魔導王の姉〜異世界行っても知識は役立つ〜 (はる)
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弟編
1 限界サバイバル


暫くは知識チートです。


気がついたら森の中にいた。

 

何を言っているんだと思うかもしれないが、私も混乱しているので少し整理させて欲しい。

ただただぐうたらしていただけなので、何やっていたかなんて覚えていないが、たしか昨日は一日中ベッドの上から動かず、漫画をごろ寝で読んでいた筈だ。間違ってもトラックに轢かれたとか、誰かを庇ったとかした覚えはない。死んでないんだから転生なんてありえない。

 

なら私のこの手は何だ⁉︎

この紅葉のような小さな手は!

 

森の中タオル一枚で包まれた赤ちゃん(わたし)

 

ダメだ。生きれる気がしない。あぁ、神様!せめて動物に食べられる終わり方だけはやめて下さい、…食べられてもいいから先に殺して下さい。生きたままはダメェ!!

 

「あぅあ」

 

…⁉︎誰だ!同士か?

 

「ああぅ」

 

金髪くりくりお目目のちみは一体誰だい?

 

「ぅう?」

 

…何だ、ただの赤ちゃんか。

じゃなっーい!!不味いじゃん。私ならともかくマジの赤ちゃんはダメだ。所構わず泣いちゃうって。森の肉食獣達に「餌はここですよ」しちゃうよ。

 

「う…ぅう…、」

 

ダメだぁ!ほらぁ、いい子いい子、ね?

うんうん、姉ちゃんのタオルしゃぶってもいいから黙ろうね?…う、寒い…

 

 

赤ん坊をあやし初めてから3時間くらい、気付いた事がある。

誰も、どの生物も私達に近寄らない。

いや、怖そうな豚?猪?みたいのが近寄ってきたんだけど、心ん中で「頼むからお亡くなりやがれ下さい」って念じていたら、実現した。

 

何を言っているのかって?

私にもわからないがたぶん転生特典とかそんなんだと思う。やったね!…何て言うかボケェ!

 

寒いんじゃ、眠いんじゃ、怖いんじゃ!

 

いつ襲われるかもしれない恐怖。いっそ襲ってくれ…とか思ったり思わなかったり。、やっぱ襲わないで。

 

そろそろ日が暮れる。

本格的に寒くなりそうだ。大人の身体なら今頃は近くの薪木かなんかを集めて暖をとっていたものを…この紅葉(おてて)ときたら。。。

 

だいたい寝返りがギリギリできるくらいって何歳よ?

絶対半年チョットだ。そんな子供を森に置いてく親って何やねん。せめてもうちょい面倒みて下さい!具体的に言うなら大学卒業の年齢くらいまで。

 

「あぅう(寒い…)」

 

 

息が白い。赤ちゃん特有の赤い健康的だった肌が、今は真っ白になってブルブルと震えてる。タオルは弟?にあげたがタオル二枚でも辛いだろう。そしてタオル0枚じゃ寒いどころじゃないよマミィ。ダディかもしれないけど。

 

「う…ぅう…うわぁああん!」

 

あぁ、弟が遂に泣いてしまった!

お姉ちゃんも泣きたい!…でも、精神年齢的にも私が弟の面倒を見なくては。保育選択の知識を見せてやる。唸れ私の筋肉達…!

うぉおぉお!必殺「寝返り」!!

 

ズリィ…ゴロン

 

ふぅ、何か一生分の体力を使った気分だ。しかぁし、弟の体温と動物を近寄らせない為お姉ちゃんは火を焚かなければいけぬのだ!

 

うおぉ!唸れ私の上腕二頭筋、今が6ヶ月くらいと仮定すると2ヶ月程速いが姉ちゃんはやってみせる!これが奥義「ハイハイ」だぁー!

 

「うぅ…ぅ、うわぁぁぁん」

 

な、何故だ、弟よ!チョット遠くに行くだけだ。お前を見捨てるなんてしないぞ⁉︎   えぇーい、泣くな!姉ちゃんは枝と枯れ葉を集めて暖を取らねばならぬのだっ、お前の為にも!

 

「うっ…うっ…うぅ」

 

わかってくれたか、弟よ!

よし、今の内に沢山集めるぞ!

 

ふぅぅ…のぐぅおぉお!

必殺「は!」「い!」「は!」「い!」

 

枯れ葉を集めれば、暖を取れるはず!

そうとわかれば先ずは探すゼェ!

 

 

 

 

そう思っていた時期が私にもありました。

 しかし、赤ちゃんが枯れ葉を集めたって火を起こせるわけがなかった。逆に赤ちゃんが火起こせたら今頃赤ん坊の居る家庭は皆火事になっていただろう。何故私はこんな簡単な事に気づかなかったんだ。

 

まぁ、枯れ葉も集めれば中は意外と暖かい事がわかっただけ良かったとしよう。弟を中心に枯れ葉の山を作ってっと。勿論顔の部分は息が出来るようにしておく。こうしておけば、暖かいし、動物に狙われづらいだろう。我ながらよく頑張った。

 

…今日はもうこれでいいだろう。まだちょっと寒いし、弟にはポッカイロになってもらおう。うん、暖かい。

 

————————

 

名前:姉(名前はまだ無い)

魔法:わからない(転生特典あるっぽい)

年齢:およそ半年?

持ち物:無し

 

名前:弟(名前はまだ無い)

魔法:わからない

年齢:およそ半年?

持ち物:タオル二枚

————————




…無理があってもツッコんではいけない、、、


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2 限界サバイバル

さて、今日は食糧を探そう。

 

…何で私はこんな限界サバイバル何てやってるんだか。

 

ご飯…生後半年くらいの子は、離乳食。それも二回食だ。離乳食はたしか、

10倍かゆ 大さじ3弱

野菜 大さじ1強

豆腐 大さじ2弱

魚 小さじ2

だったかな?

…ダメだ。一つも得られる気がしない。

今は何か代用できる食べ物を探さなくては

 

…んん⁉︎アレは?

山芋先輩じゃないか!!!

何という奇跡⁉︎知ってる形とチョット違うけど…他の動物がかじった跡あるし毒とかは大丈夫だろ。

 

、待てよ。ここにあるという事は

…やっぱり!ここにも、あっ、こっちにも!

 

弟よ、暫くの食料問題が解決しそうだぞ!

 

よし、これを持って帰ろう。

 

待っていろ弟!お姉ちゃんは頑張る!

めっちゃ筋肉痛だが、頑張るぞ!

そうして這ってきた道を10メートル戻るとさっき居た枯れ葉ハウスに辿り着いた。

 

うぉーい、弟や。姉ちゃんが飯持ってきたぞ!

 

「うぅ…や!」

 

そんな…⁉︎

山芋先輩が拒否された、だと、。

頼む弟!これで勘弁してくれ…

姉ちゃんはこれしか探せなかったんだ!

 

「あい」

 

ん?え?

 

「あい」

 

え?もしかしてくれるの?

何ていい子なんだ!お姉ちゃんは感激した!

弟よ、お姉ちゃんは明日も弟の為に頑張るぞ!

 

う!…ネバネバ。だが、良かった。別に毒とかは無いっぽいな。

ほら、姉ちゃん全部は食べれないから弟も食べるんだ。幸い細っこいのを選んだから手で折れるよ。白い所だけ食べるんだぞ?

 

「あぁう」

 

うんうん、食べるの上手。誰も褒めてあげないから私が他の人の分も褒めてやろう。お前はちゃんと愛されているんだぞー。

 

 

 

 

さて、これからどうしよう。

昨日のこの時間頃急にココに来たわけだが。いい加減転生したのは認めよう。だが、どんな世界に転生したのかは全くわからない。

 

こんな森の中に子供を捨てておく以上、前の世界より文明が発達していないのはわかる。

 

前の世界なら、捨てるくらいなら売るからなぁ。

人身売買もしくは臓器売買…いやぁ、異世界で良かった。生きるって素晴らしい。

 

先ずは、現状打破する事だが。果たして他者に助けを求めるべきか否か。普通ならここは即YESと言いたい。だが、人の敵は人。この世界の常識を知らない以上迂闊な事はしない方がいい。もしも「捨て子には何してもいい」とか「子供に人権はない」というのがこの世界の共通認識だったら、本当に笑えない。

 

やはり、生きていけてる以上まだ他者の必要性は感じないな。だが念の為近くの村の場所くらい探しておこう。

 

だが今やるべきは衣食住の人間の3大欲求を叶える事だ。

 

衣…タオル一枚(尚弟に貸し出し中)

食…山芋(生)オンリー

住…枯れ葉の山(衣を兼任中)

 

…、…うーむ。

これは、どうしようか。えーっと、「衣」から取り組もうかなやっぱ。凍え死にそうだし。弟には病気とかから安全であって欲しいし。

 

そうと決まれば。

…でも皮舐めせないし、てかそもそも動物とか狩れないし、どうしたもんか。

 

大っきい葉っぱでも探すか。待ってろ弟!今お布団兼服を探してくるからな!

 

うっ、うわぁ!

何だこれ、ツル?ツタ?

 

…おおっ。これを糸がわりに色々出来そうだ!

こいつは回収だゼェ。

 

そしてこの葉っぱ!

傘かって言うくらいでっかい。これも回収だな。…持てねーな。ならば、自分の周りに葉っぱを巻いて、このツタでくくりつければ…!

…この、…うりゃ、…、…よし、出来た!

 

姉は葉とツタのワンピース(側から見たら肩出し簀巻き)を手に入れた!

 

 

 

 

ただいまー。弟よ、元気してたかぁ?お姉ちゃんは今日衣食住の「衣」をゲットしたぞ。

 

「うあいあぅ」

そーかそーか。元気か。もうすぐ夕方か。よしよし、ご飯にしようねー。

 

細い山芋をポキリと折る。今度は折った芋をさらに縦を割って白いところを弟に渡す。この弟も転生者かって疑うくらい頭が良かったので一度教えた事はちゃんと聴いてくれた。(土は食べちゃダメ。枯れ葉も食べちゃダメ等々)

 

「あぁーうぅ」

 

おー、どうした?なんか喃語を沢山言うようになったなぁ。話し相手が私しかいないからあんまり喋らない子だけど。あー、はいはい。そうねー…何言ってるんだろうなぁ。

 

この子の服も早く作ってあげないとなぁ。今は綺麗な葉っぱを肌近くに、周りに枯れ葉を敷き詰めてるけど。オシッコとかジャーだろうし。一応カブれないように定期的に大きい葉っぱを弟の下に敷いてるけど…何かいいものないかなぁ。綺麗な葉っていうのは冷たいし。タオルも汚れちゃっただろうし。

 

はぁ。ちゅかれた…魔法が使えたらいいのに。

 

「あぁうお?」

ああ、何でもないよ。おいしいねぇ。よかったねぇ。

 

しかし、テキトーに言った事だが案外あるじゃなかろうか、「魔法」というものが。仮にも異世界転生なんてしておいて無いって事はないだろう。いや、希望的観測か? …合ったとしても万人が使えるのか。ゲームの設定のように、一握りしか使えない可能性もあるしな。後で練習でもするか。

 

————————

 

名前:姉(名前はまだ無い)

魔法:わからない(転生特典あるっぽい)

年齢:およそ半年?

持ち物:葉とツタの簀巻き

 

名前:弟(名前はまだ無い)

魔法:わからない

年齢:およそ半年?

持ち物:タオル二枚

————————

 



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3 限界サバイバル

あれから3ヶ月が経った。

 

私も毎日せっせっとハイハイしていたお陰で、今ではい掴まり立ちどころか、立つ事が出来る様になった。ハイハイのスピードもそこらの赤ん坊の倍は速い自信がある。大きくなって行動範囲が広がり良い事づくしの様に聞こえるだろう?だが残念、親が疲れる年齢になってしまったんだ。

 

「ねー」

 

あーはいはい、ねーはここですよ。危ないからお家で待っててねー。あー嫌かー、そっかー。

 

…そう。赤ん坊の9ヶ月ってのは本当に大変なのだ。生後9ヶ月はハイハイやつかまり立ちをしたり、後追いが始まったりと、心身の発達が目立つ時期だ。親がいない以上、ママじゃなく姉を探して泣くようにもなるので、育児の面ではまたひと山という感じだろうか。世のママは偉いね。

 

え?今生のママ?絶許よ?

何か理由があったとしても、結局結果が全てだからね。

 

「ねー」

 

わかったわかった。ついておいでー。

とりあえずいつも行く自作農園に行くのは辞めよう。下手したら芽を潰されたり、まだ成長の見込みがあるものを食べられてしまうかもしれない。

 

え、どうやって自作農園を作ったかだって?

仕方なかったんだ。山芋先輩だって出来ない事はあるんだ。だから、偶々近くにあっただだっ広い農場の作物の種を実ごと貰っただけだ。…定期的に。えぇーい!攻めたきゃ攻めな、でも子供二人で過ごすにはこれしか無かったんだ…

 

「どーじょ」

 

弟よありがとう。これはミミズだねー。あー、食べちゃダメよ。

 

「みーう」

 

そうそう、ミミズ。いやぁ、良い子だね弟は。偉いぞ、ほら頭撫で撫でしてやろう。可愛いなぁ。嬉しそうに笑って。

 

 

 

 

実は弟の後追いが始まってすぐ、私はある事を思いついた。その名も…「引越し」!

 

弟を上手く誘導して別の場所に住処を移す大作戦だ。

この作戦の要は何処に誘導するかだが、それは心配無い。この間ちょうどいい樹洞を見つけたのだ。私達姉弟が暮らすにちょうどいい所だ。樹齢はだいぶ凄そうで、前世なら御神木にでもなっていそうな木だが、異世界という事で許してほしい。木の神々しいオーラの恩威は有り難く頂戴する。

 

さぁ弟よ、お姉ちゃんに着いておいで!

「ねー」

そう!お姉ちゃんはこっちだ!

 

 

 

 

そうしてたどり着いたのが今の家である。 今は枯れ葉を敷き詰めたりして多少住みやすくなった。赤子のうちからこんな働いて自分の身体が色々と心配である。障害とかでないよね?

 

「ねー」

 

弟よ、今日は雨が降りそうだからお散歩はダメだ。

 

「あぇ?」

 

その通り。小鳥や虫が低い所を飛んでいる。具体的に言うなら私の顔の高さ。これは、雨が降る予兆だ。羽が水分を含んで重くなるせいだった気がする。弟よ、覚えておくといいぞ。

 

「あぇ」

 

うん。だから今日は大人しく家の中にいような。今日は風も強いな…

 

「ねー」

 

どうしたんだ?おぉ、何か風に飛ばされてきたのか。ってコレ占いのタロットカードだ。そんな凝視して、カードが珍しいの?…占いが普及したのは結構昔だけど、タロットは確か1300年代だよな?だとするとここは1300年頃の世界なのか?いや、近くの農場も前時代的だったが農機に乗っていたぞ?

 

農機は1800年代からだ。流石に500年の差は広すぎる。場所によって技術の進化が違うとしてもだ。とすると、やはりここは前世とは縁のない世界か。だが、技術の進歩にそんなに差が出るのか?

 

「どーじょ」

 

あぁ、ありがとう弟よ。今は考えても仕方ない。どうせ人間(・・)と関わるのは舐められない力を手に入れてからと決めているし。

 

そう力んでカードを持ったのがいけなかったのかも知れない。カードを持った瞬間、何かに体力が吸い取られていく感覚がした。

その後カードが光ながら膨張する。慌てて外に投げ捨てた所、5メートルほどの半円を地面に造った。わかりやすく言おう、爆発したのだ。

 

何故カードが爆発したのか。私は色々な可能性を考えた。

 

1 実はこの世界は技術が物凄く発達している。

2 この世界特有のアイテムだった。

3 奇跡的な何かが起こって爆発した。

4 魔法だった。

 

 

わからない。私はこの世界の事を知らなさすぎる。

もしこういう技術が進んでいるなら、舐められない力を手に入れる事が出来るかも知れない。

 

さっきのは軍用兵器か?また手に入るだろうか。否、そんな簡単に手に入ったら人類はお互い害し合って今頃は生きてないだろう。

 

なら前世で言う地雷の様なものか。

 

だが待てよ。弟が持っていた時は全く反応しなかった。爆破する相手を指定する事が出来るのか。なら誰かに監視されている?いや、そんな酔狂な人は居ないだろ。とすると何だ。もしかして私が変なボタンでも押してしまったのか。確かにカード持った瞬間何故かやっちまったと思ったが。

 

「おー!」

 

弟よ、何かの間違いだ。そんなウル〇〇マン見た男児みたいな目でお姉ちゃんを見るのはやめてくれ。

 

「ばーん!」

 

いやっ、違う筈…その穴は私が作った訳じゃない。…まさか本当に私がやったのか⁉︎

 

だとしたらエライこっちゃ。

 

————————

 

名前:姉

魔法:わからない(転生特典あるっぽい)

年齢:およそ9ヶ月

持ち物:肩出し葉簀巻き タオル

 

名前:弟(名前はまだ無い)

魔法:わからない

年齢:およそ9ヶ月

持ち物:肩出し葉簀巻き タオル

 

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4 限界サバイバル

タイトル変えました。

あと、次の次の話を間違えて投稿してしまいました。もう呼んでしまった方、すいません_| ̄|○


私が家の前に半径5メートルの穴を作ってから早いもので、もう1ヶ月が経った。無事二足歩行出来る様になり、今までよりも高い場所に手が届く様になったし、物もたくさん持てる様になった。

 

そこで考えたのは、ペットを育てる事である。出来れば牛系かヤギ系か鶏系のものがいい。今は大丈夫でも、秋や冬が来たら食糧不足は不可避だ。何とかして雌鶏か有精卵でも見つけなければ。

 

さて、今日も日課を行おう。

そうそう、この前川を見つけたんだ。今までは近くにあった池から水を拝借していたが、もっと綺麗な水の川だ。そこまで大きくない小川より少し大きいかなくらいの。この川のお陰で今は他人に頼っちゃいけない時期だって気付いたんだ。

 

何を見たかって?

…まぁ、流れていく物がね。人だったり、軽い武器だったり、まぁ、そんな感じ。…戦争してんじゃねーかと。

 

「ねーた」

ん、一緒に行くのか。まぁ、それも一月も前の話だし、今は大丈夫だろ。お陰で服とかは一式揃ったし…それに万一弟が見てしまったとしても、それはしょうがない事だ。戦争の恐ろしさを隠して常識知らずに育ってしまっては困る。

 よしよし、行こーね。川は勢いはあまり強くないけど、私達だとまだ流される可能性かあるから絶対に入らない事。わかった?

 

「うー」

 

よしよし、じゃあ着いてきてね。疲れたら言うんだよ。

 

 

 

ザッー

ザッー

 

気をつけてね。あんまり近寄んないんだよ。さて…これは何だ?

 

漂着物のようだが、普通の物には見えない。杖に宝石のような石が付いているのだ。この世界の最新のファッションかもしれないが、何か胸騒ぎがする。

 

…また爆発するんじゃなかろうか。

何も起こりませんように。

 

何ともないな。ん?石から文字が浮かび上がっていくだと⁉︎これは一体。

 

「ねーた、どーじょ」

 

そう言って弟がビニール?の袋を渡してきた。とりあえず、この杖とビニール袋は持って帰ろう。

 

あっ。いや待てよ。水とビニールがあるんだ。火を起こそう。太陽光を火種になるものに直接当てて熱で発火させるやり方。たしかビニール袋に水をためて、ルーペと同じ要領で太陽光を集めて着火させる方法があった気がする。黒っぽい枯れ葉を集めてっと…お、煙が出てきた!

 

「ねーた!」

 

初めての煙でビックリしたねー。でも大丈夫よ。ふぅー ふぅー。

薪をくべて、よし。お次は魚を鷲掴みィ!…って、無理だな。

 

石で罠でも作るか。

 

魚ってのは馬鹿なもんで、川の中にぐるぐると石で道を作ると、行き止まりまで泳いで方向転換出来ず動けなくなる。ゆっくりと逃げ道を封じれば、赤ん坊でも魚を捕まえられるのさ。

 

一時間後

 

ん〜。アユかな?2、3匹引っかかっているし、今日は焼き魚だ。弟よ、骨は抜いてやるから綺麗な葉っぱもってきな。私は丸焼きを齧りたいから細い枝を探してくる。

 

ジュワッ

ジュワッ

 

よしよし、こんなもんだろ。火を通しておけば大体大丈夫!

いただきます!

 

おおぉお!何て懐かしい味だ。暖かい。今生初の暖かいご飯だ。

「!」

初めての熱いものにびっくりしているな、弟よ。それが暖かさだ。美味しいだろう?

 

「おいち。」

 

…たんとお食べ。食糧の事は姉ちゃんに任せとけ。お前がもう嫌って言うくらい姉ちゃんが面倒見てやるからな。だから弟よ、大きく立派に育て。孫見るまで死なせないからな。

 

「ねーた、あぇ」

 

あぇ…雨?本当だ、積乱雲だな。水辺だからあまり気にしていなかったが確かに今日はジメジメとしている気がする。お腹も膨れた事だしお家に帰ろうか。杖も一緒に。

 

 

 

 

ピッ…ピッ…ピッ

 

杖から浮き上がっている文字は更新し続けている。

この杖からわかった事は、どうやらマジで異世界だった事。…そして言語が読めない事だ。

 

言語が読めないのはヤヴァイ。

今は自給自足出来ているからいいものの、人生で人間と一生関わらないままという事は無いだろう。人間は自分より劣っている者を馬鹿にしがちだ。商人にとって馬鹿は鴨だ。権力者からしたら無能の仲間は敵より要らない。…詰んだ。

 

 

いや!

そんな事はない。まだ、諦めるには早い。明日、農場の方に侵入してみよう。いつも端のところに成っている実を取るだけだが、農場主の家の近くに行ってみよう。杖を家の前に置いておく。上手くいけば読み上げてくれるかも知れない。

 

「ねーた」

 

ダメだ。流石に今回はお前を連れては行けない。弟はお留守番だ。泣いたってダメ。危険だからね。心配してくれるの?大丈夫だよ。何たってお姉ちゃんだからね。

 

お姉ちゃんは明日人間に会ってくる、弟は家から出ない方がいい。もしも何か緊急事態が起こったらお姉ちゃんが前に作った罠を発動させるんだ!テコの原理で小さい岩を転がし、それが少し大きい岩にあたり、その岩が大きい岩にあたり…と計算が正しかったら土砂崩れが起こる筈だから。

 

ただこれは本当に危ない時だけにしてくれよ。そう、例えば命の危機とかね。そうかわかったか。

 

じゃあ今日はもうねんねしようか。

 

————————

 

名前:姉

魔法:わからない(転生特典あるっぽい)

年齢:およそ10ヶ月

持ち物: 布を腰で縛った服 葉簀巻き下着 タオル 杖

 

名前:弟(名前はまだ無い)

魔法:わからない

年齢:およそ10ヶ月

持ち物: 布を腰で縛った服 葉簀巻き下着 タオル

 

————————

 

 

 



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5 限界サバイバル

おはよう弟よ。お姉ちゃんは昨日言った通り、他の人に会いに行ってくる。お留守番、宜しくね。

 

「ねーた」

 

ダメだ。危険だって言ったろ?

お姉ちゃんだけで確認してくるから心配するな。杖が一体何を意味しているか、知りたいんだ。これはただの私の好奇心だから、それにお前を巻き込むわけにはいかない。絶対帰ってくるから心配するな。

 

 

 

 

ピッ…ピッ

 

よしよし、まだ音が鳴っているな。これを家の前に置いて。ドアをノック。

…ピンポンダッシュ!!、、は出来ないから早歩き。

 

「はーい、今行きますよー。こんなド田舎にどちら様かねぇ。」

 

よし。こっちの言葉はわかるっぽいな。出てきたのは、何処にでも居そうなおばちゃんだった。しかし、とても日本語が堪能な人種には見えない。しかも服装が中世ヨーロッパのようだ。

 ここは私の知ってる地球でも無いようだな。

おばちゃんは、キョロキョロと辺りを見回して杖に気がついたようだ。

 

「ありゃ、何でこんな所に魔道具なんかあるんだか。」

 

…⁉︎魔道具だと。魔道具ってあれか、魔法で動く物ですか。という事はこの世界では魔法があるという事⁉︎

 

「魔道士が落しでもしたかね?まったく、商売道具だろうに。ん?何か書いてあるね。「計測不能 通信が途切れました」か。何かの監視魔法だねこりゃ。」

 

え。

 

ドゴォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンン!!!

 

「何だい⁉︎…こりゃ凄い土砂崩れだね、」

 

…、まさか、冗談半分で作った罠が作動したのか⁉︎それに監視魔法って、、、くそっ!もし本当なら私達姉弟は監視されてたって事じゃないか!

 

「近頃は子供狩りも落ち着いたってのに、縁起悪いねぇ。」

 

子供狩り⁉︎

何てオンタイムな…

さっきの土砂崩れと言い、弟が危ない!

戻らなきゃ。

 

ヨチヨチ

 

クソ!

急がなきゃ行けないのに、、、

早く、もっと早く、行かなきゃ。行かなきゃ。

…、いつもより速い?

って、うわぁ、何て強い風!でも追い風だ、速く動ける。

 

びゅゅううぅうう

 

いつもよりずっと速い。もう農場を通り過ぎ、家の近くたどり着いた。

 

無事で居てくれ、弟よ。

 

ブォモオオオン!!

 

デカい猪。いつもなら食べられてしまうと慌てる所だが、今はそんな時間無い。猪がこちらに気づいて突進の構えをとる。

 大丈夫。最初の日みたいに、願うんだ。「死んでしまえ」と。

弟の為にも、今はお前なんかに構ってる時間はない!

 

 

邪魔だっ、死ねェエエエエエ!!!

 

ブォオオオッオォ「バタァンッ」

 

 

やっぱり、望めば相手が死んだ。

よし、この力があれば私は弟を助けられる!

 

待ってろ、すぐに行くから!

 

「全く、何で俺らがこんな森ん中来なくちゃいけないんだっぺ。」

「まぁそう言うな。測定器付きの連絡ラクリマなんて、俺等の給料じゃ一生買えない物の捜索だぞ?」

 

、、鎧に剣、何処かの兵士か⁉︎何でこんな森の中に…そうだ、警察みたいな物だし助けを「こちらD班、魔道具は見つかったか。」

 

「こちらC班、以前見当たりません。」

…声が聴こえるあの杖、私が持ってた杖と一緒だ。杖が通信機だったのか!

 

「最後に杖を持った金髪の赤子も捜索対象だ。あの子の魔力は素晴らしかった。」

 

…相手の容姿が見れるなんて、ビデオ電話タイプかよ!

 容姿がバレているのは非常に不味い。

 

いや、不味いのか?

兵士なら流石に子供を保護してくれるんじゃ。

「あの赤子はいい兵器になる。絶対に逃すな!

  逃すくらいなら、最悪殺しても構わん!!!」

 

…兵器?

殺しても構わんって何て事言ってるんだ?

 

「こちらA班、川の近くに薪木の後を見つけました!」

 

、昨日の焼き魚の跡か。何で跡処理をしなかったんだ私は。

 

「こちらB班、不自然な爆発の痕を発見。調査します!」

 

不自然な爆発の痕だって?

それって、、ダメだ、考えるな。違うに決まってる。私の所為で弟が捕まるなんて事、あっていい筈がない。

 

「うわぁぁぁん!!」

 

…違う、弟の声じゃない。幻聴だ、家は大人は入れない樹洞の中にあるんだ、気付くわけない。あの子には家で静かに待ってろって言っておいたから…

 

「っ!樹洞の中に子供を発見、ラクリマで見た容姿と相違ありません!」

 

「了解、貴重な戦力だ。回収せよ!これより首都に帰還する!」

 

何言ってんだ。何言ってんだよ。意味わからねェよ!!!

 

「あ、何かコッチにも赤ん坊いるっぺ。」

「んじゃ一応報告するか「こちらC班、赤」、、?おかしいな。何か急に通信が途絶えたぞ。」

 

コイツ等は敵だ。

やはり私は合っていた。人の敵は人、この世界の常識が子供にとって不利かもしれない…と。

 

「何かこの子、不気味でねーが?」

「確かに。気味悪ィし、コッチは上も要らねーだろ。テキトーに処理しておこうぜ。」

 

兵士二人が近づいて来る。

 

「赤ん坊なんてほっとけば死にそうだが、念の為。」

「戦争中じゃなきゃ、国で保護してやれたんだが。

 悪く思わないでくれよ、こっちも仕事なんだ。せめて苦しまずに灰にしてやる。炎魔法 火拳ッ!」

 

そう言って兵士の片方が拳から炎を出し、私に殴りかかって来る。

あぁ、やっぱり魔法は存在したのか。

 

「悪く思わないでくれ」か。

自分を殺そうってのに、そりゃ無理な相談だろう。

 

 

だから、私の事は、悪く思っていい。

 

 

 

 

死ね

 

 

 

 

————————

 

名前:姉

魔法:死?(転生特典)

年齢:およそ10ヶ月

持ち物: 布を腰で縛った服 葉簀巻き下着 タオル 杖

 

名前:弟(名前はまだ無い)

魔法:わからない

年齢:およそ10ヶ月

持ち物: 布を腰で縛った服 葉簀巻き下着 タオル

 

————————

 

 

 

 

 

 



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6.逃げきれ!

ちょっとダーク入っちゃったかも。
苦手な人は飛ばしてください。


「こちらB班、C班応答せよ!…たくっ、どうしたんだアイツ等。」

 

「さぁ、杖壊しちまったんじゃねぇか?

 何にせよミッションは成功したわけだし、先に首都に帰ろーぜ。」

 

魔力の高い子供は俺たちが手に入れた。魔道具はA班が手に入れたが、壊れていたらしいしMVPは俺達だろう。今回何もやってないC班との連絡が途絶えたのは、差し詰め手柄求めてキングボアに喧嘩でも売っちまったからだろう。

 

「う、、、うぅ、、ねーた」

 

「ねーた?何だそれ。姉貴でもいるのか?

弟がこの魔力、だとしたら、そっちも回収した方が良いじゃねーか!」

 

相棒が言うように赤ん坊は凄い魔力を保有していた。この目で確認するまでは信じられなかったが、この子ならもしかして、あの実験の成功例になるんじゃないか。

 

「こちらB班!件の赤子に姉がいる模様。そちらも捜索します!」

 

「こちらD班、了解した。我々も捜索しよう。」

 

「こちらA班!死がっ、ぐッ苦しっ「通信が途切れました」」

 

何?A班とも通信が途切れただと…

苦しいって何かに攻撃されたのか?

ここいらで出没する魔獣はボア系か?しかしボア系は突進しか攻撃手段が無い。勝てはしないかもしれないが、そんな一方的に国の兵士がやられるか?

 

「こちらD班、近くにボア討伐の帰りである騎馬兵達がいるらしい。馬車に乗せてくれるというからそれで帰ろう。」

 

 ボアが討伐されていた?だとすると、A班、C班は一体何にやられたんだ?この森にはボアよりもっと危険な生物がいるのかもしれない。

 

…早く撤退するのが得策だ。

 

「うわぁぁぁん、、ねーた、ねーた、」

 

「煩いぞ、赤ん坊!とっとと連れてこうぜ。」

 

「あぁ、合流地点まで5分とかからないだろう。」

 

合流先まで急ぐ。

今日は妙に風が強いな。

 

前方に大きな影が出て来た。

 

これは、、、ジェネラルボア⁉︎

 

死んでいる。、何でこんな所に、、、

 

ボア系は兵の階級と同じ分け方をする。その中でも特別な、他のボアを率いて群れをなすボア。それがキングボアだ。ジェネラルボアはキングボアの群れ中で一番強い魔獣がなる。そんな魔獣を倒せる生物がこの森に居る。

 

ここは俺が思っていたよりも、数百倍不味い所だったのかもしれない。

 

「おい、相棒。急ごうぜ。」

 

「」

 

「おいおい、どうしたんだよッ!、、、、冗談はよせよ⁉︎」

 

振り返ると相方が倒れていた。

息をしているようには見えない。

 

「ねーた?」

 

この死に方、ジェネラルボアと同じだ。「ねーた」…だとすると、倒したのは赤ん坊の姉なのか?そんな馬鹿な…、

 

「おいB班、遅いぞ!迎えに行くから合図をしてくれ。」

 

合図、、炎魔法「ファイアスター」!!

 

空に炎を飛ばす。これで合図にはなっただろう。

思ったより近かったのか、遠くから複数の馬の足音が聞こえる。

 

「ねーた!」

 

首根っこを掴んでいた赤ん坊の弾む声が聞こえた。

「ねーた」って、、、そんなまさか、

 

 

「おーと!」

 

赤ん坊⁉︎この子と大差ないじゃないか。それに「ねーた」って言ってたからてっきり年上の子かと思えば、双子かよ。

 やっぱりこんな子供に相棒が負けるなんて嘘だ。最近疲れたって言ってたし、何かの病気だったのだろう。

 

「おい、大丈夫か!」

 

D班の2人と騎馬兵の人達3人が来てくれた。

D班は今回派遣されて来たA〜D班で分隊長を務める人達で俺等の中では一番強い二人組だ。

そして、騎馬兵はこの国が誇る最強軍団だ。この場にいるのが3人しかいないのは不安だが、報告だと6人でキングボアを倒したという。やはり、強い事がわかる。そんな人達が来てくれたなら、もう脅威は無いだろう。

騎馬兵の一人が状況を理解し、姉の方を回収しようと前に出る。

 

「これが件の赤子とその姉か。よし、とっとと連れて「ごふッ」!!」

 

そして血を吐いた。

何が起こったのか、理解が追いつかなかった。どこからの攻撃か分からず、騎馬兵もD班も周りを警戒し始める。しかし、そんな中感知タイプだったのか1人の騎馬兵が手を挙げた。

 

「その子から魔力の揺れを感知しました!その子の仕業に違いありません!」

 

そう言って騎馬兵の一人が指さしたのは、姉の方だった。こんな赤ん坊が我が国の誇りである騎馬兵を驕っただと⁉︎

 

俺は未だにこの状況を飲み込めないでいたが、騎馬兵達は即座に行動した。

 

「総員警戒!…俺が仕留める。」

 

そう言って前に出て来たのは騎馬兵の分隊長だった。

しかし、仕留めると言われてもこの子は回収が目的だ。そりゃ、死ぬくらいならこの子に死んでほしいが、こんな能力を持ってる子供を逃したとバレたら上に何されるか分かったものじゃ無い。

 

「案ずるな、分かっている。この子には少し痺れてもらうだけだ。殺しはしない。」

 

よし。流石騎馬兵様だ。これでこの任務も終わる、、

 

「ごふッ」

 

「隊長⁉︎」

 

嘘だろ⁉︎

騎馬兵の分隊長だぞ!この国の上から数えた方が強い方だ。そんな人が赤ん坊に片膝ついた…?

 

「ハァ…ハァ、、案ずるな、と言った筈だ。この子はそこの弟より国の為になるだろう。逃しはしない。それに、この子のトリックはわかった。二度とお前の攻撃は効かんぞ!」

 

そう言って力強く笑った騎馬兵を見て、安心した。

その後は宣言通り、とは言い切れなかったが騎馬兵が勝ち、無事赤子達を気絶させて馬車に乗せる事ができた。

 

疲れからか、目的を遂行できたからか、俺は熱を出し倒れてしまった。

帝都に着いて久しぶりに目覚めた俺の目が見たのは信じられない光景だった。

 

2人揃って捕獲した筈なのに、何故か、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気付いたら赤ん坊が1人減っていたのだった。

 

 

————————

 

名前:姉(名前はまだ無い)

魔法:死?(転生特典)

年齢:およそ10ヶ月

持ち物: 布を腰で縛った服 葉簀巻き下着 タオル 

 

名前:弟(名前はまだ無い)

魔法:わからない

年齢:およそ10ヶ月

持ち物: 布を腰で縛った服 葉簀巻き下着 タオル

 

————————

 



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お別れ

今世の弟は弟(オート)と。

前世の弟はアキ、と私は呼び分けている。

 

 アキはこの頃反抗期になってしまって面倒臭いところはあったけど、小さい頃はいろんな場所について来て可愛がったし、第一志望に落ちた時は一緒に悲しんでくれた。成人してからも結構良好な関係を築けていたと思う。

 

 ……アキ、最近妙に筋トレしていたけど、無事マッチョになったのかなぁ。

 転生したか、召喚されたかはわからないが、日本に置き去りにしてしまった家族も気がかりだ。

お父さん、お酒控えてくれたかな?

お母さん、甘いものばっか食べてないかな?

アキ、体脂肪率どのくらいかなぁ?

 

 転生してしまった以上、私に出来る事はもう無い。とはいえ、やはり気になるものは気になった。

 まぁ、私にはしっかり者の7歳離れた兄がいるから、両親と弟は兄さんが支えてくれることだろう。多分。きっと。

 

兄の事だ。私が居なくなって悲しんでる家族にキツい事言うんだろうな。昔、公園で転んだ私に言ったみたいに。

たしか、

 

「何泣いてんだ!

泣いても何も変わらないぞ、〇〇!」

 

 

 

……ん、〇〇?

 

 あれ、名前なんだっけ。

落ち着け。私の名前は、、、あれ?

あんなに家族が呼んでた名前なのに、思い出せない。

 

「ほら〇〇。貴女の弟よ!」

 

「〇〇、お前が俺のチョコ食べたんだろ!」

 

「ちょっとそれマジ〜、〇〇偉くね?」

 

「受験番号10792 〇〇〇〇」

 

 

 

あれ、この記憶、本当に私の何だっけ…?

 

 

 ベシッ

 ベシッ

 

 

…おい痛いな⁉︎

、は?

 

目が見えない⁉︎

腕も縛られているようだ。

 

という事は捕まってしまったわけか。

…兵士1人に捕まるとか、神様特典弱すぎねーか?いや、そもそも特典ですらなかったとか。確かにソレっぽい人には合わなかったし、、、

 

ゴツゴツと整備されていない道を乗り物が動く。こんなに揺れるなんて、荷馬車か何かだろう。私は目隠しをされ、縄で簀巻きにされているので憶測でしか無いが。

 

「ねーた」

 

弟が私の頭をぺちぺちと叩く。別にねーたは寝てるわけじゃないんだけど。ちょ、やめてもらっていいっスか、、、

 

 

ぺちっ、ぺちっ

 

あぅ(あの)のぉ(辞めっ)

 

「さっきから馬車の内部が見えんだが、あのガキ共何やってんだ?」

「さぁ?それよりも、周り警戒しとけよ。」

 

 

 

 

弟のぺちぺち攻撃が済んだので私は姉弟のこれからを考える。目下の目標は相手の本拠地に入る前に、弟を逃してやる事だ。

 

先ずは弟に目隠しをとってもらおう。

さぁ、弟よ。ねーたの目隠しを取るのだ!!

 

……、。

……………

………、………弟ォ、取って、お願いします(プリーズ)

 

 ビーっ

痛い痛い!それ目隠しじゃなくてねーたの髪だから⁉︎

 

ぐにゅっ

それはねーたの鼻だからァ!

 

 

 

ーあれから20分後ー

 

、、、、と、取れたぁー。

良かった。見えるって素晴らしい…

 

「ねーた」

有難う弟よ。色々と言いたい事もあるが、一先ずは有難う。

 

所でここは何処だ?

家から大分離れてしまったのはわかる。

 

外の景色を見るに、住んでいた森の葉は黄緑が多かったが、荷馬車から見える森には深緑の針葉樹が多い。ここいらは寒いのか?

 

「ん?子供の目隠しが取れてるな。」

 

誰かが荷馬車の後口から、馬に乗ったまま顔を出した。

…貴様は、この間の分隊長!ここで会ったが100年目、必殺!

 

…、アレ?

 

「おい、俺の言葉が理解できるか知らないが、お前の即死のトリックは見破れてんぞ。」

 

え?コレってトリックとかあんの?魔法でしょ?

 

「お前の持ってる莫大な魔力を相手に一気に流し込む事で、身体が耐えられなくなって自滅する、だろ?だったら対処は簡単だ。自分の魔力をスッカラカンにしておけばいいんだ。」

 

…、ヘェー、転生特典じゃなかったのか。

私自身自分が何やったかわからなかったから解説してくれて有難う、分隊長。だが、それとコレ(簀巻き)とは別だ。

 

「んまぁー、ぶぁーか(バーカ)

 

「お前今俺を馬鹿にしたか?」

 

「♪〜♪〜」

 

「おい、口笛なら吹けて無いぞ、、

 

 

  …はぁ、ここらで一旦休憩だ!」

 

…この分隊長、コッチが言葉理解してんのわかってやがる。

そして休憩か。弟を逃す大チャンス。

 

「言っとくが、お前等の分もあるぞ。」

 

…何ですと!

ご飯?私の分もあるの?

 

「元々赤ん坊捕獲しに来たのに、連れてくる途中で餓死しました何て事、なるわけないだろ?まぁ、赤ん坊の世話係をする奴はお前に殺されちまったけど。」 

 

悪ぅござんしたね。だが、忘れてないぞ!

お前らが弟を「良い兵器」呼ばわりした事はな!

 

「まぁ、明日になったら帝都に着くんだ。

最後の晩餐くらい、たらふく食べさせてやる。」

 

たらふく!

…ん?最後の晩餐くらい?

 

、帝都に着いた瞬間ジ・エンドですか、そうですか。

 

 

 

ぜってー逃げてやる。

 

 

 

「休憩終わり!

 

行くぞ!」

 

荷馬車が動き始めた。逃げようにも、荷馬車を囲って騎馬兵達が配置している為、難しい。馬車の前方に4人、馬車の後方に2人。馬車を操縦しているD班の2人組。

 

後方の2人を何とか出来れば弟と一緒に逃げれるのに。

 

「ねーた」

 

弟を振り返る。あれ?あの子何処言った?

この荷馬車荷物が多すぎて見えにくいんだよな。

 

 

荷馬車の中には、

封がされてる樽が4個

分厚い藁の束が2束

四角い木箱が8つ

大きなテント用の布が2枚

剣や盾、杖などが無造作に入れられている封が空いてる樽が6つ

 

ん?

 

 

…、良い事思いついたぞ。

 

 

 

 

 

「うわっ!」

 

「何だ⁉︎」.

 

後方で部下の慌てる声が聞こえた。それに続いて、荷馬車の荷がゴロゴロと落ちていっている音がする。落ちたのがゴミ同然の藁の束だったのは不幸中の幸いか。

敵襲か。賊か、魔獣か、敵国の残党兵か。

 急いで後ろに下がると、部下共はテント用の布を上から被せられていた。我が軍の軍用テントには国章が縫われている。剣で斬る訳にも、魔法で燃やす訳にもいかなくて慌てたのだろう。部下の間抜けな姿に呆けていると、今度は木箱の塔が自分に向けて落ちてくるのが見える。待て、木箱だと?そっちには大事な物が結構入ってるんだが⁉︎ 

 

木箱を倒す瞬間小さい影が見えた。木箱の一番下の箱を剣の腹で持ち上げて倒したようだ。

 

 

…もう怒った。んのクソガキッ、大人を舐めるのも大概にしろよ⁉︎

とっ捕まえてやる。

 

ゴロンッ

ゴロンッ

ゴロンッ

ゴロンッ

 

樽が4つ転がり落ちてくる。さっきから馬車を止めるよう言っているのだが、馬が止まってくれないらしい。運が赤ん坊に味方したのか。それとも赤ん坊が何かしたのか。

 天才児ってのはこういうのの事を言うのだろう。

 

だが、

 

「…これだ!」

 

4つ目の樽を受け止める。やはり中の重さが変わっていた。

 

馬車が止まってくれない以上、落ちた物を拾いには行けない。だが、このクソガキを逃すという最悪は免れた。

 

「おーっし。馬も早く帰りてーみたいだし、これ以上ガキの好き勝手にはさせねー。コイツには二度と悪さできねー用おれの前に乗せるわ。」

 

怒りで素の言葉使いが出てしまっているが、知ったことか。

 

 樽からガキを引っ張り出して愛馬に乗せる。俺の愛馬はデカイから、赤ん坊なら落ちる=死ぬくらいの高さだ。

 

「ぐぅゔ」

 

「おっと悪ィな。強く結びすぎたようだ。」

 

あの木箱の中身は貴族連中の物だった。後で責任取らされる事を考えると、つい子供を強く縛ってしまったようだ。

 

まったく。ウチのジェイクもそうだが、近頃の子供ってのは迷惑ばっかかけるなぁ。コイツといい、ジェイクといい。それに比べて女の子はいいなぁ。悪戯なんて考えもしないんだから。本当、良い子ばっかりだ。

 

あ?

このクソガキは女の子じゃねーから。

 

あぁ、そう思うとコイツの弟は静かで割と良い子だったなぁ。姉弟の中身を替えると丁度良いのかもしれない。

 

 

 

…弟?

ち、ちょっと待てよ⁉︎

 

「おい、待て馬車!

 

コイツの弟は乗ったまま何だろうな⁉︎」

 

 

半ば暴走列車となりつつある荷馬車に追いつき部下にいう。すると部下は怪訝な顔をして、

 

「隊長が捕まえに行ったのではないのですか?」

 

…、、、

 

自分の前に固定した赤ん坊を見る。

まだ言葉は話せない見たいだが、分かるぞ何が言いたいか。

だがその顔は止めような。温厚な俺でも今すぐ殴りたくなる顔だから。

 

 

 

 




ドヤッ( ⊙‿⊙)


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とりあえず弟編これで終わりかな。


「お帰りなさい、キングボア討伐隊の皆様。森の捜索隊と合流していたのですね。」

 

分隊長に連れられ(括り付けられ)てやって来たところは、私の予想の数倍は大きい所だった。

 

そもそも防壁があるのが予想外だった。

 防壁は一見大事なように見えるが、国のど真ん中である都にも必要なのだろうか?そこまで攻められていたら、もう負けじゃなかろうか。

 

今は検問所のような所で分隊長が色んな書類にサインをしている。何でも、話を聞く限り、紛失届のようなものらしい。紛失って、、、ダッセーな。

 

「あれ、おっかしーな?今妙にイラッと来たぞ。」

 

分隊長が何か言ってるが気にしない。紛失したのはそちらであって、私は関係ないから。

 

「アークルス分隊長、森の捜索隊の人数が少ないのは、敵襲ですか?」

 

…ヤバい。遺族の恨みが全部こっち来る。ヤバいよヤバいよ(出川)

いや、私は自己防衛をしたのであって、、それが少ーし過剰になってしまっただけの事。

 

「子供の捕獲に手間取りまして。不幸が舞い降りた、とだけ。」

 

「…そうですか。彼等は田舎者にしては、良い奴等だったのに。」

 

私の心にダイレクトアタック!

その切なそうな顔と声、ヤメロォ。心が痛くなる。

 

何で人攫いにこんな罪悪感覚えなきゃいけないんだ!

こちとら赤ん坊だぞ?それ以外に抵抗手段なかったんだから。

 

「へっ、ガキ一人捕まえるのにそんなにおっ死んだのかよ。

王国兵士も地に落ちたもんだな。」

 

私達の後ろの方から声が聞こえた。

 まだ縛られたままの為、首を回して見ると5人のパーティが居た。見た目は兵士といった感じでは無いが、剣を腰にさしている所を見るに、冒険者か何かだろう。

 

「傭兵ギルド「鬼の犬歯(オーガトゥース)」の者か。…今、我等王国兵士の死を侮辱したか?」

 

分隊長が傭兵ギルド(オーガトゥース)のメンバーに一歩踏み出し、睨みつける。私は怖く無いが、この分隊長は割と圧が強いから、普通の人は怖く感じる筈だ。現に馬鹿にした傭兵は怖気ついたが、後ろから小柄な男が出てきた。

 ソイツは怖がるどころか、怒らせようとしている様に見える。

 

「おいおい、こりゃ騎馬兵の分隊長さん御一行じゃねーっスか。アンタが居ながらコレ(この被害)とは。騎馬兵さん方、そろそろ王国最強の名を返還するべきっスね。」

 

なる程。同じ国の国民でも、ライバル関係にある者同士という事か。ってか王国最強になら、そら捕まるわな。

 

傭兵さんや、金は出世払いで絶対払うから助けてくれませんか?

 

「貴様等、これ以上我々を侮辱するなら、、、」

 

「あー。そーいや、俺等依頼で東の森の方から帰って来たんスわ。そしたら価値がありそうな物が大量に落ちてましてね、いやぁー運が良かったっス。」

 

東の森って私達が来たところか。そんな価値がある物落ちてたか?コイツ等が私達の後ろにいると言う事は少なくとも私達の方が先にそこを通ったという事だが。

 

「…、それはサウス伯爵の物だ。」

 

「俺等は王国兵士じゃねーんで、貴族とかわからないっスわ。拾った者勝ちっスよ。」

 

…あ(察し)

私が落とした木箱か。いやぁ、紙とか仏像とか本とか、色んな物が入っててメッチャ重かったんだよねー。そっか、お貴族様の物だったのね。

 

「…近くに金髪の子供、いや、赤子が居なかったか?」

 

「いや、居なかったっスよ。俺等金になるモンは全部拾ったけど、子供も赤ちゃんも居なかったっス。」

 

「樽の中にも?」

 

「はい。…あぁ、でも藁は置いてきたっス。アレはゴミ同然なんで。」

 

 

よしよし、弟も無事逃げれたようだ。

私が逃げきれなかった時は一人で逃げろって言っといたけど、追いかけて来ちゃうんじゃないかと心配していたんだ。

 あの時、藁の中を少しくり抜いて弟を中に入れた。そして、真っ先に藁を荷馬車から落とした。最初にどうでもいい物を落とし、次に価値のある物を落とせば、人の意識なんて簡単に移る。後は程よく馬に魔力を送り、恐怖状態に陥らせればあの状況の完成だ。

 分隊長は見事に騙されてくれたな。

 

「…はぁ。門番、この子は例の実験場送りが決まっている。先に連れて行くぞ。」

 

「例の実験ですか、…我が国がまた進歩しますね。非常に良い事です!

…、……………………、可哀想に。

 

聞こえたからな。

何が可哀想なのか是非とも教えてほしい。連れてこられたのが可哀想なのか、これから可哀想になるのか。

 

「今手続きをしました。実験場には直接行けるでしょう。」

 

「感謝する。…おいガキ、俺がお前を新しい家(実験場)に連れて行く。

俺の名はアークルスだ。苦しくなったら俺を恨め。俺に復讐する事を考えるんだ。そしたらきっと、少しは、楽になるだろう。…悪ィな。」

 

 

弟は無事に逃げれた。

追いかけようと思ったら追いつけたのに、この人はそうしなかった。別に恨みはしないよ。

 

 

弟が追いかけてこなくて良かったな。

 

少し寂しいけど、ほんとよかった。

弟は愛嬌があるし、優しい子だ。私は都に連れてこられてしまった。

ここまでだ。

 

後は、誰か優しい人に弟は任せるとしよう。

 

 

————————

 

名前:姉(名前はまだ無い)

魔法:死?(転生特典)

年齢:およそ10ヶ月

持ち物: 布を腰で縛った服 葉簀巻き下着 タオル 

 

————————




??「赤ん坊?何でこんな所に。 …一緒に来るかい?」

赤ん坊「あーい」



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遠い未来の話

プレヒトは ぼくとねーたをすてました

 

 でも うらんでません

 

 ゼレフとメイビスのことは

 

 じぶんのきおくからしりました

 

 だってぼくたちには それだけのまりょくがあったから

 

 ぼくのこどもじだいは たいへんでした

 

 いきるのにひっしでした

 

 でもしあわせでした

 

 ねーたがいたから

 

 ぼくをあいしてくれたから

 

 でもいまはもういません

 

 

 ねーたはぼくをすてました

 

 ばしゃからつきおとしました

 

 ぼくはだれからもあいされなくなりました

 

 

 おなかがすいたとき

 

 ぼくをたすけてくれたのは

 

 おとうさんでした

 

 

 おとうさんは ぼくに

 

 なまえを つけてくれました

 

 「僕には ある少女と過ごした、特別な時間があるんだ。あれは 8月(オーガスト)だった。」

 

 

 それからぼくのなまえはかわりました

 

 

 

 

 ぼくの

 

 なまえは

 

 オート・オーガスト

 

 

 おとうさんとねーたにつけてもらったなまえです

 

 

 

 

 オーガストと初めて会った時、彼は藁の中に隠れて泣いていた。僕が藁から出そうとするととても反抗し、何かを待っているようだった。次の日も、その次の日も彼は藁の中にいた。衰弱して動けなくなるまで、彼は、藁の中で何かを待っていた。

 

 衰弱死する前にと、帝国に連れて帰った。その時はこんなに帝国に身を捧げてくれる駒になるとは、正直思わなかったな。

 

 今じゃこの帝国に居なくてはならない大切な駒だ。だけど、彼は年に数回、僕が彼を拾った場所にいく。もう見た目も随分と変わってしまった所だが、必ず行く。

 オーガストを「おじいちゃん」と慕っているブランディッシュが、一度だけ、彼に何を待っているのか聞いた事がある。

 

オーガストは特に気にする事なく教えてくれた。

 

ネータという女性を待っているらしい。

 

いつもなら、12の女達や若いのが、騒ぐのだが、

 

今回は、女性と聞いても、誰も茶化せなかった。

 

彼の顔が、捨てられた子供の様だったから。

 

 

 

もうすぐフィオーレとの戦争になる。

 

戦争の前に見つけて欲しかったけど、

 

彼の思い人はとうとう見つからなかった。

 

こんな状態でフィオーレに戦争を仕掛けては、ネータという女性は亡くなってしまうかもしれない。

 

だが、ルーメン・イストワールを手に入れるのは今だ。

 

オーガストには悪いが、彼にも戦争に参加してもらう。

 

スプリガン12(トゥエルブ)最強のオーガストには、フィオーレ四大闇ギルド、バラム同盟最後の一柱の足止めをしてもらわなければいけない。彼等は闇ギルドではあるが、大陸同士の戦いとなればこちらに味方してくれるとは思えない。

 

だからといって戦争に加わられると、ややこしくなるのが想像できる。特にマスターは妖精軍師再来と言われた程だ。

 

説得し、不可侵を結べるのならそれにこした事は無いが。



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ヴェストリカ王国
学校


「012番、この行を読みたまえ。」

 

「はい! 我が国は偉大です。その中でも騎馬兵は最強と言われています。」

 

「次、007番」

 

皆様お久しぶり、姉です。

この学校(実験場)に来てから早くも5年が経った。ここは、私を連れ去ったヴェストリカ王国が新たに試みている、滅竜魔導士?を人工的に作る施設で、私はそこの一期生である。

 

「007番?」

 

「はい。燃ゆる火を恐れず、黒雲を恐れず、突き進む我等ヴェストリカ王国兵士。陛下の敵は我等の敵。ヴェストリカの敵は世界の敵」

 

「あ、あぁ、そうだ。よく読めたな。」

 

私は転生者だ。勉強をゼロから始めたわけではなく、一から始めてる言わばカンニング野郎。その事を知らないこの世界の人からは、他の子より頭の出来が特別良いと思われている。その為、ここの生徒の中では生徒会長(別名ガキ大将)のような立場を任されている。

 しかし、中にはこの先生のように、頭の良すぎる私を恐れている者もいる。そういう人は大抵子供に人気な者が多いので、とても残念だ。

 

「次、014番」

 

ここの生徒には名前が無い。変わりにその子の個体識別認証である番号が存在する。10人ずつ増えて行くので、一期の子が下の子にここ(実験場)での生活の仕方を教えている。014番は7の倍数、つまり私が面倒見ている子というわけだ。

 

「このわがぐんのぐんうた?「か」かは、」

 

彼女は私の一つ下、つまり今は4歳だ。普通なら、1から10まで数えられたら「凄い」と褒められる年齢である。だが、ここの連中は良くも悪くも、皆英才教育を施されている。もっと凄い事をしなくては褒めてもらえないのだ。

 

「014番、最初は「はい」だ。それと、音読の練習をしなさい。」

 

「…はい。」

 

あぁ…怒られちゃったか。後でフォローしてやらないと。

 

因みに7の倍数の子が何かやらかした場合、監督責任は私が負う事になっている。他の一期生は最初めちゃくちゃ嫌がっていた。自分の所為じゃないのに自分まで罰則食らうから。

 だが私の精神は20を超えている。チビちゃんの面倒くらいは、見てやるさ。

 

「…よし、休憩。10分後に第一実験室に集合。」

 

次は実験か。初めて実験室に行った時は正直怖かった。だが、やる事と言ったらこの魔法出来るかとか、コレ食べてみろとか。私達は英才教育を受けている事から分かるように、エリートだ。死ぬような実験はされないらしい。

 第一実験室の主が変人でサイコパスが入ってそうなのを抜けば、安心できる授業だ。

 

「ねーさん、おべんきょてつだって?」

 

「わかった。」

 

014番は私の事をねーさんと呼ぶ。彼女にとって、面倒を見てくれる私だけが心許せる存在らしい。しかし「ねーさん」と呼ばれると、弟の顔がチラついてしまうのだが。

 

「ねーさん、行こー」

 

まぁ、コレはコレでいいよね。

 

 

 

 

「竜迎撃用の失われた魔法(ロストマジック)を使う魔導士。

ドラゴンに唯一ダメージを与えられる魔導士をこの手で量産する。それが私の信念です!その為にも、今日はこれを飲んで貰いたい。安心しなさい、命の保証はします!」

 

そう言って渡されたのは色のついた石だった。

それぞれが違う大きさで違う色の石、いや、宝石のような物だった。

いや、ただの宝石なんて物なわけがない。今まで渡された物は大体竜に何か関係ある物だったし、これもそうに違いない。 

 

「これは、ただの石ではない…魔水晶(ラクリマ)なのです!今まで私は滅竜魔導士にばかり目が行っていたが、魔水晶を試そうではありませんか。」

 

ふざけんな。石は消化されないので、普通はそのまま便と一緒に排出されるが、この大きさは、何にとは言わないが、引っ掛かるだろ。確実に。そうしたら、ここにいる子供全員手術室へGOするぞ。

 

「001番、前に。飲めないなら体内に埋め込んであげよう。」

 

「え。…ちょ、あ、嫌だぁぁあ!」

 

「002番は第二実験室に来なさい。」

 

「辞め…、っうぁ!」

 

 

これはひょっとしなくても、相当悪い状況じゃないだろうか。

てか、ラクリマって事は属性がある筈だ。前に図書館で調べたけど、この色は身に覚えないぞ。

 それに石なんて体内の何処に入れるって言うんだ。他の臓器を圧迫して満足に生活ができなくなるかもしれないじゃないか。こんなんで魔法使えるわけ、、、

「…、。次だ、003番!」

 

「嫌だぁぁぁ!」

 

え、早すぎないか?

001番はどうしたんだ。奥のベッドに横になっているのが見える。

ん?腹部を押さえて蹲っているが。一体、

 

「グフっ…」

 

突然血を吐いた。

 

すぐに駆け寄ったが息は浅く、顔には無数の血管が浮き上がっていた。明らかに身体に悪い事が起こっている。ラクリマは毒かも知れない。

 

「魔水晶の量を間違えてしまってね。人には耐えきれない量だったようだ。003番にはもっと少ない量にするよ。」

 

…その前に治療だろ。

それにこんなに血管が浮き上がるって、、身体に毒だろ。何とかしなくては。

 

「…そんなに睨まないでくれ007番、私は命の保証はしているのだぞ?」

 

「だったら、すぐ助けてやったら良いじゃないですか。」

 

「全員分やってからに決まっているだろう!」

 

「その前に死んでしまうかも知れない。陛下から預かった命を悪戯に捨てて良いんですか。」

 

「良いのさ。私はここの責任者だからね。」

 

「私達は幹部候補生だ。その数が減ったとなれば軍部が黙ってない。」

 

「…君は相変わらず良く噛みつくな。

そんなに元気なら、次は007番、君だ!」

 

003番が指名されていた筈だが、どうやら私が先らしい。死ぬのはヤダな。このイカレ野郎がワザと失敗しないよう、誰か見ていて欲しい。こんな最後は流石に嫌だ。

 

「さっきは胃袋に入れた。だが失敗だった。002番は肺だったがそれも失敗だそうだ。そうだ、お前は心臓にするか。」

 

は?心臓に?

心臓に入れるなんて死ぬに決まってんだろ。てか入れる工程でもう死ぬ。コイツ絶対私怨だろ。私だけだろ、心臓に入れられるの。

 

ちょっマジで無理、絶対。辞め、、、あれ、何か眠くなってきた。ヤベ、麻酔が回って、、、

 

 

 

 

 

 

 



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滅竜魔導士

「…ぅん、、知ってる天井だ。」

 

 ここは、治療室?

という事は私は助かったのか。心臓に石を入れたと言っていたのに、なんで…

 

「ねーさん、起きたのー?」

 

014番の声がやけに大きく聞こえた。

いや、彼女の声だけじゃない。周囲の音が全て大きく聞こえる。先程の自分と同じように、ベッドの上に眠っている他の一期生達の呼吸音。壁越しで話している治療室勤務の大人達。そして、近いからだろうか。 

 014番の心臓の音も聞こえた。

 

「ねーさん、まほーつかえたのねー」

 

「魔法?」

 

「はかせのことしゅーんってたおしたのよ?」

 

しゅーんっ…てなんだ。魔法が実在しているのはもうわかってるし、自分に魔力があるのもわかっているが、自分が魔法を行使したというのはなんとも想像しにくい。

 自分のベッドの横にあった壁に手をつける。自分が本当に魔法を使えるようになったのならば、この壁に魔力を流すことで、魔法が構築される筈だ。

 

「しゅーんっね…、こんな感じかな?「シュルルル」…。」

 

「そー。そんなかんじ。」

 

 手を付けた壁には半径15センチ程の穴が空いていた。

…そ、そうか。こんな感じか。

ッじゃない、流石にこれは怒られるだろ!

不味い不味い、証拠隠滅しなければ。

 

「ねーさん、わたしもかべこわせるよ!」

 

014番が元気よく私に宣言した。

嫌な予感がする。

バッ…ヤメロォ!

 

ザシュッ

 

あ、ぁぁぁ、、私が空けた壁の穴の隣にこれまた大きな切り傷が追加された。

…不味いな。壁を壊しただけでなく、014番の話が本当なら、私はこの、壁を壊す程の攻撃を第一研究室の博士に仕掛けた事になる。反省文どころでは済むまい。下手したら、比喩でも何でもなく、責任持って自腹を切れなどと言われかねない。ど、どうしよう。

 

 そんな私の心配を全く知らない014番は、呑気に私のベッドの布団に包まって遊んでいた。

 

「ねーさんはなにりゅー?わたしはね、きょくりゅーなの。」

 

「きょくりゅー?」

 

遊びながら014番が話しかけてくる。

まぁ、先程の攻撃を見る限りだと、先端は尖っている何か。きょくりゅーとは「棘竜」だろう。壁には見事に切り傷が描かれたているからね。

 しかし、なにりゅーと来たか。これは博士の念願の夢が叶ったという事だな。だが私は自分がどのタイプの滅竜魔法を得たのか全くわからないぞ。 014番はどうやって分かったのだろう?

 

「きょくりゅーとは、いつ言われたの?」

 

「はかせがいってたよ?」

 

 え。博士?

いやいや、さっき私が攻撃したって君言ってたじゃんか。大怪我もしくは、不謹慎だけど博士は死んだと思ってた。普通に話せたのか。

 

「はかせはわたしのいしょくしゅじゅつもやったよ?」

 

…私の実験の後すぐに014番の移植手術を行ったという意味か?

なーんだ。博士、全然怪我してないんじゃないか。罪悪感抱いて損した。014番も驚かすなよな。

 

「そーだ。

ねーさんしらないなら、はかせにききにいきなよ!」

 

博士に?

いやいや、絶対嫌われてるだろ。私も嫌いだし、行きたくないよ…、、あ、痛いって。……わ、わかったって、博士のところに行くから引っ張るなよ!

 

「007番…君は、全く。…で、何のようだね。生憎、この身体の者で私に何か出来るとは思えないが?」

 

あれ。014番ちゃん?

博士は貴方の移植手術を行なっていたと言ってなかったっけ?どうして今入院してんの?てか、お腹のあの包帯何?

 

「執念で全ての実験を終わらせたが…、ここまで命の危機に瀕した事は無かったよ。

 

     …貴重な体験だった。」

 

「執念で全ての実験を終わらせた」って凄い発言だな。流石マッドサイエンティスト。本物は言うことが違うなぁ。しかし、記憶に無いとは言え、私の一撃は博士に入っていたわけか。

 

申し訳ねェ。

 

「はかせー、ねーさんはなにりゅー?」

 

「007番か。ラクリマは国が大量に買ったものだからね。滅竜魔法の魔水晶か怪しい物もあったんだ。彼女のは正にそれだ。つまり、わからないのだよ。」

 

…おいおいおい、「わからないのだよ」ッじゃないだろう。

必要最低限、どんな実験をしているかだけでも把握していて欲しい。こんな奴に命握られていたのか。よく生きてたな、私。

 

「だが、滅竜魔法の魔水晶である事は先程の事件からしてあっているようだ。事件の噂といい、お前にやられた所といい。ドラゴンの検討をつけるとしたら、「腐竜」「錆竜」「毒竜」「悪竜」「溶竜」「無竜」「黒竜」「陰竜」「影竜」。

ここら辺であろう。」

 

…見事に聞いた事のない竜ばかりだ。しかも羅列されていた言葉が全てとてつもなくマイナスなイメージしか持てない。

 

腐る。錆びる。毒。悪い。溶かす。無。黒。影。陰。

 

…うーん。まぁ、想像はできる。要はあった物を亡くす事が出来る魔法というわけか。ならもう「亡竜」でいいんじゃないか?

 

「…素晴らしいッ。ならば007番、お前は今から亡竜の滅竜魔導士だ‼︎」

 

…え、

ええぇぇええーー!

そんな適当でいいのか?いや、本当にいいのか⁉︎

 

 

————————

 

名前:姉 (007番)

魔法:亡竜の滅竜魔法 + 転生特典?

年齢:5歳10ヶ月

持ち物: 白で統一された服 

 

————————



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魔法とは

日刊ランキング乗ってるだと⁉︎

おっでれぇた。


「滅竜魔導士への昇格に成功したのは20人中12人。最初に実験を行った001番と002番は埋め込んだ場所が悪く、命に別状はないが、この国の兵士として戦うには身体に負荷がかかりすぎて居る。よって二人はこの実験場から指揮官育成学校に降格する。」

 

退院してすぐ、集められた私達が言われた言葉がこれだった。同じ一期生として、同期が二人も居なくなるのは悲しい。

 

「皆、ごめんな。」

 

「012番、身体に気をつけてね!」

 

 001番と002番がお別れの挨拶をした。だが、その隣には私の後に手術を行った子達もいる。私の後は全員成功した訳ではないのか?

 

 「また、009番、011番、013番は埋め込みには成功したが、滅竜魔法の魔水晶では無かった為に失敗。017番、019番は滅竜魔法に身体が耐えきれなかった為に失敗。

 

彼等も身体の事を考え、それぞれの望むところに降格とする。」

 

 滅竜魔法の魔水晶では無かった…か。自分より小さい子に不幸が舞い降りたのは不甲斐ない気分だが、同時に怒りが湧いてくる。偽物くらい、埋め込む前に判別しろよ。

 

 だが、心のどこかで安心している自分もいた。001番、002番は責任感が強く、常に子供達の前の方にいる。戦場ではそういう奴が真っ先にやられるというからな。

 指揮官育成学校というからには後方勤務だろう。死ぬ確率は低い筈だ。

 

また、009番、011番、013番、018番、019番もそれぞれの望むところに降格と言っていた。なら後方勤務を選べる筈だ。

 

「実験に成功した者は引き続きこの施設に残る事とする。これからは勉学に続き、戦闘訓練も行うからな。…以上!」

 

「解散ッ」と言われ、子供達が散り散りに別れていった。…戦闘訓練か。前世から割とアウトドア派だったけど、それとは比べ物にならないんだろうな。どうしよう、いきなり10キロマラソンとか言われたら。

 まぁ、そりゃ無いか。私達まだ5歳だし。

 

 

 

 

「次は戦闘訓練だ! 全員配った服を着て中庭に来てくれ!」

 

ここの実験場勤務じゃない大人がそう言って、皆に服を配った。

この服…体育の授業とは似ても似つからないな。こういうの、何ていうんだっけかな。あのナウ◯カが着ていたやつ。あぁ、確かジョージアの民族衣装だ。チョハって言ったっけ。それに似てるな。フリンフリンのスカートを渡されるよかマシだが、なんか重くないかコレ。

 

「その服には重石をつけてある。全員それを着て中庭三周からスタートだ!」

 

 ここの中庭は意外と広い。100メートル x 50メートルといったところか。つまり300 x 3 = 900 だな。良かった、1キロも無いじゃないか。走れはしないが、皆歩ききる事が出来る距離だ。

 

「じゃあ、皆俺の後についてきなさい!」

 

男(戦闘訓練の先生)が私達の前を走り始めた。しかし、それはとても遅い。歩いた方が早いくらいだ。

 

「先生遅すぎだよ。」

 

100メートルを過ぎるあたりで誰かが言った。

子供は風の子。誰が言った言葉か知らないが事実だ。ゆっくり歩くより走った方が子供は喜ぶ。

 確かに5歳児や4歳児なんて、死ぬほど遅いし900メートルなんて走れないかもしれないけど…流石にこれは遅すぎる。逆に疲れてくるな。

 

 他の子達がブーブー言う中、5分程かけて300(一周)を走り終えた。戦闘訓練といっていたが、これでは期待外れもいいところだ。こんなの、何日やったって強くなれる気がしない。

 

「二周目行くぞ。」

 

 次の二周目もゆっくりだった。今まではポーズだけでも走ってるフリをしていたが、他のチビ達が我慢しきれずダラダラと歩き始めた。だが、徒歩よりは少し早いみたいで、早歩き(競歩)になって居る。それじゃ逆に疲れるだろうに…

 

 ん?…徒歩よりは早い?

いや、さっきまでは徒歩より遅いくらいだったのに。…この先生、まさかだんだん早くなっているのか⁉︎

 

「おら、どうしたどうした。へばって無いでしっかりしろよー!」

 

 先生の言葉で確信する。

「へばって無いでしっかりしろよ」だと?

そこは「へばって無いで走れよ」と言うべきだろ。

わざと遅く走って、こんな短距離なのに疲れさせている可能性が高いな。何の為に…?

 

「007番、考え事とは余裕だな。お前はもう一周追加だ!」

 

 なっ…ふざけんな!

文句も言わず走っていただろう。こちとら優等生じゃこんにゃろー。

 

「その文句がありそうな顔、、、変わんねーな。」

 

…ハァ?

この男とどこかで会ったっけか。いや、、確かに見た事ある気はしていたが。…。

 

「ハァ…ハァ…、あれ?何でボク疲れてるんだろう?」

 

「ふぅ…?ほんとだ。なんかむねがくるしい!」

 

「…。」

 

「ねーさん、あたしつかれた。」

 

上から012番、018番、005番、014番。

全員余裕ぶっこいて歩いて(途中から早歩き)いた者達だ。

わざと歩かせ、意識させずに競歩させていた男の手腕は見事だ。が、私だけ一周追加した事は許さないからな。

 

「ねーさん、おんぶ。」

 

無茶言うな。

 

「良いじゃねぇか。やってやれよ、ねーた。ま、おんぶは4周目からにしろ。」

 

…あぁん⁉︎

4周目って私以外無いじゃん。その頃には014番は休憩できてるだろうが!

 

…ん?

今この男「ねーた」と言ったか?

「ねーた」って弟しか呼ばないその名を何故知ってるんだ⁉︎…まさか、弟が捕まってしまったのか?だから知ってるのか?まさか弟が捕まってしまうとは、、早く助けてあげないと!あれ、でも捕まったなら弟もこの施設に来る筈だが…

 

「混乱してるところ悪ィが、…俺の顔に見覚え無いか?」

 

え。

…うーん。

…、まったく?…………。

 

「おいクソガキ」

 

…!

その言い方、

貴様はあの時の分隊長!

ここで会ったが百年目、いざ、尋常に勝負!

 

「何が「尋常に勝負」だよ⁉︎

バリバリ不意打ち狙いじゃねェか!

 

   …はぁ、007番もう一周追加!」

 

⁉︎

そんな…。何で。

後ろから頸あたりを狙ったのが悪かったのか。それとも頭ハゲロとか思ったのが悪かったのか。はっ…まさか木箱の件をずっと根に持ってやがったのか?…器の小さい奴め。

 

「お前、4周目と5周目は014番おぶって走れよ。これ上官命令だから。拒否不可能だから。」

 

「ねーさん、おんぶしてくれるの(キラキラ)」

 

やらないからね⁉︎

そんなキラキラした目で見ないでくれ。

子供って無駄におんぶとか肩車とか好きなんだよな…その対象はパパかマッチョなママだけにしてくれ。

 

「キラキラッ」

…わかったから。やるって、ねーさんがおぶってやんよ。

 

「フッざまぁねー、ねーちゃんはいつだって大変だなぁ?」

…テメェ許さないからな分隊長。

将来絶対私の方が偉くなって上官命令で「逆立歩き中庭一周」の刑に処してやる。




自分的にはやっぱり原作に出たドラゴンは出来るだけ使いたくないので、014番を刃竜から棘竜(きょくりゅう)に変えました。


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実験場の人達<紹介>

リアルが忙しくて、更新頻度落ちるかも…


<大人>

 

博士

所属:第一実験室

第一実験室の主でサイコパス兼変人。

「フハハハハっ」

 

アークルス

所属:騎馬兵→滅竜魔導士育成機関

元騎馬兵分隊長。主人公をヴェストリカに連れてきた人。現在は滅竜魔導士育成機関にて子供達の体力向上を考えている。

「ぁんのクソガキ…」

 

<子供>

 

001番

所属: 指揮官育成学校

滅竜魔導士への実験に失敗し、身体が弱ってしまった。

007番を除くと子供達のリーダーだった。優しいお兄ちゃん。

「皆、病気には気をつけるんだよ」

 

002番

所属: 指揮官育成学校

滅竜魔導士への実験に失敗し、身体が弱ってしまった。

クールで大人しめな子。頭がとても良く、軍師に向いている。

「頭脳戦では負けないわ」

 

003番

所属: 滅竜魔導士育成機関

滅竜魔導士となった子。

子供達の中では1、2を争う程のビビリ。小竜の滅竜魔導士。

「ひ、ひぃぃぃ。」

 

004番

所属: 滅竜魔導士育成機関

滅竜魔導士となった子。

ツッコミ。

「いや何でだよ⁉︎」

 

005番

所属: 滅竜魔導士育成機関

滅竜魔導士となった子。

寡黙で感情があまり顔にでない。

「…。」

 

006番

所属: 滅竜魔導士育成機関

滅竜魔導士となった子。

お調子者の双子の片割れ。

「俺達、悪戯兄弟!」

 

007番

所属: 滅竜魔導士育成機関

第二世代初の滅竜魔導士。

子供達のキャプテンで面倒見が良い。亡竜の滅竜魔導士。

「…。」

 

008番

所属: 滅竜魔導士育成機関

滅竜魔導士となった子。

お調子者の双子の片割れ。

「僕達、悪戯兄弟!」

 

009番

所属: ヴェストリカ軍人事部

滅竜魔法ではない魔水晶が体内にある子。

強くは無いが、見ただけで魔力を測定できるようになった。

「んんー。お前は一般兵士級だな。」

 

010番

所属: 滅竜魔導士育成機関

滅竜魔導士となった子。

周りをよく見れる子で雷竜の滅竜魔導士。

「俺の前に立つんじゃねェ。」

 

011番

所属: 教会

滅竜魔法ではない魔水晶が体内にある子。

014番と仲が良い。回復魔法を習得する。

「けがしたらいってね!」

 

012番

所属: 滅竜魔導士育成機関

滅竜魔導士となった子。

ボクっ子で気さくな爽やか系。

「ボクにまかせてよ!」

 

013番

所属: ヴェストリカ料理団

滅竜魔法ではない魔水晶が体内にある子。

戦いより料理に興味がある様子。

「おらはコックになる!」

 

014番

所属: 滅竜魔導士育成機関

滅竜魔導士となった子。

007番を姉と慕っている。

「ねーさん!」

 

015番

所属: 滅竜魔導士育成機関

滅竜魔導士となった子。

「他人の不幸は蜜の味」とはこの子の為の言葉。

「…フフフフフっ。」

 

016番

所属: 滅竜魔導士育成機関

滅竜魔導士となった子。

双子の悪戯の餌食はいつもこの子。012番と仲が良い。

「うわぁーん、またいたずらされた!」

 

017番

所属: 軍立図書館

滅竜魔導士にはなれなかった。身体が非常に弱ってしまった為、後方勤務をしている。005番の隣でぼーっとしている事が多い。

「…はなしかけないで。」

 

018番

所属: 滅竜魔導士育成機関

滅竜魔導士にはなれなかった。

不思議ちゃん。天然ちゃん。

「あなた、だぁれ?どこからきたの?」

 

019番

所属:騎馬兵駐屯所

滅竜魔導士にはなれなかった。身体が非常に弱ってしまった為、後方勤務をしている。負けず嫌いで噛ませ犬。

 

020番

所属: 滅竜魔導士育成機関

滅竜魔導士となった子。

シンプルに末っ子。毒竜の滅竜魔導士。

 

 




設定スカスカなのは後で付け足します。


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