ガンダムビルドダイバーズ クオンタムエリート (しゅみタロス)
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EP0 ファーストダイバーの相棒

東京 秋葉原

 

気弱な少女「やめてください!!私、もうお金は‥‥‥」

不良1「いいから出せよ、また殴られてぇか!!」

3人の不良にカツアゲを受ける少女、その路地裏に目つきの悪い赤髪の男が現れる。

???「なあ、人を痛めつけて楽しいか?」

不良1「なんだ?」

不良2「ヒーロー気取りっすか?マジ受ける」

不良3「こっちただ遊んでただけだし首突っ込まないでくれる?」

???スッ「暴力振るって金をせびる事の何が遊びだよ」

胸元のボタンを一つ外し、睨みつける。

不良1「やれ」

3人の不良は赤髪の男に殴りかかる。そして‥‥‥

腹部に強烈な右ストレートと顔に飛び膝蹴りと回転蹴りをかまし、3人の不良は倒れてしまった。

少女「あ‥‥‥」

???「またそいつに関わってみろ、次は‥‥‥

 

お前を殺す」

そして立ち去ろうとしたその時

少女「あ、あの‥‥‥」

少女は声をかける。

???「どうした?」

少女「えっと、名前は‥‥‥」

赤髪の少年は振り向くこと無く名前を伝えた。

???「九音紅葉、今の内に逃げるといい。殴られなくてよかったな」

 

九音紅葉 16歳

 

天風高校2年生、不良ではあるが人が襲われてると持ち前の喧嘩スキルで殴り込む。言わば弱者を助ける側の不良。その為根は善人なのである。自らを好きと言えるものがない言い、それを気にしているがこれから始まる壮大な世界に彼は魅了される事を知らぬまま。

 

ガチャッ「ただいまー」

???「おっかえりー☆紅葉くーん♡」

突然抱き着くエプロン姿のツインテール女子。

紅葉「何で毎回抱き着くんだよ」

???「いいでしょ、一緒に暮らしてるんだから」

 

ヨリタキ・ツバキ

紅葉の幼馴染、GBNのプレイヤーでヲタク。紅葉と一緒に暮らしており、いつも家事全般を引き受けている。ピンクツインテールが持ち味だがかなりの巨乳とスタイルであり、女子としてはかなりグレードが高い可愛さとエロスの持ち主である。

 

紅葉「あのさ、ツバキ」

ツバキ「また喧嘩?」

紅葉「まあ、そうなんだけど‥‥‥」

ツバキ「ケガしてない」

紅葉「全然」

するとツバキは湯呑にお茶を注ぎながら紅葉に話を切り出す。

ツバキ「紅葉、喧嘩続けて楽しいと思ったことある?」

紅葉「楽しいとは思わないな、でも俺何やればいいのか‥‥‥」

ツバキ「本気で戦いたいなら、紅葉も始めていいと思う」

ツバキはダイバーギアを取り出すと紅葉に渡す。

紅葉「GBNか、学校で流行ってるのは知ってるけど楽しいのか?」

ツバキ「普通のゲームと違って夢中になれると思う、やってみない?教えてあげるよ」

紅葉はツバキの勧めでとりあえずGBNを始めることにした。

 

秋葉原のプラモ屋

紅葉「色々種類あるなあ、どれもカッコイイ」

店長「いらっしゃい、ガンプラは初めてかな?」

紅葉「はい、どういうのが良いですかね」

店長「君が良いと思った物を想像すると見つかると思うよ。選んだら作り方教えてあげるから声をかけてね」

紅葉「とりあえず、考えながら‥‥‥」

すると紅葉の頭上に積まれた2箱のガンプラが落下する。

紅葉「うわぁっと、アブねえ」

紅葉はガンプラを受け止めるとその2箱をよく見る。

紅葉「シャイニングガンダムとガンダムアストレイレッドフレームか」

すると紅葉はこの2体を見ると脳裏にビジョンが浮かぶ。

紅葉「これだ!!」

ツバキ「あ、決まった?」

店長「ミキシングだね、カッコいい機体じゃないか」

店長はそう言うと小さな小箱を渡す。

店長「うちのGBN初心者特典の工具だ、受け取りなさい」

紅葉「それじゃあ、お願いします」

 

紅葉はツバキと店長の指導して貰いながらガンプラを組み立てていく紅葉はさっき見たビジョン通りに組み上がっていくガンプラにワクワクが隠せなかった。そして‥‥‥

 

紅葉「出来た!!」

ツバキ「おおーーーカッコイイ―――!!」

店長「見事だ、この機体から紅葉君の魂が感じられる」

ツバキ「名前、どうしようか?」

紅葉「シャイニングガンダム・クオンタム。それがこの機体の名前だ」

ツバキ「クオンタムか~紅葉君らしいね」

そしてツバキはウェポンケースからハンドガンを取り出す。

ツバキ「これ、紅葉君に使ってほしい!!」

紅葉「これは‥‥‥」

ツバキは自分の相棒を見せて自慢げに語った。

ツバキ「私の愛機、G‐セルフ・リバイブのリバイブ・ハンド・システム・マガジン。3つあるから一つ紅葉にあげる」

紅葉「ありがとう、きっと力になると思う」

 

帰宅後

紅葉「いよいよ明日か、興奮して眠れないぜ!!」

ツバキ「それじゃあ、今からGBNの遊び方教えてあげようか?」

紅葉「じゃあ、よろしく頼む」

ツバキ「ダイバーギアを起動すれば遊び方や注意事項とアカウント設定できるから今日の内にしっかり設定しておいてね」

二人はダイバーギアを手に、身体を密着させる。

紅葉「近すぎないか?」

ツバキ「いいでしょ、紅葉君は私の大好きな人だから」

紅葉「しょうがないな」

 

紅葉(大好きか、悪くないな)

 

紅葉はツバキの誘いをきっかけに、大舞台に舞い降りる

 

 




第0話です。次回は来週投稿です。お楽しみに!!

どうもありがとうございました。


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EP1 海賊フォース ジャック・ショット

AM8:00 学校

 

紅葉「ポーズ付けるだけでも映えるよなーこれ」

ツバキ「すっかりガンプラに夢中だね」

教室でガンプラを動かして遊ぶ二人。すると風紀委員の男が紅葉に声をかける。

風紀委員「紅葉君、楽しんでるとこ悪いんだけど生徒指導室から呼び出しかかってるよ」

紅葉「ああ、先週の喧嘩か。まあ知ってたけど」

紅葉は鞄にシャイニングガンダムクオンタムをしまうと教室をでる。

紅葉「ツバキ、ちょっと行って来る」

 

生徒指導室

紅葉 ガラッ「どうも、屑ノ樹先生」

茶碗にお茶を注ぐメガネの印象の悪い教師。屑ノ樹 兼(クズノキ・ケン)生徒の嫌われ者第1位。

屑ノ樹「全く、悪そびれても無いのかね。紅葉君」

お茶を目の前に出してソファーに腰をかける。

紅葉「そう言うあんたこそ、先週の指導会議で生徒一名潰したそうじゃないか。流言飛語と虚偽申告で無理矢理悪人扱いして退学処分。教師としてどうなのかな?」

屑ノ樹「黙れ!!学校の規律を破った相手に相応の罰則を与えただけだ!!」

紅葉は冷たい視線で屑ノ樹に問う。

紅葉「人が殴られてたら、先生はどう助けるのかな?」

屑ノ樹「それを裁くのが生徒指導だ。勿論、犯人と語り合いで解決する」

紅葉「話し合いか、でもさ、人を教師の立場と言葉で恐喝して相手の居場所まで奪うの。楽しんでるでしょ」

屑ノ樹「なん‥‥‥だと‥‥‥」

屑ノ樹は紅葉の言葉に拳を握り締める。

紅葉「あんたは学校の生徒守ってるって言ってるけど‥‥‥

 

それ、建前だけだろ」

この言葉に屑ノ樹は怒りを滾らせる。

屑ノ樹「教師に対して‥‥‥名誉棄損だぞ!!」

紅葉「それ、こっちのセリフだから」

紅葉はソファーを立ちあがり、教室を出ようとする。

屑ノ樹「待て!!まだ喧嘩の件の話してないぞ」

紅葉「聞きたくねえよ、嘘つき教師の小言なんて」

屑ノ樹「ぐぬぬ‥‥‥学校の汚物があああ!!」

屑ノ樹はその言葉と同時に茶碗を壁に叩きつけた。

 

帰宅途中

ツバキ「昨日のプラモ屋でいよいよGBNデビューだよ!!」

紅葉「ダイバーギアのアカウントも設定したし、操縦の仕方も説明ビデオを何度も見返した。これでバッチリ」

二人はプラモショップに入店した。

店長「やあツバキちゃん。待ってたよ、後紅葉君も」

ツバキ「空いてるダイブ機、ありますか」

店長「3番機使ってる人いるけどそれ以外は空いてるよ。好きな奴使いなさい」

二人は店の奥に進み、ダイブ機を目の当たりにする。

紅葉「スゲー、これがGBNのマシン」

席に座り、コントローラーとオプションスイッチをいじる。

ツバキ「ダイバーギアを機体にセットして、バイザーを付けたらガンプラを置いてインストール。そうすれば後は自由だよ」

紅葉はダイバーギアをセットしてバイザーを被る。

紅葉「おおースゲー。本当のマシンのコクピットみたいだ」

そしてカバンからシャイニングガンダムクオンタムを取り出して、インストールする。

紅葉「行くぜ、相棒!!」

二人はアバターとして光と共にGBNのエントランスへと意識が転送された。

 

紅葉「おおーここがエントランスか。人がいっぱいだなー」

ツバキ「驚くのはまだ早いよ、これからもっとスリリングな体験があるんだから」

紅葉「おお、そりゃあ楽しみ‥‥‥」

紅葉はツバキのアバターを見るや否や固まった。何故なら‥‥‥

 

胸の谷間がはみ出した。白とピンクのライダースーツと黒ニーソ。

紅葉「おいおいおい、ちょっと待て!!そんな痴女みたいなアバターなの!!」

ツバキ「これがいつものアバターだよ♪」

紅葉「犯罪の匂いがダダ洩れだわ!!」

ツバキ「紅葉君なら触ってもいいよ!!」

紅葉「しねえよ!!それよりミッションやるなら早くやろうか。何がある」

ツバキ「初心者向けのトレーニングミッションがあるよ。戦い学ぶにはいいと思う」

紅葉「それじゃあ、それやろう」

ツバキ「受付コーナーで受け付けできるから。こっち」

ツバキに手を引かれ、受付に向かうと紅葉はミッションの参加登録をした。

紅葉「よし!!」

 

エントランスの外に出た二人はメニューを表示してガンプラを呼び出した。

紅葉「来い、俺の愛機!!シャイニングガンダムクオンタム!!」

ツバキ「ツバキ、G-セルフ・リバイブ。出る!!」

すると二人のガンプラが実体化し、自然とコクピットに転送される。

紅葉「本当に乗ってる。しかも動く!!」

ツバキ「それじゃあ、ミッションポイントまで案内するからついて来て。操縦はもう分かるよね」

紅葉「よっし!!行くぞオォォォ!!」

二機のガンプラはミッションポイントまで空を飛ぶ。

紅葉「ゲームと思えないぐらい広いな。空飛んでる感覚が癖になりそうだ」

ツバキ「もうすぐミッションポイントのフォレストだよ」

二人は降下し、ミッションポイントに着くとそこには射撃場と疑似バトルステージが用意されていた。

紅葉「腕が鳴るぜ、全部クリアだ!!」

歩き出した途端、紅葉の足元をセンサーが反応する。

紅葉「なんだこれ?」

すると紅葉のミッション画面がアイテムトレードバトルに変化する。

ツバキ「紅葉君!!それはまずい!!」

するとトレーニング施設の前に二人の男女が現れる。

???「ようこそ、哀れな初心者君。これから君の相手をするデビッツと」

???「美しき略奪女王。カイヨーク。さあ、持ってる物を渡してもらおうかしら」

紅葉「なんだよ、あいつら!!」

ツバキ「海賊フォース・ジャックショット。アイテム狩りとアバター狩りで荒稼ぎする。迷惑な連中よ。強いから覚悟してかかって。残念だけど私は罠に引っ掛かって無いから介入することはできない」

デビッツ「ツバキ、散々邪魔をしてくれたしな。お前は後で葬ってやる」

カイヨーク「さあ、ハンティング開始よ」

デビッツ「ガンダムデスサイズデーモン」

カイヨーク「ストライクノワールレヴェナント」

海賊「バトル開始」

紅葉「面白い、本気で燃えてきたぜ!!」

紅葉は日本刀型のクオンタムストレーターの柄を握り、襲い来るデーモンに抜刀し、腹部を斬りつけた。

デビッツ「居合斬りだと」

ダメージを受けて倒れるデーモンを踏みつけて紅葉はニヤリと笑う。

紅葉「こういうもんか、喧嘩と剣道で鍛えた俺は‥‥‥

 

こういうのを求めていたんだ」

デビッツ「なんだこいつ、今までの初心者と違うぞ!!」

紅葉はホルスターからツバキから貰ったハンドガンを手にし、銃口を向ける。

紅葉「覚悟しな、海賊」

デビッツ「そいつが打てるのか。腕がぶっ飛ぶぞ」

紅葉「大丈夫、痛みなら慣れてるぜ」

ガァン!!

 

銃声と共にデビッツは沈黙し、消滅した。

カイヨーク「貴様、化け物か!!」

ツバキ(説明書を見ただけでじゃ覚えられない戦い方を天性のセンスで理解し応用する。紅葉にとっての持ち味はこれだからこそ、GBNに誘って正解だった)

紅葉は武器を納めると拳を握り、カイヨークを挑発する。

紅葉「さあ、かかって来いよ」

カイヨーク「良いだろう、望むようにバラバラにしてやる!!」

レヴェナントがブレードを手にクオンタムを斬りつけようとする。紅葉は拳に炎を纏わせてレヴェナントの顔面に拳をぶつける。

カイヨーク「ぐああああ!!」

壁に叩きつけられたレヴェナントに容赦の無いクオンタムの回転飛び蹴りが決まり、レヴェナントは沈黙した。

ツバキ「紅葉君、大丈夫!!」

紅葉「何とかな、戦い方のマニュアル熟読して良かったよ」

すると上空から‥‥‥

???「伏せて!!」

二人「!!」

突如として上空から光の熱戦が飛び、レヴェナントを焼き払った。そして紅葉のメニューにミッションクリアの表示が映る。

???「初心者が災難だったね、何も無くて良かった」

紅葉「あ、ありがとうってかあれなんだ」

ツバキ「ガンダムⅩレイムーン。ありがとう」

プシュー

紅葉「ああ、最高の気分だ」

ツバキ「海賊に巻き込まれて散々だったけどね」

???「でも、早く対応できてよかった」

二人「?」

3番席に座る小柄な男の子。その手にはガンダムⅩレイムーンが握られていた。

???「三津寄蒼海(ミツヨリ・アオミ)って言います。同じダイバー同士、仲良くしましょう。紅葉先輩」

紅葉「セン‥‥‥パイ‥‥‥」

 

果たして彼は何者なのか。運命は加速する。



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EP2 後輩からの誘い

ツバキ「確かここだよね、蒼海君の言っていたお店」

紅葉「大分ポップなカフェだな。秋葉原地区では珍しくもないが」

二人は蒼海からの誘いでGBNの話をするために待ち合わせ場所のメイド喫茶へと入店する。紅葉は手にシャイニングガンダムクオンタムを手にしつつ辺りを見渡す。

蒼海「センパーイ、こっちですよ!!」

二人を呼んだ蒼海と相席しつつ二人はブルーハワイのサイダーを注文した。

蒼海「先輩はGBN始めたばかりですよね。始めたきっかけとかあるんですか?」

紅葉「ツバキが一緒にやろうって誘ってくれたんだ。最初はただのゲームって割り切ってたけど面白いものだったよ」

ツバキ「紅葉君も最近ガンダムのアニメ見始めてて今機動戦士ガンダムZZまで見てるんだ。DVDは私の所有物だけど」

蒼海「仲良いんですね」

紅葉「まあ、一緒に暮らしてるからな」

紅葉の腕を掴み、自慢げに宣言した。

ツバキ「紅葉君を守るのは私の役目ですから☆」

蒼海(ああ、そう言う関係か)

蒼海は二人の関係を察しつつツバキに質問する。

蒼海「ツバキ先輩は紅葉君をGBNに誘った理由は?何か理由があるんじゃないですか?」

ツバキはその質問に対して大きな理想を語った。

ツバキ「紅葉君をガンダムワールドフロンティアの優勝者にする事。紅葉君にあの世界で王になってほしいんだ!!」

紅葉「ガンダムワールドフロンティア?」

蒼海は鞄からダイバーギアを取り出すと紅葉に見せた。

蒼海「ガンダムワールドフロンティア。GBNで行われるチャンピオンの争奪戦。登録された8人のレベル100以上のダイバーが戦い合う修羅の世界さ」

紅葉はその大会の概要を見るとその参加者リストに空白があった。そして紅葉はツバキに聞く。

紅葉「この空いてる参加席に俺が入れって事か?」

ツバキ「せいか~い☆。その参加席を狙って紅葉君を誘ったんだよ~」

紅葉は疑問を隠せなかった。何故紅葉をガンダムワールドフロンティアに参加させようとしたのか。自分で参加すればいいような気もするが‥‥‥

紅葉「何で俺が参加しなきゃいけないんだ?」

ツバキは紅葉に告げる。

ツバキ「紅葉は傷ついてるの、知ってるから」

蒼海「どういう事?」

ツバキは言葉を続ける。

ツバキ「紅葉君にはガンプラを通してこの世界を好きになってほしいの。そうすれば紅葉君はもう、喧嘩しなくていいでしょ。違う?」

紅葉はツバキの思いやりでこの世界に来たことを感じると紅葉は蒼海に伝えた。

紅葉「蒼海、あんたはフロンティアの参加者だろ?」

蒼海「ああ、ただ名乗るならフロンティアダイバーと呼ぶべきだね」

蒼海はダイバーギアにカードを表示させる。

蒼海「このフロンティア・パスが証だ。これを手に入れるためには後3週間でレベル100まで到達し、申請しなきゃならない。どうする?」

紅葉は目に炎を宿し、蒼海に尋ねた。

紅葉「俺が強くなるには、どうしたらいいんだ?」

蒼海「レベルを効率よく上げるなら最低でもボスを5体倒す必要がある。かなりハードだけどボス級の1体で6体分の力で襲って来る上級クエストがある。それをくぐることが出来れば一気にフロンティアダイバーに上り詰められる。でも確率的にクリアの可能性は6%だから難しいけど、やれますか?」

紅葉は覚悟を決めてシャイニングガンダムクオンタムを握り締めた。

ツバキ「紅葉君‥‥‥」

紅葉「ツバキは、俺を喧嘩の王じゃなくて、あの世界の王になってほしいんだろ」

ツバキ「私には出来なかったことを、紅葉君にやってほしいから」

紅葉はブルーハワイの炭酸飲料を飲み干して決めた。

紅葉「やってやるよ、ツバキの代わりに、俺がチャンピオンになってやる!!」

ツバキ「紅葉君、ありがとう」

蒼海「僕も付いてくよ、ゆっくり見物させてもらう」

紅葉「良し、GBNに向かうぞ」

 

いつもの秋葉原のプラモ屋に向かった3人はマシンに座り、GBNにダイブした。ミッションを認証するとミッションポイントへ向かい、ボスの間の扉に手を当てた。

紅葉「来いよ、俺が相手になる!!」

扉を開けて進んだ先には‥‥‥

 

部屋の中心に立つ、ジオングだった。

ジオング「私の名前はケルベロスジオング。この門を叩いたことがお前の破滅か大成かを見定めてやろう」

ツバキ「気を付けてね、そいつは3つの特殊能力を持ってるからそれらの裏をかいて攻撃して!!」

紅葉「わかった、さあ、勝負だ。一つ目野郎!!」

紅葉はクオンタムストレーターを抜刀し、巨大な腕と足を斬り落とそうとするが‥‥‥

紅葉「ダメージは入るけど部位破壊とはいかないか」

ジオング「葬ってやろう」

ジオングは巨大な4本の腕を飛ばす、オールレンジ攻撃を発動する。

紅葉「野郎!!」

空を飛びつつ、ビーム光線を浴びせる腕を避けてクオンタムストレーターで着実にダメージを与えていく。

ツバキ「蒼海君、今戦況的にどんな感じ!!」

蒼海「ダメージは与えられてますが、一度でもこの攻撃を食らえばダメージはデカい。どこまで持つか‥‥‥」

紅葉は防戦一方であるが腕の動きを読みつつ対策を構築していく。能力として読めたのは腕を飛ばす攻撃。

ジオング「絶望に落としてやる」

突如としてジオングの足が宙に浮き、足がクローを形成して回転させながら飛ばしてきた。

紅葉「死んでたまるかよ!!」

紅葉は飛んできた足を誘導する。そして視界に入ったのは‥‥‥

紅葉(足の武器パーツは有線接続か)

足が元に戻ると紅葉はジオングの動きを把握して対処法を使った。

紅葉「なあ、あんたはジオングだったら腕が得物だろ?」

ジオング「なんだと」

ジオングは紅葉を見つめ紅葉はさらに言葉を続ける。

紅葉「腕で勝ってみろ、俺はクオンタムストレーターでお前に勝つ。銃や隠し武器は無し、どうだ?」

ジオング「自ら地獄を選ぶとは、望み通り跡形もなく消し飛ばしてやろう!!」

紅葉はクオンタムストレーターを納め、絵を握り締める、紅葉はタイマーを3秒にカウントし中心に留まる。紅葉の周りを腕が囲い、ビームの発射準備が始まる。

ジオング「無謀な挑戦者を血祭りにあげてやろう」

ビームが紅葉を襲う、そして紅葉は‥‥‥

紅葉「3、2、1」

紅葉は寸前で飛び上がり、ジオングの腕はビームを浴びて、4本とも爆散した。

ジオング「同士討ちだと、貴様!!」

ジオングは驚く。

紅葉「ルールは守るべきだが、適応されてない抜け穴を利用する。不良はルールさえ守ればどこで汚い手を使ってもそれはグレー。ギリギリのやり方さ」

蒼海「凄く大人げないんですが‥‥‥」

ツバキ「昔からやり方は問わない人だけど‥‥‥」

ツバキは紅葉を一転に見つめて手を伸ばす。

ツバキ「約束だけは、守る人なんだよね」

蒼海「‥‥‥」

ジオング「貴様アアアアアアアアアア」

怒り心頭のジオングは足の武器を使い紅葉を追い詰める。だが紅葉は既に弱点を見つけており、ステージの上空へと飛ぶ。

ジオング「逃がさん!!」

紅葉は上空の鉄骨でターンするとジオングの足の有線が鉄骨に巻き付く。

ジオング「しまった!!これが狙いか!!」

紅葉「まんまと策に嵌ったな」

紅葉は巻き付いて動かなくなった足の配線をクオンタムストレーターで斬り落とした。

ジオング「私の足がアアアアアアアア」

蒼海「凄い、弱点とフィールドの特性でここまでやるなんて‥‥‥」

ツバキ「ゴロツキらしくやり方を選ばないから」

ジオング「こうなれば奥の手だ!!メガ粒子砲で貴様を潰す!!」

紅葉はクオンタムストレーターを逆手持ちし、ジオングに向かって加速する。

ジオング「死ねええええええええ」

ジオングの胸のメガ粒子砲にクオンタムストレーターを突き刺してリバイブハンドを数発撃ち込んだ。

ジオング「この私が、負けるなどオォォォオォォォ!!」

ジオングは内部機関が熱暴走を起こして爆散した。

 

「ゲームクリア」

紅葉は機体から降りるとその場で倒れかけ、二人が駆け寄る。

蒼海「大丈夫ですか、紅葉先輩」

紅葉はかなりの冷や汗をかいていた。相当なプレッシャーと戦いだったのだろう。

紅葉「ゲームとは言え、死にかけたな。でもこれで十分だ」

紅葉のステータスにはレベル102と表示されており、経験値やマネーも恐ろしいほど入っていた。

ツバキ「頑張ったね、紅葉君」

紅葉は二人に支えられながらボス部屋を後にした。

 

その後、ファミレスにて

3人「カンパーイ」

蒼海は紅葉のボス撃破を祝ってパーティーを開いた。蒼海が奢ってくれるらしく紅葉は無我夢中でハンバーグとソーセージのセットを貪った。

紅葉 モグモグ「何か悪いな、後輩なのに奢ってもらって」

蒼海「お金ならいくらでもあるから好きな物沢山食べてね」

ツバキ「お金いっぱいあるって蒼海君どんな暮らししてるの?」

蒼海は財布を見せつつ自慢げに答えた。

蒼海「東京の一流病院の院長の息子です」

紅葉「はあ?!医者の息子ォ!!」

紅葉は驚きつつ、口のソースを拭く。

ツバキ「凄い家庭だね」

蒼海「いずれ病院継ぐ人間ですから、まあ気にせず普通に接してください」

紅葉「まあ、それでいいなら」

ツバキ「普通で良かった」

 

翌日 生徒会室

 

???「S級難易度の難関ミッションをクリアした新人か」

コーヒーを片手にダイバーギアでトピックスを見つめる銀色の髪の少年。

役員「カツラギ会長、そろそろ巡回のお時間です」

少年はダイバーギアをしまうと席を立ち、部屋を出る。

役員4名「おはようございます、カツラギ・レア生徒会長」

その少年、カツラギ・レアは他の生徒と違う、銀色の制服を纏って廊下を歩きだす。

レア「天風の生徒会長、カツラギ・レア。これより巡回を始める」

生徒会が教室を回る中ですれ違う紅葉。紅葉の瞳には‥‥‥

紅葉「ウィングガンダム‥‥‥」

生徒会長のベルトには、ウィングガンダムの改造機が携帯されていた。

紅葉「あの、ホストまがいの銀髪。何者なんだ‥‥‥」

ツバキ「紅葉くーん」

ツバキ「遅かったな、どこ行ってたんだよ」

ツバキは封筒を見せて自慢する。

ツバキ「以前言ってた西狩貴信(ニシカリ・タカノブ)さんのライブチケット。手に入ったんだ。後ろの席だけど折角のライブだし一緒に行こうよ」

紅葉「それじゃあ、行こうか。俺も興味あったしな」

二人は手を繋ぎながら笑顔で教室へと向かった。

 

そしてデートに‥‥‥

 

 

 



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EP3 生徒会交響曲

レア「全校生徒の皆さん、おはようございます」

朝の生徒会集会、参加したのは良いが長ったらしい生徒会の話に紅葉は耐えられず、俯いた状態で眠ろうとする。隣でツバキはそれを阻止するためこっそりと黒いミントガムを渡す。

ツバキ「紅葉君、眠いならこれ」

紅葉「ああ、悪ィな」

包みを開けてガムを噛むと紅葉はレアを見ながら呟く。

紅葉「あいつもダイバーか‥‥‥」

 

その後、生徒会室

 

レアは大量の書類の山に印鑑を押す作業に追われていた。半分片付くとコンビニのドリップカフェラテにストローをさして飲み始める。

レア「これも皆の為と思えば、気持ちがいいなあ」

キラキラの癒し顔を見せると再びカフェラテを啜る。

レア「さて、もう人踏ん張り」

レアの机には500枚の書類内残りの250枚を入念にチェックしていた時、突然ノックも無しに扉を開けて紅葉が入ってきた。

紅葉「ちょっと、失礼するぜ。生徒会長さん」

レア「ああ、君は確か‥‥‥不良扱いされてる紅葉君‥‥‥」

紅葉「まあ、間違ってねぇけどな。だけど今は喧嘩から足を洗ってる身の上だけど」

レア「生徒会室にはどうして来たの?」

紅葉はシャイニングガンダムクオンタムを取り出してレアに見せる。GBNのトピックスに載っていたあのガンダムと分かると彼は紅葉に笑顔を向ける。

レア「そっか、君だったんだね。一気にレベル100まで上り詰めた新人ダイバーは」

紅葉「会長が腰にウィングガンダムを付けてるのを見ていてな。きっとこの学校にいるダイバーの一人だと思うと、なんか親近感湧いたんだ」

レアも悪い顔はせず、紅葉のガンプラの横にウィングガンダムを置く。

レア「ウィングガンダムフルバリア、僕の相棒」

紅葉「シャイニングガンダムクオンタムだ、友達になれないか?」

レアはダイバーギアを取り出してフレンド登録ホームを起動する。紅葉もダイバーギアをてにとってお互いのアカウントを情報を交換した。

レア「こんなに、嬉しい事は無いよ。この学校にいるダイバーの情報は全部持ってるけどこうしてトピックスに載る様な期待の新生と友達になれるのは‥‥‥」

紅葉「まあ、でもこっちまだ分からないことがまだ多いから教えてくれる人がいるだけありがたいんだ」

レア「任せてよ、ガンプラやGBNの事なら僕に色々聞いてほしい」

紅葉「ありがとな、生徒会長さん」

 

お昼休み

紅葉「ようやく飯だ‥‥‥」

紅葉は弁当箱を手に取ると学校の校庭のベンチにツバキと向かう。その途中で一人の女子生徒が声を上げた。

???「紅葉先輩!!」

紅葉「?」

突然呼ばれた自分の名前、そこには紅葉より身長の低い女の子の後輩が駆け寄ってきた。

ツバキ「えっと‥‥‥どなた?」

???「風見愛理(カザミ・アイリ)と言います。以前不良に絡まれていた所を紅葉先輩に助けてもらって」

紅葉「ああ、あの時の。後輩だったのか」

愛理「はい、どうしてもお礼を言いたくて‥‥‥」

紅葉「いや、別に礼を言われる程の事してねぇよ、挙句生徒指導に目ェつけられたし」

ツバキ「まあ、こういうタイプだけど間違ったことはしてないから気にしなくていいよ」

愛理はひよこの包みを紅葉に渡して誘う。

愛理「私、料理が得意なので作って来たんですが。お昼、ご一緒にどうですか?」

紅葉「ええっ!!」

まさかの後輩の女の子からのお昼のお誘い、しかも紅葉に弁当を作ってきてくれる優しさ。紅葉は渡された弁当を突き返せるはずもなく受け取ると隣から黒いオーラを出すツバキが‥‥‥

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ

ツバキ「愛理ちゃん、お昼私も一緒に良いかなあ」

黒い笑みを浮かべて紅葉の腕を掴むツバキに愛理は戦慄しつつかすれた声で‥‥‥

愛理「それじゃあ、ツバキ先輩もご一緒に」

紅葉(完全にライオンに睨まれた兎みたいになってる)

 

 

紅葉「へえ、よく出来てるな。うまい!!」

愛理「喜んでもらえて何よりです」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ

ツバキ「私のお弁当の方が良いよねえ‥‥‥」

笑顔を向けるツバキには殺意のオーラが未だに消えていなかった。

紅葉「そ、それは‥‥‥」

ツバキ「良いよねえ‥‥‥」

紅葉は身の危険を感じ、頭を撫でる。

紅葉「そりゃあ、美味しいに決まってるさ。ツバキのお手製は何年も食べてるから」

ツバキ「ありがとう、紅葉君」(犬耳と尻尾)

愛理(ちょっと可哀そう‥‥‥)

目の前で浮気の現場を目撃した気分になった愛理はツバキに質問する。

愛理「ツバキ先輩は紅葉先輩と恋人同士なんですか?」

紅葉・ツバキ「!!」

突然顔を赤くして硬直する二人は答える。

紅葉「単純に同じ家で暮らしてるだけで‥‥‥」

ツバキ「紅葉君は家の居候で特にそれ以外深い意味は‥‥‥」

愛理は気づく。

愛理(ああ、意識してるんだけど踏み込めてない感じの関係ですか‥‥‥)

傍らから見れば中学生の恋愛レベルな上に一緒に暮らしてる事の重大さに気づけていない、本当に高校生の恋愛なのか分からない程初心だった。

 

すると後ろから

バシャッ!!

紅葉「うあっ!!熱ッ!!」

ツバキ・アイリ「だ、大丈夫!!」

紅葉が振り向くと‥‥‥

屑ノ樹「ああ、これは失礼。お茶がこぼれてしまいました」

紅葉「てめえ、何のつもりだ」

屑ノ樹「ただの事故じゃないですか。そう怒らず、楽しい昼休みを過ごしてください。申し訳なかったね、では」

陰湿さを秘めた笑みで謝罪の言葉をかけて去っていく屑ノ樹に紅葉はベンチの手すりを殴りつける。

紅葉「済まないなんて思ってないだろ、あいつ」

愛理「紅葉先輩‥‥‥」

 

放課後、荷物を纏めて帰宅しようとしていた愛理の下に屑ノ樹が現れる。穏やかな顔をしながら屑ノ樹は声をかけた。

愛理「愛理さん、少し時間を頂いてもよろしいかな?」

愛理「‥‥‥」

 

生徒指導室に呼ばれた愛理に屑ノ樹はお茶を注いで机に置く。屑ノ樹は湯呑でお茶を啜りながら愛理に質問する。

屑ノ樹「先の喧嘩の事件でカツアゲグループから君の名前を聞いてね。被害者らしいから何か知ってると思ったんだ」

愛理「それは‥‥‥」

愛理が言葉を続けようとすると屑ノ樹は遮るように言葉を挟む。

屑ノ樹「勿論、被害者のプライバシーは尊重する。ただ紅葉君に何をされたのか聞きたいだけなんだ」

愛理「え‥‥‥」

愛理は違和感を覚える。何故紅葉に何かされた様なニュアンスなのか‥‥‥

屑ノ樹「私は君を助けたいと思っている。被害者なら尚更教師が守るべき立場であり、君の身に起きた出来事が紅葉君の学校から追放出来る大きなチャンスになるかもしれないんだ」

愛理「あ‥‥‥」

愛理はその優しさから黒い物を感じた。助けてくれた人を悪人扱いして挙句紅葉を追放しようとするために弱みを握ろうとしている事。ただこの人は都合のいい見方で善人の振りをしているだけだと知り恐怖が身体を支配する。

屑ノ樹「これも学校と生徒の為なんだ、君は一体どんな酷い事をされたんだ?」

愛理(助けて‥‥‥誰か‥‥‥)

すると突然扉をノックして一人の男性が入ってきた。

???「生徒指導中、失礼する」

屑ノ樹「京極校長!!」

京極時春 天風高校の校長。

屑ノ樹「どうされたのかな?」

京極「例のカツアゲグループから事の真相を聞き出せた。紅葉君とは喧嘩はした様だがその子は傷も無ければ暴力を受けたような事実は無いらしい」

屑ノ樹「そうでしたか、紅葉君の処遇についてはどうしますか」

京極「まあ、あれ以降イザコザには関わっていないようなので許しても良いだろう」

屑ノ樹「わかりました。愛理さん。もう退出して構わないよ。悪かったね、こんな時間を取ってしまって」

愛理「良いです‥‥‥」

愛理は逃げるように鞄を持って退出した。

 

屑ノ樹は黒板を殴りつけて恨み節を吐く。

屑ノ樹「許されると思うなよ」

 

愛理「明日のお弁当、どうしようか?君の想いを聞かせて。リトル・バクゥ」



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EP4 戦う者のステージ

週末を迎えた。そして俺達は武道館で‥‥‥

 

西狩貴信さんのライブに来ていた。紅葉たちはペンライトを手にただひたすらに身体を動かしていた。ガンダムを彩るヒットナンバーを次々に歌い上げる彼はまさにガンダムの進化を象徴するものだった。

 

ライブ後、紅葉たちは大量の物販アイテムを抱えて飲食店を探していた。丁度いいラーメン屋を見つけ、入店する紅葉たちは目の前でガンプラを取り出して談笑に浸っていた。

紅葉「こうして大人数で出かけるの何気に初めてだな。仲間がいるって最高だ」

蒼海「紅葉先輩もすっかりガンダムにハマりましたね」

レア「それよりも、紅葉がフロンティア・パスを手に入れた事が最高だよね」

すると紅葉は自慢げにダイバーギアを取り出してフロンティア・パスを見せる。

紅葉「これで俺もフロンティア・ダイバーの仲間入りだ。存分に戦ってやる!!」

ツバキ「頑張れ、紅葉君」

愛理「あ、あの‥‥‥」

レア「愛理ちゃん、どうしたのかな?」

愛理はバッグからバクゥを取り出して聞く。

愛理「私のリトル・バクゥっていう友達、GBNで戦わずに動かすだけじゃ‥‥‥ダメでしょうか‥‥‥」

その質問にレアは優しく返す。

レア「戦うだけがGBNじゃないよ、ガンプラとの心に関りが大事だから愛理ちゃんの言ってる事はダメなんかじゃない」

愛理「良かった!!」

紅葉「ガンプラが飼い犬扱いって、変わってるなあ」

蒼海「ガンプラでもハロプラやフィギュアライズ・バストなど、女の子向けやコアなファン層に向けたジャンルなども沢山ありますよ」

紅葉「フィギュアライズ・バストか。プラモ屋の店長に聞いてみるか?」

するとカウンター席の隣で一人の男が声をかける。

???「フィギュアライズ・バストを買うならキラ・ヤマトかシン・アスカを強く勧めるよ」

ツバキ「あ、あなたは‥‥‥」

その男はサングラスを外すと、紅葉に目を向ける。

???「最後のフロンティア・ダイバーの君と、仲良くしたくてね」

全員「に、西狩貴信さん!!」

ツバキ「ほ、本物!!」

貴信「あんまり騒ぐなよ、こっち今ライブ後のマスコミから逃げてる真っ最中だから」

レア「確か、貴信さんもフロンティア・ダイバーですよね」

貴信「勿論だ、そしてこれが俺の愛機。 アルティメット・デスティニーガンダムだ」

紅葉「オレンジ色のデスティニーガンダム。見事なハイネカラーだ」

貴信「いずれ君たちとは戦う事になる。その時には究極とか言っちゃうほどの熱いバトルを期待してる」

紅葉・蒼海・レア「ありがとうございます」

貴信「ああ、それとこのラーメン屋には週末よく通ってるからもし会いたいときは11時ぐらいに来るといいよ。ただし、誰にも言わないでくれよ」

紅葉「勿論です」

そう言うと貴信は席を立ち、ラーメン屋を後にした。

 

その夜 お台場のバーにて

 

貴信「お待たせ、キスギ君」

 

キスギ・キョウヤ

貴信と同期のGBNの最古参、凄腕の賞金稼ぎにしてフロンティアの最強候補。

キョウヤ「失礼、先に飲んでしまって申し訳ない」

貴信「大丈夫ですよ、今日は話があって俺が呼びつけた訳ですし。今夜は俺が払いますよ」

キョウヤ「それはありがたい、それとラインで言っていた最後のフロンティア・パスを手にした少年と出会ったと聞いたけど。彼のガンプラはどんな機体だった?」

貴信はウォッカを飲みつつ語る。

貴信「間違いありませんでした。あのジオングを倒した‥‥‥アストレイ系のガンプラです」

キョウヤ「アストレイか、僕にとっては一番記憶に残っている機体だ」

貴信はアーモンドを小皿に分けて一つ食べて聞く。

貴信「ニルス・ニールセンの戦国アストレイですか?」

キョウヤ「あの一戦はGPデュエルの残した大きな遺産とも言えるよ」

キョウヤはバーボンのロックを飲みつつ語る。

 

キョウヤ「GPデュエルの時代、第7回ガンプラバトル選手権世界大会。アーリージーニアスと世界で注目されたニルス・ニールセンと選手権優勝候補の三代目メイジン・カワグチの一戦。戦国アストレイとアメイジング・エクシアの壮絶な剣戟。互角とも言える戦いは僅かな差でメイジン・カワグチが勝利を手にした」

貴信「その後の戦いではリカルド・フェリーニやルワン・ダラーラと言った歴戦の勇者もカリスマ性とバトルセンスでねじ伏せ、優勝後。三代目はGBNの台頭と同時に姿を消した。かなり有名な話ですよね」

キョウヤ「彼の存在はあのガンプラ心形流ですら、その在り方を狂わせた程だからね」

貴信はウォッカの二杯目を貰うと残念そうな顔をする。

貴信「今となってはガンプラ心形流も神格化されてますが、まさかフロンティア・ダイバーとして戻って来るとはね」

キョウヤ「もし、メイジンの様な怪物がこの世界にまだ存在していたら、僕を含めた多くのダイバーを超え、バトルレコードを一気に支配しただろう。恐ろしいよ」

貴信「この戦いは王位継承戦だ。ファイナルバトルで戦おう」

キョウヤ「勿論だ」

二人はグラスを交え、約束した。



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EP5 ココロの形

屑ノ樹「まさか校長と食事とは、私の株価も上がったもんですねぇ」

屑ノ樹は弁当箱とお茶を手に、校長室へと入って行く。扉を開けるとそこには京極先生と白髪の不思議な生徒が座っていた。

屑ノ樹「魔流凍夜?」(マリュウ・トウヤ)

京極「待っていたよ」

屑ノ樹は異様な雰囲気に気づくとはぐらかす様な仕草で聞く。

屑ノ樹「私……何かしましたか?」

京極は資料と写真を見せる。

京極「以前、君が指導して学校を去った生徒。彼から君に訴訟が来ている」

屑ノ樹「なんと!!」

屑ノ樹は自分の行いが露見し顔を歪める。

すると凍夜が屑ノ樹にスマホの録音アプリを無言で見せた。

『気持ちがいいですねぇ♪ああいう頭の固い生徒程簡単に利用できる。ちょっとみんなに話せば誰もが嫌う。お陰でいい忌み者になったよ』

屑ノ樹は事実を突きつけられ、京極は資料を渡す。その時屑ノ樹の目は絶望に染まっていた。

 

辞任証だった。

 

屑ノ樹「ああ、ああああああああああああああああああ!!」

悲痛な絶叫が校長室を染め上げ、屑ノ樹はその場で崩れ落ちた。

 

その後 昼休み

蒼海「クズノキ先生が辞任!!」

紅葉「ああ、何か生徒指導の実態バレたらしい。まあ、俺は元から嘘つきって知ってたけど」

愛理「普通、生徒にお茶をかけたりしませんよ」

ツバキ「元から人間性が良くないからね~傲慢と陰湿の塊みたいな」

二人が辞任した屑ノ樹の話をする中、あの明るい声が聞こえた。

レア「ごめんごめん、遅くなっちゃた」

紅葉「待ってたぞ、会長」

レアは雑誌を渡して銀色の弁当箱を開けると中身は3種類のミックスサンドを食べ始める。

紅葉「これって、雷撃ホビーマガジン?」

レア「16ページを開いてみて」

紅葉は16ページを開き、3人はそれを凝視する。

紅葉「ガンプラ心形流、次期後継者。魔流凍夜ってなんだこれ?」

ツバキ「ガンプラ心形流か、GPデュエルの時代にその名を刻んだ作品流派。一級品のガンプラを作る事においては右に出る者はいない。ビルダー界の怪物。でも第7回ガンプラバトル世界選手権以降はこの流派は数が少ないって言われて神格化されてる」

蒼海「まあ、没落という訳ではないけど最近余り見ないと思う」

愛理「あの……」

4人「???」

突然愛理はスマホの写真を見せる。そこには愛理と凍夜の二人が写っていた。

愛理「凍夜君は、私と同じクラスでこのリトル・バクゥの製作者なんです」

4人「!!!!」

突然のカミングアウトで固まる4人。

ツバキ「それ、今言う?」

愛理「ご、ごめんなさい!!」

蒼海「いや、怒ってる訳じゃないんだけど」

紅葉「よりによって後輩か、それで。そいつとはどこで会える?」

愛理「放課後に駅前の焼き鳥の屋台に立ち寄る事が多いからそこで会えると思う」

紅葉「よし、会いに行こう」

 

放課後 駅前の焼き鳥屋台

 

凍夜「……」

ライムサイダーを飲みつつ砂肝の焼き鳥を黙々と食べる。凍夜の横に紅葉がやってくる。

紅葉「初めましてだな、凍夜」

凍夜は紅葉を見ると呟く。

凍夜「君の事は聞いてるよ、屑ノ樹先生に目を付けられてた札付き」

紅葉はモモの焼き鳥を食しながら凍夜の話を聞く。

凍夜「僕が気が付かなかったら君、生き殺しにされてたよ。紅葉君」

紅葉「どういうことだ?」

凍夜「屑ノ樹先生の行い、全部僕が情報を掴んで校長に伝えたんだ」

紅葉「あんたがやったのか?腹いせか?」

凍夜「君には消えてほしくなかった。ただそれだけ」

凍夜は鞄からガンプラを取り出す。黒とシルバーカラーのF91だった。

紅葉「それが凍夜のガンプラか」

凍夜「ガンダムF91・バーサーカー。これから時間あるかな?」

紅葉「いつでもいいぜ」

凍夜「君の力を貸してほしい。ジャックショットのボスを洗い出す」

紅葉「凍夜?」

凍夜「来て」

二人はの荷物を背負い、駅近くのゲームセンターに向かうとGBNのマシンを使う。

紅葉「海賊と戦うつもりか?」

凍夜「あいつらには僕の作品を台無しにした恨みがあるから」

ダイバーギアとガンプラを読み込むと二人はGBNにダイブした。

 

すると二人は廃墟エリアに足を踏み入れる。凍夜は紅葉に指示する。

凍夜「ここだ、クオンタムストレーターで斬ってみて」

クオンタムは抜刀し、廃工場の厚い鉄の扉を破壊して中に入って行った。

 

???「ここに来るとはな、どうしてここにいると分かったかな?」

紅葉「あいつは?」

凍夜「トマホークのマイザー。ジャックショットのリーダーでフロンティア・ダイバーだ」

紅葉「何!!」

凍夜はマイザーに突きつける。

凍夜「どんなに身を隠そうと、僕は君を逃がさない。君がフロンティア・パスを持っている以上、君は逃げる事は出来ない!!」

逃げられない事を知ってもマイザーは動じなかった。寧ろ不敵ともとれる笑みを浮かべ長い舌を動かしながら答える。

 

マイザー「逃げられないだと!!そんなんハナから知ってたんだよ!!俺は強いやつと戦って徹底的に身ぐるみ剥がして金を手に入れる。俺はあくまでお前たちを狩るハンターなんだよ!!」

すると背後から海賊のデビッツとカイヨークの二人が現れ、ガンプラに乗る。

マイザー「喜べ!!これが俺の機体。クロスボーンガンダム・ネクロマンサーを拝める時だ!!」

紅葉「あれがボスの機体」

凍夜は紅葉に指示を出す。

凍夜「紅葉君、デーモンとレヴェナントの相手を頼む。こいつは僕が」

紅葉「死ぬなよ」

凍夜「わかってる、死ぬまで壊し尽くす。その衝動がこの機体には宿ってる」

紅葉「どういうことだ」

すると凍夜は特殊モードを発動するとバーサーカーのフェイスマスクが展開する。

凍夜「狂化!!」

バーサーカー「グアアアアアアアア!!」

突如としてバーサーカーは雄叫びを上げてマイザーに襲い掛かる。

マイザー「ぶっ壊してやるぜ!!」

トマホークを振り回すネクロマンサーにバーサーカーは腹部を殴りつける。貫通した手で内部パーツを抉り破壊する。

マイザー「そんなんで死ぬ俺じゃねえええ!!」

バーサーカーの頭を掴み、地面に三回叩きつけると投げつける。

それでも止まらないバーサーカーは地面に突き刺さったスクラップのブレードに黒いオーラを纏わせる。

凍夜「あいつの首を取る!!」

バーサーカーがネクロマンサーの左腕を切断し、身体を何度もブレードで刺し続けた。

マイザー「こんな化け物がいるとはな。だがこの程度で……」

ネクロマンサーの胸が変形し、中から大砲が出てくる。

凍夜「まさか!!」

マイザー「メガ粒子砲!!」

メガ粒子砲がゼロ距離で放たれようとしたその瞬間

 

キュアアアアア!!

突如として不死鳥が天から舞い降り、ネクロマンサーに直撃する。

マイザー「こ、こいつはまさ!!」

全員が上空を見上げると……

 

炎の様なモールドと黄金の装飾の槍を持った機体だった。

その期待を見たマイザーたちは即座にログアウトし、逃走した。

舞い降りたガンプラから一人のダイバーが現れる。赤い浴衣の日本刀を抱えた40代の男だった。

???「危なかったな」

紅葉「えっと……」

凍夜「強豪フォース、百鬼のリーダーの京極さんだ」

京極「巡回をしていた仲間から海賊の頭との戦闘を聞いてね。駆けつけてきたんだ」

紅葉「ありがとうございます。助かりました」

京極「海賊に巻き込まれないように十分気を付けて」

二人「はい」

京極「今日はもう遅い、親が心配するだろうから帰りなさい」

二人はその言葉を聞き入れてログアウトした。

京極「あれが、紅葉か」

ログアウトすると紅葉の横にツバキが座っていた。

ツバキ「もう~遅いよ紅葉君~」

紅葉「悪いな」

ツバキ「凍夜君もお疲れさま」

凍夜「ありがとう」

すると凍夜はさりげなく紅葉の手を握る。

紅葉「何やってんの?」

凍夜「その……」(顔を赤くしながら無言になる)

ツバキ(これ、もしかして!!)

 

凍夜のこの意味とは……次回!!

 



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EP6 危ない関係

6月 フロンティアまで一ヶ月を切った頃

 

学校

 

紅葉「俺達が生徒指導室に呼ばれるって、こっちは何もしてねーのにな」

カツラギ「でも、何故休日の土曜日に呼ばれたんだろう?」

ツバキ「罰則とかはご勘弁だけどねー」

 

6人は生徒指導室の前に立つ。震える手でツバキが扉を開ける。すると‥‥‥

 

貴信「やあ、久しぶりだね」

紅葉「西狩さん!!」

愛理「どうして学校に??」

貴信「ここの校長とは知り合いでね、とりあえず中に入って」

 

生徒指導室には西狩さんと京極校長を含め、見慣れない二人が座って緑茶を飲んでいた。

そして白い服の女性が紅葉たちに駆け寄り、自己紹介をする。

 

???「フロンティア・ダイバーの皆、初めまして。今日から生徒指導部の顧問を務める水樹原奈々花(みずきばら ななか)よ。よろしく☆」

紅葉「フロンティア・ダイバーってまさかここに呼ばれた理由って……」

貴信「奈々花さん以外、ここにいるのは海賊を除く、フロンティアの参加者だ」

 

その時紅葉たちはここに呼ばれた理由を知ると一人の青年、キスギ・キョウヤが紅葉に声をかける。

 

キョウヤ「話は聞いてるよ、新人でよくここまで来たね」

紅葉「あんたは?」

キョウヤ「キスギ・キョウヤ、フロンティアの優勝候補。クジョウ・キョウヤだ」

蒼海「キョウヤさん、GBNの凄腕のダイバーまで」

凍夜「それだけじゃない、校長がフロンティア・ダイバーなら。思い当たるのは一人しかいない」

紅葉「一人‥‥‥」

凍夜「驚いたよ、以前に助けてもらった百鬼のリーダー。京極校長、貴方だったんですね」

紅葉「マジ!!」

 

すると京極校長はガンプラを取り出して見せつける。

 

紅葉「あの時のビルドバーニングガンダム、校長先生だったのか」

時春「君たちの事情は知っている、海賊に目を付けられているらしいからね」

紅葉「海賊、マイザーか」

貴信「残念だけど、海賊の正体も分からなければ有益な情報も持ち合わせていない。京極さんはフロンティアに出るのも優勝ではなく、海賊の頭を倒す為に参加したんだ」

 

緑茶を啜る京極校長は紅葉たちに忠告する。

 

時春「もし、海賊と誰かがやり合う事になるなら、最低限の機体カスタムを行うと良い。

私であれば君たちの為に大人として最大限やる事をやる。フロンティア、本気の戦いを期待している」

キョウヤ「フロンティア前に、君たちと出会えて良かった。これで皆、仲間だね」

 

この場にいる誰も笑顔を交わした。フロンティアが迫る中、対戦者たちとの交流は心のギアを入れ直すのには十分だった。

 

その後 定食屋にて昼食

 

紅葉 ガツガツ「このとんかつ定食美味いなあ、凍夜っていい店知ってるな」

凍夜「たくさん食べてよ、ここはごはんおかわり自由だし」

愛理「ちなみに凍夜君はこの秋葉原以外にもいいお店知ってるんですよ」

紅葉「マジか、今度教えてくれよ」

凍夜「勿論」

 

この時ツバキは考えていた、以前の凍夜のあの行動。

 

ツバキ(凍夜君は、紅葉の事をどう思ってるんだろう?)

レア「ねえ、凍夜君って紅葉君を贔屓してるように見えるけど、会ってまだ4日だよね」

凍夜「!!」

蒼海「確かに、僕たちよりも1日で名前呼ぶ回数多いですよね」

凍夜「!!」

愛理「凍夜君?」

 

この状況に便乗したツバキは凍夜に追い打ちをかける。

 

ツバキ「手を繋いで赤面してたの、どういう事?」

レア・蒼海「ゴフゥ!!

 

勢いよく吹き出してしまった二人、凍夜は自分の行動を思い返すと同時に二人に打ち明けた。

 

凍夜「ずっと気になってた人と、友達以上の関係じゃダメですか?」

 

ピシャァ!!

 

全身に電撃が走る紅葉以外の一同。

凍夜はこの発言と同時に真っ赤な顔でハンカチを口に当てていた。

 

紅葉「皆、友達って言ったのになんだよ、その反応」(※意味を理解していない)

レア「紅葉君、凍夜君が言ってるのは友達とかで片付けれる関係じゃなくて……」

凍夜「ち、違うんだ。ただ紅葉君とご飯食べたり、ガンプラバトルしたり、一緒に銭湯に……」

蒼海「凍夜君、それかなり危ない気がするんだけど」

凍夜「だ、だから、紅葉君と仲良くなりたいだけでそういう意味じゃないから!!」

 

凍夜の心の内に秘めていた感情が思わぬ形で暴発し、顔を手で覆い、涙を見せる。

その様子を見た紅葉は凍夜の頭を撫でる。

 

紅葉「別に恥ずかしがることねーじゃん、はっきり仲良くしたいならそう言えよ。俺は賛成だよ」

凍夜「あ……ありが……とう……」

 

凍夜はまんざらでもない笑顔を見せ、紅葉は言葉を続ける。

 

紅葉「よろしくな、凍夜」

 

この様子を見た女子二人はあらぬ妄想を始める。

 

愛理「な、なんか新しい物に目覚めそう……」

ツバキ「こ、これが禁断のスクールラブの形……」

レア「二人とも、戻って来るんだ!!向こうの世界に行ってはいけない!!」

蒼海「これは薄い本になったら、爆売れですね。多分マスターグレード3箱買えますよ」

レア「蒼海君もソッチ系に行かないでええええええ!!」

 

その後、女子二人を何とか正気に戻すことが出来たがレアの苦労は続く様である。



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EP7 運命の翼、覚悟の一刀

7月 フロンティアバトルの開催イベント。

 

???「いよいよこの時がやってきました。ガンダムワールドフロンティアの開催でーす!!」

 

ダイバーたちが歓声を上げ、盛り上がるエントランス。紅葉たちは特別なフロンティア参加者の利用できるメンバーズルームでイベントを見ていた。

 

???「そしてフロンティアMCを務めるのはこの私、ナナカ―・フェアチャイルドが務めます♪」

レア「名前からしてセシリー・フェアチャイルドがモチーフだね」

貴信「因みにあのナナカ―が水樹原さんのアバターだよ」

紅葉「あれ水樹原先生かよ!!」

時春「だから言ったじゃないか、フロンティア関係者だって」

ナナカ―「それでは、これよりフロンティアの対戦カードを発表します。対戦者はこれだー!!」

 

表示された対戦カード、その結果に紅葉は衝撃を受ける。

 

マイザーと凍夜

 

時春とレア

 

蒼海とキョウヤ

 

そして紅葉と貴信だった。

 

紅葉は貴信を見つめ、息を飲む。

 

貴信「お互い頑張ろう、ナイスバトルを期待してる」

ナナカ―「それでは明日の、第1回戦の貴信vs紅葉にご期待ください!!」

 

その後、GBNから戻った紅葉はプラモ屋の店長に相談する。

 

紅葉「店長、シャイニングガンダムクオンタムに武装を追加したいんだけどさ、なんかいいの無いか」

店長「そうだねえ、紅葉君は遠距離武器持ってないよね。何かライフルを追加したらどうだい?」

紅葉「ライフルですか?」

ツバキ「それなら準備してあるよ」

 

ツバキがそう言うと紅葉に赤のブレードを渡す。

 

紅葉「これは‥‥‥」

ツバキ「タクティカルアームズ、レッドフレーム改の武装でマスターグレードについてきた物をハイグレード用に合わせて作ったんだ。剣として使えるし、強烈なビームを放つ弓矢にもなるから遠距離でもバッチリ」

紅葉「ありがとな、ツバキ!!」

ツバキ「紅葉君の為に愛を注いで作ってよかった♡」

店長「若いっていいねぇ、紅葉君もある意味リア充ってやつだねぇ」

 

その夜

 

凍夜「いよいよ明日だけど気分はどうかな」

紅葉「仲間同士で戦い合うんだから抵抗するだろ」

凍夜「僕も対戦者がマイザーって聞いたときは怖かったよ。とりあえず、明日の戦い。応援してるよ」

紅葉「任せろ、必ず勝ってやる」

 

 

 

PM8:00 GBNのエントランス。

 

紅葉は受付でフロンティア・パスを見せるとフロンティアの特別ステージに転送された。

転送された場所は緑色の壁の張られた箱型のステージ、そこに立つのは‥‥‥

 

貴信「この時が来たな、本気のフロンティア・バトルが」

紅葉「西狩さん、やるからには、容赦しないぜ」

 

お互いガンプラを召喚して乗り込み、クオンタムとアルティメットデスティニーの双方が剣を構える。

 

ナナカ―「それでは、フロンティア1回戦 バトルスタート!!」

 

その言葉と同時にお互いが剣を交える。クオンタムストレーターとアロンダイトの二つの刃が火花を散らす。

 

貴信「流石のレッドフレーム。刀の扱いは相応だな!!」

紅葉「ありがたいけど、こっちは遊びのつもりじゃないんだよ!!」

 

紅葉はホルスターからハンドガンを取り出し、発砲するがアルティメットデスティニーはその瞬間オレンジカラーの光の翼を広げ、銃撃を無力化する。

 

貴信「遊びじゃないか、それは正しいと思うよ。でも俺が求めるのは、究極とか言っちゃうほどの魂のぶつかり合いだ!!」

 

アルティメットデスティニーのアロンダイトにオレンジカラーのオーラを纏わせ、光の翼の大きく広げてクオンタムに直進する。

 

貴信「さあ、聞かせてくれよ!!その刃で魂の叫びをッ!!」

紅葉「上等だ、一発かましてやる!!」

 

クオンタムストレーターを納刀し、限界まで距離を詰める。そしてクオンタムストレーターを抜刀し、強烈な衝撃を起こしながらぶつかり合った。

 

貴信「うああああああ!!」

紅葉「うおおおおおお!!」

 

斬撃の衝撃で共に壁に叩きつけられ、強烈なダメージを受ける。お互いその反動で腕を失うも機体のダメージは紅葉が上だった。

 

紅葉「やってくれるじゃねえか‥‥‥動けねえ‥‥‥」

貴信「聞こえたよ、その刃の一撃は、ツバキちゃんへの願いと覚悟」

 

貴信はアルティメットデスティニーの駆動部分に力を入れ、起き上がる。

 

貴信「その覚悟、賞賛したいがこっちも‥‥‥」

 

貴信は残った片腕にエネルギーを集め、紅葉に向ける。

 

貴信「俺を見てくれた彼女にの為に、戦ってんだアアアアァァァァ!!」

 

貴信は集めたエネルギーを平手から放出する。

 

貴信「パルマフィオキーナ・アルティメットオオォォォ!!」

 

貴信の一撃がクオンタムに直撃する。万事休すとも言える一撃はクオンタムに直撃する。

貴信は勝利を確信するが一撃が終わったその瞬間‥‥‥

 

ガァン!!

 

その音と共に飛んできた刃がアルティメットデスティニーの上半身と下半身が真っ二つに割れ、刃が壁にめり込む。貴信の目にしたのは満身創痍のクオンタムと壁に突き刺さった赤色のタクティカルアームズだった。最後の一撃を受ける前にブーメランモードで投げつけた物がアルティメットデスティニーの死角を突いたのだった。

 

貴信「あんた、メチャクチャだよ‥‥‥」

 

クオンタムは大きな傷を受けたのにも関わらず、動き出し、立ちあがると拳を天に突き上げた。

 

ナナカ―「フロンティア1回戦を制したのは、シャイニングガンダムクオンタムの紅葉君です。盛大に拍手を!!」

うおおおおおおお!!

 

歓声が響くスタジアム、ガンプラをしまうと紅葉は貴信に手を差し伸べる。

 

紅葉「良いバトルだったぜ、ありがとう」

貴信「それはこっちも同じだよ」

 

紅葉の手を掴み、二人はバトルフィールドからエントランスへと戻った。

 

紅葉「ツバキ、ただいま!!」

ツバキ「やったよ!!一回戦突破だよ~♡本当にヒヤヒヤしたんだから」

紅葉「悪かったって」

 

するとエントランスで貴信は静かに歩いていく、その目の前には奈々花が腕を組んで立っていた。

 

貴信「ごめん、大事な一回戦。負けちまった」

 

バツが悪そうに言う貴信を見て奈々花は貴信の様子伺うように言う。

 

ナナカ―「でも、本気で戦ったんでしょ?」

貴信「当たり前だろ、真剣勝負で最後に持っていかれたけど」

ナナカ―「それなら、責める事はしないわ。ただし、しっかり罰ゲームは受けて貰うから」

貴信「手厳しいな‥‥‥」

ナナカ―「今夜付き合いなさい、良いシャンパン奢ってよ。」

 

貴信は奈々花の肩を寄せて、囁いた。

 

貴信「今夜は二人でいたい、ダメか?」

奈々花「いくらでも甘えてやるんだから、覚悟しなさいよ♪」

 

その二人を見たツバキは紅葉に聞く。

 

ツバキ「私達も祝いましょう、紅葉君は何か食べたい物ある?」

紅葉「とんかつ3枚、出来るか?」

ツバキ「任せて!!」

 

その夜

 

カチャカチャ

紅葉「このタクティカルアームズ、良く動くしカッコいいよな~」

 

紅葉はタクティカルアームズを変形させて遊んでいると部屋をノックせずにツバキが入って来る。

 

紅葉「ツバキ?」

 

その時紅葉の目に入ったのは、ピンク色の胸の見えるパジャマ姿だった。

 

紅葉「何のつもりだよ?」

ツバキ「今日、一緒に寝ても良いかな?」

紅葉「まあ、別にいいけど、変な事はするなよ」

ツバキ「わかった」

 

そう言うとツバキは紅葉のベッドに倒れ込み、紅葉を抱く。

 

ツバキ「次の戦い、頑張ってね!!」

紅葉「勿論勝つさ、ツバキの為に」

 

抱き合う二人の横には、シャイニングガンダムクオンタムとガンダムGーセルフリバイブが並んでいた。

 

 

 

 

そんな中、次の戦いもすぐ近くまで来ていた。

 

カツラギ・レアに。

 



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EP8 不死鳥・天舞

紅葉と貴信の戦いから数日後

 

紅葉「夏休み来たぜ!!」

ツバキ・凍夜「イエーーーーーーーイ!!」

 

終業式を終えた紅葉たちは今日から夏休みに入った。学生たちにとってこれほど嬉しい事は無いだろう。紅葉たちはハイテンションでコンビニへ入って行く。

 

ツバキ「栄光のバリバリ君ソーダ味いこーよ!!」

紅葉「やっぱ、バリバリ君はソーダだよな~」

凍夜「それじゃあ、夏休みに」

 

3人「バンザーイ!!」

 

3人はバリバリ君を空に掲げ、食べ始めた。

 

その一方

 

生徒会室

 

レア ペラッペラッ「ミスは無し、特にもう添削する所は無いか」

 

資料を見終わり、背筋を伸ばすとドリップタイプのアイスコーヒーを飲み始める。

 

レア「今頃、皆は夏を謳歌してるだろうね。さて、僕もそろそろ自分の時間を楽しむとするかな?」

 

レアはバッグを持つと生徒会室を退出し、下校していった。

 

 

校長室では

 

キョウヤ「時春君、次のフロンティア戦。躊躇してるのかい?」

 

キョウヤはコーヒーを飲みつつ、時春に聞く。

 

時春「仮にも、私の学校の生徒会長である以上。校長である立場としてどうかと思ってね?」

 

キョウヤはダイバーギアを見せ、一連の海賊被害の写真を見せる。

 

キョウヤ「本当の意味で海賊を追放するには、君の様な圧倒的なダイバーを必要としてる。辛いと思うが、決断すべきだと、僕は思う」

 

時春はビルドバーニングを取り出すと、呟く。

 

時春「非情になるべきか……全てを救うために……」

 

その夜の事

 

電話で紅葉とレアは話をしていた。

 

紅葉「明日はついにフロンティア第2戦、調子はどうだ?」

レア「勿論、初めての戦いだから緊張してる。でもそれ以上にこの大舞台に期待してるんだ」

紅葉「俺も凄いワクワクしてる。どんな戦いが待ってるのか、それが一番楽しい。レア、明日の戦い、期待してるぜ」

レア「任せて!!」

 

翌日

 

秋葉原のプラモショップ

 

レア「よし!!」

紅葉「皆行くぞ!!」

 

GBNにダイブしたレア、ツバキ、凍夜、紅葉たち。レアは受付からフロンティアのステージに転送される。

 

特設ステージには時春が待っていた。対峙するレアに時春は告げる。

 

時春「レア、こうして戦うのは、校長として。辛く思う」

レア「僕も、貴方とは戦うのは、辛いです。でも、超えなきゃならない。約束の為に」

時春「レア、大義の為に、犠牲となれ」

レア「その犠牲、抗って見せます」

 

二人はガンプラを召喚して乗る。

 

レア「ウィングガンダム・フルバリア!!」

時春「ビルドバーニングランサーガンダム天舞!!」

 

多くの人が見守る中、お互い武器を構え、ナナカ―のコールで戦いが始まる。

 

ナナカ―「それでは、フロンティア第2戦。ウィングガンダム・フルバリアvsビルドバーニングランサーガンダム天舞。バトルスタート!!」

 

フルバリアは翼を広げ、シールドの先端からエネルギーブレードを生成し斬りかかる。

向かって来るフルバリアの攻撃に対し、天舞の背中から炎の翼を生成し拳に炎を纏う。

 

時春「六道奥義 炎獄連撃!!」

 

刃が近付いた瞬間、フルバリアのシールドを弾き飛ばし、連続パンチを叩きこむ。後退したフルバリアは腹部にダメージを受けるが天舞はさらに攻撃を加える。

 

時春「六道奥義 焔影撃(ほむらかげうち)」

 

フルバリアの背後から炎を纏った回し蹴りが直撃する。

 

レア「格闘術でここまでのダメージ。流石はビルドバーニングガンダムのバリエーション機。隙がない」

時春「百鬼のリーダー、海賊狩りの名は伊達ではないぞ」

 

フルバリアは腰にマウントされたライフル2丁を手にすると天舞に向かって発砲し、間合いを調整する。

 

天舞は銃撃戦に切り替えたフルバリアに対し、背中にマウントされた黄金の装飾のされた火縄銃を構え、フルバリアに向けて発砲する。

 

時春「六道奥義 魔弾桶狭間!!」

 

赤の火炎弾を数発撃ち、その攻撃をフルバリアは避けながら天舞に近づく。

 

時春「こやつ、何を考えている?」

 

時春は疑問を持ちつつ、火縄銃に青色の弾を装填する。

 

時春「こいつを避けられたら大したものだぞ」

 

そして時春はフルバリアに標準を合わせて引き金を引く。

 

時春「六道奥義 火撃本能寺の変!!」

 

打ち出された青い炎が周辺を焼き尽くし、辺りは熱を帯びている。終わったかに見えたその目の前には

 

一本のライフルを構えた、フルバリアの姿だった。

 

時春「それが狙いか、あの一発を使わせるために‥‥‥」

 

そしてフルバリアは一本のライフルを構え、時春に突きつける。

 

レア「この一発で、貴方を倒します!!トライバスターライフル!!発射!!」

 

3連式の銃口からエネルギーが発射され、その一撃は天舞の身体を消し飛ばした。

 

だが……

 

レア「そ、そんな……」

 

あれほどの攻撃でも尚、天舞は受け止め切ってしまったのだ。

 

自らの炎を盾にして。

 

時春「勝ったと思った時点で、それは負けだ」

 

時春は腰の槍を手に、空を飛ぶと全身が燃え上がり、不死鳥を形成する。

 

フルバリアはシールドのエネルギーブレードであがきとばかりに攻撃するが……

 

時春「六道奥義 極星 不動明王!!」

 

槍が大きな炎で燃え上がり、巨大な一撃がフルバリアを直撃し、フルバリアは全身が溶解されながら地面へと落下していった。

 

そして……

 

ナナカ―「フロンティア第2戦、勝者はビルドバーニングランサーガンダム天舞、百鬼の京極さんです!!」

 

歓声と共に倒れたレアに手を差し伸べる時春。

 

時春「いい戦いだった。お疲れ」

レア「ありがとうございます、校長」

 

その後

 

立ち食いそば屋

 

レア「ごめん、負けちゃった」

紅葉「良い所まで行ったんだけど、結局海賊狩りには届かなかった。それでいいだろ?」

レア「そう考えた方が楽かもしれないね」

紅葉「それよりも、次の戦いは蒼海だから、しっかり応援しないとな」

レア「そうだね」

 

紅葉は割り箸を割って月見そばを食べ始める。

 

紅葉「とりあえず食おうぜ。十分頑張ったからな。会長」

レア「ありがとう、いただきます」

 

 

 

 

 

熾烈極めるフロンティア。第3戦の勝負、蒼海vsキョウヤ。

 

夏の大決戦はまだ終わらない。

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

 



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EP9 6弾式超電磁砲(シックス・レールガン)

レアの戦いから3日後 秋葉原のラーメン屋。

 

紅葉・蒼海・レア・凍夜「冷やし中華お願いしまーす」

 

夏休みに入って時間がほぼGBNに消え、夏の定番すら忘れてしまった男子4人はラーメン屋で冷やし中華を食べながら次のフロンティアについて語ろうとしていた。

 

紅葉「次の対戦は蒼海とキョウヤさんだったな。それなりに準備はしたんだよな?」

蒼海「勿論、今まで以上に辛い戦いになるだろうから主武装のサテライトキャノンとⅩブレードは限界までスペックをあげたよ」

凍夜「だが、相手は優勝候補筆頭のダイバーだ。油断できないよ」

レア「今の所、僕ら高校生メンバーで唯一準決勝に進んだのは紅葉君だけだからね。せめてでもこの中の一人が勝てば……」

???「ククッ……」

 

4人はその声の反応し、カウンター席の隣に振り向くと……

 

金髪の若者がこっちを向かって笑っていた。

 

???「フロンティアでそんな夢物語を語っているなら、逃げ出した方が身のためだぜ?フロンティア・ダイバー共」

 

この時、凍夜は何かを察し、驚愕していた。

 

紅葉「凍夜?」

凍夜「ま、マイザー……なのか?」

レア「ええッ!!」

???「鋭いな、そう。俺がマイザーだ。本名は、イグニス・レナートだ」

レア「イグニス・レナート、まさか……GPDの戦闘マニア。レナート兄弟の血族か!!」

イグニス「あーそうよ、俺がGBNで設立したジャックショットは元々レナート一族がGBNで戦争を起こす為にやっている非正規軍隊。周りは海賊扱いされているがそれも俺達にとっては称賛だ。俺はこのGBNを戦争国家にする。その為にはお前らを纏めて地獄に葬る。楽しみにしてろ。クックック」

 

イグニスはラーメン屋を立ち去ると紅葉は拳を握り締める。

 

紅葉「ふざけんなよ、戦争国家なんて……」

 

その様子を見た凍夜は紅葉の手を握る。

 

凍夜「GBNには善人だけじゃない。ああいう、過激派はいくらでもいる。だからこそ、君は自分の楽しさを忘れないでほしい。マイザーは、僕が討つ」

 

紅葉はさっきの怒りを鎮め、凍夜の言葉に納得する。

 

紅葉「ありがとう、やっぱりガンプラは楽しく遊ばないとな!!」

 

 

翌日 プラモ屋のGBNコーナー

 

紅葉 スチャッ「よし、行くぜ!!」

 

GBNにダイブし、フロンティア関係者ルームに行く。

 

紅葉「蒼海、絶対勝つよな?」

ツバキ「でも、キョウヤさんがそう簡単に負けると思えない。本気で戦うわ。彼なら」

 

フロンティアの特設ステージにやって蒼海がやってくる。

彼に壁の様に立ちはだかる男、クジョウ・キョウヤが蒼海を待ち構えていた。

 

相手に凄まじいプレッシャーと迫力を見せつけるキョウヤに蒼海は宣言する。

 

蒼海「貴方のこれまでの無敗伝説をここで終わらせます」

キョウヤ「無敗の凄腕ダイバーに恐れず啖呵を切るその覚悟に、僕は敬意を持って答えよう。お互い、全力を期待する」

 

両者はガンプラを召喚して乗り込む。

 

蒼海「アオミ、ガンダムⅩレイムーン!!」

キョウヤ「クジョウ・キョウヤ、ガンダムAEGⅡ・リボルバー」

 

対峙する2機のガンダムに、ナナカ―がコールをあげる。

 

ナナカ―「お待たせいたしました。フロンティア第3戦。ガンダムⅩレイムーンvsガンダムAEGⅡ・リボルバー、バトルスタート!!」

 

蒼海は背中のⅩブレードを展開し、そこから剣を引き抜き、AEGⅡに特攻する。

キョウヤもリボルバータイプのガンブレードで特攻し、迎え撃つ。

 

ガキィィィン!!

 

刃がぶつかり合い、ギリギリと音を立てながら刃を押す。

激しい剣戟が繰り出される中AEGⅡはガンブレードに弾丸をリロードし、レイムーンに向けて、発砲する。

重く、速い弾を連射するAEGⅡの攻撃にレイムーンは左足の装甲を破壊されるがレイムーンはすぐに外れた装甲を盾に、リカバリーする。

 

蒼海「こうなれば……」

 

レイムーンは装甲をキャストオフし、機動性でAEGⅡを迎え撃つ。背中のⅩブレードをもう一つ展開し、二刀流で高速移動し、AEGⅡの射撃を封殺する。

 

蒼海「これでどうだあああああ!!」

 

AEGⅡに刃が当たり、全身にダメージを与えたかに思えたが……

 

ザアアン!!

 

蒼海「そ、そんな……」

 

レイムーンの左腕をガンブレードで斬り落とし、背中のリフレクターに弾丸を打ち込んだ。

 

ガン!!ガン!!ガン!!

 

キョウヤ「高速戦で対応する考えは英断だったが、優れたプロダイバーなら当然想定できる正攻法だ。一定の速度で同じフィールドを動き回ればどこから攻撃が来るか、僕もそれぐらい予測できるからね」

 

蒼海はオプションから機体のパワーレベルを最大にすると呟いた。

 

蒼海「これ使って生きていられる保証はないけど、相手にそれなりの切り札を使わせられる攻撃になるのなら……」

 

レイムーンは背中から赤いオーラと共にリフレクターとサテライトキャノンが展開する。

そしてリフレクターはフィールド外の宇宙空間で月の光を吸収し黄金色に輝くとサテライトキャノンを構えた。

 

キョウヤ「自滅覚悟で最大出力のサテライトキャノンを放つつもりか!!だが、まともに喰らうつもりは無い!!」

 

AEGⅡは頭部を畳み、ガンブレードを背中にセットして、コマンドを実行する。

 

キョウヤ「これを使う事になるとは、AEGⅡ・リボルバー。フルブラストモード!!」

 

AEGⅡは巨大な回転式6弾倉拳銃に変形し、稲妻と共にエネルギーを充填する。

 

キョウヤ・蒼海「勝負だ!!」

 

お互い、トリガーを引き。エネルギー弾が発射される。

 

蒼海「ネオ・サテライトキャノン!!」

キョウヤ「シックス・レールガン!!」

 

ぶつかり合うエネルギーと反動で両機は全身に負荷がかかり、強力なダメージを受ける。大きな音と共に起こる地割れで崩壊するフィールドでの撃ち合いの中……

 

蒼海のレイムーンは全身を焼かれ、光と共に、沈黙した。

 

荒廃したフィールドの上をに倒れる蒼海に、キョウヤは手を差し伸べた。

 

キョウヤ「ありがとう、良いバトルだった」

蒼海「キョウヤさん……」

 

キョウヤの手を取り、蒼海が起き上がると同時に、バトルが終了する。

 

ナナカ―「フロンティア第3戦、勝利したのはクジョウ・キョウヤ、AEGⅡ・リボルバー!!優勝候補の名は伊達じゃない!!」

 

ワアアアア!!

 

歓声の中、蒼海とキョウヤは手を振って、フィールドを後にするのだった。

 

その後

 

夜7時 コンビニ前

 

紅葉「お疲れ、蒼海」

蒼海「ありがとう」

 

蒼海にフローズンドリンクを渡し、コンビニ前でそれを食べる。

 

ツバキ「残念だっただろうけど、きっと紅葉君が勝ってくれるから安心して」

紅葉「でも、次の戦いで誰が勝つか分からないから、最悪海賊のリーダーが上に上がって来る事も想像できるから次の試合が重要になってきそうだ」

蒼海「魔流凍夜、ガンプラ心形流の末裔の彼とは言え、簡単に勝たせてもらえそうにないかもしれない」

 

そんな3人が会話する中、凍夜は……

 

ガンプラ心形流 道場。

 

ガリガリガリッ!!

 

凍夜「出来た……」

 

凍夜の机には3つの武器が並んでいた。ショットガン・斧・そして巨大な槍。

 

凍夜「マイザーを倒す準備は出来た。グランブルーアーツ、対海賊用モビルスーツガンダムF91バーサーカー」

 

凍夜はドリップのアイスコーヒーにガムシロップを3つ入れて飲み干す。

 

凍夜「よし、バトルシュミレーション、開始」

 

凍夜はバイザーを付け、深夜のGBNにダイブするのだった。

 

フロンティア第4戦、それは絶望となってフロンティア・ダイバーたちに襲い掛かる。

 

紅葉たちはそれすら知らぬまま、夜明けを迎えるのだった。

 

 

 



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EP10 狂戦士vs死霊術師

キョウヤ「マイザーの正体がレナート家の人間!!」

 

凍夜はマイザーと接触したことをキョウヤたちに話すと、同席者の貴信や時春もその事実に驚きを隠せなかった。

 

貴信「GPD時代の強豪、レナート兄弟の血族が、まさかGBNの戦場で名を聞くことになるとは」

時春「レナートって言えば第7回ガンプラバトル選手権世界大会のトップ8、戦争マニアで卑劣な手も使う、まさに海賊の正体にピッタリな皮肉な人間だな」

キョウヤ「とは言え、油断のできない相手である事に変わりはない。引き続き、警戒する必要がありそうだ」

 

凍夜はこの時知らなかった、自らに待ち受ける最悪な結末、そしてそれがダイバーたちに大きな恐怖を植え付ける道具として残酷な敗北を迎える事に……

 

その頃……

 

ジュ~

 

焦げるソースの音と香り、昼時のヨリタキ家ではキッチンでツバキが焼きそばを焼いていた。

 

紅葉「・・・・」

 

その後ろで紅葉はダイバーギアでマイザーのバトルビデオを見ながら考えこむ。

 

紅葉「クロスボーンガンダム、これは何の作品のモビルスーツだ?ガンダム作品一応レンタルで見てるけどこんなの出てなかったぞ」

ツバキ「お待たせ~、焼きそば出来たよ~」

紅葉「よし、いただきます」

 

焼きそばを啜りながら紅葉はツバキに聞く。

 

紅葉「なあ、ツバキ。クロスボーンガンダムって何のアニメに出てきたモビルスーツだっけ?」

ツバキ「ああ、紅葉君が知らないのも分かるよ。原点の作品、機動戦士クロスボーンガンダムは今の所漫画作品だからね」

紅葉「あれって、漫画なのか?」

ツバキ「機動戦士ガンダムF91の続編、現状5作品までシリーズのあって、主人公は連邦じゃなくて宇宙海賊のクロスボーン・バンガードが主人公になってる」

紅葉「じゃあ、ジャックショットの海賊って言われるのはそれが理由?」

紅葉「確かにクロスボーンガンダムを使ってるからそういう風に見えるだろうけど、思想とやり方は悪人のそれだね」

 

紅葉は焼きそばを食べ終わると、ツバキに写真を見せる。

 

紅葉「俺が凍夜と二人で戦った時に撮った写真。ネクロマンサーって言われてるけどベース機何か分かるか?」

 

ツバキは写真を見るとそれに答える。

 

ツバキ「無茶振りな改造ね、クロスボーンガンダムX3をベースにX1のフルクロスのパーツと武装を装備してる。一言で言うなら……

 

クロスボーンガンダムX3 フルクロスとも言うべきね」

 

ツバキはその写真を見つめると同時に、呟く。

 

ツバキ「紅葉君、ここから先は厳しくなる。必ず、勝って」

 

紅葉はツバキに笑顔で返す。

 

紅葉「任せろ、海賊だろうが優勝候補だろうが、俺が全て倒してやる!!」

 

ピピピピッ!!

 

紅葉のポケットからガラケーの音が鳴る。紅葉はガラケーを開くとレアからだった。

 

レア「紅葉君、フロンティア戦1時間前だよ。ダイブしないの?」

紅葉「分かった、すぐ行く」

 

紅葉は手にシャイニングガンダムクオンタムを手にツバキと共に外へ出る。

 

紅葉「行くぞ、ツバキ」

 

 

PM2:00 秋葉原のプラモ屋。

 

紅葉「GBN、ログイン」

 

フロンティア関係者ルーム。

 

紅葉「待たせたな」

レア「早く座って、開始5分前だから」

ツバキ「凍夜君、頑張れー!!」

 

そしてフロンティアの特設ステージに凍夜とマイザーの二人がテレポートしてくる。向かい合い、マイザーに宣言する。

 

凍夜「お前の悪趣味な海賊ごっこをここで終わらせる。懺悔するなら今の内だよ!!」

マイザー「その綺麗事を吐いていられるのも今の内だ。さあ、戦争を始めようじゃねえか?」

 

お互いにモビルスーツを召喚して乗り込む。

 

凍夜「ガンダムF91バーサーカー」

マイザー「クロスボーンガンダムX3 ネクロマンサー」

 

ナナカ―「それでは、ガンダムF91バーサーカーvsクロスボーンガンダムX3

ネクロマンサー、バトルスタート!!」

 

凍夜「壊せ、バーサーカー」

 

その言葉と共にバーサーカーのフェイスが解放され、腰のショットガンを手に取る。

 

バーサーカー「グアアアアアアアア!!」

凍夜「グランブルーアーツ、ヒートショット!!」

 

ショットガンから高熱の火球が撃ち込まれ、ネクロマンサーのフルクロスに直撃して素材を溶かす。

バーサーカーが飛びあがり、頭上からさらに斧を振り上げる。

 

凍夜「そのフルクロスを外してもらうッ!!グランブルーアーツ、ルナバイス!!」

 

マイザー「粋がるなよ、心形流」

 

ネクロマンサーはフルクロスの下から銃を取り出し、振り向きざまに、射撃する。

 

凍夜「あれは!!」

ツバキ「ピーコックスマッシャー!!」

マイザー「ハチの巣だ、バカがッ!!」

 

不意なピーコックスマッシャーの広範囲射撃でバーサーカーはボディに傷を負う。

 

凍夜「なめるなアアアアアア!!」

 

ルナバイスをネクロマンサーにブーメランの如く投げつけると、左のフルクロスを剥ぎ取り、バーサーカーの手元に戻る。

 

マイザー「あ~あ~イタイイタイ、フルクロスを剥ぎ取られた。だがこの程度じゃあ、まだ、足りねえなあ、ああッ!!」

 

バーサーカー「グルォ、ガアアアアアア!!」

 

凍夜「ダメージが酷くなる前に何とか勝負を決める」

 

凍夜は背中にマウントされた、ランスを手に取る。するとその先端から緑のクリアパーツが出現し、粒子の風を纏う。

 

凍夜「覚悟しろ、マイザー!!、サイクロンNTDランス!!」

 

マイザー「おもしれえな、俺はこういうのを待ってたんだよ!!」

 

ネクロマンサーは巨大なトマホークを取り出し、ランスとぶつけ合う。

 

ネクロマンサー「俺にトマホークを使わせる相手はこれで6人目だ。さあ、かかって来いよ、全身ぶっ壊してやるッ!!」

 

トマホークとランスがぶつかり合うと同時にバーサーカーのパーツが飛散していく。

 

凍夜「このままじゃ……」

 

すると、マイザーはトマホークの展開を解除する。

 

ネクロマンサーはバーサーカーに近づくと、告げる。

 

マイザー「勝手に壊れちゃ、楽しくねえ」

 

凍夜「何!!」

 

ネクロマンサーはバーサーカーにカプセルを投げつける。

 

マイザー「ダメージ回復薬だ、受け取れ」

 

バーサーカーに回復薬が当たったその瞬間……

 

ガスッ!!

 

観客「!!!!!!」

 

回復薬を拾い、腰を曲げた瞬間にバーサーカーの背後を剣が貫いた。

 

ムラマサブラスターを手に持った、ネクロマンサーの手によって。

 

マイザー「心置きなく、やらせてもらう、きっと君は美味しいだろうね」

 

凍夜「何を、する気だ……」

 

ネクロマンサーはトマホークとムラマサブラスターを展開し、バーサーカーに馬乗りになる。そして……

 

バゴッギシギシッガアン!!

 

紅葉「!!」

 

機能停止した、バーサーカーの身体を二つの刃が鈍い音を立てて、切り刻む。

 

凍夜「いやぁ!!た、助けて!!助けてええええ!!」

マイザー「イイッ!!実にイイッ!!その声、恐怖心、さらに壊したくなるッ!!」

 

肢体をまるでおもちゃの様に粉々に、砕かれ、パイロット席で刃が自分を切り刻む恐怖の映像が凍夜を追い詰める。

 

凍夜「嫌だ、嫌だ、殺される、殺されるゥゥゥ!!!!」

 

観客たちはその残酷な猟奇現場同然の映像を見せつけられる。

 

観客A「なんて、惨い……」

観客B「泣き叫んでるのに、こいつ、喜んで……狂ってる……」

 

ツバキ「ひ、酷いッ!!」

紅葉「あの野郎!!」

 

紅葉は立ち上がり、ステージに乗り込もうとするが。

 

レア「無理だ、戦闘中はプロテクトがかかって入れない」

紅葉「じゃあ、凍夜どうすんだよ!!」

 

凍夜「あああああ、嫌だ嫌だあああああ」

 

フロンティアのステージに散らばるバーサーカーの身体、そしてマイザーは最後と言わんばかり左手で、バーサーカーの首を掴み……

 

バキィ!!

 

引きちぎって、モニターに向けて笑いをあげた。

 

マイザー「俺が、この世界の王だァ、ヒャハハハハハ!!」

 

壮絶な映像を見せられ、活気のあったフロンティアは一瞬にして恐怖に支配された。

 

ツバキ「あんなの、もう海賊じゃない。あいつは、マイザーは……

 

ザンスカール帝国の暴虐の王だ」

 

身体の震えるツバキ、紅葉はただそんなツバキを抱きしめ、「大丈夫」という言葉を何度も呟いた。

 

 

 

 

 

 

 



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EP11 紅蓮の激突

フロンティア第4戦から一夜明けて

 

琴羽総合病院(ことわそうごうびょういん)

 

紅葉「気分はどうだ?」

凍夜「うん、何とか落ち着いた」

 

あの後凍夜は試合の影響で理性を保てなかったらしく、すぐに病院に運ばれた。

かなり衰弱して、嘔吐もしたらしく、紅葉は関われなかったため、翌日の早朝に対面する事になった。

 

凍夜「ごめん、紅葉君。あれだけ頑張ったのに、勝てなくて……」

紅葉「気にすることねーよ、相手が悪かっただけだろ?」

 

そう言うと紅葉はビニール袋から、リンゴのゼリー飲料を渡す。

 

紅葉「今朝何も食べてないだろ?それなら食えるか?」

凍夜「ありがとう」ジュルルルルッ

 

リンゴゼリーを飲みながら、紅葉は凍夜に準決勝戦の事を伝える。

 

紅葉「なあ、凍夜。次の準決勝の対戦カード、決まったんだ」

 

凍夜「!!」

 

凍夜に戦慄が走る、凍夜に過るのは、紅葉とマイザーが戦う最悪のシナリオ。

凍夜は恐る恐る聞いた。

 

凍夜「対戦相手は!!」

 

すると紅葉はニヤリとする。

 

紅葉「事情を聴いた運営が対処してくれて、マイザーはキョウヤさんと戦うってさ。だから俺の対戦相手は校長先生になったよ」

凍夜「よ、良かった……」

 

凍夜は胸を撫で下ろし、笑顔が戻る。

 

紅葉「とりあえず、フロンティア準決勝は明日の昼2時。観てくれるよな?」

凍夜「勿論だよ、僕も今日の検査が終わったら夕方には退院するから」

 

紅葉は凍夜に大量のコンビニのおにぎりの入った袋を渡す。

 

紅葉「それはフロンティアメンバーの差し入れだ、退院したら食えるだけ食ってくれ、明日プラモ屋で待ってるぜ」

 

そう言い残すと紅葉は病室を後にする。

 

凍夜「皆に申し訳ないなぁ、しかもツナマヨから、240円の豚角煮、うわっ!!悪〇のおにぎりまで、って、半熟卵味付けダレも……、割と贅沢だな……」

 

どれも一つ200円以上する高級おにぎりだった。(多分買ったのロー〇ンとセ〇ン・イレ〇ンです)

 

翌日

 

秋葉原のプラモ屋、制作スペース。

 

凍夜 ピロローン「皆、お待たせ!!」

愛理「待ってました!!」

レア「来ると思ったよ」

蒼海「退院、おめでとうございます」

 

皆が笑顔で凍夜を迎える、そして後ろから……

 

紅葉「お、先に来てたみたいだな」

ツバキ「さあ、紅葉君の第2戦。張り切って行こ――――!!」

 

凍夜は皆の顔を見つめて伝える。

 

凍夜「昨日は本当に心配させてしまい、本当にすまない。後、差し入れの凄く高いおにぎりまで奢ってくれた事、凄く嬉しかった。本当にありがとう!!」

 

皆は立ち上がり、凍夜に駆け寄る。

 

凍夜「み、皆……」

蒼海「とりあえず、お帰り!!凍夜」

レア「心配した分、しっかり応援してよ」

 

その様子を傍らで見つめる紅葉とツバキは。

 

紅葉「皆、そろそろログインしないか?もう20分前だけど?」

 

5人「紅葉応援団、ファイヤーーーー!!」

 

そしてメンバーはGBNのマシンに乗り、GBNへとダイブした。

 

紅葉は出場者申請をしてフロンティアの特設ステージに飛ぶ。

 

そしてその目の前には……

 

時春「よくここまで上り詰めたな、紅葉君」

紅葉「こっちも譲れない約束がある、その覚悟が俺をここまで導いた」

時春「譲れない約束……か、その誇り高い意思、嫌いじゃない」

 

お互いガンプラを召喚し、乗り込む。

 

時春「その覚悟、私が打ち砕いてみせよう!!百鬼の頭は伊達ではないぞ!!」

紅葉「一度あんたとやり合ってみたかった、砕けるもんなら砕いてみろ!!本当の喧嘩を教えてやる!!」

 

ナナカ―「さあ、いよいよフロンティア準決勝第1戦。シャイニングガンダムクオンタムvsビルドバーニングランサーガンダム天舞。バトルスタート!!」

 

その掛け声で最初に動いたのはクオンタムだった。

 

紅葉「体で覚えやがれ、これがヤンキースタイルだ!!」

 

ガキィン!!

 

クオンタムの鉄拳を左腕で天舞がガードすると、右腕に炎を纏った拳がクオンタムの腹部に直撃する。

 

時春「隙を見せると命取りだ、よく覚えておけ」

紅葉「命取りはあんただぞ、校長先生!!」

 

すると、クオンタムは腕を掴み、天舞を持ち上げて地面に叩きつける。

 

時春「全く、命知らずな戦い方をする奴だ」

紅葉「喧嘩は大怪我が上等でなきゃ、やれねえだろ!!」

 

そう言うと紅葉は天舞の右腕を左回転に捻じ曲げる。

 

バキィ!!

 

千切れた右腕の場外へ捨てるとクオンタムは空を飛ぶ。

 

時春「負けてたまるかアアアア!!」

 

火縄銃を背中から取り出し、左腕でクオンタムを狙い、弾を撃つ。

 

時春「六道奥義、魔弾桶狭間!!」

 

火球を撃つと、紅葉はそれを避けながらハンドガンでを手に天舞の身体にダメージを与える。

 

時春「あのハンドガン、この威力の弾を放てるなら腕に相当なダメージが入るはずだが、何故平然としている」

 

紅葉はその疑問に答えを出す。

 

紅葉「シャイニングガンダムクオンタムは近接戦闘特化型。モビルアーマーでなければ壊れないぐらい関節を頑丈に作ってある。俺の機体は……」

 

クオンタムは腰から本命のクオンタムストレーターを抜刀し、天舞に急降下する。

 

紅葉「俺の身体、そのものだ!!」

 

天舞は襲い来るクオンタムに対し、切り札となる槍を手に体中に炎を纏う。

 

紅葉「さあ、本気で来やがれ!!百鬼の海賊狩り!!」

時春「慈悲を期待するなよ、GBNの若造オォォォォォォ!!」

 

天舞は巨大な槍を手に不死鳥へと姿を変え、突撃する。

 

時春「六道奥義 阿修羅朱雀!!」

 

巨大な炎がクオンタムを飲み込み、フィールドを一面焼け野原にする。

 

するとその炎から姿を現したのは……

 

胸にクオンタムストレーターの突き刺さった天舞と……

 

全身焼け跡だらけで腹部に槍が刺さったクオンタムだった。

 

ほぼ満身創痍のクオンタムは腹部に刺さった槍を自らの手で引き抜き、その槍を地面に突き刺した。

 

紅葉「俺の……勝ちだ……」

 

そして拳を握り締め、天に突き上げると仁王立ちの状態で機能停止した。

 

紅葉「ははっ、超無理しちまったな」

 

そして静寂に包まれた観戦者がそれを破るかのように拍手を送る。

 

会場は前回以上の歓声に包まれ、ナナカ―もコールを送る。

 

ナナカ―「何という事でしょう!!あの最強の百鬼を下し、勝利したのはシャイニングガンダムクオンタム!!紅葉選手、決勝へと駒を進めましたーーー!!」

 

すると紅葉はガンプラをしまい、瓦礫の中に横たわる時春の肩を担いで会場を後にする。

 

時春「君は凄いな、自分の身体を犠牲にしてまでも、勝利を掴むとは」

紅葉「だから言っただろ、不良やってればケガなんて日常茶飯事。慣れっこだよ、こういう戦いは」

 

二人は特設ステージから帰還し、フロンティアの関係者ルームでツバキが駆け寄る。

 

ツバキ「紅葉君、決勝進出おめでとーーー!!」

紅葉「ツバキ、ありがとう」

 

すると後を追うように仲間が集まってくる。互いに紅葉を讃え合う様子を後ろから覗くのは……

 

ナナカ―「フロンティアの戦いは憎しみだけじゃない、笑い合う喜びもある」

貴信「彼らがそれを教えてくれている。ホント、仲いいよね☆」

時春「まあ、皆が喜ぶなら今回の敗北は胸にしまっておくべきだな」

 

そして時春はキョウヤに頭を下げる。

 

時春「キョウヤさん、海賊の討伐は貴方に託す他ないようだ。あのわが校のフロンティアダイバーたちを守るために、必ず勝ってくれ。頼む……」

 

キョウヤは時春を願いを聞き入れたキョウヤは手を差し伸べる。

 

キョウヤ「君が頭を下げる必要はない。君だって海賊の抑止力として十分まだ力がある。君にはまだできる事があるはずだ。マイザーは僕に任せてくれ。君は彼らを守ってほしい。お願いできる?」

 

時春はキョウヤの手を握る。

 

時春「ありがとう、こっちも出来る限り、最善を尽くす」

 

そして、マイザーとの決戦が幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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EP12 海賊、死す。

フロンティア準決勝2回戦前日

 

ガンプラ心形流道場兼凍夜の実家。

 

紅葉・ツバキ・愛理・レア・蒼海・貴信・奈々花「お邪魔しまーす!!」

 

凍夜の自宅を訪れたメンバーたちを一人の老人が出迎える。

 

???「おお、ご友人の方々、よく来てくれた。ようこそ、心形流道場へ」

紅葉「どうも、今日は一日お世話になります」

 

深く頭を下げると老人は名刺を渡す。

 

???「私の名は魔流大乱。心形流6代目名人にして凍夜の祖父だ。皆の話は凍夜から勿論聞いている。海賊の件で手を焼かせてしまったね。ありがとう」

キョウヤ「いいえ、何より大事にならなくて良かったです。師匠」

大乱「フォッフォッフォッ、門下生以外に師匠と言われるのは、硬くせんでもいい。今日は凍夜共々、この老いぼれの食事に付き合っておくれ。今、厨房で凍夜が腕によりをかけておるはずじゃ、上がりなさい」

 

長いお寺の様な廊下を歩くメンバーは畳座敷の食堂へと案内される。

 

その先では……

 

大きな中華鍋を振るい、汗をかきながらチャーハンを炒める凍夜の姿があった。いつもの黒いフード付きのジャケットからまるで別人の如く、黒インナーと首にタオルを巻きつけている。

 

ドーム状のチャーハンを持って、食堂へと持っていくと凍夜は紅葉たちに駆け寄った。

 

凍夜「いらっしゃい、今日は来てくれてありがとう!!」

紅葉「スゲーな、凍夜って料理作れるのか?」

凍夜「ただの修業の一つ、おじいちゃんが中華にうるさいから仕込まれただけだよ」

 

机に並べられた料理、酢豚とかに玉にギョーザとチャーハンに春巻きと大皿に盛られた料理に紅葉も自然とお腹をさする。

 

凍夜「皆には助けて貰ったのとおにぎりのお礼として今日はたくさん食べてほしい。遠慮なくどうぞ!!」

 

紅葉「それじゃあ、いただきまーす!!」

レア「おお、このかに玉よく出来てるよ」

ツバキ「すごい、こんなギョーザパリパリに焼けるんだ。どうやって作ったんだろう?」

貴信「イイ酢豚だな、これぞ究極!!」

キョウヤ「こんなにおいしい春巻き初めてだ。凍夜君、白米貰えるかな?」

凍夜「大会前なのでしっかり食べてください、どうぞ」

 

食卓を囲むメンバーが笑い合う、凍夜はそんなメンバーたちに沢山の白米を配るのだった。

 

その頃

 

海賊たちは……

 

デビッツ「まさか百鬼が倒れるとはな。あの紅葉という男、侮れないっすね」

カイヨーク「あら?あいつ云々の前に私達が戦うのはあのキョウヤよ。それを心配するべきじゃないかしら?」

 

二人の後ろでビールの缶を握り潰すイグニス。彼はカイヨークに聞く。

 

イグニス「相手はフロンティアの優勝候補、そう軽く見れる奴じゃねえ。しっかり対策しとかなきゃあ、本気で戦えないだろ。使える餌は手に入ったか?なぁ?」

 

カイヨークはイグニスに写真を渡す。

 

カイヨーク「この子を使えば、貴方はチャンスをもう一度手に入れられる」

イグニス「ほう、悪かねぇな……」

 

イグニスの握る写真には……

 

ヨリタキ・ツバキが写っていた。

 

翌日

 

紅葉「GBN、ログイン!!」

 

フロンティア関係者ルームにテレポートしたメンバーは画面を前に手を握る。

 

紅葉「頼むぜ、海賊を潰してくれ……」

 

特設バトルステージにキョウヤとマイザーがテレポートしてくる。二人は鬼気迫る顔で対峙する。

 

キョウヤ「君の残虐な行為を、ここで終わらせる!!」

マイザー「御託は立派だなぁ、良いぜ、潰してやるからかかって来い」

 

お互い機体に乗り込むとその空気は一変して強力なプレッシャーがステージを包む。

 

キョウヤ「ガンダムAGEⅡ・リボルバー!!」

マイザー「クロスボーンガンダムX3 ネクロマンサー!!」

 

ナナカ―「それではフロンティア準決勝第2回戦、ガンダムAGEⅡ・リボルバーVSクロスボーンガンダムX3 ネクロマンサー、バトルスタート!!」

 

お互い合図が響くとガンブレードとトマホークを取り出し、間合いを詰めて刃をぶつける。

 

マイザー「さあ、本気で俺を殺して見ろよ!!優勝候補の凄腕ダイバァァァァァァ!!」

キョウヤ「戦争と言う愚かな行為を行う君を、僕はダイバーとは認めない!!」

 

AEGⅡは腰からもう一丁の小型のガンブレードを取り出し、発砲する。

ネクロマンサーもその攻撃を払いつつ、ムラマサブラスターをソードモードで取り出し、AEGⅡと剣戟を行う。

 

マイザー「流石に優勝候補相手じゃあ、そう簡単にいかねぇか」

 

するとキョウヤはスカウターを使い、腕をロックオンする。

 

キョウヤ「捕らえた!!」

 

AEGⅡはネクロマンサーに閃光弾を発砲し、怯んだ隙にムラマサブラスターを構えた左腕をフルクロスごと斬り落とした。

 

マイザー「やってくれるじゃねぇか、こいつはお返しだ!!」

 

ネクロマンサーはトマホークを地面に突き刺し、ピーコックスマッシャーでステージ全体を光線で攻撃する。

 

キョウヤ「くッ!!翼と左腕をやられたか!!」

 

地面に落ちるAEGⅡの翼と、二の腕に穴の開いた腕がAEGⅡの動きを阻害する。

 

キョウヤ「どの道、使う羽目になるとは思っていた」

 

キョウヤはガンブレード二つを合体させ、縦二連の大型ライフルでマイザーに狙いを定める。

 

キョウヤ「エクセリオン・エターナル!!」

 

その掛け声と共に強力な二連レーザービームがネクロマンサーを襲う。

 

マイザー「その攻撃、受ける訳ねえだろ!!」

ネクロマンサーは羽織っていたフルクロスを外しそれを盾に胸の動力部を解放する。

 

レーザービームが止まるとボロボロのフルクロスの先に、粒子砲を放とうとするネクロマンサーが立っていた。

 

マイザー「これで終わりだ、消し炭になれええええええヒャハハハハハ!!」

 

万事休すかと思ったその時!!

 

キョウヤ「行ったはずだ、君を止めると」

 

するとAEGⅡは変形し、リボルバー型になるとキョウヤはオプションを開き威力レベルを最大にする。

 

キョウヤ「慈悲だと思え、海賊ッ!!無限超電磁砲(インフィニティ・レールガン)!!」

 

互いの高威力のレーザー攻撃、だが威力を上げたレーザーはAEGⅡの身体にダメージを大きく与えていく。

 

マイザー「バカだな、それじゃあお前も道ずれだぞ!!」

キョウヤ「僕は死なない、これで最後だ!!海賊!!」

 

巨大な閃光がネクロマンサーを覆い、身体を分解していく。

 

マイザー「畜生!!だが、俺はこれで終わらんぞ、必ずお前を地獄に……」

 

そしてコントロールルームに警告表示が全てを包む、そしてマイザーは叫ぶ。

 

マイザー「覚えていろ、キョウヤアァァァァァァァァァァァァ!!」

 

それと同時にマイザーはGBNの回線を切り、姿を消す。

 

そしてマイザーは現実に戻るとビールの缶を開けて飲み干し、壁に叩きつけた。

 

イグニス「俺は負けてない、本当はこんな手を使うつもりは無かったが……」

 

イグニスはナイフを取り出し、デビッツとカイヨークに連絡する。

 

イグニス「俺だ、これより作戦を開始する。九音紅葉から……

 

フロンティア・パスを奪う!!行くぞ!!」

 

フロンティア戦後 秋葉原電気街 駐車場エリア

 

紅葉「海賊に逃げられちまったな」

ツバキ「でも、あれで懲りたでしょ。もう、野望は潰えたんだから」

 

すると二人の背後から……

 

ガッ!!

 

二人の男女が紅葉とツバキにナイフを突きつける。そして二人の前にあの金髪の男が現れた。

 

それは紛れもなく……

 

イグニス「遅いよ、君たち。退屈で俺が人殺しちゃったらどうするのさ?」

紅葉「目的は何だ、答えろ!!マイザー!!」

 

マイザーはナイフを手に、突き付けて答える。

 

マイザー「フロンティア・パスを、こっちに渡してもらおうか?」



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EP13 最悪のシナリオ

イグニス「フロンティア・パスを、こっちに渡してもらおうか?」

 

ナイフを手にして紅葉に要求するイグニス。紅葉はイグニスに憎悪をむき出しにして抵抗する。

 

紅葉「カッコ悪いな、負けを認めずに自分の欲求やエゴだけを相手に押し付けて、こんな脅迫紛いな行いしてニューゲームとか……

 

気持ち悪いぐらいの負け犬だよ。あんた」

 

ガッ!!

 

紅葉「ッ!!」

 

紅葉の顔面に拳ぶつけ、イグニスは紅葉の胸ぐらを掴む。

 

イグニス「イキってんじゃねーよ、ガキ。お前のその腐った目を抉るぞ」

紅葉「やってみろよ、抉ったら殺すだけじゃ済まないからな。俺、結構根に持つんだよ。今でも最悪な物抱えて生きてんのに、

 

ゲームごときで犯罪とか、お前の方がガキだよ」

 

この時紅葉は考えていた、怒りの矛先を自分に向けてツバキを守ろうとしていた。

イグニスへのこの発言は正論に聞こえるが特に意味は無い。紅葉の真意に気付いたツバキは紅葉を見守る事しか出来なかった。

 

イグニス「痛い目見たくなかったらフロンティア・パス渡せ。どの道逃げられねえぞ」

 

紅葉「なら、こっちの要件にも従ってもらおうか?そうすればフロンティア・パスを渡してやる」

イグニス「いいだろう、何だ?」

 

紅葉はツバキの方を見つめて答える。

 

紅葉「彼女を放せ」

 

イグニスはニヤリとして了承した。

 

イグニス「いいぜ、カイヨーク。その女を放せ」

 

ナイフを持った手を放し、ツバキは紅葉に歩み寄ろうとする。

 

その瞬間……

 

ザッ!!

 

マイザーは狂気的な笑みと同時にナイフを横に振って……

 

ツバキを背中を衣服ごと斬りつけた。

 

その場に倒れるツバキを目の前で見せつけられた紅葉の目は絶望に染まる。

 

イグニス「アハハハヒャハハヒヒャッヒアッハハハ、素直に聞くと思ったか?おめでたいやつだ。戦場でも言うだろ、敵国の人間は奴隷か見せしめだって?生きて返す訳ないだろ!!このガキィ!!」

 

この時紅葉は既に心にかけていたブレーキが完全に壊れた。怒りが頂点に達した紅葉はデビッツの腕にかみつき、拘束を解く。

 

ナイフを落としたデビッツの顔面に蹴りを一発ぶつけ、後ろから襲ってきたカイヨークを振り向きざまにパンチをかます。

 

そして二人の持っていたナイフを二つ手にすると鬼の様な覇気と顔でイグニスに宣言した。

 

紅葉「人の心なんてもういらない、道を外れてもいい、俺は今から……

 

おまえをぶっ殺す!!」

 

イグニスに襲い掛かろうとしたその時……

 

貴信「紅葉アアアア!!」

 

突如として紅葉を貴信が押さえつける。

 

イグニス「お前はッ!!」

 

ガスッ!!

 

脊髄を手刀で殴り、動きを一時期的に止めたのは

 

マイザー「てめえ、海賊狩りの……」

 

時春「キョウヤ、警察を呼んでくれ

 

キョウヤ「既に出動させた、着くまで現場の3人を取り押さえる。手伝って。それとツバキちゃんを早く病院に」

 

大人のメンバーが海賊を抑えるのを見て、紅葉は発狂染みた声で叫ぶ。

 

紅葉「ふざけんな!!そいつは俺がやるんだ!!殺すんだ!!ツバキを傷つけて嗤った、あいつを!!」

 

貴信「落ち着け、落ち着くんだ!!ツバキちゃんはそんな事望んでない、君があいつを殺したら、君もマイザーと同じ人間に堕ちるんだぞ」

 

紅葉「!!」

 

その言葉に紅葉はピクリと抵抗をやめ、その場に、涙ながらに崩れ落ちた。

 

紅葉「畜生、畜生オォォォーーーーーーー!!」

 

紅葉の叫びと同時に、救急車に運ばれるツバキを紅葉は貴信と共に追いかけた。

 

 

 

琴羽総合病院

 

貴信「落ち着いたか?」

紅葉「すみません、正気を失ってた。ありがとうございます、止めてくれて」

 

貴信は紅葉の肩を叩き、紅葉を慰めた。

 

貴信「紅葉君、君は本当に優しいよ。誰かの為に怒れること、守ろうとする事は実に素晴らしい、でも、歯止めを外したら、さっきのようになる。これだけは言わせてくれ、

 

自分の良心を、決して忘れるな」

 

紅葉は貴信の言葉を聞いて頭を掻く。

 

紅葉「フロンティア決勝戦の前に、とんでもない事やっちまったな。ホント……」

 

すると病院の奥から看護婦が紅葉の前に現れる。

 

看護婦「九音紅葉さん、彼女が目を覚ましましたよ」

紅葉「本当か?ケガは!!」

看護婦「大丈夫ですよ。幸い深くない切り傷で十分対応できました。ですがしばらくは入院となりますので外に出る事は出来ませんが大事には至りませんでした」

紅葉「良かった……」

 

その言葉に紅葉は安堵して胸に手を当てる。

 

すると病院の玄関から……

 

凍夜「ハア、ハア、紅葉君、ツバキちゃん。来たよ」

 

凍夜が息を切らして紅葉の前に現れた。

 

紅葉「凍夜、来てくれたのか?ていうかもう夜遅いけど」

凍夜「だって、二人が海賊に襲われたって聞いて、居ても立っても居られなくて」

紅葉「ありがとな、心配してくれて」

凍夜「皆の為なら、僕が真っ先に会いに行きたいから」

 

笑顔で紅葉とハイタッチする後ろで貴信は聞く。

 

貴信「今、ツバキちゃんとは面談できますか?」

看護婦「勿論、可能ですよ。ですが時間的に話せて30分ですが」

 

凍夜「僕も行っていい?渡したい物あるんだけど」

紅葉「分かった、一緒に行こう」

 

二人はエレベーターに乗り、ツバキのいる部屋へと向かった。

 

ガラッ!!

 

ツバキ「あ!!紅葉君、貴信さんに凍夜君まで!!」

紅葉「とりあえず、なんともなくて良かった……本当に……」

 

今にも泣きそうな紅葉にツバキは静かに伝える。

 

ツバキ「私も、紅葉君が無事でよかった。それに紅葉君は十分守ってくれたよ。だから泣く必要なんてないよ」

紅葉「ありがとう、何とか元気取り戻せたよ」

 

すると貴信はスマホでカレンダーを見ながら呟く。

 

貴信「ダメだな、フロンティア最終戦まで後5日。ツバキちゃんに何とか試合だけは見せてあげたいがどうしたものか……」

ツバキ「あちゃ~、その発言だと私しばらく入院っぽいね~」

 

すると凍夜はニヤリと口元で笑い、紙袋をツバキに渡す。

 

凍夜「そうだろうと思って、準備はしておいたよ。これ、貸してあげるよ」

 

紙袋を開けると中にはバイザー型デバイスが入っていた。

それを見た貴信は驚愕する。

 

貴信「それって、ヤジマ・ソリューションズが来年発売する携帯型のバーチャル端末。VN-001じゃないか!!何故持ってるんだ!!」

凍夜「まだ開発中のプロトタイプだけどおじいちゃんのコネで試験用に手に入れた物を持ってきた。これを使えばログインを介さずにGBNの世界観に入ることが出来る」

 

ツバキは嬉しそうな顔で凍夜に聞く。

 

ツバキ「これ、本当に使っていいの!!」

凍夜「勿論、これで紅葉君の最終戦を応援して」

ツバキ「ありがとう!!」

 

凍夜「それじゃあ、僕はここで失礼するよ」

貴信「僕もそろそろ」

凍夜「おう、また会おう、じゃあな」

 

二人きりになった病室の中で紅葉はツバキの手を握る。

 

ツバキ「どうしたの?急に?」

紅葉「なんか、愛おしく思えてさ」

ツバキ「もしかして、怖い?負けるのが……」

紅葉「怖いさ、でも、心のどこかでワクワクしてる。ここまで来たんだって、思うと……」

 

ツバキは紅葉の頬を撫でる。

 

ツバキ「紅葉君がやりたいようにやればいい、私は止めたりしない。必ず……

 

必ず優勝して、二人でGBNの王になろう」

 

紅葉「ああ、絶対に勝つ。期待しててくれ」

 

そう言ってツバキの手をそっと放して、紅葉は覚悟に満ちた顔で病室を去っていった。

 

 

 

 

 

5日後

 

秋葉原のプラモ屋

 

紅葉「行くぜ」

 

フロンティア・パスで最終決戦の地に立つ紅葉。目の前に立つクジョウ・キョウヤを前に宣言する。

 

紅葉「この戦いには、背中を押してくれた仲間の想いが俺をこの地に立たせている、どんなに強くても、この剣は決して折れねえぞ!!」

 

キョウヤ「その覚悟、僕の全身全霊を持って迎え撃とう。その剣で、僕を超えてその覚悟を証明してもらおう!!」

 

紅葉・キョウヤ「俺/僕はッ!!絶対に負けないッ!!」

 

 

 

 



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EP14 激戦の果てに迎えた最期

ツバキの病室

 

ツバキはバイザーを装着し、ベッドに横になる。

 

ツバキ「頑張って、紅葉君」

 

紅葉を信じながらツバキはフロンティアを観戦する。

 

その一方

 

戦場に立つ二人のダイバー、二人の呼吸の一つから脈の感覚まで衝動が全てを支配する。

 

会場の観戦者静かな覇気と闘志を肌で感じ、声の一つすら飲み込む。

 

 

 

そしてその静寂を斬って、合図をしたのは……

 

紅葉「始めるぞ」

 

その静かな発言と共に、紅葉は腕を天に突き上げて指を鳴らすとその背後からシャイニングガンダムクオンタムが出現する。

 

キョウヤ「ああ」

 

それと共鳴するかのようにキョウヤは腕を組んで仁王立ちすると背後にガンダムAEGⅡ・リボルバーを召喚する。

 

お互いが機体に乗ると、ナナカ―の合図が会場に響く。

 

ナナカ―「それではフロンティア決勝戦!!シャイニングガンダムクオンタムvsガンダムAEGⅡ・リボルバー、バトルスタート!!」

 

その瞬間強烈な足踏みでお互いが剣を引き抜き、擦れ違いざまに斬り合って衝撃を起こす。

フィールドのバリアにノイズが入る程の居合斬りと同時に振り向きざまに銃を向けてお互いに連射する。

 

キョウヤ「紅葉君、これが……君の、心の痛み……」

 

銃弾で顔半分が吹き飛んだクオンタムからは赤いオーラが漲っていた。

 

紅葉「俺が背負った罰、その贖いは……俺が勝ち続ける事だ!!」

 

その叫びと共に、クオンタムはクオンタムストレーターを手に飛び上がり、AEGⅡに斬りかかる。

AEGⅡは攻撃をガンブレードで阻止すると、クオンタムはAEGⅡの腕を掴み、クオンタムストレーターを手放して、逆方向に腕の関節を曲げた。

 

キョウヤ「しまった!!」

 

紅葉はキョウヤに叫ぶ。

 

紅葉「俺が、勝つんだ。あいつの好きだったこの世界から、あいつの存在を消さない為に……」

 

紅葉はクオンタムストレーターを拾い、キョウヤを寄るとそれを突きつける。

 

紅葉「こんなの俺の我儘なのはわかってる、でも……

 

傷つけられてこんな想いするなら、何を言われても俺は構わない!!例え、どんなに残酷でも、俺はこの世界で皆といるための希望になるなら、俺はあんたを敵として迎え撃つ!!」

 

紅葉の大切な物の為に自ら悪に徹しようとする紅葉にキョウヤは叫ぶ。

 

キョウヤ「やはり、君はどこまでも命知らずだね。でも僕だって誰かが傷つくだけの世界は認めない。でも、……

 

その理想の為に、自分がどうなってもいいなんて、悲しすぎるよ。紅葉君」

 

紅葉「ならどうする?」

 

キョウヤ「君を止める、凄腕ダイバーとしてじゃない、君の理解者として!!」

 

そしてお互いは剣を振りかざし、火花を散らす。剣戟の中で全身を切り刻まれていく両機、ダメージすらも厭わないただ、信念と刃が傷つけあう戦い。

 

そして満身創痍のクオンタムとAEGⅡは最早動くのが精一杯の状態となり、これを好機と見たキョウヤはリボルバーモードに変形する。

 

ツバキ「まずい、あれを受けたら!!」

 

クオンタムは背中のタクティカルアームズを展開し、剣に変形すると身を守るように目の前に突き刺す。

 

紅葉「来いよ、俺はまだ倒れない!!」

キョウヤ「ここで終わらせる、君は仲間の所へ返す為に!!」

 

弾倉が回転し、キョウヤは叫ぶ。

 

キョウヤ「受けてみろ、6弾式超電磁砲(シックスレールガン)!!」

 

キョウヤの一撃が放たれ、クオンタムをその攻撃を逃げる事無く受ける。タクティカルアームズを貫き、クオンタムにその攻撃が直撃した。

 

そしてツバキの視界に映ったのは……

 

ツバキ「そんな、紅葉君……」

 

胴体に穴が開き、全身のレッドフレームにヒビが入った、余りにも凄惨な状態のクオンタムだった。誰もが最早、再起不能だと確信する中……

 

紅葉「ツバキ……ごめん……情けねえけど……」

 

紅葉は静かにツバキに通信をかけた。

 

ピピッ!!

 

ツバキはバイザーからの連絡に気付くとマイクをオンにする。

 

紅葉「ツバキ……」

ツバキ「紅葉君!!」

 

紅葉はツバキに伝える。

 

紅葉「ごめん、約束、果たせそうにないや……ここまで来て情けないけど、悪人やっても善人やっても、お前の望み、叶えられそうにないや」

ツバキ「そんな……」

紅葉「どこで間違えたんだろうな、この世界で勝てるはずの無い喧嘩吹っ掛けて、自分で意味の無い事を正しいと思い込んでる」

 

ガンッ!!

 

コントローラーを殴りつけて紅葉はツバキに問う。

 

紅葉「なあ、ツバキ、俺はお前の為にどう償えばいい、何を差し出せばいい、もう後戻りできない俺は……何をすれば許されるんだ……答えてくれ、ツバキ……」

 

ツバキは優しく紅葉に伝えた。

 

ツバキ「私は何も求めないよ、ただ、紅葉君が近くで戦ってる。そしてGBNを心から楽しむ。そんな紅葉君に私は何も望まない。ただ一つ、望むなら……」

 

するとステージの背後から飛び上がる、一人のダイバー現れる。

 

それは紛れもなく、ツバキだった。

 

クオンタムの機体に飛び乗り、紅葉の背中を抱きしめる。

 

紅葉「ツバキ、なんで?!」

ツバキ「話はあと、そして……」

 

紅葉の手を握り、叫ぶ。

 

ツバキ「私の望みは、紅葉君と、前に進む事!!それが私と紅葉君の唯一の願い!!」

紅葉「行こう、ツバキ!!」

 

キイィィィン!!

 

そしてアストレイが再起動してゆっくりと立ち上がる、そして手にしたタクティカルアームズを手にそれをアローモードへと変形させる。

 

紅葉「過去を超えて今へ、」

 

ツバキ「今超えて未来へ」

 

紅葉「繋いだ心と手は」

 

ツバキ「繋いだ希望と想いは」

 

紅葉・ツバキ「全てを超える一撃となる!!」

 

アローモードに限界のエネルギーが充填され、二人は叫ぶ。

 

紅葉・ツバキ「限界の壁を貫け!!最後の閃光!!

 

次元天翔!!クオンタム・オーバーフロー・シューティング!!」

 

 

キョウヤ「その覚悟、その想い、こちらも全身全霊で受け止めよう!!」

 

AEGⅡは再び、充填し、一撃を放つ。

 

キョウヤ「無限超電磁砲(インフィニティ・レールガン)!!」

 

巨大なエネルギーの衝突、ステージどころか周囲の街すら飲み込むその反動は巨大な龍のような形となって青空へと消えていった。

 

そして周囲が破壊された、街には……

 

全身がパーツが全て破壊され、胴体と頭部だけが残ったクオンタムの姿があった。

 

クオンタムを収納すると中から紅葉とツバキが現れる。

 

二人が目にしたのは激戦を経て、勝ち残った。AEGⅡとキョウヤだった。

 

ナナカ―「ふ、フロンティア最終戦、この戦闘に勝利したのは、クジョウキョウヤ選手!!よってこのフロンティアの最終的な世界チャンピオンはキョウヤ選手だーーーーーー!!」

 

ワアアアアアア!!

 

観客の歓声と花火が大きく街を彩る。

 

そんな中で紅葉とツバキにキョウヤは聞く。

 

キョウヤ「紅葉君、君は十分ツバキちゃんを大事にしてると思う。君はこの先、ツバキちゃんと共に前に進み続ける覚悟はあるかい?」

 

紅葉は笑顔で答える。

 

紅葉「その為の、GBNの俺だよ。ツバキと共に、この世界でやりたい事をやる。それが俺の望みです」

ツバキ「助けられました、キョウヤさん。いや、チャンピオン」

 

キョウヤ「礼を言うのはこちらの方だよ。ところでツバキちゃん、病院にいるはずの君が何故ここに?」

 

ツバキは頭を手に当てながら、答える。

 

ツバキ「実は試合の途中、貴信さんの車に乗せてもらって……今紅葉君の隣でログインしてます」

紅葉「ええ!!」

キョウヤ「まさか、病院から抜け出してきたのかい!!」

ツバキ「一応外出申請は出したよ、後1時間ぐらいで病院に戻らなきゃいけないけど」

 

紅葉はツバキの行動にやれやれと思いつつツバキの手を掴む。

 

紅葉「時間無いならすぐログアウトするぞ」

キョウヤ「それじゃあ、僕はインタビューと任命式あるから」

 

紅葉はキョウヤに伝える。

 

紅葉「この世界を頼むぜ、チャンピオン」

 

そしてログアウトした二人はバイザーを外し、お互い顔を向ける。

 

紅葉「ありがとう、俺の近くで応援してくれて」

 

ツバキは紅葉の手を握り、顔を近づける。

 

ツバキ「紅葉君は私に大きな夢を見せてくれた。きっと、ずっと忘れない出来事になる。そして、もう一度始めよう。私達のGBN」

 

そして紅葉はツバキの頭を触るとツインテールで顔を隠して、ツバキに顔を近づけた。

 

その直後にツバキは口を押えて真っ赤な顔になる。

 

紅葉「この後、病院に戻るんだろ。その前にやっておきたかった。誰にも言うなよ」

 

紅葉の行動にツバキは頬を手で覆う。

 

(だ、大胆すぎるよ……紅葉君)

 

紅葉はツバキをエスコートして外に出る。

 

紅葉「俺達のGBN、きっと楽しいだろうな」

 

ツバキ「楽しいに決まってるよ、だって、紅葉君と皆と一緒なら!!」

 

 

 

 

 

紅葉の運命を決めた真夏の出来事、ガンダムワールドフロンティア。敗北に終わった彼は新たな想いと理由を胸に、仲間と共に前へ進んでいく。

 

真夏の終わりに、一つの歴史が生まれるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 



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EP15 紅葉の旅立ち

夏休みも残すところ後10日、フロンティアを終えた紅葉は漫画「シャアの日常」を読みながら焼きそばパンを食べていた。すると……

 

ピピピピピピピピピピピッ!!

 

いきなり紅葉のポケットのガラケーから着信音が鳴る。

 

だが、紅葉には身に覚えのない電話番号だった。

不審に思いつつも紅葉は電話を出る。

 

紅葉「どうも、紅葉です」

???「あー……何というか、久しぶりだな。紅葉」

 

その瞬間、紅葉は嫌な顔をする。

 

紅葉「まさか、親父か」

???「そうだ、九音切芳だ」

 

紅葉は冷たく切芳に告げる。

 

紅葉「母親殺しが今更なんだ?逃げた俺を連れ戻そうとか考えてんじゃないだろうな?俺は戻らないぞ」

 

切芳はその発言に息を堪えつつ、紅葉に要件を言う。

 

切芳「秋葉原のクロマツ電気の前に来なさい、そこに私がいる。話を聞いてくれ」

 

紅葉は5秒の沈黙の後、静かに……

 

紅葉「わかった」

 

そう告げて紅葉はガラケーと財布を手に秋葉原の街に出向いた。約束の場所に来ると白い服を着た、コーヒーを嗜む40歳ぐらいの男性が紅葉を見る。

 

切芳「何年ぶりかな、君の姿を見るのは」

紅葉「とりあえず、何が言いたいんだ。親父、さっさと話せ」

切芳「まあ、そう言うな。車に乗って話をしよう、これから向かう所について来てくれ」

 

二人は車に乗ると運転手に合図する。

 

切芳「ヨリタキ君、車を出しなさい」

紅葉「よ、ヨリタキって!!」

切芳「ああ、ツバキのお父さんだ」

 

すると切芳はパソコンを開き、映像を表示する。

 

切芳「君のフロンティア戦、観させてもらったが、やはり私と同じだな」

紅葉「一緒にされたくねえよ、特にあんたとはな」

切芳「いいや、一緒だ」

 

重たく切芳の言葉が出ると彼は語った。

 

切芳「全部、話そう。君の枷を解くためにも」

 

紅葉は切芳の目を見てその話を聞くことにした。

 

切芳「3年前、君の母親が無くなる1ヶ月前に、私は君の様に絶望していた」

紅葉「!!」

切芳「君の母親、九音遥の余命が一ヶ月だと知った私は遥を死なせたくない衝動で沢山の医者に頭を下げた。一日過ぎる度に失う恐怖に私は苦しめられていた。それでも救えると考えた私は多くの外国の名医に話をしたが門前払いにされた。

 

心身共に絶望した私は全てを諦めて……

 

逃げ出したんだ」

 

紅葉がこの時目撃したのは、涙を流して家族の最後の写真を見せる。

 

切芳「私が無力なせいで遥を死なせてしまった、逃げ出した僕には彼女と会う権利は無い。君が言う通り、私は母親殺しだ。決して許されない。だから僕はあの時、病室にいなかったんだ……」

 

紅葉は切芳の言葉を聞いて肩を叩く。

 

紅葉「何で、そんな大事な事を今まで話さなかったんだ?俺の三年間、話せば変わってたはずなのに、どうして!!」

 

切芳は今までの話さなかった理由について答えた。

 

切芳「怖かったんだ、母親の事で恨まれるのが。それに君をヨリタキ家に預けたのは君に母親の事を忘れて幸せになってほしかった。だから話せなかったんだ」

 

紅葉は父親を見て感じる。自分が守ると言い続けてきた弱者は自分の父親であり、自分もその一人である事を、あの時抗い続けて手に出来なかった人間が、身近な家族として、すぐそばにいた事を。

 

切芳の想いを聞いた紅葉は告げる。

 

紅葉「よく頑張った、そう思うよ。父さん」

切芳「!!……」

 

切芳は紅葉に聞く。

 

切芳「許してくれるのか?」

紅葉「ああ……」

切芳「ありがとう……」

 

親子の擦れ違いを解消した紅葉と切芳、すると窓から見える大きなビルに向かって行く。

 

車を降りるとその入り口には……

 

紅葉「ここって……」

 

ヨリタキ「ヤジマ・ソリューションズの開発施設、ガンプラバトルの始まりの場所だ」

 

そして切芳はカードを見せる。

 

切芳「そして私こそがこの研究施設の開発主任だ。これから君に渡したい物が2つある。ついてきなさい」

 

扉にカードをタッチして3人は中に進んでいった。

 

研究施設の進む中でヨリタキが紅葉にある事を伝える。

 

ヨリタキ「紅葉君は、ツバキちゃんがGBNを始めた理由とか、何か聞いてる?」

紅葉「ガンダム好きだからじゃないのか?」

ヨリタキ「今存在してるGBNという世界は、最初に試験的に招待された1000人のプレイヤーのベータテストから土台が出来ている。そしてその1000人のベータテスターの一人がツバキちゃんだ」

紅葉「ええっ!!あいつそんな最古参か!!」

 

切芳は紅葉の様子を見つつ、含みのある笑みを見せる。

 

切芳「着いたぞ、この扉の先だ」

 

開いた扉の先には、一つのプレゼントボックスと真っ黒なショーケースが置かれていた。

 

切芳「紅葉君、このショーケースに触れてみなさい」

 

紅葉はショーケースの表面に触れると壁が消えて……

 

中から一機のガンプラが姿を現す。

 

切芳「ダブルオーアクセラレータ、GBNのベータテスト時に君に渡したかった。紅葉専用の機体だ、本来ならあの日、紅葉にこれを使ってベータテストで遊んでもらおうと思っていたが、何年もここに保管したままだった」

 

紅葉はガンプラを手に取ると、それを紅葉は嬉しそうな目で見つめた。

 

切芳「そして、二つ目はもっとすごいぞ」

 

紅葉は受け取ったプレゼントボックスを開けると中から白い箱が現れ、それを開けると……

 

紅葉「これ、スマートフォン……」

切芳「今の若い世代の中でガラケーはもう通用しないだろう、そのスマホは前日に紅葉と私の名義で買った物だ。責任者は私だから、君の好きなように使いなさい」

 

紅葉は二つのプレゼントを受け取り、それを手に切芳に頭を下げた。

 

紅葉「父さん、ありがとう」

 

その様子を見た、ヨリタキは紅葉の肩に手を乗せる。

 

ヨリタキ「そろそろツバキちゃんが心配する頃だと思うから、家まで乗せてくよ。ツバキちゃんの事、よろしく頼む」

 

 

研究所を後にして紅葉は家の玄関を開けるとツバキが出迎える。

 

ツバキ「お帰り、紅葉君」

紅葉「ただいま」

ツバキ「どうしたの?凄く嬉しそうだね」

 

紅葉はポケットから自慢のスマホを手にツバキに聞いた。

 

紅葉「なあ、LAIN、教えてくれよ」

 



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EP16 さらば、夏……

夏休みも残す所後3日、秋葉原は夏最後のイベントである納涼花火大会を翌日に控えていた。

 

そして紅葉はいつものプラモ屋で大量のガンプラパーツを前に悩んでいた。

 

紅葉「武装はGNソードⅡとして他にも武装が欲しいな、とりあえずシステムとしてオーライザーは購入、とりあえずヒートナタとGNソードⅢ、ついでにビームライフルも追加しておくか」

 

パーツを手に紅葉はレジに向かう。

 

店長「大分買ったね?これぜんぶダブルオーアクセラレータに使うのかい?」

紅葉「あのガンプラ大分古いモデルだから、今のガンプラと互角に戦えるぐらい強くしたいんだ。これから制作手伝ってくれる友人の家に行く予定」

 

すると店長はレジのバーコードをピッと読み込むと会計表示が3000円近くあった

のにも関わらず、ゼロになった。

 

店長「持ってけ、フロンティア戦のご褒美だ」

紅葉「えええええ!!店長マジで言ってんのか?!」

店長「言ったはずだ、ガンプラを愛する客には俺は優しいと。このパーツはお前にくれてやろう。これからも頑張りなさい」

 

紅葉は余りの嬉しさに店長に頭を下げる。

 

紅葉「ありがとうございます!!」

 

荷物を抱えて紅葉は笑顔で店を出ていった。

 

するとそこに……

 

愛理「あ、紅葉先輩」

紅葉「ああ、愛理か。今日は買い物?」

愛理「はい、新しいガンプラ作ろうと思って」

紅葉「自分で?」

愛理「凍夜君に手伝ってもらおうと思ってるんです」

 

すると紅葉はフッと笑い、愛理を誘う。

 

紅葉「実は俺も凍夜に頼んでガンプラ作ってるんだ、これから家に行くなら一緒にどうだ?」

愛理「それじゃあ、ご一緒しましょう」

 

 

 

ガンプラ心形流道場・魔流の家

 

凍夜「まさか、愛理ちゃんも来るなんてね」

愛理「凍夜君に新しいガンプラの製作手伝って欲しいんだけど」

凍夜「喜んで引き受けるよ、その前にまず紅葉君のガンプラ完成させないと」

紅葉「期待してるぜ」

 

そして3人はガンプラを開封し、制作に取り掛かった。

 

様々な武装をマウントするパーツやオーライザーの大改修、ダブルオー本体のバランス調整などを行うこと2時間、凍夜の指導もあってようやく完成した。

 

紅葉「出来た、これが俺の新機体…

 

ダブルオーアクセラレータライザーだ!!」

 

凍夜は完成したガンプラを見て紅葉を褒める。

 

凍夜「十分心形流の技術を生み出せている。流石は紅葉君だ」

 

すると紅葉はポケットからスマホを取り出してガンプラを撮影する。すると愛理は紅葉に聞く。

 

愛理「スマホ買ったんですか?」

紅葉「父さんからのプレゼント。まだまだ覚える事は沢山あるけどとりあえずLAINとカメラ、ツウィッターとグーブルは使えるようになった」

凍夜「じゃあ、僕の連絡先、教えてあげるよ」

愛理「私もぜひ!!」

紅葉「よし来た!!」

 

PM9:00 ヨリタキ家

 

ツバキ「見れば見るほど絶妙なエッジのかかった心形流的造形。流石凍夜君」

紅葉「凍夜のおかげでカッコイイガンプラに仕上がったからな。感謝したいぐらいだ」

 

するとツバキのスマホにレアから通知が入る。

 

ツバキ「おお、見つけたみたいね」

紅葉「何が?」

ツバキ「だから、明日の花火大会の場所探し、お願いしてたの」

紅葉「ああ、花火大会か。場所はどこ使うって?」

 

ツバキ「なんでも……」

 

時春『毎年我が校の上階は花火がよく見えるイベントスポットだ。今まで私だけで見ていたが今回は特別に君たちに開放してあげよう』

 

ツバキ「だってさ」

紅葉「いや、それってただフロンティアメンバーで花火見たいだけなんじゃ……」

 

時春の感情を察しつつ二人は眠りについた。

 

翌日

 

ツバキ「じゃーん!!ツバキ浴衣モード」

愛理「今回の為に二人で新調したんだけど、どうかな?」

4人「めっちゃくちゃ可愛いです!!」←健全男子共である

 

コンビニ前でアイスを食べつつ、手に持ったビニール袋には冷たい飲み物が沢山入っていた。

 

レア「花火大会と同時に貴信さんが夕飯用意してくれるなんて気前がいいよね♪」

蒼海「3階の調理室で何作ってるのかな?」

凍夜「まあ、今回の花火大会はフロンティア戦の打ち上げも兼ねてるってキョウヤさんが言ってたからね」

紅葉「まあ、折角の夏休みの終わりぐらい派手に騒いで終わろうぜ」

ツバキ「皆~そろそろ行くよ~」

愛理「こっちですよ~」

 

 

そして学校で……

 

6人「失礼しまーーーーーーーす!!」

 

時春「皆、待ってたぞ」

キョウヤ「先に頂いてるよ、貴信君、カレールーおかわり」

奈々花「こっちもおかわり~」

貴信「了解!!」

 

皿に盛られたのはカレーだった。メンバーはそれを見て目を輝かせた。

 

紅葉「西狩さんの手作り?スゲー美味そう」

貴信「フロンティア戦おつカレーって事でね、まあいくらでも食べてよ」

 

5人「ああ……」

 

強烈なスベリネタでリアクションの薄い5人。

 

カレーを受け取り、早速食べてみると……

 

ツバキ「ナニコレ!!凄く美味しい」

レア「何ともマイルドで濃厚なんだ、何を使ったらこれほどの味が……」

 

自慢げに貴信は答えた。

 

貴信「ビーフタイプに市販のマンゴーソースと隠し味にチーズを使ってるんだ」

凍夜・紅葉 ガツガツガツガツッ「おかわり!!」

キョウヤ「二人とも、もう4皿目に入ってるけど」

貴信「おお!!よく行くなあ、究極とか言っちゃうほどの食べっぷりもっと見せてよ!!」

紅葉・凍夜「ごちそうになります!!」

 

そんな二人を見つめながら奈々花はチューハイの缶を開ける。

 

キョウヤ「今日、よく飲みますね」

奈々花「こっちだって、フロンティアと教員の仕事の二重生活終わってようやく飲めるんだからガンガン行ってもいいじゃない?」

 

そして缶チューハイを豪快に飲み干し、缶を叩きつけると叫ぶ。

 

奈々花「あーーーーーーー!!やっぱ夏のチューハイ効くーーーーー!!」

 

ツバキ「あんな女性にはなりたくないなあ」

愛理「はい……」←冷めた目付き

 

凍夜「お!そろそろ打ち上げ10秒前だって」

紅葉「皆、窓に集まれ!!」

 

ゴーサインを出して窓に集まる面々、そして空に……

 

大きな音と共に花火が夜空を彩る。学校から見る花火の景色は壮大な光の世界で紅葉たちは見とれていた。

 

時春「こうして皆で見る花火は私の夢だった、今この光景に私は温かさを感じている」

 

時春の言葉にキョウヤは彼の肩を叩いて伝えた。

 

キョウヤ「来年もやればいいじゃないか」

紅葉「俺達も参加しますよ」

 

メンバーは全会一致でその意思を示した。

 

京極「今年の夏は忘れない物になる、皆、フロンティア戦、ご苦労だった!!ありがとう!!」

 

全員「イエーーーーイ!!」

 

花火の空を見上げ、全員がジュースのボトルを天に突き上げて、夏に終わりを告げた。

 

 



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EP17 日常の中の紅葉

9月

 

夏休みが明けて1週間、テストも終わり、ようやくいつもの日常に戻っていた。

 

紅葉「う~寒ィ……気がついたらもう、秋なんだな」

 

食堂前の自販機でスポーツドリンクを飲みながらスマホを触る。

 

ツバキ「紅葉君、お待たせ」

凍夜「待たせたね」

 

通学カバンを手に紅葉に駆け寄る二人、紅葉はペットボトルをゴミ箱に捨てて3人で帰路へとついた。

 

その途中、いつものプラモ屋に入るとあの3人が待っていた。

 

レア「やあ、遅かったね」

 

レア・蒼海・愛理の3人が出迎える。凍夜は愛理の隣に座ると黒い箱を取り出す。

 

凍夜「愛理ちゃんの言ってた物、予定より遅れちゃったけど完成したよ」

愛理「ありがとございます、色々任せっぱなしにして……」

凍夜「気にすることないよ、その分頑張って作った傑作だから」

 

黒い箱を開けると、そこには……

 

紅葉「そのガンプラ、まさか……」

 

凍夜「これが僕の作った愛理ちゃん専用機

 

ガンダムスローネ・クワトロネイルさ」

 

メンバーは興味津々で機体を凝視する中、紅葉は思い浮かぶ。

 

紅葉「スローネってダブルオーの機体だよな?」

ツバキ「作中では3機存在していてアイン・ツヴァイ・ドライがある。その中でもこの機体はスローネシリーズのドライをベースにしてるわね」

 

そして凍夜の機体説明に入る。

 

凍夜「テーマとしてトランザムによる分身機能と両手に備えられたクロー、マウントされたハンドガンに鎖付きナイフなどの軽装備で主に奇襲特化でチューニングしてある。以前に愛理ちゃんのリトル・バクゥの戦闘記録から愛理ちゃんの戦闘スタイルは相手の不意を突く戦い方が多かったからね」

 

凍夜は解説を終えるとトンカツ風の駄菓子を取り出して口に咥える。

 

紅葉「やっぱり、凍夜には敵わないな」

レア「え?どういう意味ですか?」

 

紅葉はメンバーにある事を伝える。

 

紅葉「俺さ、機体変えたんだ。父さんがくれたモデルを元に凍夜に手伝ってもらいながら作った俺の新たな相棒」

 

紅葉は鞄からガンプラを取り出す。

 

紅葉「それがこのダブルオーアクセラレータライザーだ!!」

レア「ダブルオーモデルの新機体!!」

 

誰もが驚きを隠せないが凍夜は紅葉の機体を見て何やら嬉しそうだった。

 

愛理「嬉しそうですね、凍夜君」

凍夜「ああ、紅葉君のガンプラ作ってから考えてたんだ」

 

凍夜は紅葉の腕を掴み、お願いした。

 

凍夜「紅葉君、僕も新しいガンプラに変えようと思ってるんだ。ベースになる機体、紅葉君に選んでほしい」

 

紅葉は凍夜の話を聞き入れる立ちあがる。

 

紅葉「わかった、じゃあちょっと販売コーナー見てみようか?」

 

その様子にツバキは明らかな嫉妬のオーラを滾らせ、紅葉の後をついていった。

 

紅葉「それじゃあ、これベースの機体が俺は良いと思う」

凍夜「ダブルオーアクセラレータライザーといい勝負になりそう」

 

背後でツバキは……

 

ツバキ「凍夜ばっかり、私の事も見てほしいんだけど……」

 

ツバキはスマホを握り、呟く。

 

ツバキ「こうなったら……」

 

PM9:00

 

紅葉「それで、二人で寝るのか」

 

布団の中で眠る二人、紅葉の眠る布団にツバキが入り込む。

 

ツバキ「紅葉君には私を抱いてほしい、ねえ?ダメ?」

 

紅葉はツバキの身体を抱く。

 

紅葉「やっぱり、夜じゃないとこうしてツバキの事、好きに出来ないだろ?」

ツバキ「恋人同士ならもっと堂々とすべきでしょ?」

紅葉「俺は白昼堂々女の身体を触る様な度胸はない。ツバキの身体に、こんな事昼間に出来ないだろ?」ムニュッ!!」

 

ツバキ「アアッ!いきなり……」

紅葉「あ、ごめん」

ツバキ「あ、謝らないでよ」

紅葉「何だよそれ、嫌だったんだろ?」

ツバキ「そうじゃなくて、紅葉君になら何されても良いんだから、もっとやりなさいよ」

紅葉「え、ああ……その……」

 

お互い顔を赤くしたまま時間が過ぎていく。

 

紅葉とツバキがイチャついてるその頃……

 

 

ガンプラ心形流道場 凍夜の作業部屋

 

凍夜「まさか、紅葉君がこんなピーキーな機体を選ぶとはね」

 

作業デスクでマ〇ド〇ルドのチーズバーガーを食べる凍夜。食べ終わると包み紙を捨て、紙袋からガンプラを取り出す。

 

紅葉『俺の機体と互角にやり合えるガンプラを凍夜に持っていてほしい。だからHGCEのこれ、ストライクフリーダムガンダムが俺の求めるガンプラだ』

 

凍夜はストライクフリーダムガンダムのパッケージを数秒眺めると箱を開けて工具を取り出す。

 

凍夜「心形流道場後継者として、紅葉君に負けないガンプラを作って見せよう」

 

凍夜は作業に取り掛かり、パーツをニッパーで切り始めた。

 

 

 

 

翌朝

 

紅葉「おお!!モミジが色付き始めたな」

ツバキ「凄く綺麗、もう秋が近付いてるね」

 

紅葉は赤のジャケットを羽織ると財布とスマホを持って玄関に向かう。

 

紅葉「秋葉原の街を散歩してくるよ」

ツバキ「間違っても他の女の子引っ掛けないようにね」

紅葉「わかってるよ」

 

秋葉原の街に出た紅葉、その一方で道場では凍夜が制作作業を終えていた。

 

 

 

 

凍夜「完成した、僕の真の相棒……

 

ストライクアドヴァンスフリーダムガンダム」



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EP18 超☆絶&革☆命

AM7:00

 

貴信の住むアパート

 

ジリリリリッ!!カチッ!!

 

貴信「ああ……」

 

貴信は常にアラームを7時にセットする。起床後、ベッドから離れて腕立て伏せとスクワッドを20回4セット行う。

 

貴信「良し、今日も身体に問題なし!!」

 

AM8:00

 

ザァァァ!!

 

シャワーを浴びて汗を流し、髪型セットと肌色チェック。その後は朝食なのだが……

 

貴信「ヨーグルト・プロテイン、緑黄色野菜ジュース、お茶漬けっと」

 

健康面を怠らず、理想の身体を維持するために食事のバランスは常に考える。芸能界におけるイケメンボディ―ビルダーでスポーツ雑誌の表紙を蹂躙した彼は体と歌でトップスターになったのだから。

 

AM8:30

 

貴信「行って来るよ、ラクスの姫君様」

 

キザなセリフと共にポスターのラクス・クラインにウィンクして出勤。音楽スタジオに来るとハイネエボリューションのメンバーと打ち合わせと楽曲作成(時々レコーディングもやる)

 

貴信「じゃあ、このセリフライブで使うとして、ああ、この曲は衣装チェンジ必要かな?」

 

AM10:00

 

子供向け放送局で仕事、準レギュラーキャラを抱えており月に一回お呼びがかかる

ぬいぐるみ人形劇で宅配便役を演じている。

 

AM11:00

 

昼のバラエティー番組の撮影、基本的に政治関連や歌手としてのトークなど。この日は同席者の大所ショージさんにヲタク趣味の事でいじられまくった。

 

貴信「ヲタクは心と愛ですよ!!ショージさん!!」

 

PM12:20

 

休憩を挟んで昼ご飯。

 

貴信「牛スタミナ焼肉うどんとほうれん草プロテイン。この後もまだまだ仕事があるから食っとかないと」

 

PM13:40

 

土曜夜のドラマ撮影、毎回共演者と仲良くなってる。仕事後に飲みに行く事も割とある。

 

PM15:00

 

ラジオ番組の仕事、MCを立場で主にヲタク向けのジャンルでリスナーからのハガキを読む。滅茶苦茶はっちゃけており、スタジオが笑いの渦。

 

貴信「時にはヴァルヴレイヴも思い出してよ!!奈々花さんとの共演作品だから!!」

 

PM17:00

 

仕事終了、遊びの時間

 

まずはヨ〇バシカメラでガンプラ探し、今回はHGCEのジャスティスガンダムを購入、その後は会社周辺の店で夕食。

 

貴信「やっぱ、吉〇屋の牛皿定食だな。ご飯もう一杯!!」

 

 

PM19:00

 

秋葉原に移動してさらに遊ぶ、行きつけのア〇メイトに立ち寄ってラブライブ関連のグッズを漁る。常連客に見つかって写真せがまれるのは日常茶飯事である。流石は皆の兄貴。

 

PM 20:00

 

ゲーセンで日課のGBN

 

キョウヤ「やあ、そろそろ来ると思ってたよ」

時春「今夜はあの店でどうかな?新設のエリアなんだが?」

貴信「いいじゃないか、付き合うよ」

 

GBNは基本的に夜のプレイが多く、ヘビーユーザーの多い時間帯。

貴信がフロンティアまで上り詰めた理由はこういったヘビーユーザーたちとの連戦を二時間に渡り、行っているからだ。

 

PM22:00

 

帰宅して30分のストレッチの後お風呂。

 

貴信「Yo!SAY夏が!!胸を刺激するッ!!ナマ足 魅惑のマーメイド~♪」

 

PM23:00

 

スポーツドリンクを飲みながら深夜アニメの視聴、前日に録画してある。

 

貴信「スバルーーー!!エミリアーーーー!!大好きだーーーー!!」(尊死)

 

PM23:40

 

就寝、ベッドの周りはラブライブとラクスで彩られてる。

 

貴信「おやすみ、俺の嫁」キラッ☆彡

 

 

貴信の一日はこの繰り返し、芸能人として役割を全うしつつ趣味と人生をエンジョイしている。

 

 

 

 

休日の事

 

貴信 パチパチ「休日はやっぱガンプラ制作、ガンダムマニアの至高のひと時」

 

購入したHGCEのインフィニットジャスティスガンダムを組み立てていく貴信、机に置かれたピーナッツとコーラを味わいながら塗装と調整を繰り返す。

 

貴信「出来た!!」

 

完成したインフィニットジャスティスガンダムを少年のようなキラキラとした目で見るとアクションベースでポーズを付けていく。

 

貴信「アスランの機体でまさかトップバッターがインフィニットとは……この調子でセイバーやイージス、ジャスティスも出れば完璧なんだけどなぁ」

 

貴信の部屋のショーケースには各パイロットのポスターやフィギュアと一緒にSEEDシリーズのガンプラたちが並び、その横には仮面ライダーゼロワンの変身ベルトも飾られている。

 

正にキャラ愛に満ちた聖域である。

 

貴信「この調子でHGCEの完全コンプリート目指すぞーーーーー!!」

 

貴信はそう言って二箱目のガンプラ(HGCEウィンダム)の箱を開けた。

 

 

 

 

一方で……

 

GBN デュエルステージ

 

紅葉「ようやく、こうして戦う事が出来るな。凍夜」

凍夜「僕も、フロンティア戦で果たせなかった夢をここで見てる。最高の気分だ」

 

互いに向かい合う二人はガンプラを召喚する。

 

紅葉「ダブルオーアクセラレータライザー!!」

凍夜「ストライクアドヴァンスフリーダム!!」

 

互いにガンプラに搭乗するとその周辺をギャラリーたちが集う。

 

 

 

 

 

多くのダイバーたちの前で、究極の決闘が始まる事となったのだ。

 



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EP19 アドヴァンスvsアクセラレータ

ツバキ「頑張れーー!!紅葉クーン!!」

 

多くのギャラリーが集まるデュエルステージに並び立つ2機のガンプラ。

 

事の始まりは1時間前……

 

紅葉「凍夜のガンプラ、完成したのか!!」

凍夜「その為に皆を呼んだんだよ」

 

凍夜は完成したガンプラを見せる。

 

凍夜「これが僕の新たな相棒、ストライクアドヴァンスフリーダムガンダム」

レア「ストライクフリーダムベースのガンプラか」

蒼海「ただならぬ気配のガンプラだね」

 

凍夜は紅葉宣言する。

 

凍夜「フロンティア戦で果たせなかった戦い、今からやろう。決勝戦まで上り詰めた君と、本気でやり合いたい」

 

紅葉はポケットからダブルオーアクセラレータライザーを取り出す。

 

紅葉「上等だ、その喧嘩、乗ってやろうじゃねえか」

 

一対一の真剣勝負、GBN最大のフロンティアの二柱が今ぶつかろうとしていたのだ。

 

アナウンス「それでは、ダイバーデュエル。ストライクアドヴァンスフリーダムガンダムvsダブルオーアクセラレータライザーガンダム。バトルスタート」

 

凍夜「いけ、ブレイクドラグーン!!」

 

アドヴァンスフリーダムは翼を広げ、ブレイクドラグーンを展開し、広範囲のレーザー攻撃を仕掛ける。

 

紅葉「流石だ、やりがいがあるってもんだ!!」

 

GNドライブで一気に加速してブレイクドラグーンの攻撃をピンポイントでかわす。

 

紅葉「流石はダブルオー系列のモビルスーツ、スピードが段違いだ」

 

アクセラレータライザーの右腕に装着されたGNソードⅢを展開し、アドヴァンスフリーダムに斬りかかる。

 

凍夜「そうだろうと思った!!」

 

凍夜はグリップを引き抜くとブレイクドラグーンを連結させ、巨大な大剣を形成する。

 

紅葉「剣で剣を制する、凍夜の信念を感じるぜ!!」

凍夜「君との戦いは同じ条件で戦ってこそ、意味があるんだ!!」

 

剣がぶつかり、互いに傷が増えていく。それすら忘れるほど、両機は剣を振り続けた。

 

紅葉「さあ、行くぜ!!」

 

紅葉はスペシャルスキルを発動し、凍夜に本気を見せる。

 

紅葉「加速せよ、アクセラレータライザー!!トランザム・オーバーロード!!」

 

紅を纏ったアクセラレータライザーはGNソードⅡを抜刀し、空へと向かう。

 

凍夜「それならこっちも本気モード、アドヴァンスフリーダム!!シードチェイン!!」

 

アドヴァンスフリーダムは黄金を纏い、アクセラレータライザーを追って、空へと向かう。

 

紅葉「くらええええ!!」

 

GNソードⅡとライザーが分離し、遠隔操作武器へと姿が変わる。

 

紅葉「ライズファンネル!!」

 

GNソードⅡとGNシールドがブレイクドラグーンを打ち落とす。

 

凍夜「やるね、でも!!」

 

ブレイクドラグーンが円を形成し、アドヴァンスフリーダムの剣に合体し、更なる大剣へと姿を変える。

 

紅葉「全部乗せって奴か、ならこっちも全部乗せだ!!」

 

ライズファンネルが合体し、GNソードⅢと連結する。

 

紅葉・凍夜「この一撃を受けてみろ!!」

 

紅葉「オーバーGNアクセラレーション!!」

 

凍夜「ブレイクアドヴァンスセイバー!!」

 

2機が巨大な空間地震を引き起こす衝撃で剣を交える。

 

紅葉「負けねえええええええええ!!」

凍夜「僕が、勝つんだアアアアア!!」

 

お互いの液晶にはエラーメッセージが表示され、機体がボロボロになっていく。粒子のオーバーフローでアクセラレータのライザーが耐えきれず、キャストオフする。アドヴァンスフリーダムも胸と腕に装着されたアーマーが大破して行き、二人の機体は剣を制御できず……

 

ズガアアアアアアアア!!

 

爆発に近い、強力なバックファイアに飲み込まれ地球圏へと落下する。燃え尽きていくアドヴァンスフリーダム……

 

ガシッ!!

 

その時アドヴァンスフリーダムの手を掴んだ、下半身の無いアクセラレータライザー。紅葉はもう一方の手でライザー手に掴んでおり、ゆっくりと地球圏に降り立つ。

 

機体から二人は手を繋いだままステージへと現れる。

 

紅葉「仲間なら助けて当然だろ」

凍夜「やっぱり、君には敵わないよ」

 

アナウンス「ただいまの戦いはドロー、引き分けとなります」

 

ウワアアアアアア

 

歓声の響くステージ、戦いが終わると同時にステージを乗り上げてツバキたちが駆け寄る。

 

ツバキ「紅葉君、惜しかったね~もうちょっとで勝てたのに」

愛理「凄いバトルでしたよ、凍夜君、カッコ良かった!!」

レア「二人のバトルには胸が熱くなった」

蒼海「最高のバトルだったよ」

 

二人は照れながら、互いを讃えてハイタッチした。

 

紅葉・凍夜「ナイスバトル!!」

 

その後

 

蒼海「行きたい所ってまさか銭湯?」

凍夜「銭湯大好きなんだ」

レア「まあ、疲れを癒すには持って来いだね」

紅葉「よーし、ひとっ風呂行くかー」

 

湯に浸かる4人はGBNの次のイベントについて語りつつ40分ぐらいで風呂を出た。

 

紅葉「この温泉饅頭地味にうまいな」

凍夜「それが目的でもあるんだよね」

蒼海「コーヒー牛乳マジ最高」

レア「皆、トンカツいこーよ」

紅葉「よし来た!!」

 

男たちの戦いはまだ続いていく。

 

 

 

 

 

 



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EP20 学園祭とGPデュエル

10月、この時期は学校が学園祭で活気付いてる頃だろう。

 

当然紅葉の通う天風高校もその一つだ。多くの人が集まる中、紅葉たちは……

 

紅葉「うめえええ!!まさかカレー出してくれるなんて、西狩さんにマジで感謝!!」

貴信「皆、どんどん食べていってくれ」

 

貴信が出展するカレー屋台でカレーを掻き込む紅葉。そして当然いつものあの顔ぶれがやって来る。

 

ツバキ「お待たせ~」

愛理「仕事終わったよー」

紅葉「お疲れ」

 

紅葉は紙皿とスプーンを捨てて立ち上がる。

 

ツバキ「他の3人は?」

紅葉「そろそろ来ると思うぜ」

凍夜「待たせたね?紅葉君」

レア・蒼海「終わった……」

 

げっそりとする二人に紅葉は聞く。

 

紅葉「何でそんな疲れた顔してんだ?この二人」

凍夜「僕たちの屋台で小籠包出してたんだ、ここの二人は皮包みの作業凄く頑張ってくれたんだよ!!」

ツバキ「学園祭で小籠包出展する人初めて見た」(汗)

 

だが気が付けば……

 

レア「あれ?紅葉君いないよ?」

蒼海「ホントだ!!」

 

そして後ろから……

 

紅葉「凍夜!!この小籠包滅茶苦茶うまい!!」

メンバー「ズッコォォォ!!」

 

一瞬で消え、小籠包を片手に現れた紅葉にメンバーはズッコケる。

 

ツバキ「トランザム並みに行動力速いよ!!」

レア「話してまだ10秒くらいしか経ってないのにもう食べてるよ……」

凍夜「買ってくれて嬉しいよ、ありがとう」

紅葉「こういう時ぐらいうまいもんは全部食べないとな」

 

そんな中、愛理がパンフレットを出してある場所に指をさす。

 

愛理「皆さん、3年生の教室に丁度GPデュエルを出店してるお店があるので一緒に行きませんか?」

紅葉「GPデュエルか、面白そうだな」

 

愛理の誘いでGPデュエルコーナーに向かった。

 

3年生の教室 GPデュエルファイターズ。

 

プレイヤーA「行けええええ!!ドーガァァァァ!!」

プレイヤーB「ディジェ、頭をもぎ取れえええ!!」

 

ディジェが頭をブレードで斬り落とす、ギラ・ドーガは機能停止すると同時にフィールドにコールが入る。

 

司会「さあ、次の挑戦者は誰だ!!声を上げてステージに上がってください!!」

 

そして立ちあがった選手は……

 

客人A「ええ!!」

客人B「あれ、フロンティアダイバーのレアと蒼海じゃねえか!!」

 

客席では落ち込みながら観戦する4人がいた。

 

レア「4人には悪いけどじゃんけんで決まった戦いだからね」

蒼海「お互い全力で行こう!!」

レア「よし!!」

 

お互いガンプラをインストールしてグリップを握る!!

 

レア・蒼海「よし、行くぞ(よ)!!!」

司会「まさかの元フロンティアダイバーの二人が飛び入り参加、会場全体が熱気に燃えるこのフィールドで正にスペシャルマッチが始まります!!」

 

レア「カツラギ・レア、ウィングガンダムフルバリア出撃!!」

蒼海「三津寄蒼海、ガンダムⅩレイムーン出る!!」

 

ガンプラが同時にフィールドに立つ、砂漠の中でフルバリアがエネルギーブレードを手にⅩブレードを二つ展開してぶつかり合う。

 

蒼海「流石にウィングガンダムでは近接戦有利ですね。カツラギ会長」

レア「ガンダムⅩベースの機体は遠距離攻撃特化だけどここまでデメリットを克服したガンダムⅩは素晴らしい。だけどッ!!」

 

フルバリアはシールドを背中にマウントすると変形し、上空へと飛び、急降下しながらレーザー攻撃を行う。

 

紅葉「フルバリアって変形するんだ」

ツバキ「まあ、ウィングガンダム系列の機体だからね」

 

レーザーによって撒かれた砂によって視界が遮られ、フルバリアを捉えられないレイムーンに突撃する。

 

レア「蒼海くん、悪いけどそれを背負っているのは僕にとって都合が悪い」

レア「カツラギ会長、まさかッ!!」

 

ズゥァクゥッ!!

 

背後からエネルギーブレードで攻撃され、レイムーンのリフレクターが剥ぎ取られた。

 

蒼海「しまった、サテライトキャノンを封じてきたか。だが、対策はしてある」

 

蒼海はアーマーをキャストオフし、砂嵐のエリアを脱出し、上空のフルバリアに斬りかかる。

 

レア「機動戦に入るか、リフレクターを斬られただけで終わらないは好きだよ」

蒼海「先輩でも会長でもやり合う時は全力で行きます!!」

 

Ⅹブレードでフルバリアを追撃し、レイムーンは腕からワイヤーを射出してフルバリアを補足する。

 

レア「しまった!!」

蒼海「これはお返しですよ!!」

 

バッキイイィィィィィィン!!

 

ワイヤーを巻き上げてフルバリアのウィングを根元から引きちぎる。最も機動性の高いバードモードへの変形を封じられたフルバリアはバスターライフルを手にレイムーンを狙撃する。

 

レア「こっちだってまだ攻撃の手段は残っているんだ」

蒼海「さあ、幕引きといきますか」

 

レイムーンはⅩブレードを二つにつなげ、太陽光の光が剣にエネルギーを与える。

レアは攻撃を読み、胸にライフルを接続して3丁のライフルを合体させる。

 

蒼海「ライジングⅩフルセイバーーーーー!!」

 

黄金に輝く剣で相手に迫るレイムーンにフルバリアは引き金を引いた。

 

レア「僕は負けないッ!!トライバスターライフル・シューティングスターーーーーー!!」

 

ライジングⅩフルセイバーがエネルギーを斬り、フルバリアに近付いていく。だがアーマーを脱いだ事で機体が耐えきれず、溶解し始める。この一撃によるダメージはフルバリアも例外ではなくフルバリアもボディから火を噴き、関節が崩壊する。

 

蒼海「まさか、こんな……」

レア「あと一歩、届かなかったな」

 

トライバスターライフルが止まり、目の前に映ったのは腕と頭を失ったレイムーンと左腕を失い、膝立ちをしたフルバリアの姿だった。

 

司会「バトルエンドオォォォ!!ダメージ総数はレイムーンが上回った。これによりGPデュエルのこの戦いの勝者はフルバリアだアアアア!!」

 

ワアアアアアア!!

 

歓声の中で勝利したレアは蒼海に手を差し伸べた。

 

レア「いい試合だった、ありがとう」

 

蒼海はレアの手を握り、笑顔で誓う。

 

蒼海「今日は僕の負けだ、でも次は負けませんよ。カツラギ会長」

レア「期待してるよ、戦友」

 

 

 

その後

紅葉「今日は楽しかったな」

凍夜「10月の最後にいい思い出が出来たね」

ツバキ「11月からのテスト忘れないでよね?」

紅葉「ああ、わかってるって」

 

学園祭の後の祭り、話はまた次の機会に。

 

 



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EP21 ガールズ・イン・ザ・ファイト

紅葉「バトルの講習?」

愛理「凍夜君の新機体を扱えられるように少し実戦をしたいの」

 

紅葉は愛理に質問をする。

 

紅葉「バトル教わるぐらいなら俺なんかより適任がいるだろ?なんで俺なんだ?」

愛理「凍夜君たち3人共しばらくガンプラ制作で動けないから……」

紅葉「そういや、蒼海と会長のガンプラ学園祭のGPデュエルで壊れたんだっけ?」

 

すると教室の扉を強引に開き……

 

ツバキ「おっまたせー☆ガンプラの調整終わったよーーーー!!」

紅葉「お疲れ、それじゃあ、今回はこのメンツでGBNをやるとするか」

ツバキ「しばらくの間あの3人はいないからね」

 

秋葉原のプラモ屋。

 

ツバキ「じゃあ、愛理ちゃんはバトルの練習がしたいの?」

愛理「はい、最初は紅葉先輩にお願いしたんですけど……」

紅葉「俺みたいな荒いバトルスタイルより、割としっかりしたバトルが出来る奴の方が分かりやすいと思うから、ツバキに頼んでもいいか?」

ツバキ「もっちろん☆、私がしっかりバトルを指導するよ。

 

3人はGBNにダイブすると、エントランスでデュエルモードを選んで一対一のバトルを始める。

 

アナウンス「それでは、ダイバーデュエル。ガンダムG-セルフリバイブvsリトルバクゥ。バトルスタート」

 

先制を決めるのはリトルバクゥ、背中のツインキャノンからビーム攻撃を繰り出しながら高速移動する。

 

ツバキ「リトルバクゥはスピードと軽装備で攻めるタイプ、装甲が無防備な分動きが読めないから的確に攻撃をしないと」

 

リバイブはハンドガンを手に左に移動しながら連射する。

 

愛理「あのハンドガンは、シャイニングガンダムクオンタムに装備されてたのと同じ」

ツバキ「そうよ、本来ならこのハンドガンはG-セルフリバイブの装備。紅葉に渡したのよ」

愛理「負けません!!」

 

リトルバクゥは肩からビームブーメランを取り出し、口に咥えるとリバイブとすれ違いざまに斬りつける。

 

ツバキ「やるじゃない、こっちも行くよ!!」

 

リバイブはライフルを手に、リトルバクゥをロックオンすると引き金を引く。

 

バキィィ!!

 

愛理「キャアアアア!!」

 

左足を狙われ、ダメージを受けたリトルバクゥは体制を立て直す為に負傷した左足からクローを展開し、地面にめり込ませる。

 

愛理「バクゥ、頑張って!!」

 

リトルバクゥは肢体からクローを全て展開し、エンジンブーストをかけながらホバーモードでリバイブに攻撃をかける。

 

リバイブの機体に斬りかかり、徐々にダメージを与えていく。

 

ツバキ「このままじゃ、ダメージ蓄積でゲームオーバーね」

 

リトルバクゥの攻撃を受け、ダメージ率が60%に達すると同時にリバイブは背後の出力ユニットをキャストオフ、ユニットを変形させて巨大なブレードを装備する。

 

愛理「負けません、絶対に!!」

 

リトルバクゥは背面に装備されたビーム型の刀を咥え、リバイブの腰に狙いを定める。

 

ツバキ「行くよ!!」

愛理「行きます!!」

 

お互い剣で進撃し、すれ違いざまに斬撃を行った。

 

背中合わせに立つ両機、そして崩れ去ったのは……

 

ガシャン!!

 

リトルバクゥはその場に伏せ、機能停止した。

 

アナウンス「ただいまの勝負、WIN、ガンダムG-セルフリバイブ。

ダメージエンド」

 

お互い機体から降りるとツバキが手を差し出す。

 

ツバキ「良いバトルだったわ、上手くなったんじゃない?」

愛理「ありがとうございます。これなら行けそうです」

 

エントランスに戻った二人を待っていたのは……

 

紅葉「お疲れ、良いバトルだったな!!」

 

貴信「いやー、女子にしてはかなり攻めた戦いだったね、嫌いじゃない!!」

ツバキ「貴信さん、観てたんですか?」

貴信「丁度紅葉君とね、良い物を見せてもらった。今後に期待するよ」

3人「ありがとうございます」

 

 

 

カツラギ家

 

レア「完成した、僕の相棒」

 

レアは遂に新機体を完成させた。

 

レア「よろしく、G-ルシファーカオスフォーム」

 

新たな戦いが幕を開ける、その時が近付いていた。

 

紅葉と凍夜の戦いに、最終幕が降ろされる。

 

 



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EP22 トライバトル!! セクター1

12月

 

季節は冬に入り、クリスマスを3日に控えた冬休み。プラモ屋に集まった紅葉たちは新たな相棒と出会う形となった。

 

愛理「これが、ガンダムスローネ・クワトロネイル。凍夜君と作り上げた完全版」

凍夜「愛理ちゃんとツバキちゃんの戦闘データを元にアップデートした。ビーム兵装としてオーラタイガーと言う細剣を追加したよ」

紅葉「赤色で剣多用のガンダム、ダブルオー系ではよく見るよなぁ」

 

すると自慢げにするツバキが凍夜の前にガンプラを見せつける。

 

ツバキ「それに対抗して、私の新機体!!G-アルケインサヴァイブ!!」

紅葉「G-アルケインベースの機体か、二つの大型ビームライフルが実にワイルドだな!!」

凍夜「ダイナミックなビーム攻撃が映えそうだね。流石ツバキちゃん」

 

一方蒼海とレアの二人のガンプラは……

 

レア「僕の相棒、G-ルシファーカオスフォームはランス特化型の機体、クロスボーンバンガードのイメージで作ったんだ」

蒼海「僕のデュエルガンダムTカスタムはティターンズカラーのミサイル兵装を詰め込んだ重量級機体。破壊力なら負けませんよ!!」

 

紅葉はタピオカミルクティーを飲みながらダブルオーアクセラレータライザーを見つめる。

 

紅葉「大人数で遊べるクエストあったらなぁ……」

 

この言葉に凍夜は目を輝かせ、飛びつく。

 

凍夜「大人数バトルならイイクエストがあるよ!!」

紅葉「あるのか!!」

 

凍夜はギアを手に紅葉に紹介する。

 

凍夜「トライバトルっていう3対3のチームバトルがあるんだ、ルールは簡単、お互い協力プレイで敵チームと戦い、全滅させた方が勝利。1対1のバトルにはない大乱戦を体感できる大型クエストなんだ!!」

 

紅葉は目それを聞くと……

 

紅葉「それならやらずにはいられないな!!」

ツバキ「私も紅葉君のチームに入るよ!!」

蒼海「先輩に僕もついていきますよ!!」

 

すると凍夜は嬉しそうな顔をする。

 

凍夜「愛理ちゃんは僕とやる?」

愛理「凍夜君についていくと決めたから、私なりに凍夜君の力になりたい」

レア「僕も二人についていく、少しは君たちと共闘するのも悪くないしね」

 

フロンティアダイバーの6人がチームを組むと同時にお互い手を重ねる。

 

紅葉「このトライバトルで、全力全身のバトルに挑もう!!」

凍夜「今年最後のGBNの戦いに、華を添えよう!!」

 

紅葉「チーム紅葉!!」

凍夜「チーム凍夜!!」

 

6人「バトルッ!!」

 

6人「スターーーーート!!」

 

手を掲げた6人はGBNにダイブし、トライバトルに飛び込んだ。

 

 

フィールド 市街地

 

紅葉「行くぜ!!凍夜!!」

凍夜「負けないよ、紅葉君!!」

 

6人はガンプラを召喚し、乗り込む。

 

アナウンス「それでは、トライバトル。チーム紅葉vsチーム凍夜、バトルスタート」

 

そのセリフと同時にアドヴァンスフリーダムがドラグーンを展開すると同時にレーザー攻撃アクセラレータライザーに集中的に攻撃する。

 

だがその攻撃を防いだのは……

 

キイイン!!

 

凍夜「これは、対ビームコーティング!!」

ツバキ「そうよ、私のG-アルケインサヴァイブはビーム攻撃を無力化して……

 

こっちが斬る!!」

 

紅葉「流石だな、ツバキ!!」

愛理「油断は禁物です!!」

 

突如として愛理のクワトロネイルがツバキに刃を向ける。

 

ツバキ「中々の対応力ね」

愛理「それだけではありません」

 

するとクワトロネイルはトランザムを起動させると同時に特殊コマンドを起動する。

 

愛理「トランザムシャドウ!!」

 

クワトロネイルは突然分身し、一斉に襲い掛かる。

 

ツバキ「打ち落とす!!」

 

大型ビームライフルを二つ構え、全開のシューティングドライブで攻撃する。

 

愛理「そう簡単にはいきませんね」

 

すると背後から……

 

レア「僕に任せて!!」

 

レアのカオスフォームがサヴァイブに黒と白のオーラを纏った攻撃を行う。

 

レア「カオス・ナヘマー!!」

 

攻撃時、レアを食い止めるようにミサイルが辺り一面に降り注ぐ。

 

レア「この攻撃はッ!!」

蒼海「僕が相手ですよ、打ち落とします!!」

 

蒼海のTカスタムはミサイルを撃ち終わると、兵装を投げ捨て、二つの3連ロケットランチャーを構えて、カオスフォームをロックオンする。

 

レア「こうなれば」

 

カオスフォームはランスを天に掲げ、氷の剣を形成する。

 

レア「カオス・リリス」

蒼海「チッ!!この場合ダメージは与えられそうにないな」

 

蒼海はロックオンを解除し、ホバーモードでステージを移動する。

 

レア「逃げれるものか!!」

 

氷の剣が紅葉チームに襲い掛かり、サヴァイブが左肩にダメージを受ける。

 

ツバキ「しまった!!」

紅葉「大丈夫か!!」

ツバキ「こんなの、掠り傷程度よ!!」

 

サヴァイブは大型ビームライフルをソードモードに移行し、接近戦を仕掛ける。

 

そしてアドヴァンスフリーダムとアクセラレータライザーは両社とも剣を手に突撃する。

 

背中合わせにすれ違い、剣を振り向き様にぶつけ合った。

 

紅葉・凍夜「俺・僕が、絶対に勝つ!!」

 

熾烈なトライバトルはセクター2に続く!!



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EP23 トライバトル!!セクター2

蒼海「これでどうだアアアアァァァァ!!」

 

ロケットランチャーを構え、カオスフォームをロックオンする。

Tカスタムの放ったミサイルがカオスフォームを襲う。

 

レア「これだけは使いたくなかった」

 

カオスフォームはスカートファンネルをキャストオフし、ランスと合体させる。

 

レア「カオス・ルキフグス!!」

蒼海「これは、ダメージを相殺する気か!!」

 

レアはミサイルを三又になったランスで薙ぎ払う。

 

レア「ううっ!!」

 

だが突如としてカオスフォームにダメージが走る。

 

レア「最大にしてこの反射ダメージ。勝負が分からなくなってきた」

 

カオスフォームの攻撃で被弾したTカスタムは最後の切り札を使う。

 

蒼海「無茶な事をする、そんなボディじゃ高威力オーバードライブ攻撃には耐えられないはずなのに……」

 

蒼海は背中の中心から巨大なバスターライフルを取り出し、カオスフォームに向ける。

 

蒼海「当たれええええええええ!!」

 

高威力の粒子砲が発射され、カオスフォームは……

 

レア「見事に、やり返されたな」

 

カオスフォームは攻撃をその身に受け、機能停止した。

 

アナウンス「凍夜チーム、G-ルシファーカオスフォーム。ブレイクエンド」

 

蒼海「ギリギリ勝てた、後は頼みます」

 

ツバキ「はっ!!やああっ!!」

 

二つの大型のブレードでクワトロネイルを追い詰めていくサヴァイブ。

 

愛理「トランザムシャドウ!!」

 

再び分身を作り、7体のクワトロネイルが襲い掛かる。

 

ツバキ(分身の中に紛れて身を守る戦法、命知らずだけどこうするしかない)

 

クワトロネイルは好機とばかりに攻撃を始めた。

 

愛理「セブンスディストラクション!!」

 

クワトロネイルがサヴァイブの身体を鋭い爪で斬り裁いていく。

 

ダメージ率が40%近くになった次の瞬間

 

バキィン!!

 

愛理「そ、そんな!!」

 

ブレードがクワトロネイルの上半身を容赦なく切断した。

 

脚部を失ったクワトロネイルは機能停止する。

 

アナウンス「凍夜チーム、ガンダムスローネ・クワトロネイル。ブレイクエンド」

 

二人は機体から降りる。

 

愛理「なんで、分かったんですか?」

ツバキ「影よ」

愛理「え?」

ツバキ「あの分身は質量は大きいけど実体があるのは本体だけ、だから影が映ればそれが本物。影は実体のあるものにしか現れないからね」

 

愛理はその理由に納得し、ツバキは愛理に手を差し伸べる。

 

ツバキ「良いバトルだったわ、ありがとう」

 

愛理は手を取り合うと背後から……

 

蒼海「いやー、大変だった」

レア「お疲れ、皆」

ツバキ「後は紅葉君だね」

愛理「見届けましょう!!」

 

二人はフィールド外から紅葉と凍夜の戦いを見届ける。

 

ガキィィ!!ズバァァ!!

 

強烈な剣戟に加え、切り傷が痛ましい姿へと変わる両機。

それでも互いに剣戟をやめない、魂の戦いが続く。

 

紅葉「トランザム・オーバーロード!!」

凍夜「シードチェイン!!」

 

紅と黄金を纏う刀身、そして剣を手に高速で斬撃を交える。

 

紅葉「トランザム・アクセルソード!!」

凍夜「フリーダム・ブレイカー!!」

 

ズガガガガガガガガガガ!!

 

ギュオォォォォォォォォ!!

 

吹き荒れる疾風がステージを飲み込み、周囲の建物が崩壊を始めていく。

 

ツバキ「なんて威力。こんな斬撃合戦無茶苦茶だよ!!」

レア「皆、しっかり捕まって!!」

 

紅葉「負けるかアアアア!!」

凍夜「僕が、勝つんだアアアア!!」

 

斬撃が互いに装甲を剥がし、フレームが露出し、ダメージも大きくなっていく。

 

そして、

 

ブシュゥゥゥ!!

 

フレームが暴走を起こし、煙と同時にフリーダムが崩れ落ちる。

 

紅葉は見る影もない、フレームだけのアドヴァンスフリーダムの胴体に……

 

紅葉「うおおおおおおおお!!」

 

バキィィン!!

 

GNソードが突き刺し、凍夜に告げる。

 

紅葉「すっげえ、楽しかったぜ」

凍夜「君にそう言われるの、嬉しいよ」

 

アドヴァンスフリーダムは機能停止し、アクセラレータライザーは剣を引き抜いた。

 

アナウンス「トライバトル、紅葉チームvs凍夜チーム、勝者は紅葉チーム。全機体ブレイクエンドにより、バトルマスターランキング7位となります」

 

ツバキ「おーい紅葉クーン」

愛理「お疲れー!!」

 

仲間に駆け寄る紅葉と凍夜、二人はマスターバトルランキングで手に入れたバッジをお互いに二つに分けて渡す。

 

紅葉「俺たち3人が勝者じゃない、6人で勝者だ」

 

6人はバッジを天に掲げ、重ね合わせた。

 

紅葉「俺達の」

6人「ガンプラバトルは、これからだ!!」

 

トライバトルを通じて重なった結束と共にクリスマスがやって来るのだった。

 

 

 



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EP24 戦いの軌跡

12月25日

 

紅葉「まさか西狩さんがホテルでクリスマスパーティーをやってくれるとは思わなかったな。マジで嬉しいぜ」

ツバキ「フロンティア・ダイバーの面々が久々に集まるから楽しみだよ☆」

 

クリスマスで活気付く秋葉原、街にはサンタのコスプレをした人がポケットティッシュを配りながら宣伝し、お店はイルミネーションで輝いていた。

 

そんな中、二人がホテルに着くと同時に一台の車が止まる。

 

キョウヤ「やあ、久しぶりだね」

ツバキ「キョウヤさん!!」

紅葉「俺達も丁度来た所、花火大会以来だな」

キョウヤ「その後はどうだい?皆と仲良くやってるかな?」

ツバキ「皆と沢山バトルして、沢山の想いに触れました」

紅葉「凍夜とのガチバトルや色んな付き合いを通じて、この一年が最高だったって今なら言えます」

 

二人の言葉を聞いたキョウヤは笑顔で肩を叩く。

 

キョウヤ「私からも伝えてなかったから伝えよう、フロンティア戦、お疲れ様」

紅葉・ツバキ「ありがとうございます」

 

ホテルのエレベーターに乗り、レストランへと移動する。

レストランでは聞き慣れたあの声が聞こえてきた。

 

愛理「二人とも、こっちですよ~」

レア「ようやく真打登場ですね」

蒼海「先輩方遅いですよ~」

 

二人は席に座ると隣の席から声がかかる。

 

凍夜「紅葉君、今夜は楽しもう!!」

紅葉「よっしゃあああああ、食いまくるぜ!!」

 

すると赤いスーツを着た時春が日本酒のロックを嗜んでいた。

 

キョウヤ「隣、失礼するよ」

時春「良い物だな、楽しそうな声が聞こえる」

キョウヤ「皆で繋いだ、フロンティア・ダイバーたちだ」

 

奈々花「皆ーーーそろそろドリンクと料理来るよーーー!!」

貴信「クリスマス限定のコース料理、楽しんでよね☆」

紅葉「うおーーーめっちゃ楽しみ!!」

 

眼を輝かせながらグラスにコーラが注がれる。

5種類のコース料理が運ばれ、それを目の前にキョウヤは席を立ち、グラスを持った。

 

キョウヤ「今日は特別な日だ、この一日が皆に幸せな一日になるように願う。メリークリスマス、乾杯」

 

全員「カンパーーーーイ!!」

 

コース料理はローストチキンメインにキノコのクリームパスタ、ビーフシチューにサーモンマリネ、デザートはブルーベリーチーズケーキと鮮やかで温まる料理だった。

 

紅葉「このチキン、皮がパリパリでうまい」

ツバキ「ビーフシチューが良い濃厚さ、あったかい」

 

その席の隣で

 

奈々花「ビールもう一杯!!」

キョウヤ「今日で3杯目だよ?」

時春「倒れたいのか?」

貴信「これは俺が運ぶしかなさそうだね」(汗)

 

凍夜「あの二人、大丈夫かな?」

愛理「ああ言う女性にはなりたくないですね」

 

するとレアがカメラを向けて伝える。

 

レア「折角だから、集合写真撮ろうよ」

ツバキ「おおっ!!いいねぇ!!」

 

6人はカメラの前に集まり、レアがシャッターを切る。

 

撮影された写真は皆のスマホに送られた。

 

時春「我々の戦いは、大きな意味を示したのかもな」

キョウヤ「これから僕が、彼らを守っていかなくてはならない。チャンピオンとして」

貴信「俺も同じだよ、彼らに負けない究極を目指して、前に進んでいくんだ」

奈々花「私も、GBNのナビゲーターとして皆を導く、勿論貴信もね」

 

パーティーを終えたメンバーは帰路へと向かう途中、ツバキが紅葉に質問した。

 

ツバキ「ねえ、紅葉君?」

紅葉「どうした?」

 

階段で足を止めてツバキは……

 

ツバキ「紅葉君は私の事、好き?」

紅葉「え……」

 

突然の発言に紅葉は当然の様に答える。

 

紅葉「俺とツバキが、一緒に暮らして、それが当たり前になった今更、好き以外に当てはまる言葉があるか?俺は好きだよ、ツバキの事」

 

ツバキは嬉しそうに紅葉に抱き着く。

 

ツバキ「やっぱり、私達は両想いだね。思ってる事、一緒だから」

紅葉「これからも、お互いで気持ちで伝えあって行こう」

ツバキ「ありがとう……」

 

 

クリスマスに心を重ねた紅葉はツバキと共に帰路へと歩き出した。

 

 

翌日

 

紅葉とツバキはお台場に向かう列車に乗り、ガンダムベースを目指していた。

 

お台場を歩くその途中で……

 

中学生A「いいから、そのガンプラ寄越せよ」

中学生B「どうせ作れないんだろ?ガキが持つより俺達が持ってた方が良いだろ」

小学生「やだ、これは僕のだ!!誰にも渡さない!!」

 

その光景に紅葉は何かを感じ、ツバキに小声で囁く。

 

紅葉「何も起こさないから、ちょっといいか?」

ツバキ「分かった、行ってきて」

 

紅葉は中学生二人組に声を掛ける。

 

紅葉「おい、小学生相手に何やってんだ?」

中学生A「お前、こっちは今礼儀ってのを教えてやってんだよ。ぶつかって来た奴が悪いんだろうが、身体で償うより、ガンプラ一つ壊されたぐらいで喚くなって……」

 

紅葉はその言葉が気に障り、中学生の胸ぐらを掴む。

 

紅葉「おい、厨房よく聞けよ。今の発言はガンプラとそれを生み出すビルダーに対する侮辱だ。ガンプラってのはただのおもちゃじゃねえ、本気で誰かと分かり合える、もう一人の自分みたいなもんだ。ガンプラには作った奴の想い、願い、強い意思があるんだよ!!平然と壊すような奴がこいつのガンプラに指一本触れんじゃねえ!!わかったか!!」

 

中学生は紅葉の威圧に恐れ、逃げ出すと小学生は紅葉を見つめる。

 

小学生「ありがとう、お兄さん」

 

紅葉は小学生に尋ねる。

 

紅葉「ガンプラ、初めてか?」

小学生「うん、初めて!!」

 

紅葉は腰のチェーンバッグからダブルオーアクセラレータを取り出す。

 

小学生「それが、お兄さんのガンプラ?」

紅葉「九音紅葉だ、そして俺の分身、ダブルオーアクセラレータ」

小学生「ミカミ・リクです。GBNに憧れる4年生です」

 

紅葉は陸にダイバーギアを見せる。

 

紅葉「ヒーローの証、リク、お前がGBNに憧れるならまずは、誰にも負けない心と、仲間を持て。時が来た時、それがヒーローとしての始まりだ」

 

紅葉はリクの肩を叩く。

 

紅葉「向こうの世界で、待ってるぜ」

 

紅葉はそう言うとリクの前から去っていく。

 

 

フロンティアの示したGBNの伝説と始まり、その戦いで大切な物の為に剣を手にした一人のダイバーがいた。無名からGBNの世界に名を示した彼は、一人の少年に希望を託し、再び舞台のどこかへと去っていくのでだった。

 

 

 

 

 

 

クオンタムエリート

 

 

 

 

 

 

 

 

END

 



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