遊戯王があれば幻想郷でも生きていけるのでは? (てばれもん)
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プロ昇格の一戦

その1回が茨の道なのです…


ーとある会場ー

 

「バトル!エメラルド・ドラゴンでダイレクトアタック!」

緑に輝く竜から放たれた光線が男を直撃した

 

「ぐえぇぇ!」

 

 

男A LP1000→0

 

 

ライフポイントが0になったのを見て、そこに居た審判がマイクを取り

 

 

「そこまで!勝者!『黒木潤』!」

 

 

審判がそう宣言し、さっきまで静かに見ていた観客が拍手や声援などを勝者に送っていた

勝者はそれを受けながらも次の試合のためその場を後にした

 

 

 

 

 

 

 

 

ー選手の個室ー

 

 

「あー疲れた、やっぱりしんどいなこの大会」

 

俺の名前は『黒木潤(くろきじゅん)』21歳、職業はアマチュア級のデュエリスト、そして前世の記憶があるというおまけ付きだ。

 

記憶があると言っても自分の名前とか友達の名前とかではなく、

 

カードの記憶とネタの記憶が残っているという感じだ。

 

だから俺は、周りの奴が新しいカードが登場するとCMで発表され、

そのカードが当たった時の一時的な喜びのあとに、あれ?なんか違う、と残念な気持ちに

なっているなか、もともとカードを知っていた俺は買わなくてよかった。

 

デュエルディスクを見る限り、この世界は遊戯王gxの時代である事がわかる

 

デッキは本気で作った物もあるが、大体は寄せ集めで作ったもので戦っている

どうやらこの世界ではそこそこ強い部類に入るらしい、寄せ集めなのに

 

俺は今日までアマチュアとして頑張ってきたが、今日で卒業しプロになろうとしている。

 

「あと、一戦勝てばプロになれるのか…いま思えばよくこんな寄せ集めで勝ってこれたな」

 

俺は時計を見て

 

「時間か…」

 

自分の個室を出て行った。

 

 

 

 

ー会場ー

 

 

 

 

「両者ともに位置について!」

そう審判が言うと、決勝戦の2人は中央から離れ、向かい合うようにして位置についた

 

 

「それでは、アマチュア級部門の決勝戦!『ミスターA』対『黒木潤』の試合を始めます!」

 

観客は決勝戦という事もあってかこれまで以上に盛り上がっている。

 

「お手柔らかに頼みますよ」

とミスターA

 

「出来れば……な」

と潤

 

 

 

「「デュエル!!」」

 

 

「先行は私!ドロー!」

先行を取ったのはミスターAだった

 

「私は手札から永続魔法!『次元の裂け目』を発動!」

二人の背後にひし形の紫の空間が現れた

 

『次元の裂け目』

永続魔法

(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、

お互いの墓地へ送られるモンスターは墓地へは行かず除外される。

 

「このカードの効果によりお互いのモンスターは墓地へ行かず、除外される!」

 

(厄介なカード出してきやがった…)

潤は内心少し嫌になった

 

「モンスターをセットし、ターン終了」

 

ミスターA LP4000 手札4枚

場 裏守備モンスター1体

  永続『次元の裂け目』

 

「俺のターン!ドロー!」

潤は引いたカードと手札を確認した。

 

(ちっ…俺の手札に次元の裂け目を破壊するカードは無い…仕方ない)

 

「俺は『サファイアドラゴン』を通常召喚!」

潤のフィールドに青く輝く竜が現れた

 

『サファイアドラゴン』

通常モンスター

星4/風属性/ドラゴン族/攻1900/守1600

全身がサファイアに覆われた、非常に美しい姿をしたドラゴン。

争いは好まないが、とても高い攻撃力を備えている。

 

「ほう…」

ミスターAが呟いた

 

「バトル!『サファイアドラゴン』で伏せモンスターに攻撃!サファイアスパーク!」

サファイアドラゴンが裏側にセットされたカードに光線を放った

 

ミスターAはニヤリと笑い

「掛かりましたね!」

と言った。

 

セットされていたモンスターが姿を表す

そこには手に魔導書のような物を持った昆虫がいた。

 

「この瞬間!『魔導雑貨商人』のリバース効果発動!」

 

『魔導雑貨商人』

リバース・効果モンスター

星1/光属性/昆虫族/攻 200/守 700

(1):このカードがリバースした場合に発動する。

魔法・罠カードが出るまで自分のデッキの上からカードをめくり、

その魔法・罠カードを手札に加える。

残りのめくったカードは全て墓地へ送る。

 

「デッキの上を魔法か罠が出るまでめくります!」

「一枚目『デーモンの召喚』!」

その後もカードをめくり続け…

 

「11枚目!…おっと、これは魔法カード『デーモンの斧』ですね。」

引き終わった瞬間『魔導雑貨商人』は破壊され、これまでに引いたモンスターカードと共に

次元の裂け目へと消えて行った…

 

その光景を見ていた潤は

(こいつ…何かやってくるな…なら!)

 

「おれは手札から魔法カード『二重召喚』を発動!」

 

『二重召喚』

通常魔法

(1):このターン自分は通常召喚を2回まで行う事ができる。

 

「『サファイアドラゴン』を生贄に『迷宮壁-ラビリンス・ウォール-』を守備表示で召喚!」

サファイアドラゴンが次元の裂け目へと消え、潤のフィールドに巨大な壁が現れた

 

『迷宮壁-ラビリンス・ウォール-』

通常モンスター

星5/地属性/岩石族/攻 0/守3000

フィールドに壁を出現させ、出口のない迷宮をつくる。

 

「カードを1枚セットし、ターンエンド」

 

黒木潤 LP4000 手札2枚

場 守備『ラビリンス・ウォール』

  伏せカード1枚

 

「私のターン!ドロー!」

ミスターAはカードを確認しニヤリとし潤の方へ指をさし

 

「そんな小細工は私には通用しません!」

と言い放った。

 

「私のエースモンスターを召喚します!来い!『紅蓮魔獣 ダ・イーザ』!」

ミスターAのフィールドに赤く羽根の生えた魔物が現れた

 

『紅蓮魔獣ダ・イーザ』

効果モンスター

星3/炎属性/悪魔族/攻 ?/守 ?

(1):このカードの攻撃力・守備力は、

除外されている自分のカードの数×400になる。

 

「くっ!そのために除外をしていたのか!?」

潤は相手の作戦を理解した

 

「今更気づいてもおそいですよ」

「『紅蓮魔獣ダ・イーザ』の効果発動!私の除外されているモンスターの数×400ポイント

攻撃力が上がります!私の除外されているモンスターは11体!よって攻撃力4400!」

 

『紅蓮魔獣ダ・イーザ』攻撃力?→4400

 

「4400だと!」

潤は目の前の光景が信じられなかった

「それだけではありません、さきほど最後に引いたカードを覚えていますか?」

ミスターAは右手の人差し指を立てて言った

 

「『デーモンの斧』…」

潤が呟く

「その通り!手札から『デーモンの斧』を発動!」

 

 

『デーモンの斧』

装備魔法

(1):装備モンスターの攻撃力は1000アップする。

(2):このカードがフィールドから墓地へ送られた時、

自分フィールドのモンスター1体をリリースして発動できる。

このカードをデッキの一番上に戻す。

 

「効果により攻撃力が1000アップ!」

『紅蓮魔獣ダ・イーザ』の手に髑髏が付いた斧が出現した

 

『紅蓮魔獣ダ・イーザ』攻撃力4400→5400

 

「バトル!行け!『紅蓮魔獣ダ・イーザ』!」

『紅蓮魔獣ダ・イーザ』は『ラビリンスウォール』を目掛けて一直線に飛び、中央に斧を振りかざした!

破壊され崩れて行くラビリンスウォール

「もちろん除外されます!」

 

次元の裂け目へ引きずり込まれる『ラビリンスウォール』のパーツだが、

 

 

 

 

「えっ?」

潤は目を点にして目の前を見た

「痛え!!」

その大きな1部が潤の腹を直撃し、体が少し浮き

「ちょっ待て!うわあああぁ!」

ひるんだ潤はパーツと共に次元の裂け目へと吸い込まれて行き、そして次元の裂け目が閉じた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこに残ったのは無音の会場…

「えっ?これ…まずいのでは?」

ミスターAは目の前の出来事が信じられずただ立っているだけだった

    




黒木潤は黒髪で少し茶髪が混じっております
服装は黒色のヘルカイザーが着ていたようなものを着ています
ミスターAは…なんでもいいやスーツとか?


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見知らぬ土地

ここから本編です……


ー???ー

 

 

「待て〜!チルノちゃ〜ん!」

 

 

「へへ〜ん!捕まらないよーだ!」

 

 

 

楽しそうに森の中を駆け回る青髪と緑髪の少女

 

 

 

「絶対に!捕まらないんだからね!おりゃー!」

青髪の少女がそう言うと、緑髪の少女よりも速く走り距離を離して行った。

 

 

「チルノちゃ〜ん!追いつけないよそんなの!」

緑髪の少女は青髪の少女に呼びかけたが、いつの間にか遠くへ行ってしまったようだ。

 

 

追いつけないと判断したのか、緑髪の少女は少し速度を落とし

「全く……ちょっとは考えてよね!」

と不満そうに言った。その時

 

 

「大ちゃ〜ん!……面白いものが落ちてるよ〜!」

奥の方から青髪の少女の声が聞こえた

 

 

「はぁ……どうせ珍しいキノコとかでしょ?」

緑髪の少女は全く期待をせずにその場へ向かった。

 

 

 

緑髪の少女が声の方角へ行くと、青髪の少女とそばには黒い服を着た男が倒れていた。

 

 

それを見た緑髪の少女は想像していた物と全く予想外だったので、

「ひ、……人?」

と驚いた、それを見た青髪の少女は

「なっ!面白いだろ?だって人が倒れてるんだよ!事件だよ!」

と嬉しそうに言った、緑髪の少女は呆れて

「あのね…チルノちゃんこれは面白いとは言わないんだよ?普通……」

と言った

「へーそうなんだ」

青髪の少女は興味が無さそうに言った、緑髪の少女は心配になり男に近づき胸に手を当てて生きている事を確認し

「まだ息をしている……チルノちゃん!この人湖まで運ぼう!」

と提案した

「わかったよ!大ちゃん!」

青髪の少女と協力して男を目的地まで連れて行った……

 

 

 

ー霧の湖ー

 

 

 

頑張って男を目的地へと運んで来た少女二人、なんとか男を起こしたいのだが二人はこの様な経験が無いため

「……どうやって起こそう大ちゃん、顔叩こうかな?」

青髪の少女はそう言ったが

「ダメだよチルノちゃん……起きた時に顔が歪んでたらなんて言うの?」

「うっ……うーん」

自分の考えを否定され何も言えなくなった青髪の少女

 

 

 

青髪の少女……『チルノ』はいつも直感で物事を考えるくせがあるようだ

緑髪の少女……『大妖精』は考えるが心配性らしい

 

 

 

「あっそうだ!」

と何かを閃いた様子の大妖精

「水をかけたら起きるんじゃないかな?」

 

 

 

大妖精の案により早速二人は湖のそばまで男を連れて行った

 

 

 

「水をかければいいんだよね!大ちゃん」

再度確認するかのように聞いてくるチルノそれに対して

「そうだよチルノちゃん水をかけるんだよ」

と答える大妖精、だが次の瞬間……

 

 

 

チルノが男の顔を湖に押しつけようとしたのである

 

 

 

「ちょっちょっ……チルノちゃん何やってんの!?」

慌てて止めに入る大妖精

「えっ?こう言う事じゃないの?大ちゃん」

首を傾け、何が間違っているのかわからない様子のチルノ

「馬鹿!……それは水につける!やめなさい!」

「あたいは馬鹿じゃない!!これが合ってるんだ!」

「やめろ!……馬鹿!」

「あー!また言った!!」

にぎやかに二人の喧嘩が行われている間にも男の顔は湖へと近づいて行き……

 

 

「「あっ」」

 

 

顔が水の中に入り……

 

 

 

ほんの数秒経ち、

「ぶばあぁぁぁ!!!」

男は叫び目が覚め、ものすごい勢いで頭を上げた

それを見た二人は驚いた様子で男から離れた。そして…

 

 

 

「溺れる!溺れる!」

と言いながら男は地面を転がりまわる男

 

 

 

それを見た二人は両手を合わせ目と目を合わせ

「ヨカッタネーチルノチャンメガサメタラシイヨー」

「ソウダネーダイチャンヤッタァ!セイコウシタネ!」

と言ったが心の中では……

 

 

 

 

 

 

(何だこの人間……)

と思いながら男を見ていた……




やっと原作キャラを出せた、
次、戦闘シーンを含みます。


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食い違い

あっ どうも


「はぁ……はぁ……うぇっ」

何だ?どうして俺の顔は濡れているんだ?寝ぼけたのか?

 

ん?

 

にしても何処だここ?なんで俺は外に居るんだ?デュエルの最中じゃ……

あぁ……そういや、なんか吸い込まれたんだっけ『次元の裂け目』に……

あれ?じゃあ俺のガチデッキは?……嘘だ!!頑張って集めたのに!全部

無くなった……あぁ俺のデッキ達…………ん?

 

 

 

あー?なんだ?緑色の髪の毛をした少女が近づいてきたぞ?

なんか羽もついてらっしゃる……

あ!そうか!

あれは天使サマで、俺は死んだのかー納得納得……

 

 

「大丈夫ですか……?」

俺にこう聞いてきた天使サマ

「大丈夫ですよ、それよりお迎えですか?いやーすみませんねー」

頭を掻きながら俺が言ったら……

 

「えっ?」

 

って驚かれた……まぁ確かに急にすみませんって言ったらそりゃ困惑するわ!

「あのー……貴方まだ死んでませんよ?」

……ちょっと待ってほしい、死んでない?……冗談はいけないぜ天使サマ……

……なんか変な目で見られてんだけど!やめてそういうの!

 

「じゃあ……ここはどこですか?あの世じゃないんですか?」

俺は緑髪の少女に聞くと

「ぷぷっ……貴方は死んでもいないしここはあの世でもないですよ」

と、笑いを堪えながら言った。

 

 

 

 

俺は緑髪の少女「大妖精」と後ろに居た青髪の少女「チルノ」から情報を得た。

どうやらここは幻想郷と呼ばれており、俺の居た世界とは全く違うところらしい……

これが異世界転生ってやつ?

この世界にはさまざまな種族が存在するらしい、中でも目の前の二人は妖精に分類されるという……

どうなってんだよこの世界……

 

 

「ところでまだ貴方のお名前を聞いてませんが……」

大妖精が俺の顔を見ながら言ってきた、自己紹介しないとな

 

「俺は黒木……黒木潤だ!年齢は21歳、職業はデュエリストだ!」

 

まぁ自己紹介ってこんなもんだろ……とか思っていたら大妖精が

「でゅ…でゅえりすと?」

と職業に関して聞いてきた。あー……そうか説明がいるのか……

「言ったら戦う……『決闘』をする人たちの事かな?」

と俺が簡単に言った途端に

 

「えー!潤は決闘が出来るの!?」

と目を輝かせ興奮ぎみのチルノが俺に聞いてきた、まぁ戦うって憧れるのかな?

 

 

 

「じゃあ………アタイと決闘しろ!!」

 

 

……はい?

一瞬何を言ったのか理解出来なかった。

 

 

「ちょっと!やめなよチルノちゃん……黒木さんはまだここに来たばっかりで……」

とチルノを止めようとする大妖精

「うるさい!アタイは潤と決闘するのー!」

駄々をこねて言うことを聞かないチルノ……仕方ないなぁ

「いいよ」

俺が言うとチルノは嬉しそうに

「やったー!アタイが勝ったらアタイの子分になってもらうからね!」

いやいや子分になるのかよ俺……それだけはごめんだぜ!

俺は自身のプライドにかけて勝利すると決めた。その時

 

 

「さぁ!カードは何枚にする?私は3枚!!」

チルノが俺に聞いてきた、枚数?そんなの40に決まってるだろ?

 

「えっ?……40だろ?普通……」

そう言うと

 

 

「えっ?40枚?何言ってんの潤……そんなに用意できるわけないだろ!」

と少し怒り気味のチルノ

 

 

 

……うーんお互い決闘を勘違いしているらしい……じゃあここは!

 

 

 

「お互いのやり方で決闘をしようぜ」

俺はこう言って、自分のデュエルディスクを起動させた。

 

 

「わかった!絶対負けないからな!」

と了解したチルノ……そして

 

 

 

 

「「決闘(デュエル)!!」」

二人の戦いが始まった……

 

 

 

 

「俺のターン!ドロー!」

俺は手札を確認していた、すると……

 

「くらえー!!アタイの弾幕!!」

なんとチルノが氷柱を飛ばしてきたのだ、流石の俺も

 

「げぇ!なんだそれ!」

と声をあげたが、間一髪で横に緊急回避を行い、避けることが出来た。

地面に刺さった氷柱を見て

 

「あと少しだったのに!」

と悔しがるチルノ いやいや危ないだろ!氷柱なんて!

しかしこのまま終わるわけにはいかないので、俺も負けじと

 

「俺は手札から『ドル・ドラ』を召喚!」

刺の生えた翼を持つ二つの首を持つ竜が現れた

 

 

『ドル・ドラ』

効果モンスター

星3/風属性/ドラゴン族/攻1500/守1200

このカードの効果はデュエルで1度しか発動出来ない

場のこのカードが破壊され墓地へ送られたターンのエンドフェイズに発動できる。

このカードを墓地から特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したこのカードの攻撃力・守備力は1000になる。

 

「なんだ!?その化物!?」

チルノは大きく動揺していた、よしっチャンスだ!

 

「ゆけっ!『ドル・ドラ』チルノに攻撃!!」

潤の命令によりチルノ目掛けて突撃する『ドル・ドラ』

 

「くっ……仕方ない……」

自分の懐に手を入れなにかを取り出したチルノ……カード?

 

 

「くらえー!氷符『アイシクルマシンガン』!!」

「何!?」

チルノの持っているカードが光り、チルノの手から大量の氷柱が発射された。

急な攻撃を避けれるはずも無く……何本か『ドル・ドラ』を直撃し、耐えていたが

大きな一本が刺さり破壊された。

 

「くっ……」

 

 

LP8000→LP6500

 

 

あれ?なんでライフが減った?しかも初期8000になってるし……

いろいろ重なって混乱した俺だがデュエルに集中し、

 

「『ドル・ドラ』のモンスター効果発動!!』

破壊された『ドル・ドラ』が潤の場に首をクロスにした状態で復活した。

 

 

『ドル・ドラ』 守備力1000

 

 

「破壊された時、1度だけ復活できる!」

「カードを2枚セットし、ターンエンド!」

 

黒木潤LP6500

手札3枚

場 『ドル・ドラ』守備

魔罠 セット2枚

 

 

「なら、そいつをまた倒すだけだ!!」

再び手から氷柱を飛ばして攻撃するチルノ

 

「させるか!罠カード発動!『攻撃の無力化』!」

カードから赤と青の螺旋が発射され氷柱を打ち消した。

 

 

『攻撃の無力化』

相手モンスターの攻撃宣言時に、その攻撃モンスター1体を対象として発動できる。

その攻撃を無効にする。

その後、バトルフェイズを終了する。

 

「あれ?アタイの弾幕が消えた?」

自分の手のひらを交互に見て戸惑うチルノ

 

「このカードの効果によりお前の攻撃は無効にされたのさ!」

「なんだよそれ!ずるい!」

抗議の声を上げるチルノ

 

「ずるくない、俺のターン!ドロー!」

このまま押し切ってやる!

 

「俺は『ドル・ドラ』を生贄に!『ダークフレア・ドラゴン』を召喚!!」

『ドル・ドラ』が消え、胸のコアから炎が漏れている黒い竜が出現した。

 

 

『ダークフレア・ドラゴン』効果モンスター

星5/闇属性/ドラゴン族/攻2400/守1200

このカードは自分の墓地の光属性と闇属性のモンスターを

1体ずつゲームから除外し、手札から特殊召喚できる。

1ターンに1度、手札とデッキからドラゴン族モンスターを1体ずつ墓地へ送る事で、

自分または相手の墓地のカード1枚を選択してゲームから除外する。

 

「いくぞバトル!行け!『ダークフレア・ドラゴン』!」

『ダークフレア・ドラゴン』は少し飛翔し胸のコアに力を貯めている、

 

チルノはまずいとおもったのか、

「させるかぁ!氷塊「コールドスプリンクラー」!!」

チルノが2枚目を出すと、手に氷の塊を出したちまち氷は槍へと変化し、

ドラゴンに向かって投げようとするが

 

この瞬間、俺はみんな大好きなこのカードを発動した

 

 

「罠カード発動!『神の宣告』!」

「へ?」

 

 

『神の宣告』カウンター罠

(1):LPを半分払って以下の効果を発動できる。

●魔法・罠カードが発動した時に発動できる。

その発動を無効にし破壊する。

●自分または相手がモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚する際に発動できる。

それを無効にし、そのモンスターを破壊する。

 

「俺はLPを半分支払い!」

 

 

LP6500→3250

 

 

「お前の発動したカードを無効にし破壊する!」

俺はチルノへ指をさし宣言した、チルノの使ったカードはどんどん灰色になり……消えた。

 

「嘘……アタイのスペルカードが……」

チルノは今起こった事が理解出来ずにただ立っていた。

 

「とどめだ!攻撃!」

力の貯め終わった『ダークフレア・ドラゴン』が炎を吐き出し、チルノを襲った

 

 

「ぎゃあ!!」

 

 

ピチューン

 

 

チルノはその場に倒れ、俺の勝利だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして

「うー!強すぎるよ!!そのカード!」

と俺の体をグーでポカポカし悔しがるチルノ

「馬鹿言うな、そっちの方がつよいだろうが!!」

と反論する俺

「今度は勝つからね!」

と俺に指をさすチルノ

「はい、はい」

と雑に返す俺だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

木の陰

「はぁはぁ……チルノちゃんが戦ってる可愛い……たべちゃいたいな…へへへ……」




疲れた


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アクションデュエル?何それ美味しいの?


 

 デュエルが終わりチルノとじゃれあっていると、奥の木の陰から大妖精が近づいてきた。なぜか鼻血出しながら

 

「どーしたの大ちゃん、鼻血出てるよ?」

「あー……これはねちょっと転んじゃって……はは」

「ふーん……」

 

 会話を聞いていた俺だが流石に嘘だとわかった。しかし、追求しても何も始まらないのでその場を流す事にした。

 

「ちょっといいか?二人とも」

「なんですか?黒木さん」

「この辺に村とか無いかな?人が集まるくらいの?」

 

 俺はとりあえず身の安全を確保したかった。下手に化物とかに喰われる訳にはいかないからな

 

「村ですか?」

「そう、村、village」

「うーん……あったかな?チルノちゃん」

「えっ?人里の事だろ?大ちゃん」

「あっ…そっかぁ」

 

 どうやら人里と呼ばれる場所があるらしい、さっそく案内してもらおう。

 

「じゃあ、案内してくれるかな?」

「もち「アタイは無理〜!」……え?」

 

 急にチルノが拒否して来た、どうした?急に……

 

「どうしたの?チルノちゃん」

「アタイさっきの戦いでお腹が空いて動けない〜」

「えぇ……(困惑)」

 

 某アニメなら顔の一部を渡して済むのだが、あいにく俺の顔はパンでは出来ていないためそれは出来ない……うーん、どうしようか……

 

「潤〜なんか出してよ〜」

「ダメだよチルノちゃん迷惑かけたら!」

 

 ……二人は姉妹なのか?

 

「あっ、潤!アタイいい事思いついた!」

 

 こういうのは大体悪い事だが、一応聞いてみるか……

 

「なんだチルノ?」

「潤の持っているカードでさ、なんか出せない?……お菓子とか…」

 

 お前は何を言っているんだ、このカードが実体化するわけないだろ!!……とまぁ以前の俺ならツッコミを入れていたがここは異世界……常識が通用しないからな……

 

「一応やってみるが、何も解決しないと思うぞ?」

「いーから、やってよ!」

「仕方ねぇなぁ」

 

 俺はデュエルディスクからデッキを外し、カードを見ていった。

 俺はあるカードに目が止まった

 

(食い物カードといえばこれだよな……『非常食』)

 

 

『非常食』速攻魔法

このカード以外の自分フィールドの

魔法・罠カードを任意の数だけ墓地へ送って発動できる。

自分はこのカードを発動するために墓地へ送ったカードの数×1000LP回復する。

 

 

 確かに食べ物だが、イラストを見る限り乾パンだしな……とりあえずダメ元でやってみるか。

 

「それっぽいやつはあったけど……」

「おー!やってやって!!」

(映像だからな……食えるわけないか)

 

「速攻魔法『非常食』を発動!」

 

 俺はカードを差し込んだ……空中から一個の乾パンの缶が現れ、目の前に落下してきた

 

「すげー!これは食えるのか!?」

 

 目をキラキラさせこっちを見てくるチルノ、俺は冷静に

 

「食えねぇよ映像だから」

 

 俺はチルノの方を向かずに言った。

 

「にしてもこれ美味しいな!パサパサしてるけど!」

「だから……食え……え?美味しい?パサパサ?」

 

 チルノの方へ目をやると……なんとチルノが非常食の缶を開け、中に入っている乾パンを旨そうに食べていた。

 

「ちょっと待て……これは映像のはず……食えるわけがない……」

 

 俺は目の前で起こっている光景が理解出来なかった。

 

「映像?何言ってるんですか?そこにあるじゃないですか」

 

 大妖精が言うなら幻覚の可能性は消えた……いや、まさか本当にカードが実体化するとでも言うのか?

 

「あり得ない……」

 

 ……だがイマイチ確信が無い……ならここは、

 

「出でよ!『サファイア・ドラゴン』」

 

 

 蒼く輝く竜が現れた

 

 

 他のカードを使うまで!!

 

「うわっ!なんだよその竜!!」

「黒木さんのカードですか?」

「そうだ」

 

 俺の目の前には『サファイア・ドラゴン』が立っている、グルルルと声を出して……怖えぇ

 

 だが、出して終わるわけにはいかないので

 

 

『サファイア・ドラゴン』に触れてみた………………………硬かった。

 

 

 俺は確信を持つと急いで『サファイア・ドラゴン』のカードを抜いた、目の前に居た『サファイア・ドラゴン』は消えていった。

 

「ふー………やっとわかった」

「何がわかったんですか?」

 

 大妖精が俺に聞いてきた。そして俺は考えた結果を言った

 

「俺のカードたちはこの世界では実体化するんだ」

「それは……?」

「つはり、俺の使ったカードは本物になるのさ」

「はぁ……」

 

 あんまり理解してなさそうな大妖精、まぁ難しいだろうな、そう思っていると……

 

 

バキンッ!

 

 

 チルノの方から音がした、俺はこの音に聞き覚えがあった。それは……カードが破壊された時の音だった。

 

「うわっ!びっくりした!」

「どうしたの?チルノちゃん」

「お菓子を食べ終わったら急に壊れて無くなったんだ!」

 

「何!」

 

 慌てて俺はデュエルディスクを確認した、さっきまであった『非常食』のカードが消えていた。

 

「まさか……」

 

 俺は墓地を確認した……中から灰色になった『非常食』のカードが出てきた。

 

 「なるほど……」

 

 どうやら使用済みのカードは使えなくなるらしい……

 

 っと…考えるのは後にして今は人里へと向かおう

 

「腹はいっぱいになったか?チルノ?」

「もちろん!」

「じゃあ行こうか」

「アタイと大ちゃんが案内してやるよ!!」

 

 3人は人里を目指して歩いて行った……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?(呼ばれて、触られて、終わった……悲しい……( ;∀;))




そりゃあ何回も使えたらチートですからね


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人里

最近強欲な壺を描きました


ーーー人里ーーー

 

「ふーん……ここが人里かぁ……」

 俺たち3人は森の中を抜けてなんとか日が暮れる前に人里に着くことができた、今はチルノの提案で里の守護者に会いに行っている。守護者って事はよぼよぼの叔父さんとかなのか?

 

「なぁチルノ」

「ん?どうしたの?」

「その里の守護者ってさぁ……どんな人?」

「アタイのガッコーの先生だよ!」

「先生……そうなのか?大妖精」

「そうですね、私たちに勉強を教えてくれるとても良い先生です」

「へー、守護者であり先生でもあるのか……凄いな」

「でもな〜良い先生なんだけど……ちょっとなー」

「何かあるのか?その先生」

「うん、すっげー真面目で、アタイが宿題を忘れたらきちんと怒ってくるんだー……おかしいよね?」

「いや、それは怒るぞ誰でも」

「チルノちゃんはすぐに宿題から逃げるもんね」

「……難しいもん」

 

 チルノは面倒になると投げ出すタイプなんだな……俺もその経験があるから、やめろとは言えないな……

 

 ……しばらく歩いていてチルノの足が急に止り、

 

「ここだよ、アタイの先生の家は」

「ここなのか」

 

 そこにはまるで時代劇に出てきそうな和風の家があった。

 

「すげぇ……これがTHE・和風の家ってやつなんだな」

 

 俺のいた世界はこんな田舎に建ってそうな家は無かったから、凄く珍しく感じるな……

 

「なー潤、和風ってなんだ?」

「この家みたいな事さ」

「よくわかんないけどいいや、大ちゃん先生呼んでこよ?」

「うん、じゃあ黒木さんはここで待っていてください」

「あぁ」

 

 家の中に入っていくチルノと大妖精、おいおいノックとかしねぇのかよ……まぁ生徒だからいいのかな?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 ガララッ

 

 俺が待っていると、一人の女性とその後ろにたんこぶの出来たチルノとしょんぼりした大妖精が家から出てきた。

 

 あれ……?想像と全然違う……すっげぇ美人じゃん…………………でかいな

 

「君が例の外来人かな?」

「そう……なりますかね?」

 

 ガイライジンって何だ?俺みたいな奴の事か?

 

「あの……後ろの二人は……」

「ん?あぁ……ちょっと礼儀が為ってなかったから叱っておいたんだ」

「はぁ……」

 

 案の定怒られたか

 

「二人とも、もう帰りなさい夜になるから……な?」

 

 二人の頭を撫でながらそう言った先生、なんか怖いんですけど

 

「ぐすん……じゃあまたね潤、また遊ぼうね!」

「待ってーチルノちゃん!」

 

 手を少し振って見送る俺

 

「じゃあ、私の家の中に入ってくれないか?そこで話をしよう」

「分かりました」

 

 俺は女性の後ろについて行った

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 俺と女性は客間らしき所に座っていた

 

「すまない、急に来たから何も用意してないが」

 

 と言ってお茶を出してくれた女性、高級なお茶なんだろうな……

 

「あっ……どうも」

 

 うー……やっぱり苦手だこの雰囲気……

 

「さて」

 

 女性が俺の方へと体を向けた

 

「まずは自己紹介からしようか、その方が楽だろ?」

 

 この人……慣れているのか?こういう事に……

 

「えー……名前は黒木……黒木潤です」

「黒木か……わかった、次はこちらの番だな」

「私は『上白沢 慧音』だ、先生をやっている……よろしくな」

 

 この人は慧音さんと言うのかなるほど……

 

「とりあえずお互いの事を知ったから、本題に入ろうか」

「ちょっといいですか?」

「なんだ?」

 

 俺は少し手を上げた、どうしても聞きたいことがあったのだ

 

「さっきチルノが半泣きだったのですがあれは……」

「あれか、さっきチルノが私の事を『頭固いね先生』とか言っていたのでちょっとお仕置きしただけだ」

「さいですか……」

 

 なんかやらかしたとは思っていたが、やはりな……

 

「では、本題に入ろうか黒木」

「分かりました」

「おそらくチルノ達から聞いたと思うが……ここは君のいた世界では無い」

「聞きました」

「ふむ、なら話は早い」

 

「君は『元の世界』に帰りたいと思わないか?」

 

「………………」

 

 うーん……帰りたいのは山々だが、帰った所でまた初心者からやり直しだと思うしな……こっちの方が面白そうだしな……

 

「思わないですね」

 

俺はきっぱり断った

 

「……珍しいな」

「へっ?」

「いや……大体は帰りたいと言うのだが……」

「……………」

 

 そりゃ、そうですよね……はは

 

「もしかして、君……自殺願望者だったのか?」

「死にたいなんて考えた事ないんですけど……」

 

 いや、考える暇も無かったのか?

 

「あー……すまない、変なことを聞いてしまったね」

「いや、気にしてませんよ」

 

「じゃあ君はこの世界に留まりたいと言う事かな?」

「そうなりますね」

 

 今更ですか慧音先生

 

「うーん……なら仕事が必要だな」

 

 やっぱりそうなるのか……

 

「以前は何の仕事をしていたのかな?」

「……デュエルリスト」

「…………………聞いたこと無いな」

「はぁ……要するに戦う人です。簡単に言えば」

「……何で戦うんだ?」

「これですね」

 

 俺はデュエルディスクからデッキを抜き、慧音先生に渡した。

 

「凄いな……外の世界ではこんな物が……」

 

 慧音先生は俺のカードをじっくりと見ていた

 

「でも、どうするんだ?このカード」

「貸してください」

 

 俺はデュエルディスクを起動させ、慧音先生の持っているカードから一枚を取りディスクに差し込んだ

 

 

『強欲な壺』通常魔法

デッキからカードを2枚ドローする。

 

 

ゴトッ

 

 

 机の上に少し笑っている奇妙な壺が出てきた

 

「うわっ……黒木、なんだこの壺……笑ってる」

 

 壺の出現に驚く慧音先生

 

「どうですか?」

「あぁ……凄いな……もう、いいぞ」

「分かりました」

 

 俺はディスクからカードを抜いた、机の上から壺が消えた

 

「このディスクとカードを使って戦うわけです」

「外の世界はここまで進んでいるのか……?」

「いや、違いますよ慧音先生」

 

 確かに技術は進んでいる…だが……

 

「何故かわからないんですけど、本来映像の物が実体化する様になってしまったんですよ」

「……よくわからんが、おかしくなってるんだな黒木の中では」

「はい……」

 

「そうだな……それを使えばいろいろ出来そうだな」

「まぁ、そうですね」

「……だが、残念な事に今人里でやれる仕事は無いな」

「えぇーっ!!」

 

 おっと……驚きすぎてマ○オさんみたいな声が出てしまった

 

「ちょっと!困りますよ!仕事が無いなんて!!」

「うーん……」

 

 腕を組んで考える慧音先生…………………………………変に強調してないか?あれ……

 

「そうだな……里の人から仕事をもらうといい、それしかない」

「バイトって奴ですか?」

「そうだ」

 

 マジかよ……またバイトしなきゃいけないの?

 

「……決まりだな」

 

 慧音先生はそう言うと立ち上がり、部屋の押し入れから布団と枕を出した

 

「今日は泊まって行け」

 

 わーい!ありがとう慧音先生!

 

「じゃあ、また明日な」

 

 襖を開けて慧音先生が部屋を出て行った。

 

 慧音先生が出て行った後、部屋の襖を少し開けて外を見たらすっかり夜になっていた。

 

 ……どうなるんだ俺?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?(はぁ……私のタイプだったからつい緊張してしまったけど、うまく説明できたのか?……まさかこの私がときめくとは…………おっと…いけない鼻血が出てきたな……ふふ)




禁止カード?聞こえんなぁ


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仕事探し

表現がうまく出来ない(´Д` )


ーーー朝ーーー

 

 

ーチュンーチュン

 

 小鳥の鳴く声がする……朝か……起きよう………………………ん?

 

 体を起こそうとするが妙に重いそれになんか柔らかい……不思議に思って布団を少しめくってみた。

 

 

 そこには俺の上で気持ちよさそうに寝ている慧音先生の姿があった

 

 

 ………………………………え?

 

 

 あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!俺が布団をめくったら 慧音先生が寝ていた、な…何を言っているのかわからねーと思うが 

 

 おれも何をされたのかわからなかった……いやマジで

 

「あのー慧音先生?」

 

 慧音先生を少し揺すってみた

 

「ん……んん?」

 

 どうやら起きてくれたようだ

 

「……何してるんですか?」

「……!!起きてたのか……」

「えぇ」

 

 慧音先生は欠伸をすると

 

「これはだなー………あっ……昨日な部屋に変な物がいたから追い払ってたんだが 疲れてな」

「……でもなんで 俺の布団の中に?」

「そ それはだな……」

 

 急に顔を赤くする慧音先生    かわいいな

 

「黒木がな……気持ちよさそうに寝ていたから」

「それで布団の中に……」

「その……すまないな……」

「別に気にしてませんよ」

 

 布団をめくったら美女がいた……これを誰が嫌がる? 

 

「それより朝ご飯を食べないか?」

「いいんですか?」

「構わないさ じゃあ行こうか」

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「じゃあ仕事探し頑張ってきます」

「見つからなかったらまたここに来るがいい」

「じゃあ、また」

「頑張れよ」

 

 朝食を食べ終えた俺は、慧音先生の家から出て行って里で仕事を探す事にした 全部世話になるわけにはいかないからな

 

 俺が里の中を歩いていると見覚えのある人物がいた

 

「おー!黒木じゃん!」

「朝っぱらから元気だな チルノ」

「そりゃ そうだよ!今日は休みの日だからね」

 

 なるほど、だから里まで来てるのか

 

「黒木こそ 朝から何してるんだ?」

「んー? 仕事を探してるんだ」

「そっかー で? 見つかったの?」

「いや、見つかってないんだよ」

 

 それを聞いたチルノが足を止めて

 

「アタイも手伝ってやるよ仕事探し!」

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 その後もチルノと仕事を探して歩きまわったが、なかなか見つからない

 

「これで9件目だぜ……どうなってんだよ!」

 

 すでに9件廻ったが全てキャンセルされた、どうやら給料とかの問題で簡単には雇えないらしい

 

「運が悪すぎるね」

「運がどうとかの問題なのか?これ」

「まぁまぁ、ほら あれが次のお店だよ!」

 

 チルノが指さした方を見ると『鈴奈庵』と書かれた暖簾を掛けてある店があった。

 

 俺は早速その店に行く事にした

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 今日はお客さんが来ないから暇ねぇ……本でも読んじゃおうかしら

 

 あら? 今日はお客さんは来ないと思ってたのに誰か来たわね……

 

 

ーーーーーーーーー

 

 どうやらここは本屋のようだ、それも随分と古い部類を扱っているらしい……

 俺が待っていると店の奥の方から橙色の髪の少女が小走りで来た。

 

「急にすいません」

「いえいえ 今日はどのような御用で?」

 

 遠回しに言うのもあれだしな……もうシンプルに言っちゃうか

 俺は少女の両肩を掴んで

 

「単刀直入に言います……俺を雇って下さい」

 

「え?……えぇ!そんな!急に言われても……ちょっと待ってください」

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 俺は少女ーーー『本居小鈴』に大体の事情を話した。

 

「ふーん、黒木さんはこの里で仕事を探しているんですね あっ 敬語は使わなくてもいいですよ」

 

「分かった……本居さん」

 

「小鈴って呼んでもらえます?」

 

 すごくグイグイ来るな この人

 

「……小鈴」

 

「そう、それでいいんです あー……お仕事の件なんですが」

 

 ついに…………?

 

「雇う事は出来ません」

 

「ガーン(´Д` )……………ショック…………………………………………54」

 

 余りのショックに膝をつく俺 青年よこれが絶望だ…… どっかでそんな声が聞こえた気がした。

 

「そんなに落ち込まないでください! 確かに雇う事は出来ませんが……」

 

 おっ?来るのか?この流れは……

 

「今日だけの仕事なら与えれますよ」

 

 やったー!!……えっ?今日だけの仕事??

 

「今日だけの仕事って?」

「これです」

 

 そう言って小鈴は俺に『霧雨魔理沙』と名前の書かれた紙を俺に渡してきた。

 

「きりあめ……まりさ?」

 

「違います『きりさめ』です この人から本の回収をお願い出来ますか?」

 

 霧雨ねぇ……

 

「分かりました その依頼受けましょう」

 

「良かった………………………………………………………これで行く手間が省けたわ(ボソッ」

 

 何か聞こえたような気がしたが……気にしないでおこう

 

「ちなみにこの人が住んでいる所は……」

 

「『魔法の森』ですね」

 

 なんか学院でもありそうな所だな……

 

「帰った時にお給料払いますね」

 

 ……それを世間ではバイト代って言うんだぜ小鈴ちゃん

 

「では、行ってまいります……」

 

「気をつけてー」

 

 小鈴に見送られ俺は暖簾をくぐり外に出た

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 外に出るとチルノが腕組みをしながら待っていた

 

「遅いよー!」

「悪い悪い、けど依頼が入ったぜ」

「本当か!?やったな黒木!」

「ところでよ『魔法の森』って知ってるか?」

「知ってるよ?そこに行けばいいの?」

「そうか……じゃあ話は早い 案内してくれないか?チルノ」

「いいよ!」

 

 俺は依頼を完了させるため、『魔法の森』へと向かった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?(黒木さんすっごいカッコよかったなぁ…………彼女さんとかいるのかしら?)




そろそろ戦闘シーン挟みたいな…………


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木の正体

バトルの構成が曖昧ですいません


ーーー人里から魔法の森への道中ーーー

 

 

 小鈴の依頼を受け魔法の森へと向かう黒木とチルノ

 

「そういえばさ 黒木って……飛べんの?」

 

 チルノは普通に聞いたつもりだったが、黒木は一瞬何を言っているのかわからなかった

 

 ……?何を言ってんだ? 飛べるわけないだろ人間が……それとも頭が飛んでいるって言いたいのか?

 

「飛べないぜ……大丈夫かチルノ?」

 

「ふーん……アタイは飛べるんだけどね」

 

 と言って宙に浮くチルノ 

 

 それを見た黒木はあり得ない光景に目を点にしていた

 

 何ですかこれ!?トリック?舞○術?えっ?これが普通なの?この世界!?

 

「まぁ、アタイら妖精は飛べるけど 飛べないやつもいるからね」

 

「そうなのか……」

 

 へー 妖精は便利だなー

 

 チルノは飛ぶのをやめて黒木と歩く事にした

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「ん?行き止まりだ 道が無い」

 

 

 一本道をひたすら歩いて来た二人だが黒木の言った通り目の前には、大きな木あり道の邪魔をしている。

 

「変だな……こんな所にあったかなぁ……」

 

 チルノは指で顎を持ち、今朝の事を思い出していた

 

 アタイは確かにこの道を通ったけど……やっぱり何にも無かったような……

 

「……なんかこの木怪しくないか?」

 

 黒木は最初に見た時から不自然だと思っていた

 

「確かに……どうする?」

 

 

 

「そんなもん決まってるじゃねぇか」

 

 

 

 

「「えっ?」」

 

 

 

 

 一瞬何処からかチルノと同じタイミングでそう言った声がしたが、黒木には聞こえなかった。

 

 

 

 

「こうするんだよ!!」

 

 

 

 

 黒木はデュエルディスクを起動させ、デッキの一番上のカードをひいた。

 

 要は燃やせばいいんだろ?……簡単だぜ!

 

 

「出でよ!!『タイラント・ドラゴン』!!」

 

 

 黒木がカードを置くと 咆哮を上げながら翼を広げ二足歩行の巨大なオレンジ色のドラゴンが現れた

 

『タイラント・ドラゴン』

効果モンスター 星8 ドラゴン族

攻2900 守2500

相手フィールド上にモンスターが存在する場合、

このカードはバトルフェイズ中にもう1度だけ攻撃する事ができる。

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、

このカードを対象にする罠カードの効果を無効にし破壊する。

このカードを他のカードの効果によって墓地から特殊召喚する場合、そのプレイヤーは自分フィールド上に存在するドラゴン族モンスター1体をリリースしなければならない。

 

 

「俺が今持っている中での最上級モンスターの一体だぜ!!」

 

「す……すごく大きい……」

 

 黒木は誇らしげにそう言い、チルノは格好よさに見惚れていた。

 

「いくぜ!!『タイラント・ドラゴン』!!ドラゴン・フレイム……」

 

 黒木は邪魔な木に向かって攻撃宣言をしようとした その時……………

 

 

 

 

「待って!!」

 

 

 

 

 木から声が聞こえた 

 

「うぉ!?木が喋った!?」

 

 まさかこいつ…… ウィスピー○ッズなのか!?

 

 急に木が喋ったので慌てて『タイラント・ドラゴン』の攻撃を中止した黒木……『タイラント・ドラゴン』は口から炎を吐くのをスタンバイしていたが、急にキャンセルされたので不満そうに黒木の方を見ていた。

 

 

「あれ?」

 

 

 その時黒木はある事に気がついた……

 

 

 これよく見たら………看板じゃね?

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「ごめんなさい……つい出来心で……」

 

 黒木の目の前には謝っている三人の妖精の姿があった 

 

 どうやらこの三人『サニーミルク』『ルナチャイド』『スターサファイア』は今日考えた本物そっくりの木の看板を使い道を塞ぐ悪戯をしていた、道を通る人の邪魔をしていたが黒木のモンスターを見てつい叫んでしまったらしい……

 

「あんたら本当に暇なんだね」

 

 どうやらチルノはこの三人と面識があるようだ

 

「うるさいわね!チルノの癖に!!」

 

「何を〜!?」

 

 チルノと口喧嘩をし始めたサニーミルク

 

「はいはい、止めろ止めろ」

 

 チルノとサニーの間に割って入って喧嘩を止めた黒木

 

「チルノ?俺らがするべきなのは依頼だろ?……口喧嘩じゃない」

 

「そうだけど……」

 

 少ししょんぼりしているチルノ 

 

 おいおいそんなに傷つくのか?仕方ねぇ……

 

 黒木はチルノを慰めるため頭を撫でてやった。

 

「!?………………っ!?」

 

 その後三妖精の方を向いて

 

 

「お前ら二度とこんな事するなよ……… もし、もう一度やってたら止めないからな?攻撃…」

 

 

 と三妖精に笑顔で優しく言ったつもりだったが、三妖精から見ると恐ろしかったようで……

 

 

「「「ひいぃ!!もうしません!!」」」

 

 

 三人仲良く逃げて行ったのでした。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 行ったか……全く 変な物に絡まれたな……

 

「よし、気を取り直して行くか!チルノ!…………………チルノ?」

 

「………………………………………………………………」

 

 チルノは顔を赤くし、下を向いたまま棒立ちになっており少し震えていた。

 

 黒木は察しがついた

 

 あー……男に撫でられるの初めてだったんだなきっと……戻るまで待つか……

 

 

 

 その後チルノが戻るまで数分かかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?「「「あ……………………あの人に名前聞くの忘れた……」」」




どうしてレベル8のモンスターが生贄なしで召喚されているのかだって?……よくアニメのみんなやってるじゃない……生贄なしの急な召喚……


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魔法の森の困ったさん

今回長いかも


「ほら、ここから先が魔法の森だよ」

 

 俺はチルノの案内のおかげで、魔法の森の入り口まで来た。

 

 目の前には看板が立っており『この先魔法の森』とご丁寧に赤文字で書かれていた。

 

 赤文字で書くって事は危険なんだろうな……

 

「アタイは別の用事があるから、黒木ひとりで行ってね。」

 

「わかった、ここまでありがとうな」

 

「じゃあね」

 

 二人は別れて自ら目的の場所へと向かった。

 

 ……俺も用事を済まさないとな

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

「すげぇ……」

 

 看板の奥へ行くと周りは木で囲まれており、地面はまるで緑の絨毯のように苔が目立ち、所々にキノコが生えていた。

 

 黒木は異世界ならではの光景に感動していた。

 

 キノコ狩りとか面白そうだな……

 

 魔法の森のキノコは見た目が悪い上に、瘴気を放っており、大抵の人間が吸い込むと体調を崩す。さらに、幻覚作用を持つキノコもある。

 

 しかし、彼はそんな事も知らずに呑気に考えていた。

 

 何か、食べたら大きくなる!……みたいなキノコ無いかな

 

 某ゲームの事を言っているが、当然そのような物はここには存在しない ここにあるのは悪影響を及ぼすキノコだけだ。

 

「なんかここ通ったような……」

 

 黒木は迷子になりかけていた。

 

 無理もない、ここは道が複数あって一度通ると無限ループが始まる物もある。その上似たような景色が広がっているせいで中々気づかない事も多いのだ。

 

 彼は自分の運を信じて歩く事にした。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

「ここなのか?」

 

 道を辿って行くと彼は森の中で広いスペースがある所にたどり着いた。

 

 運は彼に味方してくれたようである。

 

「……変な家があるな」

 

 彼の目の前には、所々に植物の蔦が絡まっていて不気味な家が建っていた、なぜか家の周りに森で見かけたキノコが生えていた。

 

「行ってみるか……玄関どこだろ」

 

 彼はとりあえずその不気味な家を訪ねることにした。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

「和風……じゃないな」

 

 彼は玄関の扉が木で出来た洋風である事に気づいた、人里では和風の扉が多かったため洋風が珍しく感じた。

 

 とりあえずノックするか……

 

 コンコンッ

 

 彼は二度扉を叩いた。

 

「留守か…………おっ?」

 

 扉の向こうで歩いてくる音が聞こえる。中に居るようだ

 

 ガチャッ

 

 扉が開いた そこには、黒木より少し低めで、黒く魔女っぽい帽子を着た、黒い服の金髪の女性が立っていた。 

 

「あー……すまない、今やってないんだ 帰ってくれないか?」

 

 黒木に向かって帰るように言う彼女

 

「貴方が『霧雨魔理沙』さん?」

 

「そうだぜ?それがどうした?」

 

 よっしゃあああ!!遂に見つけた!しかも金髪!

 

 心の中で喜ぶ黒木

 

「あの……小鈴さんの代わりに来た者ですが」

 

 黒木は喜び抑えながらセールスマンの様に笑顔で言った。

 

「なんだよ、小鈴の代わりかよー!びっくりさせんなー!」

 

 彼女は違う物を想像していたらしい。

 

「まぁ、立ち話もなんだ、中で話そうぜ!」

 

「分かりました」

 

 黒木は魔理沙に従い、家の中へと入った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 家の中に入ると壁には所々蔦が絡み リビングだと思われる所にはいろんな物が置かれていた。本は積み重ねられ、何が書いてあるのか理解できない紙や液体の入ったフラスコなどは机の上に雑に置かれていた。

 

「よいしょ、 これに座ってくれ」

 

 魔理沙は近くに置かれていた木で出来た小さい机と、椅子二つを向かい合うように用意し、黒木と魔理沙は机を挟み向かい合って座った。

 

「なぁ、お前名前なんて言うんだ?」

 

 魔理沙は机に両肘をつき手で頬を支えながら初歩的な事を彼に聞いた。

 

「潤……黒木潤」

 

「へー黒木って言うのか 里で見た事無いしなー お前外来人か?」

 

「そうなるね」

 

 魔理沙は外来人だと知ると、とある事を聞いてきた。

 

「外の世界は 此処とは全く違うって本当か?」

 

 彼女は外の世界に興味があるのか、そんな事を聞いてきた。

 

「違いますね……こんな森とかも田舎に行かないと全く見れないので」

 

 黒木は正直に思った事を話した。

 

「ふーん…… おっと悪い……今度はお前が質問してくれ」

 

 魔理沙は黒木に質問を求めた。

 

「では、魔理沙さんは「さんは付けなくていいぜ」……魔理沙は魔女なのか?」

 

「うーん 間違ってはいないが……魔法使いの方が正しいな!」

 

 そんなに変わらないと思うけどな 何か違いがあるのか? ま、いいや

 

「どうしてこんな森に?」

 

「そりゃ もちろん魔法の研究のためだぜ この森のキノコは、魔法に必要な幻覚作用を持っているからな」

 

 げえぇ……!あのキノコにそんな効果が……食わなくてよかった……

 

 彼はこの時初めて、この森のキノコが危険だと知った。

 

「ところでよ……その腕に付いているやつは何だ?」

 

 魔理沙は黒木の腕に付いているデュエルディスクを指差した。

 

 やっぱり、 みんな気になるんだな……

 

「これか?これは俺の商売道具 これで決闘をするのさ」

 

「決闘だと!?お前も戦えるのか?」

 

 身を乗り出してそう言った。黒木はこの時、察しがついた。

 

 あっ……不味い! この流れは……

 

「私とやろうぜ!……と言いたいところだが……生憎今、『八卦炉』は修理中だからな……」

 

 あれ?違うパターン!? 帰れる! 

 

「じゃあ、本を返却して「嫌だ!」……は?」

 

「お前が戦うのを見たら返してやる!!」

 

 魔理沙はどうしても黒木が戦う所を見たいようだ。

 

 えぇ…… 素直に帰らせてください

 

 そんな彼の願いも届かず、魔理沙に腕を掴まれ引きずられていく……

 

「いい考えがある!外に来い黒木!」

 

 こういう事に関しては運がない様である。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

「今からお前は私の化身と戦ってもらうぜ!」

 

「どうしてこうなった……」

 

 黒木は魔理沙に外へ出され、戦う羽目になっていた。

 

 黒木は森の中を見回したが、それらしい物は何処にもいない…… 魔理沙は横でブツブツ呪文か何かを唱えていた。

 

「よし、準備完了だぜ!」

 

 魔理沙は呪文が何かを唱え終わると、その後森の奥を指さした。

 

「え?」

 

 黒木は魔理沙の指さす方向を見た。

 

 

 ズシーン!ズシーン!ズシーン!と地響きを起こしながら、何か大きな物が森の奥から近づいてきた。姿は森の影でよく見えない……

 

 その物体が明るい所に出ると黒木はその正体がわかった、それは黒木の約2倍あり顔が魔法陣で魔理沙の顔だけの様な木の化物だった。

 

 化物はしばらく歩くと、黒木達と距離を置いてその場に止まり、待機していた。

 

「あれが化身?……全く似てないな」

 

「そんな事はどうでもいいぜ!さぁ 頑張って倒すんだぜ!」

 

 そう言うと逃げるように魔理沙は黒木から離れ、後ろの奥へと走って行った。

 

 一人取り残された彼は、目の前の化物と対峙する事になった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

「えぇい!ドロー!!」

 

 奴の攻撃力がわからない……一応これで行くか……

 

 この世界では本来表示される攻撃力や守備力が表示されない為、どう対処すればいいのか黒木はわからなかった。

 

「『ランス・リンドブルム』召喚!!」

 

 槍を持ったドラゴンの戦士が現れた。

 

 

『ランス・リンドブルム』攻

 効果モンスター 星4 風属性 ドラゴン族

 攻1800 守1200

(1):このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、

その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。

 

 

 まずは……様子を見よう…………

 

「最初は攻撃できない……一枚カード伏せ、ターン終了」

 

 黒木潤 LP8000

 手札4枚

 場 『ランス・リンドブルム』

 魔罠 セット1枚

 

 

 黒木がターン終了を宣言した直後、化物は奇声を放ち足の部分である根っこを伸ばし振り回して攻撃して来た。

 

 その攻撃は場のモンスターを破壊した。黒木はモンスターが破壊された事によりダメージを受けた。

 

「ぐっ……」

 

LP8000→7800

 

 蔓で攻撃してくるとは……しかも200ポイントのダメージ……まてよ?

 

「この瞬間!永続トラップ発動!『リビングデッドの呼び声』!」

 

 尽かさず彼は罠カードを発動させた。黒木の場に紫の煙がたち、地面から先程倒されたモンスターが現れた。

 

 

『リビングデッドの呼び声』 永続罠 

 自分の墓地のモンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。そのモンスターを攻撃表示で特殊召喚する。

 このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。そのモンスターが破壊された時にこのカードは破壊される。

 

 

「このカードの効果により『ランス・リンドブルム』が復活!」

 

 黒木は低レベルのモンスターを囮に上級モンスターを召喚しようとしていた。

 

「ドロー!」

 

 この世界では相手の攻撃が終了するとカードを引けるようである。

 

「場の『ランス・リンドブルム』を生贄に『クリスタル・ドラゴン』を召喚!!」

 

 『ランス・リンドブルム』が消え、そこから翼を広げ青く輝くサファイアのようなドラゴンが現れた。

 

 

『クリスタル・ドラゴン』攻

 効果モンスター 星6 光属性 ドラゴン族

 攻2500 守1000

 1ターンに1度、このカードが戦闘を行った自分ターンのバトルステップに発動できる。デッキからドラゴン族・レベル8モンスター1体を手札に加える。

 

 

 このカードは生贄1体で2500というかなり強い上バトルをするだけでデッキからレベル8ドラゴン族のカードを加える、黒木の主力のモンスターの1体だった。

 

「バトル!やれ!奴の足を狙え『クリスタル・ドラゴン』!」

 

 俺の予想が正しければ、あの化物の足は攻撃力2000!!

 

『クリスタル・ドラゴン』は命令の通り化物の足を狙い蒼い光線を放った。

 

「この時、効果によりデッキからレベル8ドラゴン族モンスターを手札に加える」

 

 効果を忘れずデッキからモンスターカードを手札に加えた黒木

 

 足に光線が命中し苦痛の声を上げる化物、光線が当たった部分は焼かれ灰になり使い物にならなくなった。

 

「やはり……カードを2枚伏せターン終了」

 

 黒木の手札は4枚、モンスターは『クリスタル・ドラゴン』のみ、伏せカードも無し 彼は自分の勝利を確信していた。

 

 しかし、化物は足を壊された事に激怒しているのか中央の魔法陣に光を溜め始めた、大技を出すつもりである。

 

「っ!トラップ発動!『威嚇する咆哮』!これで攻撃出来まい!」

 

 カードから耳を塞ぎたくなるような高音が響いた。この音には耐えれなかったのか、化物は力を溜める事が出来ないようであった。

 

 

『威嚇する咆哮』 罠

 このターン相手は攻撃宣言できない。

 

 

 一見シンプルなテキストだが攻撃宣言自体を封じるので、後攻ワンターンキルの対策としては重宝する。

 

「このターンでケリをつけてやる!ドロー!」

 

「手札から『ヘル・ドラゴン』召喚!更に魔法カード『受け継がれる力』を発動!」

 

 

『ヘル・ドラゴン』攻

 効果モンスター 星4 闇属性 ドラゴン族

 攻2000 守0

 このカードが攻撃したターンのエンドフェイズに発動する。このカードを破壊する。

 フィールドのこのカードが破壊され墓地へ送られた時、自分フィールドのモンスター1体をリリースして発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。

 

『受け継がれる力』 魔法

 自分フィールド上のモンスター1体を墓地に送る。自分フィールド上のモンスター1体を選択する。

選択したモンスター1体の攻撃力は、発動ターンのエンドフェイズまで墓地に送ったモンスターカードの攻撃力分アップする。

 

 

「これにより『ヘル・ドラゴン』を墓地に送り、『クリスタル・ドラゴン』の攻撃力を2000ポイントアップさせる!」

 

 『ヘル・ドラゴン』が光と化し『クリスタル・ドラゴン』に取り込まれていった。

 

 『クリスタル・ドラゴン』攻2500→4500

 

「行け!『クリスタル・ドラゴン』奴に止めを刺せ!」

 

 攻撃力が跳ね上がった『クリスタル・ドラゴン』の放った光線は、化物を一瞬で葬った……

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

「ふー……」

 

 戦闘が終わり一安心した黒木はカードをデッキに戻し、ディスクをOFFにした。

 

 

「終わったのか?」

 

 いつの間にか奥にいた筈の魔理沙が黒木のすぐ後ろに来ていた。

 

「うぉ!?……いつの間に……」

 

「気がつかなかったのか? まぁいい……はい、これ」

 

 魔理沙が手渡してきたのは一冊の本だった。鈴奈庵から借りていたものである。

 

「お前の戦いが見れて最高だったぜ!また来いよ!」

 

 黒木の肩を叩き、そう一言だけ残してスタスタと自宅へ帰って行く魔理沙

 

 黒木は呼び止めて怒りたい気持ちになったが今は依頼が先だ、と思い魔理沙の家を後にした。

 

 

 

 予想外の事が起きたが、なんとか依頼をこなした彼は来た道を辿り、小鈴の待つ人里へと向かって行った……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?「あいつ……また来ないかな?」




魔理沙の化身はよく東方のフリーrpgに出てくる魔理沙の影をイメージしました。

魔理沙の影
LP1000
足(根)攻撃力2000 守備力0
顔(魔法陣)攻撃力1000 守備力0

体力が半分になると怒って未完成「マスタースパーク」攻撃力3000を放つ、魔理沙本人より大分格下のモンスター


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俺の住処

?「住宅ローンがあと26年残ってるノーネ!」


 魔理沙の化身を倒し、本を回収した俺は給料……というよりバイト代を貰うために鈴奈庵へ向かった。

 

 

「これ、魔理沙から回収してきた」

 

 そう言って俺は、魔理沙から回収した本をカウンターに座って本を読んでいた小鈴に渡した。

 

「あれ? もう行ってきたんですか?早いですね…………………………もう少し遅ければ」

 

 ん? なんか聞こえた様な……

 

「何か言ったかい?」

 

「いえいえ、とんでもない 本を読みたかったなんて思ってませんよ……はは」

 

 ……本心が表に出てるんだが……腹黒なのか?

 

 流石にそんな事を聞くのは失礼なのでバイト代を貰うことにした。

 

「早速で悪いんだが、バイト代を……」

 

「バイト……まぁ一日だけでしたもんね………………………………はい、これです。」

 

 小鈴は給料袋と思われる封筒を俺に手渡してきた。

 

「確認しても?」

 

「ええ、いいですよ ちゃんと目で確認して下さい。」

 

 まぁ、本を取り返すだけの仕事だったから……あんまり入ってないだろ。

 

 俺は封筒を開けて中身を確認した。…………そこには なんと、諭吉くんが2枚入っていた。

 

「あれ!? 小鈴……これ2万だよな? 多くない?」

 

 バイト代にしては多いため、俺は本当にこの額で合っているのか確認した。

 

「いいんですよ、黒木さん……あなたは普段 人が立ち入らない魔法の森へ行き苦労して、本を回収してくれた……それは私からほんのお礼です。」

 

 とお礼の言葉をくれた小鈴……なんて優しい子なんだ!

 

「そうか……ありがとうな」

 

「いえいえ……今度こういう時になったらまたお願いしますね。」

 

「おうよ!」

 

 俺は小鈴から貰ったバイト代を持ち、後ろにある入り口から鈴奈庵を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………黒木は気がつかなかった。…………小鈴が口を三日月にして黒い笑みを浮かべていた事を……

 

(……また………頼みます……よ?………………フフッ……)

 

 

 

 

 

 鈴奈庵を後にした俺は慧音先生の家へと向かっていた……

 

 ちょうど人里にある一軒の団子屋を通り過ぎようとした時

 

「おっ!黒木じゃないか!どうだ仕事探しは順調か?」

 

 突然、声を掛けられた。俺は声の方向を向くと……

 

 慧音先生が店のベンチに座ってこちらに手を振りながら、片手でみたらし団子を美味しそうに食べていた。

 

 一瞬、みたらし団子が食べたくなったが、抑えた。

 

「こんな所に居たんですか慧音先生……」

 

「ん? なんだ、私に用事があったのか? ここに座れ」

 

 慧音先生が自分の隣に座るよう、ジェスチャーを送ってきた。

 

 俺は断る理由が無かったので、隣に座る事にした。

 

「で? 私に何の用だ? 黒木」

 

「えっと……その………ね」

 

 チラッ

 

 おいー! どこ見てんだ俺! ただ用件を言うだけじゃないか!

 

 俺は己の中に潜む欲望を抑えながら、慧音先生に用件を言おうとした。

 

 慧音は黒木が自分の方を真っ直ぐ見ずになぜ、チラ見をしているのか、大体予想がついた。

 

「…………お前、さっきから私のむ「あー!そうだ!思い出した!!」…………なんだ」

 

 あぶねー! もう少しで変態呼ばわりされる所だった! ギリギリ回避!

 

「そうです!家!俺が住める、もしくは建て直せるような家を紹介して下さい!」

 

 俺が慧音先生を探していたのは、自分が住めるマイホームを紹介してもらうためである。

 

「あー!? うーん家なぁ……急に言われても……」

 

 慧音先生が探偵が考える時みたいな真剣そうな顔で考えている。

 

 頼むよー! お願いします! この通り!

 

 俺は心の中で運の神様に必死に懇願した。

 

「そういえば、里に一つあったな、使われてない空き家」

 

 運の神様は少し微笑んでくれたようだ。

 

「それは、どこら辺に?」

 

「ここを真っ直ぐ行って左だな」

 

「ありがとうございます!早速行って参ります!!」

 

 俺は慧音先生にお礼を言った後、その空き家へ急いで向かった。

 

 後ろで慧音先生が何か言っていたが聞こえなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい!待て!……………………………………行ってしまった……」

 

 みたらし団子奢ってやったのにな……

 

 しかし……今日のあいつ妙にソワソワしてたな……やはり童……いかんいかん、考えるな私!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 慧音先生が言った通り、そこには家があった。

 

 外見は慧音先生の家に比べたら少し小さいが、一人暮らしをするためには十分な大きさだった。

 

「これが空き家なんて最高じゃないか!」

 

 俺はワクワクしながら扉を開けた。

 

 

 

 

 

 廊下は天井に少し蜘蛛の巣がかかっているが、それほど酷くは無かった。

 

 廊下の奥には広い部屋があり、ご飯を炊くための釜戸があり、そばには裏口と思われる扉もあった。

 

 なんか……となりの○○ロみたいだな

 

 そんな事を思いながらさらに家の中を調べる事にした。

 

 

 

 

 

 部屋の中を見て回ったが、ちゃんと風呂もあり、生活していく上では申し分ないほどだ。

 

 外を見るとすでに夕方になっていた。

 

「やべっ!飯買ってこないと!」

 

 

 

 俺は、今日貰った金を手に家の外へ出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?「………………あいつはあの家に住む事になるのか……フフッ」




短い!次回は長くします!


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夜の人里

通常モンスターって変な効果モンスターより使える。


「夜になってしまった……」

 

 今日の晩飯をこしらえるため、食材を買いに出かけたのはいいが……まさか、新しい家からこんなに遠いとは思わなかった。

 

 最初は、近いだろうと思って人里の探索も含めて歩き回っていたが、気がついたら夜になっていた。

 

「まぁ、材料買えたし……良しとするか」

 

 俺が店を見つけた時はすでに閉店間際だった為、急いで買い物を済ませた。

 

 店を出る時、会計をしてくれた叔父さんから「今度は早めに来てくれ……頼むよ」と釘を刺された。

 

 本当に申し訳ないと思っている。

 

 だが、時間を費やしたおかげで人里の全体像を見る事が出来た。もう道に迷う事はないだろう。

 

 しかし、暗い……昼間とは全然違うな……

 

 食材を入れたビニール袋を持って自宅へ帰る道中を見てみると……夕方頃まで開いていた店は全て閉まっており、活気があった通りも今では、人を何人か見かける程度で活気ずいてはいない。静寂そのものだった。

 

 夜のここってこんなに静かなのか……

 

 そんな事を思っていると、夜である筈なのに前方から明かりが見えた。

 

「こんな時間に……何だろ?」

 

 俺は好奇心が抑えられず、その明かりの方へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やきとり……て事は居酒屋なのか?」

 

 明かりの方へ向かっていると「やきとり」と書かれた提灯と暖簾をかけた屋台が止まっていた。

 

 まぁ、居酒屋だし夜にやってるのは当たり前か……ちょっと覗いてみるか……

 

「いらっしゃい」

 

 暖簾をくぐり中に入ると、青いバンダナを頭に巻き、茶色の服に身を包み、背中に鳥のような羽を生やした。人間では無さそうな女将がウナギ?の串焼きのような物を焼いていた。

 

 俺は屋台の椅子に座り、机に置かれていたメニュー表を見ていた。

 

 目の前でウナギ?の串焼きを焼くのに集中していた。女将が改めて俺の顔を見ると、

 

「あら? 常連かと思ったけど、違ったわね。」

 

 ふーん……常連がいるのかこの屋台は

 

 と俺がメニュー表を見て考えていると、

 

「ねぇねぇ、お客さん……名前は?」

 

 女将が、常連じゃないのを不思議に思ったのか、俺の名前を聞いてきた。

 

「黒木……黒木潤、年は21歳、昨日ここに来たばかりの……ここで言う外来人だ。」

 

 俺は手短に自己紹介をした。女将は「へー……外の世界の……」と小声で言っていた。

 

 そして、俺の紹介が終わると女将自身も自己紹介してきた。

 

「じゃあ私ね、私は『ミスティア・ローレライ』この屋台の女将、みんなからは『ミスチー』って呼ばれているわ。どっちでもいいけどね。」

 

 へー、女将さん 外国の人みたいな名前してるんだな。なんかこの世界、名前が特殊な人が多いな……

 

「いや、ここでは『女将さん』と呼ぶよ」

 

「『女将さん』ね……じゃあ私はあなたの事を『黒木さん』と呼ぶわ」

 

 うーん……さん付けか……まぁ、客とオーナーの関係だからな……仕方ないか。

 

 腹が空いた俺は、この屋台で少し食べてから帰る事にして、俺はとある事をミスチーに聞いた。

 

「なぁ、女将さん……この屋台で人気のある食べ物ってなんだい?」

 

 せっかくこの屋台に来たんだから、何か名物があるだろうと思い、聞いた俺。

 

 それを聞いた女将は「これかしら?」と言って、今焼いているウナギ?の串焼きを手元に置かれていた皿に乗せ、俺の前に置いてきた。

 

「これは?」

 

「それは、『八目鰻』の串焼き、ここの名物よ 美味しそうでしょ?」

 

 八目?……あぁ、たしかに目の横に点があるな

 

 焼かれていた時はよく見えなかったが、今改めて見ると点があるのがわかった。

 

「……いただきます。」

 

「よく味わってね、」

 

 俺は前世の記憶にも無い、八目鰻の串焼きを初めて食べた。

 

 

 

 うまい!!テーレッテレー!

 

 

 

 俺の後ろが光るくらい美味しかった。もうこれ、商品化して良くね? 冷凍食品として……

 

「すごく美味いな、これ」

 

「でしょー? 一本200円だからね、良心的でしょ?」

 

 そういう感じに女将さんと俺が話していると……

 

「おーい、やってるかぁ?」

 

 暖簾をくぐってここの常連らしき人が現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺が声の方を見ると、目が紅く白の長髪で、赤いもんぺを着ている、世間で言うイケメン女子が居た。

 

 うわー、すごいイケメンな方……

 

 俺がその女性に魅入っていると、俺の方を見て、

 

「あんたの隣いいか?」

 

 と聞いてきた。俺は「いいよ」と言い、少し席を開け、女性がそこに座った。

 

「ミスチー、酒を一杯」

 

「はいよ、」

 

 隣の女子がミスチーに注文した。ミスチーはグラスを用意し、近くの棚から酒を注ぎ、女性の前に出した。

 

「ありがとう」

 

 隣の女性はゴクゴクと喉を鳴らし、まるでお酒をジュースのように一気に飲み干した。

 

「ぷはー!! 上手い!!」

 

 女性は酒を飲み終わると、仕事終わりのサラリーマンのような事を言っていた。

 

「妹紅さん、相変わらず呑みますね……」

 

「当たり前よ!これが週一の楽しみなんだから!」

 

 この女性は『妹紅』と言うらしい、それにしても週一ってすごいな……常連なのだろう

 

 と思いつつ、食べかけの八目鰻を食べていると

 

 妹紅が俺の方をじっと見て、

 

「もしかして………お前が、慧音の言っていた『黒木』って奴か?」

 

「ブッ!…………ゴホッ………ゴホッ……………………なんで俺の事を?」

 

 急に聞かれた上に、慧音先生の名前が出てきたのに驚き、さっきまで食べていた部分を少し吐き出してしまった。

 

「いやー……慧音がな……「面白い奴が来た」って言ってな、私が「どんな奴?」って聞いたらさ、「黒い服で腕に機械を着けて髪が黒茶の男性」って言うからよ、一度会ってみたいなーって思ってたんだ!……まさか、こんなとこで会えるとは!」

 

 マジかよ……慧音先生と面識あんのか……

 

「悪い悪い、急に聞いてしまった。私は『藤原妹紅』慧音とは古くからの友人だ!」

 

「……俺の事は「知ってる」………だよな」

 

 おそらく……慧音先生が全部喋ってくれたのだろうと、俺は考えた。

 

「ミスチー!もう一杯!」

 

 妹紅は気分が良くなったのか、その後も酒を追加で注文していき………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……うっぷ…………ううっ……呑みすぎた……気持ち悪」

 

 妹紅はさっきより顔が赤くなり、完全に酔っている事がわかる。あの後妹紅は9杯も呑んだのだから。

 

「あー……妹紅さん?大丈夫ですか?」

 

 ミスチーは10杯も呑んだ妹紅を心配していた。それもそうだ、普通なら10杯も呑めば体がおかしくなってしまうからだ。

 

「女将さん、いつもこんな感じなのか?」

 

「まぁ、そんな感じかな……後は酔った妹紅さんを『迷いの竹林』にある家に届ける感じ」

 

 ミスチーも大変なんだな…………俺もそろそろ帰るか……

 

「女将さん、会計を」

 

 俺は八目鰻を5本食べただけだ。……ちょっとだけのつもりが……美味しくて、つい食べてしまった。

 

「八目鰻が5本でそれ以外は……頼んで無いね……1000円ね」

 

 俺は既にさっきの店で2000円を使用し、ここで1000円を払うから‥…残り17000円か、痛いな……

 

 俺はミスチーに1000円を渡して家に帰ろうとした。

 

「妹紅さーん、妹紅さーん! 起きてください!」

 

「………………………………………………………」

 

 ミスチーの呼びかけに反応しない、机に伏せて眠る妹紅……どうやら酔い潰れたみたいだ。

 

「困ったな……いつもならここで慧音先生が代わりに会計してくれるのに……」

 

 二人のやりとりを見ていた俺は放っておく訳にもいかず……

 

「はぁ……仕方ねぇ……女将さん、俺が払うよその金」

 

 妹紅の代わりに代金を払う事にした。妹紅に後日に払ってもらうか……

 

「いいんですか?……妹紅さんは酒を10杯呑んだので……2000円ですね」

 

 ぐう……耐えろ! 可愛いイケメン女子のための一時的な出費だ! 後から取り返せる!

 

 と自分に言い聞かせ、ミスチーに2000円を手渡した。

 

 15000……今日で4分の1を失ったのか……とほほ……

 

 

 俺は居酒屋を後にして夜道を歩きながら、これも経験だ、と自分を励まし自分が帰るべき所へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?「妹紅さん…………………………………本当は起きてるんでしょ?」

?「………………………………………………………………バレたか」

?「いい加減にしてくださいよ?」

?「悪い悪い……いっつも手ぶらで来てしまうんだ。」

?「……頭大丈夫ですか?」

?「大丈夫だ問題ない……」

?「いい装備なんて無いですよ……」

?「何言ってんだお前……」

?「あ゛!?」

?「すいません……もう馬鹿にしません……」




酒を10杯も呑んだら、アル中になるんですかね?


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香霖堂

風が強い……


 

 次の日 俺は鈴奈庵から木箱の運搬の依頼を受け、魔法の森の中にある『香霖堂』という店に行く事になった。

 

 前回は魔法の森で強制的に戦いをさせられたため……あまり行きたく無いが今度は本を届けて帰るだけなので簡単に終われるだろう。

 

「此処が香霖堂だな……看板もあるし」

 

 俺は迷いながらも、運よく目的の店に到着できた。

 

 目の前には『香霖堂』と書かれた店があった。見た目は魔理沙の家によく似ているが、店の周りにガラクタの様な物が置かれていた。

 

「いっぱい置いてあるな……これも売り物なのか?」

 

 ガラクタの中には使えそうな、テレビや冷蔵庫があったためそう思った。

 

 俺は鈴奈庵からの荷物を持ち中へ入って行った。

 

 

 

 

 

「いらっしゃい」

 

 そう言って来たのは店の店主と思われる、銀髪で眼鏡をかけた青い服を着た男性が居た。

 

「あの……店主さんですか?」

「あぁ……そうだ僕が店主の『森近霖之助』だ 君は……?」

 

 なるほど霖之助さんね、覚えとこ

 

「『黒木潤』と言います 鈴奈庵から荷物を届けに来ました。」

「鈴奈庵に注文したやつを持って来てくれたのか!預かろう、黒木君」

 

 そう言うと霖之助さんは俺から木箱を受け取り、店の奥へと消えて行った……

 

 荷物を渡すと俺は店の商品を見て周った。

 

 店の中で扱われているのは見た事ない物ばかりだったが、中には俺の世界にある物があった。

 

 俺が商品を見ていると霖之助さんが店の奥から帰って来た。

 

「どうだい?僕の店の商品は?」

「……わからない物が多いけど、興味がある物ばかりですね」

「興味がある?それはどうしてだい?」

「俺が居た世界にはこんな物ありませんから」

 

 霖之助さんは少し黙って俺の格好を見た後

 

「君……もしかして外の世界から来たのかい?」

「そうです」

「どうりで……見た事ない服装だったのか……いや、そんな服を着た人は里にも居ないからね」

「珍しいですか?」

「珍しい………まぁ、この世界には派手な服装の人も居るからね 気にしなくていいよ」

 

 確かに、里に何人か格好が派手な人がいたな……

 

 俺がそう思っていると霖之助さんは「ん?」と言って俺の腕に目を向けた。

 

「黒木君……この機械はなんだい?」

 

 おっと………今度はこっちが対象になったか……

 

「俺の戦力です、これを使って戦うのです。」

 

 俺は霖之助さんにデッキの一番上のカードを渡した。

 

「ふーん……このカードでね………………………………………………………ん?」

 

 霖之助さんは何かを思い出したようで、再び店の奥へと消えて行った。

 

「……急にどうしたんだ?」

 

 俺がしばらくの間待っていると、奥の部屋から霖之助さんが紙袋を持って帰って来た。

 

「どうしたんですか?」

「いやー悪い悪い、まさか君の持っているカードと一緒だったとはね……」

 

 と言って、紙袋から何かを2つ取り出して俺に渡して来た…………俺は一瞬目を疑った。

 

「俺のデッキじゃないか!!しかも2つ!?」

「やっぱり、君の物だったのか……」

「どうしてこれを?」

「つい先日僕の知り合いから、預かって欲しいと頼まれてね………」

「ありがとうございます!……でその方の名前は?」

 

 俺が名前を聞こうとすると、霖之助さんは俺から目を逸らし……

 

「すまなが………忘れた………」

「えぇ!?そんな……思い出せないんですか!」

「いろんな人が物を持ってくるからね……いちいち覚えるのはちょっと……」

 

 うむむ……まぁ、大変なんだろうな……

 

「分かりました 思い出したらまた俺に言ってください。」

「わかった、そうするよ。」

 

 と霖之助さんと話していると、店の扉が開き誰かがやって来た。

 

 

 

 

 

「よぉ〜!香霖!遊びに来たぜ!!」

 

 そこには、魔法の森で俺に戦わした張本人 霧雨魔理沙が立っていた。

 

 げぇ……魔理沙じゃねぇか!!

 

 彼女はズカズカと入ってきて、そばにあった商品の椅子に座った。

 

「はぁ………魔理沙………冷やかしなら帰ってくれ………あとそれは商品だ」

 

 霖之助さんは魔理沙に近づき、やれやれといった感じで注意した。

 

「そう堅い事言うなよー!私だって時間が無いのにわざわざ来てやったんだぜ!」

「時間があるからこうやって来てるんだろ……」

「まぁまぁ、付き合ってくれよー!私一人じゃあ死にそうなんだー!」

「ハムスターかよ」

 

 魔理沙が子供のように言って、それを霖之助さんか注意する。

 

 俺は早く帰って仕事料を貰おうと思い、立ち去ろうとしたが…………………

 

「お前、黒木じゃないか!? 何してんだ?こんな所で?」

 

 魔理沙がどうやら俺の存在に気づき、指を指してきた。

 

 やべぇ……絡まれた……

 

「仕事だよ仕事」

 

 そう言うと魔理沙は椅子から降りて、俺の方へ近づいてきた。

 

「ふーん……終わったのか?」

「えっ? おわっ………………………」

 

 しまった!!「終わった」って言ったら、絶対何か言ってくる……

 

「そうか!終わったんだな!」

「イイエ、オワッテオリマセン」

「嘘つけ!どうせ帰ったって暇なんだろ?ほら、私と遊ぼうぜ!」

 

 俺は魔理沙に腕を掴まれて玄関へと引きずられて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?「忘れたなんてひどいですわ……」

?「君が僕に注文してきたんだろ?正体はバラすなと」

?「そうだったかしら?」

?「あのな……」

?「冗談よ………………はいこれ」

?「………?なんだいこれ?」

?「彼の手助けになる物……………店に置いとくといいわ」

?「手助け?それってどう言う……………………………………逃げたな」




▼黒木はデッキを入手した

●「機械の進撃」
●「ドラゴンジェノサイド」


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