龍騎神弓クラシカルサキ 〜with魔法戦記リリカルなのはForce an official if〜 (高町魁兎)
しおりを挟む

第一部 方舟の弓と盾の竜
diary1サマートリップス


私は、9才より前の記憶がありません、覚えてる中で最も古い記憶は、火の中で境保護隊員に救助されて、身元不明のまま、保護観察官に任命されたユーノ・スクライア司書長をはじめとした方々に6年育ててもらって・・・そして、その日常に別れを告げ今・・・
ここから語るのは、私の人生を今の方向へ大きく狂わせた事件のお話。

龍騎神弓クラシカルサキ、始まります。


乗っていた次元船船が止まり、あくびをしながら目を覚ます、民間船で来たから約6時間程の長い船旅はおしまい、これから始めて自由な旅が短いけどできるって思うとソワソワしてきた。

新暦0082年8月2日、私サキは本日で15才、そして無限書庫でのお仕事もしばらく休んでいいとの事ですので長めにお休みを頂いて、「これからの進路もあるから、やりたい事を探しに行っておいで。」と言う司書長のお言葉に甘えて、今日からしばらく、好きに一人旅と言う名目でミットチルダに到着したところです。

さて、次元港から電車に乗り、まずはクラナガンの観光じゃなくて、折角8月ですので今日は海沿いへ行こうと思います。

「すごい人混み・・・やっぱり、一人で来るべきじゃなかったか。」

いざ到着してみると想像以上に砂浜は人だらけ、コインロッカー空いてるかなぁ?

そんなこと考えつつとりあえず腹ごしらえって表現は古いか、15時過ぎた頃に人が少なくなるかなぁと言う推測で時間を潰すって名目でもあるけど、野菜が多く使われた焼きそばを頬張りながら、座ってる席がある場所の丁度対角線の位置辺り、大体10mは先くらいのテレビをみる、時間的は丁度ニュースか。

[本日未明、海上に落下した巨大生物は未だなお発見されておらず、現在も捜索が続けられています、本日海水浴などで海沿いにいらっしゃる方は、漂着していても近寄らず、時空管理局環境保護隊まで連絡願います。]

「こちらからすりゃいい営業妨害だ。」

「環境保護隊・・・」

「お姉ちゃん、あんたよくその距離であんな細かい字読めるな。」

「視力だけは、自信ありますよ、鳥並ですので。」

「面白い冗談だな」

おじさんは冗談って言うけど、診断上私は以上視力保持者らしい、視力検査でも確かに両目9,0と診断されるレベル、私にとっては普通なんだけど、でも中々不便でもある、4色型色覚も一緒に持ち合わせてるから裸眼だと紫外線なんかも見える、コンタクトを入れても少ししか変わらないけど、そのせいか写真の通りの景色には見えない。無限書庫内は日の光が入って来なかったし…とテレビから目を離して辺りを見渡すと、丁度砂浜の端で何かが点滅してる。

「あの辺り、何かが点滅してません?」

「いや、そうは見えねぇなぁ。」

やっぱり、私だけ見えてるのかな・・・何が発光してるかは岩の影で見えないけど・・・ん、このリズム、もしかしてモールス信号?

とりあえずモールス信号と解釈して読み取ってみる、えーと、O...S...O...S...O...S...って救難信号!?

急いで焼きそばを食べ終えて、鞄を手にとってその岩影まで走る、いくら砂の上と言えども、こっちはフツーの運動靴履いてるんだ、そこまで走りづらくない、と言っても砂浜の端から端・・・勢いで走ったけど普段デスクワークの人間にはちょっと長いかな。

まあ文句を言ってる間に岩の裏に行くと、上裸で倒れてるTHE漂流者って感じの子が倒れてる、どうやら救難信号の主はこの子の首に掛かった勾玉だった。

「脈拍あり、体温はやっぱり少し低いね・・・同い年くらいかな?・・・」

独り言を言いながらとりあえず救急車を呼ぶために電話をかけようとするけど、何故か圏外、と言うよりやけに人の気配がしない・・・いや、何かが来る・・・

「もしかしてこれ・・・結界?」

「察しが良いわね、一般人。」

「一般人?一応こう見えて公務員紛いの者ですが?」

いきなり話しかけてきた人物に目をやる、さっきの感じた魔力の主だ、でも人の姿をしてるけど、明らかに動物耳や尻尾が存在している。

「あなた、この子の使い魔ですか?」

「違うわ、どちらかと言えば、その子を捕獲、いや・・・抹殺するものです・・・」

「抹殺?」

「知る必要はありません・・・申し訳ありませんが見られた以上あなたを抹消しなければなりません。」

言い終えるより前に魔方陣を展開し、魔導弾を飛ばされ、目でしっかり補足して交わそうとしたものの、アイツ、操作が上手い、私の髪を少し焦がして顔の真横を通った。

「ちょっとちょっと!、私まだ何もしてませんけど!」

「上からの命令ですので、姿を覚えられてはならないと。」

勝てる気もしないし、こっちも何もせずに消されたくはない、でも正当防衛を立証する為の条件は揃った。

「・・・先に手を出したのはそっちです、覚悟してください。」

私だってリンカーコアは生まれつき持ってる、少しなら魔法も・・・

「彼方から貴方に貴方から此方に・・・」

「!?…この魔力光は確か•••」

よし!司書長仕込みの鎖でアイツを縛る、私とこの子を守りつつ、助けを求めるなら拘束が一番、誰かが結界に気づくまで耐えなきゃ。

「解析、拘束具・・・タイプ判別完了、対処します。」

あっさり破られた、ってこっち来てる!?、詠唱・・・間に合え!

「我乞うは光の刃・・・」

小型の剣を数本魔力光で作って飛ばして、その間に、私自身にストライクブーストをかけて、生成した内の一本を握って背中に突き刺そうとしたけど、気づかれた!

「部外者、抹殺。」

「キャッ!」

ゼロ距離発射をもろに喰らった、やっぱり、デバイス無しじゃ・・・無理があったかな・・・でも対処法は・・・対処法は・・・

「Start biometric authentication ...(生体認証を開始)」

「へ?」

吹き飛ばされた後偶然にも右手が彼の首に下がった勾玉に触れていた、そしてその勾玉は私の身体を読み取り始めた。

「Matched my master, boot main system(マスターの物と一致、メインシステムを起動します)」

「私が?マスター?」

「”アークウィンガー“が起動した・・・予感が当たっていたと言う事ですか。」

「hello my Master lomg taime ago see(お久しぶりです)」

「いや、ちょっとまって、今が初対面なんだけど。」

「really?(ホントに?)」

「ホントに。」

「OK,Iam Arkewingr,I'm your weapon(私はアークウィンガー、貴方の武器です)」

「私の?」

「・・・記憶を呼び覚まさせる必要がありますね・・・」

戸惑う私に彼女は容赦なく迫ってくる、その時反射的に右手を突き出すと右手に握っていた勾玉が火に包まれながら弓に変形した。

「believe me」

ここは一旦、この子を信用してもいいかもしれない。

 

to be continued




次回予告
偶然手にした私を主だと言う弓型インテリジェントデバイス、アークウィンガー、この力を借りれば、抜け出せるかもしれないけど、どうすれば・・・良いの?

次回、龍騎神弓クラシカルサキ
diary2「アークウィンガー」

撃ち抜くよ、理不尽も、運命も!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

diary2 アークウィンガー

新暦0082年8月2日、15才の誕生日に私、サキはミットチルダに訪れる。
そこで目にした救難シグナルと、突然の襲撃・・・そしてこの弓が、後に私の人生を大きく狂わすことになる。

龍騎神弓クラシカルサキ、始まります。


「believe me」

ここは一旦、この子を信用してもいいかもしれない。

けどそうやって思考してる間にも攻撃は止まない。

「protection」

「グッ・・・。」

「Are you okay?(大丈夫ですか?)」

「うん、一応・・・ありがと。」

さすがインテリジェントデバイス、呪文を唱えるまでもなく防壁が張られた、でもなんで私がマスター?

「とりあえず私もこの状況をどうにかしたい、今回だけ協力するよ。」

「thanks」

「で、どうすればいいの?」

「please call load cartridge」

「君カードリッジシステム機なの?」

質問を投げながら、相手の弾を避けていく、だが返答は予想外なことばかりで。

「soory I Mounted on Arrowre systemi,It ’s a completely different thing.(申し訳ないですが、私に積まれているのはアローレイシステム、全くの別物です)」

「アローレイシステム?聞いたことな・・・でも使ってみる方がが早いか、習うより馴れろ、だね。」

防御魔法も心持たないし、私もリンカーコアはあっても魔力量はそこまで多い方じゃない、だから、もう迷ってる時間もないような気がした。

「ホントに今回だけ、特別だよ・・・アークウィンガー、カードリッジロード!」

「right! load cartridge」

その声と共に弾丸が打ち出され、薬莢が矢に変化した。

「つまり、魔力を矢に変換するシステム・・・私にピッタリかもね!」

「A little wrong(少し違うのですが・・・)」

矢をつがえて、弓を引く・・・この距離、あの速度なんかバッチリ視認できる、余裕だ。

「そこ!」

「great」

狙いを定めてまずは手からデバイスらしき物を落とす、当然殺生はしたくないので。狙う部位は致命傷にならない位置を選んだ訳で、それはさておき、弓を突きつけて。

「結界を解除してください、さもなければ今度は致命傷を負わせますよ。」

「状況分析・・・有効打検索・・・完了。」

予想外にも、相手はやっぱり一枚上手なようで、上体を起こす前にバインドをかけられた。

「バインド・・・」

「やはり他人の空似でしたか・・・アークウィンガー。」

「I refuse Because my ownership is her(断ります、私は彼女のものですから)」

「ふざけないで下さい、アークウィンガー、あなたのマスターはもう居ないのですよ。」

「but What if I live in a place I don't know?(ですが、もしも我々の知らない場所で生きていたら?)」

アークウィンガーがあの使い魔?に反論して、バインドを破壊した、これでやっと動ける。

そのままあの子を抱いて岩に身を隠す。

「ねぇ、アイツを殺さずに無力化出来ないの?」

「sorry i don't knou」

殺生はしたくない、でもこっちの話は聞いてくれそうにない・・・仕方ない、私はアークウィンガーにカードリッジロードを念じて命じる、レスポンスは早く、すぐに矢が打ち出された。

「I see」

「でも結界を解析できるだけの時間が稼げるか否かだけど。」

その矢をつがえ再び構える・・・。

「抹殺対象を庇ってどうするの・・・あなた諸とも壊してあげましょうか?」

「She is not a killer, because she is my master(抹殺対象ではありません、私の主です)」

「よく言った、でも今回だけだからね・・・不死鳥の様に舞え!ストライクフェネクス!」

手を離すとすぐに、矢が鳥を象った青い火の塊となって飛んでいく。

放たれた矢は呪文を刻んだ矢、つまりアローレイシステムは呪文を矢に変換するシステム、と耳打ちされてすぐに私はイメージして作った、即席の呪文だけど、アークウィンガー私の無理に応えてくれた。

そしてその矢は狙い通りに少し左に外れて気を引くには十分だ。

「挑発?」

後は結界を破壊す・・・誰かに、足を少しつつかれた。

「君たち、結界なんか張って何してるのさ?」

「ヒャッ!・・・シスターセイン!?」

「あーなるほど、私に掴まって・・・気絶してるほうは、直接持っていくしかないか、じゃあ聖王教会シスターセイン“ディープダイバー”で救助致します♪」

私たちは地面から現れた聖王教会のシスターさんに身を委ねて脱出した。

「反応、消失・・・」

「いやーノーヴェのところに差し入れして来たら、帰りに結界張ってドンパチ奴らがいるなぁと思ったら、サキだからなぁ。」

「シスターセイン、覚えててくれてたんですか?」

「あったりまえだよ~♪、無限書庫の方で元気にしてたって聞いてる~、見ない間に背もだいぶ伸びた?。」

「シスターセイン、恥ずかしいです、私今日でもう15ですよ!」

「もー,私より年下なんだからいーだろ~。」

「じゃあ一個言わせて下さいずーっと意識不明の人を病院に運んでる最中にやる事ですか?」

「どっちにしろ一刻を争う状況っぽくは無いけどね。」

久しぶりにあって改めて思った、シスターセインがホントに年上か怪しく思えてくる・・・しかもアークウィンガーの事全然つっこんでこないし・・・どりあえず、私の旅はこんな事件で幕を開けた。

「アークウィンガーと開発コードsealedを取り逃がしました・・・。」

「興味深い・・・、アークウィンガーが起動、そしてマスターとして認めたか・・・」

「まさか開発コード「Daughter」が生きていると言いたいのですか?」

「ああ、まさか生きているとは・・・そう言えば例の石の反応を見つけた・・・明日とって来てくれるかい?」

 

 

To be continued




次回予告
教会で迎える朝、彼の容態と、これからのプラン…

次回 龍騎神弓クラシカルサキ
diary3「一夜明けて」
着の身着のままでいこうかなぁって、思ってます


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

diary3 一夜明けて

海で会ったあの子の様態を気にしながらも明日からの予定をたてて・・・こうして終わった15才の誕生日・・・でも気づけなかった、この時は・・・

龍騎神弓クラシカルサキ 始まります


新暦0082年8月3日

「起きろー、オーイ、起きろー。」

「ふぁぁぁ・・・あっ。」

目を覚まして自分の手元を見ると、筆記用具と日記帳が拡げられたままだった。

「おはようございます、シスターセイン。」

「おはよう、日記つけてるとかマメだなぁー、私そうゆーうのどうも苦手だからさー。」

「でも、日課みたいなものですし・・・そんなことより、泊めてもらった上にご飯までご馳走になっちちゃって・・・」

「いーって、聖王教会は困ってる人達の味方だぞ♪」

「そろそろ良いでしょうか?」

シスターセインの背後には栗色の髪と緑色の瞳を持った少女が資料を抱き抱えるように持って立っていた。

「あっイクス、こうして会うのは初めてだよね?」

「はい、画面越しでしか会った事は無いですがちゃんと覚えてますよ、はじめましてサキさん。」

彼女はイクスヴェリア、通称イクス、私が保護された事件と同じ日に保護された子で、今は治療士をやっているらしい。

と言っても直接対面は今回で初めて、画面越しにはヴィヴィちゃんが複雑骨折した際に画面越しで…ヴィヴィちゃんって言うのは無限書庫司書資格をわずか9歳で取った私の一個下の子で、フルネームは高町ヴィヴィオ。

「という訳で昨日させていただいたお二方の健診ですが、まずはサキさんの定期健診の結果です。」

「そんな昨日やって今日結果出る物なんですか?」

そう言われて二つ折りの紙を手渡されて、私が目を通してる間に説明がもう始まった。

「今回の健診結果で言うと、特別悪い部分は無いですが、やはり平均に比べると体重が少し少なすぎの様な気がします、ですので今回はBとさせていただきました。」

「おかしいなぁ、食生活に結構気を使ってる筈なんだけど。」

「サキさんの身長でしたら、もう2Kgほど多くてもスタイルは崩れませんし、そちらのサイズも…」

「胸のサイズで弄んないでください。」

「さすがにジョークです。」

「そう言われても・・・ちょこっと傷付いたかも。」

どーせセインたちみたいなたわわなものは持ってませんよーだ。

「なので今日はセインに頼んでこの結果に因んだ朝食メニューにして貰いました。」

「ちょっと!」

「なんだよ、味はお墨付きだぞ。」

「違います!とことん太れと?」

「サキさん、筋力増進ですよ。」

「私、職業柄あんまり運動しませんよ。」

「あと、やはり相変わらず視力は鳥並で、4色型色覚のまさに鳥ですし。」

あっ話流したし。

「あとサキさん、最近徹夜続きでしたか?」

「ウソッ!、なんでバレたの?」

「一応基準値内ですが、軽度のタンパク尿です。サキさんの場合、野菜多めにしがちですし、いくら好きといえど卵料理ばかり食べる様な人じゃ無いので、ストレスによるものかと。」

ええー、こう言うのってそんな如実に出るの?

そう思いながら、診断書のある欄に目を通した。

「サキ、なに見てるんだ?ああそっか。」

「そういえばサキさん、苗字・・・無いんでしたっけ。」

「でももう私15ですし、あと3年すれば・・・」

一応言っておくと、私は記憶が一切無いまま身元不明児童として引き取られ、受け入れ先の家庭は見付からないまま15才を迎えていますが、18才以降は自分で姓名を持つ事ができるとか。

「でも15才でしたら、もう自分の意思でDNA鑑定を申し込めますし、この機会に予約しておきますか?」

「うーん。」

私の肉親が今更見つかった所で、会いに行ける覚悟は無いや・・・でも、血の繋がった人が居る、それは私が人造生物で無い限りは確実に2人は居る・・・ってそういえば

「ゴメン、この話は後にして・・・もう一枚ってやっぱり。」

「ええ、サキさんが救出されたこの子の検査結果です、一応結論だけ言わせてもらうと脳震盪による気絶でした、ですが。」

「「ですが?」」

「それにしては意識不明なままの期間が長く無いですか?」

「確かに。」「そうなの?」

ウソでしょ、シスターセイン・・・ホントに年上なのかなぁ?

そう思いながらベットの横に腰掛けて、この子の顔を伺う、まあガッツリ熟睡と言った感じだけどね。

「なあなあ、サキ、この後はどこ行くんだ?」

「このあとですか?、一応これから行きたいのは、この電波塔の展望台とか、景色がいいって評判のフィールドアスレチックとか・・・とにかく、景色が綺麗な場所に行きたくて。」

「景色が綺麗なところかぁ・・・」

「良いですねー、でも宿の予約はとってないんっでしたっけ?』

「そうだよ、でもいざとなれば野宿もできる様な物はありますし・・・テントも小さいですがこんなのがありますし。」

「それでも安全性を考慮してしばらく聖王教会にに泊まって行かれても。」

「大丈夫、このお休みの間は、着の身着のまま気の向くままにって決めてるんで。」

「そうですか。」「そっか。」

「綺麗な石・・・誰かの落とし物かな・・・って・・・何!?これ・・・なん・・・なの」

 

 

 

同日12:30

電車に揺られて数十分、久々に訪れた中央都市クラナガンは相も変わらずの大都会、群を為す人々を高層ビルが囲み、平日とは言えども今は8月、目的地までの道のりでも沢山の人に押されて流されてで疲れて来たので、とある公園にて一旦休憩、あのアイス屋さんもこの猛暑の中では大繁盛っぽいね。

「気温は30度超えか・・・去年よりは涼しいけど。」

暑さに気が滅入りそう・・・そうやって空を見ると明かに大きな飛行物体が見える、幻覚かな・・・いや、周りも騒がしい、ってことは本物!?

「行かなきゃ・・・」

空に浮かぶ気色悪い生物・・・なんなんだろう、逃げ惑う人々に紛れて私も避難する・・・訳にもいかないっぽい、ちっちゃい子が一人転んでしまう、でも他の人は気がついてない・・・私が行くしか・・・そう思ってる間にも、アレは攻撃の準備に入ってる、迷ってる暇なんかない、私が、私しかいない…助けないと、あの子を!

 

To be continue




次回予告
時空管理局特務6課、今回私たちが担当することとなったのは、とある厄介なロストロギア。
その性質は…



そして、事件現場では、暴れ回る鳥の様な生物と、乱入者…そして
次回 龍騎神弓クラシカルサキ
diary4「特務参入」
撃ち抜くよ、この理不尽な状況を!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

diary4 特務参入

これは、新暦0082年、15才の誕生日を迎えた少女サキの旅の物語



ですが、今回はとある別の場所から・・・私、キャロ・ル・ルシエが語っていきます。

それでは龍騎神弓クラシカルサキ、始まります


「あれれ〜、訓練設備を壊す程のフォーメーションってどんなのかなぁって思ってたけど・・・」

「絵に描いたような撃沈じゃねーか。」

「ヴィータ、思ってもそらゆーたらあかんで。」

(((容赦ない・・・)))

「じゃあトーマ、リリィ、あと黒髪ちゃんもちょっと休憩してからもう一本いこうか?」

「「「勘弁してくださぁい!」」」

「トーマたちの模擬戦、このままじゃ0勝1分けコースかな?」

「まあ相手がなのはさんとヴィータ副隊長に八神部隊長だからねぇ。」

トーマたち見習いトリオは今日は訓練用設備を破壊、そしてなのはさんたちと模擬戦中、と言ってももうへとへとの様子っぽいです。

「じゃあ午後のメニューはそのフォーメーション完成させよっか♪」

「「「ハイ!お願いします!」」」

「トーマ、リリィ、お疲れ。」

「私は!?」

「アイシスちゃんも十分がんばったよ。」「クルル〜♪」

「ありがとね、フリード。」

フリードがトーマに飲み物の入ったボトルを渡すとすぐに飲み干して・・・

「エリオくん、キャロちゃん、自業自得だけど、それにしてはキツくない?」

「まあ、なのはさんだから・・・」「そうだね。」

「エリオ、キャロ〜!」

「「ハイ!」」

 

 

 

 

 

なのはさんに呼ばれてエリオくんと部隊長室に入ると、捜査や外部捜査から帰ってきたばかりのティアナさんやギンガさんといったみなさんが既に着席している状況でした

「みんな揃ったな、当然EC関連の話もせなあかんのやけど、ウチに新しい事件の担当の話が回ってきたんよ。」

「はやてちゃん、6課に回ってきた案件ってことは。」

「勿論や、昔研究しとった学者がコッソリ持ち出そうとしたゆー話やったロストロギアなんやけどな、最近ひょっこり出てきはったって話なんよ。」

「もしかして、2日前の黒い龍と関係が?」

「その因果関係はまだ謎や、でも関連あるかもしれへん、ちと厄介な性質を持っとる。」

はやてさんはカーテンを閉めてそのロストロギアの資料を投影させました。

「今回ウチに回ってきた新しい案件がこのマギアクリスタルゆーてな、無限書庫に依頼して集めた情報やと、絶滅種や架空生物の遺伝子が内包された記憶媒体らしいんけど、触れた生物の魔力光や変換資質同じやとそのリンカーコアを喰って単体で魔力生命体になって活動するそうなんよ。」

「ってことはあの龍も・・・」

「その可能性が高いな、しかもその仮説が正しいなら誰かのリンカーコアが既に食われとるってゆうことや。」

八神部隊長は概要の説明が一通り終わったところで席について、いつものように・・・

「と言う訳やから、これから捜査にあたって貰うんと、あと、対魔導殺しやない装備と両方をしばらく併用する事になるから、ちと荷物増えるけど、頼むな。」

「「「「了解!」」」」

「と、ゆーたそばから緊急事態や、状況は?」

噂をすればと言わんばかりにアラートが鳴り響く・・・

「フェイト執務官、どないしたん?」

「こちらライオット1、みんなもう聞いてると思うけど、多分そのロストロギアの一つが発動した。」

「こら展開が早いなぁ・・・フェイト執務官、飛行許可はこっちでどうにかおろして貰う、こっちからはライオット3と4、それからソードフィッシュ1と・・・あとなのはちゃんは現場指揮や。」

「了解。」

「八神部隊長、私たちも・・・」

「以前6課は本部ガラ空きにしてボロボロなったからなぁ・・・悪いんやけど今回は待機や。」

「わかりました、待機します。」

「そーゆー訳やからアルト、すぐに出せるな?」

『もちろんです、みんな早く乗って!』

「危ない!」

私は自らの身の危険も顧みず飛び込んでその子を抱えて離脱…しきれず直撃は避けたものの、芝生では無く別の物に…ぶつかった。

「特務6課です、怪我は無いですか?」

ぶつかったものを確認すると、どこかで見たことあるような有名人だった・・・確か、司書長の幼なじみの…ハラオウン執務官…?

「ハ、ハイ、二人揃って無事です。」

「よかった、危ないのではやくこちらへ避難してください。」

地面に下ろして貰ってすぐにその場を離れあの子は逃げ切れた、けれどもその足は見覚えのある人物に止められた。

「捜索対象がお得な2個セットで発見されるとは・・・」

「昨日の・・・」

「あなたにも用はあります・・・。」

そういうと彼女は私にバインドをかける、かける瞬間は見えてた・・・でもやっぱり見えてるだけじゃダメ、あっけなく手足の自由を奪われた。

「これ・・・どう言うこ・・・・。」

「気絶させておいた方が良さそうですね。」

魔力弾、狙いは魔力ダメージによる気絶?・・・彼女が杖を振り下ろす・・・でもそれは私にあたらず、バインドだけが解けた。

「あれは…2日前の・・・こちらライオット1。」

『フェイトちゃん、こっちも見えてるよ・・・ちょっとまずい乱入者かもね。』

「無事で・・・済んでる。」

無傷で済んでいることに戸惑いながらも目の前の光景を見つめる・・・するとそこには、口から青い炎を吹き出し、黒い鱗と赤い瞳を持った翼竜が私を庇っっていた。

「君は・・・」

当然問いかけても返答は、私が理解できない手法での意思表示の方法だった・・・でも、何故か、なんとなくだけど、「乗れ」と訴えている事は理解できた。

「master are you ok?(無事ですか?)」

「アークウィンガー・・・なんで?」

「i ll explain later(説明は後でします)」

「開発コード・・・sealed、それにアークウィンガー・・・」

 

To be continue




次回予告
足止めと、黒龍と、謎の生物
それを前にアークウィンガーは、バリアジャケットを纏ってアレを封印しろと言う・・・私で・・・良いの?

次回 龍騎神弓クラシカルサキ
diary5「ガーディアレウス」
君は一体…何者?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

diary5 ガーディアレウス

これは、私サキに起きた突然の事件
私を庇ったのは黒い竜、襲いくるのは鳥の様な見た目を持つ、異能の生物。
もう一度弓をを手にした少女のその弓は、魔弓か?神弓か?

龍騎神弓クラシカルサキ 始まります


「Master are you ok?(無事ですか?)」

「アークウィンガー・・・なんで?」

「i ll explain later(説明は後でします)」

「開発コード・・・sealed、それにアークウィンガー・・・これは厄介ね」

そう呟くと、恐らくフライヤーフィンであろう羽を展開して、もう片方の、鳥みたいな生物の方に飛んでいった。

「Please follow(追ってください)」

「って言われてもあっちは飛んでるんだよ!走って追いつくわけ・・・」

私がその言葉を言い切る前に、あの竜がもう一度「乗れ」と訴える。

「君の背中に?」

そう聞くと、大きく首を降った、「YES」と言う解釈で良いのかもしれない、そう受けっとって、私は背中に股がった。

「Master」

「何?」

「Command with setup(セットアップを命じてください)」

「それって・・・」

「Only you can do this(あなたにしかできません)」

私にしか・・・

頭にあの時の記憶が過ぎる…私の最も古い記憶…

「こちらライオット4と」「3、現着しました。」

「こちらライオット1、了解、今回の任務、わかってるよね。」

「ハイ。」「この大きいよく分からない生物の市街地外へ誘導。」「そして、環境保護隊との合流ポイントで捕獲後、シーリングをかけて封印、ですね。」

「完璧、じゃあ早速・・・」

フェイトさんと任務内容の確認をし、その生物の気を、フリードに引き付ける・・・良い感じに誘導に乗ってくれた・・・。

「逃がすわけには・・・」

「もう一人・・・追ってきてる!?」

後ろに感じた魔力の主を確認すると、年齢は分からないけど、多分私より年下位の子が、追ってきている。

「キャロ、任せたよ・・・はぁぁぁぁ!」

私を庇うためにエリオ君とフェイトさんががその子を止めに飛んでいく・・・

「こちら時空監理局特務六課、申し訳ないのですが、そこを退いていただけますか?」

「私は、あなたたちではなく、あの子に用があるのですが。」

「あの子?」

「とにかく、邪魔です。」

彼女は魔法弾複数個を操作し、あの生物に命中させた。

「わかった・・・やるよ、アークウィンガー。」

「Thank you,Master.」

私は、息を大きく吸った。

「アークウィンガー・・・セットアップ!」

「Stand by ready set up」

私の体が光に包まれ、そして、その後、見に纏っていた衣服は、スポーティーなインナーにミニスカート、そして、フード付きのマントといった装いに変わっていた・・・恐らく、いや確実に、バリアジャケットだ。

「キャロさんも、フェイトさんも、皆さんも、私が助けなきゃ!」

その竜の背中に乗り、目深にフードを被って合図を送る、するとその竜は翼をはためかせ、体が宙に浮かべて、その生物の場所まで一直線に向かった。

「また、あのときの!」

「二日前の・・・黒い竜・・・」

『私も出た方がよさそうだね。』

「なのはさん!、待ってください。」

『スバル?』

「背中に・・・誰か乗ってます!」

思いっきり黙視されてる・・・まあ良いや、とりあえず真上まで飛んでくれた・・・あとは私が・・・

「あの姿・・・紛れもなく、開発コード・・・“daughter”。」

アイツは諦めたのか撤退した。

そして、私は弓を構えて、カードリッジロードを命じた。

「load cartridge」

排出された薬莢が矢に変化し、それをつがえて構えた。

「Sealing mode、are you ready?」

アークウィンガーの話が確かなら、あの頭頂部にあるクリスタルを割れば良いらしい。

「no problem・・・シーリングシュート・・・」

『ここで!?・・・随分部が悪い賭けだね。』

『なのはさん?』

「・・・ファイア!」

手を離して、矢を放つ・・・目にも止まらない速度で真っ直ぐに飛び、頭頂部をい抜くと、その生物は、目まぐるしいほどの、光を放ち、爆散、小さな宝石状になった。

「Excellent(上出来です)」

「ありがと・・・でも一応この場を離れたいから、ちょっと遠いとこに着地してほしいかな。」

そう言うと、この子は向きを旋回して、市街地の目立たない路地を選んで着地すると、一気に体積が小さくなり、体が宙を舞い、誰かの手の中に抱き締められた。

「あ、ありがと・・・」

顔を見上げる様にして確認すると、病院の検査着を着込んだまま、裸足で立っている・・・海で見つけたあの子だった・・・

「君が、さっきの龍なの?」

「・・・」

なんて言ったかはききとれなかったけど、とりあえずうなずいたことは確認できた、返答はyesだと。

「とりあえず・・・アークウィンガー、バリアジャケット解除して。」

「all right」

あっという間に、身に纏っていた防護服が格納され、普段着に戻った。

「あと・・・降ろして・・・」

「すみません、時空管理局の者ですが、一つお伺いしたい事が。」

そう言われると返答もせず、その子は私を抱いたまま、身の丈の約数倍の高さへジャンプした・・・そして、人間離れした跳躍力で遠くへ移動を始めた。

「ねぇ!、なんで逃げるの?」

「なんとなく・・・怖かったから・・・」

「怖かった?」

とりあえず、このままだと恐らく私たち二人は公務執行妨害で逮捕されてしまう・・・かもしれない。

旅のプランは、また一つ、音を立てる様に崩れ去った。

 

To be continue




次回予告
抱かれてそのまま、飛び去られるまま、着いた場所は、とある屋上。
そこで話される彼のこと。
ヘリの中で話し合われる事件の事・・・

次回 龍騎神弓クラシカルサキ
diary6「命名」
君も・・・覚えてないんだ、ホントの名前


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

diary6 命名

一難去ってまた一難、そんな言い回しのとうりに再び巻き込まれた戦いも無事に退けて、こうして今は少しの休息・・・

龍騎神弓クラシカルサキ、始まります


あれから数時間後、とあるビルの屋上、驚異的な跳躍力でここまで連れ去られてきて、現在向き合って座ってる様な状況です。

「・・・あのさ・・・色々聞きたいんだけど、その前に一個いい?」

「うん。」

「病院の服だとさ、私が落ち着かないから、ちょっとこれに着替えてくれない?後ろ向いてるから。」

そう言いながらリュックサックに入れていたパーカーを手渡すと、わたしが後ろ向くよりも前に着替え始めた。

「ちょっと、待ってよ・・・」

なにかまずいことしたかな?みたいな顔でこちらをみている、しかも変な事に私も何故かこの子の裸体を見て嫌な気分にならなかった。

「これで・・・いい?」

「うん、じゃあ・・・」

自分の服を着せてみて思ったのは、私のを着れると言うことは、かなり華奢であること、そして顔立ちも相まってどこか女の子に見える、しかも正座に近い様な座り方で、手を股の間に挟んでちょこんと座っている・・・男の子ってところはハッキリしてるのに、何故か「可愛い」「愛しい」と思えてしまう謎の魔力があるビジュアルになっている。

さて話を戻して。

「そう言えば、みつけたって言ったけど、なんで私を探してたの?」

「わからない・・・なんとなく、かなぁ。」

曖昧な返事をされて少し困惑、どうしたもんだろう。

「なんとなく・・・ね。」

「と言うより詳しく覚えてないんだ。」

「それって、どう言う事?」

「君の身に危機が迫ってる、助けて欲しい、みたいな感じの何かをキャッチした・・・みたいな感じで来たから。」

つまり、私と面識があるって事?、私の覚えてない9才までの間に・・・

「つまり、記憶喪失かぁ・・・しかも私の身の危機を何故か察知した…みたいな感じ?」

「うん、そうなるね・・・」

この時の顔は心なしか悲しそうだった、同時に「助けてあげたい」いや何故か「助けなきゃ」と思えてきた。

「ならさ、私と一緒にたら思い出せるんじゃないかな?」

「一緒に・・・いいの?」

「その前に聖王教会に連絡しないとね、君、病院から脱走してるし。」

「うう・・・」

「でも、話は通じる人だから大丈夫だと思う、まずは電話してみないとだけどね・・・あっそうそう、君、名前は?」

「名前・・・そんな堅苦しいの、覚えてない。」

ありゃりゃ、名前まで忘れてるタイプの記憶喪失者か。

「名前無いと、呼びづらいんだけどなぁ・・・」

「そう?」

「うん・・・。」

「じゃあ、君がつけてよ。」

「ふぇ?・・・そーだなぁ・・」

そうだなぁ、えーと、龍と人と二つの姿に変わって・・・変わる?賜る?・・・ユーノ司書長に教わった、漢字?にそんな意味合いのあったよね・・・そうだ!

「「双」方の姿を「賜」るでソウシってどうかな?」

「ソウシ・・・」

「気に入った?」

「うん♪で君は?」

「私も、ホントの名前はわかんないんだ、だから育ててもらった人からは咲って命名されてる、だから、サキって呼んで。」

「サキ・・・これから・・」

「うん♪、よろしく、ソウシくん。」

「よろしく、サキ。」

「ヒャッ!?」

お互いに自己紹介をすませると、双賜からのハグが待っていた、思わず顔が赤く染まっていく・・・

『たちの悪い宝石と、黒い龍・・・それにその龍の背中には弓使い、どうしたもんや。』

「でも、結構面白い子だったね、あの距離で真っ直ぐ狙って当てる、中々のセンスだったなぁ、磨けばもっと面白く・・・」

『はいストップ、高町教官?、そう目を光らせながら語ってるのもええけどなぁ、あの子もあの竜も使ってたデバイス正体不明・・・それどころかいきなり消えたんよ…ユーレイみたいになぁ。」

「あのー、ちょっとよろしいでしょうか?」

『スバル、どないしたん?』

「後から現地に出向いた時に竜の魔力反応がロストした場所に、女の子を抱えた男の子がいて、話を聞こうとしたんですが、人間離れした跳躍力で逃げていって・・・。」

『それは奇妙やなぁ。』

「一応写真はマッハキャリバーが記録しといてくれたんですけど、誰かに似てて・・・」

そうしてモニターに映し出された写真に、私は・・・目を疑った。

「エリオ君、この子。」

「うん、間違いない・・・咲ちゃんだ。」

「やっぱりあの子って。」

「はい、マリアージュ事件の際に私が救助した子で、確か・・・今は本局の無限書庫に居るはずなんですが・・・」

「後でユーノくんに連絡してみよう、もしかしたら、この子があの弓使いの子かも知れないし(^^)」

『育てる気満々やなぁ、でも仮にそうだったら一個不自然なんよ。』

「そうなの?」

『龍が居なくなってこの男の子の方がおるとなると、不自然やないか?あの時背中に乗ってたのは一人なんやろ。』

「あの〜、お話の途中ですがそろそろ着陸します。」

『せやな、じゃあ定例会議の続きでたっぷり聞かせてーな。』

「了解、はやてちゃん。」

『なのはちゃん、ヘリの中はまだ任務中のつもりで居てくれるかなぁ?』

「にゃはは、ごめんなさぁい。」

『笑い事じゃあらへんけどなぁ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

あれから数時間後、聖王教会に脱走した入院患者こと双賜くんを連れて戻ってきた。

「健康状態的にも問題なし、そして、本人のメンタル面と意思を尊重したいので、許可しましょう。」

「じゃあ、サキと一緒に・・・」

「ええ、気の向くままに旅してください、あと。」

「あちゃー、やっぱりバレてる?」

「はい、恐らく今日も宿無しですよね?」

「うっ・・・」

「またお部屋をお貸ししますので、泊まっていって下さい、シスターシャッハからも許可されてますので。」

「じゃあ、お言葉に甘えます。」

こうして旅の2日目は終わりを告げ、お風呂に入って今日の出来事を日記に綴っていく。

「これからは一緒に君が付いてくると・・・」

「やっぱり・・・迷惑?」

「別にいいよ、あっそうだ、明日は君の服と靴を買って・・・」

こうして音を立てて崩れていった旅の予定は、ホントに着の身着のまま思いのままと言うノープランな物へと変わって行った、明日は何が起きるだろう、そしてこの日記には今後、なにが綴られていくのだろう、そんな小さな事が一切予想できなくなった、そんな日でした。

 

To be continue




次回予告
ひょんな事から出会った恐らく私と同い年であろう少し背の低い旅のお供、双賜くん、彼と過ごす最初の日のお話

次回 龍騎神弓クラシカルサキ
diary7「CAP&donuts」
全く、可愛い奴め。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

diary7 CAP&donuts

大事な人、苦手な人、いろんな人がいる中で、隠してる事、言えない事、でもそれを知ることは、時に悪い結果を導く。

龍騎神弓クラシカルサキ、始まります


8月4日、まだ半覚醒状態なのか、意識がハッキリとしていないけれど、何故か息苦しい。いつもと違う寝具を使ってもこんな事なかったのに・・・少し意識がハッキリしてきた、腕が動かない、何者かにしっかりとホールドされてる・・・

「・・・。」

あーそうだ、思い出した、昨晩彼は寝付きが悪くて、というより悪夢で目が覚めて、仕方ないから一緒に寝たんだっけ。

こうして、抱かれたまま表情を伺う・・・目尻に涙を浮かべながらも安心している様な寝顔を浮かべている・・・まって、ナニコレ、可愛すぎる・・・って私も寝ぼけておかしくなってるのかなぁ。

「・・・やだ・・・行かないで。」

私が手を振り解いて布団から出ると、袖を掴んで抵抗して来た、しょうがないなぁ〜

「大丈夫、すぐ戻るから・・・」

そっと頭を撫でてあげると小さく頷いた、まるで子供みたい。

「さてと・・・」

日記をしまい、洗面所で顔を洗って、もう一度布団の方に戻る。まだまだ、眠たいのかな・・・あれ?

「助けて・・・お姉ちゃん・・・」

「ちょっと、ソウシくん!?起きて!なんともなってないから!」

「・・・シャキ・・・。」

「よしよし、怖い夢でも見たの?」

「・・・なんでもないよ。」

散々泣いた後の顔をしている、多分私と同じで、毎晩同じ悪夢に襲われるのかな・・・そうやってあやしてる間にもずっと私に抱きついている。

「とりあえず、一回離してくれる?」

「やだ。」

「じゃあ、なんで抱きついてるの?」

「サキのからだ、あったかくて・・・落ち着くから、あと一緒こうしてると、寂しくないから」

”暖かい“から、“寂しい”から、だから離れたくない・・・やっぱり孤独感が強いのかな?、すがってたいのかな?、なんか可哀想に思えて、余計ほっとけなくなった。

きっと、一人で居ることが多かったんだろうなぁ。

「ふぁぁぁ…おはよ、フリード…どうか…した?」

朝目を覚ますとフリードが時計を指して慌ててる、どうしたんだろう…

「あれ!?もうこんな時間!」

 

 

「ごめんなさい!」

「10分遅刻、キャロが寝坊って珍しいね。」

「昨日寝れなかった?」

「別に、いつも通りでしたけど…」

ホントは昨夜サキちゃんの事が気になって眠れなかったのが露骨に出てしまったのですがこれスバルさんとエリオくんに悟られないようにしなきゃ。

「それにしても、今年はトーマ達もいるし、なのはさん合宿まで開いて訓練するって言ってたけど、このままじゃ中止かなぁ…ハイこれキャロの分ね。」

「ですね、一個事件抱えちゃいましたし…」

「多分この事件が長引いたら元所属の隊に戻る日が遠くなっちゃうし…」

そう言えば、特務6課も出航とはいえ本所属はそのままだから、いつかはまた…

「とりあえず今日は昨日の資料片付けなきゃだから、頑張ろ、エリオ、キャロ…あとトーマもね♪」

スバルさんの後ろの席に座っていた見習いトリオがビクッとしてこちらを向いた。

「…気づいてた?」「うん、今日はティアもギン姉もいないから結構多いよ〜。」

寝起きの一悶着から数時間後、ショッピングモールのとある服屋。

「これとかどうかな?」

「僕は、どれでも良いかな。」

この子の好みを探るのは非常に困難かもしれない、と言うより。

「今まで、考えた事も無かったから、よく分かんない。」

「そんなぁ〜。」

今朝発覚した事だけど、言語事項以外の知識、常識の欠落度合いはすざましかった、箸やフォークの使い方、蛇口等様々な物の扱い方から忘れている・・・もしかしたら、ホントは記憶喪失じゃなくて、元々育った環境がスラムとかすごく貧しい家庭から働きに出された最中に事故に遭って漂流したとか、ものすごく悪かったのかもしれないと疑わしくなるレベル・・・だから、衣服や身だしなみへの関心や興味はすごくあったけど、知識が乏しすぎる。

「じゃあこれで決まり、後は・・・ん?」

一通りの物の会計を済ませて、ギリギリシスターのみなさんからから頂いた予算以内で収まった、どころかお釣りがきた、まあ旅の資金の多しにしてって言われてるしいっか・・・とそうしていると、双賜くんがとある展示品の帽子を見つめてる状態で静止していた。

「お会計終わったよ・・・ほら、これからこれが君の鞄。」

鞄を手渡すと、興味津々に見始めた。

「あと・・・あの帽子。」

「・・・なんでもないから。」

わかりやすい、なんて可愛いんだろう、これが女の子だったら良いのに。

「ちょっと待ってて、うーん、広場のベンチ辺りで。」

「サキは?」

「ちょっと欲しいものがあるから、並んでくるね。」

「・・・。」

無言で袖を掴んできた、やれやれ。

「好きな所見てて良いから、一回別行動でどうかな?」

「でも・・・」

「退屈だよ、行列に並ぶのって。」

「それなら・・・」

よし、納得してくれたのか、袖を離してくれた

まずは、そのお店を離れて、ここの人気店のドーナッツを並んで買った後に、さっきのお店で帽子を買った。勿論ドーナッツはダミーじゃなくて、純粋に一緒に食べたかったから買った。

そして、さっき指定した待ち合わせ場所に戻る、道中で確認すると、ずっと待ち合わせ場所のベンチから移動して無かった。なんで見えるかって?、diary1でも綴った通り、視力だけは昔から異常でして、不便な時の方が多いのですが、こういう時はすごく便利なんです。

「お待たせ、ほら、君と一緒に食べたくて。」

「これ…初めて見た。」

「ドーナッツってお菓子だよ、サクサクしてる方と、モチッとしてる方とあるけどどっちが良いかな?」

因みに買って来たのはそれぞれ、オールドファッションと普通のチョコリング、因みに私はオールドファッションの方が好きかな。

「じゃあ・・・こっち。」

選んだのは普通のチョコレートリングの方。手渡して隣に座ると、彼は興味津々に見つめてから頬張ってニコニコとした笑顔を浮かべる、この笑顔は、今まで私が見て来た中で、もっとも良い笑顔で、最上級に愛おしい笑顔だった。

何回でも、この子をこんな笑顔にしてあげたい、そんな気持ちで胸がいっぱいになる。

「美味しい?」

「うん♪」

私に弟が出来たみたいな感覚が、何故か心地良い・・・あっそうそう、これもあるんだった。

「ん?・・・これ・・・」

「欲しそうに観てたから。」

そっと帽子を被せてあげた、口にチョコを付けたままの彼が少しの沈黙を見せてから、帽子を触る。

「プレゼントだよ、わかりやすいんだから。」

「・・・。」

「こう言う時はなんて言うの?」

「ありが・・・とう・・・」

「よくできました。」

頬赤くしながら、感謝の言葉をしっかりと言えた・・・いや私が言わせた、が正しいのかな。

案外良いかもしれない、私の自己満足だけじゃなくて、この子を笑顔にできる、それだけでも良いかもしれない・・・でも奇妙な点の答えは出ない、何故他人な気がしないのか・・・でも、今は自然とどうでも良いや。

「口にチョコついてるよ。」

「あ・・・・。」

愛しさを感じる理由は分からないけど、いつまでも、何度でも彼を笑顔にしてあげたい、そう思った1日でした。

「次の反応の場所は・・・」

「そうだな、次は彼奴を差し向けるか・・・」

 

To be continue

 




次回予告
訪れた先はとある展望台から見る景色が綺麗なアスレチック、そしてそこで待ち受けるのは・・・
次回 龍騎神弓クラシカルサキ
diary8「その身を委ねて飛び込んで」
今の私は、ただ呆然と見つめて終わりじゃないから・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

diary8 その身を委ねて飛び込んで

無限書庫の皆様、暑中見舞いを・・・いや、もう残暑見舞いですね。
私は今、ミットで出会った子と一緒にかねてより行きたかった、景色のいい場所巡りを続けています、電波塔の展望台、水平線が見えないほど人が溢れた海と、人の少ない場所での綺麗な地平線、この手紙を出している今日は、山の方にある、ある展望台と、その道のりにあるアスレチックに向かっていると思います。
また、話は戻りますが、その子が少々甘えん坊なのか、私は今、弟を連れ歩いているかの様な気分です。
(省略)
と言う様な感じでこちらは元気にやっています。
そちらに帰ったら、土産話を沢山したいです。

サキより


「さて、こうして日記を読み返すのも面白いかな・・・」

あれから1週間程が経った新暦0082年8月12日、こうして日記を読み返していくとこの短期間の間に随分いろんな所を回ったなぁ・・・

さて、今日も今日とでお寝坊さんの彼を起こさないとね。

「ほらほら、早くしないと置いてくぞ〜」

「まだ・・・大丈・・・」

布団から出ようとすると、抱きつかれたまま一向に離してくれる気配はない、可愛い奴め、この甘えん坊。

「よいしょ。」

寝返りを打つような形でベットから体を落としてやる。

「痛っ・・・あっ・・・おはよう、サキ。」

「うん、おはよう、ソウシくん。」

まだ1ヶ月も経ってないけど、宿でのこのやり取りにも慣れてきた、もし私に弟が居たら、毎日こんな事してるんだろうか・・・そんなことを考えると、思わずニヤけてしまう。

「あれから進展無しやなぁ。」

「でも平和なのはいい事ですよ、八神部隊長。」

「せやなぁ、確かに前回の件で一個サンプルを入手出来たんは大きいけどな、あのまま狙っとる魔道士の正体も、現場にいたサキちゃんって言うこの現在位置も分からへんし、あの竜との関係もはっきりできてへんからなぁ。」

「トーマ!リリィ!」

「おっ今日もやっとるやっとる。」

あれから一週間、トーマ達は相変わらず訓練漬け、そして前回の出動で採取したロストロギアの解析も終わらず、今に至るような形で、平和なのは良いことですが・・・。

「あっ今週6回目の撃墜。」

「アイシス、一緒に奇襲行ける?」

「ハイ!」

一応現在は一部面々を除いた状態での、名物6課流模擬戦の途中・・・

「時間切れまであと1分・・・ヴィータ副隊長から一点取るチャンスは一回、ちゃんと合わせなさい!」

「バレバレだ!」

「ハーイ、午前中のスコアはフォアードチームがトップだね。」

「最後の奇襲は詰めは甘かったが、良い発想だったぞ。」

「でも、トーマ達ももうすぐ完成かな?そのフォーメーション。」

「スゥちゃんも容赦ないなぁ・・・(新しいフォーメーションなんてアイシスが言い出したでっちあげなのに…)」

 

「ハァ・・・ハァ・・・。」

「大丈夫?サキ。」

展望台への道のりであるフィールドアスレチックが以外にも疲れた・・・でもこれで到着、登り切った先には森林と都市を同時に一望出来る、良い景色・・・双賜くんもご満悦のようでニコニコとした良い笑顔だ。

「キレイだね・・・。」

「うん、スッゴい疲れたけど、全部吹っ飛ぶや。」

「I still can't understand(やはり私には理解できません)」

「そうかなぁ・・・」

やっぱりAIが「綺麗」とかそういった感情は理解出来ないのかなぁ・・

「面白いこと言うインテリジェントデバイスですね。」

「えーと、なんと返せば…ソウシくん?」

「やだ…なんか怖い…」

その人はかなりイケメンでは、無いけど怖がる要素は見受けられない、でも、双賜くんは怖がって背中に隠れた。

「おっと、お連れさんを怖がらせちゃいましたね…では。」

そう言うと彼はスタスタとその場を離れた。」

「もう、珍しいね、人見知りなんて。」

ここ一週間二人で旅してる中で、双賜くんは、教会シスターの皆さんや、様々な施設の方に対して初対面で怖がる事は一度も無かった…でも今回、初めて人見知りをした…なんでだろう。

「まあまあ、怖かったのは分かったからさ、一回抱きつくのやめてくれない?」

「でも・・・「!?」

この時、体に信号電気が走るような感覚に襲われた。

「もしかして、サキも?」

「うん、この感じ、あの公園で感じたのと同じ・・・」

やっぱり、同じ魔力反応・・・と言う事は・・・やっぱり居た。

「脈も呼吸もあるけど、一切魔力を感じない・・・多分この人だ。」

「サキ!」「master」

「へ?…なに・・・あれ・・・」

双賜くんが示した方向に向かい展望台を見下ろす、そこには明らかに大きい・・・いや大きすぎる狼の様な生物が居た。

「あの人のリンカーコアで・・・あれが。」

「please deal before the victim appsars(被害者が出る前に対処してください)」

「え!?、もしかしてあの・・・」

「サキ。」

「・・・」

「Are you hesitating(迷ってるんですか?)」

「違う・・・ホントに私がやらないと・・・いけないの?」

「then, on the contrary, Can you kill a Paterson in front of you?(では、逆に問います。あなたは目の前で人を見殺しに出来ますか?)」

「それは・・・」

『誰か・・・私を・・・』また脳裏に浮かんだのは、私の中の最も古い記憶・・・あの時は、何も出来ずにただ呆然とみることしかできなかった・・・

「For you now, with the power of me and(今のあなたには私と言う力と)」

「僕がいる。」

そうだ・・・呆然と観るだけで殺されゆく人を、今は・・・アークウィンガーと、双賜くんがいるから・・・救う側に、なれるんだ!

「法律違反だけど、私が行かなきゃ・・・だよね。」

展望台の下を見下ろして深呼吸、そうすると、双賜くんが左手を差し出した。

「サキ、もしかして、飛び降りるの怖い?」

バレバレだったみたい、流石にこの高さからは降りた事ないから。

「うん・・・。」

私も、手を握り返した。

「安心して、僕が居る…僕が守るから…身を委ねて。」

「分かった・・・じゃあいくよ、1、2「3!」」

体を宙に投げて、詠唱を始める。

「我乞うは天翔る翼・・・この手繋ぎし者よ、この銘の元にその姿解き放て・・・来よ、飛竜ガーディアレウス、盾竜転生!」

よし、一語一句間違う事なく成功し、双賜くんの姿が、黒い飛龍とへと変わり、繋いでいた手も翼に変わっている。

「Next is・・・」「分かってるよ、アークウィンガー、セットアップ!」

私もバリアジャケットを纏いフードを被る、そして背中に着地し、そのまま鞍に足を掛け、手綱を片手で掴み上空より接近する、管理局はまだ来ていない。

「今回もまた、あの額に着いてるクリスタルを・・・」

「that's right .」

そう言うと、カードリッジを一本打ち出して、矢に変換した。

「よーし。」

狙いを定めて・・・ここ!

「are you ready?」

「シーリングシュート・・・ファイア!」

手を離すと、吸い付けられる様に矢が飛んで行き、その生物を封印し、小さな宝石に変えた。

「やったね♪ソウシくん。」

竜形態であるため言葉は発さないけど、言葉の代わりに咆哮をあげた。

「master!」

「アークウィンガー?・・・キャッ!」

油断してた、何かが衝突・・・いや、完全に攻撃を喰らって地面に向かって堕ち、そして双賜くんが下敷きになり竜から人に戻った・・・

「サキ・・・無事で良かった…」

「ソウシくん!・・・」

「フェンリルのクリスタル・・・回収。」

「この顔・・・さっきの。」

「君とはいつか戦わなきゃいけないかもね・・・そこの二人は抹消命令が出てるけど“君は回収対象だから"・・・でも今回は見逃してあげるよ・・・“君はまだ自分が何なのか分かってないから”」

「それ・・・どう言う事?」

「分かるまで考えてて・・・その間は生かしておいてあげるから・・・“僕の手じゃ君を殺せないけど”。」

意味深なことばっか吐いてそいつは飛び去った・・・、とりあえず・・・

 

To be continue




次回予告
地に落ちた私たち二人・・・あの制服・・・確か・・・

次回 龍騎神弓クラシカルサキ
diary9「ダブルヘッダー」

出来る事なら避けたかったなぁ…心配かける事になっちゃうから


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

diary9 ダブルヘッダー

8月も中盤、山の中に散った翼、この日は、私の人生が大きく変わった日。
私自身の真実は、まだこの時には気づけていなかったけど、少しだけ勘付いてしまう出来事が、この日起きる。

龍騎神弓クラシカルサキ 始まります


『なんで回収しなかったの?』

「まだ頃合いじゃ無いと思っただけ、でもいい収穫はあったよ。」

『自らの真実に気がついていなううちの方が・・・』

『だが、そのクリスタルだけでも十分さ・・・だが既に次の場所の大まかな目度は付いた、一度戻ってそれからそこに向かいたまえ、そして。』

「その時に二人で捕まえて来いと。」

「ソウシくん!・・・そんな・・・。」

あれから、双賜くんは意識が回復せず、息も無いまま、でも心拍はある状態のままになっていた。 とりあえず、墜とされた時の傷を診なきゃだね・・・とりあえず、腕や足を確認した感じは恐らく骨折はしてない、上衣を捲ると、すごく小さいけど、確かに深く斬られた傷がある、恐らく竜形態で攻撃を受けたのが幸運だったのか傷口は小さい。

「うっ・・・、うっ・・・ぐぅ・・・。」

「ごめんね・・・痛いの・・・ちょっと我慢してね。」

一応野宿の準備をしておいたお陰でガーゼ類は鞄に詰まっていた。傷口を指圧すると、神経から来た痛みで息を吹き返し、痛そうに悶える、でも意識はまだハッキリとしていない。

そしてある程度指圧していたガーゼを止める為の包帯が無いので、日除けのアームカバーで縛って固定して、鞄を背負わせた後、私の背中におぶさった、私より身長が少し低いと言えど、体に力が入っていないせいで、少し軽く感じた。

「このまま山を下るしか・・・無いのかな?」

「it’s unavoidable (やむを得ません)」

「だよね・・・」

「master, is you’rallowance good?(自分の手当てはしなくて良いのですか?」

「ソウシくんのお陰で擦り傷程度だし、へっちゃらだよ。」

ホントはやせ我慢してる、でも、私を庇って痛い思いした彼に比べたら、きっと擦り傷くらい屁でも無いと思う、だから、私も・・・

「こんな所で何してるんですか?・・・ってどうしました?その傷。」

「あっ、それは・・・。」

この黒い制服・・・本局員・・・

「お話、少し聞かせてもらって良いですか?」

「はい、構いません。」

「それと、傷の手当ても、擦り傷だらけだし、そのおんぶしてる子も・・・」

 

 

 

 

「じゃあ、あの弓使いがあなたで、その子が・・・でしたら少しお話しを聞きたいので、本部までご同行願います。」

擦り傷に消毒と絆創膏と言った応急処置と、ソウシくんの方も、しっかりと今度は包帯による固定になり、そして事情聴取をガッツリされたあとで、ティアナ・ランスター執務官の運転で移動することに・・・でも、こうして移動してる間にも彼は昏睡状態のままでした。

「怖がらないでいいですよ。」

「あっハイ。」

「ホントは勤務中だからダメなんですけど…」

ティアナさんが私の緊張を解そうとした時、やはり待ってはくれないようだ。

『ランスター執務官、応答願います。』

「はい。」

『ええか?ダブルヘッダーになってまうんやけどなぁ、近くでもう一個反応をキャッチした、向かってくれへんか?』

「了解です、重要参考人2名を降ろし次第・・・。」

「着いて行っちゃダメですか?」

「・・・コラ!」

『せやなぁ・・・って当然ダメや、このまま逃げへんええ子なのは十分わかったけどなぁ、危険には晒せへん、大人しく待機。』

「確かめたいことがあるんです・・・もしかしたら、居るかもしれないので。」

『それでもダメや、さっきもゆーたけどなぁ・・・』

「とりあえず車はパーキングに入れました、・・、そちらは?」

『こちら、アレグッサー1、ヘリで現場に急行中、合流ポイントは…』

「了解。・・・ほら、危ないからここから動かないで。」

それだけを告げて、ティアナさんが行ってしまった・・・。

「what should you do?(どうしますか)」

「アークウィンガー、専門家に任せよう・・・無理に私がやる必要なんか・・・」

「master!」

「まだ何かあるの?って近っ!」

間一髪、エアバックで助かった、でもドアロックがさっきの衝撃で外れた、危うく巨大な拳に・・・ってもうこんな所まで移動して来た!?。

「porobadely the individual she was talking about earlier (恐らく彼女が話していた個体です)」

「って事は、また誰かのリンカーコアで・・・そして野放しにしたら、違う人のリンカーコアが喰われる・・・。」

「master please fight(戦ってください)」

「・・・。」

私で、勝てるの・・・これに・・・。

「master!」

「だから・・・。」

巨大な拳が再びこちらに迫る…その時、拳はある影に遮られた。「サキ・・・大丈夫だよ、僕が全て受け止めるから、恐れずに撃って。」

「ソウシくん・・・。」

「サキには僕より先に死んで欲しくないから、痛い思いして欲しく無いから始めて僕が盾になる、だからサキが撃ち抜いてよ。」

「・・・バカ。」

「泣いてるの?」

「泣いてない、いいから行くよ。」

「うん。」

「アークウィンガー・・・セットアップ!

我乞うは天翔る・・・盾竜転生!」

「また、あの竜・・・。」

「キャロ。」

「すみません、ボーっとしてて。」

「降下ポイント到着、ハッチ開けます!。」

「ちょっと待って、あれ。」

ハッチを開けて目に飛び込んできた状況では、黒い竜に乗った女の子が丁度ゴーレムを射抜いて石に戻した所でした。

「またですね・・・。」

「とりあえず、回収に降りよっか。」

「やったね、ソウシくん♪」

「うん♪」

事を済ませて地面に着地して、ソウシくんにかけた召喚魔法を解除した、さて、回収は6課の皆さんに任せてもど・・・。

「意外にも簡単だったわね。」

「でも、いいの?これで。」

何者かにいきなり後ろから拘束され、口元に布を当てられた・・・この匂い、もしかして・・・あれ・・・意識が、遠退いて・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これ・・・あの子達の鞄・・・。」

「ティアナさん、どうしたんですか?ってこれ・・・ハンカチ・・・でしょうか?。」

現場の事後調査の際に落ちていたのは2つの鞄と、ハンカチくらいのサイズの布だけでした。

「これ・・・なんでしょうか。」

「嗅いじゃダメ、多分これ睡眠薬だから。」

「じゃあ、誰かがここで…」

「私の推測は一つ・・・理由はわからないけど、多分・・・咲ちゃんと連れてたあの男の子が誘拐された。」

 

To be continue




次回予告
走馬灯の様に蘇る記憶、朦朧とした意識の中、真実が記された、一冊の本にたどり着く

次回 龍騎神弓クラシカルサキ
diary10「肉親」
嘘だ、そんな事・・・信じたく無いよ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

diary10 肉親

気を失って、運ばれて、その間に思い出すのは、私の命の恩人で、憧れの小さな竜騎士さん・・・そしてこの日、あの子の真実と私の真実の一部を知る事となる。

龍騎神弓クラシカルサキ、始まります


「ここ・・・どこ・・・」

目を覚まして辺りを見渡すと一面の火の海の中、一人取り残されている。

ここがどこなのか、何が起きてこうなったかも一切わからない・・・ただただこの火の海の中で、声を上げることもできず、呆然とその状況を見ていた。

熱い・・・息苦しい・・・、そんな事しか考えられない・・・、助けてと声を発そうにも、煙・・・いや淀んだ空気が口に入る、立ち上がって走り出したくても、足がすくんで立てない・・・体は思ったよりも恐怖心に従順だった。

数分もしなううちに、意識が遠のき始めた・・・その時だった。

「要救助者一名発見!・・・大丈夫?・・・立てる?」

初めて見た人の顔、ピンクの髪をポニーテールに結んだ、白いマントの子・・・。

「とりあえずこれ着て。・・・安全な所まで連れて行くから、もう少し耐えてね。」

そう言えば、何も着てなかったっけ・・・、その子は私を羽織っていたマントに包むと、外に向かって叫んだ。

「エリオくん、フリード!こっち!」

「グォォォ!」「キャロ、おまたせ!」

「じゃあ、窓から脱出しますよ、頭打たないように、じっとしててね。」

そのまま両手に抱かれて、背の高いお兄さんが乗っている白い翼竜に飛び移って、ゆっくり下に降ろされた。

「お願いします。」

「お手柄だよ、キャロ。」

キャロ・・・それが私を助けてくれた人の名前・・・エリオ・・・あの赤い人の名前かなぁ・・・ん?・・・名前・・・おかしいな・・・私・・・私の・・・名前・・・私の名前・・・なんで、なんで思い出せないんだろう・・・。

「一酸化炭素中毒の可能性、いやもしかすると・・・の可能性もある、急げ!・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キャロ・・・さん・・・あれ・・・また。」

どうやらまたあの時のことを走馬灯のように見ていたみたい、薄目を開けると無機質な天井が見えてくる・・・そしてもう少し意識がハッキリすると、右手に違和感を感じた。その違和感を探るべく右を向くと、私の右手には針が刺さっており、針から出た管を辿ると、血液パックに繋がれている・・・しかも下げられていないって事は、私が気絶している間に採血されていたって事?でもなんで私の血なんか・・・いや、でもなかなか嫌だ、自分で自分の血液を見るっていうのは。

「なんとご丁寧に・・・。」

一応消毒を含んだ脱脂綿と、止血用の絆創膏が手の届く位置にある・・・でもそんな器用な芸当・・・両手ならまだしも、片手で・・・、でも逃げ出すためにはそうするしか・・・。

「ふにゅ・・・いっ・・・ゔぁ!ぁぁ・・・」

中々に痛かったけど取りあえず抜けた、こういう時のための知恵はちゃんとつんどいて良かった・・・でも、体内水分がかなり持ってかれてる・・・取りあえず、双賜くんと、アークウィンガーを探さなきゃ・・・

片手を押さえながら、フラフラとした足取りで部屋を出る、鍵はかかってない。

「ホントに、ここ・・・どこなんだろう。」

来た覚えは一度もないのに、何故か間取りを知っている気がする・・・少し歩いていると、意識が少しハッキリした、それでわかったのはこの揺れが、体調不良じゃなく、実際に船の様に足場が揺れているという事。

「確か・・・。」

廊下を歩いてとある部屋に入る、やっぱり、この扉の先は資料室だった、やっぱりここの間取りを何故か覚えてるみたい。

「これ・・・なんだろう。」

明らかに薄い本が一冊だけある、ただそれは物凄く見覚えのある会社が販売しているノート、表紙には「開発日誌」と綴られている。

中身を開いてみる、何故開いたか?、多分脱水症状で判断が鈍ってたのかも。

表紙を開くと、中々謎な内容があった。その内容は以下の通りだ。

『亡くなった娘の身体とリンカーコアを触媒にこのマギアクリスタル二つをを結合させる実験を開始する、“アレ”が再び来る前に間に合うかは、確証がない』

『予想外の事態が発生した、この個体は2つに分裂しオスメス片方ずつの双子の様な状態だ、ではメスの個体“daughter”としよう。』

『オスの方が”ガーディアレウス“の性質をもっていた、ではこちらを開発コード“sealed”と名付けよう。』

この時、海で襲って来たあの子の「“アークウィンガー・・・それに開発コード”sealed“・・・」という発言を思い出した、きっと、双賜くんがこの開発コード“sealed”で、分裂したもう一つの個体がいる・・・。

もう少し読み進めてみた・・・そこでまた、目を疑う文献があった。

『新暦0078年

マリンガーデンにて、この地下に“マリアージュ”に関するデータがあると嗅ぎつけた、だが既に先を越したものがいる様だ。

 

”daughter“の火を操らせるヒントがないかと連れては来たものの、運が悪いのか彼女置いてきたホテルが燃えた、発生した、放火魔でもいるのだろうか。

 

仕方がない開発コード“daughter”を置いていくしかないようだ。』

「この日って・・・。」

私の中で最も古い記憶・・・マリアージュ事件、マリンガーデンで放火事件が起きた日いや、その少し前、ベルウィードホテルが燃えた日。

って事は私が・・・ここに綴られてる・・・確かにあの直前に何かしらの布に包んで抱きかかえて連れてこられていたと考えれば、あのとき何も身につけてなかったことに納得がいくし

私がその”daughter“なら、あの火の中生き延びたのも、双賜くんがものすごく愛おしいのも、他人な気がしないのも、納得がいく、私が双子のお姉ちゃんって事になるから・・・なら、じゃあ私は・・・双賜くんは・・・何者なの・・・。

恐る恐る、ページをまたページをめくってみた、答えがあるかもしれない。

『これらは、融合機、使い魔、両方の性質を併せ持った生命体という当初の目標通りの生命体と化した。』

どういう事・・・余計に訳が分からなくなって来た・・・戻ろうと思わず、次のページに手を伸ばしたとき・・・

「おやおや、逃げ出した挙句にこんな物を読んでいたか・・・。」

「あなたが書いたんですか?」

「ああ私だ、そこに綴られている通り君はこの船で産まれた存在であり、ここは私の船さ。」

「じゃあ、聞かせください、私の名前は何なんですか?」

「君の名前かい?そこにも綴られていただろう・・・”フィリス“またの名を・・・開発コード“daughter”。」

やっぱり、この人が私の親、そして・・・。

「ならもう一つ、私のッ・・・」

「分かっているさ、おいで、案内しよう、でもその前に。」

ペットボトルに入った水を投げ渡された・・・罠、では無いよね。

「血を少し抜かれてるんだ、脱水症状を起こされても困る。」

「結構です、そんなことより早く案内して来ださい。」

私は手渡されたペットボトルを投げ捨てた

「わがままな娘だ。」

彼が指を鳴らすと、一瞬にして場所が移動した。

大量のディスプレイなどに囲まれたこの部屋の真ん中に、双賜くんが、寝ていた、いや寝かされている。

 

To be continue




次回予告
目の前に寝かされた何よりも愛おしい人
そしてこの身体に…

次回 龍騎神弓クラシカルサキ
diary11「一緒だよ」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

diary11 一緒だよ

何よりも可愛くて、愛おしくて、大切にしたいと思っていた彼は、私の実の弟、いや、もう一人の私と言っても過言じゃない。
そして今その子が、私の前で・・・

龍騎神弓クラシカルサキ、始まります


「そう・・・し・・・くん?」

一切返事がない、そして、まるで息耐えたかの様にその肌は冷たかった。

「ソウシくんに何をしたんですか?」

「交渉材料になってもらったまでだよ、さあフィリス、こちらに戻る気は無いかい?」

「戻・・・る?」

「ああそうだ、私の元で私の成果を知らしめ、管理局研究室に戻り、その悲願を達した上で私の娘として、望む生活を与えよう。」

「悲願?」

「悲願と言うよりは罪滅ぼしで、逆襲さ。」

「それって、私があなたの研究による産物だから欲しいんですか?」

「勿論それもあるが、君はそもそも生物兵器に近い存在、野放しにしたくない、だが君に感情が芽生えてしまっている以上君の意思を尊重したい。」

「そんなこと言われたって、私は行きません、いや行きたくないです。」

「そこで彼だ、開発コードsealed、君が応じなければ彼は起きない応じたなら、彼を君の好きにさせてあげよう。」

人の命を・・・そんな風に。

でも、世界なんか要らない、しかも私だってバカじゃない、私が彼の成果を証明する者になっても、生物兵器に近い存在なら、私も、双賜くんもお縄だ。

「断ります。」

「良いのかい?不自由ない生活は欲しくないのか?」

「そんなの嘘だってわかってるんです、多分あなたは交渉に応じた場合、多分私の記憶をリセットする、違いますか?」

「・・・察しの良い子は嫌いだよ、ならばもう一人の君に殺されてしまえ。」

そう言って彼は再び指を鳴らすと双賜くんが起き上がった・・・でも様子がおかしかった。

「返せ・・・返せ・・・」

「ソウシくん・・・、どうしたの?。」

「ソ・・・ウ・・シ?」

「うそ、ホントにまた忘れちゃったの?私だよ・・・サキだよ。」

「違う、お前はフィリスだ!」

「違わない、私はサキ!司書のみなさんが付けてくれた・・・大事な私の名前・・・」

「無限書庫・・・ユーノか、あいつ、知らないうちに“人間として”保護していたか。」

「サキ・・・うっ・・・違う・・・返せ・・・俺を返せ!」

荒々しい呻き声を上げて半分人、半分竜の状態で突進してきた、疲労と脱水でついに視力まで鈍りだした・・・けど。

「グゥア?・・・ガァァァ!」

両手で肩を押さえ、そして抱きしめた。もう獣以外のなんでも無くなってしまっている、それでも私は、ずっと話しかけ続けた。

「思い出して、私だよ・・・一緒に旅し始める前の日、私を守ってくれたよね、・・・よく夜泣いて、一緒のテントであやしてあげたの、覚えてない?ものすごく良い笑顔で一緒にドーナッツ食べて、電波塔登って、良い景色一緒に観たよね・・・実はさ、私やっぱり君の笑顔見るの大好きなんだ・・・今日やっとわかったんだ、なんで君が愛おしいのか、大事にしたいと思ったか、何で似た者同士なのか、なんで君が私の事しか覚えてなかったのか、全部分かったんだ・・・それでね、私にはずっと血の繋がった家族が居なかった、欲しかった、君がそうだったんだ・・・だからさ、一緒に、もっと・・・。」

「ガァァァぁぁ!・・・クゥエェ?」

目の前を赤黒い液体が舞う・・・私の胸を見ると、双賜くんの腕が私の胸を貫いて、また、海岸で襲ってきたあの子が、双賜くんを打ち抜いた・・・。

「泥臭いもん見せないでください・・・感性が腐ります。」

「でも良いの?」

「良いじゃないか”Wind“、“Dash”、しかし“本番はこれからだ”。」

痛みを感じる間も無く目の前が真っ暗になる・・・私・・・これで・・・嫌だ・・・嫌だ・・・嫌だ・・・嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・キ・・・サキ・・・。」

双賜くんの声がする・・・あれ・・・手の感覚・・・足の感覚・・・全部ある・・・。

「master・・・」

アークウィンガー・・・私、どうなったの・・・、やっと、目が開くまで意識が戻ってきた・・・。

「サキ。」

「ソウシくん・・・良かった・・・」

私が目を開くと、双賜くんを抱っこしていた、ただ、傷は全て治っている、それどころか、まるで蘇ったかの様に肌も艶やかな状態だ。

「ありがとう・・・今のサキ、すごくかっこいいよ。」

割れたディスプレイで私の姿を確認すると、上衣と髪を結んでいたリボンはきれいさっぱり無く、首から勾玉を下げ、蒼い髪をなびかせ、金色の瞳を輝かせて、蒼い炎の様な幻影に包まれていた。

「私・・・燃えてる。」

「it‘s so cool」

後ろを振り返ると一面が焼け焦げている。

「これ全部私がやったの?」

「覚えて・・・無いの?」

全く記憶にない、気がついたら一面焼け野原・・・。

「流石だ、ますます欲しくなった。」

「逃げなきゃ、だよね?」

「that's right let‘s go」

私は双賜くんを抱えて走り・・・体が、軽い!、脱水症状による怠さもなくなってる。

「追え!」

「しっかり掴まっててね、窓から出るよ。」

「出たら、僕の番だね。」

そう言って頬にキスしてきた、流石にそれは無しだって、でもやる気でた!このまま蹴破る!

「我孔うは天翔る翼・・・」

「そう言えばサキ。」

「どうしたの?」

「帽子…」

「良いよそれくらい、また買ってあげるから…君が生きてる方が大事」

双賜くんは少し申し訳なさそうな顔で頷いた。

「来よ、飛竜ガーディアレウス・・・盾竜転生!」

アークウィンガーを纏うと体の火が鎮火され、そして双賜くんの背中に乗った。

「これで終わるとでも?」

「そんなのあり!?」

こっちが竜なら、あっちは天馬!?

「消えなさい!」

弾幕を貼る様に大量の弾が打ち出された、流石に弓じゃ相殺しきれない、手綱を引き、全弾では無いけど回避・・・でも、第二波が来る前にあっちに有効打を与える場所を・・・心臓以外で・・・殺さないで済む部位で・・・。

考えてる間に双賜くんが咆哮をあげる、あっちはもう第二波が・・・ってチャージがはやくない?。でも捌けないなら避けるしか・・・、交わしてもダメだ、誘導弾!?。

「(ソウシくん・・・泳げる?)」

「(泳ぐ?・・・やったことないから・・・わかんない…)」

「(わかった、でも2人とも無事に逃げ切るにはこれしか無い、私の策に・・・)」

「(言われなくたってのるよ、サキの作戦だもん、きっとだいじょうぶ。)」

よし、ちょうど後ろに弾が迫っている。

「アークウィンガー、モードリリース。」

小声で召喚魔法の解除を命じた、タイミングはバッチリ、あっちからは撃墜されたかの様に見えてる・・・はず。

そのまま2人で海に落ちた。

「ソウシくん!・・・、誤算だ・・・」

予想の範囲内でもっとも最悪の事態が起きた、双賜くんはカナヅチだった、浮いたままで待てずにジタバタして逆に沈んでる。

「アークウィンガー、バリアジャケット解除。」

「really?」

「泳いで助けに行く。」

バリアジャケットを解除して私も海の中に沈む、海水が目に染みる、視界もあまり良く無い・・・けど、なんとか夜の海の中で双賜くんの姿は確認できる。

なんとか手の届かない場所に行く前に手を掴み、手繰り寄せて、そのまま再浮上した。

「ハァ・・・ハァ・・・、間に・・・合った。」

双賜くんも咽せながら海水を吐き出して、なんとか無事だ。

でも上を見上げると、まだ2人とも上空にいる。

「良い案だったけど、残念だったわね。」既にブレイカーを放つために十分な魔力を集束している、もう・・・ダメなの?・・・そう思って死を覚悟した時、懐かしい声と、白い影が目の前を通ってきた。

「「少しお話よろしいでしょうか?」」

白い竜に乗った2人の声が揃い、またさっき見えた残りの影は、CW(カレドウルフ)社製装備の一つ、S2シールド(CW-AEXC00X-S2)と白い飛竜・・・つまり風の噂に聞いたヴァンガード・ドラグーンそのものだ。

と言うことは!?

「こちらライオット3、及び」「ライオット4、「反応通りビンゴです。」

『流石や、船の方は任せとき。』

「はい、天馬と魔道士1名、それから、飛竜1人と弓使い1人から事情聴取応じなかったら身柄を確保・・・ですよね。」

『任せたで、竜騎士コンビ!』

「お役所・・・。」

「特務6課ライオット3、エリオ・モンディアル。」「同じくライオット4キャロ・ル・ルシエ「4人まとめてご同行願えますか?」

「行くわけが無いでしょう?」

やっぱり、争わずに解決できないかも知れない・・・げど、これくらいの相手ならヴォルテールを呼ぶまでも無いよね。

「わかりました・・・ではやりたく無いですが、こちらも武力行使に出させていただきます・・・フリード、エリオくん、お願い!」

限界まで近づいてますはフリードの火で注意を引いて、それからエリオくんが飛び移り背中をとる。

「8月14日午後8時26分、航空法違反及び器物損害、及び公務執行妨害で逮捕します。」

「バカね。」

エリオくんが手錠をかけたその子は霧の様に消えて、後ろに・・・。

「「幻影!?」」

フリードの背中にエリオくんが戻ってくると、もうあの天馬と魔道士はもう居ませんでした。

「こちらライオット3、天馬と魔道士を取り逃しました。」

『報告お疲れや、生憎こっちも逃げられてもーた、収穫ゼロ。』

「ゼロじゃ無いです、重要参考人2名は無事です。」

『ナイスや、じゃあその2人の身柄を確保、そしてアルトのヘリがそっち向かっとる、高町一尉たちも一緒や、しっかり合流し次第撤収、ええな。』

「「了解!」」

空で何か話あった後、白い龍がこちらに降りてきた。

「掴まって。」

「・・・キャロ・・・・さん?」

竜の上から、2人の手が伸びてくる、私はその手をしっかり握って、海から上げてもらった。

「覚えててくれてたんだ・・・、嬉しいな。」

また、双賜くんはエリオさんに引き上げられたけど、怯えている。

「このまま、地上までご案内し・・・、寒いよねこれ、着てて。」

白いマント・・・あの時と同じだ・・・。あの頃は身の丈に対してスッポリだったのに、今じゃ少し小さい。その状態を見て、笑いながらキャロさんはこう言った。

「大きくなったね・・・私より大きくなっちゃって。」

「別に・・・そんな追い越したくて起きこしたわけじゃ無いです」

「でも、元気そうでよかった、でもちょこっとやんちゃが過ぎるかな?」

そっと頭を撫でられた。

「環境保護隊にいる頃に救助した子が、健康に育ってて、竜まで連れちゃって。」

「・・・。」

「咲ちゃん・・・」

そう言えば、キャロさんから名前呼ばれたの・・・初めてな気がする。

「なん・・・ですか・・・。」

「実はね、君の名前、ユーノ司書長じゃなくて、私が日本語の辞書を借りて付けたんだよ。」

「え?」

「名前が分からないってなったから、仮の名前を付けることになった時に、見つけた人が付けてあげてって。」

「キャロ、必死で考えてたもんね。」

そう、だったんだ・・・ずっと司書長の趣味だと、だから地球の字で付けられたって思ってたのに・・・でもなんで?

「なのはさんに教えてもらった文化でね、なのはさんの故郷には漢字って文字があるんだ、その字は意味するものの形からできてるんだって、それでね、色んな可能性の花を咲かせて、いろんな人を笑顔にして欲しいって願いを込めて、咲ちゃんって。」

その話をして居る間に空の旅もおしまい、とあるヘリポートに着いた。

「ありがとう、フリード。」「クルル〜」

「・・・もうすぐ来るよ。」

空を見上げると、JF704式が降りて来た。

 

To be continue




次回予告
ひとまず一息がつける状態までは収束した事件、でもまだ終わらない、だけど・・・
私に課せられる二つの選択肢と、これからの事・・・

次回龍騎神弓クラシカルサキ
diary12「強くなりたいんです」
知りたいんだ、私と双賜くんの詳しいことを


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

diary12 強くなりたいんです

知ってしまった真実、まだ分からない未来、そしてまだ分からない真実、私の命はどう使うべきなのだろう、誰のために戦えば良いのだろう。
そもそも戦いって必要なのかな…
少女の問いの答えが出る日はまだ遠いけど

龍騎神弓クラシカルサキ、始まります


ヘリの中、少しブルーな空気が漂う・・・

「さて、みんな、情報共有は済んでると思うけど、一応・・・。」

ヘリのコンテナ内は意外に広々として居る、けれど、基本的には真ん中の空間を開けて全員着席して居る。そして、真ん中で立って居る、高町一等空尉・・・もといなのはさんの号令で、場の空気が少し和らいだ。

「とりあえず、聞かせてもらって良いかなぁ?、あの船の中で見た物のお話。」

ヘリ内で尋問開始された、と言ってもそんな堅苦し物じゃなく、面接・・・いや、子供にインタビューする記者のような語り方だった。

「はい・・・わかりました、・・・」

ここから、あの船で見た資料の話、内部で持ちかけられた交渉の話、そして・・・。

「だから、私が・・・人じゃ無いかも知れないんです。」

不思議なことに誰も驚いていない。

「・・・いきなり言っても信じれないですよね・・・だから、こ・・・ふぇ?」

目の前で『だーめ』とでも言いたげなハンドサインを出して口止めした。

「そう言う人たちとはたくさん関わって来たし、むしろこのヘリの中にもそう言う人たちがいる、だから、体の性質とか、産まれ方が違っても、それも個性として受け止めるのが、私の指導方針だし。」

『高町一尉?、あの〜この子はあくまで重要参考人や、臨時戦力には十分以上やけど、本人の意思もあるしなぁ・・・』

「分かってます。」

『ホンマかなぁ〜』

「あの〜、一ついいでしょうか?」

「どうしたの?」

「この子たちの鞄、今返していいですか?」

鞄?・・・そうだった、確か・・・。

「そうだね、一応積んでるもんね・・・あといつまでもそのパンクな格好でいられても困るし。」

「・・・。」

思い出した途端、急に恥ずかしくなった、そう言えば、リボンとパーカーが気が付いたらなくなってたんだ・・・

鞄を受け取って、まずは着替えを取り出して、Tシャツを着る、なんで服装に気を配りそびれるんだろう。

「じゃあ、お願い・・・良いですか?」

「なに?」

「なのはさん、私この事件の捜査に協力したいです、と言うより、今回思ったんです、誰かを守る為には力がいる、道具がいる、でも私はまだその使い方が上手くありません・・・だから、私を。」

「私は厳しいよ。」

「構いません、ユーノ司書長から話も聞いてますし。」

「じゃあ、お名前・・・咲ちゃん、で、あってるかな?」

「はい。」

「じゃあ、これから教導をさせていただきます、高町なのは一等空尉です。」

「サキです、よろしくお願いします。」

『また書類が面倒な事になってもうた。』

そう言うと、トーマさん、リリィさん達が顔を背けた。

『でも今回は特別指定保護児童やし、司書見習いやしなぁ、今回はまあ比較的面倒な手続き無しですむか。』

「特別指定!?」

『アカン、本人に伝えたらアカン事まで言ってまった。』

「この際ですし、伝えてももう大丈夫なのでは?」

キャロさんが提案した。

『せやな、じゃあここらへんの話は着いてからじっくり聞かせたる。

あとはそこのずっと怯えとる子なんやけど・・・』

あっ双賜くんの事か・・・。

「私に任せてもらって良いですか?」

「良いけど、大丈夫?。」

「任せてください、伊達に卵からフリードを育ててますから。」

そうして数分間謎の行動をしたあと、見事に懐いた、どうやらキャロさんが『この人は安全だ』と言う括りに入ったのか、見事に手懐けられている。

「すごい。」

「思った通り姿は人でも中身は竜だったから。」

「「「「「「「「「「「(そう言う問題なのかなぁ?)」」」」」」」」」

「とりあえず、着きますよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

ヘリから降りて連れてこられたのは会議室のような空間でした。

「一応な、定期的にメディカルチェックを受けてたと思うんやけど、心臓が少し特殊でなぁ。」

はやてさんから説明されたのは、私の異常視力以外の異常な点、心臓についてだった。本来18歳まで伏せるつもりだったらしいのですが、主治医の許可が下り、今回説明されたのは、私の心臓は謎の器官があり、その働きが不明、でもリンカーコアとは別で魔力を溜めていると言う事、そして心電図や脈拍にも、あるスパンで異常をきたしていると言う事、更にこの説明の後に受けた検査の結果で発覚した事ですが、どうやら、一度分子レベルで分解され再構築されたかのように私の心臓やその他機関の状態が再生されていたらしいです。

「とゆー訳なんや。」

「・・・。」

「でも、人間である事はハッキリしとるし、日常生活に6年も支障を出してへんから、そこまで気にする必要はないんやないかなぁ。」

「はぁ…。」

「さて、説明も終わった事だし、はやてちゃん、今年の合宿は決行で良いかなぁ?」

ニコニコしながらなのはさんがはやてさんに迫った。

「確かに新人育成にはええけど、なぁ・・・でもノーヴェにも迷惑かけるしなぁ・・・」

「ねーねー、はやてちゃん〜♪」

「アカンで、第一みんな、この状況で行けるか?」

「むしろ私は、やるべきだと思います、対魔道殺しでは無い通常の武装にもう一度磨きをかけたいですし。」

「私もスバルに賛成です。」

「僕も賛成です。」

「私も賛成です。」

「私も賛成ッス。」

「俺もスゥちゃんの意見と同じです。」

「私も賛成かな、久しぶりにヴィヴィオ達との団らんも兼ねての合宿だったし。」

「悪くねーじゃん、3日間みっちりやってやる。」

「ヴィータ、我々は留守番だと聞いてただろう。」

「賛成多数、お願い♪はやてちゃん」

「しゃーないなぁ・・・じゃあ条件付きや、緊急時態が発生した場合はルーテシアに頼んで直行、ええな?」

「了解。咲ちゃんも、双賜くんも良いよね?」

「サキと一緒なら・・・」

「行かせてください。」

「なら、決まり♪、早速ノーヴェとルーテシアちゃんに2人増えるって連絡しなきゃ。」

はやてさん以外、全員が少しウキウキとした空気になった。

「master?」

「これからもよろしく、ソウシくん、アークウィンガー。」

双賜くんはニッコリとした笑顔で私に笑いかけて、

「これからもサキと一緒にいて良いんだ…」

そこから先は声が小さくて聞こえなかったけど、きっと「やった、こっちがよろしく、だよ」って言いたかったのかな…

 

 

 

 

これが私の人生を狂わした事件の始まり、そして…私と双賜君の姉弟の物語と…

 

私たち特務6課2つ目の大きな事件の物語が…

 

 

 

「「始まります。」」

 

 

第一部、「箱舟の弓と盾の竜」完




あとがき

ここまで呼んでくださった方、誠にありがとうございます。
と言う訳で、初めまして、また前作を書いている頃から知っている方はお久しぶりです。高町魁兎(たかまちかいと)と言います。
と言う訳でまずは第一部完という事で本作の解説的なこと言っていきますと、これは昔僕が書いていたものの、自分が恥ずかしくなって投稿しなかった、それどころか途中で書くのをやめてしまった準オリジナル小説に、「魔法少女リリカルなのは」の設定や人物を足す事によって出来上がった作品で、尚且つ「なのはシリーズを知らない人でも楽しめる、Vivid strike!の様な非公式外伝作品」というコンセプトで作っております。

そして読みづらい部分だったと思うのですが、第一部は物語の語り手が実は2人いました、一応「本編(クラシカルサキ)」の語り手が「サキ」そして「なのはForce after」の語り手が「キャロ」になっていますがサキからキャロへの切り替わりが多分わかりずらかったかなぁと反省しております。
なので今回の締めもあの部分はそれぞれサキとキャロで語ってます。

さて話は変わりますが小ネタ的な話で作中の「双賜」くんはその元設定だと「界兎(かいと)」という名前でしたが、今僕がカイトと名乗っている都合で新たに名を考えて貰ったのがこちらの名前です。
そして竜形態の「ガーディアレウス」はこちら僕が考えた架空の竜でして、どこの神話の出典でもありません、因みにこの竜の設定としては「主人と認めた者や生命をなにがあろうと守る為に自ら盾となる事により、竜騎士に広く慕われた」という事にしています、なので双賜くんが咲を守るのはある意味本能なのです。

また、作中で呼称するのを忘れてしまった部分として、2人のお父さんことやベーマッドサイエンティストさんは「深見雄二(ふかみゆうじ)」と言います、こちらは元構想だと仕事でなかなか帰ってこないお父さんだったのですが、今回は1、2部通しての黒幕っぽいポジションになりました。
なのでサキちゃんもフルネームだと実は「深海咲(ふかみさき)」なのですが、こちらも第2部ではいきなり『深海』と名乗っている事に驚かれないようここで説明すると同時に、後に設定集を設けますのでご了承ください。

では、第2部を書けるのがいつになるか、また、今回出せなかった「双賜くん用デバイス」や、diary11で気を失っていた間になにが起きたのか?
そこらへんの話に触れていきます・・・というより実はあの資料の変なページから開けてますが、実はその前のページにもっと大事な事があったりとやりたい事をまた12話かけてやって行きたいと思っております、では今回の補足説明兼、あとがきコメントはここまでとさせていただきます。

折り返しになりますがここまで呼んでいただき誠にありがとううございました。

by部屋の中で時計を見てヤバイと思いながら書いている高町魁兎

2020.May12


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二部 真紅の稲妻 青い炎
diary 13 再会


私の旅のお話は前回まででおしまい、ここから始まるのは、私が家族を得るまでのお話と何度かの喧嘩と決別のお話

第二部、紅の稲妻 青い炎…始まります。


新暦0082年8月15日

メディカルチェックを終え、そしてユーノ司書長からの許可と、その他諸々の手続きを終え、お仕事にも慣れて来た頃、暑い日差しを林が遮るこの場所へと訪れた・・・。

「ここが、ホテル・アルピーノこと。」

「うん、通称合宿所。」

林を抜けると、綺麗なコテージがあり、そして既に見覚えのある金髪の子を始めとした面々が揃っていた。

「あっ、咲さんっ!」

「ヴィヴィちゃん〜久しぶり〜♪。」

私に手を振っているこの子は、無限書庫司書の資格を僅か9才で取得し、現在はASDD(総合魔法戦格闘技)U-15期待の星、ヴィヴィちゃんこと高町ヴィヴィオ、文武両道のスーパウーマン。まあヴィヴィちゃんって呼び方は私が勝手そうに呼んでるだけですが。

「あなたが無限書庫の・・・」

「ヴィヴィさんの話で聴いてたイメージとは随分違いますのぉ。」

この人たちが、ヴィヴィちゃんの・・・。

「そう言えば、私とノーヴェ以外面識ありませんでしたね・・・紹介します、左から覇王流、アインハルトさん。」

「初めまして、アインハルト・ストラトスと言います。」

「そしてこっちがその弟子、フーカさん。」

「押忍!、覇王流フーカ・レヴェントンです。」

「そして私の友達の・・・。」

「リオ・ヴェズリーで〜す。」「コロナ・ミナルディです。」

「そして、こちらが・・・」

「ミウラです。」

「で最後にサポーター兼バイトリーダー♪」

「ユミナ・アンクレイヴです。」

「で、代表のノーヴェ会長を加えて、チームナカジマです。」

「押忍!」「「「「「よろしくお願いします!」」」」」「わしだけ浮いとる・・・」

「で、こちらが無限書庫司書見習いの咲さん。」

「深海咲です、まあ3日前に”元“になっちゃったけどね。」

「ふかみ?」

「最近わかったんだ、私の親が・・・( ̄^ ̄)」

どうやら顔にでてたらしく、ヴィヴィちゃんが気を使ってくれたのか、

「触れないでおきます・・・で、あちらの方は・・・。」

「そっか、ヴィヴィちゃんにはまだ連絡してなかったもんね・・・紹介するね、おいで、ソウシくん・・・この人たちは大丈夫だから、危なくないよ。」

「・・・。」

「自己紹介して、練習した通りやれば大丈夫だよ。」

何故か最近になって双賜くんは人との間に壁を作り始めている、そのせいか、初対面の人と打ち解けるのに倍の時間が必要になっている。

「深海双賜です・・・よろしくお願いします・・・。」

「私の、弟だよっ。」

そう言うとヴィヴィちゃんが小声で聞いてきた。

「・・・やっぱりお昼に詳しいこと聞いて良いですか?」

「今聞いても良いよ?」

「ハイハイ、ニューカマー同士の自己紹介も終わった所だし、点呼取ろうか、全員整列!」

一人一人名前が呼ばれ、順に返事をしていく、そして。

「では、全員集まったことが確認できた為、号令をかけさせて頂きます・・・これより特務6課前線メンバーの一部と!」「チームナカジマのインターミドル前「特別強化合宿」兼緊急新人研修を始めます!。」

一気に空気感がはり詰める・・・訳もなく。

「じゃあ、堅苦しいのはこれくらいにしといて、まずはASDD組もいっしょでウォームアップ行ってみよ〜♪」

 

 

 

「なのはママ、フェイトママ、今年は負けないよ〜。」

「私も負けられないなぁ・・・」

と言うわけで、ルーテシアさん、そしてなのはさん曰く毎年恒例のウォーミングアップコース・・・って何この超長いアスレチックコース。

「えーと、これを今からやるんですか?」

「そーだよ♪」

マジですか・・・ウォームアップどころかガッツリレースなんですけど。

「あのさ、ルーテシア。」

「あら、気づいた?」

「だよね〜今年も新しいエリアが増えてる。」

今年も?・・・。

「今年は鉄球運びを増やしてみたわ、一応重さが軽い順に、30kg、40kg・・・でMAXが現時点で90ね。」

「ふぇ・・・最低で30kg・・・まあ無限支所にいた頃に運んだ本でも精々・・・」

「流石に90は・・・」

「でも要救助者が100kg越えかもしれないし、あれくらいは・・・」

「うっさいバカ!、アンタはレスキューが本職だけど、こっちは・・・」

スバルさんとティアナさんは話に聞いていた通りの仲良しさんだ。

「でも、俺は無理かな。」「私も一番軽いのでも限界かも・・・」

「因みに一般で最大を攻略したのは男性1人、女性1人ね。」

「じゃあ、トーマは90kgで行こうか?」

「話聞いてました!?」「でもトーマ、出来たらリリィに良いところ見せるチャンスだよ。」「スゥちゃんまで・・・」「僕もやるから。」「エリオくんも!?」

ただでさえ筋肉痛になりそうなコースにそんなの増えるって・・・今日の夜・・・私立っていられるかなぁ?

「フーカ、聞きました?」「やるんですか?ハルさん。」「勿論です。」

そう言えばASDD組もウォームアップまでは合同なんだっけ。

「じゃあ、出来ない種目、及びミスした場合はペナルティ、バーピージャンプ10回の後再開、じゃあ行くよ♪レディ・・・「「「「「「「「「ゴー!」」」」」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「スバルまた速くなった?、今年は流石に負けちゃった。」

「何度も鍛え直してますから♪」

「さて、みんな〜♪」

「ハァ・・・ハァ・・・もう既に限界です。」

状況説明すると、何故かレース形式になったウォーミングアップを終えて、その他の方はピンピンしてますが、私とトーマさんそしてリリィさんにアイシスさん、それからフーカちゃん、フーカさん?多分同い年だから呼び方に困るなぁ…とまあそんなメンバーが限界到達で立てず寝そべっています、って言うか双賜くんがピンピンしてる方の集団にいるし・・・

「フーカ・・・」「ハルさーん、流石にあれは無理じゃけん。」

そうそう、因みに例の最大重量の鉄球は成功者はスバルさん、・・・となんと双賜くん、それからなのはさん、フェイトさん、エリオさん、トーマさん、フーカさんアインハルトさんは流石に持ち上げれず無駄にペナルティーを喰らうだけになりました・・・まあ私は50kgで限界です。

「じゃあ休憩終わったらそれぞれのメニュー行こうか。」

「咲さ〜ん、またお昼に会いましょうね〜♪」

ヴィヴィちゃんはこれをやってピンピンしてる・・・年下なのに!一個下なのに!体力で負けたぁぁぁ…

「じゃあこっちは訓練用都市に行こうか・・・そうそう、スバル。」

「はい。」

「今日だけ、シューティングアーツの先生になってくれないかなぁ?」

「ソウシくん・・・の、ですか?」

「良いかなぁ?」

「じゃあ、私もスバルと一緒にそちらにまわって良いですか?」

「ギン姉も・・・、じゃあ、やります!」

「じゃあ2人で新人くんの片方、任せたよ。」

「「了解!」」

 

To be continue




次回予告
ソウシ君に仕込まれることとなったシューティングアーツ、そして私には特別メニューに、身体に異変?

次回、龍騎神弓クラシカルサキ
diary14「step by step」
まって、そんなの聞いてない!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

diary 14 step by step

失いたくないから、失わないために・・・大切だから守るために・・・その為に力が欲しいから・・・
でもその想いが空回りする日だってある。
でも、そうやって失敗を繰り返すことが、本当の経験、なのかも。

龍騎神弓クラシカルサキ、始まります


「そう、そのまま、息を吐きながら。」

僕の足がミットに当たると清々しい程にすっきりとした打撃音が森に響く。

「良いよ、その調子、次はここまでやった事を組み合わせて・・・」

「ホントに、これ覚える必要があるの?」

僕は疑問でしか無かった、人間の姿で戦えるようスバルさんとギンガさんからシューティングアーツの手解きを受けてるけど、いまいち、これを覚える必要が分からなかった。

「・・・じゃあちょっと堅苦しい話嫌いって聞いてるけど法律のお話しようか。」

ほうりつ?そう言えばサキが言ってたっけ、これだけは絶対守らなきゃいけないルール、だったっけ。

「航空法って言うのがあってね、自分たちの土地じゃ無い場所で勝手に空を飛んじゃいけないんだ、だからこれからは許可が下りなかったら飛んじゃいけないし、多分サキちゃんに頼んでも龍にしてもらえない状況が多く出てくると思う、だから、翼じゃなくて、手足で君の身を守る術を身につけてほしいんだ・・・ってこれで、だいたいわかってくれたかなぁ?」

飛ぶ事って許可がいるんだ、あの時も、あの時もサキが迷ってた理由が分かった気がする・・・。

「はい、大体は・・・」

「そっちの状況はどうだ?」

「ノーヴェ!、だいたい今基本の型までってところかなぁ。」

「じゃあここから先は実践で教えた方が早いんじゃないか?」

「実践っていうと、組み手?」「ああ、うちの選手の練習相手兼、そいつの・・・ソウシ、だっけ・・・まあそいつの実践練習とで一石二鳥じゃねぇかって思って。」

「確かに飲み込みは早いけど・・・どーする?ギン姉。」

「良いんじゃない?」

「じゃあ、私自身の訓練もしたいのは山々なんだけど、ここから始める個別練習の説明をするよ。」

「はい。」

「ミッションはまず仮想敵として配置したダミードローンの全12機撃墜と、要救助者想定の人形を回収、仮に要救助者の方を撃った場合はゲームオーバー、それと、カードリッジはマガジン一個分以内、いいね?」

「一個分・・・つまり12発」

ターゲットは12機、そして突入用とに脱出用推定2本は必要だから・・・1発も外せないどころか、同時抜きが最低条件・・・

私はマガジンを交換して・・・

「行けます。」

「じゃあ・・・始めるよ。」「countdown、3・・・2・・・1・・・engage」

まず私はアンカーショットで移動し、一気に要救助者のポイントに移動後、矢を一本作り出し、構える・・・一列並んだ瞬間を狙って・・・まず一機!、そして救出対象者の人形を・・・ウソでしょ!?。

「なんかこの人形70Kgくらいないですか?」「はい、私語は謹んで(^ ^)」

笑顔で流された・・・とりあえず背中におぶさり、ワイヤーショットでもう一度移動、後は残り9本で11機を撃墜しなきゃいけない。

とりあえず、まず一機、そしてここを列で・・・。

「アレ?」「Lack of power(威力不足です)」

どうやら矢の威力が足らず3機中2機目で止まってしまった。

でもとりあえず焦ったらもっとダメになる、残り7本でそれぞれ一機ずつ墜し、一機だけ残して弾切れでゲームセット。

「計算はバッチリだったけど、一撃の威力が足りないかぁ・・・。」

「精進します。」

「でもよく頑張ったよ・・・だけど。」

「はい。」

「診断結果上は“炎熱系“の変化資質があるみたいだけど、使わないの?」

炎熱型・・・炎・・それは、私にとって・・・

「怖いんです、わたしから一度全てを奪って、もしかしたら逆にわたしが奪ちゃうかもしれないって思って…怖くて、うまく扱えないんです。」

そっと頭に手を置かれて撫でられた。

「ごめんね、そうだったよね・・・、でも、考え方を変えてみたらどうかなぁ?」

「考え方?」

「うん、サキちゃんにとって確かにすごく嫌な物、怖い物かもしれない、だけどきっと、あの時にその事件が無かったらきっとエリオやキャロとは出会えなかった。」

確かにあの火災では死者が少ない、勿論ゼロでは無かったけど・・・でもきっと私はあの火災がなかったら、ただの実験動物だったのかもしれない、エリオさんとキャロさんが助けてくれたから、今、こうしてわたしが生きたいように生きれてるのかもしれない。

「・・・。」

「だから、サキちゃんの火はきっと人と人を繋ぐ物だって、私たちと引き合わせてくれて、そしてこれからは、自分の身を守って、誰かも守るための正しい”力“だって・・・ちょっと綺麗事かもしれないけど。」

私の・・・。

「だから、探してみよっ?サキちゃんに合った独自のやり方。」

「・・・見つけれれたら・・・もっと強くなれますか?、ソウシくんやいろんな人を守れますか?」

「もちろん♪、そのために私も教えてるから。」

「じゃあ、お願いします!なのはさん。」

「いいよ、お昼まで元気に行ってみようか!」

この時のなのはさんはものすごくウキウキとした、まだまだ若々しい素振りで目を輝かせていてことを脳裏に焼きつくほど鮮明に覚えています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫ですか、サキさん?」

「うん、大丈夫だよヴィヴィちゃん・・・ちょっと筋肉痛なだけ。」

お昼、私は想像通りひどい筋肉痛に襲われなんとかギリギリ動ける程度・・・でも筋肉痛の時ほど動いた方がいいんだっけ?・・・いややす・・・ダメ、空腹で頭が回らない。

「焼けましたよ〜♪、まずは午前中お疲れ様じゃ。」

向かいの席にフーカさんが来た、一応説明すると今この席は私とヴィヴィちゃんが隣同士、そして真向いに双賜くん、でヴィヴィちゃんの向かいにフーカさんと言った配置。とりあえずなんとか体を起こして。

「大丈夫ですか?」

「うん、筋肉痛なだけだから・・・あとでアイシングとテーピングお願いしていい?」

「お、押忍・・・。」

「あっ、いたた・・・ソウシくん、だから箸はこう持って・・・」

そう言えば初めて会ってからから2週間、未だに彼は箸がうまく使えない、フォークやスプーンなら・・・いや、大差ない・・・

「美味しい?」

「うん♪」

この笑顔だけでもうお腹いっぱい♪・・・物理的な意味じゃないけど。

「なんか今のサキさん、お姉ちゃんって言うよりお母さんみたいですね。」

「そうかなぁ・・・」

「わしは孤児院の先生みたいに感じました。」

「そう言えば、孤児院育ち、でしたよね。」

「はい、一応ハルさんやヴィヴィさんと会う前は早く孤児院を出たばっかりに安定した職に有り付くのも大変でした。」

「そう言えばサキさん、今朝のつづき・・・」

「そうだっ…たね…ウッ…アア」

なんの前触れもなく数秒間私の胸に締め付けるような激痛が走った、不整脈?心筋拘束?…いや心臓が軋んだのは確かだけど恐らくどちらも違う気がした。

「サキさんっ、大丈夫ですか?」

「大丈夫、私運動不足なのかな。」

ちょっと罪悪感はあるけど、笑って誤魔化した。

「ヴィヴィさん、先にサキさんにテーピングしませんか?」

「ですね、では、ちょ〜っと痛いですよ、痛いの我慢してくださいね。

このまま私はヴィヴィちゃんとフーカさんにアイシングとテーピングを施してもらいながら双賜くんと出会ったあの誕生日の話・・・それから・・・私の生まれについての話を伏せて話した。

「あの2人、ホントにいい姉弟だね・・・おんぶに抱っこみたいな状態だけど。」

「そうねぇ・・・ってスバル!、あんた食べ過ぎじゃないの?」

「それ言ったらエリオやトーマだって!。」

「スゥちゃんには負けたくありませんから。」

「僕もです。」

「スバル・・・」「「トーマ・・・」

2人とも・・・楽しそうだなぁ・・・

「キャロ。」

「あっ。」

「最近ボーッとしてること多いよ、どうかした?」

「大丈夫、最近寝不足なだけだから・・・」

ホントは、サキちゃんのことが心配なだけだけど。

『なんか昔の二人を観てるみたいやなぁ・・・』

「はやてちゃん、いつから回線繋いでたの?』

「そうだよ、あと昔って言っても・・・そうだ、なのは。」

「ダメだよ、フェイトちゃん、今は部下だけじゃなくてヴィヴィオたちも居るんだよ?お部屋でね。」

『ヴィヴィも気が付いたらすっかり親離れしてきたなぁ・・・昔はなのはちゃんにべったりやったのに。』

「それもう7年も前の話だよ。」

なのはさんはニコニコしながら言い返してる、そう言えば、機動6課の頃、ヴィヴィオの子守りをみんなでしてた頃からもうそんなに・・・

「でもあの頃はフェイトちゃんの方があまあまだったよね〜♪」

「ちょっと、あれはなのはが厳しかったんだよ。」

『にしても、あの子なんでキャロとサキとなのはちゃんにはすんなり懐いたのに・・・』

「それって多分、目の感じじゃないかなぁ、日本人っぽい・・・もっと言うとなのはとおなじ雰囲気の瞳の子には懐きやすいのかも。」

「確かに♪、その証拠にフーカちゃんにも懐いてるし。」

『それやたったらなんで私は・・・もしかしてアレか!…もしそうやったらなのはちゃんもダメか。」

「はーやーてーちゃん 」

「もしかしたらポニーテールも条件だったりして。」

それから、午後も午後で訓練漬けになったあと・・・

「1日目はこの辺で終了にしよっか・・・じゃあこのままみんなでお風呂入ってそれから就寝までは自由時間。」

「やっと終わったぁぁぁ…」「(私も…)」

「こら、トーマ思っても口に出さない。」

「にゃはは♪・・・とりあえずみんなお疲れ様、私とフェイトちゃんでここから先の片付けはやっとくから。」「have a nice time。」

レイジングハートさん・・・思ってた以上ノリが軽い…って言うかジョークも意外とお好きなのが今日よーくわかった。

 

To be continue




次回予告
訓練の後はお風呂、そしてアレがついに完成するらしいとの事。
とりあえず日記を綴ってってアレ?双賜くんが居ない!?

次回、龍騎神弓クラシカルサキ
diary15「shooting star」

次回は読み飛ばしても大丈夫かなぁって言うか私が…恥ずかしい事になるから///


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

diary15 shooting star

「・・・エリオくん、ちょっといいかな?」
「トーマ、まだ30分も経ってないよ。」
「俺もう、のぼせそうなんだけど・・・」
「昔は僕も短い方だったけど、女の子はお風呂長いから、長いこと湯船浸かってないと暇、でもこうして前は1人では広いって思ってた男湯もこうして3人だと丁度いいかな。」
「(それにしては長すぎる・・・)」
「で、ソウシくんはどうなの?・・・。」
「・・・。」
「やっぱりまだ警戒されてるのかな?」




お風呂っていい文化ですよね、1日の疲れが自然と抜けて、こうなんか体の力が抜けていくようなすごく落ち着ける場所。
って言いてるとつい長湯してしまうのですが。
でもこうして露天風呂から見る木々や自然もなんか良いなぁ・・・


龍騎神弓クラシカルサキ、始まります。


「結局、私たちが1番長湯しちゃいましたね。」

「うん、でもこれだけいっぱい話せて私も楽しかったよ。」

お風呂あがり、脱衣所にてキャロさんに髪を乾かしてもらっている最中、ふと思ったことがある、身長差・・・本人は随分気にしてるみたいです。

「それにしても髪伸びたね〜、手入れ大変じゃない?」

「結構大変っちゃ大変です、最近は旅続きであんまりできてなかったですけど。」

「そう?それにしては結構サラサラだよ?」

そう言えば、あの時から少し思うのは、肌も髪もあと検査で分かったけど体内器官も限りなく産まれたままの状態に近いほど回復していた、多分そのせいで髪も・・・。

「・・・お姉ちゃんがいる家庭の子ってこんな気分なのかな。」

「そうかもね、あとでスバルさんに聞いてみよっか?・・・はい、これでおしまい。」

ブラシもかけてもらってこれで終わり、鏡を観ると・・・なんかアイシスさんが隠れてる。

「アイシスさん…何してるんですか?」

「あちゃ〜バレちゃった?、いやーサキちゃん素材がいいからちょっと髪で遊んでみたくなっちゃって。」

「髪?ですか。」

「そっかぁ、アイシスちゃんアクセサリーとか好きだもんね。」

えっとこれは・・・。

「でも今やっても寝る時には解いちゃいますよ?」

「だからこそちょっと試してみたい髪型があるの!リリィよりぜ〜ったいサキちゃんの方が似合うから!」

「私も一緒にやっていい?」

こうして結局乾かしたばかりの髪にヘアセットをされる事に・・・長時間目を瞑ってるの苦手なのに・・・

「キャロさん///くすぐったいでヒャッ///、もういいですか?目開けてていいですか?。」

「うん♪似合う似合う、目開けていいよ。」

やっと目が開けれる・・・目を開けるとピンク色のリボンで長いツインテールに髪が結われていました。

「どうかな?」

「・・・どうって言われても・・・でもやっぱり一本に結んでる方が私は落ち着きます・・・。」

「そっかぁ・・・」

「でも、ありがとうございます、すごい可愛いんで、ちょっとだけ気に入りました。」

 

 

 

 

 

 

 

「「お風呂上がりました〜♪」」

「サキ?」

広間に入るとソファーにASDD組、その横では6課組で固まって机を囲んでいて、双賜くんはフーカさんの隣で座ってるような感じです・・・双賜くんが懐く人と懐きにくい人って差はなんなんだろう。

「キャロさんとアイシスさんに結ってもらったんだよ、どうかなぁ?」

「・・・サキは・・・気に入ってるの?」

「うん、一応ね。」

「そう言えば・・・」

「ヴィヴィさんたちは学校の宿題です。」

「あー・・・」

宿題・・・修学経験がない私には縁が無かった言葉だ。

「そう言えばヴィヴィオ〜?」

「リオ、どうかした?」

ヴィヴィちゃんは一切視線を外すことなく応答してるし・・・しかも答え合ってる。

「ヴィヴィオと出会ったばかりの頃のサキさんってどんな感じだったの?」

「私も気になる〜♪」

「少し、興味はありますね・・・。」

「そーですね〜今でこそすごいおしゃべりな方なんですけど、初めて会った時はすごく無口で寂しそうな方でした・・・なんて言うか哀愁が漂っていた・・・みたいな。」

「そう言えば、そうだったっけ?」

「でも当時からすごく優しいお姉ちゃんって感じでしたよ。」

そう言えば、ヴィヴィちゃんのお陰だっけ・・・あの日は検査兼私の特殊器官の研究って名目は私に告げられてないまま本局に連れられ無限書庫で預かられて間もない頃・・・

「思い出した、確かあの時ヴィヴィちゃんが。」

「そーです、大人モードでちょこっとイタズラしたら、ユーノ司書長に縛られちゃって。」

「あの時のお説教長かったねぇ・・・でも今覚えてる中でならいちばん最初に私が笑った日だと思う。」

「調べものに来たんだよね?、仕事の邪魔するならさっさと帰って。って」

「相変わらず司書長の声真似上手だなぁ・・・」

「でもヴィヴィさんがイタズラですか?なんかイメージできませんのぉ…」

少しリオちゃんが首を傾げた。

「…覚えてる中で初めて?」

「うん、リオちゃんやコロナちゃんには言ってなかったよね、私9才より前の記憶がなくて、ホントの名前もわかんないんだ。」

実際、本当の名前はフィリスでありdaughterだし・・・9才より前の記憶はそもそもそんなの無い、人工培養で産まれてるから細胞年齢換算で15才だけど実年齢絶対違うだろうし・・・って言うかホントは私6才ってこと?・・・頭痛くなってきた・・・いやややこしくなるからこれ以上考えないでおこう・・・。

「・・・じゃあ、ヴィ・・・」

アインハルトさんがコロナちゃんの口を塞ぎ、ヴィヴィちゃんがリオちゃんの口を塞いだ。

「(フーカとミウラ、それからユミナとその他の方も聞いてる可能性があるんです。)」「(だからリオ、コロナ・・・私やノーヴェと同じ産まれ方の話は・・・ダメだよ)あっサキさんなんでも無いですよ〜。」

「はぁ・・・なるほど・・・

(ヴィヴィちゃん・・・実のこと言うとね・・・)」

私はあの船の中で知ったことを念話で伝えた・・・

「(サキさん・・・)」「(うん、だから・・・)」

「ASDD組もなんかお話が盛り上がってるね〜♪」

「なのは・・・」

「今日はみんないるんだから・・・あと訓練カルテもまとめなきゃだし。」

「There are many participants this time (今年は参加員数も多いですし)」

「そう言えばなのはさん、明日は予定通りやるんですか?」

「一応マリエルに注文したデバイスが届き次第ね・・・そうだ、レイジングハート。」

「All right」

レイジングハートが回線を繋げて連絡を始めました・・・。

「デバイス?」

「ソウシくん用のデバイスだって。」

「・・・そうなの?、やったぁ♪、じゃあ待ってるね・・・明日現地調整したいからきてくれるって・・・ついでにみんなのデバイスのメンテナンスも兼ねて。」

「あの・・・新しいデバイスって?」

咲ちゃんがソファーの方から聞いてきた。

「ソウシくん用の新作・・・一応アークウィンガーの兄弟機になるかな?」

「Machines have nothing to do with blood(機械に血縁関係はありませんよ?)」

「it’s an illustration(例えの話ですよ)」

「アークウィンガーには冗談が通じないのかなぁ?」

「・・・まあつまりはほぼ同じ規格で作られてるから兄弟って感じかな、ブリッツキャリバーとマッハキャリバーみたいに、ね。」

「「that’s right」」

とスバルさんが補足を入れると・・・

「understand,Imean it likes Me and Shiny wingr & Brad wingr ?(だいたい理解しました、私とシャイニーウィンガーやブラッドウィンガーのような感じでしょうか?)」

「えーっとそれは・・・。」

「あの子たちが使ってた杖と剣のことだと思います。」

 

 

 

 

 

「とりあえず、消灯時間も近いし今日はみんな解散、自分の部屋に移ろうか?」

「はぁい♪、じゃあおやすみなさい、なのはママ、フェイトママ。」

「うん♪おやすみ。」「おやすみ、ヴィヴィオ。」

「行きますよティオ。」「いくぞ、ウーラ。」

「じゃあ私たちも行こうか。」

「もしかして・・・アイシスとリリィも相部屋?」

「「トーマ・・・イヤなの?」」

みんながとぼとぼと部屋に入っていく、そして。

「じゃあここからは大人の時間だね。」

「良いんですか?」

「まあはやてちゃんいないし・・・。」

ルーちゃんが缶を運んできて相席した。

「じゃあ大人組の晩餐会始めよっか。」

心地よい缶の音を部屋に響かせて雑談タイム・・・ホントに八神家の皆さん抜きだからこそできる催しですが。

「それにしても、エリオとキャロもあと3年でお酒解禁だね。」

「・・・解禁されても、僕は飲みませんからね、フェイトさん。」

「私も遠慮したいです・・・八神部隊長と同じタイプだったら怖いので。」

「・・・あっスバルは2本目止めといてよ・・・。」

「なんでですか!」

「スバル甘え上戸だから・・・。」

「そんなことないってギン姉〜♪。」

「もう回ってるわよ…全くもう・・」

あと私とエリオくんが意地でも飲みたくない理由はもう一つ、フェイトさんのブレーキがいなくなるから・・・今日も多分フェイトさんが誰かに泣き付く前に止めるブレーキ役でいないといけないので・・・

[・・・さて筋肉痛には悶えつつも今日はおしまい。

双賜くんは今のところいきなり人に懐く事がまた少なくなってきました、でもフーカさんは安全な人だと認識したみたいです、人懐っこいのか、そうでもないのか、でもあんまり私にも甘えてこなくなった気もする・・・(以下略)」

日記を書き終えて表紙を閉じる、正午あたりの胸の痛みはなんだったのかな・・・。

自然の中だからか夜になるとすごく涼しい、ヒートアイランド現象が起きにくいからだろうか・・・さて布団のほうに・・・あれ?双賜くんがいない!・・・よーく観ると異常に涼しいと思ったら窓が開いている・・・

「まさかね・・・」

そのまさかだった、窓から外に出ると双賜くんは外にいた。

「こんなとこに居たんだ、心配したよ。」

「・・・ごめん・・・なさい。」

しょぼんとした顔で頭を下げた。

「でもなんで急に外に出たの?」

「星が・・・綺麗だったから。」

そっか、そういえば今までずっと都会にいたから満天の星空を観るのは初めてな様だった。

「これくらいでてたら星座も探せるね・・・流星群は観れそうにないけど。」

私も隣に腰掛けて空を見つめる・・・まあ紫外線のせいで少し変に見えるから私は夜空って好きじゃ無かったけど、双賜くんと一緒ならなんか綺麗に思える・・・ってなんでだろ、ちょっとドキドキしてきた・・・。

「そういえば、サキ・・・サキは僕の事・・・どう思ってるの?」

「どうって、ちょっと甘えん坊で怖がりで、最近人見知りが多くなってきてるけど・・・でも、笑顔がすごく眩しい私の大好きで大事な弟だよ。」

もちろん「like」の意味でだけど。

「・・・。」

「逆にソウシくんは?」

ちょっと困った顔をされたあと、言葉にしてくれた。

「なんか今日のサキ、冷たかった。」そう言って顔を背けてしまった。

「冷たかったって、あれは違うよ、ヴィヴィちゃんは友達だから。」

「だって、サキ・・・あんまり相手してくれなかったから・・・寂しかったもん。」

「バカだなぁ・・・相手してあげなくても、嫌いになったんじゃないよ。」

「でも、これから役に立てなくなるし・・・」

ちょっと、クスって笑えてきちゃった、とりあえず頭を撫でてて・・・

「ソウシくんが仮に龍になって私を運ぶ事が出来なくなっても、役に立たなくても君は君だよ・・・って言うかそばにいてくれるだけでも十分。」

「じゃあ・・・ギュッてしてくれたら…。」

「うん、おいで。」

私が手を広げると、ぺたんとした私の胸へとすっぽり収まった・・・ってもしかして・・・泣いてる?。

「サキ・・・。」

「なぁに?」

「あのね…サk…。」

ダメだ、途中から全然聞き取れないし、耳元で寝息をたてている・・・大事なタイミングで泣き疲れて寝ちゃったみたい。

この時奇跡なのか運がいいのか、空が眩く光った。数日遅れの流星群だ。

「もうちょっと起きてれば観れたのに…。」

眩く光る夜空を見つめていたら、私も眠く…なって…きちゃ・・・

「あっ、流星群。」

「ホントだねぇ・・・なんかトクしちゃった♪」

「キャロ、あれ!」

エリオくんが指を挿した先では、2人が抱き合ったまま寝てました…一緒に星座でも探してたんでしょうか?

「あっ、悪い子がいるねぇ。」

「スバル。」

「あはは・・・」

「とりあえず風邪ひかれてもアレだし毛布だけでもかけてあげよう・・・なのは。」

「はーい、じゃあとってきまーすっ。」

酔っているせいなのかなのはさんはウキウキ気分で廊下へ駆けて行く…

「エリオ、キャロ、行っておいで。」

 

 

 

フェイトさんに言われるままに外に出て毛布をかけてあげる。

服装を確認するとサキちゃんはさっきまで着ていたジャージではなく少し背伸びしたような感じでベビードールを着ている、そう言えば寝る時は下着派なんだっけ。足元をみるとスカート状の部分が捲れ上がっていちご柄のぱんつが丸見えになっていたのでそれも直しておいてあげる。そして‥

「あっ髪型・・・」

寝るときに解くって言ってたけど、やっぱり申し訳なくて解かずにいてくれたみたい・・・嬉しいけど、そーっとリボンを外して髪が痛まない様に流してあげた。

「クルルー?」「なんか、昔の僕らを見てるみたいだよね。」

「///そんなこと言われたら・・・ちょこっと恥ずかしいよ・・・」

「でも、ホントに仲良しな姉弟だよね、単なる龍と主人じゃなくて・・・」

「私も、エリオくんに会う前はフリードしか家族って呼べる存在っていなかったから・・・きっとソウシくんは咲ちゃんが寂しい顔してるのを観たくないだけだと思うんだ、フリードがそうだったから。」

「キュルル?」

「ごめん・・・じゃあ僕らもそろそろ寝よっか。」

「そうだね、じゃあいっしょに寝よ?エリオくん♪」

「キャ、キャロ!?」

私はエリオ君の手を取って一気にコテージまで走りだす・・・こうするのすごい久しぶりかも。

「船の隠し場所はこんな所でいいの?」

「よく言うだろう、灯台下暗し・・・っとね。」

「ふぁぁぁ・・・」

また情けないあくびを一つ・・・あれ?もしかして流星群の後寝ちゃってた?・・・誰がかけてくれたか分かんないけど毛布とあと、メモ書き?も毛布に張り付けられている。

「・・シャキィ♪・・・」「ソウシくん・・・朝だよ。」

起きる気配ゼロか・・・寝顔可愛いから良いけど、とりあえずメモ書きの内容に目を通し…

[いちゃいちゃは程々にね]

へ?・・・誰か一部始終を見てたって事!?

なんか朝食に行くの気まずいなぁ・・・って続きがある。

[髪型・・・そのままにしてくれてありがとう・・・でもまた何回でもやってあげるから、解いて寝ないと髪の毛痛んじゃうよ]

この字・・・キャロさんの字だ・・・なんか恩人にものすごい痴態を晒した気がする、一体どんな顔をして会えばいいのやら。

「ふぁぁぁ・・・サキ?顔赤いよ。」

「いや・・・なんでもない…なんでもないから。」

「・・・。」

「・・・、」

「・・・さて、どうしようか?」

一部始終を観ていた私たちはどんな顔で会いに行けば分からなくなりました。

 

To be continue

 




次回予告
なのはさん仕込みの私の新しいやり方、そして納品される新しいデバイス
新たなジャケットに身を包んで今、新しいスタートを

次回、龍騎神弓クラシカルサキ
diary16「New Style」

なのはさん直伝、これが私の全力全開!



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

diary 16 New Style

「と言う訳でこれが発注されてたデバイスだよ。」

「・・・、・・・」

シャーリーさんが現地に着き、例ののデバイスを納品しに来た。

双賜君はそれを手渡されると、興味津々にその白い勾玉を見つめている。

「一応昨日までに取ってもらったデータを元に調整してあるから、後は術者の登録だけすれば使えるよ。」

登録・・・アークウィンガーはすでにそこら辺されてたからなぁ・・・ってあれ?

「ソウシくん、どうかした?」

「いや・・・そのトウロクってどうやるの?」

「あーOK、じゃあレクチャーするね。」

 

 

 

 

 

 

「じゃあ始めるよ。」

あれから数分を経て、初回起動工程が始まった。

「・・・えーっと、使用者、深海双賜、術式はミットチルダ・・・えーっとこの後は・・・」

「次はその子の名前、好きに着けていいよ。」

「じゃあ・・・デバイス名称、”クラッシュウィンガー“。」

「そこまで来たら最後は起動パスワードを。」

「・・・。」ここで大きく息を吸って双賜くんが高らかに叫んだ。

「クラッシュウィンガー・・・セットアップ!」

彼の体が光に包まれ、その光が晴れると、少し大きめなブーツになのはさんやスバルさんが着用しているような上着が半袖にアレンジされた物を羽織り、手には無駄な装飾のない手袋、そして頭にはあの時無くしたものと同じデザインのキャップが装備されていた。

「この帽子・・・。」

「咲ちゃんのリクエストで付けるけてみたんだけど、気に入ってくれたかな?。」

「サキが?」

「それ・・・すごく気に入ってたから。」

「・・・。」

「嫌だった?」

「そんな事ない・・・サキがくれたんだもん、大事にする。」

「そっか。」

笑顔で大事そうに帽子を抱きしめている、やっぱりお気に入りなんだね。

「後、アークウィンガーも一回貸してもらっていい?」

「Me?」

「いいですけど・・・」

「master!?」

「カッコいいね〜♪」

「でも帽子って飛んでってりしない?」

「はいはい、とりあえず初めてだしいきなり模擬戦するのもアレだから、肩慣らししよっか♪」

「押忍♪」

双賜くんは帽子の鍔を後ろにして被ると、大きな声で返事した。前髪がはみ出してるせいで若干カッコついてないけど。

「じゃあ、フーカ、行ってこい。」

「会長!?」「昨日勝っている相手ですよ?勝手は分かってるはずです。」

「・・・しょうがない、引き受けるしかないかのお・・・。」

「フーカさんフーカさん、大丈夫です、アインハルトさんの教えがあるじゃないですか♪」

「お・・・押忍。」

「よーし、じゃリングに入った入った♪。」

「is this martial arts ...(これが総合格闘技の・・・)」「大丈夫かなぁ・・・?」

二人がリングに上がりお互いに見つめあった。

「じゃあ二人ともルールは1本先取制、勝利条件はリングアウト、もしくは片方のダウンによる3カウントのどちらか、いいな!」

「「押忍!」容赦しません・・・武装!」

フーカさんもバリアジャケットを纏い戦闘態勢だ。

「レディー・・・ファイト!」

ゴングが鳴り、まずは双賜くんが仕掛ける、それをフーカさんが掴んで投げる、そこから体制を立て直した後地面を強く踏み、足に火を纏わせた。

「ソウシくんの足から・・・火!?」

「そりゃ、咲ちゃんが出せるんだもん弟のソウシくんが出せてもおかしい事じゃないんじゃない?」

「実際スバルとギンガがいい例だね。」

なのはさんとフェイトさんから冷静なツッコミが入れられた。

そして双賜くんは青い火を足に纏わせたまま上段蹴りを交互に繰り出した。

「(リオさんの火より・・・熱い・・・)」

「すごい・・・。」

「もう一つの姿が竜なだけあって脚力腕力は人並み以上、でも翼竜だからパンチはあんまり感覚としてしみついて染み付いて無いから、足技を昨日一日で仕込んでもらった。でもスバルとノーヴェ、それからギンガの指導だとしても、1日でここまで出来るようになるのは予想以上だね。」

そうこうしてる間にラッシュを耐え抜き、フーカさんが反撃、でもそれを異常な脚力がもたらす跳躍により、綺麗なバク宙で交わされ、そのまま急降下かかと落としの体制に入った。

盾竜・滅火脚!(じゅんりゅうめっかきゃく)

「見切った!」

フーカさんは落ちてくる位置を見定め足を掴んで・・・

「覇王・・・断、空!拳!」

覇王流の決め手、断空拳でノックアウトさせた。

「勝者、フーカ!」「押忍!ありがとうございました。」

少し涙目ではあったけど、綺麗な型で挨拶をして試合終了・・・

「フーカさん、手・・・」

「これくらい平気じゃ。」「無理すんな、さっさと冷やしてこい、結構な火傷だぞ。」

やっぱり、完全燃焼状態の青い火だから普通より熱いっぽい・・・いや、そんなことより。

「ソウシくん?」

「サキ・・・負けちゃった。」

「でもよく頑張ったよ。」

そっと頭を撫でながら宥めて、それから帽子を被せてあげた。

「じゃあ、ダブルヘッダーになっちゃうけど、模擬戦行こうか♪」

そう言ってなのはさんはチーム分けを発表した・・・

分かれ方はこうだ、レッドチームはキャロさん、ギンガさん、ティアナさん、それからとエリオさんと双賜くん。

そしてブルーチームはトーマさん、リリィさんにアイシスさん、スバルさん、そして私。

恐らくポジションの被りがないよう編成されてるっぽいけど・・・流石にこれは・・・戦力差と言うより経験の差が大きいような気がする。

 

それから数分後、各チーム並んで挨拶と・・・

「それじゃ、いくよ・・・「「「「「「セーット・・・」」」」」」「いくよ、リリィ「エンゲージ・スタンバイ ディバイダーゼロ・・・」「パフィ、アーマージャケット・オン!」「エクリプスゼロ、スタートアップ。」「「「「「「「アーップ!」」」」」」」

各々がデバイスを起動そして着装・・・これって。

「このマント、キャロさんと同じ・・・もしかしてこれが?」

「それだけじゃないよ〜もう一つ、そのゴーグル、かけてみて。」

言われた通りに首から下がったゴーグル越しに外を見てみると・・・景色が違って見えた。

「すごい、周りの景色が写真みたいに・・・窓のない部屋でLED証明焚いてるのと同じくらい見やすいです!」

「その表現されても一切わかんないけど、一応サキちゃんの特殊な色覚を正常な3色型色覚の人と同じ様に見えるレベルでUVカットと、フィルターを変えれば暗視だったり赤外線とか他の不可視光線の可視化も出来る優れものだよ。」

暗視だけは無くてもそこそこ見えるけれど…すごく便利な追加装備だった、重宝しそう。

それから各々戦闘態勢に入って各陣地のスタート地点へ・・・因みになのはさんとフェイトさんは2戦目から参加、この戦いを制したチームが好きな方を指名できるルールになっている。

「じゃあ1戦目、レディ・・・「ゴー♪」」

「「ウィングロード!」」

試合が始まるとまずはウィングロードが展開されスバルさんとギンガさんに続き飛行出来ない陸戦組が後を続いていく、とりあえず移動を始めてすぐに視線の向かって右ではスバルさんとギンガさん、左ではエリオさんとトーマさんの組で交戦が始まっている、因みに今回のルールはシンプルに殲滅戦、つまりどちらかの全滅もしくは時間切れ時の撃墜数で競われる為序盤1対1が基本になるけど、打ち合わせどうりなら今回私は援護射撃専門になる。

ポイントの近くまで移動してウィングロードからアンカーショットで廃ビルの中へ・・・サイアク、早速避けたかった事態が発生した。

「こちらスターズ4、目標とエンゲージ。」『ライオット4了解、そのまま交戦してください。』「了解。」

ティアナさんと鉢合わせた・・・、しかも二人、だけどハッキリしているのはどっちも幻影である事。

ただ挟み撃ちになっているため、本体を探す間もない。

「あれ?・・・ティアナ全弾避けられてる?」

「咲ちゃんは視力だけじゃなくて空間把握能力も人より高かったから、確実に見切って少ない動作で避けるってスタイルで育ててみたんだけど、やっぱりこのスタイルが一番合ってたみたいだね。」

ひたすら逃げ回りながら張り巡らせたワイヤーで幻影を2個無力化して・・・と、反対側にもティアナさん発見、あれが本体かな?

「カードリッジロード。」「light」

矢を作り出して・・・狙いはバッチリ、そして手を離すと・・・消えた、あれも幻影!?

「残念だったわね!」

本体は上から攻めて来た、体を転がしてかわし、矢の先をティアナさんに向ける、ティアナさんも私に銃口を向けた。

お互いにタイミングを図り、静止する・・・そして手を離そうとした時、外で爆発が起こった。

「もしかして、アイシスさん・・・ソウシくんと・・・」

「よそ見してると・・・」

あぶないっ、一発被弾、集中しなきゃ・・・ってそれは聞いてない!?

「・・・ランブリングスパロー!」

ちょっとアイシスさん!見方いま〜す!フレンドリーファイア仕掛けてまー・・・って双賜くんこっち来ないでぇぇぇぇぇぇぇぇ(泣)!

「さけるより全部おとせって、昨日習った!。」

彼は兎に角学がない、爆薬に燃える脚で攻撃したら・・・

「キャロ、転送頼める?」

『時間的に・・・ギリギリですけどなんとか!』

廃ビルが跡形も無く消しとんだ。

「うわ〜、火力ヤバ・・・」

「間一髪でしたね、アイシスさん。」

爆薬は燃やすと名の通り爆発する、それもわからないほどに学が無いのは・・・多分私の責任、だよね。

「どうした?トーマ。」

「ストライクカノンじゃなくてしっかりとストラーダを使ってるエリオくんと本気でやるのは、初めてだなぁって。」

そうやってエリオ君とトーマの一騎打ちの最中、遠くでここまでと比べ物にならないほどの爆破が起きている…どうやらティアナさんと咲ちゃんが交戦していたビルが倒壊したみたいです。

まあ、ティアナさんの回収は間に合いましたが。

『二人とも・・・無事?』

「うん、リリィ二人揃って無事だよ。」「リリィさん、戦況は?」

『こっちはトーマがエリオさんと交戦してて、ティアナさんはキャロさんの所からもうすぐまた向かってる。』

「了解、サキちゃんはトーマをお願い。」

「はい!」

 

 

「トーマ、前にも言ったけど・・・」

「戦いの基本はまず見ること!、忘れてない、ちゃんと覚えてる!」

「援護射撃って言っても・・・男同士の戦いに水を差すなとか、言いそうなタイプじゃ無いけど、なんか後ろめたいものが・・・」

「master?」

「そうだね。」

矢をつがえてしっかり狙う・・・ここかな。

「ごめんなさい、エリオさッ!・・・奇襲?。」

後ろから何かが飛んできた、相手の姿はすぐ近くには無いし・・・かなりのロングレンジシュート、この芸ができる人は覚えてる中で・・・。

「しまった!」「トーマさん!」

よそ見してるんじゃ無かった。

『(サキちゃん・・・一応私たちはまだ大丈夫だから)』

「(って言ってもそのバリアジャケットの損傷度合いじゃ、あと一撃被弾したら脱落ですよ?・・・)」

「黒の香No.3、ハミングバード、とミスティック・フライト!」

「アイシスさん!?さっきまで戻って来たティアナさんと・・・」

「とりあえず一時撤退するよ?」

「でも!」

「策がないなら戻るしか・・・」

「策ならあります、乗ってくれませんか?」

『(サキちゃんの提案?チームメイトだし、私も協力するよ)』

「(ありがとうございます、ではスバルさんはギンガさんの足止めを、アイシスさん・・・・)」

「・・・もしもし?もしかして。」

『そのまさかや、約束通り・・・』

「了解、ささっと終わらせてくるね、行こうフェイトちゃん。」

「戦況的にスバルさんとギンガさんは時間の問題として・・・そろそろかな。」

ここからの作戦としては既に1名脱落済みですが、ここから1対1では無く3対2にする方針で・・・あれ?

霧が晴れるとサキちゃんの姿は無く、トーマとアイシスだけになった所でティアナさんとエリオ君が合流、すると、二人がナカジマ家二人の方角へ進行・・・全員を一か所に固めた乱戦狙い?。

「「追ってこないんですか?」」

「わかりやすい挑発ね。」

「でも、乗ってあげても良いんじゃないですか?」

「それもそうね、後輩に目にもの見せないと。」

全員が一箇所に集まって3対3の状態へ・・・ですがトーマが初めに墜ちて、アイシスも半分程までダメージが蓄積・・・あっちの作戦の意図が読めない・・・

「・・・よし、バインド!サード!」

赤い魔力光で3人にバインドがかかり、動きが封じられる。

「トーマさん、リリィさん、アイシスさんごめんなさい囮になってもらっちゃって・・・でも目標の拘束と準備整いました!」

交戦範囲から200mほど離れたところでサキちゃんが待っている・・・

「少し私なりにアレンジしたけど、これがなのはさん直伝の!」

そう言うと周りに小さな光が放出されていく・・・これじゃなのはさんのものとは逆な気がする・・・そんなこと言ってる場合じゃないや

「全力全開!スターライトブレイカー、カラミティアローレイン!」

乱戦エリア真上にその光の球を飛ばし、その上で静止すると一本の巨大な矢とそれを囲むように大量の細かい矢が降り注いで、まさにブレイカーとともに矢の雨が降っているかのような状態になり、ティアナさんとエリオさんがBJ損傷率大で脱落しました。

「来たか、なのは、テスタロッサ。」

「ヴィータちゃん、どっちを引き受ければいい?」

「魔導士の方を頼んだ、シグナムとこっちのデッカイのを抑えるまで逃すんじゃねぇぞ。」

「りょーかい。」「テスタロッサもいいな。」

「はい、シグナム。」

私とフェイトちゃんであの子たちの相手に…3回くらいコンタクトしてるけど、手合わせは初めて…。

「2人共、なんでこのロストロギアを回収してるか教えてくれないかなぁ?」

「我々の主が責任を果たすために必要だと言っています…」

「その責任って?」「言えません、聞きたければ力ずくでどうぞ。」

お話だけで済ませたかったけど、この子もこの子で聞き分けのない子だ、ちょこっとだけ…

「じゃあ、そうさせてもらうよ。」

私が銃口を向けるとそれ高速で移動…でも、フェイトちゃんよりはずっと遅い。

「はぁぁぁぁ!」「追撃…ディバイーン…バスター!」

「この距離を?」

フェイトちゃんと2人で2人を挟み、そしてバインドをかけて…

「報告、午後1:40…魔導士2名の身柄を確保」

「very tired・・・」「私も・・・これでカードリッジの弾数制限使い切っちゃたし・・・」

「I am sorry for the poor fuel economy(燃費が悪くて申し訳ありません)」

「ホントだよ・・・」

と一息ついた所で・・・あっこれマズイかも。

「サキちゃん♪、私を忘れるのはひどいなぁ。」

ニコニコしながらキャロさんが歩いて来た・・・

「キャロさん?」

「龍騎招来、天地轟鳴♪」

「ちょっ、とそれは無しですって・・・」

「ヴォルテーーーーール!」「そんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

容赦ないにもほどがありますよ…

 

結局1戦目は決め手ヴォルテールによる全滅でレッドチームの勝利で終わり、ご指名タイム…となるはずが…

どうやら模擬戦中に事件発生、ルーテシアさんの手を借りてなのはさんフェイトさん、そして本部からヴィータさんとシグナムさんが出動し鎮圧…そして合宿の打ち切りで私たちはこれから帰ることになりました。

 

To be continue

 




次回予告
取り調べで様々発覚する事実と、訓練仕事に姉弟関係、私の体といろいろで…そんな中、私たち姉弟にささやかなお誘いが♪

次回、龍騎神弓クラシカルサキ
diary 17「ご飯食べにおいで」

なんだかちょこっとモヤモヤする…


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

diary 17 ご飯食べにおいで

合宿の最中急変を迎えた事態・・・そして再び始まった忙しくも充実した日々、だけどその日々が一度・・・たった一度だけ・・・

龍騎神弓クラシカルサキ、始まります


同日18:00

(この際だ、局の方々に私のやっていることをすべて話して来て欲しい・・・)

「質問にお答えしましょう、我々の目的は今から15年前、マギアクリスタル研究の最中に起きた不慮の事故で誕生した超生物”クトゥルシア”の討伐、過去にマギアクリスタルが覚醒した場所に我々が出向いたのはクリスタルを回収し私たちのような生命体を増やしある、周期で戻ってくるクトゥルシアを迎え撃つこと、その周期は15年、つまり今年であり、日付は私の体にあるクリスタルに記録された暦である“四色月暦(ししきげつれき)”で蒼月の47、太陽暦に直すと10月16日、つまりあと数ヵ月でやって来ます。」

「いくつか質問させてください。」

「構いません。」

「あなたたちのような、と言うと?」

「私たちは2つのマギアクリスタルと、一人の人間の体を用いて産み出された魔法生物兵器、原理としては通常マギアクリスタルはリンカーコアを補食して単体で魔力生命体になりますが、そのクリスタルを二つ用いて両方の特徴を持った生命を産み出す実験で、片方の生物の姿に変わる人間として雄と雌に分離し、異なる性を持つ個体同士が融合騎のようにユニゾンが可能な状態になることが発見され、そしてその一例が我々です、我々の主は”クロスウィングス”と呼んでいます。」

戦闘機人や特殊人造クローンと同じく彼ら二人もそしてサキやソウシもその類い・・・私は少し胸が痛くなった。

「では、もうひとつ質問を・・・」

あれから1週間が経過しました、あの二人は初日のうちに引き出した以上の情報は吐かず、そして海上施設への話になると「10月まで、目的を果たすまで我々を野放しにしておいてくれませんか?そのあとであれば罪を償うために刑務所でも断頭台でも電気椅子でもどこでも。」の一点張り、まあ明日の朝、別の留置所へ移送されるのだけれど。

とそんなことを考えていたら。

「ボーッとしてんじゃねー!」

「あっ。」

大きな音を立ててヴィータ副隊長の攻撃をギリギリでかわす、そういえば訓練中だった。

現在取り行っているのは、モード2[ラピットモード]を用いてのヒットアンドアウェイ、ルールは私がヴィータ副隊長が身につけているヒットポイントに矢を当てればクリア、ただし相手の射程範囲内つまり半径=グラーフアイゼンの長さの中でしか撃っちゃいけない、そして私がグラーフアイゼンを喰らった場合はやり直し。

「どーした、さっさと撃て。」

って言われても、あれだけ巨大なハンマーでこれだけちょこまか動かれるとさけるのが手一杯で起動計算はとてもしてられない。

・・・でも時間れまで後10秒、やりなおしは嫌だっ、今しかないっ!

そうして放った矢はヴィータ副隊長の装着しているヒットポイントに当たったらしく色が青から赤に変わったのが見えた、けど後方不注意、両足どちらも地面についていない状態じゃ踏ん張れず、発射の反動で後ろに身を投げてしまう、そしてその後ろは…

「・・ふぎゃっ・・いった~」「矢は確かに届いたぞ、けど落ちたら意味ねー・・・大丈夫か?擦りむいてねーか?」

今日の訓練場は森林でセッティングされていて、当然急斜面があるのですが、そこにまっ逆さま・・・今日も今日で絆創膏追加です。

「ったく、最近危なっかしいぞ、絆創膏何枚目か言ってみろ。」「これで7枚目です。」

「なのはも言ってただろ、もう一回自己暗示しとけ、人の身を守る前に」「自分の身を守れなきゃ意味がない。」「これじゃ守れてねーな。」

 

そして朝連後

「また擦り傷増やして・・・大事にしてよ、自分の体。」

更衣室でキャロさんにも怒られてしまう始末、そこまで危なっかしいのかな。

「はい…い?また増えてる(・・?)」

「脂肪より筋肉のほうが重いもん、しかもたった0.1キロなんか誤差の範囲内だし、気にしなくていいって。」

「そう言えばこの部屋の体重計一回壊れてて…」

「そうそう、二人で大騒ぎして。」

「アイシスさんもリリィさんも何かあったんですか?この体重計で。」

「あ~一週間部隊長が大騒ぎした・・・」

(↑詳しくは「魔法戦記リリカルなのはForce Dimension」をご参照ください)

同時刻 男子更衣室

 

「「ハァ・・・ハァ・・・」」「今日は二人ともシャマル先生のところで定期検診のはずだよね?ベンチでダウンしてていいの?」

「すぐ着替えていってきます!、ほら、早くいくぞ。」「・・・もう少し休ませて・・・トーマ先輩。」

さらに同時刻、隊舎内隔離棟

 

「このまま大人しくしとくの?」

「そんな訳ないじゃない、主の命令どうりに…」

「はーい、じゃあサキちゃんだけ残って後はみんなお仕事戻って。」

「「「ありがとうございました。」」」

え?私だけ?

「シャマル先生?」「今回の検診で少し検査したい点があるの、最近いきなり胸が痛くなったりしない?」

どうやら見抜かれてたみたい。

「最近、週に数回あります。」「やっぱり。 詳しく検査してみないとわからないけど、やっぱりあの魔力を貯めてる器官が悪さしてるみたい…」「そんな、6年も何も無かったのにですか?」

「サキちゃんを6課で引き取るときの検査で、その器官に溜まってる魔力量が半分くらいになってたの。」

「それって、何かに使われてたって事ですよね?」

「ええ、だからその魔力が何に使われているか突き止める為の検査よ、実際に魔力を溜め込むか、それを消費するかどちらかのタイミングでその痛みがあるなら、はっきりさせないとだし、やっぱりそれがなんの働きをしているか突き止めないと処置もできないの・・・」

「分かりました、予約だけ取っておいてくれますか?あと、他の方には内緒で・・・」「ごめんね、情報開示義務があるから、隊長たちだけには規則で隠せないの。」「そう・・・ですか・・・はぁ。」「ごめんね。」

 

 

「あっサキちゃん!」

医務室を出ると廊下でアイシスさんとばったりあった。

「アイシスさんもこれから事務仕事ですか?」「うん、まあね。そういうサキちゃんは?」

なんか、先週までのウキウキしてるような感じは自然としません、後輩ができて浮かれたのかな・・・なんか右手に先週のリボンが握られてるんですけど。

「とりあえずこれからやることは、訓練レポート、とあと無限書庫からきた資料を会議用に要約…」

「そんなお仕事任されてるんだ、入ってまだ1ヶ月ってくらいなのに。」

「元々これが本職でしたから…」

「そう言えば咲ちゃん、お昼食べた?」

「まだですけど、仕事はもらってからなるべくすぐ取りかか…いたっ。」

アイシスさんのデコピンが飛んできた。

「ダ〜メ、ちゃんと食べなきゃ、咲ちゃんただでさえ痩せすぎなのに、このままじゃおっきくなれないし、そのうち倒れちゃうよ?」

「でも…」

「…あっいたいた、サキ、ちょっといいかな?」

「はい、ハラオウン執務官どうかしましたか?。」

「お仕事中もフェイトさんでいいよ、それでね、あの2人がサキちゃんとじっくり話たいって口実で面会を希望してるんだけど…どうする?」

ワーカホリックって言われるかもしれないけど、すーごいお仕事先に終わらせたいからパスしたい、でも相手が相手だし・・・

「わかりました、じゃあ面会室行ってきます。」

「あと、お昼まだだよね?あっちで一緒に食べて来たら?」

 

 

それから数分後、特務6課隊舎隔離棟面会室

「失礼します・・・ご指名って聞いたけど?」

「久しいですね、daughter。」

「また…いい加減覚えて、私にはサキっていう大事な人がくれた名前があるから。」

少しイライラしながら透明な壁越しに話して席についた。

「名前・・・ですか。」

「そう言う2人はさ、WindもDashも名前じゃないから名前が無いって事じゃん、お互いを呼び会う時とか不便だったりしないの?正直私は困ってる。」

「会話自体をあまりしないゆえに、不便だと思った事は無いですし、そもそも我々は生体兵器、戦いで散る定め・・・」

「ならなおさら、名前がいるんじゃない?人が亡くなった後、残る物ってなにがあるか知ってる?名前だけだよ。」

「それが・・・我々はそもそも人間ではありませんし、我々の”名前という概念も単なる個体識別名称に留まらない役割を持った物”授かっている方が・・・

しかも前提としてロストロギアで造られた戦うだけの生命です・・・あなたも私も、あなたが弟として親しんでる彼も・・・。」

「確かに私が人間じゃないのは認めたく無いけど認めてる・・・でも私は私らしく人間として育ったし、みんなはそれでも私を私として、人として扱ってくれるから、むしろ兵器として死ぬと思って生きるのはそれって堅苦しくて好きじゃ無いなぁ。」

「“好き”じゃない・・・感情論、やはりあなたは人間にかぶれ過ぎている。」

人間にかぶれ過ぎてるって、そりゃあつい最近まで自分が人間だと思ってたから。

「とりあえず、本題は?言わないなら私先にお昼食べちゃうよ?」

「・・・本題をあなたに伝える前に気が済みました。」

「は?」

「折角あなたの身体は”自然の摂理に反する事“ができると言うのに・・・勿体ないですね、その身から吹き出す“炎”がなんなのかよーく考えなさい。」

話の接点がわからない、どう言うこと?そのまま2人は部屋を出ようとして看守に止められている・・・

その姿を見て私はついカっとなってしまった。

「人の時間をわざわざ割いてもらっておいて!聞いてるの?!ちょっと!」

あっちは一切こっちの声に聞く耳を傾けない。

「master! I know my feelings, but don’t get angry!(気持ちは分かります、ですが・・・)」

「わかってるよアークウィンガー、だけど・・・だけど!」

モヤモヤした気持ちが治らないまま、私はオフィスに戻ってレポートと資料整理・・・午後の間は至ってなにも異常はなかったけれど、あの部屋で聞いたこと、言われた事がずっと頭に引っかかって、仕事を定時1時間前に片付けたらそのまま私は眠りについてしまった。

18:00 特務6課隊舎休憩室

 

「・・・って言う事なんです。」

「なるほどねぇ、でも私はギン姉や妹たちがいたからすぐに慣れたけど、キャロはあんまりそう言う経験無いもんね。」

私は結局、サキちゃんとどう言う距離感でいればいいんだろう、と言うことに対しての答えが出ず結局スバルさんにトーマとの距離感とり方について聞こうとしたのですが、望むような答えはもらえず、結局自分で見つけるしか・・・

「だけどね、自分を助けてくれた人が自分を大事にしてくれてるって言うのは分かりやすく出したほうがいいよ。」

「そうなんですか?」

「うん、実際私もなのはさんと再開した時に私の事覚えててくれたのすっごく嬉しかったし、私の憧れの人が手取り足取り教えてくれたのは頼もしかったもん、だからキャロにとってのフェイトさん、私にとってのなのはさん、トーマにとっての私がサキちゃんにとってのキャロだと思うから。」

「私にとってのフェイトさん・・・」

「うん、キャロはあの時フェイトさんにどうして欲しかった?それを思い出せばきっと答えが出ると思うよ。」

あの時、私がして欲しかった事・・・

「なんか分かったかもしれないです、相談乗ってくれてありがとうございました。」

「うん、またいつでも話聞いてあげるから。」

「そんな・・・ソウシくん!ウソでしょ・・・目を・・・覚ましてよ・・・ねぇ、ねぇってば!・・・」

燃え盛る火の中、彼の身体は熱を失っていく・・・命の灯火が消えぬようもがいてはいるけれど、それでも長く持ちそうは無い・・・

「誰が、なんで・・・なんで私から奪っていくの・・・なんで・・・なんで・・・

なんで!・・・アレ?夢?」

「随分うなされてたし、寝言も物騒だったけど大丈夫?」

目を覚ますと、これから上がりと言う装いのなのはさんが私のデスクを覗いていた。

「私・・・寝ちゃってたんですね・・・って良かった30分しか経ってない、そう言えばなのはさん、なんで私の席にいるんですか?」

「あのね、ヴィヴィオとも仲良くしてもらってるし、最近怪我するくらい訓練頑張ってるし・・・ご褒美では無いけど、今日ウチでご飯食べてかない?って、もちろんソウシ君も一緒で♪」

「良いんですか?お邪魔しちゃって。」

「いいよ、フェイトちゃんとヴィヴィオにも了承得てるどころか大歓迎だったよ?」

「じゃあ・・・お言葉に甘えます。」

「決まりだね?じゃあ早く着替えて、今日は特売日だから♪」「これから買い出しなんですか?」

 

To be continue




次回予告
2人で高町家の食卓にお邪魔することに、ヴィヴィちゃんともまた楽しくお話し出来そう♪
だけど、私と双賜くんとの間にまたまた妙な溝が・・・

次回、龍騎神弓クラシカルサキ
diary18「はじめてのただいま」

こう言うのが家庭の味・・・なのかな


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

diary18 はじめてのただいま

お袋の味、家庭の味、安心する味、贅沢な味、いろいろあるけれど、落ち着くのはやっぱり・・・

龍騎神弓クラシカルサキ、始まります



「ただいま〜♪」

「「おじゃましまーす」」

「あっ咲さんにソウシさん、お疲れ様です〜♪」

「うん、ヴィヴィちゃんもお疲れ様。」

そんなこんなで高町家へお邪魔して、なのはさんやフェイトさんの手伝いをしつつ談笑して・・・

「じゃあ、「「「「いただきまーす。」」」」」

テーブルを囲んで夕食、なんか・・・「なんかこう言う感じで食卓にお邪魔するの、初めてです。」

「そっか、サキちゃんずっと食堂とかでしか・・・」

「はい、なので私くらいの子ってホントは毎日こう言う風にって思うと・・・」

「全員では無いけれど、ほどんどのおうちはこうだと思うよ。」

「私も・・・リンディ母さんがいる日はこんな感じだったなぁ・・・」

そういえば、フェイトさんにはお母さんが2人いるんだっけ?、育ての親と、産みのお・・・じゃあ私の育ての親って厳密には誰なんだろう。

でもまあいっか、そんなこと考えてちゃ美味しいものも美味しくなくなるし・・・ん~(;>_<;)やっぱりお米は大!正!義!

「ソウシさんっこれも美味しいですよ〜、あっまた行儀の悪い持ち方してますね、こうですよ、こう。」

ふと目を横に向けるとそんな光景があった・・・ヴィヴィちゃんすーごいお姉さんしてる。

「ヴィヴィオもこれよりダメな持ち方してたよね。」

「も〜フェイトママ〜それちっちゃい頃の話でしょ?」

「フェイトママから見たら今もまだまだちっちゃいよ?」

「そんな事ないですぅ、もう14才ですぅ。」

「そう言うフェイトちゃんも9歳の時・・・」

「なっなのは!それは後輩に言わないで・・・「「!」」」

3人同時に視線を向けられた、この光景を見てニヤけてしまったのがバレてしまった。

「家族揃って仲良しさんですね♪」

「「「・・・」」ママ、おかわりしていい?」「は、はぁい〜♪」

ありゃ?またまた3人揃って、今度は顔を赤くしながら、何事もないように装っている、なにかマズイこと言ったかな?・・・

でも、こういう感じでお互いの事はよく知ってるよ見たいな、何年一緒に住んでると思ってるの?的な感じの関係っていいなぁ、ついつい憧れてしまうし、ヴィヴィちゃんは特に二人のママから愛されてるんだもん。

流石にもうベタベタに甘やかして大事にしてくれるみたいな里親は名乗り出てこないだろうけど、私もいつか、こんな家族が欲しいなぁ・・・

 

 

 

それからしばらくして、食器の洗い物を済ませた頃・・・

「もうこんな時間、そろそろ電車無くなっちゃう。」

「泊まっていけばいいのに。」

「流石にそこまでして頂くのは・・・なんと言うか、申し訳ないので。」

「そっかぁ、真面目だねぇ。」

「じゃあ、ごちそうさまでした。」

なのはさんとフェイトさんにお辞儀して、玄関で見送ってもらって。

「またおいで、たくさん食べさせてあげるから。」

「はい、またいつか・・・必ず。」

「その時はもっとお話ししましょうね♪咲さんっ。」

「うん、たくさんお話しよっ、新しい本の事とか、今度はナカジマジムについてももっと詳しく聞きたいし。」

高町家を後にして大通りに出ると、ずっと借りてきた猫状態だった双賜くんがなにやら不穏なトーンで話しかけてきた。

「サキ。」「どうしたの? もしかしてまだ帰りたく無いの?寄り道する?」「ちがうけど、サキ・・・やっぱり僕に何か隠してない?」

「隠して、ないよ・・・なにも。」「ホントに?、最近苦しそうな顔してる事多いし、シャマル先生にも・・・」

言えない・・・言えるもんか、胸の事なんて・・・。

「ホントに・・・いや、ごめんね・・・心配かけたくなくて。」

「やっぱり・・・」

「でもたいした事じゃ無いよ、大丈夫。」

そう言いながら両手を握って顔の前に持っていって、その後左手を離しいつもと逆に手を繋いで歩きそうとしたらその時、青いもやっとした人型のようなビジョンが見えた。

「サキ・・・今の・・・なんだろう。」

そのビジョンは双賜くんにも見えていたらしい。

「わかんないけどはやく行こっ、次逃したら30分来ないんだから♪」

なるべく明るく振る舞わなきゃ、悟られないためにも、双賜くんに心配かけないようにするためにも。

そのまま駅に向かって走った。

 

それから改札を通って電車に乗ると、双賜くんは寝てしまった、やっぱり乗り物の揺れが気持ちいいタイプの子なんだ、合宿の帰り、2週間の旅の間にに乗った電車やバス・・・そうそう、今日のなのはさんの運転でも。

そして現6課隊舎の最寄りに着いても起きなかったから結局おぶさって帰ることに。よく寝るなぁ、まだお風呂も入ってないんだぞ、まあ軽いからなんとかなりそうだけど。

「ふぅ・・・着いた。」

6課隊舎の自動ドアを潜るとキャロさんが待っている。

「おかえり、サキちゃん。」

おかえ、り?・・・思わず涙が出てきちゃった。

「はい・・・ただいま、キャロさん。」

「なんで泣いてるの?」「おかえりって言って出迎えてもらえたの、はじめてで・・・」

「そっか、でもこれからは毎日言ってもらえるね、サキちゃんも6課の子だから・・・。」

「6課の子・・・じゃあここは私の家・・・なのかな。」

「家でいいんじゃない?、帰るところなんだから・・・そうそう、お風呂サキちゃんたちで最後だよ。」

このとき私とキャロさんの頭に共通の考え浮かんだ。

「じゃあ♪( ̄▽ ̄)」

「誰かが乱入するリスクもないから・・・いっちゃおうか(^ー^)」

 

 

午後22:00 6課宿舎大浴場(女子)

 

「ふぁぁ、ぁ・・・あ?サササ、サキ!服!服!なんで裸!?」

「あっ起きた?なぁに顔赤くして、一緒にお風呂入ろ?」

「いいよ、さ、先入ってて。」

「いいじゃん、姉弟なんだし。」

「でもここって女の子用でしょ!?・・・やっぱり、僕、男の子だか・・・らッ、まってまってって、離してよ///サキ!ねぇサキ!サキィィィ!(泣)」

「ほらほら、早く行こうよ〜、シャンプー苦手なんでしょ?」

「誰から聞いたの?」「エリオさんから♪」

姉弟だから事件性0!合法だ合法、と言う訳で半ば無理矢理に連行した。

 

「意外と毛量あるんだねぇ・・・ちゃんと手入れしなきゃ・・・。」

「・・・」

「毎日乾かしてあげよっか?」

「いい、自分でやれるもん。」

この時の双賜くんはプチプチ反抗期みたいな感じでちょっと可愛かった。

「よし、これでおしまい。」

「じゃあ・・・僕がサキのやっていい?」

「いいよ、でも結構量あると思うけど。」

・・・まあこのあとは説明するまでもなく、髪と体を洗ってから・・・ってなにがあったか?、まあいいや、話すか。

「サキの髪・・・コレの匂いだったんだ。」

「うん、今日双賜くんに使ったのもおんなじやつ、髪質近いから合うかなぁって・・・」

「この香り、なんか好きかも。」

「ホント?ならさぁもう一本あるからソウシくんに・・・」

「いい、もらってばっかりだし。」

「はーい、とりあえずそろそろ流そうか?早く湯船浸かりたいし。」

「う、うん。」

とまあそんな感じで、湯船に浸かってすぐは顔を真っ赤にしてずっと絶句だった。

「ソウシくん?さっきからどうしたの?、はじめて会ったときなんかは私の前で着替え始めたりしてたのに。」

「アレはアレだもん・・・」

「なにかなぁ?私に対する反抗期?ねぇねぇ?」

「だから・・・近いって///・・・」

「いつもとおんなじだと思うんだけ・・・ど…おおー。」

後ろから抱きついてみたら、やな感触がして全て悟った、そして視線を向けるとそのまさかである・・・あーえー・・・マジですか?

「あっ・・はぁーははぁー・・・ソウシくんも男の子なんだね。」

「///・・・」

知らぬ間に性的な羞恥心が芽生えてたみたい、しかも龍としてではなく人間の。

「コレ・・・どうすればいいの?」「大丈夫、ほっといても・・・それはソウシくんの人間としての感性が育ってきた証拠だからさ、むしろいいことではあるよ。」「そうなの?」「(一概には言えないけど)そうなの。」

とりあえず配置をを対面で座る形に変える。

「じゃあ、サキ・・・一個聞いて良い?」「なんでも聞いて。」

「サキとキャロとアイシス姉さんのは小さいけど他の女の人の・・・」「ストォォォォォップ!」

咄嗟に立ち上がりながらアッパーカットが出てソウシくんにクリーンヒット、そして水面に浮かんだ状態でこちらをジト目で見てくる。

「このエロドラゴンが!」

「なんでも聞いてって言ったくせにー」

前言撤回、羞恥心が芽生えたばかりすぎて一番扱いが難しい時期のやつだ・・・知識が無いって怖い!

「私の口からは説明しづらいからそれは八神司令に聞いて、たぶん詳しいから、ってアイシス姉さん?」

「うん、呼び方、変?」

「いや良いけど・・・」

年上呼び捨てはもうこの子元が龍だからしゃーないとして、私より先にお姉ちゃん呼びされてるの悔しい・・・

「変じゃないけど・・・アイシスさんだけ?他の人は?」

「まず、先生(なのはとヴィータの事です)、トーマ先輩、リリィ先輩、それからフーカ師匠にスバル師匠・・・」

敬称付けが独特すぎない?・・・てかキャロさんにも敬称付けしろぉぉぉ!私の恩人だよ?

「まあ、独特だっ・・・けど良いんじゃ、ない?・・・エアッ」

また胸に痛みが走り、足から崩れてしまい、異変に気がついた双賜くんはすぐに上体を戻して駆け寄り、水面に頭を打つ前に受け止めてくれた。

「サキ、大丈夫?」「うん、一応・・・。」「ホントに大丈夫?隠してた事って・・・」

「うん、この事・・・ホントは原因が分かるまでは隠しときたかったけど。」

その話をしてる間も受け止められた体制からゆっくり腰を降ろして段差に座り、そのまま膝の上に私を座らせて優しく抱きしめて、涙まじりの声で「サキ・・・。」「大丈夫、死んだりしない、いなくなったりしない、寂しい思いもさせないから・・・ちょっと、痛いって。」

双賜くんのホールドが徐々に力を増してく。

「やだ、やっぱりサキにくっついてたい。」

「まいったなぁ・・・のぼせちゃうよ〜。」

この反抗の仕方可愛いすぎるプチプチ反抗期の弟…どうしましょうか?

「サキちゃんにおかえりを言ってあげる、クリアっと・・・」

「キャロ・・・ホントにやるの?」

「もちろん、スバルさんのアドバイス通りに・・・」

とりあえずあの頃フェイトさんにしてもらいたかった事、私がやってあげたい事をリストにして・・・この表に書いたリストをやりきってみよう。

「フリード、このキャロの催し、今度はどっちに転ぶと思う?」「クルル〜(さぁ〜?)」

「2人とも、丸聞こえだよ〜聞こえてるよ〜?」

「今夜・・・成功する確証はあるの?」

「あるわよ、かれらはひとつ勘違いしたままだから・・・あと命令は絶対が私たちの定めでしょう?」

「ねぇサキ、今日さ・・・アレで寝ない?」

「前せまいからやだーって言ってなかったっけ?」

「でも、アレで寝たいなぁ・・・」

「いいよ、組み立て面倒じゃないし、じゃあテントの方もって、ベッドの方持ってくから。」

この会話の中の“アレ”と言うのは、この話の中で描写していない夜に使っていた1人用簡易テントベッドの事で、元々は1人旅の予定だったから持ち運び便利なサイズのこれにしてたんですが、結局2人旅になったからこのベッドテントに2人入って寝てたんです、言ってしまえばシングルベッドに2人入ってるみたいな。

「ただ、なんで今日コレがいいの?」「涼しいのと、サキと僕だけの空間にしたかったのと、あと・・・」

「ストップ!こっちが恥ずかしくなっちゃう事言わないで。」

「でも、一緒にまた星見ながら寝たいかなって。」「そっか。」

そして5分ほどで組み立てて、中に抱き合うようにして入ると、双賜くんは私の平たい胸に耳を押し当てた。

「私には他の人みたいな柔らかさはないけどなぁ・・・」

「やわらかくなくても、やっぱりサキの胸の音を聞くのすっごく気持ち良いから・・・」

「私の胸の音、か。」

「ちょっとドキドキしてる?」「それはソウシくんもでしょ?」「なんでわかったの?」「胸の音聞いてなくても脈で感じれるし、分かりやすいもん。」「・・・ねぇサキ。」「なぁに♪」「僕ってちゃんとサキの弟になれてるのかな・・・」「なれててもなれてなくても、なんで繋がったか分かんないけど血の繋がりあるし、お互いに大好きって気持ちだけで、十分なんじゃないかな?」

「・・・そっか。」「私のまね?」「バレた?」

そんな会話をしながらすれ違って開いてしまった距離をもう一度縮めていく・・・そして会話が途切れた頃には、2人で夢の中へ落ちていった・・・けれど、楽しい夢の覚めた先は悪夢だったなんて、この時は想像もしていなかった。

 

 

To be continue




次回予告
「非常事態や、半分想定内、半分想定外のな」
「「・・・了解。」」
真夜中に起こる想定内の事態、だけど、そこに予想外なものが加わって・・・
次回、龍騎神弓クラシカルサキ
diary19「誤算、紅稲妻」

やっと、やっと手に入れたのに・・・なんで!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

diary 19 誤算、紅稲妻

共に囲む食卓、何気ない会話、共に笑って、時に叱られて。
そう言った人とのふれあいが感情を育み人を人らしくする…
だけれどそうしてにした物は果たして「強さ」か?「足枷」か?

龍騎神弓クラシカルサキ、始まります


『なのはちゃん、フェイトちゃん、夜遅くに悪いんやけどなぁ・・・』

「やっぱり?」

『せや、半分想定内、半分想定外の非常事態や、まだお酒飲んどらんな?』

「はやてと違って毎日は飲んでないよ。」「もちろん今日も、で場所は?まだ6課内に留まってる?」

『夜勤やったフォワード陣とロングアーチ陣で対応中、仮眠中やった子たちももうすぐ加勢させれる、なんとか到着まで持ち堪えてもらう・・・あと飛行許可はバッチリ取ってあるからな、最高速で頼むで。』

「まあ流石に法定速度以上かつ限度内にの速度にはなるけど…「了解!」」

 

 

深夜・・・いや明け方かな、ものすごい轟音と発動したロストロギア並みの大きな魔力を感じて目を覚ますとあたりには焦げ臭い臭いが充満している、火災だ。

『起きたか?二人とも。』

「八神部隊長、これってどう言う状況ですか?」

『それがなぁ、あの二人が警戒しとった通りに隔離棟を破壊して脱走…やけど想定外やったんは、獣の方の姿でってことや。』

やっぱりあの2人、命令どうりにいい子にして最終日で逃げ出すって事だったか。

「奇妙ですね、ソウシくんは誰かの召喚魔法に呼応して姿を変えてたのに・・・2人とも・・・って事はどこかに協力者が!」

『の、可能性が高いんやけどとりあえず、高町一等空尉とハラオウン執務官の到着まで持ち堪えるために加勢・・・いけるな?』

「もちろんです!ね、アークウィンガー。」

「of course」

「ソウシくんも?」「大丈夫、サキのおかげでちゃんと寝れたから、バッチリ。」

そう言ってテントの中から体を起こすと私の右手をガシッと掴んだ。

『ヤバくなったら私がでる、とりあえず頼んだよ。』

「了解!、我乞うは天翔る翼・・・この手繋ぎし者よ、この銘の元にその姿解き放て・・・来よ、飛竜ガーディアレウス、盾竜転生!」

通信を切ってすぐに双賜くんを飛竜の姿にしてアークウィンガーを装備し、モード2にセットした。

「この前の天馬と・・・獅子と鷲のキメラかな?」

とりあえず既に皆さんがほぼ揃って対処しているおかげで、まだ市街地までは被害が行ってない。

とりあえず、露出したクリスタルの位置は確認できた、1発だけでも当たれっ!

3発連続で放った矢は訓練通り2本がフェイントとなり、1本はクリーンヒット、もう片方はティアナさんがヒットさせた。

「いいタイミングよ。」

「ナイス!サキちゃん。」

「キャロさん、ティアナさん、みなさん…遅れました!」

「簡易封印による強制解除…ですか。」

封印をかけても人間の姿に戻っているけど・・しかもまだ何やら余裕そうな表情を浮かべている。

「(やっぱり、何処かに協力者が・・・)」「そんな者はいませんよ・・・あなたの考えくらいお見通しです。」

「ウソッ、心の声とか漏れてる?」

「あなたたちはいくつか勘違いしている事がある事に気付いていないのね・・・。」「また無視した!」

そのまま押収したはずのデバイスを取り出してセットアップした。

「こちらが仕掛けない限りあなたたちは手出しできないのは知っています・・・そこでひとつお話を・・・。」

無数の銃口や武器を向けられているのにあの立ち振る舞い・・・やっぱり隠しダネがあるっぽい。

「マギアクリスタルの説明していない、仕従契約と防衛機能、まず防衛機能ね・・・一度封印してもリンカーコアを喰らった後のマギアクリスタルは焼失や破損破裂の恐れがあれば勝手に獣姿に変わるという事・・・また我らクロスウィングは自らの意思で姿を変えられる・・・。」

その説明に呼応するかのように6課で回収、管理していたマギアクリスタルがここでの抗戦に反応して同時発動した。

「でも、我らは“名前を与えられることによる仕従契約が成立する”・・・成立すれば主の意思でしかその姿を変えられなくなる・・・そうなるのは不便だろう?貴方が弟と慕っているその龍も。」

「そんな・・・。」

私は知らぬ間にその仕従契約を双賜くんと結んでたってこと?・・・だから私の手でしか姿を変えれない、でも確かにあの時は自力でなってたし・・・じゃあ私のせいで・・・私が・・・

顔を背けた先では双賜くんが目で訴えている、「不便でもなんでもないし、サキと一緒なら・・・」と。

「そこで交渉よ・・・開発コードdaughter、こちらに戻る気はないかしら?」

こんな交渉材料で応じるもんか。

「答えはもちろんNo!あんた達みたいな奴らの罪滅ぼしに付き合うくらいなら、私は大好きな人たちと一緒に貴方達を正当な手で裁いて、そのクトゥルシアも対処する。

だって私は兵器じゃないもん、龍騎士だから。」

「よく言ったよ、サキちゃん、だけどここはキャリアの長い先輩達に任せなさい♪」

スバルさんがウィングロードで真横に来ていた。

「はい・・・でも、援護くらいはさせてください!」

『じゃあ、私とスバル、それからエリオとギンガさんで魔導師二人、後はおっきいのの再封印、なのはさん達が原着する前に片付けるわよ。」

「「「「「「了解!」」」」」」」

ただ、打ち合わせどおり散解しようとしたけれど、そうはならなかった。

「身をもって教えてあげましょう…あなたが兵器である事を。」

「(前と気迫が違う・・・)スバル!」「リボルバー…」

アイツら二人は利き手と逆の手を恋人つなぎのようにつないで前に突き出すと…「ウィングクロスユニゾン・・・「テイク。」「オフ。」

のコールと共にdashの方がユニゾンして中に入り、デバイスも鞘のついた長剣になり、外見通り当人たちも、デバイスも融合した…「”融合器、使い魔両方の性質を持った生命体“」ってこう言うことか!

「カードリッジ・・・ツインロード。」

二つの排莢口から同時にカードリッジを消費すると、辺りに突風が起こり、高速で移動しながらティアナさん達4人を蹴散らして、私の目の前で止まり、私の眉間に切っ先を向けた。

「ヒィッ!・・・」「まだ抜刀しかしていませんよ?」

彼女は剣を下ろしてもなお、獲物を見る鷹の目を向けているし、それだけじゃない、あの速さで斬られたなら簡単に手や首が飛ぶ、そんな妄想もたやすい程の殺陣を見せたあとだ、本能的に恐怖を覚えて腰が抜けてしまう。

「あなたがこちらに戻る気がないなら、命令通り、あなたの首を奪って帰ります・・・」

「へ、へぇ・・・だっ、たら・・・私はあなたを・・・ヒェッ!」

また切っ先を向けられる・・・でも怯むな、怯むな私!

「残念ね・・・やはり人間に被れすぎたあなたでは・・・」

「だからなに!私はあなたの主人のお尻拭いなんかする気ない!・・・外した!?」

言い返しながら矢を放ったけれど、目の前の的だと言うのに外した・・・いや、ゼロ距離で交わされた。

「では、あなたの首…いただきます。」

ギリギリ見えたッ!、私は速すぎるアイツをなんとか目視して、双賜くんに伝達して避けたけど、音速を余裕で超えているその速度は私の視力でも流石に方向展開のタイミングでしか捕捉できない。さながら、赤い稲妻だ。

だけど、ひたすらに交わしても二次被害が出るだけ・・・やっぱり、モード3を・・・

「アークウィンガー。」

「Reject(拒否します)」

「なんで!?」

「I don't want to let you take the method of abandonment(捨て身の手ですよ?)」

でも、あの速さに対抗するには・・・あれしか・・・

「サキちゃん!」

そうやって気を取られているとフリードとキャロさんが4枚のS2シールドを携えて私を庇ったけれど、その速さで衝突された反動で玉突き事故の要領で、私もキャロさんもフリードも双賜くんも、揃って近くの大通りにある複雑交差点まで飛ばされ、アスファルトに体が叩きつけられた。

「大丈夫?・・・二人とも。」「私も双賜くんもなんとか・・・それよりキャロさんとフリードの方こそ大丈夫なんですか!?」

「大丈夫、盾もあったおかげでフリードも、私も。」

ウソだ、そう言っている間もキャロさんは左腕を庇ってる。

きっと私を庇って・・・。

「隠さないでください、折れてるんですよね?」

「サキちゃんが危なっかしいから・・・ちゃんと自分の身ぐらいは守って。」

真剣な眼差しでこっちを観ながら叱られた。

「まだ動けるだなんて、カレドウルフの装備は優秀ね。」

もう追いついてきた・・・、どうする・・・どうしよう。

「ソウシくん、いける?」

頼もしい咆吼をあげた、よし・・・

「召喚解除・・・」「クラッシュウィンガー、セットアップ!」

アークウィンガーが許してくれないから…あの連携技で・・・

「キャロさんはフルバックですし、今は怪我人なんですから、下がっててください、しかも、標的が私なら、傷つくのは私だけで・・・。」

「大事にしてよ…自分のこと。」

「してますよ、だけどごめんなさい、キャロさんやみなさんの方がもっと大事ですから、民間人の避難誘導、お願いします。」

「お待たせ、状況は?」

「見ての通りここまで回収したクリスタルが全て覚醒して、それからキャロやサキちゃんたちが・・・」

「わかった、こっちの大きいを片付けてから合流する、みんなはあの魔導師たちの再確保とキャロとサキちゃんの救出に行ってあげて。」「アルト!すぐ出せるよね?」

「もちろんです、なのはさん、フェイトさん。

さあみんな、早く乗って!」

二人が逃げた方角へ飛ぶヘリを見送り、早く合流するためにこれを片付けなくっちゃ。

「なんか、こうやって二人で戦うのジュエルシード集めてた頃を思い出すね。」「うん、私もおんなじ事考えてた。」

『二人とも…イチャイチャせんとさっさと片付けぇ…』

「了解、対EC装備一時解除、久しぶりに行くよ?」

「All light♪「standby ready?」」

「リリカル、マジカル!」「アルカス、クルカス…ブラウゼル!」

「「まずはそこの塊を…封印!」

 

『主はやて』

「シグナム!もうこっち着いとったんか?」

 

「・・そこっ!・・・まだっ!、逃すかぁ!」

「calm down please(落ち着いてください)」

そう言われても、あの速さじゃ目視してから散弾させてもまったく当たらない…当たらなきゃ無力化だって…

「キャッ!・・・」

しまった、見えてなかった。交わされた矢がまだ逃げ遅れた民間人の女の子に飛んでいく。

「ハァッ・・・大丈夫?少し怪我しちゃったね、ちょっと見せて…サキ?」

「That's why I advised you(だから言ったじゃないですか。)」

「でも…」

双賜くんがその矢を払ってくれたけど…うち2本はその子の右肩と、目の近くをスレスレで通り過ぎて、怪我をさせてしまった。

「よし…ごめんね、痛かったよね。」

その子は頷いて双賜くんが促した通りに抱き抱えられて、怯えるようにこっちを見ている。

「この子…キャロさんのところに…。」

「でも・・・来るッ!。」

真っ直ぐにこっちに向かってる、私は矢をつがえてタイミングを伺うけれど、さっきの事故が脳裏に焼き付き、手を離すことが出来なかった。

「サキ!・・・サキ!」「はわわっ!・・・あっ。」

双賜くんの声に驚いて自然と手が離れた、だけど、しっかりその矢で軌道を逸らせた。

「固まってるのは危険だね、この子は僕が安全な場所に連れてくから、サキ・・・合流ポイントは・・・」

「わかった、お願い。」

そう言うとソウシくんが例の兎のような跳躍でキャロさんと別れた方角に飛んだ。

「悪く思わないでね…”お姉ちゃん“も悪気はなかったんだ。」

「いい、気にしてないよ。」

「そうなの?」「うん、だってお姉さんはみんなが傷付かないように戦ってくれる局員さんなんでしょ?…しかもあの時打ってなかったら私あの早くて怖い人に斬られてたんだろうし、お姉さんも焦ってたならしかたないもの。」

「・・・」

「どうしたのお兄さん?」

「いや…君は優しいし、頭も柔らかいんだね。」

僕はキャロの場所に着くと、その子を引き渡した。

「お願いします・・・」

「ソウシくん…いやいいや。」

「なんですか?」

「なんでもないよサキちゃんをお願い。」

「はい。」

彼女らの攻撃による瓦礫等が散乱する中を逃げ回り、都市部から外れた資材置き場に誘導する。

「(誘導完了、いける?)」「(OK、こっちもポイントついたタイミングは任せるよ)」

私はカードリッジをロードして、矢を上空に放つ、後はタイミングを伺うけれど…また…

「SS中近距離連携…「ファイアボールオーバーヘッド、「セット、」レディ…」

「ゴッ・・・」

やっぱり怖くて手が離せない。

「サキ!」「う…うん。セット!」「レディ…」

大きく深呼吸する…狙い通り来たっ!「ゴー!」

さっきの矢が火球に変化し、それを空から降りてきた双賜くんが蹴り飛ばす。すると玉は確かに何かに当たったけど、やられた…どうやらこれを打たれる事は読まれていたのかその粉塵の中に二人はいない。

「外した?」「ええ、カスリ傷程度です。」「なっ!」

背後を取られる、けど確かに見えた、あの加速は抜刀時にしか使えない、つまり鞘に収める前なら、もしくは剣を抜かせなければ!

咄嗟のひらめきで、慣れない後ろ回し蹴りを出した。やっぱりあの速さから想像していた程に装甲が薄かったらしく、かなりの有効打になったけど、両足が地面についた時には姿が見えなかった。

「消えた?」「サキ!」

私から見て向かって8時の方向で方向転換したのが見えたけど、遅かった。

剣の腹でさながら双賜くんがホームランされ、頭を強く打って、頭からは軽度の出血があった。

「そんな、ソウシくんまで…」

「master!」

そのまま追撃され、リボン諸共バッサリポニーテールが切り落とされた。

「その髪の様に今度は何処を飛ばしてあげましょうか?」

「アークウィンガー、まだやれる?」

度重なる追撃を見切りながら問いかける、流石にもう体力はそろそろ尽きそうだ。

「master、please call mode3」

「さっきは止めたくせに。」

「After all you can't do anything without me, so if the Master wants to open up that possibility, I still thought I had to serve to the end. (やはりあなたは私がいないと何もできない、だからあなたがその可能性にかけたいと言うなら、私はやはり、最後までお供しなければならないと思ったんです)」

でも…私は頭に事故の事が過ぎる…だけど、やらなきゃ、覚悟決めなきゃ!

「じゃあ、最後まで一緒に踠いてよ・・・相棒。」

「yes buddy !」

私はマガジンを取り外して、カードリッジを装填した。

「特殊カードリッジロード、モード3!」

「counterwing」

弓が二つに分かれ、それぞれに光の翼が刃のように生える。

モード3、カウンターウィング、つまり、ドシッと構えて捨て身のカウンターを与える諸刃の剣…失敗したなら腕が飛ぶ。

「抵抗は終わりかしら?観念したようね。」

「見えた、今ッ!」

すれ違い状に斬りかったけれど・・・遅かった、初めて有効打が入ったが相打ち、そのせいでアークウィンガーはヒビが入って機能停止寸前になり、私の左手が宙を舞う、そしてバリアジャケットもただの布同然の硬さしか持っていない状態まで強度が低下している。

「サキちゃん!。」

心配になって結局追いかけたけど、合流した時点で既にソウシくんは瀕死、サキちゃんは下腹の辺りを踏まれたまま心臓に剣が向けられている。

「あなたも邪魔をすると言うなら、こうなりますよ?」

こちらに気づいたあの子たちはサキちゃんの身体をを蹴ってこっちに渡した。

「酷い…こんなになるまで…」

「仕方ありません、私たちは命令のままに…」「命令ならなんでもと言うのか。」「なっ…」

満身創痍の私たちの前に姿を現したのは、出張帰りのシグナムさんだった。

「大丈夫か…いや聞くまでもないな。」

「シグナムさん、アギトさん、ごめんなさい、みんなで無茶しちゃって…」「構わん、後輩の失敗の尻拭いも私の仕事だからな。」

 

To be continue




次回予告
「咲ちゃん!」「サキ・・・」「サキちゃん・・・そんなぁ・・・」



「大丈夫、まだ助けられる。」
戦いの末に命の灯火が消えかけた時、彼女は真実を自覚する事になる。

次回、龍騎神弓クラシカルサキ
diary 20「真夜中の青空」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

diary 20 真夜中の青空

満身創痍の体…常識を外れな速度…そんな状態の少女の命が尽きようとする時、真なる姿がそこに現れる。

龍騎神弓クラシカルサキ…始まります


あれから、どれくらい時間が経ったんだろう…

私は真っ白な空間であの時のビジョンで見えた子に介抱されている、声は聞こえないし、口の動きも微かにしか見えない、だけど顔ははっきり判別できる、私にそっくりで、だけど瞳は橙色、髪は空の様な青色をしている。

しばらくその光景が続いた後、その子は私に何かを語りかける、その口の動きはハッキリと見えた、「あなたには待っている人がいる…行ってきて。」と。

その姿が見えた後少しずつ目が閉じて、次に開いた先ではあの資材置き場に戻っていた。

「荒削りだか良い太刀筋だな、磨けば良いものになりそうだ」

「なに関心してんだよ、目的はあいつらを確保する事だろ?」

「すまないな、アギト。だが勿体無いことには変わらない。」

「勿体無い・・・ですか、そう言われたのは初めてです。」

あの魔道士二人とシグナムさんが激闘を繰り広げるなか、虫の息だったサキちゃんが目を開いたけれど・・・

「サキちゃん、よかった・・・シグナムさんが来てくれ…サキちゃん?」

「炎・・・争い・・・、アイツは、アイツだけは・・・」

目は覚ましたけれど口調は機械的で様子がおかしく、瞳もいつもの色ではなく金色に輝いていました。

「使える主が違っていれば君とはよい好機者になれそうだったが、大人しく・・・」

「確かにそうかもしれませんね、ですが、私は忍のように命令を遂行するだけ、そして主の罪滅ぼしが終わるまでは捕まるわけにはいかないのです。」

「あの時捕まったのも命令か?」

「はい、そちらの戦力を探るのと、裏切り者の首を取ることのふたつの命をうけて・・・」

「だが、法的な違反は犯している、すまないが来てもらうぞ。」

シグナムさんとの攻防が再び起こる中、サキちゃんの身体に異変が起きた。

「ソウシくんの・・・かたき・・・生かして・・・」

「サキちゃん!、どうしたの?ねぇ!サキちゃん!。」

「キャロ!」「エリオくん!」

みんながアルトさんのヘリから降りてくる、けれどそれと同時にサキちゃんが紐で吊り下げられた操り人形が上に引っ張られるようにして立ち上がりながら、髪が徐々に空色に染まっていき、毛先まで空色に染まると眼を静かに閉じる、するとサキちゃんの身体を火柱が囲み天高くその柱が伸びると、その柱は消え、柱の頂上の部分には青い炎を纏った火の鳥が眼を閉じて静止して、昼間のように夜空を照らした。

「あの姿になられては、もう打つ手もないですね。」

「あれが・・・サキちゃんなの?」

その鳥は金色の眼を開くと身体中の炎を赤黒く染めて、怒りが篭った鳴き声を響かせ、あの魔道士たちに突っ込む。けれどもその攻撃は少しカスった程度でふたたび浮上するとまた声を上げた。

「サキちゃん!どうしたの?ねぇ!。」

全く返事がない・・・こちらの声に聞く耳を持ってくれない。

「非常に不味いですね・・・」

『今は引け・・・』

「主!?・・・はい、わかりました。」

転送ゲートが作られてあの二人を取り逃がしてしまった。

「主はやて、取り逃がしました。」

『今回はしょーがあらへん。』

「もーほんとなにやってんだよぉ…勝てる相手だったろ?」

「アギト、悔やんでも仕方ない、もう過ぎたことだ。」

『せやで、さっ切り替えてあっちの対処してくれるか?できるやろ、アギト?』

「りょーかい、やるぞ、シグナム。」

あの二人を取り逃がして悔しいのかサキちゃんが身に纏ったその炎は勢いを増して色もどんどん濁っていき、怒り狂って敵味方の判別もできなくなり、八つ当たりのようにこちらに突進してきた。

「アレがサキちゃんなの?」

「うん、アレがホントの姿だって。」

「こっちに来るッ!」

「追いついた…」

「なのはさん!射たないで!あの鳥、サキちゃんなんです!」

なのはさんとフェイトさんの合流して対処にあたるけれど、状況は変わらない…やっぱり射ってもらうしか・・・

「サキちゃん!私だよ…ねぇ!サキちゃん!。」

鳥の姿をしたまま私に飛び込んで来て寸止めで止まり、瞳の色が少し薄くなった、正気を取り戻したみたい。

そのまま泣きそうな目でこっちを見つめたまま静止し身体の炎も徐々に元の青色に戻っていく。

「クァ…ッキィ…グッ…ガァァァァァァァァ!…ぁ、ぁぁ…」

ショックで言葉にならない悲鳴を上げながら蒸発する様に炎が消え、産まれたままの姿の15才の少女に戻り、髪の色が全て黒く戻るとそのまま意識を失った。

「咲ちゃん!」「サキ・・・」「サキちゃん・・・そんなぁ・・・」

鳥の姿になる前に負った切り傷や髪の長さ、それから吹き飛んだ片手ももとどおりに治っているけれど息もなく脈は微かにしか刻んでいない、だけどその命を経たまいと血を巡らせている事は感じられる。

「大丈夫、まだ手遅れじゃない、助けられる。

エリオ、除細動機の代わりに電気ショック、かけれるよね?」

「ですけどタイミングは…」

「私の感を信じて!」

スバルさんの指揮で負傷者全員の応急処置が施される、ソウシくんは打ちどころが悪く大変だったみたいです。

そして、サキちゃんの心肺蘇生が続けられているけれど・・・一向に目を覚ます気配がない。

「サキちゃん・・・お願い・・・目を覚まして・・・。」

「スバルさん。」「うん、一回止めて。」

3回目の電気ショックでサキちゃんが血の混じった嘆を吐いて息を吹き返した。

「よし!、これなら病院まで耐えれます。」

「じゃあトーマ、担架載せるの手伝って、頭のほうでいいから。」

「は、はい!」

「いくよ?「「「せーの、1!2!3!」」」」

「主、ひとつ疑問があります。」「なんだ。」

「以前は“あの驚異を退けるために必要不可欠”と言っていたのになぜ今回抹消を?」

「私の読みでは彼女は自らの力に恐怖し、人の姿をした不死鳥である事を自覚してあの組織から逃げ出す、中立勢力にしておけば、上手く利用も可能だろう?」

全ての事後処理が終わった時にはもう日が登っていました。全てと言ってもまだ報告書の提出が残ってますが、今はそれよりも大事な用事でここにいます。と言うのも病院へヘリで搬送した後ずっとサキちゃんたちに付きっきりで病院に…と言うのは建前で「骨折してるから」という理由で事後処理に参加できず、結局資料も提出するのみの状態。

「失礼します。」

「シャマル先生、それに…」

とりあえずほぼ全員集合で様態の説明が始まった。

「とりあえずソウシくんだけど、とりあえず打ちどころ的には命に別状はないし、頭蓋骨は無傷だったから歩行障害と言語障害も起こしてささそうだけど、軽度の記憶障害が起きてるかもしれない。」

「って事は、またなにも知ら…」「その逆、多分サキちゃんが保護した時からずっと抜け落ちてた記憶がフラッシュバックしてる可能性の方が高いわ。」

「帰ってきた記憶で性格とか、変わっちゃう可能性もあるんですよね?」

「あるけどキャロ…それはそれで、受け入れよう。」「ルーテシアだって記憶喪失ってわけじゃないけど、あんなに豹変したしね。」「痛っ…フェイトさんもエリオくんもそこ…折れてるから…」フェイトさんとエリオくんの言う通りだけど…あっそう言えば。

「サキちゃんはどうなんですか?」

「それがね、身体も循環機能も至って正常、だけど胃が空っぽだから点滴で調整してあげなきゃいけないんだけど…ここから先は覚悟して聞いて。」

シャマル先生の久々に聞く真面目な声色だ。

「目を覚さない原因が恐らくサキちゃんのリンカーコアと、そこから魔力を吸っていた器官の魔力が両方空っぽなの、だけど、その器官がなにの働きをするかはやっぱり検査しないと…」「その器官は、ある意味サキの…核に当たる器官なんです。」

「ソウシくん!?」

「あの時頭をうって思い出したんです、僕とサキの身体の事。」

「まだ身体起こさないで、まだ傷が閉じてる最中なんだから…」

「大丈夫です、他人より丈夫なので痛っ…やっぱり横になります。」

目を覚ました彼の目付きやからは幼気がなくなり、年相応な言葉遣いと落ち着いた話し方になっていた。

「で、さっき言ってたのってどういう事か、詳しく聞いていい?」

「はい、僕とサキはガーディアレウスとフェニックスのクリスタルを用いてフィリス•フカミの体で作られたクロスウィングスで、僕は龍と人、咲は不死鳥と人のハイブリッド、故に“異常視力”と“人並み以上の空間把握能力”と“反射神経”を供えてるんです、6年の間に少し鈍っちゃってますが。

そしてサキの胸にあるその器官が蘇り、つまり急速再生の為の器官で、致命傷を受けた時に身体を再生させるための魔力を溜め込んでいるんです。」

「って事は、サキちゃんの体には大きいカードリッジがあるみたいな感じ?」

「だいたいそんな感じです、サキが再生する時無意識に発動する呪文には、寝起きの状態のリンカーコアを空にする程の魔力を使いますので。」

「じゃあ時々胸に痛みが走ってた理由に心当たりはない?」

「それはなにも・・・ないです。」

やっぱり、記憶が戻ってホントに話し方は別人のようだけど、やっぱり変わらない何かがちゃんとある気がする。

「サキも…我々のような悲しみを味わう運命なのだな。」

「ちょっと、シグナム!」

「悲しいですが、現状はそうです…でも、不死と言っても無限ではありませんから。」

「そうか…」

「ですけど、これは致命傷を受けない限り再生は発動しませんし、誰かがサキに死んでほしくないって強く願わなきゃサキは帰ってこれない、だからここにいるサキはみんなが呼び寄せたんです、そしてきっちり寿命を満了すればちゃんサキはちゃんと生涯は閉じれる、だから僕が守ってあげなきゃいけない。」

サキちゃんがそんなに特殊な体だったとは今まで当然知らなかったですし、それを知って、更に・・・更にサキちゃんが危なっかしいのを治してもらわないといけないと思いました。

だけど次にサキちゃんが目を覚ました日、彼女の精神が…あそこまで壊れてしまっていたなんて、この時は察することもできませんでした。

「このエラーコード…もしかして」

「I have a request」

「ご希望はなに?アークウィンガー。」

「I want to help master more(私はもっとサキの力になりたい)

So don't just repair it, make it stronger and better(だから、私をもっと強く慣れるよう改造してください)」

 

To be continue・・・




次回予告
あれから1ヶ月近くが経ち、消息不明のクリスタルは残り2つ
そんな中・・・サキちゃんが逃亡!?

次回、龍騎神弓クラシカルサキ
diary 21「青い鳥が逃げ出した」
ごめんなさい…でも…


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

diary 21 青い鳥が逃げ出した

忙しくも、少し寂しい約1ヶ月がすぎ、いくつか事件が起きて…彼もよく働いてくれて、そしてこの日・・・

龍騎神弓クラシカルサキ、始まります


AM04:00

 

真っ白な天井…ここ、病院?…そっか、そういえば私…

「How are you feeling awake?(お目覚めの気分はどうですか?)」

「あんまりよくないよアークウィンガー…って言うか、直してもらえたんだ。」

「Isn't that phrase terrible?(その言い草は酷くないですか?)」

・・・酷いって・・・もう何と言われようがもう何も思わない。

「ごめんね、アークウィンガー・・・私にはもう、君を引く勇気はないよ。」

「why?」「・・・なんでもいいでしょ。」

「Please explain properly(ちゃんと答えてください)」

「・・・」「master」

答えたらきっと、アークウィンガーが・・・だってあの子を傷つけキャロさんを殺めかけたんだ、やっぱり私の力は・・・奪う力だなんだって、もう怖いだなんて・・・

「Where are you going?(何処に行くんですか?)」

「どこだっていいでしょ・・・私はきっとここにいちゃいけない・・・さよなら。」

私は窓を破って外に出た。

AM06:00 スバル・ナカジマの自宅近郊

「(このコースを走るのも結構久しぶり・・・あれ?)もしかして…サキちゃん?」

昨日の休暇を利用して自宅に帰り、久しぶりに家の近くでウォーミングアップしていると、見覚えのある子が堤防に腰掛けて海を眺めていた。

「サキちゃん♪、目が覚めたんだ・・・もー連絡くらいしてよ。」

何故かずっとシカトされる。質問変えるか。

「こんなところに何しに来たの?」

「・・・海、眺めに来たんです。」

いつもとは違い髪を結んでいないから、潮風に吹かれてよくなびいている、でもそのおかげで泣きそうな顔をしているのがはっきりわかった、きっと、ほっといちゃいけない。

「景色見るの好きだねぇ・・・。」

私も隣に腰掛けた。

「まあ・・・はい・・・スバルさんこそ・・・この辺りで…」

「私ね〜、この辺にマンション借りてるんだよ。」

「はあ・・・そうなんですね・・・。」

「折角だし、ちょっと上がってく?一緒に6課まで行こ?

「それは、遠慮します。」

そう言うとサッと立ってそのまま走って逃げて行っちゃった…

「サキちゃん!ちょっと、咲ちゃん!・・・私気に障っちゃったかな・・・」

『・・・スバル、緊急で会議や、大至急出勤できるか?』

もしかして・・・

 

 

「失礼します!」

「来たな…で今回の議題なんやけど…。」

「サキちゃんのことですよね?」

「なら話が速い、さっさと座り。」

いつもの定例会議と似たような配置で着席してと…

「で、捜索自体は他の隊たちにも連絡するとして…」

「いや、今夜までに見つからなかった場合多分見つけるのは無理だと思います。」

「なんでや?」

「アレ!?…なんで会議に。」

何食わぬ顔でなんでソウシくんが…

「下手するとサキ、余裕でトカゲとか虫調理して食べますし、最悪その木の上で寝てたりするので…移動可能距離は結構長いと思います。」

「そう言うってことは旅しとる間にしとったゆーことか…とりあえず、この話はやめにしてもう一個なんやけどな。」

はやてさんの顔がキリッとすると資料が投影される。

「昨日の夜からなぁ、衛星軌道に何かがここの上あたりに居座っとるらしいって報告が入ったんやけど…」

「衛星軌道に…もしかして!」

「そのまさかやろうなぁ、あの子んたちが言とった“クトゥルシア”の可能性が高い、詳細な画像はあらへんけど。」

そう言いながら荒い画像を拡大する、ただこの状態じゃ大まかな影しか見えない。

「とりあえず、新情報の共有は以上や、んでなぁ…」

AM8:00 ナカジマジム付近

おかしいな、まだ残暑が続いてるせいか、それとも…頭がクラクラしている訳でもないはずだけど、フラフラして上手く動けない、視界もまだマシだけど少しぼんやりしている。

「…やっぱり、いや自分で決めたんだ。」

ひとり言のように呟く、でも私は…もう、私は…なんで…なんで自分で決めたのに、こんなに寂しく思うんだろう、恋しくなるんだろう…

「キャロさん…」

思わず口に出てしまった、ダメだ、ダメだダメだ、もう戻れないのに…なんでこんなに…

「あっ…すみません。」

「いいっていいって…ってお前…」

誰かにぶつかった、下向いて歩いてたせいかな、とりあえず顔を上げて…

「やっぱりなぁ、よっサキ、何してんだ?」

ぶつかった相手はノーヴェさんだった。

「関係ないですよ、ノーヴェさんには。」

「ほーう、今は一人になりたい時期ってことか、わかったそっとしといてやる、でもソウシが心配してたぞ、早く帰ってや…電話?スバルからか。」

『あっ、ノーヴェ?ごめんね突然連絡しちゃって。』

「別に今は選手たちのランニングの付き添いで外出てただけだし全然。

で用件は?やっぱり…」

『うん、サキちゃん。そっち来てない?』

「いるいる、ちょうど…って待て!どこいく!?」

電話の相手に気がついた時、勝手に体が動いていた。

「悪い、居たにゃいたけど逃げた、後で折り返す。」

『ちょっノーヴェ!?』

「あれ?ノーヴェ会長、どこいくんですか?」

「ヴィヴィオ、フーカ、アイツを追え!」

「は、ハイ!」「押忍!」

ヴィヴィちゃんたちも私を追いかけてくる、当然勝てるはずもなく、すぐに追いつかれた。

「咲さんっ!」「ダメ!ヴィヴィちゃ…ウッ…グゥ・・アァ…」

ヴィヴィちゃんが私の手を掴むとその瞬間に胸にあの痛みが走り、手からは赤い火が出て、それに驚いたヴィヴィちゃんは反射的に手を離して尻もちをついた。

「…あれれ?…火傷してない。」

「ヴィヴィオ!」「ヴィヴィさ〜ん!」

二人も駆け寄ってくる、その時私は自分の身体から湧き出る火を抑えられず、苦しみながら唸っていた。

「咲さんっ!」「離…れ、て…」

「…?」「どうした?フーカ。」「いや、合宿の時は青い火だった気がするのですが…どう言うことじゃろうか?」

「確かにな…でも。」「ウッ…アッアァ…」

体に纏った赤い火を見る度に頭にあの光景がまた過ぎる…最初の記憶…燃え盛る客室…

「咲さん!」「サキさん!」「サキ!」

その呼び声で回想していた景色が薄れた…

「…ごめんね…ケガ…させたくないから…ッ!」

「オイ!」

私は公園の横を流れる川に身を投げた。

12:00 特務6課隊舎厨房

「なんやキャロか、なに作っとるん?…材料的にシチューか?」

「八神部隊長、いつから居たんです?」

「そう言うキャロはお手伝いか?」

お昼休みにはちょうど良い頃、休憩時間厨房にいた私をはやてさんが訪ねてきた。

ちょうど私がこの後保護隊によるマギアクリスタルの研究成果を聞きに顔を出しに行くので、先に下ごしらえしていたところでした。

「違います、サキちゃんの事が心配で、マリアージュ事件の時のことふと思い出したんです。」

「それシチューとどう言う接点なん?」

「あの日スバルさんに振る舞ったんですよ、このレシピ辺境自然保護隊のキャンプでよく作ってたシチューで…」

「で、また食べたくなったんか。」

「いえ、また皆さんに振る舞いたくなったんです、ホントは、サキちゃんが目を覚まして元気になったら一番最初だけ食べさせてあげたかったんですけど。」

「そーゆー事やったんか、なら私は手伝えへんなぁ…」

下ごしらえを手伝ってくれる気満々だったはやてさんが包丁を置いた。

「えっ?」

「サキに食べさせたいんやろ?やったらキャロ一人で作った方がええ。」

「なんでですか?」

「昔、ヴィータが言ってた事やけどな“レシピどうり作りゃ誰が作っても美味い、だけどやっぱりはやてが作る方がともっと美味い、だからギガウマなんだ“ってなぁ、どう言う意味だと思うん?」

「えっと…同じレシピでも作る人で味が変わる…とかですか?」

「ちゃうよ、だけどまぁ答えは自分で探し、その方がええ。」

そう言いながらはやてさんが部屋を出ようとして、去り際にこんな事を聞かれた。

「あと、今日はヴィヴィ来るから多分寸胴一杯じゃ足らへんかもなぁ〜♪(´ε` )」

「あの!八神部隊長!」

「スバル、どないしたん?」

「ノーヴェから連絡があったんですが…」

「あれからもう一月ですか…」

「そして我々の目的の日も近い…」

 

17:15頃

「はぁ…」

川に飛び込んだ後、流れ着いた先で薪に出来そうな乾いた木を探して組んで火を放つ、するとパチパチと言う音が響く。

そうしてその火の周りに取った虫や蜥蜴を焼べる。

しばらく食べなくても睡眠だけで生きていける体のはずなのに勝手にお腹は空くし舌は色々が恋しくなっている。

かと言って自らの火で焚き火して焼いた虫料理も塩気が無くて美味しくないしお腹も全然満たされない、でもお金は全部置いてきたから許可証は買えず魚を頂くのも無理…これまでの暮らしがいかに豊かだったか、6年でいかに人間に染まったか、そして調味料がいかに偉大かを家出して初めて思い知らされる。

でも・・・やっぱり、自分の火を制御しきれない今あの場所には、戻れない。

「ああ、それか?はやくこっちのから搬入してくれ…どうした?時間が…」

「これ、管理局が注意喚起を出してた…」

「それがどうし…!?」

『エリオ、キャロ。聞こえるか?』

「八神部隊長?もしかして。」『そのもしかしてや、保護隊の方も今回の件はまた別日にするそうや、てなわけで場所はマリンガーデンの水族館付近、今ちょうどヘリで数名向かっとる、合流できるな?』

「了解!」「ところでクラッシュウィンガーは?」『調整を終えて早々に初陣や、とりあえずなるべくはやくな、頭数は多い方がええ。』

通信を切って全速力でエリオ君がバイクを走らせると、道の脇にある林から光が見えた。

「キャロ、アレ!」「こんなところに…」

多分あの木々をかき分けた先でもくもくと立っているあの焚き火、こんなところにあるだなんてそうとしか考えられない。

「エリオくん、二手に分かれよう。」

「わかった、じゃあ…」「いや、エリオくんがフリードと行って。」

「それじゃ後でどうやって合流するの?」「エリオくんのバイクあるし…」「じゃあ、頼んだよ。咲ちゃんのこと。」

「うん、ちゃんと連れ戻して来るよ…蒼穹を走る白き閃光…」

「ストラーダ、セットアップ!」「竜魂召喚!」

エリオくんとフリードを見届けて茂みの中へ入り川の近くに出ると、服は泥だらけ、靴もボロボロ、そして手足は擦り傷だらけで焚き火を焚いている…さながら紛争地の子供…いやそれよりは少しマシだけど、中々都会っ子とは思えないほど、野生児と言うワードが似合いそうなくらいの姿になっていた。

そしてその状態で私を観ると、怯えるように後退った。

「こんなところに居た、心配したよ。」

「なんで…探しに来たんですか。」

「逆になんで探さないと思ったの?」

その質問を投げかけると驚いた目で私を見ていた。

「ほらっ、一緒に帰ろう?」「ダメ…なんです、それは。」

「なんで?、みんな待ってるよ。」「ダメ!…私に近づいたら…」

そうやって手を伸ばすと、動揺してまた距離を離されて、そして赤い火がサキの身体から噴き出した。

「サキちゃん…」「だから…ダメなんです、このままじゃみんな傷つけちゃうんです、だから…。」

私はため息をついて、燃えるサキちゃんを抱きしめた。

「キャ、キャロさん!?…熱くないんですか?」

「全然、むしろ暖かいくらいだよ、でもこれで私たちを傷付けちゃうかもって思って家出したなんて、ハリネズミみたいだね。」

「だって…私…あの…」

「私も起動6課の頃、自分の力が怖かった、召喚したフリードを上手く制御できなくて…」

「えっ?」「だけどなのはさんが教えてくれた、“キャロのそれはみんなを守れる力なんだよ“って、それからは少しずつ扱えるようになれた、だからきっとその火を操れるようになれるから…いや操れるようになるまで面倒みてあげるから、一緒に探そう?その方法を。」

そう言うと少しサキちゃんの震えが収まって火も少し小さくなった。

「あの…キャロさん…助けてください、私、あの時キャロさんやあの子を傷つけて、怖くて…目が醒めてからもずっと怖くて、火を抑えれなくて…このままじゃ、また誰かを傷つけちゃいそうで、怖いんです、だから…助けて!」

「いいよ、一回の失敗なんか誰にでもあるし、逆にしない方が怖い、だから何度でも助けてあげる、だからもう勝手にいなくならないでよ。」「…は…ふぁい。」

サキちゃんはそのまま泣き出してしまい…私を抱き返してきた、すると泣いてスッキリしたのか、火が少しずつ青に近づいていってる。

「も〜何泣き?」「別に泣き虫でいいです。」

「ちょっとまだ泣き虫とは言ってないよ…とにかくほらっ、見てみて、火の色。」

サキちゃんは自分の蒼い火を見ると、蒸発するように火が消えた。

「ほら、早速見つかったね。」「それどう言うことですか?」

「ソウシくんが教えてくれた、その火は感情に連動してて、落ち着いてる時ほど青くて精神が乱れてると赤くなるって。」

「じゃあ…」「行こう、サキちゃん。」

立ち上がって右手を伸ばすと、サキちゃんはその手を取って立ち上がって、涙を拭いた。

「早速、出動になるけどいいかな?」

「どこにですか?」

さっきまでとは一変してキリッとしたいつもの顔つきを取り戻し、そして私はマリンパークの状況を伝えて、アークウィンガーを手渡した。

「I was waiting, Be prepared to help you further(更にあなたの役に立てるようなって待っていましたよ)」

「まだ、覚悟が決まりきってないけど…アークウィンガー、もう一回力を借して。」

「ok,my buddy ,that' more please call NEW my name(では呼んでください…新しい私の名前を)」

サキちゃんは唾液を飲んでからいつものように前に勾玉を突き出すけど、足はまだ震えている。

「サキちゃん…やっぱりまだ怖い?」

「いえ、だ、大丈夫です、あの…やっぱり、一緒に言ってもらっていいですか?キャロさん?ケリュケイオン?」

「sure」「わかった、じゃあ…」

そっとサキちゃん顔に触れてあげると二機が号令を出した。

「「standby ready?」」

サキちゃんと一緒に大きく息を吸って…

「ケリュケイオン!」「アークウィンガーアルテミス!「セ〜ットアップ!」

 

To be contend

 




次回予告
水族館付近に現れた海竜、そして再び現れる赤い稲妻…だけど弓を引いた手は離せない…
だけど決めたんだ私にできる事を全力全開でやるんだって!

次回、龍騎神弓クラシカルサキ
diary 22「フィリス•フカミ」
一緒ならきっと、できるよね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

diary 22 フィリス•フカミ

後悔や失敗、そしてトラウマ、精神面って誰でも弱い面がある、だけど、それも含めて私なんだ、だからそれさえも個性で強さだと、言い張れるそんな人でありたい。

龍騎神弓クラシカルサキ、始まります


PM06:42マリンパーク近郊…

「降下ポイント到着、ハッチ開けます!」

「さーて、ホントは私一人で行った方が早そうな仕事だが、付いてきた以上足引っ張るんじゃねーぞ…」

「「「「了解!」」」

「あと、初出動から壊すんじゃねーぞ、新しい相棒をな。」

「それは重々承知してます、先生。」

「(ったくホント礼儀正しくなったなコイツ)…フンッ、いくぞ。」

ヴィータさんを先頭にヘリからトーマリリィ、それからアイシスちゃんとソウシくんが降りていく…

「クラッシュウィンガーアポロス…セットアップ!」

ソウシくんが新しいバリアジャケットに身を包み海竜へと接近する。

「(ったくコイツのは…どこにあるんだ…)」

「ヴィータ先生!」「どうし…って…」

前方に気を取られていたヴィータさんに尻尾が迫る、それをソウシくんが盾を張って防いだ。

「…大丈夫ですか?」「…ああ問題ねぇ。」

クラッシュウィンガーは両方の希望でより防御魔法が強化されている、その甲斐あってか早速それが吉とでた。

が、彼方側も待ってくれず、今度は首が襲いかかる、がそこを白い影が横切り反撃した。

「お待たせしました!」

「来たか。」「エリオくん!フリード!」「(あれ?キャロさんは…)」

「キャロは今、ワガママな子の面倒見てるので…頼まれて先に来ました。」

「見つけた。」

「でも出遅れたかも。」

同刻

「サキちゃん、運転…できるよね?」

「これでも2輪免許だけは取りましたけど、自転車ばっかりだったんで教習所以来ですけど、たぶんいけます!」

私はエンジンをかけて、エリオさんのバイクでマリンパークの方面へ

「ちょっと、サキちゃん!?…パトランプ!一応これも緊急車両だから!」

「コイツ、全然誘導できねぇぞ…」

海竜を沖へと誘導しようと努力してもその結果儚く、一切動こうとしない、いやむしろ、何かやりたげな顔でずっと施設の破壊をしている。

「・・・もしかして、はやてさん!」『任務中は階級でってゆーたやろうが!で、どしたんアイシス。』

「この子のモデルって…」『恐らく地球の旧約聖書におる海の怪物、リヴァイアサンあたりやろうな、この竜はなぁ…そーゆーことか!』

「(やっぱり、本好きに聞いて正解だったかも)なにかわかったんですか?」『ああ、あの子たぶん水族館にいる生物を海に離そうとしとるだけかもしれへん…だから…』

「覚悟…ハァっ!」

「ごめんなさい、通信切ります!」

融合したあの二人がやはり乱入してきた。

「最後2つのうち一つ…渡しません。」

「グッ…今です!」「ヴィータ副隊長!」「そっちこそ遅れるな!」

ソウシくんが囮になり、エリオくんとヴィータさんで追撃、でもあの速さでは到底赤子の手を捻るように交わされてすぐに背中を取られる、でも狙い通りの場所へ誘導することに成功した。

「黒の香No.24 マインクック!」

待ち伏せていた黒い鳥が誘爆し、さらにトーマたちが追撃。

「「ディバイドゼロ・・・・エクリプス!」」

煙が晴れると、二人に確かなダメージは入ったものの、ほんの些細なものだった。

「不意打ち、もう一発あれば危なかったですね。」

「チッt、頭数でもダメか、厄介な不良だ。」

『ヴィータちゃん、やっぱり私が出たほうが・・・』

「・・・・!?ビクッって来た・・・この感じ・・・」

その時ソウシくんが何かを感じた、するとそこに、バイクに乗った私と、サキちゃんが合流した。

「“daughter”、何故。」

「サキ!」

ドリフトしながらブレーキをかけ急停車、そして・・・

「ご迷惑をおかけしました!・・・でも、決めました、私・・・私・・・もう家出なんかしません!」

「そもそも最初っからするな!、ったくこんなめちゃくちゃな教え子はお前だけだバカ!」

「バカで良いです、私無鉄砲で危なっかしいバカですから!」

「開き直ってんじゃねー!そーいうところだぞバーカ!…フッ。(こいつも、なのはに似ちまったか。)」

「でもあなたは人間の姿じゃ飛べない、飛べないあなたなど・・・。」

「確かに飛べないけど、跳ぶ事ならできる!」

「Fire wheel!」

サキちゃんの踵に車輪が現れて、火打ち石で火花を散らすかのような勢いで地面に叩きつけると、クラウチングスタートの姿勢をとった。

「worm up complete」「滑走路距離、ギリギリだけど確保、深海サキ、行きます!」「Flash move!」

そのままローラースケートの要領で滑走して踏み切るとその瞬間に爆発のように風を起こし、そこにフラッシュムーブを加えて、さらにアークウィンガーを羽にして風を切って跳んでいく…

「めちゃくちゃな…。」

当然突進するサキちゃんは交わされ、そしてソウシくんがサキちゃんをキャッチした。

「おかえり、サキ♪」

「いや、まだだよ、この状況を収めなきゃ。」

ソウシくんに抱えられたままサキちゃんはソウシくんの鼻に人差し指を当てて言った。

「二人そろったな…」「あれ、やれるか?」『そうだね、アレ、試せるだけ試してみよっか♪』

「やってみます。」「えっ何を?」

そう言うと、ソウシくんの髪は空色のような青になり、瞳は私の魔力光と同じ赤…いや紅色に変わった。

「あの2人と産まれ方は同じ、なら僕とサキでも出来るはず…いや、絶対できる!』

「・・・ホントに?」

「疑ってる?」「いやその逆、あの子たちと互角でやれる方法が…」

そう悩んでる間にも海竜いや、リヴァイアサンの怒りが増して、傷も増していく、とてもみてられない光景だった。

「やります、だから・・・」「うん、サキ一人じゃ扱いきれなくても、「二人でなら!」」

ガシッと手を握るとサキちゃんの髪も空色のような碧になり、また瞳もソウシくんの魔力光と同じ黄色…いや金色に染め上げると背中を合わせ恋人繋ぎのように手を繋いで・・・「「ウィングクロスユニゾン、」テイク!」「オフ!」

ソウシくんのフライヤーフィンが解除され海面へと落ちていきながらサキちゃんの中に入っていき、魔力光が混ざり橙色になる。

そして竜と鳥を象った青い炎が羽で包み込む纏わり付いて、バリアジャケットを構成する。一見巫女服のようだけれど、袴に当たる部分はロングローブの裾になっており、手にはグローブ、足にはブーツ、そして帯の後ろには弓を携えている。

そして地面に足をつくと瞼を持ち上げ橙色の瞳が姿を表した。

「あったかい…私の中に…ソウシくんが…」「いや、むしろこっちがあるべき姿なのかも」

「うん、かっこいいよ…サキお姉ちゃん。」

「なんでここに?」

目を開けると、片目に眼帯をつけた、あの時の女の子がいた。

「ここにいちゃ…ダメ?」「うん、ダメ、危ないよ・・・あと誰に私の名前教えて貰ったの?」

「ソウシお兄さんが教えてくれたの。」「そっか、そう言えば君の名前…聞いて無かったよね、なんて言うの?」

「私は“イヴァ、イヴァ・くx…」「なんて、聞こえないよ…ねぇ…」

「…sキ…サキ!」

「…ハッ…あれ?あの子は?」『サキちゃんとソウシくんしかそこにはいないはずだよ?』「buddy,are you ok?」

幻覚・・・だったの?、でも確かに触った感触はあったのに…

「サキ…まだ怖い?」「…ゼンゼン…全ッ然!怖くないよ、頼もしい弟が一緒だから。みなさん!あの二人は私達姉弟に任せてください!」

そう提案すると、なのはさんから直々の忠告が来た。

『ちょっと待って…確かにそのデバイスにはあっちと同じブラストシステムはあるけど、二人の体が無事な保証はないよ、だから約束して、限界時間は3分、リミッターあるけど、絶対に外さないで!』

『高町教導官・・・ブーメラン刺さっとるよ。』『ちょっと!それどう言うかなぁ?』『ヒィィ!顔!顔!お仕事モード抜けとるよこの人!…』

「・・・3分あれば、十分です。」

『よく言った、じゃあ…』「はい!」

なのはさんの顔が一気にケロっとした顔に戻って画面が閉じた。

そして大きく息を吸って…

「「カードリッジツインロード、ブラストシステムスタンバイ!」」

「おっし…全員退避!」

ヴィータ隊長の号令で全員が私の移動ルートから退避して海竜の方に向かった。「いきなり邪魔をやめた?・・・ですが、こちらの速さを侮ると…!?」

「「…ルート確保、いきます!」」

私たちは踵の車輪で滑走して腕のフライヤーフィンで飛び立ち、ブラストシステムによって発生させた突風を用いて加速し、あの速度に追いついた。

「そちらもそのシステムを…」「知らない…でもひとつだけハッキリしてるのはこれでそっちと互角って事!」

さながら紅い稲妻と蒼い火のぶつかり合いの様に何度も衝突しては最接近を繰り返してあっちの頭上を取った。

「「我流奥義…盾竜・飛翔脚!」」

獲物を狩る鳥の如く急降下しながら蹴りを入れる、がカスった程度…

しかも勢い余ってしまったため水面スレスレでV字を描いて再上昇、だけど、もうそんなにカードリッジも余っていない。

「今度はこっちの番です。」

「ヤ…ヤバい…」『サキちゃん!速度出し過ぎ!そのままだと、オーバーランせずに着陸できるポイントが無いよ!』「って言われても…」

あと30秒…3分って意外と短い、このまま…

「減速が間に合わないなら…もう追いかけない!」「どうするの?」

「アークウィンガー?」「All light」

私はアイツらを追いかける途中で推進力を生み出していた突風の生成がリミッターによってストップしたのと同時にフライヤーフィンをストップさせ、管制の法則だけで宙を舞う状態で矢をつがえた。

「「不死鳥のように舞え…ストライクフェネクス!」」

魔力ダメージだけで済む非殺傷設定で火を纏った矢を放ち、そのまま元の堤防に踵に生成した車輪で設置して減速…ギリギリ止まれ…ウソッ!?

忠告された通り端まで行っても距離が足らずオーバーラン、結局海に真っ逆さまに落ちた。

「はぁ…はぁ…ユニゾン解除…あれぇ?」

ユニゾンを解除すると、なんか私の目がおかしい、これまでとまた色覚が変化してしまって色の見え方が違う…。

また、髪の長さも私とソウシくんで同じになっていた。

『もー、二人とも…』「「ごめんなさい…」そう言えば!」

あの二人は矢の直撃を受け水面に浮いている…そこに泳いで近づき、ソウシくんが手錠を私に渡した。

「なぜ…とどめをささないのですか。」

「簡単だよ、私は殺生をしたくない、だって人間だから、法律に則って生かしておくし…第一私得意じゃ無いからなるべく血を見たくないし。」

「本当にあなたは人間に被れている…」

「あっそう…とりあえず、現行犯で逮…ッ!?」

その手錠をつける前に二人は転送魔法の魔法陣に吸い込まれて消えていきました…。

しかもことはまだ終わってない。

『こちらソードフィッシュ1、一般の方全員の避難及び身元確認が入館履歴のあった人数分は確認が取れました。』『了解、お疲れなスバル。』

その会話を聞いてる間にとある動物が私の目に止まった。

「ソウシくん、まだ飛べる?」

「うん、いけるよ。」

私は龍形態のソウシくんに乗り、その真上から海に飛び込んで、その動物を誘導した。

「サキちゃん!?」

「よーしよし、ここなら大丈夫、後で飼育員さんに戻して貰うんだよ、いいね…あっもしかしてこれ欲しい?」

「あれって…」「イルカ?」

その見えた生物と言うのは、沖に一番近いエリアにあるショーの水槽から放流されてしまったイルカ、しかもこの子はかなり小さい頃から飼育されてた子で逃された後も戻ろうとして交戦範囲に入ってしまっていたから泳いで誘導してきた、因みになんで指示の出し方知ってるか?、それは見よう見まねでうまくいっちゃっただけ…

「じゃあおとなしくしててね…ん?」

“何?ここは人間共が私利私欲で隔離して見せ物にしている施設ではないのか?…”

私の耳にはそう聞こえた…この海竜の念話?

「…確かに私利私欲で見せものにはしてるけど、それぞれの環境を再現して、絶滅危惧種の保護したりして、消えそうな物を長く残そうとしてる場所でもあるかな。」

”…お前、この声が聞こえるのか?…“今度はそう聞こえた。

「うん、聞こえるよ。」”…そうか、では問う、本当にお前の申すような場所なのか?…”

「そうだよ。」“…逆に安全に暮らすための環境か…“

「あと食物連鎖を崩さない努力も極力。」”…その言葉信じてみよう…そして、この事を詫びさせて欲しい…”

「いいよ、謝るべき相手は私じゃないし。」“…そうか、だが、お主と居れば面白そうな事になる予感がする、気に入った。…“

「へ?どう言う事?」”…その手に我が身我が力を、その身、名を持ちて輝かん…”

するとその海竜は光を放ちながら宝石に戻り、私の手の中に収まると綺麗にカットされた状態から、大きな原石のような状態になった。でもその宝石を見つめてる間に、全身の力が入らなくなって、私は意識があるまま倒れてしまった。

私はフリードに乗って、倒れたサキちゃんの元へ急いだ。

「ねぇ、大丈夫…サキちゃん!?」

「とりあえず…ひっくりかえしてみようか…」

「お願い、エリオくん。」

うつ伏せから仰向けにすると疲労困憊な様子で…この状況で寝ちゃった?

それから手には輝きが少ない石…いや宝石が握られていて…と状況確認しているとアークウィンガーが「master is very hungry now(ご安心ください、サキは空腹なだけです。)」

「そっかぁ、よいしょっと。」

私はため息混じりでサキちゃんを抱っこしてフリードの背中に乗った、相変わらず軽い…なんか背が縮んでる気もする。

「キャロ…さん?」「もうにがさないよ。」「それってどう言うこ…とで…///は、恥ずかしいです、下ろしてください!」

サキちゃんは顔を真っ赤にしてジタバタしている。

「あとなんで手錠まで…」「また家出されたら困るし…」

「逃げませんから外してくださぁい!」

そのまま6課へ帰る空の旅は、賑やかに、そして…お説教も交えつつですぎて行きました…

 

To be continue




次回予告
ただいま、おおかえり、そんな言葉を交わす相手に巡り会えたのに、そしてそれを捨てて家出して、初めて気づいた事と…今まで誰にもする事が出来なかったやりたい事…
自分に正直になって、一つづつやってみたい…もちろん付き合ってくれますよね、皆さん。
次回、龍騎神弓クラシカルサキ
diary 23「甘えん坊な雛鳥」
血の繋がりがあろうが無かろうが、一緒にいたい人はみんな…家族で良いんですよね?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

diary 23 甘えん坊な雛鳥

ヘリと龍が屋上ヘリポートに着陸し、スタスタとみんな扉を潜っていく…一名拘束されてますけど。

そして、その飛びたいの先では見覚えのある子がいた…と言っても目はまだ異常をきたしてて、何処にいてもずっと室内で照明を焚いてるときの色にしか見えないんだけども。

「あっおかえりなさい〜お疲れ様です。」

「お出迎えありがと、ヴィヴィオ。」「そっかぁ、今日なのはさんもフェイトさんも…」「はい、深夜待機シフトなので。でもノーヴェに泊めてって頼んだら今日はフーカさん関連のお客さん来るからダメって言われちゃって…多分リンネさんだと思いますけど、なので今日はこっちにお泊まりです♪」

6課隊舎に帰ると、お出迎えしてくれたのはヴィヴィちゃんだった。

今日なのはさんたち、深夜待機なんだ…

「あっ咲さん!昼間のアレってなんだったんですか?…すごいドロドロ…しかも手錠まで…何か悪い事したんですか?」

「それは…あのね…」「なーんちゃって、言い訳しなくても脱走したのは知ってますよ♪、そうだ、もう20:00過ぎてますし、先お風呂いきませんか?」「ちょっちょっとヴィヴィちゃん!」

この時も昼間怖い思いさせちゃったのに、それを気にして無いかのように普段通りの丁寧語でフレンドリーに接してくれた。

 

 

それから数十分後…

「へぇ…そうだったんですね、咲さん。」「うん、だからごめんね…」

「あーもう何回も謝らなくて良いですから…なんか隠し事がバレた時のはやてさんみたい…」

結局、ヴィヴィちゃんと一緒にお風呂、こうしてみるとヴィヴィちゃん自身もかなり背丈も伸びてるけど…アレも結構デカいって言うか負けてる、私ぺったんこだもん。

「そう言う視線で見てくるのもほんとにはやてさんみたい・・・で、アレですか?ハリネズミみたいにコソコソしてたんですか?」「その例えキャロさんにもされた…」

「でも、私もわかりますよ、…なのはママと出会ってしばらくした時に私も、自分から大好きな人たちから退こうとしました。」「JS事件の時?」「そうです、でもあの時になのはママが手を差し出してくれなかったら、私はゆりかごと一緒に真っ逆さまだったかもですね。」

「それ笑い事じゃないって!」「でも、私は自分が居ても良い場所をくれたママが大好きです…今はちょっと大好きって言うの恥ずかしいですけどね…あっこの話フェイトママにも内緒ですよ?フェイトママが知ったら多分フテ寝しちゃいますから。」

「それはわかったから…」「で、続きですけど…咲さんはキャロさんのこと好きですか?」「なんで?」「だって、私にとってのなのはママとフェイトママが咲さんのキャロさんとエリオさんなんですよね?…だったら素直になればいいと思います♪きっと幸せにしてくれますよ。」

「そうかなぁ…」

「失礼する…おおヴィヴィオ、そう言えば今日はこっちに泊まるんだったな。」

「はい♪シグナム副隊長。」「…昼間はご迷惑をおかけしッ…えっ…と…」

「現実から逃げたくなる時は誰にだってある事だ、くよくよしている方がみっともないぞ。」

シグナムさんも入って来て、私の頭を鷲掴みにしながらそう言って髪をクシャクシャした。

こうして体を洗っているシグナムさんを見ると、体には細かなものから大きなものまで色々な傷跡が刻まれている…でもそれに対して痛々しいとは何故か思わなかった…むしろその逆…

でも不思議なのは、胸とお腹にはとても大きな跡が一つずつあるだけという事…それが少し不思議だった。

「…どうした?…ああこれか、これはなテスタロッサと最初出会った日の傷だ、もう15年ほど前の話さ…でこっちは狂鳥(フッケバイン)に脊髄を粉々にされた事があってな…もちろん後遺症はないぞ。」

生死の境彷徨った話を笑い話で済ませてしまうシグナムさん…若干怖く感じた。そして体を洗い終えると、普段は滅多に見せないほっとした顔をして、私たちのこう聞いた。

「やはり風呂と言うのは良いものだな…」

「ですね…なんかこうふわーっと疲れが抜けていくような…」

「サキ、お前は風呂好きだと聞いている…ここから少し遠いが最近良い露天風呂がある施設が新たにできたと小耳に挟んだ…休暇が被る事があれば連れてってやろう、着いて来るか?」

「行きたいのは山々ですけど、1ヶ月眠ってたならその間の仕事もしなきゃですし、休暇が取れるか危ういですけど…」

「それなら心配ない、君の弟…ソウシだったか?」「はい、あってます。」「ソウシが“サキの眠ってる間二人分働くんだ”と言ってやってくれている、よーく礼を言っておけ、じゃないと拗ねるぞ?」

普段よりシグナムさんの話し方は砕けていた…本当にお風呂好きなんだぁ♪

「じゃあ、私大分長湯しちゃいましたし、ごゆっくりどうぞ、シグナムさん。」「私もお先に失礼します〜♪」「ああ、背中を預けるもの同士、こうして親睦を深められてよかった。」

「背中を預ける者同士?」「ああ、共に戦う以上はな…それに君は“かつての我々”と同じ悲しみを味わせたくない。」

「同じ悲しみ?…」「君の身体のことはシャマルから全て聞いている、そして君は人以上に多くの別れを経験せざるを得ない事も…」

もうみんなに知れ渡っているんだ…

「……」「だが、君には既に家族がいる、それだけで少しは違うかもしれないがな…忘れてくれ、ほんの独り言だからな。」

「よしっ…ばっちり♪」

「キャロ?」

シチューを煮込み終わると、ちょうどエリオくんが来た。

「久しぶりに作ってたんだ…だけどみんなの分足りるかな?」

お風呂を上がって廊下を歩いていると、優しい甘さのあるような匂いが漂っていて、その匂いを辿っていくとその先ではキャロさんとエリオさんがいた。

「あっ、グッドタイミング♪サキちゃん、ちょっとおいで。」

「はい…!?…これキャロさんの得意料理の…」

「得意っていうよりかは自然保護体のキャンプでよく作ってたから…」

火にかけられた鍋…いや寸胴の中には並々にシチューが作られていた…けど全員にだと寸胴一個じゃ足りないし、かと言って…帯に短し襷に長しってこう言う状況なのかな。

するとキャロさんはおたま一杯のシチューを掬ってお皿に盛り、私に差し出した。

「お腹…空いてるよね?味見してくれる?」「良いんですか?」

「いいよ、食べて食べて。」

促されるままに口に運ぶと、濃厚な味が口いっぱいに広がり、また空腹度合いの差っていう事も関係してると思うけど、この日のシチューは身体に染み渡るような味で…この6年の間で食べた何よりも美味しくて…暖かくて…私にとって生涯忘れられない味になった。

それもあってか、自分でも自覚が無い間にほろっとまた涙が出てしまった…

「サキちゃん?…もう今日だけであと何回泣くの?」

「だって…だって…」

ジー‥‥『トーマには見せれそうに無いですが、記録しておきますか。』

「オイ、スティード。」「なに撮ってるの?」

『ト,トーマ!?それにリリィ…見つかってしまいましたか。』

私達が一切気がついて無かっただけで、この様子はスティードの記録の一部になっていました。

「流石にこればっかりは盗撮するの良くないよ。」

「でも、撮りたくなるのは分からなくないシチュエーションではあるけどね。」

「だから銀十字!空気読めって!あっ!」「キャッ!」

「トーマ?…」「あれあれ〜?トーマそういう趣味あったんだぁ。」

「そういうアイシスこそ、またソウシを着用モデルにして…」

「…あっ////…あばば…アバアババババババ…ゼッゼンブ見てたんですか…///」

銀十字の書が飛び出して、出会い頭にアイシスさん達ともぶつかり、柱の影にいた全員が出てくると、サキちゃんは顔を真っ赤に染めてパンクしちゃいました。

 

 

 

 

「って言う事がありまして…」

「にゃはは♪、そんな事あったんだ。」

「で、スティードは…」

「それより、このシチューすっごくおいしい♪キャロ、レシピ教えてよ。」

「そんな、なのはの作るシチューだって…」

「私のは市販のルウだし…」「別にいいですよ♪って言って普通の材料ですけど。

ふと目を逸らすと、サキちゃんの手が止まっていた。

「サキちゃん、食べないの?」「いや‥なんか…こうやって、あったかい場所でみんなでごはんって言うの、ずっと憧れてて…でも改めてしてみると、…」

サキちゃんはまた泣き出しそうな目をしていた、今日はあと何回泣くの?

「やっぱり6課って他の部隊よりアットホームに感じるよね。」

「うん、なんか職場の寄宿舎だけどシェアハウスみたいな♪」

「そうそう♪一緒起きて訓練して仕事して…」

(((((やっぱりなのはさん…ストイックだ・・・))))

とそんな感じでスティードの記録からしばらくして食堂で晩ご飯、特務6課の皆さんにもシチューは好評でした。

それだけじゃなくて、前はすごく少食だったサキちゃんが、1ヶ月ぶりのごはんだからか…

「…おかわりしていいですか?」「いいよ♪どんどん食べて。」

こんな調子で姉弟揃ってニコニコとした顔でどんどん食べてくれて…作ったかいがありました。

「…」「どうしたんですか?キャロさん。」

「髪の長さ揃うとそっくりだなぁって、双子だなぁって…」

「そんな事ですか…

〜♪」

口に運んだ時のご機嫌な笑顔なんかもそっくりだなぁ…

「ついに残るは・・・」

「こちらも心許ない頭数しか揃えられていないが、仕方ないな・・・どうかしたか?」

「…いえ、何かスッキリしないのです…私にあるのは考える頭だけで、感情は無い筈だというのに…何故…」

「ホントにここまでしてもらっちゃって良いんですか?…私のワガママなのに。」

「いいよ別に、エリオくんも私も…サキちゃんはまだまだ子供なんだから、いくらでもワガママ言ってよ…まあ3個くらいしか変わらないけど。」

ここは特務6課の隊舎にある畳敷きの客間、誰の趣味なんだろ。

で、何故ここに4人居るか説明すると、私がキャロさんとエリオさんたちと今夜は一緒に居たいとワガママを言ったから、でも2人揃っって快くOKしてくれた。

「布団はこれでよし…フリードの籠は…」

間違えました、4人と1匹でした。

「ホントに、付き合わせてごめんなさい。」

「家出しといてそれ言う?中々ここまでして貰えないんだから…他に何して欲しい?今日はワガママ聞いてあげるから。」

…私ほんっとにバカだ…怖がらずに帰ってこればよかった…だったら…一番して欲しかった事をお願いしてみようかな…でもやっぱり恥ずかしいや。

「じゃあ、キャロ…さん…」「なぁに?」「エリオ…さん…」「なに?」

「だ…だk…抱きついていいですか!」

「…それくらいならいつでも来れば良かったのに…いいよ。」

「じゃ、じゃあ…」「ちょっとまって、それは!?」

私は飛びかかるようにしてハグした…思っていた以上に飛び込んだ胸の感触もその他の場所も、がっしりしていながらすごくしなやかだった…だけど、私が初めて感じた温もりを、忘れられないあの日の温もりにもう一度、こうして…

「サキちゃん?。」「…これだ…私がずっと求めてた温かさ…ヒャッ///くすぐったいですよう…」

「エリオくんもやっぱり乗り気なんだ。」「まあね。」

キャロさんをハグしている私の頭をエリオさんがそっと撫でる、シグナムさんとはまた違う感触で、これはこれで気持ちよかった…ってこれじゃ私抱きつきフェチみたいじゃん!

「…キャロさん…エリオさん…大好きです。」

「突然どうしたの?」「言葉のの通りです。」

ホントは違うけど、自分の口では到底言えない…だって私の両親がエリオさんとキャロさんだったら良かったのにって思っちゃっただなんて。

「サキちゃん…あれ?」「キュルル?(あれれ?)」

…大好きな人の腕の中で、私の意識は溶けていくように無くなっていった…

「寝ちゃった、みたいだね。」「そうだね…。」

私を強く抱きしめたままいつもは見せない、安心し切った笑みを溢して眠りに落ちてしまった…ホントに子供みたいに。

「スヤァzzz…」「もう遅いし、電気消そうか。」「まって…この体制じゃ私横になれないよ。」「キャロが立てば普通に降り落ちると思うよ?」

言われた通りに立ち上がるとサキちゃんは布団の上にポスっと落ちた。

それを確認した後に電気を消すと、サキちゃんが少し寝言を言った。

「…どこ?…ママ…どこ?…」

私は右手を握ってあげると、その手を握り返して…「みつけた、…キャロママ…エリオパパ…」と衝撃の寝言を放った。

「ど…どんな夢みてるんだろう?」「はやてさんから借りた本にあったんだけど、サキちゃんは擬似的な不死鳥ならって調べたくて。」「それで?」「不死鳥って命を終える直前に卵を産み落としてそこに魂を移すって…だから、僕らが助けてあげた日も、この前も刷り込みが成立してて…サキちゃんにとってのお父さんとお母さんって…僕らなんじゃないかなって…」

「私とエリオくんが?」「確証は無いけどね。」

言われてみれば納得がいくし…しかもサキちゃんには名前があるのに師従契約が成立していなかったし…だとしたら、そうなのかな。

「ねぇエリオくん…私たちを引き取ってくれた時のフェイトさんってこう言う気持ちだったのかな?」「かもね。」「クルル〜」

そんな話をしていると、おとなしくしていたソウシくんも近づいて来た。

「いい夢みてね…お姉ちゃん。」

「それ、起きてる時に言ってあげなよ。」「無理、かも…恥ずかしいから。」

私たちはこのまま仲良く夜を越した…今度はフェイトさんも一緒がいいなぁ…

AM4:00

なんか…すごく幸せな夢を見ていた気がする内容は覚えて無いけど、ただいつもより早く目が覚めちゃったなぁ…と思っていると

「おはようサキちゃん、よく眠れた?」

「はい、よく眠れました…あっ。」

私のおなかが鳴った、でも朝食までは時間あるし…

「おなかすいたちゃった?」

「…///はい。」

「じゃあ、フェイトさんやティアナさんのお弁当作るついでに何か作ってあげる♪なにがいーい?」

「玉子焼きがいいです(^^)」「いいよ〜じゃあみんなの分も一緒に作ろっか♪」「やったぁ♪じゃあ早く行きましょ、キャロさん♪」

意気揚々と扉を開けた時、私の動きがパタリと止まった。

何故なら私は、窓の外の景色を観て昨日から起きている目の異常がなんなのかを理解した…。

「サキちゃん?」「これ…夢じゃ…ない…夢じゃない!わぁぁぁ…」

「どうしたの?サキちゃん。」「キャロさん…空が、空が青いですよ!」

ソウシくんとユニゾンした影響で、私の目の第四の色覚が弱まっていた…そのおかげで私はついに肉眼で…写真じゃ無い天然の空色を観ることができた…。

「そう言えば…サキちゃんに見えてる世界は人と違う色だったんだよね…」「でも…何故か今は同じ色に見えます…空ってホントに私の大好きな透き通った青だったんですね(^^)」

この青をずっと観られるんだと思うと…胸が躍るような気持ちだった。

それから和室を出て洗面所で顔を洗って…廊下を歩いてキッチンへ。

温かい日差しに、コンロの音、油の音…卵の白と玉子の黄色…カラフルな調味料の瓶に、大好きな人のピンク色の髪…目に映るもの耳に聞こえるものがいつもより鮮やかに感じる。

そして玉子焼きが出来上がった頃…

「はい、出来立てあつあつだよ〜♪あーんして?」「あーん…ん〜♪」

「おはようございます…」「おはよー♪あれ?二人とも早起きだね?」

スバルさんとトーマさんが入ってきた、二人とも少し眠そうな顔をしていたのに、一気に笑顔になった。

「サキちゃんもおはよ〜♪」「おはようございますスバルさん…トーマさん…そろそろ離して下さいって。」

ばっちりスバルさんからホールドされる…でもこの感じもありかも…

「これキャロちゃんが作ったの?」

「そっちはつまみ食い用だから食べていいよ♪」

「あれあれ〜♪早起きだね〜。」

「「おはようございます♪なのはさん♪」」「おはようございます!」

「うん、みんなおはよ〜♪私も手伝って良いかな?…ヴィヴィオのお弁当も作らなきゃだし♪。」

「じゃあみんなでやりましょうか!」

「これは出る幕無くなってまった…」

「はやてちゃん!」「おお…どしたんリイン?」

「本局から新しい資料が来たので…」

「始業時刻前にか?…しゃーないなぁ…」

そんなこんなで朝からキッチンからこ気味のいい音がリズミカルに響き、厨房で仲良く料理して…

 

やっぱり私は…この人たちが…六課の皆さんが…

 

6課の皆さんがやっぱり大好きだ

 

To be continue

 




次回予告
現場復帰してからしばらくして…呼ばれた先はとある自然保護区。
そこで告げられた依頼は…えっ私がですか!?
次回、龍騎神弓クラシカルサキ
diary 24「命名、その2」
この子…じゃじゃ馬かも


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

diary 24命名 その2

あの日手にした宝石…そこに眠る海竜…その声が…
温かい場所、すぎる日々そんな中、新たな仲間が…
龍騎神弓クラシカルサキ、始まります


あれから数日が経ち…緊急出動も無く6課にいつも通りの日々が戻ってきて…唯一変わったことといえば。

「キャ〜ロ〜さん♪」「もう…サキちゃん…」

「エリオさんも♪」「…おはよう、咲ちゃん。」

サキちゃんが前以上に私にべったりになったのです…まるで餌付けされた小鳥のように懐かれてしまって…まあ6課のみなさんに対してこんな調子でスキンシップ多めで…正気、嬉しいような…困るような。

「えへへ…〜♪」「とりあえず行こうか。」

あの後海竜のクリスタルは辺境自然保護隊の研究チームに預けられて、前報告を聞きにいけなかった分と新たな研究成果を聞きに呼び出されたのですが、今回は咲ちゃんとソウシくんも連れてきて欲しいとの事で…車で迎えに来てもらっています。

「わざわざ来ていただいてありがとうございます。」

「いつものバイクじゃぁ移動しずらいでしょ?…で君たちが噂で聞いてた双子ちゃんたちだね。」

「…はじめまして、サキって言います。」「…同じく、ソウシです。」

なんか気まずそうだった。

「噂に聞いてたけど、二人とも大人しいね。」「いや…ただ…そんなことは…」「ごめんなさい、ソウシくん人見知り激しいので…」

それから次元船で十数分、保護隊のとある研究区に着いた。

「すっごい…ひろ〜い…」「元々無人世界だった世界で絶滅危惧種や希少種の保護観察をしてる区間だからね。」

「へぇ〜♪…空気も空も…水も緑も…。」

「ちょっと、キャロ?」

「どうしました?ミラさん。」

「サキちゃんっだっけ?あの子いつもあんな調子なの?」

「違いますよ、サキちゃんは自然の中に居るの大好きなんですよ、特に景色の綺麗な場所が。」

「じゃあここがお気に召したって事かな。」

言われてみればサキちゃんはずっと無限書庫でお世話になってたけど、実際これだけアウトドア派だし、目も最近は人間色覚に近付いて感激してたし…以外と自然保護隊のお仕事はサキちゃんの性に合ってそうだと少し思った。

それからしばらく歩いてとある建物の中へ、でもここも来慣れた場所だけど。

でもサキちゃんは緊張しているのか少しおどおどし始めた。

「まず、この前交流し損ねた研究成果って言うのがまずはこっちね。」

そうして窓越しに指さされた先のケージには、確保したクリスタルの生物が通常の自然環境に適応できるかの検証中の様でした。

「あの子たち街では破壊行動を繰り返してたみたいだけど、本来の生息域を再現したケージに入れて観察してみたら、心地いいのか野生の子とほぼ変わらないの。」

「じゃあ!」

「うん、覚醒しちゃったのは仕方ないけど、共存の道はしっかりとあったの、だから封印しっぱなしじゃなくて、のびのびと生活させてあげれるかもしれないって言うのがまず一件目ね。」

そうしてそのエリアのケージをいっこいっこ覗くと、野生の動物とほぼ変わらないような感じですごく温厚な様子でした…そして、ミラさんに着いて行くこと数分、今度はとある研究室へ。

「で、こっちがサキちゃん達に来てもらった理由なんだけど…」

そこにはあの人サキちゃんが握っていた原石の様な状態になった海竜のクリスタル

「これなんだけどね…色々な文献やデータ採取でわかったんだけど、この原石の様な状態は魔力不足による不完全状態か仕従契約を求めているかのどちらかだと言うのが研究して出た結論でね。」

この話を聞いた途端にサキちゃんが驚いた顔をした、心当たりがあるのかな?

心当たりがありすぎる…確かにあの子はあの時、私に“お前といれば面白そうだ”と言ってたし…

「だからどっちの説が正しいか検証する為に、しばらくこの子をサキちゃんに託そうと思うんだけど、どうかな?」

「ぜひやらせてください、この子きっと…」

そう言いながら手を動かした時にそのクリスタルの上を私の手が通り過ぎる、すると、私の魔力を少しだけ吸われた様な感触があった。

「じゃあ、開けるよ。」

ミラさんがそのガラスケースのロックを外して蓋を取り外し、私がクリスタルに触れると、今度は急激に私の魔力を吸って、クリスタルから海竜の姿に戻った。

「きゃっ…あ、…そんな事、ある?」「サキちゃん、怪我してない?」

「はい、なんとか…」

あの子は研究室の中に収まってはいるけど少し窮屈そう…しかもここは水辺ではないから身動きもほとんど取れない様な状態になっている。

「と、とりあえず…ここの近くの湖に放すしか、キャロ、できる?」

「は、はい、やろうと思えば…」

それから数分、ミラさんとお別れして湖へ向かうと、丁度いいサイズだったのか元気に泳いでいる。

「おっ?いたいた、さっきはごめんね、大丈夫だった?」

体いっぱいを使ったボディランゲージと声で私のいる方を示すと、水面から頭を出してこっちにやってきた、けれど、あの時の様なテレパシーは聞こえない、代わりに目で全てを訴えている様な感じで意思疎通を試みている。

「そっか…どう?ここは居心地いい?…えっ入って確かめろって?…ちょちょ、ちょっと待っ、あぁぁぁぁぁぁ!」

顔をずっと覗いていたら制服の裾を軽く咥えてひょいっと頭の上に投げられ、そのまま遊覧水泳かの様にしばらく泳ぐと今度は頭から振り下ろして私を水没させた。

「サキ!」「サキちゃん!」

「…プハァ…もー、一緒に遊びたいならそうって素直に言いなよ〜♪」

「えっ?」「クルル?」

このまま私はこの子と一緒に湖を泳ぐ、この子もまた見た目に反して可愛い性格してるじゃん。

「楽しそうだけど、帰りどうするの?」

「大丈夫ですよ、水辺に行くかもしれないって聞いてたので、下に水着来てきてるんで…あっでも制服は干した方がいいですよね。」

そのまま制服を脱ぎ捨て、水色の水着を露にして岸に制服を投げた。

「…もう、サキちゃんったら。」

「そう言えば保護隊の頃のスェットスーツ、多分ロッカーにあるよね?」

「確かに置いてきたからあると思うけど…エリオくん、どう…あっそっか♪」

数分すると人影が二つ近づいてきて、飛びこんできた。

「きゃっ!…エ、エリオさん、キャロさん!?」

「折角だし、一緒に遊ぼうよ、サキちゃん。」

ぴっちりとしたスーツに身を包んだ二人はいつも更衣室や訓練中の印象よりもさらに逞しい姿で…エリオさんもすごいけど、キャロさんも結構筋肉質でかっこいい…

「なんか、ボディラインがもろに出ちゃう格好でもビシッと決まるの…憧れます。」

「そう言ってもらえると嬉しいよ、ね、キャロ?…キャロ?」

「サ〜キ〜ちゃん?」

「いや、皮肉じゃないですから!」

しまった、キャロさんも私と同じコンプレックス抱えてるんだった!

どうしよう…と思っていたらキャロさんが海竜に持ち上げられて、背中に乗せられ、そして私の頭の上にフリードが降りてきた。

「キャロ、ご指名だよ。」

「じゃあ、お願いします。」

私が先導すると、そこに着いて泳いでくる、しかも教えてないのに私の指示が何かわかってるみたいで、少しだけ芸もできた、魔力伝いに記憶した説もあるけど。

「ソウシくんもおいでよ。」

「やだ、泳げな…あっ!」

ソウシくんを尻尾で水に落とすと真っ先にあの子が向かった。

「あちゃ〜ソウシくん泳げないんだよね、泳ぎ方は本能的に覚えるものじゃないし。」

水面でジタバタしてる、あれじゃ逆に沈んじゃうよ…と思っていたら下からあの子が近づいている…なるほど。

「ソウシく〜ん!一回じっとしてて!」

「えっでも…いーからいーから。」

「沈まない!?」「逆に動く方が沈むよ。」

「…あっホントに沈まぁぁぁぁぁぁぁ!」

ソウシくんの足の裏を鼻先で押して推進してる、イルカショーでたまーにみるアレだ。

「すごい…泳げてる…僕泳げてる!、ねぇサキ!。」

久しぶりに子供の様にはしゃいでいる、やっぱりソウシくんは無邪気な方が良いや、いつからあんなきっちりやる子になったんだろう?

…そうしてみんなで水遊びして…その末に水面に大の字で浮かんで並んだ。

「楽しかったぁ〜♪」「でもちょっと疲れたかも。」

「キャロ、なんか懐かしいね自然の中で遊んでるのって。」

「確かに、最近街ばっかり言ってたもんね。」

そんな会話をしていると、海竜が近づき、私を見つめる、そしてここにいる全員がその訴えを読み取ることができた。

私をあなたの物にして下さいと…そう訴えかけている事を。

「…いいの?ここで自由な暮らしをしてても良いんだよ?」

すると体を擦り付けて悲しそうな声を出した。

「すごく不自由になるけど、ホントにいいんだね?」

強く頷いた、この子の意思は本物なんだと確信した。

「じゃあ…君の名前は、シェルクエール…翼を持ちし鮫、シェルクエール!」

そう言うと、契約が成立したのか、魔力光が私と同じ赤に染まりクリスタルの姿で私の手の中に収まると、光の線が入りその通りに亀裂が走ってクリスタルカットされた状態になったけど、それを見るや少し申し訳なさに襲われた、確かにソウシくんも自分の意思で竜に戻れない事を不自由だと思ってないって言ってたけど、これは訳が違う…ホントに良かったのかな…

「…」「呼んでみなよ、サキちゃん。」

「えっ?」「うん、試しに一回だけさ。」

「僕も、シェルクエールに会いたい、だから…」

「じゃあ…」

両手に魔力を集中させて…

「鏡を破りし長き刃…我が波となりて海をかけよ、水晶より来よ、我が竜シェルクエール…盾龍招来!」

するとクリスタルから解き放たれシェルクエールが姿を現して、咆哮を上げると、私たちを見つめた。

「そういえばどう言う由来でシェルクエールなの?」

「それはですねぇ…頭はサメっぽいし…このすっごく大きいヒレ!」

そう言うととシェルクエールが水面からヒレを出した。

「これ、ちょっと翼みたいじゃないですか?…だからsharkと翼を意味する…どこの言葉だっけ…まあ翼って意味のエールと私のサキとソウシくんの頭文字のSで揃えて、シェルクエール。」

「…じゃあ通称はエールで決まりだね、よろしく、エール。」

「クルル〜♪」

「よろしく、エール。」「エール、サキちゃん危なっかしいから、ソウシくんと一緒に守ってあげてね。」

なんでみんな略称なの…でも、気に入ってるっぽいから良いや。

「…シェルクエール、これからよろしくね。」

そう言うと気合の入った鳴き声で答えた後、私達を背中に乗せて陸へあげるとクリスタルに戻った。

「へぇ…じゃあこれから、定期的にデータお願いね。」

ミラさんにもこの事を報告し、ミットへ帰る時元船に乗るけど、乗り込む前にはサキちゃんもソウシくんも寝てしまって…もうすぐ着くと言うのに、まだ大事にクリスタルとアークウィンガーを握りしめて寝ている。

「ほんとによく寝るね。」「うん…サキちゃんもソウシくんもやっぱり人間の姿じゃ燃費悪いのかな…」

「なんでそんな事急に?」

「まえにザフィーラさんも“人間形態より狼の方が落ち着く”って言ってたしアルフも“私も昔はおっきかったけど今はこっちの方が燃費良いし”って言ってたから、やっぱり人間でいるのはやっぱり疲れるのかな?って」

「確かにそんな事言ってたけど…フリード、どう思う?」

「キュルル〜(僕はあんまり気にした事ないけど、ちっちゃい方が窮屈だけど疲れにくいよ)」

そんな話をしているとサキちゃんがお昼寝から目覚めた。

「キャロさん…エリオさん…なんの話ですか?」

「なんでもないよ?」

「いや、あのね…」

そのままエリオくんが全部話しちゃって…でも問いの答えは即答で帰ってきた。

「確かに…本来の姿である火の鳥の方が魔力効率は何故か良いです、快適ではないけど、でも伊達に6年人間として育っちゃいましたから、まあ今でも自分の事は人間だと思いたいですけど、だからこっちの姿でいる方が落ち着くんです。

しかも鳥の姿じゃ手がありません。」

「手?」

「はい手です。だって鳥の姿じゃ足と口しか物を掴めない、だから本も読めない、箸も持てないコップも、鉛筆も、何もかも…しかも手がないとこうやって大好きな人にむぎゅって抱きつけないですし♪」

そう言いながらサキちゃんが抱きついてきた。

「…だから普通より疲れるのは確かですが、快適なんです。」

「そっか…」

「えへへ〜♪大好きですよ、キャロさんもエリオさんも6課のみなさんも。」

サキちゃんがこうして懐いてくれてるのは嬉しいし良い事だけど…この事件が収束したら、今の扱いが臨時局員である以上…進路次第ではお別れしなきゃいけない…だからサキちゃんが私から離れるのが辛くなっちゃうかもしれないと思うと…だけど、遅かれ早かれ来るのが分かってるから、サキちゃんを…可愛がれるだけ可愛がっとかないとだよね。

 

To be continue




次回予告
来るその日、空から迫る巨大な骸…そこに魂宿る時…って!そんな!
その魂ある場所とは…一体?
次回龍騎神弓クラシカルサキ
diary 25「襲来、そして…」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

diary 25 決戦、そして…

平穏な日々が続き、迫る10月16日…
大地が吸い込まれ、失うものをひとつ…足枷をまたひとつ
忘れられない別れはその日で待ち構えていただなんて。
龍騎神弓クラシカルサキ…はじまります


新暦0082年10月16日

時元航行船ウォルブラム ブリーフィングルーム

「ホントにだいぶ迫って来おったなぁ…」

その軌道上の怪物は徐々に近づいて、ついに成層圏を抜けた。つまり、その怪物がついに来るという事。それはこの事件の大詰めに迫っている事も同時に意味している。

「さて、無限書庫のみんなが頑張ってくれたおかげで分かった事を共有するな、…」

クトゥルシア、時元を超える怪物。

神話上では世界間の移動の際に時元震を起こし、また世界丸々を捕食しかねない化け物。こいつのせいで滅んだ文明があると神話にかかれるほど。

そんなものと…厳密にはそれを再現した生物と戦わなきゃいけない。

いつも危険と隣り合わせな仕事だけど、今回は格が違う。

「てな訳で、ミット防衛の為の総力戦になる…ええな?」

「はい、」「「「「「「了解!」」」」」」

それから編成が発表される、私の担当はその怪物とではなく、あっちの勢力が送り込んでくるであろう獣たちと、あの二人だ。

「サキ…」「大丈夫、トーマさんたちもいるし、きっと…」

「ついに、私たちの戦いも…決着の時ですか。」

「これが終われば、この時代とはサヨナラ、次はきっと無いだろうけど。」

『4人揃っていないのが残念だが、私が事故で生み出したものだ。

落とし前に付き合わせて、申し訳ない。』

「いえ、我々は目覚め時たからずっとこの目的を果たす事だけが使命、なにも未練はありませ…(何故だこのモヤモヤとした感じは)」

『ああ、頼むぞ…』

Alert!Alert!と画面に表示されながら警報音が鳴り響く、例の怪物はまだ現れていない。

「スターズ6サキ、スタンバイOk、」「同じくソウシ、いつでも行けます。」「トーマ・アヴェニールと「リリィ・シュトロゼック」」「それからアイシス・イーグレッドもスタンバイOKです。」

『了解や、先鋒チーム…出撃!』

足元のハッチが空き青空が顔を出す、大きく深呼吸して心を落ち着かせたら、100mちょっとのカタパルトを走って踏み切り空へ飛び込む。

「アークウィンガーアルテミス!」「クラッシュウィンガーアポロス!「セットアップ!」

「「エンゲージスタンバイ…「リアクト、エンゲージ」「アーマージャケット、オン!」

「flyer fin」「Fine wheel」

私だけ飛べないけどそれぞれ武装して戦地へ、と言ってもアークウィンガーに搭載されたファイアホイールのおかげで滑空中はローラースケートで滑るように移動できるけど。

雲海を抜けると例の魔導師二人が奪われてしまったクリスタルを覚醒させた獣たちを引き連れ、いや野放しにして待ち構えている。

「来ましたか…”daughter“それに”sealed“」

相変わらずこれ…いい加減覚えろっての。何度も言うのダルいんだから。

「…違う、私は時空管理局特務6課臨時嘱託魔導師、深海サキ!」

「同じく深海双賜!」「あなた達を公務執行妨害及び無断脱走及び指定管理異質物の盗難、悪用、それから器物破損及びその他諸々の罪に無差別破壊行為を上乗せして、上官からの許可のもと武力行使により鎮圧、逮捕させていただきます。」

場には重たい空気が漂い、私の後ろでは出る幕を無くしてしまったトーマさん達がこっちを見ている。

「…あなた達の手を借りれば確かに早かった…ですが、命令を達成するまでは…邪魔をさせるなと言われている間は…戦うしか!」

彼女は杖を振り回して私に迫ってくる、それを足のローラーを用いて交わして…ワイヤーを繋いだ矢で隣のビルに移ってもまだ追ってくる。

「トーマさん、リリィさん、アイシスさん!こっちは…」

「わっわかった…無事で戻ってきてよ!」

「りょう…かいです!…」

トーマさん達が獣たちを対処している中、私とソウシくんは二人の的となっている。

だけど二人はその目に涙を浮かべながら、必死に焦るように攻めてくる。

「…命令は…絶対ッ…」「いいの?命令に従うだけ従って、用が終われば捨てられて…そんなんでいいの!」

地面に叩きつけられてすぐさまアークウィンガーを投げて両手を開け、ヘッドスプリングいやハンドスプリングの要領で体をバネのように使って両足で蹴り、怯んでる間にアークウィンガーを拾う。

「構わない…元々あなたも私も兵器…感情など持たぬ使い捨ての武器同然…これが唯一の…」

「嘘だ、ならなんで泣いてるの!」「知らないっ!」

その一撃は他の攻撃の比にならないほどの衝撃でコンクリートの屋上に穴を開けて下の階の壁一帯にヒビを入れた。

「私が知っているのは…戦い、ただそれだけ…」

「本当に戦いしか知らないなら…もっと好戦的に、遊ぶ様にその力を振るってるはずだ、君は戦い以外の事を知ってるからこそ、戦う事に違和感を持ってる…ホントは戦いたくなんか無いんだよね?…」

少し間があってから彼女は答えた。

「…戦いたく…ッ…」

「今ならまだやり直せるよ、10何年もかかるだろうけど。」

私は手を差し出して近づくとその手を振り払われる。

「…その手を取りたくとも、私は…まだやる事が残っている。」

「使命感に囚われすぎ、素直に頼れば早いのに。」

「…それは我々の主に言ってください。」

この会話の間、また何度も手を振り払われる、でも私はまだ手を差し出し続けた。

「…もっと楽に考えなよ、命令よりも大事なこと、忘れてるんじゃない?」

「…そんなものありません。」「あるよ、君の意思って言う大事なものが。」

「意思…」「うん、誰かが言ってたけど、自由とは全地的生命の権利であると、命令とは別の君の意思…君はどうしたい?その事をする為に今していることは必要なの?」

驚いた顔でこちらの目を見つめて…とそこにソウシくんともう一人が突っ込んできて、壁にソウシくんが押しつけられている。

「…まだ…だ…」

「ソウシくん!」

「…私のしたい事…そんなもの考えた事もなかった、ですが…考える前ににこの事態を終わらせねばならない。

だから”daughter“…あなたをここで討つ!」

「…そんな…」

もう一人が近づき、手を繋いで…

「「ウィングクロスユニゾン」テイク」「オフ」

二人が重なり、例の紅の稲妻が姿を表した。

「…あなたは本当に人間に被れている…その綺麗事こそがあなたの足枷であると教えてあげましょう…」

「…綺麗事なんかじゃない…足枷でなんか、もっとない!」

「…こっちも、いくよ。」

「OK、「ウィングクロスユニゾン…「テイク!」「オフ!」

こちらもその身を重ね、青い炎に身を包んでユニゾンすると両手に生成したフライヤーフィンで飛び上がり…「この、わからず屋ぁぁぁぁぁぁぁ!」と叫びながら蹴りを入れるけど剣の原で押さえられてしまう。

「…私は兵器…私は…」

その剣は荒ぶりこちらへ向かってくる、それを拳法で払いながらも呼びかけ続けた。

「やめようよ…こんなの…意味ないから!」「命令は…命令は…」

「(ソウシくん、エクリプスウィンガー、…一気にケリをつけよう。)」「(一か八かだけど…やろう。)」「There is also a fear of self-destruction. Please take care a little …Bat I'm going out with you(自壊の恐れだってあるんです、少しはいたわってください…まあお付き合いしますが)」

あっちも刃を納めた、考えは同じみたいだ。

「「「………カードリッジダブルロード、ブラストシステム……スタートアップ!!!!!」」」

紅の稲妻と青い火の玉が再びぶつかり離れまたぶつかり、閃光を散らしながら争い始めた…

「おかしい…なぜ降りて来ない… ッ!?こんなにも早い…何者だ?」

船の外壁に穴を開け突入し、私達の班は船の舵を握っている操舵室へたどり着いた。

「特務6課です、無駄な抵抗はしないほうが身のためですよ。」

扉を撃ち抜き、そのまま銃口を向けたままなのはさんが脅迫する、あちらからは余裕が伺えない。

この状態でなら…。「流石エース•オブ•エース…想定より早かったか。」

なのはさん以外にも私、キャロ・ル・ルシエとエリオくん…それからギンガさんにヴィータ副隊長だっている、仮に抵抗されてもどうにかなるメンバーだ。

だけどあちらはもう抵抗はしないと両手を上げて降参している。

「ユージ•フカミ、指定管理異質部の盗難と無許可な収拾、使用により新暦0082年10月16日、現行犯逮捕します。」

大人しく手錠をかけられると、悔しそうな顔で妻の名を呼びながら嘆いている。

「こちらアレグッサー1無事身柄を確保。」

『了解この後ダブルヘッダーになるけど一旦お疲れや。」

「さて、連行したら危なっかしい二人の援護に…」「オイ、なのは…あれ…。」「ふぇ?…え〜!?」「ウソ。」

そう言っているとサキちゃん達が壁をつき破りこの部屋に飛び込んできた。

「わかった?…これがあなた達が足枷と言ったものの強さだよ…」

サキちゃんはそのまま弓を構え矢をつがえる…

「…降参する?」「ここが潮時ですか…」

このまま手錠をかけようとした時、そこに小さな女の子が現れた。

「やっぱり…なんかつまんないなぁ…」

「イヴァ?…なんでここにいるの?」

そう、その少女はサキちゃんが誤射して傷つけてしまった少女…

「しばらく見物してみたけど、やっぱり満たされそうな気はしないや…」

「さっきから…何を言ってるの?」

「気づいてないんだ…まあこうでもしなきゃ気がつかないよね。」

その子の目の色が変わると、サキちゃんが苦しみだした。

「ッ!?…ア“ァァ…」

「サキ!」「サキちゃん…」

「さっきまでの乱戦でいい場所ができた…刮目せい。」

「…どう言う…こ…と…ア”ァ“ァ...」

既にサキちゃんは肩で息をしている様な状態だ…でもなんで…

「ガァァ・・・ハァ・・・治っ…た?」

「少し借りたぞ、その魔力。」

『皆さん!成層圏の巨大な怪物が降りてきます!』

「今!?」「とりあえず…キャロは咲ちゃんを、後は全員で…」

そうやって、いる間にイヴァがその怪物の中に吸い込まれるように入っていく…どうやらあの怪物のコアだった様だ。

そして降りてきた怪物は悍ましい姿をしていて観るだけで正気ではいられなさそうな気さえするような気色悪さで、さながら資料で見た闇の書の防衛システムの様な外観をしていました。

「…私も行かせてください。」

「サキちゃん、そんな状態で行っても結果は目に見えてる、だから上官として許可できないよ。」

「ダメだとしてもどーせ私は!」「そうやって命の価値を自分で下げるのも良くないよ、大人しく下がって…」

「でも、出し惜しみして撤退だなんて、嫌です!」

なのはさんは少し難しい顔をした。

「分かった、今回だけサキちゃんの監督を放棄するよ…何が起きてもどんな結果でも自己責任、いいね?」

その答えは想像していた斜め上のものだった。

「分かりました。」「八神部隊長、いいですよね?」

『…なのはちゃんも残酷やなぁ、上司としてビシッと止めたらんと。』

「言ってももう決めたならサキちゃんは曲がらない子なのは知ってますし、ちゃんとやり遂げてくれるって信じてるから。」

「ありがとうございます!」

それからヘリに身柄を引き渡した後、私たちはその怪物の元へと飛び、サキちゃんは宝石を投げてエールを呼び、いつもどうり、深呼吸して…

「(ザフィーラさんと何度も練習したんだ、きっと、できるはず…)」

そして遅れてヘリから飛び降りると、身体を青い火に包みながら本来の姿である火の鳥へと変身した、でも今回はちゃんと体の火は青く、非常に安定しています。

「ディバイ〜ン、」「サンダー…」「バスター!「レイジ!」

迎撃が開始されたけれど、あちらは攻撃してくる気配がピタリと止まり大きなワームホールの様なものを作り始めました。

「なのは、あれ。」「…街を吸い込んでる?」

『いかん!このままミットを捕食する気や、そんな事はさせへん、私が出るっ!』

するとその通信を横切るようにサキちゃんが怪物に突っ込んでいき、何度か蹴りを入れるとその間だけ生成がストップした。

「サキちゃんが気を引いてくれてる…今なら拘束して運べるかもね。」

『…せやな、なるべく早くそっちにいって、リインにも手伝ってもろて準備する…ちと時間稼ぎ頼むよ?」

「それってどのくらい?」『10分程度は要るかもしれへん。』

でも、その希望は儚くサキちゃんが振り払われ海へ投げられて、海面を少し蒸発させて体の火が鎮火された。

「サキちゃん!…ヒャッ!」

フリードと海に飛んで咄嗟に人間の姿に戻ったサキちゃんを引き上げるとすごい発熱で息が荒くなっている。

「やっぱり、あっちの姿になると…どうも熱が出ちゃうみたいで…でも、まだ…」

「これ以上無理しなくて良いよ…サキちゃんは十分がんばったよ。」

「でも、事態は終わってませんし…シェルクエールだっています…」

「お前らよそ見してんじゃねぇ!」

怪物はサキちゃんへの怒りを露わにしているのかこちらへ触手を伸ばしてくる、それをヴィータ隊長とシグナムさんが斬り伏せ、エールもそれを遮る様に叩き落としているけれど、その数は果てることを知らずフリードに乗った私たちを追いかけてくる…だけどフリードはすでにかなり疲れてきている…

「もうすぐなのに…」

船まではあと数十m程まで接近したところで捌き切れなかった分が追いついた。

「あと少しなのに…」「キャロさん…私まだ…」

「だめ、これ以上は無理させたくないから。」

だけど目と鼻の先で逃げきれず、フリードの脚が掴まれた。

「フリード!…ッ…」

船から距離を離されていく中目の前で光が走り引っ張る力が消えた…

その光の正体は…あの2人だ。

「…ありがとう、二人とも…」

「あの怪物を退け封印もしくは行動不能にして散る、それが使命ですから…あっ…あぁ…」

「…大…丈夫?」

「言いましたよね…私は遅かれ早かれ…うっ…」

フリードの足を掴んでいた触手を落とす際にどうやら別の腕で攻撃を喰らったみたいで、さっきのサキちゃんとの一戦で負った傷と合わせて、もう飛んでいるので精一杯の様でした。

「…あなたの言う、やりなおしをしてみたかったと…今すごく思っています…ですが…」

「バカ…するのはこれからでしょ…」

「いえ、我々にはもうその余力はもう無い…だからせめてお詫びとして。」

そう言って咲ちゃんに鞘ごと剣を持たせると魔力を咲ちゃんに供給した…

「…なんで…こんなこと…」

「私に穏やかな生活をいつか教えて欲しかったですが、その前にこの世界を守り抜いてください…」

剣から手を離すと微かな魔力で出来た羽を羽ばたかせて…怪物に二人が突っ込んでいく…

「…待って2人とも!」

「サキちゃん…大丈夫なの?…あっ」

その言葉に聞く耳も持たずに怪物の中へただその身一つで飛び込んでいく…

「さよなら…サキ。」

そうとだけ言い残して光を放ちながら散り…引力が止まり怪物の動きがパタリと止まりました…

そしてサキちゃんは…悔しそうに拳を握って唇を噛み締める。

「…バカ…」

To be continue

 




次回予告
救えなかった…救いたかったあの二人と、崩壊寸前の市街地
噛み締めた悔しさは、二つの身と4つの武具を重ね合わせて…不死鳥の少女と2騎の龍に力を与えて。
次回、龍騎神弓クラシカルサキ
diary 26「戦乙女」
ありがとう…そしてさよなら…キャロさん、ソウシくん…みんな…


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

diary 26 戦乙女

吸われゆく大地、散りゆく二人、
その真意に気付く時、彼女はまた一回り大きく成長する…のかもしれない

龍騎神弓クラシカルサキ、はじまります


9月某日 ナカジマジム

「…法律のお勉強ですか?」

この日はたまたま休日がズレて一人だったのでナカジマジムに訪れヴィヴィちゃんたちの様子を見がてら調べ物をしてたんだけれど、その様子を見たヴィヴィちゃんは少し心配そうな顔で私を見ていた。

「…あっこれ?、前もちょっと電話で話してたあの2人なんだけど。」

「今回の事件の首謀者の手先になってるあの2人組ですか?」

ヴィヴィちゃんは私の隣に座って本を覗き込んだ。

「うん、あの二人はさ…嫌々戦ってるんじゃないかって気がして、どうにか平穏な生活を知ってもらって、のびのびと生きて欲しいんだ。だけど、もしもう一度確保して説得できても…裁判上では…どう裁かれるのかなって。」

私はため息を吐いてこの話を終わらせようとすると、ヴィヴィちゃんがボソッとこんな事を言った。

「…フェイトママの事例なんですけどね、この例と同じ判決に持っていけるなら…」

「PT事件…だっけ?」

「はい、あの時のフェイトママはただプレシアママに喜んで欲しくてやった事で、それが次元犯罪の手助けだったなんて知らなかったんです。

だけど、フェイトママたちはユーノ司書長やクロノ提督たちの協力も得ながら半年かけて無実を勝ち取りました…まあこの後も色々あったんですが…あとノーヴェ達も似たような例の一例ですし、今回の2人組もきっと…咲さん?」

その話を聞いてる間に完全にフリーズしてしまっていた、だけど少しだけ決意が固まった。

「…ありがとヴィヴィちゃん。」

「はい?」

「気休め程度だけど、心配事が一個消えた。あの二人を説得して、名前もあげて…人間としての暮らしを知ってもらって…あっごめん、ヴィヴィちゃん。」

ポカーンとした顔でこっちを見てる…

「とりあえず咲さんが笑ってくれたので何よりです。

あっ、そう言えば咲さんっ、今日はお休みなんですし…」

新暦0082年10月16日 ミットチルダ臨海区

…説得できたのに…分かってくれたと思ったのに…なんで…二人がいなきゃ大団円じゃないよ…

心の中で呟き、黙って手を握りしめ、唇を軽く噛み、漏れ出そうになった声を抑えた。

「…バカ…」

ふと声が漏れ出した、もう堪えるのも…

奥底に押し込んで隠していた悔しさが漏れ出した時、砂埃の晴れた先に、装甲が剥がれ落ち、コアであるイヴァが剥き出しになっているのを見つけた。恐らく、今のところ私以外誰も気がついていない。

「…アイツら…ッ?キャロさん!八神部隊長!」

「なんや?」「どうしたの?」

「あれ、見てください。」

「…遠すぎてよー見えへん…!?…そーゆうカラクリかぁ!」

私は見えた物がなんなのかを全員に共有して…

「でもどーするん?、いくら撃っても吸われてくだけやよ。」

言われてみれば引力が弱まっていても、装甲そのものは魔力攻撃が通用し辛い、勝算は薄い。

だけど、私はこの怪物のモチーフが登場する神話のある一文を思い出した。

「きっとあの2人が作ってくれたチャンスなんです。」

「よー分かった、やけど、もし…」

「大丈夫です!…あの神話にはこうありました。

“神封せしは戦乙女の剣と弓、矢を射りし弓壁を崩し、託されせし剣音を超え、吸い込む渦の先捕食者の核を壊さん”」

つまり…あの引力に勝つには光超えるような速さで攻撃するしかない、だから2人はこの文における矢を体現して、そして二人の剣が託されし剣、…結論、私はあの中に光を超える速度で突っ込むしか無い。

この文に書かれた戦乙女として。

だけどその障害物となるあの腕の数は削らないと恐らく軌道が逸れて世界の何処かへ行ってしまう。

「…と言う事だと思います…だから…ッ!?」

「サキちゃん…ホントにやるの?」

キャロさんに悲しい目で心配されて、そのまま両肩に手を置いてこっち目を合わせてくる。ごめんなさいキャロさん…みなさん…でも…

「キャロさん…ありがとうございました、あの時助けてくれて、名前をくれて、妹みたいに大事にしてもらっちゃって…また…ッ!」

キャロさんは私の顔を打った。

「お別れお別れでも、この後ずっと会えないなんて嫌だよ…っちゃんと…帰って来て…くれるよね?」

キャロさんは抱きつきながら私に呼びかけて泣いている、でも…

「ちゃんと帰ってこれる保証は無いですけど、なるべく…帰って来れるようにしますから…事が終わったら…またキャロさんのシチュー食べたいです。」

「…いくらでも作ってあげるから、だけどサキちゃん…私のわがままを聞いて。」

「ワガママ…ですか?」

「私は小さな頃は見はなされて…恐れられて、いろいろが怖くて、でも今は…私を受け入れてくれる人を失うのが怖いんだ。

…だからサキちゃんもソウシくんもエリオくんもフェイトさんやなのはさんだってみんな…だからこそ、元気な顔でちゃんと帰って来るって…約束して。」

アルザスの地から追放されて、局内でもいろんな舞台を転々とさせられてきたキャロさんの口から出たこの言葉は、私の胸を強く締め付ける…私だって…2人揃って帰って来たいけど…大好きなキャロさんとお別れしたくない、ずっとこのまま同じ部隊で一緒に過ごしたい…だけど…だけど…

「なんとか帰って来れるように全力を尽くします…居なくなったりなんか…しませんから…キャロさん…大好きです。」

このワガママを聞く事は無理かもしれないけど、口ではこう約束するしかなかった、だから…最後の会話になるかもしれないここで…全部、全部伝えて…それから…それからっ…

『キャロ!、八神部隊長!』

そうやっている間に怪物が再び動き始めた、二人が装甲に開けた穴は再生されずにさっき切り落とした無数の腕が再生され、穴を覆っている。

「…わかった、作戦変更、前線メンバー…全員出撃や!」

『『『『『了解!』』』』』

「お願い、します!」

再び動き出し、引力が強くなっていく…

「… 天地貫く轟火な咆哮、歩けき大地の永遠(とわ)の守り手、我が元に来よ黒き炎の大地の守護者。竜騎召来、ヴォルテール!」

「ソウシくん!シェルクエール!こっち!」

ヴォルテールが現れると共に疲れているフリードからヴォルテールとシェルクエールにそれぞれ飛び移る。

「「ウィングロード!」」

スバルさんとギンガさんが妨害されて歪になりつつも道を作り、それを伝って…

「はぁぁぁ…はっ!」「「リボルバー…ブロウ!」」

そのままリボルバーナックルで一本ずつ、更にエリオさんが一本切り落として…

「黒の香No.3!ハミングバード!」

無数の黒い鳥が周りを取り囲む、そしてその鳥に気を取られてる間に…

「今です!」

「ゆくぞ、咲。」「はい!シグナムさん!…「駆けよ、隼!」

シグナムさんと私のシュツルムファルケンで一気に起爆させて…

「火の鳥のように舞えっ!ストライクフェネクス!」

反撃の為に飛ばされたもう一本をギリギリの距離一直線に貫いく、シェルクエールのおかげで回避もバッチリ…そこを更に空を横切って…

「疾風迅雷!」「轟天爆砕!ギガントぉぉ…シュラーク!」

ヴィータ副隊長とフェイトさんが一気に切り落としていき…

「パフィ、もういっちょお願い!」「いきます、…盾龍・飛翔脚!」

ソウシくんが脳天をかち割る勢いで一蹴し追加の爆薬に火を付けて爆砕したところで隊長たちが合図を送る。

「「なのは!、「ティアナ!」

「ごめんね怪物さん…でも、これでゲームセットだよ…「全力全開!」」

流れ星のように魔力が一箇所に集まり最早数の暴力だけどキャロさんと八神部隊長も…

「私たちも加勢するよ…鳴り響け、終焉の笛!」「お願いっ…ヴォルテール!」

「ラグナロク!」「スターライト…「ブレイカー!」」

4本の集束砲の柱が次々にその腕を奪い、あれだけ落とされれば再生にはかなりの時間がいるだろう。

「ソウシくん!」「サキ!」

シェルクエールの上に戻ってきたソウシくんと手を繋いで…とここまでは完璧だった。

「「ウィングクロスユニゾン…テイクオフ!」」

再び一つになって剣を構えた時…その怪物からイヴァの部分が分離し、さっきまでの巨大な身体を乗り捨てた。

「逃げる気か!?」

八神部隊長の声も届かず、この引力の発生源となっている魔法陣が閉じ始めた。

『…このままでは、また15年逃げられてしまう…』

その声は今回の…いや私の父ユージのものだった。

『人生を捧げたと言うのに、また仇が取れないと言うのか…』

彼の妻、そう私とソウシくんの身体であるフィリスの母の仇であるあれを逃すのは逮捕されてもなお避けたいようだ、…いけるかな、間に合うかな?

「肩を落とさないでください…私が討ち取って来ますから。

代わりにちゃんとこの仇を撃つために犯した罪を償い刑期を果たした後で…きっちり15年分、たーっぷり私を甘やかしてもらうから。」

グッと右手に力を込めて、剣を抜こうとした時、ついポロッと漏らしてしまった言葉に恥ずかしくなってしまった。

「…なんやエリキャロじゃふまんかぁ〜?」「酷いなぁ…サキちゃん。」

私の顔がだんだんと赤く…いや真っ赤に染まった。

「もうっ!いじらないでくださいよこんな時に!」

そう言うとなのはさんやフェイトさん達まで乗ってきて…

「にゃはは〜♪サキちゃんもまだまだ甘えたいお年頃なんだね〜」

「エリオやキャロじゃダメなら私の方がいい?」

「フェイトさんにはもう僕とキャロが居るじゃないですか!」

「なら咲もソウシも私たちの子になってみるのはどうだ?」

「オイ!シグナム、ウチはもうアギトが居るから店員オーバーだ!」

「なんか癪だなぁ…」「お?やるか?アギト。」

「ケンカはやめるです!」

「じゃあティアはいかが?」「いかが?じゃないわよ!」

「(トーマ、賑やかだね。)」「うん…。」

「ちょっと!なんで私が甘えたがりみたいな…」

「違うの?」「もう!ソウシくんまで!」

ヴォルブラムの艦版の上で散々いじられた後で…

「そろそろ逃げられてまう…張り切って行ってき。」

「はい、みなさん…ッ」

グッと涙を堪えて、息を吸って…

「「いってきます!」」

剣を引き抜き、体に風を受けながら体に青い炎を纏わせて、曇り空を突き抜ける手前でイヴァが手招きするように高みの見物をしている。でも徐々に速度を上げていき、音速…マッハの領域に入った状態で閉じかかった魔法陣の中へイヴァ諸共突っ込んだ。

「…正気か?不死鳥よ。」

「あなたも私のこと名前で呼んでくれないんだ…」

その魔法陣の中は吸われていった物が漂う4次元空間が広がっているが、いくつかは徐々に溶けるように消えている。

つまりあの怪物の…クトゥルシアの胃のような役割の空間だと悟った。

「自らその命…経つ気か?」

「…あなたを野放しにしたら、他の世界が!…だから幅からそのつもりだぁぁぁぁ!」

そんな空間の中ではブラストシステムを使わずに行動するのは不可能なほどに強い引力…いや重力?が働きプカプカと浮かびながら無重力の世界にいる感覚だ。

そんな中でイヴァは周りに漂っていた物の中にあった鋭い刃物で反撃してくる。

「どうせこの空間以外で我以外が吸収されるのは時間の問題…無駄な抵抗をよして養分となるがいい。」

「断るっ!…ッ? そんなぁ!?」

その刃物と刃を交えた末に剣にヒビが入った。

「分解が始まったようだ…」

タイムリミットがこんなに早いなんて…

魔法陣が縮まってどんどん穴が狭まっていく…でもサキちゃんはまだ、出てこない。

『タイムリミットまであと…』

「…こっちから穴を広げる事は出来ませんか?!」

『残念だけど…それは…』

私は肩を落とした、こっちからはもう見守るしかないのだから。

「サキ…っちゃん…」

「大丈夫やキャロ、親鳥は巣立った雛を送り出した後は、信じて待つしかないんや、やからその愛情は、帰ってきたら注げばええ。

やから帰ってくると信じるのが大事やで…」

はやてさんはそう言って私の方を抱いて語りかけた。

ついに剣も鞘も私の手から抜けてビルの破片に刺さった…なす術なし…なの?

「(どうしよう…サキ)」

「…って言われても…」「master、please My use」

「ダメだよアークウィンガー、そのカードリッジを温存しないと…」

「master… Who said he didn't want to spare?(出し惜しみしたくないと言ったのは誰でしたっけ?)」

そうだ…脱出用のカードリッジを残して負けても…

「…ユニゾン、解除」

私はソウシくんとのユニゾンを解除して…あの呪文を唱えた。

「我乞うは天翔る翼・・・この手繋ぎし者よ、この銘の元にその姿解き放て・・・」「サキ…わかった、やろう!」

お互いに悪戯に成功した子供のように笑い合って、私の身を大好きな弟に預ける。

「来よ、飛竜ガーディアレウス、盾竜転生!」

竜の姿を解き放ち、私は狙撃に集中し、ソウシくんは回避と追尾に専念してもらう。

「まだ足掻くか…」

「まだ足掻くよ…約束が…」

目の前が滲んで前が見えなくなってきた…

「…約束があるから!」

最後のカードリッジから作られた矢を射る、少し外れたが、刺さりはした…

「ふん…約束がなんだ。」

「勝った気になるのは早いよ!」

私は突き刺さった鞘と剣を引き抜き、矢のようにつがえた。

「ゲームセットだよイヴァ…大人しく封印されてなさい!…」

カードリッジはもうない、だから呪文が必要だ。

私は胸の奥から聞こえる呪文を唱えてその矢を向けた。

「ファントム、ブレイズ、フリューゲル…悲しき怪物をあるべき姿へ

コール、クルリア、クラシカル!戻す力をこの手の矢に!」

二人から託された剣に光が灯る…

「マギアクリスタル、カインドクトゥルシア…封印!」

しなる弦に押し戻された剣がイヴァの体を貫いて、その体を宝石に戻し、剣と鞘もまた勾玉に戻った。

そしてそれらを拾い上げたあと私たちはここに浮かんでいる瓦礫の上に腰掛けた。

もう帰ろうにも閉じる前にあの穴には辿り着けそうにない。

ごめんなさいみなさん…私たち帰れそうにないです。

「サキ…これで全部終わったのかな?」

「きっとね…」

身を包んでいるバリアジャケットも溶け始めてきた、この空間に吸収されるしかないのかと思ってただ呆然としていると、溶けたバリアジャケットの中からピンク色のカードリッジが出てきた。

「これって…私、バカだ。」

そのカードリッジには[長距離転送 転送先座標キャロ・ル・ルシエ]と書かれた特殊カードリッジだ。

ユニゾンを解いて無かったら二人とも助かったってこと?

「…これはね、もしもの時があったらって思ってキャロさんに作ってもらって、隠しておいたんだ。」

ソウシくんが私の方を見ずに説明した。

あの作戦に乗ってくれたのもアークウィンガーが出し惜しみするなと言ったのもこれがあるからだったんだ…だけど…使えないや。

「でも…ソウシくんが使って、私はいいから。」

「だめ、サキが使ってよ。」

「なんで?」

「片方しか助からないなら僕はサキがいい。」

「私だってソウシくんが助かるならどうなったって…それにここで消えれないならきっと、ずっと…」

私の体の…擬似的に再現された不死鳥であると言う悲しい宿命がある。

だからここで消えた方がきっと…

「それだけじゃないよ、僕は十分に大事にしてもらった。

たくさん幸せにしてもらった。

だけどね、サキはその24倍も大事にして貰ってるんだよ。

その人たちのところへ帰るべきだし…約束もあるんだよね?」

ソウシくんはアークウィンガーにカードリッジを籠めて、私を抱きしめて、耳元で囁いた。

「大事にしてくれて、弟としてお世話までしてくれて、名前もくれてありがとう…短い間だったけど幸せだったよ。

だから最後くらい自分勝手にさせてもらうね…」

カードリッジが放たれ、ピンク色の魔方陣が展開された。

「ソウシくん!…嫌だ…嫌だよ!」

「さよなら…大好きだよ、お姉ちゃん。」

私の意識はここで途切れた。

あの怪物が作り出した穴から眩い光が走ったあと、その口は一気に閉じた。

サキちゃんもソウシくんも、あの子も出てこない。

『サキちゃんたちの反応ロスト…通信も繋がりません…?これは?』

「どないしたん?」

『…空から何かが降ってきます!』

そう言われて空を見上げると、小柄で髪が長くて、すぐにぽきっと折れてしまいそうなほど手足の細い少女が私の手の中に降ってきて、そのまま倒れてしまったところをエリオくんが二人一緒に受け止めて、自分の膝の上に寝かせた。

「キャロ…大丈夫?」

「うん、大丈夫…」

私の手の中に降ってきた少女をよく見ると、その子は生まれたままの姿で水晶の卵を抱いたサキちゃんだった。

あのカードリッジに気が付いてくれたみたいで安心した。

「…おかえり、サキちゃん。」

 

To be continue




次回予告
怪物を退けて、この事件は収束しました。
だけど私の心にはぽっかりと穴が空いたまま…次の進路を選ばなきゃいけない。
次回、龍騎神弓クラシカルサキ
「未来のたまご」
何十年だって何百年だって…忘れないよ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

diary 27 未来のたまご

戦いは終わり、平穏な日々が訪れ。
迫ってくるのは別れの日。
ワガママは何度も通らない、それでも変わっていくものを受け入れなきゃ…
龍騎神弓クラシカルサキ第二部、フィナーレです。


ただひたすらに真っ白で何もない世界…そこにはまた私にそっくりな顔に青い髪と橙色の瞳をした少女…と言うより私とソウシくんがユニゾンした時のような外観の少女が黄昏れるように座っている。

そしてまた、私は青い鳥の姿…

あぁ、なるほど…私はまた生死を彷徨って精神世界でフィリスと、つまり私の脳に微かに存在する、私の身体になっている彼女の人格とまたコンタクトしてしまったみたいだ。

「お疲れ様、サキちゃん。」

「フィリスがいるって事はまた私瀕死なの?」

そう言うとフィリスは苦笑いをしながら答えた。

「…まあね…でもありがとう、仇打ちしてパパがもう悪さする必要をなくしてくれて。」

「…そこはいいよ、私がただ勝手にやった事だし。」

「でもこれでサキはもう自由の身♪兵器としてでも道具として使われることももうないんだよ♪」

「私は初めから自由だった気がするけど。」

「だから、私ともう会わないよう幸せに生きて…この身体ももうサキのものだから…」

「…このまま私生きてて大丈夫かな?」

その質問を投げかけるとフィリスは少し悩んだ。

「なんでそう思うの?」

「だって…何度も甦れてしまう、その何度が何度か分からないんじゃ…あのまま溶かされて消えちゃった方が…イタッ」

フィリスが私の頬を叩きそれから目を合わせて語ってくる。

「逆に考えて、確かに別れは人より沢山経験するし、大好きな人を全員看取ることになるのも仕方ないけど…それ以上に沢山…世界中の誰よりもたっ...くさんっ!思い出を作れるんだよ!

いい思い出も、悪い…思い出も。」

「思い出を…たくさん?」

「そう、だからこの身体もなにもかもサキちゃんの好きなように使って幸せに生きてよ、君は青い鳥なんだから…」

ここで意識がハッキリして来てフィリスの姿は見えなくなっていった。

次に目を開けたら見えたのは真っ白な天井と点滴台、どうやらちゃんと帰って来れたみたいだ。

「おはよう、サキちゃん。」

すぐ横から聞き慣れた声が聞こえる。シャマル先生だった。

「おはようございます、シャマル先生…あの…今日何日ですか?」

「10月17日、10時間くらい気を失ってたわ。」

シャマル先生は変にご機嫌なご様子だ。私の寝顔でも堪能してたんだろうか?

「とりあえず点滴がなくなるまでは絶対安静でお願い、あとみんなにも目が覚めたって伝えて来るから。」

「あの…待ってください!」

「どうしたの?」

「ソウシくんは…」

少し苦い顔で私を見ている…って事はやっぱり。

「ソウシくんはね…」「そこにいるよ。」「クルル♪」

キャロさんが部屋に入って来て、さっきまでシャマル先生が腰かけていた椅子に座って私の手を握った。

「…ごめんね、話全部盗み聞きしちゃった。…って聞いてる?」

「ごめんなさい…キャロさん…」

「そうなっちゃうのも無理ないよね。」

机の上には卵が置かれている‥厳密には卵形の水晶が。

「サキちゃんが大事に抱えて振ってきたのに、覚えてないの?」

「…私が?…」

全く身に覚えがなかった。

「きっとソウシくんが残してくれたんだよ、サキちゃんが寂しくないように。」

 

後に詳しく調べた結果あの卵はソウシくんの半分であるガーディアレウスのマギアクリスタルである事がわかった。

そして、その数週間後には天馬とグリフォンの物も発見され、渦に呑まれた街の一部も半分ほど全く別の遠い場所で発見された。

恐らくイヴァが堕ちる前に吸収されなかった分がランダムに転送されたようです。

それからマギアクリスタルのうち、海竜、盾竜、天馬グリフォンの4つは私が所有する事を認められ、新たに水晶召喚士と言う新たなレアスキルが確立された後、クトゥルシアのものは永久凍結が決まり、あの二人が使っていたデバイスとアークウィンガーもまた、私が所有する事が認められた。

また今回の事件の首謀者であるユージ•フカミは罪を認め裁判は起こらず、また更生の余地ありとして終身刑が決まった。

こうしてマギアクリスタル事件改め、YF事件は終結した。

このあともこのロストロギアを盗難、悪用した事件は起こったけれども。

 

 

 

 

さて、この事件が終結したと言う事は同時に私、深海咲は臨時戦力として6課にいる事が出来なくなる。

とりあえず4月までは置いといてもらえることになったから期間はかなり長くもらえたけれど、進路はそれなりに豊富だった。

古巣に戻り無限書庫で働くもよし、ヴィヴィちゃんたちと学校に通うもよし、お誘いに応じて別の舞台に行って前線で活躍するのもよしと‥だけど、キャロさんや皆さんと離れたくないなんてワガママな思いが、決断を鈍らせている。

ただ、その様子が表に出過ぎたのか、ある日突然なのはさんから呼び出された。

「サキちゃんはやりたいこと探しの旅をしてたんだったよね?」

「はい、景色のいい場所を巡りながら…それがいつのまにか臨時戦力として部隊配属されちゃいましたけど。」

海に浮かぶ訓練設備が見える防波堤に腰かけて、潮風を受けながらなのはさんと二人きり、昼下がりの陽射しはすでに肌寒かった。

「なんでそんなこともう一回聞いたんですか?」

「次の場所が決まったら6課から巣立っちゃうんだよね、だけど次の場所が決めれないんでしょ?」

「…」「ごめんね、図星だったかな?」

なのはさんはずっと私と目を合わせたままだったけど、私が黙ると視線を離した。

「私のひとりごとだからちゃんと聞かなくてもいいけど…サキちゃんはやりたいことをもう見つけてると思合宿の時には既にね…だけど私の思い違いだったのかな。」

あの時にはもう…?

「にゃはは♪時間取らせちゃってごめんね。」

「いや、ありがとうございます、なのはさん。

あの…私、やっぱり自分の力を誰かのために使いたいです・・・でも、やっぱりいろんな景色も見に行きたいです。」

なのはさんはニッと笑うと紙を一枚私に差し出した。

「そう言うと思ってこんなの用意してみました。」

「合同新人陸士講習?」

「今度私が出張で教導に行くんだけど、サキちゃんも来る?」

「お誘いは嬉しいんですが・・・」

「でも、この講習はね、サキちゃんのやりたいこと探しにピッタリだと思うんだけど。」

その紙の裏面には様々な部隊の訓練を色々ごちゃ混ぜにした内容の日程が載っている。

「いろんな部隊の活動を体験できるって状態に近いからね。」

「行きます・・・行かせてください。」

「じゃあ、決まりだね。」

 

 

 

 

そして4月を迎えて・・・

「色々とお世話になりました。」

深々と見送りに来たみなさんに頭を下げる。

「あっちに行ってもがんばってね咲ちゃん・・制服、似合ってるよ。」

キャロさんに言われて少し照れてしまった。

今更説明すると、あの後結局合同訓練に参加したのち、私は辺境自然保護隊へ行くことに決めました。

あの場所ならキャロさんと一緒にお仕事も出来るかもしれないし、何より色々なところに行けるのが大きかった、まあお仕事で観察やバイヤー退治で行くキャンプだけど。

「じゃあ、そろそろ行こうか。」

「はい。」

この日はユーノ司書長が時元港まで送ってくれることになっているから、かなり久々な再会でもありました。

「じゃあ、いってらっしゃい。」

”いってらっしゃい“というキャロさんの声が頭の中でリフレインする・・・だけど私はもうクヨクヨしないって決めたんだ。

「キャロさん・・・さびしくなったら、会いにきてもいいですか?」

「もちろんだよ、ここはサキちゃんの帰ってくる場所、だった場所だもん。」

泣そうになっている私の頭をキャロさんが優しく撫でる、やっぱり私はこれに弱いっぽい。

「じゃあ・・・いって・・・きます。」

 

助手席に乗ってドアを閉めると、ユーノ司書長がこんな事を言った。

「サキ、いい顔になったね。」

「どう言う事ですか?」

「もうキャロから聞いてたなら2度目になるかもだけど、君の名前にはね、もう一つ意味があるんだ。」

「可能性の花を咲かせてっていう・・・だけじゃないんですか?」

「その名前はね、ずっと笑顔でいて欲しいって言う願いが籠ってるんだよ。」

「笑顔・・・か、フフッ」

きっとキャロさんもなのはさんも、ユーノ司書長も・・・ソウシくんだってきっと、私が笑顔で笑っていることを願ってたのかな?

「だから、ボクの知らないところでちゃんと笑えるようになってて安心したよ。」

「司書長・・・」

失ったものは沢山あったけれど、寂しさもずっと感じてたけれど・・・無限書庫にいた頃からもう私は要らない子じゃなかった、必要とされてはなかったけど、一人じゃなかった、気にかけてくれる人はずっといたんだ・・・私なんてバカなんだろ。

でもこれはきっとこれからも同じなんだよね・・・

私はまた会う日までなるべく笑顔で居ようとこの日、桜吹雪に吹かれながら心に決めた。

 

 

Dragon knight‘s bow Classical Saki

Is the end

But this story doesn't end

As long as she lives tomorrow and Write a diary




ここまで読んでくださった方々ありがとうございました。
と言う訳で龍騎神弓クラシカルサキ、色々結末を変えてしまいましたが、一応完結?でございます。
でも、一番最初の予定に近い終わりに仕上がりました。
本当は最終決戦の地は海鳴市にしたかったのですが、流石にくどい長さになるかなと思い、やめにしました。

余談なのですが、この作品を書いてて何度か痴がましい事をしてしまったなぁと思うことが度々あり、2次創作はあんまりやりたくないなぁと改めて思った時が数回ありましたがとりあえずここまで書けたのには満足してますが、実は語り手が二人いたのはキャロと咲がお互いの日記を読みあっていて、故に話数の数え方が「diary」だったとカミングアウトするのが出来なかったのと、オリジナルから存在している6課メンバー達を上手に描けなかったのが心残りです。
ではまた次の作品で…お会いできたらいいですね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

オマケ
新規用語辞典


こちらは本編では無く新たに僕が追加した用語と設定、それから非公式キャラクターについての解説をネタバレ込みでしています。
なるべく本編と並行して辞書的な形でお使いください。
また公式から出ている既存のキャラクターと用語に関しては「魔法戦記リリカルなのはForce」の「魔導辞典」をご参照下さい。


登場人物(新たに追加したオリキャラのみ)

 

サキ

15才(細胞年齢換算) A型、術式はミットチルダ式で魔力光は赤、火の変換資質を保持している。

マリアージュ事件時にキャロ・ル・ルシエによって救助され、その後身元不明であったり、心臓の付近に謎の魔力器官があることから検査と研究のため6年の間時空管理局本局に送られ、里親も募集がかかったが誰も名乗り出ず、その間は無限書庫に預けられ司書たちが面倒を見ており、そのせいか年の近い友達はヴィヴィオのみ、趣味は読書と料理。

性格は決めた事は絶対曲げないタイプで更に世話焼きだけどちょっぴりドジな少女に育った。

因みに名前は漢字で「咲」と命名されていて、

由来は「いろんな可能性の花を咲かせて、みんなを笑顔にして欲しい」と言う願いから命名された。

 

ソウシ

サキが発見した少年、召喚魔法で黒龍と人間の二つの姿に変わり、また人間時は異常跳躍力をもつ、しかし記憶喪失で会話と読み書きは可能だが、社会的マナーや箸の扱いから教える必要があるレベルで中身は子供そのもので、おまけに甘えん坊なためサキにはスキンシップ多め。

そして、diary10にて触れた通り「サキから分裂したもう一つの個体」であり、戸籍上は「双子の弟」として登録された

 

ユージ・フカミ

今回の事件で扱われるロストロギア、遺伝子結晶《マギアクリスタル》を悪用した次元犯罪者であり、二人を産み出した張本人

元々は時空管理局研究室職員だったが、ある事故により解任された後…

 

開発コード「wind」

8月2日、浜辺にてサキと交戦した友次の培養生命のうち1人、使用デバイスはブラッドウィンガー。

尚、彼女らは咲と同じように生み出されているが「必要最低以上の言語知識と戦闘技能以外は学習させられていない」為話し方は機械的で視線も冷たい。

 

開発コード「dash」

アスレチック施設内で双賜を刺した張本人、使用デバイスはシャイニーウィンガー、またもう一つの姿は天馬(ペガシス)

これ以上の情報は前項と共通のため省略

 

フィリス・フカミ

ユージ・フカミの亡き娘、妻を亡くした事故と同様の事故で誕生前に死亡しているが、その後実験体として使われてサキとソウシの身体となっている。

 

登場デバイス

アークウィンガー

由来はノアが構水を避けた事から「危険を逃れる」と言う意味合いで使われる「Ark(方舟)」から。

待機時は紫の勾玉型をしており、元々はソウシが首から下げていた物

通常時は弓形で、サキの異常視力にあった武装となっており、後衛型。

尚近接戦闘には向かず、一応双剣として扱うことも出きるが、サキの運動能力では到底扱えない、また特殊なカードリッジシステムを搭載しており、魔力で矢を生成する「アローレイシステム」を搭載、しかし、そのせいで燃費はすこぶる悪い(アローレイシステムの項を参照)

尚バリアジャケットはその見た目に反して、スポーティーなアンダーウェアの上から白いロングコートとミニスカートと言う構成になっている。

開発コードは「陰極の翼」

 

シャイニーウィンガー

ウィンガーシリーズの一種、剣型をしており近接戦闘特化型デバイス、また「ブラストシステム」搭載によりカードリッジを消費して使用者の速度を高める、尚バリアジャケットは無駄な装具等は少なく、全身タイツのようなアンダーウェアと、ちょっとした上着に番号が降られている。

開発コードは「陽射しの翼」

 

ブラッドウィンガー

シャイニーウィンガー同様、「ブラストシステム」を搭載したこちらは杖型デバイス、バリアジャケットもシャイニーウィンガーの色違いといったところ(ブラッドウィンガーは黒と紫、シャイニーウィンガーは黒と黄)

開発コードは「月明かりの翼」

 

クラッシュウィンガー

待機状態は白い勾玉のブーツ上の装具、また、もうひとつの姿が、翼竜のため姿勢制御のしやすいようにフライヤーフィンは腕に展開されるようになっている。

バリアジャケットも格闘戦を前提としているので、ナカジマ姉妹の物を参考にして作られ、更にサキの意見でキャップのような装具がある。

更に蹴り技を多く多用するのでグローブには側転や逆立ちを補助するために通常以上に摩擦のある素材になっており、ガントレットも運動性を損なわないよう小さめになっている。

 

 

エクリプスウィンガーアナーキー

シャイニーウィンガーとブラッドウィンガーの合体デバイス、名の通り「無秩序」な速度と近接攻撃による攻撃をさながら「紅い稲妻」のように繰り出す鞘のついた剣。

開発コードは「日蝕の両翼」

 

アークウィンガーアルテミス

月の神アルテミスの名を関す改良修理型、アローレイシステムは健在ながら、機動力と、集束弾の最大集束可能域を拡張。

そしてファイアホイールにより滑走跳躍する、つまり「飛べないから跳ぶッ!」の執念を感じさせる装備が加わっている。

 

クラッシュウィンガーアポロス

太陽神アポロスの名を関す改良修理型

新たに「アラウンドガードシステム」を搭載し防御魔法による壁が通常と同じ魔力量で5倍の強度でシールドを形成可能とした

「僕がみんなの盾になる」と言う意思から生まれたその名に反す防御に徹する格闘型デバイス

 

エクリプスウィンガーオーダー

アークウィンガーとクラッシュウィンガーを重ねた高出力の弓矢と、無敵の盾をあわせ持つ「秩序」を保つ為の力をもたらすデバイス、別名「防衛の両翼」

更に2機を重ねることによりブラストシステムによる人体と不可と自壊の危険性を軽減している。

 

オリジナル魔法

 

ストライクフェネクス

diary2で使用したサキの即興魔法、鳥を象った炎を纏った矢を飛ばす

なおdiary2では威嚇弾として使用しdiary22では見事命中させた。

 

メイクビット

diary1で使用、無数の光の刃を作って飛ばす呪文、そのうちの一つをナイフのように手で掴んで扱うことも可能

 

フルスリカバリー

diary11にて初使用したサキの固有魔法?

生命機能を維持できないほど身体が損傷した際に爆大な魔力を用いて急速再生する呪文、しかし発動にはもう一つ条件があり、「その術者が生きていてほしいと願う誰かの思い」と「まだ終わりたくないと言う術者の執念」がなければ発動させられない奇跡の回復魔法。

 

盾竜•滅火脚/烈火脚/飛翔脚

ソウシの自己流技、足に火を纏わせて放つ蹴り

頭上から蹴り下ろす「滅火脚」片足を地面につけ、交互に入れ換えて蹴る「烈火脚」そしてフライヤーフィンと組み合わせて放つ「飛翔脚」と言うバリエーションがある

なおネーミングはアインハルトの「覇王断空拳」の響きが気に入ったらしく、彼自身が真似て命名したらしい

 

 

その他用語

 

遺伝子結晶《マギアクリスタル》

闇の欠片事件前後に発見、研究が開始されたロストロギア、性質は「魔力光が合致するリンカーコアが近くにある場合それを捕食して自立魔導生命体を生み出す」管理指定異質物、しかしその実は絶滅危惧種を保存する為に作り出された「遺伝子を記録する記憶装置」であり、その記録可能期間は推定で1万年単位だとされ、発動後の物であれば名を与える事で宝石形態で持ち運ぶ事のできる召喚獣として扱う事もできる。

しかし作られた当時の科学者は容易記録した遺伝子の掛け合わせや書き換えが出来たことから架空の生物や神に近しい物を生み出せるクリスタルを作りだし、擬似的に再現された幻獣が文明を破綻させたと考えられている。

 

ガーディアレウス

旧暦の時代の神話に登場する竜。

忠誠心が高く、体も強固であったため主人の盾となることが多く、当時竜騎士の間で広く慕われたと記されている。

尚、ソウシの誕生に関与したクリスタルはこの竜の遺伝子を記録したクリスタルである。

 

アローレイシステム

カードリッジシステムの亜種

カードリッジを矢に変換しそれを打ち出すことにより技を使う、「呪文を刻んだ矢」を生成するシステム。

だがカードリッジ一本に対し1本しか撃てないことから、燃費が悪く実用化に至らなかった。

 

ブラストシステム

これもカードリッジシステムの亜種だがこちらはカードリッジを3つずつ消費することにより術者デバイス両方の負荷を無視した上で突風を発生させ高速移動させる、尚限界点まで加速した場合理論上は音速おも超えて光速まで達することも可能とされているが、耐えられる人間はいないために実用化されなかった。

 

謎の魔力器官/フェネクスハート

サキの心臓付近にある謎の臓器、常にリンカーコアからの魔力供給がされているが、何に使うために溜め込む器官かは不明だったが、その器官の正体は「フルスリカバリー」を常に可能にする為に魔力を溜め込んで居た器官であり、サキが擬似的に再現された不死鳥であるが故に存在したいた器官。

 

クロスウィングス

遺伝子結晶2個が同時に発動した際に魔力だけでは無く肉体までを喰らい片方ずつの生物の性質を持った雄と雌の個体に分裂する事によって誕生する亜人間、言い換えるとするなら「人と獣のハイブリッドであり使い魔とはまた別のもの」であり、さらに分裂後に融合器の様にユニゾンする事ができる。

なお、通常の遺伝子結晶と異なる点は「宝石形態」が人間であるくらいで残りの性質は同じである。

なお、サキとソウシは「擬似的に再現した不死鳥とガーディアレウスのクリスタルとフィリス•フカミの身体で生み出されたクロスウィングス」

「Wind」と「dash」は「天馬と鷲の頭を持つ獅子(グリフォン)」

の掛け合わせで誕生した



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。