雷の鳳は天を翔る (ルプス・ハティ)
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キャラ・機体設定

初投稿ですので生暖かい目でお願いいたします。


キャラ設定

 

刀隠社(とがくしやしろ)

 

性別:男性

 

年齢:16歳

 

適正値:SSS+

 

流派:刀隠流・蹴脚術(とがくしりゅう・しゅうきゃくじゅつ)

 

専用機:雷鳳

 

待機状態:銀のロザリオ

 

設定

 

世界で発見された2番目の男性操縦者【セカンド・ドライバー】13歳から3年程、世界を旅し、日本に帰国するなり検査され。過去最高値をたたき出し、そのままIS学園に編入、入学試験で試験官である織斑千冬と危うく殺し合いに発展しかけたが機体が大破したため未遂に終わる。(両名とも学園長からお説教された。)世界中を旅していたおかげでバイリンガルやサバイバル、はたまた料理のスキルが飛び抜けて高く、彼の料理で胃袋を鷲掴みにされる女生徒が続出するほど。両親は大手企業の「亡国機業」(ファントムタスク)の幹部で毎日忙しく世界中を飛び回っているために中々会えないでいるが、寂しい思いをさせまいと、毎日テレビ電話で通話している。

 

流派設定

 

足技に特化した流派で、これは開祖が武器を扱うセンスが皆無で、偶発的にも足技のセンスが飛び抜けて高かったために生まれた流派でもある。技名には旧日本海軍の艦名が扱われているが、代を重ねる度に「改式」や「改二式」と派生技が生まれ、社の代で「改式乙・丙・丁」や「改二式乙・丙・丁・威」や「海外艦」の派生技まで生まれた。

 

機体設定

 

雷鳳

 

世代: 第3.5世代

 

タイプ:高速近距離格闘型

 

コアナンバー:No.000

 

設定

 

束が白騎士より先に生み出した機体で、真の意味での始まりの機体。コアは早々に自我に目覚めており、マスターである社のことが大好きで。意思疎通を行うのを今か今かと待ちわびていた程。10年以上社と共にあったため、完全に社以外では歩行すら出来ない程のピーキーさを誇る。見た目はOGの雷鳳そのものだが、顔の部分は社の顔が露出している。また飛行ができないものの変わりにPICで足場を作りその上で走行や、滞空を行う。蹴り技特化のため、脚部の装甲はどの部分よりも厚く、頑丈にできていて、SEが減らないように打撃の瞬間にその部分だけSEをカットしている。首のマフラーは社の意思及び雷鳳によって自由自在に伸縮し、相手の捕縛から。巻き付け引き寄せる等の方法に用いられる。スピードに関しては現行機の倍以上の速度を出し、瞬間加速を併用すれば、一時的に各センサーから姿を消せる。

 

 

ヒロイン設定

 

セシリア・オルコット

 

ヒロインの一人、原作では女尊男卑の気が強かったが今作では、男女平等の精神を掲げている。社には所謂一目惚れをし、あまつさえルームメイトとなってしまって毎日がウハウハな状態なイギリス淑女。一応、表面は落ち着いた雰囲気のある淑女だが、内面は小躍りを通り過ぎて日夜ブレイクダンスしている。両親とは死別しておらず、仲良し親子。押せる時はグイグイ押してくるタイプなので積極的に社にアプローチを取る。

 

専用機はブルーティアーズ

 

鳳鈴音(ふぁんりんいん)

 

ヒロインの一人、社とは中国本土で出会い、一時的に一緒に生活していた。(社が路銀を稼ぐために住み込みのバイトをしていたため)その間に彼の人柄に惹かれ、再会の約束を取り付けた。数ヶ月後に彼がIS学園に編入される話を聞きつけ、政府に直談判してまで転入生として日本に渡ってきた。両親は離婚しておらず仲睦まじく生活している。

 

専用機は甲龍(シェンロン)

 

鳳乱音(ふぁんらんいん)

 

ヒロインの一人、鈴の従姉妹で。社がまだバイトしている時に面識があり、彼に胃袋を鷲掴みにされた第一号。彼が去った後に自身も台湾に戻り。代表候補生になったと同時期に彼の適正が報道され、自身もIS学園に編入してもらった。彼の作るご飯はどれも好きだが、特に魯肉飯が大好物でことあるごとに社にねだっている姿が皆をホッコリさせている。

 

専用機は白虎(バイフー)

 

シャルロット・デュノア

 

ヒロインの一人、社がフランスを旅している時に本妻から暗殺されそうになったのを助けてもらったのが切っ掛けで社にベタ惚れした。一時期彼をガチ監禁していたが、自力で脱出され、次に出会ったら既成事実まで絶対に行くと心に誓い。それからはハイライトが良く出張するようになり社に「病みロット」と命名された。

 

専用機はラファール・リヴァイブ・サーベラスC

 

ラウラ・ボーデヴィッヒ

 

ヒロインの一人、原作では試験管ベビーだったが。今作では普通のナチュラルベビーとして生を受けている。原作では眼帯をしているが、今作では眼帯をしておらず両目は先天性のオッドアイになっている。ドイツ軍「シュヴァルツェ・ハーゼ」の隊長としての初訓練で軍施設に鹿を追いかけてきた社(空腹感で周りが見えていなかっただけ)を不審者と思い攻撃するが逆に返り討ちにあい、運悪く極秘に搭載されていた違法システム「VTシステム」が発動するが。社と基地の皆の尽力で救出される。後に取り調べを受けていた社と再会。感謝の気持ちを伝えると同時に恋愛感情が芽生えた。社を絶対に婿にすると日夜頑張っている。

 

専用機はシュバルツア・レーゲン

 

更識簪

 

ヒロインの一人、社とは所謂幼なじみで幼少期のころに実姉の刀奈と一緒にお嫁さん宣言をした。日本の国家代表候補生で、目標は『銃皇無尽(ガン・スリンガー)』の山田真耶のようにあらゆる銃火器を使いこなせるようになること。

 

専用機は打鉄・弍式

 

 

更識刀奈

 

ヒロインの一人、簪の実姉で社の幼なじみ。簪と一緒に社のお嫁さん宣言をしており、以降その約束が果たされるのを今か今かと待ちわびている、絶賛恋する乙女。IS学園の生徒会長を務め、千冬と共謀し社の部屋に次々とヒロインを送り込みハーレム部屋へと昇華させた。原作ではロシアの国家代表を務めていたが、今作では日本代表を務めている。

 

専用機は打鉄・水蓮

 

 

 

 

 

 

 

アンチ設定

 

織斑一夏

 

原作主人公、表面は人当たりのいい外見をしているが、本性は他者を見下し自分は織斑千冬の弟だから何をしてもいいと思っている、腐った思考の持ち主。幼なじみである箒とは恋人同士で、学園でも好き勝手なことをやって千冬に絶縁されそうなのを知らない。

 

専用機は白式

 

篠ノ之箒

 

一夏の幼なじみで恋人。一夏以外の男性は塵芥同然と思っており、ISを作った束を勝手に恨んでいるが都合が悪くなると束の名前を出して他者を屈服させるというトンデモ人間。学園では一夏とセットで「迷惑カップル」と呼ばれている

 

専用機はなし

 




登場人物に関してはこれから増えるカモですので、気長にお待ち下さい。

誤字を見つけたので修正しました。

突然ですが、ヒロイン追加しました。

シャルの専用機を変更しました。


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第1話:雷の鳳の心境

初めましての方は初めまして、俺は刀隠社「とがくしやしろ」。世界で2番目にISを起動させた男性操縦者としてここ「IS学園」に編入してきた。ん?プロローグはどうしたって?そんなもんはない。ただ3年程世界を旅してきて、帰国するなり検査されて起動しちゃったZE☆で、学園に編入してきただけの普通の少年ですよ。にしても………。

 

社「…落ち着かねぇ…(小声)」

 

そう、ここIS学園は海の上に作られた人工島に建つ学園で。オマケにISは女性でないと起動しないってんだから必然的に集まってくるのは、女性ばかり。あ……。女性特有の甘い匂いガガガガ…。

 

???『 あの、大丈夫ですか?』

 

んあ?!危なかった。危うくSAN値が直葬されるとこだったぜ、しかし、英語?まぁ、喋れないことはない。世界中を旅している時に色々な言語覚えたかんな。

 

???『あのー?』

 

おっと、意識戻せー。お隣の女性に返事しな!

 

社『 あぁ、ごめんね。ちょっと考え事してたんだ。気分を害したなら、謝るよ。』

 

???『 いえ、大丈夫ですわ。それよりも痛みませんか?その傷とか…。』

 

あー優しい。天使かよ、傷かあ。心配されるわな、全身包帯でグルグル巻きにされてる奴が隣に座っていたら。なんでこうなったかって?入学試験で試験官と楽しい楽しい入学試験(殺し合い)をしただけだよ。しかし、絶対防御って抜けるのな。ちゃんと説明受けてねぇから知らんかったわ。つか、普通ポン刀で力いっぱい人のこと袈裟斬りにするか?もうちょい回避遅れてたら、俺両断されてたかも知れなかった。もう二度とやらねぇ…命がいくつあっても足りねぇわ。左目も危うく失明する寸前だったし、これがホントのGIRIGIRIチャンバラってか?HAHAHAHA!笑えねぇけどよ。

 

社『 ご心配ありがとう、今は痛み止めが効いてるから大丈夫だよ。えーと、ミス…。』

 

???『 オルコットですわ。セシリア・オルコットですわ。セシリアとお呼び下さいませ。』

 

社『 分かった。俺は社、刀隠社。社でいいよ。セシリア。』

 

セシリア『 はい!社様!』

 

おーほん?今なんつった?社『様』?様付けされたよ?おかしくない?初対面ですよ?身なりからして上品だなぁ、と思ってたけど様付けされるとは誰が思うよ?んー?なんか、セシリアの顔赤くなぁい?俺この顔知ってる。特にフランス辺りで………止めよう……思い出すのは………。

 

社「あ、ヤバい…。トラウマが…。」

 

やべぇよ、やべぇよ、アイツの顔がめっちゃチラついてくる。その度に脂汗が止まんねぇのなんの。あ、セシリアが心配してくれてる。癒されろ、今この状況に癒されろ!

 

???「はーい、席について下さい。」

 

良し!意識が逸らせる存在がきた!えーと?あの人は確か、学園長と一緒に説教してきた人だな。名前が…。しまった。名前知らねぇぞい。

 

???「初めまして。このクラスの副担任を務めます、山田真耶です。よろしくお願いします。」

 

クラス一同『 よろしくお願いします!』

 

良し!山田先生だな、俺覚えた!しっかし山田先生、どことは言いませんが、ご立派ですね…。っておぉぉぉい?!何?!今の?!怒気?!怒気ですか?!どこから……あぁ…セシリアですか?すいません、俺、男なもんで。そういうこととか興味あるんですよ。ハイ…すいません、自重します。

 

真耶「ハイ!では、自己紹介をお願いします。」

 

さて、貴重な自己紹介タイムだ。ん?今気づいたけど、もう一人いたんだ。なんつうか、嫌な感じだな。嫌いなタイプの人間だ。表面はいいけど、内面は見下してる。そんな奴だ。

 

???「あぁ、山田先生。すまない、職員会議が長引いてしまった。」

 

わーお、教室が一瞬でザワザワし始めたよ。しょうがないよね。俺と同じミイラ状態なんだもの、あの人試験官だった人だよな。見間違えるもんかよ、だってあのケガ俺が原因だもん。つか、担任だったんだ。

 

真耶「あ、織斑先生。大丈夫ですよ、それよりお怪我の方は?」

 

千冬「問題ない、どこまで行った?」

 

真耶「今は、自己紹介のところまで行きました。」

 

千冬「そうか、さて諸君。私は織斑千冬、この姿についてはそこのミイラ男が知ってる。」

 

おっとー?ここで俺に振るー?それよりもさぁ。

 

社「知ってるもなにも、俺をミイラにしたn???「お前かぁ!!!」」

 

え?なに?!誰?!コラ!掴むな!えぇい!離せ!離さんかい!!

 

社「イデデデデデ!!止めろ!キズに響く!揺するな!」

 

???「そんなことはどうだっていい!お前が千冬姉をこんなにしたのか!」

 

ヤバい!コイツ話通じねぇ!ヘルプ!ヘルプ!

 

千冬「止めんか!織斑!」

 

???「でも!千冬姉!」

 

千冬「織斑先生だ、馬鹿者。刀隠、ソイツは織斑一夏。私の弟だ。」

 

Oh、弟さんかよ。それなら怒る理由は分かるけど、怪我人揺するとか常識疑うわ。

 

社「なるほどね、弟さんならこの反応は分かりました。それより、そろそろ離してくれねぇか?お前さんの姉さんに斬られたキズがめっちゃ痛いんだが。」

 

そう言うと、奴さんは舌打ちをしながら俺を離して自分の席に戻ろうとして振り返ったのを確認して服装を直そうとすると突然、胸に衝撃と激しい痛みが俺を襲った。

 

社「~~~~~~~~~~~っ?!!!!」

 

何だ?何が起こった?胸が熱い、痛え、声が出ない。俺は今どうなってる?周りが騒いでる?セシリアが抱き起こして何か喚いてる?ダメだ。なんも聞こえねぇ、オマケに血が流れてんのか?身体になにかが伝う感覚がありやがる。クソ、一体誰がやりやがった。そうか…てめぇか、織斑一夏。完治したら覚えてやがれ…。意識が完全に落ちる一瞬、首から下げたロザリオがキラリと光ったのを最後に俺は意識を手放すのだった……。

 



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第2話:英国淑女の心境

小説書くのがこんなにも大変とは…。ちょっとでも楽しんで読んでいただけたら嬉しいです。


私はセシリア・オルコットですわ。今は、入学式が終わって各教室で自由時間を過ごしておりますの。そんな中私の視線はある一点に注がれておりました。それは、隣の席に座っておられる殿方ですの。制服を着崩しているのは、首もとからチラリと見える包帯から着崩している理由が窺えました。それよりも、左目に巻かれている包帯の方が私には、とても痛々しく写りました。幸い無事だった右目を彼に気づかれないように覗き込むと、それはそれはとても優しく、吸い込まれそうな黒い瞳に私は夢中になってしまいました。それと同時に胸がドクン!と力強く脈打つのを感じ私は慌てて彼から顔を逸らし、そっと手を高鳴る胸に添えて、その拍動を感じながら彼の目をもう一度覗いてみましたの、そしたら今度は顔が熱くあるのを感じスカートのポケットからコンパクトを取り出し見てみると、そこには顔を真っ赤にする自分がおりましたの。そこで私は思いましたの。

 

セシリア(私、この殿方に一目惚れしてしまいましたのね…。)

 

と、悪くない。えぇ、悪くないですわ。あぁ、良かった。

 

セシリア(あの、もう一人の殿方にはなにも感じませんもの。)

 

そう、このクラスにはもう一人の殿方がおりますの。確か名前が「織斑一夏」世界で一番最初にISを動かした男性操縦者。あの「世界最強」「織斑千冬」の弟君、私は女尊男卑ではありませんが。あの殿方は、好きになれませんわ。

 

社「…落ち着かねぇ…(小声)」

 

不意に彼が日本語で呟いたのを、私は聞きました!私はコレを話しかけるチャンスと思い声をかけました。

 

セシリア『 あの、大丈夫ですか?』

 

何やってますの?!何で英語で話しかけたのですか私は?!ご覧なさい!彼がフリーズしてるではありませんこと?!

 

セシリア『 あのー?』

 

だから!何で英語なんですの?!日本語で話しかけなさいな!日本語で!

 

社『 あぁ、ごめんね。ちょっと考え事してたんだ。気分を害したなら、謝るよ。』

 

お返事してくださいましたわ!英語で!あの、日本人特有の訛りがなく、自然な英語ですわ!しかも、こちらを思っての気遣いがとてつもなく嬉しい!今の私ならワルツではなくフラメンコさえ情熱的に踊ってみせますわ!

 

セシリア『 いえ、大丈夫ですわ。それよりも痛みませんか?その傷とか…。』

 

落ち着きなさい、セシリア・オルコット!例え心中フラメンコの如く情熱的でも、表面だけでも英国淑女を装うのです!

 

社『 ご心配ありがとう、今は痛み止めが効いてるから大丈夫だよ。えーと、ミス…。』

 

来ましたわ!自己紹介が、他の誰よりも先にこの私、セシリア・オルコットが彼のお名前を聞くチャンスですわ!

 

セシリア『 オルコットですわ。セシリア・オルコットですわ。セシリアとお呼び下さいませ。』

 

良し!さり気なく、自分の呼び方を固定出来るかもしれないように誘導できましたわ!後は彼次第ですがどうでしょう…。

 

社『 分かった。俺は社、刀隠社。社でいいよ。セシリア。』

 

ハイ、撃ち抜かれましたわ。優しく微笑みながらなんて、余計に好きになりますわぁぁ!!フラメンコなんて生ぬるい、今の私はブレイクダンスの真っ最中ですわ!!

それに、ヤシロ・トガクシ。刀隠さん?違いますわね、社さん?これでもないですわ。刀隠様、中々ですわね、社様、これですわ!そうです!社様!社様とお呼び致しましょう!なら日本には「禅は急げ」と言いますし!では早速!

 

セシリア『 ハイ!社様!』

 

キャーーーー!言ってしまいました!言ってしまいましたわ!顔が熱いですわ!コンパクトなんて見なくても、自分の顔がどれだけ赤くなってるなんて想像がつきます!ハッ!社様の顔色がだんだんと悪くなっていました。まさか!お怪我が痛みだしたのでは?!大変ですわ!えーと、この場合どうしたらいいのでしょう?!

 

真耶「はーい、席について下さい。」

 

え?彼女は私の記憶違いでなければ元日本代表候補生、銃鏖無塵(ガン・スリンガー)の山田真耶さんではないですか?え?担任なのでしょうか?

 

真耶「初めまして。このクラスの副担任を務めます、山田真耶です。よろしくお願いします。」

 

一同『 お願いします!』

 

あ、副担任でしたのね。では、担任はどなたなのでしょう?むっ!社様の視線が山田先生のどことは言いませんがご立派なモノに注がれています!同じ女性として負けてますが、何をやってあそこまでのサイズになるのでしょうか?一度聞いてみるべきでしょうか?それよりも、社様、少々ご自重下さいまし。それ以上見つめるなら私のティアーズが火を吹きますわよ?

 

真耶「では自己紹介をお願いします。」

 

ふぅ、危なかったですわ。もう少しでティアーズを飛ばすところでしたわ。しかし、あの織斑一夏。自分がどういう立場なのかちゃんと分かっているのでしょうか?社様はどうやらご存知かもしれ知れません、私達女性の場合ISを扱えるのが当たり前のことですが、社様達男性がISを扱えるというのは、全く持ってのイレギュラーで言葉は悪くなりますが「実験動物」の見方の方が強くなります。それこそ世界中の科学者、研究所が解剖してまでもなぜ男性でもISが扱えるのかというメカニズムを解明したくて堪らないのです。それを社様達は「保護」という形でここ「IS学園」に入学させたのでしょう。

 

千冬「あぁ、山田先生。すまない、職員会議が長引いてしまった。」

 

私もそうですが、教室がザワついてしまいました。社様は少し苦い表情をされておられました。一体どういう事でしょうか?

 

真耶「あ、織斑先生。大丈夫ですよ、それよりお怪我の方は?」

 

千冬「問題ない、どこまで行った?」

 

真耶「今は、自己紹介のところまで行きました。」

 

千冬「そうか、さて諸君。私は織斑千冬、この姿についてはそこのミイラ男が知ってる。」

 

 

社様の反応から薄々分かっておりましたが、一体この人たちは何をどうすればこのようなお姿になられるのでしょう?

 

社「知ってるもなにも、俺をミイラにしたn一夏「お前かぁ!!!」」

 

そう叫びながら、織斑一夏が社様の胸ぐらを掴みあろうことか、力の限り揺すり始めたのです。私も周りの人たちも止めようとしましたがあまりの剣幕に、私達は情けないことに誰も止められなかったのです。

 

千冬「止めんか!織斑!」

 

そんな時に織斑先生の一言でようやく彼の手が止まり、

納得のいかない顔で織斑先生に食いついたのですがそれさえも、何処吹く風で社様に自身の弟を紹介しました。社様は何かに納得したようで手を離すように言葉を投げかけると、周りの人にも聞こえるような舌打ちをしたがら乱暴に社様の離しました。全く、織斑先生の弟君ならもっと品性を…。と思っていると彼は、驚愕の行動を起こしたのです。

 

クラス一同『 キャーーーーー!!!』

 

瞬く間に、教室が騒がしくなりました。それもそのはず、彼…。いえ、この男は社様のキズを思い切り殴りつけたのです。殴られた痛みより、キズの痛みで席から転げ落ちるように倒れ込み、胸元をキツく握りしめるとそこから赤いシミが少しずつ彼のシャツを染め上げていくのを目視すると、私は飛び込むように倒れ込んだ彼を抱き起こして呼びかけました。

 

セシリア「社様!社様!私の声が聞こえますか?!しっかりして下さいませ!」

 

身体が熱い、まるで火に灼かれているよう。不意に今まで握りしめていた手が力を失い、床に垂れ下がり。荒い呼吸をし、大量の汗を流しながら彼は気を失いました。

 

セシリア(このままではマズい!)

 

そう考えると、私は自分の制服が血で汚れるのを厭わず。彼を背に乗せ、急いで医務室に駆け込もうとしましたが、突然あの男にその行く手を阻まれたのです。

 

セシリア「退いて下さいまし!貴方の相手をしている暇なぞありません!」

 

一夏「何言ってんだよ!ソイツは千冬姉に大怪我させたんだ!」

 

こんな問答をしている場合ではないことは重々承知しております、じわりじわりと背中に広がる感覚に焦りを感じ。

 

セシリア(こうなったら!)

 

私はティアーズのビットを一機、部分展開をして威嚇射撃を行おうと。思った矢先に…。

 

???「そこをどきなよ!弟くん!」

 

そう言いながら、教室のドアを文字通り蹴破って入ってきた人物に私達は、驚愕することになるのでした。あら、織斑一夏がドアの下敷きになられましたわね。自業自得です、同情の余地なしですわ。

 

???「イギリスっ娘!今のうちにやっくんを医務室に!」

 

セシリア「ハッ!ハイ!」

 

とにかく、今は詮索するのは後回しにして今は!

 

セシリア「社様、少し揺れますが。ご了承くださいませ。」

 

一刻も早く、社様を医務室へ連れて行くことです。廊下を全力疾走で駆け抜け、曲がり角で倒れそうなのをなんとか堪え。医務室の先生に社様を託し、私は廊下の座席に腰を降ろすと、壁からベチャッ!という異音がなりました。それは水気を含んだ布地を壁に叩きつけた時の音でした。私は恐る恐る、立ち上がりながら背後を見ると。真っ白な壁が赤い液体で濡れていました。

 

セシリア「ヒッ…!」

 

血だ、それも彼の血だ。こんなになるまで出血していたとなると今の彼の容態は?!私は知らず知らずに自分を抱き締め、震える身体を必死に抑え祈りを捧げました。

 

セシリア(お願いします。どうか、どうか、あの人をお助け下さい!)

 

その後、織斑先生とあの扉を蹴破った女性がやってきて、織斑先生が女性に目配せをすると、女性は力強く頷き医務室へと駆け込んで行きました。私も後について行こうと、足を動かしましたが織斑先生に肩を掴まれ一度部屋に戻り、着替えるようにと仰られました。私は短く「分かりました。」と伝え。部屋に足を向けると織斑先生が「アイツがいるから大丈夫だ。安心しろ。」と仰られたのを背中ごしに聞いて。少しだけ気持ちに余裕ができました。部屋に辿り着いた私は、着替えを持ってシャワールームに入り制服の上着を脱いであらためて驚愕することになりました。彼の血がベッタリと付着しているのを見て、無意識のうちに血で汚れた上着を抱き締め、知らずに涙が溢れ。その場に座り込み再び懇願にもとれるような、祈りを捧げていました。

 

彼の意識が戻った報せを聞いたのは、それから2日後のことでした。




尻切れ感が半端ねぇ、オマケに1話より文字数多くなってる。


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第3話宇宙を夢見る兎

お待たせしました、仕事の合間にちょっとづつ書いてたものを上げます。


やってくれたね、ちーちゃんの弟くんは!これは束さんも激オコ案件だよ!私の大切なやっくんになんてことをしてるんだ!まぁ、大怪我の原因であるちーちゃんにはその日に電話でお説教したけどね。

 

一夏「イテテテ、一体誰が…っ!束さん?!」

 

束「気安く呼ばないでくれるかな?弟くん、束さんは今すっごく怒ってるんだよ。」

 

いや、ホントのホントに怒ってる。殴りたい衝動に駆られてるもん、ヨシ、ゴリライズしてパンチングコングしてパンチングブラストしてやろう。うん、そうしよう。

 

千冬「束。」

 

束「何?ちーちゃん。今から弟くんにパンチングブラストしてやろうと思ってたんだけど?」

 

止めないでね、コレもう確定事項だから。

 

千冬「せめて、フィーバーにしろ。それよりも、お前あのアリス服どうした?」

 

ヨシ、ブラストフィーバーに変更だね。ちなみに私の今の服装は、上下お揃いの作業着に黒の無地Tシャツを着て。あ、作業着の上は腕まくりにファスナー全開だから。でないとねぇ…収まらないの。ナイスバディだから。

 

束「え、だって。これ仕事着だし、私これでも就職してるんだよ?」

 

おー、ちーちゃんがびっくりしてる。そりゃそうだ、私が就職なんてするハズないなんて思ってたんだね。両親なんて泣いて喜ばれたなぁ。

 

千冬「就職?!お前が?!何処にだ?!」

 

束「私?あの、亡国機業の宇宙技術開発部門兼IS開発部門に就職してるの。そこで、今はチーフ任されてるよ。」

 

いやー、おかげで毎日が大忙しだよ。会議は長いし、残業多いし、こないだなんて皆深夜テンションでISのブースターで焼肉したなぁ。後で社長にバレてしこたま怒られたけど……。やっぱり、ISのブースターで焼肉ダメ絶対。また怒られたら、お給料減らされる。それだけは絶対阻止!

 

千冬「束…。」

 

何?ちーちゃん、私の肩なんて掴んで。私そろそろ弟くんにブラストフィーバーしたいんだけど。

 

千冬「りっばになっだな。(立派になったな。)」

 

うわ!汚ねぇな!元とは言え世界最強のブリュンヒルデがしていい顔じゃないよ!あーあー、涙と鼻水で顔ヤバいよ顔。

 

一夏「束さん!」

 

あ、弟くんのこと忘れてた。

 

束「何?覚悟出来た?」

 

一夏「何の覚悟ですか?!」

 

うるさいし、そろそろ黙らせよう。えーと?アレ?どこしまったっけ?パンチングコングキー、アレ?

 

???「チーフ、ここに。」

 

束「あ、ありがとう!くーちゃん!」

 

いやぁ、できた助手を持つと色々楽だねぇ。書類とたまの始末書の山からは逃げられないケド。

 

千冬「束、この女性は?」

 

束「あー、この子はね…。」

 

???「クロエ・ボーデヴィッヒと申します。此度は、社様の専用機専属メカニックとして、亡国機業から出向して参りました。以後お見知り置きを。」

 

千冬「なるほど、彼女か。話は学園長から聞いている。教員用の部屋があるので、そこで寝泊まりしていただくが宜しいか?」

 

クロエ「はい、ありがとうございます。」

 

うんうん、私の助手のつかみはOKだね。さてと…。

 

束「じゃ、弟くん。そろそろ殴るね。」

 

一夏「イヤイヤ!束さん!おかしいd『 POWER!!』」

 

ん、相変わらず硬いなこのロック。ギチギチいってるけど気にせずやりますか!

 

束「ぬぅぅぅぅぅぅあぁぁぁ!!」

 

女の子が出していい声じゃないけど、これぐらいしないとコレのロック外れないんだもん!誰だよ!こんなに硬いロックにした奴!!名乗り出ろよ!私だ…。

 

千冬「束、貸せ。私が開けてやる。」

 

え?ちーちゃん、左手でやるの?まぁ、しょうがないか。利き手折れてるもんね、うーわ。メキャメキャ鳴ってるよ。しかも、親指だけでメキャメキャ鳴る?

 

千冬「墳っ!」カキン!!

 

開けた?!嘘でしょ?!両手でも開けられないのに片手で?!指で?!もう、あのキーはちーちゃんにあげよ。

 

千冬「開けたぞ、ここからどうすればいい?」

 

束「ん?あ、それね。もう1回ボタン押したら。ブラスト出来るよ。」

 

千冬「ならば。『 POWER!!』」

 

軽快な待機音が鳴り響いてるね。この待機音。やっくんの携帯着信音にも設定されてるんだよね。カッコイイよね、エイムズショットライザーの必殺技待機音。私はGIRIGIRIチャンバラの返信音が変身音に設定してるんだよね。

 

千冬「束、ここからは?」

 

束「後は、そのまま殴ればOK!」

 

千冬「分かった。一夏ぁ!歯を食いしばれぇぇ!!」

 

一夏「えぇ?!千冬n!ゴッハァ!!」

 

わーお、躊躇いがなかったねぇ。左のストレートか、フックやるかなって思ったけどまさかのストレートかぁ。くーちゃん?なんで小さくガッツポーズしてるの?そんな性格だった?束さん知らないくーちゃんの一面を見たよ…。

 

???「千冬さん!貴女!自分の弟になにを?!それに姉さんも!自分たちが何をしたか分かってるんですか?!」

 

ん?うわぁー、今まで空気だった奴がしゃしゃり出てきたよ。コイツがいるとややこしくなるから嫌いなんだよね。

 

千冬「織斑先生だ、篠ノ之箒。分かってるかだと?分かってやってるに決まっているだろ?」

 

束「そうだよ、それにやっくんはウチの、つまりは亡国機業の企業代表なんだよ?本来なら訴えられてもおかしくないんだよ。分かる?裁判されたら賠償金まで発生する案件を弟くんはやったんだよ?」

 

その言葉に教室がザワつくケド知ったことか。あの子は私の夢を応援してくれているんだ。あの子だけじゃない、社の皆も同じ夢を持っていたり叶えて欲しいから応援してくれる人達がいるから。私は頑張れる、走っていける。例えつまづいても、転んでも、私は走り続ける。そうやっくんに誓ったんだ。

 

箒「あんな男が死んでも、変わりなんて掃いて捨てる程いるではないですか!」

 

その言葉にザワついていた教室が静かになった。変わりだって?掃いて捨てる程いる?ふざけんな!

 

束「ふざけんな!やっくんはやっくんたった一人だけの存在だ!死なせない!絶対に!」

 

千冬「束の言う通りだ。アイツは死なせん、アイツには叶えて貰いたい夢があるからな。」

 

束「ちーちゃん、聞いたんだ。やっくんの夢を…。目標を…。」

 

千冬「ああ、私達では達成出来なかった目標をアイツはしっかりと持っていた。だからこそ、全力で応援する。」

 

やっくんの目標はいずれ自分から言ってもらおう。それよりも…。

 

束「おい、愚妹。知ってる?お前、絶縁されてるってこと。」

 

箒「なっ!嘘だ!」

 

束「本当だよ。ここに絶縁状まで両親から預かってる。いつか渡そうと思ってたケドまぁいいや、良かったじゃん。私からの関係が切れて。」

 

そう言って私は絶縁状を愚妹の机に叩きつけた。愚妹は一心不乱に絶縁状を読んでいたのだがやがては、大人しくなった。私は知っていた。この愚妹が私を憎み、都合が悪くなると私の名前をだして黙らせていたことを。当然、そんなことをしたら真っ先に連絡がいくのが両親だ。そこから私にも連絡は回ってくる。酷い時なんて社に殴り込みにくるパターンだ。その時の私はひたすらに謝るしか出来ない。私や両親がどれだけ頭を地に擦り付けたかはこの愚妹は知ることもない、そもそもコイツは他人に興味なんてない。剣道をやっているのも、ただの憂さ晴らしと他者を屈服させる手段として用いている。おかげで門下生は軒並み居なくなり、道場を畳むなんて大惨事が起こったほどだ。全く、ロクでもないったらありゃしない。

 

束「さて、私の用事も終わったし。やっくんの治療にいかなきゃ。それにあのイギリスっ娘にもお礼しなきゃだし。」

 

千冬「なら医務室まで案内する。山田先生、そこに転がってるバカは、放っておいて自習をさせておいて下さい。」

 

真耶「は、はい!」

 

クロエ「では、私は学園長にご挨拶に行ってきます。チーフ、社様をお願い致します。」

 

助手にそう言われたら張り切らないワケがない!

 

束「任せてくーちゃん、必ずやっくんは助ける。それに『あの子 』のことよろしくね。」

 

くーちゃんがコクリと頷くのを確認してから、私はちーちゃんの案内で医務室まで走り抜けた。医務室前の廊下であのイギリスっ娘が自分の身体を抱いて壁に向かって蹲っているのを見つけた。その壁にはベッタリと赤い赤い血が付着していた。きっと座りこんだ拍子に音が鳴って、振り返ったんだろう。ちーちゃんは私に目配せで「頼む。」と言わんばかりの視線を投げかけた。私はそれに応えるように頷き返して、医務室に駆け込んだ。医務室のベッドには、呼吸器をつけ全身に汗と血を流しているやっくんの姿があった。

 

束「やっくん…。」

 

保険医「失礼ですが、部外者の方は退室をお願いします。」

 

束「亡国機業から来ました。篠ノ之束です。やっくん…。彼のことを聞きつけて馳せ参じました。」

 

保険医「篠ノ之束博士?!失礼しました!」

 

束「いえ、こちらこそすみません。彼の容態は?」

 

保険医「今は、解熱剤と痛み止めの作用で落ち着いています。先程までは、本当に危険な状態でした。」

 

そっか、ならこの子の出番だね。

 

保険医「博士、それは?」

 

束「今、亡国機業で開発している医療ナノマシンです。名前は『デンジャラスゾンビ 』。」

 

今どっかで「ホウジョウエムゥゥゥ!!」って聞こえた気がする。うん、気にしたら負けだね。

 

保険医「大丈夫なんですか?」

 

束「試験的に私にも投与しています。問題はありません。副作用として、代謝が上がり垢が出やすくなったり、ちょっとした傷なら瞬く間に完治します。」

 

ただ男性に投与したことないから、もしかしたら他にも副作用でるかもだけど…。

 

保険医「な・・・なるほど。ただ名前が凄く不安ですが…。」

 

うん、だよね。ネーミングしたのは、ウチの社長なんだよね。社長デンジャラスゾンビ好きだもん。

 

束「ネーミングについての、クレームは社長にお願いします。」

 

保険医「変えようとはしなかったのですか?」

 

束「押し切られまして。」

 

気迫がヤバかった。本当にヤバかった。あそこまでの社長見た事なかったから皆気圧されたんだよね。おっと、話が逸れちゃった。早速、保険医の人に注射器を借りてナノマシンを投与した。心做しか少しやっくんの顔が穏やかになった気がした。ふと首のロザリオに目をやって、静かにロザリオを外し目を閉じて胸に抱いた。

 

束(ごめんね、少しの間だけやっくんと離れ離れになっちゃうけど直ぐに会えるから。我慢してね。)

 

束「やっくんごめんね、このロザリオちょっと借りてくね。必ず返すから、だからやっくん負けちゃダメだよ。」

 

私はそう言い残して、医務室を出た。

 

千冬「終わったか?」

 

束「うん、もしかしたら2~3日で目が覚めるかな。もしかしたら傷跡は残るかもしれないね。その間にこの子をちょっと調整するよ。」

 

千冬「刀隠のロザリオ?」

 

束「やっくんには、黙ってるけど。実はコレISなんだ。それも、『白騎士 』よりも先に作ったIS。」

 

千冬「何?!ならそれのコアは!」

 

さすがはちーちゃん、察したね。そう、この子のコアは『白騎士 』のコアのNo.001とは違うNo.000。つまりは本当の意味での始まりのコアと機体。やっくんにはお守りとして10年前に渡したもの。

 

束「誰にも反応しなかったこの子が、唯一反応したのがやっくんだったの。一応、私とは会話はしてくれるけど、機体に搭載しても起動出来なくて。持て余す格好になっちゃったんだよね。」

 

たまたまのやっくんとの出会いでこの子が反応したから、やっくんに託した経緯があるけどそれは、また別のお話で明かそうか。

 

束「じゃぁ、私は会社に戻るね。この子を完璧に調整しないと、また訓練機みたくバッキバキに壊れるからね。」

 

もー、やっくんの身体能力が高すぎるのも考えものだよねぇ。

 

千冬「束、コレ。貰っても良いか?」

 

そう言って、ちーちゃんがパンチングコングキーを私に見せてきた。

 

束「どうぞ、それはちーちゃんにあげるよ。お仕置き用にでも使う?」

 

ちょっと冗談で聞いて見たのに、真剣に考えて「アリかもな…。」なんて呟いてた。学園の皆ごめんね、余計なことしたかも…。

 

束「じゃ、じゃぁ、ちーちゃん。私そろそろ行くね。なるべく早くこの子届けにくるから。」

 

罪悪感に押し潰される前に、この場から去ろう。そうしよう。

 

千冬「ん、分かった。受け取りの際は私が受け取ろう。」

 

束「それがいいね、この子はちーちゃんになら。触れていいって言ってるし。ただやっくんがねぇ…。」

 

千冬「刀隠がどうした?」

 

束「社長とかに聞いたんだけど、やっくん。この子のこと、余程心から信頼した人じゃないと触らせてもくれないんだって。ん?そっか、ならお願いね。」

 

千冬「相変わらず、ISとの会話が出来るのはお前ならではの利点だな。」

 

そりゃあ、生みの親ですから。世界のコアは私の娘みたいなものだよ。

 

束「この子はやっくんともお話したくて、堪らないんだよ、早くお話させてあげるからね。ちょっとだけ待っててね。」

 

そのためにも、一刻も早く調整を終わらせないと。会社の皆に協力してもらおう。終わったらご飯でも奢ろう、焼肉かなぁ?しばらく食べてないからなぁ。

 

束「じゃぁ、ちーちゃん。やっくんのこと頼んだよ。」

 

千冬「任された。刀隠は全力を持ってサポートさせて貰う。私達の夢の為に。」

 

私達は微笑みながら、グータッチをして別れた。正門に社員の人が迎えに来てくれていて、車内で研究室に電話をしたら、皆ノリノリで了承してくれた。これは、束さんの貯金ちょっとだけ崩す覚悟決めとかなきゃね。なんて考えながらロザリオを握りしめた。

 

束(待っててね。やっくん、この子を完璧に仕上げちゃうからね。)

 

私は後部座席の窓から青空を見上げた。まさに蒼天といわんばかりの空がそこに広がっていた。

 

 

 

 

 

 

後日、私の貯金から4分の1が消し飛んだのは、痛い思い出になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




仮面ライダー好きですか?


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第4話鳳の目覚めと怒り

お待たせしました。仕事と体調不良が重なり、投稿が、遅れたことをお詫び申し上げます。こんな駄作ですがよろしくお願いいたします。


ここはどこだ?確か傷を織斑一夏に殴られて、気絶したまでは覚えてる。今はどこに居るかって?何か分かんねぇけど、思いっきり和室なんだわ。少し大きめのちゃぶ台の上には、お茶と和菓子が置いてあった。うん、美味い。

 

社「イヤ、何和んでんだ?もうちょい警戒しろよ。」

 

思い出せよ例えば、フランスのアイツとかフランスのアイツとかフランスのアイツを………。アバババババ、やべぇ。身体が拒否反応示してきやがった。

 

社「イヤだぁぁ!手錠と首輪に繋がれるのはもうイヤだぁぁ!!!」

 

うおおおおお!!逃げる!今すぐここから逃げる!でないと俺の大切なナニかが失われるー!

 

???「まあまあ、ちょっと落ち着いてくれる?」

 

スっと背後の襖が開くと、そこにはアサガオの模様が入った黒い着物姿の黒髪の女性が、立っていた。

 

社「えーと?どちら様ですか?」

 

???「私?私はずっと貴方と一緒にいた者。と言っておきましょうか。」

 

ワケわかんね。一緒にいた?ずっと???

 

???「ふふふ、困惑してるわね。そんな顔もできたんだ。」

 

む、なんか見透かされてる気がしてなんねぇなぁ。まぁいいや、あんまり気にしたらハゲるっての。……ハゲんのかな?俺……。

 

???「大丈夫よ、貴方はハゲないわよ。現にお父さん、フッサフサじゃない。」

 

確かに、父さんフッサフサだったな。イヤ、待て。隔世遺伝ってこともあるじゃん?やだなぁ、16歳でハゲの心配すんのも。ん?なんか身体が引っ張られる感覚がする。え?なんぞ?なんぞ?!俺どこ行くの?!

 

???「あら?意外と早かったわね。大丈夫、それは貴方の意識が覚醒しようとしているだけだから。安心なさい。」

 

あ、そうなのね。なら安心したわ。あ!それよりも!

 

社「待ってくれ!キミは一体誰なんだ!」

 

???「それなら、直ぐに答えがでるわ。ほら、行きなさい。また会いましょう。私のマスター。」

 

マスター?なんの事?また会いましょう?なんのことか、サッパリ分からず俺は何処かに引っ張られて行った…。ゆっくりと目を開けるとそこには真っ白い天井が広がっていた。

 

社「参ったな、知らない天井だ…。」

 

良し!人生で言いたい事BEST5を言えた。ちなみに1位は某漫画家の「だが断る!」だ。

 

保険医「残念、アナタの知ってる天井よ。」

 

そうなんですよねぇ、知ってるんですよねぇ。ここに来るの2回目だし、その時の処置してくれた先生もこの人だし。

 

保険医「気分は?」

 

社「猛烈に腹が減ってる以外は良好ですね。」

 

なんか知らないけど、めっちゃ腹減ってんの。いやね?大食漢なのは認めるよ?ん?ちょっと待てよ?

 

保険医「刀隠君?」

 

社「先生!今は何日ですか?!あれから何日経ちましたか?!」

 

保険医「ふ、2日よ。」

 

社「なんてこった、結婚式は明日じゃないか。こうしちゃいられない!」

 

保険医「何?貴方は偽札作ってる伯爵の結婚式に乗り込むつもり?」

 

あげぎゃぎゃぎゃ、乗り込むワケがねぇ。しかし、先生話が分かる人で良かった。

 

保険医「あら?何か近づいて来てるわね。」

 

ホントだ。何か廊下から走ってきてる音がする、それもだんだん近づいてきてるような…。

 

セシリア「社様!お目覚めになられたと聞いてきましたの!」

 

社「セシリア?!」

 

以外!音の正体はセシリアだった!余程、全力疾走してきたのだろう。髪は乱れ、額に汗を浮かべ、肩で息をしている姿は到底淑女とは言えない様相だったがこれは、俺がどうにも要因だな。うはー、罪深い。そこから俺は、寝ていた2日間の出来事をセシリアと保険医の先生から聞いて、呆れた。理由としては以下の通りだ。

 

クラス代表決めなきゃ

織斑がいいでーす!

俺もいいでーす!

織斑がやりたいでーす!

織斑先生却下しまーす!

織斑理由訪ねまーす!

先生が俺の力量言いまーす!

織斑納得いきませーん!

織斑が先生と口論しまーす!

なら、織斑と俺で決闘しまーす!←今ココ!

 

社「あっっっっっほらし」

 

セシリア「全くですわ、あの男が相手との力量差もわからない愚者とは思いませんでしたもの。」

 

正直、アイツ自体の相手なんざしたくもない。クラス代表にも興味ねぇし、俺の夢にはかけ離れてるしな。

 

社「やるにしても、俺とアイツは、機体ないだろ。」

 

訓練機でやろうにもまたぶっ壊すだろうしな。

 

セシリア「一応、あの男には専用機が送られます。それでもデータ取りの意味合いが強いですが。」

 

社「アイツのことだ、専用機が貰えるって分かった瞬間、『 勝ったわ!』なんて思ってんだろうなぁ。」

 

なんかその様子が容易に想像できるぜ。うーん、またぶっ壊すのを前提に整備科に掛け会おうかなぁ?後でしこたま怒られるだろうけど…。

 

セシリア「そうでしたが、状況が変わりまして。」

 

ん?なんぞ?状況が変わった?

 

セシリア「社様、確か企業代表でしたよね?」

 

社「あぁ、亡国機業の企業代表をやらせて貰ってる。専用機はない。」

 

事実、俺には専用機がない。一応、篠ノ之チーフにも聞いたんだけど、そんときニンマリしてんのは覚えてる。

 

セシリア「社様、専用機お持ちでしたよ。」

 

おーほん?俺に?専用機?あれ?あった?ダメだ、全然思いつかない。

 

社「いや、俺持ってないって。」

 

セシリア「あの、ロザリオがどうやら専用機の待機状態だったみたいですわ。」

 

……………は?え?あのロザリオが?俺の専用機?あのロザリオは今から10年前にチーフに貰ったお守りだぞ?

 

セシリア「私も織斑先生からの、説明を聞いて知りました。」

 

なんてこったい。あのロザリオが俺の専用機だったとは、ここで俺はあの女性の言葉を不意に思い出した。

 

???『また会いましょう。私のマスター。』

 

まさか、あの人が?俺の専用機なのか?だとしたら会いたいな。それに、ロザリオがないと落ち着かないや。なんて考えてたら部屋中にグルルルルル!なんて音が鳴り響いた。言わずもがな、俺の腹の音である。頼むセシリア、そんなにビックリした顔しないでおくれ、先生もそんなに肩震わせて笑わないで。

 

社「セシリア、頼みがある。」

 

セシリア「な、なんでしょうか?」

 

社「笑うなら笑え、それと…。そろそろ限界だ。食堂に案内してくれないか?」

 

セシリア「え?食堂ですか?」

 

社「腹減った。」

 

またグルルルルル!と大きく空腹を主張する俺の胃袋。そして、ここで保険医の先生の我慢も限界を迎え、医務室中に先生の爆笑する笑い声が木霊した。

 

~食堂~

 

社「おー!ここがIS学園の食堂か!」

 

広い!デカい!食券機がない!なんで?

 

セシリア「食べたい料理は、直接カウンターで注文する形式ですわ。」

 

おー、ファストフード店みたいなもんなのな、なら早速♪

 

社「すいませーん。」

 

おばちゃん「お?アンタが噂の2人目かい?中々男前な傷跡拵えたじゃないか。」

 

あーうん、傷跡ね。コレは仕方ないでしょ。保険医の先生が笑いながら、説明してくれたんだよね。なんでも、篠ノ之チーフが俺に医療ナノマシンを打ち込んで、治療してくれたらしい。大体の傷は跡も残らずに治ったんだが、この左目と袈裟斬りにやられた傷はくっきりと残ったようだ。グルルルルルル!!と再三に亘り、俺の腹が空腹を訴える。俺の腹の音はどうやら食堂に響いたらしい。全員の視線を感じる。恥ずかしい…。

 

おばちゃん「ありゃりゃ、そんなにお腹空いたのかい?何でも言いな。作ってあげるから。」

 

社「なんでも…。なんでも…。」

 

なんでもだと?楽園はここにあったか。とにかく今は食うことを考えよう。

 

社「でしたら…。炒飯にラーメン。唐揚げに餃子。カツ丼と天丼と親子丼。チキンステーキに野菜サラダ。後、ハンバーガーセット。飲み物はコーヒーで、口直しにキツネうどんといなり寿司。めはり寿司ってあります?ある?ならそれも。後ザルそばとデザートに杏仁豆腐下さい全部量多めで。」

 

おばちゃん「アンタ、結構食べるわね…。ちょっと待ってな。作って持っていくから。」

 

食べ過ぎ?いや、普通量だが?どうしたセシリア?これぐらいの量なら普通に食えるぞ?

 

社「いっただきまーす!」

 

うっひょー!このテーブルに所狭しと並べられた料理の数々。どれもうめぇー!要望通りで量も多めにしてくれたし、言う事ないね。

 

社「ところでセシリア、奴さんは俺との決闘に時間や場所それに条件を決めてんのか?」

 

食べながら、奴さんの決闘の話しにシフトさせる。右手を引っ張られたので、天丼のエビを右へ。

 

セシリア「いえ、それについての連絡事項は織斑先生から通達があると思います。」

 

なるほどね。確かにアリーナの使用には事前に連絡する決まりがあるから、先生に頼めば予定の確認やら何やらやってくれるだろう。唐揚げを右へ。

 

社「分かった。まあ、織斑先生なら公平になるようにしてくれんだろ。」

 

ラーメンを丼ごと右へ。

 

セシリア「あの、社様?」

 

社「ん?」

 

いなり寿司を右へ。

 

セシリア「その雛鳥のように、お袖を引いている。その方は誰ですか?」

 

社「は?」

 

チキンステーキを、右にやろうとしてそこで止まると右手を引いている力が段々強くなってきたから確認のために目をやるとそこには、水色の髪をしたメガネ少女がいた。

 

社「って!簪!お前何人の飯催促してやがんだ!」

 

えぇい!正体が、分かればこっちのもんだ!頭押さえたら流石に食えないだろ!……オイオイ、嘘だろ?!引っ張る力と頭の力がめっちゃ込められてる!ヤダ、この子力強い!結局俺のチキンステーキは簪の口に収まった。チクショウ……。

 

セシリア「や、社様?大丈夫ですか?」

 

社「だいじょばない。それと、コイツは…。」

 

???「ゴクン!更識簪、日本の代表候補生。社とは、幼なじみで子供の頃に将来を誓い合った仲。あ、社。杏仁豆腐ちょうだい。」

 

やんねーよ、欲しかったら。おばちゃんに頼みに行け、

だから!やんねーって!なんで持って行こうとするんだよ!オマケに力強えし!おいコラ!抵抗すんな!普段ダウナーみたいな顔してるクセにこういう時だけ力発揮してんじゃねぇ!フッザケ!ゴラァ!皿とスプーンから手ぇ離せ!うおおおおお!!杏仁豆腐ー!だが俺の抵抗も虚しく、杏仁豆腐も簪に吸い込まれた。吸うなよ、せめて普通に食えよ。おのれ、簪。許すまじ、末代まで許すまじ。

 

社「てめぇ、簪。食い物の恨みは半端じゃねぇぞ?」

 

簪「私のモノは私のモノ、社のモノも私のモノ。」

 

社「ジャイアンか!お前放課後校舎裏来いや!」

 

簪「放課後の校舎裏。そこでめくるめく官能の世界に…。」

 

社「行かねぇわ!蹴り倒すぞ!」

 

ああもう!どうすんだよ、この食堂の空気!居るのも居た堪れないないわ!セシリアも顔真っ赤にするのやめて!お兄さんのライフはゼロよ!

 

社「おばちゃーん!ミルクレープ追加ー!」

 

ライフを回復するために俺は追加で注文するハメになった。簪にはゲンコツをくれてやるのを忘れない。

 

社「ったく。次から利用しにくくなるだろうだがよ。」

 

食事を終えて、教室に向かってる道中で。簪に文句を垂れる。簪?隣を歩きながら頭押さえてる。なんでって?キレイに3段アイス風にタンコブ作ってやったからだ。

 

簪「社酷い。何も3段アイスにしなくたって。」

 

社「喧しい、蹴られないだけマシだろうが。」

 

それに、左手でゲンコツしたんだ。利き手じゃないのもマシなもんだ。そんなこんなしてたら、教室に着いた。簪の頭をひと撫でして「またな。」と言い残して、分かれた。分かれ際に簪の顔が赤かったな。気にしない気にしない。隣でセシリアがむくれてるけど気にしない。気にしたら負けよ。そう思いながら教室のドアに手をかけドアを開いた。

 

社「毎度~。」

 

なんで関西弁?知らないよ。勝手に出てきたんだもん。教室のドアが開いたと同時に、クラス中から一斉に視線が刺さった。全員で振り向くの控えてもらえないかな?結構怖いわ。

 

生徒1「あ!刀隠君だ!」

 

生徒2「ホントだ!もう大丈夫?」

 

生徒3「へー、包帯の下はそういう顔だったんだ。私の彼氏よりイケメンかも。」

 

生徒4「は?アンタ、彼氏いたの?」

 

生徒5「総員!!奴を逃がすな!魔女裁判じゃー!!罪状KARESHIMOTIについて!!」

 

全員『 おぉーー!!』

 

仲いいなぁ、皆。俺がいない、2日間でここまで打ち解けたのか。うーん、疎外感。

 

一夏「おい、刀隠。」

 

社「あ?んだよ、織斑。」

 

隣にいたセシリアを背中側に手で押しやると同時に教室の空気がどよめき始めた。コイツは人にケンカ売らなきゃ生きて行けない性分なのか?

 

一夏「聞いたか?俺とお前で決闘すること。」

 

社「あぁ、聞いてる。俺はめんどくさいからパスしたいんだがな。理由もねぇし。」

 

一夏「はぁ?なんだよ、お前負けるのが怖いのか?」

 

社「やっすい挑発だな。今どきそんな挑発するやついたのか。新しい発見だ。」

 

一夏「そうかよ、だがお前は受けても負けるぜ。俺は織斑千冬の弟なんだからな。」

 

社「根拠がない、挑発からやり直せ。」

 

一夏「なんだと!お前何様だ!」

 

社「そっくりそのまま返すぜ、お前が織斑先生の弟だからなんだ?モンドグロッソの優勝者なのはあくまでも織斑先生自身、お前が威張れるものかよ。お前自身が打ち立てた金字塔じゃねぇだろうが。」

 

確かにとクラスの皆がヒソヒソと話し声が聞こえる。セシリアに至っては上着の裾を掴んでいる手が少し震えている。そんな手に俺はそっと自分の手を重ねた。震えていた手が優しく握り返してきた。大丈夫だセシリア、何も心配いらねぇよ。だから安心しな、こういう時男ってのはどっしりと構えてるもんだからな。

 

社「どうした?図星つかれて何も言えねぇか?言えるワケねぇよな。言えるならソイツは、相当図太いヤツか、それとも相当頭のイカれた考えを持ったヤツだ。」

 

一夏「お前!言わせておけば!」

 

社「なんだよ、一々叫ばねぇと喋れねぇのかよ?耳が痛くて仕方ねぇよ。」

 

一夏「コイツ…!」

 

社「それとな、後方注意だ。」

 

一応、注意はしてやったからな。さてさて、席に戻りますか、ほいほいセシリアも戻るよ。しっかし、握ってるこの手、細いし、小さい。あの、セシリアさん?座りたいから手ぇ離してくれない?いやね?座りにくいとかじゃなくてね?周りの人がね?スパーン!!といい音が鳴る。どうやら、織斑先生の必殺技『出席簿』が炸裂したようだ。あの出席簿、チラッとみえたが平仮名で『ゆきひら』と書かれてた。結構可愛いとこあんじゃんあの先生。

 

千冬「刀隠ー!」

 

うおおぉ!!いきなり叫んだ勢い使って出席簿(ソレ)投げないで!避けれたけど、当たったらどうすんの?!って、オイオイ嘘だろ?出席簿ってコンクリの壁に刺さる?あ、『ゆきひら』が『雪片』になってる。達筆だなぁ。

 

社「いきなりなんですか?あっぶねぇなぁ。」

 

千冬「お前、今変なこと考えたな?」

 

社「滅相もない。言いがかりですよ。」

 

そう言いながら、『雪片(出席簿)』を投げ返す、織斑?んなもん、頭押さえて悶絶してらぁ。

 

千冬「おお、そうだ。コレを返しておこう。」

 

そういって、織斑先生の上着のポケットから俺のロザリオを取り出した。

 

社「俺のロザリオ。」

 

千冬「先程、束が届けにきた。」

 

社「なるほど、ありがとうございます。」

 

???『 ほらね、また会えた。』

 

突然教室に女性の声が響いた。え?どこから?ちょっとちょっと軽くホラー入ってるんですけど?怖っ!

 

???『ここよ、貴方の手の中のロザリオよ。 』

 

恐る恐る、手にしたロザリオを見てみると。中央の赤い玉が明滅を繰り返していた。

 

???『夢以来ね、私は貴方の専用機。名前を雷の鳳と書いて『雷鳳』よ、よろしくね私のマスター。 』

 

話しには聞いていたが。まさか、向こうから話しかけてくるなんて。

 

社「雷…鳳…?」

 

雷鳳『なぁに?質問なら受け付けるわよ?』

 

社「なら、遠慮なく。いつから、自我に目覚めてた?」

 

雷鳳『そうねぇ、白騎士よりは早かったわよ。あの子は引っ込み思案だったもの。可愛いとこあるでしょ私の妹。』

 

おっとー?今聞き捨てならないこと聞いたぞー?妹?白騎士のコアって始まりのコアじゃなかったか?それが違うとなると…。

 

社「雷鳳…。お前のコアナンバーっていくつ?」

 

雷鳳『私?私はNo.000。あの白騎士の前に製造された。アーキテクトコアよ? 』

 

わーい!おかしなことになったぞー!始まりのコアは白騎士だって、皆言ってたもん!っていうかそれが常識じゃなかったの?!アーキテクトコアなんて知らないもん!

 

千冬「驚いた。白騎士が最初だと思っていたぞ。」

 

雷鳳『久しぶりね、千冬。お母様のラボ以来ね。あんまり変わってないわね。』

 

千冬「お前どこにいた?」

 

雷鳳『覚えてない?お母様の首に掛けられていた。赤い宝石を。アレ私だったのよ。』

 

んー、となると。雷鳳のコアはチーフからの譲渡品ってことになるのかな?つか、織斑先生とチーフが友達だってのはチーフから聞いて知ってたけど昔のチーフのラボに、入り浸ってたとはなぁ…。

 

千冬「なるほどな、納得した。刀隠のこと頼んだぞ。雷鳳…。」

 

雷鳳『任せなさい。伊達に10年一緒にいたわけじゃないわ。 』

 

社「俺からも頼むな。雷鳳、上手くお前を使えるかどうかわからないけど。それでも、精一杯頑張らせてもらうよ。」

 

雷鳳『大丈夫よ、マスター。私も貴方を全力でサポートするから。貴方は一人じゃないわ。私もいるってこと忘れないでね。』

 

社「もちろんだとも、俺はお前で…。」

 

雷鳳『私は貴方…。』

 

社・雷『如何なる困難も二人ならやれる。』

 

そこまで言うと知らず、俺は笑った。ひとしきり笑った後、雷鳳の待機状態のロザリオを首に掛けた。うん、やっぱりこの重さがしっくりくる。

 

千冬「では、刀隠。自己紹介出来てなかったな。この際だやっておけ。」

 

社「分かりました。改めてよろしく、刀隠社だ。3年程世界中旅してきた。日本に帰ってくるなり、ISの適性検査で見つかった二人目で、亡国機業の企業代表を務めていて一応の知識や技術は文字通り叩き込まれた。好きなものは、色々。嫌いなものは女尊男卑なやつ、それと傲慢なやつ。まぁ、こんなものですな。仲良くしてもらえると助かる。」

 

自己紹介を終えると、クラス中から拍手が送られる。若干二名程面白くない顔してやがる。いいぜ、お前らとは仲良くできそうにねぇからな。

 

千冬「では、刀隠の自己紹介も終わったことだ。質問したい奴は、休み時間にしろ。これより、授業を開s一夏「ちょっと待って下さい。」なんだ?」

 

一夏「俺との決闘のことですが。」

 

千冬「刀隠、どうする?」

 

社「できればやりたくないです。理由もなければやる気もない。」

 

だって、実際そうだもん。俺には理由もやる気もない、全部向こうが勝手に吹っ掛けて来てるだけなんだから。

俺には断る権利がある。

 

一夏「知ってるか?お前みたいなの、腰抜けって言うんだぜ?」

 

社「ほーん、で?それ挑発のつもり?言ったよな、理由もない。やる気もない。と」

 

一夏「うるさい!お前も男なら、決闘ぐらい受けろよ!」

 

社「知らねぇよ。男だから決闘受けろってどこの暴君だよ。世界中旅したけどお前みたいな奴には会ったことねぇわ。」

 

一夏「そんなの、たまたまだろうが!専用機があるなら、大人しく決闘しろ!」

 

あーもう面倒くせぇ。もう、クラスの皆が絶対零度に近い視線向けてんのわかんねぇかなぁ?あ、わかんねぇから、今も男についての自己解釈をスピーチしてんのか、いやはや、お疲れ様とだけ言っといてやるよ。

 

一夏「おい!聞いてんのかよ?!」

 

社「あ?聞いてねぇよ。面倒くせぇ、それよりお前授業妨害しといて、よく平気だな。俺ならソッコーで謝るわ。」

 

特に織斑先生に睨まれたらマッハで謝るわ。うん、自信ある。

 

雷鳳(そんな自信持たないでよ、マスター。)

 

わお?!え?雷鳳?なんか声が頭ん中で響いたんだけど?

 

雷鳳(ふふふ、驚いた?こうやって思念会話も出来るのよ。聞かれたくない会話とかはこうやってお話しましょ♪)

 

やだ俺の専用機可愛い過ぎかよ。コイツの言動ちょいちょい俺に刺さるんですけど…。まさか、俺の弱点性癖なんかも。

 

雷鳳(ヌルフフフフフ♪)

 

お前どこの暗殺される教室の教師なの?!その反応からしてお前知ってるな?!バラすなよ、バラすなよ?フリじゃねぇぞ?!

 

一夏「ハッ!お前みたいなやつを代表にするなんて、大した企業じゃないんだな!」

 

あ?んだと?今なんつった?大した企業じゃないだと?

 

社「悪い、聞こえなかった。もう1回言ってくれ。」

 

落ち着け、ここで怒りに身を任すな。落ち着け、俺。修行中に幾度となくあったことだろう?

 

一夏「何度でも、言ってやるよ。大した企業じゃないし、そこの社員もどうせロクでもない、奴ばかりなんだろ?!」

 

ハイ、もう無理。今回は怒りに身ぃ任すわ。

 

社「理由ができた。決闘受けてやる。織斑先生。日程と場所は?」

 

千冬「今から1週間後、場所は第3アリーナで、放課後なら開いている。」

 

社「分かりました。織斑、お前。覚悟だけしとけ、マジでやってやるからよ、顔面偏差値爆下がりさせてやるから、整形外科でも予約しとけや。」

 

一夏「舐めんな!お前こそ地べたに這いずり回してやるよ!」

 

千冬「お前ら、いい加減にしろ。刀隠、あんまりやり過ぎるなよ。」

 

社「善処しますよ。出来る範囲で。」

 

さてさて、1週間後が楽しみだ…。雷鳳ゴメンな、お前の初陣がつまんねぇケンカでよ。

 

雷鳳(構わないわ、今の発言に私も腸が煮えくり返ってるのよ。あの手の輩って完膚無きまで叩きのめすのがセオリーでしょ?)

 

当然、宣言通りに顔面偏差値爆下がりさせるから、サポート頼むぜ。

 

雷鳳(かしこまりました。マイマスター。)

 

雷鳳の了承も得たし、後は1週間以内に雷鳳の制御をモノにしないとな、うーん入学早々に厄介事になったし。姉ちゃん達怒ってねぇだろうか?それよりも呆れてたりして、まぁ、一回連絡入れてみるか。幸いアイツと姉ちゃん達一緒のクラスみたいだし、事情さえ話せば協力してくれんだろ。多分…。今回ばかりは、俺の大事な人達を貶してくれたんだ。報いは相応に受けさせてやる。だからよ、織斑、本気で整形外科送りにしてやらぁ…。

 

これをきっかけに、俺の学園生活は前途多難なことになる事をこの時の俺は知るよしもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆様も、体調をくずされませんようお元気でお過ごしください


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第5話鳳絡まれる

お待たせしました。コツコツ書いていたら遅くなりました。


さてさて、こんにちは。刀隠社でございます。簡潔に今の状況を説明しましょうかね。織斑との決闘騒ぎは、上級生にも話しが回っており。姉ちゃん達は爆笑しながら休み時間に教室に乗り込んできやがった。ん?姉ちゃん達が誰かって?一人は俺と同じ亡国起業の代表の「レイン・ミューゼル」我社の社長の姪っ子だ。俺は、親しみを込めてレイン姉ぇと呼んでいる。もう一人は同じく亡国起業代表の「フォルテ・サファイア」どこがとは言わないが小さい。本人に言ったら氷漬けにされるから言わない。こちらはフォル姉ぇ。もう一人は、姉ちゃんではないが年上の幼なじみの更識刀奈。本人曰く、「楯無を継ぐのが面倒。」という前代未聞の当主の座を蹴った女だ。ある意味図太い神経を持っている。刀奈は刀奈だ。この呼び方は変えられない。1週間後の決闘の名前を借りたケンカに姉ちゃん達は、快く訓練を引き受けてくれた。もちろんセシリアと簪も引き受けてくれた。同タイミングで俺の部屋も判明したんだけどね。まさかのルームメイトがセシリアだって。セシリアが真っ赤な顔で「ふ!不束者ですが!」と叫んでしまい、クラス中に知れ渡ってしまった。織斑先生が追撃と言わんばかりに「避妊はしろよ?」と笑いながら言ったもんだからカオスと化した教室を俺はトリップしているセシリアを連れて早々に離脱した。幸いにも織斑ともう一人は、この時には居なくなっていたおかげで部屋バレしなくて助かった。織斑先生、次は専用機で決着つけてやる。そして、今現在。放課後なのだが…。

 

社「どうして、こうなった?」

 

皆様、聞いてもらいたい。俺は部屋で荷解きしてから、落ち着いたセシリアとの親睦を深める為に晩飯を作るって話しになったわけ。そして、購買で材料を買って帰る途中に織斑の取り巻き(?)に強制的に剣道場に連れてこられた。さて、ここで想像して欲しい。学生服を身に纏い、両手にパンパンのエコバッグを持った男が剣道場のど真ん中に立っている姿を。スッゲエ、シュールで草生える。生えねえけど。タチの悪いことにこの取り巻き(?)購買を出た直後に連れて来やがった。どうしよ?アイス溶けないだろうか?オマケにギャラリーまで群がる始末、あっ、織斑発見。なんかニヤニヤしてやがる。気に入らねぇなぁ。

 

箒「貴様!人の話しを聞いているのか?!」

 

社「ん?いやぁ、アイス溶けないかどうかの方が心配なんだが?後卵が割れないかどうか。」

 

溶けたアイス程美味しくないものはない、分かる?一度溶けて再凍結させたアイスの味のちょっと薄くなってるの、オマケに特売で買った卵。激しく動いたら割れるだろうが。

 

社「考えてみたら、俺アンタの名前知らなかったわ。確か、クラスにいたよな?」

 

箒「貴様に教えてやる必要はない!早く構えろ!」

 

イヤイヤ、何言ってんの?だったらこのエコバッグどうすんだよ、卵にアイス。それに晩飯の材料入ってんだぞ?ちなみに今夜はハンバーグをするゾ!女性でも食べやすい豆腐入りじゃい!それになんか簪もどうせ食べにくるだろうし、押しかけられても大丈夫なように多めに買っておいた。やったね、社君キミの予感は的中するよ!

 

箒「だぁぁぁぁぁぁ!!」

 

社「っ?!」

 

あっぶね!あっぶねぇ!コイツ!何の合図もなしに木刀で殴りにきやがった。咄嗟に後ろにバックステップして躱したけど、あの太刀筋間違いなく俺の脳天狙いやがった。

 

社「いきなりかい?!」

 

箒「うるさい!!貴様男だろ!避けずに受けろ!」

 

社「お前バカか?!んな木刀(もん)受けたら大怪我沙汰じゃねぇか!」

 

箒「うるさい!うるさい!私は篠ノ之束の妹だぞ!そんな事なぞいくらでももみ消せる!」

 

ん?チーフの妹?あれ?確か…。

 

社「あれ?確かお前さん、チーフに絶縁されたんじゃ…。」

 

箒「知ったことか!あんな事、両親が言うわけない!全部姉さんの妄言だ!」

 

あぁん、話し通じねぇ。なんとか、エコバッグに当たらないように立ち回ってるがそろそろ俺も時間も限界だ。

 

社「雷鳳!アイツを迎撃する。格納空間借りるぞ!」

 

雷鳳『合点承知之助!!』

 

ホント我が専用機はノリがいい!瞬く間に両手のエコバッグが雷鳳の格納空間に粒子となって格納された。コレ便利だな。買いすぎた時はまた借りよう。

 

社「突撃しか能がねぇのか?そんな直線的な攻撃じゃ俺の首は取れねぇよ。」

 

箒「えぇい!のらりくらりと!」

 

さっきから、動きが雑だし、直線的だし予測するまでもねぇ。ギャラリーもザワザワしてきたし、そもそも丸腰相手に木刀振り回すヤツなんているかね?あ、いるわ。目の前に…。

 

社「とりあえず、ちょっと寝てろ。」

 

名前が分からないので、とりあえず猪女と呼んでおこう。猪女の突撃に合わせて、俺も床を蹴る。ヤツとの距離はせいぜい2メートルそれなら、一足飛びで事足りる!その際、床踏み抜いてしまったのではと言わんばかりの大音量が剣道場を震わせ、ギャラリーが悲鳴を上げ耳を塞いだ。この時、猪女が間合いに入ったと目で訴える。だが悪いな、ここは俺の距離でもあるんだよ!!

 

箒「死ねぇぇぇぇぇぇ!!」

 

容赦なく振るわれる木刀。軌道は、再び脳天狙い。そんなもん、織斑先生の方がまだ速い!!お前の太刀筋なんて俺には『止まって見える』ね!

 

社「墳ッ!」

 

木刀が当たる瞬間、俺は身を捩りながら姿勢を低くし、木刀を躱す。躱した瞬間猪女の驚く顔があまりにも滑稽だった。低くした姿勢を保ち、左足を前に出しフルブレーキをかけながら更に身を捩り、右足の狙いを定め蹴りの体制を整える。俺の両足のバネは弾き出されるのを今か今かと待ちわびる。狙いは一点。腕の隙間から覗く無防備な顎の部分。

 

社「刀隠流・蹴脚術…。」

 

猪女は狙いが分かったようだが、もう遅い!!

 

社「秋月!!」

 

両足のバネを一気に解放すると弾き出された右足は、寸分違わず猪女の顎を捉え、更に同じく弾き出された左足は、俺と猪女を押し上げる。頂点に達すると右足から猪女の顎が外れその身体は宙に放物線を描いた。それと同時に飛び上がった俺は、空中で体制を整え着地に備え時間にして、約2秒後に着地。猪女は気を失ったのだろう、受け身をとる事なく床に落下した。ザワザワしていたギャラリーは、いつの間にシーンと静まり返っていた。

 

社「手加減はした。顎砕かれてねぇから安心しな。」

 

千冬「しまった!遅かったか!」

 

おろ?織斑先生???そんな怪我で走ってきたのかな?めっちゃ焦った顔してるし。

 

千冬「刀隠、状況の説明はできるんだろうな?」

 

うーわ、怖っ!静かに言うから余計に怖っ!コレはぐらかしたらダメなヤツだ。

 

雷鳳(はぐらかしたらダメでしょ。)

 

ですよねぇ!とりあえず今までの経緯を説明すると、織斑先生は納得してくれた。説明しながら格納空間からエコバッグを取り出して中身を確認すると、アイスは溶けないし、卵も割れてなかった。スゲェ、俺の専用機は有能か!

 

雷鳳(ふふーん♪もーっと、褒めてもいいのよ~♪)

 

また今度な。それよりも…。

 

社「で、織斑先生はどうしてここに?」

 

千冬「ん?剣道場で、怪獣(刀隠)が暴れてると聞いてな。駆けつけたんだが遅かったようだ。」

 

ちょっと、今怪獣と書いて刀隠って言ったでしょ?俺怪獣じゃねぇし。それよか、織斑先生の方がまだ怪j『POWER!! 』オイ!オイ!オイ!なんでアンタそれ持ってんの?!あ、待って待って。親指で開けようとしないで、メキャメキャ言ってるから。止めたげてよー!

 

社「そ、それよりも。部長さん、お騒がせして、すみません。」

 

部長「えっ!あぁ、うん。それより刀隠君?だっけ?」

 

社「はい、刀隠社です。刀を隠すと書いて刀隠。社はそのままお社の社です。」

 

部長「そうなんだ。変わった苗字だね。 」

 

社「よく言われます。何か質問でも?」

 

部長「あ、そうそう。何で竹刀なり、木刀なりつかわなかったの?」

 

千冬「私も気になっていた。モンドグロッソでは、蹴りを混じえて戦う選手はいたが、お前のように始終蹴りのみの奴はいなかった。」

 

あー、それ聞いちゃう?他のギャラリーも聞きたそうにしてるし、織斑はっと。いねぇ、猪女と共にいなくなってら。大方気絶した猪女でも担いで医務室行ったか?なら好都合だな。

 

社「単刀直入に言うと、俺の一族は『武器を扱うセンスが皆無』なんですよ。」

 

おーおー、は?みたいな顔してやがんよ。まぁいっか、もうちょい説明しとこ。

 

社「刀振ったら、刀が明後日の方向にすっぽ抜ける。銃を撃てば、跳弾やらで被害甚大。弓を放てば、弦が切れてエライめに合う。こんな風に武器を扱うセンスをどっかに落っことしてきた一族なんですよ。」

 

千冬「なら、徒手空拳ではダメだったのか?」

 

部長「そうだよ、わざわざ蹴りだけを極めたみたいな…。あっ!」

 

お?部長さん、気づきましたな?100億点あげますよ。

 

社「部長さんの予想で正解ですね。そう、俺の一族は『足技だけのセンスは飛び抜けて高かった』んですよ。」

 

はい、ここテストでますよー。

 

雷鳳(いや、でないでしょうに…。)

 

にょほほほほほwそうなんだけどねぇw

 

千冬「なるほど、それで蹴り技なのか。しかし、それだけか?」

 

社「他にも、ありますが。あんまりネタバレはしたくありませんので。」

 

一子相伝の技で、後継者がいないってのが現実だけどね。

 

千冬「分かった。今までの経緯からして、巻き込まれただけのようだから処分はない。ただもうちょい手加減してやれ。」

 

えー、あれでも十分手加減したのにー?

 

千冬「全力出したければ、織斑まで取っておけ。ま、アイツは全力を出さずとも勝てる相手だがな。」

 

社「あ、すいません。そこは全力でやります。アイツの顔面偏差値爆下がりさせたいので。」

 

あれだけ、宣言したんだ。有言実行はさせてもらいます。

 

千冬「なら、知り合いの整形外科医でも紹介しておこう。」

 

わっはー。この人ノリノリだー。

 

社「織斑先生?弟さんお嫌いで?」

 

そこはかとなく聞いてみる。

 

千冬「あぁ、たまに絶縁したくなる。」

 

こりゃまた、あっけらかんに言い放ちましたなぁ。ギャラリーも剣道部員も、ザワザワしてたけど渦中の人は知ったことかと言う風だ。

 

社「よっぽどですねー。」

 

千冬「アイツには、散々迷惑していたんだ。それぐらい思ってもいいだろう?」

 

どうやら筋金入りのご様子。

 

社「では、先生。俺そろそろ戻ります。アイスが溶けちまう。」

 

千冬「あぁ、アイツ等の処分は直接私の方から言っておく。気をつけて部屋に戻れ。」

 

社「うぃーす。」

 

やれやれ、なんで、復帰早々こんなことに巻き込まれんのか。不思議で仕方ねぇわ。部屋戻ってご飯作ろ。

 

雷鳳(旅してる時もたまに巻き込まれたわね。)

 

それな、ドイツは仕方なかったけど。

 

雷鳳(アレは、お腹空いてたんだし仕方なかったのかな?)

 

まぁ、それはもう言いっこなしで。おっ!部屋着いたな。えーと、カードキー、カードキーはっと。

 

雷鳳『上着の胸ポケットよ。取れる? 』

 

社「おー、大丈夫、大丈…。ブッ!」

 

雷鳳『マスター?! 』

 

痛って〜!何だ?!急にドア開きやがった!あ!卵!卵は無事か?!良かった。無事だ。

 

簪「社、ごめん。声聞こえたから開けてあげようと思って。」

 

簪か、やっぱりいたな。材料多めに買っといて正解だっな。

 

社「大丈夫さ、俺も近づきすぎたし。簪はアレか?晩飯食いにきたんだろ?」

 

部屋に入りながら、来た理由を訪ねる。ん?今視界の隅っこになんか荷物が見えたぞ?俺のはもう荷解き終わってるから俺のじゃない。

 

社「簪さん?あの荷物は…。」

 

簪「私の荷物。私もこの部屋になったの。」

 

ウッソだろお前。ウッソだろお前。

 

雷鳳『大事なことなので2回言いました。』

 

えぇい、茶化すない!誰の差し金じゃい!

 

簪「あっ、お姉ちゃんと織斑先生から伝言。」

 

あの二人か、なんだよ?嫌な予感しかしねぇぞ。

 

簪「お姉ちゃんからは、「義弟と旦那様になるの待ってるから♥」と織斑先生からは「腹上死だけは勘弁して欲しい。」って」

 

よーし!二人して覚悟しとけよー!蹴り入れてやらー!

でもその前に…。

 

社「簪、これアイス入ってるから冷凍庫入れとけ。」

 

簪「チョコある?」

 

社「あるよ。風呂上がりにでも、食えよ。セシリアもな。」

 

セシリア「あっハイ。ありがとうございますわ、社様は戻ってこられるのにお時間が、ありましたがなにかあったのですか?」

 

社「あー、それな。ちょっと晩飯作りながら説明するわ。コラ、簪。俺のアイス食おうとしてんじゃねえ。」

 

油断も隙もあったもんじゃねぇ。とりあえず、晩飯を作りながら、今までの経緯を話し処分についても話すと目に見えて二人の機嫌が悪くなった。

 

セシリア「なにを、お考えなのでしょうか。相手の実力を測らず。ましてや、丸腰の社様に木刀を振りかざすなど。」

 

簪「社、その人達。潰していい?」

 

社「ステイ、ステイ、簪ステイ。とりあえず、ハイライトさんを出張させるな。その目は俺にきく。」

 

いや、ホントやめて欲しい。フランスでの出来事を思い出すから。

 

社「とにかく、そいつらに関してはお前ら。特に簪。なんもすんなや?フリじゃねえからな。マジのお願いだ。ややこしくなるから。」

 

簪「分かった。中指だけ立てる。」

 

社「やめーや、女の子なんだから、大人しくせぇ。」

 

セシリア「あの?中指を立てるとは?」

 

社「セシリアは知らなくていい…。簪「こうするの。」実践すんなって!」

 

セシリア「こうですわね!」

 

社「やめて!淑女だろ?!」

 

立てんなってんだよ!イギリス淑女がやることじゃないよ!

 

雷鳳『あら〜、結構思い切ったことする娘ね♪気にいっちゃった♪ 』

 

社「雷鳳、頼むからあんまり二人を焚き付けるの止めろよ?何するのか分かんねぇんだからな。特にセシリア。」

 

セシリア「わ!私ですか?!」

 

だって、簪は幼なじみだから大体予想つくけど。セシリアとはまだ知り合っての日数が少なすぎて予想できないんだもん。

 

社「とにかく、二人とも。アイツ等とはあんまり関わるな、念を押すからな。」

 

二人とも何か思うところがあるだろう。でも、俺の問題で、二人を巻き込むわけにゃいかねぇ。厄介事は俺が引き受けよう。面倒だが…。

 

簪「社がそこまで言うなら。」

 

セシリア「分かりました。」

 

頼んだぞ?こっちから関わることはないが向こうから来る場合がある。その際に中指なんて立ててくれるなよ?

 

社「ほれ、この話しはお終い。メシ食おうぜ。せっかくのハンバーグだ。温かい内に食っちまおうぜ。」

 

ひとまず、織斑達のことは放っておいて。晩飯に舌鼓を打とう。案の定、セシリアと簪は喜んで食べてくれた。片付けをしてる最中に何か話し合っていた。会話までは聞こえなかったが、話題はどうにも恋バナっぽかったのでスルーする。

 

雷鳳(どうしたの?恋バナ苦手?)

 

正直な、結構苦手。俺どっちかっていうとそんなに好かれる方じゃないと思うんだけど…。

 

雷鳳(ハァ~~。私のマスター。鈍いのか鋭いのか。)

 

な、なんだよ?なんで、呆れてんだよ?一応、好意にはそれなりに敏感だぞ?

 

雷鳳(うーん、ならいいのかな?無碍にしちゃダメだよ?)

 

しねぇよ。そんな事してみろ、社長やら職員からめっちゃ責められるわ。特に父さんと母さんがなぁ…。

 

雷鳳(結婚して、16年。未だラブラブカップルみたいな夫婦。あんな夫婦になりたいわね。マスター。)

 

社「俺かよ?!」

 

簪「え?社?」

 

セシリア「ど、どうされましたの?」

 

やっべ、声に出しちゃった。

 

社「あー、悪い。雷鳳と喋ってた。びっくりさせちまったな。」

 

雷鳳『ごめんなさいね、 思念会話控えようかしら?』

 

社「場所によりけりじゃねぇか?聞かれたくない会話は思念会話にしようぜ。」

 

雷鳳『そうしましょ。マスターとのお話は楽しいもの。 』

 

社「俺もだよ。ん?どうした?二人とも。」

 

簪「ううん、羨ましいなぁって。」

 

セシリア「そうですわね。専用機との対話、私達IS乗りの最大の目標ですもの。」

 

雷鳳『私は、比較的に早くに自我に目覚めていたし、マスターとお話したくてずっと待ってたんだもの。』

 

社「待ってた?」

 

片付けを終えて、テーブルに雷鳳を置いて会話に専念する。二人も雷鳳の会話に興味深々のようだ。

 

雷鳳『えぇ、私達はコアだけでは対話は出来ないのよ。仮に対話できても、条件が揃わないと対話すらできないわ。』

 

簪「条件?」

 

雷鳳『条件は、そのコアによってマチマチなの。だから私の条件が、そのコアの条件に当てはまるとは限らないわ。後一応、コアにも性別というか、男性側と女性側がいるから。それは、対話してみてのお楽しみね。』

 

社「あ、一応性別みたいな概念あるんだ。」

 

雷鳳『正確には、性別というより。個体差って概念ね。私が、たまたま女性側ってなだけよ。 』

 

なるほどね。つまり、各国の専用機のコアが一律で女性側とは限らないってわけか。これは貴重な話しを聞けたなぁ。しかも始まりのコアの話しだから信憑性は高い。

 

簪「二式、アナタとお話できるかな?」

 

セシリア「ティアーズ、私もお話したいですわ。」

 

雷鳳『二人はまだ、条件が満たされてないから。対話は難しいわね。でも、焦っても私達は応えないから。ゆっくりと歩み寄ってあげてね。』

 

ん?俺どこで条件満たした?幾ら10年一緒にいたとして、IS起動させたのがホンのひと月前だ。その間に何かしらの条件を満たした?うーん、考えてもわからん。

 

雷鳳『悪いけど、私の条件はマスターでも教えられないの。ごめんなさいね。』

 

ふむ、条件については、教えて貰えないと。こればっかりは自分で気づけってわけか。

 

社「ま、いいさ。その内、解き明かしていくさ。二人もな。」

 

その言葉に、二人は頷いてくれた。さて、明日から訓練開始だ。今日は早めに休もう、二人を先に入浴するよう言ったが、先にどうぞと、押し切られてしまったので。先に入浴していたら、簪とセシリアが水着姿で突撃してきた。思わず、悲鳴をあげた。だって、こっちは近場にあったバスタオル一枚だけなんだもん。二人には悪いが軽く蹴り出した。ホント油断も隙もあったもんじゃねぇ。入浴を終えて、着替えてから説教しといた。次やったら飯抜きを伝えてから二人を入浴させ。アイスを食おうと思って冷凍庫を開けた。その時、携帯が鳴り響いた。やっぱいいよな、エイムズショットライザーの必殺技待機音。着信画面には、チーフの名前が浮かんでいた。

 

社「もしもし?チーフどうしたんです?」

 

束『やっほー!やっくん。久しぶりだね、あれから身体は異常ないかい?』

 

社「ありませんね、強いて言うなら。食欲が上がったぐらいでしょうか。」

 

束『にゃはは~♪ それはやっくん、何時ものことじゃん♪』

 

社「そうですが、それに輪をかけてって感じですね。」

 

束『そっかー、それぐらいなら問題なさそうだね。社長達も心配してたよ。』

 

社「うわ、しまった。連絡するの忘れてた。社長怒ってないかな?」

 

束『大丈夫だよ。私からの説明とくーちゃんが今そっちにいるから。』

 

社「え?クーさん。こっちに来てるの? 」

 

束『うん、今は雷ちゃんの専属整備士として。こっちから出向中だよ。』

 

社「やっべー、クーさん。拗ねてねぇかなぁ。」

 

束『やっくん、襲われないでね?』

 

社「それ、性的に?物理的に?」

 

束『………性的に。』

 

社「束さん、まだ俺散らしたくねぇです。」

 

束『うん、いざとなったら雷ちゃんの電撃浴びせれば大人しくなるかも?』

 

社「確証はないんです?」

 

束『雷ちゃん次第かなあ?割りと雷ちゃん、身内に甘々だから。』

 

社「あぁ、ありそうですね。」

 

雷鳳『今の優先順位はマスター1番よ。』

 

社「そん時は頼むわ。」

 

雷鳳『任されたわ。』

 

束『んじゃ、そろそろ。おやすみなさいだね。ごめんね、こんな時間に電話して。』

 

社「いえ、大丈夫ですよ。心配かけてすいません。」

 

束『やっくん、約束して。怪我するのは男の子だから仕方ないよ?でも、死にかける怪我だけはしないで。絶対にだよ?やっくんには私達の夢を叶えて貰いたいから。』

 

社「分かりました。約束します、死にかけるのはさすがにもうコリゴリなので。」

 

束『うん、分かった。やっくん。弟くんに負けることはないけど。頑張ってね。』

 

社「了解です。チーフ、ありがとうございます。絶対負けませんから。」

 

束『雷ちゃんとやっくんのコンビは最強だから、やっくんは雷ちゃんをしっかり信頼してね。そしたら雷ちゃんの実力は一気に跳ね上がるから。』

 

社「分かりました。それについては、俺はもう雷鳳のことを信頼しています。伊達に10年一緒にいたわけじゃないんですから。」

 

束『その言葉を聞けて良かった。じゃ、やっくん。おやすみなさい。』

 

社「はい、おやすみなさいチーフ。」

 

そう言って、電話を切ると。いつの間にか入浴を終えた二人がアイスを食べていた。俺もアイスを食べて、歯を磨き。床に、寝袋をセットして寝ようとしたら。簪も入ってこようとしたので空いていたベッドにボッシュートしといた。その隙にセシリアも入ろうとしていたので同じくベッドへボッシュートした。今日は色々あったから疲れたせいか、すぐに眠りについた。明日から更に忙しくなることを予感しながら、俺は意識を手放すのだった。




亀更新ですが、よろしくお願いします。


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第6話雷鳴帯びし鳳

遅くなりました。仕事とバトルシーンの手直しで、投稿が遅れましたことをお詫び申し上げます。相変わらずの駄文でございますが少しでも楽しく読んでいただきたいと思っております。


なんやかんやで、あっという間に1週間。決闘の日がやってきた。今は織斑の機体の初期設定中で待機状態だからめっちゃ暇なのよ。その間にクーさんに機体の最終チェックをしてもらうことになった。呼んだら、マッハで来て押し倒された。危うく散らしかけた…。

 

社「つか、ギャラリー多くね?」

 

今はピットで柔軟体操をしながらモニターに映し出された観客席を見ていた。セシリアと簪も一緒にピットに来て貰って、柔軟と機体のチェックを手伝って貰っている。まぁ、主にクーさんがやっちゃうんだけどね。

 

???「仕方ないわよ、だって噂の男性操縦士同士のバトルなんだもの。」

 

社「刀奈、来てたのか。」

 

更識刀奈。ここIS学園の生徒会長で、簪の実姉。そして、前代未聞で更識の当主の座を蹴り飛ばした女。もしかしたら歴代初なのでは?俺の一つ上の幼なじみでもある。しかし、どういうわけか。簪同様に俺に好意を抱いてる。悪い気はしないけどさ。

 

社「てか、簪。さっきからそのIS用のリフトで何ごっこ遊びやってんだよ。」

 

簪「G〇アームズごっこ。」

 

ブッフォwwwコイツ!やりやがる!結構形が似てるからそれっぽいわwwwやべぇwwwツボったwww刀奈も腹抱え込んで耐えてる、クーさんに至ってはスパナ握り締めてプルプルしてやんのwwwコレもう一押しだよなwwwセシリアはキョトンとしてる。どうやらネタが分からないようだ。後で見せてやるからなぁ、イッキ見すんぞー。

 

社「ハイ、台詞をどうぞwww」

 

さぁ、肝心のセリフはどっちだ?!

 

簪「狙い撃てないんでな。圧倒させてもらう!!」

 

社・刀『ギャハハハハハwwwwwwそっちかよ(なの)?! wwwwww』

 

社「切り裂かねぇの!」

 

刀奈「撃つ方だった!」

 

すると簪は、ゆっくりとG〇アームズ(仮)から降りて。床に寝そべり、手を銃の形にした。おい!まさか?!

 

簪「皆…。この世界は好きか?俺は…イヤだね…。」

 

社・刀・ク『ろ、ロッ〇オーーーーーン!!!』

 

ダメだよ!あのシーンやっちゃぁ!お涙頂戴のシーンじゃん!あ、思い出したら自然に涙が…。

 

千冬『お前ら、盛り上がっているところ悪いが。織斑の初期設定が完了した。刀隠、用意は出来てるか?』

 

社「マテバで良ければ。」

 

千冬『お前はどこの機動隊だ!さっさと行け!』

 

にひひw織斑先生いじくり倒すの楽しいwさて、気持ちを切り替えて。行きますか、雷鳳をハンガーにかけた状態で身に纏う。白を基調とし、所々の黒いライン。そこにアクセントとして、イエローのライン。機体各所に赤いクリスタル状のパーツ、首にはエネルギー体の赤いマフラー。全体的にヒロイックな印象を受ける機体。それが、俺の専用機である『雷鳳』。この1週間の訓練でコイツをモノに出来た時、俺は高揚した。雷鳳がちゃんと俺に応えてくれているって実感が沸いた。第1変化の時により雷鳳と一体化した感覚にも陥った。一応、織斑先生と山田先生を交えて、クーさんに報告すると。

 

クロエ「問題ありません。それは雷鳳が社様にキチンとフィッティングされた。ということなので、恐れず、驕らず、過信することなく、雷鳳とともに歩んで下さい。」

 

なんて言われたなぁ、織斑先生と山田先生も頷いてたから、信憑性は高い。それからは、自主練や皆と訓練しながら今日を迎え。俺は人生で二度目となるISバトルを行う。

 

社「行けるな?雷鳳。」

 

雷鳳『貴方となら何処までも。』

 

頼もしい相棒の言葉に俺は、意気揚々とカタパルトに歩を進め、脚部をカタパルトに接続させ、衝撃に備えて軽く膝を曲げた。この方法は簪が教えてくれた。ガ〇ダムみてぇ。

 

麻耶『刀隠君、聞こえますか?』

 

社「ハイ、聞こえます。」

 

麻耶『向こうも、発進シーケンスに移行しました。これより発進ですが、よろしいですか?』

 

社「問題ありません、やって下さい。」

 

麻耶『了解です。では、ハッチ解放。カタパルト接続確認。リニアボルテージ上昇。進路クリア。発進タイミングを刀隠社に譲渡します。』

 

社「了解、アイハブコントロール。刀隠社、蹴り飛ばすぜ!」

 

リニアカタパルトの強烈なGを感じながら、身体に叩き込んだ感覚で、カタパルトをパージすると空中を身を踊らせながら。空中でアクロバットをしながら地上に降り立ったと同時に目の前に土煙が立ち上った。

 

社・雷『は?』

 

土煙が晴れると、そこには真っ白い機体を身に纏った織斑が横たわっていた。え?なんで?ちょっと待って。状況が分かんない。

 

雷鳳『あー、どうやらPICやらの設定をオートじゃなくて、マニュアルで、やったのかしら?』

 

社「あれ?俺最初からマニュアルでやらされたよ?」

 

スパルタだったわ、頭ぶつけるし、ブースターの出力間違えてロケットになったり埋まったりしたなぁ。やれやれ、気は乗らないが一応声かけるか。

 

社「オイ、何やってんだ?さっさと起きろよ。」

 

気絶したか?いや、違うな。コイツ気絶したフリしてやがる。んで、不意打ちしようって魂胆だろうな、小細工しよってからに。

 

社「織斑先生、コイツ起きる気ないですよ?蹴っていいですか?」

 

千冬『かまわん、殺れ。』

 

ん?今字違わなかった?

 

雷鳳『マスター、気にしちゃダメ。殺ろう。』

 

お前もかい!まぁ、いいや。気にしたら負けよ。俺は、ゆっくりと左足を垂直に上げ。かかと落としの体制を作り。再度声をかけた。

 

社「最後通告だ。今からお前の脳天にかかと落としをする。起きるもヨシ、起きなくてもヨシ。好きな方選べ。」

 

そこまで言うと、奴さんが、冷や汗をかき始めた。どうやら、自分の未来でも見えたようだ。しかし、起きないな。なら…。

 

社「残念、サヨナラだ。」

 

振り下ろされるかかと落とし、俺はこれで決着だと思っていた。

 

雷鳳『マスター!!ロックされてる!』

 

社「うっそだろ?!」

 

網膜にロックオンアラートが投影されると同時に後ろに大きく飛ぶ。すると今まで俺が立っていた場所に無数の銃弾が撃ち込まれた。しかし、どこから?姿が見えない。会場がザワついている、無理もない。今ここには俺と織斑しかいないんだからな。

 

社「オイオイ、洒落なんねぇぞ。織斑!てめぇ!何仕込みやがった!!」

 

一夏「チッ!もうちょいだったのになぁ。」

 

織斑がゆっくりと立ち上がって身体についた土汚れをはらい落とす。その間にハイパーセンサーで全周囲を見渡すが、先程の銃撃をした連中の影も形も見当たらなかった。

 

社(どう思う?)

 

雷鳳(撃ち込まれた弾丸は本物。ロックオンアラートも本物。セントリーガンの類いかな?)

 

社(いや、敵意を感じる。姿が見えずに敵意を感じるとなれば答えは自ずと見える。)

 

雷鳳(答え合わせする?)

 

社(いいぜ、答えは…。)

 

社・雷『光学迷彩、これだろ?(でしょ?)』

 

むしろ、これしかない。それよりも…。

 

社「おい、織斑。ISバトルにおいてや平時に関わらず。ISの光学迷彩の使用は、条例により違反行為とされる。それを知らないとは、言わせねえぞ?」

 

そう、現在においてISの光学迷彩の使用は特殊部隊に配属されたISでないと使用を禁止すると条例で定められている。つまり、今の状況下では織斑達は条例違反行為として身柄の拘束が認められている。一応、低性能だが量産型のISにも光学迷彩は搭載されているが普段は悪用を避けるためにパスコードが設定されている。学園の量産型は打鉄とラファールの2種類。この2種類で狙撃や銃撃に趣を置いているのは、ラファールだ。しかし、パスコードなんてどこで手に入れた?パスコードは、教師の人達か、メーカーであるデュノア社しか知らないはず。

 

社「ま、何であれ光学迷彩の剥がし方はレクチャー済さ。やるぞ!雷鳳!!」

 

雷鳳『了解!プラズマコンバーター出力上昇、脚部ブースター展開!』

 

社「刀隠流!巻き起こせ!嵐・改式!」

 

刀隠流・嵐。この技は普段は周囲の敵に対しての対応技だが、改式の場合は回転しながら上に上昇し、そこから更に急降下による飛び蹴りまでがセットとなる。今回は、雷鳳の力を借りてブースターで回転力を上げると同時に上昇率も上げる。

あっという間にアリーナの天井であるバリアまで上昇すると今度は、そのバリアを足場にし勢いよく蹴り出し、飛び蹴りの姿勢を取る。その瞬間に脚部に内蔵されたプラズマコンバーターから放電が始まり。それは空気摩擦により、更にその威力を上げ地面に接触と同時にスパークさせ、アリーナ全体に広げる。

雷鳴の速度は、ISの反応速度をもってしても回避不可能。さぁ、その姿をさらけ出せ!!電撃が当たった場所からみるみる内に光学迷彩が剥がれ落ち隠していた姿をさらけ出したがその数がちょっと予想の斜め上を行った。

 

社「いや、ちょっと多くない?」

 

予想では、4-5人の予想だったのになんで20人近くいるの?んの野郎。本気でこっち潰しにかかりやがったか。小癪なことに、顔バレを防ぐためかバイザーまで用意してやがる。

 

社「お前、どんだけなんだよ?」

 

一夏「お前を叩き潰すために呼んだんだ。これで俺の勝ちは確定だ。」

 

社「それよりもさ、お前。どんだけ卑怯かわかってんのか?」

 

一夏「卑怯?俺が?違うね、これは正当な権利だ。なんてったって俺はあの織斑千冬の弟なんだからな。」

 

やれやれ、会場のブーイングなんてコイツには、聞こえてねぇんだろうな。

 

社「理屈にならねぇな。まぁ、いいさ。言っとくが、お前は俺に着いて来れねぇぞ。」

 

一夏「ほざくな!凡人のクセに!!」

 

凡人ね、凡人上等!魅せてやるよ、高速戦闘の域を!てめぇらは全員俺が蹴り飛ばす!

 

社「雷鳳!!」

 

雷鳳『ハイ!プラズマコンバーター出力上昇!瞬間加速スタンバイ! 瞬間加速まで…3…2…1…。』

 

社「刀隠流…。」

 

 

雷鳳『瞬間加速スタート・アップ!! 』

 

社「叢雲!!改二式!!」

 

刀隠流・叢雲。この技は、一撃離脱戦法を基礎とし、改式や改二式になればその威力を増す。蹴る部位は決まってはいない。もっぱら命中しやすい胴体部分を的にするが。今回限りとして、全員顔面狙うことにした。悪く思うなよ?一応手加減してやっからよ。先ず、右側の女子生徒の顔面を的確に蹴り抜く。雷鳳の瞬間加速は、あらゆるセンサーから逃れるほどのスピードだ。その衝撃は凄まじく、バイザーは砕け散るが。ISの絶対防御が発動することで、その生徒の顔を傷つけることはないがそのまま、吹き飛びながら気を失う、その動きが酷く緩慢に感じられた。

 

社(なんだ?この感覚は…。)

 

まるで世界が一斉にスローモーションをかけられたかのようだ。生徒全員が反応出来ていないその間に、蹴りの反動を利用して次の標的に狙いを定め脚部ブースターを吹かせながら蹴り飛ばす。時間にして大体、1分程度だろうか。全ての人を蹴り飛ばすと同時にそれまで緩慢に流れていた時間の感覚が急激に元に戻った。

 

社「今のは…。」

 

一夏「お前!なにしたんだよ?!」

 

社「別に、加速して蹴り飛ばしただけだ。」

 

言うのは簡単だ。雷鳳の加速速度は、現行機のどの機体よりも速い。だから、言ったろ?ついて来れねぇってよ。

 

一夏「インチキじゃねぇか!」

 

社「インチキ?どこが?」

 

一夏「あんな加速!ISが出来るわけない!」

 

社「ところがギッチョン、出来ちゃうんだなぁ。コレが。瞬間加速っていうブースト技術らしいぜ。」

 

習得するのにどれだけ激突を繰り返したことやら、織斑先生めっちゃ怖いし…。まさか織斑先生から逃げる過程で習得したなんて言えねぇし。つか、3日で全快するってあの人人間か?

 

社「聞くが、お前この1週間の間なにやってた?」

 

一夏「剣道だ!」

 

は?今なんつった?剣道?え?

 

社「ちょい待ち、今剣道って言ったか?ISの訓練は?事情説明して申請すれば少しは優先してくれたんじゃないか?」

 

一夏「知らねぇよ!そんなこと誰も教えてくれなかった!だったら、俺に出来るのは剣道だけだ!」

 

もうヤダ、コイツ。頭痛いわ。ん?待てよ?

 

社「つまりお前は、俺がこの1週間の間に、燃やされたり、氷漬けにされたり、水浸しになったり、弾丸の雨嵐の中掻い潜ったり、ミサイルに追い回されたり、特殊兵装の的にされたり、挙げ句の果てにポン刀持った人に追い回されてる間にのうのうと剣道に勤しんでいたと。」

 

ふざけんなよ!!俺がどんだけ走馬灯を見てきてる間にそんな安全な場所でスポーツに勤しんでいたというのか!あ、なんかめっちゃ腹立ってきた。

 

社「個人的にめっちゃムカつくから、秒で殺る。」

 

雷鳳『マスター、字、字。』

 

気にするな、気にしたら負けよぅ。

 

社「つう訳で、織斑。覚悟できたか?俺は出来てる。」

 

一夏「ほざくなぁ!!」

 

愚直にも一直線に突っ込んでくるか。ならば!

 

社「刀隠流!」

 

同じように、俺も突っ込むと勝利でも確信したのか、織斑がほくそ笑んだが見えた。こんな時にISのハイパーセンサーってすげぇなあ。なんて思ってしまうが今は技に集中する!

 

一夏「くたばれぇぇぇ!!」

 

大振りの大上段、避けるのは容易い。そんなもんに当たる俺達だと思うなよ!

 

社「狭霧。」

 

至って冷たい印象をもった声で技名を発する。途端、織斑の振り下ろした剣は、見事俺の事を脳天から唐竹割りに切り裂いた。ニヤリと笑う顔と会場に響く悲鳴、実にスプラッタな現場だろう。だが切り裂かれた俺はゆっくりとその姿を消した。驚愕する織斑の脳天に今度は俺の蹴りが炸裂し、織斑の身体が地面に埋まる。その目の前にガシャン!と重たい金属音が鳴り響き、会場の悲鳴が一斉に止んだ。

 

社「おうコラ、立てよ。まだイケんだろ?」

 

反応がない、どういうこっちゃ?また不意打ち狙いかな?にしては、微動だにしてない。俺はとりあえず織斑の首根っこを掴んで持ち上げると、そこには白目を向いて気絶している織斑の顔があった。

 

社・雷『ブッフォwwwwwwww』

 

不謹慎にも笑ってしまった。掴んでいた首根っこを離し、織斑先生に連絡を入れるとすかさずアナウンスが流れた。

 

『織斑一夏、戦闘不能により。勝者!刀隠社!!』

 

瞬間、湧き上がる会場に右手を上げて応えると。黄色い歓声がより大きくなった。俺は気絶している織斑を放っておいてピットに戻ると、そこには織斑先生と皆がいた。雷鳳を待機状態であるロザリオに戻して、皆の元へ歩き出した。視界の隅に見慣れた顔があった。

 

セシリア「お疲れ様です、社様。」

 

簪「お疲れ様。」

 

社「ありがとう、セシリア、簪。」

 

刀奈「お疲れ様、良くあんな人数相手にできたわね。」

 

社「単純に慣れてるんだ。旅してる時によくあんな状況になったからな。」

 

???「うわ、私らの弟が怖いっスよ。」

 

???「だな、まあ私らがボコったのもあるだろうな。」

 

社「フォル姉ぇに、レイン姉ぇ。」

 

そう見慣れた顔とは、俺の姉貴分の2人だ。2人とも俺と同じ亡国企業の企業代表なので、入室を許可されているのだろう。

 

千冬「ご苦労だった。刀隠、私たちとの訓練が生かされていたな、満点をやろう。」

 

うわーい、嬉しいなぁ(棒)。この人気分がノってきたら、改造打鉄の拡張空間からポン刀、無限に出してきて追い回してくるんだもん。悪鬼羅刹とはこのこt『POWER!!』ん?あぇ?!ちょ!ちょ!ちょ!待って!待って!何で?!何で、プログライズキー出して起動してるんです?!メキメキ言ってるからやめたげてよー!!

 

千冬「お前、今妙なこと考えなかったか?」

 

社「滅相もございません!」

 

やべぇ、この人勘が良すぎる。変なことは考えないでおこう。殺される…。

 

社「と、ところで織斑の方はいいんですか?弟なんですよね?」

 

あからさまなタイミングで織斑の話題をぶち込んで、なんとか脱出しないと。

 

千冬「アイツのことは、どうでもいい。この後、独房で謹慎処分と奉仕活動を言い渡す。」

 

独房?!ここ独房あんの?!うわー、トラウマレベルなんですけど。ん?待てよ、あの光学迷彩使ってた生徒達はどうなんだろ?

 

社「刀奈、あの子達はどうなるんだ?」

 

刀奈「あの子達?」

 

社「ほら、光学迷彩使ってた…。」

 

刀奈「あー、それなら。良くて、織斑君と同じ、悪くて退学処分ってとこね。どうする?社が被害者なんだから、社の意向次第よ。」

 

うーん、何気に重大な事決めるのが俺か…。やれやれ、甘いって言われるかな?

 

社「織斑先生、彼女たちにも織斑と同じ罰を与えて下さい。」

 

あーあ、なんか皆が「知ってた。」みたいな顔してるよ。

 

千冬「甘いのか、優しいのか。どっちだ?」

 

社以外『両方です。』

 

千冬「だろうな。刀隠、それでいいんだな?」

 

社「はい、ただ彼女たちの奉仕活動はクーさんとこつまりは、整備科に放り込んで下さい。」

 

クーさんの、IS整備技術はチーフ仕込みだ。生半可な気持ちでやったら、スパナやらで殴られるほどのスパルタだ。一回だけレイン姉ぇが生半可なことやったらしく、クレーンで逆さ吊りされてたのを見たことがあった。それほど迄にクーさんの、ISにかける愛情が凄いのだ。どうやら、ここに出向してきて僅かな時間で整備長にまで出世し、呼び名が年下からは「姐さん」年上からは「お嬢」と呼ばれている。あの人、俺の専属整備士だよね?

 

千冬「分かった。整備科で少しは根性でも叩き直してもらうとしよう。物理的にな…。」

 

社「やりかねないんだよなぁ、クーさんの場合…。」

 

この後、俺はピットを出て更衣室でシャワーと着替えを済ませ、皆と食堂で晩御飯に舌づつみを打ち各自の部屋へと戻っていった。まぁ、俺はセシリアと簪と同室なんですけどね。やれやれ、色んな意味で今日は疲れた。こんな日はさっさと寝るに限る。寝袋に身体を入れようとするとすぐに、簪が侵入しようとしたが丁寧に放り出しておいた。コラ、セシリアどさくさに紛れない。ブーブーと文句を言っていたが、悪いが疲れたから寝たいので、イヤホンをセットしスマホでJAZZを聴きながら眠りに着いた。明日は、どんな日になるかな?なんて思いながら俺の意識は、夢の中へと旅立って行った。

 

 

 

 

~同時刻・IS学園事務所~

 

???「ありがとうございました。」

 

???「ありがとうございました~。」

 

???「ねぇ、ここに居るんだよね?」

 

???「そうね、アイツ1組らしいわ、私は2組ね。」

 

???「私は3組だね。あぁ、久しぶりだなぁ。」

 

???「そうね、今から会うのが楽しみだわ。」

 

???「お姉ちゃん、社さんに会いに行くの一緒に行こうよ。サプライズでビックリさせよう 」

 

???「それいいわね、どんな顔するかしら?」

 

 

2人は、談笑しながらとりあえずの寝床への歩みを進めた。2人の頭の中は、数ヶ月前に別れた愛しの彼への再開を何度もシュミレーションし、その胸に淡い恋心を携え、龍虎の少女達は、この日の眠りに着いた。明日の再開を夢見て…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




バトルシーンの難しさを、身をもって思い知りました。


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第7話鳳、龍虎との再開

ども、刀隠社です。突然ですが、事件です。何が事件だって?それはね…。

 

真耶「では!1組のクラス代表は、刀隠君に決まりました!皆さん、盛大な拍手を!」

 

パチパチと、拍手と歓声が湧き上がる。イヤイヤ待って、なんで、俺なの?

 

社「あの、俺ですか?」

 

真耶「他に刀隠君っています?」

 

居ませんね、やらかしたかもしれんな。

 

雷鳳(まぁ、あれだけのことしといて。ねぇ…。)

 

えー、だってさぁ。売られた喧嘩は買わなきゃ損でしょ。あ、そうだ一応聞いてみようっと。

 

社「なぁ、謹慎中だが織斑って考えなかったのか?」

 

瞬間、教室が絶対零度まで気温が下がった気がした。やっちまった。地雷原でブレイクダンスしたかも。

 

生徒1「だってねぇ、あんな卑怯なことする人なんてねぇ。」

 

生徒2「そうだよねぇ、おまけに大して強くないし。」

 

他にも織斑に対する難色を示した声が上がる上がる。おーおー、相当嫌われてるなぁ。しかし、織斑先生は何処に?

 

~IS学園・独房エリア~

 

ん?何やら私の視点になっているな。私の名は織斑千冬、今この独房に放り込まれている愚か者の姉だ。

 

千冬「頭は冷えたか?この愚か者めが。」

 

一夏「それ、俺のこと言ってんの?千冬姉ぇ。」

 

千冬「お前以外にこの場に誰がいる?」

 

一夏「ふざけんな!俺が愚か者だってか?!俺は当然の権利を使っただけじゃねぇか!」

 

千冬「当然の権利だと?」

 

一夏「あぁ、そうさ!俺はアンタの弟だ!つまり何しても構わないってことだ!」

 

やれやれ、話にならん。そろそろクラス代表の発表が終わったころだろう。

 

千冬「一夏、己の行いを反省しろ。それまではここから出られると、思うな。」

 

そう言い残し、私はその場を後にした。その際何やら喚いていたが私の知ったところではない。刀隠のようになれとは言わんが、せめて人並みにはなってもらいたいものだ。

 

千冬「私の弟か…。」

 

もしかしたら、私が、ISで栄光を掴んだのがいけなかったのか?あのモンドグロッソでの栄光はここ日本だけでなく、世界中の女性に多大なる影響を与えてしまった…。初めは、束が宇宙に行けるパワードスーツのようなものだったのに、世界初の起動実験では男性が起動せずに女性だけが起動。世界中に生配信されているのに、女性は男性を殺害。そして、声高らかに宣言した。

 

女性「これは、神が与えてくれた権利!!!世の女性よ立ち上がれ!!今こそ!虐げられた我ら女性が世界を変えるのだ!!」

 

その後、その女性は私の駆る『白騎士』によって制圧。まさかこれが後の『白騎士事件』と呼ばれるようになるとは思わなかったがな。私は『白騎士』のパイロットである事をその場で自白、ISは束が宇宙に行きたいという夢の為に作り上げたものだと、弁明したが1度火が着いた勢いは止まず。結果今の『女尊男卑』の世界が生まれた。あれから10年、ISは未だ女性にしか反応を示さなかった。だが、先日一夏がイタズラにISに触れたことにより起動。世界中が大騒ぎになり、片っ端から男性に適合試験をしたが中々ヒットしなかったところに、あの男。『刀隠社』が二人目としてヒットした。初めて会ったのは、アイツが政府機関によって確保されようとしている現場だった。そこで私は魅せられた。まるで、流れる水のように次々と政府機関の人間を蹴り倒していく現場だった。

 

千冬「美しい…。」

 

知らず、漏れだした声で我に帰りアイツを宥めなんとか同行してもらった。宿泊するホテルに向かう道中で色んな事を聞いた。3年程世界中を旅したこと、旅の先で出会い仲良くなった人物のこと、帰国と同時に検査にかけられ政府機関のお偉いさんに解剖させてくれと言われムカついたから蹴り倒したこと、そして、宝物のロザリオのこと、兎のお姉ちゃんとの約束のことを、とにかく色んな事を話している時のアイツの顔は歳相応の顔だった。

 

千冬「それが、まさか殺し合い一歩手前迄になるとはな…。」

 

そう、アイツの入学試験担当官は私だった。学園から支給された打鉄を倉持技研に改造して貰った(もちろん、許可は得ている。)打鉄で挑んだ。アイツは、ラファールを使っていた。機動力なら確かにラファールがある。あろうことか背部の非固定装備を外してである、ウイングを外し私を蹴りだけで圧倒した。そこで、楽しくなってしまって…。その…。遂、本気で斬りかかってしまった…。その後は凄惨なものだった。斬るわ、蹴るわのオンパレードで装甲はベコベコ、会場は血溜まり、フレームはガタガタになり、私とアイツは手当ての後で学園長に説教された。私の打鉄はオーバーホールでは直らず、結局新しくカスタマイズされた打鉄を買い取った。アイツはアイツでラファールを大破させてしまったので、製造元であるデュノア社に賠償金とともに送り付けたら、色々改善点が、見つかったと言われたようだ。次に同じことがあったら減給どころの騒ぎではなくなることだけは確かだった。

 

千冬「しばらく、禁酒でもするか。」

 

そう、独り言を吐いて。私は教室へと歩を進めた。

 

~一組の教室~

 

お?視点戻った?織斑先生が不在のままだから、今は他のクラスに迷惑にならないように、自習時間なんだがうーん、暇なり~。

 

生徒1「ねぇ、刀隠君。」

 

社「ん?なに?」

 

生徒1「織斑先生が試験官だったんだよね?どんなことしたの?」

 

あー、それ聞く?他の連中も聞きたそうだな。

 

社「興味あるなら、ライブラリで見れたハズだよ?ただ…。」

 

生徒1「ただ?」

 

社「俺も自分の試験の映像観たけど、飯食いながらはオススメしないよ。後、夜に観るな寝れないぞ。」

 

嘘は言ってない、結構血しぶきが飛んでしまって。グロとスプラッターが同時進行で襲ってくるから。

 

生徒1「わ、分かった。」

 

釘刺したし、とりあえず大丈夫だろう。そうこうしてると授業終了の鐘が鳴った。号令をして、ちょっと手洗いに。男子用が結構遠いのよ、元々女子校だもんな。仕方ないネ。あ、帰りに自販機でコーヒー買おうっと。

 

~一組教室前・廊下~

 

あら?次は、私の視点なのね。私は今彼がいる教室前に従姉妹と一緒に来てる。目的はもちろん2人して彼に会うため、数ヶ月前に本国で別れてから会っておらず。まさか二人目の男性操縦者になるなんて夢にも思わなかった。

 

???「お姉ちゃん!早く、早く!」

 

???「コラコラ、そんなに急かさないでよ。久しぶりに会うんだから、第一印象って大事でしょ?」

 

???「そうだけど、早く会いたいんだもん。」

 

全く、血は争えないわね。私も楽しみだし、早速教室のドアを開けようとすると知った声を聴いて振り返った。そこには、会いたくて仕方なかった想い人がパンパンになったビニール袋を持って立っていた。中身なんだろ?

 

~同時刻・廊下~

 

ふぃ~。参った。参った。

 

社「まさか、当たりが連チャンするとわ…。」

 

おかしいでしょ、コーヒー買ったら当たりがきて。別のジュース押したらまた当たって、ラッキーって思ってたのが25連チャンもしたら段々怖くなって、通りかかった女子生徒に声を掛けて変わりに押して貰って事なきを得られた。オマケにビニール袋までくれた。優しいなぁ、こんなご時世にさあ。

 

雷鳳『あぁいう娘も、いるのね。』

 

社「ん?そうだな。まだ女尊男卑な奴はいるけど1年では減ったらしいぞ?」

 

雷鳳『らしいわね、マスターなんて1年で1番怒らせては行けない人になったものね。』

 

社「結構、刺さるわなその言葉…。」

 

グサッとくるのよ、その言葉…。おかしいでしょ、俺基本的には温厚よ?

 

雷鳳『マスター、教室前に見知った顔が2名いるわよ。』

 

社「へ?」

 

あ、アイツ等。まさかこんなところで再会するなんてな。

 

社「よう、久しぶりだな。鈴、乱ちゃん。」

 

そう声をかけると、2人は一目散に俺目掛けて突っ走っしてきた。ちょっと待て、俺持ってるビニール袋には炭酸もあるんだ!待て!待て!待てーい!あ、2人して飛びやがった。アディオス、炭酸飲料水。爆弾と化したお前はこの2人に譲渡してくれるわ。

 

鈴・乱『社(さん)!久しぶり!会いたかった!!』

 

社「久しぶ…だはぁ!!!」

 

2人分の勢いと体重を、上半身の筋力だけでは殺しきれず。そのまま後ろ向きに俺は倒れこんだ。あーあ、炭酸爆弾の完成だなこりゃ、ふと視界にフリルが入ってきて、恐る恐る視線をフリルの先へと送るとそこには…。

 

セシリア「社様?何をなさっているので?」

 

社「せ、セシリア…。」

 

瞳孔を大きく開き、ハイライトを消したセシリアが立っていた。怖っ!セシリア怖っ!ハイライト消すならまだしも!瞳孔開いてるから余計怖っ!ん?カリカリ音がする?どこから?左から?ん?んん?!簪?!どうした?!なんで壁をカリカリしてるの?!瞬きもせずに一心不乱に壁カリカリしてるのがめっちゃ怖い!!お願いします!簪!簪さん!簪様!!瞬きを、瞬きをなさって下さい!!あぁ!セシリアさん!お願いします!しゃがんできて顔固定しないで下さいませ!!目が怖いです!無表情だから!無表情だから!何時ものセシリアに戻っておくれ!

 

セシリア「社様?何をなさっているので?」

 

セリフ一緒!セリフ一緒だ!ヤバいよ!ヤバいよ!セシリアが顔固定して、上半身に乗ってる鈴と乱ちゃんが携帯のバイブレーションが如く震えてるし、セシリアと一緒に簪まで覗き込んできてるし、って?!簪?!お前いつの間に移動したの?!怖っ!ルームメイト2人怖っ!近い!近い!セシリアと簪近い!!もうおデコくっつきそうだよ?!

 

<キーンコーンカーンコーン>

 

やった!救われた!予鈴が、鳴ったら流石に教室に戻らざるを得ないだろ!

 

社「ほら!予鈴鳴ったよ!2人は昼飯時に紹介するから!鈴、乱ちゃん!それでいいな?!」

 

2人は首を縦に勢いよく降った。だからセシリアさん、顔固定してる手を離してくれない?後ハイライトを灯しておくれ。怖いから…。

 

セシリア「わかりました。では、後ほど御説明をお願いします。社様、お逃げにならないように。」

 

簪「セシリア、逃がしちゃだめだよ?」

 

セシリア「お任せを、席が隣ですので。逃がしませんわ。」

 

いや、逃げないけどね…。あの、セシリアさん?袖、鷲掴みするの遠慮してくれません?結構力強いね。なんで俺の周りの人ってこんなに力強いの?とりあえず、鈴と乱ちゃんに先程の盛大にシェイクされた炭酸爆弾を手渡した。絶望がお前達のゴールだ、そして俺のゴールは地獄だ…。

 

~食堂・入口~

 

あぁ、ようやく飯か。授業中はハイライトがOFFってるセシリアに袖を鷲掴みにされたまま受けたから、生きた心地がしなかった…。そして、現在は簪も加わり両袖から両腕にランクアップ。半ば引き摺られるように食堂に到着しました。

 

鈴「あ、社…。大丈夫?」

 

社「これが大丈夫に見えるなら眼科行け。」

 

乱「お疲れ様です、社さん。」

 

乱ちゃん、お疲れ様で済まないのよ?見えてるでしょ?逸らさないのよ?ガッチリホールドされた俺の腕から目線逸らさないのよ?

 

社「とりあえず、飯確保してくるから席取り頼んだ。」

 

鈴「分かったわ、乱、行くわよ。」

 

乱「うん、社さん、後でね。」

 

社「おう。」

 

さて、飯食って気晴らししよっと。2人とも離してくれない?食券機使えないから。あ、離してくれるのね。ありがとう。

 

社「今日は中華な気分~♪」

 

飯が食えるとなると気分も上がる。うーん、炒飯と唐揚げと餃子にしますか。食券をオバチャンに渡すと、奥の方からやたら気合いの入った「ホォアチャァァァァ!!」なんて声が聞こえ、ちょっと怖かった。調理の最中でも、「アタァ!」とか「ホォォォォォ!!」なんて聞こえるから食堂が戦慄したのは、言うまでもない。

 

社「うんまぁ…。」

 

鈴「アンタ、相変わらずよく食べるわね。」

 

乱「なんか、もう見慣れちゃったもんね。」

 

セシリア「社様、そろそろ御説明を。」

 

簪「私達の納得できるように。」

 

怖いって!説明と紹介するから!

 

社「まずは、こっちのツインテールの娘は…。」

 

鈴「鳳鈴音(ふぁんりんいん)よ、中国の国家代表候補生よ。私のことは、気軽に鈴って呼んでね。」

 

社「んで、こっちのポニーテールの娘が…。」

 

乱「鳳乱音(ふぁんらんいん)です。台湾の国家代表候補生です。私のことは気軽に乱とお呼び下さい。」

 

社「まずは紹介が終わったな。んで、説明なんだが…。箒「おい!このイカサマ男!!」はぁ…。最悪だ…。」

 

やれやれ、めんどくさいことになったぞ…。

 

社「何の用だ。篠ノ之、今感動の再会と紹介中なんだが?後、誰がイカサマ男だって?」

 

箒「貴様以外誰がいるんだ!」

 

社「俺がイカサマなら、織斑は卑怯者になるが?」

 

箒「なにを!! 」

 

鈴「ねぇ、社。この人誰?」

 

社「ん?ほら、1人目の男性操縦者がいるだろ?ソイツの彼女らしい。」

 

ふーん、と鈴が返し。そのままラーメンを啜る。お前、ホントにラーメン好きだよな。

 

箒「話を、逸らすな!貴様も男なら剣で戦え!」

 

社「言ったよな?俺の流派は蹴り技専門だ。武器はこの足だけだ。そもそも、俺には武器を扱うセンスなんざない。」

 

箒「やかましい!屁理屈ばかりこねるな!」

 

俺からしたらお前がやかましい。

 

社「ここは食堂だぜ?今飯食ってんだ。後にしろ後に。」

 

さてと、飯、飯。なんか隣で篠ノ之がワナワナしてるが気にしない、めんどくさいから。

 

箒「貴様ー!!」

 

おい!今どっから木刀出した?!手品師かよ!こんなとこで木刀なんて振り回されたら、皆がケガしちまう。ならば!

 

社「ふんが!」

 

パァン!!と大きな音が食堂に木霊する。それもそのはず、なぜなら…。

 

箒「白刃取りだと?!」

 

社「お前、織斑先生より。全然遅ぇな、余裕で見えてるぜ。」

 

悪いな、俺の動体視力は新幹線の座席からでも。人の顔が認識出来るんだ。これぐらいはお遊び程度で楽勝よ。織斑先生の斬撃?ギリギリ見えてる程度なんだよなぁ、でも、あれまだ本気じゃ無さそうな感じするわ。なんて考えてたら、篠ノ之が木刀を引き抜こうともがいている。甘いわ!俺の腕力は、業務用冷蔵庫を持ち上げる程だ。お前程度の腕力なんかで、引き抜けるかよ。

 

箒「貴様!放せ!」

 

社「ごめん被る、放したら周りの人達が危ねぇからな。」

 

これさ、蹴っても文句言われないよね?

 

雷鳳(言いそうだけどね。)

 

だよな、一撃で沈めてやるか。

 

千冬「何をしている?怪獣。」

 

お?織斑先生(大怪獣)のお出ましだ。

 

千冬「お前、今失礼なこと考えたな?」

 

社「滅相もない。それより、コイツどうにかして頂けると非常に嬉しいのですが?」

 

イヤホントマジでどうにかして欲しい。いい加減、鬱陶しいから。後、その肩に担いでる箱はなんです?でっけえダンボールですなぁ。

 

千冬「ふむ、おい。篠ノ之。そこまでにしとけ、お前また医務室送りになりたいのか?」

 

箒「なっ!千冬さん!このイカサマ男の肩を持つんですか?!」

 

千冬「織斑先生だ。馬鹿者が、当たり前だろうソイツはイカサマではなく、己自身の技で勝負し勝った。そこにイカサマなぞあるハズもない。」

 

おーおー、味方してくれる予定だった先生に突き放されて。段々引き抜こうとしてた腕が下がってきて、遂には完全に木刀から手が離れたのを確認してから、俺は木刀を織斑先生に渡した。変わりにダンボールもらったよ、なぁにこれぇ?あら、手紙までありやがんの。

 

千冬「では、私はこの馬鹿者の説教があるのでな。午後の授業でな。」

 

全員『お疲れ様でーす。』

 

ん、とだけ返事をして篠ノ之の首根っこを掴んで引きずって行った。とりあえず、俺はこのダンボールを部屋に置いて来よう。手紙は、晩飯前でいいっか。

 

~放課後・教室~

 

社「あっという間に放課後!!なので、買い物行こ。」

 

セシリア「あの、社様?」

 

社「何?」

 

セシリア「お疲れなのですか?」

 

社「うん、まぁ、ちょっと。」

 

いやね?今日は確かにちょっと疲れた。結局、篠ノ之は反省もせずに再び同じことしてきたから蹴った。まさか天井に刺さるなんて思わないじゃん?織斑先生に呆れた顔で、脚立と補修材貰ってこいって言うから貰ってきて補修したよ。その時にクーさんに会って、以外なこと言われた。

 

クロエ「社様の、バイク思いっきり改造しました♪放課後に受け取りに来てくださいね♪」

 

思わず「は?」ってなったわ。何してくれてん!って叫んだもん。技術部暇なの?機体の整備で飽き足らずに俺のバイクの改造って…。なんかもう疲れたよ、パト〇ッシュ…。

 

社「あ、セシリア。整備室よるから、簪連れて来て。晩飯の献立考えてないから。リクエスト聞かなきゃだから。」

 

セシリア「分かりました。少々お待ち下さいませ。」

 

そう言って、セシリアは教室を後にする。変わりに鳳姉妹が山田先生を引き連れてエントリー。何やら興奮気味であるのが、気がかりだが。

 

鈴「社!社!聞いて!」

 

乱「社さん!聞いて下さい!」

 

社「あーもー、落ち着いてくれ。聞くから、どうした?」

 

鈴・乱『コレ!』

 

と言って、差し出されたのは寮のカードキーだった。ん?この部屋番号って…。

 

麻耶「お2人様、追加ですので。頑張ってくださいね♪」

 

社「ウソダドンドコドーン!!」

 

止めてよ!嘘だと言ってよ!バーニィ!!山田先生!笑うの我慢してるでしょ!プルプルしてるもん!!

 

簪「社、来たよ。」

 

セシリア「社様、お待たせしました。」

 

鈴「あ、簪にセシリア。」

 

乱「聞いて下さい。私達同じ部屋になったんです。」

 

簪「あ、なら。歓迎会だね。」

 

セシリア「そうですわね、私はキッチンに立てませんが。」

 

鈴「え?何で?」

 

社「セシリアは、料理が壊滅的でな。以来、出禁にしてる。」

 

セシリア「簪さんと、社様監修の下でなら。立ち入りが許可されておりますの。」

 

鈴「社。」

 

社「ん?」

 

鈴「監修の部分に、私と乱も追加で。」

 

社「承知した。」

 

ごめんね、セシリア。鈴も乱ちゃんも料理出来る人だからね、大丈夫、大丈夫。教えてくれるよ。ちょっとスパルタだけどね…。おっと、忘れかけてたわ。そろそろ整備室行かなきゃ。バイク…どんな風に改造されたんだろう?

 

~学園・整備室~

 

社「何で?!何でこうなったの?!ねぇ?!クーさん!!!」

 

クロエ「やっちゃったZE♪」

 

社「やっちゃったZE♪じゃないよ!!簪!鈴!興奮してんじゃねぇ!!セシリア!乱ちゃん!免許取得の為の情報漁るな!収集つかないから!!」

 

クロエ「私達、整備班。真心込めて改造しました!」

 

整備班『うぃーす!!』

 

社「やかましいわ!!俺のヴェルシス1000SEがぁ!!」

 

クロエ「名付けて、ハティ!!」

 

社「話進めんなや!!」

 

どうやったら、こうなんの?!何であのフェンリルみたいなフォルムにできるの?!

 

クロエ「まぁ、冗談はここまででして。」

 

社「冗談かよ!」

 

なら、俺のバイクどこ?!

 

クロエ「はい、冗談です。社様のバイクはちゃんと駐輪場に置いてありますよ。」

 

あー、もう心臓に悪いわ。この人突拍子もなく弾けるからタチ悪いんだよ。

 

クロエ「このバイクは言わば、試験車でして。」

 

鈴「試験車?」

 

クロエ「はい。我社、亡国企業が開発した次世代型の大型二輪となっております。そのテスターに社様が選ばれました。」

 

ん?ちょっと待って。テスターって確か会社に何人かいたよな?あれ?

 

社「クーさん、会社のテスターさんは?」

 

クロエ「社様、設計・開発を。主任がやったと言えばよろしいでしょうか?」

 

社「把握した。」

 

うん、マトモじゃないな、このバイク。だって、主任が設計・開発でしょ?マトモじゃないよ。

 

雷鳳(マスター、それ私も含まれる?)

 

大丈夫、お前はマトモだ。ただ、お前以降の開発品がマトモだったことあるか?

 

雷鳳(うん、マトモじゃないね。)

 

だろう?ん?なんかメール来た。だーれだ?おや主任じゃんなになに?

 

『やっくん、今度社に帰ってきたら。足つぼマッサージの刑。』

 

え?なに?あの人どっかで聴いてる?え?ウソ?怖っ!俺の周りこんな人しかいないの?!

 

クロエ「社様、雷鳳をお貸しください。」

 

社「ん?雷鳳を?」

 

どうしたの?整備はしたよ?

 

クロエ「はい、実はこのバイクは、社様専用にカスタムした車体でして。エンジンキーに雷鳳を使用しないと起動しない仕組みになっております。」

 

社「マジか、魔導二輪としての側面もありかよ…。」

 

確かに良く見たら、キーの差し込み口がなくて、代わりにちょうどロザリオをはめ込めるような窪みがあった。

 

社「クーさん、ここに雷鳳をはめ込むの?」

 

クロエ「はい、そこにはめ込んでから。インジェクションを押せば起動しますよ。」

 

言われるがままに、雷鳳をはめ込んでからインジェクションを押した。その時、整備室にエラく重低音の効いたエンジン音が鳴り響いた。腹の底に響いたのがすごい嬉しい。俺が2回スロットルを回すと、力強い重低音が更に唸りを上げた。俺はエンジンを止め、クーさんに向き合った。多分、この時の俺は最高の笑顔だったろう。

 

社「クーさん、コレ最高!!」

 

クロエ「お喜び頂けたようで、恐悦至極。」

 

いやぁ、最高だわ。俺好みの重低音だったし、コイツとならどこまでも走れる。

 

社「そういえば、これの燃料は?」

 

クロエ「燃料というより、エネルギーですね。雷鳳のプラズマエネルギーを利用しております。」

 

社「プラズマエネルギーを?」

 

ん?どゆこと?

 

雷鳳『私の生み出す、プラズマエネルギーは膨大過ぎるのよ。毎回走ったり、攻撃の際に放電してるでしょ?』

 

社「あぁ、リミッターが掛かっていてもダメ?」

 

雷鳳『余ってるのよ。プラズマエネルギーが、そこでお母さんに相談したら。まさかこんな形で放電するなんて思わなかったわ。』

 

つまりは、雷鳳から発生している。膨大過ぎるプラズマエネルギーを利用して走るバイクか、エコだねぇ。

 

社「で、受け取りは完了?」

 

クロエ「はい、お疲れ様です。」

 

受け取りも起動も完了したし、買い物行こうっと。せっかく鈴と乱ちゃんが同室になったんだ。なんか記念に腕振るいますか。

 

~寮・自室~

 

鈴「くたばれぇぇぇ!!」

 

乱「させっ!だぁぁぁ!ミスったー!」

 

セシリア「ちょっと!乱さん!あー!巻き込まれましたー!」

 

社「オラァ!!鈴!覚悟ぉ!!」

 

鈴「ウソ!アレ見えて…!あー!」

 

社「シャー!!」

 

簪「社、強いなぁ。」

 

俺達は、大いに盛り上がっていた。『リーサルリーグ』で。部屋の防音対策すごいね、外まで音あんまり聞こえないんだもん。

 

社「はい、明日の朝飯当番は乱ちゃんな。」

 

乱「むー!」

 

明日の朝飯当番を決めるのに、簪持参の『リーサルリーグ』で1番最初に落ちたヤツが作る。そう言うルールの下やった。セシリアが参加していたのは、単にやりたそうだったから。簪はシード枠なので、これから乱ちゃんと交代して、やり合う。

 

社「とりあえず、スピードは100超えてからが本番だよな。」

 

セシリア「それ以下だと、たまに反応出来ませんよね?このゲーム。」

 

鈴「つか、セシリア本当に初心者?怪しくなる腕前よね。」

 

簪「目と反応速度がいいんだとおも…だばぁ!!」

 

全員『えぇーー?!68でやられた?!』

 

その後、簪がボロボロに負けた腹いせにふて腐れ始めたのでその日はお開きになった。皆がお風呂に入っている間に今日渡された連絡プリントを読む。そこには、『来週、クラス対抗トーナメント』とデカデカと書かれたプリントをコーヒー片手に読み、皆が上がってきたので、入浴を済ませ就寝した。頼むからアクシデントなんていらないからな?色々と腹いっぱいだからよ。そんなことを思いながら、俺は夢の中に落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




勝手にキャラ専用曲を考えました。(既存するもので)

刀隠社:REVIVER『my first story』

Ready Go!!『仮面ライダービルド挿入歌』

Ultra Spiral『ウルトマンGALAXYFIGHT』

セシリア・オルコット:graphite diamond 『May'n』

Dancing Blue『スパロボOG』

月虹『BUMP OF CHICKEN』


鳳鈴音:レイメイ『さユりmy first story』

Infinity『ガンダムビルドダイバーズ』

シリウス『BUMP OF CHICKEN』

鳳乱音:Phantom Joke『UNISON SQUARE GARDEN』

LOSER『米津玄師』

HOWLING SWORD『GARO VANISHING LINE』

更識簪:嵐の中で輝いて『米倉千尋』

プラチナ『坂本真綾』

海色『AKINO fore bless4』

私の勝手なイメージで当てはめましたので、ご意見等ありましたらどうぞ御遠慮なくお願いします。



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第8話鳳と龍の激突

今日は、クラス対抗トーナメントの日だ。この日のために、今まで血の滲む訓練をしてきた。何回か、走馬灯を見たのがいい思い出だ…。やべぇ…涙が出てきた…。

 

社「さてと、対戦相手は誰だー?」

 

控え室にあるモニターで、対戦相手が分かるシステムはすごい便利だな。ふむ、どうやら。簪と乱ちゃんが対戦か、鈴と乱ちゃんは最初は代表をやる気がなく断っていたのだが、鈴のクラスの代表が風邪で欠場となり代わりに鈴が抜擢されたと聞いた。乱ちゃんのクラスは、部活中のケガでしばらく安静にしとくように言われたって言ってた。そこで、鈴同様に専用機を所持している乱ちゃんが抜擢されたと言ってたな。ただ、2人共今回だけと条件をつけたようだ。幾ら、代表候補生で専用機持ちとは言えまだまだ未熟な部分があるのでと、取って理由をつけていた。簪はなし崩し的に選ばれたと愚痴ってた。あれ?コレ俺クラス代表断れたんじゃなかろうか?

 

社「しまった。断れたじゃん。」

 

雷鳳『でも、断れる雰囲気だった?』

 

社「…ねぇな。」

 

雷鳳『でしょ?』

 

あー、ちくしょうめ。俺の押しの弱さよ、恨むぜ全く。

 

雷鳳『あら?マスター、貴方の対戦相手が決まったわよ。中々面白い試合になりそうよ。』

 

珍しく、雷鳳の声が弾んでいた。そんなに面白い相手なのかと思い俺はモニターに映されたトーナメント表を見て思わず口角がつり上がったのを自覚した。

 

社「確かに、面白い試合になりそうだぜ。雷鳳、アレ使うかも知れねぇ。」

 

雷鳳『使用許諾は、マスターに一任されてるから。好きに使っても問題ないわ。むしろ、今回は私からお願いしようと思っていたもの。』

 

雷鳳が高揚しているのが肌で分かる。実際、俺自身も高揚している。さぁ、面白い試合にしようぜ。

 

~アリーナ会場・第三者視点~

 

MC『さぁ!始まりました!学年クラス代表対抗トーナメント!!今年の新入生には、期待値大の人物が2人もいます!1人は!あの織斑先生の弟!織斑一夏!!現在は諸事情により、参加出来ません!そして!もう1人は!記憶に新しい!2人目の男性操縦者!刀隠社!!なんと!あの織斑先生と互角に闘える新入生!彼の秀麗優美な蹴り技に酔いしれろ!!』

 

そんなアナウンスを聞いて、社はその場に蹲り顔を両手で覆っていた。そんな彼の耳は真っ赤になり、頭からは湯気が立ち上っていた。要は恥ずかしいのだ、彼はまだ16歳の少年。だが、会場は彼とは裏腹に最高潮の盛り上がりを見せていた。

 

社「何あの、アナウンス。めっちゃ恥ずかしい。」

 

雷鳳『盛り上がってるわねー。』

 

社「たまったもんじゃねぇよ。俺は…。」

 

その時、控え室のスピーカーより案内のアナウンスが流れた。

 

MC『まもなく、第一回戦を開始致します。両代表は、至急ピットまでお越し下さい。』

 

その、言葉に社は気持ちを切り替え。自販機で買った缶コーヒーを飲み干し、ゴミ箱に捨ててから控え室を後にした。ピットに行くまでにセシリア達とはすれ違わなかった。それもそのはず、今彼女達はクラスメイトと共にアリーナの観客席での観戦を行っているからだ。クラス代表を決める決闘の名を借りたリンチ紛いの時とは違い、正式な試合なので関係者以外は立ち入り禁止となっているからだった。ピットの前に立ち、一度だけ大きく深呼吸してからピットのドアを開ける。電気ドアならではのモーター音が、ピットに入室する。ふと、見覚えのある女子生徒達が見えたので、軽く挨拶だけしていくことにした。

 

社「こんにちは。」

 

声を掛けられた女子生徒はビクッと、反応を見せ。おずおずと言葉を発した。その間に他の女子生徒もビクビクと怯えた表情をしていた。そう、この女子生徒達はあの時織斑一夏に加担した生徒達だったのだ、違法と知りながらも、織斑一夏の口車に乗せられ、目の前の男性操縦者の刀隠社に蹴り飛ばされたその本人達なのだから、本来なら、退学処分のところ彼の言及のおかげで、奉仕活動と整備班への出向処分だけで済んだのを、後に整備班の人達から聞き及んだのだった。

 

女子生徒「こ、こんにちは。」

 

女子生徒が挨拶を返しくれると、社はそのまま頭を下げ、ある言葉を投げかけた。

 

社「ごめんなさい。」

 

女子生徒「え?」

 

突然の謝罪の言葉と行動に、女子生徒達は困惑した。本来、謝罪するのはこちらの方なのに、何故彼は私達に頭を下げているのだろうかと、困惑した顔をしながら彼女達はお互いを見合った。

 

社「あの時、顔面を蹴ってしまって。ごめんなさい。冷静に考えたら、女の子の顔面蹴るなんてダメだったよな。」

 

彼が謝罪した理由。それは、織斑一夏に加担したことに腹を立てその場のテンションで思い切り彼女達の顔面を蹴り飛ばしたことだった。その言葉を聞いて、キョトンとしているところに彼は続ける。

 

社「旅の時も、結構襲撃されてるから。その時のクセで顔面蹴ってしまった。いくら絶対防御があるとは言え、俺のISはそれさえも突破してしまう。その事を知っていたのに、俺は女の子の顔を蹴ってしまった。だから、ごめんなさい。」

 

納得がいった、彼は優しいのだ。基本的には優しいだが、曲がったことをすると容赦なく怒る。そんな性格なのだと、彼女達は納得がいった。そんな彼を彼女達は、一度とは言え敵に回した結果が謹慎と整備班への出向だった。冷静になってから退学処分にされると思っていたのだが、これだけの処分で終わったのは彼がお願いしたからだと、後に聞いて自分達の行動が如何に恥ずべき事と自覚させられた。

 

アナウンス『両代表は、カタパルトにて準備が出来ましたら、ご連絡下さい。』

 

そのアナウンスを聞くと、社はロザリオに手をあてISを展開させた。軽く機体表面に電流が流れ、エネルギー体のマフラーがたなびいた。そこから、ゆっくりと歩き出しカタパルトに両足を固定させ、管制室に通信を入れた。

 

社「こちら、刀隠社。準備できました。」

 

真耶「確認しました。向こうも準備ができましたので、発進シークエンスに入ります。ハッチ解放、進路クリア、カタパルトのリニアボルテージ上昇。発進タイミングを刀隠社に移譲します。」

 

社「アイハブコントロール、刀隠社。蹴り飛ばすぜ!!」

 

カタパルトが勢いよく、射出され。社の身体は宙に投げ出された。それに合わせ、社はアクロバットを決めながら着地すると同時に会場に歓声が沸いた。中には、横断幕まであり、そこには「ファンクラブ一同揃って応援してます!!」とデカデカと書かれていた。

 

社「え?ファンクラブ?いつ出来たの?」

 

雷『ほら、あのクラス代表決める時の…。』

 

社「マジか…。どうしよう…。」

 

雷『とりあえず、手でも振っとく?』

 

自身の専用機に促されるまま、社は右手を上に突き上げた。すると、先程より大きな歓声が上がり、余計に社は困惑した。

 

社「おいおい、すんげぇことになったぞ。」

 

雷『いやぁ、これは予想外かも…。』

 

そんな会話をしていると、大きなアナウンサーが流れた。

 

アナウンサー『さぁ!降り立った、一筋の雷光!!世界で、2番目に発見され!今や世間を大騒ぎにさせている人物!!疾風迅雷!刀隠社ーー!!』

 

社「恥ずかしい紹介やめれーーー!!!」

 

そんな本人とは裏腹に盛り上がった会場は、最早鎮火不可能なレベルにまでヒートアップしていた。

 

鈴「アンタ、すんごい人気ね。」

 

社「嫌味かこんちくしょうめ。」

 

鈴「率直な意見よ。ファンクラブなんて、いつ出来たのよ?」

 

社「いやー、お前が来る前に色々あってな。どうやら、その後出来たらしい。」

 

鈴「色々ね…。ま、それはおいおい聞きましょ。今は、この武闘劇に興じない?」

 

社「いいねぇ、俺も雷鳳も。早くやりたくて仕方ないんだ。もちろん、お前もな。」

 

その言葉の通りなのか、両者の間の空気が一変した。

 

鈴「そうだ、社。コレ観てくれる?」

 

そう言って、鈴は空間ディスプレイを操作し社の網膜ディスプレイに自身が持つ武装一覧を閲覧した。

 

社「鈴、コレは?」

 

鈴「まぁ見てなさいよ。」

 

再び、ディスプレイを操作すると。全ての武装がロックされた。それを見た社は、ムッと表情を歪め一目見ても明らかに「不機嫌です!」と言ってるような表情と、オーラが鈴には見て取れた。

 

社「オイ、鈴。どういうことだ?返答次第じゃぁ・・・。」

 

鈴「ちょっと落ち着いて、別に私はアンタを嘗めてるワケじゃないの。ただ・・・。私は、素手でアンタに勝ちたいだけ!」

 

そう叫んだ鈴は、中国拳法の構えをとった。その姿に社は、先程の自身の感情を恥じた。そして、同時に思い出していた。それは、まだ社が中国で路銀を稼ぐために鈴の実家で住み込みのバイトをしていた時に良く鈴と乱で手合わせをしていた。あの頃は本当に楽しい時間だった。鈴と乱の中国拳法によって社の動きは洗練された。それは、鈴と乱にも言えることだが、お互いの動きをある程度なら見切れる程にこの三人は手合わせを繰り返した。

 

社(楽しかったなぁ、あの頃は・・・。)

 

雷(なら、あの頃に戻って。試合しましょう。それが、鈴ちゃんに対しての礼儀じゃない?)

 

社(そうだな。なら、相棒。付き合ってくれるよな。)

 

雷(当たり前でしょう。私は、その為にいるんだから。)

 

社は、ありがとう。と雷鳳に伝えると。鈴を見据え、口を開いた。

 

社「鈴、謝る。スマン、勝手に手加減されたと思っちまった。」

 

一瞬、キョトンとした顔をした鈴が、構えを解き。首を横に降り、言葉を紡いだ。

 

鈴「謝んなくていいわよ、そう思われても仕方なかった行動だし。私こそ、ごめんね。」

 

その言葉を聞いて、社は少し意地悪な顔をした。

 

社「まだあるんじゃないか?謝ること。」

 

鈴「うわ、ヤな人~。」

 

そこで、2人は笑い出した。ひとしきり笑うとアナウンスが2人を現実に引き戻し、気持ちを切り替えさせた。

 

アナウンス『えーと、お二人の仲の良さを見せつけられたところで、織斑先生に試合開始の合図をお願いします。』

 

千冬『うむ、では双方。用意はいいな?では・・・。ん?なんだ?ボタンの故障か?』

 

何とも締まらない状況である。

 

千冬『仕方ない。双方構え!!ISファイトー!!レディー!!!!ゴー!!!!!!』

 

その、アナウンスを聞いた誰もがポカーンとしたが同時に、ガキーン!!と金属同士が衝突する音が、鳴り響き観客の視線を、会場へと引き戻した。そこには、鈴の拳を社が足でブロックしている最中だった。

 

鈴「グギギギギギ・・・!」

 

社「ぬぅぅぅぅぅぅ・・・!」

 

互いに押し合いをする度に、金属が擦れる音が木霊し、駆動系が唸りを上げる。瞬間、社の足が鈴の腕に巻き付き残った足で鈴を仕留めんとする勢いで蹴りを放つが、すんでのところで鈴が、体制を強引に変えたせいで社の蹴りは不発に終わった。鈴は体制を変えた勢いを利用し、そのまま社を地面に叩き付けようとするが。社がこれに反応し、両手のひらにPICを集中させ、空中で逆立ち状態になった僅かな瞬間を狙って、両腕の力だけでその場で回転し、その遠心力を利用し鈴を『投げ飛ばした。』投げ出された鈴は、持ち前の反射神経と瞬発力を総動員し、体制を整えながら、地面を滑っていった。辺りに土埃が立ち上り、少しの静寂が訪れた。

 

社「あっぶねぇ、随分レベルアップしたみたいだな。」

 

鈴「それはこっちのセリフよ、絶対アレ入ったと思ったのに。相変わらずの反射神経と身体能力ね。」

 

社「おっかねぇ奴だ。脳天かち割る気満々だったじゃねぇか。」

 

鈴「これなら、アレ使っても良さそうね。」

 

社が鈴の発言を疑問に思っていると、鈴のISの拡張空間から1本の蒼いボトルを咥えた小さな機械のドラゴンが現れ鈴の周りを旋回し、その小さな頭を鈴に擦り付けた。

 

社「鈴、そのドラゴンは?」

 

鈴「この子は、『クローズドラゴン』。私は、可愛くないから『小龍(シャロン)』って呼んでるわ。」

 

社「へぇー、で?その子に何かしらの役割があるんだろ?」

 

鈴「察しがいいわね、この子にはこの甲龍の戦闘力を上げる役割があるのよ、それを見せてあげるわ。小龍!」

 

鈴が右手を掲げると、その手に向かって咥えたボトルを投げ渡した。鈴は受け取ったボトルを振り、キャップ部分のロックをはずすのと同時にドラゴンの頭と尻尾が折りたたまれ、鈴の左手に納まり右手のボトルをドラゴンの背中部分に差し込むと『Wake Up!』と機械の音声が流れ、そのまま腰サイドアーマーのスリットに差し込むと『Are you!Ready?!』と音声が流れると鈴は、1度目を閉じ、大きく息を吸い込むと、カッと目を見開いた。

 

鈴「吼えなさい!」

 

そう力強く宣言すると、『 Wake up burning! Get CROSS-Z 甲龍! Yeah!』と音声が流れると、甲龍の色がマゼンタからコバルトブルーに変わり、肩にドラゴンの爪を模したアーマーが装着され、顔の横には、ドラゴンの頭を模したヘッドギアが装着された。

 

社・雷『おぉ・・・。すげぇ・・・。』

 

思わずハモる専用機と主人公。それに勝ち誇ってドヤ顔する鈴。

 

鈴「凄いでしょう、言っとくけど。戦闘力はさっきの3倍よ!!」

 

次の瞬間、鈴が瞬間加速を使い社の懐に飛び込み。社の腹部に渾身の右ストレートが叩き込まれ、物凄い勢いで社はアリーナの壁に飛ばされると、壁が崩れそのまま社は生き埋めとなった。

 

鈴「ごめんねぇ、加減が難しいからつい、全力で殴っちゃった。」

 

少し挑発気味に言葉を発すると、瓦礫が弾き飛ばされ社が姿を現した。

 

社「痛って~。雷鳳、大丈夫か?」

 

雷『私は、大丈夫。SEを少し持って行かれたわ、装甲及び駆動系は問題なし、戦闘継続は可能よ。』

 

社「了解、ならコイツを使っても問題ないな。」

 

すると、社の右手にメーターのついた赤いトリガーが握られていた。

 

鈴「それは?」

 

社「コイツか?お前の小龍と同じさ、コイツは雷鳳に施されたリミッター解除用のアイテムでな、一応使用許諾は俺に一任されているのさ!」

 

すると社は、トリガーの上部に着いた青いスイッチを押し込むと警告音のような音の後に『HAZARD ON!』と鳴り響き、社はガンマンが如くトリガーを指で回し右側のサイドアーマーのスリットに差し込むと『Are you Ready?!』と音声が流れ、社が構えをとって解放の文言を高らかに叫んだ。

 

社「轟け!!」

 

瞬間、雷鳳を中心に雷鳴が轟き。凄まじい放電が始まり、普段赤く光っている部分が次第に青く輝いていき。放電が終わると、そこには少し身動ぎしただけで体表を紫電が走り、空気がパンッ!と弾ける音が響いた。

 

鈴「うわ、ヤッバ。勝てる気しないわ・・・。」

 

社「言っとくが、これでも1段階リミッター外しただけだからな。全開で外した状態はまだちゃんと制御できてないんでな。コレで勘弁して欲しいもんだ。」

 

鈴は驚愕すると同時に額から冷や汗をながした。

 

鈴(あれで1段階外しただけ?!冗談じゃないわよ?!肌で解る、圧倒的な出力と社自身の強さ、断言出来る。社は、あの織斑先生より強い!)

 

鈴は、自然と恐怖していた。だが、そんな自分を無理やり抑え込み、大きく息を吸い込み、そして・・・。

 

鈴「やってやろうじゃないのぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

咆哮が如く吼えた。古来より、龍が吼えるのは、自身を鼓舞し、成長させるためにとも言われていた。そして、今まさに己を鼓舞し、成長させるために小さな龍が大きく吼えた。勝とうが負けようが関係ない、相手は己より格上。それがどうしたといわんばかりに、吼える。そんな決意を瞳に宿し強敵に挑む若く小さな龍。その決意を汲み取り、全力で応えようとする鳳。静まり返るアリーナ、お互いの呼吸音と空気が弾ける音が支配する中で、観客席の生徒が手にした飲み物の、水滴がポタっと落ちたのを合図にお互いにとびだした。再び始まる蹴りと拳法の舞闘劇、観るものを魅了し、言葉すら紡がせない。そんな不思議な魅力があった。その証拠に、観客席からは、声援が飛ばす実況者である千冬さえも魅了されていた。それからどれだけ時間が流れただろうか、お互いに殴り、蹴りの押収が続き、SEもみるみる減っていた。

 

鈴「甲龍!小龍!お願い!届かせて!あの人のいる、あの領域まで!!」

 

社「雷鳳!まだ行けるだろ!雷が如く!熱く!疾く!」

 

次の瞬間、鈴の小龍から『RadyGo !』と鳴り響き鈴の周りに紅い龍のオーラが飛び、鈴の右足に収束され、鈴は飛び蹴りの体制を取った。

 

鈴「届けええええええええええ!!!」

 

鈴の蹴りは真っ直ぐに社目掛けて疾走し、その想いに応えようと社も技の体制を整えた。同時に社のトリガーから『RadyGo!』と音声が流れた。

 

社「刀隠流・・・。」

 

社は、右足を弧を描くように後ろに引き絞り。カウンターの要領で鈴の飛び蹴りに合わせ、技を発動させた。

 

社「夕立ぃぃぃぃ!!!」

 

蹴りと蹴りがぶつかった衝撃とエネルギーが、観客席のシールドバリアを激しく叩き。観客席から悲鳴が上がるが、当の本人達は押し合い圧し合いの真っ最中なので、それどころではなかった。

 

鈴「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

社「でぇぇりゃぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

僅かばかりに社の右足が押され出し、鈴は『勝った!』という表情を一瞬浮かべたが、それを良しとしないのがこの男だった。

 

社「雷鳳!脚部プラズマコンバーターを全開にしろ!」

 

雷鳳『おっまかせぇ!』

 

次の瞬間、雷鳳の脚部から膨大な量のプラズマエネルギーが放出され、まるで、翼を広げた一羽の雄々しき鳳が羽ばたいた。

 

社・雷『だぁぁぁぁぁぁぁ!!!』

 

徐々に押されていた社が、鈴を押し返していき。鈴を弾き飛ばす勢いの蹴りは、鳥の鳴き声のような甲高い音を発し遂に、社の蹴りが鈴を弾き飛ばした。

鈴「きゃぁぁぁ!!」

 

弾き出された鈴は、地面を2、3回バウンドした後にアリーナの壁に激突しその場で気絶した。

 

『鳳鈴音選手、戦闘不能により。勝者、刀隠社。』

 

とアナウンスが流れると観客席からは、賞賛の声が社に投げかけられ。その声に社は、ISを解除してから握りしめた右手を天高く掲げると大きく声を張り上げた。

 

社「っしゃーー!!勝ったぞー!!」

 

ひとしきり、勝者の余韻に浸った後に社は鈴に駆け寄り。所謂、お姫様抱っこで抱え込むと、客席からは黄色い声が飛び交う中気恥しい気分で社はそそくさと、アリーナから退散することにした。そんな様子をアリーナの階段端から一人の黒髪の少女が微笑みを浮かべて見ていた。

 

???「フフ、さすがだね。あの頃よりまた強くなってるや、楽しみだなぁ。もうちょっと、もうちょっとしたら会えるからね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お兄ちゃん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




補足設定

小龍(シャオロン):正式名称『クローズドラゴン』、鈴には可愛くないと言う理由から小龍(シャオロン)と命名される。普段は、神龍の拡張空間に入っており、呼び出すと出てくる。鈴はしょっちゅう呼び出したままで授業を受けたりしている。(元ネタ:仮面ライダービルド)

ハザードトリガー:雷鳳専用アイテムで、雷鳳に施されたリミッター解除用アイテム。ボタンを押す強さでリミッターを段階的に外すことができる。軽く押すと、リミッターを1段階外した状態になり。この時、雷鳳の赤く光るクリア部分が青く光り輝く。強く押すと完全にリミッターを解除した状態になり、全てのパラメーターが、跳ね上がる。この時、クリア部分は紫色に光り輝く。


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第9話:ヒロインズ、全員集合!! 前編

クラス対抗戦は、なんやかんやあって我ら1組がかっさらった。ん?なんやかんやの部分の描写がない?ご都合主義って便利だよね。それより今は・・・。

 

千冬「では、クラス対抗戦の優勝商品を配る。全員、刀隠に感謝するように。」

 

クラス一同『あざーっす!!』

 

社「いえいえ、皆が喜んでくれてなによりだよ。」

 

俺はただ蹴っただけなんだよなぁ、ん?優勝商品?ンなもん、『1ヶ月スイーツ食べ放題券』に決まってんじゃん。スイーツで腹いっぱいになりたいんだよ。まさか、バケツプリンが完備されてるとは、予想外だった。

 

千冬「それと、転校生を紹介する。ガッカリしろ、女子だ。」

 

あー、それ言っちゃいます?見なさいよ、皆がガッカリしてんじゃん。出鼻挫くの好きだなぁこの人。つか、こんな時期に転校生か・・・。

 

千冬「では、入ってこい。」

 

そう言われると、教室のドアが開き。3人入ってきた・・・。おい、ウソだろ?ちょっと待って、アイツ等かよ?!

 

千冬「では、自己紹介しろ。」

 

???「刀隠マドカです。兄共々よろしくお願いいたします。」

 

マドカだ!最近、テレビ電話に出てこないなって思ってたら転校生として来たかぁ。今夜はパーティーだな。

 

???「ラウラ・ボーデヴィッヒだ。ドイツ軍所属の代表候補生で、ここに在籍している。胸が断崖絶壁で尻がデカい女性、クロエ・ボーデヴィッヒは私の姉だよろしk・・・クロエ「ラウラ、ちょっとこちらへ・・・。」あ、姉上?!ちょっと待って!関節はそんな方向には曲がらがぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

そのままラウラは、クーさんに連行されて行った。ラウラ、強く生きてくれ、後クーさん。どっから出てきたの?いきなりヌッと現れたから、ちょっとビックリした。それより今は・・・。

 

???「シャルロット・デュノアです、フランスの代表候補生です。ところで、刀隠社君はどこ行ったのかな?」

 

教室がザワついてる。知ったことか!俺が、どこにいるかって?自分の机の下だよ!

 

セシリア「や、社様?(小声)」

 

社「セシリア、ここに俺はいないOK?(小声)」

 

セシリア「え?で、ですが・・・。(小声)」

 

社「OK!(小声)」

 

セシリア「Y・・・YES・・・。(小声)」

 

よし!後は目を閉じて、再び開けたら。シャルロットはいない!いないんだ!いないと信じるんだ!よし!開けるぞ!開けちゃうぞ!いざ!オープンセサミ!!

 

シャル「あは♪」

 

開けた先には、ハイライトがオフになって瞳孔をかっ開いたシャルがそこにいた。いいよな?いいよな?叫んでもいいよな?叫ぶぞ、叫んじゃうぞ。はい!3.2.1!

 

社「w@yagjpmgmpw~~~!!!」

 

言葉にならない叫びを上げた。

 

シャル「もう、いきなりボクの前からいなくなるんだもの。フランス中探し回ったよ、しっかしあの監禁部屋からどうやって逃げたの?ボクちゃんとキミをベッドに手錠を掛けて、あまつさえ首輪まで付けたのにご丁寧に外したよね?どうやって外したのか教えてくれない?次は外されないように強化しておくから安心してね♪それと、鍵の開け方とかも、教えてね♪二度と開かないようにするから。ホラ、婚姻届まで用意したんだよ?式場もバッチリ下見済。ボク達の将来は安泰なのに、なんでボクのところから逃げたの?教えて?なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデ・・・。」←(ここまで一息)

 

社「ひっ!ヒッィイ!」

 

怖い!怖い!怖い!めっちゃ怖い!何が怖いって、ハイライトがオフってて、瞳孔全開にして、婚姻届片手ににじり寄ってくるのが最早ホラーだよ!

 

セシリア「お待ちなさい!」

 

おぉ!セシリア!この状況を打破してくれるのか?!今のお前は俺の救世主だよ!

 

セシリア「社様と、ヴァージンロードを歩くのは、このセシリア・オルコットですわ!」

 

ん?あれ?なんか風向きおかしくなった?シャルの首がグリン!って音鳴らしながら回った気がする。お前、首大丈夫?

 

シャル「へぇ?君、社のなんなんだい?」

 

セシリア「社様をお慕い申している一人ですわ。」

 

二人が睨み合ってる間に、こっそりと机の下から這い出して周りを見たら。なんか好奇の目で見られてるんですが?織斑先生と山田先生なんで笑い堪えてるからね?ちょっとお二人さん、俺とOHANASHIしようや。

 

鈴・乱・簪『ちょっとまったーーーー!!!』

 

ここで、追加3名がログインしてきた。どうしよう?収集つくのかなこれ?

 

マドカ「お兄ちゃんを巡ってのバトル・ロワイアル!ファイ!!」

 

マドカ引っかき回すんじゃ・・・。(カーーーーン!!!)オイ!どっからゴング出した!鳴らしやがったぞ!ゴング!鳴らしやがった!あーあー、言い争いが始まった。止めなくていいんすか?あ、いいんだ。授業どころじゃねぇわ。いつの間にかマドカまで、参戦してやがんの。お前なんで参戦してんのよ。あ、よく見たら、煽ってやがんの。後でゲンコツだな。すると、ドアが開いてラウラが投げ込まれた。クーさん、扱いが雑すぎやしませんか?

 

クロエ「では、社様。私はこれにて。放課後に整備室にお越しください、雷鳳のオーバーホールを致しますので。」

 

社「あ、はい。お願いします。」

 

そっか、もうそんな時期だったのか。オーバーホールとなるとしばらく雷鳳とは離れ離れか。

 

雷鳳(ちょっと、寂しいわねぇ。あ、そうだ。オーバーホール中は夢で会わない?久しぶりにあっちの姿で会いたいなぁ。)

 

社(お、それ賛成。普段のお前も好きだけど、あっちの姿のお前も好きなんだよなぁ。)

 

雷鳳(うん!私もマスターのこと大好き!!)

 

おーおー、愛いやつめ。雷鳳とそんな会話をしていると、ラウラがぬーと、起き上がった。

 

社「お?ラウラ、気づいたか?大丈夫?」

 

ラウラ「カーニバルだよ♪」

 

????????????んえ????

 

ラウラ「カーニバルだよ♪」

 

社「ラ・・・ラウラ・・・? 」

 

ラウラ「おーと、今のは危なかったかもー♪」

 

社「危ねぇのはお前の頭ん中だよ!!帰ってこい!ラウラァァァァァ!!」

 

お前何処の重巡洋艦だよ!!帰ってこい!帰ってこい!これ以上のカオスはいらねぇんだよ!!!クーさん!なにしたのよーー!!

 

ー昼休み・食堂ー

 

社「あー、疲れた・・・。」

 

シャル「大丈夫?膝枕する?」

 

社「却下で。」

 

シャル「遠慮しないでよー。ボクとの仲じゃない?」

 

そんなこと言うけどな、シャルよ・・・。実力行使で膝枕はするもんじゃねぇから。ついでに俺の首おかしくなっちゃうから。ミシミシ言ってるから、離さんかい!!

 

ラウラ「しっかし、なにも思い出せん。最後の記憶が整備室でスパナ片手に迫る、姉上だった。」

 

クーさんや、自分の妹にどんな仕打ちしてんのさ。怖くて聞き出せんわ。

 

鈴「社、この子達らの説明してよ。私達なんも知らないんだから。」

 

社「あー、了解。まずはマドカな。」

 

マドカ「刀隠マドカです。お兄ちゃんとは、義理の兄妹になります。」

 

乱「え?義理なんです?」

 

社「あぁ、マドカのご両親は昔事故で亡くなってな。それからは、ウチで引き取って義妹として、一緒に生活してるんだよ。」

 

乱「あ、ごめんなさい。」

 

マドカ「大丈夫、気にしてないから。それに、お父さんとお母さん、お兄ちゃんまでいてくれてるんだもん。寂しくはないかな。」

 

社「ついでに言うと、コイツ。彼氏いるからな。」

 

『えぇーーーー!!!』

 

食堂が声で震える。うっせぇなぁ。年頃なんだから、彼氏ぐらいいるだろうに・・・。あ、そっか。今のご時世いないのが多いのか。

 

雷鳳『あら、やるじゃない。マドカちゃん。』

 

マドカ「え?何?誰?!」

 

社「あ、マドカは知らないんだな。雷鳳。」

 

雷鳳『初めまして。マドカちゃん。私は、彼の専用機の雷鳳と言うのよ。以後、お見知り置きを。』

 

マドカ「はえ〜、お兄ちゃん。コアとの対話を成立させたんだ。凄いや。」

 

まじまじと、雷鳳を見るマドカの目がキラキラと輝いていた。やっぱり、ISコアとの対話は、IS乗りの最大目標の1つであることは間違いないな。

 

社「さて、今オムライスを口いっぱいに頬張ってるのが・・・。」

 

ラウラ「ングっ!!ラウラ・ボーデヴィッヒだ。ドイツの軍人で国家代表候補生でもある。社とは、ちょっとしたことで知り合ってな。一時期、共に生活していた時もあった。」

 

社「生活というか、監視と逮捕な。」

 

セシリア「監視?!逮捕?!社様、一体なにをなさったのですか?!」

 

社「落ち着け、軍施設に知らなかったとは言え。鹿追いかけて不法侵入した。それと、軍人相手に大立ち回りをちょっと♪」

 

鈴「鹿?!不法侵入?!大立ち回り?!知らないんですけど?!」

 

社「言ってないからな。ま、今となっちゃ笑い話だわな。」

 

マドカ「お兄ちゃん、笑い話になってない。それ、お父さん達知ってるの? 」

 

社「知ってるよ。一応、ドイツ軍から連絡は行ってる。呆れてたけどな。」

 

マドカ「だろうね、私その頃本社で、訓練してたから知らなかったんだよね。 」

 

社「ま、ひと月程で解放されたからな。その後、フランスに渡って・・・。」

 

シャル「ボクこと、シャルロット・デュノアに会ったんだよね。」

 

社「まぁな、完全に偶然だがな。」

 

簪「偶然?」

 

社「あー、コレは話していいものか・・・。」

 

ちぃっとばかし、ややこしいんだよなぁ。シャルの場合・・・。

 

シャル「ボクは、愛人の子でね。お父さんはデュノア社の社長で、正妻の人に殺される所だったんだよね。」

 

簪「待って、思ってたより重たい。今までの中で1番ヘビー級の話きちゃった。」

 

社「いやー、街中のカフェで寛いでたら。銃撃されてさ、バイクは穴だらけにされるわ、テーブルはひっくり返されるわでムカついてな。蹴り飛ばしに行ったんだよ。そしたら、結果的にシャルを助けたことになってな。」

 

セシリア「なるほど、納得できましたわ。突然のデュノア社長婦人逮捕のニュースの裏にはそんな事があったのですね。」

 

乱「あれ?でも、確か脱獄してから行方不明じゃぁ・・・。 」

 

社「らしいな、その頃には俺コイツに監禁されててな。身動き取れなかったんだよ。バイクはデュノア社が直してくれたからな。オマケに今回はラファールまで壊したから、いよいよもって頭上がんねぇ。」

 

マドカ「逮捕の次には、監禁ときたんだ。お父さん達、音信不通になったって言ってたよ?どうやって逃げたの?」

 

社「ドイツ軍に教えて貰った方法でちょちょいと。」

 

シャル「へぇ、どんな方法?」

 

社「企業秘密で。」

 

頼むから、ハイライトOFFった目で俺を見ないで。何気にトラウマなんだよ。やめろ、覗き込むな、目を合わせようとするんじゃない。

 

社「ほら、さっさと食おうぜ。午後は実習なんだからよ。」

 

はぁ、男性更衣室が遠いのがネックなんだよぁ。

 

〜第1アリーナ・更衣室〜

 

社「あ?聞こえなかったなあ、織斑。」

 

一夏「もう1回、言ってやるよ。学園から出ていけよ。凡人風情が。」

 

やれやれ、着替えにきたらイキナリ喧嘩吹っかけられるとはな。時間押してきてるからさっさと着替えよう。俺のスーツは、上半身はピッチリとしているがノースリーブタイプで。ズボンは、ゆったりとした長ズボンタイプだから、着替えが楽なんだよな。最初は、上下ピッチリしてたんだが。ほら、俺お年頃だからさ。せめて下半身だけは、チーフにめっちゃ頼み込んで変更してもらった。対価として、初期案のピッチリスーツ姿を写真に撮られた。恥ずかしいったらありゃしねぇ。専用のシューズに履き替えたら、着替え完了っと。

 

社「おい、何でもいいから。着替え急いだ方がいいぜ、時間押してるからよ。一応の親切だ、どう受け取るかはお前次第だ。」

 

そう言って更衣室を後にする。扉が閉まる前に小さく「・・・チッ!」と舌打ちをする音が聞こえた。ま、何でもいいけどな。さてと、ストレッチでもしてよ。

 

〜第1アリーナ・グラウンド〜

 

社「ふぅ・・・。」

 

ストレッチしないと、ケガするからな。男のわりには、体柔らかい部類に入る。開脚180度は余裕、でないと技の中には開脚度合いが凄いのあるからね。

 

シャル「やーしろ。」

 

シャル、頼むからスーツ姿で抱きつくのやめてくれないか。お年頃の男の子なんだから、背中に柔らかい感触が、甘い匂いがするから離れて下さいな!と思っていたら、目の前を青いレーザーが通り過ぎた。ゆっくりと飛んできた方向に顔を向けると、そこには、ISのスナイパーライフルを構えたセシリアがいた。え?それ生身で、構えられるもんなの?

 

セシリア「あら、オホホ。外しましたわ♪」

 

セシリアの顔は笑顔だが、青筋が何本も浮かんでいた。怖い!怖い!怖い!めっちゃ怖い!たまのこの顔が怖いのよ!

 

社「って!危ねぇ!!」

 

再びレーザーが飛んできた。今度は、頬を掠める。ヤバい!次はどこ狙われるかわかんねぇ!なまじ狙い正確だから、余計危ねぇ!

 

社「シャル、離れろ!」

 

シャル「了解!オープン・ゲット!」

 

おい!俺はゲッターロボじゃねぇぞ!ん?!

 

社「どわぁぁぁ!!」

 

え?!牙月?!ということは・・・。

 

社「り・・・鈴?」

 

牙月が回転しながら、ブーメランのように鈴の手中に収まる。それより、鈴が下向いてて表情が見えない。その隣には、ISを展開しているラウラまでいる。ラウラもラウラで下向いてて表情が見えない。え?なに?流行ってんの?そんな風にするの流行ってんの?

 

鈴「そんなに・・・。」

 

ん?

 

鈴「そんなに乳が大きいのがいいかぁ!!!」

 

ラウラ「大きい乳なぞ、将来的には垂れるだけだァァァ!!」

 

鈴「そうよ!私とラウラが将来的にはちょうどいいのよ!」

 

シャル「ごめんねぇ!Dカップでさぁ!」

 

セシリア「Eカップで、ごめんあそばせぇ!」

 

マドカ「あ、私はC。」

 

煽んな、煽んな。ワザと見せびらかすように持ち上げちゃダメでしょ。

 

鈴・ラウラ『○すぞー!!!!』

 

社「やめーや!」

 

あーもう! 俺の負担になるからやめれー!

 

~数分後~

 

千冬「よし!では、専用機持ちは前に出て実践をしてもらう。ところで、刀隠。お前なんか疲れてないか?」

 

社「聞かんといて下さい。」

 

フリじゃないからね?本当にフリじゃないからね?お前等、涼しい顔してるけどドンパチする前に収拾つけた俺の苦労は半端ないからね?

 

千冬「そうか、では先ずはオルコット。展開してみろ。」

 

セシリア「はい。」

 

そう言って、セシリアの専用機。『ブルーティアーズ』が展開される。ふむ、やっぱりセシリアは青が似合うな。

 

千冬「うむ、さすがは代表候補生だな。展開速度も申し分ない。これからも励めよ。」

 

セシリア「ありがとうございます。」

 

千冬「では、次ボーデヴィッヒ。」

 

ラウラ「はい!」

 

そう言ってラウラも、黒を基調としたISを展開する。確か『シュヴァルツェア・レーゲン』あの頃と同じ姿だから、きっちり修理されたんだな。ゴメンなぁ、派手に壊して。

 

千冬「うむ、申し分ない。軍人ならではの展開速度だ。」

 

ラウラ「恐悦至極。 」

 

千冬「次、デュノア。」

 

シャル「はい、おいで!サーベラス!」

 

サーベラス。知らない機体だな、デュノア社で開発された新型機?でも、そんな話し聞いた事ねぇや。

 

シャル「あ、中身はラファールだから。正式には『ラファール・リヴァイヴ・サーベラス・カスタム』だから。」

 

社「名前長っ!」

 

それよか、ラファールとしての原型が残ってないな。外装だけでこうまで変わるのか。

 

シャル「ちなみに、中身は社。キミが壊したラファールを使ってるんだよ。」

 

社「え?マジか。」

 

シャル「そうだよ。まるで社に抱き締められてる気がして、僕は高揚してしまうんだよ!!あぁぁぁぁ!」

 

社「先生、シャルがトリップし始めたんで。気にせず行きましょう。」

 

後ろでISを纏ったまま、クネクネしているシャルを尻目に織斑先生に進言する。

 

千冬「了解だ。後、刀隠。後方注意だ。」

 

社「へ?」

 

すると、ガシッと肩が掴まれた。うぉぉぉぉ!ビックリした!!誰?!誰?!誰?!オレンジの装甲色、シャルか!そう思って振り返ったのだが、止めといたら良かったと後に思った。

 

シャル「へへへへへへへ♪」

 

社「ほぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

視界いっぱいに、シャルのトリップした顔がアップに広がった。

怖い!怖い!怖い!ハイライトOFFって、ヨダレ垂らして、鼻血垂らしてる女の子ってこんな怖いの?!これにトキメキ憶えたら。間違いなくヤバいヤツ!

 

シャル「へへへへへへへ♪さぁ、社。このまま役所に行こうか♪」

 

社「いやじゃーーーー!!雷鳳ーーー!!!」

 

雷鳳『展開と同時に、最大放電!!シャルちゃん!ごめんねぇ!』

 

バリバリバリ!!と雷鳳からプラズマエネルギーが放電される。俺は雷鳳を纏っているから、放電の影響はないんだが。

 

シャル「あばばばばばばばばば!!!」

 

シャルはガッツリ感電していた。まぁ、ISには耐電性能があるから、そこまでは酷くはないだろう。

 

社「おーい、シャル。大丈夫か?」

 

シャル「なんとか・・・。酷いよー、イキナリ放電なんてさぁ。」

 

雷鳳『シャルちゃんが、イケナイのよ?マスターが怖がってたじゃない。次はこんな程度じゃ済まないわよ?』

 

シャル「う・・・。気をつけるよ・・・。」

 

流石に懲りた感じだな。もう勘弁してもらいたいぜ・・・。お、鈴とマドカも展開し終わったか。織斑はっと・・・。え?何?まだなの?展開イメージは人それぞれだけど、お前さん、雑念多すぎない?

 

千冬「何をしている!織斑!展開イメージをしっかり持たんか!」

 

一夏「やってるよ!さっさと来いよ!白式!!」

 

そこまで言われ、ようやく光の粒子が現れ、ISの形をなしていった。コイツもしかして白式に嫌われてる?声とか聞こえないから分からんが・・・。まぁ、俺には関係ないから言わせてもらうか。

 

社「雑念多すぎなんだよ、集中できてんのか?お前さん。」

 

一夏「なんだと?!」

 

社「集中してないから、イメージすら出来てない。もしかして、白式とあんまり触れ合ってないな?ちったぁ、触れ合ってやんなよ。でないと、放り出されんぜ。」

 

一夏「触れ合う?機械と触れ合ってなんになんだよ?ただの機械じゃねぇかよ。」

 

社「んだとコラ?ISはチーフが・・・。篠ノ之束博士が、宇宙に行きたい夢のために、開発したもんだ。それをただの機械だと?ざけんじゃねぇぞ!博士の!チーフの夢の為に!そして、俺の夢のために!ココに来た!」

 

止める気はない、自分の感情を止める気がない。気づいたら、俺は他の生徒にも睨みを効かせていた。

 

社「お前等も、そんな風に考えてんのか?ISは、ただの機械だと、己の力を誇示するものだと。」

 

生徒「わ、悪い?!だってそうじゃない!ISは私達女性にしか・・・。社「だが、俺達というイレギュラーが起きた。」っ!」

 

セシリア「そうですわね、社様と織斑さん。この2人の出現で世界は大きく変わろうとしていますわ。」

 

ラウラ「そんな事もわからんとはな。同じ女性として恥ずかしい限りだ。」

 

鈴「止めましょ、時間の無駄よ。」

 

千冬「凰の言う通りだな、お前等の気持ちなどどうでもいい。だがな、生憎私は女尊男卑が嫌いでな。寧ろ憎んでいると言ってもいいな、束の夢を侮辱されたのでな。」

 

生徒「そ、そんな・・・。貴女だってそうじゃないんですか?!『白騎士』の貴女なら、分かってくれるのでは?!」

 

次の瞬間、生徒の眼前に打鉄の武装の一つ『葵』が突き付けられた。ISの武装を生身で持つ人、これで二人目なんですけど・・・。つか、ポンポンそんなに生身で持たないでよ、なんか男としてのって言うか、鍛えてきたのが無駄に思えるからね?それよりも眼前にいきなり刀突き付けられたら怖いよな。ガタガタ震えてるじゃん、トラウマ確定だな。

 

千冬「私はな、あの時非常に腹立たしかった。束の夢を目標を侮辱され、あまつさえそれを当然の権利として主張し、行使する。私はそんな考えが大嫌いだ。次に、巫山戯た事を言ってみろ。3枚おろしにしてくれるから、覚悟しろ。」

 

あーあ、可哀想に腰抜かしてんじゃん。織斑先生、殺気飛ばすのそこまでにしません?俺はなんとか耐えてるけど他の人が耐えられないから。

 

社「先生、そろそろ次行きましょうや。時間が惜しいです。」

 

千冬「そうだな、ではこのままお前達には飛行してもらうが。刀隠、お前の機体は・・・。」

 

社「飛べやしないですが、走ることはできますよ。」

 

そう、雷鳳に飛行能力はない。せいぜい、空中に足場作ってそこを走るか立つぐらいしか出来ないのだ。だが、そんなことは大したことじゃない。空中を走れる、それだけでも十分なのだから。

 

千冬「分かった。なら飛べ!」

 

社「お前等、お先に!」

 

力強く、地面を蹴ると景色が間延びする。いつも通りの見慣れた加速する景色だ。下の方では、『消えた!』と騒いでいる生徒達と。俺の方に顔を向けている織斑先生の両者がいた。つか、織斑先生、あの加速見切ったの?だとしたらめっちゃ怖いんですけど、貴女の動体視力どうなってんの?

 

ー千冬sideー

 

相変わらずの加速だな。私でも最近ようやく視界の隅で捉えることができるようになったが。あれでもリミッターがかかった状態での加速らしいが、リミッターを全て解除された時、私でも捉えることは不可能になるだろうな。

 

千冬「お前達、いつまでもキョロキョロしていないで!刀隠なら。既にあそこまで駆け上がったぞ。」

 

そういいながら、上に指を向けると生徒含む全員が空を見上げた。見上げた先に特徴的な赤いエネルギー体のマフラーがたなびいていた。

 

鈴「相変わらず速っ?!」

 

セシリア「あれでも、リミッターがかかった状態なんですのよ?」

 

シャル「速いとは聞いたけど、これは予想外だよ。」

 

ラウラ「全くだ。瞬間移動ではないか?あれ。」

 

マドカ「ほえ~、お兄ちゃん。速っ。」

 

ボヤきながらも、各自スラスターを点火させ。一直線に刀隠に向かって飛び始めた。うむ、流石は代表候補生だな。キレイな飛び方だ。それに比べて一夏のやつあっちこっちにフラフラしながら、おっかなびっくりに飛んでいるな。アイツは今度補習決定だ。

 

千冬「刀隠は例外として、他の代表候補生の飛び方を参考にするように。」

 

生徒「織斑先生、織斑君は?」

 

千冬「論外だ。」

 

箒が、なにやら喚いているが無視だ無視。ところで刀隠、お前はなにを歌っているんだ?

 

ー社sideー

 

社「♪Wanna take you, baby, take me higher

愛を抱きしめて いま

Gonna TIGA! Take me, take me higher

勇気抱きしめて 強く

Wanna take you, baby, take me higher

きっと辿り着けるさ

Gonna TIGA! Take me, take me higher

熱い鼓動をしんじて・・・♪」

 

ティガは青春、異論は受け付けない。あー、テンション上がるなぁ。

 

雷鳳『ウッキウキのところ悪いけど、皆来たわよ。』

 

社「お?やっと?はーい、ラウラがビリな。」

 

ラウラ「む、仕方ないだろ。レーゲンは砲撃特化だから、他の機体に比べて重いんだ。」

 

鈴「むしろ、アンタが速すぎるのよ。追いつくの大変なんだから。」

 

セシリア「ですが、鈴さんは一段階とは言え、リミッター解除された社様と対等に渡り合ったじゃないですか。」

 

鈴「あれが、対等だって言うんなら。今度セシリアやってみなさいよ。可哀想に小龍がショック受けてしばらく出てこなかったんだから。」

 

社「それについては、本当にゴメン。」

 

そっか、最近小龍見てないと思ったら。引っ込んでたんだ、ゴメンなぁ。

 

社「なんか、悪いことはしたなって気分になる・・・。」

 

雷『ホントにね。だって、鈴ちゃん結構強かったんだもん。』

 

鈴「あら、ありがとう。」

 

社「それに・・・。」

 

シャル「それに?」

 

社・雷『結構、楽しかったしな(ね)。』

 

実際楽しかった。最後の押し合いの時にちょいと本気になったのは秘密にしておこう。

 

一夏「ふぃー、やっと追いついた。」

 

鈴「遅いわよ、なにやってんのよ?」

 

ラウラ「フラフラと、飛びおって。まともな訓練をしていない証拠だな。」

 

シャル「止めなよ、どうせ『自分には才能が~』とか言い出しかねないから。」

 

マドカ「もし言ったら、頭撃ち抜いていいかな?ムカつくから。」

 

社「やめなさい。お兄ちゃん、許さんよ?」

 

おーおー奴さん、図星つかれて顔真っ赤にしちゃってら。

 

千冬『お前等、雑談はそこまでにしろ。次は降下をして貰う。目標は地上10cmだ。』

 

セシリア「では、お次は私から行きます、地上で会いましょう。」

 

そう言って、セシリアは見事なスラスター制御を行いピッタリ10cmに留めた。その後にこっちに微笑みながら小さくピースサインを向けた。一瞬その微笑みにドキッとした、おいおいシャル。こっちに徐々に近づいてくるな。そのハイライトがoffった目ぇマジで怖いんだよ。だから、覗き込むな、強制的に視線を合わせようとするんじゃない。

 

千冬『デュノア、後にしろ。その後なら、刀隠を好きにして構わん。』

 

社「売りやがった!生徒売りやがったぞ!?」

 

この鬼!悪魔!大怪獣!『POWER!!』ん?

 

千冬『刀隠、そこを動くなよ?狙いが外れるからな。』

 

社「オーマイガー・・・。」

 

助けを求めようと周りを見渡すと、そこには織斑しかおらず、他の連中はそそくさと下降していた。逃げやがったよ、マドカよこっち向きながらゴメンねポーズするなよ。ちょっとは助けようとは、思わない?あ、思わないんだ。

 

千冬「噴っ!」

 

織斑先生の気合いと共に打ち出された拳は、巨大なエネルギーの拳となって俺目掛けて飛んできたが。俺は落ち着いて、織斑の首根っこを掴み取ると大きく振りかぶって、織斑先生の拳に向かって投げた。

 

社「織斑バリアー!!!」

 

一夏「ぎゃあああああああああ!! 」

 

両者がぶつかると爆発が起き、織斑はISを纏ったまま墜落していった。俺はそんな織斑を尻目に地上に帰還した。

 

ちなみに、地上に着いたと同時に織斑先生に普通に殴られた。

 

解せぬ・・・。

後半に続きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




前回やった勝手にキャライメージソング当てはめてみた

シャルロット・デュノア:ドーナツホール『ボーカロイド』

ニブンノイチ『BACK-ON』

嘆きノ森『彩音』


ラウラ・ボーデヴィッヒ:本当の声をあなたに預けたくて『Man’y 千管春香』

メリーゴーランド『MAN WITH A MISSION』

サクリファイス『まふまふ』


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第10話:ヒロインズ、全員集合!後編

社「えー、では今回の、実習ではこの『打鉄』を使います。基本システムは初期状態なので、皆乗れるから安心してくれ。」

 

前回、殴られた頬がちょいと腫れているので皆ちょっと引き気味だ。織斑先生って加減知らないのかね?一瞬浮いたからね?織斑?未だにグラウンドに犬神家してる。助けてやろうとは思わない。だって大嫌いだもん。

 

社「とりあえず、順番に乗って貰うけど。注意事項ね、必ず着座状態。つまりこの正座状態で乗り降りしてくれ。立ったままだと思わぬ怪我するし、次使う人が大変だから。分かったら、返事して下さい。」

 

生徒『はーい!』

 

社「よし、乗る前に質問は?」

 

生徒「はーい!彼女いますか?」

 

社「関係ない質問は、答えない。他は?」

 

生徒「歩行って難しそうだけど、何かコツみたいなのある?」

 

社「そうだな、厚底の靴を履いて歩くイメージだとやりやすいかな?俺はそう教えられたよ。」

 

生徒「あ、それなら分かりやすいね。」

 

やっぱり、女子にはそういう靴履く機会が多いからかな。そういう風に言えば分かりやすいようだ。

 

???「あ、刀隠君。」

 

社「ん?どうした?相川さん。」

 

突然、クラスメイトである相川さんが、話かけてきた。なんじゃいな?

 

相川「コツを教えてくれたお礼に、ちょっとした情報を教えて、あげる。」

 

社「このタイミングで、言われると怖いなぁ。一応聞くけど・・・。」

 

相川「私達、1組はそうでもないけど。2組には多いからね。筋肉フェチが。だから、気をつけてね。」

 

おい、ウソだろ?なんでこのタイミングでそんな話題ブチ込んできた?恐る恐る、周りを見渡すと何人かと目が合った。怖っ!

俺、この学園に来てから。怖い目に合う運命なの?!ヤダよ!そんなの!普通に過ごしたいよ!いいもん!今度の休みにツーリング行くもん!でないと、俺のメンタルが、もうデジモン!ポケモン!メタモン!ムリモン!

 

雷凰『皆ー、マスターのメンタルに負担かけないでね。でないと、落雷落とすわよ?』

 

雷凰が脅し気味に話しかけると、そそくさと視線が外れた。ヤダ、俺の専用機ホント有能過ぎない?もう、大好き。

 

雷凰(ん"っ!私もマスターのこと大好き!!)

 

可愛いなぁ、コイツ。あ、そうだ。

 

社「歩行とか。基礎をしっかりやって慣れるとこんな事できるようになるから。」

 

そう言って、皆からちょっと距離を置き。脚部と腕部を部分展開させ、ゆっくりと歩き出し、徐々にスピードを上げ歩行から疾走へと至り、そこから体操選手さながらのバク転を連続で決め最後のにムーンサルトを決めキレイに着地すると。周りのグループから拍手喝采を浴びる。よせやい、照れるだろうが。

 

千冬「うむ、しっかりと基礎をやっている証拠だな。全員、あそこまでとは言わんが。基礎は大事だ、精進するように。」

 

全員『はい!』

 

なんだろ?織斑先生に褒められたよ、なんか嬉しい。・・・。調教されてないよね?俺・・・。自信なくなってきたよ。その後、篠ノ之が駄々を捏ねた以外は概ね良好で終わった。織斑は最後の最後に犬神家から脱出してきたので、罰として皆が使用したISの片付けを言い渡されていた。ざまぁwwww

 

ー食堂ー

 

社「腹減ったー。おばちゃーん、カツ丼の特盛と、エビフライと、ハンバーグの5段重ねちょーだい。後、デザートにチーズケーキ1ホールで。」

 

 

おばさん「あいよー、ウチの息子より食うから作りがいがあるよ。また出来たら、持って行ってあげるから。ちょっと待ってな。 」

 

社「はーい。」

 

ここの特盛は最初の注文が有り得ない量だったからか、自動で丼からすり鉢にランクアップした。やったね、お腹いっぱい食べれるドン。

 

マドカ「お兄ちゃん、相変わらず良く食べるね。」

 

社「成長期なんだよ。多分、身長まだ伸びるかもな。」

 

簪「筋肉つけるのはいいけど、あんまり身長伸ばさないでね?」

 

社「なんで?」

 

ヒロインズ『キスする時、身長差が辛いから。』

 

社「えぇ~・・・。」

 

そんな理由で身長伸ばすなって、理不尽じゃね?

 

雷凰『女の子は、複雑なのよ。』

 

社「お前まで言うのかよ。」

 

後、ここ食堂だからね?皆気聞き耳たててるからね?周りがヒソヒソしてるから、この話題は終了!閉店!お疲れ様でした!

 

麻耶「あ、デュノアさん。ボーデヴィッヒさん。居ましたね。こちらが部屋の鍵になりますので、大切に保管をお願いします。」

 

社「お前等部屋番号は?遊びに行くわ。」

 

麻耶「大丈夫ですよ。刀隠君。」

 

社「はい?」

 

麻耶「お二人とも、刀隠君の部屋に追加ですから♪」

 

社「ウソダドンドコドーン!!」

 

またかよ!またなのかよ!なんで増えるの?!

 

シャル・ラウラ『社。』

 

なんだよ?俺は今精神を安定させようとだな・・・。

 

シャル・ラウラ『不束者ですが、よろしくな(ね)。』

 

社「あぁーーー!!!」

 

雷凰『あ、崩壊した。』

 

もういいもん、放課後にバイク乗り回してやる。クーさんが持ってきたハティ乗るもん。(IS学園は、東京ドーム。18個分の敷地があるので、めっちゃ広い。)俺は風になるんだもん。

 

雷凰『ところがどっこい、専用機は雷属性なのよね。』

 

お黙りやい、早速織斑先生にメールしとこ。許可貰わんとな。あ、返事きた。なになに・・・?『安全運転を心掛けるなら、許可。』よし、言質とった。雷凰預ける前に乗ろ。

 

ー放課後ー

 

社「あー!楽しかったー!」

 

2時間ほど乗ったが、満足満足。今週は外出許可取って、どこかツーリング行こう。そうなると、護衛の人達と打ち合わせしとかなきゃ、雷凰も明後日には戻ってくるし。まぁ、夢で会えるから、そん時に話そ。買い物を済まして帰ってる最中、むくれっ面でズルズルと俺に引きずられている乱ちゃんに目線を向けて話しかける。

 

社「ほら、乱ちゃん。いつまでもむくれないの。」

 

乱「むー。」

 

ダメだ、会話にならん。乱ちゃんがここまでむくれているのには、ワケがある。ワケと言っても在り来りなことだ。購買で皆で買い物をしていると、簪と乱ちゃんが一緒になって買い物カゴにいっぱいにお菓子を入れてきたから、軽く注意すると簪は割と素直に戻したが、乱ちゃんが以外とワガママを言ってしまい。俺と鈴に怒られた。それから、ずっとむくれたままで歩こうとしないので、買い物袋を分担して持って貰い。俺は、買い物袋と乱ちゃんを引きずって歩いてるのだ。

 

社「鈴ー、何とかならんか?」

 

鈴「しばらくはこのままよ。昔からこうなんだから。」

 

社「早くも、子持ちになった気分だよ。」

 

ラウラ「社なら、良い父親になりそうだな。」

 

シャル「分かる、結構子煩悩になりそうな。」

 

簪「社は、子供好きだし。時に厳しく、それ以外は優しいお父さんみたいな?」

 

セシリア「何故か、その光景が容易に想像できますわね。と、言う訳で。社様、早速結納致しましょう。」

 

社「結婚できる、年齢じゃないので。」

 

簪「なら、婚約なら。」

 

ヒロインズ『それだ!!お前!天才かよ?!』

 

乱ちゃん、機嫌治ったのね。それと、セシリア。キミ最近、俺等に毒されてない?あ、大丈夫ですか。そうですか。いやはや、仲良くていいや、さてと、部屋着いたし、鍵開けて入ろ。

 

社「ただいま~っと。」

 

刀奈「おかえりなさい♪ご飯にする?お風呂にする?わt・・・。」

 

あまりの衝撃に、一瞬でドアをバン!閉め、ルームメイト達に目配せをする。すると、簪以外、目を大きく見開いていた。簪さん?アンタ、そんな冷めた目ぇできたのね。初めて知ったわ、それよりも・・・。

 

社「なんか居たな・・・。」

 

ヨシ!確認だ。確認の為にもう一度開こう。居ないハズだ、なんか裸エプロン的な格好で刀奈がいるなんてことは無いんだ。ヨシ!開けゴマ!

 

刀奈「おかえりなさい♪わたしにする?わたしにする?わt・・・。」

 

再び、ドアをバン!と閉めた。いる!いる!いる!つか、いた!

なに?!最近、忙しいから疲れたとかじゃなく?!え?!そんな風に混乱していると、不意に肩をポンと叩かれた。振り返るとそこには、鉄血メイス先輩を担ぎ、額に青筋を浮かべた簪が立っていた。え?お前、鉄血メイス先輩どこから出した?

 

簪「社、ちょっと退いて。次は私が開けるから、鈴と乱は中のヤツの確保をお願い。」

 

鈴・乱「任せて。」

 

ホント仲良いよな。ラウラよ、拳銃取り出して初弾込めないの。そんな物騒なモン取り出してんじゃないよ?セシリアは、なにやってんの?なんで俺を目隠ししてんの?ちょっと身長足りないよ?精一杯背伸びしてんの可愛いなぁ。

 

簪「ふん!」ガン!

 

社「( ゚∀゚)ポゥ!!」

 

べ、弁慶?!鉄血メイス先輩で!弁慶だと?!簪!お前ぇ!

 

社「ふっ!ぐっ!」

 

セシリア「や、社様?大丈夫ですか?」

 

社「だいじょばない、圧倒的な弁慶ペイン・・・。」

 

簪「さて、ウォーミングアップはこれぐらいにしといて。行くよ、鈴、乱。」

 

おい、お前後で覚えとけよ?タイキックをカマしてやるからな!

 

簪「カウント3.2.1!はい!」

 

刀奈「モー、最後まd鈴・乱『確保ー!』えっ?!えっ?!」

 

ラウラ「動くな!部屋を確認する。」

 

そう言って、部屋の中をくまなく見て回るラウラの姿は正しく軍人そのものだった。それと簪さんや、鉄血メイス先輩を素振りするの止めようか。ブオン!ブオン!唸ってるから。ホント、お前ソレどっかから出したんだよ・・・。

 

ラウラ「オールクリアだ。盗聴器及び隠しカメラの存在も確認出来なかった。」

 

社「お疲れ様、ありがとうな。ラウラ、今度なんか好きなモン作ってやるよ。で?刀奈なにやってんの?」

 

刀奈「あー、それは・・・。」

 

簪「真面目に答えなよ?この駄姉。返答次第じゃ、この鉄血先輩がアンタの尻に炸裂するよ?」

 

刀奈「簪ちゃん?!答えるから!鉄血先輩だけは!」

 

簪「なら、早く言うことだね。私の先輩は、そんなに優しくない。」

 

刀奈「えっとね、社の部屋に織斑先生と共謀して、私を含む社に好意を持っている子達を集めたは、よかったんだけど流石にね、年頃の男女でしょ?間違いが起こったらアレだから。」

 

社「監督役として、刀奈が突っ込まれたと。なるほどね・・・。」

 

うん、俺は納得できた。監督役大いに結構、でないとシャルが怖い。ぜってぇなんかやりそうだもん。初日の簪とセシリアみたいにさ、うん、ぜってぇなんかやりそう。

 

簪「わかった。納得してあげる。」

 

刀奈「簪ちゃ・・・。簪「だけど、先輩は許さないって。」へ?」

 

社「手早く終わらせて、飯の支度手伝いな。」

 

簪「わかった。じゃ、往生せいや!この駄姉がー!!」

 

刀奈「ちょま!ちょま!ちょま!」

 

シャル「チョマチョ? 」

 

ラウラ「なんだ?チョマチョって。友人にポチョムキンっていそうな感じの名前だな。」

 

社「ラウラw座布団やるよw 」

 

つか、誰だよポチョムキンってw不覚にも笑ったわwまぁ、無慈悲にも鉄血先輩が刀奈の尻に炸裂し、『ぎゃおおおおおお!!』なんて、断末魔を上げていた。

 

-数分後-

 

社「おーい、刀奈ぁ。大丈夫か?」

 

刀奈「ううう・・・。社ぉ、私のお尻どうなってる? 」

 

社「え、みt・・・。セシリア「社様?最初は目から始まるジャンケン致しましょう?」スマン、俺は役不足だわ。」

 

なんだ?セシリアの圧が凄い、後なジャンケンは、最初はグーかからなんだ。目から始まったらそれただの目潰しだからな?もしかして、それが狙いだった?だとしたら、ヤダなぁ・・・。

 

シャル「社、晩御飯はなに?」

 

社「今日は、魯肉飯だ。八角とか、苦手だろうからアレンジしてるがな。」

 

乱「魯肉飯?!ヤッターー!!」

 

鈴「ホント、好きよね。ソレ飽きずにもまぁ。」

 

乱「大好物だもん。特に社さんのは大好き。」

 

社「よし、デザートにアイスも着けてやる。」

 

簪「社、私チョコレート。」

 

ラウラ「私はチョコミントだな。」

 

シャル「え?アレ歯磨き粉じゃん。」

 

あ、バカ。チョコミント派の人って、歯磨き粉扱いされると話長いんだよな。あの「キノコタケノコ戦争」みたいな。ま、俺はタケノコ派なんだがな。

 

ラウラ「ちょっと表出ろ、シャルロット。とことん、チョコミントについて、語ってやろう。」

 

社「飯の後にしろ、ほれ出来たから運べ運べ。ホレ、刀奈。いつまで転がってんだ?水色のパンツ見えてんぞ。」

 

刀奈「え?!嘘?!」

 

社「嘘だよ、なんも見てねぇよ。だから、セシリアその立てた二本指をしまおうか。シャルは無言でハイライトをオフらせんな。怖いんだって、夢に出てくるんだから。にじり寄るな、飯にすんぞ。」

 

飯の後、シャルはラウラと舌戦を繰り広げているところを巡回中の織斑先生に制圧され、部屋の中に放り込まれた。その際に謝罪も忘れない。だって、怖いんだもん。

 

社「よし、片付け終わり。ありがとうな乱ちゃん、手伝ってもらって。」

 

乱「いえいえ、社さんの、ご飯すっごく美味しかったので。せめて片付けぐらいは、手伝いしないとです。」

 

社「サンキューな、お前らは早く大浴場行ってこい。俺シャワー浴びれないだろうが。」

 

シャル「なら、一緒に入る?」

 

社「丁重にお断りだ。刀奈、連行しろ。 」

 

刀奈「はーい、ほーら。行くわよ、皆。社とは、そのうち入れるから。」

 

んな予定ねぇよ。こんな傷だらけの男の裸なんて誰得だよ。そう思いながら、着替えを持って脱衣場に入り制服を脱いでから、シャワーを浴び。ふと、鏡に写った自分の身体を改めて見てみた。鍛え抜かれた身体に走る袈裟懸けに斬られた痕。それに、左目に縦に走る痕。傍から見たら、アッチ系の人間に間違われそうだ。まぁ、ガラが悪いのは自分でも認めてるから仕方ないが、止めよ。さっさと着替えないとシャル辺りに写真撮られそうだ。その後、歯磨き等の支度を済ませて寝ようとしたら寝袋にラウラがインストールされていたので、ベッドに放り出した。お前らは、人の寝袋にインストールするのが流行りか?本当に油断も隙もないと言うのはこのことか。俺は、明日のことと、これから雷鳳に会える楽しみを胸に眠りに着いた。さぁ、明日はどんな日になるかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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番外編:あの水着エプロンを見た時の、主人公の反応

今回は番外編となります。ちょっとでも、ご覧の皆様に楽しんでいただけたらと思います。


-セシリアの場合-

 

社「あー、疲れた。今日は早くシャワー浴びよ。」

 

今日の織斑先生、なんか容赦なかったな。山田先生も弾丸の雨嵐は、いつも通りなんだけど微妙に増えてる気がするんよ。

 

社(考えても、しゃーない。とりあえずちょっと休も。)

 

そう思ってカードキーを取り出し、何気なくドアを開く

と・・・。

 

セシリア「お帰りなさいませ♪お風呂に致しますか?ご飯に致しますか?それとも私ですか?」

 

バタン!!と勢いよくドアを閉じる。え?デジャブ?デジャブなの?刀奈じゃなかった。セシリアだと?!いや、疲れたからきっと見間違えたんだ。そうだ、そうに決まってる!俺はそう考えてから、もう1度ドアを開けた。

 

セシリア「お帰りなさいませ♪私に致します?私に致します?私に致します?」

 

社「なぁにやってんだ!セシリアァァァァァ!!」

 

俺はドアを手早く閉めて、心の叫びを某団長が如く叫んだ。

 

セシリア「あら?お気に召しませんでしたか?刀奈先輩は、こうすると、社様がお喜びになると・・・。」

 

社「よ〜し、出処はアイツか。」

 

そう言ってから。俺はスマホを取り出し、簪の連絡先をタップして電話をかけた。

 

社「もしもし、簪。ちょっと、刀奈に鉄血先輩お見舞いしてやってくれ、え?なんでって?セシリアに変な入れ知恵しやがったんだよ。おう、前のアレだよ。あ、ソードメイスあるんだ。じゃぁ、ソレで思いっきりやってやれ。あぁ、じゃぁ、頼んだ。」

 

よし、1つは片付けた。もう1つ片付けるか。

 

社「セシリア、今すぐ、着替えるか、どうにかしてくれ。俺も男だ。理性が働いてる間に頼む。」

 

セシリア「は、はい・・・。」

 

そう言ってから。セシリアは、浴室に着替えを持って入って行ったのを確認して、俺は雷鳳にあるお願いをする。

 

社「頼む、雷鳳。お前にしか、頼めない。」

 

雷鳳『で、でも。マスター・・・。』

 

社「やれ!俺の為に!皆の為にぃぃぃぃぃぃぃ!!」

 

雷鳳『マスター!ごめんなさいぃぃぃぃぃ!!!』

 

瞬間、俺の身体にプラズマエネルギーが迸りバチバチと纏わりつく。つまりは、感電した。

 

社「あばばばばばば!!」

 

時間にして数十秒程だが。自分で自分を躾するには、十分過ぎる程だった。

 

セシリア「社様?!今のは・・・!って!どうなさいましたの?!」

 

社「なんでもない、躾ただけだ。サンキューな、雷鳳。」

 

雷鳳『あんまりやらせないでね?心配になるから。』

 

社「フフ・・・。また頼むかもな。」

 

その日、俺は割りとやるせない気持ちの夜を過ごした。

 

 

-鈴の場合-

 

(セシリア編と同じなので割愛)

 

社「圧倒的な、作者の手抜き感よ。」

 

雷鳳『マスター、メタい、メタいから。』

 

仕方ないね。なあ?作者?

 

作者(いや、この回だけだよ?・・・・・・Maybe・・・。)

 

社・雷(コイツ!脳内に直接?!)

 

さて、メタはここまでにして。俺はドアを開けた。

 

鈴「お帰りなさい♪ご飯にする?お風呂にする?そ・れ・と・も私?」

 

鈴だよ。鈴だったよ。前回、セシリアだったのに対して鈴か・・・。しかし、なんか込み上げてくるモノが・・・。

 

社「うぅ・・・。(泣)」

 

鈴「なんで、泣いてんだぁぁぁぁ!!おいコラ!!ふざけんじゃないわよ!欲情とかしなさいよ!なによ!私の体型じゃダメか?!牙月のサビにしてやろうかぁぁぁ!!」

 

マズい、ヒートアップし過ぎで、俺の話聞いてくれるか怪しい。

 

雷鳳『鈴ちゃん、落ち着いて、お話しよ?大丈夫よ。マスターの守備範囲広いから♪』

 

社「雷鳳ー!」

 

何言ってくれちゃってんの?!コイツゥゥゥ!!

 

鈴「え?マジで?」

 

あ、落ち着きましたか?それは、良かった。

 

雷鳳『マジよ。マスターの秘蔵フォルダには、鈴ちゃんみたいな・・・。社「お黙りやぁぁぁぁぁぁぁい!!!」』

 

コイツゥゥゥ!!さっきから、なんなの?!お願いだから!お願いだから!秘蔵フォルダのことは、コレ以上バラさないで!!

 

鈴「社・・・。」

 

おやん?鈴?そんなに低い声出してどうしたの?

 

社「はい?どうしたの?あの?その右手はなに?」

 

なんで差し出してんの?え?なんで?

 

鈴「スマホ・・・。出しなさい。その秘蔵フォルダ、私みたいな感じのヤツで埋めてやるわ。」

 

社「え?ちょ!待って、俺の秘蔵フォルダには、誰にも・・・!鈴「うるさい出せ。」はい・・・。」

 

怒った鈴に勝てる人いる?いるなら、連れて来てよ。あ、織斑先生なら。ワンチャンありか・・・。秘蔵フォルダは、ナイスバディのフォルダを軒並み消され、俺は静かに泣いた・・・。

 

-乱の場合-

 

(割愛!)

 

社「手抜き!」

 

雷鳳『メタ!』

 

社「お約束終了!では、オープン!!」

 

乱「お帰りなさい。ご飯にします?お風呂にします?それとも・・・。社「通報案件んんんんんんんん!!!!」きゃっ!!」

 

ダメ!ダメ!ダメ!ダメ!乱ちゃんはダメ!ここで補足させていただきたい!乱ちゃんは身長156cmなのだがスリーサイズがボンッ!キュッ!ボンッ!を地で行く娘だから、度々、鈴とラウラそれに簪と小競り合いが起きる。(実は、バストサイズは刀奈より上。)そんな娘が水着エプロン姿で部屋にいてみろよ?間違いなく通報案件まっしぐらだ。

 

社「乱ちゃん!一生のお願い!着替えて!お願い!」

 

乱「え?気に入らなかったですか?」

 

社「まさか、どストライク。」

 

ドヤってみる。

 

雷凰(鈴ちゃんに、メール送っちゃおっかな~♪ )

 

社(止めてください、死んでしまいます。)

 

これは切実にマジである。知ってるか?鈴は怒ったら龍が如く怒るんだぞ?ん?なんだ?メールきたぞ?

 

鈴『コロス・・・。』

 

・・・・・・怖っ!エスパー?!エスパーなの?!俺の周りこんなんで溢れるの?!ヤダよ!怖いよ!

 

社(つか、雷鳳!お前メール送った?!)

 

雷鳳(いや、送ってないけど・・・。勘でも、働いたかしら?)

 

社「野生かよ!!」

 

乱「え?!何がですか?!社さん?!」

 

社「気にしないで、乱ちゃん・・・。頼みがある。」

 

乱「え?はい、なんですか?」

 

社「俺、今から死んでくるから。骨は拾ってね♪」

 

乱「え?!社さん?!社さーーーん?!」

 

叫ぶ乱ちゃんを尻目に、俺は部屋を出て。息を吸い込み、辺りに響くように大きな声で叫んだ。

 

社「こいやぁぁぁぁぁ!!覚悟出来てんぞー!」

 

すると、廊下の彼方から。土煙を上げながら、目からハイライトをOFFにした。鈴が走り込んできたのが俺の最後の記憶で、次に目覚めた時は、夜中だった・・・。

 

 

-ラウラの場合-

 

作者(カット!カット!カット!)

 

社「レッツゴー!」

 

ラウラ「裸エプロンだ!感想を述べて私一択にするがいい!ちなみに!私は料理はまだ勉強中だからな!マトモなものは作れん!」

 

なんだろ、一周回って冷静になっちゃった。どうしよう・・・。

 

社「ラウラ・・・。着替えておいで、今なら怒らないから。」

 

ラウラ「ちょっと待て、それはそれで中々複雑だぞ、女性として。」

 

社「今まではね?水着エプロンだったのよ、いきなり裸エプロンに飛躍するとは、思えなかったわ。」

 

ラウラ「マンネリ化すると、苦労すると姉上が・・・。」

 

社「あの、クソザコ恋愛弱者め。クロエ「訂正してください。」うおおおおおおおおおお!!ビックリしたーーー!!」

 

忍者か!いきなり現れんな!心臓に悪いわ!

 

クロエ「誰が、クソザコ恋愛弱者ですか。オコですよ?」

 

ラウラ「そうだぞ!姉上は、今まで付き合った男性がいなさすぎて、色々拗らせてるだけだぞ。」

 

クロエ「ラウラ・・・。鉄血先輩か、フルシティ鋏か、どちらがご所望?嫌な方を選びなさい。そちらにしますので。」

 

ラウラ「わーい(棒)社、死刑執行される人の気分が味わえてるぞ(棒)。」

 

社「逝ってらっしゃい。でも、服は着ような?お兄さんとの約束だぞ?」

 

ラウラ「死に装束になってないか?なら、お前のシャツをくれ、着ていくから。」

 

社「セシリアと鈴じゃあるまいし、却下する。 」

 

俺のシャツはセシリアが寝巻きにするのに盗られた。男なら、一度は夢見るだろう。そう、『彼シャツ』と言うやつだ。俺はその日、グラウンドを朝日が昇るまで走り回った。鈴は、中国にいた頃に俺のパーカーを拝借していた。しかも、バレないように同じものを用意しておく周到ぶりである。

 

社「ま、ラウラ強く生きろ。応援してるからよ。」

 

ラウラ「なら、最後にキスしてくれないか?」

 

社「クーさん、ラウラをボッシュートしてー。」

 

クロエ「はーい、ほらラウラ逝きますよ?」

 

ラウラ「では、社。また明日にでも会おう!」

 

社「気張れやー。」

 

さて、シャワー浴びて、晩飯作ろ。

 

-一方その頃-

 

クロエ「ラウラぁ!逝けやぁぁぁ!!」

 

ラウラ「私は!生きる!生きて!社と添い遂げる!!」

 

なんか何処かで、壮絶な姉妹対決が行われ、整備班内で賭けに発展したとかしなかったとか・・・。

 

 

-シャルロットの場合-

 

社「やな予感するから、ドアあーけない♡」

 

そう言って、踵を返し購買に向かおうとすると、突然『バキャァァァ!!』と音が鳴り、同時に背中を掴まれた。

 

社「ギィィィィィィヤァァァァァァ!!!」

 

驚いて、振り向くと木製のドアを素手で貫通させ、あまつさえ俺の上着を掴む芸当ができるのは、唯一人!

 

シャル「ねぇ、何処行くの?ずっとスタンバイしていたんだよ?待ってたんだよ?キミが喜ぶと思って裸エプロンだよ?ラウラと鈴とは違うスタイル抜群の僕の番なんだよ?見たくないの?見たいよね?見るよね?見て、見て見て見て見て見て見て見て見て見て見て見て見て見て見て見て見て見て見て見て見て見て見て見て見て見て見て見て見て見て見て見て見て見て見て見て見て見て見て見て見て見て・・・・・・・・・・・・・・・見ろ。」

 

社「離せ!離せ!離さんか!」

 

シャル「この手を離すものかぁ!!」

 

雷鳳『真っ赤な誓いぃぃぃぃぃぃぃ!!』

 

社「ボケんなぁ!」

 

観念して、大人しく部屋に入る。ドア?穴塞いで、織斑先生に説教されたわ。

 

シャル「さて、織斑先生も帰ったし。社、感想は?」

 

社「一気に疲れた・・・。」

 

雷鳳『お疲れ様、マスター。』

 

ホントに疲れた。頼むから、これ以上ボケ要員増やすなよ?ツッコミが追いつかん。

 

シャル「社、大丈夫?おっぱい揉む?直で。」

 

社「良し、買い物行くか。今日は生姜焼きにしよう。」

 

シャル「スルーってさ、実は、相手を傷つける最大の要因だと、僕は思うんだけどね?」

 

社「やかましい、服着ろ。おいコラ、それ俺のTシャツ。あ、もういいわ、諦めた。せめて、下着ぐらい着けろ。色々あるから、やめろ、そのニチャァとした笑顔を作るな。コラ、下着を脱ぐな。人の寝袋に入れるな、止めないと、織斑先生召喚するぞ。」

 

シャル「うーん、あの人。召喚するなら、融合、シンクロ、エクシーズ、ペンデュラム。どれだと思う?僕は全部だと思う。」

 

社「お前さては、遊戯王見たな?おい、決闘しろよ。」

 

シャル「僕のターン!ドロー!」

 

社「ノリノリで草原不可避www。」

 

シャル「ボクは結構ノるよ、その方が楽しいもん。ところで社。お腹空かない?ボク、ビーフシチュー作ったんだ。」

 

社「おー、めっちゃ腹減った。お前の洋食美味いんだよな。」

 

シャル「社は、なんでも作るじゃん。正直、女子より女子力高いよ。」

 

社「旅してる時に、覚えたの。キャンプ飯が主流だったがな。」

 

シャル「なるほどね、なら、社のお皿にはボクの愛情と言うお薬いっぱい入れとくね♪」

 

社「・・・学食行ってくるわ・・・。」

 

シャル「浮気ぃぃぃぃぃぃぃ!!」

 

社「まだ、付き合ってすらないんだが?」

 

シャル・雷『ん?まだ?』

 

社「なんでもない・・・。」

 

この後、根掘り葉掘り聞かれたが。なんとか誤魔化した、コレについては、まだ秘密にしたい。

 

-簪の場合-

 

さて、順番としては今回は簪かな?まぁ、アイツがやるとは思えないしな。さてと・・・。

 

社「ただいまー。」

 

簪「うぉらぁ!!」

 

刀奈「か!簪ちゃん!これ以上はやめて!お姉ちゃんナニかに目覚めちゃう!!」

 

簪「くらぁ!逝けやぁぁぁ!!」

 

刀奈「ァァァァァァァァァァ!!!」

 

なんか部屋がカオスと化していた。何故か、天井から吊り下げられた刀奈のケツを鬼の形相の簪がツインメイスでバチバチに殴ってた。なぁにこれぇ??え?状況が掴めないんだが?

 

簪「ふー、ふー・・・。あ、社。おかえり、一応お約束だから、聞くけど。お風呂にする?ご飯にする?それとも私?」

社「とりあえず、トレーニング後だから。風呂行ってくるわ、後、なんで刀奈こんなことになってんの?それとツインメイスなんてどっから出した?」

 

簪「この駄姉、私に無理やり水着エプロンさせようとして、返り討ちにした。ツインメイスはISの拡張空間から。」

 

社「この、空飛ぶ火薬庫め。なんつーもんインストールしてやがんだ。」

 

簪「褒め言葉ありがとう。今度の訓練では、ミサイルマシマシで撃つから。」

 

社「お前、実は俺のこと嫌いだろ?」

 

簪「愛してるに決まってるじゃん。言わせないでよ、恥ずかしい。」

 

社「お、おう…。悪ぃ。」

 

俺まで照れる・・・。クソ、なんか最近なんかコイツ等といると色々言い表せない感情でぐちゃぐちゃになってる自分がいるんだよな。

 

雷鳳(おや?おやおやおやおやおやおやおやぁ~??マスター?おや~?)

 

社(うるせぇよい。今度、アイツらにでも相談しよ。)

 

雷鳳(あー、彼らかぁ、なら。次のお休みにでも行きましょ。)

 

社(そうするか、手土産持ってこ。)

 

簪「あ、社。コレ届いてたよ。」

 

そう言って、ダンボールを持って来てくれた。なんだろ?通販だわな。あ、思い出した。

 

社「なんか、チーフが送ってくるって話しだったわ。」

 

中身が気になるので、いざオープン!そこには、ストップウオッチとUSBメモリが合体したようなアイテムが・・・。

 

社「って!トライアルかよ!!」

 

簪・雷『何もかも振り切って~♪』

 

なにこれ、俺に10秒の壁越えろと?

 

簪「さ、社。さっそくアリーナ行こう。そして、10秒の壁こえよ。」

 

社「待て待て!俺、コレ初めてだから。雷鳳のどこ挿せばいいか、わかんないから。」

 

雷鳳『あ、それなら。左腕に新しくスロットが・・・。』

 

社「あるのかよ?!」

 

この後、めちゃくちゃ10秒の壁越えさせられた。めっちゃ疲れた・・・。

 

-刀奈の場合-

 

刀奈「リベンジよ!私にする?私にする?私にする?」

 

社「リベンジとは・・・。それに3択に見せてるがソレ実際は一択だから。」

 

2回目となると、なんか冷静になれる。なんならいっちょ、カウンター決めてやるか。

 

社「なら、刀奈で。」

 

刀奈「・・・・・へ?」

 

俺は、ヒョイっと刀奈をお姫様抱っこをして、ベッドに放りなげ。その上から覆いかぶさった。

 

刀奈「ちょっ!ちょっと!待って!社待って!おネーサン!まだ心の準備が出来てないの!だから!その!」

 

社「関係ねぇなぁ。」

 

ちょっと悪戯っぽく笑ってみる。

 

雷鳳(マスター、なんか悪役っぽい。)

 

社(たまには、いいだろ?)

 

ん?なんか静かだな。あ、刀奈のヤツオーバーヒートしてやがんの。相変わらずカウンターには弱いわなコイツ。(´∀`*)カカカ男揶揄うとこうなるのさ。

 

-数分後-

 

刀奈「・・・。」(ムッスー)

 

社「悪かったって、いい加減機嫌直せよ。」

 

刀奈「ふんだ!おネーサンを揶揄うなんて、10年早いわよ!」

 

ちなみに、このセリフは毎回のことなのでしたい。

 

刀奈「皆に「社に襲われた。」って吹聴しまくってやるんだから。」

 

社「おい、待て。シャレにならん。」

 

忘れてた、今はルームシェアしてるから。結構な確率で俺の命と貞操がヤバい。

 

社「くそっ!交換条件だ!デート1回でどうだ!」

 

刀奈「え?マジで?」

 

社「男に二言はねぇ、なんならタンデムツーリングデートでどうだ?ちょっと遠出しようじゃねぇか?」

 

刀奈「のった!水族館行きましょ。最近オープンしたところがあるのよ。」

 

社「OK、今度の休みに行こうか。」

 

刀奈「やったー♪自慢しちゃお♪」

 

良し、機嫌直ったな。頼むから自慢しないでおくれ?次から次へと候補者でちゃうから。そういや、アイツらなんか最近ちょろちょろと動いてるんだよな。なんか企んでなかったらいいけど。お兄さんはお腹いっぱいになっちまうよ。案の定、刀奈が自慢しまくって、ルームメイト達が次は私だと、騒ぎ立てた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




-勝手なイメージソング-

更識刀奈:M八七『米津玄師』

そして僕にできること『day after tomorrow』

ユメヲカケル『ウマ娘プリティーダービー』



ご意見、ご感想お待ちしております


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第11話:鳳の妹の臨界点

お待たせ致しました。リアルが死ぬほど忙しく、長い間空いてしまいました。お詫び申し上げますm(_ _)m


-鈴の視点-

 

あら?今回は私の視点がスタートなのね。私達は、放課後の訓練でアリーナにいるんだけど・・・。

 

社「うぉぉぉぉぉーー!!!」

 

千冬「墳ッ!」

 

ガキンッ!とアリーナ中に響く重い金属音を奏でまくってるあの2人のせいで、私達と周りの生徒達が魅入ってしまってるのよね。まぁ、事の発端は数日前に遡るんだけど。

 

 

-数日前・食堂。第三者視点-

 

社「学年別トーナメント?」

 

セシリア「はい、来月に開かれる。トーナメントでして。特別ルールで、タッグマッチ制になりましたの。」

 

そう言いながら、社に1枚のプリントを差し出す。それを受け取り、食い入るようにルールの確認と注意事項を読み上げる。

 

社「なになに?『専用機持ちの生徒は、必ず一般生徒と組むこと』 『一般生徒同士は、抽選か申告書を提出すること』 『男性操縦者に関してはタッグを組むことを禁ずる』ん?なんで?」

 

ここで疑問に思われる方がいると思うので、説明すると、社は今日は、本社に呼び出され午前中は公欠扱いだったため今トーナメントとルール説明を受けていたのである。

 

マドカ「お兄ちゃん、ここの注意事項。」

 

社「お、サンキュ。『なお、男性操縦者は、1体1のエキシビションマッチを行うため、ペアを組むことを禁ずる。刀隠社、織斑一夏の両名正々堂々と戦う事。』ハアー、マジか。だから皆、俺を見て落胆してるのか。」

 

社は、食堂を見渡すと。あからさまに肩を落としている生徒が散見することができた。中には、何やら呪詛のようにブツブツと呟き俯いている生徒もチラホラと見つけた社は、目を合わせないようにソォーっと視線をプリントに戻した。

 

一夏「おい、インチキ野郎。」

 

社「ちぃ~~~~~~~~~~~。」

 

マドカ「お兄ちゃん、ため息と舌打ちを同時に出さないでよ。」

 

セシリア「器用ですわね。」

 

鈴「やめなさいよ、コレ。一気にストレス爆上がりした証拠よ。」

 

渋々、社は一夏へと嫌悪を含んだ視線を向けた。

 

社「なんだよ、今昼飯中だ。後にしろ、むしろ失せろ。」

 

そう言った社に一夏は、テーブルの上に置いてあった社のコップを手にし、あまつさえそれをひっくり返し、社の頭からコップの水を浴びせた。その時、騒然としていた食堂が静まり返り。セシリア達は、突然の出来事に固まってしまった。その中で一夏は、してやったりと言った表情を浮かべ社を見ていた。

 

社「ふぅ~~~。」

 

社は、深くため息をつき、ゆっくりと立ち上がった。

 

社「上等だ!織斑ぁ!!表出ろ!!!ぶっ壊す!!」

 

次の瞬間、社の義妹とヒロインズが総出で社を止めようとするが、如何せん社の鍛え抜かれた肉体と体格差で引きずられるようになってしまい。静まり返った食堂はまた別の意味で、騒然となった。そんな状況の中、一夏は社を小馬鹿にするように挑発を繰り返しながら、食堂を走って出ていった。

 

社「織斑ぁ!!!逃げんなぁ!!てめぇ!!ごらぁぁぁ!!!」

 

マドカ「お兄ちゃん!お願い、落ち着いて!!」

 

セシリア「いけません!社様!暴力はいけません!」

 

鈴「落ち着けっての!今ここで暴れても仕方ないでしょ!」

 

乱「社さん!!お願い!!私達の声を聞いて!!」

 

ラウラ「マズイ!私達では、どうにも出来ん!簪!急いで、刀奈先輩と、織斑先生を呼べ!」

 

シャル「うん!その方がいい!僕達が社抑えてる間に早く!」

 

簪「わかった!ちょっとだけ、耐えてて!」

 

簪は、急いで自身の姉と千冬に連絡を入れた。連絡している間にも、社の怒りは、収まることなく。千冬と刀奈が加わることでようやく落ち着きを見せ始めたので、全員ホッと胸を撫で下ろした。

 

千冬「すまない、刀隠。私の愚弟が・・・。」

 

社「織斑先生のせいじゃねぇでしょ。お前らも悪かったな。」

 

セシリア「いいえ、それより。早くお着替えになった方が。」

 

千冬「それもそうだ。刀隠、午後の授業は今日は休んで構わん。妹にでも、課題を渡しておく。明日提出しろ。」

 

社「分かりました。マドカ、悪いけど頼むわ。」

 

マドカ「任された。今度ケーキ買ってね。」

 

社「了解、後任せた。」

 

そう言って、社はゆっくりと食堂を後にした。千冬はそれを確認してからヒロインズに向き直り、優しく話しかけた。

 

千冬「お前達も、行ってやれ。各担任には、私から言っておこう。アイツには、雷鳳がついているが、恐らく抑えきれんだろう。今のアイツは、怒りと言う炎を無理やり抑えこんだ状態だ。先程までああだったんだ、部屋で暴れてみろ、めちゃくちゃになるぞ。まぁ、冗談はここまでにして。支えてやれ、アイツにはお前達が必要だ。」

 

ヒロインズ『はい!』

 

千冬「よし、なら行ってやれ。」

 

そう、ヒロインズの背中を見送る千冬の眼差しはとても、優しかった。

 

-社視点-

 

食堂から、部屋に戻った俺はびしょ濡れになった制服を洗濯機に乱暴につっこみ、シャワーを浴びていた。熱くなった頭を冷ます目的で冷水を浴びているが、一向に冷めない。

 

雷鳳『マスター、そろそろお湯にして。風邪ひくわよ?』

 

社「雷鳳・・・。」

 

雷鳳『イライラしてるの、自分だけって思ってる?お生憎様、私自身も結構イライラしてるのよ。今までの中でも最高点よ。白式には悪いけどトーナメントでガタガタ震えて貰うわ。マスターは、織斑一夏をお願いするわ。』

 

社「あぁ、任せろ。織斑ぁ・・・。てめぇだけは、絶対にボコボコにしてやる。」

 

ふと、鏡に写った自分の顔を見ると。とても凶悪な笑顔を浮かべていた。こんな顔アイツ等には、見せらんないな。平常心、平常心。心を落ち着かせて、今はこの怒りに蓋をしよう。深く息を吐きながら。自身を水のように捉え、波打つ水面を少しずつ鎮めていく。やがて、波は収まりそこにあるのは、凪いだ水面のみとなった。

 

社「よし・・・。落ち着いた。」

 

雷鳳『お見事。』

 

社「よせやい、なんも出ないぞ?」

 

そう言いながら、身体を拭き終え着替えに手を伸ばす。

 

社「あ、シャツ忘れてら。」

 

ま、アイツ等は授業だろうし、半裸で出ても問題ないだろう。と、思っていた数秒前の自分を殴りたくなった。なぜなら・・・。

 

ヒロインズ『・・・・・・・・・。』

 

社「・・・・・・・・・・。」

 

ドアを開けたら、ルームメイトがいて、俺達は数秒間固まった。

 

社「きゃーーーーーーーー!!!(悲鳴)」

 

ヒロインズ『きゃーーーーーーーー!!!(歓喜)』

 

なんで?!なんでいるの?!お前ら授業は?!授業どうした?!

 

社「こら!鈴、乱ちゃん!腹筋とかつつくな!セシリア!鼻血垂らしながらにじり寄るな!ラウラは飛びかかる準備すんな!刀奈!連写で撮るな!簪は動画やめろ!そして!お前が1番やめろ!シャル!ズボンを降ろそうとすんな!」

 

シャル「暴れないで!抵抗しないで!!パンツ脱がせられない!」

 

社「脱がすな!」

 

シャル以外『イッキ!イッキ!イッキ!イッキ!』

 

社「煽るな!!」

 

シリアスな空気は何処へやら、一瞬でぶっ壊れたな・・・。

 

-マドカ視点-

 

あっという間に放課後になったので、私はお兄ちゃん達に課題を届けにお兄ちゃんの部屋に訪れたんだけど・・・。

 

シャル「ごめんなさい!ごめんなさい!ホント!ごめんなさい!お願いだから!お尻にヘル・アンド・ヘヴンだけはやめて!」

 

社「ゲム・ギル・ガン・ゴー・グフォー・・・。ふん!」

 

シャル「なんで?!なんで?!僕だけヘル・アンド・ヘヴンなのさ?!皆ゲンコツだけだったじゃん?!」

 

社「ウィーーーーターーー!」

 

シャル「ジェネシックー!!」

 

次の瞬間には、バチィィィン!と轟音がシャルちゃんのお尻から鳴り響き悲鳴が轟いた。お兄ちゃん何があったのさ・・・。

 

社「ふぅ~、スッキリした。おう、マドカ、いらっしゃい。課題か?」

 

マドカ「う、うん。コレね。で?何があって、この状況?」

 

社「マドカ、知らないことの方が幸せってもんだ。」

 

マドカ「おk、深くは聞かないことにする。そう言えば、あのヘタレの処分が決まったよ。」

 

社「ヘタレて・・・。お前ら、揃って親指立てるな。」

 

まぁ、未来の義姉ですから?仲良しは1番いい事だよ。

 

マドカ「そんなこんなで回想入りまーす。」

 

社「脈絡もねぇな。」

 

 

-数時間前-

 

私は、あの後織斑先生と一緒に教室に戻った。先生からは、お兄ちゃん達が欠席理由を他の人に告げたときに、あの男が口を、開いた。

 

一夏「なんだよ、あれだけで欠席扱いになんのかよ。とんでもねぇ、ヘタレだな。」

 

その言葉を聞いた瞬間、私の中でなにかがキレた。織斑先生が何か言う前に織斑一夏の胸ぐらを左手で掴み、そのまま床に叩きつけた。それと同時に右手に格納空間から護身用の拳銃を取り出し、スライド部分を咥え込みスライドを引き、チャンバー内に初弾を込めた。コレ、次からは止めとこ、歯がもげそう・・・。

 

一夏「なにしやgマドカ「黙れよ。」ッ!」

 

マドカ「この45口径の中身はゴム弾だけど、アンタの鼻の穴を2つから1つにするだけの威力はあるよ。なんなら試してみる?その顔を今すぐ歪めてやるからさぁ!!」

 

私は、沸点が低い方だけど。今回は、更に低い。45口径を織斑一夏の鼻に押し付け、トリガーに指を掛けた所で先生に止められた。惜しい、もうちょいで鼻の穴を拡張してやれたのに。私はマガジンを抜き、チャンバー内の弾も抜き、セイフティーを掛けてから格納空間に拳銃を閉まった。チラリと織斑一夏の方を向き直ると、涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにした織斑一夏がいた。

 

マドカ「ヘタレはどっちなの?もしかして、ビビった?情けない。その程度で良く、私のお兄ちゃんにあんなことできたわね。」

 

軽く煽るのも、忘れない。その時、あの篠ノ之箒が木刀を振りかざしながら、突進してきた。私は冷静に再び格納空間から拳銃を取り出し。発砲した。身体の至る部分にゴム弾が命中し、最後に眉間に一発撃ち込むと篠ノ之箒は、気を失った。おっと、マガジン1個使いきっちゃった。後で、装弾しとこ。私はそんなことを思いながら、織斑先生に向かって正当防衛を主張した。

 

千冬「今回は目を瞑ろう、だが少しやり過ぎだ。刀隠妹、反省文原稿用紙2枚書くように。」

 

ふむ、解せぬ。まぁ、適当に反省文的なこと書いとこ。

 

千冬「しかし、刀隠妹。お前は、刀隠と違って、中々に銃器の扱いに長けているようだが?」

 

あ、それ気になりますよね。

 

マドカ「あー、それは私の一族的なものがありまして。」

 

千冬「?お前は刀隠の血筋では?」

 

マドカ「あ、私『今は』刀隠ですけど、旧姓は『蘇我』なんですよ。」

 

千冬「なに?『蘇我』?つまりお前は・・・。」

 

マドカ「はい、祖先は『蘇我孫市』になりますね。」

 

教室の皆が一斉に『えぇーー!』と叫ぶ中、織斑先生と山田先生が何やら考えこんでいた。

 

千冬「刀隠妹。お前、ご両親のどっちが蘇我性だった?」

 

マドカ「えっと、父ですね。お母さんは、やたらめったら若かったような。」

 

真耶「すみません、お父さんのご職業は?」

 

マドカ「確か、先生してたと聞いてます。射撃クラブの顧問をしていたとかなんとか?」

 

千冬・真耶『蘇我先生の娘ー?!』

 

おわ!びっくりしたー。どうしたの?この2人。

 

千冬「お前の母親、名前は?!」

 

真耶「もしかして、『晴海』っていいませんよね?!旧姓が『山城』って言うんですけど?!」

 

マドカ「あ、お母さんの知り合いだったんです?」

 

千冬・真耶『アイツ(あの人 )だったーー!!』

 

うん、知り合いだったパターン。

 

千冬「アイツ!高校卒業したと同時に結婚したと言うのか?!私だって未だ彼氏すら出来んというのに!」

 

真耶「それは、先輩が家事が壊滅的にド下手なのが原因じゃないですか?」

 

何処かでゴングが鳴った。

 

千冬「よし、真耶。アリーナにこい、久しぶりに揉んでやろう。年下好き。」

 

真耶「いいんですか?あの頃の私じゃないですよ?年上好きな先輩?」

 

次の瞬間、織斑先生はチョークを掴み。黒板に達筆な字で『自習!!』とデカデカと書いて、織斑と篠ノ之の首根っこを掴んで無言で教室を後にした。

 

真耶「では、ちょっと外しますので。他のクラスに迷惑にならない程度にご自由にやってて下さいね♪」

 

そう言いながら、首を鳴らしながら山田先生も出て行った。あんな山田先生初めて見た・・・。さて、私の取る行動はと言えば。

 

マドカ「さぁ!張った!張った!山田先生VS織斑先生!決着を予想しよう!私は、クロスカウンターでダブルノックアウトに食券3枚!!」

 

トトカルチョを仕切ることだった。さぁ!稼ぐぞい!!

 

-現在に戻る-

 

マドカ「・・・とまぁ、こんな感じかな?」

 

社「お前・・・。なんて恐れ多いことやってんだよ。で?決着予想は?どうなった?」

 

マドカ「私の予想通り♪クロスカウンターでダブルノックアウト♪私の一人勝ちよ!」

 

いやぁ、稼いだ稼いだ。しばらくは食券で困らないね。

 

社「やれやれ、お前はホントに俺の妹だよ。豪運なのも似なくても良かったのに。」

 

マドカ「ふふふ、誇りだよ。」

 

ドヤってみる、軽く小突かれたけど嫌な感じじゃないのが良い、その後お兄ちゃんにケーキもらって部屋に戻ってから。宿題を終わらせた。私のルームメイトは同じクラスの『矢竹さゆか』さん、なんでも料亭の娘さんらしくて日本食には素直に白旗上げた。なんでも、外に意中の人がいるらしい、私が彼氏と付き合いはじめたガールズトークに花を咲かせ、ケーキを堪能した。コレお兄ちゃん作ったな?あの人、時たま衝動的にケーキ作るもん。しかも、結構大きいヤツ。普通の人だと胸焼けするレベルのもの作るから、しばらくオヤツに困らないけど、お兄ちゃんすぐ食べちゃうし・・・。ちょっと待って、それだけのもの食べて一切太らずに全て筋肉になってるっての?そこまで考えたら腹たってきた。

 

マドカ「お兄ちゃん!ゴラァ!」

 

社「え?!俺なんかしたか?!」

 

私は迷わずランボースタイルで扉を蹴破り両手にミニミ軽機関銃を持ち、お兄ちゃんに向かって乱射した。(中身は全てゴム弾)他の人?迷わずお兄ちゃん見捨てて全員お風呂場に避難したよ。ふぅ、スッキリした。次の日、先生達は頬にガーゼ貼って登校してた。ゴチでーす。



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第12話:開催、タッグマッチ:開会式編

お待たせしてしまい申し訳ございません。

文才のない中の駄文でございますが楽しんでいただけたらと思います。


-社視点-

 

社「始まったな。」

 

雷鳳『えぇ、ようやくね。』

 

今日は、学年別タッグマッチ大会の日だ。この大会は、3日間にかけて行われる行事で、初日に1年、2日目に2年、3日目に3年という流れなのだが、今回は変則的にタッグマッチルールが盛り込まれ、3日目の最後に俺と織斑のエキシビションマッチが取り入れられている。タッグマッチルールは、世界大会の『モンドグロッソ』で近々タッグマッチが導入されるらしく、ここIS学園でテストも兼ねていると、先生達から説明があった。エキシビションマッチは、2人しかいない男性操縦者の慣熟具合を見たいらしい。ま、女尊男卑な連中は、どっちかが潰れてしまえばいいなんて思ってるのだろう。だが、織斑を潰してしまうとヤツ等の崇拝する織斑先生の機嫌を損ねてしまう恐れがあるから、俺を潰しにかかってきた。実は、ここ数日女尊男卑の連中に学園の外でも内でも襲撃されたから、全員病院送りにしてやった。中には、顔面整形しないといけないヤツもいたっけ?あんまり覚えてないけど。しかし、3日目まで暇だ・・・。

 

セシリア「社様、こちらでしたか。」

 

なんて考えていたら、控え室にセシリアが誰かを伴って訪ねてきた。

 

社「セシリア、どうした?それにその人達は?」

 

セシリア「こちらは、私の両親ですわ。」

 

???「初めまして、ミスタートガクシ。君のことは、娘から聞いてるよ。あぁ、自己紹介がまだだったね。私はオリバー・オルコット。こちらは妻の・・・。」

 

???「アリシア・オルコットと申します。以後お見知り置きを。ミスタートガクシ。」

 

社「ご丁寧にありがとうございます。改めて自己紹介を、刀隠社です。ご息女とは仲良くさせて頂いてます。」

 

オリバー「キミの話しは、娘から聞いてるよ。聞いた通りの好青年だね。ミスタートガクシ。」

 

社「社で結構です。オリバーさん、ミスターと呼ばれるのは、気恥ずかしくて。」

 

オリバー「では、社君と。社君、私達はキミに投資しようと思っているんだ。」

 

社「はい?投資ですか?」

 

なんでさ?俺に投資する価値なんてあるんだろうか?

 

オリバー「キミと言うか、正式にはキミの所属している会社だね。亡国機業は、宇宙開発も視野に入れた経営、開発を行っているのは、知ってるね?」

 

社「はい、知ってます。」

 

ウチの会社は、家電製品から宇宙開発に至る部品及びISの開発、研究をしている会社で日本に本社を置いて。世界中に支部が点在している企業だ。俺が普段使っている携帯電話も、自社製品で使い易いのがウリだ。社長曰く『本社は、男女問わず。お客様にご満足頂きたい製品作りを社訓とします!』と入社式で絶対言うらしい。ちなみにウチには、女尊男卑な人は入社できずそんな人は確実に書類選考で落とされることで有名のようだ。

 

オリバー「実は、我が国の女王陛下がその宇宙開発にいたくご興味をお持ちになってね。貴族関係者や、高所得者等の皆に投資の話しを持ちかけたってわけさ。」

 

社「なるほど、イギリスも宇宙開発に興味を。」

 

オリバー「うん、以前より、女王陛下は興味があったんだが中々重役達が首を縦に振らなかったのでね。女王陛下が・・・。」

 

社「まさか・・・。」

 

オリバー「キミのような、勘のいい青年は好きだよ。」

 

女王陛下、押し切りやがったな?最高権力者のワガママってか?すげぇよな。

 

オリバー「では、要件も済んだし。私達は、来賓席に行くよ。セシリア、頑張りなさい。試合も、彼のことも・・。」

 

セシリア「はい、お父様。必ずしも攻略してみせますわ!」

 

おーい、本人目の前にいるんですよー。簡単に攻略できると思うなよー。

 

雷鳳(おや〜?そんなこと言えるのかにゃ~?)

 

お黙り、まったくウチの専用機は・・・。ま、そのうちにな・・・。なんてこと考えてた矢先に。

 

シャル「社ー!ボクだよー。」

 

社「お帰りください。」

 

シャル「ボクだよー?愛しいボクだよー?」

 

社「止めて、その眼で俺を見ないで。」

 

いや、ホント止めて欲しい。トラウマなんだよ。

 

シャル「見つめ合うと、素直にお喋り出来ないんだね?」

 

社「俺は、恋愛は星の王子様カレーみたいな甘口な恋愛したいんだよ。んな、津波みたいな詫びしさなんていらない。」

 

セシリア「辛口カレーみたいな、恋愛はお嫌ですか?」

 

社「お前さん達は、スパイス効きすぎてんだよ。」

 

せめて、中辛ぐらいのスパイス加減にしてくれ。特にシャル。

 

???「いやぁー、未来の息子は随分と甘々なんだねぇ。」

 

うげ!この声は・・・・。あー、やっぱりかー。

 

社「お久しぶりです。アルベールさん。」

 

アルベール「お義父さん。」

 

社「はい?」

 

アルベール「お義父さんと、呼びなさい。もしくはパパでもいいよ。」

 

社「いや、アルベールさん・・。アルベール「お義父さん。」」

 

社「アルベー・・・。アルベール「パーパ♪」」

 

社「アル・・・。アルベール「お義父さん!」」

 

社「a・・・。アルベール「おとうーーーーさん!!」」

 

アルベール「アイム!ユア!ファーザー!!!」

 

社「ノーーーーーーー!!!!!!」

 

刀隠社16歳、アリーナ控え室にて、否定を叫ぶ。

 

???「アナタ、それは、追々よんでもらいなさい。」

 

ん?誰?そこはかとなく、シャルに似てる?

 

???「はじめまして、私は、マリー・デュノア。シャルロットの母親です。」

 

社「あ、どうも。ご丁寧にありがとうございます、刀隠社です。」

 

マリー「ところで、トガクシ君?」

 

社「はい?なんでしょう?」

 

マリー「娘には、もうお手つきしたのかしら?」

 

社「すいません、人差し指と中指の間に親指差し込むのやめてもらえます?」

 

セシリアが意味分かってなさそうなんだから、あコラ、シャルこっそり耳打ちするな。あー、セシリアが茹でダコになっちまったよ。

 

シャル「それがさ、お母さん。この人、鋼の精神で未だにお手つきしてこないんだよ?」

 

マリー「アナタ!それでも男?!」

 

社「男以前に年齢的にもアウトでしょ?」

 

マリー「ハァ・・・。日本人って頭固いわね。シャルロット、コレあげるわ。」

 

そう言って、小さな小瓶をシャルに渡すマリーさん、心做しかアルベールさんが震えてる。なんなのあれ?

 

シャル「お母さん、コレは?」

 

マリー「ん?男の人の理性を吹っ飛ばして、夜の帝王にしてくれるお薬よ。私はコレでお父さんをゲットしたのよ。」

 

シャル「ありがとう!お母さん!」

 

この子にして、この親あり。どうしよう、血が争ってない。

 

アルベール「社君、気をつけたまえよ?アレ本当にヤバい代物だから。」

 

社「マジッスか。」

 

アルベール「少量でも相当な効き目だよ。気がついたら、彼女と朝チュン社「おっと、そこまでの情報で結構です。」そうか・・・。」

 

聞きたくなかった情報をどう処理しようかと、思案していると不意に肩をトントンとつつかれたので、振り返るとニコニコとシャルが笑顔で例の小瓶を俺に突き出した。

 

シャル「はい、社。グイッと行ってみようか♪」

 

社「行ってみようか♪じゃないのよ。何をもって行けると思った?」

 

シャル「うーん・・・。勢い?」

 

社「はっ倒すぞ。」

 

セシリア「や、社様。」

 

社「ん?」

 

セシリア「グイッと行ってみませんこと?!」

 

お前もか!ブルータス!!目ぇグルグルさせてんじゃないよ!帰ってこい!

 

社「まったく、年齢的にアウトなんだから理解して欲しいぜ・・・。アレ?アルベールさん達は?」

 

雷鳳『奥さんに、引きづられて行かれたわよ。』

 

社「あぁ、なるほど。」

 

なんだろ?その光景が、目に浮かぶわ。それより、あの悪巧みしてる2人組、どうやって黙らせるか。

 

鈴「社~、お邪魔するわよ。」

 

社「邪魔するんなら、帰ってくれる?」

 

乱「あ、なら。このご飯いらな社「いらっしゃい、鈴、乱ちゃん。ゆっくりして行くといいよ。」お腹空いたんですか?朝あんなに食べたのに?」

 

鈴「諦めなさい、コイツの胃袋は底なし沼みたいなもんよ。」

 

社「失敬な、ちゃんと底はあるぞ。」

 

鈴「底がある人は、朝から一升のおにぎりなんて食べないのよ!」

 

はて?なんかおかしいのだろうか?トレーニングしたら、腹減るじゃん?だったら食べるじゃん?

 

雷鳳『マスター、お願いだから。人としてのキャパは守ってね?』

 

おいおい、お前もかい。なんだよ、ちょっと人1倍食うだけじゃん。

 

鈴「アンタ、今『人1倍食うだけじゃん。』なんて思ってないでしょうね?」

 

社「・・・・・・・・・・・思ってねぇよ。」

 

乱「社さん、図星ですね?」

 

社「なんで、分かるんだよ。」

 

鈴・乱『好きな人のことだから。』

 

そう言われて俺の顔が沸騰したみたいに、熱くなったのを感じた。どストレートに好意をぶつけられんの慣れてねぇんだから勘弁して欲しいぜ。

 

雷鳳『マスター、耳まで真っ赤になってるとこ申し訳ないけど。追加入るわよ?』

 

社「え?!待って、この状態はマズ・・・。ラウラ「何がマズいんだ?」お前かい!」

 

簪「私もいるよ。」

 

刀奈「もちろん、私もね。それより、社がそんなに真っ赤になってるの珍しいわね?写真撮っていい?」

 

社「ダメに決まってんだろ?!なにしに来たんだよ、お前らは?!」

 

ラウラ「む?そろそろ開会式が始まるからな。呼びにきたんだぞ?」

 

社「あ、もうそんな時間だったのか。悪い気づかなかった。」

 

簪「お詫びに、お昼ご飯のデザート奢ってね。」

 

刀奈「私、あんみつね。」

 

社「へいへい、奢りますよ。セシリア達も、何頼むか決めとけー。」

 

さてと、着替えるとしましょうかね。そう思い俺は、ISスーツの入った小さなリュックを肩に下げ、更衣室を目指した。俺と織斑のエキシビションは、3日目の最終日だが開会式には、全校生徒がISスーツ着用義務とされている。これは、国際大会でも同様であり要はその予行練習も兼ねているらしい。(山田先生談。)ま、俺には縁がない話だけどな。俺の夢は、世界大会に出場することじゃねえしな。

 

雷鳳『マスター。』

 

社「ん?どうした?なんか不具合か?」

 

雷鳳『ううん、動力源及び全システム、各部は絶好調のコンディションよ。一言、言っておきたかったの。』

 

社「うん?なに?」

 

雷鳳『勝とうね、負けはしないけど。今まで我慢してきたこと、全部あのどうしようもない大バカ野郎にぶつけてやろう。』

 

社「あぁ、あん時水浸しにされた事。その他もろもろの感情全部乗せでアイツにぶつけてやる。相棒、力貸してくれるか?」

 

雷鳳『私は、貴方の専用機。貴方が望めば、幾らでも力を貸すわ。例え、世界が貴方の敵になろうとも。』

 

社「あれ?思ってたより、重い?」

 

雷鳳『あら?貴方への想いは重いわよ、私。まぁ、私だけじゃないけれども。』

 

社「わー、潰されそ。」

 

雷鳳『それだけ、想われてるって自覚できたでしょ?』

 

社「十二分にな。やれやれ、応えられるかな?」

 

雷鳳『応えてもらわなきゃ、私達なにしでかすか分からないわよ?』

 

怖っ、コレ暗に脅してきたな。ルームメイト達と専用機がなにしでかすか分からないから余計に怖い。真面目に考えよう、そうしよう。俺の未来の為に、つか今まで結構考えたし、今度相談しに行くし?問題ねぇだろ・・・。ねぇ・・・よな・・・?そんな、悶々とした思考を巡らせながら、俺は着替えを終え、開会式の会場へと足を踏み入れた。開会式では、生徒会長の刀奈と国際IS委員会の代表が宣誓を終え、今此処に学年別タッグトーナメントが開催された。織斑・・・・。てめぇの顔思いっきり俺と雷鳳で歪めてやるから覚悟しとけ。俺と雷鳳の心情は雷警報真っ只中だってことわすれんなよ。

 




次回、タッグトーナメント編。各話でヒロインズと義妹がキレたり、本気を出したりの大暴れを予定しております。



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