ゴブリンスレイヤーRTA忍殺√ (噛み猫)
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また新たな走者が生まれてしまった話

 先駆者様(ラスト・ダンサー(R-99)兄貴)の疾走っぷりを見てンギモヂイイ!! になってしまったのと、
 コロナになり出社禁止となってしまい暇なので初投稿です。

 前を走っている兄貴達に負けない立派なホモになれる様に完走を目指します。
 俺も仲間に入れてくれよ~(マジキチスマイル)



 はーい、よーいスタート。(棒読み)

 

 

 難易度ルナティックなのに試走はほぼ無しのガバガバRTAはーじまーるよー。

 

 

 

 

 ニューゲーム選択と同時にタイマースタート。

 

 キャラクリはまずは性別、安定の男を選択。

 この四方(ゴブスレ)世界は基本的に負けたらキャラロスト(Dead or Die)ですので、性別はどっちでも(関係)ないです。

 ただ、体力・持久のボーナスがあるので、RTAでは男の方が少し有利になります。

 もちろん私は決してノンケを差別したりはしないので、お好みの方は女でもいいゾ。

 

 

 続いて種族の決定。

 ここで基本ルルブにはない獣人(パットフェット)を選択します。(サプリはよ)

 RTA通の俺から言わせてもらえば今、RTA通の間での最新流行はやっぱり、獣人、これだね。

 獣人での体力ゴリ押し回避盾。これが通の走り方。

 獣人ってのは体力・反射が多めになっている。そん代わり知力と魂魄は少なめ。

 

 体力・反射ともRTAでは高いに越したことはないので、かなりオヌヌメな種族です。

 

 見た目は狼人間(ライカンスロープ)をベースにしたデフォルト(バカ)

 理由はこの見た目だと隠しステータスとして知力にデバフされる代わりに持久ボーナスが付く為です。

 原作の白兎猟兵(ウサミミ)は燃費がクソザコナメクジですが、オオカミになることで弱点を打ち消せるわけです。やったぜ。

 なんで圃人(レーア)じゃないの? 体力が貧弱! 貧弱ゥ! なので。

 

 年齢は成人なりたての15歳にしておきますか。

 ダイス振ってもいいのですが、一桁(ロリショタ)だとあまりにピーキーな設定になるので運の要素が命取りなRTAではかなり無謀です。ただ、幼児でないと取れないトロフィーもあります。がわ゙い゙い゙な゙ぁ゙だい゙ぢぐん゙

 

 

 続いて経歴を設定。

 本来スタートダッシュのブースト以外に大した意味は無いのですが、出自だけはチョイスを選択。理由は後述します。

 

 出自は【商人】を選択。

【交渉】は序盤でのブースト(ドブ浚い)森人弓手との初遭遇の会話(金床とのエンカウント時のあやす)に最適であり、しかも最初の資金繰りにも余裕が出るからかなりうま味です。

【統率】も試してみましたが、次期種族長の親族(お貴族様)なので2000歳児には効果がなかったです。だからこんなんじゃ技能になんねぇんだよ。

 

 持参金は40。な、ないよりマシだから(震え声)

 因みに知力にペナがあるのに商人になれることに違和感を感じてはいけない。いいね? 

 

 次が【来歴】。こちらはどれを選んでも殆ど差が無いのでダイスロール。

 結果は6【孤児】。【忍耐】がつきます。

 

【邂逅】は完全にフレーバー……かと思いきや隠しパラメーターに影響があるみたいです。

 ただし、本RTAにはあんまり意味ないと思いますので検証はしません。興味のある兄貴達は検証してみてください。

 ではダイスロールの結果は……10【恋人】ファッ!? 

 折角立派なホモにしようと思ったのに……。

 ケモホモは流石に上級者すぎて私の手には負えませんので、チャート内で関わるNPC(ノンケプレイキャラクター)を恋人に仕立て上げますか。仕方ないね♂(レ)

 

 

 お次は能力設定。ここは少しでもいい能力値が欲しいので(知力0とかありえんだろやっぱり)ダイスロール! 

 諸々のボーナス・ペナルティを含めて体力は1D3+2、魂魄は1D3-1、技量は1D3+1、知力は1D3-2、集中は1D3、耐久は1D3+1、反射は1D3+2

 

 ダイスの結果は体力4、魂魄2、技量3、知力1、集中2、耐久4、反射5! 

 魔法職はまず無理ですが、今回の育成方針には結構ハマってますので、良しとします。

 後は1点の作成ボーナスをどうするかが悩みどころさんです。後で振り分けます。(フラグ)

 

 

 最後に状態を振ります。

 本RTAで最も大事な生命力が決まるので、ここで出目が腐ったら即再走します。(13回目)

 

 結果は7、4、12! 

 

 生命力が高めなら(他はどうでも)いいので、これで充分。

 

 生命力は22。いいカラダしてんねぇ! 

 

 行動力は種族ボーナスが大きいので28。小鬼(ゴブリン)なんて25もあれば十分なのでヘーキヘーキ(慢心)

 

 魔法は魂魄が死んでいるので、使用回数は0。

 

 

 あれ? なんか3D6が振られてるゾ? 17? 

 今までの試走ではなかったですが、下方ロールじゃないし大きい分には特に気にしなくてもいいでしょ。(速攻フラグ回収)

 

 

 

 後は職業を決めて技能を振れば完成。

 

 ポイント割り振りは【体力】が高めなので【斥候(スカウト)】と【武道家(モンク)】にします。

 ノーカラテ・ノーニンジャ。

 

 

 取得技能は【観察】と【体術】。

 何処でも括約してくれる良スキルです。

 

 

 名前は先達者様へのリスペクトと完走を祈念して『疾走忍者』。

 え? ホモじゃないのかって? アーアー聞こえなーい。

 

 

 

 さて、こども先生が四方世界の説明をしている間に本RTAの概要を説明いたします。

 

 本RTAの目的はタイトルの通りトロフィー【ニンジャスレイヤー】の取得を目指します。

 このトロフィーは上位職である【忍者】になることと、【●●スレイヤー】の称号を貰えば達成できます。

 

【忍者】になるには【空手】と【投擲】が、タツジン! になることと【斥候】レベル10以上になる必要があります。

【●●スレイヤー】は【小鬼殺し3号】で【ゴブリンスレイヤー】が解禁されます。

 

 従ってやっぱり王道を征く小鬼殺しルートを活用してその後レベルアップが一番安定します。(ガバらないとは言っていない)

 

 それでもただでさえ難しい小鬼殺しルートにさらにエクストラステージ(もうちょっとだけ続くんじゃ)が追加されることにより、難易度は倍率ドン! 更に倍! となってしまい、ゴブリンスレーヤーRTAの中でも完走者のないかなりの難関ルートとなります。

 

 逆に言えば完走さえすれば世界一位さんになれます。見とけよ見とけよ~

 

 

 

 先ずは入って、どうぞとギルドの建物が大写しになります。

 

 このまま入ると冒険者登録(ムービーEND)まで動けなくなるためそのまま回れ右して街の外に出ます。

 

 そしてそのままおもむろにしゃがみこんで石を拾います。これでコスト0で投擲が出来ます。

 

 獣人には只人の様な投擲ボーナスはありませんが、投擲は技能の他にもスキル的な隠しパラメーターがあるので使う内に上がります。高いに越したことはないので適当に10個程度拾いましょう。

 

 

 次に裏口から工房へ直行します。理由は先程述べた通り。

 

 工房に入ったら最初に外套を探します。

 今回は良いのが無かったので通常の外套。(クズ運)

 

 頭は……お、あんじゃん。防毒面の中古です。

 防毒効果は半分ですが、移動力ペナが発生しません。ナンボなん? 

 銀貨50枚。うっすらと『忍』『殺』と書いてある様な気がしますが、疾走忍者君はアホの子なので東方文字なんぞ読めません。

 

 武器は飛刀(スローイングダガー)を2本。投擲専用とありますが、基本は短刀(ダガー)なので、近距離なら斬刺も出来、握っても使えるので寸鉄替わりにもなると中々に役に立ちます。いいゾ~これ。

 

 後は主人にごねて治癒の水薬(ヒールポーション)強壮の水薬(スタミナポーション)解毒薬(アンチドーテ)を購入。

 雑納袋も購入し、水薬は端切れに包んで入れておきます。

 こうすることで破損確率が少しだけ減り、チャートが安定します。ゴブスレさんに紐巻き水薬見せてもらえば自動的に学ぶのですぐに要らない子ですが。

 

 

 ここで交渉技能のおかげで少し割引されて銀貨120枚。

 支度金といい商人の出自がいい仕事してくれました。うん、おいしい! 

 残りは宿代・食費に消えます。

 

 

 

 その場で装備を整えたら、ギルドのカウンターへ向かいます。

 

 冒険者登録ですが、正面から入ると受付嬢一択ですが、裏口から入ると受付嬢さんと監督官さんの2人から選べます。

 やる事は同じなのですが、銀等級3人組(凸凹杉田)と初遭遇する際に多少融通が利きやすいので今回は監督官さんを選びましょう。

 

 

 と、ここで早速のガバ。疾走忍者君は商人出自のくせに字が書けません。代筆料金銀貨5枚が追加出費です。

 

 序盤に痛いですね……これは痛い。

 

 どうしようもないので、監督官に冒険記録用紙(アドベンチャーシート)を代筆してもらいましょう。認識票を受け取ったら、この後はどうするか聞かれますので『考え中』を選択。

 

 

 今回は一回街の外に出たので、すぐに女神官ちゃん(変なの2号)が来ます。これも変なフラグ(ロス)を立てない様にするのに役立ちます。あ~チャートが安定するんじゃ~。

 

 因みに周回プレイ時にゴブスレさんが死亡していた場合の修羅女神官ちゃんはマジヤバです。

 冒険者レベル10まで上げて挑んだんですが、タイマンでは5ターン持ちませんでした。

 もし遭遇しても下手に関わってはいけない(戒め)

 

 

 

 女神官ちゃんが受付を終えたところですぐさま声を掛けます。

 この時の会話はよっぽど変な選択肢(そんなことよりおなかがすいたよ)を選ばない限り直ぐに3人組(肉盾セット)が割り込んで来ます。声かけが遅いと普通に置いてかれます。(一敗)

 

 

 後は彼らに任せれば勝手にゴブリン退治の依頼を受けてくれます。

 

 受付嬢さんが何かを言ってきますが、3人組はなんか適当な言い訳宣って先に行ってしまいます。おっ、そうだな。

 こちらもただのロスなのでムシムシ。なんで聞く必要なんかあるんですか。(正論)

 

 

 

 其れではゴブリンの巣穴へイクゾー! デッデッデデデデ! (カーン)デデデデ! 

 

 

 移動中は特に今後(物理的な意味で)絡むこともない三人組は置いておいて女神官ちゃんと会話をしておきましょう。

 彼女のモチベーションが低いと前衛と離され過ぎてしまい、女神官ちゃんの危険が危ない。

 

 っとここで女魔術師ちゃんが絡んで来ました。なんか女神官ちゃん目の敵にされてない? ……しょうがねえなぁ(悟空)

 3人は、どういう集まりなんだっけ? 女魔術師ちゃんに話を振ると途端に笑顔になるのはどういうことでせう? 

 

 

 

 そんなこんなしている内に巣穴へ到着。

 

 ここは多くのRTA 走者が苦労する序盤での難関。

 

 今回は自分と女神官ちゃんだけがこの先生きのこれば良いので多少マシですが、全員生還なんてコントローラー投げるレベルでクソゲーです。

 実に七割の確率で洞窟の壁面に剣を取られる青年剣士君を含めて全員致命的失敗(ファンブル)無し、その上でダイスの女神様(クソビッチ)への祈りも必要です。

 こんなの無理だよ~。

 

 

 

 さて巣穴の攻略に入ります。

 

 入り口のトーテムは(疾走忍者君含め)誰も知らないので華麗にスルー。

 

 青年剣士君(肉盾1号)が先走りしやすく、女武道家ちゃん(肉盾2号)もそれに釣られやすいので斥候として一番前を主張。

 先に行かせて原作通りに始末してもいいのですが、チャートが安定しない(慰労金が勿体ない)ので自分のいいタイミングで前線投入しましょう。

 英雄願望(死亡フラグ)の強い青年剣士君にごねられますが、女武道家ちゃんにぶん殴られている隙に無理矢理先に洞窟に入ってしまいます。

 

 俺時間ないんで、早くしてくださいよ……。

 

 

 この洞窟は途中までは比較的狭いので誰かが前に立てば青年剣士君が前に出すぎることはありません。

 

 暗いので自分以外には女神官ちゃんにも松明を持たせて、先へ進みます。

 女神官ちゃんは松明を持っていると一回だけゴブリンを返り討ちしてくれることがまれに良くあるので、持たせとくと紙装甲でも少し安心(3敗)。

 こういう細かいところがチャートの安定に繋がります。

 特に分岐やトラップ等はないのでそのまま奥に進みます。

 

 

 

 ある程度進むと途中でまたトーテムがありますのでここで観察を使います。

 

 これで横穴を見つけられるので逆に此方から奇襲をかけましょう。

 いや、マジこれゴブリン入ってそうな勢いなんですけど、それは大丈夫なんですかね……。

 

 横穴は狭いながらも意外とゴブリンが多いので基本的には前衛職(肉盾)を溶かすのに最適です。

 ただし前衛二人のうち青年剣士君は放っておくと勝手に奥に進んでしまい女神官ちゃんの防御がガバガバになってしまうので何か上手いこと言って横穴を攻略させましょう。(2敗)

 

 お前ここ(ゴブリン巣穴)初めてか? 力抜けよ。

 

 

 

 さて、青年剣士君のチャンバラ音が聞こえてくると前からゴブリン達がやって来ますのでこれを女武道家ちゃんと二人で対応します。

 

 青年剣士君の長剣モドキ(ロングソード?)だと女武道家ちゃんの括約するスキマも無いので、すっげえキツかったですが、リーチの短い疾走忍者君ならば余裕余裕。

 

 

 

 そうこうしているうちに青年剣士の断末魔が聞こえて……きこえ……あれ? 帰って来ました。

 

 なんでこんなときに限ってファンブルしないんだよ! (7割さん仕事して!)

 

 青年剣士君は前方のゴブリンを見ると疾走忍者君を追い越して突撃してしまいました。この人頭おかしい……(小声)

 

 

 ま、まだ想定の範囲内だし(震え声)

 野良小鬼(ホブゴブリン)が出たら前衛二人なんて簡単に殺られますので、最悪二人ともピチュっても残りの肉盾を贄に撤退すれば良いです。(外道)

 後ろはもう青年剣士君が湧き潰ししてくれましたしね。(慢心)

 

 

 

 さてそろそろ野良が出てきますが、青年剣士君はなかなか致命的失敗しないですね。

 

 まーだ時間掛かりそうですかねー……と、思ったらいきなり青年剣士君が女武道家ちゃんを巻き込んで遥か後方にふっとんだ! ガッツがたりない! 

 

 

 どうやら野良の突進攻撃が渾身の一撃(クリティカル)したみたいです。

 

 ……て、悠長に解説している暇はありません。多少距離はあるとはいえ壁がなくなったのは大ピンチです。

 取り合えず当たるかどうかは考えずに石を放り投げるやいなや女神官ちゃんと女魔術師ちゃんの腕を取ってさっさと逃げましょう。

 

 

 あ、女魔術師ちゃんに矢が当たりました。逃げ足が鈍ります。やめろぉ(建前)ナイスゥ(本音)

 

 え、女神官ちゃんが女魔術師ちゃんに肩を貸します。ナイスゥ(建前)やめろぉ(本音)

 麗しい光景ですが、良いから早くしろよ! 

 

 え、女武道家ちゃんは意識があるの? 青年剣士君を抱えて逃げました。あ、おい待てい。(江戸っ子)

 ガーンだな逃げ道が塞がれた。やだ! やだ! ねぇ小生やだ! 

 

 

 

 こうなってしまっては仕方ありません(これはだめかもわからんね)

 

 体術と忍耐あるし、ここまで被ダメないので私が壁役になります。

 幸い野良は他の雑魚どもが邪魔で、踏み潰して来るまで数ターンあります。

 その間にゴブスレさん来ないかなー(願望)。

 

 

 やめちくり~(挑発)

 

 ドカスカ! 

 

 おい誰の体にこん棒ぶつけたと思ってんだこの野郎 あぁ! 

 

 ボコボコ! 

 

 痛いんだよおおおおおおおおおおおお!!!!! (マジギレ)

 

 

 ガスガス! 

 

 あ、痛い痛い。やーめーてー(横山弁護士並感)! 

 

 ザクザク! 

 

 ごめんなさい許してなんでもしますから! 

 

 

 

 ん? 今なんでも……じゃなかった、後ろで悲鳴!? 

 

 ゴブスレさんきた!? ほんとぉ? (狂気)

 ゴブスレさんがそのさまようよろいのような見た目からは想像もつかない素早い動きで飛刀を投げ野良の片目を潰してくれました。

 俺じゃなきゃ見逃しちゃうね。

 

 

 

 野良は痛みに怯んで奥に逃げていきます。

 

敵の大軍団を撃滅しました(大本営発表)

 

 

 

 この間に巣穴から外に出て女魔術師ちゃんから矢を引き抜いて治癒の水薬を渡します。あ、一応解毒薬も渡しておきますか。

 

 その先では青年剣士君が意識を取り戻したのか痛みで叫んでいますが骨折が治せないのでさらりと放置。生きてる証拠だよ! 

 

 これでまさかの全員生存となりました(早速チャートが壊れました)

 

 あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛も゛う゛や゛だ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!! (デスポイス)

 

 

 

 ハ──ーッ……(クソデカタメ息)。嘆いていても始まりません。

 

 ここからはもうTDN作業なので倍速でも良いですが、放っておくとゴブスレさんが勝手にゴブリンを屠りせっかくの経験点を持っていってしまうので、ついていきます。

 

 青年剣士君と女魔術師ちゃんの看病は女武道家ちゃんに任せて(押し付けて)さっさとゴブスレさんの後を付いていていきましょう。

 

 女神官ちゃんがゴブリンの臓物塗れにされますが、疾走忍者君は獣人で元々獣臭がありますので問題ありません。くっせぇなお前……

 

 

 

 ゴブスレさんが生き残っていたゴブリンを淡々と殺すなか、疾走忍者君はゴブスレさんに目が釘付けです。

 

 似たようなスタイルなのでゴブリンと戦うよりも色々と吸収するものがあるんですね。

 だから討伐数が少なくてもしょうがないね(淫)

 

 

 

 原作より人数が多い上に女神官ちゃんも無傷なので殲滅速度が速いこと速いこと。

 3人に勝てるわけないだろ! 

 

 

 

 奥の広間の前まで来ました。

 な・ぜ・か野良が死んでます。うせやろ? 

 

 ゴブスレさんが投げた飛刀に毒を塗ってたらしいです。

 とてもラノベの主人公とも思えぬその所業。そこにシビれる! あこがれるぅ! 

 

 

 

 後は縄を張って、野良の死骸に石油を掛けて落として出てきたのを倒すだけの簡単なお仕事です。

 

 シャーマンは死んだふりしてますので最優先で喉をかき切ります。

 

 後は死体蹴りしているゴブスレさんを尻目に骨の王座を蹴り壊して幼体を惨殺。

 

 女神官ちゃんが何か言ってきますが「()()()()()()()()()」。

 

 

 

 チカレタ……

 

 

 

 今回はここまで、ご閲覧ありがとうございました。

 

 




 カッとなってやった。反省はしていないが、公開はしている(激寒)


 元々先駆者様のを読んで直ぐに書くつもりでプロット練っていたらまさかの創造新が走り始めるとは……。
 完全にかませ犬だってはっきりわかんだね。


 今回のキャラクリは全て実ダイスです。(諦観)

 因みにキャラクリ最後の3D6はAPPロール。
 能力値ボーナス振り忘れていたので(実話)振ってみました。APP17ってかなりのガチムチですね。
 獣人は亜人(デミフマーント)なので、APPボーナスは只人と同等です。
 ただし、一部のケモナーには特効があります。


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また新たな走者が生まれてしまった話(裏)

蝸牛神のマイちゃんが可愛くて死にそう(アイサツ)

前を走る先輩から温かい言葉を頂けたので初投稿です。

会社のテレワークシステムが頻繁にダウンするし、筆が進むのも仕方ないね(レ)

と、いうわけでレギュレーションに則り、裏話です。

キャラの書き分けとかは・・・勘弁して下さいね(棒読み)

あと筆者はニュービーなので、すまねぇ忍殺語はさっぱりなんだ。


【???side】

 

 

草木が萌え、動物たちの活動が始まる季節・・・春。

 

 

長い冬の間の鬱憤を晴らすかのように人類も活発に動き始めます。

 

そしてそれは所謂祈らぬ者共(ノンプレイヤー)も同じこと。

 

 

どうしても重なりあってしまう活動範囲。それは城砦が襲われる様な大きなものではないにしろ人びとを苛みます。

 

畑を荒らされたり、家畜が食い殺されたり、ゴブリンに村娘が拐かされたり。

 

それを見込んでか、それとも雪篭る村の長老の家で聞いた吟遊詩人の英雄譚に憧れたか、はたまた単純に食い詰めたか、新たに冒険者となる若人も大勢出てきます。

 

その中の幾人が志を遂げることなく果てるか、それはこの四方世界の神々さえも知り得ぬこと。

 

 

 

【監督官side】

 

 

辺境の街の冒険者ギルドではその日の初めからだけで実に10人もの血気盛んな白磁を送り出しています。

 

そこで受付する私も彼女(受付嬢)もあまりの忙しさに「ソレ」が何を意味するのかも気付かないほど。

 

 

朝食を取る間もなくの働き詰めで、ようやく人が途切れてきました。

一息付けようと冷めきった紅茶に手を伸ばしていた所に影が掛かります。

 

また新しい冒険者ですか・・・

 

辟易しそうな顔を努めて見せないように心掛けながら笑顔を貼り付け顔を挙げると、目の前には漆黒の外套に身を包んだ巨躯の人狼。

 

顔には薄汚れ東方人が使う文字のようなものが書かれた頬面を着けていました。

 

思わずカウンターの下に置いてある至高神の杖に手を掛けそうになるのを抑えつつ声をかけると、存外に若そうな声でたどたどしく冒険者となりたい旨を告げて来ました。

 

ああ、この季節ですからね。冒険譚にでも触発されたんでしょう

 

ホッと一息ついて愛想笑いを浮かべながら冒険記録用紙(アドベンチャーシート)を差し出すと何故かモジモジし出します。

 

 

あ、思ったより可愛いかも。そんな心境など露知らず、片言で文字が書けないことを告げて来ます。

 

「文字書ケナイ。スゴイ・シツレイ」

 

「いえいえ。そういう方も多いので代筆サービスもありますよ。今なら待ってる人も居ませんし、冒険記録用紙に直接書きますね」

 

「忝ナイ」

 

縮こまりながらも尻尾を振る様に既視感を感じながらも冒険記録用紙を埋めていきます。

 

んー?なんか家で飼ってたポチに似てるような?

 

名前は疾走忍者さん。

 

なんか何処かで伝え聞いた将来が宿望される冒険者の名前に似てますが、15歳の新人ですし関係ありませんよね?

 

 

手間賃を貰いながら白磁の認識標を手渡し、諸々の諸注意を伝えるとコクコクと素直に頷いてくれます。

 

「今後のご予定は?」

 

「只イマ考エ中ナ。」

 

「ではなにかあれば遠慮なく受付に来てください」

 

「オタッシャデー!」

 

なんかホッコリしながら見送ると、隣に座っている受付嬢が「ないわー」的な視線を向けてきます。

 

失礼な。あの変なのにご執心な貴女に言われたくありません!

 

「あの。すいません。冒険者になりたいんだけど」

 

「あ、はい。文字は書けますか?」

 

気を抜いたらすぐに次の冒険者志望が来ました。

この調子で頑張らないと。

 

 

 

【女神官side】

 

 

「ドーモ、女神官=サン。疾走忍者デス。」

 

 

登録が終わり、白磁の認識標を貰ったところでいきなり獣人(ワーウルフ)さんが声をかけてきました。

 

「あ、はい。女神官です。」(わ、大きい。)

 

獣人さんって宿屋や食事処で働いている人が多いので、この街にも沢山いますけど、人狼って見たことありませんでした。

 

ちょっとだけ怖いかもしれません。

 

首から提げる綺麗な白磁の認識標を見るにわたしと同じ冒険者なり立てってところでしょうか。

 

「拙者冒険者のコト、右モ左モ分カラナイ。オシエテ。」

 

「いえ、わたしも登録したばかりでよく分かっていないんですよ」

 

「ソウナノカ・・・ドウシヨウ」

 

 

シュンとしている様は何処か可愛らしくあるこの獣人さんと暫し微妙な間が出来ていると、いきなり横から声をかけられました。。

 

 

「なあ、君ら冒険者だろ?ちょうど良かった俺の一党(パーティー)に一緒に来てくれないか?」

 

軽装の剣士さんといった様子の青年でした。

後ろには黒髪を束ねた快活そうな少女と、理知的なメガネを掛けた女魔術師さん。

ですが彼女は何故か疾走忍者さんを見て驚いている様に見えます。

 

「えっと、その・・・。」

 

答えに詰まっていると、

 

「ヌッ?・・・何用カ?」

 

疾走忍者さんが助け舟を出してくれました。

今度は黒髪ポニーテールの女性が詳しく説明してくれます。

 

「あ、ごめん。2人はパーティーなの?、もし良かったら一緒にゴブリン退治してくれない?人手が足りないのよ」

 

「分かりました。わたしなんかで宜しければ」

 

「ゴブリン殺スベシ。慈悲ハナイ」

 

「じゃあ決まりだ。お姉さん5人でお願いします」

 

「えっ…と皆さん白磁等級ですよね?大丈夫ですか?」

 

「ゴブリンなんて一、二回倒して新人卒業だよ」

 

「・・・」

 

何か言いたげな受付嬢さんの表情が少し気になりながらも皆の後をついていくしかありませんでした。

 

 

 

【女魔術師side】

 

辺境の街から徒歩でも数時間程度の小さな村。

そこが私たち一党が目指すゴブリンに襲われた村だ。

 

都にある賢者の学院を優秀な成績で卒業した私にとって、この様な依頼はパパっと片付けるられる、自分が強くなる為の踏み台の一つに過ぎないと思っていた。

 

 

回復手段の乏しい我が一党がその要員として甘っちょろそうな女神官に声を掛けたところ、その横に居たのは大きな人狼(ルーガルー)

幼い頃にゴブリンに襲われた私と弟を庇って亡くなってしまったあの行商にそっくりの姿だった。

 

聞けば親を亡くし孤児の身の上だとか。

もしかしたら彼?彼女?の息子なのだろうか?

 

そんな考えが頭の中をぐるぐる回って、つい彼の姿を目で追っていた。

 

 

道中皆でワイワイ喋りながら進んでいると、何が気になるのか彼は女神官に頻りに話しかけている様子。

 

「なに?貴女臆病風にでも吹かれているの?」

 

少し彼女に嫉妬してキツい言い方をしてしまったかしら。

 

「駆ケル風の如クハ実際良イコト。ソレヨリ貴女タチハドノヨナ経緯デ?」

 

意味を取り違えたのか頓珍漢な答えをしつつ、私に向き直ってくれる彼。

そんな一寸した事でもうれしくなってしまった。

 

さあ、ゴブリンなんてさっさと片付けるわよ!

 

思えば私は初の冒険と彼との出会いに浮かれていたのかもしれない。

そのツケを支払う事に気づくのにはさほど時間は必要なかった。

 

 

 

【青年剣士side】

 

 

特に名産品があるわけでもない寒村出身の俺にとって、外の世界(村の外)は憧れの地だった。

 

稀に訪れる冒険者の体験談にいつも心踊らせていた。

 

 

そして念願の冒険者へとなり、自分だけの物語を紡ごうと意気揚々と巣穴に入ろうとしていたところ、その出鼻を挫く様に毛深い二の腕が俺の目の前に飛び込んで来た。

 

「暗闇ハ危険。拙者ガ前」

 

「ゴブリンなんか恐くないだろ!なんだお前ビビってんのか?」

 

自分でも驚く位強い調子で返したのも、今思えば自分が恐れていた事を見透かされたと思ったためなのかもしれない。

 

「ダメじゃない!そんなこと言ったら」

 

ごすっ!

 

女武道家が頭に容赦ない鉄拳を見舞う。

 

 

痛みに耐えていると、既に疾走忍者は巣穴に入り込んでいた。

何故かその背中が自分と同じ15歳とは思えぬ雰囲気に黙るしかなかった。

 

 

 

疾走忍者を先頭に俺、女神官、女魔術師、女武道家の順で巣穴を進む。

意気込んで進んでいくものの、ゴブリンに一匹も遭う事もなく、些か拍子抜けしていた所、穴の奥の方にボヤリとトーテムが見えてきた。

巣穴の入り口にあったものと酷く良く似ていた。

 

 

「ヤメーヤメー」

 

疾走忍者が皆を静止(?)する。

俺は先程の件が後を引いており、素っ気ない態度を取ってしまう。

 

「んだよ。入り口で見ただろこんなの」

 

「チガウ。待チ伏セ(アンブッシュ)

 

彼がそう言って指差すのは、右手の岩の窪み。

薄汚れた布に泥を擦り付け、岩肌の様に偽装してはいるものの、松明の灯りの元ではそれは一目瞭然。

 

背筋に冷たいものが通った様な気がした。

もし自分だったらどうだっただろうと。

 

 

前衛三人で顔を見合わせる。

本道に比べればかなり手狭な感じのする横道だが、奥行きが如何程かも判然とせず、一人で攻略するのは不安が大きい。かといって二人も入ってもつっかえるだけだろう。

 

奥が更に狭いと小遣いを貯めて賄った自慢の長剣では十分に振るうことさえ難しい。

ここは女武道家に頼もうか。

 

そんなまさに怖じ気付きそうになっていた時にふと強い視線に気付いた。

疾走忍者が俺の事をじっと見ていた。

 

『お前はそんなものか?』

 

まるでそんな風に侮られている、いや憐れみの目で見られている様な気がしてカッと頭が熱くなる。

気が付くと俺は横道に向かって歩を進めていた。

 

「見義不為無勇也」

 

意味は分からないが、彼奴が俺を鼓舞してくれたのだろう。

さぁ、これ以上格好悪い所は見せられない。

 

 

 

そこからの記憶はまるで無く、気が付いたら俺はギルドの二階にある個室で寝ていたのだった。

 

 

 

【女武道家side】

 

 

母はあたしが小さい時にゴブリンに拐われ、それ以来行方も知れず。

厳格ながらも優しい父と二人きりで、武道に明け暮れる日々を過ごしていた。

 

 

父は娘から見ても強いとは言えなかったが、そのお人好しな人柄からか冒険者の救援依頼が多く、良く色んな依頼に付いていっていた。そんな父が誇らしくも羨ましくもあった。

 

今思えば、母をゴブリンに奪われた怨みをその様な依頼の中で晴らしていたのかもしれない。

醜い自分をあたしに見せないために。

 

 

ある日二人で組み手をしていると良く見知った冒険者のグループがやって来た。

 

彼ら曰く、大きなゴブリンの巣が見つかったとの事。

父は何時ものように二つ返事で救援依頼を快諾。

あたしに留守番しているように言って冒険へ行った。

 

 

それが父を見た最期だった。

 

僅かに帰ってきた父の腕を埋葬したところで冒険者になると誓ったが、実のところは復讐の念に取りつかれていたのかもしれない。

 

 

 

どうやら才能はあったらしく、遠縁の道場に引き取られたあたしはメキメキと頭角を表した。

成人と認められる頃には道場で敵う人間は居なかった。

 

 

増上慢となっていたあたしは青年剣士の眩しい程の幼さを可愛らしく思いながらも何処かであたしとは違うと考える部分があった。

そんな彼の危なっかしいながらも純粋な眼差しに憧れていたのかもしれない。

 

だから彼が後ろからゴブリンに突っ込んで行くのを半ば呆れながらも迂闊にも周りを注意する事も無く交代(スイッチング)を許してしまった。

 

戦場ではそんな行為は致命的失敗(ファンブル)でしかない。敵はそんな隙を見逃さなかった。

 

 

青年剣士の背が急に大きくなったかと思うとあたしを巻き込み大きく吹き飛ばされていた。

気を失っていたのはほんの数瞬の事だが、気が付いたらあたしのすぐ横で彼が意識が無いまま倒れていた。

 

(助けなきゃ)

 

あたしは彼を抱き抱えると、剣戟の音から逃れるように、ヨロヨロと出口を目指した。

・・・後で何が起きているのかも気にしないで。

 

 

 

気が付いたら巣穴の外で、青年剣士は未だに意識が無く、女魔術師は肩に矢が刺さっていた。

疾走忍者は細かいながらも全身に傷があり、女神官は傷こそ無いものの息を切らせていた。

その様を見てあたしは安堵よりも恐怖を感じていた。

 

何があたしは違うだ。

 

お前は何をした?

 

仲間を危険に晒しただけではないか。

 

 

もう一人、本来なら此処には居ない筈の冒険者が声を掛けてきた。

 

「やれるか?」

 

「是」「は、はい」

 

二人が逡巡も無く返す。

 

それに対しあたしは頷く事も出来なかった。

 

その冒険者は手慣れた様子で青年剣士の事を見ると、命に別状はないこと、意識を戻したら痛みで暴れるから当て身をするように言うと巣穴に戻っていった。その後を疾走忍者、女神官が続く。

 

ふと、女神官が振り向く。

恐怖に身を震わせながらも、強い意思を感じる眼差し。

ちょっと困ったように微笑みながら踵を返して巣穴に戻っていく。

 

あたしは残る二人を抱き抱えながらもなにも出来なかった。

 

 

 

【???side 】

実に良くある白磁(ヌーブ)の結末。

それは何時もならMIA(ロスト)5名と書かれて終る筈だったゴブリンからの返り討ち。

 

 

些細な違いは偶々彼らが向かった直後にゴブリンスレイヤーがギルドに戻り、彼ら

のことを受付嬢が話しただけのこと。

 

そして汚ない策動を張り巡らせながらも最後は己が命を的(ベット)に賽子を振った結果。

賽子の出目はジャックポット(クリティカル)

 

しかし決してそれが続く筈も無く。

 

ほんの数インチの塀の上を往く。

 

願わくばその先に極楽浄土のあらんことよ。

 

 

 

【疾走忍者side】

 

 

「疾ク戻ラネバ」

 

「え?」

 

やっと終わった。そう思っていた女神官はその言葉に何ともなくうすら寒いものを感じた。

 

「怪我人ヲ運ブ手配ハドウスレバイイ?」

 

その瞬間に青年剣士達を巣穴の入り口に置いてきている事を思い出した。

 

 

(そんな訳ありませんよね)

 

女神官は先程の違和感を努めて気にしないように振る舞った。

 

「はい!それでは着いてきてください」

 

そのやけに鮮やかな琥珀色の瞳から逃れるように努めて声を張り上げるのだった。




ご閲覧ありがとうございました。

疾走忍者君はあちこちでノボリ立ててますが、基本チェリーなので『今のところ』女性に対しては特に積極的なアプローチとかはないです。
(今後はどうなるかは筆者も分かりませんが)

いやー。裏は難しいですね。先駆者様、諸先輩方が苦労するのも分かる気がしました。

因みに犬科は色盲が多いらしいのですが、彼の琥珀色の瞳に四方世界はどの様な色に見えるのでしょうか。


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幕間1

今回は短めです。ごめんなさい。


 さて元々はこの四方世界の覇権を巡り、神々が争った地。

 その後その諍いを解決するために作られた闘技場。

 

 そうであったのはいったいいつくらい前の事でしょう。

 

 現在では争いも諍いも神様たちですら忘れ果ててしまい、闘技場も唯々広い場所と化してしまっております。

 そしてそにはいくつもの卓がなれべられ、それぞれの卓には多くの神様が時に歓声を、逆に悲鳴を上げています。

 

 そう、四方世界の神様たちはというと、おのおのが争っていた覇権などはとうの昔に忘れ去り、各々の駒を見ながらそれらが成功したり失敗したりするさまに一喜一憂するのが日常になっています。

 

 その中に赤い彗星のように現れて一つの大きな遊びを持ち込んできた一柱の神「アルティーエ」。

 

 彼の遊びは多くの神様の心をつかみ、多くの神様がその動きの速度を上げる様にお互い切磋琢磨しながら駒の動きの最適化を検討しております。

 

 現在アルティーエが始めた小鬼殺しルートはユクリリ、イム・ジッキョウがその更新を狙っており、その素晴らしさにチャートの出来を褒めたりガバさを笑うなど活況しております。

 

 一方蝸牛神を含めた一部の神様はアルティーエが走ったチャートだけに飽き足らず、全く新しいチャートを作り上げ全く新しい魅せ方まで模索しています。

 

 

 この界隈元々走る神様は少なかったですが、周りから見る神様も多く、その中でも特に神口密度の濃い辺りでは、さまざまな神様が夫々の走る神様の見せる好・珍プレイに夢中になっています。

 

 

 この様に神様が大勢集まるところには新たな神様が生まれることがあります。

 大体にしてそのような神は生まれた時に周りの神の思考に大きな影響を受けます。

 

 今回生まれたの新しい神様も他の神様例に漏れず、一定のルートを如何に早く走るかを模索するようになりました。

 現在は前を走っている先輩神様の動きをモノ真似していますが、生まれたばかりのせいか失敗する事も数知れず。何度も失敗しては他の神様に笑われております。

 

 それでも他の神様と同じ様に走り始めました。

 

 

 その神様の恰好と言えば、何か小さな白い四角の体につぶらな瞳をしていました。

 それでいてかなり強烈な毒を吐く。

 そして二番煎が大好きで、完走した「アルティーエ」に限らず、前を走っている神様たち、蝸牛神のチャートまで参考にしています。

 

 

 

 彼の神様の名前はミ=ギゥエー。

 彼の者を知るものは少なくとも、卑しくとも外なる神の一柱。

 

 どうか彼の物が完走出来ることを祈るとしましょう。

 



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取り繕おうにも大体もう駄目になっている話

いつかはゴブスレRTA 四天王(5人目)という夢を見たので初投稿です。

先駆者様からもコメント頂きました。うれしい(直球)

他の方も感想・評価・アドバイスありがとナス!

追記:誤字、勘違いの訂正ありがとうございます。うれしい…うれしい…
   お決まりの括約訂正ノンケニキも来てくれました。うれしくて漏れそう。



今作の目標は勘違いです。

KPもPLもPCもNPCも(ついでに言えば筆者も)が勘違いすることにより話を転がしていこうかと思います。(必死の予防線)





あまりのガバさに意識が遠のきそうなRTA はーじまーるよー。



 まさか全員生還してしまいました(蝸牛神の言った通りやった)が、進行に直ちに影響は無いと思うので問題ありません(懇願)

 

 

 

 近くの村から荷車を借りたら青年剣士(お荷物)と囚われていた村娘を荷台に載せてそのまま辺境の街に戻ります。

 

 村娘は大体がSAN値ピンチなので地母神の神殿に預けた方が復活は早いです。

 別に此といってメリットはありませんが、どっちにしろ青年剣士(粗大ごみ)を持っていかなければならないので(ロスは)ないです。

 

 

 

 因みに荷車を借りる時に村人を一人無料招待(拉致)しましょう。

 荷車を返す分のロスがなくせます。借りたら返す。当たり前だよなぁ?(常識人)

 

 

 

 

 ギルドに戻ったら女神官ちゃんの伝を頼って地母神の神官さんに癒しの奇跡(ベホイミ)をお願いしたいところですが、

 貧乏な我々にそんなお金は無いので(金が無いのは首が無いのと同じや)女武道家ちゃんに後は任せます。

 2週間も経てば復活するでしょう。自然治癒力ってすごくね? 

 

 

 

 しかしかなりの期間ベットを占拠されるので今回の依頼報酬と討伐報酬は全て飛んで行ってしまいます。

 これでは女魔術師ちゃんに使った水薬(ポーション)代は請求出来ません。敢えなく不良債権と化してしまいました。ガッデム! (蝶野並感)

 

 

 

 せめてもの救いはゴブスレさんへの報酬が要らないこと。

 癒しの水薬(ヒールポーション)野良小鬼(ホブゴブリン)焼いた時の燃える水(ペトロレウム)などの必要経費すら要らないと言ってくれるゴブスレさん。

 訓練されていないノンケ(ヒロイン1号)だったら「お前の事が好きだったんだよ!」となるでしょうが、その人ゴブリン殺す事しか考えてないから。

 

 

 

 何故だか疾走忍者君をチラチラ見ている女魔術師ちゃん、全然目を合わせてくれない女神官ちゃんと共に結果報告します。

 受付嬢さんからは厳しく小言を言われますが、甘んじて受けましょう。反抗して暴力に訴えようものなら槍使い(ランサー)兄貴に瞬殺されます(1敗)

 

 

 ここでやっとレベルアップしますので、斥候を二つ上げて【幸運】と【投擲】をとります。幸運を取得する理由は後述します。

 

 

 女神官ちゃんは青年剣士(ゴミ屑)の面倒を診たそうでしたが、現実(残金)を教えるとスゴスゴとゴブスレさんの後を着いていきます。

 意外とシビアなのね。

 

 

 

 さて、普通は此のまま翌日へ行きますが、疾走忍者君は忍耐がある分多少余裕があるのでドブ浚いを受注します。

 魔法も使ってないし体力が回復してる女魔術師ちゃんも連れていきましょう。つべこべ言わずに来いホイ

 

 この時受付嬢さんを通すと懲りてないのかと怒られますので、休憩で居なくなった隙を狙って受付しましょう。結局帰ってきた時に怒られるので変わらないですが。

 

 

 

 下水路は単独(ソロ)の場合、序盤の金策とレベルアップに最適で非常にうま味ですが、複数人居ると効率が激落ちします。はーつっかえ! 

 理由は報償金と経験点の単価が安いこと。

 

 ですので最初からパーティーならさっさとゴブリンの巣を襲う事(ハック&ラッシュ)をオススメします。

 今回は回復リソースがありませんが、女魔術師ちゃんの見張り(虫除け)があるので大丈夫でしょ。(慢心)

 

 

 ちなみに何故帰還後直ぐにドブ浚いに行くのかと言うと、この時間はドブ浚いで拾うもの(ドロップ品)のフィーバータイムだからです。

 場合によっては30分で、銀貨5万! とか金策が不要になるレベルだゾ。だから幸運技能が必要だったんですね。

 TASさんなら(現金的な意味で)金等級プレイとか出来そうです。

 

 

 下水の中に入っていくと疾走忍者君がうー☆うー☆言ってきます。ドロヘドロ! (名作)

 あ、人狼は濡れ状態にペナがあるんだった。(かなりのガバ)

 消耗が一気に3つも付きましたがこの後は寝るだけなので問題ありません。(マクスウェル並感)

 

 

 今回は探索時間が短いので、そこまで期待はできませんが、コロコロッと。

 

 4、3、6幸運技能が息をしていません。(ボーナスタイムとは一体)

 入手できたのは錆びた円匙(スコップ)、欠けた手鏡、小剣(ショートソード)

 売っても水薬を2つ買える(負債帳消し)かどうかといったところなのでしまっちゃおうね~。

 

 もうちょっとだけ粘って最後のダイス目は11(幸運技能に加えて、見かねたGM(真理)がボーナスつけてくれてコレってあのさぁ……)

 

 

 女魔術師君、やっとまともなものが出てきたぞ。

 どうやら呪文使用回数が1回増える指輪みたいです。評価額は銀貨1000枚といったところでしょうか? 売値は半分なので、たった銀貨500枚。

 しかもこのアイテム店売りしていません。いくら序盤の金は大事だと言ってもこっ↑ここ↓で売るのは勿体無さ過ぎます。

 

 

 かと言って疾走忍者君はそんなに頭の出来が良いわけではない(頭弱い)ので魔法なんて使えません。

 女神官ちゃんか蜥蜴僧侶(杉田)に持たせられたら括約できそうなのですが。

 

 

 

 女魔術師ちゃん取敢えず着けてみる? 

 

 ピンポロリロリン♪ 

 

 は? なんか好感度が上がったような音が聞こえなかった? 

 徳g、女魔術師君大丈夫か? 

 

 

 何か立ててはいけないノボリを立ててしまった様な気がしますが、ことここまで来たら先に進むしかありません。

 

 今日のところは帰って水浴びしたら寝ましょう。あーさっぱりした(本音)

 

 

 

 

 さて翌日からは単独(ソロ)でガンガン稼ぐゾ~(ドブ浚いの達人)、と思ったら部屋の前に女魔術師ちゃんがいるではありませんか。どったの君? 

 えぇ……(困惑)。ついてくるって、下水路に? お前精神状態おかしいよ……。

 

 無下に断っても此のままなら無理矢理ついてきそうなので、自ら脱落(ドロップアウト)を狙います。

 こんな事なら殺しておけば良かった。(暴論)

 

 

 さてここからは倍速。

 

 

 下水路を探索している二人をただ見続けるのはつらいかと思います。

 

 

 そ ん な み な さ ま の た め に ぃ ~

 

 

 下水路(ドブ浚い)でのブースト方法をご説明いたします。

 

 これは簡単で、何らかの交渉技能か統率技能を持って朝一の依頼(クエスト)が持っていかれた後に一週間以上塩漬けになっている物をまとめて受付に持っていくだけです。

 特にゴブリンと下水路関連は残り易く、ゴブリンだけ受注しないように気を付けて(ゴブスレさんと話したい受付嬢のために)残しておけば良いので楽勝です。

 

 二人組(デュオ)での目減りも、女魔術師ちゃん発案の共に単独(ソロ)と言い張って二重受注で解決することが出来ました。生かしておいたかいがありました。(熱い手のひら返し)

 やっぱ女魔術師くんの……賢さ(台詞忘れ)……最高やな! 

 

 

 今日は二人合わせてドブ浚い2件、下水路探索(マッピング)1件、大黒蟲(ジャイアントローチ)退治2件の計5件。あれこっちの方が儲かるんじゃね? 

 

 休んでいる暇はないぞガーデルマン女魔術師、出撃だ!! 

 

 

 

 後は狼人間と魔術師がただただひたすら下水路を攻略する映像をお楽しみ下さい。

 

 

 

 忍者疾走中...

 

 

 

 うん、おいしい。(味覚障害)

 

 試走時に単独(ソロ)でやったときより実に1.14514倍の収益です。受注件数としてはおおよそ1.5倍なのでうま味無いですね。

 二人居ると言うことは被ダメも2倍ってことで消耗品も2倍。女魔術師ちゃんのケア面倒だしそろそろ脱落しないかな~(手のひらアタッチメント)

 

 


 

 

 そんなこんなしているとギルドから呼び出しを受けました。

 

 あれ、まだ昇級にはもう少し掛かるんじゃなかったっけ? 

 いや、うちはアットホームな一党(職場)ですし、全然ブラックじゃないですよ。ちゃんと有休ありますし(使えるとは言っていない)。

 

 ……あかん。監督官さんは看破(センス・ライ)使えるんだ。

 

 え? あ、なーんだやっぱり昇級ですか(安堵)。

 単独の時よりほんの少しブーストがかかっていたためいつもより早めに話が来たらしいです。

 

 

 今回の昇級審査は上位等級の指示を聞けるか。一番いいのを引けました(勝ったな風呂入ってくる)

 女魔術師ちゃんがいるので、一党(パーティー)での連携は無理だし、ここで長期クエとかだと最悪再走案件なので。

 

 

 大剣(ガッツ)兄貴はそもそも面識無いですし、槍使い(ランサー)兄貴は素人(ガキ)のお守りなんてしてくれませんので、残りは我らがゴブスレさん(辺境最優)になります。

 

 

 今の時期なら火の秘薬(マイト)でのゴブリン生き埋め(発破作業)前かな? 

 

 此のままドブ浚いしていてもジリープアーだしなぁ……(ドブ浚いの達人)

 

 

 ヨシ! (現場猫)しめやかにオリチャー発動! 

 このクエストからゴブスレ一党に着いていきます。

 

 

 ねねねね~、ゴブリン殺し(スレイ)って楽しい? 一緒にゴブリン倒しに行こーよ。

 

 

 速攻で応じてくれる辺り、一般(通過)冒険者()とは違いますね。

 

 

 さてこのゴブリン生き埋めクエスト、野良とかの上位種はいない代わりに数だけは多いです。

 ゴブスレさんと女神官ちゃんだけでは発破生き埋めしかありませんが、壁役が充分にいれば余裕で攻略できます。

 そう考えると最初のクエストは上位種が2体もいてかなりの初見殺しです。

 周回プレイ前提なのか(困惑)

 

 

 今回の巣穴は単純に奥に広間があってうじゃうじゃとゴブリンがいるだけなので、

 伝統のモンスターハウス攻略法宜しく広間への入り口で待ち構えて女神官ちゃんの障壁(プロテクション)で入り口を狭くして投石→斬殺で行けます。

 

 ただし夜中だとゴブリンが活動中で無駄に手間が掛かりますので昼間がオススメです。

 じゃけん、(ゴブリンにとっての)夜いきましょうね~。

 

 

 倍速中

 

 

 はい。特に見せ所さんもないままさっくりと終わりました。銀等級がいて、通常の2倍の4人も戦r……。アレ? 4人? 

 

 

 ア゛↑ア゛↑ア゛↑ア゛↑ア゛↑ 女魔術師(こいつ)脱落してねぇぇ! 

 

 

 

 はぁ~~~(クソデカため息)

 

 本当は一党(パーティー)は3~5人が一番バランスが良いのですが。

 まあ、かの魔神弑しの英雄も6人組だし一人くらい増えても大丈夫でしょ。(フラグ)

 

 これで晴れて黒曜等級になります。まあ直ぐに昇級する予定ですが。

 

 


 

 

 この後は3人組(凸凹杉田)が来るまで自由行動ですが、やっぱり安定性が高いのでゴブスレさん達に着いていきます。

 

 次の依頼(クエスト)の山砦ですが、ゴブスレさんと女神官ちゃんの二人だけでほぼ最適化されているので安心です。

 

 それでは倍速で行きます。

 

 

 う~~倍速倍速。今完走を求めて全力疾走している僕は黒曜等級の ごく一般的な冒険者。

 強いて違うところをあげるとすれば感想と評価に興味があるってとこかなー……。名前は疾走忍z……ファ!? なんで等速に戻るし!? 

 

 え、山砦内の冒険者助けるって! ウソだろお前(震え声)

 

 前に入った冒険者が生きている可能性があるから? 冗談はよしてくれ(タメ口)

 

 

 ゴブスレさんが原作でもう助からないって言ったのは女神官ちゃんに罪悪感を持たせないためみたいでした。あっそっかぁ(池沼)

 

 なんでこういう気遣い出来るのに女神官ちゃん(ヒロイン1号)とか牛飼娘ちゃん(ヒロイン2号)とか受付嬢さん(ヒロイン3号)の好意は気付かないのかなぁ? 

 そんなラノベの主人公みたいな朴念仁で恥ずかしくないの? (ラノベです)

 

 

 文句を言っても相手は銀等級(在野最高位)、もう死んでると思うんだけどな~俺もなと黒曜の新人が言っても説得力もないのでゴブスレさんの言うがままです。

 

 今回はゴブスレさんと女神官ちゃん、女魔術師ちゃんが囮になって、その隙に疾走忍者君が潜入(スニーキング)、救助者を連れ出したらすかさず放火! 

 そしてそのまま炎のスリップダメージで削りきる戦法です。隠密の出自が生きてしまった形です。(半ギレ)

 

 

 さて、囮の3人が接敵したのを確認したら裏口から浸入。 一人は火炙りでもう無理でしたが3人は息がありましたので担いでいきます。

 

 帰りがけにゴブスレさんから貰った燃える水(ペトロレウム)を撒いて着火。枯れた山砦が勢いよく燃えていきます。もっと燃えるがいいや!! 

 

 

 3人を火の手の回らないところへ連れていったら後は待機を命ぜられていますが、勿体無いので火だるまで出てきたゴブリンに投石して始末しましょう。

 動くと当たらないだろ? 動くと当たらないだろぉ!? 

 

 お、投擲スキルが上がったみたいです。 命中にボーナスが付きました。やったぜ。

 

 

 

 ゴブスレさん達も無事討伐を終えたみたいです。

 後は隠れているのをパパパっと殺って、終わりっ! 

 

 

 

 最後に回収した冒険者(廃人)を地母神の神殿までドナドナして終了です。

 

 

 うーん。今までの試走とはかなり変わってしまいましたが、大きな枠は一緒だと思うので大丈夫でしょう。このまま続けます。

 

 

 

 それでは今回はここまで、ご閲覧ありがとうございました。

 

 




ストックが尽きてしまったので書き溜めしてきます。

後輩が走り始めてゴブスレRTAも賑やかになるな、と思っていたらあっさりと追い抜かれました。

…鈍足忍者と言われない様に頑張ります。

申し訳ありません。
ルルブが到着してしまったので読み込んできます。
(こんなに時間かかるなら書籍版にしなければよかった)
そのためこの後の投稿はかなり遅れるかもしれません。
(そもそも早くない)


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取り繕おうにも大体もう駄目になっている話(裏)

ゲージが赤くなっているのに漏らしそうになったので初投稿です。たまげたなあ

ルルブ読んだら小癒で骨折が治ったり、障壁じゃなくて聖壁だったりと、ガバさ加減に落ち込むこともあるけれど、私はノンケです。(突然の告白)

ルルブはいいゾ~これ。(MUR)




【受付嬢side】

 

 やっと新規登録の冒険者志望を捌き切って、一人紅茶を嗜んでいた麗らかな春の午後。

 急にギルドの扉から入ってきたのは血生臭さと埃臭さ。

 慣れたくもないその臭いは、まさに生死を賭けた戦闘によるもの。

 つまり誰かが怪我ないし、亡くなった時の臭いです。

 

 思わず身を固くして臭いの元を辿ると、今朝方見送った白磁の一党(5人パーティー)とゴブリンスレイヤーさんでした。

 一目見るに、MIA(ロスト)KIA(死亡)した人はいない様です。思わずほっと胸を撫で下ろします。

 

 といっても白磁の方々はほぼ半壊といった感じで、青年剣士さんは狼人さんに背負われていましたが。

 命に別状ないものの、胸の骨が幾つも折れている状態は流石に軽傷とは言えず、未だ意識が戻っていません。

 

 地母神殿に奇跡の行使を願える程の蓄財があるわけもなく、青年剣士さんはそのままギルド二階の宿屋へ運び込み、酷く憔悴している女武道家さんは頑なに付き添おうとします。

 こういう時はしたい様にさせるのが一番です。

 


 

 残りは血と埃に塗れた体と装備をぼろきれで拭って簡単ながら身だしなみを整えたら、依頼結果の報告(アフタープレイ)です。

 といっても今回はゴブリンスレイヤーさんの結果報告(インタビュー)との齟齬が無いかの確認だけですが。

 

 皆意気消沈としているかと思いきや、監督官さんお気に入りの、変なしゃべり方をする狼人さんだけはえらくハキハキと冒険の結果(リザルト)を報告するのに、少し違和感を感じます。

 

 普通最初の冒険(クエスト)の時の報告など、上位悪魔(グレーターデーモン)の様な下位悪魔(レッサーデーモン)がいてそれを自分たちがどうやって倒したかというものか、あるいはドラゴンもかくやと言った大蛇(パイソン)のせいで逃げざるを得なかったという、話半分どころか7割引きにしなければならないか、そもそも戻ってくる事も出来ないかの何れかです。

 しかし偶には事実を的確に伝えられる冒険者もおり、大概はそういう冒険者は大成する事が多いとも聞きます。

 

 それでも銀等級であるゴブリンスレイヤーさんと、初めて冒険したばかりの白磁の報告に全く誤差が無いのは聊か不気味ささえ感じます。

 なぜ【看破(センス・ライ)】の使い手である彼女が不信感を持たないのでしょう? 

 人の薄暗い側面を見る事が多いあの人が、何故好印象を持つのかが分かりませんでした。

 

 ゴブリンスレイヤーさんから荒紐を括り付けた水薬(ポーション)の瓶を貸りて、上に下にして目を凝らしてその細工を眺め、落としそうになって慌てている様は若人らしく微笑ましいはずなのですが。

 


 

 多少は気にかかりつつも、報酬の銀貨20枚──1人たったの4枚──をカウンターに載せながら心を鬼にします。

 お説教が好きな人はいないでしょうが、聞けることの有難さを噛み締めて貰わないと、次に生きて帰れる保証はありませんから。

 

 ふむ? 女神官さんは……もう大丈夫そうですね。

 生来が臆病なのは冒険者として大きな長所(メリット)ですから、後は誰か良い方(上位等級)と組めば、伸びていくでしょう。

 女魔術師さんはと、まだ理解できるほど心が落ち着いていないみたいですね。

 気の強そうな方でしたからその自尊心(プライド)に罅が入っているのでしょう。

 何か心の拠り所でもあれば良いのですが……。

 狼人さん改め疾走忍者さんは、ん──? 頭を下げ、耳を寝かせてシュンとした恰好をしてはいますが、尻尾はパタパタと大きく振っています。これは確実に反省なんかしていませんね。

 次の冒険(クエスト)の事でも考えているのでしょうか? ちょっと延長しましょう。

 

 旅馴れた様子やそれなりに教養のありそうな佇まいにも関わらず、孤児という出自な事から、恐らく理不尽な死というものに直面した事も幾度かはあるでしょう。

 その様な人は臆病と言って良いほど慎重になるか、危険なほど大胆になるかの二択です。

 ですので、どちらにしてもこの様な事があった後は、自身の思いが揺らぎ、変に暴力的に反発することも考えられます。

 それすらなく、先の事しか考えない彼は明らかにおかしいです。

 

 ただそれに気づいたのは、お花摘みから戻ってきた時に目に留まった、冒険受注表(クエストオーダーボード)に同僚の字で書かれた受注記録。

 詳しく聞けば、まだ欝屈としていた女魔術師さんを連れて下水路に潜ったそうです。

 

 あまりの事に眩暈がするようでした。

 

 

【女魔術師side】

 

 この辺境にすら名を知られている都の賢者の学院、その中でも指折りの成績で卒業した私は、まさにその行く末を宿望される存在のはず。

 本当なら都のギルドでも下にも置かれぬ、宮廷魔術師への道さえ可能性があった私と弟の未来が陰ったのは、何もかにもあの(父親)のせい。

 

 良いところの郷紳(ジェントリ)の娘だった母を捨て、年若いて端女(メイド)と逃げたのは私が10歳(とお)の頃。

 それ以降母は心を病んでしまい、間も無く夭折。残った遺産は私と弟の入学金と授業料で費えた。

 

 偶々魔法の素養があった母が、在りし日に私と弟に教えてくれた【点火(インフラマエ)】だけが私の心の拠り所だった。

 其れを護るために必死になって勉強した。

 

 同世代でも頭ひとつ抜けていた私に、面と向かって腐して来るような愚者は学院には居なかったが、何かと直情的な弟は影からの指差しに非道く苦労したと思う。

 下手な劣等感(コンプレックス)を拗らせた弟から避けられる様になるのには然程時間は掛からなかった。

 

 卒業後は一旦弟と距離を置こうと、地方に出て高級官史になるか、どこかの貴族の子弟の家庭教師(ガヴァネス)でもやるかと思案をしていたところ、西の辺境へ仕事をしないかという話が来た。

 

 内容はとても簡単な荷物の運搬。精々1フィート半(肘から先)位しかない大きさの、やけに軽い小包を指定の場所へ届けるというもの。

 道中何かに襲われることもなく、無事に西の辺境の街に到着しそれを受取人に渡した。

 

 黒い外套(フード)で顔を隠し、ぶっきらぼうな男だったことと、妙に金払いが良かったことが印象的だった。

 

 その後最も近くの大都市、水の街への乗合馬車を待って、ギルドで暇を持て余していたところに彼らから声をかけられたのだった。

 


 

 あの冒険(クエスト)……いやあれは冒険(クエスト)ということすら烏滸がましいただの無鉄砲(向こう見ず)

 全員が命を繋いだのは本当に奇跡としか言いようがない。

 

 何せ、私はただの一度も呪文を行使する事さえ出来なかったのだから。

 

 ゴブリンの群れに襲われ、青年剣士と女武道家が野良(ボブ)に吹き飛ばされたあと、後衛2人と彼の3人で逃げる際に肩を貫いた激しい痛み。

 それはまるで焼き鏝を当てられたかの様なひどい熱さで、そんな痛みに慣れていない新人(白磁)が転んでしまったのもむべなるかな。

 

 大した防具も用意せず、癒しの水薬(ヒールポーション)すら賄わなかった私たちを謗るかの様に、粗末な矢1つで意図も容易く足手まといとなってしまう。

 つい先程まで侮辱していたはずの女神官に肩を貸されて助けられる始末。

 

 その後彼……疾走忍者さんが身を呈して盾になってくれなければ、洞窟のシミの一つになり果てていたかもしれない。

 

 その姿はあの日に助けてくれた行商人の獣人と見紛う姿。

 女神官の切羽詰まった声に気づくまで思わず見惚れてしまっていた。

 

 洞窟を出たところで張りつめていた何かが切れたか、急に疼き出した肩から矢が抜かれる衝撃と、口の中に入ってきて思わず噛み締めてしまった無骨な毛深い指、そして癒しの水薬(ヒールポーション)の味。

 

 そこで私は意識を消失し、気がついたときには囚われていた娘達、意識の戻らない青年剣士、それを幽鬼の様な顔で看病する女武道家と共に荷車の荷台に座らされでいた。

 

 そう。銀等級のくせに妙に小汚ない冒険者と彼らの3人がゴブリンを皆殺しにして帰ってくるまで、私たち3人は何も出来なかったのだ。

 


 

 もう治ったと言うのに、未だにあの時の痛みとそれに伴う臆病風が私の動きを止める。

 

 でもこんな場末のギルドの片隅で震えているのは間違っている。

 私は名を上げて、あの男に滅茶苦茶にされた人生に栄光の名を刻み込むハズなのだと。……そう思うのに、人の出入りの賑やかなギルドの待ち合い室の長椅子から一歩も動けないでいる。

 

 私は……有望な魔術師でもなく、新進気鋭の冒険者でもなく、実にか弱い小娘でしかなかったのだ。

 そう思うと惨めでしかなく、此のまま代筆でもして生計を立てていこうかと脆弱な気持ちになりかけていると、頭の上から声が掛かってきた。

 

「地下道ノ探索。手ヲ借リタイ」

 

 そう、その綺麗な琥珀色の瞳に強い意志を宿した疾走忍者さんだった。

 命を助けられた彼に頼られている。

 人に話せば笑われるような些細な事だが、私にとってはまたとない福音に聞こえた。

 そしてそのまま下水路に着いていくことになった。

 


 

 下水路の中は、ヘドロと汚物、残飯、それに何だか分からない大きな骨が流れる悪臭漂う汚水の溜まり場だった。

 正直一秒だって居たくない場所の、更に悍ましい部分に疾走忍者さんは瞬巡もせずじゃぶじゃぶと足を進めていく。

 

 一際深くなっている部分を見つけると、いつのまにやら見つけていた、錆びて先が欠けている円匙(スコップ)で泥を掬っては通路に積み上げる作業を繰り返している。

 

 みるみる内に通路に山積みになる堆積物。

 それらの中から手探りで銅貨やガラス瓶、捨てられたにしては不思議な位に綺麗な小剣(ショートソード)等を分別している。

 

 これらは基本的には冒険者の取り分。

 大概が冒険(クエスト)に失敗し、故郷に帰る宛もなく、かといって苦界に身を落とす程には借金の無かった者が、その日の糧を賄う行為。

 私にはとても真似は出来そうに無かったが。

 

 私はと言うと、彼の近くで松明を持ち、近づいてくる大黒蟲(ジャイアントローチ)巨大鼠(ジャイアントラット)を牽制するだけ。

 薄暗い下水路はあの時の恐怖を思い起こさせるものの、なんとか叫び出す様な真似はしなかった。

 ドブ浚りの合間に彼が良く声をかけてくれたからだろう。

 

 内容は本当に他愛もない話。

 家族構成や出自、趣味の事など。彼は意外と家庭的な性分らしく、料理の腕もそれなりだとの事だった。

 その事に胸を張る彼が少し身近に感じられた。

 今度、その自慢のお菓子を食べてみたいと言ったら、一瞬目を大きく見開いたあと、人好きそうな笑顔で快諾してくれた。

 一人では耐えきれないことでも二人、しかも命を懸けて守ってくれた人との会話は私を奮い起たせるのに充分だった。

 


 

 小一時間位経っただろうか? 

 彼が何かを見つけたらしい。その手の中にあるのは小さな銀色の塊。銀貨にしては小ぶりで揚げ菓子(ドーナッツ)みたいな形状は紛れもなく指輪だった。

 

 輝石は薄汚れていて何か分からないが、黄色い透明な石で、土台は銀でしっかりとした造りをしていた。

 

「恐ラク呪法ヲ増ヤス(レーザークリスタル)ノ指輪。黄玉(トパーズ)ナノデ一回分。ゴウランガ!」

 

 話に聞いたことはあるが、地下迷宮(ダンジョン)の、奥深くにでも行かないと見つからない、かなりのお宝だろう。

 

 何故その様な事を知っているのか聞くと、彼の両親は共に魔法の武器・装備を街から街へと鬻ぐ仕事をしていたからだそう。

 両親は8つの時に相次いで亡くなり、その後は遥か東方の島国で変身(メタモルフォーゼ)を操る獅子人の親戚に師事していたとのこと。

 と言うことは東方文字も読めるのかと聞いたところ、恥ずかしそうに、そちらの素養は皆無だと教えてくれた。

 やっぱり彼があの時の獣人の子供なのだ! 

 そんな彼が、私と同じ様に依る辺の無いもの同士だと言うことに、何故だかとても嬉しく思うのだった。

 


 

 彼は下水から上がると体を震わせ水気を切り、指輪を飲み水で洗って手拭いで磨き上げたのち、暫しウロウロした後に私に手渡してきた。

 

 私はあまりの事に何も言えなかった。

 

 それこそ熟練者(ベテラン)以上なら幾つか所持していてもおかしくはないが、私たち白磁の冒険者にはとてもではないが手が出せる物ではない。

 思わず返そうとしたが彼はこう言うのであった。

 

「拙者ワザノ類ハ実際不得手。女魔術師ノ方ガ良ナ」

 

 あぁ、彼はあんなにも無様な姿を見せつけた私を信頼してくれるのか。

 

『この人に付いていけば大丈夫』

 

 そんな安心感を与えてくれる様な暖かい気持ちになった。

 

 ドブ浚いを切り上げ、水場で体を清めたら(毒や評判にも関わるので大事なことだと彼に教わった!)、後は結果報告(アフターセッション)

 疾走忍者さんは受付嬢さんにこっぴどく叱られていたが、私が取り成すとしぶしぶといった感じで許してくれた。

 

「女の子は大切に扱わないとダメですよ」

 

 そんな受付嬢さんの締めの小言を最後に私たちは解放された。

 


 

 夜は興奮して寝ることができなかった。左手の薬指にぴったりと嵌ったピカピカの指輪をずっと眺めていた。

 

 あの後意外と(と言ったら気分を悪くするかな?)手先が器用な彼が、細かい汚れを落としてきれいに磨いてくれたのだ。

 

 黄色というよりも琥珀色に近い彼の目そっくりな深く透明な色合いに心奪われていた。

 こんなものを貰ってしまったのだし、明日からもっと彼の為に頑張らないと。

 数時間前には冒険での失敗(ミス)による命の危機に震えてるだけだったのに、今では嬉々と次の冒険(デート)の事を考えている。

 我ながら、なんと現金なものだ。

 

 

【監督官side】

 

 昨今の冒険者達の話題はある二組の一党(パーティー)で持ちきり。

 

 片方は銀等級とは思えない格好で、一人ひたすらゴブリンを殺すだけの不審人物(変なの)に、年若い白磁の女神官が仲間になった事。

 口性無い連中は体の良い肉盾だの、薄い胸でたらしこんだだの言うが、わたしから言わせてみればちゃんちゃら可笑しい。

 あれは共に支え合う……とまでは行かないが、お互いに信頼しあっている。

 と、言っても受付嬢位しか信じてくれないが。

 

 もう片方は、白磁に成り立てにも拘らず、黒曜等級を越える程の功績点を稼ぎ出す狼人と女魔術師。

 

 ドブ浚いに下水路での討伐(害獣・虫駆除)など、人が嫌がる仕事を率先してやってくれるが、如何に彼らが凄いかを熱弁しても、多重受注を理由に上司は首を縦に振らない。

 終いには良からぬ関係では無いかと邪推してくる始末。

 

 お前の下衆な思考なんて丸見えなんだよ! 

 ゴホンゴホン……。

 

 受付嬢は彼ら……と言うか疾走忍者をこんなにも評価するのは変だと何度も言ってくるけど、彼はそこら辺の聖人ですら足下にも及ばない程の純真さを持つ。

 

 ドブ浚いも、害虫駆除も、獣退治も見栄や打算でなく赤心からと分かる。

 

 かつて一目だけ見た事のある剣の乙女ですら心の何処かに漆黒を抱え持っていた、そんな嘘偽りに溢れた四方世界では、彼の表裏の無さは類希なる魅力(チャームポイント)

 

 しかも実家で飼っていたポチに似てるし。

 


 

 其から幾日かしてやっと上司も折れたのか、ある依頼(ミッション)を条件に昇級審査を許可してくれた。

 

 それは(ギルド)の言うことに従えるかどうかというもの。

 

 ギルドからすれば、言うことを聞いて下手に詮索しない手駒は幾つあっても足りはしない。

 

 別に暗殺・破壊行為(ダーティージョブ)をさせる訳ではなく、政治的行為(足の引っ張り合い)などの灰色(グレイ)な仕事こそ、忠誠心と沈黙──余計な情報を得なければ、他所に流さない──が大切。

 純粋な彼ならばその様な任にぴったりかも知れない。

 

 彼みたいな人にその様な事を任せたくはないが、命令を断れないのが宮勤めの辛いところ。

 依頼内容はごくごく簡単なもので、白紙の便箋を封筒に入れて、封蝋したものを預かって貰うだけ。

 手紙を渡して直ぐに昇級審査の話をして、次の鋼鉄等級への昇級審査の際に確認するという念の入り様。

 老練と云うよりも卑劣に思えてくる。

 

 で。当の疾走忍者はと言うと、別の事でも考えてるのか、何の気もせずに受け取るとそのまま懐へ。

 ほらやっぱり。

 

 

【小鬼殺しside】

 

「ドーモ、ゴブリンスレイヤー=サン」

「何の用だ?」

 

 ゴブリンの依頼(クエスト)を受けようと依頼掲示板(クエストボード)が空いた時を見計らっていると、少しばかり前に助けた白磁(アマチュア)の中の2人が立っていた。

 女は確か魔術師。【火矢(ファイアボルト)】が2回だったか。

 男は斥候。等級の割には気配を隠すのが上手かった。

 

「一緒ニ依頼(クエスト)シテ欲シイ」

「ゴブリンか?」

「是非モナク」

「規模は?」

「不明、然レド多イ。村人頻繁ニ見テル」

上位種(役持ち)は?」

「トーテム無イ、居テモ田舎者(ボブ)

「距離は?」

「歩イテ2刻」

「良し、すぐ出るぞ」

 

 お題目や経緯(バックグラウンド)何ぞどうでも良い。

 この様に要件だけ答える様は白磁(アマチュア)にしては良い反応だ。こういう奴は生き残る。

 後ろで相方(パートナー)が微妙な顔をしているが構うものか。

 

「あ、あの!」

「何だ?」

「ゴブリンスレイヤーさん、彼らの名前知ってますか?」

「知らん」

「え、……呼び合う時に困りますよね?」

「そうなのか?」

「そうですよ」

 

 何故だか記憶の奥にある姉の様に、少し困った様な笑顔をしながら、女神官は彼らを紹介していく。

 途中、女魔術師が、使える呪文は【火矢(ファイアボルト)】と【混乱(コンフューズ)】と言っていた。

 なるほど、人は学ぶ。ゴブリンもだが。

 使える手札の確認は大切だと師が言っていたではないか。

 

 ゴブリンの巣は無駄に広く数も47と多かったが、野良(ボブ)もおらず洞窟の壁も厚いので、聖壁(プロテクション)で入り口を固めれば前衛を抜ける訳もない。

 

 速やか(スビトー)  哀れ(トリスティス)  愚者(ストゥルティ)

 

 混乱による同士討ちで3割は戦闘不能に出来た。

 悪くない。

 呪文を封じる巻き物(スクロール)は滅多に手に入らないが、ゴブリンに対しては効果的と思える。検討してみるか。

 

 ゴブリンからの抵抗が弱まる。後備えが尽きたか。

 【聖壁(プロテクション)】から前に出る。

 疾走忍者もなにも言わずとも俺の位置に滑り込み、壁役(タンク)を交代する。

 

 フム。もう素人(ヌーブ)の動きではないな。

 戦気逸って前に出る事でゴブリンに抜かれる事を考えれば今のが最良。

 背中を気にしないのも、良いものだ。

 

 相手が完全に沈黙する。

 死んだ振りをしている奴も居るので、1体づつ喉笛を潰していく。

 疾走忍者もそれを見て同じように飛刀(スローイングダガー)で首を掻き切っていく。

 脂で手が滑るのだろう、何度も外套に掌を擦り付けている。

 此処ら辺はまだまだだ。

 

 ギルドに戻ると、結果報告(インタビュー)もそこそこに受付嬢と監督官から応接間に呼ばれる。

 疾走忍者と女魔術師の昇級面接だそうだ。

 共に充分な働きをした事を伝える。

 疾走忍者は血糊への対応、女魔術師は行軍への追従──つまりは体力──が課題であることを伝える。

 受付嬢が驚いた様な顔をしていたが、何かおかしな事でもあったろうか? 

 

 

【女神官side】

 

 ゴブリンスレイヤーさんとの2人組(ペア)で幾つかの依頼(クエスト)(全てゴブリンです)をこなし、やっとゴブリンスレイヤーさんの考えている事が少しは分かる様になってきたかな? と、思っていたら今度は最初の冒険(クエスト)で一緒だった疾走忍者さんと女魔術師さんの2人組(コンビ)の昇級審査のお手伝いに駆り出されました。

 

 疾走忍者さんはゴブリンスレイヤーさんと幾つか問答したかと思うと直ぐに攻略を始めようとします。

 流石に歴代でも指折りの速さの昇級審査対象者です。

 ゴブリンスレイヤーさんの質問に淀みなく答えています。

 わたしもまだまだ頑張らないといけません。

 

 洞窟に向かう途中、女魔術師さんが声を掛けてきました。

 

「えっと、……その。この前はごめんなさい。臆病者なんて言ってしまって……」

「いえいえ。私が臆病なのは本当ですから。それより肩の方はもう大丈夫なんですか?

「ええ、もうすっかり元通り。傷痕もないわ」

「それならよかったです」

「助けてくれてありがとね。ところでゴブリンスレイヤーさんってどんな人なの?」

「えーと、なんと言いますか……」

 

 お互いにこうしてお喋りできる事の喜びを噛み締めます。

 

 女魔術師さんはわたしでも知っている位有名な賢者の学院を優秀な成績で卒業されたそうです。

 【火矢(ファイアボルト)】や【混乱(コンフューズ)】といったわたしはまだ使えない攻撃呪文も扱えるすごい人です。

 それでも、机上の勉学だけでは何も出来なかったと自嘲していますが。それはわたしも一緒です。

 

「あれ?」

「どうしました?」

「いや、さっきあそこに小さな圃人(レーア)の様なものが見えたんだけど……気のせいよね」

「?」

「忘れて。そんなことより……」

 

 洞窟に向かう2刻ばかりの間にとても仲良くなれました。

 冒険者になっての初めてのお友達ができました。

 


 

 洞窟の入り口は嘗ての初めての冒険(クエスト)を思い起こすのでまだまだ慣れませんが、今日は一党(パーティー)が4人も居るので安心です。

 

 そんな風に考えていると、ゴブリンスレイヤーさんに気を抜くなと叱られました。

 

 いけない、いけない。集中力を切らせていました。

 

 奥の大広間の前に着くと、手筈通りわたしが【聖壁(プロテクション)】を張って女魔術師さんが【混乱(コンフューズ)】で同士討ちを誘います。

 ゴブリンスレイヤーさんは壁役(タンク)として広間への入り口に陣取りました。

 疾走忍者さんはゴブリンスレイヤーさんの隙間を縫って器用に投石しています。

 

 なるほど。こうやって投石出来れば、遊兵にならないで済むんですね。

 わたしには疾走忍者さんの様には膂力が無いですから、何か方法を考えないといけません。

 

 ある程度討伐したら後はゴブリンスレイヤーさんが殲滅を開始します。

 壁役(タンク)交代(スイッチング)した疾走忍者さんは暫くして、動くゴブリンが居なくなったところを見計らって殲滅に参加します。

 泣いて命乞いをしたり、隅で震えている幼体だったりを容赦なく殺すことにはどうしても慣れません。

 疾走忍者さんは躊躇いも無いみたいですが、大丈夫なんでしょうか? 

 

 同じ白磁なのに、何故にこうも違うのかが、あの深い琥珀色した瞳にあるような気がして思わず身を震わせます。

 決して悪い人では無いのは分かっているんですが。

 


 

 今日は昇級審査のお手伝いだけですので、これでおしまいです。

 お二人は此れから昇級の面接を受けるそうで、ゴブリンスレイヤーさんも立会人として参加します。

 わたしは手持ち無沙汰に1人ぽつねんと長椅子に腰掛けていました。

 

「なあ」

「あっ、えっと、なんでしょう……?」

 

 声を掛けて来たのはわたしと同時期に冒険者になった新人剣士さんと見習い聖女さんでした。

 

「よかったら、僕らと一緒に冒険(クエスト)しないか?」

「いえ、もうわたしは他の方と……」

「知ってるわよ。あの銀等級のくせにゴブリン退治ばっかりしてる奴でしょ?」

「新人を囮にしているって噂になっているんだ」

 

 失礼ですね! みんなそんな風に思っているんですか!? 

 ゴブリンスレイヤーさんはそんなことしないのに! 

 1人で憤慨していると、

 

「ほ ら そんな風に 強引 なの はダメ よ」

 

 銀等級の魔女さんが彼らを追っ払ってくれました。

 

 あんな人になれたらな、と憧れます。

 わたしとの戦闘力(胸囲)の差にめげそうになりますが。

 

「大変よ ね? 彼と"ごいっしょ" するの」

「そう……ですけど……」

「"ごいっしょ"する なら 自分で決めなさい ね?」

 

 そう言葉を残して去って行きました。

 


 

 程無く3人が戻ってきました。

 お二人は黒曜の認識票(プレート)に変わっています。

 僅かな嫉妬は無いとは言えませんが、喜びの方が勝ります。

 

「おめでとうございます!」

 

 ささやかながら、食堂でお祝いをします。

 女魔術師さんと話したら、ゴブリンスレイヤーさんも疾走忍者さんもそんなことを考えもしていなかったみたいです。

 といってもお酒を沢山飲む様な人も居ないですし、ゴブリンスレイヤーさんは直ぐに牧場に帰ってしまいますので早々とお開きになりましたが。

 

 元々は同じ一党(パーティー)で冒険した仲間なので、別れるのは淋しいです。

 女魔術師さんも同様だった様で、この後も一緒に冒険しましょうと提案してくれました。

 疾走忍者さんも頷いてくれましたし、明日の朝ゴブリンスレイヤーさんを説得しないと。

 

 彼のことだから、「そうか」のひとつで片付きそうですが。

 

 

【??? side】

 

 冒険者にとっては何気ない日常。

 気に留まらなくても誹られる様なものでもない。

 

 ただ確実に物語(ストーリー)に混乱を巻き起こす。

 彼のものたちの末に幸よあれ。




今回は監督官さんと女神官ちゃんの書き分けに苦労しました。
どれもこれも監督官さんが殆ど出番ないのが原因なんや、俺は悪くぬぇ!(親善大使並感)。

夜も寝ず、昼間テレワークと言いながら昼寝して作ったのでストックは(もう)ないです。(ネタも)ないです。


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どうしてこうなった(AA略)という話

本当なら昨日の晩に投稿する予定でしたが、寝落ちしてしまったので初投稿です。

UDK姉貴を知るためにクッキー☆を見ながら書いたので一部不適切な表現となってしまいました。苦行とは言いえて妙だと関心するが、どこもおかしくはない。

感想・評価・誤字訂正もろもろありがとナス!
皆様の感想が筆者の燃料(ニトロ)になります!
☆10個つけてくれたスギマル兄貴そんなに評価してくれてうれしい・・・うれしい・・・。

前回色々直したのに黒曜を黒磁と書いたり・・・ホントに原作読んでるの?この筆者?
少しずつ直していきます。何でもはしないので許してください。

追記:あまりにエロの需要があったので、作成することにしました。
ホモの兄貴達にはお目汚しになると思いますので、この話の裏が終わってから別枠で作ります。
結果遅い投稿速度がさらに遅くなりますが、すいません許してください!何でもはしませんから!


色々と勘違いしてとんでもない事になりそうなRTAはーじまーるよー。

 

はい。山砦で「もーえろよもえろーよ」をし終えた所から再開します。

何時ものように保護した冒険者とかを地母神の神殿にシュゥゥゥーッ!!超!エキサイティン!!!

 

その後結果報告(アフタープレイ)をやってレベルアップ。

今度は【武道家】を上げて【カラテ】を初歩で取得しましょう。

カラテを取得すると三戦立ちが出来るようになるので殴打攻撃に対して防御ボーナスが入ります。

特に次の人喰鬼(オーガ)が持っている大剣(グレートソード)は打撃武器なのでこのボーナスがかなり役立ちます。

カスが効かねえんだよこの野郎(独歩並感)

 

こういう積み重ねがチャートの安定に寄与しますので、面倒だからと無視してはダメです(もう既に原形を留めていない初期チャートからは目を反らしつつ)

 

後は残しておいた成長点を使って【料理】を熟練まで上げます。

これは先駆者様方もやっている野営での好感度イベント対策です。

このイベント、森人弓手(金床)だけでなく女神官ちゃん(変なの2号)も多大な影響があります。

特に女神官ちゃんの味覚に合うものを出さないと、最悪超過祈祷(オーバーキャスト)に失敗して乙ります(3敗)

因みに甘いものが一番安定します。女子供なんか甘いものでも食わせとけば良いってそれ一番言われてるから(フェミニスト大激怒)

 

そしていくら料理技能があっても調理器具と調味料が無いと効果はガタ落ちなので、少し痛い出費ですが包丁とまな板(龍驤)、大きめの片手深鍋、小鍋にお玉、食器を購入。

冒険用の調理道具セットはありますが、ちゃちいので使いません。

序でに小麦粉と塩漬け肉、お酒、お酢、油、バター、蜂蜜、調味料、干し果物そして香辛料(胡椒)を買います。

ホントは卵と牛乳も欲しいのですが、そんな贅沢品を旅に持っていくことは出来ないので諦めます。

 

あ、忘れてた。おいちゃーん。アレ作っといて。

え、高くつくだって?大丈夫大丈夫、ヘーキヘーキ。

 

お、また商人の出自が良い仕事してくれました。お前の事が好きだったんだよ!

ゴブスレさんに指摘された血濡れ対策として、握り手に滑り止め(テーピング)をして貰います。いいテーピングだ!

後は消耗品を補充して終了。何か忘れている様な気もしますが、大したこと無いでしょ(慢心)

 


 

少し時計を早めてしまった関係で3人組(凸凹杉田)が来るまで時間が空いてしまいましたので、暇潰しがてらちょっくら依頼(クエスト)を・・・と思っていたら新米戦士君と見習聖女ちゃんが来ました。

そう、あの二刀流覚醒イベントです。どうやら今回は下水道で功績点を荒稼ぎした関係で早く来たみたいですね。それでも確定イベントにならない模様。何か他にフラグがあるのかな?

 

このイベントは小鬼殺しルートならば終盤、このルートでも中盤の鬼門である小鬼王(ロード)戦での大勝利判定に意外と効いてきます。

出来ればそれまでに発生させたかったですのでディ・モールトベネです(文法?知らんな?)

少し早いですが、彼らもレベルアップさせましょう。

 

女魔術師ちゃんおいでおいで、良いとこ連れていってあげるから。

なに?下水路行くのは良いけどこの2人はなんだって?いいだろお前よぉ、(新人共の)成人の日だぞ(意味不明)

 

渋る女魔術師ちゃんを引き摺って、ついでに監督官さんに、「新人のお守り(時間外労働)するから見逃してくれよな~頼むよ~」的なことを言ってクエストを多重受注しましょう。

今回の報酬をこの2人組が払えるわけもないので、消耗品代位はこれで稼がないといけません。

事情が事情なので、大目に見てくれます。なんだよギルドの管理ガバガバじゃねえかよ。

 


 

わたしが貴様らの訓練を受け持つ一等軍曹の疾走忍者である。

話しかけられた時以外は口を開くな。

口からクソたれる前と後に"sir"と言え。

分かったか、ウジ虫ども!

 

"サーイエッサー"

 

なんだその声は!爺のファックの方がもっと気合が入っているぞ!

いいか、カウボーイ野郎共、これから笑ったり泣いたり出来ない様にしてやる。

 

・・・・・・

 

さあ!敵が来たぞクソっ垂れども。

お前らの仕事はなんだ!?

 

"殺せ!殺せ!殺せ!"

 

お前らが好きなものはなんだ!?

 

"宝!宝!宝!"

 

依頼人を愛しているか!?

 

"報酬分!報酬分!報酬分!"

 

ウム!今回の雌豚どもは飲み込みが良い。

 

お昼をとっくに過ぎて、夕餉の時刻も近付いてきました。少し物足りないですがこれくらいにしておきましょう。

何故か持っている暴食鼠(グラトニー)の歯と巨大黒蟲(キングローチ)の頭を換金して、彼らに分配します。

金貨なんて見る機会が無いのでしょう。涙を堪えながら喜んでいます。イイハナシダナー。

取り分は7割が彼らに、2割が女魔術師ちゃんに、残りが疾走忍者君になります。

敢えて端数が出るようにしたんだからちゃんと計算しろよ(暗黒微笑)

消耗品を使わずに済んだので、結果としてプラスです。やったぜ。

 

さあ、明日も行くぞお前ら!

 

3人の目からハイライトが消えました。はて、どうしたのでしょう?(すっとぼけ)

 


 

3日も経つと鼠やゴキを見かけただけで条件反射で倒していく様になります。

 

頑張って生餌にした育てた甲斐がありました。

 

いつの間にかTDN 剣も取り返しており、新米剣士君は変な名前を付けていますが、俺のログには何もないな。

曰くありげな新月刀(シャムシール)とか拾わないだけマシってなもんです。

 

そうこうするうちに、銀等級の3人組(凸凹杉田)が来ました。

受付嬢さんと押し問答しています。

 

オルクボルグ?それって小鬼殺しの魔剣のことじゃね?

ああ、知ってる知ってる。ゴブスレさんでしょ。

 

え?疾走忍者君が急に動かなくなってしまいました!?ナンデ!?

 

"エルフのせんしこわい エルフのせんしこわい"と震えています。

いや、あれはエルフだけどせんしじゃないから!光らないから!

 

仕方ありません。非常事態なので直接操ります。

エイヤ!と壁に頭を打ち付けて意識を取り戻すのです。

 

傍目から見たらいきなり固まったかと思いきや、壁に激しく頭をぶつける変なのと思われますが、チャートには影響無いので問題ありません。

3人組から不審な目で見られましたがさらりとスルーして、監督官さんに声を掛けます。

 

あ、監督官さん。応接間空いてる?使わして貰っても良い?ありがとナス!

じゃけん(応接間)に行きましょうね~。

 

森人弓手(2000歳児)が駄々を捏ねますが、交渉技能が役に立ちます。

 

それって黒曜石の短剣でしょ?こんなに綺麗な結晶見つけるのも大変だったんじゃない?流石森人良い仕事してますねえ~。え、従兄からのプレゼント?彼氏さんとかそういうの?違う?姉の許嫁なんだ~。へぇ~。

 

・・・ふ、チョロい。

ちょっとおだてりゃ「あんた良い奴」って、こいつ子供かと思いますが便利なので指摘はしません。鉱人道士()がテーブルの向こう側で呆れて見てます。

 

此の合間に前書きを聞いてしまいましょう。

魔神王が復活して今日もどったんばったん大騒ぎ?

でもゴブスレさんはゴブリン殺すのが得意なフレンズだよ?

え、魔神王は倒したけど残党が活発に活動してるんだ~。すごーい。

ああ、その影響で森人の森の近所の遺跡にゴブリンが住み着いちゃったんだ。へ~。

ところで、3人はどういう集まりなんだっけ?国境沿いで領土問題が難しいから森人だけでの退治ができないわけか。ナルホドナー。

 

ギィと軽い軋みを立てて扉が開かれます。

 

森人弓手(金床)だけが自分がどんな冒険をしてるかを語るのに酔いしれており、ゴブスレさんが入ってくるのに気付いていないですが、男共は目配せし会うとゴブスレさんを連れて外に出てしまいます。

え、これどうすんだよ!?

 

疾走忍者君が解放されたのは実に半刻近く経ってからの事でした。あったまきた(冷静)

 


 

「(君たちは新人の相手してるんだし)休(んだ方が良いんじゃない?ついてくるなら構わないけど、油断しちゃだ)め(だよ)」

 

ゴブスレさんは相変わらず超絶圧縮言語をかまして来ます。

疾走忍者君は大丈夫ですが、女神官ちゃんのやる気がただ下がりするので速攻でお供を表明します。

 

ケモノだけれどノケモノにしないで!

 

なんか疾走忍者君の動きがぎごちないですが、大丈夫でしょ(慢心)

 

これで7人組という大人数で依頼(クエスト)を受けることになりました。

人数制限があったら、泣く泣く女魔術師ちゃんをポイするところでした(外道)

 

下水路に行く前に準備はしていたので、自室に戻ります。

青年剣士君を看病しながら女武道家ちゃんがあーんとかしています。リア充爆発しろ。

 

どうせ俺らが冒険(クエスト)行っている間にkkummしてるんだろ!獣人の鼻を舐めるんじゃありません。

醒めた目で見て、置いていきます。そろそろ宿代を体で払ってもらおうかな~(意味深)

 

しっとの心は父心~♪と歌いながら、集合場所に落ち合います。

予定時刻よりも随分早いですが、全員揃ってました。流石銀等級(白磁と黒曜含む)

 

後は遺跡迄の道のりですが、野営を1回挟みます。

森人弓手(金床)がいるので森を突っ切っても良いのですが、女神官ちゃんの疲労が危険が危ないレベルになるため、結果として遺跡の前で二泊する羽目になりかなりのロスです。

それならば拓けていて綺麗な水のある野営場(ベースキャンプ)が使える街道沿いの方が疲労も溜まり辛いです。

 

銀等級の男たちがテントの設営をしているなか、疾走忍者君は腕を捲ります。

 

さて、此れからが疾走忍者君の本領発揮!

 

森人弓手と女神官ちゃんには薪と食べられそうなものを採って来て貰う様にお願いして、女魔術師ちゃん一緒に竈を直して水を汲んで手と食器類を軽く洗います。

この四方世界に食品衛生学の概念なんぞ殆どありませんが、腹下しでロストすることもあるので大事です。後は塩漬け肉を水で戻して準備は完了。

麻紐を解して火口を作ったら、火打ち石で種火にします。道々集めていた乾いた小枝で火を起こし、少し大きめの枝に引火させます。

 

おっと、2人が帰ってきました。

薪を放り込んで火力を上げましょう。

暫くすると炭がメインになり、火の勢いが弱くなって来ますので料理に丁度良い頃合いです。

 

え、キノコと山菜に鳥の卵を見つけてきたって?森人弓手は女神か何かですか?これはもう一手間掛けられますね。

お肉を戻したら水気を切って、それから薄く切ります。そして少し塩気を加減して、胡椒を振ります。

両面に小麦粉を付けたら卵を溶いた中に潜らせます。深鍋に油を少し多めに入れて馴染ませたら、卵を絡ませたお肉を投下。少し揚げる位が良いです。両面がきつね色になったら、ピカタの完成です。付け合わせに山菜を湯がいたものを付けます。

 

キノコの方は水の状態から鍋に放り込んで出汁をとります。

煮たったら山菜を入れ、しなってきたら塩漬け肉をそのまま少し多めに入れて味付けもしてしまいます。後は胡椒で調整。

はい。簡単ですがキノコのスープも完成しました。

同様に森人弓手(草食動物)向けにお肉なしのも準備します。女神官ちゃんが作る豆のスープをキノコ出汁で作るだけですが。

 

キノコは他にも串に刺して豆醤を塗ってそのまま焼きます。うーんいい匂い。ただ焼くだけじゃつまらないものね。

ピカタに使った卵は後で使うので残しておきましょう。

 


 

疾走忍者君の作った料理は概ね好評でした。女神官ちゃんと女魔術師ちゃんが特にお気に召してくれたみたいです。

ゴブスレさんだけは特に何も言わず黙々と食べていますが、この人は牛飼娘のシチュー以外反応しないので仕方ないね(レ)

 

さて、このまま宴会に移行します。

ああだこうだと女性3人で姦しいです。好きな異性のタイプとか言い合っています。え?疾走忍者君?菅野美穂(意味不明)

男性陣は静か・・・かと思いきや蜥蜴僧侶さんがチーズに舌鼓を打っては喜びの声を上げています。べ、べつに悔しくなんか無いんだから!・・・ねぇ、ちょっと頂戴。

凄い目で睨まれましたが、明日の朝使うと言うと分けてくれました。・・・チビるかと思った。

 

森人弓手は伝統の保存食、鉱人道士は火酒を取り出します。

此方は小麦粉を水に溶いて卵をいれたらバターを入れて・・・あ、膨らまし粉忘れてた!買い忘れたものってこれかぁ。まあ、仕方ありません。他のものを作りましょう。

 

砂糖代わりに蜂蜜を入れて、よく混ぜたらお玉に取って、一度火から外してバターを塗った鍋に薄く広げます。今度は中火にして縁が僅かに焦げて全体がポツポツとしてきたら出来上がり。干し果物を入れて蜂蜜をソースにしてクレープの完成です。

 

あ、おいコラ!2000歳児、人のを盗るんじゃありません!まだ材料あるから。

殆どが森人弓手(金床)の胃の中に消えました。それを鉱人道士()が揶揄っています。喧嘩するほど仲が良いとはこう言うものです。

男どもは蜂蜜を抜いてお肉を挟んでラップサンドにします。酒の肴に良いでしょう。

 

その内に酔っぱらった森人弓手が冒険者になった目的を聞いてきます。

他の人は大体原作通りです。疾走忍者君は【託宣(ハンドアウト)】を受けたとか言うと、外なる神(アウターゴット)の狂信者と勘違いされるので、無難に武者修行と在り来たりな回答にしておきましょう。後は(若干ゃ数が少ない)狼人の復興ぅですかねぇ。

え、何?お前外なる神の一柱じゃねぇのかって?それはそれ、これはこれ。

森人弓手(金床)がつまらないとか言ってきますが、そんなに物語性のある目的なんぞそうは無いやろ。

 

女魔術師ちゃんだけが、疾走忍者君の目をじっと見ながら"大事な人を助けることです"と言ってきます。凄く背筋がゾッとしました。なにこの娘こわい。

 


 

さて、夜も更けて来たので交代で夜営をして睡眠を取ります。

夜哨の当番は食器と調理具の洗い物と仕込みがあるので最初に疾走忍者君が数時間、次がゴブスレさんで約半分、ホントは最後に森人弓手(2000歳児)が担当ですが、酔い潰れてるので蜥蜴僧侶が代役を務めます。あのさぁ・・・。

女魔術師ちゃんと女神官ちゃんが地面の固さに辟易しているので、地面を掘って土を戻して天然の柔らか敷き布団を作ります。多少虫と土が付きやすいですが、寝心地は良いゾ~。

 

それでは水に浸けておいた食器と調理器具を束子でゴシゴシ。

 

コロコロコロッ

 

ファ!?今の賽子なに?遭遇判定!?おい、GM(真理)露骨に目を反らすな!

こんなところにクマー(軽巡に非ず)が現れました。みんなを叩き起こします。未だ夢の中の2000歳児は2人で運んでもらいます。ダメみたいですね(諦観)

 

・・・忍者(+銀等級3人)奮闘中。

 

流石銀等級の冒険者。3人に勝てるわけないだろ!え、4人じゃないのかって?・・・まあねえ・・・。

さっくり倒したところ、こいつ意外にも名持ちだそうです。毛皮を剥いだら持っていきましょう。名前は羆嵐(くまあらし)。あっ・・・(察し)

あと手を切り取っておきましょう。処理が大変だけど次に食べられたらいいなぁ(願望)

 

血の匂いがあると野犬や狼、悪魔犬(ワーグ)なんかも寄ってくるので河岸を変えましょう。

幸い数百メートルほど行ったところにきれいな小川がありましたので、そこで水浴びをして再度就寝です。

それではおやすみなさい。

 


 

疾走忍者の朝は早い。

 

まだ日が出る前に起きだして、蜥蜴僧侶に任せていた熾火を盛大に大きくする。

そして徐に小麦粉を取り出して水で捏ねます。水の量を足していって少しドロドロするくらいにしましょう。

小鍋に卵を割り落して、蜂蜜と葡萄酒(ワイン)を混ぜます。女神官ちゃんが起きだしてきますので、小鍋の方の攪拌は任せましょう。

リコッタチーズは難しいので、昨日蜥蜴僧侶さんから貰っていたチーズを細かく削ぎ切りにして小鍋の中身と一緒にして小麦粉のペーストを混ぜ合わせます。

後は弱火でコトコトと5分程度、キュケオーン(古代ギリシャ風小麦粥)の完成です。

 

みんな起きだして来ました。鍛錬していたゴブスレさんも寄ってきます。

さぁ、あとは自分の味覚に合わせて塩と蜂蜜で味付けして食べてください。

 

森人弓手(2000歳児)に残っていた蜂蜜全部食べられました。もしかして、プニキかな?

 

朝食が済んだら直ぐに出発。昼前には目的の遺跡に到着しました。

 

森人弓手が卓越した弓技でゴブリンの見張りをワンショットツーキルします。ビューティフォー。

 

さて、ここで森人弓手のSANチェックポイントその1、ゴブリン臓腑イベントが発生しますが今回は先輩達のチャートを参考に臭い消しを・・・アレ?

 

アアアアァッ!?臭い消しを買い忘れてたぁ!こっちだー!!

 

 

すいませへぇぇ~ん!!とんだガバで森人弓手は臓物まみれになりました。

まぁ、他のSANチェックポイント回避できればいいので大丈夫だから(震え声)

 


 

流石に神代にまで遡れるほどの遺跡。えげつないトラップがいくつも仕掛けられています。

しかしながら今回は斥候野伏1、斥候戦士1、斥候武道家1と斥候に強いのが3人もいますので、お互いに死角を補い合うため楽勝です。3人に勝てるわけないだろ(2回目)

 

途中まで進むと分岐点があります。

左側にはゴブリンの巣、右側にはブラジルと書いてあります。誰も突っ込みません。ほわい?

森人弓手が目捷く鳴子の罠を見つけて、鉱人道士が石の減り具合から巣穴の方角を推測します。

いや、あの、書いてあるんですがそれは・・・。

 

と、ここでかしこい疾走忍者君はとつじょサンチェックかいひのアイデアがひらめきます。

逆に考えるんだ、見せなくってもいいさ、と。

 

あの部屋に行ってしまうとSANチェックが発生してしまうので、森人弓手とそのお守りをここに配置させて何人かで右側を攻略してしまえばいいのです。

捕らえられているのが女性なので、1人は女性を連れて行くとして、森人弓手は勿論NG。女神官ちゃんも超過祈祷(オーバーキャスト)要因なので避けたいところ。となると女魔術師ちゃんが適任です。お前は俺の(おもちゃ)でいいんだ上等だろ。結局ゴブスレさんと女魔術師ちゃん。疾走忍者君の3人で行くことになりました。

 

右手に進んでしばらく行くと、突き当りに粗雑な扉が見えてきます。中からは異様な臭いを漂わせています。くっせぇなこいつ。

ゴブスレさんがエクストリームお邪魔しますを開催しますので、そのまま付いていき隠れているゴブリンを見つけたら飛刀(スローイングダガー)を相手のゴール(脳天)にシュゥゥゥーッ!!超!エキサイティン!!!(2回目)

 

顔の半分が2倍位になっている森人のコロシテという言葉をキャンセルします。只のロスなんで何で聞く必要なんかあるんですか(正論)

ゴブスレさんはゴブリンが他に潜んでいないかブスリ♂ブスリ♂としております。捕まっている森人の対応は女魔術師ちゃんに任せて、疾走忍者君はそこら辺を漁り、森人の雑嚢を見つけ出してきます。基本地図以外ないのですが、今回は解毒薬(アンチドーテ)を見つけました。活用させてもらいましょう。(クズ)

汚れを落として女魔術師ちゃんの予備の服を着させたら、分岐点に戻ります。女神官ちゃんに小癒(ヒール)を唱えて貰って応急処置したら、蜥蜴僧侶に竜牙兵(ドラゴントゥースウォリアー)で外まで連れて行ってもらいましょう。

本当なら誰か護衛がつけられればいいのですが、純粋な前衛が2人しかいないこの一党(パーティ)では中々にままならぬものです。まぁ、原作では無事だったんで大丈夫でしょう(慢心)

 

森人弓手は多少ショックを受けているようですが、元々嘔吐するレベルなので充分です。お客様、吐かれては困りますので。

森人の持っていた雑嚢はゴブスレさんに渡すと森人弓手の追加SANチェキなので他の誰かに渡して貰いましょう。

地図は意外にこの手の事に慣れている蜥蜴僧侶(杉田)に、雑嚢は女魔術師ちゃんから森人弓手に渡してもらいます。

 

あとは最深部まで迷宮の如く入り組んだ遺跡を進んでいきます。

原作との違いは、基本的にゴブリンを殲滅する事位。森人弓手は多少落ち込んでますが、鉱人道士と軽口を叩き合う位には元気です。これならクリティカル(両目潰し)狙えそうですね。

 

最深部に到着すると、最下層でゴブリンが数十匹寝てますので、女神官ちゃんの沈黙(サイレンス)と鉱人道士の酩酊(ドランク)で無効化します。

 

後はヤロー共4人で寝ているゴブリンを淡々と捌いていきます。森人弓手は女神官ちゃんと女魔術師ちゃんのガードとして周りを見張っていて貰い、起きたゴブリンを遠距離から始末して貰います。

ゴブスレさんにアドバイスされた通り握り手にテーピングしてるので滑りません。流石ゴブスレさん。

飛刀(スローイングダガー)は刺突出来るので血脂で滑って切れないという事はなく、喉笛を的確に刺していきます。

後ろで、森人弓手が異様なモノを見るような目つきで見てきますが、えっ、そんなん(チャートに)関係無いでしょ(正論)

 

ゴブリン全員を鏖殺したら、いよいよ中盤の難関人喰鬼(オーガ)戦です。

こいつ、人喰鬼(オーガ)と言っときながら実際は人喰鬼将軍(オーガジェネラル)同等のヤベーやつです。女神官ちゃんと同じ等級詐称かな?

 

能書きを垂れてきますので、さっさと奇襲(アンブッシュ)した方がタイムは短縮できるのですが、安定のためにここはアイサツをします。アイサツは大事 古事記にもそう書いてある。

まさかアイサツが来るとは思っていなかったみたいなので、人喰鬼(オーガ)は驚きつつも嬉しそうです。さてはこいつ友達居ねぇな。

 

さて、疾走忍者君が人喰鬼(オーガ)と対峙している間に他のメンバーは攻撃を仕掛けます。

しかし、この人喰鬼(オーガ)の装甲は若火竜(ヤングレッドドラゴン)に肉薄するレベルなので、手傷を負わせるのも一苦労。ましてや自動回復で付けた傷がどんどん回復するので、ジリープアー(徐々に不利)です。

 

人喰鬼(オーガ)は焦れて火球(ファイアボール)を撃ってきますが、女神官ちゃんの超過祈祷(オーバーキャスト)が成功して、聖壁(プロテクション)2枚重ねで何とか凌ぎます。女神官くんさすがやな!

と言っても、疾走忍者君の尻尾は微妙に焦げましたが。

ここで女神官ちゃんは打ち止め。流石に後方に下げざるを得ません。ほんまつっかえ!(熱い手のひら返し)

 

その後もお互いに致命的一撃(クリティカル)が出ず、尺も稼げません。仕方ないので女魔術師ちゃんの火矢(ファイアボルト)を使って牽制して貰っている間に森人弓手の目刺し攻撃を誘発します。

今回はテンションが高めなので、上手い事両目を射抜いてくれました。

 

目が見えなくなったところで、女魔術師ちゃんが盛大に転んで大きな音を立ててしまいました。人喰鬼(オーガ)がそちらに目掛けて自身が持つ大剣(グレートソード)を投げようとします!

このままだと女魔術師ちゃんのミートパテが出来てしまいます。今のままだとちょっと持て余していたので、ここでタヒって貰おうかなぁ(0.03秒)。

あ、森人弓手と女神官ちゃんがこっちを見てる。これは助けないと逆におかしいな(手のひらクルー)。仕方ない。庇いますか。あっ!。

 

女魔術師ちゃんを突き飛ばして助けたはいいが、自分が大剣に当たってしまいました。なんだよこのクズ運!

 

ダメージダイスは・・・よかったギリギリ生き残ってた。カラテが仕事してくれました。馬鹿野郎お前俺は勝つぞお前!!(満身創痍)

 

武器から手を放した人喰鬼(オーガ)も目が回復してきたのか2発目の火球(ファイアボール)を使おうとしてきます。今です。ゴブスレ兄貴!オナシャス!

今回大した傷がないゴブスレさんが特に見せ場もなく巻物(スクロール)を使って人喰鬼(オーガ)を真っ二つにしてくれます。

今回は上半身を吹っ飛ばしてくれたので、人喰鬼(オーガ)のセリフもなくロスもなし。ナイスぅ!

 


 

全員疲労困憊、疾走忍者君に至ってはオデノカラダハボドボドダ状態なので蜥蜴僧侶兄貴の賦活(バイタリティ)癒しの水薬(ヒールポーション)で応急手当て。

ゴブスレさんは奥を気にしていますが、鉱人道士に止められます。

実は財宝とかあるので、是非行きたい所さんなんですが、蜥蜴僧侶兄貴に背負われている今の状況では何言っても無駄です。

あーあ、女魔術師ちゃんのせいでこれじゃ台無しだ。誰だよこいつ助けたヤツ!(ブーメラン)

 

遺跡を出ると森人の軍隊が来ますので、後は頼むと幌馬車に乗り込みます。

 

さて、今日はここま・・・は?何で終わらないの?

 


 

夜中に辺境の街まで帰ってきました。

皆喋る元気もなく、三々五々と散っていきます。

疾走忍者君も節々が悲鳴を上げているのでさっさと寝ましょう・・・と思ったら、最初の一党(パーティー)4人で借りてる部屋から喘ぎ声が!!

 

田舎剣士と武道家はスケベな事しか考えないのか(憤怒)

 

中に入って水でもぶっかけてやろうと思っていると、隣の部屋に引きずり込まれます。

そこには泣きそうな顔の女魔術師ちゃん。疾走忍者君の服に顔を埋めてイヤイヤしています。

仕方ないです。自分を庇って死にかけたんですからね。

 

と、思っていたら疾走忍者君が操作を受け付けなくなりました!

そのまま女魔術師ちゃんを抱きしめたかと思うとベットに押し倒し・・・

 

※※※続きはDVD でお楽しみください※※※

 

一戦終わって落ち着いたのか操作を受け付けたので窓の外を見ると、そこには赤と緑の二つの綺麗な満月が浮かんでいました。

 

これから隣でニヤニヤしている知識神に、リアルファイトを始めますので今度こそ今日はここまで。

 

ご閲覧ありがとうございました。

 

おいにゃんにゃんにゃん!




最後のシーンは表の書き方だとネタにしかならないので書けません。
裏なら女魔術師ちゃん視点の描写になるのかな?
ただ、(書くつもりは)ないです。
(書けるほどの文才も)ないです。

あ、今回は一部にノンケ的な表現がありますので、訓練されたホモ以外のホモはお気を付けください。
東方は一切の責任を負いかねます。


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どうしてこうなった(AA略)という話(裏)

いきなり38台℃の熱が出たので初投稿です。
熱にうかされて書いたのは良いですが、まともに文章推敲も出来なかったので、遅れてすいません。許してください何もしませんから。

生死郎兄貴☆10ありがとナス!生死を掛けて頑張ります。

次は、エッチなのはいけないと思います!を書く予定なので更に遅くなります。
書けなくなる状態でもない限りエタるつもりはありませんので気長にお待ちください。


【女神官side】

 

使われなくなった森人(エルフ)の山砦。そこにゴブリンが住み着き、近隣の村が襲われだしたのが一週間前から。

女性ばかりという珍しい4人組の一党(パーティー)が消息を絶ってからおよそ1日。決して素人に毛が生えた様な人たちでないことはその認識票(ネームタグ)の色から容易に推察出来ます。

 

そんな彼女らが戻らない事態に、偶々別村からの依頼(クエスト)を受けていたわたし達が気付いたのはその日の夜。四人組に依頼した村の村長さんから聞かされました。

 

直ぐの救出を提案するわたしの言葉にもゴブリンスレイヤーさんは慮りもせず却下してきました。

 

「ダメだ」

 

「何でですか!?」

 

「夜はヤツらの時間だからだ」

 

疾走忍者さんが取り成してくれます。

 

夜目(R-9E)ガ利カヌ我々デハ、夜間ノ奇襲ハ実際困難」

 

「半日と少し。女ばかりとのことだから、孕み袋用に一人二人生かしている可能性がある。だが恐らく今は捕まえた獲物を嬲って猛っているだろう。だから気の緩むヤツらにとっての夕方ーー早朝を狙う」

 

そう、中堅に手が届きそうな手慣れた一党(パーティー)でもちょっとした事でこの様になってしまうのです。

わたし達が最初の冒険で、如何に無謀だったのかを思い知らされます。それは女魔術師さんも同様みたいで、隣で青い顔をしていました。

 

それでも首の後ろにチリチリと何か違和感を感じたのは、ゴブリンスレイヤーさんの非情とも取れる判断に対してなのか、それともその判断に全く疑いもなく賛同した疾走忍者さんの異質さに対してなのかまでは分かりませんでした。

一方で一人助けられなかったことを悔いている所もあり、どちらが本当なのか分からなくなります。

 

地母神さま。どうか迷えるわたしに道標をお授け下さい。

 

 

【貴族令嬢side】

 

我々は決して油断などしてはいなかった。

確かに圃人野伏(レーア レンジャー)が鳴子の仕掛けに気が付かなかったのは失敗(ミス)と言えるかも知れないが、そこまでに幾つもの(トラップ)を解除してきた彼女にそれを詰るのは酷だ。

倒れている女性(もう亡くなっていた)にまで罠が掛けられている事を想定していなかった、そもそも立ち寄った村で乞われたゴブリン退治を安易に受ける事を決断したのは自分だ。

 

鳴子の仕掛けでヤツらを起こしてしまった我々では対処も撤退も出来ず、ヤツらは我々を囲んで棒で叩くと、全員を縛り上げた。

 

頭目として仲間を守るため、辱しめるなら自分だけにしろと声を枯らして叫んでも、ヤツらは私をニヤニヤと見るだけで、横にいる仲間を汚していくのだった。

縄を解こうと踠 けば蹴られ、顔を背ければ殴られ、ただ仲間達が悲鳴を上げている様を見せつけられるだけだった。

そして恐ろしく醜悪な饗宴が始まった。

 

最初は怯えて漏らしてしまっていた森人(エルフ)の魔術師。

散々犯された後で、最もヤツらを殺した事が気に障ったのか、両手両足を丸太に打ち付けてそのまま焚き火の中に。生きたまま焼き殺されてしまった。

熱さにのたうち回る様を嘲笑するゴブリン。

彼女の金切り声が断末魔の叫び声に変わり、徐々に小さくなって消えていっても私の耳に痼いた様に離れない。

 

ヤツらは一頻り暴虐の限りを尽くして満足したのか、散々弄んだ圃人野伏の脚の腱を切って、歩けないようにした上で放置して寝ようとしている。

明日には彼女をどうにかするのだろう。其までにどうにかしないと!

・・・しかし私は簀巻きにされて天井から吊るされており、何も出来なかった。

舌を噛みきらない様に口の中に詰め込まれている焼けた骨ーー森人魔術師のものだ!ーーの苦味に涙が滲むのを堪えることが出来なかった。

 

只人僧侶(プリーステス)は凌辱された末に精神を閉ざしたのだろう。

特に拘束もされず放置されていた・・・放って置かれてるのに、地べたに座ったままただ何もない虚空を眺めていた。

 

 

【ゴブリンside】

 

他のゴブリンがその血肉に酔いしれているなか、このゴブリンだけは空きっ腹を抱えて一人見張り(夜哨)に立たざるを得ない事に腹を立てていた。

何故なら戦いもせず見張りをしていただけだと罵られ、宴に参加も出来ず再度見張りを続けさせられていたためである。

そもそも最初の見張りだって、次の獲物を優先してもらうという約束だったではないか。

ヤツらはいつも自分の足を引っ張るんだ!

 

自分の怠慢で冒険者が奥まで入り込んだ結果と言うことは歯牙にもかけず、忌々しい太陽が昇る様を座って見ていた見張りの目に、女二人と 男一人が映った。

 

見張りは歓喜した。今やっと寝静まりかけたバカどもはこの冒険者に気づきもしない。それなのに優秀な自分は気づけたんだ。

鳴子も罠も先の冒険者が壊しており、その効果は機能しない。

ただ遊んでいたヤツらに比べたら真面目に見張りをしていた自分が一番なのは当然だ。あの女魔術師を貰おう。肉付きも良く食いでがある。いや、あの女神官も自分のだ。何せヤツらは目の前の勝利に酔いしれて警戒を怠っていたのだから。固くて不味そうな男でも宛がっておけば充分だ。

 

見張りのゴブリンは最期まで気が付かなかった。自分の後ろに音もなく立つ、漆黒の頭巾と外套、それに顔の下半分を面頬で覆ったもう一人の冒険者が居たことに。

 

 

【監督官side】

 

「ねぇ。監督官さん。ギルドで武器の貸与とかしてる?」

 

午後を少し過ぎた頃ーー依頼(クエスト)の受注もおおよそ終えて、冒険者が帰ってくるまでの少しぽっかりとあいた時間ーーギルドの日報の間にお気に入りの小説を挟んで隠し読みしているわたしにそう声を掛けて来たのは白磁の2人組、新米戦士さんと見習聖女さん。

担当の受付嬢はお昼休憩中。

 

「一応やっていることにはやってるけど、魔法の武具が殆どだから凄く高いよ?あと、紛失した場合の罰則(ペナルティ)を考えるとあんまりオススメは出来ないかな・・・」

 

「ほぉら、やっぱり。何か別の事を考えないと」

 

「でもさぁ、俺ら農村出身でろくに技術(スキル)もないんだぜ。先立つものがないとどうしようもないよ。」

 

どうやら前の依頼(クエスト)で、武器を無くした模様です。ちょっと知恵(ヒント)を貸しましょう。

本来なら冒険者に肩入れするのはご法度なんですが、受付嬢(同僚)ゴブリンスレイヤーさん(変なの)に肩入れするのに比べたら可愛いもの。

 

「誰かの一党(パーティー)に組み入れて貰って、そこで借りれば良いんじゃないの?」

 

「え、そういうのは良いの?」

 

一党(パーティー)内の貸し借りはその党員(メンバー)が認めれば良いからね。あなた方も冒険中に癒しの水薬(ヒールポーション)なんかを融通することがあるでしょう?その延長です」

 

「はぇ~。なるほど。でも俺たち白磁だからまだ下水路しか行ったことないよ。付いてきてくれる人居るかなぁ?」

 

「居るじゃない。下水路に潜り続けている冒険者が」

 

「?」

 

どうやらピンと来ていない様子。

 

「貴方方と同期で、今や銀等級と一緒に冒険もしている黒曜のお二人。特に疾走忍者さんは・・・」

 

何やら藪を突いたとゲンナリした顔をしていますが、彼の良いところはこれ位じゃ終わらないよ。

 

 

【新米戦士side】

 

いくら辺境のギルドでも指折りの速さで黒曜等級に上がったとは言え、俺たちと同じ時期に冒険者となったのだし、そんなには変わらないと思っていた。

先ずは手持ちで買えるこん棒を買って、さぁ行こうと意気込んでいるといきなりギルドの中で冷や水を浴びせかけられた。

 

「冒険ハ ドンナモノデモ トッテモ危険。備エヨウ」

 

先ず最初に言われたのが服装と装備。ほんの些細な鉤裂きや欠け割れも見逃さず、自分で直すまで冒険は出来ないと言ってきた。

何時もなら見習聖女がブツブツ言いながらも直してくれていたが、一つ一つの装備の事を理解していないと、いつ何時衣服が引っ掛かって致命的失敗(ファンブル)に繋がるかわからないとの事。

確かに嫌と言うほど理解したよ!無視しようとしたことは謝るよ!だけど態々下水路に罠仕掛けてドブに落とす必要はないんじゃないかな!

 

下水路での探索も基本は俺らと女魔術師にばかりやらせて、キツいなと思ったら手を出してくれるだけ。

確かに頼んだのは此方だけど、もうちょっと敵をやっつけてくれないなかぁ?

 

そう見習聖女に溢すと、痛い拳骨と共に説教が返ってきた。

 

「バカ!剣を取り戻しただけなら、また同じ様になっちゃうでしょ?私達を鍛えてくれてるのよ」

 

「って!何すんだよ!分かってるよそんな事。ただもう少し手心加えて欲しいってだけだよ」

 

「・・・まぁねぇ。今までの冒険(クエスト)が遊びみたいに感じるもの」

 

横で耳を傾けていた女魔術師がクスリと笑う。

 

「彼と二人きりの時に比べればまだまだよ」

 

そのあまりに実感の籠った言葉に俺らは黙り混むしかなかった。

 

しかしこんな探索を3日連続でするとは、流石の女魔術師でも想像もつかなかった様だ。

最後の方には3人共に息も絶え絶え。後1日愛剣が見つかるのが遅れてたら、敵にではなく過労に倒されていたかもしれない。

 

やっと見つけたチェストバスター!もうお前を離さないからな!

 

 

【見習聖女side】

 

「は~疲れた」

 

新米戦士がそう洩らすのも仕方ない。この3日間、毎日半日以上下水路に居たのだ。

私と女魔術師の二人なんか声を出すことさえ出来ない位疲労している。

戦闘なんて数えきれず、剣を紛失した切っ掛けである暴食鼠(グラトニー)なんて初日に討伐しているのだから。

 

それでいて疾走忍者は息切れ1つ所か、まだまだ此からといった雰囲気。

 

黒曜になったばかりだし自分との差など殆どない、と侮っていた自分が恥ずかしくなった。

いや、女魔術師がこの有り様なんだもん。

 

女魔術師と二人で水浴びして体を清めながら、ふと疑問に思った事を聞いてみた。

 

「何で彼はあんな無理なペースで依頼(クエスト)やっているの?」

 

「良くは知らないんだけど、アルティーエだかミ=ギゥエーという職業になるために必要なんだって」

 

「何それ?聞いたことないわ」

 

「私もよ。賢者の学院に問い合わせしているの。変な邪教とか邪神の託宣(ハンドアウト)じゃなきゃ良いけど・・・」

 

「ふーん。じゃあさぁ、彼に着いていっているのってもしかして?」

 

女魔術師の顔が薄く桜色に染まります。

あ、これは確定だわ。でもあの人も中々に石仏そうだし、気遣いの出来ないうちの能天気とどっこいどっこいね。

 

「お互いに苦労するわよね、相手が気付いてくれないと。・・・私は彼が居ないと生きていけないから」

 

「うん・・・っ」

 

さらりと鎌をかけて、意中の相手の存在を確かめるなんてあちらの方が1枚上手かしら。

 

「私は絶対に諦めないから。貴女も頑張ってね」

 

その覚悟と見事な肢体(プロポーション)

自分の貧相なそれと見比べてめげそうになったけど。

 

そう言えば、魔女さんから貰った物探しの蝋燭使わず終いだったわね。どうしようかしらコレ。

 

 

【森人弓手side】

 

「だから、オルクボルグよ!居るんでしょ。ここに」

 

「いえ。あの、その様な方は此方には・・・」

 

小鬼(ゴブリン)ヲ滅スル魔剣ノ名前。ゴブリンスレイヤー=サンヲ オ探シカ?」

 

西の辺境のギルドで押し問答をしていると、後ろから声が掛かる。振り向けば、蜥蜴僧侶に迫らんばかりの痩身巨躯の獣人(パットフェット)。何者だと訝しむと、受付にいた受付嬢が「疾走忍者さん」と呼ぶ。

何なのこいつ?と声を掛けようとするといきなり凍り付いたかのように固まってしまった。

 

なに?この美貌に衝撃を受けてるの?いやー困るわねぇ。なんて考えていると、

 

「アイエエエ!エルフ!?エルフナンデ!?」

 

急に受付(カウンター)の隅でガタガタ震えながら「エルフノ戦士コワイ!」と震えているじゃない!

あんな森人(エルフ)のくせにとんでもない腕力の凶戦士と一緒にしないで欲しいわ!

 

声を掛けようか瞬巡していると、急に立ち上がったかと思ったらいきなり壁に頭を打ち付けだした。

 

「ワイはロリコンやないんやー!」

 

と妙に達者に叫んでいる。

失礼ね!確かに少し小柄だけど、もう2000はいっているわよ!・・・上の森人(ハイエルフ)の中では若い方だけど。

 

文句を言おうと口を開いた瞬間、ピタッと動きが止まった。

 

「ゴブリンスレイヤー=サンハ モウ暫クスレバ 帰ッテクル。監督官=サン応接室ハ空アイテイマスカ?」

 

「うん。空いてるよ。使って。」

 

「ヨロシク、オネガイシマス。着イテキテ」

 

「アッハイ」

 

思わずそう答えるしかなかった。

 


 

私達3人と獣人ーー疾走忍者と名乗ったーーが応接室で向かい合う。

銀等級を相手にして物怖じしないとは良い度胸ね。

と、思っていたら何故か私の腰の辺りをまじまじと見つめると、

 

「ソノ黒曜石ノ小刀、相当ナ業物!見セテ」

 

なんか仕切りに私の持つ短刀(ナイフ)を気にしてるみたい。凄く熱い視線を注がれるのは何だか悪い気がしない。

鞘ごと抜いて渡してやると、繁々と眺めながら色々と聞いてくる。何でも両親が武具を取り扱っていたからだとか。

鉱人道士が脇腹を小突くのが鬱陶しい。まだねえ様と従兄の馴れ初めが終わっていないじゃない!

蜥蜴僧侶がわざとらしく咳払いするのを見て、彼が慌てて話を戻すところはまだまだ黒曜(新人)といった感じよね。

 

 

「ゴブリンスレイヤー=サント一緒ニ冒険何度カアル。良ク知ッテル」

 

「話が早いわ。で、オルクボルグはどこにいるの?」

 

「今冒険中ナ。暫クシタラ戻ルト思ウ」

 

「えー。じゃあ待ち惚けじゃない。どうすんのよ。」

 

「ゴブリンスレイヤー=サン。話スノ苦手。代ワリニ話聞く(インタビュー)?」

 

「あ、良いの?じゃあねぇ・・・ついさっき魔神王が出て大きな戦争が起きたでしょ?」

 

「フムフム?ソレデ?」

 

気づいたらオルクボルグは帰って来ていて、鉱人道士と蜥蜴僧侶と共に応接室の外へ出てしまっていた。

なによ!来たならそう言いなさいよ!

 

その後合流したちょっとか弱そうだけど芯はしっかりした女神官と、逆に見た目は意思が強そうに見えて実は寂しがりやそうな女魔術師と合流し、総勢7名となった一党(パーティー)は一路目的の遺跡を目指すのだった。

 


 

道も半ばを過ぎ、目的地まであと数刻といったところ。今日は街道沿いの宿営地で野宿と相成った。

森を抜けられれば1日と掛からないんだけど、他が付いてこれないから仕方ないわね。

 

男どもは天幕(テント)の設営やら竈の修繕で忙しい。女魔術師も何かに連れて疾走忍者の傍を付いて回っている。まるで子犬の様ね。

 

疾走忍者と目が合うと、薪と山野草など食材を探してきて欲しいとの事。折角だから女神官と交友を深めながら食材探しと行きましょうか!

 

鳥馬(ツグミ)翡翠(ジェイド)の様な綺麗な卵をいくつか分けて貰い、彼女に食べられる山草とキノコを教えてあげながら帰ってくると、天幕(テント)がいくつも張られ、焚火は火勢を強めていた。

これよ。これが冒険なのよ!

 

どうも鉱人と蜥蜴人(男ども)はドライというか枯れているというかこういう事に興味なかったのよね。

只人(ヒューム)って刹那的とか乱暴だとかねえ様が言うけど、こういう所は見習うべきよね。

 

全体的に薄味な森人(エルフ)の料理もいいけれど、偶には刺激的なのも必要だし。

その後クレープ?とか言う甘味は中々のものだったわ。私が持ってきた森人の保存食とはまた違った美味しさね。他にも色々と巻いても良いらしいし、今度また作って貰おう。

 

鉱人道士がからかってくるけど、いくらなんでも淑女(レディ)に対して体の事を揶揄するのは酷いんじゃない!?鉱人なんてどいつもこいつも樽型じゃないの!

それでも樽だの金床だの言い合うのも何か冒険をしてるって感じがして良いわね。

 

 

【蜥蜴僧侶side】

 

甘露!甘露おおお!

 

 

【森人弓手side改善】

 

カンッ!という小気味良い音で目を覚ます。気がつくと天幕(テント)だった天井が朝焼け空に変わってた。

どうも頭の奥が痛む。鉱人の火酒ってのを飲んでから記憶が飛んでるけど何かあったのかしら?

 

モソモソと起き出すと疾走忍者と女神官が朝ごはんを作っているらしい。

蜥蜴僧侶は焚き火の前に陣取り手を擦り合わせている。

オルクボルグは近くで飛刀を的?の切り株に投げている。さっきの音は此だろう。

他はまだ夢の中。

 

「うにゅ?」

 

「あ、森人弓手さん。おはようございます」

 

「お早うにございますな。野伏殿」

 

「オハヨウゴザイマス。森人弓手=サン」

 

「おはよ。場所が変わっているけど、何かあったの?」

 

「何って、熊に襲われたんですよ。全然起きなかったんですから」

 

「ゴメンゴメン。でもあの火酒が悪いのよ。凄い強いんだもの」

 

「慣れない酒は酔いやすいですしな。仕方あるまいて」

 

柳のような耳を回して辺りを伺う。そんなには離れてないみたいだけど、どの辺りかな?

 

「で、場所を変えたんだ。どれ位離れたの?」

 

「ホンノ僅カ。四半里モナイ。川ノ近ク」

 

まあ。起きちゃった事をああだこうた言っても仕方ないものね。

 

「そ。所でそれなあに?初めて嗅ぐけどなんか懐かしいような気がするのよ」

 

「キュケオーン。古ノ小麦粥ナ。モウスグ出来ル。チョット待テテ」

 

「はーい」

 

良いわねこう言うの。これで相手がゴブリンじゃなきゃ完璧なのに。

 

起き出した鉱人道士はブツクサ言ってきたが、私は粥に蜂蜜を足すのに夢中だったので左から右へと聞き流していた。

 


 

その遺跡はただっ広い平原にポツンと建っていた。

その目で見える範囲は少し大きな一軒家程度。

しかし、地下には巨大な迷宮(ダンジョン)が眠っていると言う。

その入り口にはゴブリンが2匹。片方が欠伸をしては同僚に殴られるのを繰り返していた。

 

「厄介かもしれん。ヤツらが見張りをしている」

 

オルクボルグがそう呟く。こいつ普段全然喋らない癖にゴブリンに関する事だけは饒舌になるんだから。

 

「何が?ゴブリンだって見張りくらい置くでしょ?」

 

「狼犬がいる。食糧が行き渡っている証拠だ。それにヤツらが真面目に見張りなどするなど、上位種でもいない限りあり得ん。しかしトーテム(上位種の証)がない」

 

「つまり何らかの上役がおるってことかいの?」

 

「そう言うことになる。だがそれがゴブリンなのかどうかはどうでも良い。ゴブリンを始末するだけだ」

 

「やる事は変わらんと言うことですな。しかし隠れる場所もなく2体を同時とはちと厄介」

 

隠れている場所から身を乗り出す。この距離なら楽勝ね。

 

「こりゃ!何しとるんじゃ耳長の。バレてしまうじゃろうが」

 

「大丈夫よ。森人(エルフ)の妙技披露してあげるから」

 

そう言いながらイチイの弓に矢を番え構える。息を吸いながら弓を引き、長い耳で風を感じる。いまよ!ひゅっ、と息を吐きながらの2連射。

片方は狼犬へ一直線に進むも、もう一射はあらぬ方向に飛んでいく。

 

「言わんこっちゃない。出鱈目な方向に飛んでおるわい。これだから気位高い森人(エルフ)というんは・・・」

 

「そこ五月蠅い。いいから黙って見てなさい」

 

狼犬が撃ち抜かれ、入り口の柱に縫い付けられる。

それを見たゴブリンどもがこちらに振り向き私の姿を見つけた瞬間。大きく弧を描くかの様に曲がった矢が2匹の頭をまとめて撃ち抜く。ゴブリンどもは音もたてずに倒れ伏す。

 

「まあ、ざっとこんなもんよ。」

 

「ワザマエ!」

「凄いです!」

「今のどんな風にやったの!?呪文でも応用できるかしら?」

 

うーん。こういう風に称賛されるのも良いわね。良いのよもっと褒めても。

銀等級は「ムゥ」とか「ほぅ」とかで張り合いがないのよね。

オルクボルグに至っては、何も言わずに入り口に向かっているし。

 

オルクボルグがゴブリンの死体に何かしている。ゴブリンが何か持っていたのかしら?

ヒョイと覗き込むとオルクボルグがゴブリンの腑分けをしているではないか!

 

「ちょっ!何してんのよ!?いくらゴブリンだからってやって良い事と悪い事位あるでしょう!」

 

「いや。これでいい。ゴブリンどもは女子供、特に森人(エルフ)の匂いに敏感だ」

 

そう言いながらオルクボルグがゴブリンの内臓を手に立ち上がり、こちらに近づいてくる。

 

「えっ!?ま、待ってよ!?それをどうするつもり?」

 

左右を見ると諦め顔の女神官が自ら法服(カソック)にゴブリンの血を塗っており、女魔術師は顔を土気色にして、疾走忍者に狼犬の血を掛けられている。

 

後ろを見れば露骨に目線を逸らす男2人。

 

いやーー!!

 


 

「うぇーん。ベトベトだよぅ。くさいよぅ」

 

「洗えば落ちますから・・・多少は」

 

「それ慰めになってなーい」

 

オルクボルグってばゴブリンの腸の中身をぶちまけたのよ!信じられないわ!

今度からこいつと一緒の時は臭い消しの香袋を用意しなきゃ!

 

「っていうかあなた達は臭い消しの香袋を使わないの?」

 

「え、そんなのあるの!?」

 

「あるわよ。狼とか魔犬(ワーグ)は鼻が良いもの。奴らの鼻を誤魔化すには必需品よ」

 

「ゴブリンスレイヤーさん。知っていたんですか?」

 

「知らん。興味ない」

 

「ちょっと!そういうのは先に言ってよね。一張羅なのよ!」

 

「すまん」

 

本当に知らなかったんでしょうね?とオルクボルグを睨む。うーむ。兜だから表情は分からないものの、こいつが嘘なんかつかないでしょうからねぇ。

 

「コウボウ・エラーズ。仲間疑ウ良クナイ」

 

疾走忍者がなんか言っているが、戻ったら覚えてなさいオルクボルグ!

 


 

遺跡の中はさほど入り組んではいないもののいやらしい位に(トラップ)が張り巡らせてあって気が抜けない。

 

先ほども、見え透いた白い天蚕糸《テグス》の上に灰色の極々細い糸を張って天蚕糸を避けようと足を挙げたら引っかかるという意地悪な仕掛け。これ仕掛けたの絶対性悪でしょ。

 

そうこうしている内に丁字路に出た。ここにも鳴子の罠が仕掛けてある。

解除すると、鉱人道士が床石の減り具合を見て左が巣穴と推測する。

 

「それではどうするかな?」

 

「コ↑コ↓ハ二手分ケルガ上策」

 

「ふむ。成る程。小鬼殺し殿は如何に?」

 

「左が巣穴なのは間違いないと思うが、右側にゴブリンが居た場合背後からの一撃(バックアタック)の危険がある」

 

「まあ妥当かの。で右に行くのはどいつじゃ?」

 

「拙者ト女魔術師=サン、ゴブリンスレイヤー=サン デ如何?」

 

「まあ、いいじゃろて。それでは左を警戒しつつここらで陣を構築するかのう」

 

そういうと鉱人道士が剥がれた石壁を集め、即席の障壁(バリケード)とする。

私はその銃眼から左の道の奥、深遠の様な黒い闇を見張るのだった。

 

四半刻も経たず3人は帰ってきた。顔が酷く腫れた女森人(エルフ)を連れて。

頭にかっと熱い血が巡った様な気がした。身内をこの様にされて許せるわけがないじゃない!

その怒気に気づいたのか蜥蜴僧侶がそっと肩を叩く。

 

「気持ちは分かるが、落ち着くがよかろう。その怒りは小鬼に向けると良い」

 

「ええ、そうね。必ず後悔させてやるわ」

 

いっそ冷静な声がだ出せたのも、周りで心配そうな目をしてくれている仲間がいたからかもしれないわね。一党(パーティー)は良いものね。

 

森人(エルフ)をここに残して置くわけにもいかず、蜥蜴僧侶の竜牙兵(ドラゴントゥースウォリアー)で担いで森人(エルフ)の里まで連れて行って貰う。

私の葉書を持たせれば、無下には扱われないだろう。

 

「それじゃお願いするわね」

 

「コクリ」

 

後はこの奥にいるゴブリンどもを皆殺しにするだけよ。絶対敵は取ってあげるから!

 

遺跡(ダンジョン)を攻略しながら、ゴブリンを射殺す度に段々と私の神経が磨り減っていく。

それでも根を上げなかったのは、頼れる仲間が居ることと黒曜白磁の新人達に無様な姿は見せたくないというちっぽけな矜持。

 

「どうじゃい金床。気は晴れたか?」

 

「うっさい肥満体型。それより左から5、距離20。来るわよ!」

 

「ほいきた。仕事だ仕事だ、土精(ノーム)ども。砂粒一粒、転がり廻せば石となる 石弾(ストーンブラスト)

 

鉱人道士の軽口も鬱陶しい反面ありがたい。ただ、いくら何でも金床は流石にひどいと思うけど。

 


 

どれ位経っただろう。やっと巣が見えてきた。

そこは広間の様になっていて、ゴブリンどもが数十眠りこけている。

その様に殺意を漏らしそうになるものの、何とか堪える。

 

流石に7人もいるとは言え、あの数を相手にするには力不足。オルクボルグは搦め手で行くと言っている。

女神官の【沈黙(サイレンス)】と鉱人道士の【酩酊(ドランク)】で眠りを深くし、起きられない様にしたら男4人で1匹ずつ止めを刺していく。

私は後ろで見守りながら、起きだしてきたゴブリンが他を起こさない内に始末していく。

 

鉱人道士や蜥蜴僧侶はまだ良い。それが自分の仕事だと理解しているから。

問題はオルクボルグと疾走忍者よ!オルクボルグはある意味ゴブリンを殺すことにしか意味を見出していない。そんなの冒険じゃないわ!ただの作業よ!

 

そしてより質が悪いのが疾走忍者。より効率よく殺すことに意義を見出している。

まるで殺人鬼か屠殺人がその速度を競うかの様。

 

どちらも私には理解できない。そんな彼らに本当の冒険を教えてあげないとかわいそうじゃない。

よし!これが終わったら冒険よ!こいつらに冒険の楽しさを思い知らせてやるんだから。

 

全て倒し終わったら、更に奥に通路がある。ただ、その通路からは圧倒的な邪気が漂ってきていてとてもではないが近寄りたくない。

 

その通路から足音と声が聞こえてくる。

 

「ゴブリンどもがやけに静かかと思うたら、ネズミが紛れ込んでおったか。存外役に立たぬものよ」

 

「な、あれは人喰鬼(オーガ)!」

 

「ほう。我をしっているのか。ならば話は早い。我の住まう場所に土足で立ち入った愚を見せつけてやろうぞ!」

 

「ドーモ。人喰鬼(オーガ)=サン。疾走忍者デス」

 

なにやってんのよあんた!

 

「ム?人類の中でも礼儀を弁えておる奴がいるではないか」

 

「アイサツ返エサナイ。スゴイシツレイ!」

 

「おお、そうだった。ドーモ。疾走忍者=サン。人喰鬼(オーガ)です」

 

え?こいつら頭大丈夫?

 

 

「イヤーッ!」「イヤーッ!」

 

なんかこっちの変なの(疾走忍者)とあっちの変なの(オーガ)が意気投合したのか、お互いに挨拶したかと思えば牽制し出す。いや、あの・・・攻撃してもいいのかしら?

 

オルクボルグが人喰鬼(オーガ)の真後ろから攻撃を繰り出す。

 

奇襲(アンブッシュ)か!?名を名乗れ!」

 

「ゴブリンではないのか」

 

「ええい。我をゴブリンなぞと同等に扱おうとは万死に値する!」

 

えぇ・・・。これ見てゴブリンと思えるあんたの方がやっぱ変だわ。

 

「スゴイシツレイ!」

 

いや、あんたどっちの味方よ。・・・取敢えず私たちも攻撃しないと。

 

攻撃は一進一退というよりかなり不利ね。あっちはこちらの攻撃の殆どが厚い装甲に弾かれ、稀に通る攻撃も人喰鬼(オーガ)再生(リジェネレーション)でたちまちのうちに回復してしまう。

このままならじり貧ね。

 

「ええい。羽虫がちょこまかと。カリブンクリス(火石) クレスクント(成長)・・・」

 

ヤバい!ちょっとどうすんのよコレ!?散らないと全滅するわ!

 

「散っ「皆さんわたしの後ろに!」

 

ヤクタ(投擲)」「聖壁(プロテクション)!」

 

女神官のとっさの機転で全員無事みたい。それでもこの規格外の火球(ファイアボール)には耐えられそうもない。もうすでに聖壁に罅が入り始めている。

 

聖壁(プロテクション)!」

 

女神官が重ね掛けをして、やっと防ぎ切った。やったわね!上手い対応だったわ!

しかしなんてとんでもない魔力よ。

崩れ落ちる彼女をオルクボルグが抱き抱えながら後ろに下げる。

 

「ヌゥ!小癪な!」

 

今は彼女の無事を確保しないと!

女魔術師が火矢(ファイアボルト)で牽制する。

 

じっと狙いを定める。

 

「そこ!」

 

イチイの弓に矢を2本。良く狙って放つ!それは狙い通り人喰鬼(オーガ)の両目を射抜く。

 

これで当分攻撃し放題ねと思ったら、後退りしていた女魔術師が躓いて転んでしまった。

人喰鬼(オーガ)はその音に敏感に反応して大剣(グレートソード)を女魔術師目掛けて投げてくる!

このままじゃ間に合わない!

 

そう思った瞬間、疾走忍者が飛び出してきて女魔術師を突き飛ばした。

女魔術師は無事みたいだけど、疾走忍者が身代りに大剣に当たっていた。

 

「アバーッ!?」

 

悲鳴?を上げて吹っ飛ぶ疾走忍者。女魔術師がそれに気づいて叫ぶ。

 

「疾走忍者さん!どうして!?」

 

「ダ、大事ナイ。ダイジョブ」

 

何とか生きているみたい。胸を撫で下ろす。

 

「おのれ虫けらども!もう簡単には許さぬぞ!!」

 

ヤバ!もう目が回復したの!?。どうにかしないと。

といっても、最大膂力の蜥蜴僧侶が竜牙刀(シャープクロー)て攻撃しても僅かに顔を顰めるだけ。

私やオルクボルグ、鉱人道士の攻撃では痛痒にも感じていないみたい。

撤退を選んだところでそう易々と逃がしてくれはしないだろう。

 

進退窮まりそうになった瞬間、ダメ押し化の様に人喰鬼(オーガ)が呪文を唱えだす。

 

「誉めてやろう。この我をここまで怒らせた奴らは久しぶりだ。もっとも運よく焼け残っていたらの話だがな」

 

カリブンクリス(火石)・・・

 

不味い!あれを止めないと今度こそおしまいよ!

そんな中人喰鬼(オーガ)の目の前にふらりと現れる1つの影。オルクボルグだ!

なに!?あいつ頭でもおかしくなっちゃったの!?

絶望が心を汚染していく。そんな中聞いた声は思ったよりも静かに感じられた。

 

「馬鹿め。同じ手を二度も食らうか」

 

オルクボルグが持っていた巻物(スクロール)を開く。野営の時に持っていたやつだ。

凄まじい轟音そして人喰鬼(オーガ)の断末魔。

 

気が付くとあたり一面水に塗れていた。潮の香りが辺りに立ち籠めている。

人喰鬼(オーガ)にいたっては胸から先が無くなっており、左右の腕がそこらに散らばっているばかり。

 

「何やったのよ!?」

 

「海の底へ転移(ゲート)を繋げたに過ぎん」

 

「え?どういうことですか?」

 

「海の底はとてつもない圧力があると聞いた。それを利用した」

 

「つまりオルクボルグはその転移(ゲート)を深海に繋げて、高水圧の水の精の力を借りて水鉄砲(ウォーターカッター)にしたって事?」

 

「そうだ」

 

「いやはや。そのような事をどこで耳に?」

 

「なんでも海底の神殿へ転移(ゲート)を繋げようとして水濡れになった冒険者が居たと聞いた」

 

「あきれた。貴重な転移(ゲート)巻物(スクロール)をこんな使い方するだなんて」

 

「ゴブリンを倒すために用意した物だ」

 

「ま、良いわ。さあ帰りましょう」

 

「引き際を見誤る程猪でもなかろう、かみきり丸よ」

 

「忍び殿もこの状態ではな。道中の小鬼も滅した故、居ても数匹」

 

「クーン、クーン」

 

「ああ、もう動かないでよ!包帯巻けないでしょ!」

 

「あ、あの癒しの水薬(ヒールポーション)ありますから」

 

オルクボルグは少しばかり瞬巡した後踵を返した。

やっぱりこんな事を続けるのは気に入らないわね。

 

 

【女魔術師side】

 

皆が疲れ切り、挨拶もそこそこに部屋へ戻っていく。

女神官なんか足が覚束いていないわね。

 

そんなことより疾走忍者さんよ!命に別状無いと言っても大怪我よ。安静にさせないと!

二人部屋を取ってヨタヨタと歩く彼に続く。

何時もの四人部屋の前に行くとドアノブを掴んで止まっている彼。

 

「何?どうし・・・」

 

 

【女武道家side】

 

前後!前後おおお!

 

 

【女魔術師side改善】

 

イヤラシイ!ほとんど犯罪行為じゃない!

しかし、彼を二人部屋に連れ込んだら、疾走忍者さんは私の事をベッドに押し倒してきた。

心の準備がなかったと言えば嘘になる。

それでも覆い被される恐怖に身を強ばらせていると、彼が私の頤に手を当てて、顔をあげさせるとそっとキスをしてくれた。その後・・・。激しかった。

 

 

【地の文】

 

二人は幸せなキスをして終了。

 

 

【知識神side】

 

お気に入りの(女魔術師)を助けてくれたのは嬉しいけど、いくらなんでも女の子にドブ浚いは酷すぎない?

もうちょっと彼女にやさしくなるように入れ知恵はしたけど、こうなるとは思ってなかったわ。

まあこう言うのもたまにはいいわねぇ。

 

あ、コラ!リアルファイトはご法度だって言ってるでしょ!

あぁ!尻尾は止めて!敏感なの!

 




実は筆者が1番好きなのはどこか一部がドラまた(CV林原めぐみ)と重なる森人弓手ちゃんでした。
物凄い勢いで優遇しますのでご注意を。それでもNTRはNGなのでゴブスレさんとくっ付けたいですが。

あ、今回はリョナ成分が含まれていますので特殊性癖のノンケと良く訓練されたホモ以外はご注意下さい(手遅れ)

こういうのに耐性がないので、書くときにSAN値がゴリゴリ削れました。
ホラーとか猟奇的な小説を書ける人を尊敬します。
まあ、他も書けないんですが。


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高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変にな話

エロ(笑)を初めて書いてみたので初投稿です。

むかしエロい人がこう言っていました。"エロは普通の3倍疲れる"と。
(ちなみにその方は戦闘描写はさらに疲れると仰っていましたが)
自分の文才がないってそれ一番言われてるから。
そんな駄作でも感想をくれたフルハベル暗月兄貴ありがとナス!

思わずあまりの書けなさにエタりそうにになりましたが、失踪忍者とか言われそうなので本編の方でもうちっと頑張ります。

追記:
とんでもないガバ。令嬢令嬢って...誤字にしてもガバ過ぎました。
ご指摘頂いたななみん兄貴ありがとナス!

それでは、フォーク准将るRTA はーじまーるよー


 疾走忍者君がメスの味を覚えやがった所から再開します。あーもう(チャートが)めちゃくちゃだよ! 

 

 疾走忍者君の頭の中はSEX! SEX! SEX! と完全に覚えたばかりの思春期のそれです。スケベな事しか考えないのか(困惑)

 放って置くと女魔術師ちゃんと朝っぱらからおっ始めるので、さっさとギルドの受付へ行って報告して報酬を貰いましょう。女魔術師ちゃんがガニ股で恐る恐る階段を下りています。KMR早くしろ~↑

 銀等級三人組(凸凹杉田)はもう下に集まっていて食後のティータイム。樽だけは麦酒(ビール)ですが。冷えてるか~? (正しい用法)

 ゴブスレさんは昨日の今日でクエストボードの前でゴブリンの依頼がないか確認中。この人ワーカーホリック(社畜)か何かかな? 

 

 女神官ちゃんが起きたところで全員で受付カウンターへ行って結果報告(アフターセッション)

 女神官ちゃんだけが後で来る様に呼ばれますが、恐らく黒曜への昇級審査でしょう。ガンバレ♡ガンバレ♡

 と、ここでレベルアップ。今回は斥候と武道家を上げて【カラテ】を熟練まで取り、【戦術移動】を初期で取得します。これでチャドー呼吸を覚えますので、回復リソースがちょっとだけ増えます。

 戦術移動は先駆者兄貴も説明しているので割愛。今回は隠密を取っているので括約が期待できます。

 今回の報酬は人喰鬼(オーガ)とかいう大物(金づる)がいる上に、道中倒していたゴブリンも意外と馬鹿になりません。7人と大所帯でもかなりの収入になりました。うん! おいしい。

 あ、羆嵐の討伐報酬を追加で貰えました。こいつ村人を10人近く食い殺しており、いくつかの村からも討伐依頼が出ていましたので、その分も上乗せです。かなりのうま味です。

 

 ゴブスレさんは報酬貰うと、女神官ちゃんの昇級審査を気にせず1人でゴブリン退治に行ってしまいました。なんだこれは……たまげたなぁ。

 本当は疾走忍者君も着いて行きたいのですが、流石に死にかけた上に一晩中おセッセした翌日なので冒険(クエスト)は無理です。正確には監督官さんにメッされました。消耗品の購入と武具防具の更新・メンテをして時間を過ごします。仕方ないね♂(レ)

 武器はいざ知らず、防具は今までの外套だけでは流石にキツいので、最低でも野伏の外套(レンジャーコート)は欲しい所さん。

 ……え!? 忍装束(ニンジャスーツ)あんの!? 流石幸運の女神さま(CV:竹中直人)! しゃぶらせて! 

 忍装束(ニンジャスーツ)を着ると銃弾すら見切れる程……とまでは行きませんが回避補正が貰えて、隠密:再び改善、装甲:つよい、といい事づくめ。

 通常価格は銀貨810枚と布鎧としては破格もいいところですが、軽鎧までしか装備できない疾走忍者君では魔法の防具を除けば最高の品です。これで防具に関しては買い替えは終了かな? 

 で、なんぼなん、これ? 14万!? うせやろ? ぼったくりやろこれ! 

 TDN丁稚(時給255円)だと話にならんので、翁を呼びましょう。は~つっかえ! (丁稚が)

 え!? 値札が間違っていた? オマケして900枚でいい? よかったわぁ、老爺くんよんでぇ~。

 因みに武器や装飾品に関してはゴブスレさんみたいに縛りプレイしているわけではないので、魔法の品をこれでもか! と使う予定ではありますが、購入するとなると桁が2つ3つ違うので現状ではそのままです(震え声)

 ついでに飛刀(スローイングダガー)2本を研いで貰い、罠師道具と新しい円匙(スコップ)燃える水(ペトロレウム)、それに催涙弾と煙玉を購入。これで報酬の大半は吹き飛びました。しかし等級審査とその後のゴブスレさんに着いて行った時の分がありますので何とかなります。老爺君もうまそうやな~ホンマ

 

 後は酒場で森人弓手(つるぺったん)に食べつくされた蜂蜜とその他消耗品を補充。あと前回忘れてた膨らまし粉(ベーキングパウダー)を購入。流石に冒険(クエスト)中に卵を手に入れる機会はそうないと思いますが、次の山場は牧場ですので、新鮮な卵も牛乳も簡単に手に入ります。やったぜ。

 ここでは戦闘中胸どころか影まで薄い森人弓手(黄色い熊)に括約して貰う必要がありますので、大量に購入しておきましょう。こいついつもハチミツきめてんな。

 さて色々と買い物して一息ついたらもうお昼。酒場で簡単に済ませましょう。女魔術師ちゃんがべたべたと鬱陶しいですが、大目にみます。ホモはやさしい(至言)

 


 

 と、青年剣士君と女武道家ちゃんが食卓(テーブル)まで来ました。食事中にも関わらず、断りもなく空いている席に腰掛けます。あのさぁ……。

 女魔術師ちゃんが露骨に嫌そうな顔をします。お前らのせいでこうなったんだからな! (激怒) こんなんじゃRTAにならないよ~

 は!? 相談があるって? ちょっと待ってて……。サッー! (砂糖) 、おまたせ! アイスティーしかなかったけどいいかな? 

 なんでも冒険に復帰したは良いけれど、ゴブリンに対する恐怖心が強いせいで一向に依頼(クエスト)が達成できないとのこと。えーマジまだ白磁? 白磁が許されるのは人喰鬼(オーガ)戦までだよねー

 

 しかし彼らは諦めるつもりはない様です。多分一発やって一皮むけたと思うんですけど(名推理)

 なるほど。つまりは特訓(ブートキャンプ)だな!! ちょっと前に3人ほど死の司祭(マリンコ!)にしたばかりです。あまりに暇でこの後は全く動作がない倍速(お使いのPCは正常です)にするしかなかったので、こいつらも小鬼王(ロード)戦での戦力とさせて頂きましょう。もう許せるぞオイ! 

 

 それでは、またまたオリチャー発動! 

 疾走忍者君は監督官さんに依頼(クエスト)の受注を禁止されていますので、一人で街の外に出ます。

 女魔術師ちゃんと3人組で依頼(クエスト)を受注させて外で待ち合わせ。え? そんなことしたら監督官(パパ)に怒られちゃうだろだって? 

 たまたま街の外を散歩してて偶然依頼(クエスト)を受注した3人と同じ目的地だっただけだから。イヤー奇遇ダナー(棒読み)。

 3人が受けた依頼(クエスト)は開拓村の近隣にでたゴブリンの討伐。家畜の鶏が盗まれたとの事。こわいなーとづまりすとこ。

 

 ゴブスレさんならこの情報だけで大体の予測まで出来ますが、こちとら白磁2人に黒曜1人(+α)。村人に詳しい話を聞くと、毎晩鶏が盗まれるとのこと。姿を見た者は少ないが1匹ではなさそうだと。

 青年剣士君はどう思う? なになに? 渡りで数も少ないって? なんで? 見張りが居ないから? うーん、-114514点。

 盗んでるのが鶏だから実行犯は1~2匹。大物(女や牛)なら大人数で行くでしょ。となると見張りは多くて2~3匹。つまり最大5匹。ただ、毎晩来るってことは巣がある証拠。この数なら巣だとしても出来て間がないでしょ。そういうとこやぞ青年剣士君! (人間の鑑)

 

 青年剣士君がなんか驚愕の表情をしています。こいつチョロいな。チョロくね? 因みにゴブスレさんなら依頼(クエスト)受けた時点で此れくらい分かります。

 流石初見一発撮りゴブリン滅殺RTAを走り続ける偉人(特殊な訓練を受けた)兄貴。

 再走するには猶予時間(キー入力)がシビア過ぎてTASさんでも無い限りまず無理なので彼が世界一位さんです。南米の主夫層辺りじゃ『あいつは世界八位だ』といってる男もいるが、とんでもない! 世界一位は世界一位なんだよ。

 

 閑話休題。

 

 青い顔をしている青年剣士君を先頭に森へ分け入っていきます。多くてもたった5匹なら簡単でしょ? もたもたすんなよー。

 目星付けた崖に行くと、ゴブリンがガキに向かって棍棒を振りかぶっているじゃあーりませんか! (チャーリー浜並感)

 青年剣士君は恐怖で固まっているのでしょう。お前初心者か? 力抜けよ。

 何とか剣を抜き放ちます。今です! 前を行く青年剣士君のケツを蹴っ飛ばします! あ、こいつちょっと漏らしたな! くっせぇなお前……

 蹌踉めいてゴブリンに当たりガキへの攻撃はミスります。ナイスゥ! (建前)うぇーい、チンタラやってんじゃねぇぞー! (本音)

 女武道家ちゃんが横で嗤っていたゴブリンを飛び蹴りで頭をボッ! します。こいつ本当に白磁かぁ? 

 残り遅れてきた頭から血を流したゴブリンは女魔術師ちゃんの火矢(ファイアボルト)で丸焦げです。

 疾走忍者君は掘ってる途中と思われる巣穴♂を警戒させときます。

 

 青年剣士君は縺れたゴブリンをなんとか倒したみたいですね。遅過ぎィ! 

 どうやら3匹しかいなかった様です。洞窟も浅く抜け道もありませんでした。

 

 完全勝利です(但し青年剣士君のズボンを除く)

 

 ガキが青年剣士君をキラキラした目で見ています。あれ~? 

 本来なら謙虚な疾走忍者君(リアルモンク)はガキから、

 "すごいですね"

 "それほどでもない"

 "憧れちゃうなー"

 "ジュースをおごってやろう"サッー! (迫真)

 となり、子供のホモが完成するはずなんですがクォレハ……

 巣穴は埋め戻して石を積んでおき巣穴を作れない様にしておきます。鉱人道士()がいれば石弾(ストーンブラスト)一発で簡単なんですが、居ないからしょうがないね。

 

 村に戻るとガキの姉が来てガキが叱られます。ざーまーあー! 

 ん? どうやら女魔術師ちゃんと同じ都の賢者の学院で学んだ仲の様です。再開を喜んでおります。女同士のユウジョウ! ん~良いねー。野に咲く一輪の薔薇のようだ。

 今夜は彼女のご厚意で泊まらせてもらう事になりました。狭いおうちですが、野宿に比べればマシってなもんです。

 

 今朝方見送りに来た姉弟の姉の方が此方を見ては顔を赤らめています。女魔術師ちゃんと夜中にお喋りしていましたが、何話してたんですかねー? (すっとぼけ)

 

 今回の事で少し自信を取り戻した青年剣士君。さあ、本当の地獄は明日からだよ(ニチャァ)

 さてギルドに戻って3人に結果報告(アフタープレイ)をして貰ったら、疾走忍者君はしれっと酒場に居座り、今までずっと居ましたよ的な顔をして玉葱抜きのオムレツでも食べてます。

 なんかバケツ兜を頭に被った戦士が白磁のヒヨッ子共を連れて下水道に行くみたいです。新手の天竜幼稚園かな? 

 

 おつかれ! どうだった? なになに? ゴブリンなんて楽勝だって? こいつ調子に乗っとんな。†悔い改めて†

 明日からは恒例の下水路探索でのブートキャンプ(デスマーチ)です。調子に乗った白磁は危険、それ一番言われてるから。

 


 

 さてこれからは小鬼王(ロード)襲撃まで下水路とギルドを往復するだけの簡単なお仕事。

 一日目夕方には青年剣士君と女武道家ちゃんの目が死んでいますが些細なことです。

 当然倍速です。そんなの読んでいる皆様も書いている筆者もTDN苦行です。

 

 

そ ん な み な さ ま の た め に ぃ ~

 

 少し早いですが、この後の小鬼王(ロード)戦での疾走忍者君の立ち廻りをご説明いたします。

 今回は先駆者様みたいに親のコネで資材たっぷりとは行かないので、お安い(お手軽)罠の作成に力を注ぎます。具体的には罠設置のお手伝い(魔改造)

 戦闘中は狂戦士兄貴がやっていた通り、弱い小鬼英雄(チャンピョン)(誤字ではない)を探して駆除(スレイ)します。

 

 罠の作成ですが、最初は南の牧草地。

 既にゴブスレさんがいくつか罠を仕掛けていますが、少し間隔を開けた草の先端を結んで簡易の足掛け罠。引っ掛かったら転ぶだけと殺傷能力は皆無に等しいですが、敵の出足を挫くのに効果的です。設置に何も必要なく、撤去も草刈りだけで良いので安くて早くて楽チンね。

 後は左右の端の方に地雷(マイン)。と言っても火薬製のはコストが高すぎる(火の秘薬買えんかった)ので、薄い板(くっ!)平らな石(揺れない震源地)の下に煙玉や催涙弾を仕込んで踏んだら割れて発動! これも殺傷と言うより群れの方向調整ですね。その為の煙玉、あとその為の催涙弾! 

 続いて油地獄。手前の方に塹壕を作り、油や燃える水(ペトロレウム)を撒いておいて、ある程度侵攻してきたところで着火! 小僧派手にやるじゃねえか。これから毎日ゴブリンを焼こうぜ! 

 炎で隊列を分断して各個撃破です。ね、簡単でしょう? (ボブ並感)

 勿論落とし穴も大事です。底に尖らせた木杭を仕込んでおくことも忘れずに。

 罠師道具のトラバサミに加えて、括り罠を木々に取り付けておきます。釣られクマー

 本当なら地面に、踏んだら筐体が跳ねて投矢(ダーツ)が刺してくる跳躍地雷(S-マイン)とか作りたいですが、流石に時間とお金がかかりそうです。今度老爺にでもお願いしてみようかな? 

 最後に小鬼騎兵(ゴブリンライダー)用に西の森との境界に石壁を積んでおいてます。1ヶ所だけ開けておくことで誘導でき、更に出口にワイヤー張っておいて足掛けも追加。こっちは速度を出している小鬼騎兵(ゴブリンライダー)相手なので致命傷になります。

 使用後も後々石垣にでも転用すれば良いので片付け要らず。石積みについては3人が寝静まった後、1人疾走忍者君が積みます。【忍耐】の技能(スキル)働き過ぎィ~! 

 早朝の見廻りしているゴブスレさんに不審な目で見られますけど、こちとら敷地の外。なんの問題があるんですか? (怯え)

 と、思ったら手伝ってくれました! 流石ゴブスレ兄貴! 一生着いてきています! (テノヒラクルー)

 

 そうこうしているうちに1週間。明日1日は休憩挟んで明後日にはゴブスレさんが冒険者達に依頼(クエスト)する日です。

 疾走忍者君は体力お化け(忍耐頼り)なので休憩なしに抜かずの六連戦も可能ですが、青年剣士君と女武道家ちゃんは口から白い煙みたいの出しているのでこのままじゃ使い物になりません。なんだお前ら根性なしだな

 女魔術師ちゃんは流石黒曜。ちゃんと着いてきています。ウム! 養成した(地獄を見せた)甲斐がありました。意外と早く堕ちたな~(嬉しい誤算)

 と言っても、探索帰るなりばたんきゅーでしたが。つまり疾走忍者君は1週間オアズケです。もーホンマ使えへんわ(手のひらドリル)。そろそろ飢えた狼(重巡洋艦)になるのかな? 

 

 今は探索を終え、水場で汗や汚れを落としている女性陣を青年剣士君と二人で見張ります。どうして女はこう言うときキャッキャ! と煩いんでしょうねえ? (偏見)

 女性陣の着替えが終わったら後はヤロー共。疾走忍者君は濡れのデバフあるので本当は水浴び嫌いなんですが、監督官に(メッ)されるので無理矢理水場に放り込みます。俺も後から洗ってくれよな~頼むよ~

 青年剣士君は若干前屈みになっていますが、お前さっき女性が着替えてるときチラチラ見てただろ。

 


 

 さて、朝起きてギルドに降りると何故か冒険者が盛り上がっています。ほわい? 

 ファッ!? なんで!? どうして女神官ちゃんとゴブスレさんの会話が始まってるの!? ウソやろお前!? "良かったですね? "じゃないだろ! 

 

ノーカン! ノーカン! 俺の島じゃ顔面セーフだから! (意味不明)

 

 どうやら時間管理を間違っていた様です。とんだガバ。

 しかし下水路潜っていて参加できず(気付いたら終わってた)は回避出来たので取り戻せば良いだけです。今夜に来るそうなので、寝ずに準備といきましょう。まあ許容範囲内だし(震え声)

 準備も終わり罠も設置し、ゴブスレさんの槍衾作成のお手伝いも終わった所で時間切れ(タイムアップ)

 うーむ。想定より罠の数が少ないですね。死の司祭共(白磁4人)は思ったより括約してくれたのですが如何せん時間が足りませんでした。

 これでは森人弓手のバフ(パンケーキ)はまたの機会にオアズケです。

 そうこうしているうちに深夜。牛飼娘さんは伯父さんと一緒に街へ。今回は大人しくゴブスレさんの言うこと聞いてくれたみたいです。居ても居なくても(チャートには)関係ないんでどうでもいいです。

 白磁4人はと言うと重戦士(ガッツ)兄貴の所の新人2人と一緒に何やらワイワイワールド(40代ホイホイ)しております。

 あ、貴族令嬢も参加するの? なになに? 助けて貰った恩返しはする。ゴブリン共には目にものみせてやる? そうだよ(便乗)

 

 さて今回はゴブスレさんに沢山着いていったのでゴブリンを倒す数はかなり少ない筈です。

 念のためステータスを確認してっと……。ゴブリン:99匹、ホb……。

 後ゴブリン1匹で100匹到達です。と言うことは小鬼英雄(チャンピオン)に専念すれば良いのかな? 

 


 

 "さあ、夜も更けて参りました! 第一回大乱闘スマッシュ兄貴達(冒険者)のお時間がやって参りました。実況はゆっくり霊夢、解説はゆっくり魔理沙さんでお送り致します! "

 というナレーションを聞きながら小鬼王(ロード)戦開始です。はて? 誰が話しているのでせう? 

 

 最初は原作通り肉盾。

 惰眠(スリープ)酩酊(ドランク)で持ち手を眠らせて盾を回収。

 呪文使い(シャーマン)森人弓手(出番これだけ)女魔術師(同左)が遠距離スナイプ! グッナイ! 

 赤い蜥蜴人が回収に括約しています。アレ? あんなの居たっけ? 

 疾走忍者君は戦術移動と高い回避力で敵のヘイトを稼ぎつつ、不用意に近づいて来た小鬼弓兵(ゴブリンアーチャー)の頸を掻き切ります。おう撃ってこい撃ってこい! 

 

 そのうち横手から小鬼騎兵(ゴブリンライダー)がきますが、原作より密度を増した槍衾で簡単に撃退出来ます。両手で槍衾を2つ持ち上げられる重戦士(ガッツ)兄貴はトロルかなにかかな? 

 白磁4人は重戦士の所の新人2人とで3人一組を2つ作り、突出しないように堅実に進めています。教育(かわいがり)の賜物です。ただ、前方より背後に気を配りすぎかも知れません。後ろには疾走忍者君しかいないですから。

 貴族令嬢は姿が見えませんが、頑張っているらしいです。鬼女の如き形相との事。そう……(無関心)

 

 戦況も落ち着いて来たのでそろそろ小鬼英雄(チャンピオン)が来る時間です。

 こいつを倒せれば称号(トロフィー)小鬼殺し3号(ゴブリンスレイヤーV3)】はほぼ確定したと言えます。今回は原作より人が多くてしかも括約してますし。ま、多少はね? 

 

 頭捻切られてゆっくりになった冒険者が出現したところで疾走忍者君の本番が始まります。

 凶戦士兄貴が検証した通り、銀等級2人掛かりで倒せる強個体と、田舎者(ホブゴブリン)に毛が生えたレベルの弱っちいのが入り雑じる小鬼英雄(チャンピオン)ですが、強個体は中心部に多いのでベテランの兄貴姉貴達に任せて端っこの方に急ぎます。

 ここら辺は弱い個体が多いので、疾走忍者君の紙装甲でも一撃死はかなり低いです。そもそも回避ボーナスがあるので当たらないと思いますが(フラグ)

 

 さてさて、弱いやつはいるかなー? お、アレ良いんじゃね? なんか傷付いてるし。本当に小鬼英雄(チャンピオン)だな? ヨシ! (現場猫) こいつにしましょう。

 後ろからこっそり近づいて奇襲(アンブッシュ)! アキレス腱を切ることに成功しました。ただでさえあるDEXの差が更に開きます。

 小鬼英雄(チャンピオン)はバランスを崩しながらも攻撃を当ててこようとします。え? なんかコイツ異様に(武器の振り)速くね? シュッ!! 当たらなければどうということはない! キリッ(あぶね! ギリギリだった!)

 中心部(激戦区)と違い味方(ハイエナ)に横取りされる心配は無いものの、攻撃を食らったら回復してくれる味方(回復薬)も居ないということです。疾走忍者君みたいな回避極振り紙装甲の場合、乱戦=死亡フラグなので回復手段が乏しくとも中心部は最初から選択肢に無いです(精一杯の虚勢)

 ばーか! ばーか! 当てられるもんなら当ててみろよ! 

 小鬼英雄(チャンピオン)は人語を解さないものの、お嘲繰られているのは分かるのかムキになって追いかけてきます。これだからゴブリンは与し易い(慢心)

 

 コロコロコロッ

 

 ガスッ!! 

 

 ファッ!? 

 

 無駄に生命力あるのでどうやって仕留めるか思案していたら後ろからゴブリンが体当たりしてきやがりました! 

 おいコラァ! 降りろ! (何からとは言っていない) (ゴブリンやる)免許持ってんのかコラ! ……おい! 誰のクルルァ(からだ)にぶつけたと思ってんだこの野郎! 

 

 雑魚のくせに生意気です。コイツから絞めるかと考えてたその時です。

 

 ブンッッッッ!! ボクゥゥッッ! ……ベチッッ! アイエエエ! 

 

 小鬼英雄《チャンピオン》の一撃が渾身の一撃(クリティカル)となって疾走忍者君を襲います。壊れちゃう~! 

 体当たりしてきたゴブリンを巻き込んでぶっ飛ぶ疾走忍者君! オイオイオイ死ぬわあいつ(リセットの体勢)

 おっ! どうやらまだ息がある様子。下になっているゴブリンが身を呈して庇ってくれたのでしょう(都合の良い解釈)

 雑嚢からはみ出している端切れに包まれた水薬(ポーション)が見えます。紐巻きしていないヤツなんて記憶に無いですが、癒しの水薬(ヒールポーション)なら勝ち目もあります。

 小鬼英雄《チャンピオン》が近づいて来る前に飲んで、飲ん……

 

 これ第一話の強壮の水薬(スタミナポーション)じゃねえか! 

 

 流石にこれほどガバはクズ運とか賽子の女神様(クソビッチ)のイタズラとかそう言うレベルでは無いです。呪われてんのかな? 

 いきなりオワタ式となりましたが、相手もボロボロ。有り余る体力(スタミナ)で凌ぎきります。

 

 忍者奮闘中……

 

 雑魚が! (満身創痍) 10フレーム遅いんだよ! (僅差)

 

 勝ったな風呂入ってくる。

 後は戦闘が終わり、大勝利判定が出るまで待てば称号(トロフィー)が取得出来ます。

 もう戦闘する生命力も残っていませんのでこれで打ち止めです。余計な戦闘に巻き込まれない様、戦域から外れましょう。アレ? ゴブスレさんと女神官ちゃん!? てことはこっ↑ここ↓って小鬼王(ロード)との決戦場!? 

 何故だか小鬼王(ロード)との戦いに参戦することになってしまいました(諦め)

 小鬼王(ロード)は持っている戦斧での攻撃だけなので、攻撃範囲から外れれば当たることはないのですが、当たった場合は辺境最優(ゴブスレ)さんでもゲージが真っ赤っかになってしまうぐらい強攻撃をかましてきます。つよい、つよそう。

 取り合えず小鬼王(ロード)の攻撃がギリギリ当たらない範囲をウロチョロして、気を散らすだけにしておきましょう。今ならスペランカー先生並みに小さな段差でも死ねれます。

 

 小鬼王(ロード)戦は原作通り、ゴブスレさんが囮になり、女神官ちゃんが聖壁(プロテクション)二枚重ねで押さえ込みました。今回もゴブスレさん怪我してません。疾走忍者君は運を吸引(ドレイン)されたのかな? ほんとひで。

 

ねぇねぇ、(ロード)とか言って100匹以上の部下連れてきといて黒曜の新人に王手(チェックメイト)されるのってどんな気持ち? ねぇどんな気持ち? 

 

 片言で命乞いする小鬼王(ロード)をNDKと煽っているとゴブスレさんが剣で止めを刺します。なんかゴブスレさんと女神官ちゃんが話していますが、この隙に小鬼王(ロード)が持っていた戦斧を奪いましょう。結構良い武器なので高く売れます(クズ)

 ゴブスレさんと女神官ちゃんは戻ろうとしてます。これで小鬼王(ロード)戦大勝利です! 

 

 あるぇ? 何で大勝利したのに称号(トロフィー)貰えないの? いじめ? 新手の狼人いぢめ? 

 と、取り合えずステータスを確認してみましょう。

 ゴブリン:99匹。ホブゴブリン:0匹。ゴブリンシャーマン:1匹。ゴブリンアーチャー:3匹。ゴブリンチャンピオン:1匹。……

えぇぇぇぇ!? 小鬼英雄(チャンピオン)てゴブリンにカウントされないの!? お前そう言うの先に言えよ! 

 

 ねぇ!? ゴブリンは? ゴブリンどこ!? 1匹で良いから! ね? 1匹だけで良いから! 

 時既にお寿司遅し。残存ゴブリンはもう逃げ去っています。小鬼王(ロード)大勝利判定・小鬼英雄(チャンピオン)討伐まで達成しているのにゴブリンの討伐数が足りませんでした。ちくせう。

 えーと他にスレイヤーの称号(トロフィー)が貰えるのは……ドラゴンは文庫本11巻までやらにゃならんし、魔神将(アークデーモン)は流石に無理だしなぁ。吸血鬼《ヴァンパイア》ではハンターの称号だしなー。

 

 ん? あれって貴族令嬢じゃね? なんで森から走って逃げてきているの? 後ろにいるのはゴブリン!? 

 

お前の事が好きだったんだよ!! 

 

 こちらから突っ込んで♂先頭のゴブリンの攻撃を体術で躱しつつ、頭を掴んで後ろのゴブリンに投擲(シューッ)! 超! エキサイティン! (あ、スキル上がった)

 

 システムボイス『称号(トロフィー)小鬼殺し3号(ゴブリンスレイヤーV3)】を獲得しました』

 

 なんとかリカバリーできました! (ウンコ漏らしながら)

 

 後は残りを殲滅して本当に終了です。まだ残っているベテラン兄貴姉貴がいますから簡単です(震え声)

 

 疾走忍者くんの戦いはこれからだ! 

 

第一章 完!

 


 

 

これで終わりに出来たらどんだけ楽だろう(小声)

 

 一応小鬼殺し√を参考にさせて貰っているので中間タイムを発表します! 

 1881時間45分32秒! 先駆者兄貴達には足元にも及ばないタイムですが、取敢えず一区切りという事で。

 この後は未知の領域(いよいよもって死ぬがよい)ですので、これからがプレーヤースキルの速さ(ガバさ)のみせ所さんです。

 

 今回はここまで。ご閲覧ありがとうございました。

 




これからは前を走る人がいなくなるので、文才のなさが露呈致します。
初期プロットも役立たずになってしまいましたので、練り直しです。
裏を書いたらしばらく遅くなるかと思います。
ゴメンなさい。


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高度な柔軟性を維持しつつ臨機応変にな話(裏)

赤い蜥蜴武道家兄貴が感想くれたので初投稿です。
勝手に出してすまんこ。許してクレメンス。
たった一行だけの参戦ですが、蜥蜴武道家兄貴のやさしさを出せたらと思います。

W盾騎士兄貴は今回、逸般通過魔法剣士兄貴も今後勝手に出させて頂きます。センセンシャル!

とうとうネタが尽きて他人のキャラを勝手に出演させてる物書きのクズ。
難関の裏話が始まります。(ねこです)どうぞよろしくお願いします。

追記:忘れてた!裏オプ読んで感想をくれた全裸セスタスマン兄貴ありがとナス!
追記2:蜥蜴武道家兄貴でした。許してください!なんでんかんでん食いますから!
追記3:貴族罠師兄貴が走り始めたみたいです。追い越されないかヒヤヒヤ。


【女神官side】

 

 目を覚ますと日がもう昇っていました。いつもよりも随分遅いです。未だ拘束してこようとする寝床(ベッド)に後ろ髪を引かれながらも、えいや! とばかりに身を起こします。

 

 鎖帷子(チェーンメイル)は錆びないように、眠い目を擦りながら油だけは差しましたが、法衣(カソック)は……洗わないとダメですね。手に取った服は薄汚れて草臥れていました。

「こんなに頑張ってくれてたんだ……」

 端の方は解れが目立ち始め、綺麗な白だった色も土埃や血糊等が染み付いてくすんだ色になっています。

 今まで身を守ってくれたお礼に先ずはお洗濯、次は修繕ですね。

 

 麻で出来た普段着に着替えて簡単に朝のお祈りを済ませたら法衣(カソック)を持って階下に降りていくと、もう既に皆さんが揃っていました。

 ゴブリンスレイヤーさんは依頼掲示板(クエストボード)の前で何か仕切りに考え込んでいます。

 他の皆さんは酒場の食卓に居ます。

 

「おはよー。昨日はお疲れ様」

「おう、娘っ子。大丈夫じゃったか?」

「おはよう。超過祈祷(オーバーキャスト)した割りには元気そうね」

「おはようございます! ごめんなさい遅くなってしまって」

「なんのなんの。巫女殿が元気そうで重畳」

「元気イイ。良イコト」

「さあ、結果報告(アフターセッション)に行きましょ!」

「はい!」

「ほらほらオルクボルグも! 掲示板(クエストボード)幾ら見たってゴブリンの依頼なんて無いんだから」

「……分かった」

 

 ゴブリンの依頼が無いことは良いことだと思うのですけど、ゴブリンスレイヤーさんは何を気にしているのでしょうか? 

 

 今朝早くに森人(エルフ)の伝令が来られたそうで、結果報告(アフターセッション)も形式的なものでした。

 精々が倒したゴブリンの数を訂正する位。あれだけの死闘を繰り広げたにしては呆気ないものでした。

 だからでしょうか。ゴブリンスレイヤーさんが受付嬢さんに尋ねた内容も手中の砂の様に溢れ落ちてしまったのでした。

 

「ゴブリンの依頼はこれで全部か?」

 


 

 最初に参加した一党(パーティー)は四散し、青年剣士さんは女武道家さんと二人(ペア)に、女魔術師さんと疾走忍者さんもそうなったみたいです。

 斯く言うわたしは銀等級なのにそんな感じの全然しない冒険者さん──ゴブリンスレイヤーさんに師事しながらゴブリンを退治するのを生業としています。

 銀等級と一緒に冒険(クエスト)を行う。それだけでも彼らに比べれば、危険度は段違いに低いでしょう。

 今回の冒険者(クエスト)も銀等級の冒険者さんが4人もいる上に、わたしなんかよりも沢山の冒険(クエスト)をこなし、早々に黒曜に昇格したお二人にも頼りっぱなしでした。

 ですから、報告を終えて各々散ろうとしていた際に受付嬢さんに掛けられた言葉に理解が及びませんでした。

 

「このあとギルドの査問室に来て下さいね」

「はい? 分かりました……けど」

「あら。早かったわね」

「ほう、そうかそうか」

「うむうむ。巫女殿ならば遅かれ早かれそうなっておりましたがな」

「白キ雛 凰ヘト登ル 第一歩 ポエット!」

「疾走忍者さん。私はどうですか? 役に立ちましたか?」

「相変わらずね。飽きもせず良くやるわ。年中発情期なのかしら?」

「いやいや男女の仲はままなりませんからの。変わっているかどうかは拙僧にはとんと分かりませぬ」

「馬に蹴られてなんとやら。耳長のはもうちっと機敏ちゅうものを理解せねばなるまいて」

「なによぉ、私ばっかり悪者にして! あんたの何十倍も生きているのよ!」

「そうじゃった。ババアじゃババアじゃ」

「ムキーッ! ずんぐりむっくりの癖に!」

 

 喉まで出かかった声は皆さんの声に押し戻され、疑問は晴れませんでした。

 


 

 コンコンコン

 

「入って、どうぞ」

「……失礼します」

 

 監督官さんの声に合わせて査問室の扉を開ける。

 中には監督官さん、受付嬢さん、そして重戦士さん所属の女騎士さん──確か銀等級だったと思います──の3人がいました。

 

 彼女らの前には重厚そうな机があり、その前には椅子が1つポツンとあるだけ。伝え聞いた至高神様の裁判所みたいです。

 受付嬢さんは普段の笑顔(スマイル)のまま空いている席を指し示します。

 

「座ってください」

「あっ! ごめんなさい!」

 

 座り心地が良いとは言えない椅子に居心地悪げに腰掛け、3人の方を見ます。

 受付嬢さんは何時もの笑顔を浮かべたまま、それでもその顔に堅さがあります。女騎士さんは全身を鎧に包み渋い顔を崩していません。監督官さんは手を口の前で組んでいます、メガネの反射と相まってその様相は伺い知れません。わたし何かいけない事でもしてしまったんでしょうか? 

 

「あの……何で呼ばれたんですか?」

「必要だから呼んだまでだ」

「何でわたしを」

「他の人間には無理だからな"パコンッ! "アイタッ!? なにするの!」

「遊んでるんじゃありません! 女神官さんが戸惑っているでしょう!」

「ぶーぶー。つまんないのだ」

 

 受付嬢さんと監督官さんの寸劇(コント)に呆気に取られていると女騎士さんが相好を崩します。

 

「はっはっは。最初なのだから少し気負いを紛らわしてやろうとしたまで。気にするな」

「もう貴女まで……昇級審査なんですよ? 真面目にやって貰わないと困ります」

 

 やっと理解が追い付きます。

 どうやらわたしの緊張を解そうとしてくれたみたいです。ただ、それよりも受付嬢さんの言葉が気にかかりました。

 

「昇級審査って、誰のですか?」

「「「え?」」」

 

 顔を見合わせた3人の笑い声が治まるまで更に幾ばくか掛かりました。

 


 

「はい。これで貴女は黒曜等級に昇級しました。認識票(ネームタグ)は後で受付(カウンター)まで取りに来て下さい」

「はっ、はい! 分かりました! ありがとうございます!」

 

 昇級審査は思ったよりも簡単に終った。

 銀等級が4人も推薦してくれる白磁何て初めてだと監督官さんが笑っています。

 査問室を出て、やっと実感の湧いた昇級の喜び。

 先ずはとゴブリンスレイヤーさんに報告しようと勇んで酒場に戻ってみたら、ゴブリン退治に行ってしまったそうでした。

 喜びがみるみると萎んでいきます。わたしが落ち込む様を見た森人弓手さんが残りの仲間(メンバー)に声かけしてくれて、昇級を祝ってくれました。

 

 祝って貰ってとても嬉しいのですが、何か心にぽっかりと穴が空いた様でした。

 

 

【受付嬢side】

 

 女神官さんが退席して直ぐに空気が弛緩します。

 手を上に伸ばし、僅かに緊張していた肩の凝りを解します。

 

「なんで審査前より緊張しておったのだ」

「しかたないよ。何も知らずに来たんだもの」

「それにしても大した怯え様だったな。まるで狩られる前の野ウサギかの様だったぞ」

「そりゃあ、怒られるかもしれないとなればそうなるだろうさ」

「偶さか聖壁(プロテクション)の使い方で懲罰かとは恐れ入った」

 

 監督官と女騎士のお喋りが姦しい事この上ないです。

 

「純粋な方じゃないですか! そう論うことではないですよ!」

「一番気にしていたのは貴公だったと言うに」

「そうそう。お気に入りの彼に悪い虫が付いたんではないかと気を揉んでいたのは誰だったかな?」

「うむ。彼女が来るまでウロウロしている様は中々に見物だったな」

「愛しの彼が悪い女に騙されてるんじゃないかと心配する純情を汲み取ってあげなきゃ」

「はっはっはっ。乙女だな」

「あーもう! 真面目にやってください!」

 

 この2人を組ませてはならない。シクシクと痛む胃に手をやりながらそう心に誓うのでした。

 

 

【女魔術師side】

 

 あんな攻撃を受けて死にかけた、応急措置こそしたものの誰の目にも重傷。それでも彼は私を求めてくれた。

 生存本能か、はたまた生の実感を感じるためか。帰還後の彼は激しかった。凍てついた心を体温で融かすかの様に熱を感じる事に夢中だった。

 

 一晩中シて起きたらまた抱かれ、折角着替えた服はヨレヨレで染みだらけ。また洗濯しなきゃ。

 あれだけシタにも関わらず、彼は仰向けに寝転ぶ私の胸を弄くり回している。鈍い快感がジワジワと全身に拡がる。

 

「やん! ちょっ、ダメでしょ。もう起きなきゃ!」

「ワン! ワン! (迫真)」

「や! ダ、ダメよ! 結果報告に遅れるでしょ!」

 

 冷静になっても彼が私を求めてくれる! その歓びに打ち震えるが、それをすると何時までたっても寝床(ベッド)から起きられない。

 仕方ないので【点火(インフラマエ)】を顔の前に近づけてその隙に服を着替える。

 

「キャン!!」

「ゴメンなさい。何時までもこういう訳にはいかないでしょう?」

「クゥーン……」

 

 ああ、そんな顔しないで。

 

 結果報告して女神官が査問室へ向かい、私達は装備品・消耗品を賄う為にギルド併設の工房へ向かう。

 

 うーん。今の外套(ローブ)も随分擦り切れてきたし、新しいのを買わなきゃダメかしら? でもお金も無駄遣い出来ないし……でもでも魔女さんの様な格好しないと芋臭いと飽きられないかしら? だからと言ってあんな格好は……無いわよねぇ。

 ビキニ鎧を目の端で追いながら懐事情と相談をする。彼は店員と何やら激しくやり合っているから邪魔したら悪いわよね? 

 暫くしてホクホク顔の彼と合流。ビキニ鎧を指差しながら、尋ねてみる。

 

「ああいうのはどう思う?」

「? オ腹寒イ。オ腹覆ウヤツガ良イヨ?」

 

 どうやら興味が無いみたい。良かったわ、あんなの買わなくて。

 

 黒曜に昇級して戻ってきた女神官をささやかながらも祝い、その後は彼と一緒に遅い昼食。

 敢えて横に座って彼の事をあれこれ世話を焼きながら食事をとる。料理の時は繊細なのに食べるときはかなり大雑把なのか、ポロポロと食事を溢す。

 口の回りに付いてしまっている蝦醤(オイスターソース)をナプキンで拭いてあげながら、意外に子供っぽい仕草に母性本能を擽られていると、急に卓の向かいから声が掛かる。

 

「なあ、ちょっといいか?」

「……」

「何用カ?」

 

 彼との一時を邪魔された恨みを視線に乗せて、声を掛けてきた二人組を睨む。声を掛けた青年剣士は断りもなく卓に着くと、いきなり話始める。失せろ。潰すぞ。

 もし目の力だけで人を殺せるとしたらこの男は今頃粉微塵になっているだろう。後ろで私に対して目を細めて強い視線を向けてくる女武道家とのにらみ合いに発展する。彼方も引かない。此方だって引くもんか! 

 食卓に座っている青年剣士は今ごろ気付いたのか顔を引き吊らせているが、疾走忍者さんは動じもしない! 

 優越感を視線に込めて薄笑いしてやる。女武道家のコメカミに井桁が浮かぶ。フフッ! 良い様。

 

 気付いたら二人組と一緒に冒険(クエスト)することになっていたが、疾走忍者さんと一緒なら私何でも良いです。

 

 

【青年剣士】

 

 盤外での女の闘いを余所に話は進む。良くあんなのに動揺せずに対応出きるなぁ。

 情けない話だが此方は声が震えない様にするので精一杯だ。黒曜ともなるとこれくらい出来ないといけないのかなぁ? 

 

 疾走忍者は俺の様子から何かを察したのか、一緒に冒険(クエスト)に同行してくれる事を提案してくれた。こう言う相手を気遣うところも見習わないとな。

 


 

 3人で受けた依頼(クエスト)はゴブリン退治。最初に受けてボロボロにされた因縁の相手。

 3人だ。疾走忍者は昨日人喰鬼(オーガ)と戦った際の怪我が原因で依頼(クエスト)の受注をギルドに禁止されているのだそう。

 それで大丈夫なのかと尋ねたら、自分の身を守る位なら問題ないと。

 

 開拓村に着いたところでゴブリンを探そうと躍起となっていたら、疾走忍者に襟首を掴まれる。片手で体が浮かび上がる。凄い力だ! 確かにこれなら大丈夫だろう。

 先ずは情報収集そして分析だ、と指導を受けた。

 村人に話を聞くと毎晩鶏が盗まれるとのこと。渡りだろうと当たりをつけると、どうやら違う様子。毎晩来ると言うことは巣がある証拠だろうと。やっぱり黒曜になるには頭の回転も必要なのだろうか? 

 


 

 たった数匹とは言え目の前にいるゴブリンの恐怖に思わず尻込みしてしまう。疾走忍者が背中を押してくれなければ転んでいた少年は振りかぶった棍棒で叩き殺されていただろう。

 ドスンッ! と背中を押される。慌てて抜いていた剣がゴブリンに当たって血飛沫を浴びつつ縺れるようにして倒れる。気がついたらゴブリンは死んでいた。

 俺だってやればできるんだ! やっと萎れていた自信を少しだけ取り戻すことができた。

 先ずは……みんなにバレない様にパンツ着替えないと。

 

 ゴブリンは疾走忍者が予想した通り3匹だった。巣穴も作りかけのものを発見し、埋め戻しておいた。

 ここら辺のアフターケアも必要なんだな。

 ゴブリンに襲われてた少年が頻りに俺の冒険(クエスト)の話を聞きたがる。まるで幼い頃の自分を見ているようだ。今の少年にはどんなに冒険者が危険か言っても、その意味を理解しないだろう。本当なら疾走忍者に対応をお願いしたいところだが、知らんぷりされた。

 少年に話している内にまるで自分が大冒険を果たしたかの様に錯覚してくる。いけないと思っていても止まらなかった。

 


 

 ギルドに戻り結果報告(アフタープレイ)を終えてやっと一息を着く。

 疾走忍者は開拓村で周りの様子を見てから帰ると言うから後で来るのかと思ったら、酒場で卵料理(オムレツ)を食べていた。

 こっちも女魔術師が急かすもんだから、かなりの速度で帰ったんだけどな。

 

 しれっと様子を聞いてくるので、ゴブリンなんて簡単だったと威勢の良い所を見せる。疾走忍者は本当の事を知っているが、黙って俺を見ている。その虚仮威しを見透かされて、哀れみの目で見られている様に感じて苛立ちを隠せなくなる。

 疾走忍者は一息つくとこう言ってきた。

 

「明日カラ、冒険(クエスト)付キ合ッテ」

「おう! 何だってやってやるさ!」

「何でもねぇ……白磁で何が出来るのよ?」

「出来るさ! 今日だって上手くやったんだ!」

「そうよ! あたしたちもやれば出来るんだから!」

 

 酒場にいる冒険者達が大声に反応して此方を見る。

 ニヤリと嗤う魔女と狼人。コイツら謀ったな! 

 一度口にしたことを反故にするのは冒険者としては致命的。この2人に身柄を確保されたようなものだが、約束は約束。

 

 ……1週間で解放してくれて本当に助かった。小汚い冒険者何て思って本当にすまなかった。ゴブリンスレイヤーは命の恩人だ! オマエの依頼なら……出来る限り応えるよ! 

 

 

【女武道家】

 

 青年剣士がバカな約束するもんだから、何をさせられるのかと戦々恐々としていたら、言い渡されたのは下水路探索。

 思わず拍子抜けしていた所に女魔術師が憐れむかの様な目で見てきた。

 なに!? あたしたちでは下水路探索もまともに出来ないと言うわけ!? やってやろうじゃない! 蟲でも鼠でも掛かってらっしゃい! 

 

 ……と気炎を吐いていたあたしを殴ってでも止めてやりたい。

 下水に塗れるのは仕方ない。黒蟲や鼠に噛まれる事も想定の範囲内。多少の連戦だって覚悟していた。

 でも、戦闘が休みなく続くっておかしくない!? 

 疾走忍者があたしたち3人で戦っている隙に、接敵してはヘイトを溜めては此方に擦り付けて来る。

 コイツ殺してやりたい……。

 目の前にいる蟲に攻撃を当て損ったフリをして疾走忍者を蹴ろうとしたら、後ろを向いているのにもかかわらずヒラリと避ける。ムカつくー! 

 

 そっと肩を叩いてきた女魔術師の顔は、悟った様な顔をしていた。あんたも苦労してたのね……。ごめんなさい。あたしがバカだったわ。

 


 

 3日目

 

 力の抜き方というか、戦いながらも瞬間的に休息を取る方法を体が覚え始める。粗方掃討したのか、敵の圧もかなり減ってきた。

 これなら何とかなるかな? と思っていたら、背中に悪寒が走った! 慌てて避けると泥団子が後方から飛んで来る! 犯人は紛れもない! アイツだ! 

 

 今まで前だけを気にしていれば良かったのに、後ろからの故意の誤射(フレンドリーファイア)まで気にしなければいけなくなった。どこまであたしたちを追い詰めれば気が済むのよ! 

 あっ! 青年剣士の後頭部に泥団子が命中した! 今度は女魔術師にも! 容赦ないわね。

 

 6日目

 

 もう蟲も鼠も殆ど見掛けない。いても極々小さな個体。目を皿のようにしなければならない程だ。

 あたしたちはと言うと、松明を使うのを禁止され、手探りに近い形で下水路を探索。

 時々飛んでくる泥団子を避けながら頭の中に下水路の地図を思い浮かべる。この先は十字路で右が突き当たり。左は溜め池の様になった広場、真っ直ぐ行くと出口への道のハズ。

 

「あっ……」

「なんだ! どうしたら!?」

「ねえ! ちょっと返事してよ!」

 

 女魔術師の声が消えると同時に何かの気配と共に女魔術師の気配も消えた。

 アイツか!? 青年剣士と背中合わせになって、防御を固める。

 動きがなければ疾走忍者の格好の的だ。ジリジリと出口の方に足を進める。

 

「っ!」

 

 石礫の投擲音に合わせて体を捻る。礫は私をかすって虚空に消える。ほっとした瞬間、背中に感じていた青年剣士の感覚が無いことに気付く。一瞬の内に恐怖が支配する。

 

「ねえ! どこ!? 返事してよ!」

 

 いらえはない。()()()()()()()()絶望とそれに付随する恐怖によりその場に崩れ落ちる。

 カッ! カッ! と火打ち石を打つ音と火花に気付き顔をあげると、ボゥッ! という音と共に松明に火が灯る。

 炎に映されるのは女魔術師を抱えその口を手で押さえた大きな狼人。青年剣士は足元に簀巻きになっていた。

 

 安堵と共に守れなかった悔しさに奥噛みしていると、手を離された女魔術師がこちらに寄って手を貸してくれる。あぁ。やっぱりあっちの方が何枚も上手なのね。小さなことで張り合っていたあたしが情けない。

 青年剣士も無事でよかった。守らなきゃいけないのに。あたしはもっと強くならないと、この黒曜の2人の様に! 

 

 7日目

 

 今日が最終日と疾走忍者が呟いているところをたまたま聞いた。やっとこの地獄の様な下水路探索が終わる! 

 青年剣士に喜びを伝えようとしたが、彼は心ここにあらずといった感じで真面に話を聞いてくれなかった。

 

 最終日とだけあってどんな酷い事させられるかと身構えていたが、3人だけで下水路を探索しろというもの。

 えらく簡単な指示に青年剣士と共に拍子抜けする。

 最後だし、あたしたちがこの一週間でどれだけ成長したかを推し量るためなのかしら? 

 ……と思っていた時期があたしにもありました。

 今まで見たことも無い様な大きな巨大黒蟲(キングローチ)暴食鼠(グラトニー)などあたしたちでは倒すのが精一杯な(モンスター)が襲ってくる。

 今までは疾走忍者がうまく調整して遭わない様にしていたみたい。……という事に気づいたのはその日の探索が終わってから。

 

「訓練終了ナ」

 

 の声と共にあたしは意識を喪失しかけていた。青年剣士も息も絶え絶えで惚けていて聞いていない様だが、女魔術師は息こそ切らしているもののまだ戦えそう。これが黒曜との差なのかしら? 

 


 

 翌日久しぶりの下水路の外、お日様に感謝していたらギルドの酒場が騒がしい。青年剣士と見に行くと、最初の冒険(クエスト)で助けてくれた冒険者が何か頼み事をしているらしい。

 青年剣士が喜び勇んで助力を申し出る。あたしとしては彼に無理させたくないけど、命の恩人の頼み事なんだし、仕方ないわよね。

 

 同じ頃に冒険者になった戦士と神官の2人組と、銀等級の重戦士の所の斥候と巫術師の白磁6人で集まる。今回小鬼王(ロード)戦に参加することになった白磁はこれで全部。他は時期(タイミング)が合わなかったり、他の依頼(クエスト)を受注してて居なかったり、怪我してて参加できなかったり。

 新米戦士と見習聖女はあたしたちと同じ様に疾走忍者との下水路での探索(ブートキャンプ)をやったらしい。

 そっと肩に手を当ててくれた見習聖女の達観した顔に思わず目頭が熱くなる。

 少年斥候と圃人巫術師は頭の上に疑問符をいくつも浮かべていたけれど。

 アレを知らないなんて、なんて幸せなんだろう。

 

「疑問に思ったんだけど……流石にこの戦いでも後ろから石礫投げてこないよね?」

 

 新米戦士の言葉に黙り込む4人。少年斥候と圃人巫術師は何をバカな事をと笑っている。

 

「い、一応3人1組にして3人でそれぞれ援護し合おうか」

「そ、そうね。後衛が2人だからそれぞれ分かれて剣士、斥候、聖女の組と戦士、あたし、巫術師の組に分かれましょうか」

「これで、両方の(チーム)がお互いの後ろもカバー出来ればいいんじゃないかしら?」

「それだ! それがいいよ!」

 

 よし! これで後顧の憂いが大分軽減されたわね。

 少年斥候と圃人巫術師の戸惑いを他所に同じ地獄を味わった4人の結束はかなり高まった。

 


 

 正直ゴブリンの事なんてどうでもよかった。ふと後ろを振り向くとそこにいる疾走忍者に意識が持っていかれる。石礫を投げてこないにしても、いるだけで何倍もの緊張感が生まれる。分かったから早く何処かにいってよ! 

 3人でゴブリンを1匹づつ相手にしながら心のなかで叫ぶ。他の3人も明らかに疾走忍者を気にしている。

 妙な緊張感からか残り2人も動きがギクシャクしだす。こんな動きではゴブリンにも勝てはしない! 

 

「みんな! 前に集中するわよ!」

 

 気が付いたら何処かに去っていた。安堵のため息をつき、額に湧いた冷や汗を袖で拭う。

 同じ想いを共有する仲間がいること、そして目の前には倒すべき敵がいることの歓びを噛み締めていた。

 

 

【森人弓手】

 

「悪趣味ね……」

 

 目の前に広がるのは板に人を打ち付けたものを盾替わりにするゴブリンの横隊。

 丘の上にある木の天辺からならよく見える。

 私の腕なら持ち手だけを射抜く事は雑作もないが、それでは元々の計画に支障がある。

 逸る気持ちを抑えつつイチイの弓を張って狙いを定める。

 鉱人道士や他の呪文使い達が【酩酊(ドランク)】や【惰眠(スリープ)】、【無手(クラムジー)】等でゴブリンの卑劣な盾を手放させる。

 後は壁役(タンク)が【矢避(ディフレクト・ミサイル)】、【隠蔽(インビジブル)】で遠距離攻撃を避けながら女達を救助する。息があるものは家の中にいる神官・僧侶が治療してくれるでしょう。

 盾を2枚、両手に持った騎士が矢を弾きながら接敵しては盾を使ってゴブリンを跳じき飛ばす! やるじゃない! 盾にああいう使い方もあるのね! なんか鉱人が好みそうな戦い方ね。

 

 ゴブリンどもの盾を回収し終えて、これからが私の活躍する場面。

 ギリギリと引き絞った弓を放つ! 続けての3連射。

 狙いを誤らず、各々の矢は杖を持ったゴブリン達──呪術士(シャーマン)呪文使い(マジシャン)に当たり、バタバタと倒れる。

 女魔術師はこの前見せた曲射を参考にしたのか、木の陰に隠れている呪文使い(マジシャン)を【火矢(ファイアボルト)】を曲げる事で上手いこと当てている。まだまだひよっこだと思っていたけど、此方も頑張らないと! 

 

 小鬼弓兵(アーチャー)がバラバラと打ち返して来るが、木の下に位置取る魔女の【矢避(ディフレクト・ミサイル)】の呪文に遮られる。あら便利ね! 魔法の装飾品の1つでも探してみようかしら? 

 


 

 前以て矢筒に大漁に入れてきた矢も心許なくなって来る。木の天辺から降りていては間に合わない。こう言う時の為にとオルクボルグが言っていた、自分の横の枝にぶら下げてた紐を引き上げる。紐の先には矢がたっぷり詰まった矢筒が結ばれていた。

 空の矢筒を括り付けて下ろすと、圃人の女斥候が矢を充填してくれる。

 足を引き摺る様にして頼りない歩き方だけど、足でも怪我しているのかしら? 

 

 オルクボルグの言う通り、呪文を使うゴブリンを優先的に狙う事で被害を相当抑えられているわね。ちょっと癪だけど。

 手傷を負う位のは居るけれど、致命傷となりそうな攻撃は極力潰せているし、新人達は団子になって無理をしている様子はないわね。ベテランは若手達の間に入って突出しない様に上手く押さえてるわ。

 オルクボルグが言うにはそろそろ小鬼騎兵(ライダー)が来るハズだけど……。

 

「……来た!」

 

 鏑矢を番え、真上に放つ。大きな怪鳥音を響かせ、一瞬だけその場の全員の動きが止まる。その隙に2射目を構えると、小鬼騎兵(ライダー)が来る方向へ向けて放つ! 此方は矢に糸がついていて、しばらく進むと枝に括られた糸が引っ張られ、先に付いた鑢が炸薬を擦って着火する。こんな奇妙な仕掛けで火を起こす何てやっぱり只人ってば面白いわね。

 矢はそのまま狙いを誤らず燃える水(ペトロレウム)を注いだ塹壕に着弾する。

 瞬く間に燃え広がる炎に狼犬達が退路を絶たれて戸惑いの鳴き声を上げる。上に乗るゴブリン達も動揺しているようだ。

 うー! やっぱり火の精霊が活発に動き回って落ち着かない! 森人(エルフ)には向かない戦法よね! 

 破れかぶれに突っ込んできた小鬼騎兵(ライダー)は丸太を組み合わせた槍衾に突き刺さっていた。

 嫌ねぇ。ああいう死に方はしたくないわ。

 

 そうこうする内に森の際までゴブリンを押し込む事に成功した。血気盛んなのか1匹金貨1枚に目が眩んだのか、幾人かの冒険者が森に入っていく。

 

「もう! 幾ら何でも木を避けては援護出来ないわよ!」

 

 前線を上げようとしていた所に、森に入ったはずの冒険者が頭だけ帰ってくる! 

 来たわね! オルクボルグが言っていたゴブリンにとっての銀等級──小鬼英雄(チャンピオン)よ! 

 

 新人達、若手を下げてベテラン勢が前に出る。槍使いに付き合う魔女の【矢避(ディフレクト・ミサイル)】から外れ、矢が飛んでくる様になったので、慌てて木から飛び降りる。

 

 重戦士と女騎士が見事な連携で小鬼英雄(チャンピオン)の攻撃を受けきり、渾身の一撃(クリティカル)を決めて上半身を撥ね飛ばす! 

 一方槍使いは踊る様に小鬼英雄(チャンピオン)の周りを回って隙を作り、がら空きとなった頚に槍を突き立てる。

 鉱人道士と蜥蜴僧侶は丁寧に相手の攻撃を往なして手傷を負わせていく。

 斧槍(ハルバード)を持った女戦士が小鬼英雄(チャンピオン)と1対1になる。流石に分が悪い。援護しないと! 

 止まっての打ち合いなので狙いはつけやすい。女戦士も援護の気配を察したか、上手く立ち回っている。

 今よ! 

 敵の動きを予測して、人喰鬼(オーガ)の時の様に両目を射抜くのに成功したわ! フフン! どんなもんよ! 

 後は女戦士に任せれば良いでしょ。

 


 

 後は隠れている残党狩りなのでベテラン勢は小休止。金貨を稼ぐのに躍起になっているのはいるけど。

 発案者のオルクボルグが居ない事に女騎士が文句を言っているが、彼がゴブリン退治以外で何かしに行く分けないじゃない! 

 

 

【ゴブリンスレイヤーside】

 

「ユルシテ……クダサイ。モウニドト、ヒトヲオソイマセン」

「ハイクヲ詠メ 介錯シテヤル!」

 

 片言の只人の言葉で命乞いをする小鬼王(ロード)。疾走忍者はかなりの傷を負っているみたいだが、大丈夫そうだな。

 女神官は小鬼王(ロード)の哀願に手を緩めそうだ。

 攻撃を受けて吹っ飛んだ際に手放していた剣を拾い、【聖壁(プロテクション)】に挟まれている小鬼王(ロード)に剣先を付ける。

 【聖壁(プロテクション)】が一瞬揺らぐが、制止の声を上げると安定する。

 

「お前は何人の冒険者にその言葉を言われた?」

「……」

「で、お前は何人の冒険者を許してやったのだ?」

「……」

「つまりはそういう事だ。例外は認めない」

 

 剣を深く突き刺す。ビクン! ビクン! と痙攣していた体が止まる。腕がダラリと垂れ下がる。

 死んだ振りかもしれないので、より深く剣先を奥に進める。反応なし。これで1つ。

 

「ゴブリンスレイヤーさん……。良いゴブリンって居ないんでしょうか?」

「もしかしたら居るのかもしれない。だが俺はあった事が無い」

「……」

「助かった」

「え?」

「良いタイミングだった」

「……はい!」

「帰るか」

「はい!」

「疾走忍者の働きも悪くはなかった」

「あれ? 居ないですよ? 何処に行ったんでしょう?」

「知らん」

 

 

【森人弓手side改善】

 

 暫くするとオルクボルグは女神官ちゃんを連れて帰ってきた。

 女神官ちゃんは疲れたのか舟を漕いでいる。

 

「どうだった?」

「ゴブリンがいた」

「んなこと分かってるわよ。小鬼王(ロード)は倒せたの?」

「ああ、もちろん。ゴブリンは皆殺しだ」

「あきれた。……そ、それよりも! ちゃんと約束守ってよね!?」

「……何だ?」

「冒険よ! 冒険! あの変な狼人も連れて行くからね!」

「ああ、分かった善処する」

 

 そう言えば、疾走忍者はどこかしら? ちょっと前まで戦場をあっちこっちと駆けずり回っていたけれど? 

 

「オルクボルグは知らない? 疾走忍者」

小鬼王(ロード)戦に居た。その後は知らん」

「まったく。一応一党(パーティー)なんだから、仲間(メンバー)の様子に気を配らなきゃダメよ!」

「そうか……そうだな」

 

 牧場の端の方で声が上がる。よく見ると只人の女頭目が数匹のゴブリンに追いかけられているじぁない! 

 矢の届く距離までは少し遠いわね。足の速いベテラン達が急行しているけど、間に合うかしら。

 と走りながら心配していると、何処に隠れていたのか疾走忍者が猛然とそれに近づいていく。

 女頭目とすれ違い様にゴブリンの頭を片手で掴むとその後ろのゴブリンに投げつける! ゴブリンどもは骨牌(ドミノ)倒しに倒れていく。その分の時間が取れれば、あとは槍使いが一薙ぎ。最後は華麗に決めたわね! 

 


 

 冒険者全員での小鬼王(ロード)討伐の祝勝会が始まる。酒飲みどもは次から次へと酒樽を空けるものだから、重戦士と疾走忍者が酒樽を運ぶのを手伝っているわ。

 槍使いは受付嬢に言い寄っては、魔女に窘められている。

 女騎士は……鉱人道士と酒の飲み比べしているわね。鉱人に負けない酒飲みって初めて見たわ! 

 蜥蜴僧侶は牛飼娘とその伯父とチーズ片手に話している。多分作り方とかそういうのを聞いているのでしょうね。

 女頭目と足を引き摺っていた圃人斥候は軽食を纏めるとそそくさと立ち去っていく。何処かに別の仲間でもいるのかしら? オルクボルグのおごりなんだから呼んでくればいいのに。

 新人たちは早々に潰れ、意外に面倒見の良い女戦士が毛布を掛けている。

 女魔術師は……監督官に何か聞かれているみたいね。顔を真っ赤に染めちゃって。お酒のせいだけではないわよね? 

 

 肝心のオルクボルグはというと、定位置──ギルドの端の長椅子──に座っている。あんた今回の主役なのよ! 真ん中に居なきゃいけないじゃない! 

 文句を言おうと近づいてみると、女神官がオルクボルグの兜に手を掛けて上へ持ち上げる! え!? あれって外れるの!? 

 出てきたのは意外に端整な顔。色は冒険者にしては少し白いわね。うん! 悪くないわね! 

 受付嬢が興奮し、みんながトトカルチョの結果に一喜一憂する中、私は酔いの回ってきた頭の中でこう思う。

 うん! これこそ冒険の醍醐味よ!




女神官ちゃんはひどい目に遭っているのがカワイイ!(ゲイのサディスト並感)
ゴア表現は苦手なので、投げたおもちゃを取ってきた犬が褒めてと喜び勇んでご主人様の所に帰ってくるものの、ご主人様が居なかった感じを表現しました(ねこです)

次からはプロット練り直してからなので時間が掛かります。ただでさえ遅い投稿速度が出社禁止が解かれたせいで更に遅くなります。
鈍行忍者と呼ぶがいい!(ゴメンナサイ...シテ...ユルシテ)


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ゴブスレ界の歩く18禁初登場!な話

誰がなんと言おうと初投稿です。

今までは原作に加え、前を走る立派♂な見本があったのでどうにかなりましたが、参考チャートが無い事がこんなに辛いとは・・・。

存在自体がエロスなへっぽこ大司教(異論は拒まないが反論は決して許さない)はゴブスレRTA界では初めてかと思います。
つまり私が剣の乙女の初めての男です(知らんけど)

それでは、たぶんこれが一番ガバいと思いますなRTAはーじまーるよー。


 小鬼王(ロード)戦で称号(トロフィー)を危うく落としそうになった所から再開です。

 この時点で再走とか、遠回しに死ねと言われている様なものだったのでホントーに助かりました。

 女頭目ちゃんにはお礼にレイジョー・レイジョーの称号を上げちゃいます(特に意味はない)

 

 小鬼王(ロード)討伐の祝勝会の翌日。昼過ぎにやっと起き出した疾走忍者君。なーにやってたんですかねー? (すっとぼけ)

 隣にはシーツに包まった眼鏡カピカピの娘さんが"すいすいぴよぴよ"してくれちゃっておりますが、直ちに影響はない……と思いたいです。これもうわかんねぇな。

 

 女魔術師ちゃんを起こしたら、身を清めてから受付へ。水浴びの途中に女魔術師ちゃんのおっぱいで楽しんだりなんかしてません。うまいぞフェラ(空気)

 水浴び嫌いなんですが(イカ)臭いと昇級に悪影響があるので仕方ないね(レ)

 しかし水浴びだけで消耗が1個溜まるって。お前ネコか!? (ネコ好き)

 

 受付でなぜか赤い顔してモジモジしてる監督官さんから報奨金を貰って、ペアで査問室へご招待! 当然昇級審査です。

 初めて会ったギルドモブ上役(名前はまだない)を中心に受付嬢さんと監督官さんが左右に。左端には立会人の槍使い兄貴。なんか自害させられそうな見た目ですが、今日のご飯の世界線なのでデスノボリは立ってません。釣り場も破壊されない……ハズです(自信なさげ)。

 

 ん?ナニナニ?手紙? そんなん知りませんけど。え、懐に仕舞った?だいたい五話の真ん中位? なにそのメタ? 

 え? それ必要なの? 何で持ってくる必要なんかあるんですか? (クズ)

 ……ハイハイ分かりましたよ(チッ、メンドクセーナ)

 前の服を処分しないで助かりました。多少ドブ臭いですがかまわんでしょ(普通ダメ)

 持ってきたら中身も見ないで捨てられました。いじめ? 新手の忍者いぢめ? 

 捨てられたものは仕方ありません。気を取り直して昇級審査DEATH。

 

 昇級審査の選択肢は嘘ついたり特に変なの(とにかく拷問だ 拷問にかけろ!)を選ばない限り大丈夫な仕様みたいです(3敗) 選択肢で遊ぶのはデフォなのか? (困惑)

 あっさり鋼鉄等級に昇級しました。

 槍使い兄貴は受付嬢さんには全然興味無いと言ったらQ B K(急に "冒険者の鑑だ"と 来たので) 多分大丈夫でしょう。受付嬢さんの顔が怖いです(震え声)

 

 認識票(ネームタグ)が出来上がるまで冒険に行けないので冒険(クエスト)以外ふたいたいは居る酒場に。流石に昨日の今日で冒険に行く人は……ゴブスレさんが依頼掲示板(クエストボード)の前でゴブリンの依頼が無いか探しています。アタマオカシーンジャネーノ? 

 3人組(凸凹杉田)と女神官ちゃんが酒場にいました。二人が昇級する事を伝えたらみんな(ゴブスレさん除く)が祝ってくれます。青年剣士君と女武道家ちゃんも参加したそうですが。おめーらのせきねぇです? 

 

 後は装備をパパパっと整えたらおしまい! 

 角灯(ランタン)合羽(カッパ)、石灰の粉を追加で買ったら、老爺に燐石の粉と硫黄、石灰、火の秘薬(ブラック・パウダー)を松脂で練ったものを竹筒に入れて油紙で蓋をした水松明(水中トーチ)を作って貰いましょう。1本銀貨100枚ナリ。ぼったくりやん! 

 ご閲覧ありがとうございました。

 


 

 ……と見せ掛けて続きます。そんなことしたら(短過ぎ~!って)パパ(読者の皆様)に怒られちゃうだろ! 

 

 一晩頑張って女魔術師ちゃんに完全勝利(意味深)したところで、翌朝です。

 森人弓手(金床)に連れられ赴くは太古の遺跡。森人弓手(2000歳児)にしては譲歩したのか、ゴブリン討伐らしいです。チョロいなコイツ。でもゴブリン居る様な感じはしません。あいつらくせぇもん。

 身長の何倍もある木の根っこをえっちらおっちら登り、一番奥の神殿と思しきところまで来ました。

 ドブの様な変な臭いがします。くさそう。

 僅かにゴブリンの臭いはしますが、見張りは居ないです。サボんなよ。

 

 ゴブスレさんが松脂と硫黄を混ぜた有害な煙(化学兵器)でゴブリンを燻り出します。くさい(確信)

 出てきたゴブリンを投石と弓矢で倒します。ああん? だらしねぇなあ?(レ)

 この人数なら特に問題なさそうなので、出てくるゴブリンが居なくなったところでゴブスレさんに断って洞窟の中へ。防毒面(面頬)が括約してくれました。

 うーん……。こ↑こ↓はゴブリンの巣穴じゃないのであんまり期待は出来ませんが……。お、ハケーン! 宝箱です! 人喰鬼(オーガ)戦では折角の魔法の道具(アイテム)獲得チャンスだったんですが、敢え無く後から来た森人の軍隊に接収されてしまいました。主に女魔術師ちゃんのせいで(責任転嫁)

【観察】あるんで使ってみると罠とかは無い様です。取敢えず開けてみましょう。何が出るかな何が出るかな何が出るかなタタタタン♪ 

 ゴマダレー! 出てきたのは腕輪。何かは分かりませんが魔法の品っぽいです。やったぜ。成しとけたぜ(棒読み)

 他には大したもの見つからなかったので、腕輪一つ持って皆の所に帰ります。鏡の出口は見付かりませんでした。流石にそこまで都合良くバックアタック♂は仕掛けられませんです(当然)

 森人弓手(金床)がゴブスレさんに、今回のは違かったとか、まだ足りないとか、もう一回とかハレンチなこと言っていますが、別にどうでもいいので放置します。おう早くしろよ。

 腕輪は大きさ的に蜥蜴僧侶(杉田)か疾走忍者君位しかハメ♂れませんが、蜥蜴僧侶兄貴は快く譲ってくれます。流石蜥蜴僧侶兄貴! 蜥蜴はイケメン。はっきりわかんだね。

 次の冒険をどうするか悩んでいる森人弓手(金床)を他所にみんなして戻ります。KMR早くしろ~↑

 


 

 腕輪は帰った所で工房で鑑定してもらいましょう。RTA的には【加速(ヘイスト)】一択。

 実用的なのは【矢避(ディフレクト・ミサイル)】や【透過(トランスペアレント)】、【分影(セルフビジョン)】など。濡れに弱い疾走忍者君向けに【呼気(ブリージング)】でもいいです。夢が広がリング(激うまギャグ)

 

 老爺に見せたら結果はなんと……【施錠(ロック)】!? はーっつかえ! 止めたらこの仕事(魔法の装備)! 鑑定料が銀貨50枚。売値は"110弱でしょうねぇ"って舐めてんの!? 

 一応何かの役に立つかもしれんし(勿体無いので)、取敢えず身に着けておきます。

 ねんがんのまほうのそうび(笑)をてにいれたぞ! 

 

 え? アレ出来たの? どれどれ……。うん! 完壁(誤字)。

 流石老爺くんやで。老爺くんはハゲみたいなもんやし。

 これで水の街の仕込みが出来ますね! 酒場で出た鳥のガラを貰って、鍋でコトコト煮込んでおきましょう。

 


 

 翌日は監督官さんに呼ばれて、ギルドの仕事のお手伝い。何でも次の昇級審査前に微妙に怪しい圃人斥候の素行調査だとか。不穏な動きがあれば報告するようにとの事。冒険者ってこんなこともやるんだぁ(初めて)

 

 大佐(誰?)。こちら疾走忍者。今からミッションを開始する。

 都合の良いことに段ボールがありましたので隠れます。うむ。実に良い!(蛇並感)

 因みに世界観的におかしいだろと突っ込んではいけない。いいね? 

 

 う~む。圃人の癖に随分高そうな革靴(ブーツ)履いてやがんな。後で老爺から値段聞くとして報告しましょ。メモメモっと。

 ん? なんか外套(フード)を被った長身の男と喋ってるゾ? あんなやつ居たっけ? 顔を見ようと凝視したら感づかれたのか後ろを振り返られたので、慌てて観葉植物くんの後ろに身を潜めます。にゃーん。

 ……どうやら誤魔化せた様です。観葉植物くんありがとナス! 

 男と別れたら女の子と楽しく遊べるKENZENなお店で豪遊。その間疾走忍者君は裏口で溢れたサキュ嬢さんと駄弁っております。サキュ嬢さんからの情報では件の圃人斥候(いけすかねーやつ)は等級に似合わずかなりの頻度で来るそうな。こいつくさそう。

 

 後は只々後ろを着いていくだけだったので倍速。

 倍速画面はワイプにしますので、みなさまは現代芸術作品の最高峰「ヤシガニ屠る」を御覧下さい。

 

 後は監督官さんに結果を報告して修了。

 状況証拠で黒確。LWは自分ですが、漂白のために囲わないで吊りを支持。終わり! 閉廷! 以上! 皆解散! 

 部屋に帰ったら女魔術師ちゃんが"他の女の臭いがする"とポツリ。刺されるかと思った(挿したのはこっちだけど)

 

 翌日また査問室に呼び出されます。

 また昇級審査かよ。あーつれーわー。まだ鋼鉄等級になって殆ど依頼(クエスト)してないのに。速すぎてつれーわー(ミサワ並感)

 ……なわけ無いですね。なんたってゴブスレさんと蜥蜴僧侶も呼ばれてるし。

 はい。水の街のクエストです。みんな正式な一党申請(レッツ・パーリー)が結構あやふやだったので、ちゃんと仲魔にして貰えるみたいです。頭目は当然ゴブスレさん。コンゴトモヨロシク。

 依頼(クエスト)を貰ったら退室……かと思いきや監督官さんからまた手紙を渡されます。ナニナニ? 今度は水の街の至高神の神殿の大司教様に渡せば良いの? 今度は汚しちゃダメ? じゃあアポ取って。あ、大丈夫なの? おう、考えといてやるよ(渡すとは言っていない)

 後は二日酔いでダウンしている森人弓手(2000歳児)を担いで幌馬車へ。こいつはくせえッー! ゲロのにおいがプンプンするぜッ────ッ!! 

 

 水の街への馬車の中は特に何も無いので倍速。

 ゴブスレさんが冗談(ジョーク)を言いますが、進行的にはどうでも良いのでムシムシ。多分浄化(ピュアリファイ)すれば良いと思うんですけど(名推理)

 


 

やって来ました水の街!

 西の辺境一の大都市言うだけはあります。前髪の一部が赤いシロい狼でも1日ではサンポし切らんでしょ。はぇ~すっごいおっきい。

 辺境の街では蜥蜴僧侶(杉田)赤いの(イケメン)位しか居ない蜥蜴人も沢山見かけます。魚人や蟲人も居る模様。うわぁ……こいつはTDN闇人ですね、なんだこれは……たまげたなあ。

 香辛料(スパイス)も種類が多くて安いのでここで買いだめしててもいいかもしれません。で、胡椒はなんぼなん? 

 

 森人弓手(金床)がなにが楽しいのか、街を案内しつつ進みます。ゴブスレさんは早く先に行きたいみたいですがちゃんと相槌打っています。まーだ時間掛かりそうですかねー(SNJ)

 女神官ちゃんは付いていくのがやっと。初めての町並みを楽しむ余裕も無いみたいです。可哀想(棒読み)

 かく言う女魔術師ちゃんは疾走忍者君の腕に組みつきながら逢い引き(デート)気分。あの、邪魔なんすけど。

 そろそろ法の神殿が見えて来るそうです。森人弓手(金床)鉱人道士()じゃれあい(いつもの)が始まります。

 必死に矛先を反らそうと声を張って、女神官ちゃんがゴブスレさんに依頼人が誰かを問います。

 大司教という答え。あ、なぁんだ依頼人宛の手紙かぁ(池沼)

 

 法の神殿は野獣邸の810倍大きいです。まずうちさぁ……屋上……あんだけど、焼いてかない? と巨人(ジャイアント)に言えるレベルです。広過ぎぃ! 

 

 中に入るとただっぴろい礼拝堂。差し込む光と壁の白さが相まって目も眩む程。うおっまぶしっ(陰陽弾)

 真ん中の一番奥、剣を司る十字の前で膝付いてお祈りしている妙齢の女性が一人。そのバストは豊満であった。

 ゴブスレさんが近づくと振り返ります。その目は布で覆われ見えないハズなのに的確に誰が来たかを言い当ててきます。なに? ニュータイプ的なサムシング? 

 

 ゴブスレさんと剣の乙女との会話が終わるや否やで件の手紙を渡します。因みに時間短縮の為に会話をキャンセルしまくったら剣の乙女のラブノボリが立たなくなってしまいゴブスレさんの【蘇生(リザレクション)】をしてくれなくなり詰みます(1敗)。

 辺境の街のギルドからの手紙だと言うと少し微笑みながら受け取ってくれますが、封蝋の刻印を撫でるとみるみるうちに不機嫌な顔になります。手紙はそのまま破り捨てられました。え、虐待? コイツも狼人虐待なの? 

 "あ~今日も冒険楽しかったな~。早く帰って下水道探索しなきゃ"と疾走忍者君が現実逃避していますが、チャートには影響ないでしょう。

 ゴブスレさん達と神殿の裏手から地下水路へ潜り込みます。イクゾ-

 


 

 地下水路は辺境の街の下水道と違い蟲も鼠も殆ど見かけませんが、ゴブリンが多い上に所々上から水が漏ってくるのか地下のクセに雨みたいになります。濡れに弱い疾走忍者君はヒンヒンと鼻を鳴らして嘆いていますが消耗カウンターは溜まらないので問題ありません。お前合羽(カッパ)買ってやっただろ!(正論)

 途中に黒曜と白磁の混ざった冒険者の一党(パーティー)の遺体があります。ゴブスレさんは剣を漁ってしっかり回収しています。

 水薬(ポーション)でもないかなと一緒に死骸漁り(スカベンジャー)しようとしたら森人弓手(金床)に真似するんじゃないと殴られます。痛いんだよもぉ~(素)

 上で雨でも降っているのか下に垂れてくる水の量がちょとsYレならんしょレベルまで来ました。脇道の一際天井が厚く水が滴らない所で休憩です。

 休憩と言えば疾走忍者君。疾走忍者君と言えば料理。と言うことで、今回も本筋外れて料理を開始します。エンジン全開! 

 と言っても申し訳ないが火はNG。鍋に水を入れて湯煎するように中に小鍋を置きます。

 小鍋の中に飲み水を入れたら、外の鍋に石灰の粉を入れます。沸騰してきたら油紙に包んでいた麺を取り出して鍋に投入。お手軽あったか麺です。

 スープは老爺に作って貰った魔法瓶に仕込んでおきました。魔法瓶の値段は銀貨1024(枚)でぇ~す。TDN容器ではないのでしょうがねえ。

 鶏ガラ出汁に味付けはシンプルに塩のみ。良く煮立てて濃く作ってあります。これをベースに麺を茹でたお湯で割り塩ラーメンの完成です! この辺にぃ、うまいラーメン屋の屋台、来てるらしいんすよ(自画自賛)

 雨に濡れる様な寒い時は温かいものに限りますねぇ! 

 女性陣と寒いのが苦手な蜥蜴僧侶にはわりと好評でした。ゴブスレさんは"悪くない"だって。何と作り甲斐のない! これでは食通の名が泣くな! 

 

 皆で水の街の名物料理の話をしているとキイキイ、ジャブジャブと音が聞こえます。みんな大好きゴブリン船です! 

 今回は女僧侶ちゃんが【聖壁(プロテクション)】を掛けている隙に燃える水(ペトロレウム)水松明(水中トーチ)で焼いてしまいましょう。今です! (孔明の罠)

 木造船なので簡単に焼けて沈んでいきます。ゴブリン共は上は大火事、下は大水なーんだ?状態。正解は地獄絵図。

 幾らかは沈没から免れたか浮かび上がってきますが、剣の乙女の使徒(ファミリア)である沼竜(アリゲイタ)にムシャムシャされます。お腹壊さないのか!?(驚愕)

 しかしこれでかなりの短縮とリソースの削減が出来ました。

 水松明(水中トーチ)はゴブスレさんの食いつきがかなり良いです。燻し薬に火の秘薬(ブラック・パウダー)入れて防水加工するだけですもんね。この後待っている女神官ちゃんとのデートイベントも含めて火の秘薬(ブラック・パウダー)を買い漁るゴブスレさんが目に浮かぶようです。硝石丘作らねば(前右府並感)

 

 沼竜(アリゲイタ)は水路から外れたら追っては来ませんので安心(フラグ)

 しかし船が燃える音に引き寄せられたのかあちらこちらから櫂が水を掻く音が聞こえてきます。残りのゴブリン船です! 

 ゴブスレさん発案で女神官ちゃんが沼竜(アリゲイタ)の尻尾に【聖光(ホーリーライト)】を付けて誘蛾灯にします。こう言うとき角灯(ランタン)だと灯りが絞れるので誘導に良いゾ~↑

 さて、ゴブリン船達が沼 竜(チョウチンアンコウ)に吸い寄せられるかの様に光に近づいては轟沈する様を横目に見ながら先に進みます。(ゴブリンが)溺れる! 溺れるぅ! 

 今回は呪文を節約しているので、出来れば下水路は全て攻略したい所さん……。

 道中ゴブスレさんが今回の件は自然発生(スポーン)ではなく、人為的(マンメイド)という推測をします。

 とすれば、どこかにゴブリンの発生源があるってことっすよね? それ潰さないとジリー・プアー(徐々に不利)っすよ。

 ここで方針転換。ゴブリンを殺さないでバレない様に後をつけてコトの中心を探ります。ゴブリンを殺さないゴブリンスレイヤーとは一体……(哲学)

 尾行とか追跡とかそーいうのが得意な3人(変なの1号・金床・わんわんお)でゴブリンの行動を追います(スニーキング)。残りの4人(樽・杉田・変なの2号・メス犬)は仮拠点を構えて囮兼橋頭堡です。

 

 ゴブリンの船は流れに沿ってやって来るみたいです。どうやら上流?の方から来るみたいっすよ~(露骨な誘導)

 進んでいくと港というか作りかけのボロ船が係留されている場所に出ました! 

 今あるのはこれで全部でしょうから、破壊しておけば今後ゴブリン船を気にしなくて済みます。

 燃える水(ペトロレウム)を桟橋から水面に流し、着火。赤壁の戦いを再現します! ジャーン! ジャーン! 

 慌てふためくゴブリン共を後目に陣地へ戻ります。サラダバー! 

 

陣地ではみんなボロボロでした

 どったの!? え? フラグを回収した? 今回はメタが多いな! 

 どうやら沼竜(アリゲイタ)に襲われたゴブリンの一部が仮拠点の方に逃げてきて、そこに沼竜(アリゲイタ)が突っ込んだとの事。屑運ですね(他人事)

 

 回復リソースが2人ともキツいのでこのまま帰ります。

 女神官ちゃんが神殿の蒸し風呂に目を輝かせていますが、疾走忍者君はお風呂嫌いなのでさっさと消え失せます。女魔術師ちゃんと入ってください(懇願)

 鉱人と蜥蜴人(樽と杉田)は食事とお酒に、森人弓手(金床)はゴブスレさんと買い物に行きました。女魔術師ちゃんは女神官ちゃんと一緒にお風呂。つまり疾走忍者君はボッチです。さ、さびしくなんかないんだからね!! 

 

 タモさんよろしく街中をブラついていると、絡繰り屋さんの文字。暇潰しがてらと覗いてみると、中々の力作揃い。発条(ぜんまい)仕掛けの三輪車に、鈎縄を撃ち出す(ボウガン)、硝子を組み合わせた遠眼鏡。極め付きが連射出来るという触れ込みの種子島(火縄銃)。見た目は完全にガトリングガン(ターミネーター2)のそれ。"重すぎて扱えねえじゃん"と至極真っ当な指摘をすると、工房の親父が怒る怒る。

「犬畜生に俺の作品が分かるかよ!とっとと出てけ!」

 あぁそうですか。二度と来るか! 

 

 忌々しい ああ忌々しい 今井マシーン(ネジ製造機)

 腕は良さそうだけど、ああも偏屈じゃ先が思いやられますわ!

 ぷんすこしながら歩いていると、冒険者の衣類等を扱うお店ではゴブスレさんと森人弓手(金床)が買い物しています。何か良い雰囲気なので草葉の陰からそっと生暖かい目で見守りましょう(死後)

 


 

 一回りしたら夕食の食材を買って神殿へ。今回は巡礼者用の宿泊施設を使わせてもらってます。

 水回りは共同ですが個室は小ぎれいで食器や調理器具完備。そして何は無くても無料というのが良いですねぇ! 

 

 帰ったら私物を部屋に置くと、手洗いして晩御飯の準備です。

さぁ、ロックンロールのはじまりだ

 今日はチーズたっぷりブロッコリーグラタンにしましょう。

 材料はブロッコリー、マカロニ、チーズ、小麦粉、牛乳、バターに塩コショウ。

 後は野菜の皮や先端、根本などクズを煮て十分に灰汁を取り、コンソメスープを作っておきましょう。

 コンソメスープは何にでも使えますのでよく煮詰めたら後で魔法瓶に入れておきます。塩を多めに入れて充分冷やしてからなら1週間位大丈夫です。

 

 先ずは石窯(オーブン)を温めておきましょう。

 その間にマカロニとブロッコリーの下ごしらえ。それぞれ鍋に入れて大体2~3分。後で石窯(オーブン)で焼きますので適当でも構いません。

 熱したフライパンにバターを塗り、茹でたマカロニとブロッコリーを入れて軽く炒めます。ここも、焼き目を着ける程度で構いません。タマネギ入れたいですが、疾走忍者君が死んじゃいますので断念。

 ここに小麦粉サーッ!本来なら薄力粉ですが、この世界はそこまで細かく分かれていないので白くて粉なら何でもいいです(適当)

 マカロニとブロッコリーに粉が張り付き、全体的に粉っぽさが無くなってきたら弱火にして少しずつ牛乳を入れていきます。

 一気に入れるとダマになってしまいますので、自信が無かったら大匙で入れるくらいのつもりで入れると良いと思います。小麦粉が溶けてトロトロになってきますので、コンソメスープを入れてシチュー状にしたら、塩と胡椒で味を調えます。ホワイトソースの出来上がり。そのまま作ってもいいのですが、多少冷ますと具材に味が染みます。

 ホワイトソースが出来上がったら、グラタン皿に6割程度入れます。

 はい。ホワイトソースが少ないと思ったそこの貴方。正解です。今回はチーズたっぷりなので、少な目です。

 チーズを削ぎ切りにしてこれでもかとグラタン皿に盛ります。この時ケチると(色んな意味で)おいしくないので、山盛りになる位入れてください。

 温めておいた石窯(オーブン)に入れるのは全員集まってからでいいですね。10分程度焼き目を見ながら焼くだけなので簡単。

 みんながゾロゾロと戻ってきました。ええわ~。

 おう、女神官ちゃん。お帰り。そろそろ石窯(オーブン)で焼きたいから頼んでもいい?あと大麦パンも軽く温めといてね。

 女魔術師ちゃんは……ウン。食卓の片づけと食器の準備お願いしていい? 

 森人弓手(2000歳児)は何もしなくていいから座ってなさい。

 

 後は肉喰らい共(疾走忍者君含む)向けにハムを焼きます。厚切りにして、格子に包丁入れてフライパンへ。

 元々保存用に塩味が強めなので、味付けは無し。

 強火で一気に表面を焼いて後は遠火で中まで火を通す感じです。付け合わせはグラタンに使ったブロッコリーの残り。

 後は各人好きな飲み物を準備します。疾走忍者君はお酒に弱いので薄いエール。さてそれでは頂きます。

 

 ご馳走様でした。食事シーンは特に大した話題もなく114514倍(ほぼカット)

 せいぜい、ゴブスレさんが金糸鳥(カナリア)買った事くらいです。作るならともかく食べる事に(そんなに興味は)ないです。女性陣はピーチクパーチクと姦しいですが、女ってこれだから嫌よねぇ。

 


 

 翌日は船着き場を中心に探索。

 昨日の焼き討ちで敵にバレているはずなので、やっぱり僕は王道を征く正面突破ですかねぇ。

 何匹か始末すると、大きな扉が見つかりました。船着き場からほど近くです。

 

 中に入ってみると左右に大きな通路そして等間隔に並んだ扉。うん。地下墳墓(カタコンベ)ですね(メタ知識)

 ゴブリンの姿は見えませんが、臭いがキツいです。おるな(確信)

 罠を仕掛けられているのは分かりますが、原作通りかはたまた手を変えてくるか分かりませんので基本受け身になります。しょうがないね。

 しかし、邪教徒(カルティスト)ってレベル2なのに小鬼英雄(サプリはよ)を統率出来るんですね。すごーい! 

 

 幾つか扉を【観察】してみても、罠や鍵らしきものはありません。大丈夫っすよ。

 女神官ちゃんは何かを頻りに気にしています。それは君の錯覚だよぉ(能天気)

 手始めに一番近くの扉をそろりと開けます。邪魔するでー(邪魔するなら帰ってー)

 一番奥に石棺がいくつかと壁に吊るされた木乃伊(元人間)。あっ……(察し)

 

 ここでひとまず一時停止(ポーズ)

 このまま行けば原作通りの展開です。逆にここで外に見張りを立てれば、原作を逆手に取って逆襲できるかもしれません。勿論さらに悪化する可能性もありますが。

 うーん。ここはチャートの安定性を考えてこのまま罠にかかりましょう。オリチャーしてて乙ったら目も当てられないですしおすし(人それをマンチキンと呼ぶ)

 

 取敢えず、地下に続いていると思しき石棺を探しておきましょう。どれどれ? ん?あれ? 無いゾ? 

 

別の部屋じゃん!!

 

 がーんだな……出鼻をくじかれた。

 当然扉を固定していた楔はゴブリンに抜かれ、金糸鳥(カナリア)が騒ぎ出します。まぁそうなるな(師匠並感)

 ゴブスレさんが炭と手ぬぐいで簡易防毒マスクを作り、みんなに手渡します。疾走忍者君は防毒面(中古)があるのでへーき。持ち歩いてる端切れで女魔術師ちゃんの分を作ってあげましょう(ホモはやさしい)

 そうこうしている内に鉱人道士と森人弓手が壁の穴から湧き出てくる毒ガスを混凝土(コンクリート)で塞ぎます。疾走忍者君は蜥蜴僧侶と石棺をドア前に積み上げます。しかしこれだけでは原作の通り小鬼英雄(チャンピオン)を食い止められません。

 何かないかな……ん? 疾走忍者君が付けてる腕輪って、【施錠(ロック)】だよね。で、目の前には扉……。

お前の事が好きだったんだよ!!

 やっぱり魔法の装具は凄く役に立ちますねぇ!やるじゃない(ニコッ)

 

 外では逆流した毒ガスでどったんばったん大騒ぎしておりますが、我々一党(パーティー)には実害無いので問題ありません。

 このままでは扉むこうのゴブリンが諦めるまでどうしようもない(加速する? しちゃう?)ので、後は出来る事と言ったら扉以外の出口が無いか探すくらい。……石棺の後ろに、壁が崩れている箇所を発見しました!円匙(スコップ)や手斧で叩いて広げます。

 まずゴブスレさんが中に入り、クリアリングします。森人弓手、女神官ちゃん、魔術師ちゃんと続きます。

 疾走忍者君と蜥蜴僧侶はおっきいので待機。鉱人道士が【石弾(ストーンブラスト)】で穴を拡げてくれるのを待ちます。おう、あくしろよ。

 何とか潜り込める隙間を確保し、潜り抜けたら【降下(フォーリング・コントロール)】で穴を塞ぎます。鉱人道士が括約しまくりです。鉱人道士君もうまそうやな~(爺専ホモ並感)

 

 潜り抜けた先は納骨堂の様な感じでした。周りにゴブリンはいないみたいです。

 あ、今扉が壊されたみたいですね。逃げたのを知って怒っているみたいです。プギャー!(AA略)

 さてゴブリンは放っておいて、とっとと発生源を見つけよう(提案)

 

 かなり奥の方にまで行きましたから名前を言ってはいけないあのお方(鈴木土下座衛門)がそろそろ見えるかと思うんですが……。お、居た居た! 

解呪(ディスペル)】と【分解(ディスインテグレート)】が厄介ですが、おつむはそんなによろしくないみたいなので、鏡を守る仕事しかしません。部屋の外からちまちま当てていけば倒せます。ね、かんたんでしょ?(勝てるとは言っていない)

 

 今回はゴブスレさんも粉塵爆発用の小麦粉を手配中なので一旦帰るかな~。……と思っていたら”おいゴルァ小麦粉見せろ!”と言ってきます! 

 一縷の望みに賭けて粉の目が粗い事を期待しましたが、辺境の街から持ってきたものなので、合格レベルだそうです(諦観)【料理】技能がなんでこんなところで仕事すんの!? 

 

 森人弓手が囮になっている隙に鉱人道士が【酩酊(ドランク)】で眠らせます。その間にゴブスレさんが部屋の中に小麦粉を撒きます。慌てて女魔術師ちゃんを腹の下に入れて、耳を両手で塞ぎ口を開けます! 対爆防御姿勢! 

 女神官ちゃんに【聖壁(プロテクション)】かけさせ、小鬼王(ロード)戦でも使った自動着火矢でドカン。

 森人弓手が耳をおかしくしたのか、ギャーギャー喚いてますが、命があるだけマシです。

 バックベアード様(このロリコンどもめ!)は粉微塵。当然爆発音に気が付いたゴブリンどもがワラワラと寄ってきます! 

 他はともかく鉱人道士の呪文回数(リソース)が足りないのが痛いです。原作再現には2回は必要なので。

 幸い3方向ある内、一方向からはゴブリンの声が聞こえないのでそちらに行きます!おう罠でもなんでもかかってこい!(恐る恐る)

 

 しばらく行って右に曲がるとすぐに瓦礫で埋まり行き止まりでした。デデドン!(絶望)

 小鬼英雄(チャンピオン)が迫ってきます。もうこうなっては戦うしかありません。

 女神官ちゃんが【聖壁(プロテクション)】を張ってゴブリンの接近を避けつつ、女魔術師ちゃんが【混乱(コンフューズ)】で同士討ちを誘います。

 鉱人道士は触媒が心許ないので疾走忍者君と一緒に壁役(タンク)です。

 森人弓手は少し離れた瓦礫の上から小鬼弓手(アーチャー)や呪文使いを見かけたら優先的にスナイプしています。グッナイ! 前戦では蜥蜴僧侶兄貴が派手に暴れています。

 ゴブスレさんが上手い事影に隠れながら小鬼英雄(チャンピオン)に接近しております。原作だと小鬼英雄(チャンピオン)ゴブリン肉盾(ミートシールド)を使われ攻撃が届きませんが、今回は人数が多いのです!気を引くくらい簡単に出来ます!3(+4)人に勝てるわけないだろ! 

 疾走忍者君の飛刀(フライングダガー)の投擲がクリって小鬼英雄(チャンピオン)の目に当たります。やろうと思えば(王者の風格)

 

 しかし、苦し紛れに振るった小鬼英雄(チャンピオン)の棍棒がゴブスレさんに当たります!ゴブスレさんの吹っ飛ぶ先にはな・ぜ・か疾走忍者君が!また君かぁ(疾走忍者君本体が)壊れるなぁ。

 絶対ダイス運吸われてるゾ。お祓い行かなきゃ(使命感)

 

 瓦礫が盛大に壊れて崩れ落ちますが、疾走忍者君は何とか無事です。体力お化けなのが味方しましたが、まともな継戦能力は皆無です。ゴブスレさんは……あ、意識失ってますね。だめだこりゃ。

 女神官ちゃんが膝から崩れ落ち、漏らしてしまいます。やっぱりお漏らしから逃れられないのか……(困惑)小鬼英雄(チャンピオン)に肩を齧られ、顔を舐られます。くさそう(小並感)

 森人弓手は向うの方でゴブリンに服を剥ぎ取られてベソかいてます。

これはもうだめかもわからんね(そっとリセットボタンに手をのばしつつ)

 

 気が付いたら、意識を取り戻したゴブスレさんが血反吐を吐きながら小鬼英雄(チャンピオン)の後ろから回り込み、もう片方の目を刺し貫きます! 

 倒れる小鬼英雄(チャンピオン)。逃げ惑うゴブリン達。揺れない震源地を振り乱してゴブリンを撲殺する森人弓手(金床)。一気に形勢逆転です。勝ったな風呂入ってくる。

 疾走忍者君は端っこの方でヨツンヴァインになって蹲っています。女魔術師が必死に介抱中。おう働けよ(理不尽)

 

 後は鏡をコンクリ詰めにして水路へボチャン。剣の乙女の【蘇生(リザレクション)】は無かったですが、結果報告(アフタープレイ)の会話だけで剣の乙女の好感度爆上げです。流石ラノベの主人公!(違)

 

 あ、今回もお宝を見つけました(副葬品をパチってきました)!体術熟達の腕輪+2!銀貨2500枚もする高級品です。うーん。良いね! 

 

突然のオリチャーで随分短縮ができましたが、フラグを沢山取り零しているのが気になる所さん。まあ、ええやろ。

 

 今回はここまで。ご閲覧ありがとうございました。

 




水の街は本当は2話のつもりが1話に。まあ、短縮するのは悪い事じゃないし(震え声)

これから仕事が忙しくなるのでドゥンドゥン遅くなります。
完走までどれ位かかるか分かりませんが、頑張ります。
タカキも頑張ってるし俺も頑張らないと。
じゃあ俺、おコメ貰って帰るから(飢餓)


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ゴブスレ界の歩く18禁初登場!な話(裏)

遅くなって申し訳ありません。
許してください!なんでもしますから!
仕事が忙しくなり、行き帰りの電車の中で書くつもりが寝落ちしてばかりなのでぜんぜん進みませんでした。
会社は時差出勤を求めますが、遅くは出来ないので始発に乗るために4時起き。
帰りも早く帰れるわけもなく普通に残業。
この前は県境を2つも越えて寝過ごしました。戻るのだけでも一苦労。
仕事あるだけ幸せと思えるか、ちと微妙です。

加えて一つの話ががどんどん長くなってきてしまいました。もっとテンポ良く投稿出来れば良いのですが。

しかし、未だ文庫本2冊目・・・。それに三ヶ月以上掛かる鈍足振りです。完走は何時になることやら。

まさか修正前のをうぷするとは・・・とんだガバです。
修正いたします。ゴメンナサイ。



【監督官side】

 

宴会も漸く終わり、酔い潰れている仲間(メンバー)を担ぎ出す冒険者も居なくなったギルドの広間は随分と広く感じられる。

今は獣人(パットフット)の給仕が、時間外労働だとぼやきながら片付けをしている。

数十人が騒いでいた酒場と受付前の広間に居るのは、他にはわたしとホロ酔いで気分がよさそうな受付嬢だけ。

ふと、気になっていた事を聞いてみる。

 

「良くあの渋チンがゴブリン一匹に金貨1枚なんて大盤振る舞いを許したね」

「日頃の行いが良いですから。ゴブリンスレイヤーさんも私も」

「まるでわたしが不良職員かの様な言い方じゃないか」

「露骨に嫌そうな顔するじゃないですかあの人の前だと。バレてますよ?」

「むぅ・・・。だってアイツ下心見え見えなんだもん」

「全てではないにしろ、心が読めるのも考えものですね。で、お気に入りのあの方はどうでした?」

「残念。先を越されてしまったよ。同じ一党(パーティー)じゃ仕方ないかな」

「あら?意外と淡泊なんですね」

「そっちと違ってご執心って程でも無いしね。あんな惚け話を聞かされたら悋気も起きないさ。で、そっちこそ愛しの彼とは何か進展あった?」

「・・・」

「まっ、気に病まない事だよ。今は3番手だろうが最後に1番なら良いんだから」

「そう・・・でしょうか?」

 

何時もなら、赤い顔して反論するのに、深く考え込んでしまった。

何だろ。まさか冒険者にでもなるんじゃないだろうか?まだわたしの方が向いていると思うけど。

 


 

明くる朝。昨日の激闘と宴会のせいで流石に疎らだった冒険者の依頼(クエスト)を捌いて、休憩を取ろうと裏手の井戸まで水を汲みに行ったら、水場で疾走忍者と女魔術師が裸でまぐわっていた!

真っ昼間から何やってるの!犯罪行為よ!・・・む、胸であんなことするなんて!イヤラシイ!!

頭の中では直ぐにその場を去らなければと考えるが、足は縫い止められたかの様に動かず、心臓はバクバクと煩くて喉から飛び出るんじゃないかと心配になるくらい!

心の方はというと、衝撃が治まると胸の中に気持ち悪いものが滲み出てきた。疾走忍者にではない。彼に抱かれて恍惚の表情を溢れさせている女魔術師に。

そんな悪感情を抱いた事がそら恐ろしくなり、漸く動く様になった体に鞭打って逃げるように受付に戻る。受付嬢が心配そうに声を掛けてくるが応えの余裕はなかった。今まで感じたことのない黒い気分の御し方に必死になっていた。

 

その後の結果報告(アフタープレイ)では疾走忍者と女魔術師の顔をまともに見ることが出来なかった。

自分でも真っ赤になっている顔を誤魔化せないまま査問室へ。彼らの鋼鉄等級への昇級審査。

今回はギルドの仕事を任せられるかの適性を確認するために、異例ではあるが上司も同席する。

先ずは審査の前にと、手紙を渡すように言うと首を傾げられた。上司に目配せされて密かに【看破(センス・ライ)】を唱えるも、結果は白。

気づかれぬように首を小さく横に振ると、上司は大きな溜め息。

これはダメかも。そう思った瞬間急に頭に声が飛び込んできた。

 

『黒曜等級への昇級審査の前に渡して懐に仕舞ったと伝えなさい。具体的には第五話の真ん中位』

 

突然の託宣(ハンドアウト)にキョロキョロとしてしまう。至高神様の託宣(ハンドアウト)なんて何年振りだろう?

そのまま伝えると何か合点がいったのか、疾走忍者は「チョト待テテ」と査問室を出る。

僅かの後に戻ってきた彼の手には件の封筒が握られていた。薄汚れて凄い臭いがしたが。

絶対に受け取りたく無いので、上司に渡す様に促す。

差し出された封筒に顔を引き攣らせる上司。

指で摘まんで、封蝋を確認したらそのままゴミ箱へ投げ捨てた。

疾走忍者がショボンとした顔をしている。可哀想じゃない!読みもしないで捨てるなんて!

 


 

「はい。これで鋼鉄等級に昇級しました。後は暫くしたら受付にネームタグ(認識票)を取りに来てください」

 

受付嬢の言葉に頷くと疾走忍者はいつの間に仲良くなったのか槍使いと何か話しつつ査問室を出る。

扉が閉まった途端、上司が口を開く。

 

「どう見る?」

「封蝋を開けなかったし、肌身離さず持ってたみたいだし大丈夫なんじゃない?」

「う~ん。手紙の存在を忘れてたのでなんとも。あまり頓着しないのは逆に漏洩の心配がありますし」

「ふむ。少し唐突過ぎたかもしれん。もう少し重要そうに見える任務を与えるべきか?」

 

相変わらず狡いと言うか臆病と言うか。

 

結局、疾走忍者へは他の冒険者の素行調査をさせることになった。勿論極秘を言い渡して。

後で一党(パーティー)の女魔術師は別件で呼び出して、情報を洩らしてないか聞かないといけない。

全く、下にばかり皺寄せが来るんだから!

 

案の定女魔術師は何も聞いておらず、素行調査自体も圃人斥候が限りなく黒い事と、変な紙箱が動き回っているという苦情以外問題なかった。隣で圃人を担当する受付嬢がお腹を押さえている。はぁ。わたしも頭痛いわ。

 

 

【女神官side】

 

ゴブリンスレイヤーさん、蜥蜴僧侶さん、疾走忍者さんの3人が査問室に呼ばれるのを見送ります。

彼らだけ呼ぶというのは何かあるのでしょうか?一昨日の冒険(クエスト)に何か落ち度でもあったのでしょうか?

森人弓手さんは二日酔いで話しをする所ではなく、鉱人道士さんは工房に用事でもあったのか、早々と姿を消していました。後は隣では貧乏ゆすりしながら爪を噛んでいる女魔術師さん。彼女も心配なんでしょうか?

 

「何言われているか知っていますか?」

「貴方何処に行ったか知っているの!?教えて!」

「え?・・・あそこ(査問室)ですよね?3人で行きましたけど」

「3人で!貴方も一緒に行ったの!?案内なさい!」

「え?私は行ってませんよ。この前疾走忍者さんと行ったばかりですよね?」

「イッタだなんてこんな真っ昼間からハシタない!もう少し声を小さくしないと!」

「ご、ごめんなさい。・・・でも、はしたないですか?」

「あんな(臭いさせたのよ)・・・。イカガわしい所に決まってるわ!」

「? 査問室は如何わしくはないと思うんですが?」

「そうそう。査問室・・・査問室!?受付嬢とか監督官とかが相手なの!?」

「まぁ、そうなんじゃないですか?」

「獅子身中の虫とはこの事ね!この前はそんな気を一欠片もさせなかったのに!きっと色目使ったに違いないわ!」

「?」

 

うーん。どうも話が噛み合いません。どうすれば良いか頭を捻っていると、3人が戻ってきました。

聞けば、正式に一党(パーティー)登録したそうです。

女魔術師さんは疾走忍者さんに「捨てないで!」と泣き付いています。疾走忍者さんも困惑しているみたいです。

どう言うことでしょう?

 


 

馬車を降りて目に飛び込んで来たのは、数え切れない位たくさんの露店と、息も出来ない程の人の流れ。遠くにはお城と見紛う白亜の神殿が顔を覗かせていて、水路にはひっきりなしに平底舟(ゴンドラ)が行き交っています。

辺境の街しか知らない私にとってそこは夢の中の光景でした。祭りの時にだってこんなに沢山の人が居るのを見たことはありません!

聞けば何時もこんな感じなんだとか。疲れてしまわないのでしょうか?

 

普通なら市場に並ぶ見たことがない品々に目移りしそうですが、人波に溺れながら進むのがやっと。

みなさんズンズンと先に進んでしまいます。はぐれない様にするのが精一杯でした。

暫くして人が少なくなって一息ついたかと思ったら、法衣(カソック)がしわくちゃになっていました。慌てて裾を直していると、森人弓手さんと鉱人道士さんが言い合いを開始します。

普段ならただのじゃれあいと苦笑いで済ませますが、ここは至高神様の神殿の目の前。あの剣の乙女様がいらっしゃる場所です。

本人に聞かれないまでも同じ秩序の信徒として恥ずかしい真似は出来ません。

 

「ゴ、ゴブリンスレイヤーさん!法の神殿に来たと言うことはもしかして依頼主はここの人なんですか?」

「そうだ」

「じゃあ剣の乙女様を一目見れるかも知れませんね!依頼された方はどなたですか?」

「たしか大司教(アークビショップ)だったな」

「わー!凄い偉い人なんで・・・今、大司教(アークビショップ)って言いました!?」

「そうだな」

「えぇー!!剣の乙女様本人じゃありませんか!?」

「そうなのか?」

 

どうも他のみなさんもピンと来ていない様子。同じ様に驚いてくれているのは女魔術師さんだけです。

あの魔神王を倒した一党(パーティー)の一人、金等級の冒険者でもある剣の乙女様直々の依頼(クエスト)なのに・・・。

 


 

法の神殿に入ると、とても広くてどこも真っ白でした。

案内されるまま、ゆうに千人は入れるのではないかと言う大聖堂に向かうと中に居たのは一人の女性。白い法衣(カソック)に隠しきれない豊満な胸と対称的なスレンダーな腰付き。蜂蜜色の長い髪は梳られて光り輝いています。

私たちに気づいたのか振り返るその相貌はまるで彫刻の様に整っていますが、目を布で覆い隠しており、その全貌を伺うことは出来ません。しかし逆にそれが神秘的な美しさをいや増している様です。

それが金等級――運命(フェイト)ではなく群民から現れ、史上に残る活躍をした冒険者――剣の乙女様でした。

鈴の音の様な声で私たちの事を言い当ててきます。

 

「あらあら?戦士様に森人の野伏様。それに鉱人の呪術使い(シャーマン)様に鱗の武僧(モンク)様かしら?かわいらしい聖女(プリーステス)様に魔女(ウィッチ)様もいらっしゃいますね。後は・・・獣人の・・・斥候様?」

「ニンジャナ。ニンニン♪」

「ニンジャ様?・・・まあまあ。あなた方がご連絡差し上げた冒険者さん達ですのね」

「そうだ。で、ゴブリンはどこにいる?」

「うふふ。お気の早い事。背景(バックストーリー)も聞いていませんのに。そんなもの関係ありませんの?」

「勿論だ。ゴブリンは殺す。絶対にだ」

「っ!?・・・たとえそれが貴方様の手に負えないものでも!?」

「自分の手に負えないものならこの前対峙したばかりだ。手が足らぬなら借りてくればいい。そんな事よりゴブリンはどこだ?」

「!?・・・この街の地下水路に住み着いています」

「ゴブリンだとわかった理由は?」

若い娘さんが惨殺される事件が続いていまして、見回りを強化していたところある冒険者が若い娘に刃を突き立てる影を見つけて切り伏せました。その死体をみたらゴブリンだったとのことです」

「・・・ゴブリン?殺されただけか?」

「ちょっと。オルクボルグ。遠慮ってものを・・・」

「構いません。地下水路から来ているのだと思い、幾人かの冒険者を向かわせましたが・・・」

「地下水路の地図はあるか?」

「こちらです。ただ、幾分古い上に途中までですので網羅しきれていると言えませんが」

「地図があるだけマシだ。ゴブリンの規模は分かるか?」

「皆目検討も付きませんわ。娘さん方の殺された位置からしてかなり広範囲に出没する事は分かっていますが」

「地下水路の入り口はどこだ?」

「この神殿の裏から行けますわ。着いて来て下さいまし」

「チョトイイ?」

「なんですの?」

「コレ手紙。託サレタ」

「あら。ありがとうございます。拝見し・・・フンッ!」

 

ビリビリビリッ!!

剣の乙女様が封蝋の印影に触れた瞬間。いきなり手紙を破り捨てます!

先ほどのおっとりとした雰囲気とは全く違う怒りの表情に思わずに身をすくませましたが、直に怒気は収まりました。

 

「さ、こちらですわ」

 

誰も何も言えませんでした。

 


 

地下水路は予想と違いとても大きく、広い空間でした。

女魔術師さんや他の冒険者さんの話では辺境の街の下水道はとても暗くて狭くて汚いと聞いていましたので、水の街のも同じ様なものだと思っていました。なんだか肩透かしを貰った様な気分です。

 

上から雨の様に落ちてくる水に辟易していると、少し先に何体かの冒険者の遺体がありました。

流石に回収して埋葬するわけにもいきませんので聖句を唱えて鎮魂を祈ります。

ゴブリンスレイヤーさんは傷の具合を確認したら抜かれずに落ちていた剣を回収して頷いています。

まったく。"よし"じゃありません。疾走忍者さんが真似をしようとして森人弓手さんに怒られているじゃないですか!

 

雨足(?)が強くなってきたので側道に逸れます。ちょっと一休みです。

多少の雨でも大丈夫な様に角灯(ランタン)を買っていましたが、早速役に立ちました。

ゴブリンスレイヤーさんは「割れたら終いだ」と言っていますが、雨に濡れても大丈夫なのは良いと思うんですけどね?

地下特有の気温の低さと水で濡れた体が体温を奪い、季節に似合わず寒さを感じるほどですので、何か温かい食べ物か飲み物があると良いのですが、下も水浸しですしこんなところで火を焚く訳にもいきません。

"葡萄酒の酒精とパンで誤魔化すしかないか"と思っていたら、疾走忍者さんが鍋に水を入れて何やらしています。

なんと白い粉を水に入れてお湯を沸かしてしまいました!

後で聞いたら白い粉は石灰というそうで、貝や骨を焼いて作るそうです。

麺を茹でて、金属瓶に入れていたスープと併せて汁物を作ってくれました。なんでもらぁめんとかいう料理とのことです。スープは塩味でシンプルですが旨味が強く、麺はパスタとよく似ていましたがずっと柔らかかったです。

今度こういう時の為に私も石灰買っておこう。

密かに決意していると、何時の間にやら料理の話になっていました。

 

「コノ辺リノ名物料理ナニ?」

「水の街と言うからには水に関係したものが美味しいんでしょうか?」

「川魚の揚げ物と子羊の臓物を煮たものだそうだ」

「へー。そんなものが名物なんだ」

「なんじゃ。さっきのが呼び水になったみたいで余計腹が減ったのう」

「ちょっとは節制しなさいよ。この肥満体形」

「この辺りの小麦は目が粗いから揚げ物の衣が旨いそうだ」

「へぇ~。何で知ってるのよそんなこと」

「ここへ行くと言ったら知り合いが教えてくれた」

「その知り合いに感謝ですな。戻ったら早速食ろうてみたいものよ」

「さて体も幾分温まったし。そろそろ・・・!?」

 

カバッ!!

水の街の話をしていた中で、森人弓手さんの声が急に止み、銀等級の4名が立ち上がります。僅かに遅れて疾走忍者さんも暗闇に相対します。

なにか来たのです!私は女魔術師さんとひとつ頷きあうと一緒に拡げていた荷物を纏め始めます。あぁ、スープ飲みきれませんでした。また作ってくれないでしょうか。

 

ギ・・・ィ、ギ・・・ィ。

木が擦り付けられる様な嫌な音と共に水を掻き分ける音が聞こえてきます。

良く目を凝らして見るとゴブリンが木造船を漕いで近づいて来ていました!

まだこちらには気づいていない様です!

 

「水の上ではちと厄介。如何いたす?」

石弾(ストーンブラスト)で沈められるか?」

「出来んこたないが、天井が崩れたら事じゃぞ?」

「フム・・・。油はあるが火種が無ければ直ぐ消える。乗り込むか?」

「コレ使ウイイ」

「なんじゃそれは?」

「水松明。水ノ中デモ火消エナイ」

「水で消えない火・・・。行けるな」

 

橋の上で待ち伏せし、聖壁(プロテクション)を唱えている隙に皆さんで油を投げ入れます。

ゴブリン達は弓矢で応戦しますが聖壁(プロテクション)で矢は届きません。

先ほど疾走忍者さんが取出した竹筒に火を点し、船に向かって投げると、激しい音を立てて燃えていきます。

炎に巻かれて船から落ちるゴブリン。必死に火を消そうとするも、竹筒から出る焔は水を掛けても収まる素振りもありません。

そのうち竜骨に引火したのか、舟はメキメキと音を立てて真っ二つに割れると沈んでいきました。

念のために張っていた聖壁(プロテクション)を解除します。

 

後は溺れているゴブリン達をどうするか・・・。

そんな風に考えていると、ゴブリンが急に沈みます!

あっと思うと、巨大な白い蜥蜴の様なものが水面から飛び出てきて他の水中のゴブリンをひと呑みにしてしまいました!

 

「あれは!沼竜(アリゲイタ)!?」

「ゴブリンではないな」

「当たり前じゃない!あんたの目は節穴なの!?」

「鱗のよ。あやつに話して帰って貰えはしないかの?」

「同じ鱗を持つものではありますが、いやはやなんとも・・・。まだ(サラマンダ)の方が話しは通じそうですな」

 

橋の上から眺めていると、またギイギイと櫂の音が幾つも聞こえてきました!一隻だけでは無かったようです!

 

「逃ゲル!急イデ!」

「きゃっ!?疾走忍者さん!持ち方が!」

 

女魔術師さんが肩に担がれ下着が丸見えになってます。

あんな派手なの着てるんだ・・・。

ゴブリンスレイヤーさんに小脇に抱えられながらそんな詮ない事を考えていると、指示が来ます。

 

「ヤツの尻尾に聖光(ホーリーライト)を付けられるか?」

「やってみます!」

 

運ばれながら聖光(ホーリーライト)を唱え、近くの側道へ駆け込み息を潜めるとゴブリン船が光に惹かれて集まってはあの沼竜(アリゲイタ)に沈められていきます。

取敢えず急場は凌げたのでしょうか?

 

 

【森人弓手side】

 

3人でゴブリンの視界から隠れる様に移動しながら考える。

 

未知の遺跡(ダンジョン)を見たこともない怪物(モンスター)と死闘を演じながら先に進み、凶悪な(トラップ)に陥った仲間を颯爽と助ける私。そして行き着く先には輝くばかりの金銀財宝や古の力を秘めた魔法具などのお宝。

それが私の憧れる冒険(クエスト)だっていうのに!

どーして、こうオルクボルグとの冒険(クエスト)ってば暗くて湿ってて、臭いんだろ。

 

前を行くオルクボルグはそんなことには無頓着。ゴブリンが殺せればいいとでも思っているのだろうか?

後ろを行く疾走忍者は水に濡れる事こそ嫌がっているが、それだけ。人喰鬼(オーガ)でも感じたけど、どうにもちぐはぐなのよねコイツ。

蜥蜴僧侶は戦場とチーズにしか興味がない感じ。

新人の2人は多少マシだけど、まだまだ冒険を楽しめる領域には達していないわね。

私の気持ちを一番酌んでくれるのは皮肉なことに鉱人ときたものだ。あー不幸だわ。

 

優秀な斥候(スカウト)が3人も居ればゴブリン共の巡回の隙をついて先に進むのも簡単。

でも、オルクボルグも疾走忍者も仕事をこなしたらあとは何も言わないから飽きてきちゃうのよねぇ。

 

と、柳の様に長い耳に聞き慣れない音が混ざってきた!木と石がぶつかり合う様な音だ。

二人に合図して物陰からそっと覗くと、ゴブリン共が乗っていた様な船が沢山係留されている場所にたどり着いた。

見張りらしきゴブリンは4・・・いえ5匹ね。

 

「あそこがヤツらの造船所ってところね」

「そうだな。見張りが少ないが、さっきのアレ・・・なんだ?」

沼竜(アリゲイタ)でしょ。いい加減ゴブリン以外覚えなさいよ」

「そうだな。それを冒険者と勘違いして先を争って行ってしまったのだろう」

「で、どうするの?一旦戻る?」

「あの水松明とかいうのはまだあるか?」

「アト一本」

燃える水(ペトロリウム)もまだある。それにゴブリン船が無くなるだけでも殲滅速度を上げられる。・・・火をつけるぞ」

「承知」

「あーやっぱり」

 

どうしてこうも殺伐とした感じになってしまうのかしら?

 

燃える水(ペトロリウム)を水場から流して着火。慌てているゴブリンを物陰から狙撃したら、煙に捲かれる前に撤退。早く残りのみんなが待っている拠点に帰りましょう。

 

戻ってきたら何故か4人共ボロボロだった。

 

「なんとか撃退できたものの、呪文はもう使えませぬ」

「儂も打ち止めじゃ。なんじゃあの沼竜(アリゲイタ)はバケモノか?」

「疾走忍者さん!私頑張ったんですよ!?なのに火矢(ファイアボルト)も効かないの!」

「もうダメだと思いました・・・あ、そういえば地母神様の託宣(ハンドアウト)がありましたよ!でも”ふらぐ回収おつ”ってどういう意味なのでしょう?」

 

一応考えて拠点構築したハズなのに・・・。出口が近いのと全員歩けるのがせめてもの救いね。

 


 

入ったところから外に出る。そこそこいい時間だ。

かわいい後輩たちは神殿のお風呂に目を輝かせている。

どうもあの火の精霊と水の精霊が混ざり合ってる感じがあんまり好きじゃないのよね。

私は街の探検でもしようかしら?と思っていたらオルクボルグは手紙を出して買い物に行くとの事。

コイツが手紙を出す相手なんて受付嬢か牛飼娘のどっちかしら?中を見るのは流石に礼儀知らずもいいところだけど宛先位は構わないわよね?

よし決めた!オルクボルグに着いて行こう!

 

手紙の宛名はギルド長だった。なんだ。つまんないの。

 


 

消耗品を補充して何処へ行くのかと思ったら市場へ赴く。料理でもするのかと思えば家禽を扱う一角で、金糸鳥(カナリア)を購入している。

 

「ねえねえ。鳥好きなの?」

「いや、そうではない」

「じゃあさ、なんで買ったの?・・・もしかしてプレゼントとか?」

「違う。次の探索に必要だからだ」

「えー!?なんで金糸鳥(カナリア)なんかが冒険(クエスト)に役に立つのよ?」

「ゴブリンに聞かれるかも知れんだろう。今は言えん」

「もー!いっつもそれなんだから!じゃあ、後で教えてね!」

「善処しよう。よし次だ」

「今度は何買うの?」

「小麦だ。此処等のは目が粗いから使えるものがあるか分からないから手配してはいるが念のためだ」

「疾走忍者なら細かいの持ってるんじゃないの?」

「そうか。その手があった。感謝する」

「ちょっ、やめてよ急に。それで全部?」

「そうだな。これでしまいだ」

「じゃあ今度は私の番。付き合ってよ」

「分かった。何処へ行く?」

「先ずは着替えね」

 

防具屋でオルクボルグに見せながら服を選んでみる。

コイツの事だから「そうだな」位しか言わないと思っていたのだけど、意外と真剣に考えてくれてるみたい。

次はこれとそれにしようかしら?

視線を感じて振り向くと、店の外にいる疾走忍者と目があった。シシシシといやらしく笑うと姿を消す。

そー言うのじゃ無いんだから!

 


 

朝から地下水路の探索。

昨日とうって変わって見かけたゴブリンは殆ど見かけない。

オルクボルグが言うには罠を張っているとのこと。

ゴブリンに関してだけはコイツの言うことはだいたい当たってるからね。注意しないと。

 

造船所跡を少し行くと大きな扉があり、中は広い回廊になっていた。

かび臭さが余りなく、すえた臭いが気になる。何かが出入りしている証拠だ。

 

近くにある扉には鍵も罠もない。中へ入ってみると50フィートほどある縦長の部屋の奥に縛られているとおぼしき女が居た!

回りを気にしつつ助けようと近寄ると、被っていた兜が転がり落ちる。中から顔を覗かせるのは空虚な双眸。

 

「しまった!罠よ!」

 

警戒を促してももう遅い。

扉に打ち込んでいた楔は抜かれ、扉は音を立てて閉まってしまう。反対側から閂でも掛けられたのか、蜥蜴僧侶の体当りでもびくともしない。

逡巡していると、金糸鳥(カナリア)が騒ぎ始めた!昨日聞いた通り毒ガスを送り込んで来たのよ!

オルクボルグは炭に布を巻いて配り始める。ホントゴブリンに関してだけは用意周到なんだから。

鉱人道士と協力して壁の穴を塞ぐと、部屋内の石棺を扉の前に積み上げも終わった。

後は外のゴブリンが毒にやられるか逃げるのを待つか・・・と思ったら、疾走忍者が部屋の端に置いてある石棺の後ろに壁が崩れている所を見つけた。ウン。なんか冒険らしくなってきたわね。

 

 

【剣の乙女side】

 

 遅くに満身創痍で帰ってきた皆様は報告は明日とばかりに寝床へ。

 久しぶりの晴れやかな気持ちを隠せないまま、屋上で夜の涼しさを感じておりました。

 本来なら光しか感じぬ眼で闇の冷たさに怯えるばかりでしたのに。

 ふと気づくと、あの戦士のお方が後ろに立っておりました。いけません。少しはしゃぎ過ぎておりましたわ。

 帰ってきた時は肋を2,3本は折り、満身創痍といった様相でしたが、治療の効果があった様ですわね。

 

「こんな夜更けに淑女の褥へいらっしゃるなんてどういうつもりですの?」

「確認しに来た」

「あら、(わたくし)はまだ本日の報告を何も聞いておりませんのよ」

「ゴブリンを殲滅した。ところで、地下水路にいた白いあれ……なんと言ったか」

沼竜(アリゲイタ)?」

「そう。それだ。あれはお前のだろう?」

「どうしてですの?」

「地下水路はかなり大きく複雑だったが、蟲や鼠を殆ど見かけなかった。定期的に掃除している気配もない。奴がゴブリンの飼育下なら事だが、ゴブリンも奴の事を知らなかった。つまり、俺たちとゴブリン以外に第三勢力がいる事が明白だ」

「……それで(わたくし)を怪しまれるとは発想の飛躍じゃありませんこと?」

「お前から貰った地下水路の地図は最近の崩落も記載されていた。ということはそれなりに地下には人をやっていると見た。それなのに沼竜(アリゲイタ)だったかの事を知っていた冒険者はギルドにはいなかった。これらもお前の使徒(ファミリア)だとすれば納得がいく。そして、いくら防衛と外敵駆除の為とはいえ、地下水路にあんなものを置ける権力と魔力を持つものはそうは居ないだろう」

「お見事です。お見通しでしたのね」

「ゴブリン退治に比べれば簡単なことだ」

「まあ。ゴブリンを殺すのはそんなに難しいんですの?」

「お前も知っているだろう。奴らは間抜けだが馬鹿ではない。その顔と体にある傷跡は明らかにゴブリンによるものだ」

「……ならゴブリンに捉えられた若い娘がどうなるかもよくご存じですわよね?」

「勿論だ。……ゴブリンが心的外傷(トラウマ)になったか?」

「ええ。それでも(わたくし)が法の神殿の神官・信徒を束ねる大司教(アークビショップ)であります。金等級の冒険者てもある身ですのに、ゴブリンごときが恐いと泣きつけると思えますか?」

「無理だな。ゴブリンで軍は動かない」

「そう。貴方様なら分かると思ったのです」

「俺は姉がお前のように凌辱されて、そして食われた所を一部始終見ているだけだった」

「でしたら!あの鏡も手に入れたのでしょう?あれを使っても宜しいのですよ!」

「あれは壊して水路に捨てた」

「なっ!?金貨1万枚出しても賄えないものですのに!」

「ゴブリンどもに使われてはことだからな」

「うふふ。本当に面白いお方。ところで、今回ゴブリンを倒して何か変わられました?」

「いや。なにも変わっていない」

「そう!ゴブリンを殺すだけでは何も変わらないではありませんか!貴方様は助けては下さらないの!?」

「……お前はひどい目にあったと言ったな」

「ええ。それがどうしたのですの!?」

「俺は見ていただけだからお前の気持ちはわからない」

「え?」

「だから俺は誰も助けることはできない」

 

 あぁ……。結局音に聞こえしゴブリンスレイヤー様といえども駄目なのですね。

 この傷と共に体に刻まれた恐怖の記憶を抱え、一生涯暗闇におびえながら過ごさなくてはいけないのでしょう。

 そう思うと夜風の心地よさが急に体に纏わりついてくるゴブリンの様に思えて身を竦ませてしまいます。

 そこにゴブリンスレイヤー様から声が掛かる。

 

「だが、ゴブリンだけはどんなことがあっても倒して見せる」

「?」

「だからゴブリンが出たら俺を呼べ」

「!?……たとえそれが夢の中であっても?」

「夢の中だろうが、幻覚だろうが、噂だろうが。どんな時にでもゴブリンを殺しに行ってやる」

「な……なぜ?」

「俺がゴブリンスレイヤーだからだ」

 

 あぁ!!このお方ですわ!我が君!お慕い申し上げております!

 


 

 昨日の依頼結果(アフタープレイ)を受けて代金をお支払いします。

 そこでギルドへの依頼と入れ違いになると困るから数日滞在してもいいかと聞かれましたわ。

 何という僥倖なのでしょう!これこそ至高神様の思し召しですわ!

 

「勿論ですわ!それでは(わたくし)が街を案「ゴホン!」」

 

 後ろに立つ侍女が(わたくし)をジロリと睨む様子を感じます。しかし、これでも剣の乙女と呼ばれた女!そう簡単に諦めませんわよ!

 

「仕方ありませんわね。それでは水の街を楽しんできてください(半刻後此処に来てくださいまし)」

「ん?分かった」

「それではごきげんよう」

 

 半刻の後、浮き浮き気分で礼拝堂に戻ると、そこに居たのは憤怒の様相な侍女。

 くっ!主に弓引くとはなんたる事ですの!

 襟首捕まれて執務室へ引き摺られながら、侍女の優秀さに奥噛みしておりました。

 ああ、我が君!無力な(わたくし)では貴方様のお傍に侍る事すら許されませんのですわ……。

 

【森人弓手side改善】

 

「あれなんだろ?ちょっと見てくるね!」

「たく、少しは落ち着かんか」

「物珍しいものばかりではしかたありますまい。かくゆう拙僧も辺境の街では手に入らぬチーズがあると聞いて心躍っておりますゆえ」

「全く。こういう時には娘っ子か魔女娘でもおれば簡単なんじゃがなぁ」

「然り。されとて馬に蹴られたくはありませぬからなぁ。今日ばかりはしかたあるまいて」

「あ、あのお店なに!?絡繰り屋さん?おもしろそう!」

「やれやれ。森人(エルフ)は姦しいのお。只人のおなごたちを見習ったらどうじゃ」

「そこ、聞こえてるわよ。この前は私だったから今日はあの子でいいのよ」

「おい。そりゃひょっとして……「おー!居た居た」」

「槍使い殿に魔女殿ではござらぬか。この様な所で如何しましたかな?」

「オメーらんとこの頭目(リーダー)に使いを頼まれたんだよ。聞いてないか?」

「……そいつは済まんかったのう。今朝依頼達成(ミッションコンプリート)の報告をしてしまった所じゃ」

「んだよ。完全な無駄足じゃねえか。で、ヤツは何処にいる?」

「あそこよ。もうこっちに来るわね」

「おーおー。見せつけてくれちゃって。受付嬢さんに言い付けてやろうか」

「すまん。遅れた」

「ご、ごめんなさい」

「ワシらは構わんが、槍のがお冠じゃぞ?」

「折角急いで来てやったと思ったら逢い引き(デート)とはいいご身分だな」

「すまん」

「チッ。この貸しは高いからな。覚えてろ」

「善処する」

「ねえねえ。これなに!?」

「あいすくりんっていう牛の乳を凍らせたものですって。とても冷たくて甘いんですよ!」

「なにそれ!?食べたい!どこ?」

「こっちです」

「……ねぇ」

「おう。行ってこい」

「ん♪」

「どれ。拙僧も一つご相伴に預かろうと致しますか」

 


 

 澄みきった青い空のもと、草生い茂る街道を幌馬車はゴトコドと揺られている。

 乗客全員が冒険者、内、7割が銀等級──在野最高位──というのも不思議よね。

 

 荷台の後ろから外を眺める。

 うん。今回はそれなりだったわね。

 

「あー、冒険は楽しかった」

 




裏はやっぱり鬼門です。
書ける内容がなさ過ぎる上に原作との違いも出さなければならないので。
上手くかけていたらいいのですが。

なんとなく小説の頃から大司教様の声は17歳教教祖様を頭の中で当てていましたので少し引っ張られています。

久しぶりに古巣(KOTYe)に帰ってみました。やはり修羅の国は違うなぁ。
ただ、自分の書いたものはエントリー作品のシナリオ以下だという事に気づいて凹みましたが、私は元気(意味深)です。


次も鈍足だと思いますが、エタらない様に努めます。ゆっくりしていってね!!!


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デート回な話

副業のお給料もらう方を頑張らされながら、本業である提督業の夏イベに勤しんでいたところ寝落ちしていて、起きたら海風ちゃんがいなくなっていました。
あまりのことに頭が真っ白になって2週間くらい何も手につかなかったので初投稿です。

中破進軍ですら躊躇う様に気を付けていたのに・・・。
今後の戒めのためにも天井に海風ちゃんの抱き枕カバーを貼り付けようと思います。
え?壁は?言わせんな恥ずかしい。


それでは、特に速くもなければ見せ場もないRTAはーじまーるよー


 水の街の依頼(クエスト)を終えたところから再開します。

 

 辺境の街に帰って直ぐに監督官さんに文句を言いに行きます。

 あなたを動物愛護法違反と器物損壊罪で訴えます!理由はもちろんお分かりですよね?

 手紙を渡した瞬間に受取人に破り捨てられたことについてです!疾走忍者君の繊細な心(ピュアなハート)は多大な傷を負いました!覚悟の準備をしておいて下さい!謝罪と賠償を要求します!

 え?なんで剣の乙女に言わないのかって?……だって恐いんだもん(震え声)

 

 え?あれって恋文(ラブレター)なの?モブ上司の?何度も出してるんだって?それでいつも突っ返されるのに、受け取ってくれたと喜んじゃってるワケ?

 

 お詫びに報酬に色を付けてもらえました。うーむ。飯がはかどりますなぁ。もう許せるぞオイ!

 

 と、ここでやっとレベルアップ。

 TRPGをRTAに持ち込んでいるので仕方ありませんが、もう結果報告(アフタープレイ)はとっくの昔に終わっているのになんか変な感じィ!!

 小鬼王(ロード)戦からずっと経験点が溜まっていたので一気に斥候を3つ上げます。

 

 取得技能は【二刀流】【手仕事】【機先】。

 

 先ずは【二刀流】。その名の通り片手武器を左右其々で1回づつ攻撃できる技能。

 これで、片方は投げるだけだった飛刀(スローイングダガー)もやっと括約できます。

【手仕事】はいわゆる鍵開け罠解除。今後使うので取っておきましょう。

 続いて【機先】。奇襲(アンブッシュ)の技能です。

 最期に少し残った経験点は【暗視】に振り分けます。

 66ヤード先が見通せる様になりますので弓や魔法を使わない限りこれで十分です。

 これでやっとニンジャらしくなってきました。

 

 ついでに功績点がわんさか貯まっていたので昇級審査もしてしまいます。さらば鋼鉄。ようこそ青玉。まぁ本RTAでは多少報奨金が上乗せされるくらいであまり意味ありませんが。

 


 

 後は収穫祭まで特にやらなきゃいけないイベントもないので、カット編集したい所さんですが、RTAなのでそんなものは許されません(申し訳ばかりのRTA要素)

 

 女魔術師ちゃんはなんでも賢者の学院からの呼び出しとかで都に。1週間分の濃ゆいのを注いだら、地に足着かない様子でお出掛けしていきました。

 ゴブスレさんはヒロインズ(1号~4号)に言われて大人しく療養中。

 当のヒロインズ(仔犬、乳、魔神王、無乳)はいつの間にやら仲良くなったのか酒場でなにやら相談事をしています。"こわいなーこわいなー"ってちょび髭のおっさんが幻視されますので近づかないでおきましょう(戒め)

 蜥蜴僧侶(杉田)は本格的にチーズを量産させようとしているのか職人(奴隷)探して右往左往。

 鉱人道士()は酒を片手に老爺と密談中。

 ゴブスレさんの罠作りまでは性欲暇を持て余します。かといって、流石にマンティコア討伐はネタ被り的な意味でもナオキです。

 

 どうすっかな~俺もな~と通りをブラブラしながら考えていたら収穫祭イベの中ボス、放逐されたハズの圃人斥候(♂)(レーア オス)がフードで頭を隠して歩いているのを発見しました!

 ヨシ!(現場猫)こいつをどうにかしましょう。収穫祭イベの短縮が図れるかもしれません。

 

 今日もコッソリ木陰に隠れて 圃人(レーア)の様子をストーキーング!!(ストーキング!!)

 出店の商品麦酒に饅頭 隙を狙ってつまみ食い(犯罪)

 三日に一回宴会開いて 主催のくせに料理人

 逃げる時には尻尾を丸めて 可愛さアピール狙ってる?

 

 暫くすると町外れのあばら家に入っていきました。

 NPC(ノンケプレーヤーキャラクター)はゲノム兵並みの索敵範囲とは言え、流石に侵入したらバレてしまいます。

 あー。こんな時に【透過(トランスペアレント)】の魔法が使える魔術師でも居ればなー。

 取り敢えず【観察】使うと、中で誰かと会話中でした。内容までは理解出来ませんので、相手の顔だけでも確認しておきたい所さん。

 

 幾ばくもしない内に圃人斥候(♂)(レーア オス)──面倒くさいので以降レウスとします──は出て行きました。方向的に飲み屋街ですね。

 相手は室内で何やらしています。そおっと覗いて見ると、壮年に差し掛かりそうな闇人(ダーク♂エルフ)が何かしらの書類を読んでいます。机の上には縦長の箱が。棒状♂のものを入れているみたいです。

 暗い色の外套(ローブ)姿以外にはこれといった特徴はないですが、前見た外套(ローブ)ヤローとおんなじですね。

 疾走忍者君の視線に気づいたのか、キョロキョロとし出したので、撤退しましょう。サラダバー!

 

 監督官さんに詳細を伝えると"グッボーイ グッボーイ"とヨシヨシしてくれました。わふーん。

 


 

 翌日直ぐにギルドから呼び出しがありました。

 闇人(ダーク♂エルフ)は今手を出しても逃げられそうなのでレウスを監視するようにとのこと。それって給料もらえるんスか?

 昨日のを含めてそこそこの金額を提示されました。やったぜ。

 

 さてこのレウス。戦闘力はゴブスレさん以上と等級詐欺グループの一員と言えますが、脇が甘い甘い。グラブジャムン並みです。

 視線に入ったり、明らかに大きな音を立てたりしなければ尾行もバレません。堂々と着いていきましょう。にゃーん。

 

 今日は路地裏のモグリ酒場(スピークイージー)で前祝いなのか豪遊しています。

 金の流れで足がつきやすいのに。コイツ学んでねぇな†悔い改めて†

 しかし、大通りのKENZENなお店から裏路地のモグリ酒場(スピークイージー)へ大幅ランクダウンしているのが涙を誘います(棒読み)

 しこたま飲んだら場末の街娼連れて木賃宿へ。翌朝立ちんぼが殺されてたら数え役満でどうにでもできるのですが(外道)

 


 

 軽微な犯罪犯した所で衛兵さんにチクってブタ箱にシュゥゥゥーッ!!超!エキサイティン!!しても良いのですが、後で何かあると困るのでしっかりと頃しておきましょう(理不尽)

 とはいっても腕前だけは大悪漢(ヴィラン)並みのヤベーやつ。飛刀(スローイングダガー)に毒を塗って居ますので、かすっただけでもスペランカー先生並みに簡単に死ぬれます。タイマンだと手に負えないレベルです──追伸、私はレウスに嫉妬しているわけではない。

 

 仕方ないので搦め手を使うしかありません(嬉々としながら)

 酔わせて重しに石でも懐に詰め込めて水路にドボン。疑われない為にも事故死に見せかけます。

 前々回知り合いになったサキュ嬢さんにお金渡してレウスを酒場に連れ込ませ、前後不覚にさせましょう。

 良い頃合いになったら店の外に待機していた疾走忍者君が回収します。

 

 さて、こんだけ酔っぱらっていれば大丈夫でしょうが、念のためもう少し飲ませましょう。

 使うは海藻をつかったアブサン。潮臭くて水色に光るので、買ったはいいものの使う機会がありませんでした。

 何?鰓が生えて水中呼吸できるようになる?お前は何を言っているんだ。

 ほら、飲めよ。もっとだよ。なんだお前根性無しだな(ハラスメント)

 

 一気飲みして完全に酔いが回ったみたいです。空のアブサンの瓶を抱えてあっちにフラフラこっちにフラフラ。おっ、大丈夫か大丈夫か?

 ……と思ったら倒れました。うーん。運ぶところを誰かに見られると色々不味いのですが……。

 は?(困惑)コイツ息してなくない?……周りには誰の気配もない……。ヨシ!(現場猫2匹目)毒の付いた飛刀(スローイングダガー)を回収して何事もなかったかのように去りましょう。オヤスミ、ケダモノ。

 

 翌朝、お尋ね者の圃人斥候が急性アルコール中毒で死亡しているのが見つかったそうです。そう……(無関心)

 


 

 ギルドから呼び出されて朝も早くに査問室に行くと、モブ上司(ストーカー紛い)から何かあったか聞かれますので、知らんぷりしましょう。

 相手もそれくらいは分かっているので特にお咎め無しです。あ~カルマが溜まるんじゃ~。

 

 さて尾行のお仕事が終了したので、結果報告(アフターセッション)して報酬を貰いましょう。

 え?なになに?次は水の街へお使い?またラヴレター?違うの?

 今度は老爺からのご指名のお使いだそうです。水の街のお弟子さんに頼んでたものを取ってくるとのこと。偏屈な人らしいので、一筆書いてくれてました。

 ううん全然全然こんな……もう、老爺くんはハゲみたいなもんやし。

 

 では水の街まで倍速。辻馬車で数時間揺られるだけの簡単なお仕事。

 ボッチなので特に何もありませんでした(半ギレ)

 

 指示されるがままに工房街の方へ行くと、何時ぞやの絡繰り屋さんではあーりませんか。

 ここの親父確かに腕はいいんだよなぁ。キラいだけど。

 店内に入ると親父が"犬っころがまた来やがったのか!"と。

 喧嘩売っているとしか思えません。あったまきた(冷静)

 

 仕方なしに手紙を渡すと訝しげに受け取るものの、裏書きを見て顔色を変えます。

 急に"あの方の使いに失礼した"と。コイツ手のひらアタッチメントだな!

 じゃあ今までのちかえしをたっぷりとさせてもらおうじゃないか。

 

 ネチネチと虐めてもいいのですが、TDNタイムロスなので勘弁してあげましょう。

 とりあえずこの前は見れなかった奥の工房で試作品とか見せてもらえました。ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲じゃねーか、完成度高けーなオイ。

 

 魔法瓶を教宣(毒電波)して老爺に作らせたのが疾走忍者君と分かると、下にも置かない歓迎様。

 なんか水の街の職人さんたちの所に案内して貰えました。

 どうせならと、発條仕掛けの(クレイモア)を作って貰う事にします。十数人いるから何とかなるでしょ(慢心)

 

 ジョバンニとまでは行きませんが、三日でやってくれました。

 これにてお使いイベントは終了。ん?なんか忘れてるような……?

 

 辺境の街から戻ると女魔術師ちゃんが戻って来ていました。

 "また欲しいんか?エロいやつよのう~"……かと思ったら覚悟ガンギマリの顔をして"憑いて逝きます"だって。なにこの娘こわい。

 


 

 さて、明後日には収穫祭が始まります。

 当日は女魔術師ちゃんに連行されますので疾走忍者君の予定は朝から晩まで埋まっています(予定通り行くとは一言も言っていない)

 

 今日は特に何も……はっ!?何か忘れてると思ったらゴブスレさんの罠設置手伝いを忘れてました!ま、まあ元々ゴブスレさん一人で大丈夫なんだし(震え声)

 

 とは言っても手伝わない訳にも行かないので街外れの広場に行くと、ヤローどもは皆して木杭の先を尖らせてました。森人弓手(2000歳児)が子供たちを引き連れてゴブスレさんに絡んでいます。それでいいのか上の森人(ハイエルフ)

 

 (クレイモア)を手土産に手伝いを申し出ると罠の仕掛作製作業を任されます。

 しかし、ゴブリン相手とは言え、えげつない手を躊躇いもなく使うゴブスレさん。この人だけクロックタワーにでもいるのかな?

 

 作業しながら聞くともなく会話を聞いていると、祭の後にゴブスレさんと森人弓手が二人きりで冒険(クエスト)に行くとの事。はて?こんなイベントあったじゃろうか?

 鉱人道士()はヤボ用とかですぐ居なくなるし、蜥蜴僧侶(杉田)は疾走忍者君がチーズ作れる事を知ると野獣の眼差しをしてきますが気付かない振りをしておきましょう。ここまで来てチーズ職人(奴隷)ENDは流石にイヤです。

 

 後は夜中にゴブスレさんと乱杭(パンジステーク)やら大弓(バリスタ)やら(クレイモア)やら埋め火(地雷)やら仕掛けます。

 落とし穴のためにここ掘る♂ワンワン。お、水中呼吸(ブリージング)の指輪です。儲け儲け。

 女魔術師ちゃんが眠い目擦りながら手伝ってくれるので、原作以上の地雷原を作成できました。

 しかしこれどうやって片付けるんだ?

 


 

 さて、祭りも終盤。女神官ちゃんの奉納の舞いを残すのみ。

 何?デート描写がないのかって?そういうのは裏でヤらせてくれないか(懇願)

 

 女魔術師ちゃんが腕を絡めて鬱陶しいです。胸をあからさまに当ててくるのでちょっとムラムラ来て物陰で盛ったら腰が抜けたのかおとなしくなりました。チョロい。

 

 女神官ちゃんの舞いが終わり、託宣(ハンドアウト)を受けた所でメンバー集合。

 今回中ボス(レウス)がいなかったのでゴブスレさんが遅れるかもと思いましたが、受付嬢さんと一緒

に女神官の舞いを見に来てました。

 集合時間が少しだけ短縮出来ました(思い出したかの様なRTA ムーブ)

 

 さて、ヘカトンケイル(触手兄貴)戦の序盤のゴブリン相手のゲリラ戦は、ただでさえ多い(トラップ)に戦力も2名追加なのでかなり一方的な展開になっています。殺りました(一航戦並感)

 疾走忍者君は蜥蜴僧侶ニキと、ゴブスレさんは鉱人道士と二手に別れて遊撃。蜥蜴僧侶ニキが目立つので【機先】がいい感じに決まります。

 女魔術師ちゃんと女神官ちゃん、森人弓手は陣地に引きこもって遠距離攻撃。悪魔の花園張りの罠が設置されているので原作と違い女神官ちゃんの囮も(必要)ないです。

 

 さて南の牧場の方ですが、以前小鬼王(ロード)戦で石壁を作っていた事を覚えてますでしょうか?──筆者は読み返すまで忘れてました──少しだけ隙間を開けているのです。

 そこに(クレイモア)。……後は分かるな?

 闇人(ダーク♂エルフ)さん本人は矢避けの加護(ディフェクト・ミサイル)の効果で無傷ですが、護衛のゴブリンはほぼ全滅。この闇人(ダーク♂エルフ)さんとことんツイてないです。

 後は矢避けの加護(ディフェクト・ミサイル)の事を聞いたゴブスレさんが投げナイフ(フンガムンガ)闇人(ダーク♂エルフ)の腕を切り落とします。これでスリケン作製のフラグが立ちます。

 闇人(ダーク♂エルフ)さんフラグ立てお疲れ様でした。それでは退場願います。

 背中からいっぱい腕を生やしてイソギンチャクみたいになっている闇人(ダーク♂エルフ)さんの背後に回り込み、毒付きの飛刀(スローイングダガー)でさっくりと仕留め……ファッ!?

 

 ゴブスレさんに向けて振りかぶった腕の一本が疾走忍者君にクリーンヒットしました

 

 なんだよこの屑運。やめてくれよ…(絶望) 

 しかも、その際に毒付きの飛刀(スローイングダガー)が当たっていたのか闇人(ダーク♂エルフ)さんが苦しみだします。

 他の皆からゴブスレさんが毒でも使ったのかと勘違いされています。

 ゴブスレさんは自分は使っていないと困惑していますが。嘘つけ絶対ゴブスレさんの毒だゾ(ホモはうそつき)

 

 虫の息の闇人(ダーク♂エルフ)さんは何かゴブスレさんに末期の話をしているみたいですがムシムシ。

 

 チャドー呼吸で小回復して、ヘカトンケイルの手を回収しましょう。放っておくとゴブスレさんに踏み潰されるので。

 うーん。良い噛み心地(ほねっこ並感)

 

 開けて翌朝。突発的ながらゴブリンの大群を全滅させて、闇人(ダーク♂エルフ)を倒し、ヘカトンケイル(ほねっこ)の復活を阻止したことでかなりの褒賞金を貰えました。

 ただし、ヘカトンケイルの手(ほねっこ)は取り上げられてしまいました。クゥーン……(子犬)

 

 功績点的もギリギリ足りたので翠玉等級へ昇級です。

 経験点の方はまだまだ必要なのには届かないので、取り合えず貯めときます。

 

 今回は短いですがこれまで。

 ご閲覧ありがとうございました。




ずっと読みたかったけど中々時間が取れなくて先伸ばしにしていた北斗の拳メロン味を閲覧中です。
お酒や料理の描写が凄い勉強になります(違)
お酒はドクターストップかけられているので、見習ってもっと料理の表現を上げなければ(使命感)



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デート回な話(裏)

PC がお陀仏したので遅れました(悲観)。

前々から調子は悪かったのですが、騙し騙し使っていたのが良くなかったみたいです。
せめてもの救いはDドライブ は無事だった事くらい。
家族も寝静まった深夜にリビングのスティックPCでお宝さん達の無事は確認できました。

3DCADを使う関係上低スペックPCは無理なので後継機をどうするかが悩み所さん。
現在馴れない携帯を駆使して執筆を続けています。
最近近くのものが見辛くなってきているので、次も遅くなりそうです。
すまぬ・・・すまぬ・・・。

ボーナスも無かったし、給料も減ったし、光熱費も爆上げだし、昆布だし。
どうやって費用を捻出しよう・・・。

あ~誰か百万位ポンとくれる人居ないかな~(チラッ)


【女魔術師Side】

 

 都の賢者の学院から出来るだけ早く来るようにと手紙が来た。

 

 以前依頼していた【アルティーエ】について調べが着いたとの事。それだけなら手紙に内容を書き写せば良いだけなのだが、どうもそうもいかないらしい。

 

 行き帰りに向こうでの滞在。あ、あと弟にも会わなきゃ。全部で5……いえ1週間ね。今から行けば収穫祭には何とか間に合いそう。弟へのお土産は何が良いかしら?

 


 

 駅馬車に揺られながら出発前の事を思い出す。

 寝物語に【アルティーエ】の事を聞いて見ると、【ソウシャ】とかいうのになって【ドウガ】と言うスキルを上げる必要があるとの事。【びぃむシステム】だと尚良いらしい。良くわからないけど簡単になれる職業ではないみたい。

 

【ミ=ギゥエー】の方はと言うと、どうも神さまらしいのだが良くわからないとの返事。託宣(ハンドアウト)はあるか聞いたら、数ヵ月ほったらかしになったかと思えば立て続けに的確に助言(アドバイス)をしてくれることもあるのだとか。

 知覚神の様な外なる神で疾走忍者さんを拐かすのではないかと少し心配になったけど、もっと身近な料理のコツなどの生活の知恵や罠の作り方、敵の弱点といったものらしい。……あまり問題無さそうね。

 

 後は房事。これはその後存分に思い知らされたわね。その後五回戦目に突入した辺りで私の意識は空の彼方へ飛んでいってしまった。尖端が尖ってて、一番気持ちいい所を的確に突いてくるんだもん。

 あ、思い出したら濡れて来ちゃった。1週間持つかしら。

 

 馬車は乙女の些細な危機(ピンチ)などお構い無しにゴトゴトと都へと道を進めるのだった。

 


 

「ん~!」

 硬くなった腰を伸ばしながら辺りを望洋とする。

 

 しばらくぶりに帰ってきた都の景色は随分小さく感じられた。離れてからそう大きく変わらない筈なのに。

 ここ半年以上居た辺境の街どころかあの水の街でも比較にならない大きいハズなのに。

 

 白亜の城壁が茜色の夕日を反射し、王都全体を紅く照らしている。あちらこちらから漂う炊事の煙が紫色に染まり、その幻想的な雰囲気をいや増している。

 

 流石にこの時間では賢者の学院へ邪魔するのは礼儀知らずと言われても仕方ない。先ずは宿を確保しないと。

 

 確か此方の方に冒険者向けの木賃宿が……。かつて賢者の学院で学んでいた頃ならまず立ち寄らなかった貧民街の方へと足を進めると、前から景気が悪そうな顔の3人組がやって来た。顔に見覚えがある。同期だったヤツらだ。確かやたらとライバル視してくる金髪くるくる巻きの女貴族の金魚の糞だったはず。学院の頃は筆記具を隠されたりと姑息な手を使ってきたものだ。確か真ん中の薄毛がリーダー格だったか。

 

 此方と目が会うと一瞬恐怖の視線を感じるも、此方が半年前と然程変わらない格好だと気付くとニヤニヤと締まりのない卑下た笑みを浮かべてくる。

 首には薄汚れた白色の認識票(ネームタグ)。半年間も何をしていたのだというのだ。身のこなしだけ見ても、後衛職の私一人で三人ともどうにかできそうだ。

 

「丁度良い所に居やがった。ちょっと助けてくれよな~頼むよ~」

「興味がないわ。どっか行って」

「なっ!?この(アマ)!人が下手に出れば付け上がりやがって!」

「尻を追っかけてたあの女に言えば良いでしょ?」

 

 至極全うな回答を返すと、ばつの悪そうな顔をして顔を見合わせる。

 どうせ、冒険(クエスト)についていけなくなって捨てられたのだろうと予想していたが、つい先程ゴブリンの巣に突っ込んだ際に逆に奇襲を受けて、その女貴族を見捨てて逃げて来たばかりなのだとか。

 バカかコイツらは!?そう言うのは先に言え!

 

 無い記憶絞り出させて分かったことと言えば、距離は2,3マイル。依頼票(オーダーシート)の様子とコイツらの討伐数からして残り多くて十数匹。役持ち(トーテム)なし。

 今晩には嬲り殺しにされるだろう。……行けるか?

 

「冒険者二、三人連れて来て」

「手伝ってくれるのか!?」

「放って置いて勝手に死なれても寝覚め悪いでしょ?」

「助かる!おい!お前はギルドに行って何人か手を貸借りてこい!」

 

 まあ、多少は余裕を持った予定だったし、大丈夫でしょう。

 後は途中で逃げるような惰弱な奴らじゃなければ良いけど……。

 ん?この前見た小さな圃人(レーア)みたいのが、また何匹か居た様な?目を擦ると見えなくなった。……疲れてるのかしら?

 


 

 来たのは二人組。よく見知った面子だった。知らないにしても銀等級二人なんてゴブリンには勿体無さ過ぎるわよ!

 というかこんなところまで来てゴブリン退治してるわけ?

 

 

【森人弓手side】

 

「いーい?この前の冒険(クエスト)は無効だったんだから、ちゃんと付き合ってよ?」

約束(依頼)は守る。出来る限りの事はしよう」

「良し。最近良い依頼が無いから少し遠出するわよ。いいでしょ?」

「わかった。どこへ行く?水の街か?」

「いいえ。あそこは地下の掃討も終わっているだろうから依頼もないだろうし(あの大司教(でかチチ)なんか怪しいし)、王都に行きましょう?」

「……分かった。準備する」

 

 もう!折角うら若き乙女が誘っているのに!ゴブリン以外ではニブチンなんだから!まぁ、ゴブリンの事を振っておけば延々としゃべり続けてるから聞くだけでも飽きはしないけど。

 

 2人きりなので馬車よりも早くて安い貸し馬で行く。大きな馬だから2人乗りで良いでしょ。コイツ馬の扱いに慣れてるみたいだし、手綱を任せておこう。

 少しばかり臭いけど、コイツの腕の中というのも安心出来て中々に悪くはないわね。

 


 

「ゴブリン……」

「あ~!もう!仕方ないじゃない!無い物は!」

「ゴブリン……ない」

「そんなしょげないの!ほら、今日は夜も近いから明日の朝にはあるかもしれないじゃない?」

 

 兜で顔が見えないものの、明らかにショボンとしているオルクボルグ。王都くんだりまで来てゴブリンを探すというのもアレだけど、それでも無い物は仕方ない。

 今日は宿で休もうかと思案していたら、ギルドのドアがけたたましい音を立てて開いた。

入ってきたのは貧相な冒険者。剣士か何かだろう。

 

「誰か手を貸してくれ!……ゴブリンなんだが……」

 

 一瞬色めき立つギルド内の冒険者達も、ゴブリンの名前を聞くとたちまち興味を失ったようだ。我関せずといった顔に変貌する。

 まぁ、ゴブリンなんて白磁の一党(パーティー)が居ればどうにかなるというレベル。実入りも少ないので旨味はない。それなのに手伝いだなんてただで少ない収入を分ける様なものだ。そんなものを相手する酔狂な冒険者なぞいないだろう……1人を除いて。

 

「数はどれくらいだ?トーテムはあるか?巣までの距離は?巣はなにで出来ている?周りに繁みはあるか?」

「え?……えと。手伝ってくれるのか?」

「ゴブリンだろう?早く情報を寄越せ」

「ああ……ええと……」

 

 ああ、怯えてるじゃない。これで本当に銀等級なのかしら?

 何処か嬉し気な雰囲気のオルクボルグに従って巣に行くと、一党(パーティーメンバー)の女魔術師が頭が薄い冒険者と話し合っていた。あら?確か賢者の学院に行くと話していたと思ったけど?

 聞いてみると賢者の学院の同期だった女が捕まっているとの事。どうにか主力を誘き寄せてその隙に助けるつもりだったのだとか。

 遠目に見てみると、予想外で見る限り殆ど洞窟の外に居るみたい。洞窟の外で人質をなぶっているわね。おぞましい。

 

「ふむ。悪くはないが、巣の中に何匹か残っているだろう。俺が行こう」

「おいおい。こんな薄汚れたヤツ一人で大丈夫なのか?」

「何も知らないあんたは黙ってなさい。お願い出来ますか?」

「問題ない。背後からの奇襲(バックアタック)時機(タイミング)だけ頼めるか?」

「分かりました。火矢(ファイアボルト)が合図です」

「分かった。先に行くぞ」

「私はどうする?」

「もし肉盾にしてきたら持ち手を射抜いて。できるでしょ?」

「まあこの距離なら楽勝よね」

「あのさぁ。お前コイツらの事知ってるのか?」

「知らないで連れてきたの?あきれた」

「しょうがねえだろ!ゴブリンになんて手を貸してくれるヤツなんか普通居ねぇよ!アイツだって役に立つかどうか分かんねえよ!」

「大丈夫よ。彼ほど()()()()()()()()()()()()は居ないだろうから」

 

 確かにこんなヤツが何人も居ても困るわよね。

 というかこれを約束の冒険1回と思われたら困るわね。

 オルクボルグにきちんと言い聞かせないと。

 

 うーん何が良いかしら。

 あの遺跡の冒険(クエスト)なら楽しめそうね。早速明日中連れていきましょ。

 

【ゴブリンside】

 

 新参者の癖にデカイ顔をしていた田舎者(ホブ)は冒険者に殺られた。今度は自分が頭目(リーダー)だ。

 

 新たに群れを束ねる立場になったゴブリンは舌舐めずりしながら捕まえた冒険者の所へ向かう。

 洞穴の出口では生き残ったゴブリン達が縛り上げた冒険者に石を投げつけては呻く様に歓声を上げている。

 

コイツらは折角の孕み袋を殺してしまうつもりか!?

 手近なヤツの頭を殴ると文句を言ってくるが、もう一発殴ると渋々とその遊びを止める。不満を隠せない目だ。

 気にくわない。コイツは俺の物だ。頭目の彼が穿いていた布切れを脱ぎ捨て、硬く肥大した一物を見せつけると、周りにいたゴブリン共は一転、饗宴の気配に顔を歪ませたのだった。

 


 

 先ずは一巡り。

 キーキーと五月蝿かったメスを殴って大人しくさせてから順繰りに凌辱の限りを尽くすと、頭目のゴブリンはコイツをどうしようか考える。といっても群れの半分は殺られたから孕み袋は確定だが。

 逃げられると面倒だ。先ずは足からだ。

 傍に落ちていた錆び付いた大鉈で左足首を叩き切るとギャーギャーと喚き出す。周りのゴブリン共は手を打ってはしゃいでいる。次は右腕だ!大鉈を振り下ろそうとした頭目ゴブリンはしかし、「火矢(ファイアボルト)!」の声と共に放たれた魔法によって火だるまになった部下の一匹を見てその動きを止める。

 

 逃げたハズの冒険者が仲間を連れて戻って来たのだ!

 頭目ゴブリンはすかさず、先程足を切り飛ばした冒険者を担いで盾にする。こうすればバカな冒険者は弓矢や魔法を使えない。

 そう嘲る頭目ゴブリンの左眼窩に、矢が突き刺さりもんどりうって倒れ伏す。その刹那味方しかないハズの洞穴から棍棒を持った薄汚い戦士が突っ込んできた。

 

「3つ、4つ、5、6、7!」

「逃げるな!火矢(ファイアボルト)!」

「そこ!森人の弓技を甘く見ないでよ!」

 

 前にいた3人の新米冒険者はまだ接敵すらしていないにもかかわらず、逃げようとしていたゴブリンを含め敢え無く全滅となった。

 

 

【女魔術師side改善】

 

「足が切り飛ばされてるわ!」

「早くしないと危ないわ!誰か癒しの奇蹟使えないの!?」

「いや……。その……。使えるのがこの女だけで……」

「嘘でしょ!?先ずは止血しないと……」

「任せろ」

「ちょ、オルクボルグ!?松明なんか持って何するつもりよ!?」

「傷口を塞ぐ。こうすれば血が出なくなる」

「え?嘘でしょ!?」

 

 ゴブリンスレイヤーさんが燃え盛る松明を傷口に押し当てる。

 肉が焼ける生臭い臭いと"ジュゥ"という音。

 女貴族(くるくる)は既に意識を失っていたのだろう。二、三度痙攣はするものの、暴れない事だけが不幸中の幸いか。

 治癒の秘薬(ヒールポーション)を流し込んだら3人組に運ばせて直ぐに地母神殿へ。リハビリは必要だが、都の大神殿だ。きちんと治してくれるだろう。

 

「ゴブリンスレイヤーさん。森人弓手さん。手を貸してくれてありがとうございました」

「いーのよ。そんな事。仲間じゃない」

「仲間……そうか仲間か……そうだな」

「それでもです。で、申し訳ないんですが……」

「金なら良い。ゴブリンの巣を潰せたのだからな」

「だそうよ。アイツらにも言っといて」

「はい!」

 

 ゴブリンスレイヤーさんはストイックで何となく疾走忍者さんに似てるな。

 もし彼に会わなかったら惚れてたかも。

 でも、ライバル多いのよね。

 


 

「よう。オメーも職に溢れてるんなら俺らの一党(パーティー)に入れてやっても良いぜ?」

「しっしっ」

「そう言うなよなぁ?どうせお前仲間も居ないんだろう?学園に居たときもぼっちだったじゃねえか」

 

 あの3人組はゴブリンスレイヤーさんと森人弓手さんが都を去った事を聞くと私を仲間に入れようと付き纏って来る。

 頼みの女貴族(くるくる)は長期戦線離脱だし、おこぼれに与れると思ったのだろうか?

 私があの人の傍から理由もなしに離れるわけないだろう。

 仕方ない。少し手荒だが此方も非常手段に訴えよう。真に力のある言葉を奴らに聞き取られない様に口の中で唱える。

 

ソムヌス(睡眠)……ネブラ()……オリエンス《発生》」

「おいおい。黙っているってことは、ひょっとして図星だったか?夜の方も相手してやるからだいじょぶだかんよ」

 

 惰眠(スリープ)

 

 3人組は糸が切れた操り人形(マリオネット)の様に崩れ落ちる。

 周りの通行人がざわざわし出すが、無視して立ち去る。酔い潰れたとでも思われたのか憲兵隊の詰め所に運ばれたようだ。ざまあみろ。

 


 

 学院に赴くと、ギルドから話が来てたのか直ぐに学長室へと通される。中に居たのは学長とくすんでボサボサの短めな金髪にメガネを掛けた若い術師風の女。賢者の学院の関係者じゃないし、知識神様の神殿でも見たことないし、誰なんだろう?

 

 何も持ってないし、てっきり過去の文献や古くから伝わる伝承が見つかってそれを見せられるのかと思っていたが、そうでもないらしい。

 

「で、本当にアルティーエと言ったのかね?」

 

 無言で学長を見ると諦めた様に首を振られる。此方には選択肢は無いらしい。

 

「ええ。確かに彼はアルティーエと言ったわ。確かアルティーエになると言っていたから職業なのかと思うのだけど」

「なんだと!?教宣(ハンドアウト)を貰う神ではないのか!?」

「それは確かミ=ギゥエーとか言う神様から貰っているらしいわよ」

「となるとヤツの兼属……いや影響を受けた別の柱か?全く折角外に出たのに雑用ばっかり押し付けやがって……他に何か言っていたか?」

 

 この前寝物語に聞いた話をすると頭を抱え出した。

 落ち着いた所で結局アルティーエとは何かと聞くと、外なる神の一柱とのこと。信徒に無茶をさせがちなのとむやみやたらに兼属を作る以外は特に害は無いらしい。

 ミ=ギゥエーには直接心当りはないそうだが、"いつの間にかサービス?が終了?するかも知れない"とのこと。

 

「目を放すんじゃないよ。勝手にどっかに飛んでいくから」

 

 ウィンクひとつすると踵を返して出口に向かう。

 あれ?、と言うことは彼は外なる神の一柱になることを目指しているのだろうか?詳しく話を聞かないと!

 

「あ!待っ……」

 

 女術師がドアに手を掛けたその瞬間、霞の様に消え去っていた。当然ドアを開けても外には誰も居ない。学長にあの彼女の事を聞くも、知識神様の託宣(ハンドアウト)と神殿からの推薦状だけだとか。

 何者だったんだろう?只者では無いわね。

 

 それよりも彼の事よ!神になると言うことはこの四方世界の理からの離脱を意味するわ!そんな大それた事を考えているなんて……。

 でも彼から離れるなんて考えられない!私も着いていかないと!

 確か、理外の存在について書かれた書物が知識神の大神殿に納められてたハズ。明日無理にでも読ませて貰おうかしら?

 

 追伸。久しぶりに会った弟は鋼鉄の認識票(ネームタグ)見せて、今までやってきた冒険(アドベンチャー)の一端を話すととても喜んでくれた。

 ただ、疾走忍者さんの話になると急に不機嫌になるのはどうしてかしら?

 

 

【大司教side】

 

 ああ!あのお方に再び逢えると思いましたのに!!

 同じ秩序の信徒の年に一度のお祭りではありませんか!至高神様だってお目こぼし頂けるハズですわ!

 それなのに侍女神官ときたら、「その日は大事なお約束がはいってますから」って!

 しかもその”お約束”とやらがよりにもよって”収穫祭”への紹介状だなんて絶対に嫌味に決まってますわ!

 ふーんだ。さぼってやる。

 

 

【牛飼娘side】

 

 うーん。これじゃないし、これでもない。

 姿見の前でさほど多くもない衣装を取っ替えひっかえしながら体に合わせる。

 自慢ではないがそれなりに肉付きが良く健康的な体をしているとはいえ、こういう時(お祭り)に向いているよそ行きなんてあんまり似合わないし、そもそも持ってもいない。

 受付嬢さんならこう言う時にオススメの服とかよく知ってるんだろうな。

 あ、いけない!伯父さんの朝ごはん作んなきゃ。

 

 朝ごはんも終わり、掃除・洗濯が終わったらお祭りの開始を知らせる号砲が鳴る。

 あ!もう始まっちゃう!祭りに来ていく服どうしよう……。

 


 

 牧場に移り住んで10年。

 最初の5年はまともに部屋から出られず、祭りの事など興味もなかった。

 彼と再会してから5年。それでも彼と伯父さんとの狭い世界が精いっぱい。

 やっと街を出歩けるようになったのは去年位から、同性のお友達が出来たのもごく最近。

 それでも、彼が一党(パーティー)を率いる様になって顔なじみが増えた様に、私も世界を広げる事が出来た。

 お友達たちも気のいい人たちばかりで、色々と知らないことを教えて貰ったり、一緒に内緒話したり。

 問題はその友達たちが恋敵(ライバル)ばかりという事くらいかしら?

 

 彼は少し離れた所で年若い冒険者に囲まれている。玉入れであっという間に全部の玉を入れたからだろう。少しだけ得意気見える。これ得意だったもんね。

 牧場で待っているだけの身としては、微笑ましくも妬ましい。冒険(アドベンチャー)について行ければ良いんだけど。

 

 やっと解放されたのかレモネードを持った彼が戻ってくる。

 街中の散策の再開だ。

 

「今晩は……」

「ん?何?」

「おそらく遅くなる」

「そっか……受付嬢さんと一緒だもんね」

「あ、いや。それではない」

「?」

「嫌な予感がする。戸締まりをしっかりしておけ」

「ん。わかった」

「明日の朝……シチューが食べたい」

「うん!準備しとくね!」

 

 こんな風に自分の希望を言ってくれるなんて今まで全然なかった。

 こんな些細な事でも頼って貰って嬉しく感じるなんて想像もつかなかった。

 

 少し前を歩く彼の左腕に寄りかかる。

 確か右手は何かあったときに開けとかないといけないんだったよね?

 ……特に何も言わないから大丈夫だよね。

 

 

【受付嬢side】

 

 日が傾いてきて広場の噴水は多くの人でごった返しています。

 此れから祭りも最高潮(クライマックス)酒精(アルコール)の強いものが店頭に並び始め、幼い子供達や家族連れが帰宅を始める。

 何時もなら特にやることもないのでギルドの留守番しかしてこなかったので、実は初めて収穫祭に参加します。

 

 皆が笑顔で秋の実りを祝っています。

 畑を荒らす害獣の討伐や見廻り、農作物の収穫の手伝いに、運搬車の護衛。冒険者ギルドの一員として収穫祭に僅かだけでも貢献できた事に強い喜びを感じます。

 

 皆が笑顔で街を練り歩いている中、私は噴水の縁に腰掛け緊張を必死に隠しながら彼を待ちます。

 

「少し派手だったかしら?」

 

 普段の事務服とは違う、裾が長めで肩から背中の中程までが開いている臙脂色のワンピースに白いストール。今も男性陣の熱い視線が突き刺さる。

 

 嫌でないけど、やっぱり男性の方に変な目で見られるのは気分よく無いですね。彼早く来てくれないかしら?

 


 

 あの人は約束した時間きっかりにやって来ました。何時もの使い古した格好で。

 こんな祭りの時だから、せめてあの兜だけは外して貰いたかったですが、何時ゴブリンに狙われるか分からないと言って頑なに脱ごうとしません。

 まあ、意外とハンサムですからこれ以上ライバルが増えても困りますし。ただでさえ同じ一党(パーティー)に二人も居るんですもの。

 

 夕食は普段は行かない様な少しだけ背伸びしたレストランへ。祭りの喧騒が僅かに聴こえてくる、静かな空間。

 給仕(ウェイター)さんが少し戸惑っていますが、先に話を通したので、オーナーさんが黙って奥の席に案内してくれます。ギルド職員の影響力を濫用してしまったかしら?

 

 食前酒(アペリティフ)を飲みながら、先の水の街での出来事を聞いてみる。

 

「報告は上げたはずだか?」

「違います。私個人としてどんな事があって、どんな風に思ったか、それを聞きたいだけです」

「そうか……地下には縦横無尽水路が延びていて、大きな白い……蜥蜴の様なのが住み着いていた」

「ああ、沼竜(アリゲイタ)でしたっけ」

「そう、それだ。あれは大司教の眷属(ファミリア)だった」

「そうなんですか?」

「後、疾走忍者が作った茹で麺が旨かった」

「茹でた麺?パスタみたいなものですか?」

「いや。鳥のスープに麺を茹でて入れるのだ」

「それ美味しそうですね」

 

 言葉の継ぎ穂を考えながら少しづつ話題を提供していくと、意外と色々と話してくれます。寡黙ではあるんですけど、喋るのを厭うわけではないんですよね。

 


 

 少し早い夕食を終えると、最後の奉納の舞いまで少し時間がありました。

 火照った体を少し冷ます為にもとっておきの場所まで連れていきましょう。……ギルドの最も高い尖塔の先、その周りを取り囲むバルコニーへ。

 

「これは……凄いな」

「でしょう?私のお気に入りなんです。普段は入ってはいけないんですよ」

「良いのか?」

「今日だけは特別です。皆にはナイショですよ?」

「分かった」

「今日はお祭りの提灯で街の中が昼間みたいですね……きれい」

「そうだな」

「もう、こういう時は"君の方がきれいだよ"と言うのが礼儀(マナー)なんですよ」

「そうなのか?すまん」

「冗談ですよ。真に受けないでください」

「すまん」

 

 素直で愚直なのは正直とても嬉しいんですが、もう少し乙女の機微にも通じて欲しいと思うのは贅沢なんでしょうか?でも、あんまり軽いとイヤですし……。

 

 

【蜥蜴僧侶side】

 

 あの甘露(チーズ)を作れて、一党(パーティー)の料理を任せられる程。それでいて若いながら拙僧らについてこれる腕前。ぜひ料理人(奴隷♂)として雇用したいものよ。

 あいや。流石に仲魔(メンバー)を小姓とするというのは都合が悪いですな。

 どこかに使役しても良い、甘露(チーズ)を作れるものはおらぬものか……。

 

 

【闇人《ダーク♂エルフ》side】

 

 そう。念には念を入れて十分に準備をしてきた。

 

 ちゃんと販売店に連絡入れて、ポストに新聞やチラシが溜まることはない。

 鍵も二重に掛けて合鍵も鉢植えの下に隠してきた。

 お隣さんにも声掛けたし。あ!お土産買わないといけないかな?……でも観光じゃないんだし、そんな時間無いだろうし……でもこう言う細かいところから折角の計画が崩壊しないだろうか?

 そう言えば、追跡を撒く為に冒険者を雇ってヘカトンケイルの手を輸送させたけど、まさか偽物にすり替えられてないよね?……大丈夫。

 ……あっ!「あの家の御主人、若い魔術師風の只人のメスにプレゼント渡してたわよ」なんて噂されるかも知れない。やっぱりお土産は買っておこう。

 

 そう言えば、あの圃人(レーア)、この街に怨みがあるからと紹介されたけど、本当に祭りの最後に暴れてくれるかな?情報は渡してないから計画は露呈しないと思うけど、実は秩序の手先の間者(スパイ)じゃないよね?

 

 こんなことなら、箱に手を乗せながら「私には切り札がある(キリッ)」とか言わなきゃ良かった。

 

 ……いやいや。「無暗に人を疑うのは良くない」とばっちゃが言っていたじゃないか。

 ん?何か今視線を感じた様な?外には……なんだ猫か。

 

 やっぱり心配になって後日圃人(レーア)の様子を見に行ったら、何故か道端で死んでいた。何を言っているか分からないと思うが、私も何が起きたか分からなかった。

 取り合えず重要参考人になると困るから逃げよう。

 

 いきなり雇ったやつが死ぬなんて実は計画が漏れているのではないか?

 そう言えば今週のTDN式占い、D-KERHは運勢最悪だったな。どうしようかな?やっぱり止めとこっかな?

 ……いやいや、何を弱気になっているのだ。由緒正しき闇人(ダーク♂エルフ)の私が臆するなどあり得ん!続行だ!

 


 

 身に余るほどの強力な魔力を撒き散らしながら真言(呪文)を唱える。

 

 カルムス()……エゴ()……オッフェーロ(付与)

 

 暴れ狂う魔力の奔流に必死に抗いながら、天気を変えて嵐を呼ぶ。

 今頃街のなかはお祭り騒ぎで一杯だろう。本当ならここで嵐で誰も対処出来ない筈だが、どうだろう?

 ……特に冒険者が来てる気配なし。大丈夫だよね?……うん。ヨシ。

 

 だめ押しにゴブリン共を4つに別けて四方から街を攻めさせる事にしよう。これなら大丈夫だろう。

 


 

 私が居る街の南以外の三方からの伝令が来ない。これだからゴブリンはあてにならない。

 物見を放つか?いや……此方の戦力が薄くなる。でもちゃんとやってるか心配だな。

 

 斥候に出していたゴブリンから進路の先に冒険者が居るとの報告が入る。

 やっぱりか。心配した通りだ。あの圃人(レーア)が本来なら祭りの中で騒ぎを起こして冒険者の目を釘付けにするはずだったのだが、何人かに気付かれてしまったか。しかし、ここで止める訳にはいかない。

 人数は僅か、10にも満たない。こいつらが逃げないということは厄介な上位等級(ベテラン)も居ないか数が少ないと見た。大丈夫か?どうする?

 

 ここでそのまま叩いても良し。多少手強くても三方のゴブリンと共に文字通り袋のネズミで押し潰しても良し。ゴブリンをけしかけている内に分解(ディスインテグレート)を撃っても良い。……大丈夫だ。いける。

 

 負ける要素など無いではないか!圧倒的じゃないか、我が(混沌の勢力)は!

 


 

 何故だ!?何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ!?

 ここまで準備していて、何故私は地に伏せているのだ!?

 

 この体の中を駆け巡る、凍るように冷たく焼けるように熱いものは毒に違いない。

 う、灼熱が喉を通って口の中に嫌な苦みが走る。出てきたのは真っ黒になった血反吐。

 いつもの胃痛の時に出てくる奴とも違う、すべての生命に対しての悪意を隠さないその色は紛れもない!あの圃人(レーア)に渡したものだ!殺したうえで毒を盗んだか!?貴様らそれでも秩序か!?

 

 あ、あの只人の女魔術師。あれはヘカトンケイルの手を運ばせたメスだったはずだ。

 何ということだ、あの時点でもう既に秩序(クズ)どもにバレていたというのか!?

 まさかヘカトンケイルの手も偽物だったのか!?なんか獣人(パットフット)が咥えてはしゃいでいるし。

 そうなるとあの圃人(レーア)も実は死んだふりだったのだな!?奴め、毒をだまし取りさらには死んだふりまでして情報を売ったか!!

 やっぱり圃人(レーア)は信用ならない。

 

 これだけ入念に情報を隠して行動したにも拘わらず、暴き、解決してしまうとは……まさかコイツ!?

 

「そ、そうかきさまは勇者だったんだ!?」

「え?あんたこいつが勇者なんかに見えるとでも思っているの?」

「ははは。こ奴ほどそれらしく見えないものもおるまいて」

「いや!勇者だ!……勇者ってことにしといてくれ……」

「ハイ アノ 人ハ ユウ シャ デ間 違イ アリ マセ ン」

「やはりそうだったのか!勇者ならば仕方ないな!うん仕方ない」

「良いの?アレ(小声)」

「仕方ないじゃない。なんか死に際で幻覚でも見てるんじゃないの?(小声)」

「あははは……。いくら何でもかわいそうですよ(小声)」

 

 小娘どもが何か言っているが、私にはもう何も聞こえない。目も霞んで来たようだ。

 

 混沌の女神(ニャル様)よ。哀れなその下僕が貴方様の身元に参ります。

 

 

【鉱人道士side】

 

 酒と肴以外に金を使うことはなかったもんじゃから、かなりの金子が残っておった。

 元々触媒はそこら辺の物を活用できるし、量も少ないから懐も痛まん。

 

 金床も鱗のもここに当分腰を落ち着けそうじゃし、宿に居座り続けるのも(主に金床の部屋が)手狭になりつつあるし、毛皮のと魔女娘の声も多少響くからのう。

 

「どうじゃ!この出来は」

「はぇ~すっごいおっきい」

「ビックリスルホドオオキナ豪邸!」

「こんな大きなお家よく建てられましたね!?」

「酒と食事で浪費してるのかと思ったら……樽腹(ドワーフ)のくせに」

「フン。乳のない森人(エルフ)に用意しとった部屋が空き部屋になりそうじゃな。どれ受付嬢にでも格安で紹介しようかの」

「あー!ウソウソ。ホントーに感謝してるわ。流石太っ腹!」

「そうじゃろそうじゃろ。ガハハハッ」

「……(微妙に褒めてないような?)」

「ワシに、金床、鱗の、娘っこに魔女娘、毛皮ので6部屋、あとは客間が2部屋あるが、かみきり丸は牧場から通うじゃろ?」

「そうだな」

「そいじゃ、当面は物置兼客間といったところか」

「時々は遊びに来なさいよオルグボルク」

「わかった」

「あとは、共同の風呂、トイレ、台所、食堂、リビング、簡単な遊戯室それに納戸。外に消耗品の倉庫と武器防具などを簡単になら修理できる小屋もあるぞ、台所地下には小さな部屋があっての、低い温度で食料品を保存してしておけるんじゃ」

「ゴウランガ!食料品買ッテクル!」

「ああ、待ってください疾走忍者さん!私も行きます!」

「拙僧も行きますぞ。チーズを置く量も考えねば!」

 

 娘っこと耳長は部屋の中を見てはどうこうと何やらキャッキャと相談しておる。やれやれ騒がしいことじゃの。

 

 ギルドの老爺には少しばかり骨を折ってもろうたが、中々にいい仕上がりじゃな。

 

 これで我々一党(パーティー)も纏まるじゃろて。

 それに、儂の秘蔵の酒類に専門の酒蔵を用意したのじゃ。もうこれで悪くすることもあるまいて。

 

 

【???side】

 

 最初はほんの僅かな差、序盤で費えたハズの魂

 蝶の羽ばたき嵐を起こし、何でもかんでも吹き飛ばす

 モブがヒロイン、主役は影薄、中ボスまるで出番無し

 この先ホントどうなることやら、ブッダですらも分からない




先月は散々でした。
上にも書きましたが、自宅PCが壊れて色々と滞ったり。
会社の試験機が壊れて、仕事が全く進まなかったり、
治ったと思ったら試験機の予約システムサーバーがダウンして動かせるのに使えないという体たらく。
歩道を歩いていたら暴走自転車にはねられた上に、なぜか端っこを歩かなかったからだと文句を言われたり。
近い席に発熱者が出て、当分来るなと言われたり。
半年以上ほったらかしの仕事を放置して逃げた人の後始末で相手先に怒鳴られたり。

今月こそは何かいいこと無いかなぁ・・・。

次は需要はあんまり無さそうな裏オプです。
NTRとか、TSじゃなくて本当に良かった。


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犬はこたつで丸くなるという話

テレワークのせいで会社から支給される交通費が減ってしまい、実際に使った交通費に差異が出て、赤字経営をしなくてはならなくなったので初投稿です。
補填・・・は無理だしなぁ。

PCはディスプレイ他周辺機器は無事なので、年末ボーナスに一縷の望みを繋げます。
まあ、無理だと思いますが。
細かい字がキツいので、最悪中古のノートでも買ってどうにかしないと。


寒さが身と心と懐に沁みるRTAはーじまーるよー。


 鉱人道士()が家を建てた所から再開します。

 

 いつのまにやらこんなことをしてるなんて……金持ちの考えることはよう分からん(痴呆)

 あーこれもう(元チャートから外れすぎて)わかんねぇな。お前(ら)どう思う?

 

 さて、昇級したは良いけれどレベルアップ作業を忘れていましたのでここでしてしまいます(ぼぼ誤差レベルのガバ)

 

 経験点が溜まり、冒険者レベルが一つ上がりました。

 これでタツジツ!レベルの技能が習得出来ます。

 とはいっても、次の依頼(クエスト)ではカラテのワザは使い道ないので、【斥候】を上げて技能は【投擲】を熟練に上げるだけです。

 

 次は雪山なので耐寒装備は必須としても、濡れたときの靴下手袋の替え、温かい食べ物の確保、小鬼聖騎士(電波)の始末方法等々。色々と考えなくてはいけません。

 

 先ずはギルドのホンマうまそうやな~な老爺の所へ。

 

 ゴブスレさんに聞いた(という体で)スリケンを作って貰いましょう。

 少ししかめっ面しますが、お金を渡せば嫌とは言いませんでした。ホンマ老爺君でよかったわ~。

 

 フンガンムガ(スリケン)は10枚依頼します。勿論持ち手は無し。

()()()()()()()()3()()とか暴利ですが、ニンジャとしては外せません。譲れません。

 嫌がらせかの様に刃先に附子の毒(トリカブト)を塗っておきましょう。

 

 そして服の隙間から木枯し吹き込むニンジャスーツでは心許ないので、厚手の外套と赤いマフラーを。なんかアメコミに出てきそうな感じ~!

 

 靴下手袋褌は適当に複数枚。後は毛布と天幕、いつもの調味料。塩と小麦粉を多目に用意します。

 あっ、トウガラシあった。金貨50枚とかなり高価ですが買っておきましょう。

 

 それと便座カバー……ではなく、魚の干物を一樽購入しておきます。これの理由は後で説明します。

 

 後は鉄のインゴット、小さな布袋を複数買ったら準備終了。

 

 鉄のインゴットと布袋は何に使うかは後述します。

 


 

 荷物をもって住み慣れた──どころか出来たばかりの──わが家の作業場に行きます。

 さて、先ずは燃料庫から拝借した炭をゴリゴリ。続いて()()()()()()をヤスリでゴシゴシ。

 ある程度削り滓が溜まったらそれらと塩と混ぜ混ぜ。布袋に入れて油紙で密封します。

 これで1個。

 

 ここまで来れば、訓練されていないノンケ達でも分かるでしょう。そうです。ホッカイ○です。

 当然ですが冬山対策となります。

 

 疾走忍者君は犬畜生とは言え一応ほ乳類。体温調整が出来ます。

 しかし大きな問題はゴブスレ一党(パーティー)にはそれすらも覚束無い下等生物──蜥蜴──がいることです。

 

 原作で全体的にゴブスレさん一党が後手に廻ったのは概ねこのクソ蜥蜴(SCP-682)のせいです。

 冷血動物の癖に冬山なんぞに来るから、体が冷えて身動きが"ゆっくりしていってね!!"になってしまいます。

 だからホッカイ○が必要だったんですね(メガトン構文)

 

 今回のチャートには一切関係ないですが、人喰鬼(弟)(オーガ・おとーと)戦や氷の魔女(逝き遅れ)戦等でも括約するのでこっ↑ここ↓で作っておきましょう。

 

 寒さに効くと言うことで蜥蜴僧侶(杉田)に渡したところ、パプニカ王国の頃の野獣の視線で見てきますが、ガバはないので放置安定です(震え声)

 他の皆にはトウガラシを靴のなかに入れるように言っておいて、寒くなってきたらホッカイ○を渡すことにしましょう。

 


 

 冬の山は雪に埋もれて木々の幹ですら分からなくなっています。

 すっげえ白くなってる、はっきりわかんだね(これが言いたかっただけ)

 

 森人弓手と鉱人道士がやれなんとかは風邪ひかないとか言いあっていますが、どっちもどっちです(上から目線)

 

 日も落ちて、風も強くなってきました。気分は八甲田山!

 そろそろこれ以上の登山は難しいでしょう。

 ゴブスレさんを見ると、女神官ちゃんを気にしている様子です。

 まあ、等級詐欺グループのリーダー格(店長)である女神官ちゃんでも、流石に大自然の胸囲(誤字ではない)には敵わないでしょう。

 

 程なく女共が根を上げたので野営と相成りました。

 なんだお前(ら)根性なしだなあ(棒読み)

 丁度良い具合に崖下の窪地があったので風避けとして使います。ここをキャンプ地とする!

 

 天幕(テント)を設営するイイオトコ♂達と離れて、女魔術師ちゃんを連れて夕食の食材探しと洒落こみます。

 

 えーと。クンクン……。おるな!

 どうやら若い牡鹿が群れからはぐれている様です。

 こいつを狩りましょう。

 

 雪中行軍に慣れていない女魔術師ちゃんを隘路に立たせて、そっちに追い込みます。

 手傷を負っていたので特になんの苦労もなく仕留めました。ガルルル。

 

 女魔術師ちゃんの存在を忘れてて、放置プレイ仕掛けたのはちょっとしたガバですが、タイムには関係ないので問題はありません(非道)

 

 唇を紫色にして震えている女魔術師ちゃんを陣地(ベースキャンプ)に帰して、血抜きと解体をします。内臓は勿体無いですが、地面に埋め埋め。

 この四方世界、寄生虫によるデバフとかあるので油断なりません(一敗)。

 

 首とか端部の食べ辛い所は疾走忍者君の回りをウロウロしている狼にプレゼンツ。

 地獄犬(ヘルハウンド)とか来ても返り討ちにする戦力はありますが、ヤツらも生きるために必死なので手近な食べ物があればそちらを優先するでしょう。

 

 先生(子供)ビンビン(空腹)でいらっしゃる。くわえて(帰って)差し上げろ。

 

 ホモはやさしい(至言)

 


 

 枝肉は(スモーク)で燻して干し肉(ジャーキー)にするとして、ハラミの所は骨付きで炙ってしまいましょう。

 

 胸肉は今晩のメインディッシュ。ベニソンシチューの具材とします。

 フォン・ド・ヴォライユはストックを作って持ってきてあります。流石にそこから作ったら一晩はかかりますので。

 小麦粉を炒めてブラウンルゥを作り、フォンを入れてベースとします。

 ホントは煮詰めると美味しいのですが、今回は時短ルセット。

 鹿肉は塩胡椒を振って表面をじっくり焼いて布巾に包んでおきましょう。

 

 出た肉汁は葡萄酒(ワイン)で煮詰めて、そこにベースを入れて、更に人参・馬鈴薯を一口大に切って鍋に入れ良く煮ます。

 柔らかくなったらブロッコリーとマッシュルームを入れてもう間もなく。

 鹿肉は良い具合に火が通っていますので、最後にシチューの上に載せるだけ。森人弓手(草食獣)には代わりにひよこ豆を入れておきます。肉汁とフォン位ならバレへんやろ(非道)

 

 さあ、食え!欠食児童ども!

 

 ちょっぴり野味溢れる料理だったので、女の子達は微妙そうでしたが、鉱人道士ニキとクソザコ蜥蜴には好評でした。これこそ食通だな!(確信)

 

 さて、ジャーキーを作る関係上夜は徹夜なので、見張りも買って出ます。

 何にも出ないからヘーキヘーキ(フラグ)

 

 コロコロコロッ……

 

 おい!クソGM(真理)!今の賽子(ダイス)は何だ!?

 今あからさまに舌打ちしただろう! 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()(比喩表現)

 


 

 良く晴れた翌朝。本来なら蜥蜴僧侶(恐るべき竜(笑))が動ける様になるまで時間が掛かりますが、ホッカイ○のおかげで朝食もそこそこに出発。

 約半日の短縮が可能です。

 おい、KMR早くしろー

 

 そして、このまま行けばゴブリンの村襲撃イベを短縮出来るので、更に更新が可能です。うん!おいしい!

 

 さて、村に到着しました。

 まだゴブリン先見隊は来ていませんが、令嬢剣士の一党が食糧を買い叩き、そのせいで村人の冒険者に対する印象はかなり悪いです。

 

 ここで、重い思い(激ウマギャグ)をして持ってきた魚の干物の樽を渡すと村人の態度がかなり軟化します。

 

 今回は枝肉の薫製に、少し多目に持ってきた香辛料を渡すことで追加で好感度が上がりました。

 おら!クソ蜥蜴!お前のチーズも渡すんだよ!あくしろよ!

 これで襲撃イベの協力も得やすいでしょう。

 

 原作ではゴブリン襲撃イベでの対応が遅れましたが、今回は万全の体制で望めます(フラグ)

 

 ゴブスレさんが荷解きもそこそこに迎撃態勢を整え出します。

 村人は半信半疑ですが、ゴブスレの異名は伊達じゃない!

 

 女子供を地下室に押し込めると手には農具や狩猟用の弓等をもった男ども。銀等級四人を頭目として四方に散っていきました。

 疾走忍者君は後衛の護衛だって。ふーん。

 


 

 高々20匹程度、地形を把握している上に昼間なので特に見せ場もなく殲滅しました。勿論倍速です。

 今回は鏃を弛めることもせず。

 下手に学習される位なら(森人弓手の穴開きイベスキップのためにも)鼻で追った方が良いですので。

 

 村の被害は数名が軽傷、一軒の家が僅かに焦げましたが住むには問題ないレベル。

 

 余勢をかって洞穴まで突っ込みます。案内に狩人の一般通過爺が着いてきてくれます。この人原作では怪我でもしてたのか地図しかくれませんでしたが、今回は無傷に加えて少しですが食糧を持ってきたので協力的です。

 

 そういうわけでノンケ待望の温泉シーンはありません。

 残念だったな!

 

 洞穴まで行くと、入り口の柵は破られ、当たり前ですが令嬢剣士一党の惨殺死体があちらこちらに。

 

 半森人の戦士は見かけませんでした。どうせ孕み袋としてドナドナされたのでしょう(無関心)

 

 泥沼トゲ付きを越えて奥に進むと外套(ローブ)に身を包んだゴブリンと他20数匹。

 狭い洞窟でゴブスレさんに敵うわけもなく。

 さっさと頸をはね飛ばしました(810倍速)

 

 奥には石の祭壇に両の手足を縛られて祀られた令嬢剣士。

 手酷く犯されてはいますが、意識はしっかりしているみたいです。

 後々面倒くさい刻印も無し。これ如何で砦の攻略難易度が大幅に変わるので安定を考えると是非とも狙っていきたい所さん。

 

 剣を取り戻したいそうで、ゴブスレさんと問答したら髪を自らバッサリ。

 

 ツインテ派憤死シーンはやろうがやるまいがタイムに影響されないので、潔く散って貰います。

 髪なんか必要ねぇんだよ!

 


 

 さて、このあとのチャートですが、原作を再現すると小鬼聖騎士(パラディン)との追いかけっこ(ルナティック)等々色々と面倒なので、さっさと犠牲になって貰います。

 

 TRPG世界と言えども、頭を跳ねればタヒるのでタイミングを見ての暗殺です。

 トリカブトも塗っているので大丈夫でしょう(フラグ)

 

 一旦村に戻ったら、準備を整えて出発。

 なんかいつの間にかゴブスレさんが大量の食糧と杭を手配していました。それを橇に載せて運搬します。あれ?こんなのあったっけ?まぁいいや。

 

 女どもは檻に入れられ、ドナドナと。ここら辺は原作通りですね。

 

 城趾についたら橇を隠して蜥蜴僧侶兄貴の念話(コミュニケート)で無事進入。流石蜥蜴ニキ!

 

 地下牢ではゴブリンと対面して一時的狂気に陥った令嬢剣士が、小鬼僧侶の顔面を面白い形に変えるのを止める為に腹を無言でパンチ。精神分析(物理)です。

 彼女は瑠璃ではない。

 

 小鬼僧侶が殴られたことに腹を立てて、疾走忍者君に八つ当たりをしてきました。

 痛くはないですが、ムカつきましたので、殺してしまいましょう。

 令嬢剣士が蒼い顔をしていますが、ロスではないので(関係)ないです。

 

 耳を切り飛ばされた半森人やら生き残った女どもは檻に入れて、端っこに置いておきます。

 

 ここで見張りのゴブリンが来てしまったので、サイレントアサシン(バーコードハゲ)

 

 これで小鬼聖騎士(イスカリオテ パラディン)を地下牢に呼び寄せる事が出来なくなりましたので、プランBに移行します。

 実はこっちの方が楽なのはナイショだゾ。

 

 後は蜥蜴僧侶兄貴が武器庫と食糧倉庫で物を腐らせるだけの簡単なお仕事。

 

 ……かと思ったら、なんか疾走忍者君だけ城門の上げ下げの鎖を切る様に言われました。ほわい?

 原作との違いに腑に落ちない物を感じつつも仕事はきっちりこなします。

 

 首尾良く仕事を終えたら、少し遠回りをして小鬼聖騎士(パラディン)の所へ。

 小鬼聖騎士(パラディン)はやっぱり印象が薄いせいか、

「ザッケンナコラー!ナンオラー!?スッゾコラー!」

 と小者的なアトモスフィアを放っています。

 弱い。弱そう。

 

 うまい具合に部屋に一匹だったので、さっさと物影からスリケンを投擲!寝てる風に見せ掛けて立ち去ります。連れを起こさないでやってくれ。死ぬほど疲れている。

 

 気付かれる前に退散します。【隠密】と【戦術移動】が仕事してくれました。

 


 

 鉱人道士が隧道(トンネル)掘り掘りしている傍らで、小鬼聖騎士(パラディン)が死んでいるのがバレたのか騒がしくなっている砦の中を余所にこの後の作戦会議です。

 

 え?兵糧攻めのやり方を教えてやる?

 ゴブスレさんが兵糧攻めの見本を見せてくれるそうです(白目)

 

 原作通りなら小鬼聖騎士(パラディン)とのキャッキャウフフ(暗喩)が待っていますが、彼は醒めない夢の中(直喩)

 後は有象無象なので、これで良いんだと。

 チャート通りには行かないねやっぱり。

 

 唯一の出入り口である城門は鎖を切って復旧は難しいですし、ゴブリンどもは高い所から降りる術を持っていません。

 神代の鉱人(ハイラードワーフ)の城壁を壊すのは、流石に無理でしょう。

 施錠(ロック)の腕輪でダメ押しに門扉を固定しておきます。

 外に出たら、地下牢は爆破して隧道(トンネル)は埋めてしまいます。

 

 後は手分けして砦の廻りに木を削った杭を打ち立て、油を撒いて準備は完了。

 

女魔術師よ火を放て!

 

 油で引火した炎で雪の表面が溶けてるも、寒さと雪でみるみる凍っていきます。

 これで砦の廻りはバンジステークの底に早変わり。

 これなら城壁から飛び降りても無事では済まなそうですね。

 本当にゴブスレさんは悪辣ですわ~(ブーメラン)

 

 その隙に鉱人兄貴が辺りの原木使って校倉家屋(ログハウス)を造ってくれました。

 なに?二年前の大雪で1度倒壊した?何を言っているんだお前は。

 

 後は稀に城壁から悪態をついてくるゴブリンを狙撃したり、墜ちてくるゴミの片付けしたりとまったりペース。

 原作と大きく異なり、折角の短縮が水の泡です。

 仕方ないので動きのない倍速に移行します。

 

 暖炉の前あったかいナリィ。

 

 隣にいる蜥蜴僧侶兄貴と一緒に部屋の敷物になっている様子を見ながら、アニメ界有数の出落ち、サイコロステーキ先輩の雄姿をご覧ください。

 

 

 数日もすると、食糧がボチボチ心許なくなってきます。原作より解放した捕虜が多いからですね。

 誰かが橇を曳いて村まで買い付けに行かなくては、とのこと。

 ついでに捕虜も村まで届けます。

 全員の視線が暖炉の前で蕩けている疾走忍者君に注がれます。

 

拙者働きたくないでござる!絶対に働きたくないでござる!

 


 

 

 

 

 

 

 

 ヒャッホーイ!

 

 荷台に捕虜を載せて雪山を橇で滑り降ります。

 後ろからは悲鳴が聞こえますが、そんなん知りません。

 

 行きは2,3日かかった行程がものの3時間程度。

 ……まあ、帰りは荷物満載なので時間掛かりそうですが。

 

 女魔術師ちゃんがついて来たがりましたが、乗り物に弱いのか直ぐゲロるので、ポイしました。

 コンジョー無しめ。

 


 

 山間の村に帰ってきました。

 ゴブスレさんが追加で食糧・燃料を手配しているので村人のゴブスレさん人気が激上がりしてました。

 積み込むのすら代わりにやってくれるとのことで、ただアイスティーを飲むだけの簡単なお仕事。

 絶対赤字だろうけど、ゴブスレさんは何で生計立てているのかな?

 あ、玉ねぎはいらないです。

 

 暇を持て余しており【呼気(ブリージング)】の指輪があるので塗れへのデバフは無いものの、誰が好き好んで温泉など入るものか!

 と、言うわけで疾走忍者君の貴重な入浴シーンはカット。

 

 後は来た道をえっちらおっちら橇を牽きます。気分はパ〇ラッシュ。

 

 ルーベンスの絵が見えて来たと幻覚に苛まれた頃にようやっとログハウスに到着。

 これで城門が破壊されていたら、これ幸いと突撃を食らわしますが、そんなことはありませんでした(絶望)

 

 令嬢剣士は女神官ちゃんに精神分析(精神)をされたのか、ゴブスレさんに精神分析(SANチェック)をされたのか随分と性格が丸くなっていました。

 


 

 戻って来て追加で4日。計1週間したら、また隧道(トンネル)作って砦に侵入。

 

 小鬼聖騎士(パラディン)もいない。食糧もない。勿論暖を取るものもない砦の中。

 どうなっているかと言うと、おお!ナミアムダブツ!ツキジめいた地獄絵図の完成です!

 おおむねネギトロめいた何かになっているか、冷凍ゴブリン(500wで3年)になっていました。

 

 ブスリ♂ブスリ♂と死体蹴りしつつ奥に進むと、小鬼聖騎士(パラディン)の氷像が。

 傍らには令嬢剣士の剣もありました。

 

 ゴブスレさんが拾うと令嬢剣士に渡します。

 これで依頼達成です!

 さぁ、帰れるゾ!

 

 ん?もしかして、小鬼聖騎士(パラディン)を頃した時に剣を持ってきてれば、この兵糧攻めはなかったの?

 

嘘だといってよ、バーニィ!

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゴブスレさんに確認したら、兵糧攻めした理由は依頼(クエスト)達成の為に剣が必要だからだって。

 そう言うのは先に言ってよ!

 

 無駄に盛大なロスとなってしまいましたが、どうにかガバもなくクリアできました(遠い目)

 後は、水の街の大司教様(エロい人)に令嬢剣士を渡し、他の娘さん方はいつものように地母神殿にボッシュート。

 

 地母神殿は精神病院じゃないと葡萄尼僧(小麦肌)に文句を言われますが、似たようなものでしょ?

 

 というか、辺境の街の地母神殿は冒険者やら元冒険者が入り浸っているので、下手なギルドより戦力あるんじゃなかろうか?

 

 後は、受付嬢さんが喜々としながらゴブスレさんに質問(インタビュー)を繰り返しているのを横目に酒場で休憩中。

 

 あれ?女魔術師ちゃん。そんなに漬物(ピクルス)ばっかり食べててどしたの?

 

 思ったよりタイムが伸ばせませんでしたが、安定したのでこれはこれでいいかなと思います。

 

 それでは今回はここまで。

 

 ご閲覧ありがとうございました。




なんかRTA要素が息をしていないんですけど。

(今回は短く)てゴメンなさいね。
来月から(マジヤバ)なんですよ。

年末にどっかでPC新調出来たら早くなるか遅くなるか・・・。

もうちっと頑張りたいと前向きに検討する所存でございます(政治家答弁)


追伸:伝説エルフの薄い本とかありましたねぇ。ちるど様ご感想ありがとうございます。


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犬はこたつで丸くなるという話(裏)

遅くなったのは私の責任だ。だが私は謝らない(ゴメンナサイ)

ボーナスは爆死しました。
会社の景気は最悪の1歩手前といったところ。
幾つか事業所を閉鎖してどうにかみたいです。
人件費をカットし始めてるので来年もキツいダロウナ(棒読み)

当面スマホからの投稿になりますので、遅くなっても許してヒヤシンス。

追記:タイトルからして間違えとる。アホちゃうか自分。


【女神官side】

 

 秋の小麦も収穫を終えて、木の葉も落ちきり、後は年を越すだけです。

 

 ゴブリン退治の依頼がひっきりなしで、収穫祭以降休む間もありませんでしたが、それもやっと落ち着きました。

 後は年越しのお祭りを待つばかり。

 昨年の今頃は何をしていたかな……と思いを巡らせてみます。

 

 水仕事が辛かったのは良く覚えています。

 

 辺境の街の地母伸様の神殿は然程でもありませんでしたが、神殿に勤めている神官候補生は大きく分けて2つの階層に分かれます。

 貴族や豪商の子弟といった方々と、孤児や農奴の子供と言った人たち。

 

 神官長様(マザー)は分け隔てする様な方ではありませんでしたが、読み書き計算が出来る人はそちらの仕事が優先されますし、そういった仕事が苦手な先輩方も遠慮がちになります。

 そうなるとどうしても、水汲みや洗い物、洗濯に掃除と言った重労働は年若く後ろ楯の無い娘が担当することになります。

 

 わたしも親無し子の一人として、特に炊事係を受け持っていました。朝から夜まで息つく暇もなかったのが印象的でした。

 とはいえ更に小さい──ほんの3つ4つの──子供達も薪を集めたり、木の実を拾ったりとお手伝いして貰う必要があるほどに人手は常に足りていませんでしたが。

 


 

 焼ける陽射しからも、凍える夜からも、ひもじい思いからも守って貰え、読み書きに簡単な計算が覚えられる場所などそうはありません。

 

 世の救貧院などは体の良い()()()()の巣窟で、怖い森人(エルフ)──それともあれは、白粉を塗った闇人(ダークエルフ)だったでしょうか?──が買いに来るとも聞かされていました。

 少なくとも森人(エルフ)の友人も出来た今となってはそんなものは()()()と言うことは分かってますが……。

 

 葡萄尼僧様は気っ風が良く、面倒見も良かったですが、子供達に怖い話をするのだけは止めて欲しかったです。

 わたしも何度か夜中のトイレを我慢出来なくなった事が……いけないいけない。

 


 

 ギルド併設の酒場から外を見ると、雪がちらついていました。

 

 "あの子達は元気にやっているかしら"

 そんな心配が頭を過ります。

 

 "今月はお菓子でも作って持っていこうかしら?"

 

 そんな風に止めどなく思考の海に沈んでいると、急に声が掛かりました。

 

「ゴブリンだ」

 

 振り返るとそこに居るのはいつもの薄汚れた装備に身を包んだゴブリンスレイヤーさん。

 手には真新しい紙が握られていました。

 貴重品なので、それだけで尋常でないものを感じます。

 

 同じ席で口角泡を飛ばしていた森人弓手さんと鉱人道士さんの口も止まりました。

 暖炉の前でチーズを焼いていた蜥蜴僧侶さんは意外と円らな瞳孔を細めます。

 疾走忍者さんと女魔術師さん──わたしの初めての一党(パーティー)の頃からのメンバーです──は、蚤取りを継続していますが、耳は動いていました。話は聞いているみたいです。

 

「雪山だ。来るヤツは「待ってください」……なんだ?」

「それは相談ですか?それとも伝達ですか?」

「相談……のつもりだが……」

「もう!きちんと言わないと伝わらないっていつも言っているでしょう」

「……すまん」

 

 何時もの調子に一気に緊張が溶けます。

 これがわざとならどんなに良いか。

 

 蜥蜴僧侶さんが顎に手を当て、思案げに呟きます。

 

「気温が下がると拙僧にはちと厳しいかと。とはいえ戦力(リソース)の逐次投入は下策。如何致すか?」

「それは「ダイジョブ。暖ノ取リ方知ッテル」……」

「それは重畳。期待しておりますぞ」

 

 一瞬蜥蜴僧侶さんの目付きが鋭くなった様な気がしましたが、気のせいでしょうか?

 


 

 

 

【鉱人道士side】

 

 かみきり丸宛の手紙を廻し読みしながら道を行く。

 この唐変木は水の街の大司教からの手紙をただの依頼(クエスト)と思うとる様じゃが、ワシには尻が痒くなる様な恋文(ラブレター)にしか見えん。

 本当に見て良いのじゃろうか?

 

「消息を絶って5日か……今頃ゴブリンどもの腹ん中って所かの」

「いや。俺の推測では五分でまだ生きている」

「なんで?生かしておくなんて面倒なことしないでしょ?」

「今は冬だ。ヤツラにとって暇潰しのタネはあって困る事はない。ただ、大事に扱うなどと言う考えも無いだろうがな」

 

 なんとも良く観察していると言うか、えげつない考え方を思い付くと言うか。

 ……ワシらがゴブリンでないことがありがたいとしか思えんな。

 


 

 崖下の窪地で夜を越す。

 毛深のは鹿を狩って来たかと思うと、慣れた手つきで捌きよった。

 ふむ。鹿肉の羮(ベニソンシチュー)とは中々にお通じゃな。

 この懐炉も、熱すぎず魔力も使わず臭いもせん。

 このと呆けた顔立ちからは想像もつかん。

 

 獣人は短命とも聞くが、この手業は勿体無いのぉ。

 


 

 山村に着くと荷解きもそこそこに戦闘態勢を整える様にかみきり丸が言ってきよった。

 こんな真っ昼間から来んでもええのに。ご苦労な事じゃ。

 

 中心部に女子を置いて、毛深のはその護衛。ワシらは村人を率いて四方に散る。

 ま、ワシらが来た方角からは来んじゃろて。

 緊張してへっぴり腰の小僧のケツを叩きながら辺りを見渡す。

 ほんの50歳程度の若造ばかりじゃが、まぁ居ないよりましじゃろ。

 


 

 20ばかりの先見隊をた容易く打ち破ると、毛深のが地面に這いつくばって鼻を鳴らし出しよる。

 

「コッチ!」

「ちと待て。かみきり丸を待たんかい」

 

 こやつ生き急ぎ過ぎではなかろうか?

 


 

 

 

【ゴブリンスレイヤーside】

 

 村長に糧食と杭を手配するように言い、相場よりもかなり多目の金貨を支払う。

 

「あの、こんなには頂けません」

「暫くしたらまた食糧の手配を頼むやもしれん。使わないにしても村でならあって困る事は無いだろう」

「は、はい!ありがとうございます!」

「それよりも、この辺りに洞穴や遺跡はあるか?」

「ああ、それなら。おーい!ちょっと来てくれ!」

 


 

 冒険者は自分一人では何一つ生み出す事すら出来ん。

 たとえ農民の如く己の力で畑を墾き、水を引き、種を撒いたとて、農具を造る者や肥料を作る者、何より日の光がなければ芽も萌えん。

 

 要は全ての生き物は何かに頼らなければ生きていけないのだ。

 それは略奪を旨とするゴブリンにも言えること。

 ……それを見抜いたのは白磁としては優秀だったが、その先が続かなかった所が素人(ヌーブ)といったところか。

 

 しかし、冒険者を返り討ちにして、その勢いで全軍突撃しない所が気にかかる。

 先日の様に何か裏で糸牽く者がおるやもしれん。

 充分に注意することとしよう。

 


 

 ゴブリンの始末を終えると、洞穴内を消毒(クリアリング)していく。

 ふと、手近にいた女魔術師達に声を掛ける。

 

「どう見る?」

「え!?……えっと。標識(トーテム)がなかったから役持ち(上位種)は居ないわよね?それにしては全部で50匹近く……規模が大きかったわ。あ!あと、ゴブリンの巣穴にしてはかなりきれいよ。ここで寝泊まりしていないのかしら?」

「出入口ガ1コダケ。別動隊居ル証拠。ソレニ組織ダッテル。居ルトシタラ……北?」

「加えて五人のハズが死体と生け贄で四人分。此処は祭壇と言った所だろう。つまり本命は彼方だ」

 

 ふむ。……鋼鉄等級だったか。もう新人とは呼べないな。幾つか穴があるが、合格レベルだ。

 獣人の方は流石だ。概ね俺と同じ結論の様だ。だが、まだもう一息といったところか。

 その様に資源(リソース)の再確認をしていたところ、洞穴の奥から声が掛けられた。

 

()を取り戻したい。力を貸して欲しい」

「あ、あの!まだそんなに動いては!」

 

 祭壇に括られていた目標(ターゲット)短剣(ダガー)のみを片手に立っていた。

 意識は挫けてはいないようだが、目にはほの暗い光を宿している。

 ……仕方あるまい。区切りと言うものが必要なのだろう。

 

「それで何を対価に出来る?その短剣(ダガー)か?」

「これは誰にも渡さない!絶対にだ!!……くっ!、手付け代わりだ」

 

 自分の髪を掴むと短剣(ダガー)で切り取る。

 良し。対価無しには誰も動かん。それを生きて学べたのだ。もう素人(ヌーブ)ではない。

 

「では、軍勢の数と頭目はどんなヤツだったかを教えろ」

「ちょっとオルクボルグ!あんまり無理させるのは!」

「言っても無駄じゃ。こうでもせんと、心の整理が出来ぬのじゃろう」

「然り。仇を討つと言うのは立派な生きる意思の発露となりましょうぞ」

「結局ゴブリンは退治するんですから……」

「私は疾走忍者さんさえ良いなら何でも構いません」

「ン?今何デモッテ言ッタヨネ?」

 

 騒がしい奴らだ。

 しかし、心を汚された(トラウマを負った)人間にはこの様な方が良いのだろう。

 俺にはとても出来ない事だ。……これも頼ると言うことか?

 


 

 

 

【森人弓手side】

 

「ちょっと!何なのよこの扱いは!出しなさいよ!」

「おうおう、森人(エルフ)にはお似合いじゃ」

「寒クナイ?」

「はい!大丈夫です!」

「……何時もこうなの?」

「あはは……慣れました」

 

 私たちを檻に入れて神代の鉱人(ハイラードワーフ)の砦跡に赴く事になった。

 捧げ物扱いなのは100歩譲って良いとしても、何なのよこの格好は!

 薄絹を軽く羽織っただけで、まるでは、春を販ぐ女みたい!だ、大事な所だって見えてしまうわよ!

 せめて葉っぱ位は許してくれても良いじゃない!

 

 疾走忍者の懐炉とオルクボルグの【呼気(ブリージング)】の指輪、それに女神官ちゃんの【聖壁(プロテクション)】がなければ凍え死んでしまいそうだわ!

 

 終わったら目にもの見せてあげるんだから!

 


 

 蜥蜴僧侶の【念話(コミュニケート)】で砦には無事入れたものの、地下牢で問題(トラブル)発生。

 

 布切れを体に纏ったゴブリンが女神官ちゃんの腕を掴んで檻から引き摺り出したかと思うと、馬乗りになった!

 それに吊られたのか、令嬢剣士は激昂してゴブリンに殴りかかってしまった!

 思わず体を引こうとするがもう遅い。

 ゴブリンの顔面を力の限り殴り飛ばしてしまった!

 その刹那、疾走忍者がどうにかしたのか、令嬢剣士の前に立つと、彼女は音もなく崩れ落ちた。

 

 ほっと息をつく暇もなく、殴られたゴブリンが怒り狂って令嬢剣士に掴み掛かろうとする。

 疾走忍者がどうにか彼女を後ろに庇おうとするが、ゴブリンはそんな行動を反抗的な態度と勘違いしたのか、更に喚き立てる。

 

 一瞬剣呑な雰囲気が辺りに立ちこめた。

 侵入者がバレてしまっては、捕虜を助けるどころか私たちも危うい。

 なんせ上には100を超えるゴブリンがいるのだから。

 

 そんな最中、疾走忍者の腕がスッと動いたかと思うと、ゴブリンは急に静かになって転倒してしまった!

 ゴブリンの胸には禍々しい形の刃物が突き刺さっている。

 

「騒グト、良クナイ。仕方ナイネ♂」

 

 これで大丈夫……かと思いきや、上階から物見が降りてきた!

 倒れているゴブリンを見つけて一瞬のうちに事態を察した様だ。

 慌てて階段を登ろうとしたその首に飛刀(スローイングダガー)が突き刺さる!

 オルクボルグがどうにか仕留めたみたい。

 


 

 服を着替えて、ゴブリンの死体を始末して、後は剣を取り戻すだけ。

 オルクボルグは何を考えているのか、2手……正確に言うと3手に別れる様に言ってきた。

 

 私とオルクボルグ、それに蜥蜴僧侶が武器庫と食料庫をこっそり襲ってヤツらの経戦能力を奪うそう。

 ホント悪辣よね。

 

 一方女神官ちゃんと女魔術師ちゃん、鉱人道士は此処に残って捕虜達の手当をしながら、来たゴブリンを気付かれずに無力化するんだって。

 鉱人(ドワーフ)らしい土まみれのやり方だけど、もし気付かれても、あの狭い地下への階段なら、直ぐに封鎖出来るでしょ。……癪だけど。

 

 最後は1人残った疾走忍者。門扉の鎖を切ったら、撹乱しろだって。

 もっともらしく頷いているけど、本当に理解しているのかしら?

 まあ、さっきの()()()()?だっけ?があれば、闇討ちとかもやりやすいでしょうけど。

 


 

 食料を腐らせて、武器庫に向かう。

 道々のゴブリンはオルクボルグが音もなく始末していく。

 うーん。これで相手がゴブリンじゃなくて、盗賊(シーフ)の根城なら冒険(クエスト)として充分なんだけど。

 

 武器庫に着いて、音もなく侵入すると、見張りのゴブリンがいたので、永久の眠りについて貰う。

 蜥蜴僧侶が武器防具を腐らせている間、オルクボルグは武器をためすがめすしている。

 

「何してるの?」

「剣を探している」

「剣ならいつものボロっちいのがあっちに一杯あるじゃない」

「違う……あの軽銀のだ」

 

 こいつにしては少し口ごもってから答える内容に合点がいく。

 令嬢剣士……私は許せそうにないけど、一番の被害者であるあの娘が気にしてないなら仕方ない。

 でも、剣は口実だと思っていた。

 

「ああ、あの短刀(ダガー)の対になってる奴ね。でも、ここのゴブリンを全滅させれば気分は落ち着くんじゃない?」

「イヤイヤ。武器は道具とは言え、お気に入りの一品への拘りはやはり強いですからのう」

「手を抜かないの。さっさと腐らして。……まあ、分からなくも無いわ」

「いや……何かしらの形がなければ納得すまい。そういうものだ」

「見てきた様に言うのね?」

「経験してきたからな」

「そ、そう……。ゴメン」

「?何を謝る?」

 

 うーん。随分と考え方が分かってきたけど、やっぱりこいつは損な性格よね。

 冒険(クエスト)の楽しさを叩き込まなきゃ。

 


 

 全てを逐えて地下牢に戻ると、幾ばくもなく疾走忍者が帰ってきた。

 上階は少し騒がしい感じだが。

 

「子細支障無ク」

「陽動を頼んだが、何をした?」

「小鬼聖騎士寝カシタ。ズット起キナイ」

「……分かった。では怪我をしているものは檻に載せろ」

「ちょっと何する気なのよ」

「白磁がやった手筈をそのままだ」

「おい!そりゃひょっとして……」

「兵糧攻めのやり方を教えてやる」

 


 

 

【令嬢剣士side】

 

 丸太で造られた小屋──立派な家にしか見えない──で腰を下ろして2日も経とうか。

 目の前に聳え立つ神代の鉱人(ハイラードワーフ)の砦跡からは今日もいく匹かが落下死し、城門を叩く音が響く。

 

「さ、スープが出来ましたよ。飲んでください」

「あ……ありがと」

「いえいえ。隣の貴女も」

「ありがとー。美味しそうだね」

「熱いですから気を付けて下さいね?」

「はーい」

 

 私の隣に座るのは、あの半森人(ハーフエルフ)の剣士。あどけない顔でスープを飲んでいる。

 別れる前の態度との大きなギャップに驚くのはもう慣れた。

 目立つ傷は千切れた両耳のみだが、食いちぎられた部分は食べられてしまったのか見つけることが出来なかった。

 都に戻ったら地母神殿に行かないと。もしかしたら奇跡なら治して頂けるかも。

 

 そう、彼女は心を砕かれ幼児へと退行していた。

 蜥蜴人が言うには容易には治らぬ(不定の狂気)とのこと。そしてその彼女の面倒を私に課してきた。

 

「おねーちゃん、どーしたの?」

「ううん。大丈夫。今度は守るからね」

「うん!冷める前に食べよ!」

「ええ」

 

 この娘が記憶を戻すまで、そして私の元を自らの意思で去るまでは守り通さないと。

 ゴブリンを退治に挑んだあの日から失った全てのもの。

 その中でも1つだけ奇跡的に救えた僅かな欠片。

 もう二度と離しはしないわ。

 


 

 数日すると食料が覚束なくなってくる。

 お腹に頭を擦り付けてくるあの娘の髪を漉きながら、この後をどうするのか聞いてみる。

 私たちは準備が不十分だったけど……。

 

「物資の手配はしてある」

「後は人質となっておった娘っこ達を幾人か戻せば持ちも違うじゃろうて」

「……大丈夫ですか?最近余り顔色良くないですが」

「平気よ。少し寒いだけだから。彼にくっついてるわ」

「……で、あそこで敷物になってる2匹はどうするの?」

「拙僧は雪山では役体無いですな。申し訳も御座らぬ」

「スピー、スピー」

「……この駄犬にでも橇引いて貰えば?」

「そうだな。そうするか」

「クーン(子犬)」

「寝たふりか」

 

 何故だろう。私たちの時と何も変わらないのにこんなに落ち着いている。

 それでも物音にはきちんと反応しているし。

 これが熟練(ベテラン)素人(ヌーブ)の差なのだろうか?

 

 その後獣人は檻を橇に載せて、風避けの毛布を被せたら、中に人質になっていた人達を乗せて風の様に去って行った。

 

 乗るまでは私と離れるのを嫌がった半森人(ハーフエルフ)も、動き出すと楽しそうに黄色い悲鳴を上げている。

 女魔術師は動き出すや否や戻していた。顔色が良くない。何か悪いものでも食べたのかしら?

 なんだか不安そうな顔してお腹さすりながら橇の行く先を眺めているし。

 


 

 橇は食料と燃料を満載して、2日後に帰ってきた。

 これで節約すれば一月は持つとのことだから、私たちが如何に考えなしだったか思い知らされた。

 

 3日もすると、落下死するゴブリンも居なくなり、門扉を叩く音も聞こえなくなった。

 女魔術師さんがやけに沢山ご飯を食べている以外特に変わったこともなく。

 どこかやさしい時間が流れていた。

 

「そろそろだろう」

「やっと?もう飽きたわよ」

「なんじゃい森人(エルフ)は風情と言うものも解さぬのか。2000歳とも無為に過ごすんじゃ世話無いの」

「なにおー!?この小鬼の親戚め!」

「お!言いおったな!やるか!?」

「狭い室内で暴れないで下さいね」

「疾走忍者さーん。私寒ーい」

「ヌクヌク」

「甘露ぉー!!」

「……置いていくぞ」

 

 うーん。この人たちだけが緩いのかも。

 


 

 隧道(トンネル)を作り、城塞へと戻る。

 

 動くものは風に煽れた布切れだけ。

 あたりには共食いでもしたのか体のあちこちが欠けたゴブリンの死体。

 嫌悪感も露に1つの頭を蹴ってやると、粉々に砕け散って拍子抜けする。

 

「ダメですよ。死者を冒涜するのは」

「じゃ、あれは良いわけ?」

「あれは……死んだふりしていないかの確認ですから」

 

 女神官の目はあらぬ方向に逸らされていたが。

 

 ゴブリンスレイヤーがゴブリンの氷像をザクザク言いながら先に進んで行く。

 警戒はしつつも、緊張はしていない様子。

 私たちとの経験(レベル)の差を思い知らされる。

 やはり私は冒険者なんて向いていないのかもしれない。

 


 

 程なく、玉座──人間の骨や衣服で飾られた醜悪なるもの──の奥に広目の部屋を見つけた。

 中には死んだ小鬼聖騎士。私を襲った軍団を率いていたヤツだ!

 頭にカッと血が上るが、女神官が肩をそっと叩くのに気付いて少し冷静になる。

 もう死んでいるのだし、これ以上は何も出来ないだろう。苦しみに悶える顔だけがほんの慰めだった。

 

 傍には見馴れた、成人した時からずっと佩き続けた剣があった。

 薄汚れて、傷付いて、凍り付いていたが確かに私のだ。

 

 氷に爪を立てて、掘り起こそうとするが、制止を受ける。

 

 睨む視線も物ともせず、鉱人(ドワーフ)がお酒を注いで氷を溶かしてくれたら、ゴブリンスレイヤーが掘り起こしてくれた。

 森人(エルフ)が何処からか取り出した綺麗な水で汚れを洗い流してくれた。

 蜥蜴人(リザードマン)が祝詞を口ずさみ、女魔術師が布で磨きあげ、女神官が捧げる様に手渡してきた。

 獣人は俯き項を垂れている。何かの祈りかしら?

 

 城塞を出たら降下(フォーリング コントロール)隧道(トンネル)を塞ぎ、再び悪用されない様にして雪山を降りる。

 丸太小屋まで燃やしてしまうのは少し勿体無いと思わなくもないけど……。

 


 

 麓の村に降り立った時には夜も更けた頃だったのに、半森人(ハーフエルフ)が迎えてくれた。何時もの、快活そうな勝ち気な顔で……。

 

 後から聞いたが、橇で降る際の恐怖と弾んだ拍子にぶつけた頭の衝撃で全てを思い出したのだとのこと。

 

 右手を振り上げられた瞬間、思わず目を閉じて身を竦めさせてしまったが、予想していた様な衝撃は感じず、頬に温かい感触。

 そっと目を開くと、半森人(ハーフエルフ)が私の頬に手を当てていた。

 

「てっきり雪山から降りた時に逃げてるんじゃないかと思ってたよ」

「え?」

()()()()()()()って言ったわよね?」

「ですから、私の事を恨んでいるのでしょう?」

「分かっちゃいないね。()()()()()()

「あぁ!」

 

 この雪山で多くの物を無くした私たちだが、それでも掛け換えの効かないものも手に入れたのだ!

 溢れる涙を堪える事も出来なかった。

 


 

 一旦は地母神様の神殿で養生するとのことだが、「腕の良い護衛を探している」と言ったら、驚いた顔をしていた。

 少しはやり返せたかしら?

 


 

 

【女魔術師side】

 

 雪山から降りて、やっと馬車に乗れる。体力向上のために毎日マラソン(サンポ)しているが、流石にこの体では色々と無理が来ているのだろう。

 隣では女神官ちゃんがウツラウツラと船を漕いでいる。

 

 幌から見える山は雪で白く、吐く息と相まって視界を白く染める。

 

 ふと気づくと、雪が降り始めている。

 冷えない様に布を落として入り口を塞ぎ、温かい彼の胸に身を委ねる。

 鼻が湿ってて少し冷たいけど。

 

 今の体の事を言ったら、一緒に冒険なんてさせてくれないわよね。

 もう少ししたら隠しようもなくなるけど、せめてそれまでは一緒に居させて。

 貴方に迷惑だけは掛けないようにするから。

 

 "しんしんしんしん 雪が降る"

 "この身は氷柱(つらら)で 心は木枯らし"

 "春を待つには 寒すぎて 冷たい地面の 下に棲む"

 "温くなったら 萌え上げて 貴方のお側に 参ります"

 




半森人は色々と考えましたが、後々面倒な事になると困るのでこうしました。
先人様も百合も薔薇も似たようなものだと言ってましたし(暴論)

どうも、私の知っているネット小説上がりの作者さんは詩歌の才能もあるようなので、一丁吟じてみました。
題して「ヤンデレの唄(冬)」

女魔術師ちゃんはまだまだ引っ張りました。次の投稿には胎生判明しますが(誤字ではない)。
孕ませ好きのノンケ達は全裸で待機しててください。

次は年末ジャンボが当たれば早くなりますので、皆様の祈り次第になります(露骨な催促)


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家庭板案件な話

予算がショートしそうになったので初投稿です(ガン切れ)
なにもこんな時期にあんなことしなくても良いから(良心)

会社もドタバタしてて、年明けてすぐから5月まで、家に帰ったのが片手で数えられる位。ゴールデンウィークになったので、何とか逃げ切れました。
辞めたくても、潰しの効く業種でもなく。資格もなく。
ワーケーション?36キョウテイ?何それ?美味しいの?

社畜どころか消耗品扱いの様な気がするRTAはーじまーるよー。


 雪山から降りてきた所で再開します。

 

 雪山ゴブリンは"うえてしぬのだ"しましたのでエラいこと時間は掛かりましたが、そんかわりかなり安定したとは思います(震え声)

 

 大司教様が責任をもってボール(令嬢剣士)ゴール(実家)にシュゥゥゥーッ!!超!エキサイティン!!!……してくれるハズなので後は事後報告(アフターセッション)するだけ。

 

 

 受付嬢さんが研修とかで居ないそうなので、監督官さんに報告しました。

 

 この人距離が近すぎるのでどうも苦手です。

 またヨシヨシされました。ワフーン。

 


 

 今回ので経験点貯まってたみたいなので、これでまたひとつレベルアップ。

 今回は【投擲】を1つ上げて、タツジン!にします。

 この後の研修所クエでは新人どものケツ♂を護りながらなので、威力よりも手数が大事です。

【戦術行動】でヘイト管理しながら新人どもにトドメを刺させる様にすれば、いい感じに育ってくれるでしょう。

 

 さて、消耗品を補充したらお家に帰ります。

 居間(リビング)には鉱人道士()森人弓手()蜥蜴僧侶(チーズキチ)が寛いでます。

 

 ただいまと言うと、お話しがあるから部屋に来て欲しいとの女魔術師ちゃんからの伝言。

 特に予定も無いので、そのまま行きましょう。ロケハンやったときにこんなイベント無かったのですが、大丈夫でしょ(フラグ)

 

 部屋にはなんか思い詰めた様な女魔術師ちゃんが一人。

 ……クォレハヤバいですね。刃傷沙汰の臭いがプンプンします。

 表情を表に出さないように注意しながら、話を聞いてみましょう。

 念のため、こっそりスリケンに手を掛けておきます。

 

 で、何ナニ?話って?

 

 女魔術師ちゃんがご懐妊だそうです(驚愕する)

 家族が増えるよやったね忍者!

 

 思わず、

 "中に誰もいませんよ(nice boat)"

 しそうになりましたがどうにか堪えます。

 

 TDN痴話喧嘩からの殺人なだけで本RTAとは関係無いところで(疾走忍者君の人生の)タイマーがストップするだけですしおすし。

 適当に誉めておきましょう。

 ええやん(クソ適当)

 

 妊娠期間中に着いてこられてもDEX とPOW とコンチュティチューチョン(CON)が下がっているので邪魔にしかなりません。

 とにもかくにも女魔術師ちゃんは此にて脱落と相成りました。

 後衛の専門職が居なくなるのはちくっと痛いですが、この後括約する機会もあんまりなさそうなので遠慮おきなくポイッします。

 

 まあ、鉱人道士()の家でお留守番(意味深)してるだけなので依頼(クエスト)以外は一緒です。

 だからそんなこの世の終わった様な顔しなくてもいいから(良心)

 

 と、わりかし外道な事を考えてると、窓から空飛ぶ妙な金色の球っころが突っ込んできました。

 ナニこれ?使徒(ファミリア)?鷹だって?冗談はよしてくれ(真顔)。

 名前はソ○ックボール?この体で?それはギャグで言っているのか?(困惑)

 連れてくの?これを?……そう(無関心)

 

 さて、一党(メンバー)が減り、金玉(比喩無し)がついてくる事になりましたが、元々予定外の人員(?)なので、問題ありません。

 これでゴブスレさんがリタイアとかだと再送案件ですが。

 因みに(オトートガカタキヲトルノデス)君は姉がゴブリンにブスリ♂されなかったからなのか、遭遇(エンカウント)の気配なし。

 ゴブスレさんに聞いても、「知らん」とつれないお返事。

 ショボン。

 まあ、卒業したらくんじゃね?(鼻ホジ)

 


 

 

 弟君が来ないということで、女神官ちゃん主催の「ドキ!?ゴブリンだらけの墓暴き。トロルもあるよ!」は開催しませんでした。

 侍祭(アコ)一党?そんなん知りません。

 

 さて、そんなんこんなんしてると、訓練所クエ。

 天○を喰らうが如くお金を払えばレベルアップしてくれる、新人には中々の良物件です。

 今の疾走忍者君レベルでも、金貨1000枚程度で訓練してくれます。……教師役は槍使い(自害せよ)兄貴か重戦士(正に鉄塊)兄貴かさまようよろい(変なの1号)と代わり映えのしない面子なので、2、3回が限度ですが。

 

 因みに女騎士(女トロル)が憂さ晴らしの八つ当たりをしに来る事が稀によくあります。

 新人だとコテンパにされるので、気を付けましょう。因みにこんなんでもLOWなのでCHAOS 寄りの疾走忍者君は近寄りたく所存。

 まあ、出来たときに考えますか。

 


 

 受付脇の長椅子(ベンチ)で女神官ちゃんがべそかいてますが、そのうち勝手に復活するので、無視して訓練場が出来るまでは倍速。

 

 朝起きて、ミルク(意味深)を女魔術師ちゃんに飲ませて、ゴブリンを狩って、帰ってミルク(同上)飲ませて、訓練場設営手伝いして、昼飯食べて、盗賊潰して、ほねっこ食べて、ゴブリン狩って、帰ってきて、ミ(ry飲ませて寝る。

 妊娠初期はあんましそういうのは良くないんですが、女魔術師ちゃんの精神が安定しないので仕方ありません。微ロスですが、雪山に比べたら誤差みたいなもんです。

 

 そうこうする内に訓練場がそれなりに出来上がって来ました。

 生まれ育った村の跡地なので、ゴブスレさんは感慨深そうなため息を吐いていますが、これから阿鼻叫喚の地獄絵図と化す事には気付いていません。

 かわいそう(迫真の棒読み)

 

 因みにここまで白磁・黒曜だと、ギルドからの指示で無料で訓練を受けられますが、あんまし意味ないです。

 疾走忍者君は残念ながら「お前ここ(訓練場)初めてか?力抜けよ」とは言えませんが、ギルド的にはそこそこ貢献しているので、先生役(の補佐)として参加依頼を打診されました。

 然程払いも良くないギルド案件なので、教師役が少ないそうな。

 中堅層が波平並みに薄くて、ハゲ散らかしてるんで仕方ないね(レ)

 

 ギルドクエストなんて功績点位しかメリット無いですが、原作通りをモットー(?)にこのRTA走ってるので、この先生きのこる役は快諾しましょう(原作通りになるとは言っていない)

 

 最初は原作通りビンビンでいらっしゃる先生役の銀等級のお歴々が暴れてますので、疾走忍者君は柵の方で穴掘り。

 こいついつも穴掘ってるな。

 もちろんゴブリン襲撃対策の堀用です。後で水を曳いておきます。

 ちょっくら人手が足りないので、手近にいた新米剣士と青年剣士を拉致し、強制労働させます。

 おまいら体力無いんだから、穴でも掘っとけ!

 

 お昼になったので休憩がてら新人どもを見てみると、みんなバテバテ。起きる気力も無いようです。

 女騎士(女トロル)に目をつけられたのか、特に集中してかわいがり(拷問の様な特訓)させられてた見習聖女は死にかけてます。

 |もうやめてください!!泣いてる子もいるんですよ!!《うーん飯がはかどるな》

 

 さて、新人どもの顔を拝んでやりましょう。殆どは有象無象。何とかマシそうなのは、最初の一党の死に損ない(蝸牛神のお茶目)の二人と二刀流(新米剣士)殴りアコ(見習聖女)組。他はまだまだですね。

 後は次点で圃人剣士と、……な ぜ か 女神官ちゃんが新人と共に並んでいます。

 誰だこんな等級詐欺師を呼んだ奴は!?

 黒曜としてまだまだ勉強する事が一杯あるそうです(白目) 

 

 


 

 さて、時間的にはそろそろゴブリンの襲来が来る頃合いです。

 防衛用の柵と掘は準備完了。地下から攻めて来るハズですが、地上からも来ないとも限りません。

 後は剣の乙女お姉さん(目を逸らしつつ)が多数の敵と戦うために考案した武器を作ってしまいましょう。

 

 圃人剣士(白磁)がなにやら興味深げに見てきます。

 

 折角なんで作り方を教えておきましょう。

 いいですかぁ?これは"剣の乙女お姉さんの聖なる手榴弾"と言うものです。

 それ以上でも以下でもないので、決して間違ってはいけませんよぉ。……なに?おばさん? 死にたいのかっ貴様!?二度とそんなこと口にするんじゃないぞ!

 

 原材料は主の御心(笑)によって慈悲を垂れた、米・肉・野菜・各種香辛料・オートミール・果物の種・etcです。ね?簡単でしょ。

 

 使い方は主の御心(笑)に沿いまず聖なるピンを抜きます。

 それからすぐに3つ数えます。多くも無く少なくも無く。

 4では遅すぎるし2では少なすぎます、5などもっての外!

 そして投擲。すぐさま伏せる事。但し肉片を浴びたい場合は例外とします。

 いいですかぁ?投げていいのは化け物と異教徒だけですよぉ。

 取り敢えず2つもあればいいでショ。

 

 後は、土方の飯場近くで料理でもしながら張っていれば第一犠牲者(時報)が鳴るので、そこまでカット。

 おいこら!パンケーキ摘まみ食いするんじゃない!胸無し森人!

 

 


 

 夜になり、作業員(富竹フラッシュ)の叫び声が聞こえたら行動を開始します。

 

 先ずはゴブスレさんと合流する事を第一目標としましょう。

【戦術行動】さんが仕事してくれたので、会敵する事もなく難なく合流出来ました。

 女神官ちゃんがゴブスレさんの夜間演習に参加してたのか新人達と一緒に居ましたが。

 原作でも結局直ぐに合流してたので、誤差みたいなもんでしょ。

 

 "剣の乙女お姉さんの聖なる手榴弾"の使いどころ的にも拓けた場所が良いので、新人どものお守りを交代します。

 

 新人を安全な所まで退避させて、序に乱戦に強そうな斧槍女戦士(アマゾネス)ネキ、救護班の僧侶辺りを連れてこれれば良いのですが。

 

 まあ、ゴブリン別動隊が襲って来ますので、そちらに対処するのが優先です。

 

 新人どもは"ゴブリンなんかに負けはしない(キリッ)"と、中々に威勢が良いですが、顔を真っ青にして足をガクガクさせながら言っても説得力無いから(優しみ)

 ションベンは済ませたか?地母神様にお祈りは?訓練所の隅でガタガタ震えて命乞いする心の準備はOK?

 

 疾走忍者君のかわいがり(拷問)をくぐり抜けた精鋭四名は何を察したか、言われる前に四方に散って脇を固めます。

 ウム!流石マリンコッ!

 

 雑木林迄行くと、木の上にゴブリン共が隠れているのを発見しました。【暗視】の技能が役に立ちます。

 

 気付かない新人+四名を生暖かく見守りながら、懐のでピンを抜いて心の中で三つ数えます。

 ゴブリン達の中心までもう少し、

 

 今です!(孔明並罠)

 宙を飛んで炸裂する手榴弾。激臭に悶える新人ども。ボタボタと落ちて来るゴブリン。意外と早く落ちたな (嬉しい誤算)

 防毒マスク(メンボ)をしてるので無事な疾走忍者君で新人どもを追い立てて先に進みましょう。

 

 

 恐慌に駆られたのか一人の白磁が隊列を崩して逃げ出しました!

 すかさず、ボール(石礫)ゴール(後頭部)にシュー!!超エキサイティン!!!

 逃げる奴はゴブリンだ!逃げない奴はよく訓練されたゴブリンだ!

 本当辺境は地獄だぜ!フーッハッハッハッ!!

 

 新人どもが疾走忍者君を凝視しますが、そ知らぬ振りして先を急がせます。

 四名はハイライトが消えた目をして四方を守っています。うん!良い目をしてる!

 

 


 

 雑木林を抜ける手前辺りで新人どもが気を抜く♂気配がしたので、徐に"剣の乙女お姉さんの聖なる手榴弾"のピンを抜いて草原への出口に放り投げます。

 もちろんそこにはゴブリン別動隊の生き残りが。

 踵を返して訓練場に進路を戻します。文句言うヤツが居なくて助かりました(消耗1名)

 もう一回遊べるドン(絶望)

 

 訓練場は銀等級が7人に等級詐欺師まで居るので、戦力過剰と言っても良い状態です。

 取り敢えず新人どものお守りは面倒見の良い重戦士兄貴に任せて、作りかけの屋根に上ります。にゃーん。

 

 辺境の街に居る女魔術師ちゃんに緊急信号です。

 1、先ずは徐に松明(トーチ)に火をつけます。

 2、次に背中を壁(?)に向けてしゃがみます。

 3、後は松明を振って信号にします。

 

 見よ!この無駄に洗練された無駄の無い無駄な動きを!(儀式の人)

 

 暫く儀式をしていると、【火矢《ファイアボルト》】の返事が帰って来ました。

 何か微妙にやる気が感じられませんが、まあだいじょぶでしょ(適当)

 

 この後は、女魔術師ちゃんがギルドに襲撃を伝えてくれるハズです。流石に援軍は厳しそうですが、これで罷り間違っても辺境の街は大丈夫ですね。

 

 そうこうしてる間に、トンネルから泥まみれのゴブスレさん達が出てきました。何でも戦闘中に天井が崩れて水が大量に流れ込んで来たそうです。

 近くに池以外に水源がないので、ゴブスレさんも予期出来なかったそうな。

 あっ……(察し)

 

 殆どは穴の奥の方に流れて行ったので、びしょ濡れ&泥だらけで済んだとのこと。

 ……そ、そんなん知りませんですし(震え声)

 

 明後日向きながら口笛吹いてると、森人弓手(ナイチチ)が疾走忍者君の両肩をガシッと掴んできます。

 笑っています。笑うという行為は本来攻撃的なものであり獣が牙をむく行為が原点である(牛股先輩並感)

 ……アッハイ。責任もって残敵掃討と穴埋めを頑張らせて頂きます!

 

 全部終わったのは三日後でした。死ぬかと思った(小並感)

 

 


 

 疲労困憊で帰ってくると、女神官ちゃんが新人何人かを引き連れて冒険(クエスト)をクリアして無事鋼鉄等級に昇進にしたそうです。

 森人弓手(胸だけでなく心も貧しいエルフ)が強引に開催して昨日の晩お祝いしたそう。

 ……ふーんだ!良いもん!ハブられてても!もう美味しいもの分けてやらないもんね!

 え?ウソ?……ほんとぉ?(狂気)

 

 女神官ちゃんは今朝帰ってきたばかりとのことでした。監督官さんに看破(センス・ライ)使ってもらうか悩みましたよ!ほんとヒデ。

 

 訓練場の襲撃を返り討ちにして、穴ボコも埋めたので、後は建物を増築していく事になりました。

 原作と違い、事務員が常駐し、引退した冒険者の何人かが管理人兼教官兼賄い役兼用心棒兼相談役として雇われるそうです。

 まあ……その……ガンバレ。

 

 

 原作と違い残った池のたもとに立ちながらゴブスレさんと牛飼娘が腕を組んでいます。チッ、リア充め!爆発しろ!(ブーメラン)

 

 今回はちょっと短いですが、これくらいで。

 ご閲覧ありがとうございました。

 




やあ ようこそ、後書きへ。
このアイスティーはサービスだから、まず飲んで落ち着いて欲しい。

うん、「また」なんだ。済まない。
仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。

でも、この後書きを見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない「ときめき」みたいなものを感じてくれたと思う。
殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しいそう思って、この後書きを追加したんだ。

・・・じゃあ、言い訳を書こうか。

※家族の事で次も遅れます。ゴメンナサイね(リアル家庭板案件)


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家庭板案件な話(裏)

色々とゴタゴタがあり、遅れてごめんナス!許してください!オネシャス!センセンシャル!

親族会議でリアルSAN値が削られて一時的発狂したり、命の選択を迫られたり、猛烈な下痢に襲われたり(生ガキ)、鬱が再発したり、クレカが停止されかけたり、交通事故にあって腕が粉砕骨折したりしましたが、私は元気です(満身創痍)

今後もゆっくりになってしまいますが、許してください。何でもしますから。
(出走済み全員のストーリー見るためにウマぴょいを繰り返していたなんて口が裂けても言えません)


【監督官side】

 

 草木が萌え、動物たちの活動が始まる季節……春。

 長い冬の間に溜まった鬱憤を晴らすかのように人類も活発に動き始める。

 

 ……そしてそれは厄介事(トラブル)の急増を意味する。

 

 ギルドとしては書き入れ時なんだろうけど、今登録している新人(白磁)の殆どは、己が野望を達成すること無く朽ち果ててしまう。

 帳台(カウンター)越しに愛想笑いしながら、そんな新人(白磁)を死地に追いやり、それによって日々の糧を得ている自分達はとんでもない極悪人なのかもしれない。

 

 ……いけない、いけない。

 また心が良くない方向に行ってしまった。

 どれもこれもあのクソ上司のせいだ。うん、そう思っておこう。

 

 それでも、多額の寄付で念願だった訓練場の建設にもやっと着手出来た。

 都で新進気鋭の商人が、()()()()()()()()()()()()()()()()()、とも思わないでも無いけど。

 

 ポチに似た彼や下水道の主と噂されるバケツ頭を筆頭に色んな人が新人達の面倒を見てくれたお陰か、中堅層も育ちつつある。

 後は武器防具がしっかりすれば……流石に軍隊じゃあるまいし、それは無理か。

 

 したいことは幾らでもあるけれど、無い袖は振れないし、そこまでおんぶに抱っこするのも違う気がする。

 ……じゃあどこまで?と言われても困るけど。

 

 集中力が切れて、ふと窓から見た空は、冬の曇天を吹き飛ばし、心地よさそうな日差しを湛えている。

 

 やっぱり私が訓練場に行くべきだったかしら?

 

「はい。次の人、ドゾー」

 

 帳台(カウンター)の向こうに最後尾が見えないくらい並んでいる()()()()()を一人づつ片付けながら、そう心のなかで嘆息するのだった。

 

 

【女魔術師side】

 

 部屋で彼を待ちながら足が震えるのを抑えられない。

 下の階にいた皆は、「頑張るんじゃぞ」とか、「ヒドイこと謂われたら伸してあげるから」とか、「甘露!」とか言ってくれたけど……。

 一人で産み育てる覚悟は出来ているけど、邪険にされたり、まさか堕ろせ何て言われたらどうしよう……。

 

 爪を噛みながら、部屋を落ち着き無くウロウロしてると、部屋の窓から、金色の鳥が飛び込んできた!

 私の肩に留まると、ピイピイと顔を擦り寄せてくる。

 ソニック○ール!慰めてくれるの?

 


 

 

 ソニ○クボールは雪山で凍えていたのを見つけた鷹の子供。

 保護して懐で暖めてあげたら、酷く懐くから使徒(ファミリア)にしたんだっけ?

 どこ行ってたの?ゴハン食べる?え?パンツが欲しいの?じゃあ寝床に入れておくわね。

 

 ソニックボ○ルが急に顔を上げると窓から外へ飛んでいく、と共に階段を軋ませる音が聞こえてきた。

 彼だ!

 

 ソ○ックボールで和んだ心を引き締める、手はぎゅっと握り、足に力を入れて震えを覆い隠す。

 顔面は蒼白だろうけど、そこまではどうしようもない。

 

 ドアを開けて入って来た彼はいつもの何処か惚けた彼の顔。

 私の雰囲気に気づいたのか、それでも少しだけ真面目な様子をしているけど。

 

「ドシタノ?元気ナイ?」

「い、いえ……大丈夫なんですけど、少し話が合って……」

「フムフム。ソレデ?」

「あ、あの!こ、子供が……」

「……」

 

 ああ!やっぱり彼にとって子供なんて邪魔だったんだ!

 いつもの惚けた顔からは想像も出来ない位厳しい表情で私の事を見てくる。

 あの暖かだった琥珀色の瞳が、まるでガラス玉の様に冷たい色をしている。

 

 彼は腕を上げると、私の方に伸ばしてきた。

 ぶたれる!?思わず目を閉じて首を竦めてしまう。

 

 ……思っていた様な衝撃はいくら待って来ず、あれ?っと目を開けようとした瞬間、彼の温かな腕の中に私は包まれていた。

 

「スゴク……ビックリ……ダイジ……ナイ?」

「え、ええ。まだ初期だから。なんともないです」

「ヨカッタ」

「あの……怒らないんですか?」

「ナンデ?子供出来ル。良イコト」

 

 良かった!、本当に良かった! 彼がそんな人ではないとは思っていたけど、緊張の糸が切れたのか滑り落ちそうになる私を彼が抱き留めてくれる。

 漸くその温かさに甘えていると、彼が聞き捨てならない事を言ってきた。

 

「デモ、モウ冒険ムリナ」

 

 目の前が真っ暗になる。やっぱり役立たずになったから捨てられてしまうの!?

 

「え!?まだ何ともないですよ!?大丈夫です!やれます!」

「ダメ。カラダ大事。温カクシテネ?」

 

 子供の事だけでなく私の事も考えてくれるなんて……。

 最初の冒険(クエスト)で彼に逢えて本当に良かった。

 そうでなければ、今のこんな幸せな気持ちなんて味わう事すら出来なかった。

 一生ついて行きます。

 

 

 感動に打ち震えて涙を流していると、窓から○ニックボールが飛び込んできて、彼に突撃してきた!

 

「ぴーぃ!ぴーぃ!」

「アイエエエ!?」

「あ、こら!やめなさい!」

「アイタタタ」

「いじめられてるんじゃないから!勘違いしないで!」

「ぴーぃ?ぴぃ……」

 

 あ、そうだ。役に立たなくなる私の代わりにソニックボー○を連れて行って貰えばいいんじゃないかしら?

 

 

【女神官side】

 

「ふぇーん。ゴブリンスレイヤーさーん」

「ああ!もう泣かないの!」

「何だ?」

「巫女殿の等級審査が先程あっての……」

「ウム。それで、この有り様と言うわけじゃ」

「そうか」

「何でよ!あの犬っころはともかく、魔術師だって鋼鉄等級になってるのに!わたしが文句言ってきてやるわ!」

「止さぬか耳長の。回りが銀等級ばかり。そこでしか冒険(クエスト)しとらんかったから仕方ないわい」

「然り。真の実力なら我等にも引けを取らぬとは言え、ギルドから出ずに其を理解せよとはちと酷ですな」

「うー!でもさぁ!」

 

 本当はこんなところで嘆いていても何も進展はないのですが、皆さんが優しすぎるので思わず甘えてしまいそうです。

 

「新人達を連れて依頼(クエスト)を受けさせれば良い」

「ふぇ?」

「俺らはギルドから訓練場の依頼(クエスト)がある。その間に俺ら(銀等級)抜きで何かこなせば良いだろう」

「そ、そーよね!オルクボルグにしてはなかなか良いこと言うじゃない!」

「然り、然り、それなら巫女殿の采配に誰もケチをつけられまいな」

「良いんでねぇの?ワシら抜きで依頼(クエスト)こなしゃあ奴らも文句も言えんじゃろ」

「あのー。それ出来ないんです」

「何で?地母神殿で祭事でもあるの?」

「いえ……わたしも訓練に参加する様に言われましたので」

 

 顔を見合わせる皆さんを目の当たりにして気付きます。

 皆さんが考えてくれれば、どんなことでも安心してしまいますが、これなら今までと全然変わらない!

 

 "自らの意思で行動しないと、今までと一緒だ"

 

「あのっ!取り敢えず訓練に参加して同じ新人さん達と臨時一党(パーティー)組めないか聞いてみます!」

 

 うん。訓練しながら他の新人さん達と話し合って、臨時の一党(パーティー)を組むことにしましょう。

 

 今なら最初の冒険(クエスト)の無様な事はならないと思います……慢心しないようにしないと。

 


 

 訓練場でやっている事はわたしがゴブリンスレイヤーさん筆頭に皆さんに教えて貰った事に比べると随時と簡単な内容でした。

 基本は白磁、黒曜なので仕方ありません。

 それでも、一つ一つ体に染み込ませる様に復習して行きます。

 

 そして応用の方は新人さん達が寝静まった夜中にこっそり練習します。

 錫杖での立ち回りには槍使いさんが葡萄酒(ワイン)飲みながらもしっかりと指導してくれます。

 魔法は魔女さんが集中の高め方など。

 でも、疾走忍者さんの座禅は何の意味があるんだろう?背後にある壁に掛けてある紙に【ごんぶと(東方文字)】って書いてあるのも良く分からないし、なぜか疾走忍者さんが足を痺れさせてるし。

 ヨガを日課にしてるわたしにはちょっと合わないのかしら?

 


 

 午前中は殆どが戦闘を模した訓練です。

 冒険者として一年やってきて体力もついてきたのか、前衛の皆さんと一緒の訓練にも遅れずついていける様になったのは密かに自慢です。

 ただ、訓練場の端でひたすら穴を掘り続けている疾走忍者さんを見ると、そんなことどうでも良いように思えて来ますが。

 訓練に加えて穴掘りまでさせられている新米戦士さんと青年剣士さんは大丈夫なんでしょうか?

 

「お昼休憩ですよ~!」

 

 気がつくと、太陽は中天を射しており、受付嬢さんの声が聞こえてきました。

 訓練中はギルドから食事が出ます。白磁に成り立ての皆さんは日々の糧を賄うのも大変ですからね。

 

 新米戦士さんと青年剣士さんが真っ白に燃え尽きてる横で疾走忍者さんはと言うと疲れも見せずベーコンの塊にかぶり付いています。

 ポロポロと食べかすをこぼしているのを見ると、なんというか幼子が食べ散らかすのを見てるようでウズウズしてきます。

 女魔術師さんはこういうところが琴線に触れたのかしら?

 

 そうそう。女魔術師さんはここには居ません──確かに鋼鉄等級なので訓練の指示はありませんし、魔女さんが居るところで魔法使いの講師役は必要ありませんが──お腹に疾走忍者さんとの赤ちゃんが居るのでお休みだそうです。

 

 仲が良いとは思ってましたが、そこまで進んでいるとは思いませんでした……わたし以外は気付いていたみたいですが。

 

 赤ちゃんを産んで産後安定するまではクエスト(冒険)は一旦お休みです。

 それでも臨月まではギルドの臨時職員室として働くそうです。

 座った目をしながら「疾走忍者さんに変な虫がつかないか注意しておいてね!」と言われた時には何と返せば良いか困りました。

 

 殆どの新人女性冒険者さんは槍使いさんか蜥蜴僧侶さんに注目してますし、疾走忍者さんは穴を掘っているだけなので……うん、大丈夫そうです。

 

 

「ねえねえ、ちょっと良い?」

「はい?」

 

 振り返ると圃人剣士さんが立っていました。

 視線はわたしの手元──正確にはわたしが包みを開けたばかりのフレンチトースト──に釘付けですが。

 

「じーーー」

「えっと……ひとついりますか?」

「えっ?良いの!?」

「はい。どうぞ」

「ありがとー!おいしい!お姉さん凄いね!こんな料理も作れるなんて!」

「いえ。これは、他の方が作ったんです」

「え!?誰?誰?」

「あそこの狼人さんですよ」

「あの人!料理も上手いんだ!あ、そうだ!あの人の事について聞きに来たんだ!」

「?」

「あの人斥候でしょ?手技何か教えて貰えないかな?」

「良いですけど、どうしたんですか?この前の一党(パーティー)には専門職も居たと思いますが」

頭目(リーダー)が家を継ぐとかで解散になっちゃって……」

「そうですか。分かりました。聞いてみます。……と、所で一つお願いがあるんですが」

「なに?何でも良いよ」

 

 天真爛漫な笑顔を向けてくる彼女に気圧されながらも、訓練後に冒険(クエスト)に参加して欲しいと頼んだら、二つ返事で了解して貰えました。

 

 後は最低前衛が1~2人は欲しいですね。

 どうしましょうか?

 

 視線の先には塹壕掘りで倒れ伏している2人がいました。

 

 ふむ。

 

 

【森人弓手side】

 

 手近な木に登り、辺りをぐるりと眺める。

 夕日に焦かれた草原は玄く、動くものが無い様は月の砂漠を思わせる。

 遠くに見える山々は影絵の様に黒々として、太古の巨人の骸の様だ。

 

 そんな風景を何の気なしに眺めながら、敵が来ないか辺りを睥睨する。

 ゴブリンの臭いがするって、オルクボルグってば気にし過ぎじゃないかしら。

 下手な獣人よりも鼻が良いんじゃないかしら?

 

 見渡す平原は変わったことなど一つもない。

 ……ん?そういえば穴兎を見かけないわね。

 一応伝えておきましょうか。

 

 半分別の事を考えながら哨戒していると、ふと何処からか甘い匂いが漂ってくる。

 可愛らしい鼻腔に朝の甘いパン──ふれんちとーすととか言ったっけ?──に似た香りが漂ってきた。クンクン?あっちね。

 訓練場建設の人足が暮らす飯場からだ。

 

 良く目を凝らすと、あの毛むくじゃらが竈に向かって何かをしている!

 これは何か美味しいものに違いない!

 

 オルクボルグは、っと……居た居た!矢文で状況だけ知らせておこう。

 さて何作ってるのかしら?

 


 

 ぱんけーき?とか言うのを存分に堪能して、くちた腹を擦りながら宿舎に戻ろうとすると、僅かに死臭が漂っていることに気付いた。

 訓練なんだから怪我位するし、血を流す事もあるけど死臭はあり得ない。

 見渡す限り不審なものは見えないが、こういう時の冒険者の勘は馬鹿には出来ない。

 

 瞬時に頭を切り替えて、手近な木によじ登る。

 ぐるりと周囲を見渡すと、運動場の影に居た女冒険者に小柄な子供の様なものか沢山がすがり付いて押し倒している!

 こんな時に暗視(インフラビジョン)が使える事を呪わしく思うわ!

 

小鬼(ゴブリン)よ!」

 

 大声を出して、鏑矢を直上に放つ。

 これで新人でも気付くだろう。

 

 女冒険者の方を見ると、顔に歯こぼれしたナイフを突き立てられ皮膚を剥がされそうとしていた!

 慌てて矢を番え、一斉射。

 バタバタと倒れる仲間達にモタモタと武器を構える残りの小鬼を尻目に、木を飛び降りて女冒険者に駆け寄ると、まだ何とか息があった。

 しかし小鬼の包囲網を抜けるのは厳しそうだ。

 

 弓を構えたまま引き摺る訳にも行かないし、どうしたらものか……。

 逡巡していると、包囲網の一角がまさに弾け飛んだ!

 奥から見えるのは斧槍(ハルバード)を構えた女戦士と新人数名。

 ホッと息をつく。

 これで大丈夫だろう。

 

「ありがとう。助かったわ」

「この前、小鬼英雄(チャンピオン)の時に助けてもらった礼だよ」

「あら、そう?じゃあお礼ついでに彼女運んで貰っても良い?」

「任された。おら野郎共!こいつを担ぐんだよ!早くしな!」

「ウス!姐さん!」

 

 冒険者というよりはまるで盗賊ね。

 

 


 

 小鬼を軽く蹴散らすと、訓練場にポツポツと灯りが灯り出した。

 ざっと見渡し、動くものが無いのを確認すると建築途中の宿舎の屋根に駆け上がる。

 上では毛むくじゃらが何か変なポーズで松明を振っているが、何だかコワイので触れない様にしておく。

 

 オルクボルクは……居た!あの娘と一緒ね。そっちに行きましょうか。

 

 

【女魔術師side改善】

 

 火の見櫓に1人佇み、彼が居る筈の方角を凝視する。

 彼が言うにはそろそろ何かある筈とのこと。

 数日前から泊まり込みで仕事をしている彼に変な虫がつかないか少し……凄く気になるけど、負担掛けて足を引っ張るわけにもいかない。

 言い付かった通り合図を見逃さない様、昼間は少し体を休め、夕刻から明け方迄こうして見張りをしている。

 ここの所ずっとそんな生活を続けているせいか、兎に角眠気が襲ってくる。

 周りに柵こそあるものの、こんな所(火の見櫓の上)で寝てしまったら落ちてしまうかもしれない。

 さすがにそんな間抜けで彼と永久の別れをする訳には行かない!

 

 出掛けに作った砂糖抜きのホットレモンを彼から借りた魔法瓶から啜りながら気合いを入れ直す。

 しかし、今夜は冷えるわね。毛布の1つでも持って来れば良かったかしら?

 

 夕餉の時刻も遠に過ぎ、街はまだまだ明るいけど、NPC(祈らぬ者ども)でもなければ子供はもうすぐおやすみの聖句を唱える刻限。

 梯子を軋ませる音に驚いて振り向くと、そこには監督官さんがフウフウ言いながらしがみついていた。

 

「どうしたの?こんな所へ」

「そんなことより助けて~」

 

 微妙に間延びした深刻そうに聞こえない様子の監督官さんを引き摺りあげる。

 勢い余って監督官さんが柵にぶら下がってしまったが、何か歌を歌っているので大丈夫でしょ。

 一曲歌って満足したのか柵から降りる。

 うん、この娘にはどこか遠いところで幸せになって貰おう。

 


 

 監督官さんが持ってきた毛布を二人して被りながら暗闇に染まった彼の居るハズの方角を凝視する。

 辺境の街はまだ灯があって眩しいけれど、訓練所はもう休んでいる頃合いかしら?灯りらしきものは見当たらない。

 

「ねぇねぇ。聞いても良い?」

「なに?」

「何時から?」

「ん~?切っ掛けは7歳の時だけど、逢ったのは最初の冒険の時ね?そっちは?」

「こっちは、受付の時だから殆どタッチの差位かな~」

「……別の時間を生きてるとなかなか難しいわよね」

「ちぇっ。やっぱり同じ一党(パーティー)だと有利だったか」

「謝らないわよ」

「そんなことされたらひっぱたいてやるんだから」

 

 狭い見張り台の上で腕をぶんぶんと振るうのを見るに荒事には全くと言って良いほど向いてない彼女の目は酷く真剣で僅かにほの暗い。

 それでも声は落ち着いていて、含まれる悋気は驚く程少なく感じられた。

 もし万が一──考えるのもヤだけども──自分が逆の立場だった時にこんなに冷静でいられる自信は……なかった。

 

「ケンカ別れなんてしたら赦さないんだから」

「当たり前よ。()()()()()()離さないわ」

「首輪でも付けて庭に繋ぐ?」

「繋がれるとしたら私ね」

「わーお。大胆」

「恋敵を前に遠慮なんか……まって!」

 

 監督官は口をすぼめて不満そうな顔をしているが、私の視線の遥か先に僅かに揺れ動く様に見える火の灯りに比べれば何の価値もない。

 間違いもない!彼からの合図だ!

 

 

 慌てて立ち上がり、隣にいる監督官に伝えようと口を開いた瞬間、肚が急に苦しくなったかと思うと、胸がカッと熱くなり、喉を通って灼熱が込み上げてきた。唇を閉じる(いとま)もなく、口から出てくるのは暗闇の中でも分かる鉄錆びめいた臭いのする暗褐色の液体。

 

 隣で監督官が慌てて声を掛けて来るのが聴こえるが、応え(いらえ)の間も無く次々と出てくる血反吐に喉は塞がれている。

 

 ものの数分の事だが、まるで那由多の先にあるような地獄を越えて一通り出し切った後、見張り台はまるで惨劇(ブラッドバス)の現場かの如くなっている。

 手摺に凭れ掛かりながら、なけなしの力を振り絞って火矢(ファイアロー)を上空に放つと隣で唖然としている監督官に懐から出した血塗れの便箋を押し付けて、私の記憶はそこで途絶えた。

 

 

 

【新人どもside】

 

「かったるいな~。こんな夜中に移動なんて」

「無駄口叩かない!早く行くよ!」

 

「うるさいですわね~。だから胸がちっちゃいんですのよ!」

「なんですってー!?もう一度言って見なさいよ!」

 

「もー疲れたよー背負ってー」

「たくっ、仕方ねぇな。ほら乗れよ」

「ありがとー。クンクン。汗臭ーい」

 

 

 こいつら子供の遠足(ピクニック)か何かか?

 こんな暗闇なのに索敵すらしていない。

 

 こいつらと同じ扱いってのは納得行かないけど、まだ黒曜にもなれていない俺らじゃ説得力の欠片も無い。

 まだゴブリンを倒すのに自信が無いから下水道がメインだし。

 

 最近良くつるんでいる両手武器の戦士とぼやきながらも索敵は怠らない。アイツの相方の至高神の神官が【養豚場のブタでもみるかのように冷たい目】で新人どもを見ているが、俺らに向かってではないので問題ない(チビりそうになりながら)

 

「ねぇねぇ。あの人いるよ。大丈夫?」

「アイエエエ!?ニンジャ!?ニンジャナンデ!?」

 

 妙に強張った女武道家の声に振り向くと、そこにはヤツが居た。

 細いながらもしっかりと鍛えたであろう長躯。

 毛むくじゃらで惚けた顔。

 忍者と自称する黒装束。

 

 今までの緊張感は生ぬるいものだった。第六感が最大級のアラートを出してくる!

 

 

 逸早く察したアイツらと素早く目を交わすと、新人どもの四方に避けて少し距離を取る。

 ヤツなら絶対に何かやってくるだろう。

 こうバラければ的を1つに絞り込むのは不可能なハズた。

 

 索敵は継続しつつもヤツの一挙手一投足に警戒を厳にする。

 懐に手を突っ込んでるな。投げナイフか何かか!?

 

 

 

 懐に手を入れていた理由は暫くして雑木林の中で猛烈な臭いと共に理解させられた。

 

 何てもの使ってやがる!

 事前に何とか隊列と言い張れるギリギリまで離れられたので何とかマシだけど。

 流石にもう一発は無いよな?

 


 

 二回も激臭攻撃の余波を受けた新人どもはグロッキーで掘っ立て小屋に積んである。

 俺ら四人は各チームの情報伝達の為に走り回って居た。

 何匹かはルート上のゴブリンを叩き切ってはいるが、その抵抗の無さに呆気にとられる。

 こいつらが弱くなったのかと思ったが、俺らが強くなったんだ。訓練の成果を肌で感じられて嬉しくなる。

 それでもアイツの穴堀りはもう勘弁だけど。

 あんなのに比べたらゴブリンなんて屁でも無いしな(震え声)

 少しはゴブリンのトラウマが解消しかけた様な気がする。

 

 そういえば、ヤツと同じ一党(パーティー)の地母神官が臨時の手伝い依頼してきてたな。

 ゴブリン退治とか言ってたような。

 完全なるトラウマ払拭の為にも他の皆も誘って参加してみるかな?

 

 

【臨時一党side】

 

「やぁ!あれ!?倒せない!?」

「今です!」

「よっしゃ!喰らえっ!」

「もう!こんな狭いところでこん棒なんか振り回さないでよ!あぶないでしょ!」

「助かった~ありがとう!」

「貴女は膂力はそんなに強くないので、攻撃に集中するより避けるのに専念しながら敵の邪魔をするのを優先した方が良いですね」

「そーなの?でもそれって剣士っぽくなくない?」

「要は適材適所ですよ。敵の攻撃が当たったら折角の素早い動きも活かせないかですよね?」

「うーん。分かった。ちょっと望んでた形と違うけど、命あってのものだし。気を付けてみる!」

「背後はお任せしましたからね。っと女武道家さん横穴は大丈夫でしたか?」

「何もないわよ。あんたから貰った10フィート棒君(生け贄)で突いたけど、隠れてるのも居ないみたい。コレ便利ね。あたし少しは技能あるから常備してみようかしら?」

「それは良いですね!横穴にはゴブリンがいない……そしたらその横穴から壁抜きしてくるかも知れません。……剣士さん見張りお願いしていいですか?」

「任せろ。合図は警笛(ホイッスル)で良いな?」

「はい。大丈夫です。ここより手前で壁を抜けるところはないので退路の確保は大丈夫そうですね。女武道家さんは辺りで隠れているゴブリンがいないか確認してください。あまり剣士さんの傍を離れない様にしてくださいね。圃人剣士さんは戦士さんと前に出てください。無理に突出する必要はありませんからね?」

「りょーかい。高度な柔軟性を維持しつつ臨機応変にってことでしょ?」

「まあ、間違っては居ませんが……聖女さんは呪文二回ですよね?そうしたら、わたしが【聖光(ホーリーライト)】を奥に撃ち込みますので、【聖撃(ホーリースマイト)】で役持ちを倒したら剣士さんと交代して下がって下さい。後は打ち合わせ通りに」

「分かったわ。あんたはちゃんとあたしと頭目(リーダー)を守るのよ!」

「分かってらい!頭目(リーダー)の指示通り、圃人と突っ込んでくるゴブリンを押し留めて、剣士の奴が来たら反転攻勢だろ?」

「はい!お願いします!……あの、今まで特に疑問に思わなかったんですが、何でわたしが頭目(リーダー)なんですか?」

「いや、だってあんなの(疾走忍者)と一緒にいてなんともないんだもの」

「うんうん」「当たり前じゃない」「いや尊敬してるんだぞ?」「(良く分かってないけど)そうそう」

 

 

 ゴブリンスレイヤーさんは新人さん達からまだそんな風に勘違いされているのですか……。

 少し分かりづらいけどとっても好い人なんですけどね。

 うん……よし!今度の作戦会議(ゴブリンスレイヤー包囲網淑女協定)でずっと懸案だったゴブリンスレイヤーさんの見た目改善を提案しましょう!

 臭いは香袋で良いとして、汚れは……逆に黒く塗ってしまえば目立たないかな?

 後は音か……。ギルドの老爺さんに何か音を抑える仕組みがないか相談してみましょう。

 

 飛んでくる粗末な矢を気配だけで錫杖で叩き落として、破れかぶれの突撃をしてきたゴブリンはコンパクトに構えた錫杖のカウンターで喉を突きやっつける。

 

 背後では、「やっぱりアイツ(しつこい様だが疾走忍者)の仲間だ」とか失礼な声が聞こえますが、今は気分が良いので許してあげます。

 本当は冒険(クエスト)中に余計な事は考えてはいけないんですからね(ニッコリ)

 

 傍にいる三人が急に背筋を伸ばして回りの警戒を再開します。

 うん!冒険中は緊張感がないと。

 

 

【牛飼い娘side】

 

 新人が元気の良い声を出しながら駆け回っている訓練場を二人で眺めながら隣に立つ彼の腕に手を当ててみる。

 元々は村があって、私と彼の生家もあったんだけど、僅かに残った面影と言えば、村外れにあって今では訓練所の端にある小さな池位。

 それもこの前の戦闘で水が引かれた堀の決壊の余波を受けて茶色く濁って、三倍位になっちゃってる。

 訓練所の所長さんは色々と使えそうだから残しておくって言ってくれているけど。

 

「全部無くなっちゃったね」

「そうだな」

 

 独り言のつもりで呟いた声に、予想外に返事が帰ってくる。

 気になっていた事を勇気を出して聞いてみる。

 

「まだ続けるの?」

「どうだろうか……」

「そっか……君は本当に不器用だね」

「そうか?」

「そうだよ」

「そうか……そうなんだろうな」

 

 本当は知っている。

 村の跡地に頻繁に訪れては、燃え残りや僅かに残った遺骨を拾い集めてかつての面影を刻み込んでいることに。

 秘かに憧れてたお姉さんの痕跡はついぞ見付からずとも、それらしきガラクタの様な物を後生大事に納屋の箱の中に仕舞っている事も。

 

 死んじゃった人に勝つのはかなり骨が折れるけど、決して勝算がないわけではない。

 受付嬢さんに聴いたところによると銀等級の冒険者となれば、結婚しててもお妾さんの数人位普通らしいし、こちとら正妻が4人も居るのよ。

 絶対に諦めてあげないんだから。

 おっきいのからちっさいのまで選り取り見取りだし!

 ……でも、お姉さんキャラが弱いかな?

 何処かに都合の好い人いれば良いんだけど。

 

 隣でブルッと震えてはその事に頭を捻っている彼にクスリと笑い掛けて腕に抱き付き、牧場へ戻る様に促す。

 少し躊躇いつつも踵を返してくれる。

 先ずはこの腕の温もりを堪能しよう。

 

 

 あ、伯父さんをどうやって説得しようかな。

 何か良い方法があるか、後で三人に相談してみよう。

 

 

 ……地面の下からヒャンヒャンと犬が悲鳴を上げる様な音が聴こえるけど、まあ特には問題無いわよね。




こう普通に会話を書いていると、キャラクターの書き分けが簡単に出来て、やっぱり・・・蝸牛神の・・・書き方(セリフ忘れ)・・・最高やな!
疾走忍者君ですら違和感バリバリ、女魔術師ちゃんに至っては森人弓手に喰われてしまって出番どれ?と言った感じです。

そろそろ終わりも見えてきましたので、影が薄い主人公に括約の場を作らねば(使命感)

因みにみんな大好き女魔術師ちゃんは母子ともに無事です。

前書きに書いた通り後半位からかなり大殺界なので、ゆるゆるとお待ち下さいませ。


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