どうやら俺の父さんは時の王者だったらしい。 (九条きょうしろう)
しおりを挟む

時の王子の誕生
プロローグは突然に


1

 

「ここに一つ昔話をしよう。」

 真っ白でただ静寂が続く静かな空間でとある青年が言った、その手には古びた一冊の本を持って。その本のタイトルは『逢魔降臨暦』と記されていた。

 

「……この本によれば、2018年9月。普通の高校生、常磐ソウゴ。

 彼には魔王にして時の王者、オーマジオウとなる未来が待っていた」

 

 誰へと向けた言葉なのか、一人しかいないその場所で語り出す青年。

 その目は、彼の傍に置かれている巨大な時計に向けられている。

 

「そして常盤ソウゴは己が王道を行くべくタイムジャッカーの魔の手を潜り抜け障害となる全てを蹴散らし、倒し、全平成ライダーの力を受け継ぎそしてオーマジオウとして覚醒、彼はその力で《アナザーディケイド》スウォルツを撃破、後に彼は新たにライダーの存在しない世界をオーマジオウの力で創造した。そして数年後彼は特別な女性と出会い平和な日々を送りました。」

 

「これでこの『逢魔降臨暦』の歴史は幕を閉じた。」

 青年はパタン、と本を閉じ新たな本をどこからか取り出した

 

「そしてこの新たな『逢魔降臨暦弍』の物語を読み始めよう。」

 

そこまで語った彼は口を閉じ、

 そのままゆったりと光の中へと歩み出して―――

 

 やがて、その姿はどこにも見えなくなった。

 

 

2

 

「んむぅ……もう朝か」

 眠い目を擦り俺は目を覚まし、目覚まし時計を確認すると時刻は朝の8時を回っていた。

「げっ!?もうこんな時間か!?学校遅刻だあああああああ!」

 俺は慌てながら学校の準備をするとリビングに駆け下りた。

 

「おはようございます。アキラ様、朝食の準備はできておりますが………」

 

 この人は家政婦の新田さん。両親が海外にいる間、身の回りのことを世話してくれる人だ。

 

「父さんの奴今度はどこに行ったんだ?少しは母さんを見習って真面目に働いて欲しいな、いや働いてはいるんだろうけど。」

 

 俺の母さん、常盤凛は外交官を生業にしていて物心つく頃から家に居なかった。父さん曰く、息子である俺を溺愛していたらしく暇さえあればいつも抱いていたらしい。しょっちゅう家に帰ってこない母親だけど、俺にとっては良い母親だ。

 

 まぁ父さんの事だし、ぶらぶら世界を旅してるんじゃないかなぁ。今度はどこだろ?エジプトかマヤの遺跡か………それとも南極か…ってこんな設定漫画でしか聞いた事ないぞ………

 

「すみません、新田さん。自分もう遅刻してしまいそうなので朝ご飯は食べれそうにありません。」

 

「そうでございますか、ではアキラ様。お気をつけていってらっしゃいませ。」

 

3

 

ガラガラ

 

 俺は教室の戸を開き中に入り、自分の席に腰をかける。

俺の席は教室に入ってから1番奥の列で、後ろから2番目の席という比較的なかなかのポジション。

いわゆる窓際の席という奴だ。高校生なら一度はなりたい席ランキング上位に当てはまる部類だと俺は自負している。

 

「さて、そろそろ食いそびれた朝飯を食べるとするか…」

 

「オッス!アキラ」

 

「ん? ああ、おはようイッセー」

 

コイツは兵藤一誠、同じ2年の同級生で小学校からの悪友。

性格を一言で言い表すならば、熱血好色家。

性欲と色欲をグツグツに煮詰めたような男、女体が絡んだ際に発揮する力は常軌を逸したレベル。

特におっぱいに対する熱い情熱は、周囲の人間がどん引きするレベル。故に日常ではあらゆる女性•女生徒に敵視され、一部の男子からも蔑視されている。俺は親しみを込めてイッセーと呼んでいるがみんなはおっぱい魔神だとかスケベガキなどといった呼称で呼ばれている。

 

「んで、なんかようか?イッセー、俺は今朝食いそびれた朝飯を今この瞬間我が胃袋に収めようとしている真っ最中なんだが。」

 

「いやぁ、なんで俺はモテないかなぁってな。」

 

「はぁ、()()その話かイッセー、お前はまずその性格をなんとかしろよ!だからモテないんだろうが!!それにいい加減クラス内や学校内でエロ本やAVの話を堂々とするのをやめろ!それだからお前は!」

 

 俺はこのようにいつもいつもイッセーの話を聞いては、正しい紳士へと更生させようと導いてはいるのだが、このとおり全然学習しないのだ。

そのおっぱいへのベクトルをもっと別の何かに向けて欲しいと俺は思うのだが……

 

 そのせいで俺はいつからか『駒王学園の優しい相談人』などという通り名をつけられてから、一年生や同学年はたまた先輩である三年生から悩みを聞いて欲しい為にわざわざ昼休みを使って俺に会いに来るのだ。

 

おかげで昼飯を食べる時間がなくなってしまう事が多々ある。

 

「俺もそう思うけどよぉ!そういう類の話をするのは普通の思春期青少年ならフツーだと思うのですがアキラ先生ー!!そんな俺でも無条件で受け入れてくれる女の子はいないのか!?」

 

「••••イッセー、そんな女子がいたらそれは女神くらいだぞ。」

 

「だよな……自分で言ってて涙が出てくるぜ…」

 

 そしてイッセーは悲しげに席に座った。

 

 

4

 

 時間が経ち、授業も全部終わったので放課。俺は特に部活には何も入っていない、いわゆる『帰宅部』という奴だ。

俺はいつものようにイッセーと共に学校を出ようと昇降口の前へきていた……言っておくが俺はホモではないのであしからず。

 

「そういやイッセー、最近この辺でメイド服着た女の人が何か配ってるみたいだけどなんだか知ってるか?」

 

「んー?……あ!そういえば最近なんか変な紙?みたいなの貰ったな…ほい。何に使うかは知らんけど。」

 

 そう言ってイッセーは俺に何かの紙?を手渡してきた、俺はそれを受け取り見るとそこにはこう書かれていた。

 

「あなたの願い叶えます?なんだこれ。」

 

 紙には黒く魔法陣が描いてあっていかにもな胡散臭さMAXの代物だった。

 

「それより昨日新しいゲーム買ったんだ、今日やらね?モン狩5G」

 

「いいけど、とりあえずコレ返しとくわ。少し微弱な電磁波みたいなのは感じはするけど、特に害は無いっぽいし。」

 

「ほんとか?まぁ、アキラが言うんだから間違いはないんだろうけどさ。」

 

 俺には昔から一つ変な特技がある。()()()()()宿()()()()()()()()()()()()、いつから俺にこんな力があるのかは定かではないが小学校低学年の頃から、いつのまにか身につけていた。

 

「しかし、ほんとに変な特技だよなーその思念を感じるって奴?最初聞いた時ふざけてるのかと思ったけど、ウソじゃなかったからほんとビビったわ。」

 

「はは、さすがにやり過ぎたわ一年の頃、自己紹介の時特技でやむなくお前ら松田元浜イッセーたちのエロ本持ち主当てはなぁ。」

 

「アキラ〜!お前のせいだぞ!俺と松田元浜が変態であることがいち早くクラス中で広がったのはな。」

 

「いや、何食わぬ顔で平然と学校にエロ本持ってきてる奴に言われたく無いんだが。」

 

「俺はあまり目立ちたく無い方でな。目立つとろくなことにならないとお爺ちゃんが言っていたからな………」

 

「でたよアキラのお爺ちゃん語録、今日も快調だねぇ。「あの、駒王学園の兵藤一誠くん、ですよね?」

 

「「ん?」」

 

声のした方に顔を向けるとそこには黒髪で清楚な感じの美少女が夕陽に照らされながらたっていた。

 

「あの、何か俺によう?」

 

「あの、兵藤くんって今付き合ってる人いますか?」

 

「べ、別にいないけどそれがどうかしたの?」

 

イッセーのそのセリフを聞くと黒髪清楚系美少女は安堵するかのように胸を撫で下ろした。

 

「私と、付き合っていただけませんか?」

 

彼女がイッセーにとってのはじめての彼女だった。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

イッセーがデートするってよ。

一週間ぶりに投稿できました


1

 

「……この本によれば、20XX年某月。普通の高校生、常磐アキラ。

 彼には魔王にして時の王者、オーマジオウ(常盤ソウゴ)の息子として新たなる時の王者になる未来が待っていた」

 

 彼はひとりでに現れ()()誰へと向けた言葉なのか、一人しかいないその白い空間で語り出す青年。

 その目は、彼の手元にある新たな『逢魔降臨暦弍』に向けられている。

 

「放課後彼は、友人兵藤一誠のデートプランを考えるべく彼に助力。そして迎える本番……………おっと少し読みすぎました。」

 

 

 

 

 翌日の放課後、俺はつい先日イッセーの彼女になった天野さんとのデートプランを一緒に考えて欲しいとイッセーに頼まれとある喫茶店に来ている。

 

 ここ駒王町にはなぜか喫茶店が星の数ほどたくさんあるのだ。だから喫茶店はそれほど特別珍しくは無いのだが、この喫茶店だけは特別なのだ。

 

 それはこの店『喫茶ポレポレ』は昔から母さんの行きつけの店だったらしい。

 どうやら幼少の頃、俺は母さんに連れられてよく来ていたらしい。

 

もちろん幼少の頃のことなので俺は覚えてはいなかったが、たまたまこの店の前に通りかかると俺の事に気づいた飾玉三郎のおやっさんが俺に声をかけてくれて、その時俺は昔の事を知ったんだ。

 

「あれ?アキラ君じゃないか奇遇だねこんな所で会うなんてそこの彼は君の友達かい?」

 

 唐突に後ろから声がかかる、その声は聞いただけで誰かわかる程の美声。そして何よりもその声はとても知り合いに似ていて……いや訂正する。知り合いそのものだった。

 

「……どうしてここにお前がいるんだよ!祐斗!オカ研の勧誘は先週も断ったはずだが!?それに何で俺の居場所がこうもバレるんだ!?」

 

 この美青年は木場祐斗。コーカソイド的な顔立ちをした美形の男で才色兼備文武両道のイケメン。

 

最近知り合ってから何故か、いつもいつも俺の居場所を突き止めてきては部活の勧誘をしてくる奴。そのせいで最近クラス内で俺と木場のBL本が出回っているとかいないとか。見つけ次第焼却炉にシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーッ!!!!!!!!!超!エキサイティン!するのが日課となりつつある。

 

 性格は基本的にクールかつ物腰柔らにして温厚な方、いかなるハプニングがあっても持ち前の大胆さと行動力で冷静に対処する事の出来る頭脳を持つ。

 

悪い奴ではないと思うのだが、たまに祐斗が俺にゲイめいた発言をしてきてはドン引く事が少なからずある。本人は冗談だと笑って言ってくるがたまに身の危険を感じさせる奴。

 

「祐斗、コイツは兵頭一誠。俺の幼なじみって奴?今日ここに来たのはイッセーが彼女との初デートプランを考えるべくここに来たんだ。」

 

「どもっす。俺兵頭一誠っス!アキラとはダチやってますんでこれからよろしくです。」

 

「ははは、そんなにかしこまらなくていいよ。僕は木場、木場祐斗。君と同じ学年のはずだから呼び捨てでいいよ。」

 

「オッス!じゃあ木場って呼ぶから木場も俺を気軽にイッセーって呼んでくれよな。」

 

「うん、わかった。それじゃイッセー君って呼ぶよ。それとアキラ君そのプランを考えるの……僕も一緒に混ぜてくれないかな?」

 

「ん?歓迎するよ!頭が3つ集まればもっといいプランが考えつくはずだからな。」

 

そして30分後………

 

「んで、とりあえずこんなところでどうだ?イッセーそれと祐斗、お前も考えたか?」

 俺はとりあえずノートに思いつく限りののデートスポットを書いてイッセーに渡し、そこを祐斗がイッセーの隣で覗く。

 

「ははは、僕は全然だよこういう事はからっきしでね。あまり力になれなくてごめん。」

 

「いいって木場!んーとなると、案は俺とアキラだけか……とりあえず俺のプランは映画とかそのへんでショッピングとか考えてみたんだけど。なんかやっぱりフツーって感じで王道すぎると思うんだよなぁ……とりあえずアキラの案も見てから考えるか……って!お前も俺と同じド王道な内容かよぉ!」

 

 そう、俺が考えたプランはイッセーと似たようなどれもこれもありふれていて新鮮さが無く。それはある意味デートの教科書のようなプランだった。

 

「ははは、やっぱり初めてのデートなら王道的なデートが一番!って俺の父さんが豪語してたからなぁ……これくらいのプランしか思いつかなかったよ。もし雨になってもいいようにサブプランをいくつか考えとくよ。」

 

「おー!サンキュなアキラ!それと木場!とりあえず天野ちゃんとの初デートは今のところこのプランで決定だ。それにもう少し模索しようと思ったけど……こりゃ時間的に無理そうだな」

 

「ん?もうそんな時間か……」

 そう言われて俺は窓から外を見る。

外はとっくに夜になっていて壁の古時計を見ると時刻8時を秒針が指しているところだった。

 

「それじゃあ僕も帰らせてもらうかな、2人とも夜道には十分注意してね。」

 

「ああ、特にお前とかな。」

 

「や、やだなぁアキラ君。僕がそんな事すると思うのかい?」

 

 俺がマジトーンで木場に釘を刺す。すると木場は苦笑いで返してきた。コイツ明らかに何かするつもりだったな?今度はクロロホルムで拉致って入部届けにサインをさせるとかなんとか。

 

「アキラ!とりあえず俺はもう帰るけどお前も帰るか?帰るなら後ろに乗せてやるよ!こっからお前ん家までそう遠くないしな。」

 

イッセーは会計を済ませながら店の出入り口で俺を待ってくれているようだ。

 

「いや、もうすこしここに残って考えてから帰るよ。明日のデートとにかく楽しんでこいよ!」

 

「おう、ありがとな!アキラ!お前は最高のダチだぜ!じゃな!」

 

 

2

 

翌日の早朝———喫茶ポレポレにて

 

 今朝、いつものように俺は喫茶ポレポレでバイトをしていた。

 店内は比較的に空いていて、静かに時計の針の音だけがカチカチ、カチカチと聴こえる。

 

「………(しかし、イッセーの奴何事も無くデートを楽しめているといいんだが…)」

 

 俺はあの日の放課後、初めて天野さんと出会った時、俺の中で漠然とした違和感を覚えた。

 

それはまるで天野さんが()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を感じた気がした……気のせいだと今も思うが。

 

そして時間は自然と過ぎ、バイトも終わりふと時計を見ると時刻は午後を回っていた。着替えていると誰かに声をかけられた。

 

「どうしたんだい?アキラ君、そんなうかない顔をして。」

 

 この人は自称冒険家の五代雄介さんだ。今は同じポレポレでバイト仲間として働いている。

何故かいつも俺によく絡んできては、今まで行ってきた冒険の数々を聞かせてくれる人。悪い人ではない。

 

「いや、友達が今日初めてのデートなので少し心配で……少しお人好しすぎますよね?」

 

「いやぁ!そんな事はないよ!それはとてもいい事だと自分は思うな。アキラ君、そんなに友達に親身になれるやさしい心を持つ君のような友達を持てて、その友達は感謝してると思うよ。」

 

「五代さん……ありがとうございます。」

 

「あ、それとコレ。受け取ってくれるかい?」

五代さんはポケットから丸い小さな時計型のデバイスの様なモノを渡してきた。

「五代さん…コレは?」

 

「どこかで拾ってね。どこで拾ったか俺にもよくわかんないんだけど‥‥なんだか君に持っていて欲しいと思ったんだ。」

 

「はぁ……そういうなら貰っておきますね。」

そして俺は五代さんから貰った()()をポケットに入れてバイトを上がった。

 

 




次回、誕生の時20XX

イッセー「ぜってぇ見てくれよな!」

アキラ「おい、イッセー唐突な空孫悟やめろ」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

誕生の時20XX

久々の投稿です。なかなか思うように書けず苦労しました。


1

 

〈アキラside〉

 

 俺はポレポレのバイトからあがった後特に課題や、やることも無いので適当に家で静かに過ごしていた。

 

 やがて夜になり腹も空いてきた頃、今日は家政婦の新田さんのお休みの日なのでコンビニで夕飯を買いに行こうと思い出掛けた。

 

???「……やぁ、我が王子お久しぶり……と言ってもわかりませんか…いやなに元気そうで何よりだ。」

 

 人気のない道を歩いてコンビニに向かっていると唐突に男の声が聞こえた。

 声の聞こえた後ろを振り向くと近くの電柱の暗がりから季節外れの暑そうなマフラーとオリーブ色のコートを着た青年が立っていた。

 

アキラ「あんた誰だ?王子って一体何のことを言って……もしかして俺のことを言っているのか?」

 

 

 

 

 謎の青年にそう問いかけると青年は少し顔を顰めて少し考えるような仕草を取った。

???「そうか、そうゆう事か……いや何でもないさ我が王子。()()()()()()()()()()()()()()それと王子。早く公園に行かないと君の友人が手遅れになるよ。」

 

アキラ「オイ!手遅れって何だよ!?まだ話が!ある……って消えた?」

 

 ふと気がつくといつのまにかに青年は煙のようにいなくなっていた。

 

〈???side〉

 

 私の名前は葉月緋色。何の特徴もない仮面ライダー好きの女子高生。

 

 私は学校の帰りに近くの立ち寄ったコンビニで久しぶりに本を立ち読みしていた時、漫画を読んでいた自分にいきなり突っ込んできたトラックで無残なひき肉姿になって死んでしまった訳なんだけど。いやぁ立ち読みなんかしなけりゃよかったなと後悔しながら天国に逝くと思っていたらなかなか逝かないものだから目を開けてみた。

 

 するとそこはご都合主義よろしく、某テンプレ的な場所に私はいつのまにかいて、神様的な服を着たおじいちゃんが私に好きな特典2つと一緒にラノベの世界(ハイスクールD×D)に転生させてくれた。

 

ヒイロ「さてと、この辺かな?兵藤一誠って子が殺されちゃうのは?」

 

 私は長年憧れだった仮面ライダーの特典を試してみたくなって、私のいるこの世界(ハイスクールD×D)の主人公らしい人物。兵藤一誠君が殺されるというイベントがある公園をさがして駒王町を闊歩していた。

 

 因みに私はこの世界の事を全くと言っていいほど知らない。

 一応神様からは、断片的にだけどこの世界の地名や登場人物たちの事を聴いた。そして私は転生してきての今日この日たまたまなのか、主人公が堕天使に殺されて悪魔に転生するというイベントがあるのを知った。

 

 私がここにきたのは自分のエゴで仮面ライダーになりたいんじゃない。この力を手に入れた理由は、私もいつか仮面ライダーのように人々の笑顔を守りたいと思ったから•••それに人が死ぬのを知っていてみすみす見過ごせるほど私は落ちぶれてはいないしね兵藤って子も死んだらその家族たちが悲しむと思うし•••

 

ヒイロ「おっとここね。危うく通り過ぎてしまう所だったわ。」

 

 いつものように考え事をしながら歩いていた私は死亡イベントのある公園までやって来ていた。

 

 

〈アキラside〉

 

 あれから俺は予定されていたデートスポットのあちこちをヘトヘトになりながら走り、探していた。

 

アキラ「はぁ、はぁ、はぁ。たく、どこにいるんだイッセーの奴!……ん?あれは」

 

ふと公園を覗く、俺はそこに若い2人の人影を見つけた。なぜか周りに他の人はおらず、イッセーと天野さんが噴水の前で向かい合って立っていた。

 

天野「ねぇイッセー君一つお願いがあるんだけど……いいかな?」

 

イッセー「な、なにかな?天野ちゃん。天野ちゃんのお願いならなんでも聴くよ!」

 

天野「嬉しい!それじゃぁ……死んでくれないかな?

 

イッセー「え?」

 

 瞬間、アキラの背中に妙な寒気が走る。すると天野は黒い翼を背中から生やし、どこからともなく出した赤く光る槍をイッセーの心臓に突き刺そうとした。素人目でも刺されば即死するとすぐに理解した。

 

 気がつくといつの間にか俺はイッセーを助けようと咄嗟に飛び出していた。

 

アキラ「イッセー!逃げろ!

 

天野?「!?何故ここに人間が!?いや、それよりまずはイッセー君を殺す方が先!アキラ君もあとでゆっくり殺してやるわ!ヒャハハハ!」

 

ガギィン!

 

天野?「な!?」

 

 何かがぶつかるような鈍い金属音が公園に木霊する。それはイッセーの心臓に突き刺さるはずの槍が何者かに弾かれ、槍は明後日の方向に飛んでいった。

 

 

 俺たちを助けてくれたのは1人の女だった。その姿は容姿端麗で透き通った声の美がつくほどの少女だった。

 

ヒイロ「大丈夫!?そこの君達!」

 

アキラ「俺は大丈夫だ。イッセーは……ははは、気絶してるだけだな。因みに君は何者なんだ?」

 

ヒイロ「私?私は葉月緋色。それとここは危険だから下がって。2人とも無事みたいだし、あとはこの堕天使を追い返すか始末するだけね。」

 

天野?「始末?だれだかしらないけど私の槍を弾くなんてね。もしかして神器持ちかしら?なら冥土の土産に名乗ってあげる、私の名前は堕天使レイナーレ!その身に神器を宿した神を呪いながら死になさい!!」

 

 襲いかかってくる天野に対しヒイロは柔道か何かの武術で天野を流れるようにいなした。そして彼女はアタッシュケースからベルトのような物を取り出し自分の腰に巻いた。

 

ヒイロ「変身!」

そして彼女はカイザフォンをベルトに差し込んだ。

 

STANDING BY COMPLETE

 

 低くくぐもった電子音声が流れて眩い閃光が辺りを照らし体に黄色のラインが走る。そしてヒイロは仮面ライダーカイザに変身した。

 

ヒイロ「やった!変身できた!」

 

レイナーレ「ば、馬鹿な!?()()姿()()()()()()()()()()()()()!?なぜお前のような人間に!?くっ!ここは戦略的退却!」

 

ヒイロ「させないよ!」

 

 ヒイロさん、いや仮面ライダーカイザは目にも止まらない速さで跳躍、天野の背中にキックで攻撃した。そして天野は地面に激突。

 

レイナーレ「カハッ!」

 

よろよろとレイナーレは立ち上がった所にカイザは立て続けにパンチ、キックを繰り返し、確実にダメージを与えていった。

 

カイザ「これで!!」

 カイザは腰のカイザブレイガンを手に取りガンモードへ切り替え堕天使レイナーレにその銃口を向ける。

 

Blust Mode

 

手前のコッキングレバーを弾き何発か光弾を発射する。すでに満身創痍のレイナーレは回避する気力はなく全て命中。

 

 次にカイザブレイガンを近接格闘用の剣形態。ブレードモードに切り替えるとカイザフォンに装填されているミッションメモリーを装填させた。

 

Ready

 

 電子音声と共にグリップエンドからフォトンブラッドを発する刀身、フォトンブレードが生成され起動する。

 

 そしてレイナーレはなす術なく左翼を溶断された。激しい激痛がレイナーレを襲い、断末魔に似た声を叫んで地面をゴロゴロと転がり回る。

 

カイザ「これでとどめ!」

 

ヒイロがレイナーレにとどめを刺さん振り下ろしたその時また電子音がなる。

 

シュートベント

 

 大砲のような一撃がカイザを襲う。着弾地点からはモワモワと、煙が上がる。

 

カイザ「グッ!誰!今私に攻撃してきた人は!(今の電子音!まさか!?)」

 

 煙が晴れるとそこに立っていたのは仮面ライダーゾルダだった。

 

ゾルダ「今その堕天使に死んでもらっちゃ困るのよねこっちは。だからさ撤退してくれない?」

 

 伝説の前夜はまだ終わらない。

 

 




次回、誕生の時20XX②

イッセー「いやこれ続くの!?」

ヒイロ「続くのよねこれが。」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

誕生の時20XX②

1

 

「グッ!誰!今私に攻撃してきた人は!(今の電子音!まさか!?)」

 

 煙が晴れるとそこに立っていたのは仮面ライダーゾルダだった。

 

「今その堕天使に死んでもらっちゃ困るのよねこっちは。だからさ撤退してくれない?」

 

「……私は…私と同じライダーであるあなたとは争いたくない、しかも仮面ライダーゾルダ相手にこの間合いじゃ多分私敵わないと思うし。」ジリッ

 

「ははは、冗談キツイって君。今も少しずつ間合いをつめてるじゃない。気づかないとおもってる?それにその姿、仮面ライダーカイザ…でしょ?カイザと衝突してたら命がいくつあっても足りないからさ、自分の望みは一つ。そこのレイナーレって子を逃してくれる?見逃してくれたらこっちもこのまま帰るからさ。」

 

「一つ聞いていいかしら?なぜその堕天使を助けるの?それともあなた、そこのレイナーレの仲間?」

 

「いんや?会ったことも喋ったこともないよ。でも()()生きてもらわなくちゃいけないんだよね……それじゃ答えをきこうかな?逃してくれるの?それとも…」

 ゾルダはギガランチャーを手放し、右腰に下げている機召銃マグナバイザーに手をかけ、そしてゾルダは左手でカードを引き抜く素振りを見せる。

 

「……わかったわ。後ろの人達を巻き込めない。」

 

「理解のある人でよかったよ……でも!そこの2人には死んでもらおうかな!!」

 

 ゾルダは突然俺たちに向けてマグナバイザーで攻撃してきた。命中するかと思ったその時、ゾルダの放った弾丸は突如として現れた黒い風が弾丸の軌道を変化させ弾丸は代わりに真横の樹木に命中した。弾丸は樹木を易々と貫通しメキメキと音を立てて折れた。

 

「「!?」」

 

「間一髪だったね我が王子、おケガは…ありませんか?」

 

「あ、アンタはあの時の……謎のコート男!」

 

「いやいや、私はコート男などと言う名前ではありませんよ、我が王子」

 

「いやでもアンタの名前訊いてなかったし」

 

「おっと、確かにそういえば私とした事が自己紹介がまだでしたね。私の名前はウォズ。我が魔王……いえ、あなた様のお父様に仕えていた者です。訳あってあなた様にもお仕えする事になりました。」

 

「親父に仕えていた!?親父って一体何者だよ……いやそんな事より今はこの状況をなんとかするしないと!……ん?」

 

 ふと、ポケットからあの時五代さんから貰った二つの時計型デバイスを手に取るすると発光し二つともデザインが変化した。

 

ジオウ!〕 〔クウガ!

 

「これは!?へんな時計がまた変になった?」

 

「我が王子これを受け取っていただきたい使い方はご存知のはず…」

 ウォズが俺にベルトのような物を差し出し俺はそれを手に取り腰に近づけると勝手に装着された。

 

「これならいけそうな気がしてきた!」

 

ジクウドライバー

 

そしてもう一つ。さっき取り出したデバイスを正面に掲げる。デバイス前面のウェイクベゼルをカチカチと回転させ、起動待機状態へ移行。

 

 上部のライドオンスターターを押し、デバイスを起動する。

 

 

ジオウ!

 

 

 ウォッチに描かれた顔。レジェンダリーフェイスが発光した。

 

 俺は起動させた()()()()()()()を、ジクウドライバーのスロットに装填。

 ジクウドライバーは変身待機状態へ移行、それを知らせるための待機音が繰り返し鳴らされる。

 ジクウドライバー上部のライドオンリューザーを押し、ドライバーの最終ロックを解除。

 ジクウマトリクス上でジクウサーキュラーが回転するために傾いた。

 

 アキラの動作に合わせて背後の空中に巨大な時計が出現する。

 その中央に大きく“ライダー”の文字が浮かんだ異様な時計。

 最後に必要な言葉を叫び、アキラは最終変身シークエンスを完了する。

 

「変身!」

 

 上げた左腕を大きく振り下ろし、傾かせたジクウサーキュラーを回転させた。

 それが360°回るのと同時に俺の背後で世界が一度回転したような気がした。

 

ライダータイム!仮面ライダー! ジオウ!

 

そして俺は仮面ライダージオウへと変身した。

 

 

「祝え――――!」

 

「全ライダーの力を受け継ぎ、今一度時空を越え過去と未来をしろしめす時の王者!

 その名も仮面ライダージオウ―――受け継がれし瞬間である!!」

 

 片腕で本を抱えながら、ウォズはジオウに変身したアキラの家臣として彼の初変身を祝福しているようだった。

 

 

「ジオウ!?なぜこの世界に!?」

 

「とりあえずイッセーを守っていてくれ!」

 

ヒイロは驚きを隠せず混乱していたがゾルダは別だった。

 

ゾルダは間髪入れずマグナバイザーで狙撃する。俺はそれをなれた受け身で回避する。

 

「君がなぜジオウに変身しているのかは知らないが君とならすこしは楽しめそうだ——」

 

「なんかよくわからんが行くしかないか!」

 

ジカンギレード!ケン!

 

俺はどこからともなくジカンギレードを取り出してケンモードにする、そして間髪入れずに突っ込んで行く

 

「君、見かけによらず爆発力のある性格をしているんだね!」

 

ゾルダはマグナバイザーで射撃攻撃を仕掛けてくるが、キン!キン!と器用に俺はジカンギレードで弾き、あっという間に間合いを詰めたそしてジャキンジャキン!と俺はゾルダを切りつける

 

「グハッ!…なかなか効いたよ今のはそれに君早いねぇ(ライダースペックかそれとも…?)」

 

ジオウとゾルダは一進一退の攻防を繰り広げそしてクライマックスに差し掛かろうとしていた!

 

「そろそろ決めるぜ!えっと多分必殺技みたいな事ができると思うんだが、あ、これか」

 

フィニッシュターイム!ジオウ!

 

俺はジクウドライバー上部のライドオンリューザーを再び押し跳躍する、ドライバーの最終ロックを解除そして回転させる。必殺キックの軌道にキックの文字が列をなすそして、それと同時に相手も必殺技に移ろうとしていた

 

「これだけは使いたくなかったけどな死んでも恨むなよ!」ガション

ファイナルベント

 相手も契約モンスターマグナギガが呼び出される

 

タイムブレーイク!

俺はキックの文字列に蹴りの体制で突っ込むそして相手のエンドオブザ・ワールドと激突したが、かろうじて自分の方が早かったせいか、お互いの必殺技のぶつかり合いで引き分けお互いに吹き飛ばされる

 

「「うおぉおおおおお!!」」

 

「ぐへっ!」

 

そしてゾルダは吹き飛ばされた背後に突如現れた銀色のカーテンに堕天使レイナーレごと叩き込まれ、俺は後ろの木に背中からぶつかりその拍子に気絶、変身状態は解除された

 

「ねぇ!ちょっと!大丈夫!?って…気絶してる。それはそうだよねあんなに暴れたんだし、2人ともこのジオウに変身してた人の家に連れて帰るしかないね」

 

 ヒイロはアキラとイッセーを2人まとめて抱き抱えると足早にその場を去っていった。

 

〈ヒイロside〉

 

 私は目を覚ますと見知らぬ寝室で寝ていた。部屋の中には私がさっきまで寝ていたベットと椅子に電気スタンド。ここ最近使用されていないのか余り生活感は感じられなかったが掃除は丁寧に施されていた。

 

「ここ、私ん家じゃないわよね。確かあの後…そうよ2人とも気絶…してたのよ!」

 

 私は自分のポケットの中のスマホを手に取り時刻を確認する。時刻は午前6時半の早朝。

 

「ま、ぐたぐた考えるより部屋を出てみないことには始まらないか。」

 

コン、コン

 

 不意にノックが鳴った。部屋に入ってきたのはあの時兵頭って子と一緒にいた男の子だった。

 

「ああ、起きてたのか。昨日はありがとう気絶した俺とイッセーの奴をまとめてうちに連れてきてくれて、おちついたらでいいからさ、下に降りてきてくれ新田さんが朝食を作ってくれてるから。」

 

「そういえばまだ君に自己紹介してなかったな俺は常盤彰よろしくな。」

 

2

 

 私たち三人で朝食をとりコーヒーを飲みながら私は話す機会を伺っていたらイッセーくんが話しかけてきた

 

「そういえばさ、君って名前なんなんだ?俺たち2人とも助けてくれたのはありがたいんだけど名前がわからないからお礼を言おうにもいえないんだわ」

 

「そうね、とりあえず自己紹介させてもらうわ!わたしのなまえは葉月緋色!仮面ライダーカイザをやらせてもらってるわあと他にもいくつかね。」

 

 私はキャラにもなく高らかにビシッ!っと自己紹介すると私のノリにイッセーくんが合わせてくれたのかなぜか悟空風に返してくれた

 

「オッス!オラの名前は兵藤一誠!気軽にイッセーって呼んでくれよな!オラワクワクすっゾッ!その仮面ライダーってのはよくわからんけど俺を助けてくれたのがさっき言ってたカイザって奴なんだろ?スッゲーよな!」

 

 そしてその後からは仮面ライダージオウの力を持つアキラ君から詳しい説明を受けながら三人でおいしい朝食を頬張った。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

フリード・セルゼンという男

1

 

〈アキラside〉

 

 俺たちは朝食を取り終えてから昨日の公園での出来事をヒイロから教えて貰っていた。俺が仮面ライダーに変身した後のことそして気絶して情けなく女の子におぶられて俺の家まで送ってもらった事…全部聞いた。俺が気絶して女の子におぶられていたことをイッセーがヒイロから聞いた時イッセーの奴は爆笑していたがイッセーも情けなくおぶられていた事を彼女自身から聞かされわかりやすく落ち込んでいた。

 

「マジか…なんとなく察してたけど俺も一緒におぶられてたのか…」

 

「と、とりあえず今話した事全部が私の知ってる限りの事だけどこれ以上の情報は昨日の公園の堕天使とゾルダをとっちめてみないとわからないわ。」

 

「それとなんであなたが仮面ライダーの力を使えていたのか…いや使()()()()()()()()()のかを教えてほしいのだけれど。」

 

 俺はコーヒーを一口飲んだ後ポケットからジオウのライドウォッチを取り出して話し始める。

 

「俺には昔から変な特技があってね…まぁその特技のおかげで使い方がわかったんだ。」

 

 このライドウォッチを手にした時脳裏に観えたあの光景はなんだったんだ?父さんもこれと同じ物を使っていた情景が浮かんできたがもしかして父さんも仮面ライダーとして戦っていたのか?……ならどうしてその事を息子の俺に話してくれなかったのか…

 

「…てる?…聞いてる?」

 

「ん?」

 

「アキラ君ってば!さっきから心ここにあらずって顔してるけどちゃんと話聞いてるの?」

 

「あ…ああ、悪いちょっとぼーっとしてたよそれでなんだっけ?」

 

「あなたの能力の事よ!物の使い方が昔からなんとなくわかるって言ってたけどそれってもしかしてあなたって神器持ち?物の情報を読み取る能力かしら?」

 

「あの〜神器ってなんすか?夕魔ちゃん…いや堕天使が俺の体にも神器があるって言ってたけど俺のもアキラと同じ物なのか?」

 

「いや、厳密に言うと神器には全く同じものは存在しないのよ」

 

そしてなんやかんやで色々話し込んでいると上の2階からドタドタと一人の男が降りてきた。

 

「うぃ〜す…ふぁ〜あ…二人ともおはよ〜…って!新田ちゃん以外のおにゃのこがいらっしゃる!?もしかしてアキラかイッセー……は無いなアキラの彼女か!?」

 

「やい!フリードこの野郎!なんだその言い草は俺にだって彼女はできたわい!殺されかけたけどな!」

 

 この無駄にハイテンションな青年はフリード・セルゼン。

 

昔、道端で野垂れ死にしかけていた彼をウチに連れてきて看病したら俺に恩が出来たとかで恩を返すまで出て行かないとか言って俺の家に現在居候している。

 

職業は自称悪魔祓いの陽気な少年神父らしいが日頃家でゴロゴロしてるかテレビ見てるだけのただのニートだ。

 

 なんどか彼を家から追い出そうとしたが根は悪い奴ではないので助けたのにまた野垂れ死にしたらと思うと目覚めが悪いので仕方なく家に置いている。

 

「そういやフリード、なんか最近深夜に家を抜け出してるみたいだけど何してんの?バイト?」

 

「ん?まぁ住まわせてもらってる身なんで深夜にちょっとしたお仕事をね」

 

 そう言いながら彼は身支度を済ませるといくつか常備してあるおにぎりを手にそのまま玄関にいって出ていった。

 

2

 

〈フリードside〉

 

 やぁやぁ画面の前のみんな〜はじめまして俺ちゃんの名前はフリード・セルゼン。

気軽にフリードお兄さんやセルゼンさんとでもよんでおくれやす。

 

「ここか…」

 

 俺ちゃんは情報屋から仕入れていた情報を手元のスマホから資料を再確認する。

 

今回の標的は《はぐれクソ悪魔のバイサー》よなよな魔法を使ってなんの罪もない一般市民を住処の廃倉庫に誘き寄せて食い殺しているクソ悪魔だ。

 

「ま、懸賞金はすくないけど今夜はこいつしか狩れないから我慢するかぁ…情報を見るに()()を使う必要は無さそうネ。」

 

「ん?」

 

カララン…

 

 俺ちゃんは倉庫を探索していたらカラランと物音の聞こえた方向を手製の特殊リボルバーを片手に構え見る…

 

「スンスン…不味そうな臭いがするなぁひどい悪臭だ…この匂いは悪魔狩りのニオイだ…そういえばまだ悪魔狩りは食べた事ないなぁ…甘いのかな?苦いのかな?」

 

奥の暗がりからはぐれ悪魔バイサーが姿を表した。

 

「噂をすればってやつ〜?特大汚物の登場じゃあ〜りませんかぁ〜それじゃあチャチャっと!俺ちゃんに殺されろよ!バキュン!!バキュン!!」

 

 俺ちゃんはリボルバーの照準をクソ悪魔に向けてトリガーをぶっ放すと光のの光弾が空を裂く

 

「そんな攻撃が効くと思って…ぎゃああぁああ!!」

 

 着弾するとクソ悪魔は俺ちゃんにとっては心地のいい音色を奏でる…イイ!イイね!その声その表情!堪らないなぁ!!!

 

「うう…な、なぜだ…ただの洗礼を受けている弾丸では傷一つとつかないこのワタシの体に焼けるような痛みをあたえるなんてぇ…」

 

「コレただの弾じゃないのね、天使から裏で高値で仕入れてる特殊弾だからそりゃあ並の悪魔はそのまま死ぬはずなんだけど…クソ悪魔の癖になかなか頑丈だなこりゃあ…殺された人の遺族の為にも苦しんで死ねやぁ!!」

 

バンバンと俺ちゃんはがむしゃらに動けなくなったクソ悪魔にむかってトリガーを引き続けそのたびにクソ悪魔の気持ちいい絶叫というコンサートを堪能する。

 

 そしてクソ悪魔が絶命したあと俺ちゃんは銃身の先から出る硝煙を西部劇のガンマンのように勢いよく吹き消すとクルクルとまわしてからホルスターに納める。

 

「あ〜ネトゲで溜まってたストレスも解消したしそろそろ帰りますか。」

 

3

 

「はぐれ悪魔バイサー!あなたの所業はここまでよ!!・・・これは?」

 

「おやおやこれは派手に殺られてますわねぇうふふ。」

 

 金髪の男がさっきまではぐれ悪魔のバイサーだった物の穴だらけの死体にちかずいて傷の様子を見る。

 

「傷はまだ新しい・・・部長!まだ近くに?それにこの殺し方怨恨でしょうか?」

 

「うわ!グッロォ!うぷっ……」

 

「そうですね。」モグモグ

 

 死体を見ながらお菓子をバクバクと頬張る少女。

 

「これ見てよくそんなに菓子が食べれるのな子猫ちゃん。」

 

「強いて言うなら慣れです。」

 

「えぇ…慣れかよ…」

 

「これは最近この駒王町で悪魔狩りをしている連中の仕業ね。」

 

部長と呼ばれている赤毛の女が言ったその言葉にピクリと反応する金髪の男

 

「悪魔狩り?はじめて聞きます。」

 

「私もです。」

 

「うふふ、木場くんと子猫ちゃん、それに正一くんは初めてですね。悪魔狩りの現場は。」

 

「ん、まそうですね。」

 

「僕も噂なら聞いたことがありましたが初めて見ましたよ」

 

「・・・決めたわ、このバイサーをやった悪魔狩り私の眷属にするわ!」

 

「なんだってぇ!?」

 

「本気ですか部長!」

 

「待ってなさい!悪魔狩り!必ず眷属にしてみせるわ!」

 

手の中には駒のようなものを持ってそう赤毛の女は意気込んだ。

 

「へくち…だれか俺ちゃんのうわさでもしてるのか?」

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。