がフルダイブをしようと思ってレーティングを待つのなら後5年はかかる。そんなのは待っていられないのが人の性だろう。

 光輝は咲良の頭に手を起き優しく言った。

 

「まぁ、全部の戦いが終わったら安全装置を強化して10歳程度まではレーティング下げれるの作るからそれまで待っててくれ」

 

「·····ちょっと待って、光輝が作るの?」

 

「そのつもり。実を言うともう概ね設計は固まってるんだけど単純にまとまった時間が無いのとまだ違う奴を作りたいのもある」

 

 そんな光輝の言葉に愛美は唖然としていた。

 確かに愛美は今日フルダイブを体験し一日の半分すらいた訳では無かったのにもう愛美はあの世界に魅了された。正直言うと光輝の事を抜きにしたらまた直ぐに行きたいと思っている程だ。

 だが……あの景色を作る為の機械を光輝が作ると言われてもぶっ飛びすぎて少し困惑中。何ならもう地盤は固まってるという。愛美は周りを見ると普通に咲良以外唖然としていて自分だけじゃなくて良かったと思った。

 ·····そこで愛美は楓と美咲が料理しているのを見て

 

「も、もう作り始めてたの!?」

 

「愛美は夢中でゲームしてたからね。料理はしてるから光輝君と遊んでたら?」

 

「わ、私も料理するの!」

 

 そう言ってキッチンに入り場所を開けてもらい野菜を切り始めていた。光輝はそんな愛美をリビングから意外な目で見ていた。愛美はその視線に気が付き頬を赤くしながら聞いた

 

「な、何よ」

 

「俺が知ってる愛美はお菓子作りは得意でも料理はそんなにだった記憶があるんだけど……」

 

 愛美は光輝の祖母と母親から光輝と一緒によくお菓子作りをしていた時の事だ。だがぶっちゃけ料理はそこまでだった記憶が光輝にはある。

 愛美は心外と言う声で返す

 

「失礼ね! わ、私だって料理位出来るようになってるわよ」

 

「光輝君に食べてもらう為にね」

 

「ち、違うわよ!」

 

 そう美咲がからかうように愛美の耳元で言って愛美真っ赤になりながらそれを思いっきり否定する。……半分は正解。光輝に食べて貰いたいが為に愛美は料理をするようになった。もう半分は本当に女の子だから出来る様になりたいと言う思いもあった。

 まぁ女は料理出来ないとダメなんてルールは無いから出来なくても良いと思うが愛美はそうではなかったらしい。

 仮に愛美が出来なくても光輝が出来るが。

 楓と美咲は楽しそうに愛美をからかい愛美はもう恥ずかしすぎて偶に切る大きさを間違えた。そしてそのやり取りを見ていた光輝に愛美はずっと見られていたら可笑しくなるので

 

「こ、光輝は主役なんだから出来るまであっち行って!」

 

「……あれ? 俺何にもやってないのに」

 

「良いから!」

 

「これが理不尽というやつです」

 

 とかふざけた事を言いながら光輝は咲良や櫂達の元に行く。

 そして櫂と弘樹とで喋り出す。弘樹は大手の外資系企業で働いている。それも医療メーカーのだ。だから櫂とは案外話があっていたのだ。

 光輝は弘樹の働いている所を初めて知り普通に驚いていた。小一の時の光輝はあまり弘樹とは特に接点が無かった。働いてる所を知らないのはある意味必然である。

 それで丁度いいやとなり光輝はオーグマーを取り出した

 

「こ、光輝君、それは?」

 

 光輝はオーグマーを装着して起動させながら答える。オーグマーが起動し光輝の目の前にALOであるようなホロウインドが何個か出てくる。

 

「オーグマーってものでそのアミュスフィアがVRならこのオーグマーはARです」

 

 そう言いながら光輝は虚空に手を出し櫂達からすれば少しよく分からない手の動きをしていたがそれはただ櫂の家のネットに繋げているだけである。

 

「AR……拡張現実?」

 

「そう。気持ち悪い事言うと人の脳にアクセスして直接俺に映像やら画像を見せてるんです」

 

 そう言いながら光輝は今まで作ってた資料のコピーを作り2人に聞いた

 

「えーと、2人のメールアドレス教えてください」

 

 その言葉に櫂と弘樹はスマホを取り出しそれぞれメールアドレスを光輝に教え光輝はタブを分けながらそれらの添付先にそのメールアドレスを入れて櫂と弘樹に手でスライドした。

 そうすると櫂と弘樹のスマホに着信が入り光輝からである。2人は取り敢えず開けてみて……気になっている咲良とかを置いてけぼりにして熟読し始めた。

 それを見た光輝は隣の咲良に声をかける

 

「何か熟読し始めたね」

 

「そうだね〜。お兄ちゃん私もそれ付けたーい!」

 

「まぁ良いよ」

 

 光輝はオーグマーを取り外す。光輝の景色が普通に戻った。そして咲良に後ろを向かせ付けた。少し調節して咲良のサイズになった時

 

「うわぁー! 何これ〜っ! すごーぃ!」

 

 今咲良の目の前には咲良には意味分からない事が書かれている事が羅列されているだろう。咲良が驚いたのはそんな事では無くその虚空だった場所に近未来的な奴が出てきた事にだろう。

 光輝も初めてオーグマーを付けた時は驚いた。

 そんな事を思っていたら櫂達が熟読し終え咲良をニコニコ見てた光輝に聞いた

 

「光輝君、これの臨床データはあるのかい?」

 

 光輝は椅子に座り直しながら返す

 

「いやーそれがもし出来た時は2代目になるんですよ。まだ俺も作ってないし設計図もそっちには書いてないでしょ?」

 

 それに2人は確かにとなった。光輝が送った資料には大まかなデータしか書かれていない。それでも2人が思わず熟読する位凄かったのだ。

 

「それに……初代のそれ·····メデュキュボイドは終末医療だったし……」

 

「·····そうか」

 

「まあ、初代の方なら概ね成功だったと思いますよ。使ってた本人があるのとないとで全然違うって言ってましたし」

 

 ユウキに光輝は聞いたことがありその時の事だ。光輝が2人を見るとその人に直接聞きたいという顔になっているのを見て

 

「えーと、一応向こうも学生だしALOでしか違う世界の人と会わせるなって時の界王神様に言われてるから難しいですよ」

 

 そう言われ2人はあからさまに落ち込んだ。光輝は苦笑いしながらそのメデュキュボイドVer.2.0や普通のメデュキュボイドの利点を話した

 

「それが出来たらフルダイブしている人が動かせる人形とかカメラとかで病気とかで入院生活をしなくちゃいけない人も学校とか職場に行けるし良いかな〜と」

 

「良い所じゃないよ。それを革命って言うんだよ」

 

 そう大袈裟に櫂に言われ光輝はまた苦笑いしながら言った

 

「俺はキリト達の世界でそう言うの学んで基礎設計とかは自分とキリトだけど発想は向こうから持ってきたものが殆どだからなぁ·····」

 

 先ず自分が普通に生きていたらフルダイブを作ろうともしなかったと思う。

 フルダイブを作りたいと思ったのはALOを始めてからだった。SAO、ALOで俺は色んな体験や冒険、そして俺を受け入れてくれる仲間達に出会えた。

 だから俺は自分がそうだったように、誰かが誰かと出会う場所を作りたかった。かけがえない仲間達を見つける為の場所を。

 俺はヒースクリフに言った。デスゲームは許せないがそのおかげでお姉ちゃんやキリト達にも出会えたから。今度は俺がそんな場所を作りたい。

 だから必死に勉強したし民生品の方のフルダイブマシンの設計も半ば終わっている。過去でお父さんに言われたアドバイスも取り入れた。ブルマさんの指導の元作ったSTLの技術も取り入れている。·····今度は違う問題が出てくるがどの道作るのはシーラス達との戦いが終わってからだ。

 

「その技術を勉強して理解したのは光輝君なんだ。謙遜する事は無いよ」

 

「そ、そうかな?」

 

 と光輝は少し照れた。そんな事を思っていたら櫂のスマホにメールが来て

 

「あ、光輝君。光定さんが準備出来たそうだよ」

 

「分かりました」

 

 光輝は立ち上がり瞬間移動の為に額に手を当てる。ここに来る前に覚えておいた光定の気を感じ取り光輝は瞬間移動をした。

 そうすると光定と光定の妻の目の前に唐突に出現する。光定と妻·····美智瑠は唖然としているが

 

「迎えに来ましたーっ! ·····あれ? 大丈夫ですか?」

 

「あ、ああ」

 

「美智瑠さん、お久しぶりです」

 

「久しぶり、光輝君」

 

 その後光輝は飛雷神のマーキングを部屋のドアの所に施し光定と美智瑠は光輝の瞬間移動で櫂家に出てきた。

 そうすると丁度パーティーメニューが出来ていた。光輝は咲良にオーグマーを返してもらいつつ愛美に主役のタスキをかけられ1番奥のテーブルに座らされた。

 そして光輝以外の8人のクラッカーが鳴り響き

 

「「光輝君、おかえり──っ!」」

 

 となったのである。

 光輝は少し微笑みながら言った。

 

「うん。皆ありがとう。それに……ただいま」

 

 その後、参加者はワイワイと料理を取りながら談笑し始める。パーティーも割と進み光輝もコロッケを食べてたら隣にいた愛美が骨付き肉を光輝の皿に置いた。光輝はコロッケを食べ終えて愛美を不思議そうな顔で見た。

 

「わ、私が味付けしたの」

 

 光輝はそれに少し驚きながらキッチンペーパーで巻きながらがぶりと大きな口で食べた。愛美は味付けが大丈夫だったか不安なので光輝をじっと見る。光輝はお肉をよく噛んで食べている。少し遅いと思った愛美は痺れを切らして聞こうとしたら光輝がお肉を飲み込んで言った。

 

「うん! 美味しいよ! 愛美本当に上手くなったね」

 

「と、当然よ!」

 

 愛美はそう言いながら自分が作った野菜炒めも光輝の皿に乗せた。

 光輝は俺に選択権無いのねと苦笑いしながらそれも食べる。光輝好みの味で光輝も♪♪ というマークがゲームなら見える。

 愛美は美味しいと言って貰えたのが嬉しいのかどんどん光輝の皿に自分の作ったものを乗せる。光輝も美味しそうにそれをニコニコで食べて感想を愛美に言っている。その様子は光輝は意識していないが完全にカップルのそれで·····

 

「え、愛美。いつの間にそんなに仲良くなったの?」

 

 と美咲は流石に意外すぎてそう聞いた。小一の愛美はこんなに積極的だった記憶は無い。

 愛美はその言葉を聞き頬を赤くしながら光輝に言った。

 

「そ、その·····こ、光輝が言いなさいよ!」

 

「え!? お、俺!?」

 

「さっきは私から言ったでしょ!」

 

「そ、それはそうだけど·····」

 

 と言った光輝の顔が櫂達には見た事の無い程真っ赤になっていく。いつの間にか皆食べてる手を止めて光輝を見ていた。それが余計に光輝を赤くする。その隣の愛美も真っ赤だが。光輝は箸を置いて·····面々に言った。

 

「その·····俺と愛美が····つ、付き合う事になりました」

 

 と光輝は最早心臓が爆発すると思った。比喩ではなく真面目に。

 

(悟空さんの楽観的な思考が今は欲しい)

 

 悟空さんならこんな状況でも例えばチチさんの友達とかに「オラ、チチと結婚すっぞ!」とか普通にドキドキすること無く言いそう。ベジータさんとかどうしたんだろうか? 

 兎に角今だけ悟空さんのあの性格が欲しい。

 

 光輝がそう宣言したら数秒時が止まった。誰も何も反応せずただ真っ赤な光輝と愛美を交互に見ていた。

 

「「え────っ!!」」

 

 と美咲と弘樹、楓の声が思い切り重なって櫂家に轟いた。櫂達もまさか今日一日で!? という顔だ。光輝はそう言う顔で見られて恥ずかしくて顔を手で覆うとしたがテーブルの下から愛美の手が光輝の手に重なった。

 感じる筈無いのに2人は互いの心臓の鼓動が聞こえる気がした。

 真っ先に復活したのは美咲だった

 

「え、嘘! 何時!? どうして!?」

 

「お、お母さん落ち着いて」

 

 と愛美は言うが美咲は止まらず

 

「だって昨日の今日よ!? 流石にまだ時間かかるって思ってたのに!」

 

 美咲はいつかは愛美と光輝はくっつくだろうなぁ〜と光輝の帰還から思っていたがまさか今日言ってくるなんて予想外にも程があるだろう。誰も予想出来なかった。愛美は美咲や弘樹に少し恥ずかしながら言った。

 

「ちょっと·····ALOの中でいっぱい色んな事があって……それで」

 

「いや短縮しすぎよ」

 

 と速攻でツッコまれる。愛美は苦笑いしながらも嬉しそうに言った

 

「でも本当だもん」

 

 ねっ? と愛美は光輝を見て光輝は小1に戻った様に恥ずかしながら頷いた。

 それでやっと美咲は席に着いた。今度は楓がウキウキで聞いた

 

「でも実際どんな感じで?」

 

「ふ……普通に」

 

「本当に~?」

 

 という楓の攻めに二人は少し目を逸らす。それで何か訳ありだと分かり楓は特にそれ以上は聞かず

 

「まっ! その事も気になるけど今はお帰りパーティーだからね。馴れ初めは後の楽しみにとっておいて……光輝君、5年前のあの後の事教えてくれる?」

 

 5年前のあの事の後の事……はやっぱりSAOでの事かな? うーん……説明するのが難しいな。俺は少し悩みながら櫂家のテレビを見て聞いた

 

「あのテレビってBluetoothってありますか?」

 

 何故そんな事を聞くのか分からないが櫂は頷いた。光輝は丁度良いやとなり一番近くにいる咲良にテレビを点けてもらい光輝はまたオーグマーを取り出した。そして自分に装着した後、自分で組んだプログラムを起動させ櫂家のテレビに接続して光輝は眼を閉じた。そうするとテレビの方から画面はまだ暗いが声がし始める。愛美はその声を今日聞いたことがある

 

「もしかして……」

 

 愛美がそう呟けばテレビに明るさが出て来た。それと同時に出てきたのはキリトだ。キリトの顔がドアップで出てきて咲良は反射的に驚いた。

 直ぐに画面はキリトのドアップをやめてキリトと5年前の……光輝からすれば7年半前の光輝が出て来た。

 

「下がれるのはこの位が限界か」

 

 光輝はそう言いながら眼を開ける。愛美は聞いた

 

「もしかしてこれって光輝の記憶?」

 

「うん。このオーグマーには元々一般には公開されてないけど記憶抽出機能みたいなやつがある。説明は長くなるから省くけど俺がそれを任意で出来るプログラムを組んでそれを流してる。まあ本場の方はその記憶事消されるみたいだけどその映像は俺が直接やってるから俺の記憶が無くなることも無い」

 

 光輝の記憶ならば全部光輝目線になるはずだが光輝はそれは少し気持ち悪いかと思い記憶の中で視点を下がらせ光輝の周りが見えるようにした。

 この記憶抽出機能のせいで色々あったが光輝は使い方次第と思っているのでこんなプログラムを組んだ。

 映像の中の光輝はキリトから光輝がいる世界·····アインクラッドの説明を聞いている。画面の光輝は平静を装っているが見るからに動揺しているのが分かる

 

「この時は焦って現実逃避してたなぁ〜」

 

 と光輝はレインと同じ様にのほほーんと言っているがそれは今だから言える事である。本気でこの時は焦っていたし現実逃避もしていたし·····光輝の焦ったランキングがあれば多分この時が1番だろう。

 

「光輝·····本当にアインクラッドにいたんだ……」

 

 最早愛美が持っている”原作”の知識は通じるのか本人も疑問に思っている。皆がテレビに見入っているが光輝は愛美が作ってくれたご飯のお供を食べる。

 ·····そしてよくよく考えたらこの後の展開ってあまりご飯進まないんじゃないか? と思い

 

「えっと、ご飯食べ終わるまで止めようか?」

 

 と言ったら一行は微妙な顔で見てきて言った。

 

「ここまで見せて気にならないと思う?」

 

「うん。思わない」

 

 と言いつつ映像が進む。SAOでの初めての戦闘を終えて光輝がキリトからストレージの入れ方やらを教えアニールブレードを手に入れる為の胚珠を貰って一緒にクエストを受ける為の場所に向かっている場面になっていた。

 その間に皆は残りの料理を食らっていた。

 そしてキリトからソードスキルを教えて貰った後、場面が変わった。アニールブレードを2本背負いトールバーナでご飯を食べている場面だ

 

「この時はあの日から1ヶ月後位かな」

 

 と光輝は言いつつ片付けを始める。楓も手伝おうとしたが光輝が大丈夫と言って映像の方が気になりお言葉に甘えた。

 その間にも映像は続く。光輝のホームシックの様子もバッチリである。

 そしてアルゴとの出会い、その後のボス戦の様子も映っている。ボス戦の時だけ光輝視点になっていたが愛美達はそこら辺の映画よりも大迫力のその戦いに息を飲んでいた。

 

『終わりだ』

 

 画面の中の光輝が双剣を鞘に納めたと同時に言ったら後ろにいたコボルドロードが爆散する。

 画面の光輝はボス討伐報酬を少し見ていたが第三者の声がそれを終わらせた。画面がボス部屋の入口に映しそこには何十人もの人達がいた。そして出てきた人達を見た愛美がいった

 

「ディアベルにキバオウ·····それにヒースクリフ!?」

 

 何でそんなに驚いているのだろうかと光輝は今日彼女になってくれた愛美に思った。

 愛美が驚いたのも無理はない。前者2人は兎も角ヒースクリフは本来第1層から参戦する訳では無く第12層から本格参戦するのだから。

 そしてこの後は攻略組と光輝の対話である。そこでやたらと光輝が攻撃されているのを見て愛美や楓は眉を顰めてる

 

「子供相手にそんな事言えるなんて最低」

 

 と言う愛美の辛辣な意見である。チーターやらベータテスターなら土下座とか何とか·····愛美の怒りゲージは大分溜まっているのを見て洗い物が終わって愛美の隣に座りながら光輝は愛美を怒らすのは止めとこと思ったのだった。

 

 そして画面の中の光輝は光輝からすれば理不尽な事を言われているのに8歳と思えない程毅然として正論を噛ましている。ついでにニュービー達も褒めてる。それでさっきまで罵詈雑言だったのに今度は俺達すげえ〜みたいな事になっている。

 その変貌に愛美は複雑ながらも良しとした。光輝が孤立するよりもマシだと思ったのだ。·····他でもない光輝がそれを許さなかったのだが

 

『俺は1人で戦った方が強いから』

 

 という光輝の攻略組の勧誘を受け拒否した時の答えがそれだ。始める罵詈雑言に愛美は少し気分が悪くなっていく。光輝は愛美の手に自分の手を重ね眼で「大丈夫」と伝えた。愛美は不承不承我慢し続きを見る。

 攻略組約40人VS光輝の様子がテレビに映る。目まぐるしく光輝が動きその様子は正に「無双」だ。10分もしない内に攻略組の殆どがやられ最後の一人で勝利を収めていた。

 

「·····光輝強すぎるよ」

 

「お兄ちゃん強い!」

 

 と愛美と咲良が言う。そして光輝が所謂ビーターの役目を受けていたのを見て愛美は抗議の視線を光輝に向ける。光輝はそれに何で!? となりながらも映像は進み光輝がキリトにコートオブミッドナイトを渡し第2層に向かった所で光輝は一旦映像を止めた

 

「んーっ!」

 

 と言いながら光輝は背伸びしてからオーグマーを取りながら周りを見たら皆愛美と似たような抗議の視線になっている。楓が言った。

 

「光輝君·····もう少し大人を頼りなさいよ」

 

 光輝がビーターになっているのを見て大概が悲しいような気持ちになった。これではあの西沢家の悲劇から何も変わってないでは無いかと。光輝もそれが分かってるのか·····と言うより思い知った本人だからか苦笑いしながら言った。

 

「ま、まぁ俺も自分が馬鹿だったのは後で痛い程思い知ったよ」

 

 と本当にそう思っている顔を見て面々は抗議の視線を止めた。咲良が止まってしまった映像を見て光輝に言った。

 

「お兄ちゃん続き見たい!」

 

「いやSAOの思い出だけでも2年間分あるし要所要所出しても今日全部見ようとしたら夜中になるからダメ」

 

「夏休みだから大丈夫ー!」

 

「だーめ。それに休みだからって生活リズム崩したら学校始まった時に起きれなくなるぞ〜」

 

「お兄ちゃん先生みたいな事言わないでよ〜」

 

 と咲良が言えば少し笑いが起きる。今の時間は9時だ。小3の咲良はもう少しで寝る時間である。ボス戦を丸々映していたのでその分長かったのだ。

 それでも咲良は興奮を抑えきれないみたいな感じで光輝に見たいオーラを出しまくる。光輝はそのオーラに目を逸らす。

 

「じゃあお兄ちゃん一緒に寝よー!」

 

 と自分の知らない間に映像の続きを他の人だけ見させない為なのかそれとも単に光輝と寝たかったのかそう言った。光輝は苦笑いしながらOKする。

 その後、咲良と光輝は交代でお風呂に入り2人は光輝の部屋にやって来た。咲良はルンルン気分である。光輝は部屋に入る前に影分身を出してサッと入れ替わる。分身光輝はそのまま咲良と一緒に寝始める。勿論分身の方は起きているが案の定咲良に逃がさない為なのか張り付かれている。分身光輝は咲良を寝かしつけるまでずっとその体勢なのである。

 一方本体光輝は普通にリビングに戻ってきた。

 

「影分身ってバレたら怖い目にあっても知らないわよ?」

 

「だ、大丈夫だよ。ちゃんと後で本当に行くし」

 

「へー私じゃなくて?」

 

 と愛美は微笑んで見る。それがなんか逆に怖いと思った光輝なのである。少し慌てて言う

 

「えっと、その·····」

 

 何か言おうとしたが言葉が見つからないでいる光輝に愛美は微笑み言った。

 

「もう冗談よ」

 

 それに安堵しながら光輝がテーブルを見ると何やらお酒を用意して光輝と咲良がお風呂に入った辺りから大人組は談笑し始めている。

 そう思っていたら大人組が光輝が戻って来たのに気が付いたのを見て光輝と愛美はテーブルに座った。そして·····光輝は深呼吸して言った。愛美はテーブルの下で光輝と手を繋ぐ。光輝もその手を握り返した。

 

「俺は·····違う世界で5人、歴史を守る為に殺しました」

 

 そこから光輝は愛美に話した事と同じ内容を話した。ナッパ、ターレス、セル、ブロリー、ジャネンバとの戦いとその最後を。

 今度は先程と違って光輝は辛くならなかった。罪悪感はあるが隣にいてくれる愛美のおかげでさっきよりもずっとマシだった。

 櫂達もそれを黙って聞いていた。そして光輝の言葉が終わったら次は愛美が言った。

 

「私·····それでも光輝が好きなの! 私、光輝の隣にいるって……光輝の味方になるって決めたの。光輝が間違った時は私が止める。だから……怒らないであげて」

 

 愛美の言葉も終わり場は沈黙した。その間光輝は顔は下げず前を向く。櫂は彼にしては珍しくお酒を飲み光輝を見つめて言った・

 

「正直に言うならまだ現実が全て分かった訳じゃない。だけど光輝君がそうしたのならそうなんだろう」

 

 そうゆっくり言う。本当に全てを理解した訳ではない。櫂がアニメの存在だと思っている敵たちを光輝が倒していた事、更生をさせるのではなく殺すことを選んだ事。光定や櫂は立場上は怒らなければならないが現実離れをして実感がないのと

 

「だけど、君がそんな選択肢を選んだのはそこにいた誰か達を守るため。違うかい?」

 

 光輝は頷いた。

 ナッパは歴史と悟飯とクリリンを守るため

 ターレスはナルト達とあの忍界を守るため

 セルも歴史とあの世界を守るため

 ブロリーも忍界に生きる人々を守るため

 ジャネンバはベジータと悟空を守るため

 

「そして君は黙っていてもいいものを正直に話してくれた。それで僕は十分だ」

 

 そう。別に光輝はこんな事を言う必要は本来無いのだ。どの出来事もこの世界で起こった事では無い。光輝か愛美がいなければどれも分からない事なのだ。光輝はそれでも話した。ちゃんと知っていて欲しいから。

 櫂がそう言って光輝は周りを見渡す。周りも同意見なのか頷く。美咲と弘樹は娘に聞いた

 

「愛美……もし世間にばれた時、生半端な気持ちじゃ光輝君の彼女は務まらないわよ?」

 

「その覚悟はあるのか?」

 

 光輝が殺したのはフィクションのキャラだから……そんな楽観的なことを考えるほど愛美の両親は楽観的ではなかった。確かにもしばれたとしてもそんな人達が大半だろうがそうじゃない人達もいる。殺したのが本当なら光輝も笠木と同じになる! って輩もいるだろう。そして狙われやすいのは光輝の大事な人達。だからこその問。自分達の保身ではなく娘を気にするあたり優しい両親である。

 愛美は両親の言葉を聞いて力強く頷いた。

 

「うん。私……それでも光輝といたい。もう……あんな後悔したくない」

 

 愛美の言葉を両親は聞き今度は光輝に向いて弘樹が言った

 

「光輝君、君がその年で年相応以上に賢いのは今日で分かった。だから多くは言わない。ただ娘を泣かしたら許さなからね」

 

 それは認めの言葉。その胸の中では色んな複雑な想いがあるだろう。だけど……それでも娘の幸せを優先した。自分の目に入れても痛くない程の娘の幸せを。光輝は全てを理解した訳ではないが……それでもどんな思いでこの言葉言ったのは何となく分かった。だから……

 

「はい! ありがとうございます!」

 

 その瞬間、堅かった雰囲気が弱まった。それを光輝も感じてようやく椅子を深くかけた

 そんなあからさまに疲れている光輝に愛美は笑いながら言った。

 

「もう、光輝緊張し過ぎ」

 

「まだボス戦の方がマシの緊張感だった」

 

 愛美や櫂達からすれば先程見た命を懸けたボス戦の方が緊張するんじゃとか思っているが光輝の様子を見る限り光輝は本気でそう思っていそうだ。因みにその理由が

 

「麗華お姉ちゃんが彼女のお父さんと話すのが一番怖いって言ってたし」

 

 それはまだ光輝の家族が生きていた頃に何やら姉達が恋愛映画を見ていて丁度娘さんくださいをしていた場面でお父さん役の人がちゃぶ台を「娘はやらん!」と言ってひっくり返していたのが光輝には印象的でその時麗華に光輝も結婚の時は通る道だよ? って楽しそうに言って光輝は暫くビクビクしていた。

 愛美はそれを聞いて

 

「い、いつの時代よ」

 

「8年前くらい」

 

 そう光輝は普通に言ったが愛美は心配の顔になった。8年前は光輝の運命が変わったと言っても過言ではないのだ。主に悪い意味で。だから愛美はそんな顔をしたのだ。光輝はその表情を見て愛美の考えている事が分かり安心させるように言った

 

「大丈夫だよ。皆はもういないけど思い出は皆俺の中にある。それに俺は一人じゃないって気づかせてくれた人達がいる。それに……愛美や櫂さんたちがいたから二年間生きてSAOやタイムパトロールを戦えたんだ」

 

 5年前よりも明るくなり櫂達から見れば今の光輝はもう肉体的にも精神的にも立派な成長を遂げていた。その成長を見届けたのが自分達じゃないというのは正直少し寂しいがこれで良いんだと胸の中で思った。

 

「あ、愛美も今度一緒にアインクラッドのボスに殴り込みに行く?」

 

「い、行かないわよ! 今日始めたばかりなのに行く訳ないでしょっ!」

 

 確かに成長はしたがバトルジャンキー度は5年前よりも遥かに上がったのが弾の傷だが。

 

「挑戦しない成功なんてないよ。俺が守るし皆にも声をかけるし行けるよ」

 

「う〜·····本当に?」

 

「うん」

 

「じゃあ行く」

 

 と何かゲームの話をしだした2人に何か話題が永遠とゲームに行きそうになったのを見て弘樹が咳をして注意を向けた。光輝も流石に目の前でゲームの話は不味いと遅ながらも思ったのか止めた。櫂は気になってる事があり聞いた。

 

「それで光輝君。これからどうするつもり何だ?」

 

 光輝はそれを聞いてもう一度顔を引きしめ言った

 

「少なくとも·····あの仮面の男、それにあいつの仲間のシーラスって奴との決着がつくまで完全には帰れない」

 

 それに少し納得がいかないのか楓が聞いた。

 

「悟空とかがいるんでしょ? だったら任せたら良いんじゃないのかな?」

 

 光輝はそれで悟空達が何故かアニメになっていたのを思い出し複雑と思いつつも答えた

 

「先ず俺じゃないとダメな理由が歴史の改変が行われている所が大概悟空さん達が戦ってきた敵達の歴史だから。悟空さん達が行ったとしてもしその時代の自分達とかち合ったら色々面倒くさい」

 

「「あー」」

 

 その点光輝ならば悟空達の歴史のどこにもいないので大丈夫なのだ。だからシーラス達はレインやキリト達を殺して光輝を病ませようとしていたのだ。光輝が病んだら時の巣には対抗手段が少なくなるからだ。

 

「2つ目。シーラスは兎も角あの仮面の奴とは·····俺が決着をつけたいから。あいつだけは·····俺が戦いたい」

 

 そう思い詰めるような表情を光輝はする。

 会う度に違和感が増す。次に会うのは何時なのか分からないがそう遠い事でもない気もしている。次は決着の時·····か。その決着の時、どちらが立っているのかは分からない。だけど光輝には負けられない理由が増えた。なら負けない為の修行あるのみだ。

 そんな光輝を見て愛美も思った事を言った。

 

「····私もね。あの仮面の人·····どこかで会った事あるかもしれない」

 

「え?」

 

 と光輝が言えば櫂と楓、そして光定も

 

「僕も何故かそんな気がした」

 

「私も」

 

「俺もだ。あの声が誰かに似ていた……」

 

 何故か3人は会った事あるかもしれないと言い出す始末。だけどその誰かが分からない。皆で唸っていたが分からんから時間の無駄となった。

 そんな事を思っていたらまた櫂が聞いてきた

 

「その答えの時点で分かってるけど学校はどうするんだい?」

 

「あーははは·····サボります」

 

 だろうなと逆に清々しすぎて櫂達は笑った。これで勉強してないのなら兎も角光輝が勉強はしているのはメデュキュボイドの時点でよく分かった。

 

「まぁ·····俺小学校すら卒業してないし」

 

「あ、忘れてた」

 

「でも社会と古文以外は高校レベルだと思うよ!」

 

 と何か気まづくなり光輝は精一杯の抵抗をする。光輝の年齢ならまだ中2、或いは高1だ。何故違うのかと言うとこの世界の戸籍で言えば中2だが光輝は2年半皆よりも歳をとっているのでその分を加算した場合の事だ。

 それを聞いた愛美は少しニヤッとして

 

「じゃあ私が今から英語で話すから返してね?」

 

「い、良いよ」

 

 そこから愛美は本場アメリカの英語を繰り出す。引っ越した当時よりも遥かに……もう次元が違う程の英語を流暢に、綺麗に話す。光輝はそれにすげ〜とか思いながらも光輝も精一杯返した。

 ……精一杯なんぞ生温く愛美よりも少し劣るが普通にアメリカの日常生活も学校生活も遅れるほどだった。

 一通り返した光輝に愛美は更に会話を重ねるが光輝はどれも直ぐに返して……英語のやり取りを3分程こなしたら愛美が唖然としながら

 

「な、何でそんなに出来るの!?」

 

 愛美が引っ越してから得た英語能力を光輝は少し劣るとはいえ普通についてきたのだ。愛美のプライドが少し傷つくのもしょうがないだろう。一方光輝は何でそんなに驚いてんだろう? とか思いながらも理由を言った。

 

「何か学校は行かないと言うより行けないってアスナさんとかお姉ちゃんに言ったら家庭教師みたいな事してくれた。英語は絶対に出来た方が良い! って事で結構やったよ。1番はパーティーに途中で来てた七姉ちゃんがアメリカの確かマサチューセッツ工科大学って所を首席で出てるから七姉ちゃんがよく教えてくれたおかげかな」

 

「そ、そうなんだ。光輝普通にアメリカでも生きていけるよ?」

 

「アメリカはキリト達の世界の方しか行ったことないなぁ·····それも一瞬だったし」

 

 凛子っていうメデュキュボイドの基礎設計をした人を迎えに行った時だ。弘樹が光輝の言葉に唖然としながら呟く

 

「と言うよりマサチューセッツ工科大学を首席卒業って·····」

 

「因みに当時12歳だって。そう考えたら順当に大学に行って卒業してた笠木なんてあんまり大した事ないんだな」

 

 と1人で言って1人で納得する光輝なのである。そこで光輝は思い出した事があり

 

「そう言えば愛美ってアメリカのどこら辺引っ越したの?」

 

「カリフォルニア州よ」

 

「じゃあ今は中3か高1何だ」

 

「うん。中3だよ」

 

 それなら?? となり聞く

 

「あれ? 受験生だけどこんなにゆっくりしてていいの?」

 

 と光輝は受験生にとって大分キツイ言葉を平然と投げつける。光輝に悪気がないから余計にタチが悪い。愛美はジト目で光輝を見ながら言った。

 

「私、公立高校だから受験は無いよ。咲良ちゃんも言ってたけど先生みたいな事言わないでよ」

 

「ご、ごめんなさい」

 

 としゅんとした光輝を見て思わず愛美も微笑む。そして話が一段落落ち着いたら光定が少し酔いのせいなのか赤くなりながら聞いた。

 

「光輝君明日はどうするんだ?」

 

「まぁ、先ずはお墓参りかな。建作さんには今日影分身を行かせましたし·····。その後は面倒くさいけどあの雀ヶ森って人とインタビューだった筈」

 

 そう、光輝はあの雀ヶ森と名乗った女性がインタビューするのなら良いと言ったのだ。出来るのなら記者会見とか言われたが光輝は拒否した。

 どうせ同じ事を言うのなら別に1人でいいだろってなったのだ。

 今頃雀ヶ森がいる報道OVERは明日のインタビューの為に大忙しだ。代わりに他の週刊誌や月刊誌や報道番組の所は歯軋りしているだろう。

 愛美は光輝に

 

「·····と言うより私それ初めて聞いたんだけど?」

 

「あ、そうか。愛美、ALO中だったから知らないのか」

 

 その後、愛美がALOでの体験を楽しそうに話し始める。

 生き生きと話すその姿にはもう光輝が死んだと思って自殺未遂をしようとしていた愛美はいない。そんな楽しそうに話す愛美を見て光輝も自分の事のように嬉しくなる。そして今は何故かタイムパトロールの話になって

 

「え!? タイムパトロールって給料出るの!?」

 

 と楓が驚愕の声を出す。光輝はそれに頷く。

 

「そりゃあ命賭けてるし。一応月給制だけど任務の危険度とかで何かボーナスって言ってプラスしてくれる。それでさっき建作さんにお代渡しに行ったし」

 

 と光輝は言いながら量子変換器から時の巣で貰った通帳を出して楓に見せた。光輝は見てもらっている間にジュースを飲む。建作はやはり歳は取ってしまっていたが元気そうだった。光輝が顔を見せた時、よく帰ってきたと何度も言って光輝を抱きしめ光輝も少し泣いた。

 愛美も給料が気になり楓の後ろからひょこっと覗く。

 

「·····そこら辺の公務員よりも稼いでるわね」

 

 と楓は苦笑いで言った。嬉しいのか複雑なのかが自分でも分からない。この歳でここまで稼いでる事を褒めればいいのかそれとも稼ぎは落としていいから少し安全にして欲しいのか。

 

「いや……もう光輝君は立派になってるんだから私が言うのも野暮ね。無駄遣いもしてないみたいだし自分の事は自分で管理しなさい」

 

 そう言いながら光輝に返した。光輝もお礼を言いつつ受け取って量子変換器に入れる。因みに光輝の量子変換器は超小型化がなされており光輝が持っておくだけでも使えるが光輝は体にインプラントしている。そうする方が色々便利なのだ。キリトが小型センサーを体にインプラントしているのを見て光輝もそうするようになった。

 時間は早く過ぎるもので10時過ぎに古原夫妻は実家へ、光定夫婦は光輝に飛雷神で送られ帰って行った。

 そして櫂家に残った愛美はと言うとお風呂に入った後光輝の部屋に行った。入ると光輝が小3まで使っていた机に触れていた。光輝のベッドでは咲良が寝ている。

 光輝は愛美の蒼色の花柄のパジャマ姿を見ると

 

「か、可愛いよ」

 

 と頬を染めながら言った。愛美は光輝から初めてそう言われ同じく頬を染めながら返す

 

「あ、ありがとう」

 

 ただ一言そう言われただけなのに愛美の心臓の鼓動が高鳴っていく。光輝は愛美が何故この部屋にいるのか考え

 

「·····と言うよりここで寝るの?」

 

「何か問題でも?」

 

「いやそれシングル·····」

 

「皆で固まれば大丈夫!」

 

 と軽くコントをしてから2人は電気を消した後咲良をサンドする形でベッドに入る。やはり割と辛めである。だけれど愛美は逆に何か楽しそうだ。

 愛美の蒼色の瞳が窓から差し込む月の光に反射しているのかよく見える。ずっと見ていたら吸い込まれそうになる。

 光輝は愛美の顔に手を触れる。それに愛美は少しくすぐったそうな顔をする。

 

「その·····明日のお墓参り」

 

「うん。分かってる。一緒に行こ?」

 

 愛美はそう言って光輝に微笑む。この笑顔を守る。そう光輝は改めて誓い愛美のおでことコツンとしながら眠りに落ちたのだった

 

 

 




お疲れ様でした。

文字数だけやたら多い癖に内容薄かったですすいません。
愛美の両親何かあっさりしすぎてる問題は自分でも思ってしまった。
ま、まぁ…愛美を助けた功績+小一光輝のイメージ+光輝がメデュキュボイドVer.2.0の構想をお父さんに先に見せて賢さアピールが良かったという事で。

(*´∇`)ノ ではでは~


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手から感じるドキドキ

おはようございます。
今までバトルものだったのに恋愛入れまくる奴は僕です。
光輝の中の恋愛相手が愛美しかいないだけだったからSAOのヒロイン達相手でも普通だったけど愛美になった瞬間に初々しくなるやつ。


 夏だからかセミの鳴き声がよく響く。それを助長する様に太陽の日差しも地を照らす。そんな夏の中光輝と愛美は西沢家のお墓参りに来ていた。

 愛美は蒼色のワンピースにつばが360度ある白色の帽子を被っている。光輝も少し深めに帽子を被っている。光輝がお墓を洗い愛美が来る途中で買った花を供えていた。

 光輝が手を合わせ言った。

 

「3ヶ月ぶりだね。今日は報告したい事が2つあるんだ」

 

 愛美も隣で手を合わせる。

 

「1つ目。笠木との戦いが本当に終わったよ。皆は望んでないかもしれないけど·····笠木に勝つ事が出来たよ」

 

 笠木との決着に8年かかったのは光輝も割と意外に思っている。最も第3戦目は光輝の圧勝だったが。

 そして光輝は愛美の手をそっと握り言った。

 

「その……2つ目。愛美とお付き合いする事になったよ。俺の事をずっと想っていてくれた愛美には感謝してもしきれない。だから俺は必ず愛美を幸せにする。麗華お姉ちゃんの言う通り愛美のお父さんと話した時めちゃくちゃ緊張したよ」

 

 と微笑み言った。愛美も微笑んで言った。

 

「お久しぶりです。昨日から光輝とお付き合いさせて貰っている愛美です。私も光輝の事が大好きです。だからずっと……光輝を支えます。私には何の力もないけど·····それでも光輝の隣を歩きたいです。なので……見守っていてください」

 

 そう言ってる途中泣き始める。光輝も少し泣きかけだが2人は立ち上がった。そして一礼してから2人は歩き出した。

 墓地を出て2人は少し無言で歩いていたが光輝が

 

「そうだ。愛美が昨日お風呂に入ってる間に聞いたんだけど新井先生がまだあの学校にいるらしいからまだ時間あるし行かない?」

 

「新井……先生·····あーっ! 本当に!?」

 

「うん。と言うより今は咲良の担任なんだって」

 

 と光輝と愛美は会話しながら2人の日本での母校に向かった。やはり夏休みだからか人はまばらだ。それでも警備員がいたので光輝と愛美は近寄って行った。

 警備員はそんな2人を……もっと言えば帽子を取って近づいてきた光輝に思いっきり眼を見開いた

 

「すいません。俺達……」

 

 と光輝はそこで止まってしまった。そして疑問の顔で愛美に向いて聞いた。

 

「これ何て言えばいいんだろ? 俺も愛美も卒業してないけど?」

 

「た、確かに」

 

 と困り始めた2人を見て少し年配の警備員が助け舟を出した。

 

「用事は何ですかな?」

 

「あ、えっと……新井先生って今日はいますか?」

 

 そうするとどうやら来ているらしく光輝と愛美は入校証を貰いつつ警備員さんが職員室に電話してくれた。光輝はお礼を言った。

 

「何か……ありがとうございます」

 

 そうお礼を言っていたら学校の奥から男性が走ってきた。体育会系の体型をしている。ラフなポロシャツ姿で短髪なのは5年前から変わっていなかった。光輝と愛美は一礼して近づいていく。

 

「お久しぶりです、先生」

 

 急いできたのか新井は息を切らしている。それでも光輝の肩を勢いよく両手で掴んで口を開いた

 

「お帰り、光輝君」

 

「……ただいま。先生。5年越しですけれど約束は守りましたよ」

 

 新井は感動しているのか少し涙を見せ何も言わず頷く。光輝は自分の為に泣いてくれることに嬉しさがこみ上げる。新井は暫く光輝の肩を掴んだまま頷いてたが一分経って離れた。次に愛美を見た。愛美は帽子を取ってその美貌と容姿を出した。それを見た新井は元生徒の成長ぶりに驚きながらも言った

 

「古原も美人になったな」

 

 愛美なのはその特徴的な髪と眼で直ぐに分かった。というよりこんな特徴的な容姿を持った生徒は新井は愛美しか持たなかったのもある。愛美は新井の言葉に見る人を魅了する微笑みになりながら口を開いた

 

「それセクハラですよ、先生」

 

 本当に思っている顔ではない。寧ろ少し楽しそうだ。新井も一本やられたと笑いながらしゃべる。

 

「ははは。これはやられたな」

 

 3人はその後学校に入り元光輝と愛美がいた時の教室に向かった。即ち二人が小1の時の教室だ。二人は懐かしそうにそれぞれ座ってた席をそっと触れる。二人の席は窓側にあって愛美の席が前から2番目、光輝が前から4番目だ。二人は小1の時を思い出していた。そうすると不思議と光輝は愛美に引っ張られ愛美は光輝を引っ張ている記憶ばかり出てくる。

 光輝は余韻に浸っていたがタイムパトロールで思い知った事を新井に話す。

 

「俺も先生の大変さがよく分かりましたよ」

 

 光輝はボルト達とのアカデミー生活を少しだけ新井に語りその大変さに頷いていた。そこに光輝が嘘をついてると思っている節はなく当たり前のように信じている。

 

「そう考えたらあの時の俺って大分問題児でしたね。ごめんなさい」

 

「あの時は色んな意味で大変だったからな。光輝君もクラスも」

 

 そんな光輝の同級生は何事もなく中学校に進学したらしい。5年前のあの戦いが終わって初めての登校日からめちゃくちゃ話題になっていたらしい。そして光輝が意外に思ったのは当時のクラスメイト達が光輝が死んだと思って割とショックを受けていたらしい。

 

「あれ? 俺結構嫌われてたと自負してるんですが」

 

「そんなの自負しないでよ」

 

 という愛美のツッコみに光輝と新井は苦笑いする。光輝も流石に酷かった事は覚えているのか特に反論しなかった。

 そのショックの理由は確かに光輝は嫌われていたんだが良い意味でも悪い意味でも光輝はクラスの中心にいたからだ。陽気なキャラではないがそれでも勉強面では光輝をライバル視していた人が多くそれのおかげじゃないか? という事である。

 そして次は愛美のアメリカ生活の話になっていた

 

「最初は全然英語出来なくて言葉も伝わらなくても辛かったですね」

 

「でも今はペラペラなんだろう? 俺よりも英語は絶対上手いだろ」

 

 愛美は新井から聞いてそうなのかなと思いながらその理由を話す

 

「でも光輝もアメリカに住んでた訳じゃないのに英語ペラペラですよ?」

 

 それに新井は流石に驚愕した。光輝が5年間どう生きていたのかは知らないがアメリカに住んでいる愛美にそう言わしめるほどの英語力をどうやって身に着けたんだ? となったのだ。そんな時、光輝は教室の入り口に向いた。そうすればそこに何人かいた少年少女と眼があった。背丈的に小学校低学年だろう。眼があった子供たちは

 

「「本物──!!」」

 

 そう叫び教室に勢いよく入って来た。その勢いに光輝は少し唖然とした。子供達は光輝を取り囲み

 

「握手してー!」

 

「剣見せてー!」

 

「あそぼ──!」

 

 と純粋無垢にワイワイと言ってきて光輝は困惑中。そんな光輝に新井は苦笑しながらも助け船を出した。

 

「お前らの先輩は忙しいんだ。それに宿題は進んでいるのか?」

 

「「それ言わないでよ先生!」」

 

 と仲良くはもる。愛美はその可愛さに微笑む。

 子供達から見れば光輝はヒーローに見えているのだろう。事実今の世間の光輝を見る目は大半は英雄のそれだ。何が気に食わないのか所謂アンチもいるが少数派だ。

 子供達は光輝と話したいのか新井の言う事を聞かない。新井もどうやら手を焼いているようだ。

 光輝は膝を折って子供達と同じ目線になって少し微笑みながら話した

 

「じゃあ皆が今日の分の宿題をやったら遊んであげるよ」

 

「「じゃあやる──ーっ!」」

 

 と一瞬でやる気を復活させ学童保育の建物まで走って行った。

 新井曰くあの子供達は親が共働きで働いている間に学校に預けられている子供達なんだそうだ。だけど新井は不安そうな顔で聞いた

 

「でももう少しでテレビに行かないとダメなんだろ? 時間は大丈夫なのか?」

 

 光輝が雀ヶ森のインタビューに答える事はもう大々的にニュースになっている。光輝的には適当に1体1で話したかったのに言うのを忘れていたがために生放送でされる事になったのだ。

 光輝の面倒くさいのはその生放送。自分が言うのを忘れていたのが悪いのだがもう少し融通効かなかったのだろうかと思っている。

 そしてその生放送の情報は新井にも勿論知れ渡っている。だからこその問だ。それには愛美が答えた

 

「大丈夫ですよ。ね? 光輝」

 

「うん。影分身の術!」

 

 そうすると光輝の隣に分身光輝が出てきた。それに新井は唖然としているがそう言えばアメリカやらロシアやらにも光輝がいた事を思い出しこの影分身だったんだろうと思い納得した。そして正直に思った事を言った

 

「それが俺にも出来れば仕事が楽になるのにな」

 

 そう笑いながら言った。それに光輝は微妙な顔をして話した

 

「いや影分身は分身が経験した事も精神的な疲れも一緒に還元されるので疲れは多分変わりませんよ」

 

「そうなのか。それは残念だ」

 

 そう少し笑っていた。その後、3人はもう少しだけ喋り本体光輝は愛美と一緒に新井に別れを告げて学校を出た。新井と残った分身光輝は学童保育の所まで向かった。

 先程までの久しぶりの母校について2人は話していたが……愛美は唐突に頬を染めて光輝に右手を差し出し言った。

 

「その……手、繋ご?」

 

 その愛美の上目遣いに光輝は赤くなり心臓の鼓動が早くなる。光輝は赤くなりながらも頷いて愛美が差し出した右手を左手でゆっくりと握る。その愛美の手はレインの手よりも小さく少しでも力を入れたら無くなってしまうんじゃないかと思う程柔らかった。その手触りも光輝が今まで思った事が無い程すべすべしている。

 尚、本当に力を入れたら真面目にやばいので光輝は気を最低限にしている。

 光輝は愛美の手を普通に握っただけなのだが光輝は今まで女性に興味無かったのが嘘のように緊張して少し愛美の手の手触りを確かめる

 

「も、もう……そんなに少しづつ動かさないでよ。くすぐったい」

 

「ご、ごめん」

 

 そのまま2人は羞恥なのかずっと無言だった。だけれどもその繋いだ手から互いの鼓動が伝わり2人は不思議と嬉しくなる。ちゃんと隣にいる人が自分を好きでいてくれる事、逆に自分も隣にいる人が好きなのだと再確認出来るからだ。

 まだレインが言った一線を越える事はするつもりは無いが……愛美も光輝に教えるつもりはまだ無いが今はこれでいいんだと愛美は思った。こんなドキドキの時間が今の自分達には必要だと……そう感じたからだ。

 2人はそのまま無言で、互いの手の温もりを感じながら帰路についたのだった

 

 

 

 

 ★★★★★

 

 

 

本日はお時間を頂きありがとうございます。

 

はぁ。時間取っている自覚があるのなら元々インタビューなんてやめてもらいたいと言ったらダメ? 

 

出来るならやめてもらいたいですね

 

でしょうね。もうそれは諦めたんで早く始めましょ

 

ありがとうございます。では、当番組では昨日から今日の朝にかけて光輝君に質問して欲しい質問のアンケートをしてまして今回はそれを元に幾つかセレクトして質問して行きますね

 

はーい

 

 

 報道OVER ゲスト 西沢光輝

 

 最高 視聴率、40%超

 

 




お疲れ様でした。
やたらと帰還の英雄編長いですね。

ドラゴンボール超編とドラゴンボールGT編、最初は分けてやろうかなぁ?と思ってたんですが超はまだ終わってないし光輝もまだ戦っていない劇場版キャラとか結構いるので1つの編に纏めたいと思い構想中。
ドラゴンボールはそういう事やろうと思えば普通にできる事も魅力ですね。

次ネットでまた明日です。
(*´∇`)ノ ではでは~


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ネットの反応 インタビュー後

おはようございます。
ネットの反応であります。
面白かったら良いなぁ…⊂('ω'⊂ )))Σ≡GO!!


光輝君、生インタビューについて語り合うスレ

 

1:名無しさん

スレ立ち乙

 

2:名無しさん

 

3:名無しさん

お疲れ様です

 

4:名無しさん

ってそんな事を言っている場合ではない!

速報!何と2次元の世界が本当に実在していた!少なくともソードアート・オンラインとNARUTOとドラゴンボールは確定!

 

5:名無しさん

いやマジで当たっていたとは思わないんだ()

 

6:名無しさん

分かってはいたけど……光輝君ぶっ飛びすぎてる

 

7:名無しさん

ぶっ飛んでるなんてレベルじゃないもうこの世界で1人だけ次元が頭おかしい。何だよ、キリト達とアインクラッドをクリアして悟空達やナルト達とも一緒に戦ったって……

 

8:名無しさん

でもまぁそう言われたら笠木戦が納得するんだよなぁ

 

9:名無しさん

確かに

あの戦いで光輝君全ての要素を出てたし

武装完全支配術、影分身、そしてそして超サイヤ人

 

10:名無しさん

皆落ち着けーっ!

また話題が行き来してややこしくなるじゃねえか!

ただでさえややこしいのに!

 

11:名無しさん

すまぬ

興奮していたようだ。だが仕方なく無いか?

 

12:名無しさん

それな

落ち着けと言う方が無理だろ!

 

13:名無しさん

取り敢えずまた最初から話そうぜ。話が整理出来るだろ?

 

14:名無しさん

そうだナ

先ず昨日予想通り光輝君の家にマスコミが大量発生

光輝君もやっぱり家にいてマスコミを無視して駐車場に手をつけたと思ったら今度は額に手を当てて消えた

 

15:名無しさん

うん。言っている事は事実なんだけど色々おかしいネ

先ず…どうやって消えた?

 

16:名無しさん

悟空が使っていた瞬間移動だろ

良いなー俺も出来るようになりたい

だけれども驚愕はそれで終わりではなく何と直ぐに光輝君が気も何も無いはずの駐車場に車と共に出現した

 

17:名無しの女さん

ごめんなさい

ドラゴンボールは知らないんですけど瞬間移動ってその「気」?がある場所じゃないと出来ないんですか?

 

18:名無しさん

原作と同じなら基本的にはその筈。気があるかないかなんて関係なく瞬間移動するキャラもいたけどやり方が悟空と同じだったからヤードラットの瞬間移動やろあれは

 

19:名無しの女さん

じゃあ何でその気がなかったのに瞬間移動出来たんですか?

 

20:名無しさん

あれは多分飛雷神の術やろ!

マーキングを施した場所に人や物を瞬間移動させるやつ

光輝君が駐車場にしていたのは飛雷神のマーキングをつけてたんやろ

 

21:名無しさん

黄色い閃光どころじゃない件

 

22:名無しさん

俺も飛雷神か瞬間移動を光輝君から学びたい(切実にそう思う)

 

23:名無しさん

通学通勤が楽になる

 

24:名無しさん

尚、2つとも会得難易度が半端ない模様

 

25:名無しさん

それを言うなー〜!

 

26:名無しさん

そして車と出現した後光輝君はマスコミに近づいて帰ってくれないんですか?と聞いてきた

 

27:名無しさん

マスコミは正に欲の塊でインタビューインタビュー!って言って引かなかった

その度胸を笠木にぶつけろよ

 

28:名無しさん

だけど意外だったのは光輝君

マスコミも仕事だからと一定の理解を示しつつ自分も似たような人に追いかけられた事があるという

 

29:名無しさん

すんごい懐かしそうな顔をしてたな

 

30:名無しさん

5年前は寧ろ少し暗い少年って印象があったのに今は普通に明るかったな

 

31:名無しさん

そして反論としてそのマスコミと似たような人は確かに追いかけて来たけどきちんと相手の気持ちも汲める人だった。人の久しぶりの帰省を邪魔しに来たあんたらと違ってなと言う正論すぎる事を言って忍術発動!

 

32:名無しさん

土遁・土流壁!

 

33:名無しさん

いや生で見ててあれはマジでびっくりした

いきなりマジの壁を作ったんやで?もう土木工事の人いらないやん

 

34:名無しさん

ま、まだ土木工事の人の需要はあるよ

そもそも光輝君がそういう仕事に就職しない限りそうはならんやろ

 

35:名無しさん

まぁインタビューで光輝君曰くあの壁の完成度はNARUTOのアカデミー生にも及ばないしこれからも完成度は上げないだろうって言ってたけどな

 

36:名無しさん

何で上げないん?仕事中で見れなかったんだ教えてくれ(土下座)

 

37:名無しさん

戦う敵達が壁で止まる程弱くないからって言ってた

 

38:名無しさん

というより何でインタビューを受けることにしたん?あからさまに面倒くさがってたやん

 

39:名無しさん

自分だけならばいいが櫂さん達に迷惑かけるからだろ

今回のインタビューと引き換えに櫂家や自分の周りをマスコミ全般がうろつかせないことを条件に引き受けたらしい

うろついたら光輝君の知り合いの警察が飛んでくるみたい

 

40:名無しさん

普通に良い子な件

 

41:名無しさん

そうやな

昨日も家に入る前に暑いから帰った方が良いと勧めてたしな

 

42:名無しさん

そしてインタビューがスタート

最初の質問が確か……なんやっけ?

 

43:名無しさん

いや忘れるんかい!

 

44:名無しさん

今までどこにいたんですか?じゃなかった?

 

45:名無しさん

そうそう

早速ここで俺は言ってることが理解出来なかった

 

46:名無しさん

別の世界まで行ってました……なんて誰が理解できるんだよ

 

47:名無しさん

あの雀ケ森さんも???ってなってたしな

 

48:名無しさん

皆が驚愕してる最中光輝君は可愛くあくびしてた

 

49:名無しさん

昨日から光輝君が男なのに可愛いキャラになってるの草

 

50:名無しの女さん

でもやっぱりギャップがやばいです

 

51:名無しさん

分かる

 

52:名無しさん

困惑してた雀ケ森さんが思わずどういう事?って聞いたけど光輝君が普通に「説明してもいいですけど非現実的で意味わからん事をだらだらと何十分も聞きたいですか?」という時間に優しい答を言って後回しにしてたな

正直聞きたい気持ちもあったけどインタビュー時間は有限だからよかったと思う

 

53:名無しさん

で、次が確か「あの変身はなんなのですか?」で光輝君は首をこてんとして「超サイヤ人ですけど?」とあっさり言った

雀ケ森さんはドラゴンボールを知っていたのか「でもサイヤ人じゃないですよね!?」と言えば光輝君はまたあっさりと「3年前サイヤ人になりました。そうしないと俺が死んでいたって俺の師匠兼上司が言ってたましたし俺も死ぬよりかはましかとなって受け入れました」って言ってたな

 

54:名無しさん

もう意味わからん

 

55:名無しさん

安心しろ皆分からん

 

56:名無しさん

要は光輝君が地球人の体じゃ生きられなかったからサイヤ人になったことやろ?多分方法はドラゴンボールの神龍あたりで。というよりそうとしか考えられない

 

57:名無しさん

……光輝君はどんな怒りで超サイヤ人になったんだろう?

 

58:名無しの女さん

アニメでは超サイヤ人は怒りで慣れるんですか?

 

59:名無しさん

ある程度の戦闘力と穏やかな心、そして絶対的な怒りでなれる

この怒りっていうのは色々あるんだけど原作じゃ親友を殺された事とか自分への怒りでなってたな

覚醒の仕方は人による。最も俺達は地球人だから意味ないんですけどね(白目)

 

60:名無しさん

もうこの時点で情報量が多すぎて俺の頭がオーバーヒートしてた

いや、はっきり言って悟空たちが本当に存在してるって知れて嬉しいんだけどこれとそれは別で

 

61:名無しさん

光輝君がサイヤ人って言っても普通に地球人に見える

 

62:名無しさん

容姿は全然変わってないもんな

ただサイヤ人の特徴の髪が不気味に変化しないのはガチらしい

光輝君曰く最後に美容院に行ったのは5年前

今の髪型はアインクラッドで出会った姉と慕う人がセットしてくれたんだと

 

63:名無しの女さん

なんかそれ良いな

私もずっと髪をそのままにしたい時あるし……散髪代とかセット代かからないし

 

64:名無しさん

サイヤ人の特徴はそんな事ではなく戦闘民族と呼ばれるだけの種族という事

そりゃあ笠木が勝てないわ

 

65:名無しさん

というか光輝君、笠木戦本気じゃなかったよな?

 

66:名無しさん

全然本気では無かったな(笑)

 

67:名無しさん

永遠とサイヤ人の話になりそうだから次行こう

 

68:名無しさん

そうしよう

 

69:名無しさん

次が最初の姿は超サイヤ人とは違うんですか?

 

70:名無しさん

答えはYES

笠木に言っていた通りあの剣に眠っている光輝君の家族の思い出と途切れない絆を力に変えた強化形態

昨日の内に光輝君の仲間が名前を考えてくれたらしく「リコレクションブレイブ(記憶の勇者)ってなったんだと

 

71:名無しさん

因みにその仲間とは?

 

72:名無しさん

複雑そうな顔をしながら答えてくれたゾ

なんとびっくりキリト達SAO組なんだそうだ

 

73:名無しさん

まあ……光輝君からしたら一緒に戦ってくれた人達がこっちではアニメやら原作で知れ渡っているのは複雑だろ

 

74:名無しさん

はっ!もしかして俺のユウキもいる!?

 

75:名無しさん

光輝君が会ってるかは別としてもしその仲間にユウキもいたら君キレられても知らないぞ

 

76:名無しさん

でも実際問題そんな眼で見るのをやめろって言われても無理だよなあ

今もし俺達があったとしても「ヒロイン」として見ちゃう

 

77:名無しさん

確かに

そこは光輝君が妥協してくれないと俺達SAO見れないじゃないか

 

78:名無しさん

そうだよな、二次元だと思っていたのにいきなり三次元って言われても困る

 

79:名無しさん

はっ!おい待て!という事は光輝君はSAOの美女達と本当に会ったというのか!何それ羨まし!

 

80:名無しさん

デスゲームでも良いの?光輝君は生き抜いたらしいけど

 

81:名無しさん

あーそれがあった…

 

82:名無しさん

一気にスピードダウンして草

 

83:名無しさん

あかん、整理しようと思って最初からしたのに気になることが逆に増えまくってしまった

 

84:名無しさん

ソレナ

 

85:名無しさん

取りあえずインタビューで分かったぶっ飛んだ部分だけ書くぜ

1 光輝君サイヤ人化

2 アメリカとかに行かせたのは影分身

3 リコレクションブレイブはやっぱり武装完全支配術の一種

4 瞬間移動と飛雷神習得済み

5 ……あかん多すぎて書ききれねえ

 

86:名無しさん

どんまい笑

もうぶっ飛んだ事は後々語り合う事にして確か趣味とか聞いてたやろ?

 

87:名無しさん

聞いてた聞いてた。確か「修行と勉強と研究とゲームと昼寝と料理と剣を磨く事と暇だっら作詞作曲してる」

 

88:名無しさん

……ん?

 

89:名無しさん

多すぎる

 

90:名無しさん

修行←分かる

勉強←まぁ分かる

研究←何故それが趣味

ゲーム←平和で良い

昼寝←良いよね

料理←女子力……

剣を磨く事←物騒

作詞作曲←何故そうなった

 

91:名無しさん

ツッコミが的確で草

 

92:名無しさん

本人は当たり前みたいな顔をしてたけどな

 

93:名無しの女さん

光輝君が作った歌聞いてみたいなぁ

 

94:名無しさん

英雄でもゲームするって知られてゲームの偏見が無くなれば良いけどな

 

95:名無しさん

……なぁ、思ったんだけど光輝君ってどんなゲームしてるんだ?

 

96:名無しさん

そりゃあ3DSとかWiiUとかじゃね?

 

97:名無しさん

!!!( ゚д゚)ハッ!!!!

光輝君確かアインクラッドから脱出した後もキリト達と交流があるんだろ?だったらしているゲームって

 

98:名無しさん

フルダイブ?VRMMO!?しかもALOか!?

 

99:名無しの女さん

え、何ですかそれ?

 

100:名無しさん

従来のゲームは大概がコマンドやリモコンを振ったりする事で遊ぶんだけどフルダイブはそんなのじゃなくて根本的に違う。

分かりやすく言えば自分がゲームの世界に入って自分の体を動かして遊ぶ事が出来るのがフルダイブなんだよ

あれ知っているなら分かりやすい。ほら、名探偵コナンの「ベイカー街の亡霊」でコナン達がVR世界に入ってたやろ?あれとほぼ同じ

 

101:名無しの女さん

もしそうやったとしたらめちゃめちゃやりたい!

 

102:名無しさん

それについて光輝君何も言わなかったの?

 

103:名無しさん

いや普通に次の質問に行っちゃったからなぁ…もしそうなら俺もやりてぇ

 

104:名無しさん

まーた話題がループし始めるなー

 

105:名無しさん

しょうがない

それだけ情報量が多すぎるんだもの

 

106:名無しさん

言っては悪いけど暫く話題に困らない

 

107:名無しさん

でももうインタビュー出来ないんやろ?そりゃあ2時間位ずっとインタビューしてたけど気になる事は消化出来た所か何倍にもなったんですが()

 

108:名無しさん

マジでそれ笑

 

109:名無しさん

……思ったんですけど光輝君って銃刀法違反では?

 

110:名無しさん

忘れてた

 

111:名無しさん

だ、大丈夫だよ。だって多分剣が無くても笠木には圧勝出来たやろうけど対外的には剣をの記憶を使った武装完全支配術が無ければ勝ってなかったもの

それに普段仕舞っているらしいし

 

112:名無しさん

寧ろ国は国民栄誉賞送るみたいな動きになってるけど?

 

113:名無しさん

うーん……まぁ良いんじゃない?と言うか光輝君国民栄誉賞とか興味無さげな気もする。だって光輝君が笠木と戦ったのは別に世界の為でもなく「大切な人達の為」だし

 

114:名無しさん

光輝君って悟空達に修行つけてもらったんかな?

 

115:名無しさん

あ〜それは聞いてなかったな…でも十中八九そうやろ

だってドラゴンボールの世界に行ったんやで?逆に何故しないと言う選択肢がある?

 

116:名無しさん

>>115

じゃあ悟空達サイヤ人形式の修行を受けたいか?

 

117:115です

やだ!

 

118:名無しさん

_(┐「ε:)_ズコー

 

119:名無しさん

安定で安心したわ笑

 

120:名無しさん

光輝君って気のコントロール完璧なのだろうか?もし出来てなくて暴走なんてしたら:(´◦ω◦`):ガクブル

 

121:名無しさん

それならとっくにテレビ局崩壊してるわ

 

122:名無しさん

それもそうか、と言うかコントロール出来なかったらもう建物が色々壊れてる

 

123:名無しさん

本当に話題に困らないなぁ光輝君は

 

124:名無しさん

かめはめ波とかも使えるんだろうか?気弾とかは普通に使ってたやろ?

 

125:名無しさん

出来るんじゃない?と言うかここまで出来たら出来て欲しい

 

126:名無しさん

そう言えば「ウルトラマンメビウス」とか「ウルトラマンヒカリ」がトレンド入りしてるんだけどこの2つって光輝君関係?

 

127:名無しさん

そうやで。質問で「光輝君は何故武道や剣を始めたのですか?」って聞かれて光輝君が4歳の時にやっていたメビウスとヒカリを見て祖父に武道やら剣を学び始めたんだって

 

128:名無しさん

つまりメビウスとヒカリいなかったら世界終わってた説?

 

129:名無しさん

やっぱりメビウスとヒカリは至高

ゼロやらギンガも良いんやけどメビウスが1番好きや〜

というより今回の事でメビウス達の株が上がっているのが嬉しい

 

130:名無しさん

リコレクションブレイブって名前付けるくらいだから今もリスペクトしてるよなぁ

光輝君の家族版バーニングブレイブやな。

 

131:名無し女さん

あの…光輝君って彼女とかいるんですかね?

 

132:名無しさん

いない……いや分からんわ。だってSAOのヒロイン達と交流があるんやろ?アニメとは多少違うかもしれないけど生で見たら間違いなく美人しかいないやろ?逆に付き合わないって言う選択肢あるのか?

 

133:名無しさん

俺達のヒロインが誰か取られているかもしれないという事か?

 

134:名無しさん

シノンはやめてくれ。俺の嫁だ

 

135:名無しさん

いや俺の嫁だ

 

136:名無しさん

あ、直葉は俺のだから

 

137:名無しさん

もしこの掲示板を光輝君が見てたらお前らどうなるかイメージしてみたらどうだ?

 

138:名無しさん

あ、\オワタ/

 

139:名無しさん

……まぁ例えそうだとしてもそもそも俺達はSAOの世界に行けないから要らん心配なんですけどね

 

140:名無しさん

それを言うな〜ワンチャン俺達も行けるようになるんじゃね?って期待した俺が馬鹿みたいじゃねえか!

 

141:名無しさん

逆に行かなくて正解な気もする。だってお前ら直接会ったら物語の「登場人物」で「ヒロイン」として見るだろ。向こうからしたら絶対に気持ち悪いからな?

 

142:名無しの女さん

確かにもし自分が見知らぬ男達からそんな目で見られた時真っ先に気持ち悪いって思いますね

 

143:名無しさん

oh

 

144:名無しさん

でも会ってみたいと言う好奇心が…

 

145:名無しさん

☆あ☆き☆ら☆め☆ろ☆

 

146:名無しさん

( ゚∀゚) ∀゚) ∀゚) ∀゚) ∀゚):∵グハッ!!

 

147:名無しさん

ならせめて会って罵られたい

 

148:名無しの女さん

変態ですね

 

149:名無しの女さん

変態!

 

150:名無しさん

集中砲火されてて草

 

151:名無しさん

女さんから見て光輝君はどうなの?優良物件なの?

 

152:名無しの女さん

将来性はばっちしですね。

英雄ですし少なくとも何か格闘大会出たらあっという間に優勝出来るでしょうし世界を2回も救ってるって言うステータスがもうやばいです。

 

153:名無しの女さん

顔も圧倒的イケメン!って訳じゃないけど普通にイケメンには入ってるし厳しげな表情と困ってる顔のギャップが可愛すぎますし( ´͈ ᵕ `͈ )♡

 

154:名無しの女さん

勉学の方は分からないですけど影分身でチート出来るし見た目がもう何か頭が良さそうに見えます。学歴は小学校卒業すらないからそこだけ問題かな

 

155:名無しの女さん

少なくとも彼氏に出来た時は間違いなく自慢出来ますね

 

156:名無しさん

高評価だな……

 

157:名無しさん

俺光輝君と同い年だけど圧倒的敗北感

 

158:名無しさん

平和にぬくぬく暮らしてた俺らと笠木以上の強敵達と戦い続けて笠木を完膚なきまでに叩きのめして世界を救った光輝君とじゃ勝負にならないような気も

 

159:暴力行為反対

でも救ったって言っても結局暴力行為やん

あー言う奴はDVとか平気でするからやめとけwww今だって面倒くさがってるように見えるけど本当は優越感に浸ってるぜ

 

160:名無しさん

じゃあ笠木はどうやって止めるべきだったのか教えてくれません?

 

161:暴力行為反対

話し合いに決まってるやろ。あいつら話し合う事もせずに殴り合い始めるしお前らは何であんな方法で世界救ったなんて言ってるのww

 

162:名無しさん

話し合いが通じる相手じゃないんですがあれは

人を自分以外全員低脳と言って話も聞かない、強大な力を持つ奴とどうやって話し合いをしろと?

 

163:名無しさん

名前的に武力行使が嫌いな人なのかもしれないけどぶっちゃけ今回は光輝君の方が正しい。それに光輝君は笠木を殺す訳でもなく拘束を選んだんだからまだマシだろう

 

164:名無しさん

その拘束だけに光輝君が折角留めたのにその笠木をあっさりと殺していく仮面の男…と言うかまだあいついるやん

 

165:暴力行為反対

俺的にはもうあの餓鬼は笠木と同じ犯罪者

何で逮捕しない?あんな力どう考えても危険だろ!やろうと思えば直ぐに世界征服なんて出来るぜ?お前らはなんで悠長にそんな事を話せるんだ?

 

166:名無しさん

何でって言われてもなぁ。逆に何でそんなに毛嫌いするのか分からない。確かに超サイヤ人とか武装完全支配術とか俺達からすれば危険な力かもしれないけどそれって運があったとしても光輝君が修行をして得た力。

そしてそれは世界征服なんてものの為ではなく光輝君の大事な人達を守る為に振るう力。なら別にその大事な人達に手さえ出さなければ世界にとっては光輝君は有益な人材だから排他する理由が無い。戦争の抑止圧にもなるし。

少なくとも光輝君にその気があるのなら工事現場では1箇所に1人は欲しいって人いるだろ

 

167:名無しさん

光輝君にその他人達への敵対心なんて昨日と今日見る限り無いんだから上手く付き合う方がいいんだよ。

ついでに言うともし光輝君を逮捕するなりした場合闇堕ちする可能性微レ存

 

168:名無しさん

そんなんなったら今度こそ世界終わるわ

 

169:名無しさん

冗談じゃねえ笑

 

170:名無しさん

寧ろ光輝君、渋谷復興を真っ先に手伝ってたからな

 

171:名無しの女さん

自分が魅力で勝てないからってダッサ

 

172:名無しさん

前から思ってたけど何で光輝君にアンチがいるんだ?君達光輝君に自覚は無いかもしれないけど救われてる側なのにな

 

173:名無しさん

それ。そりゃあ話し合いが出来るならそれに越したことはないけどそれが無理+俺達には手が付けられないパワーの持ち主が相手やで?

力VS力になるのは必然じゃね?と言うかもうどこの国も武力で笠木withボスモンスター達を消そうとしたやん…返り討ちにされてたけど

 

174:名無しさん

それを否定するのなら今すぐ国を訴えていけ。そしてそんな漠然とした意見じゃなくて具体性を持った意見をするべきだ

 

175:名無しさん

確かに光輝君が支配やら人類滅ぼそうとしたらどの道俺ら勝てないからな、逆にあそこまで笠木と差をつけていたら清々しいわ

 

176:名無しさん

だったらやっぱり上手く付き合う方が色んな意味で良いからな

今の所邪険にする理由もない。と言うか光輝君がそんな危ない奴なら笠木を拘束じゃなくて殺す事を選ぶだろ

 

177:名無しさん

論破されてて草

 

178:名無しさん

安心はまだ完全には出来ないだろうけど俺達の安心危険なんて関係ないし神経質になるだけ無駄。疲れるから止めとけ

 

179:名無しさん

さて、無理矢理話題を変えるわ。さっき女の人から見て光輝君は高評価を得ていましたけど……仮に光輝君と付き合う事までは良いけど…俺達から見たら宇宙人だけどいいの?

 

180:名無しさん

 

181:名無しさん

忘れてた

つまり光輝君との子供は地球人とのハーフという事に…

 

182:名無しの女さん

あ〜…それは

 

183:名無しの女さん

うーん

 

184:名無しの女さん

見た目は地球人だけど半分は宇宙人…

 

185:名無しさん

一気に落ち込んでて草

 

186:名無しさん

見た目は大丈夫かもしれないけど普通の子供とは勝手が違いそう

 

187:名無しさん

だって赤ん坊の頃から最悪手が付けられないパワーを持ってる可能性も微レ存

 

188:名無しの女さん

悟空の奥さんとかどうしてたんですか?

 

189:名無しさん

チチは視聴者から見れば大分ムカついたけど母親目線になれば納得出来た。物心がつく時には息子も学者の為の勉強ばっかりしててパワーもそんなに無かったし物分りも良かったからそんな心配は無かったな

 

190:名無しさん

でも子供はいじめにあいそう(小並感)

 

191:名無しさん

いやする奴は平気でする。今でさえ同じ地球人でも人種差別あるんやで?

 

192:名無しさん

そう考えると光輝君の彼女になるって色々ハイリスクやな。

 

193:名無しさん

そもそも会う為の人脈なんて無いだろ

 

194:名無しの女さん

そう考えると友達としては良いかもしれませんけど付き合うってなるのはちょっと……

 

195:名無しさん

夜の方も光輝君の体力半端ないから大変そう

 

196:名無しの女さん

あ…うん。

 

197:名無しさん

と言うか13歳の光輝君はそんな事知ってるのか?

 

198:名無しさん

俺は13歳の時には知ってたけど?

 

199:名無しさん

いやいや普通の人と一緒にしたらあかんやろ。だって光輝君の話聞く限り学校には行ってないわ5年間修行をずっとしてたって言うし…そして多分その修行相手って悟空達やろ?教えてくれると思うか?

 

200:名無しさん

……無いな

 

201:名無しさん

で、でもキリト達が教えてる可能性は?

 

202:名無しさん

無いんじゃない?だって5年前のあの後からアインクラッドにいたって言ってたやろ?それからの付き合いなら逆に言い出しにくい気もする。

 

203:名無しさん

( ゚д゚)ハッ!

知っているかどうかは置いといて光輝君って影分身出来るよな?

 

204:名無しさん

…あっ(察し)

 

205:名無しさん

光輝君の彼女になる人大変やナ

 

206:名無しさん

うーん…知らないと仮定して純粋なまま成長して欲しい気もする(謎の親目線)

 

207:名無しさん

これからの光輝君の動向とか言ってたの?俺見てなかったから教えてくれ

 

208:名無しさん

雀ヶ森さんがこれからどうするんですか?みたいな事を聞いてて話してたよ

 

209:名無しさん

今追っている敵達との決着をつけるってだけ言ってた。

 

210:名無しさん

光輝君、サイヤ人になる時に上司兼師匠にサイヤ人にならないと死ぬって言われてサイヤ人になったらしいけれど…光輝君働いてるのか?

 

211:名無しさん

上司って言ってたもんな

 

212:名無しさん

インタビューして逆に光輝君の事が分からなくなった定期

 

 

 

以下光輝の話題が永遠とループする羽目になったのだった




お疲れ様でした。
光輝、色々バラしたのは不味くない?と思う人いるかもしれませんけど知っていた所で行けないしなれやしないから意味が無いと言う。

世間の女さんと愛美の違い
女さん→ステータス判定。偶に光輝のギャップでやられた中途半端な人。学歴だけが唯一の欠点だと思っている。しょうが無いね。小学校卒業すらしてないもん。尚、後々それが欠点だと思っていた事を後悔する模様。後は光輝がサイヤ人という事に引いた。もし結婚して出来た子供が宇宙人とのハーフと言うのは常識に囚われている女さん達にはハードルが高すぎた。

愛美→内面判定。初めて分け隔てなく会話をしてくれた時から恋焦がれ続けた女の子。絶賛光輝の頭の良さに落ち込み中。でも総合的に言うなら光輝は理系分野がぶっ飛んでいるだけで文系も入れたら僅差で愛美の方が上。尚、それはアメリカの学校に行ってる時であって日本に戻ってきた時はまだ分からない。
女さん達との決定的な違いは光輝の罪を知っているかいないか、そして知った上で受け入れて光輝の隣に居続ける決意をしたかどうか。愛美にとっては光輝がサイヤ人かどうかなんてどうでもいい。光輝という”人間”を見て好きになったから。

どちらが圧勝なんて分かるね(*´・д・)*´。_。)

まだ書こうと思えば書けたけど…オチがループし始めるから適当に切った。
因みに作詞作曲はレインがやっているのを見て光輝も真似し始めた。
本当は光輝が何で二刀流何ですか?とか影分身とかどうやって?みたいな質問も沢山されてますけど全部やったら五万字…最悪十万字までいっちゃうので止めた。

世間はインタビューのせいで光輝の事が余計に分からなくなった。以上!

(*´∇`)ノ ではでは~


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初デート

おはようございます。
光輝と愛美のお話です。年内最後です
⊂('ω'⊂ )))Σ≡GO!!


 光輝の大々的な生インタビューから翌日、私と光輝はまたALOにやってきた。私は一昨日選択したウンディーネでキリトさんとアスナさんのログハウスに来た。昨日来なかったのは私がおじいちゃんとおばあちゃんの家に行っていたから。

 現実世界とは違い感覚的に体が軽くなった気もする。近くにあった小さな鏡を見るとそこには現実と同じ蒼色のロングヘアで現実世界では出来ない服装の私がいる。だけど不思議と現実世界の私とは別人の様にも見える。

 現実世界で私は髪の毛と眼の色のせいで日本の小学校でもアメリカでも避けられていた。ヒソヒソ話しもされたしあの時の村田にいじめられていた原因もこの容姿だった。正直に言ってしまえば今でも街に繰り出せばあまり気分の良い眼では見られない。だから私は帽子を被ってるし。

 でも……この容姿が嫌な訳では無いんだ。だってこの容姿が無かったら私はきっと光輝と仲が良くなる事なんて無かったから。

 

「全然……変わってなかったな」

 

 私は自分の手を触れながらそう呟く。その手は光輝と初めて話した時、私が走ろうとして転けた時に光輝が咄嗟に掴んでそのまま保健室まで行った時のこと。

 一昨日も昨日も……仮想世界と現実世界で光輝の手を掴んだ時、とても嬉しくてドキドキして……初めて光輝と手を繋いだ時と何も変わっていなかった。そしてその時感じた感情も……。

 私はきっとあの時に恋をしたんだ。クラスの皆が助けてくれなかった中その手を伸ばして助けてくれた光輝が……私の手をずっと握っていて「1人じゃないよ」って心で思ってくれたから。

 今思い出したらたったそれだけで? って言われるかもしれない。単純って思われるかもしれない。だけど……恋は単純なものなんだと思う。

 だって……あの時も今も暗闇にいた私を照らしてくれた光輝の事を考えただけでこんなに胸が高鳴って……5年前のあの日の喪失感は思い出すだけでも苦しくて。成長して帰ってきた光輝を見た時、嬉しさと同時にその成長した光輝を見るだけでもう光輝の事しか考えられなくて……

 

「心の声が漏れ出てるわよ」

 

「へ!?」

 

 愛美が赤面しながら振り返ったら主にエメラルドグリーンの皮装備に頭部には青い帽子を被って銀色のロングヘアを持っている女性がいた。その顔は麗華やレインに似ている。愛美は咄嗟に知り合い図鑑を脳内で開き目的のページを見つけた。

 

「えっと……セブンさん?」

 

 確か光輝に英語とか教えて……違う世界とは言えマサチューセッツ工科大学を12歳で首席卒業した天才少女。歳は私よりも1つ上。だから今は高校1年生の筈なのにアバター越しでもその育ちの良さが滲み出ている。そしてお姉ちゃんの実の妹。

 セブンさんは被りを振って

 

「もう、さん付けは堅いからセブンで良いわよ。1つしか違わないんだし。あ、それか愛美ちゃんも七姉ちゃんって言ってくれて良いのよ?」

 

 そう楽しそうに言ってくる。レインが陰ならセブン……は陽だろう。性格的には対極な気もするけど姉妹仲は良好、そこに光輝も加わる事がよくある。

 その仲の良さは愛美が光輝の彼女になっていると自分に言い聞かせても嫉妬する位だ。パーティーの時に途中参加してきたセブンと光輝のやり取りしている姿が見ようによっては恋人同士のそれに見えたし愛美もその時は嫉妬した。

 

「あ……えっと……」

 

 流石に昨日の今日会ったばかりの人を姉呼ばわり……いやレインもそう呼んでいるから今更なのかもしれないが麗華と瓜二つのレインと違いセブンは似ていると言うだけで個性が出ているから姉と呼ぶには何か少し変なのだ。それがセブンにも分かってるのかしつこくは言わずに言った

 

「まっ、そう無理に言う必要は無いわ」

 

「は……はぁ」

 

「でも光輝君の事を無意識に口走っちゃうなんて……ラブねぇ」

 

 そう面白そうに言ったセブンへ愛美は赤面する。確かに前までなら無意識にでも光輝の事は言わなかったのに今は平然と言うようになってしまっている。それがニヤニヤしながら言ってきたセブンを見てたら余計に恥ずかしくなったのだ。そして聞きたい事だけ聞いた

 

「その……どこから言ってました?」

 

「あの時も今も暗闇の〜って所から」

 

 それを聞き愛美は顔を羞恥で隠す。まさか口に出ていたとは……自分も相当重症だなと思ってしまった。そしてそれを誤魔化す為に愛美は周りをキョロキョロして光輝を探すがいない。因みに2人が今ダイブしている場所は光輝のベッドからである。セブンは愛美が光輝を探しているのに気が付き

 

「光輝君ならもうちょっとで来るわよ」

 

 その言葉に愛美は疑問符を浮かべる。何故なら光輝が最後にログアウトした場所は愛美と同じこのログハウスなのだ。ならば普通に考えれば光輝だってここに出る筈じゃないの? と思ったのだ。現に一昨日ここでログアウトしたセブンはここに出てきた。

 そんな愛美の疑問の表情を見てセブンは

 

「あ、愛美ちゃん知らないのね」

 

 そうふふーん! という感じで言ったセブンにムッとしながらも知らないのは本当なので眼で先を促す

 

「光輝君が来たらその可愛さに絶対にやられちゃうわよ?」

 

「……え?」

 

 何故そんな事を言うのが愛美には全く分からない。光輝が可愛いのは小一から知っているがまだ悶絶何てした事はない。今も成長してふっと力が抜けた時は可愛いと思う時はあるがやはり悶絶はしない。

 そう思っていたらセブンはベランダの方を向いた。愛美もつられて見てみるとそこに1人のアバターが降り立った。

 髪は少しふわっとしていて黒色ではなく薄い金色だ。そしてその頭には2本のこれまた薄い金色の猫耳がピクピクしている。下半身に眼を移すと腰あたりに尻尾がぐるぐるになって巻かれている。

 

「あれ? 七姉ちゃん来てたの?」

 

 その第一声によって愛美は誰なのか分かり口を手で隠してその頬が赤くなっていく。そしてキラキラしている眼でベランダに降りるなり翅を仕舞った人を見る。

 セブンは疲れている目で言った

 

「課題をやりにね。全く……セブンちゃんはもう大学を卒業しているのになぁ!」

 

 セブンがそんな事を言っているが愛美の耳には届いていない。何故なら目の前の存在に心が絶賛奪われているからだ。光輝に初めて恋をした時と同じ感覚に陥る。心臓がドキドキし始めその鼓動の音が聞こえるのではないかと思った。そしてキラキラして頬を赤く染め口を手で隠しながら呟いた

 

「もしかして……光輝?」

 

 その言葉に光輝は愛美を見て

 

「そうだけど? 何か変かな?」

 

 猫妖精ケットシーは普通の種族だから変な特徴はないはずなんだが……そんな事を思っていたら愛美がキラキラして見ているのに気がついてこのアバターになった時に皆にされた反応を思い出したと同時に……

 

可愛いーーーーっ!!! 

 

 そう言われてステータスを超えてるんじゃないかと思うスピードでケットシー光輝に抱きついた。そして光輝の頭を無理矢理持って自分の胸部に押し付けた。

 光輝はアバターとは言え愛美の女性特有の柔らかさに顔が何故か赤くなる。そしてまたドキドキし始め光輝は離れようとするが愛美は離さず悶絶中。

 その光景をセブンはやっぱりね〜とか思いながら見ている。

 

「可愛い可愛い可愛い!!」

 

 そう連呼しながら愛美は光輝のピクピクしている耳を触る。光輝は普通の人間には無い部位だからかくすぐったい。

 

「く、くすぐったいから止めて……ひゃう!」

 

 くすぐった過ぎて光輝は変な声を出した。それを聞いた愛美はピタッと止まり光輝を見た後また硬く抱擁し

 

「あー! もう可愛すぎるよ──っ!!」

 

 ここから愛美の暴走が止まるまで5分程要した。5分経っても愛美の顔はもう絶賛悶絶中という事がよく分かる。

 愛美の顔を胸部に押し付けられる事から光輝は漸く解放された。息が出来ず苦しかったがそれ以上に愛美の胸の膨らみを間近で感じてしまいそれが余計に羞恥心に歯車をかける。本人の愛美は光輝の猫耳ケットシー姿に悶絶していて胸部に押し付けていた事は忘れているが。

 

「いやー愛美ちゃんの暴走具合を見てるのが楽しかったわね〜」

 

 そうセブンがのほほーんと言っているのを聞きながら愛美は未だに光輝を弄っている。光輝はされるがままになってくすぐったさを耐えている。

 

「も……え、愛美行くんでしょ?」

 

「もうちょっと触らせて〜!」

 

「う〜」

 

 2人は今日、ALOの中で初デートする為にここに来たのだが思わぬ時間ロスだ。光輝は昨日テレビ局から開放されたら櫂達と外食に行こうとした。確かに店の中には入れたのだが光輝は帽子を被っていたのにも関わらず光輝という事がバレて大騒ぎになった。今考えれば変化しとけばよかったと櫂達に思わず言ったが咲良がお兄ちゃんじゃないとダメと言われて嬉しかった。

 だから今日本当は外で愛美と初デートだった筈なのだが昨日のそれを受けALOでする事になったのだ。光輝は今最も世間に注目されている人間、愛美は見た目が目立ち過ぎる。

 光輝は自分だけならば良いが愛美にまで面倒な事が起こるのは良しとしなかった。

 10分後、愛美は漸く光輝弄りを止めて満足そうな顔をして離れた。

 

「はぁ……1年分の寿命を縮めた気がする」

 

「何でだよ」

 

 そう光輝がツッコム。そして光輝は立ち上がったのを見て愛美も立ち上がる。

 

「じゃあ七姉ちゃんまたね」

 

「ええ。ちゃんと愛美ちゃんをエスコートするのよ〜?」

 

「わ、分かってるよ」

 

 2人はその後ログハウスを出て新生アインクラッド第47層のフロアまで行く為に転移門の場所へと向かう。その間に愛美は光輝に聞いた。

 

「でも光輝、何でケットシー?」

 

 そう、光輝のアカウントはアルフだった筈なのだ。それなのに今隣にいるのはケットシーの光輝である。混んがるのは普通な気もする。光輝は歩きながら説明する。

 

「うーんと……まぁ簡単に言うなら修行」

 

「……はい?」

 

 そう素っ頓狂な声を出す。何故ケットシーになる事が修行何だ? と思ったのだ。だがきちんと光輝なりの理由がある。それは新しい扉を開く為の光輝なりの修行の仕方なのだ

 

「愛美、超サイヤ人4って知ってる?」

 

 その言葉に愛美は頷いた。

 ドラゴンボールGTと呼ばれる作品で悟空が強大な敵と戦う為に変身したのがその超サイヤ人4なのだ。変身シーンは感動ものでその姿も正にサイヤ人の究極形態と言われても通用する。

 服ははだけ服が無くなる代わりに赤い体毛が上半身に出てその赤い体毛と筋肉が良く目立つ形態。眼も金色に瞳孔が黒という従来の超サイヤ人とは違うのが特徴だ。

 最近だとサイヤ人の神と言う超サイヤ人ゴッド、その超サイヤ人ゴッドを通常形態と捉え超サイヤ人ゴッドの状態から超サイヤ人に変身する超サイヤ人ゴッド超サイヤ人という変身も存在する。難易度的にはゴッドの方が低い。条件さえ満たせれば光輝でも直ぐになれる。

 

「でも……超サイヤ人4とケットシーになんの関係が……」

 

 そこで愛美は光輝の今はふらふらと動いている尻尾を見て某推理漫画の様に「ピキーン!」となりもしかして……と思いながら

 

「もしかして尻尾が関係してるの?」

 

「正解。サイヤ人って皆生まれた時は尻尾を持っている人が全員なんらしいけど俺は地球人からサイヤ人になったからかそんな尻尾も無くて……体の後ろの方を見ても尻尾の穴も無いんだ」

 

 そう言えば現実の光輝は尻尾なんて無い。服を脱いでもらったら尻尾が出る為の穴があるのかもしれないが本人曰く無いらしい。日常生活や超サイヤ人3まではそんなに困らないが超サイヤ人4になりたいのならば尻尾はいる……筈。少なくとも愛美の知識ならばいる。

 

「じゃあ……尻尾を生やすために?」

 

 その言葉に光輝は首をこてんとしたが愛美は全部を知っている訳じゃないのかと分かり言った

 

「あ、尻尾が無いとなれない訳じゃないんだよ。現に時の巣にいる悟飯さんは尻尾なんて無くても超サイヤ人4になれるし」

 

「えぇっ!?」

 

 愛美の知識では超サイヤ人4になる為には先ずある程度の戦闘力と尻尾を生やす事が必須。そして満月かそれに準ずるものを見て大猿化。その際その大猿が黄金だったら半分は成功。そして本題はその大猿化になった後、理性を取り戻しその大猿のパワーを自在に使えるようになった時、初めてその超サイヤ人4に変身出来る筈なのだ。しかし光輝は曰く尻尾自体は要らないと言う。……と言うより愛美からすれば

 

「ご、悟飯も超サイヤ人4になれるのっ!?」

 

 今は2015年の夏だ。それまでに悟飯が超サイヤ人4になった事なんて公式では無い。だからこその驚愕なのだ。しかし悟飯と共に戦ってきた光輝からすれば

 

「勝手に人の限界を決めるなよ」

 

「あ……ご、ごめん」

 

 そう自分の失言に気が付き謝った。その本当に申し訳なさそうな表情を見て光輝は

 

「俺も……ちょっと怒ってごめん」

 

「今のは私が悪いよ」

 

 そう少し悪い雰囲気になりかけ光輝はその右手を愛美の手に持っていく。愛美もそれに気が付き少し照れながらその手を握る。そうするともう悪い雰囲気が無くなり赤の他人から見ればピンク色のオーラが見える。

 そしてそうなった時、愛美はもう一度聞いた

 

「じゃあ……尻尾がいらないのにどうして修行を?」

 

「1つは要らないと言ってもやっぱり尻尾の感覚はいるみたいなんだ。尻尾に力が集まってそれが体を満たすみたいな感覚らしいから。でも俺は尻尾を生やした事なんて無いし生えるのかも分からない」

 

「あ、それでケットシーに……」

 

「そう。俺も悩んでALOに来た時にシノンさんが尻尾ぶらぶらしてたのを見て思いついたんだ。こっちで尻尾の感覚に慣れたら超サイヤ人4になる為の修行になるんじゃないかって思ったんだ。実際悟空さんに良い方法って言われたし」

 

 それに愛美はなるほどって思った。そんな方法で超サイヤ人4になれるのかもしれないと思ったのだ。正にドラゴンボールとSAOの世界で戦いを繰り広げてきた光輝だからこそ思いつく発想なのだ。

 

「だからアミュスフィアとALOをもう一個買ってケットシーのアカウントも作ったんだ」

 

 光輝が唐突にそんな姿で現れた時は仲間内でめちゃくちゃ愛美が光輝にしたように遊ばれた。レインやセブンは特に弄った。主に猫耳を。尻尾の修行なのに猫耳の修行なんて要らないとか思いつつも光輝は弄られまくった。だけれども猫耳は慣れることも無くさっきも愛美に弄られた時変な声を出して愛美を悶えさせた。

 そんな事を思っていたら2人は転移門に到着し光輝は愛美に「転移、フローリア」って言ってと教え2人は

 

「「転移、フローリア!」」

 

 そう呟けば2人は青白い光に包まれ次の瞬間愛美が眼を開ければ

 

「わぁ──っ!」

 

 そう感嘆の声を出す。2人の目の前には色とりどりのお花があちこちに咲いている。愛美もアニメで同じ光景を見たがやはり生で見るのは違う。愛美は光輝の手を離し夢中で駆けだした。そしてその手で花に触れる。愛美は周りを見ると男女のプレイヤーが多くNPCすらも男女一組になっている。それはここがデートスポットだからである。

 光輝は愛美の後ろから近づき

 

「じゃ……じゃあ行く?」

 

 愛美はその言葉にとびきりの笑顔で振り返り返事をする

 

「うん!」

 

 その後2人は主街区を歩く。デートに向いてる階層だからか主街区も武器屋とかよりもアクセサリーショップや花屋、服屋の方が多い。今も二人は戦闘服ではなく私服用の服を見て愛美が光輝にあてがっている。赤いセーターっぽい服だ。

 そして今度は光輝が愛美に蒼いガウンをあてがってみる。

 

「こういう事もこっちで出来るのやっぱり良いね」

 

 そうその試着しているガウンを少しフリフリしながら愛美は言った。現実ならば先ずお店まで行って気に入った、或いは気になる服を試着しなければならない。そしてその時服も脱がないと駄目だし何より人によったらお店すらも遠くて億劫になる。

 その点フルダイブならば家にいて服を脱ぐ事も無くボタン一つで試着が出来る。2年前のALOでは装備をする際には一旦今している装備を外さないと駄目だったが今は装備から装備に変更できるようになっている。

 

「あっ、試着に特化したVRのソフト作るのもいいかもね」

 

「そうだね。おしゃれな人なら喜びそう」

 

 そう談笑しながら光輝は愛美のガウンを購入する。愛美は全力で遠慮したが欲しい気持ちも同じ位あり心の中で「私もその内お返しの買う」と言いながら受け取った。

 そして主街区を歩きながら愛美は思った事があり聞いた

 

「光輝、何で今日はケットシーなの?」

 

 別にアルフでも良いのではないかと思ったのだ。まさかデート中にも修業なの? と微妙な視線を光輝に向けるが光輝は違う違うと首を振った

 

「俺普段アルフのせいで目立ってて、愛美とゆっくりしたいから一般では余り使わないケットシーにしたんだ」

 

「そ……そうなんだ」

 

 光輝はケットシーは仲間内でしかならない。主街区に行ったことはあるが誰も光輝だとは分かっていなかったからこれでいいやとなったのである。

 2人はその後も色々見て今はお花に囲まれた原っぱで2人して寝ていた。その手は普通に握り合うのではなく互いの指を絡めて所謂恋人繋ぎをしている。

 

「今日は楽しかった! ありがとう光輝!」

 

「どういたしまして」

 

 そう2人は言い合って風に揺られている花を見ている。愛美はそんな花を見ている光輝を不安そうに見たあと話しかけた

 

「光輝……やっぱり行くの?」

 

「ああ。もっと一緒にいたいけど……こっちも早くアイツらへの対抗策を練らなきゃいけないからな」

 

「そう……何だ」

 

 そして不安そうな顔をしている愛美を見て光輝は手を離しそのサラサラな髪に触れ愛美を撫でる。

 小一のときならば恥ずかしくて光輝もしなかっただろうし愛美も振り払ったと思うが今は2人ともそんなことはしない。

 愛美は撫でられて顔が少し気持ちよさに歪んでいる。

 

「次はいつ帰るの?」

 

 そう撫でられながら聞いたら光輝はうーんと唸って

 

「まぁ……ALOなら兎も角そっちに直接戻るとかなら一ヶ月に一回位かな?」

 

「そっか……」

 

「ま、ちゃんと教えた連絡先で俺に繋がるからしてくれたら良いよ」

 

「うん」

 

 愛美はそう言ってふと光輝の尻尾を見る。尻尾はまるで意志を持っているようにフリフリしている。……と言うよりずっと見ていたら本当に光輝が動かしてるんじゃないかと思い聞いた

 

「うん。大分自由に動かせるようになったよ」

 

 光輝はそう言いながら尻尾を愛美の顔辺りにフリフリして愛美はくすぐったくなる。

 このフリフリ……ぶっちゃけ言うと結構難しい。それは尻尾はサイヤ人は兎も角地球人では無い。だからALOの中で人間にない部位を再現されたらそこを動かすようにするのは難しいのだ。

 随意飛行も人間に無い部位の再現だからか人によったら随意飛行を習得する為に何ヶ月もかかる人がいる。ユウキの様に現実にいる時よりもフルダイブをしている人やSAOサバイバーならその期間は短縮出来る。脳がフルダイブに長い年月によって適していっているからだ。

 その翅を動かすよりも尻尾を動かすのは難しい。

 光輝のその尻尾を愛美は少し掴んでみる。しかし猫耳の時と違い光輝は少しビクッとしただけで変な声を出すことは無い。曰く

 

「鍛えたから」

 

 だそうだ。尻尾を掴んで変な声の光輝で悶えてみたかったと愛美は内心残念に思った。

 

「光輝は満月見ても平気なの?」

 

「うん。血が沸騰するみたいな感覚にはなるけど大猿にはならないよ」

 

 だから大猿化を過ぎずに超サイヤ人4になれるのかも正直不安なんだが。でもトランクスさんが昔行ったタイムパトロール先の悟飯さんは何か人造人間17号が2人で融合した超17号とその超17号が更に人造人間18号を吸収した時代の悟飯さんは悟空さんや街が破壊されている様子を見て怒りの臨界点を超えて尻尾が無くても超サイヤ人4になったらしい。

 

「だから理論上は俺も尻尾が無くてもなれるはずなんだけど……」

 

 愛美はそう言われて光輝の超サイヤ人4を思い浮かべてみた。上半身は赤い体毛に眼の色は人によって違うから金色として髪の毛も若干伸びて眼を縁取るように赤くなり……そこまで思い浮かべたら口を抑えた

 

「え、愛美?」

 

「ごめん。かっこよすぎて鼻血が出る所だった」

 

「いやALOで出ないし」

 

 と言う光輝の冷静なツッコミ。真正面からかっこいいと言われたら光輝も照れる。愛美が言ったから余計に。愛美はまた違う意味で暴走しかけ止まった。そして咳払いした後に気になった事を聞いた

 

「光輝は超サイヤ人ゴッドってなれるの?」

 

 光輝は花に向けていた視線を隣りの愛美に戻しながら聞いた

 

「あ〜トランクスさんがなった奴?」

 

「……そこは悟空じゃないの?」

 

 と言う愛美の疑問である。愛美は超サイヤ人ゴッドになった人物は映画でなった悟空しか知らない。可能性がありそうなのはベジータの筈なのに何故かその息子のトランクスがゴッドになれるのだ? と思ったのだ。

 

「あ〜……確かに違う世界の悟空さんもなっていたな。誰相手にだっけ?」

 

 光輝がそう思い出そうとしているのを見て愛美は

 

「じゃ……じゃあ今夜見る?」

 

「え、何を?」

 

 と言う光輝の疑問の声に愛美は微笑んだ。そしてまたもや愛美は不思議そうな感じで聞いた

 

「じゃあゴッドのなり方は知ってるの?」

 

「それは一応知ってるよ。5人の正しいサイヤ人の心をもう1人に注ぐ事で伝説が蘇る……だったけな。でも……俺はよっぽどの緊急事態じゃないならその儀式はやらないよ」

 

 確かにその儀式をするだけでめちゃくちゃパワーアップ出来るのは美点だろう。だけどそれは自分で努力した結果ではない。トランクスさんがゴッドになった時みたいに緊急事態ならば兎も角そうじゃないのなら俺は自力であの領域に行きたい。

 

「そっか。光輝らしいね」

 

 2人はその後、47層にある光輝とレインとセブンのプレイヤーホームに歩いて向かう。

SAO時代光輝とレインが買ったホームを新生アインクラッドでも買ったのだ。ケットシー光輝が最後にログアウトした場所がこのホームだったから今日光輝は来るのが少し遅れたのだ。

その大きい家に愛美は口を開きっぱなしである。周りには花が飾られていて家を映えさせる。

 驚いている愛美をほっとき光輝はドアを開ける。中は姉妹が飾り付けしたのか赤と蒼とエメラルドが彩っている。

 中ではレインとセブンが談笑していた。

 

「あ、お帰り光輝君、愛美ちゃん」

 

「ただいま」

 

「お邪魔します」

 

 その後、レインは光輝が久しぶりにケットシーになっているのを見てまた弄り始め愛美もそれを見て我慢出来なくなったのか愛美まで参加してしまう始末。

 そこにある景色は姉と彼女が弟兼彼氏を楽しそうに弄って幸せそうな家族の景色だったのだった。

 




お疲れ様でした。
初デートと見せかけた光輝強化フラグのお話であります。
ケットシーになればワンチャン尻尾の修行になるんじゃないか説で出しました。
超サイヤ人4、覚醒方法に賛否あるかもですが公式で出てるので使います。
ケットシーは尻尾が現状ない光輝の救命処置という事で。と言うより悟空ゼノとかも普通の時は尻尾ないし

光輝、愛美の無自覚行動によって性に目覚める?

罪のお話でレインが49層から来たと書いてましたけど普通に間違えました。正しくは47層です。

愛美は色んな意味で危ない。主に光輝方面で。

(*´∇`)ノ ではでは~


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伝えし想い

おはようございます。
新年1発目超短い。
最後の追記は爆笑もの。


 暗闇の場所、仮面の男はシーラスに語りかけた

 

「おい。そろそろ良いんじゃないのか?」

 

 その言葉にシーラスは頷く。

 

「そうだな。奴らは魔人ブウを倒して油断しているだろう。ここらで一気にダメージエネルギーを回収する。そうすれば計画は一気に最終段階に行く事が出来る」

 

 シーラスはそう言いながら隣を見上げる。男も見上げ仮面の下でニヤッとする。二人の男が見上げた先には巨大な……星一個分の大きさのオレンジ色の球状でその中に星が1つから7つまであるボールを見ていたのだった。

 

「さぁ……最凶最悪のサバイバルを生き抜くのは一体誰だろうな?」

 

 ★★★★★

 

 光輝は西沢家の家の木柱に触れる。その手触りは光輝がここに住んでいた頃とあまり変わらない。そこから家族と過ごした思い出が思い出される。何秒か経った時、光輝は木柱に触れていた右手を心臓に持って行く。

 

「皆、行ってくる」

 

 光輝はそう言って踵を返し櫂家に向かう。光輝がこの世界へ帰還して1週間、時の巣に戻る日が来た。

 この1週間、光輝は休む事はせずに……と言うより出来ずに愛美やら咲良やら櫂家に振り回された。だが別に嫌だった訳じゃない。息抜きにもなったし何より楽しかった。勿論戦闘力を下げない為の修行もしていたがやはり振り回された時間の方が長かった。

 こんな日常が普通になるように今は戦わなければならない。櫂家を、光定達や建作や新井を……そして愛美を守る為に。

 櫂家に到着すると櫂達と古原一家と光定達が揃っていた。愛美が光輝について行かなった理由は光輝が1人で行きたいと頼んだからだ。

 

「じゃっ、俺は戻ります」

 

 光輝のその言葉に櫂達は寂しそうにしながらも頷いた。咲良なんか泣きかけである。そんな咲良に苦笑いして膝を折って目線を合わせながら言った

 

「泣くなよ。永遠に会えない訳じゃないんだから」

 

「だって〜うわぁぁん!」

 

 そう泣き楓に抱きつく。咲良をポンポンとしながら楓は言った

 

「もう何言っても無駄なのは分かったから……でも、また約束して。生きて帰って。貴方の帰る場所はここなんだから」

 

「……はい!」

 

 光輝は光定や古原夫妻とも別れを言って最後は……

 

「早かったなぁ……1週間」

 

「だな。愛美も元気でね」

 

「うん」

 

 言葉はそれで十分。気の利いた言葉なんて光輝には言えないし愛美も期待していない。

 光輝はこれからは滅多にALOには行けない。魔人ブウ以上の……そして仮面の男とシーラス達に勝つ為の修行に時間を割く事になるだろうからだ。

 愛美には次元を超えて繋げる事が出来るコネクターを渡しているからこっちにいてもALOが出来る。それに光輝も仲間達に愛美の事は頼んであるから問題ないだろう。

 そして後は光輝が時計を弄り時の巣に行くだけなのだが愛美の不満そうな顔を見て?? をだす。愛美はそんな光輝に近ずき腕を掴んで上目遣いで見る。

 

「げ、現実でしてないでしょ?」

 

 そう頬を赤らめ愛美は言った。それでも光輝は鈍感なのか首を傾ける。業を煮やした愛美が上目遣いを止めて自分の整った唇を見えるようにする。その唇をじっと見ていたら吸い込まれそうになってしまう。

 それを5秒程見て光輝は愛美がして欲しい事が分かりめちゃ赤面して言った

 

「い、いや皆の前なんだけど!?」

 

 櫂家&古原一家&光定達の目の前でそれをするのは難易度が高すぎる。愛美もそれは分かっている。分かっているが理解と感情は別だ。何故なら……

 

「だって光輝あの後から1回もしてくれない!」

 

 そう思わず叫んだ。あの後というのは初日のあれからという意味で2人はその後は本当にしていない。愛美は上目遣いやらで誘ってみたが光輝にはまるで分かっておらず……手を繋ぐのは恥ずかしながらも自分から出来るのに何故口付けは出来ないんだ……と愛美は思ったのである。しかしぶっちゃけ言うとハードルが違いすぎる。

 光輝がちらりと周りを見ると皆にやにやして羞恥が半端無くなる。それでも愛美を振り払うのは躊躇われた。見てみるとまた上目遣いで光輝の心を抉る。そしてそれに抵抗する術が光輝にはなかった。

 光輝はそっと愛美の肩を持ってゆっくりと顔を近づけた。愛美も抵抗せずに少し背伸びして光輝の肩に手を置いて顔に近づく。そしてゆっくり互いの唇をくっつけて口付けを交わす。現実で初めて口付けをした愛美の唇は柔らかくこの後何も無いならずっと触れていたいと思う。

 しかしそんな訳にもいかないので5秒経ったら2人は離れた。

 周りでヒューヒュー! とかやっているのが2人には恥ずかしすぎる。それを証明するように光輝はゆっくりと離れた。その顔はやはり真っ赤だったが嫌がっている顔ではなかった。愛美も同じ。

 

「えへへ」

 

 そう愛美は嬉しそうに言ってそっと唇を触れる。現実で初めてしたキス……その感覚が離れたのにも関わらずまだ続いている。その心臓の鼓動が今は心地良い。

 そんな満足そうな愛美を見た後、光輝は3歩程下がった。

 

「じゃあ……行ってきます」

 

 その言葉に愛美は唇を触れるのは止めて光輝を見て少し寂しそうにしながらも頷いた。光輝は光輝は悟空がするように指をピッとして時計を弄った。そしてその姿が光に包まれ始める。

 皆が別れを言ってる最中、光輝は割と無意識に愛美の唇を見た。そしたらその唇が声を出さずに動いた。声は出さなかったが愛美の言った事が分かった

 

 ──愛しています

 

 そう言われた光輝は一気にまた恋に落ちた感覚をしながらも光に完全に包まれる直前に自分も口パクで伝えた

 

 ──俺も愛してる

 

 好きと言うのは一方通行の言葉、そして愛してるというのはお互いの事が好きだと分かっている時に言う言葉。

 2人の言葉はそれで十分過ぎる程で……光輝は完全に光に包まれたのだった。




お疲れ様でした。
うん。全然書けてないですね。
次回から新章開幕…何時もの半ば行き当たりばったりと違って今ざっとどうするか練っているのでもう少し待っててください。

帰還の英雄編は光輝と愛美のイチャイチャでしたね。
さぁ…愛美はALOでどれ位強くなるかな〜
今年も良いお年を。このお話が出ている時作者は山登って初日の出を拝んでると思います
(*´∇`)ノ ではでは~

追記

完全にやらかしました。元旦の何時もの時間に出そうとしたら2020年を変えるのを忘れて投稿押してしまって今の時間に出てしまいました。
ごめんなさい<(_ _)>〈 ゴン!〕マジでごめんなさいm(_ _)m


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∞ サバイバル編
次の次元の扉


おはようございます。
新年1発目、新章開幕です。前話は僕が投稿日付の2020年を2021年に変えてたせいで即投稿されちゃいましたからノーカンで。
流石にレジェンズみたいにやたらと長いストーリーじゃありませんから光輝が戦うのはラスボスクラスやら光輝と戦わせたら面白そうというキャラに絞っています。戦わなかったキャラは全部終わったらまた書こうと思います。
⊂('ω'⊂ )))Σ≡GO!!


 皆と別れて光に包まれた俺が次に見たのは一週間しか離れていなかった筈なのにもう懐かしく思えた刻蔵庫だった。やはり巻物の量が半端ないと思いながら見ていたら後ろから声がかけられる

 

「お帰り光輝君」

 

 俺は振り向きながらその少女のような声の持ち主に言った

 

「ただいまです、時の界王神様」

 

 その言葉に上司の時の界王神は頷く。光輝に一週間の休養を与えたのは時の界王神だ。光輝はこの五年間全然帰ろうとしなかった。それは時の界王神が強制した訳ではなく光輝の意思である。時の界王神は光輝のその思いを尊重し何も言ってこなかった。しかし笠木を倒しに行ったのを良いことに休暇を与えた。それは……これからの戦いはきっと辛く過酷のものになる。櫂や愛美の事引きずったまま戦えるほど楽ではない。改めて決心させる為と息抜きに帰らせたのである。

 そしてそれは概ね成功だっただろう。

 

「愛美ちゃんとのラブもあったみたいだしね」

 

 そうニヤニヤしながら言った時の界王神に光輝は何で知ってるんだとか思っていたがツッコむのは疲れるから止めて周りを見て悟空達を探すがいないようだ。

 そう思った時、光輝は何かを感じた。そう……何かを。それを感じた瞬間光輝の背筋が何かで貫かれた感じがした。

 

(なんだこの感じは……)

 

 光輝がそう思ったのは勘だ。特に敵意を感じる訳ではないが誰かの視線を感じた。だが今は時の界王神の気しか感じられない。勿論視線は時の界王神ではない。確かに光輝を見てはいるが違う。というより時の界王神はよく見たら額に汗が出ている。そして気持ち悪いくらい光輝しか見ない。

 

「こ、光輝君どうしたの?」

 

 あからさまに何かビクビクしている。光輝は時の界王神をスルーして眼を閉じる。そして耳を澄ませ、同時に無心になる。SAOでは『超感覚』というシステム外スキルが存在する。大層な名前がついているがぶっちゃけ言えば「勘」だ。殺気を感じる……ただそれだけだがキリトなんかはこれに何回も助けられたらしい。

 それを真似してみているのともう一つ、「聴音」というシステム外スキルの再現だ。聴音は風切り音などの背景音と動作音のわずかの音の違いを聞き分ける。そうする事でSAO等では不意打ち防止が出来て光輝も重宝した。

 そして……ほんの少し擦れた音がした時、巻物の棚がざっと並んでいる所を……棚と棚の間の所注視した。五秒ほど経った時、そこから少し気の抜けた……それでいて強者だと分かる声が聞こえた

 

「流石ここの悟空達が見込むだけはある。神の気を感じる事は出来ないと聞いていたが勘と聞こえるかすら怪しい動作音で僕達を見つけるとは」

 

 その言葉と共に棚の間から出てきたのは主に紫色で光輝のケットシーとは大分違う大きい猫耳っぽい耳を持っている。水色のズボンを履いて上半身は裸で首元には古代エジプトの様な格好をしている。

 

「ホホホ! かくれんぼはビルス様の負けですね」

 

「うるさいぞウイス。僕はそもそも勝負なんてしていない」

 

 ウイスと呼ばれた長身で容姿は地球人に近い中性的な顔立ちだ。青肌に逆だった白髪が特徴。衣装は導師や僧侶をおもわせるダークカラーのローブ姿。

 

「何を仰いますか、『僕を見つけられなかったらデコピンだ』と仰ってたじゃありませんか」

 

「な、何の事だ?」

 

 そう言って口笛を吹く。そしてその2人は光輝と時の界王神の前に降りてくる。光輝はその2人を見た事がある。4日前の夜に愛美と見た悟空達の物語の映画を見た。そこに敵として出てきたのが目の前の2人だ。

 

「えーと、ビルスさんだっけ?」

 

 そう悩みうーんと言いながら言った。それを聞いたウイスは少々驚きながら言った

 

「あら、どうやら私達の事はご存知のようですよ」

 

「どうやらその様だな。……さん付けをされたのは初めてだ」

 

 それで何か機嫌を買ったのかと思ったのか時の界王神は冷や汗を流し慌てて口を開く

 

「あ、えっとこの子なりに敬意を表してるんです! 大目に見てやってください!」

 

 時の界王神がこんなにもビビる理由……それはビルスが破壊神と呼ばれる存在だからだ。

 悟空達の宇宙には何人かの神が存在する。デンデの様な地球の神だったり悟空の師匠の北の界王、その上の大界王、更に上で惑星を作成し管理する界王神の対極の存在。界王神とは地位が同じだが強さが圧倒的に違う。それは時の界王神も例外では無い。だからこそビビる。

 ビルスは時の界王神にも微妙な視線を向けるがウイスがコソコソと言った

 

「呼び捨てよりも良いと思いますよ。最初の悟空さん何か」

 

 それを聞いてそれもそうかとなった。悟空が初めてビルスと出会った時、ビルスを呼び捨てにしようとしたが北の界王に止められて慌てて様付けにした。その時に比べたらマシだろう。

 そしてビルスは光輝を見つめる。光輝は目を逸らさずに見つめ返す。

 光輝はその瞬間、ビルスの力の片鱗を感じた。気を感じる事は出来ないがビルスが弱いという訳では無い。背筋が凍る程の威圧を光輝は真正面から受ける。

 

「ほぉ……僕の力を感じても退かないか」

 

 破壊神と言われるだけあってビルスの実力はそれはもう半端ない。今の光輝では勝てやしない。と言うより差がめちゃくちゃある。

 人は圧倒的な差がある時、戦意喪失をする人が大半だ。それは歴戦の戦士であってもいる。しかし光輝は1歩も退かずにそれを受け止めた。それに対しての称賛だ。

 

「まぁ……ビビる時間があるなら超える為の努力をする方がよっぽど有意義ですからね」

 

 そう答える光輝に時の界王神はビビり中。何故ならその光輝の言葉はそれはそれで努力次第でビルスを越えられると言ったのも同然だからだ。ビルスもその意味に気が付き顔を険しくして光輝を見る。光輝はその視線を受ける。少し時間が経ちビルスはふっと笑い視線を止める。

 

「お前は悟空とは別ベクトルで面白い奴だな。これが地球人からサイヤ人になった唯一の人間か」

 

 そう言ったがそれ以降は興味が無くなったように時の界王神に聞いた

 

「それでここの悟空達はどこだ? あいつらに僕の運動を手伝ってもらおうと思ったが……」

 

 光輝はそれを聞いてまた悟空達の居場所を気で探すがやはり居ない。普段はここにいるトランクスもだ。時の界王神を見ると微妙な表情をしている。それに気がついたビルスは目を細め厳格な声で聞いた

 

「おい。あいつら今日はいないのか?」

 

「は、はい。悟空君達は今任務中でして……」

 

 しかし何やら訳ありそうだ。光輝は疑問符を出す。確かに任務なのかもしれないが悟空達が総出で向かう任務とは何なのだとなった。ビルスも同じことを考えた。しかし破壊神の仕事でもないのでため息をつき光輝に向いた。光輝も悟空達の任務内容を考えていたがビルスが見ているのに気が付き思考を止めた。

 

「ならお前に運動を手伝ってもらおうかな」

 

「ビルス様!? こ、光輝君を破壊するつもりですか!?」

 

「そんな訳ないだろ。単純に運動を手伝ってもらうのと君の力にも興味があるからね。勿論、拒否権はあるけどね?」

 

 そう言ってどうだ? という視線を光輝に向ける。その視線は「お前は拒否しないだろう?」と光輝に語り掛けて来た。

 光輝もそう伝わったのか好戦的な笑みを浮かべ

 

「上等です」

 

 ビルスはやはりなという顔をした。悟空のもとで修業してきた光輝ならばそう返す確信があったのだろう。まあ拒否させないために拒否権があると言ってやる気を出させたのだが。

 その後、光輝とビルス、そしてウイスは時の巣をぶっ壊さないために誰もいない時空の荒野へと向かった。

 

「運動不足ってどの位運動してないんですか?」

 

「ざっと30年位だね。ウイスが運動しろってうるさいからな」

 

「おほほ! ビルス様は寝てばかりですからね」

 

 そんな会話をしながら光輝は準備運動をする。30年も運動してないなら結構衰える筈だがビルスの様子にそんな事はなさそうに見える。光輝が準備運動を終えたらビルスは腕を広げ破壊神の威厳を見せ言った。

 

「さあ、最初に出会った時の悟空よりかは楽しませてくれよ。僕を殺すつもりでかかってきなさい」

 

 光輝は構える。

 そして軽く映画で見たビルスを思い出す。その強さは悟空の超サイヤ人3をデコピンと肩チョップで倒していた。映画のビルスとこのビルスが同じかは分からない。だが……強い事だけは確かだ。

 光輝の額からツーと汗が顔を伝う。その汗が落ちて地面に触れた時、光輝は動いた。

 

「サウザンドレイン!!」

 

 イメージする為に技名を叫びそのイメージに光輝にインプラントされている量子変換器が反応し光輝の頭上から千本の色んな武器が出現した。そしてそれらの武器をビルス目掛け発射した。

 

「ふん」

 

 ビルスは上から降ってくる武器達を見て鼻をならし気合砲でそれらの武器達を全て弾く。

 武器達がその気合砲で地上に落ちて行ってる間を縫うように風磨手裏剣がビルスに迫る。しかしビルスはその風磨手裏剣も余裕で少し浮き躱す。その瞬間その風磨手裏剣が煙になりそこには光輝がいた。

 

「ほう?」

 

 その光輝は手裏剣を雷遁を乗せてビルス目掛け投げた。光輝は投げた瞬間に印を組んだ

 

「手裏剣影分身の術!」

 

 印を結び終えた時、ビルスに向かっている手裏剣が増えた。

 ナルト達の世界で覚えた新たな忍術だ。投げた手裏剣を起点に幾つもの手裏剣の実体を分身させるのだ。

 ビルスはその能力に驚きながらも上空に向かって躱す。

 

「陽動手段が豊富だな。真っ向勝負の悟空達と違って揉み手が多い」

 

 そうビルスは称する。そんなビルスの前に光輝は現れながら

 

「手段が多いって言ってください!」

 

 そう叫びながら光輝は拳と蹴りの嵐をお見舞う。しかしビルスはそれを簡単に躱していく。スピードはフリーザやクウラ、第1形態のセル位ならばボコボコに出来るのだがビルスには全く届かない。そしてビルスは攻撃の為に振りかざしていた拳の1つを掌で止める

 

「これが君の本気なのかい? これじゃ寝起きの運動にもならないね」

 

 そう言いながら拳を渋々離す。光輝は後退する。体力はそんなに使っていないがどうやらそれではビルスはお気に召さなかった。

 勿論ビルスは光輝が本気じゃないのは分かっている。大昔のサイヤ人は超サイヤ人になれるものはいなかったが悟空達の修行を受けた光輝が超サイヤ人になれないとは思わなかった。だから次に見せるのは超サイヤ人だろうと思っていた。

 

「確かに……運動させるのにならないんだったら意味が無いですね」

 

 そう言って光輝は後退しウォーリア・ビヨンド・ディスペアーを引き抜き天に掲げた。

 

「エンハンス・アーマネント」

 

 そう叫びながら光輝の気が剣を纏う。そしてその気が光に変換され光輝を包む。そしてその光が晴れた時、リコレクションブレイブに変化していた光輝なのである。

 それを地上で見ていたウイスは

 

「変わった変身……いえ強化と言うべきでしょうか。自分の戦闘力を上げるのではなくあの剣の記憶で強くなるとは」

 

 ウイスが呟いている中光輝は消える。次の瞬間にはビルスの隣に肉薄していた。しかしビルスは余裕で光輝の剣戟を躱す。その間ビルスは手を後ろに組んでいる。つまり余裕がありまくるという事。

 

「はっ──!」

 

 光輝のスピードが上がるがそれでもビルスには届いていない。それ所か欠伸をしている。それを見た光輝は一旦下がった。剣を構えていたがその剣を背中の鞘に入れた。二刀流にする事も考えたがあまり変わらないだろうと思ったのだ。

 

「確かに珍しい強化方法だがそれじゃあまだ足りないね」

 

「……だったら」

 

 光輝は腰を入れその両手の拳を握る。金色の奔流が光輝を纏う。青白いスパークが走るその黒色と薄い金色の髪が何回か金色になる。

 

「はあああああ!!」

 

 光輝は叫び髪を金色に変化させた。所々にあった薄い金色とは違い全部金色に変化していた。それはビルスが今まで見ていた超サイヤ人と同じだ。だがそんな超サイヤ人とは違う点が1つあった。

 眼だ。超サイヤ人は瞳を碧色にするが光輝の眼はリコレクションブレイブと同じ薄い金色のままだ。そしてビルスがよく見てみるととんでもなく分かりにくいが金髪の中にもリコレクションブレイブと同じ薄い金色が残っている。本当に分かりづらい。

 そして青白いスパークが走っている所を見ると超サイヤ人2だ。

 

「……行きます」

 

 静かにそう言った瞬間にはビルスの真正面に拳を握っていた。ビルスは驚きもせずに拳を握り光輝の拳へ同時にぶつけていた。

 そして2人が目を細めた瞬間に光輝は先程とは桁違いのスピードでビルスへ攻撃するがビルスは何処吹く風と捌く。しかしその口がニッと笑っている所を見ると軽い運動にはなっているらしい。

 

「ほう……ビルス様が最初に戦った悟空さんを簡単に超えていらっしゃいますね」

 

 そうウイスは光輝を称する。光輝の黒髪状態の時のレベルはセルの第2形態位だ。そしてリコレクションブレイブの時はセルが自爆して復活した時になっていた完全体と同等だ。そこから超サイヤ人、超サイヤ人2になっている。

 最初の悟空は超サイヤ人3だったが黒髪状態が光輝のリコレクションブレイブよりも弱いので変身後の戦闘力は大きく違う。

 

「ですが……」

 

 確かに称しはするが光輝はビルスに一撃も攻撃を当てれていない。つまりまだ戦闘力が離れているという事。ついでにビルスは本気を出していない。

 ビルスは光輝の拳を突き放し蹴撃する。その速度は軽く魔人ブウを超えている。光輝は殆ど勘でそれをガードした。しかし威力が高かった故に吹き飛ぶ。

 

「ちっ!」

 

 光輝は舌打ちしつつ影分身を出して印を高速で結び

 

「風遁・烈風掌!」

 

 分身光輝をその風の発射台に乗せてビルスの元へ打ち出した。本体光輝は空中で止まりつつ更に気を高め超サイヤ人3レベルの気を解放する。

 分身光輝が消されたのと同時に再び乱撃戦を繰り広げる。

 

「ここの悟空さん達が見込んだだけありますね。実に色んな技をお使いになられる」

 

 ウイスがそう言っている中光輝はと言うと

 

(全然まともに入らねぇ!)

 

 未だにグリーンヒットが1つもない。俺は普通に全力だがビルスさんはやはり余裕の顔だ。それが何かイラつく。

 今は勝てなくてもいい。だが一撃は何としてもこの余裕な顔にめり込ませたい。

 

「そんなんじゃ僕に一撃も当たらないぞ!」

 

 ビルスさんはそう言って無駄が無いタイミングでカウンターをして一々俺に冷や汗を欠かせる。そして血が滾るような感覚にもなっていく。秒間何百という攻防で俺はある種の快感を味わっている。

 ビルスさんの方が圧倒的に強いなんざ知っている。だけど諦めるなんて選択肢なんか俺の辞書にはない。

 そして俺にはまだパワーアップ手段がある。

 

「ふん!」

 

 ビルスさんがそう言って俺の今の速度ではカウンターが間に合わない脇腹へ蹴りを放つ。俺は幾千の攻防でそこを狙う事は予想がついていた。だから

 

「──!」

 

 その瞬間、光輝の薄い金色の瞳が蒼眼と赤眼に変わる。ビルスが予想していたスピードが一気に跳ね上がり光輝は蹴りをガードしつつその顔面へ拳を向けた。

 ビルスはそのスピードアップに目を見開いたのと同時にその頬に光輝の拳がめり込んだ

 

「おや? ビルス様が1本取られましたね」

 

 そうウイスがのほほんと言っている中時の界王神は頭を抱える。両者時が止まった様に動かない。

 ビルスは破壊神の自分に自力で攻撃を当てても喜ばない光輝へ不満そうに見る

 

「僕に一撃当てれたのに不満なのかな?」

 

「本気じゃない貴方に当てても、ね」

 

 光輝はそう言いながら離れ眼を薄い金色に戻す。ビルスは光輝の言葉を聞いてにっと笑いながら返す

 

「本気でやったら君が死んでしまうからね」

 

 そこにそれが嘘と言わせる要素は無かった。しかしまだ戦いは終わらせていない。2人は構え、激突した




お疲れ様でした。
光輝、ビルスに一撃当てる。尚、本人あんまり喜んでない模様。
ビルスは本気じゃありません!ベジータが怒った時も当てるだけなら出来てたから良いやとなりましたのです。

∞ サバイバル編ではこれまであんまり出番が無かったゼノ戦士達も活躍させたいと考えています!
(*´∇`)ノ ではでは~


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新たなる戦い

おはようございます。
ビルス戦後です。


 今俺の前にはビルスさんとウイスさんが俺が作った料理をがっついて食べていた。こうなっているのには理由がある。

 さっきビルスさんの運動に付き合った。はっきり言うとボロ負けだった。うん。あの後から1発も殴れなかった。1度奥の手を出したからか直ぐに順応して来て一撃も当たらなかった。

 

「美味いぞ!」

 

「本当、光輝さん家のシェフになーりませんか?」

 

「折角ですがお断りします」

 

「それは残念」

 

 そう話しながらも2人は料理を喰らう。愛美が見せてくれた2人もグルメだったなぁ。味覚は俺達と同じなんだろうか? そこで俺は思い出した事がありウイスさんが箸を置いたのを見計らい聞いた

 

「ウイスさんってビルスさんのお師匠さん何ですか?」

 

 ウイスさんは行儀よく口を拭いた後余り内面が分からない表情を見せながら言った

 

「ほう……それもお知りになられてるのですね」

 

「知ってると言うより見たからですがね」

 

 そして俺は違う世界で2人の事がアニメになっている事を話した。それにはさすがのふたりも2人も驚いたようでビルスさんが少し不機嫌そうに

 

「何かムカつくから破壊しようかな」

 

「そんなので破壊してたらこの世の中キリが無いですよ」

 

「うぐ」

 

 光輝に言い返されたビルスをウイスは行儀よく笑う。そんなウイスを見て光輝は少し改まって言った

 

「ウイスさん、俺に神の気について教えてくれませんか? もっと強くなりたいんです」

 

 ウイスは光輝の眼を見て断ろうと口を開きかけたがその前に光輝が不敵な笑みを浮かべ

 

「まさか神ともあろうお方が人へ貸しを作ったままにするつもりですか?」

 

 ビルスの運動不足解消、そして今目の前の料理達。本来これらは光輝はやらなくても良かった事ばかりなのだ。別に光輝は善意でこれらをやった訳では無い。破壊神ビルスの師匠であるウイスの修行を見返りにしたのだ。それにウイスは気が付き

 

「案外姑息なんですね」

 

「計算高いって言って欲しいですね」

 

 ウイスは隣でビルスが笑っているのを肘でついて笑いを止めながら光輝を見る。光輝の眼は悟空とは別種の強くなりたい思いが読み取れる。光輝の煽りに乗る訳では無いが借りが出来たのも事実。

 

「仕方がないですね」

 

「ありがとうございます!」

 

 そう嬉しそうにする様子は歳相応の反応だ。光輝は新たな高みの為に新たな修行を始めるのだった。

 

 

 ★★★★★

 

 

 ある歴史で1人の男が周りにある機会群を見ながらニヤリと笑っている。その内の1つのモニターでは激闘が繰り広げられている。

 メタモル星人の編み出した技、フュージョンを使って蒼きオーラを纏う合体戦士とその合体戦士と戦っている黄金の戦士は譲らない勝負の果てに合体戦士が黄金の戦士の眼前に現れる

 

『ハーーツーー!!』

 

『君達には限界が無いと言うのか? 最高だーーーっ!!』

 

 2人は今、互いの譲らないものの為に戦っている。だが今だけはライバルの様な掛け声を叫び合体戦士の強烈な拳が黄金の戦士の腹部へ突き刺した。その腹部から蒼色のオーラがハーツと呼ばれた人物の後ろへ突き抜けた。

 それにより黄金の戦士はその身を消していく。

 

『全王は……機嫌1つで世界を消す。俺はそんな不自由から人間を解き放ちたかったんだ』

 

 そう切実に動機を話しハーツはその身を消したのだった。合体戦士はそれを複雑そうな顔で見送った。だがこの光景を画面越しに見ている男は違う意味でニヤッとしながらここに送られてくる筈の物を待つ。そしてそれはここに来た。ガラスの様な入れ物に入り中には赤色の玉が入っている。一見何も価値がない少し大きいビー玉に見えるがこれさえあれば全王に喧嘩を売る事も不可能ではい。最も男の目的はそんな事では無いが。

 

「よく来たね、宇宙樹の種」

 

 そしてその種を手に取ろうとした瞬間、その種が消えた

 

「なっ!?」

 

 男……名をフューと言う青年はいきなり消えた事と後ろから感じるパワーにイライラしながらも振り返る。そこに居たのは宇宙樹の種を持っているシーラスだ。フューはシーラスとはこれが初対面だ。フューは驚愕の顔を出して叫ぶ

 

「お前は……シーラス!? 時の狭間に閉じ込められていた筈じゃ」

 

「成程、こちらではまだ知られていないのか」

 

「そんなのはどうでもいい! 僕の宇宙樹を返せ!」

 

 そう言ってシーラスに襲いかかろうとするがフューの首筋に真剣が当てられる。そしてフューの後ろから言われずとも分かる殺気。その殺気が「動いたら殺す」と言ってくる。

 フューはそこら辺の奴なら負ける道理は無いが宇宙樹と言うある意味の人質を取られ後ろにいる奴の力は色んな歴史を知っているフューでも知らない存在だから力量が分からない事にフューは奥歯をかみ締める。

 

「お前は……誰だ?」

 

「答える義理はない。お前が大事に育てた宇宙樹は有難く俺達が使わせてもらう」

 

「く、クソ……」

 

 そう悔しげな声がフューから漏れ出る。シーラスは不敵に笑い「お前がこいつを取り返したいのなら」と続け

 

「これから行われるサバイバルの中で俺達を探し出して倒してみせるんだな」

 

「……サバイバルだと?」

 

 シーラスはそれ以上何も言わず消え後ろの男も消えた。フューは直ぐに機会群に張り付きシーラス達の追跡を開始しようとした。しかしタイムパトロールの悟空達から何度も逃げてきただけあり簡単に捕まえられない。そしてとうとう見つけモニターに映した時、シーラスと仮面の男は巨大な……星よりも大きい金色の龍の目の前にいた

 

『ろけつっくをしきれなまざまさにまざはのうゅちうとうゅちう…ちょんまげ』

 

 一見何を言っているのか意味不明だがフューには直ぐにその意味が分かった。分かったからこそ血眼になり

 

「やめろ──ーっ!!」

 

 そう叫んだ瞬間、フューがいる所にも地震が響き渡り床が崩れ落ちフューはその落ちた闇の中へと放り出されたのだった

 

 ★★★★★

 

 ウイスから修行を受け始め約1週間、光輝の料理と引き換えに光輝はウイスから修行を受けている。今は影分身を3人出して重りをつけて分身と本体の三つ巴で戦っている。自分だけで戦う事で自分の弱点も行動も分かる。3人とも通常状態だ。

 勿論光輝はこの修行は自分でもした事がある。ナルト達の世界に滞在してた時はこの方法でよく修行をしていた。だがその時にはどう弱点やらを見分けるのかが難しく殆ど意味を成してなかった。しかしウイスに見てもらうことで修行の意味を100%引き出す事が出来る。

 一通りスパーリングを終わらせた光輝を見てウイスは手を叩く。ウイスの隣ではビルスは光輝が作ったピザを食べている。何故ピザを学んだのか光輝にも分からん。

 

「取り敢えず経験を還元しましょう」

 

「はい」

 

 光輝はそう言って分身を解く。そうすると三つ巴の記憶が引き継がれ一挙一動を思い出される。慣れていなければ三つ巴の記憶が曖昧になってしまうが光輝はそんな事はとっくに無くなっている。

 

「どうです?」

 

「やっぱり攻めのタイミングが雑な気もします。守りを意識してしまうというか」

 

 ウイスはその通りと言う様に頷き

 

「貴方は悟空さん達よりも堅実ですが守るだけでは勝てるものも勝てないですよ」

 

 光輝は確かに守りが多いがそれは剣等の一撃与えたら致命傷の攻撃手段を多く持っているから自然とそうなってしまったと言う部分もある。

 だが魔人ブウの様な再生を持つ敵には奥手だ。実際光輝は魔人ブウには全く攻めきれなかった。相性と言ってしまえばそれまでだが光輝の戦いは勝たなければならない戦いだ。負けてもしその影響が櫂達や愛美、キリト達に及べば光輝は一生後悔するだろう。

 

「それから貴方は気を表面に出しすぎです。神の気は気を表面に出さないようにして初めて獲得出来るものです」

 

 光輝はその点まだ気を表面に出してしまっているからまだまだという事である。

 表面に出さないようにするのならそもそも気を感じ取れないように消せば良いのではないか? と思うかもしれないがそれは単に気を消しただけで体の内側で気を高めなければ意味が無い。

 ウイスは咳払いしつつ例外もある事も言う

 

「勿論、神の気が無ければ強くなれない訳ではありません。こちらの悟空さんはビルス様に勝ってますからね」

 

「おいウイス! 僕は負けてないぞ!」

 

 そう慌ててビルスさんがウイスさんに言ったが焦っている所を見ると敗北かは分からないが危ない所まで行ったのだろうか。

 

「おほほほ! ですが本気を出して互角以上に戦われたじゃありませんか。それに破壊を使わなければ負けていたのは本当じゃないですか」

 

 そう聞くとビルスさんは何やら言い返せない。やはり悟空さんはビルスさんに勝ったんだろうな。やっぱり強いなぁ〜

 あっ、だから今回運動と見せかけて悟空さん達と戦おうとしたんだろうな。……そう言えば悟空さん達1週間も経ったのにまだ帰ってこない。時の界王神様も教えてくれないし……と言うより俺まだお姉ちゃんの家にスーツ取りに行ってない。

 ビルスさんの本気ってどんくらいだろうなぁ。俺と戦った時は出しても1割か2割だったでしょ。悟空さんはビルスさんの10割を引き出させて勝ったのならやっぱり強いよね。そんな時、何やら地震が始まった気がした

 

「──!?」

 

 何か今刻蔵庫の方から悪寒を感じた。ウイスさん達も何か感じたのか刻蔵庫の方を見る。

 

「何でしょう? 慌ただしいようですが」

 

 俺は嫌な予感がした。俺は2人に断りを入れて刻蔵庫に向かった。入ってみると慌ただしく巻物が1つになっていっている。咄嗟にキリト達やナルトさん達、愛美達の歴史がある方を見るがそこら辺は何ともない。それに安堵しつつも時の界王神様が慌ててるのを見て

 

「時の界王神様、これは!?」

 

「分からない! 悟空君達の歴史の巻物がいきなり集まりだしたのよ!」

 

 そんな2人の後ろからウイスは歩いてきて自分の予想を話す。

 

「恐らく何者かが歴史と歴史をくっつけたのでしょう」

 

 それを聞いた光輝はピンと来ないが時の界王神にはその手段が直ぐに分かった。

 

「そっか、超ドラゴンボール!」

 

 聞けば普通のドラゴンボールの何百倍もの大きさで1つ1つが星の大きさなんだとか。そして正真正銘どんな願いも叶える事が出来ると言う。

 龍神ザラマと言う人が作ったドラゴンボールでナメック星人が作ったドラゴンボールはその超ドラゴンボールの破片から作ったものなんだとか。

 スケールがでかくなりすぎているがそんなのはどうでもいい。歴史と歴史をくっつけるってそれもうめちゃくちゃじゃねえか! 

 

「悟空さん達は!?」

 

 いくら何でもこの事態に悟空さん達を引っ張り出さない手は無い筈だ。しかし時の界王神様は未だに微妙な表情だ。そして諦めたように悟空さん達が行っている任務を教えてくれた

 

「実は……悟空君達が亡くなった世界の超ドラゴンボールがあるべき場所から無くなっている事に気がついたの。悟空君達はその調査に向かわせてた。でもこの分だと悟空君達も巻き込まれてるわね」

 

 光輝は「成程」と頷きつつこの事態を元に戻す為の策を考える。そして悟空達の歴史がくっつき始めているということは

 

「俺はあっちに向かいます。向こうでどれかしらのドラゴンボールを集めてもう一度歴史を切り離すように頼んでみます」

 

 時の界王神も同じ事を考えていたのか頷いた。悟空達の歴史がくっついたと言うことは何かしらのドラゴンボールも一緒に現れた可能性もある。それらを集めて元の世界へまた分離させるしかない。それでも無理かもしれないがやらないよりずっとマシな筈だ。

 そんな会話を聞いていた訳では無いがブルマが急いで現れた。その手には手の平サイズのレーダーがあった

 

「光輝君、これ、ドラゴンレーダーよ。もう量子変換器に登録しておいたわ」

 

「ありがとうございます」

 

 そう言って光輝はドラゴンレーダーをしまう。そして準備を終えた光輝に時の界王神は最後の注意を言った

 

「これだけ大掛かりな事がされた。シーラス達が関わっているのか分からないけど……どの道油断は出来ないわ。貴方がこれから行く場所は宇宙と宇宙の狭間に作られた世界、君が今まで戦ってきた敵達もいる。私はこれから辛うじてくっつかなかった歴史からドラゴンボールを集めて対策を練る。光輝君も気をつけて」

 

 光輝はそれに頷いた。光輝はメールを開きレイン達に結婚式に行けないかもしれないと言う旨を伝えた。そして……愛美にも。

 これから行く場所で通信が出来るかは分からない。何時までかかるのかも分からない。だからこそだ。今頃向こうは「はっ!?」となっているかもしれないが一々説明している時間が無い。一刻も早く歴史が融合してしまった世界を切り離さなければならない。そうしなければ最悪キリト達や愛美達がいる世界にまで影響が及びかねない

 そこで光輝は「ビルスさん達も手伝ってくれないかな?」と思い視線を送るがそれに気がついたビルスは欠伸をしながら

 

「言っておくけど僕達は手伝わないよ。僕達はあくまでも中立だからね」

 

「申し訳ございません。しかし光輝さん、これからの戦いは修行にもなります。己を見つめ、敵と戦い進化出来るかは己次第です」

 

 そう1週間限定の弟子だった光輝にウイスは最後の言葉を送った。光輝は歴史を元に戻す事ばかり考えていたが確かにそう考えられるなとも思い自分が堅くなっていた事に気が付き苦笑した。そして最後に深呼吸した後

 

「よし、じゃあ行ってきます!」 

 

 そう言って光輝はその合体し始めている巻物を無理矢理開き未知なる世界へと旅立った。

 

 

 

 




お疲れ様でした。
悟空ゼノ>ビルスです。ゴジータUMとハーツのデータが入ってる改造ジャネンバは2人以上の筈。そのジャネンバを超フルパワーサイヤ人4・限界突破でぶっ倒したので破壊無しなら普通に勝てると思いました。

さて、シーラス達が起こした異変ですが監獄惑星+レジェンズのストーリーの舞台が合わさった感じです。説明が下手くそでごめんなさい。

後くっつかなかった歴史というのはモロ編以降です。モロ編以降やら戦わなかった戦士とは番外編でやります。
(*´∇`)ノ ではでは~


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懐かしきサイヤ人+α

おはようございますm(*_ _)m。
新章小手調べバトルです。
尚、初回は光輝無双。後々ボコボコにされるので今だけの無双を楽しんでください。無双の書き方出来てるか本人も不安ですが。




 光輝の世界、アメリカカリフォルニア州で愛美は友達3人とショッピングを楽しんでいた。街を行き交う人達の中でも愛美の容姿はやはり目立っていて愛美はその姿を上手く帽子なりで隠している。

 しかし友達と過ごす時間まで隠す必要なく愛美は楽しさで笑っている。今はカリフォルニアの州立公園でお昼をしようと歩き出している。そんな友達との話題は光輝の事についてだ。それを日本語に直すと

 

「あの剣を持った姿がとてもかっこよかったわ!」

 

 そう興奮した様子で話す。光輝の二刀流姿はあの笠木の時始めて映された。薄い金色のオーラを纏い羽織と髪を靡かせて笠木と対峙する姿は勇者のそれに見えたし愛美にとっては勇者と言うよりヒーローだが大体は皆そんな感想になっている。

 巷では何と光輝のファンまで出来ている始末。愛美はそれを聞いた時苦笑した。

 きっと光輝は「うへー」と面倒くさそうに言うだろうなと言う意味で。

 

 光輝が時の巣に帰った後、私達古原一家もアメリカに戻ってきた。直ぐに私はネットのコネクターをセットした。そして毎日光輝にメールをしている。勿論向こうも忙しいから不定期だけどメールが来るだけで嬉しい。

 友達には光輝の事は話していない。光輝の言葉じゃないけどきっと騒ぎになって面倒くさい。ALOもユウキさん達が丁寧に教えてくれたおかげでメキメキと強くなっている気がする。勿論まだ皆さんには追いつけないけど強くなる事がこんなに楽しい事を初めて知った。キャラクターを動かすんじゃなくて自分が動く事もすっごく楽しい。光輝や悟空達の気持ちが分かった気がする。

 光輝の事で盛り上がっている友達を見ていたら鞄の中のポケットが振動した気がして私は断りを入れてスマホを取り出した。

 

(あ、光輝だ)

 

 差出人が光輝なのを見て愛美はドキドキしながらそのメールを開いた。いつもならメールの内容を見て思わず口角が上がっていたが今回はそうはならなかった。訝しげにメールの内容をもう一度読む

 

「どういう……こと?」

 

 そう愛美は思わず呟く。メールは『ごめん。暫くALOにもログイン出来ない。それにメールも無理かもしれない。この埋め合わせいつか必ず精神的に』

 

 たったそれしか書かれていなかった。それを読む度に胸にぽっかりと穴が空いてしまった感覚に陥ってしまった。だから目の前で止まった友達にぶつかってしまう

 

「あ、ごめんなさい」

 

 愛美は咄嗟にそう謝ったが友達から返事が無く友達は何故か上を……空を見上げている。愛美が周りを見ると周りの人達も空を指さして困惑しているのが分かる。愛美は恐る恐る空を見上げて目を見開いた。

 今日は綺麗な青空だった筈なのに青空の一部分だけ歪みの様なものが出来ていた。よく見るとその中が見えて暗闇が見える。しかしその歪みの濃さは薄い。

 歪みを例えるのならばウルトラマンエース、或いはウルトラマンメビウスで超獣が現れる前に出来る歪みに似ている。しかし違うのはその歪みが真一文字に出来ているという事。

 

「なに……あれ?」

 

 そう愛美は思わず呟いた。

 笠木が起こした連続殺人の被害者の死体も相当奇怪だったが種が割れた今はそんなにだ。だがアニメでも特撮でもなく、現実でそんな奇怪な事が起こっているのだから困惑は当然だ。

 周りでは写真を撮っている人もいる。だが愛美はそんな人達よりも自分のスマホの画面を見た。そこには先程光輝から来たメールがある

 

「……まさか」

 

 ──光輝、貴方が関わってるの? 

 

 違う世界にまで及ばせる異変。タイムパトロールをしている光輝が何かしら関わっていると考えるのは自明の理。愛美の胸は再び不安の暗雲に覆われて行ったのだった

 

 ★★★★★

 

 無重力の様な感覚に陥った後、2本の足で地面に立った事が分かると俺は眼を開けた。眼前に広がる世界は悟空さん達の歴史が繋がって出来ているらしい。ならばここは地球……少なくとも地球エリアと呼ぶべき場所だろう。後は多分ナメック星エリアみたいな所だってある筈だ。

 歴史をくっつけただけで何れ位の戦士達がこの世界に来たのかは分からない。或いは歴史の住人は皆この世界に引きずり込まれたのか……考えても分からない。

 取り敢えず俺は恐らく巻き込まれた悟空さん達……タイムパトロールの方の悟空さん達と合流かやる事を伝えたい。

 トランクスさんにメールを送ってみたがやはり通じない。そして後ろに降り立った奴らを感じ取りため息をつきながら言った

 

「これは……サバイバルって訳ね」

 

 サバイバル……一般的には厳しい環境で生きる事を言う。しかし光輝が思ったサバイバルはその意味もあるが別の意味もある。

 1年前……光輝からしたら1年前、ALOを含むザ・シードネクサスのVRMMOワールドが全て結合しオープンサバイバルワールド……《ユナイタルリング》へと変貌した。

 ザ・シードとはアインクラッド、大まかに言えばフルダイブ技術とSAOを作った茅場晶彦がキリトに託した言わばVRワールドを作る為の土台のようなものだ。簡単な設備と知識さえあれば誰でもVRワールドを作る事が出来る。

 ユナイタルリングはそのVRワールドを全て強制的に結合した世界。オープンサバイバルワールドという名の通りサバイバルゲームで光輝はキリト達と共にその世界で何人ものプレイヤーと争って生き抜いた。

 つまり……最後まで生き抜く事がこの世界で大事な事という事。

 光輝は後ろの崖の上に降りた奴らを見た。

 

「はぁ……昔戦った敵達ね」

 

「そう残念な顔をするなや、同じサイヤ人だろう?」

 

「残念な顔をして欲しくないのなら悪行をやめて欲しいがな……ターレス」

 

 主に灰色の戦闘服にマントを着ているサイヤ人……ナルト達の世界でナルト・サスケ・サクラと共に立ち向かい撃破したサイヤ人……ターレスが自分の仲間達と共にそこに居た。

 ターレスを入れて6人。1人は背が高いサイボーグ戦士で『カカオ』

 2人目はターレス一味で1番の巨漢で『アモンド』

 3人目は見ようによっては地球人に見えるが眉毛がないと言う少し変わった『ダイーズ』

 4、5人目は背は小さいが未知の技術を持っているというビーンズ人の双子『レズン』と『ラカセイ』だ。

 

「成程、そいつらがお前の本来の仲間って訳か」

 

 ターレスは先程から自分を知っているという口ぶりに目を細め聞いた

 

「おい、お前はどうやら俺を知っているようだな」

 

「ああ。別のお前と戦った事があるからな。結果は俺がここに生きている時点で分かるよな?」

 

 その言葉にターレスは奥歯を噛み締める。光輝はどうしようかと悩み始める。サバイバルならこいつらは蹴散らすべきだろう。だけどそれは歴史が戻った時変にならないか? と思ったのだ。そんな時、少し雑音が聞こえながらも時の界王神の声が響いた

 

『光輝君、倒しても問題ないわ。歴史の修正力を舐めすぎよ』

 

 ……だってナルトさん達から記憶が無くならなかったこともあるから俺の中では修正力あんまり当てにしてない部分もあるんだけど。

 

 タイムパトロールをしたらそのパトロール隊員の事はパトロール先の人々は忘れる筈なのだ。レイン達は光輝が働く事の代償としてそのままだがナルト達は修正力を持ってしても光輝の記憶を持ち続けた。それ自体は嬉しいが修正力を当てにしなくなるのは当然な様な気もする。

 だがそういう事なら光輝が辞める理由はない

 

「一応聞いておくが退く気は無いんだな?」

 

 光輝としては直接こいつらはこの事態と関係ないから戦う気がないのなら見逃すつもりだ。しかし違う自分が光輝に負けた事を知ったターレスは憤怒の表情で荒々しく吠えた

 

「違う俺を倒したからと言って調子に乗るな!」

 

 そう言ってマントを脱ぎながらターレスは仲間達……クラッシャー軍団と共に光輝へ勝負を挑んだのだ。

 ターレスが先行して光輝に攻撃を仕掛ける。しかし光輝は軽々と躱して行く。ターレスを補助する様に他の仲間も光輝に攻撃を仕掛けるが光輝は軽々と躱す。

 拳と足、合計24本が光輝に襲い来るが光輝は見ずともそれらを避けていく。

 

「どうした! お前らの力はこんなものか!」

 

 光輝はそう叫びつつレズンの脚を掴みアモンドの顔面へ投げつける。

 後ろから拳を振るってきたダイーズの拳を止めてカカオの攻撃のルートへ突き出しダイーズがカカオの攻撃を食らう。

 ラカセイとターレスの攻撃は空中で前転して躱して地面へ着地して後ろの面々を見ると

 

「クソ、コケにしやがって!」

 

「ンだっ!」

 

 ターレスの言葉にカカオが同意する。

 光輝は自分が強くなっている事を実感しながらも油断しない。だから明後日の方から不意に飛んで来た気弾も弾いた。

 

(ターレス達も驚いている。という事は知らない奴か)

 

 光輝はそう思いながらもその明後日の方を着いた。そこには小柄の人物が他の3人を引き連れている。

 光輝は自分に攻撃してきた時点で友好的な奴ではないと考える

 仲間っぽい3人はそれぞれ『ニッキー』『サンショー』『ジンジャー』と呼ばれる。

 

「お前は誰だ?」

 

 そうリーダーっぽい小柄の男に尋ねる。男はその表情を邪悪に歪ませ名乗る

 

「俺はガーリックの息子……ガーリックJrとでも呼べ」

 

 何かニンニクみたいな名前だな。誰だよ名ずけた奴。そんなネーム俺じゃなくても嫌だぞ。愛美との子供……愛美欲しいのかな? 

 ……そもそも作り方知らないけど。最後にお母さんに教えて貰った時確かキャベツ畑からコウノトリが運んでくれるとか言われたけどやっぱりそうなのかな? 

 

「で、Jrさんは俺に何か用ですか?」

 

 ターレス達を警戒しつつJrに聞いた。Jrは鼻で笑いながら答えた

 

「決まっている。俺が全宇宙を掌握する為に目に付いたお前を手始めに殺す」

 

 案の定ヤバい奴で逆に安心した気もする。……いや安心しちゃあかんやろ。何か悟空さん達の敵達って物騒な人が多いよな。今更か。……その物騒な人が一般には手が付けられない人達が多いというのも考えものも気がするが。

 ターレスがそれならとガーリックJrへ共同戦線を持ち込む

 

「ならばこの小僧を共に殺そうじゃないか」

 

 ガーリックJrはそこでターレスを見て目を厳しめに細めて言った

 

「貴様と手を組む訳ないだろう。孫悟空」

 

 その名前にターレスは疑問の顔になっているのを見て俺はこのターレスが悟空さん達と戦う前のターレスと察した。教えてやる義理はないが修行として相手は多い方がいい

 

「孫悟空って言うのはお前に分かりやす言えばカカロットだよ」

 

 それにターレスは少々驚きつつもガーリックJrへ

 

「俺をあんな下級戦士と一緒にするな。サイヤ人の下級戦士の顔のタイプは少ないからな。俺とカカロ……孫悟空が似ているのも無理はない」

 

 その下級戦士がめちゃくちゃ強いんですがそれは。そう言えばこいつら神精樹の実は植えていないのか? まぁあろうがなかろうがどっちでも良いが。ガーリックJrは疑いの眼をターレスに向けている。俺はこんな奴が悟空さんと同一人物と疑われるのが嫌だからガーリックJrに向けていった

 

「ガーリックJr、こいつは本当に悟空さんじゃなくてターレスって言う悟空さんとおなじ種族のサイヤ人だよ。つまり悟空さんでは無い」

 

「いや俺の自己紹介を取るな」

 

 とターレスが言っているが知ったことでは無い。ガーリックJrは俺の言葉を見定めている。しかしどう考えてもターレスと悟空さんは違うぞ。先ずターレスの方が肌黒いし戦闘服だし何より顔が悪そうだし。

 ガーリックJrも同じ感想になったのか鼻を鳴らし

 

「ならば今だけ共闘しよう。但しその後は貴様らだ」

 

「くっくっく、良いだろう」

 

 というかガーリックJr達が俺に攻撃した理由って最初に目に入ったからだよな? 何かそれ小一の時に愛美がやっていたポケモンとかいうゲームで主人公が前を通ったからバトルを吹っかける奴らを思い出すな。あれって大分失礼な気もする。……俺も人の事を言えなかったわ。

 

「よし、先ずはお前達から行け!」

 

「はい、ターレス様!」

 

 そうダイーズが言ってターレス一味のターレス以外が光輝に襲いかかる。ガーリックJrの後ろのニッキー、サンショー、ジンジャー、合計8人の敵が光輝へ襲いかかる。

 光輝は影分身も使わずに迎え撃つ。

 8人は光輝の周りを嵐のように駆け回りながら攻撃をしようとする。

 

「ほっ、よっ!」

 

 光輝はそう余裕の声を出しながら躱していく。と言うよりガーリックJrが連れていた3人が想像以上に弱い。ターレス一味の方がずっと強い。

 

(悟空さん色んな敵と戦ってたんだから戦闘力の幅もそりゃああるか)

 

 そう内心で思いながらジンジャーの腹部へ一撃決める。それによってジンジャーは倒れ光輝はジンジャーを台にして飛び上がる。そしてその背に頼もしい二刀の重さがどすんと乗る。そしてその重さの元の鍔を握り勢いよく引き抜き二刀流へ

 そしてその刃の部分へ印を結び風遁の性質変化を纏わせた。

 

「おらよ!」

 

 その叫びと共に光輝はその二刀を振るった。ジンジャー、ニッキー、サンショーが光輝に向かった。そして空振りした光輝を嘲笑いながら接近し……八つ裂きにされた

 

「ギャ──ッ!」

 

 ニッキーが思わずそう叫ぶ。何故ならニッキー所か3人共切れ目が入りその切れ目から血が溢れ出す。光輝はその3人を纏めてガーリックJrの場所へと蹴り飛ばした。目の前に落ちてきた部下達をJrは見下ろす

 

「ガーリックJr様……申し訳ございません」

 

 そう謝ったニッキーをJrは鼻で笑う。そしてその手を部活三人衆に向けて紫色のエネルギーが溜められた。ニッキー達はガーリックJrガーリックやろうとしている事に気が付き目を見開いた。

 

「ガーリックJr様! な、何を!?」

 

「貴様らはもう用済みだ」

 

「が、ガーリックJr様あぁ!!」

 

 それがガーリックJr三人衆の最後の言葉だった。

 

(クウラもそうだけど慕ってくれてるんだからその有難みを分かっとけよ)

 

 と光輝は心の中で言った。光輝がガーリックJrの元へあの3人を送ったのはそのままどっか行って降参しろと言う意味でやったのだがそうはならなかった。

 別に光輝はあの3人に同情はするが助けようとは思わない。向こうも命を狙われる覚悟で自分に挑んできたんだろと思っているからだ。

 

「はぁ……」

 

 光輝はため息をしつつ残りのターレス一味を迎え撃った。しかし今の光輝に挑むには全員力不足で簡単に返り討ちに合う。そして光輝はまた最後の選択として5人をターレスの元まで吹き飛ばした。

 

「た、ターレスさま……」

 

 その瞳は不安で揺れ動いている。先程のガーリック三人衆の事を見たから余計にだ。ターレスは腕組をやめてその掌を部下達に向ける。

 そして先程の断末魔を響かせながら部下達は消え去ったのだった。

 それを上空から見た光輝はため息を着く。剣を鞘入れながら相手に言った

 

「お前ら、見殺しにした俺が言う事でも無いが慕ってくれる人の有難みをもうちょっと分かった方がいいぞ」

 

 ターレスとガーリックJrは光輝を見上げ

 

「ふん。弱い部下等必要ない」

 

「同意だ」

 

 そう言う2人に少しイラつき度が上がっているがそんなのはどうでもいい。この2人は俺と戦いたいみたいだからな。

 俺は2人を見下ろし

 

「来い」

 

 ただそれだけを言った。俺がラスボスっぽくなっていると自分でも思いながら接近してきた2人を迎え撃つ。四方八方から襲ってくる2人の攻撃は即席コンビだからかやはりバラバラで逆に戦いやすい。ターレスの拳を止めてガーリックJrの攻撃も止める。そして体格的に攻撃の当たりやすいターレスの腹部に膝蹴りをお見舞する。

 

「グハッ!」

 

 そして思わず離れたターレスの手をほっぽいて次はガーリックJrをぶんぶんと振り回しターレスへとぶつける。

 面白い位2人は吹き飛びターレスが苦言を言う

 

「貴様弱すぎだ!」

 

「黙れ! 貴様が俺様に合わせないからだ!」

 

 そんな喧嘩をし始めた2人と同じ高さになりながら光輝は呆れた視線を向ける。どう考えても光輝を倒す為に今は協力すべきなのに喧嘩していたら勝てるものも勝てないでは無いかと。

 

(……何か俺がラスボス思考になってるの気の所為か?)

 

 ALOで逆に光輝がラスボス説が出ているが自分でも思い始めてしまう始末。まぁそのALOも暫く……或いは永遠に行けないかもしれないが。光輝がドラゴンボールを集めれずに死んだらそこで終わりなんだから。

 

「く、クソーっ!」

 

 ガーリックJrはそう叫び変身した。全体的に暗い緑色になって上半身も裸になっている。そして気もさっきと比べたら上がっている。あくまでもさっきと比べたらという話だが。そしてターレスの事は忘れて光輝へ突撃する。

 

「ガタイは良くなったがそれだけじゃな」

 

 光輝はそう言ってガーリックJrの目の前から消え次の瞬間にはJrの背中に現れていた。ガタイが良くなるのは強そうと思わせる事は出来るが相手に勝てるかは全くの別問題だ。

 そして強烈な膝蹴りがガーリックJrの背中に突き刺さりガーリックJrは真下の地面へと真っ逆さまだ。

 光輝の後ろからターレスが迫るが光輝はまるで後ろに眼がついてるが如くノールックで躱す。そしてターレスの蹴りを脇に挟み込むように止めてその脚を持ってガーリックJrの元へと投げ飛ばした。

 

(自信過剰だけど俺が強くなりすぎたのか?)

 

 とターレスと初めて戦った頃を思い出しながら心で呟いた。真下では未だに喧嘩をしている。光輝はまたかよと思いながら地面へと降り立つ。

 それを見たターレスとガーリックJrは苦虫を噛み潰したような表情になる。そしてガーリックJrはターレスに言った

 

「おい貴様。俺に考えがある。あいつを永遠の地獄へ落とす方法だ」

 

「ほう? 良いだろう。乗ってやる」

 

 直ぐに気分が良さげになったターレスを見てガーリックJrは気を高める。その間ターレスが光輝に肉弾戦を仕掛ける。

 

「こいつ!」

 

 そうターレスは攻撃が当たらない事に苛立ちの声が上がるが上げるだけで攻撃が当たるなら苦労しない。しかし少しの時間稼ぎでガーリックJrの準備は整った

 

「デッドゾーン!!」

 

 そう叫びながらガーリックJrが作り出したのはパッと見ブラックホールに似ている穴だった。そしてそのデッドゾーンとか言う技はそこら辺の瓦礫を吸い込み始めている。

 

「成程、人工ブラックホールって所か」

 

 ブラックホール……極めて高密度で、強い重力のために物質だけでなく光さえ脱出することができない天体である。デッドゾーンはそれを模したのかもしれないな。

 

「ハハハ! このデッドゾーンは閉じ込められたら最後、脱出は出来まい!」

 

 まぁ実際俺はデッドゾーンに引っ張られている感覚がしている。あの中に入ったら多分次あいつがデッドゾーンを出すまで俺は出れないか或いは永遠に出れないって事か。阻止しようとしてガーリックJrに気功波の類の飛び道具を使ってもガーリックJrじゃなくてデッドゾーンに吸い込まれてしまうから意味が無い。

 でもなぁ……

 

「なっ! 何だこれは!? 吸い込まれていく」

 

 ターレスがそう驚きガーリックJrが裏切った事に気が付き奥歯を噛み締める。

 

「貴様アア!!」

 

「馬鹿め! 最後に勝つのはこの俺だ!」

 

 ターレスは逃れようとしているがデッドゾーンは時間が経つ度にその吸引力も上げていく。最初のデッドゾーンならば兎も角今のデッドゾーンからターレスが逃げられるかは別問題だ。……最もターレスの意思なんて関係なく

 

「という訳でターレス、お前は終わりっと!」

 

「なに!?」

 

 光輝はその瞬間普通に耐えているターレスの背後に来てデッドゾーンへと蹴り飛ばした。ターレスにデッドゾーンの吸引力と光輝の攻撃から体制を取り直す術はなかった。ターレスはデッドゾーンへと吸い込まれて行った

 

「ちくしょーー!!」

 

 そう呪怨の声を上げながらターレスは生き地獄への道を進んだのだった。しかし光輝もまだ自分の不味い状況までは変わっていない。

 だけど光輝はまだ余裕の表情で次の瞬間、デッドゾーン真下のガーリックJrの元へと一瞬で姿を現した。

 

「──!?」

 

 そのスピードにガーリックJrは目を見開いたがもう遅い。光輝はガタイが良くなって捉えやすくなった顔面……顎へ思いっきりアッパーを噛ました

 心做しかガーリックJrの歯が折れた音がしてガーリックJrはデッドゾーンの真ん前へと出てしまった。

 

「お、俺は不死身だーーっ!!」

 

 確かにこのガーリックJrはドラゴンボールで不死身になった時のガーリックJrだ。だがそれは生き地獄行きのものとしては致命的な弱点だ。

 何故なら不死身になったという事は死ぬにも死ねないということ。つまり生きているのに死んでいるみたいな状態になるという事だ。

 まぁ、光輝はガーリックJrが不死身になっているのは知らないんだが。

 

「じゃあな、ガーリックJr」

 

「クソぉぉぉ!!」

 

 光輝の言葉と共にガーリックJrはデッドゾーンへと吸い込まれて行ったのだった。そうすると術者がいなくなったからかデッドゾーンは消えて戦いの前の静けさに戻ったのだった。

 

 




お疲れ様でした。
愛美の世界上空に現れた歪みはゴクウブラックが鎌を使った時に出来たあれを思い浮かべてくれたらいいです。あれの超縮小版。それか愛美が言った通り超獣が現れる前の空のひび割れ。

光輝、ターレスと再戦。ガーリックJrは半ばおまけ。今更考えたらここスラッグで良かったと書き終わってから気がつく始末。構想練ったくせにグダグダでごめんなさい。
光輝、ボス化笑

(*´∇`)ノ ではでは~


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意思無き人造人間

おはようございます。
タイトル通り人造人間出ます。
⊂('ω'⊂ )))Σ≡GO!!


 デッドゾーンがあった俺のいる地面よりも上空を少し見た後俺は背伸びした。この色々くっついてしまった世界での初めての戦闘にしちゃ上出来だろ。

 本当に不死身なら笠木と同じく氷漬けかでっかい鉱石にするつもりだったけどな。

 

 光輝は内心でそう言いながら少し浮き上がる。そしてその手にドラゴンレーダーを持って反応を見る。そうすると北の方に反応が1つある。

 ドラゴンボールには俺が知っている限り5種類ある。

 1つは普通の神龍が出てくる普通のドラゴンボール

 2つ目はポルンガって言うナメック星の神龍が出てくる少し大きめのドラゴンボール

 3つ目は地球の神殿にあってピッコロがデンデの前の神様と分離する前に作られた究極ドラゴンボール

 4つ目はビルスとその弟さんのシャンパが管轄する第7、第6宇宙に跨って存在している一つ一つが星1つ分で今回の事変で使われた超ドラゴンボール

 5つ目は見た事は無いけどトランクスが話した暗黒魔界の人達が作った暗黒ドラゴンボール。

 

「超ドラゴンボールと暗黒ドラゴンボールは除外しよう。暗黒ドラゴンボールはそもそもあるかも分からない。超ドラゴンボールは星一個分なんて持っていけない」

 

 暗黒ドラゴンボールに関しては本当にあるのかすら分からない。何故なら歴史を跨って散らばっているから運良くあったとしても全部揃うとは限らない。時の界王神曰く繋がってない世界もあるからそう考えた。

 超ドラゴンボールは単純に持ってけないから。揃えられたら1番確実に歴史は戻るだろうが持っていけないんじゃ仕方がない。

 

「あれ?」

 

 光輝はそう不思議そうな声を出した。何故ならそのボールのある方向に恐らく戦っている気を感じたからだ。気を放出しているのは2人だ。そしてその2人の気を光輝は知っている。

 だが戦っている相手が誰かが分からない。何故ならその2人以外の気がそこに居ないからだ。修行とも考えられるが2人はぶつかり合うことなく戦っている。

 

「……行くか」

 

 光輝はそう呟き舞空術で飛翔した。山々のパノラマを超えて光輝は更に北に向かった。そして少し経ち光輝の世界で言う南極のような氷だらけの場所まで来たらその2つの気の持ち主と2人が戦っている相手が分かった。

 

「孫悟空を殺す事を邪魔する奴は例え子供だろうと殺す」

 

 そう帽子を被り「RR」というロゴがあるジャケットを着て上半身を露出させている3人の内真ん中の男が言った。

 その右側には3人の中では1番の小柄で紫色の肌とサングラスをかけて同じく「RR」のロゴがある帽子を被っている男もいる

 左側には逆に1番の巨漢で白色の肌を持っている筋肉質の男。

 

「だからお父さんはいないって言ったら何度言ったら分かるの!」

 

 そう叫んだのはほぼ悟空の生き写しの少年……孫悟天。そしてその隣には悟天よりも1つ年上のトランクスがいた。その2人は少しボロボロだ。

 

「ふん。ならば貴様を生け捕りにしたら他の孫悟空が来るだろう」

 

 そう言ったら左の白色の肌の巨漢の男と紫色の肌と緑色の帽子を被っている男達がその手に気弾を形成した。それは今の2人を気絶させるのに十分な威力だ。

 そして2人はその気弾を悟天とトランクスに放った

 

「これはヤバいって! 間に合わねえ!」

 

 そうトランクスが叫ぶ。悟天は思わず眼を閉じた。トランクスも思わず眼を瞑った。そして2人は衝撃に備えようとしたがどういう訳かその衝撃が来ない。2人が恐る恐る眼を開ければ目の前に双剣を背負った光輝が片手を上に上げた状態で目の前にいた。次の瞬間には上空から爆発音が聞こえ2人が上を見ると煙が上がっていた。

 

「何者だ?」

 

 そう真ん中の男……人造人間13号が聞いた。光輝は片手を下げながら答える

 

「答える義理はないな。大の大人が子供に手加減しないとは……あ、お前らは人造人間だから容姿と年齢一致はしないか」

 

 そう納得の声を出した光輝を13号は訝しげに見る。そしてデータと照合するが光輝のデータは見つからない。当然である。そもそも光輝は異世界人なのだから。

 右にいる15号と14号も光輝のデータは無く警戒に顔を厳しめにする。光輝は後ろの2人に言った。

 

「2人は休んでてください」

 

 子供の2人でもつい敬語になってしまう。普段俺よりも年上の2人としか触れ合っていないからって言うのがあるからだ。

 しかし俺の言葉に悟天さんとトランクスさんは反発する

 

「嫌だ! 僕達も戦えるよ!」

 

「そうだそうだ!」

 

 嫌今やられてたじゃん……と言っても聞かないか。というより今考えたらこの2人は魔人ブウとの戦いの前の2人か。悟天さんが悟空さんの事知らなかったし。

 俺は構えながら2人に言った。

 

「じゃあ絶対に無理はするな。危なくなったら俺が助ける。お前らはあの左右の奴らを頼めるか?」

 

「オッケーっ!」

 

「分かった!」

 

「よし、行くぞ!」

 

 光輝のその言葉と共に悟天とトランクスは超サイヤ人へと変身。光輝は通常状態のまま人造人間13号の元へと突撃した。

 13号は飛び上がり光輝を迎え撃つ。

 

「貴様は孫悟空を知っているか?」

 

「そりゃあ俺の師匠だからな!」

 

 そう言い合いながら拳を交換する。しかし光輝の言葉を聞いた13号は光輝の右の拳を止めて不敵な笑みを浮かべながら聞いた

 

「ほう、ならば場所を教えてもらおうか」

 

「嫌だね」

 

 そう言いながら直ぐに切り返し13号の顎を蹴りあげた。光輝は13号の脚を持ってぶんぶんとハンマー投げのように振り回し下の氷水ならぬ氷海へと投げ飛ばした。

 しかし手応えは無い。人造人間だからか痛みが無いからだろう。

 

(ほんと……人造人間を相手にする時は何か震えちまうな)

 

 光輝のトラウマの元が人造人間によって作られたものだからそれも当然だろう。人造人間16号に17、18号の3人組に光輝はやられ未来の悟飯を死なせてしまったのだから。

 16号は自力で倒したが残りの2人には体力の問題で敵わなかった。間接的な原因はシーラス達かもしれないがトラウマを入れたのは間違いなくあの人造人間達だろう。

 光輝は手のひらを見つめていたがその視線を氷海から上がってくる13号へ向けた。

 

「お前らは何で悟空さんを狙う?」

 

「俺達はドクター・ゲロの作り出したコンピュータが奴の死後、奴の怨念で作り出し孫悟空を殺す為だけに作り出された人造人間だ」

 

「……なるほど」

 

 ドクター・ゲロ……殆ど全ての人造人間の生みの親。ぶっちゃけセルとか17号とかはこいつが戦犯。確かレッドリボン軍って言う組織の科学者で子供の悟空さんに崩壊させられた時の生き残り。そのドクター・ゲロが使っていたコンピュータが勝手に意志を継いでこいつらを作るとはな。その科学力絶対世間の役に立っただろうに。

 

「つまんない生き方だな」

 

 光輝はそう呟いた。誰かの言う事を聞くのが悪いとは思わない。それが悪いのだったら大概の子供が悪い事になる。だが全部誰かの言う事を聞くのはつまんないとしか思わない。楽の道に行きたいなら勝手にすれば良いが他人に迷惑かけるなとなる。

 SAOやALOのボス戦だって光輝は偶に自分の意思でスタンドプレーをした事があるが大体はボスをそのおかげで倒せた事がある。

 何が言いたいのかと言うと自分の意思が無い人生なんてつまんないという事だ。

 勿論その呟きは13号にも聞こえピクっとしたが無表情の機械の顔に戻り言った

 

「貴様には関係無い。俺達の邪魔をすると言うのなら貴様の様な小僧でも殺す」

 

「やってみろよ。他人の言う事しか聞くことが出来ないやつが俺を殺せるならだけどな」

 

 その瞬間、2人はその場から姿を消す。そして悟天とトランクスから離れて拳と脚がぶつかり合う。ぶつかり合う度に轟音が鳴り響きそこら辺の氷が割れていく。

 しかしそんな音が鳴り響いているのにも関わらず2人の状況は光輝が圧倒的だ。13号の腕を払いながらその立派な腹筋へ光輝の拳が突き刺さる。

 

「グッ!」

 

 痛みは無い筈だが衝撃はある。それによって13号は体を晒す。光輝はそんな13号へラッシュを仕掛けた。顔、腹部、下半身に拳と蹴りの嵐が13号に襲いかかる。13号は拳か蹴りを止めようとするが光輝の方がずっと早い。

 

「どうした! 俺を殺すんじゃなかったのか!」

 

 そう仕掛けながら光輝は叫ぶ。13号は次第に防戦一方になり両腕をクロスしてガードをし始めた。しかしそんなのは光輝には関係無い。

 ガードをしている腕を蹴り上げまた上体を晒した。そして蹴り上げた足でそのままかかと落としをして13号をまた氷海へと吹き飛ばす。

 

「ふっ」

 

 今度は見送るなんて真似はせずに追いかけ13号の横腹を蹴っ飛ばして氷海の水面を裂かせた。13号はそのまま氷塊に轟音と共にぶつかった。

 氷に頭突きなんて俺もした事ないな。というか動いてなきゃ寒い。

 そんな事を考えていたせいだろうか、13号を吹き飛ばした氷塊が爆発して氷が飛び散る。

 

「ダメージを受け無いってメリットなのかデメリットなのかよく分からなんな」

 

 痛みがあれば漠然と今の自分の状態が分かるが痛みが無いのならどうやって不味い事を知るのだろうか? やっぱり状況とか何となくか? 

 凡そ100メートル程離れた場所にいる13号は肩を上下させてる。そしてそこから言ってきた

 

「小僧……その力は」

 

 その問に光輝は答えない。13号は客観的に見て自分が光輝よりも弱いと分かった。だけれどもその余裕の笑みは変わらない。その理由は

 

「だが……俺一人で勝てなくとも14号と15号が来ればお前を殺す事が出来る」

 

 つまり悟天とトランクスは遠回しにその2人に勝てないと言ったも同然。それはある意味仲間への信頼である。その点はさっきのターレスとガーリックJrとは違うようだ。

 しかし光輝は腕を組みながら反論した

 

「どうかな? あの子達が勝ってるって事も考えられるぜ? ベジータさんがよく言っていたからな」

 

 光輝がそう言った時、光輝の上空から2つの人影が13号の元へと吹き飛ばされて行った。2人とも13号と同じ氷塊に激突しその氷塊が崩れていく。吹き飛んだ人影を見ずに光輝は隣に並んだ2人の小さき戦士達に言った

 

「サイヤ人に限界なんて無い! ってな」

 

 そんな光輝の隣では悟天とトランクスが息を切らしながらもいた。その気は光輝が助けに来る前よりも上がっている。超サイヤ人のままだが限界を超えたのだろう。

 

(ベジータさん、態度には出さないだろうけど喜びそう)

 

 とか光輝は思っていた。最も光輝はベジータに喜ばれた事何て無い。超サイヤ人、超サイヤ人2になった時も「やっとか!」みたいな眼で見られていた。しかしベジータ誕生から超サイヤ人になるまでと光輝がサイヤ人になってから超サイヤ人になるまでの期間を比べたら光輝の方が早いのだが。

 巨漢の14号と小柄の15号は2人とも氷塊から抜け出し13号の隣に並ぶ。

 

「お前達、力を貸せ」

 

 13号はこの状況を不味いと思ったのかそれとも悟天とトランクスの成長に警戒心を上昇させたのかそう言った。13号は2人に言うのと同時にその両手を広げそこに赤い球体が出てきた。

 14号と15号は答えずとも13号の赤い球体へとその手を添えた。そうするとその赤い球体が大きく変化する。

 

「こいつには地球を丸ごと消し去る程のパワーがある。貴様達に止められるかな?」

 

 その言葉に悟天は歯を食いしばる。地球を丸ごとというワードに自信が無くなっているのだ。魔人ブウと戦った後なら自分も地球を丸ごと消し去る程のパワーを出せると知っているがこの悟天は魔人ブウはおろかまだ悟空にすら会った事が無い。

 光輝はそんな悟天の肩に手を乗せた

 

「何自信を無くしてるんだ」

 

「で、でも……」

 

「君は強いんだ。あんな命令しか聞けない奴らなんかよりもずっとずっと強い。自信を持て」

 

「そうだぜ悟天! 俺達は強いんだぜ!」

 

 親友トランクスのその言葉に悟天は頷いた。それを見てタイミングを合わせた訳でも無いが赤い球体のエネルギーを溜め終えた13号が叫んだ。

 

「喰らえ! SSデッドリーボンバー!!」

 

 そう叫びその両手を勢いよく突き出しその巨大な赤色の球体を光輝達に放った。周りの氷塊が抉られ崩壊していく。光輝達はその赤色に照らされ今だけ髪が赤くなっている。しかし光輝は退かずその右手を突き出した。そこから白色の光弾が形成される。そして今度はトランクスの目の前に西洋風のロングソード出てきてトランクスは慌てて掴んだ。今まで持ったことも無い重さの剣の柄を持ちながら光輝を見ると光輝は力強く頷いた。

 

(ベジータさん、技借ります!)

 

ビックバンアタ──ック!! 

 

 ベジータが開発した技で巨大な光弾を打ち出す技だ。光輝はベジータから教わったがぶっちゃけ普通の光弾と何が違うのか分からない。だがベジータが熱心に教えてくれたから何か普通の光弾と違う所があるんだろうと勝手に思っている。

 そのビックバンアタックがSSデッドリーボンバーへ突き進む。

 そしてSSデッドリーボンバーぶち当たる。

 

「ぐっぐぐ……!」

 

 13号は歯を食いしばる。大きさ的には光輝のビックバンアタックの小さいのにも関わらず全く押し返せない。まるで山の如く動かない。それどころかビックバンアタックが押してSSデッドリーボンバーの中心部へ進み始めている始末。

 

「な、なんだこのパワーは! データには無いぞ!」

 

 それを見て焦り始めた13号が思わず言った。14、15号も歯を食いしばって押し返そうとするが押し返そうとする度逆にビックバンアタックが更に浸食する。そんな焦り始めている3人を見て光輝は聞こえるように叫ぶ

 

「データデータうるさいんだよ! 臨床データなら兎も角”戦い”にそんなもんを持ち込んだ時点でお前らの負けは確定してんだよっ!」

 

 光輝の叫びに呼応するようにビックバンアタックがとうとうSSデッドリーボンバーの中心部に入り込みそこを起点に辺り一帯を吹き飛ばすほどの大爆発が起きた。その余波は人造人間達を思わず吹き飛ばす程だった。光輝は爆発に紛れ込みながら悟天とトランクスへ叫んだ

 

「行けっ!」

 

 光輝のその言葉と共に隣で浮遊していた二人は今の全力を持って消えた。そして次の瞬間悟天は15号、トランクスの目の前へと肉薄していた

 

「やあああああ!!」

 

「うおおおおお!!」

 

 悟天は拳を15号へ、トランクスは光輝から借りた剣を14号へ斜めに振り下ろした。

 一瞬の静寂

 13号の右にいる15号の首が吹き飛び爆発、左にいる14号は斜めに切れ目が入り爆散した。

 

「な……ッ!?」

 

 13号は最初戦っていた時の2人よりもパワーアップしている事に目を見開き驚愕する。そんな驚愕をしている13号をよそに悟天とトランクスは無理に13号へ追撃せずに光輝の所まで後退した。

 

「どーだ俺達の力!」

 

「お前達なんかに負けないやい!」

 

 そう2人の人造人間を倒した2人は言う。その表情はやはり嬉しそうである。さっきまでボコボコにされていた奴らに勝てたのだからそれも当然だろう。

 13号は苦虫を噛み潰したような表情をした後、光輝を憎悪の眼で見る。光輝はその視線を受け止め言った。

 

「お前は何でドクター・ゲロの言いなりになる。何で自分の意思で道を選ばない!」

 

「黙れ! 俺は人造人間だ! プログラムされた通りに動くのが俺達だ!」

 

 そう叫んだ13号に異変が襲った。唐突に人造人間だから出るはずのない気のオーラ、それも紫色のバーナーを吹きあがらせた。それはつまり

 

(成程……この事態はシーラス達か。どこかで俺を見ているのか)

 

 或いは悟空さん達が話してくれた暗黒魔界の科学者とか言う奴かもしれないが分からない。だがこの変化はもう見飽きたってのが本音だが。

 この紫色の気を纏った奴は大概本当の歴史の奴よりも強くなる。後スミレの鵺の精神操作を受けた時みたいに凶暴化する。

 本当は暗黒魔界の科学者が使っていた技らしいけどシーラスのやろうパクったんだろうな。最も完成度は低い様だが歴史を乱すには十分だろう。

 

「うぉおおおお!!」

 

 そう13号が叫ぶと13号を中心に風が吹き荒れる。悟天とトランクスは吹き飛ばされかけるが光輝が2人の肩を支える。

 そんな中、13号に更なる変化が起こる。先程爆散した2人の人造人間の戦闘データチップと動力炉が慣性の法則を無視しチップは13号の両耳に、動力炉は両胸辺りに吸収された。

 

ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!! 

 

 そんな光輝には理解不能な雄叫びを上げながら13号の姿が変わっていく。ジャケットが吹き飛びその肌色の肌が青色に変化し筋肉も隆起し、オマケに眉毛もなくなっている。

 そして白髪だったが赤髪に逆立ちながら変化して13号の眼が白眼になる。

 

「ちっ!」

 

 気を感じなくても分かる。相当パワーを上げたんだなということが。それがどれ程のものかは分からないが言いなりになるような奴には負ける気は無い。

 ……俺は何で言いなりになっているこいつを見てムカつくんだろうな。未来の人造人間17号と18号はドクター・ゲロの言いなりではなく自分の意思で世界をめちゃくちゃにしていた。それはそれでダメだがあれはある意味自分に従っているだけだ。

 そこで俺は何でこいつがムカつくのか何となく分かった。

 

「……成程、俺はユージオやアリス、ユイちゃんと比べてムカついてたのか」

 

 ユージオにアリスさん、ユイちゃん……この3人は或る意味で人造人間だ。3人とも人間に作られた、或いは人間が作った世界で生まれたのだから。

 前者の2人は人間に作られた世界……アンダーワールドで、ユイちゃんは茅場によってプレイヤーのメンタルヘルスを管理する為に。

 だけど前者2人は上位者に運命られた呪縛を打ち砕き今は自分の意思で生きている。ユージオとアリスさんはアンダーワールドでその呪縛を打ち砕きあの世界を平和にする為に戦った。

 ユイちゃんに関しては呪縛も何も俺がヒースクリフに戦う前の条件としてキリトのナーヴギアに避難させたからあれだがユイちゃんとアスナさん、キリトの絆は本物であの二人の為にユイちゃんは自分の意思で頑張っている。

 

「だけど……」

 

 こいつは違う。自分達は作られプログラムされた悟空さんを殺す為だけに今を生きている。自分は人造人間だから、と。

 最早暴走気味になってしまっている13号を見ながら俺は悟天さんとトランクスさんの前に出て怒気を含みながら言った。

 

「人造人間、それがどうした? 例えプログラムされてようが、今そこにいるのは紛れもないお前だろうが!」

 

 光輝はそう叫び白色の気を纏う。

 

「ソン……ゴクウ!」

 

 光輝の言葉は届いておらず14号と15号と合体した合体13号は凄まじい勢いで光輝に迫る。しかし光輝は慌てた様子も無く合体13号を指さし叫ぶ。

 

「そんな中途半端野郎が俺に勝とうなんざ、100万年早いぜ!」

 

 上位者のプログラム通りに遂行しようとする人造人間と上位者の呪縛を打ち砕いた仲間を見てきた戦士が激突した

 

 

 

 




お疲れ様でしたm(*_ _)m。
光輝、アリスやユージオにユイをずっと見てきたから命令通りにしか動けない13号に怒りプンプン状態。
17や18号は自分の意思で動いて尚且つ人を殺しまくっていたので単純に怒りをぶつけたけれども13号には違うと言う。
では明日ヾ('ω'⊂ )))Σ≡サラバ!!


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覚醒せし人造人間

おはようございます。13号戦決着です。自分でも書いてて2話使うとは思わなかった。間違いなく∞ サバイバル編が1番長くなると思います。ガチで。
⊂('ω'⊂ )))Σ≡GO!!


「ただいまー」

 

 愛美はそう言いながらドアを開けた。靴を脱いでいたら弘樹が話しかける

 

「おかえり。外の見たか?」

 

 愛美はカバンを置きながら頷いた

 

「うん。何か……怖い」

 

 外のというのは今光輝と同じ位話題になっている上空にある切れ目の事だ。楓達によると日本にも同じものがあるらしい。

 笠木にその笠木を消した仮面の男が現れた後だからか不安になっている人々が多い。かく言う愛美も本当は不安だ。

 光輝のメールがそれに歯車をかける。理由を聞こうとメールしても返事がない。愛美は時計を見てまだ晩御飯まで時間があるのを確認し自分の部屋に向かう。

 その長い綺麗な蒼髪を髪を解きながらベッドに座る。そして光輝から貰ったアミュスフィアを手に取る。未だに未来的なデザインのアミュスフィアを少し見たあとヘッドギアを装着しベッドに横たわる。

 

「リンク・スタート!」

 

 そして愛美は意識を手放した

 

 ★★★★★

 

 地球エリア 氷河地帯、そこでは2人の戦士が激突していた。

 光輝と人造人間14号と15号と合体した合体13号、2人の激突は氷を割り海を裂く。その実力は少々光輝が負けている。

 13号は単純に2人の人造人間の戦闘力が+されているだけでは無く今までに無かったタフネスさが増えていて光輝の攻撃を受け反撃するという方法に光輝は苦戦している。

 

「ちっ!」

 

 光輝は舌打ちし水面を揺らしながら後退する。しかし13号はそんな光輝へ本能のままに迫る。そのスピードは先程までとは桁違いだ。

 そして拳と拳がぶつかり合う。それによって出る衝撃波は離れてこの戦いを見守っている悟天とトランクスにも肌に伝わってくる。

 

「す、すげー戦いだ……」

 

「う、うん」

 

 そう呆然としか言えない。2人が人造人間三人衆に出会ったのはこの世界に来て割と直ぐだ。どうなっているのか分からなかった為、探検と称して飛び回って氷河地帯に来た時に攻撃してきたのがあの人造人間三人衆なのだ。

 2人は戦ったが向こうのコンビプレーが凄まじく危ないと思った時に光輝が来たのだ。超サイヤ人になってようやく自分達は戦えたというのに光輝は通常状態で人造人間達と張り合っている。

 

「殺す……!」

 

 物騒な言葉を叫び光輝の鳩尾へ一撃が決まる。

 

「ぐっ……!」

 

 それにより光輝の動きが一瞬止まる。

 そんな隙を見逃す筈無く13号の右ストレートが光輝の顔面に突き刺さる。

 光輝は水面を抉りながら吹き飛ぶが足にチャクラを纏わせ水面の上に立つ。そして迫り来る13号へ気弾の弾幕を張るが13号は喰らおうがお構い無しに突き進む

 

「ちょっ頑丈すぎだろ!」

 

 思わずそう叫び光輝は上空に飛んだ。13号も方向転換して上空に向かった光輝を追う。

 そして光輝はある程度まで上がった時、再び勢いをつけながら13号に拳を握り突撃する。13号も右の拳を握った。

 

「おぉぉおおお!!」

 

「はあああああッ……!!」

 

 お互いに叫び2人の拳が垂直にぶつかり合った。その余波は悟天とトランクスの元にも轟き2人は踏ん張る。

 そして2人が次に2人を見ると空中で相対していた。光輝は少し右手首を抑えている。

 

(痺れちまったな……これがこいつの……こいつらの本気か)

 

 一方13号は牙を剥き出しながらも光輝をその白目で見据える。光輝は右手首を抑えるのを止めて13号ににっと笑いながら言った。

 

「強いな……ほんと、悟空さん達が羨ましいな。こんな強い奴らと戦ってきたんだから」

 

 光輝の世界の一般人が聞けば「いや来なくていい!」と誰もが言いそうだが光輝は真面目にそう思った。勿論危機感はある。目の前の13号にしろフリーザやら……光輝が戦ってきた敵達は何れもやろうと思えば光輝の大切なものを一瞬で奪う事が出来る力の持ち主達だからだ。しかしそれを度外視すれば強い人と戦ってきた悟空達を光輝は羨ましいと思う。

 

「人間は矛盾だらけとはよく言ったものだな」

 

 そう苦笑しながら光輝は気を高める。それに伴い光輝の足元の水が光輝を包むように水柱になる。

 矛盾と言うのは愛美達を失いたくないから戦うのに強い奴とは戦いたいと思ってしまう自分の事。それに対して苦笑したのだ。

 笠木との2回目の戦いの時はそんな強い奴らと戦いたいと考える余裕は余り無かった。

 その後だと最初のヒースクリフと会った時に初めて強者と戦いたいと思ったのだ。最もそれ以降はそんな強い奴と戦いたいなんて考える余裕は無かったが。

 

「これもサイヤ人の血か或いは単純に悟空さん達が移ったのかもしれないけど」

 

 そして光輝は気を静かに高め終え水柱は再び海へ帰る。光輝の姿は変わっていない。通常状態で気を引き出したに過ぎないからだ。

 

「コロ……ス」

 

「やってみろ!」

 

 次の瞬間、13号の背後に光輝は移動していた。そのスピードに13号は渋々と対応する。光輝の拳を背面で止めて見せて逆に光輝を片手で振り回し始める。

 

「ふっ……!」

 

 光輝は慌てずに足を振った。13号の顔面へぶち当たり13号はパワーアップしていたその蹴りに光輝を思わず離す。

 そしてよろけた隙を見逃さずほぼゼロ距離で気功波を放つ。轟音と共に13号は吹き飛ぶ。

 そんな13号を光輝は猛スピードで追いかけ今度は上に蹴りあげる。

 

(バーダックさんの技お借りします!)

 

 光輝は直ぐに13号へ追い付き心の中でそう言いながらまた気弾をぶつける。それによって13号は凄まじい勢いで下の氷塊へ突っ込む。

 しかし光輝の攻撃はこれで終わりではない。垂直落下のスピードを合わせながら光輝は氷塊に張り付いている13号の腹部へ13号を粉砕する勢いで拳を叩きつけた

 

「……!」

 

 その叩きつけは13号ごと氷塊をぶち割り中へと抉る。そして止まった時、光輝はその拳をパーにして13号の腹部へ当てた

 

「くたばれ」

 

 ただそう言って光輝はゼロ距離で気功波を放ち、大爆発が起きたのだった。

 

 ★★★★★

 

 氷河地帯よりも遥かに離れた緑豊かな荒野にてタイムパトロールの悟空は光輝の気を感じ取った。

 

「あいつもただ休んでいた訳じゃなさそうだな。前よりもパワーアップしている」

 

 そして光輝と悟天とトランクス気を感じその内光輝の気を確かめて嬉しそうにそう言った。光輝はウイスとの修行で黒髪状態でそれなりにパワーアップを果たしている。

 

 悟空達タイムパトロールは今それぞれ別行動で原因を探るのと同時に敵を倒していっている。しかしやたらと世界が繋がったからか広大になっているので敵の所に行くのも面倒くさいが。

 悟空達は時の界王神からの連絡もないのでこうなった原因はまだ分かっていないが悟空は予想はしていた。

 

「前にも似たような事があった。監獄惑星の時に似ている」

 

 監獄惑星……宇宙の狭間と狭間に作られた惑星だった。そこには色んな歴史の戦士達が囚人としていた。分かりやすく言えば今の事変の縮小版だ。

 そしてその首謀者は……

 

「またフューか?」

 

 そう言って悟空は他に手がかりもないのでフューを探す事にして光輝がいる方角へ一旦向いた後、反対側へと飛翔した。

 

 ★★★★★

 

 光輝は氷海の上で状態がボロボロになり紫色の気も無くなった13号を見据えていた。

 光輝は少し息を整え言った。

 

「どうした、俺を殺して悟空さんを殺すんだろ?」

 

「……オ……オレは……お前をコロス」

 

 そう言って光輝に迫るが光輝はその動きを簡単に見切りカウンターを合わせる。

 ボールの様に吹き飛ぶ。それでも立ち上がる13号の執念に光輝は内心で拍手をしていた。目的は物騒だが諦めない意志は称賛するべきだと思っているからだ。

 そしてその執念が悟空を殺す事では無く今は徐々に変わって行ってる事にも気がついた。

 

「13号、俺はお前に似ている人達を知っている」

 

 13号は理性があるのか分からない白目を光輝に見せる。光輝はその眼を真っ直ぐに受け止めながら続ける

 

「その人達は人によって作られた。上位者によって思考を制限されていた事もあった。だけどな、その人達はお前と違ってそんな呪縛も自分達で打ち砕いて、今は自分の意思で今を生きている!」

 

 そう語る光輝の眼は微妙に13号への怒りの色が見える。ドクター・ゲロが死んでもゲロに従い続けているこの13号への怒りだ。

 AIの人達を見てきたからこそ感じた怒り。命令なんかじゃなくて光輝は自分の……自分だけの意思で自分と戦う事を選んだ13号と戦いたいのだ。

 

「てめぇにだってある筈だ! 誰のものでもない自分だけの意思が!」

 

 光輝は珍しく自分から敵へ説教している。本当ならば13号にそんな説教するまでもなくぶっ倒し早くドラゴンボールかシーラス達を探すべきだが言いなりになっている13号を見ていたらイラついたのである。

 光輝の叫びを聞いた13号は白目のままだがゆっくりと口を開いた

 

「キ……サマ……名前は……?」

 

 そう合体した後から初めてまともな事を言った13号へ光輝は答えた

 

「西沢光輝……戦闘民族、サイヤ人だ」

 

「ニシザワ……コウキ……オレは……オレはオレの意思で貴様を倒す」

 

 その瞬間、13号の脳内でドクター・ゲロのコンピューターが悟空を殺すように命令する。

 

「ぐっ……うぅぅ!!」

 

『貴様は私が作った人造人間だ! 私の言う通りにするんだ!』

 

 そんな声が13号の頭へ響く。今までは忠実に悟空を殺そうと動いていたからこんな事は全く無かったが今は違う。光輝の度重なる説教に13号の意思が動き始めたのだ。それに反応したコンピューターが言うことを聞かせようとそんな事をし始めたのだ。しかし

 

「黙れ黙れ!! オレは……オレの意思で目の前のニシザワコウキを倒す……貴様の命令なんぞ……受けん!」

 

 そう叫び13号は何故か明後日の方向へ強力な気弾を作り発射した。

 

「あいつ何やってるんだ?」

 

 トランクスが思わずそう言ったが光輝には13号のやった事が分かった。それと同時に氷河地帯から離れた場所から大爆発が起きた。最も光輝達には見えも聞こえもしなかったが。

 そして少しして13号は呻いたのが嘘のように無表情のそれに戻った。しかしどこかスッキリしたようにも見える。

 

(研究所の所に気弾をぶち込んで縛っていたコンピューターごとぶっ壊したんだな)

 

 そう考えた光輝は少し口角を上げ構える。13号は構えこそしないがその圧力を復活させた。

 そして2人はその距離を同時に詰めた。互いの右のストレートをぶつけ合った。ぶつかり合った衝撃でそこら辺に浮かんでいた氷が割れる。2人は拳を鍔迫り合いの様に押し合いをする。

 

「……ぐ!」

 

 光輝は思わず歯を食いしばる。

 そして埒が明かないと考えて拳を引き右足の回し蹴りを放つ。

 しかし13号はその足を掴み折ろうとする。光輝はそうなる前に左足を振り上げる。13号は咄嗟に手を離す。

 そして光輝は一回転した後、13号にラッシュを仕掛ける。マシンガンの様に拳を13号に浴びせる。13号はその拳の雨をまともに食らう

 

「ぐっ……うぉぉおお!!」

 

 しかしやられっぱなしではなく光輝の右の拳を無差別に掴む。光輝は左の拳も13号に突き出すが13号はそれも止める。

 だから光輝は顎を蹴りあげようとしたがその前に13号は光輝へ頭突きを噛ました

 

「があっ……!」

 

 まさかの頭突きを受け光輝は苦渋の声を出す。13号は思わず動きが止まった光輝の腹部へ強烈な蹴りをお見舞いした

 

「ぐううっ!」

 

 光輝はそう痛そうな声を上げ少し吹き飛ぶ。そして13号は光輝を追いかけ先程されたラッシュをお返しする。光輝の顔面ほどある拳が光輝を砕かんと何度も迫る。

 

「ぎ……!」

 

 光輝はペースが逆に握られまた覆そうとするがそうしようとする度に13号の攻撃が早く、重くなっていく

 

(こいつ成長している!)

 

 先程の光輝の説教で何かが吹っ切れたのか13号はその力を上げていく。その力はシーラスのパワーアップを受けた時よりもずっと上だ。光輝はその内とうとう防戦一方へなってしまった。

 

「ニシザワ……コウキ!!」

 

 そう13号は叫ぶ。光輝にはその叫びが「その程度か!」と言っている様に聞こえた。

 

「んな訳無いだろ──っ!!」

 

 そう光輝は叫び変身した。金色の光柱が天井知らずに立ち13号は思わずその余波に吹き飛ばされる。そして次に見た光輝は金色の髪が逆立ち碧眼の光輝だった。

 その光柱は徐々に収まり光輝はその闘気をまといながら構える。

 

「……ふ」

 

 13号はそう少し笑い光輝の目の前に一瞬で踏み込んだ。その巨体に見合わないスピードを乗せた拳が光輝に迫る。

 光輝は躱す訳でも無く逆に自らの拳もその拳にぶつけた。轟音が鳴り響き氷海を揺らす。

 しかし結果は先程とは逆で13号が仰け反った。

 そんな仰け反りを光輝が見逃す筈もなくラッシュを仕掛ける。その拳と蹴撃の荒らしは瞬く間に13号の肉体を傷だらけに変えていく。しかし13号もやられっぱなしでは無く打たれる度に光輝の動きに順応していく

 

「お前もこんなものか!」

 

「ウオオオオオッ!!」

 

 そう13号も「そんな訳ないだろ!」と言いたげな叫びを上げ光輝の拳を無造作に止め一瞬止まった光輝の鳩尾へ強烈な膝蹴りが突き刺さる

 

「ガはァっ……!」

 

 肺の空気が無理矢理吐き出され光輝は苦渋の声をあげる。一瞬体を折った光輝の頭上で13号は手を組み光輝の背中へと振り下ろす

 

「ぐっ……!」

 

 光輝は物凄い勢いで氷海に突っ込んで行き巨大な水しぶきをあげる。しかしそれだけではなく13号は追撃する様に赤色の気弾を何個も光輝が突っ込んだ氷海へ放つ。

 

「お兄さん!」

 

 悟天が思わず叫ぶ。しかし光輝からの返事は無い。と思ったらその氷塊から今度は黄色の気弾が出鱈目に飛び出してきた。

 

「ぬっ!?」

 

 13号は唸った声を出しながらも流石の反応速度でそれらの気弾を弾く。しかし数が多かったのとそれらの気弾に混ざって風魔手裏剣が13号に迫った。

 13号はその風魔手裏剣も真っ二つにしようと腕を振り上げた。しかしその風魔手裏剣が煙に包まれ次に出てきたのは金色の髪を靡かせている光輝だった。

 

「上がお留守だぜ!」

 

 その言葉と共に光輝はその腹部へ強烈な右ストレートをぶちかました。13号の腹部がゴムのように一瞬凹む。

 

「ぐっ……うぉぉおお!!」

 

 しかし13号もやられっぱなしでは無くその右ストレートを噛ました光輝の胴体を凄まじい力で無理やり抑えた

 

「……!!」

 

 光輝がそのタフさに驚愕な顔になった瞬間13号はまた光輝に頭突きを繰り出した。

 

「がっ……!」

 

 光輝は苦渋の声を出す。13号は止まらず5回ほど頭突きをして光輝を投げ飛ばした。

 

「ニシザワ……コウキ──っ!!!」

 

 そう叫び13号は再び胸の前で両手を広げそこに赤色の球……SSデッドリーボンバーが出てきた。しかしその大きさは先程の物とは桁違いの大きさで地球1つ所かそこら辺の5個位の星ならば平気で破壊出来るエネルギーが溜まっていた。

 光輝は投げ飛ばしから回復し頭突きをされた所を思わず抑えながらその光景を見て口元を好戦的な笑みに変えた。

 

「決着をつけようってか、上等だ!」

 

 そう叫び金色の闘気を纏い気を……内なる力、チャクラも高め始めた。その最中頭突きによる出血が光輝の眼に見えたが今の光輝にはそんなのはどうでも良くなっている

 

(人造人間……お前達がやった悪い事は許せない。だけど……自分で決めた道の先で俺を倒すって言うのなら受けてたつ!)

 

 そう心で言いながら光輝は手のひらを上にした。そしてその掌から青い球体が出てきた。最初はゴムボール程の大きさだったその球体は光輝の金色の気もコーティングされ瞬く間にその大きさを変えて行った。その直径は170cmの光輝の軽く10倍以上はある。

 放つのと駆け出すのは同時

 

「SS・デッドリーボンバー!!」

 

「超・大玉螺旋丸!!」

 

 光輝はSS・デッドリーボンバーに突っ込みその巨大な螺旋丸を思いっきりぶつけた。それによって出来た衝撃波は悟天やトランクスをおも吹き飛ばしてぶつかりあった。少しの間拮抗したが

 

「ウオオオオオオオ!!」

 

 13号はそう叫びその叫びが光輝の螺旋丸を押し始めた。光輝がそのパワーに冷や汗を流す。

 

「ぐっ!」

 

(こいつこの土壇場でまたパワーを上げやがった)

 

 SS・デッドリーボンバーが光輝の螺旋丸を押し始めている中光輝は13号の進化に少し嬉しそうに笑う。しかし押されっぱなしは嫌だし何よりこんな所で終わる訳にはいかない。

 

「俺にだって負けられない理由があるんだよっ!!」

 

 その瞬間、思い出されるのは櫂達やキリト達、そしてレインにセブン、愛美。また生きて帰ると約束した。今使っている螺旋丸や色んな術を教えてくれたナルト達にも顔向けする為にも負けられない。

 光輝が叫んだ時、光輝の逆立っていた髪が更に逆立ち光輝の周りに青白いスパーク走るのと同時に光輝の単純パワーの底が上がった。

 

「なにっ!?」

 

 13号が驚愕の表情と顔を出した瞬間螺旋丸を押していたSS・デッドリーボンバーが逆に押され始めた

 

「ぬううううう……っ!!」

 

 13号は必死に押し返そうとするが逆に押し返されてしまう始末。そして2つの巨大な光弾は──相殺された。

 それによって2つの強大なエネルギーが大爆発が起きた。轟音が鳴り響き残っていた氷塊もその余波で崩れている中13号は宣言した

 

「オレの……勝ちだっ!!」

 

 13号はそう宣言した。何故ならSS・デッドリーボンバーを”放っていた”13号と違い光輝は自分事”直接”ぶつけに行ったのだ。つまり星を何個も消し去るパワーの大爆発を光輝は笠木の時の様にゼロ距離でもろに食らったのだ。最悪光輝は消え去り生きていたとしても戦闘不能だ……そう思ったのだ。だが

 

「13号──ーっ!!」

 

 大爆発の煙の中から金色の闘気を纏い出てきたのは光輝である。服は所々ボロくなりながらもその拳をしっかりと握り突っ込んできた。13号はそれを見た後ニヤリと笑い叫び返した

 

「ニシザワ……コウキ──ッ!!」

 

 13号もまたその巨大な拳を握り迫り来る光輝を迎え撃ち……交錯した

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様です。
次回は戦い後です。
初めてまともに叫びあって戦った人造人間に光輝は何を思うのか。(*´∇`)ノ ではでは~


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仲間の意味

おはようございます。
13号戦後です。


 先程の激闘が嘘のように氷海のさざ波がたっている。そんな氷海に立っている者は1人、金色の髪を靡かせて少し複雑そうに自分の足元に浮いている人造人間を見据えている。人造人間からは所々機械音が鳴っていて人造人間が限界という事を知らせている。

 その内立っている方が言った

 

「俺の勝ちで良いか?」

 

 そう聞いた人……光輝は超サイヤ人2を解いた。逆立っていた髪が重力に従い元に戻った。人造人間……13号は光輝の言葉を聞きながら空を見ている。そんな空には何故か白鳥が飛んでいる。

 そしてゆっくりと……悔しそうに言った

 

「アア……オマエの……カチだ」

 

 極寒の氷海に浮きながらもその顔は寒がっている訳では無い。そしてゆっくりと言葉を紡ぐ

 

「負けたと言う……のに……何故か胸がスッキリとしている」

 

 そう少しその口を微笑みに変えている。光輝はそんな13号を見下ろしながらゆっくりと口を開いた

 

「勝負ってさ……勝ったら当たり前だけど嬉しいし負けたら悔しい。俺の場合は負けたら皆無くなっちまうからそんな事考える余裕が暫く無かったけど」

 

 俺は13号を見ながら言葉を紡ぐ。俺は人造人間が悪い人達ばかりだとは思ってはいない。そりゃあ17号や18号のせいでトラウマもあるけどだからと言って全員ヤバい奴とは思わない。

 ユージオやアリスにユイちゃん、そしてアンダーワールドで出会った沢山の人達のおかげだ。勿論アンダーワールドにもどうしようもないクズはいたがそれでも俺はあの人達が好きだ。

 

「俺がその感情持ったのは仲間達のおかげだ。勝つ事だけが重要じゃない、人間なんだから負ける時だってある。負けた時は悔しかったし次勝つための努力をした」

 

 17号や18号に負け祖父やレイン達に励まして貰った後、光輝は悟空に修行をつけてもらった。今では17号や18号に勝てる。

 そして負けた事の悔しさがあったのはこの時だけじゃない。笠木に家族を皆殺しにされた時もそうだが「勝負」に限れば光輝はSAOにてレインと光輝の「師匠」には結構な回数負けた。勝ったのは最後の1回だけだ。

 

「お前は仲間の事を目的を遂げる為の道具だと思ってたのかもしれないけどさ……お前は仲間と一緒に戦ってた時の方がずっと強かったよ。戦闘力じゃなくて心の面で」

 

 それは本当に思った事だ。シーラスによるパワーアップでは無く吹っ切れた事による進化は光輝が焦った程だ。

 13号は仲間の部品を吸収しパワーアップした。それは元々プログラムされていた強化方法なのかもしれない。しかし合体した後にもパワーアップを果たしたのは間違いなく13号自身の底力だ。

 13号は光輝の言葉に答えない。13号の体から機械音が鳴りバチバチと鳴っている。それは13号の限界を知らせているようにも見える。

 

「オレは……孫悟空をコロス為に作られた。だがそんな事に縛られず……戦う事がこれ程楽しかったとは……」

 

 ただ戦う為の人形として13号達は作られた。そこに自分の意思はなかったつもりだった。プログラムされた通りに悟空を殺す事が自分の存在意義なんだと。しかし光輝との戦いや説教でその気持ちが揺らいだ。

 そして命令を捨て戦った。結果は負けてしまったが命令を遂行出来なくて悔しいのでは無く勝負に負けて悔しかった。

 

「俺もさ、戦う事は誰かを守る為の手段。お前みたいな普通の人にはどうする事も出来ない奴らに対抗する為の手段として戦ってきた」

 

 最初は笠木から愛美を守る為、そして櫂や楓達を守る為に修行していた。今思い返せば小学生がする様な事では……いや高校生以上でもする様な事でも無かった。

 重りなんてものを作ってもらい自分の体を何度も壊しかけ限界を超えてきた。家族を守れなかったと言う懺悔が当時の光輝にはあった。流石にあの時程自分の事は責めていない。何故なら家族とは光輝が今背負ってる剣で繋がっている。キリト達との思い出も。

 

「でもな、戦いってそれだけじゃない。誰かを超えたいから修行する。戦いが好きだから戦う。誰かを守りたいから戦う」

 

 最初は未来の悟飯、2つ目は悟空や絶剣のユウキ、3つ目はベジータやキリト。悟飯の場合は平和にして仲間達の仇を取るためにだっただろうが。

 

「戦う理由なんて人の数だけある。それ自体は否定しない。自分の利益の為に他人を陥れようとする奴なんて腐る程見たからな」

 

 笠木やVRMMOを含めるとPoH達ラフィンコフィン、そしてALOの所謂横取りプレイヤー。VRMMOならばプレイの一貫としてはプレイスタイルという事で光輝は特に不満は無い。それがゲームというものだとキリト達に教えられたからだ。最もPoH達は現実と同じSAO内だったから憤然たる思いがあるが。

 

「でもそいつらは良い意味でも悪い意味でも自分に従っていただけ。それが嬉しい時もあればムカつく時もある」

 

 後は言いたい事は分かるよな? と言う顔で13号を見た。13号はその顔を見て少しだけ口角が上がる。

 自分の意思が無い人生はつまらない

 さっき光輝はそう思ったし今も思っている。確かに誰かに従うだけなら楽だし考えないで済む。でもそれで自分の本当に欲しいものが手に入るかと言われたら首を傾けざるおえない。

 

「お前が最初からプログラムなんてされてなかったら良いライバルになれたのにな」

 

 最初、敵として出会ってしまったからこんな状態になっている。それは悟空を殺すというプログラムのせいでもある。13号はそのプログラムをぶち壊したがそれがもっと早かったら……となったのだ。

 13号はゆっくりとその手のひらを空へ向けた。大空を飛んでいる鳥にその手を向ける

 

「アア……そうだ……な」

 

 そしてその手のひらはまたゆっくりと水面へ戻り光輝が13号の顔を見ると眼を閉じ安らかに……人造人間だが安らかに眠り始めた。

 ドクターゲロが……正確にはドクターゲロのコンピューターが作った人造人間と初めて思いが通じあったと光輝は思った。

 心中では何とも言えない気持ちになっている。

 

「お兄さん」

 

 光輝は耽っていたが悟天のその声に後ろを向いた。少しボロボロな悟天とトランクスがそこにいた。

 

「その人は悪い人なの?」

 

「そりゃそうだろ。いきなり俺達を襲って来たんだぜ?」

 

 悟天の言葉にトランクスが思った事を普通に言った。2人の言葉を聞きながらも光輝は少し寂しそうな顔をした。それでも悟天の問に答えた

 

「さあな。こいつの善悪は正直俺にもよく分からない。悟空さんを殺す為に動いてたこいつらだけど、プログラムされた人造人間13号から意志を持った人造人間13号になってたと俺は思う」

 

 光輝はそう言いつつ13号の亡骸を背負って飛んだ。悟天とトランクスは顔を見合わせついてこうか悩んだが追った。光輝は氷河地帯を抜け草原まで来た。そして軽く穴を気合い砲で開けてその中に13号を入れた。そしてまた土を被せ墓標が無かったので自分の剣の1つを取り出し突き刺した。

 

「お前は強かったよ。お前は完全機械型だからあの世って概念あるのか分からないけど俺が死んだらまた戦おう」

 

 悟空達の世界にはあの世という概念が存在する。天国だったり地獄だったり。生前の行動によって行き先が決まる。

 13号が行くのは間違いなく地獄だろう。罪の無い者をこの世界に来る前に殺していたからだ。光輝が懸念したのは言っては悪いが13号は完全機械型、つまり生死は壊れたか壊れてないかという事になる。だからあの世に行ってるかすら分からないという意味だ。

 

 俺は少しその簡易的な墓を見ていたが一息ついて2人に振り向いた。

 

「2人はどうするんですか?」

 

「俺達はこの世界をもっと回るつもりだぜ」

 

「うん!」

 

「そっか、俺はドラゴンボール探ししないとダメだからここで別れましょう」

 

 俺は2人らしい答えだなと思いながらそう返した。悟天さん達は少し寂しげな表情をしたが直ぐに頷いた。そしてトランクスさんが思い出したように

 

「そうだ、ドラゴンボール探してるんだったら俺持ってるぜ?」

 

「え?」

 

 光輝がそんな声を出した所トランクスが「はい」と言って差し出して来た。しかしそのドラゴンボールの星は黒かった。

 

「これは……」

 

「お前があの敵と話してる時に見つけたんだ。助けて貰ったお礼にやるよ」

 

「あ、ありがとう」

 

 光輝はそう言ってその星は黒で星が6個のドラゴンボールを貰った。星が黒という事は……

 

(究極ドラゴンボールか)

 

 地球の神が分離する前に作ったとされるドラゴンボール。本来の歴史なら銀河中に散らばる筈が歴史がくっついてめちゃくちゃになった弊害か幸運で地球にもあった。それをたまたまトランクスが見つけたのだろう。

 受け取ったドラゴンボールを少し見つめた後、腰にある巾着へ入れた。そして悟天とトランクスに言った

 

「それじゃ、二人ともお元気で」

 

「うん! お兄さんも元気でね!」

 

「ばいばーい!」 

 

 その言葉に二人はそう返し明後日の方向に飛んで行った。二人を見送った光輝は後ろの墓を見た。

 

「俺も頑張るよ。お前にさんざん言っておいてくたばるなんて洒落にならないからな。……じゃあな、13号」

 

 光輝はそう言ってその羽織を翻し13号の墓とは反対方向に歩いて行ったのだった。

 

 

 ★

 

 

 ALO内  47層 光輝・レイン・セブンのホームにて

 

 愛美は自分の足が地に着いた事が分かるとゆっくりと眼を開けた。主に赤に蒼、エメラルドの調度品が部屋を明るくする。光輝にレイン、セブンのイメージカラーで構成された部屋をぐるっと見渡し三人がいないのを見て少しシュンとする愛美。もしかしたらレインたちは光輝がどうしたのか知っているかもしれないと思ったからなのだが。

 

「えっとフレンド画面は……これか」

 

 愛美はメニューを開きフレンドを探すページを開いた。そうしていたら唐突に後ろが発光した。ページを見ようとしていた視線をそちらに向けるとレインとセブンがログインしてきた所だった。二人も愛美に気が付いた。愛美はフレンド画面を消しつつ不安そうに聞いた

 

「あの……こんばんわ」

 

「うん、こんばんわ」

 

 聞きたい事があるはずなのに思わず挨拶をしてしまった

 

「あの……お姉ちゃん。光輝の事何か聞いてませんか?」

 

 それを聞いた2人は顔を見合わせ聞き返した

 

「愛美ちゃんにもメール来たの?」

 

 その言葉に嫌な予感が加速する。愛美は頷きメールの内容を教えて貰った。曰く「暫くALOにも……もしかしたら結婚式にも行けないかもしれない。埋め合わせはいつか精神的に」

 概ね愛美に送られたメールと同じだ。

 愛美はその事を2人に伝えた。

 

「光輝君……また1人で無茶してるのね!」

 

 そうセブンは無力な自分への怒りかはたまた単純に光輝へ怒っているのか声を上げた。光輝の強さは現実ならばそう簡単にやられるようなものでは無い。だがレイン達は知っている。そんな光輝でも力不足で負けて病んだ時があるのを。自分達の世界を基準にしたら光輝は強すぎるがタイムパトロール先に行けば負ける事も普通にある。未来の悟飯の時がそうだ。

 そんな時、自分達は光輝を支える事が出来なかった。連絡手段が無かったのは言い訳には出来ない。辛い時、悲しい時、苦しい時に光輝から来てくれる程の信頼が無かったとも取れるし悪い言い方をすれば迷惑をかけても良いと思わせていなかったからだ。それは気持ちの面でも戦闘力という面でも自分達が頼りなかったからなのでは無いかとレイン達は思ってしまったのだ。そしてそれを証明するが如くグリームアイズにレインはたった一撃で殺されかけ光輝が更に病みかけた。

 結果的にその時は過去の祖父の言葉を受け光輝は復活した。SAOからの仲間達じゃなくて家族の言葉で復活したのは当時は嬉しかった。しかし時が経つ事に思う。それは……

 

「私達は……本当の意味で光輝君の仲間になれてるのかなって」

 

 そうレインは呟いた。愛美はその言葉を聞き訝しげにレインを見つめる。

 仲間かどうか……光輝に言えば「当然仲間!」って答えるのは目に見えていると思ったのだ。何故ならSAOの中の出来事を教えてくれた時の光輝は楽しそう、そして嬉しそうに話してくれたからだ。オーグマーを介して見たSAOでも光輝は段々と周りの人達のおかげで顔が明るくなっていたのを覚えている。それまでが辛かったが。

 その事を言えばレインは首を振った

 

「確かに光輝君は心の拠り所にはしてくれているのかもしれない。でも……私達は光輝君を守る事が出来ない」

 

 そう悲哀の色を潜ませ言った。その言葉に愛美は納得してしまった。自分は光輝がどんなに罪を重ねても隣にいると決めた。何故そう思ったのか? 光輝の事が好きで……初恋を終わらせたくなんか無かったと言うのもある。どこぞのアニメみたいに「貴方の罪は私の罪」みたいな事を考えたのもある。

 だが……それらは本来光輝の強さに多少なりとも近づけた時に言うべき言葉だ。中途半端な思いで言ったのならば絶対に挫折する。光輝は愛美を恋人として心の拠り所にはしてくれたのかもしれない。だけど……光輝が物理的にピンチの時、自分は助ける事が出来るのだろうか……答えはNoだ。

 レインは少し自虚気味に言った。

 

「SAOの時は私達は光輝君と肩を並べて戦えた。私達にクリアさせる為のゲームだったから私達も戦う為の力があった。光輝君は正に一騎当千って感じだったけどね」

 

 そう当時の事を思い出しているのか懐かしそうに言った。そして寂しそうな顔もした

 

「でも……現実の光輝君はどんどん強くなってもう……私達の誰も光輝君の強さには追いつけない」

 

 愛美の世界の人々も同様だ。光輝は朱が交わればなんとやらでどんどんその力を身につけて行った。

 サイヤ人になり悟空からは界王拳、バーダックからは超サイヤ人、そしてまた悟空からは超サイヤ人2、3へと進化して行った。独自の進化としてリコレクションブレイブもある。

 光輝からすればそれらは”守る為”に必要な力だから得たと思っている。レインやセブンにキリト達、そして愛美や櫂達の為だ。だがそれは逆に言ってしまえば……

 

「私達にはもう戦う力が無いから」

 

 SAOはもう1つの現実だった。そしてそこで得た力は確かにあの世界で自分達を強くしてくれた。だけど今のレイン達には……現実のレイン達には戦う力何てものは無い。そのもう1つの現実のSAOは終わり正真正銘の現実へと戻ってきたのだから。

 自分達の身を守る力が自分達には無いから光輝は戦いの頼りではなく心の拠り所としてだけで自分達を仲間と言ってくれるのではないかと思ってしまうのだ

 

 ──―戦力では無く戦う為の理由として自分達がいるのではないか

 

 そう思ってしまっている。実際タイムパトロールになったのはレイン達の世界を存続させる為の条件と聞いているからその可能性は普通にある。

 しかしそう考えるとショックな事がある。それは……

 

「光輝君がタイムパトロールしてる中ですっごく落ち込んでた時の事は知ってる?」

 

 愛美はまだSAOの思い出しか見ていない。その思い出すらまだ途中なのだから未来の悟飯の時の事は知らない。なので首を振った。レインは「1週間しか無かったもんね」と納得の声を出して知ってる限りの事を話した。

 ある世界へとタイムパトロールに向かった。そこで出会った人の境遇が自分と似ていたから親近感が湧いた。そして人造人間達との激闘、その果ての事を。

 愛美はその出会った人と言うのが誰か直ぐに分かった。

 

(確かに……未来の悟飯は光輝と似ている)

 

 夢を半ば諦め貪欲に修行するのは確かに重なった。そしてそこに至るまでの経緯も。そんな未来の悟飯と光輝は触れ合えばどう思うのか? 言うまでもなく分かる。悟飯を守ろうとしたはずだ。自分と似たような人を光輝が放っておく筈がない。例えそれが正しい歴史だとしても。

 しかし光輝は悟飯を守れなかった。挙句の果てに自分の気を光輝に渡しその命を散らした。その死を目の前で見た光輝が壊れるなんて目に見えていた。

 

「あの時光輝君は……私達を頼ってくれなかった」

 

 そう悲しそうにレインは言った。光輝は心配をかけたくなく誕生日を平和に迎えて欲しかったからと自分に言い訳してレイン達との連絡を絶った。

 裏を返せば光輝はレイン達を頼らなかった事になる。唯一の心の拠り所だった筈なのにだ。つまりあの時は……光輝は心の拠り所にすらしてくれなかったという事だ。だから仲間として……姉として自分達の存在意義があるのかもう分からなかった。

 

「時々思うんだ、私がまだ光輝君と一緒に戦える位強かったら光輝君は1人で抱え込まないんじゃないかって」

 

 肩を並べて戦う事が出来たら光輝はもっと頼ってくれるのではないか? と思うのだ。自分が同じ土俵に立てないから光輝は頼ってくれないんじゃないかと。

 愛美はそんなレインに声をかける事が出来なかった。今では愛美よりレインの方が……SAOの人達の方が光輝と長く接しているのだ。そんな人達がそう思うならそうなんだろうと。

 

(光輝……)

 

 勿論、レイン達が平和に生きるのが光輝の願いであり戦っているのは分かっている。グリームアイズの時が良い例だ。レイン達の平和を光輝が守った。光輝としては強くなるのは色んな意味で当然だと思っている。同時に願うのはレイン達がもう命懸けの戦いに行かず平和に過ごしてもらう事。自分の事なんて良いから平和に生きて欲しい……極端な話そう言う意味なのだ。それがレイン達の為だと光輝は疑っていない。

 

「頼られないのに……仲間って言えるのかなって」

 

 その言葉に愛美は答える事が出来なかった。

 




お疲れ様です。
仲間と合体した13号への言及とレイン達の仲間という言葉の悩みです。
自分達はSAOの後は光輝に守られてばかり、挙句の果てに心の拠り所にもしてくれてないのではないか?という疑問。
日常茶飯事で迷惑をかけるのはダメだけど本当に辛い時には迷惑をかけて欲しいというやつ。そうされる事で初めて仲間って言えるんじゃないかと考えるレイン。レインに限らずキリト達も思ってますがね。
(*´∇`)ノ ではでは~


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非情な銀河戦士達

おはようございます。光輝無双Part3。


 唐突に言うが俺は今海の中にいる。何を言っているんだと思うかもしれないが事実そうなのだから仕方がない。俺が最初いた世界では絶対にいなさそうな大きさの魚を見つけて捕まえる。お魚さんごめんねと思いながら俺は浮上した。

 そして近場の陸まで行ってそのお魚さんを置いた。近くには何故かいた恐竜さんのお肉が置いてある。さっき襲われた時に尻尾のお肉を拝借した。

 木が結構あったので1本倒して俺は剣を取り出して根の部分と枝に別れる手前の場所で斬ってその後も色々斬って焚き火の木材を作った。

 

「ん」

 

 その木材に気弾を当てて燃えさせる。その間にお魚さんを横に倒して手を合わせて「ごめんなさい」と言って西洋風のロングソードで捌いた。

 頭と尻尾を切ると魚特有の生臭さが出てくる。後血も。でも抵抗もなく捌けるようになってしまった時点で大分俺も狂人だよな。Pohの事笑えないわ。

 

「ユナイタルリングの知識がこんな所で役に立つとは思わなかった。帰ったらキリト達にお礼言おう」

 

 そう言いながら魚と肉を焼く光輝。光輝のサバイバルの知識は殆どユナイタルリングでキリト達に教えて貰ったものが殆どだ。

 SAOの時はスキルとかでサバイバル知識何か無くても生きていけたがユナイタルリングの時はサバイバルの知識が無ければ無理だっただろう。

 当のキリトやレイン達は光輝の事で悩んでいるのは本人は知らない。

 この世界に来て1日、光輝はソロで活動していた。昨日も歩いたり飛んだりしていたが世界が広大過ぎて回りきれない。

 

「悟空さん達の歴史が何個もくっついたって事はこの世界は殆ど地球で構成されている筈だよな。後可能性があるとしたらナメック星とか……ナメック星の人にドラゴンボール使わせてもらうのはいけるかな……」

 

 と光輝は1人でブツブツと言う。光輝は昨日結構何人もの敵に襲われたが大して苦労せずボコボコにして追い返した。

 その光輝を襲った人は胸元に殺と描かれて男性にしては珍しくロングヘアだったりした。何故か柱に乗ってきてた。

 後はレッドリボン軍っぽいおかまで金髪の男性等も光輝に挑んできたが光輝は返り討ちにしていた。

 

「はぁ……」

 

 光輝はため息をついた。その理由は色々あるが1つ誤算があった。それは……

 

「まーさか気が上手く探れないようになってるとはなぁ……」

 

 気は誰にでもある肉体エネルギーだ。光輝や悟空達はそれを探る事で相手の強さだったり居場所を見つける。

 しかし昨日試した結果そんな結論に至った。勿論昨日の悟天やトランクス達の様にまだ近場だったり目の前にいる時はいつもと変わらないのだが遠くなればなるほど探りにくくなっている。現に光輝はタイムパトロールの悟空達を探そうとしたが見つからなかった。自分の足で探すしかないという事だ。

 

「悟空さん達に飛来神のマーキング渡すなりしとくべきだったな」

 

 と光輝は愚痴った。この分だとさっさと事件解決! という訳には行かないらしい。

 光輝は恐竜の肉を喰らいながら愛美のご飯を思い出し内心ため息をつく。そんな時、どこからかほんの少しだけ気の乱れを感じ食べる手を止めて光輝は顔を上げる。

 

「何だ……今あっちから微妙に気が乱れてるのを感じた」

 

 光輝はそう言って立ち上がり眼を閉じる。そしてその乱れた気を頑張って感じ取るとその方角へ向いた。光輝の記憶が確かだったら廃墟の場所だった筈だ。光輝は海の水を火にぶっかけ消した後余った魚とかどうしようかと悩んだが直ぐに戻るつもりなのでそのままにした。

 光輝が廃墟の場所まで飛翔していた途中で曖昧だった気が感じ取れるようになっていた。その気を感じた光輝は

 

(これサイヤ人の気じゃないか?)

 

 気は合計で8人。その内の3人の気がサイヤ人の気に似ているのだ。色んな歴史がくっついたという事は別にサイヤ人がいても可笑しくはないから光輝は取り敢えず廃墟まで飛んだ。着いた時にはあちこちから爆発が上がって戦闘が始まっている事を知らせていた。

 

「どうしよう、シーラス達の場所知ってるんなら無理矢理でも聞き出すべきだけど」

 

 と光輝が参戦するか悩んでいたらビルから突き出て吹き飛ばされてきた戦士がいた。その人は吹き飛ばされた先にあった建物に張り付いた。

 その人の格好に光輝は疑問符を出す。別に変という訳では無い。見た所恐らくサイヤ人だろう。だが光輝が会ってきたサイヤ人とは微妙に違うのだ。

 会ってきたサイヤ人は基本に筋肉質の人が多かったがこのサイヤ人はそんなに筋肉質という訳では無い。しかし戦闘は待ってくれない。そのサイヤ人が出てきたビルからもう1人出てきた。

 割とゴツイ剣を持ち赤い髪の毛で肌は黄緑色の戦士だ。

 

「終わりだ──っ!!」

 

 物騒な言葉を叫びながらその剣をサイヤ人に振り下ろそうとした。気の種類的にこの剣を持ってる方が悪い気なので光輝は一瞬でウォーリア・ビヨンド・ディスペアーを右手に収めるのと同時にサイヤ人とその剣士の間に割って入りその剣を止めた

 

「あ……貴方は」

 

 何かサイヤ人にしては珍しく礼儀正しそうな人だな。とか思いながら俺は俺の乱入で動きが止まった相手の腹に膝蹴りをかました

 

「ぐはっ……!!」

 

 唐突の不意打ちにその少なくとも地球人ではない男は吹き飛んだ。光輝は男から視線を逸らさずに後ろのサイヤ人に聞いた

 

「入った後から言うのもあれですがぶっちゃけどっちが被害者ですか?」

 

「……僕たちがこの廃墟の上空を飛んでた時にあいつらが攻撃をしかけてきました」

 

 光輝にはこの言葉の真偽を確かめる方法はない。だが色々の事を鑑みたら信用は出来ると思った。このビルの向こう側の残りのサイヤ人達は4VS2で数で圧倒的に負けているしもうこれはリンチのレベルだろう。それに後ろのサイヤ人の気はラディッツやナッパ、そして最初のベジータよりもずっと穏やかな気だ。対して目の前の奴と仲間は気だけで悪臭がぷんぷんする。そんな光輝の頭にある人物の声が響いてきた

 

『お~い! 西沢光輝言うやつ!』

 

「この声は……」

 

『わしはな、この銀河で一番偉い界王じゃ』

 

「銀河と言ってもこの世界色々結合しているからそんな概念あるんですか?」

 

『お前さん、可愛くないやつじゃのお』

 

「貴様一体誰と話している?」

 

 謎の独り言を始めた光輝にしびれを切らした男が吠えた。光輝は剣を片手で中段で構えながら不敵な笑みで返した

 

「おまえとは関係ない。さっさとかかってこい」

 

「舐めるなっ……!!」

 

 次の瞬間には光輝と黄緑肌の男は互いの得物をぶつけあった。しかし光輝は余裕を持っている顔で界王に続きを促した

 

『そいつらはヘラー一族と言ってな。元の歴史では東西南北全ての銀河を荒らしまわっておったんじゃ。お前の目の前にいる男はゴクアというんじゃ』

 

 ヘラー一族……か。俺の中の一族のイメージと言えばサスケさんやサラダのうちは一族だけどやっぱり世界によって色んな一族があるんだなぁ。

 

「ぬんっ!」

 

 ゴクアはそのSAOで言う両手剣サイズの剣を光輝に振り下ろしたが光輝は剣を横に構え止めた。そのまま2人は鍔迫り合いへ移行する。

 

「貴様……ボージャック様に歯向かうとは馬鹿な奴だな」

 

 ゴクアは鍔迫り合いの最中そう聞いた。光輝は口角を上げながら返す

 

「そう言うお前はそのボージャックって奴に忠誠心で従ってるのか? それとも力による支配で従ってるのか? もし後者ならお前は俺には絶対に勝てないぜ!」

 

 その瞬間、光輝は鍔迫り合いをしながら片手で印を結んだ。光輝のウォーリア・ビヨンド・ディスペアーに纏うように千鳥が発生した。その千鳥は鍔迫り合いをしているゴクアの剣を中継しゴクア本人へ雷がぶち当たった

 

「ぐあああッ!!」

 

 まさかの反撃方法にゴクアは悲鳴をあげる。そして剣を握っていた手から力が抜けたのを感じた光輝は膝蹴りを噛ました。それによってゴクアはくの字に曲がった。

 

「はぁっ!」

 

 そして光輝はゴクア目掛け一閃。ゴクアの腹部は見事に抉られビルを突き抜け吹き飛んで行った。光輝は剣を背中の鞘に入れた。そんな光輝に小柄なサイヤ人が近寄った

 

「あの……助けて下さりありがとうございます」

 

 光輝は先程の戦いの表情とは違う柔和の笑みを浮かべて返した

 

「いや、どういたしまして。でもまだ向こうは終わってません。行きましょう」

 

「はい!」

 

 光輝と小柄なサイヤ人はゴクアを吹き飛ばした方向まで向かった。そこではゴクアを除いて6人の戦士が集まっていた。その内の2人は後ろの小柄なサイヤ人と同じサイヤ人だ。ただし2人とも女のだが。

 1人は赤紫のチューブトップに紫色のズボン。大きな黒目に結構ボサボサの髪だ。

 もう1人は黒髪のポニーテールへそ出しの赤い服に黒のスパッツ。肌は褐色だ。

 

「カリフラさん、ケールさん!」

 

 後ろの小柄なサイヤ人が安否を確認する為に2人の元へ降り立つ。女サイヤ人2人はボロボロだ。その内のボサボサの髪の方のカリフラと呼ばれた女サイヤ人が小柄なサイヤ人に叫ぶ

 

「おいキャベ! そいつは誰だ!」

 

「安心してください、この人は味方です!」

 

 小柄なサイヤ人……キャベの言葉を聞いたカリフラは訝しげな眼でキャベ、カリフラ、ケールとヘラー一族の間に腕を組んで降り立った光輝を見る。そして荒廃してる廃墟のビルの屋上から自分達を見下ろすヘラー一族の4人を見る。1人は巨漢、1人は小柄、1人は女、1人は何故かモヒカン

 

「ほぅ……ゴクアを退けたのはお前か」

 

 その内の1番巨漢で大きな気を持っている存在が言った。そのメンバーを見ていた光輝の脳裏に界王の声が響く

 

『その1番大きな奴がそいつらのリーダー、ボージャックじゃ!』

 

 そして残りの3人は順にブージン、ザンギャ、ビドーだ。ボージャックの言葉を聞いたボロボロなゴクアは決して軽くない出血を抱えながらも立ち上がり言った。

 

「ぼ、ボージャック様……俺にもう一度チャンスを……」

 

 光輝はそんなゴクアを少し感心してみていた。さっき自分は力による支配で動いてるならば自分には勝てないと言ったがゴクアは本当にボージャックへの忠誠心で動いていた様だ。そんなゴクアを鼻で笑い言った。

 

「良いだろう、やってみろ」

 

 その言葉を聞いて光輝は眉をひそめた。どう見ても致命傷のゴクアを本人が望んでいるとは言え戦わせるというのだ。この世界に来て初手の2組と同じ臭いがする奴に光輝は少し嫌な顔をしたのだ。

 

 ──とは言え挑んでくるなら返り討ちだ。向こうもそんくらいの覚悟はしてるだろ

 

 光輝は心中でそう言って構えた。息を全く切らしていない光輝、その光輝によって決定的な致命傷を負ったゴクアは互いの距離を一瞬で詰め……

 

「──!?」

 

 光輝は次の瞬間、ゴクアと剣を交わそうとした手を引っ込め上空に飛んだ。そんな光輝をゴクアは目を見開き見ていた。それと同時にゴクアの背後から黄緑色の閃光が走りゴクアを飲み込んだ。

 

「ぼ、ボージャック様あぁ!!」

 

 ゴクアの断末魔が聞こえゴクアを飲み込んだ黄緑色のエネルギー弾は上空に上り爆散した。光輝はゴクアが爆散した空を見た後キッとボージャック達を見た。あのゴクアを盾にした不意打ち攻撃、どう考えてもあそこにいる面々がやったからだ。そしてその誰もがゴクアの最期を見てニヤニヤしていた。

 

「よく躱したな小僧、褒めてやる」

 

 ──褒めるだと? 貴様の称賛なんざどうでもいい

 

「貴様ら……」

 

 光輝はあのゴクアと言う男をある程度称賛していた。それは理由がどうあれ勝てる見込みが少ないだろう自分へ自らの全ての力を賭けて倒しに来ようとしていた。そんな心意気が光輝には敵とは言え立派に見えた。もしゴクアが悪い奴じゃなかったらきっと剣の使い手として良いライバルになれたかもしれないとほんの一瞬考えた程だ。

 

「ん?」

 

 ボージャックはそんな光輝の怒気に眉をひそめた。

 

 こいつらは……こいつはあいつの忠誠心をもゴミの様に捨てやがった。あいつは自分の全てを賭けて戦いに来ようとしていたのに……

 

「人の心をなんだと思ってる」

 

 そう光輝は低い声でボージャック達に問いた。ボージャックはそれを聞き

 

「ふはは!! 心だと? あいつはただの俺の駒だ。使えんくなった駒は戦場から消し去るのみ。あいつは最後にお前を負傷する為の囮にしてやったんだ。寧ろ感謝して欲しい位だぜ」

 

 忠誠する自分の役に立ったのだから良いだろう……要はそんな事を言っているのだ。光輝の怒気が更に上がっているがボージャックは続けた

 

「だが……奴は最後すら役に立たなかったな。無様な最後だった」

 

「……」

 

 ある種笠木と似ている言い分に何でこう言う奴が色んな世界にいるのかなってよく思う。何で他人が苦しんでるのを見たいんだ? そんな事の何が楽しい? 

 フリーザもセルもターレスもこのボージャックも何で他人をそんなに見下せる。てめぇらは普通よりも力が強いだけの存在だろ。てめぇらは破壊は簡単に出来るだろうがそれで何を生み出してる? 

 

「否、何にも生み出せない。不当な力で誰かの幸せを消し去るしか貴様らには出来ない」

 

 光輝はそう言いながら闘気を高める。光輝を纏うように白色の気が包む。そんな光輝を見ながらボージャックはにやりと笑いながら言った。

 

「それがどうした? この世は弱肉強食、強い奴が全てを手に入れ敗者は全てを失う」

 

 俺はそれは完全には否定しきれない。何故なら俺はある意味笠木よりも弱かったから皆を死なせてしまう羽目になってしまった。

 逆に自分で言うのもあれだがアインクラッドの中では最強レベルだったから攻略組の仲間達を誰も死なせなかった。

 そして人造人間達と戦った時は俺が弱かったから悟飯さんを守れなかった。ボージャックが言うことに一理あるのも悔しいが否定出来ない。

 だけどこの世界は……いや、どんな世界でもそれだけじゃないはずなんだ。だからそれを証明する為に今だけは

 

「……だったら今度は俺が貴様を滅ぼす」

 

 光輝がそう言った瞬間、白色から金色の闘気の溢れ出た。髪は金色に変色し逆立ち眼の色は碧色に変化。その容姿は顔と道着以外は未来の悟飯と殆ど一緒である。

 そして今度は光輝を纏うように青白いスパークが走る。つまり超サイヤ人2だ。

 

「人の心を弄ぶ貴様らを許さない!」

 

 その力の権化に残っているボージャック以外のメンバーは思わず下がりかけた。そんなメンバーにボージャックは言った。

 

「狼狽えるな! 奴は1人だ。お前達がかかれば勝てないことは無い」

 

「はっ、ボージャック様!」

 

 ザンギャとブージン、ビドーはボージャックの言葉を聞き戦意を取り戻したのか構えた。そんなボージャック達を見て光輝は指を1本立てた。それをボージャック達は疑問符を出しながら見る。光輝が静かに言った。

 

「……1分」

 

「?」

 

「1分で貴様らを倒す」

 

「!! ほざけ──っ!」

 

 ビドーはそう叫び突撃。ザンギャとブージンは糸のような超能力を光輝に放った。この糸は拘束した者のエネルギーを奪う事が出来る。

 ビドーは光輝の眼前で飛び上がり光輝の視線を上に向けさせブージンとザンギャが放った糸が光輝を拘束した。

 

「終わりだ──っ!!」

 

 ビドーは上からハンマーナックルで光輝を叩き落とそうとした。その顔は勝利を確信した笑みだ。そしてもう少しで光輝をたたき落とすという所で……

 

「貴様らがな」

 

 そんな言葉が聞こえたのと同時に光輝は金色の気を吹きあがらせビドー、そしてザンギャとブージンはその吹き荒れた気によって吹き飛ばされた。その際拘束していた糸も簡単にぶち切れた。

 

「くっ! なっ!?」

 

 ブージンは何とか空中で止まり光輝がいた所を見たが一瞬で目を見開いた。何故なら眼前に光輝が圧倒的なスピードで来ていた事、そして他のビドー、ザンギャの目の前にも光輝がいるのに眼を見開いたのだ。

 吹き飛ばした直後、光輝は影分身を出してそれぞれの敵へ踏み込ませたのだ。

 

「てめぇらは連携出来なければ大した事ないっ!」

 

 その叫びと共にブージンの腹部を右ストレートで貫いた。

 ビドーは超速の左廻し蹴りによって真っ二つに

 ザンギャは重い一撃を腹部に喰らいボージャックの元まで吹き飛ばした

 

「──!?」

 

 その一瞬の出来事にこれを見ていたサイヤ人三人衆は目を見開いた。

 

「嘘だろ、あたし達をボコボコにしてきたあいつらを簡単に……」

 

 吹き飛ばされたザンギャがボージャックの元まで来たらボージャックはザンギャを受け止めた。絶大なダメージを負っているザンギャを見た。

 それと同時にビドーとブージンは爆散しその生涯を終わらせた。

 光輝はそれだけで留まらずに今度はボージャックへ静かに突撃する。

 

「ぼ、ボージャックさま……」

 

「ご苦労だったなザンギャ」

 

 先程2人の死に様、そしてゴクアの死に様も見ていたザンギャは恐怖に駆られた眼でボージャックを見た。自分も捨てられるのではないかと。しかしボージャックの一言を聞けば安心した顔になった。それも一瞬で崩れたが

 

「俺の為に犠牲になれ」

 

 その言葉と共に満身創痍のザンギャを突撃している光輝の元まで蹴っ飛ばし、また黄緑色のエネルギー弾を形成しザンギャを囮にして放った。

 

「きゃあああああ!!」

 

 光輝はそんなボージャックを冷たい眼で見つつも簡単に避けた。ザンギャはそのままボージャックの一撃により爆散した。

 

 自業自得とは言え惨めな最後だな

 

 光輝は心中でそう言いながらボージャックの目の前で浮遊する。そんな光輝を見てボージャックは徐々に笑い始める始末。

 

「ふふふ……フハハハハッ!!」

 

 光輝の力に頭が可笑しくなったか単純に馬鹿なのか或いはまだ本気ではないからか笑い始めたボージャックを光輝はどこか冷たい眼で見ている。

 

「小僧、よくあいつらを倒して見せた。褒美にいいものを見せてやるぜ。うぉぉぉぉ!!」

 

 その雄叫びと共にボージャックの姿が変わった。オレンジ色の髪は赤くなり上半身の服が筋肉の肥大化によって破られ暗い緑色の肌だったのが明るい黄緑色の肌に変色した。

 それがボージャックの最強形態で自信があるのだろう。

 変身を終えたボージャックは自信満々な顔で光輝を見る。ボージャックとしては光輝を絶望させたつもりなのかもしれないが光輝は低い声で呟いた

 

「後30秒」

 

 次の瞬間にはボージャックの眼前へ踏み込んでいた。その踏み込みにボージャックは全く反応が出来ずに目を見開く事しか出来なかった。

 そして……

 

「ぐあ……あ!」

 

 ボージャックは一瞬で先程の部下達と同じように体を光輝の拳1本で貫かれていた。そんな光輝の瞳は赤色と蒼色に変色していたが直ぐに元に戻った。

 光輝は貫いた格好からゆっくりと拳を引いた。ボージャックは血反吐を吐きながら一歩、二歩と後退する。

 

「ごはっ!! 馬鹿な……こんなガキに……」

 

 そう言って光輝を見た。光輝は小学校、ビーター時代を思い出させる冷徹な瞳でボージャックを見ていた。そしてその手のひらにボージャックを消し飛ばせるほどのエネルギーを形成する。自らの力が届かない強者の出現、ボージャックにはそれが認められなかった。

 

「こんなガキに……俺は……俺は負けん!! 絶対に!」

 

 ボージャックは意地なのかそう叫ぶ。そしてその叫びに呼応するようにボージャックを紫色のオーラが包む。眼が赤く発光しその戦闘力大きく上げた。

 その伸び幅はあのブロリーと同じ伸び幅だった。つまり風前の灯の命をリソースにしたパワーアップ。もう光輝は驚きはしない。

 

「うおおおお!!」

 

 光輝は半ば暴走状態のボージャックを目の前にしながらも周囲を探る。しかしあのサイヤ人三人衆以外には見つからなかった。その間、光輝はボージャックから目を離していた。ボージャックは自分のその巨大な拳が光輝の顔面へ突き刺さる時、勝利を確信した醜悪な笑みに変わる……筈だった

 

「俺を忘れてるのか?」

 

 その言葉と共に本体光輝とボージャックの間に影分身光輝が入りボージャックの拳を片手で受け止めた。

 

「──!?」

 

 そんな影分身光輝の隣からもう一人光輝が出てきてがら空きの左わき腹を殴った。ボージャックが意図せず吹き飛んだのと同時に分身達は分身を解除した。そして分身が消えた煙の中から黄色のエネルギー弾が形成された。

 

「あばよ」

 

 そうボソッと呟き風前の灯火のボージャックを消し飛ばしたのだった

 

 

 

 

 




お疲れ様です。
言ったらキリないけどアニメで言う悪役って何で人が苦しんでるのを見るのが楽しいんだろうねという光輝の中で考えている永遠の謎。
そう言う意味じゃNARUTOの暁とかは光輝なら一定の理解はしそう。するだけで許すかは別ですが。この後はサイヤ人三人衆と光輝です。因みに皆第7VS第6、力の大会前なので超サイヤ人に変身出来ません。(*´∇`)ノ ではでは~


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目覚め

おはようございます。第6宇宙のサイヤ人編です。⊂('ω'⊂ )))Σ≡GO!!


 肉体ごと吹っ飛ばしてやったボージャックがいた所を俺は見ていた。さっきまであいつが出してたプレッシャー、威圧感が消え去りまた静かになった。

 

(俺はまた人を殺したな)

 

 とどこか他人事の様に思った。別にボージャックやらブロリーみたいにやばい思考を持っている訳では無い。これでも少しは人殺しって罪悪感は持っている。それでもこの世界には……殺してでも止めなければならない奴がいる。もしそんな奴らにも慕ってくれている家族や友人がいるのなら俺はそんな人達の怨念も背負う覚悟はある。敵が悪い奴だったから俺は正しいなんて思わない。そんな人達からすれば俺もその悪い奴も人殺しって意味じゃ大差無いからな。

 

(ただ……前よりも少し楽に思えるのは愛美のおかげなのかな)

 

 愛美と手を繋いだ手を見ながらそう思う。愛美が隣にいるってハッキリ言ってくれたから俺はきっとまだ戦えるんだ。この未知の世界でも俺は戦える。

 

「ふぅ〜はぁ……」

 

 深呼吸した後、俺は変身を解かずにキャベ達を見る。キャベ達は何か眼が丸になっている。さっきまで自分達をボコボコにしてた奴らを俺が一瞬で倒しちゃったから状況整理が追いついてないのかな? とか思いながら俺は3人の目の前に降り立って聞いた

 

「一応聞いときます。俺と戦いますか? 俺としては別に貴方方と戦うメリットが無いから戦う必要は無いと思うんですが」

 

 それを聞いたキャベ達は3人して顔を見合わせ黒髪のボサボサヘアー……カリフラが何か一瞬戦いたいみたいな顔をしたがキャベが抑えながら言った。

 

「いえ、戦いません。助けて下さりありがとうございました」

 

「いや、困ったらお互い様だし……というより問答無用で襲ってくるあいつらの方が色んな意味で可笑しいからなぁ」

 

 と思ったらいきなり割り込んであいつらをぶっ倒した俺も人の事言えなかったな。そう思いながら俺は超サイヤ人を解いた。カリフラが聞いてきた

 

「あんたはこの星の奴なのか?」

 

「うーん……そうでもあるしそうでも無いと言える」

 

「なんだそりゃあ!」

 

 だって俺は確かに地球出身だけどそれは違う次元の地球であって第2の故郷もやっぱりキリトたちの次元の地球だからこの世界の地球とはタイムパトロール以外で余り関わった事が無いし。オマケにもう地球人ですら無いと言う。俺の地球人としての力は未だに良く分からない赤眼と蒼眼、そしてリコレクションブレイブ位だろう。

 そう言えば愛美達がいる世界でサイヤ人って言ったら結構知られていたな……そこで俺は思い出した

 

「そう言えば皆さんってサイヤ人で合ってますか?」

 

「は、はい。僕達はサイヤ人です」

 

 そう聞いて俺はまたサイヤ人三人衆を見た。体格が俺の知っているサイヤ人達よりも少しヒョロいと言うかなんと言うか……でも気的にはナッパとかターレス辺りなら余裕で超えている。でも歳が近いだろうセルと戦った辺りの悟飯さんよりも体格がなっていない……

 

「ベジータさんって知ってる?」

 

 サイヤ人なら惑星の名前にも付けられた人の名前を知っているのかなと思って聞いたのだが……

 

「ベジータさん……ですか」

 

「知るかよそんな奴! ……ッ!」

 

「姐さん!」

 

 と言ったカリフラが肩の傷を抑え少し膝を着きケールが心配そうに肩を貸そうとする。しかしカリフラは見えていないのかはたまたわざとなのかは分からないが使わなかった。

 ベジータさんを知らないのかぁ……もしかしてこの人達って

 

「第6宇宙のサイヤ人か」

 

 成程、通りで体格が第7宇宙のサイヤ人と反対な特徴な気がした。

 さっきから言っている第6宇宙やら第7宇宙と言うのは悟空さん達の世界では宇宙が12個あるらしい。俺も何を言っているのか全く分からんがつまり俺や愛美がいる世界とキリト達がいる世界が違うように悟空さん達の所は宇宙が隔てられているんだとか。

 因みにこれはウイスさんから教えて貰った。

 

「あなたは……」

 

 そう聞かれてそう言えば名前名乗ってなかったと思い返した

 

「西沢光輝、第7宇宙のサイヤ人だ」

 

 それにどうやら三人衆は驚愕している。まさか同じサイヤ人だとは思わなかったんだろう。俺はカリフラに近づく。それを見たケールが凄く睨んでくる。怖い。降参ポーズしながら言った

 

「怪しい事はなんもしないって。した瞬間に消し飛ばしてくれたらいいから。君だってその人が怪我負ってるのは本望じゃないだろ」

 

 ケールは光輝を見た後少し道を開けた。お礼を言いながら光輝は肩を怪我しているカリフラに手を当てた。そこから黄緑色の光が出てくる。

 

(仙豆は温存しないとだからな)

 

 光輝は仙豆を一つだけ持っている。自分で治せない怪我が出た時用にいる。カリフラの怪我が治っていくのを見ながら光輝は全部の戦い終わったら仙豆も作ってみようかなとか思い始めた。そう思ってたらカリフラの傷が治った

 

「すっげーじゃねえか。こんなことも出来んのかよ」

 

「ソロじゃ必須スキルだし」

 

 ってゲーム脳の考えになってしまっていた。俺はこの時、ケールから送られる嫉妬の視線に気が付いた。別に怪我治しただけなんだけど……

 

「じゃあ俺朝ご飯中だったのでこれで……」

 

 と言って戻ろうとしたら勢いよく腕を掴まれた。何事と思ったのもつかの間、カリフラがめちゃくちゃ見て来た。しかも血眼になって

 

「ん?」

 

「今なんつった?」

 

「朝ご飯?」

 

 それと同時に誰かが腹の音をならしたんだったとさ

 

 

 ★

 

 

 俺の目の前では絶賛三人のサイヤ人が魚だったり肉を食らっていた。キャベとケールは小食だけどカリフラは割かし大食いだ。聞けば昨日この世界に来た時からまともな物は食べていないという。確かにそれは腹減るよな。

 

(愛美のご飯、美味しかったなぁ)

 

 と約1週間前まで食べてた愛美のご飯を思い出す。俺も大概料理出来る方だと思うんだけど愛美の料理も美味しかった。聞いたら小2からお母さんの手伝いを初めて色々教えて貰ったんだとか。俺、料理は殆ど独学だからレパートリーだけ増えて味は余り進歩してないのかもしれない。ちょっとショック。

 

「ぷはぁーっ! 食った食った!」

 

 そうカリフラがお腹をポンポンと叩く。大分急ごしらえだったのに美味かったのか。まあ喜んでもらえたなら良いか。材料が集まればカレーでも作ろうか。

 

(にしても、カリフラって悟空さんと何か仲良くなれそう)

 

 さっき俺と戦いたそうな顔をしたのを思い出したらそう思った。悟空さんはサイヤ人の特徴なのか結構バトルジャンキーだ。強い人いれば直ぐに戦いたそうな顔する。その顔とカリフラのあの顔が似てる。性格は大分違うけど。

 ……と言うよりケールがまだ俺を睨んでくるんだが。

 

「そうだ、なぁあんたがさっきなった金髪のやつあるじゃねえか」

 

「ああ、超サイヤ人?」

 

「超サイヤ人……ですか」

 

 とキャベがリピートして俺は3人の自己防衛の為に教えた。第7宇宙ではベジータさん曰く1000年に1度現れる伝説の存在何だとか。……でも俺が知ってる限り結構皆なってると言うよりならないと話にならないみたいな所あるんだけど。

 

「すっげーっじゃねえか! なあ、どうやったらなれるんだ!?」

 

「うーん……これは感情的な問題だし……」

 

 超サイヤ人になるには穏やかな心と戦闘力、そして怒りでなれる。俺の時はバーダックさんになり方を教えて貰ってその後もバーダックさんに手伝ってもらって漸く自由になれた。やり方は愛美やキリト達が笠木に殺される所を想像してやった。想像とは言えあのやり方はもうやりたくないってのが本音だったりする。

 

「あ、でも悟天さんとかトランクスさんは怒り無しでもなってたなぁ」

 

 悟飯さん曰く「兄ちゃん僕もそれなっていい?」って言ってあっさりと変身したんだとか。オマケに何時から変身出来る様になったのか忘れてると言う。超サイヤ人になるのが怒りってのが前提ならそんなショックな事を忘れるとは考えにくい。なら怒り無しでなった事になるだろう。怒り以外のなり方を考えていたらカリフラが立ち上がる

 

「なあ、ごちゃごちゃ考えるより戦ってみた方が早いんじゃねえか?」

 

 その瞳には闘争心の火が見えていた。確かに超サイヤ人になりたいのもあるんだろう。それでも1番は……

 

(本当、悟空さんに似てるな)

 

 そう言いながら光輝も立ち上がって頷き残りのサイヤ人達にも言った

 

「良いよ、3人纏めてかかって来い!」

 

 その言葉にカリフラはニヤリと、キャベは緊張の趣で、ケールは戸惑っている顔で光輝を見てカリフラとキャベは光輝に突撃したのだった。

 

 

 

 ★★★★★

 

 

 

「やああああッッ!!」

 

 蒼色を基調とした片手剣が紫色の剣士に振り下ろされる。紫色の剣士……絶剣ことユウキは紫色の剣を横に構え受け止め逸らした。火花が2人を照らす。体勢を取り直した蒼髪のウンディーネ……愛美にユウキは剣を振るう。愛美は咄嗟に思いっきり足を踏み込み回し蹴りを放つ。ユウキはそれに少し驚きつつ後退して躱した。

 

「危ない危ない、光輝みたいな事してくるんだね」

 

 光輝は剣を使っていても普通に打撃もやってくる。何ならユウキは打撃だけで完封された過去があるからか仲間内では1番か2番位打撃の対応が上手い。因みにキリト達元攻略組も打撃だけで完封された事があるので武器を持ってないから油断なんて事はもうしていない。本当に戦いは剣だけではない。色んな戦い方があって技がある。それをあの攻略組と光輝の戦いで思い知らされた。

 

「光輝の小さい時の修行をずっと見てましたからイメージがそれになっちゃったんだと思います」

 

 愛美は小一の時よく光輝と武蔵の修行模様を見ていた。空手とも柔道ともましてや剣道とも違う修行で楽しそうな光輝の顔が愛美は好きだ。麗華からは「修行を見るのが好きって変わってるわね」と言われた事があるがあれは光輝を見るのが好きなのであり修行模様だけは微妙な所だ。……今思い出せば麗華は愛美の光輝の気持ちに気がついてたかもしれないが。

 

「そっか、本当によく見てるんだね」

 

 そう笑って言ってきたユウキに愛美は赤面する。

 世間的に初恋は叶う方が珍しいと言われている。大概が散るのがオチだ。しかし愛美はその珍しいに入ってる。光輝も同じ。光輝に関してはよく愛美の事をレインに言っていた。その時だけ年相応の反応をしていた。

 

「2人ともおやつ出来たわよー!」

 

 とログハウスから顔を出したのはアスナである。ユウキと愛美は「はーい!」と元気よく言って剣を直してログハウスに入る。アスナは結婚準備や大学の合間にダイブしている。

 おやつのケーキを食べながら愛美は

 

(こっちだといくら食べても現実じゃ太らないのが良いよね)

 

 と女の子の悩みを普通に解決してくれるALOに微笑んでいた。ただ、現実で食べた訳じゃないからどの道少しは考えてしまうが。最も愛美自身は現実でも普通にスタイルも良い。ダイエットを考える程ではない。そこでアスナを見ていて最近思っていた疑問を聞いた

 

「そう言えばまだ大学生なのに結婚なんて御両親がよく許してくれましたね」

 

 アスナは「あー」という顔をして言った

 

「それはキリト君と光輝君が新しいフルダイブマシン作ってるのが1番の理由かな」

 

 曰くキリトと光輝が作っていると言っても今の所は2人だけで作っている……と言うより設計等立てている。しかしそれを売ろうと思えば問題が結構ある。光輝の世界の方の目処は愛美の父親の会社か光輝が自分で立ち上げたら良いがキリトはまだ大学生。オマケにVRMMOの大会の実績ならめちゃくちゃあるが現実側だとまだ無い。そこで出てくるのはアスナ……正確にはアスナの父親が元々CEOをしていた「レクト」という会社だ。レクトは家電用品の大企業で今はユーミルという会社に委託されているこのALOも元々はレクトが作った……と言ってもSAOのデータ移植も割とあるから微妙だがアミュスフィアは正真正銘このレクトの製品だ。

 アミュスフィアが発売から今までメデュキュボイド以外のフルダイブマシンはない。そこでアミュスフィア以外のフルダイブマシン、それもアミュスフィアを超え嘗てのナーヴギアをも上回らんとするスペックのフルダイブマシンを娘の彼氏であるキリトが作ってる。大学生なので就職はまだ少し先だがレクトとしてはキリトは欲しい人材になる。しかしキリト自身就職先はもう決めてるしでそれは無理。ならせめて技術を売り込まれる為に、そして本人達は望んでいるので大学生ながら学生結婚することになったのだ。

 

「まあ、キリト君が就職したい所では民生品としては販売できないのもあると思うんだけど」

 

 キリトが就職したい会社は「ラース」と呼ばれる所だ。ラースは正式名称、海洋研究開発機構と呼ばれ表向きは海洋資源の研究と開発に主だった事業を行っている事になっていた。

 過去形なのは今は違う事がキリト達の世界では発表されているからだ。ラースはアリスやユージオの様なボトムアップ型AIの開発、そのAI達を兵士にする事を目的にした企業だ。最も今はそんな考えは表には出されていないが。その為、防衛省の管轄であり税金で動いている。そんな所から民生品のフルダイブマシンを発売するのは非常に不味い。国の為にある組織であり一般人が遊ぶ為のものを開発する場所ではないからだ。

 

「そっか……そう言えば光輝もキリトさんと開発中って言ってたっけ」

 

 違う世界で同じものを普及させるのはそれはそれで一体感があり何か良いと愛美は思う。愛美は今の所やりたい事はない。ただ、光輝をずっと支えてあげたいと思っている。それは最初は心の面だけだったかもしれないがそういう事なら自分には光輝の為に出来る事がある。

 

(光輝はちゃんと帰ってきたらそのフルダイブマシンかメデュキュボイドに一直線だと思う。メデュキュボイドの方はお父さんの会社で良いとしてフルダイブマシンの時は頼れる所がない)

 

 光輝は笠木との戦いまで帰ってこなかった。だから知り合いなんて愛美達しかいない。そんな光輝がこっちの世界でそんなフルダイブマシンを開発して売りたいと言うならきっと色々障害がある。

 例えば経営や経理。光輝がどう思っているかは分からないが自分の手で開発して遊んでる人達の笑顔が見たいのなら光輝は自分で会社なりを立ち上げなければならない。しかし光輝は全くもって素人。なら……自分がそういう所をサポート出来るんじゃないか、そう思ったのだ。

 

(でも……光輝って社長の柄じゃないんだよなぁ……)

 

 まあそれは本当に全部の戦いが終わって光輝が帰ってきてから話し合って自分の将来の夢を決めたいと思う。少なくとも専業主婦は嫌だ。確かに家庭を守って光輝を支える意味ならそれも良い。専業主婦の母を見てきたからその有難みはよく分かっている。でもそれだと何だか金銭的には光輝にばっかり頼ってるみたいで愛美は嫌なのだ。

 愛美の疑問が一段落した所で愛美は聞いた

 

「そう言えば……まだあの裂け目はそっちの世界にもあるんですか?」

 

 アスナはお茶をお嬢様らしく行儀よく飲み頷いた。

 愛美のいる世界に現れた裂け目、愛美達は知らないが時の界王神は色んな歴史が無理やりくっつけられた弊害だと考えている。ジグソーパズルのピースが1つ無いだけでジグソーパズルが成り立たないのと同じだ。

 そしてそれは愛美達のいる世界だけでは無くキリト達の世界にも同じ裂け目が現れ世間は大騒ぎなんだとか。

 

「楓さんとかにもあれが光輝関連なんじゃないのか? って電話が来てるみたいです。私も……光輝が関わってると思う」

 

 マスコミが約束があるのにも関わらず何度も櫂家に突撃仕掛けたんだとか。因みにネット上では光輝についての論争が苛烈化している。あの裂け目は光輝が関わってると思う派とまだ分からないと思う派。

 アスナは頷いて言った

 

「こっちの世界でも光輝君が関わってるんじゃないかって話されてるよ」

 

 ユウキが少し怒りっぽく言った

 

「光輝を悪者っぽく言って全部光輝のせいにしようとしているのが腹立つ」

 

 帰還者学校、グリームアイズとイルファング・ザ・コボルドロード襲撃事件で光輝の名はまた世界に広まった。CGでもなんでもない本物の戦士としての力を振るい圧倒的な力で2体のフロアボスを葬った。それが圧倒的過ぎるのが問題で愛美の世界にもあるが光輝が危険だと言い張る過激派が裂け目も光輝のせいだと言い張っているのだ。

 それが光輝に間接的に命を救ってもらったユウキには腹が立つのだ。

 

「幾ら光輝でもあんな事をするのは難しいし光輝がやる意味も分からない」

 

 そう、別に光輝があの裂け目を作ってなにか意味があるのかと言われても無いとしか言えない。オマケに空間に裂け目を開けてそれを維持し続けるなんて魔人ブウ編の悟空でも出来そうな描写は無かった。一時的ならあるが。光輝も今は超サイヤ人3までなれるから一時的に開けるなら出来ると思う。

 

「光輝から連絡無いし」

 

 そうしゅんとした愛美にユウキは少し笑いながら言った

 

「もしかしたら今頃キリトみたいに女の子を引っ掛けてるかもね」

 

「こ、光輝に限ってそんなこと……」

 

 とそこで止まり小一の時のクラスメイト達の会話を思い出す。

 

『ねえ、西沢君って何かかっこよくない?』

 

 そこで当時の光輝の隣の席の女の子が

 

『うん! 村田に全然怯んでなかったし西沢君のお家って道場あるんでしょ? 絶対村田にも勝てたのに全然威張らないし授業終わった後、消しゴム無くした時一緒に探してくれたよ。すっごい優しいし顔もちょっとタイプかも』

 

 そこで朝来るのが割と早い女の子が

 

『この前学校行ってたら西沢君がランドセル持たずにランニングしてた』

 

『え? 何時も遅刻ギリギリでしょ?』

 

『じゃあそのランニングで遅刻ギリギリなのかな?』

 

 そんな会話を聞いたのを思い出し急激に不安になってきた。自分が書いた手紙にも光輝は女子に人気と書いてた事を浮かれて忘れていた。光輝はちゃんと一途に自分の事を思ってくれていたのがそれですっごく嬉しかったのを覚えている。

 

「だ、大丈夫です! 私もアスナさんを見習ってどんと構えときます!」

 

 アスナはそれに苦笑いするのだった。そしてその光輝と言えば

 

 

 ★★★★★

 

 

「だだだだッ!!」

 

「はあああああッッ!!」

 

 2人のサイヤ人が光輝に打撃の嵐をお見舞う。だが光輝は涼しい顔でそれらを避けていく。オマケに偶に反撃しては吹き飛ばす。今もカリフラが吹き飛ばされキャベの攻撃も止めてカリフラの所まで投げ飛ばした。

 

「何やってんだよキャベ!」

 

「す、すいません」

 

 元々仲が良いという訳じゃないので素晴らしく喧嘩腰である。そんなサイヤ人達を見ながら攻撃の機会を伺っているケールに言った

 

「ケール、お前も遠慮なくかかって来てもいいんだぞ」

 

「わ、私は……」

 

 ケールってもしかして余り戦い好きじゃないのかな。まあそれはそれで良いんだけどこの世界じゃ割と厳しい所がある。せめて超サイヤ人にはなってもらう位しないと自己防衛出来ないぞ。

 そんな事を考えていたらカリフラが復活して聞いてきた

 

「てめぇコツ位教えろ!」

 

「んな事言われても俺の場合言葉では出来ない感覚でなれると言うかなんと言うか」

 

「じゃあなれ!」

 

「へーい」

 

 光輝は軽く気合いを入れて超サイヤ人に変身する。初めて超サイヤ人になった時はバーダックさんに言われてやっと出来たからな。懐かしいな。今バーダックさんはどこら辺にいるんだろうか、この世界には来てるだろうけど。

 

「っ! やっぱりすっげぇパワーだ。絶対それをものにしてみせるぜ!」

 

「やってみろ!」

 

 はっきり言ってカリフラは普通に才能がある。多分経験じゃ俺の方があるだろうが才能は間違いなくカリフラの方がある。

 戦い始めて30分位経っているが最初よりも全然持ち堪えてるし何なら強くなってると思う。戦いの中で進化するのがサイヤ人だがそのスピードが割と早い。最初の基本戦闘力ですら第7宇宙の普通のサイヤ人達よりもずっと高いのにそこで終わらない。

 

(こいつは……凄い奴に出会ったかもな)

 

 間近で超サイヤ人の気を感じつつ戦っているカリフラなら割と早めに超サイヤ人になれるかもな。口は悪いが純粋っちゃ純粋だし。

 

「どうした! そんなんじゃ超サイヤ人何て2万年早いぞ!」

 

「うっせーっ!」

 

 カリフラが突き出した拳を抑えそのまま背負い投げをして下の海に投げ飛ばす。後ろから迫るキャベの対応をしつつ復活したカリフラも迎え撃つ。

 

「はっ!」

 

 気合いを入れて2人を吹き飛ばし再び相対する。2人とも息が切れ切れだがその顔は笑っている。……そろそろ潮時か。

 

「はぁ……この程度か」

 

 光輝は思いっきり落胆の声と表情を出した。それを聞きカリフラやキャベはピクっとした。光輝は厳しげな顔で言った

 

「何だ、第6宇宙のサイヤ人はお前らみたいに弱い奴らしかいないのか?」

 

「なんっ!?」

 

 ビーター時代を思い浮かばせる冷たい嘲笑を交えながら言った。その光輝の変貌ぶりにカリフラとキャベは最初戸惑っていたがそれが自分達をバカにしている事に気が付きピクピクと怒りマークが出ている。

 

「別の宇宙のサイヤ人がどんだけ強いのかと思えばこの程度なんだな。超サイヤ人にならせたら面白そうと思ってずっと戦ってたけどこれでもまだなれないとか」

 

「何だとてめぇっ!」

 

「はっ! 事実だろ? 俺の宇宙のサイヤ人なら10分もありゃあ超サイヤ人になれるのに。惑星サダラのサイヤ人は大した事ない」

 

 それを聞きピクピクしている者が2人。言うまでもなくカリフラとキャベだ。

 

「ふざけんなよ。あたしが大した事ないだって?」

 

「僕の事は幾らでも言っても良い……だけど惑星サダラを馬鹿にするのは!」

 

 その瞬間、2人の髪の毛の色が金髪に変色した。その身を包む金色の光がバーナーの様に燃え上がりその戦闘力を大幅に上げ叫んだ

 

ふざけんじゃねえ──っ!! 

 

許さな──いっ! 

 

 こいつら基本戦闘力は最初フリーザと戦った悟空さんよりもずっと強い。なら後はきっかけさえあればなれるのは道理。2人の金色の戦士を見て俺は少し笑い構えた。

 

「うおりゃあああッッ!!」

 

「はあああああッッ!!」

 

 2人が同時に迫り俺は2人の攻撃を捌き始める。2人の超サイヤ人は先程とは別人のスピードと動きだ。そして軽く横目でケールを見る。ケールはカリフラを見て若干戸惑っているように見える。

 

(そんな事してる余裕はねえな!)

 

「おりゃああっ!」

 

 カリフラの拳を止めてそのままキャベに投げ飛ばした。キャベはそのお人好しな性格でカリフラを受け止め2人共吹き飛ばされた。

 初めての変身で息を切らしている2人に俺は思わず少し笑い言った

 

「やったな、お前ら」

 

「! てめぇまさかさっきの言葉はわざと!」

 

「僕達を怒らせる為に……」

 

「そりゃそうだ。俺はそんな柄じゃない……事もないが進んでするのは気が進まないよ」

 

 光輝が2人を貶したのは2人を怒らせる為であり本音ではない。カリフラは単純に弱いって言えば怒ってくれると思った。キャベは先程ご飯の時に自分の星の話をして星に誇りを持っていたようだから貶したら怒ってくれると思った。

 光輝は超サイヤ人を解きつつ微笑んで言った

 

「おめでとう、それが正真正銘超サイヤ人だ」

 

 それを聞きカリフラとキャベは自分を見て嬉しそうな顔をする。

 

「因みにさっき言った第7宇宙のサイヤ人が超サイヤ人になるのに10分って話だけどあれも嘘だぞ。ぶっちゃけ永遠になれない人もいるし」

 

 そう笑った。第7宇宙のサイヤ人は気性が荒い人多いし第6宇宙のサイヤ人程基本戦闘力が強い訳じゃない。カリフラも余り穏やかな方ではないけど多分純粋さが勝ったんだろうな。

 そう思ってたらカリフラが超サイヤ人の状態ですっごい嬉しそうに近寄ってきた

 

「よっしゃーッ! お前サンキューな! あたしはまだまだ強くなれるって事を教えてくれて!」

 

 そうバシバシ叩く。

 

「痛いから止めなさい。まあ、超サイヤ人は通過点に過ぎないしそれで止まったらダメだぞ」

 

 そこで俺はケールに向いた。ケールはその瞳を不安そうに動いている。それを見た訳じゃ無さそうだがカリフラがケールに嬉しそうに言った

 

「ケール! お前も超サイヤ人になってみろって!」

 

 ……少ししか見ていないけど正直ケールに超サイヤ人は難しいんじゃないかと思う。ケールは余り戦いが好きじゃなさそうだし自己肯定感が低い。

 ありまくるのも問題だが無さすぎるのも問題だと思う。自己肯定感が低いって事は何でも他人のせいではなく自分のせいにしてしまう。自分で自分のフラクトライトを傷つける。アンダーワールドで自己喪失を起こしたキリト程にはならんだろうが超サイヤ人は……

 

(いや、やり方はあるけどこれ知られたら愛美にぶっ殺されそう)

 

 愛美の気が強い性格は余り変わってなかった。それが懐かしく嬉しかったのを覚えている。……あっ、別にそうしなくても行けるな。カリフラに言った

 

「カリフラ、俺と2人で向こうで話があるんだけど」

 

 と言って少し離れた海上を指さした。カリフラは怪訝そうな顔をした。うん。俺も同じ立場なら同じ顔する。俺は軽くケールに目を向けた。それでカリフラは俺の意図を読み取ったのか知らんが

 

「良いぜ。超サイヤ人の借りもあるしな」

 

 俺と2人きりとかいう状況に何か焦ったのかケールが

 

「あ、姐さん。この人と2人きりになるってことですか!」

 

「ああそうだ。ケール、お前はここで待ってな」

 

「わ、私もお供します!」

 

「ああん!? あたしの言う事が聞けないってか!?」

 

 追い討ちかけるようで余り気が進まないけど

 

「悪いなケール。カリフラを少し借りるぜ」

 

 それを聞いたケールが思いっきり不安そうな瞳になった。キャベにケールを見といてくれと言って俺とカリフラは2人から少し離れた所に来て話した

 

「悪いな。多分ケールを超サイヤ人にするにはこれが手っ取り早い」

 

「お前やっぱりそれが目的で……」

 

 ケールは自己肯定感が低い。そしてそれと同時にめちゃくちゃ嫉妬深い性格でもあると思う。俺がカリフラと話す度にそんな嫉妬の視線を向けてくる。それにケールがカリフラを慕っている事はこの少ない時間でもよく分かった。そんなケールにとって大事な人のカリフラが俺のせいで離れたらどうなるのか? 

 

「! もうか」

 

 カリフラと話し始めて30秒も経たない内にケールの気が膨れ始めた。ちらりとケールをみる。……滅茶苦茶な殺気を感じるんだが

 

「あいつは……私から姐さんを奪った」

 

「け、ケールさん?」

 

「私なんてどうせ出来損ないのサイヤ人。姐さんの邪魔になるだけ」

 

 ケールの瞳から涙が出てその体を緑色の気が包み始める。その変化に光輝とカリフラはケールをばっと見た。

 

「いいぞケール!」

 

 喜んでいるカリフラとは対照的に光輝は自分でやっといてなんだが眼を見開いた。ケールと言えばそんな驚愕している二人を見て何をどう思ったのか光輝が自分を見てにやりと笑っているように見えた。それがケールには「お前の姐さん貰ったよ」みたいに見えた。

 そして何より超サイヤ人になれないからカリフラは光輝について行った

 

「私なんて……私なんて……うわああああああ!!」

 

「うわあああ!」

 

 その瞬間、ケールの近くにいたキャベが吹き荒れた気によって吹き飛ばされた。光輝は咄嗟にキャベの元に行き受け止めた。

 

「す、すいません」

 

「気にするな。俺は割とやばい奴を目覚めさせたな」

 

「え?」

 

 確かに自己防衛で超サイヤ人になってほしいとは言ったがまさかこれになるとは思わねえだろ普通。緑色の気の奔流が収まった時、ケールがいた所には確かにケールがいた。だけどさっきの女性らしい体格とは裏腹に今はどんな理屈か知らないが筋肉が膨れ上がり身長も伸びた。誰をイメージすればいいのか? それは……

 

「ニシザワコウキ、まずお前から血祭りにあげてやる」

 

 さっきの気弱そうな人とは180度違う殺気に溢れた声を出しながら俺を指さした

 

「まさか……第六宇宙のブロリーかよ!」

 

 嘗て光輝を苦しめたあの力が光輝に襲い掛かった

 

 

 

 

 

 




お疲れ様です。偶に愛美の話を入れるスタイル。ぶっちゃけ愛美の師匠はユウキ。

サイヤ人達、背中ゾワゾワでは無く普通に怒りでなる。カリフラは普通にボコボコにした後に煽ればあっさりとなれそう。ケールはアニメと殆ど同じ。相手が光輝になっただけ。

(*´∇`)ノ ではでは~


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試される絆

おはようございます。大学準備だったりバイトで遅くなりました。
ではGO!


「ウア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッッ!!」

 

 普通の超サイヤ人になってくれよと内心思いながらも俺は超サイヤ人に変身した。そしてキャベから離れてブロリーと同じ伝説の超サイヤ人に変身したケールを迎え撃つ。

 

「ちっ!」

 

 だけど割と心の中じゃ葛藤している。こいつがあのブロリーと同じなら殺さないとダメだ。暴走して他の人を殺戮し回るのがオチだと思うからだ。

 

「ニシザワコウキ──っ!!」

 

 ケールはさっきのカリフラとキャベ以上のスピードでそのでかくなった拳を向けてくる。だけれども肥大化した筋肉によって得たパワーは確かに凄まじいのかもしれない。だけどそれは当たらないと意味が無い。

 

「ケール! 落ち着け!」

 

 俺は取り敢えず攻撃を躱してケールを落ち着かせようとする。だけど嫉妬の炎は憎悪へ変わって俺の言葉なんてシャットダウンだ。

 

(でも……ケールを殺すのは)

 

 ケールはブロリーと違って必要としてくれている人がいる。カリフラだ。ケールが何であんなにカリフラを尊敬しているのか俺は知らない。だけどあの尊敬の眼差しや2人の絆が嘘だとは思えなかった。カリフラがケールに微妙に冷たくしていたのは多分単純に俺の強さの秘密を知りたいのが山々だったのとケールを超サイヤ人にしたくて冷たくしていただけだ。

 

「待てって! 俺はお前からカリフラを奪った訳じゃねえって!」

 

 そう叫んだがケールは余計に憤怒の顔に染めてその巨大な腕を振ってくる。しかしブロリーと違って割とスピードも殺されてしまうのかまだ避けやすかった。この超サイヤ人はパワーに少し偏っている。でも……

 

「はっ!」

 

 ケールを一旦吹き飛ばそうと拳を突き出したがノーガードで受けられた。だけどケールはピクリともしない。

 

(耐久はブロリーと同じって考えるべきか!)

 

 ブロリーの耐久力は本当に凄かった。ケールと同じデカブツの方になった時なんてヴォーパル・ストライクで空けた穴をもう一度空けないと負けていた可能性が高かった。そうしないと勝てなかった。ブロリーとケールが同じならケールもそうして勝つしかないんだろうけど……

 

「うぉぉおお!!」

 

 ケールは光輝の頭を掴もうとしたがそれに光輝はいち早く気が付き気弾を作って無理やりケールにぶつけた。そうする事で爆発を起こしながら光輝はケールから離れる。

 

「お前を超サイヤ人にする為だったんだって! 本当に取った訳じゃねえ!」

 

 と言うかそんな事なったら浮気になっちまって愛美が泣く。と言うか俺はそんな事しねえよ! 諦めていた事が叶ったのに秒でそんな事するアホが何処にいる! 

 だけどケールは知るか! と言わんばかりに突撃してくる。

 

「ケール何やってんだ!」

 

 だけどカリフラが放ったその言葉にケールは今一瞬ビクンとした気が……

 

「……ねさん」

 

 いや、反応した。カリフラの言葉で確かに反応した。だけどまた血管を浮き上がらせ攻撃を仕掛けてくる。動きが単調なのが唯一の救いか。だけどダメージが通らないのも厄介だな。でもそういう事ならまだ方法がある。

 

「影分身の術!」

 

 光輝は分身を1人出して戦ってもらってる間にカリフラへ叫んだ

 

「カリフラ! 何でもいいっ! ケールに語りかけろ!」

 

 ブロリーと違って自我があるのならケールはまだ大丈夫だ。それもこれもカリフラにかかっている。俺は防御態勢になる。カリフラがケールを正気に戻すまで攻撃はしない。攻撃したら余計にケールを刺激しちまって説得どころじゃないからだ。

 だから俺は防御に徹する。

 

「ケール! あたしがそんな奴に惚れる訳ないだろ! あたしはそんな軽い女じゃねえ!」

 

 カリフラの言葉に揺さぶられているのかケールの攻撃の激しさが少し落ちる。

 

「お前はあたしの大事な仲間で……大事な妹分だ!」

 

 ケールはそれを聞いてその白目を一瞬大きく眼を見開き頭を抱え始めた。

 

「うああ……姐さん……私」

 

「いいぞケール! 流石あたしの妹分だぜ!」

 

 カリフラが嬉しそうな表情を見せた。ケールは自分に向けられているその表情に嬉しさと安心が込み上げて来た。光輝に対する怒りよりもカリフラに褒めてもらった嬉しさが勝ったのだ。

 そしてその超サイヤ人の気が徐々に収まってくる。光輝は思わず深呼吸した。どうやら今回は行くところまで行かなくて済みそうだ。

 

(一件落着かな?)

 

 光輝はそう思った。思いたかった。だが……そうはさせてくれなかった

 

「……!」

 

 ケールの纏っていた気が無くなりかけた時、光輝は完全に油断していた。

 

「ウオオオオオオオ──ーッ!!!」

 

 だから緑色の気の代わりに出て来た紫色の気に少し吹き飛ばされたのだ。

 

「なんっ!?」

 

 光輝は遥か彼方まで吹き飛ばされるのはなんとか耐えたがケールに起こった事に驚愕し「キっ!」とケールの後方上空にその厳し気な目線を向けた。そこには自分の武器である棒をケールに向けていたシーラスがいた。

 光輝はケールに再び向いた。ケールはその白目を赤く発光させ頭を抱え苦しんでいる。その苦しみ様はケールとブロリーが似ているのも相まってどんな強化方法なのか分かった。光輝は怒号でシーラスに叫ぶ。

 

「シーラス! 貴様ああっ!!」

 

 ケールは正気に戻りかけていた。それなのにこいつは平然と命引き換えのパワーアップをしやがった。全ての悪を消すのが目的ってなら俺にはもうこいつが悪だとしか思えねえよ! 

 俺は再び暴走しかけているケールを止める為にシーラスの眼前にウォーリア・ビヨンド・ディスペアーを持って踏み込み振り下ろした。シーラスは棒でそれを防ぎ鍔迫り合いに移行する。

 

「何が目的だ! 何でこんな酷い事が出来る!?」

 

 シーラスは答えず右手を棒から離し光輝を剣ごと受け流す。光輝は前のめりに倒れかける。そんな光輝にシーラスは棒で攻撃しようとするが光輝はイメージで剣をシーラスの上空から降らせた。シーラスはそれに気が付き後退して躱した。光輝はその落ちて来た剣も左手に持って二刀流になりつつ突撃した。

 

「はあっ!」

 

「……ぐっ!」

 

 シーラスは棒を突き出したが光輝は顔面すれすれで避けながら迫る。しかしシーラスも終わる訳ではなく突き出した状態から無理やり横に振った。

 

「ふっ……!」

 

 だけど光輝は予期していたのかしゃがみこんでそれを躱す。シーラスは棒を眼前に戻すのと光輝が斬りかかるのは同時。再び火花が散る。光輝は怒りの表情でシーラスは少し歯を食いしばっている。

 そして少しの拮抗状態の最中シーラスが言った。

 

「酷い事だと? 笑わせるな」

 

「なに?」

 

 次の瞬間シーラスの脚が振り上げられるのを感じた光輝は咄嗟に跳び退いた。シーラスはその声に怒りを滲ませながら言った。

 

「ならば貴様達タイムパトロールは酷い事をしてないというのか? その手を差し伸ばせば助けられる命を『歴史』だから見捨てる貴様達は正しいというのか!?」

 

「……!」

 

 シーラスの言葉に俺は嘗て自分がしようとしていた事を思い出した。

 トランクスさんから話を聞いた時は親近感を持った位だった。だけど俺はその人と触れ合った短い時間でその人を守りたいと思った。自分と同じだったから。

 大事な人達を失い夢を諦めそれでも勝てない理不尽な力の差。それでも……隻腕になっても戦い抜いた未来の悟飯さん。

 

「それを容認する時の界王神も、破壊神も、全王達神どもも! 貴様は奴らが正しいというのか!? 必死に絶望に抗っている人達を見捨てることが!?」

 

 ……確かに俺達タイムパトローラーはシーラスの言う通りその歴史で死んでしまう人達を見捨てるのが仕事とも言える。歴史改変を止めるって言えば聞こえはいいが逆に言えば歴史通りなら何もしないってことだから。

 俺も……正直いい気はしない。

 

「そして滅ぼすべき悪になにもしない無能な奴らがいる限り本当に平和になることなどない」

 

 こいつの言ってる事は仕事抜きで言えば俺も割と思っている事だ。でもそれが仕事だからと俺は言い訳して正当化していたのかもしれない。

 こいつはそれを見抜いてる。だろうな。俺はこいつと同じ思考をした事があるんだから。俺は全部滅ぼすなんて極端な方には行かなかったが。だけどな

 

「……貴様だけにはそんな事を言われる筋合いは無い!」

 

 そう言い切った光輝にシーラスは厳しげな表情を見せる。光輝は左手の剣を量子変換器に突っ込み左手に新たにブルーレッド・オブ・ウォーリアを握った。そしてウォーリア・ビヨンド・ディスペアーの切っ先をシーラスに向け叫ぶ

 

「確かに俺もタイムパトロールの在り方に悩んだ! 本当に自分は正しいのか、悟飯さんの1件で俺は考えた! お前に言わせれば物足りない悩みだったかもしれない! 正直答えはまだ見つかってもいない」

 

 光輝があの時に吹っ切れたのは自分が戦う意味についてだけだ。愛美やキリト達、他に沢山いる自分の守りたい人達の為に剣を取り拳を握る事に覚悟を決めた。

 だが、タイムパトロールの意味を考える事は吹っ切れた訳では無い。光輝もシーラスの言った事を何百回も考えた。『歴史』だから見捨てるのが本当に正しいのか。『歴史』だから何もしないのが正解なのか。光輝は自分でも言った通りまだ答えを見つけられない。

 それでも……祖父から受け継いだ真剣の魂が入った剣を向け光輝は叫ぶ

 

「でもな、それを貴様が言うのは違う! 貴様は何を目的として動いているのか知らねえがその目的の為に何人犠牲にしようとした? 笠木のクズ野郎を元の世界に帰した? そして何でケールにあんな事をしやがった!」

 

 そう叫び光輝は超サイヤ人2に変身する。光輝の怒りを表しているように気が膨れ上がり雷鳴が響く。

 

「貴様がやってる事はお前が嫌っていた”悪”と何も変わらない!」

 

 光輝はそう叫びつつもケールの気が膨れ上がりきったのを感じた。止められなかった。脳内でケールを元に戻す方法を全力で考えるが同じ事をされて来た敵達は皆倒してしまったから元に戻す方法が分からない。魔術の一種なら正直お手上げ状態だ。光輝は忍術は少し詳しいが魔術は全くだからだ。だから今はそれを考えるのを放棄する。

 シーラスは光輝の言葉を一通り聞き皮肉げな笑みを浮かべながら口を開いた

 

「違うな。それは必要な犠牲だ」

 

「何だと?」

 

「如何なる罵声も謗りも今は受けよう。どの道貴様らは消えて無くなる運命なんだからな」

 

「……やっぱりてめえはぶん殴ないといけないみたいだな」

 

 次の瞬間、光輝の体から更なる金色の気が出てきてその気を格段に上昇させた。超サイヤ人3レベルの気を解放したのだ。

 

「ウオオオオアアアアッ!」

 

「ケール!」

 

 カリフラの声にも反応せずケールはシーラスと相対している光輝に突撃してくる。その雄叫びはどこか苦しそうな雄叫びだった。まるで「助けて」と言ってるように光輝には聞こえた。

 光輝は眼前にいるシーラスの後ろに高速移動で現れた。

 シーラスは棒を背面に構え光輝の剣を止める。

 

「それがどうした──っ!」

 

 しかし光輝は強引に脚を振った。シーラスはそれをまともにくらい吹き飛ばされる

 

「ぐっ!」

 

 シーラスは何とか止まり苦虫を噛み締める表情で光輝を見る。光輝はそんなシーラスを見てから頭を下げた。その理由は光輝の後ろからケールが巨大な腕を振るっていたからだ。

 光輝は攻撃を躱すのと同時に肘打ちを放つ。

 

「グゥっ!」

 

 獣のような捻り声を出す。幾ら伝説の超サイヤ人状態と言えども超サイヤ人3レベルの攻撃では苦しげな声もあげて思わず少し後退する

 それでもケールは意地で耐えまたその腕を振り上げた。光輝は厳しげな視線をシーラスに見せつつ対処しようとしたが止めた。何故なら

 

「ケール止めろ!」

 

「ケールさん待ってください!」

 

 2人のサイヤ人がその巨大な拳を全力で止めに来たのが分かったからだ。光輝に到達するその拳はカリフラとキャベが止めた。

 

「ぐううっ! 何てパワーだ。痺れるなんてもんじゃねえぜ」

 

 カリフラとキャベは2人とも両手を使って漸くケールを止めた。それでもジリジリと弾き飛ばされかけている。しかしケールは……

 

「ぬうっ! うぉぉおお!!」

 

 ケールがもう1つの拳を振り上げた。流石に2人で1本止めるのがやっとだったら2本目は防げない。光輝は助太刀しようとしたがカリフラは叫んだ

 

「ケールはあたしが元に戻す! あんたはあいつをぶん殴れ!」

 

 やっぱり口悪いよなぁ……だけどそこにある思いは本物だ。光輝は頷きシーラスの眼前に肉薄し剣を振るった。

 シーラスは自分の棒でそれを防ぐ。そして機があれば反撃する。棒術は剣のように振り下ろしたり振るったりして戦うが突き技もある。一点集中のその攻撃は場所によっては非常に躱しにくい。現に光輝も悟空との修行では割とくらう。だけれども光輝は光輝なりの修行の仕方で克服している。

 シーラスの渾身の突きが光輝の腹部真ん中へと進む。しかし光輝はその突きを二刀流防御技『クロス・ブロック』で剣をクロスして剣と剣の間に通し威力を減らすのと同時に勢いよく腕を剣ごと持ち上げ左にズラした。そして光輝は2つの剣を量子変換器に収納した。つまりシーラスの棒は支えられた剣が無くなったことで一気に体勢が崩れた

 

「なっ!?」

 

「うおらあっ!」

 

 体勢が崩れたシーラスが驚愕している間に光輝はその顔面に拳を向けた。シーラスは「キッ!」とした後流石の反応速度で背面に棒を構え小さな面積のそこに光輝の拳がぶち当たりガードした。

 しかし光輝の力がシーラスの想定を上回っていたのかガード越しでもシーラスを強引に吹き飛ばした。

 

「ぐああっ!」

 

 光輝は吹き飛ばしたシーラスを見届けつつ額に両手を重ねた。

 

「魔閃光ッ!」

 

 そして一気に突き出し黄色のエネルギー波を放った。ブロリーと戦ってた時放った技でもありその時はシーラスに弾き飛ばされた。強くなった証明として光輝は無意識にこの技をチョイスしたのかもしれない。

 シーラスは吹き飛びから回復しその魔閃光を見てあの時と同じように弾き飛ばそうと腕を振った

 

「ぐうううッ!」

 

 しかしブロリーの時とは違い魔閃光は簡単に吹き飛ばなかった。それどころかシーラスを吹き飛ばさんと侵食してくる始末。あの時とは違う結果にシーラスは思わず目を見開き叫ぶ

 

「なんだとっ! この力は!?」

 

「終わりだ──っ!!」

 

 光輝が叫んだ時、シーラスのいた所で大爆発が起きたのだった。

 

 ★★★★★

 

 一方、カリフラ達はケールを止める為戦っている。ケールが苦しそうな雄叫びを上げあれだけ尊敬していたカリフラに攻撃を仕掛けている。カリフラはその攻撃を受けてしまったら最悪一瞬でノックアウトなので躱しながら戦っている。だが……

 

「くそっ! 何て耐久力だ」

 

 カリフラがキャベと共に攻撃しているのにも関わらず全くのノーダメージだ。今微妙に苦しそうになっているのはシーラスの謎パワーアップによるものが大半だ。オマケにタチの悪い事にブロリーの時は瀕死状態からこの状態になったがケールの場合は全開状態からなのでその時間も長いだろう。そもそも死なせるつもりもない。

 しかしやられてしまったらそれまでだ。

 カリフラは悔しそうな悲しそうな顔でケールを見る。

 

「だけどな、あんたはあたしが助けるぜ。お前はあたしの大事な妹分だからな」

 

「……! ウア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!」

 

 ケールは目を見開きカリフラに突撃する。カリフラは超サイヤ人の気を纏いながら迎え撃つ。少し離れた所ではキャベが肩を抑え叫んだ

 

「カリフラさん無茶です!」

 

 戦闘力差は明らか。小柄の体格を利用して何とか戦えているだけだ。少なくとも超サイヤ人2にならなければ普通の戦いにもっていけない。しかしカリフラもキャベもさっき超サイヤ人になったばかり。オマケに光輝から超サイヤ人2のなり方は教えて貰っていない。だがカリフラは……

 

「無茶でもなんでもあたしがやんなきゃならねえんだ」

 

 そこに嘘だと思わせる要素は無かった。

 カリフラは極力攻撃をしない。攻撃を避けながら語りかける

 

「ケール、あたしはお前が大事じゃなかった時なんてないんだぜ?」

 

「ウア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッ!!」

 

 聞いてるのか聞いてないのか全く分からないが聞いていると信じてカリフラは語りかける。カリフラも何となくケール覚醒の理由が分かった。光輝に嫉妬したんだろうと。それはカリフラが光輝に取られたからと勘違いしたから。

 だけどカリフラは言った通りケールが大事じゃない時なんて無かった。カリフラにとってもケールは大事な妹分だ。

 カリフラの兄はレンソウと呼ばれる第6宇宙のサイヤ人の精鋭部隊、「サダラ防衛隊」の隊長だった。隊長と言うだけあって人望もあり、カリフラも昔は尊敬していた。

 しかしカリフラは周りの格差に気がついた。カリフラは当時はまだ今よりも子供だった。そんなカリフラに向けられる視線は「優秀な兄の妹」、そこにカリフラ自身を見てくれるものはいなかった。ある意味差別みたいな事もされた。

 そしてそのフラストレーションが爆発した時、カリフラは周囲の人々がイラつく対象になっていた。そしてそれは徐々に優秀な兄への嫉妬へ変わりカリフラは兄へ勝負を挑んだ。

 しかし結果は惨敗だった。カリフラはそれを機にグレた。家を飛び出し不良グループの様なものを作り金品等の品を強奪するようになった。

 

「あたし達は一緒に色んなワルをしたよな」

 

 そう少し笑って言う。

 カリフラとケールが出会ったのはカリフラがグレて家を飛び出して割と直ぐだった。カリフラが惑星サダラを少し彷徨ってた時、路地裏で体育座りして顔を埋めていた。服もボロボロで覇気も何も感じなかった。カリフラは最初スルーしようと思った。

 しかし……出来なかった。何故なのか自分でも当時は分からなかった。カリフラはケールに近寄りヤンキー座りをして聞いた

 

『おい、お前どうしたんだ?』

 

 だけれどケールは答えない。永遠と顔を埋めているだけだ。カリフラは諦めずにコミュニケーションを取ろうとする

 

『こんな所で何やってんだ? ずっとここで顔を埋めて何か楽しい事でもあるのか』

 

 そう言えばケールはその顔を上げてカリフラを見た。どうやら自分に話しかけているとは思わなかったらしい。

 しかしケールはまた直ぐに顔を埋めて言った

 

『貴方には関係ない』

 

 非情な一言でもあるのと同時に辛そうな言葉でもあった。当時のカリフラはそれ以上何も聞かずにニッと笑いながらケールに言った

 

『おい、あたしと一緒に来ねえか?』

 

『え?」

 

 ケールは眼を見開きカリフラを見た。カリフラは当時のケールには眩しい笑顔でケールの答を待っていた。

 ケールは生まれ持った潜在能力のせいで迫害を受けていたサイヤ人だ。その潜在能力はブロリーと同じ変身が出来る時点で相当なものだと分かる。ケールが欲しくて得た力じゃないのに化け物等誹謗中傷され生きていた。自分を必要としてくれる人なんていなかった。

 しかしそんな時現れたのがカリフラだった。カリフラがケールの事情を知っているかは分からなかった。もしかしたら後から裏切られるのかもしれない。それでも当時のケールには自分を必要としてくれたカリフラが嬉しかった。

 

『……はい!』

 

 それからカリフラとケールは仲間を増やし続けて立派な不良グループを作った。そうしている内にケールはカリフラを尊敬し慕う様になった。

 カリフラは後退し言った

 

「何度でも何百回も言うけどな! お前はあたしの大事な妹分だ! そんなふざけた野郎に負けんじゃねえええ!!」

 

 そう叫びケールと激突するのだった。

 一方光輝は魔閃光の爆発に紛れているシーラスを見ていた。黙々と立ち合がる煙が晴れると少しだけボロボロになっているシーラスがいた。

 

(ぶつかる瞬間にバリヤーを張ったか。長生きしてるだけあって経験はあるみたいだな)

 

 シーラスはブロリーの時よりも強くなっている光輝を苦虫を噛みしめた表情になる。そして心底思ったという声で言った

 

「ここまで強くなっているとはな。まだあいつでは勝てないのは確かか」

 

 あいつってのはどう考えても仮面の男だよな。まだあいつもいるんだよなあ。でもこいつはここで倒したい。これ以上歴史をめちゃくちゃにされる訳にはいかない。

 そんな時、シーラスが「良い事教えてやろう」的な表情になった

 

「貴様が尊敬する孫悟飯の世界が最後に辿った末路をおしえてやろう」

 

「……なに?」

 

 未来の悟飯さんの世界の末路だと? あの世界はトランクスさんが人造人間17号と18号、それにセルを倒して平和になった筈だ。

 シーラスは単刀直入に言った

 

「ザマスという敵を滅ぼすため”宇宙事”全王が破壊した」

 

「……は?」

 

 光輝から何言ってんだこいつみたいな声が発せられた。文は短い筈なのにそこにある情報量は多すぎた。

 

 ザマス……誰だ? 

 宇宙事? あの世も地獄も? 

 全王が? 

 

 光輝は臨戦態勢のままシーラスを観察する。体が熱くなっているが何とか冷静になろうとする。シーラスは掴みどころの無い表情で言った

 

「信じるかどうかは好きにしろ。だがそれが現実だ。神は人を見放し機嫌1つで全てを消す。悪も許せんがそれ以上に神共も許せん」

 

 言ってる事が本当かどうかは俺は知らない。だけれどもシーラスは本気で言ってるように聞こえた。

 全王ってのはビルスさんが担当する第7宇宙を含めた全12個ある宇宙の頂点に立つ人って事は知っている。会った事はないし興味もなかったからな。

 本当なら俺は全王を憎むだろう。だがそれは今じゃない。俺の憎しみなんかよりも今はしないといけない事がある

 

「……で、それで貴様の行いが正当化されるとでも言うのか?」

 

「光が正義だと誰が決めた?」

 

 光輝とシーラスの視線が交錯する。光輝の中ではモヤモヤが広がっている。シーラスはそれを見抜き畳み掛ける。

 

「そうだ! 結果が良ければ全て許される! そうすれば幾多の犠牲にも価値があったと言えるだろう。神も介入出来ない。悪も争いもない完全な世界が出来ればな!」

 

 ……何となくシーラスのやりたい事が分かった。どんな手段か知らねえが昔ナルトさん達が戦ったうちはマダラって奴がした”無限月読”って奴と似たような事をしたいんだろう。

 無限月読は簡単に言ってしまえば全世界、全ての人達に解術しない限り解けない幻術をかける術だ。その幻術の中ではその人が望んだ世界が幻術として見れる。その反面、現実の体は白ゼツにされるんだが。

 こいつがしようとしている事は新しい世界を作る、こいつ曰く神様達もフリーザみたいな悪もいない世界を作るんだとよ。

 

 

 

ふざけるな

 

 

 光輝は心中でそう言ってシーラスを睨む。シーラスは覇気のない光輝が見れると思っていたが逆に戦意を復活させている光輝に目を細める。

 光輝はふっと笑い言った

 

「何年もうろちょろ逃げてダメージエネルギー溜めて何すんのかと思えばそんな事か……」

 

 そこで光輝は深呼吸して思いっきり叫んだ

 

「くだらねえっ!」

 

 そう叫び再び闘気を纏いその2つの手にSAO時代からの相棒達が握られた。シーラスは真っ向否定してきた光輝に眉をひそめた。光輝は続けた

 

「完全な世界? 争いがない? 神はどうでもいいとしてそんな世界になんの価値がある?」

 

 神はどうでもいいと言った光輝にシーラスは心底驚いた顔をした。てっきりこの光輝は神様とか信じていそうだと勝手に思っていた。時の界王神に仕えていることからもそう考えていた。

 光輝はシーラスの表情からそれを読み取ったのか笑いながら言った

 

「俺は神なんか元々信じちゃいねえよ。愛美が笠木に襲われたあの日からな」

 

 あの時の俺は神がいるんだったら何も起こさないでくれと必死に向かってる時に頼んでた。だがそうはならなかった。愛美は下手したら一生物のトラウマが植え付けられた。1週間、恋人として過ごした時はそんなの見せなかったけれど笠木のニュースを見ると少しビクッとしたのを覚えている。

 その後だって神がいるんだったら俺の家族は死にやしなかった。

 後で時の界王神様やらビルスさんに会った時も神とは聞いたけど余り気にしてないからな。俺は年上なら基本敬意を表すだけだ。

 

「俺の神の価値観なんざどうでもいい」

 

 光輝はそう言って話を区切り続けた

 

「悪がいない世界があるんならそりゃあ良い世界っちゃ良い世界だろう。それを幻想するのは勝手にしろ。だけどな、悪がいない世界なんてない」

 

「私が作る。悪が絶対に存在しない世界を作……」

 

「違ぇよ」

 

 シーラスの言葉を光輝は遮った。

 

「悪い奴がいるから人間は人間なんだ。俺は1から世界を作った奴らを知っている」

 

 アンダーワールド……、現実となんも遜色もない仮想世界はそこで人間を生活させていた。

 光輝もその過程は知っている。直接行ってそんな人口フラクトライト達とも触れ合って来た。その世界では禁忌目録で基本的に盗みや殺しは出来ないようになっていた。

 それでも……”悪”はいた。それを光輝は見てきたのと同時に思った事もある。それは……

 

「人間だからな、間違う事もある。その過程で道を踏み外すこともな」

 

 アンダーワールドでは禁忌目録を破ろうとしたら右眼に絶大な痛みが走り禁忌を破ろうと意識し続けると最悪眼球ごと破裂する。

 そんな事普通なりたくないから禁忌目録を破らないものが9割以上いた。だが”悪”がいなかった訳じゃない。

 光輝は公理協会という所にキリトとユージオが殴り込みに行く前、カーディナルと呼ばれる老婆に会った時に合流したから詳しくは知らないがキリトとユージオの傍付きが貴族に辱められかけた……いや本人達からすれば辱められた。屁理屈を捏ねて禁忌目録を認識せずあの手この手でキリトとユージオを排除しようとした。結果的にはそれは皮肉な事に達成出来てしまったが今は割愛。

 

「だからって悪が増えろなんて思わない。悪がいないに越したことはないのは正直お前と同じ考えだからな」

 

 悪人がいなければいいと考えるのは光輝もシーラスと同じ意見だ。悪い人が減るのは普通に光輝も嬉しい事だと考える。

 

「でもな、間違えない人間なんて居ない。俺も……あんたも間違える事があるようにな!」

 

 シーラスは否定の声色で半ば叫ぶ

 

「私は間違えてなんていない! 悪を滅ぼすの何が悪い!?」

 

 シーラスは悪に拘りすぎている。それじゃあ見失うのも当然か。でも誰かの意見を聞くことも出来たら違う道があったんだろうな。

 

 光輝は溜息をつき言った

 

「……俺さ、ある意味笠木には一つだけ感謝してる事あるんだ」

 

「なに?」

 

 光輝の宿敵の笠木に光輝自身が感謝している事があるという事に疑問符の表情になる。シーラスの笠木に対する評価は”悪”の権化とも言える存在だった。正直出来るなら手を借りるのも嫌だった。笠木の技術が使えると思ったからしゃあなしで仲間にしただけ。そんな笠木に感謝している事とはなんだとなったのだ

 

「家族を殺した事は許せない。それは俺が死んだ後でも一生恨むつもりだ。だけど……」

 

 そこで言葉を区切り言った

 

「ある意味あいつのおかげで俺は愛美と恋人になれた」

 

 笠木の1件で愛美は光輝に告白しようとしていた。ボロボロの光輝を見て光輝がいなくなるのが怖くなったから。告白は光輝がずっと寝ていたから叶わなかったが手紙に「大好き」と書く決心をしたと言っていた。

 そして光輝の帰還のきっかけはたまたま笠木が愛美の来日と合わせて来襲したからだ。サイヤ人って事を知って貰えた。愛美の心理的ハードルはそこでも少し下がっていた。最も時間さえあれば笠木がいなくとも恋人にはなれたかもしれないが。だが次に言うことは正真正銘笠木がいなければなかった事だ。

 光輝は続けた

 

「アインクラッドでキリトやお姉ちゃん達に出会って確かな絆が出来た!」

 

 笠木との決戦が無ければ時空の歪みは出来なかった。SAOサーバーに光輝の魂が入る事も無かった。今の『サイヤ人・光輝』もいなかった。

 光輝はアインクラッドを1人で戦おうとした。1人でいる事が優しくしてくれる皆を守る事になると信じていたから。だけどそれは違った。それはただの我儘で信用してなかっただけなんだと。

 姉との出会いから光輝の世界は広がった。皆と一緒にいる日々が楽しくてしょうがなかった。ボス戦での皆との一体感は1人で生きようとしていた光輝に深く刺さった

 だがシーラスはそれを否定した

 

「そんなものは結果論でしかない! 何人もの人を殺したのは変わらん! それは貴様が1番よく分かっているはずだ!」

 

「……だろうな。同じセリフを被害者の人に言ったらブチギレられる。この台詞は俺だから言えただけだからな」

 

「そうだ!」

 

 つーかその笠木を仲間に一時期していたこいつが言うのかそのセリフ。こいつ自分がどんなに矛盾しているのか分かってるんだろうか? 

 ……そしてこいつは割とプツンとする言動もしてきた

 

「貴様の言う”絆”も簡単に壊れる。所詮は他人だ!」

 

 その瞬間、未来の悟飯さんの時以上の怒りがふつふつと出てきた。どうしてもこいつは俺を……というよりタイムパトロールを否定したいらしい。

 仮面の奴もこいつとはこの分だとただの利害の一致で動いてるだけだろうな。

 

 光輝はその碧色の瞳に怒りの炎を滲ませた。それでもシーラスは続けた

 

「あのサイヤ人も絆が壊れたから平気であの女を襲える」

 

 光輝はそれを聞き油断せずシーラスを見ながら気でカリフラ達を探る。ケールの気が段々と下がっている。残されたリミットは少ない。だがカリフラも気の底が見え始めている。キャベは恐らくダウンか戦闘不能になっている。

 シーラスがカリフラ達の方を向いてるのを知ると光輝はシーラスとカリフラ達を視界に入れる為臨戦態勢を取りながら少し移動する。カリフラをちらりと見ると既に超サイヤ人が解け肩を抑えている。そしてそのカリフラに迫る暴走したケール。そんな二人を見てシーラスは光輝に言った

 

「行かないのか? このままではあの女の内どちらかは死ぬ」

 

 それをお前が言うのかよと思いながら俺は2人の様子を見て返した

 

「ああ。行かねえよ俺は」

 

 その言葉にシーラスは目を細めた。そして心中では

 

(それが人間だ。所詮赤の他人がどうなろうと知ったことではないのだ)

 

 そんなシーラスの意図を読んだのか光輝はふっと笑いながら言った

 

「お前はさっき言ったな。絆何てものは簡単に壊れるって。確かにそんな脆い絆もあるかもしれない。だけどな……」

 

 一方、カリフラは迫り来るケールを見ながら自虚気味に言った

 

「はは、情けねえぜ……あたしはお前の姉貴分なのにな」

 

 カリフラは精一杯戦ったがケールの防御力と攻撃力にカリフラのスタミナが先に底を着いてしまった。現に今は超サイヤ人にもなれていない。

 このままではカリフラはケールに殺される。しかしそんなカリフラの脳裏で考えているのは死への恐怖ではなく自分への怒りだった

 

「ケール、お前はあたしが元に戻すって言ったのにな。あたしは何で膝をついてんだ」

 

 カリフラは痛みを堪えながらも立ち上がってその肩に置いてた手を腰だめに持っていく。カリフラは迫り来るケールを見ながら語りかけるように言った

 

「妹分1人救えないのかあたしは」

 

 その口調は今度は自分を責めるものになった。そんなカリフラの髪の毛が金髪に変色したり逆立ち始める

 

「何が姐さんだ」

 

 そう呟きながら思い出すのはケールと出会ってからの思い出だった。一緒に人の物を盗ったり強い奴に喧嘩を吹っ掛けたり仲間を増やしたり……カリフラとケールは色んな事を一緒にしてきた。

 

「お前はあたしの大事な妹分だ。そんなお前の姉貴分のあたしが……」

 

「ウア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア!!」

 

 そこでカリフラはキッとケールを見て叫んだ

 

気張らねえでどうするってんだ──っ!! 

 

 その瞬間、カリフラの体から金色の闘気が溢れ出し超サイヤ人の時よりも髪が逆立ち髪も金髪に変色した。青白い雷鳴も迸る。それと同時に光輝はシーラスに言った

 

「何度も切られても残るものが本当の絆だ。途切れない絆は自分でも不思議な力をくれる」

 

 超サイヤ人2に自分への怒りでなれたカリフラを見ながら言った。そんな底力を見せたカリフラにシーラスは思わず目を見開く。

 

「てめえがどんだけ俺やタイムパトロールを否定したいのか知らねえが勝手に”絆”を否定する資格はお前にはない!」

 

 そう言って光輝の右手にある剣から超サイヤ人とは別の金色の気を体に纏った。光輝自身が見えなくなる光に包まれ出てきたのは薄い金色の眼に変化していた光輝だった。

 

「俺はカリフラやケールとずっと一緒にいた訳じゃない。けれど……互いを心配し助け合い認め会えたならそこにあるのが誰にも切られない絆なんだ!」

 

 瞬間、光輝はシーラスの眼前に先程とは違うスピードでの肉薄していた。シーラスも慌てて光輝に対応する。振り下ろされた刃を先程と同じ様に棒で防ぐ

 だが……

 

「貴様のどこにそんな力が……!?」

 

 さっきは普通に防げた筈なのに今度はあっさりと押しきられシーラスは歯を食いしばる。そんなシーラスの防御をブレイクしながら光輝は叫ぶ

 

「お前が否定した力だーっ!」

 

 ★★★★★

 

「何だ……この力は?」

 

 カリフラは自分の変化に思わず手を見る。先程から湧き上がるパワーに目を見開くがその瞳をカリフラの変化に止まったケールに向ける。

 カリフラは手を握り力を込める

 

「今なら……お前を止められそうだ」

 

「ウア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!」

 

 瞬間、カリフラはケールと激突した。先程は圧倒的に力負けしていたのに今はケールのパワーも下がってきていることも合わさり何とか拮抗状態に持っていく。

 更にカリフラが元々持っていた俊敏さも合わさりケールの攻撃は上手く躱し一撃一撃を確実に当てていく。

 

「ケール! 目を覚ませ! このままじゃお前が死んじまうぞ!」

 

「うおおおおおおお!!」

 

 苦し気な雄叫びを上げケールはカリフラを捕まえようとその巨大な左手を振り上げた。カリフラは躱すことが出来た。だが……敢えて躱さず自分の右手を勢いよく掴ませた

 

「ぬうう!?」

 

 ケールは無我夢中でその手を潰そうと力を入れた。

 

「ぐううっ!!」

 

 カリフラは自分を握りつぶさんとするケールのパワーに思わず苦渋の声と顔になる。しかし……直ぐにその顔を嬉しそうな表情を見せる。その理由は

 

「ケール……お前はやっぱり凄い奴だぜ。あたしがここまでやってるってのに勝ちきれねえなんてよ」

 

「うああ」

 

「でもよ……あんたはあたしが戻す! それが姉貴分のあたしがするべき事だからなあっ!!」

 

 次の瞬間、カリフラから青白いスパークと共に金色の気が溢れ出す。その金色の気は濃い紫色の気を纏っているケールを覆い始める。カリフラの気を直接浴びたケールはその気の中にカリフラとの思い出が蘇ってくる。

 路地裏での出会いから窃盗、喧嘩、仲間づくり……

 

「……ねさん」

 

「ケール、お前!」

 

 今確かに理性が宿った「姐さん」と言った。赤く発光していた眼が徐々に白目に戻るのと同時にその眼から涙が出てくる。

 カリフラは自分の力をケールに浴びせることにより潜在的に持っていたケールのカリフラへの尊敬や友情を目覚めさせたのだ。最もカリフラ自身やってる自覚があるのかは定かではないが。

 

「そうだぜ、戻ってこいケール! あたしとお前ががっちり手を組んだら全宇宙最強だ!」

 

「う……うおおおおぉッ!!」

 

 その瞬間、禍々しい紫色の気ではなくケールが本来持つ緑色の気が溢れだしてきた。それと張り合うようにカリフラの気も溢れ出す。金色と緑色の気がケールの雄叫びと共に消失した時、ケールの肥大化した筋肉は最初の時のように無くなっていき少女らしいそれに変わった。

 緑色に変色していた髪も元の黒髪に戻っていく。それに伴いケールの力も抜けていき前のめりに倒れる。カリフラはそんなケールを大事に受け止めた

 

「よくやった、流石あたしの妹分だぜ!」

 

 今日だけで何回言ったのか分からない言葉をもう一度言った。それを聞いたケールは気絶しているようだその口は微笑みに変わっていたのだった。

 

 ★

 

「どうやら俺の言った事が正しかったみたいだな」

 

 そう光輝は目の前のシーラスに言った。シーラスは少しボロボロになり光輝を恨めしそうに見た。確かにシーラスは仮面の男よりも強く技術もある。

 だが光輝は幾千もの戦いを潜り抜け師事している人たちも人たちなので技術のアドバンテージはシーラスにはないのも同然。光輝は相手が自分より弱くても命を懸けている。SAOでもALOでもGGOでも、ゲームだから遊びでやってるわけではない。やるかやられるかの世界で磨いてきた技術は現実の世界と何も変わらない。

 

「……今日はここまでか」

 

「逃がすと思うか?」

 

 光輝は瞬時に印を組んで5人の光輝がシーラスを取り囲んだ。絵面だけみるなら完全にいじめのそれだがそんなことを言ってる場合ではない。

 そして5人の光輝はそれぞれ気弾を連続で中心にいるシーラスに撃ちまくった。

 

「だだだっ!」

 

 四方八方からの気弾の嵐に普通は軽い怪我では済まないはずなんだが……光輝は撃ってても手ごたえがない事に疑問を感じ手を止め煙に包まれているはずのシーラスの気を感じることにした。そして感じた結果……

 

「この前思ったこと撤回するわ。お前らラグーラビット並みにじゃなくて以上に逃げ足はえーな」

 

 煙が見えなくなるにつれシーラスの姿がない事を確認しながらそう言った。

 

(あの状況でどう逃げた? 他の歴史に引っ込む事はあいつら自身が滅茶苦茶にしたせいで出来ないと考えていたが……それかアジトの場所には瞬間移動の類の技で行けるのか?)

 

 光輝はシーラスの逃げた方法を考えながらカリフラとケールを見た。二人は流石に疲れ切ったのか寝ていた。その二人を全部終わった後に起きたキャベが最初朝ごはんを食べていた崖の上まで連れていた。キャベは光輝にOKサインを送り光輝もグッドサインを送った

 

「まっ、考えるのはあとにしよう。何ならまた会ったときは八つ裂きにすればいい」

 

 傍から聞いていれば物騒な言葉を言って光輝は光に包まれた後、超サイヤ人2とリコレクションブレイブの変身を解いた。余談で今更だがリコレクションブレイブと超サイヤ人は併用が可能だ。

 併用した時の特徴は普通の超サイヤ人の碧眼ではなくリコレクションブレイブの薄い金色の瞳になることだ。ただ併用した時は本物の超サイヤ人3よりもましだが割と体力の消耗もある。だから長期決戦には向かない。どちらか一つだけならそんなことは少ないのだが。

 光輝はカリフラ達の元へ向かうのだった。カリフラ達が超サイヤ人になった時のことを思い出した時、光輝は自分が初めて超サイヤ人になった時の事も思い出して若干懐かしそうな声で言った

 

「そう言えばバーダックさんは今頃どこにいるんだろうなぁ」

 

 超サイヤ人になるための師匠を思い出しながら三人の所に向かうのだった

 

 

 ★

 

 

 光輝のいる場所より遥か離れた所、光輝のいる晴天の場所の反対の曇天に雷鳴。そこに何人かの人影があった。一人は髪を四方八方に伸ばし血を連想させる真っ赤なハチマキを巻いて顔に傷がある。恰好はフリーザ軍の緑色を基調とした戦闘服、その顔立ちは悟空に似ている……というより悟空がこの男に似ているのだろう。

 男は目の前にいる敵達を見た後、後ろで倒れている戦士達を見た。地球人が三人、どこぞの銀河パトロールが一人、ナメック星人が一人、そして男の血縁の者が一人。全員地に伏しているが死んではいない。殺される前に男が割り込んだからだ。その内の山吹色の道着を着たスキンヘッドの地球人が困惑の声で言った

 

「ご……悟空?」

 

 男は目の前の敵達に目線を向けながら否定した。

 

「そいつは俺のガキだ」

 

 それに男の血縁の者は目を見開く。男の言うことが本当ならば自分は男の孫ということになる。それを思わず聞こうとしたその前に敵の一人にして最大の気を持ってる存在が愉快そうに言った

 

「ホッホッホ! やはり孫悟空さんは貴方の息子でしたか!」

 

 そして敵はニヤリとして言った

 

「……バーダックさん」

 

 バーダックと呼ばれた男はその瞳の中に怒りの感情を見せ言い返した

 

「覚えてくれて光栄だな、フリーザさんよ」

 

 一回は子に託した願いを自分で叶えられる事に男は高揚感と嬉しさが溢れた顔をするのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様です。

光輝がケールをもとに戻す事も考えましたがキャベは兎も角カリフラの出番ないということで特別ゲストのシーラスさんでした。

尚、カリフラとケールの過去は概ねオリジナルです。実際兄の存在で捻くれたかは分かりません。

ゲストのシーラスさん色々話してくれる。でも計画は割とありきたりです。
本場のシーラスよりは神様嫌いなので違和感あるかもしれない。

後未来悟飯の世界のその後をネタバレ(笑)

光輝が言った通り光輝自身は余り神を信じてないし崇拝もしてません。目の前に起こったことが全てって考え。

そしてラスト、フリーザ編以来のバーダックです!恰好は初期のたった一人ののやつです。後ろで倒れてるメンツは復活のFの地球防衛隊です。

ではでは



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激突!バーダックVSフリーザ軍

おはようございます。バーダックとフリーザ軍です。前にも言ったと思いますがここのバーダックは暗黒帝国の戦いを通ってるのでめっちゃ強くなってます。前回最後の面子から予想できる通り復活の「F」編です。
(˙꒳˙ )͟͟͞͞ =GO


 バーダックは悟空達と共に超ドラゴンボールの行方を調査していた。超ドラゴンボールは比喩なしでどんな願いも叶えてくれる。それが良いことに使われるのならば兎も角元の歴史に元の歴史通りの場所からなくなっていたら奪っていったのは歴史に干渉できるもの達だけ。例えばバーダック達が昔戦った暗黒魔界の科学者や歴史を支配しようとしていた魔神、そして科学者の息子。数えられるだけでも割といる。

 基本歴史は一方通行だが光輝が本来会うはずが無かったキリト達に会ってキリト達の歴史が変わった様に何者かの介入によって思考が変わることもある。

 だから本来の歴史ではしなかった思考を持って先に言った敵達がこんな事態を引き起こしたのではないかとも考えられシーラス達の仕業だと決めつけるのは早計だった。

 しかし、その結果が今の状態だ。悟空達と一緒に調査していた時、唐突に地震が起きた。それだけならば驚きやしないのだがその地面が割れいつの間にか出来ていたワームホールにタイムパトローラ達は飲み込まれこの世界に来た。そしていつの間にか悟空達とバラバラされていたのでバーダックは単独でこの世界を回りこの因縁の相手の元まで辿り着くことが出来たのだ。

 

「悟空の父親? ならばこいつもサイヤ人か!」

 

 倒れていたナメック星人……ピッコロは思わずそう叫ぶ。目の前のフリーザと渡り合える悟空・ベジータの両名を呼ぼうと気を高めたときに件の地割れが起き今に至る。

 バーダックはピッコロの言葉には答えずフリーザ達を見る。フリーザはそんなバーダックを見下ろし愉快そうに言った

 

「あの時何も出来なかった猿が私に勝てるとでもお思いですか?」

 

 その言葉にバーダックは余裕の笑みを浮かべた

 

「あの時の俺とは一味違うぜ」

 

 そう言ってバーダックは白色の闘気を纏う。それをフリーザは不愉快そうに見る。そんなフリーザの前に何人かの人影がでる。その内の一人、主に紫色の肌を持ち特徴的な角を二本持っている者が言った。

 

「ここは我々にお任せください、未来のフリーザ様」

 

「ホッホッホ! 自分の時代の私と区別する必要はないんですよ、ギニューさん」

 

 その言葉にギニューと呼ばれた男含める五人の男たちがとんでもなく嬉しそうな顔をする。

 

「はい! フリーザ様! 我らは一生ついて行きますぞ! お前達やるぞ!」

 

 そう言って臨戦態勢のバーダックの前なのだがギニューを含めた五人は隊列を組みだした。その内の一人、一番左のオレンジ色の髪を持ち五人の中では2番目の巨体の持ち主がバーダックから見て左の足をめいいっぱい伸ばし右の足は90度に曲げ右腕を体の前に、左腕は外側へピーンと伸ばし叫ぶ

 

「リクーム!!」

 

 愛美がいればこの五人のテーマソングを脳内再生することだろう。

 二人目は五人の中で一番の巨体の持ち主、青色の肌を持ちその姿から「青色のハリケーン」と呼ばれる。リクームのポーズを反対にしたようなポーズを決め

 

「バータ!」

 

 三人目は赤い肌と長い白髪の持ち主、その姿や戦闘力から「赤いマぐマ」と呼ばれる。左足を地につけ右足を立てる。そして両腕を伸ばし手首の所で曲げる。

 

「ジース!!」

 

 四人目は一番の小柄で緑色の肌に何故か普通の眼の他にももう二つ眼を持っている。ジースと対照的なポーズを取り

 

「グルド!!」

 

 そして最後の一人、ギニューは何故かバーダックに背中を向け息を吸いながら頭を足と足の間に持っていく。そして

 

「ギニュー!!」

 

 そして自己紹介順に叫ぶ

 

「み」

 

「ん」

 

「な」

 

「そろ」

 

「って!」

 

「「ギニュー特戦隊っ!!」」

 

 叫び終えたらあら不思議、いつの間にか5人の配置が変わりギニュー曰くファイティングポーズの出来上がりである。

 

「あいつらはどこの時代でも変わらないんだな」

 

 とクリリンはどこか安心した顔をしている。本当はそんな場合ではないのだが。バーダックは好戦的な笑みを浮かべ叫ぶ

 

「けっ! フリーザと戦う前の肩慣らしには丁度いいぜ」

 

 それにバータが反応する

 

「下級戦士が俺達エリート部隊に勝てるわけないだろう!」

 

「さあて、そいつはどうかな?」

 

「くそ! なめやがって! 後悔しても遅いからな!」

 

 次の瞬間バーダックは空中に飛び上がりギニュー特戦隊の面々は追った。トップバッターはこの中では一番のスピードの持ち主であるバータ。

 自称宇宙一のスピードをもってバーダックに超接近する。しかしバーダックは笑みを浮かべたままバータの攻撃を躱す。

 

「ちょこまかと!」

 

「俺も手伝う!」

 

 そう言ってジースもバータの攻撃に加わる。嵐のような連続攻撃を繰り返してくるがバーダックは涼しい顔で避けていく。そしてバーダックは二人の右のと左の拳を止めて勢いよく交差させる。それによってバータとジースは互いに頭突きをした。

 

「がっ!」

 

「とう──っ!!」

 

 と二人の動きが思わず止まった所で三人の頭上からリクームが手を合わせハンマーナックルを振り下ろしてくる。バーダックは迎え撃ってもよかったがギニューも接近しているのを見て後退して躱す。そして眼前に現れたギニューの拳に合わせるように拳を握り勢いよくぶつけた。

 互いに同じスピードで繰り出したのにも関わらずギニューの拳が弾かれた

 

「なんだとっ!?」

 

「うおらあああっ!!」

 

 胴体が晒されたギニューの腹部に拳を向ける。ギニューに当たる瞬間、ギニューがどういう訳か消えた。

 

「?」

 

 バーダックがギニューの気の方向に向けるとそこには息をぜえぜえしているグルドが一緒にいた。グルドは自分が息をしてない時だけ比喩なしで時間を止める事が出来るのだ。それを使いギニューを救出したのだ

 

「助かったぞ、グルド」

 

「隊長、あいつは」

 

 その言葉に特戦隊の面々は集まった。ギニューはグルドの言葉に頷き

 

「ああ、奴は俺達が思っている以上に強いようだ」

 

「だったら隊長」

 

 ジースの言葉に頷きみなまで言うなとストップする。そして五人は紫色の闘気を纏う。そしてギニューが叫ぶ

 

「行くぞ──っ!!」

 

「「お──ーっ!!」」

 

 ギニューを先頭に特戦隊の五人は宙で構えるバーダックに突撃する。

 ギニュー達の作戦はバーダックとギニューの体を「ボディーチェンジ」という技で入れ替えようとしているのだ。この技をギニューと対象者の肉体を入れ替えられる技で嘗て悟空もナメック星でくらって散々な目にあった。まあこの出来事があったからフリーザに勝てたといっても過言ではないんだが。

 しかしこの技には幾らか欠点がある。

 一つは対象者をしっかりと捉えること。

 二つ目は交換したい相手以外の邪魔が入らないようにすること。

 ギニューがこの技をしたいと考えるときは大概自分よりも強い相手の時なので対象の相手の動きをいかに止めることが出来るのかにかかっている。

 

「リクームキーック!」

 

 リクームが先んじて先手を放つがバーダックはあっさりとリクームの懐に入る。その巨体に鋭い拳が突き刺さる。

 その重い一撃にリクームはくの字に曲がり落ちていく。

 それを見届けず次を見る。今度はジースとバータが仕掛けてきたがバーダックは簡単にそれらの攻撃を躱しそれぞれ一撃で地に触れさせる

 

「ばかな、精鋭部隊の俺達が?」

 

「ありえねえ」

 

 そうそれぞれ落ちていくがギニューの作戦は概ね成功だ。注意をギニューとグルドからそらさせればよかったのだから。二人を撃沈させ一瞬止まったバーダックにグルドが

 

「きえええええ!!」

 

 グルドは特戦隊唯一の超能力の使い手。さっきやった時止めなどを見ればわかるだろう。そして今度は

 

「な、なんだこれは?」

 

 そうバーダックが言う。何故ならバーダックの動きが急に止まり本人も動けないのだ。これがグルドの奥の手、金縛りの術だ。その名の通り相手を金縛りにかけるのだ。そして動きが止まったバーダックに向けギニューが両手を広げている。それを見たクリリンが叫ぶ

 

「やばい! 避けろーっ!!」

 

 嘗てこの技をくらった親友を知ってるが故に叫ぶ。しかしギニューはその叫びを笑い自分もその技を叫ぶ

 

「チェ──ンジ!!」

 

 次の瞬間ギニューの口から光源が飛び出し動けないはずのバーダックに迫る。しかし……

 

「そんな手に俺が負けるかよ!」

 

 バーダックがそう叫び白色の闘気を纏いそれを爆発させた。

 

「何っ!?」

 

 ギニューが思わず叫ぶ。しかしギニューが放った技はバーダックに進み続ける。しかし先程の爆発で金縛りを強引に封殺しバーダックは自由な身になっていた。

 近くにいたグルドのが首根っこを高速移動で掴み先程自分がいた場所に投げた。つまりそれは

 

「ぐ、グルドどけーっ!」

 

 鬼気迫る表情でギニューは言ったが時すでに遅し。ギニューとグルドが光ったのだった。バーダックは舌打ちしながら言った

 

「まさかカカロットから聞いた情報が役に立つとはな」

 

 バーダックはタイムパトロールになった時に悟空と再会した。拳で語り合うことが大半だったがそれなりに言葉でも語り合った事がある。その時にギニューの技、「ボディーチェンジ」の事も聞いたのだ。

 その結果、先程までギニューだった体の持ち主とグルドだった体の持ち主は絶賛困惑中なのであった。

 

「ぐ、グルド直ぐに戻るぞ!」

 

「はい隊長!」

 

「させるかよ」

 

 低い声でバーダックが呟いた瞬間、元グルドだった体になっているギニューの目の前に踏み込んだ。チェンジと言わせる間もなく蹴っ飛ばし挙句には気功波を放った

 

「ば、馬鹿なァァ!」

 

「「隊長──っ!!」」

 

 ギニューはまともな抵抗も出来ずに消し飛ばされたのだった。他の特戦隊が隊長の死に呆然としていたがバーダックは容赦なくギニューの体に入っているグルドの目の前に肉薄した。他の3人は兎も角目の前のグルドが1番厄介だからだ。

 

「へっ!?」

 

「あばよ」

 

 しかしそれはそれで歴戦の戦士であるバーダックを相手にするには役不足でバーダックの拳が元ギニューの肉体をあっさりと貫いた

 

「ぐあ……あ」

 

 グルドは一瞬で気が無くなり絶命しながら落ちていく。バーダックはそんなグルドを見送る事なんかせず次の瞬間には残りの特戦隊の眼前に迫っていた。特戦隊はそれぞれその事に気がついた時には遅く全員気功波で吹っ飛ばされたのだった。

 

「ふん、戦いの前の準備運動にはなったな」

 

 バーダックはそう呟き下にいるフリーザを見下ろす。フリーザはバーダックが惑星ベジータにいた頃から乗っている乗り物に乗りながらもバーダックを見上げていた。バーダックはそれに目を細め急降下し降りていく。そしてバーダックが眼前に現れた時フリーザは眉を細めていた。

 

「あなた、一体何時のバーダックだ?」

 

 バーダックはその言葉に眉を顰める。何故ならさっきのギニューと言いフリーザ達はここが色々歪んだ世界ということを知っている。バーダック達は元々その調査をしていたから知っているが歴史の住人のフリーザ達がいつどこでこの事を知ったのだとなったのだ。

 そんな事を胸の中に留めつつニヤリとしながら返す

 

「さあな、当ててみろよ」

 

 フリーザが知っているバーダックはフリーザは愚かギニュー達にも勝てない筈だがバーダックは簡単に退けて見せた。自分の知っているバーダックではないと悟った。

 フリーザはバーダックの返しには答えず乗り物から降りていく。それを見たバーダックの後ろにいる戦士の1人ピッコロがほかの面々に叫ぶ

 

「お前達ここから離れるぞ!」

 

 そう叫んだピッコロを先頭にバーダックとフリーザから離れていく。バーダックの孫、孫悟飯だけはバーダックを見ていたがそれに気がついたバーダックはフリーザに向いたまま言った

 

「てめえも行け。こいつは俺がやる」

 

 その言葉に悟飯は頷きピッコロ達を追って2人の戦いの邪魔にならない所まで避難した。それと同時にバーダックは白色の闘気を纏う

 

「やっとこの時が来たぜ。遠慮なく貴様をぶちのめす時がな!」

 

「ほっほっほっ、ぶちのめされるの間違いではありませんか? 幾ら貴方がお強くなったと言ってもあの時よりも進化した私にかなうとお思いですか?」

 

「そいつはどうかな? 進化したのは貴様だけじゃないぜ?」

 

 お互いに不敵な笑みを崩さない。

 

「──っ!!」

 

 そしてバーダックはフリーザに迫る。フリーザは慌てることも無く迎え撃つ。バーダックの拳がフリーザを打ち砕かんと振りかぶられフリーザに迫る。フリーザはその拳を片手で掴んだ……筈だった

 

「なにっ!?」

 

 しかし抑えたはずだがその威力に眼をかっと見開いたのと同時、フリーザの腕は上に弾かれそのがら空きの胴にバーダックの拳が突き刺さる

 

「グアアッ!」

 

 しかしバーダックはそれで終わらずに打撃の嵐をお見舞う。自分の知っているバーダックよりも強いバーダックに殴られている内にフリーザの中でバーダックが悟空に置き換えられた

 

「調子に乗るな──!」

 

 次の瞬間、フリーザは紫色の気を解放するのと同時にその姿を変えた。さっきまでの小柄の体格とは正反対に戦闘服が破け巨漢になった。

 それだけに留まらず大きくなったと思えばまた少し縮み、代わりに頭部がエクレアのように伸びた。

 そして最後、圧倒的な気に包まれたフリーザは叫ぶ

 

「はあああッ!!」

 

 変身を終えたフリーザにバーダックは不敵な笑みを崩さず語り掛ける

 

「ほう? そいつが貴様の真の姿ってわけか」

 

 フリーザはシンプルな姿に変身した。バーダック自身は巻物で見たことがあるが生で見たのは初めてだ。

 

「ホッホッホ! まさかあなたのような雑魚に見せる事になろうとは思いませんでしたがね」

 

「その雑魚にてめえは負けるんだよ」

 

 しかし変身出来るのはフリーザだけの専売特許ではない。バーダックは腰だめに拳を置き握りしめる。

 

「はああああっ」

 

 静かに気を高め始めバーダックの髪が変色し始める。黒から金に、その変わり様はフリーザには身に覚えがあり苦々しそうな表情になる。

 

「はっ!」

 

 気合一千、バーダックを中心にクレーターが出来上がり雷鳴が落ちる。そんな雷鳴の中からバーダックが歩き出す。黄金色の髪と問う気を纏った姿はフリーザには忌々しく思える

 

「今度こそ、貴様をこの手でぶっ殺す!」

 

 超サイヤ人に変身したバーダックがそう叫ぶ。フリーザは両手を広げ構えるスタンスで、バーダックは悟空とは違い前傾姿勢で構える。

 瞬間、2人の距離が一気に縮み拳と拳がぶつかりあった

 

「はああああッ!!」

 

 叫ぶはバーダック。ぶつけあった拳を強引に弾き蹴りをお見舞う。フリーザはそれを腕を横にすることでガードするがフリーザの想定以上のパワーで吹き飛ばされる。

 

「ぐっ!」

 

 バーダックはそこで終わらず体を横にしてジャイロ回転しながらエルボーをくらわす。

 フリーザは体勢を取り直し反撃するがバーダックは野生のような動きでフリーザの攻撃を弾きまた攻撃を加える。遠目からその戦いを見ているピッコロは言った

 

「なんと言う奴だ。今のフリーザから1発も攻撃をくらっていない」

 

 それに弟子である悟飯は頷く

 

「姿も気の質も父さんにそっくりなのに戦い方は荒っぽい。それでいて強い。幾度の戦闘で得た実践慣れしている動きだ」

 

 そして超サイヤ人になったのも驚いた。悟飯が知っている限り超サイヤ人になれるものは少ないはずなのにバーダックはあっさりとなってみせた。なぜフリーザに勝てなかったのだろうと悟飯は思った。

 そんな思考をしている間に状況が動く。空中で激突を繰り返した二人、フリーザの方がバーダックに叩き落されていた

 

「ぐうう……きえええっ!!」

 

 しかしただでやられるフリーザではなくとっさに巨大な光弾を作り上げそれを放った。

 

「ちっ!」

 

 バーダックは追撃を塞がれ舌打ちをした後迫ってきた光弾を受け止めた。咄嗟に作ったとは言え悟空を殺すために修業したフリーザの光弾、簡単には弾けず少しグズグズしていたら光弾を受け止めていたバーダックの後ろに叩き落されから回復したフリーザが現れた。そしてもう一つの光弾を作り上げそれを思いっきり放った

 

「これでおわりだ──っ!!」

 

「ああ!」

 

 クリリンが思わず声をあげる中でも2つの光弾の挟み撃ちにされたバーダックがいた場所から大爆発が起きたのだった。

 黙々と立ち込める煙を見ているフリーザはその口元を笑みに変えている

 

「サイヤ人が私に勝とうなんてやっぱり無理だったんだ。例え超サイヤ人と言えどもね」

 

「そいつはどうかな?」

 

 そんな親子そっくりな声があげられた瞬間、フリーザは声がした後方を見るのと同時に強烈な右ストレートがフリーザの頬にぶち当たった

 

「ぐあああッ!!」

 

 その余りの威力にフリーザは一瞬白目むきながら吹き飛んだ。あの大爆発をそのスピードで脱出し今の攻撃を加えたバーダックはそこで終わる事なくフリーザを追いかけた

 

「くらえ」

 

 ただ一言そう言ってハンマーナックルで下の地面へと叩き落とした。フリーザは物凄いスピードで地面へと激突したのだった。

 バーダックも地面へと降り激突したフリーザが落ちた場所を見る。煙の中から感じるフリーザの気はピンピンしているが、力の差は歴然。立ち上がったフリーザは忌々しそうにバーダックを見る。そして口元を拭えば今の戦闘によってつけられた血が出る。

 

「貴様……絶対に許さんぞ!」

 

 そう言ってフリーザの紫色の闘気が溢れ出す。しかしバーダックは怖気もせず言い返す

 

「てめぇの許しなんているかよ。今度こそ、貴様を倒す!」

 

 クウラと戦った時、本当はフリーザと戦いたかった。タイムパトロールで時の界王神にガミガミ言われなきゃフリーザの元に行っていた。

 チルドもクウラもフリーザの親戚や家族ではあるが本人ではない。バーダックが今のような台詞を言うのも当然だろう。そんな時、フリーザがふっと笑った

 

「何がおかしい?」

 

「念の為、更なる進化に挑戦しておいて良かったですよ。本来は貴方程度に使う予定は無かったのですが……決めましたよ。貴方にはどうしようもない絶望を味わせてやる!」

 

 フリーザは腰だめに拳を握り血管が浮き出て気を高め始めた。最初は紫色の気だったが今はその対極の黄金の光がフリーザに身に纏う。

 光の奔流がフリーザをこれでもかと包み込み

 

「はあああああ……はあっ!」

 

 その気の爆発によってバーダックは少し後方に吹き飛ばされかけた。しかし意地で耐え爆発の中心部、即ちフリーザがいた所を見る。

 そこにいたフリーザはバーダックでも初めて見た。全身が金色に輝きその身に纏う気もさっきとは比べ物にならない。フリーザは人差し指を立てて余裕を取り戻した顔で言った

 

「安直なネーミングですが……ゴールデンフリーザとでも言いましょうか」

 

 神域に達した悪の帝王と、運命に抗うサイヤ人が激突した




お疲れ様です。
超サイヤ人バーダックVS最終形態フリーザ、普通にバーダックの勝ちです。
グルドの超能力普通に破られる。ファイターズじゃ普通に捕まってましたけどあれは実力は皆同じ位になってたから通用しただけです。
そしてゴルフリ登場。
(*´∇`)ノ ではでは~


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これがサイヤ人の力、超サイヤ人4!

おはようございます。大学生活入って死んでました。冗談はさておき今回は…タイトルばれしてるけど気にしない。go!


 今、バーダックの目の前には彼が見たことのない姿へと変身したフリーザがいた。少し眩しく輝くその姿、本人曰く悟空を殺すために達した境地。全身を金色に輝かせその肉体に宿るパワーはハッタリではない。フリーザは名乗った

 

「安直なネーミングですが、ゴールデンフリーザとでも言いましょうか」

 

 フリーザとしては力の差を見せつけたつもりだった。実際、フリーザがいた世界の悟空と本来戦った歴史ではフリーザが押していた。だからそう思わせるほどの力は持っている。しかしバーダックは少し驚いた表情を見せた後にやりと笑い言った

 

「なんだ、お前の進化ってのは俺達と同じ色になることだったのか」

 

 超サイヤ人は基本金髪だ。フリーザのゴールデンフリーザはそれを見た後になった形態なので少なからず意識してしまったのかもしれない。しかしフリーザはそんな事認めるはずもなく

 

「お黙りなさい。私の変身が猿の貴方方と同じなはずがないでしょう」

 

 フリーザは拳を握り先程と別次元のスピードでバーダックの眼前に踏み込んだ。バーダックは驚愕で目を見開き殆ど勘でその拳をガードした。しかし

 

「キエエエエエッ!!」

 

「なにっ!?」

 

 フリーザはガードを物ともせずバーダックの体ごと吹き飛ばした。バーダックは岩山へと突撃し岩塊を飛び散らせる。だがフリーザがそこで終わる筈がなく人差し指を岩山へ向け赤く細い気弾を何発も放った。

 

「ああっ!」

 

 クリリンが思わずそう叫ぶ。元々崩れ始めていた岩山が更に崩れた……その時その岩山の中から青色の光弾が岩山を吹き飛ばしながらフリーザに放たれた

 

「くっ!」

 

 フリーザは煩わしそうにその光弾を上に弾いた。弾いた先には岩山から脱出していたバーダックがフリーザ目掛け突撃していた。バーダックは自分の弾かれた光弾を再び弾きながらフリーザとの距離を詰めた。その際、バーダックの髪が超サイヤ人の時よりも更に逆立ち周りには青白い雷鳴が迸っていた。

 

「おらああああ!!」

 

 拳をお返しとばかりに振るう。

 

「キエエエエエッ!!」

 

 フリーザも再び拳を握った後バーダックの拳に自分の拳をぶつけた。ぶつかった衝撃で海が一瞬ざわついた。しかし直ぐに勝負が決まる。

 

「チッ!」

 

 弾かれたのはバーダック、フリーザの拳の威力に思わずのけぞってしまう。フリーザは直ぐに追い打ちをかけようとするがそこは歴戦の戦士のバーダック、フリーザの攻撃を半ば勘と今までの戦闘経験でから予測される軌道に腕を置くことによってその攻撃をガードする。

 それでもフリーザのパワーが上回りバーダックは強引に吹き飛ばされる。

 

「ホッホッホ、どうしました? その程度ですか?」

 

 超サイヤ人のバーダックを押し始めたことにより元来の余裕が出てきたのかそう言う。吹き飛ばされた状態から構えたバーダックは

 

「その余裕、いつまで持てるかな?」

 

 バーダックも余裕の表情で答える。その表情を見たフリーザは憎悪を蘇らせ、バーダックに迫ったのだった。バーダックは迫りくるフリーザを見た後、腰だめに拳を置き

 

「はああああっ!!」

 

 金色の闘気を身にまといバーダックの状態が変わっていく。金色の髪は腰あたりまで伸び、眉毛は無くなり青白い雷鳴が一層激しく燃え上がっている。その先程までとは大分違う進化にフリーザの動きが一瞬止まった。その隙を見逃すバーダックではなくフリーザの目の前に次の瞬間踏み込んでいた。

 

「––!?」

 

 先程よりも早いスピードで迫ってきたバーダックにフリーザは若干目を見開きゴールデン化してから初めてその身に攻撃を受けた

 

「がっ!?」

 

「おらああああ!」

 

 超サイヤ人3に変身したバーダックはこの好機を見逃さまいと更に攻撃をしようとしたのだがそこはフリーザ、憎悪の力で体を起き上がらせバーダックの拳を止め逆に鳩尾に強烈な左ストレートが入った

 

「がはっ––!」

 

「調子に乗るなーっ!」

 

 やられたらやり返す、次にくの字に曲がったバーダックの上で腕を組みハンマーナックルで下に叩き落した。

 だがバーダックは地面にぶつかる瞬間に態勢を取り直しフリーザの元に再び向かう。

 

「しつこいんですよ!」

 

 そう答えながらもフリーザとばバーダックは目にもとまらぬ乱撃戦始める。秒間数えきれない程の打撃の応酬が繰り広げられる。それを見ているクリリンは思わずつぶやく

 

「互角……なのか?」

 

 バーダックとフリーザの戦いを悟飯の隣で見ていたピッコロが焦ったように声を上げる

 

「いや違う! あのサイヤ人の気が下がってきている。今のままではまずい」

 

 その言葉に面々は二人を見る。そうすれば打撃の応酬が終わったと所だった。結果はバーダックの方が吹き飛ばされフリーザは拳を振りぬいた状態でバーダックを見下していた。バーダックは先程とは違う岩山に突撃し張り付いていた。

 

「これで分かったか! 貴様ごときが私にかてるはずないんだ!」

 

 岩山のクレーターからバーダックは出てきながら言った

 

「あいつがここまで強くなってるとはな」

 

 フリーザは腕を組み冷徹な赤き瞳で見下しながら答える

 

「当たり前でしょう。私は貴方方猿以上に才能があるんですよ? そんな私がトレーニングをすれば貴方方に劣れを取るはずがありません」

 

 そんな言葉をバーダックは立ち上がりながら聞いていた。だがそれがフリーザには気に食わなかった。フリーザは絶望するバーダックを見たいのだがやはりそんな顔は見れない。というより顔が似ているのも相まって悟空を意識してしまう。

 

「ペッ!」

 

 バーダックは口元の血を吐き捨てフリーザを見上げた。しかしその顔は戦意をみなぎらせている顔だった。退くことを知らないサイヤ人はフリーザを見ながら好戦的な声色で口を開いた

 

「確かに、貴様は強い」

 

 バーダックはそう言いながら超サイヤ人3を解く。先程よりも気が下がる。それを一瞬降参の合図かと思ったがそんな訳ない。

 バーダックの中に内包する気が高まっているのを感じた。バーダックの周りに再び金色の闘気が溢れ出す。

 雷鳴がバーダックを包むように落ち始める。その溢れ出した闘気によって地球エリアが揺れ始める。そしてその高まりは遥か彼方の光輝がいる所でも確かに感じた

 

「––!」

 

 カリフラ達と休憩していた光輝はその気を感じ取りいきなりばっと立ち上がった。気を探る精度が高くないのかカリフラ達は分かってなさげだ。

 

「どうしたんだ?」

 

 カリフラはそこで疑問符な顔になった。何故なら光輝が今まで見たこともない程驚愕と楽しそうな表情になっていたのだ。

 

「いや……やっぱ俺もまだまだだなって思ったんだ。本当に、すげえ人だ」

 

 どういう訳か気が上手く探れなくなってるこの世界でもこれ程明瞭に感じることが出来る気の嵐。運命に抗う者だけが達する事の出来る境地、光輝が目指すサイヤ人の究極系の一つ。

 バーダックの髪の毛が逆立だったり下りたりする。それに伴って強大な気が溢れ出す。

 そしてバーダックが叫ぶ

 

「だけどな、これで全てが変わる。俺の運命も……そして!」

 

 そこでバーダックは野生の獣を沸騰させる瞳でフリーザを睨む。

 

「貴様の運命も!」

 

 バーダックの戦闘服が吹き飛び代わりに出てきたのは赤い毛だった。髪の毛も伸びる。

 

「俺が……俺が……!」

 

 赤い毛がバーダックの上半身を覆った時、バーダックの気が爆発した

 

「貴様を倒す!!」

 

 気合一千

 その場の戦士たちをも吹き飛ばしかねない気の奔流が蠢いた。

 

「何っ!?」

 

 フリーザは思わず驚愕の声をあげる。何故なら先程までなっていた超サイヤ人とは大きく違う姿へと変わったからだ。

 姿は原始的な姿、サイヤ人の大猿の姿を人間サイズにまで縮小したような姿へと変わったのだ。その変化を見ていた悟飯達も驚きの声を上げる

 

「な、何なんだあの姿は!?」

 

「超サイヤ人なのか?」

 

 悟飯とピッコロが驚愕の声をあげる。クリリンが隣で言う

 

「あいつの気が大きすぎて気が上手く探れない」

 

 大きすぎる気はその領域に行ってるものでしか感じることは出来ない。だから今のバーダックの気が近くにいるのにも関わらず上手く探ることが出来ないのだ。そんな外野の驚愕を無視しバーダックは浮遊する。フリーザと同じ高さにまで飛んだバーダックにフリーザは聞いた。

 

「な、何なんだ貴様は……何なんだ──ーっ!!」

 

 その叫びと共にフリーザは先程までのバーダックならば反応できなかっただろうスピードで眼前に現れバーダックの顔面に右ストレートを放った。

 バーダックはその拳を右手で受け止めた。あたり一帯に鈍い音共に風圧が広がる。あっさりと止めて見せたバーダックにフリーザは驚愕の顔になった。そのバーダックの瞳がナメック星での悟空の眼に重なった。

「キっ!」とフリーザは左拳でまたバーダックの顔面を殴ろうとしたがそれも左手で止められる。そして静かに、絶対的な怒りの声色で言った

 

「俺は……ただのサイヤ人だ」

 

「──!!」

 

「覚悟はいいな?」

 

 バーダックがそう呟いた瞬間、バーダックはフリーザの両手を離し一瞬で逆にフリーザの懐に踏み込んだ。フリーザが気が付いた時には腹部に先程とは桁が違う威力の拳がフリーザを貫かんと突き刺さっていた。フリーザは思わず白目をむき吹き飛んでいった。

 

「終わると思うか?」

 

 バーダックがそう呟いた瞬間、吹き飛んでいったフリーザにすぐさま追いつき足を掴んだ

 

「おらああああっ!!」

 

 フリーザを勢いよく海面に投げ飛ばした。成すすべもないフリーザにバーダックはさらなる追い打ちをかける。海面に突撃したフリーザを追い自身も海面につっこむ。そしてフリーザの腹部に強烈な一撃を振りかぶる。

 しかしそこでフリーザは意識を取り戻しその拳を止めた。止めた振動が海の中に響き渡る。

 バーダックは「そうこなくちゃ面白くない」と言いたげな表情をした後、金色の闘気を纏った。それを見たフリーザも負けじと黄金のオーラを纏い拮抗する。その両者の気はやがて海面を抉り出し二人が出たわけでもないのに海が勝手に割けて爆発した。

 

「うわあああ!」

 

 その余りの威力に観戦しているだけの戦士達も思わずガードする。次に戦士たちが見たのは息を切らし始めているフリーザと獣のような好戦的笑みを浮かべているバーダックだった。今の攻防、ここにいる面子には早すぎて何があったのからない。しかし先程までとの形成ではないことだけは確かだった。

 肩で息を切らしていたフリーザが憎悪の眼でバーダックを据え吠える

 

「その姿は……猿になっただけにしか見えないのに!」

 

 それにバーダックは答える

 

「こいつは超サイヤ人4……てめえが恐れた伝説の超サイヤ人だ」

 

 それを聞きフリーザは思わず一歩下がる。しかしそれ以上は意地なのか下がらなった。バーダックは言った

 

「確かにそのゴールデンフリーザってのは強ぇ、だが貴様はそれを使いこなせちゃいない」

 

「なにっ!?」

 

 そこでフリーザは自らの力を感じ取った。そうすれば確かに最初になった時に比べたらパワーダウンをしている。

 

「だ、黙れ──ッ!!」

 

 そう認めたくないのか叫びながらバーダックに突撃する。フリーザは渾身の一撃をお見舞いするべく拳を固く握った。そしてバーダックはそんな渾身の一撃をノーガードで受け……びくともしなかった。

 

「な、何だと!?」

 

 フリーザは今の一撃に余ほどあったのかノーガードで受けられたことにあからさまに動揺した。戦いの中で動揺とは”敗北”を意味する。バーダックは動揺して動きが止まったフリーザの眼前に先程まで以上の踏み込みで現れた。フリーザが驚愕の顔になるのと同時、強烈すぎる右ストレートがフリーザの腹部に突き刺さりフリーザは

 

「ぐはあっ―!!」

 

 まともな声を上げることもできずに地上に吹き飛んでいった。轟音と共にフリーザは地上に激突し膝を付いていた。両手も思わずついた。

 訓練の時には無かったはずなのになぜだと考えるがそれは皮肉にも目の前に降りてきたバーダックが教えてくれた。

 

「貴様はそれに慣れる前にここに来たようだな。そのゴールデンフリーザは体力の消耗が激しい変身だ。貴様はもっとその変身に慣れてからここに来るべきだったな」

 

「ちくしょう……」

 

 その弱点をよりにもよって自分が見下していたサイヤ人に教えられるという屈辱にフリーザは歯を食いしばった。そんな二人を遠目で見ている人影が一つあった。フリーザ軍の戦闘服をついてる着て小柄で青色の肌を持つその人は自分の指輪型の銃を膝をつき悔しがっているフリーザの前に佇んでいるバーダックに向けた。フリーザはそれを横目で確認しバーダックには見えないようににやりと笑う……ことが出来たのはほんの一瞬だけだった。バーダックがそのフリーザ軍の戦闘服を着た男……ソルベのいる所にフリーザを見ながら手を向けソルベを消し去るには十分な光弾を放ったからだ

 

「あ」

 

 という言葉と共にソルベは爆散した。次にフリーザにその手を向ける。フリーザは今度こそ苦虫を嚙み潰したような表情になる。今のがフリーザ達の最後の作戦だったのだ。対悟空ようの作戦だがソルベはフリーザが危なくなったことでその作戦を思い出しやろうとしたのだろう。

 

「残念だったな。俺はカカロットほど甘くはない。宇宙の帝王ともあろう奴が最後にちんけな作戦に賭けたもんだ」

 

「ちくしょう……ちくしょう」

 

 そう心底あきれた声を出しながら光弾を作り上げた。バーダックは本人が言った通り悟空ほど甘くはない。それはサイヤ人として幾千もの戦場に行った彼だからこそそうなったのだ。

 

「……これで最後だ」

 

 そう最後の一撃を放とうとした時、フリーザは諦めが悪くまたニヤリとする。

 

「お前たちもなっ!!」

 

 そう地面についてる手から地球もろとも吹き飛ばせるエネルギーを放出しようとした時、バーダックが一瞬で残っていた距離を詰めフリーザの顎を蹴り上げた

 

「ぐああああっ1!」

 

 フリーザは血反吐を吐きながら空へと吹き飛んで行った。そして何とか空中で止まり「キっ!」と地上にいるバーダックを見る。自分が知っている超サイヤ人よりも見た目が派手になったバーダックを憎悪の眼で見る。バーダックは冷徹な瞳でフリーザに言った

 

「俺はカカロット穂甘くないって言ったばっかりじゃねえか」

 

「くそ……くそ──っ!! 何が超サイヤ人4ですか! ただ猿に変わっただけじゃないか! 俺が……俺が」

 

 思い出されるのはナメック星での悟空との激闘、見下していたサイヤ人に敗れ復活した後再び地球に訪れた時は訳も分からない超サイヤ人に敗北した。二回も超サイヤ人に負けその悔しさをばねに今回は修業した。それなのに今度は昔赤子同然に葬った悟空の父親にぼろ負けしている自分

 

「宇宙最強なんだ──っ!!」

 

 そう叫んだ時、フリーザの脳裏に声が響いた。

 

『力が欲しくはないか?』

 

 そう響いた瞬間

 

「──!! うおおおおおっ!!」

 

 フリーザから紫色の気が溢れ出した。

 

「何?」

 

 バーダックは訝し気に見ていたが光輝が言っていた事を思い出した

 

『シーラスは対象者の命というリソースを引き換えに潜在能力以上の力を引き出してきます。多分、それを発動するには対象が何かしら心が弱った時にしか使えないと思います』

 

 光輝の言葉を思い出しながら今のフリーザを見る。フリーザは先程まではゴールデンフリーザの影響か気が弱くなっていたはずなのに今は逆に増大している。しかしバーダックはそれを見てにやりと笑う。

 

「いいねえ、面白くなってきたぜ」

 

 光輝ならばこんな強化方法に怒るところだがバーダックはそんな事考えない。利用される方が悪いって考えているからだ。かつてサイヤ人がフリーザ軍にこき使われていた時のように。今度はフリーザがそうなった、ただそれだけの事だと。

 雄叫びを終え先程までの狼狽ぶりが嘘のように静まり返る。

 バーダックは強化を終えたフリーザの眼の前まで浮遊する。フリーザは先程まで脱力したようにだらーんとしていたがバーダックが目の前に現れた時にはバーダックを見据えていた。その瞳には既に理性はなくただバーダックを倒すことに全てをささげるような白目だった。

 

 両者、構え激突した

 

 

 

 

 




お疲れさまです。外野の反応がありきたりすぎるという。
次回、ファイナルラウンドです。バーダックの口調あってるかな?ではでは


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想いを込めし究極の一撃

おはようございます。ファイナルラウンドです。タイトルがバーダックっぽくないとは思ったんですが語彙力無くてこんなタイトルしか思いつかなかった。ではgo


 バーダックとフリーザが激突していた頃、休憩を終えた光輝はサイヤ人三人衆に別れを告げていた。

 

「俺はもう行くよ。早くこの世界を元に戻さなきゃならねえからな」

 

 その言葉にカリフラは不満たらたらの顔で聞いてきた

 

「あたしらがついて行くって言ったら?」

 

「俺としては歓迎……と言いたい所だがこの先は危険だ」

 

 そこでカリフラが思いっきり、隠そうともせず不機嫌な顔になった。光輝は慌てて言葉を繋げる

 

「別にお前らが弱いって言ってるんじゃない。才能は俺とかよりもあると思うしな。だけど……」

 

 そこで光輝の雰囲気が変わった。さっきまでのリラックス状態ではなく戦士としての顔に。カリフラもそれに気が付き黙る

 

「はっきり言ってお前達には経験が足りない。お前らは今まで自分よりも弱い敵と戦う事が多かった。違うか?」

 

 それを聞きカリフラはバツの悪そうな顔になった。実際その通りだったからだ。カリフラは基本狙えそうな獲物しか狙わなかった。それでも経験は積めるだろう。それは光輝もSAO時代に知っている。SAOには光輝よりも強い人は事実上存在しなかった。だが光輝はレインの叱責以降はきちんと色んな人の戦い方を見てきた。

 そうすれば気が付いたことだってあった。恐らく二刀流の腕はキリトの方があるという事やその機転の利いた戦い方、アスナからはその人を引っ張るリーダーシップが光輝にはないものだった。それだけではない。モンスターとの戦いだって光輝にとってはかけがえのない経験だ。特に人型のモンスターとの戦いはVS人間に近いものがあったから余計にそう感じた。

 

「だから……お前たちはこの世界で経験を積め。そうやって滅茶苦茶強くなった先にいるお前達と一緒に戦いたい。それに……」

 

 光輝はそこで言葉を区切り三人のサイヤ人を見る。何故か三人の眼がボルト達の「強くなりたい」という眼に重なった。

 

「強くなったお前達と戦った方が互いの限界を超えた凄い戦いが出来るって俺は思うから」

 

 その嘘を感じさせない言葉にカリフラは少し考えた後ため息をついた。そしたら今度は拳を突き出してきた。光輝はその真意が分からず疑問の顔になる。カリフラはさっきまでの不満な顔ではなく笑顔だった。

 

「絶対だぜ。あたしらはあんたなんか眼じゃない程強くなってやる。その時もう一度あたし達と戦え!」

 

 カリフラの言葉に光輝はふっと笑いカリフラの拳に自分の拳もぶつけた。そうしたらカリフラだけではなくキャベやケールも自分の拳を合わせる。

 

「ああ、待ってるぜ。とんでもなく強くなったお前達を、俺はそんなお前らをまた超えてやるからよ!」

 

 その言葉にカリフラがニヤリと笑いながら叫ぶ

 

「その言葉そっくり返してやるぜ! その時勝つのはあたしだ!」

 

「僕も負けませんよ!」

 

「わ、私だって、負けません!」

 

 そう言いあって四人の拳は離れた。だが四人の口元はそれぞれ微笑みに変わっていた。光輝は三人に背を向けバーダックの気を感じた方向に眼を向ける。今はまた感じられなくなったが気配がビンビン感じられている。

 光輝は白色の気を纏い振り返らず言った

 

「じゃあな、また会おう」

 

 それに答えたのはキャベだった

 

「はい、ありがとうございました!」

 

 光輝はグッドポーズをした後飛翔した。飛び去った光輝を見届けながらカリフラは言った

 

「絶対に強くなってやる。そうだろケール、キャベ!」

 

「はい! 強くなりましょう、姐さん」

 

「勿論です。また光輝さんに会う時までに僕たちは強くなります」

 

 三人のこの世界での旅は始まったばっかりだ。

 

 

 ★

 

 

 金色の中に全てを闇に染めようとするオーラを纏うフリーザ、その姿は様々な次元の中でもサイヤ人としての行きつく先、超サイヤ人4のバーダックが相対していた。

 フリーザは腕を脱力してぷらーんと下げている。バーダックは拳を握りフットワークをしながらフリーザの様子を見ている。

 

(さっきまでの調子の乗りようがない。完全にシーラス共に良いように使われてやがるな)

 

 そう思えば思わず口が緩む。かつて自分達をあんなにこき使った挙句超サイヤ人が怖いという理由で星を滅ぼした奴が今は逆に意識があるのか分からないが操られているという皮肉にバーダックは内心「ざまあみろ」とか思っていた。

 

「––!」

 

 ぶつかり合うのは同時、金と紫がぶつかり合う。

 

「うおおおおおっ!!」

 

 フリーザが気合の雄叫びを上げながらバーダックを蹴ろうとする。バーダックはその蹴りを腕を横に置くことでガードする。

 

「ぐっ!」

 

 しかしその威力に思わず苦渋の声を上げる。やはり光輝が言っていた通り力が底上げされている。だがバーダックはそれでも余裕の表情だけは崩さなかった。

 

「良いねえ、そう来なくちゃ面白くない!」

 

 バーダックはその腕を大きく振ることでフリーザの態勢を崩した。そしてフリーザの態勢が戻る前にその鳩尾にバーダックの拳が突き刺さる。

 

「ぐはっ!」

 

 フリーザの肺にあった空気が一気に押し出され抜けた。しかしシーラスのパワーアップによってタフさも増しているフリーザはこれ以上は倒れまいと耐えた。

 

「おらあああ!!」

 

「きええええ!!」

 

 二人の超戦士は激突を繰り返してはどちらかが仰け反る。そしてやられた方がやった方にやり返す。この前ここにいた戦士たちが見た悟空と破壊神ビルスの戦いと同等の力のぶつかり合いに戦士たちは釘付けにされている。

 

「何という戦いだ、ここまで力のぶつかり合いが伝わってくる」

 

「あのサイヤ人……前ビルス様が来た時の父さんと同じかそれ以上の強さだ。まだこんなサイヤ人がいたなんて」

 

 そう言った瞬間、その激突の中から一人飛び出してきた。もの凄いスピードで海面に突撃していった。

 

「どっちだ?」

 

「フリーザの方だ!」

 

 この中で一番眼が良いジャコが叫ぶ。その瞬間、フリーザが突撃していった海面から赤色の気弾が出鱈目に飛び出してくる。

 

「ちっ!」

 

 バーダックは舌打ちし一回は全て弾こうかと思ったが直ぐに思い直し自分の気功波を海に放った

 バーダックの気功波はフリーザの気弾全てを打ち砕き海に突き進み海面と激突した。

 バーダックの気功波と激突したことにより巨大な水しぶきをあげる

 

「光輝のやろうは相手のパワーが落ちてきたころを見計らい倒したらしいけどよ……俺はそんな回りくどい事はしねえよ!」

 

 バーダックはそう叫び上空を見た。そこにはいつの間にか暴走状態のフリーザが天に手を上げその掌からフリーザの身長の何倍もある巨大な光弾が出来上がっていた。

 

「今度こそ……全てが変わる」

 

 バーダックはそう呟き自分も右の拳に力を籠める。そこから金色の闘気が溢れ出す。その拳にバーダックのパワーが集中しているのだ。

 

「あいつらの仇も……」

 

 そう言いながら左手でみ自分のハチマキを掴む。そこから思い出される嘗ての自分の仲間達。そしてぶっきらぼうなりに大事にしていた妻。

 決着をつけようとしている目の前の存在に奪われた。だから……

 

「今度は俺が貴様を滅ぼす!!」

 

 そう叫びフリーザとバーダックの最終攻撃は同時だった。フリーザがその巨大な光弾をバーダックに振り下ろす

 

「きええええええッ!!」

 

 バーダックは自らの力の全てを右の拳に込める。そしてそのフリーザが放った巨大な光弾に突撃した

 

「馬鹿な!? 直接行っただと!?」

 

 ピッコロがその無茶苦茶な行動に思わずそう叫ぶ。ただでさえ今のフリーザはおかしくなることを引き換えにパワーアップしている。そんなフリーザの全力攻撃を真正面から迎え撃つのは狂気の沙汰ではない。

 

「うおおおおおおおおッ!!」

 

 フリーザの光弾とバーダックが激突した。赤い巨大光弾とバーダックの全てを込めた激突、その激突から吹き荒れる衝撃が悟飯達を襲う。ピッコロや悟飯達はその場から吹き飛ばされそうになりながらもなんとか耐える。

 そしてそんな衝撃は先程感じた気の場所……つまりバーダックの場所に向かっている光輝も今度は完全に感じ取ることが出来た。それどころかフリーザとバーダックのぶつかり合いによって起きた衝撃波が光輝にも襲ってきた

 

「うわ!」

 

 いきなり襲ってきた衝撃波に光輝は思わず向かうのを止まった。

 

「やっぱりこの気はバーダックさんだ。気がでかすぎてどの位凄いのかすら分からないけど……もう一人は誰だ?」

 

 この気はどっかで感じたことがある。この気は……

 

「フリーザか? でも俺の知ってるフリーザよりもずっと強い」

 

 今の俺のじゃ勝てないくらいに

 

 光輝はそう心で続けた。あのタイムパトロールから時間が経ちあの時よりも強くなった自分よりも強くなっている宇宙の帝王に光輝は冷汗が出てくる。

 

「だけど……止まるなんて選択肢なんてない」

 

 そう呟き光輝は再び飛翔した。その手が震えていたことに本人は気が付かずに。

 

 ★

 

 そこらを破壊出来うる超パワーの激突、生半端な戦士ではその衝撃だけで吹き飛ぶほどのぶつかり合いはとうとう終わりを告げた。

 

「な……何だと!?」

 

 そうフリーザが叫ぶのと同時にバーダックがフリーザの光弾を突き抜けてきた。そのフリーザを見据える瞳は天敵を狩る猛獣のような瞳、フリーザはその眼光を見て息をのんだが遅い

 

「終わりだ──ーっ!!」

 

 フリーザの攻撃を突き抜けバーダックの全てが籠った拳がフリーザの腹部に突き刺さった

 

「ぐあああああああ!!」

 

 フリーザの絶叫が響き渡る。その絶叫が聞こえた瞬間、フリーザに纏っていた紫色のオーラが弾けて消えた。そしてバーダックはフリーザを自分の拳を突き刺したまま宙に放り投げた。放り投げられたフリーザの腹部から光が溢れ出している。バーダックはもうフリーザを見ずに言った

 

「あばよ」

 

「ち……畜生──っ!!!」

 

 フリーザはバーダックの拳から発せられた気の奔流によってその身を爆散させたのだった

 

 ★

 

 見える光は先程の激闘を映していたモニターだけ。光が差し込まない暗闇の場所で仮面の男は悪態をついた

 

「宇宙の帝王なんてふざけた異名を持つ割にあっさりやられやがった」

 

 そんな事を男は言ってるが現状では男もゴールデンフリーザには勝てない。しかし男の思考は「最後まで立っていたものが勝者」という考えなので関係ない。そして次にフリーザを倒し終えフリーザと同じ時代の戦士達に一方的に何か言ってるバーダックを見る。

 

「超サイヤ人4……か」

 

 このままいけば絶対に計画の障害になるあの二刀流のタイムパトロールを思い出す。

 

(あいつもサイヤ人である以上あの領域にまで行くだろう)

 

 自分の掌を見つめる。そのまま男は眼を閉じる。そうすれば自分にとって一番大事な存在だった少女の言葉が蘇る

 

光輝は生きて……この世界を救ってね。争いも何もない……私達が平和に生きてる……そんな世界を作ってね』

 

 少女は亡くなる前だというのにそんな事を微笑んで言ったのだ。少女は家族を亡くした男にとっては唯一の生きがいだった。少女の為に何個も罪を重ねた。だがそんな罪を犯したせいで罰が当たってしまったのかはたまた運命のいたずらか少女は男を庇い死んでしまった。男は少女を殺した男を殺した。その後、男は少女の願いを叶える為に動いた。身近な大人達に呼びかけ異常事態によって経済も何もかも終わっている世界をもう一度復活させようとした。だが……

 

『俺知ってる。このガキは人殺しだ!!』

 

 そんな心無い誰かが言った言葉によって男は逆に追いかけられる人間になってしまった。男はそれでも……少女の願った世界を作りたくて最初の内は誰も殺さなかった。だが男は悟ってしまった。誰も助けてくれない。それどころか憂さ晴らしの様に自分が追いかけられ殺しに来ていることに。それに気が付いた時、男は絶望した。そこからの記憶は飛んでいる。気が付けば目の前に自分を追いかけてきた人達が血まみれで倒れていた事と頭痛がしたことはよく覚えている。

 男は自分のした事が少女がして欲しかったと逆の事をした事に気が付いた。男は少女や家族の墓の前で

 

『ごめん愛美……俺、もう死にたい」

 

 そう弱弱しく言って男は自分の真剣で自分を貫こうとした。その時

 

『待て』

 

 どこからか神々しく降り立った存在が男には神様か何かに見えたのだった。

 昔を思い出せる限り思い出し男は再びモニターを見た。もうそこにはバーダックの姿は見えなかった。その代わりに男が最も意識している男が現れた。先程バーダックに一方的に話しかけられていた戦士達と話している。

 男は光輝を黙って見つめる。光輝は今の男には出来なかったシーラスを退散させる程のパワーを見せた。そのパワーアップ法は超サイヤ人とは違った。家族の思い出と絆を力に変えた強化形態。男も世界が異常事態に見舞われる前によく見ていた特撮ヒーローも似たパワーアップをしていた。男は自分の真剣を握り呟いた

 

「貴様に出来るなら俺にも出来る筈だ」

 

 光輝と戦士たちの会話はここで何があったのかと言う事とバーダックの行先についてだったがバーダックは光輝が来る前にどこかに行ってしまったので誰も行先は分からない。男はそこで会話に興味が無くなったように違うモニターを見た。そして少し前のめりになる。面白い戦いになりそうだからだ。そのモニターから声がする

 

『見つけたぞ、フュー』

 

 光輝と色違いの恰好をして先程のバーダックに似ている人間はもう一人の見た目は好青年の人に厳し気な声で言った。フューと呼ばれた青年は若干イラつきの視線を向けながら言った

 

『君は……タイムパトロールの方の孫悟空か』

 

 両者、睨みっこをしあっていたのだった

 




お疲れさまでした。何か…あっさり終わってしまった。何故だ。単純に実力不足か。その内仮面の男の過去編やらなきゃなあ。ではでは


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未知(ゼノ)未来(future)の邂逅

おはようございます。今日は悟空&フューです!悟空の時系列は悩みましたが結局宇宙創成編後にしました!
ただ、強さ関係は改変したのでよろしくです。


 俺はさっきまで滅茶苦茶な戦いをしていたと思われる場所まで来ていた。やはり戦闘はあったらしく辺りは大分ボロボロだった。

 ここまで来ればバーダックさんに会えると思ったのだがいたのはバーダックさんではなく何故か緑色のジャージを着ている悟飯さんとピッコロさん、クリリンさんに天津飯さん。それから武天老師様に……誰かはよく分からないけど少なくとも地球人の人ではない人がいた。

 俺が空からどうしてこのメンバーなのだろう? と悩んでいたのだがピッコロさんが俺に気が付いた

 

「お前、何者だ」

 

 その第一声によって俺に注目が集まりつつ若干臨戦態勢になっているのはやっぱりさっきまで戦いがあったからだろうか? 

 取り合えず手を上げ抗戦の意志がない事を教えつつ6人の前に降りた

 

「怪しい者じゃないです。ちょっと聞きたいことがあります」

 

「なんだ?」

 

 臨戦態勢は変わっていないが問いかけるだけ問いかけた

 

「ここにバーダックさん……皆さんに分かりやすく言えば孫悟空さんに似て赤いハチマキを巻いてたサイヤ人の人が来ませんでしたか? 多分フリーザと戦ってたと思うんですけど」

 

「! 君は父さんを知ってるのか?」

 

 そう悟飯さんが構えを解きながら聞いてきた。俺は頷きつつ付け加える

 

「はい。違う次元の悟空さんにいつもお世話になっています。今ははぐれっちゃったんですけど」

 

 それを聞きピッコロは光輝の言ってることを吟味する。光輝がうそをついてるとは思えない。そもそも嘘をつくメリットがない。ピッコロも構えを解いたのを皮切りに他の戦士も構えをといた。その際ピッコロが言った

 

「成程、お前がそのバーダックって奴が言っていたここに来るサイヤ人か」

 

「バーダックさんと話したんですか?」

 

 あの人俺の中ではコミュニケーション苦手の人なのかなと失礼ながら思っていた。だって悟空さんにベジータさん、悟飯さんに悟天さんがよくタッグを組んでいるのは見かけるけどバーダックさんは単独の任務が多い印象だし。

 ピッコロさんが俺の言葉に頷き続けた

 

「ああ」

 

『ここにサイヤ人のガキが向かってきている。そいつが来たらこういっとけ』

 

「この世界で強くなれ。強くなったお前と今度は戦ってやる……それが伝言だ」

 

 それは偶然にも光輝がサイヤ人三人衆に言ったセリフと同じだった。あの時は光輝があの中では一番強かったから光輝がボス感を漂わせたがバーダックに言わせれば光輝は3分の1人前だ。そしてバーダックはとっくに気が付いている。この世界はこうなった原因はくそったれな理由だが強くなるのにこれ以上の環境はないと。バーダックと合流すれば光輝はバーダックに甘えるかもしれないと考えたのかもしれない。この強敵が入り乱れているサバイバルを生き抜いた光輝と……とバーダックは考えているのだ。

 

「そう……ですか」

 

 光輝はピッコロに言われた伝言を聞き先程まで曇りだった上空を見ると徐々に太陽の光が射し込んできていた。それに目を細めながらも光輝は深呼吸をした

 

「ふぅ~はぁ~」

 

 そして次に悟飯達を見る。そして少し頭を下げた

 

「ありがとうございました。俺はもう行きます」

 

 それがバーダックさんの条件ならば望むところだ。強くなってやる。バーダックさんよりも……いや師匠たち全員。それが俺の目標で夢なんだから。

 

 そして光輝は面々に背を向け飛び立ったのだった

 

 ★

 

 

 地球エリア 荒野

 

 その場所には今二人の人間がいた。片方は赤い羽織に黒のインナーにズボンに青い帯、背中には如意棒と呼ばれる武器を斜めにかけている。髪は愛美のいる世界からすれば大分異質で四方八方に伸びてる。

 相対するようにいる青年は眼鏡をかけ紫色の肌を持っている。そしてその腰には刀がある。見た目だけなら好青年だ。しかしそういう訳では無いと向かい合ってる方は知ってる。

 

「見つけたぞ、フュー」

 

「君は……タイムパトロールの方の孫悟空か」

 

 赤い羽織の方の人間は孫悟空、青年の方はフュー。ある意味で相容れない二人が邂逅しあった。

 フューが若干イライラしている声で聞いた

 

「何だ、君まで僕の邪魔をするのかな」

 

「どういう事だ?」

 

「とぼけるな!」

 

 そう叫び気弾を放つ。しかし悟空は流石の反応速度でそれを躱す。次の瞬間にはフューが目の前に迫っていたが悟空は慌てる事もなく迎え撃つ。フューの拳と悟空の拳がぶつかりって衝撃波が生まれる。

 悟空が鍔迫り合いの中問いかける

 

「おめぇ……また監獄惑星みたいなことしようとしてんのか?」

 

 それを聞いたフューが驚いた表情を見せ一回後退する。

 

「成程……君は知らないのか、この世界どういう場所なのか」

 

「なに?」

 

「……先に言っておくが今回の事は僕がやった事じゃない。寧ろ僕も被害者なんだよね」

 

 その意味が分からず悟空は困惑の顔になっている。フューは正解発表をする教師の様に続けた

 

「僕の計画はあいつのせいで滅茶苦茶だ。あの初代タイムパトロール、シーラスのせいでね」

 

「シーラス……あいつが関わっているのか」

 

「上を見てごらん」

 

 悟空は臨戦態勢を取りつつも上を見た。そこには悟空に見覚えのある根があった。覚えてい物よりも何故か薄いが間違いない

 

「宇宙樹の根か?」

 

「正解。だけどあれは僕がやった事じゃない。僕の宇宙樹をあいつらが奪ったのさ」

 

 悟空はフューを見ると彼にしては珍しく感情がむき出しになっている。悟空はフューがやろうとしていることを知っている。宇宙樹にエネルギーを与え新たな宇宙を創生する計画「ビッグバンミッション」だ。

 トキトキの卵以外での宇宙を作る方法だ。難易度的にはまだトキトキの卵の方が優しい。しかしトキトキに関しては厳重に時の巣で警備されているので普通は奪取は出来ない。だから宇宙樹から作る方がフュー的にも安全だったのだ。

 最もその宇宙樹は破壊神ですら破壊出来ない代物なのだが。

 

「だけんど……だったらなんでオラ達は気を吸収されてないんだ?」

 

 悟空が覚えている宇宙樹は見境なく人間の気や生命エネルギーを奪うものだった筈だ。分かりやすく言えば強制的な元気玉だ。フューは不思議そうな顔で聞いた

 

「君は一体いつの孫悟空なの?」

 

「オラはおめえの計画を止めた後の世界の孫悟空だ」

 

 それを聞きフューは不快な顔になる。遠回しに「おめえの計画はどの道終わりだ」と言ってるように聞こえたからだ。しかしこの悟空と戦ったフューと今ここにいるフューは違うと言い聞かせ続けた

 

「成程。これは僕の予想なんだけど本来宇宙は長い年月をかけて生まれるものだ。で、多分君と戦った僕は見境なくエネルギーを集めていた、違う?」

 

「いや……あってる」

 

 正確には暗黒王となったフューの気もあったのだが余計な情報与える必要はない。

 それに満足そうに頷き答え合わせする教師の様に続けた

 

「急激にエネルギーを集めて宇宙が出来たとしても……それは歪な宇宙になる。彼らはそれになるのだけは回避したいんじゃないかな。だから見境なく吸収ではなくダメージエネルギーを吸収を選んだ。そっちの方が時間をかけれて宇宙を作れるからね」

 

 そう言いながら眼鏡をくいっと上げる。悟空はフューの言葉を見定めている。確かに別のフューがビックバンミッションを起こした時はフューの言う通り歪な世界になった。その結果をシーラス達がどうやって知ったのかが気になるがフューの言う事にも一理ある。というよりこれまで時間をかけてダメージエネルギーを集めてきたことにも理由が付く。しかし……

 

「陰でこそこそしていたおめえがやけに簡単に見つけられたのはおめえがやった側じゃなかったからか」

 

 フューは基本的に隠密行動をする事の方が多い。悟空達もかつてはそれのせいでなかなかフューを見つける事が出来なかったのだ。そんなフューが悟空にあっさりと見つけられたのが悟空には疑問だったのだ。

 フューはどちらかと言うと実験をされる方ではなくする側の人間、安全な場所でそれを見ているのがパターンだったからだ。が、今回は見事に実験される側になったのだ。

 

「そういうこと、どう? 僕と君が戦う理由はない筈だよ」

 

 確かにフューの話が本当ならば別にフューと敵対する必要はない。だが悟空の方は違う。

 

「おめえが今回の事に関わってねえのはよく分かった。だけんど……」

 

 悟空はそこで言葉を区切り厳し気な視線を投げながら聞いた

 

「おめえの事だ、もしシーラスに協力を要請されたらどうすんだ?」

 

 フューは奪われた側の人間、本来なら協力なんてしないだろう。しかし悟空は知っている。フューは自分の目的の為ならば……自分の好奇心を満たすためならばどんな手段をも使うと言う事を。

 そして悟空の言葉を聞いたフューはふっと笑った

 

「それはそれで良いかもね。僕の計画はバレているみたいだからこの際言っちゃうけど……宇宙誕生を見ることが出来たら僕は良いんだよね。その後のことも興味はあるけどさ」

 

「おめえが簡単に話したのはオラ達がシーラス達と同士討ちさせるのが狙いか」

 

 宇宙誕生を見たいと言ってもフューは本来それは一人でやりたかったはずだ。と言うより悟空が前回止めた時は殆ど一人でやっていた。協力者の助力はフューが暗黒王に覚醒した時位だろう。

 だから悟空達とシーラス達の同士討ちを狙うのは理にかなっている。

 

「ピンポーン! 前から思っていたけど君は他の次元の孫悟空よりも話が分かるんだね。年の功かな」

 

 今フューの目の前にいる悟空は見た目はまだ若いが生きてきた年数はどの時代の悟空よりも長い。経験を積んでいるが故に大人らしい観察眼を持っているのだ。

 悟空は構えた

 

「ならおめえを逃がすわけには行かねえ」

 

 フューが味方とまではいかなくても中立になるのならば正直見逃すつもりだったがまた時空を滅茶苦茶にされるわけにはいかない……と言うのは半分建前で単純にフューと戦いたかったというのもある。フューはやれやれと言いたげな顔で頭を掻いた後構えた

 

「いいさ、どうせ実験が再開するまでの暇つぶしだ」

 

 瞬間、二人は消えた。次に現れたのは空、一切の雲もない空で轟音が鳴り響く。悟空が攻撃を加えればすぐにフューもやり返す。

 悟空は距離を取り連続で気弾を放つがフューがそれらを簡単に躱していく

 

(やっぱり強えなぁ)

 

 気弾を躱し切ったフューと悟空は再びぶつかる。悟空の拳が空を斬ればフューの蹴撃も空を切る。

 

「はぁっ!」

 

 悟空はフューの足を掴み下に投げつける。フューは一回転しながら腰にある真剣を引き抜いた空に振った。そうすると暗黒魔界の紋章が浮かび出てそれを追撃しようとしている悟空に放った。

 

「––!」

 

 悟空はそれを真正面からぶつかった。ぶつかったことによる爆炎があがる。その間にフューは地面に立ち悟空と自分の技がぶつかった場所を見る。そしてその口元を笑みに変える

 

「やっぱり君は面白いよ、孫悟空!」

 

 そう言った瞬間に金色の光と共に髪の毛をバーダックと瓜二つに逆だたせ金髪にしている悟空がフューにそのまま突撃していた。

 

「はっ!!」

 

 フューは先程の技を何個も繰り出し迫ってきている悟空に投げつける。しかし悟空はそれらを超サイヤ人2に変身しながらジグザグに躱しフューに迫る。そんな悟空の拳は握られている。

 フューはこれ以上は無駄撃ちだと思考を切り替えバックステップで悟空を躱す。悟空はそのまま地面に突撃し地面に風穴を開けた。

 

「伸びろー如意棒!!」

 

 煙の中からそんな声が聞こえた瞬間赤い棒が伸縮してフューに迫る。フューはてっきり気弾か接近戦を仕掛けてくるものだと思っていたから少し目を見開き咄嗟に真剣を両手で持って如意棒を逸らした。真剣と如意棒がぶつかり合うところから火花が飛び出る。

 次の瞬間、フューの眼前には悟空がいた

 

「なっ!?」

 

 フューがそんな声を出した瞬間、悟空は伸びている如意棒を持ちつつ右足を思いっきり蹴り上げそれがフューの顎にぶち当たった。

 

「がはっ!」

 

 フューに咄嗟に両手を使わせ防御手段を減らした上での一撃。フューは上空に蹴り飛ばされた。悟空はそこで先程再び持った伸びてる如意棒を胴で一回回した後宙にいるフューに思いっきり振り下げた。

 

「くっ!」

 

 フューは咄嗟に真剣を横に構え如意棒をガードしたが

 

「はああああっ!!」

 

 悟空の気合の入った雄叫びによりフューは一気に押し切られ吹き飛ばされた。

 

(クリリン、技借りっぜ!)

 

 悟空が心でそう言い如意棒を背中にある鞘に納めた後両手をフューが吹き飛んだ場所目掛けてエネルギー波を放った。

 そのエネルギー波は吹き飛びから起きたフュー目掛けて来た……と思ったらフューに直接当たるのではなくフューの上空に方向転換した

 

「はっ!」

 

 そして両手を勢いよく振り下ろすとそのエネルギー波が何個にも分裂し下にいたフューを襲った。

 

「チっ!」

 

 フューが舌打ちをしたのと同時にフューは閃光に包まれたのだった。

 

 

 ★

 

 

 フューと悟空が激突していた頃、悟空達の場所から近い廃墟。そこから幾つもの爆発が起きた。そんな爆発に紛れオレンジ色の亀仙流の道着でその背中には「飯」と書かれている金髪の青年がビルを突き抜けて来た。

 

「ガはっ!」

 

 ビルに激突し埋め込まれた顔に傷がある青年は血反吐を吐く。対する敵は不敵な笑みで言った

 

「どうした孫悟飯……この程度か?」

 

 悟飯……それも絶望の未来で生きて来た悟飯はその碧色の瞳を目の前の存在に向ける。目の前にいる敵はその耳に着けている耳飾りや纏っている道着を除けば悟飯の父親にそっくり……いや、同じだった。ただし父親がいつも着ていたオレンジ色の亀仙流の道着ではなく漆黒の道着だ。

 

「お、お前は……何者なんだ。なんで父さんの肉体を持っている」

 

 その問いの答えは漆黒の気弾だった

 

 

 




お疲れ様でした。
クリリンの技というのはサイヤ人編でサイバイマン達を一掃した拡散かめはめ波です。親友はいなくなってしまっても悟空が覚えてる…とかそういう感動的な理由では無いです。どの悟空もそういうセンチメンタル的なやつはないと思うし単純にそれがいいと思ったからです。
それから多分ヒーローズ嫌いな人達いるかもしれませんが僕は使えるものはどんどん使うのでご了承下さい。

ヒーローズのプロモアニメ3話のベジータカッコよかったー!あれはかっこよすぎた。強いて言うならターレス蹴られた時もっと吹き飛べよ。
ターレスはもう2回も出して退場させちゃったからなぁ…自分戦いが終わって互いに笑うみたいな展開好きなんでベジータVSターレスは普通に好きなんだよな。
あとカンバーも。カンバーはプロモアニメ出た時から割と好きだったりする。悟空以上の戦闘狂として。
ベジータの新形態ってキラベジとどっちが強いんだろ…。

そして最後は光輝と関わりあいがある意味1番あるあの戦士。
アンケートします!期限は5月21日の午後12時にします!


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漆黒の神

おはようございます。前回の続き。アンケートの結果未来悟飯は両腕ありです!


 地球エリア 荒野

 

 悟空の猛攻撃によって起きた爆発で起きた煙が辺りを包む。悟空は超サイヤ人2を解除せずにフューのいた場所を睨んでいた。

 逃げ道を塞いだ上での攻撃、致命傷は無理かもしれないが無傷ではないはずだ。

 

「痛いなぁ」

 

 そんなフューの声が聞こえた瞬間紫色のオーラと共に煙が晴れた。そこには超サイヤ人の様に髪の毛を逆立たせその身に纏う気を上昇させているフューだった。悟空はそれを見ながら言った

 

「やっぱそう簡単には行かねえか」

 

 フューは「ぺっ!」と血を吐いた。やはりノーダメージと言う訳では無かった。フューの服は所々破れている。悟空を見据えた後、口を開いた

 

「やるねえ。まさかこんなに強くなっているとは」

 

 監獄惑星の時に一度戦ったがあの時は悟空に結構な疲労があったとは言え超サイヤ人4の悟空とベジータ相手にフューは善戦した。しかし今は超サイヤ人2の悟空に押されている。悟空は自分が強くなった理由を教えず言った

 

「陰でこそこそ見てるだけのおめぇじゃ分かんねえだろうな」

 

「陰でこそこそするのが好きなんだけどね」

 

 そう軽口を叩きあい二人は睨めっこした後フューがふっと笑い言った。

 

「孫悟空、君はシーラスが連れていた青年について知っているかい?」

 

 悟空は構えを解かずに聞いた

 

「それがどうした?」

 

 フューも臨戦態勢を崩さずに続けた。

 

「彼は君やトランクス達がいた世界の者じゃないよ」

 

「何だって……?」

 

 それに悟空は眼を見開き思わず聞き返した。その青年については光輝から聞かされている。何故か光輝と同じ眼や祖父の真剣に似ている真剣を持つ青年。普段から仮面を被っているから素顔は見たことが無いと光輝は言っていた。

 

『そんな奴がいんならオラも戦ってみてえなぁ』

 

 しかしそれを聞いた光輝の顔が優れていなかったので理由を悟空が聞けば

 

『すいません。エゴなのは分かってます。だけど……あいつとの戦いは俺に任せてもらえませんか? あいつとは俺が戦わないといけない……そんな気がするんです』

 

『何故だ。何故お前はそう思う?』

 

 そうベジータが光輝に聞いた。光輝は難しそうな顔になりつつも答えた。

 

『それは……はっきり言って自分でもよく分かんないです。でも……』

 

 それ以降光輝は考え事をするように黙ってしまったのをよく覚えている。そんな光輝が自分で戦いたいと言わせるほどの存在が自分たちの世界の者ではないと聞き悟空はそれを見定めようとしている。

 

「僕もこの世界に来て何もしていなかった訳じゃないからね。色んな世界を見て来た僕でも彼の存在は初めて見た。そこから出される結論がそれさ」

 

「……そんな事を何でオラに?」

 

「別に。ここまで善戦したご褒美さ」

 

 そう言って真っ黒な真剣を構えた。悟空も構え激突した。フューは真剣を先程とは違う次元のスピードで振るう。悟空はそのスピードに眼を見開きギリギリ上体を逸らして躱した。咄嗟に足を蹴り上げバク転すると同時に攻撃するがフューは先程よりも簡単にバックステップで躱した。

 

「はあっ!」

 

 そう叫びフューは再び悟空に迫る。悟空はフューの追撃を飛ぶ事で躱しそのまま空を飛ぶ。フューはそれを見て先程と同じ暗黒魔界の紋章を真剣で作りそれを悟空に向けて放つ。悟空は咄嗟に腰だめに両手をやりかめはめ波で相殺した。

 

「こっちだよ!」

 

 相殺した悟空の後ろからフューが真剣を振るう。しかし悟空はそれを頭を下げる事で回避しそれだけではなく回し蹴りを放つ。フューは真剣を持ってない方の手でそれを受け止めた。そして振るった真剣をもう一度振るった。悟空は額に指を当て瞬間移動でそれを躱すだけではなくフューの背後を取った。悟空は右ストレートを放つがフューも後ろの空気の乱れで瞬間移動が分かったのかストレートを放たれたのと同時に後ろを向きそれをガードした。フューは飛ばされ悟空と距離を取った。

 

「―はっ!」

 

 悟空は距離を取ったフューに気合砲を放った。フューは「チっ!」と舌打ちをした後更に上昇しそれを躱す。だが目の前には悟空がもう既に迫っていた。

 

(僕の動きを読んだのか!?)

 

 でなければ先回りの様にここに来ることは出来ないスピードだ。フューは悟空を迎え撃ちながら内心で言った

 

(この孫悟空、僕の知っているどの孫悟空よりも強い!)

 

 フューは生まれが特殊なだけに小さなころから色んな歴史を見て来た。そんなフューですら目の前にいる悟空は色眼鏡なしで強いと思った。そんな事を一瞬でも考えてしまったからか悟空の左ストレートがフューの鳩尾に決まった

 

「ガはっ!」

 

 肺にあった空気が一気に無理やり吐き出されフューの動きが一瞬止まる。それを見逃す悟空ではなくフューの顎にアッパーを噛ましフューを上空に吹き飛ばした。それだけではなくフューにすぐさま追いつきフューを下にハンマーナックルで叩き落した。

 

「かめはめ……波──っ!!」

 

 悟空は追撃するようにフューを叩きをとした場所目掛けかめはめ波を放ち、爆発。

 

「……」

 

 悟空はその爆発地点を見た後その目の前で降りた。黙々と煙が上がっている中フューは先程よりも傷だらけで立っていた。悟空は追撃せず肩で息をし始めているフューを見つめている。フューは眼の前の超サイヤ人2の悟空を見た後

 

「アハハ! 本当に君は強いね。僕これでも強さには自信があったんだけどね。まさか超サイヤ人4どころか超サイヤ人3にもすることが出来ないんなんて」

 

 それは自分の弱さではなく強くなっている悟空へのある意味での称賛だった。ただ何も考えなしでこんな事を考える訳では無く内心で言った

 

(この孫悟空を”あの時代”の孫悟空が最後まで一人じゃ勝てなかったあいつにぶつけたらどうなるんだろう)

 

 どこか興奮した様子のフューを見て悟空はまた碌でもないこと考えている分かり構えた。だけどフューは持っていた真剣を腰に直した。その意図はもう戦うつもりはないと言う事。そしてフューは明後日の方角から感じる気を見てニヤリと笑う。

 

「どうやって君がそこまで強くなったのか……気になるね」

 

「……強くなっていくあいつを見てたらよ、オラも負けられねぇ、強くなったあいつオラはまた超える。そうしたらあいつはもっと強くなる」

 

 その悟空の脳裏には二つの双剣を背に自らの色違いの恰好をしている光輝の姿を思い出していた。悟空は光輝がタイムパトロールになる前の歴史を知っている。光輝の世界はドラゴンボールなんてないから光輝の家族は帰ってこない。悟空達は仮に死んでしまっても敵を討つことさえ出来たら皆生き返る事が出来た。

 だが光輝は小1という年から大切なものを奪われそれでも戦う事を選んだ。それも当時は地球人だった光輝がだ。悟飯は4歳から命を懸けた実戦をやっていたから比べたら悟飯の方が辛そうに見えるが悟飯にはピッコロやクリリン達のような頼れる人がいた。

 だが光輝は精神的には頼れる人はいたかもしれないが殆ど頼らず生きていた。おまけに修業に関しても殆ど独学でやるしかなく師匠なんていなかった。学校と家での行き来すら修業にしてしまうほどあの時の光輝は強くならなければならないという強迫観念に囚われていた。流石の悟空も見ていて何とも言えない気持ちになった。

 そんな光輝がかけがえない仲間と別れを告げタイムパトロールとして自らの目の前に来た日から光輝はどんどん強くなっていった。サイヤ人なった事もあるが光輝の成長速度が速い。そんな光輝に悟空がワクワクしないわけなく悟空も光輝を見て更に強くなると思ってきた。

 

「あいつ? ベジータ君のことかな?」

 

 だがフューはどうやら光輝の事は知らないようだ。悟空は不敵な笑みを向けながら言った

 

「おめえが知らねえスゲぇ奴だ」

 

 その言葉にフューはムッとした表情になった。フューは色んな歴史を見て来たから戦士についての情報量は多いと自負している。だがそんなフューを目の前に悟空はそう言い切ったのだ。少し自信を砕かれフューがむっとするのはしょうがない。

 しかしこの状況は大分まずい。今の悟空にフューは勝てない。なら逃げるだけだろうが悟空には瞬間移動がある。いろんな歴史が融合してしまったせいでお得意の次元移動も出来ない。だけどフューには逃げる算段があった。それは……

 

「孫悟空、もう一つ良いことを教えてあげよう」

 

 悟空は構えを解かず目で先を促した。フューは明後日の方角を指差した

 

「あっちにはもうボロボロの廃墟がある。そこの気を探ってみてよ」

 

 悟空は訝しげになりながらもフューからも戦意が感じないのを見て眼を閉じてフューに言われた方角を探った。フューは近いと言ったが軽く100キロは離れている。悟空たちからしたら近いが。そしてそこから2つの気を感じた。そのうちの一つは悟空が知っている気……いやよく感じたら2つとも知っている気だった。片方の気は今にも亡くなってしまいそうなほどに気が弱くなっていく

 そして勢いよく眼を見開いた

 

「フュー……おめぇ!」

 

 しかしフューは降参ポーズをしながら言った

 

「おっと! これも僕じゃないよ。本当にこれは偶々さ。それよりもいいの? こんな所にいて」

 

 どこかにやりと笑いながら言っているフューに攻撃を仕掛けたい所だが優先順位が変わった。何故なら気がピンピンしている方がもう一人の方に止めを刺そうとしているのが分かったからだ。

 悟空はそれ以上何も言わず額に指を当てて瞬間移動した。目の前から去った悟空を見届けたフューは言った

 

「とは言え、多分孫悟空は戦わず撤退を選ぶかな」

 

 

 ☆

 

 

 地球エリア 何百個もある廃墟の内の一つ

 

 そこでは一人の青年がうつ伏せで倒れていた。先程までは金髪になり戦っていたのだがとうとう金髪……超サイヤ人になる体力すら無くなってしまった。そんな青年……孫悟飯を敵……漆黒の道着を身にまとい青年の父親と全く同じ顔をした疫病神は踏みつけた

 

「ガァ!」

 

 体の何箇所がもう既に折られている。それ故にこの踏みつけすら想像絶する痛みになるのだ。しかし青年は怒りの視線を敵に向ける。敵はその怒りの視線を心地そうに受け止めニヤリとしながら口を開いた

 

「トランクスの師孫悟飯、お前も神による裁きを受けるが良い」

 

 そんな勝手な言い分、そして父親と同じ顔で言われているという事に地に這いつくばりながらも言った

 

「お前に……お前なんかに俺は負けない……!」

 

 骨を折られもう戦闘不可能までに追い詰められていてもその瞳に宿る戦意までは失っていなかった。その瞳に敵は悟飯の弟子であるトランクスと重なった。自らの進化のために生かしておいてやっている罪悪人。敵……敵が元いた時代のトランクスたちが名付けた名前「ゴクウブラック」はその口元を歪ませ悟飯を蹴っ飛ばした。

 悟飯は避けることも出来ずに吹き飛ばされた。悟飯は紙くずのように地面に倒れた。

 

(く……くそ。俺にもっと力があれば……)

 

 唯一握れる拳を握りしめる。そして悟飯は倒れながらもブラックに視線を向けた。そんな時、こんなアングルをどこかで見たと思った。そして直ぐに思い出した。自分が死ぬ1日前に出会った不思議な男の子。どこか自分に似た雰囲気を感じ取った。悟飯には見たこともない技を使い一緒に戦ってくれた……。自らの最後の気を分け与えた少年。

 

『君は……生きろ。生きて……君のやるべきことを……やり遂げるんだ……それが俺の最後の願いだ』

 

 そう言い残し自分は死んだ。だけどもそこで意識が完全になくなったわけじゃない。次に目を覚ましたのは父親の孫悟空から伝えられていたあの世だった。死んだ事で隻腕だった腕が両腕に戻っていた。そして閻魔大王に出会い……強烈な地震が悟飯を襲いワームホールに飲み込まれていったのだ。

 そこまで考えた時、自分の不甲斐なさを感じた。自分で取りたかった仲間たちの敵を自分の弟子に任してしまった事。後悔はしていない。だが……自分の手で敵を討ちたかったと言えばそうだと言う。

 

「くっ!」

 

 今目の前にいる敵から未来を守るために一人で戦わせてしまったこと。だが……

 

「ふっ、無様だな。貴様はトランクスよりも弱い。これでは私が強くなる事が出来ないではないか」

 

 そう言いながら手のひらを満身創痍の悟飯へ向けエネルギーを溜める。悟飯は立ち上がろうとするがもうほとんど力が出ず動けない。ブラックは悟飯を見据え不敵な笑みで言った

 

「終わりだ、孫悟飯」

 

 その言葉とともにブラックの手からエネルギー波が放たれた。悟飯は自分の死を再び覚悟した。煙と爆発に包まれた。傍から見れば生きるのは不可能だと思ってしまう爆発だ。

 

「……!?」

 

 しかしそこでブラックは訝しげな顔になった。今悟飯以外の気が割り込んだ気が……

 

「……!」

 

 そう思った時、悟飯を包み込んだ煙の中から先程戦った悟飯とは桁違いのエネルギー波が放たれてきた。ブラックは咄嗟に上空に飛び上がりそのエネルギー波を躱した。

 

「なっ!? 今のは……」

 

 先程放たれたエネルギー波は先程の悟飯よりも強い気の持ち主を見ようとキッと眼をそちらに向けた。煙が晴れた場所にいたのは

 

「お前は……」

 

 ブラックがそう呟いた直後、そのブラックの眼前に先程のエネルギー波を放った人物が一瞬で踏み込んだ。ブラックはそのスピードに反応出来ずにその腹部に強烈な右スレートが突き刺さった。その威力はさっきまで戦っていた悟飯よりも重く鋭かった。

 

「ぐぁ!?」

 

 思わずそんな唸り声が出て来た。しかしそれだけではなくブラックはいつの間にか吹き飛ばされていた。ブラックは倒壊しているビルに突っ込んだ。そしてブラックを吹き飛ばした本人は倒れている悟飯の目の前に着地した。悟飯は霞んでいた視線を上に向けた。真っ先に視界に飛び込んできたのは真紅の羽織だった。そして頭部を見ると金髪で逆立っていた。その背中には悟飯に見覚えがある武器があった。赤色の棒状の武器

 

(如意棒……)

 

 その事実に眼を見開き一所懸命目を凝らそうとする。それとほとんど同時にブラックがビルから出て来た。そして自分を吹き飛ばした人物を驚愕の眼で見た。そして悟飯とブラックは殆ど同時に言った

 

「父……さん」

 

「孫……悟空」

 

 悟空は後ろにいる悟飯を安心させるように微笑み、ブラックには殺気がこもった視線を送った。

 

「おめえがブラックか」

 

 その言葉にブラックは口元を笑みに変えた。

 

「ふ……ふはは! 丁度いい。私もこの体で君と戦ってみたかったのですよ」

 

 そう叫びブラックは髪を金髪に逆立たせ今の悟空と同じ姿になった。超サイヤ人の時よりも髪は逆立ち稲妻が走る。それを見た悟飯は刮目する

 

(なんだこの変身は……ただの超サイヤ人じゃない)

 

 そして悟空の方もよく見れば今のブラックと同じ姿だ。やる気満々なブラックを見据えながら悟空は言った

 

「わりぃが今はおめえに構ってる場合じゃねえんだ」

 

 そう言いながら悟空は満身創痍の悟飯に近づき肩を貸した。つまり今から撤退すると言う事。

 

「逃がさん!」

 

 ブラックはせっかくの得物をみすみす逃がすかと言わんばかりに悟空と悟飯の元に突撃した。悟空は悟飯に言った。

 

「悟飯、眼を閉じろ」

 

 悟飯は悟空を信じ眼を閉じた。悟空は両手を目の前に広げた。

 

「太陽拳!!」

 

「なっ!?」

 

 太陽拳……眩い光で相手の視界を殺す技。元々は天津飯の技だ。だがこの技に悟空は何度も助けられてきた。この技は初見殺しの技だ。ブラックも例外ではなく思いっきり眼を見開いて突撃していたのでもろに影響をくらいブラックの視界が一時的に壊れた

 

「おめえを倒すのはまた今度だ」

 

 悟空はそう言った後瞬間移動をしてその場から消えブラックは悟空達がいた所に激突した。

 

「くそ、小癪な」

 

 少し時間が経ちようやく視界が戻ってきたブラックはそう悪態をついた。しかしものは考えようだ。この世界にまだ見知らぬ孫悟空がいたと言う事だ。自分の元居た世界には既に世界に戦士と呼べる戦士はトランクスしかいなかった。しかしどういう訳かこの世界は様々な次元の戦士たちがいる。強くなるのにこれ以上の環境はない。

 勿論。こんな事態を引き起こした輩は万死に値するが利用できるものは利用するべきだ。そんな時、ブラックは自分の分身の気を感じ見た

 

「……そいつは誰だ」

 

 ブラックが言った先にいたのは界王神の恰好をし、白髪のモヒカン頭に緑色の肌を持った存在だった。だがブラックが厳し気な視線を向けたのはその後ろから来た男に対してだった。その男は分厚いコートを羽織り薄い金色の髪だ。男は前に出て言った

 

「俺の名前はハーツ。ブラック……いや第十宇宙の界王神ザマス。俺と共闘する気はないかい?」

 

 ブラックは意味が分からないと言いたげな顔でハーツと自称した男を見据えていたのだった

 

 

 

 ★

 

 

 

 悟飯は久しぶりに夢を見ていた。その夢では死んでしまった仲間たちが皆生きている夢だった。自分は武道は程ほどにして学者になるための勉強をし……それでも父親が修業を付けてくれたりした夢。

 そこまで見た時、悟飯はその眼を開けた。目の前に広がっていた景色は先程までいた場所ではなく晴天の空だった。

 

(俺は……なんでここに)

 

 そう思考しながら上体を起こすと毛布が掛けられていた。まだ本調子じゃない頭を回転させ先程まであった出来事を思い出していた。悟飯は閻魔大王の元に着いた時、件の地震とワームホールに吸い込まれた。まず驚いたのは景色だった。悟飯のいた未来は人造人間のせいで破壊されたところが多かったのに対してこの世界では全てと言う訳でもないが破壊されたところが少なかった。そして次に自分の天使の輪が消えてるのにも戸惑った。自分は生きてるのか死んでるのかよく分からない状態だからだ。

 そして幼少期、ピッコロによって鍛えられたサバイバル知識で昨日は過ごした。そして今日、先ずは状況整理の為に世界を回ろうとした。しかしそこで更なる異変に気が付いた。世界が広すぎるのだ。少なくとも地球一周が軽く出来る速度で飛んでいたのに景色は変わらなかったりした。そして決定的なのはこの世界でのナメック星を見た時だ。その時確信した。この世界はどういう訳か色々繋がってしまった世界なのだと。

 そして飛んでいた時、奇襲を受けたのだ

 

「あいつは……」

 

 思い出す。自分の父親と同じ顔にも関わらず邪悪な気を持っていたあの敵を。そして途中で助けてくれた父親はその敵を「ブラック」と言っていた……とそこまで思い出していたら急激に視界が鮮明になって叫んだ

 

「父さん!」

 

 あの時自分を助けてくれたのは間違いなく自分の父親だった。しかし自分の世界の孫悟空は心臓病で死んだはず。それなのに何で悟空が生きてるのだと考え始めた時

 

「お、起きたか悟飯」

 

 そのどこか懐かしい声が後ろから聞こえた。悟飯が振り返るとそこにいたのは悟空だった。悟空は自分の知っている亀仙流の道着ではないがその身に纏う気は間違いなく孫悟空そのものだった。

 

「父……さん」

 

 その瞬間悟飯の中で色んな思いがあふれ出て来た。自分の世界の悟空が死に、仲間達が死んでいった。学者と言う夢を捨て無我夢中で一人で修業した。その内ベジータの息子であるトランクスが弟子になった。そして二人で修業し続け人造人間との闘いの日々に明け暮れた。だけど自分はトランクスに地球を託し死んでしまった。本当は自らの手で人造人間達を倒したかった。

 悟飯は今までの心労からか涙が出てきてしまった。

 

「あ……」

 

 悟飯はそれに気が付き拭こうとするが涙が止まる事は無かった。悟空はそんな悟飯を見た後悟飯に近づき小さいころそうしたように抱擁した。

 

「今までよく頑張ったなぁ。今まで一人で人造人間と戦って……悪かったな。おめえに地球を託す羽目になっちまってよ」

 

 悟空は悟飯が本来余り戦いを好まない性格なのは知っている。それこそラディッツやナッパ、ベジータが来るというきっかけが無ければ戦いとは無縁の人生を送っていたかもしれない。そんな悟飯が仲間たちの仇を討つために独学で修業し続けるのはしんどかっただろうと悟空は思ったのだ。

 

「父さん……」

 

「父ちゃんの胸貸してやる。いっぺえ泣いていいんだぞ」

 

 その言葉を聞いた悟飯は涙腺が崩壊してしまった。しばらくの間、二人はそのまま久しぶりの親子の時間を過ごしたのだった。

 

 ★

 地球エリア サタンホテルにて

 

 悟空と悟飯が邂逅して幾ばくかの時間が過ぎた。光輝はフリーザ軍の残党であるアボ、カドと激突していた。アボはフリーザ軍の戦闘服に赤色の顔が特徴的、カドは青色の顔が特徴的な戦士だった。

 

「「子供のお遊戯会はおしまいだ!」」

 

 そう叫び、アボとカドは分身をして光輝に突撃した。光輝は宙に浮きあがり迎え撃つ。分身してことにより増えた手数によりアボとカドは押そうとするが光輝は簡単にその攻撃を捌く

 

(こんな所で影分身修行法が役に立つとはな)

 

 影分身修行法で光輝は1VS多数の修業をしていた。そのおかげか多数の相手の対策法が分かる。単純にSAO時代に攻略組相手に無双したこともあると思うが。そして

 

(それにこいつらの分身は全員が実体って訳じゃない……なら!)

 

 光輝は眼を閉じつつアボとカドの気を探る。そうすればやはり気を感じるのは八人中二人だった。光輝は左にアッパーした

 

「ぐあっ!」

 

 そして次にエルボーを右にいるカドにくらわした

 

「ガはっ!」

 

 その重い一撃に二人は分身を解除させられ地面に落ちた。光輝も二人が落ちた地面に着地する。そして素直に称賛した

 

「お前らフリーザの部下って割には俺が初めて戦った時のフリーザと同じくらい強いな」

 

 アボとカドは自分たちの攻撃を簡単にいなす光輝を恨めしそうに見る。光輝は称賛もそこまでにして構えた。

 

「カド、やるぞ!」

 

 このままではまずいと思ったのか二人はスカウターを外し二人で見合わせ言った

 

「「合体!」」

 

 そう言うと二人の気が合わせられ気が吹き荒れた。光輝は足を地面に踏み込み耐えた。そして目の間に現れた敵は紫色の肌色を持ち光輝の身長の軽く2,3倍になった。

 

「「これでお前もおしまいだ!」」

 

 これが二人の奥の手らしく自身ににあふれている顔で光輝を見下す。しかし光輝はニヤリと笑い白色の闘気をだす。

 

「それがお前らの全力か、行くぜ!」

 

 そう叫び光輝は合体した敵に向かったのだった

 

 




お疲れ様です。悟空・ゼノと未来悟飯合流。光輝はOVAで登場したアカとカドと激突。
ヒーローズの新ストーリーで仮面はやっぱりブラックと言う事でしたな。でも強くなってる理由は色んな悟空を99人倒したからとかいう大分えぐい理由という。因みに身勝手兆も99人の中にいたらしいです。ブラック強くなりすぎてないか。
ではまた


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探偵光輝

おはようございます。
めっちゃやってませんでした。レポート課題えぐい…こんな言い訳いらないですね。
すいませんでした。
ではGO


「はぁ……はぁ」

 

「つ……つえー」

 

 光輝の目の前でアボとカドの二人は膝を折りそう呟いた。合体した後、二人は激戦を繰り広げたがその内光輝が動きを見切り始め二人をぼこぼこにした。そんな事があったが光輝はとっくに臨戦態勢をやめている。腕を組みながら二人に聞いた

 

「もう悪いことしないなら見逃す」

 

 その言葉にアボとカドは眼を見合わせる。まさか見逃すなんて言葉が出てくるとは思わなかったのだ。そして二人は頷き言った

 

「あ……ああ。約束するよ。それと情報交換って訳じゃねえがこんな噂を知ってるか?」

 

 光輝は二人の話を厳し気な視線で聞いていたのだった

 

 ★

 

 光輝がアボとカドの話を聞いていた時、タイムパトロールの悟空は未来の悟飯と戦っていた。

 

「はあっ!」

 

 悟飯が勢いよく突き出した拳を簡単に受け止める。悟飯は力では埒が明かないと思ったのか回し蹴りを放つが悟空はそれをバックステップで躱す。悟飯は悟空に気弾を投げつける。

 しかし悟空はニヤリと笑いながら上に弾く。

 悟飯はその気弾を囮に悟空の後ろに現れる。

 

「あめぇぞ!」

 

 悟空は裏拳を悟飯にくらわす。悟飯はその攻撃に反応出来ずもろに食らい後ろに吹き飛んだ。

 

「ぐあっ!」

 

 悟飯は背中から思いっきり倒れた。悟空はそんな悟飯を見る

 

「はぁ……はぁ」

 

 悟飯は肩で息をしながら息を整え綺麗な青空を見上げていた。そんな悟飯に近寄る人影が

 

「大丈夫ですか悟飯さん」

 

 悟飯は上体を起こしながら笑顔で答えた

 

「ああ。大丈夫だよ。デンデ」

 

 悟飯に声をかけたのは地球の神でナメック星人であるデンデだった。悟空が悟飯を運んだ先は神様の神殿であるこの場所だ。悟飯が元居た時代ではこの神殿は壊れていた訳ではないがピッコロの半身である神様もいなくなったからか少し寂しくなった場所になっていた。

 だから悟飯からすればこの場所は懐かしい場所なのだ。

 そんな悟飯のもとに悟空が近寄り声をかける

 

「この短時間で強くなったな」

 

 悟飯がここに来て約5日が経過していた。その間悟飯は悟空から修行をつけてもらっていた。それが今までトランクスが成長する前まで一人で修行していた悟飯には嬉しかった。

 修行を始めた当初、悟飯は悟空に言われた。悟空のいた時代の悟飯は今の悟飯よりも年下だったのにも関わらず今の悟飯よりも強くなっていたと。

 

「おめえは人造人間に勝つために修行をしたのかもしれねえけどよ……おめえに必要だったのは師匠だったんじゃねえか?」

 

 確かに悟飯は現代の悟飯に比べたら弱い。その明暗を分けたのは恐らく修行をつけてくれる師匠がいるかどうか、その違いだ。悟飯は少年期から戦いの戦力という意味では戦士たちの中でも秀でていたがそれはピッコロという修行の仕方を教えてくれる師匠がいたからだ。そのピッコロが人造人間に殺されてしまい更には他の技術が秀でていた戦士たちも殺されてしまった。だから悟飯は一人で修行するしかなかったのだ。しかし元々戦いが好きではなかったので修行の仕方はがむしゃらに修行をするという選択肢しかなかったのだ。

 そして現代の悟飯は精神と時の部屋で悟空に修行をつけてもらい今悟空の目の前にいる悟飯よりも高い戦闘力を身に着けた。

 

「そうかも……いや、きっとそうです」

 

 我武者羅に修行しても強くなれるわけではない。さらには実戦での修行も出来ずやり方も分からずでその結果があの時の死だ。

 そしてそれを示すようにここに来てから悟空に修行をつけてもらっているが人造人間達相手に戦うために修行していた頃よりもメキメキと強くなっているのが自分でも分かる。

 そして……眼の前で普通の超サイヤ人とは微妙に違った姿になっている悟空を見る。見た目は余り変わっていないが超サイヤ人よりも更に髪が逆だっている。悟空曰く超サイヤ人のさらに先の姿なんだとか。そして今悟飯が目指している形態。

 悟空は超サイヤ人2の変身を解除しデンデに傷を治されている悟飯の隣に腰を下ろした。悟飯は自分の手のひらをを見つめて言った

 

「今の俺なら……人造人間たちに勝てる。でも……」

 

 気になるのは悟空の体を持つ漆黒の存在。名前はゴクウブラック。略して皆ブラックと呼んでいる。ゴクウブラックはトランクスの事を知っていた。そして捌きを下すとも。トランクスが一体何をやったというのだ。

 本当はトランクスを探しに行きたい。だが今の悟飯では逆にトランクスの足手まといだと悟空に言われてしまった。

 

「まっ、時間はまだある。少しづつ強くなっていけばいいさ」

 

「でも……俺は」

 

 少しづつでは駄目なのだ。早くあのブラックと渡り合えるようにならなければならないのだ。そうしなければまたトランクスに託してしまうことになってしまう。自分が死に人造人間たちを倒したトランクスがブラックのような敵を相手にかつての自分のように一人で戦ってきた。

 今度はそんな事をさせたくはないのだ。悟空も悟飯の気持ちが分かるのか言った

 

「悟飯の気持ちも分かっけどよ、焦ったって良いことはねえぞ。よく動き、よく学び、よく遊び、よく食べて、よく休む。それが亀仙流の教えだ。そっちのオラにも言われたことがあんだろ?」

 

 悟飯は眼を閉じ過去を思い出す。ナメック星から帰ってきてフリーザ達を倒した悟空が生きていた間に教えてくれたことだ。そしてその教えは自分もトランクスに教えたことがある。悟飯はその事を忘れていた自分の焦りっぽさに苦笑する。悟空は天界から見える空を見上げながら言った

 

「光輝もおめえと出会った頃より強くなってんぞ」

 

「光輝……?」

 

 そこで悟空はあのタイムパトロールで光輝が自分の名前を悟飯に名乗ってなかったのを思い出した。だから光輝のことを教えた

 自分と同じタイムパトロールであること。地球人からサイヤ人になったこと。悟空もびっくりするくらい色んな技を使うこと。そして悟飯とのことも。

 

「あの時の……そうか」

 

 そこで悟飯は何かを悟った表情になった。自分の気を分け与えた少年。その少年は自分が死んだ後色々悩み苦しんだらしい。それを聞き悟飯は少しやるせない気もした。トランクスも自分が死んだ時きっと悲しんだに違いない。だがトランクスには戦士としての使命があった。悲しんでいる暇はなかったかもしれない。

 そして悟飯は光輝のことも気にしていた。どこか苦しそうな様子を見せていた光輝に悟飯は親近感を持っていた。どこか葛藤の中にいた光輝を悟飯は忘れていない。そしてその光輝は悟飯の死を乗り越え新たな境地にいるという。

 

「あいつもこの世界に来てんだ。もしかしたら会えるかもな」

 

「その為には俺も強くななきゃ」

 

 今を頑張っているという光輝の話を聞き少し元気が出たのか悟飯は立ち上がった。悟空もそれを見て立ち上がった

 

「よし! もういっちょやっか!」

 

 悟飯も少し距離を取り超サイヤ人になりながら構えた。

 

「はい! よろしくおねがいします!」

 

 修行という名の親子の時間は始まったばっかりだ

 

 

 ☆

 

 

 光輝はアボとカドを撃退しもう悪いことをしないと約束させた後、二人から聞いた話を確かめるために空を飛翔していた。この世界に来てから早一週間、光輝は少しずつだが強くなってる実感がある。だが油断は大敵だ。たとえ過去に倒した敵がまた相手になったとしてもその敵もこの世界で強くなってるかもしれないからだ。自分も強くなってるのだからそう考えるのは当然だ。

 

「だけど……あいつらの教えてくれたことは本当なんだろうか」

 

 光輝は飛翔しながら懐古した。光輝の目の前で膝を折った二人が心底疲れた表情になりながらも教えてくれた。まずはアボが口を開いた。どこか当時の事を恐れているような表情だ。

 

『俺達前までずっと向こうの街にいたんだが……そうしたらあいつがいきなり現れたんだ』

 

 光輝は廃墟ではなく街と言った事に驚いた。この世界に来てまだ碌な街に行ったことはないかったからだ。だが考えれば当然のことだ。悟空たちの歴史がくっついたのなら平和の場所もあるのが当然だ。光輝がそんな場所になかなか着かなかったのは単純に光輝の運が悪かっただけだ。

 アボの言葉をカドが続けた

 

『そいつはとんでもないデカさだった。それに見た目も骸骨かと思っちまった』

 

 それだけならば何を言ってるのかよくわからない。だが次の言葉が光輝をその場所に向かわせるきっかけとなった

 

『それにそいつ……人を尻尾で喰ったんだ。俺達この世界に来てドドリアやザーボン達と合流したけど……あいつらも一瞬で食われちまった』

 

『それだけじゃねえ。スカウターは無かったが肌で感じたぜ。あいつは人を食べてパワーアップする』

 

 誰かの命を奪いパワーアップする。そのやり方に光輝は眉をひそめ少しだけ憤りを感じた。本当はそれと似たようなパワーアップが出来る自分がどうこういう資格はないのかもしれないがそれでもそのやり方に笠木と似たものを感じたからだ。

 

『俺達あいつが怖くなってよ、必死で逃げた。でもあいつの噂は離れていても聞いた』

 

 それだけ強烈な姿だったんだろうな。というか骸骨みたいってどんな姿だ? というかこいつら噂を聞く程度には街に馴染んでいたのか。やっぱりストッパーがあれば割と普通の奴らなんじゃないか……? 

 

 そんな事を考えながらどうするか考え……答えは決まっていた

 

「だからこうやって向かってんだけどな」

 

 笠木と似たようなやつをほっておくわけには行かない。それにそんなやつならどのみちこの世界のどこかで激突するとも思っているというのもある。

 

「……?」

 

 光輝はまだ目標の場所にもたどり着いてないが何個目かの廃墟を見つけた。しかし様子が若干おかしいのだ。何故か服があったりするのだ。それに建物も倒壊しているわけではなくまだ割と新しいと思われる。そんな廃墟がおかしく思わないほうがおかしい。

 光輝はその廃墟に降り立った。空から見れば服が散らかっていたのがこうやって降り立ってみればそれが顕著になっていた。光輝は厳しげになりながら呟いた

 

「まさかこの世界は少ないが一般人もいたのか」

 

 光輝はそう言いながら拳を握る。光輝はてっきりこの世界には一定以上の力を持った戦士しか来ていないのかと思ったがどうやら一般人もいたようだ。

 光輝が辺りを見るとその一般人たちが着ていたであろう服が散乱している。その散らかりようは光輝に一瞬笠木を思い出させた。笠木のエネルギー吸収ナイフも刺した個所から気を吸い取り蓄えていた。そして吸収された人は筋肉や脂肪が極限までなくなり残りは骨が肌に浮彫になってしまっていた。そんな家族の死体を見た当時は気持ち悪さよりも理解が出来ないという感情が上回っていた。

 そしてその現象と似たものをこれらの痕跡から光輝は思った

 

「これが人を食うって奴の痕跡……なのか?」

 

 おかしい。この残り方ならあいつらは食うって表現じゃなくて吸収って言い方をする筈だ。人事食べるならそもそも服すらも残らないはずだ。やっぱりあいつらの罠か? だけどあの怯え様は本当に経験した事じゃないと出せない気がする。

 少し集中してあたりの気を探ってみるか。

 

 光輝は立ち上がり瞬間移動をするときの様に額に指を当て眼を閉じる。光輝が感じ取れる範囲で言えば幾らか戦闘をしている気の乱れは感じるしおかしい事は特に何もない。この一週間でこの世界での気の探知技術も上がったはずだがそれでもないというのはおかしい。

 

「もうここを離れちまったのか……?」

 

 その時光輝はかすかな物音を聞いた。その場所……建物の中を見るが外にいる光輝からは見えない。だがよく気を探ってみればかすかな気を感じた。

 

「……罠か?」

 

 だけどその割には本気で気を隠している……いや弱っているのかもしれない。それに罠ならもう少し俺に見つかりやすいように気を出すはずだ。ならこの町の生存者の確率が高い気がする。

 

 光輝は少し悩み背中に双剣を出し臨戦態勢を取りながらゆっくりとそのビルに入っていった。

 そして光輝から見つからないように気を消して光輝を見ていた人影が一つあったのを光輝は気が付かなかった

 

 ★

 

 ビルの中に入った光輝は気弾をライト代わりに進んでいた。周りを見ていたらどうやら会社のオフィスのようだ。光輝が時の巣で見たことがあるコンピュータに似ているやつとか書類が散乱していたからそれは直ぐに分かった。かすかに感じた気を頼りに光輝は進む。普通の人間がいなくなったからか電気なんかつかなかった。まだ時間的にはお昼だが中はうす暗く若干歩きにくかった。

 

(やっぱり罠なのか?)

 

 この時代でバーダックと戦ったフリーザの例がある。例え過去に倒した敵だったとしても油断は出来ない。

 

(いざとなれば建物ごと壊すか)

 

 自分が強くなったが故に発想もぶっ飛んでいる光輝に最近はキリト達もあきれる事が多かった。おまけにそれを出来てしまうほどの力を持っているのが何とも言えなくしていたが。

 そんな光輝が進んでいると一瞬足音がした。

 

「……!」

 

 光輝はその足音が聞こえた瞬間、背中のウォーリア・ビヨンド・ディスペアーを引き抜き背面に構えたと同時に光輝の剣と相手の剣がぶつかり火花が散った

 

「ぐっ!」

 

 光輝を攻撃した張本人は奇襲が失敗したことに苦虫を嚙み潰したような表情と声を上げた。光輝は一瞬散った火花で相手の顔を見た。頭は赤っぽいモヒカンの頭で顔つきは少し地球人に似ているが似ているだけで地球人ではない。というよりこの世界では地球人の方が珍しい。

 光輝は剣をパリィし距離を取った。火花が無くなり再び辺りはまた暗くなる。気もまた消され見えなくなる。光輝は大きめの窓があるのを見て気弾を放ち窓割って

 

「ついてこい!」

 

 光輝はその窓から外に飛び出した。奇襲をした本人は少し光輝が飛び出した窓から飛び出しその全貌が明らかになった。顔つきはやはり地球人ではなくどこかの宇宙人だ。その格好も余り地球では見ない格好だ。青色のマフラーっぽいものとオレンジ色の長めのコート。そして……光輝がその人の手にある剣を見た瞬間驚愕した。そんな光輝の様子に気が付かずに相手は叫びながら言った

 

「お前はホイの仲間か!」

 

 そう叫び剣を構えて来た。だけど俺はこの人を伝聞でだが聞いたことがある。臨戦態勢を取っているこの人に慌てて言った

 

「待ってください! もしかしてタピオンさんですか?」

 

 その事を聞きタピオンと呼ばれた青年は瞠目した。光輝はまだ臨戦態勢を取っているタピオンに敵対の意志はないという意味を込めてウォーリア・ビヨンド・ディスペアーを背中の鞘に納め両手を上げた。それにタピオンは思わず剣を握る手を緩める。無抵抗の相手を攻撃するのは良心が咎めたのだ。光輝は警戒を解くためにこのタピオンがいつの時代の人かは分からないが聞いた

 

「トランクスさんが教えてくれました。凄い立派な勇者だって」

 

 時の巣に来て時間が経った時に光輝やトランクスが持つ武器の話をしたことがある。その時にトランクスの剣の話を聞いたことがあるのだ。そして今タピオンが持っている剣とトランクスが持っている剣がそっくりなのだ。ならば考えるのが目の前の人物がトランクスから剣を奪って使っているか元々この人のものだったのかの二択。

 トランクス取られるわけがないという信頼を持っているので選んだ選択肢は後者。そしてトランクスの名を聞き今度こそタピオンの覇気が無くなった

 

「お前はトランクスの知り合いか?」

 

「あなたが会った事のあるトランクスさんなのかは分からないですけど。俺の師匠の1人です」

 

「……そうか」

 

 そう言いながら剣を下げた。光輝は空中に浮きっぱなしだったので降下した。タピオンも下に降り改めてあいさつした

 

「いきなり攻撃をして済まなかった。俺の追ってかと思ったんだ」

 

「いや……忍び足で入ってた俺も悪いですから。俺の名前は西沢光輝って言います」

 

 タピオンは眼を閉じ何かを決意してから言った

 

「タピオンだ。会ったばかりで悪いがこの場を離れた方が良い。俺も何時までもあいつを封印出来る訳じゃない」

 

 封印……どういう事だ。だけどタピオンさんはそれ以上は話さないつもりなのか背を向ける

 

「ちょ、どういうことですか? あいつって一体?」

 

 タピオンさんは俺を後ろ眼で見た後言った

 

「俺の中には俺の時代で1000年前、コナッツ星を襲った恐ろしい幻魔人……ヒルデガーンが封印されているからだ」

 

「ヒルデガーン?」

 

「……俺はこいつを封印し続けるという運命から逃れる事は出来ないんだ」

 

 そうどこか諦めの表情になり言った。そのあきらめの表情が光輝には不満だった。光輝に背を向け歩き始めているタピオンの背中に言った

 

「何で俺がそいつに負ける前提なんだ」

 

 そうどこか怒気を含んだ声にタピオンは思わず足を止め振り返る。光輝はタピオンをまっすぐに見つめていた。その瞳がこの時代に来る前にあったトランクスに重なった。

 

「……今俺の中にいるヒルデガーンは俺が元居た時代のヒルデガーンよりもずっと強いからだ」

 

「なに?」

 

 いや、光輝が強くなっているようにヒルデガーンだって元の時代よりも強くなっているのはまだ分からないでもない。だがずっとという表現が気になる。それだけ強くなったというのか。或いは

 

「なあ、まさかあいつらが言ってた巨大な化け物って……」

 

「見つけたぞタピオン!」

 

 光輝が言葉を続けようとした時、どこからか声が聞こえた。光輝とタピオンが臨戦態勢を取りながらあたりのビルを見ると一つの小柄な人影がいた。肌色は赤っぽく目深にフードを被っている。それを見たタピオンが苦し気に言った

 

「ホイ……!」

 

 光輝はホイと呼ばれた男を見る。

 

(ホイってのはさっきタピオンさんが俺に言ってた人だよな。今は気を隠してるみたいだが意識したら若干邪悪な気が漏れ出てる。タピオンさんをこんな目に合わせているのは……)

 

「お前が元凶って訳か」

 

 そう静かに言って光輝はタピオンの前に出る。そんな背中にタピオンは言う

 

「お前は早く逃げろ! 強くなったこいつを止める事は今の俺には……ぐぁっ!!?」

 

「タピオンさん!?」

 

 光輝に逃げろと言おうとしたタピオンが唐突に苦しみだした。光輝はホイが何かをしたのかと思いキッとホイの居場所を見るとホイの上空から異次元の扉のような場所が開いており

 

「なんだよ……こいつは」

 

 その扉から現れたのは何か巨大生物の下半身だった。今まで感じたことのない異色な気がそこに現れたのだ。光輝がその巨大生物に唖然としていた所、光輝は後ろでドサッと音がしたのを聞き後ろを振り向くとタピオンが膝を付きもがいて苦しんでいた。その苦しみ様は尋常ではなくみて

 

「ぐああああっ!! お前も……早く逃げろ! ウアアアアっ!!」

 

 そのタピオンの中からタピオンとは別の気が溢れ出した。その気はホイの上空に現れた下半身の上半身部分に集まっていく。そしてその気は徐々に生命体の姿に変わっていく。タピオンとは別の気がタピオンの中からいなくなった時、その強大な生命体の全貌が明らかになった。

 

(でけえ!)

 

 身長は光輝の何倍にも上りその大きさは旧アインクラッド第100層ボス「アン・インカーネイト・オブ・ザ・ラディウス」にも匹敵するかもしれない。それを見たホイが興奮した様子で叫んだ

 

「さあ復活の時だ! これが”幻魔人ヒルデガーン”だ!!」

 

 その言葉と共にホイの後ろに建物を壊しながら降り立ったのは見た目は髑髏の巨大生物だった

 




お疲れ様です。
タピオン参戦。そしてヒルデガーン。一気にレベル上がるやつ。
リコレクション・ブレイブと超サイヤ人併用すれば力的には勝てるけどそれ以外に翻弄されるやつ…よく考えてたら影分身とかいうとチートでジャネンバに勝ってるな光輝。マジで影分身強すぎたかもしれない。

そう言えばブラックがロゼ3になりましたね。あれは流石にびっくりした。あったとしても界王拳か進化ロゼか界王拳進化ロゼか身勝手かなと思ったら斜め上行った。
ベジータが身勝手とアニメで並んでいるのが嬉しい

では明日も投稿します。


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勇者の覚悟

おはようございます。

ヒルデガーン編ですね…光輝はメタ能力がありまくるからブロリーみたいな真っ向勝負系の奴が案外苦手だったりする


 地球エリア 誰もいない街

 

 静かなる街、人を喰うという噂というより実話を聞きそれを調べていた光輝。光輝は情報をくれたアボとカドが教えてくれた場所まで向かっていた最中に奇妙な街を見つけた。何故か服が散乱しており人がいないのにもかかわらず比較的に綺麗な街だった。

 光輝はそこでトランクスから聞いたことがあるコナッツ星の伝説の勇者、タピオンと出会う。出会ったはいいが光輝はタピオンに直ぐに逃げろと言われてしまう。その理由を聞こうとした時、第三者のホイの介入によりタピオンの様子がおかしくなり現れたのは……

 

「ヒルデガーン……だと?」

 

 光輝は眼の前に現れた莫大な気を持っている生物に冷汗を出した。SAOのボスたちよりも大きいし何よりもこの気。光輝はヒルデガーンの気を感じようとした。

 

「んだよこれ」

 

 光輝はヒルデガーンの気を感じ取りそう呟いた。何故ならヒルデガーンの気は確かに本人の気もあるのだがそれとは別に違う気も混ざっている。それもごちゃごちゃにだ。まるで他の人の気を継ぎ足したような気がだ。同じくその気を感じたのかタピオンが苦しげな様子で立ち上がり言った

 

「やはり……あのヒルデガーンは強くなっている」

 

「ここまでだタピオン。貴様にはこの世界でもさんざん邪魔されたからな。ここで終わらせてやる」

 

 そうホイが言った。その言葉を聞いたからか或いは先程まで何か訳あってタピオンの中にいたことを恨みに思っていたのかヒルデガーンがその大きな口を開き火炎砲をタピオン目掛けて放った。タピオンはその火炎砲を避けようとするが体が言う事を聞いてくれず膝を折ってしまう。

 そんなタピオンの目の前に光輝が現れウォーリア・ビヨンド・ディスペアーを掴み勢いよく回転させた

 

「!?」

 

 タピオンはその光景に思わず眼を見開いた。そしてヒルデガーンの火炎砲と光輝の剣がぶつかり合った。タピオンを守るように剣を回転させ火炎砲の威力を分散しつつ光輝と光輝の後ろにいるタピオンに当たらないように軌道を逸らしている。

 

「はあああぁぁ!!」

 

 アインクラッド流防御技「スピニング・シールド」だ。光輝とキリトの得意技でもある。SAOやALOではこのソードスキルでブレスの攻撃を弾くことが出来るようになっている。それを現実に再現したのが今の光輝の強さだ。

 光輝は火炎砲を弾きながらヒルデガーンに叫んだ

 

「どうした! そんなのサスケさんの方がよっぽどえぐい火遁してくるぞ!!」

 

 そう叫び光輝は剣の回転速度を一気に上げた。それにより火炎砲が完全に分散されヒルデガーンは無駄だと思ったのか火炎砲を止めた。周りを炎だらけにしたが光輝とタピオンは無事だ。光輝が一瞬思考しタピオンに叫んだ

 

「俺が時間を稼ぐ! タピオンさんは一旦退却してください!」

 

「だが!」

 

「俺は負けない。後で俺も退却する。行ってください!」

 

 光輝はそう叫び超サイヤ人に変身しヒルデガーンに向かった。ヒルデガーンはその光輝を迎え撃とうとその巨大な拳を振り上げた。しかし光輝はその拳をギリギリで避けつつヒルデガーンの顔まで一気に迫り剣を振るった

 

「なっ!?」

 

 そこで光輝は驚愕の声をだした。なぜならヒルデガーンが煙のように消え気配を消してしまったからだ。と同時にヒルデガーンが光輝の後ろに出現し光輝が気がついたときには吹っ飛ばされていた。

 

「うわああああ!!」

 

「光輝!」

 

 光輝は吹っ飛ばれされながらもヒルデガーンを見据え印を組む。そうしたら光輝の影分身が何人か出現しヒルデガーンに向かった。本体の光輝はその間にタピオンの元に行き肩を貸す。

 

「すまない」

 

「謝んのは後にしてください。先ずは貴方の体力回復が先です」

 

 光輝はそう言ってタピオンを連れてその町から離れて行った。ヒルデガーンの相手をしていた影分身たちは出来るだけ時間稼ぎをするように立ち回りつつヒルデガーンの戦い方を学んでいる。

 ホイの目の前にも影分身光輝が現れ戦闘を開始している。

 

「くそ。邪魔をしよって!」

 

「ヒルデガーンは強いがお前はそうでもないみたいだな。少しばっかり付き合ってもらおうか!」

 

 光輝に肩を貸してもらい移動しているタピオンは苦渋の表情で言う。

 

「だが……はぁ……数だけではヒルデガーンには勝てないぞ」

 

 光輝は出来るだけ速足で退却しつつ消されて行っている分身達から還元される経験を得て難しそうな表情をする。光輝達は街を離れ近くの草原までやってきてタピオンを下した。

 

「でしょうね。でも、どんな戦い(ゲーム)も攻略法は必ずあるはずだ」

 

 光輝がそんな事を話している間、先程まで光輝達がいた場所ではホイが本体の光輝達を探していた。ヒルデガーンも先程の光輝が分身だと分かり本能で強いエネルギーを求め探している。

 ホイは空から二人を探すが見つからないので苛立ちの声と共に言った

 

「あいつらどこに行った? ……まあいい。正義感の強いタピオンの事だ。絶対にまたやってくるだろう」

 

 ホイがそう言ったらヒルデガーンは違う場所で行われている戦闘の気を感じ取りそちらに翼を広げた。自らの強さを高めるための得物として。ホイは気が変わったヒルデガーンを見て邪悪な笑みを浮かべながらついて行った。

 一方、光輝はタピオンと話をしていた

 

「俺の元居た時代のヒルデガーンは孫悟空が倒してくれた」

 

「悟空さんが……」

 

 そこで光輝は「ん?」となり待ったをかける

 

「じゃああのヒルデガーンは何なんですか? それにどうしてタピオンさんが元いた時代のヒルデガーンよりも強くなってるんですか?」

 

 タピオンが元居た時代のヒルデガーンが悟空によって倒されたのなら今目の前にいるタピオンに封印されていたのはおかしいのではないかと思ったのだ。タピオンは頷きつつ答えた

 

「一つずつ話そう。俺は悟空さんによってヒルデガーンが倒された後、ブルマさんが作ったタイムマシンに乗り1000年前のコナッツ星に向かおうとした。最後にトランクスにこの剣を渡そうとした時」

 

「歴史が融合し始めた」

 

 タピオンさんは頷く。成程。タピオンさんがこの世界に来た経緯は分かった。だけれどもヒルデガーンがタピオンさんに封印されていた理由がまだ分からない。タピオンさんは苦しそうな表情で続けた

 

「俺がこの世界に来て初めて会ったのは……俺の弟のミノシアだった」

 

 そこでタピオンは思い出していた。この世界には突然やってきた。自分はタイムマシンに乗って1000年前のコナッツ星に向かうはずだったのに突然のワームホールに巻き込まれた。最後に見たコナッツ星よりも緑豊かな草原が広がっていた。先ずは状況を把握しようと動き出し西の都に似た町に辿り着き、そこでタピオンは忘れる筈もない人影を見かけたのだ。自分と同じ髪型で薄いピンクがかった髪色。

 

『ミノ……シア?』

 

 その声にミノシアは同じく振り返り驚いた表情を見た後、少し下がろうとした。何故なら、封印されているヒルデガーンは上半身と下半身が近くにいれば共鳴し封印が解かれてしまうからだ。しかしタピオンはそんな事気にせずにミノシアに近づき抱擁した。

 

『に……兄さん?』

 

『ミノシア……どうしてお前がここに』

 

 タピオンが元居た時代のミノシアはホイやホイの仲間によって殺さている。つまりミノシアにはもう会えないはずだったのだ。しかし現実として目の前にいる。この問いが出てくるのは必然だった。

 

『兄さんこそ……どうしてヒルデガーンがいないの?』

 

 抱擁した時にタピオンの封印の状態を探った時、タピオンの中にヒルデガーンがいない事に気が付いたのだ。だからヒルデガーンが共鳴することなく普通に抱擁出来ているのだ。

 そして二人は少しだけお互いの状況整理の為に話をした。ミノシアはホイ達魔導士によって誰もヒルデガーンの封印を解かないように自らを封印していたオルゴールから無理やり出され魔導士たちに殺されそうになった所で様々な戦士達を巻き込むワームホールに巻き込まれ気が付いたらここにいたのだ。

 そしてタピオンも自分の身に起きたこと話した。自分も封印を解かれてしまった事、ヒルデガーンが復活してしまった事、そのヒルデガーンを倒すのに協力してくれた超戦士たちの事。ミノシアはその話に希望を見出したような表情をする。

 その人たちには迷惑かもしれないがそれでもヒルデガーンを封印に頼らず完全に消し去る戦士達がいる事に希望を見出すのも当然だろう。しかしそうなったら問題がある。それはその肝心の戦士達が今どこにいるのか分からないのだ。

 だけどそれは今は置いておこうとした。今はこの再会が二人にとっては嬉しかったのだ。

 

「弟さん……」

 

 だけどそれが良い出会いだけだったわけじゃないはずだ。もしそのまま平和だったのならこんな苦しそうな表情をしないはずだ。そしてこんな顔をする理由を簡潔に教えてくれた。

 

「俺とミノシアはかつてヒルデガーンの上半身と下半身をそれぞれの体に封印していた」

 

「……え?」

 

 封印の事はまだわかる。さっきのタピオンさんとホイのやり取りを見ていたらなんとなくわかる。だがその封印は上半身と下半身に分けられていたのは初耳だ。そして俺が最初に見たヒルデガーンは……最初下半身が出て来た。だけど近くに他の気は無かった。タピオンさんんの場合はどちらかというと共鳴してって感じだったから無理やり剝がされたって感じだったけど……その封印を破る方法がもし共鳴以外にあるのだとしたらそれは……

 

 その考えに至った時、光輝のホイに対する怒気が膨れ上がった。

 

「まさか……あの野郎」

 

 タピオンさんは頷き答えてくれた。

 

 ミノシアと再会したタピオン、だがその平和の時間は長くは続かなかった。再会を喜んでいた二人の背後からミノシアに向けて細長いレーザーのような気弾がミノシアを貫き……

 

「ミノシアは殺され……ヒルデガーンの下半身の封印が解かれた。それだけじゃない。あいつらは……違う世界の俺を殺し上半身のヒルデガーンの封印を既に確保していた」

 

「じゃあ一回はヒルデガーンを完成されてしまったんですか」

 

 だけどそれならタピオンさんからヒルデガーンが出ていた事が説明がつかない。いや……説明は出来る。だけどそれはとてもつらい決断だった筈だ。

 

「タピオンさんがまたヒルデガーンの上半身を封印したんですか?」

 

 そうでなければ一回は封印から逃れたタピオンさんがまたヒルデガーンを封印していた理由にはならない。

 一回はヒルデガーンという呪いから解放されたのにその呪いを自ら再び受ける覚悟は中々出来るものではないはずだ。それも弟さんが目の前で殺された時にだ。これがコナッツ星の勇者か……。だけれど……何でも一人で背負うのが勇者ではない。

 俺も甚だ不本意なのだが俺が元居た世界で俺はシャイニング・ブレイブの名前から「光の勇者」とかリコレクション・ブレイブから「記憶の勇者」とかなんだかんだ勇者とかある人は光の英雄(ヒーロー)とか言ってる人がいるというのを愛美から聞いた。SAOから帰った後も思ったが俺はそんなものに興味はない。

 俺は一人じゃ何も出来ない。生きる理由も戦う理由も……俺の存在の証明も皆俺の大事な人から貰った。それを与えられた意味を探して俺は戦い続ける。

 

 そう心で言いながら。自分を引き取ってくれた櫂家、気にし続けてくれた光定や先生達、SAOやその世界で出会った戦友達、悟空達タイムパトロール、そして……振り返りながら微笑む愛美。

 光輝はそこまで思い浮かべた後、立ち上がりヒルデガーン達が向かった方角の気を感じ取る。ヒルデガーンは別の場所で戦っている戦士達の場所にまで向かったようだ。その気がフリーザ軍の残党っぽい気なので無視している。気を感じながらも光輝は言った

 

「一人じゃ出来ない事も……誰かと一緒なら出来る」

 

 その言葉にタピオンは疑問符を出す。光輝はタピオンに向き直り言った

 

「あいつをこのまま野放しにするわけにはいかない。俺は戦いに行く。あんただけじゃ無理かもしれないが俺達なら出来る、違いますか?」

 

 タピオンは迷いながらも首を振って答える

 

「だが、あいつは……この世界の強者達を吸収し本来の歴史よりもパワーアップを果たしている」

 

 タピオンは一旦退却し悩んだが再び封印する事を選んだ。だがそれが遅かった。強者がはびこんでいるこの世界ではそのスピードが桁外れで予想外だったのだ。

 

「俺が最初封印出来たのは奇跡に近い」

 

 成程、それがヒルデガーンの気の正体か。色んなやつを吸収したからあんな意味分からない気の集まりになっていたのか。だけれどもタピオンさんは何か勘違いをしている。

 

「俺がいつまたあいつを封印するのを手伝うなんて言いました? 俺が……俺達があいつを倒す。そうすればあなたももう苦しまずに済む」

 

「だがそれは簡単な事じゃない」

 

「でしょうね、あの気だけで判断するのなら正直俺の超サイヤ人3じゃ分が悪すぎる。だけど……」

 

 光輝は言葉そこで区切り少し目を閉じて深呼吸をした後タピオンに言った

 

「さっきも言ったはずです。どんな戦い(ゲーム)にも攻略法は必ずあるって」

 

 実際、俺は何となくだがヒルデガーンの攻略法が漠然とだが分かった。後は実戦しかない。イメージトレーニングをしている時間は今はない。このままじゃあいつが他の戦士達を吸収して本格的に手が付けられなくなる。その前に倒さなきゃならねえ。ヒルデガーンに勝てそうな時代の悟空さん達を連れてくる手もあるがそんなのは待ってられない。

 

「弟さんの仇を取りたくないんですか?」

 

 光輝のその言葉を聞きタピオンは少し顔を下げた後、ゆっくりと立ち上がる。その顔は戦意を取り戻した勇者の顔だった

 

 

 




お疲れ様です。
次回はヒルデガーン戦に行く…とは限らない。

ではでは


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~裏~戦友

おはようございます。
前回言った通り光輝の話ではないです。
どちらかというと愛美の話です


 ALO内・新生アインクラッド 第27層の小島

 

 今そこでは二人の剣士が向かい合っていた。一人はウンディーネ特有の蒼髪をなびかせ青とピンクの色を基調とした装備の愛美ともう一人はレイン。そして外野には他の面々がいた。キリト、セブン、アスナ、ユウキ、クライン、エギル、リーファ、シノン、アリス、ユージオが揃っていた。

 そしてその面々の前で剣を構える二人の雰囲気は何時ものゲームの雰囲気ではなかった。だが、それはこの戦いの目的を考えれば当然だろう。

 それは光輝がタイムパトロールに向かって約1週間経った時、今まで光輝経由でしか聞いたことがない「時の界王神」が光輝の置いていったアミュスフィアを通してレインに連絡を取ってきたのだ。時の界王神は映像をレインの目の前に出して時の巣とALOの世界を繋いでいた。言うまでもなくブルマがアミュスフィアを改造し付け足した機能だ。

 

「あなたがレインちゃんね」

 

 どう見ても地球人ではない容姿、エルフの様にとがった耳、地球の恰好ではなく肌の色も地球人のものではない。レインは一瞬アバターなのかと思ったがそうではないのは直ぐに分かった。どの種族のアバターの容姿とも一致しないからだ。レインは戸惑いながらも聞いた

 

「あの……あなたは?」

 

「それを話す前に呼んでほしい人たちがいるわ。光輝君が”戦友”と呼ぶ人たちを出来るだけ集めてほしいの」

 

「どうして光輝君を……それにどうして皆を」

 

「気になるのは分かるけれど、出来るなら皆に聞いてもらいたいの」

 

「……分かりました」

 

 レインは急遽SAO達の仲間達、そしてキリト一派に途中参加した仲間を自分達のホームに集めた。時間帯が深夜だったので割と集まった。ほぼ全員が集合した。珍しくキバオウやディアベルもいた。

愛美も呼ぶか悩んだが……時の界王神の雰囲気がただ事ではないなかったので呼ばなかった。それに寝ているかもしれないと思ったのはある。

 時の界王神は集まったのを見て光輝の人望を感じ少し嬉しくなった。だけれども言う事の方が先なので時の界王神は言った

 

「今、全ての世界を巻き込む戦いが始まるかもしれない。そしてその第一線を張るのは……光輝君よ」

 

 いきなりスケールがでかくなり息を飲んだ人たちもいたがキリトやいつも一緒にいた人たちは今更なので少し目を見開いただけだった。しかしそんなあからさまに危険な戦いに光輝が行くと聞いてセブンが黙っていられなかった

 

「どういうこと!?」

 

 時の界王神は手をだし止めた後話し出した

 

「1つずつ話すわ。あなた達の世界でも次元の切れ目が出たと思う。あれは歴史の融合が行われなかった世界ではみんな起きている現象だから」

 

 つまり悟空達の歴史以外の世界ではあの現象が出ている。ナルトやボルト達もあの切れ目を見ている。セブンはあの謎の現象の答えをを今から話そうとしてくれているのだと考えブラコンを抑えソファーに座りなおした。

 時の界王神はそれを見届けまた全体を見渡した後口を開いた

 

「先ずこちら側で起こった事を話すわ。今、私や光輝君が追っている敵がある世界の歴史を超ドラゴンボールを使って融合させた。光輝君が過去に戦ってきた敵達もいる。そして……このままじゃこの世界も光輝君が生まれた世界も……全ての世界が崩壊する」

 

超ドラゴンボール…というのは知らないがドラゴンボールは聞いたことがある。勿論光輝からだ。なんでも願いを叶えてくれる願い玉、レインはそれで光輝に家族を生き返さないの?と聞いたことがある。

そしてその超ドラゴンボールが悪用されたらしい。

 

「歴史を融合……」

 

 光輝の事情を知っている面々しか集まっていないので何となく理解した。光輝がタイムパトロールしてきた歴史がまた滅茶苦茶になったのだろうと。そしてその無茶苦茶になったでかすぎるおまけとして

 

「普通、歴史がそんな事になる事なんてないのよ。だけど今回はなってしまった。あの切れ目は……パズルのピースが揃わなくてパズルに穴が開いてしまうのと同じ。無理やりこことは違う世界が融合されてしまったせいで空いてしまったのよ」

 

 そんな光輝の事を知っていても理解できない話に面々は理解が少し追いつかない。しかしセブンが簡潔に話した

 

「つまり……あの切れ目はその歴史があるべき形でないから出来てしまったってことよね」

 

「そういうこと」

 

 だがそんな事SAOからの姉にはどうでもよかった。セブンが何かを話そうとした時、セブンは自分の隣からとんでもない怒気を感じた。恐る恐る隣を見てみると普段のレインからは考えられない程時の界王神を睨みつけていた。セブンがこんなレインを見たのは自分が引き起こした「クラウドブレイン事件」の時に自分に怒鳴りつけた時が最初で最後だ。

 そのレインは低い声で……怒気がこもった声を抑えながら聞いた

 

「それで……今光輝君はどこに?」

 

 そんな事が起こっているのなら光輝がとる行動は一つなのはこの面々には分かっているが時の界王神の口から直接言わせたかったのだ。時の界王神はその視線を受け内心で「光輝君が姉が怒ると怖いって言ってたけれど本当ね」とか思っていた。だがこれは完全にこちらに落ち度があるのでこうやって集まってもらっているのだが。時の界王神は少し深呼吸した後口を開いた

 

「光輝君は今、その融合した世界で世界を元に戻そうとその世界にタイムパトロールに行ってくれているわ」

 

 そう改めて聞いた面々の顔は……特にSAOからの仲間は歯を食いしばる。その世界を元に戻す事がこの世界を守る事だからだ。つまり……光輝は自分達を守る為にその世界に向かったのだと。あのSAOの時の様に。

 唐突に壁が思いっきり叩かれた音が響きセブンは思わず見る。そこにはSAOのころから変わらない侍風の装備をしているクラインが壁を殴っていた。本来は家主の1人として何か言うべきなのかもしれないがそんな気にはなれなかった。

 

「またあいつは……俺達に何も言わずに行ったのかよ……!」

 

『それは違うぞクライン。俺はあんたの事も親友だと思ってる。というか俺と一緒に戦ってくれた人達は皆親友の前に戦友だと思ってるよ』

 

 あのオフ会で光輝が来た時、光輝はこう言ってくれた。だが……本当の戦友ならどんなやばい奴らが相手でも頼ってくれと思うのだ。それをあのオフ会の日から思っている。本当は歴史だって子供の光輝に任せるのはおかしいと思っているのだ。たまたま光輝の強さがずば抜けているから光輝がやっているのだ。変われと言われたら二つ返事で変わる。SAO最前線も強さの前に大人がやらなくちゃならなかったのだ。

 他の面々も大なり小なりクラインと似た表情だった。自分達に光輝と一緒に戦えるほどの力がない事をいままで以上に恨んでいる人が大半だった。あのキバオウさえ同じ表情をしている。

 レインはもう怒りよりも悲しさが勝り少しうつむいている。少し暗い雰囲気になった時、キリトが聞いた

 

「だけど……なんでそれを俺達にわざわざ話したんだ?」

 

 その問いに他の面々はまた顔を上げる。確かにそうなのだ。光輝の行先が分からないだけでタイムパトロールに行っているのは予想は出来る。その詳しい説明をしに来ただけなのかと思ったのだ。だがそれはないと考えた。自分達を守る為にタイムパトロールに行くのは悔しいが今に始まった事ではない。だがその度に時の界王神がこうやって説明をしてくれたのかというと違う。何なら今こうやって初めて会ったし。

 確かにそうなると時の界王神がわざわざ来たのには疑問が出る。時の界王神は頷いた後、周りを見た。

 レイン、セブン、キリト、アスナ、ユイ、ユウキ、クライン、エギル、キバオウ、ディアベル、ユージオ、アリス、リーファ、リズベット、シリカ、シノン。

 

「単刀直入に聞くわ。光輝君がピンチになった時、あなた達に彼と一緒に戦う覚悟はある?」

 

 ★

 

 時の界王神からの連絡が終わり、それぞれの答えを胸にしまったままレインと光輝、セブンのホームから出ようとした時に外から物音がした。一番索敵スキルがあるキリトが真っ先に家から出て家の影を見た時いたのは

 

「愛美……」

 

 出来るだけ隠れてるつもりだったのだろうがしゃがんで元攻略組の面々をやりすごそうとしたのは二万年早かった。ウンディーネ特有の蒼髪をなびかせながら愛美は立ち上がった。

 今更だが愛美の世界の時間とキリト達の世界の時間の流れはほぼ一緒だ。だから今は深夜なので愛美の世界も深夜だ。だからレインは呼ばなかったのだがその時間の流れというのはあくまでも愛美の世界の日本とキリト達の世界の日本での関係だ。つまりアメリカにいる愛美と面々の時間は結構違う。時差があるからだ。

 愛美は今日、学校がないのを良いことに宿題を終わらせALOにログインした。武器の強化素材を取りに行って終わって疲れて泊ってた宿でログアウトしていたのでその宿に来た。

 

「そう言えば日本は深夜だから皆さんはいないかも」

 

 ログインした後にその事に気が付き少し残念そうにフレンド画面を見て……疑問符をだした。何故ならフレンド画面にいる人達の半数以上がログイン状態になっていて尚且つそのほとんどがレインと光輝とセブンのホームに集まっているのだ。

 

「こんな時間にパーティー?」

 

 最初はこんなことを考えていたが時間的にあり得ないと思った。まだ学生であるセブンやユウキなどはまだわかるが社会人であるクラインやエギル、更にキバオウやディアベルですら集まっているのどう考えてもおかしい。

 だから恐る恐るホームに向かった。そして少しだけドアを開けてみたのは時の界王神が集まった面子に色々話していたところだった。

 その愛美の瞳は揺れている。何を聞いていたのかは明白だった。愛美は深呼吸した後言った

 

「私も……連れて行ってください!」

 

 時の界王神との会話を聞いていたのだ。そして聞いた上でその答えを言ったのだ。だがここにいる面子からすればそういう訳にはいかない。レインが首を振り言った

 

「ダメ」

 

「どうしてですか!?」

 

 それに答えたのはレインではなくクラインだった。どこかまだ実感がわかないのか自分でも困惑している顔だと分かっているがそれでも愛美には言わなきゃいけなかった

 

「本当は俺達も信じられねえ気持ちがあるぜ? だけどな……あの時の界王神って奴が言った通りの事が本当に出来るならそれをやるべきなのはSAOのからずっとあいつに助けられてきた俺達がするべき事なんだ」

 

 SAOのころからなんだかんだで光輝は攻略組を助けて来た。それは自分の家族のように誰かが死ぬことなんて見たくなかったからだ。ボス戦では基本的に一番危ないポジションにつくことが多かった。それは光輝のずば抜けた戦闘センスとHPがないというイレギュラーの存在だったから光輝が自ら立候補する事が多かった。しかし、それをされる度にクラインやエギルなどの良識ある大人は胸を痛めていた。一番危険なポジションを一番の年下にやらせなきゃいけないなんて……と言う事だ。

 そして第3クオーターボスには結果的にたった一人で挑ませてしまいラストボスも光輝一人に任せる羽目になってしまった。そして今、その大きすぎる借りを少しでも返せるのかもしれないのだ。

 レインは続けた

 

「でも愛美ちゃんは違う。あなたまで来るのはきっと光輝君は望んでない。それに……」

 

 本当は余り言いたくないし自分達も光輝に比べたら足りないのは分かるがそれでも言わなきゃいけなかった。

 

「あなたじゃ力不足よ」

 

 それをはっきりと告げたレインに愛美は眼を見開いた後その瞳を悲しみに染めた。はっきりと告げられなにか反論しようとしたがまだALOを始めたばっかりの愛美にはSAOの頃から戦いの場にいた面々や元から剣道をやっているリーファ、人を殺してしまった過去に向かい合い生きているシノン、命の有難みをSAOメンバーとは違う方向でよく分かっているが故に強いユウキ、そしてアンダーワールドで本物の騎士として生きて今もその強さを磨き続けているユージオ、アリス達のような強さがない。唯一セブンだけは愛美もなんとか張り合えるがセブンは違うやり方でのサポートが出来るから愛美とは別種の強さだ。

 少し気まずい時間が過ぎた。

 レインは愛美には来ないで欲しいと思っている。それはもしここにいる面々の誰かが死んだとき、光輝はきっと壊れてしまう。それこそ自分で自分のフラクトライトを傷つけ心を無くしてしまうかもしれない。そしてその確率はどうしても高くなってしまう。何故ならもしその時が来るのならその時の敵はSAOやALOボスなんて目じゃない程の強敵だからだ。

 もしそうなってしまった時、愛美には光輝の隣にいてほしいのだ。

 

「……ゃです」

 

 愛美からか細い声が発せられた。しかしその声を今度は大きく発せられた

 

「嫌です!」

 

 そう言いながら顔を上げた愛美の顔は赤くなり今一所懸命に言葉を繋ごうとしているのが分かる。そして半ば叫んだ

 

「確かに私は弱いです! 光輝のあんな戦い見たら嫌でもそんな事分かります、でも……でも……それでも私は光輝の助けになりたいんです!」

 

 その叫びにアスナは愛美の気持ちが痛い程分かる。自分の愛している人が死ぬかもしれない戦場にいけないのは歯がゆいのだ。

 

「何回も光輝に助けてもらって、命も救ってくれた光輝に私は何も返せてない!」

 

 そう叫びながら思い出すのは光輝に惚れるきっかけになったいじめや道が分かれるまでに起こった色んな事、そして笠木から助けてくれたあの日の背中。

 

「私はずっと助けられてたのに私は光輝が一番辛い時一緒にいてあげられなかった」

 

 引っ越した後、光輝がどうなっていたの知らなかったことを後悔している。自分だけ助けられていたのに自分は何も助けていない。でも……今その助けを少しでも返せるときが来たのだ。そこにある思いはレインやクライン達にも負けていない。

 

「だから光輝に助けられたこの命は光輝の為に使いたい。光輝の為に死ぬことなんて怖くない! 私は……光輝の隣をずっと歩いて……光輝と結婚して、光輝と添い遂げるのが私の夢だから!」

 

 そう半ば愛の宣言になってしまっていることに愛美は気が付いていない。しかしその夢は光輝の夢と一緒だった。その夢を語る愛美の眼が光輝の眼と重なったようにレインには見えた。その叫びに面々は思わず黙ってしまう。

 愛美から感じる熱意は本当に平和の世界で過ごしてきた住人なのかと思うほど熱かった。しかしそれでもSAOからの仲間としても姉としてもレインは愛美には残ってほしかった。しかしそれを簡単には口にできなくなってしまった。今の愛美と同じ感情を前も今もレインも持っているからだ。”仲間”であり”戦友”なのに自分達はタイムパトロールになった光輝の助けにはなれなかった。愛美は好きだったのに笠木の件があるまで光輝の事を知らずにぬくぬくと平和に過ごしていた。光輝が戦場にいる事で守られてきたのは愛美もSAOからの仲間も変わらなかった。レインが拒絶の言葉を見つけられずに少し黙ってしまった時、レインの前にアスナが出て来た。

 

「分かるよ、愛美ちゃんの気持ち」

 

 そう言いながらキリトをちらりと見る。そして愛美ではなくどこか過去を思い出すようにその瞳を空に向け言った

 

「自分の大好きな人が危険な場所にいるのにその場所に行けない時の悔しさは分かるよ」

 

 かつて、キリトがアンダーワールドに行ったときアスナはアンダーワールドには行けなかった。キリトが現実世界より2年近く生きていた。自分の知り合いも家族もいない世界で2年生きていた。その間アスナは何も出来なかった。いや、そもそもあの時キリトがこん睡状態になってしまったのも自分を庇ったからだ。

 

「そして……今の愛美ちゃんには光輝君の助けになるかもしれない事がある。そうなったら……私が愛美ちゃんでも助けに行く選択を選ぶ」

 

「アスナちゃん……」

 

 レインはアスナが愛美を連れて行くことに反対していない事を悟った。アスナはにこりとしながら言った

 

「勿論、私達が時の界王神さんの言った方法で一時的に戦えるようになったとしても光輝君には及ばない。その点ははっきり言って愛美ちゃんと変わらないのよ。でも……私達はあの命を懸けた世界で得た経験は今の愛美ちゃんにはない」

 

「……何が言いたいんですか?」

 

「今度、私たちの誰かと本気のデュエルをしてもらう。その時の愛美ちゃんの強さ次第で私は愛美ちゃんを連れて行ってもいいと思う」

 

 そうはっきりと言ったアスナに全員難しい顔をした。確かにここにいる面子は光輝には及ばない。だが戦闘経験はその限りではない。いや実戦の数は光輝の方が圧倒的なのだがそういう問題だけではなく覚悟の意味では光輝には勝るとも劣らない。

 しかし愛美は違う。光輝がここにいれば間違いなく愛美には来るなと言うだろう。だが、愛美が案外頑固な性格なのはもう分かっているので試験という訳だ。

 愛美はその意図に気が付き頷いた

 

「分かりました。そのデュエル、お受けします」

 

 愛美は覚悟と強さの試練を受ける事になったのだった。

 

 

 




お疲れ様です。
なんかいきなりぶっ飛んでいると感じるかもしれません。
ちゃんとキリト達がドラゴンボール次元の敵とある程度渡り合える理由付けはその時になったらやるので待ってほしいです。
次回も愛美の話です。では


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~裏~迷い

おはようございます。今日も愛美です。いきなりヒロインを全面に出してくやつ


 アメリカ カリフォルニア州

 

 愛美はALOからログアウトし自室のベッドで目を覚ました。だが直ぐに起き上がる事はせずにアミュスフィアを取った腕をそのまま自分の顔に当てる。先程まで起こっていた事を見つめなおす。

 

(あんなお姉ちゃん初めて見た)

 

 自分が光輝のいる戦場に行くことを拒否したレインの表情を思い出しながらそう思った。だがその理由は愛美にも分かっている。仲間の内誰か1人でも死んでしまったら光輝が戦場に立てるようになるか分からない。だから光輝のリカバリー役がいる。レインがその役を愛美にやらせようとしていたのは愛美にも分かる。だけどそれは愛美も嫌だった。

 

(皆が生きてないと……意味ないよ)

 

 そう心で泣き声で言って愛美は上半身を起こした。少し頭がくらくらする。アミュスフィアをベッドの棚に置く。アスナが示した決闘は皆の予定が嚙み合った1週間後、誰が相手なのかは分からない。だけど……愛美には勝つ自信が無かった。

 まだ愛美がALOを始めて1カ月も経ってない。あの面子と何回か決闘したことがあるが一回も勝てたことがない。セブンには何とか食らいつき始めたがセブンの真骨頂は戦闘スキルではないので意味がない。

 

「はぁ……」

 

 愛美はため息をつき立ち上がる。沈んだ気分を変えるために愛美は散歩に出ることにした。何時も被っているつばの広い帽子を被る。そして自室から出る。そうすると今日は休日だから母も父もいた。愛美は気取られないように帽子を少し深めに被る

 

「ちょっと散歩してくるね」 

 

 緊張のしすぎか少し声が裏返っていた。それに両親は訝しげに見たが特に何も言わず

 

「行ってらっしゃい。ご飯までに帰るのよ」

 

「うん」

 

 そう言って愛美はドアをくぐった。そしてあてもなく歩く。空を見上げてみる。そこには時の界王神が教えてくれた次元の裂け目がある。人は時間が経てばなれるもので気味が悪い事は変わらないがもう余り周りの人は気にせず家族団欒やデートするカップルは次元の裂け目を気にせずデートしたりしている。

 だがこの裂け目がこの世の終わりに繋がるかもしれないと思っている人はどれくらいいるだろう? 

 

「光輝……」

 

 別れの前の光輝の恥ずかしそうな表情を思い出す。その光輝がこの現象を止めるために今この瞬間も命を懸けて戦っている。そう考えただけで愛美は胸が締め付けられる気がする。手を自らの心臓にあてる。

 

「なんで私は弱いの?」

 

 そう弱々しく言った。愛美は”戦い”なんてものとは無縁の人生を送ってきた。だからその世界に入ったのはALOを始めてからだ。光輝がやっていた事を自分でもできると最初は浮かれていた。だけど光輝との最初の決闘で経験値の差を思い知った。それも当然で光輝は自分が光輝が手に入れてくれた平和の中で生きて来たのだ。そんな戦闘スキルを身に着けられる訳がない。

 

「覚悟……か」

 

 自分にあるのだろうか? さっき言った事は嘘じゃない。光輝の為ならなんだってするし死ぬことも怖くない。でも……それがもし中途半端なものだったら……光輝の足かせになってしまうのだけは絶対にダメなのだ。答えを考えるために外に出たのに余計に分からなくなってしまう。光輝と付き合うという選択肢を選んだ時点で常人ではいられない。そんな事は分かっていたつもりなのに。

 

「はぁ……」

 

 愛美はため息をつき少し早いが結局帰る事にした。これ以上普通のカップルを見ていると気が重くなる未来しかなかった。てくてくと歩き気が優れない表情で愛美は戻って来る。

 そんな表情を見れば両親も流石になにか愛美になにかあったのか分かる。だけれども愛美が話そうとしないので少し静観することにした。愛美は部屋に戻るとそのまま勉強机の上にある写真立てを手に取る。そこには愛美が光輝と映っている写真がある。二人はあの日の様に笑って手を握っている。横には咲良と三人で撮ったものやALOで皆と撮った写真がある。あの一週間で沢山写真が増えた。そのどれもに光輝が映っている。

 そして今この瞬間にも光輝は戦っている。自分の大切な人達を守る為に。

 

「私も……戦えるのかな」

 

 そう弱々しく言ったのだった

 

 ★

 

 夜、愛美はずっと光輝の事を考えていた。それでもお腹は減るもので母の自分を呼ぶ声が聞こえたのでリビングに入る。今いる場所はアメリカだが基本的に食卓を囲むのは日本食だ。使っている調味料とかで若干味は変わるがそれも愛美からすれば微々たるものだ。

 今日の晩御飯は肉じゃがだった。よく煮込まれていてとても柔らかく出来ている。しかしそれは分かっているがやはり愛美の顔色は優れなかった。娘のそんな様子を見て心配するのは親の性だろう。晩御飯を食べ終わった時

 

「愛美、何かあったの?」

 

「え?」

 

 愛美としてはそんな様子をおくびにも出してなかったつもりだが第三者からすればバレバレだ。愛美が両親を見るとどちらも心配そうな顔で愛美を見てきていた。

 愛美は一瞬「何でもないよ」と言おうとした。だけれどもそれは出来なかった。愛美が仮にキリト達について行くことになった場合、心配をかけるのは光輝だけではない。それどころか一番心配するのは両親と言う事に今更気が付いたのだ。

 愛美はそれに気が付きまた顔を下げてしまった。だが両親はせかさず辛抱強く待った。愛美は少し経った時、深呼吸した後話し出した

 

「あの裂け目の事だけどね……」

 

 そこから愛美は話した。あの裂け目の正体、その先で起きるかもしれない事、そして……SAOの世界の人達の覚悟と勇気、更に……

 

「私も……私も行きたい。光輝を助けたい」

 

 だがその言葉に覇気が無かった。あの時は光輝への思いが強く無我夢中で嘘偽りなく叫んだ。だが、レインから足手まといと言われ現実を考えた時それを返す言葉が無かった。

 

「愛美、本気なのか?」

 

 と、父親である弘樹が聞いた。その言葉に愛美はびくっとした。だけれども覇気がないだけで芯は固まっている。愛美は頷く。両親は揃ってため息をついた。当たり前だ。二人からすれば娘がいきなり戦争に行きたいって言ってきたようなものだからだ。

 弘樹は額に手を当てながら呟いた

 

「何で……そんな」

 

 確かに自分達は娘の幸せを優先し光輝とのお付き合いを認めた。だがそれとこれは別だ。戦いのプロである光輝がピンチになる時、どう考えても愛美の出番はない。それが例えパワーアップしたとしても変わらないだろう。みすみす死んでしまう。だから出す答えは一つ

 

「ダメだ」

 

 ただそう言ってそれ以上愛美の反撃を許さないように洗い物を洗い場に持っていき自室に向かった。美咲も夫に続くように洗い場に向かい愛美に何も言わせまいとした。

 愛美はそんな両親を見て顔を下げてしまう。両親が反対する理由なんて分かり切っている。それでも……行きたい理由はいっぱいあるのに口が開けない。愛美は立ち上がり自分の洗い物も洗い場に置いた。その時美咲の顔を見た。美咲も愛美を見ていた。愛美は何かを言おうとした。だけどもそれは言葉にならずしぶしぶ自分の部屋に引っ込んだ。

 

「うっ……うっ」

 

 愛美はそのままベッドに倒れ枕に顔を押し付ける。愛美は何も言い返せなかった自分に対して涙が出る。ALOでは言いきれたのに両親の前では言えなかった。それどころか自分の覚悟さえ分からなくなった。愛美はベッドの棚から写真を取る。そこには恥ずかしそうに笑う光輝と愛美、恋人になってから初めて撮った写真。それを見ると心臓がどきどきする。たったそれしかしてないのにだ。

 

「嘘じゃない……」

 

(光輝の事を想うこの気持ちだけは)

 

 愛美はしばらくその写真を見続けたがそれを棚に戻し代わりにアミュスフィアを取った。ヘッドギアをセットし仰向けになる。

 

「リンクスタート」

 

 そうして愛美は意識を手放した。

 

 ★

 

 ALO 第47層 光輝・レイン・セブンのプレイヤーホーム

 

 愛美は水妖精の愛美として目を覚ました。昼頃はここで世界を揺るがすかもしれない会議というか集まりがあったというのに今は誰もいない。愛美は一応ここのホームの鍵を持っている。だからホームから出る。鍵をかけた後あてもなく歩く。ALOは夜がアクティブタイムの社会人達の為に現実と時間が同期しているわけではない。今、愛美のリアルでは太陽が沈み暗闇が広がり始めているのに対しALOではギラギラに太陽が昇っている。

 しかし愛美の心境としては完璧に逆だ。気分はどちらかというと落ち込んでいる

 

「えーみ!」

 

 そんな愛美の落ち込んでいる肩を誰かが叩いた。愛美が驚いてみたら

 

「ユウキさん……」

 

 今の愛美には眩く見える笑顔で自分の肩を叩いたのはユウキだった。この世界では一番愛美と一緒にいる時間が長いかもしれない。最早関係だけ見れば師弟関係だ。

 ユウキはなんか落ち込んでいる愛美を見て疑問符の顔になる

 

「どうしたの? そんな暗い顔して」

 

 勿論、ユウキはあの時の界王神の会合にいた。だから愛美が一週間後に誰かと決闘する事も知っている。てっきり今頃特訓しているのかなと思ったらこんな所にいたから気になって来たら愛美が暗い顔だった訳だ。

 二人は場所を移し27層の小島にやって来た。そこで愛美は自分が抱えている不安を話した。自分の覚悟、光輝への思いと両親を前にした時の自分のギャップを話した。

 

「そっか……」

 

 ユウキはそう言って小島の向こう側を見た。愛美もつられてみたが特に何かがあるわけではない。何を見ているんだろうと愛美が思った時、ユウキの口が開いた

 

「それで愛美はどうしたいの?」

 

 何時もの天真爛漫な雰囲気のユウキと違い今はどこか師匠っぽい雰囲気を出しながら愛美に聞いた。愛美はそんなユウキを初めて見たからか少し驚き聞かれたことの意味を理解した時、顔を下げながら答えた

 

「私はそれでも……光輝を助けたい。足手まといになるかもしれない。でも……」

 

「ダメだね」

 

 愛美の言葉を遮りユウキは愛美の言葉を一刀両断した。ユウキは振り返り愛美を見た。愛美はそんなユウキを眼を見開いて見ていた。あの時は何も言わなかったのに今ユウキは愛美を否定した。

 愛美は心のどこかではユウキは肯定してくれると思っていた。だけれども帰って来た答えは否定

 

「足手まといになるなら来なくていいよ。それこそお留守番しててくれた方がよっぽどいい。まだその方が愛美の出番はあるよ」

 

 もしその時が来た時、個人戦かレイド戦かはまだ分からない。そもそも光輝や悟空達だけで十分だった場合はユウキやレイン達の出番はない。時の界王神もそんな事は分かっている。だけれども手を打っておくのに越したことはなない。だがそう何人も連れていける程余裕がある訳でもない。

 ユウキは唖然としている愛美から一定距離離れて腰の剣を引き抜きその切っ先を愛美に向け視線を愛美に固定し言った

 

「中途半端な気持ちで言ったのなら悪い事は言わない。君は行くべきじゃないよ」

 

「中途半端なんかじゃない!」

 

 愛美はそのユウキの言いように怒りが出て立ち上がり言った。だがその顔や言葉にはまるで覇気が無かった。ユウキもそんな事は分かっている。だからこそ追い打ちをかけた

 

「だったら何を迷う必要があるの? 愛美に本当の覚悟があるのなら迷う必要はない」

 

「!」

 

 確かにそうだ。本当に死闘になるであろう戦場に向かう覚悟があるのなら両親だろうが愛美は言い負かす事が出来たはずなのだ。しかし、現実は出来なかった。自分の力不足を知りながらも愛美は戦場に行きたいと言った。自分の中の気持ちは固まっていたはずなのに両親の前では言えなかった。……中途半端なのだ、愛美の行動のなにもかもが。そして愛美が聞きたくない事をユウキは言った。

 

「君は本当に光輝の事が好きなの? 光輝の為に命を懸けられるの?」

 

 その言葉に愛美は怒りよりも狼狽の気持ちが多く出た。真正面からそう自分も心の中で思っていた事を言われたからだ。8年も恋焦がれた。生きてると信じ続けて来た。そして……恋人になってくれた。でも……だったらなんで今自分は悩んでいるんだ、と。

 愛美はそのユウキの言葉に思わず少し顔を下げかけた。だがそれは出来なかった。何故ならALO最速クラスのスピードをもってユウキが愛美の目の前に踏み込んできていたからだ。

 

「──!」

 

 愛美は咄嗟に飛びのくことで回避しようとしたが間に合わずユウキの袈裟切りを回避できなかった。赤いダメージエフェクトが愛美に入る。実戦ならもう終わりだった。愛美はいきなりの事にユウキを見た。ユウキは再び構え言った

 

「一週間も待つ必要はないよ。僕が今ここで引導を渡してあげる」

 

 ユウキも出来るなら死人なんか出したくない。いや、いつものボス戦の様に死者を出さない。それがどんな強敵でも。だが中途半端な者が1人いるだけで空気は変わる。ならここで愛美の戦意を完全に消し去る。それがユウキが光輝の為に、そして愛美自身の為に出来る事だ。

 

「さあ剣を取って」

 

 今までのユウキと雰囲気が違う事に愛美は戸惑いながらも腰の剣を引き抜き中段に構える。そんな愛美にユウキは自分の剣を向け……接近した

 

(早い!)

 

 ユウキの今までの特訓とは違うスピードに愛美は反応が出来ずに攻撃を許した。

 

「──! やあああっ!!」

 

 愛美は気合の入った叫びを出しながらユウキに迫るがユウキはそれを簡単にしのいで見せる。愛美がその剣戟のさなかユウキの瞳を見るとユウキは射貫くような眼で愛美を見ていた。それに愛美は一瞬たじろいでしまった。そんな隙を見逃すほどユウキは甘くない。

 

「あ……」

 

 愛美の剣を上に弾きその手から剣を離させる。そして愛美の顔面すれすれにユウキは剣を突き付ける。僅か10秒ほどの戦いだった。

 愛美はそのユウキの射貫くような……全てを貫くような視線を見て思った。

 

(怖い)

 

 ただそう思った。何故なら愛美は死にかけたことはあるが何時も光輝が助けてくれた。だが今は光輝はいない。そして……目の前のユウキは本気で自分を殺すつもりというのが嫌でも分かってしまった。本気で自分から中途半端な戦いの意志を消し去ろうとしているのだと。

 愛美は命を懸けたことはない。何時も安全圏内でやって来た。それが普通ならば正常だ。だが光輝と付き合っていくには普通で止まったらだめだ。そして……ここが仮想世界という事も忘れて愛美はただ恐怖を感じた。愛美の眼が虚ろになってきたのを見てユウキは剣を下した

 

「戦うのは怖いよね」

 

「……え?」

 

 唐突にユウキからそんな言葉が出てきて変な答えになってしまった。しかしユウキは気にせず続けた

 

「僕がエイズだったのは知ってるよね?」

 

「はい」

 

「あの時僕は生きる事を諦めてた。エイズと戦う事が怖くて……ただ死を受け入れてた」

 

 諦めてた? ”原作”のユウキさんは精一杯生きてた。精一杯笑って病気と闘って……私の知っている”原作”のユウキさんはそうだった。だけど……諦めてた? 

 

「あ、その眼疑ってるなぁ? でも本当だよ。あの時の僕は精一杯生きて死のうって思ってたんだ」

 

 ユウキさんはそんな暗い話を普通に話してくる。私の中にあった暗い気持ちはまだあるがそれでも今のユウキさんの言葉を聞かなくちゃいけないと不思議と思った。

 

「でも……それで光輝に怒られた。『今を生きたくても生きられなかった人達がいる。全ての手段を探してもいないのに諦めるな』ってね」

 

 そうどこか懐かしそうに話すユウキさん。でも光輝がそう思った理由は分かった気がする。お義母さんやお義父さん……それにお姉ちゃん達は本人の意志とはなしに殺された。でも……ユウキさんには時間や治る方法があるかもしれないのにそれを探さなかったのに怒ったんだ。ユウキさんは自分の心臓に……仮想世界に心臓はないけど手を当て眼を閉じた

 

「でも……僕は生きたかった。そう願ったから光輝は僕に協力してくれた。だから僕は今生きている」

 

 ユウキは気を取り直したように愛美を見る。その眼が今度は試す顔になった

 

「だから僕は光輝の為に命を懸けるよ。それが僕にできる光輝への恩返しだから」

 

 ユウキさんのアメジスト色の瞳が語っている。「君はどうなの?」って。少し私は眼を閉じた。それだけで光輝の事が出てくる。自分でも光輝に依存してるなって思っちゃう。でも……心臓はドキドキしている。こんな状況なのに簡単に光輝との思い出が出てくる

 初めて助けてくれた日の事

 私を励ましてくれた時の事

 映画やプールに一緒に行って遊んだ日の事

 私の為に命を懸けてくれた日の事

 世界を懸けた一戦で私の事を話してくれたこと

 名実ともに私の世界の英雄(ヒーロー)になった姿

 そしてこのALOで遊んだ時や……ファーストキスした時の事

 

(あの気持ちが全部嘘だった?)

 

 そんな事ない。私は光輝の事を”愛してる”。それは……それだけは絶対に嘘じゃない。

 だって……光輝の事を考えただけでこんなにドキドキして光輝が戦ってるって分かっただけで不安になる。光輝が悲しかったら私も悲しくなる。光輝が辛かったら私も辛い。

 だったらそこにある気持ちは……

 私はそこで眼を開いた。ユウキさんは剣を持ったまま私を見ていた。そこにある眼光は剣士としてのものだった。でも……不思議ともう怖くなかった。迷いの気持ちももうなかった。

 

「私は光輝の事を愛してる。だから私は光輝を助けたい! 私と光輝は”運命共同体”、光輝の戦いは私の戦い。もう迷わない!」

 

 そこで少し深呼吸する。それだけで落ち着ける。そして私は変わらない……それでいてさっきとは違う結論を言った

 

「だから私は行く。光輝だけに世界を背負わせない!」

 

 そう聞いたユウキさんは数秒たちふっと笑った気がした。そして剣を構えた

 

「だったら君が今すべき事は何?」

 

 私はさっき弾かれた剣を取って構えた。今のユウキさんに纏う雰囲気はもう”ゲーム”の雰囲気ではなく”剣士”としての雰囲気だった。でもそんなのは怖くなかった。私が今すべきなのは5年前の光輝と同じ、守りたいものの為にその腕を磨くこと。

 

「お願いします!」

 

 愛美はそう叫びユウキに肉薄したのだった




お疲れ様です。ユウキさん、愛美に戦意を失わせようとしたのに戦意を復活させた。ユウキが少し笑ったのは光輝みたいに非情になれなかったから少し自虐の意味を込めてる。
愛美ははっきり言って結構依存癖があります。

次も愛美の話です。いやすいません。その次にヒルデガーン戦です。ではでは


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ネットスレ 切れ目発生後の反応

こんばんわ。裂け目発生後のネットスレ。
書き終わっていたのに出すのを忘れていた奴です。まあ、多分気づかない人が大半なのでこの時間に上げます


謎の空間の切れ目と光輝君との関係性について語り合うスレ

 

1:名無しさん 

次のスレは999番さんが立ててください

 

2:名無しさん 

スレ立て乙

 

3:名無しさん 

 

4:名無しさん 

皆さんあれ見ました?

 

5:名無しさん 

逆にあれ見えないのは視覚障碍者位だろ(消して差別発言ではないです)

 

6:名無しさん 

そうだよな

なんやあれは

 

7:名無しさん 

空に切れ目って俺一瞬特撮の撮影か何かだと思った

 

8:名無しさん 

俺もそう思った

でもああいうのは基本CGだから絶対に違うよな

 

9:名無しさん 

なんだか超獣が現れる前のひび割れにも似ているよな

 

10:名無しさん 

すまん。超獣とはなんだ

 

11:名無しさん 

ウルトラマンエースという作品から出た敵の総称でバルタン星人とかゴモラとは強さが違う怪獣の事。基本的には超獣>怪獣。その超獣が出る時今現実で起きているあのひび割れに似ているのが起きるんだよ

 

12:名無しさん 

なんだか光輝君の事があったからワンチャンウルトラマン達もいる気がしてきた

 

13:名無しさん 

それは俺も思ったが余りきてほしくないかな。

だって来るときは地球がピンチの時だけだからな

 

14:名無しさん 

ずれたから話を戻すがぶっちゃけ聞いてもいいか?あれ光輝君が関わっていると思うか?

 

15:名無しさん

関わってる…と思うんだけど

 

16:名無しさん 

あのひび割れが起きてからマスコミがまた櫂家に行ったけどもう光輝君はいなくなってたんだろ?

 

17:名無しさん 

そう。影も形もなくなっていた。多分タイムパトロールに行ったんじゃない?

 

18:名無しさん 

ごめん。なんだそのタイムパトロールってのは

新しいアニメの設定か何かか?

 

19:名無しさん 

これも最初で最後のインタビューで判明したことの一つだよ。衝撃的な事が明らかにされまくったので印象に残らなかったんだろ

 

20:名無しさん 

タイムパトロール…光輝君曰く「あらゆる次元、あらゆる歴史を乱そうとする悪い奴らを捕まえるのが仕事」だそうだ

スケール大きすぎて何を言ってんのかわからん

 

21:名無しさん 

多分みんな分からんから安心しろ

 

22:名無しさん 

俺は脳内変換でドラゴンボールゼノバースの主人公と同じ状況と無理やり解釈した。

 

23:名無しさん 

というよりそれが一番正解だろ

 

24:名無しさん 

そうだな。3年前にそのタイムパトローラなったて言うから光輝君の方が先だけどな

 

25:名無しさん

じゃああの空の割れ目は光輝君のせいなのか

 

26:名無しさん 

それは違うと思う

 

27:名無しさん 

根拠は?

 

28:名無しさん 

光輝君をドラゴンボール基準で考えると無理だと思うから。仮にあのひび割れの向こうが精神と時の部屋みたいな異空間だとしたら光輝君だけじゃ開ける事は出来るかもしれないけど開け続けるのは不可能だと思うから

 

29:名無しさん 

まあ確かにドラゴンボール基準で考えるべきだよな。SAOやNARUTOの世界と比べてもパワーバランスが一番ぶっ飛んでるし

 

30:名無しさん 

超サイヤ人3ゴテンクスでも精神と時の部屋に現実とのリンクを繋ぐのは永遠には出来なかったもんな

 

31:名無しさん

そだな

光輝君の仕業と考えるの早計だよな

 

32:名無しさん 

寧ろ光輝君はあの原因を突き止めるためにタイムパトロールに向かったかもしれないし

 

33:名無しさん 

なあ、仮にあれが災悪の前触れだったらどうする

 

34:名無しさん 

災悪って例えば?

 

35:名無しさん 

ドラゴンボールの歴代のボスたちがこっちの世界に滅茶苦茶沢山来るとか?

 

36:名無しさん 

それは確かに色んな意味で最悪だわ

今の光輝君がどんだけ強いのか分からないけど流石に全員一気には戦え…

 

37:名無しさん 

いや一応影分身あるからやろうと思えばできると思う

 

38:名無しさん 

それにいざとなったら悟空達を呼べば!

 

39:名無しさん 

インタビュー見てなかったのか?悟空達は基本他の世界には不干渉だぞ

 

40:名無しさん 

まじか…光輝君だけで大丈夫かな

 

41:名無しさん 

大の俺達が子供に頼らないとダメな現状が泣けてくる

 

42:名無しさん 

いやそれはしょうがない

だって俺達なんて笠木以下だし

 

43:名無しさん

光輝君インタビューでも言ってたもんな。「笠木?別にあんな奴1億人一斉にかかってきても一瞬でズタボロにして再起不能にする自信がありますよ」って

 

44:名無しさん 

マジであり得そうだよな

 

45:名無しさん 

だって笠木戦じゃ超サイヤ人になってないもんな

 

46:名無しさん 

光輝君って超サイヤ人はどこまでなれるの?

 

47:名無しさん 

2は確定。あの仮面の奴と戦った時になってた

 

48:名無しさん 

よく分かるな

 

49:名無しさん 

俺のドラゴンボール愛に敵うやつはいない

 

50:名無しさん 

というか今更なんだけどさ…インタビューじゃ聞かれてなかったから結局分からないんだけどさ。あの髪型はSAOで出会った姉って人にセットしてもらったって言ってたけどあの髪型って未来悟飯に似ているよな?

 

51:名無しさん 

多分殆ど同じだと思う。

 

52:名無しさん 

なんでだ?

 

53:名無しさん 

タイムパトロール先でなにかあったのか?

 

54:名無しさん 

というより未来悟飯と関わったことあるならあの髪型も頷ける。一瞬しか見えなかったけど超サイヤ人の時も未来悟飯に似ていた。まあ顔は違うから個性はあるけどね

 

55:名無しさん 

というかよく考えたら未来悟飯と光輝君って境遇似ているな

 

56:名無しさん 

そだな。未来悟飯は大事な仲間たちの仇を討つために学者の夢を捨てて何年も修業した

 

57:名無しさん 

光輝君は…本人曰く別に仇討ちの為に修業したわけじゃないけど自分を育ててくれている櫂さん達を守る為に修業した。でも当時は夢もくそもなかっただろ

 

58:名無しさん 

未来悟飯の方は結果は敵討ちは出来なかったけどトランクスが代わりにやった

 

59:名無しさん 

光輝君は別に狙ってやったわけじゃないけど敵討ちは7年の時を超えて達成した(最後は仮面の奴がやったけど光輝君完封してたしいいだろ)

 

60:名無しさん 

違いは自分の手でやったかどうかの違いか

 

61:名無しさん 

そだな。

 

62:名無しさん 

光輝君の物語を映画化してくれないかなぁ。

 

63:名無しさん 

興行収入全ジャンルナンバー1になりそうだな

 

64:名無しさん 

再現ドラマとかだったら半減しそう

 

65:名無しさん 

そりゃそうだな

もしするなら光輝君がやるからこそ意味がある

 

66:名無しさん 

影分身出来るなら変化も出来るよな?

 

67:名無しさん 

光輝くんの可能性がヤバすぎて草

 

68:名無しさん 

完全に色んなアニメのハイブリッドだもんな

剣に関しても本物のアインクラッド流だろ

 

69:名無しさん 

笠木にやったのは本人曰くヴォーパル・ストライクらしい

 

70:名無しさん 

光輝君自身が身に纏っていた金色のオーラのおかげでめっちゃ神々しかったな

 

71:名無しさん 

まあ俺らからしたら本物の救世主だけどな

 

72:名無しさん 

平和に過ごしてた俺らと違って笠木とはレベチの敵たちと戦ってきたからな。自然と雰囲気も戦士になってたな。

 

73:名無しさん 

尚、世間の女さんはその雰囲気とリラックス時のギャップにやられた模様

 

74:名無しさん 

くそーーー!

 

75:名無しさん 

でも光輝君って未来悟飯とかに比べたらまだ恵まれてる方だよな

 

76:名無しさん 

そうだな。未来悟飯は全部捨てても届かなかったけど光輝君は届いたし。それに仲間を全員失った未来悟飯に対して光輝君は仲間が出来た。

 

77:名無しさん 

いやお前ら光輝君の実の家族殺されてるの忘れてないか?それも話聞いてるだけでも目眩がする死体の状態で、おまけに光輝君が第一発見者。

悟飯は仲間が殺された所は見てないだろ

 

78:名無しさん 

その点未来悟飯はまだチチと牛魔王いたもんな…

 

79:名無しさん 

というかこれってどっちがマシとか決められなくないか?

 

80:名無しさん 

そうだな。俺達が話すのもおこがましい話題だわ

 

81:名無しさん 

光輝君よくPTSDにならんかったよな

 

82:名無しさん 

まじでそれは思う。PTSDなってたら渋谷で世界終わってたもんな

 

83:名無しさん 

あの時は光輝君にめちゃ申し訳ない気持ちになってたんだけど光輝君的にはあれで良かったのかもしれないね

 

84:名無しさん 

そだな。皮肉にもあの出来事のおかげでキリトとかと出会えて笑える様になったなら光輝君にとっては良かったと思う

 

85:名無しさん 

世界的にも良かったよな

そのおかげで悟空達に修業を付けてもらって笠木なんか眼じゃない程強くなってたし。

 

86:名無しさん 

西沢家殺人事件が光輝君にとってのターニングポイントだったな

 

87:名無しさん 

家族の事に関してももう吹っ切れてるんじゃない?じゃないとリコレクションブレイブになれないだろうし

 

88:名無しさん 

響きがもうかっこいいよな。あれってサイヤ人としての力と言うより地球人として家族と過ごした思い出を力に変えてるから地球人としての力だよな

 

89:名無しさん 

なあ、もし光輝君がオリンピックに出たいとか言ったらどうする?

 

90:名無しさん 

それは…ねぇ?

 

91:名無しさん 

スレチの気がするけど面白そうなので真面目に考えてみた。超サイヤ人2になってたらしいからセル編の悟飯レベルだと仮定する

陸上系 言わずもがな無双。何なら瞬間移動とかいうチートが可能。誰も勝てん

野球・ソフトボール系 ヤムチャが大活躍していた時点でお察し。光輝君一人でワンチャン勝てる

バスケ系 武空術で浮いて誰にも邪魔されずにダンクシュート入れまくって終わり。シュートされたとしても光輝君のスピードならゴールに付く前に余裕で回収可能

ボクシング 無双

…よく考えたら殆ど無双だな。

 

92:名無しさん 

逆に出来なさそうな競技は

 

93:名無しさん 

アーチェリー、とかクレー射撃。ゴリ押しじゃない競技は苦手そう

 

94:名無しさん 

カヌーとかの小技系の奴も追加で

 

95:名無しさん 

以外にあるな。案外卓球とかも出来なさそう。力み過ぎて

 

96:名無しさん 

間違えて相手に向けて撃ちそう

 

97:名無しさん 

漢字ーー!

 

98:名無しさん 

まあ光輝君が打てば確かに弾丸よりも早くなりそうだから強ち間違ってない(笑)

 

99:名無しさん 

なんか皆もう光輝君の事受け入れてるんだね

 

100:名無しさん 

だって仮に光輝君が世界滅ぼすって言ったらそうなるしかないからな。笠木にも勝てない俺らがサイヤ人になった光輝君に勝てる要素が皆無。自発的に心臓病を起こさせるものがあれば別だけど

 

101:名無しさん

そっか、悟空も心臓病で死んだから光輝君もそれで死んじゃうかもしれないのか

 

102:名無しさん

おまえら非人道的な話してるの分かってるか?

 

103:名無しさん

すまん

 

104:名無しさん

すいません

 

105:名無しさん

光輝君が闇落ちルートは今の所なさそうだから大丈夫だと思う

それこそどっかのバカが櫂さん達を傷つけない限り

 

106:名無しさん

笠木が異常だったからなぁ

 

107:名無しさん

光輝君は正直善悪にこだわってないと思う。守るものの為に戦ってるから光輝君からしたら傷つけた時点でそいつは敵認定だろ

 

108:名無しさん

そういえばさ、話変わるんだけどあの日以降蒼の少女ってだれか見かける?全然見かけなくなったんだけど

 

109:名無しさん

あーあの光輝君が生きてるって言い続けた人?

 

110:名無しさん

そう言えば笠木戦以降見なくなったよな。あの人なんで知ってたんだろ。国の上層部は知ってたみたいだけど

 

111:名無しさん

え!?そうなの?

 

112:名無しさん

そうだよ。光輝君は国には…正確には知り合いの刑事さんには生存したことを言ってたらしい

 

113:名無しさん

どこ情報だ?

 

114:名無しさん

インタビュー

 

115:名無しさん

言ってたけ?

 

116:名無しさん

まあインタビューで衝撃的な事が判明しまくってたから国が光輝君の生存知ってた程度の事は余り話題にならなかったんだろ

 

117:名無しさん

は?くそだな

あいつが生きてるって知ってたらどこの国もあんな被害出なかったんだぞ

 

118:名無しさん

お前「あいつ」とか言うなよ。命の恩人だぞ

ついでに言うなら国が発表しなかった理由も分からんでもないからな

 

119:名無しさん

どうして?

 

120:名無しさん

光輝君が言うには手紙しか渡さなかったらしいし本人の声を聞いたならともかく手紙だけじゃ本当に生きてるのか分からないからだろ

それに仮に発表したとしてもお前ら「じゃあどこいるんだ?」ってなるだろ。そうしたら櫂さんの家にまた大集合が起きて迷惑になるからじゃないの?

 

121:名無しさん

実際、この三次元の世界じゃなく二次元の世界に行ってたからな…いや光輝君が行ったなら三次元なのか?

 

122:名無しさん

光輝君の口ぶり聞いてたらいつでも帰れたように見えたんだけど何であの日まで帰らなかったんだろ

 

123:名無しさん

あ、確かに

 

124:名無しさん

いやいや、でも笠木再襲来だぞ?皆を暗くするには十分な情報だったんだから国民や世界の人達を安心させるために生存を発表しても良かったんじゃない?

 

125:名無しさん

それは結果論だろ

実際光輝君は遅刻したんだし発表された状態でその状態になったら多分お前らの中の光輝君の評価って「大事な戦いに遅刻したやつ」ってなる人いるでしょ。まあこの評価は正直今でもいると思うけど。

 

126:名無しさん

確かに知らされなかった分今回の光輝君の英雄像はやばいしな

俺光輝君が現れた時何が起きてるのか理解するのに時間がかかったし

 

127:名無しさん

あの戦いの後自分達生きていいってなって生を久しぶりに感じたわ

 

128:名無しさん

状況がぶっ飛び過ぎていたけど俺もそう思った

 

129:名無しさん

生きてる実感は大切よ

 

130:名無しさん

そういう訳で光輝君の周りの人に迷惑かけないために、そして発表しても殆ど意味がないから発表しなかったんだろうな…

 

131:名無しさん

そういうことにしとくか

 

132:名無しさん

で、本題なんだけど蒼の少女って結局生存知ってたのか?

 

133:名無しさん

熱心のファンだったから生存を言い続けたって可能性もあるぞ

 

134:名無しさん

でもそれなら余計現れそうな気もするけど

 

135:情報屋もどき

それについてはもしかしたらってのはあったぞ

 

136:名無しさん

名前がなんか悲しくならないかと思うがそっちの方が気になる

教えてくれ

 

137:情報屋もどき

光輝君が笠木をぶっ倒した次の日に光輝君が小学校に来たっていう情報があるんだよ

 

138:名無しさん

小学校ってどこの?

 

139:名無しさん

普通に考えたら光輝君の母校じゃない?卒業してないから母校と言っていいのか怪しいけれど

 

140:情報屋もどき

その通り。俺もその小学校出身で下の家族も今行ってるんだけどその子があの日凄い興奮した様子で「光輝兄ちゃんに会った!」って言ってきた

 

141:名無しさん

ここにきて新しい情報。というより「光輝兄ちゃん」か。呼び方増えたな

 

142:名無しさん

光輝君・光の勇者・思い出の勇者・蒼赤の戦士ときてとうとう兄ちゃんか。

 

143:名無しさん

前者3つは知ってるけど蒼赤の戦士ってなんだよ

 

144:名無しさん

アインクラッドでの光輝君の二つ名だよ

なんか恥ずかしがってたけど光輝君はその二つ名案外気に入ってるみたいよ

 

145:名無しさん

見たまんまだな

 

146:名無しさん

だがそれがいい

 

147:情報屋もどき

で、話を戻すとその家族に聞いたら光輝君が学童で一緒に遊んでくれたんだと。多分時間的に考えて影分身だと思うけど。それでその光輝君と一緒に綺麗な女の人がいたんだって

 

148:名無しさん

はっ!?

 

149:名無しさん

なん…だと?

 

150:名無しさん

マジか

 

151:名無しさん

皆動揺してて草

 

152:名無しさん

いやだって笠木戦の次の日だぞ!?

 

153:名無しさん

ちょっと待て。その女の子は櫂家の長女じゃないの?

 

154:名無しさん

そ、そうだよな。そんな帰還後たった一日で彼女が出来る訳ないよな

 

155:情報屋もどき

いや俺の下のやつその櫂家の長女と同じクラスだけどその時いた人は違うって言ってる

寧ろ下の子は少し見とれてたらしい。

 

156:名無しさん

光輝君、まさかそんな

 

157:名無しさん

速すぎるぜ

 

158:名無しさん

蒼赤の戦士…やりよる

 

159:名無しさん

上のコントは置いといて話の流れが分かってきた。その女の人が蒼の少女なんじゃないかって言いたいの?

 

160:情報屋もどき

そゆこと

 

161:名無しさん

でもそれだけじゃ断定はできないんじゃない?だって全然関係ない人かもしれないよ?

 

162:情報屋もどき

いや、割とこれはガチだ。下の子が言うにはその人を色で表すなら「蒼(青)」って言ってた。その理由が髪色も眼の色も蒼の超絶美人だったかららしい

 

163:名無しさん

マ?

 

164:名無しさん

なんだそのアニメキャラみたいな人

 

165:名無しさん

ちょっと会ってみたい

 

166:名無しさん

というかなんでそんな情報を教えてくれなかったんだ

 

167:情報屋もどき

すまんな

夏休み補修になっちまって親にバツとしてスマホ取られてて今日やっと返してもらったんだ

 

168:名無しさん

補修おつかれ

 

169:名無しさん

スマホ無しはきつい

 

170:情報屋もどき

ありがと。マジで辛かった

 

171:名無しさん

じゃあ仮にその人が蒼の少女だったとしてネットスレに出なくなった理由って

 

172:名無しさん

光輝君と直接会ったからネットスレなんてどうでもよくなったか…光輝君とそういう関係になったからか

 

173:名無しさん

あれだけ生還を信じて実際生きて隣にいるのなら確かにネットスレなんてどうでもよくなるよな

 

174:名無しさん

光輝君にもう彼女が出来るとは…早すぎないか?

 

175:名無しさん

彼女かどうかは置いといて光輝君が普通に家族以外の誰かと一緒にいるのって光輝君の成長を感じる

 

176:名無しさん

なんで…ってそうか

 

177:名無しさん

あの時の光輝君は周りに構うことしてなかったもんな

 

178:名無しさん

光輝君って今更だけど昔から大分達観してるよな

 

179:名無しさん

普通なら5年前の戦いの時点で逃げても誰も文句言わないよな

 

180:名無しさん

達観し過ぎじゃね?

 

181:名無しさん

もしや人生二週目?

 

182:名無しさん

お前らいくらんでも不謹慎だぞ

 

183:名無しさん

ごめんなさい

 

184:名無しさん

確かに不謹慎だった、ごめん

 

185:名無しさん

優しい世界

 

186:名無しさん

でも…今の世界が光輝君に注目してるのも確かだよなぁ

 

 

光輝の話題は冷めるどころか逆に更に熱くなっていくのだった




お疲れ様です。
愛美、ピンチ。なお、愛美は本当に余りネットスレに出なくなっただけです。
光輝が生きているのに死んでいるって言われているのが我慢できなくて言っちゃっただけなんでその光輝を名実ともにイチャイチャ出来るようになったら野郎どもに構う必要が無くなった。


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~裏~覚悟

おはようございます。愛美編最後です。

ほぼ戦闘です。GO!


 新生アインクラッド 第27層の小島

 

 日本は深夜、アメリカはお昼、あの時の界王神の連絡から一週間経った今日は愛美を試す日だ。そして仲間の殆どはこの戦いを見に来ている。この時間帯になったのは単純に他の面々の時間の都合もあるが愛美が一番実力を発揮できる時間でもあるからだ。

対してキリト達側からの人は一日の疲れが一番溜まる時間だがそれはハンデでもあった。

 

「来るか、愛美は」

 

 そうクラインが呟く。

 

「来るよ。愛美は絶対」

 

 そうユウキが返す。最早愛美の師匠の風格が出ているのには誰もツッコまなかった。

 今、ALOは日本の時間とは同期していない。だから深夜であるのにも関わらず周りは明るい。そして小島の向こう側から飛んでくる人影を認めアリスが呟いた

 

「どうやら来たようですよ」

 

 アリスに言われるまでもなくその姿は徐々に大きくなっていく。そして小島の上空にまで来ると翅をしまいそのまま下降する。地面に着地寸前にくるりと回転し見事に着地を決めた。

しかしそんな体操選手顔負けの着地もこの面子の中では最早常識なので余り褒められないのが可哀そうだが。

 だけれどもそんなのは着地を決めた愛美にはどうでもよかった。一週間前とは仮想世界の順応能力が伸びているのは実感しているが。

 

「おまたせしてしました」

 

 それにはセブンが答えた

 

「大丈夫よ。元々私達が速かっただけなんだから」

 

 そう首をすくめた。しかし隣にいるレインはそんな妹を放っておき最終確認で聞いた。それも結構な……アイドルにあるまじき睨みを聞かせて。

 

「最後にもう一度聞くよ。本当に”戦場”に行く気?」

 

 その言葉に面子のほとんどの視線が愛美に固定される。最初は勢いのままに、その次は迷いがあった。だけど……そんなものはもうない。自分にとって光輝の存在を再確認したから。だから愛美の答えは

 

「私は行きます。光輝は私の彼氏で私は光輝の彼女、運命共同体だから」

 

「行きたい」ではなく「行く」。その二つは似ているようで違う。行きたいは願望が入っている。だが行くは自分の意志が完全に固まっている。その違いがレインには分かる。

 前回、一週間前は無我夢中って感じだった。自分が言っていることの重大さも分かっていない様子だった。時間を空けたのはそれを愛美に認識させるためでもあった。そしてその上で答えを聞こうと。だけれど答えは変わらなかった。ならやる事は一つ

 

「……分かった。始めよ」

 

 レインはそう言って面々から離れ小島のスペースが開けている場所まで歩いていく。愛美はレインが相手する事に特に意外に思う事もなくついて行く。

いや、愛美は誰が相手するのか聞かされていた訳じゃない。今レインが行動を起こし初めて知った。

 

 でも……そんなの関係ない。私に本当に覚悟があるなら誰が相手でも関係ない。ただ私の全力で私の今の力を見せたら良いだけなんだから。

 

 愛美はレインの前まで相対した。その距離は約10m。レインは目の前まで愛美が来たのに合わせその雰囲気を変えた。何時もの”お姉ちゃん”や”アイドル”ではなく一人の剣士、”紅の歌姫”として。

 そしてその変化は愛美にも分かった。だが、怖気づくこともなかった。レインはそのままメニューを開き決闘(デュエル)申請を愛美に送った。愛美はそれを概要を簡単に見て受諾した。

 二人の間に決闘開始のカウントダウンが始まる。その一分間で二人はそれぞれの剣を抜いた。レインは何時もの真っ赤な二振りの剣を、そして愛美は

 

「愛美ちゃんの剣が新しいものになってる」

 

 そうアスナが呟いた。事実その通りで前までの愛美の剣は真っ蒼な剣だった。だが今愛美が持っている剣は蒼も残しつつその中にピンク色も織り交ざっている。その剣の模様にレインは少し驚いたように見る。その混ざりようは光輝の剣にどこか似ているからだ。

 唯一ユウキだけはそれを微笑んでみている。あの剣の素材を一緒に探したのは他でもないユウキだからだ。そしてリズも似たような顔だ。あの剣を打ったのはリズだからである。

 それ以外の面々には今日が初披露だ。

 

「キリトよう、お前はどう思う?」

 

 クラインが決定的に主語が欠けていることを聞いてきたが言われるまでもなく愛美の事というのは分かる。キリトはカウントダウンが進むにつれゲームではない雰囲気を出し始めている二人に聞こえないように言った

 

「前の愛美なら間違いなく勝てないだろうさ」

 

 ただそれだけだったがキリトの言わんとしていることは分かった。キリトは「今の愛美」の強さは分からないと言いたいのだ。ちらりとユウキを見るとユウキは自信があるのか意識しているのかは分からないが口元を緩ませている。

 そしてキリトは二人に視線を戻した。

 決闘は完全決着モード、どちらかのHPを消し飛ばすまで戦い続ける。SAOでは忌避されてきた決闘方だ。HPが0になると比喩なしで死んでしまうあの世界ではこの決闘方は論外だったのだ。ただALOでは珍しくもないが。

 

 カウントダウンが迫ってる。お姉ちゃんの雰囲気はそれに伴って鋭くなっていくのが分かる。私はまだあんな雰囲気は出せない。勝てないかもしれない。だけど……勝てなくてもいい。これは実力を見せるための戦い。ただ全力でぶつかって戦うだけ。この決闘はただの通過点、本当の敵は自分自身。

 あなたはいつもそうしてきたんでしょ、光輝? 

 

 カウントダウンが0になった

 

「──!」

 

 愛美が飛び出した。たった10メートルの距離を一瞬で駆け抜ける。そしてそれに伴って使った技は片手剣・突進技<レイジ・スパイク>だ。蒼色の光を伴って愛美はレインに突き抜ける。

 だがレインはそれを簡単に横にずれることによって躱す。

 そして自分もソードスキルを発動させる。片手剣・単発技<スラント>

 

「ふっ!」

 

 だが愛美はそれを見越して技後硬直に入る前に次のソードスキルへ移った。ソードスキルと言っても体術の技、単発水平蹴り<水月>だ。その技自体に驚きはない。光輝もこの世界ではよく使っているからだ。驚いたのはそれではなく

 

「スキルコネクト!?」

 

 それに驚きの声を出したのはセブンだった。

 スキルコネクト……SAO時代からキリトやレインが使っているシステム外スキル。基本的にソードスキルは連続して使えない。過去の光輝はその隙をついて攻略組をボコボコにした。だがこのスキルコネクトはソードスキルを終える直前にアミュスフィアが行っている脳の出力を切り替え次のソードスキルに繋げる。そうする事で実質的な連続攻撃になる。だがそのタイミングがとんでもなくシビアで繋げるソードスキルを切り替えるタイミングはコンマ1秒以下、意識的にアミュスフィアへの運動命令を左右に分ける必要があるから違和感がある。おまけに次に繋げるソードスキルは前のソードスキルの終わりと開始地点が近くないとできない。

 この世界ではキリト、レイン、そして二人ほど上手くはないが光輝しか出来ない高等技術だ。それをこの短時間で仕上げて来た。

 

 スキルコネクトをやったことで少し違和感があるけれど何とかお姉ちゃんを後退させた。私はキリトさんと違って二刀流じゃなくて体術とのスキルコネクトだから幾分かマシだけどね。

 水月も技後硬直が短い、私は技後硬直が解けたのと同時にお姉ちゃんにまた突進した。

 

「はっ!」

 

 愛美が1週間前とは違うスピードで剣を振るう。光輝のSTR一強の剣と違い愛美はバランスのよい剣を使っている。だから振るわれるスピードはある程度早い。だけれどもオーディナルスケールをやるにあたって光輝から地獄の修業を乗り越えたレインからすればまだ遅いと感じられるスピードだった。

 そしてそれとは違う問題も愛美にはある

 

「くっ……」

 

 それは手数だ。愛美は片手剣一本に対してレインはいつも通りの二刀流……いや仲間からしたら訳あって多刀流だが今は二刀流を前提とする。元々二刀流は二振りの剣があるからこそある防御力がある。単純に使える武器が二つあるのだから攻撃出来る場所が限定される。だからレインからしたら攻撃される場所が予測しやすい。

 本来、剣道のルールでの二刀流とは長刀と小刀で二刀流だ。そしてそのリーチの短さやルールの関係で小刀の方で一本とる事は珍しい。

 だがレインはSAOの頃から部類としては長刀の二刀流だ。おまけに基本的にやるかやられるかPvPでは二刀流にルールはない。つまり現実の剣道と違って制約がない。

 後は二刀流元来のデメリットしかない。

 

「やあっ!」

 

 レインが叫び愛美の剣を片手剣一本でパリィしてもう一つの剣で切裂く。愛美はそれをガード出来ずにまともに食らう。愛美の左端のHPが減少する。まだ8割はあるがレインはほぼ10割だ。まだ決闘が始まって5分も経ってないがこれだけで二人の実力差が表れ始めた。

 愛美は攻撃を貰ったことによりそれ以上追撃はさせまいと体術後方宙返りスキル<弦月>で牽制しつつレインから距離を取った。

 

「はぁ……はぁ」

 

 愛美は想定よりも動かされることに今更気が付いた。二刀流の手数に対抗するためには愛美も剣のスピードを上げ、更に反撃しなければならない。だが今のままだとジリ貧だ。反撃どころか防御に力を注がないとあっという間にやられる。

 

(強い……こんなに強かったんだ)

 

 光輝が異常なだけでレインはALOでも最強クラスに位置付けられている。基本的に決闘大会では選手よりもアイドルとしていくことが大半なので余りその実力は知られていないがSAO最前線の攻略組の時点で弱い筈が無かった。

 

「……まだやる?」

 

 レインは本気で愛美には残っていてほしい。もしかしたら……いや、恐らく光輝を助けに行った時誰かは必ず”死ぬ”。それこそ自分かもしれない。いや、いざとなったら光輝の代わりにレインは死ぬ覚悟がある。それは誰にも言ってない決意だがそれだけレインは今回の事に危機感を持っている。

 勿論、タイムパトロールという仕事は嫌いだ。だが……光輝が世界の為に必要な戦士なのはレインにも分かっている。そんな光輝の隣には愛美がいてほしいのだ。

 8年間も一途に光輝を想い続けた愛美なら光輝を任せられると思った。だがその愛美が来て最悪死んでしまったら光輝はどうなるか分からない。怒り狂うか戦意がなくなるか……だから愛美には残ってほしいからこその問。

 

「当然!」

 

 だが答えはそれだけだった。アスナにどこか似て頑固だなとレインは少し思った。だがそれだけだ。レインも一週間何も考えなかった訳じゃない。考えてもやはり愛美には残ってほしいという結論にしかならなかった。

 

「愛美ちゃんじゃ私に勝てない」

 

 どこかラスボスみたいな事言ってるなとレインは他人事のように思った。だが、冷静にいられたのはそれまでだった。

 

「そんなのは分かってます!」

 

 まさか普通に肯定してくるとは思わなかった。いや、前もそれを聞いて俯いてからそれ自体は自覚していたのかもしれないがそれを声を出して肯定するとは……

 

「だけど……あなたは今まで光輝の何を見てたんですか!」

 

 そこでまさか光輝の事が出てレインも少なからず眼を見開き驚きを表した。それを放っておき愛美は続けた

 

「光輝はどんな時も諦めなかった! どんなに相手が強くても退かなかった!」

 

 それは全て光輝の話じゃないのかと割と皆思った。だが愛美がこう言った理由は

 

「私は光輝の彼女、だから私も諦めない、退かない。光輝と同じ景色を……光輝の隣で見たいから!」

 

 その芯の籠った叫びにレインは動揺した。愛美の光輝への感情が愛美の力を引き出している。現に目の前に迫った愛美は先程よりもスピードが出ていた。

 

(早い!)

 

 今の愛美のスピードはシステムに縛られている愛美にはステータス的に絶対出せないスピードだった。だが愛美はあっという間にレインとの距離を詰めた。

 

「くっ!」

 

 勿論その変化は他の面々にも分かった。いや、誰もが分かった。それほどのスピードの変化だったのだ。システムを超えるその力の存在は面々も知っている。

 

「愛美ちゃんの思いがここまでなんて……」

 

 アスナがそう呟く。アスナも別の次元ではシステムを打ち破った事がある。それを感じたことはないがその難しさは知っている。いや、そもそも考えようともしなかった。自分達は所詮システムの中で動いている存在なんだと……そう決めつけていたらこの現象は絶対に引き起こせない。

 システムを超えるための力……それは心意、心の力が不可能を可能にする。

 面々の目の前では愛美が先程以上の手数でレインを押し始める。押し始めると言ってもようやく拮抗状態に持って行けただけだ。レインも最初はそのスピードに驚いていたが直ぐに慣れた。

 

「ふっ!」

 

 愛美が受けきれないタイミングでレインは剣を振るった。だが愛美は受けきれないのを直感的に悟り直ぐにしゃがんで躱す。レインはそのまま愛美に剣を振ろうとしたが直ぐに止めてバックステップした。

 先程までレインがいた場所に愛美の宙返りがさく裂していた。

 

「愛美ちゃんの戦い方が慣れてきている」

 

 リーファが少し汗を流しながらそう呟く。愛美の一挙手一投足が前よりも進化している。恐らく今の愛美の攻撃は殆ど無意識状態にまで持って行っていた。

 いや、頭の片隅では今の動きを神経を通して命令しているのだがそのスピードが先程よりも早い。愛美の体が……脳も合わせて戦いに適していっているのだ。

 面々の目の前では愛美が再びレインに肉薄していた。レインもそれに迎え撃つ。

 

「……驚きました。愛美の動きがレインについて行き始めています」

 

 アリスがそう呟いた。その言葉の通り二人はどこか踊るように剣を交わしている。剣と剣がぶつかり火花が散る。そのぶつかり合いの余波により互いのHPが徐々に削れている。だがその削られるスピードは愛美の方が若干早い。レインの方がSTRが高いのでその分愛美の方が削れるのだ。

 

「戦いの中で進化しているのか」

 

 キリトが思わずそう呟いた。徐々に愛美の手数がレインに追いつき始めている。二刀流の防御を崩し始めている。

 

「──!」

 

 レインは一旦仕切りなおそうと愛美の剣を力強くパリィして弾いた。そのまま攻撃する事も考えなかった訳じゃないがやめておいた。直にバックステップで距離を取った。

 だが直ぐに愛美が来ることが予想されたのでレインはギリギリシステムに認識されるくらいの声量で呟いた。

 

「エック・カッラ・マーグル・メキアー・レクン!」

 

 そう言ったのと同時にレインの上空から空間の狭間が現れた。愛美のそれを見て流石に眼を見開いた。だがそうしている間に事態は進んだ。その空間の狭間から無数のエンシェントウェポン級の武器たちが青白い燐光のエフェクトと共に愛美に向けて放たれた。その数はぱっと見では分からない程だ

 

「なっ!?」

 

 愛美は咄嗟に横に避けようとしたが幾らかの攻撃は当たってしまう。それによりガクンと愛美のHPが削れてしまった。愛美はこれ以上近づいたら今の攻撃の餌食になると考え距離を取った。

 

「今のは……」

 

 どう考えても運営側が用意したスキルではない。まさに剣の嵐というのに相応しいスキルだった。

 その攻撃方法に愛美は驚愕の顔を出した。レインはそんな驚いている愛美に向けて再び同じ攻撃……「サウザンドレイン」を放った。光輝が良く現実でも同じ攻撃をしている。

 

「レインちゃん……サウザンドレインまで使うなんて」

 

「それだけレインも本気なのよ」

 

 アスナの呟きをシノンが付け加える。サウザンドレインは釜に複数の剣を同時に投入するレプラコーン専用鍛冶魔法の熟練度をMaxにする事と剣を遠隔操作する事を可能にしたALOでは規格外の技だ。

 

「レインにこんな技があったなんて」

 

「ええ、驚きました」

 

 ユージオとアリス、二人も勿論レインと手合わせしたことがある。単純に光輝の姉と聞いて勝負を吹っかけた事はあるが……主にアリスが……その時レインはサウザンドレインを使わなかった。別に手加減していた訳じゃない。単純に接近戦がメインの二人とは相性が悪かっただけだ。この技を放つにはそれなりの距離も必要になる。いや、本当は0距離でもいいが自爆する事になる。

 

「くっ!」

 

 愛美が苦渋の声を上げる。近づいてもサウザンドレインの餌食になるだけだ。だが近づかなければ攻撃が出来ない。遠距離攻撃の魔法が使えない事もないが詠唱している間にサウザンドレインをくらいまくるのがオチだ。

 愛美がちらりと自分のHPを見ると5割を切り既にイエローゾーンに入っている。対してレインはまだ8割はある。このままではやられる。

 

(どんな攻撃も必ず弱点があるはず)

 

 完全無欠の技なんてない。どんなに無敵に見える技でも必ず弱点がある。少なくとも私が見て来たアニメの技はそうだった。お姉ちゃんのこの技にだって弱点があるはず。

 ちらりと使い終わった剣を見ると青白い光に包まれてなくなる。でもそれは単純にお姉ちゃんの技に装填されなおされているだけ。弾切れはないと思った方が良い。

 

「甘いよ!」

 

 愛美がサウザンドレインを避けるのに夢中になっていたらレインが愛美との距離を詰めていた。レインの二刀が愛美を襲う。

 

「はっ!」

 

 愛美は気合の声と共にレインの剣に自分の剣をぶつけた。だがレインの剣は2つある。愛美が止めた剣とは別の剣が愛美に迫る。愛美はその剣をバックステップで躱す。

 だが直ぐにサウザンドレインが愛美に向けて降り注ぐ。愛美はそれを咄嗟にバク転で躱す。

 

「流石に愛美も疲弊が出てくるか」

 

 キリトがそう呟く。愛美は先程からサウザンドレインから逃げるために神経を研ぎ澄ましている。だがそれをずっと続けるのはしんどいものがある。実際愛美はこの世界では疲労はないはずだが顔色は疲弊の色に染まっている。

 レインから再びサウザンドレインが放たれる

 愛美はそれを咄嗟に翅をだして上空に躱した。だがそれでもサウザンドレインが愛美に向けて降り注ぐ。

 

(手数が多すぎる。これじゃあ近づけない)

 

 愛美は飛びながらそう分析する。だがそこで疑問に思った。

 

 あれ? でも私はどうしてまだやられてないんだろう? 

 だって確かに技の名前の通りあちこちから剣が飛び出してくるのに私は躱せている。本当に一気に1000本の剣が……そうじゃなくてもまんべん(……)に降って来たら私なんてあっという間にやられているはず……? 

 

(そうか!)

 

 愛美がその事に気が付き再びサウザンドレインを観察する。

 

(やっぱり!)

 

 現実の光輝がこの技を再現するときは比喩なしでまんべんなくするがALOではシステム上それは不可能。

 愛美はレインのサウザンドレインが放たれる時、その剣たちがいくつかグループ化しているのに気が付いた。何本かの剣が一グループとして愛美に向かっていた。だからまんべんなく攻撃されてきた時よりも愛美の被弾率が少ない事に気が付いた。

 

(普通のソードスキルじゃお姉ちゃんには通じない!)

 

 愛美はそれに気が付いた時、瞬時に作戦を立ててレインに向けて飛翔した。レインはその愛美に驚きながらもサウザンドレインを放つ。だが愛美はそれを紙一重で避けていく。

 

「飛行の技術が桁違いに上がってる!」

 

 リーファが思わず叫ぶ。彼女がこの面子の中では一番飛行が上手いからこそ愛美の技術の高さが分かる。それもまだALOを初めて1カ月も経っていない、フルダイブもこのゲームが初めての愛美がその技術を披露しているのに驚愕を禁じ得ない。

 レインは焦らず何度もサウザンドレインを放つ。上、下、正面から順に愛美を襲う。だが愛美は殆ど無意識に、自分の戦闘本能にそれを任せ思考していた

 

(二刀流の防御力はさっき思い知った。それにお姉ちゃんは片手剣のソードスキルを使い手として全部知っているはず)

 

 サウザンドレインによって現れる剣たちを愛美は一つの巨大な弾としてとらえている。そうする事で一本一本の剣を躱すのと認識するのではなく弾として躱す事で攻略法を見出したのだ。だがそれで近づいたとしてもまだ問題がある。レインの二刀流の防御力はサウザンドレインが放たれる前にも思い知った。だからと言って普通のソードスキルを放ってもレインはその防御力に加え同じ片手剣使いとしてソードスキルを網羅しているのは自明だ。SAOから使っているのなら余計に知っているはずだ。

 

(だったら、お姉ちゃんが知らないあれをやるしかない!)

 

 レインに大ダメージを与えようと思ったらレインが全く知らない完全にオリジナルの攻撃をしなければならない。

 愛美が最後のサウザンドレインを躱しレインとの距離を詰めた。幾らかサウザンドレインがかすり愛美のHPは既にレッドゾーンに入っている。だが愛美は今やられる可能性を考えていなかった。いや、捨て身の最後の攻撃

 

(でも……お姉ちゃんに一泡吹かせる!)

 

 愛美の決意と共に愛美の剣が蒼とピンク色の輝きが溢れ出してきた。

 

「何あれ!?」

 

 セブンが思わず叫ぶ。2つの色の輝きをもつソードスキルは片手剣ソードスキルにはない。いや、そもそも2つの色が出るソードスキルがそもそもない。普通(……)のソードスキルにはだ。

 

「やあああああっ!!」

 

 愛美は気合の叫びを上げて剣を振り下ろす。レインはそれを剣をクロスして止める。だが、ソードスキルの威力にレインはその防御が一瞬崩される。

 愛美はその隙を見逃さず、呟いた

 

「フェアリー・ブレイブ・ロザリオ!」

 

 そこから愛美は弾かれたレインの胴体に一閃、初めてレインにまともに攻撃が通った。

 

「——!」

 

 その時レインは愛美の瞳を見た。愛美の瞳はレインを射貫いていてその瞳が光輝の蒼眼の時の眼に重なった。

 だがそこで愛美の攻撃は終わらなかった。そこから愛美が繰り出した技は面々が見たことのない技だった。

 まるで妖精の様に飛び回り剣を繰り出し薙ぎ、突き、一文字の攻撃を組み合わせた連続攻撃、レインはその半分もガード出来なかった。愛美の攻撃が攻撃するたびに早く加速して体が追い付かなくなっていたからだ。レインのHPが先程よりも削れる。レインは愛美の攻撃により態勢を崩した。

 

「やあああああっ!!」

 

 愛美の気合の入った最後の突きがレインの腹部に突き刺さり、蒼とピンク色の光が十字型に溢れ出し爆発した。煙が吹き荒れる。

 

「今の……マザーズ・ロザリオ? でも……」

 

 アスナが驚愕の声を出しユウキを見るとどこか誇ったような顔になっている。だがまだ戦いは終わっていない。それを後回しにして場面を見る。煙に包まれレインの存在が見えない。

 

「なっ!?」

 

 だが愛美は驚愕の声を出した。煙の中から赤色の光が溢れ出していた。愛美は直ぐに防御態勢を取ったがレインの片手剣4連撃、<バーチカルスクエア>の最後の一撃によって思いっきり弾かれてしまった。

 

(でも技後硬直が……嘘!)

 

 愛美はレインの技後硬直を狙おうとした。何とか態勢を取り直そうとした時、レインの右の剣が赤く煌めき真っ赤な炎が溢れ出していた。レインの十八番、バーチカルスクエアからのヴォーパル・ストライクのスキルコネクトだ。

 そしてレインはその剣で愛美を貫かんと突き出した

 愛美は咄嗟に眼を閉じ、自分が貫ぬいた場面を想像した。愛美の背中を駆け抜けるように爆風が吹き荒れた。

 

 だけど……私は貫かれた感じはしなかった。恐る恐る眼を開けてみると私の腹部すれすれで剣は止まっていた。ちらりとHPゲージを見るともうほとんどなかった。勝負は決した。

 

「はぁ……リザイン」

 

 余り言いたくない言葉だがここで駄々をこねる方がダサいと思った。私がそれを宣言したことでファンファーレが鳴り響きお姉ちゃんの勝利を知らせる。

 ……ただ悔しかった

 

「お疲れ様」

 

「ユウキさん」

 

 寄って来たユウキさんを見た後お姉ちゃんの方を向いた。お姉ちゃんは自分の剣達を鞘に納めていた。そして納め終わったら私をまっすぐに見て来た。

 私もお姉ちゃんを見返す。そうしている間に他の皆さんもやって来る。だけど皆さんもお姉ちゃんの答えを待っていた。……結果だけ見るなら私は置いて行かれても文句は言えない。でも……私の覚悟は全力で示した。

 

「……はぁ」

 

 お姉ちゃんはどこか諦めたようにため息をついた。そしてどこか悲し気な……しょうがないみたいな表情で言ってきた

 

「……危なくなったら逃げる事、約束出来る?」

 

 主語が抜けているが愛美にはそれが分かった。先程あった悔しさが抜けて逆に嬉しさが込み上げてくる。だから嬉しそうな顔で大げさともいえる程頷いた

 

「約束します!」

 

 レインはそれを聞き周りに向いた。キリト達はレインが見て来たことの意味を瞬時に悟りみんなして頷いた。

 

「愛美ちゃんも……光輝君を一緒に助けに行こ?」

 

 それがレインが今の決闘で出した答えだった。愛美は少し眼に涙を出しながら首を縦に振った。

 

 ★

 

 愛美はレインとの決闘の後、30分ほどお話をした後現実に戻って来た。愛美にはまだ問題がある。少し天井を見上げボーっとした後体を起こした。

 そして鏡で自分の姿を見て特に何もないと見て勇気をだしてリビングに踏み出した。リビングでは両親が団欒していた。

 あの日から愛美はまともに両親と話していない。だけれども……そういう訳には行かない。自分を大事に育ててくれたからこそ言わなければならない。

 

「お父さん、お母さん」

 

 愛美はただそれだけを言った。だがその声はどこか決意に満ちていた。それが分かったのだろう、両親はどこかやめてくれと言いたげな顔で愛美を見て来た。

 だが愛美の決意は変わらない。今までもこれからも……光輝の為に一歩を踏み出した

 




お疲れ様です。

「フェアリー・ブレイブ・ロザリオ」、愛美の11連撃オリジナルソードスキル。ユウキの協力の元会得した。マザーズロザリオとの違いは攻撃方法が違う。マザーズロザリオは基本的に突きが主体の攻撃だけどこっちは突き以外の攻撃を織り交ぜているが故に初見で見切るのは厳しい。
マザーズロザリオは突きが主体の攻撃なのでスピードはあるけれど光輝があっさりと躱し切れるほど躱せやすい弱点を極力なくした技。

…あれ?一週間でこれ作る愛美って大概やばくないか?ま、まあ光輝の彼女だから…多分大丈夫。

本当は決闘後の会話でフラグ立てようかと思ったけど長すぎて却下した。
次回、ヒルデガーン再開です。多分割と直ぐに出せます。
アンケート今日の12時に締め切ります。


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燃える龍

おはようございます。
光輝VSヒルデガーン最後です。
アンケートの結果今回から超サイヤ人2での3レベルの状態を超サイヤ人2・限界突破と表記します。

主人公の彼女が新しいソードスキルを作ったのに主人公が無いわけない!


 地球エリア 南の廃墟

 

 光輝とタピオンが退却して幾ばくかの時間が過ぎた。広大な世界の中、数えきれない戦士がこの世界に来ている。しかし幅が広いので全員が強いわけではない

 

「な、何なんだこいつは!?」

 

 そう叫んでいるのはフリーザ軍の残党達だ。そして目の前にいるのはヒルデガーンだった。ヒルデガーンは逃げ惑うフリーザ軍の残党を捕まえ吸収していく。それを見ているホイは高笑いしながら叫ぶ

 

「良いぞ! どんどん吸収しろ! そしてこの世界の全てを支配するのは私だ!」

 

 この世界が元々いた場所と違う事は何日か過ごしていたら賢いものは誰でもわかる。そして野望を持ったものが何を考えるのかなんて大体予想できる。ホイが周りを見渡せばいたるところに炎が上がっている。その光景はまるでこの世の終わりを告げているかのような光景だった。

 しかし、そんな光景もホイからすれば優越感に浸れる光景だった。ヒルデガーンは光輝達が退却した後近くの戦闘が行われていた場所を片っ端から襲い尻尾からでる触手によって所かまわず吸収してパワーを上げていく。

 

「や……やめろ」

 

 フリーザ軍の残党で最後の1人……アプールが恐れながら言うがヒルデガーンに通じる訳なくヒルデガーンはその触手をアプールに向けた

 

「ひえええぇえ!」

 

 アプールは思わず悲鳴を上げ体を抱えてしまう。そんな態勢では躱せるものも躱せない。

 アプールに触手がまとわりつこうとした時、ヒルデガーンの触手が勢いよく斬られた。

 

「グォォォォ!?」

 

 その唐突の出来事にヒルデガーンは痛みによる叫びを上げホイは驚愕の声をだす

 

「なに!?」

 

 ホイがアプールの方を見た。おびえていたアプールの前に現れたのはウォーリア・ビヨンド・ディスペアーに風遁の性質変化を加えてその剣を携えていた光輝だった。既に超サイヤ人2に変身している。風遁の性質変化で剣の切れ味をさらに伸ばしヒルデガーンの触手を斬ったのだ。

 光輝はさっと現状を見た後後ろのアプールに容赦なく聞いた

 

「おい、お前の仲間は?」

 

 アプールはその雰囲気にビビったのかすぐに答えた

 

「ぜ、全員今のあいつの触手に食われっちまった」

 

 どうやらアボとカドの言っていた奴はやっぱりこいつらしいな。この後ろの奴以外の痕跡は全然ないし周りを見てもきれいさっぱり吸収されていて……

 

(ちょっと待て。タピオンさんと会った街じゃ服は落ちてたぞ)

 

 光輝は最初タピオンとあった場所の事を思い出していた。あの街では確かにタピオン以外の人影がいなかった。それどころか不気味にも何着もの服が転がっていた。だが周りを見るとヒルデガーンに吸収された奴は戦闘服も無くなっている。

 光輝があれこれ考え始めた時どこからか綺麗な音が聞こえ始めて来た。その音は一定の音でどこか人を落ち着けさせるような音楽だった。

 

「こ、これは!」

 

「グォォォォ!!」

 

 ヒルデガーンは雄叫びを上げる。この音はヒルデガーンが封印する為にある特別の笛によって奏でられる音だからだ。そしてその音を奏でる事が出来るのはタピオンだけ。その音はヒルデガーンにとって自らの力を抑え込まれる唯一の方法だった。

 ヒルデガーンは本能でヒルデガーンの事を探す。そして見つけた。光輝から50m後方のビルの頂点にいた。ホイも見つけあざ笑うかのようにタピオンに叫ぶ

 

「馬鹿め! 今のヒルデガーンにそんな笛が通じる訳ないだろ!」

 

 タピオンが行おうとしている封印やチャオズの超能力などの特殊能力系の技は相手と同じか格下なら通じるが戦闘力がかけ離れていたら通じなくなる。

 タピオンが元居た時代のヒルデガーンなら決死の覚悟ですれば封印する事が出来たが今のヒルデガーンを封印する事は出来ない。”封印”ならばだが

 

「馬鹿なのはお前だ」

 

 静かな声が聞こえたと思った瞬間、ホイの目の前に踏み込んでいたのは光輝だった。ヒルデガーンの目の前には分身の光輝が現れていた。

 

「なっ!?」

 

「──ふっ!」

 

 光輝の短い掛け声とともにウォーリア・ビヨンド・ディスペアーを真横に一閃

 

「?」

 

 ホイが不思議そうな顔をした瞬間、ホイの胴体から血が噴き出し胴体が真っ二つに割れた

 

「ん……だと」

 

 光輝は冷徹な瞳をホイに向け言った

 

「お前みたいな奴が一番逃げ足速いのは今までの経験上分かってるからな。さっさと終わらせる。最もするのは俺じゃないけどな」

 

 光輝がそう言ったら光輝はヒルデガーンに向かった。いつの間にか笛を吹きヒルデガーンの動きを止めていたタピオンがホイの目の前に現れる。

 その瞳は怒りに揺れていた。タピオンは勇者らしくないと分かっていながらもホイの切れている腕を持ち上げ自分の顔正面に上げた

 

「お前には弟を二度殺された。しかも二度目は俺の目の前でだ」

 

 正確には一回目殺したのは別のホイなのだがタピオンには関係ない。ホイはその顔を絶対的な痛みと恐怖からヒルデガーンを見るが光輝は最初と違い翻弄されず何とか戦えている。つまりヒルデガーンの助けはない。

 タピオンはホイを上空に投げた。そして両手をホイに掲げ気を高めた

 

「完全に消え去ってしまえ!」

 

 タピオンの周りにドーム状に気が集まり中心から巨大な気功波を放った。光輝は横目でそれを見てトランクスが未来でセルを葬った時の技に重ね少しふっと笑った。

 

「く……くそ──ーっ!!」

 

 ホイはそう叫び気功波に飲み込まれていったのだった。

 ホイが絶叫しこのサバイバルからリタイアしたのを見届けた後タピオンはヒルデガーンの方を見た。そのタピオンの隣に光輝が現れる

 

「気分は晴れましたか?」

 

 本当は人殺しで得られる気分なんてくそくらえと光輝は思っているが今回は別だった。タピオンは怒り狂うヒルデガーンを見ながら首を振る

 

「やはり……ヒルデガーンを倒さなければミノシアの仇を取った事にはならない」

 

 そう言ったタピオンは苦渋な顔のままだった。光輝はそんなものだろと思っていたので特に気にせずヒルデガーンに向く

 

「そうですか。ならこいつとの因縁もここで終わらせましょう。俺も手を貸します」

 

「ああ。感謝するぞ、光輝」

 

 そう言って光輝とタピオンはそれぞれの気を纏った。ヒルデガーンは相変わらず髑髏のような顔で此方を見てくるだけではなく接近してくる。因みにアプールは光輝に「もう悪い事すんじゃねえぞ」という言葉に頷きながらどこかに行った。

 光輝はもう一つの剣を抜きながら手短に話す

 

「あいつは煙の様に消えることがありますが実体がないわけじゃない。じゃないと俺達に物理的な攻撃を仕掛けることが出来ない」

 

 タピオンは頷きつつ自らの剣も引き抜く。

 

「ああ。あいつは攻撃する一瞬だけ体が実体化する。悟空さんはその隙をついてあいつを倒した」

 

 こんな会話をしているとSAOの頃を思い出すな。

 あの頃……俺がソロプレイをやめて皆と一緒に攻略するようになった時、フロアボス戦で敵の攻略パターンを見極めるために俺は最初、攻略組の面々よりも先に偵察の意味を込めて切り込み隊長をする事が割とあった。最初は反対意見が割とあったんだが……主にお姉ちゃんが。だけどそれが一番生存確率が高かったのも事実。そしてその時に得たことをアスナさんやヒースクリフ、キバオウやディアベルで話し合っていざ挑むみたいなことがよくあった。

 ゲームの攻略法を考えるのが割と楽しいのをこの時知った。もっともそれを一番に感じたのはALOからだが。……いやよく考えたらヒースクリフの奴は攻略法を元々知ってるか。茅場本人だったし。

 昔を思い出したが今は目の前のこいつだ。

 

「だったら狙うべきなのはその一瞬、行きましょう!」

 

 光輝が叫ぶと二人は一気に地面を蹴りヒルデガーンに向かった。光輝が右の剣を振るうがヒルデガーンはそれを当たり前のように煙のようになって消え躱す。

 消えたヒルデガーンは光輝の後ろに現れるがすぐさまタピオンも自分の剣を振るう。しかしヒルデガーンはまた煙の様に消える。光輝はすぐさま上空に眼を向けるとヒルデガーンが光輝を押しつぶそうと急降下していた。それを見た光輝は印を片手で結び二刀に風の刃が形成された。

 

「はあっ!」

 

 光輝の気合の入った声と共に自分の目の前に風遁の刃……空切りを発動した。ヒルデガーンはそれに気が付かずに急降下をし続け光輝に迫った時、光輝は消えた。次の瞬間にはタピオンの隣に瞬間移動で現れた。

 そしてヒルデガーンはというと

 

「──!?」

 

 さっきまで光輝がいた場所を通り過ぎようとした時ヒルデガーンの巨大な手がX型に斬れた。それは光輝の空切りがヒルデガーンに当たった事を意味した。ヒルデガーンは斬られながらも光輝がいた場所を通り過ぎて轟音を鳴らしながら着地した。

 だがヒルデガーンは先程違ってすぐに動いてない。光輝を攻t撃しようとしていたのにその光輝のいた場所に攻撃を置かれていたので躱す事が間に合わなくてまともにその攻撃を貰って絶賛痛みを味わっている。強さではなく二人の立てた知略による攻撃、そしてそのチャンスを見逃さまいと光輝が叫ぶ

 

「今です!」

 

「ああ!」

 

 それを好機と考えた光輝は超サイヤ人2・限界突破になりながらヴォーパル・ストライクの態勢になり気を溢れ出させる。タピオンは自分の気を目の前に展開し刃を形成する。

 ヒルデガーンがこちらの様子に気が付いたがもう遅い。光輝の剣に気が集まり叫ぶ

 

「うおおおおぉぉ!!」

 

 光輝は一気に剣を突き出しヴォーパル・ストライクがビーム状になりヒルデガーンに突き進む。タピオンも自らの気で作った斬撃を幾つもヒルデガーンに投げつけた。それらの攻撃は実体化したままのヒルデガーンに進み、ぶち当たった。

 ヒルデガーンを中心に大爆発が起きた

 

「くっ!」

 

 光輝は吹き荒れた爆発により飛んできた煙に目を守る為に右手でガードする。そして少し……時間にしてほんの数秒だが光輝は腕を下げる。光輝は周りに注意しながら二つの剣を背中の鞘に戻す。ヒルデガーンがやられていない場合、どこからか襲ってくるかもしれないからだ。

 だがその必要はなかった。先程の場所にヒルデガーンが硬化していた。その模様はまるで蝉の抜け殻のような色だった。

 

「あれで終わりですか?」

 

 光輝は何だか拍子抜けした表情でタピオンに振り返る。しかしタピオンの表情は逆に優れていなかった。

 

「あれはまずい! 攻撃するぞ!」

 

 その迫力に光輝は何も聞かずに腰だめに気を溜めてタピオンの放った気功波と共に放った。その攻撃は固まっているヒルデガーンに向かいぶち当たった。それで今度こそ終わりかの様に思われたが……

 

「なっ!?」

 

 光輝は思わず驚きの声を出した。何故ならヒルデガーンが変化し始めているからだ。蝉の抜け殻のようなじゃない。ヒルデガーンにとっては本当に抜け殻だったのだ。ヒルデガーンの硬化した背中が真っ二つに裂けはじめそこから緑色の光が溢れ出す。

 それを放っている存在が存在なので全く幻想的じゃない。そしてその真っ二つに割れた所から現れたのは……

 

「こいつ……脱皮しやがった」

 

 光輝は思わずという風に言った。蝉の脱皮も見たことがないが知識としては知っている。

 ヒルデガーンは姿を変えた。姿はさっきは主に黒い部分が多く更に髑髏の様に見えたが今回はそうではなく先程までは黒色だった部分が金色になっていて更にさっきは無かった羽……いや翅が出てきた。そのままとらえるのならヒルデガーンは飛行能力を得たことになる。更に

 

(気が増えてやがる!)

 

 光輝がそう思った瞬間、ヒルデガーンが翅を広げた。いや、それだけならそんなに焦らない。だがその後のスピードが問題だった

 

「タピオンさん!」

 

 光輝がそう叫ぶのと同時、ヒルデガーンはターゲットをタピオンに定めて先程とは次元が違うスピードでタピオンに接近していた。タピオンは光輝の叫びにようやくそれに気が付き反応したが遅かった。タピオンが気が付いた時にはヒルデガーンは既に目の前まで肉薄していた

 そしてヒルデガーンはその巨大な拳でタピオンをぶん殴った。

 

「がはっ……!」

 

 タピオンはまともに反応出来ずにそのまま地面に向けて吹き飛ばされた。地面を抉り倒れていた。その腕の角度がどう考えてもおかしかった。曲がっているのだ。あり得ない方向に。光輝がそれに唖然としているとヒルデガーンがそれに追い打ちをかけるようにタピオンに向けて口から火炎放射を行おうとしていた。

 

「くっ!」

 

 そんなタピオンさんの姿を見て俺はトラウマを起こしかけた。何とか出る恐怖を押しのけ俺は火炎放射が迫っているタピオンさんの目の前に来てウォーリア・ビヨンド・ディスペアーを出した。そして最初この攻撃をそうして防いだようにアインクラッド防御技「スピニングシールド」を発動させた。

 

「なにっ!?」

 

 だけどヒルデガーンのパワーが……いやパワーもけた違いに上がっていた。俺は何とか足場をしっかりと踏みしめ耐えていた。だがこれは……破られるのは時間の問題だった。この世界に来て何人もの戦士を吸収したのは伊達じゃない。

 おまけにこの状態じゃ俺も動けない。だけど俺がこの防御技を止めたらタピオンさんが”死ぬ”。

 

「それだけは……絶対ダメなんだ」

 

 光輝の口からそう弱弱しい言葉が聞こえる。タピオンは二度も家族を殺された。そしてその犠牲は絶対にいらない犠牲だった。くだらない悪人の為に家族を失う気持ちは光輝が一番知っていた。だからこそタピオンを死なせたくなかった。

 

「うおおおおぉぉ!!」

 

 光輝が気合を入れなおし更に速度を上げるが火炎放射の威力は止まる事を知らなかった。足場をしっかり踏んでいた光輝の足がとうとう後退を余儀なくされた。そしてこのままでは二人ともただでは済まない。いや、タピオンに関しては今の重症の状態でこの攻撃をくらえば間違いなく死ぬ。

 

「絶対にダメなんだ」

 

 そう呟いた光輝の肩に誰かが触れた。

 光輝が後ろを見るとタピオンが右の手を光輝に乗せていた。気はさっきよりもずっと下がっていた。それなのに立ち上がったタピオンに光輝は唖然とするがそれなら少し無理をしてもこの場から離れてもらおうと口を開こうとしたら先にタピオンが先に口を開いた。光輝にとって一番聞きたくない言葉を

 

「光輝、ありがとう」

 

 タピオンさんはそんな言葉を微笑んで言った。だけど今この状況で言う言葉じゃない

 

「なに言ってんですか!」

 

 そして俺が恐れている言葉を言った。

 

「……数秒、俺が時間を稼ぐ。お前はその間に逃げろ」

 

『君は逃げろ!』……悟飯さんの顔が浮かんできた。自分の宿命の敵を前に言ってきた言葉。自分の宿命に関わらせたくないからいう言葉。

 そうだよ、俺はあんたらの運命に関係ない。俺は所詮イレギュラーな存在だ。あんたらに関わる義務も何もない。

 

「嫌だ!」

 

 だけどそれで無視なんか出来る訳ないだろ。困って苦しんで夢を諦めその先に待ち受ける運命が”死”だと? 

 

「ふざけるな、俺は逃げない」

 

 そう言った光輝からまた気が溢れ出す。タピオンは思わず少し下がる。

 

「諦めない、それがあの時から誓った俺の力なんだ!」

 

 叫ぶ、スピニングシールドをやりながらも光輝の気の嵐がヒルデガーンの火炎砲を押し始める。そして少しの隙間が出来た時光輝はスピニングシールドを解除しタピオンを抱えて消えた。先程二人がいた所に火炎砲がぶち当たり周りを火の海に染めた。

 だが二人は間一髪でそれを避けて光輝が予め避難していた草原に突き刺していた飛雷神のマーキングが付いたクナイの場所に飛雷神の術で避難したのだ。光輝はタピオンを木の陰に座らせた

 タピオンはその意識を手放しかけているが残りの意識を光輝に向けた

 

「お前はお人よしだな」

 

「……あなたは生きるべきだ。弟さんが見れなかった世界をあなたは見るべきなんだ」

 

 言ってることは大分辛い。せめて光輝を助けて弟の後を追おうとしていた。だが光輝はそれを却下した。タピオンは生きてミノシアの見れなかった世界を見て冥土の土産にすべきなのだ。

 

 俺も家族を殺された時の気持ちは大なり小なり分かるつもりだ。自分も死んだ方が良いと思ったこともある。だけどそれは櫂さん達や愛美との約束がそれを思いとどまらせてくれた。いや、自殺願望ならSAOの頃にもあったがSAOの時も皆のおかげで俺は思いとどまった。そして俺はその思い出を咲良たちに伝えたい。だから今は

 

「生きて本当の平和を掴むまで俺は退くわけにはいかない」

 

 ヒルデガーンが光輝達を見つけられず暴れている方向に向く。タピオンはもう既に意識が無くなり始めている。だから言うべき事だけ言った

 

「あとは……任せたぞ」

 

 そう言ってタピオンはその意識を手放した。

 

「任せてください」

 

 ただそう言って光輝は再び街の方角へ向いた。ここからでも感じる膨大な気の嵐、そしてSAOボス並みの特殊能力、否、もしかしたらSAOボスよりもたちが悪いかもしれない。

 光輝は深呼吸した。そして光輝は剣を引き抜いてその刃の部分に自分を映す。その剣に映った自分を見て少し笑う

 

「そうだ。俺はSAOボス百戦錬磨の蒼赤の戦士、ボス戦なんて今まで散々やった。色はもアスナさんに教わった。負ける道理はないだろ? 蒼赤の戦士」

 

 そう気合を入れて額に指を当てた。ヒルデガーンの禍々しい気を感じ取り瞬間移動した。

 次の瞬間には光輝はヒルデガーンの背後に現れて思いっきりヒルデガーンを切裂き吹き飛ばした。ヒルデガーンはビルにぶち当たった。

 完全に不意打ちだがヒルデガーンもそうしてきたのだからばちは当たらんと思ったのだ。

 

「来いよヒルデガーン、ここからは俺が相手だ!」

 

「グオオオオ!」

 

 ビルから這い出たヒルデガーンは雄叫びを上げて煙の様に消えた。次の瞬間には光輝の背後に現れ巨大なしっぽを振るった。

 

「ぐっ!」

 

 光輝はそれを避けられず吹き飛ばされる。いくつもの廃墟を突き破る。だがヒルデガーンは見逃さまいと先程とは次元が違うスピードを持って光輝に向けて飛翔した。

 光輝はそれを見て吹き飛ばされている態勢から気を自分の剣達に纏わせそれを飛ぶ斬撃として放った。

 

「ちっ!」

 

 だがその斬撃は再び煙の様になる事で回避された。そして今度は吹き飛びから静止した光輝の上空に現れた。

 

「しまっ」

 

 光輝が言い終わる前に光輝はヒルデガーンの巨大な手に押しつぶされる形で地面に急降下した

 

「うわああああ!!」

 

 光輝の視界がヒルデガーンの手の色に染まる。その力は強く今にもヒルデガーンは光輝を押しつぶそうとしている。

 

「ぐうううう!!」

 

 潰される形で光輝は身動きが取れない。ヒルデガーンはその攻撃を緩めようとはしない。だが光輝も黙ってやられはしない

 

「……エンハンス・アーマネント!!」

 

 武装完全支配術、その中でも光輝が右に持っているウォーリア・ビヨンド・ディスペアーから眩い光が光輝を守るようにドーム状に広がった

 

「はぁぁぁああああああ!!」

 

 その光の中から光輝の雄叫びが上がりそれに伴い光輝の周りが吹き荒れる。ヒルデガーンはその気の圧力に手を一瞬どかしてしまった。

 光輝はその隙を見逃さず離脱した。髪だけではなく眼も金色になった光輝がヒルデガーンの目の前に出てくる。

 

「長くは持たない……一気に決める!」

 

 金色の闘気を奮い立たせヒルデガーンとの距離を一瞬で詰める。そして二刀を振るうがヒルデガーンは当たり前の如く煙の様に消える。

 そして光輝の左からパンチが来る。光輝はそれを足肘で止める

 

「どうしたこんなもんか?」

 

 そう言うと同時にヒルデガーンは尻尾で光輝をとらえようとしてくるが光輝はそれを躱す。尻尾では埒が明かないと思ったのか再びパンチが光輝に迫る。

 光輝はそれらを避ける。ヒルデガーンが光輝に攻撃を当てようとスピードを上げる。だが光輝はそれも躱す。だが躱し続けられるわけではない。光輝は体力が無尽蔵な訳ではないのだ。

 

(チャンスはこいつが攻撃する一瞬)

 

 光輝はパンチを上空に飛び回避、光輝がいた地面が抉れる。

 

(そのタイミングしか実体化しない)

 

 ヒルデガーンが光輝に火炎砲を放つが光輝はそれを飛び回りながら回避

 

(そして中途半端な連続攻撃だったら攻撃の途中でも煙になって躱される)

 

 今度は光輝を捻りつぶそうと掌を向けて迫るがこれは地面に急降下することによって回避、光輝は地面に降り立つ。そして巨大なヒルデガーンを見上げる

 

(かと言って、俺の空切りやヴォーパル・ストライクの単発技じゃ威力が足りない)

 

 ヒルデガーンの拳が光輝に迫る。光輝はその拳をすれすれで躱しながらヒルデガーンに向かった

 その刹那の時間で考える

 

(だったら……まだ向こうでも出来たことがないがあれをやるしかない!)

 

 光輝の心中の中の決意と共に二つの剣がそれぞれ蒼色の光と真っ赤な炎が溢れ出した。それと同時に光輝は攻撃をしかけ実体化しているヒルデガーンの腹部に肉薄し、ヒルデガーンに左の剣で袈裟切りを放った。

 

「はあっ!」

 

 光輝の気合と共に蒼色の光を纏っていたブルーレッド・オブ・ウォーリアが蒼色の龍と変貌した。そしてその龍はヒルデガーンの胴体を抉り、まるで食べるように切裂いた

 

「グオオオオオ!!?」

 

 その普通に斬られるのとでは全く別の痛みを感じ初めてヒルデガーンが動きが完全に止まった。その隙を見逃す光輝ではない

 

インフィニット()・ドラゴン・ブレイズ!!」

 

 今度は真っ赤な炎が溢れ出していたウォーリア・ビヨンド・ディスペアーを振りかざす。その際、先程の攻撃と同じく真っ赤な炎が赤色の龍に変化しヒルデガーンを喰らった。

 

「うぉぉおおおおおお!!」

 

 そこから光輝が繰り出すのはその手にある二刀を巧みに使いこなし二体の龍を操るように、ヒルデガーンを切裂き喰らう。

 その威力とスピードにヒルデガーンはガードも回避も出来ない

 

「はああああああっ!!」

 

 インフィニット・ドラゴン・ブレイズ、光輝がALOで開発途中だった二刀流のオリジナルソードスキル。まるで龍が相手を抉り倒すように剣を振るう、16連撃のオリジナルソードスキルだ。

 

「これで決める!!」

 

 叫び、光輝は二刀を振るった。二体の龍がヒルデガーンを抉った。その抉った痕、そして今までの龍が抉った痕が蒼と赤色の光と共に∞になった。

 光輝は宙がえりでヒルデガーンに距離を取った後、右のウォーリア・ビヨンド・ディスペアーに金色の気を纏わせ、∞の中心部へと突撃した。その時、金色の気が黄金の龍へと変貌し

 

「終わりだ──っ!!」

 

 剣を突き出すことによってその龍が顕現して∞の中心に突き進み──貫き爆発した

 

 

 ★

 

 地球エリア 光輝がいる場所とは違う廃墟

 

 倒壊している建物が大半な廃墟の中、タイムパトロールである孫悟飯は無残に散らばっている服を見ていた。

 悟飯もヒルデガーンの噂を聞き調査していた過程でここにまで辿り着いていた。だが目の前には散らばった衣服

 

「これは……まさか」

 

 その衣服だけが散らばる現象を悟飯は知っている。確かに実力的にはヒルデガーンの方が強い。だが知性がある分厄介かもしれない。気を消すことが出来るから隠密行動もお手の物

 

「もし僕が思っている奴ならこれ以上吸収される前に倒さないと」

 

 かつて自分が倒した強敵を脳内に浮かべながら立ち上がる。そんな時、明後日の方角で悟飯の感じ覚えがある気が吹き荒れていた

 

「この気は……光輝君か!」

 

 何時もの光輝とは気が若干違うがそれでも悟飯には分かった。気が若干違うのはリコレクションブレイブによって変化しているからだ。

 そして光輝を感じた後に光輝が戦っている相手の気を感じ取ると

 

「これは……まさかヒルデガーンか」

 

 こっちも色んなやつを吸収した弊害で悟飯が知っているものとは別だが本質まで変わる訳では無いから直ぐに分かった。

 ついでに悟飯は光輝の周りを注意深く探った。子供の時からは次元が違う気の探索技術を身に着けていた悟飯には分かった

 

「……光輝君が危ない」

 

 そう呟いて光輝の元へと飛翔した

 

 

 ★

 

「はぁ……はぁ……終わったか」

 

 光輝の目の前にはヒルデガーンが腹部に巨大な穴を開け倒れていた。後はかめはめ波の一つでも食らわせたら終わりだ。

 光輝は剣を鞘に入れ腰だめに気を溜めた

 

「かめはめ……波!」

 

 そのかめはめ波は今のヒルデガーンを消し飛ばすには丁度いい威力だった。だが

 

「なにっ!?」

 

 そのかめはめ波は何者かの風切りの音共に弾かれた。

 

「誰だ!」

 

 今のかめはめ波はいくら疲れたと言ってもまだ余力があった。なのに簡単に弾かれた。只者ではない。そんな俺の思いに答えたわけじゃないだろうがそいつが現れた。

 どこか蝉や昆虫に似ている姿、体には斑点のようなものがいくつもある。そんな奴は俺の知っている限り1人だけ。

 

「お前は……セル!」

 

 光輝の言葉と共にヒルデガーンの目の前に現れたのはかつての強敵、人造人間・セルだった。セルは不敵な笑みで光輝を見上げていた

 




お疲れ様です。
愛美と対のオリジナルソードスキル、インフィニット・ドラゴン・ブレイズ、直訳したら無限の龍の炎とかカオスな事になりますね。
炎要素少ししかないけど。

超サイヤ人2・限界突破の表記を今までの話にも時間が出来た時に変えてきます

次回、再戦のセル編です。多分2話くらいで終わります。


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連戦!

おはようございます。
光輝VSセルです。

どぞ


 地球エリア 南側の廃墟

 

 先程までの激闘を表すように建物は倒れ、至る所で炎が上がっている。だがここでの戦いは終わるはずだった。突然の乱入者が現れなければ

 

「セル……」

 

 光輝がそう呟きながら倒れ、もう戦闘が出来ないヒルデガーンの目の前にいるセルを見下ろす。セルは変わらない不敵な笑みを光輝に向けていた。

 場面を進めるために先に口を開いたのはセルだった

 

「どうやらお前は私の事知っているようだな」

 

 このセルは俺と戦わなかったセルか。歴史の数なんて見る気が失せるくらいあるからそれ自体は不思議じゃない。寧ろ俺が知っている方が色々可笑しいんだよな。俺は悟空さん達の世界の出身じゃないからな。……いや、知るだけなら愛美たちの世界でもどういう訳か悟空さん達の物語が出てたから今更か。

 

「そんなのはどうでもいい! どういうつもりだ!」

 

 光輝は超サイヤ人2・限界突破を維持したまま聞いた。だがその眼は既に碧眼に戻っている。

 もう少しで倒せる所だったヒルデガーンを助けたのだ、光輝が怒鳴るのも無理はない。

 しかしセルは答えない。それに業を煮やしたように光輝は叫んだ

 

「答えないのならぶっ倒す!」

 

 そう叫び金色の闘気を纏う。だがそれは先程までと比べたら頼りなかった

 

「ずいぶん消耗しているようだが、今のお前が私に勝てるとは思えんが?」

 

 セルの言う通り光輝は大分消耗してる。ALOならばいざ知らず現実でインフィニット・ドラゴン・ブレイズをするとき、本来は蒼薔薇と火山の鉱石の記憶を使った武装完全支配術で相手の気を回収した後、その気を使って発動する事を前提に光輝はこのソードスキルを作ったのだ。龍を顕現させるための気がそうしないと賄いきれない程巨大な気が必要だったのだ。

 だがヒルデガーンは拘束をしたところで煙の様に消えせっかくのチャンスが無くなる可能性があったので光輝は自分の気でそれをやった。だから光輝の気が極端に減っている。

 

「完全体のお前をぶっ倒す位なら今のままで充分だ!」

 

 そう叫び光輝はセルに向かった。だがセルは不敵な笑みのまま光輝に向いて拳を握った

 

「はあっ!」

 

「——!」

 

 セルが気合を入れた瞬間、セルのパワーが急激に上がった。それを示すようにセルを中心に風が吹き荒れ倒壊寸前だった建物は倒壊した。

 そのパワーは先程までの光輝やヒルデガーンには及ばない。だがそれは全開だった時の話だ。今の消耗している光輝が勝てるかは別問題だった

 

「お前、何でこんな」

 

「強くなったのが自分だけとは思わんほうがいいぞ。私もこの世界に来て何もしていなかった訳じゃあない」

 

 ……確かにこいつ自信が修業した可能性も否定しない。だがそれだけじゃない。セルの尻尾を見て思い出した。

 

「お前か、街の人達を吸収したのは!」

 

 セルはそれを笑みで返す。

 光輝がタピオンと会った街では服が散乱していた。だがヒルデガーンの吸収は服事自分の栄養にしてしまう。だがら光輝は本当にあれはヒルデガーンがやったのかと疑っていたのだ。

 

(そもそもあれがヒルデガーンの仕業ならホイが後から来たのとか街がきれいなままだったのが解せなかった。だけど、セルの仕業なら納得がいく)

 

 セルなら隠密行動なんて簡単に出来るだろうし街をむやみに破壊しない知能も持っている。

 

「……また罪もない人達を犠牲にしたのか」

 

「私の更なる強さの為の小さな犠牲だ」

 

 そのくだらない思想もあのままか……

 

「ふざけるな、命の重さに小さいも大きいもない! 何でそんな簡単な事も分からねんだ!」

 

 そう叫び光輝はセルに迫った。セルも光輝を迎え撃つ。拳と拳がぶつかり合う。それによって衝撃波が発生する。

 だが拮抗は光輝が押し始める事で崩れた

 

「ぐっ!」

 

 セルが苦渋の表情へと変わる。疲労してるとは言え過去の敵であるセルに負ける道理はないと光輝は考えている。ましてやあの時はなれなかった超サイヤ人2・限界突破に至っているのだ。誰かの命を奪わないと強くなれないセルに負けるわけにはいかない。内心でそう考え更に気を吹きあがらせる。

 

「ちっ!」

 

 光輝が舌打ちして拳を引く。攻撃をやめたわけではない。何なら逆で次の瞬間にはセルに鋭い蹴りが迫っていた。

 だがセルは難なくその蹴りをガードしお返しとばかりに右ストレートを光輝にお見舞いしていた。光輝は一瞬反応が遅れてガードし吹き飛ばされた。

 更にセルは光輝に向けていくつかの気弾を放ってきた。光輝はそれを見るのと同時に吹き飛ばされながらも印を結んだ

 

「火遁・豪火球の術!」

 

 その放った術による遠心力で光輝は更に飛ばされる羽目になるがこれは一気に襲い来る気弾を各個撃破している余裕がなかったので面が広い豪火球で相殺しようとしたのだ。

 狙い撃ちは光輝は得意ではない。ある程度の心理的な余裕があれば可能だがまだ光輝はその域に達していなかった。……光輝の中の狙い撃ちの基準がスナイパーであるシノンの影響かハードルを自ら上げているのは否めなかったが。

 

(それに今の威力は本気じゃない、狙いは別にある)

 

 光輝は態勢を立て直しそう分析する。セルが本気になれば豪火球の壁なら抜けられると思っていた。だが実際はそうはならず気弾は火の壁に阻まれた。それにより気弾が爆発し光輝はセルが見えなくなっている。

 だから狙いは別にあると思った。

 光輝は油断なく構えていた。本音を言うと長丁場にしたら光輝は自分が勝てる可能性が低くなると分かっていた。セルが一般人だけを吸収したとは限らない。それこそ自分と戦って戦いが終わった後に戦士を吸収だって出来る筈だ。じゃなければセルの気が極端に上がった事に説明がつかない。

 

(何で来ない)

 

 光輝は得物を射るような眼光で煙の先を警戒する。だがセルが攻めてこない。なんならその場から動いていない。ずっとヒルデガーンの前に……いる。

 

(しまった!)

 

 光輝はそう考え直ぐに煙の向こう側へと突進した。煙を直ぐに抜け見た光景はセルが自分の尻尾をヒルデガーンの足にぶっ刺していたところだった。そこから何かが尻尾を駆け上がりセルに入っていく。

 セルの吸収だ

 

「させるか!」

 

 光輝が叫び気弾を連続で放つ。だがそれをセルはバリアであっさり塞ぐ。光輝が全開だったら簡単に突破で来たであろうバリアだが今の疲労している光輝では破れなかった。

 光輝は気弾を諦め拳を握って突撃した。

 

「ふっ!」

 

 セルは気合を入れて更にバリアを強化した。光輝の拳とセルのバリアがぶつかった

 

「はああああああっ!!」

 

 光輝の気がジェットエンジンの様に吹き上がる。だがそれでもバリアを破るには至っていない。それどころか徐々に光輝を押し出していく。それに伴いセルの気が上昇していく。

 

「はあっ!」

 

「くっ!」

 

 セルが叫ぶのと同時に光輝は吹き飛ばされた。それはバリアによって無理やり弾かれたのもあるがそれ以上にセルの気が先程とは別次元に膨れ上がったからだ。

 光輝が静止してセルがいた所を見ると当たり前だがセルがいた。姿は何も変わっていない。だがその身から溢れ出す気の嵐は先程の比ではない。更に転がっていたヒルデガーンの体が……エネルギーが全て吸い取られた時、その跳ね上がりは半端ではなかった。

 

「ヒルデガーンを……吸収しやがった」

 

 こいつ……まさか俺がヒルデガーンを倒すのを待っていたのか

 

「その通りだ」

 

 光輝の心が顔に出ていたのかセルが愉快そうに話した。その身の周りには超サイヤ人2の様に稲妻がほとばしっている。セルはどこか不快そうに続けた

 

「私ではあの化け物にはどうやっても勝てなかった。だがそんな時貴様が現れあの化け物と渡り合った。貴様とこの化け物が相打ちになってくれればと……ふふふ、まさかこれほど上手くいくとはな」

 

 くそ、あの服の残骸を見た時点で気づくべきだった。あれが最初で最後のヒントだった。これならまだセルとヒルデガーンの二人を相手にしていた方がましだ。

 あの化け物のようなパワーを手にしたヒルデガーンを更に吸収したセル、こいつこんなにずる賢かったのか

 

 光輝がそう思うのも無理はない。光輝は完全体になった後のセルしか知らない。その時にはセル自身もこれ以上吸収する必要を感じていなかった。だがこの世界に来たらそんな事を言っている場合ではなかった。自分よりも弱い奴もいるが同じくらい自分より強い奴もうじゃうじゃいるのだ。再び吸収に走るには十分な理由だった。

 

「……だけど、退くわけには行かねえ」

 

 光輝はそう呟き構えた。セルは不敵な笑みを浮かべたまま仁王立ちする。

 次の瞬間、両者は消え次に現れた時には50メートル上空だった。二人の拳がぶつかりあっていた。

 

「ぐっ」

 

 光輝が歯を食いしばって耐えているのに対し、セルはまるで動かない。逆に光輝のガードを壊す。セルが拳を引き直ぐに回し蹴りを放った。

 それを避けられず光輝は吹き飛ぶ。セルが吹き飛んだ先に現れハンマーナックルで光輝を下に叩き落す。

 

「がはっ!」

 

 光輝が地面にぶつかるのと同時に吐血する。

 

(パワーが桁違いに上がっている、それにスピードも)

 

 そんな0.1秒の思考をしていたらセルが上空から迫っていた。光輝は地面に倒れていた状態から咄嗟にバク転してそれを躱す。光輝がいた場所にセルが激突した。だが次の瞬間にはセルが目の前に迫っていた。

 

(速い!)

 

 光輝がそう思うのと同時にセルの行きつく間もないラッシュが始まった。光輝はそれを何とか捌く

 

「どうした! 私を楽しませろ!」

 

(こいつ、ヒルデガーンのスピードを人間体で使うから余計に隙がない!)

 

 ヒルデガーンは確かにタピオンには反応出来ないスピードで攻撃した。だがあれは初見殺しでもあったし実際光輝はその後対応出来た。それはヒルデガーンが攻撃する際の予備動作が巨体故に遅かったからだ。

 だがセルは自分の本来のスピードとヒルデガーンのスピードを無駄がない人間サイズの状態で放つ故攻撃が早すぎるのだ

 

「ブルぁああ!」

 

 セルの叫びと共に光輝の腹部にセルの拳が突き刺さった

 

「——がっ!」

 

 光輝の動きが一瞬止まった。セルがそんな光輝の顔面に蹴りを見舞う。光輝は咄嗟に上空に逃れ、セルがいる地上を見るとセルの姿が見えなかった

 

「遅い!」

 

 セルがいないと思考した瞬間に後ろから叫び声が聞こえ光輝は後ろを見るのと同時に気功波を放った。だが後ろにいたはずのセルはいなかった

 

「しまっ」

 

 言葉途中で光輝は背中に絶対的な痛みが走った。光輝は廃墟を抉りコンクリートの地面に突撃した。セルはそんな光輝を追わず余裕の笑みで地面に降り立つ。

 

「はぁ……はぁ……ぐ」

 

 光輝は左腕を抑えながら瓦礫から抜け出す。その腕からは出血による血が垂れてくる。それだけではなく額からも血が垂れてくる。

 今の少しの攻防でどちらが有利なのかが客観的に分かってしまった。

 

(どうする、もう一回リコレクションブレイブになるか? いや、それでもまだなれる保証はない。ヒルデガーンを倒すのに気を使い過ぎた)

 

「先程の勢いはどうした?」

 

 そうセルは余裕を感じられる笑みで光輝を見てくる。その身からあふれる気は魔人ブウも超えている。もはや気の半分以上はヒルデガーンを吸収したことによるパワーだが。

 光輝は皮肉気な眼で、馬鹿にするような声色で言った

 

「はっ! 自分だけじゃ何も出来ない奴が何を言っている」

 

「勝てばいいのだ。私が全次元で最強と言う事を証明する。その為なら私はどんなこともする」

 

 こいつ悟空さん達の細胞があるなら普通に修業するだけでも強くなれそうなのにな。

 

「何でそんな幼稚な発想しか出ないのかな、お前もあいつも」

 

 笠木を思い浮かべながら光輝はそう思った。”力”は心技体全てが揃って初めて発揮されるものだ。それを全て外付けで得たものなんてたかが知れている。それを証明する為に光輝は再び立ち上がった。だがその瞳はリコレクションブレイブの金色の瞳ではなく赤眼と蒼眼だった。

 

(今の状態でリコレクションブレイブになっても長く持たない。ただでさえ併用はばてるのにそれを二戦連続するのはあまりやりたくない。リスク承知でこっちの力を使うしかなかった)

 

「ぐっ」

 

 光輝は顔を顰める。もうあの頭痛が始まった。元々肉体はばてている。その上でこの戦いでのこの眼だ。

 

(短期決戦でやる!)

 

「はああああああっ!!」

 

 辺りを照らし金色の気が吹き荒れる。それを見ているセルは慌てるもなく不敵な笑みでそれを見ていた。光輝は一気に腰を落とし

 

「行くぜ!」

 

 その言葉と共にセルに肉薄した。そのスピードは先程までの比ではない。だがセルは嫌味たらっしく反応して見せた。

 二人の拳と拳、蹴りと蹴りがぶつかり合う乱撃戦に突入した。

 

「どうした! 戦いを急いでいるではないか?」

 

 セルはそう叫びながら拳を光輝に向ける。光輝はそれを掌に止めた。

 

「うるさいっ!」

 

 直ぐに掴んだまま蹴りを放つがそれを足肘で止め、お返しとばかりに掌を向ける。そこからエネルギー波の予兆が出る。光輝は咄嗟に離れようとしたがその瞬間に頭痛が襲ってきた。

 

「があっ!」

 

「隙ありだ」

 

 一瞬光輝が顔を顰めたのを見逃さずセルはそのままエネルギー波を0距離で放った。

 

「うわああああ!」

 

 光輝は勢いよく吹き飛んだ。そんな光輝を見逃すまいとセルは迫る。光輝は頭痛を我慢しつつ掌に飛雷神のクナイを手に取りそれを投げる。セルがそれを避ける瞬間に光輝は飛雷神を発動しセルの背中に現れた

 

「——!」

 

 このセルは飛雷神は初見だったので眼を見開く。そして咄嗟に蹴りを見舞うが光輝はそれを躱しながらセルの()に手を置いて飛び上がる。

 セルは光輝を追って飛び上がる。光輝はそんなセルに追いつかれないように気を吹き上がらせ宙を舞う。

 

「逃がさんぞ!」

 

 セルは逃がさない宣言をしその手から幾つか追尾性伴った気弾が光輝に迫る。光輝はそれを蒼眼の効果により見切り躱していく。

 だが躱したはずの気弾が後ろでUターンして光輝に迫る。光輝はそれを見て止まった。目の前からはセルが、後ろからは今の光輝を戦闘不能に追い込むのには十分な気弾が迫っていた。

 

「ぐうっ!」

 

 おまけに頭痛も+される。

 

「終わりだ!」

 

 セル自身もその掌にエネルギー波を溜めていた。このままでは挟み撃ちになるのがオチだ。光輝は頭痛という絶対的な痛みを無理やり我慢し飛雷神を発動した。光輝は消え次の瞬間には先程投げたクナイが転がっている所に現れた。

 

「何!?」

 

 セルはそう叫びながら咄嗟にその掌のエネルギー波を自分の気弾にぶつけ自爆を阻止した。

 

「影分身の術!」

 

 5人の光輝が現れてその内の3人がセルに向かった。

 

「小癪な!」

 

 セルは影分身光輝に向かった。残った本体光輝と分身光輝はそれぞれ技の準備をする。影分身の光輝はあっさりと倒される。

 だが本体光輝にはその僅かの時間だけで充分だった。光輝がその術を掲げる。高音と共に辺りを吹き荒らすその術は

 

「風遁・大玉螺旋手裏剣!」

 

 それを見たセルは面白そうに笑った

 

「確かに素晴らしい技だが……当たらなければ意味がないぞ」

 

 光輝は影分身達が使った赤眼と蒼眼の反動も受けて顔を先程以上に顰めている。だがそれをまた我慢してセルを見上げる

 

「だったら当ててやるよ」

 

 そう影分身光輝は言って再び飛雷神のマーキングが付いたクナイを拾い上げセルに肉薄した。螺旋手裏剣を持っている光輝はそれを見届けチャンスを待つ。もう一人の影分身光輝は本体の護衛に残っている。

 クナイを持って迫ってきている光輝を見てセルはほくそ笑む

 

(どういう理屈か分からんが貴様のその瞬間移動の技はその武器を起点に発動するらしい。ならばそのクナイに気を付けていればいいだけだ)

 

「ふっ!」

 

 影分身光輝は件のクナイをセルに向けて投げた。先程のセルならばクナイが来たら避けるか壊すかしただろう。

 

(貴様の狙いはさっきの瞬間移動による不意打ち、ならばこの武器を最初に壊せばいい!)

 

 セルはそう思い気弾でクナイを破壊した。そして作戦を失敗に終わらせたと思った。だが光輝は焦らずに突っ込んできた。セルはそんな光輝に向けて気弾を放ったが既に光輝はこのスピードを学習していたので紙一重で躱していく。

 そして状況は動いた

 

「よしやるぞ!」

 

「おう!」

 

 地上にいる光輝達はそう叫び本体光輝は自分の分身に螺旋手裏剣をぶつけた

 

「なにっ!?」

 

 流石のセルも自分の技を自分に当てる発想に眼を見開き地上を一瞬見てしまった。それが光輝達が一瞬で見出した勝機

 

「——!」

 

 セルが一瞬地上に眼を向けたのを見逃さずセルに迫っていた光輝は飛雷神を発動しセルの背後に現れた。先程セルの肩い手を置いた時に肩に”光”のマーキングを付けていたのだ。最初にクナイを壊させ、心理的な余裕を与えた。そして光輝達の行動、動揺を誘うには十分だった

 

「「飛雷神・互瞬回しの術!!」」

 

 次の瞬間には先程螺旋手裏剣をぶつけていた影分身光輝がセルと触れていた影分身光輝と位置を入れ替えていた。つまり、螺旋手裏剣をぶつけらているのがいつの間にかセル自身になっていた

 

(なにっ! これは、俺とこいつの位置を入れ替えたのか!)

 

「お望み通り、食らいやがれ──っ!!」

 

 光輝は叫び螺旋手裏剣事セルを吹き飛ばした。そしてある程度離れ……拡散した。高音と共に螺旋手裏剣は一気に広がりドーム状の大爆発が起きた。

 

「はぁ……はぁ……ぐっ!」

 

 光輝は膝を折り超サイヤ人を解いた。というより解かざるを得なかった。その瞳ももう黒に戻っていた。

 

「がああぁっ!」

 

 光輝は頭を押さえ必死に頭痛に耐える。口を押えると吐血もしていた。それを無視し光輝は爆発の中心点を見る。ありったけを込めた螺旋手裏剣、その反動は光輝の想像以上だった。これで倒せなければどう退却するか……

 

「くそ、完全に消さなきゃ」

 

 光輝が見た光景はセルの上半身が吹き飛んでいる状態だった。だがそれではセルに完全に勝った事はならない。何故ならセルには……

 

「がはっ!」

 

 光輝は立ち上がろうとしたが頭痛と今までのダメージが許さなかった。もう一度吐血しそのまま倒れた。

 

(くそ、動け!)

 

 そう念じながら立ち上がろうとするが動かない。

 光輝がセルを見ると上半身は吹き飛んでいるのに下半身だけで立ち上がった。そしてその下半身から顔を含めた上半身が再生した。

 ピッコロの細胞により使えるナメック星人の再生だ。セルは薄ら笑いをしながら光輝に言った

 

「どうした? もう限界か?」

 

「うるせよ」

 

 光輝は立ち上がろうとするがその度に頭痛が襲い膝を崩す。そんな光輝を見て余裕の表情で話した

 

「では、そろそろ終わりにしてやろう」

 

 そう言って構えた技はかめはめ波だ。腰だめに青いエネルギー波が溜まる。満身創痍の光輝はそれを見て思考する

 

(今の体力じゃ飛雷神も出来ねえ)

 

 ヒルデガーン、そしてそのヒルデガーンを吸収したセルの二連戦。光輝が疲労するのは当然だった。

 

「楽にあの世に送ってやろう、さらばだ!」

 

 そして放たれるかめはめ波

 

「ぐっ!」

 

 光輝はそのかめはめ波を前に立ち上がる。それでも立ってるだけで最早限界だ。迎撃しようとエネルギー波を出そうとしたが直ぐに消えた。

 迫りくるかめはめ波に瞬間移動も間に合わない。

 

「だけど……抵抗はしてやる!」

 

 そう吠えて光輝は構えた。

 

「終わりだ──っ!」

 

 セルの叫びと共に光輝に直撃しかけた時、そのかめはめ波と光輝の間に何者かが割り込み光輝を抱えて消えた。その何者かは光輝を抱え倒壊しかけているビルの屋上に降り立った

 

「なにっ!?」

 

 光輝がいた場所をセルのかめはめ波が通り過ぎた。セルはかめはめ波を中断し何者かが降り立ったビルの屋上を見上げる。

 その何者かは光輝を横たえた。光輝はその人物を下しかけている瞳を無理に開けて見上げた

 

「悟飯……さん」

 

 黒のコートを着込み、そのコートの中はどこかの会社員を想像させるシャツにベスト、シャツにはネクタイも付けている。

 タイムパトロールの悟飯は光輝に向けて優し気な笑みで頷いた。

 

「ここまでよくやったね。あのヒルデガーンを倒すなんてやるじゃないか」

 

 違う次元の悟飯はヒルデガーンの動きを見切られず負けた。それに比べたらほぼ初見攻略をした光輝は悟飯から見てもずっと強くなっていると思ったのだ。

 

「ありがとう……ございます。後はお任せします」

 

 流石にもう限界だ。悟飯さんが来たからか一気に睡魔が来た。悟飯さんが頼もしすぎる程力強い頷きで返した

 

「ああ。任せておいて」

 

 そう言って悟飯は立ち上がる。そして屋上からセルを見下ろす。セルは変わらない笑みで悟飯を見上げていた。ご飯は白色の闘気を纏いながら言った。

 

「ここからは、僕が相手だ!」

 

 そう叫び老界王神の潜在能力を開放した姿になった悟飯はセルに向けて肉薄した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様です。
セル、ずっと笑ってんな。いや、セルって自分が有利な時笑っているイメージしかないからその描写が多くなってしまった。

という訳でセル+ヒルデガーンです。お互い吸収系って共通点あるから行けるかなと思った。
一応本編でも言ってた通りセルの吸収の痕跡は衣服が散らばっているから割と差し所からセルが出るという伏線はあった。ヒルデガーン吸収しないと光輝を圧倒出来ないし悟飯の出番もないし。
次回、悟飯VSセルです。


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闇を貫く黄金の嵐

おはようございます。
悟飯VSセルです。と言ってもこのセルはゴルフリ程強くは無いのであっさり終わる。


 金色の気を纏った存在と、どこか神々しい白銀の気を纏った人間が激突した瞬間世界が弾けた。

 

「……」

 

「……」

 

 ぶつかった両者は表情を変えずに目にもとまらぬ乱撃戦を始める。消えては現れ消えては現れを繰り返す。

 片方の金色の気を纏い笑みを浮かべる者、正反対の渋々という顔で迎え撃つ者。

 両者はどちらにも傾かない状況に示し合わせた訳ではないが一定の距離を取った

 

「まさかこれほど早く復讐出来る時がくるとはなぁ」

 

 笑みを浮かべていた人造人間、セルが拳を握りながら興奮を抑えきれない声色で話す。その矛先である相手、孫悟飯はセルを睨みつける

 

「そんな事で光輝君をあんな目にあわせたのか」

 

 暗に復讐なら光輝を狙うのではなく自分に最初からやれと言ったのだ。だがセルは不敵な笑みを崩さなかった。

 

「ふふふ。あの小僧か、私の丁度いいウォーミングアップになった。その点では感謝している」

 

 全く感謝してなさげな声色と共に恭しく一礼する。どこかワザとっぽさがあるのは否めなかった。悟飯は何も言わずに再び構えた。

 セルもこれ以上は話すつもりは無いのか腰だめに拳を置く

 

「はああああああっ!!」

 

 セルが気合を入れるのと同時に先程光輝と戦ってた時とは桁違いの気を吹き荒れさせた。悟飯もそれを見て少し警戒した顔になる。

 一方、セルはそんな変わらない姿の悟飯に問いかける

 

「孫悟飯、貴様超サイヤ人にはならないのか?」

 

 今の悟飯は超サイヤ人ではなく老界王神によって引き上げられた力を解き放っている潜在能力を解放した状態だった。だがこのセルは悟飯に殺されかけた時にこの世界に来たセルなのでその事は知らない。

 

「必要になったらなるさ」

 

 その言葉にセルは笑みを崩し悟飯を睨みつける。今の言葉は聞きようによったら「超サイヤ人にならなくても十分だ」と言っているように聞こえる。

 だが事実そうでただの(・・・)超サイヤ人なら今の悟飯にはなる必要はない。寧ろ今の形態の方が燃費は良いし簡単に力を引き出せる。悟飯は別に嘘は言っていない。それをセルがどうとらえるかは別だが。

 セルはそれを舐められていると取ったのか次の瞬間には悟飯の眼前に踏み込んでいた。もし悟飯が光輝なら光輝はあっさりと吹き飛ばされ……いや最悪体を貫く勢いの手刀に本当に貫かれていたかもしれない。

 だが悟飯はそのスピードにキッチリと反応した

 

「ちっ!」

 

 セルは舌打ちをして蹴りを放ち悟飯はそれを右腕でガード、反撃を加えるがセルもそれをガードする。

 一進一退の攻防を光輝は上体を起こし壁にもたれ2人の戦いを見ていた

 

「ははっ、悟飯さん本当に強いな」

 

 光輝は医療忍術で自分の血が出ている個所を抑えながらそう呟いた。

 

「気だけ見れば殆ど互角だ。だけど悟飯さんが若干押している」

 

 光輝がそう言った直後セルの頬に悟飯の拳が刺さる。セルは反撃に右ストレートを放ったが悟飯はそれを躱しつつ逆に背負い投げの要領でセルを地面へと投げた。

 だが直ぐにセルは己の気を吹き上がらせ悟飯に迫る

 

「ただ……セルの野郎がブウみたいに吸収したものの技を使う、みたいな能力が無くて助かった部分もあるな」

 

 セルが使う技は全て採取した細胞の技だ。かめはめ波や気円斬、デスビーム……これらだけでも脅威っちゃ脅威だがそこにもしヒルデガーンの消える能力を会得したら厄介極まりない。

 

「ヒルデガーンは図体が出かかったから攻撃を当てやすかったのもあるしな」

 

 それをスピードを出しやすい人間サイズで使われたらどうなっていたか分からない。それが光輝の正直の感想だ。

 セルは生まれはクソッタレだが戦闘センスに関しては採取した細胞の持ち主たちが並ではない戦士たちなのでまだある。

 

「俺もまだまだだな」

 

 光輝はそう言って自分の額を抑える。未だに頭痛がしている

 

「この弱点も……早く治さないと」

 

 強い力は何かと引き換えて得るもの、それは分かっているが引き換えるものを最小にするのは当然だ。

 というより光輝の場合、この瞳との付き合いは長いのに未だに弱点の治し方が分からないのが何よりも怪しいと思う。

 

「クソ──ーっ!!」

 

 セルは光輝を相手にしていた時よりも余裕の表情を無くし悟飯に迫るが悟飯はそれを顔色を変えずに迎え撃つ。

 金と白、2つの気が何度もぶつかり合う。

 

「セル、自分の能力に過信している内は絶対に悟飯さんには勝てないぞ」

 

 光輝がそう呟くのと同時にセルは吹き飛ばされる。それを悟飯は追いかけセルを更に吹き飛ばす。

 目まぐるしく動き光輝は余り追いかける事は出来ていないが悟飯が負ける訳ないと信頼しているので焦りを覚えていない。

 

(どちらかというと俺が焦ってるんだと思うけどな)

 

 連戦だから……というのは光輝にとって慰めにならない。

 ナルト達の世界で仮面の男に言った通り自分の戦いは勝たなければならない戦い、連戦だからしょうがないと割り切るのは簡単だ。

 だが自分の命は既に自分だけのものじゃない。仲間や家族、大切な人に愛する人が今の光輝にはいる。だから死ぬわけにはいかない。死んでもいいと思っていたSAO前半期とは違う。

 

「このまま何もなかったら悟飯さんが勝てる……か」

 

 光輝の言う通り戦闘力は今は同じくらい、だが悟飯は既にセルの動きを見切り始めている。子供の頃とは違う。甘さも迷いも今の悟飯にはない。超一星龍と戦った後から悟飯は愚直までにその腕を磨いてきた。それにより得た戦闘経験は細胞を得、それを使って戦う事しかやっていないセルにはないものだ。

 

「はっ!」

 

 悟飯の声と共にアッパーがセルに決まり上空に吹き飛ぶ。

 

「くっ!」

 

 セルが苦渋の声を上げ悟飯に気功波を放つ。悟飯も気功波を放ち相殺、それだけではなくもう片方の手で気功波を放ちセルはそれに飲み込まれる。

 

「クソおおおおっ!!」

 

 そんな叫びが聞こえた瞬間爆発する。

 光輝は空中で起こった爆発を見て何となく

 

「汚い花火だな」

 

 って昔のベジータさんが言ってた気がする。

 それにしてもやっぱり悟飯さん強いな。あの時俺と2人係でも勝てなかったのが懐かしいな。

 

「……俺はまたこんな所で燻っているのか」

 

 光輝は自分の拳を握る。本当は自分がセルを倒したかった。自分の言葉の証明の為には自分が勝たなくてはならなかった。それなのに悟飯頼みになった事が何よりも悔しかった。

 超サイヤ人3の先の力……愛美に自分でそんな力を身に着けたいと言った事は本気だ。

 実は光輝は一度、超サイヤ人ゴッドにならないか? と悟空やトランクスに言われたことがある。その時になり方を知った。だけれども愛美に言った事を悟空達に言った。

 悟空もその気持ちが分かったのか「分かった」と言ってその話は無くなった。

 

「お前じゃ俺には勝てないぞ、セル」

 

 悟飯の声が聞こえ光輝は上空を見た。そこでは肩を上下に揺らし息を切らしているセルがいる。セルをここで逃がすという選択肢はない。

 セルがやられたまま逃がされたら何をするかなんて分かり切っている。他の戦士達と戦い糧を得た後に吸収しパワーアップする。

 そうなったら手が付けられないかもしれない。それは流石に阻止せねばならなかった。

 

「ふっ、それはどうかな?」

 

 セルは不敵に笑い両手を顔に持っていく

 

「太陽……!?」

 

 拳! と言葉を続けようとしたら悟飯が目の前から消えた。セルが背後に気配を感じた時には遅かった。いや、敵だから別に遅い方がいいのだが。

 セルは倒壊している建物群に突撃した。

 

「お前のずる賢さは知っているからな。そうはさせない」

 

 悟飯がセルに聞こえるか怪しい声量で言えば建物が爆発した。その中心にはやはりセルがいた。先程よりも息を切らし悟飯を睨みつけていた。

 完全に実力差が出始めた。

 互いに無言で睨みあう。だから2人ともそれが近づいてくるのに気が付かなった。

 

「……! 悟飯さん!」

 

 光輝の叫びに悟飯はそれを咄嗟に躱した。だがセルは疲労のせいかそれを躱すことが出来なかった。

 

「グっ!?」

 

 セルに取りついたそれはまるで寄生するかのように広がった

 

「グアアアアァアッ──!!」

 

 セルに取りついたそれは

 

「ドラゴンボール……?」

 

「いや違う。暗黒ドラゴンボールだ!」

 

 セルが静かになった。瞳は白眼になり生気を感じない。まるでただの操り人形になってしまったかのような状態になった。

 

「暗黒ドラゴンボール……この世界にも来ていたのか」

 

 光輝が思わず呟く。

 暗黒ドラゴンボール……暗黒魔界の王メチカブラが作らせたドラゴンボール。名前は恐ろしいが願いはちゃんと叶えてくれるらしい。

 しかしこのドラゴンボールは普通のドラゴンボールと違って様々な次元に散らばるから今回は除外していた。その認識が甘かったのは今思い知ったが。

 悟飯はセルに注意を向けつつ振り返った。そこには仮面の男がいた。仮面の男と言っても今まで光輝と戦ってきた仮面の男ではない。

 髪を四方八方に伸ばし紅いラインの入った仮面をしている。恰好は漆黒の道着だ。

 

「お前……」

 

 光輝は立ち上がり仮面の男を見上げた。

 

(悟空さん……? いや違う。あんな趣味が悪い仮面をする趣味はない)

 

「さあ、戦うがいい。お前たちの戦いが……私の計画の力となる」

 

「お前は……」

 

 悟飯が呟いた瞬間仮面の男は消えた。暴走状態のセルを残して。

 

「悟飯さんっ!」

 

 光輝が叫んだので我に返り目の前まで迫っていたセルの拳を止めた。しかし先程までは拮抗していたのにもかかわらず悟飯は少し押され吹き飛ばされた

 

「ぐっ!」

 

「ウオオオオオッッ!!!」

 

 知略的なセルとは正反対の雄叫びを上げて悟飯に迫る。悟飯はそれを迎え撃つ。

 

(セルのパワーとスピードが上がってる!?)

 

「ガっ!」

 

 悟飯の腹部にセルの拳が突き刺さり動きが止まる。セルはそれを見逃すことなく拳の嵐を悟飯に叩き込む。

 

「ウオオオオオッ!!」

 

 悟飯の頭部にハンマーナックルを叩き込み悟飯は建物に突っ込んだ

 

「悟飯さん!」

 

 光輝は痛みしかない身体に鞭を打って構える。それを見たセルはニヤリと笑い光輝に接近する。

 

「はっ!」

 

 光輝は気弾をセルに連射し動きを止めようとする。だがセルは攻撃されようとお構いなしに突っ込んでくる。

 その時、光輝の視界がぐらりと揺れた

 

(まだっ!?)

 

 一瞬の頭痛、それは超スピードの戦いの中ではとんでもないデメリットだ。セルも例外ではなくあっという間に光輝との距離を詰めた

 

(まずい!)

 

 セルの手刀が光輝の心臓めがけ突き出されていた。光輝は何とか逸らそうと手を動かすが間に合わない

 その時、セルの背後で轟音と共に光の柱が顕現した。それと共に吹き荒れる莫大な気、辺り一帯を金色に染める程の光。その中から大猿の雄叫びが聞こえる

 セルもそれを感じたのか光輝を貫こうとした手刀のスピードが落ちた。

 

「くっ!」

 

 光輝はそれでも何とか反応し手刀を逸らし躱しつつ距離を取った。そしてその光の嵐を眼に収める。中に人影が見える。

 

(なんて気だ。大きすぎてどの位凄いのかすら分からない)

 

 その人影は瞬きをした瞬間にはセルの目の前に現れていた

 

「え?」

 

 余りの速さに光輝すらこんな言葉が出てきたほどだ。

 そしてその人影は超速の一撃でセルの腹部を貫いた

 

「グアアアアッ?!」

 

「速すぎる……」

 

 その余りに一瞬の攻防に光輝も呆然と呟いた。

 その人影の光が徐々に晴れていくとそこには赤い体毛を纏い、髪も黒髪の状態で伸び瞳は金色に黒の瞳孔という姿になっていた悟飯がセルを貫いていた。

 その貫いた掌には暗黒ドラゴンボールが握られていた

 

(これが……サイヤ人の一つの到達点)

 

 次の瞬間、悟飯は光輝に視認が出来ないスピードで光輝の隣に現れた

 

(超サイヤ人4!)

 

 光輝は隣に現れた悟飯を見ながらそう思った。隣にいるからこそ分かるその強さ。

 

「光輝君、これを」

 

 そう言って暗黒ドラゴンボールを光輝に渡す

 

「あ……はい」

 

 光輝は唖然としながらそれを受け取った。内心では「悟飯さん強ええ」としか思っていなかったが。本気で今まで仮面の男と自分がやって来た戦いなんて他のタイムパトロール達から見たら茶番でしかなかったんだなと思ってしまった。

 

「孫……悟はあああああん!!」

 

 その叫びに2人は地上で失われた腹部を再生させながら立ち上がっていたセルを見る。セルは自分の身に何があったのか分かっているのかは分からないが「正気に戻してくれてありがとう」……なんていうキャラではない。

 

「ブルあああああっっ!!」

 

 気を上げながらセルは急上昇した。そのまま悟飯に突っ込むのでもなく光輝と悟飯の高度を追い越し更に上空まで飛び上がり2人を見下ろす

 

「お……俺をコケにしやがって……絶対に許さんぞ!!」

 

 憤怒の表情と声と共に腰だめに気を溜める。

 

「光輝君、下がって」

 

「は……はい」

 

 そう言って光輝は地上に降り立った。上空では悟飯とセルが睨みあっていた。

 

「避けられるものなら避けてみろ!! 貴様は無事でもこの星は木っ端みじんだ!!」

 

「って結局それかい」

 

 どうしてこの世界の敵達って困ったら星事破壊するという短期的な解決法しか思いつかないんだろう。……だけれどもこのままじゃセルがかめはめ波を放ってしまう。本来は止めるべきなんだけど……

 

(……遠い背中だな)

 

 セルの言葉を聞いても一歩も引かない悟飯を見てそう思った。

 

「か~!」

 

 気を始めるセル

 

「め~!」

 

 セルの掌に青色の光が出現する

 

「は~!」

 

 それはとことん巨大化する。

 

「め~!」

 

 鬼気迫る表情と迫力を持って両手を悟飯目掛けて突き出した

 

「波──-ッ!!」

 

 セルの最強最後のかめはめ波が悟飯を襲った。

 悟飯はそれを見上げたまま……小声のはずなのに凛と透き通るような声で呟く

 

「かー」

 

 悟飯に巨大なかめはめ波が迫る。

 

「めー」

 

 悟飯はゆっくりと動き始めた

 

「はー」

 

 腰に両手を当ててそこにはセルと同じ青の光が溢れ出す

 

「めー」

 

 しかしそれも一瞬で悟飯はそれを上空に一気に突き出した

 

波────ッ!! 

 

 悟飯のかめはめ波、最初は心もとない大きさだった。セルのかめはめ波の方が巨大だ。だが直ぐにその認識は甘かったとセルも光輝も思った

 

(ノーモーション!? なのにあの威力って)

 

 ノーモーション、所謂ゲームでいう溜め動作をせずに技を繰り出すこと。別にそれなら光輝でも出来る。ノーモーションはある程度技に慣れたら誰でもできる。

 だが溜め動作が無いために本来の威力は出しにくい。だが悟飯が放ったかめはめ波はそんなのはお構いなしにどんどん巨大になりとうとうセルのかめはめ波を上回った

 

(技の粘度が桁違いだ)

 

「ば……馬鹿な!?」

 

 両者のかめはめ波が激突……そしてまるでハンカチに水が染みるように簡単に悟飯のかめはめ波がセルのかめはめ波を飲み込んだ

 

「終わりだ、セル!」

 

 悟飯がそう叫ぶのと同時に更に気合を入れた。元々巨大だったかめはめ波が更に巨大になりセルを飲み込み始めた。

 先程まで光輝を圧倒していた存在は更なる圧倒的な存在に敗れた

 

「ば……馬鹿なあああああッ──ー!!」

 

 セルの断末魔が辺り一帯に響き渡った

 

 




お疲れ様です。
超サイヤ人4で瞬殺。光輝に圧倒的な力の差を見せる悟飯さん流石っす。

紅き仮面のサイヤ人、裏ボス的な扱いにするのでこの世界でぶつかる事は…多分ない。

レジェンズでシャロットがブラック&ザマスに結局頼っているのは人間の力じゃないかって言ってて凄いスカッとした。

ノーモーションかめはめ波は超サイヤ人2の時の悟飯を思い浮かべてくれたらいいです。

多分明日出せます。

ではでは


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激闘の傷跡

おはようございます。超短いです。


 先程まで近くで激闘が繰り広げられていたとは思えない静かさが今光輝がいる草原に広がっている。光輝はその静かさと共に吹く風に身を委ねながらタピオンが起き上がるのを待っていた。

 その近くには既に悟飯はいない。

 

 セルを完全に倒した悟飯さんは超サイヤ人4を解き俺達はタピオンさんを寝かせておいた草原まで移動した。単純に廃墟となったあの場所では落ち着いて休めないと思ったからだ。

 ……ただ悟飯さん,全然疲れてなさそうだけどな。最も悟飯さん達が行っていた調査の裏事情を知って少し不貞腐れたが。

 

「……じゃあ俺がぬくぬく休んでいる時に皆さんは超ドラゴンボールの調査をしていたわけですね。あわよくばシーラス達を倒すつもりで」

 

 自分でも拗ねていると分かってしまう程の声色でつい言ってしまった。

 あー俺もまだガキだな。

 

「大切な人達と過ごすことも重要だよ。大切な人がいるからこそ力が溢れてくる……そうだろ?」

 

 違う次元では自分が弱かったばかりに大切な家族をフリーザに奪われかけた悟飯だからその大切さは分かる。大切な人達と触れ合い、自分の力がなんのために振るわれるべきなのか? 

 それを簡単に確かめられる方法でもあるのだ、大切な人と過ごすというのは

 

 俺もそんなのはちゃんと理解している。だから悟飯さんが正論を噛ましているのは身に染みている。だけれども一言くらいあっても良かったんじゃないかなーとか思ってしまう。

 ……俺が足手まといなのはさっき思い知ったけどさ。魔人ブウを倒したからって皆さんに追いついたとか自惚れていた訳じゃないがあんだけ実力の違いを間近で見せつけられて落ち込まない奴いるのか? 

 

(……だけど、こんなので落ち込んでいたら超えられるものも超えられなくなるよな。おじいちゃん)

 

 圧倒的な力の差を見せつけられて尚超える事を諦めていない。その諦めの悪さが光輝の美点でもあり欠点でもあるだのだろう。

 

「うっ……う」

 

 そんなうめき声が聞こえ光輝は振り向いた。そこには腕を抑えながら上体を起こしているタピオンがいた。

 タピオンは苦痛の表情を見せながらも光輝を見て微笑んだ

 

「……やったんだな」

 

「ヒルデガーンは倒せました」

 

 嘘は言っていない。ヒルデガーンを倒したのは正真正銘光輝の力によるものだ。その後のセルは悟飯だが。

 

「そうか」

 

「これでタピオンさんは自由です。だけど……また自分を犠牲にするような事はしないでくださいね」

 

 何だかとんでもないブーメランが帰ってきた気がするが気にしない。多分みんながいたら総ツッコミを受ける所だった。

 

「ああ。また危ない時があったら光輝を頼らせてもらうよ」

 

 それに光輝は頷きつつ立ち上がった。

 

「行くのか?」

 

「はい。俺も負けてられないので」

 

 何にとは言わなかったがタピオンは何も聞かずに言った

 

「そうか……達者でな」

 

 光輝はそれに頷き空を見上げて飛翔した。

 

『光輝君、二手に分かれよう』

 

 悟飯は単純に時間的効率を考えてそう提案し光輝はそれを受け入れた。生きていたらまた会える。それに近くにいたら甘えてしまうかもしれない。

 1人でいた方が強くはなれる。命の保証は下がってしまうが。その位はSAOのソロ時代に知っている。それでも……こんな状況でも強くなる為に1人でこの世界を歩きたかった。

 それに

 

(あんなの見せられたら……うずうずしてられないだろ)

 

 思い出すのは超サイヤ人4となった悟飯の背中、遠い遠いサイヤ人の究極形態。そして未来の悟飯と重ねたあの背中。早く追いつきたい。その内ではダメなのだ。一分一秒でも修業して悟飯やバーダック、タイムパトロールの戦士達と肩を並べて戦いたい。

 守られるだけの存在にはなりたくない。

 

「よーし! やってやる! 絶対に超えてやる!」

 

 そう口元を緩ませながら新たな戦場を探してスピードを上げた

 

 

 ★

 

 

 地球エリア ヒルデガーンが暴れた廃墟

 

 先程まで激闘が繰り広げられていた廃墟のビルの屋上、気と存在感を完全に消し去り廃墟を勢いよく通り過ぎていく光輝を見届ける存在がいた。

 

「彼が孫悟空が言っていた僕も知らないすげー奴か」

 

 悟空の口調を真似し面白そうな表情をする。その名はフュー、前タイムパトロールの悟空と戦い撤退をした青年だ。

 悟空の情報通りなら彼はこの世界に存在するのは彼一人だけ。それさえ分かれば探すのは簡単だった。フューは色んな戦士を知っている。だからその情報に合わない人を探せばいいだけだからだ。

 

「確かに、彼は興味深いね」

 

 そう眼鏡をくいっと上げる。光輝が去っていた方向に身体を向けたまま独白を続けた

 

「それにあの気……あの仮面の男とは真逆だ。だけど……どういう事だろう。気の本質は一緒に感じた」

 

 どこかの探偵のように顎に手をやり考えている。そんなフューの背後に人が現れた気配を感じた

 

「やあ、お帰り」

 

 背後に現れたのは先程セルに暗黒ドラゴンボールを取りつかせた紅き仮面を付けた男だった。その手には無地の亀仙流の道着を着ている悟空が白目をむいて死んでいた。

 

「全く……それで何人目だい?」

 

「この世界に来る前のも合わせれば97人目だ。今回戦ったのは超サイヤ人3までにしかなれんかった」

 

 期待外れだと言いたげな声で悟空を投げ捨てる。フューは肩を竦める。紅き仮面を付けた男は光輝が去っていた方角を見上げた

 

「それで……いつあの小僧と戦えばいい?」

 

「まあ待ってよ。流石に今の彼じゃ君に手も足もでないよ。どうせ戦うのなら彼が成長しタイムパトロールと一緒に戦えるくらいに成長してからの方が君にとっても都合がいいだろう?」

 

「ふん、俺にそれを待つ義理はないんだがな。何なら今貴様が私の相手をしてくれてもいいんだぞ」

 

 フューは首をぶんぶんと振った。

 

「やめてよ。せっかく君の未来を教えてあげたんだから」

 

「……あくまでも利害の一致だ。その時が来たら人間の貴様を殺す」

 

「ハイハイ。まっ、その時までよろしくね」

 

 そういってフューは姿を消した

 

 

 

 

 




お疲れ様です。

ヒーローズのストーリー楽しみだなぁ


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ダークリパルサー

おはようございます。
今回の敵は一旦グレードダウンします。厄介さは敵の中でも随一だと思いますけども。


「えっと……こっちか」

 

 光輝は手元のドラゴンレーダーを覗きながら飛んでいた。普通のドラゴンボールで普通の世界のままなら簡単に見つけられたはずなのにこの世界は広くなりすぎて一筋縄ではいかない。

 

(なんか宝さがしみたいだな)

 

 などと愛美たちの気を知らずにのほほんと飛んでいる。

 

(いつの間にか界王様との連絡も取れなくなったし)

 

 ボージャックの時に連絡をしてくれたのにもかかわらずあの後は全く連絡をくれない神様の事を思い出しながらパノラマを駆けていた。

 

 因みに暗黒ドラゴンボールは悟飯さんが持って行った。まあ……確かに種類が違うドラゴンボールを持っていても意味がないからな。

 ……ちょっと待て

 

「ここから先って……どう見てもナメック星だよな?」

 

 見事に地球の地面とナメック星の地平が変わっている場所にまで来て戸惑った声を出す。

 

(いや、ナメック星エリアとかあるかもとは言ったけど本当にあるとは思わねえだろ)

 

 過去に自分で思考したことを思い出しながら少し止まっていた。そんなナメック星エリアから何人かの人影が見えた。というよりも光輝の方角へやって来ている。

 エリアが変わっただけで何か変わるのか分からないが新たな敵を見る

 

「さあ、どんな奴かな……ん?」

 

 確かに敵対するものかは分からないが来た。但し人ではなく

 

「ロボット?」

 

 だけど13号やセルとは違った……完全にロボットの容姿をしている。まだ13号は完全ロボット型だけど容姿に関しては人型だった。その数はざっと見20体以上

 ただその姿は人造人間と違ってすべて同じだ。

 

「お前ら何者だ?」

 

 それに反応したのかロボット兵の赤い眼が点滅を繰り返す。そしてロボット兵は

 

「ニンゲン、ビッグゲテスターに移送する」

 

 ビッグゲテスター……なんだそれ。

 

「ホカクスル!」

 

 そんな音声が聞こえロボット兵達が一斉に光輝に襲い掛かった。光輝はドラゴンボールを量子変換機にぶち込み代わりに自分の二刀を背中に装備した。

 

「———!」

 

 ロボット兵の一つがアームを伸ばし光輝を捕獲しようとした。光輝はそれを後退しながら掌の甲で弾く。

 そしてそのままアームを伸ばしたロボット兵の懐に入り腹部に右ストレートを放った

 

「こいつ!?」

 

 だがそのロボット兵を貫くには至らなかった。光輝の一撃はまるで聞いていなかった。それどころかロボット兵の強度がただものではないと思わせた。

 

「ちっ!」

 

 ロボット兵の左腕が振り上げられたのを見て頭を下げ躱すついでにロボット兵の足を持って地面に急降下した。

 

「はっ!」

 

 そのままロボット兵を地面に叩きつけた。

 

(どうだ?)

 

 ロボット兵を見ると銃口を自分に向けていた。そこからマシンガンが飛び出してきた。

 光輝はそれを咄嗟に空へ飛び躱す。だがロボット兵は一体だけではない。

 

「数が多いな」

 

 他の個体からもマシンガンが放たれ光輝は縦横無尽に空を飛びながらどうするか考える。

 

(超サイヤ人はあまり使いたくないな。黒髪状態で鍛えなきゃ意味ないだろうし)

 

 さあてどうしたものか。普通のパンチじゃ意味が無いのは分かったし……といっても本気ではなかったんだけど。

 だけど止められたのなら簡単な話だ。止める事さえ出来ない圧倒的な一撃で破壊する! 

 

「よし!」

 

 光輝は背中の双剣を引き抜き急下降した。ロボット兵のマシンガンの嵐は激しくなっていくが光輝はそれを躱したり斬って接近する。

 

(GGOでの経験がこんな所で役に立つとは思わなかった)

 

 そんな事を思っている内に1体目のロボット兵の眼前に迫り少し気合を入れて一刀両断にする。光輝の背後で爆発したのを確認せずに次のロボット兵に突撃する

 

「——! こいつら光弾も使うのか」

 

 言葉の通りロボット兵はマシンガンでは威力が足りないと思ったのか光弾を発射するようになった。手数ははっきり言ってさっきのマシンガンの方が多い。だけど威力はこっちの方がある。全部斬っていたら押し出されるか。

 

(まあ遊ばずにささっと終わらせれば悩まなくてもいいんだけど)

 

 と余裕を噛ましながらどうしようかと光弾を躱しながら考える。ロボット兵達が接近戦メインに変えてくれたらこんな事悩まなくてもいいんだがロボット兵は数の利を生かす為に遠距離一本にしている。

 

(俺も遠距離にしようか……あっ、そうだ。あれのテストには丁度いいかもな)

 

 そう考えながら光輝は手元の剣背中の鞘に納め今度はその腰にホルスターが現れる。拳銃を入れる為のそれはまさしく拳銃型の武器をその中に納めていた。

 光輝はそれを勢いよく引き抜いた

 所々金色に縁どられていて主な色はエメラルドグリーンのものだった。光輝は更に空を飛びながら左手でホルスターに手を伸ばす

 そして取り出したのは拳銃型の武器……親友キリトの武器に因んで「ダークリパルサー」と名付けた武器のストーレジだ。

 

(まあ……俺は剣士じゃなく戦士だから嘘は言ってないだろう。……多分)

 

 誰に対しての弁明なのか自分でも分からないがその赤色のストレージをダークリパルサーのマガジン部分に勢いよく装着した

 

(まともに練習してないけど……GGOを思い出してやるしかない!)

 

 そう言って銃口をロボット兵の内一体へ向けた

 

(よし!)

 

 光輝はダークリパルサーへ全く練っていないチャクラと気を込めた。フロントサイトを元に照準を合わせる。

 

「行けっ!!」

 

 光輝はその叫びと共にトリガーを引いた。そうすると銃口から勢いよく熱線が吹き出した

 

「くっ!」

 

 だがその気はどのロボット兵にも当たららなかった

 

(やっぱり狙撃はまだ苦手だな)

 

 拳銃の練習なんてGGOでしかやった事ないしGGOの狙撃はシステムが色々手助けしてくれたから苦手な光輝でも出来るようになった。

 

「そう考えたら照準補助があるGGOって優しいゲームだったな」

 

 狙撃が苦手だったからメインウェポンは光剣を使ってたけどちゃんと銃も使っとけば良かったな

 

「おっと!」

 

 光輝はまた光弾を躱す。

 

「だけど……失敗は今のだけでいいだろ!」

 

 そう叫び再びチャクラとエネルギーを込める。ロボット兵の内一体に再び向ける

 撃ち抜くための集中を起こす。自分に迫りくる光弾もマシンガンもスローモーションになる。

 自分が撃ち抜きたいルートを描き

 

「くらえ」

 

 トリガーを引くと先程と同じ気を込められた熱線を放ち……ロボット兵を貫いた。

 

「よし!」

 

 熱線に貫かれたロボット兵は爆発した。

 

「もういっちょ!」

 

 そう言って別のロボット兵に銃口を向けると再び放つ。今度はロボット兵を2体貫き爆発した。

 

「だったら次は!」

 

 そう言ってストレージを取り出しそれをホルスターに直し代わりに蒼色のストレージを装着する。装着をし終えればロボット兵に向ける

 

「天空を貫く雷撃、受けてみろ!」

 

 何となく叫びたくなった。トリガーを引けば青白い千鳥のような雷撃がビーム上になってロボット兵を貫く。貫いた所から電気がロボット兵の胴体を駆け巡り爆発した

 光輝はそれを見届けずに他のロボット兵を見る。ニヤリと笑いながら左腰に右腰と同じ重さが乗る

 

「ふっ!」

 

 光輝は右のダークリパルサーを宙に浮かすとすぐさまもう一つの拳銃型の武器を引き抜いた。ダークリパルサーと共に落下しながら右腰のホルダーに手を伸ばし先程しまった赤色のストレージを取り出し勢い良く装着、ダークリパルサーを手に取り拳銃型の武器を2つロボット兵に向けた

 

「——!」

 

 狙いを定め撃つ。俺は小さなころから二刀流だったから両利きだ。だからご飯を食べるのに茶碗をどっちに持っていても食べれるし日常生活じゃ便利だ。

 それがこんな時にも役にたつとはな。両利きって便利だな

 

「これで決める!」

 

 最後にダークリパルサーを一つ量子変換機に戻しそれの代わりに右に持っていたダークリパルサーを両手で持つ。残りのロボット兵が5体重なる所で

 

「ジ・エンド」

 

 シノンさんの真似をして最後のトリガーを引いた。そうすると残り5体だったロボット兵を全て貫き爆散した。地面に降り立ち先程までロボット兵がいた所を見ていたがもういないと言う事を確認しダークリパルサーをホルスターに戻した

 

「……ふう。やっぱり狙撃は苦手だな」

 

 そう言いながら右腰のホルスターを見る。

 名をダークリパルサーと名付けたそれはまだ試作品のものだった。ナルトさん達の世界で見た科学忍具を見て思いついた。

 ナルトさん達の世界にあった科学忍具、忍術を巻物に納めそれを発射する科学忍具を参考にこれを作った。なんなら愛美たちの目の前で作っていたからな

 

 ★

 

 光輝が愛美たちの世界に帰還中の事、光輝はリビングにて色んな部品を広げ朝からそれらの部品とにらめっこしていた。

 

「もうちょっとだな」

 

 とうとうブルマ抜きでも色々作る事が出来る事にワクワクしながら光輝はそれを……ダークリパルサーを作っていた。

 そんな光輝の背後からパジャマ姿の愛美がひょこっと覗く。勿論光輝は気が付いている。

 

「おはよ愛美」

 

「うん。おはよう光輝」

 

 そう言って少し頬を赤に染めながら光輝のほっぺにキスする。光輝はそれを感じて真っ赤になりながら愛美に向く

 

「なっな……なな」

 

 狼狽えている光輝が可笑しくて……でも確かに自分がしたことに対する恥ずかしさもあるのか愛美の頬を赤くしていた。

 

「アメリカじゃ普通だよ?」

 

 アメリカ帰りの姉はいるがアメリカの常識を知っている訳じゃないので「そうなのか……?」と思いながら愛美を見る。

 愛美は寝起きなのにも関わらずとっても綺麗だった。だけどその視線は直ぐに机に向けられる。

 

「……何か物騒なものあるんだけど」

 

 見た目は完全に銃だからな

 

「普段から剣を簡単に出し入れできる俺にそれを言うか?」

 

「そうだったね」

 

 愛美は隣に座り方に頭を肩に預けて来た。恥ずかしいのか顔は赤かった。恥ずかしいならしなければいいのに……とか言ったら拗ねられそうだから黙っとく。

 

(髪……サラサラだ。……可愛い)

 

 さらっとデレる。

 この世界に来たら愛美相手にはデレまくっている光輝。多分第三者がいたら皆砂糖吐いている。

 

「これなに?」

 

「あーこれは……名前はキリトの元使っていた剣を借りてダークリパルサー、スキルは思いっきり違うけどな」

 

「へー……」

 

 愛美は興味深そうにそれを見る。その際ナチュラルに腕を組み光輝が赤面する。そんな愛美が光輝を見上げて聞いてきた

 

「でも……今更銃弾じゃ誰も倒せないんじゃないの?」

 

 そう言えば悟空さん達が戦ってきた敵を愛美は知っているんだったな。まあ確かにただの銃弾じゃ正直相手にならない。それこそ宇宙1硬いカッチンコウ辺りで作った銃弾じゃないと無理だと思う。

 

「確かに実弾銃じゃまず無理だろうな。カッチンコウ辺りなら兎も角ただの鉄じゃ今更この戦いにはついて行けない。アンダーワールドみたいに心意で威力が変わるならいけるけど」

 

 そう言いながらダークリパルサーを手に取る。自画自賛になってしまうがよく作れたなと自分でも思う

 

「だけど……俺の力を込めたら話は別だ。元々これ拳銃には見えるけど拳銃としての機能は皆無だよ」

 

 そう言って今度はダークリパルサーのマガジン部分の所に装着するストレージを手に取る。

 

「このストレージには愛美には分からないかもしれないけど俺が火遁を放つときのチャクラを保存してるんだ。こっちの蒼い方には雷の性質変化をした時のチャクラを入れてる」

 

「チャクラを……保存?」

 

 愛美の中ではどうしてもチャクラとこの武器みたいな形のものが繋がらない。ただ実際問題目の前で作られているのだから繋げるしかないんだろう

 

「この前ナルトさん達の世界に行った時に科学忍具って奴があってさ。俺が見たのはほんの一部だけどその内の一つに術を保存、それをいつでも発射できるようにするって科学忍具があったんだ」

 

 そう言いながら完成したそれを勢いよくマガジン部分に装着し少しチャクラと気を込める。そうするとダークリパルサーの所々にあるラインが赤くなる。それを見て光輝は込めるのを止める

 

「これはその応用。単純に性質変化したチャクラをこうやってストレージにして俺がこの拳銃型の武器に自分のチャクラを流し性質変化を活性化させる。それを放出するのがこれ。まあ一種の科学忍具だな」

 

「……要は性質変化を保存したものを光輝のチャクラで活性化させてレーザー状にするのがこれってこと?」

 

「そうそう」

 

「でもそれだけじゃ威力足りない時もあるんじゃ……」

 

 俺が言うのもあれだけど愛美ってなんでか戦いに関して色々知ってるよな。

 

「まあ確かにチャクラだけじゃ威力不足が出る時もあるけど……俺の気でブーストすれば関係ない」

 

「あ、そうか」

 

 愛美には一から説明しなくても色々理解してくれるから色々有難い。まあそんな愛美だから疑問に思う事も予想できるがな

 

「だったら普通に気功波をビーム状にしたらいいんじゃないの? 何のために作ったのこれ?」

 

 そう、別にレーザー状にして気功波を放ったりするのは別にこんな武器を経由しなくても出来る。それでもこれを作ったのにはいくつか理由がある

 

「一つは俺面が広い攻撃手段はいくつかあるけど1点突破の攻撃手段は少ないから」

 

 螺旋丸やかめはめ波、アインクラッド流の技は皆面が広い攻撃だ。普通の肉体を持っている面々ならこれで充分だけど……装甲がすっげー硬い奴とか来たら一気に不利になってしまう。だからそんな敵が来た時用にそんな敵も貫ける攻撃手段が必要だったのだ

 

「もう一つは牽制とかで気弾をばらまくなら兎も角、狙い撃ちに関しては俺凄い苦手だからこういう形あるもので照準を合わせれるようになったら良いかなって」

 

「……光輝にも苦手なことあるんだね」

 

「そりゃあな。ずっと拳と剣だけで戦ってきたからな。悟空さん達みたいな圧倒的な力があるならこんな悩み無いんだろうけど……」

 

 そう言って光輝はダークリパルサーを机に置く

 その代わりに愛美を少し抱き寄せる

 

「こ……光輝?」

 

 愛美は戸惑った声を出すが光輝の抱擁がギュッとするのを感じて光輝の言葉を待つことにした。そして抱き合ったまま少し時間が過ぎ光輝の口が開いた

 

「……俺は誰も失いたくない。櫂さんも楓さんも咲良も……俺を信じてくれる人達を……愛美も」

 

 そんな光輝は少し震えている。愛美は光輝を抱き返し背中をさする。愛美は光輝の家族が死んだ様子を見たことはない。光輝が見せようと思えば見せられるし愛美も光輝に寄り添いたくて頼んだことがあるが光輝に却下された。

 それでも光輝は震えている。家族の死がトラウマになるのは当然だった

 

「だから……絶対負けない為に使えるものは使わなきゃな」

 

「……そっか」

 

 そう言って光輝は少し体を離し愛美の顔と見合う。そして顔を愛美に顔を近づける。

 

(ちょ……キ……キスっ!?)

 

 そう思い眼を閉じ少し唇を光輝に向ける。

 

 チュッ

 

 そんなリップ音はした。だが愛美が感じたのは唇ではなくほっぺだった。

 

「へ?」

 

 愛美が呆けた顔を光輝に向ける。光輝は恥ずかしそうにしながらも少し余裕の笑みで言った

 

「アメリカじゃ普通なんでしょ?」

 

 確かに自分はそう言った。だが……

 

(今の絶対キスする場面でしょ!)

 

 愛美はそれを顔に出し光輝は戸惑う。さっきやられたことをやっただけなのに何故か愛美は不機嫌な顔になっていく。

 結局この後愛美とデートしてご機嫌を直してもらった

 ついでに言うなら愛美の願望が叶うのは結局別れの時になった

 

 

 ★

 

 

 ダークリパルサーを量子変換機に入れる。

 

「作っといてあれだけどやっぱり俺向きではないな」

 

 さあ、どうしようか。ビッグゲテスターだっけ? あのロボット共が俺をそこに連れていこうとしていたな。ここで俺には2つ選択肢がある。このまま回れ右して何も見なかったことにするかナメック星エリアに突撃するか。

 

「ただ堂々と誘拐宣言されて逃げ出すのも癪だからな。行くか」

 

 そう呟き光輝はナメック星エリアへ突入した。せめてビッグゲテスターなるものを拝んでやろうと思ったのだ。

 光輝は飛んでいたら知っている気を感じた

 

(この気は……)

 

 光輝は戦闘が行われている様子を感じ取り一気に向かった。

 そして飛翔し戦場についた光輝は若干天を仰いだ

 

「うん。新手のボスラッシュかな?」

 

 光輝が空から見た光景は幾つものシルバーメタリックのボディーを持った存在が何千といる光景だった。そしてその何千といる中の中心部で爆発が起きる。

 取り合えず適当に誰から倒そうかと思ったが

 

(……こいつもしかしてクウラか)

 

「……いやいや何体いるんだよ!」

 

 光輝の声に反応したのかクウラ……いやメタルクウラが光輝に向いた。冷酷無慈悲な赤き瞳が光輝を見据える。そしてそのまま光輝に何体か襲ってくるが光輝は次の瞬間にはメタルクウラ達の背後にいた。それと同時にメタルクウラは吹き飛ばされる。

 光輝はそのままメタルクウラの集団に気弾を放つ

 

(わぁーいっぱいいるから当たりやすいなぁ!)

 

 などと現実逃避する。まあ実際メタルクウラがいる場所に直撃し爆発が起きまくっている。それを見届けず光輝は中心部に降り立つ。背中合わせに降り立ち背後にいる人物に構えながら声をかける

 

「こいつらを一気に消し去る方法ありますか、トランクスさん」

 

 背後ではタイムパトロールであるトランクスが同じく構えながら光輝に驚きもせずに答える

 

「少し時間を稼いでくれますか?」

 

 何故時間を稼ぐのか? 光輝はそれを聞かずに答えた

 

「了解です」

 

 俺がそう答えるとトランクスさんは飛び立った。その飛んで行った方向にはナメック星に張り付くようにして存在している不気味な物体があった。

 

「逃がすか!」

 

 メタルクウラの内の一体がトランクスさんの邪魔をしようとしたが直ぐにぶん殴りぶっ飛ばした。メタルクウラはボーリングの様に他のメタルクウラに突撃し倒れていった

 

「成程! ボーリングってこんな感じなのか!」

 

 生まれてこの方ボーリングなんてやった事なかったからちょっと感動している。……さあて、どうやってこの大量なクウラを止めておこうか。

 というよりもクウラを殴った拳がジンジンする。めっちゃ頑丈じゃん。

 

「俺達の邪魔をすると言う事がどういうことなのか分かっているのか、貴様」

 

 おーすげー、こんな大人数から睨まれたのは初めてだ。まだ小学校時代とか15人くらいに一斉に睨まれたり攻略組に初めて喧嘩を売った時よりも大人数に睨まれている。

 

「さあな? でもまあ……」

 

 光輝はそこで言葉を区切るとダークリパルサーを引き抜き目の前のクウラを貫いた。

 

「お前に覚えはないかもしれないが俺にはお前らに喧嘩を売る動機があるもんで」

 

「なに?」

 

 だって前回来た時は普通のクウラにボコボコにされて結局バーダックさんが倒しちゃったからな。かと言ってまたどこかの歴史のクウラと戦う事なんて無かったから俺はリベンジが出来ないままだった。そんなタイミングでこいつらが出て来た。

 

「お前らには悪いが俺の憂さ晴らしに付き合ってもらうぜ!」

 

 そう叫び光輝は自らの気を纏った

 

 




お疲れ様です。

光輝の新武器、拳銃型の武器ダークリパルサー。名前の由来はただ色合いが似ているからといいう何ともあれな理由。見た目は魔法科高校の劣等生の達也が使っているシルバーホーンを思い浮かべてくれたらいいです。

光輝の言う通り科学忍具の一種。BORUTOのアニメや映画を見た方なら覚えあるかもしれませんがボルトが中忍試験でルール違反をする事になった時に使ってた科学忍具の応用です。

あの科学忍具は術者に巻物に自分の術を保存してもらってそれを発射するというやつです。で、今回光輝が作ったのは自分の火遁と雷遁の性質変化だけをストレージに納める。使用する際に自分のチャクラをダークリパルサーに流し込みストレージを活性化させてそれをレーザー状に発射する。

チャクラを練る必要が無いためラグはなく素早く使用出来る。尚、照準自体は光輝自身に依存する。

作った目的は話の中でも話した通り今回出たロボット兵みたいな装甲が硬い敵と戦うときに1点集中の攻撃手段が欲しかったら。
因みに雷のストレージを使ったらレールガンみたいになる



ヒーロズのゴジータかっこよかった!
ブラックが孫悟空に拘りすぎて神というよりもサイヤ人っぽさが出てきているのがなんだか皮肉に感じた。
神であるはずのブラックが人間であるサイヤ人としての進化を辿り本物の悟空は神の御業を身に着けて神様に近づいているのがどっちが神様に相応しいのか暗に表しているみたい。

因みにブラックの上半身裸のあれは「超サイヤ人ロゼ・フルパワー」って奴らしいですね。
あれ個人的に思ったのが全ての超サイヤ人を表したって感じで自分は割と好きです。
超サイヤ人と超サイヤ人2部分は分かりづらいけど強いて言うなら眉毛がある事、超サイヤ人3はあの長髪、超サイヤ人4はアニメに無かったけどカードとかにある眼のふちの部分と尻尾、超サイヤ人ロゼの部分は普通に髪色で。

身勝手の極意のゴジータとベジットは出る心配ないんじゃないかなぁ。進化ブルー自体は超サイヤ人の形態の一つだからやろうと思えば悟空だって使える筈だしなんも違和感は無かった(むしろかっこいいって思ったし)
身勝手は向いていないと言っているベジータがいる以上出来ないと思う。


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ドッタンバッタン大乱戦!

おはようございます。 クウラ戦最終話です。


 新ナメック星エリア

 

 大量のメタリックの輝きを輝かせている大人数がたった一人の人間を囲んでいる。中心部には白色の闘気を漲らせダークリパルサーをメタルクウラに向けている光輝がいる。

 

「悪いが誰もトランクスさんを追わせやしない」

 

 そう言って光輝は次の瞬間にはメタルクウラの1人に肉薄していた。眼にもとまらない一撃を放ち吹き飛ばす。

 後ろからでメタルクウラが光輝に気弾を放とうとしていたが光輝はダークリパルサーを背面に向けそのメタルクウラを撃ち抜いた。

 

「ふっ!」

 

 光輝は次には他のメタルクウラに拳を突き刺していた。

 

(分かってはいたがキリがないな)

 

 1人1人相手にしていればジリ貧になる。俺が貫いたクウラは……

 

「この人数に再生能力って……」

 

「残念だったな。俺が受けたダメージをビッグゲテスターのメインコンピューターへと転送され解析し修復され補強される」

 

「……ちっ」

 

 光輝は舌打ちしダークリパルサーをホルスターに戻した。一点集中のこれは再生する相手には分が悪い

 

(あれ? さっそく意味がなくなった)

 

 再生がポンポンできる奴が可笑しいんだ。俺はなんも間違っていない。……完全に後手に回ったが

 

「だけどな……」

 

 光輝が呟いた瞬間には先程再生したメタルクウラの顔面に右ストレートを放った。メタルクウラはそれに反応出来ずに吹き飛ぶ

 

「生憎あれは元々好きな戦い方ではない。こっちの方が俺らしいんだよ」

 

 拳銃型の武器を使っての戦闘、作ってしまった以上は人並みには使えるようにするがやっぱり俺の戦場は拳と剣を使った白兵戦だ。

 今更短い期間のGGOで使った拳銃型の武器はやっぱり俺向きではない。シノンさんには怒られそうな気もするが俺は俺らしく戦う。ダークリパルサーはまた向いている敵に使えばいい。実際さっきのロボットには有効打だったんだからな。

 

「どんなものも使い方次第、だろ?」

 

 光輝は不敵な笑みを浮かべた。

 

「この人数を相手にどこまでその余裕が持つかな?」

 

「はっ! 逆に言えばお前らはこの人数で俺にかからないと負ける弱虫ってことだろ?」

 

「貴様……!」

 

 どういう訳かこのクウラからは気を感じない。だから多分人造人間っぽいものに改造されたんだろ。取り合えず人数を確認する事から始めようか

 

 光輝は地面に気弾を当て煙をばらまきその間に空へと飛んだ。

 

「逃がすか!」

 

 メタルクウラが何体か光輝を追うが光輝自身は追ってを一瞬無視しざっと人数を確認する。やはり何百単位でいる。もしかしたら千人以上いるかもしれない。

 流石にこれを全員相手していたらこっちのエネルギー切れが起こるかもしれない。

 

(かと言って中途半端にしたら再生の上にパワーアップだっけ? 向こうは壊されるのを織り込み済み、なんなら人数は沢山いるから総力戦だな)

 

 光輝は上空に向かうのをやめて追って来たメタルクウラを迎え撃つ。

 

(インペライザーを複数相手したメビウスの気持ちが少し分かった気がする)

 

 などと思いながらメタルクウラを相手にする。初めてクウラと戦った時ならばボコボコにされていたが今の光輝は黒髪状態でもそれなりに戦うことが出来る。一対一ならばほぼ瞬殺できるだろう。超サイヤ人になればもっと簡単に破片も残さず瞬殺できる。

 それをしないのは今回の目的は時間稼ぎだからだ。

 

(中途半端に破損させて無駄に強くさせるのは……この人数相手なら避けた方が無難だからな)

 

「どうした、もっとまじめにやれよ」

 

「調子に乗るな!」

 

 メタルクウラの1人が消えた。それは高速移動ではなかった。

 

「——!」

 

 光輝は後ろへ咄嗟に振り向き蹴りをガードした。光輝も流石に眼を見開いた。今のメタルクウラは高速移動ではなかった。高速移動だったら光輝には見える筈だ。だが今のクウラの動きは追えなかった。まるで点から点に飛んだように。

 自分も同じ技を使うから直ぐに分かった

 

(今のは瞬間移動か!)

 

 想像以上に厄介だ。

 

(プラン変更だ、こいつらは全力で足止めする)

 

 光輝はメタルクウラの足を持ち他のメタルクウラにぶつける。

 

「いいさ、お前らのお望み通り相手してやるよ」

 

 その言葉と共に光輝は金髪碧眼へと変化した。超サイヤ人に変身した光輝は無差別に気弾を放った。元々ここにはメタルクウラ以外いない。誰に当たってもそれは敵だ。狙い撃ちをするまでもない。

 光輝の背後に瞬間移動で現れたメタルクウラ二体を振り向きざまに蹴る。それに若干態勢を崩したの見逃さず下に叩き落す

 

「トランクスさんの足止めなのに瞬間移動で向かわれたら意味ないからな」

 

 只の再生能力だけなら適当にあしらおうと思ったが瞬間移動が出来るなら話は別だ。トランクスの邪魔をする輩を全力で叩き潰す方が良いと思ったのだ。

 

「こいよ、烏合の衆。俺が相手だ」

 

 それから5分程、光輝はメタルクウラを相手にし続けた。一切ダメージを与えられずにメタルクウラは破壊されていく。

 今の光輝を相手にするにはメタルクウラでは力不足だった。

 それでも数に物を言わせた人海戦術で光輝はいい加減に鬱陶しくなっていった。

 

「いい加減に……しろ──っ!!」

 

 怒りの雄叫びと共に四方八方から襲ってくるメタルクウラを吹き飛ばす。その内の一体に触れ直接気功波をぶつけ塵も残さず破壊する。

 光輝は地面に向けて一つの気弾を放ちそれが地面に着いた瞬間に猛スピードでメタルクウラともども破壊する。

 

「先程までの勢いはどうした?」

 

 メタルクウラは数の差故か全く焦りを覚えていない。それどころか超サイヤ人である光輝のエネルギーを手に入れようと企んでいる。

 

「……ま、もう少し頑張って見ますかね」

 

「無駄だ。貴様をここから逃がしはしない。さっきの男も自分からビッグゲテスターに乗り込むとは馬鹿な奴だ。貴様もあの男を見捨て逃げていれば良かったものを」

 

「馬鹿なのはお前らの方だ。俺はトランクスさんを信じてる。仲間を大切にしないような屑にはなりたかねえよ」

 

 光輝はそう呟いた直後急下降を始めた。メタルクウラ達はそれを追う。地面にいたメタルクウラ達も光輝に向けて気弾を放つ。

 それを優雅に躱しながら光輝も巨大な気弾を地面に投げつけた。

 

「「ぐっ!!」」

 

 その地面周辺にいたメタルクウラ達は吹き飛び円形の地面が姿を見せる。光輝はそこへ着地する。上から気弾の嵐が降って来るが光輝は微妙だにせずに光輝がいた所から煙が上がる。

 

「畳みかけるぞ!」

 

 メタルクウラの1人が叫ぶと他のメタルクウラ達も呼応し更にエネルギー波を光輝に放とうとした。しかし……

 

「エンハンス・アーマネント!!」

 

 そんな声が聞こえた瞬間、煙の中から巨大な氷の蔓が360度いるメタルクウラ達に襲い掛かった。

 その蔓の一つ一つがメタルクウラ達を襲う。捉えられて者から順に凍らせられる。逃れて物もいるが次の瞬間には全員叩き落され永久氷塊に捕まっていく。

 

「悪いが大人数ってのはお前らの専売特許じゃねえんだよ」

 

 武装完全支配術を行っている光輝は不敵な笑みを浮かべていた。空中ではメタルクウラ達を地面に叩き落とした影分身達の光輝がいた。

 煙の中、影分身達を出し更に武装完全支配術で大多数のメタルクウラ達を抑え込んだ。

 

「クソ──っ!!」

 

 空へ逃げたメタルクウラが本体の光輝に襲い掛かろうとするが他の光輝達に邪魔される。

 

「お得意の人海戦術はどうした?」

 

 あっさりと負けてはいるがメタルクウラ自体はあのナメック星で戦った時のフリーザやクウラよりは戦闘力は上だ。そんな奴がこれだけいるのにも関わらず今や9割がたのメタルクウラは武装完全支配術に捕まっていた。9割と言っても後100体くらいはいるが今更10体も100体も変わらない。

 

(ほんと、俺も遠くまで来たな)

 

 などと感傷に浸っていたら……

 

「——! おかえりなさい、トランクスさん」

 

 背後に気配を感じ振り向かずにそう声をかけた。

 

「光輝さん、ここはもう大丈夫です。離れましょう」

 

「え? こいつら放っておいていいんですか?」

 

「はい」

 

「……分かりました」

 

 光輝はその瞬間に武装完全支配術を解いた。一斉に氷が割れてメタルクウラ達は解放された。驚いているメタルクウラ達を放っておいてトランクスは光輝に話しかけた

 

「光輝さん、このメタルクウラ達のずっと向こう側に悟空さん達がいます」

 

「了解」

 

 光輝はそれだけで何をしてほしいのかが分かりトランクスの手を握った。

 

「——! 逃がすか!」

 

 逃亡しようとしていることに気が付き気弾を放とうとしたが光輝の方がずっと早かった。トランクスに言われた方向を向き気を探れば確かに悟空達の気を感じた。

 

「あばよ」

 

 そう言った瞬間に光輝は瞬間移動した。次目の前に現れたのは気絶して横たわっている悟空達だった。

 

「うん? でもあいつらも直ぐに来るんじゃ?」

 

「それに関しては大丈夫です。もうそろそろ」

 

「——!?」

 

 トランクスが何かを言おうとした時、メタルクウラ達がいた場所から大爆発が起きた。おまけにビッグゲテスターの場所からも爆発が起きた。

 

「くっ!」

 

 余りの爆風に距離が離れているのにもかかわらず光輝達のいる場所にまで届いている。砂煙が光輝達を襲うが光輝は簡単なバリアを張りそれらの砂煙をガードする。

 

「何であいつらとビッグゲテスターの方から……」

 

 光輝が不思議そうな表情でトランクスを見るとトランクスは「上手くいった」と言いたげな顔でメタルクウラ達の方角を見ていた。

 それを見て光輝もメタルクウラ達の方角を見る。そして何故か爆発したメタルクウラ、その原因を一つ思いついた

 

「……自爆プログラムか!」

 

 トランクスは天才科学者である母の影響で小さなころから機械いじりを趣味としていた。その経験を活かしビッグゲテスターのメインプログラムに侵入し自爆プログラムを構築したのだと光輝は思ったのだ。

 そして自爆したビッグゲテスターというメタルクウラを作っていた根本が経たれたことによりあの何人もいたメタルクウラは破壊されたのだと。なまじ自分もフルダイブマシンとゲームを作る為にプログラミングしているので分かったのだ

 

「正解です」

 

「……ん」

 

 気絶していた悟空、ベジータ、ピッコロ、悟飯、他の地球からここに来ていた戦士達が眼を覚ましそうになったのを見て2人は戦士達の前から離れた。

 そして悟空が頭を掻きながら起き上がっているのを遠目に見ながら2人は話す

 

「光輝さん、手伝ってくれてありがとうございました。俺一人じゃ自爆プログラムを書き込む前に邪魔される所でした」

 

「いや、俺もリベンジ出来たのでお互い様です。でもどうしてトランクスさんがクウラ達と戦う事に?」

 

「俺がここに来た時、あの数のクウラが戦闘が不能だった悟空さん達を襲う所だったので」

 

 悟空さん達を避難させた後に戦っていたって感じか。

 ……あんな姿になってまで宇宙1になりたかったのか。俺には永遠に分からん感覚だな。

 

「あ、そうだ。ドラゴンボール探さなきゃ」

 

「これですか?」

 

 そう言って取り出したのは究極ドラゴンボールだった。……俺はトランクスさんからドラゴンボールを受け取らなきゃいけないジンクスでもあるのだろうか。

 

「えーと星は2つか」

 

「……本来、究極ドラゴンボールを使うのは避けたい所なんですが」

 

「同意しますが普通のドラゴンボールに次元を元に戻せる力があるのか微妙ですからね」

 

 そんな使い方されたことないだろうだし。今の状況が色々可笑しいんだからな。

 究極ドラゴンボールのデメリット、それは叶えた星は再び究極ドラゴンボールを納めない限り1年後には爆発してしまうという何とも言えないデメリットがある。

 

「まだ暗黒ドラゴンボールを使う方が良い気もしますが」

 

「え、暗黒ドラゴンボールもこの世界に存在するのですか?」

 

「はい。3日位前にヒルデガーンを吸収したセルに紅い仮面の男が取りつかせてました」

 

「セルがヒルデガーンを吸収ですか?」

 

 実力的にはヒルデガーンの方が強いのにもかかわらず吸収されたのはヒルデガーンの方だと言う。光輝はそうなった理由を簡単に説明した。

 

「成程。ヒルデガーンを倒すなんて……強くなりましたね、光輝さん」

 

 トランクスさんから見てもヒルデガーンは厄介な敵なんだんな。あんな能力、真面目にSAOでボス張れるしな。実際、俺はボス戦感覚でやったし。

 ただ……

 

「超サイヤ人4の悟飯さんがめちゃ強かった」

 

 それに尽きる。暴走したセルをあっさりと倒すなんてな。

 まあそれに関しては何度も思い出してたから今は良い。問題は

 

「あの紅い仮面の男、シーラス達の仲間かな?」

 

「……今の所分かりませんが注意する必要はありそうですね」

 

 トランクスはそこで難しそうな顔をして光輝を見る。光輝はその視線に気が付き? が出そうな感じで首をかしげる。

 

「光輝さん、やはり超サイヤ人ゴッドになりませんか?」

 

 トランクスがこれを提案したのは光輝の生存確率を上げる為だ。超サイヤ人ゴッドは神の領域だがなり方自体はまだ超サイヤ人4よりも簡単だろう。

 所定のサイヤ人を集め協力を申し出ればいいだけなのだから。この世界は強さの幅が大きすぎる。

 ガーリックJrのような戦闘力の持ち主だけならまだ大丈夫だが先程のセルのような力の持ち主にも出会うかもしれない。いつもいつも誰かが助けに来てくれるわけではないのだ

 

「……気持ちは嬉しいですけど、やっぱり遠慮しておきます」

 

 しかし光輝の答えは変わらなかった。トランクスは特に落胆せずに理由を待った。自身の掌を見つめながら光輝は続けた

 

「確かに……生きて帰るって約束がある以上力を身に着けるのは正しいとは分かっているんです」

 

 愛美やキリト達にまた会う為には力が必要、それは光輝自身にも分かっている。それが及ばない時の無念さも分かっているつもりだ。

 

「でも……やっぱり俺は俺自身の力で強くなりたい。例え相手が俺よりずっと強くても……全力で戦ってそうやって俺は限界を超えたい」

 

 いつもそうしていたように、いつも通りに自分の力を振り絞り戦って限界のその先へ

 

「大分身勝手なのは分かってるんですけど……俺は自分の力で超サイヤ人ゴッドになりたい」

 

 そう言って掌に向けていた視線をトランクスに向ける

 

「だから……お断りさせていただきます」

 

 それを聞いたトランクスはふっと笑った。そして光輝の掌に究極ドラゴンボールを乗せた

 

「……ますます父さんや悟空さんに似てきましたね」

 

「まあベジータさんみたいな愛妻家になりたいなぁとは思いますけど」

 

 トランクスはそれで首を傾けた。

 

(そう言えば俺の休暇中に事は知らないのか)

 

 と自分が言った事に少しやってしまったという顔になった。気分を取り直してトランクスに向き直る。

 

「じゃあ……分かれましょう。そっちの方が時間効率は良いと思いますし」

 

「そうですね。俺はもう少しこのナメック星を回っていこうと思います」

 

「俺は次のドラゴンボールを探しに行ってきます」

 

 そう言ってドラゴンレーダーを取り出して見てみる。だが反応は無かった

 

「映らない?」

 

「これは今に始まって事ではないんです。この世界広すぎて収まらない時があるんですよ」

 

 そう言って光輝は縮尺を広げた。そうすると1か所点滅していた。距離にして約5万キロ先。2人は空を飛びながら別れを告げた

 

「それでは光輝さん、ドラゴンボールの方、よろしくお願いします」

 

「トランクスさんもお気を付けて」

 

 互いに頷きそれぞれ反対方向に飛んで行った。

 

「光輝さん……あなたはまだ強くなれます。父さんや悟空さん以上に……俺も負けてられませんね」

 

 光輝はドラゴンレーダーを見ながら飛んでいた。最も意識は自分の更なる力の為にどうするか考えていた。

 ただ現状ではどうやって自力で新たな超サイヤ人になるか、どれだけ戦えばいいのかを考える事だった。

 そんな光輝の向かう先には赤ともピンクともとれる空の向こうが見えたのだった

 

 

 

 




お疲れ様です。
光輝、リベンジ達成。今の光輝はメタルクウラでは止められない。ゴールデン化したら無理だけど。

最後に出た空の色は…?

ではでは


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寄生

おはようございます。
新編です。
タイトルで分かる通りあいつが出ます。
因みに今の光輝の黒髪状態はパーフェクトセル以上魔人ブウ未満とイメージしております。



「ねえ、もし大事な人が……ある日敵になったらどうする? うんうん、それどころか自分自身ですらなくなったらどうする?」

 

 愛美がそう隣に肩を預けながら聞いてきた。俺はその質問の意味が分からず彼女を見る。彼女はいつ見ても綺麗な蒼い瞳で俺を見つめていた。

 俺が今まで戦ってきた敵について話していた時の一言だった。

 

「そんなの……仲直りしたいよ。それに俺は俺自身であることを捨てない」

 

 それを聞いた彼女は瞳を閉じて何度か頷いた。

 

「そうだよね。うん、ごめん。忘れて」

 

 今なら彼女がこんなことを聞いてきたのかが分かる。彼女は俺の知らない敵達も知っていたのだろう。だから俺がその敵と戦う時のヒントでもあげようとしていたのかもしれない。

 何故言葉を区切ったのかは分からない。だけど……きっとあの言葉は今目の前の光景の事を表していたのだろう

 

「何で……」

 

 ピンク色の空の元、光輝は目の前の味方だった敵に問いかけた。敵達の背後ではあちこちで爆発が起きている。

 ドラゴンボールの反応を追ってこの場所に……新生ツフル星に来た光輝は歓迎を受けた。攻撃と言う名の。

 

「忌々しいサイヤ人がここにも……父さんはベビー様が倒す。お前を栄光あるツフル人として迎えるのはまだだ」

 

「その代わり……いつでもツフル人になれるよう僕達がいたぶってあげるよ」

 

「ふふふ……」

 

 光輝を取り囲むのは5人の人間、その誰もが邪悪な気を纏っている。

 

「様……だと?」

 

 光輝はその眼光を目の前の敵達の向こうに向けた。そこでは激闘が繰り広げられている。その中から4人の人間が出てくる。

 光輝がまず見たのは最近見た赤い体毛と黒髪、そして尻尾を持つサイヤ人。その身に宿る莫大な気は光輝も感じ覚えがある

 

(あれは悟空さんか。それも超サイヤ人4。もう一人は……)

 

 もう一人の方を見ると光輝はその瞳を大きく見開き唇を嚙みしめる。

 

「何であんたまで」

 

 光輝の呟きが聞こえたのかそのもう一人は光輝を見てニヤリと笑う。その人物は白髪でリーゼント、肌は浅黒く眼もとは眉毛は無い。

 だがその面影は……

 

「ベジータさん……」

 

 悟空はその男とは別の男女二人組と戦っていた。それ故少し余裕気味にその男は光輝を見る。

 

「ほう……ベジータの記憶にはないが貴様からも感じるぞ、悟飯達以上のサイヤパワーを」

 

 光輝はそれを聞き静かに目の前の……悟飯、悟天、トランクス、ビーデル、ブラ相手に構えた。

 

「てめえか、皆をこんなふざけた状態にしやがったのは!」

 

「ははは!! ふざけた状態だと?」

 

 その男、ベビーは愉快気に笑い光輝を見る

 

「そいつらは貴様たち原始的なサイヤ人よりも高度な存在……ツフル人に生まれ変わって喜んでいるぞ?」

 

「ベビー様の言う通りだ。俺達は憎きサイヤ人から栄光あるツフル人、そして偉大なベビー様のしもべになれたんだ。これ以上素晴らしい事は無い」

 

「そうだ。俺達はベビー様のおかげで生まれ変わったんだ」

 

「お前達、悟空を倒したらそいつもツフル人にする。死なない程度にいたぶれ」

 

「「ベビー様の仰せのままに」」

 

 5人はそう言って光輝に気弾を放った。

 

「──!」

 

 光輝のいた場所から爆発が起きる。

 ベビーはそれを見届けてから自分の相手に戻った。

 いきなり現れた自分の同胞にニヤリと笑いながらベビーは攻撃を避けて現れた悟空に追撃する

 

「ぐっ!」

 

「どうした悟空、流石に3体1では分が悪いか?」

 

「さあな?」

 

 悟空はそう返しながらベビーの腹部に強烈な拳をめり込んだ。

 動きが止まったのを見逃さずベビーを更に攻撃し吹き飛ばした。そんなベビーを無視し悟空は拳を同時に向けて来た双子の敵を手をクロスして止めた。

 

「おめえたちも諦めが悪いな」

 

 勢いよく腕を戻し2人は互いに頭突きをした。そしてその2人も悟空は一瞬でベビーの所へ吹き飛ばした。3vs1でもまだ余裕を見せる悟空にベビーが忌々しそうな表情を向ける。

 だが反対に少年少女の容姿である双子の方は楽しそうにしている

 

「いいねえ、彼とっても強いよ姉さん」

 

「そうねオレン。それに彼も……」

 

 ツフル星生まれの人口生命体、それも生まれはキャベやカリフラ達と同じ第6宇宙のツフル人の双子、「カミン」と「オレン」は悟飯達をあしらっている光輝を興味深そうに見ていた。

 オレンと呼ばれた少年は純白の肌に逆立った髪に青い瞳。服装は黒いボディスーツ丈の短い青色のジャケットを上に着用している。

 女性の方のカミンも純白の肌に分け目のあるショートヘアー、服装は黒いボディスーツ丈の短い赤色のジャケットを上に着用している。見た目の通り双子だ

 

「ねえ、彼は僕達が貰ってもいいかな?」

 

 オレンはベビーにそう聞くがベビーは光輝を見ながらも考える

 

「いや、あの小僧は俺が貰う。お前は目の前の奴を殺すことに集中しろ」

 

 それを聞いたオレンはつまらなさそうに臨戦態勢を解いた

 

「……何のつもりだ?」

 

「僕達は君の命令に従う義理は無いんだよ。同族のよしみで協力していただけだからね」

 

 オレンは拗ねた風にベビーを見る。ベビーはそれを忌々しそうにそれを見ていたが今この双子の協力がなければ悟空を倒す事は出来ない。

 だが……自分の計画の為には戦力が必要になる。この双子が自分に協力しているのは利害の一致に過ぎない。安定した駒が必要、協力関係なだけの2人に取られるのは避けたい

 

「俺はどっちでもいいがな」

 

「──!」

 

 3人が前を見ると悟空の隣に光輝が浮遊していた。ベビーは悟飯達がいた場所を見ると全員地に伏していた。悟飯達全員を相手にし光輝は普通に勝利を収めていた

 

「ちっ! 役立たずが」

 

 それを聞いた光輝は眼光をベビーに向けていた。その瞳に現れている感情は怒り。

 光輝は衝動のままにベビーへ迫ろうとしたが肩を抑えられた。光輝が肩を抑えて来た悟空を見るとベビーをまっすぐ見据えたまま悟空は言った

 

「悪いがあいつの相手は俺に任せてくれないか?」

 

 渋々と発せられた言葉の中には静かな怒りが垣間見れた。それで光輝は気が付いた

 

(そうだよな……悟空さんが一番怒っているか)

 

 何がどうしてこんな事になったのかは分からない。だがこのベビーって奴が皆をあんな風にしたって事は分かる。

 それもベジータさんも乗っ取って。一番許せないのは悟空さんに決まっている。

 

「……分かりました。俺はあの双子の方とやります」

 

「彼は自分から僕達に挑むみたいだよ。これで文句はないよね」

 

「楽しみだわ」

 

「お前達!」

 

 ベビーの言葉を無視してオレンとカミンは嬉々として上空に飛んだ。光輝はそれを見上げ自分も上昇する。残されたベビーは悟空を恨めしそうに見る。

 

「あいつら……」

 

「どうしたベビー、声が震えているぜ?」

 

「黙れ! 悟空、貴様は俺が殺す!」

 

「お前じゃ無理だぜ」

 

 悟空がそう答えた瞬間、2人は再び激突した。それを光輝は感じながら目の前の2人と対峙する。さっきの会話を聞いてはいたが結局何がなんのか分からないので聞くだけ聞いてみることにした

 

「お前たち何者だ?」

 

 それを聞いた2人は互いに顔を見合わせニヤリと笑う。

 

「それを聞きたいなら」

 

「僕達を楽しませてよ!」

 

 そう言って2人は光輝に接近した。光輝は2人の攻撃を上空に飛んで躱す。右から女性の方であるカミンが蹴りを放ってきたのでそれを右腕でブロックする。

 左からオレンも回し蹴りを放ってきた、それを頭を下げて回避、カミンが態勢を崩した光輝に追撃の拳を突き出した。

 

「ちっ!」

 

 光輝は吹き飛ばされる。2人はそんな光輝を追う。2人を見て態勢を取り直しながら気を上げる

 

「くっ、はああああああッ!!」

 

 気合の雄叫びを上げて光輝は超サイヤ人2に変身した。

 迫って来る双子へ自分からもぶつかる。オレンを吹き飛ばすとカミンが蹴りを放ってくる。それをガードし、それだけではなく更に蹴りを食らわしカミンも吹き飛ばす

 そのカミンの後ろからオレンが復帰し光輝に攻撃を加える。それでもオレンの拳を取り離す前に膝蹴りを食らわす。動きの止まったオレンを気功波を0距離でぶつけ吹き飛ばした。

 吹き飛ばされたオレンを見送ったら背後からピンク色の気弾が迫っていた。しかし光輝はそれを見ずにその場から消えた

 

「え?」

 

「姉さん後ろ!」

 

 オレンの注意を聞くのと同時に後ろに振り向いたが遅く重い一撃をカミンは貰い吹き飛んで行く。瞬間移動で避けた光輝はカミンを吹き飛ばしたのだ。

 カミンをオレンは受け止めた。

 

「まだやるか?」

 

 2人と同じ高さになり光輝は聞いた。それを聞かれた2人は不敵な笑みを浮かべた。光輝が訝し気な顔になった時、2人の体が青とピンク色の光を纏った。その光が晴れた時、先程の戦いで傷ついていた体が治っていた。

 

(再生能力か)

 

 2人は並んで笑みを浮かべて同時に光輝に肉薄した。光輝は2人の同時攻撃を捌く。

 

(こいつら息ピッタリだな)

 

「どうしたの、もっと僕達を楽しませてよ!」

 

「それとももう終わりかしら?」

 

 合計8つの手足が光輝に襲い来る。その動きは光輝が思考した通りピッタリで反撃する隙が少ない。したとしても直ぐにどちらかがカバーする。お互いがお互いを信用している証であり敵ながら見事だと光輝は思った。

 

「くらえ!」

 

 オレンの拳が光輝を吹き飛ばす。オレンはそれで終わりではなく直ぐに光輝を追いかける。

 光輝は吹き飛ばされながら気弾を放つが2人は弾いて更に接近してくる。

 そんなオレンの体が青く光り始める。

 

「──!」

 

「遅いよ!」

 

 オレンがそう言った直後には既に光輝の目の前にいた

 

「くらえ、スマッシュブレイク!」

 

「ぐあああっ!!」

 

 オレンの体が青い球体に包まれそれが光輝の目の前で爆発した。光輝は爆発を間近で受けて更に吹き飛ぶ。吹き飛ばされながらもオレンがいた場所を見ると

 

(女のほうがいない!)

 

 それを瞬時に把握して光輝は背後に向いた

 

「遅いわ!」

 

 しかし一足遅く既に赤色の球体を纏っていたカミンがいた。

 

「クラッシュブレイク!」

 

 光輝は急ブレーキをかけるが遅く既に赤色の部分に触れていた。カミンがニヤリと笑うと爆発した。それをまともにくらい光輝は更に吹き飛んで行く。

 

(なんちゅー技だ、威力が半端ないな)

 

 吹き飛びながら今の技について考える。自分の気を纏って相手に向けて爆発させる技、所謂自爆技に見えるが使った本人達にはダメージが無さげだ

 光輝の肉体には既に今の技によって傷が付いてそこから血が出てきている。それだけで技の威力がよく分かる。

 

(だけどな……)

 

「何度も喰らう程俺はお人よしじゃねえよ!」

 

 背後でオレンが再びスマッシュブレイクの準備をしているのを見て叫ぶ。それと同時に印を結んだ。

 

「影分身の術!」

 

 光輝の背後に影分身が現れて吹き飛んでいた光輝を背中で止めてそのまま背中合わせでオレンとカミンを見据える。

 オレンは舌打ちしながらスマッシュブレイクを終わらせる。光輝は2人を見て思考する

 

(ただの傷程度ならこいつらはどうやら再生するらしい)

 

 最近俺再生する奴らと戦う事多いな。一応再生キラーの技というか武器はあるけど当てれるか分からないからな。

 笠木みたいに馬鹿みたいにエネルギー波をしてくれたらいいんだけど……こいつらはそれはなさそうだしな。

 

「……分身か」

 

「見たことない技ね」

 

 嘗て自分達を作った存在に植え付けられたデータと照合したがデータは無かった。悟空とベビーがぶつかっている轟音以外の音が無い中、先に動いたのは双子の方、互いのエネルギー波を光輝達に放つ。

 それを光輝は上空に飛び上がる事で回避

 

「はあああ!!」

 

 分身の光輝目掛けオレンは迫る。反対側ではカミンも本体の光輝に迫っていた。2人の光輝は目の前の相手とぶつかった。

 ぶつかった瞬間に光が弾ける。金色と青色と赤色の気のぶつかり合いの勝者は

 

「「ぐっ!」」

 

 弾かれたのは双子の方だった。2人のコンビネーションは確かに厄介だ。だが戦闘力自体は光輝達の方が高い。現に再生する前の2人相手に光輝は寄せ付けなかった。

 2人で戦わせなければ光輝にまだ勝機がある。

 

「こいつ!」

 

「私たちの技をさせないつもり!?」

 

 2人の光輝は先程の2人の技を撃たせないために拳のラッシュを放つ。オレンとカミンはそのラッシュを防ぐ。だがそのスピードは徐々に速く鋭く重い一撃になっていく。

 

「「はあっ!」」

 

 2人の光輝は全く同じ動きで蹴りを放った。今まで拳だけに対応していた2人は唐突に放たれたそれに反応が遅れガードが崩れた。

 がら空きの胴に光輝達の拳が突き刺さる。そこから光輝達は流れるように全く同じ動きで二人にダメージを与え二人がぶつかるようにそれぞれ吹き飛ばした。

 

「ガっ!?」

 

「はっ!」

 

 2人が気が付いた時には互いの目の前に2人の光輝がそれぞれの技を準備していた。カミンの目の前の光輝は腰だめに気を溜めて、オレンの目の前の光輝は手を添えて腰を捻って紫色の光が溢れていた。

 

「かめはめ!」

 

「ギャリック!」

 

波(砲)──! 

 

 蒼き光と紫の光を輝かせているエネルギー波を2人に放ちダメージから回復できていない2人は抵抗も出来ずに飲み込まれた

 

 

 ★

 

 

 地球エリア 新生ツフル星の境界線前

 

「む? この気は」

 

 黒いコートを纏いその下には黒色の戦闘服を着ている戦士は新生ツフル星、そしてその先から感じる激闘の気を察知した。

 

「奴め、相変わらず惨めな気だな」

 

 忌々しそうに眼を細め腕を組んでいる。嘗ての自分を思い浮かべている。今感じている感情の原因は8割がたはあの時の自分への怒りだ。

 しかし今はその怒りを端に追いやって他の気を探る。そして光輝の気を感じ取った時口元を緩める

 

「ほう……この短期間であいつも強くなってやがるな」

 

 初めて時の巣に来た時の光輝を思い浮かべていた。あの時ははっきり言って余り期待していなかった。それどころか事故だったとは言えサイヤ人になった事に腹を立てていたこともある。

 サイヤ人は誇り高き戦闘民族、そんな種族にサの字もないただの地球人を変化させるのはこの戦士……ベジータは嫌だったのだ。

 

「だが……あいつと光輝の野郎が一対一になった時は今のあいつでは負けるだろうな」

 

 今は悟空がともにいるし悟空がその相手を務めているので光輝は目の前の相手に集中できる。だから心配はいらない……がそれでは光輝の成長が出来ない。

 

「それにこの気……あの野郎以外のツフル人か」

 

 ベジータの想像があっていればもし危惧している能力を光輝が戦っている気の存在が出来るのなら光輝はその存在を知らない。

 

「……行ってやるか」

 

 手出しは極力しないつもりだ。光輝に見つからないように見ているだけだ。何もないのならそれでいい。

 

「俺も丸くなったものだな」

 

 だが不思議とそんな自分は嫌いではない。それもこれも悟空との出会いがもたらしてくれたサイヤ人の王子の変化なのだろう

 

 

 ★

 

 

 かめはめ波とギャリック砲、二つの巨大なエネルギー波が2人の戦士を飲み込んだ。二つのエネルギー波がぶつかった事による爆発と煙が辺りを包む。

 光輝達は構えを解き結果を見る。

 

「はぁ……はぁ」

 

「なんて奴」

 

 オレンとカミンは肩で息を切らしながら傷だらけの状態でそこにいた。再生能力はあるといってもダメージは受けるし受け過ぎたら死ぬ。

 魔人ブウのような例外を除けば再生能力は格上には永遠の痛みを味わう事になるのである意味諸刃の剣でもある。

 

「……お前ら、何であのベビーとかいうやつといたんだ?」

 

 戦ってみた感じこいつらはただ強い奴と戦いたい、それだけのような気もする。その探求心自体は俺だって持っているしサイヤ人は少なからず持っている。

 そんな奴が何でベビーと共にいたのかが気になった。

 

「ああ、あいつか。あいつと僕達はどうやら同じ種族みたいだからね」

 

「最も生まれた宇宙自体は別の場所みたいだけど」

 

 第7宇宙とは別の宇宙、第7宇宙と同じような生態系を持っている宇宙は第6宇宙……こいつらはキャベ達と同じ第6宇宙の人間か。

 

「別にあいつといたのは同じ種族のよしみで協力していただけさ」

 

「そう言えばあなたの質問、答えてなかったわね」

 

 お前たちは何者だ? という質問の答えだろう

 

「私達はツフル人が超科学で生み出した人口生命体」

 

 つまり人造人間か、ツフル人……同族のよしみって言っていたからベビーもツフル人か。というか変になった悟飯さん達が言っていたな。

 

「だけどツフル人のやつら、僕達の力が大きすぎるから廃棄しようとしたんだ」

 

「酷いでしょ? 勝手に作っておいて勝手に壊そうとするなんて」

 

 確かに話を聞いただけならこいつらにも同情の余地はある。それだけならその作ったツフル人だけが悪いしこいつらは何も悪くないだろう。

 人間のエゴによって作られた人たちを知っているから余計にそう思う。でもな……

 

「だから僕たちがそんな目にあっている間にぬくぬくと過ごしている人間が憎いのさ」

 

 それを聞いて考えを変えた。

 同情はする。こいつらがどんな目にあいそんな考えを持つことになったのか俺は知らない。だけど……それで平和に生きたいという人達を憎むというのなら……

 

「俺がここで止める」

 

 そう言って光輝達は気を纏う。それを見た双子は面白そうに笑った。

 

「確かに君は強いよ。認めてあげる」

 

「だけど最後に勝つのは私達よ」

 

 怪しげな言葉を放った2人は互いの手を繋いだ。その瞬間、赤色と青色の光が辺り一帯を散らした。それは激闘を繰り広げていた悟空とベビーにも届き2人は一旦距離を取った

 

「あいつら……こんな事が出来るのか」

 

 悟空がベビーから眼を逸らさず呟く。ベビーはニヤリと笑い再び悟空に迫る。

 そして2人の光輝に挟まれたオレンとカミンがいた場所からは光が溢れ出していた。

 

(なんて気だ……!)

 

 次の瞬間、光を出していた人物は分身光輝に肉薄していた。分身光輝はそれに気が付いたがそれ以上のスピードで拳が分身を貫いていた。

 分身はそれによって煙になって消えた。

 

「——ッ!」

 

 分身を消した人影がゆっくりと振り返った。赤色、青色、白色の三色で構成された肉体に青い眼、男女どちらかの体ではなく本当に未知の生命体のような体だ。

 そしてオレンとカミンが同時に話したような声で言った

 

「オレンとカミンで、カミオレンとでも呼んでよ」

 

 次の瞬間には光輝の目の前に迫っていた。光輝は眼を見開きながらなんとか反応しカミオレンの攻撃を躱した。

 カミオレンの拳を一つ取り膝蹴りを食らわそうとしたがその時には目の前から消えていた。

 

(早!)

 

 そう思った時には背中に衝撃を貰い目の前に吹き飛んでいた。目の前には既にカミオレンが、光輝は気弾を放ったが簡単に弾かれてハンマーナックルが叩き込まれた

 

「ぐっ──ッ!」

 

 光輝はそのまま垂直に落下した。ダメージを無視し光輝は地面に着地した、が態勢を取り直した時には上空から気弾の嵐が迫っていた。

 それを見た光輝は瞬時に気を溜めバリアを張りつつ稲妻を走らせた

 

「はああああ!!」

 

 超サイヤ人2・限界突破に変身した光輝は染みる傷を無視しカミオレンへ突進した。気弾の嵐を縦横無尽に躱した光輝は紫色の気を纏ったカミオレンとぶつかる。

 互いに弾かれては弾き轟音と共にぶつかり合う。

 

「はあっ!」

 

 光輝の拳がカミオレンに突き刺さる。

 

「くらえ!」

 

 やられたらやり返すと言わんばかりにカミオレンの拳が突き刺さる。苦渋の表情を浮かべながら光輝は蹴りを放ちカミオレンを吹き飛ばす。

 カミオレンはエネルギー波を放ち光輝に直撃する。

 吹き出す煙の中からカミオレンが放ったエネルギー波よりも高威力のエネルギー波が放たれる。カミオレンはそれを自分のエネルギー波で相殺

 再び中央でぶつかり合う、一進一退の攻防の末2人は一瞬で距離を取りかめはめ波と気功波が放たれ中央でぶつかった

 

「はあああああっ!!」

 

「うおおおおおッ!!」

 

 果てのないぶつかり合い、二人とも徐々にその威力を上げて更に拮抗する。そしてそれを見ているカミオレンは一瞬ニヤリと笑った。

 それと同時にカミオレンの気功波の威力が一気に上がり光輝のかめはめ波を押し返していく。

 

「くっ……! 負けるか──ッ!!」

 

「何っ!?」

 

 それに反応した光輝が赤眼へと変化しかめはめ波を更に巨大化させた。かめはめ波はそのままカミオレンに突き進んだ。それはもう拮抗の余地もなく。

 だが

 

「……ふっ」

 

「──ッ!?」

 

 カミオレンが飲み込まれていく瞬間、何故か笑ったのを見て光輝は背中がゾッとした。そんな不安を消し去る為に光輝は気を輝かせてパワーを上げる。

 そしてカミオレンは光輝のかめはめ波に飲み込まれていった。

 

「はぁ……はぁ……どうだ?」

 

 光輝は赤眼を碧眼に直しながら呟いた。今の威力は完全にカミオレンの力を上回っていた。今ので消し飛ぶか……それじゃなくても戦闘不能に追い込まれるくらいには威力を出したつもりだ。

 爆発の中心地は煙がたかっておりカミオレンは見えない。

 

「……終わったか?」

 

 反撃が来ないのを見て呟いた。

 しかし……光輝が油断した瞬間

 

「——ッ!」

 

 煙の中から赤色の気功波が飛び出してきた。光輝はそれに驚きつつも上空に飛んで躱すことに成功する。

 

「キッ!」

 

 視線を煙の中へと向けたらやはり人影がいた。ただし

 

「男の方がいない!?」

 

 光輝を見上げていたのは分離したカミンだけだったのだ。そしてそれに気が付いた時には既に遅かった。光輝の背後でゾクッとするほど冷たい声が聞こえた

 

「君の体を使わせてもらうよ」

 

 光輝はそれで背後に回し蹴りを放ったがオレンは自分を液体状にしてそれを躱し光輝のあちこちに出来ていた傷跡に液体状のまま入っていった。それは比喩なしにオレン自体が光輝の中へと侵入したのだ

 

「お前……」

 

 何しやがるんだ! と光輝は続けようとした。だが……そこから光輝の意識は無くなった

 




お疲れ様です。
いつも見てくれてありがとうございます。

オレン・カミン、ヒーローズで登場した第6宇宙のツフル人。
皆さんがどう思うかは知りませんが個人的にはこの双子の方がベビーより好感度上です。
ベビーの悪口になりますが自分の力じゃなくて他人の力を利用しないとツフル化計画出来ないベビーよりも寄生はあくまでも手段の1つで途中まである程度自分達の力で戦おうとする双子の方が自分は好きですね。あとトラウマシーンないから笑。
ま、結局皆好きなんだけどね。

(*´∇`)ノシ ではでは~


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サイヤの誇りと譲れない約束

おはようございます。
すいません、昨日思いっきり寝ぼけて6時は6時でも18時に投稿してしまいました。
という事で投稿


「こうーーき!」

 

 愛美が楽しそうに俺の背中に抱き着いてくる。小学校時代じゃ何でか俺への辺りはきつかった気がするが今の愛美は俺によく笑顔を見せてくれる。

 それを見るのが俺も楽しく、そして嬉しくて彼女の髪に触れる。愛美はこの髪や眼にコンプレックスを持っているみたいだけど俺は気にした事なかった。

 それどころかウルトラマンヒカリの色だ! って少し羨ましくもあった。まあそれは小学校時代の話だ。

 今では俺の方が世間的に見ればおかしい部類だとは思うんだがな。

 

 そう思ったのも束の間、光輝は背中の重みが無くなったのを感じて後ろを向いた。そこには先程まで背中に乗っていた愛美がいた。

 別にそれはおかしい事ではない。さっきまで背中に抱き着いていたのだから。しかし光輝は戸惑った。何故なら愛美が悲し気な顔で自分を見ていたからだ。

 それが何故なのか分からず光輝は問いかける

 

「……愛美どうしたの?」

 

「貴方は誰?」

 

 聞いた瞬間に帰って来た答えはそんな光輝からしたら意味が分からない問だった。

 

 何を言ってるの? さっきは自分の名前を呼んで抱き着いてきたではないか? その名前が答えに決まっている。

 

「何言ってるの? ()は光輝だよ。愛美まだ寝ぼけてるの?」

 

 だがそう言って再び愛美に向いたら愛美は先程よりも遠い場所にいた。それもどこか顔を蒼白にしながら。

 

「愛美?」

 

「来ないで、貴方は光輝じゃない!」

 

 その冷たい声に光輝は止まる。今何を言われたのか分からなかった。それでもない頭を使ってようやく理解した時、光輝がするはずない邪悪な笑みを浮かべて一歩踏み出した

 

「僕は光輝だよ」

 

「本当にそう思う?」

 

 その言葉に光輝は頭痛を起こし頭を抑える。それでも……愛美に離れられたくなくて呼ぶ。目の前にいる人が愛美だけではなくなっているのにも気が付かず

 

()は光輝だよ!」

 

 あれ? でも本当にそうだったかな? 

 俺は……何だったんだ? 誰なんだ? 

 

「「光輝! 」」

 

「「光輝君! 」」

 

 誰かが俺を呼んでいる? ……でも誰だろう? 

 

 光輝の視界が徐々に銀色の液体状の何かに塞がれていく。光輝はそれに抵抗できずに突っ立っている。そして

 

俺は誰だ? 

 

 

 

 ★

 

 

 

「ベビーッ!!」

 

 ピンク色の空が広がる新ツフル星エリアに悟空の雄叫びがベビーに迫る。ベビーはガードしようとしたが遅く腹部に強烈な拳が突き刺さる。

 

「ぐはッ!!」

 

 それで攻撃は終わらず今度は気合砲を放ち更に吹き飛ばす

 悟空とベビー、2人の戦いははっきり言って悟空が圧倒していた。そして悟空自身も光輝の戦闘の気を感じ取り光輝の攻撃があの双子を超えていることを確認していた。

 何故か光輝がかめはめ波やギャリック砲を使えることを疑問に思ったが敵ではないようなので安心してベビーと戦うことが出来た。

 だが決め手に欠ける

 

(こいつを倒せばベジータは……)

 

 ベビーを倒すと言う事はベビーに乗っ取られたベジータも一緒に殺す事になり悟空は攻めあぐねていた。どうにかしてベビーからベジータを切り離したい。

 ……それでも何も思いつかなかったら覚悟を決めて消し去るしかない。

 悟空はベビーを上から見下ろす。ベビーは苦渋の表情で悟空を見上げている。このままではベビーは負ける。それが分かっているからこそ打開策を考える。幸い悟空はベジータの事を気にして自分を殺せる技は使えない。

 そんな時

 

「──!?」

 

 悟空が何か悪寒を感じて背後に向くのと同時に放たれた気弾をガードした。

 

「ぐっ!」

 

 しかしその威力は先程の双子よりも威力が高く悟空も唸り声をあげた。悟空が煙を払うとそこには2人の人間がいた。一人は先程まで光輝と激闘を繰り広げていた双子の女性カミン、そしてもう一人は

 

「おめえ……」

 

 髪を白髪に染め額から赤いラインが目元と口から顎の部分まで出ている。しかしその姿はもう一人の双子のオレンではなく

 

「何でおめえが……」

 

「悪いね、彼はもういないよ」

 

 光輝と同じ表情、同じ肉体、まさしく”西沢光輝”がそこにはいた。ただしその肉体を操っているのは光輝ではない。

 ベビーは自身の肉体をゲル状にして人の傷、口、鼻孔から侵入しその人に寄生する事が出来る。そして寄生された人は自分の意志を乗っ取られる。それによってベビーはこの世界に来る前には世界のほぼ10割を手中に収めていた。悟空自身もそれを知っている。だから……直ぐにその考えに至った

 

「……まさかおめえまで」

 

 光輝は……オレンに寄生されたのだ

 

「ちょっとこの体の腕試しに付き合ってよ!」

 

 光輝がするはずのない邪悪な笑みを浮かべ光輝の肉体を持った存在は光輝の気を引き出し悟空に迫った。先程のオレン、そしてカミオレン以上のスピードで迫った光輝に寄生したオレンは悟空と拳をぶつけた。先程までならオレンがあっという間に吹き飛ばされたのにもかかわらず今度は拮抗する。

 オレンは拳を引きつつ反対の拳で攻撃する。

 

「くっ!」

 

 悟空はそれを受け流し自分の拳をオレンに放とうとしたがオレンはそれを躱し上空に飛んだ。そして悟空に追撃させないように気弾を放つ。悟空はそれを弾きながらオレンに迫り乱撃戦が繰り広げられた。

 

「はあああああっ!!」

 

 オレンの拳と悟空の拳がぶつかり合い2人は弾けた。少しの間を取りオレンが興奮の声色で話す

 

「ハハッ! この体いいねッ! 最高だよ!」

 

 その後ろではカミンが満足そうに頷いている。

 

(どうする、こいつもベビーと同じならあいつを殺さなきゃならねえ)

 

 寄生の厄介な所は相手が知り合いだったら動揺させることが出来る点だろう。悟空自身の実力は光輝に寄生したオレンよりも遥かに高い。だから殺そうと思えば光輝ごと消すことが可能だ。

 勿論、この悟空は光輝には今日初めて会った。だがそれでも簡単に何もしていない青年を、自身と共に戦おうとしてくれた青年を見捨てる程悟空は非情にはなれない。

 

「ふふふ、どうやら形勢逆転のようだな? 悟空よ」

 

 悟空の後ろには光輝に寄生したオレンが取り合えず悟空を倒そうとしてるのを見て余裕を取り戻したベビーがいた。

 3人に挟まれる悟空は苦渋の決断をしなければならなかった。

 静寂が場を支配する中、先に動き出したのはツフル組だった。オレンとベビーが一気に悟空に迫った

 

「ちっ!」

 

 舌打ちし悟空は空へ飛んだ。オレンとベビーもそれを追う。悟空は気弾を放って牽制する。

 そしたら思った通り2人は一旦防御しようとした。その隙をつき悟空は瞬間移動でオレンの背後に現れ気弾の場所に蹴飛ばした。

 

「ぐっ!」

 

 そして次にベビーに迫り目にも止まらないラッシュを仕掛ける。

 ベビーはそれを防げず防戦一方に攻撃を喰らう。だが悟空は直ぐに中断せねばならなかった。何故なら背後から気弾が迫っていたからだ。ベビーを蹴飛ばした後、振り返りざまにその気弾を弾き迫って来た双子を迎え撃つ。

 

「そらそらどうした!」

 

「この肉体の人間を気にして本気出せないの?」

 

 2人とも笑いながら悟空に攻撃を仕掛ける。光輝が手こずったコンビネーションを完璧に捌いているのは流石と言えるが光輝と同じく決定打にかけていた。

 いや、元の双子のままなら遠慮なく叩き潰せるのだが今は寄生された光輝がいる。それによって悟空は先程のベビーと同じく攻めあぐねていた。

 

「俺を忘れるなよ、悟空!」

 

 そこで先程蹴飛ばされたベビーが凄まじい勢いで悟空に肉薄していた。流石の悟空も双子のコンビネーションとベビーの三者三様のラッシュに防御に移さなければならなかった。

 

「どうした悟空!」

 

 ベビーは今この瞬間に勝機を見出した。今悟空はそれぞれのベジータと光輝の事を気にして全力を出し切れない。

 そして今は3人で戦えている。もし悟空が覚悟を決めて殺すことにした時、勝てる保証はない。迷いがある今の内に倒そうという算段なのだ。

 

「ここだ!」

 

 オレンがアッパーを繰り出し悟空の交差していた腕が弾かれた。

 

「しまっ……!」

 

 悟空は直ぐにガードをしようとしたが隙を探っていた3人よりも反応が遅く悟空の肉体にそれぞれの拳が突き刺さっていた。

 

「ガハッ!!」

 

 流石の悟空も3人からの同時攻撃は利いたのかうめき声を出して吹き飛んで行った。建物を突き抜け張り付くように激突する。

 

「はぁ……利いたぜ」

 

 悟空が覚悟を決めるしかないのか、そう思った時前方から強力な気功波が迫っていたので悟空はそれを空を飛ぶことによって回避した。

 しかしその先には既にオレンとベビーが突貫しており悟空は再び2人の攻撃をガードした。そして反撃をしようとしたがその瞬間にはカミンも悟空の目の前におり結局防御に専念せざるを得ない。

 

(どうする、もうやるしかねえんか?)

 

 苦渋の表情で自問自答する。客観的に見れば今この3人を倒す方が得策だ。しかしそれでも悟空はライバルを殺すようなことはしたくない。その優しさが悟空の美点であり時には弱点にもなる。

 

「くッ!」

 

 悟空はとうとう3人の攻撃に弾かれ空を吹き飛ぶ。そして態勢を取り直した時には背後ではベビーが、前方では双子がそれぞれ技を準備していた

 

「かめはめ」

 

 光輝の姿をしたオレンは光輝から学習したかめはめ波を

 

「ギャリック」

 

 ベジータに寄生したベビーはベジータの記憶から覚えたギャリック砲を。先程双子に光輝がやっていた構図だ。それをしているのが寄生された本人達というのが悟空には悲しかった、が今はそれを思っている時ではない。今からでは避けるのは間に合わない。相殺しようにも悟空は影分身など出来ない。つまりは防御せざるを得なかったのだ

 

「波(砲)──ッ!!」

 

 2つの巨大なエネルギー波は悟空を消し去るべく突き進み……

 

「何をやっているカカロット!」

 

 その声が聞こえた瞬間、悟空はその声の主に背中を任せてベビーのギャリック砲を咄嗟にかめはめ波で相殺した。

 悟空の背中では同じように光輝に寄生したオレンのかめはめ波を相殺した音が悟空の耳に響いた

 

「サンキューな……」

 

 悟空はそう言いながら背後に現れた自分を助けてくれた人物に声をかける

 

「ベジータ」

 

 超サイヤ人2の状態で腕を組んでいるベジータは悟空の言葉を聞き「フン」と鼻をならす。

 

「なっ!? ベジータ……だと!?」

 

 ベビーがその新たに戦闘の場に現れたベジータを見てあり得ないものを見た顔を見せる。しかしベジータ自身はベビーを見てニヤリと笑って見せる。

 

「ようベビー。久しぶりだな。相変わらず自分の力ではなんも出来んのか? 悟飯の言う通り流石赤ん坊だな」

 

 その口から飛び出したのはベビーからみたら図星すぎる皮肉だった。

 

「黙れ! どのベジータかは知らんがもう一度寄生してやる!」

 

 ベビーは勢いよくベジータに迫ろうとしたがベジータ自身はもう興味がないと言わんばかりにオレンとカミンの方を向いた。

 ベビーは無視された形になり地団太踏んだ。

 

「カカロット、こいつは俺の連れだ。俺がやる」

 

 悟空はそれに一瞬驚いたようにベジータを見た。しかしベジータは既に光輝に寄生したオレンを見据えており何も質問を答える気はと背中で語っていた。

 だがその背中は……今の自分よりも強いと物語っていた。それに気が付いた悟空はふっと笑いベビーの方を向いた

 

「ああ、任せたぜベジータ」

 

 悟空はそう言って構えた。

 そしてベジータは自身のコートを放り投げた。それと同時に静かに気を溜めた。

 

「はあああああっ!!」

 

 そしてその気は徐々に荒れ辺りを吹き荒らす黄金の気へと変貌した。

 

「人がせっかく認めてやりかけたというのにそれを一瞬で裏切りやがって……」

 

 その黄金の気柱が天井知らずに高まりだす。ベジータの雄叫びが大猿のような叫びになる。

 悟空はそれを背中越しに感じながらはっとした後に嬉しそうな顔になる。

 

絶対に許さんぞ──ーッ!! 

 

 怒り全開の雄叫び放ちベジータは変身した。

 紅い体毛に茶色の髪、碧眼に。

 吹き荒れる気が天井知らずに飛びぬける。そして光が晴れた時、超サイヤ人4のベジータがそこにいた。

 

「何っ!? ベジータまで!?」

 

 ベビーが驚愕の声を出す。

 しかし悟空はベジータも超サイヤ人4になった事が嬉しく笑みを浮かべている。2人の超サイヤ人4は同時にそれぞれの相手へと駆け出した

 

「速い!?」

 

 オレンが瞬きした瞬間には既にベジータが目の前に現れていた。そして殺す勢いの拳がオレンに突き刺さる。躱す事も受け流すことも出来ずにオレンは血反吐を吐きながら吹き飛んだ。

 

「オレン!」

 

 カミンがオレンの心配した時にはカミンの目の前にもベジータが既に迫っていた。咄嗟にカミンは拳を振るうがベジータはあっさりと懐に入る事で躱し腹部に強烈な拳をのめり込ませた。

 

「ガハッ!」

 

 カミンの血がベジータにかかるがそれを気にせずグーにしていた手を広げた。

 そしてその開いた手から強力な気功波を放出した

 

「キャー!」

 

 カミンはその気功波を0距離で受けその余りの威力に受け身を取れることなくそのまま地面へと落ちた。ビクビクと震えて意識を失った

 

「姉さん!」

 

 その有様を見たオレンがベジータに突撃した。カミオレンの時以上のスピードで拳を振るったがベジータはそれを無言で受け止め逆にカウンターを食らわしオレンに大ダメージを与えた。

 苦渋の表情を浮かべ落ちかけたオレンの胸元をベジータは掴み自分の目の前に持ち上げた

 

「ぐっ……は」

 

 光輝と同じ顔でオレンは宙ぶらりんになる。ベジータがちらりと悟空の方を見るとやはり攻めあぐねたままだった。

 そして自身がベビーから逃れた時に事を思い出し目の前のオレンを見る。その態勢は光輝が初めて人を殺し落ち込んでいる時にベジータが彼にやっていた事だった

 

「なんてざまだ貴様」

 

 それはオレンに向けた言葉ではない。オレンに乗っ取られた光輝に対しての言葉だった。ベジータは怒りの顔全開で光輝に言った

 

「サイヤ人は戦闘民族だ! ただ己を高め、更なる強さを磨き続ける……それがサイヤ人!」

 

 ベジータはそう言いながら空いている手で光り輝く物体を出した。それは限られたサイヤ人しか出来ない……人工的にサイヤ人が大猿になるための1700万ゼノを星の酸素と気を混ぜ合わせることによって出来るパワーボールだった。但しその出力1700万ゼノ以上だ。

 それをベジータは空に放った。

 

弾けて混ざれ! 

 

 ベジータがそう言った時、パワーボールが弾け新生ツフル星にある酸素と合わさり弾けた。なぜこんなことをしたのか分からないオレンは生きも切れ切れにそのパワーボールを見る

 

 ──ドクン

 

 それを見たオレンは自分のそんな心臓音を確かに聞こえた。

 しかしベジータはそんなものを無視し光輝に向けて叫ぶ

 

「貴様もサイヤ人なら……そんな奴に乗っ取られる事は絶対に許さん!」

 

 この瞬間、ベジータは光輝がサイヤ人である事を認めた。この場にトランクスがいればきっと微笑んでいただろう。しかしそれを聞いているのは光輝に寄生したオレンだ。それがベジータを苛立たせる。

 パワーボールを見て心臓の音が早くなって自分の意識が無くなっていくオレンにはその言葉は届いていない。

 それでもベジータは光輝に向けて叫ぶ

 

貴様はいつまで眠ってやがる! 貴様にとって大事な奴らとの約束はそんなちっぽけだったものなのかあッ! 

 

 ベジータの怒りの声が新生ツフル星に轟いた

 

 

 

 ★

 

 

 

 ここは……どこだろう

 

 暗闇の中、光輝は自分の体が水の中……正確には海の中にある事に気が付いた。それでも何故こんな所にいるのか思い出せない。

 眼の焦点が全くあってなくそれは光輝の意識がそこにいない事を表していた。自分は動かしていないはずなのにどこかでは自分の体が動いていることだけは分かる。

 

 俺は……誰なんだろう? 

 

 何回も自分に問いかけた。それでも……何故か思い出せない。沈んでいく自分の手を海面に向けるが既に届かない。

 海から差し込む光が光輝を照らすがそれも次期に無くなって深い海の様に周りは暗闇に染まっていく

 

 はぁ……はぁ……ぐっ! 

 

 それを見た光輝は過呼吸を起こし苦しみもがきだす。まるで見えない何かに首を絞められたような感覚が光輝に走る。

 自分しかいない空間でそれを助けてくれる者はいない。徐々に光輝は苦しみに抵抗する事を諦めた。海であるはずのない血を連想させる真っ赤な空間へと変貌する

 

 俺は……もう

 

『人がせっかく認めてやりかけてというのにそれを一瞬で裏切りやがって』

 

 光輝の脳裏にそんな声が響いた。それを認めた瞬間、自分の脳裏に自分じゃない自分の視界が出て来た。

 

 ベジータ……さん

 

 ベジータが超サイヤ人4という圧倒的な力を持って自分を殴りつけてくるのが見えた。あっという間に自分を追い詰め何時ぞの態勢に持っていかれる

 

『サイヤ人は戦闘民族だ! ただ己を高め、更なる強さを磨き続ける……それがサイヤ人!』

 

 それがベジータの誇りでありサイヤ人の本質。ベジータはパワーボールを作りそれを空に放った。それを脳裏で見ているだけの光輝の心臓がドクンドクンと高鳴るのを光輝は他人事の様に感じた。

 それでも……

 

『貴様はいつまで眠ってやがる! 貴様にとって大事な奴らとの約束はそんなちっぽけだったものなのかあッ!』

 

 やく……そく

 生きて帰るって約束

 

 笠木との戦いでの約束が一つ

 

 ──親友達の結婚式……

 

 スーツまで買ったのに現状じゃ行けない、それでも光輝は約束を破りたくなかった

 

 ──自分の生還を泣いて喜んでくれた皆

 

 SAOで一人第三クォーターボスに挑んだとき、ヒースクリフとの戦いが終わり皆とオフ会と会った時、そして自分の世界へ帰った時の皆。一人だと思ってた自分に愛情を注いでくれた姉

 

 ──愛してるよ……光輝

 

 そんな声が光輝の脳裏に聞こえた。自分以上に大事な人の声、彼女の為なら何度でも限界を超えられる。それはあの最初の笠木との戦いから変わらない自分の思いだ。

 光輝の眼に光が戻って来る

 

 俺は……俺の名前は

 

 光輝の脳裏にあるシーンが浮かんだ

 

『俺の名前は西沢光輝! アインクラッド最強の戦士、心してかかってこい!』

 

 沈んでいく自分の背中に誰かが手を付けた。光輝には見ることが出来ないが不思議と誰の手なのか分かった

 その人は紅い髪で自分の実姉にそっくりで光輝の姉

 

 また一人光輝の背中に手が触れられた

 彼の二つ名の元である黒いコート着込みその背中に二刀を背負っている光輝の初めての親友

 

 一人……また一人と光輝の背中に触れられていく。その誰もが光輝にとって大切な人達で……自分を引き取って家族にしてくれた人たちも、なんだかんだ付き合いがあった警部も、先生も……そしてあの世界で出会った攻略組の面々も、違うゲームで出会った仲間達も……そして光輝の背中の真ん中に触れた蒼髪の少女も背中に触れた

 

 光輝君

 

 一人が名前を呼ぶ

 

 光輝

 

 また一人呼ぶ。呼ばれる度に光輝の焦点が戻っていく

 背中に触れた一人一人が彼の名を呼ぶ。それが光輝には温かく嬉しくて胸のとっかえが無くなっていく。不快だった過呼吸もいつの間にか収まって意識が戻っていく

 そして最後に彼女の声が聞こえた

 

 待ってるよ……光輝

 

 その言葉と共に背中に触れた手が光輝を海面に向けて押し出し始める。その勢いは止まる事を知らず海面を出る直前、全員の声が聞こえた

 

行ってこい、光輝(君)!! 

 

 その声を背中に受けた光輝はもうその海に戻る事は無かった

 

 

 

 ★

 

 ベジータがパワーボールを出したことで悟空の方でひと悶着あるがベジータの方は決着の時が来ていた

 

「……れは

 

「む?」

 

 呟かれた言葉にベジータは訝し気な顔になったが直ぐに胸倉を離し距離を取った。それが正解で彼から……光輝の声が出てくる。いや、それは声と呼ぶには正しくなかった。それは

 

「俺は……西沢光輝だぁ──ーッ!! 

 

 雄叫びだった。

 光輝の声が轟いた瞬間、光輝の肉体から金色の光が溢れ出した。その光は光輝をあっさりと包み込み直ぐに光輝が見えなくなった。

 しかし外から見ていたら直ぐに光輝の肉体が巨大化しているのは一目瞭然だった。光と共にその肉体は巨大化していく。

 それを見たベジータはニヤリと笑う

 

「そうだ……それでこそがサイヤ人だ!」

 

 光の気柱から大猿の雄叫びと共に彼の声が響き渡る

 

「俺は……俺だ。誰にも渡さねえぞ!!」

 

 その雄叫びと共に光の中の影が縮んでいく、しかし気は減るどころか逆に爆発的に上昇を始める。その嵐に耐え切れなくなったのか一つのゲル状の影が光から逃げてくる。

 その影は一定距離を離れた時、人の形へと戻り光輝に寄生出来なくなったオレンがそこにはいた。しかしベジータはオレンに興味は無く腕を組み光輝を見る。

 

「な……なんだよこいつ!」

 

 いつの間にか復活していたカミンが息も切れ切れにオレンの隣に現れる。

 三人の視線の先ではとうとう光の縮小が収まった。

 彼は光の殻を破った。

 そこには紅赤の体毛が上半身にあり、超サイヤ人3程ではないが髪も真っ黒でボリュームが増えその瞳は金色になった光輝がいた

 

「フン、ようやくお目覚めか」

 

 ベジータがそう渋々告げた。それに光輝は申し訳なさそうに、そして今までよりも低い声で言った

 

「すいません、お手を煩わせて」

 

 超サイヤ人4へと覚醒した光輝がそこにはいた。

 光輝はベジータに謝った後、双子の方に向いた。その眼光は今までの光輝の比ではなく全てを射貫くような鋭い眼光になっていた。

 

「よくも俺を乗っ取ってくれたな……覚悟はいいな?」

 

 謝罪は受け入れないとばかりに光輝は今までとは別次元のスピードを持って2人の人口生命体に突貫した

 

 

 

 




お疲れ様でした。

光輝、ようやく覚醒。大猿で理性を保つ所は深層世界的な所で済ました。
海のシーンは光輝の深層心理をイメージ。元になったやつは多分分かる人は分かる。

因みに光輝が超サイヤ人4になってもまだGTの悟空の超サイヤ人4程強くないです。基本戦闘力が悟空の方が高いから。

何となく気になったからアンケートしてみる。

次回、光輝の怒りがツフル組に炸裂。この話から光輝の強化ラッシュが始まる


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決戦も決戦、超最終決戦!

おはようございます。
ツフル編最後です。最初はハッチヒャックとか出そうかな思ったけど今更手に負えないからパスした。


 力が漲る。俺の肉体に気が溢れ出しその力の大きさに俺自身も振り回されそうになる。

 だけど、不思議と怖くは無かった。

 ベジータさんが思い出させてくれた。俺はまた約束を果たす為に今、目の前の敵と戦う

 

 光輝はオレンとカミンの背後にいた。一瞬で2人の間をすり抜け背後を取った。しかし光輝も双子も動かない。いや……

 

「——!? ぐあああっ!!」

 

 オレンが絶叫しその絶叫と共にオレンの四肢がはじけ飛んだ。

 カミンが恐怖の感情を持って光輝を見るとさっきまでそこにいたはずの光輝は既に姿が見えなかった。それを認識したのと同時にカミンの背後から強烈な痛みが走りオレンともども地面に叩き落とされた。

 

「はぁ……はぁ……ぐうう!」

 

 オレンは倒れたまま上空にいる光輝を見る。そして気力を振り絞り四肢を再生する。憤怒の表情で光輝を睨むが本人は冷たい瞳でオレンを見下している。ともに地面へ落ちたカミンが言った

 

「もう一度やるわよ」

 

 オレンは頷きカミンと手を繋ぐ。そうすると再び2人は合体しカミオレンへと変化し光輝の目の前に現れる。

 

「はぁ……僕達が最強なんだ!」

 

 どこか確かめるように叫び光輝に突貫する。そして連続でラッシュを仕掛けるが光輝はそれを涼しい顔で避けていく。

 徐々に焦りを覚え雑になっていく攻撃の一つを止め、光輝は膝蹴りを噛ました。鈍い音と共にカミオレンがくの字に曲がり動きが止まる。

 カミオレンの腕を取り光輝はそのまま振り回し始めた。その勢いは周囲に小規模の嵐を起こしカミオレンを投げ飛ばした。

 

「終わりだ……」

 

 低い声で呟かれたその声は不気味に聞こえカミオレンが眼を開いた時には既に光輝の掌で視界が埋まっていた。

 

「じゃあな」

 

 カミオレンはその言葉を最後にその肉体を消滅させられた。

 それはあっけない最後だった。それほどまでに光輝の気が高まっていた。

 光輝はALOと同じ感覚で生えて来た尻尾を動かす。案外尻尾も戦闘の役に立ちそうとか思いながらベジータを見る。

 ベジータも光輝を見ていたが2人は何も言わず悟空の方を見る。

 

「ベジータさんの肉体を使ってるからな」

 

 そこでは大猿となったベビーが悟空さんと激闘を繰り広げていた。ベジータさんが作り出したパワーボールを使って大猿になったのは簡単に想像できた。あのパワーボールには尻尾が無い俺の為に普通よりも出力が強いゼノを含んでいたからな。尻尾が無い俺でも大猿になれたんだから異分子が入っていると言えベビーも大猿になれるのは道理だな。

 そして実際それがベビーが悟空さんに勝つための最善策だろう。

 だけど……これがベジータさんの作戦なんだろうな。俺を超サイヤ人4にする為ってのもあるんだけどもう一つはベビーに乗っ取られた自分を助ける為でもあるんだろう。

 

 光輝とベジータは姿を消し次の瞬間には大猿となったベビーの目の前に現れる。

 

「——!?」

 

 ベビーが唐突に表れた二人に驚愕していたら二人が同時に気功波を放ちベビーの視界が崩れた。

 攻撃した2人はそのまま悟空の隣に並んだ

 

「おめえ……そいつは超サイヤ人4じゃねえか!」

 

 悟空がびっくりしたと言いたげな顔で光輝を見て来た。光輝も大猿ベビーを見ながら答えた

 

「はい。心配おかけしてすいません」

 

「ああ、さあ暴れようぜ!」

 

 光輝と悟空はそれぞれ構えた。そんなやる気満々な悟空にベジータは聞いた

 

「カカロット、貴様はいつここに来た?」

 

「え? ……俺は超サイヤ人4になった時にここに来た。そのままベビーの奴と戦っていたからここがどういう場所なのかはまだ分かってねえが……」

 

 悟空はそこで言葉を区切りベジータを見る

 

「そんなに強くなってるお前がいるってことは元の世界じゃねえんだろ?」

 

 悟空さんはこの世界に来てからずっとベビーと戦ってきたのか……いや違う。いくらなんでもこの世界が出来て二週間は経っている。そんな長い事戦うのは物理的に不可能だ。

 つまりこの悟空さんは

 

「成程、引き込まれる歴史にもタイムラグがあるのか」

 

 それがつまり……まだ他の歴史からも引き込まれる可能性があるのか。それが皆味方ならましなんだが多分そうはならんよな。

 マシな敵がいる事を祈っとこう。

 ……と思ったらベジータさんが反対方向に向いた

 

「お前達、二人でやれるな?」

 

「え……まあはい」

 

「おめえはどうすんだ?」

 

「俺はやることがある」

 

 そう言ってどこかに飛んで行った。

 まあ……ベジータさんがやるんだったら大事な事なんだろうな。不思議と今は自信が溢れてくる。ベジータさんが俺に託してくれた。だから俺はここで退くわけには行かない。

 

「ふ……フハハハハ!!」

 

 いきなり笑い声が聞こえ光輝はベビーの方を見た。ベビーは高らかに笑っている。それが何なのか分からん光輝は訝しげに見た。2人の超サイヤ人4に頭がおかしくなったのかと思ったのだ。

 しかし事実は反対だった。

 

「俺に尻尾巻いて逃げたか! 無様な奴め!」

 

 出たのはベジータを罵る言葉、それに反応した悟空が何かを言おうとしたら隣から気と怒気を溢れ出した光輝に無言で止められた

 

”あ”? 

 

 ただそれだけなのに不思議と空間を伝いベビーにも届いた。光輝はベビーの顔面の正面まで飛び怒気を孕んだ声で言った

 

「黙れよ……自分の力では何も出来ない赤ん坊があの人を語るんじゃねえ」

 

 ベジータさんは最初俺の事を気に入らない節があった。でも、それはベジータさんの立場からしたら分かったから気にしては無かった。 

 それに……なんだかんだ言って俺に殺す気で修業を何度もしてくれた。俺が本気で落ち込んで悩んだときは喝を入れてくれた。

 強さもそうだけど……あの人は不器用ながらも人を思いやれる優しい人ってことも知っている。だから俺はこのクズに……あの人を否定させはしない

 

「貴様の相手は俺達だ。……誇り高き戦闘民族を……その王子を貴様如きに否定させはしない!」

 

「黙れ!」

 

 ベビーの叫びと共に決戦の火蓋が切られた

 ベビーの大猿故の巨大な掌が光輝を捉えようと動いたが光輝はそれを超サイヤ人4のスピードを持って躱す。

 

「クソッ!」

 

 ベビーが気弾を何個も作り光輝目掛けて撃つがそれを光輝は華麗に躱しながら自分も気弾を放ち相殺する。そしてベビーと戦っているのは光輝だけではない。

 光輝目掛けて気弾を放っているベビーの眼前に悟空が現れがら空きの顔面に強烈な右ストレートが突き刺さった

 

「俺を忘れるなよ、ベビー」

 

「悟空!」

 

 ベビーは光輝への攻撃を止めて目の前の悟空を攻撃するが悟空も超スピードで姿を消す。

 

「どこだ!」

 

「ここだ」

 

 ベビーの問いかけには背後から答えが返って来た。ベビーが慌てて振り向こうとしたところ、膝から力が無くなり膝の関節部分を攻撃されたことに気が付いた

 

「貴様ぁッ!!」

 

 見えない場所に気弾を放って悟空を下がらせようとしたが後ろを向いた隙に今度は光輝がベビーの顔面に現れる

 

「そーら、プレゼントだ!」

 

 そう言ってほぼ0距離で気功波をぶつけベビーの視界が潰れた。

 

「ぐあああっ!!」

 

 余りの痛みにベビーは無差別に暴れだし光輝と悟空はともに退却した。空を飛び2人してベビーを見下ろす。

 視界が戻って来たベビーは憎しみの気を持って2人を見上げる。

 今の攻防、それだけでどちらが有利なのかは自明の理だった。その理由はいくつかあるが……

 

「お前は人の力に頼ってばっかりでお前自身には何のテクニックもない」

 

 ベビーは忌々し気に光輝の言葉を聞いている

 

「自分で努力もせず人のもので威張り散らかすのは三流の人間だ」

 

「だ……黙れ! お前達サイヤ人は皆殺しにしてやる!」

 

「やってみろよ。その皆殺しにするサイヤ人の肉体を使う事でしかそれを成しえないベイビーが出来るのならな」

 

 煽り全開で光輝と悟空は消えた。しかしベビーには視認できており二人を近づけないためにエネルギー波を放つが超サイヤ人4のスピードをもって二人は躱していく。

 

「ちょこまかと!」

 

「ちょこまか逃げて他人に寄生するお前にだけ言われたくはないな!」

 

 光輝の言葉が一々ベビーの怒りを買う。それを証明するかのようにベビーの照準はどんどん乱れていく。

 

「お前なんかより……ベジータさんの方がずっと強い!」

 

 光輝の一撃がベビーの巨大な腹に突き刺さる。

 

「グオオオッ!?」

 

 その余りの一撃にベビーが苦悶の声を上げる。しかしそれすらも許さないとばかりに今度はベビーの顎が跳ね上がった。

 光輝の強力なアッパーだ。それによりベビーの意識が一瞬吹っ飛ぶ。しかし眠る事は許さんとばかりに光輝はベビーを何度も殴りつける。

 

「その体はなぁッ! 細胞の隅々まで、ベジータさんが長く激しい戦歴で鍛えて来たものだ!」

 

 光輝の叫びと共にベビーに繰り出される連撃が速く重いものになっていく。ベビーはとうとう防御さえも出来なくなりただのサンドバッグへと変貌した。

 

「貴様にとっては所詮借り物!」

 

 光輝がベビーをボウリングの玉の様に殴り飛ばした。そのベビーを光輝は追撃する。その形相は怒りに満ちており連撃は激しさを増していく

 

「あの人のような天才にしか使いこなせないサイヤ人の! 細胞が……あるんだああっ!!」

 

 光輝の雄叫びと共に乗せた拳がベビーに抵抗の余地もなく貫いた。爆発的な轟音と共に吹き飛んで行く。そして光輝は隣に現れた悟空に言った

 

「こいつで決める!」

 

 光輝は両手を左右に広げその左右に溜まった気を中央で合体させる

 悟空は腰だめに気を溜める。

 溢れ出した黄色と青色の光がその場を照らす

 

「ファイナル!」

 

「かめはめ!」

 

波──ッ!! 

 

 2人の最大最強の技がベビーに放たれる。2人の技は途中で合わさりその強さを何倍にも引き上げる。そしてベビーは満身創痍の肉体を起こしそれが迫っているのを見た。

 

「クソオオオッ!!」

 

 最後の悪あがきでギャリック砲を放つが光輝と悟空の合体技にあえなくかき消される。

 

「馬鹿な……この俺がアアアア!!」

 

 その言葉を最後にベビーはファイナルかめはめ波に飲み込まれていった。

 

 ★

 

 どこかのアジトらしき場所、そこではシーラスがある男と面会していた。

 紫色の肌を持ち長いコートを着込んでいるその男は人を黙らせることが出来る眼光の威圧を持ってシーラスと会っている。

 

「お前に殺してほしい奴がいる」

 

 その男はポケットに手を突っ込んだまま問いかけた

 

「誰だ?」

 

 男の職業は殺し屋、それ故に依頼を受けたら必ず受ける。例えそれがどんな相手でも。男の前にデータが出現する。

 蒼い羽織に赤のインナー、背中には蒼赤の双剣を背負っている。

 男はそのターゲットの情報と現在位置、そして報酬を確認する。

 

「受けよう」

 

 そう答えた男にシーラスはニヤリと笑い言った

 

「期待しているぞ、第6宇宙の殺し屋……ヒットよ」

 

 赤い殺人を何度もしたと思わせるような瞳がシーラスを射貫いていた

 

 

 ★

 

 

 俺と悟空さんが同時に放ったファイナルかめはめ波、その爆心地に俺達はいた。そこでは大猿のままのベビーがうつぶせになって気絶していた。

 

「ほんと、ベジータさんって頭いいよな」

 

 光輝はそう呟き悟空と頷く。光輝は邪魔にならないようにと単純に逃げ出すであろうあいつを討つ為に離れた。

 

 俺の視線の先では悟空さんがベビーが大猿になった際の尻尾を消滅させた。

 ベジータさんがパワーボールを出した理由、それはベビーを大猿にさせる為でもあった。その理由は大猿になる事でベジータさんの肉体とベジータさんに寄生したベビーも巨大化させる。

 そしたらベビーも大猿の影響ででかくなっているはずだから恐らく、元の大きさに戻ろうとするベジータさんの肉体に逆に大きくなってしまったベビーの体がせめぎあう。

 俺には皆目見当もつかない苦しさだろうが……容量をオーバーした身体に居座り続ければ

 

「……でたか」

 

 ベビーは寄生をやめざる負えなくなる。そうしなければ自分が逆にベジータさんの細胞に押しつぶされて死んでしまうからだ。

 ベジータさんはそれを狙って、そして俺と悟空さんを信じてこんな作戦にしたんだろうな。

 実際、縮小するベジータさんの肉体から銀色のゲル状のものが飛び出してきた。

 俺はそのゲル状のものの前に現れる

 

「逃がすと思うか?」

 

 だけど……どういう訳かゲル状になったベビーはそのまま俺に接近してくる。……ああそうか。俺まだベジータさんにやられた傷があるから今度は俺に寄生しようと思ったのか。

 ……え? こいつ何にも学んでないな

 

「馬鹿かお前」

 

 光輝がそう言って印を結んでベビーが接近して来た時、今までの千鳥とは比べ物にならない威力の千鳥がバリアの様に光輝の肉体をに纏った

 

「ぐあああっ!!」

 

 その千鳥を光輝に寄生しようとしたベビーは絶叫しゲル状に保てなくなりその姿を現した。肌色は水色で赤いラインが入った黄色のジャケットを着こみ身長は大猿になる前のベビーと同じくらいだった。

 

「お前が本体って訳か……」

 

 光輝がちらりと悟空の方を見ると悟空はベジータの方を助け起こしていてそのまま光輝に「おめえがやれ」って意味で頷いた。

 光輝はそれに頷き返し一歩、また一歩とベビーに向かって歩く

 

「く……クソが! 忌々しいサイヤ人め!」

 

 ベビーが冷汗をかきながら後退する、しかし光輝はベビーが逃げ出しても逃がす気なんてさらさらない。

 

「貴様に何があってサイヤ人を憎むようになったのか、俺は知らない。だけどな」

 

 次の瞬間にはベビーの目の前ではなく背後にいた

 

「あ……ああ」

 

「貴様がやった事だけは……絶対に許さねえ!」

 

 光輝怒りの声と共にベビーの身体にいくつもの打撃痕が現れ徐々に浮き始め終いにはベビー自身が上空に吹っ飛んだ。

 光輝は片手にエメラルドグリーンの気を出し高め始めた。そして成すすべもなく吹っ飛んで白目向いているベビーに向けて最後の攻撃を放った

 

「くらえ! ファイナルシャイン……アターック!! 

 

 光輝が放った瞬間、光輝の立っていた地面に全出力が乗り光輝の足を地面に練り込ませる。それが今放った技の威力を如実に表しており、その技は抵抗もろくに出来ないベビーへと突き進み

 

「さ……サイヤ人——ッ!!」

 

 呪怨の叫びと共にベビーはその身を散らしたのだった。それを見届けた光輝はそっと腕を下した

 

(ありがとな、愛美)

 

 ファイナルシャインアタック、ベジータの技だ。しかし光輝がこれを出来るのはベジータから直伝されたわけではない。

 愛美と偶々自分の出来る技について話してた時に教えてくれた技だ。何だかノリノリで真似していたのを覚えている。

 こんな時でも……大事な人とのつながりがある事に光輝は嬉しく思ったのだった

 

 

 ★

 

 

 光輝の世界 アメリカ カリフォルニア州

 

 愛美が通っている中学、そこでは愛美が友人と昼食を取っていた。

 あのレインとのデュエルの後、愛美は再び両親に自分の想いを話した。やっぱり反対された。しかし、それでも愛美は粘り強く言い続けた。

 それが実り愛美は……両親を説得することに成功した。そんな愛美が最近していることはやはりALOでの修行だ。そこでしか実践的な修業は出来ないし肉体的な修業も愛美は始めている。

 元々体形維持の為に運動はしてきたし愛美自身やる気が漲っているのでサボる事は無かった。それ故か愛美のプロポーションは同級生の中でも特に秀でている。それもあって愛美はモテるのだろう。それはさておき……

 ALOでは仲間ともし総力戦になった時はどうするか、や戦闘の色はまで叩き込まれている。

 全ては光輝を助ける為、愛美の想いはあの日からどんどん高鳴っていった。

 

『ありがとな、愛美』

 

「え?」

 

 不意に光輝の声が脳裏に聞こえ思わず外を見上げる。そこにはあの次元の切れ目があるだけだ。だけど……

 

(今確かに聞こえた、光輝の声)

 

「エミ……?」

 

「どうしたの?」

 

 友人が英語でそう聞いてくる。いきなり外を見た愛美を不審に思ったのだろう。ついでに言うなら愛美の口元が知らず知らずに笑みを浮かべていたのもあると思うが。

 愛美はそれに気が付き首を振りながら英語で返す

 

「うんうん、何でもない」

 

 そして愛美は友人との会話に混ざる。その心の中では

 

(私も頑張るから。待っててね、光輝)

 

 果てのない純愛の想いは次元すらも超えていく

 

 

 ★

 

 

 光輝とある事をして帰って来たベジータは遠目からベビーから逃れたベジータ、そして悟空。更に……ベビーの支配が解け正気に戻っていた悟飯達と再会を喜んでいるのを見ていた。因みにもう二人とも超サイヤ人4の変身を解いている。

 

「ベジータさん、助けてくれてありがとうございました」

 

「フン、世話を焼かせやがって」

 

 ベジータはこの歴史にもやって来ただろう超神水というアイテムを探しに行っていた。この超神水は邪気や寄生された人達を正気に戻す事の出来るアイテムだ。ベジータは過去の経験から界王神が悟飯達を正気に戻す為に持ってきていたはずだと考え、それを探しに行っていたのだ。

 

「ははは……すいません」

 

 本当に申し訳なさそうな顔で謝った。しかしベジータはもう興味が無いのか自分達を見ていた。いつの間にか来ていたのかオレンジ色のバンダナを頭に巻いている女の子や何時ぞの世界チャンピョンも集まっていた。

 

「あ、そう言えばドラゴンボール探さなきゃ」

 

 光輝が当初の目的を思い出しドラゴンレーダーを取り出し見てみると……

 

「……はい?」

 

 自分の現在地にどういう訳か反応がある。しかし光輝自身はドラゴンボールを持っていない。でも反応は確かにあるからドラゴンボールを持っているのは自分と同じ位置にいる……

 

「受け取れ」

 

 ベジータからドラゴンボールが投げられ光輝は慌ててキャッチした。そこには黒色の星が書かれている究極ドラゴンボールで星の数は5つだった。

 

「超神水を探している時に見つけた」

 

 トランクスさんの時に思った事訂正していいかな? 俺はベジータさんの血筋の人からドラゴンボールを貰うというジンクスでもあるのだろうか? 

 

 光輝がそんな事を思っていたらベジータが言った

 

「ここからは別行動だ」

 

 光輝もそう考えていたので素直に頷いた。しかしベジータの言葉はそれだけではなかった

 

「お前はまだ強くなれる。この世界をお前の力で脱出してシーラスの野郎共との戦いが終わった時、俺様の本気で戦ってやる」

 

 ベジータさんはその背中を俺に向けてそう言った。俺は今まで修業で悟空さん達に本気を出させたことは無い。

 だけど……この世界を、そして戦いが終わったら全力で戦ってくれると言ってくれた。それが俺には嬉しかった。その時はベジータさんが俺をサイヤ人として……そして人間としても認めてくれる瞬間だから。

 

「サイヤ人は誇り高き戦闘民族、お前もその一員だというのなら……」

 

 ベジータさんはそこで鋭い眼光と共に俺を見た。でも、そんな視線を受けても俺の中ではサイヤ人の性なのかどうしようもない程本気のベジータさんを想像するだけでもワクワクしている。

 

「さっきのような無様な戦いだけはするなよ」

 

「はいっ!」

 

 光輝の答えを背中に受けベジータは再びコートを羽織り新生ツフル星の空を飛翔した。それを見送った光輝は笑みを浮かべてベジータの反対方向に向いた

 

「……よし! やってやる! 絶対にあなたも悟空さんも……皆超えてやる!」

 

 嬉々として光輝は飛び上がり新たな戦場を探しに……そして飽くなき探求心を満たす為に飛翔した




お疲れ様です。

光輝、ベジータからの免許皆伝の為に頑張る。

光輝がベビーに言った事は完全にブラックにベジータが言った事と同じです。最初は悟空に言わせようかなって思ったけど悟空は言わなさそうと思ったのでベジータをリスペクトしてる光輝に言わせました。

光輝、もしかしたら技の知識に関しては愛美に頼った方が良いまである疑惑出てくる。そして第6宇宙の殺し屋が光輝に迫る。

ではでは


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光輝よ、神の力を手に入れろ!

おはようございます。

新しい戦い勃発。

今だけの設定で光輝はまだ超サイヤ人4になれるのはなれるんですけど気がある程度残ってないと出来ない…っていう設定にしてます。
悟空ゼノとかは黒髪時には尻尾が無いので光輝も通常時は無しです。

勿論、時間が経ったら気が少なかろうが自由にならせる事が出来るようになります。

前言ったと思いますけど覚醒ラッシュです。


 地球エリア 岩場

 

 

 気持ちが晴れる程の晴天の中、光輝は再び世界を飛んでいた。因みにツフル星での戦いから一週間後だ。

 あのベビーとの戦いの後、光輝はあの超サイヤ人4への変身をある程度余裕があれば出来るようになった。これで少しは悟空達に追いつけたかなと思う反面、同じ超サイヤ人4になったからこそ感じる悟空達との差もまた感じてしまう。

 だが光輝はそんなに気に病んではいない。これから強くなっていけばいいのだから。

 

「……やっぱり難しいよな」

 

 光輝は空を飛びながらそう呟いた。現在光輝が頭を悩ませているのは神の気についてだった。この世界に来る前、ウイスに修業をつけてもらっていた時に神の気になる時の条件みたいなものを考えていた

 

「気を表面化させず自分の中で高める。……理屈は分かるんだけど難しいんだよな」

 

 今も飛びながら試してみているがどうしても体外に出てしまう。

 ウイスさん曰くちゃんと素質はあるみたいなんだけど……なまじ気を神の気にする超サイヤ人ゴッドの前に溢れ出す気を体外に放出する超サイヤ人4になったからやりにくくなったんだろうな……嘘です。只の修業不足です。

 

「やっぱり実践でなる方が手っ取り早いんだよな」

 

 超サイヤ人4一本に絞る事も考えたけど俺の最終目標はあくまでも悟空さん達だ。多分……というか絶対に超サイヤ人4だけで勝てる程あの人達は甘くない。

 もっと変身できるバリエーションを増やして尚且つそれを使いこなせないと悟空さん達には勝てない。

 ただ今のままじゃ超サイヤ人ゴッドにもなれないんだよなぁ。

 

「油断してたらあっという間にやられるような……そんな力を持った人と戦えばいけるかもしれないけど」

 

 そんな都合のいい人いないよな。

 でも確かにそんな人が相手だったら俺も気を張り詰めないとダメだしその過程で多分無意識に体内に気をとどめることが出来る……筈。

 

「休憩しようか」

 

 光輝はそう呟き適当な岩場に降り立ち座った。

 量子変換機から水筒をだして飲む。ごくごくと飲み終わった光輝は生き返った~! という顔をしながら水筒をしまった。

 

「——!?」

 

 その時、光輝は何かの視線を感じ立ち上がった。

 

「誰だ!」

 

 光輝が叫ぶ。だがどこからも返事はない。それが臨戦態勢の合図だと仮定し光輝は超サイヤ人に変身した。そしていつもの構えをしながらあたりを警戒する。

 

「……なんだ、この背筋が凍っちまうような視線は」

 

 まるで殺し屋のような……そんな視線を感じる。まあ今のは物の例えだがそれでも一瞬背中がひんやりとしたのは否定できない。

 超サイヤ人4になって俺は生半端な敵ではそんな視線を受けても背筋がひんやりする事にならなかった。だけど……今のはこの一週間戦ってきた有象無象とは訳が違った。

 俺はそこで気を感じ取る事が出来たのでその岩場の方に身体を向けた

 

「そこにいるんだろ?」

 

 大きな岩場、そしてその陰に隠れている誰かに光輝は言った。しかし返事はない。戦うつもりもないのなら光輝はここをさっさと離れるつもりだが……

 

(動かない、どういうつもりだ)

 

 光輝が先程まで座っていた岩場の頂上から光輝を見下ろす人影がいた。光輝は未だに岩陰の方を見ている。その人影の主がゾクッとするほどの低い声で言った

 

「お前を殺しに来た」

 

「——!?」

 

 光輝は自分が実質背後を取られたことに一瞬体がビクンと震えた。声をかけられなければ気が付かなかったかもしれない。しかしここまで培ってきた気概を持って問いかけた

 

「へえ。こんな簡単に背後を取られるとはな……」

 

 少しショックを受ける。自分も相当強くなったつもりだが……上には上がいるものだ。

 

「仕事を始める、こっちを向け」

 

 光輝は別にそれに従ったわけじゃないが勢いよく距離を取って振り向いた。上から自分を見下ろすのは紫色の肌を持った人間。黒っぽいロングコートを着ている。

 その冷徹な赤き瞳が光輝を見下ろしている。

 

「お前は……」

 

 その人物がポケットに手を入れたまま岩から降りてくる。そして右手をポケットから出す。

 

「俺の名前はヒット。お前を殺すよう依頼された、西沢光輝」

 

 光輝は構えながらヒットを観察する。しゃきっとした佇まいからは自分を殺せるという自信が溢れ出しておりそれを証明するかのように

 

(隙がねえ)

 

「……だったらさっき俺の背後を取った時に殺せばよかったものを」

 

「背後に立つことで人は死を覚悟する。背後に立つのはその為だ。そして……」

 

 ヒットは言葉を区切る。その瞳で光輝を射貫く

 

「殺すのは正面から一撃と決めている」

 

「一撃……か」

 

 光輝はそう呟きヒットを見据える。しかし直ぐにその口元を笑みを浮かべ

 

「そう簡単にいくかな? 俺は強いぜ?」

 

 そう言った瞬間、光輝は金色の気を纏いヒットに突撃した。そしてその鋭い右ストレートをヒットの顔面へと放った

 

(捉えた!)

 

 しかし……

 

「何っ!?」

 

 光輝の攻撃がすり抜けたのだ。光輝は何度も拳や蹴りを放つがそのどれもが透ける。それを見て光輝は距離を取った。

 ヒットはそこにいるのにもかかわらず攻撃は当たらない。

 

(どういう事だ? まさかカカシさんの神威と似たような能力なのか?)

 

 嘗て巻物で見たナルトの先生であるカカシを思い浮かべる。

 しかし神威の為に必要な写輪眼はヒットにある訳ないし完全に違うものだとは分かる。

 

(取り合えず……こいつの能力を判断しない限り俺に勝機は無い)

 

 ヒットはあくまでも一撃を望むのか全く攻撃をしてこない。

 動いたのは光輝、高速で印を結び大きく息を吸った

 

「火遁・豪龍火の術!」

 

 光輝の口元から勢いよく出て来たのは龍の形を模した炎だった。ヒットはそれを見ても微妙だにせず豪龍火はヒットのいる場所へと直撃し爆発した。

 光輝はそこで一瞬気を0にした。それと同時に影分身を出して気を消した本体の光輝は適当な岩陰に隠れた。……見つかるかは賭けだが何も分からないままでは埒が明かない。

 

「無駄だ、お前に俺を捉えることは出来ん」

 

「余裕噛ましてたら足元救われるぜ?」

 

 影分身の光輝は不敵に笑いヒットに攻撃するがやはり攻撃は透けていく。だが体は見えているという不思議な現象になる。

 

「チっ」

 

 舌打ちし分身光輝は距離を取る。物理攻撃が無駄なら遠距離攻撃をしようと気弾を形成する。

 その瞬間、ヒットが目の前に現れ光輝は咄嗟に後退する。ヒットはそこでポケットから出した手を握り光輝目掛けて引いた岩陰から本体の光輝はそれを見て思考する

 

(その距離じゃ拳は届かないぞ。……まさか!)

 

 飛ぶ打撃!? 

 

 光輝がそう思考した瞬間、岩陰に身を潜めている光輝の前方から

 

「終わりだ」

 

 その声だけが聞こえ……

 

「ガハッ……!?」

 

 光輝が苦し気な声を上げた。その光輝の心臓部分はこれでもかという程練り込まれていた。そして今まで味わった事もない絶対的な痛みだけが光輝の肉体に走る。

 呼吸もままならず光輝は膝を付いた

 

「何が……起き……て」

 

 その言葉と共に光輝の超サイヤ人が解かれ、光輝は前のめりに倒れた。

 

 

 ★

 

 

 ??? エリア どこかのアジト

 

 電子機器の電子音だけがこの部屋に響く、その電子音の元では今行われているサバイバルの映像が映し出されている。

 

「もしもこの世界がまだあって貴様の墓が出来た時、また来る」

 

 その内の一つの映像を見てシーラスがほくそ笑む

 

「流石だな、第6宇宙の生ける伝説ヒット。あの小僧をこうも簡単に仕留めるとは」

 

 シーラスの計画ではどっちにしろヒットどころか自分以外の人間には消えてもらう予定だが使えるものは使おうという算段なのだろう。

 そんな時、背後のドアが勢いよく蹴られ破れた。あわただしく入って来たのはあの仮面の男だった

 

「貴様どういう事だ!」

 

「何がだ?」

 

「これの事だ!」

 

 そう言って指さしたのは光輝がヒットによって殺されていたところだった。

 

「あいつは俺が殺すんだ、あんな訳の分からない奴に何故やらせた!?」

 

「落ち着け。お前は計画を勘違いしてないか?」

 

 そう言われ仮面の男は怒りの形相のまま一歩引いた。それを見たシーラスは立ち去ろうとしているヒットを見ながら言った

 

「俺達の計画はあの小僧を倒す事ではない。俺達の世界を……宇宙を創る事だ。それをお前も望んでいるのだろう?」

 

「……ちッ!」

 

 仮面の男は舌打ちして部屋を去ろうとした。適当にどこか彷徨って誰かと戦ってストレスを発散したい気分だったのだ。

 シーラスはそんな仮面の男を見てやれやれと肩を竦めた。だが……

 

『……てよ

 

 その小さくも呟かれた言葉が映像から飛び出した。シーラスは驚愕の顔になりながらも映像を見た。

 

「馬鹿な!?」

 

 シーラスは驚愕していたが……仮面の男はその仮面の下でニヤリと笑った

 

(そうだ。貴様は俺がやるんだ。それまで誰にも殺されるなよ)

 

 シーラス言う通り計画はあくまでも光輝を殺す事ではない。その先を見据えた計画だ。それでも……仮面の男は自分が光輝と決着をつけたいとずっと思っている。

 ここで光輝に死なれては困るのだ。

 

(俺も貴様以上に強くなってやる。待ってろ)

 

 そう思考しながら仮面の男は部屋から出ていった

 

 

 ★

 

 

 殺し屋ヒットは今までの人生で一二を争う驚愕に見舞われていた。

 ヒットが光輝に放った人体にだけ影響がある透明な気弾、光輝はそれを心臓にもろに受けた。普通は心臓に直接攻撃を受けたら誰もが死ぬ

 なのに……

 

「お前……」

 

 彼の目の前ではビクビクと体を震わせながら光輝が立ち上がっていた。息も切れ切れ、一撃で殺されたことによりダメージがでかいが光輝はその足で立って力ない笑みを浮かべてヒットを見ている。

 

「お前……どうやって」

 

 流石のヒットもこれには驚きを隠せない。

 かつて……という程昔でもないが第7、第6宇宙の対抗戦でヒットと戦った悟空ですら一度は死んだというのに。しかし光輝はどういう訳か生きている。正面から一撃、そのスタンスが…こだわりが崩壊した。

 

「ハハ……悪いが。そう簡単に死ねないんだ」

 

 そう言っている光輝が心臓部に手を当てている所から青白い稲妻が迸っているのが見えた。

 

「まさか……お前」

 

 それを見て光輝が何をやったのかをヒットは理解した。

 光輝は不敵な笑みを浮かべていたままだった。

 

「自分に電気を流して心肺停止した心臓を動かしたというのか?」

 

 光輝は意識が無くなる寸前、自分の肉体に千鳥を微量で……というより微量しか流せなかっただけだがそれにより無理やり電気信号を加速させ動かなくなった心臓を動かし生還したのだ。

 

「……無茶をする」

 

 ヒットが心底呆れて、そしてそんな無茶苦茶が自分もまだ殺しの依頼を受けている人物を思い浮かばせる。ヒットは光輝に興味を持った。

 

「無茶でもなんでも……俺は生きて帰らなきゃいけない場所がある」

 

 光輝は息を整え生気を取り戻した眼でヒットを見据える。そして少し強引に気を高め超サイヤ人に変身する。

 

「それに……ベジータさんと約束したんだ。サイヤ人として……無様な戦いだけはしないって」

 

「——! ……ほう?」

 

 ヒットは光輝が超サイヤ人になったのを見てサイヤ人と言う事は分かってはいたがどうやら自分の知り合いの知り合いらしいと言う事は分かった。そこで俄然光輝へ興味が出て来た

 

「……孫悟空を知っているか?」

 

 自分でも喋り過ぎだとは思っているが悟空達の知り合いならば……楽しめるかもしれないと考えた。殺し屋らしくは無いと思ってはいるが。

 光輝も流石に自分を殺しに来た殺し屋が悟空の名前を出してくるとは思わず眼を見開いた。しかし体力を少しでも回復させるために付き合った

 

「ああ。あんたの知っている悟空さんかは知らないが俺の師匠だ」

 

 それを聞いたヒットがふっと笑った。この人……俺のイメージしている殺し屋とは違う、多分……現実主義者だけど普通の殺し屋みたいな非情な冷徹漢とはなんか違うな。

 それどころか悟空さんの名前を出したこの人は笑った。何でなのかは知らない。だけど……

 

「俺よりもずっと強いからな、悟空さんは」

 

「ふ……知っているさ」

 

 そう言ってヒットは構えた。さっきは構えすらしてなかったことを考えると少しは俺に興味を持ってくれたのか。

 まあそれは嬉しい反面この状況が不味いのは確かなんだよな。でも……

 

「やってみるとするか」

 

 はっきり言って結構体力を持っていかれたな。でもそこではいそうですかって逃げる訳がない。この戦いはただの通過点だ。

 俺にとって新しいステージに行くための

 

「……行くぜ」

 

 光輝は自分を鼓舞するかのように気を吹き上がらせヒットに突貫した。目の前で攻撃するかと思わせて超スピードで背後に周り拳を振り下ろした。

 しかし……

 

「——ぐあっ!?」

 

 ヒットの動きが消えたと思ったら俺の人中にヒットの拳が突き刺さっていた。俺は一瞬呼吸が出来なくなり咄嗟に離れて息を整えた。

 

(こいつ……急所を狙っているのか)

 

 だけど……動いている俺にあわせてそれをするのは難易度が高い筈だ。それに最初にやられたすり抜けをしてこない。

 舐められている訳では無い筈だ。……とはいえこの人一体幾つ手があるのか想像がつかねえ。油断したらあっという間にやられる。

 取り合えず技を見切る! 

 

「多重影分身の術!」

 

 光輝が印を結ぶと総勢30人の光輝が煙の中から現れヒットに突撃した。

 

「ほう……分身か」

 

 ヒットはそう言いながら渋々と対応する。光輝はそれを遠目に見ている。もう先程のようなやられ方はしない。これだけ分身がいれば一瞬で本体を見つけることは出来ないはずだし一人一人潰した方がヒットにとっては良いと言う事も織り込み済み。

 

(やっぱりそうだ)

 

 攻撃がすり抜けたりして躱されあまつさえいきなりヒットの動きが切れるのを光輝は見ている。次々と分身が消える中分身達が経験したことを頭の中で整理している。

 そして……確かにどういう訳か攻撃の一瞬、ヒットの動きが完全に追えなくなる時がある。そしてその動きをされた時は必ずと言っていい程急所に攻撃が当たるようになっている。

 残り10人となった時、光輝はチャクラの無駄遣いをやめて影分身を解いた。先程からその場をほぼ動いていないヒットは残った光輝に問いかけた

 

「どうした、降参か?」

 

「まさか、あんたの突破口を見つけたというのに降参する訳ないだろ」

 

「……ほう」

 

 光輝はヒットを前に構える。

 

(まだ体力は戻らねえ。ちょっと今の状態じゃまだ変身に慣れていない超サイヤ人4になるのは厳しいかな)

 

 だけど……

 

(こんな状況を待ってたんだ、極限での戦い)

 

「あんたには俺の修業に付き合ってもらうぜ!」

 

 光輝はそう叫びヒットへ突撃した。光輝はこの瞬間、自分の体内で気を高め始めた

 ヒットは手をポケットに手を入れたままそれを迎え撃つ。光輝の拳がヒットを捉えようとした瞬間、光輝は膝を上げて攻撃ではなく防御した。

 そしてその膝がヒットの蹴りをガードした。まともに食らっていたら吹っ飛んでいただろうその攻撃はガードしてもダメージがあるがまともに食らうよりずっとマシだった。

 

「——!」

 

「こっちだ!」

 

 光輝が叫びながら回し蹴りを放つ、その場所にはヒットがいて頬にかすって血が出てくる。

 光輝はそれを見て距離を取った

 

「へへ……当たったぜ」

 

「……どうやらまぐれではないようだな」

 

 ヒットには分かる。光輝は自分の動きを先読みしてそこに攻撃を繰り出しているのだと。自分のライバルが最初破った方法で。ヒットは内心「あいつの弟子らしいな」と思った。

 光輝はニヤリと笑い再びヒットに迫る。ヒットはそこで初めて大きく動きその身を消した。光輝もヒットを追い姿を消す。そして光輝と空中でぶつかり合う。

 消えては現れ再び姿を消す。一瞬で何100通りという読みあいが行われ轟音が鳴り響く

 ヒットが攻撃の途中で完全に動きを消し前方にいたのにも関わらず背後から攻撃を繰り出す。光輝はそれを更に先読みしてヒットの背後を取り返し蹴りを放つがヒットはそれを腕を立てガードする。蹴りとガードがぶつかり合い軽い旋風が吹く。

 ヒットが笑み浮かべたまま光輝に言った

 

「見事だ、俺の”時飛ばし”を攻略するとはな」

 

「……時飛ばしって言うんですね」

 

 光輝はそう言って少し離れる。距離という概念も超スピードで動くことが出来るヒットには殆ど意味がないのだが。動いている者を視認する事は光輝には出来る。だがヒットの言う時とばしをされた時は完全にヒットはここじゃないどこかにいるので動きが追えない。

 だからこの少し離れた程度の距離もヒットからすれば0距離と何にも変わらない。しかしヒットも会話を区切るほどやぶさかではないのか単純に光輝への興味があるのか会話をする。

 

「知っていた訳じゃないのか?」

 

「ああ、今初めて知ったさ。成程、最初のすり抜けもそれの応用か何かか」

 

「ふ、それはどうかな」

 

 光輝がヒットに迫る。ヒットは笑みを浮かべたまま迎え撃った。光輝の拳がヒットを最初と同じように捉えるが今回は最初の様に透けた。

 

「だりゃりゃりゃ!!」

 

 光輝の拳の嵐がヒットを襲うがヒットは全く動かず透けて攻撃が当たらない。光輝は攻撃しながらもヒットに言った

 

「お前、この状態の時はどこかに隠れてるんだろ?」

 

「その通りだ」

 

 光輝はそれを聞き再び距離を取る。

 

「そしてお前のいる場所はこの世界でもない。……その時飛ばしって奴で飛ばした時間を使ったパラレルワールドのような場所にいる……違うか?」

 

 光輝が聞きながら再びヒットに攻撃するがやはり攻撃は透けて当たらない。だが光輝はやめるどころかもっと激しく攻撃する。

 ヒットは流石に驚いた表情をした

 

「……正解だ。何故分かった?」

 

 ヒットから見て光輝は時飛ばしだって今回初めて知ったはずだ。その時飛ばしの種を自力で見破っただけでも敵ながら見事だと思っていた。しかし光輝はそれだけにとどまらずこのすり抜けの種も見事に看破して見せた。純粋に驚いたのだ。

 

「やっていることは違うけどあんたと似たような能力を持った人の戦いを見たことあるんだ。その人は攻撃されている箇所だけを異空間に移動させるってやり方をしてたけど……」

 

 カカシさんの親友さんの事を思い浮かべながらそう答えた。しかしまだ俺がこう思った理由はある。

 

「あんたが時飛ばしやそのすり抜けをする時、一瞬だけど時空間に出た時と同じような感覚を感じたからだ」

 

 光輝は仕事柄結構時空間へと出る。時間に関する空間なだけあってそこでは普通の場所とは違う感覚がする。

 その時の感覚とヒットが時飛ばしを発動するときに一瞬周囲に発する感覚が似ていたのだ。ヒットはそれを聞き興味深そうに聞いた

 

「お前も時間に関する技を持っているのか?」

 

 ならばなぜやらない? と言いたげな顔で見てくるが俺はそんな凄い能力はねえよ。というかこの人殺し屋なのに結構喋るよな。もしかしてプライベートじゃ悟空さんと仲良かったりするのかな? 

 ……ってそんなのは今はどうでもいい。

 

「仕事柄よく時間に関する空間に出るもので」

 

「成程な。だが種が分かった所でお前にはどうする事も出来ん」

 

 ヒットがそう言ったら視認できるヒットが拳を握り右ストレートで突き出した。それは普通にやっている分だと俺には当たらない。

 だけどこの人には見えない打撃がある。俺は咄嗟に勢いよく後退する。それと同時に俺がいた場所に攻撃による空気の乱れが吹き抜けた

 

「そうかもな。だけど……はいそうですかって諦めるような性根はしていない」

 

 光輝は笑みを浮かべ気を体内に溜めながらヒットに迫る。

 ヒットが時飛ばしをすれば光輝はそれを影分身で得た経験をもとに予測し先読みする。ヒットはその予測を更に読みその先を予測する。光輝もまたそれを先読みする。

 

「——!」

 

 光輝が振るった攻撃がすり抜けた。光輝がそれに一瞬気を取られヒットの拳が光輝の喉仏にヒットする。

 それで倒れかけるが意地でそれを耐えて蹴りを放つ。ヒットはそれを時飛ばしを使用して躱すだけではなく金的に向けて攻撃する。

 それを光輝は読み蹴りを途中でガードに回して凌ぐ。そして再び時飛ばしを交えた乱撃戦が始まる。

 幾千の乱撃戦の最中、ヒット少し冷汗をかく

 

(こいつ、感じられる気は少なくなっていくが戦闘力は逆に上がっていくだと!?)

 

 光輝は油断できない極限状態の中、気を張り詰め徐々に体内に気を溜め始められていく。それに伴い今まで光輝の気と身体を見て感じ動きを予測していたが段々とその動きが読みにくくなっていたのだ。

 ヒット自身は本気を出していない。

 それでもこの光輝の力の上り加減は予測を上回って来る

 

(少し本気を出すとするか)

 

 ヒットがそう思考した瞬間、時飛ばしが発動し光輝の腹部へヒットの攻撃が突き刺さっていた。ヒットはあくまでも仕事で光輝と戦っている。自分の感情がどうであれ光輝をここで殺さなければならない。光輝が死んだふりでもしてくれたら話は簡単なのだが。

 

「ぐっ!」

 

 光輝が一瞬苦悶の声を上げる。しかしヒットはそこで止まらず再び時飛ばしを発動し先程までと比較できない程の連打と重さが乗った拳を放つ。

 飛ばされた時の後の動きを光輝は予測できるが飛ばされている最中の攻撃は避けられない。ヒットの時飛ばしが終わった時、ヒットは終わったと言わんばかりに背を向けた。

 それが舐められていると思った光輝はヒットに拳を振り下ろそうとするが……

 

「終わりだ」

 

「──!? ぐああああああッ!!」

 

 唐突に自分の肉体のあらゆる所から先程までの攻撃と比較できない重さの……例えるなら今までは鉄だったものが大き目な鉄球に変わった位の攻撃が光輝の肉体に突き抜け吹き飛ばされた。

 吹き飛ばされた光輝はそのまま巨大な岩場に突撃した。勢いよく突撃した光輝に岩場は耐えられず崩れていく。

 

「進化するお前を更に超えたい気持ちもあるが、俺も仕事がある。悪く思うな」

 

 ヒットは今の攻撃は殺すつもりで行った。実際何個かは光輝の急所目掛けて攻撃したし光輝も一瞬白目をむいてた。ヒットは友と別れるような哀愁が漂った表情をした後、歩いて去っていく

 

 ★

 

 視界も何も見えない暗闇の中、光輝はヒットが去っていくの感じていた。今の連撃でヒットは全く本気ではなかったことを知り笑みを浮かべていた。

 自分よりも上の人がまだまだいる事に嬉しさを覚えた。殺し屋なのは憤りを覚えるがヒットが浮かべていた笑みが光輝には引っかかる。

 

(ああ、強いなぁ)

 

 至る所から激痛が走る。一気に急所を攻撃されて満身創痍になってしまった。多分、超サイヤ人4の強靭な肉体なら耐えられたと思うけど……最初死にかけた時に体力をごっそりと持ってかれたからな。

 ウイスさんのいう神の気で対抗するしかないと思ったけど甘かった。

 

(悟空さん達以外にあんな人いるなんて世界は広い)

 

 岩に身体を押しつぶされて虫の息だ。普段ならこんな岩簡単にどかせるのだが今は少し力が出ない。仙豆を食べるって手もあるけど……今のこの感覚を忘れたくない。今俺の中に留めている気を外に出さないためにも。

 それに……何となく分かって来た。神の気が何たるかを。

 

(自分の弱さを認め、それを超える事で得る力……俺にとっては少なくともそんな力なんだろうな)

 

 光輝の身体から徐々に赤く輝くオーラが吹き出していく。黒髪が徐々に赤く変化していく。

 

(俺はまだ戦える。限界なんてくそくらえだ)

 

 段々と光輝の身体から痛みが引いていく。

 超サイヤ人4程身体に力が漲って来る感覚はしない。それでも……今の自分の力が超サイヤ人2・限界突破よりも遥かに上と言う事は分かった。

 それが実感できるのにも関わらず自分は不思議と落ち着いている。

 

「……行くか」

 

 普段の光輝と変わらない声を発して限界を超えた

 

 

 ★

 

 

 ヒットは仕事を終えあてもなく歩いていた。報酬は元の世界に戻れた時に受け取ると契約している。はっきり言ってヒットはシーラス達に不信感を抱いているが殺し屋として依頼主については深入りはしていない。

 もしその依頼主が自分諸共消し去るための計画か何かの一部ならヒットもこの仕事は受けないだろう。誰が好き好んで自分を消す仕事なんてするか。

 

「……ん?」

 

 しかしヒットは先程、光輝と戦っていた場所から約10キロ離れた所で揺れを感じた。地震か? と思ったのも束の間、凄まじいプレッシャーが自分に向けて接近していることに気が付いた。

 

「まさか」

 

 自分は正真正銘本気で殺すつもりでやった。やった自分が言うのもあれだがあれだけ急所に攻撃を受ければ戦闘不能は確実、9割の可能性で死ぬはずだ。

 それも全開だった場合であの攻撃を受けた時には光輝自身は既に疲労しきっていてダメージも受けやすかったはずだ。

 それなのに……

 

「……来たか」

 

 そう呟いたヒットの目の前に赤い気柱が勢いよく、その場を弾きかねない速度で降り立った。その赤い気柱の中の人影が言った

 

「勝ち逃げは許さねぞヒット」

 

 赤い髪にオーラ、眼は黒い瞳孔がある赤眼。体格は普段の彼よりも痩せスタイリッシュになった。どこか余裕を感じさせる笑みで言った

 

「さあ、ファイナルラウンドの開戦だ!」

 

 赤きオーラを輝かせ、超サイヤ人ゴッドに変身する事に成功した光輝はヒットと向かい合った。




お疲れ様です。

光輝、超サイヤ人ゴッドになりました。儀式無しのベジータ方式です。

神の気は気を消すのではなくて体内に留め続ける。それで出来た気がクリーン故に常人には感じることが出来ない。

ヒットの時飛ばしは絶対に油断していたらあっという間にやられるので常に体内に気を溜めて尚且つ神の気になってきている事を表現する為に戦闘力上昇と動きの読みにくさを表しました。

えーと、超サイヤ人4は今回はお休みです。
単純に儀式無しゴッドになるのに丁度いい相手がヒットだった。だから一回死にかけになってもらって超サイヤ人4に慣れない状態にしてゴッドになるしかないと光輝に思わせました。

では次回、VSヒット…の前に前座戦です

ではでは


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手に入れし神の力と神

おはようございます。
ヒットの前にゴッドの生贄出します。人間が神の力を得て憤りを覚える神様は…


 超サイヤ人4とは違う力が漲って来る。ずっと暇さえあればしていた修業がやっと実を結んだ。それもこれも他の人よりも気を抜けない技を持っているヒットが俺と戦ってくれたからだ。

 死にかけた後からの極限の戦いで俺の気は研ぎ澄まされ、その研ぎ澄まされた気が最高潮に達した時に俺はとうとうなれた。

 全く実感がないがこれがサイヤ人の神……超サイヤ人g

 

「超サイヤ人ゴッドか」

 

 ……俺のセリフ取るんじゃね──! というかあんたこれも知ってんのか!? ダメだこれ。全く神様になった実感がない。

 目的は神様になる事じゃなく力を得る為だからな。

 

「あんたのおかげさ。あんたの強さが俺をこれに引き上げてくれた」

 

「……俺はお前の特訓に付き合った訳では無いんだがな」

 

 ヒットがやれやれと言いたげな顔で構えた。俺は拳を握りながら叫ぶ

 

「進化し続けるサイヤ人に限界は無い。さっきまでの俺と一緒にしてたら足元掬われるぜ」

 

 今の俺は超サイヤ人2・限界突破よりも強い。多分それも遥かに。流石に超サイヤ人4よりかは力が出ない感じがするがそんなものが気にならない位の高揚感が俺を満たす。

 未だに新しい力に目覚めた感じはしないがそれは兎も角俺はなれたんだ、超サイヤ人ゴッドに。

 ……だがその前に

 

「誰だ!」

 

 光輝はそう叫び気弾を適当な岩場に向けて放った。ヒットも気が付いていたのか同時に紫色の気弾を同じ場所に放った。

 俺達の気弾はその岩場にぶち当たり崩壊した。そこにあった気配は上空に移動して俺達はそこを見た

 

「いきなり攻撃するとは……流石野蛮なサイヤ人だ。やはり人間はこの世界に不要な存在」

 

 ……何かこの声聞いたことあるな。確か愛美が昔見てたポケモンとかいうアニメに似たような声を持ってる人いたな。

 まあそんなのはどうでもいい。

 

「お前誰だ」

 

 問いかけた先にいたのは緑色の肌で白髪のモヒカン、その格好は……どこか界王神様に似ている。そいつは俺とヒットを見下ろし心底軽蔑しているという眼で見て来て言ってきた。

 

「言葉に気を付けろ人間。神が与えた知恵を野蛮な事にしか使えん知れ者が」

 

 ……ちょっと何言ってるのか分からないな。これ俺が可笑しいのか? 俺が出会った神様そんな事を言う人いなかったぞ。ビルスさんでさえ割と普通だったというのに。あの人誘えば一緒にゲームしてくれそうな雰囲気もあるからな。

 俺があいつに聞いた答えはヒットが答えてくれた

 

「その耳飾り……ポタラ……お前は界王神か?」

 

 言われてみてなんか雰囲気が危ない人の耳を見てみると確かに左耳に緑色の耳飾り……界王神様たちが皆付けているポタラって神具が付いていた。

 それの通りならこの人は本当に神様って事だけど……

 

「え? 神なのに口悪すぎない?」

 

「俺に言うな」

 

 とヒットと言い合っていたら向こうが痺れを切らしたように上から目線で言ってきた

 

「神を侮辱するな! これだから人間は」

 

 ……絶対今の俺は悪くない。事実言っただけなんだけど。ま、それは今どうでもいい。問題はこいつの気をさっきまで感じられなかったこと。

 神様の気は質が高くクリアな気になるってウイスさんが言ってた。俺も修業してたけどもう少しでウイスさんの気が分かるという所で修業を中断したからさっきまで俺は神様の気を感じられなかった。けれど今は超サイヤ人ゴッドになったからか神の気を感じられるようになった。

 そしてそんなタイミングでこいつを発見できたと言う事は……

 

「ま、神の類なのは確かみたいだな。それで何の用だ?」

 

 俺はお前に興味ないんだが。コソコソと俺とヒットの戦いを盗み見るつもりだったのか? 確かに減るもんじゃないが巻き添えを食らわすわけにはいかないっていう俺なりの優しさなんだが。

 ……あれ? 何でか向こうは憤怒の様相になっているんだが。

 

「邪魔な人間が潰しあいをしてくれると思っていたら……神に歯向かうとはな」

 

 どこか俺達を憐れむような表情なのが凄いムカつく。というか俺とヒットの共倒れを期待してたのか。つまりこいつは俺の……俺達の敵って事か。

 その時点で相容れない気がするが一応聞いておこう。

 

「俺は光輝、あんたは?」

 

 そう言ったらやっぱり上から目線で言ってきた

 

「神に気安く名を聞くな!」

 

「そうか。人間に出来る事を神様は出来ないのか。残念だ」

 

 そう言って光輝はヒットに向いた。光輝はなんだかんだ煽りスキルが高かったりする。昔は自ら敵を作っていたのだからお手の物だ。

 ヒットも興味を無くしたのか光輝と向かいあう。そんな2人に、そして光輝の煽りに神様はわなわなと震えている。

 神様はエネルギー弾を作りながら叫ぶ

 

「神を侮辱するな~!!」

 

 光輝目掛けエネルギー弾を放ち光輝がいる場所で爆発が起きる。光輝は神様が放ったエネルギー弾をもろに食らった。それを証明するかのように爆発が収まった時、光輝は黒髪の状態で倒れていた。

 それを見たヒットはさっきまでの光輝との戦いを思い浮かべて内心笑った。しかし神様には分からないのか

 

「神を侮辱するからそうなるのだ。分かったか人間」

 

 何故か高らかに勝利宣言する始末。確かに客観的に見れば光輝が神様の一撃に負けたように見える光景だ。しかし……

 

「神神うるせえな。神様ならもう少し語彙力磨こうぜ」

 

「——なっ!?」

 

 自称神様が眼を見開き声がした背後に向いた瞬間、思いっきりキックを食らわせられて吹き飛ばされた。何個も岩場を突き抜ける。

 吹き飛ばされた神様はボロボロになりながら出て来た

 

「馬鹿な……お前はさっき」

 

 そこで倒れている光輝を見たがその光輝は煙になって消えてしまった。つまり影分身である。本当は普通にエネルギー弾を最小の動きで躱して煙が出た瞬間に分身を出して死んだふりしてもらいつつ本体は神様の背後に回っていたのだ。

 先程とは逆の位置になった光輝は自称神様の真似をして上から目線で言ってみる

 

「どうした神様。まさか人間の考えた作戦にあっさりと引っかかるなんて無様な事になった訳じゃないよな?」

 

 今の攻防、どう見ても神様は光輝の作戦に引っかかていた。神様は馬鹿にされていることに気が付きわなわなと震える。

 まあ実際光輝は馬鹿にしている。というより光輝は少し怒っている。その理由は

 

「戦士の戦いを邪魔するんじゃねえ」

 

 それに尽きる。光輝は早くヒットと戦いたいし神様が攻撃しなければ普通に戦うつもりだった。しかし結果は妨害されたので仕方なく攻撃したのだ。

 言外に邪魔するなと言っているのだ。……しかし直ぐにプランを変更する事になった

 

「この神であるザマスに向かってそのような口をきくな人間!」

 

 ──今こいつなんて言った? 

 ナルシスト発言は今更だが重要なのはその名前らしい部分……その名前は確か

 

『ザマスという敵を倒す為に全王が消した』

 

 シーラスが未来の悟飯さんの世界の末路とか言って言ってきたときに出た名前じゃねえか。……気分が変わった

 

 光輝は地上に降りヒットに言った。

 

「すまないが少し待っててもらっていいか? 今こいつに用事が出来た」

 

 ヒットは光輝から並々ならぬ気配を感じたのか腕を組み頷いた

 

「良いだろう。ただし次は俺だ」

 

 光輝はそれに頷き自称神様改めザマスに向けて歩き出した。ザマスは紫色の気を纏いながらその右手に気の刃を出す。

 それを見て光輝は昔戦ったクウラの部下のサウザーという男を思い出した。しかしそれはどうでもいい。

 

「ようやく神にひれ伏す気になったか人間」

 

「ひれ伏す? ひれ伏せられるの間違いだろ」

 

「ー! 口を慎め人間!」

 

 ザマスの憤怒の形相と共に光輝に気を吹き上がらせて接近してくる。俺も超サイヤ人ゴッドの気を吹き上がらせてザマスに向かう。

 

「はあっ!」

 

 ザマスがその右手の気の刃を振って来るが俺はそれを頭を下げることで紙一重で躱した。そのままザマスは俺に上段から斬りつけようとしていたので俺はいっそのことそのまま1回転してかかと落としをする。

 そしたらそれがザマスの頭にぶち当たりうめき声が聞こえた。

 だけどそこで終わらず今度は上がった顎目掛けて蹴り上げた。溢れてくる力が俺を振り回そうとしてくる。でも最初に超サイヤ人4になったからか振り回されることは無い。

 

 光輝は蹴り上げたザマスを見上げその場から姿を消す。ザマスが態勢を取り直した時には既に光輝の姿が見えずハッと気が付いた時には既に地面に向けて真っ逆さまだった。

 ザマスは走る痛みをこらえ着地する。そしてさっきまで自分がいた上空を見たがそこに光輝はいなかった。それを見て光輝をキョロキョロと探すが見当たらず不意にヒットがこちらを見ていた。

 ヒットは無表情で顔をくいっとしてザマスの背後を指した。それを見たザマスが後ろを振り向こうとしたところ声がする

 

「こっちだ……ウスノロ」

 

 ゴッド……一応神様の変身なのにも関わらず光輝の言う言葉は棘しかなかった。最も光輝自身は神次元の変身ってだけだから神様になった自覚は無い。

 愛美が聞いたらどう思うかは知らないが光輝からしたら超サイヤ人ゴッドは超サイヤ人のバリエーションの一つと思っているので正直神かどうかはどっちでもいい。

 

「神に向けての数々の暴言……絶対に許さんぞ貴様」

 

「悪いな。俺は神様信じてないからどうでもいい」

 

 シーラスに言った事を再び言う。時の界王神様やビルスさんやデンデさんは確かに神の部類だろうが俺からすればそれぞれ上司・スゲー強い人・頑張り屋さんのナメック星人としか思ってない。

 そもそも俺が時の界王神様と会うまでの神様のイメージってもじゃもじゃの髭のおじさんだからな。

 それに……愛美や家族が危ない時助けてくれなかった。だから俺は神様なんて信じていない。

 これ言ったらユウキに怒られそうというか嫌われそうだから言わないがユウキのお母さんがユウキに言った「神様は自分達に耐えられない試練は課さない」って言ってたみたいだけど……俺に言わせれば的外れもいいところだと思ってしまった。

 俺って性格悪いな

 

「貴様のような不遜な人間には神の裁きを下す!」

 

 そこで俺は異変に気が付いた。俺が攻撃した箇所に出来ていた傷がいつの間にか無くなっていた。俺の様に医療忍術に似た何かを使えるのか、それもこんな簡単に。少なくとも俺には無理だ。

 俺の視線に気が付いたのかザマスは余裕を取り戻した笑みを浮かべた

 

「気が付いたか人間。そう、私は不死身なのだ!」

 

 そう高らかに宣言して優越に浸っているのか饒舌に話してくる

 

「人間0計画に必要な負けることがない不死身の肉体、素晴らしいだろう?」

 

 この凄い周りをコケにしているような顔どこかで見たことあるなって思ったら笠木だ。……え、こいつあのクズと同レベの事を凄いドヤ顔で言ってくるんだけど。

 ……というかさらっと言ったけど人間0計画ってもう少しマシな名前無かったのか、何だその中二病の計画名。……俺もインフィニット・ドラゴン・ブレイズとか人の事を言えなかった。

 

「不死身……ね」

 

「どうした人間、神の偉大なる力に恐れたか?」

 

「いや何を言い出すのかと思えばそんな事か。対して問題じゃない」

 

 光輝はそう言いながら背中に双剣を装備した。そして勢いよく二刀を引き抜き二刀流へとなった。右のウォーリア・ビヨンド・ディスペアーの切っ先をザマスに向ける。

 あくまでも敵対するという意思表示。最も向こうも光輝を味方だとは思ってないだろうが。実際、剣を向けられたザマスは不愉快だと言いたげな様相だ

 

「さきから貴様の神に対する態度はなんだ? お前達人間は神が創造した唯一の失敗作だ。故に、我々は人間0計画を遂行する」

 

 ダメだこいつ。人の話を全然聞かねえ。

 

「聞いてなかったのか? 俺は神とか信じる人種じゃねえよ。下らん話はどうでもいいからさっさとかかって来い」

 

 完全に自分がボスキャラになってるなと他人事の様に思った。ま、こいつにはこのくらいが丁度いいだろ。こいつ笠木と完全にキャラ重ねってるし。

 違うのは本物の界王神って事だがそんなのはどうでもいい。少なくともこいつを時の界王神様や老界王神様の様に尊敬する事は無い。

 

「貴様──ッ!!」

 

 散々煽ったからかザマスは直線に突撃してきた。その刃を煌めかせた右手を振り下ろしてくるがそれを俺は左の剣でガードする。ぶつかった瞬間にザマスの攻撃の重さが俺に乗るが少し動いただけでそれだけだった。

 鍔迫り合いを律儀に続ける義理もないので直ぐにパリィしてザマスを弾いた後、右の剣を袈裟切りで放つ。そうするとザマスは抵抗する事もなく骨の髄まで切裂いた。

 俺はそこで終わらず右の剣に千鳥を絡ませた

 

「シャイン・ビヨンド・ディスペアー!」

 

 そこから光輝のオリジナルソードスキル、シャイン・ビヨンド・ディスペアーが発動した。ザマスを回復させまいと右の剣を戻すついでに真一文字に斬りザマスを少しよろめかせる。

 そして今度は少し宙に浮き左右の剣を両手に広げ、風車の様に高速回転してザマスを縦に何度も斬りつけ背後へと突き抜けた。

 

「人間がああ!!」

 

 ザマスが好き勝手に攻撃を受け激昂して右の刃を光輝に上段から振り下ろす。しかしそれを光輝は見ることもせずに回転しながら避けてすれ違いざまに一閃、その後剣の切っ先をザマスの顎にぶち上げ宙に浮かせる。

 ザマスは反撃が全く出来ず浮き上がる。光輝はそれを追ってザマスの目の前までやって来て滅多切りにする。ザマスと地面がぶつかる瞬間、16連撃目の突きがザマスを貫き爆発を起こした。光輝は爆発の瞬間ザマスから離れた。

 

「……不死身ってのは本当みたいだな」

 

 不気味に煙の中から立ち上がって来る影を見つめ呟いた。ザマスにはシャイン・ビヨンド・ディスペアーによる斬撃を幾つも斬りつけ普通の人間なら今ので戦闘不能、或いはあの世行きは決定してる。

 しかしザマスは普通に立ち上がった。

 

「どうした人間。私を殺せないか? 当然だ、私は不死身なのだからな」

 

 こいつ怒ったり笑みを浮かべたり忙しい奴だな。煽られる度に怒って不死身を発揮したら余裕を取り戻す。さあて、こいつの余裕が崩れる時が楽しみだな。

 こいつを倒したからと言って悟飯さんとトランクスさんの世界が元に戻る訳じゃない。でも……そうしなきゃ俺の気が済まない

 

「殺すは殺すでもやり方が色々あるんだよ」

 

 そう言って二刀を構える。ザマスの野郎も気の刃を構えた。

 少しだけ戦ったら分かったがこいつは不死身だからか防御を全くと言っていい程しない。確かに実質ノーダメージなら防御より攻撃を中心にすればいいのに……こいつ自身の攻撃力はそんなにない。

 まるでアタッカーは別の誰かに任せて自分はサポーターみたいな感じを受ける。俺はどっちも一人で出来るから分かったのだろう。

 でもそれは今は良いだろう。もうこの戦いを終わらせる。ヒットに聞きたいことも出来たしな。

 

 光輝の手に収まる二刀の切っ先がぴくッとした時、同時に動いた。

 ザマスはその気の刃を光輝に向けるが光輝は二刀故の防御力を惜しみなく使い、ザマスを手数で押す。

 

「オラぁ!」

 

 光輝が左の剣を勢いよく横に振った。その剣をザマスはブリッジの要領で顔の仰け反らせ躱す。光輝はそこで終わらずそのまま遠心力に任せて一回転して胴体目掛けて回し蹴りを放つ。

 ザマスは反応が遅れてまともに食らい吹き飛んで行く。

 

「決める!」

 

 吹き飛ばした光輝は赤いオーラを吹き上がらせて重突進技、ヴォーパル・ストライクを繰り出した。

 ザマスは吹き飛びを気を張って中断した時、目の前に光輝が反応出来ないスピードで突進してきているのが見えた。

 しかしザマスはニヤリとしたまま両手を広げノーガードした。

 

「神の偉大さを知るがいい!!」

 

 要するに自分の不死身さをアピールしたいという。光輝は止まる訳なくそのままの勢いでザマスにぶっ刺した。

 光輝の剣がザマスの肉体に穴を空け貫いている。ザマスの背中から光輝の剣が出ていた。

 そして刺した本人と刺された本人の表情は反対、刺した方は渋々、刺された方はニヤニヤと。ザマスが光輝を前に高笑いする

 

「フハハハハ!! どうだ? 素晴らしいだろう、不死身の肉体というのは!」

 

 全くのノーダメージでザマスは余裕綽綽と言った感じだ。しかし光輝はザマスの話なんてものはどうでもよく勢いよく剣を抜いてザマスに背を向けた。

 ザマスは剣を抜かれた時に一瞬よろめいたがそれだけで背を向けた光輝に語り掛ける

 

「これで神の偉大さを思い知ったか、人間」

 

 そう言って光輝に向けて気弾を放つ準備をする。ザマスとしてはこれで光輝の心を折ったと思ったのかもしれない。実際、さっき空けられた腹部の大穴は既に再生していた。

 

「超サイヤ人ゴッド……貴様のような人間が神の力を畏れ多い事を知るがいい!!」

 

 そう言って光輝に気弾を放とうとしたがその時、先程再生したところから違和感を感じた。その証拠に放とうとした気弾が気をコントロール出来なくなり露散した。

 訳が分からず光輝を見ると本人は既に背中に二刀を納め装備を解除していた。ヒット相手に剣はやめた方がいいと考えたからだ。

 

「き……貴様私の不死身の身体に何をした!?」

 

 光輝は興味なさげな顔でザマスに振り返った。その心底馬鹿にしてますと言っている表情はザマスの怒りボルテージを引き上げるのに十分だった。

 

「なーに、少し体が凍るくらいだ。不死身のお前なら何も問題ない」

 

 その言葉の真偽を聞こうと口を開こうとしたところ、ザマスは己の身体が内側から何かが飛び出そうとしているのを感じた

 

「なんだこれは……ああああああああああ!!」

 

 自分の異変に気が付いた時、ザマスは絶叫を上げた。その絶叫に答えるように先程ぶっ刺した所から体を破裂させるように氷が突き破って来た。その氷は徐々に巨大化してザマスの身体を閉じ込めていく。普通の人が見たらトラウマものだ。

 

「な……何だこれはあああああ!?」

 

 氷がザマスを侵食していく。

 笠木にやった剣の記憶を流し込むことで記憶のある通りになろうとする剣に解き放たれた記憶がザマスを氷漬けにせんと侵食する。

 

「不死身なのは確かにアドバンテージだろうな。だけどそれは言い換えれば永遠の苦しみを与えられる事を意味する」

 

 睨みつけザマスの最後を見届ける。

 

「永遠の苦しみを味わえ。それがお前に殺された者たちの怒りだ」

 

 人間0計画なんて大層な計画をやっていたのならこいつはここに来るまでも何人も殺したはずだ。それが最終的に悟飯さんの世界も無くなる事になったのなら俺は全王もだがこいつも許せん。

 永遠の苦しみを味わうがいいさ。

 

アアアアアア!! 

 

 ザマスの断末魔を背に俺はヒットの前に来た。ヒットは氷漬けにされたザマスをちらりと見る。感心したように言った

 

「お前も色々技があるようだな」

 

「それあんたが言うか?」

 

 俺も色んな技持ってるのは否定しないがヒットも大概だろう。あのすり抜けや時飛ばし、飛ぶ打撃……透明な気弾って言った方が良いか。

 あれを初見で見切るのは難しい。本当に……咄嗟に千鳥を自分にするなんて荒業じゃないと生きてなかった。肉体活性の為の雷遁が役に立ったがもうあのやり方で生き返るのはやめたい。体力の消耗が激しいんだよあれ。

 ただ、今はそれよりも気になる事がある

 

「ヒット、戦う前に聞きたいことがある」

 

「何だ?」

 

 こんな距離、ヒットの時飛ばしをもってすれば0距離と変わらない。だが光輝の話に興味があるのかヒットはそんな無粋な事をせずに話を聞くことにした。

 

「お前は殺し屋って事でいいんだよな?」

 

「……ああ」

 

 先ずは確認の意味で聞いた。こいつが殺し屋なのはもう俺の中で確定しているが確定してる。それを証明するかのようにヒットは肯定した。

 そしてそうするともう一つ気になる事がある。

 

「あんたも仕事だろうから期待してないが依頼主は誰だ?」

 

「それは答えられん。依頼主の情報は開示する事は無い」

 

「だろうな。殺し屋とか相手との信頼関係が大事だからだろうな」

 

 こいつを俺に仕向けた依頼主がいる筈。そしてそんなのを頼むする奴は限られる。俺は元々悟空さん達の世界の出身じゃない。

 だから俺を知っている奴は限られる。悟空さん達、そして第6宇宙のサイヤ人達にタピオンさん。それ以外に出会った奴らは皆敵だったから全員倒したからな。……いやよく考えたらこの世界に来て一週間の間にレッドリボン軍の奴らにも会ったけど見逃してたな。他にアボ、カドの兄弟位か。

 でも……こいつらよりももっと俺を殺したい奴がいる筈だ

 

「なあ、その依頼主ってもしかしてこんな姿だったか?」

 

 光輝はそう言って印を結び変化した。煙が晴れた時、そこにはシーラスの姿をした光輝がいた。それを見たヒットが一瞬反応したのを見逃さなかった。

 

「……答えられん」

 

「今ので充分だ」

 

 そう言いながら変化を解く。やっぱりヒットを仕向けたのはシーラスだったか。でもそれならこいつの耳に入れとかないとダメな事がある。

 今は戦いの意志がない事の証明として超サイヤ人ゴッドを解いた。一気に脱力感が襲うが立てなくなるほどではない。ヒットは俺が変身を解いたのか分からないのか? を出していた。

 

「ふぅ……これから言うことを信じるかどうかは好きにしろ」

 

 そう言って俺はヒットに語った。俺の仕事であるタイムパトロールの事、今までシーラス達を追って歴史改変を阻止してきたこと、それでも今回のような事態を招いてしまった事、そして……

 

「……それは本当か?」

 

「ああ、第6宇宙のサイヤ人と一緒にいる時にシーラスが高らかに言ってたからな」

 

 俺や既にいる人達を善人、悪人関わらず消してどんな手段かは知らないが世界を……もしかしたら宇宙を作ろうとしているのではないかと言う事を話した。

 話し終えたら俺の話を吟味している

 

「俺達が戦う理由は無い。寧ろ共闘してほしい位なんだけど」

 

 本当にそう思うと言いたげな顔で頷く。ヒットと戦ってその強さは敵なら確かに怖いが味方ならとんでもなく頼もしいと光輝は思ったのだ。

 ただ、戦う事はなくとも一緒に戦うのは無理かなとか思ってる。あくまでもこの人は殺し屋、利益なしに動かないだろう。

 

「……成程。確かにその通りならば俺達が戦う理由は無いだろう」

 

 ……この感じはまだ続きがある。俺の事は一応信用するみたいだ。だけど何かある。それを答え合わせするかのようにヒットは構えながら言った

 

「一度受けた依頼は必ず遂行する。例えそれが計画の一部だとしてもな」

 

 そう言って殺し屋らしい冷たい眼光で俺を見てくる。やっぱりこの眼光は背中がゾクゾクする。おまけに武者震いもしてくる。本当にこの人は凄い。視線だけでこれだからな。

 でも……それがあんたの答えなら俺の答えも決まっている

 

「……そうですか。仕方ありません」

 

 再び超サイヤ人ゴッドになりながら光輝はヒットを見据えた。

 2人は構え、激突した。

 そして、その激闘が終わった頃に倒れていたのは黒髪の青年だった

 

 

 

 




お疲れ様です。

戦闘シーン全飛ばししましたがヒット>光輝です。第6宇宙最強の殺し屋にはまだ勝てません。

そして前座のザマス、不死身キラーの光輝に敗北。そしてついでに声優ネタ。

次回は閑話で短いです。


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あの日を超えて

おはようございます。今日は短めです。
GO!


 地球エリア 草原の洞窟

 

 

 外ではザーザーと音を鳴らしながら激しい雨が地面を打ち付ける。そんな雨を凌ぐために洞窟に避難した光輝は自身を医療忍術で治療していた。

 治療と言ってもヒットに傷つけられた打撲痕を治してただけだが。

 

「すげー雨だな」

 

 そんな事を言いながら光輝は治療を完了させた。

 あのヒットの構えの後、2人は激突した。光輝は新しい超サイヤ人ゴッドという力を持ってヒットに挑んだがヒットは光輝のさらに上を行っていた。

 光輝の攻撃が途中で通じなくなり光輝も少しやばいかなと思っていたらヒットが光輝を自身のパラレルワールドに引きづり込んだ

 

『長くは持たない。質問は受け付けん』

 

 そう言ってヒットは簡単にこれからの事を話した。

 先ず自分は光輝を殺すふりをすると言う事、そしてそれを光輝は影分身に死んだふりをしてもらえと言う事。

 死んだふりをすれば何とかしてこの場をばれないように離れろ。そしてヒットは仕事が完了したフリをしてシーラスの所に行って殺すと言う事だ。

 

「何ともリスキーな作戦だよな。……ヒットでもあいつらの居場所を変えていたら流石に追えるかは微妙なラインだけど」

 

 ヒットの腕は別に疑っていない。超サイヤ人4では戦ってないが超サイヤ人ゴッドでも届かなかった。俺自身の基本戦闘力が低いのもあるかもしれないがそれでもあの人は強かった。

 

「……問題はシーラスがヒットの事を信用しているかどうかだが」

 

 はっきり言って腕の方は信用しているかもしれないが性格の方は信用してないかもしれない。依頼を受け遂行するだけの殺し屋と言っても結局やっていることは人殺しだからな。

 ヒットの信条とか度外視したらシーラスの大嫌いな”悪”だから。ついでに言うならシーラスの野郎は俺の事をどうやってか監視しているかもしれない。

 もしその仮定が正しければ俺がヒットにシーラスの目的を話したことも聞いてた事になる。

 

「まあ普通逃げるよな」

 

 戦ってみた感じ仮面の男とシーラスを入れてもあの二人がヒットに勝てるイメージが湧かない。そんだけ強かったんだ。悔しいな。今度会った時は絶対に負けない。

 

「……本当は俺も行きたかったんだけどな」

 

 というか完全部外者のヒットにシーラス達打倒をさせるの俺はぶっちゃけ嫌だったんだけど。でもそれを言おうとした瞬間にヒットのパラレルワールドが普通の世界に戻り強引に作戦が開始されてしまった。

 ついでに言うなら元々受けてたダメージもあり俺はどっちみち足手纏いだった。

 行くなと言っても言う事聞いてくれないだろうし……やっぱり今からでも突撃するかって俺居場所知らねえわ。

 

「……どうなるかな」

 

 最もヒットからの連絡手段なんてないから結果を知る事は俺には出来ない。ヒットからしたら俺にそんな事を教える義理は無いからな。

 

「結局、俺は俺に出来る事をするしかないか」

 

 腰の巾着に入れておいたドラゴンボールを出す。三つあるそれは見る分にはとても綺麗だった。これが元々持っている性質を加味したらおっかないに尽きるが。

 そして次にドラゴンレーダーを取り出し反応を見てみる。最初は映らなかったが縮尺を広げたら点滅した。これが普通のドラゴンボールか究極ドラゴンボールか暗黒ドラゴンボールかは分からないがどの道回収する必要がある。

 

「……この雨が止んだら行こうか」

 

 そう言って洞窟から顔を出す。そしてその顔には影が出始めた

 

「……そう言えば、あの時もこんな天気だったよな」

 

 絶望の未来で光輝は未来の悟飯と共に人造人間にやられた。それも完封と言ってもいい。人造人間の双子故に完璧なコンビネーションに光輝は手も足も出ずに殺されかけた。

 そして悟飯は自らの最後の気を光輝に分け与え……

 

『で·····何で!! 良い人ばっかり死ぬんだよ!! 死ななくちゃいけないんだよ!! そんなの……悪い奴らが死ぬ方が良いじゃないか!! 何で·····何で!』

 

 悟飯の骸を前に光輝は叫んだ。

 自分の無力さも何もかも嫌になった。本当にいなくなるべき人間が好き勝手に生きそれに抵抗しようとしていた人達が死んでいく。

 それが光輝には理解できなかった。許せなかった。……戦う意味が分からなくなった。

 

「……皆」

 

 超サイヤ人4になった時に聞こえた皆の声、今はもう迷わない。皆との繋がりが俺を超サイヤ人4にしてくれた。

 

「愛美と咲良……怒ってるかなぁ」

 

 一カ月に一回は帰ると約束したのにこのペースだと無理そうだ。帰った時どう2人のご機嫌を取ろうかと考える。

 一週間過ごしたとはいえまだ2人の好みは把握しきれていない。

 

「……参ったな。思いつかない」

 

 2人とも光輝の悩みを聞けばデートで手を打ってくれるのだが光輝は律儀にちゃんとご機嫌を取る方法を考えている。

 

「……1日俺自由権とか? ……需要ねえな」

 

 愛美がこれを聞けば「ありまくるよ!」というが光輝は自ら却下した。なのでこれが日の目を見る事は無かった。

 光輝があれこれ考えている中雨が段々と止み始めた。光輝もそれに気が付き空を見上げる。雲に隠れていた晴天に眼を細める。

 

「ま、その時考えるか!」

 

 とうとう思いつかなくて思考を放棄した。雨によって濡れた地面を歩きその後宙に浮き始めた。先程ドラゴンレーダーで見た方角を向いた。

 

「よし、行くか」

 

 光輝は再び空を駆けた

 

 ★

 

 

 

 建物が一つしかない、その建物以外は真っ白な世界で炎が上がる。至る所で爆発が起きる。その爆発の中を金色の光が駆ける

 駆けた先には同じく金色の光が迎え撃った。その光同士がぶつかり弾けた。世界を照らす閃光は片方の光が勢いよく弾け飛んだことで終わりを告げた。弾き飛ばした光はその弾き飛ばされた光の目の前に降り立った。

 上半身裸に赤い体毛、黒髪に赤い尻尾の孫悟空がその変身を解いた

 

「ふぅ……、本当にこの短時間で強くなったな、悟飯」

 

 先程まで倒れていた未来の悟飯がゆっくりと上体を起こし自分も超サイヤ人を解いた。肩で呼吸する。最後の手合わせが終わった。

 

「父さん……ありがとうございました」

 

 悟空は悟飯のお礼を聞きふっと笑いながら手を差し出す。悟飯はその手を取り立ち上がった。

 

「本当におめえは強くなった。最初の頃とは桁違いにな」

 

「それもこれも父さんのおかげです」

 

「オラは何もやってねえさ。悟飯が自分で辿り着いた場所さ」

 

 そう言って悟空は二かッと笑った。そのいつまでも変わらない悟空の笑顔に悟飯も自然と口角が上がる。

 孫悟飯は新たな力を手にして精神と時の部屋を出て行った

 

 

 




お疲れ様です。
ヒット戦後の光輝と久しぶりの未来悟飯。
話の都合上超パワーアップしました。未来悟飯は潜在能力解放より超サイヤ人の方がイメージあってるのでサイヤ人路線で行きます。

アンケートで悟飯の道着を決めましょう!

(*´∇`)ノシ ではでは~


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光輝VS未来を壊す悪魔

おはようございます。
今回からは究極の人造人間編です。


 地球エリア

 

 ドラゴンレーダーが指し示す方向へと光輝は飛んでいく。先程までのどんよりな雲模様ではなく今は晴天だ。そんな中光輝はザマスの事を考えていた。

 さっき戦ったザマスは氷の中に封印した。封印と言っても氷の中に閉じ込めただけだがあれはもう封印と言っても過言ではない。別にあのザマスが偽物だと思っている訳では無い。光輝が寧ろ気になるのは……

 

(……あのザマスって奴、悟空さんやベジータさんよりもずっと弱かった。俺がゴッドじゃなくて超サイヤ人2でも勝てたと思う。そんな奴がどうしてあのセルを倒した後も修業して強くなったトランクスさんを抑え込んで全王を呼ぶような事態になったんだ?)

 

 

 確かに不死身なのは武器だ。それで永遠に攻撃されればトランクスさんと言えどひとたまりもないだろうがそれならまだあの未来世界には武天老師さまがいるから魔封波を教えてもらえばまだ何とかなった筈だ。

 

「トランクスさんが知らなかった可能性もあるけど……」

 

 実際、未来のトランクスは魔封波の事は知らなかった。封印技である魔風波はザマスのような不死身と相性が良い。光輝自身が魔風波を身に付けている訳では無いが知識としては一応知っている。

 つまり光輝が言いたいのは……

 

「本当にザマスだけが人間0計画をしようとしていたのか?」

 

 どう考えてもザマスだけでは力不足。それが光輝には気になった。それにもう一つ気になる事がある。あのザマスの能力や戦闘スタイルはあの時も思ったがどんなふうに考えてもサポーター向きだ。間違ってもアタッカーではない。

 

「……あいつ以外の仲間がいると考えた方が良いよな」

 

 さっきは別行動中だったのか知らないがそれはそれで各個撃破出来て良かった。まあ、ザマスがあの分だと超サイヤ人ゴッドの俺を越えている奴が仲間とは考えづらいけどな。

 どんな仲間か知らないがくだらない計画は阻止するに限る。

 

 などと考えている内にドラゴンレーダーの反応が近づいてきた。徐々にレーダーが指し示す場所まで近づいてきたとき、光輝は気を段々と感じられるようになってきた。

 

(……この気は……やっぱりあのジンクスがあるのかなぁ)

 

 だがのんきにそんな事を考えられたのは最初だけだった。ドラゴンレーダーが示す場所と光輝が感じた気の場所は殆ど同じ場所だ。

 そして、その場所に感じた気はどんどんと小さくなっていく。それに……

 

「……不味い」

 

 光輝は一言そう言ってスピードを上げた。言うならば先程までジョギング程度だったのを全力ダッシュに変えたくらいのスピードで遥か彼方に飛んでいく。

 

(気は段々と減っていくのに相手の気が分からない。つまりあの人が今戦っている相手は……)

 

 そこまで考えた時、光輝は白色の気の中に金粉が混ざった神の気を放出しスピードを上げた。そしてスピードを上げ向かっていた先にある街から爆発が起きた。

 その爆発の中から一人の少年がボロボロになりながら宙を舞っていた。その少年は……

 

「トランクスさん!」

 

 光輝は宙に吹き飛ばされていたトランクスに肩を貸し街の道路へと着地した。肩を貸しているトランクスを見ると若い。

 セルゲームの時に見たトランクスよりも若いだろう。つまりこのトランクスは……

 

「タイムマシンに乗る前のトランクスさんか」

 

「う……貴方は……?」

 

 剣を背負っていることからも悟空さん達の世界に来る予定だったトランクスさんで間違いないと思う。どちらかというと未来の悟飯さんに会った時のトランクスさんに近い。

 

「貴方の味方です。立てますか?」

 

「は、はい」

 

 トランクスさんは俺の肩から離れその足で立った。取り合えず大丈夫そうなのを見て俺はトランクスさんが吹き飛ばされてきた方角を見る。そこには気を感じない、だが俺は気を感じない者を知っている。

 それは……

 

「何だ、そいつ。トランクス、お前の知り合いか?」

 

「どっちでもいいよ。殺すことに変わりはないんだからさ」

 

 少年っぽい声と少女っぽい声。その声を聞いた瞬間、俺の記憶が一瞬過去へと飛んだ。悟飯さんと2人係でも勝てなかった人造人間。

 世界を破壊しつくし人間を憎んだ双子の人造人間。

 

「17号、18号……か」

 

 切れ長のツリ目とストレートヘアーが特徴の、シャープで中性的な顔立ちの青年……17号。

 切れ長のツリ目から覗く青い瞳と、金髪のストレートヘアーが印象的なクールな顔立ちの女性……18号。

 2人の人造人間は光輝を見てもその態度を崩さない。

 

「へえ、俺達の事を知ってるのか」

 

「私達も有名になったものだねえ」

 

 その余裕の態度を見て光輝は眼を閉じた。

 別に現実逃避をしている訳では無い。寧ろその逆、今あの未来での戦いを思い出していた。手も足も出ずに負け悟飯を目の前で死なせてしまった時の怒り。

 今でも鮮明に思い出せる。そして……その過去を真に乗り越えるためのチャンスが今、ここにある。

 

 俺はトランクスさんを背に少し前に出た。ゆっくりと眼を開ける。目の前にはあの二人がいる。この2人はトランクスさんが変えた歴史の2人じゃない。正真正銘あの時の2人だ。

 

「この2人は俺がやります。トランクスさんは少し離れてください」

 

「で……でも」

 

 そこで光輝は目の前を警戒しながら少しトランクスの方を見た。その時の光輝と師匠である悟飯がトランクスには重なって見えた。

 似ているのは髪のみなのに不思議と悟飯と重なったのだ。光輝は何も言わずにその背をトランクスに向ける。

 

「おいおい。折角2対2に出来る所なのに一人で俺達に挑むとか馬鹿なのか?」

 

「ふふ、やめてあげな17号。馬鹿だからあたし達に挑むんだよ」

 

「それもそうだな。俺達に挑む奴はどいつもこいつも馬鹿ばかりだ。勝てる訳ないのに無駄な努力しているんだからな」

 

 光輝は何も言わず、ただ静かに金粉が混じった白色の気を纏う。気を感じ取る事が出来るトランクスは驚愕する。

 

「す……凄い。なんて気だ。あの時の悟飯さん以上の気だ!」

 

「ふん。孫悟飯程度の奴を越えたくらいで俺達にも勝てるとは思わない事だな」

 

「本当にそうだよ。あんな雑魚位で……」

 

「言いたい事はそれだけか?」

 

 18号の言葉を光輝は遮った。18号は自分の言葉を遮られたことで眉を顰め光輝を睨みつける。だが光輝は2人を見据えたまま歩き出す。

 

「はっ! 本当に俺達に勝てると思うのか?」

 

「やっぱりこいつ馬鹿だよ!」

 

 2人は笑みを浮かべながら光輝を見る。だが光輝の視線は揺るがず徐々に2人に近づいてくる。何も言わず近づいてくる光輝が不気味に思ったのか2人は気弾を光輝に向けて放った。

 その気弾は弾かれることもなく光輝目掛け着弾した。その証拠に光輝がいた場所から煙が上がる。

 

「ほらほらどうしたどうした!」

 

「大見え切ってこの程度かい!」

 

 2人はそれで止まらず更に気弾を連射する。手数が単純に多い2人の攻撃は止まる事を知らない。それを目の前で繰り広げられているトランクスは名前も知らない光輝を心配する。

 人造人間、そして永久エネルギー炉を持っている双子は体力が絶対に減らない。だから一見無茶に見える連続攻撃もこの二人からすれば朝飯前なのだ。いや、寧ろ手数で圧倒するのがこの2人のファイトスタイルと言ってもいい。その恐ろしさはトランクスにはよく分かっている。

 だが……

 

「誰がこの程度だって?」

 

 そんな言葉が2人の背後から聞こえた瞬間、2人は驚きの余り一斉に背後に向いた。だがそこには誰の姿もない。

 それに戸惑い前を向いた時、目の前に光輝が迫っていた。神々しい白色の気を纏った光輝は2人の間を通り抜けた。

 

「——ッ!?」

 

「ぐああッ?!」

 

 2人がそれを認識した時、唐突に足から力が抜け2人は倒れた。光輝はそんな2人を上から目線で見下ろす。

 

「……成程な。どうして俺の基本戦闘力が上がったのか分からなかったけどゴッドの世界を少しだけ吸収したのか」

 

 超サイヤ人ゴッドになった後から通常状態で出せるようになった金粉が混じった白色の気、あれの時前よりも基本戦闘力が上がっている。

 最初はなぜなのか分からなかったけどゴッドになったから俺の基本戦闘力が上がったのか。

 

「……これでも黒髪状態の悟空さん達に敵わないのか。トランクスさん以外ゴッドにはなってない筈なのに……改めて凄いなあの人達」

 

「ぐ……孫悟空……だと?」

 

 17号が苦渋の表情を浮かべて立ち上がる。俺は感傷に浸るのをやめて目の前で地べたに膝を付いている二人を見る。

 すれ違いざまにこいつらの足の関節とついでに身体に攻撃した。それもこいつが反応出来ないスピードで。あの時手も足も出なかったこいつらに。だがまだだ

 

「調子に乗るなよ雑魚が……!」

 

「絶対に許さないよお前は!」

 

 闘志を奮い立たせて立ち上がったこいつらを見る。そして思い出す。あの時の記憶を。多分、俺の記憶の中で1,2を争う位辛かったあの時を。

 金色かかった白色の気を更に吹き上がらせて光輝は2人の人造人間を指さした

 

「来い、人造人間。あの時の俺より強くなった事を証明してやる」

 

「貴様の事なんか知るか──ッ!!」

 

 17号がそう叫び気弾を放つ。光輝はそれを上に弾く。弾かれることは織り込み済みだったのか2人はそのまま光輝に突撃してきた。

 光輝はそんな2人を見て地面に気弾を投げつけ煙幕を張りその間に上に飛んだ。2人も光輝が上に向かったのを感じて追う。疲れないメリットを最大限に生かし光輝を追いこす

 

「はああああっ!!」

 

 17号と18号は両手にエネルギー弾を作りそれを光輝に向けて投げ飛ばす。それを見た光輝は未来の悟飯の技、爆魔障壁で防いだ。エネルギー弾と爆魔障壁がぶつかった事により爆発が起きる。

 その爆発に紛れて18号が光輝を殴りつけようとするが光輝はそれを右手で簡単に受け止める。反対方向から17号も右ストレートを放つ。それを光輝は18号を片手で1回転させることによって盾にする。17号はそれに気が付き実の姉を殴るのを躊躇い動きが止まる。

 

「——ふっ!」

 

 だが光輝からすればチャンスなので18号事気功波をぶつけ17号諸共轟音と共に吹き飛ばした。

 

「ぐああっ!!」

 

 その桁違いの威力に2人は一緒に吹き飛ばされる。だが光輝はそこで終わらず吹き飛んでいる二人をあっという間に追い越した。

 態勢を取り直した二人が前を見れば光輝が蹴りを放っていたところで18号が鈍い音共に吹き飛んだ

 

「18号ッ!」

 

 吹き飛んだ18号を17号が助けようと動き始めるがそれよりも早く光輝が17号も18号の元へと吹き飛ばしていた。

 同じ所に吹き飛んでいたら速度によるがぶつかる。後から蹴られた17号が凄まじい勢いで18号に激突する。

 

「「ガっ!?」」

 

「まだだ!!」

 

 だが光輝はそれで終わらず2人の両足を掴みそのまま地面へと急降下した

 

「くらえッ!!」

 

 地面に叩きつける轟音と共に砂煙と地面が抉れ辺りが砂煙に包まれる。それだけにとどまらず2人をぶつけた所から罅が割れその罅は近くにあった建物へと侵食しその内倒壊を始める。

 光輝は律儀に下敷きになるつもりもないのでバク転でその場を離れる。

 

「これで決める!」

 

 バク転をし終えて片手で青い光を形成する。

 

かめはめ……波──ッ!! 

 

 光輝の片手かめはめ波が建物の下敷きとなっている2人の人造人間に迫る。それを察知したのかは分からないが下敷きにしていた建物が一気に爆発によって崩壊してその中から黄色のエネルギー波が放たれ光輝のかめはめ波へとぶつかった。

 

「俺達が最強なんだ──ッ!!」

 

「お前なんかに負けるものか──ッ!!」

 

 2人の人造人間の意地が光輝とぶつかり合う。永久エネルギーなのを良いことに全力全開で光輝を殺そうとする人造人間、だが光輝も負ける理由は無かった

 

 人造人間の最後の抵抗があっさりと散った。

 

「な……なんだと!?」

 

「あたし達が……!?」

 

「————散れ」

 

 その言葉と共に2人の人造人間はかめはめ波に飲み込まれていった

 

 

 ★

 

 

 神様の神殿、そこにある精神と時の部屋の扉が重苦しく開いた。白銀の世界の残照が外の世界を照らす。そんな扉の向こうから2人の人間が出て来た。

 1人はタイムパトロールの孫悟空、もう一人はボロボロな道着の未来の孫悟飯。時代や世界を越えて邂逅した親子は修業を追えて出て来た。

 そんな二人をこの神殿の家主であるデンデとポポが迎える。

 

「お疲れ様です、悟空さん、悟飯さん」

 

「悟飯、前より遥かに強くなったの分かる」

 

 事実その通りで悟飯の戦闘力はこの世界に来た時より遥かに上昇している。

 

「はい。2人ともお世話になりました」

 

「頑張ったのは悟飯さんですよ」

 

「さあ、ご飯沢山用意してる」

 

 ポポが2人の腹具合を察してそう言った。それを聞いた瞬間悟空はパーッと明るくなった。

 

「サンキューミスターポポ! 精神と時の部屋じゃ碌なもの食べれなかったかんな」

 

「それもありますが……悟飯さんに会わせたい人がいるんですよ」

 

 その言葉に2人は疑問符を出しまくる。その様子は時代が違ってもやはり親子なのだと思わせた。2人はそのまま神殿の広場にまで歩いていく。

 神殿の中から出て来たら目の前に長身の人影が見えた。背後しか見えていないが悟飯はその人物を見て驚きの余り眼を見開いた。

 白色のマントにターバン、マントの中に見え隠れする紫色の道着は見間違えようもない。その人物は悟飯達が来たのに気が付いたのか振り向いた。

 

「あ……あ……」

 

 その人物は悟飯を見た瞬間に口元を緩め言った

 

「でかくなったな、悟飯。見違えたぜ」

 

「ピッコロ……さん」

 

 最後に会ったのは人造人間が出現した時、ピッコロは自分を気絶させ未来を託して死んでいった。その思いは結局トランクスに託す羽目になってしまったが今はそんな事させないと胸を張って言える。

 だが……今だけは

 

「会いたかったです、ピッコロさん!」

 

 その眼に涙を見せながら悟飯はピッコロに走っていく。感動の再会を果たしている悟飯を見ながら悟空はデンデに聞いていた

 

「あれは何時のピッコロなんだ?」

 

「ピッコロさんは正真正銘悟飯さんの世界のピッコロさんですよ」

 

「ピッコロ、嬉しそう」

 

 ポポの言う通りピッコロは顔には余り出していないが見る人が見れば嬉しさが出ているのが分かる。自分の弟子が強くなり立派になっていたら師匠冥利に尽きるというものだろう。

 悟空は師弟の時間を邪魔せずデンデと会話を繰り返す

 

「デンデ、光輝はどうしてんだ?」

 

 悟空はデンデに光輝を探して様子を見ておいてくれと精神と時の部屋に入る前に頼んでいたのだ。デンデはもちろんその約束を守っていた。

 下界を見下ろす為に培ってきた能力でこの世界でも下界を観察することが出来る。それを持ってデンデは光輝を観察していた。

 

「光輝さんはこの短時間でとても強くなってますよ。今では超サイヤ人ゴッド、それに超サイヤ人4にも」

 

「……そっか。本当に光輝は強くなった。この世界を脱出した時のあいつとの戦いが楽しみだな」

 

 そう嬉しそうに口元を緩ませる。強くなった光輝と自分の戦いを思い浮かべているのだろう。それだけ光輝との戦いが楽しみなのだ。

 だがデンデは次には心配そうな顔を見せた。そしてピッコロと悟飯の方を向いて歩いていく。悟空もついて行く。

 

「悟飯さん、聞いてください」

 

 ピッコロとの再会で話が弾んでいた悟飯はデンデの言葉に振り返る。

 

「後10分後、ここから南西に約80,000㎞先の街で光輝さんと人造人間の戦いが始まると思います」

 

「————!」

 

 人造人間、その単語を聞いた悟飯は眼を見開き拳を握った。それだけ悟飯の無念が伝わってくる。そして今にも駆けだしそうな悟飯にデンデは言った

 

「ですが、今の光輝さんならば超サイヤ人にならずともあの時代の人造人間を簡単にあしらえるでしょう」

 

 あの時はお互いに超サイヤ人ならなければ碌に戦えなかったというのに今ではお互いそんなものならなくても人造人間に勝てる。

 長い時間かけて光輝がその領域に行ったのに対して悟飯は悟空との修業でその領域に行ける辺り流石だろう。

 

「デンデ、だったらどうしてそんな心配気な顔をするんだい?」

 

「今、光輝さんが向かっている街にもう一つのあるグループが向かっています。そのグループは……」

 

 その名を言ったら悟空が反応した。

 

「そっか……あいつらもここに来てたんか」

 

 自分も戦った事があるかつての敵に悟空は難しそうな表情をする。

 

「光輝はあいつの戦い方を知らねえかんな。あいつのからくりが分かった時には遅いかもしれねえ」

 

「だったら俺が行きます!」

 

 悟飯はその顔を決意に染めて悟空に向く。悟空もその視線を受け悟飯を見返す。時間にして数秒、悟空がふっと笑みを浮かべて悟飯を押し出すように言った

 

「ああ、行ってこい。光輝の事は任せたぞ、悟飯」

 

「はい!」

 

 そしてそのまま悟飯は別れを惜しむようにピッコロと悟空を見た後、歩き出す。

 その背中はかつての悟飯より頼もしく、甘えを微塵も感じられない頼もしい背中だった。そんな悟飯の背中に声がかけられる

 

「待て、悟飯」

 

「ピッコロさん……?」

 

 悟飯は自分を呼び止めたピッコロを不思議そうに見る。ピッコロは悟飯の元まで歩きその頭に手を添えた

 

「今のお前の強さを存分に発揮してこい」

 

 弟子を見守るその表情は正に師匠だ。そして次の瞬間には悟飯の服装が変わり始めた。先程まではボロボロな亀仙流の道着だった。しかし光が晴れるとピッコロの道着へと変化していた。

 

「行ってこい、悟飯」

 

「はいっ!」

 

 元気よく言い返し悟飯はくるっと向きを変えた。

 

「父さん、ありがとうございました!」

 

 ただそう言って悟飯は気を吹き上がらせて飛翔した。悟飯を見送ったピッコロの隣に悟空が来る。

 

「よう、ピッコロ」

 

「……俺達の時代のお前じゃないな」

 

「ああ。……悟飯は本当によく頑張った」

 

 ここに来てからの修業の日々を思い浮かべながらそう言った。最初はとても人造人間には勝てないレベルだった。悟空やピッコロのような師匠がいない中たった一人では限界もある。

 実際、悟飯は独学ではなく師匠を付けた方が伸びしろが今までとは違った。悟飯が10年以上かけて人造人間には勝てなかった。だが悟空と修業する事によりそのレベルをはるかに超越した力を身に着けた。

 ピッコロも悟飯の進化が分かっているのか口元に笑みを浮かべながら言った

 

「当たり前だ。あいつはお前の息子で俺の弟子なんだからな」

 

 悟空はそこで不思議そうにピッコロを見る。このピッコロがあの絶望の未来の悟飯なのならまだ神様と同化して元の1人のナメック星人には戻っていないはずだ。

 それなのに今のピッコロからはその身に宿る戦闘力もそうだが人格も神様と同化した感覚を受ける。

 

「ピッコロ、おめえもしかして神様と一つになったんか?」

 

 今のピッコロの気を考えれば恐らく人造人間にも勝てるだろう。それにこの落ち着きようはそうとしか考えられなかった。

 

「ああ。あの世でな」

 

 短く答えた。それで悟空は合点がいった。

 

「そっか……おめえも悔しかったんだな」

 

 何故あの世というもう現世に戻れない立場でありながら神と同化したのか、それは分からないが弟子が人造人間にやられる所を見て来た。

 それがどれだけ悔しいものだったのか、悟空の想像も超えているだろう。

 

「……ふ、まあな」

 

 柔らかい笑みを浮かべ、ピッコロは悟飯を見守るように下界を見下ろしていたのだった

 




お疲れ様です。

光輝の白色の中に金粉が混じった気と言うのは復活のFの時に黒髪の悟空がフリーザと構える時のあれを思い浮かべてくれたらいいです。
超からなくなったけどあの気の感じ好きだった


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託された思い

おはようございます。それとお久しぶりです。
インターン始めてから全く書く余裕がなくなってしまい申し訳ない。これからもスロー投稿になってしまいますがよろしくお願いします


 地球エリア 絶望の未来エリア

 

 激しい攻防の果てに、2人の人造人間は光輝のかめはめ波に飲み込まれていった。積み重なった瓦礫と共に人造人間がいた場所は爆発が起き、煙幕で何も見えなくなった。

 光輝は突き出していた掌をゆっくりと下した。

 

「……やりましたよ、悟飯さん」

 

 あの日の悟飯の骸を頭に描きながらそう呟いた。

 勝負は完全に決した。仮に生きていたとしてもあの二人が光輝に勝てる道はもうない。黒髪状態の光輝でもこれなのだ。超サイヤ人になればその差は単純計算50倍以上となる。そんな光輝に17号と18号は勝てないだろう。

 そう思った

 

「——ッ!」

 

 光輝は煙幕の中から何かを感じて咄嗟に身体を上空に飛んで煙幕の中から飛び出してきた気功波を躱した。だが光輝が驚いたのはそこではない。

 あれだけやられた2人がいくら痛みを感じないからと言ってこんな早く復活したのに驚いたのだ。気を感じる事は出来ないがそれでも倒したと思ったのはどうやら自分だけだったらしい

 

「……俺も甘いな」

 

 そう呟いた直後、再び煙幕の中から気功波が放たれた。光輝はそれを今度は勢いよく上に弾いた。しかし今度はその威力に眉を顰める。

 

「どういう事だ、さっきまでのあいつら以上の威力だ」

 

 人造人間だから気は分からないが実際に戦った光輝にはそれなりに17号たちの実力を把握している。そしてその把握した力ではどうやっても今の威力は出せないだろう。

 

(……まさかあいつら以外の人造人間!?)

 

 だからその結論を出した。そこから光輝の中で人造人間たちのデータを出す。17号に18号、16号。14、15、そして13号にセル。

 この中から17号以上の人造人間は気を出すセルを除けば14と15号と合体した13号に16号だ。

 

「……どっちだ?」

 

 俺が戦ったのはあくまでも13号の内の一体、別の次元のあいつらかもしれない。ゆっくりと晴れていく煙をよく注視する。

 だけど……そこで俺は意味が分からなくなった

 

「はっ!?」

 

 光輝もそう言いたくもなる。何故なら……

 

「お前は……」

 

 煙幕が晴れ膝を付いていた17号が17号(・・・)に声をかける。そして17号と18号の背後には更に2人の人影が降り立った。

 その2人を見た17号と18号も驚きを表す

 

「何で貴様が!?」

 

 光輝も少し状況が追い付かない。もう後ろにいる他の人造人間はどうでもいい。いや、元凶という意味じゃどうでもよくないが今は大した問題ではない。

 光輝の目の前に現れたのは一人は分からないが他の2人は知っている。

 

「ドクター・ゲロに……もう一人の17号だと!?」

 

 ゲロともう一人の17号、この時代にはいると思っていたが何故この二人が一緒にいるのかが分からなかった。17号はゲロを憎んでいたはずだ。それなのになぜ一緒にいるんだよ。

 

「ふふふ、苦戦しておるようだな17号よ」

 

「黙れよ!」

 

 17号は先程の攻防で自分が追い詰められていたのは自分でも分かっていた。それを言えば17号は血眼になってもう一人の自分を視界に収める。

 

「それよりも……何だよそいつは!」

 

「喜べ17号。これでお前は完全無欠の究極の人造人間になれるぞ」

 

「それはどういう意味……!?」

 

 どういう意味だと聞こうとしたところ、17号の瞳が赤く光った。それに伴い17号の様子がおかしくなっていく。

 

「どうしたんだい17号!?」

 

 18号が弟の安否を気にするが17号は姉の声にも反応せず頭を抱えだした。

 

「何だ……? 後から来た17号が最初の17号に何かしているのか?」

 

 18号の声にも反応せずもがき苦しむ17号はそのままうずくまった。どちらにせよこれ以上事態をややこしくさせる訳にもいかない。

 そう思い光輝は人造人間達に攻撃を仕掛けようと動いた

 

「はっ!」

 

 気弾を放った。しかしそれは人造人間達にぶつかる瞬間に何者かに上空に弾かれた。光輝がそれを認識した時には既に目の前の相手に突っ込んだ。

 光輝の気弾を弾いた敵は光輝を迎え撃つために消えた。光輝も敵を追って空に飛び縦横無尽にぶつかり合う。

 

「はあああぁあっ!!」

 

 気合の雄叫びと共に拳を振るったが敵は見事に止めて見せた。

 敵の姿は水色に近い肌色に黄色を主体とした装備、少なくとも地球人ではない。いや、寧ろこの気の感じはこの前に似たような気の相手と戦ったばかりだ

 

「……ベビーと似た感じだな」

 

「そうだ。俺の名はリルド将軍、邪魔はさせんぞ!」

 

 リルド将軍は叫び気を解放した。光輝は咄嗟にその拳を離して距離を取った。リルドを中心に風が吹き荒れる。

 トランクスも建物に捕まり耐えていた

 

「な……なんて気だ!?」

 

 光輝も勿論その気を感じていた。そしてその大きさに純粋に驚いた。

 

「すげえな。魔人ブウ以上の気だ」

 

「さあ、勝負だサイヤ人!!」

 

 光輝も自分の気を吹き上がらせて構えを取った。先に動いたのはリルド、先手必勝とばかりに腕を光輝に向けてそこから腕がロケットパンチの如く発射された。

 しかしロケットパンチ自体はGGOのフィールドボスにもいたので特に慌てない。

 

(それにこれは囮だな)

 

 刹那の思考でそう思い空へ飛んだ。そんな光輝を逃がさないとばかりにリルドが迫りくる。剛腕の腕から放たれる一撃が光輝を打ち砕かんと迫る。

 光輝はその一撃を掌で逸らしがら空きの胴に膝蹴りを噛ます。

 

「——!?」

 

「効かんな!」

 

 だがリルドはびくともせず腕を振るった。光輝は咄嗟に腕でガードしたが威力を消し去ることは出来ずそのまま吹き飛ばされる。

 リルドはそんな光輝を追いながら口を大きく開けた。そこからエメラルドの光線が放たれた。光輝はそれを咄嗟に影分身を出して影分身が防御態勢を取った

 

「何っ!?」

 

 だが次の瞬間には光輝が驚愕を露にした。何故ならリルドの光線を受けた影分身が一瞬で鉄に変化してしまったのだ。

 鉄に変化してしまった分身は煙となって消えた。光輝は吹き飛びから回復し迫りくるリルドを見据えた。

 

(まだ後ろの奴らもいる。それに最初の17号の様子も変だ。こいつをさっさと倒す!)

 

 光輝は腰を落として両手を広げた後、一気に気合を入れて超サイヤ人に変身しリルド将軍を迎え撃った。

 激しい乱撃戦の中でも轟音が響き渡り辺り一帯を破壊する。

 

「ここだ!!」

 

 一瞬の隙を突き光輝の強烈な右ストレートがリルドの顔面を捉えた。リルドの顔がぐしゃりと破顔した。

 動きが止まったリルドを律儀に待つ必要なく更に拳と蹴りの嵐をお見舞った

 

「グううっ!?」

 

「決める!!」

 

 リルドの腹部に手を添えたと思えばそこから眩い程の気功波が吹き出しリルドは大ダメージと共に吹き飛んだ。

 光輝はそのリルドを金色の気を吹き上がらせながら追った。その掌には既に青色の乱回転のチャクラが溢れ出していた。

 

「螺旋丸!!」

 

「うおおおッ!!」

 

 リルドは吹き飛びながらも再び口を大きく開けてそこからエメラルドグリーンの光線を放った。光輝は避ける事もせずただ突っ込んだ

 しかしその手の中の螺旋丸は徐々に巨大化していく

 

「大玉螺旋丸!」

 

 光輝も大尽くすほどの巨大な螺旋丸をその光線にぶつけた。そうすれば螺旋丸が鉄に変えられかけるが直ぐに元の螺旋丸に戻っていく。

 リルドの光線が螺旋丸を鉄にする速度よりも螺旋丸が巨大化するスピードが圧倒的に上回っているのだ

 

「くらいやがれッ!!」

 

「クソオオオ──ッ!!」

 

 大玉螺旋丸がリルドの光線をぶち破りリルド事その肉体を吹き飛ばした。だが直ぐに光輝は地上の人造人間達を視界に入れた。

 だが直ぐに眼を顰めた。何故なら先程までうずくまっていた17号がゆっくりと立ち上がっていたからだ。

 光輝は直ぐに地上に戻って後ろのトランクスに言った

 

「トランクスさん、ここから戦いが激しくなります。出来るだけ離れてください」

 

「は、はい。お願いします!」

 

 トランクスさんが少し離れたのを見届け再び17号たちを見ると様子が変だった。さっきまでうずくまっていた17号が18号に

 

「お前も一緒に来い、18号。俺達と一緒にドクターゲロ様の為に戦おうじゃないか」

 

 ……17号はドクターゲロの事を嫌っていたはずだが後ろでニヤニヤしているドクターゲロたちを見る限りあいつらが何かしたのか。

 まああいつらが仲間割れするならそれでいいが……こいつらの姉弟としての絆は本物だろうから

 

「何言ってんだい17号! どうしてドクターゲロなんか様付けするんだ!?」

 

 変わってしまった17号に18号が叫ぶ。それに答えたのは後ろにいたドクターゲロだった。

 

「ふふふ、17号は我々の手ごまになったのだ」

 

 そしてその言葉を継いだのはさっきのリルドみたいなエメラルドグリーンの肌を持ってサングラスをかけているおっさんだった

 

「そうだ。先ずはそこの憎きサイヤ人から滅ぼそうではないか」

 

「「はい、ドクターミュー様」」

 

 2人の17号が同時に答えて光輝に襲い掛かった。光輝は地上戦だと不利だと考えて空へ飛んだ。

 

「はっ!」

 

 光輝が17号に気合砲を放つ、それは17号に当たり吹き飛んだがその間にもう一人の17号が光輝の背後に現れて拳を振った。

 それを光輝は右手で受け止め先程吹き飛ばした17号の元へ投げた。

 

「だだだっ!!」

 

 追撃するように気弾を連続で撃って牽制する。2人の17号は1回は気弾の嵐に飲み込まれたが直ぐに脱出して光輝に迫った。

 光輝もそれを見て無駄撃ちを止めて向かい打った

 

(どちらが最初の17号かもう分からねえがどちらも強さが引き上げられているだと!?)

 

 後から来た17号も最初の17号も先程よりもパワーアップして光輝に迫っていた。それでも恐らく光輝は通常状態でそれなりに戦えただろうが自分同士ということでコンビネーションもあり17号と18号のコンビとは違った厄介さがあった。

 

「ドクターゲロ! 17号に何をやったんだ!」

 

 地上では18号が17号の変化をドクターゲロに問いただしていた。ドクターゲロは空で戦う17号たちを見ながら答えた

 

「17号は本来、あのセルをも超える潜在能力を秘めていた。それが人間としての感情が邪魔をしてその潜在能力が引き出せなかった」

 

「だから我々はマシューミュータントの技術を使い無から新しい17号を作った」

 

 ドクターミューがそこまで説明した時、空から光輝が落とされて見事な着地をした。そして空へ浮かんで瓜二つの17号を見上げる。

 

「そしてその2人の17号が一つとなった時、究極の人造人間が生まれるのだ!!」

 

 高らかに叫んだドクターゲロの声を聞き光輝は2人の人造人間を見上げる。2人の17号は同じ顔で、同じ声で言った

 

「俺はお前」

 

「お前は俺」

 

「「今、一つになる」」

 

 そう言った直後、2人の17号の肉体が重なり合い眩い光が辺り一帯を照らした。光輝もその輝きに眼を細めてその結末を見る。

 

「気は感じられないけど……どうやら悪い方向に行ったみたいだな」

 

 そう呟いた直後、その光が一気に弾けて辺りの廃墟を吹き飛ばした。光輝もその前兆を感じていたので咄嗟にトランクスの元に現れ距離を取った。

 おかげでトランクスは衝撃に吹き飛ばされずに済んだ。

 

「あ、ありがとうございます」

 

「いえ、それに……ここからが本当の戦いみたいですから」

 

 そう言って光輝が見上げた先にいたのは1人の17号だった。但し、髪は長髪へと変化して眉毛はなくなり髪型はオールバックとなっていた。おまけに長身にもなっている。

 

 

「これが究極の人造人間、超17号の完成だ──―ッ!!」

 

 

 それを見たドクターゲロが歓喜し空を見上げていた。超17号は長い前髪をかき上げた後、上空から光輝を見下ろした。そしてその口元をニヤリと言ったふうに変えた

 

「——!」

 

 光輝が敵意を感じた瞬間、トランクスを引き攣れその場から姿を消した。その判断は正解だった。先程まで光輝がいた所には超17号が乱れ打ちした気弾の嵐が迫っていたからだ。光輝達が元居た場所はあっと言う間に爆炎に包まれその威力を如実に表していた

 

「チっ!」

 

 溢れてくる爆風に耐えながら光輝は上空を再び見る。超17号は余裕と言った感じで光輝の事を見下ろしていた。

 

「トランクスさん、ここから出来るだけ遠くに離れてください!!」

 

 自分の言いたい事を言った光輝は超サイヤ人2に変身しながら超17号と同じ高さまで飛び上がった。

 

「17号……お前」

 

「俺を退屈させないでくれよ?」

 

「言ってくれるじゃねえか……だったら付いて来てみろ!」

 

 光輝が言った瞬間、2人の超戦士は姿を消した。互いのスピードを全開にして空で幾たびもぶつかり合う。

 だがそれは誰にでも見えるスピードではなかった

 

「は……早すぎて見えない」

 

 トランクスが呆然と呟く。先程までの戦いも見えていなかったトランクスがそれ以上の戦いが見える訳なかった。

 だがそこで他の方を見た。ドクターゲロ達は変化した17号に眼がいっていてトランクスの方を見ていなかった。

 それを見たトランクスは静かに動き出した

 

「ちっ!」

 

 舌打ちした光輝が右足で回し蹴りを放つが超17号はそれを見事にブロッキングして光輝のがら空きの腹部に拳が突き刺さる

 

「ぐっ!」

 

 一瞬の痛みに苦悶の表情になる。その隙を超17号が見逃すはずなく一気に叩き落した。

 

「はははッ!! どうした!?」

 

 気弾を直下にいる光輝に放ちまくる。光輝はそれを痛みを堪えながら腰だめにかめはめ波を溜めて放ち全ての気弾をぶち破り超17号へと迫った。

 一見ピンチの超17号だが次の瞬間

 

「ふっ!」

 

「——ッ!?」

 

 その口元をニヤリと歪め大きく体を広げて光輝のかめはめ波が直撃した。光輝は直撃した場所を見ながら地面に着地して上空を見上げた

 

「なんであいつ今笑った?」

 

 超17号が笑った理由が分からず不気味に思った。人造人間だから気はやはり感じられない。だから超17号の現状を知ることは出来ないが光輝の中で胸騒ぎがし始める。

 そう思っていたら煙の中から声がした

 

「フラッシュボンバー!」

 

 その叫びが聞こえた瞬間、煙の中から先程の比ではないエネルギー弾の嵐が光輝に襲い掛かって来た

 

(この数は防ぎきれない!)

 

 そう咄嗟に判断した光輝は爆魔障壁で防ごうと試みた。超17号はそれを打ち砕かんとエネルギー弾を放ち続ける。

 

(防御だけじゃやっぱり無理か!)

 

 直ぐにそう判断した瞬間には爆魔障壁を解除してダメージ覚悟で超17号に突撃した。超17号はその顔を笑みにしてフラッシュボンバーを光輝に向けて放ち続ける。

 フラッシュボンバーが直撃した光輝は直ぐに煙に包まれた……が直ぐに煙を払うのと同時に超サイヤ人2・限界突破へと変身してそのスピードを引き上げた

 

「——ッ!」

 

 そのスピードの変化に眼を見開いた時には既に超17号の胴体に先とは比較にならない重さの拳が突き刺さっていた

 

「お返しだ」

 

「フンっ!」

 

 人造人間に痛みはない、それを利用して超17号は直ぐに光輝に反撃しようとして右ストレートを放つ。

 それを光輝は手の甲で受け流しながら自分の掌を超17号の腹部に触れた

 

「くらえ」

 

 その一言と共に光輝は0距離で気功波を放った。先程までの17号なら戦闘不能に出来たであろう一撃、これで勝負あったかのように見えたが……

 

「その程度か?」

 

 そんな言葉と共に煙の中から光輝の目の前に手が出てきてお返しとばかりに気功波をお見舞いされた。

 

「うわあああああっ!!」

 

 咄嗟に爆魔障壁を張ろうとしたが間に合わず光輝は下の道路へと衝突した。

 地面に張り付いた格好のまま光輝は超17号を見上げる

 

「威力が……上がってる?」

 

 先程までの気功波とは威力が違う事に気が付いた。ただ本気を出さなかっただけかそれとも……

 

(そう言えばあいつ俺の気功波だけはノーガードで受けているよな)

 

 そこまで思考した時、超17号が垂直落下で光輝に迫っていたので咄嗟にバク転で回避する。そして手裏剣を出した

 

「うちは流手裏剣術・(かづち)三連!!」

 

 雷遁の性質変化を乗せた三つの手裏剣が3方向から超17号貫かんと迫る。

 

「無駄だ!」

 

 しかし超17号は自身の腕を振るい手裏剣を弾き飛ばした。そしてお返しとばかりに気功波を放って来た。

 光輝はそれを避けることが出来ずに吹き飛んだ

 

「さっきまでの威勢はどうした? それとも……もう限界か?」

 

 仰向けに倒れている光輝に嘲笑する。光輝は痛む体を抑えながら上体を起こす

 

「はぁ……はぁ……強いな。一人だった時の10倍、いやそれ以上のパワーアップだ」

 

「地球の奴は雑魚ばかりだ。ちっとも楽しめない」

 

 そう言って再び気功波を放とうと光輝に向ける。

 

(どうする? 打撃はあいつに痛みを感じないから意味がない。かと言って気功波を打ち返すべきなのか?)

 

 先程から超17号は気功波の類の攻撃はノーガードで受けている。かめはめ波もただの気功波もだ。

 だが光輝の打撃にはしっかりと対応している。それが不可解だった。まるで喜んで気功波を受けているように見えるのだ。

 

「ふふふ、さあ超17号やるんだ!!」

 

 ドクターゲロが形勢逆転を見て邪悪な笑みを浮かべる。ドクターミューも違う意味で同じく笑みを浮かべている。

 18号だけは呆然と変わってしまった超17号を見ている。

 そんな3人の人造人間の背後、ドクターゲロの背後からトランクスが超サイヤ人に変身しながら首を絞めた

 

「な……何っ!?」

 

「ドクターゲロ、今すぐあいつの動きを止めさせるんだ!! 止めさせないとお前を殺す!」

 

 当然ゲロは拘束から逃れようともがくがトランクスの力の方が強く抜け出せない

 

(こ……この小僧なんて力だ!)

 

「わ……分かった。超17号の攻撃を止めさせる」

 

 ドクターゲロの背後を取りトランクスが要求したのは超17号の動きを止めさせること、自分の力では超17号は消し去れない。だが光輝の力なら出来ると判断したのだ。

 背後での異変に気が付いたのか光輝も超17号もトランクス達の方を見た

 

「トランクスさん!?」

 

「17号の動きが止まったらとどめを刺してください!!」

 

「超17号、攻撃を止めるんだ!」

 

 トランクスの力はドクターゲロを上回っている。だからゲロは自分が生きる為なら言う事しかなかった。

 超17号も言う事を聞いて光輝に向けていた気功波を納め……ゲロの方に気功波を向けた

 それに伴ってドクターミューの瞳がまるで何かのプログラムを動かすように点滅していた。それを見た光輝は嫌な予感がしてトランクスに叫んだ.

 

「トランクスさん離れて!!」

 

「ま……まて超17号、また私を殺すというのか!?」

 

 2人が言うが同時に超17号の強力無比な気功波がドクターゲロ、そしてゲロを人質に取っていたトランクスに向けて放たれた。

 トランクスは光輝の叫びで咄嗟に飛びのいたが気功波はゲロにぶち当たりその余波でトランクスも吹き飛んでしまった。

 トランクスが吹き飛んだ先に光輝が先回りして彼を止めた

 

「トランクスさん大丈夫ですか?」

 

「う……う……すみません」

 

「今は喋らないでください。トランクスさんの思いは分かりましたから……後は俺に任せてください」

 

 そう言いながらトランクスを横たえさせた。光輝は立ち上がりドクターミューが超17号は自分の言う事しか聞かないようにしたとかなんとか言っている中、光輝は言った

 

「俺も……悟飯さんの仇を取りたいのは同じですから」

 

「……後は、お願いします」

 

 このトランクスは光輝の事は知らない。だから何故悟飯の仇を取りたいのかは分からない。だけども……それ以上は自分の意識が持たなかった。

 倒れるように気絶したトランクスを見た後、光輝は再び超17号、そしてドクターミューの元へ降り立った

 

「ふ、馬鹿な小僧だ。超17号は私の言う事しか聞かないようにしたと言う事を知っていればまだ違うやり方があったものを」

 

 超17号はさっきまでの戦いで乱れた前髪を上げて心底分からないと言いたげにな顔になる

 

「トランクスもそうだが……孫悟飯も馬鹿だな。トランクス何かに俺達を倒す希望を託すなんてな。くだらない」

 

「黙れよ」

 

「うん?」

 

 光輝の闘気が徐々に静まっていく。だがそれは諦めた訳じゃない。自分の怒りで気を表面に出さないようにしているだけだ。

 今の光輝は水面に波紋すら出さない静かさ、それでいて内側には秘めたる怒りの炎を燃やしていた

 

「希望を……未来を救うために誰かに希望を託すことの何が悪い!」

 

 光輝の溢れ出していた超サイヤ人2・限界突破の金色の気が急速に光輝の中に入っていく。

 

「届かない思いを誰かに託すことの何が悪い!」

 

 渋谷での笠木との決戦、SAOラスボスのヒースクリフ、歴史を、そして忍界を守る為に戦ったターレス

 光輝は常に誰かに何かを託されて戦ってきた。その中には希望を託されてきたものもある。だから光輝には分かるのだ。

 

「てめえには分かんねえのか? 誰かの為に戦い、誰かに希望を託すことが」

 

「くだらない」

 

 そう言って切り捨てた。だが光輝はどこか狂ったような笑みを浮かべた

 

「だろうな。目的も見失い世界を破壊し、挙句操り人形に成り下がったてめえには分からないだろうな」

 

 それを聞いた超17号が怒り狂う

 

「黙れ! そんなちっぽけな物にすがるお前達よりも、全てにおいて俺が全宇宙最強と言う事を証明してやる!」

 

 決戦の火ぶたを切るように超17号は強力な気功波を放ち、それを光輝は弾くでもなく避けるでもなくまともに食らった。

 それに伴って爆炎が吹き荒れる

 

「あれだけ大見えを切ったのにこの程度とはな」

 

 ドクターミューが我がごとの様に口元をニヤリと歪めて爆炎を見つめる。しかし次の瞬間にはその爆炎が渦となって一つのドーム状の赤き神々しい気へと変化した

 

「何っ!?」

 

 データにはないその現象にドクターミューが驚きを表す。そしてその気の中から姿を現したのは赤く髪を染め、赤い眼に黒い瞳孔、体も少し細くなった光輝がいた。

 超サイヤ人ゴッドとなった光輝は驚愕で動けないドクターミューを無視し超17号の眼前に踏み込んだ

 

「——!!」

 

 その先程までとは桁違いの踏み込みに超17号は初めて動揺を表す。

 咄嗟に拳を放つ。

 光輝はそれを顔を捻る事で躱してすれ違いざまに超17号の肉体を貫く勢いの左のボディーブローが突き刺さった。

 

 その余りの衝撃に超17号が苦悶を浮かべる。光輝はそのまま超17号を吹き飛ばした。超17号は抵抗も出来ずただ吹き飛び廃墟に突っ込んだ

 光輝はゆっくりと元の態勢に戻る。

 

「勝負だ17号……そんな他者を屈服させるだけの強さなんかよりも、誰かに託された思いの方がずっと強いって事を証明してやる!」

 

 光輝の怒気を表すように赤きオーラが燃え上がり超17号へと突貫した

 

 

 

 




お疲れ様です。

ゴッドVS超17号です。
超17号の能力に早めに気が付く光輝。GTの悟空はまあ…物語上しょうがなかった気もする。
そして光輝、腹ぶっさすの大好き。
次々回まで超17号編です


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未来を変える赤き咆哮

おはようございます。
またまた久しぶりです。


 空気を切裂く音が轟き世界が弾けた

 

「クソおおおおッ!!」

 

 憤怒を浮かべた超17号が神の気を纏う光輝に突貫する。光輝は焦るそぶりもなく迎え撃つ。先程までの超サイヤ人2・限界突破の様に荒々しい戦闘スタイルではなく、柔を出した戦い方で超17号追い詰めていた

 

「な……何なんだあの変身は。超サイヤ人とは違うのか?」

 

 ドクターミューが狼狽えたように光輝を見上ている。

 超17号のボディーブローが光輝に襲い掛かる。

 

「ふっ!」

 

 しかし光輝は焦るそぶりもなく、冷静にそれを見極めた。拳を掴みいなしながら膝蹴りを繰り出す。

 超17号の身体がクの字に曲がる。浮き上がった所を顔面に拳が突き刺さり吹き飛んで行く。

 

 俺は確かめたい事があった。直ぐに掌からエネルギー弾を3つ出してそれをぶん投げた。それを見た超17号がまたニヤリと笑い両手を広げてノーガードで受けようとしたのを見て俺はある事を確信してエネルギー弾を遠隔操作して3つともぶつけ煙幕を起こす

 

「何っ!?」

 

 それに戸惑っている超17号の声を聞きながら俺は影分身を出して気弾に変化させた。その人間気弾をそのまま超17号に放った。

 煙が晴れて迫って来た人間気弾に超17号は気が付くことなくまたニヤリと口元を歪めノーガードをした。

 そんなあいつに聞こえるように叫んだ

 

「お前は気を吸収してそれを自分の力にすることが出来る、ただし!」

 

 ボンっ! と超17号に迫っていた気弾が変化を解き影分身の光輝がウォーリア・ビヨンド・ディスペアーをその手に掴んだ状態で現れた

 

「気を介した攻撃に限る、だよな!」

 

「何だとッ!?」

 

「おせえよ!」

 

 ノーガードの状態から直ぐにガードしようとするが既に遅く光輝の正拳突きならぬ正剣突きが超17号の腹部に突き刺さった

 

「があッ!?」

 

「気の吸収能力、その油断がお前の敗因だ!」

 

「だ、黙れッ!」

 

 直ぐに目の前の光輝を攻撃して消し去るが傷ついた傷は分身のように消える事はない。それを示すように超17号は狼狽え、自分に開けられた穴に手を当てる

 

「く……クソッ。雑魚の分際で……俺の身体に……穴を……ッ!?」

 

「てめえはその気の吸収能力に頼り過ぎだなんだよ。そもそも俺の事を雑魚雑魚言うくせにその雑魚の力に頼るお前には言われたかねえ」

 

 ただあのまま俺が気の吸収能力に気が付かずに気を主体とした攻撃をしていたら危なかったかもしれない。

 元々超サイヤ人2の時点でもしかしてって思ってはいた。元の17号には永久エネルギー炉の無限の体力があっただけだから最初は考えていなかった。ただ最初の17号は気弾も痛みは無かっただろうけど弾くなり対処していた。

 それがいきなりノーガード戦法になったのは何かしら理由があると考えるのが当然だったからな。

 だから力が更に上がり、超サイヤ人2よりも感情のコントロールが利くゴッドになって見極めた

 

「今度こそ終わりだ、17号。てめえは地獄に落ちてもらう」

 

「貴様は地獄に行かないのか?」

 

「さあな。地獄行きなら俺はそれでいい。俺も悪人だろうが人を殺している時点でお前らと変わらんからな。ただ……」

 

 光輝の背中にいつもの頼もしい双剣の重みがのしかかる。

 かつてあの城を共に駆け上り、その後の戦いも共に歩んでくれた剣達

 

「俺の願いは大切な人達が笑う世界を守る事、その為なら地獄に行ったって怖くねえよ」

 

 そう言って光輝は自分の剣を抜刀する。STR一強のその剣は力強く輝き煌めいていた。

 気を主体とした攻撃が通じないのなら打撃の技が有効、だが打撃だけでは永久エネルギーに痛みがない超17号を消し去る事は不可能。

 だったら簡単な話、二刀を持って八つ裂きにしたらいい。

 

「終わりだ」

 

 二刀を構え、その二刀に纏うようにゴッドの赤き気が燃え上がる。

 この二刀に纏う気を吸収しようとノーガードで受けたら剣本来の斬撃が超17号を切裂く。

 しかしそれをまともに相手しようとしても既に光輝は超17号の動きを見切り始めている。

 それに超17号の強さはゴッドの強さには及ばない。

 光輝に追いつこうとすれば八つ裂きに、戦おうとしても八つ裂きに、超17号は進退窮まった。

 

「この……俺が……俺が」

 

 わなわなと震える超17号、光輝は一つも慈悲をくれるつもりは無い。構えた二刀の切っ先を向けた。

 

「俺一人では絶対に行かないぞ! 道ずれだぁああ!!」

 

 そう言って光輝にエネルギー波を打つと見せかけて気絶して横たわって無防備なトランクスに向けて放った

 そのエネルギー波は速度一点に集中したエネルギー波で威力を伴っていないが無抵抗なトランクスを消し去るには十分な威力だった

 

「てめえ!」

 

 光輝はその余りの狡猾さに怒鳴ったがそれと同時にある気を感じ取った。懐かしく、苦い思い出でもある超戦士の気。

 

 

 ──この気は……まさか!? 

 

 

 その時、光輝が動くよりも早くその人物はトランクスの前に現れ超17号のエネルギー波を弾いて見せた。弾かれたエネルギー波は空で爆発した

 

「何だとッ!?」

 

 トランクスさんの前に現れたのはピッコロさんの道着、紫色を基調とした道着を着ている人だった。

 そしてその顔を見た瞬間、俺の中で何かが込み上げて来た。それは嬉しさだったのかもしれない。悲しみだったのかもしれない。懐かしさだったのかもしれない。

 自分でも何が何だか分からない思いが俺の中を埋めた。

 

「悟飯……さん」

 

 俺の知っている気よりも遥かに莫大な力を身に纏って悟飯さんがトランクスさんを守って見せた。

 悟飯さんは超17号を険しい眼で見た後、俺を見た。

 

「……!」

 

 そして時の巣にいる悟飯さんと同じ、それでいて違う笑みを浮かべた。

 

「本当に強くなったんだね」

 

 光輝は胸の奥から湧いてくる思いと共に返事した

 

「……はい!」

 

「孫……悟飯!」

 

 超17号が自分の気弾を弾いて見せた悟飯の名を唸るように呟く。光輝はトランクスが無事なのを確認した後、超17号を睨んだ

 

「今度こそ終わりだ。大人しく地獄に行きやがれ」

 

「俺が全宇宙で最強なんだぁああああ!!」

 

 光輝は性懲りもなく自分が最強と言い張る超17号を憐れんだ。そんな光輝の肩をいつの間にか光輝の隣に来た悟飯が叩いた。光輝はそんな悟飯を見る。

 

「君はあっちの敵を頼んでいいかい?」

 

 そう言って見たのはドクターミュー。ドクターミュー自体は大したことない。

 

「分かりました。あいつは気を主体とした攻撃は吸収します。お気をつけて」

 

 光輝はそう言って高みの見物をしていたミューの元に降り立った。それを見届けた悟飯は超サイヤ人に変身した。

 その身に纏う気に光輝は驚愕しながらも目の前のミューを見る

 

「おのれ……いつも私の邪魔ばっかしおって……サイヤ人め!」

 

「ふざけんじゃねえ。自分の力でサイヤ人を打倒しようともしない奴に言われたかねえ」

 

「く……超17号! 何をしている、私を助けるんだ!!」

 

 そう叫ぶと同時に空から爆音が響き渡る。光輝は空で繰り広げられている激闘の気を感じていた

 

(すげえ……あの時の悟飯さんの100倍……いやそれ以上に力を上げている)

 

 あの時とは比べ物にならない程力を上げた悟飯を見て口元が緩む。

 

「どうやら援軍は期待出来ないみたいだな」

 

「く……くそっ!!」

 

 焼石の気弾を放ったがそれを横に弾いた。それを見たミューは連続で放つがそれら全てを弾き力の差を見せつけた。

 それでも野心は捨てない

 

「私は全ギャラクシーを征服するまで絶対に死なんぞ!」

 

「どいつもこいつも征服征服……いい加減にしやがれ」

 

 てめえらの視界は征服しかないのかよ。そんなことしても最後に残るのはただの虚しさだ。そんな簡単な事も分からねえのかよ

 

「てめえらの野望はここで潰える。理想を抱えたまま消えやがれ」

 

 刹那、ミューの眼前に現れがら空きの胴を一刀両断した

 

「馬鹿……な」

 

 それがミューの遺言となった。一刀両断されたミューは爆発を起こしその身を散らした。背後で爆発が起こりミューが消し炭になったのを確認した後、光輝は超17号と相対している悟飯の元へとやって来た。

 

「流石、早いね」

 

「まあこいつと比べたらね」

 

 と言って超17号を見る。光輝があけた穴はそのままに既に満身創痍の超17号。

 

「これで分かったか? 最強なんてものに固執するお前はその程度なんだよ」

 

「く……クソ!」

 

 悔しさで歯を食いしばり2人を睨む。2人は情けをかけるつもりもないのか構えた。そんな時だった、歯を食いしばっていた超17号が何故か眼を見開いたのだ。

 

「……!?」

 

 そこで光輝は嫌な予感がした。超17号の瞳が一瞬赤くなったのだ。そして次の瞬間

 

「うおおおおおおおッ!!」

 

「何っ!?」

 

 クールな彼らしからぬ雄叫びを上げそれと同時に超17号に纏うように紫色のオーラが噴き出してきた。

 

「これは……普通の魔術か!」

 

 こんなことを出来る奴は暗黒魔界の奴らか或いはシーラスのみ。命を削る方は永久エネルギーって概念がある人造人間には行えなかったのだろう。

 ただこの魔術自体、これだけで歴史を変える力も持っている。

 

「悟飯さん、気を付けてください! どっかでこいつをパワーアップさせた奴がいます!」

 

「分かった!」

 

 光輝は直ぐに周りの気を探り魔術を仕掛けた人物を探ろうとしたがその前に超17号が先程以上のスピードで光輝の前に踏み込んできた。超17号は光輝の顔面に強烈な右ストレートをお見舞おうとして来た

 気の察知を中断して二刀を重ねてその拳を止めた。

 

「グっ!」

 

「はああああっ!!」

 

 暴れ狂う獣の様に強引に振りぬき光輝を吹き飛ばした。次には悟飯の目の前に現れて渾身のボディーブローを放つ。

 

「——ッ!」

 

 しかし悟飯は冷静にそれを見極めて受け止めて見せた。超17号は光輝と同じように強引に振りぬこうとするがその前に悟飯が拳を受け流し膝蹴りが炸裂した。

 

「グううぅっ!!」

 

 唸っている超17号を更に殴り飛ばした

 

「多重影分身の術!」

 

 と同時に光輝の声が響き30人の光輝が超17号に迫った。超17号が光輝達を相手している間に本体の光輝は周囲の気を探り誰が超17号に魔術をかけたのか調べた。

 だが辺りからはそれらしき気を感じることは出来ない。

 

「誰がやったのかは分からんままか」

 

「仕方がない。今は17号を倒そう!」

 

 悟飯の言葉に頷き全ての分身を消し去った超17号を見る。ふと悟飯の背中を見る。

 

 ──ああ、頼もしいな

 

 そう思った。あの時の人造人間には届かなかった時とは違う。俺も悟飯さんもずっとずっと強くなった。

 それが例え究極を自称している目の前の相手にも引けを取らない位。

 嬉しかった。ただそれだけが今俺が感じている事だった

 

「ふふふ……俺は終わらんぞ。お前達を絶対に地獄に送ってやる」

 

「悪いがてめえに負ける気はない。さっきまで俺一人にすら勝ちきれなかった奴が俺達に勝てると思うのか?」

 

「ふふふ」

 

 不気味な笑みを変えない超17号に流石の光輝も訝し気に見る。だがやる事は変わらない。早く目の前の超17号を倒して悟飯とゆっくり語りあいたい。

 悟飯が死んでしまった後の事、自分の事を。

 しかし超17号は未だ口元の笑みが絶えない。その理由は

 

「お前たちが俺に勝てる可能性は……ない!」

 

 そう叫んだ瞬間、超17号の紫色のオーラを何と地上で先程までこちらの戦いを呆然と見ていた18号に襲い掛かった。

 

「……あッ!?」

 

 18号がそれに目を見開き逃げようとしたがあっさりと囚われた。

 

「アアアッ!!」

 

 18号は自分に侵食する何かを感じ悲鳴を上げる。しかしもう遅く18号は光の粒子へと変換されて超17号の元へ入っていった

 

「何!?」

 

 18号を取り込むという選択肢を選んだ超17号に悟飯が愕然とする。光輝も似たようなもので口を開けたまま変化しようとしている超17号を見る。

 超17号はその邪悪な笑みはそのままに大きく変わったのは髪の色が18号のような金髪に変化したこと。ついでに言うなら先程光輝が開けた穴も塞がっていた。吸収した18号の細胞を使って新たに再生したのだろう

 

「だけど、18号を吸収したくらいで俺達に勝てると思うなよ!」

 

 それでも光輝は自分達が勝てると思った。2対1だし何より18号自体の力が今の自分達からしたら大したこともないものだったからだ。

 

「……ふ」

 

 だが超17号はそんな光輝を小馬鹿にしたように笑った

 

「キッ!」

 

 舐められていると感じた光輝は二刀を背中の鞘に入れてゴッドの気を纏いながら突貫した。

 

「光輝君!」

 

 悟飯直ぐに追った。18号を吸収した超17号は光輝を見て空に手を掲げ、そこから数えるのすら億劫になるほどの気弾を打ち上げた。

 それが超17号に迫っていた光輝達へ流星群のように落ちてくる。

 

「数が多い!」

 

「眼を逸らすな!」

 

「——ッ!」

 

 悟飯のその声と共に前を向くと既に先程とは桁違いにスピードを上げた超17号が迫っていた。

 

「早や──ッ!?」

 

 言葉途中で光輝のがら空きの胴に超17号の拳が突き刺さった。動きが止まった光輝の足をこけさせ態勢を崩す。

 そのまま光輝をハンマーナックルで地面へと叩きつけた

 

「ガハッ!」

 

 その余りの威力に一瞬白目をむき倒れた。超17号はそんな光輝を笑いながら見下していたが直ぐに動き出す。

 

「くッ!?」

 

 直ぐに光輝の前に現れ超17号の右ストレートから乱撃戦が始まった。

 

 ──さっきとは桁違いのパワーとスピードだ! 

 

 拳が超17号にぶち当たり顔が吹き飛ぶ。

 超17号の反撃の蹴りが悟飯の顎を穿つ

 人間の悟飯にはある痛みによる隙は超17号には絶好のチャンス。光輝の元へ悟飯も叩き落した

 

「グっ……!」

 

「くたばれ」

 

 そう言って超17号はその場を離れた。意識を取り戻した光輝が次に見た光景はさっき超17号が無数に打ち上げた気弾たちが自分達目掛けて落ちてくる所だった。

 

「——!!」

 

 それを見た2人の脳裏にはあの時の事が蘇った。自分達が双子のコンビネーションに完膚なきまでにやられ、悟飯は光輝に気を分け与えた時の記憶。

 その記憶が蘇った時、2人はそのまま気弾の流星群に飲み込まれていった

 

 

 ★

 

 神様の神殿

 

 光輝達の戦いを気で感じ取っていた悟空にピッコロは静かにたたずんでいた

 

「どう思う、孫」

 

 2人は超17号に勝てるか? と言う意味だ

 

「勝てるさ。光輝も悟飯も力をまだ出し切っていねえ。それを解放すりゃあ絶対に勝てる」

 

 確信を持っているその言い方にピッコロは何も言わずただ悟飯と光輝を見守っていた。しかしその拳が握られていた。それを見た悟空は問いかけた

 

「……おめえも本当は行きたかったんじゃねえのか?」

 

 無意識に握られているその拳を見ながら問いかけた

 

「今の俺では悟飯の足を引っ張るだけだ」

 

 ただ自分の実力と今の悟飯の力を比べ、その上で自分は残るという選択肢を選んだ。しかしそれはただただ悔しく、悲しい選択でもある。

 あの絶望の未来で17号と18号を倒せなかったのはピッコロも同じ。自分やベジータが死んでしまいあの未来を悟飯やトランクスに任せる羽目になった。

 だが今の状況は何も変わってはいない。それに悔しさが残った

 

「そっか。……またオラと戦おうぜ」

 

「ふ、この戦いを見終わった後でな」

 

 ライバルは微笑み悟空を見る

 悟空もライバルを見ていて互いに笑みを浮かべ、かつての因縁と決着をつけようとしている愛弟子たちを見守った。

 この世界を揺るがすほどの莫大な気を感じながら

 

 

 ★

 

 

 絶望の未来エリア

 

 超17号は光輝と悟飯を叩きつけ、気弾の流星群を落とした場所を見て高笑いしていた。

 

「ハハハッ!! 最後に勝つのはこの最強の俺だ! やはり地球の奴らは雑魚ばかりだ」

 

 先程まで押されまくっていた自分が逆に2人追い詰める。それが超17号にとっての愉悦だった。

 力が漲る。18号の戦闘力を足しただけならこれほどのパワーアップは出来なかった。しかし元々双子と言う事もあり相性が良かったのだろう。

 

「さっきまでの威勢はどうした!」

 

 瓦礫に埋もれ、姿が見えない2人に向けて叫ぶ。ただただ高笑いする超17号、そんな時、大気が震えた

 

「……ん?」

 

 超17号もそれに気が付き訝し気な顔になる。最初は気のせいかと思ったが直ぐにそれは間違いだと気が付いた。

 何故なら、その大気が震えるのと同じタイミングで彼らの腹の底からあげられる魂の雄叫びが世界に響いたから

 

 

「「はぁぁぁアアアアアアッ!!」」

 

 

 その雄叫びが共鳴するかのように金色のドーム状の気が吹き上がり瓦礫を全て吹き飛ばした。

 中心にいた2人の気は際限なく高まり雄叫びがこの街に響く。そのドーム状の気はその内天井知らずに迸り辺り一帯を照らした

 

「何だとッ!?」

 

 金色の気の中心部にいた二つの影は同時に動き目の前に肉薄してきた

 

「——ッ!?」

 

 そのスピードは先程までとは桁違い、超17号も反応が遅れた。そんな超17号の腹部に2人の左右のボディーブローが突き刺さった。

 その余りの速度に超17号は眼を見開いたまま吹き飛ばされた。二つの人影は更に追いかけた

 

「クソぉ!!」

 

 やけくそ的に気弾を放つが二つの人影はあっさりと躱し、1人が超17号の背後に現れ真下にぶち落とし、もう1人が更に追って上空に打ち上げた。

 

「ぐわあああああっ!!」

 

 超17号はその余りの攻撃に叫びブレーキをかけ、自分を殴ったり吹き飛ばした2人を見た。

 2人は金色の膜をぶち破り現れた。

 1人は超サイヤ人と姿は殆ど変わっていない、が超サイヤ人の時よりも髪が逆立ち青白いスパークが走っていた。

 1人は見た目の変化が一番激しく、紅い体毛に金色の瞳に黒の瞳孔。従来の超サイヤ人とは違う黒髪

 

「今度こそ……終わらせる」

 

「ああ。この因縁も今日で終わらせる!」

 

 超サイヤ人4となった光輝

 超サイヤ人2・限界突破……いや、光輝の限界突破よりも遥かな力を我が身に集約させた孫悟飯

 2人の戦士は超17号と対峙した

 




過去との決別、真なる力を解放した2人は限界を遥かに超越する


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究極のサイヤ人VS究極の人造人間

おはようございます。
17号編終了です!


 地球 絶望の未来エリア

 

 圧倒的な気を纏う2人の人間が1人の人間が作り出した人造人間を見上げていた。

 サイヤ人の1つの到達点、超サイヤ人4。

 ただただ超サイヤ人2を極め、超サイヤ人4に匹敵する力を我が身に集約させた超サイヤ人2・限界突破。

 その内の赤い体毛と黒髪を靡かせている方が口を開いた

 

「17号……これが本当に最後だ」

 

「人造人間、この因縁も終わらせてやる」

 

 嘗ての自分達を越え、今度こそ未来を救うために力の臨界点を突破した2人の戦士が厳しい顔つきで因縁の敵を見据えていた

 因縁の敵……もう1人の自分と合体するだけでは飽き足らずただ目の前の2人を越える為に、貪欲に実の姉をも吸収した超17号が2人を見下ろしていた

 2人を無謀なる挑戦者として不快そうな顔で見ていた

 

「笑わせるな! お前達がどれだけ強くなろうとも、究極である俺には絶対に勝てない!!」

 

「どうかな? やって見なきゃわからねえ!!」

 

 先陣を切ったのは超サイヤ人4へと変身した光輝だ。あっという間に距離を詰め、超17号の前で拳を振り下ろした

 超17号はその拳を鈍い音共に左手で掴み止めた

 

「はぁあああああ!!」

 

「なんだと!?」

 

 しかし激昂の雄叫びと共に光輝の力が増幅し超17号の顎に回し蹴りがぶち当たる。痛みは感じないが衝撃は感じる。

 視界が空へ向いた。

 だが直ぐにその空が見えていた視界ではもう1人の金色の戦士が構えていた

 

「グおぉっ!?」

 

 刹那、腹部に強烈な衝撃が巻き起こり叩き落された

 

「クソぉ!」

 

 しかし、ただやられるのではなく強烈な気弾を2人に放ち牽制する。

 2人はそれぞれの気弾を弾き同時に蹴りにかかった。超17号は宙返りでその場を離れ、回避した。

 

「超サイヤ人4の力見せてやる!!」

 

 そんな声が聞こえた時には超17号の背後には光輝が現れていた。ゴッドよりも遥かに早く、力強さが乗った拳が背中に突き刺さった。

 超17号は前へ吹き飛ばされた

 

「父さんと作り上げた力、見せてやる!!」

 

 吹き飛ばされた先には、亡くなった父との厳しい修業の果てに辿り着いた、超サイヤ人2の極致へと至った悟飯が構えていた。

 超17号は右ストレートを吹き飛ばされた勢いを利用しながら放った。悟飯はそれをギリギリで躱しながら右の拳でボディーブローを放つ

 

「ガっ!?」

 

 動きを完全に読まれ、超17号は苦悶の声を上げる。

 悟飯はそのまま顎を蹴り上げた。次に超17号が前を向いた時には既に2人の超サイヤ人が肉薄している。

 

「行くぞ光輝君!!」

 

「はいっ!!」

 

「雑魚が調子に乗るなああああっ!!」

 

 そこから三者は姿を消した。

 あらゆる場所で拳と蹴りがぶつかり合う轟音が響き渡り爆発を起こす。だが爆発を起こしている本人達はそれを意に介さずせわしく飛び回る。

 

「ん……う」

 

 そんな轟音と爆発の中、ダメージが許容量を超え気絶していたトランクスが眼を覚ます。

 

「ここは……はっ!」

 

 そこで頭上で吹き荒れる爆音が耳に入った。それと同時に懐かしい気が頭上で動き回っているのを感じた。

 気が強大すぎて計り知れない程に高まっているが、それを差し引いても知っている気が……

 

「……わっ!?」

 

 そこでまた爆発が起こり、トランクスは咄嗟に頭を隠した。

 

「孫悟はあああああん!!」

 

 呪怨の叫びが空に木霊しトランクスの耳に入る。それで空を見上げると2つの人影が拳をぶつけ合わせ拮抗していた。

 その内の1人を眼に入れた瞬間、トランクスは呆然とした

 

「え……?」

 

 最後に見たのは無残な骸となった姿、自分を戦いの無駄死にさせないために気絶させ絶望の戦いへと身を投じた姿

 彼の死をきっかけに自分は超サイヤ人に覚醒した。だがそれだけではこの身に宿る悲しみが癒える事は無かった。

 

「——!!」

 

 直ぐにその2人の間にもう1人の影が割り込みぶつかり合って弾けた。

 見たこともない……まるで猿の姿を人の姿になった感じの姿だ。その身に纏う気も今のトランクスには測る事さえできない。

 ただ、今はその人よりもやはりもう1人の超サイヤ人に眼が釘付けになった。

 

「悟飯……さん」

 

 涙声で声が掠れながらも確かにその名を呟いた。恰好は自分が知っている亀仙流の道着ではないが、確かにその姿は間違えるはずもなかった。

 悟飯はトランクスの声が聞こえたのかトランクスを見てふっと笑った。

 

「悟飯さん、積もる話は後で」

 

「ああ。早く17号を倒そう」

 

「17号じゃない。超17号だ。お前達に究極の人造人間の力を味わせてやる」

 

 そう言って再び紫色のオーラを纏う。それを見た2人も金色の気を纏う。ゴッドの様に神の気ではないが、2人ともその戦闘力を表に出しながらも超サイヤ人ゴッドを越えている。

 

「だったら究極のサイヤ人達の力をとくと味わえ!」

 

「ほざけえええ!!」

 

 ぶつかり合う光と影は数多の螺旋を描きながら何度もぶつかり合う。衝撃波が発生してトランクスは吹き飛ばされそうになる。

 

「オラああっ!!」

 

 光輝の強烈な回し蹴りが超17号の中段に放たれる。それを右肘で受け止め旋風が起こる。超17号は完璧に防いだ……と思ったが光輝が力を解放して強引に蹴り飛ばした。

 

「凄い! 17号を強引に吹き飛ばすパワーなんて」

 

 それに追随するように超17号の前には悟飯が現れ足技主体の連続攻撃を放つ。最初こそはガードが容易く出来ていたのに段々と動きのキレが上がっていく

 

「ぐっ!?」

 

「はっ!」

 

 気合の声と共に悟飯の拳が超17号の顔面を貫いた。それによって身体がよろけて隙を晒す。悟飯の背後から光輝が現れて狩りをする獰猛な獣の様なラッシュを仕掛けた

 超17号はガードする事さえも許されず滅多殴りにされ上空に吹き飛ばされた

 

「ふざけるな! 俺は究極の人造人間だ! お前達のような雑魚に負けるわけがない!」

 

 自分が押されているという状況を認めたくなくて自らを鼓舞するように叫ぶ。だが2人はそれを無視して超17号に突撃する。

 超17号も自分の存在を証明する為に迎え撃つ

 

「どうして悟飯さん達は気功波で終わらせないんだ?」

 

 地上でトランクスが不思議そうに呟いていた。2人は打撃の応酬では完全に超17号を制していると言える。だが打撃だけでは痛みを感じない超17号相手には決定打にはならない。

 そうなれば2人が勝つ条件は気功波の類で超17号事消し去る事しかないはず。

 そんな事は光輝も悟飯も考えていた

 

(だったら打撃で圧倒して)

 

(吸収できない程の技を食らわしてやる!)

 

 光輝と悟飯の蹴りが炸裂し超17号が吹き飛んで行く。そんな超17号を悟飯が追う。超17号もやられるだけではなく気弾を無差別に発射する。真っすぐに突っ込めば悟飯にヒットする。

 

「そのまま行ってください!」

 

 ただそれだけを叫び光輝も気弾を放出する。その気弾はあっと言う間に悟飯を追い越し超17号が放った気弾とぶつかり相殺する。

 

「くそおおおおぉぉ!!」

 

 我武者羅に拳を振るうが悟飯はそれを紙一重で見事に対処しボディーブローが超17号に突き刺さる。

 超17号は叫ぶことすら許されず吹き飛ばされた。光輝は悟飯の背後から一陣の風を纏いながら追い越し、超17号の顔面に右ストレートをぶっ放した。次に超17号が前を向いた時には既に2人とも迫っていて反撃の隙も無く2人の拳が腹部にのめり込んでいた

 

「ぐあああぁつ!?」

 

 最早動くことさえも許されず超17号は空へと吹き飛ばされた。

 

「はっ!」

 

 光輝は気合砲を放ち更に上空に吹き飛ばす。2人は超17号と同じ高さまで飛び上がった。オールバックだった髪をぼさぼさにし肩で息を切らしている超17号はただただ眼を見開き光輝と悟飯を見ていた。そして歯を食いしばり激昂と言う名の感情で叫んだ

 

「何故だ!? 何故究極であるはずのこの俺がこんな雑魚共に!?」

 

 自分達は究極の存在としてつくられ、そしてそれに恥じない強さを身に着けたはずだ。今なら元居た地球の戦士達、そしてあの悟空をも倒せるはずだった。なのに現実として自分は未知の青年と悟飯にボコボコにされている。

 そんなのは認められなかった。それを認めてしまったら自分の存在意義が無くなってしまうからだ。

 

「だからお前は俺達に勝てねんだよ」

 

「何だと!?」

 

 しかし光輝はその金色の瞳で射貫きながら否定した。拳を前に突き出す

 

「究極なんてこの世に存在しない。誰もがそれを目指し努力し倒れて傷ついて目指すんだ!」

 

 そう言って脳裏に浮かべるのは悟空達との修業の日々、それぞれが最強を目指し競い合い戦っていたあの日々の事。最初の頃は正直何回も死にそうになった。光輝からすればレベル10位の時にレベル999の人達といきなり修業するようなものだったからだ。光輝もタイムパトロールと笠木をぶっ潰す目的が無ければ挫折していたかもしれない。

 だが、それでも頑張ろうと思えたのは強くなることの渇望と

 

「俺達には守るべきものがある! ただ”究極”であることにしか存在を見出せないお前にだけは絶対に負けられないんだ!」

 

「17号、俺はお前を絶対に許せない!」

 

 2人はそれぞれの気を纏い闘志漲る顔で睨みつける。超17号は自分よりも強い意志を持った2人の超サイヤ人にわなわなと震えその震えを誤魔化すように叫んだ

 

「黙れ! お前達諸共この世界を消してやる!!」

 

 そう叫び一瞬で上空へ現れ両手を前に突き出した。そこに黒色のエネルギーが集約し始める。その膨大な気は並大抵のものなら逃げ出してしまいそうなほど高まる。大気が吹き荒れてその威力は高まり続ける。あの日のような曇天から雨が降り始める。身体に当たる雨は2人に嫌でもあの日の記憶を蘇らせる。

 

「終わらせましょう、悟飯さん」

 

「ああ。これで最後だ。父さん、ピッコロさん、それに皆、俺に……俺達に力を貸してください。この戦いを終わらせる力を!」

 

 悟飯は右手を、光輝は左手を引いた。2人とも両手を使わずにかめはめ波を選んだ

 

「「かぁ~ッ!!」」

 

 気功波をただ放てばさっきの光輝のように吸収され逆にパワーアップされてしまう

 

「「めぇ~っ!!」」

 

 しかしそれは何も行動していないときのみ

 

「「はぁ~ッ!!」」

 

 ただ”勝つ”事にしか目が行かなくなってしまった超17号にその余裕はない

 

「「めぇ~ッ!! 

 

 互いのチャージ時間はほぼ同じ。

 

 三者は一瞬の睨みあいの後溜めた両手を突き出した

 

「地獄に落ちろ! 電撃地獄玉!!」

 

「「波ぁぁああ──ッ!!!」」

 

 2人のかめはめ波は同じタイミング、同じ気で合わさりその強さが何倍にも膨れ上がり電撃地獄玉と衝突し、中心部を貫き超17号にぶち当たった

 

「な、何だと!?」

 

「「終わりだぁぁああ──ッ!!」」

 

 2人の超戦士は自分達のかめはめ波の中へと入り光輝は左手、悟飯は右の拳を握った

 

「俺達の今までの全てを込める!!」

 

「うおおおおおッ!!」

 

 2人はそのあの日からため込んだ激情の全てを乗せ……交錯した

 己の肉体に物理的にぽっかりと空いた穴を見て余りの衝撃に口が開いたまま開かない

 

「悟飯さん!」

 

「ああ!」

 

 2人はそれだけで意思疎通を行い額に両手を重ねた。そこから同じ金色かかった黄色の光が溢れ出す。それを見た超17号は我に返った

 

「そんなもの吸収してやるッ!!」

 

「遅えよ!」

 

 光輝がそう言ったと同時に2人は両手を突き出した

 

「「魔閃光!!」」

 

 2人の魔閃光が超17号の吸収能力よりも早く超17号を飲み込んだ。

 

「うう……この俺が……究極のこの俺があああ!!」

 

 叫び抵抗しようとすれば自らの肉体が崩れ去っていくのを感じた。自分に取り込んだ姉諸共その身を散らしていく

 

「こ……こんなバカ……な」

 

 2人のあの時とは比べ物にならない程の力は次元と時間を超え確かに人造人間達に届いた。

 断末魔を上げ超17号が消え去った。2人はゆっくりと両手を下ろし互いの顔を見た後、笑みを浮かべながら拳を合わせたのだった。そんな笑みに答えるように、そして2人を祝福するように雲の間から太陽の光が射し込むのだった

 

 

 

 精神と時の部屋

 

 悟空と悟飯が修業していた今この場ではまた爆炎が燃え上がっていた。激しい熱量を持った炎をかいくぐり気弾の嵐が超サイヤ人の悟空へと迫る。だが悟空はそれらを見ても涼しい顔で全て弾いた。

 その背後にピッコロが現れ両手を組んでハンマーナックルを叩き込もうとしたが悟空は高速移動で姿を消した

 

「くっ!」

 

「こっちだ!」

 

 一瞬で悟空を見失いピッコロは気で探ろうとしたがそれよりも早く悟空の声が背後から聞こえた。ピッコロは何時の間にか地面へと真っ逆さまだった。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 ピッコロは膝を付いたまま目の前に降りて来た悟空を見た

 

「まさか……これほどまでに力の差があるとはな」

 

「オラはピッコロよりもずっと未来のオラだからな」

 

「成程な。悟飯があれだけ強くなったのも納得だ」

 

 しかしピッコロは笑みを浮かべたまま立ち上がった。その瞳はライバルを見る闘志が宿った瞳だった。

 

「だが……あんな戦いを見せられた後ではうずくしかないってものだぜ」

 

 そう言いながらマントとターバンを投げ捨て身軽となった。悟空も笑みを浮かべ構えた。2人は光輝と悟飯の戦いを見届けた後、精神と時の部屋まで来た。約束の戦いをする為だった。

 だがピッコロは悟飯の強さを感じ取り自分達の仇を撃った事に胸が熱くなる想いだった。そしてその思いのままここに来た。

 

「ああ。オラも光輝があんな強くなってっとは思わなかったぜ。光輝も悟飯もどんどん強くなってるかんな。オラもおめえも負けてられねえよな!」

 

「ふ……行くぞ孫悟空!!」

 

「来い、ピッコロ!!」

 

 2人はライバル心全開にして白き世界でぶつかったのだった

 

 

 

 




お疲れ様です。
本当の意味で2人は過去を乗り越えました。
次回からまた新編です!


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加速

超お久しぶりです!
超17号を倒してからの話です!

3人称だけの小説って凄い難しくてここのやり方ってよかったんだなぁって思いました。


 俺と悟飯さん、そしてトランクスさんは適当な岩場までやって来た。俺がこの悟飯さんと初めて会った場所に似ている。さっきまで戦ってた場所で話すのはリラックスできない。

 もうあの過去は物理的にも精神的にも吹き飛ばしたがわざわざ廃墟で話す必要もないからだ。悟飯さんは柔らかい笑みを浮かべながら口を開いた

 

「取り合えず……久しぶりだね、光輝君にトランクス」

 

「悟飯さん……」

 

 トランクスは涙腺が緩みゆっくりと悟飯を抱きしめた。悟飯も離すことなく抱きしめ返した。光輝はそんな2人の邪魔をしないように音もなく離れた

 

「悪かったな、トランクス。あの時お前を置いて行って」

 

 トランクスは首を振り否定した

 

「俺は足手纏いでした。今回の戦いでそれを痛感しました。でも……」

 

 トランクスは抱擁の力を強めた

 

「俺は……俺はそれでも悟飯さんと一緒に……」

 

 ──戦いたかった

 

 悟飯があの時、トランクスを気絶させてまでおいて行ったのは自分だけではなくトランクスまで死んでしまったら、あの世界で人造人間に立ち向かう事が出来る戦士達がいなくなってしまうからだ。

 そしてトランクスは今回、人造人間達に勝負を挑んでボロ負けだった。今よりも弱いあの時に悟飯と共に挑んだら最悪2人とも死んでバッドエンドだった

 。だから光輝は結果的に悟飯の選択が正解だったことを知っている。でも気持ちは別なのは光輝も分かる。悟飯もナメック星での戦いで知っている。だから素直に言った

 

「すまなかった。だけどあの時はそうするしかなかったんだ」

 

「分かっています……これは俺の我儘だったんです」

 

 そこで顔を上げた。涙を浮かべていたが直ぐに笑みを出した

 

「お帰りなさい、悟飯さん」

 

「ああ……ただいま、トランクス」

 

 師弟の時間が流れた。光輝は少し遠くからそれを微笑みながら見ていた。あの日のような、時の巣にいる悟飯とトランクスとは違った関係模様に光輝も胸がポカポカしてくる。

 

「良かったですね、トランクスさん」

 

 師匠は沢山いるが,特定の師匠がいるわけでもない俺にはあそこまでの関係値になる事はないのだろう。勿論悟空さん達とも仲良く出来ている筈だけど,目の前の悟飯さんとトランクスさんやナルトさんと会った事はないが自来也さんみたいな感じではない。

 寧ろ悟空さん達はライバルって意識の方が近いな。

 

 とか思ってたら悟飯さんとトランクスさんが戻って来た。俺は少し気持ちが落ちているのを自覚しながら向かい合った

 

「光輝君も本当に強くなったね」

 

「悟飯さん……俺のせいで……すいませんでした」

 

 光輝はそう言って頭を下げた。目の前の悟飯の死因は最後の力を光輝に気を分けたから、光輝はずっとそれに罪悪感を持っていた。拳を捨てようとさえした。

 

「頭を上げて、光輝君」

 

 光輝はその言葉に頭を上げた。目の前に来ていた悟飯は穏やかな笑みを浮かべていた

 

「トランクスもそうだけど、俺はあの選択が間違っていたとは思わないよ」

 

 そこで光輝をまっすぐ見据えた。

 初めて会った時は光輝の背は当時のトランクスと同じくらいだったのにもかかわらず今では悟飯の顔をまっすぐ見据えることが出来る。

 

「君は自分のやるべきことをきちんと出来ている。俺はそれが誇らしいよ」

 

 死に際、悟飯は光輝のこれからのタイムパトロールの旅路を祈り散った。そしてその旅路の果ての光輝と共に戦って光輝の成長が嬉しかった。

 

「……えへへ」

 

 光輝も口元を緩め,幼い彼に戻ったように笑った。光輝も褒められて素直に嬉しかった。

 

「それに……前の光輝君よりも戦士の顔だ」

 

「俺にも……守るべきものがあるので」

 

 家族や仲間もそうだが彼女も出来たからこそその思いが更に加速している。

 光輝はトランクスの様に抱擁してもらう事はないがその代わり拳を前に出した。悟飯もそれを見て右の拳を突き出しくっつけた。

 

「改めて、お世話になりました」

 

 超17号は悟飯の助けを借りれなかった負けていたかもしれない。

 それは所詮IFであるがあの18号を吸収した超17号は本当に強かった。それに、悟飯と共に戦えたことは嬉しかった。2人ともあの時を超えた強さを身に着け、戦えたことが。

 

「俺も、ようやくみんなの仇を撃てた。ありがとう、光輝君」

 

「お互い様ですよ」

 

 そうやって2人は笑いあって拳を離した。そして次に悟飯は真剣な顔へとなった。

 

「それで光輝君、今この世界で何が起こってるんだ?」

 

 光輝は頷き簡潔に話した。超ドラゴンボールやシーラス、この世界、光輝の命名インフィニットワールドの事。

 

「成程ね。通りで色んな戦士がいる訳だ。そして……」

 

 思い出すのは自分の父の肉体を乗っ取った漆黒の神。あの時は手も足も出なかった。だが今なら勝てる。それだけのパワーアップを果たしたのだ。でもまだあの後から邂逅していないから探さなければならない。

 光輝にも話しておこうと悟飯は口を開いた

 

「俺も気を付けるべき敵を話すよ。その敵の名は……」

 

 その名と力を聞いて光輝は眼を見開いたのだった。

 

 

 ★

 

 

 光輝とヒットが激闘を繰り広げた岩場、そこでは1つの物体が鎮座していた。物体は氷でその氷の中には人型の影が1つ。光輝によって氷漬けされた神、ザマスだった。

 光輝に氷漬けされた後も抜け出すことが出来ず無様な姿だ。そんなザマスを封じ込まれている氷に何者かが手を付けた

 

「はっ!」

 

 そこから気功波が放たれザマスが内側からどうする事も出来なかった氷が簡単に弾き飛ばされた。ザマスは久方振りの空気を大きく吸い込んだ

 

「はぁ……はぁ!」

 

「一体何があった、私よ」

 

「ブラック……この世界には神を恐れない愚か者がいた。孫悟空とベジータと違う神の力を持ったサイヤ人が」

 

「なに? 孫悟空とベジータ以外に神の変身を身につけていている者がいるというのか」

 

 ザマスは冷汗を流しながら自分がここに封印されていた成り行きを話した。光輝とヒット、そして光輝との戦い、封印。

 

「人間は我々が思っているよりも力を身に着けていた。我々の計画の障害になるぞ、あの小僧は」

 

 ザマスが話しかけたのは未来の悟飯が戦ったゴクウブラックだった。ブラックは訝し気な表情でザマスを見ていたが背後から来た男がザマスの言い分を肯定した

 

「ザマスの心を読んだ。確かにそのサイヤ人は厄介になりそうだな」

 

「神の心を軽々しく読むな人間が!」

 

 ザマスが心を読まれたことに激怒しもう1人の男に詰める。しかしブラックが抑えて喧嘩は収まった

 

「ハーツよ。余りに調子に乗るんじゃない。我々は一時的に手を結んでいるだけに過ぎん」

 

 ハーツと呼ばれた金髪の人物は不敵な笑みを浮かべながら答えた。その内心はブラックも心の中ではザマスと思っていることは大差ないと知っているからだ。

 

「分かっているさ。だが、先ずは宇宙樹の種を回収するのが先だ」

 

「いや、先ずはあの小僧を排除するのが先だ」

 

 ザマスがハーツの言葉を訂正した。ハーツは何故だと言いたげな顔でザマスを見る。

 

「あの小僧はまだまだ強くなるぞ。必ず我々の障害になる」

 

「障害は速めに排除……と言う訳か」

 

 光輝に八つ裂きにされるだけではなく不死身である自分を封印する術まで持っている。自分達が元居た時代には力でどうにかする人が多かったから封印を警戒する必要はなかった。だが光輝は不死身である自分を全く意に返さない技を持っていた。力よりも警戒するのは当然だった。

 

「ふむ。確かに不死身のお前がやられてしまっては超ドラゴンボールを使った意味がない。それに私もそのサイヤ人には興味がある」

 

 悟空と同じ顔にも関わらず全く違う邪悪な笑みを浮かべたブラック。

 

「そのサイヤ人を探すぞ」

 

 3人は頷きあい空を飛んだ

 

 

 ★

 

 

 赤と黒の特注ユニフォームに身を包んだ人間が3人、道を歩いていた。一人は破壊神ビルスによく似た大きな耳が特徴の男、2人目は3人の中では1番の巨漢で白い髭を携えた厳つい男。そして最後に灰色の肌色を持ち筋骨隆々の男。

 その内の巨漢の男が口を開いた

 

「この世界に来て早や数日。こうしている間にも我々の宇宙がどうなっているのか分からんな」

 

 それに答えたのはビルスによく似た男だった。

 

「ああ。いきなりこんな所に飛ばされたからな。元の宇宙に一刻も早く戻らなければならねえ」

 

「取り合えず、他のメンバーもこの世界に来ているかもしれん。合流も視野に入れよう」

 

 彼らの名前は順にディスポ、トッポ、そしてジレン。別次元の悟空達が最後まで激闘を繰り広げ戦った第11宇宙の戦士達だ。彼らも悟空達に関わったからなのかこのインフィニットワールドに送られてきてしまったのだ。

 3人は揃って歩いていたが唐突にジレンが足を止めた

 

「ジレン……?」

 

 トッポが訝し気な表情をした時、ジレンは左側にある丘を見上げた。トッポとディスポもそれにつられて見上げた先には2人の人影がいた。

 

「貴様達が第11宇宙の戦士達か。そしてお前が」

 

 そのうち一人の棒を持った……シーラスがジレンを見下げながら呟いた

 

「第11宇宙最強戦士……ジレン」

 

 ジレンはシーラスを見た後、その後に隣にいる仮面を付けた男を見上げる。静かに観察するジレンに変わりトッポが2人に問いかける

 

「何者だ。我々に何の用だ?」

 

 シーラスはその答えとして仮面の男と共に漆黒の気を纏う。その気の黒さに”正義の戦士”である3人は眉を顰める。

 

「貴様ら、何だその禍々しいエネルギーは!」

 

「それがどうした」

 

「なに?」

 

「この世界は強くなければ何も守る事は出来ん。弱者は何を言っても変えることできない。例えその力が邪悪だとしても、私の心まで邪悪にくれた訳ではない」

 

「戯言を!」

 

「その発言、悪だと断定する! ジャスティス!!」

 

 そう言った瞬間、トッポとディスポが姿を消した。シーラスと仮面の男の眼前に現れ拳をぶつけ衝撃波が辺り一帯に弾け戦いが開戦した




お疲れ様です。

次回,迫りくる正義の戦士です!
ここから物語は更なる加速をします!…多分(おい)


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目的

おはようございます。キリが良いので2話連続投稿です。


 地球時間 12月11日

 

 アメリカの気候も冬は日本と同じく寒く,またホリデーシーズンも近づいているので人の通りも多い。咲良ちゃんも日本はとっても寒いってこの前の電話で言っていたみたいだからやっぱりどこの国も寒いのかなと思う。

 

「それでは皆さん気を付けてくださいね」

 

 もう少しでクリスマス,日本では当たり前のようにある名前だしアメリカでも当たり前ではあるけど元々がイエスキリストの降臨を祝う催事だから宗教に入っていない人にとってはただのホリデーシーズンで親戚が集まる日というイメージが強い。だから日本ではメリークリスマスって掛け声が基本だけどアメリカではHappyholidayって祝われる事の方が多い。

 そして今日はホリデーショッピングという催しの日,学校で家族のクリスマスプレゼントを買う事が出来る日だった。

 

「エミ行きましょう!」

 

 私も友達数人と一緒にショッピングモールの中を歩き始め家族へのプレゼントを決める。お姉ちゃんとの決闘の後,お父さんとお母さんに何度も何度も頼んで”戦う”事を認めてもらえた。あの時から既に5か月は経っているが,未だに時の界王神様からの出動要請は出てきていない。だけど,多分私はその内光輝の後を追う事になる。我儘な私を育ててくれた両親に,今の私が出来る精一杯のお礼しようと思っている。

 

 友達と談笑しながらプレゼントを決めていると,いつの間にか家電売り場まで来てしまった。そこには当然テレビもあり映っていたのはあの光輝の戦い,人類史上類を見ない戦いは光輝の出自も相まって世界で既に何千万回も再生されていて光輝の名前は知らぬものはいないとまで言われ始めた。

 私の学校にも光輝の事を尊敬しているとか言っている人もいて彼の彼女としては嬉しく思うべきなのかもしれない。光輝が”殺し”と言う事に抱いていた罪悪感に拒絶されるんじゃないかなと感じていた不安など彼彼女らにとっては関係のない事なのだからしょうがないとも言えるけど……少し怒っちゃうのは嫌な彼女だよね……。

 

「……あ」

 

 ふと半年前に表れたあの切れ目の事を考えた。今も光輝が対応している時空消滅の危機,あらゆる時代の戦士達が集結している未知の世界。敵の目的は”宇宙樹”というものをその世界で出る戦いのエネルギーで育てて……

 

(新しい宇宙を……創生すること)

 

 今の所,私達が住んでいるこの世界やお姉ちゃん達の世界ではあの切れ目以外の異変は起きていない。時の界王神様曰く,あの宇宙樹が本格的に育ってきたら私達のこの星も他の世界も無作為にエネルギーを奪い始める。だけどそれは何故か今はされていない。

 それが良い事なのか悪い事なのか私には分からなかった。

 でも敵の目的が達成してしまう時,この世界も悟空の世界もお姉ちゃん達の世界も……全ての世界が消滅してしまう。

 

 ──今,世界は破滅へと向かっているのかもしれない

 

 ★

 

「そんなことはさせん!!」

 

 焚けき雄叫びと圧倒的な気を纏った巨漢の男が仮面の男の仮面にその剛腕をぶつけた。その圧倒的なスピードとパワーに仮面の男はなすすべもなく吹き飛ばされていった。

 その仮面の後を追うように神速のスピードで追いかける1人の男

 

「この宇宙の平和は俺達が守る!!」

 

 彼は仮面の男に強烈無比なラッシュを仕掛け,仮面の男はそれを防ぐので手がいっぱいになってしまう。

 

「正義の味方面……うぜえんだよ!!」

 

 しかし,先程の剛腕から放たれた一撃により砕け散っていた仮面に隠れていた瞳が赤と蒼に染まっていて徐々にラッシュに対応し始める。それに焦り始めたのか,それともただ本気ではなかったのかギアを上げるように男のラッシュは激しさを増していく。それに負けじと対応する半仮面の男。

 それを見ていた巨漢の男もラッシュに加わろうとした所,いつの間にか彼の隣に姿を現している灰色の男が渋い声で止めた

 

「まて,トッポ,ディスポ」

 

 その声が耳に届いたのかディスポと呼ばれた男はラッシュを止め反撃を貰う前に離脱して2人の隣に並びながら不満そうにした

 

「どうしたんだジレン」

「奴の動きがお前と戦う度に変化していく,恐らくやつはお前の動き自体を学習し経験値として獲得できる」

「むぅ……!! では中途半端な攻撃は奴の反応速度を上げてしまうと言う事か」

 

 それを肯定するようにジレンと呼ばれた男は頷く。3人の前に半分割れた仮面を装着している男とシーラスが立ち塞がる。

 

「流石に孫悟空達を追い詰めた戦士達だ、今のこいつでは勝てんか」

「ちっ!」

 

 事実かもしれないが、言われたことに苛立ちが積み重なる。

 

「当然だ! 我々はもうあのような敗北はせん!!」

 

 力の大会では”信頼”という一点において力では勝っていたはずの孫悟空率いる第7宇宙に敗北を喫した。今は違う,あの時にはなかった信頼が今の自分達には存在する。

 

「いいだろう,貴様たちに良い事を教えてやる」

 

 言いながらシーラスは持っていた棍棒を宙に掲げた。そうすると各地の戦闘の映像が出てきてその中の1つ,光輝と第6宇宙の殺し屋ヒットとの激闘を映し出し,そして光輝に棍棒を向けながら

 

「このものを倒せば,もしかすると元の世界に戻れるかもしれんぞ? あの殺し屋もそれが分かっているからこうして戦っている」

 

 知っているだろう? と言いたげな顔をし,シーラスと仮面の男は姿を消した。

 

「消えた?!」

「全く追えなかった……孫悟空と同じ瞬間移動の類か」

 

 既にシーラスが映し出された戦士の顔は覚えた。3人は……正確にはトッポとディスポだから互いの顔を見合い意思疎通をした。

 

「どちらにせよ,あのものの言う事が本当かどうか確かめなければならん」

「殺し屋ヒットもここに来ていたとはな……それにヒットとも渡り合える力を持つあの戦士」

「気になるな」

 

 これまで会話に参加していなかったジレンが唐突に声をあげた。それに2人は驚きを露にする。喋った事ではない。そうではなくてジレンが自分から興味を示したことの方に驚いたのだ。

 

「殺し屋と戦っていた奴,孫悟空とベジータがなっていた超サイヤ人だろう」

 

 しかし,殺し屋ヒットと相まみえる事が出来る戦士である彼が力の大会で姿を現さなかったことに疑問を覚えた。

 

「ま,それは直接聞いてみるしかないんじゃないか?」

「……そうだな」

 

 3人は頷いて果てしない空を駆けていった

 

 

 




お疲れさまです。
自分でも思うけどシーラス達って耐久力ヤバいよね…。
次話は一分後に出ます。


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迫りくる正義の戦士

おはようございます。
佳境に入ってまする。


 あの日から少しの月日が流れた。

 俺は悟飯さんとトランクスさんと別れを告げ,またこの世界を旅していた。無限に広がる世界,いくつもの時空が融合した世界,そんな意味を越えてこの世界を俺は「インフィニットワールド」と名付けた。

 俺しか使ってないけどな。と言う訳で俺は2,3日周期恒例の1人会議を始めた。偶にこうしないと自分が置かれている状況を忘れてしまうからな。

 

「さて,正直このままドラゴンボールを集めたとして,この後はどうしようか」

 

 目の前にある究極ドラゴンボール達を見て唸る。まだ数は足りないがこのままいけば無事に集まるだろう。でも集めてもシーラス達の件が解決する訳じゃない。この世界を元の歴史に戻したとしてもそれでシーラス達が捕まる訳じゃない。それに俺にはまだ不可解だと思う事がある。

 

「どう考えてもあれヤバい匂いしかしないんだよな」

 

 言いながら上空を見ると,そこにはうっすらと木の根元のようなものが広がっている。まるでこの世界を地面にして生えているみたいに,今の所俺の身体にも何ともないから放っておいているが,あんなものどの歴史でも見たことが無い。なら考えられるのはシーラス達が仕掛けた物だろう。

 あれのことも含めてこの件を早く解決した方が良いのだろう。

 

「俺ももっと強くならないと,超サイヤ人ゴッドも超サイヤ人4もまだ使いこなせていないんだから」

 

 俺がこの世界に来て倒した(殺した)人間は相当数で,立派な殺人鬼だなと自分で思いながらここ数日を振り返ってみる。

 俺に愛はあるのかとかなんとか言って襲ってきた第二宇宙の戦士達もいた。まああれはあれで愛美の事を忘れないための眠気覚ましになったからいいのだが,他には悟空さんのお孫さんとかとも戦う羽目になって色々あったな。

 

「色んな時代の戦士達,羽休めする時間もそうないのは残念だな」

 

 絶対にこの世界を終わらせたら有給使ってやると思いながら気を探る。どういう訳かこっちに凄い勢いで来る気が3つあるからだ。そのどれもが気は抑えているが巨大な気を隠し持っているのは分かる。

 でも気の感じは別に悪者って訳じゃない。だから本来は恐らく戦う必要のない戦士達。それでも何故かこちらに真っすぐ向かってくる。何かの事情でこちらの気を探り当て向かってきていることが考えられる理由だ。俺もこの世界で強敵を倒しまくっているからそれなりに有名になってしまったのかなと現実逃避をしておく。

 

「……来た」

 

 凄まじいスピードで此方に向かってきた3人組を見ると少し気が抜けてしまった。理由としては3人ともサッカーのチームユニフォームの様に赤と黒のタイツのような衣服を着ているからだ。メビウスとかに出た防衛隊の方がカッコいいと思うぞ。あとちょっとタイツはナルトさんの世界にいたガイさんやリーさん,それにベジータさんとちょっと被る。

 ……まあそんな事よりもがたいの良い巨漢の男がこちらの姿を認め,舐めるようにじっくり見てくる。この時点で少し嫌な予感がするからドラゴンボールを腰の巾着にいれておく。

 

「見つけたぞ,邪悪な者よ!」

 

 3人の中で一番の巨体の髭のおじさんがいきなり意味の分からない事を言ってきた。確かに人を何人も殺しているから邪悪かもしれないが心は正義側にいるつもりだぞ。

 

「お前を倒し,この世界を救うのは我々プライドトルーパーズだ!」

 

「——ッ?!」

 

 だけどその横にいたウサギの耳みたいな奴は俺の知っている人に似ていた。破壊神ビルスさんにそっくりな奴も意味の分からん事を言ってきた。

 でもそれ以上に気になるのは真ん中で仁王立ちして俺を見ている灰色の男。

 

(こいつ……ただもんじゃない)

 

 これ程近距離に来てるからこそ,その身に纏っている気を感じる事が出来る。今まであって来たどんな人よりも強い気を感じる。悟空さん達の本気を引き出したことが無いから何とも言えないが,恐らく悟空さん達と同等。

 正直,この3人を同時に相手にしたくない。

 

「……何の事だ。俺を倒した所で何も変わらんぞ」

「とぼける気か! 貴様を倒せばこの世界を終わらせられる!」

「なに……?!」

 

 お前らとは今初対面なんだが,すんごい失礼な事言われる。

 

「とぼけんじゃねえ!! シーラスって奴が言ってたぜ? お前を倒せば世界が元に戻るとな!」

 

 情報の1つとしてシーラスの名前が出たのは一瞬動揺したが,意味不明だ。俺を倒した所で何も変わりはしない。というか,そもそもシーラスからの情報なんて嘘っぱちではあるだろ。……嫌々んなことよりも

 

「ざけんな!」

「悪は滅するのみ」

「はあっ!?」

 

 なにがどうしてそうなった。お互い冷静に話し合えばきっと誤解は解ける……気がしないな。見た所なんか正義の味方って奴みたいだし……じゃあ人の話も聞けよと思った俺は絶対に悪くない。

 だけど,でか物とビルスさんのそっくりさんは既に臨戦態勢だ

 

「ジレン,お前は奴の動きを見ていろ」

「先ずは俺達が相手だ!!」

「だから,俺にはあんたらと戦う理由がないんだよ!!」

「問答無用!!」

「なっ!?」

 

 言い放ったでか物が,その身に宿る力を解放した。

 マグマのように吹き上がった気が俺の身体に打ち付けてくる。その気は恐らくあのベジータさんに寄生したベビーとも張り合えるほどの力だ。

 

「なんて気だ!!」

「行くぞ邪悪なるものよ!!」

 

 凄まじいスピードで突っ込んできたでか物を咄嗟に飛んで躱した。というか図体がデカいくせしてなんてスピードだよ。だけど,正直ここで受けに回ったら俺がやられる。あいつに対応する為に右の拳を握ろうとした。

 だけど,その先にはビルスさんのそっくりさんが殴る準備をして待っていた

 

(読まれた?!)

「おせえよ!!」

 

 光輝の頬に超速の拳が迫ったが,それをギリギリ首をひねる事で躱す。

 けれども,次に迫って来た蹴りをガードする事は出来ずに吹き飛ばされる。その余りに早すぎるスピードに瞠目する。単純なスピードなら今まで出会ってきた敵よりも数段早かった。

 つまりこの人物はまさに異次元のスピードを出す事が出来る,ならば考えられるのは

 

(違う! 俺の動きを見てから追って来たんだ!)

 

 吹き飛ばされながら光輝はその手に手裏剣を出しビルスのそっくりさんに投げつける。

 しかし,それを光輝ですら霞んだ速さで躱されると,頭上には再び現れてハンマーナックルで光輝を地面に叩き落とした。

 落とされた先にはでか物の男が待ち構えている。

 

「チっ!!」

 

 咄嗟に腰だめに気を溜めて下に放つ。

 光輝としてはいつもの様にしただけだが,その技を見たでか物の男は驚いたように眼を見開いた。

 

「その技は……!」

 

 驚きながらも,かめはめ波を片手で弾き飛ばしたのは流石だろう。

 けれども,今のはただの陽動だ。額に指を当てた光輝がするのは瞬間移動,今この戦いを傍観しているジレンと言われていた男の背後に行こうとしていた。

 

「させねえよ!!」

「くっ!」

 

 だけども,それを察知したビルスのそっくりさんが先程の超速で光輝に追いつき,強烈な蹴りで吹き飛ばした。

 成すすべもなく近くの岩山に激突した光輝は,今の攻防を分析していた。

 

(なんてスピードだ。今の俺でも霞むなんて)

 

 正直,灰色の男が控えているこの状況で超サイヤ人4にはなりたくない。

 仙豆はあるが大事な時にとっておきたい……それが今のなのかもしれないが,まだ相手の能力も分からない状況では同じことを繰り返す事になってしまう。

 

「瞬間移動する前に追いつくなんて……」

 

 叩き落した後はでか物に任せようとしていたのにもかかわらず,瞬間移動しようとした一瞬で俺に追いつくなんて普通の芸当じゃない。

 ビルスさん程の恐ろしさは感じないが,それでも強い。さて,どうするかね

 

「貴様,先程の技は孫悟空が使っていた技か?」

 

 けれども,そこで聞こえて来たのは馴染みのある名前。悟空の名前が飛び込んできた光輝は少し驚き思わず頷いた。

 

「何故お前がその技を使える」

「そんなの……悟空さんに教えてもらったからに決まっているだろ」

 

 かめはめ波に限らず,光輝の使う技はオリジナルソードスキル以外は誰かから貰ったものが多い。

 色んな人を師匠に持つ者の特権とも言えるが,愛美の世界ではただのハイブリッド戦士と言われている。

 

「ふむ……」

 

 そう言ってでか物の男は光輝を舐め回すようにじっくりと観察し始めた。

 でか物の男の横にジレンが並び立ち,でか物の男に頷いた。

 それで何かを察したでか物も頷き,ビルスのそっくりさんと再び光輝の方に向いた

 

「しかし,お前は力の大会に姿を現さなかった。何故だ?」

「……さあ,なんでだろうな」

 

 タイムパトロールの事を言うか,言ったとしてどれだけの効果があるか頭の中で考えた結果,とぼける事にした。最悪どこかにマーキングした飛雷神の所に飛ぶことにする。

 

「とぼける気か」

「……」

「良いだろう……ならば貴様を破壊しこの世界を救って見せる!!」

 

 正義の味方……か。

 

 ふと元の世界での自分の評価を思い出した。愛美の世界で光輝は英雄だったりヒーローだったり,悟空に倣って英雄(ヒーロー)と呼ばれることが増えた。

 アンチもいるが少数派で,殆どの人が光輝を英雄として称えている。

 SAOの時も光の勇者と称えられた。本当ならキリトが解放の英雄と呼ばれるようになるのに,意識してなかったとはいえ歴史を変えてしまった。

 そうやって色んな世界で所謂ヒーローと言われて来ても,光輝自身はその呼び名は好きではなかった。

 

「ふっ!」

 

 気を解放し,超サイヤ人ゴッドに変身する。

 メラメラと燃え上がる気が我が身に集約する。

 

「超サイヤ人ゴッド……か」

 

 英雄……それはきっと悟空さんやベジータさん達みたいな人の事を言うのであって,俺には当てはまらない。

 紆余曲折はあれどあの人達は自分の世界を守り切った。ドラゴンボールはあっても,何度も地球の危機を,時空の危機を救ってきた。それでも今もこの時に進化している。

 一度は戦う事を諦め,大事な人を守れなかった俺とは違う。

 ……きっとこんな所がベジータさんの癇に障るのだろうな

 だけど英雄と呼び名は好きじゃないが,あの城で皆に付けてもらったこの呼び名は大好きだ

 

「俺は蒼赤の戦士……西沢光輝!! 心してかかってこい!!」

 

 俺のアイデンティティとも言える蒼赤の装備,背中の重みでそれらを体現したこの呼び名こそが俺にとって大事なもので決して消えないものだ。

 例え悪に見えたとしても,本当の自分を見ていてくれる人がいる。

 ビーターだった俺が,皆のおかげで『戦士』と呼んでくれたように。

 

「私は第11宇宙,プライドトルーパーズの自由の戦士! トッポ!」

「同じく,超速の戦士ディスポ!!」

 

 何故かさっきとは違ってきちんと名乗りをあげた2人の正義の味方は同じ構えを取る。

 俺も気をあげて構えを取る。

 駆けだすのは同時

 

「「行くぞ!」」

 

 3人は中央でぶつかりあう。

 トッポとディスポに弾かれた光輝は螺旋を描きながら上昇し,気弾を放つ。それらを2人は縦横無尽に躱す。

 

(ディスポは兎も角,トッポとかいう奴も見た目に比べて早い)

 

 牽制した光輝は瞬時に印を組んで影分身を出し,本体がトッポ,分身がディスポに迫った。

 

「ふっ──!!」

「甘い!!」

 

 トッポが光輝の蹴りを完璧にブロッキングしてその大きな腕で掴もうとしてくる。それを見た光輝は直ぐに足を引き回避する。

 しかし,それはトッポも読んでいたのかすかさず拳が迫って来る。

 その剛拳をまともに食らえばダメージを貰うのは必須なので手をクロスしてガードする。

 

「ちっ!」

 

 それでも尚パワーが凄まじく簡単に吹き飛ばされる。

 一回転して空中で止まりながらもトッポに迫りながら今度は目にも止まらぬラッシュを仕掛ける。トッポが自分の手を捕まえられないように速さを重視したラッシュ。

 

「む!」

 

 その凄まじさにトッポは眼を見開く。

 しかし,重さを捨てたラッシュではダメージを与えられない。トッポも数回の攻撃でその軽さを見てダメージ覚悟で光輝の腕を掴む

 

「しまっ!」

「ジャスティス・クラッシュ!!」

 

 腕を掴んだ彼はそのまま光輝の肩を外した

 

「うがあああ!」

 

 今までになかった攻撃に呻き声をあげ,必死に歯を食いしばって耐える

 

(関節技?! でかい癖になんて器用な)

 

 骨をへし折る事は光輝にも出来るが,関節技は練習したこともないので身をもって喰らった時の対処法は分からなかった。

 けれど,それは普通の人間の場合だ。痛みを我慢し,片手で印を組む

 

「なにっ?!」

 

 千鳥のさえずりの様に”チチチチチッ……”と音と共に光輝を中心に雷鳴が迸りトッポを襲った。トッポは咄嗟に光輝の拘束を解き緊急脱出する。

 光輝も離れたのを確認すれば直ぐに後退して,外された関節を強引に戻す。

 

「ッ,……いてえな」

 

 関節技……俺がもしまだおじいちゃんに習っていたのならもしかしたら身に着けていたかもしれない技だ。日本の武道も一応嗜んでいたおじいちゃんなら知っていた可能性はある。まあ,当時まだ6歳の俺に教えるのは早いと思っていたから知っていたとしても教えていなかったと思うがな。

 けれど,向こうも俺の技には意外性があってみたいで驚きを表していた。

 

「このような技を持っていたとは……」

「パワーじゃ勝てない敵に勝つには搦め手も必要だったもので」

 

 トッポがチラリと影分身とディスポを見ると,千鳥を纏った光輝とディスポが超速を越えた速度で激突していた。

 ゴッドの赤,千鳥の雷鳴を纏いようやく追いつくことが出来るスピードに舌を巻く。

 

(正直,影分身を出し続けながらこいつらの相手は厳しいな)

 

 パワーのトッポ,スピードのディスポ……同レベルのこの2人を1人で相手をするにはやはりこの2人を分断させるしかなかった。

 ディスポの超スピードのからくりも分身の光輝が見つけてくれると期待し,目の前の相手に挑むしかない。それでも勝てる保証がないのが現状だ,何故なら

 

(こいつら本気じゃない)

「その通りだ」

 

 心の内を読まれたのかトッポが厳かに告げた。

 

「早く本気を出さねば死ぬことになるぞ」

 

 そこで分身光輝の経験が本体光輝に還元されてきた。凄まじい乱撃戦とスピード勝負の経験。けれど,それだけで充分だった。

 分身の情報が来たと言う事は

 

「へっ,俺を相手に分身だけとは舐められたものだぜ」

 

 背後に腕を組んで現れたディスポがいう。

 

(……成程な)

 

 分身光輝から得られた情報に頷く。

 このままではやられてしまうのがオチだけど,手がない訳じゃないと思った。

 でもこの2人の実力もそうだが,こちらを腕を組み観察しているジレンの実力も未知数だ。

 けれどもやるしかないのだろう。

 

「お望み通り見せてやる,俺の本気を!! 正義の味方が変身の邪魔なんてしねえよな!!」

 

 気合一閃,神の気ではなくサイヤ人としての気を全開にした

 

「「なにッ?!」」

 

 先程までのシンプルな超サイヤ人ではなく,金色のオーラを纏う光輝に驚きを隠せない。

 自分達の世界で見た悟空やベジータの姿とは違うからというのもあるが,神の気でもないのに甚大な気を高めている光輝に驚いたのだ。

 

「はああああっ!!」

 

 猛々しい雄叫びがトッポ達を照らす。

 その光の中から現れたのは,赤い体毛に黒髪へと戻った光輝の姿

 

「……行くぜ」

 

 低く呟かれた言葉が聞こえた瞬間,2人には見えないスピードで迫っていた

 

 




お疲れさまです。
見てもらった通り11宇宙の3人は力の大会後なのである程度性格柔らかくなっていますし,光輝が善悪どちらかは察しています。その上で戦っているのはなんででしょう(すっとぼけ)。
因みに作者は11宇宙の面子は割かし好きです。
次回,VS正義の戦士クライマックス。


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第11宇宙最強戦士vs放浪者,光輝

おはようございます。光輝vsプライドトルーパーズです。
自分が元居た世界では正義のヒーローともてはやされている光輝と,第11宇宙で正真正銘の正義の味方の全開バトル。
GO(。・∀・)ノ゙


 光が弾けた

 獣を体現したような戦士が,正義の戦士に迫り吹き飛ばした。1人と2人は一定の距離に離れ互いの様子を見つつそれまでの攻防に震える。

 

「ぬぅ?!」

「こいつの速さ本物だぜ」

 

 超サイヤ人4になった光輝はそのまま2人に迫った。最初に反応したトッポはその剛拳で光輝を殴り飛ばそうとしたらしいが,それを真正面から拳を打ち付け仰け反ったのはトッポの方だった

 

「なにっ?!」

「オラああ!!」

 

 その隙を見逃さず,トッポの腹部に強烈な右ストレートが突き刺さり,トッポの巨体がゴムの様に簡単に飛んで行った。それを見たディスポが歯を食いしばり究極のサイヤ人を睨みつけた

 

「この野郎!」

「ふっ!」

 

 ディスポが姿を消したのを見て光輝も姿を消す。空中に螺旋を描き,あちこちで乱撃戦が行われる。それを見上げていたジレンは内心呟く

 

(孫悟空達が使っていた超サイヤ人ブルーではないが,あの変身はあれと同等のパワーアップと言った所か)

 

 消えては現れを何度も繰り返している。先程スピード負けをしていたのが嘘のように今度はディスポのスピードと張り合う事が出来ている。

 それを見たジレンは更なる分析をする。

 

「だが,ディスポと同等のスピードを出すのは超サイヤ人ブルーでは出来ていなかった。ならばあの変身は超サイヤ人ブルーよりも身体能力が優れていると考えるべきか」

 

 ジレンの知っている”孫悟空”は,ディスポのスピードを超サイヤ人ゴッドで体力を温存しつつカウンターを合わせる時にだけ超サイヤ人ブルーの力を解放していた所を見ると,今素で張り合えている光輝の変身は身体能力がブルーよりもあると考えるべきだろう。

 それに……

 

「ここだ!」

「なんだとっ?!」

 

 乱撃戦のさなか,数旬の隙を見出しディスポの顔面にカウンターを合わせた。

 

「ぐっ! この俺のスピードについてくるだと」

「お前は確かに早いが見切れない速さじゃない。それに,お前の攻撃はスピードが乗っている分直線的だ。なら何とかなる」

「そこまで見極めていたか」

 

 吹き飛ばされていたトッポがディスポの隣に並び立つ。

 見極めていたのはやつと戦った俺の影分身だが,それをわざわざ教える必要もない。

 このままならこの2人に勝つことは出来る。トッポのパワーも,ディスポのスピードも超サイヤ人4の俺なら対応が出来る。この2人がまだ実力を隠していることも想定は出来るが,そうされる前に片を付ける。

 

 光輝の分析が真に迫った時,その場を凍り付かせる低い声が”背後”から聞こえた

 

「俺が出る」

 

「——ッ?!」

 

 ふと背後から聞こえた声に,背筋を凍らした。目の前に敵がいると分かっていてもバッと背後を見ると,先程までこの戦いを観戦していたはずのジレンという男がいた。

 腕を組み,泰然自若とした様子でそれが却ってこいつの強さを感じさせる。

 

(いつの間に……?! こんなに簡単に背後を取られるなんて)

 

 ジレンはこちらに目を向けたまま腕を組んでいる。ただそれだけしかしていないのに,彼から放たれるプレッシャーは尋常ではなかった。

 ただこちらを見ているだけだと言うのに,こいつの放つ甚大な気が俺の肉体にダメージを与える程に。

 

「ジレン……分かった」

 

 トッポとディスポは下降し下からこの戦いを見るようである。

 3対1にならなくて良かったと思うべきなのか,それとも舐められていると怒るべきなのか微妙なラインだった。

 はっきり言って

 

 ──勝てないぞ

 

 俺の不安や焦り,そしてワクワクを悟ったのかジレンは口を開いた

 

「西沢光輝と言ったな,トッポとディスポを相手にあそこまで戦えるその力,見せてみろ」

 

 試練——そうとれる言葉とも言える。今こいつらからは最初程の殺気を感じない。けれど敵なのか味方なのかすらも分からないこの状態で,かつ今の俺を遥かに超越しているこの力

 

 ──試してみたい

 

「……ああ,見せてやるさ。ハッ──!!」

 

 気を吹き上がらせた光輝は姿を消す。次に現れたのはジレンの背後,彼の脳天に一撃を入れようとしたが

 

「なんッ?!」

 

 ジレンは既にこちらに目を向けており,光輝が背後に現れた時には既にカウンターが合わせられていて腹部に強烈な一撃が突き刺さっていた。

 肺にある空気が一瞬で押し出され,想定外のダメージが入る。それでもこいつらに一撃入れようと拳を振り上げようとした

 

「フンッ!!」

 

 けれどジレンの眼が紅く光ったと思えば,体勢を崩した光輝に見えない拳が叩きつけられていた。

 その拳の数は優に100を超え,一撃一撃が必殺の一撃に等しい

 

「ぐわあああ!!」

 

 その余りの威力にその場にとどまる事が出来ず光輝は吹き飛ばされる。空に吹き飛ばされた光輝は何とか空中に止まる事が出来たが,前を向いた時には既にジレンの姿が見えなかった。

 瞬間,背後から気配を感じた光輝は振り向きざまにエネルギー波を放つがそこには誰もいない

 

「しまっ?!」

 

 言葉途中で今度は頭上から衝撃が走り,地面へと叩き落される。衝撃を和らげることが出来ず,光輝はそのまま地面に激突した。

 それを観戦していたトッポとディスポが話す

 

「流石だな,ジレン」

「あの小僧をあんな簡単に」

 

 傍から見て光輝はジレンに弄ばれていた。ジレンが相手を叩きのめすと言うのはいつもの光景ではあるが,トッポとディスポは既に光輝がシーラスの言っていたような人間ではないと見極めていた。

 光輝からはそれ程の邪気を感じなかったし,拳を受けた自分達には分かる。

 そして何より

 

「孫悟空の知り合いが,それほど邪悪だとは思えん」

「ま,フリーザの野郎みたいな奴はいたがあいつからはそれを感じられねえからな」

 

 悟空が使う技を,悟空がする変身をした光輝への疑いは晴れていた。

 ならば何故ジレンが彼と戦っているのかと言う話になるのだが

 

「多重影分身の術!!」

 

 光輝の叫びが聞こえると,辺り一帯に煙が立ち上がった。

 その全てが超サイヤ人4の姿をした光輝だった。その数は優に100を超えており,先程トッポとディスポが戦った比ではない数の分身がジレンに迫っていた。

 

「これ程の分身を作り出すとは……修練にはもってこいだ」

「俺はお前に勝つつもりだ!!」

「無論,負けはせん」

 

 ジレンが光輝と戦う事にした理由の1つが修練という理由だ。

 無益な戦いをしないのがジレンの信条ではあるが,それを変える時がある。それは自身の修練の為や守るものがある時という理由。

 トッポとディスポ,この2人を同時に相手にして尚余裕を見せる光輝が作り出す影分身,ジレンにとっても修練には丁度の良い状況だった。

 

「フンッ!!」

 

 ジレンは瞬時に各分身の位置を把握しまたその眼が真紅に輝いた時,周囲から殴りかかろうとしていた光輝達は煙に巻かれて消えていく。しかし,その内の1人の左眼が蒼になっていた。その変化はジレンも気が付いていたが,瞬時にその分身も消し去る。それによって分身が得た経験が光輝に蓄積されるがそれは諸刃の剣でもある。

 

「グっ──!」

 

 一瞬使った反動によって出来た隙をジレンが見逃すはずが無かった。奥に控えていた本体の光輝へ瞬時に距離を詰めた。

 

「はやっ?!」

 

 驚愕したのも束の間,光輝の肉体にいくつもの拳の跡が浮き上がりそれに伴って光輝は再び吹き飛ばされる。それに伴ってチャクラコントロールが乱れ全ての影分身が消え去る。

 

(嘘だろッ?! 蒼眼を使っても見えないのかよ!)

 

 これまでの戦いにおいて光輝の力を底上げしてきた蒼眼の力,それすらも通用しない灰色の戦士。この短い戦闘において既に光輝の力は落ちている。それに一撃も入れる事も叶わず蹂躙されている現状は光輝すら予想出来なかった。

 

「ガっ?!」

 

 いつの間にか俺が吹き飛ばされていたのはどこかの岩場地帯,その内の岩場の1つに俺の身体は激突し動きを止めていた。

 

(ああ,なんか悟空さんとベジータさんが初めて戦った場所になんか似ている)

 

 ジレンの余りの強さにそんな現実逃避も起こってしまうが,それでも思う事はある

 

(やっぱり,世界は広いや)

 

 これでも俺はそれなりに強いつもりだった。悟空さん達が辿って来た道を俺も歩いてきた。俺自身の道も歩いてきた。仲間と,師匠と,家族も。誰かとの繋がりで強くなってきた俺の(拳・剣)をジレンはその身一つで凌駕してくる。

 体感,俺の知っている悟空さん達……愛美が言うにはタイムパトローラ―であるゼノ戦士達とも同等。それにまだジレンは力を隠している。

 

「ハハ―ッ!!」

 

 嬉しそうな声をあげた光輝に追いついてきたジレンも,トッポもディスポも訝し気な眼を見せる。敵が目の前にいるのにもかかわらず光輝の笑いは止まらなかった

 

「ハハッ!!」

 

 強敵——俺の戦っていた中でもこいつは遥かに強く,熱い戦士だ。

 俺は張り付いていた岩場を抜け出し,ジレンの間の前に立ち上がる。

 

 どれほど努力があったのだろう

 

「む?」

 

 どれほどの絶望があったのだろう

 

「その眼……なるほど」

 

 どれほどの力の渇望があったのだろう

 

「お前があの仮面の男と関わりは確かにあるようだ」

 

 金の瞳ではなく,その両眼を蒼赤に染めた光輝を見たジレンは呟いた。そして彼は初めて腕を解き仁王立ちの構えで向かい合う。

 

「最初に言っておく」

 

 言いながら光輝の周囲には闇を払いのける光の炎が燃え上がり,それが過去自分と相対した好敵手に似たものを感じたジレンは少しニヤリと笑った。

 

「俺の全身全霊——止めてみろ!!」

 

 超サイヤ人4——蒼赤の力……自分の出しえる全ての力を持って光輝はジレンに迫った。ジレンはその突撃を再び見えない拳を叩き込むことで阻止しようと考えた。

 

「——ッ!!」

 

 実際,光輝に幾千もの見えない拳が叩き込まれようとした。だけれども,ジレンのこの攻撃は実際は見えないと言う訳では無い。SAOの頃にいたアストラル系のモンスターならばともかく実際に光輝に攻撃して傷つけることが出来るのであれば実体化している筈。見えないのは単純に攻撃速度が凄まじすぎて目に追えないから。そしてその軌道にはそのジレンという人間の癖が現れる。

 光輝はその拳の軌道を全て読み切り,とうとうジレンの眼前に踏み込んだ

 

「ジレンのあの拳を見切ったのか?!!」

 

 ディスポが信じられないと言わんばかりに叫ぶが,それに答えている余裕は光輝にはなかった。拳の嵐が収まったと同時に今度はジレンの頑丈な肉体に右フックを突き刺した。

 ジレンに初めて攻撃を通した光輝はそれが千載一遇だと察し

 

「うおら嗚呼ああああ──ッ!!」

 

 苛烈,それを体現したように光輝はジレンに強烈なラッシュを仕掛けた。その一撃一撃に先程のジレンのような必殺級の一撃はない。ただジレンに反撃をさせないために,スピードを極限まで高めたラッシュ。

 

「あのもの,ここまで?!」

 

 その苛烈さにトッポをも唸らせる。そもそも,ジレンの攻撃を見切ると言う事自体が出来るものがほぼ存在しないのにもかかわらず反撃を許さない超速拳打。あの時の悟空とベジータが2人がかりで行っていた事をたった1人でやっている。

 唯一の弱点はスピードに力を入れすぎて攻撃の重さがジレンの身体にダメージを与えるかと言われれば微妙な所,そして

 

(ここだ!)

 

 ジレンはほんのわずかの隙を見つけ,その剛腕な腕から放たれるエルボーを振るう。

 スピードはある,しかしそれで完全に隙が無くなるかと言えばそうではない。17号のような人造人間達ならば兎も角人間である以上体力やスタミナという概念は存在する。それ故にどこかしらで必ず隙が生まれる。

 そこをついた完璧なカウンター

 

(なにっ?!)

 

 しかしその完璧なタイミングで放たれたカウンターを光輝はスピードを急激に下げタイミングをずらし,尚且つ自分の頭を下げる事でジレンの懐に入り込んだ。その余りに反射的,滑らかに行われたそれはジレンに”孫悟空”を思い起こさせた。

 

(この動き……身勝手の極意?!)

 

 頭が勝手に判断し肉体を動かす神の御業,それを使って自分を追い詰めた好敵手の動きに重なった

 

「オラぁア!!」

 

 数瞬の思考で活路を見出した光輝の拳はとうとうジレンの肉体に右の拳をのめり込ませた。肉体に響いた一撃はジレンとて完全に踏ん張る事は出来ずに一歩足を後退してしまう。

 

「野郎! とうとうジレンに一撃を入れやがった!!」

「むぅ……!!」

 

 そのやりとりを見ていたトッポとディスポも驚愕を露にした。時が止まったかのように光輝とジレンの動きはピタリと止まった。そして苦渋の顔で前のめりに倒れたのは……

 

 

「……ぐっ……が……あ」

 

 

 超サイヤ人4の変身が解けてしまい,短髪の黒髪に戻ってしまった光輝だった。気力を使い果たしてしまい,そのままジレンを目の前に地上へと落下し始めた。

 その光輝をトッポは咄嗟に救おうと動こうとしたが,パシッ! と乾いた音共に光輝の手を掴んでいたのはジレンだった。ジレンはそのまま下に下降して光輝を地面に放った。

 

「はぁ……はぁ……」

「その力,今の貴様には耐えられん力のようだな」

「……ははっ,やっぱりバレちまうか」

「無理をした力では俺には勝てん」

 

 確かに俺の力は一瞬だけならジレンに届いたかもしれない……けどか。頭が鈍器で殴られたみたいな頭痛がまた襲ってくるがもうこの症状とも長い付き合いだ,戦闘中ならばともかく今のジレン達からは敵意を感じない。それにさっき言った”修練”と言う言葉……どうやら俺は遊ばれたらしい。

 でも,敵意を感じないからこそ俺は全力で戦った。俺の今の出しえる最高の力,超サイヤ人4に蒼赤の力。究極のサイヤ人としての力と西沢光輝としての力が合わさっても届かなった。悟空さん達と関わった歴史の人なら悟空さん達はこのジレンに勝った事になる。

 

(ははっ……半端ないな)

 

 まだ見ぬ世界に到達している別次元の師匠たちを思い浮かべ笑みを浮かべる。……だけど,こう何度も感傷に浸る訳にはいかない。

 

「こんな時に……」

 

 戦闘が終わったからこそ気づいたが,こちらに真っすぐ向かってきている神の気……それにこの気はザマスだ。そしてその数は1つではなく3つ。残り2つの内1つは俺も知らない気だがもう一つの気には心当たりがある。ザマスによく似た気,それでいてその中にサイヤ人としての気も感じる。

 

「よい……しょっと」

「おい,無茶すんな」

 

 ディスポが先程と違ってどこか友好的な態度に変わっているが,それを気にする余裕が今の俺にはなかった。

 

「そんな訳にはいかない。タイムパトローラーとして,この戦いを終わらせる必要が俺にはあるんだ」

「タイムパトローラー……?」

 

 ディスポがどこか疑問符を出している表情だが,彼の疑問に答える前に俺達の上空に表れた。

 

「来たか──ッ!」

 

 俺が上空を見ていると既にジレンも上を見ていてこちらを見下ろしている3人の人影を目に収めた。1人はザマス,もう1人は金色の髪をオールバックにして,フカフカそうなコートを着ている人間。

 そして……

 

「貴様が──ッ!」

 

 亀仙流道着に似た漆黒の道着,あの人がする筈のない邪悪な笑みと共にこちらを見下したようにいる姿。悟飯さんが言うように,これはムカつく。悟空さんの身体を奪って,悟空さんの肉体をわが物で扱う醜悪な駄神。

 

「ブラック……!!」

 

 ゴクウブラック,ザマスが超ドラゴンボールで悟空さんの肉体を奪いトランクスさん達の世界を消滅させる羽目になった元凶。

 

「ほう,私の事は既に知っていたか。ならば……」

 

 ブラックはその姿を薄紅色の気と共に纏い見下してきた

 

「神の裁きを受ける覚悟も既に整っていると言う事だな,人間!!」

 

 漆黒の神が俺に迫った

 




お疲れさまです。
こういうサバイバルって,次から次に色々連戦出来るから行きつく暇もないんですよね。
という訳で,次回はブラック戦…満身創痍の光輝はこのままでは足手纏いですね…はて(。・ω・。),どうしましょう


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悪のサイヤ人

おはようございます。
タイトルでネタバレしていくスタイル。ではGO


 薄紅色のオーラ,天に逆立つ薄紅色の髪,漆黒の道着も相まって中二病みたいなイメージがついてきてしまうが悟飯さんが言っていた特徴には合致する。その姿も,俺の知っている超サイヤ人の姿とどれも合わない。

 

「お前……その姿は」

「ふっ……どうだ美しいだろう? お前らのセンスに合わせるとしたら……ロゼ……超サイヤ人ロゼだ」

 

 ロゼ……フランス語の薔薇って意味だったか。人間を皆殺しにしようとした奴が付けるには最低なネーミングだ。薔薇の花ことば自体は本数で変わるとはいえ基本的に”愛”だとかそう言った意味だ。それを人間を皆殺しにしている奴がなのっているのだからこれを最低と言わずとしてどうする。

 頭が割れそうな頭痛が続いているが,こいつだけは俺がやる。悟飯さんを……そして平和の未来を掴むはずだったトランクスさんの世界にやってきた疫病神。

 神……? ブラック……? ロゼ……? 

 悟空さんの肉体を奪わなければ何も出来ないクズが

 

「名前なんざどうでもいい……貴様は俺がやる」

「ふっ,そんなボロボロの状態でか?」

「我々も舐められたものだな」

 

 2人のザマスが小馬鹿にしたような笑みを浮かべて構える。その2人の隣にいるコートを羽織った男は興味深そうに光輝を見る。

 

「中々の精神力じゃないか,君の闘志が伝わって来るよ」

 

 こいつは誰だよ

 

「おっと,自己紹介がまだだったね。俺の名前はハーツ,今は一時的にこの2人と協力関係なんだ。よろしく」

 

 ……今の自己紹介のタイミングが完璧だった。偶々かそれとも……心でも読むのか? 

 

「察しが良いじゃないか。俺は人の心を読めるんだよ」

「嫌な能力だな」

 

 色々な意味で,相手の考えが読める反面それは相手の心の闇も知る事になる。人間はそれを隠せるから人づきあいが出来るし関係が築ける。……まあ,そんな隠し事だらけの関係なんてどの道崩壊するような気もするが。そう言った意味ではブラックやザマスは欲に忠実な辺り付き合いやすい人間かもしれない。

 

 光輝の心を読んだのかハーツは苦笑していたが,その内容をブラック達に話すつもりは無いのかだんまりしている。

 臨戦態勢に再び入ろうとする光輝だが,未だに反動があり一瞬グラつく。そんな光輝を支えたのはディスポだった。

 

「おいおい,無理すんじゃねえよ」

 

 その言葉共に光輝に背を向けたまま立ったのは先程まで光輝と交戦をしていた正義の戦士達。灰色の戦士がハーツと言う男を見上げ呟く

 

「奴は俺がやる。トッポ,ディスポ,お前達は孫悟空の偽物ともう1人を頼めるか」

「……? どうやら君は俺の事を知っているようだね」

 

 ジレンは口を開く手間を考えたのか,かつての宇宙争乱の戦いを心に浮かべた。

 宇宙樹の種を育て,自分と孫悟空達の前に立ちふさがったハーツ。宇宙樹の種を取り込み神域に達した金色の輝くハーツの姿,それに相対するはメタモル星人の融合技,フュージョンをした最強の融合戦士。

 ハーツはその顛末を見て,少し驚いたようにジレンを見ていた。

 

「俺も貴様とはもう一度戦いたいと思っていた」

 

 そう言ってジレンは俺との戦いでは見せなかった紅蓮の燃えるような気を纏った。纏った瞬間には周囲に吹き荒れる気の嵐が,俺に向けられている訳でもないのに簡単にダメージを与えてくる。

 

「——ッ?! マジかよ」

 

 その溢れ出す気は,さっき俺と戦った時よりも遥かに強く本気ではなかったことが伺える。

 

(超サイヤ人4と蒼赤の力……あれが俺の全ての力だったのにこいつはそれも上回るのか)

 

 ジレンの底知れない強さに戦慄していたら,どうやら敵さん側も予想外だったらしく誰もかれもがジレンに目を向ける。でも,ジレンだけじゃない。俺がきちんと立つことが出来たのを確認したディスポもジレンの隣に並び,”正義の戦士”達が並び立った。

 

(ていうか,こいつら最初俺を倒そうとしていたのにいつの間にか味方してくれてる)

 

 今更のように思ったが,今はそれが頼もしかったので黙っておくことにする。……でもどの道,俺も戦う事になるな

 

「む……?」

 

 トッポも気が付いたのか明後日の方角へと眼を向けた。まあそりゃあ気づくよな,こんな悪そうで感じようとするだけで悪寒を感じるような気は初めてだ。

 奴らもこちらに向かってきてるその気を感じたのか同じ方へと目を向ける。ハーツだけは唯一その気が誰のものなのか分かっているのかニヤリとした笑みを浮かべたままこちらを見ていた。

 俺もブラック達の動きに注意しながら見ていると,もう見たことのないような純度の黒の気がこちらに真っすぐ向かってきていた。顔には何かの拘束具の名残なのかマスクが付いていて,黒髪の長髪,肉体は筋肉隆々で見た目はパワータイプのそれはサイヤ人だと察した。奴はブラック達じゃなく,俺達の所に真っすぐ飛んできていた。

 

 

 

「俺と戦ええええええ!!!」

 

 

 

 腹の底に伝わるような雄叫びと共に奴の赤黒い気が巨大な手へと変貌しこちらに投げつけられた。

 

「チっ!!」

 

 いきなりの攻撃に俺は飛んで躱そうと思ったが,先に動いたのはジレンで赤いエネルギー弾をその巨大な手の気に放たれて完璧に相殺する。その場を一歩も動かず,踏ん張った様子もなくあれだけの邪悪な気を相殺するなんて……

 ジレンはこちらに目もくれず言い放つ

 

「光輝と言ったな? お前はここを離れろ,邪魔だ」

 

 ……割と容赦なくいってくるよな。けれど言っている事は残念ながら事実だ。でも仙豆を使えばこの戦線に復帰できる。

 確かにジレンの実力は底が見えないし,他の2人も俺と戦った時は恐らく本気じゃなかった。そんな3人がいるからこの戦線を離脱するのは賢い選択だ。

 

(だけど……)

 

 1人は”孫悟空”の肉体を乗っ取り,自分のくだらない欲望の為に人間を皆殺しにしようとする神に,その神と同一人物でありながら不死身の肉体を得ている神,もう1人はよく分からない心を読める男。おまけにその実力も未だに分からない。

 それに極めつけは乱戦を起こそうとしている謎のサイヤ人,3人が1人1人を受け持つのなら兎も角誰かは2対1をしなければならない。それでは誰かが負けてしまった時に一気に形成が不利になる。

 今やっと頭痛が収まってきた俺では足手纏いかもしれない,けれど

 

「俺が殺されそうになっても助けなくていい! 俺も戦う!!」

 

「ちょ,おい!!」

 

 そう言って超サイヤ人に変身し,こちらに突撃を噛ましている黒いサイヤ人をおびき寄せる為に気弾を放って牽制しながら上空に向かった。サイヤ人は俺が同族かと認識したのか,勢いよくこちらに進路を変えて迫ってきた。

 

(なんつー気だよ!! いくらサイヤ人だとしてもここまで邪悪だと?!)

 

 奴がまとう赤黒い気,まるで光を全てに闇に帰すと言わんばかりに染められた気。戦闘力を表面に出しながらその強さは恐らく俺の超サイヤ人ゴッド……もしかしたら超サイヤ人4も凌駕しているかもしれない。

 はっきり言って俺は逃げた方が自分の為でもあった。まだあの3人に任せた方が賢い選択ではあった。それでも……逃げたくなかった。

 

「行くぞ──ッ!!」

 

 気合を入れるために吼え,奴の眼前に突撃を噛ます。こいつの分厚い胸筋に一撃を入れようと振りかぶる。こいつはそれをガードするまでもないと思ったのか全くのノーガードで受けた。

 だけど,そこで異変が起きた

 

「なにっ?!」

 

 俺の拳が勝手に減速されただけじゃなくて,その気が俺に纏わりつくように入って来る

 

「いかん!」

 

 どこか遠くでトッポの焦ったような声が聞こえたが,俺の意識はそこまで保っていられなかった

 まるで,悪の気に侵食されていくように

 

 ★

 

 西の都,カプセルコーポレーションと呼ばれている場所で2人のサイヤ人が弾かれたようにある方向を見上げた。

 

「ん? おいベジータ,この気は?!」

 

 その言葉にフリーザ軍の戦闘ジャケットに似ているカプセルコーポレション制のバトルジャケットと青のタイツを着ているサイヤ人……ベジータは忌々し気に振り返った。

 

「カンバーッ?! それにこの気は」

 

 ベジータは自分の後ろを歩いていた山吹色の道着を着ている地球育ちのサイヤ人を見て,2人はそれ以上言葉を交わさず頷いてこの気の持ち主の所まで飛翔した。

 

「この気はブラック……それにハーツか?」

「何でも良い!! いつの奴らかによるが,最悪奴ら全てを同時に相手にせねばならん!」

 

 既に2人はこの世界がどういった世界なのか分かっている様である。

 

「だが,他にも第11宇宙の連中と……この気は一体誰だ!」

 

 これまでの強敵たちの気を感じ,とんでもない乱戦が起きている場所に向かう途中でも戦況を把握する。しかし,その中でも一際2人の気を引いたのはカンバ―の気に振れたと思われる1人の戦士の気。だけどこの気の持ち主を2人は知らない。そして……そのカンバ―の気に当てられた人物の気が……”超サイヤ人ブルー”の自分達と同等か……それ以上の気になっている事が気がかりだった。

 

「この気は間違いなくサイヤ人だ。だが何だこの戦闘力は! 俺達以外のサイヤ人がこれ程の戦闘力を身に纏う事が出来るだと?!」

 

 自分達が長い年月をかけて辿り着いた境地に振れているこの人物の戦闘力にどこかイライラした表情をしているベジータだが,反対に悟空はワクワクを抑えきれない顔だ。

 

「かぁーっ!! やっぱ世界は広いぜ!!」

「貴様は何を呑気にしている! ブラックもそうだが,一度にこれだけの敵がいるんだぞ!」

 

 孫悟空の肉体を乗っ取り,神の魂がサイヤ人に宿り超サイヤ人ゴッドを越えた姿になる事が出来るブラック,ブラックと同一人物にも関わらずその不死身の肉体を持つザマス。この2人に2人は結局”勝つ”事が出来なかった。結局最後の決着は全王にしてもらい,自分の未来を失ったトランクスは,自分がもう一人いると言う本人にとっては偽物の世界へと旅立った。

 世界を消した全王も許せないが,一番許せなかったのはあの2人に勝ちきれなかった自分の力。

 それに2人だけではなく悪のサイヤ人であるカンバ―,重力を自在に操り人の心も読めるハーツ。

 

「ああ,気を引き締めっぞ!!」

 

 ★

 

 戦場では乱戦が起きていた。紅蓮の気を纏うジレンがオールバックだった髪を超サイヤ人の様に逆立たせ,黄金のオーラを纏うハーツに激突。

 ザマスをプライドトルーパーズのディスポがスピードで圧倒,トッポが戦場を見極めようと俯瞰する中

 

「ウがアアアアッ!!!」

 

 獣の叫びを上げ,直線的な動きでブラックに迫る眼を”赤く”発光させた光輝。身に纏う気はカンバ―と同質のそれに変わってしまい,雄叫びを上げる姿は正に邪悪な姿。その光輝を残忍な笑みを浮かべ,その右手を紫の刃に染めて迎撃する。

 袈裟斬りで光輝の肉体を斬ろうとするが,その刃をその腕一本で受け止めそのまま強引な拳がブラックに突き刺さる。その衝撃に苦虫を噛みしめたような表情に歪める

 

「ぐっ?!」

「アがアア!!」

 

 そのままラッシュをが仕掛けられようとしたが,ブラックは先読みしていたのか体勢を整えつつ光輝の肉体にカウンターを合わせた拳がめり込んでいた。

 

「ふ,神の刃を受けつけんとは不遜な人間よ……醜い姿だな!!」

 

 醜悪な笑みのままブラックはそのまま光輝の肉体にいくつもの拳打が撃ち込み,遠心力のまま光輝は吹き飛んだ。

 

「ウ……!」

「受けてみろ,我が刃!!」

 

 ブラックの右に煌めく刃がいくつもの閃光に変わり光輝に迫る。しかし,それを光輝は赤黒い気を吹き上がらせ全て相殺する。光輝の戦闘力にブラックは忌々し気に舌打ちをして再び光輝に迫る。

 トッポはブラックとの戦いを繰り広げている光輝を愉快そうに見ているカンバ―に注意を払いつつ,観察する

 

(何という禍々しい姿……しかしこの気配はあのものに似ている)

 

 つい先日戦ったシーラスと彼と共に行動をしていた仮面の男,最初は彼とあの仮面の男に接点があると思って自分達は戦いを挑み,しかしそれ自体は彼の戦いっぷりや技を見て考えを改めた。

 だけれど,今カンバ―の気に当てられて変化した彼の力……蒼赤の眼の事も合わさり再び少しの疑念が出てきてしまった。

 

(しかし,あのものは暴走をしているのにも関わらず我々には攻撃を仕掛けてこない)

 

 この短い観察だが,暴走してしまった光輝はカンバ―を押しのけてブラックというものに向かって行った。元は満身創痍の肉体だったと言うのに,今はあの超サイヤ人4にならずとも,自分達が知っている孫悟空達がなっていた超サイヤ人ブルーに勝るとも劣らない戦闘力を身につけていた。

 

 光輝のボディーブローがブラックに迫る。それをブラックは右にいなし,逆にカウンターを合わせるように光輝の頬に拳をぶつけた。鈍い音と共に光輝の顔が仰け反った

 

「むっ!」

 

 だけど,光輝はそれを仰け反りだけで済まし強引な体勢から蹴りを放つ。ブラックはそれを右の拳を引いて顔の横に合わせる事でブロックする。その威力に歯を食いしばるが,それよりも先程までは直線的だった動きが徐々に自分に対応する動きに変わって行っていることが気になった。

 ブラックですらあのカンバ―というサイヤ人は厄介だと考えるもので,黒髪の状態で脅威だと感じた。”戦闘狂”,それを素で感じさせる奴は本当の意味での狂戦士で感じたのは奴が初めてだ。その狂気に当てられた人間が意識を保つ出来る事は不可能だと思っていた。しかし,目の前の戦士はその暴走を続けても尚倒れない。

 本来,先程までの直線的な動きの光輝程度ならいくら超サイヤ人ブルーに匹敵すると言ってもブラックの敵ではない。直線的故に読むのは簡単だしこの刃であっさり殺せるはずだった。しかし戦闘を始めて数分の現状でも殺せていない。暴走によって増した力もそうだが

 

(この人間……もしや暴走を克服しつつあるのか)

 

 蹴りを払って右手に刃を煌めかせて斬ろうとするが,それをどこからか飛んできた剣によって阻まれる。

 

「なにっ?!」

 

 剣を振り払い,光輝との距離を詰めようとするがその前に光輝の上空にいくつもの剣や斧,短剣に細剣や槍が現れているのを見てブラックは勢いよく後退した。

 

「……サウザンドレイン」

 

 離れる瞬間,光輝の口から技名と思われる言葉が呟かれ待機状態になっていた武器の嵐がブラックに放たれた。

 

「なんと!」

 

 降り注がれる武器の1つ1つが光輝にとってのエンシェントウェポン級の強度を誇る。しかし,ただ降り注がれるだけの武器だけならブラックとて容易く反応が可能。

 

「貴様の切り札がそれか,見損なったぞ人間!!」

 

 バックステップやバク転で武器全てを完璧に見切りながら幾つかの気弾を放つ。それによって光輝の技の妨害をして,隙を見せた瞬間に瞬間移動で彼の背後に周り串裂きにしてやろうとか言う算段だ。

 

「うおおおおおッ!!」

 

 だがその気弾を咆哮するだけで光輝はかき消し,代わりにクナイを召喚しブラックの背後に放った。ブラックはそのクナイは体勢を下げる事で躱した。

 

「終わりだ,人間!!」

 

 言いながら光輝の元へと瞬間移動する為に上空を見ると,先程までいたはずの光輝の姿が見えなかった。

 

 

「なにっ?!」

 

 そこでブラックの集中が一瞬乱れ,決定的なチャンスが到来した。彼の背後に飛雷神の術で現れ,翠色の瞳に黒の瞳孔,そして赤黒い気を纏った光輝が右手に煌めく刃でブラックの胴体を突き刺さんと突き出していた

 

「ッ! 人間が!!」

 

 気が付いた時にブラックも刃を煌めかせ,光輝に袈裟斬りを放つ。お互いのスピードは互角,このままではどちらかが重症……よくて相打ちになる……瞬間だった。

 

 2人ともが吹き飛ぶような威力で放たれた邪悪な気弾,2人はそれに反応してお互いの剣を引っ込めて後退した。

 

「貴様,真剣勝負に水を差すとはいい度胸だな!!」

 

 ブラックが気弾を放った人物,カンバーに向くとカンバ―はブラックに興味が無いのか光輝の方に向き,嗤う

 

「ハハハッ!! 貴様その力を使いこなすとは,やはりサイヤ人の本質は邪悪さよ!!」

 

 ブラックが光輝に向くと,先程までの暴走していた赤黒い気ではなく超サイヤ人特有の金色のオーラに,彼の身体を纏うように赤黒い気へと変化していた。

 ただし血管は浮き上がり,大分無理をしているのが見て取れる

 

「黙れ,何が本質だ」

 

 戦闘民族サイヤ人……長い歴史の中で幾度もの侵略をして数多の星を奪ってきた民族。恐らく,それだけを聞いていた俺ならば嫌悪した存在。

 だけど俺は知っている。”孫悟空”という優しいサイヤ人の存在を,”ベジータ”という己の過去と向き合った誇り高いサイヤ人の王子を。

 サイヤ人の本質が貴様のような邪悪さ……? 

 

「違うッ!!」

 

 瞬間,光輝が纏っていた赤黒い気すらも金色に染まり始め,それは徐々に赤く流動的な気へと変化する。

 

「その赤髪……貴様も!」

 

 赤髪……超サイヤ人ゴッドに何かしらの反応を示すカンバーだったが,とうの光輝はそれ所ではなかった。自分を侵食してきたこの気がまた暴走を起こすかもしれない。

 それを抑えるのにも精一杯だった。

 

「邪悪なのは貴様だけの在り方だ!! サイヤ人全員が,お前みたいな奴だなんて思うんじゃねえ!!」

 

 あくまでもそれほど邪悪だと思っているのはカンバーだけ,そう言い放つ光輝。

 

「フハ八ッ!! 邪悪さを失ったマヌケなど,サイヤ人の誇りを失った下郎よ」

 

 しかし光輝の言葉を無視したカンバ―はその髪を金色に染める。それを見た光輝が歯を食いしばる。分かってはいたが,どうやらカンバーも超サイヤ人になる事が出来る。

 それも,恐らく普通の超サイヤ人とは格別の変身として。

 

「貴様をズタズタにしてくれる! 俺と戦ええええ!!」

 

 超サイヤ人の気の中に赤黒い気を混ぜた姿に変えたカンバーは1つの嵐となって光輝に迫った。彼が迫る刹那,光輝の頭にベビーとの戦いで再び分かれた師匠が脳裏に浮かぶ

 

(ベジータさん)

 

 サイヤ人の誇り,どんな時でも,どんな状況でも相手に背を向けることなく立ち向かう”強さ”。そこにこいつの言う邪悪さは必要ない。

 あるのはただ,”戦い続ける事”。

 そこに正義も悪もない。戦う理由がそれを決定づけるだけだ。だとしたら,俺が選ぶのは

 

「俺が戦うのはこの世界を……大切な人達が笑っていられる世界を守る為だ!! 本当の誇りを忘れた貴様に負ける訳にはいかない!!」

 

 己の中から溢れ出しそうな悪の気を自分の気でねじ伏せて赤い神の気を纏い,構えを取る。いつもの悟空さんに近い構えじゃなくて,ベジータさんの構え。サイヤ人の王家に代々伝わる構えだ。

 赤と黒の気を奮い立たせ,サイヤ人が振るってきた巨大な拳に俺の拳をぶつける。それによって衝撃波が広がり,波紋が広がる

 拳の押し合いをしている中でもこいつは愉快そうな笑みを隠そうともせず叫ぶ

 

「悪の気をわが物にした貴様もまた邪悪よ!」

 

 カンバーの言う悪の気,それを身に纏い使いこなす事が出来る人間は少なくとも善ではないと言い張るカンバー。

 しかし光輝とてそんな事は分かっている。自分がやっている事は少なくとも善ではないと言う事くらいは。手段が殺しである以上はそんなのは自明の理だ。だけど,目の前のサイヤ人と同じではないと断じる事は出来る。

 

「だから……そんなのは貴様の勝手な押し付けだ!!」

 

 拳を引くと同時に,カンバーと光輝の打撃が一種の嵐となってその場に吹き荒れる。図体がデカいわりにカンバーのスピードは凄まじく,またパワーは言わずもがな。

 

「人間め,神を無視するとはいい度胸だ!」

 

 だがその2人の乱撃戦に加わろうとする神影が1つ,自分を無視して戦いを繰り広げる2人をいっぺんに消し去ろうと薄紅色のかめはめ波を作るブラック。

 そんなブラックの目の前に立ちはだかる1人の戦士

 

「貴様の相手は私だ!」

 

 自由の戦士,トッポ。プライドトルーパーズのリーダーである彼は,光輝のサイヤ人としての矜持を守るための戦いを邪魔させまいとブラックの前に立ちはだかる。

 ブラックは忌々し気に彼を睨む

 

「正義の戦士だと? 神の道を阻むとは,愚か者め!」

「貴様のような神はあってはならん! 孫悟空の偽物を騙る貴様を許しはせん!!」

 

 言いながらトッポは光球を作り出しブラックに放つ。それをブラックはかめはめ波を放ち相殺,その爆発によって周囲は煙に包まれるがトッポはその中を臆せず突っ込んでいく。

 巨体に見合うパワーを持った拳がブラックの鼻筋に放たれるが,ブラックはそれを頭を下げて躱すのと同時にトッポに踏み込み,右に刃を煌めかせる。それをトッポはジャンプして躱しつつブラックの背後を取る。それに反応したブラックは左の裏拳を放つ。

 

「フンッ!」

 

 それを掌で受け止め,燃え上がる気でブラックのパワーを上回らんと膨れ上がる。

 

「人間がこれ程のパワーを持つとは……だが究極サイヤ人の肉体を持つこの私には敵わない!」

 

 狂気の笑みを浮かべ,ブラックもまた薄紅色のオーラを吹き上がらせる。

 炎とロゼの色,二つの巨大な気が大地を揺るがし気の波状が広がる。

 

「それは孫悟空の肉体とでも言うのか!」

「その通りだ! この肉体は孫悟空の身体を超ドラゴンボールで入れ替え,魂はザマスのものだ!!」

「何だとッ?!」

 

 ブラックの言葉に青筋を立て,更に己の気を燃え上がらせる。

 

「貴様,孫悟空を乗っ取るだけではなく孫悟空を騙るとは……断じて許さない!!」

 

 確かに,初めて出会った時の孫悟空は自分の戦いたいという欲を優先した結果力の大会という全宇宙存亡をかけたサバイバルに発展した。

 だから最初は彼の事を嫌悪していた。たった1人の欲の為に自分達の宇宙が消えるかもしれない事態になったのだからそれは当然ではある。

 しかし,こと戦いにおいての一種の真摯さをトッポは孫悟空から感じていた。卑怯な手を嫌い,どんな時も真正面から他の宇宙との戦いを繰り広げていた。そしてその強さは,天使が使う事が出来る神の御業”身勝手の極意”にまで辿り着いた。自分を見つめなおし,自分という殻を破る事で到達する神の御業。それは武道を極めるものの極致。

 だから今では孫悟空の事をそれなりに見直していた。その孫悟空を,他人が乗っ取り挙句孫悟空を名乗るなど,自分が認めた人間を汚す行為をトッポは許せなかった

 

「くっ!」

 

 トッポの気がブラックの気を上回り,力比べの均衡が崩れる。地面が裂け,体勢を崩したブラックの腹部に強烈な拳が突き刺さり大きくくの字に曲がる。隙を見逃すまいと更なる追撃の拳骨がブラックの肉体に突き刺さる。

 

「ぐああああっ!!」

 

 その威力に一瞬白目を向き,ブラックはその身を吹き飛ばされた。近くの岩場に激突し,黙々と煙が立ち上がる。

 それを見ていたもう1人のザマスが驚愕を禁じ得ないようで,ディスポが目の前にいるのにも関わらず思考する。

 

「ブラックを押しのけるパワーを持つ人間だと」

「リーダーを舐めんじゃねえ!!」

「くッ!」

 

 ディスポの方に向き直るが,ディスポスピードの方が遥かに速くザマスはその速度に対応出来ない。

 

「ッ! 人間風情が!!」

「お前を神という奴もいないぜ!!」

 

 ディスポのスピードは更に引きあがり完全にザマスは後手に回る。不死身ゆえに倒されることはないが,倒す事も出来ない。

 本来ザマスの戦闘スタイルは相手の攻撃を受け流し,的確に反撃をする柔の動きを基準としたもの。不死身ゆえに今はブラックの戦闘力と合わせた完膚なきまでのコンビネーションが前提の戦闘スタイル。そのブラックもトッポとの相手に簡単に離れることは出来ずザマスは本来の戦闘スタイルを出来ず,またディスポのスピードの凄まじさも相まって完全に相性が悪かった。

 

「フンッ!」

 

 そしてまた別の所では,紅蓮の気を纏うジレンを押さえつけようと超ハーツへと変身したハーツが重力を増大させるが。ジレンはその予兆を見切りディスポに迫るとも劣らない速度でハーツの背後を取る。その速度にハーツは笑みを浮かべ振り返りながら蹴りを放つ。

 凄まじい衝撃波があたりを揺らすが,ジレンは微妙だにせずにその蹴りを受け止めていた。代わりにその瞳が光りハーツにいくつもの拳打の跡が浮き上がり身体ごと吹き飛んだ

 

「くッ,見えない攻撃か……やるじゃないか」

 

 口元の血を拭いながら心底嬉しそうにし,黄金のオーラを吹き上がらせながら気弾を放つ。その気弾をジレンはその場で身体を少しだけ動かすと言う最小限の動きで躱し,お返しとばかりにいくつかの気弾を放つ。

 ハーツは再び気弾を放ちぶつけてかき消す。2人は相対したまま向かい合う

 

「素晴らしい強さだジレン! だが何故だ? これ程の力を持ちながら何故神にへりくだる?」

 

 打倒全王……それがハーツの目的であり戦う理由だ。ジレンの強さは彼でも息を飲み敵に回すのは惜しいと考えている。

 

「俺と一緒に来ないかジレン,共に人間の手で全王を倒そうではないか」

「断る」

 

 短い言葉,ハーツは不思議そうな眼でジレンを見る。そして彼の心の内を読む。感じた事は彼は別に神への反逆など考えていない事,それよりも大事なのは自分の宇宙を守る事。

 

「君は面白いな」

 

 さて,どうしたものかとハーツが考えるのと同時に各地で戦っている中で気が何故か一瞬で無くなった人物が現れたのでそちらの方を見ると,黒い稲妻を纏いながらも黒髪に戻り,肩で息をしている光輝だった

 

「はぁ……はぁ……」

「どうした下郎,この程度で終わりか?」

「く……そ」

 

 元もと力を底に着いた状態からのあの強引なパワーアップ,それは光輝自身の肉体をも追い込むほどのもので本来悪の気に晒されたものは自我を失い暴れまわるだけになる。それをどういう訳か自我を取り戻し,それを短時間だけでも使う事が出来た光輝が異常ではあるとハーツは思っていた。

 それでも,悪の気の反動を受けても尚カンバーに立ち向かおうとするその姿はハーツとて美しいと感じた。少なくとも,自分の力ではなく超ドラゴンボールを使って人間0計画など行おうとしているブラックやザマスよりも尊敬に値すると思った。

 

「素晴らしい精神力だ,カンバーのあの気をくらい暴走しないだけでも素晴らしいのに,それでも敵わないカンバーに立ち向かう……ああそうだ。それこそが人間の美しさ」

 

 ジレンという敵を前にして,それでも光輝に感嘆するハーツ。自分が戦った時のハーツとの若干の違いにジレンは眉を顰める。

 

「死にぞこないが……くたばれえええ!!」

 

 懸命に構えを取る満身創痍の光輝にとどめを刺そうとエネルギーを溜めるカンバー,光輝自身は自分が殺されそうになっても助けなくても良いと言っていた。しかし,それは自分の信条に反する為に動くかと考えたジレンだが,そんな考えは目の前のハーツに簡単にバレてしまう。”助ける”という選択肢を心に思い浮かべただけで彼が妨害してくるのは自明。

 しかし,そこでハーツを見ると彼が手をかざしていたのはジレンではなくカンバーだった。

 

「何っ?!」

 

 その行動に驚きを露にしていたら,そのとうのハーツも驚きその手に溜めていたエネルギーを引っ込めた。ジレンがそれを何故かと思考した時,光輝とカンバーの間に3つの気が割り込み,その内の1つがカンバーを吹き飛ばした。ジレンが光輝の方を見ると,膝を付いていた光輝の前に3人の戦士が現れていた。

 3人内の1人,赤い羽織に四方八方に広がっている髪にその背中には見覚えのない棒のような武器……だがその姿は間違いなく

 

「お前は……孫悟空!!」

 

 ジレンが呟くと,悟空……タイムパトローラーである孫悟空・ゼノはジレンに目を向けニッと笑った

 




おつかれさまです。
光輝,雑に悪の気を制御し始める(未完成)。原典では悪の気はぶっちゃけ大した意味もなくただの強化素材なのですが折角何で本作品では少し使わせてもらいます。

プライドトルーパーズってやっぱ普通に強い気がするんですよね。トッポはトッポで戦略眼優れているしディスポは相手の相性が悪かっただけだからザマス当たりなら完封出来るだろうっていう。

そしてハーツとジレン,多分皆さん大体アニメの方を見ていると思いますけれど僕の作品では僕に都合のいい媒体を使うので2人の力関係は漫画版の方準拠です笑。つまりジレン>ハーツですね。
そしてハーツさん,意外に光輝に友好的です。ジレンから自分の結末を見たからこその思考の変化か…?因みに作者はハーツとカンバー好きです!

問題です,ブラックと光輝の共通点はなんでしょう

ではでは


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戦線離脱

おはようございます。
続きでございます。では


 奴の気に侵され,自我を失った俺を取り戻したのは前にも似たようなことがあったからだろうか。前とは状況が全く違うが,暴走という点では同じなのでまあ良いだろう。

 奴が言う”悪の気”,触れた瞬間に俺の心が蝕まれ……中途半端な奴なら恐らく破壊されていた。それほど邪悪で危険な力。それでも,奴と戦うにはその力を利用するしかなかった。蒼赤の力のせいでまだ万全な体力とは言い難い状態で一気に現れた敵に,ジレン達と戦うには。それでも……

 

 ──こんなに差があるとは

 

 超サイヤ人ゴッド,普通のサイヤ人では絶対に辿り着くことが出来ない境地へと変身してもこいつは一切受け付けなかった。凄まじいまでの気の嵐と,頑丈な肉体。いくら戦闘民族サイヤ人でもこれほどの存在がブロリー以外にもいるだなんて想像もしてなかった。

 そして,奴の気に反発してあげていた俺の戦闘力は時間切れでもう碌に動けない状態まで追い詰められた。さっきは助けなくても良いと言ったが,やっぱそんなこと言うんじゃなかったなと内心思ったがもう遅い。でも指に力が入るのなら,戦う意思があるのなら,相手が誰であろうと俺は戦う

 

 そう思った光輝の目の前に現れた赤の羽織,そして彼が纏う安心感の塊である優しい風は光輝を包んでいた。次の瞬間にはあのサイヤ人は吹き飛ばされ,目の前の人物はこちらを驚いているように見ているジレンへとニッと笑みを浮かべていた。

 

「ご……悟空さん?!」

 

 悟空は背後に向くと嬉しそうにした

 

「よっ光輝,おめえすげえパワー上げたな! オラ見違えたぜ!」

 

 何だか気が抜けてしまったが,それが英雄たる所以なのだろうなと何となく思った。悟空さんの隣には黒のロングコートを着ている人……

 

「悟天さん……?」

 

 振り返った悟天さんは爽やかスマイルで悟空さんと同じように話しかけてきた

 

「光輝君久しぶり! 見ない間に凄い腕を上げたね」

「まあ……色々ありましたから。いやいやそれよりも何でここに?」

 

 それに答えてくれたのはもう1人……白のマントにターバンを身に付けている緑肌の男……ピッコロさんだった。

 

「この世界での戦いが更に激化している。もう直ぐ何かが起こる,そう考えお前と合流した方が良いだろうと悟空が考えたんだ」

 

 その言い方だと俺の居場所は最初から分かっていたようだが,なんか突っ込むのも疲れたので口を閉じる。それに何かが起きるのではないかと思うのは俺も同感だ。

 今も空を埋めているあの根,ただの根ではないのは見ても明らかだ。……それよりも気になるのが

 

「ピッコロさん……その戦闘力は一体何があったんですか」

 

 ピッコロさんから感じる力が,俺の知っているピッコロさんよりも遥かに強いものになっていることに気になった。今は気を抑えているが,身に宿るパワーは少なくとも魔人ブウと一緒に戦った時に比べればはるかに超越している戦闘力だ。

 

「孫に鍛えられた」

 

 マジか,悟空さんとの修業なら俺も散々したが今のピッコロさん程パワーアップしたことはないぞ。多分このピッコロさん感覚でしか言えないから何とも言えないがあの18号を吸収した超17号とも張り合えるぞ。

 ……ああ,やっぱり才能の違いか? 

 いや才能だけじゃ片付けられないな。これが戦闘に全振りしたナメック星人か。

 

(……正直甘く見てた。こんなパワーを上げるなんて)

 

 いけてもセルの完全体に勝つくらいだろうと思っていたがとんでもない,それすらも遥かに超えた戦闘力だ。こんなに頼もしい事なんてあるかよ。

 そんな事を思っていたら俺達の背後に正義の戦士達が降り立った。関口一番に開いたのはトッポで,自分と知る悟空さんと微妙に違うからか少し困惑気味だ。

 

「お前は孫悟空なのか?」

 

 悟空さんはカンバーに注意を向けながら振り返りながら答える。

 

「ああ,オラ孫悟空だ。おめえらは確か第11宇宙の……」

 

 聞こうとした所,前方から凄まじい気が吹き荒れた。光輝も立ち上がり臨戦態勢に入りながら他の連中の様子を伺う。

 新たな乱入者により様子を伺っていたのは向こうも同じようで,その中でもカンバーはお構いなしに身に纏う気を更に上げていく。

 

「面白い,お前達……俺と戦えええ!!」

 

 言いながら奴の眉毛が引っ込み,戦闘力も馬鹿デカく引き上げた。奴が纏う気が一種の攻撃になって俺達を襲ってきて俺は吹き飛ばされないように耐えるのが精いっぱいだが,満身創痍の俺とは違って流石というべきなのかジレン達と悟空さん達は微動だにしない。

 

「超サイヤ人3まで……!?」

 

 俺との戦いでは本気を出していなかった,と言う事だ。ジレンも俺との戦いでは本気を出していなかった。最近俺は本気を出されない事の方が多いのは気のせいか……。

 どいつもこいつも今の俺の強さを越えていく,それが悔しかった。

 カンバーの上を見るとこの状況を見極めようとしているのかハーツにブラックとザマスがこちらを見下ろしていた。せめて奴らのうち一人は俺が倒したい

 

「光輝,無理すんじゃねえ」

 

 そんな俺の心の内を読んだのか知らないが,悟空さんが頼もしい背中をこちらに向けながら諭してきた。俺が敵の内誰かに突撃を噛ますと思ったらしい。正解だ。

 

「でも,俺は強くならないといけない! 今ここで逃げる訳にはいかない!」

 

 ハーツは正直分からないが,ブラックとザマスそれにカンバー……この3人は俺の尊敬する人達を侮辱した。悟空さんの身体を乗っ取り,その乗っ取りさえもザマスという神が人間の罪を浄化しているとかいう意味分からない理屈で悟空さんの身体で何人も殺した

 カンバーはサイヤ人の在り方を勝手に決めつけた。

 許せなかった

 

「でも一番許せないのはあいつらに一泡も吹かせられない自分自身だ!!」

 

 言いながら底に眠る力を引き出そうとする。だけど,一度気が溢れたと思ったら直ぐに力が抜けて膝を付いてしまう。立とうとしてももう力が入らずにこちらを見下しているブラック達を見上げる。

 

「クソッ! 何でだよ!!」

 

 戦いたい……戦わないといけない時に力が出ない。変わってないじゃないか,あの時と! 

 

「こりゃあどういう状況だ? オラがもう1人いんぞ」

 

 そこでまた気の抜ける声が戦場に聞こえた。俺は驚いて声のした方向を見ると,いつもの亀仙流の道着を着ている悟空さんと人造人間達と戦った時と同じバトルジャケットを着ているベジータさんがいた。

 彼らは一旦ブラック達を視界に収めた後,俺達の所に降りてきた。

 

「あれ,おめえもしかして悟天か?」

「わ,お父さんだ」

 

 そして口から出たのは自分の息子かどうかを確認する事。まあ,確かに雰囲気は子供の頃の悟天さんから割と変わっているからな……じゃなくてどうして悟空さん達がここに。

 そんな事を思っていたら新しく来た方の悟空さん達が俺の方を見た。この悟空さん達は俺と会うのは初めてだったはず。

 

「もしかしておめえか? カンバーと戦ってたサイヤ人は?」

「はぁ……はぁ……」

 

 やべえ,返事したいがその体力も無くなってる。

 

「孫悟空が2人も,これで私は更なる高みに行けると言う訳か」

 

 そんな俺達の会話に乱入をしてきたのは,薄紅色のオーラを燃え上がらせて戦う準備を完了させているブラックだ。新しく来た方の悟空さん達もブラックを見上げ,変身した。

 蒼い流動的に流れる神の気……その上で超サイヤ人ゴッドよりも強い気を纏うこの姿は

 

「その変身は……」

「こいつは超サイヤ人ゴッドのパワーを持ったサイヤ人の超サイヤ人」

 

 長いな。だけど,その身に宿す戦闘力は超サイヤ人4に勝るとも劣らない。多分基本戦闘力がタイムパトロールの悟空さんの方が高いから超サイヤ人4のほうが高く感じるだけで戦闘力の上昇は同じ位だ。

 ブラックはその悟空さんを見ても嘲笑を浮かべて両手を広げる。

 

「ふ,貴様を倒し更なる高みに至ろうではないか」

 

 敵はブラックだけじゃない,こちらを見て超サイヤ人3に変身しているカンバーも片手間に相手できる奴じゃない。だけど,これだけの戦士がいるおかげなのか先程までの不安は幾分か和らいでいる。

 呼吸を落ち着かせながら立ち上がると,タイムパトロールの方の悟空さんが口を開いた。

 

「そっちのオラ達,折角来たところ悪いけんど1つ頼みがあんだ」

 

 その言葉に言葉をかけられた悟空さんだけじゃなくて俺も眉を顰めて悟空さんを見上げた。タイムパトロールの悟空さんは姿を超サイヤ人2になりながら続けた

 

 

「この光輝に,超サイヤ人ブルーとその先の力を身に着ける為の修業をさせてやってくれ」

 

「——ッ! 悟空さん?」

「この餓鬼にだと?!」

 

 超サイヤ人ブルーのベジータさんが何を馬鹿なことを言っていると言いたげにこちらに目線を向けてくる。俺も俺で驚いた。確かにこの2人が今なっている超サイヤ人ブルーは,俺がその内辿り着かなければならない領域だ。その為の修業を実際になれる2人に修業を付けてもらえるのはこの上ないチャンスだ。

 だけど

 

「今ここで戦力を分散させる訳にはいきません! あいつらはここで倒さないとまたどこで時空が乱れるか分からないです!」

 

「けんど,今のおめえは満身創痍だ。そんな状態じゃいても邪魔になるだけだ」

「うぐっ!」

 

 割と平然と気にしていることを言ってきたが正論だ。

 

「それに……」

 

 言いながらこちらに優しいサイヤ人の眼が向けられた

 

「あいつらはおめえが倒してえんだろ? だったら強くなって来い!」

「あ……」

 

 さっき俺はこいつらに何も出来ない自分自身が一番許せないと言った,だけど,この早々たる面々に気圧されていた。悟空さん達がブラックを倒すんじゃなくて,俺がこいつらを倒したいんだ。

 けれど今の俺にその力はない。その力を身に着けてこい,この場は自分やピッコロさん達で大丈夫だからと。

 

「そっちの奴を超サイヤ人ブルーにか……」

 

 言いながら超サイヤ人ブルーの悟空は光輝を見る。光輝は見られているのに気が付いて見返す。その瞳の奥に確かに宿る戦闘民族の魂を感じて悟空はフッと笑った。それで孫悟空を見ながら聞く

 

「ここは任せても良いんだな?」

「おいカカロット」

 

「ああ,任せろ」

 

 力強く頷くタイムパトロールの悟空さんを見てニッと笑った悟空さんはこちらにゆっくりと近づいてきて手を差し伸べて来た。俺はその手をゆっくりと取ると,悟空さんはベジータさんにも向き直り声をかける

 

「おめえもオラにつかまれ,瞬間移動すっぞ」

 

「チっ! どうなっても知らんからな!」

 

 舌打ちして忌々し気にブラックを見上げた後に悟空の方に掴まる。

 

「じゃあ,こいつを預かっぜオラ」

「ああ,任せたぜオラ」

 

 同一人物同士の不思議な会話を最後に,光輝の視界は天に広がる青空へと変わっていた

 

 




お疲れさまです。
という訳で光輝はブルーになる為の修業です。ただ,この悟空達は新時空大戦編を通っているのである程度自由に身勝手と暴走制御できるベジータなので果たしてブルーだけで満足するかな。

そしてピッコロ,悟空との修業で雑にパワーアップしてます。悟天はヒーローズで出てるので潜在能力解放まで出来ます。

昨日プロモアニメ更新されましたけれど超面白かったです!限凸4と身勝手は身勝手の方が強いのかあと思いながら見てました。

ではでは


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新たな扉

おはようございます。
すっごく個人的に嬉しい事があって,8/26の21:30現在で本作品のお気に入りが100突破しました~(((o(*゚▽゚*)o)))。
自分の好きなものを好きな形で続けているだけですけども,それでも100人の方に気に言って貰えてとっても嬉しいです!
色々書きたいものがあって浮気しまくる筆者ですが,これからもよろしくお願いいたします!


 光輝と,超サイヤ人ブルーの悟空とベジータが戦線離脱したのを見届けたジレンは残った方の悟空を観察した。今はかつて戦った超サイヤ人2という形態らしいが,力の大会で戦った時の孫悟空と力の差は明らかだ。

 

「孫悟空,その力は一体……」

「ジレン,だったか? 悪いけんど話は後だ」

 

 何だか違和感を感じる返し方だったが,ジレンも優先順位が分かっているので頷いた後見上げた

 

「あのサイヤ人をみすみす逃がすとはどういうつもりだハーツ」

 

 見上げている中でもブラックはハーツに詰め寄っていた。

 確かにハーツの能力があれば光輝がどこかに行く前に攻撃する事は可能だっただろう。心を読むと言う能力はそれだけで厄介なものであり,敵からすればこれ以上ないアドバンテージを取れる代物だ。

 なのに,ハーツは彼らを見逃すような真似をした事にブラックは腹を立てていた

 

「なに,彼はその内姿を現すさ。それに……今は寧ろ戦力を分散させる事が出来たことを喜んだ方が良いと思うが?」

「我々が人間に足元を掬われると?」

 

 ハーツはそれに答えず残った戦士達を観察する。

 急に表れたタイムパトロールという孫悟空,孫悟天。先程の光輝に勝るとも劣らないピッコロというナメック星人に1対1ではブラックやザマス,そして自分とも対等或いは凌駕するプライドトルーパーズの戦士達。

 これに超サイヤ人ブルーの孫悟空とベジータまで残っていたら敗北する確率の方が高いのは必然。

 

「おめえらオラ達とやるのか?」

 

 否……今ですら格別と感じる孫悟空に未だ底が知れないジレンがいる。こちらの面子もそうそうたる面子ではあるのは間違いないが分が悪い。

 ……のだが,そんな事を話す前に暴れる暴君が1人

 

「貴様ああ!! 俺と戦えええ!!」

 

 待ちきれないと言わんばかりに気を溢れさせたカンバーは悟空目掛けて駆け出したのだ。

 

「孫悟空は俺の得物だ,邪魔をするなあ!!」

 

 そのカンバーに触発されたのかブラックとおまけにザマスまで孫悟空へと向かいだした。悟空は一瞬左右のライバルと息子にアイコンタクトを取り上空に飛んだ。

 それを追いかけるようにカンバーが自分の気を巨大な手に変えて放つ。その攻撃を悟空は気を纏い,更に上昇する事で躱そうとする。しかしその悟空を逃がさまいとブラックとザマスも追撃する。しかしその2人の行方を阻んだのは悟天とピッコロだった。

 

「ッ,孫悟空の息子にピッコロ」

 

「父さんの邪魔はさせないよ!」

「そういう事だ,貴様らの相手は俺達だ!」

 

 言いながらピッコロはその身に宿る気を高め始めた。気は白銀,天井知らずに高まる気はブラックの知っているピッコロではなかった。

 

「何っ! 貴様本当にピッコロか?!」

「俺はピッコロじゃない,人違いだ」

 

 ニヤリと笑ったピッコロはザマスに反応出来ない速度でブラックの顔面に膝蹴りを噛ました。その神速とも取れる速度はブラックですら反応するのが困難なもので,体勢を取り直した時には既に眼前にピッコロが踏み込んでいた。

 

「速い?!」

 

 ピッコロの重たい拳を両手で止めるブラックは,かつてトランクスや未来の悟飯と戦った時の様に余裕のあるものではなく,歯を食いしばり気を高める事で均衡を保っている。

 

「貴様には悟飯が受けた借りを返してやる!!」

 

 ピッコロの気がバーナーの様に膨れ上がり,ブラックとの均衡を打ち破ろうとする。

 

(ブラックが押されているだと?!)

 

 ザマスがそう考え手助けしようと動き出すが,その前に立ちはだかったのは違う次元でブラックが殺害したはずの孫悟天だった。

 

「行かせないよ,お前とブラックを組ましたら不味いからね」

「孫悟天……孫悟空という駄作サイヤ人に育てられたサイヤ人の子よ……我に敵うと思うのか?」

 

 ザマスの孫悟天という人物の評価は孫悟空の子供というだけでマイナススタートである。もしかしたら孫悟飯以上の巨大な潜在能力を持っていたのにも関わらずその孫悟飯より修業を行ったが故に未熟な精神を携えたサイヤ人……自分の敵ではないと思っていた。

 

「お父さんは何度も世界を守った英雄だ! そして……僕は孫悟空の息子,孫悟天だ!!」

 

 言うと同時悟天は兄によく似た白色の気を纏うとその雰囲気も異彩を放つ。詰めの甘さが消えた表情と雰囲気,その姿にザマスが訝し気にした時眼前に踏み込む。

 

「——ッ!」

 

 ギリギリで反応して悟天の拳を横に受け流そうとする。

 

「うおりゃああ!!」

「なにっ?!」

 

 しかし悟天の拳は次の瞬間には回し蹴りに変わっていて,体勢を崩されたのはザマスの方だった。急いで顔の横に腕を回し悟天の蹴りを受け止める。

 

「へへっ,どうしたの神様……この程度じゃないよね」

 

 ある種自身に満ち溢れた気は孫悟飯と同じ究極の力……老界王神によって潜在能力が引き出された孫悟飯と瓜二つだった。ザマスは受け止めた筈の蹴りから放たれた衝撃波によって頬に傷が出来たのを見て忌々し気に吼える

 

「人間が神を甘く見るなあッ!!」

 

 悟天の足を体勢を低くすることで躱し,逆に体勢を崩し返した悟天へ右の手刀を放つ。

 それを悟天は首をひねる事で最小限の動きで躱しつつ,右の拳をザマスの眉間に直撃させる。

 

「ぐぁ!」

 

 いくら不死身でも反射的に受けるダメージには反応を示す,それが分かっているが故に狙った眉間への一撃。ザマスの視界は一瞬グラつき決定的な隙を晒し,それを見逃す悟天ではなく突き刺すような蹴りでザマスを吹き飛ばした。

 また違う場所で孫悟空がカンバーと激突していた。光輝のように悪の気に侵されることもなく真正面からカンバーにぶつかる。

 

「はっ!」

 

 気合の入ったエネルギー弾がカンバーへと放たれ,こちらに向かっていた巨大な手を破壊。飛び道具が無くなった事で悟空は容易にカンバーの目の前に瞬間移動に表れて光輝ではダメージを与える事が出来なかった強靭な肉体に強烈なボディーブローをめり込ませた

 

「グおおっ?!」

 

 その衝撃に大きく眼を見開きカンバーは少し後ずさる。しかしそれを見逃す悟空ではなく超サイヤ人4に変身しながら距離を詰める。

 

「甘く見るなああ!!」

 

 意趣返しと言わんばかりにカンバーも気を膨らまし,目にも止まらない乱撃戦が始まった。

 一撃一撃はカンバーの方が重く,どれか一つでも貰ったら悟空と言えどもダメージが入るのは必至。しかし悟空はカンバーの動きを見切り受け流し,或いはガードしながら大立ち回りを演じる。

 

「すげえな,あいつら」

 

 それを見ていたディスポが思わず呟いてしまうほどには彼らの戦いは凄まじかった。しかしそれで後れを取るようならプライドトルーパーズをやっていない。

 

「ディスポ,お前は孫悟空の倅を援護しろ。私はブラックと戦っている者を援護する!」

 

 そう言ってトッポはピッコロの加勢に,ディスポは悟天の加勢に向かった。残ったジレンはハーツを見上げるが,ハーツも彼を見返していた。さっきの事と言い,ハーツの目的が分からない。だけど今は邪魔をしないようなのでジレンは悟空と共に戦うために飛び出した

 

 ★

 

 ……空にのぼる雲たち,一気に空気が薄くなったのを感じて俺が今いる場所について検討が付いた

 

「神様の神殿……か?」

 

 セルと戦う前に言った精神と時の部屋がある神殿,あるとは思っていたがまさかこんなあっさり来る事になるとは思わなかったな。

 

「お待ちしていました,悟空さん,ベジータさん」

 

 前に聞いた声よりもどこか貫禄が出ているなと思いながら振り返ると,既に超サイヤ人ブルーの変身を解いている悟空さんとベジータさん,それに神様であるデンデが俺達を迎えるように歩いて来ていた。

 

「デンデ,悪いけんど……」

 

 みなまで言うなとデンデは首を振り光輝を見た。

 

「話は違う悟空さんから聞いています。もう使えますよ」

「悪いな,じゃ行くか!」

 

 どこへ,という質問はいらなかった。この神殿に来て修業する場所なんて1つしかない。俺が力強く頷くとデンデは歩き出して俺達も歩き出す。

 精神と時の部屋に向かう途中で幾つか悟空さんに質問を投げられた

 

「そういやおめえカンバーの気を食らっちまったんだろ? よく無事だったなあ,オラなんか二回もやられっちまったのに」

 

 ……わかってはいたがこの悟空さんはあのカンバーと戦った事があるようだ。

 

「最初は俺も暴走しましたよ……でも」

 

 言いながら取り出したのは,俺があの世界から帰ってきて初めて迎えた姉の誕生日,姉のプレゼントとしてペアルックで作ったあの城で2人を尊重する2つの剣を模したネックレス。俺は普段かけてはいないし,量子変換機にいれているから普段出す事はない物。

 

「……大事な人達が待っている。そう思えたら力が湧き出て来た。それに……」

 

 言葉を区切り光輝はベジータを見た。

 

「なんだ?」

「いや,違う次元のベジータさんに言われましたから。サイヤ人として……無様な戦いはしないって」

 

 力強い言葉がベジータに響き,彼は光輝を見ようともせず前を向いた。既に精神と時の部屋の入り口が見えていてもう直ぐ修業の時だと知らせてくれる。まだカンバー達と戦った時の影響が残っているから今の俺には変身する体力も残っていないが,まあなんとかなるだろ。

 

「だが貴様はカンバーに負けた,もし貴様が本当に俺達と同じ戦闘民族サイヤ人だというのなら」

 

 ベジータさんは事実を羅列し,扉の前でこちらに振り返った

 

「奴に勝って見せろ!!」

「はいっ!」

 

 ミスターポポがその返事に気をよさそうに頷いて白き世界への扉を開いた

 




お疲れさまです。
安定と信頼の精神と時の部屋,あそこやっぱ入れる人にとってはとんでもないコスパ最高の部屋だと思う。尚環境()。

という訳で対戦カードは
孫悟空・ゼノVSカンバー
ピッコロ&トッポVSゴクウブラック
悟天・ゼノ&ディスポVSザマス

ブラックとザマスって組ませたらダメだと思うんですよ(迫真)

ではでは


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己の矜持

おはようございます。
前半悟空達で,後半光輝の修業です。
では!


 ──乱戦

 

 神域に辿り着いた戦士達が,自らの目的の為に戦いを繰り広げる。光輝の命名,インフィニットワールドで今一番凄まじい戦いが繰り広げられていた。

 

「調子に乗るな人間が!!」

 

 神がサイヤ人の子に振るう刃は,正義の戦士によって軌道を変えられその間隙をサイヤの子が狙う。

 

「ピッコロオオ!!!」

 

 薄紅色の刃がナメック星人に振るわれるが,それをナメック星人は腕一本で防ぎきる。そして反撃に巨漢の正義の戦士が剛腕を振るう。

 

「ウオオオオッ!!」

 

 邪悪な赤黒い気を纏った存在が,黄金の戦士に力を放出するがそれを黄金の戦士は避け,反撃していく。途中から合流した灰色の戦士の助けもありサイヤ人を追い詰めていた。

 この乱戦を空から俯瞰している唯一の男は内心呟いた

 

(このままでは劣勢……いや敗北するのは必須だな)

 

 ブラックと呼ばれる孫悟空の肉体をした存在はその特徴から徐々に戦闘力をあげていくが,それでも記憶のナメック星人よりも大幅にパワーアップしているピッコロという存在とプライドトルーパーズのリーダー,トッポを同時に相手にするのは至難の技。

 それにトッポの心を読んだから知っているが,トッポの本気はこんなものではない。ブラックの戦闘力が上がる前に破壊されてしまうだろう。

 また,彼の分身たるザマスは不死身ゆえにダメージを負っている様には見えないが戦闘力という点で孫悟天,ディスポの両名に劣っている。これでは勝つことは出来ないだろう。

 そしてカンバー,この面子の中では恐らくブラックを凌駕し一番の実力者であることには間違いはないが相手が悪かった。どの時代の孫悟空かは分からないがフルパワーも出していない今の段階でカンバーを圧倒している。それに彼が仮に負けたとしても未だに強さが未知数のジレンの存在。自分がこのまま誰かしらの援護に向かったとしても,この戦力差を覆せるとは思えなかった。

 そしてさらに言えば……

 

(俺の興味はあの光輝という戦士に向いている,か)

 

 ハーツは,この事態で戦いのエネルギーを回収しているあの宇宙樹を回収する事にあった。そして全王への打倒,その目的がブラック達と一致して利害関係の元で協力関係を築いている。

 だがそこで自分は見た,絶望的な状況の中でもカンバーの悪の気と向き合い未完成ながらあの気を克服しつつあった光輝という戦士を。

 全王,そして神という存在に作られた生命が持つ最高の邪悪がカンバーというのなら光輝という存在は反対の光の存在……それも闇をも力に変える存在だ。

 

「……興味深いね」

 

 完全な劣勢を強いられているカンバー,力では勝っている筈なのに純粋な技で負けている。力こそがサイヤ人の矜持,そしてその力は邪悪な存在だからこそ振るえるというのがカンバーの論。しかし迎え撃っている孫悟空はカンバーのような強烈な悪の気を纏ってはいないのにも関わらず凌駕している。それに,先程彼の心も読んだ結果そもそも目の前にいる戦士達はピッコロと孫悟天以外自分と戦った事のある時空の戦士達だ。悟空はかつてカンバーと戦った事がある時空の悟空らしく,カンバーと戦う事が出来るのは至極当然だなと思った。

 

「それに孫悟空はまだ本気じゃない」

 

 別の次元の孫悟空とベジータの超サイヤ人ブルー,トランクスの超サイヤ人ゴッドと孫悟飯の娘のパンからサイヤパワー与えられて限界突破した超フルパワーサイヤ人4・限界突破の存在がある。本来なら彼単体でブラックやザマス,カンバーという存在を纏めて相手とっても戦える力の持ち主だ。

 

(ここは撤退が無難だね)

 

 考えたが吉日,ハーツは果てしない激突をしていたカンバーと孫悟空の元へ現れた。

 

「……! おめえはハーツ」

「何の用だハーツ!! 俺の邪魔をするとは覚悟は出来ているんだろうな!!」

 

 戦いの乱入をされたからかカンバーは怒りを感じる声色で言いながらハーツに向けて気弾を形成する。しかしその腕をハーツは自身が作り出す重力キューブを彼の腕だけに作り出し抑えた。

 

「落ち着けカンバー,ここは撤退するよ」

「ぬうう!! 何故だ!」

 

 君が孫悟空には勝てないからだ,なんてことは言わない。確かに今は負けてはいるがカンバーが孫悟空に劣っているとも思っていないからだ。同じサイヤ人,それも血自体は古代のサイヤ人であるカンバーの方が濃いのは必然。そんな彼が現代のサイヤ人でもある悟空よりも強くなる可能性はあると思っているから。

 現にカンバーは先程までなら光輝相手になら猛威を振るっていた。けれど,ハーツはだからこその撤退を選ぼうとしていた。

 

「君には,あの光輝という存在と戦ってほしいからね」

「なんだとっ!!?」

 

 思うように動けない腕を何とか動かそうとするが,腕だけにかけている重力キューブはカンバーの想定よりも遥かに重く簡単には動けなかった。

 それを見越しているのでハーツはカンバーに向けていた視線を,正面にいる悟空へ向ける。今撤退すると言う言葉が本当なら敵である悟空は見逃すはずが無い……が,ハーツは悟空に関しては見逃してくれるだろうと算段を持っていた。

 

「あの光輝という少年,まだまだ強くなる。そうだろ?」

 

 光輝がもう1人の孫悟空とベジータに連れられてどこかに行ってしまう際,光輝の心も覗いていた。

 

「この世界と根本的に違う次元から来た転生せしサイヤ人の戦士,僕はあの子供がどれほどの力を身に着けるのか楽しみなんだ」

 

 そこにあるのは,心の底から光輝の行く末を見たいと感じるハーツの穏やかな表情だった。それに悟空は面を食らったが,同時にハーツの言う事も分かる。自分も西沢光輝という1人の人間の才能を見て,鍛えてきた人間だ。その光輝もこの世界に来てから更なる飛躍をしている。この世界を脱出するころの光輝の実力はどれほどのものなのか想像も出来なかった。

 しかし,それを認められない存在がここに1人

 

「転生だとッ?! 誇り高いサイヤ人の血を,勝手に作ったと言うのか!!」

 

 それはカンバーからの怒りの声だった。戦闘民族サイヤ人,その存在に生まれる事が出来たのはカンバーにとって僥倖であり自らが纏う悪の気はそのサイヤ人の在り方を示してきたものとしてなによりも誇りに思っている事だ。

 つまり,カンバーにとって邪悪な事は前提としてサイヤ人という存在がなにより誇りであり光輝がそのサイヤ人のへと変化した存在というのなら光輝は元々サイヤ人ではないと言うのはカンバーにとって何よりも許せない事だった。

 

「あのような下郎が,誇り高きサイヤ人になっただと!!」

 

 彼のサイヤ人であることの拘りはもしかしたらベジータ以上かもしれないと悟空は思った。ただし,誇りに関してはベジータを上回るサイヤ人を知らないが。

 

「許さん! 許さんぞ貴様あ!!」

 

 激昂し強引に重力キューブを破壊しようとするがハーツが彼を落ち着かせようと更に強化する。しかし想定以上にカンバーの気が膨れ上がりハーツでも抑えが効かないほどになる。そこに響く波紋のように広がる声

 

 

「なら,また光輝と戦うか?」

 

 

 落ち着いた声を発したのは悟空,その落ち着いた声はカンバーの中に浸透し動きを止めた

 

「あのようなサイヤ人の誇りを失った下郎に戦う価値などなし!」

 

 それよりも悟空と戦わせろと思うのがカンバーの本音である。それが本来,強敵と戦えることが嬉しい筈の悟空でも今回ばかりは光輝の矜持の為,彼に譲ろうと思っていた。

 

「とか言っておめえ光輝に負けるんが怖いんじゃねえのか?」

「この俺が恐れを抱いてるだとッ?! 出来損ないを恐れる俺ではないわ!!」

「なら良いじゃねえか。それに,そんなにオラと戦いてえならおめえが光輝を倒した後に戦ってやる」

 

 カンバーはイライラしていた。悟空に攻撃をしたいのにさせてくれないハーツへ,そして自分が光輝に負けると思っている悟空に。だからカンバーは一周回って落ち着いた。

 

「良かろう! あの下郎をズタズタにして殺してやる!」

 

 言って取り合えず重力キューブに反発していた力が収まったのを感じ,ハーツはその重力キューブを外した。外した瞬間に悟空に襲い掛かるかもと思ったが,心を読んだ限り本気で今の一番の敵意は光輝に向けられているからだ。

 ハーツはニヤリとし,悟空へ向いた

 

「光輝君の修業は何時頃終わるかな?」

「2日後だ」

 

 言いながら悟空の心を読むハーツ,精神と時の部屋と言う事で修業すると言う光輝。そこは外界と時間の流れが異なりこちらの世界での1日が向こうでは1年間という修業をする上では最も効率のいい部屋。

 

「では,二日後ここでまた会おう」

「あの小僧に伝えておけ,俺の前に立ったことを後悔させてやると」

 

 そう言ってカンバーとハーツはこの場を離れた。悟空はそれを見送った後,自分の背後に立つ男,ジレンへと向いた

 

「何故奴らを逃がした?」

 

 その言葉には純粋な疑問があった。悟空ならばあの2人を相手とっても戦えると思っていたしだからこそ何故あのカンバーの相手を光輝に任せたいのかが分からなかった。

 悟空は超サイヤ人3の変身を解きながらその疑問に答える

 

「カンバーは兎も角,ハーツはそんなに悪い奴じゃねえ。それに光輝の心の壁を壊すにはカンバーと戦わなきゃなんねえ」

 

 悟空は光輝がどこか焦っていた事に気が付いていた。超サイヤ人4に変身することが出来ても勝てない敵が出てきていたから。それはさっきのカンバーだったりハーツ,そしてブラックにも未だ勝てないと光輝自身が分かっていた。

 悟空ならば,例え勝てなくとも修業を繰り返し最終的には勝てるようになるだろう。だけど光輝は少し違う。基本的に光輝も修業を繰り返し力を身に着けてきた人間だ。だけどその目的は自分の矜持を守る為だ。自らの人生と,それを構成してくれた人たちとの繋がりを守るために強さを求めるのが光輝だ。

 

「悪い事がサイヤ人の在り方……それを否定してえのに出来なかった事はオラがあいつを倒してもあいつの中に残り続ける」

「それをあいつが自分で打ち破る為に,と言う事か」

 

 カンバーの,サイヤ人としての在り方を光輝は否定した。否定したからこそその悪の気を制御しカンバーを打倒そうとした。

 だけどそれが出来なかった。自分やベジータ,バーダックや悟飯に悟天,トランクスの在り方を見ていたからこそ否定したことが出来なかった。

 

 強さこそ,自分の意見を通すのに必要な世界。それがジレンにはよく分かっていた。光輝個人の感情をカンバーに認めさせたいのならば光輝がカンバーに勝つことが必須。その機会を悟空は作ったのだ。

 これは信頼がどうとかそんな話ではない。2人の戦士が,それぞれの矜持を守るための戦いと言う事だ。

 一応の納得はしたジレン,しかしそんな彼も疑問はまだある

 

「だが,はっきり言って今の奴ではあのサイヤ人には勝てないぞ」

 

 それがジレンの感想だ。自分も戦った事があるからこそ分かるが,奴の悪の気は生半端な気持ちで受けて良いものではないし,それがなくとも奴の身体能力自体は自分に匹敵する。そんなカンバーに今の光輝が勝てるとは思えなかった。

 悟空はニヤリと笑った後,天界がある空へと眼をやった

 

「ああ,けんどオラは見てみたいんだ」

「何をだ?」

「サイヤ人でもなかった光輝が,サイヤ人としての在り方を証明する為に戦う。そんな光輝が壁を越える姿を」

 

 タイムパトローラー,孫悟空・ゼノは光輝の才能に惚れた1人だ。自分とは根本的に違う存在,自分と同じサイヤ人になった後でもそれは変わらなかった。

 自分よりも”愛”を大切にし,無くなってしまうが故に恐れそれでも向き合う事を決めたサイヤ人。だからこそ繋がりを力に,誰かの願いを力に変えてきた光輝は特異な存在とも言える。そんな光輝が,サイヤ人の悪の部分と……いやもしかしたらサイヤ人の在り方とも向き合い壁を越えた彼の力を見たかった。

 

 ★

 

 精神と時の部屋,外界と切り離されたこの場所で赤と蒼がぶつかり合っていた。2つの蒼は1つの赤を追随する。

 

「はあああ!!」

「ぬうう!!」

 

 赤は真正面から蒼の戦士達と激突する。

 超サイヤ人ゴッド,その先の力である超サイヤ人ブルーとの激突で幾度も弾け地面へと弾き飛ばされる

 

「くっ!」

 

 超サイヤ人ゴッドになっているのは光輝,弾き飛ばされた地面へ難なく着地を決めた彼だが次の瞬間には超サイヤ人ブルーに変身しているベジータから放たれたエネルギー弾の嵐が放たれていた。

 

「ちッ!」

 

 その嵐の中をかいくぐるように炎のような気を燃え上がらせベジータへと向かう。しかし,もう直ぐ根源であるベジータへと辿り着くという時にベジータは唐突にエネルギー弾を撃つの止めた。

 

「なにっ?!」

 

 次の瞬間,光輝の背後には同じく超サイヤ人ブルーである悟空が瞬間移動で現れていた。光輝は咄嗟に同じ瞬間移動で攻撃を躱そうと見たがその前に悟空の拳が頬に突き刺さる

 

「ぐぁ!」

「どうした! そんなんじゃブルーになれねえぞ!!」

 

 遠心力に従い吹き飛ばされた光輝の前ににベジータが現れ絶え間のないラッシュが光輝を襲う。

 

「貴様の力はその程度か!!」

 

 光輝は自分に制限を設けていた。千鳥やその他忍術の禁止,武器の禁止,己の技と力で2人の修業を受けていた。そうしなければいけない修業だと光輝本人が思っているからである。

 

「だりゃあ!!」

 

 ラッシュの狭間に見つけた隙でベジータに蹴りを放つが,それすらも読んでいたのかその蹴りは空を切る。背後に回られたと察した時にはまた地面へと真っ逆さまに落ちている。それに内心舌打ちしながら体をくるりと回し着地して再びベジータへと突撃を噛まそうと思ったが,真正面から悟空が迫っていた。

 

「守ってばっかじゃ勝てねえぞ!!」

 

 一瞬腕を交差させて防御体勢を築いた光輝だが,悟空の勢いの乗った拳がその防御を簡単にブレイクする。

 

「くっ」

 

 そのガードが崩れた瞬間,眼前には悟空だけじゃなくベジータも現れ目にもとまらぬ乱撃が光輝を襲う。

 

「どうした!! 俺達を越えて見せろ!!」

「おめえが強くなればオラ達ももっと強くなる!!」

 

 孫悟空とベジータ,2人のサイヤ人は基本的に1対1の対決を望む。しかし,こと戦闘において共闘する時は凄まじい連携を発揮する

 それは内心光輝も思っている

 

(この2人,1対1でも勝てるか分からないのに手を組んだときのこの連携はなんだよ!)

 

 どちらか一人を対応しようとすると必ずもう1人が自分の防御をブレイクしてくるし,逆にこちらが攻撃をしても2人の実力ならば簡単にいなしてくる。

 それも凄まじい連携だ。キリトやアスナさんみたいな完全にシンクロしている連携って訳ではない。寧ろお互いがお互いの動きのまま攻撃してくる。だけど,そのちぐはぐさが歯車同士が絶妙に噛み合って対応しきれない連携を生み出してる。おまけに完全なキリトとアスナさんのようなシンクロは最初は脅威かもしれないが,慣れれば寧ろ却って読みやすい連携になる。

 でも,それをこの2人は意識もせず相手と動きをずらしてくるから対応が出来ない

 

「しまっ」

 

 悟空さんの拳を防御した瞬間に腹部に強烈な蹴りが放たれていて,俺はそのまま吹き飛んでしまった。

 

「かはっ!」

 

 なんとか着地をするも,余りの威力に膝を付く。そんな俺の前に現れる2人の超サイヤ人ブルー,正直今にも超サイヤ人4へ変身したい。そうすれば勝てはしないかもしれないが互角にはなる気がしたから。これが超サイヤ人ブルーに変身する修行じゃなかったらきっともうなってたんだろうなと思った。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 息の詰まる攻撃で足りなくなっていた酸素を少しでも取り込む。それを見ている2人は振り返るように言ってくる

 

「おめえの動きは悪くねえ。向こうのオラの弟子ってだけあっぜ」

「だが貴様は何を気にして戦っていやがる」

 

 ……やっぱりバレちまうか。違う次元とは言え俺の師匠達,一緒にいた時間はそれほどない筈だが何で分かるのかな。

 

「俺は……これまでサイヤ人である事にそれほど疑問に思った事はありませんでした」

 

 確かに,トランクスさんは最初俺が助かる為に俺の世界の地球人よりも強靭な肉体を持つサイヤ人に転生させたと言っていた。あの後からタイムパトロールになったから分かるがサイヤ人の肉体はどの種族よりも強靭だし戦闘力のコントロールもしやすい。確かに魂の入れ物としてサイヤ人の肉体はぴったりだったと思う。だからこそ疑問に思わなかった。周りのサイヤ人は悟空さんや悟飯さんに悟天さん,トランクスさんにベジータさん,バーダックさんみたいに良い人が多かったからサイヤ人が悪という認識はそれほどなかった。

 

「だけどあいつは違う」

 

 思い出すのはカンバー,サイヤ人は邪悪さこそが本質だと言い放ち身に纏う気はそれに違わぬ邪悪な気だった。

 悪いサイヤ人だっているのは分かっていた。ターレスやブロリーもその部類だろう。ナッパはちょっと微妙。あの人は最後の表情が印象に残っている。

 

 閑話休題

 

 だけどカンバーは今までのサイヤ人とは根本的に違う。俺は力を振るう人の心が正義か悪かを決めると思っていたしそれは今でも思っている。

 だからあいつに悪だと語っているのはあいつだけだって叫んだ。でもそれを俺は証明出来なかった。奴に負けた,奴の気を食らって暴走しても……それを力に変えてしまった。それはまるで,俺の中にもそう言った邪悪な部分があると言われているようで……

 

「そんな事か,下らん!」

 

 唾棄するように吐き捨てるベジータさん,やっぱり俺の事が気に入らないのか超サイヤ人ブルーの変身を解き踵を返した。精神と時の部屋の入り口に当たる宮殿へ姿を消した。

 困った顔をしているだろう俺の顔を見た悟空さんはしょうがないなと言いたげに見送った後,変身を解いた。俺もそれを見て変身を解く。

 

「悪いな,ベジータも悪気がある訳じゃねえんだ」

「いえ,俺もああいうベジータさんは慣れてると言うか……」

 

 俺は少し疲れてしまい,その場で座った。重力10倍だからふつうこんな事したらあっと言う間に辛くなるはずだが,今更10倍程度なら0倍と何も変わらないな。

 悟空さんも俺の隣に来て座った。2人してあのベジータさんがいる宮殿に行くのは気が引けたらしい。

 

「正直言うと,本当は超サイヤ人になるのもある意味サイヤ人への侮辱になるのかなって最近は思ってるんです」

「ん? なんでだ?」

 

 悟空は光輝がそう思う理由が分からなかった。だけど,それは地球人からサイヤ人へとなり,その後も偉大なサイヤ人を見て来たからこその考えだ

 

「超サイヤ人は……サイヤ人がサイヤ人であるからこそ変身する事が出来る切り札的な存在。それを,後々にサイヤ人なったとは言え地球人でもある俺が使うなんてまあ人によっては許せないよなって」

 

 本来の西沢光輝なら,超サイヤ人になることすらなかった。俺が笠木を小1の時に捕まえる事が出来たのならSAOに行く事も,こうやって悟空さんと語らう事もなかっただろう。外の世界から監視されているようで余り好ましくないが時の巣の界王神たちが俺を見出す事もなかった。

 きっとあのまま愛美と別れ,それでも家族の愛を受けながら育ったと思う。こんな時空の混乱を止める戦いなんて無縁の人生を送ることになっていた筈だ。そして,あの蒼赤の力を手にする事も。本当の意味で俺は地球人として過ごしていたはずだ。

 

「ナッパやターレスみたいに超サイヤ人になる事が出来ない人から見ても正直いい気分はしないだろう」

 

 自分は超サイヤ人になる事は出来ない,それなのにこの前までサイヤ人でもなかった人間が自分以上にサイヤ人であることを使いこなしている。

 カンバーという存在と出会ったから考えてしまう事。力はただの力でありそこに正義とか悪なんて概念はない。

 

「だけど……その超サイヤ人の力でさえもしかしたら紛い物なのかもしれない」

 

 サイヤ人が超サイヤ人を使うのならなんら問題ないだろう。それは生まれ持った種族の特性みたいなものでありそれにケチをつけるなんて頭が良い人に「頭いいなんてズルい」なんて言っているのと同じだからだ。

 だけど俺のはもはやインチキに近い。俺が持つ地球人としての力なんてそれこそリコレクションブレイブ位で,本来ならリコレクションブレイブだけで戦うのが地球人としては正解だ。でも俺は超サイヤ人になって,サイヤ人としての在り方の為に戦おうとしている。部外者がケチを付けているもんだ。

 

「あーあ,前はこんな事思ってなかったのに」

 

 言いながら俺は仰向けに倒れる。精神と時の部屋はあの宮殿以外に建物はない。地面という概念はあるが上と左右に関しては果てしない。

 だからこうやって上を見ている光景も,本当は果てしない空間があるだけだ。

 

「力そのものに善悪はない。蒼赤の力も,リコレクションブレイブでさえ壊す為に使えばそれは悪だ。超サイヤ人も同じ。だけど俺の場合はなんだろ……種族の力を併用してるようなものですから」

 

 分かりやすく言うなら,ALOでリーファさんの種族でもあるシルフは種族補正として他のプレイヤーよりも聴覚が優れているっていうシステム的な恩恵を受ける事も出来るし,ALOの醍醐味と言っても良い飛行速度にも補正がかかる。でももしその種族補正とでも言うべきものがサイヤ人の特徴であるにも関わらずそれを地球人という,サラマンダーとかウンディーネの種族がシルフと全く同じ種族補正を受けられるなら……とてもそんなゲームをしたいと思う人はいないだろう。

 俺の今の今まで使っていた超サイヤ人という力も同じ,ぶっちゃけズルなんだ。本来は地球人であるはずの俺が,地球人として持った力とサイヤ人としての力を持っているなんてこれがALOなら即刻アカウントBANものだ。

 

「んー,でもおめえも超サイヤ人になるまで相当苦労したんだろ?」

 

 悟空さんは,あのナメック星でのフリーザとの戦いのときに覚醒した。俺も当時は現場に立ち会ったから分かる。クリリンさんが殺される怒りなんて普通に過ごしている分には絶対に起こらない。悟空さんの超サイヤ人は,あの戦いだったからこそ出来たと言ってもいい。

 そしてそれは俺も同じ……だと思う。

 

「まあ……正直親しい人が死ぬのを想像して超サイヤ人になるのはもう懲り懲りですね」

 

 俺の超サイヤ人は愛美や櫂さん達一家が笠木に殺される強烈なイメージで変身する事に成功した。もちろん直前にバーダックさんの超サイヤ人を見ていたのもきっかけの1つではあるけど。

 

「オラはおめえが思ってる事がよく分かんねえぞ」

 

 そう悟空さんが遥か先の世界を見据えながら言った。まあ,悟空さんがそう思うのは正直無理はない。こんな悩み,持つことのできる人物なんて俺の知っている限り俺ともう1人だけだ。そしてそのもう1人はこんな悩みを持つことは今の所絶対にない。

 いや……あいつの場合はその悩みがないからこそ,あの姿に変身する事が出来たのかもしれないな

 

「おめえとブラックは違う」

 

 ──

 

 光輝は悟空が呟いた言葉が周りの空気に浸透するように消えていったのを聞き,少し呆然としながら隣で胡坐をかいている悟空を見た。

 

「……俺ブラックの事なんて言いましたっけ?」

 

 さっきまでカンバーの話をしていたから出てくるとしてもカンバーの事だと思っていたのに,悟空さんは今まで話題にも出していないブラックの事を話してきて少し驚いた。

 

「何となく,な」

 

 悟空さんは茶目っ気にこちらにウインクしてくる。どうやら……全部見透かされていたみたいだ。

 

「俺の……カンバーに対してサイヤ人としての矜持を示そうとした時俺自身はどうなんだって思ったんです」

 

 言いながら俺は自分の掌を見る。何もない手,愛美からは大きくて優しいと言われた手。けれど,何人も血に染めた手。

 

「こっちに来る前はそれでも戦いに集中しようと思ったんですけど,やっぱりこの精神と時の部屋に来て悟空さんとベジータさんと戦っている内に思ったんです。俺も……ブラックと同じじゃないかって」

 

 超ドラゴンボールを使って界王ザマスの肉体と,戦闘民族サイヤ人孫悟空の肉体を入れ替えよ。神の魂を持った存在が悟空さんの肉体に宿る。

 地球人の魂だった俺が,サイヤ人の肉体へ転生したように。

 

「ははっ……笑えねえよ」

 

 俺がカンバーよりも,ある意味一番憎いと思ったブラックとやっていることが全部同じなんだ。

 自分じゃない,自分の肉体で超サイヤ人という力を使っている。本来は持つことが無かった力を使っている。俺とブラックが違うのはその力を使う目的のみ。

 でも……同じなんだ。

 

「ブラックは……孫悟空であることに何も疑問を持っていないからある意味純粋にあの身体を使える。超サイヤ人ロゼも……俺と同じ悩みを持っていたのならなれなかった筈だから」

 

 超サイヤ人ブルー,戦ってみた感じ根本的な変身によるパワーアップでは恐らく超サイヤ人4と同等。だけど超サイヤ人ブルーには4にはない特徴がある。それが完全な気のコントロールだ。気のコントロールが出来ていないと例えば界王拳のような身体に更なる負荷がかかる技は使えない。超サイヤ人は,その身に宿る力が発散的に爆発する変身だけど,超サイヤ人ブルーは力に振り回されることがない。でも……俺はそれが出来ていない。”超サイヤ人”と言う事に根本的な疑問を持ってしまったから。

 

 時間にして数分,外の世界では何十時間の流れの中で光輝は沈黙した。けれど,そんな沈黙を打ち破るように明るくて優しいサイヤ人は語った

 

「さっきも言ったけんど,おめえとブラックは違うさ」

 

 そう言いながら悟空さんは立ち上がって拳を握る

 

「確かにおめえはサイヤ人の身体で,地球人でもあるかもしれねえけんどその姿を手に入れるために強くなったんは間違いなくおめえの力だ」

 

 分かっている。超サイヤ人も,超サイヤ人2も3も,限界突破に超サイヤ人ゴッド,そして超サイヤ人4も……間違いなく俺自身がこの肉体で,俺自身の意志で強くなった証左。

 だが生まれは間違いなく地球人,力の根源も。

 

 光輝は歯ぎしりしていた,自分の力の源が分かってくるだけあのブラックに重なってしまうから。

 

「オラ思うんだ,何かを守る時に大事なんは力を振るう奴の姿形じゃなくて心なんじゃねえかなって」

「……心?」

 

 それはさっきから俺が思っている振るう力の善悪とかそう言う話なんだろうか。

 悟空さんはニッと笑いながらこちらを見下ろす。

 

「光輝は今まですっげえ強い奴と戦ってきたんだろ? 何でおめえは戦ってきたんだ?」

「それは……自分の大切な人達を守るためです」

 

 そんなの決まっている。

 笠木に全てを奪われた……全ては言い過ぎだが,あの日から俺の戦う理由なんてそれだけだ。ぶっちゃけ愛美や櫂さん達にキリト達にお姉ちゃん達の優先順位が高すぎて他の人に関しては余裕がある時だけだが,その信条だけは変えていない。というか変えられない。

 それを変えたら……西沢光輝の存在意義がなくなってしまうから。

 

「じゃ,そいつらがおめえのサイヤ人としての力に何か文句言ったんか?」

「それ……は」

 

 俺は一応知っている,愛美のいる世界でサイヤ人であることに拒否反応を起こしている人達がいる事に。でも愛美たちが,サイヤ人としての俺に何かを言った事は……ない。

 無言が答えとしたのか,曇りのない笑顔で悟空さんは言った。

 

「だろ? おめえがもしサイヤ人じゃなくても,光輝なら地球人としても立派に戦ってそいつらを守ってたさ」

 

 それは……例え超サイヤ人の力がなくてもまた違う力で俺は戦っていた,と言う事か? 今までの旅路で,何度も超サイヤ人に助けられてきたけれど俺はそれが無くても戦っていたのか? 

 俺が仮に地球人のままだとしても,ナッパ,ターレス,フリーザ,クウラ,人造人間達,セル,そして魔人ブウ。この世界に来て戦った多くの敵達。俺が倒れたら,愛美たちを守れないと分かっていたのなら俺は例え超サイヤ人がなくても戦い続けたか……? 

 

(決まってる)

 

 笠木の時と同じだ,自分の持ち得る力の全てを使って俺は戦っていた筈だ。勝てる勝てないじゃない,譲れないものがあるのなら立ち上がるのが……西沢光輝という人間だ。

 サイヤ人……地球人……? 

 それがどうした? 

 

「おめえは昔のサイヤ人って事を認められなかったオラとは違う。じゃなかったら初めておめえに会ったベジータがあんな怒る事ねえさ」

 

 ……確かにそうかもしれない。

 戦闘民族サイヤ人,それに誇りを一番持っているベジータさんが生まれ持ったものではなく後から転生してサイヤ人になった人の事なんて本来はムカつくはずだ。というか,タイムパトロールの方のベジータさんは暫くそうだった。当時の俺がその現状をあっさりと受け入れたから余計にそう思ったはずだ。

 でも,そのベジータさんが今は俺をサイヤ人だと認めてくれている。

 

「少しはおめえの知ってるベジータを信じろよ。オラ達サイヤ人の王子なんだぜ?」

「……ふ」

 

 悟空さんがベジータさんを王子と呼ぶなんて少し珍しいなと思ったが,その通りなんだろう。

 俺達の王子が,俺をサイヤ人だと認めてくれている。じゃないとこっちのベジータさんも俺の修業を付けようなんて思わなかった筈だ。

 そして,その俺自身がサイヤ人であることに疑問を感じたのならそりゃあ認めてる側からしたらフラストレーション溜まるわな。

 

「あははは」

 

 何だか,今まで悩んでいたのが馬鹿みたいに笑みがこぼれて来た。

 カンバー,どの歴史でも見たことが無い邪悪に満ちた気を持つサイヤ人

 ブラック,悟空さんの肉体を奪い未来を滅茶苦茶にしていた自称神

 許せなかった,サイヤ人の本質を邪悪さだと履き違えているサイヤ人が。

 許せなかった,尊敬する人の身体を我が物顔で使っているクズが。

 だから守ろうとした,サイヤ人の矜持を。

 でも……それを本人達は別に望んでいないのだ。

 悟空さんはきっと自分の力でブラックと戦う。

 ベジータさんは自らの手でサイヤ人の在り方を切り開く。

 

「光輝,おめえはおめえのままで良いんだ。サイヤ人がどうとかそんな事は今考えなくていいとオラ思うんだ。光輝の戦う理由にサイヤ人であるかどうかはどっちでも良いんだからな」

 

 あくまでも結果としてサイヤ人として,西沢光輝の持ち得る力の1つとしてサイヤ人の力を使っているだけだとそう言ってるんだ。”サイヤ人”の在り方,そんなものは俺には関係のない話だと。

 

「ま,おめえがそこまでサイヤ人の事考えてくれてんのはオラも嬉しいけんどよ,オラはおめえにとって一番大事なものを守ってほしいんだ」

 

 大事な物,それはサイヤ人の矜持ではなく愛美達,キリト達を守る事。

 

「……分かりました」

 

 吹っ切れた……かは分からない。

 だけど,この部屋に入ってきたときからあったの胸のとっかりは何だか消えた気がする。

 

「よっしょと!」

 

 悟空さんの隣に立ち,彼の顔を見るといつものように優しい笑みを浮かべていた。

 

「じゃ,続きやっか!」

「……はい!」

「どうやら話はまとまったようだな」

 

 言いながら宮殿から出て来たのはベジータさんだった。隣にいた悟空さんはにっと笑みを浮かべた後に歩き出し,白銀の世界で俺が知っている最強のサイヤ人である2人は並んだ。

 足元から気の風が吹き始め,2人の神の気がまた高まり始める

 

「光輝,今のおめえならなれる筈だ。歴史から消えたサイヤ人の……その先の力に」

「この俺達が鍛えてやってるんだ,生半端な実力では許さんぞ!」

 

 2人の白銀の気が,蒼く流動的な気に変わり始める。

 大地を揺らすような荒々しさではない,水面をも揺らさないような穏やかな気,でも確かにその気から感じる力の奔流

 

「「はっ!!」」

 

 2人の声が重なり,青白い光に包まれる。

 その光の膜が,2人の足元から散るように剥がれて姿を現したのは超サイヤ人のような髪型で蒼く染まった2人のサイヤ人。

 相対するは,無限の成長をする1人の戦士。

 

「俺も,あなた達みたいになれるかは正直分からない」

 

 彼はその身を紅い流動的な気を纏う。しかし,その気はすぐさま穏やかな気の流れへと変わり彼の中に入っていく。その変化を見ながらサイヤ人の王子は言った

 

「違う! 俺達を越えてみろ!」

 

「ふ……。当然だ!」

 

 彼の中に入った紅蓮の炎が,今度は更に燃え盛るように蒼い気を発し始める。先程の2人の様に徐々に光始め,光の膜へと変化する。

 

「俺も1人の人間としてあなた達を……超える!」

 

 彼を中心に爽やかな風が吹き荒れ,それを見た地球育ちのサイヤ人は心底楽しみでしょうがないと言いたげに笑みを浮かべる。隣のサイヤ人の王子も同様の笑みを浮かべて新たな姿を得た戦士を見る。

 超サイヤ人の様に逆立った髪,そして海ような蒼い髪。

 

「だから……行きます!」

 

 燃えるような蒼い気を纏った超サイヤ人ブルーの光輝は,2人の超サイヤ人ブルーへと向かって行った

 

 

 




お疲れさまです!
前に問題として光輝と共通点のあるキャラは?みたいな出したと思いますが,正解はブラックです!
まあ別に光輝は誰も乗っ取っていないので厳密には違うのですが”あとから”サイヤ人になった点においては2人とも実は同じなんですよね。
それに気が付いてしまった光輝ですが,そこを諭すのはやっぱ悟空ですね。
最初は地球人だって言っていたけれどナメック星で自分をサイヤ人をベジータへの誓いと共に受け入れた悟空だからこそ,ある意味逆転現象起きている光輝に言える言葉があると思います。まあ,悟空は結果的に周りを守っているだけでやっぱ一番は強い奴と戦いたいだと思いますけどね笑。

ぶっちゃけここの光輝の吹っ切りはブラックに乗っ取られた本人の悟空じゃないと多分出来なかったと思います。ベジータがなんか言っても引っかかったままでした。だからベジータは悟空に光輝を投げた訳です。

という訳で光輝,超サイヤ人ブルーになれました。けれどブルーと4じゃまだカンバーには勝てないのでまだまだパワーアップします。
久しぶりにアンケートします~。
次話も殆ど書き終わっているんですが,物語に直接リンクする訳でもないので飛ばしても良い所を書くかどうかって感じのアンケです。
ではまた次回!


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分岐世界線

おはようございます!短いですけど続きでございます。
光輝から変わって悟空ゼノ達の方です。では!


 バラ色の光が弾け,漆黒の神が肩で息を切らし始める。

 

「人間め,どこまで俺達の邪魔をすればいいのだ!」

 

 目の前には既に自分の重りを外しどの歴史よりも凄まじい力を解放しているピッコロと,第11宇宙からやってきたと言うトッポが並んでいた。

 

「貴様のような奴を見逃すわけには行かない!」

「俺のライバルならばこの程度で弱音は吐かんがな。やはり貴様に”孫悟空”を使いこなす事は出来んようだ」

 

 ペッと血を吐き捨て,再びロゼの気を纏う。

 確かに今は自分が押されてはいるが,サイヤ人の肉体の特徴で今この時も自分の戦闘力は上がっている。

 それを実感しているブラックは,再び醜悪な笑みを浮かべ手を広げた

 

「馬鹿め,俺がこの身体を使いこなす事が出来ない? では見せてやろう,神の力を!」

 

 ロゼの力が再び戦闘力の上昇を始め,向かい合っているピッコロとトッポは歯を食いしばる。気合を込めてパワーを上げるのなら邪魔することは出来るが,ブラックにはそれがない。殆どオートで戦闘力を上げる。

 こちらの戦闘力がいくら高くとも,戦いが長引けばブラックのパワーが上がるだけだ。

 

「厄介だな」

「ああ,あいつを一気に消し去るパワーが必要だ」

 

 考える事は同じ,ピッコロとトッポは自らの更なる力を解放する。白銀の気を纏うピッコロ,トッポも自分の気をさらに引き上げる。

 しかし,そこで戦況が変わったのを感じた。自分の隣に並んだ悟空を見ながら言った

 

「孫,なぜ奴を逃がした」

「あいつなら光輝が倒すさ」

 

 端的に答えた悟空はブラックを見据えた。

 

「ブラック,今のおめえたちじゃオラ達には逆立ちしても勝てねえぞ」

「ふふふ,愚かな。お前達が強ければ強くなるほどこの肉体は更なる高みに辿り着ける!」

 

 しかしそのブラックの隣にも焦った表情を見せながらザマスが現れ,悟空達の方に悟天とディスポが合流した。ブラックは先程までいたハーツとカンバーを探すが,既に戦線を離脱していたのを見て裏切られたと察した。

 

「私よ,このままではこちらが不利だ。奴らはそこら辺の有象無象とは桁が違う」

 

 ブラックはその言葉に歯を食いしばり,相手を見る。

 この全ての面子の中で1,2を争う力持つであろう孫悟空,未だ底を知れないジレン,力を隠した状態でも自分と戦えるプライドトルーパーズの2人,そして自分の知っている遥かに力を上げているピッコロ,孫悟天。確かにこのままでは自分の力が上がる前にやられてしまうのがオチだ。

 

(ポタラを使うか?)

 

 自身の左耳に付けている神具の事を考える。

 使う事で二つの存在が一つの存在となり,絶大な力を得る事が出来る。不死身になったザマスと,戦闘民族サイヤ人の無限に高まる肉体を持つ自分が合体すればここにいる全てを凌駕する事が出来る。

 しかし合体する前に邪魔をされては使えない。そんな無粋な事をしないと信じたいが,そもそも人間を信じられないので無理だった。

 

(我々がこの手を使わなければならないとは)

 

 今までは相手がする側だったが,この事態になった事にハーツへの苛立ちが募る。ザマスの肩を掴み,はるか遠くの微生物の気を感じ取り,忌々しそうに悟空達を見て瞬間移動した。

 

「瞬間移動か,そう言えば使えるんだったな」

 

 悟空はそう呟き,戦闘の気配が消えたのを感じ超サイヤ人を解き他の面子と一緒に地面へと降り立った。

 

「孫悟空……でいいのかお前は」

 

 状況を把握する為にトッポは問いかけ,悟空はそれに頷いた。

 

「ああ,おめえは確かトッポだったよな。オラが会うのは初めてだけんど」

「初めてってどういう事だ?」

 

 ディスポが疑問符を出すと,悟空はどう説明したものかと腕を組み考えるがその役割はピッコロが果たす事になった。

 

「代わりに俺が話してやろう」

「お前は確か第7宇宙の……ピッコロだったか?」

「お前らが知っているピッコロと俺は別人だがな。先ずここにいる孫悟空と息子の悟天は──」

 

 そこからピッコロは悟空から聞いている情報について端的にプライドトルーパーズの面子に話した。

 いくつもの世界の話,その世界が恐らく超ドラゴンボールによって融合してしまった事。元に戻す方法は同じドラゴンボールを使う必要があると言う事。

 そして,この異変を止めるために戦う悟空達タイムパトロールの事。一通り聞いたトッポは確認するように聞いた。

 

「では我々が知っている孫悟空とベジータは後から来た超サイヤ人ブルーに変身した方で,お前はあの2人とは別の道を歩んだ孫悟空と言う事か?」

「ああ,その通りだ」

「……むう」

 

 トッポはそれを聞き悟空を見る。

 

「ん? どうしたんだ?」

「いや……我々が知っている孫悟空よりも落ち着きを感じると思ってな」

 

 トッポの知る孫悟空よりも,今目の前にいるタイムパトロールの孫悟空は貫禄とでもいうべきオーラを纏っていた。

 

「オラはさっきのオラよりかは年取ってかんな。そのせいじゃねえか?」

 

 この孫悟空,いつまでも若々しいから光輝ですら忘れがちだが実は肉体年齢も精神年齢もずっと高い。年齢に換算すれば元の世界の分を含めれば100歳は超えているというのもある。

 一応の納得はしたトッポは次の質問をした。

 

「あの光輝という者,一体何者なんだ?」

「……話すと長いんだけんど」

 

 悟空は話した。

 光輝の出自,自分達とは根本的に別の世界からやって来た事。訳があって今はサイヤ人の肉体に転生している事,一緒にタイムパトロールをしている事。到底にわかには信じられないと言うのが普通の感覚なのだろうが,意外にもすんなりと3人は受け入れた。

 

「なんか意外だね。そんな直ぐに受け入れるなんて」

 

 悟天も同じことを思ったのかつい言葉に出る。

 

「我々もあの光輝というものと拳を交えたからな。少なくとも,あのもののような邪気がない以上それを信じるしかあるまい」

 

 次にトッポ達は自分達がここにいた経緯について話した。

 シーラスと彼が連れていた仮面の男の事,その彼らが光輝を倒せば良いと言っていた事,だから光輝を探し戦いを挑んだこと。

 

「シーラス達はどうしてトッポさん達を光輝君にぶつけるような事をしたんだろう」

「分からん。しかし,光輝が殺し屋ヒットに殺されていないと言う事は奴も1枚かんでいる可能性があるな」

 

 よくよく考えれば,そもそも光輝がヒットに殺されている可能性だってあった。それでも光輝が生きていたから最初はヒットを退けたのかと思ったが,戦ってみた感じ光輝はまだヒットに力が及ぶか微妙なライン。ならば,そのヒットもこの出来事に1枚嚙んでいると考えるのが自然だ。

 そして,ヒットが光輝を殺さないと分かっていたからこそ光輝よりも実力が高い3人を光輝にぶつけようとした……そう考えるのが普通だ。

 

「あいつら何で光輝に拘んのかまだ分かんねえんだよな」

「あの光輝が奴らにとっては厄介だからではないのか?」

 

 ピッコロが今まで聞いた話から考えられる可能性で考えて問いかけたが,悟空は腕を組み微妙な顔をする。

 

「確かに光輝はオラ達の世界で生まれた訳じゃねえから歴史を直す為に戦える奴だけんど……」

 

 悟天は悟空の思っていることが分かったのか言葉を継いだ

 

「あ,そうか。もうこの世界はもう歴史の修正とかそんな次元じゃなくなってる。シーラス達が光輝君に拘る理由がこの世界が作られた時点で無くなっても良いんだ」

 

 シーラス達が光輝を殺そうとする理由,それは彼が歴史の改変を止めるにあたって一番都合のいい人物だからだと思っていた。元々光輝は悟空達の世界の生まれではない,その為歴史上で同一人物に出会う危険性が無く他のパトローラーに比べてまだ安全に歴史の改変を阻止できる人物。

 しかし,ことは既に歴史の改変とかの次元ではなくなっている。間違いなく相手側戦力ではあるだろうが,それでも光輝を消そうとする理由が悟空達には分からなかった。

 

「それに……」

 

 悟空は,トッポ達が言っていた仮面の男について考えた。

 フューが言っていた通りなら,彼は自分達の世界の戦士ではなく光輝の様に異世界の戦士……そして光輝と同じ蒼赤を持っている。

 

(光輝が言っていた仮面の男……もしかすっと……)

 

 パラレルワールド……様々な分岐点で起こる世界線の事,それを一瞬考えた悟空だった。

 

「孫悟空」

 

 その悟空の背中を呼びかける声,悟空が振り返るとジレンが内なる力を高めながら見ていた。ジレンが何を言いたいのか分かったのは,自分も彼と同じことを考えているからだろうか。

 

「ああ,ジレン。いっちょやろうぜ」

 

 自分と同じか,もしかすると凌駕しているかもしれない存在を前にして人は何を考えるのか。撤退? 間違ってはいないだろう。

 しかし,この2人の間にそんな考えは微塵もなかった。目指すものは違うかもしれないが”強さ”という1点において悟空とジレンに違いなんてない。

 

「え,お父さんここで戦うの?」

「やめておけ悟天。孫は言い出したら聞かん奴だ」

 

 呆れたように言うピッコロだが,これが孫悟空という人間だ。悟天は苦笑いしながらプライドトルーパーズを見ると,彼らは彼らで意外そうな顔でジレンを見ていた。

 

「こいつらの邪魔になる,少し離れるぞ」

「そのようだな。行くぞディスポ」

 

 ピッコロの言葉に素直に頷いた他の面子は2人から離れた地に降り立ちトッポ達に聞いた。

 

「ねえ,どうしてさっきびっくりした顔してたの?」

 

 悟空を知っているのなら強い奴に目がない事は知っている筈,それなのにどうしてびっくりしていたのか分からなかったのだ。

 

「いや,ジレンが自ら勝負を申し込むとは思わなかったのだ」

「俺もビックリしたぜ。大体俺達に手が負えない敵が来た時に出るあいつがな」

「それだけあの孫悟空の強さを確かめたいと言う事か」

 

 トッポの言葉に悟天は悟空とジレンを見る。どちらも赤と黒を基調とした衣装は似た者同士とでも思うのだろうが,彼らから発せられる雰囲気はピリピリしていた。

 その中でもジレン,ただ立っているだけだと言うのに発せられるプレッシャーは凄まじかった

 

(確かに,ジレンの強さは今の光輝君をずっと超えている)

 

 でも,自分の父親なら……孫悟空ならきっとジレンにも……。

 

「行くぞ孫悟空,あの西沢光輝を鍛え上げたその力見せてみろ!」

「ああ,オラもおめえになら……全開でやれそうだ!!」

 

 叫び──超サイヤ人4に変身した悟空は同じく紅蓮の気を纏ったジレンと激突した! 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れさまでした!
実は最初このピッコロさんを潜在能力解放状態位ならさせても良いかな…とか思ったんですが,あれは神龍によって出来た感じだとどうしても解釈するしかなかったのでこのピッコロは純粋な強さでブラックと戦っています。
未来編のピッコロをここまでの強さにする事が出来る悟空ゼノ…実は育成能力が凄かったりします。まあ光輝には時間があるからという理由でスローペースでしたが。

という訳で次回アンケ結果次第で悟空ゼノVSジレンに突入します!では!


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これが全次元一の究極バトル!! 孫悟空・ゼノVSジレン!!

おはようございます。それからあけましておめでとうございます。
アンケートの結果,本作品の設定の上での独断と偏見で悟空VSジレンします!
前書いたと思いますが,ジレンは力の大会を通っているのでそれなりに表情豊かです!

では参りましょう!


 吹き荒れる黄金のオーラと,全てを燃やし尽くすような紅蓮の気を纏った2人の存在は大地を揺るがし,天をも焦がす勢いで燃え上がっていた。

 2人を見守っているだけのピッコロたちもその凄まじさを肌で感じ取る。

 

「何という気だ,2人の気だけでこの世界が揺れていやがる」

「ジレンが初めから全力とは……あの孫悟空,一体どこまで!」

 

 ただ立っているだけだというのに2人から放たれるプレッシャーは尋常ではない。そして,悟空もジレンもお互いを見合い──空気が切裂かれた

 

「始まった!」

 

 中央で拳を合わせ激突した2人の衝撃は有象無象であればそれだけで消し飛んでしまうほどのエネルギーが生まれ地が震えた。

 

「すげえぜジレン,まさかここまでとはなぁ」

「お前も俺が戦った孫悟空とは違うが……どの時代でもお前はお前のようだ」

 

 強者は1つ拳を合わせるだけで力量を測る事が出来る。この2人にとってそんなのは当たり前の事で,お互いがお互いの強さを称えあった後,凄まじい乱撃戦が始まった。

 悟空が強烈なストレートを放てば,ジレンも全く同じ動きでストレートを放ち轟音を放ち相殺する。

 秒間1000はくだらない読みあいと打撃の応酬が繰り広げられ,瞬く間に地形が変わり始めた。その衝撃はピッコロ達の元にまで届き,彼らが立っていた崖まで崩壊した

 

「うわぁ!!」

 

 悟天が慌てて飛び上がると,他の3人も飛び上がっていて空で2人の激闘を見届ける事になった。

 

「あの2人やばいよ,ここら辺なんてあっという間に壊れちゃうんじゃないかな」

「何を見ている悟天,驚くべきなのはあの2人の戦いだ」

 

 ピッコロの言葉を聞き,さっきから全く同じ場所で打撃の応酬を繰り広げている2人を見る。

 2人ともその場を動かない為一見激しさはないように見えるが、実は2人自体は様々な所に現れては激突し至る所で衝撃波が走っている。

 

「何という戦いだ。どっちも一歩も譲らないぞ」

 

 既に有象無象では何が起こっているのかすら把握が出来ない程の激戦,悟空の金色の光とジレンの紅蓮の光が消えては弾けるのを繰り返している。

 地ではいくつものクレーターが出来上がり轟音が鳴り響く。

 

「あの孫悟空,ジレンを相手にここまで!」

「しかも速いぜ!」

 

 気を感じられて尚且つそれなりの領域にいるピッコロやトッポ達でさえもう眼に追う事が出来ない戦いになっていた。その時,ドゴンと強烈な音が空に響き全員が上を見ると,悟空とジレンが拳を突き合わせた状態で現れた。

 お互いにニヤリと笑い,心底を戦いを楽しんでいるのが伝わって来る。

 

「流石だジレン,オラが押しきれないなんてよ」

「それはこちらの台詞だ。純粋の強さでこの俺と張り合うとはな」

 

 そんな会話をしながらも2人の拳は押し合いを続けているが,均衡が全く崩れない全くの互角だ。ジレンにとって自分を真っ向から凌駕したという意味ではさっきの超サイヤ人ブルーになった悟空がそうだが,この悟空はその悟空が使った身勝手の極意を使わず超サイヤ人だけで自分と張り合っている。

 

(孫悟空が変身している超サイヤ人……先程の西沢光輝と同じだが実力が桁違いだ)

 

 超サイヤ人4に変身したさっきの光輝よりも,同じ姿の筈のこの悟空の方がずっと強くジレンは内心笑みを浮かべた。さっきの光輝には修練と称し戦っていたが,この悟空相手にはそんな事を言っていられない。

 恐らく本気を出さなければ──押し切られる

 

「けんど……こんなものじゃないだろ? ……ジレンッ!!」

 

 大猿の雄叫びを連想させる叫び声を上げ,悟空が均衡を崩そうと気を放出させる。するとジレンも紅蓮の気を燃え上がらせ,次にジレンの瞳が光ると悟空は突き合わせていた拳を引き腕を交差しガードすると,悟空の身体に拳の痕が現れ衝撃で悟空は後ろに吹き飛んだ。

 

「ッ!」

 

 悟空は見えない打撃に歯を食いしばるが,直ぐに抑えきれない笑みへ変えお返しとばかりにかめはめ波をジレンに放つ。

 しかし,そのかめはめ波はジレンの気の圧力によって相殺された。

 

「っ……ただのかめはめ波じゃだめか」

 

 一方ジレンも今のかめはめ波に何かを感じたのか,目を見開き直ぐに笑みを浮かべる。

 

「やはり……お前は力の大会の孫悟空よりも強い」

 

 自分の気の圧力という壁が押し切られる所だったからだ。直ぐに気を張りなおしたから防げたが,次に本腰を入れたかめはめ波がくれば恐らく押し負ける。

 その事にジレンは嬉しく思い,更に気を高める。

 

「孫悟空,行くぞ」

 

 その言葉に悟空もニヤリと笑みを浮かべ闘気を纏う。

 

「ああ,派手にやろうぜ!」

 

 叫んだあと,悟空の姿はその場から消えるとジレンの背後に拳を振りかざしていた。

 しかしジレンはその拳を頭を下げるという最小限の動きで躱した後,振り向きざまに回し蹴りを見舞う。

 悟空はそれを拳を引いておくことでガードし,逆にジレンの足を掴んだ。

 

「はあっ!」

 

 そのままでは反撃されるのは眼には見えていた為,そのままジレンの体勢を崩しながら地上へと投げる。そしてそのまま追撃をしようと接近したが,ジレンはくるりと1回転して見事な着地を決め反撃に拳圧を悟空に放った。

 

「——ッ!」

 

 その拳圧を悟空は間一髪身体を逸らす事で躱す事に成功したが,一瞬ジレンから眼を離してしまう。次の瞬間には背後の気を認識したと同時に身体を宙に翻すと,さっきまでいた場所にはジレンの拳が突き刺さっていた。

 

「おりゃああ!!」

 

 ジレンの突きを躱した悟空は,そのままオーバーヘッドでジレンの脳天へと蹴りを入れようとした。

 

「フンッ!」

 

 だがそれもジレンの気のバリアが防ぎ,2人はそれぞれ遠心力で反対方向に吹き飛び──次の瞬間には様々な場所で殴り合いが始まっていた。

 観戦しているピッコロ達の元にも衝撃波が幾度も襲い,瓦礫の山が出来始めていた。

 

「これがあの2人の本気か,どちらも凄まじい戦闘力だ」

「孫悟空,姿が違うだけでこれほどまでにジレンに迫るか!」

 

 トッポの中の悟空のイメージが超サイヤ人ブルーの悟空だが,あの悟空ですら身体能力では身勝手の極意にならなければジレンに追いつくことは出来なかった。

 だが超サイヤ人4に変身した悟空は”超サイヤ人”なのにもかかわらずジレンと互角以上の戦いを繰り広げている。神の御業を使わずにジレンに迫る悟空は間違いなくトッポから見ても強敵だと分かる。

 

「孫悟空……なんて楽しそうに戦いやがる」

 

 トッポの言葉を聞きながらもピッコロは生涯のライバルが心底楽しそうに,それでいて絶対に負けられないという強い意志を感じさせる獰猛な眼をしているのを見てピッコロの拳も知らず知らずのうちに握られる。

 

「ジレンの奴も……楽しそうにしているな」

 

 仲間の中でも表情の変化が少ないジレンだが,付き合いの長いディスポやトッポには分かる。ジレンもまた自分に迫る,或いは凌駕しているかもしれない悟空に対して”楽しい”と思い始めている事に。

 トッポはジレンに対して叫んだ。

 

「ジレン,お前は孫悟空を倒し更なる強さを身に着けるのだ!」

 

 簡単に言うと悟空はジレンがさらに強くなるための踏み台である。そんな声援ともとれる言葉も既にゾーンに入ってしまっているジレンには聞こえなかったが,ジレンの戦闘力は更に上がり続けた。

 

(……ッ! やっぱすげえなジレン,ここまでやってもダメージを与えられないなんてよぉ!)

(流石だ孫悟空,この拳を持ってもノーダメージとはな!)

 

 2人の打撃の交換はどちらも一歩も退かない殴り合い,しかしその殴り合いの中でも2人が培ってきた技と心,力が織り交ぜられていて一種の芸術とでも言うべき殴りあいが行われていた。

 その事に互いを称賛しあい,2人は同時に距離を離して気功波をぶつけ合った

 

「「うおおおおおお!!!」」

 

 2人の気功波は全く同じ威力で──相殺された。

 悟空とジレンは宙で止まったままお互いを見てニヤリと笑みを浮かべた後,呟いた。

 

「ジレン,そろそろ良いんじゃねえか?」

「お前こそこのままで良いのか?」

 

 その腹の探り合いのような言葉にディスポは疑問符を出す

 

「お,おいおい。なに言ってんだあいつら……?」

「お互いに本気ではない……だから本気を出せ……そんな所だろう」

「え……えぇ~!?」

 

 悟天がピッコロの解説に呆れたように声をあげ二人見ながら言った。

 

「い,いやいやでももうここまで戦えたんだし,これ以上戦わなくったって……ほら,シーラスとかの調査もまだある訳だしさ!」

 

 これ以上戦ってしまえばここらの地帯は原形をとどめる事は出来ないし,そもそもそんな敵同士でもないのだからガチで戦う必要はないんじゃないかと思うのが悟天の論なのだが……ピッコロは呆れたように言った。

 

「悟天……貴様の父親がそんな事で戦いを辞めると思うか?」

「あはは……そんな訳ないよね」

 

 悟天の言葉に諦めが混じったと同時,悟空の身体に金色の闘気が再び纏い始めた。

 

「オラをここまでさせたんはおめえが久しぶりだジレン,オラの力見てビビんじゃねえぞ!!」

 

 宣戦布告ともとれるその言葉にジレンは口元を笑みに変え,それを見た悟空も笑みを浮かべる。するとすぐに食いしばる表情を見せると悟空の周囲に蠢いていた金色の闘気が変わっていく。

 赤みがかかった炎のような揺らめき,超サイヤ人ブルーのような気が悟空の周りに吹き荒れた。

 

「「——ッ!?」」

 

 その炎はただ観戦しているだけだというのにピッコロたちの肌にも衝撃を打ち付けるように吹き荒れ,そこらの有象無象なら失神してしまうほどの気の嵐が悟空を包んでいた。

 

「その姿は……」

 

 しかし,ジレンは有象無象に当てはまらない。淡々と悟空の新たな姿を観察し,問いかける。

 悟空はニヤリと口の端を上げながら答えた

 

「こいつは俺一人じゃ辿り着けなかった世界……超フルパワーサイヤ人4……限界突破だ!!」

 

 宣言と共に今までのは序の口と言うように更に悟空の力が高まり始め,天井知らずのその気は次元すらも超越していた

 

 ★

 

 精神と時の部屋

 

「はあっ!」

 

 超サイヤ人ブルーとなった光輝が千鳥の雷鳴を纏いながら2人の超サイヤ人ブルーと互角以上の戦いを繰り広げている中,光輝の腕が2人の拳を受け止めた時に一瞬光輝は感じた

 

「——ッ?! この気……!」

 

 完全に反撃のチャンスだったが,悟空とベジータもそれを感じたのか攻撃の手を休め3人は地上にある精神と時の部屋の出入り口へと目を向けた。

 

「嘘だろ,ここまでくんのかよ」

 

 光輝が信じられないとばかりに呟くと,悟空はワクワクを抑えきれないように言った

 

「すげえ……すげえよもう1人のオラ!」

「何という気の高まりだ,次元が違うはずの精神と時の部屋にまで届いてやがる!」

 

 そもそも……いる世界が違う筈なのに片方から気を感じるというだけでも凄まじいいものだ。悟空がかつて善の魔人ブウ相手に超サイヤ人3になった際,地球から界王神界にまで轟かせたのなんて今の減少に比べれれば些細な物……それだけ違う世界から気を知覚出来る程の戦闘力の高まりは普通ならあり得ない。

 

「……ははっ,やっぱあなたは俺が超えるべき最強の壁だ,悟空さん」

 

 悟空さんだけじゃないのは分かっている。悟空さんがなれるならベジータさんもなれるに決まっている。だから俺の壁はまだまだ相当に分厚く高い壁だ。

 だけどそれだけじゃない,悟空さんの本当の”強さ”は

 

「光輝!」

 

 ここと外の時間は違うからか,もう既に外の悟空さんの気は感じなくなった。だけれど,悟空さんが残した力は確かに届いた。

 前を向くとベジータさんは違う悟空さんに力の違いを見せつけられたからか凄い悔しそうにしていたけれど,悟空さんは自分自身だからかとっても楽しそうな笑みを浮かべていた。

 

「オラ達はまだまだ強くなる! おめえはどうだっ!」

「……ッ! 当然です!」

 

 俺の言葉に気をよくした悟空さん,そしてその言葉を聞いて口元に笑みを浮かべたベジータさんは同時に気を高め始めた。

 

「オラも強くなる!! 誰にも負けねえ,例えそれがオラだとしてもだ!!」

「俺も負けていられんッ! こんな所で終わってなるものか!」

 

 これまでの組手でも2人は本気だった筈だ。少なくとも超サイヤ人ブルーの本気だったのは間違いない筈だ。だけど2人の気はそんなの関係ないとばかりに高まり始めた。

 

「「行くぞ! 光輝!」」

 

 2人が叫んだと同時,2人の気柱がこの白き世界に並び立ち天井知らずに伸び始めた。その衝撃で俺は少し後方に吹き飛ばされながらも耐えて見せる。

 そして2人には別々の変化が表れていた。

 

 

「界王拳ッ!!」

 

 

 悟空の身体を取り囲むように超サイヤ人ブルーの青い神の気と,その周りを紅蓮の炎を思い起こさせる界王拳の気を包んだ。その圧力に光輝は眼を見開いた。

 

「なんっ?! 超サイヤ人ブルーに界王拳の上乗せ?!」

 

 俺も一度超サイヤ人の上に界王拳を乗せようとした事があった。だけれど,悟空さんに超サイヤ人の状態で界王拳は無茶だと言われたように直ぐに身体がズタボロになってしまってそれ以降は超サイヤ人に界王拳を乗せる事はしてこなかった。

 超サイヤ人になりながらだと界王拳の気のコントロールが出来なかったから。

 だけど──ッ

 

「す……すげえっ!」

 

 ただそれしか言葉に出来なかった。

 確かに,超サイヤ人ブルーは他の超サイヤ人に比べても気のコントロールが完璧に出来る。元々自分の気をコントロールし,穏やかに強くなった時に出来る変身だったからそれ自体は不思議じゃないと考えていた。

 だけど悟空さんはその気のコントロールが完璧に出来るという点に着目して,界王拳を合わせる事をやってのけた。

 これが凄いと言わずとして他に何に形容できんだよ。本当に……戦いの天才だ。

 

「カカロットだけじゃないぞ!!」

 

 その言葉に光輝が振り向くと,今度はベジータの超サイヤ人ブルーの気が濃くなってその中にキラキラした粒子がベジータを包んでいく。

 だけどその気の高まりは悟空の界王拳を纏った超サイヤ人ブルーと同じか……それ以上に高まっている。

 

「くっく……どれだけ貴様らが先にいおうとも,最後に勝つのは俺だあああッ!!」

 

 心の雄叫びがベジータさんの内なる力が解放させる。

 

 

「はああああっ!!」

 

 

 ベジータの瞳が光った瞬間,ベジータの姿が全体的にキラキラとした濃い青色の超サイヤ人ブルーに変身した。

 

「こ,これは……ッ!」

 

 その今まで知らなかった新しい変身に光輝の胸はワクワクとドキドキを抑えるのに必死だった。

 姿自体は2人とも超サイヤ人ブルーと大差がない。強いて言うならベジータの姿がかつてなった超ベジータのように筋肉がほどほどに膨張しがたいが良くなっているとかその程度の変化だ。

 だけど光輝は真正面から2人の気を受け止め肌でその変化を感じ取る。

 

 変身を終えた2人はゆっくりと俺の方に近づき始め,俺は構えを取る。

 

「おめえはあっちのオラとベジータの弟子なんだろ?」

「ならば貴様もなれる筈だ。この超サイヤ人ブルーを越えた姿に!」

「期待してっぜ光輝……強くなっていくおめえを越えてオラ達ももっと強くなる!」

 

 既に2人は光輝を弟子としてなんて見ていなかった。光輝を越えるべき壁の1つとして,彼を強くするために己の限界を突破した姿を見せた。

 その事に気が付いた光輝ははっとした後,ふっと笑い超サイヤ人ブルーの気を纏い,次に千鳥の雷鳴をも纏う。

 

「「行くぞッ!」」

 

 そしてある程度まで近づいた2人が叫ぶと,先程までとは比べ物にならないならないスピードで光輝に迫り光輝は咄嗟に腕を交差して──吹き飛ばされた。

 

 

 ★

 

 

 場面は戻り,ジレンは限界を突破した悟空の姿を認めていた。揺らめきの炎が悟空に纏わりついているのを見て心底楽しそうにニヤリと笑みを浮かべた。

 見た目自体は超サイヤ人4と何ら変わらない。しかし,赤みかかった髪やオーラは若干だが超サイヤ人ゴッドを思い起こさせる。

 その気の高まりは既に高すぎてどの位凄いのかすらも分からない程だ。

 

「それがお前の本気か」

「ああ,俺のフルパワーだ。ジレン,本気を出さねえといくらおめえでも不味いんじゃねえか?」

 

 大胆不敵にも存外に今のジレンでは相手にならないと言い放つ。

 有象無象の言葉では聞く耳も持たなかったジレンだろうが,孫悟空に対してはその言葉を心の奥に飲み込んだ。

 悟空が言っている事は事実で恐らく本気を出さなければ──否,本気を出したとしても勝ちきれるか怪しいほどのパワーアップだ。

 

「ふ……フハハッ!!」

「ジレンが……笑ってやがる」

 

 唐突に笑い始めたジレンに対してディスポが意外そうに呟くが,それを拾う者はいなかった。そんな事を気にする余裕がこの場にいるものは悟空1人しかいなかったからだ。

 一通り笑い終えたジレンは,次に真剣な眼に変えると雄叫びをあげた

 

 

「うおおおおおお!!!」

 

 

 ジレンの身体から紅蓮の気が吹き荒れ,それによりジレンの上半身の筋肉が肥大化してプライドトルーパーズのユニフォームが破り散った。

 その高まりはまるで周囲のものを焦がすかのように燃え上がった。

 

「……ふっ」

 

 ジレンの変化を前にして悟空は心底楽しそうに笑う。

 そうして炎の中から出て来たジレンを見据える。見た目の変化は上裸になったことくらいだろうが,その身に纏う戦闘力は先程までとは桁違いだった。

 

「それがおめえの本気か,ジレン」

「そうだ。行くぞ,孫悟空!!」

 

 猛々しい叫びを上げたジレンは新たな超サイヤ人4へと変身した孫悟空と激突した! 

 

 




お疲れさまでした!
次回悟空VSジレン最終話です!

そして本作品での現状の最強形態,超フルパワーサイヤ人4・限界突破の初披露目です。個人的にこの形態は滅茶苦茶好きなので普通に輸入します。

その規格外さは精神と時の部屋にいる3人にも力を轟かせた時点でお察しです。外と中の時間が違うので3人が感じたのはほんの一瞬でしたが,3人のやる気を高めるには十分な刺激でした。
光輝の先にいるのは常に悟空であり,光輝にとって超えるべき壁なのです。

という訳でまた次回!


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限界激突の果てに

おはようございます。
短めですけど,悟空・ゼノVSジレン決着です!
では参りましょう!!


 その時悟天が感じたのは天が裂けた事だった

 

「……?」

 

 2人の感知不可能までに高まった気の嵐がぶつかった瞬間,凄まじい轟音が鳴り響いたかと思えば次に眼前に広がったのは比喩じゃなく本当に天が裂けていた。

 そして2人の姿はいつの間にか悟天達がいた空間には見えなくなってしまい,その事に驚ていると隣で口をあんぐりと開けているピッコロが目に入った。

 

「ぴ,ピッコロさん。もしかしてあの2人って……」

「……ああ。尋常じゃないぶつかり合いに次元が裂けてその空間に2人は入ってしまったのだろう」

「え……えぇ」

 

 その余りに規格外な話に悟天も口をあんぐりと開けていた。

 次元が裂ける──言うのは簡単だがそれを簡単にすることは出来ない。悟天の中で記憶に新しいのは光輝が自分の世界で笠木との限界を超えた衝突で開けた事だが,今回のあの2人がやってのけた事は光輝と笠木の時とは訳が違う。

 光輝があの時次元を開くことが出来たのは,あの光輝の世界が産まれて間もなかったこと,そして悟空達のような超人がいなくて歴史の改変が1度しか行われたことがない事。

 その為次元が開いたことがないから多少の刺激で開きやすくなっていたからこそ光輝達は次元を裂くことが出来たのである。今の光輝が自分の世界で次元を自力で広げようと思っても,もう既にあの世界は光輝達で1回,そしてその後にも光輝が何度か帰っている事とかで自力で次元を裂くことは恐らく出来ない。

 この世界も同じで既に何度も歴史の改変に伴って次元を抜ける事は兎も角,裂くことが出来る程の戦士はそうそういない。

 

「父さん……もしかして凄いはしゃいでる?」

 

 さっきの悟空が変身した時の心底楽しそうな顔,タイムパトロールになってからは暗黒魔界とかフューとか負けられない戦いばかりをしていたからかベジータやバーダック,悟飯以外のジレンのように純粋な強さを競い合える戦士がいる事が悟空にとっては嬉しいのじゃないかと思ったのである。

 

「孫は強い奴がいれば元々はしゃぐ奴だろう」

「あはは……それもそうだね」

 

 そんな会話をした直後,窓ガラスが割れるような甲高い音が聞こえたと思ったら,地上で悟空とジレンがお互いの気を纏いながら現れていた。

 お互い凄まじい激突を繰り広げていたのにもかかわらず息の1つも乱れていない。

 

「まだだ……行くぞジレン!」

「来い! 孫悟空!」

 

 2人ともまるで数年ぶりに会ったライバルのように心底楽しそうに激突する。

 大地は裂け,天地が吹き荒れ赤と赤の気が激突する。

 

「はあああっ!!」

「ぐおぉ!!?」

 

 悟空の拳がジレンの肉体に突き刺さると,光輝の攻撃ではびくともしなかった身体がゴムのように伸び,ジレンの肉体に激烈なダメージが入る。

 苦悶の表情を浮かべたジレンだが,次の瞬間にはキッと痛みを堪え眼前の悟空へと剛腕を振るった。

 

「うわああ!!?」

 

 その剛腕を直接貰えば不味いと直感的に悟った悟空が後退しようとしたが,ジレンはそれすら見越していたのか振るった剛腕から炎のような気の嵐が悟空へ襲いそれに為すすべもなく吹き飛ばされた。

 

「まだだ!!」

 

 更に追撃をかけようとジレンは拳圧を放ち,更なるダメージを与えようとするが態勢を取り直した悟空はそれを腕を交差する事で防ぐ。

 

「こんなものか孫悟空ッ!!」

 

 しかし,そのまま凄まじい勢いで悟空は吹き飛んで行く。ジレンはこのままでは期待外れだとでも言いたげに追撃をかける。

 

「う……おおお!!」

 

 悟空は強引に空中でブレーキをかけると,迫りくるジレンの飛び蹴りを瞬間移動でジレンの背後に躱すとそのまま彼の脳天に回し蹴りを放つ。

 

「舐めるなぁ!」

 

 だが瞬間移動を巧みに使い,超サイヤ人ブルーで自分と戦った事のある孫悟空と戦った事のあるジレン。

 既に悟空の戦い方も慣れているのもあって完璧に対応して見せる。

 悟空が放った回し蹴りをジレンはノールックで腕を頭の上に置きガードをした。ぶつかった瞬間に凄まじい轟音が鳴り響いた。

 

「おめえこそなあッ!!」

「何だとッ?!」

 

 だがそのジレンの凄まじいガードを,悟空はそのまま強引にジレンを地上へと叩き落した。ジレンをそのまま追うと,ジレンはそのまま宙で翻りながら地面を蹴ってそのまま悟空に迫り激突する。

 火花が弾けると再び乱撃戦が繰り広げられる。

 

「ここまで熱気が来るとは……ッ」

 

 トッポとディスポの眼には力の大会での孫悟空とジレンの戦いを思い浮かばせられるほどの熱気に知らず知らずに拳が握られる。

 宇宙の存亡が戦っていたあの時とは違う戦士としての2人の激突,トッポもまた戦士故に闘争心が溢れてくる。

 

「はあああっ!!」

「うおおおおおお!!!」

 

 2人が雄叫びをあげ中央で拳をぶつけ合えば,凄まじい衝撃波が周囲を襲う。悟天達が思わず腕でガードするといつしか衝撃波は無くなり目を開けると空で悟空とジレンが向き合っていた。

 2人とも既にボロボロでとうとう息が切れ始めていた。

 

「すげえぜジレン……ここまでやってまだ立てるなんてよ……」

「それはこちらの台詞だ……同じ孫悟空でもここまで違うとはな」

 

 ジレンの頭に浮かぶのは力の大会で自分を凌駕してみせた銀色の髪の孫悟空,武術の頂点とも言える身勝手の極意を使ったあの孫悟空に比べればこの孫悟空の動きは荒いと言わざるを得ない。

 しかし,それでこの悟空が身勝手の極意に劣っているかと言われればそうでもない。

 

「荒々しさの中にある確かな技と心……ある意味お前はあの身勝手の極意を使う孫悟空以上だ」

 

 この悟空の真骨頂は超サイヤ人4,そして今の超サイヤ人4を超えた姿という変身の強さだけじゃない。この悟空本人が培ってきた地球での戦い,そして時と次元を超えて来た戦いの歴史で磨いて来た技と心は身勝手の極意に匹敵……或いは上回っているとジレンは感じていた。

 否,パワーとスピードは身勝手の極意以上だとジレンには断言できる。

 

「だが勝つのは俺だ!」

 

 悟空の強さを認めながらも価値を譲る気はないと,紅蓮の気がジレンの身体が吹き荒れる。

 

「ジレンの奴,一気に決着をつける気か?!」

「むう! 孫悟空とジレンの実力はほぼ互角,ならば勝負を分かつのは……」

「どちらが強烈な決定打を当てるか……か」

 

 そしてそれには攻撃の瞬間だけ気を上げるという方法では間に合わない,最初から全力で殴りに行かなければ勝てないとジレンは判断したのだ。

 そしてそれは悟空とて同じ事,悟空にしてみてもジレンがこれほどタフとは思わなかった。だから悟空もその力を引き上げなければならない。

 

「く……はあああ!!」

 

 悟空もジレンに負けじと気を高め2つの赤の気が激突し始める。大地を,天をも焦がすほどの勢いで2人のパワーが天井知らずに高まっていく。

 

「これで決めるぞジレン!!」

「ああ……行くぞ孫悟空!!」

 

 そして……2人の気が最頂点に引き上げられた時,2人は同時に相手に向かって凄まじい勢いで向かって突撃しだした。

 

「うわぁ?!」

 

 2人が移動するだけで暴風が吹き荒れて悟天は思わず吹き飛ばされてしまう所だった。ピッコロ達は不味いと思ったのがそれぞれ自分の気を解放し衝撃に備え……悟空とジレンは激突した! 

 

 

 ★

 

 

「……何という力だ」

 

 世界のあちこちの激戦を映しているモニターが多くある暗い部屋でシーラスは悟空とジレンの激突を見ていた……のだが余りの気の衝突にようやく見つけたタイムパトローラー達を追尾していたスパイロボットは簡単に吹き飛んで消えて行ってしまった。

 ドクターゲロがセルを作り出す際に細胞を回収するためのスパイロボットを更に改良したものだったが,余りの激突に耐え切れなかったようだ。

 

(今の我々ではどうひっくり返ってもまだ奴らには勝てない)

 

 悟空とジレン……宇宙樹を育てる為ならば素晴らしい餌になる戦いだったが,やはりまともに相手をしていれば勝てない相手というのを再認識した。

 

「……元もと俺の計画を達成するのに奴らに勝利する必要はない」

 

 そう口では言ってみても”孫悟空”という人間はそうはさせてくれない……そう漠然とシーラスは思っていた。次に宇宙樹のモニターを見ると既に大樹へと成長していて少しあった焦りの気持ちが落ち着いていく。

 

「そろそろ……か」

 

 このバトルロワイアルが始まり既に月日が結構経っている。その間に集まったエネルギーはそれこそ凄まじく昔フューがやったように強引に育てられたものでもないのもあってさぞかし綺麗な宇宙が出来る事だろう。

 これも笠木が作ったエネルギー化の効率化のおかげでもあるだろう。その笠木が死んだ時のエネルギーも使われているので笠木は本当の意味で報われていない。

 

 

「俺の出番はまだかな?」

 

 

 そこで……シーラスでも仮面の男でもない第三者の声が聞こえ,シーラスは背後へ振り向いた。そこには白色の肌色で……トカゲのような人物が……否,龍がいた。

 ただし神聖さを微塵も感じない邪気に満ち溢れた龍だが

 

「お前の出番はもう直ぐだ」

 

 モニターの光がその龍を照らすと,龍は口元に邪悪な笑みを浮かべていた

 

「邪悪流の長……一星龍よ」

 

 その光景を仮面の男はつまらなさそうに見ていたのだった

 

 

 ★

 

 

 限界激突の果て……力を振り絞った2人の超戦士の激突は凄まじい爆風と衝撃波で元々荒野だった場所が更に荒野になってしまうとかいう意味の分からない事になってしまっていて……というよりもこの場所から遠く離れ場所すらも地殻変動が起きてしまっていた。

 

「はぁ……はぁ……」

「くっ……あいつら無茶苦茶だ……」

 

 ピッコロたちも気を解放する事でようやく踏ん張る事が出来たが,本当に有象無象ならば今の衝突だけで肉体ごと吹き飛んでしまうほどのものだった。

 ピッコロ達だったから良かったものの,本当に凄まじい激突だった。

 

「っ! ジレンは……?」

 

 トッポ達は2人がいた場所を見ると,二人とも既に地面へと落ちていて同時に着地をしていた。

 

「はぁ……はぁ……くっ」

「はぁ……はぁ……」

 

 しかし,全てを込めた一撃だったのは間違いなく2人のダメージは計り知れないはずだ。

 そして……

 

「……お前の,勝ちだ」

 

 先に膝を付いたのは……

 

「ジレンッ!」

 

 トッポが叫んだ瞬間,ジレンに纏っていた紅蓮の気が露散し圧倒的だった気の奔流が止まった。悟空もそれを見て超サイヤ人4の変身を解いて心底嬉しそうに後ろに倒れた

 

「か……勝ったぞ~!!」

 

 満足気に倒れたのを見てピッコロ達はふっと笑った後,2人の元へと降り立った。トッポ達はジレンに,ピッコロ達は悟空の所へと降り立ち呆れたように2人を見ていた。

 

「孫……力を試すだけなのにやり過ぎだ」

 

 辺り一帯を見ると既に原型は留めてなく,ピッコロのやりすぎという言葉には悟空も「ははは」と乾いた笑みを浮かべていた。

 そんな悟空を呆れた眼で見ながらもピッコロは腰の布から仙豆を取り出し悟空に渡した

 

「サンキューピッコロ!」

「トッポ,ジレンにもこれを」

 

 そう言って離れた所で集まっていたトッポに声をかけ投げると,トッポはそれをキャッチしてそれを食べた悟空の反応を見ると,悟空が全快して立ち上がったのを見てトッポも仙豆をジレンに食べさせる。

 そうするとジレンの傷や気も元通りになって快復した。

 

「……ッ! これは……」

「仙豆って言うんだ。すげえだろ?」

 

 先に回復した悟空が曇りのない笑みで言うと,ジレンは内心で頷きつつ立ち上がった。

 

「孫悟空……これほどとはな」

「おめえも凄かったぜジレン,オラもまだまだだな」

「ふっ……この俺に勝っておいてよく言う」

 

 そう言っているジレンからは負けた悔しさが伝わりはするが,以前のような負けを認められなかった彼とは違い現実を受け止めてどこか穏やかだった。

 語りたい事とかは沢山あったが,ピッコロの提案で取り合えず状況を把握したい事と,ジレン達も光輝とカンバーとの決戦は見届けたいと言う事なので行動を共にする事になり一行は悟空の瞬間移動で神殿に向かったのだった。

 

 

 




お疲れさまです!
悟空・ゼノの勝利でした~。超サイヤ人4の悟空なら普通にジレンと真っ向から殴り合うのが似合っていたので殴り合って貰いました笑。
ジレンまた出てこないかな~と思いながら書いてました。
ではでは!


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破滅へのプレリュード

おはようございます。
続きです。段々とインフィニットワールド編が終盤に近付いています。段々とラスボスクラスがうじゃうじゃ増えているのでね。
では!


 天に聳える神様の神殿,悟空達が危機の度に避難所としてよく使っている場所でもあるここに6人の人間が瞬間移動で現れた。

 ボロボロの道着を着ている悟空とピッコロに悟天の3人と,悟空とは違い上裸のジレンとトッポ,ディスポの6人だ。悟空とジレンは取り合えずピッコロに服装を直してもらい今後の方針について話した

 

「やっぱシーラス達を倒す方がよさそうだな」

 

 光輝のようにドラゴンボールを集めるのも間違っていないのだろうが,もっと簡単にこの世界を元に戻す方法は黒幕であるシーラス達を叩くのが一番の近道だ。

 

「それなのですが……」

 

 そんな悟空へどこか言いにくそうにこの神殿の主が現れた。

 

「どうしたんだデンデ」

「シーラス達が動き始めました。狙いは……」

「俺達の戦いから得られるエネルギーじゃないのか?」

 

 ピッコロのもっともな疑問にデンデは首を振った。それにピッコロは訝し気に彼を見る。何故シーラス達の狙いが自分達のエネルギーじゃないのかが分からなかったから。

 あの空に浮かぶ宇宙樹……それをフューのように強引ではなく安全かつ確実に開花させるための今回の計画だった筈だ。それなのにそれ以外の狙い

 

「いえ,シーラス達はその……既にエネルギーを溜め終わっています」

「何だって?!」

 

 悟空達が上空を見ると……確かに昨日まではあるだけだった根っこに光が灯っていた。だけどもそれなら疑問が出る

 

「なら何故奴らは直ぐに目的を達成させない?」

「恐らくですがまだ何かが足りないんだと思います」

「何かってなんだよ」

 

 ディスポがじれったいと言いたげに言うと,デンデにもそれはまだ分からないのか首を振る。基本この神殿から動けないデンデはこれ以上の情報を持っていない。

 しかし,その答えは唐突に解決されることになった

 

「依り代だ」

 

「「——ッ?!」」

 

 第三者の声が聞こえ,その場にいた人が全員その方向を向くと戦闘する意志は微塵もないのか淡々とこちらに近づいてくる男……黒のロングコートに紫を基調とした肌色の持ち主……第6宇宙の殺し屋がヒットがいた。

 

「おめえは……」

「第6宇宙の殺し屋……ッ!」

 

 かつて力の大会で敵対した間柄だからかディスポはつい臨戦態勢を取る。そんなディスポの前に腕を広げトッポはそれを抑えた。

 

「まてディスポ,奴からは殺気を感じない」

「依り代とはどういう事だ?」

 

 ピッコロが問いかけるとヒットは淡々と語った。

 

「お前達の言うシーラス……そのアジトへと行ってきた」

「な,なんだとっ?!」

 

 さらっと自分達では見つけられなかったアジトを見つけて来たと言った事に驚愕するピッコロ達だったが,そんな反応に一々返していたら日が暮れてしまうので先を促す。

 

「奴らは既に場所を移動した後だったが,いくらかのデータはまだ存在していた」

「……信用できるデータなのか」

 

 アジトを捨てたのにもかかわらず,そんな自分達の目的を表すようなデータを残すとは考えづらい。なら考えられるのはそのデータというのが罠という可能性だ。

 裏の世界で生きるヒットが,そんな敵のど真ん中で得た情報を信用するとはトッポには思えなかった。

 

「はっきり言えば信用は出来る。だが同時にそれは既に奴らにとって勝利条件が既に整っているからだ」

「どういう事だ?」

 

 その情報は信用できるが,その理由が既にシーラス達にとっての勝利条件が整っているから……その言葉の意味が分からず悟空が問いかけるとヒットは言い方が悪かったと悟り,冷徹な眼のまま続けた

 

 

「既に俺達が奴らの企みを阻止できる確率は0に等しいからだ」

 

 

 そうヒットははっきりと告げた。

 それが例え全ての次元を含めても凄まじい実力者の悟空とジレン,そして2人に追随するような超戦士達がいても……既にシーラス達の計画を達成する事が可能と言う事だ。

 

「ヒットッ! 冗談を言うな!」

 

 その余りに淡々と告げられた事実にディスポはヒットに噛みつくが,ヒットは他の面々を見ながら告げた。

 

「この俺が冗談を言うと思うか?」

「……ッ」

 

 そもそも裏の世界で生きていたヒットが冗談など言う筈もない。ディスポはただその言葉に黙ってしまった。ヒットは懐から巻物を出しそれをピッコロへと放り投げた。

 

「それが奴らのアジトにあったデータだ」

 

 それを聞いたピッコロがするすると巻物を開くと,確かにヒットの言うデータが存在した。そして……戦慄したように呟いた。

 

「こ……これは……こんな事がッ」

 

 大きく眼を見開き唖然とした様子で呟いた。

 

「ピッコロ,何が書いてあるのだ」

 

 その余りの驚き様にトッポが聞くと,それに答えたのはピッコロではなくヒットだった。

 

 

「新宇宙創成計画……ジェネシス計画,そう言うらしい」

 

 

 長い時代を生きたヒットはジェネシスという単語がどういう物かも分かっている。あくまでも第6宇宙での話だが,ジェネシスというのは物語の始まりや起源を意味する語。

 その名の通り,シーラス達は新たな宇宙を作ろうとしているのだ。

 

「馬鹿な話……そういう訳にもいかない,か」

 

 ジレンが馬鹿馬鹿しい話だと切り捨てようとしたが,既に事の大きさは悟空達から聞いた通りだ。悟空達の様々な歴史に介入し,集めたエネルギーでこの世界で様々な戦士達に争わせエネルギーを蓄える。

 使ったエネルギーよりも更に大きなエネルギーが手に入るこの世界ではまさに宇宙樹のエネルギーの宝庫なのだ。

 

「なら簡単じゃねえか。シーラス達がその宇宙を作っちまう前にぶっ倒せばいいんだろ」

 

 しかし,悟空は周り程悲観していなかった。確かにその計画はおぞましいものだが,かつてフューも同じことをして結果的にその計画は阻止できたのだ。

 ならば,今度も阻止出来ると思ったのだ。だが,同じことをヒットも考えなかった訳じゃない。否,当然最初に考えて……そして自分達ではシーラス達を止める事は不可能だという結論に至った。

 それは異次元のパワーを誇る悟空やジレンを入れてもだ

 

「奴らの元に向かう時に,俺達では弾かれる……そう言われてもか?」

「え……,ど……どういう事?」

 

 その言葉の意味が悟天に分からず聞くが,その悟天をヒットは見返す。そして次に悟空の方へ見る。

 

「双子の宇宙」

「「——ッ!!」」

 

 そのワードに悟天と悟空は驚愕する。何故ヒットがその事を知っているのか……と。その事はこの場において悟天と悟空しか知らない存在の筈であり暗黒魔界との戦いが終わってから産まれたあの宇宙の存在を,別の次元の人間であるはずのヒットが知っているのは可笑しいのである。

 

「それが奴らの計画において最重要な物であり……依り代だ」

「ま,待ってよヒットさん! どういうことなの?!」

 

 あまりの急展開に悟天がヒットに詰め寄るが,その問いに答えたのはデータを読み終えたピッコロだった。ピッコロは巻物をディスポに渡しながら忌々し気に答えたのである。

 

「先程ヒットが言ったジェネシス計画,それは無から宇宙を創る物ではない。既にある宇宙を使った今全ての次元と時に生きている人間全てを滅ぼす計画と言う事だ」

 

 ピッコロは自分の頭の中で面々に伝える情報を咀嚼しながら言葉をつづけた。

 

「ヒットの言う双子の宇宙,そこを宇宙樹の苗場として全ての次元からエネルギーを吸い尽くして破壊し,苗場であるその宇宙をシーラス達の理想郷にする……それが奴らの真の目的だ」

 

「「……」」

 

 余りにスケールが大きな話に悟天達は口が開きっぱなしになる。だが悟空やジレンは冷静だった。今の説明では自分達がシーラスの計画を阻止出来ない理由にはならないからだ。結局シーラスをぶっ倒せばOKになるからだ。

 だからここで大事になって来るのはさっきヒットが言った世界から弾かれるという言葉の方だ。

 

「そして……孫悟空,ジレン,ヒット……今この世界に来ている様々な戦士が例え束になってかかろうとも……超ドラゴンボールによってシーラスと元々あの世界の住民以外の人間は弾かれるようになっているからだ」

 

 ピッコロが告げた続きの言葉が,ヒットの言う勝率0%がこういう意味だったのである。

 超ドラゴンボールはこの世界を作る際に使ったはずだが,それはその1点の時代においての超ドラゴンボールなのでまた別の時代の超ドラゴンボールが使われたのは想像に難くない。

 

「……そんな事が」

 

 今はまだあの宇宙樹がこの世界の戦いのエネルギーだけを吸っているから自分達にはまだ何ともないが,あの宇宙樹が本来の力として強制的に戦士や星からエネルギーを吸い始めた時……本当にどうする事も出来なくなってしまうのだ。

 

 戦士達の間に沈黙が流れる。

 ただシーラス達を倒すだけならばここにいる戦士達で簡単に出来る。だが,シーラスにとっての勝利条件とはジェネシス計画を完遂すること。そこに悟空達に勝つ必要性はないのである。

 宇宙を作り,全ての世界を破滅させればそれで済むのだから。

 

「シーラスって野郎……勝ちを確信したからデータを残していったのかよ!!」

 

 ディスポが苛立ちを隠せず巻物を地面に叩きつける。

 自分達が何も出来ない無力感が……ディスポだけではなく他の戦士にも流れた。

 ……たった1人を除いて

 

「ピッコロ,ヒット,あいつらが超ドラゴンボールで願ったって言うんは『シーラスと元々の住民以外の人間を』だよな?」

 

 悟空がそう確認すると2人は頷いた。

 

「ああ。その願いで邪魔な俺達の妨害を阻止しようとしたんだろう。なんて奴らだ」

「孫悟空……まさか気合で超ドラゴンボールの妨害を突破する……何て言うんじゃないだろうな?」

 

 ヒットが今までの悟空ならばあり得るだろう事を苦笑しながら聞いたが,悟空はそれに首を振った。

 

「そいつを試してもいいけんど,もっと確実な方法があんだ」

「なんだとっ?!」

 

 トッポが信じられないとばかりに叫ぶと,悟空はトッポではなく神殿の奥の方へと目を向けた。その先にあるのは今も光輝が入っている精神と時の部屋への道で……それを不思議そうに見ていた一同だったが,悟天だけはその悟空の言葉の意味が分かったのか

 

「あ──っ!!」

 

 と思いっきり叫んだ。

 

「そうだ……そうだよ父さん!!」

「なに? どういう事だ孫?」

 

 ピッコロが悟天と悟空の言葉の意味を問いかけると,悟空は秘密をばらす少年のように言った。

 

 

「例えオラ達がその世界に行けなくても……光輝ならその世界に行けるんだ」

 

「「——ッ?!」」

 

 唐突に出て来た光輝の名前,だがその答えを聞いた悟天はやっぱりと大きく頷いていた。

 

「僕達は行けなくても……元々(……)あの世界の人だった光輝君なら……その次元の壁を突破できる!!」

 

 そもそも西沢光輝という人間は,悟空達の世界出身の人間ではない。

 悟空達,ナルト達,キリト達,他にも様々な英雄たちの物語が様々な媒体として残っている世界の出身であり……かつて悟空達が守った世界の出身であり……シーラス達が苗床として選んだ世界の出身だ。

 つまり,光輝にとってあの世界は帰るべき世界で……守るべき宇宙なのだ。

 

「シーラスは多分嘘をついてんだ。あいつが願った願いって言うのは『シーラスと元々の住民以外』じゃなくて,『シーラス以外』の人間だ」

 

 その願いの違いはほんの些細なものだが,逆説的にシーラス達にはそんな願いの叶え方をしなければならなかった理由があるのである。

 それが何なのか,悟天には判断が出来なかったが悟空だけは……何となく気が付いていた。だがその可能性については今触れた所で仕方がない。

 

「西沢光輝とそいつらの力量はどうなのだ」

 

 今の所,彼らを倒す鍵が光輝しかいないとなった今その光輝とシーラス達の力は把握する必要がある。

 悟空達が知っている光輝とシーラスの最後の戦いはナルト達の世界で行われたあの手合わせだけ。あれだけを見るのなら光輝とシーラスの実力差はシーラスが上回っているだろう。

 しかし,それはあの時点での話だ。

 

「今の光輝ならあいつらを倒せると思うぞ。あいつら自体は少なくともオラが最後に見た時点でカンバーやブラックよりも弱かったかんな」

 

 それこそ魔人ブウの時が最後だが,光輝がサイヤ人というポテンシャルの塊で,この世界で様々な戦いを経験したからこそ今の光輝がシーラス達よりも上だと悟空は断言した。

 シーラス達が悟空達に勝つことを目的としていないのなら最低限の力があれば十分故にそこに隙が生じるだろう。

 

「でも……まだこの世界は……」

 

 本来なら確かに悟空達の言うように光輝を主軸にした作戦を立てるのが良いのだろうが,この世界ではまだ異変という異変が起きていない。

 既にこの状況が異変だと言われてしまえばその通りだが,それにしても超ドラゴンボールを使われたにしてはまだこの世界ではあちこち戦いが行われている。

 まだ……まだ何かエネルギーの使い道があるのかもしれない。悟天はそう思ったのだ。

 

「……光輝君と父さん達はいつ出てくるんだろう」

 

 シーラス達がデータを残してまでアジトを離れたのは既にその準備が整ったから,もしかしたら既に光輝の世界へ宇宙樹が根付いているかもしれない。

 あの大樹は破壊神でさえ簡単には伐採出来ない代物,それが達人が存在しないあの世界に放たれなんてしたらあの世界の地球どころか宇宙ごと破滅するだけだ。

 彼らを止める為の切札たる光輝はまだ精神と時の部屋にいる。既に光輝達が入って丸1日経とうとしているが……2年目の修業をするのならあと1日も待つ必要がある。

 

「焦っても仕方がねえ。オラ達はオラ達の出来る事をやんぞ」

「むっ……?!」

 

 そこでジレンは地球エリアの気を感じ取る。どうしてかあちこちにある気がいきなり増大し,邪悪な気がこの世界を満たし始めたのだ。

 ジレンの感知に遅れて悟空達もその気を感じ取る。

 

「なんだ……いきなり色んな気が膨れだしたぞ」

 

 だが,そこでもう1つ不思議なことが起きた。

 簡潔に言えば,空が暗くなってしまったのだ。

 

「こいつはッ!」

「神龍か!」

 

 こんな超常現象,そんなものはドラゴンボールしかない。

 

「デンデ! ドラゴンボールは光輝が集めてたんじゃねえのか!?」

 

 それが悟空が聞いていた光輝がしていた事だった筈だ。だがデンデにも分からないのか首を振る。

 

「光輝さんが集めていたドラゴンボールは今神殿で預かっているはずです!」

 

 光輝は精神と時の部屋に入る前にデンデにドラゴンボールを預けて入った。この神殿はそもそも存在を知らなければ辿り着くことが出来ない場所に存在するし,悟空達が空けていたこの1日の間に侵入された事は絶対にありえない。

 そこから導き出される結論は……

 

「別のドラゴンボールか!」

 

 そうピッコロが叫んだ瞬間,ここにいる面子はある巨大な気を感じ取った。

 気の感知が妨害されているこの世界ですら感じ取れるほどの巨大な気,それはこの場所より遥か遠い所から感じ取る事が出来た。

 

「この気は……ッ!」

 

 その気の持ち主を唯一知っている悟空と悟天は奥歯を噛みしめ,その巨大な気と相対している身内の危険も感じ取った。

 地球エリアにある都の1つで,額から血を流しながら孫悟飯・ゼノはある巨漢へ構えを取っていた。

 

「く,くそ!」

 

 白い肌に巨漢で,背中にはいくつもの角が飛び出ていて一目で強者だと分かるほどの気の圧力。だが悟飯は知っている,この存在にはまだ上の力があると言う事を。

 何故ならこの男の額にあるドラゴンボールは1つしかないからだ。

 

「ふっふっふ……孫悟飯,俺がいた時代の貴様よりは腕をあげたが所詮俺の敵ではないわ!」

 

 この世界においてもこの悟飯の実力は上から数えた方が早い戦士だ。だがこの男にとっては全く関係のない事,何故ならこの男こそがこの世界で一番強いという力の自信と確かな力を持っているからだ。

 悟飯は構えを取りながらその男の背後に現れている3つの存在を見た。1人はシーラス,もう1人は仮面の男,そして……漆黒の姿をした神龍……暗黒神龍だ。

 

「俺の願いは──ッ」

「やめろシーラス!!」

 

 悟飯は気を噴き上げシーラス達を妨害しようと動くが,そんな悟飯よりも凄まじいスピードで悟飯の前に現れた存在は気功波を放つ。

 それを間一髪で悟飯を避ける。

 

「どけ一星龍!!」

 

 しかし,冷静さを欠いた悟飯などこの男……全ての邪悪龍の頂点に立つ一星龍にとってそこらの砂利と何も変わらない。邪悪な笑みを浮かべた直後,悟飯の気が一瞬逸れる程の速度で彼の眼前に踏み込んだ。

 

「しまっ?!」

「馬鹿めッ!」

 

 一星龍は無慈悲にそのがら空きの胴に強烈な一撃を突き刺した

 

「がはっ?!」

 

 一瞬で超サイヤ人4の変身が解け,悟飯は吹き飛ばされてしまった。近くのビルへ吹き飛ばされ突き抜けて,瓦礫の海へ飛び込んでしまった。

 その間にもシーラスは願い事を言った。

 

 

「この世界を起点に,双子の宇宙とのゲートを作れ!」

 

 

 それを瓦礫の中で満身創痍になりながら悟飯は聞いていた

 

(な……なんて事だ……。す……すまない……光輝君)

 

 光輝が産まれた世界を,自分の大切な弟子の光輝の世界が標的として定められている事を初めて知った悟飯はそれを止めるべく立ち上がりながら光輝に向けて心の中で謝罪する。

 そんな事を行われてしまったら,そのゲートに気が付いた邪悪な存在が光輝の世界に流れてしまう。光輝の世界に光輝ほど戦える人間なんて存在しない。つまり,誰か1人でもあの世界に邪悪なものが行ってしまったら

 

――光輝の世界は破滅する

 

 暗黒神龍を攻撃すれば少しの時間は稼げるはずだと考え動き出そうとしたが,悟飯の前に一星龍が腕組みしながら立ちふさがり…現実は無慈悲だった。

 

 

「了解した」

 

 

 その願いを……暗黒神龍は叶えてしまったのだった

 




お疲れさまでした!
GTラスボス,一星龍参戦です!
暗黒ドラゴンボールはセルの時に悟飯が預かっていたのですが,それを狙いに来たシーラスの最強の助っ人として登場。

そして案の定光輝の世界が狙われます。はい。どっかのネット民が当たらずとも遠からずどころかバチクソ当たっていました。
ではまた次回!


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決死の防衛戦

おはようございます!
一気にクライマックスバトルに突入します。これだけ味方陣営を強つよにしたせいで逆に敵を用意するのが大変…。
では!


 神様の神殿,待機場所として集ったこの場所で悟空達はとてつもない悪寒と嫌な気を感じ取った。その正体が分からない悟空は恐らく見ていたであろうデンデの方へ向いた。

 

「デンデ今何が起きたんだ!」

「そ……そんな……そんな事が起きてしまったらッ」

 

 デンデは自分の中でもその状況が受け入れがたいのか,口を開けたまま固まっていた。そんなデンデの肩をピッコロが大きく揺さぶる。

 

「デンデしっかりしろ! ゆっくりでいい,何が起きたのか話せ」

「……シーラス達が,光輝さんの世界へ通じるゲートを……暗黒ドラゴンボールで叶えてしまいました」

「何だって?!」

 

 そんな事が起きてしまったら,戦える人間がいない光輝の世界に誰か1人でも……それこそラディッツ程度の敵が行ってしまったとしても壊滅してしまう。

 ドラゴンボールが存在しないそんな場所で,そんな事が起きてしまったらそれを知った光輝がどうなってしまうのかなんて自明の理だった。

 

「そのゲートってのはどこだ!」

「シーラス達の直ぐ近くです……それに悟飯さんが!」

 

 それに頷いた悟空はすぐさま額に指を当てる。

 

「俺も行こう」

「水臭いぞ孫悟空」

 

 その悟空に待ったをかけたのはジレンとトッポだった。確かに,今から相対する戦士は正直2人の手を借りなければ確実に勝てるとは言い難い存在だ。

 だが悟空は2人の言葉に首を振った。

 

「付いて来てくれんのはありがてえけど,おめえらにはそのゲート目掛けてきてる奴を止めてほしいんだ」

 

 あの存在は……今の光輝ですら勝てるか分からない程に力を身に着けている悟飯を歯牙にもかけない存在,過去相対した時は宇宙の全てを授かった元気玉で倒したが,あの存在から放たれる気ははっきり言ってあの時以上の戦闘力になっている。

 それだけならまだしも,シーラス達を含めた邪悪な存在が光輝の世界に行くのだけは何としても阻止しなければならないのだ。

 

「シーラスは超ドラゴンボールで双子の宇宙に俺達を侵入できないようにしたのだろう?! 何故そんな回りくどい事を」

 

 しかし,ピッコロがシーラスの目的が分からないという。

 考えてみれば,シーラス達が光輝の世界に行くだけで既に半分は目標を達成してしまっている。その上でそんなシーラス達以外通れないゲートを作った所で例えあの存在だろうと突破する事は不可能……

 

「そんな事より父さん早く行こう!」

「ああ,皆オラに掴まれ!」

 

 だが悟天にとってはそんな矛盾よりも,兄の心配が勝った。ピッコロの疑問を一蹴し悟空も優先順位を考えて号令をかける。

 

「デンデ,光輝とオラ達が戻って来たら隠してもしょうがねえ,事情を話しといてくれ」

「はい! 皆さん,お気をつけて!」

 

 そう答えたデンデに頷いた悟空は,ヒットも含めた超戦士達を連れて瞬間移動して姿を消した。それを見送ったデンデは,不安そうに精神と時の部屋がある方角へと眼を向けた。

 

「光輝さん,速く」

 

 恐らく……最後の希望になりえる存在にそう語り掛けた

 

 

 ★

 

 

 それは過去光輝が戦ったガーリックJrが放ったデッドゾーンという技に酷似していた。ただしそれ自体にはデッドゾーン程の急激な吸引力はなく,ただ真っ暗なゲートで,だが仮面の男にはひしひしと感じていた。

 荒廃した世界と……反対に発展している世界に住んでいる人間達の気が。それを感じると憎悪が膨れ上がったのを感じた。あの世界自体,行くこと自体は簡単だが直ぐに光輝が飛んでくるのでしてこなかった。

 それにこのゲートの役目はシーラスや仮面の男の移動手段というものだけではない。

 

「こんな回りくどい事を何故する必要がある」

「宇宙樹を運ぶのに一番楽な手段だからな」

「なら暗黒ドラゴンボールで頼めばいいものを」

「暗黒神龍では不可能だ」

 

 それに舌打ちした仮面の男は,背後で気が膨れ上がったのを感じて振り返るとそこには獣を思い起こさせる赤い体毛に長い黒髪の姿の孫悟飯が息を切らしながらも立ち上がっていた。

 

(なんなのだ,もうこの化け物に勝てないと分かっているだろうに,何故貴様は立ち上がる)

 

 仮面の男でも,今悟飯の目の前に立ちふさがっている一星龍の強さは未だ底知れず”化け物”と形容するしかない存在だ。それを証明するように今の仮面の男では勝てるかも分からない孫悟飯を完膚なきまでに叩き潰した姿を見て震えが起こったのを覚えている。

 そしてそれは相対している悟飯が一番感じているはずなのに,勝てないと思っていても立ち上がる悟飯を見て仮面の男は無性にイライラが募る。

 

「まだ立つか孫悟飯,いい加減楽にしてやろう」

 

 1人の戦士の再起を,龍神はコケにしたように見て悟飯に向けて歩き出す。

 

「はぁ……はぁ……お前達を……光輝君が守ろうとしている世界に行かせるわけにはいかない……絶対に,絶対にここで止める!」

 

 そう言うと同時に,悟飯の周りから黄金の気柱が高まり始め一星龍たちが立っている大地を揺らす。

 

「むっ……?」

 

 悟飯は自分の身体が壊れるのもお構いなしに気を高め始めたのだ。周囲を金色の光で照らしながら,ただ一星龍を倒してシーラス達を止めるために……命を賭けて

 

「ふ……ふははは! 猿が命をかけようと俺を止めることなど出来ん! 無駄死にするだけだ!」

 

 圧倒的実力を持つ一星龍にしてみれば……他者の為に己の限界を超えた気を高めている悟飯の動機は笑止に値する者だし理解が不可能なもの。

 それこそ……自分に勝てないというのに,無駄死にを選ぶ姿は滑稽でしかなかった。

 そう,悟飯とて分かっている。今ここで自分の命を賭けたとしても,恐らくパワーアップした一星龍には到底届かない事を。だがここで止めてしまったら本当に光輝に申し訳なくなる。

 だが……

 

 

「俺は死なない! 例えこの肉体が滅んでも,俺の意思を継ぐ者が必ず立ち上がり!」

 

 

 悟飯は一星龍ではなく,一星龍の後ろで此方の様子を伺っているこの事態の元凶とも言える2人を見る。不思議と悟飯の脳裏に浮かんでいたのは父親である孫悟空ではなく……愛弟子の光輝だった。

 

「そして……お前達を倒す!!」

 

 気を高め終わった悟飯は,自分を嘲笑するように見ている一星龍に眼を映して……不意に空気が揺れた

 

「「——ッ?!」」

 

 その場にいた誰もが,何人もの戦士達の出現を感じ取り一番大きく眼を見開いたのは一星龍だった。

 

「貴様は……孫悟空!」

「とう……さん」

 

 特攻しかけようとしていた悟飯の無理に高まった気が,悟飯の肉体に耐えられなくなったように露散して前のめりに倒れる。

 

「兄ちゃん!」

 

 その変身が解かれながら倒れた悟飯を弟である悟天が支える。悟天に支えられながら悟飯が悟空が連れて来たメンバーを見ると,思わず笑みを浮かべてしまった。

 この場面で,これほど強力な戦士達が集うとは悟飯も考えなかったのだ。

 

「……ッ,一度退散するぞ」

 

 しかし,これまでも光輝や時の界王神から逃げて来たシーラスの判断は早かった。直ぐに杖を取り出すとワープする為に力を込めようとした瞬間に

 

「ガハッ?!」

 

 仮面の男の鳩尾に,深い打撲痕が現れて仮面の男が吹き飛んだのだ。

 仮面の男は血反吐を吐きながら地面へ倒れ込み,憎悪の視線で今シーラスと自分の間に現れた存在に眼を向けた。

 

「ヒット……貴様ッ!」

「西沢光輝ならば反応出来たがな」

「貴様ああ!」

 

 仮面の男は更に濃くなった漆黒の気を解放する。しかし,以前のように荒々しく吹き荒れるものでもなく流動的で,それに驚いたように眼を向けたのはトッポだった。

 

「あの者の気……これではまるで神の気ではないか!」

 

 仮面の男から発する気が極めてクリアな気,そしてそれは神か……神に値する者が放つことのできるある意味純粋な気だった。ただし仮面の男のそれは純粋な”闇”だが。

 しかし……トッポはヒットならば大丈夫だろうと目の前の男に眼を向けた。

 

(この者……何という気と威圧感だ)

 

 今まで感じた事のない程の威圧感とそれに伴って溢れてくる気の圧力。その強さはもしかするとジレンにも引けを取らない程なのではないかと感じた。

 確かに……この存在,一星龍の相手をしながらゲートを抜けようとする輩を止めるのは至難の技だ。

 

「孫悟空,孫悟天,ピッコロ……他の奴は知らんが俺からすれば蠅みたいなものだ」

 

 不敵にも,これだけのメンバーを前にしても一星龍の余裕は崩れなかった。それだけの自信があるのだろう。だがこの状況はシーラスからすれば余りよろしくない。

 元々は孫悟空一派と戦いを交えるつもりなどなかったのだから,退散したいというのが本音なのだが今目の前にはヒットがいる。時飛ばしを交えた彼の戦いは何度見ても打ち破る事ビジョンが見えない。

 

「だが……お前達では私を止めることなど不可能だ。もう直ぐここに私の気で凶悪化した悪共がこのゲートを通る為にやって来る。お前達に奴ら全員を捌けるかな?」

 

 それでもシーラスはまだ逃げる算段を持っていた。というよりも,シーラス達は逃げる事が勝利に繋がるので逃げる手段だけは豊富に持っている。

 その内の1つ,ヒットは突如として飛んできたエネルギー弾を見つけて躱しシーラス達と距離を取らざる負えなかった。その瞬間にシーラスは置き言葉をする事なく仮面の男諸共姿を消した。

 

「なに?」

 

 ヒットはすぐさま気配を探ったが,今攻撃してきた連中が邪魔をし始める。命と引き換えのパワーアップに加えシーラスによって自我を失っているフリーザ軍の雑兵である。

 ヒットはその攻撃の全てを時飛ばしですり抜けつつ一撃でダウンさせるが,既にシーラス達の気配は消えていて残されたのは一星龍だけだった。

 

「たあああッ!!」

 

 既に戦闘は開始されていて,ピッコロの鋭い蹴りが一星龍の首筋にまともに当たるが一星龍はつまらないものを見るかのようにニヤリとする。

 

「馬鹿なッ!」

「それが攻撃か? 蠅が止まったかと思ったわ!」

 

 その瞬間危険を感じ取ったピッコロは退避しようとするが,それよりも早く一星龍の剛拳が腹部に突き刺さっていた。

 

「ガアッ?!」

「ピッコロ! 一星龍!」

 

 余りの重い一撃に一瞬白目を向き,ピッコロは悟空達の所にそのまま吹き飛ばされる。それを悟飯が受け止めている間,悟空は超サイヤ人4に,トッポとディスポ,そしてジレンも己の気を吹き上がらせてこちらを泰然と見てくる一星龍に攻撃を仕掛けた。

 

「どうした,揃いも揃ってこの程度か?」

「おめえ,あの時よりも強く!」

 

 悟空達の四方八方からの攻撃を,一星龍はその巨体に見合わないしなやかさと頑丈さで完璧に受けてみせていた。その戦闘力は悟空が知っている一星龍ではなく,一星龍が全てのドラゴンボールを吸収した時の戦闘力に匹敵しているものだった。

 

「当然だ,俺もこの世界で有象無象を葬って来たからな! 当然別の時代の貴様も葬ってやったわ!」

 

 そう言いながら超サイヤ人4のパワーから放たれるすさまじい勢いの拳をその頑丈の肉体でノーガードで受け,それに大きく眼を見開いた悟空にカウンターを合わせ吹き飛んで行く。

 

「うわああ!」

「孫悟空!」

「よそ見をしている場合か?」

「ぐおっ?!」

 

 一瞬吹き飛んだ悟空を見たトッポの眼前に一星龍が踏み込み,トッポの巨体をいとも簡単に拳を練り込みトッポは余りの重さに動きが止まりそのまま地上に落下し始める。

 ジレンは,一星龍が他人を気にしながら戦える相手ではないと察し,紅蓮の気を纏いディスポに言った。

 

「ディスポ,奴は俺と孫悟空でやる。お前とトッポは孫悟空の倅と共にあのゲートを守れ」

 

 今こちらに向かってきているシーラスの影響を受けたであろう邪悪な気が,既に光輝の世界のゲートに目掛けて飛翔してきている。

 だが,この一星龍を前にしてゲートを守りながら戦える相手ではない。ならば戦力を分散してゲートを防衛する戦士と一星龍と戦う戦士に分けるのは理にかなっている。

 だが生半端な戦士では一星龍に秒殺されてしまう。最高戦力である悟空とジレンが一星龍の相手をするのは必然だった。

 

「分かった。頼んだぜジレン!」

「逃がすか!」

 

 一星龍がディスポを攻撃するが,ディスポはその攻撃を自慢のスピードで回避してトッポと悟天の所へと向かった。

 残ったジレンと相対する一星龍,そのジレンの隣に復帰した悟空が並び立つ。

 

「一星龍,おめえはなんでシーラスに手貸すんだ。あいつらの目的が達成しちまったらおめえだって死んじまうんだぞ!」

 

 シーラス達の目的が光輝達の世界を拠り所にした新たな宇宙の誕生,そしてそれに伴って行われる全ての世界の破壊。

 そんな事が行われたら一星龍とて,今ここで悟空達を倒す意味などない筈だ。

 共闘……そこまではいかなくとも邪魔をしない位はするべきだろう。

 

「ふん,俺にとってあいつらはコマに過ぎん。奴らにも,貴様らにも勝ちをくれんわ!」

 

 叫び,一星龍の気が今の悟空やジレンとも引けを取らない程に高まり始める。そのピリピリした感触に,過去の一星龍とは比べ物にならない程のパワーアップを果たしていると悟空は肌で感じる。

 しかし,一星龍が纏っている黒の気を見て歯を食いしばる。

 

「おめえもシーラス達の洗脳を」

「洗脳? 違うな,俺はこの力を完璧に使いこなしている。こんな力に飲み込まれるほど軟弱ではないわ!」

 

 莫大な気が一星龍に纏い,大地も裂けこの世の終わりかというほどの雷鳴が彼らの周囲に落ち始める。しかし一星龍の言うように一星龍自身は今までの敵のように洗脳を受けている様子はなく寧ろ利用して更なる力を身に着けていた。

 

「何としてもこの場で奴を止めるぞ」

「ああ,こいつはやべえぜ」

 

 その力に悟空とジレンはそれぞれ構えを取りながら自分達の気も解放する。金色の光と紅蓮の光,そして黒の気を纏った存在が見合い……激突した。

 

 

 ★

 

 

 一方,トッポとディスポに悟天,そして一星龍の蹴りから回復したピッコロはこちらに向かってきている恐らくシーラスの影響を受けたであろう敵達と激突していた。

 悟飯は傷が深く,直ぐには戦線復帰出来ない状態だったが,悟飯の代わりにヒットがしんがりを務めていた。

 

「ナメック星人……カ? フハハハハ!!」

 

 ピッコロに向けて突撃してくるのはピッコロと同じナメック星人,ただし元々の邪悪さにより超ナメック星人と呼ばれたスラッグというかつて悟空とピッコロが倒した敵だった。

 

「チっ! お前のような雑魚に構ってる暇はない!」

 

 しかし,そのスラッグは既にシーラスによって自我を失っており,同じナメック星人というだけでピッコロに向かっていた。そんなスラッグの剛拳をピッコロは腕一本でブロッキングし,代わりにスラッグの腹部に膝蹴りを噛ます。

 

「グぉ?!」

「終わりだ」

「グアアアアアア!!」

 

 そうして体勢を崩した隙を見逃さずスラッグを強力な気功波で消し飛ばしたピッコロは次の敵へと向かって行く。

 また近くではディスポと第6宇宙の戦士,フロストが激突していた。

 

「ふ……ハハハっ!!」

「気味が悪いんだよ!!」

 

 これまたシーラスによって自我が失っているフロストは,自分の腕に装着した毒針でディスポを刺そうとするがそれを彼は自分の超スピードで避け続け,自分の攻撃だけを当てていく。

 しかしどれだけ攻撃しようともフロストは涎を垂らしながら鬼気迫った様子でまるでダメージを受けていないかのように攻撃を繰り返してくる。

 

(こいつ,ダメージが無いのか?!)

 

 あまりにへらへらした様子から思わずそう考えてしまうが,ダメージは受けている。それがダメージだと認識していないだけただ”暴れる”事しか浮かばないが故にまるでゾンビのようになっているのだ。

 

「なら……一瞬で終わらせてやるよ!」

 

 フロストごと消し飛ばす事を決めたディスポは,超高速でフロストに打撃を加え最後に自分の気を輪投げの輪のように立体化させたものをフロストに投げつけた

 

「喰らえ! サークルフラッシュ!!」

「ヌぉ?!」

「フィニッシュ!!」

 

 その輪にフロストを抑え込んだら,遠隔操作により大爆発を起こし振り返るとフロストの姿は無かった。

 

「良し,次だ!!」

 

 息つく間もなくディスポは次の敵へと向かって行く。

 その向こうでは悟天が最終形態のクウラと激突していた。

 

「サイヤ人ハ……コロス!!」

「お前達を光輝君の世界に行かせる訳にはいかない!!」

 

 老界王神の潜在能力の解放を受けた姿で,クウラの蹴りを腕でブロッキングするとお返しとばかりに右足でクウラを蹴り飛ばした。そのクウラを追撃し,眼にもとまらぬ乱撃を食らわせる。

 そのどれもが甘さがなく,クウラの肉体は瞬く間にズタボロになって行く。

 

「コノオレガ……コンナザコ二……?!」

 

 信じられないとばかりに呟くクウラだが,悟天は容赦なく攻め続ける。

 

「俺にも負けられない理由があるんだ!!」

 

 そのままクウラを蹴り飛ばした悟天は,そのままかめはめ波の体勢になり

 

「これで……終わりだ!!」

「ウワアアアア!!」

 

 放たれたかめはめ波によりクウラの姿は完全に消し飛ばされた。

 

「くそ,キリがない!」

 

 今のクウラもそうだが,既に何十人と戦って次から次に敵がやって来る。

 それも向こうは洗脳により疲れていようがダメージを受けようが気が狂ったように向かってくるため否応なく連戦になる。手が空いた隙に感じた限りではようやく他の敵が枯れ始めたのか向かってくる気が少なくなった……

 

「な,なんだこの気は」

 

 少なくなった……のにも関わらずこちらに向かってくる巨大な気を感じ取り,その余りに巨大さに悟天は冷汗をかきながら呟く。その気のでかさだけで言えば今も場所を外した所で戦っている一星龍と同等……そんなバカみたいな気が近づいてきている。

 そうすると悟天の隣に満身創痍の悟飯が現れた。

 

「兄ちゃんはまだ休まないと!」

「悟天も感じているだろ。この気は……あいつの気だ……」

 

 呼吸を整えながら……それでもどこか嫌な相手を見るようにこちらに向かってきている敵の心当たりが悟天にもあった。

 

 

「……ブロリー」

 

 

 悟天の言葉に悟飯は頷き,ブロリーが来るであろう方向へ見る。

 

「他の皆はまだ戦っている。今ブロリーと戦えるのは俺達しかいない」

 

 そして,ブロリーなんて狂戦士がこの場に現れてしまったら先ず悟空の元に十中八九向かってしまうだろうし,そうなってしまってはいくら悟空でもブロリーと一星龍を同時に相手にするのは無理だ。

 それにこの場に押しとどめるのも,敵も味方も区別できないブロリーがいてしまえば他のメンバーの戦いも滅茶苦茶になってしまう。

 

「……行こう,兄ちゃん」

 

 下手したら闘争本能という意味では一星龍よりも強い相手に……自分達2人だけでは勝てない。それでも他の戦士は自分達の相手をしていて直ぐに手を貸せる状況じゃない。

 だけど,このままではブロリーが光輝の世界に行ってしまう可能性もある。それだけは何としても止めなければならなかった。

 決死の覚悟で,二人はブロリーの元へと飛び立った

 

 

 ★

 

 

 神様の神殿から下界を見下ろす能力によってデンデは悟空達の状況を見ていた。

 

「なんてことだ……このままじゃ悟飯さん達が」

「早くピッコロ達に教えないと」

 

 ミスターポポがそう進言するが,デンデはピッコロの相手も片手間に相手できるものではないと言い放つ。

 

「凶悪化した魔人ブウにジャネンバ……それに光輝さんが倒したものとは別の個体のヒルデガーン,一度にこれだけの相手をしているピッコロさん達じゃ間に合いません! もっと誰か別の……」

 

 そう言ってデンデは光輝がこれまで会って来た小さい方の孫悟天とトランクスや第6宇宙のサイヤ人達にタピオン,そして未来の悟飯の位置を探るがその誰もが自分達の前に現れた凶悪化した敵達と戦っていてそれ所ではなかった。

 だがこのままでは凶悪化の影響を受けた悟飯と悟天がブロリーと激突してしまう。他のタイムパトロールもまだ他の場所で戦っていて援護が期待できない。

 絶体絶命だった

 

「……!」

 

 その時……背後から人の気配が近づいてデンデは眼を安堵に染めながら振り向いた。

 

「よっ,デンデ」

 

 そこにいたのは,道着をズタボロにした悟空が陽気に立っている姿……そして……

 

「どういう事ですか。知らない間にやばい気がゴロゴロと増えている」

「光輝さん!!」

 

 悟空の後ろからベジータと共にやって来た同じくボロボロの光輝の姿だった。

 




お疲れさまです!
という訳で,一星龍は原作よりも強化されてます。超一星龍=この一星龍位と思ってくれて大丈夫です。つまり,まだ強化の余地があるんですよね…。
そして様々な歴史の輩が凶悪化して,光輝世界へ目掛けてます。これにシーラスと仮面以外光輝と光輝の双子の宇宙に行けなくなってるのに行っても意味がなくね,と思った方は正解です。
しかし,シーラス達の巻物には悟空が見抜いたように当然”嘘”も含まれています。本当にした願い方は果たして…

そして,本作の主人公光輝が修業を完了させました。本当は精神と時の部屋内部の話をしたかったんですがあまりに長いのでカットしました。
身勝手の極意になれる悟空と,超サイヤ人ブルー進化,そして暴走制御になることが出来るベジータとの全力全開の修業…字面だけでもやばいがその修業の成果は…!

では!


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受け継がれる誇りと力

鳥山明先生のご冥福をお祈りいたします。




 精神と時の部屋から出た瞬間にこの気の感知が難しくなっているはずの世界でも分かる位の馬鹿みたいな気がほぼほぼ一か所に集まっているのを感じ,俺はデンデに精神と時の部屋にいる間に起きたことを簡潔に教えてもらう事にした。

 デンデは俺の期待に応えるように理路整然とあの後どうなったのかを教えてくれた。

 

「ど,ドラゴンボールが敵になったんちゅうか」

「別の世界ではそんな敵がいたのか……」

 

 その中でも悟空さんとベジータさんの耳が引いたのは邪悪龍……一星龍だった。俺も昔タイムパトロールの方の悟空さんにその強さを聴いたことがあって,噂の存在がこの世界にもシーラスの敵勢力として,洗脳の影響を受けず自分の力を増大させている事には驚きを禁じ得なかった。

 だけど,その悟空さんとあのジレンがタッグを組んで戦っているのなら簡単に負けるはずが無い。他の邪悪な戦士もまだ力を隠しているトッポやディスポにピッコロさん,そしていつの間にか合流しているヒットと色んな宇宙の最強クラスの戦士達が相手しているからまだ大丈夫だ。なら俺が一番に心配すべきなのは……

 

「……ここにいても伝わる位馬鹿でかい気,こいつはブロリーだな。それに今の悟飯さんと悟天さんじゃ危ない」

 

 悟飯さんは一星龍にやられた後で満身創痍だし,悟天さんの地力はその悟飯さんにはまだ及ばない。今もしあの2人がフュージョンしたとしてもあのブロリーに勝てない。

 それでも2人は……いや,今この瞬間に戦ってくれている人達は俺の世界を守るために戦ってくれている。なら,その世界を守るべき俺がこんな所にいる訳には行かない

 立ち上がろうとした俺の肩を叩いてきたのは悟空さんだった。

 

「光輝,おめえは先ず自分の決着をつけて来い」

 

 その言葉の意味がカンバーとの決着の意味と捉えるのに少しの時間がかかり

 

「え……いやでもこの状況なら一人でも戦力はいた方が良いんじゃ……」

「ああ。だけんど,これからまたカンバーと戦える機会があるかはわかんねえ。だったら今しかねえだろ」

 

 ……悟空さんが言うように,今からここから戦場に向かうともうカンバーと戦える機会はないかもしれない。元々この滅茶苦茶な世界で歴史の改変も何も気にせず戦える。

 もしまたカンバーに会う事になったとしてもそれは俺と会ったカンバーじゃない。そしてそのカンバーを,ブラックを……これから現れる全ての敵に勝つために身に着けた俺の力で倒す機会はきっとこれが最後になる。

 この決断のせいで……俺の世界が滅茶苦茶になってしまう瀬戸際になってしまうかもしれない。それでも……俺は……

 

「……分かりました。悟空さん,ベジータさん……1年間ありがとうございました!」

 

 全部の次元が元に戻ればこの悟空さん達ともお別れになる。だから内心,これで最後になるかもしれないと思ってそんな事を言ってしまったが2人は気にするなと首を振りグッドポーズで送り出してくれた。

 もう一度一星龍とブロリー……他の様々な歴代の敵達の気を感じ取りながら俺は神様の神殿から下界を見下ろした。

 

「よし……行くか!」

 

 その中でも既にハーツとカンバーの気を見つけて,俺は飛び立った。

 

「光輝さん……凄く頼もしくなりましたね」

 

 そんな光輝が飛び立った場所を見ていたデンデがそう呟く。それに道着を直してもらった悟空とバトルジャケットを直してもらったベジータがそれぞれ応える。

 

「ああ。あいつは本当に強くなった。オラ達2人と最後には互角にやりあえるんだぜ?」

「互角ではない! ……が,奴が強いのは当然だ。俺達の”誇り”と”力”を受け継いだサイヤ人なのだからな」

 

 心底思っているように,1人の旅立った戦士を称賛する。

 精神と時の部屋では,それも熾烈・激烈・爆裂のような3人ともそれぞれが全快全力で何度もぶつかり合い,その度に光輝は強さを追い付けさせていく。

 追いつかれた2人はもう一度突き放すがそれに光輝は血反吐を吐こうとも食らいつき最後には悟空が言うように互角にまで実力を上げて来た。その光輝の決着を見届けたい気持ちがあるのは事実だが,悟空達も暢気に構えていられない。

 

「じゃあ,オラ達も行くか……ベジータ!」

「ああ……!」

 

 そう言って悟空とベジータは,ブロリーと既に激突して急激に気が減っている悟飯と悟天の元に飛び立った

 

 

 ★

 

 

 俺が初めてカンバー達と戦ったところまで飛びながら軽く情報を頭で纏めている。奴らがエネルギーを溜めていたのは自分達のパワーアップとあの宇宙樹を育てる為っていうのは大方予想通りだったが,まさか他の連中のパワーアップの為もあったのも流石に予想外だった。

 そしてあいつらが俺の事を頑なに消そうとしていた理由が氷解したのは俺の中で大きな収穫だった。

 

「奴らのふざけた計画は絶対に止めるが,その前に俺も自分の決着をつけないとな」

 

 ジェネシス計画……どこの中二病だよ,ていうか絶対ネーム付けたの笠木だろって位クソダサい。

 だけどそれは置いといて,奴らは俺が元居た世界を苗所にする為……そしてそれを妨害する為に現れる事が出来る唯一の人間である俺を排除しようとしていた。

 だからタイムパトロールは邪魔だったが殺そうとしてきたわけじゃなく,俺だけを殺せれば計画はほぼほぼ達成してしまう。逆に言えば俺がいる限り奴らの計画を阻止できる可能性がまだある訳だ。

 

「宇宙樹の存在が薄くなってきている。デンデの言うように……もう俺の世界へ転送され始めたのか」

 

 今空を見上げると,もう既に宇宙樹の根はまるで移動するかのように薄身を帯び始めていてこのままでは完全に俺の世界へ行ってしまう。そうすれば俺の世界の地球なんてあっという間に死の星へ変えられてしまう。

 俺の地球だけじゃない,他の惑星も全て……そして,そこから俺が今まで守って来た世界の全てが破滅する。

 

「時間がない……カンバー,悪いがお前に時間はかけられないぞ!」

 

 そう言って俺は更にスピードをあげ,何故か時間よりも早くその場にいるカンバーと付き添いであろうハーツの元へと降り立った。奴らはおれが早いのを意外に思わなかったようで,カンバーに関しては忌々し気に俺を見てきていた。

 

「下郎が……ようやく来たか」

「ようやくって……ちゃんと約束よりも1日前だろ。お前らの方こそ約束よりも早いことに驚いたが」

「君も既に気が付いているのだろう? この世界の異変を,だから早めに待つことにしたんだよ」

「……そうか」

 

 おれはそう答えてハーツに分かるように心で軽い状況説明を行った。

 

「宇宙樹を……そう言う事か」

「理解が早くて助かるよ。俺も本当は悟空さん達の援護に行きたい所だけど……」

 

 そう言って既に臨戦態勢を取っているカンバーを見据える光輝,以前のようなヒリヒリとしたプレッシャーを感じないのはただ自暴自棄になったからか……それとも……

 光輝がカンバーの方に向き直り,キッと細めた眼がカンバーを射貫き彼は大きく眼を見開いた

 

「カンバー,先ずはお前との決着をつけさせてもらう!!」

「——ッ?!」

 

 ただそれだけ……それだけを言う事で光輝は変身した。眩い蒼炎が光輝の身に纏い,やがて晴れると超サイヤ人ブルーに変身したのだ。

 

「超サイヤ人ブルー……,しかしこれは……」

「ああ……まだ終わりじゃねえ!!」

 

 不敵な笑みを浮かべた光輝はまだ蒼炎を吹き上がらせ,最中に蒼の粒子がキラキラと眩く光り始めた。そしてそれに伴って光輝の肉体も一回り肥大化し,髪も更に濃い青色に変わった。

 

「はああああ!!」

 

 この1年の修業の成果……その一部を受け継いだ,光輝の新たな力。

 ベジータが変身して見せた超サイヤ人ブルーの進化した姿へ変身をしていた。

 

「その変身は……ベジータがしていた変身だね」

「ああ。悟空さんが選んだ界王拳の強化,ベジータさんの純粋な進化……どっちも理にかなっていてどちらを俺の道にするのか……俺には決められなかった。だけど,決められなかったのならどちらも取ればいい!!」

 

 そうしてその煌めく蒼のオーラを内包するように,赤いオーラが更に纏い始めた。

 

「界王拳!!」

 

 光輝のアインクラッドの二つ名の由来……蒼と赤,二つの気を纏った姿。まさに”蒼赤の戦士”を素で体現していた。

 

「カンバー!」

 

 光輝は超サイヤ人ブルー特有の落ち着きと,気のコントロールを完璧にしながらカンバーに言った。カンバーはそんな光輝を猛獣のような赤い眼で睨む。

 

「本物のサイヤ人のお前に言わせば俺はサイヤ人の”贋作”だ! お前の言う誇りも,力も俺が本来持っていたものじゃない,だけど!」

 

 蒼と赤のオーラが更に燃え上がり,彼の意思に同調するように嵐が吹き上がる。

 

「俺の誇りも,力も……俺にサイヤ人としての生き様を教えてくれた人達から受け継いだ魂だ!」

「そのような魂など俺の足元にも及ばんわ!!」

 

 カンバーのプライドがカンバーの力を呼び起こすように超サイヤ人3に変身した。ただし,その身に纏う気は超サイヤ人特有の黄金のオーラじゃなく,邪悪な黒の気,触れてしまえば心を破壊する真っ黒な気。

 だけどある意味で純粋の力……前は”悪”のその気に嫌悪感を示していたかもしれないけれど……不思議と今はあれも”力”の1つなのだと思えるようになっていた。

 

「及ぶかどうか,試してみるがいい!! 俺の名は西沢光輝,アインクラッド攻略組の”蒼赤の戦士”,心してかかってこい!!」

 

「ほざけえええッ!!」

 

 猛き雄叫びをあげながらサイヤ人の贋作と,狂戦士サイヤ人が激突した! 

 

 

 ★

 

 

 また,違う場所では世界を揺るがすほどの巨大な気の戦士……光輝が倒したのとは別の個体のブロリーがタイムパトローラーである悟空の気を感じ取り狂ったようにばく進していた。

 そんなブロリーの前に現れたのはその孫悟空の息子たち

 

「カカロットォォ!!!」

 

 既に伝説の超サイヤ人……そして,超サイヤ人3へ変身しているブロリーの剛腕を,悟飯と悟天は2人係で抑えようとする。だが,2人のパワーではブロリーに弾き飛ばされないようにするのが精いっぱいであり,悟飯に関しては元から満身創痍なのも相まって既に絶体絶命なピンチを迎えていた。

 

「グうううっ!! なんてパワーだ……ッ!」

「ザコが……消え失せろッ!!」

 

 そんな兄弟を鬱陶しく薙ぎ払い,ブロリーは悟飯の顔面に強烈なパンチを食らわせる

 

「グあぁッ!!」

「兄ちゃん! クソ!!」

 

 地面へと落ちていった兄の仇を撃つために悟天は超高速の打撃を与えるが,ブロリーはその身体を一歩も動かさずに醜悪な笑みを浮かべていた。

 

「なっ?!」

「この程度か?」

 

 この悟天の戦闘力は老界王神の潜在能力を解放する儀式を受け,魔人ブウがデブの魔人ブウを吸収した時の魔人ブウよりは戦闘力をあげている。

 ナルト達の世界で光輝が戦ったブロリーならば悟天も勝つことが出来た。しかし,このブロリーは……

 

「死ねッ!!」

「うわあああ!!」

 

 ブロリーの一喝と共に食らわされた剛拳が悟天の脳天にぶち当たり悟飯の所へと叩き落されてしまった。既に2人とも血まみれで,瀕死の状態だ。

 

「あのブロリー……一体いつの……」

 

 悟飯がこちらを見下ろしているブロリーに呟く。あのブロリーの強さは尋常じゃない,初めて会ったころのブロリーなら超サイヤ人4に変身出来る悟飯がいれば,いくら満身創痍でも倒せたと思う。

 だがこのブロリーは既に魔人ブウの力を越え,否……もしかしたら一星龍にも匹敵するかもしれない。それでもまだ超サイヤ人4に変身していないだけマシなのかもしれない。

 

「ザコが,纏めて葬ってやる!!」

 

 だが,今はそんな事を考えている場合なんかじゃない。まだ悟空達は一星龍,そしてトッポやピッコロ達も自分達の敵とそれぞれ戦っている。

 今ここでブロリーに敗北すれば大混戦で滅茶苦茶になってしまう。そうなれば光輝の世界を救えるものが誰一人としていなくなってしまう。それだけは何としても避けなければならない。例え身体がズタボロになろうが,今ここで立ち上がらなければならないのだ。

 

「死ねッ!!」

 

 だが無情にも,ブロリーはエネルギー弾を悟飯と悟天の元に発射した。悟飯は後ろで気絶してしまっている悟天を一度見た後,捨て身の攻撃であれを相殺しようと考えた。

 つまりは……死ぬ気だ。

 

 

(父さん,ベジータさん,トランクス,悟天にお爺ちゃん,光輝君……後は頼む!)

 

 

 そう考え,ブロリーの攻撃を相殺する為に動こうとした瞬間……目の前に唐突に現れた2人がその巨大な気の塊を同時に放ったエネルギー弾によって軌道が悟飯と悟天から逸れ,悟飯が気が付いた瞬間その逸れたエネルギー弾による大爆発の衝撃が悟飯に襲って来た。

 

「なっ……何だ?!」

 

 衝撃波を腕でガードしながら,その腕の間から現れた2人を見ると……ハッと眼を見開いた。

 懐かしい亀仙流道着に,これまた懐かしい青のタイツにバトルジャケットを着ている2人の最強サイヤ人。もちろん,悟飯もこの世界に来た時には別の時代の悟空達を見かけたこともあるが,この2人はそのどれもと時代が違い,また戦闘力も桁が違っていた。

 

「とう……さん,それに,ベジータさん」

 

 悟飯が呼ぶと,二人は同時に振り返り悟空が微笑んでいた。

 

「よくやったな悟飯,ここまでよく持ちこたえてくれた」

「ふんっ……お前がそこまでやられるとは,相当な化け物のようだな」

 

 そう言ってベジータは上空でいきなり現れた悟空とベジータを見下ろし悪魔のような笑みを浮かべていた。しかし,悟飯は張り詰めていた緊張の糸がとれてしまったのか膝を付いた。

 

「悟飯,おめえは悟天を連れて遠くに離れてくれ」

「は,はい! 父さん,ベジータさん,お願いします!!」

 

 しかし満身創痍でもまだ体は動くので悟天を抱え,その場を離れた。それを見送った悟空は上空に佇んでいるブロリーへと眼を向ける。

 

「カカロット……カカロットォ──ッ!!」

 

 臨戦態勢のブロリーを見据え,その気が未だに膨れ上がっているのを感じ取った2人は冷や汗を流しながら会話した。

 

「カカロット,仙豆を持ってきているか」

「悪いけんどねえ」

「チっ……遊んでる場合じゃないな」

 

 そもそも仙豆を持っていたら悟飯に食べさせて戦線復帰させている。ベジータもその事に気が付き舌打ちした後ブロリーを見据える。今の彼をしても,無限に気を高め始めているブロリーを脅威だと考えているのだ。

 普段は1対1に拘る彼らだが,今はそんな事に拘っている場合じゃない。

 何故ならこの戦いには光輝が産まれた世界の存亡がかかっている。今ここで一つの戦場で敗北してしまったら待っているのは全ての破壊。

 

「行くぞベジータ!」

「ふんッ!」

 

 叫んだ2人が同時に変身したのは超サイヤ人ゴッド,光輝も変身したサイヤ人の神の変身だ。2人の髪が紅く染まり燃え上がる闘志がブロリーを見据える。

 

「カカロットォ!!」

 

 駆け出したのは同時,ブロリーが超サイヤ人3特有の稲妻を纏いながら2人に向けて飛び出すとそれを迎え撃ったのはブロリーの一番の狙いでもある悟空。

 

「はああああ!!」

 

 ブロリーが大きく振るった剛拳に合わせるように自分の拳をブロリーにぶつけ,それによって宙で衝撃波が広がる。ブロリーに合わせた一撃だが,お互いに力は互角。どれだけ押し合いをしようとも動かない事に悟空は舌打ちをし,その拳を逆に退くことでブロリーの重心が乱れ,前のめりに倒れる。

 それでもブロリーは強引に悟空に殴りかかろうとするが,悟空はそれを身体を捻りながら避け,その殴って来た腕を取った

 

「おりゃああ!!」

 

 それを背負い投げで地面へと投げた。

 

「クっ!!」

 

 投げ飛ばされたブロリーはキッと悟空を睨みつけ,地面を逆に蹴って再び悟空に迫る。そうして迫っていた悟空はニッと笑みを浮かべた後,瞬間移動で姿を消した。

 それに眼を見開いたブロリーが見たのは巨大な光弾を作っていたベジータの姿

 

「喰らえ!!」

 

 ベジータのビックバンアタックは急スピードで向かっていたブロリーを飲み込み,大爆発を起こした。

 それを離れた場所で見ていた悟飯は呟いた

 

「凄い……あのブロリーを相手に全く負けていない」

 

 サイヤ人の神……その名に相応しい戦闘力が着実にブロリーを追い込み始めていた。ビックバンアタックの大爆発から抜け出してきたブロリーをベジータは強力な気弾を放ち牽制する。

 ブロリーはそれを自らの頑丈な肉体で強行突破するが,ベジータはそれを把握していたかのように一発更に強力な気功波を放ちブロリーを押しとどめた。

 

「ぬうううう!!」

 

 憤怒を浮かべベジータを見ていると,ブロリーの真正面から悟空が現れた。

 

「カカロット!」

 

 ブロリーはその脳天に一撃振り下ろすも,悟空はそれを腕を頭の上に置くことで完璧にブロッキングし逆にそれを振り払う事でブロリーの胴体を晒す事に成功した。

 その隙を見逃すはずなく,その頑強な肉体へ練り込むような一撃が突き刺さった

 

「グうううっ?!」

 

 今のブロリーからしても重い一撃にとうとう動きが止まった。そこが好機と言うように悟空は更に連撃を加える。一撃一撃が超サイヤ人3とは比べ物にならない程のパワーを持っており,普通の攻撃ならダメージを及ばないブロリーを相手にも着実にダメージを与える事が出来ている。

 しかし,悟空は同時に違和感も持っていた。

 

(なんだこいつ……まだ何か)

 

 それは,このままではブロリーが弱すぎると言う事だ。

 確かに今のブロリーは超サイヤ人3になっていたり,元からのポテンシャルも合わさり満身創痍の悟飯や,悪の魔人ブウに勝てる程度の悟天なら敵わないだろう。

 だけど最初は今もう1人の自分が戦っている一星龍に匹敵するほどのパワーを感じていたのに,これではまるで……

 

「カカロット」

「——ッ?!」

 

 低い声で呟かれた瞬間,悟空は悪寒を感じ連撃を辞めて一歩下がろうとしたが,その前に悟空の身体をブロリーはがっちりと拘束した

 

「なっ?!」

「カカロット!!」

 

 ベジータが援護するようにブロリーへ蹴りを入れるが,先程まではダメージを受けていた筈なのに今度はその蹴りを全くのノーガードで受けていた。

 

「何だとッ?!」

「邪魔だ!!」

 

 そのままベジータに顔を向け,両手は悟空を拘束しているからエネルギー弾なんて撃てない……とそんなはずが無く攻撃を終え隙を晒してしまったベジータに口からエネルギー波を放った。

 

「ぐぁあああ!!」

「ベジータ! うわあっ?!」

 

 ブロリーによって吹き飛ばされたベジータを心配した悟空だが,次の瞬間に襲ってきたのはブロリーの強烈な頭突きだった。頭蓋を砕くような一撃に悟空ですら一瞬白目をむいた。

 しかしブロリーの攻撃はまだ終わりでなく,その後何度も頭突きを食らわした後悟空を宙に放り投げエネルギー波を食らわせた。

 

「フフフ……フハハハハハ!! カカロット……カカロットォ──ッ!!」

 

 歓喜するように叫んだブロリーの周囲に稲妻が迸り,莫大な気が身を包み始めた。悟空とベジータはそれを堕とされた地上から見上げる。

 

「奴め,出鱈目に気が上がってく!」

「ああ,オラ達がちんたらやってるとやべえぞ!」

 

 そう考えた2人は地上からそれぞれエネルギー波をブロリーに放つが,ブロリーの周りにバリアが現れ2人の攻撃を完全に無効化する。それだけならばまだしも,先程から高まっていた気が更に急上昇を始めそこらの有象無象では感じ取ることが出来ない程の馬鹿でかい気になっていく。

 

「お,おいカカロット!」

 

 そのブロリーの姿も,二人が見覚えのある姿へと変身していく。

 上半身は赤い体毛に覆われ,更に筋肉は肥大化して尻尾まで紅くなる。

 

「もう1人のオラが変身してた超サイヤ人か……」

 

 その暴力的までな金の気は,徐々に空からまとわりついて来た黒の気を一緒に纏い始めブロリーの戦闘力が天井知らずに高まっていく。

 超サイヤ人4,そしてシーラスの影響を受け更に邪悪なパワーアップを果たしたブロリーは,邪悪な笑みを浮かべたまま手を悟空へ向けると……

 

「——ッ?!」

「カカロット!」

 

 そこから放たれたエネルギー波を悟空は見切る事が出来ずにまともに巻き込まれて吹き飛んで行ってしまった。その悟空へ声をあげたベジータだが,次に前を向いて瞬間頭を鷲掴みされた

 

「グぅ?! この化け物め!!」

 

 ゴッドの気を吹き上がらせ,強烈な蹴りをブロリーに放ったが,その蹴りを受けたブロリーはケロッとしていた

 

「なんなんだ今のは?」

「ぐあああああっ!!」

 

 代わりにとばかりにベジータの頭を掴んでいた力を強めベジータは絶叫を上げる。ゴッドの気が露散し,余りの痛みにベジータの変身が解けてしまった。

 そんなベジータを助けるためにブロリーの側面に現れた悟空は,その頬へ強烈無比な一撃を加えるが

 

「なっ?!」

 

 二ィと口元を笑みに浮かべたままブロリーは全くのノーダメージ,そして次の瞬間鷲掴みにしていたベジータを悟空の元へと投げつけ2人は体勢を崩した。

 

「死ねえっ!!」

 

 そんなあからさまな隙を見逃すブロリーではなく,エネルギー波を2人めがけて放ち悟空とベジータの姿はそのエネルギー波に飲み込まれていった。

 

 

 ★

 

 

 カンバーと,光輝が激突している荒野でハーツは冷静に状況を分析していた。

 空でぶつかる闇と蒼赤……凄まじいパワーの激突に大地が揺れている。

 

「素晴らしいパワーだ。あの精神と時の部屋という所でこれほどのパワーアップを果たすとは」

 

 そう呟いたハーツに答えるように,空で消えては現れの激突を繰り返していたカンバーが大きく体勢を崩しながら現れた

 

「ぬぅぅ?!」

「はっ!!」

 

 光輝は最初の激突以降,界王拳を使うの攻撃する瞬間だけに留めた。瞬間的に上がるスピードとパワーにカンバーが対応できなくなってきていた。

 今も一瞬パワーを上げた光輝の打撃にカンバーの打撃が押し負け,体勢を大きく崩す事に成功した。その隙を見逃さず光輝はカンバーの腹部へ強烈なエルボーを食らわせカンバーはなすすべもなく地上へと落ちて行った。

 

「き,貴様……!! 何故これ程のパワーアップを……何故偽物である貴様に押される!!」

 

 上手く着地したカンバーだが,信じられないとばかりに目の前に降り立った超サイヤ人ブルーを進化した姿を見せている光輝へ叫ぶ。それを光輝は進化した姿から,ただの超サイヤ人ブルーに戻りながら答えた。

 

「本物であるお前に言わせれば確かに俺は偽物だろうよ。だが偽物が本物に勝らないと誰が決めた」

 

 光輝は言いながらバリアーの代わりに千鳥を身体に纏わせる。

 

「たわけ!! 邪悪を失ったサイヤ人の貴様など取るに足らん存在だ!!」

 

 それを自分が証明する,そう叫ぶように赤黒い気が爆発的に高まり始めカンバーの上半身の服や拘束具が消し飛び,上裸になった。その爆発的に高まった気をひしひしと感じながらも光輝は眼を細めただけだった。

 

「この俺こそが本物の戦闘民族サイヤ人だ!!」

 

 カンバーの言う邪悪さ,それこそがサイヤ人の本質とそれを表すように周囲を赤黒い気で染めていく。それを見た光輝は小さくため息をついた後再び向き直った。

 

「邪悪さこそがサイヤ人の本質だと? 違うな」

「ぬぅ!」

 

 カンバーの言葉を吐き捨てた光輝は,超サイヤ人ブルーの気を纏いながら心を穏やかに,そして気を荒々しく高めながら続けた。

 

「サイヤ人の本質とは戦い続ける事だ! ただ己の信じた信念を,誇りをかけて戦い続ける事だ!!」

「この気は……まさか?!」

 

 ハーツが信じられないとばかりに呟くが,そんなハーツに答えるように光輝の周りには先程までの進化した超サイヤ人ブルーや,界王拳ともまた別種の気が溢れ出していた。

 それは真っ黒でありながらも,その中には温かみが……西沢光輝という人間性を表すかのような光が迸っていた。

 

「貴様の言う”本物”など,それこそ取るに足らん!! 俺は,俺の信じる力で……貴様をぶっ倒す!!」

 

 そう叫んだ光輝から放たれた蒼の光は,カンバーが包んでいた世界を一瞬で露散させ……次にカンバーとハーツが眼を開けた時には先程までの超サイヤ人ブルーを進化させた姿とはまた違う,新しい超サイヤ人ブルーに変身していた光輝の姿があった。

 

「カンバーの気を……暴走させる事なく我が物にしたというのか?!」

 

 カンバーの悪の気,それを媒介にパワーアップを遂げた光輝の姿。普通のカンバーの悪の気を受けたものは心が破壊され暴走してしまう。

 光輝も一度暴走した……が,その強固の意志の力で一度は取り込んで見せた光輝が出来ない道理はなかった。それに,光輝に言わせれば……

 

「ベジータさんに出来て,弟子である俺に出来ない道理はない!!」

 

 この変身をしてみせた,精神と時の部屋でのベジータの姿を浮かべ……遠くで今の自分に近い気を発している本人の気を感じ取り思わず笑みがこぼれる。

 光輝がカンバーと共に戦っている中,ブロリーによって吹き飛ばされた2人の爆心地では一気に煙が晴れ立っていたのは,光輝のようにカンバーの悪の気を完全制御し膨大な力を纏っているベジータ,そして……

 

「カカロ…ット?」

 

 その存在を見たブロリーが,本当に本人なのかと一瞬本能的に思ってしまうほどの静けさを纏った銀の煌めき……地上からブロリーを見据える山吹色の道着の戦士。

 彼の瞳が銀色に染まった時,ぶわっと気が溢れ出し白銀の気が悟空の髪へ入って銀髪に変色した。

 カンバーとブロリー,2人の最凶のサイヤ人を前に新たな姿を見せた3人のサイヤ人は同時に目の前の相手へと肉薄した!! 

 

 




お疲れさまでした!

光輝VSカンバー,悟空・ベジータVSブロリーです。
タイトルの受け継いだ誇りと力とは,超サイヤ人ブルー進化(誇り),そしてそれに界王拳(力)を重ね合わせるというハチャメチャパワーアップでございます。
おまけにそれだけに飽き足らず暴走制御も披露でございます。なんだこのハイブリッド戦士()。

しかし,これで光輝はようやくと言っても可笑しな話ですがゼノ戦士達と肩を並べて戦えるまでに進化しました。
本作品の設定では倍率にもよりますが,超サイヤ人ブルー(進化・界王拳)≧超サイヤ人ブルー(暴走制御)。ただし,体力消費は進化・界王拳の方がずっと激しい設定です。でも,光輝やろうと思えばこれにリコレクションブレイブまで足せるんですよね…。

次回でカンバー,ブロリー戦は終幕です!




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サイヤ人大激突

おはようございます。
今日でカンバーとの決着です。では!


 ハーツは余りの衝撃に口を半開きにしたまま彼を見ていた。

 超サイヤ人ブルーの蒼色の神の気,そしてそんな神の気が包み込むように邪悪な真っ黒な悪の気が彼の周りには蠢いていた。力を使っているからか,彼には血管が所々浮き上がっていたが,それも彼が深呼吸1つすると落ち着き蒼と黒の瞳でカンバーを見すえた。

 

「待たせたな,まだこの変化には慣れてないんだ」

「貴様……その力は!」

 

 独り言に近いそれに光輝は答えず,カンバーに向けて踏み込んだ。

 

「……ッ! 偽物が!!」

 

 流石と言うべきなのか,カンバーは見事に反応し拳をぶつけ合った。その瞬間に火花が飛び散り2人の間に小さな嵐が吹き荒れる。

 

「俺は……確かに偽物だ。願い玉でサイヤ人になった俺は,お前からすれば贋作でしかないだろう」

 

 そう言いながら膝蹴りを放つ。それを同じ膝で受け止めるカンバーには初めて会った時のような余裕は微塵も無かった。何故なら,今この超サイヤ人3状態でのフルパワーがカンバーにとっての最強形態。

 それなのにもかかわらず,その力を持っても押し切れずなんなら

 

(こいつ……,まだ本気じゃないというのか?!)

 

 光輝の瞳に宿る闘志が,まだこんなものではないと雄弁に語っていた。

 

「だけど!!」

 

 次の瞬間,蒼黒の気が燃え上がり拮抗が崩れ知らない間にカンバーの頬に光輝の拳が突き刺さっていた。

 

「ぬぅ?!」

「お前がそう言うのなら受け入れよう,俺は偽物だ。だけど,俺が貰って来たものは全部”本物”だ!!」

 

 愛美,櫂さん達,キリト達,悟空さん,ベジータさん,悟飯さん,悟天さん,トランクスさんにバーダックさん……今まで俺に出会ってくれた全ての人達。

 苦い記憶もある。死にたいと思ったこともある。それでも……そんな俺に絆をくれた,愛情をくれた,技をくれた。思い出をくれた。

 

「そして……”誇り”と”力”を貰った!! それが全て偽物? 否,断じて違う!!」

 

 カンバーの腕のガードをブレイクしながら苛烈に攻め,いつしかカンバーはそれらの攻撃に対応できなくなり始めていた。

 

「偽物だというのなら言うが良い!! お前が言う”偽物”の力で,俺は”本物”を打ち砕く!!」

「ぐおっ?!」

 

 叫び,強烈なボディブローがカンバーの肉体に突き刺さりカンバーは大きく眼を見開いた。その重さは以前戦った時の比ではなく,もしも超サイヤ人3じゃなかったら一瞬で戦闘不能に追い込まれるレベルの一撃だった。

 偽物が,本物を打ち破らんと高めた力……カンバーはサイヤ人の誇りとしてそれを断じて認められなかった。ただ高いプライドだけでその痛みを我慢し,反撃に剛腕を振るった。

 

「うおおおお!!」

「ふっ!」

 

 それをすれすれで躱すと,同時にがら空きとなった胴めがけて回し蹴りを放ち蹴り飛ばした。カンバーは何とか両足を地面につけブレーキをかけてとまることが出来た。忌々し気に蹴り飛ばした本人を見ると,どこか冷徹な目でカンバーを見据えていた。

 

「その力を使いこなすというのか……貴様のような贋作が!!」

 

 自分の悪の気を受け,一度は心を破壊したのに……彼はその悪の気を暴走することなく我が物とした。最初そうされた時,悪の気を我が物にした光輝をカンバーは邪悪だと言った。

 だが……今は違う。光輝を戦士として認めたからこそ,”サイヤ人”として認める事が出来なかった。

 

「そうだ! だからこそ,俺はお前に勝てる!!」

「たわけ! 貴様にサイヤ人を語る資格などなし!!」

 

 悪と蒼黒,二つの気は中央で再び激突する。

 カンバーの凄まじいパワーのパンチを,光輝は真っ向から打ち返す。弾かれたのはカンバーの拳,体勢が崩れたのを見逃さずそのまま回し蹴りで吹き飛ばす。

 岩石を突き抜けたカンバーをそのまま追いかける。ハーツもそれを追いかけた。

 

「うおおお!!」

 

 吹き飛ばされながらもカンバーは気で作った真っ黒な手を光輝に襲わせる。それを見た光輝は左右の手に気弾を作りぶつけ相殺し,そのままカンバーを追った。

 

「クソおおおっ!!」

 

 今度は無作為に気弾を放ちまくるが,光輝はあえてそれを避ける事はせずそのまま気弾の嵐を突っ切りカンバーの眼前に現れた。

 

「これで……決める!!」

 

 そう言った直後,カンバーの頬を更にぶん殴り吹き飛ばした。それを更に追いかけ,今度は上空へと吹き飛ばす。

 

「これが俺の全てだ! カンバー!!」

 

 それを見送った光輝はブレーキをかけてとまると,両手を広げて自分の気を解放する。吹き飛ばされた体勢が起き上がったカンバーがそれを見ると,両手に巨大な光弾が浮き上がっていた。

 その光弾の持ち主の燃え上がる闘志を秘めた眼を見ると……カンバーの中には不思議と憎悪よりも上回った感情があった。

 

「良いだろう……決着をつけてやる。うおおおお!!」

 

 金と黒が合わさった莫大な気がカンバーを包み込み,一時的にその戦闘力を増幅させる。

 

「全て消し去ってやる!」

「やってみろ!!」

 

 カンバーを包むように4つの気が現れ,それを集約したカンバーと……二つの巨大な光弾を中央で合体させ腰だめに溜めた光輝の2人は2人の気が付かない内にその口元を笑みに変えていた。

 だが,直ぐにその笑みを引っ込めると叫んだ

 

 

「ハードデザストルゲイザー!!」

「ファイナル……!!」

 

 

 放たれるは漆黒の気,迎え撃つのは溢れんばかりに高めた光の気。あのブロリーをも打倒した光輝が使える中で最強クラスの威力を誇る技。

 2人の偉大な師匠から受け継いだ必殺技。

 

 

「かめはめ……波ぁあああ!!」

 

 

 瞬間,それを見たカンバーには幻影が見えた。

 贋作だと思っていた戦士の背後に立つ,今の彼と同じ姿になっているバトルジャケットを着こんだサイヤ人の王子と,山吹色の道着とその姿を白銀の姿に染めた地球育ちのサイヤ人の姿が。

 そう認識した途端,ハードデザストルゲイザーと彼の必殺技がぶつかる寸前彼が纏う気が蒼黒だけじゃなく……さっき見た燃え上がるような真紅の気も吹き荒れて……カンバーは口元を笑みに変えながら──意識が吹き飛んだ。

 

 

 ★

 

 

 その気を感じた2人は揃いも揃ってニッと微笑んだ。向こうで戦っている1年間共に過ごした戦士の勝利を確信したからだ。

 

「やったな……光輝」

「フンッ,この位出来て当然だ」

「その割には嬉しそうな顔してっぞ」

「うるさい。それよりも……」

「ああ……やっぞベジータ」

 

 団欒の雰囲気を一瞬にして険しい顔に変え,空で此方を見下ろしている悪魔を見上げる。

 今の奴は超サイヤ人4,そしてその超サイヤ人4をシーラス達がダメージエネルギーと洗脳技術によりさらに強化された全ての次元を含めても最強クラスのサイヤ人。

 

「カカロット……カカロットォ!!」

 

 だが,それを迎え撃つのもまた最強クラスのサイヤ人達。猛き雄叫びで気を増幅させたブロリーを見据えた悟空は反対の静かなる闘気で武空術で浮き上がり……一瞬にしてブロリーの目の前へ現れた。

 

「——ッ!!」

 

 その余りに静かな挙動からの接近に,今までの悟空とは違う何かを感じたブロリーは大きく眼を見開いた。だが,次の瞬間には雄叫びを上げながら悟空へ殴りかかっていた。

 

「うおおおお!!」

 

 だが,その拳は空を切る。ブロリーの視界から悟空の姿が消えたのだ。そして次の瞬間には背後から凄まじい衝撃が襲いかかり,ブロリーは地面へと叩きつけられた。

 

「ぐうっ!?」

 

 しかし,それでもブロリーは直ぐに立ち上がる。だが,そこに再び悟空の姿は無かった。

 代わりにベジータが目の前に現れていた。

 

「時間がない,さっさと終わらせるぞ!!」

 

 今この時も様々な時代と次元が危機に瀕している。今ここでブロリーに割く時間はないと気合を入れ,ブロリーと激突する。

 ブロリーの脅威は,その巨大な肉体から放たれる物理的な破壊力と無限にも等しい気の上昇。まさに悪魔を自称するほどの持ち主だ。長引けばジリ貧になってしまうのは眼に見えていた。

 

「ザコが……ッ!!」

 

 おまけに過去光輝がしたように一気に大ダメージを与えない限り何度でも蘇ってくるタフさも,当時の光輝ももう嫌だと思ってしまう程のものだった。

 そしてそれ自体は悟空とベジータも同じだった。だからこそ……

 

「一気にきめっぞ!!」

 

 ブロリーの前に見失っていた悟空も現れ,悟空とベジータの同時攻撃がブロリーを襲う。

 一糸乱れぬ……ではない連携。光輝が言うように2人はお互いが噛み合うような連携攻撃をする事は出来ない。というかしない。だがそれ故に強力な波状攻撃となってブロリーと互角に打ち合う事が出来ていた。

 

「ぬう!」

 

 ブロリーは押し切れない事に奥歯を噛みしめて強引に2人に攻撃を当てようと剛腕を振るった。それをベジータはその場から消える事で,悟空は振り払われたギリギリを背中を反らす事で躱す事に成功した。

 しかし躱される事など分かっていたのか,はたまた闘争本能なのかすぐさま悟空へ追加の攻撃を振るう。

 

「カカロット!!」

 

 しかし,悟空はそれらの攻撃を全て完璧に避け続ける。ブロリーの攻撃が遅いわけではない。2mを越える巨体になったとしても,そのスピードは超サイヤ人4に相応しい瞬発性を伴っている。

 おまけにブロリーの真骨頂とも言えるパワーもこの世界では上から数えた方が早いまでのパワーであり,一撃一撃がまさに必殺の域に達している。

 実際,このブロリーの攻撃を今の光輝が悟空のように避け続けようと思ったら相当無理な動きをしなければならないし,凄まじいパワーの拳が何度も迫ると考えればそれを避け続けるプレッシャーがどんなものなのか考えるだけでも恐ろしいものだ。

 

「……!」

 

 だが逆に言えばブロリーの攻撃は当たらなければ何も問題は無い。それがどれだけ速かろうと,”当たらなければどうと言う事はない”のだ。そしてこの身勝手の極意は弾かれる度に強く,鋭い攻撃を放つようになる。

 だから大きくハンマーのように両手を悟空に叩きつけようとしたブロリーの攻撃を,真正面から受け止めるのではなく直ぐ右に身体をスライドさせるように躱し,膝がブロリーの腹部がぐにゃりと曲がるほどに突き刺さり苦悶の表情を浮かべた。

 

「ぐおっ?!」

 

 普段のブロリーならこの程度の攻撃などノーガードで受けてもなんら問題がない筈だった。

 

「ふんっ!」

 

 そこに悟空が追撃とばかりに追撃を加えていく。殴る蹴るといった無駄な動きはなく,的確に急所を捉えて確実にダメージを積み重ねていく。

 勿論ブロリーとて何もしない訳じゃない。もはやダメージ覚悟で何度も殴りかかろうとするが,悟空はそれをまるで蜃気楼かのように,本当にそこにいたのかすら分からないほど鮮やかに,滑らかに避けていき何故か気が付いたらブロリーの腹部にはいくつもの打撲痕が出来上がっていた

 

「——ッ!?」

 

 ブロリーは悟空を掴もうと腕を伸ばしたり,蹴りを入れたりするがどちらも悟空は最小限の動きで避けてしまう。

 

「うおおおおお」

 

 ブロリーの攻撃を全てギリギリまで引き付け,そして紙一重で躱す事でそのパワーを逆に利用し,攻撃に上乗せしてカウンターとして当てていく。

 だがそれでもブロリーは攻撃を止めない。闘争本能のままに悟空を殺そうと襲い掛かる。

 

「カカロット!!」

「はあっ!」

 

 悟空はブロリーを倒そうと何度も攻撃を仕掛ける。ブロリーはそれを受けながらも反撃する。だがそれを避けられてまた殴られる。一方的に殴ろうとも避けられ,そしてカウンターで殴られたりするのだ。

 

「く……っ」

 

 その度にブロリーの脳に痛みが走る。身勝手の極意による,相手の急所を狙う攻撃,更には自動的に攻撃を避けるまさに攻防一体の神の御業は……着実にブロリーを追い込み始めていた。

 

「時間がねえ,一気に決めっぞ!!」

 

 それを好機と見るや,悟空は一瞬で身勝手の熱気を放出した。

 

「はあああっ!!」

 

 そしてブロリーの攻撃を躱しながら,悟空はさらに気を高めていく。

 

「な……っ」

 

 その凄まじい気の上昇にブロリーも思わずたじろいだ。だがそれは恐怖ではなく,闘争本能によるものだ。この程度で自分が負けるはずがないという絶対の自信がブロリーにはある。だから怯んだりはしない。

 

「カカロットオオオ!!」

 

 だからこそ,負けなど認められない。

 自分が殺す人間に,負ける訳などないとブロリーは己の赤黒い気を震わせて上空へ飛んだ。

 そしてその右手にそれだけで世界を揺るがすエネルギー弾を形成する。それを見た悟空も両手を揃え,腰だめに気を溜める。

 

「今……楽にしてやる」

 

 そしてブロリーがエネルギー弾を投げるのと,それを見ながら悟空は己の力を両手に集める。

 

「か……め……は……め……」

「死ねえっ!! カカロット!!」

 

 呪詛の声を聞きながら悟空は気を溜めて睨みつけるようにブロリーを見据え,溜めたその気を解き放った。

 

「波あああああッ!!」

 

 悟空から放たれたかめはめ波と,ブロリーの巨大なエネルギー激突によって辺り一帯は光に包まれた。

 

 

 ★

 

 

 その影は上空の煙の中から舞い落ちるように降って来た。もう上半身はボロボロ,長い黒髪に戻った奴は受け身もままならない程のダメージを受けて地面へ落ちて来た。

 それを見届けた俺は超サイヤ人ブルーの変身を解くと同時にビックリするくらいに脱力感が襲ってきて俺も地面へ落ちながら膝をついた

 

「はぁ……はぁ……」

 

 カンバーの悪の気を,超サイヤ人ブルーのまま完璧にコントロールすることはあの精神と時の部屋でベジータさんがやってくれたものを自分のものにしたことだ。

 奴が言う”邪悪な力”を飲み干して自分のものにする。”サイヤ人とはなんなのか”を考えるきっかけになった力だった。

 

「俺の……勝ちだ,カンバー」

 

 この言葉が聴こえているのか分からないが,目の前であおむけに倒れている男に向かってそう言う。男は戦う前よりもなんだか嬉しそうな顔をして空を見上げていた。

 そんなカンバーにハーツが近づきながら俺に言ってきた

 

「見事だ……あの力を使いこなして俺の想像以上の力を見せてくれた」

「……そりゃどうも」

 

 正直,最後のファイナルかめはめ波の時にはカンバーを完全に上回る為に界王拳の一瞬の上乗せなんてやっちまったから体にはがたがき始めている。もしも今ハーツとやりあうのなら……正直あの力を使わないと勝算がない。

 

「安心してくれ。今君とやりあう気はないよ」

「心読めるの忘れてた。それならありがたいね」

 

 心底思いながら見ていると,カンバーはゆっくりと上体を起こしてその獣のような黒い眼で俺を見据えた。既に戦意を感じず,初めて会った時よりもずっと穏やかに感じた。……まあ,それでカンバーが良い奴に変わったかと言われれば別にそうでもないと思うんだが。

 カンバーは俺と視線を合わせ,ゆっくりと口を開いた。

 

「貴様にとって,”サイヤ人”とはなんだ」

「俺にとってのサイヤ人……」

 

 その問いの意味は今更考えるまでもないだろう。サイヤ人の根源とも言えるこの人は知りたいんだ。自分とそれ以外の,サイヤ人の存在が何なのか。

 これで何かが変わる訳でもない。

 だけど,俺にとってこの1年間で考え続けた俺の答えを今伝えたい。

 

 

「”力”と”誇り”だ」

 

 

 俺にとって,大事な人達を守るための力の1つ。例え俺がサイヤ人じゃなくて地球人だったとしても,俺は守り抜く”力”できっと戦っていた。少なくとも,笠木と戦った時の俺はまだ地球人だった。

 そして今の俺にとっての力の1つがサイヤ人としてのもの。

 そのサイヤ人としての存在に誇りを持っていたベジータさんを見て来たからこそ,名前という記号だと思っていたサイヤ人としての誇りを俺は持つことが出来た。

 俺の師匠が,サイヤ人の王子が俺をサイヤ人として認めてくれているのならそれが誇りと言わずとして何だというんだ。

 

「限界を超えて極め続ける力と,己の力を信じ続ける誇りが……俺にとってのサイヤ人だ」

「力……誇り,か」

 

 既に口元の拘束具も外れ,その表情も伺う事が出来るカンバーの言葉を光輝は静かに見ていた。ハーツもカンバーがどのようなことを言うのか興味があるのか彼をじっと見つめている。

 だが,カンバーの中でなにか心境の変化があったのかふっと小さな笑みを浮かべて

 

「ふっ……邪悪なオーラさえ,その力と誇りに変えるとは……見事だ……同胞」

 

 穏やかな顔でそんな事を言われるとは思っていなかったから自分でもわかる位呆けた顔をしてしまったけれど……不思議と同胞と呼ばれたことに嫌悪感は無かった。

 こいつを倒す為に躍起になった精神と時の部屋に入った頃の俺なら嫌悪感で沢山だっただろうに,改めて拳を交え,カンバーなりの誇りを垣間見て潔く敗北を認めたこいつにこれ以上何かを言うことなど毛頭なかった。

 否,初めて心の底から俺の強さを認めたと分かる台詞に柄にもなくはしゃいでるのかもなと,一言だけ言う事にした。

 

「……あんたも,間違いなく強かったよ」

 

 不思議とこの瞬間だけ,あれだけ殺し合いをしていた俺達の間に何とも言えない繋がりが出来たのを感じた




お疲れさまでした!
カンバーって自分以上に強い人間は素直に認める人間だと思っているので,最後は光輝と和解しました。

そしてベジータさん,途中からなんかフェードアウトしてしまいましたすいません。
次回も間髪入れずに次の戦場です!
では!


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