勝つのは光か絶望か。 (決別・裏切りの罪 レイン&ネガ)
しおりを挟む

1,プロローグ

忘れられないあの事件から数年経ち、
漸く平和な日常が戻ってくると思っていた。


けれど、その時に事態は発生した…………


やあ、読者の諸君。今起きてることを説明しようか。

 

 

 

 

 

「……はぇええ……転学……ねえ…………転学だと!!?」

 

俺は、『藤村 弥助』。

平穏な土地で人通りの少ない場所で、少し古臭い事務所兼マイホームで、暗殺者としての依頼を引き受けている。

ココには俺の他に数人相方がいるんだが、その中に個性の強い奴らがいてな…………まあ、俺も言えたことじゃないけどな。

そんな時に一通の手紙と言うより招待状みたいなものが送られてきた。

 

 

「弥助さん、いつまで布団にいるんですか!!もうすぐ入学式が始まるというのに……!」

 

 

 

 

 

 

弥助

 

「なあ、楪!!!俺たち五人を羽丘と花咲学園に招待するって来てんだけど!!!」

 

 

 

 

「…はい、知らなかったんですか?以前から言っていましたし、早く制服に着替えてください!!!」

 

 

 

 

弥助

 

「…お、おぅ。分かった。」

 

俺は何かと腑に落ちないまま着替え始めた。

オレ、何も聞いてない…………

 

 

 

と、緑髪で三つ編みもののすごくお嬢様気質な彼女が、俺らの母的存在『石田 楪』。すごく綺麗で大人の魅力もあって、周りの男性からも好かれていて、親身になって話を聞いてくれるが、怒るとガチムチのゴリラか!ってぐらいに強いので下手に逆らわず、素直に動いている。

 

オレはお前をそんなふうにした覚えはねぇぞ!!

 

 

 

 

「……楪、アナタはもうすぐ始まるんだから早く支度しなよ!!」

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん……分かってるってば!」

 

お姉ちゃんに対してもどこか強くあたるが、まるで効いていない。最強かよ。

楪の姉の香凛は、妹とはまた違った印象を相手に与えるほど似ていない。そんな彼女は緑髪の楪とは違って、常に勝気でショートの黒なので若干馴染みやすいのが、彼女香凛だ。

 

 

 

弥助

 

 

「ほらほら、二人ともやめとけよ。海音や満も起きてんだからよ。」

 

 

 

 

 

「知らないわよ!!!」

 

 

と、この対応である昔は事ある事に俺たち三人が駆り出された時なんて、姉妹揃って泣きながら後を着いてったのに、今じゃこのとおり、The☆塩対応でござる。

 

 

 

 

「あ、みんな!起きたんだね!!はい、朝ごはん出来たよ!!ちゃんと食べてってね。」

 

 

 

香凛

 

 

 

「あの、満さん。わざわざ来てこんなことまでやっていただけて、ありがとうございます!」

 

 

 

 

 

 

 

「いいのいいの!!僕が好きだからやってるだけだからさ。」

 

 

 

 

「気色っ!!」

 

 

 

 

「えええええええ!!?酷いよおおお!!助けてよおおお!!!海音ぉぉおおおおおお!!!!!」

 

 

このように、楪は誰に対してもこの言いようには困ったもんだ。

 

 

因みに『満』。

 

髪色は……黄色、服装も黄色、……ほぼほぼ黄色なのだ!!

 

なので夜は特に目立ち、真っ先に狙撃される色をしてる。唯一違うのが、いつも肌身離さず持ってる刀だけは、刃が黄金色に張り付いた感じの塗装。更には、こいつの作る料理が、爆発的に美味い。

 

 

 

そして、恐怖の対象を前に逃げるし、暗いところにも行けないという、俗に言う小心者だ。

 

 

 

 

 

だが、そんな彼も本気を出すと、瞬間的に強くなる。そこが唯一頼もしいところでもある。……全く見えていないのにだ。

 

 

 

 

 

 

 

「…………いただきます。」

 

 

気づけば既に出された食事に手をつけてる海音がいた。

 

 

 

 

 

『鬼柳 海音』……こいつに関してはあまりわからん。

 

 

まず、一言も喋らない!!!!少しも表情が変わらない!!人の話を聞いてるのかもわからん!!!

 

 

髪は蒼く、全体を通して少し上がっている。

コイツは腹立つ事に和菓子を作る時だけ、やたら手の込んだことをする。普段は青いコートを着こなしているが、学園の方でなにか起きないだろうか。あの性格だとキツイかもしれない。

しかも、満と同じく刀を持ってる。その点では、二人は格好や作法が日本人っぽいな。

 

 

 

 

だが、満と大きく違うことがひとつある。

 

 

満の観斬刀は鬼や悪意のある人間を斬るに特化したものであるが、

海音の場合は、閻魔刀といって、切った相手の体だけでなく魂までもを斬り裂くのだ。その点では厄介この上ない。

まあ、悪い奴じゃないから事務所に置いてるんだけど、如何せん目つきが鋭いから、周りから悪魔って呼ばれるようになったんだ。

 

 

 

アイツがそれを気にしてるかはわからんが、それにしても五人か…………

 

コレは、オレたち四人は認めても、アイツだけは断るだろうけど、一応聞いてみるか。

 

 

 

弥助

 

「海音。話があるんだが、女子学園に招待する手紙が来たが、どうしたいんだ?素直に答えてくれ。」

 

 

 

海音

 

 

「…………正直に言えば、どの選択をとっても結果が目に見えている。…………両方に行けるなら良い。」

 

 

 

 

香凛

 

「いやいやいや、明らかに無理だって。第一、海音はどうやって2つの学校に行くのさ!!!」

 

 

 

 

 

香凛のこの一言で諦めてくれるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

………………そんな俺がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

「…………コレでどうにかする。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『はっ、はいぃぃぃぃ!!!?』

 

 

 

 

 

 

 

俺達は今ある光景に、

開いた目もそうだし、口がふさがらない。

 

驚くことも無理もない。

 

あろう事か海音が2人…3人に増えてたから。

 

 

 

海音

 

 

「…………そんなに変か?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「変も何も、なんで増えてんのよ!!!」

 

 

 

うん、楪の言うことはご最もです。

そこでオレはこんな想像をついてしまった。

 

 

 

 

 

弥助

 

 

「まさか、お前…………分身して登校するつもりだったのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると、海音は黙って頷いた。

 

 

 

………マジかよ……ww

 

 

 

 

 

 

 

「ね、ねぇ……もう登校時間だよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『アッ…………………………』

 

 

 

 

 

これによりこの場にいた俺達は一気に静まり返り、俺自身の転移陣に入り、それぞれの学校へと送っていった。

 




BanG Dream!も遂に3周年を迎えましたね。この時をどれほど待ち望んだことか、イベントも出来るだけ頑張るつもりなのでお願いします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

2,俺は兎も角、奴は早くも精神オワタ

みんなを漸く送り出すことに成功した俺のもとにこんな話が入ってきた。

 

 

 

 

 

「ちょっと聞いてよ。ここら一帯怪物が現れるらしいの。その怪物が子供たちを連れ去っていくんですって。」

 

 

 

 

「何それ……怖い……最近世の中物騒ね……警察には言ったの?」

 

 

「いえ、実際見たわけじゃないので……あくまで噂なので、」

 

 

 

 

 

 

弥助

 

 

「………………怪物……ねぇ、……参ったな…。」

 

 

(もう、満と海音の力が必要な時が来たのか…………思ってたよりもずっと早いな……。)

 

 

 

 

そう、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

近所の叔母様方からすれば他愛も無い世間話だが、オレらにとっては無視できる話じゃない。

 

 

【満、海音。

 

怪物が姿を見せて、子供たちを誘拐して拉致する話を聞いた。何とか退治してもらえるか?時間は夕方に出るそうだ。】

 

 

 

 

 

 

俺は2人にそう連絡して羽丘に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

ーーー青年移動中ーーー

 

 

 

あの緑髪の女、確か氷川日菜って言ったか。

あいつ、式の終始寝てたし、自分の出番が来たらと思ったら急に大声出すわ、話の内容も擬音語ばっかりで、全然頭に入ってこねぇよ。

 

アレを相手に、海音も香凛も疲れきった顔してたなwww

 

さて、あの意味不明な式を終えて、自分の教室へと入った。因みにオレは香凛と同じC組だ。

そんでもって海音だけが学年とクラスも別だし……別とは言っても、B組なんだよな。まあ、隣だし会おうと思えば会える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、海音のクラスにはとんでもなくやべえのがいる。

いつも『儚い』って言って通りかかるだけで、女子の軍勢がノックアウトされるし、謎のポエムを呟くし、高身長で何気に顔立ちが整ってて、大人の女性かと勘違いしてしまう瀬田薫。

 

もう一人は、見た目がものすごく派手で、もはやギャルの方ですか?ってぐらいコミュ力怪人こと今井リサ。

 

極めつけには、式の時で言ってた奴、アレで生徒会長を担っていると言う、もうめちゃくちゃな学校を取仕切り、周りにもやりたい放題やる最強にヤバいヤツ、[氷川日菜]だ。

 

 

 

海音は彼女らを相手にしなきゃならないのだ。

もし、海音の左眼の秘密を探るようだったら、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………………頑張れ。www

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あの!!」

 

 

 

弥助

 

 

「んあ?どったの?なんか用かえ?」

 

 

 

 

 

「いやなんで訛りが出てるんですか。ってそうじゃなくて、あの……弥助さんって、あの幻となった弥助さんですよね!!」

 

 

 

 

 

 

弥助

 

 

「え、えええと…………」

 

 

ゴメン、誰?

 

 

急すぎてビックリしたわ。ええと茶髪に眼鏡か、明らかに物静かな感じの彼女だ。

 

 

弥助

 

「ううんと、名前……知りたいな。」

 

 

 

「ああ!!すみません!!ジブンってばつい、音楽関連になるとこうなっちゃいまして……………ジブン、上から読んでも下から読んでも『大和麻弥』です。よろしくお願いしますね。…フヘヘヘ。」

 

 

麻弥と名乗る彼女はそう言ったが、まず言いたいことがある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フヘヘヘ………………って、何ッ!!!?

 

 

 

え?今の女子ってそんな風に言うの!?嘘だろ……だとしたら何かとしんどいぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

麻弥

 

「そして、ジブンはpastel*Palettesって言うアイドルバンドをやってるっス!!良ければ見てくださいっス!!!!」

 

 

 

 

 

弥助

 

 

「お、おおう。」

 

 

なんだろう、彼女……すごくオタクじみたことを言うんだな。にしてもアイドルねぇ、あんまり見ないしいい思い出も無いからいいキッカケにはなりそうだ。PastelPalettesね、後で調べてみるか。

 

 

何はともあれ、オレはPastelPalettesのドラマー(ちゃんと調べた)こと、大和麻弥と親睦を深めることに成功した。因みに香凛も多くの友達に恵まれ話題にもなった。

 

 

 

 

 

海音はというと…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日菜

 

 

「ねぇねぇ!!海君ってばなんで左眼隠してるの?見せてよ!!あたしすっごく気になる〜!!」

 

 

 

 

 

……………………何この人は……急に大声出して話しかけてくるなんて、しかもこの人の純粋で宝石のように輝いているその瞳、嫌悪を通り越えて吐き気がしそうだ。まあ、左顔を包帯と眼帯で覆ってるから仕方ない…………のか?

 

 

そう言うと、ほんとに吐き気が襲いかかってきたので、

 

 

 

 

海音

 

 

「あの、少し気分が崩れたので、休んできます。」

 

 

 

 

と、彼は早々に行ってしまった。

 

 

 

あたしも正直、彼が気になっていた。周りの人は彼に近づこうどころか見ようともしていない。まるで、初めから存在してないかのように…………

 

 

 

そんな彼も一切気にすることも無く、ただ前を見つめているだけ。あたしと話してる時も、何かに取り憑かれたかのように無反応だった。でも、あの子の瞳の奥には、何か得体の知れないものが潜んでいた。あたしはそれを知りたくて話しかけたのだ。しかし、あの子は保健室に行ってしまった。

 

 

 

 

リサ

 

 

「お、日菜。やっほー!」

 

 

 

日菜

 

 

「リサちー!あのねあのね!!あたし、新しく来た子がすっごく気になるの!!あの左の顔をブワッて隠してるあの子!!」

 

 

 

リサ

 

 

「うーん、海音のこと?オッケー!私が誘ってみるよ!確か海音は二年生だから……蘭に聞けばいいか!!じゃあ早速行ってみるね!!」

 

 

 

流石リサちー、互いに興味があれば誘ってくれるし、るんって来る!

 

 

 

 

 

 

 

リサ

 

「ねえ、君が海音だよね?」

 

 

 

 

 

 

海音

 

「……………………ッ!!」

 

 

 

ただ声掛けただけなのに心底驚いた表情で私をみてる。なにか付いてるのかな?

 

 

海音

 

「………………はい、

 

 

 

…………………………………………そうです。」

 

 

うわあ、やっと具合が普通に戻ったのに、違った意味で厄介なのが来た。

 

 

リサ

 

「あのさ、海音に興味がある子がいるから誘いに来たってわけ!どう?いいでしょ?そうそう、アタシ今井リサだよ。気軽にリサって呼んでね!!」

 

 

 

 

 

海音

 

「…………分かりました……リサさん。

えっと、どこに向かえばいいんですか?」

 

 

リサ

 

「まあ、みんなさん付けするよねー。じゃ今は放課後だから生徒会室にいるかも!着いてきて♪」

 

僕は、何が何だか分からない状態で今井リサ先輩に連れられた。そして、生徒会室って聞くと…………あんまりいい思い出がないんだよなぁ…………

 

 

 

 

……………………………………

 

 

リサ

 

 

「ココだよ。日菜!海音、連れて来たよ。」

 

 

…………。シュッ

 

逃走失敗……ガッチリ、ホールド入った………………。リサ先輩、どれだけ力強いんですか。ホントに女子生徒ですか?握力が普通じゃないですよ。まるでゴr

 

 

 

 

リサ

 

 

「……なんか言った?いますっごく失礼なこと言われた気がするな〜」ニコニコ

 

 

 

海音

 

 

「…………他人の意思を勝手に覗き込まない方がいいですよ。」

 

 

正直言えば、日菜とは出来れば会いたくない。別に嫌いではない。ただ、ズカズカ入り込んできそうで怖いんだ。

 

 

ドアが開くと、その生徒会長氷川日菜と、少し控えめな茶髪の子が僕を見て少し焦っている。あの子は確か、つぐみって聞いた気がする……コレは弥助から聞いた情報だ。

 

 

 

 

海音

 

 

(……まあ、当然だよね。半分の顔が異常だって知ったら余計に苦しめることになるだろうし……このまま黙っておこう。)

 

 

 

 

 

 

日菜

 

 

「あ、カイ君!来てくれたんだ!!!」

 

 

 

海音

 

 

「ッ!!?」

 

 

 

 

 

 

シュンッ!!

 

 

 

 

 

 

つぐみ

 

「うわっ!!」

 

 

 

茶髪の子は何やら驚いた様子だ。当たり前だ、こちらに突っ込んでくる日菜を避ける本能が働いて、目にも止まらぬ速さで移動したからね。しかも、移動した跡には少々稲妻が走っている。

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

 

「ハァ………………ハァ…………」

 

 

 

 

日菜

 

 

「むぅー…………」

 

日菜先輩は簡単に避けたから不貞腐れている。それを見かねたつぐみが、

 

 

 

 

つぐみ

 

 

「……えっと、大丈……夫?」

 

 

 

と言った。

 

 

あーあ、開始早々やっちゃったよ。つぐみが心配そうに覗き込んでるのもわかる。つぐみがココの人が『ヤツら』とは違うっていうのも分かってる。でもどうしても震えが止まらない……

 

 

 

 

 

 

 

つぐみ

 

 

 

「あの、日菜先輩がゴメンなさい!私の方から言っておくので、どうか!!」

 

 

 

僕は要件を聞いたあとは、

大丈夫大丈夫と伝えながら後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………さて、弥助が言ってた例の怪物を、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………『殺るか』…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別の場所では、こんな揉め事があった…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「満さん!!貴方、髪を染めるのは禁止と何度言わせるんですか!!それと、腰に着けているそれはなんですか!」

 

 

 

 

 

 

 

うわぁ…………僕、すごく嫌な相手とばったり会っちゃったな……この人はこの花咲川の生徒会の人だよね。僕だってこうなりたくてなったんじゃないんだけど……

 

 

 

「あ、あのね紗夜さん。一応言うけどさ、僕のコレは地毛なの。髪を染める事がダメならさ、僕のような髪色をした人はどうしたらいいのさ。」

 

 

 

紗夜

 

「それなら保護者が伝えに来るはずですが?」

 

 

あの、そんなことをしなくても髪質を調べたらポンって出るよ。それくらい上達してるからね。

 

 

 

 

「そうだよね……それに身につけてるコレを剣道部の道具だと言っても、信じてくれなさそうだし…………」

 

 

 

紗夜

 

 

「そ、そうだったんですか…………分かりました。ですが、早めに黒に染めておいてください。」

 

 

 

 

「え、あ、……………………行っちゃったよ。」

 

 

 

 

 

 

 

彼女は凄く規律に熱を感じるから、生真面目な人なんだろうなってのはわかるんだけど、このままだと苦労しそうなんだよなぁ……………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………!!!!」

 

 

 

今、なんか変なのが聞こえた気がする………………

 

 

 

 

 

 

僕は周囲を見渡したが、誰もいなかった。気の所為だろうか。にしてもあの人……綺麗だったな。楪と似たような雰囲気だよ。まあ、人気ありそうだしね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

校門前でそんなことを思ってると…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シュゥオオオオオン…………

 

 

 

 

 

「ヒィッ……」

 

 

 

 

敵の位置はここから西に800m…………

僕らとの思い出の場所…………。一人、イヤ…………三人か…………ん、その中に…紗夜ちゃんと同じ格好をしてる人もいる……女の子?紗夜ちゃんと同じようで髪も随分と個性的……なんて言ってる場合じゃなかった。行かなきゃ確実に殺られる!!

 

 

 

 

 

ーーー少年移動中ーーー

 

 

 

 

 

弥助君から連絡で、怪物が出たって聞いたけど、本当だったんだね。

 

 

 

だって今、ピンクの髪をした女の子が得体の知れない怪物に襲われてるんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……こっちに来るんだ!!」

 

 

 

うぅ…………言ってみたはいいけど、こっちに向かってくる。

 

 

 

 

 

 

 

「危ないっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

僕は目を瞑りながら観斬刀を構えた………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

が、いつまで待っても衝撃が来ないので恐る恐る目を開けると、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「満………………怪我は無いな。戦えるか。」

 

 

 

 

海音君が来てくれた。しかも気にかけてまでくれる。僕は凄く嬉しい。

 

 

 

 

「……うん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴルァアアアアアアアア!!!!

 

海音君が三体を相手してる……つまり僕は、一旦彼女を安全な場所まで連れて帰ることだ。分かればやることはひとつ!!

 

 

 

 

 

 

 

「君、立てる?危ないからここを離れようか。」

 

 

 

 

「う、うん…………ありがとう…ございます。」

 

 

 

 

 

あ、案外素直に聞き入れてくれた。素直な子もいるのかな?この子の安全を守れたら、僕も海音君のところに向かわなきゃ……でも、海音君だったら必要無いかな。海音君、普通にものの数秒で終わらせちゃうから、あの怪物も闘志はそれほど高くない。僕だからこそわかる。

 

 

 

 

「あ、あの…助けてくれてありがとうございます!!」

 

 

 

 

「いいのいいの、僕が好きでやってる事だから。そろそろ大人しく帰った方がいいよ。」

 

 

 

 

「…あ、よく見たら君って、見たことない学校の制服だ〜!そうだ!!私、ふわふわピンク担当、『丸山彩』で〜す!!イェイ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………………………。」

 

 

 

ごめん…言いたいことが多すぎて追いつかない。

この子が丸山彩……それは分かる。

彩ちゃんと同じ制服を着てるのも分かる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ふわふわピンク担当の彩』って何っ!!?

僕知らない!!僕知らないよ!!!随分個性的なのはいいけど、それは………………無いよ…。

 

 

 

 

 

 

 

「えっと、今度お礼したいから、連絡先交換しよ!」

 

 

 

 

「…ああうん、良いよ。」

 

 

僕はここまで警戒心ガバガバな彼女に困惑しつつも僕も携帯電話を取り出す。まあ、彩さんは見た事ない機械を取り出してルンルンしながら待ってる。アレも携帯電話なのか?僕のと全く違うんだけど、僕の知らないところじゃこんな物もあるんだなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………えっと、何か、この子……私のスマホジーッと見てる。って、よくよく見たら……

 

 

 

 

「君、ガラケーなの!!?スマホじゃないの!!?」

 

 

 

 

この子はすごいびっくりした表情でこっちを見てる。まあ、大声出したら驚くよね、うん。それに一応ガラケーでも連絡先ぐらいはできるし…………

 

 

 

「へぇー、満君って言うんだ。ほんとにありがとう!!私こっちの道だから、また学校で会おうね!!」

 

 

 

 

 

 

 

家に帰っても、私は満くんがすごく気になってしばらく寝られなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「…………スゥウウウウウウ…。」

 

 

再び俺達の前に現れたからどれほど変わったのかと思ったが、強くなった感じがない……むしろ弱体化してる気がする、拍子抜けだな。

 

 

 

 

ピロンっ♪

 

 

 

俺はこの着信で誰かがわかった。満だ。

 

 

 

海音

 

 

「オレだ。」

 

 

 

 

 

 

 

『海音君、そっちはどうかな。こっちはちゃんと家に返せたけど、』

 

 

 

海音

 

 

 

「こっちも平気だ。あれで遅れをとる俺じゃない。弥助にも終わったと伝えてくれ。」

 

 

 

 

 

 

 

『うん、任せてよ。それにしても……………どうして、また現れたんだろうね…』

 

 

 

 

海音

 

 

「分からない……だが、今後もこういった事も増えるだろうから、警戒は怠らないようにしなきゃならない。」

 

 

 

 

『うん、海音君も頑張ろうね。』

 

 

 

 

 

海音

 

「ああ、満もな…………気をつけろよ。」

 

 

 

 

 

俺は満との通信を切り、俺自身も人気の無い公園から離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やっと事務所に帰れたと思った俺がいた。

 

 

香凛

 

「えええ!?海音に満も大丈夫だったの?」

 

 

 

弥助

 

 

「まあ、落ち着きなよ。別に死んだんじゃねえ。無事でいいじゃねえか。」

 

 

 

 

「…そういうことじゃないの…私達心配してたんだからね!」

 

 

 

まあ、無事で帰れたとは言っても、普段より帰りが遅くなったし、気にかけちまったのも俺と満の責任だ。

 

 

 

 

 

海音

 

 

「悪い…………人助けをしてるから絶対とは言わないけど、出来る限り…やってみる…………。」

 

 

 

 

 

 

「海音君も僕も反省してるから、ね?」

 

 

そう言うと、香凛は渋々ながらも許して貰えたけど楪は満に対して素っ気ない。どれだけ嫌いなんだよ、満さんはいい人なのにな…………

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の中にあるあの疑念は、満お手製の海鮮炒飯を食べた後でも、残り続けていた…………

 

 

 




すいません。ずっと内容考えてたらいつの間にかこうなってました。だけど、僕は反省はしてるんですけど、謝るわけにはいきません。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

超古代の魔人編(海音√)【Episode of T】
3,関わりを経て、何を示す?


 

花咲川学院生が襲われた謎の怪事件から一週間……

 

 

 

 

 

 

海音は、羽丘や花咲川の他に顔を出してるところがある。それが、この絆之浦学園だ。ココは、俗に言う『世のはみ出し者』が集まる悪評高い高等学校。そのためか、校則もそこまで厳しくなく、大半の生徒はよく授業を抜け出すことも少なくない。不良専用の学校だ。

 

 

 

「海音ー!遊ぼうぜ〜!!」

 

 

海音

 

 

「…律………ああ、何して遊ぼうか。」

 

 

 

 

「おいおい、アタイらが遊ぶって言ったら、コレだろ!!」

 

 

そう言うと、律はギターを取り出して、激しく響かせた。

コイツは律。赤黒くて、パンクバンドのリーダーだ。そして、黒のシャツにダメージパンツと、ボーイッシュな声と格好をしながら実は女子生徒だったことを、つい最近知った。

 

海音

 

「…おいバカ止めろ。教室内で騒ぎを起こすな。勝負なら外でいくらでも受けてやる。」

 

 

 

 

「おっ、随分と受けがいいじゃん、何かいい事あったか?」

 

 

 

別に言ってもいいけど、後悔しそうだからやめとこ。

適当に返せば基本大丈夫…なはずだけど…………

 

 

 

海音

 

 

「……あったからこうして素直に受け入れてる。」

 

 

 

 

 

 

「へぇ〜、なるほどねー。さては、可愛い子を捕まえたな?」

 

と、彼女はやや悪戯な顔をしてこっちを見ている。ちょっと待てなんで知ってる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「…その可愛いの基準はそれぞれだ。」

 

 

 

とだけ伝えて俺は次の授業の場所に向かった。何でか律は顔を赤くしながら訳分からないこと言って暴走しだしたけどね……

にしても、あっちの俺が倒れて救護されるとはな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

香凛

 

 

「海音、気がついたんだね。」

 

 

 

海音

 

 

「……香凛、何をしにココに?…………満は?」

 

香凛

 

 

「満もぐっすりしてるよ。もう、急に倒れたんだから私心配したんだよ…保健室までチュチュ達が手伝ってくれたから、後でお礼言っておきなよ…。」

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

(……アイツら………………余計な事を……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………少し前……

 

 

 

オレは楪と満と一緒に登校していた。楪は、満のことを信頼はしてるが、照れ隠ししてるようで、俺の横を常に歩いてるから、少し歩きにくい。それに、あの件があったから、助けたあの少女と必然的に話すことになりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば、満くんって、ガラケーなのね。スマホにしないの?色々便利よ。」

 

 

 

 

 

「あはは、そうしたいのは山々だけど、ガラケーの操作にも苦労してるのに、変えたらもっとわかんなくなりそうだよ。」

 

 

 

と、満はすごい苦い微笑みを見せた。そう、満は料理は勿論、運動や勉強もそこそこできるのだが、こういう最新機器に関してはあまりに疎すぎるということが欠点なのだ。まあ、それを言ったらその携帯電話すら持ってないオレは時代遅れの人間だがな……。

 

 

 

 

 

しかし、それにしても……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………………………」

 

 

 

 

 

「………………………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………………………………………」

 

 

 

 

周りの視線がやたらと冷たい気がしなくもない。

 

 

 

 

まるで歓迎されてないような雰囲気だな。派手にやられるのも好きじゃないから、別に大して気にしないけどな……

 

 

 

 

「…あら…満さんに鬼龍さん……おはようございます。少し話したいことがあるのですが、よろしいですか?」

 

 

 

 

 

 

 

う、嫌な予感しかしない……

 

振り向くと、アイスグリーンの髪と瞳をもつ生徒会こと氷川紗夜が立っていた。いや、何やってんの。

 

 

 

授業に遅れちゃダメよと楪と別れ、海音君と僕と紗夜さんだけになった。なんか僕の第六感が信号を送っているが、僕は動けずにいた………………いや、逃げられなかった…………と言うべきだな。僕らは彼女に見事に捕まり(勿論ワザと)生徒会室に連れ込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「満、どうしてオレたちは、何か変なことをしたのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そ、そんな事ないよ!だって僕ら人助けしたじゃないか!!僕ら善い事したじゃないか!!それなのにどうして!!!」

 

 

 

紗夜

 

 

「落ち着いてください。その件については、丸山さんから聞きました。助けてくださってありがとうございます。」

 

 

 

 

 

 

と、素直にお礼を言われた。さっきまで怯えてた僕が馬鹿みたいだ。お礼くらい誰でも出来るってのにね………………なんて安心してたのも束の間……

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

「それと、白金さんとこの映像を見ていたのだけれど、コレって鬼龍さんと吾妻さんですよね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………………………………は?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ごめん…………………………は?

 

 

 

 

 

色々気になるところはあるけどとりあえず一言。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何で人の機密事項を簡単に抜き取ってんだよ!!!

 

どうやってその映像を見つけた!!?

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

「その反応は、肯定とみてよろしいですね?」

 

 

 

 

僕は違うと伝えようとした時に、あることに気づいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在時刻7:20

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

授業に遅れそうなんですけどー!!!!

 

 

紗夜

 

 

 

「あら?もうこんな時間ですか……二人とも、次の授業の支度をしてください。また放課後に。」

 

と言って、帰してくれたけど、

 

 

 

 

うわぁ…………放課後って言っちゃったよ。

因みにライブ映像なんだけど、確かに紗夜さんの推理通り、アレは僕と海音君が率いてるバンドだ。こちらは五人中二人が地元を離れたから、今では連絡が着くことも少ない。今頃何やってるんだろうな…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何とか教室に入れた。けど生徒の視線が、海音君や僕に向いてるんだ。その視線も異物を見る目だ。

 

 

 

 

 

 

「やぁやぁ、遅かったじゃないのさ。久しぶりだな、二人とも。6年振り…………だったっけな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………ここに来て会いたくなかったやつがここに入ってきた。オレたちより少し体格のいい嫌な奴、それが吾郎だ。

 

 

 

 

 

 

吾郎もオレたちの『元』親友だ。だが、度重なる犯罪行為に耐えられず、追放した。そんな奴が今こうして合うことになるなんてな、悲しすぎにも度を越している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「にしても、まだここにいたなんてな……女に声掛けて連れていったそうじゃねぇか?」

 

 

 

 

海音

 

 

「…………別にそんな事じゃない。それよりも、アンタがどうして戻ってきた…………お前は日本を追放されたはずだ。」

 

 

 

 

 

 

まずいな…………どんどん注目を浴びてる。

ここは無理やり引き剥がさないと、ここら一帯消し飛びかねない。だって、海音君の瞳の中にある暗黒の心が目覚めようとしている。

 

 

 

 

 

 

「海音君!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレは………………?

 

 

そうか、オレは暗黒の闘志の力が解放寸前だった所を、満が止めてくれたのか。

 

 

 

 

海音

 

 

「満…………悪い、少し香凛のところに行く。この場所で使いたくは無い。」

 

 

 

「うん、僕が護衛に入るよ。」

 

 

 

 

 

満はみんなを落ち着かせたあと、紗夜に事を伝え連れ出すことを了承してくれた。ホントに、こういう時に満は無茶しやがる。満は今、弦巻こころと言う天真爛漫なお嬢様率いる、バンドの影武者として行動してるのだ。それを聞いただけで、苦労がわかる人も多いだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

羽丘に向かうと、迎えに来たように弥助と香凛がいた。その横に気になる奴らがいたのは気にしな………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Hey、香凛。この二人は?」

 

 

 

 

 

と、そうもいかなかったみたいだ。……ってよく見たら海音君構えちゃってるけど、まさか…………

 

 

 

 

 

海音

 

 

「香凛、コイツら…むぐっ!!?」

 

 

 

 

(ダメダメ!!!いきなり人を斬るのは間違ってるよ!!!現にまだ何もされてないじゃない!!!)

 

 

 

海音

 

「ぐむむむむ…………!!」(そうとも限らん!離せ!!)

 

 

 

 

 

危なかった…………どうにか海音君の本能を止めることは出来たけど、大丈夫だよね?怪しまれてないよね?

 

 

 

 

「アナタは、彼の親か何か?」

 

 

 

「チュチュ様、この方は…!!」

 

 

 

チュチュ

 

 

「何よ、パレオ。知ってるの?…………って、What?」

 

 

 

この場にいる全員が疑問を抱くのは当然だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「……あ、ああ………!!!」

 

 

 

 

「うぐっ……!ダ……………………ダメだ…ヤメテ………!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドサッ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パレオ

 

「カイトさん!!カイトさん!!」

 

 

 

 

 

チュチュ

 

「Are you okey!!?二人とも!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

満は、何かに恐れを抱いて頭を酷く抑え込み、海音は、何かを思い出してしまったことで呼吸が乱れ、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのまま二人は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

力尽きたように倒れたんだから……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……さん………………イトさん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰だ……………………俺を呼ぶ奴は…………だが、どこか聞き覚えのある声だ。確か名前は…………

 

 

 

 

 

 

「カイトっ!!」

 

 

 

 

 

 

差し込む眩しい光、そしてパステルヘアのパレオにチュチュ……………俺の横のベッドで横になっている満の姿がある。

 

 

 

 

海音

 

「一体…………何が、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「急で悪いんだけど、海音君…………チュチュ達のバンドに入ってくれるかな…?」

 

 

 

………………随分と急だな。だが、満のあの真剣な目付き、何か考えがあるに違いない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「オレは構わないが、アイツらはどう言うんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

パレオ

 

「寧ろ、チュチュ様が直接スカウトしたんですよ。」

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

「ち、違うわよ!!あくまでもマネージャーとしての勧誘と海音の保護よ!!」

 

 

 

 

 

待て…………話が飛躍しすぎだ。なぜ俺が保護?なぜ俺がマネージャー?いやマネージャーに関しては何も言わないでおくが、保護は意味がわからんが、満が言うんだ。素直に受けるべきだな。

 

 

 

 

 

海音

 

 

「分かった、俺なんかで良いなら、力になる…………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何かパレオの奴、急に表情が明るくなってやがる。そんなに期待されても困るんだけど…………まさか、前に会ったことがあるとか、それだともう俺の秘密を知っているのか?いや、その可能性はあまりに低い。じゃあ、どうして俺の名を………………

 

 

 

 

 

(海音君、彼女たちを最大限に引き出すのは君だけなんだ。試練もあるだろうけど、乗り越えてゆける。)

 

 

 

 

考えても仕方ないので一度考えることを辞めた。

 

 

 

そして、オレは、満のお願いの下、チュチュたちのスタジオに訪れたが、その歳に見合わない程のマンションだった。まあ、プロデューサーならそれが普通か………………

 

 

 

この時の俺も感覚が痺れてきた。もう、驚きもツッコミもしない。

 

 

 

 

俺達とは縁のない近未来的なホールを通って、俺たちのところには無いエレベーターに乗って最上階に限りなく近い階層に上り、見たことの無い機械に近づいてみたら何故かシャッター音が聞こえたし、それはもう興味をそそられるものだ。どういう訳か、チュチュには呆れられてるけどな。仕方ないだろ。こういうの無いんだからよ………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パレオ

 

 

「皆さん、お待たせしました〜!!」

 

 

 

 

 

いや待て、そんな勢いよく開けるんじゃない。驚いてるだろ。

 

ん?あのギタリスト………………どこかで…

 

 

 

確か……『朝日 六花』………………だったか。俺も少し記憶が薄くなってきてるな。こんなことも思い出せないなんてな。なんで知ってるのかって?オレは今、もう一人の俺が六花の通う学校に通ってるし、香凛から六花のことを聞いたからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………にしても、この二人はホントに女か?

やけに背丈が大きい…………それに体格も…

一瞬男に思えるんだが、それは俺だけか?

 

 

 

 

「チュチュ、パレオ。おかえり、何か収穫でもあった?」

 

 

 

 

「ん、なんか見慣れない奴がいるな。」

 

 

 

 

 

 

 

まずい、気づかれた。早いところ転移したいけど、ここでやったら確実にバレる。ここは大人しく姿を現すほうがいいのかもな。

 

 

 

 

 

 

「チュチュさん、パレオさん!おかえりなさ……ひぇえ!!?ど、どうして男の人が……あわわわ……!!!」

 

 

 

だよな……少し悲しいがコレが普通の反応だ。分かってはいても、悲しくなるぜ…。

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「落ち着きなさい、ロック。

彼は、私達の専属マネージャーなの。

 

 

 

 

紹介するわ。

 

 

vocalのレイヤよ。」

 

 

レイヤ

 

「…和奏レイヤ。気軽にレイって呼んでもいいよ。……それにしても君、何だか不思議な感じ…今度お茶したいな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

この人、一体何を探ろうとしている…?こういう奴こそ考えが読めない。が、悪の気迫は感じない。

 

 

 

 

 

海音

 

 

「………その日が来るといいな…」

 

 

 

 

できる限り、コイツとは探りを入れさせないようにしなくてはな……

 

 

 

チュチュ

 

 

「drumのマスキングよ。」

 

 

 

 

「よろしくな。……………………なんか只者じゃねえ雰囲気してんな。あたしの事はマスキングかますき……好きな方で呼びな。」

 

 

 

 

 

 

 

すまん、ますき………………言いたいことがあるんだ。お前のものであろうバッグに妙に可愛げのあるストラップが山ほどついてたんだが…………

 

 

 

 

ますき

 

「想像つかなかった………………だろ?もう、慣れたさ。(エスパーなんじゃないか?)

 

 

 

 

ロック?お前なんでそんなとこにいるんだよ。」

 

 

 

 

 

 

ロック

 

「だ、だって…………その…………」

 

 

 

 

かなり怯えられながらチュチュのスタジオの隅の方で縮こまっていた。結構距離があって満のようにハッキリとは聞こえない。何かと傷つく…………。

 

 

 

海音

 

 

 

 

 

「その…………悪い…怖がらせる気は無い。六花とも仲良く……なりたい…………それを伝えに来た…。」

 

 

 

 

 

 

六花

 

 

「あの、えっと……そういうわけではなく…………お会い出来たことが、嬉しいです!!」

 

 

 

嬉しい………………?嬉しい……ね……

 

 

 

 

 

 

 

 

六花

 

「あの!!レイジングさんの演奏…………モゴゴッ!!?」

 

 

 

 

何か言ってはならない気がして、六花の口を急いで塞いだことであちらは詳しく理解してないらしい。危なかった。あと少しタイミングがズレたら、間違いなく疑われるからな………………

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「その呼び名は、2人の時だけにしてくれ……頼むよ……朝日六花。」

 

 

 

 

 

六花

 

「は、はい…………//」

 

 

とりあえずコイツらの前で言わないことを約束してくれた。何でか朝日の顔はどこか火照ってたけども。まあ、コレは満と一緒に弥助から教わった女性との接し方らしいから、オレはそれを素直に成して見せただけだ。別に故意では無いな。

 

 

 

 

 

 

ますき

 

「ロック…………どうした?顔赤いぞ。」

 

 

六花

 

 

「はうぅう…………二人だけ……ううう……」

 

 

パレオ

 

 

 

 

「ますきさん、ロックさんは……ゴニョニョ」

 

 

 

 

ますき

 

「何!?ロックが?」

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………アイツらなんのことを話してるんだ?

 

 

 

 

 

なんて考えていたら………………

 

 

 

 

 

グオオオオオオオン…!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「………………ッ…!」

 

 

 

 

 

 

外を見てみると、三体の大きな石像とそれに反応し、地底と大空から2体の怪物が姿を現し、石像へと向かっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[人の子にして光の子よ……]

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「……ッ!!?」

 

 

誰からか、俺の脳内に直接語りかけている。

 

 

 

 

海音

 

 

「アンタ、何者だ!姿を現せ!!」

 

 

だが、どこを探しても謎の声の姿は無い。

 

 

 

[光の巨人と共に、戦え。]

 

 

 

 

その言葉を最後に、声もしなくなり、景色もチュチュのスタジオへと戻っていた………………なんか見た事ないアイテムだな。それにこのボタン………押したら、開いて輝きそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦え……………………か…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ますき

 

 

「海音っ!!今までどこにいた!!見たこともねえ怪物が暴れてる!!早く逃げるぞ!!!」

 

 

 

 

 

面白いぜ……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「佐藤…………チュチュと共に安全なとこに隠れてな。」

 

 

 

 

 

ますき

 

 

「お前はどうするんだよ。」

 

 

 

 

海音

 

 

 

「早く行け………………被害が出る前に……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ますき

 

 

「……必ず来いよ。」

 

 

 

 

 

佐藤を渋々ながら向かわせることに成功したオレは、石像を潰しに進撃してくる怪物を、食い止める。

 

 

 

それが俺の運命って言いたいのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「……上等だ………………やってやる……。」

 

 

 

 

オレは、ただ前に進み謎の声から授かったであろうライトを構えた。ボタンを押した時、オレは眩い光とともに包まれていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2体の怪物が2人の石像を破壊し、残された1人の石像も倒されて砕かれようとした時に、光の戦士『ウルトラマン』が目覚めた。

 

 

 

 

 

そんな話を、友達から聞いたことがある。

 

 

 

 

 

 

 

パレオ

 

「ロックさん!あそこまでたどり着けば、安全です!!」

 

 

 

 

 

そうは言っても、こんなとこに怪獣なんて聞いてへんよ〜。

 

 

 

なんて、呑気なこと思ってたら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パレオ

 

 

 

「ロックさん!!危ない!!!」

 

 

 

 

 

 

 

ワタシ、今何が起きたん?怪獣そのものに気を取られすぎてたんや…………そんで、その瓦礫がうちの方にとんできたんや。

 

 

 

 

 

 

 

六花

 

 

「ぱ、パレオさん……!!!!」

 

 

気がついた時には、ウチを庇って足を怪我したパレオさんがいた。幸い、意識はあるけどとても動ける状態にない。

 

 

 

 

 

 

 

 

六花

 

(どうしよう……ウチのせいや……でも、こんなことで挫けてられへんねんで。)

 

 

流石のウチも体の大きさの違う相手に、適うわけなくとも、安全なとこに運ぶことは出来るはずや。

 

 

 

 

 

 

 

彼女は、震える体を動かし、パレオを何とか背負って、走り出した。風よりも早く…………とそこにあの怪獣と視線が合う…………

 

 

 

ジリジリ近づき、二人を一気に踏み潰そうと、足を振り下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

六花

 

 

 

(あかん…………目ぇ合わせてもた………………もうダメ………………)

 

 

 

 

 

ところがだった……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………………アレ?いつまで待っても衝撃がない。

 

 

 

恐る恐る目を開けると、そこには…………

 

 

 

 

 

六花

 

 

「え…………ええええええええええええ!!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤と青紫と銀のボディーを持つ謎の巨人が、六花を踏み潰そうとした怪獣を薙ぎ払っていたのだ………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………海音君…いや、ウルトラマンが………………ついに光を灯したんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地球の破壊を求める怪獣と、ひたすらに祈り続ける彼女たちを前に、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《超古代の戦士》が、眠りから目覚めたのだ……。

 

 

 

 

 

 

 

 




大変お待たせしました。平成のウルトラマン大好きですけどストーリー自体を全て覚えてないので、わかるとこだけ載せるつもりですが、ご了承ください。後、出すの遅れてすいませんでした。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

4,鳥籠の歌姫と光を継ぐ者

…………

 

 

 

 

 

今、うちの目の前に、怪獣と巨人が戦っている。知り合いに聞いただけやけど、コレが………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジュアッ!!!ハァッ!!!

 

 

 

巨人は怪獣達の猛攻もなんのその、軽く弾きのけ、蹴りやパンチを入れていく。

 

 

 

(…チィ…………羽を広げて飛びまわりやがって…目障りだ。)

 

 

光の戦士は空飛ぶ怪獣に対し、回し蹴りだけで墜とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(奴はもう立つのがやっとだ…ここでキメてやる!!!)

 

 

 

 

…ッハァァァァァァァァァ!!!!!!

 

 

 

 

 

 

古代怪獣一体は地中に潜り姿を消したが、巨人は突き出した両腕を左右に広げ、光を集中させた光線を放ち、古代怪獣メルバを撃破した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(古代怪獣………………そして、古代から存在する戦士……………………何やら嫌な予感しかしないな。)

 

 

 

 

 

 

怪獣を倒した巨人は、役目を終えたかのように空の彼方へと飛んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は、チュチュさんのいる場所にまでたどり着けたけど、あの巨人…………ウチの方見てたけど…どないしたんやろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「オマエら…!ここに居たのか。無事…………む、パレオ…………クソッ…」

 

 

と、海音さんが無事に合流出来た。服装も若干乱れ、息も上がっていることから走って追いかけたのだろう。

 

 

 

とにかく無事でよかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アレから数日、オレは弥助の援助を下に、スタジオを速攻で建て直し、パレオの治療には満が回ってくれたお陰で予定より早く動ける。感謝しても足りないくらいに満には世話になってる。

 

 

 

 

そんな俺は今、ライブスタジオ『GALAXY』に来ている。理由?そんなモノ分からん。ただ、あの六花のことだ。バンドのことを聞くんだろうな。念の為にも、刀をコートの背に隠して訪れた。

 

 

そこまでする必要は無いかもしれんが、念には念を……だな……

 

 

 

 

 

 

 

 

扉を開けると、案の定…六花がスタッフとなって、働いていた。こんな歳に仕事って………………凄いな……。

 

 

 

 

 

 

六花

 

「…あ、海音さんっ!!来てくれたんですね。良かったぁ……急にお呼び立てしてごめんなさい!!」

 

 

 

 

 

ものすごく必死になって謝ってる。別にそこまでしなくとも、理由さえ答えてくれるなら、しつこく言ってきたりなんかはしない。

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「来たはいいけど、何のために……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

六花

 

 

「あの、その…………いつもRASの指導してくれてるので、是非お礼がしたくて……」

 

 

 

…………ああ、あのことか………………気にする必要なんてないけどな。

 

 

海音

「礼をしたいのなら、音で返してもらう。」

 

 

と、無愛想な彼なりの対価を求めてきた。

ウチはそれが堪らなく嬉しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

パレオ

 

 

「スゴいです!!たった一回の演奏で一冊分を纏めてくださったんですか!!」

 

 

オレは別にみんなの気になる所をまとめあげただけの事…………そんな大掛かりなことを背負った覚えはない。

 

 

 

 

 

ますき

 

 

「にしても、すげーな。ここまでわかりやすく書いてくれてよ…………辛くねえのか?」

 

 

 

 

 

……………………そんな台詞は聞きたいとは思わん。別にあんた達を憐れむほどに、そこまで俺も落ちぶれちゃいない…………だが、今答える訳にはいかない。

 

 

 

 

海音

 

 

「…………辛いなんて思ってたら、今更ここには居ない。オマエらが幸せだから、俺がある。」

 

 

 

ますき

 

「お、おう…………そうか。よくそんなセリフ言えたもんだぜ。」

 

 

 

 

 

 

 

…………?

 

佐藤は、何をどういった意図でそんなことを…………それに、よく見たら少し頬を赤くして俯いてる……ますますらしくない……。

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「これなら…………Roseliaに…勝てる!!!」

 

 

 

 

はい?Rosa...何だって?一体なんの事だ?

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

「Roseliaは湊友希那率いるガールズバンドよ。私達はそのRoseliaをぶっ潰して、ガールズバンドの新たな時代の幕開けとなるのよ!!!」

 

 

 

 

 

 

……湊友希那…………Roselia………………

 

 

あああ…………思い出した。満が弦巻のバンドと一緒に面倒見てたんだった。確かに、アイツらの実力は決して低いものでは無い。だが、決定的な何かが足りない…………その答えはオレと満はもう知ってはいるが、アイツらの成長の為にも答えてはならない。

 

 

 

 

 

 

 

パレオ

 

 

「と言うか、もうコチラにいらしてますよ?」

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ・海音

 

「What!!?(何だと!!)」

 

 

噂のRoseliaがもう近くにいるってのかよ。にしたってチュチュのリアクションが中々にオーバーよ。もう少し控えたりできないものかねえ。

 

 

 

 

チュチュ

 

「……湊友希那……」

 

 

 

 

 

 

「あら、貴方は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんと、ココであのRoseliaのメンバーが勢揃いし、ここを通り掛かったのだ。それについても驚きだけど、何だかコイツらって仲悪いのか?明らかな敵意向いてるけど………………

 

 

チュチュ

 

 

「あなた達……FWFに出るつもりね?」

 

 

 

 

 

「ええ……私達はその為に練習をしているもの。目指すは頂点………………それ以外に無いわ。」

 

 

 

 

なるほど…………この凛とした銀髪少女が、例の湊友希那ねぇ………………確かに弥助の言う通り、実力はとても高く、最高の本格バンドと言われていたが、これも納得がいくね。

なんて事を遠くから眺めてたら………………

 

 

 

 

 

 

「ところで、後ろの彼もあなた達のバンドメンバーかしら?」

 

 

 

 

 

…………まさか気づいてたなんてな…こうなったからにはもう逃げられん。俺は諦めて姿を表した。

 

 

 

 

 

海音

 

 

「…………感がいいんですね。」

 

 

 

どうして、氷川がいるんだよ!それによく見たらあの今井までもいるじゃねえかよ…とことんついてねえよ。

 

 

海音

 

 

「オレは、コイツらの管理をしてる、海音だ。」

 

 

 

「そう、貴方が…………それと、これを落としてたわよ?」

 

 

 

そういうと、彼女はオレに青い石を渡してきた。

その瞬間だった。

 

 

 

 

 

海音

 

(………ッ!!!!)

 

 

 

 

『来るな……化け物!!殺さないでくれ!!!』

 

 

 

ヤメロ………………!

 

何故だ…………震えが止まらない…頭も痛くなりやがる………………ただ落とした物を渡してきただけなのに………………手を差し出してるだけなのに、どうしても重なってしまう…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『何であんた生きてんの?ほんと最悪…死んでよね。』

 

 

 

 

 

 

『あっち行ってよ………気持ち悪い……』

 

 

 

…ヤメテクレヨ……………………!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「「……ヒィッ!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「止めなさい!!!」

 

 

 

 

パレオ

 

 

「海音さん、すごい汗ですよ…?」

 

 

 

 

オレ………………は…………何を…………

パレオに寄られていて…………そうか、

彼女の声で正気に戻った。気が付けば、オレはいつの間にか怯えている彼女達に暗黒の闘志が勝手に…………

 

 

 

 

 

オレは、なんてことをしていたんだろう…………

 

 

 

紗夜

 

「貴方…………先程から見せるその態度と言い、その手元の刀と言い………………」

 

 

 

 

 

 

 

友季那

 

 

「……大丈夫?」

 

 

 

と、彼女はオレに近づいてくる……それに連れてオレは後ろへと下がる…無礼と分かってはいても汗は止まらないし呼吸もおかしくなり始めている。

 

 

…………ヤメロ…………クルナ……!!

 

 

 

 

 

 

 

そんな時だった…………

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

「んなっ!!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレは今……………………何が起きている。

オレは……友希那に抱き締められていた。

オレは勿論、RoseliaやRASまでもが驚いてたり顔を赤くしていたりする。

 

 

 

 

 

 

 

友希那

 

「大丈夫よ……ここに居る私達は…………貴方を…………少なくとも否定したりなんてしないわ…………安心してちょうだい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「ア………………ガ…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「海音君!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………………満?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………海音君…………やっぱり…………完全には制御が……」

 

 

 

 

 

レイヤ

 

「制御?海音君?………………君、海音の知り合い?」

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「満……まさか、お前がこころのところだけじゃなく、そっちにもついてたなんてな……」

 

 

 

 

 

 

「ははは…………まあ、海音の事は僕に任せて、今日は……もう解散した方がいいよ。」

 

 

 

 

 

 

友希那

 

「分かったわ……それじゃぁまた……」

 

 

 

 

言い残すと早々に行ってしまった。だが、友希那の与えてくれたあの感覚…………思い出せないが、知っている。この温もりを…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六花

 

 

「あ、あの……海音さん……大丈夫ですか?もし、優れないようでしたら……ウチに来てください!!!」

 

 

 

 

六花…………そうだな…………ココのところ全然張り詰めてばかりだ…………クソ、アイツがここに戻って来てからずっとこの調子だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「海音君…………やっぱり…………ここに来てから変だよ。どこか調子が…………」

 

 

海音

 

 

「……弥助のとこには今日は戻らない…………。そう伝えてくれ……」

 

 

 

 

その時に満は六花に近づき、

 

 

 

 

 

「………………六花ちゃん…………海音君…お願いするよ。」

 

 

 

 

六花

 

「ええ!?はい…………」

 

 

 

 

 

そう言うと、彼も暗い夜道の方へ歩いていき、姿を消して行った。この場には、RASの皆さんと海音さんだけだ…ダメだ…………緊張する…。そんな時に海音さんは口を開いた。

 

 

 

 

海音

 

 

「六花……今日は…………お前の家に立ち寄らせてくれ……」

 

 

そう頭を深く下げた…。一瞬…………私は何を言ってるのかわからなかった……それはRASの皆さんも同じかもしれない…………それはもちろん男性の方が来てくれるのは滅多にないことですし、それも同じ歳頃の海音さんなら尚更、意識してしょうがないです……。

 

 

…………にしても、さっきの海音さん…………少しだけでしたけどRoseliaさんに敵意というか…………殺気が立っていて怖かったです。まるであの人達を殺さんとばかりに………………

 

 

 

 

 

それも、海音なのか分からないくらいに負の感情が、彼を包んで支配していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

友希那

 

「…………あの子…………何だか不思議な感じがしたわ。」

 

 

 

 

リサ

 

 

「ホントホント!!でも、何か……あたし達を凄い警戒してたよね……すっごく睨んでたし…」

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

「ほんとにアレが海音さんでしょうか…………土にも違和感を感じますが…しかもあの刀をどこから…………」

 

 

あこ

 

 

「あれって、あこ達に向けられてたのかな…りんりんと同じような……」

 

 

 

 

 

燐子

 

 

「きっと………………アレは、私達のことを…………本気で怖がってましたし、あの刀………………とてつもないものを感じるんです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リサ

 

 

「にしても友希那〜♪あんな風に男子を口説くってやるじゃん!!」

 

 

 

 

 

友希那

 

 

「そんなんじゃないわ…………ただ、あの子………私達以上のものを背負っているみたいね…………。」

 

 

 

 

 

 

と、彼女は先に歩いていった。

リサは友希那を除いた4人でこう話し合った。

 

 

 

 

 

リサ

 

 

「ねえ、あの子…………どう思う?」

 

 

あこ

 

「あの海音さんですか?あこ達も気づけなかったのに、友希那さん、なんで分かったんだろ……」

 

 

燐子

 

 

「それに、私たちに凄い警戒してたのに、湊さんだけは普通だったから…きっと不思議な力が伝わったんじゃないかな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

 

 

「では、それを促した彼は一体…………何者?」

 

 

 

 

リサ

 

 

「友希那もその年頃なんだよ〜♪」

 

 

 

 

 

それが聞こえてたのか、やめてよと聞こえたのだ。

 

 

 

 

 

 

友希那

 

 

(彼のあの瞳………………何故かあの時の私を彷彿とさせるようで、放ってはおけない…………それに、彼自身も気づいてるだろうあの黒い感じ…………彼は………………私達と同じように苦しんでた………………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

(湊友希那…………他人が近づく事でさえも俺を見下げるようで嫌だったのに、アイツだけはどういう訳か普通だった…………何も感じない…………これは…………俺が異常なだけなのか?それとも、アイツに特別な力が備わってるというのか……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人

 

(彼[アイツ]は何者[なんだ]なのかしら?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

互いに同じ疑問を抱きながらよるべき所へ帰ったのだ………………

 

 

 




ダメだ…………ウルトラマンのストーリー……よく思い出せない…………ほんとに特撮好きとは思えない構図かもしれない…………


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

5,その親切心が、オレの傷を抉りとる

今後は、更新が遅くなる上に、ガルパのガチャもフェスとコラボ以外やりません。


 

 

 

 

 

 

 

…………はぁ……いくつになっても、この気だるさは全く抜けない…………

 

 

奴にあってからずっとこんな調子だ。

旭湯に訪れても、この妙な感覚は取れる様子がない。

これも運命なのか?六花もオレをちょくちょく見に来てるし……まあ、何でか顔を紅くして部屋を出るんだがな…………それと、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

満の奴…………あんな顔を見せたのはいつ以来だ…もう、長いこと見てない気がする…………Roseliaにもハロハピにもお前自身の秘密は言ってはいないだろうが、知られた時は直ぐに俺のところに逃げろ。

 

 

 

 

 

 

何でって…………オレは……満の秘密も過去も知っているから…………だから俺は満と友達になった。

 

 

 

 

 

 

 

もうこれ以上、満が……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

壊れていく姿を……オレは見たくは無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うう…………仲良くなれたとはいえ、男の人の部屋に入るみたいで変に緊張しちゃう……………今日はお客さん来てないから早めに切り上げたけど、何か鬼龍さんの部屋から声が聞こえる、いや今は鬼龍さんが泊まってるから当然なんだけど、大丈夫かな?

 

 

 

 

 

 

六花

 

「鬼龍さん……いま、大丈夫ですか?」

 

 

 

 

 

 

と声をかけたところ、少しした後に、

 

 

 

海音

 

 

「…………平気……」

 

 

 

と言うので、部屋へお邪魔することにした。

 

 

 

そこには何故か目元を赤くしてる鬼龍さんがいたが……

 

 

 

 

 

 

 

六花

 

「だだだ、大丈夫ですかー!!?どこか具合でも悪いんですか!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何だ…?六花の奴………………俺の顔を見るなり動揺して……変なやつだな…………って、オレ………………泣いてんのか?

 

オレは流れる涙を引き込め、六花の方に向いた。すごく心配そうな顔をして献身的だった。そういったとこが満とよく似てる。RASの皆には迷惑かけたくないからな…………もし、ああいった怪物が姿を見せた時には、見られないようにしながら変身するしかないな。

 

 

 

 

 

 

六花

 

 

「あの、今日は鬼龍さん、魚が好きと聞きました……」

 

 

 

魚が好きなのは間違いないが、誰からそんな事を…………オレは冷静になって考えたらすぐにわかった。

 

 

 

(チュチュの奴………無駄なお節介を…………)

 

 

六花

 

「なので、私…頑張って料理しました!!!

良かったら…………召し上がってください!」

 

 

 

 

 

……!

 

 

 

 

六花…………よく見たら指先に数ヶ所切り傷が見える。普段は料理は振る舞わないのか、それともこの手の料理ははじめてなのか……………にしても、自分が作ったって言うのも驚きだが、綺麗な盛り方だな…………これはきっと美味い。

 

 

海音

 

 

「……いただきます……。」

 

 

 

 

と、一礼交わしてから食事をとった…日本人はこの作法を忘れてはならないらしい……勉強したからその辺は弁えてる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

!!!

 

 

 

 

食事を口にした瞬間、とても懐かしくて………オレが長い間記憶から封印し、忘れかけていたこの感覚…………

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

「…………………………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ど、どうだろう…………一口目を口に入れてから全く喋らない。しかも目つきがめっちゃ鋭なった…もしかして口に合わなかったとか?もしそれだったらどうしよう!!

 

 

って……鬼龍さん…………また泣いてる!!?

 

 

 

 

六花

 

「だだだ、大丈夫ですか!!?」

 

 

 

海音

 

 

「…………美味い……」

 

 

 

 

 

え?

 

 

 

 

美味しいって言った?私なんかますきさんのように料理はなんてしないし、手の怪我も見てたから気を遣わせてるんじゃないかと思ってた。けど、なんで美味しいのなら泣いてんだろう…………昔、何があったんだろ…………

 

 

 

六花

 

「……美味しい……ですか…良かったです。あの、おかわりならあるので言ってくださいね……」

 

 

 

 

 

 

フッ………………

 

 

六花…………RAS……か、

 

 

 

 

 

 

本当に………………面白いな…………面白い奴らが揃っている……満の奴もこっちにも遊びに来ればいいものを……まあ、仕方ないな……あいつは……………………五つのバンドを見てるだけでも脅威だぜ……

 

 

 

 

………………っていつの間に食事が無くなってた…………気づかなかった…………いや、料理が美味しいから気付けなかったのかな…………それくらいに夢中になってた…………

 

 

 

 

海音

 

 

「…………朝日……いつまで顔を寄せる気か?」

 

 

六花

 

 

「…ハッ、ごごご、ごめんなさい!!」

 

 

そう言うと、恥ずかしそうに、少しだけ寂しそうにして離れた。そこまで言う気もなかったんだけどな…………なるほど…………これが楪から聞いた女心……というものか…………素直に謝っておくべきだな。

 

 

 

海音

 

 

「…悪い……朝日がこうしたいのなら、気の済むまですればいい。話も聞いてやる。」

 

 

 

 

すると、パァアと、顔色を輝かせてこっちに寄ってくる。いやそんなに一緒がいいのかよ。

 

 

六花

 

 

「あ、あの……」

 

 

 

俺はこの時、朝日の質問をあまり気にしてなかった………………それもギターの練習について欲しいというお願いがほとんどだが、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六花

 

 

「あの、鬼龍さんの………御家族さん、参観にも来ていなかったんですが、お仕事……忙しいんですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

「ッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

唯一オレの僅かな微笑みが、その一言で一気に凍りついた。どうしてこんなことを……オレが孤児だってのに気づいたのか…?だとすれば、早々に離れなきゃならんな………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレは、朝日のこの質問に…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

答えることが出来なかった……。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

6,オレの用事は大体奴らは重ねてくる

 

 

 

 

 

 

 

……家族………………家族、ねぇ…………

 

オレはその単語に対して心がナイフ以上の刃で切り刻まれた感覚におちた。少なくとも吾郎に会って、あの光の巨人に同化してからずっと変なんだ。おかげで離れようにもあの問いに反応して動けなくなってしまっている…………。

 

 

 

 

 

海音

 

 

「……家族…仕事だから戻ってきてない…。」

 

 

そう誤魔化すしか無かった。

 

 

六花

 

 

「…そ、そうですか…」

 

 

 

何やら少しだけ寂しそうにしていた。たとえ、相手がオレであっても他人を救うことくらいは…………いいよな…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「話は少し変わるんだけど、RASはどんなライブをしてたんだ…?」

 

 

 

六花

 

「はい、来年の秋に『girls band challenge!!』に出場するんですが、あの、レイジさんも出るんですか!?」

 

 

 

 

本当に…六花の奴…………ライブやポピパのこととなると、止まらないな…別に悪い気はしないけどな…………レイジなんて、言われたのはいつ以来だったかな…………思いだそうにも靄がかかったように思い出せない。あの時は俺たち全員が純粋無垢だったから、今が楽しければそれで良いって感覚だったからな………。

 

 

 

 

オレが居て、

 

 

香凛がいて、

 

 

 

満が居て、

 

 

 

 

結莉が居て、

 

 

 

 

夏那が居て初めて

 

………………『オレたちの大事な時間』だったからな。

 

 

 

 

男女比2:3だが、それでも仲良くやれてたから十分だった。一緒にバカやって先生に物凄い叱られて、その度に笑って………………そして、EBAに出場しては毎回最優秀賞を勝ち取って殿堂入りを果たしたり、いつの間にかEBAの優勝者を決めることからオレたちのチームを超える為のバンドの誕生を目標とされていたり、あの時はホントに楽しかったし、結莉も夏那も香凛も、それについては記憶には残ってるだろう…………そう、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…満の{過去の秘密}を知るまではな…………。

 

 

 

 

 

 

「…………さん、

 

 

 

 

海音……さん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「…………んあ?どうした。」

 

そうだ、オレは今はレイジとしての海音だ。六花もその事で頭がいっぱいなんだろう…………過去をいつまでも引きずったってどうしようもないんだ。オレは、可能な限り出場する旨を彼女に伝えた。するともう喜ぶこと喜ぶこと…跳ねてやがる。本当に可愛いやつだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

六花

 

 

「あ、あの…………お顔…近い…………です…////」

 

 

 

 

 

 

 

 

あ…………。

 

 

今この状況を理解したオレはすぐさま彼女の肩を掴んでいた手を離し、寄せていた顔を離した。

 

 

 

 

 

海音

 

 

「…悪い……不用意に近づいてしまったな…………詫びにオレのギター…………聴くか?」

 

 

 

こんなことをして許してもらおうなんて、俺の気がおかしくなりそうだった。

 

 

 

 

六花

 

「えぇえ!!?レイジさんのギターを生で聴けるなんて…!!」

 

 

 

 

…………なんか、すごい喜んでるんだが、正解だったのか?まあ、それで喜んでくれるって言うなら、俺は迷わずに選択するだけだ。

 

 

そして、オレと六花は店長に伝えたところ、秒で快諾してもらった……そんなんでいいのか店長…………周到すぎやしないですかね……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これより、オレは六花にワンマンライブを披露しなきゃならない。曲名は…………[HERO]で良いか…。六花なんて、これを聴きたいがために身を乗り出してるから……危険ではあるものの、決して悪い奴ではないことが改めてよく分かった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「それじゃあ、堪能してくれ…………オレの音を……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギターを弾く海音さんの姿…………ほんとにカッコよすぎです……それに、研ぎ澄まされた歌声……お客さんへ向けるその視線と、正しく絶対王者とも呼べる迫力ある衣装…それらが重なってもう凶悪ですよ〜……。もちろん1フレーズも逃さずに聴きましたから…………そんな私には一つ悩みがあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音さんを見ていたら…………

 

 

 

 

自然と心が騒がしくなるんです……。

 

 

 

 

この心のざわめき…………その正体が未だに分からない…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

って!!

 

いけないいけない!!今は海音さんが私の為にギターを弾いてくださったんだ……せめて、気持ちだけでも……!

 

 

 

 

 

六花

 

 

「…す、凄いです!!RASやポピパの皆さんとはまた違った個性が強く出てます!!こんな私の為にここまで尽くしてくれて……申し訳なさでいっぱいです……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「……六花がオレなんかの音で幸せなら、オレは構わない……」

 

 

 

 

 

と、顔を俯いてステージを降りた。その時に薄ら見えたのだが、頬を少しだけ赤くしながら微笑んでいて、瞳は……少しだけ…どこか『寂しげ』だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ともあれ、満さんのおかげで海音さんとの距離も縮まったことですし、感謝しかありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六花の奴…………随分と嬉しそうだな。ポピパに関する情報もそうだが、好きなことに関しては熱中しすぎて周りが見えなくなる…………そこをオレが守ってやらなきゃならない……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…六花を…………守る………………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレは、何を………………言って…る?どうにも六花と一緒にいると、こっちまでもが変になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日はお互いに妙に緊張してよく寝れなかったと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…海音くん………君のRASは、きっと成長する。それは僕のRoseliaも同じように……でもそれにも乗り越えなきゃならない怪物が出るだろうね…………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪に落ちた人間もやがて現れる………………そして、そいつが巨人となって君とぶつかるだろう……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

旭湯の屋根上から漏れ出たつぶやきも、静寂な月夜によってかき消されていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「…………ん、」

 

 

 

 

 

眩しい日差しが射し込んで朝を告げる鈴の音が響いた。オレはこの鈴の音色を頼りに起きている。今回は音が小さかったが、まあいい。あの湊から返しもらった石もある、閻魔刀も俺の横にある。のだが…………その向かいに…………

 

 

 

 

六花

 

 

「スゥ……スゥ……」

 

 

 

…………六花が凄く心地良さそうに寝てる……しかもオレの布団に若干入り込んでるし…そんなに一緒がいいのかよ…………って言うより、この状況をどう打開すればいい…オレ、六花に思いきってガッチリホールドキメられてんだが、動けないし体の至る所が痛い。相当寝相が悪いことを理解したオレはどこか懐かしく思えた。

 

 

 

確か、前にも………………こんな風景が…………

 

 

アレは、オレ達5人が初めて会った時の事だったか……

 

 

 

気持ち良さそうに寝てる満と、

満を理解して膝枕してる夏那が…………

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

「……ッ!!!!?」

 

 

途端に、激しい頭痛を訴えてきた。近くに置いてあり、普段から世話になってる薬を投与した。

 

 

しばらくして痛みはひいたが、探してる時に起こしたのだろう、六花が寄り添ってた。

 

 

 

 

 

 

 

 

何?

 

 

抱かれて胸どれくらいあった?

 

 

気持ち良かった?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………そこまでして消えたいかよ……、

 

 

 

まあ、気分は上々とでも言おうか。

 

 

 

 

 

 

 

オレは今日のスケジュールを一通り目を通した。今日は、満は撮影か………………満のやつ…………ホントに無理しすぎな気もするが、大丈夫と貫くし、そういった点では強引だし頑固なところなんだよな…………まあ、そこが頼りになるんだがな……

 

 

 

なんの撮影かって?

 

 

 

 

そんなの……俺の口から言うのはタブーなんでね。

悪いが満が喋るまで気長に待ってくれよな…………。

 

 

 

 

 

 

さて、六花も業務に入ったみたいだし、オレもそろそろ出発の支度をした……目的地はあの有名な活火山だ。その為に弥助を使って欠席にしてもらったんだからな…………あそこにはオレの夢が詰まった場所なんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六花

 

 

「あ、海音さん!!お出かけですか!」

 

 

海音

 

 

「ああ、ちょうど里帰りがてら土産物を買うつもりだったが…………来たいなら、RASのみんなに伝えてきなよ。費用はこっちが持つし、時間も少し余裕があるからな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

六花

 

「わ、わかりました!!すぐ連絡します!!」

 

 

そういうと、六花は大急ぎでメールを打っては、どこから持ってきたのか、謎に大きなキャリーバッグを持ってきてるし、おまけにオレは2泊するのだが、ちょうど3日分の荷物が積まれているところから、

 

 

 

 

 

(あの店長の仕業か…………)

 

 

と、秘密にしてた一つを軽々口にした店長に苛立ちを募らせるも、感謝もしてたりする。店長の事だからすぐに言うのだろうが、そうでなきゃ六花の奴が寂しそうに待ってる未来が目に見えたからな。

 

 

 

六花

 

「皆さんもコチラに向かってるらしいので……『Hey!!』ひうっ!!?」

 

 

 

チュチュ

 

「ちょっと、普通に声掛けただけなのになんでそこまで驚くのよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「…………本当にすぐに来たんだな……毎度毎度驚かされるぜ……とりあえず忘れ物だとか戸締りはしたな……?」

 

 

 

 

 

 

ますき

 

「ああ、お前がどこに連れてってくれんのかすっげえ楽しみだ。なあ、六花?」

 

 

 

 

 

レイ

 

「ふふっ、実際に呆れるくらい六花の惚気話聞かされたもんね。」

 

 

 

 

 

六花

 

 

「や、やめてください〜!!」

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

「……ありがとうな。」

 

 

 

 

 

 

 

結局何だかんだ言っても、俺もRASのことが心配だったりもする。

 

 

 

 

海音

 

 

 

「さあ、もう出発だ。楽しんでもらえれば光栄だ。」

 

 

 

 

 

『はい!!!(ええ!)』

 

 

 

こうして…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の寂れた旅行改め……

 

 

 

 

 

RASと一緒に旅行兼里帰りが実行された。

 

 

 




うーん、ウルトラマンってやるとなると…………展開が急に変わったりするから大変なんだよね…………まあ、大好きだから頑張るけども……(´。•ᴥ人)シクシク…


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

7,里帰りイベント全てが和やかとは限らない

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………新幹線内はとても賑やかだ。年齢層問わずに利用できるし、座席も選択する車両が存在する。今はそれくらいに利便性が向上しているのだ…………それは別に構わないし、寧ろいい傾向ではあるが、そんなオレにも今一つ悩みがある…………それは、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「ちょっとパレオ、速すぎて景色が全然見えないじゃない!!」

 

 

 

 

 

 

ますき

 

「けど、新幹線ってこれくらいが普通って聞くぜ?っていうか、座席パレオと変わったらどうだよ。」

 

 

 

 

 

レイ

 

「それにしても、新幹線ってこんなに速いのにすごく静かね…………なにか工夫がされてるのかな…?」

 

 

 

 

パレオ

 

 

 

「この車両は最高時速280km/hほどだそうですよ。凄く速いですね!!」

 

 

 

 

六花

 

 

「あ、あの…………車内はできるだけ大声出さないように…してください…………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、RASのみんなだ…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

(…誘ったのがオレだから強く言えないものの、うるせぇ……!!

 

 

 

車内は静かに過ごすマナーがあるんだよ。あと、速い速い言うが、新幹線の中じゃかなり遅い方だ……最速360km/hの新幹線なんてザラじゃないし、新幹線ってほとんどが線路内に搭載されてる磁力による移動だから……まあ、オレは蒸気機関車も嫌いではないがな……)

 

 

 

 

 

 

 

それも、これら全部オレが持つんだよな……そう思うと、泣けるぜ……

 

 

 

 

 

 

 

 

『〜まもなく福岡〜福岡〜』

 

 

 

 

 

 

ってもう着いた…………ほんとに便利で速い……運賃は高いがまあ何とかなるだろうと、この時のオレはそう余裕を見せてた。

 

 

 

 

 

 

着いたのが福岡……そこから北にかけて…………とある山へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それまでチュチュはすぐバテるし、六花は昔懐かしのユニットバンドのポスターや前売りチケットの前からべったりで離れないし、マトモなのレイヤくらいだぞ………。まあ、何だかんだで目的地に到着したんだがな…………あ、勿論……一眼レフで撮ったりもしたし、手土産もついでに購入したし…………残るはホントにあそこだけだ…………夏にはいる頃だからか陽の光が照らし出すので暑いし、太陽を浴びてる地表からも熱気を放って余計に熱い。

 

 

 

誰がうまいことを言えと…?

 

 

 

 

 

…………知らないな…………一体誰と勘違いしてるんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ますき

 

 

「なあ、目的地にはまだつかねぇのか?流石に暑くて歩いてらんねぇよ……」

 

 

 

 

 

海音

 

 

「……休むなら少し先に茶屋が建ってる……」ピリリ

 

 

 

 

 

オレたちの音楽を使った着信音が鳴り、手に取ると意外な相手に驚いた。

 

 

『楪』

 

 

 

 

海音

 

(アイツが?なんの為に…………アイツから連絡するなんてな、珍しいこともあるもんだな。)

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

「ああ、オレだ。何か用か?」

 

 

『……今RASと一緒に居る?』

 

 

 

 

海音

 

 

「…いや、アイツらは先の茶屋に向かわせた…何か事態が起きたか……アイツらは無事か?」

 

 

 

『ちょっと、満がいるから別に平気だし、それよりもまずいことが起こるわ。』

 

 

 

 

 

 

なんだ?やつの声から聞こえる雰囲気…………少し違うな…只事じゃねぇな…………気付けばオレは目付きが獲物を狩るハンターの目付きをしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あなた達、霧門岳に向かってるでしょ。あそこから怪物の反応があったわ!気を付けて!貴方が前にやり合った奴と思えないくらいに強く感じる!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………何だと?怪物……?それって前に出たあの巨大な奴のことか?だとしたらかなり不味いぞ、霧門岳は活火山だからいつ噴火を起こすか全く予測がつかん……しかも、以前よりも強い反応…………

 

 

あの時に潜り隠れてたアイツか……アイツが遂に動いたか…………またコイツの出番が来そうだな……

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「わかった。お前も仕事は頑張れよ。アイツらのためにも……」

 

 

 

 

 

 

『そんなこと…………分かってるわよ。』ツゥーー

 

 

 

 

 

 

 

楪の奴…………別に気を遣わなくていいのに、難儀な奴だよ。そんなのあいつの両親が思うわけないだろ…………人一倍心配性な彼女に呆れつつも、RASが待ってる…………行かなきゃ…もし何かあれば、コイツでどうにかするしかない…………それに、そろそろ動き出す時期ってのも何となく予想はついていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「海音っ!遅いわよ!!何やってたの!!」

 

 

 

パレオ

 

「ひょっとして…ナンパですか?」

 

 

 

海音

 

 

「何を変なことを言っているんだ。」

 

 

 

来て早々、ナンパなんてするかよ……そのために来たんじゃねぇよ。と思いつつも、一輪の花を懐にしまい込んだ。行先がバレることを防ぐためだ。

 

 

 

 

 

海音

 

 

「ここから先着いてくるかどうかはお前らに任せる…正直、あまりいい所じゃないんでな……」

 

 

 

ますき

 

 

「何言ってんだ。アタシ達はいつでもどこでも、一緒に進むだろ?」

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

 

 

「……………そうかよ。」

 

 

 

と、無愛想にも内心どこか喜んでいる自分がいた。

 

 

 

 

 

 

 

茶屋を出たオレたちは更に登り、段々と人気がない場所へ歩いていき……………………オレがここに帰ってきた本当の理由が、

 

 

 

 

 

 

 

レイヤ

 

「ねぇ、海音……ココって……」

 

 

 

 

 

恐る恐るレイヤはオレに問いかける。言いたいことは多分、俺の考えてることと同じなんだろう…………

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「ああ…………これが本当の目的さ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山奥にぽつんとある一基の墓碑、そしてその静寂に包まれたオレたち………………

 

 

 

墓碑には『翔鳥 両家之墓』の文字が彫られていた。

 

 

 

 

 

パレオ

 

「墓参り……ですか?ですが鬼龍さんがどうしてこんな所に?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まあ、率直にその疑問が飛ぶことはわかっていたから、大して動揺はしない。オレが、この墓に来たのにはちゃんと理由がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレは、あの両家には随分と世話になったからな…………いつも満のとこにはオレが呼ばれるんだ。そして…………毎回オレに母親から手料理をご馳走してくれる。あの母さんには感謝しかねぇ……おかげで今の仲間にも恵まれてるからな…………親父さんも、オレに一通りの知識と鍛錬を教えてくれたし……その成果がやっと芽生えて、満以上にとはいかないものの、それでも一人でも普通に生き抜くことの出来る頭脳を手に入れ、満やみんなを悪から護れるくらいに強くなれた。

 

 

 

 

海音

 

 

「………………そいつはいくらお前らでも伝えるわけにはいかない。一つだけ言えるのは、満とは長い付き合い…………云わば心からの友達だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

六花

 

 

「ご、ごめんなさい!!聞いちゃいけないようなこと聞いてしまって……」

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「だが、この墓があるから、今こうしてお前らと出逢えた……感謝するぜ……RASの皆。」

 

 

 

 

 

レイヤ

 

「そ、そんな恥ずかしいセリフ……よく普通に言えるね……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

確かに自分で言ってなんだが、皆して赤く染めながら俯いてることから、思わず恥ずかしい思いをしたオレだった。

 

 

 

 

 

 

最後に俺は墓碑に向かって一輪の花を納め、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「……安らかに眠れ……満は今でも御二人の事を大切に思い、愛していましたよ……」

 

 

 

 

 

 

 

その一言だけ伝えると…………先程の沈んだ表情が、どこか吹っ切れたような凛々しい顔つきに戻っていた。

 

 

 

ますき

 

 

 

「海音…………おまえ……今までそうやってたのか?」

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「…何度も言わせるものじゃない………オレは、二人にも…『お前達』にも世話になってるからな……オレは……その恩を返しているだけだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイヤ

 

「きっと、向こうの親も感謝してると思うよ。それは知らないあたし達も分かるよ……満って子、最初はパレオみたいな性格の子かと思ったんだけど、家族のことを大事にしてた家族想いの良い子なんだね。」

 

 

 

 

六花

 

 

「素敵ですね……御両親が亡くなった今も家族の為に努力してたんですね。何か満さん……何考えてるかわかんない感じでしたから、怖かったですけど………普通に優しい人だったんですね……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

満ってやはり最初の印象がよく思われてないんだな……流石にボロボロに言われる満が少し可哀想だ。だが、コイツらはあの人間と違ってちゃんと理解してくれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あの人間共』と違ってな…………

 

 

 

 

六花

 

 

(………またあの目…………少し前からずっと気になっていた。あの罪を犯すことに一切の迷いが無いほど真っ直ぐな鋭い目をしていた。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

(……RAS……少し前から一緒に居るが、ほんとに退屈しなくなった。コレならオレにも幸せが分かるのかな……しかし、六花の視線が妙に痛い…………何か秘密を握られてる感じだ…………)

 

 

 

海音

 

 

「……オレの用事はもう終わった。お前らの行きたいところ……連れて行ってやる。」

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

「really!!!?」

 

 

 

 

速攻で大はしゃぎする彼女の様子にみんな驚いた。何かイベントでもあるんだろうか…………

 

 

 

 

 

 

 

 

パレオ

 

 

「夕方にRoseliaの皆さんがライブをなさるみたいなので、興奮冷めやらぬ状態なのですよ。」

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

 

 

「ちょっとパレオ!!!」

 

 

 

 

 

 

ハハハッ!!

 

 

また何時もの展開だ…………パレオが茶化してそれに反応して怒るチュチュ…………これがいつしか日常に変わってくれないかな…………なんて思っていたら…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遂に奴が動き出した。地底から熱気を溜めたあの古代怪獣が、姿を再び現れた。

 

 

海音

 

(やはりか……オレはお前をずっと待っていた…!!あの時から姿を眩ませていたが、まさかこんな所で会えるなんてな……!!!オレは今非常に嬉しいぜ……!!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイヤ

 

「ねえ!アレって………前にあそこで見た…」

 

 

 

 

 

 

 

ますき

 

「ああ、間違いはねえが……何か見た目も何か変わってねぇか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当然だ………あいつは………ゴルザは地底の活火山の熱を体内に取り込んで炎の力を承けたゴルザ…………こうしてのこのこオレのところに戻ってくるなんてな……!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パレオ

 

 

(海音さん……またあの表情…あの怪物たちが現れてから見る度に興奮と歓喜に囚われて……きっと……海音さんはまた…一人で……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「ちょっと海音っ!!そっちはDangerousよ!!あなた一人で何とかなる話じゃないわ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女かわそう呼び止めるも、オレの意思は………答えは変わらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

「……オレの心配は必要は無い……何せ、オレは最強のバンドの専属マネージャーだからな……それじゃあ、終わったらここに戻る。」

 

 

 

そう言って、彼は行ってしまった。それなのに、私は体が震えて動ける状態になかった……体が言うことを聞かない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ達からも見えない距離にまで移動した彼は、あのスパークレンスを手に取り、光を開花させた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴルァアアアアアア!!!!

 

 

 

 

ゴルザが咆哮をあげた………ようやく敵と見えたことを喜ぶ子供のように……そして、あの光の巨人……

 

 

 

 

……『ウルトラマン』が、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヂュァッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

憎しみに燃える怪物の前に、チュチュのいる山から光と共に飛び出した……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『来いよ…闇がなんだか知らないけどな……邪魔をするならまずはお前からカタをつけてやる!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ!!また出た!!あのカッコイイ巨人!!!」

 

 

 

 

 

「あこちゃん……危ないから離れよう……あの大きな人も動きにくいと思うし……」

 

 

 

 

 

(ですが、なぜあの巨人から……『鬼龍さん』の香りを感じるのでしょうか……)

 

 

 

 

 

 

それを遠くで見ている少女たちの存在にも気づかずに……

 

 

 




一気に話飛ばしすぎと思うかもしれませんが、これ普通のことなんです……ウルトラマンの舞台って必ず矛盾点が存在するんです。ですので、順番に関する意見は受け付けないのでよろしくです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

8,逆襲のゴルザ

 

 

 

 

 

 

 

さっきから紗夜の様子が変だ…………何か向こうに知っている人がいる感じ………そう言えば六花が言ってたけど、RASと海音でここに旅行しに来てんだよね。もしかして……今日からなのかな……いやそうとしか考えられない。だとすると……アレってどこから来たんだろう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

友希那

 

 

 

「もしかして……あの光……海音………?」

 

 

 

 

 

 

あこ

 

 

「ふえ?海音さんって確か……」

 

 

 

 

友希那が変な事を言ってきたので、いつも通りの判断が出来ずにいた。そして同時にあの青く灯す光には何処と無く覚えがある……私たちと海音さんが初めて出会った時に湊さんが渡したあの青い石……最初見た時には綺麗な石だと思ったが、彼のものだったのだ。それに、あの巨人……海音さんと湊さんは言いましたが、私もそう思えてくるのです。

 

 

 

 

 

紗夜

 

(満さんが言っていた『ウルトラマンティガ』……光の戦士……など言ってましたが、確かに……言われてみたら、海音さん…色々な謎が溢れている。)

 

 

 

 

 

 

リサ

 

(アイツが襲ってきた時に、アタシは偶然……海音がアイツに向かって走り出すところを見た……そしてそこから光が溢れたことも……色々謎が多い男子だと思ってたけど、ホントに何者なの?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チィィ!!

 

流石にマグマの力を承けただけあって、一筋縄じゃいかないっていうことか………だったら…こいつで一気に削り取ってやる!!

 

 

 

 

 

 

ティガは、額の輝きまで腕を上げると光だし、振り払ったと同時に身体の大部分が赤く変化した。その体色からして全身に力が巡るように……溢れるように……漲るように…………

 

 

 

 

 

 

 

 

普通の蹴りなんかもちょっとやそっとじゃビクともしないからな………………こうなったら火力全開で押し切らせてもらう!!

 

 

 

 

ティガはゴルザの引っ掻き攻撃を難なく弾いて、すかさずゴルザの腹部めがけ何発もパンチをいれた……それも、自然の摂理からか身体中に力が湧いているので一撃一撃が重く拳に込められている。

 

 

 

 

ゴルゥゥウアアアアアア!!!!

 

 

 

 

 

 

ゴルザが雄叫びをあげると頭部にエネルギーが集中していることが分かる……恐らく奴から放たれる光線は、高周波なんてものを超えた超音波光線だ…………

 

 

 

 

 

ヂョゥアッ!!

 

 

 

 

 

 

しかし、ゴルザから放たれた超音波光線を素手(?)で止め…………両手を大きく広げ、大きく円を描きながら、光を集めた光弾をおおきく振りかぶって、一人野球をするように投げ打った。

 

 

 

 

 

ゴルゥゥウアアアアアア!!!

 

 

 

 

 

それをご馳走のように吸収しているゴルザ…………

 

 

 

 

 

 

 

ハァッ!!!

 

だったら、食いきれないほどの全開で行かせてもらうぜ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

途中から更に体勢を低くして更に強力な『デラシウム光流』をひたすらに……精一杯……出せる力の限り出し尽くし…………吸収しているゴルザが途中から吸収しきれず身体中に光がほとばしり、見事に砕け散った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それを一部始終見ていたRoselia………………

 

 

 

あこ

 

 

「〜!!

 

 

 

すっごくカッコイイ!!ねぇりんりん!!あこもいつかあの巨人みたいにカッコイイのになりたい!!!」

 

 

 

 

 

 

 

燐子

 

 

「そ、そうだね……あっ、空に帰っちゃった……ね。」

 

 

 

 

 

 

 

あこ

 

「それにしても、どこから来たんだろうね。もしかして宇宙から来た宇宙人!!!?」

 

 

 

 

 

 

燐子

 

「流石に宇宙人は……考えにくいよ……?」

 

 

 

燐子の視線の先に一人の女性が立っていた……

だが、どこか落ち着かずあの巨人に対して酷く驚いている。

 

 

 

 

 

 

「嘘……どうして…あの力はもう使わないって…『海音』……言っていたのに…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

この時アタシはこの人は、海音の知り合いだということがわかった。その女性の元に駆けつけ、事情を聞くことにしたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その事が…………後の後悔へと変わることを知らずに………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桃色の髪をした女性……結莉と言うらしい……

彼女は海音と満、香凛の他に夏那という女性と一緒に学生ライフを楽しんでいたらしい。

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

「では、結莉さんはあの二人とバンドを組んでいたのですね…………コレで頂点も夢じゃありませんね……湊さん……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「やはり、海音と満はバンドをやっていたのね。道理で満にマネージャーを引き受けたのよ。」

 

 

 

 

結莉

 

 

「えっと、あなた達は…………満が言っていたRoseliaさん?」

 

 

 

 

燐子

 

「は、はい……御二人のライブを見つけたので見させていただきました…………すごく綺麗…………でした…とても……二人で演奏しているようには見えませんでした…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結莉

 

 

「…当然よ…海音と満の関係は最高だもん!!2人の絆を超えるものなんてないからね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リサ

 

 

「すっごーい!!やっぱあの二人も凄かったんだ…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、こんな感じで彼女とも仲良くなれた。これで彼のことを聞き出せれば尚いいんだけど……でも、と結莉が弱々しく続けた。

 

 

 

 

 

結莉

 

「もう、あの二人に演奏は出来なくなっちゃったの『アレ』のせいで…………。」

 

 

 

 

 

と、彼女はすごく辛そうにしていたので、近くの公園で話を聞くことにしたのだが…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結莉

 

 

「…………え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………フゥ……やはりあの力を使うと体がどっと疲れる……幸い噴火はしなかったから急いで彼女達を迎えに行った…………

 

 

 

まあ、すぐ見つけることは出来たがな…………

 

 

 

パレオ

 

「あ、おかえりなさいませ!!」

 

 

 

 

海音

 

 

「それは家の時でいい。」

 

 

 

 

 

 

 

このとおり歩いて二分で見つけた……まあ、少し遅くなったが.無事で何よりだ。レイヤとますきはものすごい怪しんでるけど…………気の所為にしておこう…………

 

 

 

 

海音

 

 

 

 

「そんなことよりも、早くここを離れよう…………またいつ噴火するか分からない…………」

 

 

そういい半ば無理矢理引き連れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この時の判断を……………………俺は誤っていたのだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………え?」

 

 

 

 

オレは……聞き覚えのある声に反応して、振り返ってしまった。どうして…………お前が…………ココに…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結莉

 

 

「海音…?海音だよね………?」

 

 

 

 

 

ますき

 

「海音、知り合いか?」

 

 

 

 

ますきが俺にそう問いかけるが、あまりの動揺で答えることをしなかった………………いや、答えることが出来なかったと言うべきか…………なぜなら…………彼女は…………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数年前にこの場所で誰かに『殺害』されたからだ…………。

 

その彼女が、今こうして目の前にいることにも驚きだが、何故死んだはずの彼女がコイツらは見えていることが理解できなかった。

 

 

 

 

 

 

 

結莉

 

 

「ご、ごめんね。あの時の貴方は、まだ中学生になる頃だったもんね。言えずにいたんだけど…………」

 

 

 

 

 

 

 

次の瞬間、その謎は…全てが繋がった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結莉

 

「実は、あの時……私…まだ『死んでいなかった』の!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

は?

 

俺の頭の中にはそれしか無かった……死んでいなかった?確かあの時……心臓を一突きされたはずなのに……………………そう言われて彼女を改めて見ると、恰好も最後に会った時の服装のままだ……なるほどな…………ようやく落ち着きを取り戻せたぜ…………

 

 

 

 

 

六花

 

 

「し、死んでいなかった!!?どうなってんですか!!」

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

「海音…………どういうことか……説明して貰うわよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレはわかっているとだけ伝えて、ある人物に連絡をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

香凛

 

『もしもし、海音?珍しいね。海音から電話してくるなんて……』

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「…落ち着いて聞いてくれ…………結莉が…………結莉が……生きてた。」

 

 

 

 

 

香凛

 

 

『………………………………は?え?どういうこと?どうして結莉が?だってあの時…………死んだんじゃ……』

 

 

 

海音

 

 

「詳しくは結莉の方から話すと思う……とにかく、こっちのゴタゴタを片付けてから連れて帰る。」

 

 

 

 

 

最初は動揺こそあれど、段々と落ち着きを見せた香凛も楪にも夏那にも連絡することを言うので彼女に任せることにした……満は……この事を…………予測していたのか……?仲間想いの満の事だ、きっと薄々勘づいていたんだろうな…その上で知らないフリを続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「さあ、お前ら…………待たせたな…………。」

 

 

 

 

 

レイヤ

 

 

「ううん、別に……それより……二人はどういう繋がりなの?ひょっとして………付き合ってる…とか?」

 

 

一部は黄色い歓声あげるし、一部は驚きを見せていたが、正直言って付き合ってる、というわけではない。

 

 

 

海音

 

 

「オレは結莉を付け狙う奴から守る為に付き合ってる事にしている……結莉はオレのメンバーだ。もうこの際、話せるだけ話す…何処も逃げやしない。」

 

 

 

 

 

そうして、彼は完全に降参の態度をとり、真実を話してくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「知らない人もいるかもしれんが、FWFの更に上の存在を知っているか?」

 

 

 

六花

 

 

「EBAですよね!!」

 

 

 

 

 

海音

 

「…………そうだ。オレたちはお前らと同じく五人でFWFの優勝と共に、EBAへの出場権を手に入れた……勿論、オレたちも参加した。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「出場権…ということはそこで課題が出されるという事ね。」

 

 

 

 

 

海音

 

 

「課題が出されるというよりかは、元々からある条件だからな……しかし、この事は今でも公にはなってはない。一度もな……何故だと思う……?」

 

 

 

 

 

 

 

ますき

 

 

「ん…もしそれに優勝したら何かもらえるのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

 

「ますき…………感がいいなぁ…勿論だ。当然……オレたちも何度も優勝…………いや、最早殿堂入りにまで発展しちまったよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

この時、この場にいたほとんどの人は理解出来ずにいた。当然だ……1度も公開してないんだからな……もしバレてしまったが最後さ……何故ならな…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「かなりの賞金と……………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この次の一言でその場にいた全員の意識が凍りつくことになる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

 

 

 

「優勝者の『永遠の最期』だよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「え………………。」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あまりに衝撃すぎて上手く反応が出来なかった…………永遠の最期?どういうこと…………まさか!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「そう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

多額の賞金と、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仲間たちの最期(死の贈り物)』さ…………」

 

 

 

 

 

 

 

彼は、全く取り乱しておらず、ただ淡々と話している彼のその態度に…………正常の判断が出来なくなってしまった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次も楽しみに待ってろよーー!!(超絶テキトー)

ごめんなさい…こんなテキトー作品見てもらわなくても構わないので、決してウルトラマン嫌いにならないでくださいお願いしますー!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

9,災厄は一度起きれば止まらない

霧門岳に向け、奇襲を仕掛けてきたゴルザ。
それをスタイルチェンジしたウルトラマンティガに押し切られ…………そして、平和が戻ったと同時に亡くなっていたはずの結莉と出会ってしまう。果たして、彼らは何者なのか………………。


 

 

 

 

海音

 

「…『死体と成り果てた優勝者』への死のプレゼントさ…。」

 

 

 

 

 

 

確かに彼はそういった……彼の性格上、嘘をつくとは思えないがこればかりは簡単に信じる訳には行かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だからこう聞いてみることにしました。

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

「教えてください…………貴方の…………貴方達の全てを………」

 

 

 

 

 

すると、彼は降参の意志を見せ、話を聞かせてもらった……

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「EBAに殿堂入りを果たしたオレたちは、いつも通りにいつも世話になってる見せで食事をするつもりで集合したんだが、結莉だけが来なくてな…………勿論オレたちだって死力を尽くして探したさ…………そうしたら…………満がこう言っていた…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「…『死んでる…』……そう言っていた……結莉を付け狙っていたストーカーがやった事はもう分かったから警察に引き渡した…………だが、オレたちのバンドは結莉が居なくなったことで、解散を余儀なくされた……事務所からも出されて弥助とバンド仲間だった香凛の妹の楪と出会うまで、ずっと放浪していた。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう聞くと、驚いたり、静かに頷いたり涙を堪えていたりと、様々だが、オレたちはまだ聞いただけだからよかったけど…………満の場合は違う………………奴の目で直接見たって言うからな…………相当苦しんでいるはずだ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リサ

 

「あ、あはは……何かごめんね!!嫌なもの言わせちゃって…」

 

 

 

 

レイヤ

 

 

「でも、わざわざ危険を犯す必要はないと思うけど……」

 

 

 

チュチュ

 

「それで、死んだはずのその子が今ここにいるのはどういうこと?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結莉

 

「それは、私が言うね……実は……」

 

 

 

 

 

立て続けに結莉も言ったが、オレは終始動揺しか無かった。だって、死んだはずの彼女は刺される場所が良かったためか一命を取り留めるし、もしホントに今まで生きていたのなら、どうして今なんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結莉

 

 

「私は死んでなかったの……光に包まれた巨人が助けてくれたの。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう答えた……その時にやっと理解した。

間違いなく、ウルトラマンティガが結莉に力を…………光をくれたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「なるほどな…………だいたいは把握した。ともかく、一回事務所に戻る。結莉…………来てくれるな…?」

 

 

 

結莉

 

 

「うん、またみんなで歌えるようになるね…。」

 

 

 

 

海音

 

 

「………その日が来るといいな……。」

 

 

 

 

その時のオレは一体、どんな顔をしているのだろう。きっと、表では笑っていても実際は沈んでいることだろう…………

 

 

 

 

 

結莉達を連れて帰ろうとした時に裾を引かれて、必然的にその方向に寄せられてしまう。その方向には友希那さんが引っ張っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴方………あの巨人と雰囲気が似ているわ…おまけに、ただならぬものを感じるの……ひょっとして……」

 

 

 

 

 

そう言いかける前に、

 

 

 

 

海音

 

「誰と勘違いしている…オレはただの人間だ……まあ、お前らの思う人間の定義に当てはまるかは知らないがな…」

 

 

 

 

と覆い被さるようにして黙らせた。こうでもしないとこういったのはしつこく聞いてくるからな…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして………………オレの事務所に戻って来れたは良いんだが……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

 

「何でお前らまで来る必要がある……ここはオマエらの家じゃないんだ。」

 

 

 

 

 

 

そう、弥助の事務所にRoseliaとRASも来てたんだよ……

何で?いやほんとに何で?何しに来たの?そんな考えがぐるぐる回って行くうちに、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弥助

 

 

「何かうちが騒がしいな〜……って、海音…?その子達って…………なるほどな…………………………春だなぁ………。」

 

 

 

 

 

よし殺す。即刻殺す…!!何が春だなぁ……だよ。オレとしては迷惑かけられてんだよ。ホントに………そんなに言うならお前が何とかしてくれよ。オレはもう…………

 

 

 

 

 

香凛

 

 

 

「ただいまぁー……………………えぇえ!!?海音っ!!?」

 

 

 

 

 

ほらもう、香凛まで来やがった…………香凛はしっかり者に見えて以外にもポンコツだからな…………特にこういうものに関しては……

 

 

 

 

 

 

 

 

『お邪魔してますー!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「……………何でかウチに来た……」

 

 

 

 

そう、コイツらが勝手に着いてきただけで誘拐する気分じゃない。まあ、満がここに居ないだけまだ良いか…………

 

 

 

 

 

 

結莉

 

「久しぶり…香凛………私の事……覚えてる…?」

 

 

 

結莉もあまりに長い間会えていなかったから、たじたじになってる。だが、香凛の答えは……俺は既にわかっていた……

 

 

 

 

 

 

 

 

香凛

 

「当たり前じゃん。今満は居ないけど、ずっと忘れるわけないでしょ!私達は繋がってるって結莉……言ってたじゃない……」

 

 

 

 

 

それを聞くと、結莉は安心したのだろう……目元に溜め込んでいたものを一気に吐き出した。ずっと自分のせいで辛い思いをしていたから自分の気持ちをひた隠しにしていた分、思い切りに泣いていた。

 

 

 

 

 

結莉

 

「ありがとう…少しでもいいから……満にも会いたいな。」

 

 

 

 

 

 

弥助

 

 

「おう、呼んどいた。」

 

 

 

弥助は清々しい程のガッツポーズを取り、玄関の扉が開かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこに居たのは、満………ではなく、どこから情報を聞き出したのか、吾郎がウチに来ていた……

 

 

 

海音

 

 

 

 

「何しに来た……………お前の居場所はここじゃないはずだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よう………また会ったな…海音…………いや、

 

 

 

 

 

 

 

 

『夜月蓮爾』!!」

 

 

 

 

 

 

 

その一言が周りの混乱を与えるには充分だった。

己自身の闇と戦いながら……………




ココ最近……これをやっているうちに……少しずつ疲れてきて……更新速度が急激に落ちるかもしれん……これでも頑張ってるから応援はして欲しい、兄ちゃんとの約束だ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

10,対峙する歪んだ愛と目醒めた悪魔

 

 

 

 

 

 

 

開いた扉には、

 

 

 

 

 

 

何故か吾郎が立っていた。なぜここを知ることが出来たのかは分からない………だが、結莉と満を近づけてはならない気がして結莉を部屋の奥に押し込んだ。結莉に前から凄い執着していたことを知っているからな………しかし、こうも早く居場所を突き止められることは想定外だ。

 

 

しかし、この行動が全てを引き裂く引き金を引くことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

 

「何の用だ……」

 

 

 

吾郎

 

 

 

「何しに来たって、おいおい……親友に対して扱い酷くねぇか?」

 

 

そう言いながらニタニタしながらこっちに近づいてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

香凛

 

 

「どうしてココがわかったの…ここのことはバレないようにしてたのに……」

 

 

 

 

吾郎

 

 

「…んなもん…結莉との愛がありゃなんとでもなるんだよ……どけ」

 

 

 

 

 

 

 

そう言い放ち、吾郎は香凛を押し退けた……………ココからオレの記憶は徐々に薄れていき………最終的に、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

吾郎

 

 

「分かんねえか……そりゃそうだよな……お前…『人間』じゃねえもんな!!親を殺すなんて正気じゃねえ、ただのクズさ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「……っ!!!!」

 

 

この一瞬にして消失した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

待って…………

 

夜月蓮爾………って……海音のことを言ってるの?

 

 

 

だとしたら鬼龍海音って………本名じゃなかったの?

 

 

 

 

 

偽名を使っているとしたらなぜ……?それに、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『人間』じゃない………?そんなはずがない……とも言いきれない、その場の全員が思ってるハズだ………でも、それを否定するにも時間はかからなかった。それもそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

青い炎と包まれたと同時に、黒かったシャツも青いコートに変化して、どこから現れたのか、刀を手にしている………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音(?)

 

 

 

 

 

「……………女如きのために、貴様の過ぎた力を求めるとはな、恥と知れ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

目つきも髪型もまるっきり変わった、全くの別人がここにいるからだ。その姿は、もう悪魔そのものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

吾郎

 

「ようやくお披露目だな………なぁ!!お嬢ちゃん達、お嬢ちゃん達は……今までこんな怪物と仲良くしてたんだぜ!!!ありえないよなー。」

 

 

 

 

 

 

 

 

確かに………言うことも理解出来る………あんな一瞬で別人になれる人間など…常人のできる芸当ではない………つまり………ホントに………私達を騙していたことになる……今まで………………ずっと………………

 

 

 

 

驚きを隠せない者………酷く怯える者……全く違う人物に警戒心を抱く者とそれぞれだったが、そこから一瞬の間もなく何度も切り刻まれる音が聞こえるも特にそういった行動は起こしておらず、何故か吾郎は大量の血を吹き出し倒れ伏し、いつの間にか背後にまわっていた海音(?)は何事も無かったように歩き、自室に戻った……私達は、その様子を見てることしか出来なかった……。足がすくんで動けなかった。まさか、彼にそんな本性があったことを知らなかったから…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暫く事務所内に沈黙が走ること数十分……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

香凛

 

 

「みんな、大丈夫?怪我も……ないね。良かった…………」

 

 

 

チュチュ

 

 

 

 

 

「弥助………全て話してもらうわよ…海音は……偽名だったの?それに………『人間』じゃないってのも…説明して貰うわ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、最悪すぎるタイミングで………

 

 

 

 

 

 

「ただいまー…………え…」

 

 

 

この大変な時に、既に冷や汗が流れている満が帰ってきたのだ。

そこに反応して紗夜は満に怒り心頭状態で詰め寄った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

 

「満さん!!鬼龍さんが偽名だったなんて!!人間でないなんて……何故そんな人を野放しにしているんですか!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…!!!

 

 

 

 

……………もしかして…吾郎…ここに来てたの?」

 

 

 

そう尋ねてきたので、弥助は縦に振った………すると、秘密を完全に知られたことに絶望しているのか、満はそのまま力無く膝をついた。

 

 

 

 

 

 

 

リサが何とかフォローを入れるも、彼のぐちゃぐちゃに混ざった感情の中にいる満には全く聞こえていない。仕方なく、俺達は海音から聞いた過去のすべてを………覚悟を決めて………

 

 

 

 

 

香凛

 

 

「……これから話す事は、誰にも言っちゃダメだよ。海音……ホントに戻って来れなくなるから……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みんなは黙って頷いたので、腹を括って海音を呼び出し、海音の部屋に案内した………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「みんな………心臓に悪いものを見せて悪かった………」

 

 

 

 

 

 

 

レイヤ

 

 

「うん、大丈夫………それよりも…海音って偽名だったんだね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「…………………ああ、そうだ。

 

改めて紹介する………夜月蓮爾だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

友希那

 

 

「……それで、『人間』では無い理由……さっきのやつと関係があるのね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「……………………………」

 

 

 

コワイ……………この事を正直に話してみたところで、結局は人間離れしてることからオレたちを避け続け、無慈悲にも殺していく……。

 

 

 

 

 

 

 

そんな結末なんて………………オレは認めたくない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、少しくらいは………ぶちまけても……文句は言わねぇよなぁ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「……ああ……オレはお前らと違ってもう一人のオレがいる。」

 

 

 

 

 

 

 

表情に出ないものの、やはり動揺は隠せてなかった。まあ、そうだろうな……今まで……旅してきた奴が人外だなんてな……なんの冗談かと思う。だが、コレらは全てが真実………全てを認め………繋げていくしかない。

 

 

 

 

 

 

 

六花

 

 

 

「じゃ、じゃあ……さっきの人って……誰……なんですか?」

 

 

 

海音

 

 

「さっきの人………ああ、やはり奴が動いたのか……その通りだ、オレは今この時をもって………殺害犯へなり変わった。お前らも息の根を止められないうちに………………帰ってくれ。」

 

 

 

 

 

 

みんなはこの視線を浴びて圧倒されてしまった。最早人間へ対する感情の激しさが増している気がしてならなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

またも沈黙が続くと、

 

 

 

あこ

 

 

「リサ姉…この写真と記事………龍兄だよね…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

あこが彼の机の引き戸に隠していたであろう、冊子を持ってきて広げていた。見てみるとそれはもうこの世のものとは思えない惨劇だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

家は崩れていて

 

 

一面が炎に包まれて、

 

 

 

そこから血の海が流れ出ており、

 

 

 

 

 

 

まさに地獄と言っても違和感はないこと写真の中に、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

刀を手に持った二つの人影が立っていた………

その姿が、満と海音にしか見えなかった。しかも、その二人の間に赤ん坊が見えたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「なぜ………あこがそれを持っている。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あこ

 

 

「ごめんなさい…でも!

 

この写真………龍兄と満さんだよね………?」

 

 

 

 

 

 

 

パレオ

 

 

「それに、御二人の間のお子さんは…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「………それはここじゃ話せん…話す時になった時に教える……………」

 

 

 

 

 

 

 

 

そう優しく言う彼に流されてこの場は収まった……

 

 

 

 

 

しかし、あの別人の海音と記事と写真を見た今となっては………海音さんのことが分からなくなっていた。

 

 

 

 

 

六花

 

 

「海音さん…………私…は、どうすれば……………海音さんをホントに…………信じていいんでしょうか……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

RASの皆さんに支えられながら帰路へ着くも、海音さんがああなってしまった理由が………私は全く分からずにいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

RoseliaとRASの皆が帰した後に響いたのは、一気に大切なものを失った虚無感……………香凛と弥助の助けがあって、皆の言う別のオレを押し戻したオレ……………だが、満は未だに沈んだままだ………満はそういった仲間意識を楪以上に気にする。吾郎と言う予測外の乱入者が現れてRoseliaとRASとの仲に亀裂が入ったから、余計に皆と会いづらくなってる事だろう………まあ、満の事は結莉に任せるしか無かった……アイツのことをわかってるのは、オレと結莉くらいだしな。

 

 

香凛

 

「海音……何処に行くの…?」

 

 

 

 

海音

 

「……案ずるな……満が普通に戻る頃には…………オレも居る。」

 

 

 

 

そうして、静かになったウチを背にして、オレは気づけば夜になっていた街へ出かけていった。

 

 

人目のつかない路地裏の隅の方で、箱の中からすすり泣く声が聞こえていたから……オレは箱の中から一人の赤ん坊を抱きかかえ……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「お前も……………『捨てられた』んだな……悲しいよな……お前は望んでることじゃないのに…親の勝手な欲望のお陰で………こんなにも小さなお前は…………泣きたいよな……安心しろ……オレはお前を絶対に死なせやしない……!!」

 

 

 

 

 

 

オレは、一人の赤ん坊を左腕に抱え…静かに涙を垂れ流した。

 

 

……空いた右手に閻魔刀を手に取り………もう一人のオレとして………姿を変えた後にただひたすら、刀身を月夜に突きつけ……眩しい閃光と共に走り、刃を振るい続ける。こんな赤子を勝手な都合と欲望為に平気で捨てる人間への【復讐】を始めたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザシュッ!!

 

 

 

 

 

 

 

ドスッ!!!

 

 

 

 

 

 

ブスッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

ズパンッ!!

 

 

 

 

オレは夜月蓮爾………オレは普段から抹殺依頼が絶えない。だがオレはこの依頼を断ることはしなかった………それは小さな赤子の為にオレ自身の人生を無にしてまでこなす。無論、殺人鬼として認識されていたオレは警察に目をつけられている。だからこうして姿形を変えてまで、やっている。まあ、警察に目をつけられても別に構わない……だって警察の中には理解してくれる橘さんという不良じみた顔つきだが、面倒みもいいしオレがこんなことをしていても、赤ん坊を預かってはオレの罪を帳消しにしてくれる程の上位の警部さんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それに………こんな赤子があっという間に死ぬくらいなら……オレはどんな罪にだって………オレは背負ってやる……。

 

 

 

 

 

 

 

 

たとえ………殺人鬼のレッテルを貼られても…オレはこの子のような小さな命を救えるのならば………喜んでやってやる……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「覚悟しろ………奪われた小さな光と命の怒りを今、知らしめてやる……。決して逃さん…………!!!!」

 

 

 

 

 

 

彼は、その堅い意志を閻魔刀に込め、ひたすらに刃を振るい、捨てられた小さな子供たちの『悪の正義という名の犯罪者』として……生き抜くことを強く決意した……。

 

 

 

 

 

 




血の表現って以外にも難しいですね。まあ、何はともあれ中盤から現れたもう一人の海音の存在………もうわかった人はいるのでしょうか………もし分かってない方のために一応言いますと、とあるゲームに登場する鬼畜悪魔兄貴を元にしてます。

正直、僕の物語……変なのが多いですよね。もし、批判コメントが沢山来てたら本格的に、ここを去ろうかなと思います……。







まあ、そもそもこんなの読んでる人はいないどころか、興味も無いだろうけどね……www(汗)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

11,パレオはもういません。/オレが求める絆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

例の突撃事件から数日…………オレはRASの練習にあまり来れていない……まあ、あんなことを起こしちまったんだ…………無理もねえよな…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結莉

 

 

「ねえ、海音…………やっぱり、歌えない……よね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

香凛

 

 

 

「あたし達だって海音がやった事じゃないって信じてるけど、これからどうするの……?RASとRoseliaは聞かないでくれてるけど、絶対に納得してないだろうし……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弥助

 

 

 

「海音、

 

 

……そろそろホントのことを話してもいいんじゃないか……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黙れ…………黙れ…………黙れ……!!!そんなことをしたらまた…………!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

 

「うるさい!!!!どうして……何故知られたくない領域にまで足を踏み入れる!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この一言で、一気に静かになったことですぐに自分を取り戻し、焦りがではじめる。

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「………………ゴメン…」

 

 

 

 

 

それを言い残し、楪の声が聞こえるもそれを無視して、事務所……チュチュのマンションをも通り過ぎ………………何故か、オレはRASとRoseliaが対決しているライブ会場に足を運んでいた…………ここの辺りでようやく落ち着きを取り返すことが出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「なんでここに来たんだろうかね…ここが安らぐからか…………それとも、チュチュ達のライブを楽しみにしていたのか…………」

 

 

 

 

それは分からない…………だが、RASもRoseliaの音も決して悪くない…………勝敗がどちらに転ぶか……満でない限り分からんな……

 

 

 

 

 

 

 

オレがココで荒れた心を静めることは五分と経たなかった……どうやら今は両者の出来栄えを投票形式で集計して、結果発表に入る頃か…………スポットライトがあちこちに光を飛ばすから客席中央にいるオレにはあまりにキツイものがある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『勝利を制したのは、Roseliaの皆さんでした!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

というアナウンスとともにRoseliaのみんなにライトが集中する。オレはこの時、素直に喜ぶことは出来なかったんだよな…………合わせる顔もないのもあるが、

 

 

 

 

 

「……………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

RAS……特にチュチュがどうしてなのか分からない、そんな顔をしていたから…………それはRoseliaも分かっていたようで、妙に顔が引きつっている。急激に居心地の悪さを感じたオレは、いち早くその場を離れた……。多少素顔を隠してるから周りには大丈夫だろうけど、恐らく……いや、パレオ辺りにはもうバレてるんじゃないかな……。

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「…何故、こうにもオレには厄介事が降りかかるんだろうねぇ………………なあ、教えてくれよ…キリエル人よ……オレはこれが当然だったのか?運命なのか?」

 

 

 

 

オレは、今朝から報道されているキリエル人のことをテレビで知ったんだ。彼らは、信仰心を高めること、そして…………光の戦士……即ちオレを差し出す事で、この地球人一人一人の願いを一つずつ叶えるという宣言をしたのだ。幸い、オレだということに気付かれてないから良いものの、己の欲望を叶えて欲しいがために必死になってる人間を見たから、嫌でもその存在を認識する他ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな答えの返ってこない独り言を言いながら、オレは一人歩いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

RASが…………負けた……Roseliaに…………

 

 

 

 

私は悔しさで悔しさでいっぱいだった。自分が潰そうとしていたバンドに尽く返り討ちにあったんだから…………折角このチャンスのために練習したのに…………………………

 

 

 

 

 

それ以降は雰囲気も最悪で誰も一言も発することなく、それぞれの帰路を辿ることになった。それも私を心配してのことだろうけど、今の私にはそれを考える余裕すら残っていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Roseliaをぶっ潰して、大ガールズバンド時代を終わらせる。

 

 

 

 

それを決めたのは紛れもなく私なのに………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パレオ

 

 

「チュチュ様ー。お食事の時間ですよー。」

 

 

 

 

 

 

パレオはノックだけしてそう伝えた。

けど、今の私はビーフジャーキーさえ喉を通らないぐらいにやるせない気分…………

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「いらない。」

 

 

 

 

 

扉越しに淡と言った。しかしパレオは悔しかったことを悟ったのか分からないけど、引き下がることはなく……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パレオ

 

 

 

「悔しくてどうしたらいいか心配なのは分かりますが、パレオにだけは隠し事だけはしないでく……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう、やめて…………!!私はもう限界なの……!

 

 

お願いだからこれ以上、傷付けないで!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

「うるさい!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アンタだけが居てもしょうが無いわよ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パレオ

 

 

 

 

「……………………え…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……言ってしまった………

………やってしまった…………

 

 

こんなことを言うつもりなんてなかったのに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パレオはこの言葉の一つ一つが信じられないというような表情をしていることが、扉越しでも伝わっていた。でも、あんな酷いことを言った手前、どこかに走っていったパレオを、ただうずくまるしか無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんな時に、海音がいたら、こんなことにはならなかっただろうか。

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

「…………海音………Help me…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワタシ…………パレオは…もう必要ない。

 

 

だって、ご主人様………チュチュ様にはっきり拒絶されたから。『アンタだけが居てもしょうが無い』…………ワタシが隠し事はしないでなんて、余計なことを言ったから……

 

 

 

ワタシはなんのアテもなくただ鳰原令王那として…………

 

 

 

 

学校に通うことに決めた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、心残りがあるとすると…………海音さんが…………何かを必死に隠している事が気になります……

六花さんに怪獣が襲いかかってきた時に、あの巨人が助けてくれたり、わざわざワタシたちに危険がないように遠ざけてくれてる。ただ、それと同時に海音さんの口数も減っていき、やがて重要なこと以外言わなくなってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイヤ

 

 

「チュチュ…パレオがもうここ数日戻ってないって…ホントなの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「…………………私があんなことを言ったせいで…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ますき

 

 

「あ?どういうことだよ。まさかおまえ、パレオになんか言ったのか…?」

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「………………………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ますき

 

 

 

 

 

「…チッ、レイヤ…チュチュは頼んだ……六花と捜してくる。」

 

 

 

マスキングは軽く舌打ちした後にレイヤを置いて六花を無理矢理引き連れてバイクで走り出した。まあ、マスキングがあんなふうに睨むのもわかってた……突き放したのは間違いなく私……

 

 

 

 

 

 

もう、私……一人になるのは……

 

 

 

 

 

 

レイヤ

 

 

「……チュチュはどうしたいの?」

 

 

 

チュチュ

 

 

「………………What……?」

 

 

 

レイヤが不意にこんなことを聞いてきたのだ。できることなら私だってパレオを連れ戻したい。でも何処にいるかなんて具体的な位置までははっきりしてないし、この私が行ってもより関係を悪くさせる気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

レイヤ

 

 

「…チュチュ、パレオ………………見つけたんだって……行こう?」

 

 

 

ワタシは黙って立ち上がった…………パレオに仲直りする為に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰も居ない橋の上……ここなら、誰にも邪魔はされないし、追いつくことも出来ない……

 

 

ああ、一刻も早く楽になりたい……

 

 

 

 

 

 

 

なのに、どこから聞きつけたのか、ますきさんに六花さんに見つかって、全力で走った。

 

 

 

 

 

ますき

 

「パレオッ!!!!」

 

 

 

 

 

令王那

 

 

「…………どうして…来たんですか……、」

 

 

 

 

 

 

 

 

六花

 

 

「パレオさん…チュチュさんが心配してます。私達だっていきなりいなくなって焦りました。」

 

 

 

 

令王那

 

 

「…そうですか……急にいなくなってしまい……申し訳ありません。では、もう会うことも無いでしょう………………さようなら。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言って、私はこの場を去ろうとしたのですが、ご主人様とレイヤさんが来てしまい、タイミングを失ってしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「パレオ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

令王那

 

 

「チュチュ…………様……」

 

 

怖い…………怖くてしょうがない…………またさらに嫌われるんじゃないかと思うと、胸が苦しく感じる。

 

 

 

でも、私の予想は斜め上を行き、

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

「ごめんなさい!!パレオ、ごめんなさい!!!!ワタシたちRASにはパレオが必要なの!!!」

 

 

 

 

 

 

 

涙を流しながら、私の事を小さな体で抱きしめてそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

令王那

 

 

「でも、……それなら、こんな私より…………明るいパレオを選べば……良いじゃないですか……どうして私なんかを…」

 

 

 

そう、私はそれが分からなかった。私令王那とパレオは全く違うし別人である。こんな暗い私よりも、パレオの方が断然いいに決まってる。でも、不思議と込み上げてくるものがある。謝らなきゃ、永遠に居場所が無くなる…………それだけは嫌だった。

 

 

 

 

令王那

 

 

「ご主人様…チュチュ様〜〜!!!」

 

 

気がつけば、彼女もまた抱き返している。こんな時に、彼がいてくれたら何も文句は無いのだけれど…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく泣き腫らした跡が消えずにいたけど、漸く仲を取り戻すことができた私達は彼の行方を探すことを決意したのだが、これもまた直ぐに終わってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ますき

 

「おい、アレって海音じゃねえか……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「…………海音……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し離れたところに、右手に刀を手にして、左手にはぐっすり眠っている赤ん坊と、返り血を浴びたのか、所々赤い斑点模様が付いた海音がそこにいた。最悪なのは、私達RASと一緒に居る時の海音の表情とあまりに似ているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイヤ

 

 

「海音……?なんでココに……それに……その赤ん坊って……」

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「………………お前ら…………仲を取り持つことには成功したんだな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六花

 

 

「も、もちろんです!!私達RASの絆は無敵です!!!

 

 

 

…………ってなんか…言うたら恥ずかしい…。」

 

 

 

 

 

 

 

やはり相変わらず海音はこの赤ん坊のことへの追求を避けてる。

 

 

でも、そこで引いたら間違いなく海音が海音じゃなくなる。

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

 

「……………………!!!

 

お、おい…」

 

 

 

 

 

 

ますき

 

 

「海音……今まで、どこに行っていた…………それに、その赤ん坊……どういうことか、説明してもらうぜ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何故だ、何故なんだ………………何故オレはRASのマスキングにいきなり組み伏せられてる……?確かに体格からしてオレとほぼ同じ…………だからとは言えど、こうはならないはず………………なんのシチュエーションだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「どいてくれ、もう時間が無いんだ。」

 

 

 

 

ホントに早くしないと…………この街が大変な事になる予言通りになるんだ…………何としても避けなくてはならない。

 

 

 

 

ますき

 

「いいや、全部話すまでは絶対に退かねえ!お前もRASのメンバーだからな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

オレも一員…………だと…?なんの冗談だ……………

 

だが、マスキングも引く気は無いみたいだから、仕方ないけどやるしか無かった、白旗の意味を込めた右手をあげることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「…………分かったよ…降参だ………話せることをお前らだけに話す。」

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言うと、「そうか」と何とか立たせてくれた。さて、この気配をどうするか………………この子にも危険を与えるわけにはいかねぇしな………………

 

 

 

 

 

 

 

 

すると、高層ビルの間にテレビで観た天使が黒と灰の体色を持ち、心臓のコアだろうか…それが交互に光った戦いに優れてそうな戦士が姿をみせ、街を破壊し始めた。その様子を高くから嘲るその天使の姿は、まるでもう悪魔のような出で立ち……いや、最早悪魔そのものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

建物は壊れ、人々は逃げ惑い、恐怖に落とされた時、オレのレンスが光をともしたのだ。また、戦えっていうのか…………とことんツイてないな……オレは奴に向かって走り出す。まあ、確実に止めにはいるだろうが、オレは止まるわけにはいかない。予言通りになった今、ここで引き下がれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイヤ

 

 

「ちょっと海音っ!何処に行くの!まさか……アレに突っ込む気なの!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

 

「安心しろ、オレは…………お前らが生きてる限り、死なねぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

……………光は永遠にな…………」

 

 

 

 

 

 

 

RASのことを何とか振り切ったオレは、また街を破壊してく戦士に向かって走りながら、暗い月夜の光を掲げ、光の戦士へと姿を変えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャアッ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

RASの街に、再び…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光の巨人が姿を現した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

令王那

 

 

 

 

「………やっぱり、アレは…………海音さん

 

 

 

…………だったんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光の巨人…………即ちオレの正体を掴まれてる事を全く知らずに………………。

 

 

 

 

 

 




割と長く書いちゃった…………読みにくかったらごめんちゃい!!決してわざとでないです!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

12,悪魔の審判/人類に託された想い

 

 

 

 

 

 

 

 

くそ、

 

 

 

 

 

 

クソッタレ………………

 

 

 

 

奴は、オレのことを知っているのかまるで攻撃が当たらない。開始早々状況が不利だ。それも避けてるのではなく、オレの攻撃を読んではそれを弾いているような感覚だ。最初から戦法は周知済みって訳かよ………………そんなことを思っていたら、奴は最後列の車輌をもぎとっては橋の方に投げつけようとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

(あの方角にはアイツらが…………!!!!

 

 

 

 

 

間に合ってくれ…………!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつまで待っても痛くない………………目を開けたそこには、身体が青紫を基調とするあの光の戦士が車輌をしっかり受け止めていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

令王那

 

 

「……ウルトラマン…………ティガ…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パレオがいきなりこんなことを言い出した。ウルトラマン…………親父から話を聞いただけだが、そのウルトラマンってのは、確か…………地球を守る為に巨人が戦うっていうドラマだったって言うのを聞いた。確かに、言われてみれば胸に付けてるマークが蒼く光っている点で共通点がある。けどよく考えたら、それはドラマの中の話だし、こんな現実でこんなことをできるはずがない。でも、今こうして起きているわけだ…………信じる他無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六花

 

 

「パレオさん、今…………ウルトラマンって」

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

「What?

 

ウルトラマンってパパとママを助けてくれたあの……ウルトラマンってこと?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

混乱してる人もいるけど、これが普通だよね…………でも、私は知ってる。Roseliaのリサさんから海音があの巨人に光と一緒に現れたって…………聞いたから………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それに…………山奥から見ても、あの巨人の背中には、海音と同じ雰囲気が流れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイヤ

 

「ウルトラマン…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光の国の戦士………………

 

 

お願い………………勝って…!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………ハァッ!!

 

 

 

 

 

 

こうなったらあの時と同じように火力で押し切るしかねぇな…………この時の俺は大きく違う炎魔戦士だということを、知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジュゥッ……………………ジュァリィッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(何だと!!?アイツ…………そんなことも出来るのか!!?)

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は驚きが隠せなかった。何故なら、コチラがパワーでおしきることを予測したのか、身体は更に硬化して、手の甲に鋭い刃が突き出ていた。そう、オレの性質を奴は知り尽している。

 

 

互いの拳がぶつかっても、互いに掴んで押し合いになっても、圧倒的にコチラが不利だ。RASには被害はでないものの…………確実にエネルギーが削られていく……

 

 

 

だったら………………!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………………ハァッ!!!!

 

 

 

 

今度は、体色が青紫を基盤とした巨人へと姿を変えた。

 

 

 

 

(なんだこれ………………身体が………………軽い。これなら流石に………………!!!!!)

 

 

 

 

 

 

 

だが、その考えも甘かった。

 

 

 

 

 

ジュゥッ……………………ジュァリィッ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何と、奴も同じように手の甲の刃をしまい込み、背中から翼?羽?のようなのが突き破っていて、見事にこちらの手の内を読まれていた。

 

 

 

 

 

 

 

やむ無く飛び立って空中で戦うことにした。当然奴も空を飛んでこちらを追いかけるが、パワーも速さも明らかにアイツの方が上だ。徐々に追いつかれている。

 

 

 

仕方が無いので逃げることをやめて、互いに向き合い、光弾を放ったが奴も光弾を放って相殺する、放っては相殺するの繰り返しで、最早勝ち目が薄かった。

 

 

 

 

 

 

 

やはり元々の姿でやり合うしかないのか。コッチが圧倒的に光を強く放てるしな…………なら早速、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………ハァッ!!

 

 

 

 

 

 

ジュゥッ…………ジュァリィッ!!!!

 

 

 

 

 

 

ほぼ同じタイミングで元の姿に戻った二人の巨人はまた、同じように殴りあっていたけど、少しづつ…………ホントに少しづつだけど、ウルトラマンの元気がなくなっている気がする。明らかにガードに徹している。そこにさらに追い打ちをかけるように、

 

 

 

 

 

 

ジュゥアッ……ジュゥアッ………………ジュゥアリィァッ!!!!!

 

 

あの炎魔戦士が、殴り、回し蹴り、最後に飛びつきながら叩きつける大技を繰り出し…………ウルトラマンはその三連撃をもろに受けて、遂に膝をついてしまった……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あのウルトラマン特有のカラータイマーが赤く点灯をし始め、高い音を出し始めた。エネルギーの残量が少なくなっている証拠だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「海音っ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それをハードロック少女こと有村律が、そう叫び走り出している。ウルトラマンに光を届ける為に………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(クソゥ…………ここまで圧倒的な差をつけられると、流石のオレも無理が過ぎるぜ………………RASと約束したんだけどな……………………だが、それも叶わねぇのか…………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「海音っ!」

 

 

 

 

 

 

アイツ…………有村か?よせ、来るな…………お前までも死ぬぞ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、律のスマホから光が放たれた…………そう、懐中電灯システムを使って光を最大限に出した。そこにあることを気づいた。光が差し込むことで力がわき出ることを…………

 

 

有村の助けもあって、辛うじて立つことができたウルトラマンは両手を重ね合い前へ伸ばし、限界にまで広げ、必殺光線をやつに向けて放った。炎魔戦士は、防御の態勢をとる限り、この技は相当威力があるのだろうと俺は踏んだ。だが、まだ光が足りないのか、奴は見事に防ぎ続けている。

 

 

 

(このままじゃ…………またあの時のようになる……!!頼む…………少しでもいい…………

 

 

 

 

 

 

オレに…………『光』を…………力を!!!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると、遠くから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「頑張って…ウルトラマン!!!」

 

 

 

 

 

 

「俺達の光を受け取れ!ウルトラマン!!」

 

 

 

 

 

 

「我々も全力支援する、必ず勝利せよウルトラマン!」

 

 

 

 

 

 

方方から無数のライト…………そして上空からは、複数機のヘリから大きなスポットライトを浴びている……その様子は、どこにも影の入る隙間がないほどに全体を照らされている。

 

 

多くの人々から光を背負ったウルトラマンは、見てわかるとおり先程とは全く違う強い光が撃たれた、人々の光という行為に予想外となった炎魔戦士も流石に防ぎきれずまともに受け、いつの間にか奴が展開していた禍々しい扉に磔にされ、爆発と共に扉は消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

激しい攻防の末の勝利でウルトラマンも、座り込み光をしばらく浴びた後、光の柱の中へ消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ますき

 

「……間近で見ると、すげぇ迫力だ。これを放送してたのか…………」

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「チュチュ!!」

 

何とかチュチュ達のもとに戻ることに成功した。その為に、すごい息切れが激しくなってるがな…………まあ、あそこまで3km離れてたしな…………やはり体力的にもボロが出たな。ともかく、無事でよかった………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

 

「海音〜!!!!」

 

 

 

チュチュがそう叫ぶと、すぐさま俺に抱きついた。幸い、赤ん坊は親元に返したし、なんの問題は無いが………………それよりも………………RASの皆の視線が……先程とは違う………確実に俺が秘密を背負っていることがバレたかのように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いや、確かに隠していたことは事実だが、それが何かにもよるんだよ…………先の赤ん坊のことと言い…………

 

 

 

 

 

 

 

 

ますき

 

 

「海音…………ちゃんと説明してもらうからな……。」

 

 

 

 

 

この話を切り出したのは、やはりますきだ。万一を備え、閻魔刀は懐に隠してるが、今のオレでは引き抜くことは出来ない。これも呪いの類いってやつなのかもしれない。そして、もう言い逃れることの出来なくなったオレは完全に詰んだ。

 

 

 

 

海音

 

 

「…分かってる…………だが、この事はまだ誰にも伝えるな。」

 

 

 

 

 

 

 

レイヤ

 

 

 

「それは良いけど、その話って香凛さん達には言ってるの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレはこの質問につい押し黙ってしまった。伝えてはいる…………だが、満には言っていない。あの出来事がおきなければ、俺が悪魔の力を手に入れてなければ、満とは会ってないからな…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「オレが海音じゃなくて、もう一つの人物が存在してることは分かってるな…………?」

 

 

 

 

 

 

六花

 

 

「は、はい!もしかして…………それと関係が……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

 

「聴きたくないならそれでいい……オレは哀れんで欲しい訳じゃないからな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、彼女らの前で最強のバンドに専属する最強のマネージャーが……彼の全てを話してくれた…………。

 

 

 

 

 

全ては………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの凄惨な悲劇が始まりだった……。

 

 

 

 

 

 




ホントならコレをこれから載せるやつを出そうかと思ったんですけど、先にやってしまったのでもう、一話に丸ごとぶち込んで無理矢理にでも繋げました…………すいません。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

13,過去の悲痛を味わった者の末路は、正義の暗躍者となる

数年前……

 

 

 

 

 

 

オレがまだ小学生の頃だっただろうか……。

オレは父さんを早く亡くして、女手一つで育てられた。そこに、オレの他に双子の弟がいるのだ。オレたち二人は、悪魔達から救えなかった父さんの気持ちを背負い、母さんと弟だけでも守れるように弟と常日頃に闘って、互いを高めていた。それも家族を守るために……そのために努力も惜しむことなく尽くした。だが、新しい父親は…………オレたち二人の面倒を見る気は無く、何時もどこかに遊び呆けてる。母さんでは無い知らない女を連れ込んでは、オレたちは外に追い出される…それも昼夜問わずだ、気に入らないことがあれば、すぐにオレたちに暴力は当たり前。

 

 

……そんな状態が日々続くものだから、オレたちの精神はもう限界に近かった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなある日に、オレの弟……『輝』が、ガールフレンドを連れて来た。名前……?さあね…………もう、人間を憎みすぎて名前すら思い出せなくなったよ……。

 

 

 

 

 

その少女は、薄めの金髪で、純白のワンピースと、すごく華やかな……それでいて、どこか気品溢れる……そんな少女だった。何でも、言葉が通じないから虐められてたところを、輝は軽くいなしたことがきっかけらしい。それを聞いて自慢の出来る弟で良かったと素直に思った。

そいつは、予測通り彼女はお嬢様であることを知った。彼女の知らない世界を、オレたちが教えようと互いに夢中になっていた。

 

 

 

 

 

それは勿論、オレは嬉しかった。輝にこんな素敵な人と巡り合えたんだ。それを心から祝福する資格はあると思って、二人に花束を渡した。

 

 

 

 

 

「ありがとう!!俺……兄さんみたいに立派になって強くなってやる!!」

 

 

 

 

 

海音

 

「けど、良いのか?お嬢様という身でありながら、オレたちにここまでして一緒にいて……」

 

オレはそのことを彼女にそのまま問いかけたが、あまりに眩しく、輝かしい瞳を向けて、

 

 

 

 

「ワタクシは、お二人に出会えて……今すごく幸せです。もし、輝さんが、窮地の時……必ず助けに参ってくださる?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時に具体的な事は分からないが、その答えに、「ああ、当然だ。」そう答えた記憶がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

約束………………したはずなのにな………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから少し経った頃かな……オレはいつもの様に、日課の特訓を積むために輝と一緒に、アイツの屋敷に行ったんだ。お嬢から貰った紅い石と蒼い石を手に持って………。

自動で開くゲートには毎度毎度驚かされるが、この時だけは………人の気配が全く感じとれなかった…………嫌になるくらいに静かだった。

 

 

 

 

 

 

 

中に入れば、

 

 

 

 

「………コレって…」

 

 

 

 

海音

 

 

「…コレは……夢か?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

辺りは大量の血を流しながら既に動かなくなっている使用人が大勢床に突っ伏していた。この時から、オレたちは妙な胸騒ぎが起きていた。急いでお嬢の部屋にまで行くと、一匹の悪魔と一人の老執事がやり合っていた。互いに交えた刃から多くの火花が散りばめられ、激しさをましていた。

 

 

 

 

 

 

 

「いかん!!お二人共、近づいてはなりません!!お二人はお嬢様を安全なところに!!」

 

 

 

 

「けど、爺さんが……!」

 

 

「早くっ!!!!」

 

 

 

海音

 

 

「…行くぞ……

 

 

 

必ず助けに行きます……」

 

 

 

そう言われ、老執事はお嬢様をオレたちめがけて、投げ渡した。その老執事の目付きが意を決した目だった。その勢いに押されるがまま、オレたちはお嬢を抱え込んで外に走り出した……お嬢は老執事の身を案じてオレたちに下がるように言うが絶対にしなかった。そんなことをすれば、殺されることがこの年齢でも分かっていたから…………。

 

 

 

 

 

 

 

けど、この時……走ることに必死だったから、蠢く存在に気づくことが出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…大丈夫…でしょうか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「心配するなって!!あの爺さん、すっげぇ強いからあんな奴大したことねぇよ!!」

 

 

 

 

 

そう言って彼女のことを励ました。お嬢も微笑んでくれてるし、さらに輝は一人でずっと頑張って作ったであろう花飾りを、お嬢にかけてあげたんだ。

 

 

 

 

「まあ、コレは……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いつか……オレたちが大きくなった時に、もう一度ここに来ようぜ!!そんでもって……結婚するぞ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんてことを弟は言っていた。それが今になって思うと、少し…………いや、かなり心に来るものがある。

 

 

 

 

 

 

 

弟は元気に大笑いして、お嬢は緊張の糸が緩んで笑うようになり、オレ自身もバカ笑いはしないが、心の奥底では弟以上に喜んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうだ!!」

 

 

そう言うと、輝はポケットからお嬢から貰った紅い石を手に取り何やらぶつぶつ言っていた。

 

 

 

 

 

「輝、何をしてらっしゃるの?」

 

 

 

 

 

 

「こうやってこの石にオレとお前と結婚するってお願いしたんだ!!きっと叶えてくれるかもしれないからな!!」

 

 

 

そんなことを……言っていたっけな………………もう…………わかんなくなってきたんだよ………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

輝がお願い事を三回言い終えるその瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

「……!!

 

 

 

輝!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

オレが近づいてる存在に気づいた頃には………………

 

 

 

 

………もう、…遅すぎた…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレが、輝に魔人の力を解放するように言えば…………だが、オレはお嬢をも巻き込むことを恐れてそれを拒否したんだ。そのせいで、お嬢は………………お嬢は…………!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「……ぅ、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うううおおおおおおおあああ!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう、何もかもがどうでもいい……

 

 

 

 

殺す………………殺す………殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………オレの心の叫びが俺の中に眠る魔人の血を呼び覚ましたんだからな…………おかげで蒼い石もこれ以上にないくらいに輝いていて、美しい……。まるで、この輝きの虜にされたように…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「輝…………魔人を呼び起こせ……。悪魔は……残らず狩れ!」

 

 

 

 

 

 

 

それが届いたのか否や、紅い石もまた共鳴するように光を灯し、悪魔の角を生やし、全身がまるで悪魔のように皮膚が固く鋭い……輝に髑髏の描かれた魔剣と二丁の銃を授かった時、輝が普通よりも強く感じるのだ。次にオレに託されたのがこの、『閻魔刀』だった。

 

 

 

この悲しみは途切れることを知らなかった………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…死んだ?嘘だろ…兄貴、どうしよう……母さんを、行かせたばかりに…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「……………母さんは死んだ…………それは真実だ……」

 

 

 

 

「…何で……………………何でそんなに冷静でいられるんだよ……………!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

「オレたちが『弱かったから』母さんは死んだんだ……。」

 

 

 

 

 

 

家族を救えなかった………………そんな自分の弱さを痛感し、ただただ強くありたいが為に閻魔刀を手にしたんだった。こっちもまた、限りない力が漲るのを感じる。この刀に特別な力が秘められていると信じ、ただひたすらに、大切なものを奪った悪魔に復讐し、悪魔も泣き出し許しを乞うほどの脅威の双子悪魔が誕生した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、悪魔を狩り続けていくうちに、力を使う方向性が合わなくなり、輝は悪魔が現れた原因とその真実を知る為に魔人の血を解き放ち、

 

 

 

 

 

 

 

 

オレは今までに苦しめてきた全ての人間と悪魔への復讐と、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『誰より強い力』を求める(奪い取る)為に力を使うようになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの悲劇から数年経って、オレはいつも通り、弟の輝と刃を交えての練習をしていた時に、あいつと会ったんだ。誰にって………………満に決まっているじゃないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「二人共、勝負してるの……?

 

 

僕も混ぜて…!!」

 

 

 

 

 

 

 

と急に俺たちと同じ年齢だろうか…一人の少年が割いって来た。その少年は見るからに和装で日本人らしい風貌だ。だが、オレは既に人間の姿を捨てているし、何よりも憎い…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「人間が戦えば死ぬぞ……力はあるんだろうな…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫……僕もそれなりには頑張ってるから。」

 

 

が、睨んでも全く怯むことも警戒する様子もなくただ笑顔でこっちに寄ってくる。最初はバカなのか天然なのか、とも思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、輝との真剣勝負が満との三本勝負へと変わっていった…………まあ、人間ごときの動きなど遅すぎて相手にするだけ無駄か………………その時の俺は確かそんなことを考えていた……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、試合開始から数分………………

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

(…何だ?コイツ…見た目こそは輝のように軽やかなのに、素人の剣筋と動きではなかった。素早く互いにぶつかる刀、俺に対する瞬間的反応力…………何より奴から溢れるあの掬いきれないあの強大な力……………………コイツは……………久々に…………!!!)

 

 

 

 

 

 

ようやく出会えた強敵に……まだ一本目だと言うのに最初から全力でいった。素早く弾き合う刃、その互いに触れ合う度に激しく飛び散る火花…………腕前は本物の剣豪を映し出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長く激しい激闘の末…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お互いにたおれる様子がなく勝敗がつかないので引き分けに終わった。アレから数時間はやり合っていたらしい。ここまで熱中させてくれたお礼に…………………………アイツと……………………『友達』になったんだっけな…………それ以来は満を加えてまた三人で刃を交えて共に成長したんだなとしみじみ思えてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アイツと出会って…………香凛とも出会って弥助と楪とも出会えて………………力だけを求めることはせずに、強者としての誇りを持ち、絆を深めて得た力が何をもたらすのか、それを知る為に………………暗黒の闘志を持ちながらも、正義のために力をふりかざすことを全てに刻みつけた。

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

14,これが、『RAISE A SUILEN』

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「オレは、満の約束を今度こそ果たす為に…………輝を人間としてきっちり生きてもらう為………………オレはさっきの通り赤ん坊を悪から救っている………………と、言ったところだ。」

 

 

 

 

 

オレの話しにも騒がずに静かに黙って聞いて頷いてた……まあ、令王那と六花は今にも泣き出しそうだった……他の三人も俯いたまま聞いてはくれてるが、やはり気持ちのいいものでは無いだろう。

 

 

 

 

 

チュチュ

 

「そう、家族思いなことは悪いことじゃないわ。」

 

 

 

ますき

 

 

「海音……お前も…苦労してたんだな…………気づいてやれなくて…悪い。」

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「もう、その名で呼ぶな……オレは蓮爾だ。お前らとはこれで永遠におさらばしなきゃならん………」

 

 

 

 

 

 

それが、人を辞めて悪魔と光の戦士の2つの姿を持ってるからこそ、深く関わっちゃいけないんだ…………これ以上関係が崩壊する前に…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイヤ

 

 

「待って………………ウルトラマン…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「………………………………。」

 

 

 

 

 

待て…………なぜ知っている……誰にも言ってないはず……………………まさか……………………襲われた時に…………見られたのか………………いや、そうでなきゃこんなことは言わないよな………………ということは…………もう、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「……どこで知った。何故それがオレという結果に至った…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

レイヤ

 

 

 

 

「リサさんから聞いたんだ。瓦礫をかき分けて海音があの怪獣に走って光り輝いたって……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………と、なると……巨人と出会って初日から見られていたのか……だったらなおのこと離れなきゃならない…………オレは何も言わずに彼女達に背を向け歩き出して行ったが、その手をパレオこと令王那に掴まれた。どうやらまだ納得がいっていないらしい。

 

 

 

 

 

 

 

令王那

 

 

 

「何故それを隠していたんですか…?相談してくれても良かったのに…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

「そんなことをすれば、オレが『人間』じゃないことを完全に理解するだろう。それを知られたからオレは嫌われたんだよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人間というのは、自分たちとは異なる思考や容姿を持つ対象に対して多大な嫌悪感を抱く。オレは他人の不幸を喜ぶことを嫌いだったから目の敵にされた。分かりやすくいえば、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『自分さえ良ければ他人などどうでもいい。』

 

 

 

 

が全てだったために嫌われ者として、腫れ物扱いを受けた。

まあ、今の日本など、法律や人権を無視し、全部を利用してなんぼの世界だってある訳だ。

 

 

 

 

 

オレはそんな世界に絶望だけじゃなく嫌気も指したから、全人類を敵に回してでも構わない。

 

 

それに関して、子供は純粋な為にまだやり直すチャンスは残されている。だから早い段階でマトモな真人間に成長して貰いたいから汚い欲望を持つ人間だけをこの表舞台から引きずり下ろし、子供に生きるべき本当の理由を知ってもらう為に……オレは今まで子供は殺さずに保護課の人間に任せていた。純粋な夢を…………希望を壊したくないから……信じていたいから…………

 

 

 

 

 

 

 

レイヤ

 

 

「海音は子供たちの夢と希望をくれた……それだけでも十分に私は素敵な事だと思うよ。それは、みんなが同じ思いだよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悪魔として…………戦士として…………オレは戦い続けてきた。平和を守る為もあるが、より大きな力を手に入れる為……これが一番大きい。力を手に入れるためなら仲間も記憶も安いものだと考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、それは…………大いなる間違いだというのか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「海音っ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「……?」

 

 

 

 

気づけばオレより少し低いチュチュに抱きつかれた。

暗くなっていた空も、日の出を通じて明るくなってきた。その時の彼女は、今までの類を見ない美しさがあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「私たちには、海音しかいないの!!偽名だったなんてどうでもいい……最強のバンド『RAISE_A_SUIREN』になるには、アナタじゃなきゃなれないわ!!!これ以上私達の下から離れないで!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

「……ッ!!!!!」

 

 

 

 

何故だ………………どうしてなんだ。何故そこまでしてオレを……!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………………………そうか………初めて湊友希那に出会った時と同じ感覚………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これが…………『絆』って訳か……………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参ったよ。チュチュ………………いやRAISE_A_SUIREN………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレの…完敗だ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「…………悪かった………………お前らは、夜月蓮爾として見ていないことが分かったよ………………これからも、海音として……………………お前らを最強のバンドに鍛え上げてやる……それでいいな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…………うんっ!!!』

 

 

 

 

 

 

 

それぞれが屈託のない微笑みを見せてくれた…………

 

 

 

だから、オレはもう一度ここに誓う………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「オレはもう、逃げない…目の前の障壁は、真っ向からぶっ飛ばしてやる………!!」

 

 

 

それを天に叫び、

 

 

彼女の下で仲直りという名の契約を結んだ。

 

 




どうにかして投稿速度を上げていかなきゃ、人気なんて出ねぇよ。まあそもそもの問題としてそこまでボクちゃん人気じゃないもんね。しょうがないよね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

15,今までも、これからも、そして今もずっと.....

RASと無事に仲を直すことに成功して以来、オレもしっかりアドバイスや衣装の製作に手掛けている。その事があってか、何故かRASから妙に視線を感じるようになった。ますきにレイヤはともかく、他三人が物凄い熱烈でこっちとしても非常にやりにくい…………だからたまらず何をやってるのか聞いたところ、秘密ですとおもむろに誤魔化された。逆にオレのバンドを聞かれたこともあった。隠そうにもパレオの異常なまでの情報網には逃れられず、観念したこともある。

 

 

 

 

 

 

そう、オレも………………こんなオレでも、

 

 

 

 

バンドを組んでは、音を繰り広げていた。悪のテーマから優しい曲まで何でも……………………楽器もそれぞれ曲によってポジションが変わるから恐らくそこに人気が伸びたんだと昔は思ってた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

で、今何してるかと言うと…………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話はホントに数分前の事だ。オレは香凛、夏那、結莉、満と久々にライブしようってことになってな……勿論、オレもこの五人でやりたかったし、せめてあの頃のように、人間らしく楽しみたかった…………ずっと前から満が手掛けていた歌詞で演奏することになったんだ。これは普段から満が通いつめてるライブハウスのまりなさんからの提案だがな…………オレもみんなで演奏なんて久々すぎて奏でられるか不安だったが、別になんの異変もなく演奏していたんだ。

 

そこに思わぬ客が来てな………………

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、RASの奴らだ。

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「ちょっと海音っ!ライブやってるなら早く言いなさいよ!!こっちは急いできたって言うのに!!!!」

 

 

 

海音

 

 

 

「隠すつもりは無いが、知っても利点なんてないだろうからな。」

 

 

 

 

 

パレオ

 

 

「そんな事はありません!皆さんの演奏を、チュチュ様は楽しみにしておりましたから。」

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「ちょっとパレオ!!余計な事を言わないで頂戴!!!」

 

 

 

この二人は、相も変わらずといった調子だな…………しかも、楽しみにしていた………あのチュチュがねぇ…………きっと心のどこかで嬉しいんだろうな…………胸の高鳴りが止まらない。

そこで…………

 

 

 

 

レイヤ

 

 

 

「ねえ、この曲……………今聴かせてもらってもいいかな。」

 

 

 

 

 

 

 

とレイヤはリクエスト……いや、二曲目の演奏を要求してきた。これは、満がずっと昔からヒーローに憧れを抱いていて、自分もいつかは同じようにヒーローでありたいと…………

 

 

 

 

 

 

 

その願いを……今ここに!!

 

 

 

 

海音

 

 

 

 

「聴いてくれ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『Take Me Higher』………………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どのみちやるつもりだったんだ…………せっかく六花も居ることだから……聴かせてやるかね……オレたちが突き進んだ音楽の世界にな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウチめっちゃ幸せ………あのレイジングさんの演奏聴けるんて、もう夢みたい…………夢なら覚めないで欲しい…………

 

 

 

 

 

 

 

 

最初は重低音が鳴り響き……少しして海音のギターから高音が奏でられ、少しずつ奏者が増えていく。

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

 

(……前奏を聞いてるだけでわかる…確かに殿堂入りできる音だわ。ステージには五人しか居ないのに…………歌い手がそれ以上に居て演奏してるかのような音楽…………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイヤ

 

 

「すごい…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『静かに朝焼けが 大地を包んでく

 

いつもと 変わらぬ夜明け!!

 

 

 

 

 

 

はるかに続いてく 繰り返しの中で

 

ボクらは 今を生きてる!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見えない今日の風に 立ち向かってゆく!!

 

いつまでも守りたい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その微笑みを!!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ますき

 

 

(まじかよ……歌ってるのは3人だけなのに、それ以上の人間が歌ってるように聞こえる。海音も……満も…………すげえな。)

 

 

 

 

 

 

 

 

『Wanna take you,baby,take me higher!!!

愛を抱きしめて いま!!

 

Ganna TIGA!!!Take me,take me higher!!!

勇気抱きしめて 強く!!

 

 

Wanna take you,baby,take me higher!!!

きっと辿り着けるさ!!!

 

 

 

Ganna TIGA!!!Take me,take me higher!!!

熱い鼓動を信じて………!!!』

 

 

 

 

 

 

パレオ

 

(これが…………海音さんのバンド…………聴いただけで勇気が溢れるこの感じ、海音さんらしいです………チュチュ様とロックさんが気に入るのも分かります。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『争いごとのない 明日を探してる

 

誰もが 待ち望んでる

 

 

 

 

 

 

 

 

僕らができることを 続けてゆくよ

 

優しく なれればいい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絶やさずに いたい!!!』

 

 

 

ふと周りを見ると、RASだけじゃなくてRoseliaまでそこにいた。(集中しすぎてて全くわからなかった。)

 

 

 

 

 

 

 

 

あこ

 

 

「ねぇねぇ!!

あれ、すっごいカッコイイよりんりん!!!あれミツ兄だよね!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

「宇田川さん……少し静かにしてください……

 

 

それにしても……私達とはまるで住む世界が違います。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『Wanna take you,baby,take me higher!!!

 

全て動き始めた

 

 

 

 

 

Ganna TIGA!!! Take me,take me higher!!!

 

 

未来(みち)を切り開いてゆく

 

 

 

 

 

Wanna take you,baby,take me higher!!!

 

立ち止まってられない

 

 

 

 

 

 

Ganna TIGA!!! Take me,take me higher!!!

 

 

 

光る瞳を信じて…………』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

間奏が少し静かなものから段々と音が増えることで、勇気を奮い立たせる音を出している。

 

 

 

 

 

 

「彼らがFWFを勝ち抜いた理由がこれでわかったわ。この音楽は彼らにしか出来ない事なのよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『Wanna take you,baby,take me higher!!!

 

 

 

Ganna TIGA!!! Take me,take me higher!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつかは届くきっと 僕らの声が

 

 

 

 

 

 

世界も変えてゆける 時代を越えて…!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この楽曲は少し変わっていて、本来なら秒単位の筈が、2分近くの間奏が入っている。その音楽という枠組みを超えたことから人気を博したんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『Wanna take you,baby,take me higher!!!

 

愛を抱きしめて いま

 

 

 

 

Ganna TIGA!!! Take me,take me higher!!!

 

 

勇気抱きしめて 強く

 

 

 

 

 

 

Wanna take you,baby,take me higher!!!

 

 

きっと辿り着けるさ

 

 

 

 

 

 

 

Ganna TIGA!!!Take me,take me higher!!!

 

 

 

 

 

 

熱い鼓動を信じて………!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

音楽には必ず終わりが存在する。弾いてからずっと続くわけがない。最後のドラムの三連打で終曲を告げる……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六花

 

 

「すごいです……カッコイイです、」

 

 

なんかさっきも同じことを言われた気もするが、オレは敢えてそれを無視した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

(海音は覚えてるのかしら………ワタシと小さい頃の約束を…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やっぱりみんなで演奏できて僕はすごく気持ちが昂るよ。でも、さっきからチュチュちゃんが海音を見て何か言いたそうだけど…………これは………………約束…?子供の頃の出来事なのかな…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんな、僕らの音………楽しんで貰えたかな…?」

 

 

 

 

 

あこ

 

 

「うん!!いっぱい勇気もらえた!!こんなかっこいいの歌えるの知らなかった!!」

 

 

 

 

 

 

 

「そっかそっか、良かったよ。気に入ってもらえて何よりだよ…………それと………………チュチュちゃん………海音君に言いたいことがあるんだよね…?」

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「!!

 

 

 

Why……満、アナタ何者?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そういうと、彼は振り向きざまに優しい笑顔でこう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ボクは、海音君の友達だよ。

 

 

昔もこれからも………………そして、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在(いま)』も…………ね…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ますき

 

 

(なんだ?コイツ……見た目はロックみたいに大人しくて可愛いやつだと思ってたが、垣間見える表情とその言葉の一つひとつに重みが感じる……ホントにウチらと同じ学生か?)

 

 

 

 

 

何だか……どこか大人な雰囲気。でも5つのバンドを同時に見てるって聞いたから……無茶してるように感じてしまう。あの無理に感情を張りつけたようなあの感じ………………

 

 

まるで、ハナちゃんと同じ…………。

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「……チュチュ……オレに何か言いたいことがあるのか……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう聞くも、返事が返ってこずやっと来た答えも何かをつぶやくようで上手く聞こえない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何度も聞き直してるうちに、しびれを切らしたのか急に、

 

 

 

チュチュ

 

 

ダァーーーーッ!!!もう!!何度言わせるの!!!あの頃の約束を覚えてるかを聞いてるのよ!!!!!」

 

 

 

チュチュは大きな声を荒らげて、顔を赤く染めながらそっぽを向いた。その様子を他の奴らはニヤついてこっちを見てた。

 

 

しかし、オレはその様子を見た時に、何故かどこか懐かしい感覚があった。確かに、オレは……………………チュチュと………………どこかであったことがあるのか……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「!!…………まさか、」

 

 

 

頭脳のなかで電流が流れたと同時にこの謎を解明できた。

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「まさか…………お前……まだあの事を?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やっと思い出してくれた…………遅すぎるわよ…………バカ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれからもう7年も経ってるのよ!!!あれから連絡もよこさないで急に居なくなって…………ホントに………………!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7年前、ワタシはある青がかった銀髪の男の子に会った。その頃、ワタシは名前のことを学校でよく虐められてた。それを彼が助けてくれた。それ以来、ワタシは彼のことをずっと意識し続けた。

 

 

 

 

 

ちゆ

 

 

「あ、ありがと。」

 

 

 

 

海音

 

 

「………………そんな事で気に病む必要は無い。」

 

 

 

 

と、至って静かな口調で慰めてくれた。そう言われて恥ずかしくなったことも覚えてる。

 

 

ワタシは彼に相応しい人になる為にたくさんの努力をした。彼の求めるもの、好きなこと、全てを知り尽くして、彼はきっとこの気持ちに気づいてないでしょうから、ある時……思い切って彼にこの気持ちを伝えたのだ。

 

 

 

ちゆ

 

 

「貴方のこと、好き!!!お嫁さんにして!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると、彼は………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「……大きくなった時にその気持ちが変わってないなら、考えてもいい…。」

 

 

と、この時の私はまだ理解できてなかったけど、大きくなったら結婚してもいいってことに気づいて、一人で布団の中に蹲ってた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

けど、その翌日に…………………………

 

 

 

彼はこの街から姿を消した…………。そう、突然に…………なんの前触れもなくホントに突発的に………………

 

 

 

 

 

 

 

その日はマトモに授業を受ける気になれず、一日中部屋の中で泣いていた。ずっと自分の隣にいて欲しい人が急にいなくなったんだから……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレはいま、割と本気で困ってる。チュチュが泣き出してるからだ。その時のオレはチュチュと仲良くしてたしよく遊んだりもした、それで結婚しようって約束を成長して考えるって言ったかな………………でも、その後に、急に親戚の転勤が決まって引っ越しを余儀なくされた。その時にその時の気持ちを伝えればって思ってた……………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひょっとして、その事で泣いてんのか?

 

 

オレは恐る恐る聞いてみた。

 

 

 

 

海音

 

 

「なあ、チュチュ…………あの婚約の話を?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「当然よ!!!海音がワタシをこうさせたんだから、断るなんてさせないわよ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、オレはこの人生の中で一番の驚きのセリフを聞かされたのだった。オレは確かにその約束は交わした。だが、その頃のオレはまだ完全に理解してなかったし、まだ覚えてることに驚きだ。

 

 

 

 

 

 

チュチュはそれで?どうなの?何故か妙な上目遣いできいてくる。その姿は、他のどの花よりも煌びやかで美しかった。

もう、こうなった以上は、オレは…………後ろに引き下がれず、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「チュチュ…………オレと共についてこい…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

 

 

 

 

 

「………………Of course!!!!」

 

 

 

 

この時のオレはどんな表情だろう。赤らめてるのか、緊張してるのか………………

 

 

 

 

何はともあれ、仲間の応援もあって、オレは………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プロデューサーチュチュにプロポーズされ、

 

ちゆとの交際が開始された。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

16,お前らがくれたもの

珠手ちゆと付き合うことになって早1週間、

オレは荷物を持ってチュチュのマンションに向かってる最中だ。何故なら、チュチュ曰く…………

 

 

 

 

 

チュチュ

 

「海音っ!!ワタシの家に来なさい!!!そこで一緒に暮らすわよ!!!恋人だから当然の権利よね!」

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「…………待てよ、オレはそれを誘拐と捉えるが…それに、弥助達に言ってないだろ。」

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「そんなの、全員から了承を貰ってるわ。勿論、和装の彼にもね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

(満のやつ………信頼できるからとはいえ、一人の女の家に上がることがどれだけ罪深いか……弥助から教わったはずだぞ。忘れてるわけじゃないし、考えがあってのことだと思うが…………さすがに一人の女として見るのは…………………………やはり無理がある。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「何よ…何か問題でもあるわけ?」

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「あぁ、問題しか感じないな。あの時はマネージャーとして来てたが、今度は訳が違うんだ。RASの奴らがどう思われるか……」

 

 

 

相変わらず海音は変に頑固だし心配性ね…………

恋人のワタシがいるからかしら。

 

 

 

 

 

 

 

 

なんてこと言ってたらより彼を意識してしまう。

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「あの子達には既に了承済みよ。みんな賛成してたわ。海音、もしほかの女に目移りしたら……分かってるわよね!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちゆ……………………………心配してくれるのは構わないんだが…………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お前って………………そんな奴だったか?

 

 

 

 

 

確かに、前々からチュチュのいない所で女子生徒に勉強を教えてたら、その日の夜に物凄い電話のコールが鳴り響くし、練習の時にだってすっごいご機嫌ナナメな彼女を毎回見る。だが、その時のオレは、何も悪いことをしてないって勝手に自分に言い聞かせてたのかもな。

 

 

 

海音

 

 

「別に………………お前以上の女なんてそうそう出会えるものじゃない。それに、オレはお前に気に入って欲しいからこうして一緒にいる。」

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「…そ、そう…………分かってるならそれでいいわ。」

 

 

 

 

…………ますき…………今ならお前の意味がわかった気がする。ちゆの奴……小動物みたいに可愛いよ。これはフリなんかじゃない。ちゆは好きな物についてはとことん熱中するから他のことが疎かになる。恋を抱く少女ってこんな気分になるんだな…………かくいうオレも……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

 

「…………!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

「ちょっと、どうしたのよ。誰かいたの?」

 

 

 

 

 

いきなり彼の表情が鋭くなって急に黙った。しかし、彼は何でもないと言っては、自分の荷物を片して作詞と衣装のデザインを手がけるために彼の部屋に行ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

 

「………なんでもないから、心配なのよ……バカ…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さっき感じたあの気迫…………今までに怪獣から感じたものと違う……本能の赴くままに破壊活動をする意思がなければ、怪獣と言う概念を持ち合わせていない……………………………これは…………………………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「…………人間から発せられてるのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

閉じこもった部屋で一人、ひたすらに自問自答を繰り返していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、考えても答えは出てこず、チュチュの事前に記録していた音源を再生してはその中で適切な歌詞を埋め込む、再生しては歌詞を書くの繰り返し、作業から20分………出来上がった新曲……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『Beautiful Birthday』。

 

 

 

 

 

 

 

 

完成した今、オレはチュチュに新曲を聴かせることは………………せずに、そのまま部屋を出た。何せ、RASが集まって食事をこっちで済ませてからライブするらしいからな。

 

 

 

内容は…………って言っても日本食しかできないんだった。

 

しょうがねぇなぁ…………ビーフジャーキーをいくつか突っ込んでおくか……丸ごとなんか入れねぇよ……………細かくすんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冷蔵庫を開けると、カップ麺にビーフジャーキーが大半で、マトモな料理が入ってないことを知ったオレは、時空を繋げて満の作ったご飯を少しばかり頂いた。して、作業再開。一つは、炒飯に………………たまごスープ…………………少し、いやかなり甘めの麻婆茄子をゆっくりと手がけて、まるでフルコースの料理と言わんばかりの量を作ってしまった。料理も片付けも一分もかけずに終わらせ、RASの皆が来るのを待ってた。

 

 

 

 

 

 

 

\ピンポーン/……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、噂をすれば…………なんとやらだよ。

 

 

 

ますき

 

 

「よう、海音っ!調子は相も変わらずか?

 

ってめっちゃいい匂いだ。海音が作ったのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「ああ、オレはお前らが食べそうなものを把握して作ったからな………………」

 

 

 

 

 

 

みんなを家にあげみんなで食卓を囲み…………

 

 

 

 

 

『いただきます!!!』

 

 

 

と、まるで全員が元気な子供のように思わせてくる。そんな歳じゃないのに………………何故か……守ってやりたい。

 

 

 

オレが愛している女を……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

命を懸けてでも救いたい。

 

 

 

 

 

六花

 

 

「そういえば、チュチュさんと付き合ってどこか変わりました?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……ふっ、愚問だな…………そんなの………………決まってるじゃないか…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「ああ、お前らと出会えてからもそうだが、チュチュの横に寄り添うことが出来て、尚更この感覚が強くなってる。きっと、お前らがオレに…………家族としての温もりをくれたんだろうな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイヤ

 

 

「へえ、海音ってば、見た目に反してメルヘンだね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

パレオ

 

 

「きっとチュチュ様もお喜びになられてると思いますよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「ちょっとパレオーーー!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ハハハハ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうだ…………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレは、この感覚をずっと求めていたのかもな…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真実の愛を…………

 

 

 

 

 

たとえ、その先が…………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『地獄』であってもな………………。

 

 

オレは何処へでも追い求める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「海音君なら……闇の中から光にもなれるよ……。

 

 

 

 

たとえ、巨大な闇に覆われたとしても………………ね」

 

 

 

 

 

屋根の上からの光から照らされる彼の姿もまた…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どこか神秘的なものを感じさせてくれる………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『光の戦士』として…………



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

17,哀しみは人の不幸を呼び寄せる

海音君………………どこか無理してないかな……………………

 

 

 

 

 

あの日から、輝君とも会ってないし……彼のことだから生きてはいるだろうけど、もう…………顔をも覚えてないんじゃないかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ、君たち可愛いね。お兄さんたちとあっちに行こうぜ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?あ、いや…あの……友達が戻ってるのを待ってるだけなんで……」

 

 

ひまり

 

 

 

「えっとー私たち、先を急いでるので…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へえ、そんなつれないこと言わないでよ。お腹空いたの?オレたちが出してやるから。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうしよう、いまはリサちゃんも麻弥ちゃんもいない。私たちが違うって言っても、このお兄さん達は引く様子がなく、寧ろだんだん呼吸が荒くなってるのがわかる。

 

 

声を出そうにも、こわくて体が動けないし、助けも呼べない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しびれを切らしたのか、急に優しい態度を変えて私たちの腕を掴まれた。もうダメ………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『Hey!そこのGuys、可愛げのあるやつがいれば、

黙ってられないのはわかるぜ…………けどな………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺よりもおしゃべりな野郎は、邪魔なんだよ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後ろから声が聞こえ、そこには、銀髪でへそ出しシャツの上に赤いコートを羽織って、少しダボったズボンに手を突っ込んだナンパから救う紳士的な少年が、立っていた。

 

 

 

 

 

 

「んだよ、野郎はすっこんでろよ、今いいとこなんだからよ、それともあれか?お前もボコられたいってか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると二人の男はニヤニヤ笑いながら彼に近づいた…………その瞬間だった…………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドォォン!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼は、ポケットから出した銃で一人の男の頭を撃ち抜いた。一人を殺したというのに、彼は未だに余裕…………

 

 

 

 

 

 

 

「言ったよな……オレよりおしゃべりな奴は『嫌い』って……」

 

 

すました顔で怯えて動けなくなったもう1人に近づく………………そして、どこから現れたのかドクロの柄の剣が男の心臓を突き刺し、大量の血と共に引き抜いた………………その時の写った顔は…………まるで、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

心までも闇に染めた悪魔だった…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「怪我は無いみたいだな…………全く、ここら辺にも悪魔がでるなんて、聞いてねぇよ…………『兄貴』は何やってたんだよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワタシは兄貴の言葉に気になってその場をあとにしようとする彼を呼び止めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼の容姿といい、やり方が、助けてくれた人にあまりに似ていたから…………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ!!その兄貴って…………海音君?」

 

 

 

 

 

 

「!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

その名前を聞いた瞬間、少年は、私の肩を掴んで必死な顔でこちらにこう問いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

「何でその名前を知ってる…………何処にいる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えと、弥助くんから聞いた話だと、ここのマンションにいるよ。」

 

 

 

 

 

 

不思議と、彼からも…………人を殺したというのに、謎の温もりがあった。変に怖く感じることも無い。

 

 

 

彼はそうかとだけ言い残して、剣を肩にかついだまま指定した場所に走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リサ

 

「二人とも〜おまたせーって、どうしたの!ふたりしてへたり込んでるの!!!」

 

 

 

 

麻弥

 

 

 

 

 

「そ、そうですよ!!自分もさっきの彼を見ましたけど、何か…………海音さんに似てませんでした?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひまり

 

 

「そ、そうなんですよ。名前は聞きそびれちゃったんですけど、海音君の名前にすごい反応してました。」

 

 

 

 

 

へぇー…………これは何か海音の秘密がわかりそうな気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リサ

 

「じゃ、一緒に彼を追いかけてみようよ!!!」

 

 

 

 

 

麻弥

 

 

「いやいや、さすがに見ず知らず…………ではない気もしますが、着いてくのは危険ですよ!!!」

 

 

 

でも、本音はジブンも海音さんと彼の関係をちゃんと知りたいのもありますけど………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんやかんやで、遠くから後を追って様子を見ることを決めた4人………………………………しかし、そこから起きるのは………………………………………………とても醜く、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

余りに悲しすぎる争い(兄弟ゲンカ)だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パレオ

 

「海音さぁ〜ん!!チュチュ様とはどうですか?」

 

 

 

海音

 

 

「…別にお前らの期待してる事はやらないからな。」

 

 

 

 

 

ますき

 

 

「そんなこと言って、裏ではとんでも無かったりしてな!!」

 

 

 

 

 

 

と、ずっとこんな調子だ。最近やたらとオレをからかってくる。とても羨ましい光景だろうが、オレはこれを日本の普通だと認識をするしかない…………オレは外のことをあまり記憶に残ってないからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六花

 

 

 

「え、えと…………何か用ですか?」

 

 

 

 

 

 

ライブの練習にチュチュさんのマンションに向かってたけど、入り口に誰かが立っていた。赤く染まった銀髪に、赤いコート、そして………………何故かへそ出しシャツを着ていている…………今は秋なので寒くないのか、暑がりなのかなと思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?ああ、ここのマンションの持ち主か?チュチュって奴の所に知り合いがいるって聞いてな……様子を見に来たんだ。」

 

 

 

 

声に気づいた彼は、目を見てそう言った。

 

 

 

 

六花

 

 

「え?海音さんに?ご、ごめんなさい!すぐに案内しますので!!」

 

 

 

 

「……ああ、よろしくな。」

 

 

 

 

その時、一瞬だけ…………赤い石の首飾りをかけていたのを見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六花

 

 

(………この人……………海音さんの首飾りと似てる…………まさか…………)

 

 

 

少し疑問は残ったものの、チュチュさんの部屋兼スタジオに連れてきた。少し怪しい雰囲気もあるけど、海音さんの知り合いなら悪い人はいないと確信していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

 

 

「待ってたわ!ロック・アサヒ…………と、誰?」

 

 

 

 

 

と、隣の凛とした少年に警戒していた。そういえば名前……聞いてない…………中に入れたら聞こう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、ここに…………海音って奴がいるって聞いてな…それで、様子を知りに来たのさ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「…………Wait…………海音を呼ぶわ。ところで貴方は海音の知り合い?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「まあ、知り合い以上の仲なのかもな…………」

 

 

 

 

と、彼はどこか意味深なことを言い、チュチュさんは海音さんを呼び出し、海音さんも客人が来てるのか、正装で出迎えてくれた……………………けど………………その瞬間から、二人の間に途方もなく強い殺意と圧力が放たれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………………」

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スゥッ………

 

 

 

 

 

睨み合ったまま二人はどこかに消えたかと思えば、

空中で多くの火花が散り、コチラからは二人を目視できない程の速さで空中を移動し、お互いの剣を激しくぶつけ合っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その衝撃はとても凄まじく、周りの建物の窓ガラスを全て粉微塵に粉砕する勢い…………その風圧でチュチュさんはもちろん、ワタシもへたり込んでしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「久しぶり………八年越しに会えたぜ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「貴様のことだから、女を救っては悪魔を狩ってたんだろう?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へっ、それは兄貴も同じだろ?久々に楽しもうぜ……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

「…………ああ、腕がなまりすぎて膝つく無様な姿を晒すなよ…?」

 

 

 

 

 

 

「俺の魂はこういっている………………誇りを捨てずに生き抜くことが強さだって…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「だが、オレの魂はこう告げている………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『力こそが全て』だってな…!!!!!」

 

 

 

 

2人して、悪魔のような…………いや、悪魔の笑を浮かべながら互いの剣で弾きあい、彼は二丁の銃から放たれる無数の銃弾…対して海音さんは、自身を回る複数の剣を張り巡らせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六花

 

 

「も、もう辞めにしてな!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パーティ(斬り合い)の時間だ!!!!』

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

18,女に苦労を背負わせるのは御法度!!

ど、どうしよう…………

 

 

二人とも目つきが人を殺せそうな勢いだ。ホントなら二人を止めなきゃならないんだろうけど、体が動けなかった。髪型も赤と青のメッシュがかかってる銀髪だし、格好も、首飾りも赤い石と青い石が光ってる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もしかして、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

 

「彼が……………………海音の………『弟』…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

確かに弟がいることは聞いていた。でも……………………二人して人間じゃなかったなんて…………

 

 

 

 

 

 

 

体が紅く光る悪魔と、体が蒼く輝く悪魔…………姿を変えていたから…………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、しばらく剣でぶつけてると、突然赤い悪魔は人間の姿に戻って剣を背中にしまい込んだ。

 

 

 

それを見た海音も同じように剣を収めた。その後、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハハハッ!!

 

 

 

やっぱ兄貴は今も兄貴だな!!」

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「フッ…

 

 

どういうつもりで言ったんだ?オレは昔も今も、そしてこれからもオレだ。」

 

 

 

 

 

 

二人は笑いながら地面に座り込んだ。さっきまですごい剣幕だったのに、急に和やかな雰囲気に突入して、拍子抜けした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六花

 

 

「え?え?喧嘩してたんじゃ?」

 

 

 

 

 

 

 

「ん?ああ、そんなんじゃねえよ。久々に会えたから楽しもうぜってことだよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「驚かせて悪かったな…………決して殺すつもりなど毛頭ない。

 

 

 

 

 

 

 

紹介する…………コイツは鬼龍輝だ。俺と同じように悪魔の力を継いでる。だが、お前らに危害は与えないから、そのことは案ずるな。」

 

 

 

 

 

 

六花

 

 

「え?でも海音さんって偽名じゃ…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

すると、彼は私の手を握ってこう言ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「…悪い……………………あれは嘘だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ええェええええええ!!!!?』

 

 

 

 

 

 

周囲に驚嘆の声が響いた。そう、偽名を使っていたのは嘘…………RASに偽名を使ったと言う嘘をついて、更に嘘を上書きしたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「騙すつもりは無い……それは理解してくれ。全てを伝えて混乱を与える訳には行かないんでな……」

 

 

 

 

 

 

六花

 

 

 

 

「で、でしたらなぜ…嘘をつき続けるんですか?

 

私たち………………そこまで信じられないですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

六花の上目遣い………………来るものがある。早いところ慰めなきゃならないな………………このことが知れたら…………ますき何されるかわかったもんじゃない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「お前らの命の危険を冒してまで最強になる必要は無い。お前らにはお前らのタイミングがある。また、それはオレたち紛い物も同じだ。」

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「どうしてよ…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………お嬢さんもクールガイな割にはそういう一面も見せるんだな。」

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「…………どうして、そうやっていつもワタシたちから向き合おうとしないのよ…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「………………!!!!!」

 

 

 

 

 

 

言ってしまえば、楽になるのか?

 

 

 

 

 

いや………………そんなことをすれば、あの悲劇の繰り返しになる。もう、あんな悲劇を起こしたくない。

 

 

 

 

 

確かに、チュチュ達の思いからずっと避けてきたのはそうだ。だが、いずれ迫り来る闇を巻き込むわけにいかないのもまた事実……………………オレは………………どうすればいい………………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「あなたがいなきゃ………………RASは……完成……しないのよ……。ワタシ達に光はないのよ…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何故だ。ちゆから、とても暖かいものを感じる。抱きしめられてるのもあるが、昔も……オレは、母さんにこうしてもらったような記憶がある。じゃあ、あの母さんに育てられて感じたこの愛情は一体なんだ?もしかして、暴力を振るっていたのは…………母さんの姿をした全くの別人…………だと言うのか?ダメだ…………混乱しすぎて処理が全くできない。

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「互いに隠し事なんてNothing!!最強のバンドになるまで………………いえ、なってもずっと海音の居場所は、ワタシが見つけるわ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんてこった…………オレはチュチュの思いを知らず知らずのうちに裏切っていたというのか………………仕方ない………………満には余計な苦労を背負わせることになるが、オレたちと共に踏み越えていこうと思うよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「兄貴…………あんたはどうしたいのさ?聞くまでもねぇけど、コイツらのために全力でいくんだろ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふっ、今更何を言うか………………答えなど…………もう既に出ている。

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「ちゆ、いずれ攻め込んでくる闇に屈さず、光を灯し続ける………………その勇気と覚悟は、あるか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「もちろんよ!!マスキングにレイヤ、パレオとロック……………そして、私と海音がいてRAISE A SUILENよ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

分かったよ……………………オレの…………負けだ。

 

 

 

 

海音

 

 

 

「成長したな…………ちゆ…お前は、あの時のように……………………いや、それ以上に輝いている。だから、婚約を前提に付き合ってくれるか……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「何を言ってるの!ワタシ達は付き合ってるし、これからもあなたのバンドのレジェンドギタリスト…そして、RASのFamilyなのよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうにかこっちのゴタゴタは片付いた。

RASにも輝のことを教えなきゃな…………。オレは、RASの練習がてら輝を連れて、音楽の世界を聞かせてやることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

ますき

 

「にしても、オマエら…………ふたりして似てんな。やっぱ双子だからか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうかもね。けど、そっちで仲良くやってるみたいだな。」

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「そういえば、輝…………月ノ森学園に通うことになったのか?」

 

 

 

 

 

「うん、そうだよー。」

 

 

となんともアイツらしい返事をしたのだ……

 

月ノ森学園はここ最近できたお嬢様学校……輝はそこに留学生という扱いの下、登校している。しかも、そこでも…新参バンド………………『Morphonica』…だったか。そこの面倒をも見ている。校内には女子しかいない上に、バンドの面倒をも見なきゃならないなんてな………………まあ、合計七つのバンドを全部指導する満の方が幾数十倍は大変だろうが………

 

 

 

 

 

 

 

 

…そう、満はオレたちの負担を減らそうと、またしても二つのバンドを面倒を見ることになった。さすがにもうこれ以上甘えるつもりは無いが、なんだかんだ言って満はよく見てるし、的確なアドバイスも出来てる。機械音痴なのにこれに関しては一流なんだよな…………全く、不思議な奴だぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………苦しい。

 

 

 

 

 

タスケテ…………ドウシテ殺そうとスルノ。

 

 

 

 

 

 

ドウシテ僕は、死ななきゃイケナイノ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……君……満君!!!」

 

 

 

ダメだ…………やっぱりアイツのことが不安で練習どころの話じゃない。あいつはとんでもないことをしようとしてる気がする。

一刻も早くとめなきゃ…………!

 

 

 

 

「………ふぇ?」

 

 

 

麻弥

 

 

「満さん……最近やたらと上の空ですよ。何かあったんですか?良ければジブン達が聞きますよ。」

 

 

 

 

 

 

千聖

 

 

 

「そうね、聞くところによれば、貴方…私達含め七つのバンドを見てるのでしょ?それに、学校も家事も貴方がやってるじゃない。そんなんじゃホントに身体を壊すわよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん!!両立は大事だけど、それじゃいつか倒れちゃうよ!!!」

 

 

 

 

 

 

みんな…………ホントに優しいな…………優しくて……それでいて僕なんかに気にかける愚かなみんな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなことをすれば、巻き込まれるって言うのに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫だよ。こんなので倒れるようじゃ僕もまだまだだよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

満………………彼は確実に何かを隠している。花咲川だけでなく、羽丘や他校とを行き来してるのは知ってる…………彼が私達に隠れて仕事をしているのも知っている……………………でも…………私達以上に何かを抱えている。それは、何かは分からない…………少なくとも私達だけで解決できる問題じゃないことくらいは分かる。それくらい彼は残酷な道を歩んで来たのかもしれない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これだ…………これだけの力があれば……この俺も誇り高き戦士に…………!!!」

 

 

 

 

 

地下深くから鳴り響く一人の甲高く笑う声………………そして、

 

 

 

(…………ケイゴ…………どうして…………君は……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それを端末から見る僕の瞳には闇へ落ちた彼の姿が映っていた。

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

19,俺たちに降かかる災い

くくく………

 

 

…光の戦士………………その力………………俺にも使わせろ………………!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「…ッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイヤ

 

 

 

「?海音…?」

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

(なんだ…………この感覚…………いや、またアレか…………一体どこから…………これほどの……)

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

 

「カイトッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふと目をやると小動物の様に頬を膨らませ、いかにも怒ってます風な珠手ちゆ…………と、和奏レイ。そう言えば今日はRASの練習だったな……

 

 

 

 

レイヤ

 

(海音…………確実になにかに気づいてる。でもそれを伝えないようにしてる。でも、ワタシは彼を強く止めはしない。そんなことをしても、結局行っちゃうんだから。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………。」

 

 

 

 

何だ?月ノ森に邪悪な気配……?だが、アレは一通りが多いはず…………いや…………違う………………この方角って………………!!!!

 

 

 

 

 

 

「あれ、ヒッキーどうしたの?」

 

 

 

 

「……別に何も無い。ってか、ヒッキーって呼ぶなよ。」

 

 

 

 

 

そういうコイツは、桐ヶ谷透子。月ノ森の生徒?まあ、お嬢さん………………なのにギャル。だからか、コイツははっきり言って関わりにくい。俺のことヒッキーって呼ぶし!!何だよヒッキーって……引きこもりみてぇじゃねえかよ……

 

そう、ついでに俺は、『Morfonica』のスケジュール管理と衣装製作をやってる……もちろんマネジメントもな…………

 

 

 

「でも、輝君が来てくれて実際に助かってるよ。ありがとう…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、兄者が俺を強くしてくれたもんでな…………俺自身は強くなんか慣れてないがな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コイツは倉田……ましろ…………だったか…………クラスメイトだ。ホントにお嬢さんかってくらい性格が後ろ向きだ。かと言って男子の俺がいること自体が変な話だがな…………だってよ…………

 

 

 

 

 

 

 

男子生徒が来るって言った瞬間周りがすごい騒がしくなったからな……?もう、聞いてるこっちが恥ずかしい思いしたわ!!結局入ったけど案の定と言うか、それが当たり前なのか……………………黄色い歓声がひっきりなしに飛び交うもんだ。もううるさくてしょうがない。

 

 

 

 

 

授業の後だってここの生徒全員から逃げる羽目になったからな…………アレは…………マジで疲れた…………

 

 

 

 

 

そんな俺は今何してるかって?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モルフォの奴らの音楽を聴いて癒してもろてる。だってマジになって走ったから疲れるんだよ。アイツら多分ああいった教育をされたからああなるのは仕方の無い行動かもしれんが、それを知らないコッチとしてははっきり言って迷惑以外の何物でもない!それを考えるとモルフォの奴らは案外落ち着いてんだよな…………マジで助かった。

 

 

後で拝んどこ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ましろ

 

 

「何だか……思い詰めたような顔で向こうを見てたから。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まあ、どうやってお前らを最高の音を出せるか考えてんだよな………………それに……お前らが可愛すぎて顔を合わせられねぇよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

ましろ

 

 

「え?!か、可愛い…?」

 

 

 

 

 

あ、やべぇ……言っちまった……まあ、実際可愛いけどな…………ああ、ましろ…………顔赤くして変なとこ向いた…………ってか透子もかよ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もしかして………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アーーーーーーーーッ!!!!やっぱりかよ!!!つくしと七海も奏でる手を止めてるし、瑠依に至っては表情こそ変わってないもののヴァイオリンからでる音が一気に酷くなった!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

はぁ………………俺があの変な感じを察知したばかりに…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無事に練習も終わり、みんなを帰しただ一人オレは雨の中で、公園のほうへと走っていった。オレはついにあの違和感の正体を突き止めることに成功したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見つけたぞ……鬼龍海音……ウルトラマンティガ…………いや、いまは『Vargil』だったか?」

 

 

 

 

 

そう、それは人間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「………ッ!!!」

 

 

 

 

 

 

オレは呼び声に答えるや否やヤツの横に蹴りを蹴りを入れたのだが、いとも簡単に掴んで離さないのだ。と言うよりも力強すぎるだろ……人間如きがどこでそんな力を手にしたのか……何にせよ人間とは到底思えないほどの力を感じる……それに…………コレは…………欲望の中に……………………『光』だと?もしそれがホントだとすると…………オレは………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレは……………………!!!!

 

 

 

 

 

 

しばらく掴まれた脚を振りほどこうとするうちに、光の遺伝子を受け継いできたスパークレンスが懐から落ちて……………………奴はそれを拾い上げてしまった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目当てのモノを手に入れたのか、もう用済みとみなされたオレは奴に投げられた。障害物に当たった為、そこまで遠くに飛ばされずに済んだのだが、そのせいか体を強く打ちつけ動けなくなってしまい、さらに奴にスパークレンスを奪われたまま逃げられてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「ダメ…だ……!

 

 

アレは………………人間が………………解放しては………………ならない………………………………………………『力』だ………!!」

 

 

 

 

 

 

 

その必死の訴えにもやつの足が止まることはなく、オレはついに意識までも手放してしまった………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その次に痛みとともに目を覚ましたのは…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「海音ッ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレを呼ぶオレのよく知る人物とそして、

 

 

 

 

真っ白な空間だった。




うたた寝してたら今まで書いた内容が全部パァに………………




かなしいなぁ……悲しすぎて死んじゃうよ!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

20,献身的な狂犬……案外悪くない

もしも、見舞いに来てくれたのがますきだった場合のifストーリーDeath!!!


ココは

 

………………そうか………………オレはアイツにやられて倒れてたところを運んでくれたって訳か…………いやだとしたらアイツは何故俺が倒れたことを知っている…………それを会って聞かなくては…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「グゥッ……………………!!!!」

 

 

体を起こそうにも全身に痛みが走ることで、すぐには動けずにいた。スパークレンスも奪われて……光の力も失って……いまのオレは………………闇と力に支配された悪魔でしかない…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると、勢いよく扉が開くもんだからつい焦ってその方向へ向いてしまう。

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

 

 

「…………もう少しゆっくり入ってくれるかな…………マスキング……他の奴らに迷惑をかけるなよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

ますき

 

 

「……それ、今のお前が言えることかよ?お前が運ばれてからもう1週間は無反応だったぞ!!どれだけ心配したと思ってやがる!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あーあ、コレはますき完全に怒ってるな…………まあ、負担はかけないようにしていたんだが…こうまでされるとな…………こうなったますきはとことん面倒なのでさっさと謝って許してもらった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ますき

 

 

「……ほら、食べろよ…………林檎……向いてきたからよ……不味いなんて言ったらぶっ飛ばすからな!!?」

 

 

 

 

 

そういうますきは紙袋に入ってる林檎…………いやうさぎの形のりんごを手に取り、いかにも口を開けるのを待ってるかのような素振りを見せてくる…………いや、自力で食べられるようにまで回復したしそこまでさせたら、ちゆに何されるかわかったもんじゃない。何より何かものすごい視線と圧力を感じるんだよな………………

 

 

 

 

 

 

 

 

ますき

 

 

 

「は……早くしろよ……結構…………恥ずかしいんだからな……。」

 

 

 

 

 

そう顔を赤く染めるますきは美しく、オレはつられるように口を開いてしまう。あれで照れてるってな…………オレは思わず静かに笑いをこぼした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ますき

 

 

「_______今、笑ったろ…。」

 

 

 

 

 

 

おっと、聞こえちまっていたのか。まあ、隠すつもりは無いし、ちゆもその程度の事じゃ何も言わないだろうからな………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ますき

 

 

「で、どうだよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「……何がだ。ああ、リンゴ…………なかなかの出来だったぞ。食べ飽きないくらいだ。」

 

 

 

 

 

ますき

 

 

「そうじゃねぇ!!!」

 

 

 

と、素直の答えを言っただけなのに、逆に怒られた。何かしたか?そう戸惑っていると、いきなりベッドの上に両手足押さえつけられオレの返事を待たずにますきは口の中に咥えているリンゴを唇を無理やり重ね合わせ、俺の口の中にリンゴを押し込まれた。その時に、柔らかなものをぶつけられて意識を保つので精一杯だった。

 

 

 

 

正直言って…………訳が分からない。

何が起きた…………

 

 

何故ここまで尽くされる必要がある?しかも唇を合わせるって…………ますき……意外と……そういう趣向だったりするのか…?

 

 

 

 

 

海音

 

「ガハッ…!

 

一体…………何の真似だ…!!」

 

 

 

 

 

信じられないことは立て続けに起きるとは…………正しくこれだろうな………………なぜなら奴はこんなことを言ってきた。

 

 

 

ますき

 

 

 

「だから…………!!

 

 

『私の味は感じた』かって聞いてんだよ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………………何だと?お前の味………!!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「…………ますき…!

 

 

お前……………………!!!」

 

 

 

 

ハッキリ言おう…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう、お前の味が混じって……ちゃんとリンゴを味わうことなぞ出来なかったわ!!!

 

 

 

ふと見ると、明らかにオレへの熱意の眼差しを向けて弥助曰く恋する乙女そのものだった。その証拠に更に顔を真っ赤に染めて小動物のように体をプルプル奮わせて………その様子を……オレは笑いを堪えるのに必死だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ますき

 

 

 

「なっ!?てめぇ……笑いやがったな……!!」

 

 

 

 

 

バキッッッッ!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、オレはますきに思い切り殴られた。

殴られた頬が未だに痛い…………ますきは気分を悪くしたのかドスドス不機嫌な音を立てながら、療養室を後にした…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

(…………この感覚…………ますきはオレをきっと…………叶わない夢だとわかっていながら…………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

「……ますき……安心しろ…………そばにいることは出来なくとも、闇をも退く光になってみせる………………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレは拳を固く握り締め、次の日に来る見舞人への対応に向け、床につくことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ますき

 

 

 

(…………伝わったかよ……私の気持ち…………チュチュがいながら他の奴らに手ぇ出したら……ただじゃおかねぇからな…。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一人の不良じみた少女の胸の鼓動を知らずに…………




アンケートの途中経過見てみたら、ほかのメンバーとの交流を出せって言うからやってみますた。え?RAS以外のを見たいって?




ぷじゃけんな。海音はRAS以外には基本無反応じゃい!











理由?


そんなもん過去の話を読めばわかるんだよ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

21,田舎少女は蒼の悪魔の心身を案ずる

タイトルでわかる通り、六花版です。話の内容は…………マスキングよりかは薄いかと思います。


謎の男に襲われてからどれだけだっただろうか…………一日……?一週間…………?一年…………?

 

 

 

 

 

 

時間の流れも狂い始めてきた頃に、甲高い声と手に伝わる感覚で、オレは目覚めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「……どうしてお前が…………学校はどうした……明日香はいいのか……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、これで想像はつくだろう…………

 

 

 

ロック………………朝日六花だ。

 

 

 

 

 

 

六花

 

 

「満さんから海音さんが倒れたって連絡がきて急いでこっちに来たんですよ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何…………?

 

 

 

 

 

満…………だと?おかしい…………何故満がその事を…………いや、アイツのことだ。きっとオレの気を察知したんだろうな…………。

 

 

 

そこで、すかさずこんなことを問いてみた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

 

 

 

「…………いつまで握ってるつもりだ?オレの意識はハッキリしてる…………それとも、このままでいたいのか?」

 

 

 

 

 

 

 

普段の………………以前のオレは絶対に口にすることはないであろうセリフを彼女に言ってみた。六花は優しいからこういう系に対して耐性がない。

 

 

 

 

 

 

 

六花

 

 

 

「はぇっ?あぁあっ!!!

 

すみません!!チュチュさんがいるというのに………はぅぅ………」

 

 

 

 

 

 

 

 

と、明らかに落ち込む様子を見せた。

 

 

 

 

 

 

それを見てオレは何故か………………お嬢のことを思い返してしまう……………………幼かったオレをここまで拾い上げてくれた、そして…………オレたち悪魔に安らぎを教えてくれた。

それを…………………………オレの力が………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

力が足りなかったばかりに……人間だったお嬢を…………救えなかった…………

 

 

 

 

 

 

 

 

全てを奪った悪魔のせい?

 

 

それを仕向けた人間のせい?

 

 

 

 

 

 

 

いや、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『弱かったオレたちのせい』だ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

ダメだ…………まただ…………六花といると………………何故思い出しちまう………………

 

 

 

 

 

 

 

六花

 

 

 

 

 

 

「海音さん!!!」

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「………何だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうしよう…………海音さん…………この頃ずっと元気が無い。も、もしかして…………チュチュさんに……悩んでるとか……?いや、ウチらのこと的確なアドバイスをくれるから参考になるって言ってたし…………こうなったら直接聞くしかないねんな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六花

 

 

「えと、何か……悩んでるんですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音さんの顔がより一層強ばったが、直ぐに戻りなんでもないと答えては、寝てしまった。海音さんの無防備な寝顔…………でら可愛ええ……!!

 

 

 

 

って、ひとりで悶絶してる場合じゃなかった。わたしは海音さんにきっと似合うと思って、何物にも染まらない黒の指ぬきグローブを静かにはめてあげた。やっぱり普段から凛としている人がこうして無邪気に寝てる人を見ると、どうしてか…………そばにいたいと思ってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「………ン、

 

 

 

 

 

お嬢……………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

時々、首飾りの蒼い光と同じように閉じられた瞳からは雫が滴り落ちていく。海音さんの大切にしていた人を失ってからずっと自分の気持ちを押し込めてまで、やるべき事をなそうとする。もう、チュチュさんという大切な人がいるというのに…………私は素直に喜ぶことは出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ココは…………そうか…………オレは療養されているのか…………

 

 

 

体を動かそうにも途中で何かにぶつかった。ふと見ると、きっとオレの看病に来たであろう六花がなんとも幸せそうに寝ていた。しかも手にはグローブがはめられている。微かに六花の香りがする……一から作ってくれたんだろうな……

 

 

六花

 

 

「スゥ……………………スゥ………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「…………ありがとうな………朝日六花……。」

 

 

 

耳元で伝えて彼女の体に先程使ってた布団をかけて温めることにした。以前も、お嬢にこんなことをされたからな……………………もう、忘れてしまってもいいと言うのにな………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六花

 

 

(海音さん……ウチには海音さんを守れるほどの力はあらへんけど、ウルトラマンでも、あの悪魔であっても、過去やしがらみがどうであっても……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局は、『鬼龍海音』さんなんですから……。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

「さて…………ソロだが弾いてみるか。」

 

 

 

 

 

 

きっとオレには…………光なんて求めてなくとも……オレ自身の中に光が宿ってるんだろう…………




最近仕事忙しくなりすぎて投稿日に間に合わない時があるんだが…………だって家に早く帰っても余裕が無いんだもん!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

22,ネコ耳DJの愛に拍手喝采をっ!!!!

今度はチュチュ…………もしかしたら、弥助と楪が出るかもしれません。嫌ならブラウザバックせよ!!


ココに運ばれてからもうはや三日目………………そろそろ体が訛ってきたからリハビリに専念しなくてはならない。そう思って体を起こそうとするも、体がやけに重く感じる……目線を下げると、ちゆが身を寄せて静かに眠っているからだ。

 

 

 

何を言っているのか分からないだろうが、オレもなにが何だか分からないんだ。

 

 

 

 

 

 

と、クローゼットの横から弥助の声が聞こえてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弥助

 

 

「よう、目ェ覚めたか?新婚さん……

早々から良い雰囲気だったもんでな…………邪魔しちまったか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相変わらずこの馬鹿な考え方をするこの人は、弥助。悪魔のオレを引き取った……というより、満が紹介してくれただけだがな…………弥助は元から大きな家を持ってて部屋を持て余していたが決して金持ちではない。…………そこで、その空き部屋を自分専用の事務所兼練習スタジオを制作しては共に音楽活動をして生活してる。満はその礼で手料理を振る舞うのだ。

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「…………弥助…他の奴らはどうした。」

 

 

香凛に満はいるのかそれとなく聞いてみた。

 

 

 

弥助

 

「香凛は美竹んとこの練習で、満は撮影。」

 

と、やたら物静かに答えた。何かがわかった証拠だ。

ちなみに美竹というのは、羽丘の二年生(香凛から聞いた)…華道に勤しむ名家の人間だ。その美竹は、幼馴染同士でAfterglowをやってる(これも香凛から聞いた)。

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「………………教えてくれ…………光の力を奪われた今、頼れるのはお前らだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると割り入るように白衣姿の楪がこちらにやってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いい?落ち着いて聞いて……まず、貴方からスパークレンスを奪った犯人、『雅紀 慧悟』……彼は高い技術力で圧倒的な強さ、そして光の意志を持ってる貴方に目を付けて襲った。

その時に自身の肉体をいじったみたいね。」

 

 

 

 

 

 

 

なるほど…………つまり、その雅紀慧悟が光の欲しさあまりに、オレから奪い取ったということか。ククク…………面白い…………奪い取るのがオレの生き甲斐も同然なのに…………奪い取るなら……奪い取られる覚悟があるんだな……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不味いわ……海音の意識が段々闇に囚われていく…………やはり悪魔の力はまだ健在だというわけね………………

でも、それだけ意識がハッキリしてるなら尚更都合がいいわ。丁度、雅紀くんの化学力には興味あるし…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弥助

 

 

「…………んで?その雅紀って野郎は何処にいるのか掴めてんのか?」

 

 

 

 

ええ、私から逃れる輩なんていないんだから………………でも、ちょっとだけ…………面倒なことがあるのよね…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええ、海音……身体はもう万全かしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「……ああ、いつでもいい……早く現場に転送してくれ…………」

 

 

 

 

 

 

「……とは言っても、退院してからその話はするから、今はこの子に寄り添ってあげなさい。ずっと海音から離れないんだから…」

 

 

 

と、呆れながらもチュチュを指す。確かにちゆは自分が求める、関心のあるものに関してはとことん純粋だが、その気持ちが昂りすぎて周りにの迷惑を顧みずに巻き込んでしまう………………今はオレがいることでそれもめっきりと減ったが、突発的な発言と行動力には毎回驚かされる。

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言えば、『バージル』の覚醒における頭痛もない。眠ってるのか…………それとも俺が上手く制御してるのか…………もしくは、その悪魔の血が弱まってるのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

 

「…………ん、レイジ………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

「______ッ!!!」

 

 

 

と、チュチュはオレのことを確かにレイジと呼んだ。六花以外に二人きり以外に言った覚えはない。聞き間違いなどでもない。

ならなぜ、その名を………………まさか……六花のやつ…………言ったのか…………しかもチュチュも寝言でレイジって呼ぶなんて……どれだけ連呼したんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………………仕方の無い奴だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうしてオレは、チュチュの小さな体を抱えながら、頭を優しく撫でて………………最後には………………オレが生きてきた中で一度もやったことのなかった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弥助

 

 

(…………俺達もそろそろ本腰入れた方がいいな。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(…………今になって…………随分遅いじゃない…………隊員の癖に……ね。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気付かぬ間に二人は消え、

暗い夜空を照らす三日月の下で………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「チュチュ………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______ありがとう………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女の額に口づけをして、その日は静かに眠った………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「…………当然じゃない…………ワタシは、

 

 

 

 

 

 

 

 

カイトの大切な……………………

 

 

お嫁さん(プリンセス)なんだから…」

 

 

 

 

そんな彼女の呼びかけに……………

 

 

…応えるものは誰ひとりとしていなかった。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

23,隷属同士で語り合う者

…………次はパレオです。五人分書くと結構疲れて後のほうになるとめちゃくちゃ手抜き作品になるんですよね…………。


 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「……痛い。」

 

 

 

 

激しい痛みと共に、重い瞳を開けるとそこには、今も俺のそばで寝ているチュチュと…

 

 

 

 

海音

 

 

 

「なぁ、さっきからシャッター音が止まらないんだが…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

パレオ

 

 

「だってチュチュ様とあんなに仲睦まじい様子でしたので、思わずお二人のこと撮っちゃいました♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おい、何しれっと人の寝顔を撮ってんだよ。渡せ…………早くこちらに渡してもらおう…………何するかって?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

データごと破壊するに決まってるだろ。

 

 

 

 

 

パレオ

 

 

「データはもう、保存済みでいくら消そうと、

 

 

 

 

 

無駄無駄無駄無駄ッですよ!」

 

 

 

 

 

 

 

…………何だろうか…………この圧倒的既視感…………人間辞めたスタンド使いかな…………?

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「……それで、一体何用だ。コッチはもう、本なぞ読み終えたわ。」

 

 

 

 

 

パレオ

 

 

 

「そう言うと思って、パレオが直々に新しく出版された本をいくつか用意したので是非!!!」

 

 

 

そう邪の念のない彼女は割と小さめ手提げバックからどうやって入れたのか本を数十冊こちらに渡してきた……………………中にはちょっとあっち方面の趣旨の雑誌まで混じってたから、それは容赦なく突き返した。

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「何でこんなものを入れている…」

 

 

 

 

 

 

パレオ

 

 

「?だってチュチュ様と海音さんの素敵なお子さんと出会えるとわかると気分が高くなりますよ!!」

 

 

 

 

 

と、そんなことを自信満々に胸を張って主張する。ちょっと待て…………お前は親か何かか?それにそんな状態になるまであと何年かかると思ってる。チュチュが卒業したらすぐってか…………

 

 

 

はぁ……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正気の沙汰じゃねぇ………………。

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「パレオが子を思う気持ちは汲んでやるが、別に会えなくなるわけじゃない。まあ、しばらく活動休止はなるだろうがな………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ってオレは何を言ってるんだろう……こんな歳にそんな大人の話をするなんてな…………隣にはそのチュチュがいると言うのに………………目移りするなと言われたというのに…………まあ、RASの奴らはその辺は理解してくれてるから今までより控えめだった(ますきはどうだったかは知らん)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

「…………もう一回言って…」

 

 

 

 

 

 

 

 

急に横から声が聞こえたものだから普通に驚いた。ずっと静かだった奴が急にしゃべりかける瞬間が一番心臓に悪い。と言うか、いつの間にか起きていたんだな…………

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「…………断る…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「…………ケチ。」

 

 

 

 

そう言ってそっぽ向いてまた黙り込んでしまった。言える訳がなかろう!!そんな将来の話なんて、今はまだ早すぎる。今は勉学に励むべきだ………………と言いたいところだが、オレは実際満ほどじゃないが、成績からみても登校する義務はないし、別にサボった所で何にもならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

パレオ

 

 

 

 

 

「流石です!!相変わらずのラブラブっぷりですね!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「おい、茶化すような真似はやめてくれ…」

 

 

 

 

 

 

そうやって注意するオレも、どこか嬉しく思ってるのかもしれない……ようやく…………出会えたんだからな………………運命の出会いってやつに……。ひょっとしたら、満もそれを見越しての抜擢だったのかもな…………ホントに、アイツには頭が上がらない。

 

 

 

 

 

悪魔のオレに光をくれたし、今までもオレに寄り添ってくれた。

 

 

 

 

 

アイツとはホントに友だと認識しても良いくらいだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふと時計を見たらもう夕暮れ時だ。パレオは聞くところによると遠くからここに来ているのだ。早いところ返してやらなくてはならない。

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「パレオ、十秒だけ瞳を閉じろ。自分の家を想像するんだ。送ってく。動かないでくれ。」

 

 

 

 

 

 

パレオ

 

 

「はいっ!!海音さんの凄技を体感させていただけるのですね!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「ちょっと海音!私にもやりなさいよ!!ってもう居ないし!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女の想像だとこの座標であってるはず……

 

 

 

 

 

よし、ココだな。

 

 

 

 

 

 

 

オレはパレオを家の前にまで送った後に耳元で「また会おうな」とだけ言い、急いでその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音さん………………声が囁かれたから振り向いてみても、さっきまでチュチュ様と海音さんと一緒に病室に居たのに、今はワタシ…令王那の家の前にいて、海音さんの姿はもうどこにもいない。コレが、海音さんに秘められた力………………ますます、好きになっちゃいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

パレオ

 

 

 

「……無理は……………なさらないでください。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、戻ったオレはチュチュをパレオの時と同じようにやって送り返した後にオレは最後の調節を行った。

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

(明日は、レイヤに香凛と、満…………か。

 

もう少しだ……あと少しで光を取り戻せる……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

待っていろ…………雅紀慧悟……!!!)

 

 

 

 

 

 

オレは、決してお前を…………逃すわけにはいかない…!!!

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

24,どこか大人びている奴は必ず一人はいる

最後はレイヤです。もうここまで書くの結構しんどかった。
そして、前から出てくる雅紀慧悟……


皆さんはこの名前を聞いてどこか聞き覚えのある人はいますかね。


 

 

 

 

 

 

 

 

ククク…………………………

 

 

 

 

コレで…………ぼくも光の戦士に……!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「_____ッ!!!」

 

 

 

 

夢か…………何だか最近この手の夢を見るようになった。雅紀慧悟…………お前は何故そこまでに光を…………力にこだわる…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…いかんいかん、今日が退院の日だってのにこんな顔してたら、レイヤ達に不安を煽ることになる。何とか来る前にこの雑念を振り払わなくては…………

 

 

 

 

 

オレは急いで現場に向かう為に蒼いコートを羽織って、閻魔刀も手に取って彼らが来ることをひたすらに待った。何で、軽く武装してるかって?

 

 

 

 

満に…………雅紀慧悟が潜んでる場所に送って貰うためだよ。オレは人を送ることはできても、今の自分ではそれが出来ない。恐らく…………オレの中にいる闇しか出来ないんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もし、奴がホントに光の巨人になったとしたら…………ホントに地球を守ってくれるのだろうか…………?

 

 

 

 

 

 

 

ひょっとしたら、オレは必要無いんじゃ…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイヤ

 

 

「そんな事ないよ、海音は私達にとって、なくちゃいけないんだよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな考えに囚われていたら急にレイヤがこっちに声をかけたことで現実に引き戻された。と言うより、さっきのぼやき全部聞いてたんだな…………。そうだ…………やつには光はあっても……オレたちの光とは違う………………アイツには光の中に欲望も混じっていた。そんな奴がウルトラマンと一体化しようとしたところで……無理に決まってる………………身体が持たないぞ……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

香凛

 

 

 

「あのさ、海音…………もし、海音以外の人が光の巨人になったら…………どうなる?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………選ばれた人以外が光の戦士になることは無いよ。むしろ、生身の人間には耐えられないよ…」

 

 

 

 

 

 

香凛がそう聞くと、後ろから満がなにか含みのある言い方をしてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さ、こんなジメジメしたのは終わり…!早く外に行こう。」

 

 

 

 

 

 

と、先程と打って変わって明るく優しい顔つきの満になっていた。そうだよね。確かにやっと海音と一緒に音楽を奏でられるのだから、もっと喜んでいいよね。

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

 

(満の奴、表情………………無理矢理にでも変えてるな。いずれ……壊れなきゃいいがな…………)

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで気になる点はあるものの、無事に病室を後にしたオレに楪から1本のボイスメッセージが来た。

 

 

 

 

 

まあ、どうせアイツのことだろうから、変な実験の録画だろうと事務所に戻ってから1人で見ようとした時に、

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「…………怪我は無いな……足元をすくわれるとはな、お前らしくない……平気か…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイヤ

 

 

 

「…うん、ありがと…………平気だよ。

 

それより…………その、手を離した方が……」

 

さっきからレイの歯切れが悪い。何か顔までハッキリではないが赤くなってた……疑問に思ったオレがふと下を見ると…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あっ……………………

 

 

 

 

 

 

 

流石にオレも羞恥のあまりに手を離してしまった。

チュチュという女がいながら、オレは何てことを……

転びそうになったレイヤの手を引いて、互いの顔が向き合って、近い状態にあったんだ。

 

 

 

海音

 

 

 

「……悪かった。別にやましい事があってのこれではない。」

 

 

 

 

 

レイヤは「ありがと」とだけ伝えた後、何故かレイはオレの体へ手を回し、後ろから抱きしめられてる感じになってしまった。

 

 

 

 

 

 

ホントに……どういう展開だよ…………混乱以外に何があるってんだよ……香凛は遠くから小悪魔的な笑みを見せて見守ってるし、満はどういう訳か香凛に両目を覆われていて疼いている。コレはアレか……………………アレをやれというのか……。

と思った瞬間、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……チュッ……………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ますきやチュチュよりも長くされていたのだろう…………

 

 

互いの呼吸が乱れている。もう永く味わってない感覚だからすごく疲れた……肉体的にでは無く精神面で…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイヤ

 

「私達も頑張るね。

 

 

貴方たちと私達RASが本気でぶつかれるように………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、まさかのレイヤからの宣戦布告。しかもさっきまで顔を紅潮させてたのにすぐ真面目な顔つきでそういった。

六花の奴…………遂に全部話しやがったか………………まあ、これも時間の問題だったからな………………

 

 

 

 

そう、オレはRASのマネージャーになる以前、

 

夏那、結莉、香凛、オレと輝、楪に満の計7人でバンド活動をしていた。『EBA』にも出場して殿堂入りも果たしたし、もう…………オレたち『Revival Glitter´s』を超えるやつらはいない…………そう思ってた。

 

 

 

 

 

 

 

だが、RASとガールズバンドの奴らなら……………………

 

 

 

 

オレたちをも追い越していくのかもしれん……。

 

だから…………オレは奴らと………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「……ああ、本気で来い……オレたちが全力で迎え撃ってやる。」

 

 

 

 

 

RASの挑発に乗ってやることにし、満に奴が潜んでいる場所へ空間を通じて送ってもらった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

香凛

 

 

「やっぱ海音もどこか…………成長してるのかもね。

RASと出会ってからだいぶ変わった。」

 

 

 

 

レイヤ

 

「そう?

確かに……前にあった時よりは丸くなった感じはするけど……」

 

 

 

 

 

それは、きっと………………君達に心を許してるんだよ。

現にチュチュちゃんって言う恋人もいる訳だしね。

 

 

 

 

 

 

 

「僕達も行こぅ!!みんなの所に!!」

 

 

 

 

 

 

ボクは楽しそうに女子トークしてる二人をそう呼びかけ、楽しそうに走ってく二人を後ろからボクは優しく見守った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(海音くん、君はきっと………………いや、必ず…………暗黒の世界に落ちたとしても…………君の心の悪魔に囚われてしまったとしても、

 

 

 

 

 

 

 

 

ボクは……………………常に君の横を歩き続けるよ…。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現場に急行した彼を…一人の青年は良き相棒でありたいと強く願った。

 

 

 

 




もうそろそろ次あたりで海音と慧悟が激突する文面書こうかな。


もし気になるって人はどんどん感想書いても良し、高評価するも良し。


たくさん来ることお待ちしてますね……?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

25,闇に堕ちた戦士

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

「満さん、なぜ私たちを連れていかないんですか。」

 

 

 

ごめんね…………急に…………

 

ぼくもさっき紗夜先輩とばったり会っちゃって…今正座させられて……

いやどういう状況って言われたって、こっちも訳が分からないんだ。話を少しだけ前に戻そう…

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間前……ボクは海音くんをある場所へ転送した。光と闇の決着の為に……………その後、ボクは香凛を先に帰して、レイさんと一緒にチュチュちゃんのマンションへと向かった。彼女達も、そこに送り光を届けてもらう為にみんなを呼ぼうかと思ったが、RASのみんなは練習なのか、既に集まっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六花

 

 

「え?今日は満さんなんですね。」

 

 

 

 

 

 

パレオ

 

「ですが、今日は海音さんが練習を見るのでは?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

RASは海音くんの指導する姿を楽しみにしてるだろうけど…………この気持ちを踏みにじる感じで口に出すことを躊躇ったが、ここで言わなくては、もっと大きな被害が出るので、意を決してあることを伝えることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「海音くんは…………今日は来ないよ。」

 

 

 

 

 

ますき

 

 

「は?何言ってんだ?まさか、何かあったんじゃねえだろうな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

心配になるのもわかる。でも、ここで引き下がるわけにもいかない。

 

 

 

 

 

 

 

「話は後でする………兎に角、ボクの手を触れて欲しい。直ぐに送るから。」

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

 

「…また、Monster?」

 

 

 

 

モンスター…………確かに怪物なのは間違いない。

でも、今度の奴はれっきとした人間だ。人間が光の巨人になろうとした姿が相手だ。完全破壊していい怪獣とは訳が違う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「理解が早くて助かる。

 

 

僕もすぐに後を追うから、君たちは先に海音くんに光を届けて欲しい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光を届けて欲しい…………?そんなのどうやって…………でも、満の表情が真剣な顔つきでとても冗談を言っているようにも、断れる状態でもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

六花

 

 

「は、はいっ!!

し、失礼します……」

 

 

 

何とか全員を説得して、満が「頼んだよ」と呟いた時には、満さんの姿はなく代わりに映っていたのは、私達の町とは違った。街中には変わらないけど、奥に城があって日本でも、別の場所にいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何とか、RASを送ることには成功した…………香凛達が待ってくれてるといいけど………………あ、香凛達は事務所に転移門が張ってるからそこから移動できるから、それについては心配ご無用。

後は………………Roseliaに会いに行くか……

そう思ってマンションを後にした時に…………………………

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

 

「あら?満さん…………?何をしているのですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ…………」

 

 

 

 

 

リサ

 

 

「どうしたのって……満じゃん!!RASの練習はもう終わったの?」

 

 

 

 

 

 

どうしよう、紗夜先輩だけじゃなくて今井先輩もいるなんて………………RASのみんなを転移させた座標と近すぎる…………もう少しだけ後ろに…………と、背中に何かとぶつかった感触がした。

 

 

 

 

 

 

「どこへ行くつもり…?」

 

 

 

 

 

 

 

終わった………………湊先輩まで来られたら、もうおしまいだぁ…………Roseliaの中でも圧の強い三人がそろい踏みしてしまったら、テコでも動かないだろう。

 

 

 

 

 

 

あこ

 

「もしかして、あこ達よりカッコイイことを目指してるの!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

燐子

 

「あこちゃん………でも、心配……です。なにか悩んでるなら、言ってください…………力になります。」

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

 

 

 

「満さん、なぜ私たちを連れていかないんですか。」

 

 

 

 

 

 

 

そこから冒頭のやりとりへ戻る。

 

 

 

 

 

と、立て続けにあこたちが来てしまい、完全な八方塞がり。

 

逃げ場のない真実にボクはすぐに折れたな……

メンタル弱すぎ?そんなわけないよ。あのRoseliaだよ?無理に決まってるよぅ…………!!!ふと時計を目をやると、もう一分を過ぎていた。

 

 

 

 

燐子

 

「サイテックビル…………に…いるんですよね………海音さん…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サイテック……九州に位置して最大規模の科学の力とエネルギーを開発している。そこに奴はいる。一分は経ってるからそこに送ることが出来る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「サイテックビルの周辺に君達を送る。

 

 

……そこにRASと出会うかもしれないから、どこか安全な場所にいて欲しい………………あと、全員目を瞑ってくれ。座標がズレるかもしれない…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、神妙な面持ちで告げてきた。それは問題ないのですが………

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

 

「満さんは、どうするつもりですか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君達を送った後にすぐ追うよ。」

 

 

 

 

 

そんなことが出来るわけがないと思いながらも、そんな摩訶不思議なことが可能なら…………日菜も喜ぶかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ごめんなさい…………こんなに自分勝手で…………

 

でも、世界を救うことが出来るのは海音くんやボクのような怪物しか出来ないんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

「……ハァ…ハァ………ハァハァ」

 

 

 

 

 

 

サイテックビルの中に潜入成功。その研究室で標的の雅紀慧悟を確認。逃亡を図り、様々なシステムが妨害に入るが、悪魔となった俺にはどうということは無い………………完全に閉じられたシャッターもこじ開けることなんてわけない。ゆく先々に阻む人間をも斬り捨て、階段をしばらくかけ降りると、真っ白で薬品くさい空間が一転、土埃が広がり、二体の石像が佇んでおり、その御前に台座がある。

 

 

 

そんなまるで地下神殿の如く神聖な雰囲気を醸し出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

 

 

 

 

 

「ココは…………こんな所にこんな場所が…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

慧悟

 

 

「来たか…………光の戦士。」

 

 

奴は柱の横から白衣の姿で現れた。くそ、何度会ってもいけ好かん奴だ。しかも、台座をよく見ると、ウルトラマンの光のスパークレンスが供えられていた。

 

 

 

 

慧悟

 

「見ろ、この俺の神々しい姿を!!!俺は神に近づいたのだ!!!俺に続け!!!」

 

 

 

 

 

さらに、奥をよく見ると、二体の石像が…………一つは怪獣…………もうひとつは………………俺に声をかけたあの巨人によく似てる。

 

 

 

 

 

海音

 

「よせ…それはお前らが悪用していいものじゃない…!!それを下手に手にしようものなら、世界は壊れゆくだけだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

慧悟

 

 

 

 

「その世界を…………いや、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その『神』を超えたのだ!!!!!

 

 

 

 

この光を使って、俺は滅びの予言を止める!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「…!!

待て…………慧悟!!!!!」

 

 

 

 

滅びの予言…………あのキリエル人も言っていた。だが、今はそれを気にする暇などなかった。

オレは、慧悟の手を光から引き剥がそうと近づいた瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「ッ!!?

 

 

 

 

 

ぐぅっ!!!!」

 

 

 

 

 

 

台座の前まで来た時に、激しい電流が流れ、オレは弾かれて壁に打ち付けられた。あの光は人間には強すぎる光だ………………

 

 

 

 

 

 

 

慧悟

 

 

 

「俺は進化した人類だ!!愚かな旧人類は、俺に導かれることが唯一生き残ることの出来る道だ!!」

 

 

 

 

 

オレが蹲ってる時に、奴は石像の巨人とひとつになろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

「……クソ、」

 

 

再び柱の電流が流れ何度も弾かれてもう、身もボロボロの時に、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

慧悟

 

「もっとだ…………

 

 

 

 

 

もっと『光』をぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遅かった………………何もかもが…………満が告げていたことが現実となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

雅紀慧悟の光を完全に取り込んだ巨人は地上へと突き破り、ある場所へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれ、あそこから何か来る…………

 

 

あの特徴的な姿は…………

 

 

 

 

 

 

 

 

あこ

 

 

「あ、ウルトラマン!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その呼び掛けに反応したのか、巨人は一度立ち止まり、彼女達を見つめていた………………だが、

 

 

 

 

ますき

 

 

 

「……待て…アイツ…何か変じゃねえか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

確かに、ますきさんが言う通り、光なのか靄がかかったようによく見えないが、全体的に銀色に輝いていて、胸のラインも似ているが、目が青く、やけにつり上がった目付きをしていた。そのウルトラマンティガ(?)は、どういう訳か、彼女達に向かって…………

 

 

 

 

 

レイヤ

 

 

「……!!!ティガじゃない!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャァアッ!!!

 

 

黒い光弾を放ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

何とか交わしたものの、そのウルトラマン(?)は彼女達がいる街………………「熊本城」へ降り立った。

 

 

 

 

そこから、更なる異変が起きた。

 

 

 

 

 

 

ヴゥウ!!?ォォオア!!!アアアア!!!

 

 

頭を強く抱え、しばらく悶えたあと、正気を取り戻したのか、光の靄は完全に消え去り目つきが悪い、悪のウルトラマンが姿を現した。雅紀慧悟の人間としてのあまりに強すぎた野心・慢心さ故、彼の光の意志を闇に落としていったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、

巨人の腕から黒い光弾が放たれ街中を飛び交い、町は壊れゆく。特殊部隊の光線も光弾も、奴の展開した円状の紫のバリアで弾かれ、逆に街に跳ね返ってしまい、全機撃墜。無闇に手が出せないでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ますき

 

 

「クソ!!こんな時に海音は何やってんだよ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

「………………くも………よくも、

本物のティガを返しなさい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴォォアア!!

 

すると、一発の光線が奴のバリアを貫き、直撃した巨人は倒れ込み、痺れているのか身体が上手く起こせないでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく、貴方はいつもいつも厄介事を持ってくるわね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ゴメン、僕も分かってるんだけど…………」

 

 

 

 

 

なんと、楪と満の二人が奴の破壊活動を阻害していた。

安全地帯に避難した私達全員がこう祈りを捧げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『助けて……………………ウルトラマン!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お待たせしました…………


みんな大好きイーヴィルティガさんの登場です。
当時は僕も闇堕ちウルトラマンの中でも一番好きなやつです。悪役なのに何故かそこにカリスマ性を感じてしまうのですよ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

26,『影を継ぐもの』

雅紀慧悟が地下神殿にて、自ら光になったものの、海音よりあまりにもひ弱な光の意思が、巨人の圧倒的な力を制御しきれずその心を闇へ染め暴走を開始、悪の戦士として熊本城を襲撃。




果たして、彼女達の光は…………彼らに届くだろうか……


 

 

 

 

 

 

『助けて………………ウルトラマン』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

!!!!

 

 

 

 

 

いま、俺を呼んでる…………?しかもこの声って………………そう思うと、スパークレンスは再び光りだし、石から開放された怪獣は大地を大きく揺らがし、その姿を現した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リサ

 

 

「な、何アレ!!まさかホントに怪獣?!」

 

 

 

 

 

 

 

みんなが恐怖に震える中、怪獣は穏やかな鳴き声をあげた。

 

 

 

怪獣が現れたにも関わらず、満は光線を撃とうとはしなかった。

 

 

 

 

紗夜

 

 

「なぜ攻撃しないのですか!!このままでは…………!!」

 

 

 

そう焦るも、その異変はすぐに周囲に伝わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウゥウウウ………

 

 

 

 

 

ますき

 

 

「んあ?

 

 

 

 

アイツ…………あのティガに向かってねぇか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、この怪獣は鳴き声を上げたあと、人類や建物には目もくれず、ただただ闇に落ちた巨人へと一直線。ウルトラマン特有のカラータイマーが胸にあり、見た目は怪獣でも攻撃の意思を持たない友好的な生物だ。

 

 

 

 

 

 

そして、怪獣と巨人との目線が合った時、巨人は奴にも光弾を放った。しかし、それを怪獣は避けようともせずただただその身一つで受け止めていた。

 

 

 

 

六花

 

 

「あの怪獣さん………………ウチらを…………守っとるん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いや、彼は…………戻ってきて欲しいんだ…………

 

 

 

 

 

 

 

あの時の優しかった彼に…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何度も光弾を受けては、投げ飛ばした後、怪獣を思い切り踏みつけた。それを荒々しく何度も何度も…………しかし、怪獣は反撃はおろか、何もせずに、起き上がっては必死に巨人の肩を押さえては、あの鳴き声をあげたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まるで………………何かに訴えかけているかのように………………

 

 

 

しばらくするうちに、怪獣からカラータイマーの点灯とともに警告音が鳴り響いた。エネルギーが残り僅かの証拠だ。だが、一切気にすることなくただただ向かって巨人の暴走を食い止めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

「このまま………………終わらせてたまるか…………!」

 

 

 

 

 

 

オレは電撃を放つ柱に何度も挑んでるが、これが最後のチャンスなんだと思う。それを必死にぶつけた………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「……グゥッ…!!!!

 

 

うぅぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何とか台座の前に抜けることは出来たものの、既にボロボロで立つのもやっとの状態だ。だが、ここで今行かなきゃ確実に世界は終わりを迎える………………オレは立ち上がり前へ進む…………挫けそうになってもひたすらに自分を鼓舞し続け………ようやく……

 

 

 

 

スパークレンスの奪還に成功した。すぐさまオレは、光の戦士の力を解放した。

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

(待っていてくれ…………みんな………!!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんて強さ………………これが巨人の力………………地球を丸ごと破壊することも容易いその圧倒的な力………………

 

 

 

 

 

 

 

 

すると、遠くからもう一人の巨人が駆けつけてきた………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正真正銘のウルトラマンティガだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ますき

 

 

「…………来てくれたぜ…本物がよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヂャァッ!!!

 

 

 

 

 

 

ヴォォアア!!!!

 

 

 

 

 

 

ティガは巨人に飛び蹴りをお見舞いし、攻撃を受けた巨人もすぐに立ち上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウゥウウウ……………!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャァアッ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

!!!!!!

 

 

 

 

 

 

なんと、最後の力を振り絞って起き上がろうとしたところを、奴は光弾を放って妨害しただけでなく、怪獣の生命活動を完全に止めたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

(________ッ!!!!)

 

 

 

 

 

 

六花

 

 

 

「そ、そんな………………あの怪獣さんはアレを必死に止めてくれたのに…………」

 

 

 

 

みんなもこの異常の行動に戸惑いがあった…

 

 

 

 

 

 

しかし、驚いたのはここからだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

燐子

 

 

 

「……?

 

 

 

あの人…………震えてる…?」

 

 

 

そう、顔はマスクで見えてないが、確実に激しい感情を露わにしていた。彼を必死に止めようとしてくれた友を……その友の手で亡きものへと変えたから…………。

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

(コイツは……お前の事を、身を投げ打ってでもお前を必死になって訴えてきたというのに……………………!!

 

…………オマエと言う奴は……!!!!!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ンンンンンンンンンン……

 

 

 

 

 

 

 

フッフッフ…………

 

 

 

 

 

 

巨人は拳を握りしめているに対して、

巨人は体勢をそのままに、未だに嘲笑っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは………悲しみと………………

 

 

 

……怒り?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フンゥゥゥゥゥゥゥ…………!!!!!

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

(お前だけは…………絶対に許さん………

 

 

 

 

楽に終わらせてなるものか…………!!)

 

 

 

フッ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フゥゥォォォォオアッ!!!!! ヴゥゥェアッ!!!

 

 

 

 

 

 

悪のウルトラマンは両手を広げ余裕の戦闘態勢に入り、

 

 

 

チャァッ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ティガも憤激に満ちた戦闘態勢に入り、互いに飛びつくように飛び蹴りが入る。

 

 

 

 

 

 

 

本格的な巨人同士の激しい戦いが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

互いの蹴りが一発、二発、三発と同時に繰り出されては互いに弾かれ、反対の足での蹴りも同じく互いに傷をつけられず、見るからに強さは互角だった。

 

 

 

 

 

双方のカラータイマーを同時にパンチして、

漸くダメージがお互いに入った程だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ティガ(?)は腰を引いたあと、両腕を広げた状態で徐々に交差させ、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ティガも、腕を引き、交差させた腕を広げ光を集中させた。

 

 

そして、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャァッ!!!

 

 

ハァッ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

ティガから放たれる白い光線、悪のティガから放たれる黒い光線、

 

 

 

 

 

その二つがぶつかって押し合いの状態にまで持ち込んだ。その後、二人の力が強すぎたためか、途中で爆発を起こし大きく吹き飛ばされた。ティガは素早く体を起こすに対し、悪のティガは吹き飛ばされても腕をバネのようにしならせアクロバティックに起き上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

「こ、これが…………巨人同士の……戦いですか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この場にいた者全員圧巻されていた。それもそうだ、あの正義の味方でもあるウルトラマン同士で戦ってるのだから。

 

 

しかし、彼女だけは少し違った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「No…………これは…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『私達人々の(Heart)が引き起こした戦い(Fight)』よ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

ここまで力強く心に訴えかける人間が…………

果たしているだろうか……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カコンッ…カコンッ…

 

 

ヴゥウ!?

 

 

 

 

 

 

リコンッ…リコンッ……

 

 

フッ!!

 

 

 

 

 

互いのカラータイマーが赤く点滅を始めた。

アレだけの激しい攻防を繰り広げたのだ。戦ったぶんの消費エネルギーは大きいはずだ。

 

 

 

 

 

 

ヴゥゥゥオォオオッ!!!! ヴゥゥェアッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

!!

 

 

 

 

ハァッ!!!!

 

 

 

エネルギーの低下にヤケになったのか悪のティガは、ティガに向かって走り出し、

 

 

 

 

 

 

 

ティガはそれに対抗するかのように、彼もまた悪のティガに向かって走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悪のティガは飛び上がったあと、一撃を込めた蹴りを…………

 

 

 

 

 

 

 

 

ティガは、同じように飛び上がり、チョップを…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やつの脚が先か、

 

 

 

 

彼の手が先か………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴゥゥェアッ!!!

 

 

 

 

 

ヂャァッ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カコンッ…カコンッ…カコンッ…

 

 

 

 

 

リコンッ…リコンッ…リコンッ…

 

 

 

 

 

恐らく、攻撃を受けたタイミングはほぼ同じ。

着地したあとから、両者はピクリとも動かない。けど、それは長くはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

ヂャァッ…!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リサ

 

 

「ティガがっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

なんと、攻撃を受けてたティガは膝をついてしまった。エネルギーの残量もあるが、変身者が怪我から治ったばかりなためでもある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フッフッフ………………

 

 

 

 

 

悪のティガは一歩届かなかったティガを嘲笑うかのように振り向いた。もはやここまで、誰もがそう思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴゥウ!!!?

 

 

 

 

 

オォォアッ………。

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、やつにもダメージが大きかったのか、完全に地面に伏してしまった。その後何とか起こし、黒い光線を放つ準備をするも、体を起こすのが精一杯なようで、よろめき出し失敗。

 

 

 

 

 

 

 

 

ハァッ!!!!

 

 

 

 

ティガは力を振り絞り、必殺光線を悪のティガに放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

オォォアッ!!!

 

 

 

 

 

それを見事に受けた悪のティガは光の粒子となり、完全に消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイヤ

 

「勝った……………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いに勝利したティガは真っ直ぐに、

瞳を閉じた怪獣を持ち上げ、

 

 

 

 

 

 

 

ヂャァッ…!!!

 

 

 

 

 

宇宙の彼方へと消えていった。しかし、その背中には後悔と悲しみに溢れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、慧悟はというと………………

 

 

 

 

 

 

 

慧悟

 

 

「クソっ!離せ!!俺が行かなきゃ…!

世界は崩壊する!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

香凛

 

「ハイハイ、ちゃっちゃと歩くっ!」

 

 

 

 

香凛が所属する特殊捜査部にお縄をちょうだいされた。

尋問の際にも、意味不明の発言を繰り返していたとのこと。

もう、これ以上人間達が力に執着させないようにするしかない。

変身者によっては光にも闇にもなり得ると言うことを、教えられた一件だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「海音っ!!Are you okay!!?」

 

 

 

 

 

 

オレの方も無事に戻ることに成功したものの、すぐさまチュチュに

駆け寄られ、何故だか変に意識してしまう。楪曰く、それが『恋』なるものらしいが、イマイチ実感が湧かない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ますきにそのことをそれとなく伝えるも、アイツは「それはお前自身で考えを見つけろ」の一点張りだし…………

レイヤはそういった事にあまり関心がないだろうから参考にならないし、

 

 

パレオとロックに至っては、思考が暴走しだしたら止まらんから別の意味でチュチュより大変だ。

 

 

 

 

 

 

でも、ホントに被害が飛ばなくてよかった………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(…海音くん…………君は光も闇も上手に使いこなしてるよ……近いうちに強大な敵と出逢うだろうけど、乗り越えられるはず……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あこ

 

 

「リサ姉!あの巨人達の戦い…………

 

 

すっごいカッコよかったよね!!!」

 

 

 

 

燐子

 

「うん、あの怪獣さんには悪いかもだけど……もう大丈夫だよね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ああ、コレは怪獣から街を守るための戦いじゃない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレたち人間の心が招いた悲劇だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ガーディー…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

六花

 

「?

 

何かありました?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや、なんでもないよ。それじゃあ…………帰ろうか。

 

 

 

 

僕らの街に……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

満さん…………うちらに何か隠してる、でもそれが何かは分からない…………私たちでも分からない。これだけは分かる。

 

 

 

 

 

 

いずれはこれ以上の困難に落ちることになることに…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

熊本の街の復興を数分に終わらせた後、満の力で無事に帰ってこれました。やっぱここが1番落ち着くわー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、彼女………………レイヤは

気づいていた。

 

 

 

 

 

 

 

レイヤ

 

 

(何?この気味の悪さ…………まるでまだ何かいる……そんな気がする…………それも、今までのとは全然違う……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人類と世界の崩壊は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すぐそこまで迫っていた。




仲良しだったはずのガーディーに幸せが来る事を祈って、光を捧げます。ガーディー…………………………ありがとう。




あと、ピッタリ4000にするの大変だった。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

27,運がないってのは、こういうことを指すのだな。

 

 

 

 

 

 

 

………アイツ…黄泉の国で元気にやってるかな。

オレはあの一件以来、あの怪獣が気がかりで、学校に行けずにいた。

 

 

 

 

しかし、この日だけは休むわけにはいかない。何故なら、今日は………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「海音っ、今日は来たのね。そんなに修学旅行が楽しみだったの?」

 

 

と彼女らしい小悪魔な顔でニヤニヤしてた。

もちろん、初めてだから楽しみで来たのもある。だけど、ホントはオレとチュチュの未来の家を探すためでもあるんだけどな。まあ、それは誰にも言ってないので、満以外にはバレていない。

 

 

 

 

 

 

 

「修学旅行ならおやつはいくらまでですか!!!」

 

 

 

「部屋に女子連れ込んでいいっすか!!」

 

 

「〇〇ライダーごっこやっていいですか!!!」

 

 

 

と、まあ……人生で数少ない修学旅行ということもありクラス中騒がしかった。あ?オレはどこにいるって………………正式に花咲川の生徒になったんだよ。満は花咲でも羽丘でもない別の場所になったけど、会えないわけじゃない。俺の話はどうでもいいが、とりあえず突っ込みたいことがある。

 

 

 

 

 

 

 

『おやつはいくらまで』って小学生かよ!!!

 

 

あと、部屋に女子連れ込むとか何考えてんだよ!!絶対に先生が許可するわけないだろ!!まあ、先生が認めたとしてもオレが拒否するがな!!!

 

 

 

 

 

しまいには…………仮面〇〇〇〇ごっこって………………もう、別ジャンルのヒーローをぶち込んで来てもう、笑いが止まらん。堪えるのも楽じゃない。

 

 

 

 

なんやかんやあって結果、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アンタの班に女子しか居ないって、女運無さすぎじゃない?」

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「………………全くだ……何を考えている。オレが女に大きな関心がないとはいえ…………この無理矢理組んだような感じだ。」

 

 

 

 

 

 

 

何を隠そう、オレの班のメンバーが…………

 

 

 

 

氷川紗夜。

 

白金燐子。

 

 

そしてオレの三人組構成だ。

 

 

 

ハッキリ言おう……………………

 

 

 

 

 

 

『苦痛』でしかない!!一人はきっちりしてるように見せかけてポンコツだし、一人は極度のコミュ障ときて、三日間を乗り切れる自信が無い。まあ、何かあれば……あいつを呼び起こすだけだが、彼女達にまで刃を向けそうな気がする。それだけが心配だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

班が決まったことで、修学旅行だということなので、必要なものを揃える必要がある。今日はそれに向けて、買い出しに駆り出されてる。まあ、オレは持っていくものなど、何も無いからアイツらの荷物を持ってくだけだが…………

 

 

 

 

レジャー一式はもう、ケースに入れてるので全く問題ない。

 

 

しかし、アイツらの買い物が長いことだけは憂鬱だ。「少しだけ待っててください」言っておきながらかれこれ30分は待ってる。オマケにオレの手荷物に加え、二人の荷物も持ってるからかなり足に負担がくる。重い…………そろそろ痺れてきた…………

 

 

そんな時に、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リサ

 

 

「あ、海音じゃん!!やっほー♪」

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「……リサさん、なんの用でここに…?」

 

 

 

日菜

 

「アタシもいるよ!!」

 

 

おいおい、確かに花咲川と羽丘と合同でやるってのはわかってたが…………この組み合わせには聞き覚えがあった。

 

 

 

何故なら、この組み合わせのもう1人のメンバーが…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゼェ…………ゼェ……兄貴…アンタ……こんな奴らと関わってたのかよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

今は二人に連れ回されて息と財布に悲鳴をあげてる輝だ。

 

 

 

 

 

 

その姿が、何だか昔を思い返すようになったから、

 

 

 

 

海音

 

 

 

「……Must die……」

 

 

 

 

 

 

「ハハッ、兄貴も相変わらず辛辣だな。まあ、宿でも仲良くしてこーぜ。」

 

 

 

そう言うと、息が整ったのかすぐさま軽い足どりで買い物を続けた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

燐子

 

 

「…ご、ごめんなさい…時間かかってしまって。」

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「……構わん、バスはもう来てる。早いところ乗り込むぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

アレから数分で戻ってきた二人はホントに申し訳なさそうに謝ってきたので、オレはそれ以上責める気にはなれず、さっさとバスに乗って指定された座席で即座に心を鎮め、気を高めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方……彼女たちはと言うと、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「_______!!!」

 

 

 

ますき

 

「チュチュ、少し落ち着けって…………別に、海音がなんかした訳じゃねえからよ。」

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「わかってるわよ!!でも、でも……!!」

 

 

 

 

 

レイヤ

 

 

「海音だって自由はあるんだし、それを私たちが奪うのはおかしいよ。」

 

 

 

チュチュ

 

 

「ワタシだって、ここまでに海音を縛りたいとは思ってないわ。でも、もしものことがあればいてもたってもいられないのよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、彼女たちはチュチュのマンションのモニタールームにて、海音の行動を撮っていた。盗撮?気にするなっ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

「海音……別の女にデレデレしてんじゃないわよ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

!!!

 

 

何だ?いや、この気は…………ちゆか…………

 

 

別にオレはアイツら欲情する訳でも無いというのに、心配性だな……オマエは……

 

 

いつもと変わらないちゆに安心と呆れが半々……こういうのも、思ってたよりも……悪いものじゃないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ………………出発前からダリィってなんだよ。」

 

 

 

 

 

 

 

リサ

 

「ごめんごめん。まあ、眠かったら寝てていいからさ!ね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全く…どの口が言ってんだか………………あんたらのおかげでコッチは既にクタクタだよ。悪魔なのに…………情けねぇや。

 

 

そう言われてからほんとに眠くなってきたので、眠ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

数時間後に目的地に着いたのだが、降りた際にも何故か今井の奴は、顔を俯いたままなんか呟いてて聞こえねぇしよ、日菜に聞いても「え〜?分かんない〜♪」って言われるだろうし、「置いてくぞ」って言ったらマジで着いてきやがったよ。

 

 

 

マジかよ…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

旅館について、オレたちはすぐさま部屋に入った、その感想は…………部屋自体は和室でとても美しかった。日本のロマンを感じさせてくれる。だが、問題はそこでは無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『男女混同の部屋』だった…………

 

 

 

 

 

 

 

ホントに教諭は何を考えてるんだ?それに、悪魔の気配も感じるから対処せねばならないのだが、彼女たちがいる手前、魔人に変身できない。

 

 

 

 

 

海音

 

 

「…………場所を間違えたのかもしれん。」

 

 

 

 

 

紗夜

 

「いえ、ここであってるはずですが……」

 

 

 

氷川よ……オマエが恥じらいというものを知らんとは思わんかった。いくら頼れるからとはいえ、オレだって限界はある。救えるかわからん。

 

 

 

 

燐子

 

 

「あの、海音さんが良ければ…………その、一緒……でも…………構いません……」

 

 

と、燐子までオレの退路を塞ぎ、弥助から教わったものとは違う意味で軽く詰んだ………………。女の居る部屋に泊まることが恥ずかしいのもあるが、何よりチュチュの圧と殺意が漏れている!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「そんなのはいいから、湯船に浸かって休めておけよ。」

 

 

 

 

 

と、軽くあしらい浴場へと向かわせた。こっちも準備が終わり次第向かうけどな……

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっ、兄貴も来たか!久々に…」

 

 

海音

 

「やめろ馬鹿者。こんなところで騒ぐんじゃない。」

 

 

 

 

 

輝は多少不貞腐れてるが普通に無視した。あれは不貞腐れてる訳じゃないことを知ってるからだ。しかし、日本の銭湯はやはり温かい。

コートを身にまとってるのもあるが…………なに?浴室内では服を脱げ?バカを言うな…………魔法を施してるからそんな心配は不要だ。

 

 

 

 

「……にしても、満のやつ……全然来ないな。」

 

 

 

 

 

海音

 

 

「何?アイツが…?何故…」

 

 

 

満の学校も同じ旅館で修学旅行だったというのか。いや、そうでなきゃおかしい。だが、よりによって3校が修学旅行になっちまうなんてな………………ここまでいくともう、誰かが仕向けたとしか言えん。

 

 

海音

 

 

 

 

(ん?

 

 

この波動は…満……!!!?お、おいおい!!!

 

 

 

確かそこって…………!!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その満はと言うと_________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………気持ちいいなぁ…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ、ホントにこれでよかったのか?いくら何でも他校を巻き込むのはまずいだろ…」

 

 

 

「あ?何言ってんだよ、それに、アイツ馬鹿だし…www」

 

 

 

「ちょっ、おまっ、声デケェよ!!」

 

 

「にしても、アイツ…騙されてるにも知らずにまんまとハマりやがって…………ざまぁwwww」

 

 

 

 

 

 

アイツはいいようにされたんだ。

 

 

 

 

 

そして………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

きゃあああああああっ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事件は起きた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

女湯の方に男子生徒が侵入したとの通告を受け、すぐさま先生が調査に入った。そこで、数人の容疑者が浮上したのだが、オレたちには一つだけ気がかりなことがある。

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

(満の奴、何故お前がそんな事をする。)

 

 

 

 

 

 

 

満がそのひとりとして挙げられていた。何でも、生徒の一人が女湯から犯人は出てきたということ。そして、その時間に女湯にいたのは満ひとりだ。どう考えても満が犯人になってしまう。幸い、ガールズバンドのヤツらはあまり信じていないけど、やはりショックというものはあるだろう……あまり関わりを持ってない人からは、完全に満をゴミを見るような目で見下げていたが、当の本人はそれに気づいてないのか、この時でも、笑顔を絶やさなかったことで、より反感を買った。

 

 

 

 

生徒が散ったことを確認したあと、こんなことを聞いてみた。

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「満…………オマエ、ホントに男湯に入ったのか?オレたちはお前を信じてるが、その真相だけは知りたくてな…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん!写真もあるから。」

 

 

 

 

そう言って満は写真を渡してきて、見てみると確かに満が向かってるのは男湯の方だった。やはり、満は何も間違ってはいなかった。満は何も罪を冒してはいなかった。オレと輝はその事を、急いで先生に訴えかけて、満の罪を不問にするように旨を伝えたが…………

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダメだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいおい、そりゃ無いだろ。当の満だって急に犯人にされて混乱してるんだぜ?」

 

 

 

「とは言っても、女子生徒の証言があるから…それに証拠を提示できないからな。」

 

 

 

 

やはり…………やはり、人間は…………いや、もうこの意思は持たない事を決めたんだ。ちゆにこれ以上手を焼かせるわけにはいかん。だが、このままでは何も知らない満が退学処分が下るのは確実だ。

 

 

 

 

 

海音

 

 

(早いところ何とかしなくてはな………

…満……待っていてくれ。

 

 

 

 

満もきっと力を貸してくれるだろうからな。)

 

 

 

 

 

 

 

そう思って行動したが、問題自体は一日でどうにかしてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

それも、満自身が……恐らくだが、満は今…………マズイ状態だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刻も早く、満を暗黒の中から引き上げなくては…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

 

 

(満…………誰を敵にまわそうとも、オレだけは隣にいてやる…………永遠にな…………)

 

 

 

 

 

 

 




ちょっとここから忙しくなるので投稿遅くなります。楽しみにしてる方には申し訳ないのですが、気長に待っていただければとおもいます。それでは頭も痛くなってきたのでこの辺で……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

28,修学旅行ってのはこんな修羅もあって修学旅行と呼ぶ(?)

満が覗き行為ってのも変だが、満が寝てる姿を誰も見た事がない。そう、そこがたった一つの違和感だ。気を失うのはしょっちゅうだが、眠ることはない。誰よりも遅くまでやって、誰よりも早く起きる。

 

 

 

 

一睡もしてないというのに、満自身はスッキリしたような顔つきだった。まるで、疲れなど初めからなかったかのように……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレは、コレに他意による犯行だと言う可能性がでてきた、いやもうそれしかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレたちが入った男湯は左手で女湯は奥手の方にあった。

 

だが、満が言うには…奥手に男湯だったと言っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

となると、その一瞬の隙を突いて入れ替えたとしか思えない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なら誰が?

どうやって?複数人での犯行か?

 

 

 

 

 

考えても謎は増えてく一方だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音…………一体何を考えてるの?

 

確かに満がやってないって信じていないのはわかるけど、

 

 

 

 

 

 

 

いけないいけない、海音がこう言ってるもの、ワタシだって彼を信じるわ。

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「パレオッ!!例の書類持ってきなさい!!」

 

 

 

 

パレオ

 

「はいっ!ただいまお持ち致します!!」

 

 

 

と、渡された書類へと目をやる。念の為にロックも羽丘だということで彼の監視も兼ねて同行させた………もちろん、脱衣所には複数の監視カメラが設置されていたため、海音や満のような人でない限り完全犯罪は出来ないと言ってもいい…………だけど、書類と映像を見返しても、満しか姿が映っていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

となれば、満の自作自演か…………それとも………………それ以前から準備を誰かが進めていたということになる。

 

 

 

 

 

 

こんな事言うのもなんだけど…………満って騙されやすいのね……いつも取り仕切っているから大丈夫だろうとは思ってたけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ったくよ……センコーってあんなのか?

……まあ、出てくる飯は美味かったけどな…!」

 

 

 

 

 

日菜

 

 

「あはは〜!!

ひー君口に物入れすぎ!!まんまリスじゃん!!」

 

 

 

 

紗夜

 

 

「全く…あなたが言えたことじゃないでしょ。」

 

 

 

リサ

 

 

「まあまあ、でもよく見たらホントにリスじゃん!」

 

 

 

 

 

 

 

燐子

 

「はい……なんか…和みます…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?

 

 

『リサ』だけにか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………………………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

この一言で、その場の皆が静まり返ったということは、言うまでもない……………………

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

「今日は災難でしたが、何とか解決して良かったですね。」

 

 

 

 

 

そう彼女はにこやかな表情でこちらを見てくるもんだから、思わず目を背けてしまった。すると、氷川には気づかれてないが、さっきから着信音が鳴り止まない。誰からって………………

 

 

 

ちゆに決まってるだろ。

 

 

 

 

 

えっと……内容は……………………冗談だろ…。

 

 

 

 

 

 

 

『海音っ、寂しい…………』

 

 

 

 

 

『海音……今居場所を探ったら…………何よ…』

 

 

 

『ちょっと海音!!何で女と一緒にいる訳?』

 

 

 

『まさか、ワタシというものがいながら……浮気でもしてるの!?』

 

 

 

 

 

 

『嫌よ、そんなのは認めないわ!!』

 

 

 

 

 

『何か返事しなさいよ!!!』

 

 

 

 

 

『待ってなさい海音……今すぐそっちに向かうわ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ソイツを消してワタシたちも幸せになるのよ…!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いかん…………そろそろ本気で乗り込んできそうだったから、すぐさま端末の電源を入れた。

 

 

 

 

 

「別に……Roseliaの奴らがいるだけだ。他意はない……それより、何故オレが一緒にいることを知っている。」

 

 

 

 

 

 

『それは、海音を盗さt…………他の女に取られたくないからよ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうか、オレは別にお前一筋だから心配する必要は無い。」

 

 

 

 

 

 

 

 

一瞬、盗撮とも聞こえた気がしたが、あえてそこには触れないでいた。何となくだが、普通の生活ができなくなる危険がある。

 

 

 

『じ、じゃあ!!

 

随時、このワタシに連絡をしなさい!!!いいわね!!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………オマエはオレの親か?

 

 

 

「分かってる……大人しく、じっとしてろ。」

 

 

 

 

 

 

『……No,problem……もう、そっちに着いたわ……。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

(なるほどな…………そっちに着いた……………………ん?

 

 

 

 

 

 

………………ハァッ!!!?着いた!!?着いてきたのかよ!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『大丈夫よ……部屋は別にあるから。ホントなら一緒が良かったけど……』

 

 

 

 

 

いや待て、それはほんとにやめておけ……

こっちは今は氷川がいる。それを見られた暁は…………

 

 

お前らの想像してる通りだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

「あんた達はもう、寝ておきな……明日も早い。オレが起こしてやっても構わんが……………………いや……なんでもない。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人はやはりその辺は素直だ。すぐさま布団に入ってった。驚いたことに燐子は生徒会の仕事で忙しかったためか、すぐ寝てしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

(…………満……やはり、アレは…………お前がやった訳じゃないんだよな…?)

 

 

 

 

 

そんな疑念を残してオレは眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ、海音寝たわね。

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「…………?あの光は…………それにあそこって……」

 

 

 

 

 

 

ある一室だけ妙な光が点っていた。しかも、海音とは別の部屋に……………………

 

 

 

 

しかし、次の瞬間光は消えてしまって真っ暗闇が覆われた。

 

 

その時に謎の違和感を察知した。

 

 

 

 

 

チュチュ

 

(Wait……何?この感じ…………今までのと全然違う…………この計り知れないDarkness…………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フゥアアアアアアアアアアアアアンンンッ!!!

 

 

 

 

誰も知らないところで、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『奴』は目覚めつつあった…………。

 

 

 

 




やれやれ…………満君…………可哀想だね……

まあ、その真相は満編で全て明かすつもりです。
楽しみにしててください。




最後に現れた影…………正体を分かってる人はいるんでしょうか……





目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

29,Take me higher!もっと速く!もっと高く!

もうそろそろ海音編も終わりにしようかと思います。結構長く描きすぎた感じが強くて……みんなも飽きちゃうだろうから切り替えてこうということになりました。



よろしくです。


 

 

 

 

修学旅行二日目…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

「……ん…。」

 

 

 

 

 

 

いつもより早く目覚めてしまった。まあ、早起きな事が悪いとは思っては無いですが……

寝ている人間を起こすのは気が引けるが、もうすぐ食事の時間になるのでカーテンだけでも広げた時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

(アレは、鬼龍さん…?)

 

 

 

 

ボヤけてて分からないが、海音の姿があった。しかし、その近くにいる人の様子が何かおかしい………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

視力がハッキリした時には、遅かった。

 

 

 

 

紗夜

 

「っ!!!?」

 

 

 

 

 

 

もう朝方だという時間に人だと思ってたモノは歪なナニカに変化して、海音の方もかつて彼女たちの前に現れた、あの悪魔の姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全く、こんな朝っぱらから悪魔と殺り合うなんてな。しかも今日はこの道を通って水辺で遊んで、遊園地にいって楽しむんだ。こんなところで膝をつくわけにはいかん。

 

 

 

 

 

海音(?)

 

 

 

 

「散れ…………悪魔が…」

 

 

 

そうして悪魔の力を再び解放したオレはすぐさま、スライム状の悪魔を相手に単騎で乗り込んだ。スライムと言うだけあって、身体中からアメーバ状の弾丸を無数に放つも、悪魔と化した海音には無意味だった。翼を六つに生やし。あの時よりもさらに皮膚が硬くなり、より悪魔らしさを引き立たせる姿へと変化を遂げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

刀をひと振りしただけで、至る方向から迫る弾丸を全て斬り落とした。しかも抜刀する素振りも見せずに…………

 

 

 

 

 

 

 

 

バージル

 

 

「貴様など刀の錆に値しない…………

 

 

 

 

 

 

この幻の剣で死ね……。」

 

 

 

 

 

 

そう言うと、スライムの悪魔を取り囲むように剣が複数現れ、刀を突き立てたと同時に、複数の剣が刺さり、見事にスライム悪魔は爆散し、すぐさま蒸発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バージル

 

 

「雑魚の相手などしてられん…」

 

 

 

バージルは直ぐに終わったことがつまらなかったのか、振り向きざまに完全に見下しその場を離れていき、そのまま宿の方に戻って行った。これがもう一人の彼のやり方だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい、遅せぇぞ!!もう飯は出来てっから早いとこ食っとけ。」

 

 

 

 

 

それだけ言って俺は飯に手をつけることにして、アイツのことを追求はしなかった。なぜなら、アイツは返り血を浴びてる、きっとあの悪魔のものだろう。奴が怪我をすることなんてそうそうない。

 

 

 

 

 

 

兄貴もそれを察知したのか、黙って飯を食い始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

 

「日菜、貴方…どれだけ食べるつもり?」

 

 

 

日菜

 

 

「えー?だって美味しぃんだもんっ☆」

 

 

 

 

リサ

 

「あははー!!

確かに、ここのご飯凄く美味しい、まるでプロじゃん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

燐子

 

 

「みなさん…………もう、終わりの時間が…………近くなって…」

 

 

 

 

 

 

 

「そんなに食って太んねぇのか?」

 

 

海音

 

 

「馬鹿者…そんなことを聞いてどうする…」

 

 

 

 

 

 

その後、輝はブチキレた紗夜と今井にフルボッコだドンされたそうな……………………まあ、直ぐに元に戻ったけど……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日はみんな大好き遊園地だ。

 

 

 

 

範囲内なら自由行動、どこに行ってもどこで食事をとっても良し、夢のようなイベントだ。

 

 

 

俺には少しだけ心配なところがあった。

 

 

 

 

 

リサ

 

 

 

 

「ワオ!ここここ!!プールまであるじゃん!!ね、ね、皆で行こうよ!絶対楽しいし!!」

 

 

 

 

 

とこんなことを言うもんだから、生徒会の二人は顔を赤くしてるし、日菜に至っては目を輝かせている、しかも何気に全員水着持ってきてプールで満喫する気満々らしいし…………。ちなみに、輝は日菜とは違った意味で興味津々な様子…そしてオレは………………諦めた、そんな顔をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リサ

 

 

「輝〜?覗いたらダメだからね?」

 

 

 

 

「別に、俺はそんな趣味はねぇさ……早く行って楽しんでこい。」

 

 

 

 

海音

 

 

「…………………………」

 

 

 

 

 

 

 

彼女たちが先にプールで満喫してるその隙をついて、輝と共に違和感を感じていた場所に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには、

 

 

 

 

 

 

 

「なあ、兄貴………………これって……」

 

 

 

 

 

海音

 

「………………ああ、まさかコイツが姿を見せるとは思わなかった。一刻を争う…………こっから先は本気で勝てるかわからん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、『ゾイガー』の鉤爪だ。ゾイガーと言えば、奴の手先………いよいよ本丸とやり合うことになるかもしれん…………

 

 

 

 

 

 

 

そんな彼の顔は、余裕を見せてるつもりだが、どこか引きつっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ことを予測して、鉤爪は輝に渡し、楪の基地から、弥助が操縦するガッツウィング号をティガが現れたと同時に出動するように伝えた。

 

 

 

それらを済ませたオレたちは、二人で遅れて彼女たちのいるプールへと足を運び、思う存分楽しんだ。ちなみに満の方もなんだかんだあったけど、楽しめているみたいなので良かったと思う。

 

 

 

 

 

 

 

日菜

 

 

「それっ!!」

 

 

 

リサ

 

 

「うわっ!!もう、やったな〜?お返しだ!!」

 

 

 

日菜

 

 

「えへへっ、リサちーまだまだだね!」

 

 

 

 

 

 

 

「………………」

 

 

リサ

 

「って、ヤバっ!

輝に思いっきりかかっちゃった……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やってくれたな!!覚悟しな!!!悪魔をマジにさせたこと、後悔させてやるよ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

オレたちはグループの中でも陽キャの位置に属する三人は、プールでバシャバシャかけ合っていた。まあ、途中から紗夜にもかかることになり、闘争心に火をつけた彼女も必然的に入り込んだ。それを、燐子の二人で大人しく眺めてた。しかし、よく見ると今井も燐子もちゃんと持ってるんだなとつくづく思えてきてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

 

「……ンギギギギィ……!!」

 

 

 

と、ハンカチを咥えながら引っ張り、鬼の形相でビデオを見ていた。(漫画かよ……)

 

 

ますき

 

 

「落ち着けって、たくっ……海音が居ねぇとこんな調子だし、海音も疲れるぞ。」

 

 

 

チュチュ

 

 

「…………そうじゃないわよ、ワタシだって……まだ成長するわよ。」

 

 

と言い、自分の胸をぺたぺたしながら、ふんすっと胸を張ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(うん、チュチュちゃんは…………頑張ってね。)

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「なんかバカにされたような気がする。」

 

 

 

 

 

 

と、僕の身に危険信号が送られてきたので、これ以上の雑念を振り払った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜達とひとしきり楽しんだ後は、遊園地に入って多くのアトラクションに乗った。その時にある大きな影がものすごい速さで通り過ぎた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

(遂に来たか……。奴が………………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギィィィヤァァァオォォンッ!!!

 

 

 

 

 

 

オレは、皆とは別に来るのを待ってた。高いところが苦手な訳では無いが、乗り物酔いが激しいからだ。決して怖いという訳では無い。

なので、みんなの乗ってる観覧車が頂上に登ったと同時に光の戦士の力を使い……その姿を現した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヂャァッ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「弥助っ!急いで出動なさい!!」

 

 

 

弥助

 

 

 

「だあああもう!!分かってるっての!!

 

 

ガッツウィング号…………発進!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

来たな……ガッツウィング…………きっと楪に急かされて弥助が操縦してんだろうな………………尻に敷かれる弥助の姿が簡単に想像できた。だが、今回はちょっとやそっとじゃ済まない規模の相手だ。巨人となったオレは弥助と事前に話し合って、協力して倒すしかないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、どうやっても普通の状態でも追いつくことが出来ず、スカイタイプへとフォルムチェンジしてもギリギリ引き離されてしまう始末。ゾイガーの攻撃も受けてオレの身体は少しずつ…………少しずつだが確実に疲弊していってる。

 

 

 

 

 

 

弥助

 

 

「ティガ……諦めんじゃねぇよ。

 

 

 

 

 

 

諦めるんじゃねえよ!!

 

 

オマエは、この星が大好きなんだろ!それなら身をていしてでも護るのが漢の姿だろうよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

 

 

 

(そうだ…。そうだった………………

 

オレはもう一人なんかじゃない。オレは…………!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

友の弥助の励ましで元気を取り返したウルトラマンティガはガッツウィング号を手に取り、持てる最高速度でゾイガーの後を追いかけた。最初は速度が同じなのに…………ガッツウィング号が最大出力でエンジンを作動させた。そのお陰で奴の超絶スピードに追い抜くことが出来たのだ。オレは追い抜いた距離を使って手裏剣を投げるようにして、冷凍光線を放ったことで、速かったゾイガーの動きが驚くことに凍りついて動かなくなっていた。

 

 

 

 

 

地上に降り、急いでフォルムチェンジした後、すぐさま必殺技を発動させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ハァッ!!!

 

 

 

 

 

 

必殺光線を浴びせたゾイガーは撃墜し海の中で爆破した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヂャァッ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ティガは空を見上げどこかへ飛び立っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

元に戻ったオレは…………アイツらの元に戻………………らずに、チュチュ達と満のところに急いだ。もしもの時のために…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「海音っ!!!Are you okay!?」

 

 

 

 

 

海音

 

 

「別に…勝てて当然のことだ。」

 

 

 

 

 

 

相変わらず無愛想ね……ま、別にいいけど…………

海音が無事ならそれでいいけど…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

せっかくいい雰囲気なのに、海音の端末から連絡が入ってしまった。少しは場を考えて欲しいものだと考えてたんだが…………どうも海音の様子が変だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『海音っ!大変!!!世界各地にゾイガーの大群がっ!!

急いでみんなを連れて満の所に逃げて!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嘘……………………だろ…………

 

 

 

 

 

オレは楪の切羽詰まった声色に眉をひそめた。しかも、複数のゾイガーが町中を襲いかかった。つまり、オレたちが苦労して倒したゾイガーは…………そのうちの一体に過ぎないという事実を突きつけられる…………緊急事態だ。オレはすぐさま彼女たちを満のところに早急に送り……オレ自身も満の元に急いだ。

 

 

 

 

 

これ以上………………オレの愛する地球を壊させる訳には行かない!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「海音君。」

 

 

 

海音

 

 

 

「………………満…………

 

 

 

 

後は………………任せたからな…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

静かに交した二人の約束………………

彼女たちから託された思い………………

 

 

オレはその力を振り絞るために、最後の戦場へと赴いた……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悲劇はまだ……終わっていなかった。

 

 

 




ゾイガーの戦闘描写?ごめん、全編見たけどそこはあまり覚えてない。ただ、次の話がめちゃくちゃにヤバイというのだけは覚えてるんだよな…………これじゃ……オレはただのNWKじゃねぇかよ…………


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

30,『暗黒の支配者』

お待たせしました。ゾイガーの軍勢……そして、以前からその影を漂わせていたアイツが遂に降臨します。長らくみてくださったみんなには感謝しかないです。


 

 

 

 

 

 

特捜隊基地から少し離れた海から、突如謎の沈没遺跡が浮上、ゾイガーの群れによる街の進撃、そして街を包み込む正体不明の黒い霧……皆を避難させたはいいものの、状況は決していいとは言えない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここに来て一気にその威圧感と絶望感が最高潮に達した。まるで、挑むことすら許されない…………そんな感じだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然現れた黒い霧も触れた人間は生命機関を破壊され、電子機器も動かなくなってしまった。彼女たちは研究地下施設の中でも隔離された場所に生存者を守っている。だが、それもいつまで持つか分からないうえ、この最後の砦もあるここにまで闇が迫ってきてしまってはダメなので、満が結界を張って闇の霧の侵入を全力で抑えている。

 

 

 

 

すると、古代遺跡の浮上と共に、ある一体の怪獣が姿を現した………………と言うよりも、復活を遂げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無数の触手とハサミを持ち、アンモナイトを横に巨大化させ、下顎に目がついた余りに異質で禍々しい雰囲気を帯びただせていた…………大いなる闇が……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フゥアアアアアアアアアアアアアンンンッ!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奴が完全に目覚めてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

「何ですか……アレは……」

 

 

 

 

 

 

 

ますき

 

 

「今までの怪獣の中でも一段とやべぇ…………あんなデケェの…………どうやって倒すんだよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

ひまり

 

 

「えと、あれらが現れたのはなんか関係が…………」

 

 

 

 

 

「その通りだよ………………アレは古代遺跡…………いや、古代都市…………とでも言おうか…『ルルイエ』…。

 

 

 

 

 

そして、3000万年前にそのルルイエの古代人と文明を滅亡させたのが、かつて闇で覆い尽くした邪神………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ガタノゾーア』…………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みんなはこの世の終わりのような顔をしている。当然の反応だ。人類と文明を破壊させた怪獣も通り越した邪神が相手だ。勝算は…………………………ハッキリ言って絶望的だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこに、ウルトラマンが姿を現し、指先から放たれる光弾を浴びるも全く怯む様子もなく、パンチなどをして物理的ダメージを与えようにも、表皮が思いの外硬く、ハサミと触手に苦戦していた。

 

 

 

 

何とか触手を掴み、引っ張りあげようとするも…

 

 

 

 

 

 

 

ヂェアッ!!!!

 

 

 

 

 

足元を触手に引かれて海に落ちてしまう。

 

 

 

 

 

ちなみにここまでのやりくりは全国中継されているので、当然チュチュ達のところにも映っていた。

 

 

 

 

「…………ムリだよ……勝てっこねぇよ……」

 

 

 

 

 

そんなひとりの男性の絶望の一声が…………みんなの不安をより駆り立てるのであった。

 

 

 

 

何とか立ち上がるも、その隙を逃すまいと、触手がティガの首に巻き付けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

 

 

「海音…!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

首を締め付けられて彼女の不安と恐怖が混ざり合い、絶望に塗りぶされそうなときだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()!!

 

 

 

 

 

頑張れっ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

頑張れっ!!!!!!!!!!!!!!!』

 

 

 

 

 

「…………ティガ…!」

 

 

 

 

後ろで見ていた子供達とそれを陰から見つめていた一人の少年がティガに必死になって声援を贈った。こんな状況の中でも希望を持っている人間もいるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

(ありがとうな…持てる全てを賭けて…………倒してみせる!)

 

 

 

 

 

 

 

掴まれたままフォルムチェンジの動作を行った時、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フゥアアアアアアアアアアアアアンンンッ!!!!!!!?

 

 

 

 

 

 

 

 

さっきよりも高い鳴き声をあげ、焦りの色が見え始める。フォルムチェンジを行う時にも、光の力を集約させてから姿を変えるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フゥゥゥゥンッ!!!!

 

 

 

それを見抜いたティガはそのまま深紅のパワータイプへとチェンジし、すぐさま掴まれてる触手を力いっぱい込めて、触手の1本を引きちぎった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フゥアアアアアアアアアアアアアンンンッ!!!!!!!

 

 

 

 

 

邪神はまたも鳴き声をあげ、痛みを現していた。襲いかかる触手を掴みもう一度引きちぎろうと両腕に力を込め、後ろから迫るハサミの触手も察知したティガの手刀で弾き返される。だが、このまま続けていても終わらないため、触手を遠くにやり、急いで邪神に近づき、強烈なパンチと手刀を思い切り振り降ろした。けれど、これも微々たるものでしか無かったために、一度距離を取り両手を広げ光の玉を凝縮させ、その一撃を邪神へと叩き込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フゥアアアアアアアアアアアアアンンンッ!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

……が、全く通じている様子がなかった。奴の驚異的な硬さに巨人の姿であっても驚きを隠せなかった。

 

 

 

 

 

 

 

今度は再び両手を広げ、パワースタイルのゼペリオン光線を放つも、これも手応えがなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リコンッ…リコンッ……リコンッ…リコンッ…リコンッ

 

 

 

カラータイマーも赤く点灯し始め、一刻も早くケリをつけようと、何度もパンチを繰り出すも、先程よりも勢いが弱まっていて、全くダメージを与えられていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、邪神の体内から吐き出された闇の霧がティガを襲いかかり、逆に大ダメージを追わせるなどティガを一方的に翻弄し続けた結果…早くなったカラータイマーの警告音と共に、触手とハサミにティガの両手を拘束され……最後には……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フゥアアアアアアアアアアアアアンンンッ!!!!!!!!

 

 

 

 

 

邪神から放たれた紫の光線がティガの腹部を貫いた。

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

(がっ!!!!

 

 

 

 

…………かはっ……!)

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「海音っ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六花

 

 

「負けない………………

 

 

 

ティガは…………負けたりなんか、せェへん……」

 

 

 

 

 

 

そう言って、周りを励ます六花…しかし、勝ち目が無いことは彼女がよく知っている。

 

 

 

海に倒れ込み、何とか立ち上がって戦おうとするにも…………

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

(アイツらの約束を……守れてないって……………………のに……………………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ティガの身体は石に戻ってしまい、カラータイマーの音も完全に聞こえなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

やられた………………ティガが…………ウルトラマンが……やられたのだ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏那

 

「海音が……ティガ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………そっか……そうなんだ………。」

 

 

二人も平静を装ってるも、きっと心に響いているのだろう…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みんなのヒーローの海音はもう、帰って来ないことを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フゥアアアアアアアアアアアアアンンンッ!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

邪神の鳴き声と同時に触手で、石になったティガを攻撃し、海の底へと沈めた。人々は、この怪物に敵う術は無いのだと絶望していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

海音ーーーーーーーー!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女からの瞳から流される涙と隔離施設から放たれる呼び声も虚しく、無反応のまま沈みゆく中、ティガのカラータイマーから最後の希望の欠片であっただろう力さえ完全に失い、泡となって噴き出し海底へと落とされていった。一瞬の光も希望も許されないかのように………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このまま、超古代のように…………

 

 

 

 

全ては破滅してしまうのか……




平成ウルトラマン屈指の恐怖ポイント『ウルトラマンティガ 石に戻る』。
この演出だけは今も尚覚えてます。正直言って、どうやって勝つのって当時は思ってましたwww

ガタノゾーア強すぎ……ホントに最強怪獣としても全く違和感が仕事をしません。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

31,奇跡の光

大いなる闇を前にしてウルトラマンティガは最後の光を失い、石に戻ってしまった。ティガがもう一度立ち上がることは、二度と光になることは無いのか……


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ティガが、敗れた………………

 

 

 

 

 

 

 

 

空は一寸の光もない闇に覆われ………………

もう、この地球はもう終わりなのか…………

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

 

「海音……聞こえるかしら。

 

海音にはまだ話したいことが山ほどあるのよ。

 

 

 

 

例え海音がどうなっても、ワタシはカイトのプリンセスであり続ける。

 

 

 

 

 

 

 

待ってなさい…

 

 

 

 

 

 

 

 

直ぐに迎えに行くわ…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「………………ちゆ……」

 

 

その呼び掛けが聞こえたのか、彼は誰もいないクリスタルに閉じ込められた状態で目を覚ました。

 

 

 

 

それと同時に、あの聞きたくなかった笑い声も聞こえてくるようになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「無様だな……我々キリエル人の予言に背くからだ。我々なら、アレが復活することも、無かったのだ。」

 

 

 

 

そう、キリエル人だ。予言だとか、我らは救世主であり、オレは招かれざる者だと言っていたあのキリエル人だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「初めから…………お前らに従えば良かったって言いたいのか…!!」

 

 

 

 

 

 

「もう、遅いわ。キリエルの神々はこの地球を見捨てたの。」

 

 

「ワタシは言ったはずだ。この地球を守るに…………君には烏滸がましいと…………」

 

 

 

二人のキリエル人はまた不快な笑い声をあげて姿を消していった。

 

 

 

 

 

海音

 

 

「………………クソっ…………」

 

 

 

 

誰もいないこのクリスタルの中で、オレは動けずにいた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………香凛…………慧悟を…………『雅紀 慧悟』を出動させて。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

香凛

 

「はぁ!?何考えてんの!!アイツは数えきれない罪を犯してるんだよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

「分かってる!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

悔しいけど、今この場で彼を救う技術を持っているのは、彼一人だ。」

 

 

 

 

 

 

 

こうして、満の一声で服役中の雅紀慧悟が姿を現し、急遽ティガの復活大作戦に加担することになった。

 

 

 

 

彼自身も凄く悩んだ決断なので、従わない訳にもいかず、彼を任務に同行させた。

 

 

 

 

その時の彼は、あの時とはまるで違い、落ち着きを見せていた。それどころか、彼を本気で救いたいとまで感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

慧悟

 

「俺だって光の巨人を志した身だ。たとえ巨人になれなくたって、こうして適性者の力になることは出来るんだ。」

 

 

 

そう意気込み、香凛と二人で船艦に乗り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以前、炎魔戦士との戦いの中で光を浴びて戦闘力を強めたデータがあるので、その点を考慮し強力な光を照らす船艦を満が一から設計し直したようだ。鈍重な欠点はあるものの、邪神もあまりの図体に移動していないので、問題なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、海音はと言うと……

 

 

海音

 

 

「…………?

 

 

あの光は…………」

 

 

目の前に少しながら光が現れていた。正体不明ではあったがそうも言っていられずオレは手に取ろうとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

満の結界もいつまで持つか分からない……早めに行うに越したことはない。徐々に石像となったティガに近づき、強力な光をあてた瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フゥアアアアアアアアアアアアアンンンッ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

強力な光が苦手な邪神は触手を使って船艦ごと攻撃し、一撃で操作不能にまでなった。

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間は、海音の方にも伝わったようで、

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「________ッ!!!

 

 

 

 

 

消えた…………。」

 

 

 

 

そう、今までの光の正体は二人が乗っている船艦だった。だが、こうして失敗に終わると、光は失い…………完全に1人になってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏那

 

 

 

「もうダメ…………勝てない……」

 

 

 

 

 

 

 

皆が絶望一色に塗りつぶされようとした時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

映像を見た子供達があのウルトラマンが変身するポーズを取り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは各国のみんなが同じポーズをしていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「僕がウルトラマンだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私が、ウルトラマンティガよ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕らが(みんなが)()()()()()()()()()()!!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう叫ぶと、子供達は光の粒子となり、四方八方から光が溢れ、みなそれぞれが、石像と化したウルトラマンティガのカラータイマーへと向かってゆく。それもひとつじゃない…………二つ……三つ………………数え切れない数の光がカラータイマーへと注ぎ込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ますき

 

「…すげぇ…」

 

 

 

 

 

パレオ

 

 

「光が………………こんなにもたくさんの光が…!!」

 

 

 

 

そう涙を流すパレオ。それは、他のみなもおなじ、だが一番の驚きは………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

「…?この光は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ティガァァァァァァ!!!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんと、道が出来上がった光から、子供達が彼に向かって走ってゆくではないか。もう一度、立ち上がって守る使命を果たすときが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「コレが…………これが『光』なんだ…!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

そう感銘を受けた彼は再び立ち上がろうと、必死に手を伸ばし…そして、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び一つとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海底から、光の柱とあの巨人の輪郭が姿を現し、光が収まったところで、ウルトラマンティガが再び邪神の前に立ちはだかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六花

 

「ティガが………………海音さんが蘇りました!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、一度は闇に潰れた超古代の戦士が、

大いなる闇を前に、彼女達と愛する地球の為に、

 

再び立ち上がったのだ。

 

 

 




ウルトラマンを倒し、地球を絶望に染め変えた最強の怪獣。そこからの光を受けての復活……結構在り来りな感じかもですが、それを意味のあるものにしてくれたのが、ウルトラマンティガだと僕は思います。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

32,RASとの想いは、永遠に/『輝ける者たちへ』

最大の宿敵の前の敗北…………それぞれの葛藤の中、子供達の力でティガは光を宿した『グリッターティガ』となり完全復活。





勝つのは、闇か…………光か…………


邪神の前に、光の戦士………………

 

コレは…………夢だろうか…………夢ならば醒めないでくれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

両手を広げ、光を集中させた拳を放つと、邪神とは距離が開いているというのに、光の力がその壁さえも破壊していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フゥアアアアアアアアアアアアアンンンッ!!!!?

 

 

高い鳴き声をあげ、吹き飛ばされた邪神は全長を目測だけでも100はゆうに越してて、とてつもない巨大な存在だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、彼らはというと…………

 

 

 

『ハァッ!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼らもまたティガと一つになり、一丸となって邪神にひたすら攻撃していた。彼らの光が彼自身を強くしたのだ。

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

『ワタシも…………光に…』

 

 

 

 

レイヤ

 

 

『海音…………やっぱり…私達のこと…』

 

 

 

 

パレオ

 

『素晴らしいです…コレが我々のホントの強さなのですね!!』

 

 

 

 

 

ますき

 

 

『やべぇ…………さっきから力が漲るぜ。今なら、あいつを倒せるかもしれねぇ……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六花

 

 

『かもしれないじゃダメなんです………倒さなきゃダメなんやっ!!!!!』

 

 

 

 

彼女らもまた、彼の一部となっていた。目の前の邪神を打ち勝つべく、彼は自らこの道を選んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び両手を広げ、今度は蹴りの二連撃を繰り出し、先程まで一方的に追い詰めていた邪神が、いまは打って変わってこちらが押している。

 

 

 

 

 

 

 

多くの光を受けたのか、邪神は動けずにいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

子供達が必殺光線の構えをとり、私達も見よう見まねでやると、ティガはそれにつられ腰と腕を引き、両手を前へ突き出し、広げることで光を、さらなる光を集約させる。どうやら我々の動きに合わせているのだ。そして、腕をL字に組み全力の『ゼペリオン光線』を放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フゥアアアアアアアアアアアアアンンンッ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハァッ!!!!

 

 

邪神は爆発と共に鳴き声をあげ、その様子から、大きなダメージを与えたことがみうけられる。さらに、腕を額の上から交差させ、肩まで降りた後、両腕をカラータイマーに合わせた。すると、カラータイマーから虹色に輝く光の波動が邪神に直撃。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フゥァァァアアオオオオオオォンッ!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

邪神は歪んだ鳴き声と、大気中の爆破で、消え去った。

 

 

 

 

それと同時に、空を覆っていた闇が消え去り、明るい青空が広がる。

 

 

 

ティガはやがて光の粒子となり散っていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一度は滅ぼされた人類。光の巨人すらも倒してしまった暗黒の支配者。しかし、最後まで希望捨てることのなかった子供達…………そして、最後まで生きることを辞めなかった人類の勝利だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

 

「海音っ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私達の呼び掛けに応じたのはやはり彼だった。手には、石になったスパークレンスを持っていた。

 

 

 

 

 

 

 

ますき

 

 

「おい、それって………………」

 

 

 

ますきがそう心配そうに問いかけるも、彼はこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「ティガは役目を果たしたんだ。コレからは俺たちが未来を切り開いていくって…………それを、ティガは最後まで見届けてくれたんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六花

 

「でも、海音さんの心の中にはまだ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

()()()()()だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()なんかじゃない。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう力強く答える彼に、これ以上何かを言うことは出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

ますき

 

 

「そうだ!みんなで写真撮ろうぜ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ますきの一言でみんなは乗り気だった。かく言うオレもこの思い出をなくしたくなかったため、ますきの提案に乗ることにした。

最終日の修学旅行……色々あったが、コレでもう終わりなのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

満が、カメラを持ってこっちを見ている。RASとオレのみんなで愛する街をバックに六人全員横に並んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「海音、もしまたMonsterが来たらどうするつもりよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「そうなったら、『(アイツ)』が何とかやってくれるはずさ…」

 

 

 

 

 

そう心配そうに問いかける彼女に、オレは笑ってそう答えた。すると、ちゆも不安が完全に抜けたのか、みんなのよく知るチュチュらしい振る舞いをした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「さぁ、満!!ワタシたちのこのperfectな記録を、そのpictureに残しなさい!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はーい、ちーゆ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのシャッターの音と共に、オレと彼女達の歴史が刻まれていった。

その瞳に映る光は皆輝いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

例え、どんな闇に覆われたとしても

 

 

 

 

光さえあれば、無限の可能性をつなげることができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

決して光を失っても

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『光を消し去ることは出来ない』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この思いが、遠い誰かに届くように、オレは人間として生きてゆくことを決意した。

 

 

 




ここまで見てくれてありがとうです。コレで海音ルートは一旦終了です。アンケートの途中経過だけど、なんか結婚生活も載せろってあったので、それを番外編として書いていこうと思います。コレからは、満のエピソードを書いていこうと思います。満の方は、ホントに浮き沈みも激しい上、戦闘描写も海音以上にザックリしてますし、出てくる怪獣もそこまでいないです。日常がほとんどです。それでも良ければ是非とも満ルートの方も読んでみてください。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

海音‪√‬外伝
33,それからのRAS


ガタノゾーアを倒したあとの話です。生活も少し変わるので嫌なら早めのブラウザバック。



良いですか?






ちゃんと警告しましたからね。








邪神 『ガタノゾーア』を倒し、世界に平和を取り戻したオレは、ちゆと本格的に結ばれていき、晴れて二人は夫婦になった。初めは慣れない生活にチュチュはパレオに任せっきりな面も多かったが、最終的には自分でやるようになったので安心した。今でも、RASとの交流はつづいており、こうしてパーティに招待されることも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ますき

 

 

 

「にしても、チュチュ…おまえ……デカくなっても可愛いな。」

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「うっ、うるさいわね!!」

 

 

 

 

 

 

 

六花

 

「きっと海音さんのお陰で、成長出来たんですよ!!」

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「誤解を招くからやめてちょうだい!!」

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「……何がだ。何が誤解なんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

と、振り返るとそこには、たくさんの血が付いた海音が立っていた。

 

 

 

 

 

レイヤ

 

 

「ちょっと海音!!いきなりビックリするよ!どうしてこんなに血だらけなの。」

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

「……血…?なんの話だ。」

 

 

 

だって血がたくさん……Wait……血の匂いが無い…という事は、

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「海音っ!!!

 

このわたしを騙すなんて…!!」

 

チュチュは身体をプルプル震わせて怒りを表してた。

 

 

海音

 

 

「いや別に、驚かそうと思っただけなんだが……」

 

 

 

そう言うと、彼は困った感じに頭を掻き始めた。ホントに、ヒヤッとしたわよ。

 

 

 

パレオ

 

 

「流石です!!演技も料理も1級品ですね!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「……一級品……そうか、そう感じるか。」

 

 

 

 

 

チュチュ

 

「ムッ…………」

 

 

 

 

 

何故だろう、海音が他の女に目を向けると、不思議とこちらの胸が痛くなる。ワタシの方が海音をわかってるのに…!他の女に海音を盗られる気がしてならなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

「海音っ!!テラスに出るわよッ!!!」

 

 

 

 

 

 

海音はわかったの簡単な返事で着いてきた。もとい、連行した私は…………

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「海音…アンタはワタシと繋がってるの、その自覚はあるの?」

 

 

 

 

 

海音

 

 

「勿論だ。そうでなけりゃ、こうしてお前の隣には居ない。」

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

 

「それは分かってるわ。でも、少しはワタシにも目を向けなさいよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

……このセリフを聞いたのは、もう何度目だろうな。最初に出会ったちゆはホントに小生意気で、我儘で融通の効かん奴だったが、今じゃすっかり仲間を思いやることが出来る、そんな女になった。Roseliaに対しても、Poppin’Partyに対しても高圧的態度は変わらないものの、どこか挑戦的な視線も感じられるようになった。怪獣の出会いを通じて変わったんだろうが………………なによりも…

 

 

 

 

それもこれも、全て『満』のおかげだ。ホントにアイツには感謝しても足りない位だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、テラスから眺める夜景はほんとにキレイだ。今まで倒した怪獣を忘れてしまいそうなほどに……だが、それ以上に……風になびかれ髪が揺れるその間に映ったチュチュのオレを見つめる姿が、どの花よりも可憐で美しかった。その大人になったちゆの瞳にオレは夢中になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「……Don't look …………恥ずかしいわ…………」/////

 

 

 

と、あまりにも見つめてたものだから、彼女は顔を赤く染めあげ明日の方へ向いてしまった。だが、どんなちゆだろうともキレイさ…………それだけは断言出来る。

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「愛してるわ…………海音…これまでも、これからも……私のそばにいなさい!!」

 

 

 

 

海音

 

 

 

「……当然のことを言わせるな、オレはRASがいて、チュチュがいて、そしてオレがいる。お前らを更に輝かせてやる。」

 

 

そして、暗い月夜の下で………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人は永遠の愛を誓い合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パレオ

 

 

「みなさん、しばらくそっとしてあげましょう!」

 

 

 

 

 

ますき

 

「ああ、海音の奴…ついに男を見せたか。」

 

 

レイヤ

 

 

「何言ってんのますき。海音は最初からそうだったでしょ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

六花

 

 

「は、ハワァァア…!!お二人とも…素敵です。」

 

 

 

 

 

 

 

その様子を遠くから生あたたかい目で見守るRASであった。

 

 

 

 




番外編ってのはどうしても、こう…………キャラが崩れやすいのですが、コレでも頑張った方なので、許してくだせぇ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

34,記念を称して

チュチュ

 

「Harry up!ライブがワタシたちを待ってるわ!!」

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「……それはRoseliaが出るからだろう。」

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

 

「No!!Roseliaはワタシたちがぶっ潰す目標なのよ!!」

 

 

 

 

 

海音

 

「わかったわかった。くだらないこと言ってないで行くぞ。」

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「___無視!!?」

 

 

 

 

 

 

アレからしばらく経ち、日本に戻ってきたRoseliaのライブをチュチュと二人で見ていた。ちなみに仕事もアレから依頼殺到だ。郵便受けに入り切らなかったようで依頼書の道が出来てたことには、流石に通りゆくみんなが驚いていた。まあ、そんなのは輝に任せておけばいい。奴なら一、二週間で片付ける。なによりも輝も満も、オレたち二人の時間を邪魔したくないようで、誘いも丁重に断っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「ちゆ、そろそろ湊達の出番だ。気を失わないようにな。」

 

 

チュチュ

 

「分かってるわよ、海音はワタシをなんだと思ってる訳…?」

 

 

 

フッ………………そんなの、RASの………………オレの永遠のパートナーであり、夫婦だろうが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでは、聴いてください……私達の歌を……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Roseliaのライブはさすがといったところ、終始歓声が鳴り止まない。それぞれが個性を引きだし、常に万全な体制で臨んでる。観客席の方から見ても分かる。そんな中、ふと気になる声も聞こえてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「けど、やっぱアイツらが出てりゃ最高なんだけどな!」

 

 

 

 

 

「……それって最近できたRASか?」

 

 

 

 

「違ぇよ!昔、とんでもねぇ規模のライブやって殿堂入りしちまったアイツらだよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

「ああ!!言われてみれば確かにそうだな!!せめて、メンバーの一人でもいてくれりゃいいのによ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、何やら嫌な予感がしてきた。その直感は直ぐに当たることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私達の歌を聴いてくれてありがとう…………最後の一曲を前に、ある人にプレゼントがあるわ。

 

 

 

 

海音………………前に出て。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Oh....no

 

 

 

湊はあろうことか、俺を指名してきた。その意図が全くと言っていいこと読めない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「____!!!?」

 

 

 

 

仕方なしにステージに上がるとそこには、かつてオレたち七人で殿堂入りを果たした、あの輝かしくも荒々しさもあるあのマントは間違いなくあの時の衣装だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「驚いたかしら。

 

紗夜達からこのことは聞いてたから私たちで衣装作りに手がけてたのよ。」

 

 

 

そう笑顔で笑う歌姫。ふと観客の方をみると、ちゆはずっと待っていたかのように顔を赤く染めあげ、そっぽ向いていた。そうか、今までオレは奴らにもてはやされていたというのか……だが、それもいいだろう…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私達のステージに……いえ、

久々に立った気分はどうかしら…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正直言えば、驚きの連続さ…………まさかホントに奴らはそんな伝説バンドの正体を見破ったんだからよ…………だからこそ、オレは………………

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「……これ以上にないものだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………なら、貴方のステージに……私達Roseliaもお邪魔するわ。いいかしら……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな風に言われちゃ………………断る方が勇気がいる。なによりもちゆだけじゃなくてRASの奴らまでもが俺を見て心底楽しみにしている。だからオレは…………あの時の栄光を羽ばたかせるために衣装とかつてオレと共に旅をした特別なギターを手に取り、こう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「……当然だ。やるからには、終始全開で行く。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女は「わかったわ」といい、ある一曲の……思い出の楽譜を渡した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「……!!!

 

 

__________了解。

 

 

やってやる…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうしてRoseliaに加えオレは壇上に立ち、マイクを持ってこう言い放った。

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「来てくれたみんな、今までオレの正体を知っても嫌いにならないでくれてありがとう。きっと、これらもみんなが前々から考えてくれてたんだと思ってます。だから…………オレはその期待と願いに、全力全開でお応えしよう!!!

 

オレたちの不滅の音を聴け……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『Brave love Tiga』………………!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜♪ 『Brave love Tiga』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『Tiga! 勇気が 今 足りない

 

Tiga! 勇気を 授けてくれ

 

 

 

 

 

例え 力が 強くても

 

 

一人きりじゃ 戦えない

 

 

 

 

 

強く 未来を 求めても

 

 

 

一人きりじゃ 届かない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悲しみに 覆われてる この空を 壊すよ

 

 

 

SOS 受けて 君の待つ 明日へ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Tiga! 愛こそ 今 必要

 

 

Tiga! 地球を 見つめてくれ 』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

凄い、もう何年も前のことなのに、体が勝手に動いてく…………オレはこの楽しかった感覚を…………取り戻したかったんじゃないだろうか………………不思議とそう思えてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

コレや、コレや、この曲や……RASの為に夜な夜な手がけてたたった一つの歌…………それに、海音さんも凄く生き生きして楽しそう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『どんな 暗闇の 中でも

 

 

 

星は 何処かで 輝くよ

 

 

 

 

 

 

弱く 儚い 星達も

 

 

 

夢を 求めて 輝くよ

 

 

 

 

 

 

 

 

愛してる 愛している 魂が 叫ぶよ

 

 

 

時の Gate 開けて

 

 

 

 

 

 

君の 待つ 未来へ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Tiga! 勇気が 今 足りない

 

 

 

Tiga! 勇気を 授けてくれ 』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

間奏にはいるときに紗夜とのアイコンタクトをとり、二人の背中合わせでよりこの歌に込められた悲しみや痛みをさらに強調した。まさかよりによって氷川委員と共にギターを弾き合うなんてな…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『悲しみに 覆われてる この空を 壊すよ

 

 

SOS 受けて 君の待つ 明日へ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Tiga! 愛こそ 今 必要

 

 

Tiga! 地球を 見つめてくれ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Tiga! 勇気が 今 足りない

 

 

 

 

Tiga! 勇気を 授けてくれ 』

 

 

 

 

 

 

 

終始ギターが主力になっているので紗夜と俺の二人が特に目立っていた。

 

 

 

 

 

 

体から流れ出る汗と、決して鳴り止むことのない観客からの過去最高の歓声………………大成功だ。

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「オレと、Roseliaの最後の歌を…………最後まで聴いてくれてありがとう。心より感謝する……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いえ、最後にプレゼントがあるわ……受け取って頂戴。」

 

 

 

 

 

そういうと、待ってましたと言わんばかりに燐子が静かに吊り下がった糸を渡してきた。上を見ると、金の玉が吊るされて、その糸を俺が引けということか…………ちょうどいい、RASのみんなも最前席で待ってる。オレは燐子の手より少し上から持ち、みんながカウントダウンのコールをしてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー3ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー2ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー1ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー0ー

 

 

海音

 

 

「……ッハァッ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パーンッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『おめでとーーーー!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「………………?」

 

 

 

 

いったい、何が起きたのであろうか……オレが紐を思い切って引いたと同時にRASとRoseliaがオレにクラッカーを向けて思い切り引っ張ったんだ。オレはもしやと思い、後ろの掛け軸を見ると、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『私達の世界を

 

 

守ってくれて

 

 

 

 

 

 

ありがとう!!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

と恐らく自分たちで書き進めていたのだろう。一人一人の個性が強く出てる……きっとあこや湊あたりなんか特に頑張ったんだろう。ホントに今…………最高にの気分だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「改めて、ありがとう。そして、あなた達が出場したEBAに参加させてもらうわ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「………………望むところさ…………だが、お前らRoseliaだけが来てもつまらんだけだ。もっと多くのバンドを率いてオレたちに、持てる力の……………………全てでかかってこい!相手になってやる!」

 

 

 

 

 

 

 

「………………当然よ。

 

RoseliaとRAS、そしてガールズバンドのみんなで、伝説となった貴方達に挑戦するわ!!!」

 

 

 

 

 

リサ

 

 

「これを見てるみんなぁー!あたしたちに協力してくれる子達がいたら、いつでも来てね〜!!」

 

 

 

 

 

と、完全に逃げ場を無くした俺だが全く問題ない。オレは………………今の俺は……………………ヤツらがいるからな………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、世界を救ったオレに記念としてライブを数年先のEBAに出場し、ガールズバンドのみんなの前に立ち塞がる。そうして新たな伝説を未来へ託すのは……また別の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「来るなら来い…………俺たちの伝説は…………

まだまだ終わらせねぇっ!!!!!」

 

 

 

 

 




はい、短いけど今後は更新速度めちゃくちゃ落ちます。すいません。このご時世でやることが増えすぎてしまい、手が回らない状態になってしまいました。あと、満編でこれをやって欲しいリクエストがあれば、感想欄にバンバン書き込んでください。お願いします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

勇猛なる伝説の英雄(満‪√‬)【少年が望む=齎す絶望】
35,新生活のスタート


これは、満の新たな冒険であり、ガールズバンドと出会う少し前の話だ…


…………

 

 

 

 

もう、ヤメテクレ……………もう、そんな痛みを味わいたくないんだ……。

 

 

 

 

 

 

「____ッ!!」

 

 

 

………………夢……か…酷い夢見だ…………。

ボクは重い体を起こし、学校の制服に着替えた。

ねじれもヨレもない、シワもバッチリ……これで大丈夫。新たな生活に不安と期待に心を躍らせる。何故、新しい生活をするかと言うのは、今ここじゃ言えないかな。

 

 

 

 

 

 

 

魚の塩加減も完璧だった…………そのはずなのに…………いくら食べても…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……いや、これ以上考えるのはよそう……」

 

 

 

と、ふと脳裏によぎった思考を振り払い、日本人らしい和食を済ませ、ボクはカバンを手に取り、玄関に立った後直ぐに誰もいない部屋に向かって………

 

 

 

 

 

「………行ってくるよ……お姉ちゃん…ボク…もう一度……『生きてみる』…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

家から学校までは多少距離があるものの、ボクはすぐにたどり着いた。本来なら小一時間はかかるものをものの数分で………そう、ボクは超能力…や奇跡の力を使ってやってきた。果たして、神様は一体ボクに何を求めるのだろう……

 

 

 

 

 

 

考えても埒が明かないため、考えることをやめて、

 

 

 

 

 

 

「新しい学校生活……頑張らなきゃ…!」

 

ボクはそう意気込んだ。それにはもちろん理由がない訳では無い。前に通ってた学校では、とんでもない目に遭ったから、決意を固めて転校。コレからはボクの通う所は『嵐山高等学院』。月ノ森とは比較にならない程のエリートが多く存在する学び舎だ。苦労して探してきた甲斐があった。複数の学科に別れており、文系・理系と総合科の3つに大きく分かれる。ボクは一番に総合科を希望していた。

 

 

理由としては、失ったものを取り返すためもあるが、もう一つだけあって、ココ周辺の悪事を働く輩を成敗するためにある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

校舎に入ると、中にいかにも裏組織の人間みたいなガタイをした怖いおじさんがいた。あ、編入する際には、超能力や奇跡の力は一切使ってない。それどころか校内に入ってからも使うつもりはあんまりない。そんなことをして騒がれても嫌だからね。そこら辺は、ただの優秀な人間だと装って案内されるがまま中へと通された。(いや何で普通に入れたんだろうね……そこは僕にも分からない。)

 

学園長室に入ると、そこにはあまりにも綺麗な肌で煌びやかな髪をなびかせてるスレンダーな女性がどっさりと座っていた。何故だろう……この人に関しては……いくら僕でも……勝ち目が無い感じがする。例え、超能力や奇跡をもってしても……

 

 

 

 

 

 

「…まあ、そこに座ってちょうだい。畏まる必要なんてないわ。」

 

 

 

と、とても穏やかな表情で、言ってきた。だがその言葉一字一句に謎の圧がかけられていたので素直に用意されたであろうソファに座った。

 

 

 

 

 

 

輝夜

 

「改めて、『嵐山高等学院』にようこそ。アタシは『壱村 輝夜』……ココの学園長をやってるわ。」

 

 

 

「は、はい……お願いします。」

 

 

 

 

輝夜

 

 

「貴方が満君ね。話には聞いてるわ。なんでも、とんでもない良家の跡継ぎなのでしょう?」

 

 

 

 

 

 

 

それを聞いた時、僕の背筋は一気に寒く感じた。

 

 

 

 

(ど、どうしてそのことを知ってるんだ…!)

 

 

 

僕の家系は超自然の力を代々受け継がれてきた特別な家なのだ。そして、その一族には姉弟がいる……その正体が、紛れもなく僕。でも、これは情報と家系の掟を守るためにこのことは公表していない。それがなぜここに知れているんだ。

 

 

 

 

 

 

輝夜

 

 

「その反応は、肯定と見ていいかしら。」

 

 

そんな大切な情報が、なぜこの人は知っているのだろうか……しかし、よくよく見てみると、何故か僕の記憶の奥底に眠るお姉ちゃんの面影がそっくりだ。

 

 

輝夜

 

「まあ、良いわ……

ココは貴方も聞いての通り、三校の女子校の姉妹校でもあるの…基本的には自分を成長させるためなら結構だけど、くれぐれも問題を起こすようなことはないように……ね?」

 

 

 

 

 

 

「三校……『花咲川』と『羽丘』『月ノ森』……ですか?知ってるんですけど…何故それを僕に教えたんですか?」

 

 

 

輝夜

 

「え?そ、それはもちろん…貴方になら十分信頼におけるわよ……最近、被害も絶えないし……それに………ワタシのたった一人の家族……なんだから……」

 

 

 

 

 

 

「……?どうかしたんです?」

 

 

最後の方がよく聞こえなかったので、聞き返そうとするも、なんでもありませんと切り返されてしまったために、僕はこれ以上追求する気にはなれなかった。……いや、本当はある程度は分かっている。

 

 

 

 

 

 

どうして一人で生活してるかを話そうか。

 

 

 

 

 

 

先程言った通り、僕はある家庭の元に産まれた。だが、早くに両親を誰かに殺されて、早くも独り身となり、父の兄にあたる叔父のところに世話になってた。そこで、初めてお姉ちゃんに会えたのだ。両親を亡くしたのは悲しいけど、お姉ちゃんがいてくれたから、なんてことは無かった。おじさん達にはすごい煙たがられていたが、ボクが感謝を忘れてはならないのだ。なぜなら、父さん達ほど決して裕福では無いものの、そこでの生活も大好きだったから…

 

 

 

 

けど、僕はある日…………ひとつの真相を知ってからは……おじさん達のことを強く恨み、あの家から逃げ出したのだ。あんな人達にならないためにも…………

 

 

 

 

 

 

 

 

学園長室を出てからは担任の剛田先生がこちらを招いてるので、ついてくと恐らく、自分の教室になるであろう部屋に連れられた。だが、ここに来たのは僕だけじゃなかった。扉の前に、艶めかしく美しい黒髪、正しく漫画に出るお嬢様のような清楚な雰囲気を放っていた少女がそこにいた。

 

 

 

 

剛田

 

 

「なんだ、咲羅もいたのか。丁度いい、2人とも!自己紹介をするんだ。」

 

 

 

 

 

そう言われると、咲羅と言う女の子は驚いたあと、少し恥ずかしそうにして、

 

 

 

咲羅

 

 

「そ、その…………『石田 咲羅』です……」

 

 

 

と応えた。石田…………さんか……実際に会うのは初めてだ。僕もちょっとだけ緊張していた。同い年の子と学ぶものだから…………

 

 

 

 

「うん、僕…満って……言います…よろしくね。」

 

 

と言い、僕は友達になった証に手を差し出した。もちろん他意がある訳では無い……のだが_____

 

 

 

剛田

 

「おい、いきなり女子を口説くなよ。」

 

 

と、何故かボクが注意されました。こうすると……友達になれるって聞いたんだけど…………そんなひとつの疑念が、自分の中で渦巻くなか、剛田先生はもう、準備を始めてた。そして、先生の合図と共に、ボクらは教室へと足を踏み入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

中に入ると、それはもう凄かった。ものすごい期待や嫉妬の視線が向けられていた。嫉妬に関しては男子生徒からだけど……

 

 

 

 

「たくっ、転入生は女だけで十分だっての…」

 

 

「あの子……可愛くない?ほんとに女の子みたい!」

 

 

 

「はぁ…はぁ…早くお持ち帰りしたい……デュフフ……」

 

 

 

 

 

 

僕はこの様々な視線と思考にただ混乱するしか無かった。こういう思考を持つ人と関わると、ろくな事にならない。と、教えられたからね。

 

 

ボクと石田さんの所属されるクラスは総合クラス…その中でも特等生としてボクらは配属された。

 

 

 

 

危ない思考を持つ人もいたが、ココは割と大人しめの子が多かった。石田さんは右の前列に座り始めた。その途中の動作を男子生徒たちはずっと見ていた。さて、ボクの席は…と、

 

 

 

 

 

 

 

 

(……どうして………ここでも女子に囲まれなくちゃいけないんだろう……ねぇ、誰か教えてよ。泣いちゃうよ?鼻の下なんか伸ばしてないもん、むしろ怖いし逃げたいくらいだよ。)

 

 

そんなことを言っても結果は覆らないので、諦めて指定された席に着くことにした。

 

 

 

すると結果は想像通りだ。男子たちはずっと唸り声を上げながらこちらを凝視していた。

 

 

それもそのはず……なんてったって、後ろには紫のショートヘアなボーイッシュで体育会系の『前園 琴里』さん、左隣にはネイル、ヘアアクセサリー、化粧バッグ常備という典型的な金髪ポニーテールギャルっぽい女の子『鮫島 葵』さん、前には先程紹介した『石田 咲羅』さん、右隣には白くふわふわした髪と雰囲気で周りを笑顔にしてくれるアイドル少女『美島 夏菜子』さんに囲まれてるんだ。その四人は優等生でもあったため教授も彼女たちの指示には従う。先生と生徒の立場って……?

 

 

 

 

 

 

 

お互い他愛もない挨拶を交わし、自分も帰路について家に入ろうとした時に…………何かが……起こる訳もなく一日が終わった。

 




結構時間は空いちゃったけど、何とか満ルートを開始することが出来ました。外伝の方も後にやりますし、特別編は満ルートが完全に終わってからやろうと思います。今後とも応援と評価をよろしくお願いいたします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

36,ギター少女との出会い

入学してすぐにボクは護身術の授業を真面目に受けてはいた。が、周りの生徒は何をしてるかと言うと、この学校で有名な石田達を見ていた。なぜなら、女子はこの時、体育の授業で葵さんの揺れる胸を一目見ようと躍起になってるのだ。まあ、それは普通の男子なら仕方の無いことだ……。

 

 

 

 

彼女達の体育着姿を一切見てないボクに、クラスメイトは、

 

 

 

 

 

「葵さんの胸を見ないなんて…アイツ真面目かよ…」

「いや、そうと見せ掛けて実はムッツリなのでは?」

「うわ、マジかよwwアイツ、とことん最低だな。」

 

と、完全に見下げられた態度で言われたが、ボクは全く意に介することなく聞き続けていた。護身術の先生は話は面白いし、なんだかんだ言ってためになるから……損はしないとも思ってる。

 

 

 

いつか………父さんのように…

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………!!!…………オイ!!」

 

 

 

 

 

 

 

「…?どうかしたの?」

 

 

 

「ったく。やっと返事したかよ……ちょっとツラ貸せや…」

 

 

 

 

いつの間にか授業は終わってたようだ……

それにしても…

 

 

 

うわぁ…古いタイプのヤンキーだ。いやそうじゃなくて……何かしたかな…全く身に覚えがないんだけど……いまは前園さん達がいないから格好の餌食というわけね。あまり気乗りはしないけど、面倒事を起こされちゃたまらないから………

 

 

 

 

 

 

 

「話って何?あまり時間は無いから手短にお願いしたいんだ。」

 

 

 

 

放課後……呼ばれた通り、グラウンドに来たはいいものの向こうは張本人とその取り巻きであろう生徒たちが複数人でボクを囲い逃げ道を潰した。あまり時間はかけられないから早くしたいんだけど…

 

 

 

 

 

「俺ら上級生からの歓迎の挨拶だ…ありがたく受け取るんだなっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グゥッ…!!!」

 

 

 

 

「おら、そんなんかよ…今回の新入生も大した事ねぇな!!」

 

 

 

 

 

ボクはいきなり取り巻きたちに押さえられ、お腹を思い切り蹴られて向こうの壁にぶつかった。奇跡の力を借りてるから衝撃を極限にまで抑えたけど、やはり痛みはそのままのしかかる。ボクが倒れた後も奴らは暫くボコボコにしていた。けど、ボクはある不安を感じた。

 

 

 

 

(ココって学校のグラウンドだから人目につきやすい。そんな場所にこんなことをして大丈夫なんだろうか……そして、何で誰も助けにも止めにも入らないんだ……先生なら介入することは出来るはず……)

 

 

 

 

 

正直、あそこでボクがやり返しても良かった…でも、相手は上級生…しかも揉め事を起こせば最後、ここを去らなくちゃいけない。まあ、元からココには長くはいられないからどちらにせよ、ボクが耐えればいいだけの話だ………。

 

 

 

 

 

 

ヤツらはボクが動かなくなったことを確認すると、さも満足したように軽い足取りで去っていく。それを確認したボクはボロボロになった体を素早く起こし、家に帰った……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その道中でも、もうひと悶着あった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「離してください!!何度も言ってるじゃあありませんか!!」

 

 

 

なんと、かの有名なRoseliaの氷川紗夜が、今にも襲われそうになっていた。

 

 

 

 

 

 

 

「…何で……こうなるんだよ……」

 

 

 

 

ボクは度重なる事態に少々げんなりしていた。だが、彼女は表情を強ばらせてるが、瞳には恐怖が描かれており、足も震えてる。このまま放っておくのも……寝覚めが悪いからそのやり取りに無理矢理乱入することにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ?んだよお前、とっとと失せな!!こちとら格闘大会優勝者だぜ?」

 

 

 

 

 

 

 

「……そうなんですね…実はボクも…格闘には自信があるんです。ですが…場所が場所なので……これで勘弁願いたいですよ。」

 

 

 

そう言いボクは気づかれない程度に指を動かして、相手に割れるほどの頭痛を与えた。その姿を見る限りもう笑いをこらえるのにも必死だよ。今の僕はどんな風に見えてるだろうか………ただの通りすがりの生徒か………それとも……ただの命知らずなのか。

 

 

「クソ!覚えてろ!!テメェなんか、すぐにぶっ殺してやるからな!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

と、ザコ敵らしい捨て台詞に対し、

 

 

 

 

 

「うん、待ってるね〜いつでもおいで〜!!」

 

 

と、明らかな挑発をかけた。傍から見ればただの頭のおかしい人間だと見られるだろう。それは彼女もそうだろう………

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

「………あの、助けてくださり……ありがとうございます。」

 

 

 

 

 

「うん、それじゃぁ夜遅くにまでココは通らない方がいいですよ。さっきみたいに襲われるかもだから……それじゃあまたどこかで会えたら…。」

 

 

 

紗夜

 

「あの、待ってください…」

 

 

 

 

 

「家にまで送るよ。目を閉じて。」

 

 

 

 

 

 

 

 

ボクは彼女が言い終わる前に、遮った。ココはもう、襲われることは無いことがわかったから……感謝を受け取らずに逃げるなんてなんて恩知らずなやつかと思うかもしれないけど、ボクはあくまでも『助けた』のでは無い。ボクの通り道の『邪魔だったから退かした』だけなのだ。別に彼女に欲があって助けたのとは違う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は不思議なことが起こりました。

 

 

私が男性に襲われそうになったところを、一人の少年が助けてくれたのです。少年が特に何かをしたのではないのに、男性は頭を押さえながら私を離して、この場から足早に走り去って行った。

 

 

何とかお礼を言おうとするも彼に遮られ、瞳を瞑れと言われたので従うと、目を開けるとそこには、彼の姿はなく代わりに…私は家の前にいたのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

「…ただいま…」

 

 

 

 

 

 

「あ、お姉ちゃん!!おかえり〜!!」

 

 

 

 

 

 

私と同じ髪色でショートの彼女は妹の日菜。羽丘の生徒会長、そして『Pastel*Pallets』のギター。以前この事で仲違いしてしまったが、今は徐々に受け入れ始めてる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日菜

 

「お姉ちゃん…なんかいい事あったの?すっごい嬉しそう!」

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

「…ええ、そうね。」

 

 

私は、日菜に先程のことを伝えたのだ。彼に助けられて以降は、彼の事を忘れられずにいた。しかし、私の呼びかけには一切応えず、ただただ哀しく……そして寂しそうな瞳をこちらに向けていたことにも、同時に悩んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日菜

 

 

「ねえ、お姉ちゃんは……その人のこと……好き?」

 

 

 

 

紗夜

 

「…!!?なな、な何を言っているの!!私がそんなことあるわけないでしょ!!」

 

そう言って私は自分の部屋に閉じこもった。日菜に興味を持たれては、彼も盗られてしまう……その可能性もあったが、彼の姿もよく見えなかったが、あの時に私を助けてくれたあの人の背中は、不思議と安心するのもまた事実。

 

 

 

 

 

 

……………きっと、私は…………彼に心を奪われたのでしょう。そうなれば、彼にも必ず責任を取ってもらう必要があるわね。

 

 

 

 

 

 

そうして、私は今井さんに異性との振る舞い方を教えてもらい、今日を終えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………どうしよう………また、やっちゃったよ……もう、人は死なせないって決めたのに………これじゃ……叔父さん達の所にいたあの時と何も変わらないじゃないか……

 

 

 

 

ボクは彼女を無事に送り届けたあと、ボクは彼女のお礼を一切受け取ることなく、その場を瞬間移動で去った。お礼を受け取らないなんて、無粋だと思われるかもしれないけど、ボクはお礼を言われる立場なんかじゃない。ボクは一人の人間を殺したんだ。

 

そう、実は頭痛を訴え逃げたあの男は、誰もいないところで、影に引きずり込まれて闇の中へと沈んでいった。その時の叫びも聞くに堪えない酷いものだった。

 

 

 

 

 

 

 

ボクは一人の人間を殺した罪人だ。助けた訳でもなく、ただ叔父さん達の言いつけを守るために殺しただけ……。

 

 

…………誰かに礼を言われる筋合いなんてこれっぽっちもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本当なら……彼女の首を討っても良かったのだが、何故か……彼女を見るとそんな気が一切起きない……まるで……その姿が……かつての僕自身とよく似ていたから……………。

 

 

 

 

 

 

 

だから、ボクは彼女を家に送り届けては、もう二度と会わないことを願いながら、自分も家に戻ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら、満……遅かったじゃない。何かあったの?」

 

 

 

 

 

扉を開けた先には、ソファでくつろいでる楪……

リビングの床下で雑魚寝してる弥助……

トレーニングをしてたのか汗が染み付いてる香凛……

風呂上がりでスッキリしてる様子の海音がいた。

 

 

 

 

 

……どうしよう…今ココで言うべきか……いや、そんなことをすれば間違いなく怪しまれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ちょっと必要な書類をまとめてたら時間かかっちゃった……」

 

ボクは……悟られまいと咄嗟に嘘をついた。

 

 

 

 

 

 

「…………そう。」

 

 

 

と彼女らしく、あまり関心無さげな返事をしてすぐさま、研究を続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボクが部屋に戻る際に見られてる視線にも気にせずに……

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

 

「…………………………。」

(あれは、間違いなく…………何かが起きたんだな……それに、背中と腹部にできたあの痣……一方的にやられたか……あるいは……)

 

 

 

 

 

 

 

あまりに静かで殺伐としたリビングが食卓が並ぶことで、一気に賑やかになり、先程の殺風景が嘘のように…………そうして、ご飯を食べ終え、それぞれ部屋に戻って寝たことを確認したあと、ボクは改めて例の女子校について調べてみた。

 

 

 

 

 

 

花咲川にも羽丘にも月ノ森にも、共通してることがありそれは、ガールズバンドが存在しており、それぞれのファンが……ストーカー紛いなことをやっては犯罪行為へと走る者が大勢いるということだ。楪は兎も角、弥助や香凛には荷が重いだろうから…………代わりに海音くんとボクで対処することにしたんだ。ホントは悪魔や怪物を相手にするのだが、こういった情報も入ってくるので、殺らないわけにはいかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ココが…紗夜ちゃんを連れてった奴の根城か……必ずぶっ潰してやる!」

 

 

 

 

 

ある一人の男の復讐に燃える炎さえも聞こえず……ボクは右の顔半分を包帯で巻き直し、完全に眠りについた。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

37,同じ人を2度救ったらそれは運命?

彼女を助けてから次の日、ボクはいつものように周りの疑惑の視線を浴びながら席に着くと、何やら背中に痛みが……

 

 

 

 

 

 

椅子の背もたれに画鋲が固定されていた。犯人はもう既にわかってるが、やってることが幼稚すぎるため、伝えることはしなかった。報復が怖かったからじゃない………単純にそんなことをして単位を下げられることが嫌だったからだ。

 

 

 

そう、ボクは生徒だけでなく、一部の教師からもことごとく嫌われてる。一切ボクに指名しなかったり、超難解をボクにとかせようとしてきた。まあ、それも大して僕には効かなかったけどね。わかんないフリしてても案外わかんないものなんだね。

 

 

 

 

 

 

 

昼食の時間だ。今日はきのこバター炒めとハンバーグのトリュフ添え、ビーフストロガノフ、和栗ご飯だ。……今日もボクはいつものように屋上の椅子に座ってご飯を食べてると、そこに思わぬ人達が座ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

美島さんに、葵さんだ。

 

 

 

 

 

 

「あ、君のお弁当…もしかしなくても……手作りだよね!!?」

 

 

 

 

 

美島

 

 

 

「わぁ、凄い!そのお弁当…まさか君が作ってるの?」

 

 

 

 

 

と、急に現れた2人に焦りながらも、

 

 

 

 

「……はい、毎日………やってます。」

 

 

 

 

とだけ答えた。何を考えてるか分からない以上、変に親密になりすぎないのがいい。ここで仲良くなって制裁を喰らうのはゴメンだ。だからこそ……平常心……

 

 

 

 

美島

 

 

「すごーい!!出来る男の子って素敵〜!!」

 

 

 

と、彼女はアイドルにも関わらず、僕を自分の体に引き寄せた。腕に伝わる柔らかく、温かいこの感触………じゃない………

こんなことを誰かに見られでもしたら、それこそ一大事だ。

 

 

 

 

 

 

 

「あの、アイドルが……こんなことを……したら……ダメじゃ……」

 

 

 

 

 

 

 

美島

 

 

「ん?そんなの……お金でどうにかするわ。」

 

そういう話では無い気もするが彼女の表情には何やら圧がありこれ以上の言及はさせないという顔だったので……それ以上にしつこく聞くのはやめにした。こちらの身が危ぶまれる可能性がある。なんとなくだが、そんな気がするのだ。

 

 

 

 

 

 

 

「ほら、早くちょーだい!!君のお弁当すごく美味しそうだから、待ちきれないんだ!!」

 

 

 

 

 

「え、あ、はい……わかりました……では、箸貸してください。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……いや、その…………出来れば、君ので……」

 

 

 

 

………………ちょっとだけ良いですか。

 

 

今なんか、不吉なことが聞こえたような気がするのですが……何、僕の箸で彼女達に食べさせろと?

 

HAHAHA………………

 

 

 

何冗談を言ってんですか……。そんなはずが……あったよ。

 

 

 

 

 

葵さんも美島さんも口を開けてもう準備万端。ん〜〜、これは一体何のギャルゲー何でしょうねぇ…(思考放棄)

 

 

 

 

 

 

 

ここまで来たらもう、どうとでもなれという勢いで、自分のマイ箸でトリュフハンバーグを2人に食べさせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美島

 

「な、なんか……恥ずかしいね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱ、男子からこんなことされるなんて、心臓がヤバいよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

と、二人は顔を赤くしながら悶えていた。

あのそれを言ったらボクは相当な辱めを受けたのですが、それについては何も突っ込まないのですね。あ、ボクは一切恥ずかしいとかそういう思いは無いので御安心を。

 

 

 

 

 

 

ただ、彼女達がお願いするものだから、それを叶えただけのことだ。何度も言うが、ボクはお礼言われるほどの身分を持ち合わせてはいない。父さんの意思を継ぐためにやってるだけ…例え、それが人殺しであっても………………。

 

 

 

 

 

 

 

結局ボクは彼女達に食べさせることに必死でマトモに食事ができなかった。お腹すいた……

 

 

 

 

 

 

昼休憩も終わり、午後の授業に取り組んだものの、変な気持ちになるわけではなかったが、どこかおかしかった。彼女達と関わってる時だけ、その姿が父さん達と重なってしまう。そして、父さん達のことを思うと、胸が激しく痛む。一体どうして彼女達といると、父さん達のことを思い出すのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以降、一切頭に入ってこなくて、クラスメイトにノートを写して帰る支度をまとめてる時、ギャルッ子の鮫島さんに声かけられた。

 

 

 

 

鮫島

 

 

「お、ミッツーじゃん!ねね、ウチらさ…同じ道通るからいっしょに帰んね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…?

 

 

……ええ、良いですよ。」

 

 

 

 

 

別にこの誘いを断ることも出来たが、彼女の様子が少し違ったので、大人しく受け入れることにした。理由もないからね。一緒に帰ること自体無かったからこの誘いが素直に嬉しかったのもある。だけど、それとは別に原因があるとみた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「____ッ!!!」

 

 

 

 

鮫島

 

 

「…やっぱ気づいた?」

 

 

 

 

 

「…どうしてこのことを誰かに伝えなかったんですか。」

 

 

 

 

狭い裏路地を通りかかった時に、何かが後をつけてる、こちらが止まればアチラも止まる。その逆も然り……そんな感じがあった。いや、裏路地からじゃなくて、初めから後をつけられていたというのか。鮫島さんはずっとこのストーカーに悩まされていたんだ。でも、明らかに屈強そうな男だから助けを求めても、まったく歯が立たないのがわかる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女はボクの表情の変化に気づいて、小声で言ってくる。その時だった。

 

 

 

 

 

 

 

「てめぇ!!オレの葵ちゅわんに何キスしてんだぁぁ!!!」

 

 

 

 

やつの方向からはキスしてるようにしか見えないため、奴が完全に激昂して僕にめがけて隠し持ってたナイフを突き刺した。その様子を見た彼女は完全に青ざめていた。それもそうだ、本来ならたった今人が殺されそうになってるのだから……

 

 

 

 

 

 

しかも、このストーカー男…よく見たら……どこかで覚えがある。ボクは手に持ってたナイフを回し蹴りで蹴り弾き、あることを問いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あなた、花咲川の人を襲おうとしてましたよね。まだ懲りてなかったんですか……。」

 

 

 

 

「うるせぇ!!あの時、てめぇが邪魔しなけりゃ最後までヤることが出来たってのによ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あーあ、言っちゃったよこの人、こっちが記録とってるのにも知らずに………

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ですってよ。…警部の皆様……」

 

 

 

その呼び声と共に数人の警官が男を取り囲み、男に関しては「へ?」みたいな表情をしていた。それは葵さんも同じで涙目ながらも鳩が豆鉄砲食らった顔をしてたから…………最近、こういったことが多発してるから、ボクがそれを解決に導くことで、数人の警官たちがボクの願いという安全を保証してくれるのだ。

 

 

 

「離せ!俺はまだヤり足りねぇんだよ!!!!」

 

 

「うるさい!早く歩けこの変態が!!」

 

 

 

「お前みたいな奴を、野放しには出来ないんだよ。」

 

 

 

 

「いやああああああああああああ!!!!!!!」

 

 

 

こうして、氷川さん及び葵さんを付け狙うストーカー野郎は即刻、御用となりました。

 

 

ボクは彼らに礼を言い、改めて送り届けることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの、マジで…助かった。あんがとね。

アンタって警察の人間の関係者?」

 

 

 

 

 

 

「うーん、関係者って言うよりは、父さんがすごい偉い立場の人間なんだ。」

 

 

 

 

 

 

「マジで!!?ヤバ!!ウチってそんなすごい子に出会えたの!!マジでテンション上がるぅ!!」

 

 

 

 

 

家にまで送り届け、こんなことを話してると、先程とは打って変わってすごい元気な様子に戻った。ホントに表情豊かで忙しいヤツだなと思った瞬間でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事務所に戻れば、彼女達が迎えてくれる。ボクは家に着くやいなや、すぐさま晩御飯に取り掛かった。こんなことをできるのは海音くんとボクだけだからね。弥助は簡易食だし、香凛はある意味料理をさせてはならない。なぜなら、出てくる料理がどれも普通ではなく、禍々しさが全開の料理が出てくるからだ。楪に至っては、研究に熱中しすぎて、言うまでもなく食事を摂らないことが多く、香凛やボクが呼ばないと中々出てこない。

 

 

 

 

 

 

 

(今日は、余ったものを使うかな…)

 

 

食材を取り出した時、ふと思った。

氷川さん……無事に過ごせてるだろうか……あの時はあんなことを言ってしまったけど、やはり不安なところはある。

 

 

 

(ダメだダメだ、ご飯作らなきゃ…)

 

 

 

まとわりつく雑念を振り払い、超能力や奇跡の力を使って開始から三分で今日のご飯は完成した。ちなみに、事務所内ではこの力は普通に使ってる。外でやった日にはみんな怪しむから出来ないだけで………今日はこんにゃくを詰めたハンバーグに、すまし汁、国産米で炊いた出来立てホヤホヤの白飯、ロールキャベツ(直径15cm)←!!!?www

 

 

海音

 

 

(…………満の奴、妙に嬉しそうだな。まあ、いつもの事か……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みんなで食卓を囲むと、三人はものすごい驚いてた。まあ、ロールキャベツがあんなに大きかったらね……ボクとしてはその巨大なロールキャベツを切り分けることなく一口で放り込む弥助に驚きを隠せなかった。もちろん、彼女達がそんなことをするはずもなく、ちゃんと女性らしく少しずつ食べてた。これが普通なんだろうけど……ボクの感覚がおかしくなってるのか、弥助の食いっぷりが当たり前のように感じてしまう。

 

 

 

 

そんな楽しい(?)食事をしたあと、テレビをつけたら気になるものを見つけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

弥助

 

 

「お、お前もついに興味を持ってくれたか!!可愛い子たちがいっぱいだろ!!」

 

 

 

 

 

「は、ハハ……そうだね……うん、可愛い……」

 

そういう彼にボクはただ苦笑する他なかった。確かに、彼女たちを見るとみんな可愛い、それぞれの魅力を放ってこういうのに慣れてる弥助が気に入るのは当然だ。だけど、ボクにはこんな不安もあった。

 

 

 

弥助

 

「だけどまあ、この地じゃ有名なガールズバンドだから色々トラブルが絶えねぇんだよ。」

 

 

 

 

その不安が見事に的中。そう、テレビに出るほど有名なら、そういった行為に至る奴らも多くいる。中には人外も出てくるため、僕ら二人でどうにか倒す必要がある。何故なら悪質行為を行う奴らはともかく、鬼や悪魔が相手では普通の人間じゃあまず太刀打ちできない。それも複数出てきたらそれこそ終わりだ。それがないことをただ祈るしかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の朝を迎え、効率的な食事をとって、身なりをきっちり整えたあと、日菜と一緒に学校へと向かった。学生の身分なので当然だが、理由はもうふたつあって、ひとつはRoseliaの練習………そして、先日助けてくれたあの人を探すため………。

 

 

 

紗夜

 

 

「必ず、見つけてみせます。」

 

 

 

 

 

 

 

 

その後も授業を終え、バンドの練習に向かうと一緒に彼を探したが、やはり見つかることは無かった。このもどかしさが彼女を蝕んでいき……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紗夜……今日のあなた……何か変よ。」

 

 

 

紗夜

 

 

「…そうでしょうか…」

 

 

バンドリーダーの湊さんにそのことを指摘され、今回は自主練をすることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その帰り道のことだ。

 

 

 

リサ

 

「紗夜ー、なんかあった?アタシに言ってみてよ。」

 

 

 

紗夜

 

「…それは___ッ!!!」

 

 

 

リサ

 

 

「え、何?急に黙っちゃってるけど……あれ、あの子……何やってんだろ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの時は暗くてよく分からなかったが、あの暗い夜道を照らしてくれる金色に輝く着物姿、そしてあの優しさと一緒にたくましさを感じさせる顔立ち……間違えようがない……………彼だ。

 

 

 

その事がわかった今、走り出さずにはいられない。私はすぐさま駆け寄ろうとした時、

 

 

 

 

 

 

 

「シィッ……静かにね。」

 

 

 

彼を見つけることが出来たのだが、何故かその場を動こうとしなかった。

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

「………?どういう……。」

 

 

 

理由を聞こうとしたが彼の膝にいる存在に気づいて、すぐさま察知した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには、おそらく卵から孵ったであろうフクロウのヒナが数羽、彼の膝と肩、腕や頭の上で心地よさそうにして寝ていた。それを知った時、先程までの焦燥感が嘘のように、なんだか和んでしまう私がいた。

 

 

 

 

 

リサ

 

 

「可愛いぃー!!ね、君フクロウ飼ってんの?」

 

 

今井さんも気持ちよさそうに寝てるヒナたちを気にかけてか、小声で話してきた。

 

 

 

 

 

 

 

「……いえ、ここのイスに捨てられてたんで……仕方ないから面倒を見ようと……」

 

 

 

リサ

 

 

「そっか〜、君優しいんだね!あ、アタシ今井リサ!

ねね、君の名前も教えてよ!しかもこの制服、うちらと全然違う。」

 

 

 

 

 

 

 

「……僕は満……です。嵐山の学院生です。」

 

それを聞いた私は驚きが隠せなかった。なぜなら、そこは数少ない優秀の成績を残した者のみ通うことの出来る、所謂エリート校。その生徒に出合えたこと自体が奇跡に近い。私はますます彼に惹かれていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

「あの、先日は……ホントに…ありがとうございます!」

 

 

 

 

言えなかったお礼を再び言うと、彼は少し困った顔をしてこう言い返した。

 

 

 

「お礼を言うには……早すぎます。それと、ここを一刻も早く離れてください。」

 

 

 

リサ

 

 

「ちょ、ちょっと…お礼は素直に受け取っておくものだし、それにここを離れろって言われたって……」

 

 

 

 

 

今井さんが口を紡ぐのを急に辞めたので何事かと思えば、あの時私を襲おうとした男とよく似た人が一直線に走っていく。しかも相手の手にはどうやってしまったであろう、少なくとも刃の長さは40をゆうに越してるナイフを持って……

 

 

リサ

 

 

「ちょ、満!危ないって!逃げようよ!!」

 

 

そう言って彼の手を引こうにも、既に彼の姿はなく、代わりに二人が向かい合って刃をぶつけていた。相手は絶対に殺そうと必死にナイフを振り回しているに対し、彼は顔色一つ変えずに腰におろしてた刀で動かずに応戦していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「テメェ……なんで死なねぇ!!何でテメェに傷がねぇんだよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「 ボクにはきみの動きも遅くて……眠いんだ。だから早めに終わらせるよ。」

 

 

 

「テメェ……!!!」

 

 

相手は完全に血が登り、彼にめがけ走り込んだ。危ない!!そう叫ぶも彼は一切避けることをせず、ただ目を瞑って深く息を吸っているだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スゥゥゥゥゥウウッ…………

 

 

 

 

 

彼が息を履くときの音が明らかに人間のそれとは違っていた。それだけでなく、まだ日が沈みかけてるのに、いきなり新月の夜が映し出され、

 

 

 

 

 

 

 

「……全集中…影の呼吸…肆の型…『無限・月詠』!!!」

 

 

 

 

 

 

 

そういうと、彼は影の中に沈んでいき、相手が彼の影を踏んだ瞬間に、飛び出し、相手は真っ暗闇の空の中で何度も何度も斬られていき、最後は相手の姿をも闇の中へと消していった。まるで新月の夜にだけ姿を現す月読命のように…………速く、美しく…そんな風景を見せられていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくすると空が晴れ、彼も静かに歩み寄っていく。だが、今の光景を見て、私は彼に尊敬と同時に恐怖した。ここまでの並外れたことをする……ましてや人を殺したんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

「あ…………あ、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕が近づこうにも、彼女は必然的にぼくから逃げるように後ずさってゆく。当然だ……ボクは今、人を殺した。恐れられてもおかしくはないこと。彼女を怖がらせた罪は重いものだろう。だから、ボクは許しをこい、ただ彼女のことを抱きしめて闇そのものを取り払った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

 

「…!!あ、あの……顔が………近い……」

 

 

 

 

 

 

「ごめんなさい。ボクがもっとつよかったら……みんなを守れたのに………やっぱりボクには礼を言われる資格なんてものは無いんだ。」

 

と、少し名残惜しいが、彼女の体から手を離し、その場を走りさろうとした時に、

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

「…待ってください!!」

 

 

ボクの腕を彼女の手で掴み、逃がすまいと必死に力を込めてる。このとき、ボクは「この人は絶対に曲げない人」だと理解した。体が触れ合ってしまえば、どこへ行こうとも一緒に移動してしまうので意味がない。こうなってはもうどうしようもないので、仕方なくボクは振り返ることにした。彼女……氷川さんは瞳に涙を浮かべながらひたすらに感謝された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから少し経って、彼女の様子もようやく落ち着いてきた。

 

 

紗夜

 

 

「すみません……変なところを見せてしまって…」

 

 

 

 

 

 

「いえ、貴方は生きてるんですから思いきり泣いたっていいんですよ。それで、お礼っていっても、それは明日にしましょうね。今日はもう遅いですし、何よりもあなた達の身が危険すぎます。」

 

 

 

 

 

紗夜

 

「はい、ではまた……明日…ここで会いましょう。」

 

 

 

そう言って僕は、彼女達が見てない隙をついて、端末に手を触れた。すると、彼女らはビックリしていた。それもそのはず……気づいた時には、自分の家にいるから………こんな目立ったことをしていいのかと聞かれるが、結果的に彼女達の笑顔を失わずに済んだから…これでいいのだ。

 

 

 

 

それにしても、ここのところほんとに災難が起こりすぎてる。この三日でこういった案件はもう八回目だ……勘弁願いたいくらいだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……こんなにも派手にやっちゃって……大丈夫かな…」

 

 

明日に向けて早めに寝ることにしたが、そんな疑問が頭から離れることは無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

またしても、彼に助けて貰った。確かに、初めは怖かったがいざ話すとなると案外優しくて、フクロウのヒナもとても懐かれていた。それに決して嫌な顔一つせず、太陽のような微笑みを見せてくれた。彼には周りにいる男性のような欲が一切なく、ただ純粋に救いたいという気持ちがあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

「……また、会えますよね……満さん……」

 

 

その夜は、その事への胸の高鳴りが止まらず、しばらく寝付けることが出来なかった。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

38,未開の領域へようこそ。

紗夜

 

「……そういえば、彼の連絡先……聞いてなかった…」

 

 

 

 

 

彼……満さんに出会ってからもう、数日は経っただろうか……私はアレから彼の事が頭から離れない。ここまで来たらもう重症かもしれない。

 

 

 

 

日菜

 

「何だか……嬉しそうだね!お姉ちゃん!!あ、もしかして……好きな人出来たとか!!」

 

 

 

紗夜

 

「な、何を言ってるの!!そんなこと言ってないで、早く行くわよ!!」

 

 

 

日菜

 

「はーい!!」

 

妹の言葉におもわずドキッとしてしまう。もしかしなくとも……私は彼を…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつもと変わらない朝、いつも見送ってくれる彼ら…………でも、一つだけ違うことといえば…………

 

 

 

 

 

「ねーえー!ミッツー、聞いてんの〜?」

 

 

石田

 

「葵さん……彼が困ってるからその辺にしておいた方が……」

 

 

奈那子

 

「そんな事ないよね〜。私たちと一緒に歩けて、緊張してるんだもんね。」

 

 

琴里

 

 

「え、やっぱりキミも緊張するんだね!僕なんて心臓バクバクだよ!!」

 

 

 

 

そうです。学院内でも有名で美女四人組に囲まれながら登校してるんだ。落ち着いてくれ…殴らないでくれないか?コレはボクも予測できてなかったんだよ。いやまあ、仮にわかって断ったとしてもしつこく追いかけてくるだろうから、そんなことになれば周りの注目を浴びやすい。それを避けるためでもある……だから頼む。ボクの学生ライフを妨害すべく刀とか振り回したり、晒したりしないでね。ボクとの約束だよ。(誰に言ってんだ。)

 

 

 

 

 

 

 

(女の子に囲まれる日がやたらと増えた気がするなぁ……昨日もそうだけど、どこに魅力があるのだろう……{完全に気づいてない}。)

 

 

 

 

 

門をくぐった先でも、生徒だけじゃなく、一部の先生も蛇睨みを利かせてこちらを見ていたが、一切気にせず席に着くことにした。

 

剛田

 

「お前らも話には聞いてるかもだが、最近近所の女子校の被害と共に、本校の生徒が行方不明となってる。気をつけて登校しろ。もし襲われそうになったら、殺さない程度に倒せよ。処理が面倒だからな。」

 

 

その事を先生から聞いた時、ボクの背筋が凍りついた。何故なら、それらは全て彼が害なすものの死と被害者を救ってるから……全員が元気よく返事する中、ボクだけは乾いたほほ笑みを見せることしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

「なあ、あれって例の美人姉妹じゃね?」

 

 

「おお、スゴい……本物だ。」

 

 

「こんな美人に本物も偽物もあるかってんだバカタレ!」

 

暇な授業が終わり、帰ろうとした時、何やらクラス内が騒がしかった。みんなして窓の外を見ていた。その隙間から覗いたら、あの時の氷川さんと、その彼女によく似た人がいた。妹さんだろうか……だとしたら納得がいく。逆にそうでなくては辻褄が合わない。

 

 

 

 

そういえば、お礼がしたいって言っていたような気がする。ここで断ってもいいのだが、追い回されるのは火を見るより明らかだから、 ボクは急いで草鞋に履き替え、彼女達の元へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

 

「お疲れ様です。こんな休日にも勉学に励んでるとは……感心です。それにしても、ホントに昔の人ながらの格好ですね。」

 

と、彼女は少し微笑みながら出迎えてくれた。果たしてこれがお礼になるのだろうか……

 

 

日菜

 

「ねぇねぇ!キミってお姉ちゃんのこと助けてくれたんでしょっ!!ありがとう!!アタシ、君を見てるとルンってするんだ!!」

 

 

 

 

グイグイ来る彼女に、ボクはただ笑って見るしかなかった。

 

 

その頃

 

 

 

 

 

 

 

「あの野郎、転校生の分際で氷川と仲良くなりやがって…!!」

 

 

 

「でも、なんか……羨ましいなぁ…。」

 

「あのガールズバンドと話してるだけでも光栄なのにな、明らかに気づいて無さそうだぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

クラスメイト達は彼らの様子を、ただひたすらに羨んだ。

 

 

 

 

 

 

 

帰り道の途中で、こんな誘いを受けた。

 

 

紗夜

 

 

「お礼…と言っては何ですが……その…Roseliaの歌を…聞いてほしいんです。」

 

 

 

 

 

 

「……いいですよ。知識はあまりないですけど……」

 

 

紗夜

 

「大丈夫です。あなたがいてくれるだけで……」

 

 

何か意味深なことを言われたが、待つように言われた以上は、下手に動かない方がいい。何せ、がち勢のRoseliaが来るのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく待つと、五人の少女達がステージ上にたった。コレが、Roseliaのみんななんだね。その中でも一際目立っていたのが、VO.の湊友希那。何でも、歌姫として名高いらしい。

 

それなら、多少は期待できる。ボクらが復活するために……

 

 

 

 

「紗夜を助けてくれて、ありがとう…私達Roseliaのメンバーが失っては成り立たないわ。

 

 

それでは聴いてちょうだい……

 

 

『BRAVE JEWEL』……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やはり、トップクラスのバンドは凄いね……まるで、あの頃の僕らみたいに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日菜

 

 

「でしょでしょ!!お姉ちゃん達のバンドもスッゴイんだよ!!」

 

 

 

それに、それを話してる彼女もとても、楽しそうだ………。

気がつけば、ボクは彼女達の魅力に惹かれていったのかもしれない。

 

 

 

 

演奏が終わると、友希那がこちらに近づいてきた。そして、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「満……私達は貴方を…正式にスカウトするわ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、唐突のスカウト……参ったな…弥助にガールズバンド達の手助けをしろって言われた手前、引き受けるが……果たして、ボクの体がもつだろうか…………

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん、この手のものは疎いけど……頑張りますよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう快諾すると、ドラムの子がすごい喜んでた。それほどに嬉しかったのだろうか……。

 

 

 

 

 

 

どうやら、キーボードの白金燐子先輩にドラムの子は宇田川あこ先輩と言うらしい……

 

 

 

 

 

 

ボクも名前だけ軽く紹介してすぐに仲良くなった。(早すぎだろ)

 

 

 

 

リサ

 

「それじゃあ、あたし達の親睦を深めるために、どっか行かない?」

 

 

 

「ええ、それならいつものファミレスがいいわね……来てくれるかしら?」

 

 

 

 

 

 

ふぁみれす……?

 

 

…………またしても聞きなれない言葉だ。そこに何があるのだろう。そういえば、白金先輩の方からお腹がなったのが聞こえたので、空気を読んで何も言わずに着いてくことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(コレが…ファミレス……すごい賑やか……こんなものまであるのか……様々な料理の香りが漂っていていい雰囲気なのが分かる。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

わたしたちが席についてメニューを決めたのだが、彼だけがメニュー表を必死に見つめて悩んでいた。

 

 

 

 

 

あこ

 

「…みつ兄、ファミレス……初めて来たの?」

 

 

と、直球に聞いてきた。流石に彼の事だから候補を考えてるのだろうと………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう思ってた時期があった………

 

 

 

 

 

 

 

 

「……うん、よくわかんないんだけど…どれを頼めばいいのかな……?」

 

と、彼は凄い困った顔でこちらを見てきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『えええっ!!?』

 

 

 

 

 

 

そのあまりに衝撃的な発言に驚きを隠せず、大きな声を出して周りの人達に見られ、湊を除く皆さんに……あれよこれよと教えこまれたのは…………言うまでもない。

 




あの………こんなことを今更言うのも変ですけど、この小説を読んでキャラが違う、設定に無いものがあるって言われても、これを楽しみにしてる人もいるので、辞めることは出来ないです。そんなことを言うなら、初めからブラウザバックしろって話です。
以前、クロスオーバーは禁止のコメントが来たんです(削除済み)が、それだったら運営に直接訴えた方が早いと思います。そうすれば、クロスオーバーというジャンルが消えるので………
それに、バンドリのクロスオーバーが禁止なら、これに限らず他のクロスオーバー作品もダメって言うことになってしまうのではないかと僕は思います。長い文章すいません。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

39,知らない罪

氷川を助けたお礼にRoseliaのライブを近くで聞くことになり、スカウトまでも受けた。それを快諾し、親睦を深めるためにファミレスに寄ったが、彼はファミレスを知らないどころか、ガールズバンドが何なのかさえ、よく理解していないことを告白。そこで改めてガールズバンドのことを色々教えられたのだ。果たして、彼はガールズバンドの全てを知ることが出来るだろうか………


………とまぁ、かれこれ2、3時間は経っただろう……話を聞いてるだけでももう眠くなってきたんだ……

 

 

 

彼女達の言うには、他にも『Poppin’Party』、『Afterglow』、『Pastel*Pallets』、『ハロー!ハッピーワールド』、『Morfonica』、『RAISE A SUIREN』の数々の個性溢れるバンドが点在している。特に、『Afterglow』や『RAISE A SUIREN』はRoseliaに引けを取らない実力の持ち主だ。そこでボクはあることを考えた。

 

 

 

 

 

 

 

(もし、彼女達全員をボクらで何とか教えこんだら……いつか、僕らの前に立ち塞がるんじゃないかな……。)

 

 

そう、僕はかつて伝説を掴み取ったあの『Revival Glitter』のメンバーだ。今は訳あって活動出来てないけど、それでも仲間はここにいてくれてる。

 

 

 

 

 

(とは言え、学校に家事にバイトだけじゃなくて……ドラマ撮影にレースだってあるから……そんな頻繁には来れないけど、それでも少しでも上達して、ボクらに本気で渡り合えるなら……ボクの身を削ってでもやるよ。)

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、彼は学生の身分でありながら、和の素材を取り揃えた小料理屋としてのバイトを掛け持ち、アクションスターの彼は主役や悪ではあるもののどこか憎めない悪が多く、彼自身も演者としてドラマに出たりする。それに加え……ガチのプロレーサーとしてサーキット内を駆け抜ける。

 

 

それが彼女達にバレた時が、彼にとっては怖かった。それらを隠してこっそり生きていかなくてはならないのもそうだが、全てはあの悲劇から始まり、こうして今の自分がある……

 

 

 

 

 

 

なので、その真実を知ってしまった時の彼女達の表情を想像したくないので、海音達にしか話していない。少なくとも、彼女達には迷惑をかけたくないし、自分のように危険を………………………罪を背負って欲しくなかった…彼はそういう思いがあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……さん………つるさん……………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

燐子

 

 

「満さん!!」

 

 

 

白金先輩の一声にボクははっと我に返る。ものすごい剣幕で悩んでたから心配になったのだろう…そう表情がうかがえる。

 

 

 

やはり、ボクはどの世界でも……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無能な奴(クズ)』のままなんだろうか………そう思うと、何故だか心が痛む。

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとうございます。先輩方は先に外で待っててください……!ボクはやることが少しだけあるので…直ぐに向かいますね。」

 

 

 

 

 

 

ボクは彼女達を外に出し、会計を済ませたあと、彼女達の向かう方角とは真逆の方へ走っていった。荷物を取りに事務所(我が家)に帰るのもある。だが、軽く身を揃え自室を後にし、空間に裂け目をつくり、急いでくぐった…何だか嫌な予感がするから……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「やめなさいっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遅かった……Roseliaと…あれは噂に高い『RAISE A SUIREN』そして……苦しみながらも明らかに敵意や殺意をむき出しにして刃を向ける海音の姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「海音くんっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

急いで駆け寄って彼の瞳を覗き込む。瞳の奥まで闇に染まってなかったからまだ良かった……………

 

 

 

 

海音

 

「満………すまん、今日はお前らのところには……戻らん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん、わかった。気をつけてね……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、海音くんはスっと立ち上がって、RASのみんなに囲まれてた。だから、ボクは友としてその朝日六花にこう告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「海音くんのこと…………頼んだよ。」

 

 

 

 

 

 

彼の事を彼女達に任せ、ボクは一人影の中へと走り、消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女達に託したあとも、ボクはただひたすらに怪物たちを斬り倒し、気付けば朝となり日が昇る。

 

 

 

 

 

(今日も…………寝れなかったな………)

 

 

日々の疲れを引きずりながら、ボクは学校に向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最近になってこんな夢を見るようになった。それも毎日のように……

 

 

 

紗夜

 

 

(またこの夢…………ほんとに…やめて欲しいわ。)

 

 

 

 

 

 

 

だが、その想いが届くことは永遠になかった。そこに夢の世界の彼女と満が突き当りでぶつかったから。

 

 

 

 

 

 

 

『だ、大丈夫ですか?どこも怪我は……無いみたいですね…』

 

そう胸を撫で下ろす彼を見るあたり、ホントに優しい人だということが伺える。そんな彼が、夢の中の私に手を差し伸べて立たせてくれた。まるで、お姫様の様に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

(大丈夫…これは夢…これは夢…………これは夢……これは夢………これは夢…これは夢…これは夢…)

 

 

 

 

 

 

と、自分に言い聞かせ取り持とうとするも、ここでトドメのワンシーンが。

 

 

 

 

 

 

 

 

なんと、夢の中の氷川さんが、

 

 

 

 

『え、ちょ……ちょっと氷川s…………んむぅ!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

(!!!!!!!!???!!?)

 

 

 

 

 

夢の中とはいえ、彼に思い切ってキスをしてしまったのです。それを見た彼女はあまりの恥ずかしさに、飛び起きてしまう。気がつけばもう朝だ。時計を見ると、六時半を指していた。

 

 

紗夜

 

「大丈夫…私はそんな事しない…そんな事しない……」

 

 

 

 

 

 

と、自分に言い聞かせ学校へ向かうも、生徒達に満さんの噂が広まり、夢での出来事を忘れられずにいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

 

(はあ…………嫌になるわ…)

 

その後の授業も一切頭に入ってこなかったそうです。

 




モンストのゲームで遂に仮面ライダーコラボが実施されました!!イェェエエイ!!ドンドンドン!!パフパフパフ〜!!






でも、アルティメットクウガが来ない……泣けるぜ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

40,持ち前の不幸体質

やあ、みんな……こんばんは……ボクはいま、ツインテールのパステル少女に拉致されちゃいました。あ、パレオさん?そうですか、それが名前なんですね。それはまぁ良しとして、拉致される理由がわからない。その為に少しだけ時を戻すと、

 

 

 

ボクは我が家に冷蔵庫なるものを買ったのだが、何も入ってないので、その買出しに駆り出されたのだ。まあ、買い物自体は無事に終わったんだよ。それはいいんだ、問題はここから………帰る途中でなにやら視線を感じとり、ボクは走ったのだが、相手はそれ以上の速さで追いかけてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

(いや何あの人!!身体能力高すぎだよ!!!人間ってこんなに早く走れる人いたの!!?こっちもそれなりには体力はあるのに、いや待って、ちょ…速い!!やめて!追いつかれちゃう!!)

 

 

 

 

そうして走ってるうちに、ボクは走ることに夢中になり目の前の柱に気づかず真正面からダイレクトアタックを受けてしまい、今に至るわけです。

 

 

 

 

 

ちょっと何言ってるか分からないかもしれないけど、ボクもね…どうしてこうなったのかわかんないんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次に目が覚めたのが、楽屋だった。どこかの事務所なのかな。少なくとも家では無い。うちも事務所だがこんなに鏡は置いてないし、何よりも女子が使いそうな香水の匂いが残ってる。そして、ボクはきっと彼女に運ばれたんだろう…………パステル少女が僕の眠ってたソファの隣で寝ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

(………何がしたかったんだろう…………それにココは……何処なんだ……………ん?あのポスター………)

 

 

 

 

 

壁にはられてるポスターを見ると、先日テレビで見たあのPastel*Paletteのメンバーが写っていた…ということは、ココがその彼女達の事務所になるというわけか………………

 

 

 

 

 

パレオ

 

 

「あ、満さんっ!!!おはようございます!!申し訳ございません!!このような手段をとってしまって…」

 

 

 

 

 

 

 

あれ、ボク…彼女に名前…………教えた…………かな…まあいいや。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれ、借りてる名前だしなぁ………

 

 

 

 

「えっと、キミは…海音くんから聞いたよ…パレオちゃん、それにRASのこともね……」

 

 

パレオ

 

「!!ありがとうございます!満さんに覚えていただけるなんて、パレオ感激ですぅ!!」

 

 

と、瞳を輝かせてこちらを見つめていた。その視線が…………ボクにはあまりに眩しくて…………耐えられない………

 

 

それよりもどうしてここに連れてきたのかを知りたかった。

 

 

 

パレオ

 

「彩ちゃんが、貴方様にぜひお礼がしたいとのことでっ!!」

 

 

 

 

 

…………ああ、そう言えば…………そんなこともあったっけな…(第二話『俺は兎も角、奴は早くも精神オワタ』を見てみよう。)………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこから更に時の針を戻して…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大変だ!!麻弥ちゃんの姿が見えない!!!」

 

 

 

「おいマジかよ、出番までもう時間がねえぞ!!どうすんだ!!」

 

 

 

事務所内に響き渡る怒りと焦りの声、首を突っ込むのは良くないかもだが、この際言ってられない。ボクは現場に駆けつけた。

 

 

 

 

1人の警官と軍人がこちらに気づき、素早い敬礼をとった。

 

 

 

 

「「満さん!!お疲れ様です!!」」

 

 

 

「アイドルが誘拐されたのはホントですか?」

 

 

「はい!!犯人の足取りも掴めています!!しかし、身代金四百万と逃走車両を用意しなければ殺すとのことで、我々も動けずにいます。どうしましょうか。」

 

 

 

 

 

 

 

「状況はわかりました。まず警察側は警戒させないようにパトカーは出来るだけ少なく出撃、相手の盾籠ってる場所の周りを抑えてください。」

 

 

 

「承知しました!!」

 

 

 

 

「満さんはどうするんですか!!」

 

 

 

 

 

「もちろん向かうよ、アイドルが死なれちゃ、こっちも後味が悪いってものだよ。君は僕と共にヘリで突撃するよ。」

 

 

 

「了解!!」

 

 

 

 

 

「合図は君ら警察側の上司が出すはずだから、それに合わせて動くようにしてください…任務開始です!!!!」

 

 

その号令と共に、彼らはそれぞれ指定した場所へ向かい、退路を完全に塞ぐ、その後搭乗してるヘリからボクが犯人を確保する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この様子を見たスタッフは「え?なに、どゆこと?」とあっけらかんとした表情をして混乱していた。それもそうだろう……自分より年下の、それも学生の指示に従ってるのだから……

 

 

 

 

 

 

 

『満さん!!車両部隊は全部隊配置に着きました!』

 

 

 

「わかりました。一応、身代金を詰んだ車両を奴にいつでも渡せるように準備してください。」

 

 

 

 

 

 

 

みんなはこれを見てアイツ何者だよと思うかもだが、これが彼なのだと理解してもらいます。

 

 

 

 

よし、奴はあの車に、麻弥さんを乗せて走っていった。

 

 

 

追わなくていいのか……ですって?

 

ふふっ、そんな必要も無いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だって、相手は気づいていないだろうが、

 

 

 

 

 

 

 

 

運転席からちょうど死角に、()()()()()()()()()()からね。

 

 

 

 

 

 

 

それに気づいてないアイツも可愛そうだよ。その真実を知らないまま、ボクにやられちゃうんだから…………

 

 

 

 

 

 

「しっかし、あの警察共も馬鹿だなー!オレが逃走ルート確保してないと思ってんのか!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

仕掛けるなら……今!!

 

 

 

 

「そうですね。ですが、こうして同乗してたことに気づけないあなたは、三流以下ですよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!!!!??!?☆#&ЁРПИ@&☆♪!!?」

 

 

 

 

と、犯人は言葉にもならない叫び声をあげて捕まった。その後、麻弥は救助されみんなの元に返してあげました。

今回の相手は、全然大したこと無かったですね。まあ、人間なので結局その程度のことしか出来ないので、ある意味楽ではある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ああ、そんなことも…………あったっけな…………あれは、犯人が勝手に自滅したことにしたけど、何故か僕がやったと勘違いされてしまい、ボク自身も困っていたのだ。ボクがやったのでは無い。()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パレオ

 

「あ、そろそろ来られる時間です!!たっぷりお礼をされちゃってください!!」

 

 

 

 

………………ゴメンなさい………………君から見て、ボクは何に見えてるのかな。え?ムッツリラッキースケベ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………………………そこまでして消えたいのかな…。

 

 

 

 

なんて1人で嘆いてるうちに、Pastel*Paletteの方が来てしまった。

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あの!!二度も私達を助けていただいて、ありがとうございます!!」

 

 

 

 

「いや、そんな…顔を上げてほしいです。」

 

 

 

そう、何度も言うが助けたわけじゃない……

 

ボクの通り道の邪魔だったから退かしただけのこと………自分のためにやったことだ。だからお礼を言われる筋合いなんてない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日菜

 

 

「やっぱ君って、ホントはすごい人だったり?」

 

 

 

 

 

 

「…!!

 

…何を言いたいんですかね。」

 

 

 

 

 

彼女から投げ掛けられた質問に答えることはしなかった。というか、日菜先輩…………ここにいたんですね。初耳ですよ。

 

 

 

日菜

 

 

「だって、お姉ちゃんを助けてるし、麻弥ちゃんも君なりに助けたことも知ってるよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

ボクは彼女達に対して、若干恐怖した。ここまでやって、派手にやったのに一切追求することなく、ただ純粋に感謝を述べてる彼女達に………………

 

 

 

 

「ホントに…………平気です。僕が直接彼女を救ったわけじゃないです。」

 

 

 

 

 

 

 

千聖

 

 

「ふーん、それは…麻弥ちゃんがお礼をしたいと言ってもかしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………それは…」

 

 

女優でアイドルの白鷺千聖にそう言われ、やや言葉が詰まる。彼女は女優であるために人の思考をある程度は読める。ボクはみんなの平和を愛していたいだけだから、お礼を受け取ることは断固拒否してる。

 

 

しかし、それでもし…………それが原因で何かあっては、父さん達に顔向けできない。ならば、ココは大人しくご奉仕されようじゃないか…………もうここまで来たらヤケクソだ…………どうとでもなれ………

 

 

 

 

 

 

 

 

「わかりました……改めて、その御礼…………受けさせてもらいます。」

 

 

 

 

 

千聖

 

 

「分かればいいのよ。私達が年上なんだから、素直にしてればいいわ。」

 

 

 

 

 

 

 

あれ、この人に…………僕の年齢………………言ったかな……

 

 

 

 

 

 

パレオ

 

 

「パレオが、事前に貴方様のことを調べました!!しかし、気になるところが……とても多いのです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「______ッ!!!!」

 

 

 

 

という事は、僕の秘密も知ってしまったのか…いや、それは無い。彼女がそう言うってことは、まだ隠せてる。一瞬焦ってしまう僕がいた。

 

 

 

 

 

 

 

彼女達は「?」と尋ねてきたので、なんでもないとさっさとお礼を受けることにした。それは、パスパレの演奏を聞いてもらうことだ。それも生で…………間近で…………これはなんの演出だろうか…………芝居にしては凝りすぎてる。だが、彼女達の真意を覗くと善意そのもので、騙すつもりなど毛頭なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女達の演奏が終わった後も、僕はひたすらにそれぞれの補うべき点をまとめたノートをそのまま手渡す。それを見たみんなも驚きはしたもののみんな納得したようで頑張ると言っていた。せっかくだから、ボクはこんな提案をしてみた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「Pastel*Paletteさん、ボクに監督を任せて貰えないでしょか。」

 

 

 

 

 

 

すると、「うん!!」の一言で終わってしまった。それも即答でした。この時から、ボクは諦めた。果たしてコレでいいのかガールズバンド……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、なんやかんやあって、ボクはRoselia…RASとPastel*Paletteの監督に着任致しました。




展開急すぎてついていけてない人もいるかもですけど、これがわたしのやることです。語彙力ないからね。しょうがないね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

41,どうしてこうも厄介事に巻き込まれるんだろう?

「おい、満!お前……パスパレに会ったんだってな!!しかも、それだけじゃなくRoseliaとRASまでも手にかけやがって!!!」

 

 

 

と、学校に着くや否やクラスメイトにこんなことを言われた。突っ込みたいのは山々だけど、言わせてくれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

(…急だなぁ……)

 

 

 

 

(なんで出会ったり助けたりしただけで、そんなふうに言われなきゃならないんだよ。そんなこと言ったらお前らなんざ、完全に下心丸出しじゃないか。それが男ってもん?そんなの知らないよ。男とか女とかそういう話じゃないの、わかってるよね。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボクはそう反論したかったが、問題を起こしたくない故に、そのまま軽くあしらうことにした。

 

 

 

「おい、無視すんじゃねぇ!テメェがそんな奴だとはな……ま、最初からわかってたけどな!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっほ〜!元気ー?って、満じゃん!!」

 

 

 

 

琴里

 

「そこで何してんのー?授業始まっちゃうよ?」

 

 

 

 

 

 

「チッ………………後で裏来いや!!」

 

 

 

 

 

 

彼女達がくると、流石に分が悪いのかそそくさと隣の教室へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

琴里

 

「大丈夫?授業、出れそう?」

 

 

 

 

 

 

「はい、ボクのことは気にせずに…」

 

 

 

はじめは午前が午後は………………『レース』……。ああ、だからグラウンド内が車だらけだったのか…………

 

 

 

 

 

 

「はあ、葵たんのおっp…ぶへへ、」

 

「やめろバカ、気持ち悪ぃっての!」

 

「なんでこんなヤツらがうちのクラスに……」

 

 

 

 

 

やばい思考を持つ人は消えてくだせぇ……最後のお方…………そればかりはどうしようもないです。ボクも同じ気持ちなので頑張りましょう。

 

 

 

あっという間にレースの時間が来てしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バレなきゃいいけど…。

 

 

 

 

石田

 

「あの、勝てますか?」

 

 

 

 

 

「…?勝てるかもですけど…………どうかしたんです?」

 

 

 

石田

 

「実は、優勝者は私たちを自由にする権利が得られるのです。私……いえ、私たちは是非!貴方に優勝して欲しいんです!!」

 

 

 

 

 

ああ、この人の思考がだいたいわかった。優勝すれば彼女達をあれやこれやと色々出来るから、クラスの男子達はみんな躍起になってたのか。その様子を見た女子生徒はゴミを見るような目で睨んでたけど、一応……そんな男子たちにも例外は存在していて、消極的な人もいる。彼らに関しては、まあ……面倒臭いから早く終わって欲しいと願ってるんだろうが…

 

 

「アンタは謙遜しすぎなのよ!パスパレに、Roseliaの人を守ったんだからもっと誇ったっていいのよ!!」

 

とは言うものの、実際はあんな性欲の塊の中にもみくちゃにされたり、言いなりにされるのが嫌だというのが丸見えなのだが、それについては何も言わなかった。

 

 

こんなボクにも、優しく声をかけてくれる女子生徒にボクは、少しだけ嬉しく感じた。

 

 

 

 

さあ、いよいよレースの始まりだ。ボクもレーシング用のスーツを着用……そして、ボクが長年使っている相棒を引き連れて会場へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「出たぜ…ガールズバンド達を侍らせたクソ野郎が……」

 

「噂通りの顔しやがって……ムカつくぜ……」

 

 

 

 

 

 

 

コースに入ってまもなく、僕にそんな罵声が聞こえてくる。そこでみんなが思ってることを、ボクが代弁しよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(…ちょっと何言ってるか分からない。)

 

 

 

 

 

 

 

 

と、観客を無視してレースに臨むことにした。事前にチューニングもメンテナンスも万全に施してるから、そう簡単にはトラブルは起きないと思うけど……頼むよ…マクラーレン………

 

 

 

 

左眼の包帯を結び直し、バイザーヘルメットを被っていつでも動ける状態。相手は六台でどれも900馬力程度………しかも、全て外車と来たので確実に勝てる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブロロロンッ!!!!

 

 

 

 

ランプが青く点灯したと同時に全車一斉に走り出した。基本的にみんなは学院側から支給される車で3周走るのだが、コチラは自分の車を使ってるので、ハンデとしてかそれとも嫌がらせなのか、ボクは5周走ることに……まあ、それでも勝利は決まってるけど……

 

 

 

 

 

それまでなんの問題もなく、それぞれが最終ラップに入った時、みんなは目の前の楽園と快楽に待ちきれず、最終チューンを怠り、タイヤがパンク……全員リタイア……そして、最後までなんの達成感も得られないままボクが勝利してしまう始末……………ホントに何も嬉しくない……だって相手がいないレースなんて……つまらないだけ……………

 

 

 

 

「なんでアイツが…」

 

 

「ケッ……つまんねぇ…」

 

など、悪態をつかれるがそれに関しては、やってた本人が一番に思ってることだ。完全に独走状態だったため、彼自身も不完全燃焼に陥っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まあ、とはいえど……

 

 

石田

 

 

「ありがとうございます!とても上手なのですね。何かレースに参加してらしたのですか?」

 

 

 

 

 

「それな!マジで思った!あんな強いなんて初めて見たよ!」

 

 

 

琴里

 

 

「まあ、それに関しちゃ、アイツらがなんでか爆破したからだけど…でも、走ってるアンタの姿は…………絵になってたわ。」

 

 

 

 

 

 

 

美島

 

「なぁに?こっちゃん……照れてるな〜?」

 

 

 

 

 

 

琴里

 

「はぁッ!?べ、別にそんなんじゃないし!!単にすごいなって思っただけだし!!」

 

 

 

彼女らの絵笑顔を守れてよかった…………無いだろうけどボクが負けた時の反応を想像したくない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

剛田

 

「満……おめでとうな。先生は嬉しいぞぅ!!こんな混沌としたクラスに、こんなにもいい生徒が来てくれたことを!!先生は……お前に感謝する!!!心の友よーー!!!!」

 

と、まるであのガキ大将みたく飛びついてきたので、それを軽く避けつつ、賞状を受け取った。まあ、あんな形でとは言えど……勝ったからね……

 

 

 

一方、ハーレム計画を企てた生徒たちは…………

 

 

 

 

「クソ!なんでいつもあんなザコに四美女を取られなきゃなんねぇんだ!!」(それは君がそういう意識があるから。)

 

 

 

「オマケに爆破した車の弁償代も払う羽目になるし……全部アイツのせいだ!!!」(ホントになんで爆破したんだろうね…)

 

 

 

「ホントならオレがアイツのところにいるはずなのにぃ!!!」(そんな煩悩しかないから、ボクに勝てないんだよ。そろそろ学習しろ。)

 

 

 

 

 

 

と、喚き散らしてたが、それが他の教授に見つかり、学院から追放処分が言い渡されました。

 

 

………………

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………………………………………………

 

 

 

 

はあ、今日はなんだか変に疲れたなあ…………これが毎日続くようだと、この身体……いつまで持つかな……。

 

 

と、一人で悩んでると、向こうから以前先輩達から教えられた『Afterglow』のみんなが揃って歩いてた。ボクはすぐさま、自身の実態を影に隠し、様子をしばらく見た。

 

 

 

 

 

 

 

ひまり

 

「……ね、ねぇ……なんか……見られてない?私たち…」

 

 

 

と、リーダー(一応)のひまりにそんなことを言われ、彼女たちは勿論、ボクも少しばかり焦りがでる。でも、彼女という通り…ボク以外にも付け回してるやつの反応があった。だから、彼女たちに気づかれる前に、早急に対処する必要がある。これじゃあどっちがストーカーか分かんないけどね。まあ、別に僕がどう扱われようと、しれたことじゃないけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

ボクは静かに手を握り、Afterglowのみんなを付け狙うストーカー男三人を檻の中に閉じ込めました。さて、新たな任務も終わったことだから、かえってご飯作んなきゃ……でも、ここでやってしまった。

 

 

 

 

 

ガサガサ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!!!誰!!」

 

 

いけない、ちょうど茂みに隠れてて良かったものの、服が擦れて音を立ててしまい、見事に感づかれてしまった。だけどまだ大丈夫……ボクはわざと彼女たちに姿を見せて走り去り、左手を前へ突き出すことで自分の姿を消すことが出来る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モカ

 

 

「行っちゃった〜。」

 

 

 

ひまり

 

 

「私たちを追いかけてたのって…もしかしてあの子だったの!?」

 

 

 

 

 

 

 

「くそ、今度会った時にとっちめてやる!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(よし良し、みんなボクを悪者としてみてくれてるね…ホントならこれが普通なんだよね。)

 

 

 

 

その様子とやり取りをじっとみた彼は改めて振り向くことなく走って行った。

 

 

 

 

つぐみ

 

 

(紗夜さんから聞いたけど………満って子が来てから迷惑行為も減った……もしかして……それが満君なのかな……?)

 

 

 

 

ただ一人の疑念は晴らすことはせず、ボクはAfterglow専属のストーカー男として名をあげることになった。




もし良かったら感想くれ!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

42,こんなボクでも分からないことくらいはある

Afterglowにストーカーが出現、そのストーカーを撃退したものの、主人公の満がストーカーだという盛大な勘違いをされてしまうも、彼は一切を無視し帰路に着く。そこに疑問を抱えた少女が一人いた。


 

 

Afterglow……Afterglow……あ、あった。

 

 

 

……幼馴染み五人で結成された固い絆で結ばれたバンド。

 

 

………………………絆……か、

 

 

 

ボクにも……絆があれば…………多少は変わってたのかな…?いや、余計な詮索はやめよう。それに、ボクはどのみち周りから孤立させられる運命だから。もし、関わってしまったが最期……みんなに災厄が降り注がれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

一刻も早く、『嫌いになって』貰わなくては……!

 

 

 

 

 

 

 

「なあ、Afterglowがストーカーに遭ったってホントか?」

 

 

「ああ、なんでも…ここを通り掛かった生徒がたまたま助けたんだってよ!!」

 

 

「あんだと!?そいつ連れてこい!俺たちが助けなきゃ行けなかったんだ!!成敗してやる!!」

 

 

 

 

 

その中で彼はこう思った……

 

 

 

 

 

 

 

 

(成敗されるのは、あんた達だよ。煩悩にまみれやがって…)

 

 

 

 

 

と、彼らの懲りない性格と執念深さには、彼もこの有様だ。すごく気分が沈んでる。

 

 

 

 

でしかも、助けたやつを連れて来いって……明らかに僕何かされるやつじゃないか。痛い目にあうのはゴメンだよ。

 

 

その時、教室に入りボクと目が合った琴里さんにこんな爆弾発言をされた。

 

 

 

 

琴里

 

「ねぇ!!Afterglowを助けたってホントなのっ!!」

 

 

 

それを聞いた瞬間、周りの男子生徒には疑念や嫉妬の視線に対し、女子生徒からは、怪しんでる者もいるが大抵は賞賛の声が上がった。正直言って………複雑だった………嫌われてなきゃいけないのに、これ程やるのかと言うくらいに褒めちぎられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱ可愛い子なのはわかってたけど、そういうカッコイイところもあるんだね!!」

 

 

「男の娘が女子生徒を救うってギャップヤバすぎ!!」

 

 

 

「私の…生涯に……一遍の悔いなし……!!……ガクッ」

 

 

 

「きゃああ!!あまりの正義っぷりに気絶しちゃってるわ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや、あの…………」

 

 

この時、コレは下手に言う方がまずい、と直感して適当に返事をして調理の実演の準備に取り掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそ、またアイツか……ほんとにキモイやつだな……」

 

 

「女子にチヤホヤされやがって…………」

 

 

「いくら助けたとしても、Afterglowをストーカーしてたことは変わらん!!」

 

 

「そうだな!!ざまぁwwwwオレたちに手柄を横取りするからだ!!」

 

 

 

 

 

など、気持ち悪いこと言ってたが、それを聞いた女子生徒達にはゴミを見る目で見てたり、完全に警戒されたりと、信用はガタ落ちだった。それを見た彼はただ混乱していた。

 

 

 

 

 

 

 

(人間って、色んな顔ができるんだね。)

 

 

 

 

その後は相変わらず昼食をとろうにも女子生徒達に囲まれて非常に食べにくかった。中には食べてる姿を見て昇天する人もいた。ホントにどうしたんだろう。こんなクズになんの意味があるんだろう。

 

「ねぇねぇ、Afterglowをストーカーしてたのは嘘だよね?」

 

 

 

 

「…!!!

……何を言ってるんです?」

 

 

 

「だって、キミがパスパレを助けたんだから……うちの学校でそんなことが出来るのは、君ひとりだもん!」

 

 

 

 

なんと、パスパレの救出劇を一部始終見られていたのか。そういえば、パスパレを守ってからボクの認知度と人気がいきなり上がったような気がしたが、まさかホントに女子生徒は知っていたんだ。

 

 

 

 

 

 

やはり…………ココは、

 

 

 

 

 

 

「…みんな、優しいんですね。」

 

 

「当たり前じゃん!!うちの男子達は役に立たないし、変態ばっかりだし!!」

 

 

そう言うと、まともな男子生徒がイスを引いてその場を立ち去った。なんか……………その………ごめんね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

琴里

 

「そういえば、アンタまだ敬語なの?クラスメイトなんだから普通にしてなさいよ。」

 

 

 

 

「……………………いつかその時が来たら…」

 

 

「ひょっとして、何か嫌なことでもあった?話してみなよ!!案外楽になるかもしれないしさ!!」

 

 

ホントにここのみんなは優しい人が多い…………けど、ここで話すわけにもいかない。あまり聞かせる内容では無いのだ。それを知ったさてなお、嫌いにならない人でなきゃ敬語を使う他ない。

 

 

 

 

 

 

「そんなこと言ったっておめぇみてぇな厨二病が相手にされるわけねぇだろっ!!」

 

 

 

「………………は?」

 

 

 

 

「いい雰囲気壊さないでくれない?」

 

 

「いや、何でだよ!!」

 

 

彼らが発言しようものなら、彼女らの眼圧で制する。ちなみに、ボクの両目は包帯で巻かれている。それ見えてんの?って聞かれるが、実際はみんなの歩く音で大体わかる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「え、大丈夫!!?もしかして、今まで見えてなかったのずっと我慢してたの!?」

 

 

 

「えええ!!?ホントにごめんね!!!」

 

 

とまあ、本気で謝り倒され、ボクは罪悪感を感じながら許すことにしました。

 

 

 

「あの、ボクらも満くんの味方だから…。『仲間』……なんだしさ。」

 

 

 

 

大人しめな善良の男子生徒にまでこんなふうに言われたら、ボクは嬉しくて、悲しくて…仕方ないじゃないか。

 

 

 

 

「なんだよっ!俺らが悪者みてぇじゃねぇかよ!」

 

 

「みたいじゃなくて、実際にそうなんだよ!」

 

 

 

 

チャラ男達が反論するも彼女たちの一言で一刀両断。すっかり撃沈し大人しく席に着いた。何やらぶつくさ言ってたけどあえて聞かないことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、今日の調理の授業も大変だった…………なぜなら、

 

 

 

剛田

 

「おしっ!!お前ら今日の調理だが、今回から輝夜学園長と掛け合ってみたが、今回からパートナーを指名制にすることにしたっ!!男子生徒は女子達に振り向いて貰えるように努力しろ!!」

 

 

とまぁ、こんなことを言われたもんだからボクの頭の中は既に空っぽに近い状態だ。それで終わればまだいいが…………

 

 

 

 

 

 

「ねね、私とやろっ!」

 

 

「ちょっと、抜け駆け禁止!!あたしと組むんだからっ!!」

 

 

「いや、私と一緒に食べるの!!」

 

 

「え?あんた食べられるの?」

 

 

 

「でも、満になら……食べてもらいたいな!」

 

 

 

 

 

 

「あ、あの……一人ずつ……一人ずつお願いします…!」

 

 

 

女子達は「きゃああ!!そんなとこもきゃわいい!!!」と全くと言っていいこと相手にされず彼の取り合いが勃発。チャラ男達が嫉妬に狂い、大人しめな善良の男子生徒諸君は生暖かい目でそっと見つめてた。

 

 

 

 

(みんな……見てないで…………助けてください…。)

 

 

それが最近の学校のやり方であり風習です。(そんなものがあってたまるか。)

 

 

結局ボクは、取り合いをしてる彼女たちにご飯を振る舞いました。ぼくがコーンスープを入れてる間にチャラ男達が何かして紙くずが飛んできたり、取り皿が飛んできたりしたけど特に気にせず、黙々と注いでいた。その様子を女子たちはずっと悶絶しながら見てたもんだから凄いやりにくい。

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、アタシが食べさせてあげる!!」

 

 

「ちょっと何フライングしようとしてんの!!剛田先生にいいつけるわよ!!」

 

 

 

 

 

 

「あの、ぼく……一人で食べるから……大丈夫…」

 

「チャラ男達は気にしないでいいよ。剛田先生に今頃……」

 

善良の男子生徒にこう言われた僕はあっと感じた。ものを投げてきたチャラ男たちは程なくして剛田先生のリサイタル地獄の餌食になったのだ。どれくらい酷いかと言うと、あのネコ型ロボットに登場するジャ○○ンと同等かそれ以上なのだ。

 

 

 

 

 

ここまでいえば、剛田先生がいかに彼と似てるかがわかるだろう。これを剛田先生に言ってはならない…………リサイタル地獄の餌食になりたくないのならね。

 

 

 

 

 

 

「………………」

 

 

こうして、ボクは女子達にあーんをされ(無理やり)、それで全員分にボクがあーんすると、女子生徒全員悶絶しながら撃沈していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………なんで、こうなるんだろう……」

 

 

ボクはそれが分からなかった。なぜ、悪者でなくちゃいけない存在が、こうして周りに好かれてるのか……いや、これも作戦のうちだと捉える。敢えて信頼関係を築き上げ、時が来ればそれを一気に破壊する。なるほど……そういう事か…それなら黙って従うしかない。それが、屑の僕の役目だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰ろうとした時に緊急事態が発生した。

 

 

 

 

端末から受信した内容では、どうやらAfterglowが何者かに連れてかれたみたいだ。さて、ホントのクズならここで放ってもよかったんだけど、なんか寝覚めが悪くなりそうだから、救出はする。

 

ボクは急いで現場へと向かった。犯人の目星はもう既についてる。あの時に彼女らを追いかけてたあの男だ。ボクは空間を歪め作り出した時空の裂け目に入り、目的の工場跡地へと赴いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………酷い匂いだなぁ……。」

 

と、どうやら全員眠ってる。睡眠ガスでも吸わされたのか……まあ、そんなことはどうでもいいんだ。今は夕方…………親御さんたちが心配する前に、彼女たちを触れてそれぞれの家に送り返した。

その時、僕はある違和感を覚えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……なんで、捕虜たちがいなくなったのに、人気がこんなにも無いんだ。)

 

 

 

 

 

 

すると、遠くの方から銃弾が飛んできたので、それを素手で軽く掴んだ。

 

 

 

 

 

「誰?いや……なんで彼女たちを付け狙うの…。」

 

 

 

 

「俺の目的はアイツらじゃない。てめぇだよ。」

 

 

 

 

 

 

なるほど、要するにコイツはボクのこのありあまる力が欲しいだけに、利用したんだな……あ〜、苛立つよ…………

 

 

 

「そういうことだ。さっさと死ねや……」

 

そう言うと、奴はバカみたく真っ直ぐに殴りかかってきたので、それを掴んでは逆にコチラから投げ返した。そうしたら一回投げて床面に叩き伏せただけで相手の全身の骨が砕け散る音が聞こえた。ホントになんでこんなすぐに壊れるのか……そして、なぜ死ぬとわかってわざわざボクに殺されようとするんだ。

 

 

 

 

それだけが、分からなかった。そんなことしても……虚勢を張ったところで……勝てないのに………………。とりあえず……アイツは、警察に引き渡すとして……彼女たちにどう言い訳をしようかと悩んだ。この先、ガールズバンド達と関わっていく上で考える必要があったからだ。それに彼女たちの制服は羽丘だった。割と近くに通ってるから、本気でどうしようかと悩んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……結局、分かんなかった。)

 

 

と、いうのは彼なりの冗談でホントは昨日の時点から既に考えてた。しかし、伝えたところで彼女たちが納得するかは別だ。どういう風に言っても、それが伝わらなくてはなんの意味も無い。

 

 

 

別にいいんじゃないかと思ったそこのあなた…………確かにボクは悪いヤツだ。そこまで気を使う必要なんてどこにもない。単に、ゴタゴタや面倒事を未然に防ぎたいから助けてるだけ……

 

そう…………今までの行動は善意などではない。ただ言いつけを守ってるだけ……その気になれば、この星を消すことも難しいことでは無い。だけどそうなっては、ボクが壊すものがなくなってしまう……そんなのは退屈だからしないだけ……本来ならボクは称賛される側の人間じゃない。むしろ逆だ、悪逆の限りを尽くすクズだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日はAfterglowのみんなが何者かに救出された記事で埋め尽くされていたが、彼は一切気にする事はなかった。

 

 

 

 

このまま普通に終わりたい……しかしそう上手くいかせてくれないのが彼の不幸体質だ。

 

 

 

 

 

 

 

ボクは帰ろうとした時に、葵さんに耳打ちでこんなこと言われた。

 

 

 

 

 

「ねぇ、Afterglowを助けたって……アレあんたでしょ。」

 

 

 

 

 

 

 

ボクは表情は変わらないものの、内心驚きが隠せない。何故、それがボクになるのか…………確かに葵さんを以前にも助けてる……Afterglowに至っては二度も……魔の手から守ってる。しかし、それは聞こえを良くしてるだけで、ひとり……いや、犯罪者とは言え……人間を何人も死に追いやってる。そんなぼくがこんなに称えられるのは何故?

 

 

 

 

 

とりあえず、適当に濁しておこう……

 

 

 

「……何の冗談を……ボクはそんな度胸なんてないです。」

 

 

「ふーん」と、葵さんはそう言って自席に戻ったがあれは確実に不審がってる……それもそうか…………

 

 

 

 

 

 

だって…………わざわざそうしてるんだもん………………




……お久しぶりです。ネガッス、待たせてしまってすまんな。コレからは頑張って投稿すっから……読んでくれよな。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

43,一寸先に見えた迷い

アタシはあの時から、あの子に惹かれるようになった。通り道の邪魔って言ってたけど、絶対に嘘だ。最初から助けるつもりだった。Roseliaにパスパレの時もAfterglowの時もそう……アレは間違いなく満がやったんだ。その時にも適当な理由をつけて人助けしたに違いない。Afterglowをストーカーしてたって言うのは、真意はわかんないけど……なにか理由があったとしか思えない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんだか……クラスの雰囲気がすごい静か……いや、チャラ男達だけがやたら元気だ。ああ、そう言えば考査があるんだっけ。それで、成績が優秀な人にはガールズバンド達と親睦を深められる権利が得られるって……言うアレか……一切興味なかったけど……撤回しようか……

 

弥助君からガールズバンド達と関わりながら護ってけって言われてたな……全員守り抜くなんて簡単なことじゃないけど……やる他はない。彼らが優勝した暁には酷い有様になりそうだから。ボクも今回ばかりは少し実力を出すことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、テメェ!今回のテスト、絶対に0点取れよっ!!!」

 

 

 

 

「うん、ボクあまり勉強は分かんないからね。羨ましいよ。」

 

 

「テメェに言われたって何も嬉しくねぇんだよ!!」

 

 

と言っては自席に戻り解答用紙にペンを走らせる。こんな風に適当に言っておだてておけば良いのさ。大した実力もないから……ボクも余計なことを捨てて黙って書くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここの教諭はとんでもない人達だった。採点する一人あたりのスピードがかなり早い。10秒で6枚採点してるから凄いものだ。そのおかげでその日のうちに返却されることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

剛田

 

「よぉし!!お前ら、よく頑張った!!今日のうちに答案が返ってきたぞ!!聞いて驚け!!ココに全科目満点の奴がいる!!!」

 

 

 

と言うと、男子生徒は驚いた表情をして、女子達も驚いてはいるがそれより誰なのかが気になってる模様……

 

 

 

待って何か嫌な予感がするんだ……この流れってもしかして……

 

 

 

 

 

剛田

 

「もしかしなくともお前だっ!!!満!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

「しれっと人の思考を覗きこまないで欲しいです!!」

 

 

そう席を立った時チャラ男達は「なんであいつが…」といわんばかりの表情で睨み、陰キャの男子は素直に尊敬の眼差し。肝心の女子達に至っては完全に勝ち誇ったかのような感じで胸を張っていた。まるで、ざまぁみろと言わんばかりに………果たして、こんなんでコレからの生活やっていけるのだろうか…………。

 

 

また調理…ウチは専門学校じゃないんだ。毎日のように調理があったらさすがに飽きるし内容も尽きるだろう。

 

 

 

展開はまたしても、取り合いの画になってしまった。嫉妬を向けられ、尊敬され、昇天すると……まあ、それはそれは酷いカオスなことになってしまってる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんであいつばっかりいい雰囲気になってんだよ!!」(知るかバカ野郎…)

 

「でもホントなんでも出来ちゃうんだからすごいよ。」(君らも頑張ればできないことじゃないはずだよ。)

 

「きゃわいい…!!クッ、あたし達の生涯に……一遍の悔いなし……!!!」(……もう、突っ込まんぞ。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何かとチャラ男達は騒いだけど、剛田先生が怒鳴った途端に急に静かになった。まあ、剛田先生にフルボッコだドン!!されたくないもんね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日の授業は終わった。さて…………帰ろ…………

 

 

『総合学科の満さん、大至急学園長室に来てください。』

 

 

 

 

 

と、そうも簡単にはいかなそうだ。周りの人もなんだなんだとザワザワしだした。仕方ないのでサッサと向かうことにした。

扉に手をかけた瞬間、勢いよく開かれた。こんなことをする人は大体想像つく……

 

 

 

 

日菜

 

「満く~〜ん!!!」

 

 

彼女だ。勢いよく飛び出してくるものだからサッサと避けたら良かったが、その先には階段なので大人しく倒されることにした。

 

 

 

 

こんなことを誰かに見られでもしたら大惨事だが、彼は一切戸惑うことなく、「離れてください」と端的に言ったのだ。ここまで来れば彼はもはや機械だと勘違いされてしまうが、人間(一応)だ。

 

 

 

 

 

 

けど、部屋にいたのは日菜さんに輝夜さんだけじゃなかった。

ボクは日菜さんを上手く退かして、立ち上がった。よく見たらAfterglowのみんなが勢揃いしてるじゃありませんかヤダー…

 

 

 

 

輝夜

 

「彼が貴方達を助けたって言ってるんだけど、それは本当なの?」

 

 

 

と、単純な事を聞かれているはずなのに……すぐに答えることが出来ない…………ホントなら奇跡を利用して記憶を操作することも出来たが、そんなことをしてしまえば、ボクの正体がバレてしまうため、ここは大人しくこう答えた。

 

 

 

 

「……はい、ストーカー被害にあってるってクラスを通して……聞きました……無事で何よりです。」

 

 

 

 

 

輝夜

 

「そう、そんな貴方に是非お礼がしたくて羽丘からわざわざ来てくださったの。良いわよね?」

 

 

 

 

 

羽丘から……そうか……授業が終わってからすぐに来たって訳か……すごいな……

 

 

 

 

「分かりました。丁度いい場所を見つけたので、連れていきます。」

 

 

そういうと、彼女達は少し警戒しながらも僕の後へついて行く。その途中で、やはりこんなことを聞かれた。

 

 

 

 

 

「あの、ここまで親切にして、ありがとうございます。」

 

 

 

「あそこでストーカーしてたのアンタだよね。」

 

 

 

そういうと、ひまりが注意してそれをつぐみが宥める、そんな画が出来上がる。

 

 

「気を使わなくて大丈夫です。ストーカーと言いますが、任務の一環です。それだけはお間違いなく……。」

 

 

 

 

 

モカ

 

「ねぇ〜どこに向かってるの~?」

 

 

 

「……あなた達にお礼を受け取る前に一悶着ありそうなので……早めに帰してあげる必要があるんです。」

 

 

ひまり

 

「ひょっとして、誰かに脅されてるの!?」

 

 

と、大袈裟なリアクションをとるリーダー…ほんとに面白い。全く退屈しなそうだ。

 

 

 

 

「ここからの行動はそちらに任せます。少し危険を伴うので、来るなら席に着いて下さい。」

 

そういうと、彼はドームの中に入っていくので、私達も帰った方がいいんだろうが、お礼も返せてないし、モカも興味津々にしてたから、仕方なく着いてくことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女達は着いてきたか、ココからは少し危険なゲームが始まるんだが……中々に覚悟があるね。

 

 

 

 

 

 

 

「おい、テメェ何Afterglowと喋ってやがった。」

 

 

 

「…無駄口はいらない……早く始めよう。」

 

 

 

「ケッ!!そういう余裕でいられるのも今のうちだ!!」

 

 

そういうと、複数の取り巻きたちを引連れて車に乗り込んだ。

 

 

 

 

「ねぇ、コレってレースだよね。ココがサーキットなら……」

 

 

つぐみ

 

「うん、テレビで見たことあるけど、少し緊張する。」

 

 

 

 

 

 

 

 

僕もだよ……怖いさ……。でも止まってなんてられない。ボクはレース時のウェアに着替え、バイザーヘルメットを取り付けて、あとは……相棒の出番だ。相手がハスラーなら、コッチはMAZDAで行かせてもらう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー3ー

 

 

 

ー2ー

 

 

 

 

ー1ー

 

 

 

 

 

 

 

ーSTARTー

 

 

アナウンスと同時に両者走り出す。基本コースは一本道だが、車のガソリンは少量になってる。暴走でもされたら一溜りもないからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

やはり、日本車は違う。スピードこそ遅けれど、カーブにおいてはこちらが完全に有利だ。それに、アイツは最初から飛ばしてる。そんなことすれば……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボンッッッ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、なんだ!!トラブルか!!?」

 

 

うん、トラブルだね。タイヤが外れたんだもん。

 

 

 

 

 

 

 

モカ

 

「おぉおお~〜!白熱してますなぁ〜。」

 

あのモカがパン以外に興味を示すことには驚いたが、惹かれるものがあるのは事実だ。レースを走る彼はスゴイ楽しそうで、一番生き生きしてる表情だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つぐみ

 

「……かっこいい…。」

 

 

と、つい無意識でこぼれてしまう。

 

ココにも恋に焦がれる少女が一人……また一人と増えていく……。

レースも終盤さしかかろうとした時、ひとつの異変に気づく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クククク……フハハハハッ

 

 

 

城内から響く悪の呻き声。これはマズいと、今まで余裕を見せたがここでアクセルを全開にして一気に追い抜き、そのまま完全独走。ゴールと同時に車から飛び出しその場で静かにその気迫を探った。すると、そこには姿は見えないのに、無数のナイフが飛んできた。そして、ある声が聞こえた。

 

 

 

「殺してやる!!人殺し!!」

 

 

そう言うと、なんと紗夜さんとAfterglowをつけてたアイツが姿を現して包丁を突き立て突進してくる。なるほど……彼もまた力を持ってるって訳か……

 

彼女達は彼の記憶操作でここでの戦いの記憶を消した。

 

 

 

「ホントにしつこい……そういうの……ボクは嫌いなんですけど。」

 

 

 

 

 

 

「うるせぇ!!テメェのようなクズがこの世界に来るんじゃねぇ!!!」

 

 

 

 

 

 

「_________ッ!!!!!!!」

 

 

 

 

 

そこからボクは何をしていたのかは分からない…………でも、ボクの手は紅く染まっていて、ヤツの首だけが消えた死体が転がってるだけだ。ボクはその死体を刀でぶった斬り、その肉塊を食べた。

 

 

 

 

「……コレも違う……こんなんじゃあ……」

 

 

彼はあまりの力の不出来さに失望しながら彼女達を引き連れ、その場を後にした。途中、どうしたのと聞かれることもあったが、何でもない……平気ですとの攻防戦を繰り広げ、いつの間にかライブハウスに着いていた。彼女達はここで練習をするので、折角だから見学させてもらうことに………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、これでいいんだよね。食べるなんて普通じゃないかもしれない……そう思う人間は少なからずいるはずだ。僕だってそう思う。でも、それが父さんが言ってたことだからそれを守る他はない。言いつけだから……………生き延びるためだから……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

けど、ホントに……………コレが正義なのだろうか…………正義ってなんなんだろう……父さんは多くの人の命を大事にして、守るために強くなれって正義感の塊のことを言っていた………でもいつからだろうか……そんなことを一切口にしなくなった。寧ろ、不要な人間を全て殺せと言ってくるようになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

果たして……………………ボクがなりたかった正義って………………どんなものなんだろう………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もし、今までのコレが正義でなかったとしたら?

 

 

 

光を受け継ぐよう教えられたボクが悪だったら?

 

 

 

 

 

 

それは、ボクを産んでくれた父さん達に顔向けできなくなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なら、ボクは………………どうあるべきなんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

己が思うままに動き、

破壊と殺戮を繰り返す『悪に堕ちた正義』か……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

己に定められた運命を壊し、自身が見つけた答えを自分自身で繋げていく『正義を知った悪』か………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最初は、悪逆非道の限りを尽くしてるつもりだった彼だけど、自分の行動の意味に迷いが見え始めて、最終的に人類を守る悪として目覚める…っていう展開……ボクはわりと好きです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

44,彼の行動は悪?正義?破壊?虚偽?

Afterglow、Roselia、パスパレをどれだけ助けただろう…………そして、今もどうしてこうなったんだ。

 

 

 

 

 

香澄

 

「ねね!!蘭ちゃん達を助けたってホント!!?」

 

 

 

 

たえ

「…おお〜!スゴいね!!」

 

 

 

 

沙綾

 

「2人ともやめてあげなよ。困ってるでしょ。」

 

 

 

有咲

 

「ホントにうちのバカ二人が、すいませんでした!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………。」

 

 

 

 

彼女達は……Poppin’Party…だったか…戸山香澄に花園たえ…………山吹沙綾と牛込りみ……そして、市ヶ谷有咲。星の鼓動に感銘を受けて結成された…バンドか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

確か、ボクはAfterglowのみんなとわかれたはいいんだけど……みんなが出ようとした時に、彼女達が来てしまったんだっけな……。そして、今に至るわけだ……いや何言ってんだこいつって思うかもだが、執筆者様はこれくらいの語彙力しかないのだから……目を瞑ってくだせぇな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まず誰から話を聞いたんですかね……」

 

 

りみ

 

「あ、あの…紗夜先輩から…」

 

 

あの風紀委員……ホントに何してくれてるんだよ……お陰でこっちに来づらくなったじゃないか、なんて今更嘆いても仕方ない…今を生き抜くしかない。

 

 

 

 

 

 

 

有咲

 

「あの、Afterglowやパスパレのみんなを助けてくれたって聞いて……お願いが……あるんです。」

 

 

 

 

見たところボクより年上だから敬語を無理に使うこともないんだけど……

 

 

 

 

「わかりました……あと、ボクのことは…お気遣いなく……」

 

 

 

 

 

 

 

その後は緊張してただろうけど、段々と打ち解けていったのか、砕けた口調で話すようになった。ボクは相変わらず敬語ですけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、そろそろ本題に入ろうか……

 

 

 

「まあ、親睦はここまでにして、お願いの件を話して欲しいです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

沙綾

 

「実は……………」

 

 

 

 

 

彼女の話によると、ハロー、ハッピーワールド!の松原花音という少女がストーカー被害にあってるそうで、今は奥沢美咲と瀬田薫が着いてはいるけど、やはり頼りになる人がいいということで…ボクになった…

 

 

 

 

 

りみ

 

「初対面の人にこんな事言うのは変だけど、お願いします!!」

 

 

 

 

 

 

有咲

 

「私の方からも…頼めるか?」

 

 

 

ボクはしばらく考えた。ココで断ってもいい……だけど……悪であろうと周りにまで巻き込むのは好きじゃない。周りの命を奪う趣味はないんだ。だからボクは………

 

 

 

「はい、分かりました…一応、顔を合わせた方がいいんじゃないですかね……。」

 

 

沙綾

 

「それなら、明日……ハロハピのライブがあるから……そこで話し合おうよ。」

 

 

 

そう約束を取り付けて……彼女達と別れた。まあ、勿論AfterglowだけでなくPoppin’Partyのみんなにも専属マネージャーをさせられることにはなったけどね………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日………ボクはみんなに食事を作り……部屋の掃除や洗濯、軽く身の回りを整理して出かけることに……その時に、香凛や楪にからかわれるもボクは笑顔で返して、そのまま外に。

 

 

 

 

 

 

空は青く、雲も少ない快晴だ。ボクは自家製の帽子をかぶり、会場へと向かうことにした……その途中で……なんか……見慣れない格好をした少女二人が明らかに悪意にまみれた男に今にも襲われようとしていた。

 

 

 

 

(はぁ、どうしてボクの周りには、不幸が続くんだろう…)

 

少年はそう1人で嘆き、静かに近づいた。

 

 

「あの、すいません。」

 

 

「あ?てめぇ誰だ、ぶち殺すぞ!」

 

 

 

「いやぁ……殺すだなんて…怖いなぁ……ボクは話し合いたいだけなんですけど…」

 

「まあ、いいや……てめぇをボコボコにすりゃあいいだけだ!!」

 

 

 

あまりにもバカ正直に殴りかかってくるもんだから、対処が楽だよ。彼はバレない程度に掌を握り、不思議の力で相手に頭痛を与えた。そうしたら手を止め、頭を抱えて悶えながら離れていくでは無いか。いやぁ…………悪者であるはずなのに、どうして人を助けたんだろうね……分かんないや……

 

 

 

 

 

 

 

 

って言うより、この子達……『Morfonica』の人じゃないですか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月ノ森女学院って言うお嬢様学校に通う生徒が、何でここに……いや、それより……任務を完了させなきゃ……

 

 

 

「だ、大丈夫…ですか?ケガは…………無し…………じゃあ、ボクはライブを見に行くんで……」

 

 

ましろ

 

「あ、あの!!私達も……ハロハピさんのライブ……見に……」

 

 

 

 

 

つくし

 

「っていうか、この子……ハロハピのライブチケットある!!ねぇ、私たちと一緒に行こう!!」

 

 

 

 

「え?え?あ、ちょっと!!!」

 

 

そう止める暇もなくボクは彼女達に両手を引かれ、走らされた。身体能力は高いとは言えど、相手に合わせることは出来ない。二人三脚なんて相当すごい努力を重ねてできることだから、学生のみんなはめげずに頑張ろう!!

 

 

 

 

 

 

瑠依

「あら、2人とも…もう始まってしまうわ。」

 

 

 

 

七海

 

「お?そこの子は初めましてだねぇー。」

 

 

透子

 

「ちょっと待って!!マジで可愛いの来た!!」

 

 

 

話には聞いてたけど、結構癖の強い人が多い……

 

 

 

 

 

 

「瑠依さんに七海さん、透子さんとつくしさんにましろさんですか………」

 

 

 

ましろ

 

「満くん、ライブに来るのは初めて?」

 

 

と、思いのほかみんな僕に興味を持って結構、グイグイくる。

その時にボクはこう思ったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

(みんなにこうして感謝されると…自然と心が安らいでく…………悪さをしなきゃいけないのに………ホントは……ボクの心の奥底には…………守りたい願いがあるのか……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この時点から……………………彼自身の中の『正義』の在り方に迷いが生じていた。ホントに正しいこと…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰かのために全力になれる奴がヒーロー………父さんにそう言われた気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハロハピのライブが開始と同時に、香澄さん達が来た。どうやらMorfonicaとPoppin’Partyは既に面識があったようで、一直線に向かってきた。グイグイくる香澄さんに対し、たじたじなましろさん……先程のボクらみたいだ。

 

 

 

 

 

(……………なんか大きな人形がいるんだけど……しかも動いてるし……でも動きが人間くさい…………あれ、着ぐるみかな?)

 

 

 

 

 

明らかに異質な感じの大きなクマの着ぐるみがすごい軽やかに、踊ってる。ライブが終わっても、あのぬいぐるみのことが頭から離れてくれなかったが、本題はそこではない。あのバンドのドラマー少女だ。

 

 

 

 

 

 

 

香澄さん達に楽屋に連れてかれると、着ぐるみから一人の女の子が現れたことに驚いた。

 

 

美咲

 

「あ、すいません。君が……満君……かな…?りみ達から話は聞いてるよ。まあ、どうぞ座ってください。」

 

と、ちょっと癖の強さとはかけはなれた気分屋な声の美咲さんが、ボクに椅子を持ってきた。

 

 

 

美咲

 

「まあ、話は聞いてるかもしれないけど、うちの花音さんが付きまとわれてるらしいんだ。アタシと薫さんで何とか護ってはいるけど、やっぱり不安だから…………」

 

 

そう言うと、どう見てもSPの人間にしか見えない人が現れて、

 

「お嬢様と奥沢様からの指示で、満様をご招待させて頂きました。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………いや、うん。もう、驚けないや…………

 

彼は頷いた。コレは余計に力を使えないと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弦巻こころ……弦巻財閥のお嬢様……聞いたことがある。有数の財閥の中でもトップクラスの人間の集まりだ。優秀なSPもついてて、とてつもない権力の持ち主だとか…………ウチとも仲良くさせてもらってるから分かる。

 

 

 

 

 

そんなお嬢様が学校に通ってるのも意外だ。

 

 

 

 

 

そう思ってたら、噂をすれば何とやらだ……

 

 

 

 

 

 

こころ

 

「アナタが満ねっ!!紗夜やみんなを守ったって聞いたわ!!花音を守って欲しいのよ!!!」

 

 

 

 

とグイグイ来るわくるわこのお嬢様には、警戒心というものは無いのか……いや、逆にあったらここまで来ないか………

 

 

こころ

 

「最近花音の元気がないから、どうしたらいいのかわかんないのよ……それに、黒服のみんなが怪我して帰ってくるの!!」

 

 

 

 

 

「……っ!!」

 

 

みんなが怪我して…?あんな見るからに強そうな人達が……?にわかには信じ難い……いゃ、信じたくはないが……それがもし本当なら…………その人を付け回してるのは、地球外生命体か、能力を手にした人間に絞られる。いくら財閥のSPでも、そんなヤツらの前では無力に等しい……結局は……彼女たちも人間だから…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「分かりました……当人にボクが護衛に入ると伝えてください。」

 

そう言い残して、離れようとした時に、一人の女の子とぶつかってしまった。その子は水色のサイドテールで紫の瞳の女の子だった。彼女より低身長なボクはしりもちをついてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

花音

 

「だ、大丈夫…ですか?」

 

そう心配そうに手を差し出す彼女……その手は少し震えていた。それもそうだ。ストーカー被害に会って男性に対して恐怖してるのに、必死にそれを押さえ込んで…………そんな彼女の勇気に興味が湧いたボクは自分からスっと立ち上がった。

 

 

 

 

 

「花音先輩……初めまして。満って言います…よろしく…お願いします…」

 

 

そういうと、花音さんは少し驚いたあと、この人は大丈夫だとわかったのか、若干笑顔になって自己紹介をしてくれた。

 

 

 

 

 

そうして彼は、ハロハピの松原花音のストーカーの正体を突き止めるべく、側につくことにした。傍から見れば恋人同士だと後ろ指を刺されるかもしれない……でも、そんなの彼には関係ない…………

 

 

彼もまた…………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『存在してはならない』存在だから…………。

 

 




あの、アンケートに投票するのは構いません。ですが、そのときに理由を書いてくれないと、こっちもストーリー構成に困るんです。御協力お願いします。


そして、ウルトラマントリガー…これからもフロンティアスペースのみんなをよろしくね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

45,悪いことは重なるって、こういう事なんだね。

ははに(ゆPoppin’Partyの依頼によりハロハピの松原花音の護衛をすることになった満。その道中でもMorfonicaのみんなを救出。しかし、当の本人はこれを善意で助けたという風には思ってない……目的の邪魔だったのと……彼自身が好きでやってることである。


 

 

 

 

 

 

花音

 

「おまたせしましたぁ!!」

 

 

 

 

「……いえ、ぼくが早く来すぎただけです。行きましょう。」

 

 

 

 

彼女……花音先輩は美咲先輩と一緒に校門を出て、僕の姿を確認するや否や直ぐにこっちに向かってきた。まるでご主人の帰りを待ってた犬のように……

 

 

 

他の生徒からは「え?何?彼氏??」みたいな事を言われてはいるが、決してそんなことは無い。あくまで依頼を受けてる側の立場だ。

 

彼女たちと並んで……ではなく、少し後ろの方から様子を伺うことにした……そして、商店街を過ぎたあたりから……いや、正確には校門を出た時から感じていたが、全く同じ気配だったので、はじめから付けられていたことが分かる。ボクは奇跡の力で近くの木々と同化した。

 

 

 

美咲

 

「あれ?満さんは…?」

 

 

花音

 

「…ふぇえ…」

 

彼女たちを不安にさせてしまうことに罪悪感は生まれたものの、ストーカーを倒さないことには解決しないので、そばにいたくても出来なかった。そして、予測通り小太りでガラの悪い男が姿を現して全速力で走ってくるので、ボクは解除してそいつの手を掴んだ。

 

 

 

 

 

 

「……何してるんですか。」

 

 

「あ?誰だテメェ……クソガキに用はねえ、失せろ!!」

 

そう罵倒しながら回し蹴りをしたがやはり人間だから動きが遅すぎる。瞬時に背後をとり首元を叩き気絶させた。後は事前に連絡してた為、コイツは御用とはなるだろうが……ホントに…………ボクって……なんでこんなにもツイてないんだ……。

 

護衛には成功したけど……自分の不運さにはいい加減にうんざりだった。それにしても…クソガキ……………か………今のボクはそんな風に見えるんだね……

 

 

 

 

 

 

ホントなら奇跡の力でそいつごと抹消することは出来るが、ガールズバンドの二人がいる手前、それはしなかった。確実に怪しまれるからだ。しかしよく考えても見よう。自分で悪だと言い張ってる割には善行を積んでいるではないか。ひょっとしてコイツ……ホントは悪なんかじゃないんじゃね?って思った皆さん……それか、人の手に歪められた悲しい悪だと思う皆さんは……少なからず……居るんじゃないんでしょうか…………居ますよね?

 

 

 

 

 

 

花音

「だ、大丈夫…ですか〜!」

 

彼女の声にふと我に返る。ストーカーは完全消失。任務完了……

 

 

 

 

 

と、花音先輩はつまづいて転びそうになったところを、ボクはお姫様抱っこをして、助けた。その時に花音先輩は凄いボクのことを見て赤くなってたけど、気にせず家の前に下ろした。

 

 

 

 

 

 

花音

 

「あ、あの……ありがとうございます!」

 

 

 

「…………こちらこそ…………感謝します。」

 

 

それだけ残して、彼は影の中へ走っていき姿を消した。この時彼女は……

 

 

 

 

 

 

 

 

花音

 

 

(……満くん…麻弥ちゃんから聞いたけど、年下だって言うのに、年の差を感じさせないくらい……カッコよかった……///)

 

 

 

またしても……彼に惹かれていく少女が増えてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は……手土産を持って家に帰ろう…………そうしたのは……良かった………………でも、それが…………後悔の始まりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事務所の中がやけに騒がしい……何かあったのかな…気にしててもしょうがないため思い切って扉を開けた………………そこには…………

 

 

 

 

 

「ただいまー………………えっ…………」

 

 

ボクは怖かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

だって、上半身が消えた吾郎と、RASにRoseliaのみんな……香凛に弥助に…………………………蒼の悪魔に姿を変えた『海音くん』がいたから……………………

 

 

 

氷川先輩は怒り心頭の状態で、

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

「満さん、どういうことですか…!鬼龍さんが……人でないなんてっ…!!!」

 

 

 

 

そう言われた気がするが、全く脳に入ってくることは無かった。吾郎が、まだ結莉を諦めてなかったなんて…………恐る恐る聞いてみた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……もしかして……吾郎……………来たの?」

 

 

 

 

 

「ああ」と頷く弥助……

 

 

 

 

 

……終わりだ…………吾郎の事だ…きっとボクらの幸せを消すために、彼女達にもあらゆることを吹き込んだのだろう。思わず膝をついてしまう。真実を知ってしまった彼女たちがとても怖かった。震えて立ち上がることも出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから少ししてみんながようやく落ち着いた頃に、彼は彼の過去を話せるだけ話して、みんなとの関わりを断ち切ろうとし、強く突き放した。その時の海音くんは完全に悪魔の意志に取り憑かれている。でも、彼女たちはきっと彼をまだ追うだろう…………先の真実を見ているからこそわかる。海音くんとRASはまた己から近づく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パレオが失踪して早数時間……ボクの力ならすぐに見つけ出すことは出来る……………………そして、彼女の近くに飛ぶことくらいはできた。でもあえてそうしなかった……………………なぜか?

 

 

 

 

 

 

そんなことをしても、彼女たちとの溝も差も埋まらないと思ってるから…………彼女たちを元に戻せるのは……ボクでもいいけど……やっぱり海音くんが一番だと思うな……。

 

 

 

 

 

 

 

お互いの仲違いを修復した彼らを嘲笑うように、あの悪魔の宇宙人が姿を現した。外見も若干変わっていて、完全に嘲笑うような悪魔の姿だった。そこにウルトラマンが助けに来てくれた。その時にボクの中にある何かが突き動かされた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分もいずれはこの星を守る役目が来るって…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうしたらいいのか…それはもう分からない……でも、ボクはヒーローは絶対に勝つことを信じて、応援要請をした。数十分には到着する予定だが、それまでにティガのエネルギーが間に合うのか…………

 

 

 

 

ティガが光を集めてタイプチェンジを行った。でも、みんなが驚いたのは……ここからだった……

 

 

 

 

 

 

ジュェアリィッ!!!

 

 

 

なんと、キリエロイドも同じようにタイプチェンジを行ったではないか。通常でも一方的に翻弄されてるのに、タイプチェンジも意味をなさないなんて、絶望しかない。

 

 

 

レイ

 

「アイツも同じことができるって、そんなのありなの?」

 

 

ますき

 

「……冗談キツイぜ。これじゃあ完全に不利じゃねえかよ。」

 

 

そう悪態つく二人、怯えて何も出来ない彼女たちを前に、キリエルは地獄の門を呼び出し、ティガは遂にエネルギーが僅かになり、地に着いてしまい、立ち上がることも出来なかった。もうムリだと……みんながそう思った……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「頑張れっ!ウルトラマン!!!!」

 

 

 

 

 

 

「立ち上がれ!!ウルトラマン!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「勝ってくれ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

ウルトラマン!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

車やビルから光が、要請したヘリのスポットライトが、懐中電灯を手に取って必死に声援を送る街の人々が、ティガを取り囲んだ。

 

 

 

 

 

数え切れない光を受けたティガは精一杯に立ち上がった。そして、指先から光の光弾を放ち、キリエルの門がギリギリ開く直前に撃ち落とした。ここで彼のゼペリオン光線が炸裂する。キリエロイドも防ごうとするも、光の力が大きく集まったことで、防ぎきることができず直撃。爆裂四散した。

 

 

 

 

辛くも勝利したティガは今度こそ疲れきったように座り込み、光の柱と共に姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

「海音!!Are you okay?!」

 

 

 

海音

 

「……ああ、アレごときに遅れはとらん。マスキング……どういうつもりだ……」

 

その時に彼女は海音君に馬乗りになりながら、海音くんを組み伏せた。

 

 

 

 

 

逃げれないことを確信した彼は、大人しく自分自身の過去を淡々と述べ始めた。それを橋の下から静かに聞いていた。多くの悪魔が襲撃したこと……一人の少女を救うことが出来なかったこと……そして……自分たちが弱かったせいで誰ひとりとして救えなかったことを……みんなに教えてくれた。

 

 

 

そして、今はそれを通じて弥助くん達に出会って、バンドを組んでは勝ち進み、遂には殿堂入りして……仲間が殺されて、もうこれ以上傷つくのは見たくなくて、一時的に解散。彼は自分たちと同じ境遇の人間を救いあげては、苦痛を与えた人間を尽く抹殺。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聞いてて辛くなるって言う人はいるだろう……だが、満に関しては…………それ以上の苦痛……そして絶望を知っている。そして満自身が、より辛い思いをしてたことは誰にも気づかない……

 

 

 

自分の望んだ願いが呪いに変わってみんなを苦しめたくないから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

RASと海音君との間にできた溝も無事に埋まり、いつものような感じに戻った……だけどそれは、彼とちゆが両想いだった事がわかったから。いつも以上に彼にベッタリ…………そんな様子を微笑ましく見るみんな……一方でそれを見ているだけで何もしてない…………いや、出来ずにいたボク……そこまで仲が深い訳では無いけど、自分の方から避けてるのを寂しそうに、苦しそうに見る彼女たちを見たくない。ならボクはどうするべきか…………そんなのは決まってる…………

 

 

 

 

 

 

 

 

「謝らなきゃ…」

 

 

そう言いつつ飛び出した。Roseliaのみんなは今の時間はライブをしてるはず……ビンゴ。

 

 

やはり練習してた。ボクは意を決して扉を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あこ

 

「あ、みつ兄……」

 

 

あこ以外全員黙ったままだ。それもそうか、ずっと黙ってたんだもん…………

 

 

 

 

 

 

 

「何か用かしら。」

 

と、初対面のような素振りで話しかける友希那。このまま引き摺ってもしょうがない。ボクは深々と頭を下げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「すいませんでした。謝って済むわけじゃないけど……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくの沈黙の後、氷川さんが呆れたように言った。

 

 

紗夜

 

「もういいです。満さんは、鬼龍さんとの約束を守っただけなので、これ以上責める理由はありません。」

 

と、案外簡単に和解した。その時に氷川さんの顔が少しだけ赤かったのは気のせいだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

満さんはこういう時には素直ですし、誰に対しても優しい……だからこそ隠し事をされたら当然悲しいし苦しくもなる。それにしても、こんなにいい人なのだから………………こ、こ、恋人…がいるのかしら……

 

 

それが私としては気になった。年頃の男性だから好いてる人がいてもおかしくはない。

 

 

 

 

その疑問は今井さんも同じようで……

 

 

 

 

 

 

リサ

 

「ねね、満ってさ…す、好きな子とかいない?」

 

 

 

 

 

 

その問いに対して満さんはこう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………確かに……いましたね……そんな人……」

 

 

 

 

 

 

 

その返事に、その場の全員が固まった。




結構期間あけちゃったね……すまん。忙しかったのもあるし、具合が悪かった時もあったから……みんなは体調管理はキチッとやろうね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

46,確定する悪運と断片的な秘密

 

 

 

周りから感じる謎の静寂…………

 

『いましたね……そんな人……』

 

明らかに何かあったような口振りでそう答えた。それはあこを除くみんなが気づいてる。だって、答えた時の満さんは…………ものすごく辛そうにしてたから…………

 

 

 

 

 

リサ

 

「あ、いや……別に嫌味とかじゃなくて「知ってます。興味本位ですよね。」……うん。」

 

 

 

 

 

 

「…………場所を変えよう……ココだと安心して話も出来ないからね。」

 

 

そう言って、Roseliaを外に出るよう促し、ボクも続いて近くの公園に向かった。ボクには一つ気がかりなことが……そして、その疑念は確信へと変わる。

 

 

 

 

 

 

 

 

一瞬だけだったけど、商店街の方に消えてゆく母さんの姿が……それ以来、ろくに呼吸も出来ずに…………最悪なことにも発展した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「久しぶりね…満。」

 

 

 

 

 

 

 

「__________ッ!!!」

 

 

 

 

起きてしまった……………………会ってはならない人物に、全てを狂わせた…………最悪の…………人間でありながら『別の母さん』…………

 

 

 

 

 

 

「……………………何しに来たの……あいにく、ボク行くところがあるんだ。」

 

 

 

「ふーん、それってその小娘たちのこと?」

 

 

 

 

 

 

母さんはRoseliaのみんなを指さし、まるで自分より大事な用があるのかと言わんばかりの態度だった。

 

 

 

 

 

燐子

 

「あの…お知り合い…ですか?」

 

 

 

 

 

 

「満。こっちに戻ってきなさい。お父さんも心配してるわ。それに、輝夜も学園長をしてるんですってね。だとすれば、相当持ってるわね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

燐子先輩の問いかけには一切答えず、続けざまに聞いてくる。何が言いたいのか、ボクには分からなかった。だけど…………奴の狙いだけははっきり分かってる。どうせ、男を漁っては金を巻き上げ…用が済んだら抹殺。そして、その罪を全てボクに背負わせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

こんな母親を持った家庭は大変だろうね。こんな狂った奴の尻拭いまでしなくちゃならないんだから。まあ、かく言うボクもその母親に育てられたんだけどね…………

 

 

 

 

 

「満、早く私の元に来なさい。何もしてあげられなかった分、愛してあげるわ。」

 

 

そう言って近づいてくる母さん。Roseliaのみんなもこの雰囲気は異常だということには既に気づいてる。止めようとしたが、怖くて出来ないのだ。だから…ボクが動かなきゃ…………

 

 

 

母親の手がボクの手を握りしめた…………と思いきや、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「_________ッ!!!!?」

 

 

 

腹部から数箇所の痛みが………………そうか……ボクは母さんに刺されたのか…………

 

 

 

 

「なんて言うと思った?アンタみたいなクズはお断りよ。金だけを渡して失せなさい……」

 

 

 

 

なんとも自分勝手だろう…………我が母親ながら狂ってるよ…………でも、ボクもそうだろうね……もうやってないとはいえ、人を斬ってはその肉塊を食べてたんだもん…………

 

 

 

 

 

 

「アンタの父さん達と同じで正義感ぶって目障りだったのよね……だからアイツらと同じ目にあってもらうわ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………!!!」

 

今………………なんて言った………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜数年前〜

 

 

ボクは正義感溢れる父さんと誰にも分け隔てなく優しく接する母さんの元に産まれた。父さん達は光の人間としても、戦士としてもとても優秀で、ボクにとって永遠の憧れだった。だからボクは、認めて貰えるように努力した。

海音くん達とバンドを組んで、殿堂入りをした時のことだ。由莉が殺されたことを知った僕は、正常な判断ができなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫か?アスカ……もう数日は部屋にこもってばかりじゃないか。」

 

 

「母さん……スゴく心配よ。海音君たちにこんな姿見せたくないもの……由莉ちゃんがいなくなったのは辛いけど…前を向かなきゃダメよ。」

 

 

 

 

 

「よし、アスカ…………父さんと少し遊ぼうか。」

 

 

 

 

「…………うん。」

 

 

 

 

 

どんな時だって父さん達は優しく声をかけてくれる。楽しかった時も、苦しかった時も、泣きたかった時も……父さん達はいつもそばに寄り添ってくれる。光の戦士としてではなく…………『家族』として…………

 

 

 

 

 

 

 

ボクはそれが嬉しかった。

 

 

 

 

でも、あの母さんが、ボクの家族を…………夢を……希望を…………全てを……壊しては奪い取っていった…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

満(アスカ)

 

『父さん…母さん……起きてよ………ねぇ、また一緒に遊ぼうよ……!!』

 

 

いくら呼んでも父さん達は動かない。目の前の現実を嫌でも思い知らされる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

満(アスカ)

 

 

『うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!』

 

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

 

 

そうだよ………………今思えば、母さんがあんな残虐なことを言うはずがない。父さんに至っては、正義感の欠けらも無い行動を嫌ってたはずなのに、ある時から犯罪を促すようになった。それもこれも…………全部、奴が仕組んだ巧妙かつ狂気じみた計画の一部に過ぎない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベキッ!!!!

 

 

 

 

いつの間にかボクは偽りとはいえ母親を思い切り殴った。その勢いで、付けてたゴーグルも外れかかってる。でも、なりふり構ってられない。

 

 

 

 

 

 

「なにをするのっ!!母親に対してっ!!!!」

 

 

 

 

 

あの女はまだこんなことを言ってしゃべり続ける…………いい加減、吐き気もしてきた。

 

 

 

 

 

 

 

「…………しばらくの間………………アンタに会いたくない。

 

 

 

 

 

………………失せろ。」

 

 

最後には冷たい態度で、掌を掲げそれを地面に叩き伏せると、母親は別の時空へと飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いっそここで殺しても構わない。でも、ボクはヤツとは決定的な違いというものを見せつけるために、わざとあのような手口をとった。

 

 

 

 

 

その日は話す気にはなれず、別の日に改めて貰うことにした。ホントに申し訳なさに押しつぶされそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………大丈夫なんだろうか……こんなことを隠し続けて……」

 

 

ボクは視界を完全に塞ぐ特殊なゴーグルをつけて、1人静かに眠った……



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

47,誰しも裏の顔くらいはあるということを忘れるな。

いつも通り朝を迎える……しかし、違うことといえば、妙に気が重い。母さんのことを知られた今、このまま隠し通すのは無理がある。だが、ここで蹲っても仕方ないため、やむを得ずに登校した。

 

 

 

 

 

 

相変わらず女子達からすごい歓声が聞こえてくるけど、ボクは笑顔を振りまいてはそそくさと席に着くことにした。そこでもやはり注目は浴びる。でも、ボクはそんなことよりも海音くんが心配だった。あの悪魔の存在を彼女達は知ってしまった。あこちゃんなんかはホントに言いそうだから怖かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それに、ボクの中に眠ってる悪魔が目覚めないか不安だった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わぁー!!!これ全部満君が作ったの!!?」

 

 

 

 

「え、あ、うん…誰も来ないから…好きに使っていいって……」

 

 

 

 

「え、でもゴーグルつけてるのに、どうやって?」

 

 

 

「それは……感覚が教えてくれるんです。」

 

 

 

 

「凄い!!ホントにアイツらと全然違う!!もういっそのこと執事でいいじゃん!!!」

 

 

 

 

「ハハッ……気持ちだけ……受け取っておきますね。」

 

 

 

 

 

 

 

「ほんと美味しいんだけど!今度お店やって見たら!!絶対売れるって!」

 

 

 

「やってたら僕たち毎日……じゃなくても必ず通うよ。」

 

 

 

 

この発言にみんなは同調してた。そんなにいいのだろうか……ボクには味なんて全くなかったように感じたのに……

 

 

 

 

 

 

この後もクラスメイトにもみくちゃにされながらも、何とか授業が終わった。みんなはそれぞれの帰路に着くのだが、

 

 

 

 

 

 

 

琴里

 

「あんた、家そっちじゃないでしょ。」

 

 

 

 

「行くところがあるんです。みんなは早く帰ってください。」

 

 

 

 

 

「なーに水臭いこと言ってんの!!アタシとミッツーの仲じゃん!!」

 

 

 

「……後悔して欲しくないから、来て欲しくないんです。」

 

 

 

 

 

石田

 

「なら、後ろから様子を見て大丈夫ですか?」

 

 

 

菜那子

「そうだねぇ。満君が普段何してるか……気になるしねぇ。」

 

 

 

と、悪戯っ子な表情を浮かべるみんな。でも、これから起きるのは……そんな甘っちょろいものでは無いのだ。嫉妬と憎悪が塗れて、もっとドロドロしてて、二度と這い上がることの出来ない…そんな深い場所にいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

吾郎

 

「おう、満じゃねぇかよぅ……久しぶりだな……会いたかったぜ?」

 

 

 

 

そうは言うが殺意と憎悪に満ちてることに気づいてない吾郎がずっとあとをつけてた。全身から汗が止まらない。呼吸も乱れ、身体も震え出した。今、会いたくない奴がここにいるから。

 

 

 

 

 

 

「何しに来たの……ボクは行かなきゃ行けない用があるんです。」

 

 

 

吾郎

 

「そうつれないこと言うんじゃねぇよっ!!!!」

 

 

『!!!?』

 

 

その場の全員が驚愕した。僕は今奴に思い切り殴られた。それも何度も何度も……ボクは抵抗をせずにただ殴られるのを黙って見てた。

 

 

 

 

 

吾郎

 

「俺と由莉の仲を引き裂きやがって!!!!てめぇだけはコロス!!いや、楽に殺さねぇ永遠の地獄に落ちやがれ!!!」

 

 

 

 

なんて子供じみたことを喚いて、ボクの心臓に包丁をメッタ刺しにした。

 

 

 

 

 

 

永遠の地獄に……って、ボクからすれば…………今が『地獄』だよ。周りの生徒も何事かと集まり始めた。僕が殺されたのを見た生徒は青ざめて救急車と警察に通報したが、警察はともかく、ボクには治療の必要性なんて無い。だって……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

吾郎

 

「キヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒャハハハハハハハハハハハハハ!!!!!死んだ!!死んだ!!!コレで俺たちの仲を邪魔する奴は……!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

突如彼の声が止まり次の瞬間、大量の血を吐き出し倒れた。その先を見たみんなは驚きを隠せなかった。なぜなら……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………………………………………………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

心臓を刺されて死んだはずの彼が逆にやつの心臓を愛刀『無為』で串刺しにしたから………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時の彼は、瞳に輝きは無く完全に闇へと落した彼の姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

沙綾

 

 

「…え?アレって……満くん……だよね。

……どうなってるの?」

 

 

 

彼女はその一部始終を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつからだろう…………みんなしてボクを見ては遠くの方に逃げていく。最初は僕の周りにはみんながいたけど……今は、誰一人として僕に近づこうとしない。

 

 

 

 

 

 

 

声をかけても話の途中で遮られて、途切れてく。なにかしたんだろうか?

 

 

 

 

 

ボクはそんな疑念を抱えながらPoppin'partyの監督をすることに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ曲を聴いてるはずなのに、前と違ってなんか、音に安定感がなく不安も混じってる。それも………………山吹先輩の方から…………

 

 

 

 

 

「今日は個人で練習しましょう……」

 

 

この子達はすごく聞き分けのいい子たちで、素直に従ってくれる。

 

すると、市ヶ谷先輩から話があるって言われた。ついて行くと鍵をかけられて市ヶ谷先輩に山吹先輩の三人になった。話ってなんだろう、鍵まで閉めて…………そんなに話しにくいことなのかな……さっきから山吹先輩の表情が暗い。さすがに心配になる。

 

 

 

 

 

 

沙綾

 

「ねぇ、昨日さ……見ちゃったんだよ…………キミが……」

 

 

 

 

まさかその話題を振られるとは思わなんだ。ここは誤魔化さなきゃ…

 

 

 

 

 

「えと、先輩方、二人の技術凄いです…是非とも、参考にしたいくらいです。」

 

 

 

有咲

 

「話をそらすんじゃねぇ。昨日、見たんだよ……沙綾が…おまえがお前んとこの生徒とやり合ってたろ。」

 

 

 

 

 

……そう見えたのか。確かに、やりあったのはそうだ。吾郎を斬ったのは間違いない。でも、

 

 

 

 

「それは、理由が……あるんです。あれは……」

 

 

 

奴は人間じゃないことを伝えようとしたが、辞めた。そんなことをすれば、あの母親と同じようになってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

有咲

 

「別に無理に答える必要はねぇよ。言えるようになった時に、私らに言え。良いな?」

 

 

 

 

 

 

「……はい、すいません。」

 

そう言って、部屋を出た。他の三人は心配そうにしてたが、何でもないとの声でいつもの調子に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

沙綾・満

 

「………………!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山吹先輩は血色を変えて震えていた。それもそうだろう、ライブハウスから出るとそこには………………昨日…………斬ったはずの吾郎が待ち伏せしてた。この時、頭を切り落とすべきだったと後悔した。

 

 

 

 

 

 

 

吾郎

 

 

「おい、満……あの時はよくもやってくれたな?俺を一方的に嫌いやがってよ!!!」

 

と詰め寄ってくる。彼女達は何が起こったのかわからず、混乱してた。そんなことを知らずに決定的な瞬間を突きつけた。

 

 

 

 

 

 

 

吾郎

 

「自己中だからみんなに嫌われるだけでなく、親にも見放されるんだよ!!!あ、いまは両親共に居ねぇんだっけな!ざまぁみろ!!俺を突き放すからこうなるんだよ!!!!!」

 

 

 

 

 

なんてこと言っていかにも彼が悪者だと言わんばかりだが、実際に彼は自己中心的な行動をとることは多いが、他人には優しくしていたし、愛されていた。それをあの女が踏み荒らしてぐちゃぐちゃにしてボクの全てを奪い取っていった。それに対し吾郎は、由莉を自分の女だと勝手に思い込んで、これが愛などふざけた理由を並べては周りをチートで潰し仕舞いには、ボクのことを勝手に悪だと決め込んでる。全く……迷惑極まりない話だ…………まぁ、そんなこと…………いまは………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………もう…いい。」

 

 

 

りみ

 

「満くん?」

 

 

 

満が地面に手を置いて、香澄達を家に送り返しその時に見た光景を、抹消しては、別の記憶へとすり替えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

吾郎

 

 

「ようやく殺される準備が出来たかよ!!

 

死ねやゴルァ!!!!」

 

 

 

殴り掛かる奴の拳はあからさまに普通の人間と同じように遅い。こんなことでは、誰一人として守れやしないよ……イヤ、コイツの場合は、僕と同じようにクズなんだろう。だったら…………ボクもクズらしくいこうじゃないか。

 

 

 

 

 

 

満は奴の拳をそのまま掴んでは投げて地面に叩き伏せた。馬鹿正直なパンチだったため、満でなくても避けることは容易だった。彼女達には見せたくなかった醜い一面だ。彼は骨の髄まで砕かれた吾郎を悪魔らしく見下げ、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…フッ……………………ハハハハハハハハハハァァァッ!!!!!!」

 

 

 

 

全身が雨に打たれ、その瞳から雨水が吹き出していた。それも、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『狂って歪み切った最凶に最高の笑顔』で………………………………




メインヒロイン誰にしようか未だに悩んでる。誰か希望してくれ。ひょっとしたらその通りに物語が進むかもしれないから、頼むよ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

48,呪われた『命』

おい、見ろよ。

 

お面なんかもってきて何しようってんだよ。

 

 

文化祭の気分なんだよ。今日だし……。

 

 

しかもあのお面ってあの巨人の顔じゃねえかよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

…………確かに、ボクは巷で大人気のウルトラマンティガのお面をバッグにつけてる。それも、お祭りに置いてあるようなものではなく、目の所の穴はなく、完全に見えない。一から彫刻して、実物のように色付けしたから………………

 

 

子供たちもお面をつけてはゼペリオン光線の構えをとっては、相手はうぎゃーなんて叫びながら倒れ伏す。それを親御さんは微笑ましく見守っていた。

 

 

 

 

 

確かに、ボクもヒーローに憧れているのは間違いない。しかし、理由は別にある。この醜い素顔を見せたくなかったから。今日の文化祭は外の交流も含めて屋外でお店を構えるそうだ。きっと、学園長直々の計らいだろう。全く、あの人はいつまでも心配性なんだから………………そこまで気を回さなくたって、誰にも素顔を晒すつもりはないのに……

 

 

 

 

 

 

 

 

だけど、いまは少しだけ有難い。ガールズバンドのみんなもきっと来るだろうから、少しでも心配してくれる人がいるだけで心強い。それに、なにか面倒事も起きそうだし………

 

 

 

 

 

 

 

 

って言ってる側から上原先輩達来ちゃってるし、因みに、お店は三つだして商店街と学校付近に配置されてる。ボクはそこの商店街エリアに就くことになりました、はい。クラスメイトもボクを気遣ってくれたりでもう言うことは無い。やれる限りの事をやり抜くだけ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______さて、ボクもそろそろ出陣しますか!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………………………。」

 

 

 

開始早々問題発生。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

案の定、ガールズバンドのみんなが来てた。そして、その全員が、僕の出番を待っていた。いや、今ボクバックヤードの方で後片付けなんかやってたんですけど、いつの間にか彼女達が仮面を付けた少年のメニューがとても素晴らしいという噂を一般のお客様があげたのだろう。ここでは、『D』の名前で通してもらってる。

……それを聞き付けたみんながボクを指名してくるものだから、流石に疲れる。

だって、他の店舗にはあまり客入りが少ないんだよ?

さらに言えば、彼女達は全員、ボクを指名しては長時間独占するものだから、他のお客様のオーダーがとれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ、因みにボクらがやってるのは指名をされた店員が例えば、『一緒にフライアウェイな食べさせ合いコース』を注文すれば、そのコースに合わせたセリフを言って、お客さんの口にメニューを運ぶって言う、所謂メイド喫茶みたいな感じだと思ってくれて構いません。

 

 

 

と、呼ばれたので行ってきます。

 

 

 

満(D)

 

「…お待たせしました、ご注文をお伺いさせてもらいます。」

 

 

 

「それじゃあ、この『あなたの従順執事コース』!!」

 

 

 

 

満(D)

 

「かしこまりました。それでは、お嬢様…何なりと。」

 

 

 

 

 

コースを堪能した丸山先輩はいつも以上に幸せそうな顔をしていて、こちらとしても嬉しい。

 

 

 

 

 

と、次の指名だ。行かなきゃ……………………

 

 

 

 

ちょっと待ってください…帰っていいっすか?

 

何で紗夜先輩がいるんですかねぇ……待って怖いんだけど……丸山先輩を相手してた間ずっと睨まれてたんだけど……待って?そういうやましいのじゃないんですだからそんな怖い顔しないで〜?ボクじゃなかったら確実に押しつぶされちゃうよ。急いで向かう。機嫌を損ねてしまってはコッチにも影響が出てしまう。

 

 

満(D)

 

 

「ど、どうかなさいました?」

 

 

 

 

 

紗夜

 

「先程から、随分と楽しそうでしたね。」

 

恐る恐る聞くとそう短く答えた。そして、こう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(コレ完全に激おこですやん〜!!!!!セリフ自体は淡々としてるけど、そこに怒気を感じるんですけどぉぉぉ!!!!)

 

 

紗夜

 

 

「コレはもう、『徹底折檻☆いじめ放題コース』を注文しなくてはなりませんね。」

 

 

 

 

いや、待って!!その裏メニューだけはっ!!!待ってください!!お願いします!!!!!助けて!!助けてください!ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッッッ!!!!!!!

 

 

 

 

紗夜

 

「覚悟して下さいね♪」

 

 

いや凄いいい笑顔、でも今はそれが物凄い怖いっす。

 

 

 

 

 

満(D)

 

「コレでどうか、気を紛らわせてくださいね。」

 

けど、引き込まれないようにボクは彼女の手にキスをした。

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

「な、な、な、何をしてるのですか!!!」

 

 

そう言って顔を赤く染める先輩も中々絵になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

「もっとキツいお仕置きが必要ですね。フフ、楽しみです。」

 

 

 

Oh……………………なんてこったい。さらに火に油を注いじゃったぜ。まあ、種を巻いたのはボクだ。甘んじて受けようか。

 

 

 

一通り氷川先輩に()()()()を受けたあと、氷川先輩はキスした右手を大事そうにして何かを呟きながらウインクして外に出た。

 

 

 

 

 

 

 

はぁあああああ〜〜…………疲れたァァァ!!!

 

何を呟いてたって?

…………それは想像に任せるよ。書いたら間違いなく指定されること不可避だからさ…………

 

 

 

 

 

そんなこんなで、ハチャメチャな文化祭はやっと終わった。何でお前だけ女子に囲まれてんだよって?知らない。僕にはわかんないよ。

 

 

いや、嬉しいには嬉しいんだ。ボクを指名してくれるし、褒めてくれるし……でもね?

 

 

 

 

それにしたって限度ってものがあるんですよ。千聖先輩は小悪魔の微笑みで顔を近づけてくるんだもん。アイドルってこと、分かってます?

 

 

あとは上原先輩にはレシピを教えてもらおうと頼み込んでるし、別にそこまで懇願しなくたって教えてあげるのに…

 

 

でも、ガールズバンドのみんなもそうですが、特に羽沢先輩に氷川先輩、大和先輩と松原先輩そして、朝日先輩が恥ずかしそうにして、甘えてきましたね…………………………………………朝日先輩ッ!!??

 

 

 

 

 

 

 

 

あぃえええええ!!!朝日っ!!!??朝日なんで!!!?

 

 

 

 

どっから聞いたの…………あ、そう言えば朝日先輩も羽丘の生徒でした…………なんてこったい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝日

 

「あ、あの……今日はこんな素敵なイベント…ありがとうございました!!」

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、いえ、みんなが満足してもらったなら何よりです。」

 

 

 

閉店時間までボクはみんなの相手をさせられ、正直言えば疲れた…でも、彼女達の幸せそうな顔を見れただけで、満足…なのかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれ、なんだろう…………感謝されると…すごく……心が……………………痛い…

 

 

 

 

 

 

 

怖い…………感謝されてから…ボクの素顔を知られた時のみんなが、ボクに恐怖するのだけは…………嫌だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だからボクは……君達とは……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日はAfterglowの練習の日だった。でも、以前と違うところがある。

 

 

 

 

 

「………………………」

 

 

 

 

「………………………………」

 

 

 

 

会話が無くなった。話しかけようにも話を被せてくる。まるで、私たちを避けてるように…………前までは笑ってる姿がほとんどだったのに、今じゃそれがぱったり無くなった。笑顔を見せるもそれは空元気のように見えてしまう。それは他のバンドの時もそうで、一切笑顔を見せなくなった。今はお面を被って悟られないようにしてるかもだけど…………

 

 

 

 

 

 

 

 

モカ

 

「ねぇー、何かあったの?」

 

 

練習終わりに、モカちゃんがふとそんなことを聞いてきた。満くんは「平気です。」と機械的に返した。私達はそれが心配でならなかった。そういう人に限って大丈夫じゃないことは、誰もがわかってる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「_____________ッ!!!!!」

 

 

彼は心臓の痛みに耐えきれずついに膝を着いてしまう。それを不審に思った蘭が、

 

 

 

 

「ねぇ、何かあったの?さっきから様子が変だけど……」

 

 

 

 

 

「まさかいじめられてんじゃないよな。」

 

 

「違います…!」

 

 

本気で心配そうに近づく。彼女達は何も悪くはないんだ………………悪いのは…………彼女達の意思は悪意がないに関わらず、過去のしがらみに囚われ、恐怖して精神病を患ってるボクがいけないんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、

 

 

 

 

弱いボクがいけないんだよ………………。

 

 

 

 

あたりはもう陽は沈みかけてる。彼と別れたAfterglowのみんなだが、

 

 

 

 

ひまり

 

「ねぇ、どう思う?」

 

 

 

「ああ、絶対に隠してる…」

 

 

 

「お面をかけて表情を無理やり変えてるのはわかるけど、何があったんだろう…………」

 

 

 

モカ

 

「ならさぁ〜、追いかけてみようよぅ〜。」

 

 

 

 

つぐみ

 

「モカちゃん?」

 

 

 

モカ

 

「て言うか、追わないとダメな気がするんだよねぇ……」

 

 

いつものモカじゃなくいつになく真剣な眼差しだった。こういった時のモカに従うのが正解だ。

 

 

 

 

モカ

 

「それじゃあ、行ってみよ〜。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼と別れてからさほど離れていないはずなのにもう彼の姿が見えない。というか、どこを探しても見当たらないため、今日は大人しく帰ることにした。それを、彼は建物の影から見据えていた。

 

 

 

 

 

 

 

さっきから感じる殺気が日に日に強まってる気がする。もう近くに潜んでるかのように…………考えても仕方ないから、学校には行くけどね………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………え、」

 

 

 

着いたその先の光景は、

 

 

 

 

 

「ねぇ、どうしたの?起きてよ……ねぇ!!」

 

 

いくら呼びかけようとも、その返事が来ることは無かった。

 

 

 

 

「…………………………」

 

 

 

無惨にも殺された生徒、抵抗も虚しくやられてしまった教員たち、石田さんに葵さん、菜那子さんと琴里さんまでもが赤い鮮血を垂れ流して死んでいた。でも、どれもこれも、事故死では無く誰かに傷つけられたような跡が残っている。そして、ボクの前に…………あの女が立っていた。間違いなくアイツがみんなを殺したんだ。

 

 

 

「ほら、邪魔な奴らは片付けたわ…早く戻ってきなさい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダメだ……もう、何も聞こえない…………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう……………………耐えられない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウウウウウウゥウウウオオオオオオオオォア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッッッッッ!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

激しい悲しみと憎しみ、怒りが限界を超えた彼は、日本人形のような和装の姿では無く、赤と黒の交互に別れた正しくピエロみたいな……いや、ピエロにも見えるし、胸に禍々しい紫に輝くカラータイマーをもち、いつものような優しい瞳はなく、憎悪に満ちた目をした赤と黒の戦士の姿に変わった。左眼は黒く、右眼は赤い瞳を持ち、どちらにも八の字に溝が掘られている。黄色い髪も今や青白く、穏やかな笑顔は消え、完全に無表情だった。まるで、誰かの操り人形のように…………そこからは一瞬だった。

 

 

 

 

 

 

 

あの女の姿は消え、残ったのは黒い左頬から黒い涙、赤い右頬から赤い涙が流れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

満(?)

 

 

 

 

 

 

『フフフッ……………………ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハア゙ア゙ア゙ア゙ッ!!!!!』

 

 

 

いつの間にか、()()()()()()()()()()()()()()を人知れず浮かべて、悪に囚われたココロ(ウルトラマンベリアルの闇)が…………蘇らせてはならない存在を………………人類は、呼び起こしてしまったのだ______。

 

 

 

 

 

 

 




ねえ、ヒロイン誰が良い?教えてちょうだい。あとね、高評価押してってね!!約束だよ。
特撮ヒーローが大好きなら尚更!!
……後投票するにしても、どのキャラを希望するのか具体的に書いてね…分かんないから。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

49,『影を継ぐもの』(満ver.)

 

「…………………。」

 

 

家に帰っても、姉とは一言も話すことなく自室に閉じこもった。正気じゃなかったとはいえ、あんなことをしてしまっては、彼女達に合わせる顔がない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Morfonicaのみんなはボクのことを案じて声をかけたりメッセージを送ってくれてるが、それらを一切無視。ボクがみんなと関わることで、みんなが傷ついてく姿を見たくないから………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

「……………………。」

 

 

恐らく、海音くんには気づかれてると思う。悪魔に反応するらしいから、でも、悪魔を憎む海音くんでも、ボクを斬ろうとはしない。

 

 

 

 

 

 

きっと、思い出や仲間としての絆がそれを邪魔しているのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

香凛

 

「最近、満元気無いね…」

 

 

弥助

 

「ああいったことが立て続けに起きちまったらな……満の通ってる人間が全員殺されたんだろ?」

 

 

 

「それだけならいいけど、満はあの女の人を殺したと言う事実が残ってる以上、満が殺したということになってるわ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女達もまたそれで悩んでいたが、海音くんだけは違った。

 

 

 

 

 

海音

 

「そんな事があってはならない…事実無根の罪を着せるような奴に、他者を責める資格などない。」

 

 

……これは読んでるみんながそう思ってることだろう。なんの根拠もなしに人を悪に仕立て上げる。自分が正義の味方だと信じてるから。だが、そういう奴ほど醜いものは無い。そういう奴こそ真の偽善者であり、自分は関係ない、我関せずなやつこそが真の悪だ。

 

 

 

 

 

 

 

つまり、何が言いたいのかというと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【人間ほど恐ろしく残虐なことをする奴はいない】。

 

 

 

 

 

経験者ぶってるって思うかもしれないが、実際にそうだ。人間ほど悪魔に相応しい言葉は無いだろう。キミたち人類が独裁者なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、こうしてみんなが殺された以上、転校する他ない。輝くんがいる月の森か、香凛と弥助くんのいる羽丘か……楪とカイトくんがいる花咲川にしようか………………

 

 

 

転校する学生ってこんな気分なのかな。すごく悩む……また同じようにならないかな…………それが怖かった。あの女の気配はもう感じないけど……

 

 

 

 

 

「____っ!!」

 

 

 

突如して謎の感覚に襲われた……頭に響く痛みは無くなったが、怪獣の気配などではない………………人間だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は急いで彼女たちを連れてある場所へと赴いた。嫌な予感がするから……とてつもない悲劇を起こしかねない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

駆けつけた頃にはもう、遅すぎた。

 

 

 

 

 

 

『見ろ、この私の神々しい姿を、私のこの力で人類を導いてみせよう!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

闇に囚われた巨人に対し、ボクは……

 

 

 

 

「……神々しい姿…………か…………

 

 

 

………………皮肉なものだよ…………

 

 

 

雅紀くん…………」

 

 

 

 

 

と言葉通り、皮肉混じりに言い放った。ほんとに神々しい力を得たのなら、その巨人の力をも制御してるはずなんだよ…………けど、彼の場合はあの慢心さが故にその巨人の光を闇に落としていったんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

すると、地底から新たな怪獣が現れて、街のみんなは大混乱、GATSのみんなも砲撃体制に入ってるが、ボクは攻撃に待ったをかけた。

 

 

狛犬怪獣の目的を分かったから…………

 

 

 

 

 

 

 

逃げ惑う人々や街の建物には一切目もくれず、闇の巨人にまっしぐら。そして、手を差し出し攻撃を辞めるように呼びかけているような声を上げ、立ちはだかっていた。これを見たみんなは、

 

 

 

 

 

 

 

 

(…………あの怪獣…………泣いてる。)

 

 

 

そう、巨人だけならまだしも、今は雅紀と言う男の力が邪魔をしてるため、呼び声も一切届くことは無い。ただ一方的に攻撃を受けてるその様はもう痛々しくて見てられないくらいだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこに本物のウルトラマンティガが駆けつけてくれた。これでもう大丈夫……でも、安心したのはほんの一瞬だった。

 

 

闇のティガはガーディーを攻撃して完全に息の根をとめた。

街の人達はとても辛そうにしていた……しかし、それは彼も同じだった。

 

 

 

 

 

 

 

ンンンンンンン………!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

フッフッフッフ………

 

 

 

 

 

 

 

 

フンウウウウウウウウウウ……!!フゥアッ!!!!

 

 

 

ヒーローともあろうティガが、拳を震わせ激しい怒りをみせている。

 

 

 

 

 

ウォオオォオオアッ!!ヴゥエアッ!!!!

 

 

 

 

 

チャァッ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

今、宇宙人が模した偽物では無く、正真正銘…光と闇の巨人が対峙した。

 

 

 

 

 

両者の攻撃は激しく、みんなが飛ばされそうな勢いだった。あこちゃんにチュチュちゃんに至っては柱に掴まってないと飛んでしまいそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

「こ、コレが巨人の戦い…ですか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

「……No……コレは、私達人のHeartが引き起こした闘いよ。」

 

 

 

 

 

これ程心に響くものは無いだろう……巨人の力は強大すぎる。人によっては光にも……闇にもなる……ウルトラマンは……決して万能なんかじゃないってことだ。

 

 

 

 

 

互いのカラータイマーが鳴り出し、イーヴィルキックとブローイングチョップが炸裂、両者着地したまま微動だにせず……カラータイマーの鳴り響く音だけが、周りの緊張と静寂を満たしていく。

 

 

 

 

 

 

 

ココでティガが膝をついて、奴は嘲笑いながら振り向くが、向こうの方が効いていたらしく、完全に倒れ伏して何とか起こし必殺光線を放とうにも体制が崩れ失敗。ティガは力を振り絞り立ち上がった後、腕を広げた即座にカラータイマーに添えてL字に組んだゼペリオン光線を放ち、命中した闇のティガは光の粒子と共に空へと消え去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

人類の心が全てを大きく変える……それは、心ひとつで全てを可能にしてしまう。そんな闇が引き起こした悲劇だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

「待ちなさい………ミツル…一体…アナタは何なの…?」

 

 

 

 

 

 

呼び止められた彼女にふとそんなことを聞かれた時には、らしくないが焦ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

「……ボクはただの彼との友達ですよ。それ以上もそれ以下もありません。」

 

 

 

 

 

 

 

毅然とした態度にチュチュも困惑してしまう。明らかにチュチュやパレオと同じように、小学生とは思わせないほどに…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 




あ、驚いたかな?レイヤさんみたいに大人びてる満くんだけど、実はチュチュやパレオよりも年下です。はい、つまりバンドリ界隈でも、最年少な訳です。明らかにおかしいところはありましたからわかるかと思ったんですけど……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

50,絆と恋を実らせたいのに、彼は普段通り。

 

 

 

光と影の闘いから少しして、みんなから花見しようって誘われたが、それらを尽く断った。つまらなそうにしてたが、ボクらはこれでいいんだ。怪物が人間と親しみを持ってはいけない。怪物は怪物らしく抹殺されるべき存在なのだろう……そう、これは仕方の無いことだ。でも、海音くん達と花見する分には………良いよね?

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

「満……行くぞ、桜を見に………綺麗だから…お前にも堪能してもらいたいんだ。」

 

 

 

 

と来ることを前提として海音くんが声をかけてくれた。まあ、行くから………良いけど………ボクの悪魔を呼び起こしそうで怖い。弥助くんは気にすんなって言うけど、やっぱり……震えは止まらない。周囲から刺さる怪奇の視線……怖くて動けない……

 

 

 

 

海音

 

「奴らの言い分など、聞く必要は無い。満はお前自身の答えを探せ……」

 

 

 

 

 

 

「…え、あ……ちょっ……」

 

 

そう言って、ボクは海音くんに手を引かれて公園に連れてかれた。それを見た三人は、

 

 

 

 

 

(何だかんだ言って……結局は満の事、一番心配してんじゃん。まあ、友達だから…当然か……)

 

 

 

 

 

そう肌に感じながら2人の後を追う……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弥助

 

「かぁー!!!やっぱり桜の花びらを見ながらの飯はうめぇ!!!」

 

 

 

 

 

 

皆さんは桜を見る時、満開の桜の木を想像しますが、ホントの通は七部咲きの方がより綺麗に映るらしいです。なんでも、満開はすぐに散ってしまうので、撮るなら直前を狙うのがいいのです。覚えておきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんか焦げ臭いと思ってたら、

火の不始末で桜の木に引火し建物にまで延焼。海音で何とかなるやろって思ってるかもだが、海音くんは悪魔の力を手にしてるだけで、空間移動はできても、そういった自然の力にはどうやっても逆らえない……なので、必然的に…………ボクが行くことになる。

 

 

 

ボクは分身と完全同化を同時に行い、不思議と奇跡と超自然の力を駆使し、一瞬にして沈めた。尚、目撃者たちの記憶にも干渉し、消防隊員が鎮火させたことに書き換えた。

しかし、撮影されていたこともあり、あっという間に拡散されていき、SNS上で出回ってしまった。そこで疑われることを避けるため、ティガの仮面ではなく、ふたつの仮面をそれぞれ被ることにした。一つは、後に彼がひとつになる『ウルトラマンダイナ』と、もうひとつは……悪魔と呼ぶにふさわしい『ウルトラマンベリアル』……。

 

 

 

 

 

場所は変わって……………

 

 

 

 

 

 

 

香澄

 

「はぁ、満くん……来なかったね〜。」

 

 

有咲

 

「しょうがねぇだろ、女子だけで話したいこともあるってんだから……」

 

 

 

 

リサ

 

「でも、やっぱり……なんか物足りないよね……」

 

 

 

 

特に紗夜は誰が見てもわかるくらい沈んでいた。Roseliaのことはもちろん、ほかのみんなが嫌いな訳では無いが、やはり好きな彼が居ないとなると……余計に長く感じてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何だかんだで結局は、みんな楽しんでました。ひとしきり楽しんだ後、みんなはそれぞれ家に帰ろうとした時だった。

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

「…あ、」

 

 

 

あこ

 

「紗夜さんにりんりん。どうかしたんですか?」

 

 

 

 

燐子

 

「う、うん!大丈夫だよあこちゃん。」

 

日菜

 

「三人とも、そんなに驚いてどうしたの?」

 

 

麻弥

 

「ええ!?そ、そんなことないですよ!もう、からかわないでくださいよー。」

 

 

 

「そうだよ!日菜ちゃん変なこと言わないで!!」

 

イヴ

 

「……………。」(ガン見)

 

 

 

 

モカ

 

「三人ともどうしたの?何かあった?」

 

 

 

「なんか、スゲェ顔してるけど……」

 

 

 

 

『な、何でもない!!!』カァァァァッ ////

 

 

 

 

 

りみ

 

「沙綾ちゃん!!美咲ちゃん!!!」

 

 

『うぇえ!?』

 

 

はぐみ

 

「薫くん!!かのちゃん先輩!!」

 

 

『!!!!』プシュー

 

 

七海

 

「三人とも〜、何俯いてんの〜?」

 

 

瑠衣

 

「広町さん、あまりそういうことを詮索するものじゃないわ。」

 

 

 

『だ、大丈夫だから!!!』ミミマッカ

 

 

 

 

 

レイヤ

 

「………ロック?」

 

 

六花

 

「ええ!?な、何でもないです!!大丈夫です!!」

 

 

 

皆んなが反応した理由は、コレだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「でさー、そしたら兄貴の奴いきなりぶっ刺しやがったんだぜ!!ひでぇよな、兄弟に対してよー。」

 

 

 

 

 

「あ、あはは……海音くんらしいね……」

 

 

 

 

 

 

 

「そうだ!満、お前も来いよ!修学旅行によ!!」

 

 

 

 

「………え、修学旅行…それはまた急ですね。輝夜さんもいけって言うだろうし、行きますけど……」

 

 

 

 

「うしっ!!オレ今井と氷川と一緒だから!よろしくな!!!」

 

 

 

そう言って、輝は軽々と塀の向こうへと飛び越えた。無論、海音や輝は魔人の力を宿してるので当然可能だ。彼も例外ではない。

 

 

 

 

 

因みに、満が行くと言ってから、彼女達はずっと上機嫌だった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

51,例え、進む途中道は違っても...

そんなこんなで、修学旅行の日になり、指定された場所に行くと、既にガールズバンドのみんなが乗り込んでおり、後は僕がバスに搭乗するだけだ。あとはティガの仮面をつけて準備万端だ。

 

座席は…………………………

 

 

 

 

 

ひまり

 

「あ、おーい、こっちこっち!!」

 

 

よりにもよって上原先輩。この人、すごく苦手なんですよね……なんか、、関わりにくい……

 

 

座席に座るが、ものすごい緊張する……

 

 

表情こそ変わらないものの、心の内はそんなことを思っていた。

 

 

 

 

 

 

(ひまり……いくら好きだからって……くっつきすぎ……)

 

 

 

つぐみ

 

(うう、満くんってひまりちゃんみたいな子がいいのかな…)

 

 

 

 

二人は上原先輩を羨ましそうに見てたことに、彼は瞬時に気づいた。

 

というより、みんなから好意を向けられてることには……彼は既に気づいてはいる。しかし、手は出さない。焦らしだと見られがちだが、互いにそんな趣味はもちあわせてはいない。ただ、彼の生い立ちが壮絶なものだったから、他人への不信感と復讐心が海音よりも強い。周りを不幸にしてしまう、自分への戒め。そして、自身の夢と願いを叶えるためなら如何なる犠牲も厭わないただのクズだ。

 

 

 

 

 

 

 

ひまり

 

「ねぇってば!!」

 

 

 

 

 

「…え?ど、どうかしました?」

 

 

 

「それはこっちのセリフだ、ひまりが呼んでんのに返事が無いからさ…なんか悩み事か?」

 

 

 

 

「平気です。ボクは悩むことなんてないですから……。」

 

と、無理矢理話に区切りをつけた。みんなは納得してはないが、

 

 

 

 

 

 

 

 

千聖

 

(やはり、あの子……以前のわたしと同じように、素性を隠して生きてる。でも、その瞳の奥を誰も知らない。素顔を誰にも見せてないもの、なにかあるに違いない。)

 

 

 

 

 

 

 

と遠巻きから見てた彼女だが、それにいち早く察知した彼は彼女と同化し、満の秘密の記憶を書き換えた。

 

 

 

 

 

 

『間もなく各バンドの皆さんと、カラオケ大会を開催します。』

 

 

というアナウンスが流れた。Roseliaの宇田川先輩の提案で、それにみんなが便乗しボクらも強制参加となった………………帰りたい。

 

 

 

 

それぞれ自分のアピールをするかのごとく自分たちの曲を歌う。

 

 

 

続いては、海音くんとボクの番だ。みんな待ってましたと言わんばかりに期待の眼差しを向けている。そこまでいい声してないんだけどな……

 

 

 

海音

 

「……行くぞ。」

 

 

 

 

「う……うん。」

 

ここまで来てはもう戻れない。声をかけられた彼と一緒に、ステージ上へと立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

「聴いてくれ……オレの…………オレたちの…………

 

……『はじまりの歌』を……。」

 

 

 

 

 

 

_____________________

 

 

初めは静かなピアノから、ギターへのバトンタッチ……そうコレは二人の意志の違いを受け入れた歌。

 

 

 

 

海音

 

『間違いじゃない 君が信じたこと

 

僕らはずっと 同じものを 探してたのさ』

 

 

 

 

 

 

『なのに別の軌道の 惑星みたいだね

 

 

 

ふたり 引き裂かれて』

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

『この空と 命が溢れる大地

 

 

分け合いたいよ』

 

 

 

 

 

 

満(海音)

 

 

『だからBeat on!! いつか二人が

 

 

Beat on!! ひとつになる日 星は輝く

 

 

 

 

 

 

 

 

いつもDream on!! 悲しみのわけ

 

 

 

 

Dream on!! 闘いの意味

 

 

 

 

 

君とみつけよう!』

 

 

 

 

 

 

凄い、やっぱり海音さんと満さんが最強のコンビなのがわかる。力強い海音と優しさと勇気溢れる声の満……その二人のおかげで、たくさんの大会を勝ち抜いたんだって今わかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『間違いじゃない 君が選んだこと

 

 

だから後悔などしないで 諦めないで

 

 

 

 

同じ夢見てたのに まわり道ばかりで

 

 

 

ふたりすれ違った』

 

 

 

海音

 

『この空で一番 美しい星を

 

 

 

守るためだね』

 

 

 

 

 

 

 

海音(満)

 

 

『だからBeat on!! 君がいたから

 

Beat on!! 強くなれたと やっとわかった

 

 

 

 

 

いつもDream on!! 孤独の今日を

 

 

Dream on!! 走り抜けたら

 

 

キミに会いたい』

 

 

 

 

 

 

この時点でほとんどの生徒達が二人に惚れ込んだ。(一人はちゆという婚約者付き)いや、最初からかもしれない。何はともあれ、彼等がガールズバンドの先駆けともなったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

『この空と 命が溢れる大地

 

 

 

分け合いたいよ』

 

 

 

 

 

 

 

満(海音)

 

 

 

 

『だからBeat on!! いつか二人が

 

 

 

 

Beat on!! ひとつになる日 星は輝く

 

 

 

 

 

いつもDream on!! 悲しみのわけ

 

 

 

 

Dream on!! 闘いの意味

 

 

 

 

 

キミとみつけよう!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コレは二人の…………海音の『人としてのあるべき事』、満の『自分が目指したものは何か』。

 

 

 

 

 

考える方向性や想いは違えど、二人してこの地球をこよなく愛する彼らだからこそ出来る歌なのだ。

 

 

 

 

 

 

歌い出しからみんなの視線は凄かったが、終わって席に着いたと同時にAfterglowのみんなの質問攻めがとんでもなかった。なんて言ったって、歌い出した瞬間から目が見開いてたもん、そこまで驚くことではないような気がする。

 

 

 

 

 

 

 

ひまり

 

「ねぇ、満くんってさ……海音くんって子とバンド組んでたの?」

 

 

 

 

「見てた限り、あれは明らかに初心者のソレじゃない。」

 

 

 

 

 

モカ

 

「…モカちゃん…感激ですよー。コレはあたし達も負けられないねぇ…蘭♪」

 

 

 

 

 

「ハイハイ、それにしても…ホントに上手だったんだね。あそこまで心の底が高鳴ってるの……初めて…」

 

 

 

 

 

 

 

「……まあ、海音君とは色々あったから……二人でやってたんです。それからみんなとやり始めて……今に至るんです………………羽沢先輩?」

 

 

つぐみ

 

「……ぇえ!?な、何かな!!」

 

 

(……焦ってる。)

 

 

あからさまに焦りを見せるつぐみに満は動揺を隠せない。それをほかのみんなは暖かく見守ってた。

 

 

 

 

 

(平和だねぇ……)

 

 

(つぐみちゃんにもついに春が……)

 

 

 

 

(この時点で平和なんてものじゃないですし、羽沢先輩は貴方たちのものじゃないです、羽沢先輩の人生は羽沢先輩が決めることです。)

 

 

 

 

 

 

よく分からん思考を持つ彼らに、満は心底疲弊していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんてことが続き、無事(?)に旅館へ到着。荷物を下ろし、説明を受けるまでは良かった…………さあ、何が問題なのでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………。」

 

 

麻弥

 

「……………………。」///

 

 

花音

 

「……………………。」////

 

 

 

 

なぜ女子生徒と同じ割り当てになってんだよ、このバカタレ。

 

 

そう、部屋割りが内気な少女二人組と相部屋になってるんです。海音くんもおなじ?そうですか……本来別のはずなのですが……いや、今わかった…………企画者の先生の思考を覗いたところ、異性の交流も重要だということだ。まあ、そこについては否定はしない……しないんだけど………………コレはどうよ。明らかに違和感満載なんですけど、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず、彼女たちを風呂へ向かわせますか。

 

 

 

 

麻弥

 

「すみません……それじゃあ……お先にいただきます。」

 

 

花音

 

「ありがとう、行ってくるね。」

 

彼と会ってから二人は緊張が解け笑顔を見せることが多くなった。

 

それを見て、男子生徒は面白くないのか、ボクを嵌めようとしているらしい。まあ、ボク自身……信用されてないだろうから、嵌められようと関係ないけどね……でも、誰かの願いを叶えるのも、ボクの役目なんだよね……

 

 

仕方ない…………気乗りしないけど…………ボクも心を決めるかな……徹底した悪でいられるように………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 




使用曲
『Beat on Dream on』
作詞:小室 みつ子殿
作曲:井上 大輔殿


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

52,守りたいものがあったはずなのに...。

「なあ、アイツを巻き込んでいいのか?怒らせたらやばいんじゃね?」

 

 

「大丈夫に決まってんだろ、アイツ馬鹿だしオレたちには絶対に殺さねぇ!」

 

「流石兄貴!アイツが女子達に軽蔑される未来が見えるぜ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………。」

 

 

彼らの会話を遠巻きに見ていた彼は、ひたすらに落ち込んだ。ボクはそんなふうに見られてるのかと思うと、切なくなった。けど、ボクはこんな奴らでも願いは叶えなくてはならないのだ。こうしている限り、ボクは屑のままだ。仕方なしに、ボクはわざわざ暖簾を掛け変えたことを指摘せずに罠にハマってあげた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「きゃあああああああああああっ!!」

 

 

 

 

女子達の悲鳴に先生達は駆けつける程に騒ぎは大きくなっていった。そこには、女湯(本当は男湯です。)に満(?)が気持ちよさそうに寝ていた。

 

 

 

 

「何気持ちよさそうに寝てんだよ、やっぱり男子ってクズだよ。」

 

 

 

 

 

 

先生たちが満を起こそうと揺さぶるも返事が無い。むしろ、顔がない。そう、今彼女達の目に映ってる満は彼自身の力で生み出したクローン。つまり幻影、その幻影も今や彼女達の前から消えていた。

 

 

 

 

 

一方、本物の満はと言うと……

 

 

 

 

 

 

 

「お、遅せぇよ満!もう出るところだってのに!」

 

 

 

 

海音

 

「……何やら、向こうが騒がしいが……まさか……」

 

 

 

 

 

「うん、やはり……長くはいれないんだよ……ボクなんかが幸せを知るのは間違いなんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人は既に気づいていた。私利私欲の為に彼を利用し、自分が頂点にのし上がることを…………そして、それを知ってもなお叶えた親友の瞳は……………………光を失い、禍々しさや狂気に満ちたベリアルの仮面を付けていたことに………………もう、この時点から……彼の人としての…………ココロは……………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………死んでしまったのかもしれない……

 

 

何やら女湯の方が騒がしいと思ったら、自分たちが信頼に置いていた満が覗き行為をしたことで話題は持ち切りになっている。

 

 

 

 

 

もちろん、悲しいというのもある……それよりも、ホントにあんな脳天気な奴がそんな器用で面倒なことをやるだろうか。

 

 

 

 

 

「あ、おい満!!」

 

 

女子生徒の怒りの声を放った方向には、満が男湯から出てきたのだ。しかし、彼は怒りの声も無視。俯いたまま何も言わずに、振り返ることなく自分の部屋に戻ろうとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「無視すんな、このクズ変態!!!」

 

そう言われ、腕を掴まれたので仕方なく振り向く。女子達は彼をゴミでも見る目で見ていたが、それはこっちも同じで……満自身も周りの人間を見下げた失望の眼差しを向けていた。

 

サッサとお面取れとしつこいため、外すことにしたが、それが公開だということを知らずに……………………

 

 

 

 

 

「ひっ…!!」

 

 

 

 

 

 

 

さっきまで怒ってた女子生徒も素顔を見た途端に、完全に怯えきっていた。

そう、覗きされた彼女達以上に、彼は負の感情で渦を巻いていた。それはもう全てを壊さんとばかりに……その様子は宛ら悪魔だ。漫画で例えると、その場面だけ全カットされる位に、見せてはならない表情をしていた。

 

 

 

集団主義も度が過ぎれば、このように怒りを招くこともあるので、皆さんは決してそんな馬鹿なことをしないように…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご、ごめん…………なしゃい…………」

 

 

 

 

 

 

満(?)

 

 

「……………………………………。」

 

 

 

涙目で謝る彼女を彼は気にすることなく、掴まれた腕を振りほどきスタスタと行ってしまった。周りは彼のあまりの変貌に驚きを隠せず震えていた。

 

 

 

 

六花

 

(な、何なん?今の…………海音さんも同じようなのはあったけど……それ以上に…………怖い……)

 

 

影で無実を証明してくれてる二人には悪いけど…………ボクにとっては今更なんだよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

だって先生は誰一人として信じないもん。まあ、そんなんだから生徒が他人への不信感を募らせて不登校とかになるんだけどね。

 

問題は直ぐに解決させた。何をしたか?………消した。

 

 

 

 

ボクを悪に仕立て上げるやつは要らない。

 

 

 

 

 

 

「おい満、てめぇついにやりやがったな?覗きやがったな!!」

 

 

「どんなだ!どんな感じだった!!!」

 

 

 

ああ、もう……コイツらの相手なんてしてられない。それに、言っておくけど………………ボクはキミたちのその策略にわざわざハマってあげたんだ。寧ろ感謝するべき立場なんだよ。

 

 

 

 

「て言うか女の裸を除くとか最低だな!!死ねや!!地獄にいけ!!」

 

 

 

なんて喚き散らす男子生徒。

 

 

 

くどい様だけど、ボクはあくまでもこの世の人間じゃない……と言うか人間ですら無い。死ねるなら最初から死んでるさ……でも、死ねないからこうして今があるんだよクソ野郎……何度も言うようだけど…………『今も地獄』だよ。そこだけは勘違いされては困る。

 

 

未知なるものに恐怖し、それにより生まれる差別……

ボクはその人間の集団主義が……最も嫌いだ。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

53,呼び寄せる絶望の権化

満が女湯(ホントは男湯です。)に侵入し覗き行為を行なったということで、周りからは大バッシングを受けたが、闇と悪に囚われた彼にはそんな声も一切届かず、怒りの要求に仕方なしに……彼の…………『ベリアル』としての闇の姿をみんなの前に晒してしまう。


食堂に着いたけど、周りの生徒の様子がおかしい。みんなで食卓を囲んでること自体問題ではない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『満さんだけ』が、一人で静かに食事を進めている。誰も彼に近づこうとせずに………………確か、満さんの班は…………

 

 

 

紗夜

 

「満さん、隣……失礼します。大和さんと松原さんも一緒に。」

 

 

 

そうして、三人は隣に座った瞬間周りの視線が集まった。一体何があったのかしら……そして、気づけば……満さんは人知れずして姿を消していました。

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

「…………………………。」

 

 

その様子を鬼龍さんは遠巻きに見ていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

「あの、何かありましたか?」

 

 

花音

 

「あ、あのね…満くんが、覗いたって……」

 

 

 

 

 

………………………………え?

 

 

パスパレやAfterglowに私達のことを助けてくれた、あの満さんが…?見ず知らずの通りすがりの人までも必死になって助けた満さんが…………

 

 

 

 

 

紗夜

 

「何かの間違いでは?満さんがそんなことをするとは…」

 

 

麻弥

 

「はい、ジブンもそう思ったんですけど……現場にいたって皆さん口を揃えて言ってますし……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ、どう思ってる…この件は……」

 

 

 

海音

 

「……決まってる……アイツは紛れもなく被害者だ。奴らの犯行の瞬間も抑えてる。それなのに…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

「先生の奴らは全く信用してねぇな…………こうなったら……どうすんだよ。」

 

 

 

 

 

 

オレは、電話を在る人物にかけた。

 

 

 

 

 

 

『Hey!!海音!!遅いわよ、もっと早めに連絡よこしなさいよ!!』

 

 

 

そう叫ぶチュチュ。だが今は構ってられない……悪いな。

 

 

 

海音

 

『すまん、ちゆ……調べて欲しいことがある。』

 

 

『…………何やら深刻ね…………Okay……資料を渡しなさい。』

 

 

 

 

すぐさま通信を切り、チュチュへ決定的瞬間の映像を調べてもらい、実写であることを証明してもらう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、やはり学校側としても面倒事を背負いたくないために、彼に全てを押し付けようとしてるその様は……非常に滑稽だった。

 

 

 

 

「あのねぇ、もういい加減に認めなよ。キミが『覗きました』っていえば、それで済むんだからさ……もうこんなにも証拠は揃ってるし、勝ち目なんて無いよ?」

 

 

と断固として発言をしない満に、若干疲れを感じながら先生は言ってくる。

 

 

 

 

 

 

「勝ち目が無いなら…………その中から勝算を見つけるまでです。」

 

 

 

しばらく続く押し問答の中…………

 

 

 

 

「っつーよりも、サッサと認めてくんないか?先生だってこんなことはしたくないんだよ?」

 

 

 

 

 

その問いかけを最後に……ボクは、その場を去った。この人間の全ての疑念と記憶をかき消した上で…………

 

 

 

 

 

 

ボクは……結局……何がしたいんだろう……ボクは……

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、ふと目に入ったのが…………

 

 

 

 

 

『ゾイガー』の翼の一部だ。この時点から……とてつもなく嫌な予感がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【アイツ】が来る。

 

 

ボクはこの事を海音君に連絡し、やまと先輩達と隔離された屋根下で初日を終えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日はみんなでテーマパークで遊ぶのだから周りの男子生徒はもう大はしゃぎ、まあ、ボクは彼女達のそばに近寄れない。先生が見張ってるから。ボクとしてはその方が助かる。いつ悪魔が目覚めるか分からない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女達は残念そうにしながら楽しんでいた。でも幸せの時間は長くは続かず、ゾイガーが姿を現した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(こんな街の中にまで現れるなんて…。)

 

それは彼も同じようで、ウルトラマンティガへと姿を変えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

すぐさまスカイタイプへチェンジするも、それ以上のスピードで突き放していく。そこでボクは駆けつけたガッツウィングへ乗り込み一緒に飛び立った。そこからはエンジン全開でフルブースト状態。ふたつのスピードが合わさり漸く追いつくことに成功。撃墜し、ティガフリーザーで凍結&ランバルト光弾を放つ。

 

 

 

見事に爆散し、ティガも宇宙へ帰っていく。

みんなは安心していたがまだ終わりではなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如として、霧状の闇が迫り来る。触れた人間は勿論のこと、電子機械をも破壊する。

 

 

 

 

 

 

 

 

ココからが……ホントの絶望だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

逃げ惑う人類、倒したはずのゾイガーの群れの飛来、破壊され火の海と化す街、夕暮れの日も闇に覆われていく空……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フゥゥアアアアアアアアアアアンンッッッ!!!!

 

 

 

 

 

 

浮上した古代都市と共に…………完全な闇へ染め変えたとんでもない怪物が…………復活した。

 

 

 

 

隔離された空間でさらに自身の結界を張り巡らせ、闇の霧を力の限り侵入を防いだ。が、周りの人々からは希望の声など聞こえやしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それもそうだ……

 

今度の相手は……怪獣なんかでは無い。

怪獣を通り越した『邪神』だ。

 

勝てるかなんて誰も分からない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

運命の暗黒の支配者と光の巨人の最終決戦の火蓋が、

 

 

 

 

切って落とされた。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

54,正義は必ず勝利するもの

 

 

古代都市の浮上、暗黒に包まれた空、迫り来る闇の霧、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、大いなる闇 …………

 

 

 

 

邪神 『ガタノゾーア』

 

 

 

 

 

 

 

怪獣と勘違いされがちだが、コイツに関しては怪獣の一言で片付けてしまうのは最早失礼だ。ガタノゾーアは怪獣でありながら、超古代文明を滅亡させたホントの邪神。

 

 

 

 

 

 

ウルトラマンティガが登場したことで勝利を確信する人々……しかし、ただ一人…………満だけは笑顔を見せることは無かった。闇の霧を食い止めてるのもあるが、今の状態での彼では………………間違いなく勝てないことを……気づいたからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

彼の読みはあながち間違いではない。ティガの攻撃をもろともせず触手で追撃。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ティガ、

 

頑張れ!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

子供たちの声援を受け光を集約、深紅のパワータイプへとチェンジした。『デラシウム光流』と『ゼペリオン光線』を放つも全くといっていいほど手応えがない。カラータイマーも点滅を開始。

 

 

 

 

何度も殴りつけるけど少しもダメージにならず、邪神から吐き出された闇の霧に一方的に翻弄される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フゥゥアアアアアアアアアアアンンッッッ!!!!!!

 

 

 

 

動けなくなったところを、邪神から放つ光線を直撃、腹部を貫通。

 

 

 

 

 

 

 

必死にティガは立ち上がるも、石にされてしまう。

 

この時、周りの人はどんな反応だろうか。

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

「海音ーーーーーーーーーーーっ!!」

 

 

 

 

希望の一筋を失い、完全な絶望へ染まりゆく。この邪神に勝つ術はもう無いのだと悟った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その影響力もあってか、

 

 

 

 

 

「___ウ___ウグッ___!!」

 

 

心臓から走る激しい痛み。ティガという光を失い、彼の刀から展開する結界も範囲が狭なくなっていく。心臓の鼓動が強くなり、痛みに耐えられずに膝をつく。少しでもこの痛みを何とかしようと、彼自身の葛藤の末、香凛にある作戦を伝えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「香凛さん……雅紀…………慧悟を…………連れてきて。」

 

 

 

 

 

 

香凛

 

「ハアっ!?自分が何言ってるかわかってる!?アイツは大罪を犯してるんだよ!!」

 

 

 

「早くっ!!彼ほどの技術を持つ人間は……いないんだ。」

 

 

そう必死に頼んで、雅紀慧悟を救出作戦に臨時加入することになった。その彼も傲慢に満ちたものではなく、純粋に世界の破滅を止めたい一心だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『今更、悪の貴様が何をしようと、全て無駄だ。大人しく消えろ……悪魔め……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズバンドはどこ行ったって?

 

 

 

『……………………』

 

結界の中に連れ込んで、睡眠と同時にボクとの記憶を完全に抹消してる。この戦いが終わるまで、覚ますことは無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フゥゥアアアアアアアアアアアンンッッッ!!!!!!

 

 

 

 

ティガの救出作戦は邪神の妨害があり失敗に終わる。万事休す。

 

 

 

『貴様が生きてるからこうなるのだ。貴様のせいで周りの人間が傷つく、孤独の闇と共にくたばれ…………【ベリアル】。』

 

 

 

 

「___ッ!!

 

 

 

父_________さん。」

 

 

 

もう、ダメだ………………意識が………………闇に………………飲まれてく…………やはり、ボクが存在することは………………間違いなのか………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時だった。

 

 

 

 

 

 

周囲の子供たちが光の粒子となり、ティガのカラータイマーへ一直線。ボクも飲まれかかった闇を光のよって剥ぎ取られてく。

ボクにも………………血と罪で汚れたボクにも………………生きなくてはならない………………そうだよね…………『海音』くん。

 

 

 

 

 

 

 

そう決心してから、ボクの身体中に力が溢れ、結界も小規模なものから、地球を包み込むほどの大きさにまでなった。きっと……心の中に…………『諦めたくない』思いがあったんだろう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう、催眠をかける必要は無い…………ボクは……もう…………ボク自身を否定しない。例え、周りから悪魔だクズだと呼ばれようとも……ボクは…………命を懸けてでもみんなを……救うよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ティガは『グリッターティガ』という存在に進化し邪神を圧倒。完全に消滅したガタノゾーアと闇の軍勢。あれからもう夜を越してたのか。

 

 

 

 

 

 

 

ティガは人類を見つめながら光になって消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こころ

 

「終わったのね!」

 

 

 

 

「……はい、彼の闘いは……終わったんです。」

 

 

 

 

 

そこに、RASのみんなに囲まれる海音くんが目に映る。ボクはすかさず駆け寄る。

 

 

 

チュチュ

 

「満っ!!写真を撮って、私達のMemoryに刻み込みなさい!!」

 

 

 

 

 

 

 

そんなこと言われたら、断りようがないじゃないですか。言われた通り満はカメラを構え輝かしい笑顔を見せ……

 

 

 

 

 

 

「はい、チーズ!!!」

 

 

 

 

海音君は人間として生きることを決めたそうですが、まだ終わったわけじゃないです。なぜなら、コレからはボクが……海音君に代わって守らねばならないのです。

 

 

 

 

 

こうして、RASと海音君と『ティガ』の思い出が……彼女達の歴史に刻まれました…………




……高評価、感想……書いてください。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

《目の前で死んでみた!》シリーズ(満‪√‬)
55,満「彼女達の前で死んでみたドッキリ?」弥助「そうだ。」


はい、もう、自分の中で勝手に死んでみたドッキリやります。やってほしいキャラがいたら評価ついでに言ってください。


沙綾

 

「ゴメン!!待った?」

 

 

 

 

「いえ、大丈夫です。それじゃあ、行きましょう。」

 

 

 

 

 

そう言い歩き出そうとした時に山吹先輩に手を握られる。

 

 

 

沙綾

 

 

「その……キミが良かったら……手…繋いでいい?」

 

 

なんだろう、こういう先輩はなかなか見ないから少し新鮮味を感じる。けどコレはドッキリだ。ときめいてはならない。任務は確実にこなす。まあ、先輩の厚意はちゃんと返すように言われてきたから手は繋いでおこう。

 

 

沙綾

 

「ッ!!」

 

 

 

 

 

「え、あ、いや……ごめんなさい。」

 

満は恐怖から自然と手を退けてしまう。それと同時に山吹先輩も寂しそうな表情を浮かべていた。

 

 

 

 

そう、彼は山吹先輩にドッキリを仕掛けやすくするために全力で演技をしてる。なので、誰にもバレることはない。白鷺千聖にはバレるだろって?そんなことは無い。なんてったって、彼は…………『ニャルラトホテプ』の特性を受け継いでるから、誰にも気づかれることは無い。

 

 

 

 

 

山吹先輩の両親にはもう伝えてるので二人も仕掛け人だ。その為に遅効性の毒薬をパンに染み込ませて僕がそれを食べるという、典型的なドッキリだ。勿論、詫びとしてヘアゴムを三つ用意してある。

 

 

 

 

 

 

 

さあ、

 

 

 

 

 

実験開始だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

沙綾

 

「ねぇ、あそこに売ってあるアルバム!!私達のイメージデザインになってる!!」

 

 

 

「……そうですね。とても個性溢れて素晴らしいですよ。」

 

 

とは言うものの、あまりに眺めてるものだから、ボクはこうすることにした。

 

 

 

 

「買っておきますね。」

 

 

沙綾

 

「ええ!いいよ、さすがにそこまでさせる訳には!」

 

 

きっと先輩からは貧乏に見えてるんでしょうね。

まぁ、良いです。

 

 

 

「平気です。それに…………こういう時くらい……いい格好……させてください。」

 

 

 

 

そういうと、彼女は押し黙ってしまった。彼女はほんとにこういう押しにめっぽう弱い。後輩にこんなことをさせてしまったことへの罪悪感でしょうが気にしてはだめだよ。

 

 

沙綾

 

「……ありがとう。」

 

ちょっとだけ顔を赤くして俯いてた。

 

 

次だ。山吹先輩の提案で山吹ベーカリーに立ち寄ることに。ココが本題だ。事前に連絡しておき、毒薬を注入してもらい、それを僕が毒味するという、初っ端から本格的なものです。次なる行動開始。

 

 

 

 

 

沙綾

 

「その、さ……良かったら…うちのパン……食べてってよ。」

 

そう言って、一つのパンを手渡す。勿論、このパンには毒が盛られてる。そのことを悟られないように、一口で放り込む。

 

 

「……美味しい…です。」

 

と答えると心做しか喜んでるようにも見える。そんな人をこれから絶望に叩き落とすのだ。正直いって気が引ける。でも、やると決めた以上は、やる他はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウッ!!!ゴフッ!」ビチャッ

 

 

 

 

 

 

 

ドサッ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

沙綾

 

「何度もごめんね!!ちょっと支度が……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

沙綾

 

 

 

「___________え?」

 

 

 

 

 

 

 

改めて身支度を済ませるために外で待っててもらってた。それが終わってまたあの子に「綺麗」って言って欲しかった。

 

 

 

 

 

でも、その彼は血を吹き出して倒れてた。首筋を触れるも冷たい。

 

 

 

どうして…?

 

 

 

 

どうしてなの?

 

 

 

 

ドウシテカレガ……

 

 

 

 

 

 

 

心当たりがあるのは…………私の作った……パン……

 

 

そんな時、沙綾の父親(仕掛け人)が現れ、

 

 

「沙綾……実は……あのパンに、毒が仕込まれてたみたいだ。」

 

 

 

 

 

 

 

…………………………毒?

 

 

それを知らずに彼に食べさせて……………………

 

 

 

 

 

ワタシがカレを……殺した?

 

 

 

 

 

そう自覚した瞬間、私の何かが壊れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

沙綾

 

「あああああああああああああああぁぁぁ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

沙綾

 

「ごめんね。ごめんね…………ごめんなさい……」

 

 

ポロポロ涙が溢れだす。まあ、無理も無いかな。

 

 

 

 

 

沙綾

 

「ごめんね……今…私もそっちに行くね。」

 

 

さて、彼女の情緒が不安定になったところで、ネタばらしと行きましょうか。

 

 

 

 

 

 

 

弥助

 

「沙綾、早まるなよ。」

 

 

沙綾

 

「……離して、そっちに満くんがいるの。」

 

 

弥助

 

「ならこいつを見てもらおうか。」スッ

 

 

 

 

 

 

『ドッキリ

 

 

大・成・功!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

沙綾

 

 

「……………………………………?」

 

 

 

 

 

 

 

弥助

 

「分かんなかったか……」スッ

 

 

 

『ドッキリ

 

大・成・功!!!』

 

 

 

 

 

 

沙綾

 

 

「……いや、それは分かったんだけど…さ……」

 

 

 

 

弥助

 

「おーい、満〜。起きろー。」ペシペシ

 

 

 

 

「…………ん、」ムクッ

 

 

 

 

 

 

 

 

その様子を見た沙綾はホントに驚いた顔をしてた。それもそうだ。死んでた彼が何事も無かったように普通に起き上がったから。

 

 

 

 

 

 

 

 

「山吹先輩……ごめんなさい…ボクは……!」

 

 

言葉が止まった。沙綾が満の言葉を遮ってまで一直線に抱きついてたから。彼女の方が高いので、必然的に彼の顔は胸に埋もれてしまう。

 

 

 

 

沙綾

 

「…バカっ!ほんとに……死んじゃったのかと……思った!!」

 

 

 

 

 

 

「……………………。」

 

 

 

沙綾

 

「もう、こんなこと…………しないでよ……。」

 

 

 

 

そう弱々しく問うてくる彼女に満は……

 

 

 

 

 

 

 

「…………分かりました……(貴方には)もうしません。」

 

 

 

 

 

 

と、答えた。

 

 

 

 

 

沙綾

 

「………ありがと。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、これ…………お詫びに……これ…………あげます。」

 

 

 

 

そう言い、五色のヘアゴムを渡した。ポピパのみんなのイメージカラーで統一されてる。

 

 

 

 

 

 

沙綾

 

 

「……………………っ!!!!」

 

 

 

 

さらに強く抱きしめられ、弥助はこの結果をレポートに残し去っていった。

 

 

 

 

 

 

弥助

 

(次は……Afterglowのアイツらか……満…

 

 

強く生きろよ。)

 

 

 

 

 

 

 

それからしばらくして、

 

 

 

 

沙綾

 

「ねえ、今日も一緒に帰ろ。」

 

 

 

沙綾

 

「もう!ちゃんと食べなきゃダメだよ!ほら、私のお弁当分けてあげるから!」

 

 

沙綾

 

「今日という今日は、ポピパのライブ…見てもらうからね!」

 

 

 

 

それからというもの、山吹先輩の積極的なアプローチに、

 

 

 

 

 

紗夜

 

「山吹さん満さん、最近二人でいることが多いですね……」

 

 

誰が見てもわかるくらい不機嫌な紗夜先輩と、

 

 

 

 

「_________なんで、こうなったんだろ……。」

 

 

 

と戸惑いを隠せない彼だった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

56,弥助『二人一気に行くぜ!』満『またですか…』

このシリーズはSS形式でやります。文句は受け付けません。悪しからず。


 

 

 

 

 

 

「またですか。」

 

 

 

弥助

 

「ああ、今度は蘭とひまりで行くぞ!準備だァ!!」

 

 

前回のことでえらく上機嫌な弥助くん。罪を犯しすぎて上層部の人間の怒りを買ったボクにも優しくしてくれる。具体的に何をしたのかと言うと、触れてはならない『プラズマスパーク』に触れて力を手に入れようとしたり、抹殺対象である怪獣や敵意の無い怪物を逃がしてあげたりと、あげればキリがない。

 

 

 

 

 

 

 

しかし今度は二人一気にやるので、少々不安な所がある。今更だが、満はきっちり白黒付ける性格の人間(一応)だ。

 

 

 

弥助

 

「んじゃ、アイツらにはもう連絡したから、楽しんでけよ〜。」

 

 

 

 

 

「え、あ、ちょっと!!」

 

 

返事を待たずに彼はどこかに行ってしまった。そして一人取り残された満。

 

 

さて、どうやって騙そうか悩んだ結果…………あることを思いつき、早速行動に移すことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひまり

 

「だーれだ!!」モギュッ

 

 

 

 

 

 

 

 

「その声は…………上原先輩…?」

 

 

 

 

ひまり

 

「あったり〜!もー!!いい加減先輩呼びやめてよね!!」

 

 

笑顔になったり、ふくれっ面したり、ほんとにこの人は……豊かな人です。

 

 

 

 

 

「……………………。」ゲシッ

 

 

 

 

「痛い痛い!!何するんですか!!」

 

 

 

 

「…………うるさい……」ムスッ

 

 

 

 

 

 

「えぇ……(困惑)」

 

 

ひまりを暖かく見守ってたら、それに妬いた蘭が彼の足を思い切り踏んだ。因みに彼は草履を履いてて尚且つ、彼女達は普通の人間なので彼の奇跡の力は発動しない。

 

 

……つまり………………メチャクチャ痛い。

 

 

 

 

 

 

ひまり

 

「蘭〜、もしかして〜妬いちゃった?」

 

 

 

「…………………………。」

 

 

ちょっかいをかけるも、ことごとくスルーされ若干涙目になって僕に助けを求めてくる。そしてその際に胸も当たってることもあり、蘭に思い切り手の甲を抓られるという絵ができ上がる。

 

また、それはあちらも同じようで……

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

「_______________。」

 

 

 

塀の向こうからとてつもない何かを感じるんです。もはや三角関係では済まされない状態です。だってすごい怖いもん、彼女の指がコンクリにめり込んじゃってますもん。二人きりになったら確実に殺されちゃいます。(別の意味で)

 

 

 

 

 

 

「……ほら、手…………出して。」

 

 

 

 

 

「え、あ、はい。」

 

黙って従った。だって断ったら何されるかわかんないしこれはドッキリだから……触れ合った瞬間ボクの手に激痛が走る……が敢えて顔には出さない。不安をかりたてる訳には行かない。

 

 

 

 

 

 

 

ひまり

 

 

 

「すっごい見られてるね。」

 

 

 

 

 

「……そうですね。当たり前といえば当たり前ですけど……」

 

 

 

「……………………。」

 

 

 

その時、ふと目に止まった。そう、スノードームだ。以前、みんなの思いの詰まったものが欲しいって聞いたから……現在置いてある数は四つ……ちょうどいい。彼女達に渡そう。

 

 

 

「!!!?」

 

 

 

 

 

いや、あの……すごい視線を感じるんですが…………

 

 

 

紗夜

 

「………………………………………………。」

 

 

女性がみせてはいけない顔をしてるよぅ!!ものすごい怖いんですけどぉぉぉぉぉぉ!!!(大嘘)

 

 

 

 

なんてこと言ってるが、彼は全く怖がってません。なんだったらこの様子を楽しんでるくらいだ。ホントに図太い神経の持ち主であります。

 

 

 

 

視線で思い出した。上原先輩が瞳をものすごい輝かせるもんだから彼女達の目を離した隙に即座に購入しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____さあ、本題と行こうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひまり

 

「じゃあ、ちょっと見てくるね〜!!」

 

 

 

「他のやつに振り向いたら、容赦しないから。」

 

 

 

そう言ってお店の中に入ってきました。蘭先輩には釘を刺された気がするんですけど………………

 

 

せっかく楽しんでる所悪いですけど……あなた達ふたりには、虚無感を味わってもらいますからね。

 

 

 

ボクは首元に手を添え、スっと動かし別の姿へと変身した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひまり

 

「…………。」

 

 

 

 

「ひまり…どうした………………の…。」

 

 

 

 

ひまりは蘭の呼び掛けには一切答えず、満の方へ一直線。その満は複数の刺し傷と大量の血(ニセモノ)を流しながらもたれかかってた。

 

 

 

 

 

 

(意識は辛うじてある……今ならまだ!!)

 

すぐに救命行動を取ろうとしたところに満に腕を掴まれる。

 

 

 

 

「もう………………良いんです。

これで……」

 

 

 

 

 

ひまり

 

(何言ってるの…みんなで思い切り楽しもうって………

 

 

 

みんなで思い出を沢山残そうって…言ってたのに……)

 

 

 

ひまりは今ある状況が呑み込めず、その場から動けないでいた。

 

 

 

 

 

 

「バカ言わないで!!アンタが居なきゃ…!

 

アタシたちは…………!」

 

 

 

 

「……最後に…コレを…………みんなに……」

 

 

 

 

 

ひまり

 

 

「……!!!」

 

 

 

そう言い、満はポケットから彼女達の欲しかったスノードーム四つを渡した。それを受け取ると、幸せな表情を浮かべて瞳を静かにつむった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ねぇ……起きて……

 

 

起きてよっ!!!!もっとアタシたちの世界を聴いてよ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう叫ぶも、死んだ(嘘です)彼には全く届かない。その事を知った瞬間、蘭は力なく膝を着いた。もう、戻ってこないことを……目の前で失ってしまったこと。大切な人を失った痛み……虚構感……何をしても埋まることは無いだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゴメン……!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

ホントに……!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ひまり

 

「………………………。」

 

 

 

 

蘭とひまりの顔は完全に光を失いかけてる。ひまりに至っては絶望のあまり、ぶつくさと独り言をボヤき始めるほど危険な状態なのでそろそろネタばらしとさせてもらいましょう。

 

 

 

 

 

弥助

 

 

「Hey!!ストップ!!

 

ドッキリだ!!!」スッ

 

 

 

 

 

『ドッキリ!

 

 

大・成・功!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

「…………は?」

 

そうすると、2人は豆鉄砲くらった顔してた。

 

 

 

 

 

 

弥助

 

 

「おーい、もう終わったぜ〜。起きなよ!!」ペチペチ

 

 

 

 

「寝てるだけっていうのも、案外……疲れますね……。」シュタッ

 

 

あまりにスタイリッシュに起き上がるものだから、二人はホントに騙されたんだと自覚した。

 

 

 

 

 

 

ひまり

 

 

「……ねぇ……蘭。」

 

 

 

「…うん、分かってる。」

 

 

 

……あれ、なんかこっちに近づいてる?

 

 

 

 

 

蘭 フンッ!!! ⊂( ・∀・)彡ガッ☆`Д゚) 満 ゴハッ!!

 

 

 

 

 

「え、ちょっ!!!やめてください!痛いです!!」

 

 

 

彼は、蘭に思い切り殴られた。人間相手には力が働かない……だから痛い。だってあれ、ガチで殴りに来てたもん。

 

 

 

 

 

「うるさい……アタシ達がこんなことをされて……なにも感じないわけないでしょ!!ほんとに……心配……したんだからぁ……!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

「…………。」

 

 

そうだよ。彼女達はただの人間……悲しいに決まってる。泣くに決まってる……。それはボクらとは違うんだ。心がある以上、あらゆる感情を露わにするのは当然だ。

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんなさい……。」スッ

 

 

 

 

ココはお詫びの印にスノードームを渡す。しかし、四つしかない為、羽沢先輩の分は後で用意すると言った。(既に持ってます。)

 

 

 

ひまり

 

「むぅー!なんか誤魔化された感じがするけど……ありがと!!大好き!!!」ギュムッ

 

 

 

 

「…ひまり……ズルい…………アタシも…!」ギュッ

 

 

 

 

 

「……………………………。」両手に花状態

 

 

 

弥助

 

「そんじゃ!モテ男!!俺は退散すっから!楽しんでけよ〜!!!あーばよぉ!!」

 

 

 

「ちょっと!!待って……!」

 

 

 

追いかけようにも女子二人に掴まれてるのですごい走りにくい……と言うか走れない。その様子を通りゆく人々に暖かく見守られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日菜

 

「おねーちゃん!これ、ひまりちゃんから送られてきた!」写真見せる

 

 

 

 

 

紗夜

 

「………………。」ベキッ←(片手で箸を折る)

 

 

 

紗夜

 

(何故でしょうか……満さんが他の皆さんといると思うと…………心が…………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一人嫉妬に溺れかけてる少女を横目に、弥助はレポートに残し彼女達から離れた。

 

 

 

弥助

 

 

「えーと、次は予定だと…羽沢になるんだよな……まぁ、どうなるかは想像つくけど、それをメチャクチャにして壊すのが満だからな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弥助

 

(ガールズバンドの皆には悪いが、満との最後の悪戯に付き合ってもらうぜ。)

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

57,弥助『次はあの子だ!!』満『まだやるんですか……』

弥助

 

「次は羽沢だ!!モタモタしてるんじゃないぞ!!!」

 

 

 

「まだやるんですか……そろそろホントのこと言ってもいいと思うのですが……」

 

 

弥助

 

「何を寝ぼけたこと言ってる!!嫁候h……ガールズバンドのみんなの反応を試さなきゃならんだろ!!」

 

 

 

 

 

 

今なんか変なことを聞いた気がするんだけど……まあ、いいや……

 

 

 

 

 

 

それにしても……羽沢先輩か…………気が重いなぁ……あの人……邪神との決戦以来から、ものすごい視線を浴びるんだよね……向こうは隠れてるつもりなんだろうけど、全部知ってるんだよね…………。

 

 

 

 

 

そんな先輩をドッキリにかけたら……。

 

 

 

辞めよう……余計な詮索は命取りだ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弥助

 

「早くしろっ!!!間に合わなくなっても知らんぞ!!!」

 

 

 

 

 

 

「ハイハイ……行きますからね〜。」

 

 

 

 

弥助くんが、何処ぞの王子みたいに急かすものだから、もうどうとでもなれと投げやりな態度で追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

_____羽沢珈琲店_______

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弥助

 

 

「____という作戦だお!!」

 

 

 

「…………………はあ、」

 

 

 

弥助

 

「何だよ満〜、ノリ悪ぃな!!」

 

 

当たり前と思います。だってあの羽沢先輩ですよ?ボクに凄い好意を寄せてるあの羽沢先輩ですよ……?そんな先輩を騙した日には…………ボク…何されるかわかったもんじゃないですよ。

 

 

 

でも、いつかは………………ちゃんと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『お別れ』 しなきゃだからね……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つぐみ、今日はもう上がっていいから、あの子の相手してあげなさい!」

 

 

「えぇえ!?お母さん!!お父さんも押さないで!!」

 

「いいから行ってこいって。」

 

 

 

 

つぐみ

 

「うわっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

ポフッ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………コレは……?」

 

 

 

つぐみ

 

「……へ?

 

 

………………ぇぇえええ!!!?」

 

 

 

両親に押されて転びそうになったところを、ボクが受け止めろと弥助くんが催促するもんだからやるけど、羽沢先輩の布越しから伝わる胸の鼓動が響いてくる。

 

 

 

「…………ごめんなさい……。」

 

 

つぐみ

 

「う、ううん!!全然大丈夫!気にしてないよ!!!」アワワ

 

 

 

…………ホントに大丈夫何だろうか…生きて帰れる気がしない……

 

 

 

 

 

 

 

 

何故かって?

 

 

 

 

 

見ればわかるよ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弥助

 

「モテる男ってもんは辛いな……ん?

 

 

…………げっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

「…………………………………………………………。」

 

 

 

そう、やりとり全部見られてました。はい、もう窓に張り付いてて傍から見ればただの不審者以外何物でもない。いやもう……気を抜けば確実に殺されちゃいます。冗談抜きで。仲良しだったはずの二人がもう……瞳に輝きをなくしてますから、下手をすれば大事は避けられない。

 

 

一般客がいないだけまだ良かった。間違いなく話題にされるからやりやすくなった。それでも難易度は高いままだけどね。

 

 

 

つぐみ

 

「それじゃ……行こ!!」

 

 

 

「え?あぁっ!!」

 

 

満はつぐみに手を引かれ転びそうになりました。

 

紗夜

 

「………………………………。」スタスタッ

 

 

それを気づかれないように後をつける紗夜だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つぐみ

 

 

「そう言えば、満君っていつもそれ着てるね。暑くないの?」

 

 

つぐみは彼の重ね着してる羽織りを指摘してきた。いや、現代の人からすれば当たり前と思う。が、彼はこの時代の人間じゃないので彼からすればこれが普通なのだ。

 

 

 

つぐみ

 

「重っ!!!」

 

 

 

つぐみ

 

(え、何?こんな重たいのこんな小さな子が羽織ってるの!!?)

 

 

 

それはそうだ。計15キロ以上はあるから重いに決まってる。

 

 

 

 

 

「…………行きましょう……」

 

 

 

慌てふためく羽沢先輩を置いてサッサと歩いてく満に、それを必死に追いかけるつぐみ。その様子はさながら親子だ。非常に微笑ましい光景だ。

…………後ろの存在がなければ……ね。

 

 

 

紗夜

 

「……………………………………っ!!!」ギリギリッ

 

 

 

女性がみせてはいけない顔してるよ。後ろから刺されないようにしなきゃね。(彼はこの程度では死にません)

 

 

 

その程度の武器で彼を倒せると思っていたのか…?

 

 

 

え、ドラ〇〇ボールのネタ使うな?別にいいでは無いですか。もう既に〇〇ライダーネタ使っちゃってますし……

 

 

 

その後の買い物も、

 

 

 

 

つぐみ

 

「……そ、そんなに無理しないでもいいよ!気持ちが大事だからっ!!」

 

 

 

 

何だか気を遣わせてしまってる。この人も山吹先輩と同じような性格の人間だから……不本意ながら、貧乏なのだと勘違いされたのだろう。まぁ、継ぎ接ぎだからそう見られてもおかしくはない……が、せめて見掛けだけで判断をしないで欲しいものだと、叶うわけのない思いを切実に願う彼だ。

 

 

 

 

 

 

 

あれこれ買い物した後、羽沢珈琲店に帰ってきた。

 

 

 

 

さあ、そろそろ絶望に落ちてもらおうか。

羽沢先輩には見せたいものがあると言って待機してもらい、ボクはその内にサプライズの準備だ。

 

 

 

弥助

 

(なるほどな、両親の居ないこのときを狙ったのか…そして、呼び出された時にはもう死んでるってか………流石だ。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つぐみ

 

(あ、メッセージ…【来てもいいですよ。】…それって……もしかして……うぅぅ…いざとなると恥ずかしい……でも、あの子の気持ちを裏切るのは良くないもんね!!

 

良しっ!!頑張れ!わたしっ!!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

そう心を躍らせて店内のドアを開けた時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つぐみ

 

 

「満君!!渡したいもの……………って…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………………………。」

 

 

 

 

 

つぐみ

 

 

「__________________え?」

 

 

 

 

 

一瞬何が起きていたのかがわからず、理解に時間がかかった。そして徐々に現実を突きつけられる。満は首を吊って死んでいた。その時の彼は余程苦しかったのか、歪んだ顔をしていた。(勿論、これも嘘)

 

 

つぐみ

 

(身体が…………動けない……言うこと……聞いてくれない……)ジワァッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つぐみ

 

 

 

「いやああああああああぁあああああああああああああああああああぁぁぁあああああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

弥助

 

 

(おうおう、随分と派手に泣き腫らすじゃねぇか……満の奴……相当愛されてんな。良かったじゃねえか…………こっちでは上手くやれそうだったのにな……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女は愛する者の死を受け入れられず、何やらブツブツと呟いてた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つぐみ

 

 

「…ごめんなさい……今……私も……君の所に……」グッ

 

 

そう言い、つぐみは台所にあるナイフを自身の首元に突きつけた。この子もひまりや沙綾と同じタイプの人間だった。

 

 

 

 

 

(え、ちょ……それは本気で聞いてないですよ。)

 

 

 

中指をそっと動かし弥助にサインを送る。そして、それに気づいた弥助はすぐさまつぐみの方へ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弥助

 

「ハイハイ、やめような。お嬢さん。そんなこと誰も望んじゃいねぇからさ。」ガシッ

 

 

何とも弥助らしくお気楽な態度でナイフを取り上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

つぐみ

 

「離してっ!!満君が……目の前で……………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弥助

 

 

「……目の前で……何だって?」

 

 

 

 

 

 

つぐみ

 

 

「………あれ?いない?

 

 

 

 

……!!!!!」

 

 

 

 

 

 

「………羽沢先輩……」

 

 

 

 

『ドッキリ

 

大・成・功!!!』

 

 

 

 

 

 

つぐみ

 

「……………………へ?」

 

 

ポカンとした顔で見つめてくる。まあ、一瞬のスキをついてロープから抜けたからね。因みに今は羽沢先輩のお手製のコーヒーを呑気に飲んでる。

 

 

 

 

 

弥助

 

 

「まあ、ハッキリいえばドッキリだ。」

 

 

 

 

つぐみ

 

 

「……ドッキリ………そっか………良かったぁ……」ヘナヘナ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「羽沢先輩……コレを……。」

 

そう言って、彼は先日上原先輩達に渡したスノードーム……その最後のひとつを彼女に渡す。それを見た先輩は、

 

 

 

 

つぐみ

 

 

「もう……こんなこと……しないで……」グスッ

 

 

 

安堵と喜びを見せて若干涙を流してた。あと、ものすごく強く抱きしめられてる。仄かに香るアロマのせいもあってか心地良かった。

 

 

 

 

 

つぐみ

 

(蘭ちゃん達には貰ったってのを聞いた時はどうしようかと思ったけど、私が最後ってことは…………そう言う……こと……だよね。)///

 

 

 

 

 

それからというものの……

 

 

 

 

 

つぐみ

 

 

「あの、満君……今日……家に来てくれる?」

 

 

 

つぐみ

 

「満君の為にクッキー焼いてみたの!!

食べて……欲しいな。」チラッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つぐみ

 

(紗夜先輩も花音先輩も満君に好意を寄せてるのは知ってた……でも、私も譲れない。絶対に負けませんから……!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう熱意を込める彼女に、

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………暫く、学校休もうかな…」ボソッ

 

 

と、あまりの愛情表現に恐怖した(大それた嘘)満であった。




これは、とある艦これのSSを見てやってみようと思った所存です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

58,弥助「今日も目の前で死んでもらうぜwww」満「…もう、突っ込みませんよ。」

 

 

 

 

弥助

 

「よしっ!今度はモニカの奴らを一気に仕掛けてくぜ!!!」

 

 

 

 

 

 

……また始まった……。

しかも話には三人一気にやるって……もう既に胃が痛いよ……一歩間違えたら通報案件ですよ。ギリギリを攻めるスリルがいいと言うけど、ボクはそうは思っても行動に移すことは基本ない。でも、言いたいことは分かる……

 

 

 

 

 

 

 

 

『犠牲なくして進化は訪れない』ことは……ボク自身がわかっている。

 

 

 

 

気は乗らないけど……やろうか……

 

ちゃんと……『また会える』と言えるように……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回はボクらだけじゃ不安が残るので、彼に協力を仰いだ。

 

 

 

 

 

「お前も中々ガッツあることするじゃねえか。さては、誰か惚れてんのか?」

 

 

 

なんてこと言ってるけど、彼自身もボクがどうなるのか。その結末を知ったため、そんな冗談を言えるのだ。まあ、今までのでも充分刺激的だけどマンネリ化してきたかもしれないから、今度はもっと派手にやろうと思う。

 

 

 

 

 

 

 

そうと決まったら早速作戦開始だ。

 

 

倉田先輩に【ライブの練習、見てくれませんか?】とちょうど誘いが来たもので、ボクら三人で出向くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

着いたはいいけど、

 

 

 

 

 

つくし

 

「……………。」ジーッ

 

 

 

 

 

 

二葉先輩からの視線が気になってしょうがない。だってライブハウスに来てから凄いんだよ。まあ後をつけてたのは知ってたけど、敢えて何も言わなかったから、慢心したんだろうかここまで大胆な行動に出て来て……それが裏目となるのに……

 

 

 

 

 

そうそう、大胆な行動ってことで思い出した。

倉田先輩も露骨に手を握ろうとしてくる。まあ、顔には出さないが激痛が走るのでそれを避けてはいたが、あまりに寂しそうにするもんだから余計に困る。

 

 

 

 

七海

 

「お、ヒッキーも来たんだ〜。」

 

 

 

「だからそのヒッキーは辞めろ。引きこもってなんかねぇから。」

 

 

輝はヒッキーというあだ名がきにいらないのか、言われる度にそんなことを言う。まぁ実際にお兄さんよりも活発に動いてるしね。

 

 

 

 

 

 

 

瑠衣

 

「早速で悪いけれど、私達の演奏聴いてもらいたいわ。」

 

 

 

 

 

 

みんなが楽しんでたところに瑠衣がずいっと割り込んできた。うん、本質はそっちだしね。

 

 

 

 

 

 

 

透子

 

「そ、そうだね!んじゃあ、いっちょ行きますかー!!」

 

 

 

なんてこと言ってるが彼女自信が物凄く辛いのは知ってる。他のふたりも名残惜しそうにして離れていった。八潮先輩、正直……助かりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

透子

 

「どうっ!!ウチらの実力、マジピカってたっしょ!!」

 

 

 

 

「はい、この音はあなた達にしか出せないものです。この調子で引き続き練習に励んでください。」

 

 

 

七海

 

「ん〜、なんか足りないよね〜。」

 

 

つくし

 

 

「ってことで、週末私達とデート貰うね!!」

 

 

 

 

 

 

 

「…………え、」

 

 

ちょっと待って、なんかすごい嫌な予感する……助けて。

 

 

 

 

 

 

「ああ、悪ぃ……ちょいと用事が出来た。満……行くぜ。」

 

 

そう言って、輝は一本の剣を背中にしまい込み、満を連れてブースを出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

さあ、行動開始だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとう………彼女達があんなにまでなるなんて予測してないですよ。」

 

 

 

 

 

 

 

「ま、良いんじゃねぇか?それよりも……作戦通りに行くぜ。」

 

 

 

 

「うん、ひと思いにやってくれ。」

 

 

 

 

 

 

 

ズブッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ましろ

 

 

「……遅いな……何してるんだろう。」

 

 

別行動から数分で、もう心境に変化がある奴が三人……

 

 

 

つくし

 

 

「」ソワソワ

 

 

 

 

 

 

透子

 

「ねーえー、みっつーまだー?」

 

 

 

 

 

 

 

 

ましろ

 

 

「……行ってくる!」ダッ

 

 

 

 

 

 

 

弥助

 

「あ、おい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

行かなきゃ……満くんが私たちを待ってる……

 

 

 

 

 

 

 

でも、

 

 

次の光景が見えた瞬間、全てが真っ白に染まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「」チマミレ

 

 

 

 

床 チマミレ

 

 

 

 

 

 

 

 

ましろ

 

「」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つくし

 

「」

 

 

 

透子

 

「え、何?どうなってんの?」

 

 

 

 

 

 

 

七海

 

「ヒッキー……どうして?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、バレちまったか。」

 

 

 

彼女達が見えたその先には、剣を胸に突き刺され死んでる満の姿があった。それも剣の柄の部分にドクロのマークが刻まれてる。正真正銘輝の剣だ。

 

 

 

 

 

 

 

瑠衣

 

「質問に答えなさい。何故こんなことを?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ、奴は悪魔だ。お前らに何するか分かっもんじゃねぇ。それに、奴自身が頼んだことだ。お前らがオレを責める権利はねぇよ。」

 

 

と、あたかも当然の如く切り捨てた。分からない……

 

 

 

 

未だ現実を受け入れられず絶望の淵に立たされる。

 

 

 

そろそろ潮時か……

 

 

 

 

 

弥助

 

「」スッ

 

 

 

 

『ドッキリ

 

大・成・功!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………?」キョトン

 

 

 

みんな豆鉄砲食らった顔してる。まあ、純粋な気持ちを弄んだことに罪悪感はありながらも、自然と立ち上がる。

 

 

 

 

「あ〜、みんな…悪ぃな、全部嘘だ。」

 

 

つくし

 

「嘘……?」

 

 

 

 

瑠衣

 

「あなたの事だからそうだろうとは思ったわ。でも、こんな現実的すぎることは、嫌われるわ。気をつけなさい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………はい、すいません……しかし、誰かが死ぬのは……見たくない………………それは、ボクの役目です。」

 

 

 

 

 

 

 

その途端、透子に抱きしめられた。

 

 

 

透子

 

「そんなことない…ちゃんと生きて…お願い…………。」ウルウル

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう涙目で懇願する彼女を前に、彼は黙って頷くしか無かった。

一方、その場を離れた二人はと言うと……

 

 

 

 

 

 

 

「なあ、何時になったらその日が来るんだ。もう、時間はねぇんだろ?」

 

 

 

 

 

弥助

 

「ああ、RASにパスパレにRoselia……どれもとてつもない好意を寄せてるヤツらが揃ってる……そんなことをすれば……まあ、アイツなら何とかやってくれるさ……それに、あいつ自身も……あの風紀委員に素直になり始めてるしな。」

 

 

 

 

「ああ、その風紀委員に『お別れ』を告げなきゃならないんだぜ?下手したら壊れちまうぞ。」

 

 

 

 

弥助

 

「……大丈夫さ。アイツは…………ちゃんと戻ってくる。」

 

 

 

 

 

 

刻一刻と迫るカウントダウン…………

 

 

それは、誰に向けたものだろうか……。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

59,弥助『今度はアイツらだぜっ!!』満『何を言ってるのかわかんないですよ。』

弥助

 

「おい!パスパレの奴らと撮影だと!?」

 

 

 

 

 

「……なんですか……そうですよ。最も、彼女達が強く要望したせいですけど……。」

 

 

弥助くんはひとり悔しがってた。そう、今日はパスパレのみんなと共演することになってしまった。何の因果だろうか。

 

 

 

 

 

 

 

弥助

 

「そうと分かったら……ドッキリだ!!!」ペカーッ

 

 

 

そして彼のこの変わりよう……ボクは嫌いじゃないです。しかし、ドラマとドッキリが見事に重なってしまったのは少々、コチラの演技力とアドリブが求められる。

 

ただ、コレに関しては嫌な予感がピリピリするんですよね。

だって……割と好かれてるの知ってるんですから……そんなことをした暁には…………何されるんだろうか………………。

 

 

 

まあ、いつまで嘆いても仕方ない。一刻も早く現場に向かわなくては…………

 

 

 

「人気の国民的アイドルと世界を駆けるアクションスター兼プロレーサー…………どうなるんでしょうかね。」

 

 

 

 

 

 

 

「あ、満さん!!おはようございます!今日はパスパレの皆さんとどうぞよろしくお願いします!!」

 

 

 

「はい、あの有名なグループと共演だなんて夢にも思わなかったです。感謝致します。」ペコリッ

 

 

 

「そんなっ、貴方ほどの人間が謝ることじゃないですよ!ただでさえお忙しい中、私達のような者を受け入れてくださっただけでも、光栄の極みです!!」

 

 

 

 

事務所の人間は腐ったヤツらがほとんどだと聞くが、彼女はすごく生真面目で礼儀正しい。こういう人が上の立場であればいいのにね…………。

 

 

一通り挨拶を交わしたあと、監督の指示を仰ぎ、順調に撮影が始まった。パスパレのみんなはボクがいた事に驚きを隠せなかったみたいだけど…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして休憩時間中に……

 

 

 

 

「ねぇ!!満くん!!」

 

 

ああ、やっっっっっぱり…………ボクは損な役回りをさせられそうですね。さらに日菜先輩の視線が物凄い刺さる。

 

 

 

 

 

日菜

 

「君って色んなとこにいるね!疲れないの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「 」

 

 

流石天才少女だ。核心をついてくる……でも、ここで引き下がれない。平気の一言だけ言い残しその場から離れた。

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わって近くのカフェでのんびりやってる。最近のサンドイッチ……馬鹿にならないくらい美味しい……この静かな空間がすごい落ち着く…………ただ一つ…………女優「白鷺千聖」がいなければの話だけどね…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千聖

 

「あら、お邪魔だったかしら?」

 

 

 

 

「…………いえ、何も……」

 

 

千聖

 

「ふふっ、そう。(やはりこの子……確実になにか隠してる。この正体がなにか……それが私にも分からない。でも、他のみんなとはまるっきり違う……)」

 

 

 

みんなならこの時点で彼女の記憶を書き換えると思っただろうが、今回……彼はそれをしなかった。いや、するだけの力を残してないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千聖

 

「それにしても以外ね。貴方が麻弥ちゃんとイヴちゃんにこういかを寄せられてるのに、全く靡かないなんてね。」クスッ

 

 

 

 

 

「…………ボクは……彼女達が幸せになるためになら、喜んで死や地獄に落ちることをえらびます……。」

 

 

 

 

千聖

 

「そう……もういい時間ね。戻りましょう?エスコート、頼むわね…プロレーサーさん?」

 

 

 

 

 

相変わらず小悪魔な笑みを浮かべて要求してくる。

 

 

 

 

 

まあ、構わないよね…………どうせ、ボクは…………

 

 

 

 

「それじゃあ目を瞑ってくださいね。」ブゥンッ

 

 

 

 

 

 

 

 

ボクは消え去るんだから……。

 

 

 

 

 

現場に戻ったはいいが気になることがある。

 

 

 

 

麻弥

 

「…………。」

 

 

 

 

イヴ

 

「………………。」

 

 

 

 

 

 

…………二人からの視線が刺さるんです。

 

 

いや、正確には……六人……………か。パスパレは全員から好意を寄せてるのは知ってはいたけど、やはり…………氷川先輩は……ボクのことを……

 

 

 

 

 

紗夜

 

「…………………………。」

 

 

 

 

なんかボクの動向を探られてる気がするんですよね……まあ、思わせぶりなことをしてるので、当然といえば当然ですけど………………。

 

 

 

 

 

 

 

「満くん、次のシーン…レースするんだよね!頑張って!!」ファイトッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……はい、行ってきますね。」フリフリ

 

 

 

 

 

(キャー!!満に手を振られた!!これってそういうことだよね!!よし、撮影が終わったら思い切って告白しよっ!!)ニヘラ

 

 

 

 

 

ボクは控え室で急いでレース用のスーツに着替え、バイザーヘルメットを着用。とても懐かしさを感じた。ここまで楽しくなりそうなレースはなかなかなかったから。途中……何やら変な念を感じたが余計な思考は失敗に終わるので、取り払った。今のボクはレーサーの『D』だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーさあ、作戦開始だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

何かパスパレの皆がチアリーダーの格好してたのは気にしないでおこう、千聖と麻弥の二人が恥ずかしそうにしてたから……

 

 

 

 

 

 

 

ボクが使用するのは明治期に見かけるようなあの中古車。それを自分なりに改造したから、本来は200馬力ほどしかないものを1250馬力なんていう怪物へ転身させたのだ。まあ、走り出しが遅いのはそのままにしてるが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ、折り返し地点まで到達しましたが、観客の皆さんに聞いてみましょう。」

 

 

 

「相棒が逆転だ!!」

 

 

「いや俺の息子が突っ走るんだよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日菜

 

「あれ、おねーちゃん?」

 

 

 

 

紗夜

 

「…………日菜……。」

 

 

 

 

 

日菜

 

「どうしたの?こんなとこに来て……もしかして、満くんに呼ばれた?」

 

 

 

 

!!

 

 

紗夜

 

「…………ええ、私も……観て……良いかしら。」

 

 

 

 

 

 

日菜

 

「!!!

 

………………うん!!!」キラキラ

 

 

 

 

 

 

その後、パスパレのみんなが合流し…………

 

 

 

 

 

マネージャーの提案で、優勝者に誰かに告白する権利を与えるというもの、私はそれを聞いて何も考えられなくなった。

 

 

 

 

皆は誰に告白するんだろうと心待ちにしてる……でも、私には嫌な予感がする…………なにか失ってしまいそうな気がして。

 

 

 

 

 

 

日菜にパスパレの皆さんに心配されるも、平気の一言で何とかやり過ごした。とても大切な物が離れてしまいそうで……

 

 

 

 

 

 

 

 

「!!」

 

 

レースももう終わりが近づいた時だった。後列の車とその前を走ってた車と衝突……いや追突され吹っ飛ばされた。

コレには彼も予測してなかった事態だ。ゴール寸前だというのに急いでブレーキをかけ停止、ぶっ飛ばしたレーサーは嬉々としてゴールイン。

 

 

 

 

 

 

一方彼の方は、急いで被害者の方に駆け寄った。ドライバーは無事だが車は大破寸前だ。

 

 

 

 

 

 

「大丈夫…ですか。」

 

 

 

 

 

 

「……良い!先にいけ…」

 

 

 

「……大丈夫です。貴方のように夢を追いかけることを……

諦めて欲しくないんです。

 

 

 

 

……一緒にゴール……しましょうか。」

 

 

「…………。」

 

 

 

ドライバーさんはボクの思慮を汲み取り、すぐさま乗り込みエンジンを再稼動。ボクはそれを後ろからゆっくり押していく。

まるであの有名な夢の国の映画のワンシーンみたいに……

 

 

 

 

ゆっくり……ゆっくり……時間をかけてでも……

そんな想いを胸に、二人は静かにゴール。その時点で歓声がなり止むことは無かったそうです。

 

 

 

 

 

ちなみにあのぶっ飛ばしたクソ野郎はと言うと……

 

 

 

「おい!!オレは優勝者だぞ!なんでアイツらが一位になってんだよ!!」

 

 

自分が相手を吹っ飛ばしただけにとどまらず、他人の車を強奪・魔改造したヤツのどこに賞賛する要素があるだろうか……あろう事か自分より後にゴールした彼らが表彰されてることに苛立ちが募り、ついに乱入。

 

 

 

 

「おい!!!てめぇら、いっぺん死んどけや!!!」

 

 

激昂し隠し持ってたナイフを二人目掛けて突撃。

会場はパニック状態だ。あのドライバーも怪我をしてた為ゆっくりその場から離れ警備を呼んだ。あとは……ボクだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ザクッ

 

 

 

 

 

 

「グッ………………ぅぅぅうぅぅぅ……」ドボドボ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドサッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相手の手を強く握り逃げ出さないようにし、ナイフを自ら深く刺しこみ、さらに逃走を難しくした。自身の血と相手の指紋が付けば言い逃れなんて出来ないから。その後、彼は駆けつけた警備員によって御用となりやした。

 

………………が、

 

 

 

 

 

イヴ

 

「 」バタンキュー

 

 

 

「……え、嘘……嫌…………」アワワ

 

 

麻弥

 

「 」ハイライトオフ

 

 

 

千聖

 

「…………。」サァー

 

 

日菜

 

「…………え?」キョトン

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

「……あ、ああ………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

嫌ああああああああああああああああああああああああ!!!!」

 

 

 

 

彼女達も阿鼻叫喚だった。彩に至ってはアイドルと言う地位を忘れ告白するつもりだったから。

 

 

 

 

まあ、予定とかなり変わってしまったが、目の前で死ぬっていう目的は達成出来たので良しとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

ガチャ

 

 

 

弥助

 

 

「おい、大丈夫か?」

 

 

声をかけるも誰も答えない。見ているだけで何も出来なかった自分がよほど悔しかったのだろう。

 

 

 

 

弥助

 

「サーキットに来てみな。見せたいものがあるんだ……」

 

 

 

 

 

日菜

 

「…………うん…」

 

 

 

 

言われるがままについて行くと……信じ難いことが……

 

 

 

 

 

 

日菜

 

「!!!!

 

 

 

 

 

………………………………満くん…だよね…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………はい、ボクですよ。」

 

 

 

 

 

 

日菜

 

 

「……良かった……良かった……………………

 

 

 

 

よがっだよぅ!!!!」ポロポロ

 

 

 

 

 

彼が生きてた事を知った日菜は彼に飛びつきひたすら泣き腫らした。

 

 

 

 

 

 

弥助

 

「」スッ

 

 

 

 

 

『ドッキリ

 

大・成・功!!!』

 

 

 

 

日菜

 

 

「………………ふぇ?」

 

 

 

 

 

 

 

弥助

 

「悪ぃな、これドッキリなんよ。」

 

 

 

 

それを聞いた途端、日菜の抱きしめる力がより強くなり、逃げようにも逃げられない状態に。完全に激おこですね、はい。

 

 

 

 

 

「……もしかしなくとも……怒ってます……よね。」

 

 

 

 

日菜

 

「だって……こんな意地の悪いことするんだもん……みんな心配してたんだよ……?」

 

 

 

 

こうして抱きしめられたまま彼女達がいるギャラリーに連行。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千聖

 

「日菜ちゃんから聞いたわよ?

ドッキリなんですってね。」ゴゴゴゴ

 

 

 

 

「ホントに満君だよね!幽霊なんかじゃないよね!!」ペタペタ

 

 

いや、そこまでしてくっつく必要は無いかと……まあ、今回の件でわかったのは、みんながみんなボクをちゃんと見てくれてたんだってことだね。それがわかっただけでも十分な収穫だよ。

 

 

 

 

 

ああ、告白中継か……まあ、良いか……ボクもケジメをつけなきゃいけないし……読者のみんなにせがまれてる気もするし、どうにでもなれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

麻弥

 

「あ、あの……満……さん……は……その、お付き合いされてる方は…」

 

 

 

 

 

 

「…………いたのは遠い昔の話です。この公開処刑……やらなきゃダメですか……?」

 

 

 

 

 

 

イヴ

 

「恋する乙女を前に逃げるのはブシの恥です!!!」フンスッ

 

 

 

 

 

 

「ですよね………。そう言うと思ってました。」

 

 

満は半ば諦め状態でポケットにしまってあった指輪を箱から取り出した。彼女たちには幸い気づかれてない。もう、彼女たちの想いを無碍にする訳にもいかない。

 

 

 

 

 

 

「まず私から行くね。

 

満くん、学校の近くで襲われそうになったとき、鬼龍くんと二人が守ってくれたよね。終始君は怖がってたみたいだけど、私にはそれでもすごくかっこよかったよ!!これからも、パスパレとしてだけじゃなくて、いつもの私も見て下さいっ!!!」フカブカ

 

 

 

 

 

え?何?もう始まっちゃったの?待ってください、まだ準備済んでないです。まず私からって告白大会か何かですか?男子達が歓喜しそうなイベントですね。

 

 

 

 

 

 

あ、日菜先輩だ。なんか寒気がするなぁ……

 

 

日菜

 

「じゃあ、アタシ!!!

キミのこと調べても何も詳しく書かれてなくてワクワクしながら君を呼んだの!!でね、あたしなりにアプローチかけても満くんはそれを華麗に避けるよね。感じ悪いと思ったんだけど、みんなを守ってくれてることがわかってからは一気に変わったの!!!やっぱりキミはあたしたちに見せない優しさがあるんだね!!

 

 

好きっ!!大好き!!いっぱい思い出作ろ!!!」ニカッ

 

 

 

 

うん、すごくいい笑顔だ。ボクはこれからこの笑顔を守らなきゃいけないのか……まあ、悪くは…………ないかな。

 

 

 

 

 

 

 

麻弥

 

「あの、昔は、アイドルの魅力をジブンは見い出せずに迷ってた時に誘拐された時がありましたよね。そんな中、皆さんが口を揃えて皆さんさんのことを話題にしてたんです。きっと満さんがジブンを助けてくれたんだってことが分かった今、満さんのこと……好きになってしまいました!!女性としての魅力も大してないジブンですが、末永く、よろしくお願いします!!!」スッ

 

 

 

 

 

 

 

ん〜、大和先輩に関しては感謝の意が若干残ってるけど、そこには敢えて触れないでおこう。若宮先輩の熱烈な視線が辛い……ボクには眩しすぎる。

 

 

 

イヴ

 

「つぐみさんたちから聞きました!!

ミツルさんは笑顔を見せて欲しいから日々努力してることを!!マヤさんが連れていかれた時は、怖くて仕方がありませんでした……ですが!!そこに私達のヒーローが来てくれました。

 

 

ミツルさん、ミツルさんは…強いブシの心得を持ってます!

これからも、私たちと一緒に歩んでいきましょう!!!」キリッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんだろう……若宮先輩がすごく頼もしくみえる。だけどね……ボクは武士の心得も無ければ、ヒーローなんて格好のつくことをしてない。憎まれる権利はあっても、幸せを求める資格なんて無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

千聖

 

「最後は私ね。

 

貴方は、私たちの他にもいくつものバンドを掛け持ちだけじゃなく、仕事も家事も全部一人でやってるんですってね。1人で多くのことが出来るのは良いけれど、それじゃあいつか倒れるわ。だから、私たちで貴方の負担を減らそうと思ったのもあるけど……」

 

 

 

 

 

 

 

 

そういうと、いきなり僕に近づいて、

 

 

 

千聖

 

「私も、誰かを好きになってもいいじゃない。アイドルと言う立場以前に一人の女性なのよ?」ササヤキ

 

 

 

 

 

 

 

「!!!!」ビクッ

 

 

 

 

 

焦った……他の人だったら確実におとされてた。しかし、彼は全く違う、近づかれることに慣れてないだけだ。その証拠に身構えてる彼がいる。

 

 

彼女は元から悪戯心な所は垣間見えてたけど、まさかここまでやるなんてね……ボクはそっちに驚きだよ。やっぱり人間って天使になったり悪魔になったりでよく分かんないよ……。

 

 

 

 

 

 

 

さて、返事の時間か………………みんなして目を瞑って手を差し出してる。これって…………そういうことでいいんですよね…………すぐに決めなきゃいけないんだろうけど……今のボクにそれをする時ではない。

 

 

 

 

 

 

「皆さんの期待に背くようで申し訳ないですが、返事は後日改めて相手の方に伝えたいと思います。気長にお待ちいただけると嬉しい限りです。」

 

と、告白の返事を先延ばしにした。

 

 

 

なんだかんだで楽しめましたとさ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからはと言うものの、

 

 

パスパレからの熱烈なアピールを浴び続け……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……学校………………辞めたいです……。」グッタリ

 

 

 

 

輝夜

 

 

「ほら、頑張りなさい。ゼリー作ってあげるから。」

 

 

 

 

 

 

「………………それで誤魔化そうとしないでください。

 

………………食べますけど……。」ムスッ

 

 




かなり遅くなった……
すいません。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

60,弥助『今度も派手に死んでもらうぜっ!!』 満『…………もう、良いです。』

 

 

 

 

 

 

チュチュ

 

「Harry up!!世界が、私達を待ってるわ!!!!」グイッ

 

 

 

 

 

 

「え、ああっ!!」ヒッパラレ

 

 

 

今日くらいはしっかり寝ておきたいのに、RASの皆が乗り込んで連れてかれました。これはもう拉致です、はい。

て言うより、世界が私達を待ってるって何ですか。世界は呼んでるわけじゃないですし待ってるとも限りませんよ。

 

 

 

まあ、それはさておき……ドッキリだ。

…………………………辞めたいです……

 

 

いえね、朝日先輩の視線が凄いです。完全に獲物を狩る目付きしてます。物凄い怖い、正直に言って逃げたいくらいです。これじゃ練習どころじゃないです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー数時間後ー

 

 

 

 

 

「…………皆さん……すごく上達してます。これならホントにRoseliaを越えられますよ。」

 

 

 

 

チュチュ

 

 

「Really!!!?」ズイッ

 

 

 

彼女は元々ガールズバンド時代に革命を起こす為に活動してる。その証拠に今はこんな素敵な仲間に囲まれてる。対して、ボクは守りたいモノと内に秘めた願いを叶える為に、あらゆる概念を押し付けて皆の憎まれ役として演じる最低最悪な何かだ。必要以上に干渉すれば、皆の未来が変わってしまう。それが、彼にとって一番怖かった。

 

 

 

 

 

 

レイヤ

 

「それじゃあ、練習も終わったし、ロックと一緒に行ってきなよ。」

 

 

 

 

 

 

ロック

 

「ふぅえええ!!?」アタフタ

 

 

 

 

 

 

「…………行きましょうか。」ニカッ

 

 

 

 

ロック

 

 

「……はうぅ……//////」

 

 

 

 

レイヤの提案(意図的)に乗ったボクは朝日先輩を連れてショッピングモールへと向かいました。

 

……………………うん、来たはいいけど……皆の暖かい視線が刺さる。朝日先輩は恥ずかしそうにしてるけど……ボクにはその視線さえも苦痛に感じてしまう。いつか、ボクを殺すんじゃないかと。

 

 

 

 

ーーさぁ、『行動開始』だ……ーー

 

 

 

 

 

 

 

ロック

 

「あ、あの…お腹すいてませんか?」

 

 

………時計を見たらもう昼時か…彼女達の意見は賛同するべし。これは怠ってはならない。

 

ロックの歩く方向へ着いてくとそこには、ファミレスでした。デジャヴ。いや、どこまで紗夜先輩と張り合おうとしてるんですか。

 

 

 

 

 

腕を組む力も心做しか強くなってる。待って、普通に痛い。人間相手にこの力は通じないから素で受けることになるんです。いやホントに痛い痛い痛い痛いから。

 

 

 

あ、ドリアン頼んでる。ドリンクバーも付けちゃって……ドリンクバーっていくら飲んでも飲み放題だからお得に感じてるかもしれないけど、原価が0.4円とかそもそも安いから元取れないんですよね。

 

 

 

 

 

 

ちなみに、前回Roseliaの皆んなで来た時も紗夜先輩はドリアンを頼んでた。いや、偶然が重なりすぎでは?

 

 

 

 

 

ロック

 

「わぁあああ…!!!」キラキラ

 

 

 

 

 

まあ、彼女が幸せそうで良かった……でも、その幸せも簡単に壊される。

 

 

 

 

ロック

 

「あの、良かったら………あーん…して………下さい!!」////

 

 

 

……………………え?

 

 

 

 

ちょっと待ってください。スプーンでそのまま口に運べと?健全な男子は狂喜乱舞してるだろうけど、今のボクにはその行為をする勇気がない。何故なら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今井

 

「 」

 

 

 

 

紗夜

 

 

「___________________。」ボソボソ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ヒィイイイイイ!!!!すっごい笑顔でこっちみてるんですけどぉぉぉぉ!!!!怖いよおぉぉぉおおおお!!!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、やらなきゃ朝日先輩が…………えええい、もうどうにでもなれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………はい。」スッ

 

 

 

 

 

ハムッ

 

 

 

 

ロック

 

 

「んん〜。でら上手いわ!!!満さんのあーんは最高やっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ちょっと、そんな大きな声で言ったら……!!!

 

 

 

 

 

 

「あ、あぁはい……そうですねー」(棒)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今井 紗夜

 

 

 

 

「「 」」ハイライトオフ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(いやもう逃げたいよぅ!!!笑顔だけど全然目が笑ってないもん!!にこやかに見えるけど、実際はどす黒いものが渦巻いてるよおぉぉぉ!!!!!)ブルブル

 

 

 

なんてこと言っても進まない…………行こう…さらなる死に場所を求めて………。

 

 

 

ロック

 

(ううう、改めて見ると、満さんってキレイな顔立ちで……あの人の瞳を見てると吸い込まれそうになる………どうしよう、誘ってくれたのは嬉しいけど、やっぱり恥ずかしいよ。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………。」

 

 

すいません。でも、こうでもしなきゃいざ失った時に貴方たちの未来が狂ってしまうので…………ボクだって貴方たちの涙を見たいなんて微塵も思わない…………

 

 

だって涙を流す姿なんて、老若男女問わずちっとも似合わない……なら、自分の死で皆の笑顔を守るしかない。

 

 

 

 

 

 

 

ボクが死ねば、みんなに降かかる呪いも災いも……全て止まるから…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、ひとしきり楽しんだ後、ロックが満を自宅へ招待した。コレには彼も少し驚いたが、これもいい機会としたので考えた末に承諾。ロックも顔を赤くするも、彼の微笑む姿に完全に惚れこんでるのでさほど気にならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………お邪魔します………」

 

 

ロック

 

「な、何も無いけど……ありがとうございます!」

 

 

 

 

 

 

はて…………なぜ感謝されなくてはならない?

ボクは悪の道に落ちた怪物だよ?まあ、僕が大人しくしてれば済む話か。

 

 

 

 

 

 

 

 

せっかくだから、他の人の手料理も食べてみたかったから、ご馳走になります。

 

 

 

 

 

 

ロック

 

「ど、どうですか?一応、パレオさんから薄味が好みと聞いてるので……」

 

 

 

 

 

「そうですね。すごく…美味しいです。

コレなら……お嫁さんになっても、やって行けます。」

 

 

 

 

 

ロック

 

「お、お嫁さん!!?」カァァァァッ/////

 

 

 

 

 

 

「ええ、ボクが保証しますよ。ボク何かのためにここまでしてもらって……大変申し訳ないです。」

 

 

 

 

 

 

ロック

 

 

「はぅぅぅぅ……」プシュー

 

 

 

あららら、やりすぎちゃいましたか……まぁ、良いでしょう…………何にしても絶望に突き落とさなきゃならないので…………

 

 

 

 

 

 

 

 

因みに弥助君は屋根上で待機してます。この時の気温は10℃を下回ってるのです。つまり………………

 

 

 

弥助

 

「ああ、寒っ…早くしてくれよ。

 

………おいおい、満遂にやったか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー翌朝ーーーー

 

 

 

ロック

 

 

「んん〜………」ノビー

 

 

 

「……………………。」

 

 

 

 

 

ロック

 

「ハッ!!いけない!起こさんと…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピチャ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロック

 

 

「………………………………ふぇ?

 

ええぇぇえぇぇえ!!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「 」チマミレ

 

 

 

 

ど、どどどうしよう!!きゅ、救急車呼ばな!

 

 

 

 

prrrrrrrr

 

 

 

 

 

……ダメだ、出ない。どうしよう……せめて布で止血しなきゃ!

 

 

 

 

 

「…………うぅ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

ロック

 

 

 

 

「満さん!!大丈夫ですか!!!!」

 

 

 

 

 

満さん……辛うじて息がある……でも、焦点もあってないし朦朧として、恐らくかなり時間が経ってる。

 

 

 

 

 

弥助

 

(おうおうこの焦りよう…マジで満を想ってんだな。さて、朝目が覚めたら瀕死の状態……っと、)

 

 

 

 

 

「何が………………起きて…」

 

 

 

 

ロック

 

「喋らないでください!傷口が開いちゃいます!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…もう、いいん…………です。」

 

 

ロック

 

「諦めないでください!必ず、助けます!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「………自分の…死の……瞬間くらい……分かります……ただ、一つ心残りがあるとするなら……」

 

 

ロック

 

「何ですか!!

私、絶対に満さんの願い…叶えます…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………キミとの…愛情に……もっと………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロック

 

「…え…………」ボーゼン

 

 

 

 

 

そのまま満さんは動かなくなってしまった。

 

 

最後の方が聞こえなかったけど…愛情が…?もしかして、もっと欲しかったん?それならそうと言って貰えたら、いつだって…………分けるのに…………。

 

 

 

 

 

 

 

ロック

 

 

「ううう…………」ジワァ

 

 

 

 

 

 

 

ロック

 

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!!」ポロポロ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弥助

 

 

 

「うぉい!めっちゃ泣くじゃねぇか……?

 

 

…………何だ?急に静かになってあいつまで動かなくなったぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロック

 

 

「もう、満さんってば早く起きなきゃですよ?」ハイライトオフ

 

 

 

 

弥助

 

「!!?」

 

 

 

 

 

ロック

 

「ほら、ご飯が冷めちゃいますよ。早く起きてな。」ニコニコ

 

 

 

 

 

 

弥助

 

「あ、サイン出た。けど、正直…………あの中に入る自信がねぇ……下手にやったらマジで殺される。えええい、もうどうにでもなれ!!!」ダッ

 

 

 

 

 

 

 

 

ドアバーン

 

 

「解せぬ」

 

 

 

 

 

弥助

 

「おい!朝日六花!!!戻ってこい!!ドッキリだ!!!」バッ

 

 

 

 

 

『ドッキリ

 

大・成・功!!!!』

 

 

 

 

 

 

ロック

 

 

「へへへ…………ドッキリ…ですかぁ……………………へ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

弥助

 

 

「いや、軽く事情を話すぜ。」

 

 

 

 

ロック

 

 

「じゃあ……満さんは……」

 

 

 

 

 

 

「……はい、この通りです。」スッ

 

 

 

 

 

 

ロック

 

 

「ははは…………」ヘナッ

 

 

 

ウチはいつの間にか、騙されてたんやな……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー少年事情説明中ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロック

 

「………………もう!!

こんなことすんなんて酷いです!!」プンスカ

 

 

 

 

 

 

弥助

 

「悪ぃって、じゃあ……満を好きにしていいからよ。」

 

 

 

 

 

「……え、」

 

 

 

 

ロック

 

 

「……ホントですか?」ギュムッ

 

 

 

(朝日先輩……すごい力……振り解けない…!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロック

 

「満さん〜。」キラキラ

 

 

 

 

 

 

「はい…………」トオイメ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

残すはもう、ふたつか………………

 

満………………上手くやれよ…………

 

 

 

 

 




だいぶ雑な展開になってしまった。まあ、今までのも雑だったから今更か。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

61,弥助『告白からの死亡ドッキリだ!!』満『……やめてくれよ』(絶望)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……何ですって?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弥助

 

 

「だから、ドッキリだよ!ドッキリ!!!!」バンバン

 

 

 

 

 

 

 

「…………やるにしても標的は…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

弥助

 

「目標は、あいつらだ!!!」ビシィッ

 

 

 

 

 

 

「……………………。」トオイメ

 

 

 

 

帰っていいですか。なんでよりにもよってハロハピなんですか!!こんなことしてもハッピーにもラッキーにもなれないですし、むしろ呪われそうですが……!!

 

 

 

 

こんなことしたら白鷺先輩に間違いなく別の意味で殺されますからねっ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………やりますけど…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………どんな風にやるんです……?」

 

 

 

 

弥助

 

「それはな……」ゴニョゴニョ

 

 

 

 

 

「……………………。」

 

 

 

 

 

 

彼の作戦はこうだ。

 

 

 

奥沢先輩を労うのと同時に花音先輩の大好きな水族館へ、引率する。それを輝くんが後ろから追跡する。ひとしきり楽しんだ後に二人から告白してもらい、答える寸前に輝くんが行動開始…………

 

 

うん、ストーリーとしてはいいのかもしれないですけど、他の人巻き込みかねないですよ?だってあの輝君ですから……ま、輝くんは加減してくるから大丈夫だろうけど…………他の人が来たらまずいですよ…………

 

 

 

 

特に紗夜先輩とか紗夜先輩とか紗夜先輩とか…………

 

 

 

 

 

 

しかし、なぜ告白されることを前提としてるんですか?それを聞こうにも弥助くんの行動に流されてしまい、出来ませんでした。だいたい想像はつくけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、また後で会おうぜ。」スタスタ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、ボクも誘われてたから行動開始としますか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美咲

 

 

「あー……ごめんね。せっかくの休みなのに……」

 

 

 

「大丈夫です。ボクが好きでやってる…………それだけの事です……。謝る理由も動機もないです…………。」

 

 

 

花音

 

 

「でも、ありがとう!こんな素敵な場所見つけてくれてっ!!大変だったよね?今日は……うんと楽しも!!」

 

 

 

 

 

そう言うと花音先輩に手を引かれ奥沢先輩ももう片方の手を繋ぎ、両手に花状態。対してこの状況と真意を理解出来てない彼が一人いた。

 

 

 

 

 

 

「さて、そろそろこっちも動くとしますかねぇ……。」スタスタ

 

 

 

 

 

 

美咲

 

 

「すごい……クラゲって…間近で見ると…………キレイ……なんか空を眺めてるみたい。」

 

 

 

 

 

 

花音

 

「うん、クラゲを眺めてると……自然と悩みも消えてくんだ。」キラキラ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………………………。」

 

 

 

……確かに、空を眺めてると悩みなんてどうでも良く思いますよね。実際、宇宙からしたら人類のひとつひとつの悩みなんて些細なものです。それは、クラゲや他の生き物も例外ではないかと…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………?アレは……。」

 

 

 

 

 

 

「………………」

 

 

 

ふと振り向くと、そこには何故かペンギンの赤ん坊が自分の足元に寄ってきてる。ひょっとして、この子ははぐれたのかな……それで探してる間にボクを見つけて親と勘違いしたのかな…………。可愛い…………

 

ボクが歩くと、その子も後ろから必死に歩く。カワイイ……

 

 

 

 

 

って、なんか増えてませんか?

 

最初は1羽だったのに今じゃあ五羽になって増えてるんですけど…………

 

 

 

美咲

 

「…………どうしたの…?その子達……」ジトッ

 

 

 

 

花音

 

「カワイイ…!すごく懐いてるね。」ヨシヨシ

 

「〜♪」

 

 

 

花音先輩が一羽のペンギンを撫でると、今度は花音先輩に一羽寄ってきた。どうやらこの子達は単純に……人懐っこいのかもしれないですね…………全く、可愛らしくて和みますよ。

 

 

 

 

 

 

そして、昼食時でも、

 

 

 

 

 

花音

 

 

「はい、あーん。」スッ

 

 

「〜♪」モシャモシャ

 

 

 

 

 

 

美咲

 

 

「ほら、キミはこっちね〜。満くん食べられなくなるからね〜。あたしと一緒に食べようねー。」

 

 

花音先輩は着いてきたペンギンに餌付けし(言い方悪すぎるwww)、奥沢先輩は一羽のペンギンを自分の膝の上に乗せ頭をくすぐってた。互いに楽しそうでよかった。

 

 

 

一方…………ボクはと言うと…………

 

 

 

頭の上に、腕の中に、膝の上にそれぞれ一羽ずつ乗っていた。一羽だけならまだなんとかなるが、三羽ともなるとさすがに重い。あと、食べにくい。

 

 

 

 

 

 

 

花音

 

「」ムゥ

 

 

 

 

 

花音

 

「満くんってば、ペンギンさんばかり遊んでないで……わ、私にも…構って…。」ギュウウウ

 

 

 

この光景にむっとしたのか花音先輩はすぐさま隣に移動し、抱き寄せ肩に頭を乗せ始めた。しかし、これは奥沢先輩も同じようで、彼女も同じことをしてきた。

 

えっ、ちょっと待ってください…………え?

 

 

 

 

どうなってるんですか?

 

 

 

 

 

彼女たちの行動が分からない……何故こんなにも露骨なやり口でいくのだろうか…………何よりも…………奥から刺さる視線放たれる嫉妬の念……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

 

「__________」ギリッ

 

 

 

 

 

(ヒィイイイイ!!!!あれ激おこじゃないですか〜!!

ちょっとでも気を抜こうものなら確実に殺されちゃう!!!いや、違う!!!よく見たら二人も瞳に光が少し欠けてる!!!どっち選んでも嫌な予感しかしないんですけど〜〜!!!!!!)ピクッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

(お二人はやはり手強い…もう手段を選ぶ時間も少ない……一刻も早く想いを伝えなくては……)

 

 

 

 

 

 

飼育員さんだろうか、見つけたとたんこっちに寄ってきて、申し訳ございませんといって連れて帰ろうとした。別に迷惑はかかってないからいいんですけど……その一羽が僕の側から離れない。きっと最後まで親だと信じ込んでるのだろう。だから…………せめてもの思いで、頭を優しく撫でるとその子は嬉しそうに身体を上下に動かし、コチラに手を振るように動かした。その光景を見た人々は、とても穏やかな表情をしてました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……さて、そろそろ時間だな……」スチャッ

 

 

 

一方、輝は魔具のエボニー&アイボリーを構え、屋上から彼の登場を待った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美咲

 

 

 

「今日は、楽しかった。ありがと。」

 

 

 

 

 

 

 

「はい、ボクも久々に楽しめた気がします。」

 

 

 

 

花音

 

 

「ホント?よかった。

 

 

あと……もうちょっとだけ時間……良いかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………はい、平気です。」

 

 

 

 

遂に来た……運命の瞬間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日は沈みかけてる。そんな状況と言ったらひとつしかない。

 

 

 

 

 

 

花音

 

 

「あの…ちゃんと聞いてね。

 

 

私、君のこと…好き…です………大好きです!」カァァァァッ

 

 

 

 

 

 

美咲

 

「まあ、花音さんも言ってたように……私も……最初は、後輩として見てたんだけど……助けられてく内に、いつの間にか君のこと……本気で好きになってたみたい……でも、君にはみんなに好かれてた……だから!!花音さんと協力して……振り向かせたかった……だから……」

 

 

 

 

 

 

 

 

よく見ると、奥沢先輩の瞳から涙が流れてた。ここで逃げれば楽なんだろうがそれは永遠の恥となる。

 

 

 

だからここで自分の思いの丈をぶつける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「二人の気持ちは分かりました……」

 

 

「!!」

 

 

 

 

 

「ボクも二人にここまで好かれてることを知った時は凄く嬉しいですし、誘ってくれた時も、とても……だからこそここで言わせてください。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人は目を閉じて答えを待ってる。

 

さあ、いくんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ボクは……二人の気持ちに応えることは出来ないです。」ペコリッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばしの沈黙の後、

 

 

 

 

 

 

美咲

 

「…………そっか……。」

 

 

 

 

 

花音

 

「一応……理由………聞かせて欲しいな……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ボクには…心に決めてる人がいるんです。その人の想いを裏切ることは、したくないです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人は悔し涙を流しながらこう言ってきた。

 

 

 

美咲

 

「じゃあさ……、ハグ………して。」

 

 

もう、やるしかない。

 

 

 

「……。」両腕開き

 

 

花音

 

「良いの?」

 

 

 

 

 

 

「ボクの気が変わらない内に…恥ずかしいので……。おねがいです…」

 

 

 

 

 

 

 

それを聞いた二人は溜め込んでたものをぶちまけるように抱きついた。とても暖かい………しかし、それも直ぐに終わりを告げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼の放つ二発の銃弾で……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……Good night……。」スタスタ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼のお腹あたりが妙に温かい………不思議に思い瞼を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それこそ間違いなのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美咲

 

 

「 」

 

 

 

 

 

 

美咲

 

「……は?」

 

 

 

 

口から溢れ出る血、腹部から火傷の痕…というより、銃痕。

 

 

腹部を貫かれ、心臓部に突き刺さる髑髏の剣。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、輝だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「満…?おい、お前ら急いで救護しろ!!」

 

 

 

美咲

 

「…………。」ガシッ

 

 

この時のアタシは自分でも怖いくらい冷静だった。何故、こんなタイミングで来たのか、何故満の居場所を知ってるのか、何故親友の満を殺したのか、その全てを問い質した。花音さんは今の現状を理解出来ずに固まってる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

輝はしばしの沈黙の後、

 

 

 

 

「……知らないままでいりゃあ……楽だったろうにな…」チャッ

 

 

そう言って銃を突きつけてきた。今まではオモチャの銃でイタズラもされたが今度のは本物らしい。でもそんなのどうでもいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

美咲

 

「何でっ!!!何でっ!!何でこんなことしたの!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

「…………………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

美咲

 

 

 

 

 

「……答えてっ!!!!」キッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……良いぜ、教えてやる。」グッ

 

 

 

 

 

 

美咲

 

 

「!!!」

 

 

 

 

パァンッ

 

 

 

 

 

『ドッキリ

 

 

大・成・功!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……こういう事さ。」フッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花音

 

 

「…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま、そういう訳です。」ムクッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美咲

 

「満!!キミ起きて平気なの!?」ユサユサ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……まぁ、何とか……………ならないかもです……。」ダラダラ

 

 

 

美咲

 

「………?」クルッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千聖

 

「 」ゴゴゴゴゴ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後の展開は、御察し……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千聖

 

「これに懲りたらもうこんなこと辞めなさい。」ジロッ

 

 

 

 

 

「……はい、」

 

 

 

 

 

千聖

 

「輝。貴方もよ。」

 

 

 

 

「ふぃーっす。」シラー

 

 

 

 

 

 

 

千聖

 

「 」ピキッ

 

 

 

 

 

 

千聖

 

「そう……まだ足りないみたいね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

千聖

 

「美咲ちゃんに花音。満くんを連れて来なさい、私は彼を借りるから…」ニコォ

 

 

 

 

 

 

「…はぁ、参ったよ。降参だ。」テヲアゲ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、輝は女優白鷺千聖にこってり絞られたとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その一方で……

 

 

 

 

 

 

 

 

美咲

 

 

「……まあ、あんな結果だけど、一応……楽しかった。」

 

 

 

花音

 

 

「うん、でも他の人にやるのはメッ!だよ?」

 

 

 

 

「…はい、お詫びの印に……。」ギュッ

 

 

 

 

 

美咲

 

「ふぁああああ!!!?」カオマッカ

 

 

 

 

 

ボクは様々な感情を持ちながら抱きしめた。すごい恥ずかしそうにして顔を赤く染めあげる。ボクの方が恥ずかしい思いをしてるのは言ってはいけない。彼女達の思いを乗せて伝えたい人がいるから……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少しして二人は納得したような顔で、ちゃんと幸せにしてあげてと言われる。ボクは何も言わず振り返ることなく、ただ手を上にかざすだけにして走っていった。

 

 

 

美咲

 

 

「行っちゃいましたね……」

 

 

 

花音

 

「うん。」

 

美咲

 

 

「花音さんはこれで良かったんですか…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

花音

 

「…だって、紗夜ちゃんと満くん以上に似合う人なんて……いないもん…。」

 

 

沈む夕日に映る二人は泣いていたが、とても美しい微笑みを見せていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

「…何だか…一人で勝手に舞い上がって……馬鹿だわ……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やっぱり、紗夜先輩は最初に出会った場所で座り込んでる。ここで逃げちゃダメ……ちゃんとボクの全てをぶつけるんだよ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紗夜先輩……!!」

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

「!!!

 

 

…………………何で……何で来たんですか…。」

 

 

 

 

 

 

 

「…………ボクは貴方を……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

「やめて!!!これ以上…私に優しくしないで!!!!満さんは松原さんを選んだんです!!!もう、私を傷つけないでくださいっ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………っ!!」

 

 

 

彼女の瞳からは大粒の涙が溢れている。だが、だからこそここで先輩の誤解を解いてかなきゃ……。

 

 

 

 

 

 

「……それは、二人が思い出に残したい…………そう言ってきたから……ボクはそれに従っただけのことです……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女は顔を上げ驚いてた。無理も無いだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼も、枯れきっていたはずの涙を流してたから……その表情はあまりに悲痛なもので逸らすことは出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

「なら、貴方が…………愛した人って…………!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ギュッ

 

 

 

 

 

 

 

「……紗夜先輩以外に……居ない…………です…!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

それを聞いた瞬間、欠けていた何かが埋まり始め、彩が戻り時が進み、闇の中に囚われてた私自身を、光で照らしてくれた。好きだと思ってたのは自分だけだと思ってた。だが、彼も私の事を愛してくれてた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつけば、私は彼を抱きしめた……彼よりも強く激しく…………。

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

「あ、あああ……!!」ポロポロ

 

 

 

「ボクの……隣りを……歩いて欲しいです。」

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

 

 

「…………………はい!!!」

 

 

 

 

今の彼女はとても美しい心底幸せな顔だった。

 

 

 

 

 

紗夜

 

「これで……私達は…………恋人……になったんですね……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………はい、ボクは嬉しいです。貴方にこの思いを伝えられて……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう呼ぶ彼を横目に、

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

「はい…!!!」ニパッ

 

 

 

 

 

 

 

 

屈託のない笑顔を魅せた。

 

 

 

 

 

 

弥助

 

 

「……なるほど……アイツも……遂に思いをぶつけたんだな………けど、直ぐにそれも終わるだろうさ……だってよ………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弥助

 

 

「アイツはもう……この場所で『消える』からな。」

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「……弥助……。ほんとに、これでいいのか?」

 

 

 

 

 

 

弥助

 

「平気さ、アイツは1人でも生きていける。」

 

 

 

 

 

海音

 

 

「……………だといいがな…。」

 

 

 

 

 

 

 

幸せを堪能してる間にも、彼の道は途絶えようとしている。




はい、完全にメインヒロインを正式に決めました。感謝します。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

62,満「今回もやりますね…。」紗夜「これで最後ですね…。」

 

 

 

 

 

 

prrrrrrrr……

 

 

 

 

 

事務所内に電話のコール音が鳴り響く……

 

あの戦いから数日経ってから、ひっきりなしに彼女達から電話が掛かってくる。相手は勿論……………………彼だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい。此方、便利屋事務所です。」

 

今はもう、怪獣の気配はなく、便利屋事務所へと改名。海音君は人間として生きるため、地球を離れた。

 

 

 

 

 

今やボクがこの街を守る番なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

『あの、満さん…………今は…お時間は大丈夫でしょうか…。』

 

 

 

 

 

 

電話をかけてきた主は氷川紗夜先輩。今思えば出会いは最悪な形で終わったけど、それを通じて今がある。

 

 

 

 

「いえ、ボクは平気ですが…………何か?」

 

 

 

 

紗夜

 

『その…………電話越しでは言いにくいので、指定した場所に来ていただけませんか?』

 

 

 

なんだろう……紗夜先輩がここまで吃るなんて、ただ事じゃないな…………コチラも相応の覚悟で行った方がいいかもな。

 

 

 

 

 

 

「分かりました。場所の詳細を。」

 

 

 

紗夜

 

『はい、場所は…………』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

来てしまった。ココは、今井先輩と紗夜先輩が初めてボクと出会った場所…………現在は冬の季節、ポロポロ降りしきる雪景色。そんな一面雪だらけの空間に、彩りを飾る存在が……

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

「………………お待たせしてすいません。」/////

 

 

 

 

 

 

白かった場所が一瞬にして色づいてく。

青いカーディガン、紺のロングコートを着込んで白いニット帽、デニムパンツと革のブーツを履いた……

 

 

 

 

 

 

「_______ッ!」

 

 

 

 

 

紗夜

 

「ど、どう……ですか。

 

…………変じゃないですか?」/////

 

 

 

顔を赤く染めながら髪をなびかせる先輩がいた。ボク以外の男性だったら確実に心を奪われていたでしょう。まあ、かく言うボクも先輩がこんなにも綺麗な人だとは思ってなくて、一瞬ときめいた。

 

 

 

 

「いえ……とても、素敵です。」

 

 

 

そう微笑んで返した。彼女は気恥しそうに手を差し出し握ってきた。かく言う彼も、

 

 

 

 

 

 

 

「………………。」ガチガチ

 

 

 

 

ものすごい緊張している。コレならまだ怪獣たちとやり合ってた方が楽だと思う。

 

 

 

 

 

 

「えと、どこに…行きましょうか…。どこまでもついて行きますよ。」

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

「……そう言うのは、普通は満さんが先行するのではありませんか?」

 

 

 

 

 

「……ボクは貴女の行きたい場所なら、何処でも満足です。」ニッ

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

「……もう、あなたと言う人は…。」///

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

「……なあ、コレをホントにやるのか…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

弥助

 

「大丈夫さ!アイツなら何度でも帰ってくるさ!!だからここで心置きなくやれ!」

 

 

 

 

海音

 

「……だが、オレの……『閻魔刀』の力を忘れてはないだろ…?これで奴を斬れば……間違いなく……。」

 

 

 

 

 

 

 

弥助

 

「アイツがずっと苦しんでもか?」

 

 

 

海音

 

「……………………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

「ほら、満さん…口、開けてください。」スッ

 

 

 

 

「…?

ああ、わかりました。ありがとうです。」パクッ

 

 

 

彼女の手に摘まれたポテトを指ごと食べました。その瞬間周りから視線が刺さるも、彼は全く意に介さない。それくらい、彼も少しは幸せになってるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

あ、満さんの口にポテトが、

 

 

 

私はそれを手で拭い取り口に入れる。彼も若干驚いた顔をするもすぐに元に戻る。

その後も、

 

 

 

 

紗夜

 

「相変わらず満さんは、フクロウに好かれているのですね。」

 

 

 

 

「……紗夜先輩のほうが……ずっと、キレイです。」

 

 

 

紗夜

 

「!!

 

…………もう、…………バカ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

そのまた後も、

 

 

 

 

紗夜

 

「満さん、あなたも男性だということで目線が移ってしまうのは仕方の無いことかもしれませんが、今は…………私に…集中して。」

 

 

 

 

 

「…………大丈夫です。何時いかなる時でも貴方を考えない日なんてありませんよ。」

 

 

 

 

紗夜

 

「……そ、そんな事言って……騙される私では、ありませんから…。」カオマッカ

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなでたくさんの場所をめぐり楽しめた彼女だった。日が沈みかけた時、こんなことを聞いてきた。

 

 

 

 

紗夜

 

 

「満さん…………。」

 

 

 

 

 

「…………何でしょう…。」

 

 

 

 

 

紗夜

 

「……私には……ドッキリは仕掛けませんね…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………はい?」

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

「…………答えてください…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼は背中から彼女に抱きしめられてる。身長は氷川の方が高いので、必然的に覆いかぶられる状態だった。

背中越しから聞こえる彼女の胸の鼓動……。悪いものでは無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴方に…………ドッキリを仕掛ける気は……一切ありません。」

 

 

 

 

彼はポケットから小さな箱を取りだし、彼女に渡す。

 

 

 

紗夜

 

 

「これは……まさか…!」

 

 

 

 

 

「中身は、家で開けてくださいね。楽しみを減らすなんて良くないですから……」

 

 

 

 

そういうと、彼女は安心したのか彼の横を歩いては肩に頭を乗せたのだ。ホントの男は興奮するのが定石なんだろうが、彼は一切動じることなくただただ受け入れてた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

「……好きです……愛しています……。」

 

 

 

 

 

 

 

「…………嬉しいですね……。ここまで振り回しておいて好いてくれるとは……

 

 

 

まさか、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………ここまで予測通り事が進むなんてね……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

「?

 

 

あの…………満さん、一体なんの」

 

 

 

 

 

 

 

 

傍から見れば微笑ましいカップルであろうこの風景……しかしそれを切り崩すものが近づいてく。まるで、その時が来たように…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「………………満。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やぁ、早い到着……いや、ちょうどいいタイミングだね。流石海音くんだよ。」

 

 

 

 

 

突如現れた海音、閻魔刀を満の背中に突きつける。

氷川は状況を理解出来ずに駆け寄ろうとするも、目の前の見えない壁に塞がれてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

「海音さん!!どういうつもりですかっ!!!満さんを…………親友の満さんを!!」

 

 

 

 

 

海音

 

 

「……悪いが、答える時間は無い。もうあとは無いんでな。」

 

 

 

 

 

 

「紗夜先輩……逃げてください。」

 

 

 

紗夜

 

「嫌です!!満さんも一緒に!!!」

 

 

 

 

「ボクはこれまで数えきれない罪を犯した……どこへ逃げても変わりませんし、何より大罪を犯して未だに逃げ延びられると思えるほど、僕も…………気楽ではないんです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「そういう事だ……悪いな……紗夜…………これもお前らを守るためだ。」

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

「満さん!!」

 

 

 

海音

 

「今一度聞く。

 

最後に言いたいことはあるか……?」

 

 

 

 

 

 

 

「……紗夜先輩…………コレからは、ボクがいなくとも誰にも縛られることなく、自由に……生きてください……。それがボクの『最後の約束』ですよ。」

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

「嫌です……嫌!!!そんなこと言わないでください!!!最後まで生きてください!!早く……私の手を取って……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今ここで逃げても…………状況は一転しないことは……先輩がよくわかってるはずです……。」

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

「分からない!!!

 

分かりません!!!!

 

 

 

 

 

 

分かりたく…ありません!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫です。暫く会えなくなるだけです。またすぐに戻りますよ。それに、貴方はもう…………ひとりじゃないですから。」

 

 

 

 

 

 

ガッ

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

「!!

離してください!!まだ、言いたいことが!!」

 

 

 

 

 

 

「……いつまでも目を背けても同じさ。アイツは同じ時間を何度も何度も死に戻ってる。お前らの想像以上に、アイツは苦しんでるんだよ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それなら、一刻も早く終わらせて楽にしてやるのがせめてもの救いってもんだろ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今まで、ほんとにありがとうございました…………。短い間でしたけど、ボクは…………貴方をいつまでも想い続けてます。」

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

「……あ……………………。」

 

 

 

海音

 

「お前を抹殺したあと、残った書物はオレの方で処理しておく、今の今までよくこらえたな……。」

 

 

 

「うん、心置きなくここの地を切り離してくれ。大切な人をお互いに見つけたんだ。手、出したらダメだよ……?」

 

 

 

海音

 

「まさかな……どちらかといえば恨まれる方じゃないか?」

 

 

 

 

「それも、そうだね。」エヘヘッ

 

 

 

「それと、ボクを殺したら、すぐにここを離れて欲しいんだ。やって欲しいことがあるから……」

 

 

 

 

 

 

海音

 

「……?そんなものあったか?」クビカシゲ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほら、アレだよ……アレ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

「そうか、そうだったな……思い出した……わかった……すぐにその場から離れるさ。」フッ

 

 

 

 

「…………ありがとう…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お別れの挨拶は済んだか……よくここまで手の込んだことをできたな?」

 

 

 

 

 

「……うん、彼女たちに思いを確かめるために八日間も猶予をくれてありがとう。」

 

 

 

海音

 

「…………せっかくやるんだ。このくらいの融通はきかせるさ。世話になったな…………『()()』。」

 

 

 

「また会えたなら、その時は………二人でご飯……食べようか。」

 

 

 

海音

 

「……フッ、その時には是非ともそうさせてもらう……。」カチャッ

 

 

 

「先に待ってるね………海音くん……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「……先に向こうで昼寝でもしているがいい……オレもすぐに向かうさ。」

 

 

 

 

 

 

 

「最期にボクを殺してくれる人が、海音くん(キミ)でよかったよ。」

 

 

 

海音

 

「それは、嬉しい限りだな。オレもお前と出会えたことを誇りに思うな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紗夜先輩......。           」ボソッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

「  え...?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海音

 

 

「……………またな……。」スウッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いま、この時を以て、執行する……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

「待ってください……!!満さん!!!お願いします!!やめてください………!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

「満さ 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザシュッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「 あ ああ…」ゴトッ

 

 

 

 

ドサッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

 

 

「 」

 

 

海音

 

 

「……Good night(いい夢を見ろよ)……。」スタスタッ

 

 

 

 

 

 

 

 

Good luck(幸運を祈るぜ)…。」スッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

閻魔刀で心臓を刺された彼は力なく倒れ込みピクリとも動かなくなった。

罪を犯したなら、それ相応の罰が下るのは当たり前だ。しかし、彼女はそれを受けきれずにいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

 

「 ああ

 

 

 

 

 

 

 

あああああぁあああああぁああああああああああああぁぁぁ!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

 

 

いやあああああああああああああぁぁぁ

!!ああああああああぁぁぁ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日菜

 

 

「お姉ちゃん……いる?」

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

「…………日菜…せめてノックしてから入ってきて……。」

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

 

「ほら、日菜が来ましたよ。起きてください。」ユサユサ

 

 

 

 

 

紗夜

 

「もうドッキリは終わりですよ。早く起きてください。」ユサユサ

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

「満さん、あまり私を怒らせないでください。いつものように立ち上がってください。」

 

 

 

 

 

 

日菜

 

 

「いつまで現実から逃げてるの…?そんなことしても帰ってこないんだよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

 

貴女に何が分かるのっ!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貴女は失うことがないからそんなことが言えるのよっ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギュッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日菜

 

 

 

「わかるよ・・・・・・・私だって満君のこと・・・・好きだったもん。」

 

 

 

 

 

 

日菜

 

「………本当に勝手だよね。でも、満君は幸せなんじゃないかな。大好きなお姉ちゃんがいる空間の中で死んじゃうんだもん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

「………………」

 

 

 

 

 

 

 

日菜

 

 

「……そうやって目を背けるのはできるよ。」

 

 

 

 

 

 

日菜

 

「でも、それは……あの子の…………満君の想いを裏切ることなんだよ。そんなのは…………いくらお姉ちゃんでも、許せない。」

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

「……日菜………………

 

ぅぅぅぅ!!!」ジワァ

 

 

 

 

 

 

 

 

日菜

 

 

「今は、泣きたいだけ泣いていいよ。誰も……責めないから!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

「 うわあああああああああああああああ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日菜

 

「よしよし……辛かったね…頑張ったよ!!アタシだって泣きたいよ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弥助

 

 

「……じゃあな。向こうでも元気でな!」

 

 

 

 

海音

 

「……また会おう。」

 

 

 

 

「さて、帰るか!兄貴!!」ニカッ

 

 

 

 

 

海音

 

 

「……ああ、安らかに…………眠れ。」スッ

 

 

 

ダァンッ

 

 

 

 

バスッ

 

 

 

 

 

 

 

ドサッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

満さんが殺された直後、二人の悪魔兄弟の死体もすぐそばで発見されました。警察の皆さんが駆けつけてきた頃には、二人の死体は消えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼を失ってとても苦しいし、とても悲しい。本当なら後を追いかけたい。

 

 

 

 

でも、そんなことをしては、彼にきっと嫌われてしまう。それだけが怖かった。それに、日菜の言う通りそれは彼の願いと想いを裏切ることになる。彼を愛しているからこそ、私は_______

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紗夜……準備はいい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

 

 

「はい、

 

 

 

 

 

見ていてください…………満さん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

「私は…………貴方と一緒に『輝きます』!!!!」

 

 

 




…………すんませんした。なんでもやるんで許してください。

( ∩≧Д≦∩) ンア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙~~!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

幕間(満√)
63,愚図【恨みたいのに___恨めない】


現代編に移行するその前に、彼の生きるそれ即ちやり直すチャンスをください。
ってことなので幕間いきます。


 

 

 

『ベリアルさん!!』『ベリアルっ!!!』

 

 

 

 

 

誰だろうか……僕の名を呼ぶ者は……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………ココは……。」

 

 

 

 

 

 

そうだ…。ボクは…………帰って…来たのか……来ちゃったのか…………。しかも、その姿は………………闇に囚われる前の……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボクは、あの時…………。

 

 

 

 

 

_____________

 

 

 

 

 

ケン

 

 

「ベリアルっ!!!」

 

 

 

 

ベリアル

 

 

「…………ケン……。どうかしたの。」

 

 

 

ケン

 

「仕事ほっぽって平気なのか?」

 

 

ベリアル

 

「……別に、休憩してる最中だから……。」

 

 

 

 

ケン

 

「今日は休むって聞いたぞ。」サボルキカ

 

 

 

ベリアル

 

 

「………………。」バレテルヨ

 

 

 

 

 

 

 

 

ケン

 

「………………お前らしくないな。あれだけ強くなりたいと必死だったにもかかわらず……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

「………………正義の力だけが、ホントに『強さ』に繋がるのかな。」ウツムキ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

 

 

「ボクは強くなりたい。ケン…………君を超えたい。

 

 

 

でも、君と同等の領域に達していても、超えることが出来ない…………それなら+‪αを加える必要がある。」

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

 

「闇の力も、光とひとつになれば、強大な力になる…………ボクはそう捉えてる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケン

 

 

「…………………………。」

 

 

 

 

ケン

 

「ベリアル…………正気か?」

 

 

 

 

 

ベリアル

 

「これしか……君を超える手段は………………無いんだ。」

 

 

 

ケン

 

「……………………………………ベリアル……ひとつ聞くぞ。」

 

 

 

ケンは沈黙の後、こんなことを聞いてきたっけ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケン

 

 

「なら、お前は『()()()()()()()()どうするつもりだ』?」

 

 

 

 

ベリアル

 

「っ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ケン

 

 

「……オレの地位か?それとも、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()…………か?」

 

 

 

 

 

 

 

 

ケン

 

「前者ならば兎も角として、後者なら……それは絶対に許されることじゃない………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…ベリアル…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『答えてくれ』。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ボクはただ、キミに………………認めて欲しいんだ…それさえ出来れば……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キミが出来て、僕にできない…………それが僕自身……許せないんだ。だから…………ボクは強くなって…………!!)

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

「………………何にしても、支配なんて……する気も起きないから…………それだけは……信じて…………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケン

 

 

「…………………………ああ、勿論だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく考えた後、ケンは喜んで受け入れてくれたんだよね……。懐かしいな……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(コレが…………『プラズマスパーク』……相変わらず凄い光だ。コレが………………最後の賭けになるんだな……。エネルギーコアがボクを認めるか否か…………ここで終わらせなきゃ…………。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バァアアァッ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

 

「ッ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(そう…………………………か…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悲しいなぁ……。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケン

 

 

「ベリアルがっ!!!?」

 

 

 

 

 

 

ゾフィー

 

 

「……現在も黙秘を続けています。もう、これ以上は……宇宙警備法に違反したとみなし…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゾフィー

 

 

 

 

「…………光の国から『()()』する他ありません……!」プルプル

 

 

本来なら、プラズマスパークに触れることは愚か、近づくことすら許されることではない。だが、彼は自身の野望を叶えるため、彼を超える力を求めて……。

 

 

 

 

 

ケン

 

「ベリアルッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

 

 

「………………ケン…。」

 

 

 

 

ケン

 

「まだ、影響が残ってるのか…?」

 

 

 

ベリアル

 

 

 

「…………なんでもないよ…………それで…?

 

 

 

 

何しに来たの……。」

 

 

 

 

 

 

ケン

 

 

「…………わかっているはずだ。

 

 

 

 

 

プラズマスパークに触れた動機について…………

 

 

黙秘を貫いてるそうだな。」

 

 

 

 

 

ベリアル

 

 

「………………。」

 

 

 

 

 

 

ケン

 

 

「…………確かに、それは許されることではないが……なにか理由があるのなら言ってくれ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケン

 

「俺は…………お前を信じたい。」

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

 

「……。」フッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

「ケン…………君、案外鈍いんだね……。」

 

 

 

 

 

 

 

ケン

 

「………………?」キョトン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

「………ボクも…………『あの女(マリー)』に惚れていたんだよ……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケン

 

「…………えっ…!!」ナンダト!!?

 

 

 

 

 

ベリアル

 

 

「……やっぱり……気づいてなかったんだね。」ハハハッ

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

 

「キミがボクに打ち明けるずっと前から……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

 

「あの時は…………すごく傷ついたよ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、君を前にすると言うに言えなくて………………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

 

「………………キミに譲った……………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガンッ!!!!(壁殴り)

 

 

 

 

 

ベリアル

 

 

「だったら!!

 

 

 

…………せめて、キミより……ずっと強くなって…………。二人を…………守りたかったよ……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

ケン

 

 

 

 

「…………じゃぁ……お前は……!!!」

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

 

 

 

「…………認めて欲しかっただけなのに……

 

強さを求めるばかりか…………空回りしすぎて……このザマだよ……。」

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

「……ヘヘッ…………………笑いたいなら……笑いなよ…。」

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

「」 ズルズル

 

 

 

 

ケン

 

 

「ベリアル!!!」カケヨル

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケン

 

 

「…………俺の……せいだったのか……。

 

 

オレが、お前の気持ちに気づいてやれば、こうはならなかったはずだった………それなのに………。」

 

 

 

 

 

ベリアル

 

「やめなよ…………ケン。」

 

 

 

ケン

 

 

「……だけど『止めてくれ』…。」

 

 

 

 

ベリアル

 

 

「誰かのせいに出来たら、楽になれるかもしれない。今った事も…………君のせいにするような言い草だよ…………

 

 

 

 

 

でも、それだと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボクが()()()ように感じちゃうでしょ…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケン

 

 

「だが、それだとお前が…………!!」

 

 

 

 

 

 

振り返る彼の素顔を見て一番の驚愕を見せる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

 

 

「キミのことを………『()()()()()()』んだよ…………!!!」ポロポロ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケン

 

 

「っ!!!」

 

 

彼の思いに押され何も言えなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

 

 

「お願いがあるんだ…………。」

 

 

 

ケン

 

 

「……なんだ、なんでも言ってくれ。オレが全力で叶えてやる…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

 

「ボクが全てを話すから…………キミは何もしないでくれ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()』…だよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケン

 

 

「!!

 

 

ベリ…………ア……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようやく話してくれるそうですね。

 

 

では、改めて聞きましょう…………

 

 

 

 

 

 

 

 

何故、このような事を仕出かしたのですか?」

 

 

 

 

 

 

 

(ケン………………)

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

 

「そんなの、これに限るさ……。」

 

 

 

 

 

 

(これで…………サヨナラだね……。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

 

「………………『支配』…!!」ニィッ

 

 

 

 

そう不敵な笑みを浮かべる反面、

瞼から一筋の涙が頬を伝っていき滴り落ちてゆく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「聞いたか!?」

 

 

 

「それってベリアルの事か?」

 

 

 

 

 

 

「なんでも、エンペラ星人の闇の力に惹かれたとかよ」

 

 

 

 

「たくっ、ケン隊長に嫉妬するなんて意味わからん!!」

 

 

「ウルトラ戦士の名折れだ!!」

 

 

 

「全くだな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「実刑判決が下った!!

 

 

 

『追放』……みたいだな。」

 

 

「はっ?ちょっ!え??!追放だけで済んだのか!?」

 

 

「おいおい、甘すぎやしないか?動機からして極刑もんだろ。」

 

 

「…実は、隊長直々に減刑を司法様の前に持ちかけてな、説得した結果らしい。」

 

 

 

 

「ケン隊長がっ!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケン

 

「………。」ウツムキ

 

 

 

 

「……やっぱり、戦友っていう意識があったからかな…。」

 

 

 

 

 

「…隊長も…………お気の毒に……。」

 

 

 

 

 

 

「そんなケン隊長を奴は裏切った。清々するぜ。」

 

 

 

 

 

ケン

 

(……これでよかったのか?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『キミのこと……恨みたくないんだ。』

 

 

 

 

『キミは……何もしないでくれ……約束…だよ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケン

 

 

(……何もするなって……そういうことだったのか……なのに……お前は必要以上に苦しんで…………!!)

 

 

 

ケン

 

(ホントに……コレが……正しかったのか?)グッ

 

 

 

 

 

 

 

 

ガンッ!!!!(壁殴り)

 

 

 

ケン

 

 

(こんなの…濡れ衣と何ら変わらないじゃないか!!!)グググッ

 

 

 

 

 

 

 

 

ケンは気づいてしまった…知ってしまったのだ。

自分の気持ちを押し殺してまで、自分達の幸せを祝福したい想い。共に切磋琢磨し、自分達を守れるくらいに強くなりたいと願う彼の渇望。

 

ケンは強く噛み締めながら、自身の行動を酷く後悔した。

 

 

 

 

 

ケン

 

 

 

「裏切り者は……!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『俺の方』じゃないか……!!!」ポロポロ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(許してくれよ…でもこうしなきゃ……)

 

 

ベリアル

 

「ハァ……………………ハァ…。」ズルズル

 

(ボクがやったことに……後悔なんてない。)

 

 

 

 

 

 

 

(あるとするなら、君を…………超えられなかったことかな…

 

 

 

 

 

 

 

ボク自身のプライドがそれを許してくれなかった……。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(もう、二度と会うことは無いだろう…………

 

けれど、こんなボクだから……孤独に押しつぶされて……戻ってくるかもしれない。その時には…………。)

 

 

 

 

 

(ボクを、『()()』だと思うな……!

 

 

 

一体の敵として…………殺すつもりで来るんだ……!)スゥゥゥ

 

 

 

 

 

 

この時から、彼の体は…………いや、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プラズマスパークに触れた瞬間から……彼の心身ともに闇に侵されて蝕まれていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

憎い……憎い …憎い憎い憎い憎いニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

破壊……シテヤル…!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

「……!!止めろっ!!!ボクは!!」

 

 

 

 

ガシッ

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル(闇)

 

 

「オレは貴様自身だ…。オレは貴様が今考えてることを、実行するだけだぜぇ?」クックック

 

 

 

 

 

ベリアル

 

「…ボクは……何も……望んじゃ いない…!!」

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル(闇)

 

 

「……ほざけ…。」ギリギリ

 

 

 

 

 

ダンッ!!!

 

 

 

 

 

 

ベリアル(闇)

 

 

 

 

 

()が欲しいだろぉ?お前の願いが、いま……叶おうとしてるんだぜ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

 

「……ぅ……………ぐ……!!」グググッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル(闇)

 

 

 

 

 

「さて、

 

 

 

 

 

 

 

『ウルトラマンベリアル』が、銀河の王になる日は近い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クククク………後は『こっち』に任せろよ………!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フフフフフフ……フハハハハハハハハハハハハハァァッ!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

 

(ぐあああぁあああああぁあああああああああああああああああああぁぁぁあああああああああああぁぁぁあああああああああああぁぁぁあああああああああああぁぁぁあああああああああああぁぁぁあああああああああああぁぁぁあああああああああああぁぁぁあああああああああああぁぁぁあああああああああああぁぁぁあああああああああああぁぁぁあああああああああああぁぁぁあああああああああああぁぁぁあああああああああああぁぁぁあああああああああああぁぁぁあああああああああああぁぁぁっっっっっっ!!!!!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

己の闇のデスシウム光線を浴びて、カラータイマーの光ごと奪い取っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『それだけは……信じて欲しい……。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ああ、勿論だ!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

 

(ケン………ボクが…もっと強かったら………

 

 

 

 

 

 

 

 

この悪魔は生まれることは、無かったの…かな…………?

 

 

 

 

 

 

 

 

それとも、ホントに正義の力だけじゃ……越えられないものなのだろうか……。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

(もし、「違う」………そう言うなら、一生のお願いがあるんだ…………。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

 

(ボクを(悪魔を)……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タスケテクレ(殺してくれ)…………………!!_______)

 

 

 

 

 

 

 




僕も、ウルトラマンベリアルは、どうも単純悪では無いように感じます。
皆さんもそう思いますよね?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

64,長きに渡る因縁/こんなの望んでないッ!!!

ーーー光の国__M78星雲ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル(闇)

 

 

 

『帰って来たぜぇぇぇ!!!!』クハハハッ

E:ギガバトルナイザー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

攻め込んでくる悪魔、大勢のウルトラ戦士が掛かるも、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル(闇)

 

 

 

「邪魔だァっ!!!」ブンッ

 

 

 

 

 

ギガバトルナイザーをひと振りで数十人の戦士を薙ぎ倒す始末。あのウルトラ兄弟ですら簡単に蹂躙し、ヒカリとメビウスとの対峙ではヒカリを戦闘不能にまで追い込み、メビウスに至ってはギガバトルナイザーで地球の彼方まで吹っ飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プラズマスパークタワーに乗り込んだ際も、護衛のウルトラ兄弟を秒殺、嘗ての親友でありライバルだったウルトラの父も、嘗て自身が愛したウルトラの母までも完全に封殺。

 

 

 

 

 

 

 

タロウ

 

「!!!

 

 

 

 

 

父さんっ!!!

 

 

 

 

母さんっ!!!!」ボロボロ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル(闇)

 

 

 

 

「貴様との戦いは少しばかり面白かったが、ここまでだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タロウ

 

「………っ!!!」ギリッ

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル(闇)

 

 

 

 

「ケンも情けねぇなぁ……!!

 

 

 

お前の息子がこんなになってでもオレ様に立ち向かってるのに、お前は地べたに這いつくばって……無様だな!!!」ハハハハハハハァッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

 

「お前もよく見ておけ……コレが……

 

 

 

 

 

『光の国の最期』だァっ!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう叫び、プラズマスパークを引き抜き、その場を立ち去った。ウルトラ戦士は寒さに弱い。プラズマスパークは人界で言うところの人工太陽。その太陽を失ったのだ。それ即ち、ウルトラマンたちにとっての氷河期が訪れたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タロウ

 

 

「この光だけは持たせてみせる!!!!!」ハアアアアアアアッ

 

 

 

 

 

 

タロウのウルトラダイナマイトで辛うじて保ってるが、それも蛍火の様な少しでも衝撃を与えようものなら、一瞬にして消えてしまうくらいの小さな光。その努力も虚しく、ウルトラ戦士は全滅。全員が凍り付いた。

 

 

 

 

 

人口太陽を失った今、ウルトラ戦士達は光を失った。

 

 

 

 

 

『ベリアルの乱』が始まったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後も幾多の怪獣を従え、全世界の征服を目論んだ。しかし、それも、吹き飛ばしたはずのメビウスと地球人のレイオニクスの従える怪獣と、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼロ

 

 

「そんな野望……!!

 

 

オレが叩き潰す!!!!!!」ザシュッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル(闇)

 

 

 

「オレ様は……必ず…………帰ってくるぞ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

セブンの息子の『ウルトラマンゼロ』に倒された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこからというものの、何度も別の宇宙にて復活を遂げ銀河帝国を築き上げ、中には因縁のゼロに憑依し『ゼロダークネス』となってウルティメイト・フォースを壊滅に追い込む。が、光を取り戻した『ゼロシャイニング』に押し戻され爆発。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とまぁ……あげたらキリのないことをやってのけた。

 

 

 

因みに純粋な戦闘力はダークザギの方が高いが、執念深さと殺意が混じるとベリアルが上回る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー数万年前ーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

ぞふぃー

 

 

「…おじさん……帰ってくる?」グスッ

 

 

 

 

マリー

 

 

「ええ、必ず……帰ってくるわ。」ギュッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ずっと…………

 

 

 

待っていたのに……!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゾフィー

 

 

「………………あ……が……!」

 

 

 

 

 

ベリアル(闇)

 

 

 

 

 

「…クク……クハハハハハハハハハハァァァッッ!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最早……互いが敵同士……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それなのに…………貴方は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル?

 

 

「______ッ!!」ツーッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貴方は…………どこかで

 

 

 

 

 

『泣いていた』……。

 

 

 

 

 

 




最後の方意味深なことを言ってましたけど、それについては、現代編が終了してからやります。評価してよね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

65,罪と罰

現代編に突入すると言ったな……あれは嘘だ。


……どこだ……

 

 

 

 

闇の中か?

 

 

 

 

 

 

 

「…………ねぇ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰だ?

 

 

 

 

 

 

 

「…………気がついたんだね…。ゼロ……。」

 

 

 

 

 

ゼロ

 

 

「……ここは?

 

 

 

さっきまでオレはベリアルと戦って…………!!

 

 

 

 

ここは一体なんだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

「ダメだよ……そこから出たら……キミは今度こそ死ぬ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼロ

 

 

「…………!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……全く…目の前からずっと見てたけど…ホンっっっっとに危なっかしい子だね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼロ

 

 

(さっきから見てた?

 

何でこいつが俺を知ってるんだ?

 

 

 

 

接点がないどころか会ったことすらねぇぞ…………?)

 

 

 

 

 

 

 

ゼロ

 

 

「!!!

 

 

 

 

まさか…………アンタは……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

 

「……うん、

 

 

 

 

 

 

『ベリアル』……だよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼロ

 

 

「____ッ!!!!!」バッ

 

 

 

 

 

 

 

 

彼はベリアルの手を振り払い構えをとる。

 

 

 

 

 

ゼロ

 

「テメェ……!!

 

 

 

何の真似だ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼の中は悪として定着していて彼の行動が理解出来てないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

 

「……まぁ…………それが、普通の反応……だよね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアルは、ゼロのカラータイマーを指し、

 

 

 

 

 

ベリアル

 

 

「けど……少なからずとも、ボクが守ってなきゃ……キミは今頃……消えていただろうね……。」

 

 

 

 

 

 

ゼロ

 

「!!!」

 

 

 

 

ベリアル

 

「……大丈夫。今……みんなが光を集約させてる……キミのためにね。」

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

「……っていっても、それも少し時間がかかる様子だから……落ち着きながら待ちなよ……。」

 

 

 

ゼロ

 

「………………さっきまで………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

「………。」

 

 

 

ゼロ

 

「さっきまでオレを殺そうとしていたベリアルは……向こうにいる。

 

 

 

 

 

……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______なら、アンタは…?」

 

 

 

 

 

 

 

現状、彼が居なければゼロは確実に闇に打ち倒されていた。しかし、やはり理解が出来なかった。悪のベリアルがこんなことをするのか……殺さないのは何故なのか……。

 

 

そこである結論が出た。

 

 

 

 

 

 

 

あの闇とは違うのでは無いのか。と、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

「言ったはずだよ……。

 

 

ボクはベリアル………まぁ、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼロ

 

 

 

「___ッ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

 

 

「『負けた方』の……………ね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼロ

 

 

「!!

 

 

 

 

 

 

 

コレは……!!?」

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

 

 

「……簡単に言えば、

 

 

 

 

 

力不足だったんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼロ……キミだったら……ボクのこと………………止めてくれるんじゃないかって……思ってね。」

 

 

 

 

 

 

ゼロ

 

 

 

「……ベリアルの光……

 

 

 

 

 

 

 

 

信じるわけねぇだろっ!!!

 

 

 

 

 

………だって……ベリアルは………闇の力に惹かれて……あの姿になったって……!!」ガクッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

 

 

「…………あぁ、そういうことにしてたね……。」ハハッ

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

 

「……まぁ、何にしたって罪を犯した事実は覆らない。

 

 

 

同じだからね。」

 

 

 

 

 

 

 

ゼロ

 

「っ!!!」キッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼロ

 

 

「『同じ』な訳がねぇだろっっ!!!!!!」ガッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

 

「っ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼロ

 

「それならっ!!

 

 

 

 

 

その罪はオレだって犯した!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼロ

 

 

「アンタはこれ以上の……罪は無いはずだ…………!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

 

「…………信じないんじゃなかったんですか?」アキレ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼロ

 

 

「ッ…………信じたく………………なかった……。

 

 

 

 

だって……!!オレは……………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼロ

 

 

「オレは……ベリアルを倒さなきゃ………!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、彼の背後から眩い光が照らし出された。

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

 

「……迎えが来たみたいだね。」

 

 

 

 

 

 

ゼロ

 

「…ぇ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼロ

 

 

「アレは…」

 

 

 

 

 

ベリアル

 

 

「アレで…キミは復活できる。」

 

 

 

 

 

 

ドンッ

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

「行きなよ……皆がキミを待ってるよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このまま…………闇に呑まれたくないでしょ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼロ

 

 

 

「ッ!!!!

 

 

オレは……アンタを……傷つけたくねぇ………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

殺したくねぇっ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

 

「はぁ…………

 

全く……。しょうがない子だ。

 

 

もう、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボクには何も無いんですよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

「ボクを助けたいって言うなら尚のこと、

 

 

 

 

 

 

 

 

『ベリアル』を倒すんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼロはノアの力を授かり、超戦士へと変貌を遂げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

 

 

「皆の光の力で……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ケリをつけてくれ』。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コレが……俺達の………光だ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その思いに答えるようにして、彼の剣がベリアルの全てを貫き、消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、もう行くのかよ。」

 

 

 

 

 

 

ゼロ

 

 

 

「……ああ、ちょっと……頭……冷やしてくる。」

 

 

 

 

 

 

「気をつけて帰れよな!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼロ

 

「……………………ああ、またな。」

 

 

 

 

 

一番助けなきゃならないはずの奴を…………救うことが出来ずに……この手で殺した。それを信用はおろか理解する人もいなかった。

 

 

 

これ以上戦う気にもなれず一度故郷に帰ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼロ

 

 

 

「…………この時の俺は『帰る』ってことしか考えてなかったからな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼロ

 

 

「まさかアンタが生き返ってたなんて思わなかったぜ!!!」バンバンッ

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

 

 

「…………まあ……ね。」イタイイタイヨ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジード

 

 

「そうなんだ……ところでどうやって生き返ったの?」

 

 

 

 

 

 

 

ゼロ

 

「そいつは追々な…。」ヘヘッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

 

「そっか…………アレから……もう、十年も経ってたんだね…。」

 

 

 

 

 

 

パァァッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼロ

 

 

「あれは?」

 

 

 

ベリアル

 

 

「…………どうやら……もう一仕事…ありそうだね。

 

 

 

行ってくるよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジード

 

「父さん…帰ってくる…よね………?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

 

「……心配しないでいい……ちょっと調べて帰る……。」

 

そう言い残し、光と共に消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアル

 

「……また会ったな…………『満』。

 

 

 

 

 

 

また、君の体に迷惑をかけるよ。」

 

 

 

そうして、彼は闇の姿を抱えたまま………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『彼女達の世界』に魂を呼び戻された。




すいません、これ以上続けると変な感じで終わるからここで行かせてもらいます。楽しみにしてくれたみんな、ありがとうございます。感想も高評価もどしどし送ってください。なんでもやります。(するとは言ってない)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

66,待っていた『いつも通り』

おまたせしました。現代編に移行します。早くしないと、氷川姉妹に殺されるので、ではでは〜。


 

 

 

 

あの人を失ってから早七年…………。彼の死と同時に怪獣の進撃はピタリと止んだ。その事実から『彼こそ怪獣達を呼び寄せていたのでは無いか』と根も葉もない根拠を並べ彼の評判は最悪に。そんな私は日菜先輩と共に学校卒業し、地球防衛軍のGATS改め、『スーパーGATS』に配属。

 

 

 

 

日々激務だが、休暇の許可がおり紗夜先輩の気を紛らわせようと提案。紗夜先輩は満くんに告白して恋人同士になり、その後直ぐに鬼龍くんに殺されて精神崩壊。廃人化まっしぐらなのだ。

 

 

 

少し前に、ひまりちゃんからある写真が送られてきたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひまり

 

 

【ねぇねぇ!!ビッグニュース!!】

 

 

 

 

 

【なんだなんだ、いつになく慌ただしいな。】

 

 

 

 

 

 

ひまり

 

 

 

「コレ見てよっ!!!これ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【…………え?コレって……】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【……満……だよな…?】

 

 

 

 

 

モカ

 

 

【やっぱり〜、どこかでこんびりしてるんじゃないかってモカちゃんの推理が当たりましたなぁ〜。】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つぐみ

 

 

 

【モカちゃんはこれを知ってたの?】

 

 

 

 

 

 

モカ

 

【そんな気はしてたんだァ〜。確証はなかったけどね〜。】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、送られてきた写真は羽織しか映らなかったが、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

間違いなく『満』のものだ。

 

 

 

でも、信じられなかった…………信じたくなかった。

 

 

 

 

だって、あの時鬼龍くんに殺されたはずだった。そんなはずの人間がここにいるわけがなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モカ

 

【サーキット場でよく見かけるってさー。どうするー?】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は半信半疑だったけど、藁にもすがる思いで向かうことにした。もしそれが本当なら、急ぎ紗夜先輩に伝えなくちゃいけない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ココだよな…。」

 

 

 

 

 

そう、満くんと私たちが初めて出会った場所。

 

 

 

 

 

今も変わらずタイヤの擦れる音が鳴り響く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………?

 

 

コレって……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蘭がレース表を指すと、気になる名前を見つけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4:『D2』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

観客のみんなは『復活のD』と呼んでる。そのDの正体が気になって私はみんなの声が聞こえなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ついにレースが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

D2

 

 

 

「……………………。」

 

 

彼は何も発することなく、イタリア産のハスラーに乗り込む。勿論ある程度の改造は施してある。速度は若干落ちたが、その点異常なまでの加速率と機動性で補填する、正しく向かう所敵無し。私たちは当然『D2』に投票。勝利すればある程度の要望に応えてくれるからそれに賭けたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全てのレースカーが走り出したがやはり彼の車だけやけに遅い。いや、一部の車だけ除いて遅い。

 

 

 

悪徳レーサー

 

「ヒャッハーー!!!

 

 

コレで今回も俺様の完全勝利だ!!!!!」

 

 

 

 

 

D2はそれを見越してタイヤを事前に替えていた。なので出だしは遅くとも追い抜くことは十分に可能。

 

 

 

 

悪徳レーサー

 

 

「……んあ?二台追いかけてやがるな…まぁいい……レース中はなんだってありだ。それも一台はあの大物じゃねぇか。コイツは驚いた。

 

 

 

 

 

 

だったらもう一台は潰すだけだ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

アナウンサー

 

「なんと三名を除くドライバーが突如の体調不良と全てのタイヤのパンクにより走行不可!!序盤から波乱としてるぞ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なんか……ズルしてる気がするんだよなぁ…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

巴が核心をついてくる。確かに数台ならまだしも、いきなり全員が走行不可なんてこと……確実に仕組まれたことが予測できる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひまり

 

 

「この試合…絶対に勝たないとね!!!」グッ

 

 

 

 

「いや、アタシたちは試合を『する』じゃなくて『観る』だから。」

 

 

 

 

 

 

モカ

 

 

 

「マジレス乙〜。」

 

 

 

 

 

 

ひまり

 

 

「もーーーぅ!!!

そんな事言わないでよ!!」ムキィー

 

 

 

 

 

 

 

 

つぐみ

 

「ひまりちゃん。試合中だから……ね?」ジロッ

 

 

 

ひまり

 

「アッハイ」ヒェエエ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………

 

ん?

 

 

 

あそこにいるのって……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悪徳レーサー

 

「オラァ!!邪魔や退けゃゴルァ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在二位の車を追突、そして追い越し急停止の極悪コンボで見事大破。走行不可となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

D2

 

「………………。」

 

 

 

 

この時、彼は既に見抜いていた。あの時、彼を刺した犯人と同一人物であり、全く同じ手口で一位にのし上がっていたから。

 

 

 

 

 

 

 

となれば、やることは一つだけ…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キィイイイイイイイイッ!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もうゴールは目の前なのに、D2はブレーキをかけ、大破者の方へ一直線。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悪徳レーサー

 

 

 

「っしゃあ!!オラァ!!!俺様が一位だ!!!!」ゴール

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………なんで来たんだよ……早く行けよ。」

 

 

 

D2

 

「………あんなルールに反する奴が一位になれるはずがない。だから……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「Afterglowのヤツらのためか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

D2

 

 

「…………………………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………まぁいい、あの時みたいにオレを…………連れてってくれるか……?」

 

 

 

 

 

D2

 

「!!!

 

 

 

 

…………気づいてたんですね。」

 

 

 

 

 

「ゴール寸前で止まってオレに一直線なあたり、そうなんじゃないかって思ったんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スッ

 

 

 

 

 

 

 

 

アナウンサー

 

 

「なんということでしょう!負傷者が出たにもかかわらず、D2選手車に乗せて後ろから押していっている!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……審判、俺の車が着いたと一緒にゴールと見なしてくれ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アナウンサー

 

 

「ゴーーーーーール!!!!

 

 

 

 

車が大破したのに後ろから押して進む!!これ程素晴らしいレースはここだけだァ!!!!皆さん、このお二人に多大なる拍手を、お願いします!!!!!!」ウオーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アナウンサー

 

 

 

「投票してくださったAfterglowの皆さんには、要望を叶える権利が与えられました。

 

 

……どんなお願いをするのでしょう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悪徳レーサー

 

 

「おいゴルァッ!!!何でそいつが一位なんだよ!!おかしいだろ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

審判

 

「いやぁ、だって他の車に細工してた君の姿が映ってましたしおすし、それに反則もしてますしね。失格って扱いっすよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悪徳レーサー

 

 

 

「ふざけんなゴルァ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言って取りだしてきた包丁。それを審判目掛けて突撃。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

D2

 

 

「………………………………。」

 

 

 

 

悪徳レーサー

 

 

 

「…あ?何だよおm おごっ!!!」ヘブシッ

 

 

 

 

一人の青年の手刀で包丁を叩き落とし、余った右手で相手の鼻を殴る。怯んだ隙をすかさず回り込み襟元を掴んでは、相手がつけた勢いをそのままにし、思い切り地面に叩きつけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一瞬の出来事だった。素早い身のこなし武道をやってる人に違いない、動きが素人ではなかった。

 

 

 

 

 

何とか解決したあと、事務所の人がD2さんと話していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…?パスパレの皆さん。ここに来てどうしたんですか?」

 

 

 

 

 

 

麻弥

 

 

「いやぁ、先程のレースの後に自分たちが突撃取材するんですよ!!でもこんなことが起きてしまった以上……難しいかもですね。」アハハ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いえ、この後は『D2』選手にのみ取材をすることにしましたよ?」

 

 

 

『……え?』

 

 

 

 

 

千聖

 

「ふふふ、つぐみちゃん。何だか行きたそうにしてるわね。いいわよ、私たちの方で言っておくから。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからは早かった。一般の人が混同でできるわけがないと思ってたが、すんなり了承されそのままD2さんの控え室の前までやってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひまり

 

 

「うう、緊張する……!!」プルプル

 

 

 

 

 

 

「仕方ないよ。『D2』さんって人は凄く気難しい人みたいだから。」

 

 

 

 

 

日菜

 

「そこで、つぐちゃん達の願いを叶えてくれるんだって!!

ついでに、素顔も撮っちゃおうか!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

麻弥

 

「いや、ダメですよ。レースのことだけの公表を条件にオッケー貰ってるんすから…。」

 

 

 

 

 

 

コンコンッ

 

 

 

 

 

「失礼します。D2さんで間違いないでしょうか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

D2

 

「………彼女たちだけを入れてください。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女たちって、私たちのことだよね。モカちゃん、絶対に何も言わずに開け…

 

 

モカ

 

 

「お邪魔しま〜す。」ガチャ

 

 

 

 

 

((((モカちゃん゛ん゛ん゛ん゛ん゛!!!!!))))

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あははー………ごめんなさい!!無理を言って…こんなことになってしまって…!!」ペコペコ

 

 

 

 

 

 

 

 

彩先輩が謝るも、彼は何も反応を示さない。と言うのも、お面を被ってるため素顔も全く分からない。

 

 

 

 

麻弥

 

 

「えと、優勝……おめでとうございます!素晴らしいレースでした!!」

 

 

イヴ

 

「あの方まで助けていただいて感謝感激です!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

D2

 

 

「……感謝されることを、した覚えはありませんが…。」

 

 

 

言葉を発したと思ったらやはり反応が悪い。

 

 

 

 

千聖

 

 

「それでは、急なのは承知ですが、本題の方へはいらせてもらいますね。あなた達、彼に何をお願いするの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうだ、お願いを叶える権利は一度きり、ここで聞かなきゃ絶対にダメだ…!!

 

 

 

 

 

ひまり

 

 

「あの、す、好きな人は つぐみ「その、お面を…取って…素顔を見せてください…!」………お願いします。」

 

 

 

 

 

 

ひまりちゃんが余計なことを言う前に防げてよかった。ひまりちゃんには、あとでオシオキしなきゃ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

D2

 

 

「……………………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

表情は分からないが、きっと動揺してるのではないだろうか。でも…彼は何も言わずにお面を取ってくれた。

 

 

 

 

 

 

その時に衝撃が走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パカッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イヴ

 

「そ、そんな…!!」ジワァ

 

 

 

 

 

 

嘘だと思ってた。まさかホントに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つぐみ

 

「………『満』………くん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、……………『ただいま 戻りました』。」ニッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの時殺されたはずだった『満』くんが……帰ってきたんだ。

 

 

 

 

 

私たちの日常が………帰ってきたんだ!!




はい、大変お待たせしました。ちょっと内容が思いつかなかったのもありますし、ほかの作品を書くにあたって原作から、どうやってオリジナリティを見出すか考えてたんです。ホントにすいませんでした!m(_ _)m


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

英雄、再臨す! (満√)《現代編》
67,いつまでも、先輩は先輩


彼がいなくなりはや七年。平和が訪れようとした時、サーキット場にて彼に似た姿があり、取材をした。お面を取ってもらう彼女たちの願いを叶えてくれたと同時に、彼は……帰ってきたのだった。


 

 

 

 

 

 

 

 

……。

 

 

 

紗夜

 

「今日は羽沢さんの所に行こうかしら。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女は成長しても、彼の事をひたすらに追い続けている。七年たった今もだ。たまには羽沢珈琲店にお邪魔させてもらうくらい落ち着いては来たが、やはりどこか寂しそうにしていた。

 

 

 

 

 

 

つぐみ

 

 

「…紗夜さん、順調ですか?」スッ コーヒー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

「………ええ、今のところは収穫はありませんね。」

 

 

 

 

 

 

 

つぐみ

 

 

「……。」

 

 

 

 

 

 

しばらく沈黙が続いた後、扉が開いた瞬間周りの空気が変わった。

 

 

 

 

 

 

 

その人が入ると、羽沢さんは急いで、私の隣の席に案内した。そんな羽沢さんはとても嬉しそうにしてた。

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

「 ……D2さん、せめて店内ではヘルメットは外して下さい。」キッパリ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

D2

 

 

「………すみません、それは事務所からの要望で、外すことは自宅を覗いて厳禁なのです。」

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

(どこかで聞いたことがある声……それに初めての感じではないわね。彼は一体……いえ、ダメ………こんな不真面目な態度、満さんがとるはずがない。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからは彼と話すことはなく、店を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

D2

 

「…………………………。」

 

 

 

 

 

向けられた視線にも気付けなかった。

 

 

 

 

 

 

 

バッ

 

 

紗夜

 

「〜〜!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

D2

 

「……では、ボクは………これで……。」

 

 

 

 

つぐみ

 

「………頑張ってください!!応援してます!!!」グッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

きっと……あの人は…紗夜先輩を追いかけるんだろうなぁ。それもそうだよね………。あんな一方的過ぎる別れをされたら、お互いに心残りだよね……。それにしても……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

満くんは……どうやって帰ってきたんだろう…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

D2

 

 

「…………途絶えた…。」

 

 

 

でも、心配はいらない……

 

 

 

もう目的地に着いてるから…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

D2

 

 

「……七年ぶりの救助任務…………やりましょうか…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボクは急いで体術用スーツを着込んで、しまっていた安全ピンを引き抜き、屋根の上から通常の数十倍の破壊力へ魔改造した破片手榴弾を落とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドォンッ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

「________ん、

 

 

 

!!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

(何で!?何で私、縛られてるのっ!?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(それに……服が破かれてる…!!!)ジタバタ

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

「んー!!!」

 

 

 

 

 

「お、お目覚めだぜ!!」

 

 

 

 

「よ、ようやく目が覚めたんだね。紗夜ちゃん…。」

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

(何で!?どうしてこの人がいるの!!?確か…あの時満さんに…!!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっと、叫んでも誰も来ないよ…防音対策はすんでるから…カメラも回ってるし…」

 

 

 

 

「そんじゃ、まずは俺から行かせてもらうぜ…!!」

 

 

 

 

 

 

 

紗夜の服に手をかけられた刹那、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドォンッ!!!!!!!

 

 

彼が落とした破片手榴弾が信管と接触し、大爆破。

 

 

 

 

 

「へぶっ!!!」

 

 

 

 

 

一人は爆風で飛んできた鉄製扉の餌食となりあえなく撃沈。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「誰だ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

D2

 

 

 

「……………いけませんよ……そんな違法行為……ボクは…見逃しません。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んだよてめぇ、正義のヒーロー気取ってんじゃねぇぞ!!!!」ブンッ

 

 

 

 

 

男が拳を振るうも、動いてすらいないのに、当たってる様子がない。そうして攻撃をし続けるうちに、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は彼に救助された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

「………あ、あの……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

D2

 

「……怪我はない………良かったです。」クルッ

 

 

 

 

 

 

「そんなにその女が大事ならそいつから殺してやらぁ!!!」ダァンッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私はもうダメ、そう思い瞼を閉じる…が、いくら待っても痛みも衝撃もない、恐る恐る開けると……

 

 

 

 

 

銃弾を放った男はいつの間にか倒れていた、きっと彼が倒してくれたのだと……。しかし、その代償は大きかったのか………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

青年

 

「……………………………。」パラパラ

 

 

 

 

 

D2のつけたお面が割れ素顔が顕となった。

その素顔を見た紗夜に電流が走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

「!!!!!!!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

(嘘………………そんな………!!!

 

 

 

 

 

 

 

あの人は………………………どうして……!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

「……………『満』………さん…。」ポロポロ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………先輩…。

 

 

 

……ただいま……あなたの元に……帰還……です。」

 

 

 

 

 

 

 

諸悪の根源とされた英雄が……

 

 

 

 

 

 

再び彼女の前に現れたのだ。




漸く現代編が本格的に始動出来ました。感謝感激雨あられ!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

68,『新たな光』

 

 

 

「もう諦めろ、お前は俺には勝てねぇ……!」

 

 

 

 

 

 

「……そんなものは……いくらでも……覆せます……!」

 

 

 

 

入隊試験、その最終選考……ある程度の自衛力。今はその試験中……彼はひたすらに立ち向かった。親愛なる友の愛した街を……星を……守るために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……が、素の身体能力が低いためと常人相手には奇跡の力は発動しない為、全く歯が立たない。確かに勝率は低い…………でも、彼はある奇策を思いついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……!!!

 

上官……!

視察ですか……!!」

 

 

 

 

 

 

 

「何っ!!?」ピシッ

 

 

相手は上官が来たことにより焦りからなのか慌てるように身なりを整え敬礼するも、そこには上官の姿はない。彼の嘘だ。

 

 

 

 

 

 

「おい、あまりデタラメばっk……!!!?」キョロキョロ

 

 

 

 

どこを探しても彼の姿はなかった。分かるわけがなかった……なぜなら……

 

 

 

 

 

 

 

 

彼はあの一瞬で股下に潜り込み、そして……………………

 

 

 

 

 

「…………やりました…!」ブスッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「 ッ〜〜!!!!!!」バタッ

 

 

 

 

 

 

 

 

彼の特技『千年殺し』が炸裂。相手は堪らず悶絶からの撃沈。正直コレでは彼が正義のヒーローか分からない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして彼は選考試験を通過したのだ。

 

 

つぐみ

 

「リンドウさん、今日の入隊生たちはどうですか?」

 

 

 

 

 

リンドウ

 

「うむ、特に二人が実に優秀でな、どちらも引けを取らぬ実力だ。しかし、この満という少年は……どこか懐かしいんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒビキ隊長(以降ヒビキ)

 

 

「彼がなにか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

リンドウ

 

「いやね……彼が……あいつにどことなく似てるんだよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒビキ

 

 

「アイツ…………それって『アスカ・カズマ』さんのことでは…?」

 

 

 

 

 

 

 

リンドウ

 

 

「…………ああ、私との同期だ。彼は昔に謎の光の後に姿を消してる……生きてるかはもう……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

初めて聞いた……初めて知った。まさか、満くんに……お父さんがいたなんて…今まで答えてくれなかったし…。

 

 

 

 

 

 

 

リンドウ

 

「つぐみちゃんは、彼と同級生だったな………なにか…聞いてないか?」

 

 

 

 

つぐみ

 

「いえ、何も……寧ろ……今初めて聞かされたことで……」

 

 

 

 

ヒビキ

 

「……そうか。(同級生にすら話さないなんて……何がそうさせるんだ…?)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、なんだかんだで……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒビキ

 

「本日付で配属になった満だ!!入れっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はじめまして……。右も左も分からない新人です、自意識過剰な点もあるかと思います……が、今後ともよろしく…お願いします。」

 

 

 

 

 

 

 

 

全員

 

「……………………。」ニガワライ

 

 

 

 

 

彼自身は上手くいったと思ってるが、周りはそうでもなかった。寧ろ、大丈夫かコイツ?とさえ思われていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これが、私達と彼の奇妙な冒険の始まりでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

講義中にも……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リョウ

 

 

「…という訳で、我々スーパーGATSは、旧GATSの先輩方の意志を継ぐために、地球のために戦ってもらいます。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すみません、それって、自分たちが呼ばれたのって…」

 

 

 

 

リョウ

 

「そう、あなた達には、何時以下なる時にも迅速に対応出来るように、我々と訓練を行ってもらいます……。」チラッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「 」Zzz

 

 

 

 

 

 

リョウ

 

 

「いい度胸ね。特別に、私自らあなたの緩んだ精神を鍛え直してあげる。」ニコッ

 

 

 

 

 

 

「」ブルッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………?」ハテ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

治療を受けてる最中にも、

 

 

 

 

つぐみ

 

「もう、満君ってば…無理しすぎだよ!!そんなんじゃほんとに」

 

 

 

 

 

「つぐみさん、見ないうちに綺麗になりましたね。

 

今度……一緒に逢い引きしませんか?」

 

 

 

 

 

つぐみ

 

 

「うぅえぇ!!!?

 

 

 

 

満君には、紗夜先輩がいるんだから!!ダメだよ!!紗夜先輩が居るのに浮気はダメだから!!」アセアセ

 

 

 

 

 

 

 

「あら、そうでしたね。」フフッ

 

 

 

つぐみ

 

「も、もう……そんな意地悪な人は知りません!!」プイッ

 

 

 

恋人がいるにもかかわらず口説いてくるし……

 

 

 

 

 

 

訓練を受けてる際も、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わぁー…!!凄い…!ホントに飛んでる!!!」

 

 

 

 

 

周りの隊員達は訓練に励んでいるというのに、彼だけはどこか楽しんでる。そんな態度に痺れを切らしたリョウ先輩が、

 

 

 

 

リョウ

 

「そんな、お遊びで!!

 

 

生き残れないわよ!!」ハッシャ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「凄い!!ホントにビームが……!!出た!!」フッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リョウ

 

 

「……!!

 

 

どこにいったの…?」キョロキョロ

 

 

 

 

彼の乗ってる機体は雲の中に消え見えなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リョウ

 

「……!??」クルッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…慢心こそ…命取り…です!!!」ハッシャ

 

 

 

 

 

 

リョウ

 

 

「ぐっ!!!」ピーッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やった!!当たった!!!

一歩…リード…してるかな…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

彼の放った光線がリョウ先輩の機体に命中し、得点を稼いだ。彼もその事に喜んではいたが、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………?

 

………………何だろう……!!?」グッ

 

 

 

 

謎の飛行物体が襲来。彼の機体に攻撃するも間一髪の所で回避に成功。

 

 

 

 

 

 

リョウ

 

 

 

「各員、模擬体制を解除し、実践モードに移行!!!」カチッ

 

 

そう、今の今まで模擬戦を行っていたのだ。

後に『スフィア』と呼ぶがあのスフィアが襲ってきたのはこの日が初めてだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

各員が落とされていく中、

 

 

 

 

「うぅ!!!」ピーッ

 

 

 

彼の機体も遂に被弾し墜落。寸前で脱出はしたものの、その衝撃に目覚めたのか、巨大な怪物が動き出した。スフィアも彼の元に降り立ち状況は最悪。しかも、仲間もほとんどがやられている。

 

 

 

 

 

 

 

 

『リョウ、ここはもう持たん、ここを離脱するぞ。』

 

 

 

リョウ

 

「!!

 

 

しかしまだ訓練生がいるんです!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『市民の命を危険に晒してもか。』

 

 

 

 

 

 

 

市民と隊員の命を比べられては……従う他はなくなる。渋々ながらもリョウ隊員は任務を遂行する為、離脱準備に取り掛かる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

怪獣とスフィアの攻撃で基地も仲間もボロボロ……かく言う自分も満身創痍……。

 

 

 

 

 

 

 

「……もう、

 

 

 

 

 

 

 

やめてくれ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、謎の光が彼を包んだ。そしてその光から彫刻されたような形をしたアイテムを手に取った。片手で収まるサイズだが、すごく温かい……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(…………やるしか…………無いんだな…!!)グッ

 

 

 

 

 

 

 

運命や覚悟を決めた彼は、『リーフラッシャー』を天に掲げボタンを押した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒビキ

 

「……あれは、『ティガ』なのか…?」

 

 

 

 

 

 

リンドウ

 

 

「……!!!

 

……いや…似てはいるが…あれは、もう一人の…光の巨人なのか…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デェアッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

彼らの目の前に現れたのは、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤と青と銀を基調とした謎の巨人だった。




次作の艦隊これくしょん、内容に困ってる。これとだいたい同じにすればいいって意見も多いけど、こっち二人じゃん、これからやるのって少なく見積っても5、6人になりそうなんだよね。てへぺろりん♪
という訳で、決めてちょ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

69,惚れた女の前に弱さを見せて平気なのだろうか?

 

 

 

 

 

 

人類の前に、光の巨人…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

フッ!!

 

 

 

巨人は臨戦態勢に入り構えをとる。スフィアの攻撃も両腕から放たれる光の刃で相殺。スフィアは対抗策が無いのか、すぐさまその場から姿を消した。巨人は怪獣に向かって一直線に走り、ダッシュナックルが炸裂。

 

 

勢いをつけた拳は通常より数段威力が強くなる。怪獣は殴られた衝撃で体制を崩した。三点倒立なタイプな為なかなか起き上がれない。

 

 

 

 

 

 

巨人は腕を大きく回して十字に組むと青く鮮やかな光線が、怪獣に命中し消滅した。撃破を確認した巨人は彼方の方へと飛びたって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一体…………何だったんだろうか。あの巨人が敵か味方か分からない状況、不用意に信用してはいけない……いけないのだが……。

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒビキ

 

 

「アレは、きっとオレたちの街を守ってくれたんだろう。」

 

 

 

確証はないけどな、と少し笑った様子で私に言ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

そんな私はあの巨人が分からなかった。何故なら、以前同じ戦士同士が対峙していたのをこの目で見ていたから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで、初の演習及び任務は終了し帰還した。幸いにも基地は無事であったので良かったには良かったのだが、終始彼は浮かない顔をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何で……

 

 

 

 

 

 

 

何でまた…………やはりボクは…………いてはならないというのか……。

 

 

 

今度もそうやってボクを死に晒すつもりか…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つぐみ

 

 

「……ん…

 

 

 

 

 

 

満君ってば!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………え?

 

…な、なんですか…?」

 

 

 

 

 

 

つぐみ

 

「なんですかはコッチだよ!

 

何度呼んでも上の空だしっ!!

 

 

 

 

 

……何かあったの……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……いえ、ボクは大丈夫です。

 

 

今日はもう終わりですね。早い所休んだ方がいいです。」

 

 

 

 

 

 

そうは言ってもまだ夕方にもなってない。現場はすごくアットホームな人達で賑わってる。そこで旧友と話したいことがある旨を伝え、彼を家に連れて来た。そんな彼は少し表情が強ばっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼を連れてきたのには理由がある。

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

「……満さんっ!!」ギュッ

 

 

 

 

 

 

 

「………………はい…………貴女だけの満です。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、紗夜先輩だ。

所属は同じだが部所が違うので気軽には会えない。少し話し込んだ後、私たち三人でワインを飲んだ。

 

 

*(現在彼は18歳なので厳禁です、現実ではやめましょう。因みに異議を唱えたものは『DNAスパーク』+『デーモンハンド』にて処刑します)

 

 

 

つぐみ

 

「紗夜先輩、聞いてください!!

満君ってばまた1人で突っ込もうとしたんですよ!!私、あれだけ言ってるのに……!!」

 

 

 

 

 

紗夜

 

(ため息)

 

「すみません、羽沢さん…彼も悪気がある訳では無いはずなので………。もう少しだけ彼のことを見ていただけないでしょうか。」

 

 

 

 

 

 

 

つぐみ

 

 

「分かってますよぅ……もう、すぐにつぶれちゃって……。」チラッ

 

 

 

 

 

 

 

「__________」Zzz

 

 

 

 

つぐみ

 

(紗夜先輩……元気になって良かったです。満くんがいなくなってから日菜先輩がいないとダメになってましたし……

 

 

 

 

良いなぁ……満くん…紗夜先輩にすごく愛されてる…。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つぐみ

 

 

 

(……私だって……満くんのこと……好き……。)

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

(……羽沢さん………すみません……。

 

ですがこればかりは……譲る訳にはいきません………。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん、」

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

「あら、起きたのですね……おはようございます。」ニコッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……どれだけ寝ていたんでしょうか……。」

 

 

 

 

 

 

つぐみ

 

 

「もう朝までぐっすりだよ。満くん、ちょっと疲れてたんだよ。だから…………………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

(そう言えば、なんかやわらかい感覚がする……。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(満、紗夜のOn the 膝枕)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………………………………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「_____________!!?」

 

 

 

 

 

「……え、な、何で……こうなってるんです…………?」アワワ

 

 

 

 

ボクは今の状況に理解出来ず、恐る恐る聞いてみた。

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

「フフッ………………

 

満さんが、そこまで甘えん坊だとは……驚きましたが……同時に嬉しいですよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………え、」ナニソレ

 

 

 

 

 

ちょっと待ってください。甘えん坊ってどういうことですか。

ボクが紗夜先輩に甘えた……?いやまさかそんなことは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つぐみ

 

「満君ってば、紗夜先輩のことが本気で好きって、顔にも行動にも出てて、見ててこっちが恥ずかしかったよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

………………思い出した。彼はつぶれてから起きるまでの行動を全て思い出し、顔を赤く染めた。(何をしたのかはご想像にお任せします。)

 

 

 

 

 

 

 

「……や、やめてください……。」アゥ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

「あら、普段は頼りになるのに、今は可愛らしいですね。」

 

 

 

 

 

 

 

つぐみ

 

 

「両想いで良かったね!

 

甘えん坊な、満君♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あぅ………………。」プシューッ

 

 

 

 

 

彼の心はオーバーキルレベルの羞恥に駆られ、気を失ってしまった。

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

「やりすぎてしまいましたね……。」

 

しかし、嬉しくもあった。ずっと彼に頼られっぱなしだった為、彼のそんな一面が見れたことに、喜んでた。

 

 

つぐみ

 

「……満君も……甘えるんだね。」ナデナデ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

(きっと、幼い頃から満さんはひたすらに孤独と戦い続けていた。その痛みや悲しみは理解することは……出来ませんが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、安らぎを与えるのもまた一つの方法です。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_____チュッ___

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして彼女は満の額にキスをした。その様子を見た隊員は何も言わずに立ち去り、満はこの一連の行動のほとんどを忘れ、彼女はより拗ねてしまった。

 

 

 

 




お待たせしました。内容をずっと考えてた結果、こんなにも期間が空いちゃいました。多分頻度はこんなもんになるかと思います。

ごペンなさい。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

70,浮気発覚!!?ズレていく道標

 

 

 

 

 

 

 

満です。今日は二月の十四日…です…。

 

さて、ボクは今……どこにいるでしょうか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正解は…………

 

 

 

 

 

 

 

 

羽沢珈琲店でした。正解者以外は全員の鼓膜を【粉砕☆玉砕☆大喝采】のリサイタルを堪能してもらいます。

 

 

 

 

 

 

 

ひまり

 

「でねー、聞いてよ〜満くん。」

 

 

 

 

 

「………………何をでしょうか……。」

 

 

上原先輩は鼻を鳴らしながら小包を渡してきた。

 

 

 

 

 

ひまり

 

「今日は、バレンタインだからね!!

はい!」

 

 

 

 

 

 

 

「……ありがとう……です。」

 

 

 

 

ひまり

 

 

「もう、堅くならなくていいのに〜

 

あ、ちなみにこれは……本m痛っ!!ちょっと蘭!!何するのー!!」ムキィー

 

 

 

 

モカ

 

「そんなことしたら紗夜先輩に、何されるかわかんないもんね〜。」

 

 

 

 

 

「第一、本命渡してどうすんの……満困るでしょ……。」ヤレヤレ

 

 

 

「そう言えば、満は紗夜さんからチョコ貰ったのか?」

 

 

 

 

…………なるほどマスカレッジ……日本はどうやら好きな人にちょこれーとを渡すようですね。コレがばれんたいん……粋な計らいですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………はい、本と挿花を渡しました……。」ニコニコ

 

 

 

 

 

 

「……えっ…………。」

 

 

 

ひまり

 

 

「…………えーっと……満君って………天然…?」ヒソヒソ

 

 

 

モカ

 

 

「あちゃー。」

 

 

 

 

 

 

「………………紗夜さんも…………大変だな。」ヤレヤレ

 

 

 

そう答えると何故か彼女たちに呆れられてしまっている。ボク、何か変なこと言いましたか?

 

 

 

 

 

 

 

つぐみ

 

 

「…あのね……言い難いんだけど、満君が紗夜先輩に渡すのは、もう一ヶ月後の話なんだよね…。」アハハ

 

 

 

 

 

「……………………………………。」

 

 

 

 

 

なんと、ボクは日付を完全に間違えました。

 

かくして、ボクはバレンタイン講座を上原先輩もとい上原教諭の指導の元、教わりました。一通りに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

「………………はぁ、」

 

 

 

 

 

今回もダメだった……満さん、絶対に何かを隠してる…………それは確定してるのに、確固たる証拠が無い……。

だけど、満さんの服から他の女性の香水の匂いが付着していた。このことを知った私は

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

(満さん……今日も誰かとあっていたのね……。

 

 

今井さんから送られた写真のこともあるし…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今度こそ問い質さなきゃ…。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガチャッ

 

 

 

 

 

「帰りました……。」

 

 

 

 

紗夜

 

 

「……………………………………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…?

 

紗夜先輩……いたんですね、それならお茶でもお出ししておきますよ。」スタスタ

 

 

 

 

 

紗夜

 

「……………………満さん。」

 

 

 

 

「?なんでしょう…。」

 

 

 

 

何だろう、こころなしか……怖いですね……。いつもだったらすぐにでも駆けつけてくれるんですが…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガシッ

 

 

 

「ッ!!!!」

 

ドサッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ほぇ…?」

 

 

 

 

 

 

え、ちょっと……何が起きたんですか?

紗夜先輩に押し倒されちゃった……?

 

ホントにどういうことですか……。

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

「単刀直入に聞きます。」

 

 

そう言うと、一枚の写真を突きつけてきた。

 

 

 

 

紗夜

 

「先日、今井さんから送られてきました。

 

こちらの女性は……どなたですか。」

 

 

 

 

 

 

「…………………………………………。」

 

 

 

彼女の質問に彼が答えることはなく、ただ目線を外す。

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

「あんなに仲睦まじく…………それならいっその事、振ってもらったほうが……!」

 

 

 

 

 

 

 

「………………そうじゃ……ないです。」

 

 

 

しばらくして口を開いたかと思えば否定。ただ、彼の顔色は少しずつ悪くなっている。

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

「…………なにか…………あったんですね……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………はい、そうです。」

 

 

 

満は降参したのかことの全てを話した。

 

最近、写真を撮られてること、私物がいつの間にか無くなっていること、誰かの視線を感じること……それらを全て、私に話してくれました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

「じゃあこの写真に写ってる女性は……?」

 

 

 

 

 

 

 

「…………きっと、この人こそ……ボクをつけ狙ってたんでしょう……………………。」

 

 

 

 

 

それを聞いて安心したのと同時に、一気に罪悪感に襲われた。彼は全く意に介してないみたいだが、精一杯彼を抱きしめた。最初こそは恥ずかしそうにしてたのですが、誰もが羨む恋人に近づいた気がします。




大変お待たせしましたー。
高評価&感想、お待ちしておりますm(_ _)m


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

71,お人好しと優しさは似ているが、本質は全く違う。

 

 

 

 

 

 

 

彼の浮気の疑いが晴れたところで、

 

 

私は、

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

『白金さん、いまは、お時間の方は大丈夫ですか?』

 

 

 

 

 

 

燐子

 

『はい…氷川さんから連絡するなんて……何かあったんですか?』

 

紗夜

 

『はい、実は…………』

 

 

 

 

 

燐子

 

『……なるほど……つまり、満さんが……その…………後をつけられてるってことですか……そして、それを私に……。』

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

『…………ええ、無理を言ってるのは承知の上ですが、満さんだけが辛い目にあってるなんて…………私には……』

 

 

 

燐子

 

『…………分かりました……。

 

一応、コッチの書類が終わってから………………少しだけ……調べてみます……。

氷川さんはくれぐれも…………満さんに…………気づかれないように……振舞ってください。』

 

 

 

 

 

そうね…………白金さんの言う通り、下手に感情に任せてはダメ…………ですが、満さんはかなり鋭い……少しの変化にも機敏でしょうから、それを悟られないようにしなくては……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんだろう…………誰か……いるのかな?

 

さっきから視線を感じるんだ…………自意識過剰とかそんな話ではない…………明確な殺意が…………。

 

 

 

 

 

「…………そろそろこんなかくれんぼはやめにしましょう。」

 

 

と、発破をかけてみた。そうしたら案の定、異形の怪物が襲いかかってきた。

 

 

 

「…………やはり、こういうのも、出てくるものなのですね……!」

 

 

彼もすぐさま愛刀『無為』で迎え撃つ。

この程度の怪物なら、鞘から引き抜かなくとも勝ちは確定している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(…………コレも…………違う…………どうしたら、平和が来るのだろうか…………。)

 

 

彼は動かなくなった怪物を無為で突き刺し、

答えの出ない問いをただ一人、答えをみつけようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???

 

「…………ウルトラマンダイナ……。

 

 

やはりその存在は、邪魔だ……。」

 

 

 

 

 

その様子を見られてることにも気づかずに………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アレから数日経ち、平穏な日々を満さんと過ごしていました。

 

 

 

 

 

 

「…あれから、何事もないようで良かったです……。」

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

「…………満さんが、見ないうちに素敵な男性になったからですよ。」

 

 

 

 

 

彼はそうですかと、淡々とした返事しかしませんでしたが、私には充分でした。

 

彼がこうして、再び私たちの元に、帰ってきてくれたから…………

 

 

 

 

「…………今はもう、湊先輩達とはバンド……してないのですね。」

 

 

 

 

 

 

 

紗夜

 

 

「…………ええ、ここのところは、そのような余裕がありませんから……。」

 

 

 

 

 

 

「……………………そうですか…………。」

 

 

 

 

そう言うと、またすぐに私から背を向けて何かをしている。正直言うととても怪しいです。満さんに至ってありえないことかもしれませんが、万一他の誰かと会っていたなんてことがあったら…………私は…………きっと…………………………………………満さんを………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……勘ぐられてるな…………まあ、別にいいか………………。)

 

 

ボクは彼女の怪訝そうな目で見られてるが、一切気にせずある一件の調査をしていた。ヒビキ隊長の待機命令を完全に無視してでも……。

そう、『スフィア』だ。

 

 

 

あれ以降、スフィアが飛来し始める。このひと月で毎日のように発見情報が市民を通して入ってくる。あれの正体は何なのか……何を目的としているのか、何故地球を狙うのか……

 

 

それを知る必要があるからだ。

 

 

 

紗夜

 

「満さん。今……何を考えてるんですか?」

 

 

ボクを包み込むように優しく、力強く後ろから抱きしめてる。

 

 

 

 

 

 

「…先輩の事で、頭がいっぱいですよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この星の

 

 

 

 

 

 

未来を守るために

 

 

 

 

 

 

 

 

彼は立ち上がる。

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 50~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。