なんとしてでもアイクとエリンシアを..... (面心立方格子)
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突然の転生

色々カオスですが、お楽しみください!!

一応本編を知ってる人も知らない人もわかるように書いてます。質問あったら感想とかコメントで聞いて下さい.....。


「やっほーーい!!!風花雪月ルナティック引き継ぎ無し終わったー!!!」

 

全ルート攻略はさすがに骨が折れるよ....でもともかく、ちゃんとクリアはした。全員生存だし、全ルートでイングリットと結ばれた。うむ、完璧である。

 

ぶゎゎゎゎゎゎわん.......

 

「なんだお前(素)」

 

「どうも、暁の女神ではお世話になりました、アスタルテです。」

 

急に出てきた....怖いわ!!!せめてソティスにしてくれ。

 

「あぁ.....ごめんね、何回も倒して。」

 

「それはいいのです。あのおかげで私は改心し、美しい心を手に入れられました。そのお礼に、あなたを私たちの世界へ招待しましょう。」

 

「何言ってんの?あんた。」

 

「あなたはプレイをしている時いつも『このゴリラグズ!!なんでセネリオとライしかペアエンドがねぇんだ!!あのエフラムでもターナやラーチェルとはペアエンドあるのによ!!』と言っていたではありませんか。」

 

「え.....全部聞いてたの?」

 

「はい.....私これでも神ですから。」

 

「キャラ崩壊が著しいからあんまり口を開くな.....」

 

「まぁいいでしょう。しかし、あなたを転生させてもすぐに殺されるのがオチですから何かスキルと武器を与えましょう。何がいいですか?」

 

「いや、神様にそこまで考慮してもらわなくても.....」

 

いやだってね、アスタルテさん。世の中にはそういった妄想を満たしてくれる本があってだね、わざわざ命の危機に晒される必要はないんだよ、うん。

 

「おや.....あなたは欲望に忠実かと思っていましたが、私を心配する美しい心があるのですね.....より恩返しがしたくなりました。」

 

あの.....セリフと魔法陣が合ってないんですが.....さらっと裁きを発動しないでくださいよ。

 

「それに全シリーズ全難易度をクリアしたのです。何かしらの報酬はあってしかるべきでしょう。」

 

「.....分かりました。じゃあ転生しますから家の中で裁きを発動しないでくださいお願いしますから。」

 

「ふふっ.....ではスキルを与えましょう。」

 

スキル、ダメージ軽減・絆.....何これ?

 

「これは味方が近くにいる時味方が受けるダメージを-6に出来るスキルです。そして支援が進めば最大-8まで効果を上げられるのです。」

 

なんだそのスキル、子供アクアみたいな感じか....あったらいいな。

 

「じゃあ武器をお伝え下さい。」

 

「一択しかない。フォルセティ。」

 

「却下です♪ゲームバランスが崩壊します。」

 

なんでだよ.....ヒーローズじゃそこまでかもしれないけど本家のフォルセティえぐいからな.....

 

「分かった、ストーンで抑えておくよ。」

 

「それは悪役の方の魔法なので却下です。」

 

え?これもだめなの.....だったら。

 

「じゃあ.....アーリアル。」

 

「それくらいならよしとしましょう。では参りましょう。」

 

「ちょちょちょ.......!!!」

 

ぶぁぁぁぁぁぁん

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ベグニオン暦641年、クリミア王国

 

「ぅぅぅぅ...,...」

 

だいぶ飛ばされた感覚がある。頭がいたい.....

 

「君、大丈夫かい?」

 

「.....ん、ここは?」

 

「君が平原で倒れていたから保護をしたんだ。大丈夫かい?」

 

「はい.....大丈夫って長男!?」

 

目の前には.....ヒーローズなら蒼海の槍と某タケシと似たような顔をしているオスカーがいた。うわ、アスタルテさんナイスすぎる.....

 

「????どうしたんだい?」

 

「あ、いや.....なんでもないです。」

 

「君、名前と出身国は言えるかい?」

 

「えっと....エイリスと言います。出身は日本です。」

 

「ニホン?それはどこの国だい?」

 

「えっと.....テリウスにはない国です。いわゆる異国ってやつですね。」

 

「それにしては言語が通じるのか.....不思議だな。」

 

「そうですか?」

 

そりゃあこのソフトが作られたの日本ですし.....ね。

 

「私はオスカー。クリミア王国の騎士団に所属している。君は見たところ司祭のようだが.....随分と子供っぽいのにすごいな。」

 

え?そんな初っ端から上級職なの?でもそっか。アーリアル使えないか。.....って!!なんか体縮んでる!!子供か!!

 

(アスタルテです♪どうかしましたか?)

 

(あんた俺を若くしたのか.....?)

 

(はい、さすがに20歳のまま転生させてはエリンシア達にも絡みにくいでしょうし.....ベグニオン暦645年にちょうど15になるように設定しまきた。ふふっ、可愛いですよ。)

 

(可愛いですよ、じゃないよ!!)

 

(世界に慣れるのには時間がいるでしょう.....なので前に転生させました。)

 

(あぁ.....そういう。)

 

(では頑張って下さいね。)

 

その後オスカーさんに色々してもらった。面倒見めっちゃええやん。縛りで経験値あげなくてごめんね。

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「その魔法見せてもらってもいいかい?異国の魔法は気になるんだ。」

 

「いいですよ.....至高の光の力、見といてくださいよ。」

 

俺は魔導書を広げ、手をかざした。すると、空から一筋の光がさしてきて、光の波動が広がった。その衝撃は凄く、風が異常に強かった。危うく某貴族の被弾絵を再現するかと思った。

 

「......凄いね。こんな魔法が使えるなんて。」




どうも。FEに関しては異聞録も含め、全作プレイしています。全難易度、全ルートもクリアはしています。なので他作品のネタがちょくちょく出てくるかも知れませんがお許しください.....


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王女様はどこだ....

アイクシリーズで勘違いされやすいことですが、ファイアーエムブレムにはお約束のように赤緑の初期ユニットがいます。ですが、緑がオスカーという認識はされているのですが、ティアマトが赤と勘違いしてる人が多いと思います。違いますよ?


転生してから1年が過ぎた。どうやらアイク達と出会うまでの月日は速く過ぎるみたいだ.....オスカーはボーレ達の為に騎士団を抜け、俺は光魔法の練習をすることで、ライトを、杖も同時に心得てライブやリブローが使えるようになった。サイレスくらいまで使えればよかったな。

 

が、ここで、1つ大切な問題がある。そう、.....エリンシアに会っておくことだ。2人を結びつける為には、アイクとエリンシア両方に面識があることが前提条件になる。.....え?後で会えるからいいだろう?違う!!グレイル傭兵団には疑り深い参謀がいるから仲間になる為にはパイプを作っておかないとまずいんだ!!

 

 

「まぁ....王族じゃなきゃ会えないか.....だったら城に乗り込むか。」

 

「ワン!!」

 

「ん?」

 

俺の足元に見た事のない犬がいた。そういえば最近ずっとついてくるな.....こいつ。

 

(お前.....アスタルテか?)

 

(はい♪よく分かりましたね。)

 

(本当に丸くなったな.....お前。)

 

(まぁ、神にお前なんて失礼な。まぁいいでしょう.....あれですよ、私も旅をしてみたいのです。)

 

(あっそ。ならいいけど.....)

 

「とりあえずどうやって城に行こうか....」

 

 

 

 

「エイリス殿、先程からどうかしたのか?」

 

「ジョフレ将軍か.....なんでもないですよ。」

 

そう、このアイク♡エリンシアを作る上での最大の敵.....ジョフレである。ジョフレ自体は真面目でいい騎士なんだけどな.....まぁ蒼炎の時はまだペアエンド発生しないから大丈夫、つまり俺の使命のタイムリミットは暁の女神が始まるまでの間。案外短い。

 

「そうですか、あなたは何かと独り言が多いものですから気になるのです。」

 

「そうですか、それはご迷惑をおかけした。申し訳ない。」

 

「いえ、構いません。あなたの魔道の腕はとてもすごいと聞いております。この前の盗賊退治も魔法1発で終わらせたとか.....」

 

「まぁそうだが.....大したことじゃない。それに盗賊も数が少なかったからな。」

 

そう、盗賊のアジトの近くにアーリアルを落として、『ここで息を引き取るか、俺に引き取られて働くか、どっちがいい?』と聞いたら皆喜んで降参してくれた。彼らは職にありつけないが故に盗賊に足を踏み入れたらしい。だから一介の騎士とはいえ、兵士が大量にいる。

 

「そう、ご謙遜を.....エイリス殿、レニング様の家臣にならないか?」

 

「レニング様の.....」

 

「エイリス殿は腕が立つのに未だ一介の騎士と聞いている。貴方のような逸材を見逃して置く訳にはいかないのだ。」

 

.....真面目なこと。だが家臣になってしまうと後半までアイクとエリンシアに会えない。そうなると色々困る。既プレイの為この先を知ってるからな。どうしたものか.....

 

「.....せっかくのお誘い、感謝する。だが私はクリミア王国に仕えていて一定の主君に従うつもりはないのでな。そういう主義なんだ。」

 

「なるほど.....それは残念だ。だが貴方の実力は頼りにしています。」

 

「ああ。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「やっちまったァァァァァァァァァ!!!!」

 

しまった!!ジョフレとエリンシアの幼なじみ設定忘れてた!!本格的にどう会うべきか.....悩む。

 

(なぁアスタルテ.....どうしたらいいと思う?)

 

(別に会わなくてもいいのでは.....オスカーが傭兵団にいるわけですし。)

 

(あっ.....そっか。無理する必要ねぇな。ま、まぁ1回くらい会っとかないと気持ち悪いだろ?)

 

いくら神様とはいえ、ゲーム上にないテキストを生み出す為には頭を使わなくちゃいけない。

 

(それはそうですね.....なら国王に会うのはどうでしょうか?そこからなんとか.....)

 

(それが一番かもな....頑張ろう。)

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ベグニオン暦643年 春 メリオル

 

「ふわぁぁぁあ.....もう2年経つのか。はぇえな。」

 

転生してから2年、この世界の文字も勉強しつつ過ごしている。任務も大量に来るので疲れてしまう。就活前に戦ってるからね?ブラック企業行ってたらもう少し耐えれたのかな.....?

 

「眠いな.....アスタルテ、寝ようぜ。」

 

(ふふっ、了解しました♪)

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの.....大丈夫ですか?」

 

「ん.....ほわぁ!!!」

 

アスタルテとお昼寝をしていたら.....まさかのエリンシアご本人が登場した。あんた王宮の外出て大丈夫だったの.....存在秘密にされてたような。

 

「あの.....ここは敷地内ですよ?」

 

「分かってますよ.....俺はこれでも騎士なので。」

 

「騎士?あなたのような子供が?」

 

「はい、俺はエイリスと言います。えっと.....13歳です。」

 

「そうだったんですね.....遅れました、私はエリンシア・リデル・クリミアと申します。」

 

「うん知ってる。」

 

「え、知っていたのですか!?」

 

「あ、いや.....つい流れで言っちゃいました。ごめんなさい。」

 

「ふふっ、そうなのですね。それにしても13歳で騎士だなんて立派ですね!!」

 

「そうですか?まぁことの成り行きでなったんですけどね....」

 

「それは....魔導書ですか?」

 

「はい。」

 

「その魔法、見せてもらってもいいですか?興味があります。」

 

「い、いいですけど.....離れてくださいよ。」

 

この人アーリアルを見て興味持っちゃったよ.....これ一応別世界の神器だよ。烈火世界の。

 

「お頭!!大変だ!!」

 

「ん?どうした?」

 

「村に.....変な軍隊が来やがった!!」

 

「変な軍隊?なんだそりゃ。」

 

「とにかく来てください!!村が壊されちまう!!」

 

「分かった、行こう。皆に出撃の指示を。敵の数と配置が分かるなら教えてくれ。」

 

「は、はい!!」

 

どういうことだ....仮にデイン軍が攻めてくるとはいえあと2年はあるはず.....もしかしてイレギュラーな存在が入ったことで多少の変化が生まれているのか。

 

「出撃、ですね。あの.....」

 

「どうかしましたか?」

 

「私も1度....戦場へ連れて行って貰えませんか?どうなっているのか気になるのです。」

 

「.......分かった。だが王女が考えてるよりかは遥かに残酷な世界だ。それでもいいならついてきてください。」

 

「はい.....分かりました。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「お頭!!来ましたか!!」

 

「戦況はどうなってる?」

 

「はい、村人には避難を伝えています。ですが、相手も速く被害が大きくなります。」

 

「分かった....総員戦闘開始。村人の保護を最優先として動いてくれ。」

 

「分かりやした!!!」

 

あれは.....デイン軍のなりすましか。参ったな.....こんな速くから紛争が始まってるのか。

 

「さすがにここでアーリアルは使えない.....皆、敵を外まで誘き出してくれ!!俺もやる!!」

 

そして俺たちは村人を保護しつつ、敵を外へ誘き出した.....途中馬に乗って戦ってくれた人もいた。ケビンか.....ということはこの村にはあの二人もいるのか。

 

 

「よし、ぶち込んでやるぜ。あんまり人殺しはしたくないがな。至高の光よ.....」

 

 

そして空から一筋の光が舞い降り、地面に到達した。

 

「何だこの光?」

 

「消えろ.....」

 

そして光の波動が広がり、その近くにいたものを吹き飛ばし、残りの者はその衝撃波で飛ばされた。近くに村人がいたのでがっしり掴んで守った.....

 

「ふぅ.....あんただいじょ!?」

 

「.....?」

 

ネフェニーじゃねぇか!!こんな序盤で会えるのか.....もう少し後だっただろ。

 

「.....かっこいい。」

 

「.....とりあえず大丈夫か?」

 

「うん....戦う。」

 

「え?」

 

「.....あんたの為に、戦いたい。」

 

「.....はい。どうぞ。」

 

ネフェニーか仲間になった!!

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事後処理中

 

「お前の魔法すごいな!!感心したぞ!!」

 

「.....赤いた。」

 

アイクシリーズの赤枠、ケビンさんである。皆覚えとけよ、この人が赤枠だからな。ティアマト姉貴じゃねぇぞ。

 

「.....ジョフレ将軍のことどうした?」

 

「しばし任務の休みでこの村にいたがまさかデイン軍が来るとはな。これは報告せねば。」

 

「いや、あれはデイン軍じゃなかった。ただの山賊のなりすましだ。おそらく金で掴まされた連中だろう。」

 

だってデイン軍が攻めてくるのアシュナードが王になってからだったはずだから今デイン軍がいるのはおかしい。多分貴族の誰かが金を掴ませてこうしたんだろ。この世界の貴族いいの少なすぎだからな。王様達は強いけど。

 

「だが助かった。名はなんという?」

 

「エイリスだ.....はっ!?」

 

やべっ、エリンシアのこと忘れてた。どこにいる.....




ケビン
オスカーをライバル視する蒼炎の軌跡の赤枠。あだ名はケビン酸やFE界の修造などがあるらしい。

無属性魔法が前から表示されていて闇魔法のなんだろうと思ったらアポカリプスじゃなかった.....予想が外れましたね。今回当たりがブラミモンドくらいしかいないのでオーブは控えておきます。


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チュートリアル

オリ主がクリミア軍にいるこの二次創作で、チュートリアル作るとしたらこんな感じかなという突発的な思いで書きました。割とECHOESに似てるかな


それはまだエイリスがクリミア軍に所属していた時のこと

 

メリオル離宮

 

レニング「はぁ!」

 

ジョフレ「はぁ....くっ....」

 

レニングとジョフレが槍を交えて手合わせをしていた。結果はレニングの圧勝。まぁそりゃそうよね.....暁でそういう事言ってたし

 

ユリシーズ「レニング様の勝ちですな。」

 

レニング「ジョフレよ。そのような槍捌きでは敵にやられてしまうぞ。」

 

ジョフレ「.....レニング様。もう一度お願いします。」

 

レニング「少し休め。私は次は彼女と立ち合わねばならん。」

 

そう言ってレニングはその近くで槍の素振りをしているネフェニーを見て声をかけた。

 

レニング「ネフェニー。今から君がどれほど上達したか見よう。」

 

ネフェニー「.......平民.....」

 

レニング「身分など関係ない。エイリスが見出し、しばらくの期間でこれほど成長したのだ。君の、騎士の槍とはまた違った槍を私に見せてくれ。」

 

ネフェニー「.....分かりまし.....た.....」

 

そう言って2人の激しい手合わせが始まった。ネフェニーはともかくさっきからぶっ続けで手合わせをしてるのに疲れを一切感じさせないレニングほんと凄いなぁ.....

 

そして自分はというと木陰からそれを見ているという体たらく。まず騎士団の中に魔道をまともに扱える人がユリシーズと俺しかいないという中々不安要素満載なところがあるからか、訓練らしい訓練がない。強いて言えば、模擬戦による指揮と盗賊の討伐くらい。でも戦場って生きるか死ぬかだからやっぱり場数を踏まないといけないよな.....と肌で感じた。出ないと机上の空論になっちゃいそうだし。

 

 

ルキノ「今日もここでまたサボっているの?」

 

「サボってるんじゃなくて次の訓練か座学まで頭と体を休ませてるだけ。実際模擬戦と魔道、杖の本を読むことくらいしか今は無いし.....」

 

そして寝転んでいるとルキノが上から屈んでこっちの顔を見てくとくど言ってくる。ほんとでかいな.....

 

ルキノ「エイリス、あなたは仮にも国境警備を任せられているのだからもう少し.....」

 

エリンシア「まあまあルキノ。エイリス様も普段は勤勉に仕事をされていますよ。私にもよく仕事の愚痴を言いますし。」

 

ルキノと会話をしていたらエリンシアが入ってきた。きっとこっちで話してる様子を見て気になったんだろうな.....

 

「.....エイリス、エリンシア様に愚痴を吐いているの?」

 

「別に愚痴ってるんじゃなくて仕事のことを聞かせて欲しいって言うから、話しながら色々疲れてるんだよって言ってるだけ。」

 

「それを愚痴と言うのよ.....」

 

「それにサボってる風に見えるけど監視の報告とか近隣の動向にはちゃんと注意してるよ.....普段はうちの部下の元盗賊達に見張らせてるし。あいつらの方が細かいところまで目がいくし.....もし規模が大きかったら俺も行くし。」

 

エリンシア「ふふっ、ルキノもエイリス様とすっかり仲良しになったのね。」

 

なんか少しエリンシアが悲しげな雰囲気で言う。いやあんた姫なんだから仕方ないでしょ.......というかこれくらい話してる方が遥かに珍しいからね

 

ジョフレ「エイリス殿も少しは剣や槍を持って訓練してみてもいいのではないですか?幾分その小さい体では力で大人相手に勝てないでしょう。」

 

そしてルキノとエリンシアと話しているうちに休憩していたジョフレも会話に参加してくる。

 

「剣や槍めっちゃ重くない....?あれ持ってまともに戦える自信がないよ。」

 

ジョフレ「だからこそ日々鍛錬をするのです。」

 

「あのさぁジョフレ殿.....その堅苦しい口調どうにかならない?一応立場的には俺の方が下なんだし.....」

 

ジョフレ「そういうわけにはいきません。確かに地位は私の方が上かもしれませんが、功績はエイリス殿の足元にも及びません。」

 

「だってそりゃ現場に派遣されてる回数がこっちの方が断然多いからだろ......」

 

ルキノ「ジョフレ、別にいいんじゃない?エイリスだってそう言っているし、何より軍の中でも数少ない歳の近い子だもの。」

 

エリンシア「そうですよ。ジョフレだって、気の置けない男友達が1人いたっていいじゃないですか。」

 

ジョフレ「そう仰るなら......しばらく癖で出るかもしれないが、そうさせてもらう。」

 

なんやかんやでこう、平和なんだよね。国境近くでの小競り合いはたまにあるからそこはあれだけど.....蒼炎でも暁でもあんまり描写されてない平和だった頃のクリミアメンバーのやりとりを生で見れて、転生して良かったなと思う。.....めっちゃユリシーズがこっちに威圧的な目を向けているけど。

 

 

数十分後

 

 

ユリシーズ「エイリス殿、ルキノ殿とやけに親しくはないか?」

 

「いや全然.....単純に歳が近くて王家の関係者じゃ無いからでしょ。」

 

ユリシーズ「はて?我輩は親しい理由など聞いてはおらぬが?何か下心があるという事か?」

 

ジョフレとルキノは鍛錬に戻り、何故かユリシーズに詰問のようなことをされている。いやほんとになんで.....?

 

「下心なんて無いよ。俺だって元はと言えばオスカーさんの紹介で軍に入れたクリミア出身じゃない異端な人間だし。そんな俺に親しく接してくれるエリンシアとかルキノとかジョフレとかとは自然と打ち解けていくもんだよ。」

 

まぁ実際はこの後の展開の為のコネ作りって意味合いが大きいけど、親しくしてくれてる人柄に感謝してるのは本当だ。エリンシアだけは会う機会がめっちゃ少ないけど.......

 

ユリシーズ「なるほど.....下心は無いがそれなりの好意は向けている、ということか。だがルキノ殿は我が心の主。早々に諦めた方がよろしいですぞ。」

 

「だから狙ってないってば。」

 

 

 

盗賊「お、お頭!!大変だ!」

 

ユリシーズがなにか言おうとするのと同時に、部下がめちゃくちゃ息をきって走ってきた。

 

「何?何かあったの?」

 

「軍って感じじゃないんすけど.....なんか村のところで変な集団が現れたです!!!」

 

「変な集団.....まぁいい。人数は?」

 

「大体に50くらいです!」

 

「ちょっと多いな.....分かった。俺も出向こう。村の人達には避難するよう伝えておいてくれ。」

 

ゆっくりしてたら突然の報告。最近はデイン軍って感じじゃないが、盗賊とも言い難いよく分からない集団が結構な頻度で現れる。そして決まって近隣の村を襲ったり、村民を殺したりする。

 

ユリシーズ「.....おそらくは、化けたデイン軍でしょうな。」

 

「まぁな.....じゃ、仕事行ってくるわ。」

 

そう言って俺は馬に乗って向かおうとしたんだが.......

 

 

レニング「私も行こう。」

 

「は!?」

 

レニングが同行すると言い出した。いやあんた自分の身分分かってる.....?

 

ジョフレ「レニング様、いけません!!」

 

レニング「国民の危機なのだ。それにもしデイン軍であればその実力を見る機会にもなる。」

 

ルキノ「レニング様、思いとどまってください。先日エイリスがエリンシア様を戦場にお連れした時にどれ程の騒ぎになったか、覚えていらっしゃるはずです。」

 

エリンシア「あれは私が行きたいと言っただけで、エイリス様は何も悪くありません!!」

 

ユリシーズ「エリンシア様も、少し自重なさってください。エイリス殿がお願いを聞いてくれるとはいえ、御身は1つなのです。」

 

めっちゃ騒ぎになったらしい。帰ってからめっちゃ叱られたし。

 

レニング「それはエリンシアが戦えぬからだ。私は戦える。エイリスはどう思われる?」

 

この1番嫌なタイミングでレニングが話を振って来た。いやルキノのそれ聞いた後に俺にふっちゃダメでしょ.....

 

「.....レニング様が来たいなら、それでいいと思います。ただ流れ矢だけには注意してください。」

 

レニング「ということだ。現場指揮官のエイリスが許可を出したのだ。私が出ようと異存はあるまい。」

 

どんだけ戦場に行きたいんだよレニング.....いや戦闘狂とかじゃなくて多分感覚が鈍るのを防ぎたいんだろうけどさ。

 

「戦場は危険です。出陣されるかはご自由ですが、ジョフレ殿とルキノ殿、ユリシーズ殿もご同行願いたい。それを条件として出しておきます。」

 

レニング「分かった。では行くぞ。」

 

「エリンシアはここで待機しといてね?お願い。」

 

エリンシア「わ、分かりました。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

クリミア国境

 

盗賊「お頭!勢力はあらかた削っておきました!あとはあの本隊だけです!」

 

「分かった、ここからは俺たちが引き受ける。お前たちは村の被害と盗まれた物の確認、および後方支援に回ってくれ。」

 

「あい分かりやした!!」

 

そしてうちの部下は戦線離脱し、戦場には敵の本隊が20人程度、こっちは、俺、ジョフレ、ルキノ、ユリシーズ、レニング、ネフェニーの6人が残った。

 

レニング「指揮はエイリスに任せる。」

 

「了解しました。」

 

そして戦いが始まる。地形としてはほぼ平地。ところどころ、家の柵などで道が狭くなっているところもある。いわゆる俺とレニングはお助けユニット、残り4人が普通のユニットって感じかな

 

※ここからはかなりゲームチックな感じになるから気をつけてね。

 

「全員、調子(バイオリズム)はどうかな.....」

 

見た感じ、皆のバイオリズムは普通、命中と回避の補正は大丈夫かな。蒼炎の軌跡にはバイオリズムっていうシステムがあって、これの上がり下がり具合で命中率や回避率に補正がかかったりする。

 

(ゲームだとこういう時1発で見ることが出来るんだけどなぁ....)

 

蒼炎の軌跡は、力と魔力が分けられていたり、攻速の計算が力の値によって計算されるなど、結構システムが変化している。あとは飛び道具で壁を越えて攻撃できないとかある。

 

ジョフレ「まずは私が先陣をきります。指示を。」

 

「いや、相手が斧である以上、先陣は危ない。ルキノ(鉄の剣持ち)を柵と柵で作られた狭い道の入口に配置して、迎撃する。ジョフレ、ネフェニーはルキノが劣勢になったら交代で迎撃。援護をしてくれ。」

 

蒼炎の軌跡だと、斧が結構優遇されたりしていて、逆に剣系が少し冷遇気味だったりする。三すくみによる補正も10%くらいになってるし。

 

「ユリシーズはルキノの援護、俺とレニング様である程度敵の注意を引く。」

 

守備が低い俺で一定数の盗賊を誘ってそれを俺とレニング様で撃破する。ルキノ達のやっつけ負けを回避する為にもある程度数は減らした方がいい。やっつけ負けっていうのは相手を倒してしまうことで攻撃を受ける回数が増えて、ユニットのHPを削りきられてしまうこと。だからそういう時に追撃が出なかったり威力調整の為に武器を持ち替えたりして対策を行う。ただ威力が高ければいいってものでもないのが難しいところ。俺もFE始めた頃はよく事故った。

 

敵「どうします?敵が二手に分かれました。」

 

敵大将「おそらくあの鎧.....やつらは正規軍だ!お前らはあそこの4人を狙え。残った奴らであのガキとあっちの偉そうなのを殺してやる!!」

 

こっちの思惑というか敵が馬鹿なのか.....上手く分断できた。

 

「レニング様、相手が上手く上手く分かれてくれました。剣を装備して迎え撃ってください。俺もパージで援護します。」

 

レニング「分かった。頼んだぞ。」

 

本来ならお助けユニット(ティアマト、ゼトを除く)には1ミリも経験値を上げたくないけど、まだ本編始まってないしこれくらいはしてもいいよね。

 

そしてルキノ達もある程度迎撃しながら、交代して傷薬を塗って回復し、相手をいい感じに削って各個撃破しているあたり、上手く行ってる感じだ。単に地形が平地なだけあって、ルキノのスキル「能力勝負」があまり足枷になってないのは大きいかな。蒼炎の軌跡にはスキルがあってユニットにcapacityが存在して、付けられるスキルの数は限られている。例えばさっき言ったルキノの「能力勝負」は、支援とか武器による上昇値、地形の補正を無くしてステで勝負するというめっちゃ漢らしいスキルである、けど明らかに補正受けた方が有利だしいらないんだよね.....

 

(けど.....)

 

上手くやれているとはいえやっぱり追撃取れないのが少ししんどいな.....

 

「ルキノ達は一旦下がって相手の攻撃範囲外から出ろ!」

 

後退の指示を出して味方を下げる。蒼炎や暁だと輸送隊が存在せず、初代FEの預かり所みたいな感じになってるのがしんどいな.....

 

「傷薬はあとどれくらい残ってる?」

 

ジョフレ「あと使えて3回くらいです。」

 

レニング「ジョフレ、これを貸しておこう。」

 

ジョフレ「これは.....手槍、ですか。」

 

レニング「うむ。ここからはルキノが迎撃し、ジョフレは手槍で、ユリシーズは魔法で援護することを提案する。エイリス、どうする?」

 

「採用しましょう。ただ、万が一を考えて、レニング様はジョフレの方に行ってください。俺とネフェニーで大将周りを片付けます。」

 

「分かった。それで行こう。」

 

そして再び二手に分かれて、俺が削ってネフェニーがトドメを繰り返し、ネフェニーに経験値を与える。あっちもレニング様は後方待機で、3人で連携して迎撃している。いい感じに経験値泥棒になってないのがいいね。

 

 

敵大将「聞いてないぞ.....敵がこんなに手練なんて!ここの村は警備が大した事ないんじゃなかったのか!」

 

「どこでそんなガセを掴まされたかは知らないけど割と警備はくまなくやってるんで。」

 

ネフェニー「村を荒らして.....許さん......」

 

そしてこっちの指示を聞かずにネフェニーが敵の大将にトドメをさした。あれ手斧しか持ってない感じだったし、武器耐久値減らしてボスちくしようと思ったんだけどなぁ.....

 

「まぁ何はともあれ、これで残党は殲滅出来たかな。お疲れ様。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

事後処理中

 

とりあえずレニングを帰還させて、残ったメンバーで話をしている。

 

ジョフレ「賊にしては.....随分と強かった。あれは正規の軍で訓練を積んだ者の動きだ。」

 

ユリシーズ「だが敵の頭目は何者かに偽の情報を掴まされ、行動していたと発言している。はったりかもしれないが、これが本当にデイン軍かどうか、調べる必要がありましょうな。」

 

ルキノ「しかし、仮にデイン軍じゃなかったらベグニオン軍になるんじゃ.....」

 

「調べるは調べるとして、ベグニオン軍の可能性は低いでしょ。あそこの規律はかなり厳しいし。」

 

ユリシーズ「エイリス殿、しばらく配下の諜報部隊を借りてよりしいかな?我輩1人では時間が足りぬ。」

 

「分かった。あとでそっちに派遣する。」

 

クリミアのメインメンバーと情報を共有しつつ、今回の事件は終わった。まぁデインが侵攻するまであと少しだし.....色々やっとかないとね。

 




レニング殿、テキスト少なすぎてちょっと書くの難しい。ユリシーズはそもそも書くの難しい.....


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アイエリを望む男vs狂王アシュナード

蒼炎の軌跡未プレイの人でヒーローズやってる人ってどれくらいいるんですかね.....BGM良いの多いですし聞き覚えのあるやつもありますよ。
僕が1番好きなのはGreil’s Mercenariesですね。あれはヒーローズでも出てます。ヒーローズでいうと船のマップの時(修練の塔やと敵が5人出てくる時かな?)


あの後事後処理が超面倒だった。エリンシアを勝手に連れ出してしまったのでジョフレから説教され、国王に呼び出されて厳重注意を食らった。エリンシアが弁解してくれたからなんとか死刑は免れた。危ねぇ.....

 

「危ねぇ.....実績積んでなかったら確実に解雇だったな。」

 

(ふふっ、大丈夫ですよ。その時は私が裁きを下しますから。)

 

(さらっとやべぇこと言ってんじゃねぇよ.....)

 

「なぁ.....あんた。」

 

「ん?どうしたネフェニー?」

 

「スキル.....勇将とか待ち伏せとか会得したんよ。ど、どうかな.....?」

 

ネフェニーがもじもじしながら聞いてきた。あかん、美人すぎる。やっぱ人気キャラは伊達じゃないな.....

 

「まじか.....すごいぞネフェニー。そこまで出来ればもう十分最前線で戦える。」

 

「う、うん.....」

 

「あれ?ネフェニー.....お前まさか。」

 

「うん、クラスチェンジもしたんよ。ハルバーディアに。」

 

いや速すぎやろ!!まだ戦争も起こってないのにクラスチェンジしちゃったよこの子.....まぁ槍使いは色々ライバルが多いから強くなっておくことに損はないか。まだもう一段階上があるけどあれは暁からだから今はならなくていいか。

 

「それに.....皆強くなっとるんよ。ほら。」

 

「ん?」

 

 

「頭!!見て下させぇ!!俺ら強くなりやしたよ!!!」

 

「なんで盗賊がパラディンやボウナイトになってるんだ!!!」

 

俺は信じられなかった。あいつらグラ〇ルでもやってんのか.....ジョブチェンジしちゃったよ。でも中にはアサシンがいたりと自由すぎる。

 

「まぁいいや。これくらい強くなれば死ぬ数も減るか。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

翌年 ベクニオン暦645年 クリミア王宮

 

「エイリス、そなたはエリンシアとまだ会っていると報告を聞く。誠か?」

 

「はい、というかあっちから会いにくるんですが....」

 

「それでも追い返さないそなたもそなただ。」

 

「えぇ.....」

 

議員に怒られたよ。この人ら大丈夫?

 

「よって.....エイリス、そなたを王国騎士団から除名処分とする。そなたが率いている騎士達はここに残し去ると良い。」

 

なんだこの展開。あっそっか。クリミア1回負けるからその修正かな。

 

「分かりました.....一つだけ忠告しておきましょう。この先クリミアはデインと大きな戦争をすることになる.....くれぐれも死なないように頑張って下さいね。」

 

 

 

 

 

 

夜 平野にて

 

「エイリス様....すみません、私のせいで。」

 

「エリンシア姫か。気にする必要はない。むしろ、僥倖だよ。」

 

だって今年がベグニオン暦645年.....つまり戦争が始まる年。仮にクリミアに留まればジョフレ達に同行させられてアイク達と会うのがとても遅くなる。そうなるとアイクが間接的にエリンシアを振ってしまう可能性があるからやばいのだ。

 

「エリンシア姫、今年おそらく大きな戦争が起きる。きっと貴方は逃げることになるだろう。その時はグレイル傭兵団を頼ってガリア王国に行ってくれ。いやそうしなければならないんだ。」

 

そうしないとストーリーが進まないからね.....

 

「.....それは誠なのですか、戦争というのは....」

 

「うん、近いうちに必ず。そしてアイクという青年に頼って欲しい。彼ならきっと貴方の力になってくれるはずだ。」

 

よしこれで会うための道筋が完成した。そしてアイクの好印象を与えておくことでより距離を縮めやすくなる。計画通り!!!

 

「あんた.....」

 

「ネフェニー.....しばしのお別れになってしまう。君がうちの部隊を率いてくれ。そして戦争が起きた時は.....王都ではなく、市民の安全保護を最優先にして動いてくれ。王都には腕が立つ(笑)の騎士たちが沢山いる。だから心配する必要は皆無だ。(むしろ王都でネフェニーが死ぬルートは避けないと.....)そう、伝えてくれ。」

 

「分かった.....無事でいて.....」

 

「あぁ、約束する。」

 

大丈夫、10章で捕虜助けすることになるから....ってあれ?ネフェニー強くなりすぎたからデイン兵に捕まらないかも?

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

デイン王国 王都 ネヴァサ

 

「国王陛下.....今しがた知らせが。クリミアにいた魔道士エイリスがクリミア騎士団から解雇されたもようです。」

 

「なるほど.....やつがいなければクリミアなど歯ごたえのない国だ。」

 

そう、アーリアルとアスタルテの加護もあってか、デインにもエイリスの功績は響き渡っていた。それがデイン兵がクリミアに入りにくくなってる抑制剤となっていた。光が差し、とてつもない衝撃がくる.....兵士達からすれば四駿と並ぶ恐怖であった。実際にデイン兵が何度か紛争を仕掛けた時も、この男の魔法1発で全てが終わったらしい。アシュナードは引き抜きの為に使者を送ったことが何度かあったが、全員お茶を振る舞われ、満足して帰ってきてしまっている。

 

「今こそ奇襲の時だ。行くぞ.....」

 

 

そしてしばらくの間、俺は隠居生活のような形を取った。というのもエリンシアとアイクが合流してから合流すれば流れでいい感じになりそうだからである。

 

 

数日後

クリミア王国

 

「頭!!」

 

「お前らどうした?」

 

「で、デイン軍が来やがった!!」

 

「もうそんな時なのか.....あの野郎には移動10の恨みがあるからな.....1発やってかないと。分かった、今すぐ王都に向かう。お前たちは市民を守ってくれ。」

 

「はっ!!!」

 

(アスタルテ、行くぞ。)

 

(はい、分かりました。)

 

 

 

 

 

王都 メリオル

 

「やべぇなこれ.....」

 

そう、ゲーム内だったらこの当時のクリミアの映像が流れないから知らなかったが思いのほか凄いことになってる.....セネリオよくこれを静観できたな。

 

「とりあえず.....そこをどけぇ!!!」

 

俺はシャインを連発しまくりながら敵兵を蹴散らしていった。アシュナードはどこにいる.....あの移動10の野郎のことだ、結構奥にいるだろう。

 

 

「貴様がエイリスか.....」

 

「おうこの野郎。ステがやばいくせに移動10で動きやがって。そのせいか他のラスボス戦が簡単に感じるんだよ!!」

 

アシュナードってドラゴンナイトのくせに魔防高いし攻撃守備なんか言わずとも高い。そしてこいつの鎧は女神の加護があるせいでラグネルとかそういう武器じゃないとダメージが通らない。1回ラスボスマップを女の子だけで出撃して詰んだのは思い出だ.....こいつヒーローズに実装されたら皆でラグネルで殴ろうぜ!!恨みのある方はネフェニーとかミストで倒そうね!!

 

「何を言っておるんだ。」

 

「お前のスペックの文句だよ。」

 

「そうか.....我の前に立つ以上、実力はあるのだろうな。そんな戦力にもならん小汚い犬をつれて。」

 

あ、この人神様を小汚い犬とか言い出したよ。これはやっちゃったね。お疲れ様。

 

「さあね。でもマニアックでお前を倒すのに苦労したことか.....この恨み、晴らしてくれるわ!!!!」

 

(でもあなた蒼炎に関しては20週してなかった.....?)

 

(そうだが....だが恨みは恨みだ。なぁアスタルテ、加護、消せる?)

 

(あの加護はユンヌの加護でしょう。なら私はうち消せます。ですがこの姿では不可能なのであなたにその力を与えます。時間を下さいね。)

 

「....分かった、行くぞ!!」

 

そうして俺はアシュナードにライトを放ち距離を取った。アシュナードの武器、グルグラント(これをよくグルグルランドと見間違える人が多い.....)は直間両用(簡単に言うと遠距離反撃もできるってこと)だから距離をとっても油断は出来ない。

 

「ふははは!!!その程度の魔法では効かぬぞ!!」

 

「分かってる。.....アスタルテ、いけるか。」

 

(.....できた。今のあなたなら奴の加護を無効にできる)

 

「よし!!.....至高の光よ.....」

 

「む.....これが聞いていた技か、良かろう。」

 

「アーリアル!!!!」

 

シュィィィィン.......

 

なぁ知ってるか?アーリアルってドラゴンナイト、ドラゴンマスター、竜に特攻があるんだぜ。俺がアーリアルを選んだのはそれが理由だ。こいつに1発ぶちかましたかったからだ。

 

「狂王、その光はドラゴンマスターにも特攻があるんだぜ。蒼炎の軌跡じゃ特攻は2倍しか威力が増さないがそれでも充分だ.....アイク×エリンシアが出来るためにエリンシアを逃がす必要があるのでね。ここで大人しくしてもらおうか。」

 

「さっきから何をいってがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

至高の光はアシュナードを包み大ダメージを与えた....ように見える。HPゲージとかないからそこら辺が全然分からん。

 

「な、何故だ.....なぜダメージが通る.....!?」

 

(それは私を侮辱したからですよ!!٩(๑`^´๑)۶)

 

「お前がアスタルテを怒らせたんだと。ドンマイ。」

 

そう言って俺はメリオルから離れ、グレイル傭兵団の方向に向かった。




アーリアル

烈火の剣の八神将の1人、聖女エリミーヌが使用していた至高の光。今回実装されたブラミモンドも同じく八神将でありアポカリプスという神将器を使っていた。

現在ヒーローズで実装されている神将器は、烈火の剣デュランダル、天雷の斧アルマーズ、氷雪の槍マルテ、疾風の弓ミュルグレ、業火の理フォルブレイズ、伝説の剣エッケザックスてすね。


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ようやくスタート地点だ.....

この二次創作では、蒼炎の軌跡でいうとデイン兵に砦を囲まれたところから合流をします。ここのマップは索敵(FEでよくある暗くてユニットの周囲しか見えないマップ、たいまつやトーチを利用して視野を広げる、なおトラキア776ではマップが真っ暗な状態始まるというやばいマップもある)マップですね。ここはひと工夫すれば簡単に攻略できます。わかる人には分かるよね?


俺たちは王都から離れ、グレイル傭兵団がいる方向に向かった。セネリオがマップを見せて解説してる場面があったから方向と距離くらいは分かる。おそらくエリンシアと会ってデイン兵に囲まれている頃だろう。

 

「もう夜か.....索敵マップだから苦労してるだろうな。」

 

既プレイの人は1ターン目どう動くかは分かってるからあれだが初見だとリセット前提ってところあるよね。

 

(その割には動けてますね。)

 

(ん?そりゃあ光魔法で照らしながら動いてるからな。こういう使い方できるのホント助かるよ。)

 

(そろそろ着く頃ではないんですか....?)

 

そうこうやってるうちに砦らしき場所に着いた。デイン兵が確かにうろちょろいやがる。ダッコーワ将軍が確か率いてたんだっけか。

 

(どうするんですか?ここで敵を殲滅しますか?)

 

(いや.....貴重な経験値源を減らす訳にはいかない。厄介な騎馬ユニットだけ倒して歩兵は生かしておこう。多分ガトリーを盾にしてやってるのかな.....ティアマトの方が効率もいいのに。

 

「なんだ貴様!?」

 

「あ、デイン軍の方々。こんばんは。今日は月が綺麗ですね。」

 

「貴様は何者だ?」

 

「通りすがりの魔道士ですよ。じゃあ騎馬ユニットだけ倒しますね。」

 

ルーテのセリフって凄いよね。優秀ですからをいつでも言えちゃうんだから....まぁ実際に強いしね。俺はその後シャインを使用して騎馬兵だけを狙って倒した。運がいいのが歩兵は皆砦の方に行っていてここら辺に騎馬ユニットしかいないことだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アイクside

 

「ガトリーと俺で南の入口を塞ぐ。ティアマトは左の入口を塞いでくれ。」

 

「お、俺の出番だな!!」

 

「分かったわ。」

 

エリンシア姫の引渡しを要求してきたデイン兵がやってきた。だがこちらと取引をする気がない以上こちらも応戦しないといけない。

 

「くそ.....暗闇が厄介だな。」

 

「そうですね。ですがここが砦である以上入口を塞げば相手もなだれ込む可能性は低くなります。1人1人倒して数を減らしましょう。」

 

裏口は親父が1人で抑えている。親父のことだから負けはしないだろう。

 

「ボーレ、たいまつを使ってくれ。」

 

「言われなくても分かってるっつうの!!!」

 

ボーレがたいまつに火を灯し、辺りが見えた。かなりの歩行兵の数だ。俺たちの人数に比べて不利だな。

 

「キルロイ、ガトリーを治療してくれ。オスカーはティアマトに傷薬を渡しにいってくれ。」

 

「うん、分かったよ。」

 

「了解。」

 

これでしばらく持久戦に持ち込む.....こちらも出入口が狭く、壊せる壁がない以上こうやるのが最善策だろう。

 

「アイク、危ないです。」

 

セネリオがウィンドで加勢をしてくれた。俺たちはまず歩兵を削り、セネリオや俺でそれをたおしていく。敢えて弓兵を弱らせておくことで兵士が入らないようにしている。

 

「助かった、セネリオ。」

 

「アイク、あれを見てください。」

 

「ん?.....なんだあれは。」

 

俺の見た光景は.....1人の魔道士が騎馬兵相手に互角以上の戦いをして、騎馬兵を蹴散らしている。こちらとしては戦力を削ってくれる味方かもしれないが、誰か分からない。

 

「 あの光魔法.....まさか。」

 

「心当たりがあるのか?」

 

「はい、おそらく.....魔道将軍でしょう。」

 

「魔道将軍?」

 

「はい、一介の騎士でありながら、狂王を退け今は行方不明となっていたクリミアの騎士、エイリスでしょう。まさかこんな所にいるとは.....」

 

「そいつってそんなに強いのか?」

 

「私も噂は聞いたことがあるわ。デインが攻めてくるのを抑止していたと。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「おら、どけよぉぉぉぉ!!!」

 

俺は騎馬兵を倒し続け、歩兵以外を全滅させた。再移動ほど鬱陶しいものはないからな。まぁ聖戦に比べたら大したことはないんだが.....だがそれでも多い。

 

「これでOKか.....事が片付くまでしばらくじっとしてるか。」

 

そして俺は傭兵団が経験値を稼ぐのを見ていた。FEにはボスちくや削りで経験値を稼ぐことが大切な時もあるから、ここで弱めたらかえって経験値源を無くすことになる。しばらくじっとしてよう。

 

 

 

 

 

「て、撤退だ!!!ダッコーワ将軍が討ち取られた!!」

 

何!?女神の像をちゃんとゲットしたのか。よくやった!!ドーピングアイテムはゲットしておいて損はない。それは嬉しいことだ。

 

パカラパカラ

 

「ん?」

 

「少しいいかしら?こちらまで来てもらうわ。」

 

「え、別にいいですよ。」

 

こうして....やっとグレイル傭兵団と合流した。エリンシアも合流さてるはずだからナイスタイミングと言っていいだろう。

 

 

 

 

 

 

砦内

 

「あなたはエイリスで正しいですか?」

 

「ああ、改めて自己紹介させてもらう。エイリスだ。クリミアの騎士だったが解雇通知を受けちゃったから今は旅人だな。」

 

「なぜさっきは協力した?」

 

「なぜって?」

 

「あんたが俺たちに協力するメリットが少ないからだ。俺たちが味方か敵かも分からないのにあんたは協力した。その理由を知りたい。」

 

そういってアイクが俺を見つめてきた.....やっぱ若いなぁ.....この頃のアイクやっぱ好きだわ。このまだ好青年感が漂ってる時代は蒼炎の軌跡をプレイした人にしか分からないよな.....

 

「.....単にあっちに喧嘩を売られたから買っただけだ。」

 

うん、本当は会いたかったから来たんだよ。

 

「.....そうか。俺は団長のグレイルだ。今回の加勢、感謝する。」

 

「はい、別に礼を言われるほどではありません。」

 

「そうか.....今は旅人だと言ったな。俺たちに協力してくれないか?」

 

「協力.....ですか?」

 

「ああ。事情は詳しく話せないが俺たちは今厄介事を抱えている。少しでも戦力が必要でな。あんたがまだ旅人なら俺たちの傭兵団に入って欲しい。出来るか?」

 

「分かりました。協力させてもらいます。」

 

「随分と話が速いな。俺たちがガリアに向かうと言ってもついてくるか?」

 

おそらくグレイルが懸念しているのはベオク(アイクシリーズでいう人間のこと)がラグズ(獣に変身する力をもつ種族、当時は半獣として差別されていた)を嫌っている風潮があるからそれでもいいか.....という確認だろう。

 

「構いません。ラグズを差別はしませんから。」

 

「分かった、契約成立だ。傭兵団のルールは分かるか?」

 

「大体分かってます。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

砦内

 

「久しぶりだね、エイリス。」

 

「オスカーさん、お久しぶりですね。」

 

そう、オスカーは元々騎士団だったが、親が死んで、夜逃げした為、弟であるボーレやヨファを養うために傭兵団に入った。

 

「まさか君とまたこうやって会うとはね、意外だよ。」

 

「そうですか?俺もあれから色々あったんですよ。」

 

「そうかい、またその話を聞かせてくれ。今は移動する準備をしているから忙しいんだ。ミストやヨファの手伝いをしてくれたらありがたい。」

 

「はい、分かりました。」

 

 

 

 

 

 

「こっちか....」

 

「うーん....なんだか申し訳ないなぁ。エリンシア様に手伝わせるなんて。」

 

「気にしないで、ミストちゃん。それより、かえって足手まといになっていないといいんだけど.....」

 

「全っ然!!私なんかよりよっぽどテキパキしていて助かります!!.....でも、お姫様ってはこんなになんでも出来るんですか?」

 

「ふふっ、私は離宮育ちだったから、普通のお姫様とは違った生活をしていたのかも.....お料理、お洗濯、お裁縫.....なんでもしていたわ。」

 

「へぇ〜意外だな。そんな風には見えないな。.....誰かいる?」

 

「??」

 

あ、盗聴していたのがバレた。せめてメダリオンを見せるところまでやってくれたら嬉しかったんだけどなぁ.....

 

「.....すまないね。少し考え事を。」

 

「エイリス様!!ご無事だったのですね。」

 

「新しく入った人?エリンシア様とお知り合いだったの?」

 

「うん、俺は元々クリミアの騎士だったからね。お会いする機会もあったんだよ。」

 

「うん.....あれ?」

 

「ん?どうした?」

 

「このメダルが急に光って.....」

 

ファァァァン.....

 

メダリオン、蒼炎の軌跡における最重要アイテムのひとつ。ネタバレはあんまりしたくないからあれだけど、これが過去に悲劇を起こしたりすることもあった.....危ないものでミストみたいな正の気が強い人間じゃないと戦闘本能が増幅し暴走させてしまうという代物。闇のオーブとはまた違ったやつだね。

 

(アスタルテ、お前じゃないのか?)

 

(私ですか?確かにユンヌが私に反応しているからでしょうか.....)

 

(まぁいいだろう。別にそこまでだし。)

 

「まぁ.....青銅のメダリオン。この光は何かしら?」

 

「お母さんの形見なんですけど。うーん、なんだろこの光。」

 

「普段歌ってる歌をうたってごらん。」

 

「え?..... .•*¨*•.¸¸  .•*¨*•.¸¸ 」

 

するとメダリオンの光は収まり、元のメダリオンに戻った。

 

「消えた.....これが何か知ってるんですか?」

 

「.....うーんとね。古文書とかで調べたことがあるから分かるよ。ひとつ言えることはそれを君や鷺の民以外が触ったらいけないということくらいだね。」

 

「そ、そうなんですか.....あ、そういえば自己紹介してなかった。ミストと言います。おにい.....アイクの妹です!!」

 

うん。天使。本当に可愛い。どうして蒼炎ってワユとイレースとかミストとかエリンシアとかネフェニーとか.....可愛い子が多いんだろ。お兄ちゃ〜んのシーンは可愛すぎて何回も見たなぁ....

 

「俺はエイリス。さっきまで旅人だった。」

 

「エイリス様、王都は今.....」

 

「.....俺にも分かりません。とりあえず狂王は退けましたが奴があれで大人しくなるとは思えません。それに兵の数がすごい差がありますから。レニング様が率いて戦っているかもしれませんが詳しいところまでは.....」

 

「そうですか.....ありがとうございます。エイリス様が生きていると知れただけで安心出来ました。」

 

「こっちこそ姫が生きていたと知れて良かったよ。(元々知ってたけどね)」

 

そうしている内に移動の準備が終わったらしい。今までもこうやってやってきてるから慣れてるのかな.....次のマップも面倒だし。




今実装されていないグレイル傭兵団が、ボーレとシノンとガトリーとキルロイなんですよね。シノンは成長率が凄いからいいんですけど豆腐(ボーレのあだ名)は実装遅れたらロスと同じ扱いになるでしょうね。

蒼炎の軌跡のシステム

蒼炎の軌跡から敵の攻撃範囲表示が出来るようになりました。

バイオリズムというものがあり、これの良し悪しで命中率が変化したりします。

特攻は通常は3倍の威力になりますが、蒼炎の軌跡だけはなぜか2倍になりました。おそらくラグズのことを考慮した形だと思います。


キャラ解説 アスタルテ

元々暁の女神アスタテューヌという神様がいました。人間が争いを止めない。自身が生み出した人間が殺し合いをすることで負の感情が溜まっていき、大洪水を起こしてテリウス以外を水没させてしまう。それが原因で更に心を痛めてしまい、己の負の部分と分離し、それを殺すことでその苦しみを消そうとした。その負の部分が皆さんご存知のユンヌであり、正の部分がアスタルテなのです。ただアスタルテは正の部分に執着しすぎて感情を失う。暁の女神のラスボスで裁きという魔法を使います。威力はなんと50。


興味があったら皆プレイしてみようね。


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セネリオの策にのっていいのはノーマルだけ

マニアックだとセネリオの策にのると挟み撃ちにあってしまう6章陽動作戦。

Q蒼炎の軌跡のマニアックって難しいですか?

A.そこまでだと思います。ボーナス経験値があったり成長するお助けユニットもいるので最初から詰むことはありません。(特にヘクトルルートのように最初2人で戦ったり、エフラムみたいに3人で城を落とすこともないですから。オルソン?知らないですね。)それに、マクシム(ヘクトルハードでお馴染み)みたいにメチャ強が少ないと感じました。


グレイル傭兵団は、ガリアを目指し、デイン軍の追手を極力減らせる樹海の道を進んでいる。ティアマト、シノン、ガトリーが先行して道を確保している為、奇襲されることもないだろう。ほんと、シノンって成長率すごいのに抜けるし再合流のタイミングもいいとは言えないしなぁ.....その分暁じゃむっちゃ強かったけど。

 

「くそ〜っ、なんで、こんなに蒸し暑いんだよぉ!!追っ手がいなけりゃ、こんな鎧、脱いじまえるのに!」

 

「と言っても、追っ手はいるんだから仕方がないでしょう。」

 

「そりゃそうなんすけどね。」

 

「もしもの場合は俺がアーリアルで消し炭にできるけどな.....」

 

「さすがにヨファ達にそんな所見せる訳にはいかねぇだろ。」

 

ボーレがそう言った。そうか、まだヨファとミストは戦闘に参加してなかったな.....

 

「なら、むだぐちはたたかない。体力を消耗するだけよ。でもこの暑さは本当に.....」

 

やっぱ鎧とか着てたら体力消耗するし暑いのか.....俺は鎧着たことないから分かんないや。

 

「あっ.....」

 

「おっとっと、姫。足場見てうごいてくださいよ。」

 

「す、すみません。ありがとうございます。」

 

本来はこれをアイクがするはずなんだが、当の本人は先頭でグレイルと一緒に動いているからそういうことできる余裕がない。さっさとアミーテ持ってペガサスに乗って戦って欲しいものだ.....

 

「樹海なんてところは、オレたちデリケートな人間が来る所じゃねぇんだよ。半獣どもは平気らしいけどなぁ。」

 

「.....半獣は、そんなに俺たちと違うものなのか?」

 

「なんだ、半獣を見たことねえのか?」

 

半獣.....ラグズの蔑称で人間は基本的にこの呼び方をしている。一方ラグズはベオク、またはニンゲンと呼んでいる。しかもラグズがニンゲンと呼ぶ場合は明らかな敵意があるらしい。

 

「まだ、ない。」

 

「オレはあるぜ。毛むくじゃらのやつをよぉ。そりゃあ醜い姿で、鋭い爪と牙が.....ぐいっと、こう、すごくてな。オレたちと同じ言葉を話すっつっても、あれは獣だよ。本物のな。」

 

毛むくじゃら.....一体どんなラグズを見たんだ。モンジャラみたいなラグズがいたのか.....それはそれで見てみたい。

 

「他にも種類がいるのか?」

 

「『半獣』と呼ばれるものは、その特徴に応じて獣牙族(カイネギスみたいなの)、鳥翼族(ネサラやリュシオンみたなの)、竜鱗族(これは未実装、ナーシルやイナと調べれば出てくるから調べてみてね)、この3つに分類されます。ガリアにいるのは、するどい牙を持つと言われる獣牙族ですね。」

 

ちなみにアイクシリーズにはな、デギンハンザーという愛称化石親父、印象的なハゲオヤジというチートラグズがおってだな。ジジイの割にめちゃくちゃ強いんだよなぁ....HP100で守備50で、しかも毎ターン30回復とかいかれてるにも程があるんだよ。オルティナと同じ三雄なんだけどね。あいつ実装されたらバランス崩壊待ったナシだろう。支援とかちゃんと組めば倒せるから暁プレイする人は頑張ってね。

 

「ここから東南の島々にゃ鳥の化け物ら南のゴルドアにゃ竜の化け物.....ま、傭兵やる上で知ってて当然の知識だ。もっともアイクぼうやは、何も知らなかったみたいだがなぁ。」

 

「!...,そうだな。」

 

「.....もう少しで樹海を抜けそうですよ、アイク。」

 

「本当か?そうすりゃガリア領だ!ここを出られるんなら、半獣の国だろうが天国に思えるぜ。」

 

「デイン軍が馬鹿じゃなければの話だけどな.....」

 

「?どういうことだ?」

 

「ガリア領だからって油断したらだめってこと。デインが先回りしてる可能性もあるし。じゃ、ちょっとだけ行ってくるね。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

一方デイン軍では

 

四駿であるプラハがクリミア王女の捕縛任務にあたっていた。

 

「.....報告は以上です。」

 

「ご苦労、下がってよし。」

 

「はっ!!」

 

「.....クリミアの王女一行は、ガリアを目指し、樹海を南下中.....と。しかもあのエイリスまでいるなんてね。.....イナ!!」

 

これは絶好の機会だ。今の陛下はひどく機嫌が悪い。なにしろ、クリミアの一介の騎士、しかも魔道士なんかに深手を負わされたらしい。そいつを討ち取れば.....陛下もお喜びになるだろう。

 

「お前の予想通りに動いて正解だった。よくやったね、褒めてやるよ。陛下から賜った軍師がおまえのような小娘だったとわかった時は、どうしたもんかと思ったが.....意外に悪くない。これからも頼むよ。」

 

「さぁて.....楽しい狩りの始まりだよ。」

 

「お前じゃ無理だよ。」

 

「.....なんだいおまえは!?」

 

いきなり目の前に怪しい人間が現れた。半獣じゃない....なんだこいつは。

 

「やっほ。シーマ.....失礼、四駿のプラハさん。フレイムランス持ってる?」

 

「だからあんたは誰だ!?」

 

「あ、俺?俺はエイリス。魔道士だよ。」

 

「エイリス.....あんたが陛下に深手を負わせた、」

 

「あーうん、色々訳ありでね。」

 

「でも前に出てくるとは馬鹿だね。フレイムランスで黒焦げにしてやるよ!!」

 

俺は聖水を飲み、真正面に立った。うお怖。だがいけるんだよな。

 

かきん!!

 

「な、なぜだい!!なぜ効かないんだ!!」

 

「そりゃあそれ魔力依存ですから、うちには最強の魔(防)王もいますし。そんなのじゃこっちにかすり傷つけられませんよ?」

 

そう、ボルトアクスといいフレイムランスといいどうして魔力依存なんだ!?しかもボルトアクス将軍に関しては、自分から山を下って『ここまで登ってきたか!!』とかいう訳の分からないことまで言い出すし.....

 

「それよりちょっとここに肉があるんだけど.....焼いてかない?」

 

「あんたふざけてるのかい!!」

 

「ふざけとらんわ!!!食料が欲しいんや!!」

 

「は、はい.....」

 

どうやらプラハはフレイムランスが通じないことを知って大人しくなったようだ.....せめて剣か槍くらいは持っとけよ。

 

じゅ....

 

「あ、ありがと。じゃ帰るね、ばいばい。」

 

「ばいばい...って逃がさないよ!!」

 

だが遅かった。結果的にプラハは相手のお肉を焼くだけで時間を浪費してしまったのである。だが故に傭兵団の待ち伏せに行き遅れた。十分な時間稼ぎができたと言えよう。

 

「し、将軍!!どうなさいますか!!」

 

「さっさと行くよ!!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ただいま〜。」

 

「エイリス様一体どこに行っていたんですか?」

 

「ん?この先にいる軍のリーダーのところに。」

 

「.....ということはこの先に軍がいるのか。」

 

「そういうことですね。」

 

グレイルさんお察しがいいな。ちょっと本編とは流れが違うけど、まぁ大体同じだしいいか。

 

「.....全く戦えない者がいる以上、追いつかれては厄介です。戦える者で別働隊を作り、敵を撹乱して時間を稼ぐ。その隙に本隊は全速力でガリアとの国境をこえる.....」

 

「戦力を割る?本隊はともかく、別働隊にかかる危険が高すぎないか?」

 

「エイリスの言うことが仮に真実ならもたもたしてはいられません。もし挟み撃ちにあっては.....全滅するでしょう。」

 

「....やってみるしかなさそうだな。よし、隊をわける。別働隊は、俺、シノン、ガトリー、エイリスだ。」

 

「え?俺も行くの?」

 

「ああ、嫌か?」

 

「いや、オスカーやティアマトを残してるからいいんですけど.....じゃなくて。」

 

違うんですよ団長。このままそっちにいくとセネリオの策にのってやられちゃうんですよ。それを既プレイ者が救わねばならんのですよ。アイクとエリンシアがこっちに残るのに、ね。

 

「時間が無い。さっさと決めろ。」

 

「こっちに残ります。樹海の先にとても.....それこそ四駿のような将軍がいれば団長を除き対抗できない可能性があります。その時のために俺がいた方がいいと思います!!」

 

なんか俺強い系なセリフで言ってて恥ずかしいし吐き気するけどこの世界のキャラとしてなりきらないと...

 

「.....そうか。ならそうしよう。他はエリンシア姫を守って全力でガリア領に行け、いいな!!」

 

(嘘だろ....こいつ、団長に口答えしやがった.....)

 

「そっちはそれだけでいいのか?」

 

「バカが!!こういう作戦は少ない方が、身動きが取りやすいんだよ!!人のことより、てめぇらの心配をしてろ。」

 

「.....」

 

「いいか、多分これが、俺たち傭兵団にとってこれまでで最大の戦いとなるだろう。命令は1つだけだ。誰も死ぬな!血の繋がりがあるとかないとかそんなことは、どうでもいい。俺たちは、1つの家族だと思え。家族を悲しませたくなければ生き延びろ!本隊は、アイクが指揮をとれ。ティアマトが補佐だ。では、行け!!ガリアで会おう!!」

 

うぉぉ......生で見るとやっぱ威厳あるしかっこいいな、グレイル団長。もしグレイルがウルヴァンで実装さていたら.....あのアイクの耐久をグレイルでやることになる。恐ろし。無凸であの強さだもんな。リシテアとか霧亜とかワンパンマンも増えつつあるけど.....

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ガリア国境

 

「やはり待ち伏せがいるか.....」

 

「.....予想より敵が多いです。」

 

「敵は、他の脱出地点にも人員を配らねばならなかったはず.....ここの敵は決して多くないと読んだのですが。」

 

「策を練り直すか?」

 

「いえ、別働隊が動いている今、策を変更することはできません.....」

 

「王女とミスト、ヨファだけでも安全に向こう岸に渡らせる方法はないか?」

 

「....橋は2本あります。そしてこの茂みは西にある橋の手前までつづいています。茂みに潜んだまま動けば敵に見つからずに、橋のたもとにたどり着けるでしょう。そこで、奇襲をかけます。」

 

「そこから陽動作戦か。」

 

「はい。僕らが敵の目を引き付けている間に、王女たちは身を隠しつつ向こう岸に渡ってもらいます。」

 

はい、じゃないよ!!あの兵士の数確実にマニアックと同じくらいだよ!!ティアマトが強いなら出来ないことではないが.....くそ!!ステータスが見れないからどうしようもない!!しかもそれでデイン兵に見つかったら終わりだからな!!

 

「アイク様.....私も.....私も、みなさんと一緒に戦います!」

 

そう、これは意外と知られてないがエリンシアは離宮にいて王女でありながら剣や騎乗も使えるという.....エイリークほど戦闘向きではないにしろ普通に参加して欲しい。

 

「いや.....だめだ。あんたを危険な目にあわせるわけにはいかない。みんな、あんたを守るために命をかけてるんだ。それが分かるなら今はがまんしてくれ。」

 

(´Д`)ハァ…アイクさんよ、そこは『俺たちが守るからあんたが出る必要は無い』とか言い方あるでしょ.....まぁ飾らないかっこよさというのはアイクの1つの魅力ではあるんだけどね.....

 

「ならせめて杖だけでもいいんじゃないか?」

 

「エイリス様!?」

 

「....どういうことだ?」

 

「皆が命をかけていることは分かる。だが仮に後々参戦するとして戦いを知らないならそれはかえって足でまといになる。なら回復できる杖だけでも参戦させて経験しておけば、仮に俺たちとはぐれようとも動きが分かるはずだ。」

 

悪いが.....ここは正規ルートを曲げさせてもらう。本来ならこれで納得して終わりだが、そうはさせない。もし仮にここから杖を使えばアミーテ&ペガサスに乗る時のレベルやステータスはマシになるだろう。

 

「.....いや、参加はさせない。今の最重要目的は姫の護衛だ。王女を戦わせるわけにはいかんし、守るものが増えたらかえって集中できん。」

 

.....どうやら無理みたいだ。ま、まあまあまだいくらかイベントらしきことはできる。焦りすぎたか.....

 

「....すまない。指揮官の命令に従う。下手なことを言って申し訳なかった。その代わり右側の敵は俺一人で殲滅する。」

 

「なら決まりね。」

 

「まかせて!かくれんぼなら.....ぼくたち得意だから!」

 

ここで俺は改めて.....アイク♡エリンシアの難しさを知った。これはトラキアより絶対に難しいぞ.....




本当に何回ここ見てもエリンシアに杖だけでもふってほしいものですよ.....それさえあればかなり楽だし経験値稼げるし。杖不足が怖いけど.....


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シノンかガトリー置いていってくれ!!

蒼炎の軌跡の序盤ってガトリーがいたら結構楽になるんですよね.....あとがきで傭兵団(ヒーローズ未実装も含めて)の初期メンバーの説明しておきますね。

風花雪月のリシテアとエーデルガルトとベルナデッタの人気凄いですね.....イングリットも流行ってほしいものです。


グレイル、シノン、ガトリーは別働隊として動き、俺たちは、アイク、セネリオ、ティアマト、オスカー、ボーレ、キルロイ、俺という7人で橋を開けないといけない。

 

今回の俺たちの勝利条件はガリア国境にいるデイン軍を撃破し、経験値をいい感じに稼いで姫とミストとヨファをあっちに届けること。これはゲームだと離脱マップになり、アイクを最後に離脱させることでボーナス経験値が貰える。トラキアで慣れてるからここは簡単だったかな。

 

現在俺たちは森の茂みに隠れ、橋とその周りにいるデイン軍から姿を隠している。そこへ奇襲をしかけ、道を開けるのだが.....そんなことしなくても右にティアマトを配置して、その間に他のメンバーで左側で経験値稼ぎする方が圧倒的に楽なんだよなぁ。特に今回はポールアクス(騎馬特攻の斧)があるから手に入れないと。

 

「よし、いくぞ。」

 

アイクがそう指示を出し、一斉に動き始めた。俺は前回の宣言通り右側に行って敵を殲滅する。橋だからあんまり人数多いと詰まるしあれだしな。

 

「ターゲットが出てきた。ただちにクリミア王女を捕らえ、傭兵団を殺せ!!」

 

デイン軍もこちらに気付き迎撃体制に入った。だがこいつらは経験値源だ。恐るるに足らん。だが何せレベルが高いし、能力値もそこそこある。油断したら死ぬ。

 

 

「さてと.....俺もやるべき仕事をするか。」

 

「こっちは私も手伝うわ。」

 

「ティアマト副団長いいんですか?」

 

「ええ、アイクから『エイリス1人では不安だ。ティアマトも行ってくれ』って言われたからね。クリミア一の魔導騎士の力、見せてもらうわ。」

 

そう言いつつティアマトは敵をばっさばっさ倒していった。いや強すぎやろ。さすがゼトと並ぶ成長するお助けユニット。マニアックじゃ傷薬使いながら削った思い出があるな。

 

「ティアマト副団長、どいてください!!」

 

「ええ、分かったわ。」

 

「至高の光よ.....」

 

言ってて恥ずかしくなってくる。アトス爺さんはよくこれを使ったな.....ネルガルがアホくさとか言いそう。

 

「アーリアル!!」

 

アーリアルが炸裂し、右側の兵の大半が殲滅された。そういえばこの時魔法使えたのセネリオだけか。そう思うと魔法使えたら結構楽だな。

 

「....想像以上ね。」

 

ティアマトも驚いている。そりゃあおたくのセネリオさんのウィンドとかに比べたら格が違いますよ。これ一応神器扱いですし。こっちだと.....どれくらいだろう。レクスボルトくらいかな。あれ最上級魔法のひとつだし。

 

「まぁ今の音で他の兵が気づく可能性がありますけどね.....急いでアイクの方に行きましょう。」

 

「ええ、分かったわ。」

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「なんだこれは.....」

 

アイクたちを待ち伏せしていた軍の指揮官、エマコウは驚いていた。いや、正確に言えば侮っていた。一傭兵団ごときが軍に敵うはずがないと....しかしそれは誤算だった。兵士が切り伏せられ、橋の先ではとてつもない衝撃と共に光魔法が放たれていた。どう見てもクリミアの兵士より強い....しかもあの魔法、まさか魔道将軍か。あの、陛下に深手を負わせた.....だがデイン軍規では、逃走は死と同じ。殺されるなら....ここで迎え撃つ。

 

「し、将軍大変です!!別働隊が奇襲を仕掛けている模様。援軍を要請しています!!」

 

「無理だ、我々も手一杯だ!」

 

「はっ!!」

 

だが私は負けない....私はハルバーディアだ。やつらはまだ下級職に過ぎない。

 

「あなたが敵将ね。討ち取らせてもらうわ。」

 

「む。」

 

馬にのり、斧を持った赤髪の騎馬兵が向かってきた。

 

「三すくみ的に私の勝ちね。」

 

「がはっ.....」

 

間もなくティアマトの勝ちが確定した。

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とりあえずポールアクスとショートスピアと傷薬ゲット出来たからよしとしますか。それにしても想像以上に強いな。

 

「全員離脱だ!!ミスト達は無事に渡った。繰り返す、全員離脱だ!!」

 

アイクがそう指示し、皆が離脱を開始した。これはいいことだ。ボーナス経験値を知らないにしろしんがりをアイクがやってくれるのは好都合だ.....まぁ全滅させたけどな。

 

「よし.....離脱する!!」

 

毎回思うけどお前誰に向かって離脱するって言ってるんだよ。誰もいない平野に言ってるのか?

 

 

「なんとか突破出来たか.....」

 

「お兄ちゃん!!」

 

「アイク様。」

 

「ミスト.....姫もヨファも無事か。怪我はないか?」

 

「うん、大丈夫だよ。」

 

傭兵団も全員無事にガリアに到着出来た。

 

「本当にみなさんのおかげです.....ありがとうございます.....」

 

「エリンシア姫...」

 

エリンシアはそう言った。あのね.....杖だけでもいいから振ってくれよ!!そしたらレベル上げとかステにこまらないからさ!!

 

「安心するのは、まだ早いですよ。別働隊が追いついてこない.....」

 

セネリオがそう助言をする。いや、ここで追いついてたら逆に俺は困る。この後遅れた原因が分かるからね。まぁ戻るはめになるんだけどさ。

 

「エリンシア姫、ここで一旦別れよう。」

 

「ど、どういう意味ですか?」

 

「俺たちは、仲間を助けに戻る。だからあんたはミストたちといっしょに、このままガリア王宮まで向かってくれ。」

 

そう、こうなるんだよな。でもこの選択肢は正解。みんな大好きあの子に会えるから。

 

「お兄ちゃん!?いやよ、わたしものこる!」

 

天使ミストがそう反論する。そりゃあお兄ちゃんがこんなにイケメンだし強いから離れたくないよな.....

 

「聞け、ミスト!みんなが生き残るためなんだ!」

 

そう、そしてみんな大好きなあの子に会いに行く為なんだ!!

 

「....う.....!」

 

「親父たちといっしょに、すぐ追いかける!心配するな、俺も親父も.....約束をやぶったことはないだろう?」

 

「.....う、うん。じゃあ、先にいってる.....」

 

天使ミストはやっぱり決断出来るんだよなぁ.....いい子いい子してあげたい。が、今やると気持ち悪いだけなので出来ない。

 

「いい子ね、ミスト。すぐにまた会えるわ。」

 

「うん。ティアマトさん.....お兄ちゃんたちのこと、お願い。」

 

「任せて。」

 

「それに俺もいる。いざとなれば敵の拠点ごと灰にできるから。」

 

「う、うん.....やり過ぎはよくないよ?」

 

優しい〜!!さすが天使!!ミストはボーレになんかあげないからな!!(戒め)

 

 

 

一方で

 

ヨファ「オスカーおにいちゃん.....ボーレ.....死んじゃ.....やだよ?」

 

ここも毎回思うがボーレもお兄ちゃんつけてあげようよ。なんか可哀想。

 

オスカー「ヨファ.....」

 

ボーレ「2人とも、辛気臭ぇ面すんなよ!大丈夫だって、おれがいるんだからよぉ!!」

 

 

 

 

「あの.....エイリス様。」

 

「なんですか?姫。」

 

「あの....姫呼びはやめてもらえませんか....クリミアにいた時のように、エリンシアと呼んではくれないのですか?」

 

「俺はもうクリミア騎士じゃないもので。立場もおちた。それに今は傭兵団の団員としている。....そういうことですよ。」

 

「では.....私が許可しますから.....」

 

「強情ですね.....珍しく。」

 

ここで許可をするとアイクの特別感が無くなりそうで怖いので、なんとか曲げないと.....辛いけどどうすれば。というかこの強情さをアイクの時に出してくれよ頼むからさ。

 

「.....では、王女が正式にクリミアを再興し、王になった時にしましょう。それまでは命をかけて戦う日々が続きますから。それでいいですか?」

 

「.....はい!!」

 

よし、これで俺が使命を果たす時まで先延ばしにした。これによって蒼炎の軌跡の間でこのトラブルが起きることはないだろう。

 

「ここにいたのか、エイリス。アイクが探していましたよ。」

 

「ああ、悪いな、キルロイ。」

 

「あの.....キルロイ様、これを。」

 

「これは....リライブの杖じゃないですか!!」

 

「私のために命を晒しているのですからせめてものお力に....」

 

それを戦う前にくれよとどれだけのプレイヤーが思ったことか....武器にも使用回数があるから持ってて損することは無い。

 

「ありがとうございます.....ありがたく使わせてもらいますね。」

 

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「アイク、要件って何だ?」

 

「来たか。俺はがむしゃらに進んだが為に道が少しわからなくてな。分かるか?」

 

「まぁ、分かるよ。」

 

パンくず落としてきてるから道筋は分かると思う.....これの元ネタわかる人どれくいらいるかな?同じ任天堂ネタだけど。まぁなくても覚えてるけど。

 

「じゃあ先行すべきだね。分かった。」

 

「あぁ、任せる。」




エリンシアタグがこの二次創作しかないのか.....

グレイル傭兵団初期メンバー紹介

グレイル(団長)ヒーローズだと愛の祭りで実装

アイクの父親にしてグレイル傭兵団の作った人で団長。団員からの信頼も厚く実力も飛び抜けている。ウルヴァンを使っており、アイクが剣なのになんでだと思う人は蒼炎の軌跡を買ってみようね。因みにグレイルはアイクと漆黒の騎士の剣の師匠です。有名なセリフとして『命令はひとつだ、誰も死ぬな。俺たちは血が繋がっていようがいなかろうが家族だ。家族を悲しませないためにも、生き残るぞ!』がある。メダリオンの秘密も知っており、嫌な過去がある。それは重大なネタバレになるのでプレイして確かめるか、自分で調べてね。

ティアマト(副団長)
元クリミア騎士でガリア王とも親交がある。義理堅い性格でお金よりも大切なものの為に戦うというところがある。傭兵らしくないですけどね。お助けユニット、いわゆるジェイガン枠でありながらゼトと同じくらい成長するため、実用できるお助けユニット。グレイルの事が好き。

セネリオ(参謀)

界隈によっては煽リオとかいう異名もある。アイク以外には基本的に興味なしで冷たい。だが頭がよく、オブラートに包まず現実的で正確な発言をする。セネリオは『印付き』で、見たらわかる通り印がある。印付きはアイクシリーズでも重要な要素で、セネリオの生い立ちはアイクとの支援Bで分かる。アイクとセットでBL扱いもされやすい。

アイク(主人公、ゴリラグズ)

暁でこそ、完全にゴリラと化したが蒼炎の時代はまだ好青年。直情的で難しいことは考えないが、飾らないかっこよさがある。そして自分の知らないことは知ろうとする姿勢があり、煽られてもそれが事実なら受け入れるところもある。ただの堅物とは違う。彼の名言はこの後沢山出てくるのでお楽しみに。プレイヤーによっては魔力が伸びてしまい、マジカルゴリラになった人もいるのではないだろうか.....

オスカー(長男)

元クリミア騎士団。父親が死に、母親が逃げたことで置き去りにされたボーレとヨファを養う為に騎士団を抜け、苦しくなってきた時にグレイルが雇った。バランスよく成長するから扱いやすい。が、へたりやすい。初期メンバーでは貴重な騎馬ユニット。料理が得意という一面もあり、色々ケビン酸にライバル視されているところがある。

ボーレ(愛称豆腐)ヒーローズ未実装

オスカーの弟でヨファの兄。アイクよりも傭兵歴は少し長く、斧を使う。お調子者で、ミストと喧嘩することも多い。オスカーで書いた通り、苦しい生活を強いられていた時にグレイルに救ってもらい恩を感じていて、しかもグレイルは自分のことを家族と呼んでくれたことが嬉しくて家族のために全力で戦っている。ただ、防御が育たないため、豆腐と呼ばれている。そして魔防もあまり伸びないため、麻婆豆腐とよばれることもある。が、とても良い奴なので勘違いしないであげよう。


ヨファ(末っ子、かわいい)ヒーローズではハロウィンで実装

オスカー、ボーレの弟。ミストと仲がいい。年齢も近い。泣き虫だが、強く優しい心を持っている。兄弟愛が強く、母親が迎えに来た時もオスカー達といっしょにいることを選んだくらい。アーチャーとして登場しており、その弓の師匠はシノン。蒼炎の軌跡の時はまだ子供。FEお決まりの短パンショタ。

ミスト(天使)

アイクの妹。全くそう見えないが、顔は母親似で髪は父親似。正の気が凄く強いため、メダリオンを触っても影響がない。優しい少女だが、アイク同様強い心を持っている。特に拠点会話では『陽の光を浴びると、生きているって実感できるんだ』と兄妹揃って同じようなことを言う。蒼炎の軌跡の終盤でもその強いところがいくつも見られる。暁だとミストをちゃんと育てればミストはエタルドを使うことも出来る。

シノン(もうすぐ30歳)ヒーローズ未実装

グレイル傭兵団のアーチャー。腕前が凄くよく、ヨファの師匠でもある。20代後半の割に厨二病だったり、俺様とか口が悪い。が、善行も積んでいたり、作った弓を売って資金を稼いでいたりする。グレイルのことを人一倍尊敬していて、アイクを気に入らないとしている部分がある。成長率は凄いのだが抜けるタイミングや戻るタイミングが微妙で蒼炎の軌跡では不遇かもしれないが、暁では強い。


ガトリー(シノンの舎弟、女好き)ヒーローズ未実装

可愛い女の子大好きマンな重装兵。語尾は『っす』と完全に舎弟。が、ガトリーの存在は大きく、蒼炎の軌跡だと守備がないと厳しい場面があるがガトリーがいればかなり楽になるマップもたくさんあるため、プレイすればガトリーの存在の大きさが分かる。女好きではあるが、女の子にいいところを見せようと頑張る場面もある(惚れる動機は単純だが)。頑張れば恋人出来たのでは.....個人的にはステラとのペアエンドが欲しかった。

キルロイ(魔防王)ヒーローズ未実装

魔(防)王キルロイとあだ名がつくくらいに魔防が高い。ボルトアクス将軍のネタを作り出した原因の1人。病弱で蒼炎の軌跡でも序盤からその様子が見られるのに、ケビン酸やワユに振り回される。序盤ではたった1人の杖使いで、かつ光魔法も後々使う。死にかけのティアマトを治療した事が縁で傭兵団に入り、形が違うとはいえ傭兵になる夢が叶ったらしい。そして傭兵団に入ったことで不自由な両親へ安定した仕送りが出来るようになり誘ってくれたティアマトに感謝しており、グレイルを尊敬している。




何か間違ってたらコメントください!!上記のネタバレを恐れて伏せている部分が知りたい人は、調べるかコメントか感想で言ってください!
大歓迎です。


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アイク、オスカー支援C

ちょっと息抜き.....正式な支援はもう少し後になってからでるんですがこの二次創作では少し早めに出します。


アイク支援C

 

「なぁアイク。」

 

「ん?なんだ?」

 

「異性に対して特別な気持ちって抱いたことないか?」

 

「.....なんの話をしているんだ?」

 

とりあえず移動しながらアイクの状態を確認する。今まで過ごしてきた感じでエリンシアの方には特に問題は無い。だがこの男をどうにかしない限りは目標は達成されない。ペアエンドが男しかいなということはそれ程に鈍いということだ。じゃなきゃFE最強のフラグクラッシャーなんて言われるはずがない。ならばそのきっかけを作るしか道がない。

 

「いや.....例えばの話だけど、女性に興味があるとかそういうの.....」

 

「無いな。特にそういった気持ちになったことはない。おかしな事を聞くんだな。」

 

「年頃の男の子だったらそういうのあるかなって。」

 

「....お前俺より若いだろ?」

 

....しまった!!俺この世界だと15歳だった。そりゃあこんな見た目してるやつから年頃とか言葉出るのおかしいよな。

 

「ま、まぁそうだけどアイクにもあるのかなって。恋愛感情というか。」

 

「恋愛.....俺はそういうのとは無縁だから分からない。すまんな。」

 

「いや、謝る必要はないんだけど。」

 

「じゃあ、お前にはそういう感情はあるのか?」

 

「うーん.....あるにはあるけどそこまで強くないかな?」

 

「恋愛感情っていうのはどんな感じなんだ?」

 

質問をしてくるアイク。アイクって傭兵の息子として生活してしきてるからあまり俗世とかには無縁なんだろうな。天使みたいな妹もいるし。

 

「例えばだけど、特定の異性を見た時にちょっとどきっとしたりとか、普段はないような特別な気持ちが生まれるとかそういうの。」

 

これでいいのか...正直俺も恋愛をしたことないから詳しいことは言えないけど多分こうだろう。漫画の主人公大体こう言ってたし。

 

「なるほど.....それは強くなる上で必要なのか?」

 

「.......え?」

 

何故戦闘がひとつの基準になるんだ?あれ、おかしなこといったかな....

恋愛の話をしていただけなのに。

 

「.....どうして戦いが出てくるの?」

 

「俺は仮にも傭兵だからな。その恋愛感情っていうのがあったら強くなるって言うのならあった方が良いだろう。」

 

「それはそうだね。じゃあアイクには大切な人はいるの?」

 

「それはいる。親父やミスト、セネリオ、ティアマト、ボーレ.....この傭兵団の仲間は皆特別だ。家族同然のようなもんだしな。俺はその大切な仲間を守るために親父のように強くなる。」

 

「それは頼もしいことだ。」

 

「だが異性に限ってはそういった気持ちにはならんな。現に俺と同い年くらいの女がこの傭兵団にはいないからな。」

 

それは盲点だった。ティアマトもお姉さんだし、ミストは幼いし.....ワユたそとかイレースとかエリンシアがいなかったらそうなる。だったら状況的に恋愛感情を持ってないのが自然なのか。

 

「そうだな.....じゃあ団長が強いのは何でだと思う?」

 

「なんで.....そりゃあ親父は仕事をこなしてるし元々強いが.....」

 

「上手く答えられない?」

 

「いや....親父はこの傭兵団を家族だと思っている、無論俺もな。.....分からんな。いざ聞かれてみると。」

 

「....多分アイクも答えが見えてると思うよ。」

 

「答え?俺がか?」

 

「うん、つまりは団長もアイクも守りたいものがあるっていう気持ちが強いから強くなろうとする、強くなれるってことだよ。」

 

「.....そういうもんなのか。じゃあ恋愛感情は?」

 

「同じようなものだよ。団長も今はもう亡くなってるけど.....エルナさんを守ろうとした、そしてその形見同然のアイクやミストを守ろうとしている。だから強くなったんだと思う。」

 

まぁグレイルに関しては元々強いからな.....だけどアイクに気づかせるにはこう持っていくのが最善だろう。

 

「エルナ?」

 

あっ、そっか。アイクはお母さんのこと殆ど知らなかったんだっけ.....話すのまずかったかな。でも名前は知っていたような....

 

「エルナさんはアイク、君のお母さんの名前だよ。」

 

「なんでお前が知ってるんだ?」

 

「それは.....その.....色々調べたら見つかって。」

 

「そうだったのか.....だが俺は知らなかった。」

 

「仕方ないよ.....」

 

お母さんのこと話したらグレイルの出自やメダリオンのことまで色々話さなきゃいけなくなるからね。あれを話すのはフォルカ

 

「だからアイクも.....そうやって異性で特別な感情を抱く相手を見つけられたら.....守りたいって気持ちが強くなってより強くなれるんじゃないかな?」

 

「.....確かに親父の強さを見ればそれは頷けない訳では無いな。だが俺は不器用だからな。そんなことが出来るか」

 

「出来ないことはないと思うよ。だけど時間はかかりそうだね。」

 

「そうだな、俺もそんな相手と巡り会えるのか.....だが、今は目の前の戦いに打ち込むことしか出来ないな。また余裕が出来ればやろう。」

 

「うん。頑張ってね。」

 

これはもしや.....俺とアイクのC支援が出来たのではないだろうか。そしたら俺のスキルが役に立つかもしれない。

 

 

 

アイクside

 

俺はエイリスから恋愛感情とやらを教えてもらった。そんな特定の相手が出来るかは分からなかったが。そこで俺が分かったことは2つ。エイリスは間違いなく他の奴らとは違う強さを持っている。俺にない視点をくれるほど、エイリスは先にいる。親父とはまた違った....実力の差を感じた。親父には実力で敵わないと分かっている.....だがエイリスは戦術の幅で遥かに俺の上にいる。クリミアに侵攻したデイン国王に深手を負わせたという情報があるくらいだ。

 

 

そして同時に.....俺は恐怖心というものを覚えた。今まで1度も感じたことの無いことだ。エイリスは.....親父の過去を、俺が殆ど知らない母さんのことまで知っている。ミストによればミストが持っているメダリオンの光の鎮め方まで知っている。一体何者なんだ.....さっきの陽動作戦の時も敵の配置を完全に把握した上で動いているように見えた。それは前にもあった。俺たち傭兵団が砦を囲まれた時もエイリスは騎馬兵だけを狙って倒していた。明るくなった時に近くにいたのは歩兵のみ。ティアマトやオスカーはともかく、俺は騎馬兵が相手だったらやられていたのかもしれない。エイリスは.....まるで出会ってもいなかった俺たちの実力を知っていたかのような立ち振る舞いをした。不思議なものだな。

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オスカー支援C

 

「いやまさか、またエイリスと一緒に仕事をするとは考えもしなかったね。」

 

「俺もオスカーさんが傭兵団に入ったって聞いた時は驚きましたよ。」

 

嘘です、理由も全部知ってます。でもオスカーってそう考えると凄いな。騎士団にいたらボーレやヨファを保護したことも出来たような....

 

「どうだい?傭兵団での暮らしは?といってもまだゆっくりとした時間を過ごしたことがないか。」

 

「そうですね。入った時が砦で囲まれた時でしたから。」

 

「あの時は我々も危なかった。助太刀してくれたこと感謝しているよ。」

 

「デインが攻めている時点で味方じゃないとは思っていたので。」

 

「分からないことがあれば頼ってくれたら嬉しい。まだ君の顔見知りも私しかいないようだしね。」

 

「はい、お願いしますね。」

 

ええ人や.....バランスよく成長するけどへたれる可能性があるとか思って雑な扱いしてごめんね。序盤は本当に重宝したけど。

 

「それと、私にももう敬語は使わなくていい。ここは騎士団じゃないし、団長も家族だと言ってくれれいる。私も親しく話したい。」

 

「.....分かった、じゃあ今からはタメ語で話すけど不快感ない?」

 

「いや、距離が縮まった感じがするよ。」




エルナはアイクのお母さんですが、その人がどんな存在だったのか、どうやってグレイルと出会ったかは物語の中盤の終わりくらいから分かってきます。ファイアーエムブレムってそういう風にストーリーが凝ってるところもいいんですよね.....


FEあるある

①1%が怖くなる(相手の必殺)。80%が信用できない。

②お助けユニット的存在から傷薬や武器を剥奪する。特にジェイガンは皆やってる。

③レベル上げ、武器レベルの為に敵を囲ってボスちくをやる事がある。

④村人ユニットは強い。


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みんな大好きあの子

ミドリコの弓の継承先のノルンを狙って引いたらベロア、リリスを狙ったらデジェル....頭に来ますよ〜。ピックアップとは.....
今回の40回召喚ってこの後も継続されるんですかね....そしたら花嫁まで貯めて一気に引きたいです。個人的な予測ですが、烈火から誰か、風花雪月とかも来そうですし、サナキ、シグルーン、タニスと蒼炎のメンバーも出てるので次くらいにはステラとかマーシャが来るといいですね。(エリンシアは浴衣が来てるから来にくそう.....)


「.....ここにもいないか。」

 

グレイル達と合流をする為に戻って探しているアイク一行。今はめぼしいところをとりあえず探している。

 

「アイク、これ以上の追跡は危険です。一度ガリア領に戻りましょう。別働隊も違うルートから.....ガリア入りを果たしている可能性も.....全くない訳ではありませんし。」

 

セネリオがそう提案をする。確かにその通りでこのままこの戦力で移動してデイン軍にやられてしまっては別働隊の意味が無くなってしまう。でもあのメンツで負けはしないでしょう .....

 

「.....そうだな。別働隊と合流出来ないままやられては本末転倒だ。無事を信じてここは1度退くしかないか。」

 

アイクもそう言った。が、しかし!!ここで退却されては困る!!次のマップはある意味経験値稼ぎも出来るから行かないと。アイテムも美味しいし。

 

「じゃあ最後にあの砦を調べてから行かないか?」

 

「.....どういうつもりですか?」

 

セネリオが冷たい目でこっちを見てくる。本当にアイク以外には愛想は振りまかないんだな.....まぁ過去知ってるから分かるけど。

 

「団長達の事だからデイン軍ごときに負けはしないだろうから心配はいらないけど、あそこに伏兵がいたとして今俺たちがガリアに向かえばいわば背後をつかれることになる。だからあそこに敵兵がいないか、もしくは団長達があそこで白兵戦をしている可能性もある。だから探しに行ってもいいんじゃないかなと。」

 

とっさに考えて言ったけど結構上手く纏まった。まぁ実際あの中にデイン軍いますし。

 

「アイク、今一瞬あの砦に人影が見えた気がするのだけれど.....行ってみる?」

 

ティアマトもそう助言してくれた。

 

「!ほんとうか!?よし確かめてみよう。」

 

 

 

メリテネ砦

 

「ここは.....長くは使われてないようですね。」

 

確かにところどころに埃があるしちょっと肺に悪そう。まぁファンタジーの世界の砦はそんなもんか。

 

「誰もいない....確かに人影を見たと思ったんだけど私の気の所為かしら。」

 

「ここを探しても見つからなければガリア領に戻ろう。」

 

「そうね....」

 

確かに人影はない。だけど宝箱がちらほら見える。絶対誰かいるだろこれ。

 

ドタドタ.....

 

「いたぞっ!!クリミアの傭兵どもだ!!」

 

どうやらデイン軍に見つかってしまったようだ。いい経験値源になりそうだ。アーマーもいるし数としてはかなり多いな.....気配隠すの上手いな。これ確かに分からない。

 

「なんだお前(素)、お前ら2人なんかに負けるわけねぇだろコラ。」

 

「何を訳の分からないことを....囲め!!」

 

このネタはどうやらこの世界では通じないようです。笑ってくれると思ったんだけどね。誰も笑ってないよ。

 

「しまった!.....デイン軍か!!」

 

ここいつも思うんだけどどうして出口から出ようとしなかったんだろう。自ら退路渡すってかなりやばいよ。兵士いなかったし。

 

さてと....

 

「皆、あの右側の出口と目の前にある檻の上を越えないようにして敵を殲滅しよう。」

 

「?越えたらまずいのか?」

 

ここでアイクから素直な反応が帰ってくる。安全策で行きたい。今はステータスとかも見れないしレベルも分からないから安全策で行かないとがちでやられる。だけどゲームと同じように動くならある程度進軍すると増援が湧いてくるからまずは目の前の奴らを迎撃して数が減ったら進軍する。その際、盗賊は放っておいて後から倒せばいい。祈りの書もあるけど.....回収しなくてもいいか。

 

「おそらく増援が来る。部隊の位置や数を見る限りおそらく指揮官はかなり手強いやつだ。だからまずは迎撃をして数を減らそう。盗賊にも気をつけてくれ。」

 

「軍に盗賊がいるのか?」

 

違うんだよアイクさん。FEには何故か知らないけど騒ぎに紛れて出てくるやつがいるんですよ。海賊とか色々。

 

「見た感じいる。」

 

「それで貴方ならどんな策を?」

 

ここでセネリオが聞いてきた。てっきり批判してくると思ってた。

 

「俺に任せていいのか?」

 

「敵の数や配置を瞬時に把握しているようなので策を練るなら貴方がやった方が効率的だと思っただけです。でもアイクが採用しなければ辞めてもらいますよ。」

 

「分かった。とりあえず目の前にある檻らしき部屋に入って一度に戦う敵を減らす。ティアマトさんに特効薬と傷薬を持たせて左側、さっき言ったラインを越えないように進軍を。あとアイクはなるべく入口近くにいてくれ。」

 

「私は危険な任務ね.....」

 

そしてあの子を仲間にするんだ。今回のマップはその為と言っても過言じゃない。

 

「分かった。指揮はエイリスに任せる。お前も戦ってくれ。」

 

「分かった。俺も敵兵を減らす。」

 

そうして砦内での戦いが始まった。ここが救いなのはこれが索敵マップじゃないことだ。ここで索敵だったらかなり苦労したかもしれない。

 

そして俺たちはティアマトさんを左に突撃させ、残りで上へ進軍した。そろそろ来るかな.....

 

 

 

 

「....とと、ここにもデイン兵がうじゃうじゃいるよ。えーっと、出口は.....ってあれ?なんで戦いが起こってんだろ。」

 

 

来ました!!紙装甲で不遇だけど可愛いワユたそが来たぞーー!!!!脇をずっと見せてたからワキとかあだ名があったけど。

 

「アイク....あの子に話しかけに行ってくれ。仲間になってくれるはずだ。」

 

「そうなのか.....行こう。」

 

 

 

ワユ「ひょっとしてあんた、アイクって人?」

 

アイク「そうだが.....誰だ?お前は。」

 

「あたしはワユ。クリミア軍に雇われてた傭兵。」

 

「軍の傭兵が....なんでここにいる?」

 

「ドジって捕まっちゃってさ。捕虜収容所に送られそうなとこをグレイルさんに助けてもらったんだ。」

 

「親父たちに会ったのか!?どこで!?」

 

「ここより北の方だよ。すぐ近くだよ。」

 

「そうか、無事なんだな.....」

 

「ね、あんたたちって何者?」

 

「グレイル傭兵団。見ての通り、デインと戦っている。」

 

「へぇ、この人数でデインの一部隊と渡り合ってんだ。いいねぇ、そうこなくっちゃ!!」

 

「?」

 

「この戦い、あたしも加勢させてもらうよ、いいでしょ?」

 

「それはかまわないが、俺の一存では手当が出せないかもしれないぞ。」

 

「こまかいことは気にしない!じゃ、そういうことでよろしく、大将!!」

 

 

ワユが仲間になった。

 

「仲間になったな....あんたすげぇな。」

 

アイクが不思議そうな目でこっちを見ている。まぁ既プレイですから。

 

「なんて言ってた?」

 

「クリミアの傭兵らしい。」

 

「なら俺が雇えば解決するかな。俺も一時期とはいえクリミア軍にはいたからさ。それならアイクの一存でもないし手当も出せる。」

 

「分かった。ならあんたに任せる。」

 

こうしてワユたそも含め、敵の攻撃を受けながらも順調に殲滅していった。この調子ならいけそうだな。途中盗賊も倒してマジックシールドも手に入れたし、アーマーキラーも手に入ったからこれでほぼ終わりだろ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

10数分後

 

「かなり減らせたな....よし、進軍するか。」

 

俺たちは殆ど殲滅出来たので進軍を開始した。ティアマトさんも殆ど倒してくれたみたいだから増援も怖くないだろう。

 

ザッサッ

 

「くくく.....見つけたよ。思ったよりは楽しめたね。」

 

「誰だっ!?」

 

アイクが正体を聞いているようだ。まぁあいつさっき調子乗ってたからその自信をへし折って来たけど演出上やってるのか?

 

「自分たちの不運を嘆くがいい、傭兵ども!このプラハ将軍が来たことでお前たちは万に1つも生き延びるチャンスが無くなったんだからねぇ。」

 

「プラハ....四駿の?」

 

「知ってるのか、セネリオ。」

 

「おそらくデイン王の腹心たる四将軍の1人です。あの女の武器、フレイムランスは高位の炎魔法を繰り出すとか.....」

 

まぁ魔力依存なんで恐るるに足りませんよ、セネリオくん。俺も魔道士で魔防高いし、キルロイをちゃんと成長させればボルトアクス将軍のようなことにできますから。あいつらなんで他の武器持ってないんだ.....

 

「くくく、私が分かってるなら話がはやい。さ、大人しく王女を差し出しな。」

 

よし、今くらいで顔を出すとするか。

 

「ちゃっす、シーマさん.....じゃなかった、プラハさん、さっきぶりですね。」

 

「お、お前はさっきの.....!?」

 

「運が悪かったね。俺がいたらあんたの本気のフレイムランス無効化されるし。それに目的の姫ここにいないから。」

 

「なん.....だってぇ....!?そんなことが信じられるもんか!!たかが傭兵ごときがこのプラハ様の部隊を出し抜けるわけが.....」

 

「なら事前にうちの事下調べして来いよ。ガリア領にもデイン軍いるの知ってるからな。伝達もろくにしてないのかデイン軍は。」

 

さて、思ってたことも全部言ったしそろそろ来るだろう....

 

???「その過ぎた自信が、しくじりを誘発するということだ。」

 

「!?」

 

そして反対の入口から.....グレイルたち別働隊3人が入ってきて兵士をのさばらせた。

 

 

アイク「親父!!」

 

グレイル「なぜ戻ってきた、この馬鹿者め!!」

 

「姫は無事ガリア領内に入った。親父たちが合流してくれれば任務は成功だ!」

 

「......仕方の無いやつだ。だが、よくやった。褒めてやろう。」

 

 

「くっ....!!あたしを無視するとはいい度胸じゃないか。」

 

それは思った。この距離でこんなでかい声で話してたらそりゃイライラしますわ。でもプラハが優秀だとしても武器がなぁ.....残念。

 

「察するにお前が団長だね?へぇ....どんな偉丈夫かと思えばその辺の傭兵と変わりないじゃないか。」

 

あ、言っちゃった。この人先輩に対して言っちゃいましたよ。仮に四駿ならその先代が誰かとか顔くらい覚えとけよ。

 

「.....?」

 

「フフ、お前の身柄、このプラハが貰い受けるよ!!」

 

「え、お前そういう趣味なの.....ふぅん。」

 

「話をややこしくするな!!!あとで丸焦げにしてやる!!」

 

「いやさっき無理だったじゃん.....」

 

「話が反れたわね....」

 

おいさらっとスルーするなよ。遮断スキルでも持ってるのかこいつ.....

 

「陛下は、それはそれは強い男がお好きだからねぇ....お前を捕らえて、土産にしようか。大人しくしなよ。生け捕りじゃなきゃ価値がないんだから。」

 

そうなんだよなぁ。俺もこれ最初見た時ホモかと思ったけどそうじゃないみたいでした。

 

グレイル「狂王アシュナードの悪趣味は噂通りということか。」

 

 

 

 

ガトリー「シノンさん、悪趣味って、なんの事すかね?」

 

シノン「...デイン王は大陸中から強い野郎を集めて互いにつぶし合わせるって話だ。そこで勝ち残った者は素性がどうであれ側近に取り立てるって噂だが.....どこまでが真実かは、とんと分からねぇ。」

 

「うぅ....団長も、変なのに見込まれちまったなぁ。」

 

そう、狂王にはそういった趣味がある。良くも悪くも実力主義をひいているからそういうことが好きみたいだ。でも逆にその生け捕りで捕まる時点でその相手より弱いってことになるんだけどなぁ.....好き好んで行くやつもいるのかな。

 

グレイル「シノン、ガトリー!!俺はあの女を引きつける。お前たちはアイクたちを連れてここを抜け出せ!!」

 

「了解!!」

 

「だけど団長!1人じゃ危なくないすか!?」

 

「馬鹿野郎!!団長ならあの女くらいどおってことねぇよ。さっさと行くぞ!!」

 

グレイル「急げ!!ガリアで落ち合おう!!」

 

「逃がさないよ、あんたも、あんた達の部下もね。特に、あのエイリスと言う男は。」

 

「プラハ、といったか。騎馬のお前はここでは全力を出せまい。場所をうつすぞ、ついてこい!」

 

「あたしがそんな手にのるとお思いかい?」

 

「お互い、他とは実力を隔する者なんだ。めったに出会えるものでもない。邪魔の入らぬところで存分にやりあいたいのだが?」

 

「フフン、意外に女の扱い方を心得てるじゃないか。いいだろう、のってやるよ。」

 

そうしてグレイルとプラハは別の場所に行った。まぁ八割くらいは倒してるしもうなんてことないけどさ。

 

「さてと.....ぼちぼちやるか。」

 

後は大将と雑兵を倒すことと、シノン、ガトリーから武器を取り上げておけば終わりだ。




7章ってどう進軍してるんですかね。意外と最初から分軍して倒してたりする方法も行けるんでここは分かれますね。

キャラ紹介 ワユ

元クリミアの傭兵。さっぱりとした性格。アイクを大将と呼ぶ。占い好きという乙女らしい趣味を持っていたり、魔防王キルロイを運命のライバル(支援Aになると運命の相手になる)にするなど少しずれてるところもある。女を理由に見下されたと思い込んで態度が豹変するシーンもある。蒼炎の場合、支援が3人だったり能力とかを見ても不遇だった。暁だと能力がカンストできたりいろいろ女の子らしく成長している。肩パットを外したり髪が伸びてたり.....
蒼炎の軌跡ではこのタイミングで出てきます。案外序盤なんですよ。アイクシリーズではエリンシアと並ぶくらいの人気。蒼炎では耐久が脆すぎたり女ということで力の上限も低かったから結構扱いにくいキャラ。衣装とか結構露出していたり脇を見せたりしてるから天然って怖いよね。


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例のアレ

ここであの方が登場します。皆さんも知っているキャラです。ここから出てくるキャラはヒーローズにも登場してるから分かりやすいかな.....


粗方敵を殲滅し終わり、砦内部のデイン軍はグレイルが戦ってるあいつ以外いないだろう。

 

「...親父を探さないと。どこだ....!?」

 

 

 

 

砦奥

 

「ティアマト!親父は....?」

 

「大丈夫。...グレイル団長が優勢よ。」

 

今はグレイルvsプラハの様子を全員で見ている。さすがにこの段階だったら四駿に対抗出来るのはグレイルくらいか.....キルロイでも受けきるのは少し難しいかもな。

 

プラハ「なんなんだい、お前は!?一介の傭兵風情が、どうしてここまで戦える...!?」

 

グレイル「どうした、もうおしまいか?」

 

グレイルからは超余裕と感じるオーラが見られる。まぁウルヴァンは威力と命中率が斧の割に高いからなぁ.....最強クラスの武器だから仕方ないか。

 

「諦めたらしー....失礼、プラハさん。俺に敵わなかったんだから団長に勝てるはずがないよ。」

 

グレイル「エイリス、こいつと一戦交えたことがあるのか?」

 

「はい、さっきワープしてご挨拶をした時に少し。攻撃してきましたけどノーダメでした。」

 

「ほう....中々頼もしいじゃないか。」

 

「ちょっと、私を無視するつもりか!?」

 

 

 

「いたぞ、こっちだ!!」

 

そう話していたら、デインの増援がぞわぞわと湧いて出てきた。

 

「まずい、敵の増援だ!親父、退こう!!すごい数だ.....!!」

 

「.....仕方あるまい。」

 

そして撤退しようとしたら全部の出口から増援が出てきた。本編と流れが変わるけど.....

 

「.....皆衝撃に備えて。踏ん張る準備をしておいて。」

 

「何をするつもりだ....?」

 

アイクがこちらの真意を問うてきた。さすがにゲームの様に待っていたらやばいことになるからな.....ここは仕事をしよう。

 

 

(アスタルテ、皆を守っておいてくれ。)

 

(はい、分かりました.....!!)

 

そしてアスタルテ(犬の状態)がアイク達の周りにオーラを出し、アイク達を守った.....そのオーラって、暁のラスボスの時に出してたやつだよね.....耐久できる?

 

 

「見せてやるよデイン軍。あんたらの王様に重傷を負わせた至高の光を。」

 

その言葉を聞くや否や、兵士たちがどよめき始めた。それが本当かどうかはともかく、国王を撤退させたクリミア兵は子供で、魔法使いという一致した特徴を見たからだ。

 

 

「笑えよ.....アーリアル!!!」

 

そして後ろの出口にいた増援を一気に蹴散らした。その衝撃で最前列にいた増援は吹き飛ばされ、オーラに巻き込まれて重症を負った兵士もいた。やっぱ神将器の威力は凄いな.....しかもこれアスタルテの加護があるせいかラグネルみたいに使用回数に制限ないし。

 

「て、撤退だ.....!!!!」

 

「あ、お前たち逃げるんじゃないよ!!」

 

至高の光を見て怯えた兵士が次々に撤退していき、残ったのはプラハだけとなった。よく逃げなかったなこいつ....さすが四駿。そして外からは.....

 

 

「ガリアの獣兵だ!!」

 

「に、逃げろ!!食い殺される!!」

 

どうやらガリア軍が到着したみたいだ。本来ならここでライ達がやってきて助けてくれる流れだったけど.....まぁアイクとエリンシアをくっつけるのが本来の目的だし結果的に助かるから問題もないか。

 

ライ「デイン兵に告ぐ!!直ちにこの場から去れ!!さもなくば、我々ガリア軍が相手となるぞ!!」

 

来ました、ラグズの中での強さがかなりのライくんじゃないですか。ヒーローズやってる人達の為に説明をしておくと、実装されたラグズでガリアにいるラグズ(ティバーンとかネサラは別の国)の身分は、カイネギス>ライ>レテ>モウディとなっている。レテはモウディの上官だったりするからよく覚えておいてね。

 

プラハ「.....そう言われて『はい』と返事出来るもんか。どの道陛下の元に戻れば処刑されるんだ。ここで戦って死ぬほうがマシ.....」

 

???「.....退け、プラハ将軍。」

 

「漆黒の.....!」

 

そしたら別の出口から、なにやら漆黒の鎧を着た兵士がやってきた。そう、黒の月光やしっこくハウスでお馴染みの、漆黒の騎士である。暁をプレイした人はミカヤ編でこいつが味方になった時は驚いたのではないだろうか.....俺は初見の時、まじか!?って思いましたね。

 

「王には私がとりなしてやろう。ここは、兵を退くがいい。」

 

「まぁ確かにこんなところで兵の数減らさないのが一番得策だもんね。戦場において最善の判断をすべきだよ。」

 

ちょっと助け舟をあげよう。こう言えば多少はいい感じに聞こえるだろう。

 

「ちっ.....全軍退却!!」

 

 

「.......」

 

グレイル「....?」

 

「親父を見ているようだな.....」

 

「あぁ.....」

 

そしてライがこちらにやってきて、

 

ライ「おいっ!!1人でやるつもりか!?」

 

やめろライくん!!こいつ女神の加護があるから現状じゃ俺以外ダメージを与えられない。下手したら全滅も有り得るからな。

 

「ここは退け、ぜる.....間違えた、漆黒の騎士。この状況では何かと不都合だろ?」

 

スタスタ

 

そして無言で漆黒の騎士は帰っていった。まぁこの後また会うんだろうけどさ.....

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

砦の外

 

ミスト「お父さん、お兄ちゃん!!」

 

「ミスト!!」

 

「グレイル様、アイク様.....ご無事でよかった。」

 

「エリンシア姫.....どうして戻ってきたんだ?」

 

アイクは素直な疑問を投げかけた。こういう所は似てるんだからさぁ.....絶対意気投合できるでしょ。

 

ライ「王女は、あんたたち傭兵団の救助をガリア軍に要請してきたんだ。だから俺たちが来たってわけだ。」

 

でもライくんみたいな重臣を派遣してくれるとは、カイネギス王も太っ腹だなぁ。

 

「お前はガリアの.....半獣か.....?」

 

「半獣?はっ、思い上がった呼び名だよな?お前達から見れば俺たちラグズは半端者の半獣だってのかい?」

 

そう、前も言ったと思うけど、この世界において半獣というのはラグズの蔑称で、本来は使っちゃいけない言葉である。アイクは知らないから仕方ないんだよなぁ.....

 

「...他の呼び名を知らなかった。気に障ったのなら、すまん。あんたたちのことは.....ラグズ、と呼べば良いのか?」

 

アイクは素直に謝った。こういうところはやっぱり素直だよねぇ.....いいことだよ。

 

「へぇ?礼は通すってのか。気に入ったよ。で、お前さんはえっと.....」

 

そしてそれを許すライくんも結構心広いよね?これ相手が初期のスクリミル(暁の女神に出てくるカイネギスの甥)とかだったら即刻殺されてたよ。危なかったね。

 

「アイクだ、グレイル傭兵団のアイク。」

 

「俺はガリアの戦士ライ。突然、ガリア領内に駆け込んでくる奴らがいるから、何かと思えば.....クリミアの王女だって言うじゃないか。驚いたよ。2日前にクリミア王宮でデインが出した勝利宣言で、王族は全て殺害されたと思ってたからな。」

 

「勝利宣言.....じゃあクリミアはもう.....?」

 

エリンシア「....私もさきほどライ様から伺いました....私が.....逃げ出した直後に.....レニング叔父様はもう.....私は、ほんとうに.....たった1人に.....」

 

いや、レニングは生きてるんだよなぁ.....拉致られてるし、デインが出したのは勝利宣言だけでレニングが討ち取られたとかそういうのは無いだろう。多分行方不明だから死んだ扱いにされているが、ここで言うと雰囲気がぶち壊しになるので辞めておく。

 

「エリンシア姫.....」

 

アイク!!そこは俺たちがいるとか言ってやれよ!!後々ちゃんとしてるからいいけどこういうところでポイント上がるねんで!!

 

「アイク.....」コソコソ

 

「....ん?分かった。」

 

 

 

「エリンシア姫」

 

「アイク様....」

 

「....俺があんたの苦しみを分かってやることは出来ないかもしれない。だが、その悲しみを共に背負うことは出来る。それに俺たちがいる。」

 

「アイク様.....」

 

よし、これは親愛度が上がったのではないだろうか。エリンシアもこれから沢山経験してちゃんとした王になるから大丈夫。今はこう言ってやるのがベストだろう.....そう思う。

 

ライ「.....それがあったからこそ我が王は、念の為国防を強化されていた。俺の部隊が、救援に来れたのは偶然じゃないって訳だ。」

 

「.....そうか.....」

 

「とりあえず、エリンシア姫と....そこの子供を王の元へご案内する。」

 

「え?俺?」

 

ちょ待って。この後大事なイベントがあるのにそんなのされたら困るよ!!だって絶対話長いじゃん!!

 

「あんたの力は我が王にまで聞こえている。元クリミア兵として我が王に色々報告して欲しいんだ。」

 

「あぁ、そういう....分かりました、行きます。」

 

「よし。アイク、あんたたちについては上の指示をあおいでみるから、ガリア領にある古城で待機しててくれ。悪いが、こんなに大勢の余所者をいきなり王宮に連れて行くわけにはいかなくてね。」

 

「分かった。それでいいよな、親父?」

 

グレイル「.....」

 

「親父?」

 

「.....!なんだ?」

 

「どうしたんだ、ぼうっとして.....らしくないな。」

 

「ちょっとした考え事だ。それでどうなったって?」

 

「エリンシア姫だけ、先に王宮に向かうことになった。俺たちはガリア領内の古城を借りて待機だ。場所は.....どっちの方だ、ライ。」

 

「部下に案内させよう。誰か.....」

 

「無用だ。ここから遠くないなら、国境の河を越えて西の.....ゲバル城だろう?場所は分かる。あんたたちは、一刻も早く王女をカイネギス殿に対面させてやってくれ。」

 

「随分気の利くお客さんだ。じゃあ先に失礼しよう。迷惑でなければ、後で食料なんかを届けるように手配しておくけど?」

 

「そうして貰えるなら助かる。」

 

「では、参りましょうか、エリンシア姫、えっと.....」

 

「エイリスと呼んでくれ。めんどかったらもう子供でいい。」

 

「そうか、ならエイリスも行こう。」

 

そうして俺とエリンシアはライ達に連れられガリア王宮に向かった。まずい.....この後のあれが見れないか.....

 

「それでは皆さん.....また後ほど。.....直ぐにお会い出来ますよね?」

 

グレイル「ああ。」

 

アイク「気をつけてな。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そしてと俺とエリンシアはカイネギスの元にやってきた。

 

「貴方が.....カイネギス様.....」

 

俺も思うけどデカくないか!?実際に見たら確かに威圧感あるな.....

 

「私はカイネギス。ガリアの王だ。エリンシア姫、よくぞ無事だった。」

 

カイネギスはゆっくりと口を開き話した。周りのラグズが結構威嚇というかこっちに多少の敵対心を向けているのが分かる。まぁ....俺らベオクだからな。

 

「して.....その子供がえイリスか。」

 

「はい、そうですね。お初に御意を得ます。ガリア王。」

 

「私の時と話し方変わってませんか.....?」

 

「いや、姫は打ち解けたいって感じがしてましたから....ケースバイケースってやつです。」

 

「.....クリミアは敗れた。その当時の状況を教えてくれぬか。」

 

「はい.....簡単に言うと大量のデイン軍が侵攻してきました。更には狂王アシュナードが王都にまで来ました。俺はその当時解雇処分を受けていましたから、最初の方はわかりませんが、少なくとも俺が駆けつけた時にはもう王都は半分くらい堕ちていました。」

 

「それで.....エイリスよ、そなたが狂王を退けたというのは誠か?」

 

「はい、王女が逃げる時間を確保する為に狂王に闘いを挑んで重傷を負わせることには成功しました。まぁ討ち取るまではいけませんでしたがね.....」

 

周りのラグズが更に警戒していると感じた。おそらくここで暴れられたら困るからだろう.....別に攻撃する気はないのに。

 

「....うむ。後でしっかり聞こう。今はエリンシア王女を休ませよう。」

 

そうして、エリンシアは下がり、俺は城の端でぼーっとしていた。

 

 

 

 

 

「いい月だ.....これからあのシーンがあるんだな.....」

 

スタスタ.....

 

「ん?.....なんだ、ジフカさんか。」

 

「....なぜ分かる?私は名乗ってはいない。」

 

「カイネギスの影武者でしょ?それくらいの情報はあるよ。.....なんでここに?」

 

「エイリス、そなたはまだ警戒を解くまでの証拠がない。そして狂王を退けたというならそこら辺の兵士では止められない。故に私が来たのだ。」

 

「そう.....ジフカさん、カイネギス殿にこう伝えて。グレイル親子が危ないと。」




入るかなと思ったら長くなったのであのシーンは次回に回します。

キャラ紹介 ライ

獣牙族、猫のガリア王国の戦士。気さくで人懐っこいし、真面目で頭も切れると.....かなりのハイスペック。仲間になるのはかなり後になる。ラグズということもあって成長率が微妙だが普通に使える。ベオクとも積極的に関わっているため、カイネギスからも信頼があったり、暁の女神では次期国王であるスクリミルの補佐役をやっていたりする。アイクとのペアエンドを持つ数少ないキャラ。蒼炎の軌跡では、ベオクとラグズの差別なそういった関係を教えたりしている。会話文を見るとセネリオの過去が予測できてるということを示唆する発言を結構しているので、意外と周りの事を気にかけている一面をもある。


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こればかりは.....

ここは.....書いててちょっと鬱になりそうですね。蒼炎の軌跡ではここら辺のキャラの目線とか表情が細かく書かれていて好きです。


適当に考えた新英雄召喚『人気のあるサブキャラたち』

【ダグダが愛した男】マーティ(歩行斧)、トラキア776
【そうだよロシェ】ビラク(騎馬槍)、紋章の謎
【....英雄なのか?】ロット(歩行斧)、封印の剣
【シスターだって戦える】ラナ(歩行杖)、聖戦の系譜


深夜

 

「エイリス様、どちらに行かれるのですか....?」

 

「姫、起きていたんですか。」

 

カイネギスはジフカに言伝を頼んでおいたから多分後から来るだろう。俺もその場に行かなきゃ.....やらなきゃいけないこともあるからね。

 

「ちょっとした散歩ですよ。それよりもう遅い。姫も寝たらどうですか?」

 

「いえ.....私も眠りに付けなくて。」

 

「.....なら、少しだけ質問があるんですがいいですか?」

 

「.....はい。私で答えられることなら.....」

 

「なら。姫はこの先どういった未来を描かれているおつもりですか?」

 

「どういった未来とは....?」

 

「姫はラモン王の言葉を聞きガリアと頼ってここまで来ました。でもこのまま戦争が終わるまでここにいるつもりですか.....?」

 

「いえ、それは.....」

 

おそらく答えられないだろう。でもアイク×エリンシアを実現する為には早く参戦してもらわないと困る。ちょっとだけ早めてもいいよな....

 

「.....簡単に言えばもしこの戦争でデインが負けたとして、クリミアを再興するというのならその時の王は姫になります。レニング卿が生きているか分からない状態では。そしてら逆にデインが勝ってしまえば、敗戦国であるクリミアの民は奴隷のように扱われます。」

 

「そうですね.....」

 

「.....その時、もしガリアで平和な時を過ごしたとして、姫は国民に顔向け出来ますか?」

 

「......」

 

ちょっとセネリオみたいな言い方になるけどこうするのが1番なんだ.....ここは心を鬼に。

 

「少なくとも俺はそんな王様は嫌です。大変な時に国王が国民を見捨て、平和になれば戻るといったような王を国民が支持すると思いますか?」

 

「.....いいえ。それは無いです.....」

 

「.....それにこれも話しておきましょうか。今回の戦いで仲間になったワユという少女はクリミアの傭兵....つまり義勇軍のようなものです。かつて俺の元にいたネフェニーという少女も田舎の方の出身ではありますがクリミアの為にと志願して兵になりました。それにまだジョフレ将軍やルキノといった姫の帰りを待っている兵士もいるのです。」

 

「.......はい。」

 

「その者達を捨て駒にして自分だけ生き延びる....姫はそんなことが出来ますか?」

 

「いいえ、それは絶対に出来ません!!」

 

「では今の姫に何が出来ると言うのですか?生き延びることだけですか?」

 

「.......」

 

「.....そう、今の姫には何も出来ない。無力です。」

 

少々言い過ぎではある。俺も言ってて凄く罪悪感が湧いてくる。というか異世界の人間が一国の女王に対して無礼極まりないから多分ばれれば処刑されそう。

 

「.........」

 

エリンシアが泣きそうになる。でもここで止めたらアイク×エリンシアの可能性が低くなるんだ。

 

「....無力だからこそ、何が出来るか、それを考えるべきです。」

 

「私に....出来ること.....」

 

「烏滸がましいことを承知の上で助言させてもらいます。.....姫、王になるということはその国民の命を守り、進む強い心が無ければなりません。ただ力があればいいというわけではないんです。」

 

「強い心.....」

 

「はい。そして、それを手に入れるためには.....戦うしかありません。理不尽な現実と、そして自分の理想を叶えるためにはそういった事から目を反らさず、その状況で自分ができる全てをやる。そうしなければ民はついてきません。ならその王になる為に今何ができるか.....アイク達と共に成長していってください。」

 

そろそろ時間になるか....行かないと。

 

「.....待ってください!!私もついていきます!!」

 

「いえ、城に帰ってください。」

 

「.....連れて行っても良いだろう。そなたがいるのならば。」

 

「カイネギス王.....」

 

話していたらカイネギス王がやってきた。

 

「そなたがいるのならば姫を守ればよい。仮にもそなたはエリンシア姫に雇われている身。そうだろう?」

 

「....分かりました。」

 

そうしてあの場面へ.....俺とカイネギスとエリンシアは向かった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アイク&グレイルside

 

「親父!!」

 

「アイク!?お前、起きていたのか?」

 

「どうも寝付けなくてぼんやり外を眺めてたら、親父が砦を抜け出すのが見えた。こんな時間に一体どこへ行くんだ?」

 

「.....お前には関係のないことだ。城に戻って寝ろ。」

 

「いいかげん子供扱いはやめてくれ。どうしようが、俺の勝手だろ?」

 

「.....フッ、頑固なやつだ。少し、歩きながら話すか。」

 

「.....ああ。」

 

 

スタスタ

 

「どうだ、少しは傭兵団の戦いってものが掴めてきたか?」

 

「戦いには.....少しは慣れた気がする。だが、親父がどうしても新米の俺に団のことを任せようとするかは、理解できない。」

 

そこだけは疑問だった。なぜ半端な俺に親父は傭兵団を継がせようとしているんだ.....まるで何かに焦っているように。

 

「いやにつっかかるじゃないか、反抗期か?」

 

「ちゃんと答えろよ。俺はまだ、傭兵としての仕事もまともにこなせていないんだ。人を動かすのは無理だ。」

 

「一緒に覚えていけばいい。どちらも経験を積めば様になるさ。」

 

「だがついこの間まで.....親父は絶対、そんなことは言わなかった。」

 

「.......」

 

「何があったんだ親父。何をそんなに焦っているんだ?」

 

「.......アイク、おまえ、母さんのことを少しでも憶えているか?」

 

「な、なんだよいきなり。」

 

「どうなんだ?」

 

「そうだな.....優しい人だった、気がする。よく覚えていない。親父は何も話してくれないし。」

 

「そうか.....」

 

「......だがエイリスから少しは聞いた。」

 

「.....何?」

 

「母さんはエルナって名前で.....それしか聞いてないが。」

 

「.....そうか。」

 

一瞬親父の目線が鋭くなった気がする。何があるんだ.....母さんと、一体何があったんだ。

 

「親父、どうしたんだ?」

 

急に親父が臨戦態勢に入った。俺も急なことで少し驚いた。

 

「.....ここまでだ。俺のことは放っておいて城に戻れ。」

 

「なんだよ、いきなり!?」

 

「団長命令だ!城に戻れ!」

 

「....分かったよ。」

 

俺は渋々城に踵を返した。親父も俺が帰ったか見ている.....だが。

 

「ほっとける訳ないだろう.....親父のやつ!!」

 

俺は走って親父が向かった方向へ行った。一体何があるっていうんだ....

 

 

 

そこで俺が目にしたものは.....

 

シャキーン

 

親父と.....さっき見た漆黒の鎧に身を包んだ騎士が一騎打ちをしていた....並々ならぬ空気だ。

 

「くっ.....」

 

親父が押されて、ピンチの状態になった。

 

「親父!!」

 

「アイク....来るな!!」

 

俺は親父に気圧され、その場で立ち止まった。あの鎧の騎士は.....随分と余裕そうな雰囲気だ。

 

「この剣を使われよ。」

 

そう言って使っていた剣を親父の方に投げた。

 

「.....何のつもりだ?」

 

「貴殿との戦いを楽しみにしていた。まともな武器で全力を出していただこう.....神将、ガウェイン。」

 

「昔、そんな名で呼ばれたこともあったものだ。だが.....」

 

そう言って親父は大木に刺さっていた剣を抜き、投げ捨てた。

 

「とうの昔にその名と剣を捨てた。今の相棒は.....これだ。」

 

そういって親父は斧を構え直した。親父は剣を使えるが、斧で戦ったところしか見たことがない。

 

「死ぬ気ですか.....?」

 

「その声、覚えている。たった十数年で師である俺を追い抜いたつもりか、ふん。若造が.....これでも食らうがいい!!」

 

そして親父と騎士は、激しく数合撃ち合った。.....だが、

 

「どういうことだ....この歯ごたえの無さは。」

 

騎士は全く押される様子もなく、親父の斧を軽々と返し....親父に突き刺した。

 

「親父ィ!!」

 

そのまま俺と親父は倒れた。なんて強さだ....

 

「親父....親父!親父ぃぃ.......!!!」

 

 

 

デーデンデーデン.....

 

「.....信じられんな。これが我が師の成れの果てだというのか.....」

 

「親父っ、親父!!」

 

「アイ.....ク.....」

 

「しっかりしろ!!」

 

「さぁ、渡してもらいましょうか。」

 

渡す?一体なんの事だ.......

 

「あ....れは....もう.....捨てた.....」

 

「フッ、あれがどんなものかもっとも知るはずの貴方があれを捨てたなどと.....もう少しまともな言い訳を期待しましたが?」

 

「.....話は、終わりだ。」

 

「どうあっても口は割らぬ、と。確かに....死人には口なし、だが、まだしばし時がある。.....息子の死に顔を見て、なお同じ台詞が言えるか.....試してみるのもいいでしょう。」

 

「!!」

 

「やめろ!アイク!!」

 

俺は剣を抜き、そいつを斬ろうとした.....だが避けられ

 

「...,っ.......!!」

 

急所こそ外した、いや外されたが重傷を負い、膝を折ってしまった.....

 

「アイクっ!!」

 

「....例のものを渡せ。おとなしく従うならば息子の命だけは保証しよう。」

 

「やめ.....ろ!息子に.....手を出す、な!!」

 

そして騎士は俺を斬ろうとした.....

 

 

グォーーーーーーーッ!!!!

 

「これは.....【獅子王】か。それにこの強大な魔力.....やむをえん。ここは1度退くか.....」

 

 

「.....逃すものかっ!!」

 

「お前も父親と同じ愚か者か。」

 

そして親父が斧をもち再び立ち上がろうとした。

 

「ぐ.....はっ.....」

 

「親父っ.....!!」

 

「.....辞めろ。お前の勝てる相手じゃない.....」

 

「だが....」

 

「アイク!!」

 

「.....来ないのか?ならこちらから.....」

 

グォーーーーーーーッ

 

「.....近いな。それに強大な魔法が私を捉えた.....ここで奴らと事を構える訳にはいかん。命拾いしたな小僧。」

 

そう言ってその騎士は消えた.....

 

「全く.....しょうがないやつだな。」

 

「最も.....こんな風に育てたのは.....この....俺.....」

 

「親父.....?親父!!ここじゃ何も出来ない.....し、城に.....戻らないと...!!」

 

俺は親父に肩を貸し、親父を城まで運んだ。その道中で.....

 

 

「アイ....ク.....」

 

「親父!?気がついたか.....?」

 

「おまえに....言っておくことが.....ある....」

 

「...後で聞く。今は城に戻る方が先だ。」

 

「....仇を討とう....などとは.....思うな....あの騎士の事は.....忘れろ.....」

 

「な....んだって?」

 

「ガリア王.....を.....頼り、ここで....平和に.....暮らせ。」

 

「親父!!喋るな!!体力が奪われる!!頼むから.......!!!」

 

「あとの.....ことは....任せたぞ。みんなを.....ミストを....」

 

「待て.....駄目だ、そんなことを言うな!!もうすぐ明かりが見える.....」

 

他の皆がかけつけた.....だが、時は既に遅かった。親父はもう息を引き取っていた....親父は、死んだんだ。.......くそ!!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

エイリスside

 

「.....間に合わなかったのか。」

 

「グレイル様.....」

 

こればかりは....グレイルの死を変えるわけにはいかなかった。これがアイクのターニングポイントになるし、それに.....仮に駆けつけたところでアーリアルの衝撃を受けることになるし、俺には何も出来なかった。

 

「......戻りましょう。ここにいても.....」

 

「そうだな.....」

 

俺たちはガリア王宮に戻り、カイネギスはグレイルの死に心を痛めていた.....仕方ない。そしてエリンシアは.....

 

 

 

 

ガリア城

 

「エイリス様.....」

 

「....姫。心中お察しします。とても辛いことです.....ですが、起きてしまった事実は変わりません。」

 

それはどの世界だろうと同じ。だが.....あまりにも残酷な別れ方だと思う。聖戦ほとではないにしろ、目の前で父親が殺されたんだから.....辛い思いはする。

 

「エイリス様.....」

 

「.....アイクも親を失いました。しばらくは辛い思いをするでしょう.....姫、支えになってあげてください。」

 

「私に.....出来るのでしょうか.....」

 

「姫もアイクの境遇が分かるでしょうし、その辛さも共感できます......アイクは強いですから立ち直れはします、ですがそれでも乗り越えるには時間がかかる.....その為の力になってあげてください。それが姫が前に進むひとつの道になると思います。」

 

「....分かりました。」

 

そう言って俺はエリンシアを鼓舞した。これでアイクと繋がりが出来たか.....代償はでかいが。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アイクside

 

「.....親父.....これは、夢じゃ、ないんだな.....現実.....なんだな.....」

 

「日が暮れて....冷えてきた.....中に入るぞ、ミスト。」

 

「.....」

 

「ミスト.....」

 

ミストの気持ちは痛いほど分かる。俺も今はまだ気持ちの整理がついていない。

 

「.....っく、ひぃ.....っく....」

 

「ミスト....俺は側にいたのに親父を守れなかった。すまん....」

 

「.....ひっく.....お父さん.....いなくなって.......ひっく.....わ.....わたし.....どうしてあいか....わかん.....ない.....」

 

こんな時、俺はどう言えばいいんだ.....これしか思いつかない。

 

「俺がいる。」

 

「お兄、ちゃん.....」

 

「俺が団長を継ぐ。親父の代わりに.....おまえも、傭兵団のみんなも守ってみせる。」

 

「.....うっ.....お兄ちゃ.....お兄ちゃん.....お兄ちゃぁん....嫌だからね.....お兄ちゃんまで....何も言わずに.....いなくなっちゃったりしたら.....嫌だからね.....」

 

「あぁ.....約束だ。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

俺はアイク達が戻ったのを確認してグレイルの墓にやってきた。

 

(アスタルテ.....ここだな?)

 

(はい.....ここに未練がある魂があります.....)

 

そしてアスタルテは.....魂を俺に見えるようにしてくれた.....そこには

 

「エイリス、俺が見えるのか.....」

 

グレイルがいた。昨晩と変わらない雄々しい姿で立っている。

 

「団長.....」

 

「.....お前まで俺の死を悲しんでくれるのか.....エイリス、俺の頼みを聞いてくれるか?」

 

「.....はい。」

 

「俺は死んでしまった.....アイクには仇討ちをするなとは言ったが.....頑固なあいつのことだ、必ず仇討ちをしにいくだろう。だから、エイリス、お前にアイクを見届けて欲しい。あいつはまだまだ未熟だ。それに.....」

 

「それに?」

 

「お前は.....全て知っているのだろう?」

 

「.......」

 

「どこまで知っているか、話してくれないか?俺はもう死人だ。口外を心配する必要はないだろう。」

 

「.....俺は元々異世界の人間です。この世界で起こること、テリウスの過去の歴史、メダリオンの秘密、団長の正体、この先の未来.....全て知っています。」

 

「そうか....薄々そんな気はしていたんだがな。」

 

「驚かないんですか.....?」

 

「驚きはしたがお前が俺たちの味方であることに変わりはない。じゃあ俺が死ぬことも分かっていたのか?」

 

「.......はい。」

 

「今更気にしても仕方がない。だが.....俺が死ぬことはこの世界の歴史なのだろう?変えられない、未来だったんだろう?」

 

「.....はい。」

 

変えることは出来た....だが変えてはいけなかった。これを変えれば......アイクがどうなるか分からない。

 

「.....なら仕方がない。だがエイリス、アイクやミスト、皆が死ぬ未来があるというなら.....変えて欲しい。」

 

グレイルはそう言った。どこまでも団員想いだな.....

 

 

「あ、それと.....この斧とあいつが捨てていった剣を持って行って欲しい。このまま墓代わりにするには勿体ない武器だからな。」

 

「分かりました.....ラグネルとウルヴァン、使わせてもらいます。」

 

「ああ.....そうしてくれ。後はな.....」

 

「まだ、気になることがあるんですか.....?」

 

「アイクの事だ。あいつの将来が気になってな。俺はエルナと結婚しアイクとミストを生んだ.....だがアイクはそういったことがないと俺は思う。俺も運命的な出会いがあったからこそだが、あいつはそれを分からないだろう。」

 

「あはは.....そうですね。」

 

「だから最後の願いだ。あいつがどうか.....平和で温かい家庭を築けるよう頼む。これは父親としての願いだ。」

 

「.....はい、分かりました。」

 

そう言うと、魂は消えていった。正確に言うとその場から消えた。おそらく魂自体はまだどこかに存在する。

 

(ありがとう.....アスタルテ。)

 

(構いません。これも恩返しの1つです)

 

そして俺は、墓にあったウルヴァンの代わりに文字を掘った十字架と.....大木に刺さっていたラグネルを回収し、城へ戻った。




FEの主人公の父親はエリウッドを除き全員死んでいます。封印の剣ではヘクトルも殺されます。愛の祭りでグレイルと再会した時にアイク、ミスト、ティアマトが泣くほど喜んでいたのはこういう出来事があったからです。漆黒の騎士が言っていたあれとはメダリオンのことです。


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なんでガリアにデイン軍いるんだよ!!

ここら辺の拠点会話は本当に良いですよねぇ.....家族というかなんというか.....そういう温かみがあります。

FEギャグ(ヒーローズ世界)

ターナ「お兄さま!!これどうぞ!!」

ヒーニアス「これは.....お大尽の弓と、近距離反撃、夕陽...それに守備の城塞?どうしてこれが?」

ターナ「お兄さまが1人で敵に囲まれてもいいようにしたの!!これならエイリークが来れなくても安心ね!!」

ヒーニアス「助けてエイリーク、妹が鬼畜だ。」


ガリア王宮

 

グレイルの死から1日と半日近くが経った。おそらくシノンとガトリーは傭兵団から抜けた頃合いかな.....

 

「オまえ、何ヤってるんだ?」

 

.....とモウディがやってきた。あれ?君レテと一緒にアイクの所に行く必要あるよね。ここにいていいのかな?

 

「杖を作ってるんだよ。敵も数が多くなって負傷する数も増えるだろうからさ。」

 

「そうカ、べオクは面白いな。」

 

と、興味津々にこっちの杖作りを見ている。FEの世界に来て、初めて杖の作りを理解出来た。剣や槍、斧や魔導書は大方予想出来てたけど、杖の作り方だけは分からなかった。

 

「出来た....ふん。」

 

ピシャ!!!

俺は軽く毒が塗られたナイフで腕に傷を付けた。

 

「オまえ、なぜ自傷シているんだ?」

 

「ん?杖の効果を確かめる為にね、ちょっと痛いけどこういう確かめ方がベストかな。」

 

杖を作ってる人って皆こんな感じなのかな?とすると杖を作ってる人が兵士になったら凄そうだな.....

 

 

「うん、毒を塗ったナイフで切ってみたけど完治した。状態異常にも対応出来てるな。」

 

その後床に散った血を拭き、綺麗にしておいた。べオクの血とかラグズは嫌がりそうだからな。

 

「さてと.....モウディ。君がここに来たのはアイクの所に行くからだろう?」

 

「ソうだ、レテからヨぶようツたえられた。」

 

「そっか.....じゃあ行こうか。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ガリア王宮 正門

 

「お前がエイリスか.....」

 

「初めまして、レテ。」

 

やはりこの時期のレテはべオクに対しての嫌悪感を隠すつもりが無いな.....まぁいいんだけどさ。

 

「...言っておくが、我が王がべオクとの関係を望もうとも、私はお前たちと親しくなるつもりはない。」

 

「レテ!!」

 

「いや、いいよ.....別にそんなの自由だからさ。嫌いなら嫌いでもいいよ。」

 

「....ふん、言い返さないとはやはりべオクは意気地無しだな。」

 

めちゃめちゃ言いますやん。これは参ったなぁ.....

 

カイネギス「レテ、べオクと事を構えるような発言は控えよ。」

 

「はっ.....失礼しました。」

 

「うむ.....してエイリスよ。エリンシア姫を宥めてはくれぬか?手に負えない。」

 

「え、何があったんですか.....?」

 

「エイリス様!!私も行かせてください!!」

 

「エリンシア姫.....そなたが命を落とせばクリミアの王がいなくなるのだ。ここは留まってくれ。」

 

「でも.....私も戦いたいんです!!」

 

どうやらグレイルの死を見てしまったが故に、エリンシアも戦う決意をしたのか.....それともあの助言を飲み込んだのか。どっちかは分からないけどこっちにとっては好都合だ。

 

「カイネギス王、ここは姫の意見を組んであげても良いのではありませんか?」

 

「.....理由を聞こう。」

 

「はい.....おそらく姫をここに置いていては、いずれデインがガリアにも宣戦布告をするでしょう。おそらくですがそうなるとラグズ差別が当たり前なベグニオン帝国の貴族連中もその騒ぎに乗じてやってくるでしょう。」

 

「な!?我々がべオクに負けるというのか!?」

 

「サシでやれば負けはしない。ですがべオクには森を焼き払ったり、巧妙な罠を仕掛ける頭があります。この自然豊かなガリアが火の海になれば確実に被害は計り知れない。」

 

そう.....これだけはゲームでも見てないから分からない。ルカンとかそこら辺の連中はデインと一緒にラグズを屈服させにくるだろう。そしてその後にデインをラグズ差別とし戦争の口実にする。なんたってサナキというあいつらにとったらおもちゃ同然の利用できる神使様がいるからな。

 

「.....それにもしそうなったら次はゴルドアやフェニキスといった国もラグズと共同戦線を張って抵抗する事態になる。そうなれば大陸中に戦乱が起きてしまう.....カイネギス王、これはゴルドア王デギンハンザーと交流のある貴方なら聞き覚えのあるフレーズだと思います。」

 

カイネギスは目を開き、レテやモウディはカイネギスと対等以上に話し合っている事態に困惑している。エリンシアは首を傾げている。まぁ知らなくて当然の話だろう。

 

「.....そなたは、どこまで知っているのだ。恐ろしいものだ。」

 

「いえいえ。ここからが重要です。カイネギス王、姫はアイクも含め我々が命をかけて守り抜きます。だから、ここはひとつ、姫のわがままを聞いてくださいませんか?」

 

「.....分かった。狂王を退けたそなたが言うのであればそれを信じよう。」

 

「ありがとうございます!!カイネギス様。」

 

「 ではレテ、モウディよ。エリンシア姫を護衛しつつ、アイク達を迎えに行ってくれ。」

 

「はっ!!」

 

そして、俺、エリンシア、レテ、モウディの4人でアイク達を迎えに....正確に言うと助けにいった。

 

「あ、そうだ.....姫、これを。」

 

「これは....杖、ですか?」

 

「はい、先程作りました。状態異常と回復効果の両方がある杖です。ぜひ、お役立てください。」

 

「はい.....これでやっと、アイク様達のお役に立てる.....」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アイクside

 

「.....ッ、まだ兵がいるのか.....ハァッ.....」

 

俺たちは砦をデイン軍に囲まれていた。そして俺たちに対し王女を渡さなければ皆殺しと言い、俺たちはそれに対して迎撃体勢を取っていた.....だが数が多すぎる。先程から兵を倒しているはずなのに援軍の波が止まない.....仕方ない。

 

「全員、城内に戻れ!!繰り返す!!一旦城内に戻るんだ!!」

 

俺は団の全員を城内に退避させるよう言った。俺が親父に変わって皆を守らなきゃ行けないんだ.....

 

 

 

「ハァッ....ハァッ.....ハァッ.....畜生!まだだ.....まだ.....やられてたまるかっ!!」

 

俺は入口で殿を務め、侵入しようとする兵士を一人一人切り伏せていった.....もう誰も、失わせはしない。

 

「お兄ちゃん!!」

 

「ミスト!?出てくるんじゃな.....」

 

「いや.....もう、逃げられないんでしょ?わたしたち.....ここで.....死ぬんでしょ?」

 

「馬鹿なことを言うな!!どんなことをしてでも、お前とヨファだけは逃がしてやる!!ここを抜け出したら、2人でガリア王宮にいるエリンシア姫を頼って.....」

 

俺たちは戦うことが出来る.....だが、ミストやヨファは戦えない。俺たちは捕虜になろうとも構わない。だが、2人は捕虜になればおしまいだ。

なんとしてでも守り抜かなければならない.....

 

「わたし、どこにもいかない。お兄ちゃんと皆と.....ここに残る。」

 

「.....」

 

「いっしょに死ぬのは怖くないよ。お母さんと.....お父さんにも.....会えるし。だから.....お願いだから.....逃げろなんて言わないで.....ね?」

 

「.....分かった。だったらここにいろ。」

 

「ありがとう、お兄ちゃん。」

 

「.....けどな、母さん達には会えないぞ。」

 

「え?」

 

『お前は俺が守る。絶対に死なせはせん。.....親父と約束したんだ。』

 

「.....お兄ちゃん.....」

 

 

その後も俺はやってくるデイン軍を倒し続けた。もう.....体力の限界だ.....

 

 

カムラ「...我がデイン正規軍相手に、この人数でよくここまで戦った。敵ながら見事.....だが、それももう終わりだ。かかれ!」

 

敵が総攻撃の指示をかけた。....もう、終わりなのか?

 

 

 

 

「諦めるのはまだ早いぞ、アイク!!」

 

「え.....?」

 

俺のすぐ近くに一筋の光が入り、敵が吹き飛ばされた。それと同時に.....

 

 

「ぐ、ぐわぁ.....!!」

 

2匹の獣が敵兵を蹴散らしながら、やってきた。援軍.....なのか?

 

「姫、城に入ってキルロイと共に負傷者の治療を。」

 

「は、はい!!分かりました!!」

 

俺の目の前には.....エイリスと、ラグズ2匹がいた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

間に合った.....イレースがいない点、おそらくちゃんと仲間にしたんだな。よくやった。

 

「さてと.....援軍はまだいるんだろう?ここからはラグズ2名と俺、エイリスが相手だ。」

 

カムラ「.....たった2匹で我が軍を壊滅寸前に追い込んだ.....これがラグズの力.....そして、エイリス.....!!」

 

やっぱり序盤で狂王を追い込んだのは正解だな。さすがにプラハも含めて名前は通ってるだろう。

 

と思っていたら、レテがいつの間にか敵将を片付けていた。いや、速すぎ.....

 

エリンシア「アイク様もこちらに!!」

 

「あぁ.....助かる.....」

 

さすがのアイクも疲れていてエリンシアの認識もちょっと曖昧になっている。

 

レテ「この程度の軍勢に苦戦するとは.....やはり、べオクは軟弱な生き物だな。」

 

「それ、砦の中では控えておけよ.....」




ここのムービーでアイクが敵兵を1発で倒してるんですけど.....その力どこにあんねんと思いました。マニアックだと追撃が出ても倒せないくらいの力なのに.....必殺出してるのかな?

キャラ解説 レテ

モウディの上官。獣牙族、猫に変身するラグズの戦士。ツンデレイメージはあるがかなり挑発的。皆が知っているツンデレ気味のレテは、ある程度支援が進まないと見ることが出来ない。というのも、ラグズとべオクの歴史がかなり複雑だったり、ラグズを奴隷としていた時代が存在するため、べオクに対して好感が持てないのはある意味当たり前.....
性能としては速さや技が優れていたり、開始直後に化身できるので速くクリアしたい人にはおすすめ。因みにヒーローズのレテの声優さんは、ヒーローズのユルグや、アイドルマスターの緒方智絵里のCVと同じ。(間違ってたら恥ずかしい.....)

モウディ

獣牙族、虎に変身するラグズの戦士。大柄で強面だが心優しい性格で、敵を殺すのも正性格故に躊躇う。無用な争いを避けるためにテリウスの共通言語を学んでいたり(でも訛ってるのか、カタカナが混じっている)、べオクに対して敵対的な態度を取っていない。煽リオ.....失礼、セネリオに挑発された時は怒って理性を失いかけていた。

イレース

物静かで大人しい薄幸な少女.....だけど、華奢な見た目に反してめっちゃ食べる。食べ物関係でしか人の名前を覚えないため、傭兵団のほとんどのメンバーの名前を覚えていない。おいしい料理をふるってくれたオスカーは覚えられている。逆に、食べ物関係は全部覚えている。唯一の雷魔法使いで、最上級のレクスボルトを使える唯一のユニット。そして.....恐ろしいほどのミニスカートを履いているせいか、生足どころかパンツまで見えるという....イレースの検索候補にパンツが上位で出てくるのはその為である。これ狙ってるよね?としか思えない。


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支援、エリンシア、キルロイ、ティアマトC

蒼炎の軌跡を初プレイした時の感想

「あっ....やっぱアイクとエリンシアは深い関係が出来たな。」

暁の女神を初プレイした時の感想

「あれ?関係が淡白すぎへん?」


風花雪月を初プレイした時の感想(青ルート)

「2部の前半のBGMかっこよすぎやろ。あとイングリット可愛すぎやろ。」

と思った僕です。青ルートのハードクラシックだったんですが、最初の死神騎士を倒そうとした時以外は特に苦労しませんでした。本家FEをやりたいという方は、聖魔の光石、蒼炎の軌跡、風花雪月をオススメだとトラキア776から始めた僕は思います。


エリンシアC

 

「あの.....エイリス様....」

 

「ん?どうかしましたか?姫。」

 

「いえ.....いつになったら私に対するそのよそよそしい口調を解いてもらえるのですか?」

 

エリンシアがちょっと寂しそうな顔をして聞いてきた。まぁ一応位置づけはクリミア兵だからなぁ.....

 

 

「そうですか?目上の人間に対して敬意を払うのは当然の事かと.....」

 

「でも、王宮で話していた時はもっと砕けた雰囲気でした。.....私、何かエイリス様の機嫌を損ねるようなことをしたのでしょうか.....?」

 

「そんなことは無いんですけど.....ただ、仮にも1度軍隊から抜けた身。俺は立ち位置は一応元クリミア兵で、今は.....傭兵団の一員です。だから、そこにも配慮しているんです。」

 

「配慮、ですか?」

 

「はい、グレイル団長やティアマトさん、ワユを除いた団員はクリミア兵との接触はありません。その時に一兵卒である俺が姫に対してタメ口を使っていたらどうでしょうか?『クリミア兵には礼節がないのか』と思われてしまう可能性もあるのです。だから俺はそこを考えた上で口調を変えているのです。どうかご了承を。」

 

こう言えば多分納得してくれるだろう.....さすがにゲームの世界とはいえ国の評価に関わるような動きは絶対にしたくないからな.....

 

「.....ですが。なら」

 

「なら?」

 

「なら雇い主である私からのお願い、なら呑んでくださいますか?」

 

「.....何を、ですか?」

 

何を考えているんだ.....ジョフレ支援Cに似た流れになったぞ。まさか辞めろとか言わないよな.....

 

「私に対しては、他の.....アイク様達と同等に接してください。雇い主からの命令です♪」

 

....あれ?やけにノリノリだな?エリンシアってこんなキャラだっけ.....?

 

「あの.....姫?」

 

「姫?私にはエリンシアという名前があるのですよ?」

 

この人.....絶対に遊んでるだろ。まぁこう気分を上げてくれるのも1つの仕事かな.....

 

「.....分かった、エリンシア。その命令は受けよう。だけど!!」

 

「....はい!!」

 

「その命令は全員に通してくれよ。贔屓というのは嫌いだから。」

 

「はい、分かりました。では、ガリア王宮に着いた時にそうお話します。」

 

まさかこの展開がこんな速く出るとは.....たまげたなぁ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

キルロイC

 

「....一通り治療は終わりましたね。」

 

「.....そうだな。さっきの戦いで大分消耗してたみたいだな。」

エリンシアとキルロイと俺で治療に当たったが、かなり時間がかかった。傷こそ深いものは無かったが、体力の消耗や精神をすり減らしてたからか、全体的に疲れていたように見える。

 

「エイリスはいいですね。杖も使えてあんな強力な魔法まで使えるんですから.....」

 

「あ、あぁ.....」

 

言えねぇ.....この世界の女神から別の世界の神将器を貰ってきたとか....まぁ杖に関しては独学で頑張って身につけたからいっか。

 

「だが、別に戦えないからと落ち込む必要はない。杖を使えるというだけで仲間もかなり楽に考えられるところがある。」

 

「楽に、ですか?」

 

「ああ、回復役がいるということは、全力で戦っても回復してくれる人間がいると、戦う者に安心感を与える。そして、全力で戦おうとする。これは立派な事じゃないか?」

 

「.....そう言えたらいいけど。僕は元々傭兵になりたかったんだ。でも、体が弱いからさ...」

 

「傭兵になりたい、か。」

 

全部聞いたことあるから耳タコなんだけど....まぁ、本人なりに葛藤してるのはよく分かるよ。

 

「でも、自ら傭兵の定義を狭くするのは良くないぞ。そんな事を言ったら俺がクリミア兵にいた時の部下は、9割近くが元盗賊、海賊、山賊なんだ。」

 

「....そんな人を雇っていたのですか!?」

 

「ああ。だからアイクのように力があって剣や槍や斧を豪快に振り回して敵を倒すのだけが傭兵とは限らない。それに.....ティアマトさんから聞いたけど、若干体調不良気味だったにも関わらず、戦場に出たそうじゃないか?」

 

「あ、そ、それは....」

 

痛いとこつかれたなぁ〜と言わんばかりの笑みが入った顔である。よく見ると可愛いな....そりゃ色んな人から振り回されそう。

 

「その心意気は、並大抵の人間じゃ出来ない。その意志の強さは充分傭兵達と張り合えると思うが?」

 

それにボルトアクス将軍とかも封じれるからね。こんな魔防高い傭兵とかあんまり見たこと無いからな.....

 

「.....そうですか?」

 

「キルロイ、あんたは立派な傭兵だ。俺は新参だからよく分かるよ。」

 

「ありがとう、エイリス。少し自信が持てたよ。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ティアマトC

 

「これとこれはあるわね....それから」

 

「ティアマトさん、何してるんですか?」

 

「.....!!あら、エイリスだったの。私は今、持ち物の点検をしているの。」

 

 

「持ち物?」

 

そういやゲームの世界とかで武器しか考えなくて良かったけど、こっちに来たら食料や仕事の資料、契約書とかそういうのも考えなくちゃいけないのか。

 

「ええ、私たち傭兵は仕事場所によって拠点を度々変えるから、食べ物や大事な契約書を必要最低限にして移動する必要があるの。今はそれがちゃんとあるか見ているの。」

 

「1人でそれをやってるんですか.....?」

 

「.....ええ、今はね。アイクやミスト.....特に、ミストを働かせる訳にはいかないから.....団長の事もあるし.....」

 

.....そりゃそうだ。目の前で父親が殺されたのと、いつの間にか死んでいたんだから心の傷は相当深いだろう.....傭兵とはいえアイクもミストも子供。仲間、特に家族の死を仕方ないと受け入れさせる方がよっぽど酷だろうし、辛いだろう.....ティアマトもティアマトなりに団員のことを考えてるんだろうな。

 

 

「.....団長が亡くなってしまったのは、誰も受け入れたくないでしょうね....でも、だからといって1人でするんですか?オスカーさんやボーレ、俺もいるんですから頼ってくださいよ。」

 

「そういう訳には.....」

 

「俺たちは家族、でしょう?ならその苦しみも一緒に背負って前に進まなければならない。だからこそティアマトさんが受けた悲しみも、一緒に背負わせて下さい。」

 

「.......」

 

ティアマトさんも辛いんだろうな.....と初回プレイの時は思った。グレイルとは長い付き合いだったし、特に悲しんでた場面あったからね.....でも団員の為にと、やっていた。なら俺は.....

 

「ま、そんな事言わなくても分かってますよね.....ね、皆。」

 

「皆?」

 

後ろから聞いていたみたいなのでちょっと呼んでみた。皆来ていた。やっぱ心配なんだろうな.....

 

「皆聞いていたのね.....」

 

オスカー「すまない、ティアマト。でも気になってね.....」

 

アイク「ティアマト。」

 

「アイク.....」

 

「.....俺はもう大丈夫だ。親父の分まで生きる。仕事はさっぱりかもしれんが....手伝わせてくれ。」

 

ミスト「ティアマトさん、私も、もう平気だよ.....だから、一緒に頑張ろう!!」

 

 

 

 

 

 

「と、いうわけです。ティアマトさん。」

 

「.....ありがとう、皆。」




FEは個人支援が基本ですが、今回は転生したからこそ支援でちょっと温かい空気を作れればな....と挑戦してみました。どうでしょうか.....

蒼炎の軌跡は、こういう団の関係とか、人間らしさとかが1番強く描写されていて、面白いなと前も言ったような感じがしますがそう思います。風花雪月もそういうところが描かれていて似ているなと感じました。


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一気に行こう

今回の偶像の天楼ってなんでティトなんですかね.....シャニーだったらロイのハーレム完成だったのになぁ.....あっでも修羅場になるか。




アイク「早速だが、あんた達が王宮からの使いか?」

 

「ソうだ、ガリアの戦士モウディだ。青い髪の、オまえがアイク。ソうだろう?」

 

「確かに俺がアイクだ。さっきは助かった。礼を言う。」

 

「ライは言った。アイクは悪くナいヨそ者だと。モウディたちは、キっと仲良くナれるだろう。」

 

レテ「....そんなことまだ分からない。こいつらベオクには表と裏、2つの顔を使い分けるようだからな。」

 

「レテ!」

 

「ベオク.....あぁ、エイリスが言っていた俺たちを指す言葉のことか。」

 

「え?俺アイクに教えたっけ?」

 

「いや、ライと話していたところを少し聞いてな。」

 

あれ?俺アイクの前でそんな話したっけ.....読者さんに対しては説明した記憶はあるんだけど.....

 

「.....そうか、お前たちは自分が能無しとみなされているのが分かっているんだな?」

 

「....なんだと?」

 

「レテ!オまえがヨくない。王は禁じてイる。ベオクとの争いを!」

 

「だが、ほとんどのベオクは我らをあの侮蔑的な名前で呼び、蔑んだ目でみる!それが友好を築こうという態度か!?」

 

エリンシア「それに関しては.....王族である私が民に変わって謝らせてください.....ごめんなさい。」

 

さすがのレテでも予想外だったのか驚いている。まさかベオク、差別を盛んに行っているであろう王族が自ら頭を下げたのだから。

 

「.....確かに、俺たちはごく普通にその蔑称を使っていた。それがよくない言葉だと少し考えればわかりそうなものなのに.....それ以外の呼び名を知らなかったんだ。すまん。」

 

ちょっとだけフォロー入れておくか....

 

「.....それに関しては少し補足をさせてくれ。まぁクリミア限定の話になってしまうけど.....元々クリミアはラグズと友好的な関係を築こうとしていたが、それは王族とかのお偉いさんに限った話で民間人にはそれが浸透していないんだ。そしてクリミア王国というのはラグズ差別をしていたベグニオン帝国から分裂した国だから民間人がラグズという呼び方を知らないのも無理はないんだ。そこは分かってやって欲しい。」

 

レテ「.....それでも我らに隷属を強いたお前たちはそうやって安易に忘れる。だが我らは忘れない。お前たちに受けた仕打ちを.....王がなんとおっしゃろうとも私はお前たちを信用しない。」

 

「レテ.....」

レテのベオク嫌いはこの時は凄いからなぁ.....まぁいじめと同じで、やられた側は中々嫌でも忘れられないんだよな.....さぁ来るぞ。

 

 

セネリオ『で?そういう恨み言を聞かせる為に来たんですか?ハハッ、半獣の考えそうなことだ。』

 

出ました、セネリオならぬ煽リオ。これも転生した時は聞いてみたかったんだよなぁ.....後は港町と船の上だな。名言が飛び出るのは。

 

「貴様っ!その呼び名を使う者は我々ガリアの敵だ!」

 

「ハ、ハ、半獣.....敵....コいつ、敵.....」

 

「自尊心だけは人間並み。そうでしょう?毛だらけの醜い半獣ども!」

 

さらにセネリオが煽る。こいつ煽りのセンスすげぇな。

 

「ぐわぁおおおおおおおおおおおお!!!」

 

モウディが吠え、化身状態になった。まぁあれだけ煽られたらこうなるよね。

 

「モウディ!やってしまえ!」

 

レテが突撃命令を出し、モウディがこちらに襲いかかってこようとした。

 

ドガッ

 

セネリオ「アイク!」

 

「.....っつ.....」

 

レテ「!!」

 

「ア......イク....アイク、すまない....オまえに怪我させて.....モウディは...」

 

「モウディ、こんな怪我、大したことはない。大丈夫だ.....」

 

「獣の分際で....!!」

 

そしてセネリオがウインドを発生させた。俺は初プレイの時、セネリオにウインドを持たせていなかったのでこいつどこから発生させたんだ.....と内心思いながら見ていた。

 

「やめろ!セネリオ!」

 

「えっ.....」

 

あろうことか、ウインドがそのままモウディに飛んでいこうとした。待て待て、本来のストーリーなら不発で終わりだろ!?

 

「シャイン!」

 

急いでシャインを発動してウィンドを打ち消した。危なかったぁ.....モウディもちょっと驚いているようだ。

 

 

 

「2人ともストップ。今はこんな事してる場合じゃないでしょ。」

 

アイク「そうだな。セネリオ、お前が挑発しなければこうはならなかった。違うか?」

 

「!!.....すみません.....」

 

「モウディ、レテ。団員の無礼は謝る。セネリオを許してやってくれ。.....言い訳にしかならないが俺たちは仲間を失ったばかりで.....あまり冷静じゃいられなくてな。」

 

モウディ「アイクはモウディを許した。ダからモウディも、セネリオを許す。誰も怒ってはイない。」

 

レテ「.....こちらも非礼は詫びよう。自分たちの使命を忘れるとはとんだ失態だ。」

 

「使命....?」

 

「王が傭兵団を招かれた。我らは、お前たちをガリア王宮に案内するために来たんだ。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

次の日の早朝

 

「レテ、セネリオがああいう態度になってしまったのは申し訳ない。でもこれにも理由があるんだ.....」

 

俺は改めて頭を下げた。そして説明するために呼んだ。

 

「あの男が怒ったのは我らラグズに対する差別意識だからでは無いのか?」

 

「そうなんだけど.....彼の生い立ちにも理由があってさ。セネリオも過去のラグズと同じように、差別的な扱いをされたんだ....ベオクにもラグズにもね。」

 

「なっ.....だが我々がベオクを憎む気持ちは.....」

 

「いや、正確に言えばベオクだからじゃない。別の理由でラグズから存在が無いように扱われたんだ。だから簡単に言えば、あの煽りはレテ、君と同じ理由から来てるんだ。」

 

「.....それが本当かどうかは知らないが、だがそういう過去があるというのなら.....気持ちが分からなくもない。」

 

レテが同意の意を示した。まさかここまで素直に聞いてくれるとは思わなかった。

 

「許してくれとは言わない。隷属していた歴史があるからさ.....だけど君がラグズを憎む気持ちのように、過去に....と言っても最近かな、ラグズに存在が無いように扱われたベオクもいるということを分かってほしい。わざわざ呼び出して悪かったな.....」

 

レテ(ベオクには表と裏がある.....あいつが言っていることが嘘である可能性も無くはない。だが.....もしそれが本当なら我々もベオクと同じことをしているじゃないか.....!!)

 

 

 

 

 

城周りの森

俺はその場を去り、城の外に行った。何故か知らないがセネリオから俺だけは別のところで過ごすようにと言われている。アイクとの接触があるからか.....

 

???「ねぇ、エイリスさん....」

 

「ん?ヨファにミストか.....どうかしたのか。ここにいたらアイクたちが心配するぞ。」

 

ミスト「ううん....エイリスさん、私たちも戦わせてください!」

 

「え?それを俺に言うの?」

 

ヨファ「うん!!エイリスさんに頼んだらいいってエリンシア姫が言っていたんだ!!」

 

あのお姫様は何をしてるんだ!!!しかも普通なら俺じゃなくて団長であるアイクに頼むだろう!?

 

「あの.....アイクに言おうとは考えなかったの?団長はアイクだよ?」

 

ヨファ「うん!勿論言うつもりだよ!だからエイリスさんを味方に付けてから言った方が通るかなって!」

 

ミスト「私たちが危なくても守ってくれるもんね?」

 

ヨファ「ねー!!」

 

この子達は俺の事を雇いやすいボディーガードとでも考えてるのか.....可愛いじゃないか。

 

ミスト「ね?だからお願い....!!」

 

ヨファ「お願い!!」

 

ミストが目を潤しながら頼み込んできた。いやそんな目されたら.....断れない。ど、どうしたらいいんだ.....

 

「いやあの.....とりあえずアイクやボーレ達と相談しようか。さすがにお兄さん達に言わずにっていうのはちょっとね......まぁ戦えるっていうなら俺は文句ないよ。」

 

というか次の章で参戦するから俺いなくてもいいんだよなぁ.....

 

「ささっ、アイク達が気にするからそろそろ城に戻ってね。」

 

2人は渋々ながらも城に戻った。ここでダダこねないあたりやっぱり普通の子供とは少し違うんだな.....

 

 

 

「ん?誰だ?」

 

近くに敵がいる.....あれは、鴉か。ということはキルヴァス兵か.....なんでこんなところに.....

 

 

「ふぅ.....なるべく戦いたくはなんいだけどな。」

 

まだ夜も少ししか明けていない.....本来なら鳥系のラグズは夜目があんまり効かなかった記憶があるんだが.....まぁいいか。

 

「シャイン!!!」

 

俺はシャインを発動して強い光を発した。これを見たのかキルヴァス兵は急な明暗差によって目を痛めたのか撤退していった。まさかこれで帰ってくれるとは.....でも妙に気になる。本来の蒼炎の軌跡ならこんな所でキルヴァス兵なんか出てくるはずがない。一体どうなってるんだ.....まさか狂王か誰かが俺を暗殺するために雇ってアーリアルが怖いから全部任せてるのか?とりあえずここで殺したら間違いなくキルヴァスがクリミアに正式に宣戦布告出来ちゃうからこれでいいかもな。




蒼炎の軌跡の用語解説

キルヴァス
蒼炎の軌跡に出てくるラグズの国の1つで、国王はネサラ。ヒーローズにも出てるから分かるだろう。この国はかなり貧しい国で、戦争が起きた時に兵を派遣してお金を得ている。貧しい故なのか金を得るための行為ならどんな手段も是としていて、略奪行為や人身売買をしている。トラキアと形は似てはいるがかなり違う。




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王と対面

あれ?エガちゃんが伝承ということは.....残りの3人も伝承枠として登場するのか.....?

適当に考えたこの先来そうな超英雄

シグルド&ディアドラ(ウェディングの比翼枠、聖戦はイシュタル以外超英雄が居ないためそろそろ出てもいい。)

リーフ&ナンナ(こちらもウェディングの比翼枠)

セテス&フレン(水着or夏祭りの比翼枠、ヒーローズの世界で伸び伸びして欲しいものである)

ワユ&キルロイ(夏祭りの比翼枠、ワユがキルロイを引っ張り回すところがみたい)

リシテア(ハロウィン枠、キャラ的にもマッチしている)


覚醒やif、風花雪月はペアエンドが多すぎるから登場させるのが難しいかもしれませんね。なおサーリャ(ry


俺たちはガリア王宮へ行くため、モウディ達と共に歩いている。

 

アイク「どうしたんだ、モウディ?」

 

「皆疲れてナいか?少し休んだホうがイいか?」

 

「大丈夫だ。」

 

「ソれなら、ヨかった。」

 

「...ベオクとは軟弱な生き物だ。この程度の距離、我らだけなら3日もあれば十分だというのに。」

 

「レテ!」

 

「....ふん、本当のことじゃないか。」

 

「レテがソんな態度だと、王の恥にナる。モウディも恥ずかしいぞ。」

 

「ぶ、部下のくせに上官に口答えするな!」

 

「悪いコとは悪い。レテはイい戦士だがベオクのコとにナると頭が固スぎる。」

 

「なんだとぉ.....?」

 

.....なんかここのマップ何かと面倒だったしもういいや。飛ばそう。

 

「では皆さんご覧下さい!!その軟弱と言われたベオクが開発した杖の力を。タララッタラ〜。ポータルの杖〜。」

 

「何を言っているんだ.....?」

 

説明しよう。ポータルの杖とはこの世界には存在しない杖で、俺が開発したものである。というのもワープの杖を強化してより遠い範囲に一斉に移動する為の道具である。ポータルの元ネタがわからない人はトワプリをプレイすれば分かるゾ!まぁあれは個人や単体を対象としたワープだったけど....レテの冷たい目線でメンタルが削られたが気にしたら負けである。

 

「じゃあ一気にガリア王宮まで行くか。ほいっと。」

 

俺はここにいる全員を範囲の中に入れさせ、一気にガリア王宮にワープさせた。俺が残ったのはここにいるデイン軍を倒すことと、民家を救出すること。ここの民家救出は初見じゃ多分不可能だしティアマトで先行しても追いつけないようになっているからこっちの方が楽だろう。

 

「ヨファとミストには申し訳ないけいど.....ここプレイヤー視点じゃないときついんだよなぁ.....」

 

どうせ次のステージで経験値稼ぎなんていくらでもできるから大丈夫だろう。だって壁がいるし。

 

「さてと....民家を救出しに行くか。」

 

ここで本来のこの章の説明をしておこう。本来なら大量のデイン軍と海の方から海賊が現れるため、敵を迎え撃ちつつ、民家を救出していくんですね。.......あっ、マーシャ来るんだった。やっちまったなこれ.....

 

俺は民家に向かい走った。FEのルールで砂場や砂漠といった地形では魔道職や飛行系ユニット以外は移動制限をかけられる。特に重装や騎馬はその影響を大きく受ける。俺は魔道職の為、その影響を一切受けない。ヒーローズから風花雪月に入って、フリーマップの砂漠で移動距離が短くなって驚いた人もいるんじゃないんだろうか.....

 

 

ネダタ「うっほっほ.....」

 

海賊「ひゃっほっほ.....」

 

「俺たちゃ海のならずもの〜」

 

「獣の国のなんのその〜」

 

「斧を振るってひと騒ぎ〜っとくら!」

 

「ねぇ兄ちゃん、俺たちも混ぜてくれよ、おーい。」

 

「な、なんだこのガキ!?」

 

「こ、こいつ.....クリミアで殆どの山賊と海賊と盗賊を従えてた、盗人狩りのエイリスじゃないんですかい!?」

 

「俺そんなゾロみたいな2つ名つけられてたのかよ.....とにかく帰れ。」

 

「な!?俺たち海賊に口答えするのかこのガキ!!」

 

「だったらその盗人狩りだかなんだか知らないけどそう呼ばれる理由を見せてあげようか?多分その頃には君たち3人とも消し炭になるけど。」

 

俺はそう言って近くにアーリアルを落とした。そのせいか海賊達は口を開けてびっくりしている。

 

「.....とりあえず帰ってくれ。ここで息を引き取りたいのなら別に残ってもいいけど.....あと海賊業から足洗え。」

 

「か、勘弁してくだせぇ!!」

 

そう言って海賊達は去っていった。まぁあとはデイン軍を片付けてマーシャを仲間にすればいいか.....

 

 

 

マーシャ「ええっと、どこかな....」

 

「あ、そこの人。」

 

「ん?君誰?こんな所に子供1人でいたら危ないよ?」

 

「大丈夫だよ。元クリミア軍だし。今は傭兵団の一員。グレイル傭兵団の。」

 

「え!?グレイル傭兵団!?じゃあアイクさんが何処にいるか知ってる!?」

 

「アイク達は先にガリア王宮に向かってる。.....で、早速来てもらって申し訳ないんだけど、あそこら辺にデイン軍いるでしょ?」

 

「分かった!!お姉ちゃんが守ってあげるよ!!」

 

「え.....?」

 

この子は話を聞かないのか?あれ?アイクの話はちゃんと聞いてたよね?

 

「任せて!元ベグニオン天馬騎士団の実力、見せてあげる!」

 

そう言ってマーシャがデイン軍を蹴散らしていった。なんか申し訳ないので後方支援をしつつ敵を減らした。.....マーシャってここまで強かったっけ?

 

 

民家訪問 1軒目

 

「ぎゃあ!に、ニンゲン.....うーん.....」

 

「あの.....死んだフリをするのは結構なんですが、どうしてそれを?」

 

「.....え?どうしてかって?ニンゲンに会ったら母さんがこうしろって.....」

 

「別に貴方に対して危害を加えるつもりは一切ありません。」

 

「.....ちがうのね、フン、だ!!分かってたわよ、そんなの!じゃあさ、これあげるからさっさと、どこかにいっちゃってよ!あたし、ニンゲンなんて大嫌いなんだから!」

 

「分かりました、失礼しました。」

 

レストを手に入れた。

 

 

 

 

2軒目

 

「クリミアの方々ですね?私は獣牙族の戦士です。あなたがたのことは、ライ殿からうかがっております。既に、お気づきでしょうが...南にあるタタナ砦は、現在、デイン軍によって占拠されているようです。

やつらには、くれぐれもお気をつけください。」

 

「今、マーシャさんと共に迎撃しています。」

 

「そうですか、厄介な魔道士もいるでしょうし、こちらをお使いください。これを使えば魔法を防御する力も増すはずです。」

 

「ありがとうございます。」

 

魔除けを手に入れた

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ふぅ...片付いた!」

 

「えぇ....1人で殲滅したの?」

 

「うん!!この程度の兵に負けるわけには行かないしね!」

 

「じゃあガリア王宮まで行こう。」

 

この辺りも全部倒したし、行くか。

 

 

 

 

ガリア王宮

 

「皆、お待たせ。」

 

「エイリス、無事だったか.....って、あんたは確か.....」

 

「アイクさん!マーシャです!約束通り、ご恩返しに来ました。仲間に入れてください!」

 

「でも、あんたはベグニオンの天馬騎士団にいたと.....」

 

「やめてきちゃいました!だから、この傭兵団に入れてもらえませんか?お願いします!」

 

「そんな簡単に.....いいか、はっきり言うがうちは貧乏傭兵団だぞ?給金1つとっても、正式な騎士団とは比べものには.....」

 

「ダメですか?」

 

「あんたが損をするって話をだな.....」

 

「全然、損なんかしません!一生懸命働きますから、入団させてくださいっ!お願いしますっ!!」

 

「そこまで言うなら.....とりあえずやってみるか?こちらも人手不足だからな、いきなり忙しいと思うが。」

 

「はい!まっかせといてください!さっきもガリアにいたデイン軍を壊滅させましたから!」

 

「.....中々やるな。」

 

 

 

「皆様、王がお見えになりました。」

 

 

「.....!!」

 

「ガリア王国へよく来てくれた。わしがガリア国王カイネギスだ。」

 

「.....グレイル傭兵団のアイクだ。」

 

「逞しく育ったな、見違えたぞ。」

 

「!?」

 

「ここにいた時はまだ小さな子供でしたから。」

 

「ティアマトか。よく来てくれた。」

 

「お久しぶりです、カイネギス殿。」

 

「2人とも知り合いなのか?王は.....俺の事を知っているのか?」

 

「うむ。グレイルについて、おまえに話しておくことがある。レテ、モウディ、お前たちは席を外してくれ。傭兵団の方々がゆっくり休めるよう部屋を用意して差し上げるのだ。」

 

「はっ!」

 

「私も失礼した方がよろしいですね。」

 

「いや、姫とエイリスにはここにいてほしい。後、この者もな。こやつはジフカと言ってわしの影だ。空気のようなものと思ってくれればよい。」

 

「分かった。こちらもティアマトとセネリオを同席させて欲しい。」

 

 

 

セネリオ「.....」

 

カイネギス「いいだろう。さて、何から話したものか。ティアマト。グレイルは、どこまで息子に話していたのだ?」

 

ティアマト「アイクは、ガリアのことを何も知らずに育ちました。ここにいた記憶もありません。」

 

「そうか。では、わしの知る全てを話した方がよいだろうな。....もっとも、あまり多くはないのだが。」

 

「いや、どんな小さなことでも構わない。親父のことを聞かせてくれ。」

 

「.......父親と同じ、良い目をしているな。グレイルは昔.....ガリアの傭兵として働いていたことがあってな。浅からぬ縁がある。わしは、まだベオクを信用しきっておらん。だが、おまえの父グレイルと.....エリンシア姫の父ラモン殿、そして王弟レニング殿.....この3人だけは別だ。どの者も、傑出した人物で、信頼にたる男たちだった。おっと、ティアマト、そなたも別格だったぞ。ベオクの女では、唯一な。」

 

ティアマト「おそれいります。」

 

「親父がガリアの傭兵....」

 

「そうだ。おまえと妹が生まれたのも、このガリアなのだ。ほんの短い間であったが、おまえたちは、この土地で育った。

 

「...そうか...何も覚えていないが.....俺とミストは.....この地で生まれたのか.....」

 

「おまえの両親は、なにか重大な秘密をかかえているようだった。そして、その秘密ゆえ、何者かに追われていた。十数年前…おまえの母親が追っ手に殺され、グレイルがガリアを去る時.....わしは、あやつに何もかも打ち明けるよう迫った。『何故、追われているのか?』『このわしが力になれることはないのか』と。しかし、何も聞き出すことはできなかった。.....あやつが再び、ガリアに現れたと聞いて...わしは今度こそと思ったのだがな.....あのようなことになって残念だ。もう少し早く...駆けつけておればと...悔やまれてならん.....」

 

「! そうか、あの時の声は...あんただったのか。」

 

「あの傷では助かるまいとわかったのでな.....残されたわずかな時間を邪魔するまいと思い.....姿を現さずにおいた。エイリスもそれを理解し共に消えたのだ。アイクよ.....あやつは最期に…おまえになんと告げた?あの黒鎧の騎士の正体を、おまえは知っているのか?」

 

「.....騎士の正体は.....わからん。親父は、俺に傭兵団を任せると...カイネギス殿を頼り、このガリアの地で平和に暮らせと.....言った。全てを忘れて.....

 

「そうか。では、わしができることをしよう。おまえたち傭兵団がここでの暮らしを望むのであれば、わしはそれを許そう。住まいと、土地を与える。」

 

「王の気持ちはありがたい.....だが、俺はこのまま、ここで安穏と生きる気にはなれない。俺は、親父の仇を討ちたい。このまま、忘れるなんてできない.....」

 

ティアマト「でも、アイク!それは.....」

 

「わかってる。今の俺には.....力がない。親父ですら勝てない相手に.....かなうわけがないんだ.....だから、今は強くなることに専念する。親父の残した傭兵団をまとめながら、いつかくる機会に備えるつもりだ!」

 

「賢明な判断だ。もっと直情的に動くように見えるが、さすが、グレイルの血は争えんな。」

 

「ふふ、成長したわね、アイク。ついこの間までは、ほんの子供だと思っていたのに....」

 

「ティアマト.....」

 

「.....そこで提案がある。アイクよ、おまえの傭兵団の力、このエリンシア姫に貸してやってはくれぬか?」

 

「!?」

 

エリンシア「カイネギス様!?」

 

「確かに、ガリアとクリミアの間には同盟が結ばれている。

だがな、それは王族同士のもので民間には、ほとんど浸透しておらん。」

 

ティアマト「クリミアでガリア人を見ることなんてないでしょ?.....友好国であっても、ラグズに対する理解はほとんどない。半獣なんて差別的な呼び方が普通にまかり通るようにね。」

 

エリンシア「父は、そのことに心を痛めていました。歴代の王とは比べ物にならないほど、ガリア王国との国交を深めることに心血を注ぎ...それで.....」

 

「それゆえ、反ラグズ運動の根強いデインに狙われたのかもしれん。」

 

「.......」

 

「わし個人の心情で言えば、ガリアがエリンシア姫の後見となり、クリミア再興に尽力したいところだ。しかし、我がガリアにおいてもまた、反ベオク感情が高いのも事実なのだ。この度、クリミア王女を我が国に保護したことが、デインがガリアを攻撃するための絶好の口実を与えたのではないかと.....危ぶむ重臣も多い.....」

 

「つまり.....ガリアは、エリンシア姫の力にはなれない.....そういうことなんだな?」

 

「残念ながら、そうだ。」

 

「アイク様。カイネギス様は、クリミアの再興を目指すのであれば

ベグニオン帝国を頼るべきだとの助言をくださいました。宗主国であるベグニオンに正式に申し立てをして、後ろ盾してもらうべきだと。

 

「ベグニオンまでは海路で数ヶ月の旅になるわ。確かに護衛が必要ね.....」

 

「俺たちも、まっとうに傭兵団として動けるほどの人員がいない。もし、姫の護衛として雇ってもらえるなら、それは願ってもないところだな。ティアマト! セネリオ!俺は王の申し出を受けたいと思うがかまわないか?」

 

ティアマト「団長の決めたことでしょ?私たちは、信じてついて行くだけよ。」

 

セネリオ「あなたの望むまま…進んでください。僕は、その道が確かなものとなるよう、全力を尽くすのみです。」

 

「わかった。では、グレイル傭兵団は、これよりクリミア王女護衛の任務を請ける。エリンシア姫、これから長い付き合いになりそうだな。よろしく頼む。」

 

「あ、ありがとうございます。こちらこそ、よろしくお願いします!」

 

「じゃあここからは依頼主が変わるな。」

 

「ん?それはそうだが.....何かあるのか?」

 

「言い方が悪いし、俺が言うのもなんだが....この際姫と俺たちとの壁をとり払おう。一応一国の姫ではあるけれど、今は俺たちと共に行動をしている。なら、変に壁があるより家族のように接することができる方が、何かと都合がいいんじゃないか?」

 

「いや、だがそれだと.....」

 

「アイク様、お願いします。私も、皆さんと同じように扱ってください。今私は護衛の対象であって雇用主ではありませんから.....」

 

「....分かった。姫がそれを望むというならそうしよう。」

 

「ありがとうございます!!」

 

とりあえず関係を一歩前進させる為の行動は出来たな。ここからが本番だからなぁ.....頑張らないと。




キャラ解説 マーシャ

元ベグニオン帝国聖天馬騎士団所属の天才騎士で、シグルーンも認めるほどの実力者。実際に加入した時のステータスは低いが成長率は中々凄い。兄は行方不明。といってもネタバレになるので実名は後ほど。ケビンとA支援まで進めたら関心している描写があるにも関わらずペアエンドは無かった。まぁFE界の修造とか言われているケビン相手だから仕方ないね。


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捕虜解放という名の経験値稼ぎ&邂逅

ここは壁代わりになる方がいらっしゃいますので蒼炎の軌跡では経験値稼ぎのマップになります。仲間も増えますしね。

エーデルガルトのアビサル出来ました?今回はマップの壁が非常にいい仕事をしてくれますよね。

今回は暁と関連した内容が後半から出てきます。一応話すと壮大なネタバレになりますので詳しく知りたい方は感想とかそういうところで聞いていただけたらお答えします。既プレイの方はある程度分かるかと。


あの後、俺たちはカイネギスから『姫を無事にベグニオンに送り届けた時の報酬』として20000Gと、僅からながらとレテとモウディを派遣してくれた。これにより、今からデイン軍がうようよいるクリミアに戻り、船を手配しなければいけなくなった。さすがにラグズの国に人間が使うような港があるとは到底考えられないしね。なぜベグニオンに頼らなければいけないかというと

 

①元々ベグニオン帝国の藩国として誕生したクリミアはベグニオンを宗主国としている国だから。

 

②クリミア単体で仮にデイン軍を撃破出来たとしてもその頃には国がボロボロになっていたり王族がエリンシアしかいないなど色々と危ないので後ろ盾がなければいけないから。

 

ということである。まぁ基本的に現実世界であろうと疲弊している状態の敗戦国は強い大国の後ろ盾が無ければいけないけどね。

 

 

 

カントゥス城前

 

ライ「止まってくれ。港町への道中だし、せっかくだからここに寄り道していこう。

 

アイク「この城に、何かあるのか?」

 

ライ「ここカントゥス城は....デインに占拠されて以降、捕虜収容所になっている。そして、クリミアの遺臣が何人かここの地下牢に捕らえられているって話だ。

 

エリンシア「ほ、ほんとうですか!?」

 

「確かな情報です。」

 

ティアマト「クリミアの正規兵をうまく助けだし、仲間に加えられれば…心強いわね。」

 

「そうだな。...危険を冒す価値はあるだろう。

 

 

 

 

カントゥス城内部

 

ライ「問題は、捕虜が閉じ込められている牢をどうやって破るか、だな。」

 

「牢には、カギがかかってるよな?それを開ける手段となると.....

 

セネリオ「ふつうは看守が鍵を持っています。それを奪うしかありませんね。運がよければ、見張りが持っているかもしれませんが....いずれにせよ、秘密裏に行わないと。城中の兵を相手にするわけには、いきませんから。」

 

「なら、なるべく壁ぞいに、敵を避けながら進むか。まずは、鍵を手に入れることが先決.....」

「.....! 誰だ!?」

 

フォルカ「グレイル殿に用がある。どこだ?」

 

で、出たーーー!!!!火消しとか言っておきながら蒼炎も暁もむっちゃ強い盗賊のフォルカさんじゃないですかー!サザの上位互換とか言われてた時もあったなぁ.....まぁ暁じゃサザよりフォルカの方がいいしね。ただ蒼炎は軽器(暗器のこと)が弱かったし、アサシンがダントツで弱いのがあれなんだよなぁ.....

 

セネリオ「いきなりとは、ぶしつけですね。ご要件は?」

 

「本人に話せばわかる。取り次いでくれ。」

 

「残念ながら団長はお亡くなりになられたので取り次ぐのは不可能ですね、はい。」

 

「そいつは、まいったな。」

 

ティアマト「あなたは誰なの?」

 

「フォルカ。グレイル殿に雇われていた、情報屋だ。」

 

「親父に?」

 

「.....グレイル殿の息子か。だったら、あんたでもいい。グレイル殿に頼まれて調べていたことがある。報告書を渡すから、代金をもらいたい。

 

「いくらだ?」

 

「5万ゴールドだ。」

 

「.....ずいぶん高いな。」

 

「それだけの価値はあるさ。」

 

「今はゴールドがない。しばらく時間が欲しい。」

 

「ということは、払う気はあるんだな。」

 

「親父が依頼したことだ。それなりの理由があるんだろう。」

 

「いいの、アイク?本当かどうか分からないものよ。」

 

「.....中味を見れば価値は分かる。確認するまでは、俺たちと共にいてもらおう。」

 

「なるほどな。だが、そいつは金ができてからの話だろう?生憎、俺はそれほどヒマじゃない。この件は、ひとまずお預けだな。金ができたら呼んでくれ。ちょっとした町の酒場ならどこでもいい。主人に『火消しに用がある』と言ってくれれば、1週間以内に姿を現す。」

 

 

セネリオ「待ってください!情報屋、といいましたね。あなたが売るのは情報だけですか?」

 

「....何が聞きたい?」

 

「鍵開けは…できませんか?」

 

「1回につき、50だな。」

 

「ここの扉を開けさせるのか?」

 

「大丈夫なの?たった今会ったばかりの男よ。」

 

「.......」

 

「いいんじゃないかな?雇っても。」

 

「エイリス、どういうことだ?」

 

「仮にでもグレイル団長が雇った人だ。さすがにグレイル団長が人を見誤るとは到底思えないし、今は鍵開けの要員が必要だ。仮にでも金さえ払えば仕事をするというなら利用するにこしたことはないよ。.....金さえ払えばやってくれるんですね?火消しさん。」

 

「ああ。金さえ貰えるなら俺に異存はない。」

 

「.....なら、ここの牢を破るのを手伝ってくれないか?ティアマト、構わないか?」

 

「前にも言ったでしょ?団長はアイク、あなたよ。あなたが決断したのなら私は従うだけだわ。」

 

フォルカが一応仲間になった!

 

 

 

 

ライ「じゃあ、オレは行く。健闘を祈ってるから、がんばれよ。」

 

「なんだ。おまえも手伝ってくれるんじゃなかったのか?」

 

「そうしたいのは山々なんだけど、オレも忙しくてね。終わり次第、また合流するよ。」

 

「そうか、気をつけてな。」

 

「ああ、おまえたちもな!」

 

そしてライは去り、俺たちはここにいる兵士にばれないように鍵を開けつつ、捕虜を解放することを条件に出撃した。.....というのは建前でここにいるセフェ.....げふんげふん壁を助けてからばらそうと思う。さすがにここを鍵開けて脱出なんてしたら勿体ないの極みですからね。そんなことはせんのじゃ。

 

 

 

「さてと.....じゃあ俺が看守に目くらまししてくるからその間に鍵を開けて捕虜を解放しよう。まずアイクは1番近くの牢に行ってくれ。オスカーさんとティアマトさんはここから真っ直ぐ行った奥の牢に行ってください。」

 

と言い残し、俺は看守の近くにこっそり行った。

 

‎ (۶•̀ᴗ•́)۶//㌧㌧

 

「ん?誰だ?」

 

「はい、チーズ。」

 

「う、うわぁ、目が、目がぁぁぁぁぁ......」

 

どこのジブリの大佐だよと心の中でつっこもうとしたが意外と自分がやっている事が下衆なので若干の後ろめたさもあるが、許して欲しい。

 

「さてと、叫ばれる前に次に.....」

 

そして俺はフロアにいた看守全員に目くらましをした為、アイク達が牢を開けつつ、仲間を解放した。因みにここは牢を破壊する事も出来るがそれをするとその音で敵襲とバレるのが速くなるので看守を倒す方がいいぞ。そして....

 

デイン兵「さ、さっきの叫びはなんだ!!」

 

「お、おそらく敵襲です!!ダノミル隊長!侵入者です!!いかがいたしましょうか!?」

 

ダノミル「いいところに来たな。ぼちぼち、囚人が少なくなってきたところだ。なるべく、生かしたまま捕らえるんだ!おれの楽しみを奪うんじゃないぞ?」

 

「はっ…!」

 

アイク「見つかったか、仕方ない.....このまま乗り切るぞ!」

 

そしてここからは壁もといセフェランを壁にしつつ経験値稼ぎといくかー!!.....ん?

 

デイン兵「ダ、ダノミル隊長!大変です!反対側からゲリラ部隊が来ました!」

 

「ほう、わざわざクリミアの残党がおもちゃになりに来るとはな.....」

 

「し、しかし....その軍を率いるのがネフェニーという少女で.....」

 

「な、なんだと!?」

 

どうやらネフェニーはあの後あの軍団を率いて戦っていたみたいだ。おそらく国民が連れていかれるのを見て奇襲をかけて敵兵を減らそうとしていたんだろう。本来ネフェニーはここで捕虜になってるんだけど俺が介入したことにより少し歴史がおかしくなっている。

 

 

ネフェニー「あ、あんた!!よく生きて.....」

 

「ネフェニー!!退路を確保しておいてくれ!ここの敵兵は俺たちで充分だ!!それより退路を頼む!」

 

「あぁ!!分かった!!!」

 

ネフェニーは元気な二つ返事をして出口の方に行った。さすがにここでネフェニー達に経験値を取られるわけにはいかないからなぁ.....

 

「よし!!ここからは経験値稼ぎだ!!まずセフェランを牢の入口において敵をおびき寄せて、そこから弓なり魔法なりバンバン打て!!」

 

セフェラン「え.....え!!?」

 

さすがにこれには驚いている。だがな、それはお前が壁にしてくださいと言わんばかりのスキルがあるからだ。ここで多くのエムブレマーがセフェランを壁にしてヨファやキルロイとかのレベルを上げたことだろう。それほどまでにここはボーナスマップなのだ!

 

ヨファ「うん、分かった!!」

 

セネリオ「これも指示ですので、大人しくしていてください。」

 

ヨファとセネリオがセフェランを一緒に運んで入口に固定した。そしてヨファは弓を、セネリオは魔法を連発し次々に来る敵を倒していった。これでかなりレベルアップできることだろう。

 

 

そしてこの後同じようなことを上でもやったが、あまりにも時間がかかってしまったため、カットさせてもらいますね。

 

 

 

 

 

ダノミル「な、なんだと.....!?」

 

「ねぇねぇ今どんな気持ち?」

 

まさか捕虜ごときに自分の部隊が全滅するなんて考えてもいなかったのだろう。

 

「.....だがよく来た!心から歓迎するぞ。さあ、おまえも俺の捕虜となり楽しい獄中生活を送るがいい。」

 

「うん!じゃあ今から君を消し炭にするね!!」

 

少年らしい屈託のない笑顔をしたが、ミストとヨファは怖がっており、フォルカも若干引いている。.....そんなに殺意漏れてた?

 

「ばいばい、アーリアル!!」

 

そういってアーリアルを落とし、倒した。

 

ダノミル「.....全員.....処刑、してやる....」

 

せっかく外して半殺しで済ませたのにまだこんなこと言ってるよ。そんなに拷問かしらんが捕虜を痛めつけたいなら妄想の中でやってろよ。

 

「さてと.....セフェランさんはここに残ってもらいましょうか。」

 

「......はい。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

俺はアイク達を先に離脱させ、この場には俺とアスタルテとセフェランが残った。

 

「さてと、セフェラン...いや、こう言えばいいでしょうか。黒鷺の民で、オルティナの夫のエルランさん?」

 

「.....何の話ですか?」

 

「ほう、あくまで誤魔化すと言うのか?この犬、女神アスタルテだし、更に言えばあんたが何をしたいかまで全部分かってるからな。言い逃れ出来ると思うなよ。」

 

俺は初プレイの時もセフェラン.....いや、エルランの過去を知ったから行動を起こした理由が分からないわけではないにしろ、あと少し待てば良かったと思う。.....ほんとにな。

 

 

「.....壁にしておいて随分と偉そうですね。」

 

「それはまじすみません許してください女神の加護なんて万能スキルがあるとはいえ乱用してごめんなさい。」

 

「まぁそこはいいでしょう.....」

 

セフェラン(女神よ、どうしてこの男と共に....?)

 

アスタルテ(聞きなさいエルラン.....この子は貴方の全てを知っています。)

 

(!?ほ、本当なのですか.....?)

 

「あの....頼むから思念波で会話する際には分かりやすくしていただけたら有難いのですが.....」

 

「....なら君は、私を知っていてなお、なぜ逆らおうとするのですか.....?」

 

「完璧でなければいけないのか?」

 

「.....ベオクもラグズも不完全過ぎる....私を知るというのなら分かるでしょう?あの誓約以降すぐにベオクとラグズは対立し、今でもその軋轢は消えない....」

 

「.....完璧な世界なんて無いんだよ。俺が元いた世界だって未だに人種や肌の色、少数民族の差別だって全て消えた訳でもないし、動物.....この世界でいうラグズを虐待する人間もいればそれを隠蔽したり弾圧を是とする情報操作もある。.....俺たちの世界の1番の問題はそういうことに無関心すぎる人が多すぎることなんだけどな。平和ボケってやつだ。」

 

「ほう....」

 

「勿論お互いを全て受け入れあおうとする方がよっぼと難しいさ。同じ価値観だって無いしそれ故に理解しようともしないこともある。」

 

「.........」

 

「それでも、そんな中でも戦おうとしてくれる人がいるんだよ。そんな平和ボケして腐ってるとも言える世の中で理不尽に立ち向かおうと必死になってるやつもいるんだよ。この世界でも.....ラグズと友好かどうかはともかく受け入れようと頑張っている。傭兵団の皆、今はなきラモン王、現ベグニオン神使サナキも、その姉のミカヤも.....そして今は協力関係だがモウディやカイネギス達も過去から目を反らさず未来の共存の為に尽力している。あんたはここに目を向けたのか?」

 

「....だがそれでも不完全」

 

「ふざけるな!!!」

 

「.......!!!」

 

「.....あんたの過去は分かるし、滅ぼしたいという気持ちもあながち理解出来ないでもないんだ。でも、それでも滅んだら終わりなんだよ。不完全なりにも....過去の悲しみや憎しみ、そういったことを全部背負って頑張ってる奴らがいるんだよ!!ベオクとラグズが共存する世界を目指していたんだろ?だったらそう努力する人たちの助けになってやれよ!!!」

 

「.........」

 

「.....どうするかはエルラン、貴方次第だ。このまま戦乱を広げてアスタルテにお願いして滅ぼすならそうすればいい....だけどその前にベオクやラグズの可能性を見捨てないでくれ。」

 

そう言って俺は城から離脱した。少しアスタルテと話すこともあるんだろう。

 

 

 

アスタルテ(エルラン.....貴方の気持ちも理解できます。...私は確かにそういった誓約を課しました。.....私は今、グレイル傭兵団と共に行動をしています。彼らはラグズを差別していませんし、苦手意識がある者はいるにしろ蔑ろにはしていません。.....彼らなら未来を託せるでしょう。)

 

(.....どうしてあの男と共に?)

 

(そういえば答えていませんでしたね.....私は彼に恩返しをする為に今は共に行動をしています。彼は別の世界でこの世界を救いましたから。)

 

(そうなのですか。)




今回は新キャラ結構出たな.....実際はマップにチャップやケビン酸もいるんですがその紹介は次に回します。

キャラ解説 フォルカ

グレイルに雇われていた情報屋で火消しという異名もある。物語終盤でアサシンにクラスチェンジしてスキル滅殺や必殺+25だったりとかなり成長する。多くのプレイヤーは裏切るのでは?と蒼炎と暁で思うが裏切らないのでご安心を。もう少し蒼炎におけるアサシンが強ければこの人もばけてたんだろうな.....

セフェラン

ペルシス公爵。セフェランの部下にはゼルギウスがいたり、宰相をしたりと有能。初登場の時は捕虜として出ておりアイク達には巡礼僧と名乗っている。スキル女神の加護がある為、殆どのエムブレマーはセフェランを運んで壁にして経験値稼ぎをしたと思う.....多分。上で書いたふうにベオクとラグズ滅ぼそうとしているがこれは本人が優しすぎるが故にこうなってしまったものなので勘違いはしないで欲しい。そして三雄の一人、オルティナの夫。あんまり書くとネタバレが怖いのでここら辺で止めておく。


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愚民としっこくハウス その1

蒼炎の軌跡でボルトアクス将軍に並ぶネタだと思います。ヒーローズでも再現されていた気がします。中の人も知ってたんだっけ?

そしてここの町民の会話を見ると少々イラッときますがそこは頑張って耐えてください。天罰はちゃんと下りますので。


港町トハ

 

ライ「着いたぞ。ここがクリミア最西の港町トハだ。」

 

アイク「.....どういうことだ?ふつうに賑わってるように見えるが.....」

 

ゲームの世界でもここの町人には呆れてたけどガチで戦争中とは思えないくらいに賑やかだな。まぁ現代みたいに情報伝達の手段が手紙とかそれくらいしか無さそうだから無理もないか。

 

「ここら辺りにはまだ、デインの手がとどいていないからな。ほとんど影響がでてないんだろう。デインは、まず王宮を陥落させ、王都を掌握し、そこから着々と侵略の輪を広げている.....ゆっくり、確実にな。

 

「まったく知らないわけでもないのか。」

 

セネリオ「無知であるがゆえの余裕.....ですね。ここの住民たちは、敗戦国の民がどんな扱いを受けるものなのかを知らない。.....クリミアは平和で恵まれた国です。王家の気質が穏やかなせいか、領地間の争いも少なく、大掛かりな国全土を巻き込むような戦はもう何百年も起きていません。デイン王国との確執による戦いは何度となくありましたが.....被害を受けるのはいつも、デインと隣接している地域.....つまり、王都より東側ばかりでしたから。」

 

アイク「といって、ただじゃ済まないことぐらいは俺でも想像がつくぞ?偵察の時、出会ったデインの奴ら.....俺たちがクリミア側だってだけで、即、襲ってきたぐらいなんだし。」

 

「アイク、平和ボケしている国民はそこに何とも感じないんだよ。」

 

「エイリスの言う通りです。人間は図太いものです。自分に身近な不幸以外にはとても鈍感にできている.....だから、自分にかかわりのない悪事には見てみぬふりをするということができる。自分や、自分の家族に起こる不幸でなくてよかった、と胸をなでおろしながらね。だって、所詮は他人ごとなんですから。」

 

「だが、この国で起きた戦だ。他人じゃなく自分のことだろう?」

 

「....デイン軍がここにたどり着いた時.....彼らは、思い知ることになるでしょう。平和に慣らされ、他の不幸を省みなかった自分達の末路がどんなものであるかをね。同情の余地はありません。」

 

「.......」

 

「ま、間違いなく奴隷のように働かされて動けなくなったらそこら辺に捨てるだろうな。力の無い女は強姦されるだろうし子供は洗脳教育して言いなりにされる。敗戦国の国民相手に何をしようが罪にはならないからな。」

 

ライ「なんとまぁ、真実だからこそ言い辛いことをずけずけと.....この傭兵団は、ずいぶん面白い参謀と軍師をおかかえだ。」

 

「.....わりと、何にたいしても手厳しいところはあるんだが.....2人とも、いつもとは、ちょっと様子が違ったな。

 

ティアマト「仕方がないでしょ。この町には、私も少し呆れたわ。もう少し緊迫感を持てないのかしら.....セネリオは敏感な子だからこういう雰囲気、耐えられないんじゃない?」

 

ライ「知ったところで、どうにもならないから、知らぬふりをする....ってこともある。ま、生まれに恵まれなかった者からすれば、恵まれた者が、そのことに気付くことなく生きていくことこそが妬ましいか.....」

 

アイク「どういう意味だ?」

 

「独り言だ。忘れてくれ。」

 

「? ああ....」

 

「さて、オレはさっさと船の手配を済ませてくる。アイクたちは、そのあいだに支度を整えていてくれ。これからの旅に備えて、色々と入用だろうからな。」

 

「ライ、私もいっしょに行くわ。」

 

「いいよ。いいよ。お姉さんも、みんなと買い物してきなって。下手したらこれから何ヶ月も船の上なんだぜ?」

 

「だけど.....」

 

「どうしたんだ、ティアマト?」

 

.....心配してくれてんだよ。ベオクの町で、ラグズのオレを1人にすることをな。」

 

「だが、クリミアとガリアは今は同盟関係にあるはずだろ?ライがラグズだからって、そんなに心配はないんじゃないか?」

 

「ん~.....それはそうなんだがな。」

 

「カイネギス様も言っていたでしょ?クリミアとガリアの友好関係は...あくまでも国の上の者どうしで進められているものでしかない。...とても、民間にまでは根付いていないのよ。」

 

「でもま、クリミアの国王がラモン殿の代になったことをきっかけに、かなりマシになったんだぜ?いきなり襲われるようなこともなくなったし.....だいじょうぶ、だいじょうぶ!オレもツテがあるから引き受けるんだ。安請け合いしたわけじゃないって。」

 

「それに心配なら俺が行こう。俺は特に準備する物は無いし、一応クリミアでも名は知れてる。もしもめんどくさい奴らが来ても大丈夫だ。」

 

「.....そこまで言うならご厚意は無駄にする訳にはいかないか。オッケー。エイリス、一緒に行くか。」

 

「じゃあ、まかせるが...気をつけてな。」

 

「そっちこそ。ドジ踏むなよ。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ライ「にしても、お前とは1度ゆっくり話す時間が欲しかったんだよ。」

 

「そうなのか?俺も聞きたいことがあるんだ。」

 

「何だ?先にどうぞ。」

 

「なら。ライはセネリオの印付きに気づいていたのか?」

 

これはアイクとセネリオの支援を進めて薄々思ってはいたがライはセネリオを見たことがあるのか、それても印付きに気づいていたのか。その上ではぐらかしてたから凄く良い奴っていうのは分かる。

 

「印付き....さぁ、なんの事だか。」

 

「流石に分かってるだろ?分かってなきゃ生まれに恵まれなかったなんて言えないしな。」

 

「.....ま、お前ならいいか。お前も印付きは知ってるだろ?ガリアでもあれは忌み嫌われてるからな。」

 

「まぁな。ラグズからしたら負の遺産みたいなもんだからな。」

 

「そう。でも印があってもなくても俺には関係ないね。そんな感じでいざこざがあったら我が王やラモン殿が望んでるベオクとラグズの融和なんて無理だからな。」

 

「.....そうだな。」

 

「じゃ、俺からも質問。エイリス.....お前は一体何者なんだ?」

 

「何者.....どういうことだ?」

 

「俺もさすがに鈍感じゃないんでね。お前の実力は明らかに郡を抜いている。我が王やジフカが一瞬警戒するように。でも俺は今までそんなベオクを見たことが無かった。さらに言えばお前、出自は言えるか?」

 

「出自?普通の家庭に生まれたけど?親はサラリーマンと主婦。」

 

「サラリーマン?何だそれ?」

 

「俺の国でいう仕事をする大人の事だよ。」

 

「異国出身か。クリミアとは交流があったが10歳にして騎士団になってしかも異国出身で俺たちラグズの知識もあって俺たちを見て驚きもしなかった、なんて聞いたことすらない.....しかも、グレイル殿のピンチを予想して我が王を動かした。本当に何者なんだ?」

 

どうしよう、ライに結構考察されてた。まぁ一応王の片腕とか言われてるレベルだし強いからな。

 

「大した者じゃないよ。そこら辺の国民より知識があって魔道が使えるだけ。」

 

「....そういうことにしとくか。じゃ、俺はちょっと手配してくるからここで待っていてくれ。」

 

そう言ってライは手続きをしにいった。確かこの先にいるのってナーシルだっけか。あいつめっちゃ強いんだよなぁ.....

 

「終わった!じゃあ戻るか。」

 

「お疲れ.....なんかうるさいな。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

デイン兵「聞け!この町にクリミア軍の残党が紛れ込んだとの報告があった!これより、町全体をデイン軍が封鎖する!何者も、我が軍の許可なしに町を出入りすることを禁ずる!よいか! 船も出港させることまかりならん!!

 

 

ティアマト「アイク。デイン軍が.....」

 

アイク「わかってる。このまま、やつらに見つからないよう船に近づくしかないだろうな。」

 

「ライ達は?」

 

「まだ....いや、来たようだ。ライ!エイリス!こっちだ。」

 

「やばいことになったな。」

 

やばいことになったよ。ここのマニアック普通に数的にも強さ的にもキツかった記憶があったなぁ。

 

「首尾(物事の結果、ここでいう船の手配)は?」

 

「すべて準備完了だ。とにかく、ここをうまく抜け出して港へ向かうんだ。そこに、ナーシルっていう浅黒い肌の男(めっちゃ強い)が船を用意して待っている。ナーシルは、(実力面は)信用できる男だ。おまえたちのことも大体のところは話してあるし....船に無事、たどり着きさえすれば....黙っててもベグニオンまで連れてってくれる手はずだ。」

 

「ライ、おまえは来ないのか?」

 

「そのつもりだったが、デインの動向が気になる。残って、王に報告を.....」

 

モブ女性「ご、ごめんなさい!あたし、ちょっとよそ見してて.....」

 

「いや、こっちこそ....」

 

「ひっ!?きゃーーーーーーっ!!は、半獣っ!

 

「.....!」

 

モブ町民「ほ、ほんとうだ! 半獣だ!!なんだって、こんなとこをうろついていやがるんだ!」

 

モブ町民「くそっ!半獣ごときが、人間様(力0)の町に足を踏み入れるんじゃねえよ!!」

 

モブばあさん「あぁ、けがらわしいねぇ!あっちにお行きってば!!」

 

どうなってるか説明しよう。おそらく力0レベルの町民がライを袋叩きにしている。ただこっちから見れば体当たりを何回もされてるだけでただの移動補助を受けているようにしか見えない。ライってステ高いからダメージ0なんだろうな.....演技上手い。

 

「アイク、差別とはこういうことだ。」

 

「.....くそっ!.....モゥディ!?」

 

モウディ「アイク!戻ってはイけない!!」

 

「!?ライを助けないと.....」

 

「コの騒ぎだ。スぐにデイン兵が来る。」

 

「だからこそ、早く.....」

 

「あいつなら上手くやる!.....ほうっておけ。」

 

「ライは強い。モゥディたちより、ズっと。ダから.....」

 

「ライの奴.....化身してないってことは、戦う意思がないってことだろ!?一方的にやられるのを見てられるか!!」

 

「あ、アイク!!」

 

レテ「ばかめ.....」

 

「やめろ!どけ! そいつに手出しするな!!」

 

モブ町民「なんだ、おまえ?人間のくせに半獣を助けようってのか?」

「あたし、知ってる....こいつも半獣の仲間よ!さっき話してるのを見たわ!!」

 

「それがどうした!?」

 

「おい、クリミアの王族って、ガリアの半獣とつるんでたよな。もしかして、こいつらが…デインの捜している軍の残党ってやつじゃないのか!?」

 

モブおじさん「おーいっ!デインの兵隊さんよぉ!!こっちに、あやしい奴らがまぎれこんでいるぞーっ!」

 

相変わらずこいつらのアホさ加減はえぐいよなぁ....聖戦の国民でもここまで腐った連中はいなかった気がするけどな。

 

デイン兵「む? あっちだ。急げ!!」

 

「おまえたち、正気か?.....この国の王は、デインに殺されたんだぞ?そのデインに.....おまえたちは協力するのか.....!?」

 

モブおじさん「そ、それは.....」

 

モブ青年「王は、ガリアの半獣どもと同盟を結んだりするから死ぬことになったんだ!」

 

モブおばさん「そうだよ! どうせ手を組むなら、半獣よりデインのほうがはるかにマシだね。」

 

「そーだ、そーだ!少なくとも同じ人間だからなぁ!!」

 

「.....こいつら!」

 

「落ち着けアイク。こんな馬鹿どもを相手にしてるほど武器の耐久値に余裕は無いんだ。」

 

トハ自警団「半獣がいるというのは、どこだ!」

 

「来たか!頼もしきトハ自警団(笑)よ!!こやつらを捕らえてデイン軍に差し出し、この町の恭順の意を示すのじゃ!」

 

「おお! 半獣狩りなら我らにまかせておけ!!」

 

ライ「アイク!」

 

「ライ! 無事か?」

 

「どうして戻ってくるかなぁ.....おまえは。」

 

「化身もしないで、無抵抗なままやられてるバカがいたからだ。」

 

「仕方ないだろ。ガリアはクリミアと同盟を結んだ。何があろうと、

手出しするわけにはいかない。」

 

「愛国心の欠片もなさそうな奴らでもか?」

 

「それでも、ここに住んでるかぎりはクリミア人ってことさ。」

 

「ガリア国民じゃない俺は、あいつらに手加減する気は更々ない。」

 

「おいおい、オレたちはひとっつるみだと思われてんだぞ?」

 

「....つまり.....俺たちは、デインの追撃をかわし....この町の自警団のやつらとは戦わず.....全速力で港に行って、ナーシルって男に会って、みんなで船に乗れ.....ってことか?」

 

「そう! よくできました。」

 

「努力は、する。だが、向こうから仕掛けてきたら問答無用で叩きのめすからな。」

 

「.....って、おい!それじゃあんまり意味ないって!!」

 

「ティアマト! セネリオ!みんなを集めてくれ!ここを脱出する!!」

 

 

 

「はい皆注目。あんまり時間が無いから端的に行くよ。戦闘は港に向かう時に前にいるデイン軍と港を封鎖してるデイン軍に留めて。あとレテかモウディは自警団のいる方にいってツイハークという青年を説得して欲しい。彼は仲間になるはずだ。」

 

「私に、ベオクを説得してこいと言うのか!?」

 

「ああ。ここはレテ達ラグズでなくちゃいけない。」

 

「.....要請であるならば仕方ない。」

 

「後は右側で封鎖されている部隊の射程範囲に入らないように動いてくれ。おそらくあっちは待機して動かないだろうから、あくまで船の方向の敵だけだ。あとは.....あそこの民家には行くなよ。」

 

アイク「ん?何かまずいのか?」

 

「.....デインの伏兵が多分いる。しかもかなり強いのだ。今は脱出が最優先だからここで戦うのは厳しい。」

 

「分かった。」

 

「じゃあ、動こう。」

 

 

ネフェニー「あ、あんた。あたしらは.....」

 

「ネフェニーは一緒に来てくれ。おそらく船にこの人数は乗れない。お前たちはデルプレー城に行って残っているだろうクリミアの残党達の元に隠密に行って力になってやってくれ。お前たちなら出来るだろう?」

 

「もちろんですぜ頭!!じゃあ頭がクリミアに戻ってくるまでにデイン軍を減らしときやしょう!!」

 

「ああ、さすがは頼りになるな。」

 

「よしお前ら行くぞーー!!!」

 

そういってあいつらはトハから脱出した。.......何気にデインに封鎖されてるのにいけるってあいつら凄いな。

 

(ノ・д・)ノオラードケヤオラー

 

カッカ....アトハオマカセシマシタゾ.....

 

 

なんか遠くでマッコヤー(このマップのボスらしき存在の敵)がやられたような声が聞こえたが多分気の所為だろう。

 

「なぁネフェニー」

 

「ん?なあに?」

 

「その槍ってさ.....」

 

「あぁ、これ....ゼーンズフトだよ。」

 

「はい.....聞き間違いなら悪いけどゼーンズフトって言った?」

 

「うん、そうやけど.....」

 

嘘だろ.....あの忠義がしっくり来て強いのに戦わなくてもいいからと影が薄い元四駿のブライスを倒したのか.....というか蒼炎の軌跡でゼーンズフトって使えないよな?

 

「装備もなんかいい感じになってるし.....ホーリーランサーになったの?」

 

「うん。デイン軍と戦ってたらこうなった。」

 

.....どうなってるんだ。ネフェニーが最強クラスのユニットで、しかもこの序盤に入ってきた。マーシャも無駄に強かったし....槍が強くなりすぎてるような、まぁいいか。

 

「じゃあ行ってくるからネフェニーは船の無事を確認してきて。」

 

「うん、分かった。」

 

さてと.....鍵閉めしておくか。俺はしっこくハウスに外側から更に鍵をかけて閉じ込めた。さてこれでどう反応するか楽しみだな.....

 

 




蒼炎の軌跡や暁の女神の知名度が上がって欲しい。風花雪月の人気はやっぱり凄いっすね。風花雪月のルナティックは1部の学級対抗の模擬戦と2部の最初の盗賊がうじゃうじゃいるマップがしんどかったですね。蒼炎は激突のマップがしんどかったです。


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愚民としっこくハウス その2

闇堕ちアイクの筋肉の主張が激しすぎませんか?あれアイクじゃなくてただのゴリr.....げふんげふん、失礼。逞しい体ですね。


デイン軍

 

ジル「ハール隊長!のんきに寝ている場合ではありません!半獣が出たそうですよ!!我が部隊も、出撃しましょう!」

 

ハール「ふぁぁ.....やめとけ。 俺たちがやらなくても、血気盛んなマッコヤー配下の者たちが働いてくれる。」

 

「武勲を得る絶好の機会を、他の部隊にみすみす渡していいのですか!?」

 

「手柄なんぞ、いくらでもくれてやれ。いちいち、くだらねえことで俺の睡眠をさまたげるな。」

 

「あ、あなたという人は.....」

 

「戦いが.....ふぁぁ終わったら、起こしてくれ。」

 

「もういいです!私1人でも出ますから!」

 

「ジル、ちょっと待て。」

 

「はい! 気が変わりましたか!?」

 

「おまえも、ここで待機。相手が手をだすまで動くなよ。これは上官命令だ。.....以上。」

 

「.....もぅっ!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

さてと.....とりあえずアイク達は順調に事を進めれているみたいだな。またあれだな、必殺255の武器も作るか。資金面は.....あれだな。俺の高校生活とか綴ったやつ書いたら珍しさでそれなりに売れるかもな。体育大会とか色々あるし。

 

「あんた、危ない!!」

 

「ほえ?」

 

気づいたら後ろから手槍が飛んできていた。ネフェニーがそれを素手でそれを掴み、その場に捨てた。

 

「少し、気が抜けとった?」

 

「あぁ....悪い。集中する。」

 

そうだ、ここは戦場であってゲームじゃない。呑気に考え事をしていたら確実に殺される。.....忘れてた。

 

「あいつか....撃ち落としてやる。」

 

アーリアルを発動し、上空を飛んでいたドラゴンナイトらしきやつを撃ち落とした。なんかこういう時にドラゴンや騎馬の悲鳴を聞くのはなんか辛いけど.....戦場だからそれからは逃れられない。妙にそういう所が生々しいんだよなぁ.....

 

「ネフェニー、俺たちも船の方に行こう。」

 

「うん、分かった。」

 

俺たちは道端で溜まっているデイン兵の血の水溜まりみたいになっているのを踏み、船の方に行った。途中途中強烈な悪臭がする。アイク達すごいな.....

 

「うぇ.....くっさ。」

 

「あたしも慣れはしたがやっぱり嫌じゃ.....」

 

ネフェニーも少し嫌そうな顔をしている。今は完全に殺されているからマシだがこれが負傷兵で杖を持ったやつがいないなら傷薬を塗るか傷口を焼くか、患部を切断するかになる。実際に戦場に立てば嫌でもそれが分かってしまう。街が戦場になった人は悲惨だろうな。

 

「これを見てまだ自分たちは安全だと考えるのか.....この町は。」

 

「仕方ないんよ。殺される前になってやっと危険に気づく者もおるんやし.....」

 

「ネフェニー?武器拾ってどうしたんだ?」

 

「あっ.....これは戦争が起きてからの癖で.....武器の補給源が相手の武器くらいやし。」

 

「なるほど。で、実際に手槍以外も投げるのか?」

 

「うん。壊れそうになったら投げるよ。投擲用でなくてもそれなりに威力はあるし。」

 

「うんうん.....って使い方違うんだけどな。.......ってあれ?」

 

「ん?」

 

「あいつが.....漆黒の騎士が出てこない。」

 

何でだ?普通なら敵将と戦った次のフェイズの開始前に出てくるはずなのに一向に出てくる気配がない。何故だ.....おそるおそるしっこくハウスに近づくと.....

 

ガチャガチャガチャガチャ......ドウシテアカナイノダ.....

 

「......どうやら鍵が開かないから出て来れないみたいだな。」

 

さっき仕掛けた鍵は外側からかけているので漆黒の騎士も何故あかないのか分からないみたいだ。

 

シュォォォン

 

「ん?待って、今奥義が発動する音が聞こえなかった?」

 

バゴゴゴゴゴゴン.........

 

「.......かなり、やる。だが私の敵では無いな。」

 

....そして家の正面を月光で破壊して出てきた。埒が明かないことを悟っての行動だろう。だが.....

 

「む?どうやら巻き添えをくらったようだな。」

 

俺もその衝撃でドアの下敷きになっている。ネフェニーは少し遠かったから良かったが近くに行ったが故に巻き込まれた。こんな事あるのかよ.....しかも月光くらって無傷のドアもすげぇよ.....

 

「コノヤロー!!もう少し優しく破壊しろよ!!鼻血出てもうたがな!!!」

 

「.....それは近くにいた貴殿が悪いのだろう?」

 

「全くをもってその通りですね鍵かけてすみませんでした。」

 

「.....だが巻き込んだのは事実。これを受け取れ。」

 

.....おぉ、特効薬くれた。優しすぎませんかねこの人。一応敵ですよ?目と目が逢う瞬間云々ですか?それだと┌(┌^o^)┐になりますよ?

 

「あのー、俺敵なんですけど。」

 

「貴殿はあの日、私を魔法で捉えた者だろう?」

 

「ま、まぁそうですけど。」

 

「.....今は貴殿は見逃してやろう。」

 

そういって逆方向にゆっくり進軍していった。.....あれ?見逃された?

 

「と、とりあえず船に行かないと!!!」

 

 

 

漆黒の騎士「また会ったな、小僧。

 

アイク「.....」

 

「何故、仕掛けてくる?おまえでは私の敵にはならん。全力で逃げるべきではないのか?

 

「うっ.....うおおおおおお!」

 

「.....愚か者め。」

 

そして急いで来たらアイク(鋼の剣)vs漆黒の騎士(エタルド)の勝負が始まっていた。待て待て待て、さすがに武器的にもレベル的にも死ぬって!!ゲームならリセットだけどここで死んだら目的が果たせなくなる!!

 

カキン

 

アイクの一振は軽々と止められ、跳ね返された。その隙に剣を振らないあたり完全に舐めてかかられている。

 

「この程度か、ガウェインの息子よ。」

 

「う、うぉぉぉ!!!」

 

その後もアイクが何度も斬りつけたがノーダメージまたは受け止められている。周りも漆黒の騎士が放つ威圧感と船を出港させる準備と守るので近づくことができない。

 

「ふん.....面白くない。」

 

シュォォォン

 

おいおいまじかよ。あいつレベルやステでも圧倒的なのに月光ひきやがったぞ!!なんて理不尽な暴力なんだ!!せこいぞ!!

 

「くっ.....」

 

『アイク!!』

 

俺はとっさに光魔法でアイクの身を包んだ.....なんだこの魔法。なんとか月光の威力を無効にすることが出来た。

 

「アイク、船に乗れ。お前ではこいつには勝てないというかダメージが与えられない!撤退だ!」

 

「....!!くそっ!!」

 

さすがのアイクも団を率いているのを自覚しているからかやけくそに挑みはしなかった。見渡した感じアイクとセネリオ以外は船にのれたみたいだ。

 

セネリオ「エイリス、殿を頼んでもいいですか?」

 

「しんがり?」

 

「ええ、アイクですらあいつには敵わない.....となると、このままでは全滅する恐れがあります。」

 

「.....分かった。ここはしんがりを引き受けよう。」

 

「助かります。生きていればベグニオンで会いましょう。」

 

なんかセネリオもこいつなら死なないだろうみたいな雰囲気だったな。.....でも魔法職でこいつの1発耐えられるのか?

 

「.....傭兵団は無事、船に乗り込んだか。さて、どうするかな.....」

 

ライ「出航の邪魔はさせないぜ。」

 

「ライ、先にガリアに戻ってこの事を報告してくれ。」

 

「あれ?お前置いていかれたのか?」

 

「....悪く言えばそうだがよく言えばしんがりを任されたってことだ。」

 

「へぇ....でもグレイル殿に手をかけたんだ。1発くらいはお見舞いしなきゃな....」

 

漆黒の騎士「おもしろい。側近の力を測ればおのずと王の実力も知れよう。」

 

「あいにくだが.....我が王は、オレごときで測れるような小さい器じゃない。」

 

まぁジフカであの強さだし偶像の天楼の最上階でカイネギスと会ったら絶望感半端ないからね。

 

「そう願いたいところだ。では、参る。」

 

そしてライは化身して、漆黒の騎士に襲いかかった。攻撃自体は強くても、女神の加護が入ってる鎧にはダメージが入らない。ほんとうにラグネル優遇すごいよね。

 

「.....っ.....なぜだ.....オレの攻撃が.....きかない.....?」

 

「かなり、やる。だが、私の敵ではないな。」

 

「だったら.....あたしが相手になる。」

 

「え、ネフェニーお前船に乗ってないのか!?」

 

「あんたが乗らなかった.....なら、あたしも残る。」

 

「おいおい.....」

 

まさかのネフェニーが残っていた。まぁ今のネフェニーでどこまでやりあえるかは気になるところではある。

 

「ほう。そなたがクリミアの戦乙女と呼ばれた者か。」

 

「ネフェニー、お前いつの間にそんな2つ名貰ってたんだ?」

 

「.....あたしも知らん。」

 

「では、参る。四駿を破ったその実力、如何なものか。」

 

「ふん!!」

 

そうしてネフェニーvs漆黒の騎士が始まった。ネフェニーもさすがに武器の消費も考えているのか、銀の槍を後ろに備えつつゼーンズフトを使っている。両者の刃が擦れ合う音が凄い。しかも何がすごいかってネフェニーが漆黒の剣術を抑えているところだ。だが防戦気味にはなっている。

 

「...ほう。私の剣術を抑え、私から戦意を失わせるつもりか?だがここまでやる兵士を見たことがない。」

 

「....あたしもここまで強い騎士は見たことがない。」

 

「ライ、今の間に撤退しろ。ここはネフェニーと俺がなんとかする。」

 

「.....分かった。死ぬなよ。」

 

ライは撤退し、街中は残ったデイン兵と俺たちしか残っていなかった。あの愚民どもはどうせ家の中でじっとしてるのだろう。

 

シュォォォン

 

「ならば、これならどうだ。」

 

「.....ふん。受けて立つ。」

 

シュォォォン

 

.....そうか。ネフェニーはホーリーランサーだから撃破(敵に与えるダメージが4倍になる奥義)が使えるのか。もし漆黒の騎士の月光が暁の女神の月光ならこれは相当まずくなる。あっ、念の為に説明しておくけどゲームじゃこんな意図的にスキルは出ないからね。勘違いはしないでね。

 

「参る。」

 

「.....負けん。」

 

漆黒の騎士の月光とネフェニーの撃破がぶつかった。まさかの威力は互角以上、.....おそらくネフェニーは漆黒と戦っているうちにわざとダメージを受けてHPを減らして勇将を発動させて撃破を発動させている.....やばい。周りのデイン兵もビビって動いていない。

 

「くっ....」

 

ネフェニーも互角以上にやりあったからか体力が残っていない。漆黒の騎士もダメージこそ受けていなくても疲労はしている。さすがにここまでやりあうとはおもってもいなかった。

 

「ネフェニー.....ありがとう。後ろで休んでいてくれ。」

 

さてと....ここからは俺vs漆黒の騎士となるのか。

 

「.....良かろう。私も疲れてはいるが貴殿を斬るのはたやすい。」

 

「だといいな....アーリアル!!」

 

一発目から容赦するつもりはない。なんかネフェニーを使ってから戦っているので少し肩身が狭い思いしかしないし、外から見ればいいとこ取りにしかみえない。

 

「ぐっ...!!!なぜダメージが.....」

 

もろに受けたからか漆黒の騎士は膝をついた。そういやこれ女神の加護を受けてたんだっけか。いけるな。

 

「これ一応女神の加護を受けているからね。」

 

そしてもう1発撃ち落とした。漆黒の騎士はそれをエタルドで止めた。そういやエタルドって天を切り裂く力があったんだっけか.....それでも

 

「ぐっ.....ぐぁ!」

 

抑えきれなかったようだ。さすがにこの魔法を2発も受けたらただではすまないだろう。.......ん?

 

「....消えたか。」

 

今のアーリアルで出た土煙で見えなかったがどうやら撤退したみたいだ。ということはおそらく2発目は外れた。転移の粉ってHPないと無理だったような気もするけど.....とにかく助かった。

 

「ネフェニー、大丈夫か?」

 

「うん.....なんとか。」

 

さすがに意図的とはいえダメージを受けているからかなり辛そうである。

 

デイン兵「て、撤退だ!!漆黒殿が撤退された!!」

 

デイン軍もその光景を見ていたからか手を引いた。まぁ.....多分ネフェニーに勝てないからな。

 

 

ハール「さて、戦いも終わったことだし、ハール隊、撤退するぞ。」

 

ジル「隊長!」

 

「いいか、ジル。俺たちは明日には本国へ戻るんだ。こんなとこでケガでもしたらおまえの親父殿は喜ばんぞ。」

 

「父が待っているからこそ、私が手ぶらで帰ることなんて.....絶対、できないのです!.....ですから.....!!」

 

「.....そう、熱くなるな。漆黒の騎士殿を退けたあの二人との戦いは勝ち目がない。あの船を追うのなら間違いなくあの二人と戦うことになる。あの光景を無かったことにするのか?」

 

「そ、それは....」

 

「さぁ、わかったら行くぞ。」

 

 

 

 

 

 

モブ町民「いやいや、街を守ってくださってありがとうございました!!」

 

「あ?」

 

なんだこいつら.....さっきは売り飛ばしたくせにいきなり手のひらを返してきやがった。虫が良すぎるだろ.....

 

「貴方様がいれば、クリミアも安全でしょう。これからもお願いします。」

 

「.....何を言っているんですか?」

 

「はい?」

 

「あなた方はさっき何をしたか分かっているんですか?俺たちを敵兵に売り飛ばしたんですよ。そんな奴を守るほど俺は心は広くありませんよ。」

 

「ですがこの国を守るのはあなた方の使命.....」

 

どこまで腐っているんだこいつら.....アーリアル落としてやろうか。

 

「.....でもここは船が出せる点、敵も絶対に抑えようとするでしょう。それにもうクリミアは敗戦しているんです。敗戦国の国民がどんな扱いをされるか知らないんですか?」

 

モブ青年「それは反抗したら殺されるってことで忠実なら....」

 

「そうですか?奴隷のように扱われたり、性のはけ口に使われたり、気に入らなかったら殺されても文句は言えませんよ?敗戦国民をどう扱おうが知ったことないですから。優しい国家ならともかくデインはそうはしないでしょう。.....仕方ない。では避難先を教えましょう。」

 

「ほ、本当ですか!?」

 

「ええ.....ガリアにいって人間の死体処理やラグズの元で働いてください。あなた方が半獣と蔑んだもの達の下でね。」

 

「そ、それはあんまりです!!人間ならともかく半獣ごときに.....」

 

「因みにカイネギス殿には書簡を送りました。近々あなた方にも平和で長閑な働き口が出来ることでしょう。」

 

「そ、そんな.....」

 

「デインに殺されるよりマシと思って欲しいですね。」

 

これでいいだろう。こいつらにとっての1番の粛清となることは間違いなくこいつらが蔑んだもの達に働かされることだろう。こんな腐った精神を持った奴らならお似合いだよ。俺はそこまで聖人じゃないからな。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

その夜

今は壊れたしっこくハウスの中でネフェニーを治療しながら回復を待っている。無事に生き残ったのはいいがアイクたちとどう再会しよう。.....船はもう出せそうにないしな。因みに町民はやってきたラグズ達にガリアに案内されて行っている。なのでこの町には俺とネフェニーしかいない。

 

「う、ううん.....あんた.....」ギュッ

 

「ネフェニー.....俺はここにいるからな。」

 

今まで休まずにずっと戦い続けたからかかなり疲れていたのだろう。少しうなされている。

 

「.....雨か。」

 

しばらくして雨が降ってきた。今日は一日中晴れな予感もしたが.....外れたか。.......ん?

 

「あそこにいるのは.....誰だ?」

 

少し遠くに布を被って雨の中、佇んでいる1人の人間がいた。誰だろう.....

 

 

 

「なぁあんた、こっちに来ないか。そこだと濡れるぞ?」

 

「?....ええ。」

 

そういってその人はこっちにやってきてしっこくハウスの中に入ってきた。光魔法で軽く壁を作っているので中に雨が入ってくることは無い。

 

「.....ありがとう。」

 

「あぁ、あんた.....は.....」

 

その人....いや、その少女は布を取り、姿を表した。....嘘だろ。

 

「.....私はミカヤ。今は義弟を探しているの。」

 

.....暁の女神の1部の主人公、ミカヤだった。




今回の勇将に関しては暁の女神の方を基準にしました。さすがに撃破を使うのに蒼炎の軌跡の勇将にするのはあれだったので.....

ジルとハールの説明はまた本人達がちゃんと出てきたら説明しますね。


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合流を目指して

あんまり改変するとあれなので蒼炎本編のストーリーがあまりおかしくならないように進みます。


「ミカヤ....暁の巫女.....」

 

「.....?どうかしたの?」

 

ミカヤと会うのはなんとなく可能性だけは考えていたがここからどうするっていうんだ.....

 

「.....おそらくあんたの義弟はうちの団員と一緒にいる。ザザって名前だろう?」

 

「え?なんでその事を.....?」

 

「まぁ.....分かるんだよ。」

 

プレイ済みですから。でも本当に悩んでいる。普通に船に乗るつもりがまさかのしんがりをするという意外な展開になった。おそらく間もなくデイン軍がこの街を閉鎖しにくるだろう。そうなるとクリミアを移動するのも難しくなるしなにより時間がかかる。現実世界なら2日くらいあれば普通に着きそうな距離だけど昔の船にそんな技術があるとは思えないし、おそらく風を指針を頼りにいしているから夜中も日中と同じくらい進むことは無い。

 

「ところで、ミカヤさん。俺たちと一緒に来ないか?」

 

「え?」

 

「俺は仲間と合流する。ミカヤさんは義弟と再会する。ならお互い目的地が同じだからいいんじゃないか。」

 

「でもどこに.....?」

 

「うちの団の船はこのトハからかなり迂回してベグニオン帝国に向かって移動している。ガリア王国やゴルドア王国ら辺の土地は割とジグザグしているからあそこら辺で1回座礁すると思う。」

 

ミカヤは真面目に聞いている。この先で1回ゴルドア王国付近で座礁しているからそこに向かえばいい。だがあのゲームからは航海が始まってからの正確な時間や距離が言われていない。約数ヶ月の航海の一部分として出されている。となるとアバウトで行くしかない。おそらくクルトナーガが来れたくらいだから王都からはさほど離れていないあたりとなると.....ガリアやゴルドアの南にあるガザレア海で、王都から直線の距離.....真南になるのか。

 

「だったら.....このルートが1番いいと思うんです。」

 

「.....さらっと心を読まないでください。でもこのルートは色々厄介なんですよ。」

 

「.....ラグズの国だから?」

 

「ご名答。まずセノリス王国やゴルドア王国がベオクの通行を黙って許可してくれるはずも無い。それにセノリスに関しては帝国貴族の連中のせいでベオクに対する恨みが半端じゃないからな。それにゴルドアはまずベオクとの交流すらしていない。でも.....」

 

だけどガリアやゴルドアの国境は森なり山なりで人間が通るにしたら時間もかかる。ここは平地を一気に行って合流するのが1番合理的なのかもしれない。でも本当に大丈夫なのか.....

 

「.....ちょっとハードかもしれないがトハから一気に南下してガリアとセノリスのギリギリの部分を行く。そしてそこからゴルドアを縦断する.....どうする?」

 

簡単に言えば山と森の境目を一気に進むということ。でもこっちが勝手にセノリスの森に入ってベオクとラグズ間の問題を膨らますことは絶対に許されない.....ならこれが1番だ。

 

「.....一緒に行きます。それが、義弟と会うために.....1番平和な道、なのでしょう?」

 

「.....平和かどうかはともかく面倒事が最小限で済むってだけ。」

 

「分かりました...行きます。」

 

「明日の早朝から出発する。保存の効く食料はクリミアでなるべく手配して行こう。武器は大丈夫か?」

 

「武器は.....このライトが...」

 

.....え?ライト?せめてシャイン持ってきてよ。

 

「まぁいいや.....シャインあげるから、これ使って。さすがにライトじゃ厳しい。」

 

「ええ....」

 

そうしてミカヤはなぜか知らないが寝始めた。さすがに雨で濡れて体が少し弱ったのかな?それはともかく.....

 

 

「そこさ、さっきから思ってたけど静かにしてくれない?」

 

アスタルテ(あ、す、すみません.....)

 

アスタルテ(犬状態)とユンヌ(意識の一部が鳥状態)がさっきからずっとワンワン吠えつつずっと戯れていた。別にいいんだけどよりにもよってこっちにまでその会話が聞こえるようにしないでよ。

 

(それで、ユンヌとは結局上手くいったの?)

 

(はい.....少しは話せたかと。分裂した時の私は頭がおかしかったですから....)

 

(そっか。それなら良かったよ。)

 

完全な目覚めではないにしろ、少し意思を交わせたのはいいことだろう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

数日後

 

「.....ん」

 

「あんた、おはよう。」

 

「ん?おはよう.....ってここどこ?」

 

「?あんたが言った道を行ってるんやけど.....」

 

相当疲れていたのかかなり寝ていたみたいだ。でも起きてみたらネフェニーにおんぶされながら移動していることが分かった。割と身長低いからなぁ.....

 

「悪い悪い。すぐ降りるよ。あ、そうだ。ネフェニー、この人は.....」

 

「それはええよ。さっき話したし。」

 

「あ、そうなの?」

 

「ふふっ、あんた、その時起きとったよ。忘れとん?」

 

あれ?ネフェニーってこんな社交的だっけ?支援とか見る限りじゃかなり無口だったけど.....ミカヤに感じられたのかな?

 

「一応保存の効く携帯食料はいくつか買えたよ。あんたを起こさないように槍を振りながらデイン兵を蹴散らすのは大変だったけどね.....」

 

.....なんでだろう。そんな戦闘真っ只中でよく寝れたな。普通に死んでるぞ。

 

「ネフェニーさん、強いんですね。」

 

「.....うん。これでも一応騎士やから。」

 

なんかいい感じの関係が出来ていそうだ。これならとくにいざこざの心配はいらないのかな。

 

「むっ、そこの者、止まれ!!」

 

「ん?何ですか?」

 

「このクリミア国境は全てデイン軍によって管理されている。見たところお前はクリミア人だな。この国からの逃亡は許さん!!」

 

「あぁもう面倒くさいなホントに。悪いけどその忠告を聞くつもりは毛頭ないよ。」

 

「無論、我々もお前たちの嘆願を聞くつもりは無い。皆の者、この者たちを囲み、その少年を殺せ!!女は生け捕りだ!」

 

......まずいな。ここの近くにはフラゲル砦とムギル砦という、ベグニオン帝国のガリア国境にある領土だがおそらくクリミアから要請を受けない限りはあっちは静観という形をとるだろう。それに今回はベオクvsベオクだからあそこの砦のラグズビビりな将軍は逃げない。だから3人で約45人くらいの今四方を塞いだデイン軍と戦わなくちゃいけない。さてどうする....

 

「....弓兵が山の中に何人か....正面にはドラゴンナイトとジェネラルが10人くらいで.....魔法職も何人かいる。」

 

幸いなのはキルヴァス兵がいないところだ。数がただでさえ多いのにあいつらまで参戦されたら割と詰む。

 

「.....どうするの?」

 

「.....分かれよう。ミカヤさんとネフェニーでこちらの進路方向にいる敵の殲滅、俺は山や森にいる伏兵を全部掃討する。みたところおそらく援軍も来るだろう。だからそれも含めて俺が全部相手する。いけるか?」

 

「うん.....やってみる。」




忙しいので短いですが、お許しを.....


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激闘

(1人あたりの敵を)15人分くらい作っちゃったな、ワロワロ。

まぁ少数で多勢を相手するのはFEでは日常茶飯事ですし。どこぞのルネス王子は4人(実質3人)で敵の城を落としたり、オスティア侯弟はマシューと2人で黒い牙相手にしてましたからね。


基本的に両サイドが山や森で囲まれていて道が狭い場合は相手の行軍もある程度遅れる。ドラゴンナイトは厄介だがアーリアルで一掃できそうだから問題ない。中に潜んでいるアーチャーとかは先に片付けておかないとまずい。かつてトラキア776をやった人なら分かると思うがオルエン救出の外伝マップには狭い道をソルジャーが5人くらい並んでいてその壁で囲まれた所にアーチャーが沢山いたマップがあったんですよ。あそこはマーティを有効活用したなぁ.....まぁ雑談はさておき

 

「あそこにいるのか.....」

 

厄介なことにシューターがいた。まじかよ.....本気で潰しにかかってきてるな。これは先にやらないとミカヤが危ない....

 

「な、なんだお前!?」

 

「命は奪わない。だが、気絶してもらう。」

 

シャインで敵の後頭部に衝撃を与え気絶させる。これで4人目か.....

 

「......少しだけ借りるよ。えっとこれをこうかな.....

 

蒼炎のアーチは確か一定のダメージが見込めたはず。仮にこっちが弓の職業じゃないにしろ本来なら使えないがおそらく転生したなら使えるはずだ。これも転生ならではのルール破りかな?そしてその敵が持っていた矢を使い、向かい側にいる敵に一発、ネフェニー達の進行方向にいるドラゴンナイトに向けて一発打った。やっぱ弓職業じゃないから狙いはガバガバだし当たるはずもなかったが.....

 

敵兵「な!?シューターが奪われたのか!?」

 

「こちらの防備を固めよ!!」

 

相手を少し動揺させることには成功した。さすがにシューターが奪われたとなれば飛行職はネフェニー達以外にも注意を払わなければとんぼ狩りのようになるし、さらに奪われれば不利になるだろう。こうすれば敵はこっちに兵を割かざるを得なくなる。

 

 

 

 

 

ネフェニー「傍を離れんといて。」

 

ミカヤ「は、はい!!」

 

一方ネフェニーはミカヤを守りつつ銀の槍でジェネラルと応戦している。狭い道の為、回り込まれることがない。ただドラゴンナイトの動きだけを警戒して目の前の敵と戦っている。ミカヤも魔法で応戦しているがあまり決定的なダメージを与えられていない。まだジェネラルとドラゴンナイトならそこまで魔防は高くないはずだからな....

 

「はぁ!!」

 

「ぐ、ぐぁ!!」

 

「はぁ.....残り3人。ミカヤ、引き続き援護を頼んでいい?」

 

「勿論。」

 

あっちの大半のジェネラルの掃討は完了しているみたいだ。途中貫きの槍も使ってたしおそらくミカヤの削りに配慮した動きをしているのだろう。その証拠にミカヤの魔法の威力も少し上がっている。

 

「1回下がる。」

 

「は、はい!!」

 

ネフェニー達が一旦山の方に行き姿を隠した。おそらくさっきのシューターの弓でこっちの敵がいないことを確認できたからだろう。さすがにホーリーランサーとはいえ数が多ければ分が悪くなる。

 

「へっ!!そうはさせないぞ!」

 

敵のドラゴンナイトもその一瞬の隙を見逃しはしなかった。しかし.....

 

「舐めんといて!!」

 

ネフェニーは振り返りがてらドラゴンナイトの槍を受け流し、叩いて兵を竜から引きずり落とし、槍で突き刺した。ネフェニーは竜につけらていた乗る用の装備を外し、竜を空へ放った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

デイン軍側

 

ノシトヒ「ど、どうなっているんだ.....?」

 

ノシトヒは混乱していた。トハの港町へ任務に行ったが漆黒の騎士は撤退し自身の軍が着いた頃にはもうデイン軍の1人も、敵もいなかった。そして1度国境まで移動して、他のクリミア軍を倒していたはずだった.....だがその部隊が、デインからおくられてきた増援がたった3人によって破られている。

 

「ええい!!キルヴァスの増援はまだか!」

 

「はっ!!直に到着するもようです!」

 

「そうか....半獣共に手を借りるのは癪だが仕方ない。」

 

「さらに気になったのは敵兵に1人変わった少女が....」

 

「何?今はどうなっている?」

 

「おそらく敵兵は銀髪の謎の少女、クリミアの戦乙女ネフェニー、そして魔道将軍エイリスだと思われます。ネフェニーとエイリスに関してはあの漆黒殿を撤退させた2人と聞いております。」

 

「なんだと!?ならば.....あの銀髪の女を捕縛し、人質にせよ。そして奴ら2人を降伏させる。その2人と共にいるということは.....おそらくあの女はクリミアにとって重要な何かなんだろう.....」

 

「はっ!!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「敵の動きが変わった.....?」

 

一通りこちらは制圧できたが.....遠くから翼をはばたかせる音が聞こえてくる。さらにクリミア側からもデイン軍らしき何かがやってきた。おいおいまずいぞ.....

 

「挟み撃ちでドラゴンナイトを減らしたら次はキルヴァス兵かよ.....困ったもんだ。」

 

なんだろう?ネフェニーに懸賞金でもかけられてるのかな?くそっ、ゲームじゃないからどういう方針なのか分からない....だが急がないと。

 

 

 

 

「なんじゃ.....敵の動きが変わった?」

 

「気をつけて.....こっちに集中して来るわ。」

 

「え.....危ない!」

 

「え?」

 

増援が手槍を投げ、後援できたアーチャーも矢を放った。おまけにさっきはいなかったやつらが投石器を使い、ミカヤに落とそうとした。間に合わない.....

 

『ミカヤ!!』

 

パァァァァ....

 

まただ....光がミカヤを包み、全ての攻撃を無効化した。一体これは何なんだろう.....

 

敵兵「な!?」

 

「1人に寄って集って卑怯な奴らめ....成敗してくれる.....アーリアル!!」

 

そして道が狭かったので増援として来た敵兵を一纏めに倒すことが出来た。死角はネフェニーが守ってくれていたから安心して撃てる。

 

「悪かったな.....意外と時間がかかって。」

 

「ううん.....仕事はしてくれた。こっちも終わるよ。」

 

よし.....なんとか形勢逆転した。さっきの魔法は本当に何なんだろう....また試してみるか。

 

ノシトヒ「ふ、ふざけるな!!」

 

そして敵兵を片付け終わったら今度はノシトヒが単騎で突撃してきた。お前アーチャーだろ.....こっちは物理職がいるのになんでやってきたんだ.....

 

「.....あんたが大将?」

 

そしてネフェニーは迎え撃ち、数分も経たない内にノシトヒを討ち取った。なんとかキルヴァスがこちらと出くわすまでに倒すことができた.....

 

 

バサッバサッ

 

ネサラ「.....どうやら終わっていたみたいだな。」

 

「キルヴァス王ネサラよ。」

 

「ん?なんだ?ガキがいっちょ前に口を聞きやがって。」

 

「お前たちを雇ったノシトヒは討ち取られた。それに俺たちにはお前たちが欲しがるような金も財宝もない。撤退してくれ。」

 

「ま.....そうさせてもらう。金もないんじゃ意味はねぇ。お前ら撤退するぞ。」

 

やっぱりネサラはこういうあたりの判断が本当に一瞬で出来るから凄いな.....さすがにここでネサラを相手にする余裕もない。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ミカヤさん、大丈夫か?」

 

「うん、なんとか....」

 

どうやらさっきの一斉攻撃のさいに衝撃を受けて少し体を痛めたらしい。ダメージこそ無効化できたが完全に衝撃までは無くせなかったのか。

 

「とりあえず進もう....ここにいてもあれだ。よっと....」

 

「え!?」

 

「あれ、ミカヤって意外に軽いな.....おぶっていくよ。」

 

「で、でもそれは.....?」

 

「ん?お姫様だっこの方がいいのか?」

 

「あ、うぅ.....このままでいい。」

 

「分かった。ネフェニー、とりあえず行こう。」

 

「うん。」

 

一瞬ネフェニーから殺気が漏れてたけど大丈夫かな.....ココ最近は切羽詰まってるからどこかで気を抜かないとな。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ゴルドア国境

 

ゴルドア兵「止まれ!!そこのベオク!」

 

「すみません。俺たちは何もあんたらに危害を加えるうもりはありません。このままゴルドアを縦断させてくれませんか?」

 

「我が国が鎖国気味なのを知っていて言っているのか?」

 

「はい、それを承知の上でお願いしています。」

 

「それが認められることはない。引き返せ。」

 

やっぱりこうなるか.....

 

??「待て。」

 

「え....!!?」

 

そこにいたのは.....ゴルドア王デギンハンザーだった。もしかしてさっきの戦いに気づいてこっちまで来たのか?

 

「ん?その少女は.....?」

 

「?私が、どうかしたんですか?」

 

「.....入れ。」

 

デギンハンザーが入国を許可してくれた.....一体何なんだろう。




蒼炎の軌跡や暁の女神の最上級魔法のグラフィックはめっちゃ綺麗なんで是非プレイして確かめてもらいたいですね。

キャラ解説 ネサラ

キルヴァス王国の王。鳥翼族、鴉のラグズ。飄々として狡猾でその上抜け目のない性格。以前も書いたと思うがトラキアと少し似ている境遇でキルヴァス自体が貧しいため、国益や金になることなら毛嫌いするベオクと手を組んだり、海賊行為をしたりしている。でも、自国民を思う気持ちは強く、国民からの信頼も厚い。蒼炎の時はステータスはまだ良かったが、暁になった途端に速さが最速になったりステータスが上がり、おまけに待ち伏せや滑翔(力の3倍+速さを半減させる)を持っておりかなり王様らしくなっている。


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ちょ、女神様何いっt

まぁ.....オリジナルマップというのはですね、外伝マップのない蒼炎の軌跡にそれを加えようとしたマップの事です。本編を変えるわけではないので少しややこしかったですかね...

5月20日から超英雄だから多分ブライダルだと思います。というかそうであって欲しい。なんか運営が公開した影の片方がニシキにしか見えない.....今年は白無垢とか和装なのかな。


ゴルドア王国

 

まぁ暁をやったことがある人なら誰でも分かるあの激強なデギンハンザーを国王とした竜鱗族の国。かつてベオクが、鳥翼族や獣牙族を下しても、この竜鱗族だけは下されなかったって歴史があるくらいラグズの中では最強クラスの種族。まぁ他シリーズっぽく言うならマムクート枠みたいな感じだね。で、争いを避けるとか色んな意味で鎖国気味。現に今俺たちが歩いていても周りのラグズは珍しそうに眺めているのと、ベオクを少し嫌っている目線がある。

 

「目線は気にするな。」

 

「は、はい。」

 

もう喋り方に威厳しか感じないよこの爺さん。まぁ三雄の1人だからっていうのもあるけど初めて挑んだ時にかなり苦戦したのも覚えてるからなぁ.....

 

 

 

ゴルドア王国 王都

 

「先程は国の者が失礼をした。わしはゴルドア王国国王、デギンハンザーだ。」

 

「ご丁寧な挨拶、感謝します。おれ.....じゃなかった、私は元クリミア王国騎士のエイリスと申します。こちらの2人は、ネフェニーとミカヤです。」

 

「うむ。してエイリスよ。そなたはその少女を知っての上で共に行動をしておるのだな?」

 

.....え?いきなりそこいく?いや、そこは少し世間話でもしようよ。

 

「はい。ですがそんな事は私には関係のない事です。」

 

「うむ。エルランの言う通り、わしら相手に対して一切臆しておらん。」

 

「エルランが.....」

 

「『印付きを知り、ベオクもラグズも気にしない子供と出会った』と言っておった。わしを前にして堂々と物言いできるベオクは初めてだ。」

 

「それは単にベオクと会ってないからでは....?」

 

「そうかもしれんな、ははは。」

 

あれ?笑った?おかしいな、デギンハンザーってこんな陽気なおじさんみたいな人だっけ?それともあれかな?セフェランと先に干渉してるからもう警戒する必要もないということかな。

 

「そこの2人のものを部屋へ案内せよ。」

 

「はっ!!」

 

そしてミカヤとネフェニーは謁見の間から出て、デギンハンザーと俺とアスタルテが残った。.....なんか気まづいな。

 

「その強大なる魔力....」

 

.....やっぱりバレてる。まぁそりゃ覚悟はしてたけどさ.....

 

アスタルテ(デギンハンザー、この力は私が与えました。)

 

(女神よ、裁きを下されるのですか....)

 

(いえ、そのつもりはありません。私は今、この者と今の世界を見ているのです。心配であるなら、この者を試してみなさい。)

 

なんかいい感じにアスタルテが弁明してくれてる。だってそりゃそうだよね。負の気が満ちてないのにアスタルテが目覚めてたら驚き以外の何者でもないし、裁きを下すために俺が生まれたみたいな解釈が起きかねないからね。.....ん?なんか今さらっと地雷が撒かれてなかった?

 

「エイリスよ.....そなたが女神を守り、あの少女を守る力があるか.....その力を使いこなせているか、確かめてやろう。表に出よ。」

 

「え?」

 

嘘だろ、まさか単騎でデギンハンザーと戦えっていうのか!!まぁこれは戦乱じゃないからセーフなのか。

 

(ちょっと、なんかまずい方向に進んでない!?)

 

(大丈夫です、あなたならもう使いこなせているのですから。)

 

(それでも戦うのは嫌だよ!!だってめっちゃ強いじゃん!!)

 

(まぁそこは....頑張れ♪)

 

(可愛くごまかそうとしても無駄だからな.....)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そしてアスタルテのせいで、まさかのデギンハンザーと戦うことになった。

 

「ちょ、ちょっとデギンハンザー様?ここは平和的に行きましょうよ?」

 

「む?だがこれは女神からの提案だ。わしはそれに従うのみ。」

 

「えー....」

 

「エイリスよ、女神から与えられしその力を操れているか、わしに示すがよい!!」

 

そしてデギンハンザーは黒竜に化身し、威圧感を放った。やばい消費が2倍になりそう(ポケモン感)。まわりの竜鱗族も国王が化身するのを見るのが初めてなのか驚く者もいれば、その溢れんばかりの強さに興奮している者もいる。さすがのネフェニーもこの威圧におされかけている。

 

「ぐぉぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「くそっ.....アスタルテ、今日の晩御飯抜きだからな。」

 

(え、ええええええ!?)

 

ブォァァァァァ

 

そして間もなくデギンハンザーが直間両用の黒焔のブレスを出してきた。やべぇ1発で消し飛ばされる。

 

「アーリアル!!」

 

咄嗟にアーリアルを繰り出し、ブレスにぶつけた。威力はこっちの方が低いかもしれないが、特攻があるからまだ押されてはいない。

 

「ぐっ.....うぉぁぁあ!!」

 

なんとか魔力を出し、魔法を維持させている。ブレスとアーリアルのぶつかりから強力な衝撃波が全身に伝わる。そしてその衝撃は周りにもいっているみたいだ。

 

「.....はぁ!!」

 

なんとかブレスを相殺し、1発を凌いだ。さすがに特攻があってもきついな。蒼炎の軌跡だけは特攻が2倍だからな.....この爺さんの何がやばいかって、力ゴリゴリのアイクのラグネルでも5ダメージくらしか喰らわないのと、毎ターン30回復するのと、見切りでスキルか無効となって、更には強運で必殺が効かないなど、もうとにかくやばいのである。頑張ればワンターンキルが可能なアスタルテよりも個人的には強く感じる。

 

「これを防いだか。だが次はどうだ。」

 

そしてもう1発、しかも今度はさっきよりも威力が強い.....まさか逆鱗(ダメージ3倍)が発動したとかじゃいなよな.....

 

「.....くそっ。」

 

もう一度アーリアルを発動し、迎え撃つ。だが今度はかなり押され気味で押し負ける可能性がある。

 

「ぐ、ぐぁぁ......」

 

なんかアニメとかで押されてる場面とかよく見るけどそれを実際に体験している。これ一瞬でも気を抜いたら確実にやられるな.....

 

シュァン

 

「え!?」

 

.....まさかの出来事である。ブレスをアーリアルが相殺出来たかと思ったらまさかのブレスの方向が変わり.....外野の方にブレスが飛んで行った。まずいぞまずいぞ....しかもその先には.....ネフェニーとミカヤ、そして.....何気なくクルトナーガがいた。

 

「い、いかん!!」

 

「させない!!!」

 

「ぬ!?」

 

俺は見た瞬間に魔法を足元に発動して、ブレスの前に先回りした。......もしあの魔法が発動するならしてくれ。

 

「絶対に止める!!」

 

「!!」

 

そして手をかざし.....光のシールドが出てきた。そしてブレスを抑えている。.....だが

 

ピキッ....ピキッ

 

さすがに逆鱗が発動したブレスだ、威力が桁違い、このシールドには特に特殊効果があるわけでもないから....割れたら全員おじゃんだ。ネフェニーなら1発なら耐えられるかもしれないがクルトナーガとミカヤは耐えられない可能性が高い。

 

「ぐっ.....」

 

ズザザと足と地面が擦れる音がしている。.....押されている。

 

「くそっ、負けるもんか。」

 

パリン.....だがその意志もむなしくシールドは破壊された。

 

 

「ぐ、ぐあっ.....!!」

 

まずい、ここで死ぬ訳には.....アイク×エリンシアを完成させないと。

 

(私に任せてください。)

 

「え?」

 

すると後ろでアスタルテが犬の状態で裁きを展開していた。え?それなら最初からやってくれたら....

 

(この状態だと展開に時間がかかるんです。でも、よく時間稼ぎをしてくれました。私に任せてください!!)

 

そしてそれと同時に、周りの竜鱗族とネフェニー達に光のオーラを纏わせ、自身の攻撃の余波によるダメージを防ぐ手立てをふんだ。

 

(女神の力.....見せてあげます!)

 

そして裁きはブレスを消し去り、裁きの余波も完全に消えた。.....今回ばかりは女神に助けられたぁ.....

 

(女神よ.....申し訳ない。)

 

(いいのです。ですがデギンハンザー、分かったでしょう、あの者が力を持つにふさわしいと)

 

(....はい。それに争いの火種を生むために使っていない。)

 

(ですからデギンハンザー.....印付きのことはあの者に任せなさい。あなたの苦悩ももういいでしょう。)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

数時間後

 

「ふぅ.....疲れた。」

 

(今回ばかりは私に感謝ですね。)

 

「元はと言えばアスタルテが地雷を撒かなければ済んだ話だろ.....」

 

(ふふっ、それはそうかもしれませんね。)

 

それにしてもさっきから気になる.....

 

「ベオクというのは体に特徴がありませんね。」

 

さっきからクルトナーガが興味津々に体を見たり触ったりしている。そういやここ鎖国気味だからベオク自体が珍しいのか。

 

「.....ベオクを見るのは初めてなのですか。」

 

「いいえ。ただ珍しいものですから。あっ、名乗り遅れました。私はクルトナーガ。ゴルドアの王子です。」

 

一見子供っぽい雰囲気に包まれている男の子だが実際のところは100歳とかとうに過ぎてるんだよなぁ。近くで見ても分かんないなこれ。

 

「こちらこそ初めまして。先程は謁見の間にはいませんでしたが。」

 

「少し散歩をしていたのです。そしたら父上と戦っていたものですから。」

 

「それは大変お見苦しいところを.....」

 

少しアスタルテをちらっと見て睨みながら応答した。

 

「あ、後堅苦しい言葉はいらないです。私はベオクと仲良くなりたいですから。」

 

「あぁ、それなら遠慮なく。そういえばネフェニー達は?」

 

「別の部屋で待機されてますよ。案内します。」

 

「そ、それはご丁寧に。」

 

 

「2人とも大丈夫か。」

 

「あ、あんた!!大丈夫やった?」

 

「その、怪我とかは.....」

 

「大丈夫。ちょっと疲れが残ってるけどそこまで。2人とも、動ける準備はしている?」

 

「ああ。でも大丈夫なん?」

 

「ん?」

 

「その、国王様に説得とかは.....」

 

「それなら私が父上にとりなしておきましょう。」

 

「え、でもあんた.....」

 

「ネフェニー、この方は王子様だよ?」

 

「え!?そ、それはすまん.....いや、すみません.....」

 

「気にする必要はありませんよ。私は父ほどの威厳はありませんから、よく言われます。」

 

「そ、それはそれで大丈夫なんですか.....」

 

「ところでどちらまで?」

 

「えっと地図地図.....今王都にいて、ここから更に南へ下ってここへ行くんだ。」

 

「海に行って何かするのですか。」

 

「船で移動している俺の仲間と合流するんだ。多分ここら辺で座礁させられるだろうからって予想で。」

 

「なるほど.....ではお気をつけて。後で何かしらそちらに持って向かいます。」

 

「そ、そんな気遣いは....」

 

「いえいえ、見ず知らずの私を庇った恩ある人達に何もしないわけにはいきません。ご好意として受け取ってください。」

 

「.....まぁそれはうちの団の団長に聞いてくれたらありがたい。」

 

「はい。わかりました。」

 

そしてクルトナーガは退室し、俺たちは動くための最終調整をしていた。やっとアイクと合流だ.....ながかったぁ.....

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「.....エイリスか。」

 

ゴルドア王は沈む夕日を見ながら思いに耽っていた。自身と互角ではないにしろそれ相応の実力を持つベオク.....女神が認めたベオクなのだ。そして印付きを何とも思ってはいない.....

 

「オルティナ...ソーン....エルラン.....わしは、少し救われたかもしれん。」




デギンハンザーが印付きに対して気にかけている理由は印付きを女神の禁忌とした原因の一翼を担ってしまったからです。どうしてそうなったのかは暁の女神をプレイすれば分かるから是非プレイしてくださいね。

キャラ解説 クルトナーガ
ゴルドア王国王子。デギンハンザーの第三子で黒竜に化身できる。穏やかで落ち着いた性格をしており、ベオクとラグズの相互理解を望んでいる。父親が争いはダメだと教えてきたので、戦いを強く嫌っている。見た目は幼いが余裕で100歳を超えている。竜鱗族は極端に寿命が長いので仕方ない。


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船上での出来事 前編

今回はアイク側目線で書いていきます。花嫁ミカヤ&婿サザですって。まぁとりあえず愛の祭りのエフィの勇者弓で落としてきます。


トハから旅立ってかなりら時間が経つ。俺たちはベグニオンを目指し、長い船路を行っている。だが.....あのトハで見た光景が昨日のように感じられる。なぜあそこまで豹変するんだ.....俺たちとあまり変わらないというのに。

 

アイク「.....」

 

ミスト「お兄ちゃん?」

 

「.......」

 

「どうしたの?船に乗ってからずっと元気ないね?」

 

「.....ちょっと、船酔いしたかもな。」

 

「うそだぁ。お兄ちゃんが、そんな繊細なわけないもん!」

 

「悪かったな。」

 

「.....ねぇ、話してよ。わたしだって....お兄ちゃんの力になりたいよ?」

 

「.....まあ、ちょっとな。港町トハでだ。」

 

「うんうん。」

 

「ライがラグズだとわかった途端.....周囲の態度がかわっただろ?それまではみんな、気のいい奴らだったのにな.....俺が想像していたより、ずっとベオクの....ラグズに対する偏見は強かった。どうして、あそこまで悪意を持てる?.....俺たちとライと、どこがそんなに違う?」

 

少なくとも納得出来なかった。エリンシアやエイリスは一切抵抗がないというのに....

 

「.....ん、とね。わたしも最初.....ちょっと怖かったかな。ラグズの人たちって.....“化身”とか.....わたしたち人げ.....じゃなくって、ベオクには、できないことができるから....」

 

「ミスト、おまえ.....」

 

「今はちがうよ!みんな.....すごくいい人。だけどね、それって.....いっしょにいることで.....いろんなところを見て、知って.....だから、そう思えるようになったんだよ。初めて会った時から平気でいられるほうが.....

特別なんだって.....わたしは…そう思うよ。」

 

「.....そうだな。きっと...俺やエイリスみたいに抵抗ない方が変わってるんだろうな....」

 

「できることなら、争いたくなんてたいのにね。みんな仲良く暮らせるといいのにね。でも、それは.....すっごくむずかしいことなのかもしれない.....」

 

ナーシル「そう、むずかしい問題だ。」

 

「ナーシルさん!やだ、聞いてたんですか?」

 

「船の旅はどうだい?気分が悪くなったりしていないかな?」

 

「だいじょうぶだ。それより、ナーシル.....あんたはベオクだろう?ベオクなら、どうしてラグズに協力している?」

 

「いや、私は正真正銘ラグズだ。」

 

「うそ!耳も尻尾もないよ?どこかにかくしてるの?」

 

「.....私は常にベオクの中で暮らしている。人目でラグズとばれないよう服装や習慣など、いろいろ工夫しているんだよ。」

 

「どうして、そんなことを?」

 

「ラグズはラグズだけで生きられず。ベオクもまた然り.....私は、両者の共存を望む者。何年も旅をしながら、その方法を模索している。」

 

「ラグズとベオクの共存?.....あそこまで迫害されて、よくそんなことが思えるな。」

 

「アイク、1つのことをその側面からだけ見ても.....少しも理解したことにならない。たしかにラグズはいま、ベオクたちに迫害されている。だが、長い歴史を振り返れば、その逆だった時代もあったんだ。」

 

「.....どんな時代があったとしても、いま、迫害を受けているのはラグズだ。その事実は変わらないだろう?」

 

「まっすぐな物の考え方だ。単純明快で、好ましいよ。ただ、それは.....君がまだ若く、知らないことが多いからこその強さ.....これから先、君の考えをくつがえすようなことだっていくつもおきるだろう。この旅の終わりに、君がどんな風に変わるのか.....絶望でないことを祈るばかりだ.....」

 

「.....あんたの話は、こむずかしいな。」

 

「.....いつか分かるよ。とにかく、きみたちを無事ベグニオンまで連れて行くのが私の役目だ。ライを通じて、ガリア王からも十分すぎる報酬をもらっているからね。失敗するわけにはいかない。」

 

「俺たちに海のことは何もわからないからな。あんただけが頼りだ、ナーシル。よろしく頼む。」

 

「できるかぎり協力させてもらうよ。.....ああそうだ。」

 

「ん?何か言いたいことがあるのか?」

 

「しばしば君たちの会話で出てくるエイリスというのは何者なんだ?私はクリミアの魔道騎士としては聞いたことがあるが人なりは分からないんだ。」

 

「エイリスさんは、私とあまんり変わらないくらいの人で.....」

 

「ああ、ミストとは対して歳が離れているようには見えない。あとは魔道に秀でているところだ。現に俺たちのしんがりを引き受けてくれたレベルだ。.....今どうなっているかは分からないがな。」

 

「.....その少年は、ラグズを見て何か変わっていたかい?」

 

「全くだ。ラグズと出会うのは初めてだったらしいが最初の反応は俺に近かった。」

 

「....そうか。」

 

そう言ってナーシルは船の操作に戻った。.....何か思うふしでもあるのか。

 

 

 

 

 

数刻後

 

ナーシル「あ、アイク!その子を捕まえてくれ!!」

 

 

「いったい、なんだ.....」

 

??「!!」

 

「.....さあ、もう逃げられないぞ。」

 

??「.......」

 

「ナーシル、誰だこいつ?」

 

「密航者だよ。どうやらトハで潜り込んだみたいだ。」

 

「なんの目的で、この船に?」

 

??「.........」

 

「だんまりか。だったら....」

 

俺はそのガキの頬を掴み、自分の顔の高さまで上げ、力を込めた。余裕はない。吐かないのであればこちらも強硬手段を取らせてもらう。

 

「!?」

 

??「ひ…ひててててて」

 

ナーシル「あ、アイク.....あんまり無茶は.....」

 

「俺たちは、ガキの遊びに付き合ってられるほど暇じゃない。放してほしかったら、素直に口を割るんだな。」

 

??「.....わふぁった!話ふから.....やめ.....っ!.....痛い.....顔が.....変形するかと思った.....」

 

「で?おまえの名前は?目的は?」

 

サザ「俺....サザ。.....盗賊やってるけど....この船に乗ったのは....盗みが目的じゃない。」

 

「.....」

 

「.....そんな怖い顔で睨むなよ。話しづらいじゃないか。」

 

「いや、アイクはいつもこんな顔だ。気にしないで、続けて。」

 

「人を.....捜してるんだ。この船がベグニオンに行くって聞こえたから.....それで乗った。」

 

ナーシル「ベグニオンに、その尋ね人がいるのかい?」

 

「わからない。でも、トハではぐれたから....船に乗ったのかもしれないって。」

 

「.....家族か?」

 

「え?」

 

「捜してる相手。」

 

サザ「.....ああ。血はつながってないけど.....大事な家族だ。」

 

「......」

 

.....家族とはぐれたのか。それが本当かどうかは知らんが.....本当ならその気持ちが痛いほど分かる。俺もおそらく家族と離れたらこのガキと同じ手段を取っていただろう.....

 

「わかった。ナーシル、こいつの身柄は俺の傭兵団が預かる。だから船に乗せといてもいいだろ?」

 

「それは.....もちろん、構わないが....」

 

「いいのか?」

 

「仕事はきっちりやってもらう。覚悟しておけよ。」

 

「ああ、大丈夫!俺…なんでもするさ!」

 

サザが仲間になった!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「アイク様.....」

 

「どうかしたのか、エリンシア。」

 

甲板で考え事をしていたらエリンシアがやってきた。何かあったのか.....?

 

「いえ.....アイク様が何かを考えているようでしたから、私も何か力になれないかと.....」

 

「....エリンシア、あんたは女王になった時どうするんだ?今のベオクとラグズの関係を。」

 

「....今はまだ分かりませんが、父上のように友好的な関係を気づいていければと.....」

 

「だが国民はそうじゃない。エリンシアも、トハでの住民の豹変を見ただろ?」

 

「はい.....私も、心が痛みました.....仲良くできると考えていた自分に、その難しさを改めて教えられた気分です.....」

 

「少なくとも俺はあんな国民の為に戦いたいとは思わなかった....ナーシルやミストにもさっき諭されたんだがな。未だ気分がどうにも晴れない。」

 

「.....仮にクリミアが復興したとして.....私が国民にどれほど支持されるか分かりません.....ラグズとベオクの友好を義務付けるような真似をすればかえって皆が仲良くする機会は遠のくでしょうし.....」

 

「....俺も難しいことは分からん。」

 

「私は......アイク様のような決断力が、羨ましいです。私にもその力があれば.....」

 

「....それが無ければこの戦いは存在しない。」

 

「え.....?」

 

「あんたがクリミアを取り戻す決断をして俺たちを雇い、ガリアの援助を受け、今はベグニオンに行くんだ。覚悟なら充分ある。それは俺たちが1番よく知っている。誰よりも悩み、戦っているのはあんただってことはな。

 

「アイク様....」

 

「それにエイリスもしんがりを引き受けてくれたんだ.....合流するまで死ぬわけにはいかん。」

 

 

ナーシル「2人とも話の途中申し訳ないが少しいいか?」

 

「ナーシル。どうかしたのか。」

 

「この船の後を.....海賊が追ってきている。」

 

「本当か!?.....どこにも船陰が見えないが.....」

 

「真後ろじゃなく、もう少し上空を見ればわかる。」

 

俺は上を見あげた。海賊らしき連中はいないが.....大きい鳥が何匹か飛んでいる。

「あれは.....鳥か?ずいぶん大きい鳥だが。」

 

ティアマト「あれもラグズだわ。アイク。」

 

「鳥翼族です。禍々しい黒い羽をもつのは、キルヴァスのカラスの民.....」

 

「ティアマト、セネリオ、おまえたちも気付いたのか?」

 

「ええ。船尾で、セネリオと今後の相談をしていたところだったから。」

 

「あれが鳥翼族か.....本当に飛べるんだな。」

 

「ここは、やつらの縄張りじゃないから油断していたな.....空を飛ぶやつらは、ことさらやっかいだ。できればことをかまえたくない.....なんとか振り切ってみよう。」

 

ティアマト「キルヴァスとフェニキスの【船を持たぬ海賊】.....獣牙族に比べ、獰猛で残忍な種族だと聞くわ。」

 

「羽を持ち、空を飛ぶ能力をもつラグズか.....たしかに、どう戦ったものか.....」

 

ガゴゴゴゴゴゴゴゴコゴ.....

急に船に揺れがはしった。一体何なんだこれは.....

「な…んだ!?」

 

「ふ、船が座礁したようね。」

 

ナーシル「くそっ.....船底かどこか岩にひっかかったようだ.....動かない!すまない、みんな!!なんとか切り抜けてくれっ!」

 

セネリオ「アイク、カラスどもが来ます!」

 

「全員、戦闘配備につけ!」

 

 

 

 

シーカー「まぬけなニンゲンどもめ。われらの罠にまんまとひっかかったな。」

 

キルヴァス兵「急げ!!フェニキスやゴルドアに気取られる前にかたをつけるぞ!」

 

 

 

 

 

アイク「セネリオ! 何か有効な策はあるか!?」

 

「事前に調べてあります。.....鳥翼族には、風属性の魔法が有効です。後は.....他の空を飛ぶ者同様に弓による攻撃に弱いはず.....」

 

「.....風魔法に弓か....よし!各自、武器をとって甲板で敵襲に備えろ!!何名かは船倉に残り、エリンシア姫と船員たちを守れ!はじめて対する敵だ。必ず、何人かまとまって行動するようにしろ。いくぞ!!」

 

俺たちはエリンシア姫を船倉に送り返し、戦闘配置についた。どうやら敵は数体では済まなさそうだ.....だが、絶対に切り抜ける。




ここのマニアックは少し難しい気がしました。苦労した覚えはありませんが。

うーん.....今回の花嫁は取りに行くべきか悩んでます。というのも復刻でフィヨルムが来るので、そっちも引きたいからです.....


キャラ解説 ナーシル

竜鱗族の白鱗。ベオクとラグズの共存を望んで放浪している。ネタバレになるがイナの祖父である。竜鱗族は寿命が極端に長いため歳を取っていたとしても若く見える。蒼炎本編なら最後らへんである条件を満たせば仲間になる。仲間になったら即戦力になるくらい強い。


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船上での出来事 後編

闘技場でアシュナード使ってみたんですが耐久すごいですね。もう少し強い飛行スキルがきたら大分化け物になれると思いましたね。

あらかじめ謝っておきます。今回はとてつもなく読みにくい回になっている可能性が高いです。ご了承ください。


アイクside

 

今回は、俺(アイク)、セネリオ、ヨファ、ワユ、レテ、マーシャ、イレース、チャップ、ケビン、ツイハークの10人は甲板で鳥翼族を迎え撃ち、ティアマト達に船倉を任せた。(ちなみに作者がちゃんとこの10人でマニアックをクリアしてるので大丈夫だと思います。一応二次創作に合わせてネフェニーを縛ってやりました。)

 

鳥翼族は見渡す限り6羽....だが船の上は狭い。ヨファやイレースを攻撃範囲外に避けさせつつ上手く立ち回らなければいけない....

 

セネリオ「アイク、少しいいですか?」

 

「ん?なんだ?」

 

「おそらく船が大きいですから、金目の物もそれなりにあると考えられます。.....おそらく、今回の襲撃は今見える6羽だけではないと思います。」

 

「増援がいるということか?」

 

「はい、それに気をつけた上で指示をお願いします。」

 

「分かった。」

 

まず左側にいる鴉の方が船から近いのでヨファやイレースを右側に移動させる。

 

「チャップ、ケビン、俺と共に左側で受けてくれ!!」

 

チャップ「分かったよ。えっほえっほ.....」

 

ケビン「おう!!分かった!!」

 

俺たち3人で左側を硬め、迎撃に入る。相手が飛べる以上、上から襲ってくるケースもある.....油断は出来ない。

 

「ツイハーク.....俺たちは今からラグズに攻撃することになるが、お前は大丈夫か?」

 

ツイハーク「無益な戦いは避けたい....だが、やるしかないのであれば容赦はしない。」

 

「分かった。なら右側を警戒していてくれ。」

 

基本的に左右を俺たちで囲み、安全地帯にセネリオやヨファ、イレースを配置している。

 

「!?来るぞ!!」

 

左側の鴉2羽がこちらに同じタイミングで奇襲を仕掛けてきた。

 

「くそっ!!」カキン

 

奴らの嘴を剣でいなしたが、俺たちの剣が届かない所へ戻った。

 

「ヨファ、セネリオ、準備をしておいてくれ。」

 

セネリオ「はい。今のでタイミングは掴めました。」

 

そして再び.....今度は真上から奇襲をしかけてきた。しかも畳んでおいた帆を破るかのように動き、こちらが船で逃げられないようにきてきた。

 

ケビン「ふむ!!ならばこれならどうだ!!」

 

そう言ってケビンは鴉の攻撃をいなし、そのまま船にぶつかった鴉の頭を剣で突き刺した。そして1羽がやられたのを確認してもう1匹はすぐに上空に戻った。

 

「止まった!!今だ!!」

 

「うん!!」

 

だがこちらも機会を見逃しはしない。奴が1度上に上がり、止まった瞬間をヨファが射抜いた。その後鴉は力を入れられなくなったのか化身を解除し、そのまま海へ落ちていった。右側を確認したが、左側の状況を察して、少し慎重になっている。

 

ジル「.....やっと追いついた。私1人でもやれる.....絶対に逃がすものか!.........!?あれは何だ?大きな鳥.......?まさか.....あれが.....鳥の半獣っ!?」

 

 

 

ジル「おまえたち!何をもたもたしている!!」

 

アイク「おまえは.....」

 

「デイン王国ハール竜騎士隊所属ジル・フィザット!しばし休戦を申し込む!人間の船が半獣に襲われるのを見過ごすわけにはいかない。私も、おまえたちと共に戦う!」

 

「デイン兵の助けは借りん!」

 

「そんな意地をはっている場合か!? このままでは、半獣の餌食に....」

 

「ついでに、ラグズを“半獣”呼ばわりする奴の助けも必要ない。」

 

「な、何を訳のわからないことを…!とにかく私は味方につく。話は、カラスを追い払った後だ!」

 

「ちょっと待て.....!.....ったく、なんなんだいったい。」

 

ジルが味方になった!!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

マーシャ「鳥翼族にも負けないよ!!」

 

鳥翼族「ふん!!ニンゲンが俺たちラグズに勝てるはずがないだろ!!」

 

鳥翼族はペガサスの足をつつき、ダメージを与えた。ペガサスが悲鳴を上げながらもなんとか主を落とさないようにバランスを保って飛んでいる。

 

「嘘!?ペガサスに攻撃なんて汚い.....成敗してやる!!」

 

「ひっひっひ!!だが俺たちの速さにはペガサスも追いつけないんじゃないか?なにせそんな怪我だからな!!」

 

「これでも、喰らえ!!!」

 

マーシャは力を込めて手槍を鴉に投げた。だが鴉はそれをいともたやすく避けた。

 

「へっ!!ニンゲンが俺たち鳥翼族に空中戦で敵うとでも思ってんのか!?」

 

「くっ.....」

 

「ふん、こいつでとどめ....なんだこれは?」

 

「!?」

 

その時、鴉に一筋の光が差し込んだ。そして空から光が降りてきて.....

 

??「マーシャさん、避けてください!!」

 

「へっ.....?」

 

「なっ.....ぐぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

「間に合った....大丈夫ですか!?」

 

「う、うん!!それよりもペガサスが.....」

 

ミカヤ「この傷なら、私が.....」

 

マーシャ「凄い.....ペガサスが元気になった!!」

 

ある意味驚きである。ミカヤの癒しの手ってこういうペガサスとかにも出来るんだ.....ゲームじゃペガサスやドラゴンにはダメージが入らないからこういうのははじめてである。

 

マーシャ「エイリスくん、久しぶり!!元気だった?」

 

「はい。でも今はそれよりもこの事態をなんとかしないと.....」

 

あちら側を見る限り、増援がいてまだシーカー含む右側の鴉をおい払えていないみたいだ。そして何気にジルが前線にいるが.....追撃取られる上に命中もあんまなのになんで前線に行くんだ!!お前は削るか弱った敵を倒してレベルアップするのが仕事だろ!?

 

クルトナーガ「エイリスさん、私をあの船までワープさせてください。私が警告をしに行きます。」

 

ゴート「しかし王子、それでは御身が.....」

 

「大丈夫です、争いは好みませんが.....私も戦えはします。」

 

「.....分かった。じゃあワープさせるよ。」

 

俺はポータルの杖を使って船の真ん中にクルトナーガをワープさせた。ちなみにこのゴートという人はクルトナーガの部下みたいな人である。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

再び戻り船上にて

 

アイク「ん?なんだお前は?」

 

クルトナーガ「これは失礼しました。私はクルトナーガ。今あなた達が座礁している土地の国の王子です。」

 

「その王子が俺たちに何か用があるのか?」

 

「いえ、私がここに来たのはあなた達ではなく、彼らが目的です。.....聞きなさい、カラスの民よ。あなた達の野蛮な行いは既に目に余るものとして避難されている。今すぐ略奪を辞め、祖国に帰りなさい。」

 

シーカー「なんだお前は!?そんなの知ったことか!!よく聞いておけよ。ここは狭い船の上だ。いつものような戦い方をニンゲンは出来ないのさ!!翼を持たぬ者は、ここではみな俺たちの獲物になる運命なんだ!!」

 

アイク「調子に.......乗るな!」

 

「だったらそこから攻撃してみろニンゲン!!届きはしないだろうけどな!!」

 

「くそっ.....」

 

ジル「.....私のことを無視するな半獣!!」

 

「なっ!?」

 

どうやら煽っていたらジルに後ろから思いっきり斧を振られて直撃したみたいだ。いやこれはさすがに.....

 

 

「ぐっ....落ち.....る.....」

 

シーカーが海に落ち、他の鴉も全滅させれたことが分かった。ふぅジルが前線に出てたり色々危なっかしいことしてたけど死者が出なくてよかった.....

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アイク「エイリス!!無事だったのか!?」

 

「ああ、心配かけて悪かったな。」

 

皆(セネリオを除く)はおかえりみたいな表情をしてくれているし、ミストとヨファに関しては泣いてるよ。そこまで関わり深くないのに。.....まぁセネリオは分かっていましたよ感が出ている。

 

セネリオ「エイリス、ちなみにあなたはトハからどうやってここに来たのですか?」

 

「トハからガリアとセノリスの国境ギリギリの部分を移動してゴルドアを縦断してきたよ。だから今回はクルトナーガと一緒に来れたんだ。」

 

クルトナーガ「はい。先に向かうようお願いしたら思った以上に準備が速く整ったものですから速く動けたのです。船が座礁さていることに関しては私たちにお任せ下さい。ゴート、みなを指揮し、船を押し出すのだ。」

 

ゴート「はっ!!」

 

そしてゴート達のおかげで引っかかっていた岩から抜け出し、船が正常に動けるようになった。そしてクルトナーガもゴルドア側に戻り、別れを告げた。途中、ナーシルがばつが悪そうにしているところがあったがまぁクルトナーガとかも気づいてなかったし大丈夫だよ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

夕食中

 

ティアマト「そういえばエイリスはどうやってここまで来たの?縦断するにしろ時間はとてもかかるわよ?」

 

「あぁ、その件ならね.....ポータルの杖を使ったんだ。」

 

まぁ簡単に説明すると

 

ゴートに自分をありったけの力で投げ飛ばしてもらう

そこでポータルの杖を使う

あとはこれの繰り返し

 

「おかげで少し体が痛くなっちゃってね......」

 

「随分と無理をしたのね。」

 

ナーシル「先程、クルトナーガ王子と共に来ていたが、王都に出向いたのかい?」

 

「はい。国王デギンハンザーと出会ってまぁ色々あって.....それでクルトナーガと一緒に来たんです。」

 

「!?.....そうかい。それはさぞ大変だったろうに。」

 

まぁ疲れましたよなんせデギンハンザーと一騎打ちみたいな展開になりましたからねどっかの女神様のせいで。

 

セネリオ「ところでエイリス、あなたと一緒に来たこの女は誰ですか?」

 

「あぁそうか。紹介がまだだったね。」

 

ミカヤ「私はミカヤ.....ただの占い師で、サザの義姉でもあるの。」

 

「とりあえず特に契約とかは結んでいないから安心して。それにお互い目的は達成出来たしね。」

 

セネリオ「それなら構いません。」

 

あれ?なんかミカヤさんの顔が若干寂しげになってますね。あれおかしいな?これサザと会えてハッピーハッピーみたいな感じでは無いのか.....

まずいな。これ人間関係がより複雑になりそうだ.....

 

 

 

 

 

 

その夜

 

船の旅っていうのはある意味初めてだけど、夜風に当たるってこんな感じなのか。この時代は機械とか無いから、星がすごく綺麗だし月もめちゃくちゃ明るい.....

 

「おい。」

 

誰かに呼ばれたので後ろを振り向いてみれば.....サザがいた。

 

 




確かこのマップには受け渡しが出来ないけど攻撃されない安全な場所があったと思います。でもこれがデメリットでジルが隣接しているのに話せないっていうトラブルが起きるのも記憶にあります。次回は支援会話を書きます、

キャラ解説 ジル

シリーズ恒例の赤い鎧の女性竜騎士。数少ないファミリーネーム持ち。軍人らしく、生真面目で融通が効かない。親から訳ありでラグズに対する差別教育が行われていて、半獣と蔑んでいる。またこの先のマップでレテとの支援が高くない状態で出撃すると裏切るので注意。


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支援、サザ、ミカヤ、セネリオC、ネフェニーB

ネフェニーに関しては親密度が高いので支援はBから始めさせてもらいます。サザ支援は前回の最後らへんから始まってます。


サザC

 

「お前に話がある。」

 

サザが特に何も無く率直に案件を出してきた。一体なんだろう.....

 

「.....金輪際、ミカヤと関わるのは辞めてくれないか。」

 

「理由を聞いてもいいかな。」

 

「俺はあんたにミカヤをここまで連れてきてくれたことには感謝している。でもな.....あんたのさっきの話を聞く限り、ミカヤは相当危ない目にあってるじゃないか。」

 

「それは仕方ないだろ?今は戦争中。どこで争いが起きたって不思議じゃないんだ。それで安全な道を選べと言う方が少し無理がある。」

 

「それにミカヤを見たらかすり傷もあった。」

 

....どういうことだろう。サザは要は俺がミカヤを守れていないことに対して怒っているのか.....?

 

「.....要は、俺がミカヤを守れていないことを言いたいのか?」

 

「そういうことだ。クリミアの魔道将軍と言う割には人1人を無傷で守り送ることも出来ないんだな。そんな奴にミカヤを任せられない。」

 

.....なんか縁談の時の奥さん側の強そうなお父さんみたいな感じの言葉が出てきた。ここで冷たくあしらうことも出来るがさすがにここで関係を悪化させるわけにはいかない.....

 

「そうか、それは申し訳なかった。君の大切な義姉に怪我をさせる失態をするとはね。」

 

「.....平謝りはいい。本音を言えよ。」

 

あれ?サザくんってこんな感じだっけ?おかしいな、無愛想なのは同じだけどここまで当たりが強いわけが無い。というか緑風(笑)の性格上、あまり人との関わりを持ちたがらないっていう要素あったような.....

 

「いや、心から申し訳ないと思っているよ。」

 

「.....それならいい。だが、ミカヤは俺が護る。あんたはもうミカヤと関わらなくていい。」

 

「なら、ちゃんと守ってくれよ。」

 

「言われるまでもない。」

 

サザはそう言って去っていった。.......こんな性格だっけ?

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ミカヤC

 

「あの.....エイリス.....」

 

「ん?どうしたの?ミカヤさん。」

 

普通に船内の倉庫で武器の管理をしていたらミカヤがやってきた。

 

「その、1つ聞いておきたくて.....私はエイリスにとっては足枷なの?」

 

「何を急に.....」

 

「さっき食事をしている時に.....契約はしていない、とか、お互いの目的とか......」

 

あれはセネリオに理解してもらう為に話したのであってミカヤが邪魔なんていう意味は微塵も存在しないんだよなぁ.....まぁセイニーを持たない限りはしばらくは大変だろうけど。

 

「.....客観的に見れば俺たちの関係はあくまで呉越同舟の仲のいいバージョンのようなものだ。あくまで互いの利害が一致し目的を達成する為に互いを利用しあう。あれだよ、映画版ドラえもんののび太とジャイアンみたいな関係だよ。」

 

「のび太.....ジャイアン.....?」

 

「あっそっかこの例え通用しないんだった.....ごめん、忘れて。」

 

「ええ。」

 

「別に俺はミカヤさんのことは足でまといとは思っていないし邪魔とも思っていない。だけど.....もうここからは俺はミカヤさんを守りながら動くことも少なくなる。サザくんが護ってくれるらしいからね。」

 

「サザが....」

 

ここはどうするべきだ....あえて介入すべきか、それても突き放すような形をとるか.....

 

「だからミカヤさんは俺に対して恩義を感じる必要も全くなければ極端に言えば俺の事を考えなくてもいい。それでいいんだよ。」

 

「でも.....あなたと離れたくない。」

 

「.....どういう事?」

 

「あなたはきっと他の感情で私を助けて、サザに会わせてくれた....私は、エイリスの暖かい心を感じたい。一片の差別の気持ちのないエイリスの心が.....だから....言わないで。」

 

.....もしかして印付きをわかった上で接しているのがもうバレているのか.....まぁセネリオとの会話を見てそう感じたのか。

 

「.....それはサザくんに言ってやってくれ。さっき甲板で探してたからさ。」

 

「そう.....」

 

そしてミカヤは少し、寂しそうな雰囲気を残しつつ、部屋を去っていった。.....戦争とか大事な義弟と離れて心が少し混乱していたんだろう.....しばらくはこれくらいの距離で接するのがいいかな。

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セネリオC

 

「.....王手です。」パチッ

 

「.....参りました。」

 

セネリオと将棋をやって惨敗しました。いやルール教えて一発目でここまで完封されるとか怖いよ。一応俺ら側の世界の遊びなのに。

 

「まさかいきなり負けるとは.....」

 

「....エイリスは限られた陣地と、限られた人数での策を練るのが苦手なのですか?」

 

「いや、そういう訳じゃないんだけど....」

 

「ですが、あなたが教えてくれたこの将棋は面白いです。数手先の動きを想像し敵を取り、戦略を展開する。チェスとはまた違った感じですね。」

 

「まぁね。チェスとは違って強弱があるわけじゃないし。」

 

「....これは息抜きには適しているかもしれませんね。」

 

「そう.....なんかいきなりだけどさ、セネリオは俺の事どう思ってるの?」

 

「どう、とは?」

 

「新参なのにグレイル団長に反論したり、まぁ色々だよ。」

 

「.....僕も最初にあなたを見た時は、利用出来る強い兵としか考えてませんでした。」

 

「そう.....」

 

「.....少なくともその確かな戦略と実力は認めています。アイクや団員も信頼しているくらいですから.....」

 

「それは嬉しいな....」

 

「そして何より.....あなたは僕を見てなぜ驚かないのですか?」

 

「何故って、印付きのこと?」

 

「はい。本来であるならば忌み嫌われる存在であり、あなたはそれを知っているはずです。あのミカヤという人も.....そうでしょう。」

 

「....分かるんだ。」

 

「同族は見抜けますから。」

 

「....難しいことはなんも無いけどさ、印があろうと無かろうとセネリオはセネリオだし、ミカヤさんはミカヤさん。それだけの話だよ。そんな事で差別したり同情してどうするって言うんだって話。」

 

「.......」

 

 

「少なくとも、俺はトハで見た手のひら返しをする町人やベグニオンの馬鹿どもと同じレベルに落ちたくない。そういう個人的な矜恃もあるかな。」

 

「どこか、アイクと似て似ていない.....」

 

「ん?どうしたの?」

 

「いえ、なんでもありません。では時間ですので失礼します。」

 

「ああ、またな。」

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ネフェニーB

 

「槍の手入れか。」

 

「うん。ちゃんとやっとかんと.....」

 

ネフェニーが敵から回収した槍を手入れしている。すごくマメなんだな....

 

「なぁ、あんた。」

 

「ん?どうしたの?」

 

「この戦いが終わったら.....あんたはどうするん?」

 

「どうするって?」

 

「クリミアの騎士に戻るのか.....自分の故郷に帰るのか.....」

 

「.....クリミア騎士になるつもりはないよ。ネフェニーはどうするの?」

 

「あたしは....村に戻ってチャップさんとかと一緒に、畑で仕事するんよ。」

 

「でもネフェニーも一応戦乙女とかいう2つ名が出来るくらいだから誘われるんじゃないか?」

 

「ううん、あたしは農業の方が向いとる。」

 

「そう.....」

 

「だから.....あんたにも村に.....来て欲しいって。」

 

「.....まぁ行けたらの話だな。」

 

「それってどういう.....」

 

「俺がその時どこにいるか分からないし俺の国に戻ったらテリウスに再び行くのもほぼ不可能になるからね。」

 

「そう.....じゃあ、楽しみにしとく。出来れば一緒に暮らせれば.....」

 

「ネフェニーならもっといい人を見つけられるよ。きっとね。」

 

「.....むぅ。」

 

そしてネフェニーは顔を膨らませながら、銀の槍をこちらに向ける。冗談抜きに怖いからやめて。

 

「そういうことやないんよ.....鈍感....」

 

「まあ....そういうことは戦争が終わってからだね。」

 

 




支援会話のタイミング難しいな.....


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ついにくるあの名言

花嫁ガチャ引けましたか?僕はすり抜けてベロア(2人目)が出てきました。個体はゴミでしたね。え?ミカヤ&サザを狙ってるの?違います、ノルンを狙っているんです。理由はお大尽の弓で察してください。

今回はなんと!!エリンシアのあの名言が飛び出します。お楽しみに。


看板で風を浴びながら船が進む様子を見ている。こうやって帆の力で進む船なんて現代じゃ滅多に体験できないからね。そういえば意外と将棋が流行ってしまってこのアイク傭兵団では暇な時の遊びとして定着した。というのもあのセネリオがはまったと皆が体験したら面白いとなったのである。そして広めた俺はもはやヨファに負けてしまったのである。悲しいなぁ.....この傭兵団飲み込むの早すぎ。

 

 

ナーシル「アイク、ベグニオン帝国の使者を名乗る者が現れたよ。クリミア王女がこの船に乗っているかを聞いているが…どうする?」

 

そういえばこのタイミングだっけ.....あの麗しき姫が来るのは。

 

「ベグニオンの使者?どうしてこの船のことを知っているんだ?」

 

「うーん.....ガリア王から報告がいったか.....大国ベグニオンのこと、各所に密偵をはなっているだろうからその筋から情報がいったとか.....そんなところじゃないのかな。」

 

まぁおおむねセフェランがサナキに報告したんだろうな。

 

「なんにしても、エリンシアのことを知っていても不思議はないという話か?」

 

セネリオ「知ったからといって、世間に認知されない姫に対し、わざわざ使者をたててくるのは不自然きわまりないですけど。」

 

「そうなのか?」

 

「まぁそうだよね。」

 

「はい。神使とは、すなわち、ベグニオンの皇帝その人を指します。クリミアもデインも、元々はベグニオンから独立した新興国.....格下の国の王族に対し、ベグニオン側から接触してくるなんて、どんな企みがあるものか.....」

 

ナーシル「格下、とはずいぶん厳しいものの言い方だね。」

 

「事実を言ったまでです。言葉を飾っても仕方がないでしょう。」

 

「セネリオ、さすがの俺もどうかと思うぞ?」

 

「.....き、気をつけます。」

 

エリンシア「アイク様、ナーシル様。どうか、セネリオ様を責めないで下さい。私は気にしていませんから。

 

ナーシル「ならばよいのですが。」

 

セネリオ「.......」

 

アイク「それより、使者をどうするかだな。エリンシア、会って話だけでも聞いてみるか?」

 

「そうですね.....お会いしなくては、何も始まらないことですし。使者様のお話をうかがいましょう。」

 

「それにこちらに対して挑発的な言動を取った場合は俺がアーリアルで船ごと沈めることも出来るから大丈夫だって。」

 

ナーシル「それは.....辞めておこう。」

 

「冗談ですって。さすがに協力を依頼する国の船を沈めるなんて真似はしませんよ。(まぁ気に入らないやつは叩きのめすけどね。)」

 

 

 

 

タニス「クリミア王国のエリンシア姫ですね。」

 

「は、はい!」

 

タニス「お初に御意を得ます。ベグニオン帝国神使親衛隊副隊長をつとめますタニスと申します。そして傍にいるのが.....エイリスですね?」

 

「うん。合ってるよ。」

 

「神使様.....の親衛隊の方が、私にどのような御用でしょうか?」

 

「神使様はエリンシア姫のことを知り、自らお出迎えあそばすと近くの港まで御動座されております。そちらへ私が水先案内をつとめさせていただきます。」

 

「神使様が!?お出迎えいただくなんて....そんな、もったいない.....」

 

「ご同行いただけますでしょうか?」

 

「え....そうですね.....」

 

エリンシアがこちらをチラッと見る。.....着いてきて欲しいってことか。

 

「エリンシア姫の護衛として俺たちもついていって構わないな?」

 

「もちろん。」

 

「.....で、では、参ります。よろしくお願いします。」

 

天馬騎士「副隊長、大変です!神使様のおられる近辺に鳥翼族の影ありとの報告が!!」

 

「フン またいつもの連中だろう。【船をもたぬ海賊】などと気取ってやっていることは、ただの略奪行為ではないか。神使様のそばにはシグルーン隊長がおられる。鳥翼族などに、おくれはとられぬ。うろたえるな。」

 

「そ、それが、さきほど神使様のお姿が見えなくなり.......」

 

「かどわかされたと!?」

 

「いえ、その.....隊長のお話から察するに、例のご病気がでられたのではないかと.....それで、調査してみましたところ.....やはり下の者を言いくるめ、自ら別の船を仕立て、海上に出られたとの.....目撃情報が.....」

 

「なんだとっ!!.....やってくれる。なぜ、じっとしておられんのだ。この海には鳥翼族の海賊が横行していると口をすっぱくして申し上げているのに!で、今はどこにおられる!?」

 

「潮の流れから考えると、神使様の位置は、こちらの方が近いので副隊長に急行するよう指示が.....」

 

「わかった。すぐに向かう。」

 

エリンシア「あの、どうかなさいましたか?」

 

「エリンシア姫!大変申し訳ないのですが、火急の用ができました。姫のお出迎えには、後ほど改めて参りますので.....失礼します!」

 

アイク「なんだ、いったい?」

 

ティアマト「話の内容から察するに、神使様が、事件に巻き込まれたようね。」

 

ミスト「ね、それって、あの船のことじゃない?さっきの使者の人たちが向かってる方向にあるし。」

 

「あの天馬騎士の不安的中だな.....さっそく襲われている。あいつら、例のカラスたちだろう。」

 

セネリオ「アイク、僕たちも助けに行きませんか?」

 

「どうしたんだ、セネリオ。おまえが人助けしようなんて。」

 

「.....神使に恩を売る絶好の機会です。これを見逃す手はないでしょう。」

 

「それにさすがにここで傍観しているとなれば、俺たちは宗主国の神使を見捨てることと同義になる。それにさすがに困ってる人間は放っておけない。」

 

「そういうことか。どうするティアマト?」

 

「打算で動くのは気が進まないけど、人助けには賛成よ。」

 

「.....ということなんだが、行っても構わないか?エリンシア。」

 

「こちらからお願いすべきかと迷っておりました。アイク様たちのお力でしたら、海賊なんかめじゃありません。」

 

さぁ知ってる人はご斉唱を、せぇの.....

 

 

 

『ぶっ飛ばしてさしあげましょう!!』

 

 

やっぱりこの名言聞かないと蒼炎の軌跡をやってるって感じがしないよねうん。

 

 

「.....あんた、ずいぶん俺たちになじんできたな。よし、じゃあ行くか!」

 

さて....ここの出撃メンバーどうしよう.......

 

 

 

タニス「.....くっ、これでは倒しても倒してもきりがない。キルヴァスのカラス兵だけでなく、何故、人間の兵が....!?いったいどうなっている!?」

 

 

「あんたたち、無事か!」

 

 

「!?貴殿は、クリミア王女の.....」

 

「姫の命を受け、助けに来た。俺たちも参戦していいか?」

 

タニス「.....それは、かたじけない。我らが海上のカラスどもを抑える間に、その船で先行してもらえないだろうか。大きいほうの船が、我がベグニオンのもの。小さいほうは不明だ。人間の兵がいるようだが.....この海域にいるのだ、賊として切り捨てて構わない。」

 

「わかった。まかせてくれ!」

 

 

 

ベグニオン兵「神使親衛隊の到着はまだか!?カラスの海賊に....謎の一団.....!この人数で持ちこたえられるのは.....あとわずかな時間だけ.....」

 

ステラ「....私も、戦います。」

 

「あ、あなたは…ディアメル伯爵家のご令嬢ではありませんか!そんな方が血なまぐさい戦いの場におられるなんて.....こ、困ります!」

 

ステラ「ほんのひと時とはいえ、私もベグニオン騎士団に所属していた身.....足手まといにはなりません。」

 

「し、しかし.....!」

 

「神使様を守るのでしょう?手段を選んでいる場合ではないはずです。さ、構えて。敵が....また来ます!」

 

「!!も、申し訳ありません!お願いします!!」

 

ガトリー「ステラお嬢さま!どうぞ、おれを盾にしてください!」

 

「.....ガトリーさん。ごめんなさい.....あなたまで巻き込んでしまって。」

 

「いやもぉ! 全っ然、平気っす!!おれ、お譲様の護衛に雇われる前は、凄腕の傭兵だったし!この程度の人数だったらもう、1人でも全然楽勝だったっす!」

 

「そうですか.....とても、頼もしいです。」

 

「いや~もぉっ!どんどん頼っちゃってください!うおーっ! 燃えてきたぜー!!」

 

ベグニオン兵A「う、うわああ!また新手か!?俺たちはもうおしまいだ!!」

 

ベグニオン兵B「ええい、うろたえるな!なんとしても神使様をお守りせねばならんのだ!!賊ども!おまえたちが大挙して押し寄せようと、ベグニオン兵は、一歩たりと退かぬ!」

 

アイク「ちょっと待て、誤解するな。俺たちは援軍だ。神使親衛隊の副隊長に頼まれて、この船から敵を追い払いに来た。」

 

「おお!タニス将軍のはからいか!ありがたい!!神使様は、下の船室に避難しておられる。船室への降り口を、神使親衛隊の本隊が到着するまで、死守してもらいたい!」

 

「了解した!みんな、行くぞ!」

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「皆聞いて。今回は敵の数が多すぎるから、今回は敵が撤退するまでの防衛戦になる。そして.....仲間になる人が2人いる。1人はステラと言う人....もう1人は、ガトリーだ。」

 

アイク「ガトリーがあの船にいるのか!?」

 

「ああ。だからステラを仲間にしてからそのステラにガトリーを説得するよう頼むんだ。だからアイクはすぐにステラのところにいって説得してきて欲しい。」

 

「分かった。」

 

「あとは地上で戦うメンバー、仮に侵入された時用の神使防衛メンバー、そして俺たちの船を守るメンバーの3手に分かれる。今回の地上のメンバーは.....アイク、俺、セネリオ、ジル、モウディ、チャップ、ティアマト、ミスト、ヨファ、ボーレ、ミカヤ、サザで行こう。」

 

正直ここはフォルカを使いたい、だがミカヤを出撃させる上でサザを出撃させなければまたそれはそれでややこしいことになる.....めんどくさ。

 

「ネフェニーとレテは、神使がいる船内の護衛、キルロイは負傷したベグニオン兵の治療、ケビンやマーシャ、ツイハークはうちの船を狙ってくる鴉達の迎撃に当たってくれ。全員指示は通ったな?いくぞ!!」




一体何が起きているんだ.......評価バーが赤くなっている。日間ランキング28位になっている。(ちなみに別作品は24位でした.....要は自分の作品2つが日間にのってるんです.....)


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防衛戦は索敵の次にめんどくさい(個人的に)

僕って一応この二次創作を書く上で、蒼炎の軌跡をやりながら書いているんですが、その際に二次創作ではエイリスやミカヤを出撃させているんですが、実際はその2人抜き、ようはこのマップを10人でやるチャレンジとかしてるんですよ。きついです。


ネサラ「やあ、あんたたち俺の兵隊は役に立ってるかい?」

 

デイン兵「キ、キルヴァス王か.......」

 

「なんだ、覇気がないな。」

 

「ぐ.....このありさまを見てみるがいい!国境であのエイリスに敗れ、ノシトヒ様は討ち取られ、今回は他の部隊を出し抜こうと、おまえに高い金を払ってクリミア王女の船に追いつき、襲うことに成功した!なのにどういう訳か、ベグニオンの天馬部隊が我らを攻撃してくる!身元がばれぬよう鎧も脱ぎ、旗もあげていない。なのに何故だ!?」

 

「そりゃあ、仕方ないだろう。あんたがいま襲ってるのは、ベグニオンの船なんだから。」

 

「な.....に!?あの船が.....ベグニオンのものだと!?貴様の部下が、あれにクリミア王女が乗っているという情報をもたらしたのだぞ!」

 

「それ自体が誤情報だったってことだろうな。よくある不幸な勘違いってやつだ。」

 

「.......おのれ、キルヴァス王!たばかったのか!?」

 

「聞こえの悪いことをいわないでほしいね。なにもわざと間違えたわけじゃあない。その証拠に朗報を伝えに来てやったんだ。今しがた接近してきた船、あれにこそ、あんたたちお求めのクリミア王女が乗船してるって話だ。更に、お前たちの大将を討ったクリミアのガキもいる。」

 

「おぉ.....! だが、ベグニオンの兵たちの囲みを破らねばどうすることもできん.....!」

 

「俺が動いてやろうか?」

 

「.......それで、今度はいくら要求するつもりだ。」

 

「察しがよくなったじゃないか。そうだな、国王みずから動くんだ、通常の倍.....いや、3倍はもらいたいね。あの狂王を撤退させたクリミアのガキもいるんだ。もっと貰ってもいいくらいだ。」

 

「ばかな!そんな金.....もうどこにも.....」

 

「後払いでも請けてやるがね?ただし、利息分を更に上乗せしてもらうが。」

 

「消えろ.....!金輪際、貴様の力など借りん!」

 

「じゃあ、交渉決裂だ。気が変わったら呼んでくれよ。その辺で高みの見物をきめこんでるからさ。」

 

「.....呪われろ!あさましき半獣の同胞め。」

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にしても敵多すぎだろ。空にもいて地上にもいて.....ネサラはなんか上空で傍観してるな....まぁ参戦してこないからいいけど。謎の兵(デイン軍)はめんどくさいけど経験値源にはなるから10ターン以内に殲滅させるか。

 

ここの基本方針は、敵がなだれ込まないように船と船を繋いでいる橋を敵の渋滞、もしくは味方でつまらして倒していく。だけど前線に上げすぎると鴉がやってくるのである程度守備で頼れる人を先行させる。ある程度経ったら鴉が増援を出してくるけど、その頃には大分片付いてるからそこまで恐れることではない。あとはここに宝箱が結構あるから全部回収が難しくてもキラーボウやラグズアクスくらいは回収できるよね。

1番腹立つのはたまにステラが敵がいるところに味方の兵士を回復させるために移動する時だよね。なんでお前前線に行くねんという.....1ターン目に仲間にすれば大丈夫なんだけどね。それで今俺が何をしているかというと...

 

「はい、負傷したベグニオン兵の方はこちらに来てください〜、回復しますから。」

 

ベグニオン兵「おお、助かる!!」

 

地上で戦っているベグニオン兵の回復にあたっている。キルロイが担当しているのは負傷して撤退する状態の兵士の治療である。それと同時に

 

 

「上からくんじゃねぇよ!!」

 

「ぴゃぁぁぁぁぁ!!!」

 

上から襲ってくるキルヴァス兵を逐一倒している。あれ?おかしいな、蒼炎プレイした時にこんなに鴉いたっけ?原作より多くないか?アイクはちゃんと説得してるだろうか.....

 

 

アイク「大丈夫か?」

 

ステラ「あなたは.....?」

 

「俺は、グレイル傭兵団のアイク。縁があって、この船と神使を守るために来た。」

 

「まあ.......私はディアメル伯爵家のステラと申します。

 

「.....もしかして、あんたは騎士じゃないのか?だったら船室かどこかに避難したほうが.....」

 

「確かに、私は今....騎士の称号を与えられていません。だけど.....短い間でしたけど、騎士団に所属し、戦いの手ほどきはうけています。私は.....戦えます。」

 

「そうか.....だったら、いっしょに戦おう。それでいいか?」

 

「はい。よろしくお願いします。」

 

「あとついでに頼みがあるんだが.....」

 

「な、なんでしょう.....?」

 

「そっちにガトリーがいると聞いたんだが.....合ってるよな?」

 

「は、はい.....」

 

「なら、ガトリーにも俺たちと一緒に戦うよう説得して欲しい。頼めるか?」

 

「は、はい。分かりました.....」

 

 

 

うん、しっかり仕事は果たしてくれているみたいだ。前線ではティアマトとボーレが頑張ってやっている。ボーレは追撃取られてるけどなんとか避けてるしダメージも与えられてるからいいか.....回復はするしトライアングルアタックも見てみたいからへたれないように経験値稼ぎはしておかないと.....

 

ヨファ「ボーレ危ない!!」

 

ボーレ「おっと.....助かったぜヨファ。」

 

アイク「ボーレ、油断するなよ。」

 

「分かってるよ!!」

 

ガトリー「ったく、変わってないなボーレは!!」

 

「が、ガトリー!?」

 

「どうしたガトリー?妙な顔だな。」

 

「まあなあ~。結局、縁があったってことだよな、またこうして肩並べて戦うってことはさ。団長がいなくなった時、もうちょっと考えるべきだったかな~とかさ。」

 

「なんだ、あんたらしくないな。」

 

「おまえは全然気にしてないって顔だな。ムカついたりしてないのか?」

 

「出てったあんたたちの気持ちはよくわかったからな。.....あんたは出てったことでいい雇い主にめぐり合って戻ってきたんだろ?なら問題ないんじゃないのか?」

 

「そう! そうなんだよ!結果オーライってやつだよな!いや~おまえわかってるよな~ちょ~っと気まずかったもんでさ。なーんだ、気ィつかって損したぜ!」

 

「そうちょっとでも思ったんなら改めてよろしく頼む。」

 

「おおよ! まかせとけって!.....あれ?」

 

「ん?どうした?」

 

「この戦いを指揮してるのは誰だ?」

 

「ん?エイリスだが?」

 

「あのガキが今指揮取ってるのかよ!!てっきりセネリオがやってるもんだと.....」

 

セネリオ「.....彼が指揮を取った方が勝算が高いと判断したまでです。少なくともエイリスにはこの一帯がちゃんと見えているようですし。」

 

「へぇ〜、そいつは面白いな!!ちょっと心配だが.....のってやるか!!」

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ネサラ「お偉いニンゲンさまってのは、融通がきかないのが常だね。ああしてやせ我慢して死んでいくのがオチか.....しかし、こうやってただ指をくわえて観てんのも飽きてきたな。」

 

ニアルチ「ぼ、ぼ、ぼっちゃま!またなにやら悪巧みしておられますな!?」

 

「『ぼっちゃま』はよせ.....って、何万回言えばわかるんだ?ニアルチ!」

 

「ぼっちゃまは、ぼっちゃまです!何万回言われてもこれだけは譲れませんぞ!王になられても、このじいめにはお尻に卵の殻がついたままのかわいいぼっちゃまですじゃ!!」

 

「あー.....くそっ!もうろくジジイめ。まぁいい。おい、そこのおまえ!」

 

キルヴァス兵「はっ!」

 

「戦乱のどさくさに紛れて積荷をいただくぞ。あちらさんは、生身のニンゲンにしか興味はないようだ。だったら、お宝は全部、カラスの民が

もらったところで問題ないだろう。そして.....あの指揮を取ってるガキを襲え。殺して混乱を長引かせろ。」

 

「はいっ!」

 

「ふふん、ニンゲンどもめ。戦え戦え。その間にキルヴァスは、黒いくちばしを砥いでいるからさ。」

 

 

 

 

バサッバサッバサッ

 

「ん?」

 

妙に羽を羽ばたかせる音が多く感じるな.....あれかな?そろそろ増援が増える頃か。

 

キルヴァス兵「へっ!積荷は頂くぜ!!」

 

「あー.....もう回収し終わってるよ。」

 

「な、何!?」

 

「だってお前らこの混乱に紛れて取りに来たんだろ?それなら俺らの方で有効活用するから....帰っていいよ。あと情報あげるけど他の船にも防衛メンバーは置いてあるから、簡単に盗めるって思ったらダメだからね。」

 

「こいつ、ネサラ様が言っていた ....おいてめぇら、やるぞ!!」

 

1人がそう指示を出したところ、あっという間に俺の周りに5羽の鴉が集まった.......え

 

「ちょ、え!?何これ!?」

 

「お前を殺してもいいって言われてるからな!!ニンゲン!!」

 

ちょっと待ってこれどうなるんや




このままだと長くなりそうなので今回はここで切らせてもらいます。明日には花嫁フィヨルムが帰ってきますね.....もう連戦トライアルも庭園も縛るやつも全部クリアしてるので.....ログインとイベントくらいしかオーブの入手先がないんですよ(´・ω・`)


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神使なのじゃ!

思いのほか忙しく、更新が停滞しましたね。


何気に鴉に囲まれちゃってるけど、近すぎてお互いぶつかってるんですよね。ちゃんと連携取ろうよ。

 

「ねぇ、せめて連携取ろうよ。さすがにぶつかってたらやりにくくない?」

 

キルヴァス兵「うるせぇ!」

 

ちなみにどうでもいいけど、鴉って知能指数が犬よりも高いし、視覚も哺乳類より優れていて人間には見えない紫外線も見えるんだよね。だから鴉を含めた鳥類には虹が14色に見えるんだってさ。そしてそれと同時に.....鴉は眩しいくらいの光と超音波が苦手なのである。もし化身状態で同じような症状を起こせれば....戦わなくて済む。

 

「俺たちの国じゃ生物の研究はめちゃくちゃ進んでいてね、君たち鴉の研究をめちゃくちゃ進んでいるんだ。.....だから苦手なものも知ってるよ。」

 

そう言うと同時に目をつぶり、パージを自分の手前で発散させた。さすがに自分も間近にいるからね.....

 

「く、くそ!!眩しい!!」

 

魔法を止めたら、鴉達は空に撤退していた。この世界で同じ理屈が通用すると分かったのは大きな収穫だね。

 

「周りに誰もいなかったから出来たけど....ドラゴンとかってこういうの大丈夫なのかな?」

 

ふと周りを見渡したが、ジルは前線に行っているみたいだ。一応予防線を貼っておいたから、ケビンやマーシャは鴉と応戦してるし、あっちのデイン軍も大方片付いてはいるみたいだ。

 

 

 

 

 

海上

 

一方、海上ではフェニキス王ティバーンが、部下のヤナフとウルキを連れて船の戦いを発見した。島の配置的にはゴルドアの南にはフェニキスとキルヴァスが位置しているのでなんら不思議でもないのである。

 

ティバーン「ヤナフ、遠目はつかえるか?」

 

ヤナフ「はいはい。今日は霧がでておりませんから、おまかせくださいよっと。ええと、中央は間違いなくニンゲン―――宿敵ベグニオン帝国の船です。それから残りの船は.....どこですかね。どっちも旗を出していませんが.....やっぱりこちらもニンゲンです。片側は、ベグニオンの敵、もう一方が味方.....って動きをしてますね。」

 

「ニンゲンの船同士の戦いか?.....解せんな。ウルキ、やつらがなにを話しているか聞き取ってみろ。」

 

ウルキ「少しお待ちを............ベグニオンの船には.....神使が乗っている。救援にきたのは.....クリミア王女の部隊―――これは、傭兵のようです。あのクリミアの子供もいるようですね。最後の船に乗っているのは.....ならず者ではなく、どこかの国の正規兵ですね。キルヴァス王となにか契約があったようですが.....」

 

「神使だと!?.....そうか、それでお付きの天馬騎士どもが血相かえてうろついてるのか。」

 

「どうしますか、王よ。我々も動きますか?」

 

「.....神使がいるってのは、ずいぶん魅力的な話だがな。しかし、他人の尻馬にのるってのは.....なんとも無様な話じゃねえか。それにクリミアのガキは化石親父とためを張ったそうじゃねぇか。今入っても面倒になるだけだ。.....俺たちは国に戻るぞ。後で偵察をやって、結果だけ報告させろ。」

 

「はっ!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アイク「セネリオ!これで最後か!」

 

セネリオ「はい。正体不明の敵はおそらくこれで最後だと思います。あの鴉も大半は片付けましたし.....」

 

ガトリー「いや〜、今日もかっこいいところ見せたぜ!!どうっすか!?ステラお嬢様!」

 

ステラ「は、はい。とても....」

 

「セネリオ、船の方はどうなってる?」

 

「.....何羽か裏から回って略奪をしようとしていましたが、エイリスが予防線を張っていたので目立った被害はありません。」

 

「そうか。よし!俺たちも船に戻るぞ!」

 

 

???「やっと見つけたわ!サナキ様...どうかご無事で.....全軍、突撃!神使親衛隊の力を示せ!!」

 

 

ネサラ「予想どおりの結末だな。割り増し料金払ってくれりゃ助けてやったんだがねぇ。ま、ニンゲンが何人死のうが俺たちには関係ないさ。おい、こちらも引き上げるぞ!」

 

「はっ!」

 

 

 

 

.....結構10ターンって短かったな。プレイしてる時はもっと長く感じたんだけど。あれかな?ヘクトルハードの夜明け前の攻防を経験してるからかな?

 

 

アイク「エイリス、そっちは無事か?」

 

「ああ、特に何も無い。鴉の被害もゼロだ。」

 

「よくやった。それにしても.....さっきの奴ら、格好は海賊だったが.....動きはまるで違ったな。」

 

ティアマト「そうね.....あれは、あきらかに訓練を受けた者の戦い方だったわ。どこかの国の軍隊が.....神使の命を狙ってきたのかしら?」

 

「.....ありえない話ではないね。神使の存在は、ベグニオン帝国の象徴だ。皇帝たる神使を失えば.....あの国は一気に弱体化すると考えるのが妥当だ。」

 

「そうなのか.....」

 

タニス「.....神使がおられないだと!?どういうことだ、それは!」

ナーシル「あの声は.....」

 

「何かあったみたいだな。いってみよう。」

 

 

 

 

 

 

ベグニオン船

 

タニス「.......勘弁してくれ....いいかげん、頭痛がしてきた。」

 

ベグニオン兵「も、申し訳ございません.....!この上は、この命を絶ってお詫びするより他に.....」

 

「つまらぬことを言うな。悔いるより先に実のある行動をしろ。神使様を一刻も早くお捜しするのだ。」

 

「ははっ!」

 

 

アイク「おい、あんた。神使がまたいなくなったのか?」

 

「クリミアの方か.....」

 

「船室の入り口を守っていたのは俺たちだ。俺の知る限り、敵に破られたりはしなかったんだが....」

 

「ネフェニー、レテ。状況報告を頼む。」

 

ネフェニー「一応神使様っていう人はおって守っとったんけど.....」

 

レテ「途中で室外に出たいと言い出してな。戦場だから辞めろと言ったが聞かなかったんだ。だからネフェニーが付き添う条件なら少しだけいいと言ったんだ。」

 

「そしたらベグニオンの兵隊さんがクリミアの兵は神使の近くに寄るなって言われて.....」

 

なるほど。これでサナキが出ていかないようにしたけどまさかのここでプライドを発揮されたのか。

 

タニス「.....部下には後々重い処分を渡す。今は上司である私の平伏に免じて気を悪くしないで欲しい。」

 

そう言ってタニスが頭を下げた。いやいや別にタニスが頭を下げて謝ることでは無いでしょこれは.....

 

アイク「状況は分かった。とりあえず俺たちも神使の捜索に協力しよう。」

 

「それは助かる。我らは敵の船を捜索する。あなた方の船の方も念の為探して欲しい。よろしく頼む。」

 

「分かった。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「.....捜す、といってもな。俺は顔も知らないんだが.....神使で、ベグニオンの皇帝.....太った貫禄のありそうな、おっさんか?」

 

「(´^ω^`)ブフォwww」

 

「ん?どうしたエイリス?」

 

「いや特に何も....」

 

正体を知ってるし、この話を2周目に聞くとオリバーの顔が思い浮かんで笑いが止まらない。

 

「アイク、ベグニオンの神使は、代々、女性がなるものですよ。」

 

「へえ?」

 

「じゃあ、気品があって、身分の高そうな女性ということね。手分けして捜しましょう。私とミストはあっちを見てくるわ。」

 

ちょっと待って.....お腹痛い。笑いが止まらない。

 

「じゃあ、俺とセネリオとエイリスはこっちだ。」

 

 

 

 

 

「......セネリオ、今朝の話だけどな。」

 

「え?」

 

「口のききかたの話。」

 

「す、すみませんでした!」

 

「いや、そうじゃなくてな。おまえのことだから、実は結構、気にしてるだろ?」

 

「いえ、その....」

 

「あんまり落ち込むなよ。俺も五十歩百歩なんだし。人が気を使って言いにくいことをはっきり言えるのが、おまえのいいところでもあるんだ。お前もそう思うだろ?エイリス。」

 

「うん。はっきり言えるからこそ参謀がちゃんと務まるんだよ。」

 

「.....は.....はい.....ありがとうございます.....!」

 

「さて、問題の神使さまだが.....」

 

「あ....!」

 

「いたか?」

 

「いえ、あそこに子供が倒れています。」

 

「!!なんだって、こんなところに子供が.....」

 

「.....親に連れられた貴族の子息が、ベグニオンの船から紛れ込んだ.....と、いったところでしょうね。助けるんですか?」

 

「ほっとくわけにもいかないだろう。」

 

数十分後

 

 

「おい、おまえ、大丈夫か?」

 

サナキ「う、うぅ.....ん.....」

 

「おい、しっかりしろ!」

 

「う……お、おまえは?先程見たラグズ.....ではなさそうじゃの。新入りの兵士か?」

 

「いや、クリミア王女に雇われている傭兵だ。」

 

「クリミア王女の.....っつ.....!」

 

「どうした? ああ.....足にケガをしてるな。見せてみろ。」

 

「な! わ、わたしに気安く近寄るでないっ!こら、さわるなと言っ.....いたたたた.....痛いわっ! このバカものがっ!!」

 

「骨は折れてないみたいだな。でも、ま、念のために見せておくか。」

 

「お? おおお?な、何をするのじゃ!?」

 

「近くに治せる仲間がいるからな。そこへ連れていくだけだ。」

 

「わたしを助けようというのか?おまえ、他に用があったんではないか?」

 

「神使って、お偉いさんを捜しに来たんだが.....そっちはベグニオンのお供連中が見つけるだろうし。怪我人を助けるほうが先だ。」

 

「ほぅ.....なるほど、これはたしかに.....」

 

「どうした?」

 

「いや、なんでもない。そういうことであれば、手をかりよう。」

 

「おい、エイリス。」

 

「ん?どしたの?」

 

「この子供が怪我をしている。治してやってくれ。」

 

「はいよっと.....杖かけるから大人しくしててよ。」

 

俺は自分で作った杖でサナキを治療した。そこまで重傷ではないから良かった。というかどうやってこの怪我を負ったんだろう。

 

ミスト「お兄ちゃーん!そっち、神使さま、いたー?」

 

「いや、子供が1人落ちてただけだ。」

 

ティアマト「あら、可愛い子ね。」

 

「一応エイリスが怪我を治療したんだがな。さっきからブツブツと、訳のわからんことを言っている。」

 

サナキ「こやつら、無知ゆえのたわむれと黙っておったが.....その態度.....もはや我慢ならんぞ!」

 

「? どうした、どこか痛むのか?」

 

「聞いて驚くがいい、下賤なる者どもよ!」

 

「何?」

 

「わたしこそがベグニオン皇帝サナキ!女神の代弁者たる、神使なのじゃ!」

 

「な、なんだってー(棒)」

 

「ベグニオンの.....なんだって?」

 

ティアマト「え、じゃあ、この子が.....」

 

ミスト「神使さまってこと?」

 

「いや、それはないだろう。」

 

セネリオ「ないですね。」

 

「2人とも、そんな言い方をしては可哀想よ。たとえ嘘だとしても、何か事情が.....」

 

そしてこの茶番である。もうここは何回か見ても面白いんだよなぁ...

 

「そうだよー、本当に神使様かもしれないしねー(棒)」

 

「おぬしら.....!」

 

???「サナキ様! ご無事ですか!申し訳ありません!お守りすべき我々が至らぬばかりに、御身を危険にさらしてしまうとは.......」

 

「シグルーンか!遅いぞ。わたしになにかあったら、どうするつもりだったのじゃ。」

 

シグルーン「平にご容赦くださいませ。」

 

「よい。此度のことは、わたしにも責がないでもない。」

 

.....シグルーン美しいな。これで夫候補がいないとかどんな人生を送ってるんだよ。

 

「Oh beautiful princess, I suppose I was led here to meet you.(おぉ麗しき姫よ、私はあなたと巡り会う為にここに導かれたのだろう。)」

 

「は、はい?」

 

俺は思わずシグルーンの手を取り、平伏していた。うん、この美しさの前だったら仕方ないよね。

 

「おぉ、そなたもシグルーンの美しさが分かるのか!中々目の付け所が良いではないか!」

 

「サナキ様、お恥ずかしいです.....」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ....

 

「ひっ!」

 

うん、分かってはいた。後ろから2つほど明らかな殺気を感じていましたよええ。

 

ネフェニー「あんた....」

 

ミカヤ「エイリス.....」

 

『あとでゆっくりお話しましょうね。』

 

\(^o^)/、これ絶対死亡フラグじゃん。

 

シグルーン「クリミア王女の護衛の方々ですね?この度は、本当にご迷惑をおかけしました。」

 

アイク「あんたは.....?」

 

「これは、失礼致しました。ベグニオン帝国神使親衛隊長シグルーンと申します。神使様をお救いくださり、お礼の申し様もありません。」

 

ミスト「え.....じゃあ、やっぱり?」

 

ティアマト「まさか、本当にあの子が.....」

 

アイク「ベグニオン帝国の.....」

 

セネリオ「神使―――皇帝のようですね。とても信じられませんが.....世の中広しといえど、聖天馬騎士を従える身分の者がそういるとは思えません。」

 

シグルーン「さ、神使様のお召しです。帝都シエネへ参りましょう。クリミアの姫君は、どちらにおいでですか?」

 

「船室にいるはずだ。案内しよう。」

 

 

 

サザ「ミカヤも戻ろう。」

 

ミカヤ「サザ、先に行ってて。私はやる事があるから....」

 

「だけどミカヤ.....」

 

「い、い、わ、ね?」

 

「(こ、怖.....)わかった。終わったら直ぐに戻ってくれよ。」




シグルーンは美しい。異論は少しなら認めます。今回出てきた名前のあるキャラは皆ヒーローズに実装されてますから分かりやすいですね。

キャラ解説 サナキ

ベグニオン帝国第37代皇帝にして、女神の御声を授かる神使の少女。幼いながらも皇帝としての威厳を持ち、帝国内の貴族闘争、覇権争いにも断固として立ち向かう勇気がある。そして元祖のじゃロリ。ソティスものじゃロリとか言われてるけど元祖はこの子。ヒーローズで実装されているジムベリンは暁の女神における最上位炎魔法。最近は神装実装もされている。

シグルーン

ベグニオン帝国神使親衛隊隊長。平時は物腰が柔らかく、とても優しい女性。しかし、主であるサナキを侮辱する者にはとても厳しく、強烈な殺意を見せることすらある。 サナキを尊敬している理由は、ベグニオンの腐った元老院の言いなりにならず臣民に対して心を砕いていることを知っているから。ハールとは旧知の知り合いだが、ペアエンドなどない。マーシャの元上司で彼女の実力を高く評価している。


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帝都をぶらり

FEでもFEHでも共通しているのはボスよりも手下の方が厄介ということですな。


ミスト「楽しみだよね!」

 

ヨファ「うん、そうだね!」

 

「あんまりはぐれるなよ.....時間になったらポータルで大神殿まで飛ぶからね。」

 

『はーい!』

 

長い船旅のせいで団の皆も疲労していた。でもかといって神使から招かれてるのに疲れてるから後にしてくれとは立場的には言えない。でも大神殿と港はかなりの距離があるので、面会が始まるまで結構時間が余るのである。そこでアイクの計らいにより、ヨファとミストとミカヤとサザに街で買い物をしていいと言った。.....俺込みで。ミカヤとサザに関しては俺が頼んで連れてきた。.....さすがにこのまま連れていったらとんでもないことになるからな。

 

「さすが帝国なだけあって商品の数とかも桁違いだな....」

 

サザ「それにしてもデインとクリミアが戦争をしているというのに随分の呑気なんだな。攻められないという根拠もないのに。」

 

「帝国相手に戦争は難しいよ。さすがに宗主国相手に反旗を翻そうと思ったら充分な物資と強力な戦力もいるわけだし。」

 

ヨファ「サザもそんな事今は考えないで、楽しもうよ!」

 

「いや、そういう訳には....」

 

ミカヤ「いいじゃない、サザ。ここ暫く気を張り続けているのだから。」

 

「ミカヤがそう言うなら....」

 

ミスト「ミカヤさん、こんな飾りも合うんじゃないかな?」

 

「えっ.....そうかしら。」

 

なんかこう、あれだね。こういう暁では見られないほのぼのした光景を見ると少し心が落ち着くというかなんというか.....転生して良かったなと思える。ヒーローズでも絡みが出てくると嬉しいね。

 

ヨファ「助けてエイリス!!」

 

「ん?どうした?」

 

「このおじさんが子供だからって弓を売ってくれないんだ!!」

 

武器屋「当たり前だろが!こんなちんちくりんなガキに武器を売るわけないだろ!!危ないだろ!」

 

「まぁまぁおじさん、仮にも子供でもヨファは傭兵稼業やってますから。」

 

「よ、傭兵?こんな小さいガキが?というかお前もガキのような....」

 

「はい。自分は魔道ですけど。」

 

「なるほどな.....でも、身元提示出来るものないだろ?さすがにこっちも子供に武器を売る訳にはいかないんだ。」

 

「それはそうですね....」

 

「だからおたくの傭兵団?のお得意先の商人に話を通してくれ。それなら売れるからな。」

 

「分かりました。ご迷惑をおかけしてすみませんでした。」

 

「いやいや。話が通じて良かったよ。」

 

 

 

「というかヨファ、なんで弓を?」

 

「えっと.....練習用に欲しいなって。」

 

「それは.....また今度買おうな。」

 

 

 

数十分後

 

ミスト「うん!これいいよ!サザさんもいいと思う?」

 

サザ「ああ。ミカヤ、似合ってるよ。」

 

ミカヤ「ふふっ、照れるわね.....」

 

「そっちはどうした?」

 

「あっ、エイリスさん!見てみて!ミカヤさんおめかししたんだ!凄い大人の人っぽくて憧れちゃうなー.....」

 

「おめかし....」

 

ミカヤを見てみると、少し恥ずかしそうにしていた。このゲームの世界のファッションのセンスというのは全く分からないが、少なくとも会った時よりかは雰囲気が良くなっていた。

 

「宝石のような派手なものは一切身につけてないけどどこか雰囲気がある.....そのペンダントも貰ったものなの?」

 

「ええ、選んでもらったものなの.....どうかしら?少し派手すぎるような気もするのだけれど.....」

 

「いいんじゃないかな?」

 

「ふふっ、そうね...」

 

本人的には結構お気に入りになったのかペンダントを指で弾きながら見ている。

 

「どうしたサザ、顔が緩んでいるように見えるけど。」

 

「いや.....ミカヤが久々に笑顔を見せたからな。旅をしている時には全く見せないもんだし。」

 

「それは良かったじゃないか。」

 

「あぁ.....あんたには謝らなきゃいけないかもな。」

 

「ん?」

 

「この前は無礼な態度を取って悪かった。あんたがミカヤを守って連れてきてくれたから.....こうやって笑顔を見れた。それは感謝しないわけにはいかない。」

 

「別にそんなお礼いらないよ.....お礼ならミストとヨファに言ってあげて。」

 

「勿論そのつもりだ。」

 

 

ミスト「エイリスさんも服替えようよ!」

 

「え?俺も...?」

 

ヨファ「うんうん!ずっと頑張ってたんだからご褒美があってもいいよね!」

 

「........」

 

ミカヤ「ふふっ、エイリスもやってもらったら?」

 

サザ「だな。あんたも労働に応じた報酬があってもいいだろう。」

 

「正直服はどうでもいいんだけどさ.....いや、ご厚意に甘えるよ。けど、時間になったら戻るよ。」

 

「うん!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

一方アイク達は

 

ジル「団長殿、少しお聞きしたいことが.....」

 

アイク「ん?なんだ?」

 

「いえ...前々から不思議に思ってはいたのですが、何故あのエイリスという子供が指揮を取っているのですか?」

 

「エイリスが指揮をとる理由か....特に考えたことは無いな。」

 

「え!?」

 

「俺は考えるより戦場で剣を振る方が向いている。」

 

セネリオ「.....僕達は傭兵ですから、正規の軍のように指揮を取る人間が実績を積み上げておく必要はありません。その場その場に応じて策を練る.....それだけです。」

 

ガトリー「でも不思議っすよね〜。あいつ、まるで未来が見えているかのような指揮をするもんだから!!相手の動きでも分かってるんすかね?」

 

アイク「エリンシアは何か分かるか?クリミアにいた頃のあいつの事。」

 

エリンシア「そうですね....私は1度戦場に連れていってもらった事があるのですが.....統率は見事でした。今とあまり変わらないというか.....すみません、詳しいことまでは...」

 

ケビン「だがクリミア軍の中ではかなり噂になってたぞ!基本的にデインとの国境近くの紛争や賊の統制とかは全部エイリスが受け持っていたからな!」

 

オスカー「確かにそうだね。少なくともクリミア軍の部下の中でも彼の指揮を疑った人は少なかったからね。不思議な何かがあるのかもね。」

 

ネフェニー「後は.....前に出てるから?」

 

ジル「前に?」

 

「うん.....あの人は、指揮を取ると同時にちゃんと前線で戦ってるから....皆鼓舞される....かも.....」

 

セネリオ「少なくとも偉そうにふんぞり返って指揮を取る軍師に比べれば信用は出来るでしょうね。それにもし策に穴があれば僕が指摘しますので。」

 

ジル「傭兵とは、難しいのだな。」

 

アイク「だが現に俺たちはエイリスの指揮で有利に戦えている。共に戦ってるからこその信頼?そんなところかもな。」




次回からは割と過激になると思いますので、今回はちょっとほのぼのした回があってもいいかなと。短めですが。


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ここらで一喝

アイクが肥沃になるのはもう少し先になりそうですね。相手は誰だろう.....なんかセネリオかライにしそう、運営なら。


ベグニオン帝国は女神アスタルテを奉る宗教国家であり、巨大な版図を持つ大陸最大の国家でもある。その頂点に君臨する皇帝は世界を導くために女神から、つかわされた使者――【神使】と呼ばれ、神の代理人として、国民からの敬愛と崇拝を一身に受けていた。その下、七人の有力公爵より構成される粗大ゴミ.....失礼、元老院が、神使を補佐して政務を担当、この体制が、数百年の長きに渡ってベグニオンを支え、動かしてきた。計らずも神使サナキを助けたアイクたちは、神使親衛隊の案内をうけ帝都シエネに招かれる。上級貴族はすなわち聖職者というこの国の特徴から貴族たちの住居はそのほとんどが神殿の形をとる。街の中央には、女神アスタルテがそこから世界を見守るといわれる【導きの塔】があり、そのまわりを、大小の神殿が秩序立てて並んでいる。

 

とまぁベグニオンの形式を紹介したところで、俺たちは今大神殿マナイルにいる。ちなみにミカヤとサザには神殿には行かせず、街中でそのまま歩いておいてくれと話しておいた。ミカヤに大反対されたが、さすがにここに連れてくるのもあれだったし、緑風(笑)がちゃんと護衛をしてくれるか微妙だったので神殿で合流した際に、ジルをワープさせミカヤ達に同行してもらっている。さすがにデインの軍人が敵国と宗主国の話の場にいるのはきついだろう....本人にも少し余暇を過ごしてもらいたい。同じデイン出身なら話も出来るだろうし.....

 

サナキ「....こほん。では、そなたがクリミア王ラモンの遺児エリンシア姫だというのじゃな?

 

エリンシア「はい。」

 

サナキ「確かに.....故クリミア王に、陰の王女ありとの報告は聞いている。しかし、そのほうがまことその王女であるやいなかは、それはまた別の話。なんぞ身の証となるようなものはないのか?」

 

「それが.....デイン王の魔手より逃れることが精一杯で....証とするものはなにひとつ...持っておりません.......」

 

「ふぅむ。クリミア王弟レニングも亡くなったいま、そなたの顔を知る者とておらぬ。どうしたものかの.....」

 

アイク「俺が保証する。」

 

「アイク様!」

 

「エリンシアは、間違いなくクリミアの王女だ。」

 

「ほぅ.....なにをもってしてそう言いきるのじゃ?生まれ落ちてよりこれまで、1度たりと外部と接触したことのない姫ぞ。それを、一介の傭兵ふぜいがなぜ本物であると断言できる?」

 

「.....デイン軍が、血眼になって彼女を追っている。これまで何度も『クリミア王女を引き渡せ』と俺たちに要求してきたんだ。これ以上の証拠はないだろう。」

 

「.....それが、しかるべき地位にある者の言であれば立派な証となるであろうな。じゃが、おまえ自身....姓ももたぬ、素性も不確かな平民ではないか。平民はその貧しさゆえ、金を積まれれば、どんなホラ話であってもその片棒をかつぐのであろう?」

 

「だったら元クリミア騎士の俺が言っても納得できませんかね。俺一応デイン王アシュナードと交戦しましたし、姫とは接触は何度かありました。さすがにデイン王が重傷を負ったという知らせくらいは聞いてるしでしょう?」

 

「うむ。その知らせは聞いておる。して、それがそなたであると申すのか?」

 

「はい、そうですが?それにおかしいですね、宰相のペルシス公がどこにも見当たりませんが....なぜですかね?」

 

ちょっとだけ鎌をかけてみる。これで後ろの粗大ゴミ....失礼、後ろの議員達がどう言うだろうか。

 

ルカン「ペルシス公は今は関係ない。口を慎め。平民風情が。」

 

サナキ「お主のことは分かった。それで、そちらはどうなのじゃ?」

 

アイク「俺は、貴族でも騎士でもない。王宮とのかかわりもいっさいない。だが、俺は.....どんなに金を積まれても、自分の信念にそむくような嘘はつかん。エリンシアからは、護衛としての報酬をもらっている。それだけだ。俺と.....俺の仲間たちは、彼女が嘘をつくような女じゃないと信じられるからこそ、ここまでいっしょにきたんだ。おまえがどんなに偉い存在かは知らん。だが、俺たちとエリンシアの間にある信頼を侮辱するようなことは許せん。」

 

エリンシア「アイク様.....」

 

「な、な....神使様にたいし、なんという口のききかた.....衛兵! この者どもをひったてよ!!不敬罪で、極刑に処するのだ!」

 

「やめい!.....ぷ くくくくセフェランの報告どおりじゃ。おまえは、ほんに面白いの。」

 

ルカン「し、神使様!?」

 

「セフェラン....あの巡礼僧のことか?」

 

「巡礼僧.....あやつめ、そう名乗ったのか。相変わらず読めぬ男よ。よいか、ぺルシス公セフェランは、我が片腕たる宰相ぞ。各国の情勢を把握するなどと申し.....ここ数ヶ月の間、国をあけておるがな。そこのクリミアの騎士とやらは知っておったみたいだがの。」

 

シグルーン「クリミア王女、そしてその護衛につく傭兵団のことなどは、逐一、国に報告されておりました。」

 

「それで、私が訪れることを.....ご存知だったのですね?」

 

「うむ。試すようなまねをして悪かった。じゃが、宮廷というところは、ほんに面白みのないところでな。わたしは、いつも退屈しておるのじゃ。此度の問答は、姫の護衛のおかげで、なかなかに楽しめる余興となったぞ。誉めてつかわす。」

 

.....サナキ故だから仕方ないという言葉が通じるかもしれないが、普通ならこんなもん激怒案件だよな。

 

オリヴァー「お、おぉ、そういうことでしたか。神使様らしい、気の利いたお遊び。このタナス公オリヴァー、すっかりだまされるところでしたぞ。のぉ、ルカン殿。」

 

「ご、ごほん。そういうことでしたか。.....神使様もお人のお悪い。いやしかし、確かに.....暇つぶしの余興としては悪くないものでしたかな?ヘッツェル殿。」

 

ヘッツェル「ホッホッ まことに。クリミアの姫よ。そなたたちは、どうやら神使様のお気に召したようですぞ。光栄に思われるのですな。 ホッホッホ」

 

サナキ「そうそう、うっかり忘れるところじゃ。そなたの身元は、すでにセフェランが保証しておる。これ以上ない証といえような。安心するがよいぞ。」

 

「.....感謝.....いたしま.....」

 

アイク「.....ちょっと待て。」

 

サナキ「ん?」

 

「いったい、どういうつもりだ?エリンシアがクリミア王女だとわかった上で、不安をあおっておいて.....余興だ? 気の利いたお遊びだ?ふざけるなっ!」

 

サナキ「.......」

 

「エリンシアは、国も家族も....全てを失った。頼る者がいないから、危険を冒してやっとここまでたどり着いた。それを....人の苦労を笑い話にして、何が楽しい!?悪趣味にもほどがある!おまえたちは最低だ!!エリンシアに、もっとちゃんと詫びろ!」

 

エリンシア「ア、アイク様.....」

 

「こ、こやつ、まだ懲りずに神使様への侮辱行為を.....!」

 

ルカンが魔導書を構えた....消す気だな。

 

「やってみろよ。団長に攻撃するなら俺も容赦はしない。相手が元老院であろうとな。」

 

俺もアーリアルを構え迎撃体勢に入る。いっそここで消すのもいいかもな.....

 

サナキ「控えよ、ガデュス公ルカン!」

 

「し、しかし!」

 

「わたしが話しておるのじゃ、黙るがいい。」

 

「ぐ.....ぅ....」

 

サナキ「さて、アイクよ。そなたの気持ちはよくわかった。まこと、麗しき主従の情じゃ。我が臣下どもにも見習わせたいほどのな。.....じゃが、いいかげんにするのは、そなたのほうじゃ。これ以上大声で吠え立てるのは、王女の立場を悪くするだけだと、なぜわからん。」

 

「なんだとっ!?」

 

「エリンシア姫が、たとえ、本物の王女だとしても、しょせんは亡国の主でしかない。ベグニオンの後ろ盾なくして、国の再興などありえぬ。ちがうか?」

 

サナキの発言は足元を見ているという言葉が正しいが、同時に正論である。亡国が再興する為にはそれまでその国を守る後ろ盾が必要。そこに一切の間違いはない。

 

「!!」

 

「いかに気分を害そうとも、そなたたちは祖国再興のため、我がベグニオンの機嫌をとっておかねばならぬ立場であると気づく頭も持ち合わせぬのか?」

 

「.....くっ」

 

「よく考えてみるのじゃな。では、わたしは退座するぞ。クリミアについての件は、元老院にて協議をはかったのちおって沙汰する。それまでは、ゆるりとくつろぐがよいぞ。.....あ、そうじゃ。エイリスと言ったか。」

 

「はい、何ですか?」

 

「お主はまだここに残れ。退室させたのち、話がある。」

 

.....俺単体で、か。何だろうな、もしかしてセフェランに色々意見したからその刑罰みたいな措置が取られるのか。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

サナキ「さて.....セフェランからは色々聞いている。お主は一体何者なのじゃ?」

 

「何者?」

 

「お主はセフェランの正体を知っていながら意見した。先程の面会を見るにそなたは自分の立場をちゃんと弁えていた。更には狂王すら退けている....お主は何者なのじゃ?」

 

「何者と言われても....今は傭兵団の一員としか。」

 

「.....分かった。今はそうしておこう。そなたと事を構える訳にもいかないからの。では、わたしは退座する。」

 

......どういう事だ。ベグニオンならもっと強気に出てもいいというのになぜこっちに配慮するんだ。全く意味がわからない。.....でも仮にこの場でやり合ったら確実に被害は大きいだろう。それを考慮したからか。

 

バタン

 

ルカン「これを書いてもらおう。」

 

そしてルカンが1枚の書類を出してきた.....なんだこれは。

 

「これからベグニオンとクリミアの協力関係を結びつける上での大事な資料だ。神使様に無礼な口を聞いたあの男や、外交を知らない姫よりお前に書いてもらう方が何かとクリミア国民が納得するだろう。勿論断ればどうなるか、分かるな?」

 

「書類読むので静かにしてもらえませんか。迷惑です。」

 

「貴様.....」

 

俺は渡された書類を読んだ.....もしかしてこれって、血の誓約書か。内容を見る限りクリミアが属国となること、ベグニオンによる内政干渉の許可、ベグニオンの意向に沿うラグズに対する奴隷見識.....確かにエリンシアは納得しないだろうし、今までのクリミア国王が親ラグズ派を取ってきた以上、邪魔な存在なんだろうな。

 

ヌミダ「副議長であるルカン殿が直々にこの話を進めて下さっているのだ。調印するのになぜ躊躇いがある?本来ならば議論するところを飛ばすのと同義。これ程までに嬉しいことが他にあるか。」

 

「.....こんなことは言うまでもありません。」

 

ルカン「ふむ、ならば答えを言え。」

 

「お断りです。こんなふざけた契約になぜ調印しないといけない。考えるに値しない紙切れだ。」

 

俺は元老院.......いや、ルカンの目の前で血の誓約書を破った。そしてそれを投げ捨てパージで粉々にした。

 

「な、き、貴様....!」

 

「今までこうやって各国を従えていたんですか?キルヴァスが苦しんでるのもこのせい.....俺、知ってますからね。」

 

「な、何を根拠にそんな事を!?」

 

いやだってそうじゃん。蒼炎と暁やってるんだよ?知らない筈ないでしょ。

 

「それに貴殿らの国々では大分問題があるではないですか。先代神使とその孫娘の暗殺、そしてセノリスの大虐殺....おかしいですよね?戦う力のない鷺の民がどうやって神使を殺すと?護衛がいるなら普通はそんなデマしませんよね。それで?護衛はどうしたんですか?生きてるなら当然死刑にしてますよね?それとも鷺の民にもやられる弱っちい兵士を傍に置いていたんですか?大陸最大の帝国と聞いて笑えますね。」

 

「.....貴様には関係のない事だ。」

 

ヌミダ「先程から聞いていれば.....なんだその態度は!?我々が直々に手を貸そうと言っているのが分からないのか!?」

 

「気分を害したのならば申し訳ない。でも我々ってどの範囲ですか?まさか神使様を入れてないですよね?」

 

ルカン「貴様.....無礼にも程があるぞ!!衛兵!私が許可する、この者を殺せ!!」

 

すると近くから衛兵がぞわぞわと出てきて俺の周りを包囲した。さすがに大神殿で事を構えるのはあれだが.....煽った以上、やってやる。そして俺はアーリアルを構え、発動する準備をした.....

 

ピャァァァァァァ.....

 

「ん?」

 

パリィン

 

その時、神殿のガラスを割り、大きな鳥が飛んできて俺を担いで外へ行った。やべぇ....肩外れそう。

 

ルカン「待て!逃げるな!」

 

サナキ「何をしておる!!お主ら!!」

 

「し、神使様!申し訳ありません!!あの子供が無礼なことをしたもので.....」

 

「それでも、ここがわたしの神殿と知ってのことか!慎め!!」

 

「も、申し訳ありません.....」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アイク&エリンシアside

 

アイク「なんだ、あれは!人の弱みにつけこむようなものの言い方をして.....!皇帝だか神使だかしらんが気にくわん!」

 

ティアマト「ねえ、アイク。神使は....むしろ、あなたを救ってくれたんじゃないかしら?」

 

「.....何?」

 

ナーシル「そのとおりだよ。ベグニオンは古来のしきたりにとらわれる国。その象徴ともいえる神使を侮辱して今、こうして命があることは奇跡なんだ。」

 

「!」

 

「そしてもちろん、君の行為は雇い手であるエリンシア姫の責任ともなる。もし本当に、神使を怒らせてしまったら、クリミア王国再興は夢と消えるところだった......エイリスくんが残されたのもそれが原因かもしれないしね。」

 

「そんなバカな....」

 

「アイク.....納得できないでしょうが、馬鹿なことが平気でまかりとおるのが....貴族の世界なんです。同じベオクの中でも身分差があり、そこに差別は存在する。平民に生まれた時点で、生涯.....貴族に逆らうことは許されない....今は亡き団長やエイリスのように群を抜いて強く、貴族に目をつけられる存在以外は....」

 

アイク「.....エリンシア姫、その.....すまなかった。知らなかったとはいえ、うかつなことをした。.......本当にすまん。」

 

「いいえ。私.....アイク様が私のことを、あんな風に考えてくださっていたのだと知って.....とても、うれしかった。」

 

「!」

 

「私のために怒ってくださった.....その言葉1つ1つが.....心にしみわたりました。」

 

「.....そんなたいそうなことじゃない。」

 

「.....だけど、1つだけ訂正させてください。確かに、私は家族を亡くし.....国も失いました。.....だけど、頼る相手はいます。アイク様と傭兵団のみなさんがいっしょにいてくださる.....エリンシアは.....とても......とても幸せだと、そう思っています。」

 

「エリンシア.....」

 

「アイク様や皆さんの口からもう一度聞きたいのです.....わたしは、皆さんの仲間、になれたのでしょうか。」

 

「当たり前だ。あんたは俺たちの仲間だ。.....だからな、エリンシア。」

 

「何でしょう?」

 

「俺たちの事を様付けして呼ぶのはそろそろやめて欲しい。エイリスは呼び捨てなのに俺たちだけではな....」

 

「あ、す、すみません!癖のようなもので.....」

 

「慣れてくれればいい。俺たちもそっちの方がお互い距離を感じなくて済むと思っている。」

 

「分かりました.....アイク。」




久々の投稿ですね、他の二次創作も投稿しつつ、バランスが取れたらこっちも投稿していきます.....


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傭兵団の仕事の前に

ワユルキナ.....いや、いいんだよ。とても可愛らしい。双界というのも新しい発想だ。だけどな.....なぜキルロイを別にしたんだ.....ワユキルロイもやってくれよ運営。


あらすじ

騒動に発展する前に助けられた、以上

 

そして今何故か僕は空を飛んでいる。といっても鳥のラグズに掴まれてるからだけどね。

 

???「同じニンゲンでも、あんな腐ったやつらとお前みたいな無謀な奴がいるんだな。」

 

???「全くだ.....」

 

「あの....君たちは誰?」

 

化身状態のラグズは殆ど分からない。せめて化身を解除してからやって欲しい。

 

「話は一旦遠ざかってからだ。」

 

 

 

 

帝都郊外

 

ヤナフ「さてと、一応名乗ってといた方がいいか。俺はヤナフ。鷹王の目だ。」

 

ウルキ「私はウルキだ.....今から言う質問に答えよ。」

 

「質問?」

 

ウルキ「ああ.....さっきの言葉はどういう意味だ?」

 

ヤナフ「言っておくけどお前の言葉がそのまま我が王に報告される。下手に言葉は飾らない方がいいぞ。」

 

「とりあえず....セノリスの大虐殺についてって事だよね?」

 

ここで言葉選び間違えたらヤナフとかが後で仲間にならないとかそういう展開が生まれそうなので慎重に言葉を選ばないと.....

 

「俺たちが聞くことは2つ。1つ目はさっき言った鷺の民を虐殺したあの事件の真相、そして2つ目はキルヴァスとベグニオンの関係だ。」

 

「....ニンゲンの言葉を信じていいのか?」

 

「.....なんだと」

 

「俺はあんたらラグズが憎むニンゲンだ。敢えて自分の事をベオクとは言わない。ニンゲンには表と裏があって平気で嘘をつく.....そう思っている種族に対して尋問してそれをそのまま報告して大丈夫なのか?」

 

「あぁ。それにお前からはそんな匂いがしない。それに嘘だった時は俺たちがお前に報復する。それだけだ。」

 

「さらっと物騒なことを言うなよ.....」

 

俺は今2つの意味で迷っている。1つ目はここで真相を伝えたとしてこの後どんな影響を与えるか分かったものじゃないからだ。俺という存在は本来存在しない、その上で物語にあまり大きな影響を与える訳にもいかない。2つ目はこれがネタバレ事項だからだ。蒼炎の軌跡をやった事がある人はまぁそうだったねで済むが、未プレイの人からしたら重大なネタバレになる。しかもこれ自体蒼炎でも後半の内容だからな.....どうしたものか。

 

「....キルヴァスの事は国と国の問題だ。外部が事情を知らずに干渉するのはかえってややこしくするだけだ。ただ、関係がある事は事実だ。」

 

「じゃあ、セノリスの方を聞こう。」

 

「セノリスの大虐殺は1部の.....あの腐った野郎共が権力を手に入れんが為に利用された事件だ。つまりそいつらのせいで多くの鷺の民は死んだ。」

 

「まぁ、それはそうだろうな。それで、続きは何だ?」

 

「続き?」

 

「あぁ、何か言いたげな顔をしてるじゃねぇか。別に俺たちはラグズを侮辱するような事を言わない限りは手を出さねぇよ。」

 

「....だがその大虐殺の全貌も近くに明かされる。アイク率いるグレイル傭兵団によってな。それをフェニキス王、ティバーンに伝えておいてくれ。」

 

「あいよ。じゃあ俺たちは帰る。」

 

そう言ってヤナフとウルキはどこかへ飛んで行った。結局何がしたかったんだ.....まぁ、騒動に発展する前に助けてくれたことの感謝くらいはちゃんと言っておくべきだったな.....

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

大神殿でちょっと一悶着あったが、帝都にはその余波が広まってるわけでもなく至って変わらない雰囲気であった。さてと、デイン組はどこに行ったか探さないと.....ん?

 

ベグニオン兵「おい、そこの娘を引き渡せ!」

 

ジル「くそ....なんだ貴様は!?」

 

.......なんかあそこ、揉めてないか?というかジルとサザが戦闘態勢に入っているのが何気に気になる。一応街中であることを弁えているのか武器を構えていない。

 

「ちょ、何かあったのか?」

 

サザ「エイリスか、面会は終わったのか?」

 

「ああ、それは今はいい。どういう状況なんだ?」

 

「分からない。街を回っていたら急にこいつらが言いがかりをつけてやってきてな。裏路地に誘導して何人かは上手く気を失わせることが出来たが、思った以上にしぶとくてな。」

 

「裏路地なら別に武器使っても良かったんじゃないか?」

 

ジル「そんな訳にいくか!ここは普通の市民もいるんだ。このような穏やかなところで血が流れるようなことをする訳にはいかない。」

 

それにしても.....なんだ、ミカヤを見かけた途端にこっちに引渡しを要求するということは、こいつ.....

 

「なぁ、兵士さんよ。うちのミカヤを要求する訳を教えてくれませんか?」

 

ベグニオン兵「その者達はデイン出身であることは理解している。戦争を引き起こすような国の奴らを野放しにする訳にはいかないんだ。だから引き渡せ。」

 

「それなら何も問題はありませんよ。彼女達はデイン出身ですが今は自分たちと同行してますし。そのような心配はいりませんよ。」

 

ちょっと気になるから少し話してみる。まず何故ミカヤ達がデイン出身であることを知っているかも気になるが、おそらく会話を聞いてそう考えたのだろう。これで大人しく退いてくれるならこちらもありがたい。

 

「むむ.....だが、そこの銀髪の娘は引き渡してもらう。」

 

「何故ですか?」

 

「それを教える義務は存在しない。」

 

......確定した。こいつはルカンの部下、特に過去の事件に関わった兵士だ。まさかこんな展開が生まれるとは

 

「とりあえず人集りが出来たら逃げられなくなるな....よし、逃げるぞ!」

 

俺はミカヤの手を取り、全速力で走った。ポータルを使えば解決じゃね?と最初は考えたが街のどこにワープしたとしても多少は人の目につく。更に言えば裏路地のような人の目がいきにくいところにワープしてしまったら、それはそれで怪しいと疑われる可能性がある。だから今はとりあえず逃げるしかない。

 

サザ「エイリス、何か振り切る策はあるのか?」

 

「うーん、無い。」

 

サザ、ジル『は!?』

 

「さすがに咄嗟に策を絞り出せるほど頭は出来てないよ。でもとりあえず今は逃げるしかないよねーってところ。もしタニスさんとか神使直属の兵士でそれなりに位が高い人が来てくれたら解決なんだけどなあ.....」

 

そう、シグルーン様とかシグルーン様とかシグルーン様とか.....

 

ミカヤ「むぅ.....」( ˙꒳˙ )つ)`꒳˙ )

 

「痛い痛い!ちょっと待って!今逃げてる途中だから!!!頬を引っ張らないで!!」

 

「邪な考えをしてたなって.....分かる。」

 

ミカヤさん、ちょっとご機嫌斜めのようです。もしかしたらいきなり兵士にいちゃもんを付けられて少し不快な気持ちになってたのかな。

 

 

バサバサバサ.....

 

「ん?なんだ?」

 

街中を逃げていたらいきなり上からペガサスナイトがやってきた。えぇ....空からも追ってくるの....と思ったら

 

タニス「ここにいたか。」

 

ベグニオン兵「た、タニス殿!?」

 

「この方々は神使様が直々に招かれた来賓だぞ。それを知っての上でそのような嫌がらせをしているのか。」

 

「い、いえそのようなことは....」

 

「ならば今すぐ戻れ。」

 

そう言って兵士は去っていった。さすがに神使親衛隊の副長に対してそいつ殺し損ねたやつなんですよ〜とか言ったら死刑を自分から受けにいくようなものだからな。助かった。

 

タニス「エイリス殿、無事だったか。」

 

「まぁ、あの.....大神殿ではお騒がせして申し訳ありませんでした。」

 

「その事に関しては神使様がお許しになった。もう気にすることではない。」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

「後は私にエイリス殿の捜索命令を出されたシグルーン隊長に礼を言ってくれ。」

 

「し、シグルーン様がですか!!」

 

「やけに食いつくな.....まぁいい。そちらの御仁達もグレイル傭兵団の方々で間違いはないな?」

 

「はい。」

 

「では、改めて部屋に案内しよう。」

 

そして俺たちは再びサナキのいる神殿に行くことになった。

 

グイッ

 

ミカヤ(エイリス、後でゆっくりじっくりと.....ネフェニーさんも交えてお話しましょうね)

 

\(^o^)/




修羅場回に関してはもう少し後の方になりそうですね。


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神使からの初任務

修羅場はもう少し待ってください


イラスト見ました?あれイングリットとシルヴァンじゃないんですか? 個人的にはティアマトとかケビンならいいなぁって思ってます。


ミスト「ヒ、マ、だ、よぉ~!ここにきてもう5日.....なにもすることがないんだよ!?宮廷の中も、行っていいとこは全部見ちゃったし.....あきたよ~!」

 

ティアマト「エリンシア姫は、今日も社交会に連れ出されているし.....エイリスは宮廷の別室にいれられてるし、することがないのは辛いわね。」

 

「いれられてはいるんですけど、それ夜だけですからね。」

 

普通に過ごせるかと思いきやそうではなく、何故か俺だけが別室に入れられている。しかも割と汚めな部屋...まぁちょっと壁に血とかがついてるだけの大したことない部屋だけどね。でも昼間は普通に過ごせている。

 

アイク「.....剣の鍛錬でもするか。」

 

ナーシル「アイク、神使親衛隊の隊長さんがお見えだよ。」

 

「失礼します。傭兵団のみなさん、ベグニオンの暮らしはどうですか?なにか不自由はありませんか?」

 

「いえ不満がございます。シグルーン様と一緒の部屋で過ごあべし!!」

 

何故だ、ただ聞かれたから答えただけなのになぜ後ろからパージが飛んでくるんだ!

 

「俺達は毎日、やることがなくてつまらん。」

 

「お、お兄ちゃん!?なんてこと言うのよ!」

 

「おまえもさっきからぼやいてたじゃないか。ヒマだとか、飽きたとか。」

 

「ひっどい! どうしてそんなほんとのこと言っちゃうの....っても、もぅ!お兄ちゃんのバカ!!

 

ティアマト「ごめんなさい。3人とも悪気はまったくないんですけど。」

 

「はい、わかっております。どうかお気になさらず。」

 

あ、悲しい。普通にスルーされた(´。・д人)シクシク…

 

「俺たちになにか用か?」

 

「サナキ様の命により、お仕事の依頼に参りました。」

 

「神使の!?」

 

「はい。要件は賊の討伐と積荷の押収ですが、引き受けなさいますか?」

 

「分かった。その依頼を受けよう。」

 

「分かりました、神使様にそう報告しておきます。」

 

「シグルーン様、そういえば元老院の方々が何か神使様に何か仰っていましたか?処分の件とか」

 

「いえ、特にそういったことは....サナキ様もあの一件に関しては謝られておりましたので。」

 

「そうですか....シグルーン様、少しお話があります。いいですか?」

 

「え、ええ....」

 

 

 

 

シグルーン「それで、お話というのは.....」

 

「元老院についてです。.....アイク達だけならほっといても良かったのですが少し事情が変わりまして」

 

「事情、ですか。」

 

「はい......元老院とその手先に警戒してください。下手をすれば神使様と宰相セフェラン殿に命の危険があります。幽閉される可能性も高いです。」

 

まぁセフェランは女神の加護あるから死なないと思うけどさ

 

「どうしてそのように?」

 

「この帝国に起きた先代神使暗殺事件、それに明らかな矛盾点と不可解な事が多いからです。それを聞いたところ彼らは力づくで俺を排除しようとしました。」

 

 

「ということは先日の騒動は.....」

 

「考えている通りだと思います。なので神使様の身の回りの警戒をより厳しくお願いします。」

 

「....ええ、分かりましたわ。」

 

「信じれないだろうとは思いますが.....お願いします。」

 

なぜ神使とセフェランをこのタイミングでなんとかしないといけないか。本来なら蒼炎の元老院はただの嫌味たらしい連中で終わりだが俺が関与したことでおそらく蒼炎で暁のような言動に出る可能性もある。クリミアを再興してアイク×エリンシアを実現させる上でその邪魔になるような事があっては絶対にいけないし、最悪の場合冤罪をかけられる可能性がある。神使と1番近い帝国のお偉い身分じゃないのは俺たちだけだから。さらに言えばサナキやセフェランが幽閉されたとしても誰も助けることが出来ない。グレイル傭兵団は今は復興の為に使えている立場だからクリミアを脅しにかけられれば何も出来なくなる。神使親衛隊も動ければいいがラグズ諸国との関係がある上にあくまで神使防衛が仕事だから内政に関与出来るほどでもない。.....つまりやつらに今動かれれば全てがバッドエンドを迎えることになる。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ティアマト「意外だわ。」

 

「なにがだ?」

 

「アイクのことだから、『神使の頼みなんか請けるもんか!』って言うかと思ったのに。」

 

「.....エリンシアは、あいつらのご機嫌うかがいのため、毎日行きたくもない会合に参加しているんだ。俺たちも、神使のために働いてやって点数を稼ぐ手伝いぐらいしてやるさ。」

 

「.....アイク。」

 

「俺もシグルーン様の好感度上げたいよ.....」

 

「エイリス、お前だけ別の部屋だがそれはいいのか?」

 

「うん?まぁあれ多分昔誰かを収容していた場所なんだろうけど.....前に元老院の人間にあんまりよく思われなかったから粗末に扱われて当然ってところはあるかな。だから特段気にしてはいないよ。」

 

「そうか.....」

 

「アイク、見えてきましたよ。」

 

「ここで待ち伏せしてればいいんだな?」

 

「はい。神使の依頼は―――『この旧街道を通りかかる商人に身をやつした一団の撃退。あわせて、その積荷の押収』というものでしたから。」

 

「よし、どんな奴らか知らんが、請け負ったからにはきっちり働くか!」

 

 

 

 

ガシラマ「.....今回は不作だったな。猫、虎、それにカラス.....労働用のやつばっかりじゃないか。これじゃあ、たいした金にならんぞ。」

 

行商団「苦労して集めたんだがなぁ。そんなにダメなものか?」

 

「おれはこの道25年だがな、やはり1番高値がつくのは鑑賞用の“サギ”だ。それも王族の白羽なら、金に糸目をつけないという好事家ばかりだしな。」

 

「じゃあ、次はセリノスの森に行くか?何匹か残ってるかもしれんぞ。」

 

「バカだな、おまえは!どうしてサギが高く売れると思う?ほとんどいないからだ。もう20年も前の話だ。暴徒どもが、セリノスの森を焼いてサギどもをぜーんぶやっちまったんだ。まったく、今思い返しても正気の沙汰じゃねえや。あんなお宝を、消しちまうなんざ.....」

 

.....ヒーローズじゃリュシオン星4落ちしてるんだけどなぁ.....

 

 

「へえぇ、そんなお宝なら、1度お目にかかってみたいもんだなぁ。

そしたらとっつかまえて、オリにいれて.....」

 

「お、おい!」

 

「手に入れたゴールドでなにをするか.....やっぱ酒だ。それからうまい食い物と、おおっと、いい女も忘れちゃいけねえ.....」

 

「こらっ!妄想にふけってないで、前見ろ、前っ!!」

 

「な、なんだぁ?あいつらいったい何者だっ!?」

 

「ちっ.....気をいれろよ、相棒!あいつら、只者じゃねえぞ!!」

 

 

 

 

アイク「現れたな。ティアマト、やつらに間違いないか?」

 

「霧で見えにくいけど.....人相、風体.....どれも教えられたとおりだわ。間違いなさそうね。」

 

セネリオ「.....相手もこちらに気づいたようですね。武器を持って警戒しています。」

 

「よし.....全員、戦闘配備だ。」

 

 

 

「今回は索敵だからジルに先行してもらって松明で全体把握、マーシャさんは今回絶対に来てください。」

 

マーシャ「え?なんで?」

 

「おそらくマーシャさんが今1番会いたい人がいるからですよ。」

 

そう、あのマーシャさんが探しているあのくそ兄貴が....あいつ本当によく生きていけるよな。おそらく現代だったら借金取りに追われまくって破産待ったナシなのに。




さて次回は!あのくそ兄貴がやってくる!


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片方しっかりしてると片方ダメになる、よくあるよね

マカロフよ、なぜステラとのペアエンドがあるんだ.....とプレイ当初はめっちゃ思いましたね


マカロフ「あ~.....ついてないなぁ。おれの勘が、今日こそ快晴だって告げてたんだが。」

 

「ほら、愚痴っても賭けはチャラになんねーぞ。さっさと負けた分払いな。」

 

「払いたいのは山々だけど、あいにく今は手持ちがなくて。」

 

「またか! おまえここの用心棒やってんのも借金の返済がわりだろう?とにかく、アジトに戻ったらちゃんと取り立てるからなぁ。逃げたらただじゃおかねえぞ!!」

 

「....そうすごまれてもな~ないもんはないんだし.....どうするかな~妹に頭を下げるしかないか。また泣かれるかな~けど、兄の命と引き換えにならちょっとぐらい助けてくれるよな。よーし、今夜にでも、聖天馬騎士団の営舎を訪ねてみるとするか。」

 

「その必要はありませんよ。」

 

「.....うわぁ!なんだガキか....」

 

さてと、ちょっと前線に出たら早速くそ兄貴.....マチスをも凌ぐマカロフと出会っちゃった。まさかのマーシャと会う前に自分が出会うとは....

 

「さてととりあえずさっきの話は聞かせてもらったよ。お金が足りないんだって?」

 

「いや、ガキに言われてもなぁ....お前が払ってくれるの?」

 

「うん、別にいいよ。」

 

そう言って目の前にお金が沢山入った袋を落とす。マカロフがすぐに取ろうとしたので光魔法で牽制する。

 

「何するんだよ。」

 

「さすがに無償で赤の他人の返済を認める訳にはいかないからね。条件付きでいこう。」

 

「子供が大人みたいな真似事しない方がいいぞ。ほら、お金は俺がちゃんと使ってやるから。」

 

「このお金はまだ俺の物なので。とりあえず条件出すね。1つ目はこの後行商団を見限ってこちらにつくこと、2つ目、散々お金を借りて困らせた妹に土下座して謝罪すること、3つ目、戦争が終わったらうちの部隊に入って懸命に働くこと。この3つを守ったらこのお金で借金返済するよ。」

 

「なんでそんな面倒な.....子供だから大人しく渡してたらいいのになぁ.....そんなひんね曲がってたらお嫁が来なくなるぞ。」

 

「いや、少なくともあんたにだけは言われたくないなそれ.....で、来るか来ないかどっち?」

 

「う〜んどうしようかねぇ.....」

 

このままお喋りしても多分時間の無駄だかりさっさと済ませよう。とりあえず後ろにアーリアル落とすか.....

 

「あっ、いたー!!」

 

「うん?」

 

上を見たらマーシャさんがやってきていた。霧の中よく見えたな。いや、松明使ってるから分かるか。

 

「す、すみませんエイリスさん!!うちの兄さんがご迷惑をかけて!!」

 

「....って、マーシャか。いやあ、久しぶりだなあ。ちょうどいい所に来てくれた。このガキを説得してくれよ。なんかお金を使って大人ごっこしてるからさ。」

 

「大人ごっこ.....?」

 

「簡単に説明すると、このマカロフの借金を俺の金で返済することを条件にいくつかの仕事をやってもらおうと思ってさ。なにせ戦力が欲しい(戦力になるとは言っていない)から、双方にとってメリットがあるでしょ?」

 

「うん!!兄さん!!エイリスくんが働き口まで紹介してくれてるんだからそこで根性を叩き直してもらわないと!!」

 

「ちなみに戦争の間はグレイル傭兵団に来てもらう予定。一応給料とかに関しては俺が払うしアイクたちにも話は通しておくから。」

 

「エイリスくんありがとう!!ほら!!兄さんもゴチャゴチャ言わずにさっさと来る!」

 

「は、はい!」

 

そしてマカロフはマーシャさんによって連行され一緒に前線に連れていかれた。まぁこの二次創作におけるマーシャさんはめっちゃ強いから心配はいらないか。

 

「さてと.....やるべき事はやっておかないと。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

行商団「ど、どうなってやがる......!?」

 

行商団は目の前で起きていることについていけていない。突如霧の中で遭遇し、目の前に現れた連中がこちらに対して圧倒的な戦力差を見せつけている.....特にあのペガサスの女兵と、槍を持ち蹂躙している女.....あの二人は桁違いだ。そして奥では光が差し込みとてつもない衝撃波がやってくる。一体どうなってるんだ.....

 

 

ガシラマ「や、やりやがるこいつら.....王宮騎士でもねえのにバケモノみてえに強ぇへ.....へへ だがなどんなに強くても本物のバケモノにはかなわねえはずだ!おい! 誰か!【なりそこない】の檻を開けろっ!へへ…頭からバリバリ喰われちまいな!」

 

「それはどうかな?」

 

「な、何だ!?」

 

俺はアイクと合流し敵将であるガシラマの目の前までやってきた。ちなみに雑兵は皆片付いているため残っているのは敵将となりそこないのみ。

 

アイク「おい、おまえたち。いい加減、降参したらどうだ?そんな構えで、俺たちに勝てるとでも思っているのか?」

 

「うるせえっ!どいつの差し金かしらねえが、積荷を奪われたらおまんまの食い上げなんだよ!!」

 

「だったら、仕方ない。手加減はせんからな!

 

「て、てめえらだって、馬に乗ったり肉食ったりしてるじゃねえか!人間を使うわけじゃねえんだ!半獣で商売して何が悪い!」

 

「俺たちは生きるために食ってるんだ。奪わなくていい命を奪ったり、自由を奪うような連中がそんな事語るなよ。」

 

正直その点に限る。体が光合成だけで生きていける体になってるならともかくそうじゃない限りは植物なり動物なり命を頂いて生きてるんだよ。奪わなくて済むならそれでいい。

 

「さてと.....治すか。」

 

俺は輸送隊から貰った杖を出し、今にも襲いかかってきそうななりそこない達を魔力の範囲内に入れる。

 

「何があったかは知らないけど.....一時的に落ち着いてもらおう。」

 

そして杖を振り、周りに暖かな光を出す。グルルル.....と言っていたなりそこないはその光に包まれて大人しくなった。

 

「この子達を元に戻す為には鷺の呪歌しか存在しない.....生憎俺の力じゃどうしようもないな。」

 

 

 

 

ガシラマ「俺たちの積荷を奪おうってんだ.....てめえらもカタギじゃねえな!こっちの客には貴族もいるんだ!後でてめえらもタダじゃすまねえぞ!」

 

「なんだと.....?積荷の中身がどうした?」

 

「とぼけやがって!これでもくらいやがれ!」

 

アイクは攻撃を剣でいなし、一気に相手の懐に入り込んだ。なんかこうやって実際の剣の戦いを間近で見たのはこれが初めてかな。

 

ガシラマ「なんてこった.....大損だぜ.....」

 

敵将を撃破し、行商団の連中もあらかた片付いてるからこれで任務完了ということでいいんだが.....この子達どうしよう。

 

「さすがにこのまま放置するってのも不味いよな.....かといってまだリュシオンとかと交流がある訳でもないし.....」

 

(アスタルテ、どうする.....?)

 

(そうですね.....とりあえずこのまま包みつつワープさせましょう。)

 

(ワープ?.......とりあえずガリアに送ろう)

 

アスタルテの光によってなりそこないを包み、俺のポータルでガリアの森林の奥の方にワープさせた。これでしばらくは何もせずに大人しく状態の悪化も進まずにいけるだろう。

 

 

 

 

????「へぇ.....ニンゲンのくせに中々面白いところがあるじゃねぇか。」




イングリット水着とか反則だと思います。性能的にも色々。ただこの後にも盆限定が来るはずなのであんまりオーブは割けないですね。


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ラグズサミット&蠢く影

ソンケル師匠速く出さないとなぁ.....それを楽しみにしてる方もいるでしょうし。


カイネギス「我が同胞、ラグズの王たちよ。各国の王が一同に会することは、実に数十年ぶりのこととなる。まずは、わしの求めに応じ、快くこの場を提供してくれたゴルドア王デギンハンザー殿に感謝を述べたいと思う。」

 

デギンハンザー「.......」

 

エイリス達が戦っている一方、ラグズの王たちは今回のデインのクリミア侵攻に伴うガリア侵攻を受け、王による会議を開いていた。ガリア王カイネギス、ゴルドア王デギンハンザー、フェニキス王ティバーン、キルヴァス王ネサラ、セノリス王リュシオン

 

「さて、ラグズの王たちよ。すでに聞き及んでおろうが、デイン王国がクリミア王国を急襲しその支配下においた。クリミアはベオクの国ながら.....その成り立ちの時より、我々ラグズに対し友好的態度を取り続けてきたのはご存知のとおりだ。特に、ラモンという傑出した人物が王となってからの30年ほどはーーー我がガリアと、互いの国民を交換しあうなどさまざまな試みを意欲的におこなってきた。しかし、それをよしとしない輩がいたのだ。.....デイン国王アシュナード―――あやつが何ゆえ、突如行動を起こしたのかはわからん。しかし、その蛮行により、クリミアという国が滅んだのは事実。そして.....デイン軍はその勢いのまま、我がガリアへも兵を絶え間なく送り込んできておる。」

 

ティバーン「それは、獅子王よ。あんたの国がクリミア王の遺児を保護したからだって聞いているぜ?」

 

「うむ。いまだ我が国にクリミア王女ありと考えての行動であろうな。」

 

「.....だが、王女はもうガリアにはいないんだよな?」

 

「さすがに早耳だな、フェニキス王ティバーン。確かに王女は既にガリアを脱出し、ベグニオンへ向かって旅立った。

 

「つい先日、クリミア王女の船がベグニオンの神使が乗った船を助ける現場ってのに出くわしただけだ。」

 

「おお、ではエリンシア姫は無事、ベグニオン皇帝と接触を果たしたというわけか!それは朗報だ。」

 

「デインもまだ、その情報を入手していないだろうから.....ベグニオンから正式にクリミア王女保護の報がでればデインもガリア侵攻をやめるかもしれんな。」

 

 

ネサラ「あんたにしちゃ情報が遅いなタカ王。ご自慢の『目』と『耳』は休暇中かい?」

 

「何がいいたい?」

 

カイネギス「どういうことか説明してもらえんか?キルヴァス王ネサラよ。」

 

「.....クリミア王女は、命からがら、なんとかガリアに逃げ込んだ。しかし、頼りにしていた獅子王からは援助を受けられないときた。」

 

「!」

 

「更には頼れる魔道将軍とやらとも道分かれになり、他に頼るものもない王女様ご一行は、わらにもすがる思いのまま、ふた月に及ぶ航海を経て―――数日前に無事ベグニオン入りを果たした。あのガキも合流してな。そして当のデイン側は、とっくにその事実を知っていて、王女を亡きものとするための追っ手を送り出している。.....とまあ、これが最新情報ってわけだ。」

 

カイネギス「デインがすでに、王女がベグニオンにいることを知っているだと!?キルヴァス王よ、そなたはいったいどうやってそこまでの情報を得たのだ!?」

 

「なに、たいしたことじゃない。平素から周囲へ目を向けていれば自然と情報は耳に入ってくるものさ。」

 

ティバーン「ただ通過しただけで、デイン側の情報まで把握できるたぁ妙な話だな、ネサラ?」

 

「そうかい?情報収集のやり方1つにもコツがあってね。よかったら伝授してやろうか?」

 

「ニンゲンどもと通じる方法なら、遠慮しておこう。ラグズの誇りを捨てるような真似、俺にはできそうもないからな。」

 

ネサラ「!.......そうやってなけなしの誇りにしがみつくのが、フェニキス流だよな。『ベグニオン船以外は襲わぬ』とか言って、他にまわすほどの兵がないって素直に認めたらどうだい?」

 

「.......なんだと?」

 

デギンハンザー「両者ともよさぬか!.....キルヴァス王ネサラよ。確かに、そなたの最近の行動は、目に余るところがある。」

 

「ゴルドアの黒竜王が、いったい我が国のなにをご存知だというので?是非、お聞かせ願いたいものだ。」

 

「先日、フェニキスの領海にてベオクの船を襲い、我がゴルドアの地に接岸させた件.....忘れたとはいわさぬぞ。」

 

ティバーン「ネサラ、てめえ.....まだこそこそと、俺らのなわばりを荒らしてやがったのか!?」

 

「我が息子クルトナーガから、その船にクリミア王女らしきベオクが乗っていたという報告を受けている。」

 

クルトナーガ「......」

 

カイネギス「なんと!キルヴァス王よ、そなた.....」

 

ネサラ「俺はいつまでもちっちぇ島国の王で収まってる気はない。機会さえあれば、それをガッチリ掴んで一気に強国に名をつらねる。そのための資金は、いくらあっても足りないぐらいだ。ベオクだとかラグズだとか関係ない。仕事に応じた報酬を払ってくれれば、どんな汚いことだってやってやる。」

 

デギンハンザー「その野心を止めるつもりはないが、手段は慎重に選ぶがいい。いざ、領土を拡げたが周囲はすべて敵という状況に陥らぬような。」

 

「.....一応、心に留めておきますよ。」

 

「.....同じく、フェニキス王よ、そなたもいい加減にベグニオン船への海賊行為は控えてはどうだ?このままでは、いつ戦いが始まるとも知れぬ。」

 

ティバーン「ベグニオンの奴らが、俺たちの同胞サギの民にしたことを詫びぬ限り、それはできない相談だ。」

 

「セリノスのリュシオン王子、そなたも同意見か?」

 

リュシオン「セリノスの森を焼き、サギをことごとく死に追いやった奴ら.....ベグニオンへの復讐心は消えません。我が兄弟、我が国民の仇をとり、今は寝たきりとなった父王を森に連れて戻りたい。.....戦う術をもたぬ私に代わり、フェニキス王は行動してくださっている。その行為に対して感謝こそすれ、やめてほしいだなどと、思うはずがない。」

 

デギンハンザー「そうか.....だが、心せよ。復讐はさらなる復讐をもたらすだけ。決して終わることのない戦いの輪をつなげるだけなのだ。」

 

リュシオン「.......」

 

ティバーン「だが.....ニンゲンの方じゃそれを変えるかもしれないやつがいる。」

 

リュシオン「ティバーン、それはどういう事だ?」

 

「ネサラ、これはてめぇも知らねぇかもしれないが、先日ベグニオンの元老院共相手に1歩も退かずにもの言ったやつがいてな。あの日の大虐殺が元老院によって仕組まれたってな.....つまり、リュシオン達が冤罪をかけられたってことを知っているニンゲンがいるんだ。」

 

カイネギス「そのようなベオクがベグニオンにもいようとは.....それは誰だ?」

 

「魔道将軍.....クリミアのエイリスっていうガキだ。」

 

デギンハンザー「....その話は後にしよう。最後に.....獅子王よ。そなたのガリアはどうするつもりだ?デインのガリアに対する牽制は、次の戦いへの布石だとわかった今.....そなたのガリアはどう動く?」

 

カイネギス「あちらが本格的に宣戦布告ないしそれに準ずるような行動をせぬかぎり、様子を見ようと思う。」

 

「ニンゲンどもを根絶やしにする第一歩として、デインをぶっ潰すってんならフェニキスも力を貸すぜ?」

 

「いや、各国ともこと本格的な戦争となるまで手出しは控えてほしいのだ。ガリアに樹海あるかぎり、やつらの攻撃を凌ぐことは可能。焼かれない限りは。」

 

「さすが大国は言うことが違う。領土拡大の好機を棒にふり、防衛に徹して現状維持ときたものだ。」

 

「私も獅子王の意見に賛成だ。.....ラグズの国だけで連合軍をつくりデインに対した場合、ベグニオン帝国はデインにつかざるを得なくなるだろう。それだけは避けねばならぬ。.....戦火を不必要に広げてはならぬ。今は所在が知れずとも.......エルランのメダリオンがあるかぎり、大陸全土を巻き込むような戦乱を起こしてはならぬのだ。よいな、ラグズの王たちよ。決して忘れてはならぬぞ。.......だからこそあの者に託す価値がある。」

 

「ちょっと買い被りすぎじゃないんですか。あのガキがあんたと1戦を交えたのは知ってるが、俺の命運を勝手に預けないでいただきたいもんだね。」

 

リュシオン「私も同感です。いくら強くてもニンゲンを信じることなど出来ません。」

 

「難しいであろうな.....だがあの男は他のベオクとは明らかに何かが違う。それをお前たちもいずれ感じることだろう。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

夜 大神殿マナイル

 

元老院と対立してからか、何故か俺だけ神殿の外で寝なきゃいけないことになっている。王女への評価には直接繋がらなかったのが不幸中の幸いである。しかし.....

 

「なんなんだ....あいつら。」

 

城の外で、変な奴らが神殿を出入りしている。おそらく帝国の使者とかそういうのだろうから特に止めなくてもいいだろう。

 

「....すみませんね。」

 

「シグルーンさん.....!?」

 

ふと隣に誰かいると思ったらまさかのシグルーン様だった。やっば手汗がやばい。

 

「神使様の護衛は大丈夫なんですか?」

 

「サナキ様より、あなたのご様子を見てくるよう頼まれましたので。」

 

「俺は全然平気ですよ。礼儀とかをいちいち考えなくて過ごせる場所の方が嬉しいですし。」

 

「ふふっ、それはそうかもしれませんね。あなたの評判はよく耳にしますよ。」

 

「そうですか....それは嬉しいですね。」

 

 

 

 

 

「......た、大変です!!シグルーン隊長!!」

 

「何があったのですか?」

 

「それが.....神殿のどこにも神使様が見当たらないのです!!それにクリミア側の銀髪の女の人と緑髪の女の人もいなくなっています!!」

 

「な、なんだと!?」

 

 

 

 

「サザ、何があったんだ?」

 

サザ「油断した.....奴ら俺たちの寝ているところを襲いやがった。くそ!」

 

「今は悔やんでいる時間はない。とりあえず何か手がかりはないか?」

 

「.....奴ら、統率が取れていた。おそらく正規の軍隊だ。おそらくベグニオン軍だ。」

 

「くそっ.....」

 

油断した、まさかあの3人に手をかけるとは.......タイミングが速すぎる。ミカヤはともかくサナキにまで。しかもネフェニーを捕らえるとかどうやってやったんだ.....寝込みを襲ったのか。

 

セネリオ「.....厄介なことになりましたね。」

 

「厄介?」

 

「この国において神使の存在は絶対的なもの。そしてそれが当然であるベグニオンの人間がこんな事をするはずが無い.....」

 

アイク「つまり、俺たちが犯人だと言いたいって事か。」

 

「ええ、1番距離が近くベグニオン出身で無ければそう疑われるでしょう。」

 

「俺たちの仲間も連れ去られたのにか?」

 

「はい。それを訴えたとしてもおそらくベグニオンの人間は納得しないでしょう。しかも状況は最悪です。神使親衛隊の隊長が丁度その時に現場から離れていた。これをおびき寄せたと取られてしまうのがオチです。」

 

 

サザ「くそ....ミカヤ!!」

 

「落ち着けサザ!!怒るのは分かるがどこにアテがあるんだ!?」

 

「くっ.....」

 

「あの2人は大丈夫だ。近くにネフェニーがいる。ネフェニーにはこういう時にどうすべきかをクリミアにいた時に教えてあるからなんとかなる。」

 

アイク「どうする?」

 

「俺が行こう。ここで大勢で動けば目立つ。夜が明けるまでまだ時間はある。その内に連れ戻しに行く。」

 

サザ「俺も行く、ミカヤは俺が取り戻す。」

 

「それに1番困るのはこれを大義名分としてこの神殿に攻めかかってることだ。それも踏まえた上でアイクたちには神殿の守備に当たって欲しい。頼めるか?」

 

「分かった。」

 

「じゃあ.....ワユとイレース、ヨファとサザ、ケビンで行こう。」

 

シグルーン「私も共に行かせてください。サナキ様を取り戻さなければいけません。タニス、あなたも来て。」

 

タニス「わかりました。」

 

 

 

 




更新遅れてすみません....!!テストとか勉強で忙しいもので投稿する回数が激減しました.....


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ひとつの決意と作戦

蒼炎の比翼はいつ来ますかね.....双界で来ちゃったからしばらくは来ないかな.....

久々の投稿のせいか、少し違和感がありますね


俺たちは夜の暗闇に紛れながら、神殿を後にした。のはいいんだが.....

 

 

(アスタルテ、手がかりがユンヌって大丈夫なのか.....?)

 

(はい、それに今の私は犬ですから匂いをおうことも出来るのですよ。)

 

(いや、さすがに神様を犬扱いする訳にはいかないでしょ....でも今はアスタルテだけが頼りだから、よろしく頼むよ。)

 

(ええ、任せてください。こんな展開はさすがに予想してませんでしたし.....)

 

サザ「おいエイリス、さっきから真っ直ぐ進んでるが確証はあるのか?」

 

「ない。」

 

「その割に迷いなく進んでるんだな.....」

 

「こっちにガトゥス公の神殿もあるし、今は匂いを頼りに追ってる。」

 

サザはうーんと少し首を傾げたが、直ぐに考えるのを止めて走ってきた。普段の指揮で先が見えてるから多分間違いはないだろうと踏んでついてきてくれてるのかな.....これで外したら恥ずかしいぞ。

 

「.....ただ100%正しいと言えないのは申し訳ないな.....」

 

「確率が確かでなくても、あんたならなんとかするだろ。」

 

タニス「信頼がおかれているな.....エイリスは確かに噂はよく聞くがそれ程に優れているのか?」

 

タニスがふと疑問を口にした。確かに、今回の部隊を率いているのはシグルーンじゃなくて俺になっている....元国家直属の軍隊とはいえ会ってすぐに素性も分からない人間の指揮下に置かれるというのは心配だろう。

 

「優れているかいないかの問題になれば俺は多分優れていないの部類に入るでしょうね.....神使様との面会でも外交の下手さか露呈しちゃいましたし、今までも最善の策を常に実行出来たわけでもありませんから。」

 

「確かに聞く噂はどれも戦闘に関するものが殆どだ。本当に大丈夫なのか.....?」

 

ヨファ「でもエイリスさんの軍配って僕たちに凄く配慮してくれてるよね!僕やミストちゃんのフォローに必ず入れるように動かしてくれてるし!もう少し信頼してくれてもいいと思うけどね!」

 

「オスカーやボーレから反対意見が出てるんだよ。ミストやヨファはまだ子供だし、同じ傭兵だけどアイクたちと同じ仕事量をこなすのはもう少し後だよ。」

 

「エイリスさんだって僕たちとあんまり変わらないじゃん!!」

 

とか言いつつゲームの時はヨファめちゃくちゃ使ってたな....場合によったらヨファがアイクの力を越すという事態も起きたし.....あの時のアイクは魔力が伸びてマジカルゴリラになっちゃった。

 

ケビン「.....不確定なのは確かだが、指揮においてはクリミア軍でもこの傭兵団でも一二を争うレベルだ!信頼してもいいと思うぞ!」

 

「.....それに今回は正面きって戦おうっていうつもりはないよ。あくまで隠密.....ここで下手に争えばエリンシア達が苦労して作った信頼関係が無くなる口実が出来てしまうからな.....」

 

シグルーン「それが賢明な判断でしょう。どのように動くのですか?」

 

「とりあえず聞いてくれ.....」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アイクside

 

一方アイクたちは残ったメンバーで神殿の守備を固める。今回は神使親衛隊との合同防衛となっていて、人数としてはさして問題はなかった。しかし.....

 

レテ「我々はともかく、ベオクは夜目が効かない.....下手に火をつければ敵に居場所を教えてしまうようなものだ。」

 

オスカー「それに僕たちには土地勘がない。先程、神使親衛隊の方に地図を見せてもらったがかなり複雑だ。注意して当たらないと。」

 

 

 

 

エリンシア「.........」

 

アイク「エリンシア、どうかしたのか?」

 

「あ、アイク様......」

 

「これから敵襲がくるかもしれない。エリンシアは神殿の中に避難してくれ。」

 

「.....さい。」

 

「ん?」

 

「私も、共に戦わせてください!」

 

「ダメだ。」

 

ティアマト「そうね.....依頼主が変わったとはいえ、エリンシア王女が私たちの護衛対象である事に変わりはないの。」

 

「それを承知の上でお願いしています.....皆様の為にも、私もお力にならなければいけないんです....」

 

セネリオ「どうしてそこまで戦うことに固執するのですか?下手に出られては足でまといになるだけです。」

 

「.....ネフェニー様は私の代わりに攫われたんです。本来であれば私が狙いのはずなのに.....」

 

「罪悪感が原因であるなら、余計に戦場に出るべきではありませんね。それでは冷静さに欠きます。.....それになぜ今なのですか?」

 

「えっ....」

 

「それはそうだな.....俺たちがエリンシアの為に戦っているのは前からそうだ。何故だ?」

 

「今まで傭兵団は、アイク様とエイリス様の2人が指揮をとることでその穴を埋めていました.....しかし、エイリス様がここにいない今、しかも防城戦を強いられ、全体と敵の数が把握できないからこそ、アイク様の背中を守らせて欲しいのです.....烏滸がましいでしょうか?」

 

エリンシアはアイクたちに頭を下げ、懇願した。さすがのアイクたちも戸惑い、言葉を失った。

 

「それにエイリス様から託されているのです....」

 

「エイリスが?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

回想

 

『エリンシア、少し話があるんだけど.....いいか?』

 

『はい.....どうかなさいましたか?』

 

『エリンシアにお願いしておきたいんだけど....もし、俺とアイクが分断されるような事態が起きた時、俺の代わりをエリンシアにやって欲しいんだ。』

 

『エイリス様の代わりですか.....?』

 

『といっても、アイクたち全員を指揮して戦いを導いて欲しいって訳じゃないんだ。ただ、アイクたちに生じるかもしれない死角をカバーして欲しいんだ。』

 

『でも、私に務まるのでしょうか.....?』

 

『務まると信じてるから、お願いしてるんだ.....変な期待をかけて申し訳ないけど。』

 

『い、いえ!そんな事は.....』

 

『それにこの先、エリンシアがクリミアの王女になった後、王女として国民を導くカリスマ性と先を見通す力は必ず大事になってくる。その経験を沢山積んで欲しいんだ。』

 

『.......』

 

『という訳で、ちょっと強引だけどこれから暇な時は俺が行軍指揮、ネフェニーと組手をして指揮の基礎能力と、武術を学んでもらいます。』

 

『あの、カリスマ性は.....?』

 

『カリスマ性は戦場で身についていくものだよ。それに必ず俺やネフェニーがエリンシアを守ってあげられるとは限らない.....いざと言う時の為にも絶対に身につけて欲しいんだ.....』

 

『.....分かりました。お願いします。』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

セネリオ「.....かなり強引ですね。」

 

エリンシア「それに、エイリス様からもこういった状況の時どう動くべきかもちゃんと習っています。だからお願いします!私にも戦わせてください......!」

 

アイク「......分かった。任せる。」

 

ティアマト「アイク!?」

 

「頭を下げてまでお願いしてきたんだ.....それに、エイリスやネフェニーから手ほどきを受けているというなら、能力も備わってるはずだ.....エイリス達が生半可で許すはずないだろうしな。」

 

「......ありがとうございます!!!」

 

「俺たち傭兵団は正門を守る。エリンシアはクリミア組と親衛隊を率いて裏の方を守ってくれ。.....死んでもエリンシアたちの背中は守る。」

 

「いいえアイク様.....私も命に変えても守り抜いてみせます。死なせはしません.....」

 

そしてアイクたちはそれぞれ指示をだし、大神殿の防衛に当たった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ガトゥス公の神殿

 

ルカン「......何の用だ?」

 

シグルーン「夜分遅く失礼します。神使親衛隊隊長のシグルーンと副隊長のタニスです。先程から神使様の姿がお見えにならないので、こちらにいらっしゃってないか参った次第です。」

 

「神使様はこちらにはいらしていない。ご苦労だったな。」

 

タニス「申し訳ありませんが、ちゃんと調査をさせていただきたいのです。」

 

「何故だ?私が信用出来ないというのか。」

 

「親衛隊である以上、神使様のお傍にいなくてはなりません。それに私たちがこの目で確認せず、言葉を信じて探さず、その結果ここで神使様が幽閉されたり亡くなられたということになってはいけないからです。これは我々の任務の一環なのです。ご了承ください。」

 

「むむ.....仕方ない、入れ。ただし、神使様がいらっしゃらないのは事実。探し終わった後はこの無礼を地に頭をつけて謝罪してもらおう。」

 

「分かりました。では、入らさせてもらいます。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、入ったな。俺達も動くとしよう。」




更新久々なのに、分量が少ないのはお許しください.....ソンケル師匠が登場する次の章はあと2、3話後になると思います。


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夜明けの攻防戦 前編

このタイトルをヘクハーか何かで見たような気がしますがまぁいいでしょう.....烈火だったらゼフィール生存とジャファル生存かつニノで話すとかそんなめんどくさい条件がありましたねぇ.....おのれマクシム


俺たちはシグルーン達が気を引いている間に裏から潜入した。警備もいなかったあたり、おそらく闇商売の商人が裏から入れるように設計したものだろう。

 

サザ「妙だな。見張りが誰一人いないなんて。まるで入ってこいと言わんばかりの。」

 

「あぁ....だがむしろこちらとしては都合がいい。下手に門番がいればこちらの動向が気づかれるタイミングが早くなる。.....ここからは二手に分かれよう。俺とケビンとイレース、ワユとヨファとサザで行こう。ヨファ、これを持って行っていってくれ。」

 

ヨファ「この丸いのは?」

 

「ポータルの魔力を持ち運びできるようにした魔道具だ。まだ開発段階だから使えるのは3回までだけどな。もし敵に気づかれたり、ミカヤ達が人質に取られる場合があるかもしれないから、いざと言う時のための保険として持っておいてくれ。対象を設定してワープ範囲を出す。これで動かせるからね、魔力もいらない。」

 

「うん!わかった!」

 

「よし.....行くか。」

 

俺は鍵穴に光を打ち込み、中に誰かいるか調べた。え?どうやるかって?薄い、月明かりと同じくらいの光を放って、光を吸収する。これで人にあたり反射すればどこにいて何人いるかが把握出来る。光魔法って戦闘用だと思ってたけどこういう使い道も出来るって最近気づいた.....都合良すぎかな?

 

「.........誰もいないな。」

 

扉を開け、中に入る。確かに薄暗いが、全く見えないほどでもない。

 

ケビン「どうやらここから地下に入れるみたいだな。」

 

「地下?.....なら、ここで分かれよう。地下があるのは想定外だったな.....俺とケビンだけで地下に行く。残り4人で地上階層の捜索を頼む。」

 

ヨファ「え!?どうして!?」

 

「地上階層もあるが地下に何があるか分からない。ならば最低限の人数で、仮に俺たちがやられても最低限の被害で済むようにするのがこの場合最善策といえるだろう。ケビン、ついてきてくれるか?」

 

「任せろ!お前の背中は俺が守ってやろう!」

 

「よし、頼んだぞ。」

 

そして俺たちは二手に分かれ、ミカヤ達を探し始めた。このまま何もなければいいんだがな......

 

 

 

 

エイリスside

 

ケビン「.....にしても随分と血なまぐさいな。」

 

「あぁ、おそらく捕虜だろ。 にしても随分と残酷な殺され方をされてるな.....」

 

死体から見るに拷問の果てに死んだといった感じだ。そういや昔の時代って見せしめとかあったな.....大砲に兵士をくくりつけて、木の玉を発射して全身の骨を粉々にしたやつとか、絶対見ることは無いだろうと思ってはいたが.....これも転生故の特徴か。

 

ガシャン.....ガシャン

 

「.....今の音どこから聞こえた?」

 

「おそらく奥からだ。一体なんだ.....」

 

「.....ケビン、念の為に武器を構えておいてくれ。」

 

「お、おう!」

 

俺もいつでもアーリアルを打てるように警戒態勢に入った。.....あれは

 

「う、うぅ.....」

 

「ミカヤ!」

 

そこには何か呻いているが倒れる寸前のミカヤがいた。まさか逃げれたというのか.....

 

「大丈夫か?ミカヤ.....」

 

「う、うぅ....」

 

「.......は!エイリス離れろ!」

 

「え?」

 

ふとミカヤの方を見ると何やら魔法を貯めていた.....うせやろ

 

ドォン!!

 

「ぐっ.....いってぇ。」

 

「......ふふふ、簡単に騙されるとは」

 

「.....まじかよ。」

 

まさかここまでカオスな展開になるとは.....闇堕ちミカヤなんて原作にもいねぇよ。

 

「さっきの魔法.....レクスオーラか。どこで手に入れたかは知らねぇがいつから扱えるようになったんだ。」

 

「私はミカヤ.....あなたを殺すわ。」

 

うーん.....なんでユンヌが近くにいるのに闇堕ちしてるかいささか謎なのだがなんでだ。大体FEで闇堕ちするのって、暗黒教団的存在とか圧倒的な力を持つ神様がいないと成立しない....更にミカヤからは禍々しいオーラが出てない。ということは

 

「いや、闇堕ちにしては自我がしっかりしすぎている.....何か吹き込まれたのか?」

 

「.....まずいぞエイリス。後ろからも兵が来ている。」

 

「どうやら嵌められたみたいだな.....」

 

おそらく数は50近くいる。それに今のミカヤはレクスオーラを扱える。更にさっきの威力を見るに魔力がそれなりに上がっている。まずいな....2対51、絶望的だ。シグルーン様達の方は大丈夫か.....

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

神殿 大広間

 

ルカン「どうだ?神使様はどこにもいらっしゃらないだろう。」

 

シグルーン「今見せていただいた部屋には確かにいらっしゃいませんでした。では最後に奥にある部屋を見せてもらってもよろしいでしょうか?」

 

「この先は私の私室だ。いくら神使親衛隊とはいえ入れる訳にはいかん。」

 

タニス「ですがそれでは調査に漏れが発生します。そこをどうか.....」

 

「.....ちっ、口うるさい兵士だ。お前たちが今話しているのは元老院であるぞ。お前たち兵士は私たちの言うことだけを聞いておればよいものを.....おい、あれを出せ。」

 

「はっ。」

 

スチャ.....スチャ.....

 

「な!?あなたは......!!」

 

「ふん、この2人を始末してしまえ.....ネフェニーよ。」

 

「タニス、ここは撤退し報告を。」

 

「はい。」

 

「逃がすものか。」

 

「くそ、待ち伏せ兵か.....!」

 

(厄介な事になった.....全て仕組まれていたのか。)

 

(私たちではネフェニーに勝つことは不可能.....しかしこの状況では、戦わざるを得ない。)

 

「はなから貴様らがここに来るとは予見していた。こちらがどんな手を仕込んでいるかもしらずに少数で奇襲とは哀れなものよ.....」

 

??「ふん。そいつはどうかな!?」

 

「何....」

 

サザ「ちっ、掠ったか。」

 

ヨファ「助けるよ、シグルーンさん!!」

 

シグルーン「あ、あなた達.....」

 

サザ「話は後だ。今はこの場を退ける必要がある。......おそらくこの感じだとエイリスの方も上手くはいってないみたいだな。」

 

タニス「気をつけろ。お前たちの仲間は今普通じゃない。」

 

サザ「あぁ分かっている。だから時間稼ぎのための応戦をしにきた。」




え?いつまでこのオリジナルの茶番が続くかって?あと2話くらいです。終わったら、次はお待ちかねのソンケル師匠ですね。


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夜明けの攻防戦 後編

約1年前にかいた前書き

シノン、ガトリーら辺が追加されてから、デギンのお爺さんにツイハークまで.....蒼炎・暁ブームいいぞぉこれ。ここまで流れが出るとしばらくは出ないだろうけどソンケル師匠とマカロフはネタ枠として出て欲しいですね。


.....よくよく考えたら真正面からミカヤを相手にする必要なんてなかった。このまま衝突したところでステータス的にこっちが勝つのは決まったものだし、ミカヤにダメージを与えるメリットも存在しない.....となると

 

「ちょっと、悪い。大人しくしててくれよ。」

 

ミカヤにサイレスをかける。実際魔防だけならアーリアル持ってるから少し上がるしこっちの方が上。なんて簡単なことを忘れてたんだ.....

 

 

「う、うぅぅぅ....」

 

「あぁ、無駄無駄。しばらくは魔法使えないから。ちょっと大人しくしてなって。」

 

こういうのはあんまりしたくないけど....後ろからパージを当てて気絶させた。よし、あとはミカヤを連れてのじゃロリ神使を救えば終わり.....

 

 

「おい、ケビン。そっち大丈夫か?」

 

「あぁ!エイリス達の魔法の一部がこっちに飛んできて幾人かやってくれたぞ!こっちももう少しで終わる!」

 

「よし、じゃあ先に道を作って行っとくぞ!」

 

「おう!.....え?道を作る?」

 

俺たちが登ってきた階段はさっきのを見る限り増援が来る可能性もある。となると、階段みたいな狭くて、おまけにあっちの方が上にいるので相手と戦うのは分が悪い.....なら、さっさと道を作ってそっちから上がればいい話。

 

「ケビン。よく覚えておいた方がいいよ。こういう時は相手が絶対しないだろうな、とかこの方法で来ないだろうと思うやり方を使うのも、一つの手だよ。」

 

そしてアーリアルを上に向けてうち、床ごと破壊した。あとは落ちてくる岩を避けてその落ちてきた岩にのって上へ上がる。うん、完璧。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

サザside

 

カキン、カキン....

 

シグルーン「やはり手強い.....」

 

タニス「これがクリミアの戦乙女の実力.....!」

 

今は俺やヨファの後援があるから、少しは意識を散らすことができる.....それでも俺たち4人を相手に一切の隙がない。だが何故だ、こちらを殺しに来る割には少し詰めが甘い.....我々を消耗させる狙いか。

 

サザ「.....ん?待て。何かくる。」

 

ヨファ「下から何か衝撃が.....なんだろ。」

 

シュイィィン.....ドゴゴゴゴゴ!!!!!!

 

シグルーン「!!タニス、後ろに!」

 

タニス「はい!」

 

下から光の魔法が床を削りながら打たれてきた。下でそれほど激闘が起きているのか.....しかしそうではなかった。人が上がってきた。

 

 

 

「よっと.....皆大丈夫?」

 

サザ「いや、あと少しでお前のせいで死にそうになったけどな.....」

 

ヨファ「そうだよ!エイリスさん、床破壊するなら破壊するってそう言ってよ!」

 

「あぁ.....ごめん。そこまで考えてなかった。」

 

タニス(それで済むのか.......色々突っ込みたいがこれが傭兵というものなのか)

 

「さてと.....え?ネフェニーも操られてるの?」

 

ルカン「来よったか....だが貴様にこの女を止められるかな?」

 

「止められるも何も.....ネフェニー、いつまで遊んでるんだ?もう充分だろ。」

 

ネフェニー「.......ふん!!」

 

「うぉ!危ね.....」

 

ミカヤを抱えながらの為、めちゃくちゃ危なかった.....だが目は確実にこちらを見ていた。

 

「あんた.....ミカヤ気絶させて何してたん!!!」

 

「え!?そこ!?」

 

どうやらネフェニーは疲れているみたいだ。....というより操られてるとか嘘だよね?

 

「今までの分、ミカヤの分も含めて全部返す!」

 

「いや!返されたら殺されるから!いや返されるものないけど!待てって!」

 

どうやら今までの「お話しましょうね?」の分を物理的に返してくるらしい。でも待って殺されるから.....

 

「サザ!ミカヤ頼む!」

 

「お、おう。」

 

ミカヤをサザに預け、ネフェニーに集中する。というかこの茶番いつまでやるんだろ.....

 

ネフェニー(あの人たちに完全に油断が生まれるまで付き合って.....)

 

(分かった.....でもさっきの演技じゃないよね?)

 

するとネフェニーは答えるかのように槍を構え再び襲いかかってきた。いやなんでや.....でも相手が警戒を解いていなのは分かる。もしかしたら今こっちに来たのはかえって悪かったかもしれない.....ルカン達の警戒を再びおこしてしまったからだ。

 

ヨファ「.....先に脱出しよう!今あの人たちはエイリス達に目がいってる.....今なら脱出できる!」

 

タニス「脱出するメリットはあるのか。」

 

「とりあえずミカヤさんを先に救出しなきゃ.......」

 

 

 

 

イレース「大人しくして.....」

 

サナキ「お主!離せ!肩担ぎとは無礼なのじゃ!」

 

イレース「うるさい....大人しくして。」

 

イレースがサナキを肩にかついで持ってきた。どうやら俺たちが表立って争っているうちに牢屋の場所を特定してこっそり助けにいったみたいだ。よくここで分かれる判断をしたな.....偉い。

 

 

ヨファ「よし!エイリスさん!先に脱出してるよ!」

 

「ヨファ!とりあえず神殿に向かってアイクたちの援護を頼む!」

 

「うん!分かった!」

 

ヨファは予め渡しておいたポータルを使ってここを脱出して神殿に向かった。ヨファとサザも成長したな.....

 

 

「さてと....これで俺達とお前らだけだ。」

 

ルカン「何を言っている?その女はこちら側にいるのだぞ?」

 

「これが演技だって分からないんですか?ネフェニー、もういいだろ?」

 

「うん....よくもミカヤを操ってくれたね。」

 

「な!?.......洗脳には完全に成功したはず!?」

 

「そんな事もあろうかと、ネフェニーには魔法に侵食される訓練を受けてもらいました。訓練途中の喘ぐ声とか結構色っぽかったけど.....ちょっと槍向けないでよ。」

 

「ふぅん.....あんた、遊んどったん?でも色っぽかったか.....嬉しいな。」

 

「いや、そこはちゃんと突っ込もうよ。」

 

なんて茶番みたいな会話をしながらもアーリアルを開いていつでも打てるようには準備している。ネフェニーも殺意もりもりなのかゼーンズフトを構えている。暁のゼーンズフト強かったなぁ.....蒼炎本編じゃ使えなかったから今ここで使えてるのが不思議だ。

 

ルカン「ぐぬぬ.....どいつもこいつも使えん。だが計画は進んでおる。」

 

「.....なんだと?」

 

ルカン「お前たちとはなから戦うつもりはない。今の雑兵は皆囮に過ぎん。今頃神殿は落とされている頃だろう。傭兵団が来た時に神殿が落とされたとなれば、一体誰が犯人と思われるかな?そして私を殺せばどうなるか分かるな?お前たちは自分たちの立場を弁えていない。」

 

「ふぅん.....言いたいこと言えた?じゃあ今までの恨みをここで晴らさせてもらおうか、色々面倒事を引き起こしやがって.....」

 

血の誓約書とか血の誓約書とか血の誓約書とか........

 

とりあえずアーリアルを落としてルカンを気絶させた。さすがに死ぬまではいかせたくないから加減はしたが.....まぁ、とりあえずこれで拘束できる。あとの処分はのじゃロリに決めてもらうとして.....

 

 

「んじゃ、俺たちも加勢に行くか。」

 

「うん。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アイク&エリンシアside

 

アイク「こっちには段差の有利がある!下から登ってくるのを迎撃する!!」

 

表側をアイク、裏側をエリンシアが守る形をして神殿を守る。今回は段差があるということもあって、ティアマトやオスカーも馬を降りて戦っている。想像以上に敵が多く、地形が有利とはいえ、防戦を強いられる。

 

セネリオ「アイク、少し横にずれてください。」

 

アイク「分かった。......それで、これからどうする?」

 

そう言ってセネリオが魔法で登ってこようとする兵士を振り払う。

 

セネリオ「あまり兵力を削るのは、後々傭兵団の後ろ盾となるベグニオン軍の戦力低下に繋がります。.......エイリス達が神使を連れて戻ってくるのを待つのが上策でしょう。」

 

アイク「だが殺すなと言っても相手からかかってきたら、容赦はしなくていいな?」

 

セネリオ「はい。それは正当防衛です。」

 

アイク「分かった。全員今の持ち場で引き続き迎撃!犠牲を最小限に収める!」

 

アイクの指示が行き渡り、傭兵団・親衛隊の合同軍の動きが一体化する。

 

敵兵「おい、あれって.....」

 

敵兵「神使.....親衛隊だよな.....?なぜ神使様の護衛が反逆者と共に戦っているんだ.....?」

 

敵兵「まさか.....俺たち神使様に反逆したんじゃ.....」

 

神使親衛隊の存在は、敵兵を困惑させ、士気を低下させるには充分なものだった。そして中には投降する者も現れる。

 

アイク「俺たちは投降するなら命は保証する。こっちから手をかけることは絶対にしない。」

 

セネリオ「.....どうしますか?投降するなら今が頃合ですよ。」

 

その2人の言葉で、多くの兵士が投降に回った。しかし一部抵抗する兵士もいたため、アイク達は引き続き迎撃に回った

 

 

 

 

大神殿 裏側

 

マーシャ「エリンシア様!危ない!」

 

エリンシア「えっ、きゃっ!」

 

マーシャの忠告で、エリンシアはぎりぎり弓を避けた。

 

エリンシア「マーシャ様、あれは一体.....?」

 

マーシャ「金で雇われたゴロツキですよ。こっちにいといて良かったですね。」

 

エリンシア「はい.....しかし、数が.....」

 

マーシャ「数が把握出来なくても、出てきたのを叩いていけばいいですよ。だって神殿からあそこの身を潜ませられる場所の距離って、弓矢が届かないくらいですし。」

 

エリンシア「確かにそうですね.....ただ、受けっぱなしではこちらばかり痛手を負ってしまいますね......」

 

エリンシアは頭の中でシュミレーションを何度もする。かつてエイリスに賊の討伐を見せてもらった時の記憶や、教えてもらったことを頼りに今の最善策を絞り出す。

 

そしてエリンシアが考えている刹那、神殿横から回り込んで、かくれていた弓兵が現れる。

 

親衛隊「はっ.....危ない!」

 

咄嗟に飛び出した為、親衛隊の隊員の腕に、矢が当たる。

 

エリンシア「あっ.....っ....」

 

エリンシアは言葉が出なかった。自分が戦場で考え事をしているが故に、1人の兵士を負傷させる結果となってしまったことが、エリンシアの心に重くのしかかる。

 

(私の.....せいで.......)

 

マーシャ「そこだな!逃がさないよ!」

 

そして親衛隊の1人が受けたと同時に、マーシャが急降下し、弓兵を一撃で葬る。

 

マーシャ「エリンシア様!!戦場で考え事は危ないですよ!!常に気は張ってください!!」

 

エリンシア「は、はい!!」

 

マーシャに促され、エリンシアは考えを一旦捨てる。

 

エリンシア(やるならやる.....もう迷いません。ぶっとばして差し上げます.....!!!)

 

エリンシア「こちらの方が機動力に優れています!部隊を二分して、敵を掃討します!!!」

 

エリンシアがペガサスの上で剣を天に掲げ、突撃の合図を送る。

 

ゴロツキ「へっ、まんまと来やがった!野郎共!可愛がってやれ!」

 

そしてその動きに勝機を見出したゴロツキ達が姿を現し、斧や弓を構え待機する。

 

エリンシア「突撃!敵を分断します!!」

 

エリンシアが分隊を率いて敵のど真ん中に突撃する。ペガサスごと突撃してくる為、盗賊達も左右に分かれる。

 

エリンシア「抜けて反転!!隙を与えてはいけません!」

 

そして突撃したた後、右に抜け、手槍に持ち帰え、分断された敵を少しずつ削る。先程の防衛に徹して動かなかった人間が、急に攻撃に転じたことに敵は少し驚いている。

 

ゴロツキ「お、お頭!!どうしやす!?」

 

ゴロツキの頭「へっ!!あんな数でやってくるのが馬鹿さ!とっとと捕まえて今晩の楽しみにしてやる!!」

 

そして盗賊達は動きながら攻撃を続けるエリンシア達に焦点を絞り、反撃を開始する。

 

(.......そろそろ頃合でしょう。)

 

相手が地上部隊に釘付けになったタイミングを見出し、エリンシアは空中に剣を放り投げる。

 

 

 

マーシャ「エリンシア様からの合図.....!皆!急降下して奇襲をかけるよ!!」

 

そしてエリンシアの合図と同時に空中で待機していたマーシャ達が急降下して奇襲する。地上に釘付けになっていたチンピラ達の大半がそれにやられる。

 

ゴロツキ「お頭!!上からも来やした!!」

 

ゴロツキの頭「あぁ!?んなもん気にすんな!数じゃこっちが有利なんだ!!」

 

ゴロツキ「で、でもお頭!!2人めっちゃ強いのがいるんす!!」

 

ゴロツキの頭「あ!?ど....れ.....」

 

ゴロツキ達の目の前には、緑の美しい髪を靡かせながら敵を斬り倒していく女と、槍で縦横無尽に敵を捌く可愛いピンクの髪の女がいた。

 

ゴロツキの頭(来るとこ.....間違えたな......)

 

そしてその圧倒的な攻勢を前に、ゴロツキ達は逃亡した。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

エイリスside

 

シグルーン「そろそろ神殿に着きます。ご準備を。」

 

「そういやシグルーン様、タニスどこ行ったんですか?」

 

さっきからタニスが見当たらないんだよな.....まさか死んでないよな.....?

 

シグルーン「タニスには今、ガトゥス侯の捕縛とその他の取り締まりに当たってもらっています。」

 

「なるほどね.....」

 

こう会話してるけど結構カオスなんだよな......だって

 

サナキ「お、お主!いい加減その抱えるのを辞めんか!!」

 

イレース「だって.....その服装、歩きづらそう.....」

 

サナキ「あ、歩けるわ!」

 

ワユ「まぁまぁ、抱えてもらってる方が早いんだからさぁ.....」

 

サナキ「ぐぬぬ.....事実とはいえ、納得できぬ.....」

 

あっちはなんかきゃっきゃしてるし

 

 

サザ「俺も今度弓を習ってもいいか?」

 

ヨファ「え?サザは軽器使えるからいいじゃん。」

 

サザ「どうも非力でな.....この力で、ミカヤを守るには少し足りない気もするんだ。」

 

ケビン「なら!俺が訓練に付き合ってやる!軍の訓練を受ければ自然と体は出来上がるぞ!」

 

サザ「なんかそれとはベクトルが違うというか.....」

 

あれはあれでなんか楽しそうに会話してるし

 

 

「なんというか.....緊張感がないと言うか.....すみませんねシグルーン様。」

 

シグルーン「確かに緩んではいますが.....油断はしていないと思いますよ。皆さん周りを警戒はしていますし。」

 

「そうかなぁ.....?」

 

 

 

 

大神殿

 

なんやかんやで大神殿に戻ってきた。

 

「神使様、ここからが出番ですよ。」

 

サナキ「うむ.....分かっておる。」

 

そしてシグルーンと一緒にペガサスに乗り、敵の目の前に降りる。

 

サナキ「すぅぅぅ.......やめーーーーーーーーーーーい!」

 

その大声に兵士が戦いを辞める。

 

サナキ「わたしが、ベグニオン帝国の神使、サナキであるぞ!神使に刃を向けるとは何事か!!!」

 

 

ベグニオン兵士「し、神使様!?攫われていたのでは!?」

 

サナキ「攫われていたという妄言は、ガトゥス侯による讒言じゃ!!これ以上、こちらに抵抗するのであれば、すなわち逆賊と見なす!!皆武器を置くのじゃ!!!」

 

神使の一声に兵士たちは武器を置き、その場で膝をつき頭を下げる。.........水戸黄門みたいだぁ

 

 

 

アイク「戻ってきたんだな。」

 

サナキ「わたしがいない間、よくぞ大神殿を守り抜いてくれた。お主たちには感謝の念に絶えない。」

 

アイク「俺たちは攫われた仲間の為に戦っただけだ。」

 

サナキ「うむ....じゃが結果として助かった。今後の、惜しみない支援はここで約束しよう。」

 

アイク「それは俺じゃなくてエリンシアに言ってくれ。」

 

サナキ「相変わらず無礼極まりない態度じゃが.....今回は許す。」

 

 

 

 

 

 

 

一方 裏側

 

エリンシア「これで応急処置は.....終わりました。」

 

親衛隊「すみません。わざわざ王女様に手当をさせてしまうなど.....」

 

エリンシア「.....すみません。私がぼーっとしていたばかりに.....」

 

親衛隊「いえ、気にしないでください。」

 

エリンシア「しかし.....」

 

親衛隊「私たちは元々、神使様を御身を守ることが責務です。今回は神使様ではありませんでしたが....神使様が案じておられた王女様を見捨てたとなれば、私たちの一生の汚名になります。ですからこれは、王女様のせいで負った傷などではなく、責務を果たした、名誉の傷なのです。」

 

エリンシア「名誉の.....傷.....」

 

親衛隊「はい。それに....マーシャも、貴方の横でしっかり戦えていて良かったです。」

 

エリンシア「マーシャ様の.....?」

 

親衛隊「知らなかったですか?マーシャは元々、ベグニオンの天馬騎士団にいたんです。彼女の実力は、タニス様などが認められているほどなのです。」

 

エリンシア「そんなに強かったんですね....」

 

親衛隊「ただ、兄の借金が云々と....何かと苦労していました。しかし先ほどエリンシア様の合図にしっかりと対応して、頑張っているあの子の姿を見て、安心しました。部隊を去ってから連絡のひとつも出さないものですから.....」

 

エリンシア「今は、そのお兄さんも含めて、アイク様の傭兵団にいます。エイリス様が借金云々はなんとかすると言っていました。」

 

親衛隊「そうですか.....良かった良かった.....これからもマーシャの事はよろしくお願いします。」

 

エリンシア「はい、分かりました.....!!」




1年前にかいた後書き



ちょっと遅かったので長めになりました。

念の為に、ヒーローズのアーリアルは何故か魔法特効とか携えてますが本家アーリアルは竜およびドラゴンナイト系特効です。トライアルマップでしか使えなかったギネヴィア姉貴が出てくるとは.....


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砂漠のあいつ

タイトルで察してください

あと少しネタバレ要素があります


キルヴァス城

 

アイク達がベグニオンりを果たし、色々やってた一方、リュシオンは、ネサラの元を訪ねていた。

 

ニアルチ「これは、セリノスの若君!よくぞおいでくださいました。」

 

ネサラの面倒見役の、ニアルチが歓待する。

 

リュシオン「ニアルチ、元気そうだな。」

 

ニアルチ「はい。おかげさまで、この爺めは、ぴんぴんしておりますぞ。......ロライゼ王のご様子はいかがですかな?」

 

リュシオン「.....相変わらずだ。父上は、あの日以来床に就いたまま...起き上がることもほとんどない。」

 

ニアルチ「無理もございません。たった数日のうちにご家族、そして民のほぼ全てを失われたのですから。」

 

リュシオン「.....」

 

リュシオン脳裏に、忌まわしき記憶が蘇る。森を焼くベオク、何の罪もないが殺されていく同胞.....故郷を失った辛さは今でも頭に残っている。

 

ニアルチ「ですが、あなたさまお1人でもお子が残られて良かった。リュシオン王子、この老いぼれにできることがあれば、なんなりとお申しつけくだされ。」

 

リュシオン「ありがとう。その気持ちだけで嬉しいよ。」

 

 

 

 

ネサラ「待たせたな、リュシオン。」

ニアルチと会話をしているうちに、ネサラがやってきた。

 

ネサラ「.....ニアルチ!昔話は後でいいだろう。下がってろ。」

 

ニアルチ「はいはい。積もる話もございましょうし、これで退散いたしますとも。では、リュシオン王子.....ごゆるりと。」

 

ニアルチは立ち去り、ネサラとリュシオンの2人だけになる。

 

ネサラ「はン! ニアルチは昔からセリノスびいきだからな。セリノスの【白の王子】訪問がよほど嬉しいとみえる。それで?長く顔を見せなかったおまえが、ここを訪れた理由ってやつをうかがいたいんだがね?」

 

リュシオン「この間のゴルドア会議で、おまえの態度が気になった。どういうつもりだ、ネサラ。なぜ、ティバーンを挑発する?」

 

ネサラ「そんなことで、ここまで来たのか?わざわざ?」

 

少し小馬鹿にするようにネサラが反応する。それにつられリュシオンも頭に血が上る。

 

リュシオン「そんなこととはなんだ!ティバーンは、私と父上の後見者だ。あの人がいなければ.....セリノスは滅亡の憂き目をみただろう。ティバーンを侮辱することは、この私が許さん。」

 

ネサラ「.....へぇ?昔馴染みの俺よりも、現在の恩人の側につくってのか。えらく差をつけられたものだ。幼い頃、おまえとおまえの妹の面倒をみてやったのは、ティバーンではなく俺だったと記憶しているんだがね。」

 

リュシオン「その昔馴染みは、私たちの仇.....ニンゲンどもと商売をしていたからな。行動を改めれば、いつでも交流は復活できると思うが?」

 

ネサラ「それはできない相談だ。俺の野望に、ニンゲンは不可欠のものなんでね。」

 

その言葉に、リュシオンは多少表情を変える。リュシオンにとって、ニンゲンと交流するラグズは理解の出来ない存在であった。そして幼い頃からの知り合いは、親しい種族のラグズがニンゲンによって虐殺されたにも関わらず、王となってニンゲンと商売をしているときた.....変わったものだ、と少し落胆する。

 

リュシオン「.....変わったな、ネサラ。貴様がそういうつもりなら、もう何も言わん.....失礼する!」

 

ネサラ「.....おまえには理解できんだろうさ。キルヴァスを守るってことが、どういうことなのか.....」

 

しかしそのネサラにも当然、戸惑いがあった。『ガトゥス侯が、クリミアの勢力によって倒された』.......その一報が入ってきているからだ。何故協力関係を結んでいるはずのクリミアの勢力が、わざわざ宗主国の、しかも副議長ともなる権力者を落としたのか.....これをチャンスと取るべきか.....それとも誓約がまだ残っていると見るべきか.....ネサラの判断ひとつで、国が、民が、大きく変わる状況下にある。その事がネサラの頭を悩ませる。そしてデギンハンザーが示唆していた可能性を持つ少年.....その存在を無視せざるを得なくなった。

 

(余計な事を......)

 

ネサラは心の中で舌打ちする。

 

キルヴァス兵「ネサラ様!ベグニオン帝国元老院議員タナス公爵が、お見えです。.......ネサラ様、大丈夫ですか?」

 

ネサラ「.......お通ししろ。」

 

オリヴァー「ネサラ殿! い、今、そこですれ違った者は、も、もしや、セリノスの王族ではないのか?あの絶滅したはずの.....」

 

ネサラ「.....それが何か?......聞きましたよ。ガトゥス侯が倒されたと。」

 

オリヴァー「それがどうかしたのか?元老院の勢力は一枚岩ではない。たかが1人欠けた程度で、何かが変わるわけでもあるまい。」

 

ネサラ「何故、ガトゥス侯が狙われたか.....その理由も定かではないが、もしそれが神使の意向だった時.....オリヴァー殿はどうする?」

 

オリヴァー「.........」

 

ネサラ「帝国内部で、神使による汚職の摘発が始まったとなれば、オリヴァー殿、あなたとて無傷ではいられない。愛する『美』とやらも、押収されるかもしれない。」

 

オリヴァー「神使様がそのような事をなされるはずはあるまい。」

 

ネサラ「ですが先例が生まれてしまった.....我々としては、早急に商談を済ませ、取引を確実にした方が、お互い得すると思うんだがね。」

 

オリヴァー「むむ.....分かった。」

 

ネサラ「では、商談を。過日、あなたのご依頼どおりガドゥス公爵家の船から奪った美術品ですが.....」

 

オリヴァー「おお、約束どおりの金は払おう。じゃが、それよりももっと、手に入れたいものがあるのじゃが。」

 

ネサラ「ほう、別のご依頼ですか?」

 

オリヴァー「うむ。やってくれるのなら件の美術品も倍額で買おう。」

 

ネサラ「それは、随分と気前のよろしいことで。して、何をご希望ですか?」

 

オリヴァー「それはもちろん.....」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

大神殿

 

なんやかんや忙しかった一晩だった。とりあえずルカンの身柄は捕縛されて、所有していた兵はルカンの屋敷の修復にあたり、神殿を襲ってきた兵士達は謹慎処分を下されたらしい。まぁ残当だろうが

 

アイク「神使に会えたはいいが、先日の報酬と新しい任務をもらっただけで、なにも聞かせてもらえなかったな。」

 

ティアマト「どういうつもりなのかしらね。あの積荷.....どう考えても生き物が入っていたように思うけど.......神使は、あれをいったいどうするつもりなのかしら?」

 

アイク「わからん.....貴族や王族ってのはみんなああなのか?何をするにも作法と手続きが必要で、何を言うにもまわりくどい言葉を使う。」

 

ミスト「でも、今まで会った王族の人たちは、全然ちがったよね?エリンシア姫でしょ、ガリアの王様でしょ、あと竜の王子さま!みんな、すっごく親しみやすい感じがしたけどなぁ。」

 

ティアマト「階級制度は、ベオク特有の文化じゃないかしら。エリンシア姫は、育ってきた環境が特別だから、また違うんでしょうし。」

 

アイク「ベオクの貴族文化か.....俺にはとうてい、なじめそうもないな。」

 

召使い「皆様、少しよろしいでしょうか?」

 

 

 

 

謁見部屋

 

エリンシア「皆さん、どうでしょうか?似合って.....いるでしょうか?」

 

ミスト「エリンシアさん、すっごく綺麗!!!」

 

シグルーン「合うサイズがあって良かったです。」

 

俺たちが召使いに呼ばれて謁見部屋に来ると.....エリンシアがペガサスナイトの装飾で体を包んでいた。ペガサスナイトらしい気品さもあるが、エリンシアが着ると、なんか可愛いというより美しいの部類に入るな.....

 

エリンシア「アイク様.....どう、でしょうか?」

 

エリンシアが頬を染めて、上目遣いをしながらアイクを見つめる。さすがに直視をされて困ったのか、アイクも視線を咄嗟にずらす。

 

アイク「俺には分からん.....綺麗、なんじゃないか。」

 

その言葉を聞いて、エリンシアがぱあっと明るい表情になる。やっぱ好きなんだな.....

 

アイク「それで、なんでそんな服着てるんだ?」

 

エイリス「次から、エリンシアにも戦場で一緒に戦ってもらう為だよ。」

 

その言葉で、俺とエリンシア以外の傭兵団の空気が固まる。.......そんな不味いこと言ったかな

 

エリンシア「??皆様、どうかしましたか?」

 

セネリオ「.....理解できません。あなたは自分の立場を理解していないのですか?」

 

エリンシア「いえ、理解はしていますが.......」

 

セネリオ「クリミア再興の旗印として、エリンシア王女の存在は必要不可欠。少なくとも現在、エリンシア王女以外の王族の安否が確認できていないのでそうなります。にも関わらず、戦場に出る?命の危険を自ら晒しに行くその姿勢を疑います。」

 

セネリオが正論を叩きつける。まぁ確かに大将とか旗印になる人間が死んだら、統率取れなかったり士気が下がったりとまともな事がないからな.....

 

ティアマト「セネリオ、その言い方はちょっと......」

 

セネリオ「.......失礼しました。」

 

アイク「別にいいんじゃないか。」

 

アイクの発言で、更に場がどよめく。

 

オスカー「アイクは、王女を戦場に立たせることには賛成なのかい。」

 

アイク「それは俺が決めることじゃない。エリンシアが決めることだ。依頼主がこうと決めたなら、それに従う。」

 

エリンシア「アイク様.......!!!!」

 

ボーレ「アイクに先越されたのは癪だが、俺も賛成だな。前の戦いの時に強かったし。」

 

ここで実績を作っておいたのが効いた。実際、今のボーレの発言でいいんじゃないかなって雰囲気が生まれてきてる。ナイス豆腐

 

マーシャ「じゃあ私がずっと傍にいて、お守りする!!同じペガサスナイトだし、そっちの方がいいでしょ。」

 

セネリオ「.......エイリスは、どう思いますか?」

 

ここでセネリオが話を振ってくる。まぁお互い参謀的立ち位置だし、意見共有をしておきたいのだろう。

 

エイリス「別にいいと思う。もし昨晩の戦いで、押されてるようであったら様子見で反対したけど、戦績残してくれたし。何より飛行職が多い方がこの先何かと有利になる。不安ならネフェニーを付ける。.......セネリオ、それでも不安か。」

 

セネリオ「不安ではあります。戦場である以上、絶対はありません。さらに言えば、殺し合いの場の空気に乗らないか.....それが1番の懸念です。」

 

エリンシア「.........」

 

エリンシアが少し気まづそうにしている。......これ多分セネリオが言ったことが当てはまったんだろうな。そんな顔。

 

エイリス「それは慣れた俺たちでもあんま変わらんだろ。逆に場数踏まずにこの先出られても困る。戦いが進むにつれ、相手も強くなる。」

 

.......武器レベルと力の低さがまじでエリンシアが蒼炎で使いにくい所以だと思う。さすがに終盤加入ならもっとステとか良くしてやれよ.....と思った。

 

アイク「セネリオ、どうする?」

 

セネリオ「.....分かりました。アイクが決めたのなら、僕はそれを手助けします。ただし、単独行動だけはしないで下さい。そこはエイリスにもお願いしておきます。」

 

エイリス「分かった。」

 

エリンシア「ありがとうございます.....!!エリンシア・リデル・クリミア、祖国再興の為、皆さんの為、全力を尽くすことをここで誓います。」

 

 

エリンシア が仲間になった!!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

グラーヌ砂漠

 

アイク「なぁ、セネリオ。.....おまえ、大丈夫か?」

 

セネリオ「え?」

 

アイク「ふさぎこんでるように見えるんだが?」

 

セネリオ「そ、そうでしょうか?特に何もありませんよ.....」

 

アイク「だったら、いいんだけどな。」

 

印付きとかも含めて色々あるからな.....アイクが世界を知るにつれどう変わるかとか.....そういうの考えてるのかな

 

エイリス「セネリオ、アイクは変わらんだろ。」

 

セネリオ「......そうですか。」

 

エイリス「あぁもうめんどくさいな.....分かった。この仕事終わったらちょっとイベント作るからそれで少し気を紛らわせてくれ。」

 

セネリオ「何をするかは知りませんが.....分かりました。この後、時間を空けておきます。」

 

セネリオも少し気を変えたのか、雰囲気が変わった。

 

 

数分経過後

 

???「おまえたちは何者だ?答えろ。」

 

アイク「俺たちは傭兵だ。ここらあたりを根城にしている盗賊団の討伐を依頼されてきた。」

 

???「.......元老院のイヌめ!我らを盗賊団として闇に葬り、自分達の罪を包み隠そうというはらか!だが、我らは負けん!いつの日か必ず.....全ての奴隷を解放してみせる!!」

 

アイク「なんの話だ?」

 

???「これ以上は問答無用だ!みんな、かかれっ!!」

 

合図と同時にそこら辺に立っていたラグズ達が変身し始める。

 

アイク「!?相手はラグズなのか!?」

 

セネリオ「盗賊団にかわりありません。油断しないでください.....!」

 

アイク「わかってる。みんな、砂に足をとられないよう気をつけて戦うんだ、いいな!」

 

 

 

エイリス「全員聞いて。今回の敵はラグズ.....だけど、あいつらは半化身状態じゃないから時間が経てば化身は自然と解ける。それを待って各個撃破していく。出撃メンバーは、アイク、セネリオ、フォルカ、サザ、ミカヤ、エリンシア、マーシャ、レテ、モウディ、ヨファ、ミスト、ジル、ネフェニー、俺で行く。砂漠だから今回は騎馬の方々は待機でいて。副団長とオスカーさんで盗賊の捕縛、マカロフやチャップさん達残ったメンバーは打ち漏らしと捕虜の監視をやってもらう。」

 

そしてここで1番やらなきゃイベントもある.....

 

エイリス「まず今回は.....この砂漠にはいくつか埋もれてるアイテムがある。サザとフォルカでその発見をやってくれ。レテは.....あそこら辺、敵本拠地近くのところをウロウロしてくれ。」

 

レテ「私への命令が曖昧すぎる!何故そんな事をする必要がある!?」

 

エイリス「頼むから.....あそこら辺に仲間になるやもしれない奴がいるんだ。頼む。」

 

レテ「.....癪だが、要請なら従う。どうせお前の事だ。今回も当たっているんだろう。」

 

「頼む。それじゃあ、制圧にかかる。行くぞ。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

レテside

 

エイリスに言われた通り、本拠地近くをウロウロしている。.......あっちは戦いを順調に進められているみたいだ。

 

(にしても.....ここら辺に何があるというのだ。)

 

そう考えていたら、人の気配がした。

 

レテ「?」

 

気のせいか.....?だが確実に気配を感じた。

 

レテ「? ?.......なにかの気配が...............気のせいか.......」

 

 

 

 

ソーンバルケ「猫の娘か.....この辺りでは見ない顔だな。」

 

レテ「!!」

 

声をした方を向く。

 

レテ「! ! !おまえ.....いつの間に!?」

 

その男は.......下半身が砂漠に埋まっていた。

 

 

もう一度だけ言う。下半身が砂漠に埋まっていた。正確に言うと腕の関節のあたりまで埋まっているのだが.......何がどうなっているんだ。

 

ソーンバルケ「これは.....驚かせてしまったか、すまん、すまん。」

 

驚かせる方法が突飛すぎる。

 

レテ「何者だ!?何をどうしたらそんな事になるんだ!?」

 

おそらくエイリスが言っていた奴がとはこの男の事だろうか....埋まっている男を回収しろと言うのか、私に。この前のトハでもそうだが、どうして私がこういう仕事につくと、相手が個性的なんだ。

 

ソーンバルケ「相手の名を知りたくば、まず自分から名乗るべきじゃないか?」

 

しかもこの男は埋まっているにも関わらず、マイペースに会話を続ける。本当に何者なんだ。

 

レテ「.....レテだ。ガリアから来た。」

 

ソーンバルケ「私はソーンバルケ。人里はなれたこの地で隠者の真似事をしている。」

 

.......ベオクの隠者は、地面に埋もれるのか。これは知らなかった.....ベオクの生態をまた新しく知ってしまった。我々ラグズでも、この様な真似をする者はいない。.......さすがに、こんな男をエイリスが探している訳でもないか.....人違いか。いや、人違いにちがいない。そうであってほしい。

 

レテ「そうか、それは邪魔をしたようだ。」

 

ソーンバルケ「なんの。気にしなくてもいい。」

 

レテ「.......」

 

これを気にしない方が難しい.......この男は、一体どういう感性を持っているのか。.......しかし、さっきからこっちを見ているな。去ろうにも去れない。

 

レテ「.......で?」

 

ソーンバルケ「なんだ?」

 

レテ「なぜ、そこで何もせずじっとこっちを見ているんだ?」

 

せめて埋もれた体を出す努力くらいすればいいのに.....そう思わずにはいられない。

 

ソーンバルケ「ガリアの獣牙族に興味がある。色々、話を聞かせてくれないか?」

 

レテ「.......断る!」

 

ソーンバルケ「どうしてだ?」

 

レテ「私は、仲間といっしょに戦っている最中なんだ!そんなことをしている暇はない!!」

 

あとこんなヤバそうなベオクの男とは関わりたくない.......

 

ソーンバルケ「では、私も手伝おう。戦いが終われば、ゆっくり話す時間もできるだろう?」

 

レテ「それは.....まあ.....」

 

ソーンバルケ「いざ、参ろうか!」

 

レテ「参る.....どうやって?」

 

ソーンバルケ「とりあえず私の体を掘り起こしてくれ。」

 

レテ「.....妙なものを拾ってしまったか.......」

 

エイリス、間違えていたらすまない.....とんでもないベオクを拾ってしまった。

 

ソーンバルケ が仲間になった!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ムワリム「!?、何故子供が戦場に.....!?」

 

エイリス「.......」

 

ある程度掃討し、ムワリムと対峙する。ミストとかヨファ、サザだと特殊会話が発生するけど、俺も発生するのか.....まぁ歳は割と若く設定したしそうなるか。

 

ムワリム「辞めろ.....子供とは戦わん.....」

 

エイリス「.....あんた、俺は敵だ。子供だろうと.....戦ってもらう。」

 

ムワリム「.......くっ.......」

 

ムワリムが意を決したかのように飛び込んでくる。それを避け、パージを放つ。さすがにイヤイヤ戦ってる相手にアーリアルは使いたくない.....そして、パージを数発放って、ムワリムは倒れた。

 

 

ムワリム「ハッ.....ハッ ハッ.....私たちの負けだ。」

 

アイク「.....おまえが、この一団の首領なんだな?」

 

ムワリム「ああ.....そうだ。.....これ以上、抵抗はしない.....連行するなり.....この場で処刑するなり好きにするがいい.......だから.....他の仲間は.....見逃してもらえないだろうか.....頼む......」

 

???「そんなの、ダメだ!!」

 

アイク「!」

 

そのセリフと同時に、トパックがムワリムの前に出てくる.....結構小さいなトパック。

 

トパック「ムワリムは渡さないっ!」

 

ムワリム「いけない、坊ちゃん!どうして出てきたりするんです.....!」

 

トパック「ムワリムを連れて行くなら、おいらを殺してからにしろ!!」

 

アイク「おまえは.....」

 

ムワリム「そう、この子は『人間』だ。まだ幼い頃に.....私がさらってきたのだ。だから私たち“半獣”とは、無関係で.....」

 

エイリス「なんだろう.....嘘つくのやめてもらっていいですか。」

 

トパック「ウソをつくな!おいらは好きでここにいるんだ!ラグズ奴隷解放軍の首領はおいらなんだからな!!ムワリムの大バカ野郎!みんなをかばって死ぬなんて許さない.....からな.....!!」

 

トパックと俺のセリフが見事に被る。1回言ってみたいと思ったけど、感動場面を少し破壊することになっちゃったかな.....?

 

ムワリム「坊ちゃん......」

 

エイリス「ラグズ奴隷解放軍、ねぇ.....それは大層な志だが、解放された奴隷はどこに行けばいいのかな?」

 

トパック「えっ.....?」

 

エイリス「いやね、俺も似たような事やってたのよ。盗賊とか海賊を殲滅して、そいつらを部下にして職につけさせてたんだけどさ.....そいつらって大概が無一文なのよ。それでもって、それ以外の事をほとんど知らない。......君が誰かは知らないけど、解放と言うには、しっかりと生活から脱却できるように工夫してなきゃ、それは、ただの暴力を振るう賊でしかないわけで。分かる?君たちが賊じゃないって言っても、他から見たら暴力振るってくる賊にしか見えないんだよ。」

 

アイク「エイリス、一旦その話は置いておけ。.......どっちが首領でも、俺はいっこうに構わんが.....ベオクを庇って、自分のことを“半獣”呼ばわりするラグズと、『ラグズ奴隷解放軍』とかいう団体には―――興味がある。悪いようにはしないから俺に詳しく話してみないか?」

 

トパック「.......」

 

そしてアイクの呼び掛けに応じ、トパックとムワリムと一緒に拠点に戻ることになった。

 

 

拠点

アイク「.....つまり、このベグニオンには元々ラグズを奴隷とする風習があるというんだな?」

 

トパック「そうだ。」

 

ティアマト「だけど、それは昔の話でしょう?確か20ほど前にだされた奴隷解放の令によって、ラグズ奴隷制度は完全に廃止されたはずだわ。」

 

ナーシル「表向きはそうなっているね。」

 

アイク「じゃあ、法令に背いている 輩がいるってことか?」

 

トパック「民間にはいないけど、貴族の家にはまだたくさんのラグズ奴隷がいる。おいらとムワリムは、そのことを元老院に訴えたけど.....相手にしてもらえなかった。だから同志を集めて組織をつくって.....奴隷のいる貴族の屋敷に忍び込んではそこから逃げ出す手助けをしている。それで.....それを公にできない貴族たちが、おいらたちがただの盗賊団だと言って.....おたずねものにしたんだ。」

 

アイク「おまえたちの行為については、よくわかった。だが、このままじゃ根本的な解決にはつながらんな.....」

 

トパック「それはわかってる。だけど、あきらめてほっとくなんてことおいらにはできない.....!それに今が好機なんだ!」

 

アイク「好機.....?なんの話だ。」

 

ムワリム「先日、ガトゥス侯ルカンの邸宅が落とされたことです。それと同時に、奴隷だったラグズの一部も、逃げ出すことに成功したのです。」

 

あれ?という事は、イレースの奴.....神使を救出するのと同時にラグズも助けたのか。

 

エイリス「イレース、お前何かした?」

 

イレース「いえ.....神使の檻が分からなかったから、片っ端から壊していっただけ.....」

 

想像以上のパワープレイだった。別にイレースって大食いキャラではあるが、脳筋キャラでは無いよな.....?

 

アイク「その件は、エイリスがやった。」

 

トパック「お前たちがやったのか!?」

 

アイク「俺は大神殿の護衛だったから何もしてないがな.....別に大義の為じゃない。単に仲間が攫われたからだ。」

 

ムワリム「.....先程はすまなかった。そうとは知らず、襲ってしまった。」

 

アイク「謝る必要はない.....そこで提案だが、この件を俺に預けてくれないか?」

 

トパック「え?」

 

アイク「俺もここんところ、ベオクの行為に嫌気がさしてたところだ。.....なにか、できることがあるかもしれない.......」

 

エイリス「このまま活動を続けても貴族に追われるだけだ。.....こっちには少し手がある。利用してみたらどうだ?」

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ネサラside

 

夕焼け空の中、ネサラとリュシオンはとある所に向かっていた。

 

リュシオン「おい、ネサラ。いったい私をどこに連れて行く気だ?いいかげん説明してくれないか?」

 

ネサラ「あと少しだ!約束どおり、着いてから話す。」

 

リュシオン「.....ティバーンに何も告げず出てきてしまったが.....こんな遠出になるなら、一言、断りを入れるべきだったな.....」

 

リュシオンには戦う力がほとんど無い。もしもの時に頼れるティバーンに頼るのはいつもその為だった。

 

ネサラ「ここだ。これをおまえに見せたかった。下を見ろよ、リュシオン。何が見える?」

 

リュシオン「.....これは、なんだ?いったい.....何が起きている.....!?」

 

リュシオンは眼下に広がる景色に驚き、少し移動して見回る。ネサラもその後に続き、森へと入っていく。

 

リュシオン「これが、セリノスだと.....そう言うのか!?色を失くし、枝の垂れ下がったこの樹木が.....私たちの森の木だと.....」

 

そこはリュシオンの知るセリノスでは無かった。木々は完全に枯れ、緑色はどこにも無かった。

(キギヨ! ミドリナス ワガキョウダイタチヨ!ワタシノコエガ キコエルダロウカ!? コタエテクレ!)

 

古代語で森に呼びかけても、その返事は無かった。森は、ほとんど死んでいた。

 

ネサラ「.....古代語か。久しぶりに聞いた。おまえはまだ、その言葉を使うんだな。

 

リュシオン「.....森の声が聞こえない。どうして.....こんなことに.....」

 

ネサラ「おまえたちがいなくなった後は、ずっとこんな状態だ。入り口付近が特にひどい。火をかけられたせいで、ほとんどの木が立ち枯れている。」

 

リュシオン「.....ひどい。なぜ、こんなことができるのだ。ニンゲンどもめ.....森がいったい何をした!我らサギの民が、いったい何をした.....!!」

 

ネサラ「ニンゲンは、ラグズを見下した時、同じように自然も見下したのさ。全ては自分たちのためだけに存在している。だから何をしても構わないと思っているんだ。最低な奴らだ。」

 

ネサラの意味深な発言に、リュシオンは少し頭を動かす。しかし、目の前にいるネサラが嘘を言っているようには聞こえなかった。

 

リュシオン「.....ネサラ、私は、おまえを誤解していたようだ。ニンゲンにこびへつらう、裏切り者だなどと.....ひどいことを言った。すまない。許してくれ。」

 

ネサラ「.....いや。ニンゲンと商売をしてるのは、本当のことだしな。それより、暗くなってしまった。フェニキスに戻るのは、明日でいいだろう?確かこの近くに.....どこかの貴族の別邸があったはずだ。この季節は、誰も使わないはずだから、今夜はそこを拝借しよう。」

 

リュシオン「.....ニンゲンの建物で寝るのか?」

 

ネサラ「我慢してくれ。俺たち鳥翼族は、闇夜じゃ視力を失うからな。夜、ニンゲンに見つかったらろくな抵抗もできず、捕まっちまうだろう?」

 

リュシオン「.....分かった。」

 

ネサラの提案にリュシオンは渋々のった。いまいち、ニンゲンの物を利用しとうとする考え方が、分からなかった。

 

 

屋敷に到着し、2人は少し羽を下ろした。

 

ネサラ「じゃあ、俺は食料なんかを調達するから、くつろいでいてくれ。」

 

リュシオン「ネサラ!」

 

ネサラ「ん?」

 

リュシオン「何から何まですまない。その.....感謝している。」

 

ネサラ「.....水臭いこと言うなよ。昔なじみだろ、俺たちは。」

 

リュシオン「そうだな。」

 

そしてネサラはリュシオンを屋敷に留めて、外へ出ていった。目的は.....もちろん食料調達などではなかった。

 

 

 

ネサラ「手はずは整っているか?」

 

キルヴァス兵「はい。タナス公は今か今かと待ちわびています。

 

ネサラ「だろうな。だが、明日の朝まで待たせておけ。ヘタに姿を見せられるとリュシオンが警戒する。」

 

キルヴァス兵「かしこまりました。」

 

ネサラ「さて、仕上げといくか。これも.....キルヴァスがのし上がるための術だ。リュシオン、悪く思うなよ。.....と言っても無理な相談か。」




この二次創作は、アイク×エリンシアを目指しているため、エリンシア×ジョフレ派の人には申し訳ないが、そういう描写が多少あるのは許してください。

子供蒼炎来たのかぁ.....なんか新英雄召喚(蒼炎・暁)とこの二次創作の活動期間って巡り合わせがいいですよね


古代語は出し方分からないので、カタカナ表記にします。許してクレメンス.....


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ベグニオンの贖罪

結局ベグニオンって神使がいてその下に元老院があるって感じで.....帝政なのか立憲君主制なのか分からん(まぁ神使に権限があるから多分ないだろうけど....)


リュシオンが目が覚めると、そこは知らない貴族邸宅で、檻の中にいた。

 

リュシオン「誰だ!?おまえたち.....!ネサラはどこへ......」

 

オリヴァー「おぉ.....おぉ.....これ、皆のもの。見るが良いぞ。あれぞまさしく、幻のセリノス王族。朝日を受け、輝く黄金の髪の美しさはどうだ?柔らかな光沢を放つ白銀の羽は...まごうことなき王族の証。すばらしい...まったくもってすばらしい芸術品といえようぞ。これが私のものになったと思えば.....キルヴァス王に支払った大金も惜しくないというもの。」

 

リュシオン「!?ネサラが.....私を.......おまえに売った.....!?」

 

(あの言葉は全て嘘だったのか......!!!!ネサラ......!!!)

 

オリヴァー「ほほほほほ怒った顔はまた格別。なに、おとなしくしておれば、豪華な生活をさせてや...」

オリヴァーが言葉をいい切る前に、リュシオンがオリヴァーに攻撃をしかける。

 

オリヴァー「ぶっ!!!なっ! こ、このっ.....鼻が.....!私の美しい鼻がぁっ!!!

 

ベグニオン兵「オリヴァー様っ!こ、こいつめっ!!」

 

兵士がリュシオンを抑えようと攻撃をしかける.....しかしオリヴァーが間に入ってそれを止める。

 

オリヴァー「やめよ!傷つけてはならん!!その者は、怯えておるだけじゃ。時間をかければ、わしがどんなに優しく、慈悲深い主人であるかわかるはずじゃ。」

 

リュシオン「ふざけるな......!!」

 

オリヴァー「おおお.....怖い怖い。ここはひとまず退散じゃ。よいか、おまえたち。くれぐれもこの者に手を上げてはならんぞ。食事や閑居に気を使いこの美貌を、少しでも損なうことのないようにせよ。サギは繊細な生き物だからな。さすれば、しかるべき時に.....そうじゃな、いつにするかな。常日頃から、わしを見下しておった元老院の他のやつらめに、見せ付けてやるのだ.....とっておきの舞台でなければな。今では幻と言われるセリノスの王族を従えたわしの姿.....ガドゥス公の悔しがる顔が見ものじゃ。ほほほほ ほほほほほほほ」

 

ベグニオン兵「しかしオリヴァー様.....よろしいのですか?先日この国にいるグレイル傭兵団がガトゥス公の邸宅を襲った結果、奴隷となっていたラグズの一部が逃げ出したとの報が.....」

 

リュシオン「!!!!」

 

オリヴァー「ふむ.....あれは、ガトゥス公が足をすくわれただけの事。一介の傭兵団に敗れるはずなどあるまい。折角手に入ったセリノスの王族.....警備を厳重にするのじゃ。」

 

ベグニオン兵「はっ!」

 

 

 

リュシオン「くそっ.....ネサラめ、よくも私をこんなめに......!!」

 

(しかしどういう事だ.....何故ニンゲンがラグズの奴隷を解放する.....?)

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大神殿マナイル

 

アイクたちはトパックを連れて神使に面会する。ムワリムは諸事情により待機してもらっている。何気にミカヤも同席してるけど、大丈夫かな.....?

 

アイク「連れてきたぞ。」

 

サナキ「よくやってくれた、アイクよ。報酬は十分とらせようぞ。」

 

「いつもの取り巻きはどうしたんだ?神使親衛隊の2人しか見えないが.......」

 

サナキ「ちと思うところがあってな。人払いをしておる。それで.....その者が例の盗賊団の首謀者か。なんと、まだ子供ではないか。その方なんぞ申し開きすることはあるか?」

 

((((神使も子供では......)))))

 

エイリス「いや、神使様も子供じゃないですか。何言ってるんですか?」

 

サナキ「おぬしにも言われとうないわ!おぬしも子供ではないか!.......んんっ!!!で、申し開きはなんじゃ?」

 

トパック「おいらたちは盗賊団なんかじゃない!汚い貴族どもに捕まっているラグズを解放しているだけだ!!」

 

サナキ「それは面妖な話よの。ベグニオン暦624年.....先代神使にして我が祖母なるミサハがラグズ奴隷解放を取り決めた。法令上、このベグニオンには現在、ただの1人たりと奴隷がおるはずはない。」

 

トパック「嘘だっ!!多くの貴族の家では、労働用だ鑑賞用だってラグズが飼われている!元老院は、それを黙認してるんだ!!」

 

法令上って言ってるんだよなぁ.......

 

アイク「こら! 落ち着いて話せって言っただろ?」

 

(え、お前が言うのそれ.....)

 

トパック「だ、だってよぉ.....!!」

 

サナキ「.....アイク、そのほう何ゆえこのように無礼なる者をわたしに対面させようと思ったのじゃ?何をたくらんでおる?」

 

アイク「.....たくらんでいるのは、あんたのほうだろ?」

 

サナキ「ほう、それはどういう意味かの。」

 

アイク「前回は奴隷商人の存在を確かめさせ、今回は奴隷解放の一団と接触させた。.......おかしいとは思ってたんだ。使いきれないほどの臣下をもつ神使殿が、なぜ、俺たちに仕事を依頼するのかってな。」

 

サナキ「わかったのか?」

 

アイク「内部腐敗を摘発することが目的…だろ?元老院の大勢が、この奴隷問題に関わっているってことを、公にしたくないんだ。」

 

サナキ「野育ちの粗暴なサルかと思ったが、存外、頭の回転は悪くないらしい。だがひとつだけ誤ちがある。わたしは別に公にされようと構わんと思っておる。腐敗を罰し、法令を守るこの姿勢を見せることが大事なんじゃ。」

 

アイク「.....俺1人の考えじゃないさ。頼りになる仲間がいるからな。」

 

トパック「え、ええっと.....?どういうことになってんだ!?おいらにも説明しろよ!」

 

アイク「神使は全部わかってるってことだ。その上で、この問題をなんとかしてくれるつもりらしい。」

 

トパック「ほ、本当か!?」

 

サナキ「成功するかどうかは、そなたたちの働き次第じゃ。」

 

そう言ってサナキはこっちを見てくる。いや何があるってんだよ.....

 

アイク「じゃあ、次の仕事内容を聞かせてもらおうか。」

 

サナキ「タナス公オリヴァーに不審な動きありとの密告があった。セリノスの森近くにある、タナス公の別邸へ向かい.....動かぬ証拠を押さえて参れ。」

 

アイク「吉報を持って戻る。待っていてくれ!」

 

サナキ「それと、今回の仕事はエイリスは別件を任せる故、そちらには参加せぬ。おぬし達は退室せよ。エイリス、その緑髪の女、銀髪の女の3人は残るのじゃ。」

 

神使に促されるようにアイクたちは退室し、こっちだけが残される。

 

エイリス「なぁ.....俺なんで別件なの?この仕事凄く大事なんだけど。」

 

この章には、仲間になるキャラもいるし.....そして何よりも手に入れないといけない、フルガードがある。龍の盾もあるし、サンダーストームもある.....この章は色々とあるんだよ。

 

サナキ「帝国で片付けなければいけない腐敗が多すぎるのじゃ。.....それにあの者達も強い。おぬしと分かれようとも仕事は果たす。」

 

違う、そうじゃない。

 

エイリス「それで、仕事って何?」

 

サナキ「これからクリミアに協力するのは決まっておる。じゃが.....ベグニオン兵の中にも、賛成派と反対派がおっての。そして反対派の一部が、クーデターを企てておるとの事。おぬしには、ゼルギウスと共にその過激派勢力の掃討にあたってほしい。」

 

ネフェニー「.....そんなに数が多いんか。」

 

サナキ「うむ。」

 

エイリス「別に掃討自体は良いんだけどさ.....結果として国の戦力が下がることになる。今の状態でそんな事していていいのか?」

 

サナキ「構わぬ。おぬしとゼルギウスが手を組んだとなれば、大勢の者は降参する。」

 

エイリス「.....というか、ゼルギウスって宰相の直属の部下なのに大丈夫なの?」

 

サナキ「セフェランからは許しを貰っている。そこは気にせんでよい。」

 

エイリス「.....分かった。とりあえずそっちに向かう。」

 

サナキ「うむ。それでそこの銀髪の者じゃが.....」

 

サナキがミカヤをじっと見る。.....この2人をかち合わせるのはさすがに早かったかな.....

 

ミカヤ「神使様、どうかなさいましたか.....?」

 

ごまかした.....って捉えていいのかこれは。

 

サナキ「.....いや、すまぬ。どうにも他人には思えなくてな。勘違いであった。」

 

暁だと確か姉がいたことすら知らなかったんじゃかったような.....まぁ、先天的な感覚もあるんだろうな。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アイクside

拠点

 

ムワリム「.......」

 

ムワリムはトパック達の帰りを待っていた。貴族との因縁もあるので、何かされたらと気が気ではなかった.....

 

トパック「ムワリム!」

 

ムワリム「坊ちゃん!ど、どうでしたか?何か.....嫌なめにあわされませんでしたか!?」

 

トパック「全っ然、平気だったぜ!【神使】って、もっと感じの悪い女かと思ってたけどさ。ただのガキだった。おいらよりチビでやんの。」

 

ムワリム「ぼ、坊ちゃんっ!そんな大きな声で.....なんてことを!!」

 

トパック「な、なんだよ?」

 

アイク「ムワリム、大丈夫だ。この部屋にいるのは俺の仲間だけだ。神使の手下はいない。」

 

ムワリム「.......よかった.....」

 

トパック「ムワリム?」

 

アイク「神使の悪口を言うのは、ここでは『不敬罪』とかなんとかで...下手をすると処刑されるそうだ。」

 

トパック「!!」

 

ムワリム「坊ちゃん.....ここにいる間は、言葉の使い方に.....くれぐれも気をつけてください。お願いですから.....」

 

トパック「.....うん。分かった.....」

 

アイク「ベオクのトパックより.....ラグズのあんたのほうが、ここの作法なんかに詳しそうだな?」

 

ムワリム「.......」

 

トパック「そ、それは.....!!おいらが物知らずなだけで.....」

 

ムワリム「.....いいんですよ、坊ちゃん。アイク殿....私がベグニオン貴族の慣習に通じているのは....私自身が、奴隷だったからです。」

 

アイク「.....!!」

 

トパック「.....」

 

ムワリム「私の家族は代々.....とある元老院議員の家の奴隷でした。小さい頃は、自分が奴隷であることに疑問を抱くこともなく育ちました。どんなきつい労働も.....生まれた時から、それが当たり前のことだと思っていましたから。.....主人に気に入ってもらえるよう、行儀作法を、必死で身につけました。奴隷である我々が.....少しでも長く生き残るためには....主人の機嫌を損ねないことが最も重要でしたから。もし、少しでもしくじれば.......よくて鞭打ち.....悪ければ.......」

 

トパック「ムワリム!もうやめろ!」

 

ムワリム「すみません.......アイク殿.......奴隷だった私といると.....あなたたちまで、蔑まれ軽んじられる。私がここに来たのは.....坊ちゃんのことを......どうしてもあなたに.....あなたにお願いしたいと.....」

 

トパック「なんで!?なんでだよっ!ラグズ奴隷に生まれたら.....自由に生きることも許されない.....そんなの、おかしいって!だから.....それをおいらたちで変えようって約束したじゃないか!!ラグズも、ベオクみたいに家を建てて、畑を作って.....家族みんなが自由で平和に暮らせる.....そんな世の中にしようって.....」

 

ムワリム「.....それは、私たちラグズ奴隷であった者たちの.....夢です。ベオクのあなたまで.....それに付き合う必要はない。」

 

トパック「!!.....っ!」

 

ムワリムの言葉に耐えられず、トパックは外へと飛び出した。

 

ムワリム「坊ちゃん!........」

 

アイク「そんなに気にすることなのか?」

 

ムワリム「え?」

 

アイク「ベグニオンに来て、ずっと.....おかしいと思っていた。貴族の家に生まれたから貴族。奴隷の両親からうまれたから奴隷.....人の価値が生まれた瞬間に決められているとでもいう気か?そんな.....訳の分からん決め事がまかり通るこの国が.....理解できん。」

 

ムワリム「.....クリミア王女に仕える方のお言葉とは思えませんね。王女は、王の血筋に生まれたから王女なんですよ?それすらも否定される気ですか?」

 

アイク「.......そう、なんだよな。エリンシアは.....王女なんだ。団の雇い主に対して、最低限、敬意を払っていたつもりだが.....『姫』と呼びながら、それがどういう意味を持つかなんて.....ここに来るまで、意識したことがなかった。それにうちの団にはちょっと特殊な奴がいるからな。」

 

ムワリム「あの、少年のことですか?」

 

アイク「あぁ。エイリスはまずこの大陸の生まれじゃない。だがあいつは血筋に関係なく王宮騎士と肩を並べる地位にまでいっている。」

 

ムワリム「.....私の目から見れば.....あなた達はとても.....恵まれている。ベオクとして生まれ、緩やかな身分制度の国で育った.....それが.....とても妬ましい.....」

 

アイク「.......俺には.....どんなに努力しても、あんたの痛みを理解できないんだろうな。けどな、貴族階級とかいう制度を知ったからといって.......エリンシアに対する態度を変えられなかったように.....あんたが奴隷だったと聞かされても、やっぱり態度を変えられそうにない。あんたは、あんただ。そう考えるのは、俺の自由だろ?」

 

ムワリム「.........」

 

アイク「ムワリム、あんたが過去を引きずるのは仕方ないのかもしれん。だが、どんな事情があるのか知らんが.....あんたをあんなに慕ってるトパックを無理に遠ざけようとするなよ。トパックがあんたと共にいることを選ぶのも.....やっぱり、あいつの自由なんだ。」

 

ムワリム「坊ちゃんを.....捜してきます。」

 

アイク「.....神殿の奴らに会うのが辛いなら、俺が行って、連れてこようか?」

 

ムワリム「.....いえ、大丈夫。私は鼻がききますから。ベオクを避けながら

坊ちゃんの匂いを追うことは容易い。」

 

アイク「そうか。」

 

ムワリム「アイク殿.......私を、本当に.........いえ、これからも、よろしくお願いします。」

 

アイク「こちらこそ。 できるだけ長く、団にいてくれ。」

 

 

 

 

エイリス「終わったぁ.....疲れた。」

 

アイク「何かあったか?」

 

アイクが水を出してくれた。お前いつの間にそんな気遣い身につけたんだよ.....

 

エイリス「ん?別件の仕事入れられた。だから次の仕事、俺一緒に行けないわ。」

 

アイク「また何か事件か?」

 

エイリス「まぁ、そんなとこ.....なんかクーデター企んでるやついるから叩いてこいって。それで皆に伝えておきたいんだが.....」

 

近くにあった紙と羽を取って、重要事項を書いていく.....口頭だと絶対忘れられるし。

 

エイリス「行軍指揮に関しては心配してないけど、これは気をつけて。」

 

セネリオ「相変わらず行ってもないのによく分かりますね.....」

 

セネリオが呆れながら紙を見る。そりゃこっちはプレイしてわかってるからな.....

 

セネリオ「了解しました。この事に留意して指揮を補助します。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

タナス公屋敷前

 

アイクたちはタナス公の疑惑を調査するため、屋敷まで訪れていた。

 

アイク「ここだな?」

 

セネリオ「はい。かなり厳重に警備されています。内部に入り込むまでは、正攻法でいくのがよいでしょう。」

 

 

ベグニオン兵「止まれ!なんだ、おまえたちは!?この館は、元老院議員タナス公爵様のものなるぞ!」

 

アイク「俺はグレイル傭兵団のアイク。ベグニオン神使の命でタナス公爵にかかっている嫌疑について取調べに来た!」

 

ベグニオン兵「! 神使様の!?し、しばらく待っておれ!!」

 

ベグニオン兵が屋敷内へと消えたのを見計らい、アイクがミストとティアマトに目線を送る。

 

ミスト「.....じゃあ、お兄ちゃん。わたしたちは、こっそり外側から調べてみるね。」

 

アイク「頼む。」

 

ティアマト「まかせて。いざという時は女の方が何かと言い抜けできるから。」

 

ミスト「それにエイリスさんから、ポータル預かってるから、大丈夫!」

 

アイク「あいつも案外過保護だな。」

 

ティアマト「さ、ミスト、行きましょう。」

 

ミスト「うん。」

 

そしてタナス公が出てくる前にミストとティアマトは屋敷の側面に潜入し、調査を開始した。それを見送ったアイクとセネリオは再び正面を向き何事も無かったように振る舞う。

 

オリヴァー「神使様の御使いというのはそのほうか?」

 

アイク「.....ここに神使の書状がある。」

 

オリヴァー「.....む.....た、確かに。本物のようじゃな。して、私にかかっている嫌疑とは、いったいなんじゃ!?」

 

アイク「.........」

 

セネリオ「.....神使の代理人に対し、門前で立ち話させるおつもりですか?」

 

アイクが無言で圧力をかけ、セネリオが弁論巧みにしかける。

 

オリヴァー「!!い、いえ、そんな。めっそうもない.....!な、中へどうぞ.....」

 

 

その後、オリヴァーの屋敷に入った後、アイクが嫌疑について説明する。

 

オリヴァー「ほ、ほう.....なるほど。私に、そのような嫌疑が......ほほぅ」

 

アイク「身に覚えがないと言い張るのか?」

 

オリヴァー「屋敷中、隅々までお見せしたとおりじゃ!どこにも、ラグズの姿など見あたらなかったであろう!?」

 

アイク「.....それは、確かに。」

 

オリヴァー「とんだ疑いをかけられたものじゃ!このオリヴァーが、ラグズの奴隷解放令に違反しているなどと.....!!神使様に、きちんとお伝えしてくれ、タナス公オリヴァーは清廉潔白だと!この清く美しい瞳に不正のかげりなど見えぬであろう? のお!? のおっ!?」

 

アイク「.....っとやめろ、そんなに顔を近づけるな!」

 

セネリオ「案内してもらった部屋にはいました。これで本当に全部ですか!?」

 

オリヴァー「まだ疑われるか!!」

 

セネリオ「ええ。.....神使誘拐事件の際、ガトゥス公も今のあなたのように供述し、公開していない部屋があったと神使親衛隊から報告は受けています。」

 

(ガトゥス公め.....余計なことを.....)

 

 

???「こ、こら、待たぬかっ!!」

 

アイク「!」

 

声のするほうを向くと、ベグニオン兵から逃げてきたミストとティアマトがいた。

 

ミスト「お、お兄ちゃんっ!!」

 

アイク「ミスト、どうした?」

 

ミスト「こ、この館の1番上の方の部屋.....鳥翼族の人がいたよ!窓から飛び出そうとしてたけど、なんか無理やり、部屋に連れ戻されちゃった。」

 

オリヴァー「な! ななっ!なにを申すのじゃ、この小娘めっ!!」

 

セネリオ「.......鳥翼族ですか。他に特徴は?」

 

ミスト「えっと、髪が長いの!こう、きらきら~って金髪でね。肌なんか、すけるように白くって.....!あ! あと、羽も真っ白だったよ!」

 

アイク「間違いないか、ティアマト?」

 

ティアマト「ええ。私も見たわ。」

 

セネリオ「では、この屋敷にいるのはサギの民ということですね。文献によると白羽を持つのはサギの王族だけですから。」

 

アイク「貴族は似たような言い訳でもするのか.......どうやら、俺たちが見てない部屋があるようだな?どうする?おとなしく案内するか.....」

 

そう言ってアイクたちは武器を抜く動作を見せる。相手は傭兵団、貴族のような器用な脅しは出来ないことをオリヴァーは肌で悟った。

 

オリヴァー「.....衛兵っ!こやつらを始末せよ!1人も生かして帰すでないぞ!!」

 

アイク「やっぱり、そうくるか。みんな、入って来い!!」

 

 

セネリオ「ではエイリスから貰ったメモの内容を伝えておきます。まず1点目はこの屋敷にある財宝は違法取引の可能性もあるので全て押収する.......特にフルガードは必ず取っておくこと。2点目はこの屋敷にダラハウという兵士がいるので、子供の誰かで説得しに行く。.....これは僕が行きましょう。最後に3点目。.....この屋敷の上の部屋にいる鷺の王族は、別に今回は保護する必要はなく、逃げるようなら逃がしていいと.....。」

 

トパック「.....え?あいつ、そんな事まで全部知ってるのか!?どうなってんだ!!」

 

セネリオ「.....エイリスはそういう人です。気にしては負けです。」

 

トパック(え、皆頷いてる.....ムワリム.....)

 

ムワリム(坊ちゃん....私も困惑しています.....)

 

 

セネリオ達が作戦指示をしているうちに、オリヴァーの私兵達は迎撃の準備を整えた。

 

ダラハウ「.....戦いの合図.......」

 

キマーシ「オリヴァー様の館を荒らす不心得者どもが!我が槍の錆となれ!!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

その後、戦いは順調に進み、セネリオは敵兵の中に、一際目立つ見た目の兵を見つける。

 

ダラハウ「あれあれ~ だめなのよ~。子供が戦ったりしちゃいけないのよ~。」

 

セネリオ「.....なんですか、あなたは、いったい?」

 

ダラハウ「ダラハウはあなたじゃないのよ~。きれいな庭、うろうろしてたら捕まっちゃったのよ~。罰としてここで1年間タダ働きなのよ~。」

 

セネリオ「.......それで?だから見逃してくれとでも言いたいんですか?」

 

ダラハウ「待つのよ、待つのよ~、ダラハウ子供とは戦えないのよ~」

 

(エイリス.......相変わらず変な人を味方に入れようとしてますね.....)

 

セネリオ「.......だったら、こちら側に寝返るというのはどうですか?グレイル傭兵団に入団するなら、働きに応じた報酬も出します。」

 

ダラハウ「それは、名案ね~。ぜひそうさせてもらうのよ~。」

 

セネリオ「契約成立ですね。アイク団長には、僕から話を通しておきます。では、しっかり働いてください。」

 

ダラハウ「わかったのよ~。ダラハウがんばるのよ~。」

 

ダラハウ が仲間になった

 

 

 

一方、アイクは敵将への道の敵をあらかた片付け、キマーシの前に立つ。

 

キマーシ「ここは我が主タナス公オリヴァー様の領地であるぞ。オリヴァー様の御機嫌を損ねた愚か者は生きて館から出られぬと知れ!」

 

アイク「そんな脅しが効くと思うか?無用な争いは避けたい。部下に命じて降伏させろ!神使に背いてまで、タナス公に従うつもりか?」

 

キマーシ「神使サナキ様に逆らうなど.......畏れ多いことは露ほども思わぬ。.......ただ無能な使者が賊に襲われ、王宮へ2度と戻らぬだけのこと.......」

 

アイク「.....それが、おまえの答えか。」

 

ボーレ「どけアイク!槍じゃ相性悪いだろ!!」

 

それまでの雰囲気をぶち壊し、ボーレが割って入り、斧を構える。

 

アイク「おいボーレ。」

 

ボーレ「こいつに時間取られるわけにもいかねぇだろ。アイク、こいつは俺が倒しておくからお前は先に上の部屋を調べてこい!」

 

そして数合撃ち合った後、ボーレはキマーシを撃破する。それを見計らい、アイクはすぐに上の部屋に向かう。

 

キマーシ「な、なんとしたことか.....これが.....悪事と知りつつ加担した.......報い.....か......」

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屋敷 上階

 

下で誰かが戦っているのを感じ、リュシオンはその隙を狙って逃走しようとする。

リュシオン「!!」

 

オリヴァー「おぉ、私の美しい小鳥よ!怖くないぞ。いっしょに逃げような。」

 

しかし1歩遅く、オリヴァーが部屋の中に入ってきた。

 

「近寄るな!汚らわしい!!.........っ!」

 

オリヴァーを振り払おうとすると、とうとうオリヴァーも強硬姿勢に出て、リュシオンにライトを当てる。不意をついた魔法攻撃にリュシオンも傷を負う。

 

オリヴァー「おとなしくついてこい!そなたは、私のものじゃ......渡さんぞ。誰にも渡すものか.....」

 

オリヴァーも焦っていた。ガトゥス公を破った兵士ならばおそらく自らの私兵でも勝てはしない.....折角大金をはたいて買ったセノリスの王族を手放したくはなかった。

 

リュシオン「.....死んでも、おまえの言いなりになどなるものか!」

 

???「おいっ!どこに行った、タナス公爵!?.......ここか!?」

 

リュシオンが抵抗しているうちに、誰かの声と足音が聞こえてくる。

 

オリヴァー「.......ちっ.....!く、くそう......」

 

オリヴァーは仕方なくリュシオンを諦め、身を隠す為に逃げに転じる。この状態ならそう遠くには逃げられない.....あとで捕まえる。そう算段を立てた。

 

アイク「タナス公爵.....っ!」

 

アイクが部屋に入った時には一足遅く、タナス公の姿は無かった。

 

リュシオン「.......」

 

アイク「!!.......あんたが、セリノスの.....無事だったか?俺たちは、あんたを助けに来たんだ。そのケガは、あの男にやられたのか?すぐに手当てを.....」

 

リュシオン「.....来るなっ!!」

 

アイクが手を差し出すと、リュシオンはその手を弾く。

 

アイク「!!」

 

リュシオン「.......私に近寄るな.....ニンゲンめ......!」

 

リュシオンの言葉がアイクの頭の中で錯綜する.....しかし、アイクはエイリスから言われていたことを忘れてはいなかった。

 

アイク「.....分かった。逃げたければ逃げろ。ただこれだけは渡しておく。」

 

アイクはリュシオンに向かって小さい瓶を渡す。リュシオンは羽で落としたが、瓶は割れなかった。

 

アイク「これはうちの団の軍師.....エイリスが作った回復の薬?らしい。それで傷は治せるばずだ。」

 

リュシオン「.......!!」

 

そしてアイクはそれだけ言い残し、その場を後にした。

 

リュシオン「.....エイリス.....何度と聞く名だ。」

 

ゴルドア会議で名を聞いて以来、頻繁にその名を耳にしていた。先日起きたラグズ奴隷の解放もその名のニンゲンとその仲間がやった。

 

リュシオン「...........」

 

しばらくその瓶を眺め、リュシオンはその小さな瓶を拾い、屋敷から逃げ出した。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

大神殿マナイル

 

タナス公の兵を退けた後、アイクはすぐさま大神殿へと戻ってきた。その頭の中は先程の憎しみを向けるリュシオンの姿で支配されていた。

 

アイク「グレイル傭兵団、戻った!」

 

シグルーン「おつかれさまでした。首尾はどうでした?何か有力な証拠などは掴めまして?」

 

アイク「神使は、どこだ?」

 

シグルーン「アイク殿.....?」

 

シグルーンもその違和感をすぐに感じる。

 

アイク「神使に直接、聞きたいことがある。どこにいるんだ?」

 

シグルーン「サナキ様は、庭園にてエリンシア姫とご歓談中ですわ。お目通りがかなうかどうか、すぐに確かめて参ります。アイク殿はここでお待ちに.....」

 

アイク「庭か.....!」

 

アイクはシグルーンの言葉を聞いた途端、一目散に庭園へと向かった。

 

シグルーン「あ、アイク殿!?勝手なことをされては困ります.....!」

 

その後、アイクはシグルーンの提言を振り払い神使の元に行く。

 

アイク「神使.....!」

 

サナキ「!? なんじゃ、そなた!案内も乞わず現れるなど、なんと不調法な振る舞いを.....」

 

エリンシア「どうなさったのですか、アイク様.....?」

 

アイク「.....全部、聞かせろ。」

 

サナキ「なにを申しておるのじゃ?」

 

シグルーン「アイク殿!神使様に対する無礼は許しませんよ!!」

 

アイク「20年前.....セリノスで何が起きたのかが.....知りたい。」

 

サナキ「な.....!!」

 

シグルーン「!」

 

エリンシア「20年前の.....出来事.....?」

 

アイクの言葉にサナキとシグルーンは息を飲み、エリンシアはポカンとした。

 

 

そして大神殿に移動し、アイクは自分が見たことを全てそのまま話した。話していくうちにサナキの目の色はドンドン変わっていった。

 

サナキ「サギの民が.....セリノスの王族が.....生きていたというのか.....?まさか.....そんなことが.....」

 

シグルーン「サナキ様.....」

 

アイク「.......」

 

サナキ「.....どう話せばよいか。あれは、とても.....難しい問題なのじゃ.....」

 

ナーシル「.....ことのほか、話が進まないご様子だ。まず、私のほうから世間一般に知られる事実をお話ししたいと思いますが.....エイリスがいない状況ですので、かまいませんか?」

 

場の釈然としない空気を察し、ナーシルがタイミングを見計らって入る。

 

サナキ「そなたは.....?」

 

アイク「俺の仲間だ。ナーシル、何か知っているなら話してくれ。それを聞いてから、神使に説明してもらおう。.....それで問題ないな?」

 

サナキ「.....うむ.....」

 

ナーシル「きっかけは、ベグニオン先代神使の暗殺事件.....時は20年前.....折しも奴隷解放宣言がなされたちょうど1年後の話だ。その代の神使ミサハ殿は、歴代神使の中でもっとも国民に崇拝されていた。その神使が暗殺されたんだ。絶望にうちひしがれる国民たち.....ベグニオン中が暗く沈んでいた。そこに、1つの噂が流れた。『セリノスのサギどもの仕業』だと.....その噂はまたたくまにベグニオン王都中に広まったそうだ。ある夜.....事件が起きた。民衆が暴徒と化し、にっくき仇の住処であるセリノスの森に赴き.....火を放った。暴動は三昼夜続き.......セリノスのサギの民はその全てが.......失われた。」

 

エリンシア「.....ただの噂だったのでしょう?なぜ、そんなことに.....」

 

サナキ「.......」

 

ナーシル「神使殿?お話しにならないと。あなたは、このベグニオンの皇帝でもある。国民のやったことに責任を負う存在でしょう?」

 

話そうとしないサナキに業を煮やしたのか、ナーシルは追い討ちをかける。

 

サナキ「.....えん罪だったのじゃ。」

 

アイク「.....先代神使を暗殺したのは、セリノスの者じゃなかったんだな?」

 

サナキ「.....そうじゃ。」

 

ナーシル「サギの民は、戦う術を持たない。森と調和し、女神への祈りを捧げる生活を守り抜いてきた種族.......彼らは力を、他のラグズのように戦闘用に発達させなかったんだ。ある程度の知識のある者であれば、それぐらいのことは知っている。少なくとも、ベグニオンに住む者は、その事実を知っていたはず.....しかし、神使を失い、悲嘆にくれる民衆には真実なんてどうでもよかったんだよ。自分達の行き場のない怒りと絶望を発散させられれば、それでよかった。そうですよね、神使殿。」

 

エリンシア「! ナーシル様っ!!そんな言い方.....っ」

 

サナキ「よいのじゃ、エリンシア姫。.....その者は嘘はついておらん。」

 

ナーシル「.....アイク、フェニキスの鳥翼族はベグニオン船相手にだけ海賊行為をおこなうんだ。キルヴァスのカラスたちは、積荷が目当てだから、無差別だけど.....フェニキスのタカの民は、同胞セリノスへのえん罪と虐殺に抗議を続けているんだよ.....。」

 

アイク「.......オリヴァーの館にいたサギの民は.....助けようとした俺の手を払った。強い憎しみの目で、おれを見据えていた。そいつが、窓から飛び立つ時に言ったんだ。『セリノスの大虐殺を忘れるな』と。『20年前、おまえたちがしたことを私は決して許さない.....!』.....とな。」

 

サナキ「.......言い訳にしか聞こえぬだろうが、我が国民もみな、あの一件については悔いておるのじゃ。主たるサギの民を失くし.....色を失った森を見るたび.....自分達の大罪に怯えておる。」

 

ナーシル「神使殿.....あなたは立派ですよ。元老院の多くは、セリノスのことなど記憶の彼方に追いやり、そんなことはありもしなかったのだと.....そういう態度なのでしょう?だけどあなたは違う.....国民のやったことに対して責任をとろうとしておられる。きちんと償おうと思うからこそ、ラグズの奴隷解放について独自に調べ.......よそ者であるアイクの傭兵団を使ってまで摘発しようとしたんじゃないですか?.....まぁエイリスに関しては、1人で勝手に戦いを挑んだ形になりましたが.....」

 

アイク「何故そこでエイリスが出てくる?」

 

ナーシル「本人の口から聞いていないのかい?先日アイクたちの仲間が攫われたその原因.....エイリスは、元老院の目の前で今言ったことをほぼそのまま摘発したんだ。」

 

アイク「.....その恨みで俺たちに襲いかかってきたってことか。」

 

ナーシル「そう。そしてこれも偶然か、エイリスはフェニキスの鳥翼族.....しかも鷹王の配下にその場を助けてもらっている。.....これが何を意味するか。」

 

そう言ってナーシルは神使に目線を向ける。神使も少し揺らいでいた目を再び覚悟あるものに戻す。

 

サナキ「.......エリンシア姫。」

 

エリンシア「はい。」

 

サナキ「あと1度だけ、そなた達の手を借りたい。許してもらえるだろうか?」

 

エリンシア「それは.......アイク様たちがよろしければ、私に異存はありませんが。」

 

アイク「.....内容次第だ。エイリスも確実に同行することも条件だ。」

 

サナキ「そなたが会ったというサギの民を.....捜しだしてほしい。会って、言葉をかわしてみたい.....」

 

アイク「そういうことなら、まかせろ。どのみち、オリヴァーの奴は捕まえそこねたんだ。そっちとあわせて面倒みる。」

 

サナキ「.....頼んだぞ。」




読んでる人に予め言っておきたいことが.....
あのですね、蒼炎プレイしてる人は分かると思うんですけど、この次の章の黎明が馬鹿みたいに長いんですよ.....分けていいかな?いや、分けさせて(涙目)。まぁ次回は、黎明に入らないんですけどね

フルガードって特効の威力が下げられてる蒼炎だと使わない人も多いらしいんですけど.....結構ぶっ壊れだと思いますけどね、個人的には


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見据える未来は

外伝みたいなものですね。黎明は次回から始めようかなと思います。あの章めっちゃ長い.....「長い一日になりそうだな」じゃないレベルの。


ミカヤとネフェニーと共に、ゼルギウスと待ち合わせてる場所へ向かう。アイクたちは今頃は.....オリヴァーのところでリュシオン見つけて戦ってるところかな。

 

ミカヤ「ネフェニー、ゼルギウス将軍ってどんな人か知ってる?」

 

ネフェニー「分からん.....きっと腕の立つ軍人、のはず.....」

 

ネフェニーがこっちを見ながらそういう。

 

エイリス「.....え??なんか変?」

 

ネフェニー「あんたは軍人って雰囲気では無いし.....」

 

エイリス「悪かったな非力で。」

 

ネフェニー「絶対訓練した方が.....いい。強くなるに越したことは、ない。」

 

エイリス「んじゃその時が来たらネフェニーに教えてもらうよ。よろしくな。」

 

ミカヤ「その時は私も.....」

 

ネフェニー「いいよ。2人ともしごく。」

 

なんやかんや和気あいあいとしながら、案内人に案内され、神殿の外に出る。そして階段の下に.....えらいゴツイ鎧を着て突っ立ってる人が1人.....ゼルギウスがいた。

 

ゼルギウス「貴殿がエイリス、で間違いないな?」

 

エイリス (聞かなくても知ってるだろトハで会ったんだし.....)

 

本人には聞こえないように心の中で呟く。ゼルギウス自身も、かなり運命に振り回されるキャラだし.....出来れば、ゼルギウスも生きている世界線をどうにかして作れないかな.....と心の中で思う。

 

エイリス「うん、そうだよ。そっちがゼルギウス将軍.....で間違いないね?」

 

ゼルギウス「いかにも。それと連れている御仁達は?」

 

エイリス「ミカヤとネフェニー。さすがに2人でクーデター捌けはするけど大変そうだし、連れてきた。これで遠近2人ずつで役割分担できるし。」

 

ゼルギウスは紹介を受けた後、ミカヤの方に少し目線をやる。何か思うところもあるんだろう。

 

ゼルギウス「そうか、感謝する。指揮はどうする?」

 

エイリス「こっちは誰でもいいよ。.....まぁ目的はクーデター鎮圧だし、なにより4人だし.....指揮取るほどの人数でもないから各々の判断に任せる、ということにはしておこうかなって。」

 

ゼルギウス「承知した。これは神使様の言伝であるが、クーデター兵士とはいえどベグニオン軍であることに変わりはない。犠牲は極力控えよ、との事だ。」

 

エイリス「敵の抵抗具合にもよるけど.....了解。士気おる方向でやろうか。」

 

ゼルギウス「そのつもりだ。頼りにしている、エイリス将軍。」

 

エイリス「その肩書きは少し前に辞めたよ.....こっちも頼りにしてるよ、ゼルギウス将軍。」

 

そう言葉を交わし、4人でクーデターの本拠地に向かった。.....なんかミカヤだけ実力が離れてるような気もするけど.....まぁ弱った敵倒して経験値稼いでもらうか。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

クーデター本拠地

 

エイリス達が向かっている一方、クーデター軍は粛々と準備を進めていた。

 

ジェルド「アルダー、どこまで進んでる?」

 

アルダー「はっ、兵力はこれで十分かと。装備もあと少しで全て整います。」

 

ジェルド「そうか......にしても納得できねぇ。俺たちは帝国軍だ。何故わざわざクリミアの為に俺たちが戦わなきゃいけないんだ。」

 

ベグニオン内の兵士にも様々な考えがあった。この戦争でクリミアの援護をすることで手柄を得ようとする者、神使の命令に従う者.....そして、この戦争に対して不満を抱く者。誇り高いベグニオン帝国の軍人が何故クリミアなどの為に戦わなければいけないのか。ジェルドの元に集った兵士たちは皆そういう気持ちだった。

 

アルダー「ですがジェルド将軍、神使様に楯突く形になりますが.....本当によろしいんですね?」

 

ジェルド「あぁ。神使様か何かは知らないが、こんだけの数の兵士が反対の意思を持ってると分かりゃ少しは頭冷やすだろ。それに元老院も本来はこの援助は反対だしな。」

 

アルダー「ヌミダ様がそうおっしゃっていたのですか?」

 

ジェルド「あぁ.....もっともあいつに元老院で言い張れる気力があるのかどうやら」

 

 

 

帝国兵「ジェルド様!敵襲です!既に門が突破されています!」

 

ジェルド「ちっ、来たか.....兵力は?」

 

帝国兵「はっ!それが.....たったの4人です。」

 

アルダー「4人.....!?誰か分かるか?」

 

帝国兵「はっ!見間違えでなければ.....先頭に立つのはゼルギウス将軍とクリミアの戦乙女、後方にクリミアの魔道将軍と.....あと一人は分かりません。おそらくクリミアの人間かと。」

 

帝国兵のその発言で、現場がどよめく。帝国きっての将軍と、狂王を退けたクリミアの魔道将軍が手を組んだ.....その絶望的事実に一部は気力を失くす。

 

ジェルド「おい!折れるな!俺たちは誇り高きベグニオン帝国の軍人だ!!相手が誰かなど関係ない。軍人として戦うのみだ!」

 

しかしジェルドの演説によって鼓舞され、兵士たちは気力を取り戻し、士気が上がる。そして各々が武器を手に取り、拠点防衛の配置につき始める。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

エイリスside 拠点入口前

 

エイリス「なんかあいつら士気高くないか.....?」

 

サナキの話を聞く限り、ゼルギウスと一緒に来たら折れるみたいな事言ってたけど.....全然そんな雰囲気がない。

 

ゼルギウス「帝国軍人としての誇りがあるのだろう。帝国軍人が神使の意向に反するなど本来は言語道断だが.....」

 

エイリス「ま、分からなくはないよな。.....だからといってクリミア軍も決して弱い訳ではないし.....」

 

ネフェニー「.....どうする?」

 

ゼルギウス「今回の敵はあくまでベグニオン軍.....あまり戦力を減らすのは好ましくない。可能な限り拿捕もしくは気絶程度に収めて欲しい。もし相手が殺しにくるなら.....最小限の範囲でなら、やっても構わない。」

 

そしてゼルギウスが拠点の構図を出し、経路や公立的な作戦を提案する。

 

ゼルギウス「この人数で2方向から攻めるのはあまり良くないが.....時間もない。それにこの戦力であればその不利は覆せる。」

 

エイリス「おっけ.....それで、俺とゼルギウスは分かれた方がいいだろうし.....ネフェニー、こっちに来てくれ。ミカヤはゼルギウスと一緒に行って後方支援を頼む。」

 

ネフェニー「分かった.....合流はここ?」

 

ゼルギウス「そこで頼みたい。」

 

そして肝心のミカヤはというと.....

 

ミカヤ「.......」

 

拗ねてる。雰囲気が明らかに拗ねてる。いや確かに初対面のゴツイ鎧を着てる男と2人で行動してくれっていうのはかなり酷な話ではあるが.....

 

ゼルギウス「.....私では嫌か?」

 

ミカヤ「えっ、いやそういう訳では.....エイリスと一緒の方が、安心する。」

 

ゼルギウス「確かにそれはそうだ.....初対面でそれは不安であろう。だが今後、こういった行軍は有り得る。そこの2人は元軍人だから大丈夫だが、貴殿は見受けたところ.....軍人、ではないはずだ。」

 

ミカヤ「はい......」

 

ゼルギウス「では、今回の戦いで少しでも慣れてもらいたい。その方が後々エイリス殿の為になる。」

 

ミカヤ「.....すみません。分かりました、行きます。」

 

ゼルギウスの大人の対応で今回は上手く分割できた。まぁ、お互い同じ特徴を持ってるし.....3年後があるとしたら、それを見越して交友を作っておくのもひとつ良いだろう。

 

ゼルギウス「それでは、これより分軍する。後、拠点の中心地点で落ち合おう。」

 

エイリス「了解。ゼルギウス、ミカヤを頼んだぞ。」

 

ゼルギウス「承知した。」

 

そしてお互い、2つの入口の方に向かい、攻撃に当たる。なんだかんだネフェニーと2人きりっていうのも.....久々だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミカヤ「あの、あなたは......」

 

ゼルギウス「.....言わんとする事は分かる。私も同じだ。」

 

ミカヤ「ですよね.....」

 

ミカヤとゼルギウスはお互い薄々察していた。お互いが印付きであることを。

 

ゼルギウス「エイリス殿は、その事を知っているのか。」

 

ミカヤ「はい.....団にあと2人いるんですけど....その方も、エイリスを信頼しています。.....あの人は不思議なんです。どうしてそこまで分かっているのか.......」

 

ゼルギウス「分かった上で、あの態度を貫くというのか.....」

 

ミカヤ「あの、この戦いが終わったら.....一度、エイリスと話をしてみて下さい。きっと、分かりますから.....」

 

ゼルギウス「貴殿は、エイリス殿を慕っているのだな。」

 

ミカヤ「えっ!?そ、それは.....」

 

ミカヤのアワアワした反応に、ゼルギウスは少し微笑む。

 

(この者も、良き主と巡り合わせた.....)

 

ゼルギウスはミカヤの置かれた状況に納得しながらも、自らと似た何かを感じた。

 

ミカヤ「それはともかく....あなたからは、優しいものを感じる。それと、心の奥に、何か強い意思を、持っている.....」

 

ゼルギウス「そうか。褒め言葉として預かろう。.....与太話はここまでだ。これから侵入する。私の傍を極力離れるな。貴殿の身は私が守ろう。」

 

ミカヤ「はい.....」

 

ゼルギウスは剣を取り出し、ミカヤはパージを持ち、拠点の中へと入り込む。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

拠点内部

 

ネフェニー「.....ふっ!」

 

エイリス「そらよっと。」

 

ネフェニーが銀の槍を振り回し、こっちはアーリアルを打って道を開ける。アーリアルはオーバーキルかもしれないけど、付随する衝撃波も相まって、周りの敵も吹き飛ばせるから相当便利。

 

ベグニオン兵「くっ.....!クリミア軍ごときに遅れを取るとは.....怯むな!進め!」

 

こっちはさっきから実力差を見せつけてるのに、一向に折れる気配がない。集団心理っていうのはすげぇな.....

 

ネフェニー「なぁ、あんた......拿捕ってどうやってやるの?」

 

.....一応蒼炎にも救出コマンドはあるけどな.....まぁトラキアみたいに捕虜にするって訳でもないから分からないか.....

 

エイリス「とりあえず.....倒して縛り上げたら、それでいいと思う。」

 

ネフェニー「うん.....分かった。」

 

それを聞くと、ネフェニーは槍を持ち換え、石突の部分で敵を叩き始める。そして槍を振り下ろす速度も、さっきより確実に速くなってる。加減していたみたいだ。

 

 

 

アルダー「お前たちか.....クリミア側を見つけるとは。」

 

そして兵士を倒していくと、奥の方から何かがやってきた。.....アルダーか。なんで暁に出てくるキャラがここに居るんだよ.....

 

エイリス「お前の出番は3年早いだろ.....」

 

アルダー「3年とはまた微妙な.....ではなく。お前たちが戦っているのは宗主国の兵士だ。何故牙を剥く?」

 

ネフェニー「それが.....神使様の命令.......だから。」

 

アルダー「やはり消しにきたか.....だがこの程度を蹴散らしたところで、士気は落ちない。我々は誇り高きベグニオン軍だ。貴様ら程度に遅れは取らぬ。」

 

エイリス「だってよ.....どうする?士気折れる気配無いんだけど。」

 

ネフェニー「.....やる。あんたは、後ろ行ってて。」

 

エイリス「分かった.....殺すなよ。そいつ主犯格の1人だし。」

 

そして今の言葉で怒ったのか、ネフェニーが槍の持つ方向を元に戻し、ゼーンズフトに持ち換える。.....目がマジだ。もう助からないゾ。

 

アルダー「来るか戦乙女.....いざ尋常に。」

 

ネフェニー「話にならん....どいて。」

 

ネフェニーは小さく呟いた後、とんでもない気迫、速さでゼーンズフトを振り、アルダーに重症を負わせる。そしてその殺気に周りが怯む。

 

アルダー「はぁ.....はぁ.....!!」

 

ベグニオン兵「アルダー様!」

 

ネフェニー「次は誰.....」

 

ネフェニーが睨みをきかせたまま辺りを見回すと、兵士たちは次々と武器を捨て降伏の意思を示す。ネフェニーもそれを確認して殺気を消す。

 

エイリス「ほんと、強くなったな。」

 

ネフェニー「うん.....!!」

 

 

ミカヤside

 

エイリス達が進軍すると同時に、ミカヤ達も敵をなぎ倒していく。

 

ミカヤ(この人.....すごく強い.....!!)

 

ミカヤは同行してゼルギウスの強さを目の当たりにした。道中敵にした者達も強く見えた.....練度の高い正規の軍人を、ゼルギウスは露払いかのように軽々と倒していく。奥からパージを打って援護をしてはいるが、それすらいらないと思えるほどの安定感.....ミカヤは鳥肌が立つ。エイリスとはまた違った強さをその身で実感した。

 

ゼルギウス「お前たちに用はない。この軍を率いている将を出してもらおう。」

 

ジェルド「.....俺に何か用か、ゼルギウス将軍。しかも女連れとは随分と余裕だな。」

 

ゼルギウスの言葉に応じ、装備を整えたジェルドが目の前に現れる。

 

ゼルギウス「ジェルド将軍、これは立派な謀反だ。」

 

ジェルド「そんな事は知ってる。だが神使の意向とはいえ納得できねぇ。俺たちは帝国軍人だぞ。ゼルギウス将軍、あんたこそこの方針がおかしいと考えたことは無いのか?」

 

ゼルギウス「無い。それが神使様の意向であるならば、我々ベグニオン軍は従うだけだ。」

 

ジェルド「それは結構な事だ。」

 

ゼルギウス「.....もう交わす言葉はあるまい。構えろ。」

 

ゼルギウスは言葉を閉じ、握っている剣の切っ先をジェルドに向ける。ジェルドも怖じけることなく槍を構える。

 

ゼルギウス「...すぐにケリを付ける。暫くの間、自分の身は自分で守ってもらいたい。いけるか?」

 

ミカヤ「は、はい.....!!」

 

ミカヤはゼルギウスに返事し、パージを構えて背中をゼルギウスに託す。ゼルギウスもそれに視線を配った後、ジェルドの方に再び視線を戻す。

 

ジェルド「いくぞ.....はっ!」

 

ゼルギウス「ふっ」

 

ジェルドの素早い突きを剣でいなし、槍を持っている手を剣で叩く。

 

ジェルド「舐めた真似を.....!」

 

その挑発的な戦い方にジェルドは激怒する。完全にこちらを殺す気がない戦い方である。しかし構え直し、何合と打ち合っているのに、ゼルギウスが疲れる気配も、隙も生まれなかった。奥に視線をやると、銀髪の女が上手く立ち回り、敵を各個撃破している。

 

ゼルギウス「敵との打ち合いを前にして、視線を外すとは随分と余裕のようだな。」

 

ジェルド「ちっ.......!」

 

ゼルギウスが振った一撃をなんとか槍で止める。とてつもなく重く鋭い一撃.....そこら辺の人間が放てる一撃とは考えられなかった。

 

ゼルギウス「身の程をわきまえよ。神使様にたてつき、無駄に犠牲を増やすつもりか。」

 

ジェルド「どうせ闇に葬られるんだ.....それなら軍人として散る方を選ぶ。それだけだ。」

 

ゼルギウス「お前たちの言い分はよく分かった。.......神使様には私と我が主から話を通し、今回の事はとりなそう。武器を収めよ。」

 

ジェルド「ふざけるな.....!!」

 

しかしジェルドはゼルギウスの交渉には応じず、再び槍でゼルギウスを攻撃する。しかしその攻撃はいなされ、再び姿勢を崩す。

 

ゼルギウス「ならば.....ここで散ってもらう。」

 

ゼルギウスはその鎧を纏っている体とは思えない速さでジェルドに接近しエタルドを振り下ろす。直撃したジェルドが、その場で気を失い、倒れる。

 

ミカヤ「.....殺したの?」

 

ゼルギウス「気は失ってるようだが、まだ息はある。.......他の者はどうする?」

 

ゼルギウスが周りを見回すと、もう敵はそこにはいなかった。足元に武器が転がり、既に降伏の意思を示していた。

 

ミカヤ「.......」

 

ミカヤは無言でジェルドに近づき、癒しの手を使う。ジェルドの傷が少し癒える。

 

ミカヤ「.....この人の意思も、分からなくはないです.....」

 

ゼルギウス「.........」

 

ミカヤ「勝手なことをしてすみません、ゼルギウス将軍。.....それでも、この人たちを許してあげてください.....やり方は許せるものではありませんが、賛同した人達がこれ程います.....人思いに殺してしまえば.......」

 

ゼルギウス「構わない。貴殿は優しいのだな。」

 

ゼルギウスはミカヤの行動を許し、ジェルドの拘束を始める。

 

(しかし殺意を向けた敵を助けるとは.....いずれは一軍を率いる程の傑物になるかもしれんな.....)

 

ミカヤの行動に、ゼルギウスは内心少し関心していた。敵にも慈悲を与え、そして自分が不在の間、多くの兵士相手に上手く戦い生き延びている。それほどの才を兼ね備えた者を、ゼルギウスは久々に見た。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

合流後

 

その後、ゼルギウス達と合流し、拘束した兵士たちを1箇所に集める。青ざめた人、覚悟を決めてるもの、恐怖から気を失いかけてる人.....ホントに色々いるんだな。

 

ゼルギウス「処分の沙汰はおって下す。それまでは謹慎しておけ。」

 

ベグニオン兵「し、死罪だけはどうか.......!!」

 

恐怖のあまりか、兵士の1人が命乞いを始める。実際の戦いでこうやって捕虜の処分に携わるのは初めてだが.....やっぱりこういう感じにはなるのか。

 

ゼルギウス「お前たちの軍人としての矜恃は分かる。だがそれ故に規律を破ることは許されない事だ。」

 

ゼルギウスの一言で、僅かな希望が絶たれたような雰囲気が漂う。まぁ俺が言うよりは、トップに近い人がこういうんだからそうなるよな.....

 

ゼルギウス「しかし、ここにいる銀髪の乙女が、そなたらに寛大な処分を下すよう懇願している。貴様らが刃を向けた相手が、だ。」

 

ベグニオン兵「.......」

 

ゼルギウス「この者は、クリミア側の人間だ。そなたらの反乱に巻き込まれてもなおこう言ったのだ.....これでもまだ、協力する事を拒むか?」

 

そしてゼルギウスがそういった後、ミカヤに目線をやる。ミカヤもそれに気づき、兵士たちの前に出る。

 

ミカヤ「私は.....皆さんの気持ちも分かります。.....形を見れば、私達があなた方を利用しているのは明らかです。しかしこの戦いは.....私たちだけではどうにもできません.....お願いします、どうか手を貸してください.....エリンシア王女に変わって、私がお願いします.....」

 

そしてパージの書物を抱えながら、兵士たちにミカヤは頭を下げる。.....すげぇな。ここまで行動に移せるんだから、そりゃ3年後ああなる訳だ.....それに血筋はやっぱり争えないんだなって。

 

ベグニオン兵「女神だ.....!」

 

ベグニオン兵「浅はかだった.....!!喜んで協力いたします!」

 

そしてミカヤの行動に心打たれたのか、兵士たちが次々に声を上げる。中には無言で号泣している兵士もいる。

 

エイリス「ミカヤの才能の片鱗が見えたな.....」

 

ネフェニー「うん.....きっと、いずれは人の上に立つよ....」

 

ゼルギウス「貴殿らの仲間は、将を率いる才を持つ者が多くいるな。」

 

エイリス「どうなんだろうな.....アイクに、エリンシアに、ネフェニーに、ミカヤに、.......確かに多いな。」

 

ゼルギウス「安心した。これ程の集団でありながら船頭多くして船山に登る事態になっていない統率力を持つのならば.....ベグニオン軍も納得し、協力をするだろう。」

 

そしてミカヤの言葉が終わった後、捕虜を連れて神殿に戻り、後処理をおこなった。首謀者のジェルドと側近のアルダーは現在の地位を剥奪、部下の兵士たちは2週間の謹慎処分という、神使に対する謀反の処罰にしては有り得ないレベルの寛大な処分だった。そして驚いたのは供述でミカヤに救われたと多くの者が主張したこと。その度にミカヤが恥ずかしそうに顔を下げていた。暁にまだ突入してはいないものの、もうミカヤの名前が台頭する展開になっちゃった.....これから大変だろうな。

 

 

ゼルギウス「エイリス殿、少しいいか。」

 

エイリス「ん?どうしたの?」

 

沙汰が下った後、ゼルギウスがこちらにやって来た。労いの言葉でも出るのかな。

 

ゼルギウス「風呂に入らぬか?」

 

エイリス「.......え?」

 

え?何この展開、風呂入る.....うほっ、いい男。じゃなくて.....そうじゃなくて.....ゼルギウスって印見せないようにしてなかったっけ。

 

エイリス「聞き間違いじゃないよな.....?風呂入ろうって言った?」

 

ゼルギウス「そう言った。貴殿とは一度話をしたかった......そこの犬も、一緒に連れてくるといい。」

 

アスタルテ(なんと失礼な.....!!!)

 

エイリス(いや仕方ないだろ.....それに体を綺麗に洗っといた方が健康にいいぞ。今のアスタルテは神様の体じゃないんだし.......)

 

 

 

浴場

 

ゼルギウス「ここが浴場だ。」

 

ゼルギウスに案内されるがままに浴場に来た。その体は.....当然いい男。腹筋は6つに割れてるし、腕の筋肉も存在感を放っている。そして当然背中には.....印付きが持つ印がある。一方こっちはヒョロヒョロ.....こんな体格違うんだな。

 

アスタルテ(うほっ、いい男...)

 

エイリス(そっちまで便乗するな.....)

 

アスタルテ(一度やってみたかったんです.....アスタルテの時はこんな軽口言えませんでしたし。)

 

エイリス(楽しいようで良かったな.....)

 

ゼルギウス「貴殿は....これを知っているか?」

 

エイリス「そりゃ。まぁゼルギウス将軍が持ってるのも知ってるよ。」

 

ゼルギウス「そうか.....やはりあの女の言う通りか。」

 

エイリス「あの女.....?ミカヤか?」

 

ゼルギウス「あのミカヤという少女が貴殿のことを話していた。印の事は、不思議には思わなかったのか?」

 

エイリス「いや別に。俺元々この大陸の人間じゃないし.....そんな歴史の歪みを聞かされても、誰かを差別しようなんて考えないし。」

 

ゼルギウス「そうか。」

 

というかこれに関しては色々複雑な事情があるからな.....本来は隠すつもりが変な方向に拗れてこうなっちゃったし.......

 

ゼルギウス「貴殿はつくづく変わっている。この戦いの果てに何かを見据えているのか?」

 

エイリス「まぁな.....とあるカップルの成立だ。」

 

ゼルギウス「カップル.....?」

 

エイリス「笑われるかもしれないが、俺は元々、とあるカップリングを作るために今回の戦争は協力している。戦争を集結し、その先の未来がどうなるかはそれの付随に過ぎない。」

 

ゼルギウス「いや、笑わない。そのついでという未来が、何を描いているか、教えてはくれぬか。」

 

これどうしよ.....ゼルギウスだし、教えても別に構わないのか。

 

エイリス「他言無用を守るなら、言う。」

 

ゼルギウス「約束しよう。」

 

エイリス「おっけ.....俺が介入しなくても、この戦争はアイクたちの手によって集結し、クリミアは再興する.......ただ3年後、小さな争いは大きな戦争の火種となって、大陸中を脅かす戦争が再び起こる。そしてあらゆる犠牲の元に.....今回の戦争の比じゃないほどのベオクとラグズが死に、その戦争も集結する。その時にゼルギウス将軍、あんたは生きていない。」

 

それがある意味蒼炎と暁を繋ぐ要素の1つではあるけれど.....個人的にはどうにかして避けたい。ああいう決闘は別枠でやって欲しい.....

 

ゼルギウス「....私は、アイクに負けるのだな?」

 

エイリス「えぇ...3年で強くなったアイクに負ける。」

 

ゼルギウス「それは分かった.....だがその未来を、どうして避けたい?」

 

エイリス「それ聞くか.....さっきも言ったけど多大な犠牲を強いることになる.....そしてその犠牲は本来必要の無いものだ。.....それに、ゼルギウス将軍の主の手のひらで終わるほどこっちも単純じゃないってだけ。」

 

ゼルギウス「.........」

 

エイリス「ゼルギウス将軍の主が思い描く未来とその工程は、俺が目指す未来とは絶対に相容れないものになる。.....今回の戦争は仕方ないにしても、3年後に起きるものは防ぎたい。.....試してみたいんだよ、ベオクとラグズ.....そして印付きが手を取る未来が。そしてその足がかりを作りたい。時間はかかろうとも、この大陸に数百年以上続く差別と偏見に終止符を打つ。.......それが俺が目指す未来だ。」

 

まぁメインの目的はアイク×エリンシアだから、ここだけは譲れないけどね。というか3年後、アイクが勝手にクリミア離れるし.....ある意味暁の世界に移行しちゃったらアウトなんだよね。

 

ゼルギウス「.....それが貴殿の本音か。ふっふっふっ....はっはっはっはっ!!」

 

こっちの話を一通り終えると、ゼルギウスは、笑っていた。ただ人をバカにする笑い方ではなかった。

 

エイリス「何がおかしいんだよ。」

 

ゼルギウス「貴殿の、大層な志を口にするところを見て立派だと思ったのだ。その小さな体で、どれほど大きなものを背負おうとしてるのかと.....そして、私も少し、貴殿が目指す未来を見てみたい。」

 

エイリス「.........」

 

ゼルギウス「私たちはこの大陸に生まれ、育った。別の土地で育った貴殿がこの国に残る歴史を背負って何を作るのか。それはきっと、私の想像を超えるものだと思う。そしてもしそのような世界が実現するのであれば.....と思わずにはいられない。.....この事は本当に他言無用でいいのだな?」

 

俺を見るゼルギウスの顔は.....柔らかく、笑顔だった。少し少年っぽいあどけなさが出ていた。

 

エイリス「えるr.....違った、セフェランに伝えたいのか?」

 

ゼルギウス「我が主は貴殿のことを気にしている。もしその言葉が届けば.....私も、貴殿に存分に力を貸せるかもしれない。」

 

.......凄い言葉が飛び出た。ゼルギウスが協力.......?えっ、こんな事あるの?想像してなかった.....

 

エイリス「まぁ言いたかったらいいけど.....止めないんだな。いいのか?一応セフェランとはある意味対立することになるんだぞ?」

 

ゼルギウス「もし我が主が貴殿と戦うことを命じたならば、私は貴殿を殺すことになる.....しかし、貴殿が持つその志は、我が主と通じる部分がある。そしてその大層な志を口にできるほどの力もあるならば.....いや、これ以上語る必要もあるまい。私は先に失礼させてもらう。」

 

途中で言葉を切って、ゼルギウスは風呂を上がり浴場を出た。逆上せたのかな.....?まぁそれにしては結構嬉しそうな顔してたし.....




ジェルドの扱い、少し難しいな....と思った。敵でめちゃくちゃな人ではあるんだけど、軍人としてはすごく優秀だし1本筋の通ってる人ではあるし。

後半出てくるゼルギウスに違和感を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、まぁそこは二次創作の愛嬌ということで.......


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黎明 Area1~Area2

投稿しなきゃ

プレイする

やば、時間がない。

投稿が遅れる


最近この流れがすごい


フェニキス城

 

ニアルチは、鷹王ティバーンの元に訪問し、リュシオンの様子を伝えた。

 

ティバーン「.......」

 

ニアルチ「.....、ありまして......タナス公爵の館から脱出を果たされたリュシオン様は、無事セリノスの森へ逃れられたようです。ただ.....タナス公爵がリュシオン様を捕獲するための部隊を編成し森に突入したとの報告もございまして.......もはや、一刻の猶予もございません。【鷹王】ティバーン様のお力をもちまして、“ニンゲン”どもを出し抜き、リュシオン様をお救いいただきたく.....!どうか、どうか、よろしくお願い致します!」

 

ティバーン「.......ネサラは、どうして来ない?」

 

ニアルチ「.....その.......我が王はこちらに姿を現すわけにはいきませんので.....その.......」

 

ヤナフ「どういううことだ、じいさん!?キルヴァス王は【白の王子】のご友人なんだろ?」

 

ニアルチ「いえ.....なんと申しますか.....ふ、複雑な事情がございまして.....」

 

ティバーン「どんな事情かは知らんが、リュシオンの身に何かあったら.....ただではおかんぞ。」

 

ニアルチ「い、いえ、その!その点は心配ありません。タナス公爵の美術品に対する執着は異常ともいえるほど.....それゆえ、リュシオン様に危害を加えるどころかまともにふれることすらできないだろうと、ぼっちゃ....王はそう申されておりました。だからこそ、今回の取引に応じましたで.....」

 

ニアルチは言い訳をするうちに口を滑らせる。今回のリュシオン売買の取引はフェニキス側には隠していたのだ。

 

ウルキ「取引.......?」

 

ニアルチ「あっ.....!あわわわ.....」

 

ヤナフ「ちょっとまてよ!つまり、おまえたちカラスの民が王子をはめたってことか!?」

 

ニアルチ「は、はめた.....というかその......も、申し訳ございませんっ!!」

 

ティバーン「そういうことか.....ネサラはリュシオンのことを品物としてニンゲンに売り渡したというんだな?」

 

ニアルチ「いえ、その.....品物と申してるのは相手の方でして、その.....」

 

ティバーン「同じことだっ!同属であるリュシオンを取引材料として利用したことに何らかわりないっ!!」

 

ニアルチの見苦しい言い訳を一喝し黙らせる。その威厳にニアルチも怯む。

 

ニアルチ「ひぃっ......」

 

ティバーン「ネサラのことだ、リュシオンが自ら逃げ出さなければ、ほとぼりが冷めた頃に助け出すつもりだったんだろう。だがな、友を信じてついて行ったリュシオンの気持ちを.....あいつは踏みにじったんだ。俺は、それが許せん!」

 

ニアルチ「どうか、どうか.....お怒りをお静め下さい.....この爺を、哀れとおぼしめください。どうか、このとおりでございます......」

 

ヤナフ「信じらんねー。.....なんだってカラスってのは、こうも後ろ暗い生き方してんのかね。おれたちには、さっぱりわかんないぜ。なぁ、じいさん。」

 

ニアルチ「.....我が国には我が国なりの.....事情があるのです。それよりも、時間がございません。一刻も早くリュシオン様を.....!その後であれば、どんな責めもこの爺めが、受けましょう。八つ裂きにして下さって結構ですから.......ですから.....リュシオン様を.....お願いします.....!」

 

ティバーン「おまえに頼まれなくとも、リュシオンは俺たちが助け出す。キルヴァスに帰ってネサラに伝えろ。フェニキス王ティバーンが後で必ず挨拶に行くとな。」

 

ニアルチ「.....は、ははぁっ!」

 

ティバーンの脅しとも取れる言葉を聞き、ニアルチは急いでフェニキス城を飛び出していった。

 

ヤナフ「.......あー......なんか、年寄りいじめたみたいで気分悪ぃ。」

 

ウルキ「.......王よ、どう動きましょうか?」

 

ティバーン「ウルキ、おまえの耳でリュシオンの羽音を聞き分け、その方向を示せ。」

 

ウルキ「はっ!」

 

ティバーン「ヤナフ、おまえの目で木々の割れ目から道を探り出せ。」

 

ヤナフ「おまかせを!」

 

ウルキ「王よ、.....万が一、探している途中にあの少年に会った場合、どうされましょうか?」

 

ティバーン「クリミアの奴か.....もし敵対するなら俺を呼べ。化石親父とタメ張った奴だ、それ相応の対応をする。」

 

ウルキ「はっ。」

 

ティバーン「ニンゲンどもめ.....20年前の過ちをまた繰り返そうって腹なら......容赦しねえ!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ベグニオン 大神殿マナイル 早朝

 

一方、アイク達もリュシオン捜索の為、準備に入っていた。

 

 

アイク「!.......セネリオか?ずいぶん早起きだな。」

 

セネリオ「おはようございます。僕とエイリスはいつも、こんなものですよ。」

 

アイク「そうか。」

 

セネリオ「アイクこそ.......今朝は、お早いですね。」

 

アイク「今日こそ任務完了、といきたいからな。気合をいれてみたってところだ。」

 

セネリオ「そうですね.....昨日、一昨日のセリノス捜索では、サギの民を見つけられませんでした.....あの森の中にいることは間違いないと思うのですが.....」

 

アイク「ああ。代わりに出くわすタナス公とその配下がまだ森の中で頑張っているようだからな。」

 

セネリオ「残すは森の中心部付近です。今日の捜索で.....何らかの進展があるでしょう。」

 

アイク「長い一日になりそうだな。」

 

 

セリノス 森

 

セネリオ「.....昨日、捜索を打ち切ったのは確かこの辺りですね。」

 

アイク「一昨日から思ってたんだが.....おまえ、この森の中でよく場所の判別がつくな?」

 

セネリオ「え?」

 

アイク「色がないせいか、どこもまったく同じように見える。」

 

セネリオ「.....それは...」

 

エイリス「道をおぼえているというより、魔道を嗜んでるから分かるんだよ。」

 

アイク「魔道?」

 

エイリス「そ。ある程度魔法を使ってるなら分かるんだけど、その場に魔力の残りがあったりするんだよ。だから人が通ったとかの痕跡が僅かに分かるんだよ。それに今はこの森が死んでるし、そんなに魔力が流動的になる事がほとんどないんだよ.....だよな、セネリオ?」

 

セネリオ「.....ええ、あまりちゃんとした説明は出来ませんが、そういうところです。」

 

アイク「へぇ。魔道を学んだらそんなことも分かるんだな。」

 

咄嗟に作った嘘にセネリオが便乗してくれたおかげで誤魔化すことには成功した。実際道が分かるのって、印付きでラグズの血が入ってるから本能的な何かで分かるのかな?

 

ナーシル「アイク!神使様たちは、ここでお待ちいただいたほうがいいね?」

 

アイク「そうだな。今日見つかる可能性が高いとはいえ、探索全てに付き合う必要はない。」

 

セネリオ「.......」

 

アイク「俺たちが捜している間、あんたたちは、ここで待っていてくれ。サギの民が見つかったら、すぐに呼ぶ。」

 

サナキ「.......頼んだぞ.....」

 

アイク「シグルーン殿、タニス殿、エリンシアは一緒に探索に出かけても大丈夫だな?」

 

シグルーン「エリンシア様がそうお望みならば、構いませんわ。」

 

タニス「心配せずとも、頼りになる護衛がそちらにはいる。神使様のことは私たちで守る。」

 

アイク「じゃあ、また後でな。.......とりあえず、奥に進むぞ。」

 

 

森の奥

 

オリヴァー「ええい!私の可愛い小鳥はまだ見つからんのか!?可哀想に、今頃どこかで震えておるに違いない.....おぉぉ.....」

 

アイクたちがリュシオンを捜索しているように、オリヴァーも私兵を動かし捜索に当たっていた。

 

ベグニオン兵「オリヴァー様!一昨日の傭兵たちが、この森に侵入してきたとの報告が!しかも今回はクリミアの戦乙女と魔道将軍もいます!」

 

オリヴァー「ぬぅっ!?お、おのれ.....しょうこりもなく、私の小鳥を奪い去ろうという魂胆か!完璧なる美の結晶.....渡さん......あれは.....あれは.....私の傍らにこそふさわしいのだ!!」

 

ベグニオン兵「それはよろしいのですが、傭兵団の方は.....いかがいたしましょうか?」

 

オリヴァー「先手必勝じゃ!奴らを、この森より生かして帰すな!!」

 

ベグニオン兵「しかし、あの者たちは神使様の.....」

 

オリヴァー「.....神使様には、後ほど私の方からお話申し上げる!お前たちは、黙っ私の命令に従っておればよい!!」

 

ベグニオン兵「はっ! 失礼致しました!」

 

 

数分後

 

ベグニオン兵「いたぞ!!オリヴァー様のご命令だ!奴らを生かして返すな!!」

 

アイク「また現れたか....いい加減、片をつけさせてもらう。こちらも手加減無用だ!一気に叩くぞ!!」

 

 

 

エイリス「皆とりあえず聞いて。この森...とんでもないくらい広いし、オリヴァーが手配した兵士も相当数.....長期戦になるから武器や装備の準備はしっかりして。そしてここが森である以上、背後から襲われる可能性も充分ある。更に相手の中には毒武器を持ってるのもいるから、増援の位置と相手の武器に注意しながら、敵を全滅させる。それとメンバーだけど.....今回はネフェニーとミカヤはしばらくの間、こことサナキがいる場所で待機していて欲しい。」

 

ネフェニー「.....え?なんで?」

 

エイリス「敵の数と手段が分からない以上、俺たちにとって最も恐れるべき事態はこっちの待機勢力とサナキ達が包囲されるか、もしくは俺たち捜索組の背後を突かれることだ。ある程度敵を追い詰めれば、オリヴァーは必ず自らを守るかリュシオン捜索に兵を集中させる。それまで2人は俺たちの補給と援軍投入をより安全なものにする為にここで守りに徹して欲しい。時が来たらパージを空に向かって撃つ。その時に2人も合流してくれ。」

 

まぁ要はArea3に入る時の援軍がこの2人ってだけなんだけどね.....ただゲームと違ってこういう所にまで目を配らないといけないのが転生故のデメリット。セネリオってめっちゃ大変な仕事をしてるんだな.....と改めて感じる。

 

ネフェニー「.....分かった。」

 

ミカヤ「分かったわ。」

 

2人とも納得してくれたみたいだ。最初マップ見た時は広すぎて「えええぇ!!?なにこれ!?聖戦か?」ってなるくらいだったし。

 

エイリス「全出撃メンバーは8人、アイク、セネリオ、ティアマト、エリンシア、ミスト、モウディ、マカロフ、俺で行く。」

 

マカロフ「え!?なんで俺が全出撃なんだ!?」

 

エイリス「お前にはたっぷり働いてもらう。マカ呂布になるかはともかく金の一件は忘れるなよ。」

 

マカロフ「とほほ.....ついてねぇぜ.....」

 

その後、救援として、Area2の援軍はサザとジル、Area3の援軍はネフェニーとミカヤ、Area4の援軍はヨファとマーシャとした。

 

エイリス「残ったメンバーはここで待機しつつ連携して神使の護衛。仮に『他の』ラグズに会っても極力手出しはするなよ。」

 

そう、この森にはかつてなりそこないになったラグズ達をワープさせた事があった。それ故に敵と間違えられたら困るので指示を出しておく。

 

アイク「全体通達はこれで全部か?」

 

エイリス「うん。」

 

アイク「よし。全員迎撃しつつ探索を進める!持ち場につけ!!」

 

 

 

その後、エリア1は難なく突破は出来た。背後から敵の援軍が来ることさえ分かってれば行軍も楽になる。初見で背後から敵が出てきた時はめちゃくちゃ焦ったけど.......

 

アイク「.....まったく、次から次へどれだけの兵力を持ってるんだ?」

 

セネリオ「タナス公は、末席とはいえ元老院議員......まだ、多数の私兵を連れているはずです。.......意外に、やっかいな相手ですね....」

 

ティアマト「ねえ、アイク。私たちも何人か応援を呼んだほうがいいんじゃないかしら?」

 

アイク「.....そうだな.....使いをやっている間に、わずかなり休憩も取れるか…わかった、そうしよう。エイリス、頼めるか?」

 

エイリス「おっけ。今の間にでも休憩してな。」

 

そう言ってベグニオンの使者を呼んで通達を任せる。神使がいるとはいえ、こうやって使者を遣わせる部分で苦労しないのは本当に楽だな.....

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

Area2 森の上空

 

アイクたちが戦っている一方、ニアルチに話をつけてきたティバーンは、ヤナフとウルキを連れ、リュシオンの捜索に当たっていた。

 

(音?)

 

ティバーンは僅かに感じた不思議な音に反応する。

 

ティバーン「......なんだ、今の音は.....?」

 

ヤナフ「なんか、聞こえましたよね?」

 

ウルキ「北東からです。聞いたことのない音です。」

 

ヤナフ「.....北東っつーと.....あぁ、あっちの方にも遺跡があります。【白の王子】、あそこに隠れてたりしませんかね?」

 

ティバーン「とりあえず、行ってみるか。ニンゲンどもが、同族で争ってるうちにさっさと見つけだしてやらんとな。」

 

ヤナフ「しっかし、あのニンゲンたち、さっきから何で戦ってんでしょうね?」

 

ウルキ「探ってみましょうか?」

 

ティバーン「放っておけ。あいつらに関わってもろくなことはない。.......だが、無視できねぇものもひとつある。」

 

ヤナフ「.....これ、あいつの魔力でしょうね。」

 

ウルキ「魔道将軍.....やつもここに来ているのか。」

 

ヤナフ「そういやあいつ、前に『アイク率いるグレイル傭兵団が~』って言ってましたね。」

 

ヤナフとウルキは以前エイリスに言われた事を思い出す。今のこれを指しているかは定かではないが、何か目論見があるということだけは肌で感じていた。

 

ティバーン「奴と会うかどうかはリュシオンを探し出した後だ。今はそっちを最優先だ。」

 

ヤナフ「じゃ、ニンゲンどもは避けて通る方向で〜。」

 

ティバーン「行くぞ。」

 

ウルキ「はっ!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アイクside

 

第一波を退け、ある程度休憩した後、アイクたちは奥へと足を進めた。

 

(これか.....呪歌って。ミストよく聞けたなこれ.....)

 

ふと立ち止まり、その音を聞く。

 

ミスト「..... ねぇ、お兄ちゃん。」

 

あいく「なんだ?」

 

ミスト「さっき、なにか.....音が聞こえなかった?」

 

アイク「.....?.....特に何も。」

 

ミスト「そう?じゃあ.....わたしだけなのかな?」

 

エイリス「俺も聞こえたぞ。鐘の音のような歌を。」

 

モウディ「モゥディにもキこえたぞ。.....鐘のヨうな、タかい音ダった。」

 

ミスト「あ、うん!そう、それ!!」

 

モウディ「トても、キれいな音ダった.....」

 

アイク「俺には何も聞こえなかったけどな?」

 

モウディ「.....スごく、カすかな音。ダから、ヨほど耳がヨくナいと聞こえナい。ミスト、スごい。べオクなのに、獣牙族ナみの耳だ。エイリスはモとからヤばい。」

 

ミスト「えっへん!」

 

エイリス「おい、俺の扱い方雑すぎだろ。」

 

アスタルテ(私の加護を受けてるから聞こえるんですよ。えっへん。)

 

エイリス(お前凄いな.....さすが神。)

 

アイク「調子にのるな。だが.....べオクには聞こえない音.....か。確かに気になるな。」

 

ナーシル「【呪歌(ガルドル)】を謡う者.....だよ。呪歌とは、その旋律と歌詞によって聞くものの内面に効果を及ぼすもの。たとえば、サギの近くでその声を聞くだけで失われていた体力が戻るとか.....王族ほどの謡い手になれば、1つの時の間に2つのことが行えるような歌が謡えるだとか......色々と不思議な噂を伝え聞くよ。」

 

エイリス「まぁ場合によったらその力を滅びの方向にも使えるらしいけどね。使いたがらないらしいけど。」

 

ナーシル「.......」

 

普通に再行動って言えばいいのに.....と思った。FE経験者なら踊ると同じ効果だろうなと思うけど、初心者には分かりにくいぞ.....

 

ミスト「へえ~.....なんかすごいね、お兄ちゃん!」

 

アイク「ああ。だが.....そんな力を持ちながら、べオクに一方的に滅ぼされたのか.......」

 

ミスト「.....あ.......」

 

ナーシル「彼らは限りなく【正】の気に近い種族.....たとえ、抵抗する術があったとしても、それを使うことはなかったろうね......」

 

アイク「.......応援が到着次第、出発するぞ。あのサギの民をタナス公の手には渡さん.....必ず救い出して.....ちゃんと話がしたい。」

 

ミスト「うん!!」

 

モウディ「北東に見える遺跡に向かうとイいぞ。アそこに、不思議なケはいを感じる。」

 

アイク「わかった。わざわざ教えてくれて、ありがとな。」

 

モウディ「ドういたしまして。アイクの役に立てたら、モゥディは嬉しいぞ。」

 

ナーシル「.......」

 

ナーシルが無言でアイクたちを見つめているのを、俺は見つめる。これ、何考えてたんだろうな.....ミストに目星でもつけたのか。

 

エイリス「あんたも隠し事が多いな。」

 

ナーシル「.....それは君とて同じだろう、魔道将軍。」

 

エイリス「.....だな。一つだけ言っとくよ。」

 

ナーシル「ん?」

 

エイリス「俺は欲張りなもんでね.....あんたがどう動こうと、俺は可能な限りラジャイオンは助けようと思ってる。それだけ。」

 

軽くナーシルに釘を刺して、俺は走ってアイクの方へ向かう。

 

 

 

 

一方で、リュシオンは怒りに震えていた。

 

リュシオン「.....ニンゲンどもめ.......再び、この森を踏み荒らすとは.....!これ以上の蛮行を許すものか.......さっきの.....森の応えは気になるがだが.....奴らを森から追い払うほうが先だ.....!祭壇にたどり着き.....禁じられし呪歌をもって.....滅ぼしてやる.....!!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

Area2

 

ベグニオン兵「いたぞ!クリミアの傭兵たちだ!!囲め!一人たりとも生かして逃すな!」

 

アイク「全員、応戦しながら北東の遺跡を目指せ!遅れるな!!」

 

セネリオ「アイク!応援の者たちとの合流はどうしますか?」

 

アイク「とりあえず先に進む!きっと自力で追いついてくるだろう。」

 

セネリオ「わかりました。」

 

 

 

エイリス「さてと.....援軍の指示は俺が後でしておくから皆はとりあえず北東の地点に到達することだけを考えて行軍して。」

 

アイク「敵はどうする?」

 

エイリス「もちろん迎撃する。けど敵も段々と強くなってきている.....上級職や銀装備が出てきてもそろそろおかしくない。もし敵わないと思うなら無理に相手せずに直間を工夫して戦ってくれ。さいあく逃げてくれても構わない。」

 

セネリオ「途中途中に沼や障害物がありますが、僕からは避けて通ることを提案します。沼に足を取られ、敵に捕まればおしまいですから。」

 

エイリス「それでいこう。ただ相手の騎兵もその迂回のルートにいる。特にパラディンをさったと倒せばこっちの勝ちだ。」

 

セネリオ「分かりました。ではそのように調整します。」

 

エイリス「足場が悪い時こその飛行兵だ。エリンシアにはヒットアンドアウェイをしながら、いつでも目標地点に到達するよう準備をしていて欲しい。」

 

エリンシア「エイリス様、私ならおそらく右の沼の影響を受けず、最短で到達できますが、どうしますか?」

 

エイリス「いや、エリンシアはまだ単独行軍をさせられるほど戦い慣れしてないし、目立てば狙いの的になる。俺たちと共に行動しながら準備に徹してもらいたい。頼めるか?」

 

エリンシア「......わかりました。そうします。」

 

エイリス「よし、これで指示は通ったな。じゃあ行くぞ。」

 

 

 

マカロフ「なぁ、俺の休み無いの?さっきもずっと最前線で戦ったんだからいいだろ?」

 

エイリス「何言ってるんだ?疲労値がある訳でも無いんだし、まだまだ戦ってもらうぞ。」

 

トラキアみたいに疲労値があるならある程度考慮はしないといけないんだろうけど.....まぁ、別にいいよな。

 

 

マカロフ「はぁ.....こいつに借金を担保されたのが運の尽きか.....」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

Area2 戦場

 

マカロフ「ちょ待って待って!!俺最前線なんて聞いてないって!!」

 

エイリス「後ろから援護してるんだから、頑張れマカロフ。」

 

マカロフ「お前ろくな死に方しねぇぞ.....!!」

 

アイク「喋ってないで手を動かせ!!」

 

パラディンに対抗するため、マカロフ、ティアマト、アイク、俺が固まって迎撃と撃破を繰り返す。

 

 

 

サザ「.....ずいぶん暗い森だな。気味が悪い.....」

 

ジル「援軍に来た!私もすぐに加勢する!」

 

やり合っている内に、サザとジルが援軍としてたどり着く。

 

エイリス「サザは俺たちの後ろにいろ!後で盗みの仕事がある!ジルはエリンシアに加勢して、頃合を見て北東地点への到達を頼む!!」

 

指示を通し、戦いに戻る。やっぱここら辺から銀武器なり上級職が出てきていよいよ中盤~終盤にさしかかってるなと実感する。

 

 

 

 

 

数十分後

 

エリンシア「無事到達しました!!」

 

ジル「敵はいない!道は確保できた!!」

 

アイク「.....なんとか、遺跡にたどり着いたな。とりあえず.....手分けして周囲を調べてみるか。」

 

ナーシル「アイク。もう何人か応援を呼んだほうがいいんじゃないかな?」

 

アイク「確かに、思った以上に敵が多い。武器の心配もあるし.....よし。エイリス、頼む。」

 

エイリス「おっけ。」

 

空にパージを打ち、ネフェニーとミカヤに合図を送る.....ミカヤが何かあるかは少し気になる。




時間の作り方が大事なんだなと思う今日この頃

蒼炎・暁キャラも段々と実装されて、そろそろ漆黒の超英雄も出てもいいんじゃないかなと思った.....


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黎明Area3~Area4

蒼炎で1番難しいマップってどこなんだろ。個人的には激突のところですが


前回のあらすじ

とりあえずくそ長マップの半分をクリアした。

 

 

Area2の到達地点から少し奥に入り、少し雰囲気が変わった場所にたどり着く。ここでリアーネが出てくるんだっけか。

 

アイク「これは....!」

 

アイクもその異変は悟ったらしい。

 

ティアマト「どうしたの、アイク!?」

 

アイク「見てくれ。この遺跡の中で.....ここの床だけ、ちゃんとした色の草が生えている。」

 

ティアマト「本当ね.....どうしてかしら。」

 

エイリス「これは、サギの民の力だよ。」

 

アイク「こんなものも見つけた。」

 

ティアマト白い羽根.....じゃあ、やっぱりここにサギの民がいたのかしら?」

 

アイク「わからん。」

 

ナーシル「アイク!.......こっちだ!」

 

ナーシルがアイクたちを手引きして連れていく。.....いざちゃんとこの目で見てみると、枯れまくって1面灰色だらけの景色で一部分だけ緑があるっていうのも、中々すごい光景だな.....と思う。

 

アイク「ナーシル!なにか見つけた.......!?」

 

ナーシル「サギの民だ。」

 

ナーシルの指さす先に.....リアーネが出てきた。紛れもない、サギの民。

 

リアーネ「.........」

 

アイク「.......ナーシル.....あんたの話じゃ.....サギの民は、この前の男を残して全て失われたんじゃなかったのか?」

 

ナーシル「.......そのはずだ。また1人.......生き残りが見つかるなんて.....奇跡だ.......」

 

まぁ正確に言えば、ハタリにもう1人、ニケの旦那としてラフィエルがいるんだけど.....まぁあれは3年後だし、知る由もないか。

 

リアーネ「.......!.....」

 

アイク)おい、待ってくれ!俺の話を――」

 

リアーネ「(ヤ)......」

 

リアーネがその場で倒れる。とっさにティアマト達がリアーネに駆け寄り状態を確認する。

 

アイク「お、おい、しっかりしろ!」

 

リアーネ「.......」

 

ティアマト「完全に気を失ってるわね。」

 

エイリス「や、って言ってたから、敵視こそしてなくても、味方とも思わず怯えたんだろうな。」

 

アイク「.....参ったな。怯えさせるつもりはなかったんだが。」

 

ティアマト「エイリス、あなたこの子の言葉が分かるの?」

 

エイリス「まぁ、魔道を勉強する時に古代語もついでに勉強したんで。」

 

 

 

 

 

オリヴァー「おお、おお、おお!やっと見つけたぞ、私の美しい宝よ!」

 

しばらくリアーネを寝かせ、様子見をしていたら、後ろからオリヴァーの声が聞こえてくる。.....ほんとにこいつだけは後にも先にもキャラがブレないから凄いなとは思うよ。

 

アイク「やっと現れたな、タナス公!」

 

オリヴァー「おお、おお.....間違いない。あれこそ、私が高い金を払って買った至宝の美術品.......」

 

アイク「.......まだ言うか。」

 

エイリス「悪いがこの子は、お前が高い高い金を出して買ったリュシオンじゃないよ。」

 

オリヴァー「何?確かに違う.....あれは娘のようだ。おお、もう一羽いたのか!なんと素晴らしいことよ!おまえたち、あの白サギを優しく捕らえよ!」

 

アイク「そうはさせるか!」

 

アイクがリアーネを担ぎ、臨戦態勢に入る。ゲームだとここでアイクの速さが半減するから、ここではアイクが実質お荷物になるマップなんだよな.....

 

アイク「.......懲りない奴だ。全員ここに集結しろ!サギの娘を守るぞ!」

 

 

 

 

 

エイリス「さてと.....今回の勝利条件は10タ.....じゃない、相手が撤退を余儀なくするまでの防衛になる。」

 

アイク「タナス公が目の前にいるのにか?」

 

セネリオ「アイク、確かに敵将が目の前にはいますが.....その周りの兵力が未だ把握しきれていません。この状態で相手の懐に入るのは危険です。」

 

アイク「分かった.....それにしても、弓兵や魔道士が多いな。エイリス、魔道士はまとめて面倒は見れそうか?」

 

エイリス「大丈夫だとは.....思う。.......あっ!!!?」

 

ここでひとつ、最初の人員配置のミスに気づく.....やばい、ここマーシャのフルガード装備がいたら結構有利に進めるんだっけか.......

 

アイク「ん?どうした?」

 

エイリス「.....いや、ちょっと判断ミスをしたかもと思っただけだ。気にしなくていい。それより.....今回は守備に徹するけど、あの沼と木のあるところに陣取って、近接武器を持った兵をネフェニーとマカロフに、下から来る弓兵、魔道士は俺と手斧持ちのティアマトさんで相手をする。エリンシアは崩せそうなところから遊撃、アイクは、今は戦力外だから待機、残りは壁役の援護。」

 

アイク「待て、俺が戦力外ってどういうことだ。」

 

エイリス「だってリアーネ背負ってるじゃん.......今はって言ったろ。その状態でまともに戦えない。そういう事だ。倒れた子を護衛する役割の人間を前線には立たせられないよ。」

 

アイク「これくらいなら問題ない。」

 

エイリス「問題大ありだよ。.......戦いたいのか?」

 

アイク「当然だ。」

 

エイリス「分かった.....モウディ、リアーネを頼む。俺たちの後ろでその子を守っておいてくれ。」

 

モウディ「ワかった。」

 

 

 

エイリス「さっきは口悪く言って悪かった。ちょっと焦ってた。」

 

アイク「気にしなくていい。俺も普段はそんなもんだ。」

 

エイリス「それ、大問題じゃないの.......?」

 

アイク「努力は、してるんだがな。どうも苦手だ。」

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Area3 戦場

 

 

左側にいる敵を倒し、地形を利用して迎撃に当たる。近接の敵はアイクやネフェニーが、遠距離はアーリアルの俺と手斧のティアマトで倒していく。次のエリアには出てくるけど、メティオ持ちが出てこないのは楽だな.....

 

エリンシア「はぁ!」

 

こちらを攻撃する為に近づいてきた弓兵を、フルガード持ちのエリンシアが遊撃する。エリンシアが槍だったら手槍とかで魔道士の相手もいけるんだけどな.....

 

 

ベグニオン兵「なんなんだこいつら.....さっきから連戦だぞ!?」

 

ベグニオン兵「なんで疲れたり士気が下がらないんだ.....こんな薄気味悪い森、早くおさらばしたいのに.....!」

 

だが意外に、敵の士気が下がっている。まぁそりゃ兵士からしたら、主人の訳の分からない嗜好の為に枯れた森で、足元が沼だったりで悪いからあんまり長時間は居たくないよな.....

 

(それにしても.....)

 

戦いを見ていて思うのは、皆本当に強くなっている。他のキャラ同士の支援もあんまり確認は仕切れてないけど、おそらくそれなりに進んでて、戦場に多く出てるから当然とはいえば当然。ただ0ピン~2ピンがざらにあったりするから、ちゃんと強くなってるか不安ではあったけど.....そんな心配を杞憂と思わせてくれるのはありがたい限りだ。ただ.....

 

ティアマト「私は大丈夫だけれど、皆疲れてきているわね....」

 

エイリス「無理もない.....こっちは3連戦。こんな長時間気をはらなきゃいけないというのも未経験だろうし.....」

 

ティアマトの言う通り、一見大丈夫そうに見えるけど、なんだかんだで皆集中力を保つのがきつくなってくるのは分かる。というか俺が1番しんどい。ゲームなら休憩も出来るし一手一手ゆっくり考えることもできるけど、こっちだとそうはいかない。仕方ない...

 

エイリス「ティアマト、皆とここにいて。.....あの下の、全部受け持つよ。」

 

ティアマト「.....分かったわ。あまり無茶はしないで。」

 

ティアマトに手を振り、下の方からこぞってやってくる魔道士の前に立つ。

 

ベグニオン兵「へっ!ガキが1人で出てきやがったぞ!!」

 

ベグニオン兵「魔道将軍か何かは知らないが、この数に勝てると思ってるのか!!」

 

エイリス「.....勝てなきゃ立ってないよ。」

 

アーリアルを打ち、相手を一網打尽にする。こうやって本気で打つのは結構久しぶりだな.....まぁいいか。

 

 

 

オリヴァー「う.......ぬぬぬぬぬぬぬぬぬなんと、しぶとい者どもだ!.....ぐうぅ.....口惜しいが、白サギはもう一羽おる.......ひ、退け!あやつらは、捨て置け!」

 

 

 

アイク「.....くそっ!タナス公は取り逃したか.....」

 

エイリス「モウディ、リアーネは大丈夫か?」

 

モウディ「ダいじょうぶ。キずひとつナい。」

 

モウディの言う通り、全く汚れた気配もない。

 

エイリス「どのくらい軽いんだろ.....よっ、軽!!!」

 

え、嘘だろ?いや軽いというのは知ってた、ミストより軽いって言うくらいだし.....でもこの身長でこの軽さはさすがにすごい。逆にこれ背負ったことでアイクの速さ半減したのなんでだ.......?

 

セネリオ「そんなに軽いのですか?」

 

エイリス「うん。この身長でこの軽さは驚く.....多分、サギとは体の作りとか筋肉の構造が違うんだろうな.....」

 

ミスト「それにしても疲れたよぉ.....」

 

ネフェニー「大丈夫.....?肩貸そうか.....?」

 

ミスト「うん.....少しだけぇ.....」

 

アイク「おいミスト。あんまり迷惑かけるなよ。」

 

ミストは特に疲れてるのが出てるけど、森に入った時に比べて士気が若干低くなってる。

 

 

 

セネリオ「アイク、このサギを守りながら戦う形では、僕達が不利になります.....一度神使の元に戻りますか?」

 

アイク「せっかく、ここまでタナス公を追い詰めたんだ。このまま倒すなり捕まえるなりしたい。」

 

セネリオ「ならせめて、このサギを守るために1人、後ろに待機させて下さい。共に出撃しながらというのは大変です。」

 

エイリス「ミカヤ、頼めるか?」

 

ミカヤ「いいけれど.....神使様の元に戻るの?」

 

エイリス「いや、俺たちと一緒に来て欲しい。戦線より少し後ろにいてくれればそれでいい。むしろここまで来てミカヤとリアーネ2人を帰らせる方が危険だ。」

 

ミカヤ「分かったわ。」

 

ティアマト「ねえ、アイク。まだ続けて戦うのなら、もう少し応援を呼んでおく?」

 

アイク「そうだな.....今度こそ、タナス公を捕まえる。」

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Area4 リュシオンside

 

リュシオン「.....ニンゲンどもを避けていて手間取ったが.......ようやく、祭壇に.....」

 

ティバーン「リュシオン!無事か!?」

 

リュシオン「ティバーン!?どうしてここに?」

 

ティバーン「ニアルチから、何もかも聞いた。」

 

リュシオン「あっ.......申し訳ありません.....あなたに何も告げず、勝手な事をして.....その挙句、こんなことに.......」

 

ティバーン「無事なら、それでいい。帰るぞ。」

 

リュシオン「.....少しだけ、まってください。あのニンゲンどもを.....このまま森に残していけません......」

 

ティバーン「気持ちは分かるが、いくらなんでも、多勢に無勢だ。日を改めてからに.....」

 

リュシオン「祭壇にたどり着ければ.......奴らを一掃できます。」

 

リュシオンの発言に、ティバーンは目付きを変える。サギの民が敵を一掃する方法....それを知っているからだ。

 

ティバーン「まさか.....禁呪を使うつもりか!?」

 

リュシオン「.....はい。【滅亡】の呪歌を聞かせてやります.....」

 

サギの民の呪歌にも様々な種類が存在する。それこそ再行動、自然に恵みを与える.....そして、命を奪うものも。

 

ティバーン「だめだ!それは承知できん。」

 

リュシオン「あなたの許しが得られなくても.....私はやります!一族の報復なんです.....!森もきっと.....それを望んでいる!!」

 

ティバーン「リュシオン!憎しみの気に支配されるんじゃねえ!おまえたちサギの民は【正】に属すもの.....その理を犯せば、存在が歪められる!!」

 

そしてその呪歌を使うことにも、当然代償が存在する。本来【正】に属するものは【負】に属する者のように憎しみの衝動にかられるような事はしない。ティバーンはそれを危惧した。

 

リュシオン「.....そう言って.....私の家族は.....民たちは.....ただ.....死んで逝った。ニンゲンどもは.....狂喜に酔いしれ.....笑みさえ浮かべて.....殺戮を続けたんだ.....母.....兄.....姉たち.....そして.....小さな私の妹リアーネ.....すべて一夜にして奪われた.....」

 

ティバーン「リュシオン.......」

 

リュシオン「わかっています.....私のやろうとしていることは一族の誇りを汚すものだと......!ですが.....許せない.......ここまでやっておいて、なおこの森を我が物顔で蹂躙するニンゲンどもを.....私は.....決して許すことが.....できない.....」

 

自身が【正】に属しているのは重々承知.....それでも復讐を果たしたい。リュシオンを覆う闇はそれほど大きかった。

 

ティバーン「.....それがわからない俺たちだと思うのか?」

 

リュシオン「.......」

 

ヤナフ「そうですよ!あんな奴らのために、王子が、わざわざ手を汚す必要ないですって!」

 

ウルキ「.....サギの民の無念は.......我ら鳥翼族全ての想いです。」

 

ティバーン「フェニキスへ戻ってそれから策を練ろうぜ。なぁに、このままにはしておかん。我がタカの民の総力をもってしてニンゲンどもに思い知らせてやろう。」

 

リュシオン「.....はい.....。.......!!!!」

 

ティバーン「どうした?」

 

リュシオン「なんだこの魔力は.......」

 

ティバーン「.....あいつらも、森の深くまで来てるってことだ。行くぞリュシオン。」

 

 

 

 

 

アイクside

 

アイク「もう、あきらめろ。おとなしく投降すれば、命は助けてやる!」

 

オリヴァー「ぬぬぬぬ.....まだだ!まだ負けん!!邪悪なる貧乏人どもめ!!それほどまでに.....この私の美貌と財力が妬ましいのか!?その気持ちはわかる。小憎らしいほどにわかるぞ.....」

 

アイク「.....は?」

 

エイリス「アイク、気にするな。オリヴァーは俺たちと同じ言語を話しているが、中身は別物だ。」

 

オリヴァー「しかーし!おまえたちのような卑劣漢に屈する私ではない。タナス公オリヴァー.....女神に代わって、醜い悪をくじく!」

 

アスタルテ(目の前に女神がいます!!いるんです!!)

 

エイリス(少しお黙りんす.....)

 

アイク「......あのな.....」

 

オリヴァー「みなのもの!全力で私を守れ!!できれば、あやつの肩にいる小鳥も奪い取る.......!?」

 

ミカヤ「.......?」

 

オリヴァー「そ、そこの女....そこの女も捕まえよ!!」

 

ミカヤ「え.....?私.....?」

 

エイリス「みたいだな。」

 

アイク「.......かんべんしてくれ。」

 

 

そしてオリヴァーの指示と同時に敵兵がゾロゾロと出てくる。にしても援軍含めて結構倒してるのに、まだこんなに残ってるのか。

 

アイク「来るぞ!全員、戦闘配置だ!」

 

 

 

 

エイリス「さてと.....勝利条件は敵将、オリヴァーの撃破。だけど.....この際だ。全滅させる。あと今回は行軍は慎重になってもいいけど、なりすぎるのはよくない。」

 

セネリオ「それは一体どのような?」

 

エイリス「途中で援軍が来るんだよ.....しかもめちゃくちゃ強い。」

 

俺は初プレイの時、連続の書を持ってるキャラをティバーンに倒されちゃってね.....しかもヤナフとウルキもよく分からん行動取って経験値泥棒していくから、2周目の時は救出で無理やり行動制限したなぁ.....

 

エイリス「それに、メティオ持ちが敵にいる。だから俺たちの進軍ルートは、メティオの射程に沿って行く形で敵を各個倒していく。」

 

アイク「おそらく今回も援軍があるだろうな。それは無視して行くか?」

 

エイリス「うーん.....そうだな。メティオ持ちと後ろからの援軍は俺が止める。皆は俺を気にせず、敵の全滅とアイテム回収、オリヴァーの撃破に専念してくれ。」

 

アイク「分かった。」

 

エイリス「あ、あと。もしラグズの援軍が来たら、俺が話をしたい、という旨を伝えてくれ。それで動いてくれるかは知らんが.....」

 

セネリオ「仮にラグズの援軍が来たとして、目的は僕たちの加勢ではなく、先程拾ったラグズの保護でしょう.....伝える時は、その情報も加えて伝えておきましょう。」

 

エイリス「おっけ.....ここで決める。皆あと一息だ。気を引き締めて行くぞ!!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

Area4 戦場

 

俺たちは入口で分かれ、俺は入口近くでメティオを的として立ちながら敵を倒している。

 

ヒュュュュュッッッッッ......

 

エイリス「うわ.....ガチで隕石降ってきてるじゃん....」

 

これ今までずっと不思議に思ってたけど、ゲームのエフェクト見る限り、メティオって魔防計算じゃなくて守備計算でいいよな.....と思う。あんなの食らったら魔道士一瞬で消し飛びそうだし......

 

エイリス「まぁいいか....1回受けてみよ。」

 

手を広げて隕石を受けてみる.....全然痛くなかった。それどころか、隕石が消えた。これ、物理的な隕石じゃなくて、魔力でそれっぽく見えてるだけなのか。またひとつ面白いの知れたな。

 

ミカヤ「大丈夫......?頭。」

 

エイリス「さりげなくディスるの辞めてもらっていいかな.....?」

 

ミカヤ「だって.....攻撃を腕広げて受けてるもの.....」

 

エイリス「まぁなんだ.....この空気に馴染んで入れて、俺は嬉しいよミカヤ。.......ん?」

 

ミカヤ「.......!!!」

 

何か、小さな声が聞こえた。正確に聞き取ることはできなかったが、おそらく古代語。リアーネの方を見るが、まだ寝ていた。

 

ミカヤ「何か.....聞こえなかった?」

 

エイリス「あぁ.....なんの音だこれ......」

 

わずかに聞こえた音.....呪歌というわけでも、なんでもない。なんだこれ.......

 

 

 

 

時は経ち、アイクたちも敵を順調に撃破していくと、外から4人のラグズ.....ティバーン、ヤナフ、ウルキ、リュシオンが現れた。

 

ヤナフ「おっとと!こっちでも、またやってますね。迂回しますか?」

 

ティバーン「そうだな。ニンゲンの勢力が2つ.....いったい、何をやって......」

 

リュシオン「!」

 

森が光り、音が響く。

 

ティバーン「また、この音か。リュシオン、おまえの仕業じゃ.....」

 

ティバーンがリュシオンに目を向けたが、リュシオン自体も固まっていた。

 

リュシオン「.........」

 

ティバーン「.....なさそうだな?」

 

リュシオン「.....森が.....何かささやいています.......ナンダ!?ワタシ二ナニヲツタエタイ!?」

 

リュシオンが古代語で呼びかけるも、答えは返ってこなかった。

 

ヤナフ「王! 王子!!見てくださいよ! あれっ!」

 

ティバーン「!」

 

リュシオン「!?」

 

ヤナフ「あの白髪のニンゲンにもたれかかってるのって.....どう見ても.....」

 

ティバーン「白サギか.....!?」

 

リュシオン「ま.....さか.....」

 

ティバーン「ベグニオン側じゃねえ奴らは、あの白サギを庇って戦っているようだな.....不本意だが加勢するか。ヤナフ、ウルキ、行くぞ!!」

 

ヤナフ・ウルキ「はっ!」

 

リュシオン「ティバーン!お願いです.....私もいっしょに.....!」

 

ティバーン「禁呪を使わないと誓えるなら、ついて来い!」

 

リュシオン「.....はい!!」

 

そして、ティバーン、ヤナフ、ウルキは前線へ、リュシオンはリアーネの元へ向かった。

 

 

アイク「あんたらがエイリスが言っていた強力な援軍.....か。」

 

ティバーン「勘違いするな。俺たちは援軍なんかじゃねぇ。状況が状況だから加勢しているだけだ。」

 

アイク「味方なら、呼び方はどっちだっていい。」

 

ティバーン「そうかよ.....俺たちは俺たちで暴れさせてもらう。邪魔するなよ。」

 

アイク「待て。エイリスがお前たちと話をしたいそうだ。それが済んでから暴れてくれ。」

 

ティバーン「それは今じゃなきゃダメなのか?」

 

アイク「らしい。それにさっき助けた.....名前は忘れたが、白いサギは後ろにいる。」

 

ティバーン「.......仕方ねぇ。先にそっちには行ってやる。」

 

 

 

 

 

リュシオン「リアーネ!メヲサマセ!」

 

ミカヤ「待って.....まだ気を失ったままなの。」

 

エイリス「マテ、リュシオン。ソノコハマダキヲウシナッテル。オキルマデマッテヤッテクレ。」

 

リュシオン「ニンゲン.....いや、ニンゲンならこちらで構わない。」

 

リュシオンも間近でエイリスの魔力を感じる。そして同時に戦慄する。

 

リュシオン(なんだこの男.....【負】の気を持ちながら、それと同等の、大きな【正】の気で溢れている.....なぜ、ニンゲンが【正】と【負】の両方を強く持っている.....!?そして横にいる犬はとてつもない【正】の気を出している.....)

 

ニンゲンは大抵、【負】の気を出している。時折聖人君子のような人間は【正】の気を強く持っている....だが、基本的にはその強弱は明確で、両者が同等に、しかも強く存在することはありえない。

 

ティバーン「.....てめぇか。化石ジジイとタメはったクリミアのガキは。」

 

化身を解除し、巨体がズドンと空から降ってくる。フェニキス王、鷹王ティバーン.....めっちゃでかい。というか威圧感がやばい。

 

エイリス「ご名答。」

 

ティバーン(確かに並じゃねぇな.....)「あの青髪の野郎がお前が話をしたいと言っていたが、要件はなんだ?」

 

エイリス「そんな大した話じゃないですよ。この戦いに手を出さないで貰いたい、それだけです。」

 

ティバーン「手を出すな?何故だ。」

 

エイリス「これは俺たちにとっても、因縁のある戦いなんですよ。それにただただ戦ってる訳でもないんで.....俺たちの手でこの戦いに勝つことに意味があるんですよ。それが外部の加勢に助けて貰ってたんじゃ、浮かばれないんですよ。」

 

リュシオン「何が言いたい?」

 

エイリス「この戦いは俺たちにとってのケジメだって事ですよ。そんな訳で、手を出さないで欲しいって事です。」

 

本音を言えば、こいつらに経験値泥棒されたらたまったもんじゃないってところ.......リュシオンは回復とかあるからいいんだけど、ティバーンが強すぎて.....

 

ティバーン「手を出して欲しくなけりゃ、いますぐそこのリアーネを渡してもらおうか。そうすりゃ俺たちは去る。」

 

エイリス「それは後々ってことで。神使様が、リュシオンに用があるっぽいので、それが終わってからにしてもらえないか?」

 

ティバーン「神使が.....?そいつはどういう意味だ?」

 

エイリス「それは神使様に会って、直接聞いていただきたい。」

 

リュシオン「話だと.....!?一族を葬った国の王が今更何の用だ!?」

 

エイリス「まぁ激昂しないでくれ.....今の神使様は幼いが、セリノスのことに関しては冤罪だったって知ってる。もちろんそれで謝って済むかって言われたらムズいけど.....まぁとにかく、使者を殺すような連中が相手じゃないって事だけはわかって欲しい。」

 

リュシオン「........」

 

エイリス「会って話して欲しい。それだけだ。.....その上で、なお積年の屈辱を果たしたいなら、その時はその時だ。そこは王であるリュシオンの判断に一任する。」

 

ティバーン「俺が同席しても構わないな?」

 

エイリス「もちろん。むしろ同席しておいて欲しい。こういうのには第三国の仲介か、保証人も必要だろうしな.....」

 

ティバーン「.......嘘がつけるタマでもないな。リュシオン、1回受けたらどうだ?」

 

リュシオン「ティバーン!?なぜ.....」

 

ティバーン「今の神使が何を考えてるかは知らねぇが、あっちから出向いてくれるなら話は早い。.......ひとつ言っておく、魔道将軍。万が一、交渉が決裂し、お前らニンゲンが汚い真似をしたら.....どうなるか、分かってるな?」

 

エイリス「それくらいは分かってる。不義理を通すつもりはない。 あんたらには命を救ってもらった恩もあるしな。」

 

ティバーン「.......どうする、リュシオン?」

 

リュシオン「........お前たちにはリアーネを救ってもらった恩がある。それにティバーンが共に居てくれるなら.......それを受けよう。ただし、私の憎しみは話してどうこうなるものではないぞ......!!!!!」

 

エイリス「感謝するよ。」

 

なんとか交渉の席に着いてもらえるのは確証を得られた。それにこの様子なら経験値泥棒をされる事もないだろうしな......

 

ティバーン「決まりだな.....ヤナフ、ウルキ!戻ってこい!!」

 

ティバーンが大声で2人を呼び、2人とも戻ってくる。ちゃんと化身を解除して俺たちの前に立つ。

 

ティバーン「この戦いはあいつらだけで済ませるらしい.....俺たちはリュシオンとリアーネを守る。ここで待機だ。」

 

ヤナフ・ウルキ「はっ!」

 

ラグズ援軍が後方待機になったのを確認して、俺は前線に戻った。ミカヤを1人にしたのはちょっと不味いかもだが.....まぁ、今の間にラグズの王たちの顔でも覚えておいてもらおう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アイク「お前の私兵は全部片付けた.......もう諦めろ、タナス公!」

 

オリヴァー「そこの......粗野で下劣で無分別なる貧乏人の略奪者よ.......小鳥を私のもとへ返すが良いぞ!美しいものは、私に所有されてこそ幸福を得られるのじゃ!」

 

アイク「.......おまえの寝言を聞くのももういい加減うんざりだ。ここで、決着をつけさせてもらう!」

 

そしてアイクは刹那、オリヴァーに鋼の剣を振り落とす。オリヴァーは咄嗟に交わし、リザイアを放つも、アイクも負けじと避ける。

 

アイク「光魔法か.....少なくとも俺たちには通用しない。」

 

オリヴァー「な.....!?ぐぬぬ、下賎な貧乏人が!!」

 

アイク「うちには優秀な光魔法の使い手が2人いるからな.....諦めろ。」

 

アイクは再び放たれたリザイアを交わし、今度こそオリヴァーの体に刃を通す。

 

オリヴァー「おお.....おお.......ここで.....私が倒れるなどと.......あってはならぬ.....こと.......美の.....損.......し.......つ.......」

 

アイク「.......変わらないな。」

 

アイクは倒れたタナス公の体を拘束し、リザイアを取り上げ仲間の元に戻る。

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セリノスの森 深部

 

アイク「あんたは.....!会いたかった。この娘、あんたの知り合いだと思うんだが.......」

 

リアーネ「ウ....ンン.....」

 

リュシオン「リアーネ!」

 

リアーネ「リュシオン ニイサマ!?ニイサマ! ニイサマ!」

 

リュシオン「ホントウニ、リアーネナノカ?ユメジャナク.....?どうして、おまえが.......?いや、そんなことよりよく......よくぞ生きて.......」

 

ティバーン「リアーネ、俺が分かるか?」

 

リアーネ「ティバーン.....?ホークピープルノ?」

 

ティバーン「そうだ。よく覚えてたな。20年もの間、ずっと1人でここにいたのか?」

 

リアーネ「ヨク ワカラナイノ.......アノヨル..... ネエサマタチガ、ワタシヲ.....ホコラニカクシテ.......キット ワタシニ.......ガルドルヲ キカセテ.....ソウシタラ、トテモ ネムクナッテ.....」

 

リュシオン「.....森が、守ってくれていたようです。ずっと眠らせて.......どんなに感謝しても足りない。アリガトウ.....ココロカラ カンシャスル....」

 

ティバーン「おい、そこのベオク。」

 

アイク「俺か?」

 

ティバーン「俺はフェニキス王ティバーン。国を追われたセリノス王族の後見をしている。お前達は何者だ何故、サギの民を助けた?」

 

アイク「俺はアイク。グレイル傭兵団の団長だ。俺は、この国の皇帝......【神使】サナキから、サギの民の保護を依頼されて来た。」

 

ティバーン「それはお前のところの魔道将軍からあらかた聞いてる。お前たちにリアーネ達を助ける道義的な理由を聞いてんだ。」

 

アイク「俺たちは神使の依頼を聞いて、納得したからやっただけだ.....そういう話は俺たちじゃなくて、神使に直接聞いた方が早い。案内する。」

 

 

 

 

セリノスの森 入口

 

リュシオン「おまえが.....神使か。」

 

サナキ「.....そうじゃ。」

 

リュシオン「.......」

 

リュシオンは神使に怒りの視線を向けながら、サナキを見下す。だがそれで萎縮するサナキでも無かった。.......リュシオンの前に膝をつき、土下座を始めた。

 

 

サナキ「......す.......すまない.......何と言って詫びれば......サギの民に通じるのか.......わたしにはわからない。でも.....わたしは、我が国民を代表して.......心から、そなたたちに詫びる.......すまない.......すまなかった.......」

 

シグルーン「サ、サナキさま!神使様ともあろうお方が、なんということを.....!膝を折られるなどと.....どうか!!」

 

アイク「やめろ!あいつの気の済むようにさせてやれ。」

 

エイリス「シグルーンさん、王同士の面会です。外部が口出しするのも、無粋というものでしょう?」

 

シグルーン「.....あ.......」

 

リュシオン「.......」

 

リュシオンはサナキの土下座を見てもなお、心が動くことはほとんど無かった。.....憎しみ。それだげがニンゲンに向けるものだった。

 

サナキ「すまぬ.....すまぬ......」

 

リアーネ「モウ、イイ....」

 

サナキ「?」

 

エイリス「もう、いい。との事です。」

 

リュシオン「リアーネ!?」

 

リアーネ「サ..... タッテ。」

 

サナキ「そなた.....?なんじゃ?立てと.....言っておるのか?そなた.....」

 

リアーネ「モウ、イイノ。アナタノセイジャナイモノ。」

 

リュシオン「リアーネ!?」

 

リアーネ「ニイサマ..... モウイイデショ?コノコヲ ユルシテアゲテ。コンナニ ヒッシデ アヤマッテルモノ。」

 

リュシオン「リアーネ.....許せるわけ.....ないだろう!?.......眠っていたおまえは知らない.......こいつらニンゲンが.....私たちになにをしたのか.......」

 

リアーネ「シッテルワ。モリガ..... オシエテクレタモノ。」

 

リュシオン「おまえ.....知って.....!?」

 

リアーネ「.....ミンナ.....ミンナ.....モウ.......イナインダッテ......」

 

リュシオン「.....そうだ.......みんな.....もう.....いない.....だから.......この恨みを捨てることなど.......!」

 

リアーネ「ニイサマ....... ヤサシイ リュシオンニイサマ。ニイサマハ、イマ、カナシミノセイデ.....ココロガ クモッテル.....ソンナ ニイサマヲ ミルノハ.....トテモ ツライノ.......オネガイ..... フノキニ シハイサレナイデ.....!」

 

リュシオン「リアーネ.....わかった。おまえがそう言うなら.....」

 

サナキ「.........」

 

リュシオン「.....神使サナキ。私たちは、あなたの謝罪を受ける。ニンゲ......ベオクに対する恨みまでは捨てられないが.......それでも、今後.....セリノスのことで、あなたが心を痛めることはない。.......気持ちは受け取った。」

 

あ......ありが.....とう......」

 

無事講和も終わったし、とりあえずこれでセリノスの件も含め、解決ということでいいのかな.....

 

アイク「.....よかったな。」

 

サナキ「ん......」

 

 

 

 

エイリス「.....これで、いいですかね、鷹王。」

 

ティバーン「リュシオンが受け入れるって言ったんだ。異存はねぇ。」

 

ヤナフ「いやー、ほんとにあんたの言った通り、傭兵団が解決したなぁ。」

 

ウルキ「....ニンゲンといっても、多様にいるのだな。」

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なんやかんやで無事解決し、俺たちは少し小休止を取っている。4連戦、慣れない場所でよくやったもんだよ.....

 

エリンシア「.....アイク様、これから何が起きるのでしょう?」

 

アイク「わからん。サギの兄妹は、何かの儀式を行うって言ってたけどな。」

 

ヤナフ「おい、ベオクの傭兵!それから神使とクリミア王女も。リュシオン様が、おまえたち全員をセリノスの祭壇に招くそうだ。」

 

アイク「祭壇?」

 

ヤナフ「とにかく来てくれ。こっちだ。」

 

エリンシア「サナキ様、シグルーン様。行ってみましょう。」

 

サナキ「う、うむ。」

 

ミスト「早く行ってみようよ、お兄ちゃん!」

 

アイク「ああ。」

 

 

そして祭壇に向かうと、リュシオンとリアーネが向かい合って、【再生】の呪歌を歌い始めていた。そして祭壇周辺、次に周りの木々、そのまた周りの木々とどんどん枯れた森が再生していく。さっきまでの灰色の景色が嘘のような、緑一面の森に変わった。.......すげぇ。

 

 

アイク「!この歌.....!ミスト、これは.....母さんの.....」

 

ミスト「少し違う......でも、似てる......、お兄ちゃん、見て!」

 

その再生にアイクやミストも気づき、外の景色を無邪気に見つめる。

 

 

ミスト「うふふ、すごーい、すっごーい!あはっ、あはははっ」

 

アイク「森の主の帰還.....か.....」

 

(さて.....俺も動くか。)

 

 

 

 

ティバーン「見事なもんだな。」

エリンシア「本当に.....きれいですね......」

 

サナキ「女神の愛したセリノスの森が.....色を取り戻した。」

 

シグルーン「ご立派でした、サナキ様。.......サナキ様は、私の誇りです.......」

 

サナキ「よ、よさぬか。このようなところで泣くでない!」

 

シグルーン「す、すみません.....私、うれしくて......」

 

ナーシル「見事、ラグズとベオクの間をつないだか。もう十分だろうな.......」

 

セネリオ「.......」

 

ティアマト「どうしたの、セネリオ?そんな険しい顔をして.....何を見ているの?」

 

セネリオ「.......別に。なんでもありません。」

 

ティアマト「あ、セネリオ.....!あの子.....いったい.....?」

 

黎明 終結

 

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数十分後

 

エイリス「よいしょ.....やばい、重。」

 

リュシオン「お前、帰ったのでは無かったのか。」

 

エイリス「神使様はお前らに謝罪する為にリュシオン達を探してた.....でも、俺は目的がもう1つなんだ。」

 

リュシオン「それは何だ?」

 

エイリス「これ.....このラグズたちを、救えないか.....?」

 

リュシオン「これは.....?」

 

リュシオンの前に運んできたのは、以前戦ってポータルで飛ばしていた「なりそこない」達だ。暁の事例も見るにこれでいけるはず.....

 

エイリス「.....ベオクの世界じゃ「なりそこない」と呼ばれている.....自意識すら失って化け物になってる、ラグズだ。おそらく薬漬けにされて、正常じゃ居られないんだろう.....」

 

リュシオン「....事情は分かった。それで私にどうしろと?」

 

エイリス「呪歌で.....救ってやれないか?」

 

リュシオン「.....お前たちは、普段からずっとこんな事をするニンゲン達と、戦っていたのか?」

 

エイリス「まぁ.....それはそう。ただ、俺たちは助けているというより、敵として襲いかかってきたから対処しているだけだ.....目の前に現れるまでは、こんな事がある事すら知らなかった。」

 

(まぁゲームやってるから知ってはいるんだが.....)

 

リュシオン「.....分かった。可能かやってみよう。......ただし1つ望みを聞いてもらいたい。」

 

エイリス「望み?」

 

リュシオン「このラグズたちを助けることへの見返りではない。今後も助け続けるというのなら.....私たちも、同伴させてくれ。お前たちにはリアーネの恩もある。」

 

エイリス「俺にそういう裁量権無いから......まぁ、一緒に来たいなら、アイクに聞いてくれ。」

 

リュシオン「分かった。」

 

そして光で包まれたラグズを祭壇まで運び、そこでリュシオンやリアーネ達とは別れた。ティバーン達も、特に何も言わず、こっちを見守っていただけだった。

 

 

 

 

 

 

セリノスの森 入口

 

セネリオ「待っていました。」

 

エイリス「悪いな、.......それで、用はなんだ?」

 

セネリオ「あのナーシルという男の事です。.....エイリスも、勘づいているのではありませんか?」

 

エイリス「その件か。ある程度裏は掴んでる.....けど。」

 

セネリオ「おそらく、味方でも、敵でも無さそうですね。どちらかと言われたらおそらく敵寄りでしょうが.....」

 

エイリス「しばらくは、俺がマークしておく。その件も、俺に任せておいてくれ。」

 

セネリオ「承認しかねますね。」

 

セネリオが珍しく、こちらに対してNOを突きつけてくる。しかも、目線も割と強め。

 

セネリオ「.....ご自分の体の状態を、把握していないあなただとは思います。しかし、疲労がそろそろ出ている頃では無いのですか。」

 

エイリス「この程度の疲労はなんてことは無い.......大丈夫だ。それに激務なら皆同じだ。俺だけが休む訳にもいかないだろ.....」

 

セネリオ「....確かに戦争の最中です。誰しもが疲れているのは事実です.....しかし、あなたが担っている部分が大きすぎます。」

 

エイリス「.........」

 

セネリオ「武器・道具管理、食糧の調達、資金繰り、諜報と防諜、行軍指揮、後始末、兵舎の管理.....大丈夫などと、寝言を抜かすのも大概にしてください。」

 

エイリス「手厳しい事で.....ま、倒れるまでは頑張るよ。倒れたら.....その時は頼むわ。」

 

セネリオ「...........」




オルティナとミカヤとエリンシアが水着で来るっぽいですね。



エリンシア10凸します


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閑話 お祭り 前編

たまにはこんなのがあってもいいでしょ.....と思う今日この頃

閑話とかいいながら、前編、中編、後編と分けたいと思います。元のテキストがある時は1万字とか超えるんですけど、こういうオリジナルに近いものは大体3,000~5,000程度です。


戦いが続き、ベグニオン帝国の勢力争いに切り込み、この大陸に深く根差す差別を目の当たりにし......戦争中だから仕方ないとはいえ、殺伐とし過ぎている。そして戦い続きというのもあり、皆の士気も少し下がっている。特にミスト、ミカヤはその傾向が大きい。それに支援状況が追い切れないから、今ジルがどんな状態にいるのかも分からないし......。

 

「どうしたものかねぇ.....俺も疲れてきてるし。ここらでパーッとしてもいいような気はするな.....」

 

丁度、ベグニオンの政治情勢にもある程度決着はついたし、今のタイミングを逃したらおそらくもう休む暇はない。.......やっぱ今しかない。この先を見越して、ここで支援を少しでも上げることをしておかないと不味いしな.......

 

 

 

 

大神殿

 

エイリス「神使様、少しいいですか?」

 

サナキ「む?なんじゃ?」

 

エイリス「最近色々あったじゃないですか。」

 

サナキ「そうじゃな。」

 

エイリス「それで、リュシオンとの和解も済んで、これからクリミアを取り戻しにさぁ行くぞ、って感じじゃないですか。」

 

サナキ「.....何が言いたい?ハッキリ申せ!」

 

エイリス「今までの労いと、宥和の証として、お祭りやりませんか?」

 

サナキ「オマツリ、とな....それはお主の国ではよくあるのか?」

 

一応、サナキは祭りについては知っているけれど、それはベグニオン式で、日本式は知らない.......まぁそんなもんだよな。

 

エイリス「よく、って訳では無いですけどありますよ。昔は神様に感謝をする、って意味合いが大きかったんですけど、時代が進んで、色んな変遷を遂げて、神様に感謝すると共に文化を尊重し、人々を繋ぐものとして、今は存在してます。」

 

まぁこっちはそんなお祭りに一緒に行く相手はいなかったけどな。別に寂しくも何ともないけどな。なんか友達が写真送り付けてくるけど、気にしてはいないんだな。うん。あと夏休み明けにカップル生産されすぎな。

 

サナキ「なるほど.....国を上げてそのオマツリとやらをやることで、友好の証となると言うことじゃな。だが、そのオマツリにはラグズを招くことは出来るのか?」

 

エイリス「まぁ、招くことは出来るでしょうけど、国民がどう反応するかまでは分かりませんね.....」

 

サナキ「どうせやるというのなら、皆を招いてやりたい。しかし、わたしとリュシオン王が和解したとはいえ、国民はまだその事を知らぬ。」

 

エイリス「うーん.....なら、とっておきを使わないと.....」

 

サナキ「とっておき?」

 

そう、古くは江戸時代、そしてアメリカで大きく現代に近づき、その後アニメ文化と結びついてすごい勢いで広まった.....

 

エイリス「コスプレです。」

 

シグルーン「コス.....プレ.....?」

 

サナキ「......それは何なのじゃ。」

 

エイリス「まぁ、それは当日までのお楽しみということで。」

 

サナキ「まぁ.....とりあえず、お主に任せよう。その代わり、お主のわがままに国を上げて付き合うのじゃ。それ相応の対価はもらうぞ。」

 

エイリス「俺錬金術師じゃないんだけど.....」

 

サナキ「何を言うておる。......わたしに、魔道を教えてくれ。それだけじゃ。」

 

エイリス「え?」

 

シグルーン「サナキ様!?」

 

え、待って。サナキこのタイミングで参戦するの.....?それは聞いてないんだけど.....?

 

サナキ「勘違いするでない。何もお主らのように戦線に出て戦うと言うてる訳では無い。.....今回の件といい、わたしが無力だというのは痛いほど教えられた。わたしは.....無力だ。」

 

エイリス「.........」

 

シグルーン「そんな!!サナキ様が悔やむ事ではありません。我々親衛隊が不甲斐ないばかりに.....」

 

サナキ「それ以上言うでない。.........そんな私からしたら、エリンシア王女は羨ましい.....一国の王女でありながら戦うことが許され、そして人を導くカリスマがある。」

 

エイリス「ま、別に戦える戦えないは人によるので.....神使様は普通に内政をちゃんとやってますし、先日も和解という実績も生みましたし。気にしなくていいんじゃないんですか?」

 

正直、ここから参加されるのも中々しんどい。ミカヤは参入が比較的早かったから鍛えておける時間はあったけど......ここからは上級職も増えて、魔防の高い敵も多くなる。

 

サナキ「いや、せめて自分の身を自分で守れる程度にはならねばならぬ。お荷物の神使でいとうない。.....今生の頼みじゃ。」

 

エイリス「あ、おい!!」

 

サナキが席を立ち、こちらに頭を下げる。

 

エイリス「最近簡単に頭を下げすぎだぞ.....必死なのは分かるけど。」

 

シグルーン「.........エイリス様。」

 

エイリス「はい、なんでしょう。我が愛しのプリンセス。」

 

シグルーン「プリンセス......そ、それはそれとして、私からもお願いします。サナキ様のお力になってあげてください。」

 

エイリス「あ、分かりました。」

 

サナキ「お主!!シグルーンに甘すぎじゃ!!!!やるなら最初から了承せい!!」

 

エイリス「別に教えることを否定していた訳ではありません。神使様、責任感が強いから、もし魔法を教えて戦えるようになれば、戦意高揚のためとかそういうので出てこられても国政に問題が出ますし.......」

 

いや、仕方ないでしょ.....まぁタイミングに困ってただけで、身を守る程度なら.......こっちに参入してこないって言うなら別に構わないと思ってたし。

 

エイリス「ただ、俺が使うのは光魔法。けど見た限り.....多分神使様は炎魔法なので。全部教えられる訳じゃないけど.....魔法の放ち方、魔力の貯め方とか、そこを教えて後は個人の努力次第、という状況にまでは持ち込めますが、そうしますか?」

 

サナキ「うむ。頼む。これで契約成立じゃ。オマツリに必要なお金と物資は揃えよう。」

 

とりあえず協力までこぎつけた。でもサナキに魔法を教えておく......か。何かしら、成果を披露できる場所を設けてもいいかもしれないな。

 

エイリス「まぁ大掛かりとはいえ、そこまで大量って訳では無いので.....」

 

サナキ「ところで、お祭りというのはいつやるのじゃ?」

 

エイリス「出来れば早めですね.....ただ、色々と準備はいりますので2週間後、くらいだと思いますよ。」

 

サナキ「2週間とは時間を要するな......確かにベグニオン軍との協議や編制も含めればそれくらい必要ではあるが。問題はそれまでデイン軍が待ってくれるかどうかじゃ。」

 

エイリス「それに関しては心配しないでください。もし来たら、俺が片付けてきます。」

 

 

 

 

 

 

 

 

シグルーン「サナキ様.........」

 

サナキ「.......あの者を見ておると、つくづく神使という立場にありながら無力だと感じさせられる。」

 

シグルーン「サナキ様、そのような事は仰ってはなりません。サナキ様は立派な神使様なのですから。」

 

サナキ「シグルーンもそうであろう、あの者とアイクが現れてからというもの、この国に残る問題が想定以上の速さで解決していっておる。アイクは無知ゆえ歪んだ価値観やしきたりに切り込んでゆける、一方エイリスは全てを知った上で行動を取っておる。そしてその行動がアイクの行動をより確実なものにしておる。あの者は、自ら動く立場でありながら団長の補佐も同時にこなしておる。形は違えど、セフェランやシグルーンと似たような立ち位置におるのじゃ。」

 

シグルーン「...........そう、ですね。」

 

サナキ「そうやってベグニオンを良くしていってくれた。オマツリとやらを後押ししても、足りないくらいじゃ。」

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サナキとの交渉を終え、外に出る。やらなきゃいけないことが多すぎてやばいなぁ......頭くらくらする。

 

「とりあえず、この図面を渡すのと、必要な物資をリストアップ、帝都に宣伝とラグズ諸侯の招待........」

 

アイク「エイリス、何やってるんだ。」

 

エイリス「ん?ちょっとな.....色々とやる事があるもんで。」

 

セネリオ「今はクリミア奪還に向けた休養の期間ですよ?武器や物資の点検、奪還遠征のルートなどの確認はもう済ませているはずですが.......」

 

エイリス「あー違う、戦争関連の事じゃないんだ。」

 

アイク「なんだ、はっきり言えよ。」

 

エイリス「あー.......まぁいっか。とりあえず全員に伝えときたい事があるんだわ。......まぁ、ベグニオンの内政の小競り合いやラグズとの溝に関してはある程度進展させたでしょ?それでこれからさぁクリミア奪還だ、ってなってる訳じゃん。俺やティアマトさん、ネフェニーやオスカーさんは慣れてるから大丈夫だろうけど、こうも荒んだことが続いて幾人かはかなり士気の低下が見られる。」

 

俺の言葉と同時に、ミストとミカヤとステラとチャップが目を逸らし、ジルとマカロフとチャップが気まづそうになる。いやマカロフ、お前がそうなってどうする。

 

ボーレ「おいおい、この程度で疲れられてちゃ困るぜ。」

 

エイリス「傭兵団として戦線に長く出ていた人や、軍にいた人は大丈夫だろう。けどうちは正規軍じゃないし、こういう事が起きてしまうのは仕方の無いことだ。そこでだ、今回、ベグニオンとセリノスの復縁と、今までの労いを目的として、お祭りを開こうと思うんだ。勿論、本来こういう目的でやるのは不本意なところは多少はあるが.......この際、やっておきたいと思う。」

 

というか、戦いに明け暮れすぎて、アイクとエリンシアの親交を深められるタイミングがてんで来ない。これは由々しき事態である。

 

ミスト「ねぇエイリスさん、オマツリって何?」

 

エイリス「あれ、お祭り知らない.....?」

 

ミスト「お祭り自体は知ってるんだけど、エイリスさんの言うオマツリって、エイリスさんが生まれた国の何かなのかなって。」

 

ミスト、意外と賢い。

 

エイリス「俺の生まれた国.....まぁ日本って言うんだけど、昔は神様に感謝を捧げる意味合いが強かったんだけど、それ以来時代と共に形を変えて、今はそういった宗教的な意味のある祭りもあれば、皆で楽しむみたいな祭りもあるんだよ。今回やるのは後者。」

 

セネリオ「そんな余裕、今はありませんよ。なにより戦争中ですし。」

 

エイリス「肩の力入れすぎもさすがにどうかと思うけどな......もちろん、これをやる事でみんなの頭がお花畑になる訳でもないし。費用面に関してはサナキと話して決着させてきた。」

 

エリンシア「しかしエイリス様、こうしている間にもクリミアの民は......」

 

当然エリンシアから指摘が入る。そりゃ王女として国民を気にするのは当然よな。

 

エイリス「一応部下から適宜、クリミアの様子の連絡は受けています。今のところ、占領統治そのものにはそこまで問題は無いみたいです。ただ、今も抵抗している勢力の掃討が行われており、その地域はかなり厳しい状態にいます。」

 

エリンシア「ならば今すぐにでも......」

 

エイリス「それがそうとも言えません。デイン側もこちらから援軍を連れてくること自体は承知でしょう。問題はその数と時期です。もし仮に援軍が今すぐ来るとなれば攻勢を強め、残存勢力の全滅にあたるはずです。そして今回の遠征は、ベグニオン軍も含めた混合編成となります。意思疎通の時間と、遠征ルートや期間の明確化が必須となりますし、それは今俺とセネリオ2人で協議にあたっています。今しがた、時間を稼ぐ方が得策と判断しています。」

 

ネフェニー「....それに、心配はないと、思う。」

 

エリンシア「え?」

 

ネフェニー「今.....あの人たちは、後方支援しとると思う......だから、上手く立ち回ってると思う。」

 

エイリス「それに祭りの準備の間に、俺と俺の部下で1度クリミアに入って、後方支援をしてきます。祭りが始まる頃には、間に合わせますので。」

 

エリンシア「ならば.....お任せします。エイリス様。」

 

エイリス「うん、任せて。」

 

とりあえず団の皆は説き伏せることも出来たし、屋台の事とか色々話したら皆意外と乗り気になってくれた。当日の女性陣の衣服の制作依頼は、図面と一緒に出してるし、屋台を開く商人にも一通り話はした。おそらくこれで下準備は整った。




風花雪月の女神の塔のイベントを参考に作ってはみましたが.....どうなんですかね。感想とかで教えてください


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閑話 お祭り 中編 クリミア遠征

マカロフ、未だにお前出てないけど、ここまで出ないとめっちゃハードル上がるぞ.......


祭りを開催する上で必要な要請と説明を終え、今はベグニオン→クリミアへの進軍行路とジョフレたちへの後方支援に向かっている。目的地であるデルプレー城までは結構遠いし、なんならデイン軍があちらこちらにいる。

 

「お頭、城に行くのはいいんすけど.....ジョフレ将軍とか、いますかね?」

 

「え?さすがにいないは無いだろ....え?ホントにいないみたいなことある?」

 

そういや確かクリミアの残党って、反抗してる勢力と商人とかに紛れてきたる時まで待機してるとかもあるんだっけ......?やばいな、これ。

 

「なぁネフェニー、ジョフレ達がどうしてるかは知らないか?」

 

「知らん.....ずっと、あんたの命令に従って、戦ってたから.....」

 

「参ったなほんと....まぁ、軍人が商人の真似なんてしててもすぐバレるだろうから探すのには苦労はしないだろうけど.....」

 

そのまま馬を進め、部下が用意してくれた盗賊達が国境を超えて逃げるための通路を使ってクリミア入りを果たす。さすが秘密の通路なだけあって軍人の気配がまるでない。正規軍じゃこんなところ見つけられる訳も無いか.....

 

「お頭、ちょっとだけ今のクリミアの状況を聞いて欲しいっす。」

 

「今の.....?なんかあったのか?」

 

サム○イ8のような出だしで妙に深刻な顔持ちで話し始める。

 

「何?なんか変わったことあるの?」

 

「お頭....この国ではかなり知名度があったじゃないですか。最年少でクリミア軍を束ねる立場に立って、俺らみたいな盗賊討伐もあって......なんていうか、お頭って俺ら庶民からしたら顔が知れてる、身近な軍人だったんですよ。」

 

「お前らは庶民じゃなくて盗賊か山賊か海賊だろ......」

 

「ま、まぁその事は脇に置いときやしょう。ただ.....その信頼と実績が話をこじらせてるんす。あの時、お頭は狂王と戦って退けたじゃないですか。」

 

「まぁな。」

 

「あの行為は当時、王都を攻められて苦戦していたクリミア軍にとっては士気が上がる一報だったんですが.....完全に仕留めず狂王だけを撤退に持ち込んで、姿を消したことを恨んでる民がいるんす。」

 

「あぁ.....大体言いたいことは分かった。」

 

要は、狂王....敵の大将を撤退させたまではいいが、それを見てデイン軍が撤退しなかった.....その後俺は残存勢力は他のクリミア軍に、他のところから攻めてきた敵はネフェニー率いる自分の配下に命令を下して傭兵団との合流を計った。こっちはこっちの意図があったが、国民から見れば敵に中途半端なダメージを与えて、その後勝手に姿を消した.......国を裏切った軍人として見られている、といったところだろうな......

 

「まぁ、言われても文句は言えないよな。実際問題あそこで王都に攻め込んだ勢力は取り残してるんだ。」

 

でもあそこで仮に攻めてきたデイン軍を全滅させていたら、それはそれで蒼炎の軌跡の物語が始まらなかった訳で.....現地の人からしたら迷惑なのも否定できない。

 

「勿論、俺らも含め街を救って回ってる時はその誤解を解こうと尽力したんすよ.....」

 

「結果としてそうなってるんだし、そこは解かなくてもいいよ。...俺のためにありがとな。」

 

感謝を述べながらも今の状況を考える。仮に恨んでるんだとしたら......俺の顔も国には割れてるし、参ったなこれ....

 

「とりあえず、もう少しデルプレー城に近づいて、周りの人から情報でも聴きこもう。ただ.....今日はもうすぐ暗くなるし、今日はここで夜を過ごそう。ネフェニー、それでいいか.....?」

 

「うん...いいよ。」

 

 

 

 

夜中 野原

 

野営を張って、それぞれ寝る場所を確保する。念の為に数時間ごとに見張りを交代させながら警戒する。俺もやると言ったが「お頭に見張りをさせたら俺たちの面目がたたねぇっす!!」と言われて拒否された。その為....

 

 

「ふふっ....」

 

ネフェニーと、横になって向かい合ってる。あれ.....ネフェニーと寝る場所、違うはずなんだけどな.....

 

「なぁ、ネフェニー。お前、寝る場所ここだっけ?」

 

「違う、よ.....」

 

「じゃあなんでここにいるのさ.....」

 

「少しくらい....ええ....」

 

少し頬を赤らめて、ネフェニーがこっちの髪をわしゃわしゃしてくる。

 

「.....こうやって、2人になるのは....久しぶりやね....」

 

「だな.....まぁ、一緒に行動することは多かったよな。」

 

改めてネフェニーの顔を見ると....目がすっげぇ綺麗だし、チャップがべっぴんさんって言うだけある。

 

「トハくらいから....ミカヤと2人で行動することも、多くなったよね。」

 

ネフェニーがジト目を向けてくる。いやそれ悪い事なのか....?

 

「同じ魔道士だしな.....そういうこともある。」

 

「ふーーん.....なら、ええんやけど。」

 

ええんやけど、とか言っておきながら全然納得していないのは直ぐに分かる。

 

「わたし....強くなった....じゃろ....?」

 

そして話の空気が変わる。

 

「ほんと強いよ。毎回単独で任せても大丈夫っていうのはほんとに頼れるよ。.....なんかさ、ごめんな。」

 

そりゃ最初からカンスト気味な補助キャラがいたらほんと便利この上無いからな......

 

「こうやって正面から改めて見ると....やっぱ、美人だよな。」

 

「えっ.....」

 

ネフェニーの髪を少しいじった後、顔を触る。すごく驚いた顔をしているのが少し面白い。

 

「今から数年前....村でネフェニーを救ってから、お前は従軍したよな。」

 

「うん、そ、そうやね....」

 

「なんていうかさ....俺はお前を利用してる気がしてならないよ。お前の健気な思いを利用して、お前に強くなってもらって......本来なら戦争に無縁なお前をこっちの世界に連れてきてしまった、俺の責任を少し感じてな。」

 

蒼炎の軌跡の本来の流れだと、ネフェニーは捕虜として登場して、解放すると同時に仲間になるという。ただ、捕まった理由はクリミアが陥落した後に義勇軍として志願し、その後戦いで捕まったことになる。遅かれ早かれ志願していたが、俺が関わったことで歴史は少し変化した。戦争が起きるまでの.....戦争が始まるまでの数年間の平和な生活を、俺は奪ったことになる。

 

「...........」

 

「ごめん、なんて言っても遅いけどさ.....責任感感じてるってだけ伝えとこうかなって。」

 

「いらんよ.....そんな心配。」

 

そしてネフェニーが俺を抱きしめる。身長的にネフェニーの方が大きいから包み込まれる形になる.....そして今は鎧じゃなくて普通の服の為、体温を感じる......

 

「あんたが救ってくれたから.....こんな小さい体で、とても頑張っちょるから.......それを、支えたいから.....全部、私の意思、なんよ。だから...そんな悲しいこと、言わんでええ.....」

 

「余計...だったかな。」

 

「ううん......そうやって大事に考えてくれて、嬉しかった.....」

 

そしてネフェニーが俺を離し、寝ていた体を起こす。その代わりに手をニギニギしている。そして何故か、目が合わない。

 

「なんか....離れると、冷たい.....」

 

「じゃあ、もう1回くっつく?」

 

「........!!!!もう、戻るね。」

 

そしてネフェニーも腰を上げ、俺の寝床から出ていく。冗談のつもりで言ったけど、少し気持ち悪かったかな.....

 

 

 

 

 

 

(抱きしめた.....抱きしめた......!!!!!)

 

エイリスを抱きしめたことにネフェニーが赤面する。流れ的にやったとはいえ、中々積極的な行動をした、と今になって自覚する。

 

「姉御!どうしでした!?」

 

「どうって....」

 

「行くところまで行けたんすか!?ほら、チューとか!」

 

「ーーーーーー!!!そんなところまで行けん!!!」

 

顔を赤くして部下に反論する。そしてその赤面している様子を見て部下たちは更に追い打ちをかける。

 

「何ですか!?あんなに2人っきりになって、それなりにいい雰囲気になってたのに!!!」

 

「気配は感じとったけど.....覗いてた?」

 

「そりゃそうっすよ!!お頭と姉御の関係なんて皆知ってるっす!!そりゃ応援するに決まってるじゃないっすか!!」

 

「......あんたら、次訓練の時になったらしごくから覚悟しとき...!!!」

 

「そりゃねぇすよ姉御!!!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

翌朝 デルプレー城付近

 

村民「いや、そんな奴は知らないな。」

 

「ここら辺もいないっすか...どうもありがとうございやした。」

 

翌朝、拠点を出て近くで聞き込みをしてもらうものの、有力な情報は無い。

 

「しかし、まさかこんな事になってるとはな.....」

 

近くの村の雰囲気は決して前から変わってるものでもない。付近を見回しても軍によって蹂躙された後も無ければ、義勇軍が市街地戦のように利用した痕跡もない。......変わったのは、空気と、村に立てられている看板だった。

 

 

『クリミア義勇軍を見つけたものはすぐに我々デイン軍に通報すること。その人間の階級に応じて報酬は高くなるものとする。』

 

出だしがこの文言で始まった看板には、軍の主要な人間や政治に関わっていた貴族の名前と、報酬Gが載っている。その中にはジョフレやルキノ、ユリシーズ......そして俺とネフェニーの名前も載っている。

 

「わたし.....30000G.....」

 

「俺、50000Gだぞ......こんなに払えるのかよ。戦争途中なのに。」

 

どっかの世界の2万ゴールドの女よりゴールドが高くて少し優越感を感じながらも、少し危機感もある。今はうちの部下に賞金稼ぎのフリをしてもらって村から情報を聞き出しているが.....おそらくバレるのも時間の問題。騒ぎを起こせば当然警戒を高めてクリミア入りを果たすのが難しくなる。でもかといってこのまま放置していても敵の勢力はそのままになる。仕方ない.....

 

「プランFでいこう。」

 

「プラン.....F.....?」

 

「ネフェニー、ちょっとこっち来て。」

 

ネフェニーを連れて、草むらの茂みに入る。そこで鎧や防具を外す。ネフェニーも、何も考えず途中まで一緒に外していたが、途中で動きが止まり、赤面し始める。

 

「ちょ.....ここで何する気じゃ......」

 

「え?変装だよ変装。まぁ俺の場合は仮面被るだけだけど....ネフェニーの防具、クリミアの頃からずっと一緒だろ?だから服装変えないと絶対バレるんだよ。」

 

俺はバッグの中をゴソゴソ探して、持ってきていた服装を渡す。一応エリンシアやミストに見てもらって大丈夫だと判断したものを出す。ミカヤは.....なんか、拗ねてたね。変装したかったんだろうな.....弟が盗賊だし。

 

「......あっち向いて。」

 

「別に見るつもりはないよ。」

 

「なんか....それはそれで、悔しい。」

 

「いや何でだよ。後ろ向くから終わったら言って。」

 

そして後ろを向き、ゴソゴソしてる音を聞きながら街の方を眺める。.....少し、人の集まりが見える。

 

「......終わった。動きやすい......」

 

「ほんとは少し落ち着いた時に渡すつもりだったけど、まぁ状況が状況だ。勘弁してくれ。」

 

「これ.....私だけ.....」

 

「いや、ミカヤとか他の人達の分も買ってる。服に興味無さそうなアイクには......何渡そうか悩んでる。」

 

「ふーん.....とりあえず、銀の槍だけ.....」

 

女の子っぽい私服の背中に、いかつい銀の槍が携えられている。なんともシュールな光景.....

 

「いや....変装するのにそんな目立ったことだけしてどうするんだよ。ダメ、これは輸送隊に送っとく。」

 

 

 

 

 

 

「お頭!!!デイン軍が現れやした!!!」

 

「落ち着け餅つけ......現れてもバレてなきゃいいだろ。」

 

「それが....あのやたら背がピーンとしてる商人が尋問されてるんすよ!!あとあの大道芸人も!!!」

 

「.........」

 

あいつら.......ジョフレとユリシーズ、正体隠す気0だろ。あんなやたら姿勢の正しい商人と、個性的な大道芸人が、こんな普通の人が沢山いる村にいる訳ないだろ.......

 

「いや.....下手過ぎでしょ。」

 

「お頭、思ってもそういうのは言わないお約束っす。探す手間も省けましたし、助けにいきやすか。」

 

「そりゃ行くけど.....参ったな。変装で防具とか外しちゃったからネフェニーは前線に出せないな.....それに身バレ防止で俺のアーリアルも使えない。仕方ないな......ネフェニー、お前は村民の避難と撤退路線の守備。お前らは.....迂回して、あいつらの後ろに周り込め。奴らを野放しにすればおそらくこの情報は確実に上層部に伝わる。何としてでも見逃すなよ。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

デイン軍「貴様はクリミア軍のジョフレ将軍だな?」

 

ジョフレ(商人姿)「そのような御仁は知らない。私はジョフレではない。」

 

ユリシーズ(大道芸人)「如何にも。吾輩も軍とは関係はない。」

 

デイン軍「そのような個性的な身なりをして、我々の目を出し抜けるとでも思っているのか!!」

 

 

デイン軍「待て....本当に商人かを見極めるのは簡単だ。ここにいるクリミア人を片っ端から殺していけばいい。」

 

ジョフレ(商人姿)「!!!!」

 

デイン軍「な!しかし非戦闘員には手を出すなと漆黒殿からの通達が....」

 

デイン軍「『突如武装蜂起した村民の鎮圧にあたった』とでも言えばなんとでもなる。もしクリミア軍のお偉い方なら、目の前で殺されるのを見逃す訳にはいかないもんなぁ。」

 

ジョフレは頭を悩ませる。確かにここで殺戮を見逃せば間違いなく軍としての威信は潰える。そして何より、クリミア軍の良心を容赦なく踏みにじる結果となる。だがここで正体を表せば、女王であるエリンシアの帰還を待ち、各地で反攻の準備をしている存在にデイン軍が気づくことになり、計画が頓挫する。

 

ジョフレ(.....致し方ない!こうなっては.....)

 

????「待たれよ!」

 

そして馬に乗って、身長2m近くの巨漢がデイン軍の間に割って入る。

 

デイン軍「む!貴様は何者だ!?」

 

????「大陸を放浪するただの吟遊詩人さ。」

 

デイン軍「吟遊詩人であるならそこをどけ!」

 

????「命令なしただの商人を襲うとは軍人の風上にもおけないな。この話を私が歌にして大陸に広めれば、お前たちを守るものは無くなるぞ。」

 

デイン軍「........ならば、貴様ごと消すまでだ。おい、待機してる勢力にも声をかけろ!!ここにいるクリミア人を全て掃討する!!!」

 

そしてその掛け声と共に、30近くのデイン軍が出てくる。そして武器を構えると共に、村民の悲鳴がそこらに響き渡る。

 

ジョフレ「致し方ない.....そこの御仁、誰かは存じないが奴らを止めるため一助を頂きたい!」

 

????「いいだろう。」

 

 

 

 

(お頭....前が見えねぇっす。この肩車、いつまで続けるんすか)

 

(この戦いが終わるまでは我慢してくれ....俺の場合、身長でバレるから...)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

デルプレー城周辺

 

ユリシーズ「では......本来なら采配を取るべき人物がやるべきだが、諸事情を考慮して吾輩が指揮を取ろう。我々の勝利条件は出てきたデイン軍の殲滅。そして今逃げ惑っている村民の保護である。ただし我々には余裕はないために、村民を救出し次第、ここから撤退することもまた選択肢に入るでしょうな。」

 

ジョフレ「そうだな.....だが仮に敵を全滅させても構わんのだろう?」

 

ユリシーズ「したければ、といった感じでありますな。しかし、エイリスのような殲滅力を持つ味方が我々には今のところいない。参ったものだ、さてどうしたものか。」

 

吟遊詩人(エイリス肩車モード)「(こいつ分かってて遊んでるだろ.....)とりあえず、最優先に村民の避難。その後、バレない程度に戦力を削減しましょうか。後は.....そこら辺の軍人に偽報を握らせてここらの安泰を図りましょうか。」

 

ジョフレ「吟遊詩人の割には、頭が軍人に近いな。」

 

吟遊詩人(エイリス肩車モード)「吟遊詩人は歴史を歌で紡ぐもの。あらゆる事を語る以上、知っていなければなりませんから。」

 

ユリシーズ「ではそのようにしよう。」

 

 

 

 

おそらくここら辺の中盤で現れる外伝ともなれば、村民に対して当然追撃は出るだろうし、2人以上に攻撃されれば元の子もない。そしてNPCだから訳の分からない方に行ったりする。たまに逃げろと言ってるのに敵が集中してる方に突っ込んでいくNPCがいたりするからな......

 

吟遊詩人(エイリス肩車モード)「村民が混乱で意味不明なところに行くかもしれない。適度なリードは心がけてください。」

 

ジョフレ「承知した(なんかこの雰囲気、どこかで......)」

 

吟遊詩人、とはしたものの、聖戦にいたどこぞの吟遊詩人(仮)みたいにフォルセティ片手に暴れられないし......しかも魔法を使ったらおそらくバレるだろうし、杖だけ......

 

デイン軍「貴様の首、もらった!」

 

吟遊詩人(エイリス肩車モード)「やかましいわぁ!!!!」

 

思いっきり下で肩車していた盗賊が杖で物理的にデイン軍をうち沈めた。杖(物理).....ラナ王かな?

 

(お頭!!まじでそろそろ降りましょう!!さすがに敵地でこれは無茶っす!!)

 

(それもそうだな.....じゃあ、戦ってる間はそうしよう。)

 

そしてジョフレとユリシーズが見てない間にひょっこり降りて分離する。そして部下は銀の剣を抜いて突撃し、こっちはサイレスで魔法と杖を封じる。

 

戦場

 

ジョフレ「......魔法の攻撃が止んだ。一体何が?」

 

ユリシーズ「どうやら何者かがサイレスの杖を振ったのでしょうな。」

 

ジョフレ「サイレス.....だがこの国に杖に精通していた者は、少なくとも我々側にはいなかったはずだが......」

 

ユリシーズ「あの吟遊詩人とやらの仕業でしょうな。そしてエイリス殿の配下の者もいつの間にか戦闘に加わっているようだな。」

 

ジョフレ「いつもあの者達には助けられるな....我々も加勢するぞ。」

 

ユリシーズ「戦力はこれだけならば足る.....吾輩は避難民の安否確認に向かう。ジョフレ、ここは頼むぞ。」

 

ジョフレ「分かった。では、また後で。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

戦闘終了後

 

半分以上のデイン軍を殲滅し、外の部隊にデイン軍になりすました部下を派遣し、市民勢力による反乱疑惑を検挙し、尋問の末に協力勢力はいなかったと報告させる。

 

吟遊詩人(エイリス肩車モード)「これでしばらくここら辺は安泰になるだろ.....」

 

ユリシーズ「もう正体を表してもよいでしょうな、エイリス殿。」

 

エイリス「まぁ、さすがに2人とも気付いてたよな。」

 

ユリシーズ「いえ、ジョフレは気付いてないでしょうな。」

 

エイリス「え?」

 

ジョフレ「あぁ。仮面をしていたし、身長も違って分からなかった。だが指揮や発言に妙な親近感を感じた。」

 

ユリシーズ「にしても、今更ここに戻ってくるとは、どういう心境の変化ですかな?エイリス殿。」

 

ユリシーズが怪訝な顔でこちらを問い詰めてくる。

 

ジョフレ「待てユリシーズ。エイリスはエリンシア様をだな.....」

 

ユリシーズ「勿論王女を守るために暗躍していたことは知っておる。問題はその後だ。エイリス殿とエイリス殿の配下がいれば、少なくともクリミアの犠牲はもっと抑えられたはずだ。さらに言えば、たった一軍でデイン軍の主要戦力に引け劣るものでもあるまい。」

 

あぁ耳がめっちゃ痛い......だってここに残ったら中盤の最後へんまでアイクたちと合流することが出来ないし....そこまで行くともカップリング路線はもう見込めないから。けどまぁこの世界の住人からしたら身勝手にみえるのもまた正論。

 

エイリス「色々あったんだよ。それに、ネフェニー含めて俺の部下は皆、王都以外の被害を最低限にするために動いてもらってたから......王都に戦力を向けられなかったのはそれが理由だ。悪かったよ。」

 

ユリシーズ「相変わらず、戦いの時以外は適当なところがありますな。エイリス殿は。」

 

ジョフレ「だがユリシーズ。実際にエイリスの右腕であるネフェニー殿は王都郊外にて【四駿】のブライスを討ち取っている。それにネフェニー殿が率いるエイリスの部隊が目立っていたおかげで我々もこうやって隠れながら準備ができた。」

 

ユリシーズ「結果オーライ.....とはよく言ったものだ。我が友よ、そなたが1番怒ると思っていたが予想外であるな。」

 

ジョフレ「エイリス殿は......姫と1番親しくしていたのだ。単騎で王都に入り、真っ先に姫の逃げ道を塞いだのもきっとそうだろう。それに王都にて狂王を討ち取ったと聞いた時、我々の士気がどれほど上がったか、それを忘れた訳ではあるまい。」

 

ユリシーズ「..........」

 

ジョフレ「エイリス殿、この先はどうされる?」

 

エイリス「とりあえず、ベグニオンの支援までは取り付けた。だが、トレガレン長城、デイン国境......ここにたどり着くまでに攻略しなければならない場所がかなりある。だからエリンシアを連れてここに来るのは....大分後になる。悪いがそれまでは、拠点を転々として隠れていてくれ。今回の騒ぎ、さすがに偽報1つでここがずっと安泰とは限らないし、今は仮初の平穏に過ぎない。」

 

ジョフレ「分かった。エイリス殿、姫を頼む.......」

 

エイリス「分かった。いずれ王国入りした時、この城にいてくれ。そっちの方がこっちとしては再開の時に助かる。」

 

ユリシーズ「安全ではない場所に立てこもるとは.....半ば無謀なことを言いなさる。」

 

エイリス「今のところ予定してる進軍ルートからして、ここの方がいいんだよ。頼む。」

 

ユリシーズ「.....分かった。吾輩も我が友と共にここで待つ。頼んだぞ、エイリス殿。」

 

 

そしてジョフレとユリシーズと約束を結び、運んできた物資を渡してベグニオンへ戻る準備を始める。これで少しは時間を稼げたし、デイン軍を少し削った......出来れば【四駿】クラスの将校がいた方が良かったんだけどな.......

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

同時刻 神殿のはずれ

 

ジル「急に呼び出して済まない。」

 

サザ「あんたから話なんて珍しいな。今はオマツリの準備で忙しいし、短めで頼む。」

 

ミカヤ「どうしたの?何かあったの?」




すんごい久々に投稿した気がする。


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閑話 お祭り 後編

ダラダラやってた閑話もこれで終わりにします。一応ここである程度二次創作らしさを出しておきたいんですけどね


疲れた。多分今までで1番字数が多い気がする


ジル「君たち2人とも、デイン出身なんだろう?」

 

サザ「それがどうした。祭りの準備で忙しいから端的に頼む。」

 

ミカヤ「ちょっとサザ.....」

 

ジル「いや、サザの言う通りだ。......単刀直入に聞きたい。君たちは何故この傭兵団にいるんだ?」

 

サザ「俺は密航してたところを捕まってな。とりあえずミカヤと会うまでは同行するつもりがエイリスがミカヤを連れてきて、しかもミカヤがエイリスに付いていくってなったから俺はここにいる。」

 

ミカヤ「私は....トハでエイリスに会ったの。そこで一緒に行くことになって.....難しいことはよく分からないけど、同行していく中でこの大陸に何があるのか......エイリス達が何と戦っているか、この目で確かめたくなったの。(もちろんエイリスが好きだからというのもあるけれど......)」

 

ジル「そうか....君たちも時の縁、か。」

 

サザ「で、俺たちは話したんだ。あんたはなんでここにいるんだ?正規軍の兵士であるあんたが祖国に帰らず......まさか」

 

サザがミカヤをジルから遠ざけ、軽器を構える。サザの中で出た答えはひとつ.....諜報員。ただそれだけである。

 

ジル「ま、待ってくれ!私は密偵でもなんでもない。」

 

ジルは咄嗟に否定をし、自分の身辺に暗殺道具や文書が無いことを2人に示す。

 

サザ「......まぁ、直情的なあんたが密偵をこなせる訳無いか。」

 

ジル「酷い言われようだが......が、身の潔白を証明しなければいけない。私がここにいるのは、君たちと同じ時の縁だ。あの日、トハで傭兵団を逃がした私は、焦って単独で船を追いかけた。」

 

サザ「そういえばあんたはそうだったな。」

 

ミカヤ「そうだったの?」

 

ジル「そこで見たのは....烏と戦っている傭兵団だった。私はてっきり人間の船がはんじゅ.....ラグズに襲われているものだと思って手を貸すことを提案したんだ.....アイク団長に結果的に断られてしまったがな。その後少し強引に話を進めて、今に至る訳だ。」

 

サザ「まぁ、あんたがほかの連中より少し浮いているのはそれだろうな。仲間というには少し他人行儀なところがある。」

 

ミカヤ「サザ....でも、ミストとは仲が良いのよね。」

 

ジル「あぁ。あの子には親切にしてもらっている。とてもアイク団長と同じ血が流れているとは思えないくらいだ。」

 

サザ「言ってやるな。皆思ってるけど敢えて言わないようにしてるんだ。」

 

ジル「それで....話は反れてしまったが、その後にゴルドアの王子とその配下に助けられた後......不信感が湧いたんだ。」

 

ラグズ(半獣)は憎むべき敵であり、野蛮な種族である.....デインおよび父であるシラハムからそう教わってきたジルからすればその光景は違和感しか無かった。何よりも謎だったのは、そんなラグズを何の疑いもなく受け入れている傭兵団と、堅物な団長であった。

 

ジル「少なくとも、軍の教育機関や父はこんな事があるなんて教えてくれすらしなかった。.....いや、反ラグズ思想自体はデイン全体としてある訳だが。君たちは....その違和感は無かったのか?」

 

年頃の彼女にしては深刻な顔をして訪ねる。自分の中の価値観が揺らいでいく、今まで信じていたものとは違う実態を捉え、そしてそこには自分が一切見たことの無い人間と、ラグズの姿があった。しかもそれが多数派という現実がそこにあった。そんな中で、少数派な自分の正義観が正しいと自負するには、幼すぎた。

 

ミカヤ「そんな事....考えたことすら無かったわ。確かにデインで反ラグズ思想があるのは知っていたけれど......」

 

サザ「俺たちは軍人や為政者じゃないんだ。そんなイデオロギーを強く持つ必要なんてどこにも無い。.....って言っても気持ちは分からなくは無い。ここまで何の抵抗も無く受け入れられるアイク団長や傭兵団は珍しい。」

 

ジル「やはりそうなのか.....これは私がおかしいのか?」

 

ジルにとって自分からこの悩みを吐露するのは初めての経験だった。父の前で気丈に振る舞い、ハールの指揮下に入ってからも日々自身の信じるものの為に鍛錬し、疑いを持つことすらなかった。だが世界が広がり、外に出ることで変わった。上司であるハールは事なかれ主義。他の兵士達とは明らかに何かが違った。だがそれはあくまでハールが実力があるが堕落している部分がある、という認識程度だった。そしてそういう理解が出来るのもハールがデイン軍の中で少数派だったからだ。稀有な存在だからこそ、多少の違和感はあれど不信感を抱くことは無かった。だが今はどうだ。自分こそがその少数派に立っていて、自身が浮いていることを自覚している。しかも更に悲しいのは、目の前で行われている異様な光景に対して、敵意や不信感を不思議と感じないことだ。信じられない光景であり、自分の価値観とはかけ離れているものでありながら.....何故か受け入れられるかもしれない、相容れないものには見えない、そう思えてしまうのだ。

 

サザ「なんて言うか、あんたって不思議だな。さっきから教えられたとか知らなかったとか.....ずっと他人よがりじゃないか。自分の見たものを信じられないのか?」

 

ジル「なら、私と他の人の何が違うのか教えてくれ。なぜ皆、簡単に受け入れられるんだ?」

 

サザ「違い.....?あんたまだ分かってないのか?エイリスやアイク団長と違うのは、そうやってずっと誰かに教えてもらおうと頼ってないからだろ。」

 

ジル「じゃあ私はどうすればいいんだ!!何が正しいか、間違ってるか、それが分からないというのに!!」

 

ミカヤ「少し落ち着いて.....サザも、あんまり刺激する事を言うのは.....」

 

ミカヤがヒートアップした2人の間に割って入る。普段はここまで感情的にならない2人が頭に血が上って激論をしている様子に、ミカヤは少し動揺した。

 

ジル「少しどいてくれ!!」

 

ミカヤ「きゃっ」バタッ

 

サザ「....!!ミカヤに何するんだ!!」

 

ジル「あっ......す、済まない。カッとなり過ぎてしまった。」

 

ミカヤ「え、えぇ....大丈夫よ。」

 

ジルは急いでミカヤに謝罪し、手を差し伸べる。

 

ジル「ミカヤ、本当に済まなかった。仲裁に入ってくれたにも関わらず.....」

 

ミカヤ「大丈夫よ、気にしないで。それにもし怪我してもエイリスに見てもらえばいいから....」

 

サザ「別にエイリスに頼らなくても俺やミカヤは特効薬持ってるから大丈夫だろ。」

 

ミカヤ「そういう事じゃないから......」

 

ジル「驚いた....ミカヤも、そういう表情をするのだな。」

 

ミカヤの少しふくれた表情を見て、ジルの硬さも少し崩れる。その顔は正に年頃の女の子の表情そのものだった。

 

サザ「落ち着いたところで話を戻すぞ。ジル、あんたが生真面目なのはよく分かったし、悪いやつじゃないのは皆分かってる。ただ、少しくらいは自分が見たものを信じてもいいんじゃないか?」

 

ジル「それが簡単に出来ればこう悩みはしない。」

 

サザ「でも出来ないわけじゃないんだろ?」

 

ジル「どう説明したらいいかもどかしいよ.....幼い頃からずっと、私は軍人であり尊敬する父の背中を見て育ってきた。そして父からは.....敢えて使うが『半獣』は憎むべき対象だと厳しく教えられてきた。そして軍に入ってからもその教えは全く変わらなかった。更に言えばデインにはラグズが殆どいない......この状況下で、私はラグズがどんな種族かなど想像さえしなかった。だから疑いもしなかった。.......その10数年信じてきたものが今、根本から揺らいでいるんだ。」

 

サザ「目にしただけで揺らぐような信条なら、最初からその程度のものだったんじゃないか?」

 

ジル「相変わらずサザは手厳しいな。.....聞いておきたいんだが、サザから見て、団長やエイリスはどう見える?」

 

ジルは質問を変えてサザの真意を探る。

 

サザ「アイク団長やエイリスか.....アイク団長は、無愛想で堅物だけど、信念を通してる人だし、なんでも受け入れられる度量の広さがある、人を惹き付ける人だと思う。俺やあんたがいられるのだって、団長が許してくれるからだ。この傭兵団には無くてはならない人だし、ただ金さえ払えばなんでもいいって訳でもない。一本筋の通った人間はきっとこういう人の事を指すんだと、頼れる存在だと思ってる。エイリスは.....俺にもよく分からない。あいつは俺たちと見えてる世界が違いすぎる。しかもあいつの指揮とか発言を聞いてると、まるで未来が見えてるかのような錯覚に陥る。何を目指してるのか、それも全く掴みどころが無い。ある意味不気味な存在だし、ミカヤと一緒にいる事も多いから怪しいが......だけど、俺は信頼している。あいつにはあいつの意地があって、その実現を躊躇わない所がある。」

 

ジル「信念.....意地....」

 

そのふたつの言葉がジルの中にストンと落ちてくる。言われてみれば確かにそうだ。あの二人が揺らいだ所は見たことがない。それを確信出来るのは、おそらく正しい正しくないの地点に止まっていない......そこに確固たる何かがあると確信できるから、その背中を見て安心感を覚える。

 

ミカヤ「2人とも立派だと思うわ.....団長は、目の前で父親を殺されているもの......それでも、折れずに前を向いて今ここに立っているもの。エイリスだって、立場上抱えているものは沢山あるし、背負わなきゃ行けない物がこれでもかとのしかかってる.....それらを全て背負ってこの戦いの先にある世界を創ろうとしている。」

 

ジル「..........」

 

ミカヤ「ジル、背負うものは人それぞれ違うわ。サザにだって、ジルにだって譲れないものはきっとあるように。」

 

ジル「そうだな.....。」

 

ミカヤ「でもね、それをそのまま自分の意思にする必要はどこにもないわ。ゴルドアのクルトナーガ王子の言動を見て揺らいだなら.....それも受け入れて、新しい答えを出したらいいと思うわ。」

 

ジル「それが、今の私に足りないものなのだろうか。」

 

サザ「それはあんたが1番分かってることだろ。ここまで言ったんだ.....後はあんたが勝手に判断して決めればいい。その答えがどうだろうと、俺たちはあんたを責めはしない。」

 

ミカヤ「.....試してみる?」

 

ジル「えっ....」

 

サザ「ミカヤ!!」

 

ミカヤは手袋を脱ぎ、自らの体にある【印】をジルに見せる。ジルもその【印】を見て意識が一瞬飛ぶ。

 

ジル「【印付き】......聞いてはいたが、本当にいるのだな。」

 

ミカヤ「私の事...どう思う?私は【印付き】、ベオクからもラグズからも忌み嫌われる存在.....これを見て、ジルは私を蔑むかしら?」

 

ジルの目が僅かに揺れる。【印付き】は軍隊でも教えられた、ラグズと同様排除すべき存在である、と。これもまた、自分が信じてきたものと今ある現実が乖離している現象だった。

 

ジル「.....確かに私はそう教えられてきた。だが......」

 

ジルが答えるのをミカヤとサザは静かに見守る。ジルはしばらく悩む様子をした後、すっと覚悟を決めた顔をする。

 

ジル「.......蔑むものか。私は暴露してくれたミカヤの信頼に背く訳にはいかない.....よく言ってくれた。今は、こうする事でしか自分が完全に納得して受け入れられることは出来ないが......時間をかけて、このモヤモヤを晴らして、自らが信ずるに値すると感じられる信念を作っていく。そしたら....その時、また同じ問いをしてくれ。きっとその時には.....その時には、今のような優柔不断な答えはしない。胸を張って答えを言えると思う。」

 

ミカヤ「ふふっ、良かったわ。」

 

ミカヤはジルの答えに満足し、再び手袋を付ける。ジルはその手を見ながらも、どこか安心した表情をする。

 

サザ「それにしてもミカヤ....まさか外すとは思わなかった。今までこういう事はしなかったのに。」

 

ミカヤ「ここの人なら....皆いい人だから、信じてさらけ出せるの。」

 

そのミカヤの安堵しきった顔を見て、サザも微笑む。旅の途中、全くこんな顔はしなかった。自分にさえ晒すのをあまりしなかったミカヤがこうやって素を出せる場所に来ることが出来た....その安心感がサザには心地が良かった。

 

サザ「......そうか、良かった。」

 

ジル「2人とも....呼び出してすまなかった。そして、ありがとう。」

 

ジルは2人と握手を交わし、3人でお祭りの準備に戻る。

 

 

 

ナーシル(私が、出る必要は.....無かったみたいだな。)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

数日後 お祭り当日 帝都シエネ 昼

 

エイリス「ふぅ....なんとか間に合った。」

 

ネフェニー「はぁ....はぁ....結構遠かった.....」

 

デルプレー城を離れた後、祭りに間に合うためにひたすら走った。ネフェニーは馬に乗ろうともせず、馬に乗った俺の隣を爆走した。

 

エイリス「なぁ、ネフェニー。そろそろ馬乗ってもいいんだぞ。」

 

ネフェニー「いい.....これで、足腰の鍛錬になる.....」

 

エイリス「それで納得出来てるならいいんだけどさ.....」

 

なんかこっちだけ馬乗って相手を走らせるのは罪悪感が半端ない。本人曰く歩きなれてるし、鍛錬になるからいいらしいけど.....今度から、俺も走ろうかな。

 

エイリス「とりあえず、店の様子は.....」

 

露店を見ると、準備は殆ど完了していた。食材の仕入れ(かなり多め)も済んでいるし、道の掃除、提灯とかの設置、広場の設営も完了している。駐屯所もちゃんと作られていて、酒による暴行沙汰や祭りのスリへの対処も出来るようにベグニオン兵士がシフト制で滞在している。現代だったら渋谷ハロウィンみたいな事後に道端がゴミだらけになるけど、まぁ中世~近世の世界なら大丈夫だろ。

 

エイリス「ご苦労さまです。」

 

ベグニオン兵「はっ!今のところ問題は起きていません。」

 

エイリス「ならよし。」

 

ベグニオン兵「再度お尋ねしたいのですが、シフトじゃない時間は我々もこの祭事に参加してもよろしいのでしょうか?」

 

エイリス「いいよ。仕事の時間外じゃなければ年齢性別種族職種問わず誰でも参加出来るし。そんな厳かなことはしないから肩肘は張る必要は無いです。それにそこは神使様にも宣伝するようお願いしてますし。」

 

ベグニオン兵「はっ!ではありがたく参加させていただきます!」

 

実際屋台が生まれた背景とか諸説はあるみたいだけど、元は江戸時代に、大工みたいな職人の腹を満たす為に盛んにやってたみたいだし。祭りの運営や設営に携わってる人にも楽しんでもらいたいし。

 

ベグニオン兵「それとエイリス殿。呉服職の者からの伝言です。依頼されていた衣装は出来上がっていつでも着れるとの事です。」

 

エイリス「ありがとう。後で行って直接お礼するよ。」

 

一礼してその場を去る。さてと.....ここからが本番だ。ここで上手く立ち回れるかどうかで転生した目標を達成する難易度は激変する。

 

 

 

 

 

呉服屋

 

アイク「で、俺たちを呼び出した要件を聞こう。」

 

アイクたち傭兵団全員に招集をかけ、集める。いざ集まってみると結構人数が多いな.....まぁこんなもんか。

 

エイリス「俺たちの国の祭りではな、服装は自由なんだけど.....祭りといえばこれ!って服装があるんだ。浴衣っていうんだけどな。」

 

アイク「俺たちにそれを着ろって事か?」

 

エイリス「そういう事。まぁ嫌なら着なくていいよ、強制はしない。後はね.....こういう服装もあってね。」

 

そう言って俺は箱にしまわれていた....コスプレ衣装を出す。

 

セネリオ「......なんですか、これ。」

 

エイリス「これ、コスプレって言ってな。現実にいるいないに限らず、その人や動物、果ては神話に登場する預言者や神の服装を真似るんだよ。」

 

アスタルテ(神様!?それは不敬ですよ!!)

 

エイリス(いいんだよ現代だとこれが普通なんだし。だってうちの国にはどっかのブッダとイエスが同居したり、神様の都合で勝手に殺されて転生させたりとか色々あるんだし.....)

 

ヨファ「へぇ、面白そう!僕はこっちにしてみようかな!」

 

マカロフ「ま、軽い格好でいいならそっちの方がいいな。ところで、オマツリってのには賭博場はあるのか?」

 

マーシャ「ちょっと!!」

 

エイリス「無いよ。その代わり、一攫千金の出店はあるからそこで今日は我慢してくれ。」

 

マカロフ「へぇ、ならそいつで我慢しとくよ。」

 

マーシャ「もう.....エイリスさんも止めてよ。」

 

エイリス「大丈夫。賭博というより宝くじに近いし......まぁ、負けて借金背負うようなことは無いから大丈夫。」

 

マーシャ「うーん.....そう、なのかな?」

 

エイリス「まぁそれはそれとして.....とりあえず、服装どうするか皆に聞いておくよ。男の着付けは俺が、女の着付けはこっちのおばあちゃんがやってくれるから決まり次第伝えてくれ。」

 

そう言って解散すると、各々浴衣の肌触りを確認したり、団欒したりして服を見ている。さてどうなるかな.....

 

 

 

数時間後

 

ミスト「ではでは!お披露目会、始めたいと思いまーす!!」

 

マーシャ「わーー!!!」

 

アイク「後でどうせ見れるんだし、こういう事する必要あるのか?」

 

ミスト「もーお兄ちゃんったら!!!こういうのは特別感を大事にする事が大事なんだよ!」

 

ミストは猫の仮装、マーシャは浴衣に着替えていて可愛い。そしてアイクもメンズの浴衣を着てうちわを剣のように持っている。というか、剣を引っ提げてる。

 

ミスト「というかお兄ちゃん!!これからオマツリなんだから剣外してよ!!物騒!!」

 

アイク「護身用だ。もし変なやつが来ても皆を守れるようにはしとかないといけないしな。」

 

エイリス「まぁ、ベグニオン軍の人に見回りはお願いしてるし、もし何かあっても俺もアーリアルをいつでも打てるようにはしてるから。今日くらいは外してもいいだろ。」

 

アイク「まぁそうだが....どうにも軽装だと落ち着かん。」

 

エイリス「うーん困ったな....じゃあ、祭りらしく剣をモデリングしよう。」

 

そして外に出て、おもちゃの剣に光魔法の加護を与え、武器にする。

 

エイリス「ほい、これで我慢してくれ。」

 

アイク「剣にしては軽いな。それにこれじゃ斬れないだろ。」

 

エイリス「振ってみ。」

 

アイク「ん?.....あぁ。」

 

アイクが一太刀降ると、光の斬撃が飛んでいき、近くにあった木材を切断する。

 

エイリス「まぁ硬さはご愛嬌として.....殺傷性抜群、遠距離対応、カジュアルな見た目の魔法剣。護身用ならこれくらいの性能があればいいだろ。」

 

アイク「確かにこれならバレないな.....分かった。今日はこれを使う。」

 

そして重そうな剣を預かり、魔法剣の鞘を渡す。確かにこれと浴衣はミスマッチすぎるな......

 

ミスト「こほん!では取り直して!!まずは男性陣からお披露目です!!」

 

そう言ってミストはカーテンを開き、着替え終わった男性陣が出てくる。モウディやヨファはノリノリ、セネリオは相変わらず真顔、フォルカは100G払ったら着てくれた。ボーレに関しては和太鼓を叩きたいらしいからと、太鼓叩く人の衣装を着ている。

 

マーシャ「おおー!皆さん似合ってますね!!」

 

オスカー「ありがとう。意外と風通しのいい服だね。」

 

セネリオ「なんで僕まで.....」

 

ケビン「まぁそう言うな!!こういう経験も大事だぞ!!」

 

ガトリー「俺のサイズにも合ってるのあって良かったっす!!」

 

トパック「よっしゃ!!ムワリム、ヤタイ全制覇しような!!」

 

ムワリム「はい、坊ちゃん。」

 

ナーシル「ふむ、これが異文化の衣装か。中々興味深い。」

 

ゼルギウス「よもや、私も参加する事になるとは。」

 

十人十色とは言うが、本当に色々いるな。というかさらっとゼルギウスいるの凄いな.....誘ったら乗ってくれた。まぁ当然着替えは別の部屋でやったよ。

 

 

ミスト「皆似合ってるよ!!ふふふ....」

 

アイク「なんだその笑いは。」

 

ミスト「お兄ちゃん、絶対腰抜かすよ。今から女性陣のお披露目やるんだけど....皆本当に綺麗なんだよ!!」

 

ガトリー「ほんとっすか!?」

 

ミストが興奮気味に語る。まぁマーシャが着てるのを見る限り、髪型とか変えてるんだろうけど。俺はエリンシアとミカヤしか(FEHで)見てないからどんな感じなんだろ。それに生で見るのと画面で見るのじゃ大きな違いがあるし。

 

ミスト「ではでは!!お待ちかね!女性陣のお披露目です!!!」

 

ミストが勢いよくカーテンを引き、その姿が目に入ってくる。

 

エイリス「え、かわ....」

 

思わず本音が出かける。え待って、ティアマト、エリンシア、ミカヤ、ネフェニー、ワユ、シグルーン様、etc.....ここの女性陣、美に特化しすぎだろ。オリヴァーがもしベオクに美を見出してたらタダじゃ済まなくなるぞ。

 

外野『おおーーーーーー!!!!』

 

外から覗き見の様なことをしていた住民が歓喜の声を上げる。まぁ珍しかったんだろう。

 

ナーシル「皆似合っているよ。」

 

オスカー「こう、鎧を身にまとっていない皆を見るのは新鮮だね。」

 

マカロフ「早く賭博場に行きてえなぁ.....」

 

ミスト「どうどう!!?凄いでしょ!?」

 

紳士組はすぐに女性を立て、マカロフはあさっての方向に意識を飛ばし、ミストは興奮気味に感想を求める。

 

エイリス「どうだ、アイク?」

 

アイク「どうだって.....まぁ、似合ってるんじゃないか。俺にはよく分からん。」

 

ミスト「もーお兄ちゃんってば素直すぎる!!」

 

エイリス「そのよく分からない、ってのを言語化してみなよ。やっぱりはぐらかされるよりキッパリと言ってもらった方がいいしな。な?エリンシア?」

 

エリンシア「え、は、はい!!」

 

ワユ「ほらほら!!もっと近くで聞かなきゃ!」

 

ワユがエリンシアの背中を押してアイクの近くまで押す。俺とミストとワユで上手くいったとニヤニヤしながら頷く。

 

エリンシア「え、えっと、アイク様....どうでしょう?似合って、いるでしょうか...?」

 

エリンシアが赤面しながら、おずおずと聞く。

アイク「あ、あぁ....似合ってるんじゃないか。よく分から」

 

ミスト「お兄ちゃん!!!」

 

アイク「.....上手くは言えないが、自然だと思う。綺麗だ。」

 

エリンシア「........!!!!あ、ありがとうございます!」

 

手応えあり、な反応を貰う。よし、まずここで第1段階の目標は達成できた。

 

ボーレ「お?アイク、お前そんな事言えるんだな!!」

 

アイク「うるさい。というかお前のその格好は何なんだよ。」

 

ボーレ「これか?聞いて驚くなよ!オマツリにはよ、太鼓っていうのがあるらしくてよ。それを叩く時はこの衣装を着るんだってよ!そんでもって、それを叩ける場所はヤグラって言って、広場で1番高い場所なんだぜ!!!」

 

ヨファ「えー、いいなー。僕も叩きたい!」

 

ボーレ「ガキにはまだ早いってことだ!な、エイリス!?」

 

エイリス「いやまぁ....希望者ボーレしか居なかったし。あれ叩くのには、それなりに体が大きくないときついだろうし。」

 

ヨファ「じゃあ僕が大きくなったらやってもいいよね!?」

 

エイリス「あぁ。また祭りが開かれたら、な。」

 

今回は割と強引に祭りを開催したし、結構お金もかかるから、この先開かれるのかはよく分からない。

 

エイリス「まぁそれは置いといて....一応改めて、この祭りでの決まり事は伝えておく。まず屋台で物を買う時はGを使うんだけど、10歳以下の子供にお金握らせるのが怖い親御さんが来た場合は、金券に変えて対応すること。屋台とかで食べ物を買った後に出たゴミは、途中途中で設置してるゴミ箱、もしくはゴミ集積エリアに捨てること。まぁおそらく守らないやつも一定数いるから.....祭りが終わった次の日にゴミ拾いはやること。18歳未満の賭博場への入場禁止、20歳未満への酒類の提供禁止、飲んでもいいけど暴力沙汰に発展させないようにすること、武器類の販売禁止......まぁ、これくらいかな。後は各自の道徳観に委ねるとして、もし盗みが起こった場合は駐屯所の兵士か、フォルカに取り戻すのを依頼すること。」

 

フォルカ「依頼料は、取り返した後で貰う。.....色々言われたから、今回は10Gでまけておいてやる。」

 

エイリス「悪いな、こんな仕事頼んで。」

 

フォルカ「いや、ただ楽しむのは性にあわない。こういう仕事を引き受けている方が助かる。」

 

エイリス「こまごました話はこれで終わりとして....シグルーン様本日もうるわし、......ネフェニー、なんでこっちにゼーンズフト向けるの!?」

 

ネフェニー「ふぅん.....あたしらに言うこと、無いんだ。」

 

ミカヤ「そうよね。」

 

エイリス「2人ともほんと似合ってるよ。というか....ほんとに違和感無いな2人とも。ダボダボって感じでも無いし、色合いもあってる。普段の服のレパートリーが少ないってのもあるけど、着飾るとやっぱり映える。」

 

ネフェニー「ん.....ありがと。」

 

ミカヤ「そういえば.....神使様もあとで着て来るらしいわよ。」

 

シグルーン「ええ。サナキ様が着られたお姿....さぞご立派なのでしょう。今から楽しみです。」

 

エイリス「まぁ、呼んだの俺だしな.....さてと仕切り直して、皆で祭り、楽しもうか!」

 

そして第1回オマツリがテリウス大陸にて敢行された。

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帝都シエネ 屋台通り

 

屋台が密集している場所には沢山の人が訪れていて、賑わっていた。家族連れで参加する市民、射的場で和気あいあいとしてる兄弟、りんご飴を食べながら雰囲気を楽しむ女性たち、仮装をしてあちこちを走り回る子供たち.....想定してたより、日本と似た光景になっていた。

 

店員「ぼっちゃんやるな!!これで20回連続で当ててやがる!」

 

ヨファ「僕の腕前ならこれくらい.....楽勝!」

 

ボーレ「へぇ、おもちゃの弓とはいえ、よくやるもんだな。」

 

ヨファ「そりゃ教えて貰ってるからね!!......出来れば、シノンさんとも一緒に参加したかったけど......」

 

ボーレ「まぁそう落ち込むなって!!シノンと会う機会があったら、あいつを引きずってでも戻してまたオマツリをやりゃいいんだよ!!」

 

ヨファ「そうだけどさぁ.....」

 

オスカー「それに、今のうちにオマツリについて学んでおけば、次の時にシノンを案内できるしね。というより....今、20回打った?」

 

ヨファ「うん!これが21本目!」

 

オスカー「これ確か2本で10Gだったよね?ということは......」

 

ヨファ「あ!?もう100G使っちゃった!楽しかったから.....」

 

オスカー「まぁまだこっちに沢山あるし、皆で屋台を回ろう。ところでエイリスはどこに?」

 

ボーレ「ああ、あいつならあっちで....」

 

皆が楽しんでる傍ら、俺は.....

 

エイリス「ふん!!おっちゃん!ソース!!」

 

店員「あいよ!また注文入ったぞ!!次は醤油だ!あと1人野菜抜き!!」

 

エイリス「野菜抜き!?」

 

焼きそばを、作っていた。やっぱ祭りの代名詞の1つ、焼きそば。これは自分でやらないとなんとなく気がすまなかった。屋台の華だしね、やっぱこれはネイティブがやってこそでしょ。というつまらないプライド。

 

オスカー「やってるみたいだね。」

 

エイリス「ん?まぁな.....」

 

ヨファ「バンダナに黒い服に腰に上着を巻いてる.....変わった格好だね!!」

 

エイリス「髪の毛とか入らないようにする為にな。人気なんだぞこれ。皆も食ってくか?ちょっと高いけど30G。」

 

オスカー「じゃあ3人分、おまかせで。」

 

エイリス「ソース3人分だな。承った!!」

 

やって分かった事だが凄いパワーワーク。おまけに現代じゃないから衛生状態の管理がやたらと大変。しかも次々と注文入ってくるし、コンロじゃないから常に火の状態を確認しつつやる事になる。おまけに虫が入らないように常に光魔法で店を守りつつ、しっかりと品質を保証された食材と水を使い、会計担当と調理担当を分けて、器具は時間経過で変えながら洗うのも同時並行。これを本当の祭りなら朝から夜までノンストップでやってるんだから本当凄いな.....と思う。いちばん大変だったのは氷。これ用意するのどんだけ大変だったか.....ブリザードで無理やり作ったところもあるけど。

 

店員「にしても、兄ちゃんの魔法は凄いな!全く虫が寄ってきやしない。」

 

エイリス「これめっちゃ大変なんすよ......」

 

なんやかんや言いながら客を捌いていく。今のところ、焼きそば、たこ焼き、綿あめ、りんご飴、唐揚げが人気だった。まぁ唐揚げは人気なのは.....お肉が好きなどこかの誰かさんを筆頭に肉好きが行くんだよな。というか食うの早すぎだろアイクたち......

 

???「よう、中々頑張ってるみてぇじゃねぇか。」

 

エイリス「お、来ましたか。」

 

上空からデカい図体が降りてくる。ティバーン、ヤナフ、ウルキがやってきた。

 

エイリス「あれ?リュシオンとリアーネは?一応来ると返事はしてくれたんだけどな......」

 

ティバーン「こんなにニンゲンが多かったら辟易するだろ。あいつから参加したいって事で、ニンゲンが多いところに可能な限り近づいたんだ。まぁそこは汲んでやれ。」

 

ヤナフ「そゆこと。さっき近くまで飛んできてるのは俺も確認してるし。」

 

エイリス「あー....そりゃそうか、負の気があるもんな.....後で探してみるよ。」

 

逆によく来てくれたもんだ、と心の中で安心している。一応暁まで知ってるからあんまり違和感ないけど、蒼炎の、和解した直後となるとまだ抵抗感があってもおかしくはないよな。

 

ティバーン「というか、なんで主催者が働いてる?」

 

エイリス「そりゃうちの国の文化なんでね.....どうせ知ってもらうなら正しく知ってもらいたいしね。そこからオリジナルに発展してくれる分にはそれでいいし。」

 

 

 

子供「うおー!翼すげぇ!」

 

ヤナフ「ん?なんだ?」

 

子供「でけぇ....かっこいい!!」

 

ティバーン達が珍しかったのか、子供たちが寄ってくる。今まで敵対してきた種族の子供が好奇の目線をよこすことに、少したじろいでいる。

 

エイリス「おいおい、皆あんまり触るなよ。このラグズの方々は、王様だからな。」

 

子供「見てみて!俺たちも今日翼付けてるんだ!兄ちゃん達みたいな大きくて強そうな翼付けてみてぇ....!!!」

 

ウルキ「.....これはなんだ?」

 

エイリス「コスプレ。まぁ仮装文化みたいなものだよ。一応言っておくとこれは馬鹿にしてる訳じゃないからな。姿を模して衣装を作ってるだけで。」

 

ティバーン「へぇ、見る目があるじゃねぇか。」

 

ティバーンが子供の頭を撫でる。すげぇ意外な光景。

 

ヤナフ「なら、飛んでみるかい?子供くらいの重さなら抱えながらでも飛べるぜ。」

 

子供「いいの!?」

 

ティバーン「ああ。俺たちが普段どんな景色見てるか見せてやるよ。行くぞ、ヤナフ、ウルキ。」

 

そしてティバーン達は子供を抱えてそのまま空を飛ぶ。あ、良かった。俺の時みたいに腕だけ掴まれた、肩外れそうな掴まれ方はされてない.....

 

アイク「鷹王達も呼んでたのか。」

 

エイリス「可能な限り呼んでみた。にしてもティバーン達があれくらい柔軟な対応してくれてるのは意外でな....もっと『俺たち鷹を馬鹿にしてるのか!』とか言われると思ってた。」

 

アイク「まぁ鷹王達は話をすれば通じるからな。そこはきっぱり割り切ってるんじゃないか。」

 

エイリス「そうならいいんだけどな。」

 

アイク「コスプレ?をさせたのはこれが目的なのか。」

 

エイリス「まぁ....そうかな。ラグズを呼ぶにあたって、こういうのがあった方が変にベオク/ラグズって二分するような事は無いだろうし。後は単純にコスプレする中でラグズがどんな種族だろう、みたいな興味とか疑問を持ってもらったらいいなくらい。」

 

アイク「随分と手を回すんだな。」

 

エイリス「知らないから怯える、それに攻撃的になる、みたいな事態だけは避けたいからね。変に価値観が凝り固まってる大人をぶつけてもあれだし、子供なら素直に行けると思うところもあるよ。」

 

アイク「いつと思うが.....お前はいつも見てるところが違うな。」

 

エイリス「まぁ軍師ですし一応。色々模索するのが仕事でもあるし、逆に俺はアイクみたいに割り切って行動できるのはすごいと思うよ。」

 

アイク「普通だけどな。そんなに不思議か?」

 

エイリス「やっぱ未来を予測するとなると色々と分岐点がある訳で....たまには選択したくないものもあるけど、それが最善ならって半ば諦めみたいなこともたまにはあるよ。だから割り切れるのは俺はすごいと思う。」

 

アイク「ま、お前がそう言うならそう受け取っておく。」

 

エイリス「さてそろそろ俺もあがるか.....おっちゃん、ありがと。」

 

店員「あ、あぁ......」

 

鉄板から離れてバンダナを取り、汗を拭う。ティバーン達は降りてきたはいいものの、他の子供たちにもせがまれて少し面倒なことになっている。

 

エイリス「おい皆、この鷹さん達もお祭り楽しみに来たんだからな。」

 

子供たち『えーー!!!』

 

ティバーン「気遣いは嬉しいが、この程度なら朝飯前だ。さっさと全員飛ばせて俺たちも回る。」

 

エイリス「あ、そう.....じゃあ、後は任せるよ。」

 

ティバーン「リュシオン達は、ちょっと離れたあそこの丘の所にいる。行くならそこに行け。」

 

エイリス「ありがと。探す手間を省けた。」

 

綿あめを2つ買って、ティバーンが指し示した方向の丘に向かう。というか、意外と近くに来てたんだな.....

 

 

ヤナフ「にしても、あいつもよく考えるよな。この設計含めて、全部あいつが作ったんだろ?」

 

ウルキ「俺たちラグズを招くというのも理解出来ん....」

 

ティバーン「ここには元老院の連中どもはいないし、リュシオン達を狙う輩もいないんだ。招いてもいいと判断したんだろう。それにもしもの時のためにも俺たちを呼んだんだろ。」

 

ヤナフ「あーあ、いいように利用されてるようで少し腹立つ。あいつって手のひらで人を操ってるんですかね。」

 

ティバーン「.....おそらくこの祭りは、ベオクとラグズの融和の一環として催したんだろ。にしても、あいつの言葉で動く帝国ってのも中々奇妙なもんだ。」

 

ウルキ「王よ....童達が待っております。」

 

ティバーン「よし、一旦降りて次に移る。終わり次第、食うぞ。」

 

ヤナフ・ウルキ「はっ!」

 

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帝都近郊 丘の上

 

リュシオン「しかし....ここでも【負】の気を感じるほどニンゲンが集中しているのか。」

 

リアーネ「ニイサマ、ソノイイカタダメ。」

 

エイリス「すまんな、やっぱニンゲンが多いところは白鷺からしたらしんどかったよな.....。これ、屋台で売ってる綿あめ。これなら食べられるかな?」

 

リュシオン「なんだこの白いものは.....しかもネバネバしている。」

 

エイリス「毒は入ってないし、中双糖から出来てるから肉要素は0だよ。」

 

二人に綿あめを渡して勧める。リアーネはすぐに口にし、リュシオンは少しためらっていたが、リアーネが食べたのを見て決心する。

 

リアーネ「アマイ。コンナタベモノタベタコトガナイ!」

 

リュシオン「確かに知らない味だ.....念の為に聞いておくが、これは女が専ら食べるものか?」

 

エイリス「いや別に男女問わず食べるが....別に変な配慮はしてないよ。ただ文献とかあさってたら木の実を主食にしてて、ティバーン達みたいに肉食える訳でもないみたいだし。そこだけはな。」

 

リュシオン「お前の魔法で、私もティバーンと同じように食べるようにすることはできないか?」

 

エイリス「俺の魔法はそんな万能じゃないよ。」

 

リュシオン「そうか.....それは残念だ。」

 

エイリス「まあそれはともかく....よく来てくれた。ベグ二オンとは和解したとはいえ、心中穏やかではないだろうし。」

 

ティバーンも国家事情やリュシオンに配慮して参加を控えると思っていたが来てくれた。ティバーン曰く、リュシオンから参加を申し出たらしいし。

 

リュシオン「いや、事情はどうあれこれには来なければいけない。そうしなければ、膝を折ってまで誠意を示した神使に対して私が不義理を働いたことになる。それにこれから私たちはお前たちと共に戦うのだ。顔合わせも兼ねる必要もある。」

 

エイリス「私『達』?え?リアーネも参戦するの?タタカエルノ?」

 

リアーネ「ティバーントカネサラミタイニハデキナイケド、ウタデテツダウ。」

 

リュシオン「という事だ。【呪歌謡い】である私たちはティバーンやお前のように戦えないが、力を与えることが出来る。それこそ」

 

エイリス「1つの時に二つのことをこなせる、だっけか。」

 

踊り子の性能を説明する為にこんな文言をよく思いついたな....と少し感心する。普通に再行動が出来る、でいいのに。世界観に配慮したのかな。

 

リュシオン「よく知っているな。それで、仲間に加えてくれるか?」

 

エイリス「俺としては是非とも加わって欲しいね....まぁ、団長とティバーンが許すか分からないけど。それにいいのか?この先、ネサラと相対することになるかもしないぞ。」

 

かもしれない、というより相対する。リュシオンはともかく、リアーネにとっては結構酷な事だろう。暁みたいに少し間が空いてたらあれだけど。

 

リュシオン「構わない。私もリアーネも、ネサラと話さなければならない事は山ほどある。」

 

リアーネも隣で小さく頷く。あまり気分の乗った顔では無いがブレている様子は無い。

 

エイリス「分かった....腹決まってるなら俺は止めないよ。」

 

リュシオン「感謝する。」

 

リュシオン、リアーネ が仲間になった!!

 

 

サナキ「おお、ここにおったか。」

 

リュシオン達に傭兵団のルールを話していると、サナキとシグルーン様が天馬に乗ってやってきた。やはりシグルーン様、絵になるな......シュッとしてる。

 

リュシオン「すまない。まだ【負】の気に慣れてなくてな.....神殿まで出向くはずだったが、ここで留まってしまうとは。」

 

サナキ「気にする必要はない。こちらこそ、【負】の気が満ちている場所に来てもらってすまなかった。」

 

お互い一礼し、挨拶を交わす。それに倣うかのように、シグルーンとリアーネが続いて頭を下げる。その後今後の融和方針や復興の支援などの政治的な話を始める。それが終わった後、2人は雑談に入る。

 

リュシオン「神使よ、私たちは今後グレイル傭兵団に加わり、戦線に立ち戦うことになっている。その間のセリノスの守備を頼みたい。」

 

サナキ「うむ、約束しよ.....ん?今なんと申した?戦う?」

 

リュシオン「そう言った。ただしティバーンたちのように最前線でしのぎを削るのではなく、支援が主になる。」

 

その言葉を聞くと同時に、サナキの厳しい視線がこっちに向く。いや俺が戦いに駆り出した訳じゃ無いんだが.....

 

サナキ「お主!なぜこの2人は認められて、わたしは認められない!?クリミア王国の王女、フェニキスの鷹王、セリノスの王子王女、ここは認められるのになぜ!?」

 

エイリス「そんなに勇み足を踏まれても困るんですよ。ベグニオンのトップがそれこそ内政を放り出して戦線になんて出たら大問題でしょうに。せフェランの胃が穴だらけになりますよ?」

 

というより、中盤の真ん中くらいに、初級魔法しか使えなくてレベル低いキャラが仲間になっても扱いに困るんだよな.....蒼炎には副官みたいなシステム無いし。

 

サナキ「し、しかしだな....」

 

エイリス『神使が直接戦いに来たのに、一兵卒すらけちらせない』なんて悪評、付いたら嫌でしょう?」

 

サナキ「むむむ....小癪な論を弄しおって.....」

 

シグルーン「サナキ様、今回ばかりはエイリス殿の言ってる事の方が正しいですよ?」

 

エイリス「要はまだその時じゃないんですよ。」

 

サナキ「ならば聞くが......どこまでやれば認められるのだ?」

 

エイリス「まぁそうですね.....シムベリン、を扱えるようになったらですかね。それくらい強くなったら、誰ももう文句は言えませんよ。」

 

サナキ「.....もう、お主の口から何が出てきても驚かなくなったのが不思議じゃ。言質は取ったぞ?それを扱えたら、お主は私を指揮して戦場で戦わせてくれるな?」

 

エイリス「随分と好戦的な神使様だ....俺はそれでいいと思いますよ。シグルーン様、どうします?」

 

シグルーン「はい、私もサナキ様がそこまで仰るのであれば、お供するだけです。.....あ、あとエイリス殿。ミストさんからの伝言です。『作戦もう始めてるから、早く来てね!!』との事です。」

 

エイリス「やっべ......急いでいきます。」

 

今回の祭りに備えて作戦をいくつか用意してきた。それにミストの協力も取り付けていたが.....確かにあまりにも時間をかけすぎた。早く戻らなきゃ(使命感)

 

サナキ「相変わらず、せわしない奴じゃの.....」

 

リアーネ「コレ、カワイイ!」クイクイ

 

シグルーン「浴衣が気になられてるのですか?これはエイリス殿の国の衣装だそうで.....」

 

サナキ「うむ。今日はわたしも着ているぞ。」

 

シグルーン「サナキ様、大変お似合いですよ。リアーネ様も、着てみますか?」

 

リュシオン「リアーネ、コレガキレルソウダ。ドウスル?」

 

リアーネ「キテミル!」

 

リュシオン「着てみたいそうだ。どこかこれを纏える場所はあるか?」

 

サナキ「では神殿を使うといい。今はあそこも人が少なくなっておる.....多少、【負】の気はマシになっておろう。」

 

リュシオン「気遣い感謝する。ではそこに行かせてもらおう。」

 

シグルーン「では、私の天馬で先導しますので、ついてきてください。」

 

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帝都シエネ

 

ミスト「エイリスさん、おそーい!」

 

エイリス「ご、ごめんごめん。色々やらなきゃいけないことがあって。」

 

ワユ「大変だったんだよー。大将、食べ物以外に全く興味無いし。」

 

マーシャ「エリンシア様も、とりあえず作戦通りの場所に誘導したよ!」

 

エイリス「出だしとしては文句なし....さて、ここから第2フェーズに以降するけど、ヨファとガトリーは準備出来てるかな?」

 

「アイクとエリンシアの距離を祭りで一気に近づけよう」作戦の概要は以下の通りである。

 

①アイクとエリンシアをミスト、ワユ、マーシャが所定の位置まで誘導し、偶然かのように出会わせる。

 

②ヨファとガトリーが花火があることをアイクとエリンシアに伝える。

 

③フォルカと俺が共謀して、花火にまつわる噂を流す。その後フォルカは参加者への広報、俺は花火の打ち上げの準備に向かう。

 

これだけである。エリンシアは衣装を変えたこともあるのか、少し意気込んでいたから、流れさえ整えれば後は大丈夫.....なはず。それにアイクには「愛」が何であるか、とか「家族」は何たるかなど色々吹き込んでいるので、それなりに思うところもあるだろう。全てはこの時の為の布石.....ここで一気に進展させることで後戻り出来ないようにする。この作戦を共有した時は意外と皆協力を申し出てくれた。特にミストは「お兄ちゃんがこのままだと、一生ダメだから!」って鼻息を荒くして語っていた。セネリオは最初は反対気味だったが、「まぁ、あなたが言うならどうせ利にはなるのでしょう......」と暫く話したら折れてくれた。なんかすまんな。

 

エイリス「頼んだぞ、ヨファ、ガトリー。」

 

 

 

 

 

アイク「あれ?エリンシアか?」

 

エリンシア「あ、アイク様。アイク様もこちらに?」

 

アイク「ミストに色々言われてな。食べる以外の事もやれってうるさくてな.......」

 

エリンシア「私も、少し人混みに疲れまして....」

 

アイク「大丈夫か?気分悪いならエイリスかミストに見てもらうが.....」

 

ミスト・エイリス((いや違う、そうじゃない!!))

 

ミスト(何考えてるのお兄ちゃん!!)

 

ワユ(大将って女心とか分からないのかなぁ....)

 

ガトリー「お、2人とも奇遇っすね。」

 

アイク「ガトリーか。エリンシアが体調が優れないらしい。」

 

エリンシア「え、いえそういう訳では!?」

 

ガトリー「ははーん.....分かってないっすねーアイクは。」

 

アイク「何が分かってないんだ。」

 

ガトリー「それを言っちゃおしまいっすよ。」

 

ヨファ「それより聞いた!?この後、花火が打ち上げられるんだってさ!!」

 

エリンシア「花火、ですか。」

 

ガトリー「そうっす。この後、オマツリの締めとして盛大に打ち上げるらしいっすよ。聞くところによると、結構派手にやるらしいっすよ。」

 

ヨファ「ね。しかもこういうのって、男の人と女の人のペアで見ると何かいい事があるとかも言ってたよ!!」

 

エリンシア「ち、ちなみにその噂の発信源は....?」

 

ガトリー「ぐじ引きの店主が言ってたっすよ。俺もステラさん誘ってみようと思ってるっす!」

 

エイリス(あの人はマカロフを誘うんじゃないかな.....)

 

マーシャ(本当に兄さんでいいのかな?)

 

エイリス(あの感じベタ惚れしてるししょうがないよ.....)

 

ガトリー「じゃ、俺たちは戻るっす。」

 

ヨファ「じゃあね!また後で!」

 

 

アイク・エリンシア「「..........」」

 

沈黙が生まれた。というより、何を話題に出したらいいか分からない状況に入っている。

 

エリンシア「あ、アイク様!一緒に見ましょう!」

 

アイク「そんなに派手なら皆で見た方がいいんじゃないか?」

 

ミスト(お兄ちゃんのおバカ!!2人って言ってたでしょ!!?)

 

エリンシア「2人で見ると、良いって言ってましたし.....これからの願掛けもありますし。」

 

マーシャ(エリンシア様、ファインプレイ!!)

 

ワユ(顔赤らめてる、可愛いなぁ。)

 

アイク「.......まぁ、いいが。どこで見るんだ。」

 

エイリス(よし、第2フェーズ完了。)

 

マーシャ(エリンシア様よく頑張った!!)

 

エイリス(ここからは俺とフォルカの仕事だ....皆は、あの二人の雰囲気を邪魔するような輩が現れないように引き続き監視を。)

 

ミスト・ワユ・マーシャ(((らじゃ!!)))

 

その後フォルカと合流し、大衆を利用して噂を流す。もちろん流布する場所は、花火を見やすい場所ではあるがアイクたちとは別の場所。あとはアイクたちが所定の位置まで移動してくれることだが.....

 

 

市民「きゃあ!ひったくり!」

 

エイリス「あ?邪魔しやがって.....」

 

ワユ「私に任せて!」

 

そしてワユが近くの駐屯兵から剣を借りて、ひったくりに斬りかかる。せっかくいい感じなのに変なトラブルが起きると困るんだよ.....

 

ワユ「ふー....困るんだよ。」

 

ひったくりから荷物を取って盗られた人に返す。盗人の身柄を駐屯所の兵士に渡し、アイクたちの動きを見る。

 

エリンシア「あそこよさそうですね....アイク様、あちらで見ませんか?」

 

アイク「ん?ああ。あそこだけ見事に人がいないな。」

 

ミスト(よし、上手くいった!)

 

エイリス(フォルカ、もしあの二人を暗殺しようとする奴がいたら....始末しておいてくれ。)

 

フォルカ(3000だ。)

 

エイリス(先に払っておく。頼んだぞ。)

 

フォルカに2人の護衛を依頼し、俺は花火の発射地点に向かう。既に職人たちが準備を終えており、あとは隠し玉だけとなっていた。

 

職人「おう、遅かったな!準備はもう出来てるぞ!」

 

エイリス「よし、じゃあ早速始めるか。」

 

合図と共に導火線に火をつけ、玉を打ち上げる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アイク&エリンシアside

 

アイク「打ち上がり始めたな。」

 

エリンシア「わあ、綺麗......」

 

アイク「花火ってこんな感じなんだな。」

 

エリンシア「アイク様は見られたことが無いのですか?」

 

アイク「俺はずっと傭兵団で過ごしてたからな。こういう式典とは無縁だった。」

 

エリンシア「私もずっと離宮で過ごしてましたし、花火といっても昼間に上がることが多かったので...こうやって夜に鮮やかな花火を見るのは初めてです。」

 

ただ2人の静かな空間。遠くからは花火を感嘆する市民の歓声。空を飛びながらそれを見ているキルヴァスの3匹の鷹と2匹の鷺が見えていた。

 

アイク「.....こういうのも、悪くないのかもしれん。」

 

エリンシア「.....え?」

 

アイク「何かおかしな事言ったか?」

 

エリンシア「いえ、アイク様の事ですから『戦争の中なのに呑気だな』みたいな事を言われるのかと......」

 

アイク「サザみたいだな。......俺も最初エイリスから聞かされた時はそう思った。緊張が緩んだら、戦場で命取りになるんじゃないかって。」

 

エリンシア「やっぱりそうだったのですね....」

 

アイク「けど、今日オマツリの中で......団の皆や、ラグズの王族達の楽しそうな様子を見て変わった。こんな日も、あっていいんじゃないかって。というより、俺は今日改めて気付かされた。.....俺はただ、団の団長としての責任感と自分の信念だけに従って生きてきた。もちろんそれが悪いとは思ってないし、今も変わらない。けど......守るべきもの、それはずっと曖昧なままだった。」

 

エリンシア「........」

 

アイク「きっと親父が『俺たちは家族だ。生き残るぞ』ってよく言っていたのは、こういう.....俺が知らなかった皆の笑顔や、こうやって楽しむ所を親父は知っていたからなんだろうな。」

 

エリンシア「私も....そうですよ。」

 

アイク「エリンシアもか?」

 

エリンシア「私も....この戦争が終わって勝ったとしたら、私は王族の生き残りとしてクリミアの王女となります。平和なクリミアを築きたい....と、心の中では決心しても、平和とは何か、なんて、争いが無く、いい政治をすることだと思っていました。こういう、平和の形なんて知りもしませんでした。」

 

アイク「今はもう見つかったのか?」

 

エリンシア「はい。そしてその為にも....この戦争に何としてでも勝たねばならない、そう一層思わされました。」

 

アイク「そうだな.....でも、王女だとか関係ないんじゃないか。」

 

エリンシア「え.....」

 

アイク「エリンシアはエリンシアなんだ。王女とか生き残りとか色々あるだろうけど....お前も楽しめなかったら意味ないだろ。」

 

エリンシア「.......!!」

 

アイク「俺が今日気付かされたけどな.....鷹王やリュシオン、神使もああやって笑ってるんだ。.....俺は、お前にも笑って欲しいし、少しくらいは肩書きは忘れて欲しい。」

 

エリンシア「はい.....」

 

アイク「もう俺たちはただの雇い主と傭兵の関係じゃない。俺たちは仲間だ。そして.....俺が守るべきものの一つだ。」

 

エリンシア「それはいただけません、アイク様。私は守られるだけの存在ではありません。今も皆様と肩を並べて戦っているんです。」

 

アイク「.....そうだったな。悪い。さっきのは撤回する。」

 

エリンシア「はい。......この戦いが終わったら、今度はクリミアでオマツリを開きましょう!」

 

アイク「だな.....ならエリンシア、そろそろその丁寧語、辞めたらどうだ?」

 

エリンシア「え!!?あ、そ、そのこれは生まれついて染み付いた物と言いますか.....」

 

アイク「さっき言ったろ?もう俺たちは雇い主と傭兵団の関係じゃない。まぁ丁寧語はいいとして....様付けは消せるんじゃないか。呼ばれる度にむず痒くなる。」

 

エリンシア「善処します....あ、アイク?」///////

 

アイク「なんで疑問形なんだ?」

 

エリンシア「い、いえ....なんというか、慣れないなぁ....と。」

 

アイク「なら、これから慣れていけばいい。」

 

エリンシア「はい.....」

 

 

 

 

ミスト(作戦、大成功!!!!お兄ちゃんも、柔らかくなった!!)

 

マーシャ(エリンシア様、よく頑張りました....感動しました!!)

 

フォルカ(.....団長らしい顔つきになったな。......グレイル殿、例の依頼も、そろそろ完了か.....)

 

アイク「そろそろ花火も終わりか.....ん?」

 

花火も最後に大量に打ち上げられ、暫くの沈黙と共に、遠くに1つの強い光が生まれる。

 

エリンシア「あの光は.....」

 

その光はあまりにも強く....夜にも関わらず、空が少し青く見えた。そしてその光が空高く打ち上げられ、高く打ち上がり....空で花火のように爆発する。特大の、そして美しい花火だった。そしてその1発と共に、数発さらに打ち上がる。フィナーレらしく、豪勢なものだった。

 

アイク「エイリスの、だな。あいつの光魔法も、便利だな。」

 

エリンシア「........」

 

アイク「エリンシア?」

 

エリンシア「....あ。すみません、つい見入ってしまいまして......言葉が出ませんでした。」

 

アイク「ああ....綺麗だったな。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

帝都近郊

 

ゼルギウス「今戻りました。」

 

セフェラン「あなたが服を変えるとは.....随分と、楽しめた様ですね。」

 

ゼルギウス「はっ、そしてこれも買ってきました。」

 

セフェラン「これは....りんご?」

 

ゼルギウス「りんご飴と呼ばれるもの、らしいです。私も特大サイズを3つほど買って試食しましたが.....大変美味でございました。」

 

セフェラン「確かにこれなら....私でも食べられますね。では1つ試食を.....」

 

セフェランがりんご飴を口にする。想像以上に固くて、一瞬驚くが、1口噛む。

 

セフェラン「これは......」

 

ゼルギウス「口に合いましたか?」

 

セフェラン「ええ、りんごの味は残しながら、それに甘味を見事に足している.....多少、ネバつきはしますが、気にならないですね。いい物を見つけてくれました。」

 

ゼルギウス「有り難き幸せ。」

 

セフェラン(......少し悔しいですね。もし、今日という日に.....女神やデギンハンザーこの場におられたら、オルティナが、ソーンが、......生きていたら、これを何と言ったのでしょうか。)

 

サナキ「おお、ここにおったか。」

 

セフェランとゼルギウスの元に、サナキとタニスが天馬に乗ってやってくる。

 

セフェラン「これはサナキ様。大変お可愛い衣装ですね。」

 

サナキ「ふむ、そうであろう。」

 

ゼルギウス「隊長殿はどうした?」

 

サナキ「シグルーンの事か。先程、懐かしい顔が見えたとの事でそっちに向かった。今日は護衛でもなし、行くのを許可してタニスに変わったということだ。」

 

セフェラン「そうでしたか.....それで、何か御用ですか?」

 

サナキ「今日、ワナゲ?とやらをやってな。そこで沢山景品を手に入れたから、分けようと思ったのじゃ。」

 

タニス「神使様は大変お上手でした。距離感覚を掴むことが非常に長けています。」

 

セフェラン「それで、景品というのは?」

 

サナキ「焦るでない。.....これじゃ。」

 

セフェラン「これは.....ペンダント?」

 

サナキ「日々世話になってるお返しということで渡す。神使としてでは無いから、気負うことなく受け取って欲しい。」

 

セフェラン「......ありがたく頂戴いたします。」

 

サナキ「うむ、苦しゅうない。」

 

 

 

 

お祭りは終わりを迎えた。それぞれが、それぞれの思いを抱き、楽しみ......そして関係が変わったところも。




風花雪月の女神の塔のイベントにならうとしたら、ここで誰と回るか、みたいな感じになるのかな......?まぁそれはそれで妄想が膨らむというか。

初めてPCで編集してみましたけど、なんかスマホと違って雰囲気ありますね


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進軍開始

やっと半分ちょっと過ぎた感じですかね。ここから後半っぽくなります。


一通り、ベグニオンに存在した確執を取り除き、国内の反対勢力も説得(物理)をしたおかげで、憂いなく進軍の事を考えられる。.....とはいえ

 

エイリス「......あー、ぼーっとする。」

 

アスタルテ(大丈夫ですか?)

 

エイリス(なんとかな.....ここから激務になるに違いないし、俺どっかで倒れるかもな......)

 

色々と暗躍をしていたからか、疲労で体がダルい。正直なところ、アーリアルを撃つために踏ん張るのがやっとってところ。祭りのおかげで多少は気分転換にはなったが、完全に疲労は取り切れなかった。

 

アイク「エイリス、神使が呼んでる。行くぞ。」

 

アイクが扉を叩いて訪問してくる。セネリオも同伴して付いてきていた。

エイリス「お、おう....」

 

アイク「.....?どうした、元気が無いな。」

 

エイリス「まぁそりゃな....結構疲れてるけど、心配はするな。これくらいならなんとかなる。」

 

 

アイク「あまり無理はするなよ。」

 

セネリオ「........」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ベグニオン帝都 大神殿

 

サナキ「よくやってくれた、アイク。そなたたちの働きによって、我がベグニオンの苦慮する長年の咎が.........僅かなれど解決した。そこでかねてよりの約束どおり、ベグニオンの、クリミア再興への支援、間違いなく行われようぞ。宰相たるセフェランが戻らぬゆえ、国を挙げてというわけには参らぬが.....わたしの動かせる兵をそなたたちに貸し与える。好きに使うがよいぞ。」

 

アイク「わかった。よかったな、エリンシア。」

 

エリンシア「は、はい。」

 

サナキ「今回のことで、よく分かった。やはり、この大地にラグズは必要なのだ。ベオクとラグズは手をとりあって生きていくべきものなのだろう。先代神使たる我が祖母も...父母もそれを望んでおられた。エリンシア姫。そなたの父、クリミア王ラモン殿こそ親ラグズの先駆者であった。ラグズ共存の道....わたしも元老院に提案してみようと思う。すぐには聞き入れられぬだろうが、もう、見て見ぬふりは許さぬ。エリンシア姫、必ずやクリミアを再興するのじゃ。そして、わたしと手を取り合ってこの世界を変えてゆこうぞ。更に....私がこのシムベリンを使えるようになったら、私も出陣し共に闘う。皆の力にならせてくれ。」

 

エリンシア「サナキ様...なんともったいないお言葉.......亡き父も、どんなに喜ぶことでしょう。」

 

アイク「......俺は、用済みだな。話が終わるまで外で待っているぞ。」

 

エイリス「俺も帰ろ.....」

 

とりあえずアイクについて行き、部屋の扉を開けて帰ろうとする。

 

サナキ「こら、待たぬか。まだ用は終わっておらん。」

 

が、帰してくれなかった。これアイクのクラスチェンジなんだし.....俺いらないでしょ。

 

アイク「なんだ?」

 

サナキ「相変わらずせっかちな奴じゃの。よいか、アイク。そなたがクリミア再興軍の一員となるなら、それなりの身分が必要となる。」

 

アイク「貴族の仲間になれって話なら、断るぞ。俺の柄じゃない。」

 

サナキ「それが、そういうわけにはいかんのじゃ。我が国が貸し与える軍を率いるのが、一介の名もない傭兵であっては、困る。第一、兵もまとまらんしな。」

 

アイク「だがエイリスは肩書き無しに軍を統率していたはずだ。」

 

サナキ「あやつは元クリミア軍、しかもかつては将校としてもほぼ頂点に位置していた。あやつは人を指揮できるだけの肩書きと実績を持っておる。ただの傭兵団団長のおぬしとは違う。.........観念して、エリンシア姫から爵位を授かるのじゃ。」

 

アイク「......ったく。いちいち面倒だな......」

 

エイリス「諦めろアイク....俺も就任式とか騎士叙勲式とか色々やらされたし........こういうしきたりは避けては通れない。」

 

アイク「お前もか.......」

 

2人して面倒だと落胆する。あれめんどくさいよな....必要とはいえ、色々と手順とか作法とかあるし。

 

エリンシア「も、申し訳ありません。どうしてもお嫌でしたら、無理強いはできませんが.....」

 

アイク「いや、必要なことならやらないとな。どうすればいい?」

 

エリンシア「あ、そ、その少しだけお待ちください。持ってきますので.....」

 

そう言ってエリンシアは天幕の方に走り出し、しばらくして戻ってくる。手にはアミーテがあった。そっか、うちのエリンシア、もう戦ってるんだった。

 

エリンシア「その......膝まづいてもらえますか?」

 

アイク「ん?こうか?」

 

アイクが膝まづくと、エリンシアはアミーテを鞘から抜き、アイクの肩に当てる。

エリンシア「そうです....す、すみません。では......始めます。『なんじ、アイク.......クリミア王女の名におき騎士としての地位と爵位を与えるものとする』

 

詠唱と共に、アイクの体が光に包まれる。これ一体どういう原理なんだ.....まぁ、クラスチェンジって生で見るとこんな感じなんだろうな。

 

アイク が ロード になった!晴れて、上級職の仲間入りか。

 

 

エリンシア「これで終わりです。」

 

アイク「なんか、妙な感じだな。」

 

サナキ「ほう、それなりに様になっておるようじゃな。」

 

シグルーン「お似合いですよ。」

 

エリンシア「ええ、とても....」

 

アイク「そうか?あんまり変わった感じはしないが。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

デイン軍side

 

アシュナード「......そうか、やつらがベグニオンを発ったか。」

 

一方王都の城で、アシュナードは漆黒の騎士からの報告を聞いていた。

 

漆黒の騎士「【虫】のもたらした情報では、ベグニオンの一軍を借り受け、クリミア再興軍として、陸路でデインを抜け、クリミアへ攻め上るつもりであるとか。」

 

アシュナード「ほう、デインを横切るというのか。たかが一軍を擁したところで、核となるのは、たった十余の傭兵共と魔道将軍であろうにな。

ガウェインの息子か......あやつに匹敵する力を持つのか?」

 

漆黒の騎士「いえ.....まだ若く、足元にも及ばぬでしょう。」

 

アシュナード「フン、つまらぬな。」

 

漆黒の騎士「剣の腕は未熟ながら、不思議と......人をひきつける才があるようです。その証拠に、ベグニオン神使だけではなくセリノスの生き残り、そしてフェニキス王の信頼までも得たとか。」

 

アシュナード「セリノスの....?まだ生き残りがいたのか?」

 

漆黒の騎士「どうやら王族が2人いる様子です。」

 

アシュナード「フ.....これは、また上手くお膳立てされたものだ。どちらか片方でよい、手に入れろ。そして、メダリオンと共に我が手に戻せ。」

 

漆黒の騎士「はっ。ところで....」

 

アシュナード「何だ?」

 

漆黒の騎士「傷の方は治られましたか?」

 

アシュナード「この傷か.....痛みは消えたが傷跡は消えぬ。奴も女神の加護を持っている。......気が変わった。」

 

漆黒の騎士「どうなされますか?」

 

アシュナード「奴らが進軍するとして真っ先に通るであろう場所は.....」

 

漆黒の騎士「トレガレン長城です。」

 

アシュナード「我が単騎で出向く。雑兵など用は無い。魔道将軍エイリス.....あやつと戦う。」

 

漆黒の騎士「......はっ。ご武運を。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

トレガレン長城付近 拠点

 

遠征が始まり、傭兵団と一軍を率いてトレガレン長城の近くに拠点を作る。そこでアイクは行軍指揮に追われていた。

 

ベグニオン兵「アイク将軍。全兵、準備完了しております。」

 

アイク「.....そのまま、待機しててもらえるか?」

 

ベグニオン兵「集合がかかるまで、天幕に控えて待機でしょうか。それとも、整列し陣形を整えた上で、待機していればよろしいでしょうか。」

 

アイク「......天幕で控えててくれればいい。用意ができたら声をかける。」

 

ベグニオン兵「はっ!」

 

アイク「.......」

 

次々にやってくる将校たちに半ばだるさを感じている。傭兵団にはこのような堅苦しいやりとりは無く、そういったことは戦場以外で考えずに済んでいた。が、一軍を率いる将軍となるとそうはいかなくなる。それを身に染みて感じていた。

 

 

ベグニオン兵「失礼します!全軍待機の指令を受けましたが、タニス将軍の天馬部隊も待機でよろしいのでしょうか?」

 

アイク「......それも、俺が決めるのか?」

 

ベグニオン兵「アイク将軍が、全軍の指揮をとられるとうかがっております。我々は、将軍の指令に従います。」

 

アイク「........タニス将軍の部隊は、タニス将軍の自由にしてよし。」

 

ベグニオン兵「了解しました!タニス将軍の天馬部隊は、タニス将軍の『援軍』要請によってのみ出動するようにという指令、確かに承りました!失礼します!」

 

将校達が去り、アイクが一息つく。

 

エイリス「大変だろ?行軍指揮。」

 

アイク「大変だとわかってるなら手伝ってくれたっていいだろ。」

 

エイリス「今の指揮権はアイクにあるんだ。俺が絡んだら、傀儡みたいに思われるだろ?今回は自分でやれよ。」

 

アイク「にしても....毎度毎度よくこんな事するな。戦場で決めるのは駄目なのか?」

 

エイリス「そりゃ軍には規律があるからね。上からの命令も絶対だしな。」

 

アイク「肩身が狭いな。」

 

エイリス「でも任された以上はやらないといけないよ。まぁ....戦場での戦略は力貸すから頑張ってくれ。」

 

アイク「.......ああ。」

 

すごい微妙な顔をしてアイクから返事を貰う。何か考えてるのか。

 

 

タニス「あの長城をこえればいよいよデイン王国だ。建物の上部を見ろ。デイン側の竜騎士数隊が、偵察のため出撃している。」

 

アイクと話しているとタニスが現れ、助言を始める。

 

タニス「アイク将軍、おぬしたちは竜騎士と相対したことがあるか?」

 

アイク「回数は、あまりないな。だが、キルヴァスのカラスたちの方が厄介だったように思う。」

 

エイリス「俺は何度と。まぁ竜騎士には特攻あるし、そこら辺は俺がやるよ。」

 

タニス「エイリス殿はそうだろうな......そうか、ではまだアイク将軍は真の竜騎士とは戦ったことがないのだな。」

 

アイク「どういう意味だ?」

 

タニス「今、見えている奴らがそうなのかはわからんが......デインには、元ベグニオンの宮廷騎士団に所属した部隊がいるはずだ。訳あってたもとを分かったが......彼らは相当、強いぞ。」

 

相当強い、そのうえ下手をすれば味方が寝返ってしまう......ここら辺からもう前置きは置いてたんだよな。

 

アイク「神使があんたを遣わしてくれたのは、そのためだったのか.....」

 

タニス「そうだ。聖天馬騎士であれば、竜騎士にもひけをとることはない。空には....空の戦い方があるからな。エリンシア王女も天馬騎士として戦場に立たれる。その身を守る事も我々も使命だ。」

 

アイク「俺たちは陸専門だからな。その辺はまかせていいか?」

 

タニス「うむ。神使親衛隊の名に恥じぬ戦いをお目にかけよう。」

 

アイク「分かった.....それと、ちょっといいか。」

 

タニス「どうした。何か問題でも?」

 

アイク「あんたなら知っているかと思ってな。」

 

タニス「?」

 

アイク「この先、戦うことになる.....デイン王とは、どんな奴なんだ?」

 

タニス「私も、直に戦ったことはない。というより、アイク将軍の隣に実際に戦ったエイリス殿がいるではないか。直接聞いてないのか。」

 

アイク「ある程度は聞いてる。だが、ベグニオン側からの意見も聞きたい。」

 

タニス「......具体的な強さなどは語れないが、それでも構わないか?」

 

アイク「ああ。とりあえず、なんでも聞かせてくれ。」

 

タニス「......アシュナードが即位したのは、確か......18年前のはずだ。デイン王都ネヴァサ周辺でひどい流行り病があって.....人が大勢死んだ翌年だったと記憶している。テリウス大陸史においても、戦以外で、あれほど多く立て続けにベオクやラグズが死んだのは........創始の大洪水以来だったろうな。20年前のベグニオンでは、セリノス王国の民がほぼ失われ......19年前のデインでは、王族を含め1000に届く数のベオクが死んだと言うのだからな。」

 

これ確か血の誓約書が原因なんだっけ......?ほんといたるところの元凶を辿ったら必ずベグニオンの元老院に辿り着くの凄すぎだろ。血盟1つでこれだけの効果及ぼす魔法ってどうやって開発したんだ.....

 

アイク「デインの王族も死んでいたのか。」

 

タニス「......当時の国王、妃、20人近くいたはずの王子、王女が.....ことごとく亡くなった。ベグニオンでも、デイン王家は血の断絶がおきるのではないかとの噂がひっきりなしに流れていた。」

 

アイク「だが、アシュナードは生き残った。」

 

タニス「そうだ。だがそれまでは......王位継承には名の挙がることがなかったほど、王位には遠い存在だったようだ。別のところで、名だけは、よく知られていたがね。」

 

アイク「どこだ?」

 

タニス「戦場だ。ー――デインに猛将あり。王子アシュナードの前では、聖騎士一兵団でも霞む.....とね。それこそエイリス殿と似たようなものだ。」

 

エイリス「え?俺?」

 

タニス「5年前、最年少で将校に付き、数年で一軍を率いる地位に上り詰めた。特にその光魔法は一撃で全てを終わらせる.....我々ベグニオンでも内密に警戒されていたし、デインの者たちは『平和ボケのクリミアから、アシュナード様のような人間が現れた』と評していた。」

 

アイク「デインの奴らからどう聞いたんだ?」

 

タニス「ベグニオンとデインは、互いに領土拡大を巡り何度もぶつかっていたからな。その過程で捕虜から聞くこともあった。.....話を戻すぞ。比較的温厚な性質を持っていたデイン前国王の時代に、彼らが僅かながらも、我がベグニオンの領地を削り取ったのは......ひとえにアシュナードの力があったからと言っても過言ではなかったようだ。」

 

アイク「......」

 

エイリス「俺もぶっちゃけるけど....前にアシュナードに無傷で勝てたのは、あいつの意表をつけたからだ。」

 

タニス「意表?」

 

エイリス「あいつの鎧、女神の加護っていうのが付いていて、加護がある武器でしかアイツにはダメージを与えられない。前はこっち側に加護がある武器があるとは悟られていなかった.....だけど、今回はそういう訳にはいかない。おそらくやり合えば.....俺もあいつもタダじゃ済まない。」

 

なんなら相討ち覚悟で倒すという選択肢もある。少なくともアイクがラグネルを使い始めるまではそうするしかない。

 

タニス「.......すまんな、思ったより長話をしてしまったようだ。そろそろ、出撃の準備に戻ったほうがいいだろう。」

 

アイク「参考になった。機会があればまた話してくれ。」

 

タニス「わかった。」

 

 

 

 

 

アイク「デイン王、アシュナード.....」

 

エイリス「大将が気になるのは分かるが、まずはこの作戦を成功させることが大切だ。その為の目の前に戦いに集中しろよ。」

 

アイク「わかってる。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

トレガレン長城前

 

アイク「これより出陣する。長城は俺たちとタニス将軍の部隊だけで制圧する。残った部隊を3分する。ひとつは輸送隊の護衛、ひとつは逃走した兵の捕縛、最後のひとつは有事の為の待機。」

 

セネリオ「分割の詳細を今から伝えます。よく聞いておいてください。」

 

ベグニオン軍『は!』

 

エリンシア「随分と様になっていますよ、アイク。」

 

アイク「エリンシアか。偵察はどうだった。」

 

エリンシアとマーシャが偵察から戻ってくる。よくよく考えたら王女を偵察に使うって中々やばいな.....

 

マーシャ「敵の数としてはそんなにいなかったよ。竜騎士はいたけど.....タニスさんが言っていた元ベグニオン軍の竜騎士の部隊はいなかった。」

 

エリンシア「それと....敵側には、シノン様がいらっしゃいました。」

 

一同『!!!!?』

 

傭兵団に重い空気が漂っている。グレイル傭兵団の元仲間....口は悪いが一流のスナイパーであるシノンが敵にいる。長年の仲という事もあり団の誰も再会を喜ぶような雰囲気を出す者はいなかった。

 

アイク「シノンか....」

 

ヨファ「.........」

 

ティアマト「よりによってデインにいるなんて......」

 

まず口で言っても絶対に聞かない。特にアイクは自分に反発した結果出ていったことを覚えている。

 

セネリオ「嘆いたって仕方がないです.....僕たちは傭兵です。ただのなかよしこよしの集団ではありません。団を抜け、雇い主が変わればこうやって敵対することは当たり前の事でしょう。」

 

ヨファ「.....ぅ....ぐぅ.....」

 

ミスト「ヨファ.....」

 

ボーレ「あーじれったい!泣くな!前に約束したろ!!シノンを引きずってでも戻してオマツリ一緒に回るんだろ!!」

 

ボーレがヨファの背中を叩いて鼓舞する。こういうところは、兄貴分してるよな。

 

オスカー「そうだよヨファ。シノンがどうするかは彼次第だが....こちらから何かしらすることは出来る。色々考えてみて。」

 

ヨファ「......うん。」

 

アイク「....ヨファ、シノンに話しかけてくれ。お前ならあいつも耳を傾けるかもしれない。」

 

ヨファ「うん。僕行くよ。」

 

アイク「もしそれで追い返されたら.....その時は俺がシノンの相手をする。あいつを団に戻すなら、俺の実力を示してあいつに勝つ他納得させられないだろうしな。.....いいか?セネリオ。」

 

セネリオ「アイクがそう判断したのならば、僕はそれに従います。」

 

団でシノンを引き戻すことが決定した。エリンシアはそれを見て報告の続きを切り出す。

 

エリンシア「それともう1つ報告すべき事があります。敵方にカラスがいました。おそらくキルヴァスのラグズだと思われます。上空に化身をしていないラグズもいました。」

 

ヤナフ「.......おいおい、なにやってんだあの馬鹿ガラスども。」

 

ウルキ「........デインについたのか?信じられん.....」

 

リュシオン「........私だけでなく、ラグズをも裏切ったのか.......ネサラめ.......!!!!.」

 

エリンシア「ただ.....他の兵士たちがいつでも戦えるように整えてるのとは違って、上空から日和見といった感じでした。」

 

ヤナフ「多分あいつらの事だし、優勢なら横取り、劣勢なら手を貸さずに金だけ取って逃げますよ。何にせよ、短時間で相手を制圧すればやってこないかもな。」

 

エリンシア「そうですね.....報告は以上です。」

 

エイリス「おっけ....じゃあ今から方針を。」

 

アイク「ちょっと待て。」

 

このマップの方針を言おうとしたらアイクから割り込まれた。え、何......

 

アイク「エイリス、今回はお前は出るな。」

 

エイリス「......は?」

 

アイク「疲労困憊の状態のお前を戦場に出すことは出来ん。」

 

セネリオの方をチラッと見ると、頷いていた。

 

エイリス「おいちょっと待てよ。疲れてるのは皆一緒だろ?俺は大丈夫だ。」

 

アイク「いや、今回は出さん。お前が何と言うとも、今回は出陣せずに休んでもらう。」

 

エイリス「言っておくが、変な優しさはいらないからな。確かに俺は激務だけど....それが仕事な訳で、疲れたとかそんな甘ったれた事言ってられないんだよ。」

 

それに蒼炎に疲労の概念は無い。そんな概念があるのはトラキアだけ。葉っぱくんは強制出陣だから疲労関係なく出されて、シューターの弾切れの為に的になってたりしてたけどな.......

 

アイク「強情な奴だな....なら多数決でも取るか。エイリスを休ませるのに賛成の奴、手を挙げてくれ。」

 

すると周りが皆挙手する。えぇ.....どんだけなんだよ。

 

アイク「こういう訳だ。もしこれでも納得出来ないなら、団長命令で出陣を許さん。」

 

エイリス「........そこまで頑なにすること無いだろ。」

 

まさか出陣を拒否されるなんて思ってもみなかった。まぁゲーム的には本来の形に戻るからあれなんだけどね。

 

セネリオ「団長命令という言葉が聞こえませんでしたか?あなたはこの傭兵団の一員です。そうである以上、アイクの命令が絶対です。」

 

エイリス「.......分かったよ。今回は出ない。ただし!」

 

アイク「なんだ?」

 

エイリス「予想外の事態が起きたり、敵の増援が多くて対処しきれないと判断したら.....俺は出るからな。」

 

アイク「おい、出陣は許さんと言った筈だぞ。」

 

セネリオ「.....分かりました。では後方待機という形を取ります。」

 

アイク「セネリオ、お前」

 

セネリオ「アイクの団長命令が絶対である事実は変わりません。ですがここが戦場である以上、出陣しようとしなかろうと暗殺や奇襲を警戒しなければいけないこともまた事実です。僕はアイクの命令に逆らうことは許しませんが、戦況に有利になる形の折衷案を出したエイリスの意思も尊重するつもりです。」

 

アイク「それはそうだがな.....」

 

セネリオ「遅かれ早かれ、エイリスがこうなる事は予測できた事です。それに、オマツリで士気を上げてこれからが初陣という時に、トップ同士が揉めていては士気に関わります。」

 

アイク「......分かった。エイリス、お前は後方待機だ。ただし、本当に予想外の事が起きる以外の事で戦線に出てくるな。これでいいな?」

 

エイリス「分かった。それに従う。」

 

アイク「決まりだ。出撃メンバーは、俺、セネリオ、キルロイ、エリンシア、マーシャ、ヨファ、ミスト、サザ、ヤナフ、タニス将軍、ネフェニー、ジル、リュシオンの13人で行く。敵にシノンがいるようだが.....ヨファ、とりあえず説得に行ってくれ。」

 

ヨファ「うん!」

 

タニス「アイク将軍、差し出がましいようだが助言させてもらう。先程エリンシア王女とは別働隊として私の部下に周りを見張らせた。報告によれば私たちの背後からも敵が現れてもおかしくない立ち位置にいた。くれぐれも背後は注意されよ。」

 

アイク「挟み撃ちか。分かった。ネフェニーとタニス将軍で足止めを頼む。他全員は長城に突入し敵を殲滅する。行くぞ!」

 

 

 

 

 

 

エリンシア「アイク、今日はいつになく強情でしたね.....どうかされたのですか?」

 

アイク「正直に言えば、自分に腹が立っていてな。」

 

エリンシア「自分に、ですか。」

 

アイク「今の立ち位置があまりにも窮屈で煩雑でな。傭兵団だけの時は現場対応だったが、地位が変わるだけでこれだけ変わるのかと思った。」

 

エリンシア「はい....」

 

アイク「だけど、それは思い違いだった。俺が万全の状態で戦場に出れるようにエイリスやセネリオが今までそれを代わってきただけだ。特にエイリスはその裏の作業の殆どをやっていたんだ。地位が変わるまでこんな簡単な事にも気づけていなかったんだ。」

 

エリンシア「それで自分に腹が立っていたんですね?」

 

アイク「情けない話だけどな。だけどエイリスは疲れたなんて弱音はひとつも吐かずに職務をやっている。俺が言えた事ではないが....ああいう強情な奴は命令とかで強制的にやらなきゃ止まらないと思ってな。」

 

エリンシア「確かにアイクが言えたことではありませんね。」

 

アイク「そう言うな、自分でもわかってる。とにかく.....少しでもあいつの負担を減らせるようにしたつもりだ。それにいつまでも.....あいつの指揮ばかりに頼ってはいられない。将軍という地位に立ったんだ、少しは俺も考えないとな。」

 

エリンシア「ふふっ、いい志ですね....私もお手伝いしますよ。」

 

アイク「頼む。」

 

 

 

 

拠点

 

ジョージ「いやー、なんかあんたがこっち側にいるの違和感しか無いな。」

 

エイリス「アイクがあまりにも強情だったからな...ありゃ無理だ。」

 

ダニエル「ま、あそこまで言われたらな。」

 

ムストン「まぁあんたがこっちにいてくれたら、俺たちとしては大歓迎なんだけどな。頼もしいボディーガードだ。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

カヤッチェ「クリミア軍がきたようだな。では、手はずどおり頼むぞ。」

 

ネサラ「......俺のキルヴァス軍本隊は、西山上にて待機。別働隊をここに残し、あんたらに協力させる。これで間違いないだろう?」

 

カヤッチェ「う、うむ。」

 

確認が終わると同時にネサラはカヤッチェの前から飛び、作戦の位置に移動する。

 

デイン兵「国王陛下は、いったい何をお考えなのでしょう......あんな、得体の知れない半獣の国と手を組むだなどと.....」

 

カヤッチェ「......わからん。陛下の崇高なお考えが、我々に分かろうはずもない。ただ、確実なことは我らは陛下のお望みどおり動く。それが全てなのだ。」

 

デイン兵もちろんでございます!」

 

カヤッチェ「クリミア軍は、自分達の動きが全てこちら側に漏れていることを知らん。ふん! 急ごしらえの.....ろくに訓練も受けておらぬ寄せ集め軍ごときに、何ができるというのだ。どれほど腕がたつか知らんが.....たかが傭兵あがりの若造が指揮をとっておるような集団だ。恐るるに足りん。」

 

デイン兵「.....しかし、敵にはあの魔道将軍もいるようですが。あれはどうします?」

 

カヤッチェ「それはあの半獣共をぶつけておけばよい。我々がわざわざ兵を割いてまであの男と直接対峙する必要はない。......ん?」

 

カヤッチェが話をしていると、長城の外から息を切らした兵士が入ってくる。何かの書簡も携えていた。

 

カヤッチェ「何があった?」

 

デイン兵「はぁ....はぁ.....報告致します!王が....アシュナード様が直々にこの戦場に参られるとの事です!!これがその書簡です!!」

 

その知らせに現場は騒然とする。崇高な王が、最強の王が戦線に現れるときた。この事に歓喜しない者はいなかった。

 

カヤッチェ「む...確かにこの印はデイン王家のもの。本物だ。なんと....王自らが出向かれると言うのか!」

 

デイン兵「更に!間者の報告によれば、今回の出撃メンバーの中に魔道将軍は入っていないとの事です!!」

 

カヤッチェ「なんと...皆の者聞いたか!:女神が我々に味方したぞ!!」

 

デイン兵「本物の戦というものを、教えてやりましょうぞ!もう恐るるに足らん!!」

 

城中に歓喜の叫びが響き渡る。士気も上がり、デイン軍のパフォーマンスが最高潮に到達した。

 

デイン兵「ところで、魔道将軍が出てこないのならば、半獣どもはどうされますか?」

 

カヤッチェ「適当に囮でよい。奴らの犠牲で、こちらの軍の消耗を減らすのだ。」

 

デイン兵「それは名案ですな。」

 

カヤッチェ「よし、では全兵に徹底させるのだ。」

 

デイン兵「はっ!」

 

カヤッチェは城を歩き回る。多くの者が2つの知らせで歓喜し、熱狂に包まれていた。しかし、その中で1人、スンとすました顔をしている兵がいた。

 

 

カヤッチェ「......貴様、見ない顔だな?」

 

シノン「......」

 

デイン兵「こ、こら!こやつめ.....閣下に頭を下げぬか!!」

 

シノン「........」

 

兵士の1人が頭を下げさせようとしても、シノンは頑なに頭をさげなかった。

 

カヤッチェ「......ずいぶんふてぶてしい態度だな。貴様の配下か?」

 

デイン兵「はっ!本日付で配属になったばかりの新参者で......なにぶん教育が行き届いておらず、誠に申し訳ございません....!!」

 

カヤッチェ「腕が確かだというなら、愛想のないことぐらいは目をつぶろう。今の私は気分が良い、運が良かったな。私の手柄になるよう、1人でも多くクリミア勢を潰してくれたまえ。」

 

デイン兵「はっ!」

 

シノン「......ケッ」

 

悪態をつきながら所定の位置に配備する。

 

カヤッチェ「さあ来い、クリミアの生き残りども!デインに逆らうということがどういうことか.......思い知らせてやろう。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アイク「やけに士気が高いな....」

 

辺り一帯を見回す。右側にドラゴンナイトが数人、正面には城への階段、後方は敵の増援の恐れあり。

 

アイク「タニス将軍、ネフェニー、隊を率いてあの竜騎士と増援を頼む。俺たちは城へ突入する。」

 

タニス「分かった。」

 

ネフェニー「うん...」

 

隊を編成し後方の安全を確保する。

 

エリンシア「!!アイク、危ない!」

 

エリンシアの掛け声で上を見ると、雷が降ってきた。アイクはパッと咄嗟に交わし、剣を構え直した。

 

アイク「これは.....」

 

セネリオ「サンダーストーム.....のようですね。敵の方に、遠距離射程の魔法を使う者がいるみたいです。」

 

アイク「厄介だな...キルロイ、魔道士を引き付けてくれ。」

 

キルロイ「分かったよ。」

 

魔法を上手くいなしながら、城内の兵士を1人ずつ片付けていく。

 

アイク(妙だな.....)

 

倒されていき、劣勢であるにも関わらず、兵士たちの士気が全く落ちない。それどころか、時間稼ぎかのように粘りついてくる。

 

ヤナフ「これは何かありそうだな....アイク将軍、ちょっと見てくる。」

 

アイク「あ、おい!勝手に.....って行ったか。」

 

ヒュン

 

アイク「!!!ちっ.....」

 

ヤナフが飛んで行ったのとほぼ同時に矢が飛んでくる。それを剣で弾きその方向をみるが、誰もいなかった。

 

アイク「シノンか....?ヨファ、シノンが付近にいるかもしれない。」

 

ヨファ「うん。今の矢の鋭さはシノンさんだよ.....僕前に行くね。説得してみるから.....」

 

アイク「ああ、気をつけろよ。」

 

ヨファをシノンの説得に向かわせ、魔道士や兵士を斬りながら前進する。

 

セネリオ「アイク、ここら辺の敵は僕たちで受け持ちます。シノンの所に行ってください。」

 

アイク「いいのか?」

 

セネリオ「良くも悪くもシノンは傭兵です。相手がヨファであろうと、戦うとなれば容赦なく弓を引くでしょう。」

 

アイク「.....分かった。セネリオ、何かあればすぐに言ってくれ。すぐに決着をつける。」

 

セネリオ「分かりました。行ってください。」

 

残った味方に方針を伝え、セネリオに現場指揮を任せる。そしてヨファが向かった所へと足を進める。

 

アイク(ヨファ、シノン....死ぬなよ。)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ヨファ「シノンさん!!」

 

シノン「......ヨファ。」

 

ヨファ「やっぱりあの矢、シノンさんだ!」

 

シノン「いっちょまえに、弓構えた格好がさまになってんじゃねぇか。」

 

ヨファ「そ、そう? えへへ」

 

シノン(笑ってはいるが....いつでも撃てるように無意識に構えてる。こりゃ、相当の場数を踏んだな。)

シノン「おまえは昔から、筋が良かった。オレの言ったとおりだったろ。

鍛え方を考えれば、2人の兄貴どもより伸びるってな。」

 

ヨファ「先生が、よかったからだよ。」

 

シノン「そりゃ、そうだ。おまえ、そのことを他の奴にばらしてねえだろうな?」

 

ヨファ「うん、言ってない。ぼく、約束はちゃんと守るよ。」

 

シノン「そっか。えらいぞ。」

 

ヨファ「へへ.......ねえ、シノンさん。」

 

シノン「なんだ?」

 

ヨファ「シノンさんは......敵?」

 

シノン「ああ。」

 

ヨファ「.......ぅ......っく.....」

 

シノン「.......泣くな。こういうこともあるって教えてやったこと、忘れたのか?」

 

ヨファ「覚え.....てる....って....でも.....だって....」

 

シノン「........さぁて。師弟対決といくか。」

 

その言葉とほぼ同時に、ヨファの顔の横を矢が飛ぶ。シノンの早撃ちにヨファは反応しきれなかった。掠った部分から血が流れる。

 

シノン「言っとくが....殺り合うってのはこういう事だ。今のはわざと外してやったが....次は無いからな、ヨファ。」

 

ヨファ「.......」

 

シノン「....オレからはしかけない。悪いがお前とは戦う気にならない。が、お前がこっちを殺すつもりなら.....その時は、な。分かったらとっとと帰れ。」

 

ヨファ「........出来ないよ。」

 

シノン「情けねぇツラしてんじゃねぇよ。戦うんだな?ほら、弓を構えな。情なんざ戦場じゃクソの役にも立たねぇ。」

 

ヨファ「シノンさん.....」

 

シノン「.....戦いってのはなぁ、こういうもんなんだよ。お前も分かってるだろ。戦場に出たからには.....泣き言は通用しねぇ。オレが、そう教えてやったろ?」

 

そして、シノンとヨファが互いに弓を構える。二人の間に緊張感が走る。

 

ヨファ(先に動いた方が.....負ける。)

 

シノン(先手を撃ってもいいが....ヨファも経験は積んでる。さっきみたいに油断してる所を先手取って倒す、なんて簡単にはいかないだろうな。)

 

ヨファ(......仕方ない。負傷覚悟で)

 

 

アイク「待て!」

 

シノン「.....ちっ、アイクか。」

 

ヨファが今まさに先手を撃とうとした瞬間にアイクが割って入る。

 

ヨファ「アイク、ごめん。ぼく.....」

 

アイク「気にするな。」

 

シノン「どけよアイク。オレとヨファは今から熱い師弟対決を始める所だったんだよ。」

 

アイク「そういうのは団に戻ってからいくらでもやれ。」

 

シノン「てめえがオレに団長の座を明け渡して、団から抜けるってんなら考えてやるよ。」

 

アイク「.....なんだと?」

 

シノン「分かんねぇのか。オレが団を抜けたのはな、てめえが気に入らねぇからだよアイク。てめえはグレイル団長の息子だから、団長を継げたんだ。分かるか?親の七光りなんだよ。」

 

アイク「そんな事抜けた時から分かってた。だが今の俺はお前が思ってるほど弱くは無い。」

 

シノンの挑発とも取れる雑言にアイクは気にする様子も無くさらっと受け流す。

 

シノン「変わってねぇな、お前。尚更気に入らねぇ。」

 

アイク「もういいか?こっちも戦ってる最中だ。お前をさっさと倒して団に引きずってでも戻す。」

 

シノン「へっ....てめえとはいつかこうなる気がしてたぜ、アイク。」

 

アイク「来い。」

 

シノン「行くぜ!」

 

アイクが姿勢を構える前に矢を1、2発打ち込む。とっさに避け、避けた方に飛んできた方の矢を剣で弾く。

 

アイク「ふん!」

 

矢を弾いた後、素早くシノンの胸元に潜り込む。そして足元に剣を振る。

 

シノン「へぇ、弓兵との戦い方は分かってるみたいだな。いい手だ....オレじゃなけりゃな。」

 

ジャンプしてアイクの剣をかわし、アイクの死角を取る。

 

アイク(くそ....背を見せたか。)

 

姿勢を建て直す前にシノンの矢が飛ぶ。咄嗟に姿勢を崩して転がり重傷を避けるが、掠った所から血が出る。

 

アイク「舐めるな、よ!!」

 

転がる中でシノンの姿を捉え、転がる勢いを利用して剣で切りつける。

 

シノン「へっ、生意気な戦い方しやがる。」

 

崩した姿勢をすぐに戻し、着地する前のシノンに接近する。さすがにかわしきれないと判断し、アイクの剣を篭手で防御する。

 

シノン(振動が....なんつー馬鹿力してんだこいつ。)

 

アイク「弓の使い手が腕で防御は致命的じゃないのか。」

 

シノン「んなもんにビビって傭兵が務まるかよ。」

 

距離を取ろうとするシノンに対し、接近するアイク。

 

シノン(こっちに対して距離は取らせないか....へっ。定石にまんまと乗りやがって。)

 

弓兵相手に距離を詰める、それは剣士のアイクなら当然取るであろう行動。そしてその行動を褒めつつ、相手にその策が有効であると思わせる。......全てシノンの手のひらであった。もし気づかれたとしても、距離を取られればこっちが弓で牽制できる。

 

シノン(単純な野郎だ.....剣を振って隙が出来たら、眉間に1発だ。)

 

シノン「......へっ、少しはマシになったみたいだな。」

 

矢を取るふりをしてアイクの接近スピードを速める。さすがに撃たれるとなれば間合いは詰めてくる。

 

アイク「いくぞ!シノン!」

 

そしてアイクが自分の胸元近くに入り込んでくる。

 

シノン(待ってたぜ、この時をよ!剣筋を見極めて避けりゃ...オレの勝ちだ!!)

 

早撃ちの準備を始める。構え方から右上に向かって剣を振り上げることが分かった。

 

シノン(剣先は....えっ)

 

 

剣筋を見ようと一瞬剣先を確認し、視線を戻すとアイクは目の前から消えていた。そこにあったのは剣だけであった。

 

アイク「俺の勝ちだ、シノン。」

 

アイクは胸元から魔法剣を取り出し、シノンの弓を破壊し、魔法の斬撃でシノンを負傷させる。

 

シノン「ぐっ...なんだそのふざけたおもちゃ.....」

 

アイク「魔法剣だ。エイリスから前に護身用で貰った。」

 

シノン「あのイカレ軍師か......」

 

アイク「動くな。傷が広がる。」

 

シノン「何のつもりだ....早くやれ....」

 

アイク「断る。言ったはずだ。お前を引きずってでも団に戻すと。」

 

シノン「....へっ.....にしても....お前にしては、卑怯な勝ち方じゃねぇか。剣で...視線を引いて、不意打ちか...」

 

アイク「それくらいお前が強かったってだけだ。いいから喋るな。ヨファ、ミストを呼んできてくれ。」

 

ヨファ「う、うん!」

 

ヨファにミストを呼びにいかせ、応急措置を進める。

 

数分後

 

 

ヤナフ「よ、さっきは勝手に動いて悪かったな。戻ってきた。」

 

アイク「次からは気をつけろ。それでどうだった?」

 

ヤナフ「......気のせいじゃなかった。あいつがいた。」

 

アイク「あいつ?」

 

 

ヤナフ「狂王アシュナードだ。物凄い勢いでこっちに向かってる。」

 




まぁアシュナードは、元の蒼炎の軌跡じゃ出ないんですけどね


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狂王襲来

漆黒クリスマス。お前ゼルギウスとして出ても絶対良かっただろ....
オルティナさんにも錬成が来たようで。これとムスペルとか正月アスク様合わせたらどうなるんだろ.....


アイク「.....それは確かか?」

 

ヤナフ「黒竜にのって、クソでかい剣を持っていた。あれは間違いなく狂王だ。」

 

ヤナフが伝えた一報に、傭兵団の空気がガラッと変わる。

 

ヤナフ「見た限り、狂王は単騎でこっちに向かってきている.....が、それとは違って別の気配も感じた。

 

アイク「....ミスト、ジル。シノンを連れて先に撤退しろ。」

 

ミスト「お兄ちゃん!!?」

 

アイク「団員の命が最優先だ。行ってくれ。」

 

ジル「分かった。ミスト、行こう。」

 

ミスト「.....うん。」

 

ミストとジルが倒れているシノンを2人がかりで抱え、ドラゴンの上に乗せ撤退を始める。

 

セネリオ「.....アイク、この後どうするつもりですか?」

 

アイク「敵の大将がわざわざ出てきたんだ。ここで戦う。たとえ差違えたとしても....アシュナードの首を取れれば、この戦争の集結も大きく近づく。」

 

タニス「いくら何でも無茶だ。あの男がどれ程の脅威か、出陣前に伝えたはずだ。ここは敵将であるカヤッチェを討ち取り、奴がここに到着するまでに撤退を完了させるべきだ。今ここで対峙するのは下策だ。」

 

アイク「だが撤退をした所で、アシュナードは確実に俺たちを追ってくる。逃げたところでどの道戦いが避けられないなら、ここで迎撃に転じた方がいい。」

 

タニス(ここで狂王が動いたという事は、間違いなく狙いは我々....初陣を挫くことで士気を低下させるつもりか、それとも......)

 

セネリオ「.......」

 

アイク「それに、アシュナードが出てきただけで撤退するとしたら、デインから舐められる。しかもこれは初陣.....ここで引くのは得策じゃない。」

 

タニス「それはそうだが、ここで犠牲を多く出してまでやる事ではない。冷静に見れば分かるはずだ。」

 

アイク「なら、撤退したい奴を先に撤退させる。残った者で応戦.....これならどうだ?

 

タニス「撤退したいだと.....?その言い草は何だ!我々が及び腰とでも揶揄しているのか!!」

 

アイク「そういう意味で言った訳じゃない。あくまで戦力を温存して、残った俺たちで迎撃する。犠牲を最小限にしながら敵を足止めし、運が良ければ討とうと俺は考えてる。相打ちになったとしてもな。」

 

タニス「.......すまない、熱くなってしまったようだ。」

 

セネリオ「それははっきり言って賛同しかねます、アイク。」

 

アイク「セネリオ?」

 

セネリオがアイクとタニスの間に入り、アイクに忠言する。

 

セネリオ「アイク、今の僕たちは傭兵団ではなく、軍です。もしアイクのように自由意志を尊重してしまえば....この先、危機が訪れる度にこの軍の兵士は撤退をし続け、必ず分裂するでしょう。.....そして、アイクの判断は傭兵団であれば正解ですが、軍として正しくありません。」

 

アイク「........」

 

セネリオ「撤退するなら撤退する、応戦するなら応戦すると、しっかりと指示を統一して出してください。特に今回は...エイリスがいません。無茶な選択をする時は慎重にお願いします。」

 

アイク「.....わかった。撤退する。が、俺とマーシャ、ヨファ、ヤナフ、タニス将軍、ネフェニーだけ残って敵を足止めする。.....セネリオ、これでいいな?」

 

セネリオ「......あくまで残って応戦するのですね?」

 

アイク「ああ。この一軍を預かっているのは俺だ。ここで俺が無様な引き際を見せる訳にはいかない。」

 

セネリオ「........分かりました.....全体に撤退の下知状を通達させます。」

 

ヤナフ「それなら俺が持ってく。そっちの方が速いだろ。」

 

セネリオ「.....ではこれを。」

 

セネリオが撤退の下知状を書き、アイクが指を噛んで血を出し、それを書状に押し付ける。そして書状を包み、ヤナフに渡す。

 

ヤナフ「確かに受け取った。俺から全体に通達する。」

 

ヤナフは書状を胸元にしまい、窓から外へ飛び出す。それと行き違いに輸送隊がアイクの元にやってくる。

 

輸送隊「アイク将軍!これを届けに来ました!」

 

アイク「この剣は....」

 

輸送隊「『ラグネル』とエイリス殿がおっしゃっていました。危機に備えてこれを渡すよう言われて.....」

 

アイク「分かった。受け取っておく。お前たちも安全な所に避難しろ。」

 

輸送隊「はっ!」

 

輸送隊を撤退させ、外の様子を見る。ヤナフが各地に電報をして回っている。しかし、それと同時にカラスが上空から迫ってくる。

 

アイク「くそっ、あいつら....」

 

セネリオ「どうやら、僕たちの撤退を見て、取れるものは取っておこうと判断したのでしょう.....アイク、僕達は早く城の中に残る敵戦力の殲滅を済ませましょう。」

 

アイク「だが.....」

 

セネリオ「あちらは大丈夫です。神使親衛隊副隊長にその配下、戦乙女がいるので戦力は足りています。」

 

アイク「....分かった。行くぞセネリオ。城内を掃討する。」

 

セネリオ「はい。」

 

 

 

 

 

城外 エリンシアside

 

エリンシア「.....なるほど。撤退てすか。」

 

ヤナフから受け取った書状を読み、状況を理解する。

 

ヤナフ「あー後....おそらく背中見せたら上で飛んでるカラスどもが襲ってくると思うんで、そこだけは気をつけてくださいな。」

 

エリンシア「助言感謝いたしますヤナフ様。では私は足止めをいたします。」

 

ヤナフ「あー....あんた雇い主なんだよな?最前線にいたら不味くないか?」

 

エリンシア「雇い主である前にここでは一人の兵士です。それに相手が空を飛ぶラグズなら....尚更です。」

 

エリンシアの勇ましさに呆気に取られる。そしてマーシャに近づき耳打ちする。

 

ヤナフ(おい、あの王女様、ちょっと勇ましすぎねぇか......?)

 

マーシャ(エリンシア様は元々そういう人だよ?)

 

ヤナフ(マジかよ....これで怪我でもしてみろ。俺たちの首が飛ぶぞ。)

 

マーシャ(エリンシア様はそんな事しないよ!でも今回は.....危険かな。エリンシア様と狂王じゃ強さがまるで違う。)

 

ヤナフ(冷静な側近がいてホッとした。引き際は頼むぞ。)

 

マーシャ(了解!)

 

ヤナフ「それじゃ、俺は拠点に戻って移動の伝達してくるんで、一時的に戦線を離脱する。伝達が終わったらまた戻ってくる。」

 

エリンシア「はい、お気をつけて。」

 

ヤナフが飛んでいくのを見送り、表情を変えるエリンシア。マーシャもその気配を本能的に感じる。

 

マーシャ「エリンシア様.....」

 

エリンシア「マーシャ....素早く、ラグズたちにお引き取りするよう行きましょう。」

 

マーシャ「話し合い、ですか?」

 

エリンシア「いえ....あちらは話し合いをする気など、毛頭無いみたいですし。」

 

マーシャ「えー....ほんとだ。こっち向かって飛んできてるし、攻撃の体勢に入ってる。」

 

エリンシア「行きますよ!」

 

マーシャ「はい!今回は負けません!」

 

タニス「我々も同行し、援護しましょう。」

 

エリンシア「頼もしいです。お願いします。」

 

タニス「承知した。これより我々はエリンシア王女の援護に回る。総員、王女の背を守れ!」

 

そしてエリンシアとマーシャ、タニスは、空から襲いかかるキルヴァス軍と相対する。マーシャにとっては、船上の戦いで1度キルヴァス軍相手に痛手を負わされた苦い思い出があった。その為か、槍を握る強さが普段より強かった。

 

マーシャ(前回はペガサスをやられたけど....今回はそうさせないんだから!)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

エイリス(......やっぱり、この気配。)

 

アスタルテ(あちらから....参られたみたいですね。しかも別の軍勢も来たようで。)

 

エイリス(ラグネルを渡しておいたのは正解か.....だけど、今戦ったら確実に負ける。だってあいつ終章でも普通に強いし....)

 

ムストン「おい、どうした?さっきから険しい顔をして。」

 

エイリス「.....嫌な予感が、的中したみたいで。」

 

ダニエル「嫌な予感?なんだそりゃ。」

 

エイリス「敵の総大将が、わざわざ最強の装備ひっさげてやってきたみたいです。」

 

ジョージ「....おいおいマジかよ!!それ大丈夫なのか!?」

 

エイリス「普通にまずい事態です。」

 

ムストン「なら、どうする?お前さんも前に出るか?」

 

エイリス「出ます。さすがにこの事態、俺が出ないと絶対にアイクが無謀に突撃して死にかねませんし.....」

 

ララベル「なら、私たちは撤退の準備ね。いつでも動けるようにしておくわ。タイミングを見計らって指示を頂戴。」

 

エイリス「助かります。」

 

アーリアルを準備し、出陣の準備を整える。多少の疲れがエイリスの中に残っていたが、敵を目の前にしてこうはいられないと自身を叱責する。ポータルの杖を使って、いつでも飛べるように準備する。

 

 

 

ヤナフ「おい、書状を....って、なんだ。撤退の準備してやがる。」

 

エイリス「ヤナフ、こっちは撤退の準備を始めてる。」

 

ヤナフ「なんだ、わざわざ来る必要無かった。で、あんたどうする?」

 

エイリス「俺も今から前線に出る。アイクの命令に背く形にはなるが....しのごの言ってられない。」

 

ヤナフ「そいつは助かる。....あと、何か狂王と違った違和感を感じたんだが、そっちは?」

 

エイリス「それも気づいてる.....けど正体が分からない。なんなんだろうなこれ。」

 

違和感には気づいている。が、今までに感じたことのない気配。 不気味な強さを感じる。

 

ヤナフ「今は特定の奴だけを残して、残りは全員撤退命令が下されてる。だから戦場に着く頃には、俺たちの方は6、7人程度だ。おそらくあんたには相当重い役割振ることになるだろうが......大丈夫か?」

 

エイリス「問題ない。むしろ喜んで引き受ける。」

 

ヤナフ「.....なんか、この軍の指揮官クラス、戦線に留まって戦おうとする奴ら多すぎるだろ。もう少し引くってのを覚えて欲しいもんだね。戦うと血が滾るラグズじゃねぇんだし。」

 

エイリス「ま、傭兵だしな。」

 

ヤナフ「あんたは元軍人だろ?」

 

エイリス「ま、そうだけど異国出身だったから、今の部隊を組織するまではずっと単騎出撃だったし。その癖が抜けないんだよ。」

 

ヤナフ「単騎出撃ねぇ.....そりゃ名が轟く訳だ。準備出来たか?」

 

エイリス「うん、行こう。」

 

ポータルの杖に魔力を貯めてワープの準備を整える。魔法の範囲内にヤナフを入れ一気に飛ぶ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

トレガレン長城 前線

 

エリンシア「.....来たようですね。」

 

アイク「.....だな。」

 

エリンシア「申し訳ありません、アイク......キルヴァスの傭兵を相手にしていて、撤退が遅れてしまいました.....」

 

アイク「.....今からでも撤退して欲しいが、状況が状況だ。このままいてくれ。俺のそばを離れるなよ。」

 

エリンシア「はい。」

 

上空を見上げ、黒いシルエットが段々と近づいてきていることが分かる。翼の内は赤く、外は黒い皮膚で覆われている黒竜、黒の鎧を纏い、大剣を片手で持つ竜騎士。デイン王.....狂王が姿を現す。

 

アシュナード「これは良い....うるさい羽虫共がいない。」

 

アイク「デイン王....アシュナード!!!」

 

アシュナード「貴様は誰だ。」

 

アイク「俺はアイク。グレイル傭兵団団長で、この軍を率いている。」

 

アシュナード「そうか、貴様がガウェインの息子か。」

 

アイク「ガウェイン?誰だそれは。」

 

アシュナード「知らぬのか。貴様の父ガウェイン.....いやグレイルと言うべきか。奴は元デイン王国軍【不動の四駿】の1人、神騎将と讃えられた男だ。」

 

アイク「親父が元デイン軍だと.....!!?」

 

アシュナード「嘘などではない。そしてガウェインを討った漆黒の騎士、奴は元々ガウェインの部下だ。」

 

アイク「!!!!」

 

アシュナード「ガウェインの息子である貴様なら、ガウェインの剣技を継いでいるものと思ったが....幾分稚拙な構えだ。充分に継承してはいないようだな。」

 

アイク「なんだと?」

 

アシュナード「ガウェインの息子というだけあって構えや剣の筋に素質を感じる。が、貴様の今の姿を見てもガウェインを彷彿しないと言っているのだ。」

 

アイク「だから何だ。長話はもういいだろう。ここでお前を討たせてもらう!!」

 

アシュナード「受けて立とう。来い。」

 

アイクは鋼の剣を強く握り、アシュナード目掛けて突撃し、剣を振り下ろす。それをグルグラントで容易く受け止めるアシュナード。全く構える気もなく、露払いかのように無気力に近い状態で剣を受け止める。

 

アイク「お前...ふざけてるのか!!」

 

アシュナード「ふざけているのではない。貴様程度、これでも殺せるということだ。」

 

アイク「何...ぐっ!!」

 

アシュナードに剣を弾かれ、グルグラントの1振りをモロに喰らう。鎧があったから貫通は避けたが、身につけていた鎧は粉々となり、体に大きな衝撃が走る。数メートル吹き飛ばされ、地面に這いつくばる。

 

アイク「げほっ...!!!」

 

エリンシア「アイク!!」

 

アシュナード「貴様など話にもならん。魔道将軍を出せ。我は奴との戦いを望む。」

 

アイク「エイリス...だと...がっ...」

 

アシュナード「この場で我とまともに戦える者は奴の他いない。」

 

アイク「悪いが....あいつを出すつもりは...無い...!!!」

 

アシュナード「出ぬのなら我から出向くまで。その道を邪魔するならば、貴様らはここで消えてもらおう。」

 

エリンシア「待て....アシュナード....!!!」

 

アシュナード「ほう、クリミア王女か。」

 

アシュナードが一瞥をやると、エリンシアの体が震え始める。かつて両親を殺した男が目の前にいる....が、あまりの実力の差に体が本能的に恐怖を覚える。

 

アシュナード「久しぶりだな。我を見上げて震えていた小娘は未だ健在のようだな。」

 

エリンシア「黙りなさい.....!!!!」

 

アシュナード「口だけは勇ましいことだ。だが貴様など相手にする価値も無い。」

 

エリンシア「黙れ....黙れ黙れ黙れ!!お父様たちの仇....民の苦しみ....全てを払ってもらう!!」

 

アイク「よせエリンシア!!」

 

アシュナード「ふん、下らぬ。今度は我から手を下そう。」

 

アシュナードは龍を動かし、エリンシアに向かって突撃し、グルグラントの一撃を浴びせる。あまりの衝撃にペガサスから崩れ落ち、ペガサスも衝撃をもろに受け地面に落ちていく。

 

アイク「エリン....シア....!!!」

 

エリンシア「ぐっ...」

 

横たわるエリンシアにアイクは痛みを我慢し駆け寄る。お互いに虫の息に近い状態であった。

 

アシュナード「貴様らに用は無い。早く魔道将軍を.....む、奴も我を感知したか。」

 

アイク「あいつ....なんでだ....」

 

アシュナード「我が出向いたのを知ったようだ。」

 

アイク「なら...せめて....」

 

 

アイクは鋼の剣を投げ捨て、ラグネルを取り出しそれを支えになんとか立ち上がる。

 

アシュナード「ほう、神剣か。我が鎧に唯一傷を与えうる武器だが、今の貴様では到底使いこなせない代物だ。」

 

アイク「そんなもん...やってみんと分からん!」

 

アシュナード「どんな名剣とて持ち主に才が無ければなまくら同然。今の貴様では無理だ。」

 

アイク「行くぞ!!!」

 

エリンシア「ア、アイク....!!!」

 

アイク(くそ、立ってるだけで精一杯だ...しかも重い。)

 

とても立てるはずのない傷を負っているアイクにとって、この状況は好ましいものではなかった。しかしやらねばならない。ここで一矢報いて戦果を残す。軍を任されたものとして退けない。その義務感と焦りが満身創痍のアイクを動かしていた。

 

アイク(....!?)

 

ラグネルを握り構えると、不思議な感覚がアイクの全身に渡る。そして意識もしていない動きを勝手にしていた。

 

アシュナード「ほう....面白い。」

 

ラグネルを天に投げ、ジャンプしてキャッチし、アシュナードの頭頂部目掛けて剣を天から振り下ろす。ガキンと鈍い音が響き渡る。

 

アイク「....くそ!!」

 

アシュナード「いいぞ、いいぞ!!その剣技、見覚えがある。剣が持ち主を選んだか。面白い!面白いぞ!」

 

しかしアシュナードは余裕でラグネルを受け止め、ラグネルの衝撃を横に逃がし、アイクをいなす。

 

アシュナード「もっと来い。その感覚で我を楽しませよ。」

 

アイク「おのぞ....がっ...ごふっ...」

 

エリンシア「アイク!!」

 

しかし体は限界であった。アイクの吐血も激しく、エリンシアも戦えるほどの体の状態では無かった。

 

アシュナード「ガウェインの息子....いやアイクよ。貴様は剣の筋が良い。今は見逃してやろう。その神剣と共に強くなり再び我の前に現れろ。」

 

アイク「貴様の...ぐっ....情けなんか....」

 

アシュナード「情けなどではない。才のある者を開花する前に摘み取るなど愚かな事だ。ただそれだけよ。だが....」

 

アイクの方向から、倒れているエリンシアの方へ飛竜の向きを変え、狙いを定める。

 

アシュナード「クリミア王女、貴様は何も見込めぬ。そして貴様は勘違いしておる。」

 

エリンシア「何を.....」

 

アシュナード「貴様は国を取り戻し女王になるつもりだろうが、不可能だ。貴様を慕う者はかつてのクリミア軍の重臣と一部の者しかおらん。」

 

エリンシア「.....!!!」

 

アシュナード「貴様とて気づいてるはずだ。クリミア王女、貴様はあの魔道将軍の権威に守られているだけだ。そしてあの魔道将軍はその事を意にも介していない。だから気づかない。」

 

エリンシア「.........」キュッ

 

唇を噛むしか無かった。分かっていた。離宮暮らしの自分がいきなり受け入れてもらえる訳が無い.....そしてあの日、クリミア首都が陥落した日、王族は何も出来ずにほとんどが殺された。その時国民が願ったのは王族の生存などではない。王弟レニング率いる王国軍、そしてエイリス率いる精鋭部隊だった。

 

アシュナード「我の下に投降した、自ら這い上がる気のない下らぬ者たちは、毎日のように祈っておったぞ。『魔道将軍様、お助け下さい』とな。」

 

エリンシア「その国民を...殺したのか!!?」

 

アシュナード「殺してはおらぬ。国を作るのは民である。這い上がる気のない下らぬ者に生きる価値は無いが、殺す価値も無い。せいぜい這い上がろうとする者の踏み台にされるのみ。」

 

エリンシア「..........」

 

アシュナード「もう一度言っておく。国を作るのは民である。王では無い。王は強き者がなるのだ。そして多くの民がそれを望めば....王族などいとも容易く滅び、権威は地に落ちる。」

 

アシュナードの言葉に尽く打ちひしがれる。それがエリンシアにとっては事実でしか無いからだ。分かっていた。戦争が始まった時からエイリスの存在がどういうものかは痛いほど実感させられていた。エイリスは王都に残り狂王を退け、ネフェニー率いる精鋭部隊は各地でデイン軍の侵攻を食い止めていた。それに比べて自分はどうだ。目の前で両親を殺され、おめおめと逃げて出会った傭兵団に縋り、戦線に加わった事で戦った気になっていた。自分が王女になる事を何も疑いもせずに。しかし現実が目の前にあった。同じ王でも、ここまでの差がある。

 

アシュナード「だが貴様はまた我の前に立とうとする。羽虫に用は無い。ここで消えてもらう。」

 

エリンシア(もう....一層ここで.....)

 

 

 

ガキン

 

アイク「エリンシア....諦めるな!!」

 

目を閉じ死を覚悟した.....が、目の前で狂王の一閃を、アイクがラグネルで強引に受け止めていた。血を吐き、ヨロヨロになりながらも止めていた。

 

エリンシア「アイ、ク.....」

 

アシュナード「なぜ庇う?」

 

アイク「エリンシアは...俺たちの仲間だ....死なせはせん!....ゴボッ....」

 

エリンシア「もう...辞めて....」

 

アイク「弱音を吐くな!!王になるんだろ!!!あの日...オマツリで誓ったことを忘れるな!!!!」

 

エリンシア「......!!!!」

 

アイクの激励にエリンシアの震えが止まる。

 

エリンシア(そうだった....私は....)

 

近くに落ちている鋼の剣を無意識に手を取り、立ち上がる。恐怖心はなかった。あるのは自身への憤慨と、目の前の敵への殺意であった。

 

エリンシア「なんと情けない....!!!!」

 

アシュナード「ほう、気力だけで立て直したか。

 

エリンシア「アシュナード!!ここで討つ!」

 

アシュナード「面白い。茶番にも飽きていたところだ。」

 

アイク「行くぞ!エリンシア!!」

 

アイクとエリンシアがほぼ同時に力強く踏み込み、アシュナードめがけて突撃する。

 

エリンシア「アイク、私が隙を作ります!その間に先程の技を!」

 

アイク「分かった。そっちは任せる。」

 

まずエリンシアが果敢にアシュナードに斬りかかる。ペガサスに乗っていない分機動力は劣るが、身の軽さを活かしてヒットアンドアウェイを続ける。

 

アシュナード「どうした、その程度の攻撃では我は動かぬぞ。」

 

エリンシア「さぁ...それはどうでしょうか。」

 

体の節々からくる痛みを無理やり抑え、アシュナードの剣のリーチに届かないギリギリに避ける。

 

エリンシア「どうしたのですか?私に攻撃を当てないのですか?」

 

アシュナード「貴様に用は無い。」

 

エリンシア「私のような雑兵相手1人すら倒せないと、そうおっしゃっているようにしか聞こえませんが?」

 

アシュナード「騒ぐな。惨めなだけだ。」

 

エリンシア(煽りましたが.....靡いてすらいませんね....どんな方法を使ってでも....隙を作らなければならないのに....こうなれば....そしてエイリス様に教えてもらったあれを.....)

 

アミーテを構え、息を整える。悲鳴を上げている自身の体に喝を入れ、ひたすらに敵を捉える。

 

エリンシア「ふぅ......我こそはエリンシア・リデル・クリミア!!今日、ここでお前を討つ!いざ尋常に!!」

 

一帯に響き渡る程の声量で名乗りを上げ、アシュナードめがけて突っ込む。

 

アシュナード「邪魔だ。」

 

エリンシア「ぐっ.....はあぁぁぁぁぁぁ」

 

グルグラントの一閃を直撃する。しかし、剣を鎧で挟んでしがみつき、剣の勢いを殺す。直撃という代償の代わりに、100%相手の攻撃に干渉する方法をエリンシアは取った。アシュナードが剣で振り落とそうと試みるが、しつこく掴み続ける。

 

エリンシア「あなたは知らないようですね...てこの原理を。」

 

アシュナード「小癪な。無駄な足掻きだ。」

 

エリンシア「さあそれは...どうでしょうか。」

 

エリンシアが完全にアシュナードの気を引いた瞬間、ラグネルが宙に投げられた。気を集中させ、隙をうかがっていたアイクが動き出した。

 

アシュナード「ほう、これが足掻きか。」

 

アイク「行くぞ!アシュナード!!」

 

ラグネルを空中で掴み、アシュナードの顔面に向かって振り下ろす。

 

アシュナード「聞こえぬのか?無駄な足掻きだと。」

 

エリンシア「きゃっ!!」

 

急に力強くグルグラントを掴み、ラグネルが落ちてくる位置に、しがみついているエリンシアを持ってくる。

 

アイク「!!!!」

 

エリンシア(やられた....!!!)

 

アイクがエリンシアから避けるために、かけていた力を弱めて方向転換をする。そしてエリンシアは咄嗟にしがみつくのを辞め、グルグラントを蹴ってアシュナードから離れる。そして振り下ろされるラグネルを軽々と受け止め、振り払う。

 

アシュナード「頭を使った事は褒めてやろう。羽虫共が我を相手にここまでやったのだ。だが甘い。その程度の強さでは傷はつけられぬ。」

 

更にこの行動が仇となった。アイクもエリンシアも空中に放り出され、更にグルグラントのリーチに入っている。しかも不安定な姿勢のため受けるための姿勢に入ることが出来なかった。

 

アイク「ぐぅ!!」

 

エリンシア「.....!!!!」

 

そのままグルグラントの一撃をモロに喰らい、地面に叩きつけられる。

 

アシュナード「消えよ。」

 

アイク(くそ....体が....)

 

エリンシア(このままでは....)

 

虫の息の2人に、アシュナードは容赦ない追撃をする。

 

ガキン

 

が、それは防がれた。光の障壁が2人とペガサスを包み、振り下ろされた剣から守った。

 

アシュナード「.....来たか。」

 

エイリス「.....随分とうちの大将と女王を可愛がってくれたもんだ。」

 

狂王と、魔道将軍が、再び対峙した瞬間だった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

エイリスside

 

セーーーーーーーーーーーフ!!!!あっぶな!いやめちゃめちゃ殺そうとしてましたやん......あと一歩遅かった普通にゲームオーバーだった。ラグネルを渡しておいたとはいえ....やっぱり使い慣れないときつかったか。

 

アシュナード「以前よりまた魔力を強めたな。我の好敵手であるならそうでなくてはな。いくつの屍を踏み越えた?」

 

エイリス「さぁ...覚えてないや。」

 

ヤナフ「こりゃ重傷だな...だから引けって言ったってのに....」

 

さっとリザーブを振ってアイクとエリンシアの応急処置を済ます。

 

アシュナード「さあかかってこい魔道将軍。我を楽しませよ。」

 

エイリス「ちょっと待て。本気でやるから色々と待て。」

 

突然異様な殺気を放ったアシュナードに待ったをかける。さすがにアイクたちがいるのに本気でやったら巻き込まれて死んでしまうのが確定している。それは避けないと.....

 

アイク「エイ....リス....」

 

エイリス「怪我人は静かにしとけ.....今応急処置したから動かれると困る。.....ヤナフ、さすがに2人抱えては無理だよな。」

 

ヤナフ「あぁ、無理だな。」

 

エイリス「だよな.....仕方ない、一旦2人と1匹を拠点にポータルでワープさせる。ヤナフはタニスさんと合流して今の状況伝達と、あっちの方にいるよく分からない敵と戦ってくれ。」

 

ヤナフ「タカ使いの荒いやつだ....分かった。とりあえずこいつは1人で頼むぞ。」

 

エイリス「分かった。」

 

ヤナフを向こうの救援に向かわせ、アイクとエリンシアとペガサスをポータルで拠点にワープさせる。これでとりあえずサシの状況にはなったか......

 

エイリス「場所を変えよう。ついてきてもらうぞ。」

 

ポータルの範囲にアシュナードを入れ、別の地点へ飛ぶ。ここら辺だと城とか山とかのせいで全力でアーリアル打ったら地形が壊れたり瓦礫が降ってきたりでこっちが不利になる......

 

 

 

ワープ地点 開けた場所

 

アシュナード「良いのか?ドラゴンに乗る我は自由に動くが?」

 

エイリス「不利でもなんでもないよ。俺が戦いやすいところを選んだだけ。」

 

アシュナード「言葉を交わすのももうよいだろう。我を楽しませよ。」

 

エイリス「あぁ、そうだな。」

 

言い終わると同時にアシュナードと距離を取り、即座にアーリアルを打ち込む。しかし、当然竜騎士の機動力を活かして直撃を避ける。

 

エイリス「やっぱ学んでるわな....けど、まだだ。」

 

アーリアルは直撃こそしないが、地面にぶつかると同時に強い衝撃を放つ。

 

アシュナード「強風で我を鈍らせるか。」

 

エイリス「いいや、まだだ。」

 

すぐにパージに持ち替え、アシュナードの周りに間髪入れずに数発打ち込む。

 

エイリス(この勝負...こっちの手札が全部知られている以上、下手な奇襲が出来ない...グルグラントの範囲内に入ればこっちの負けになる。)

 

アシュナード「ふはははは。それでこそだ。」

 

しかし、パージには加護が無い。アシュナードも一発食らって分かったのか、龍の損傷を気にせず何発も受けながら強引にこっちに突撃してくる。

 

エイリス(ちっ....)

 

咄嗟に地面にパージを打ち込んでその衝撃で後ろに飛び、アシュナードの一撃を避ける。こいつ強引すぎるだろ.....

 

アシュナード「やはり貴様は面白い。このような魔道士の戦い方は見たことがない。」

 

エイリス「そりゃ魔道士は近づいて戦わないからな。」

 

そもそも近接戦に持っていかれたらこっちが100%負ける。このアシュナードとかいうラスボスは、最初の時点で力35、速さ27、守備35、魔防26、スキルに恐怖と回復があり、武器のグルグラントには怒り以外の必殺無効、そして移動10.....ステータスはヒーローズの今の環境から見れば恐るるに足らないが、蒼炎の軌跡だと話は変わってくる。何より竜騎士の癖にやたらと魔防が高い。考えてみてほしい....蒼月ルート(ルナティック)でラスボスが、ターンが経ったら「私が直々に出向こう」なんて言い出してパラディンとかと大差ない移動をしてきたら.....こいつの異常さが分かるはず。一応こっちも、加護の付いていて、竜騎士特効を持ってるアーリアルがあるけど.....これが無かったらおそらくダメージが通らない。

 

エイリス(もうラチがあかないな....このまま遠距離から攻撃しても避けられるか強引に突破してくる。こうなったら...)

 

アーリアルを構え、迎撃の体勢に入る。アシュナードもそれを待っていたのか、竜を操り動く準備に入る。

 

アシュナード「真正面から来るか。よいぞ、それでこそ力のぶつかり合い!」

 

エイリス「ふぅぅぅ.....」

 

呼吸を整え、力強く地面を蹴ってアシュナードの胸元めがけて突撃する。アシュナードも高く飛び、そこから一気に高度を下げて突撃してくる。勝負は一瞬。

 

アシュナード「我の勝ちだ。」

 

エイリス「ぐっ.....」

 

ザシュっと脇腹を切り裂かれる。血が流れ、激痛が体を襲う。

 

エイリス「だが...お前の胸元には入れた!!」

 

アシュナードの竜に乗るやいなや、アーリアルを起動して胸元に打ち込む。

 

エイリス「うおぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

アシュナード「ぐっ...がぁぁぁぁぁぁ。」

 

共に衝撃で吹き飛び、地面に叩きつけられる。急いで自身にリカバーを振って脇腹の痛みを止め、傷口を無理やり塞ぐ。

 

エイリス「今度こそ効いたはずだ.....ぐっ。」

 

アスタルテ(大丈夫ですか!?痛みがまだ.....)

 

エイリス(いや、痛みじゃない。体が動きづらい...)

 

痛みは引いた、だが何故か体が言う通りに動かない。

 

アシュナード「ふしゅー.....効いたぞ。我をも失神させる威力、見事。」

 

アシュナードの方を見ると....姿が変わっていた。第2形態になっていた。

 

アシュナード「貴様とぶつかり、戦ったことでこの戦場に大量の【負】の気が満ちた。それと同時に貴様を守っている【正】の気もな。」

 

確かに周りを感知すれば、底知れないほどの【正】の気と【負】の気が充満していた。しかも相殺せずに色濃く共存している。

 

アシュナード「やはりそうだ。貴様は女神アスタルテによって加護を受けている。面白い。」

 

エイリス「はぁ.....はぁ....」

 

アシュナード「我は【負】の気を取り込み、今ここに立つ。立て。貴様ほどの力であれば【正】の気を取り込み立ち上がることなど容易いことであろう。立たなければ、今ここで殺すのみだ。」

 

アスタルテ(....かくなるうえは、この私が.....)

 

エイリス(待て.....お前は、出るな....)

 

アスタルテ(しかし....今のあなたは強い【正】の気を持っています。これほどの【負】の気を浴びれば....)

 

エイリス(そんな事は分かってる.....お前がここで裁きを打ち出せば...本当の意味でこの世界のバランスが崩れる。前はデギンハンザーの前だったからいいが.....相手が相手だ。)

 

アスタルテ(ではどうするのです?このままだとやられてしまいますよ.....)

 

エイリス(.....一度、やってみたいことがあった。それを試す。)

 

なんとか足に力を入れ、無理やり立ち上がる。

 

アシュナード「ほう、何をするつもりだ。」

 

エイリス「うるせぇ、黙って見てろ。」

 

合掌をして目を閉じ、集中力を高める。周囲の【正】の気と【負】の気の両方を取り込む。体への負荷がドンドン増し、【負】の気のせいで意識が飛びかけ、本能的な衝動に乗っ取られそうになる。それを無理やり押し込め、気を取り込み続ける。それと同時に【正】の気を取り込んでまた意識が戻り、頭がおかしくなる。

 

エイリス(それでも....やるんだ...)

 

本能的な衝動や苦しみに耐えながらも、【正】の気と【負】の気の両方を取り込み終える。

 

エイリス(力を....力を...!!!)

 

そして【正】の気と【負】の気を自身の中で一体化させ、バランスが整う。それと同時に、体からオーラが溢れ、体の一部分が急に熱くなる。体に紋様が浮かび、さっきまで重かった体が少し軽くなった。

 

アスタルテ(これは....かつての私......!!?)

 

アシュナード「その気、その紋様、そしてその力.....ふははははは!!!!そうか、アスタルテが分かれる前の力をその手にしたか。いいぞ....いいぞ!!それでこそ貴様と戦う価値がある!!」

 

アーリアルが共鳴して光り、表紙に新たな模様が入る。

 

エイリス「ふぅ...いくぞ。」

 

アーリアルをアシュナードに打ち込む。

 

エイリス(なんだこれ...制御が効かない....!?)

 

あまりの魔力の強さ故に、威力を調整することが出来なかった。アシュナードは衝撃を受けこそしたがかわした。アーリアルを売った場所は....草木が跡形もなく消え去り、クレーターのようになった。

 

アスタルテ(よく聞いてください。今のあなたはかつての私....正と負に分かれる前にそっくりです.......そしてアーリアルも共鳴し、暁光・アーリアルとなりました。これまでより力を抑えなければなりません.....)

 

エイリス(そんな事言ったってなお前.....)

 

アスタルテ(この姿に望んでなったのはあなたです。それに敵は待ってくれません。いいからやってください。)

 

エイリス(分かった...いくぞ。)

 

暁光・アーリアルを構え、魔力を抑えながら溜める。

 

アシュナード「その力で抗ってみよ。」

 

エイリス「お望み通りやってやる....」

 

力強く踏み込み、アシュナードの頭上で止まり、暁光・アーリアルを落とす。

 

エイリス「終わりだ!」

 

しかしアシュナードもしぶとく、暁光・アーリアルをグルグラントで全力で受け止めに来る。

 

アシュナード「ぐっ...」

 

ただ、こっちも出し惜しみはしていない。こちらが押しているのは明確だった。

 

エイリス「諦めろ。お前の負けだ。」

 

押し切り、竜もろとも暁光・アーリアルを直撃させる。そのまま地面に突き落とし、強い衝撃で周りも削られる。

 

アシュナード「ふしゅう....効いたぞ。これまでにない痛みだ。」

 

エイリス「まだ生きてんのかこいつ.....」

 

砂塵の中からアシュナードが出てくる。鎧はボロボロになり、頭から血を流しているが、それでもグルグラントを片手にこちらに歩いてくる。

 

シュン

 

アシュナード「む?」

 

エイリス「よしもう1発.....えっ....」

 

もう1発打ち込んで終わりにしようかと思ったら、間に漆黒が割り込んでくる。こいつどこから飛んできたんだ....

 

アシュナード「退け。丁度盛り上がってきた頃合いなのだ。」

 

漆黒の騎士「ここは退くべきです。損傷も酷く、こちらが劣勢です。」

 

アシュナード「下がらぬ。奴と決着をつける。」

 

漆黒の騎士「.....これが、王と魔道将軍のみの戦いであるなら止めません。しかしこれは戦争.....王に勝手に付いてきた増援も、全滅させられています。」

 

アシュナード「あの者共が死のうが関係ない。」

 

漆黒の騎士「おまけに...この気を察したのか、鷹王とその配下、および黒龍がこちらに近づいてきています。」

 

アシュナード「それでこそ良い。我は争いを望む。」

 

漆黒の騎士「.....魔道将軍は、疲労困憊の状態で戦っています。今ここで始末するのは勿体ないかと。万全の状態の時に戦った方が、王も楽しめますかと。」

 

アシュナード「......そうか。ならば撤退する。」

 

漆黒の助言を受けてか、アシュナードが剣をしまい、竜を起こして飛び去っていった。

 

漆黒の騎士「貴殿も気をつけよ。その疲労状態でここまでやるものだ。」

 

エイリス「退けない訳がありましてね。」

 

漆黒の騎士「....次は無い。」

 

そう言って漆黒もワープで去る。緊張の糸が途切れたのか、途端に足から力が抜け、ストンと座り込んでしまう。紋様やオーラも、消えていた。アーリアルに付いていた模様は残っていた。

 

エイリス(あれは何だったんだ.....)

 

アスタルテ(....おそらく、非常に強い【正】の気と【負】の気がある時のみなれる姿ですよ....今のあなた、魔法使えませんよ。)

 

エイリス「マジ....?」

 

試しにライトを取り出し、打ってみる。確かに出ない。

 

アスタルテ(一過性のものではありますから、時間が経てば再生は出来ますが.....あの姿には、狂王のような男とぶつからない限りなれません。)

 

エイリス(不便だな.....)

 

アスタルテ(何より魔力を使い果たすほど、代償が大きいです。)

 

アスタルテがずばりと指摘する。そりゃそうだ、あれだけ派手に戦えばそうなる。

 

エイリス(....まぁ、あれにはなれなくても、別の方法は模索するさ。俺も...さっさとクラスチェンジしないと不味いしな....なんか特別職とかあったらの話だけど。)

 

アスタルテ(検討はしておきましょう。)

 

アスタルテとの会話を終え、クレーターのど真ん中に大の字になって寝転ぶ。本当に力が入らない。

 

 

数分後

 

ティバーン「....ちっ、消えたか。おい、大丈夫か。」

 

エイリス「え、なんで鷹王が.....」

 

ティバーン「ヤナフから聞いた。初陣だから云々って事で、俺も助けに来た訳だが...アシュナードはどこだ。」

 

エイリス「撤退した....一応俺の勝ち、ではあるけど。戦いで消耗し過ぎた。.....抱えてもらって拠点まで連れて行ってもらっていいですか?」

 

ティバーン「まぁいいだろ。お前ほど軽いなら問題はねぇ。ヤナフ、ウルキ、他に残党がいないか探せ。俺は一旦こいつを戻してくる。」

 

ヤナフ・ウルキ『はっ!』

 

そのままティバーンに抱えられ、拠点に戻ることになった。これで鷹に助けられるのは2回目だな....今度何かしらのお礼を用意しなきゃな。




謹賀新年でございます(激遅)。

今回割と改変要素が強すぎて申し訳ない.....次の章からはちゃんと軌道修正はしますので....


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それでも前へ

なんかクリミア組がこぞって実装されましたね。ルキノ、なんかお前原作と実力がかけ離れすぎてないか.....?そんな強かったっけ


拠点

 

アシュナードが来るとかいうハプニングをなんとか退けて、こちら側が勝った。......というのはほんとに形だけ。総大将のアイクと旗印のエリンシアがボコボコにされた上に、おそらくその情報は軍の中で既に広まっている。トップがこうなると、戦いには勝っても今後の事を考えればあっちの方が1枚上手だったことになる。

 

 

エイリス「はぁーーっ......今後どうしよ。」

 

ティバーン「お前が総大将を変わってやればいいだろ。今じゃその噂でニンゲン共は大騒ぎだ。」

 

エイリス「俺が総大将になっても何の意味も無いんだが....」

 

そう、この戦いはアイクとエリンシアを旗印にして、それで勝たなければ何の意味も持たない。その権威を回復させるには、相当の時間がいる。

 

セネリオ「エイリス、少しいいですか?」

 

エイリス「ん?あー....どした?」

 

セネリオ「いえ、事後報告をまだ聞いていなかったので。場所を変えて、軍議をしている部屋に来てください。ここでは騒々しいでしょう。」

 

セネリオに呼ばれるまま、その部屋に向かう。セネリオもかなり眉間に皺を寄せていた.....まぁ、お互い中間管理職みたいなもんだからそうなるわな。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

拠点の一室

 

扉を開けると、セネリオ、ナーシル、タニス、ネフェニーが座って待っていた。なんかこの集まりは、新鮮だな.....

 

セネリオ「集まったようですし、報告を始めます。今回の戦果ですが.....数だけで見れば、僕たちの圧勝ということは間違いないでしょう。敵将カヤッチェの討伐、トレガレン長城のデイン軍の全滅、およびキルヴァスの傭兵の全滅、【狂王】アシュナードの撤退.....枚挙に遑がありません。」

 

ナーシル「初陣にしては、充分な戦果と見て間違いないだろう。特に、デイン国境を切り崩しにいって、しっかり成功させている。この情報が出回れば、今まで支援に踏み切れていなかったラグズ諸国や、各地に点在する反乱軍の士気の向上にもなる。」

 

エイリス「......うちの総大将と旗印が、負けてなければの話だがな。」

 

セネリオ「..........」

 

エイリス「両方の頭目が真正面から当たって負けたんだ。この事は当然デイン側によって発信されるだろうし、折角あの二人を中心に支援をしてきたサナキやベグニオン勢力の面目を潰してしまう結果にもなる。ベグニオンでいかに成果を上げようと、実戦でこうなってしまった事は事実として存在する。」

 

ナーシル「そこは避けては通れないだろうね。今回の痛手だ。」

 

タニス「.....だが、どれだけ批判しようとも、重要なのは戦争の勝敗。アイク将軍やエリンシア王女を批判したところで、それは負け犬の遠吠えと同じ。耳を貸す必要など全くない。」

 

ナーシル「神使殿はそうだろうが、元老院はどうする?彼らは最初からこちらを敵視していた。」

 

タニス「......そこに関しては、サナキ様やシグルーン隊長がなんとかしてくれるはずだ。それに元老院を牛耳っていたルカンはエイリスの手で葬られている。あの男を元老院の座から下ろした時点で、帝国内の反神使勢力は崩壊、今となっては烏合の衆だ。」

 

ナーシル「.....そうなら、それでいい。今後も帝国の支援は受け続けられるという事でいいんだね。」

 

タニス「そう取ってもらって構わない。」

 

そこからも淡々と状況報告が続き、一通り情報共有を完了させた。

 

ネフェニー「.......ちょっと、いいかな?」

 

セネリオ「どうぞ。」

 

一通り報告が終わった後にネフェニーが後ろで恥ずかしそうに手を挙げる。

 

ネフェニー「今日.....こっち側で、変な敵が出たんよ。」

 

タニス「あぁ.....そうだ。だがネフェニー殿の尽力で敵は壊滅した。操っていたあの怪しげな魔法使いは逃がしてしまったがな。」

 

ナーシル「変な敵....?それはどんなのだったんだい?」

 

ネフェニー「2つあった。ひとつはラグズだったけど.....化身状態が、1回も解除されなかった。もうひとつは....なんか、光を纏ってた。」

 

セネリオ「もう少し具体的な情報は?その殺した敵兵の遺体などは?」

 

タニス「倒した途端、消えたのだ。化身状態の解かれないラグズは、とりあえず気絶させて捕縛した。後で捕虜収容地点に行ってみれば分かるはずだ。」

 

エイリス(消える兵.....?光の使徒の事か?)

 

アスタルテ(いえ....光の使徒は、私が加護を与えた者の総称....そのような、身体が無い兵士などは無いはず。)

 

エイリス(じゃあなんだ....?)

 

ネフェニー「あんた.....あれ、何か知ってる?」

 

エイリス「いや....思い当たらない。それっぽいのは知っているが、倒して消えるのなら、それは俺が知っているのとは全く違う。」

 

ナーシル「君が考えているのは、一体何なんだい?」

 

エイリス「光の使徒....」

 

その言葉に一瞬ナーシルが反応したが、すぐ取り繕った為に周りは気づかなかった。

 

エイリス「光の使徒ってのは....【正】の女神アスタルテの加護によって、力を得た者の事を指してる。だけど、それはあくまで肉体があることが当然。だけど消えたときた....そういうのは俺も分からん.....」

 

セネリオ「戦いのことでエイリスが知らないというのは、珍しいですね。」

 

エイリス「俺だって全知全能じゃないよ。知らないことだって色々ある。」

 

頭の中で他作品の敵も思い返すが、そういうのがいたかパッと出てこない.....風花雪月のレア外伝の敵はそれに近いんだろうけど.....

 

ナーシル「だが、物理的な攻撃は効いたのだろう?ならそこまで心配する必要は無いと思うが......」

 

タニス「そう、物理的な攻撃は効いたのだ。そこがせめてもの救いだが........」

 

ネフェニー「あいつら....あんたが、誰かを守る時に出す光の障壁みたいなの.....纏ってた。」

 

タニス「この光の衣のような何か....それが何なのかまでは分からなかった。」

 

ナーシル「それはその、光の使徒とやらのオーラでは無いのかな?」

 

タニス「その可能性は捨てきれないが....目視すれば分かるが、あれがただのオーラのようなものとは考えにくい。.....言いたいことが分かるか?」

 

エイリス「魔法が効かない.....とか。」

 

タニス「我々はそれを危惧した。もし魔法が効かないのなら.....あの時はたまたま我々と対峙したから上手くいっただけとなる。もしこれから奴らが敵と混じって出てくるならば、エイリス含めた魔道士は苦戦することになる。」

 

不穏な報告に、少し力が入る。魔法無効、もし本当にそうなら、魔法しか使えない俺は確実に負ける。それが女神の加護故のものならまだ通るかもしれないが.....

 

セネリオ「不確定要素があることは分かりました。ただ、不確定要素から勝手に後ろ向きに考え、変な不安を煽るような行為は慎んでください。」

 

タニス「あらゆる可能性を考慮したまでのこと。楽観的に考え、いざ本当にそうだとしたら、その時の犠牲はどうなる?」

 

セネリオ「それを言い始めたら軍議や方針決定など出来はしません。現状ある事と、確率の高い予測から最善を選ぶ方が上策。やみくもに可能性を考えるなら、あなたは軍人に向いていません。」

 

タニス「なんだと!」

 

エイリス「おい2人とも揉めるな!」

 

軍議が始まってから、セネリオとタニスは頻繁に衝突している。傭兵団と軍隊の考え方の違い、参謀と帝国軍将校の重責.....2人とも背負ってるものが違う。さらに言えば、この2人は考え方がかなり似ている。だからこそ、同じ理屈なのに違う結論が出るため納得がいかないのだろう.......違う考えと割り切れているなら、ここまで衝突もしない。あっちもこっちも問題だらけ.....アイクのカリスマって、ホントすごいな。これを束ねるんだから....

 

ネフェニー「とりあえず.....どうするかだけ、決めて。」

 

セネリオ・タニス『.........』

 

ネフェニーの低い声が争いを静止させた。

 

セネリオ「.....このまま前進します。アイクがこの軍の総大将で、エリンシア王女が旗印なのも継続します。」

 

タニス「同意する。次の制圧地を決め次第、我々が偵察に出よう。」

 

ナーシル「では、ここから1番近いデイン国境はどうだろうか。このまま切り崩すなら、敵の準備が整う前に最短距離で攻めることが望ましい。」

 

セネリオ「概ね反対はありません。アイク達には申し訳ありませんが.....のんびり精神的休養も取っている暇はありません。アイクが倒すと決めた以上、僕はその為に最善を尽くします。」

 

タニス「決まりだな。では、明朝、日が上り次第我々は偵察に出る。エリンシア王女は、今のお心の状態では偵察もままならない.....今回は待機ということでかまわないか?」

 

セネリオ「はい。勿論そうしてもらう予定でした。」

 

タニス「配慮に感謝する。では私は部下たちに伝達してくる為、先にこの場を失礼させてもらう。」

 

淡々と方針が決まっていき、タニスは偵察準備の為に部屋を出た。

 

ナーシル「では、私も失礼させてもらおう。明日も様々な手続きで忙しいのでね。」

 

ネフェニー「お疲れ...様....」

 

ナーシルも、報告を済ませた後、去っていった。まぁナーシルも大変だもんな....色んな意味で。

 

 

 

数分後

 

セネリオ「.....少し、いいですか。」

 

エイリス「ん?どうした?」

 

ネフェニーも眠くなったため退出し、部屋にセネリオと俺だけになった。色々対策も備えてるのか、火を消して、入口を閉じた。

 

セネリオ「少し耳に入れておきたいことが....」

 

エイリス「ここじゃあれだろ。少し、拠点から離れたところで聞く。」

 

さすがにこんな暗い密室に男が2人いたらやばいしな......

 

 

トレガレン長城近郊 岩場

 

エイリス「ここならいいだろ....周りに人もいないし。」

 

セネリオ「そうですね....エイリス、ナーシルの件ですが、どう思います?」

 

エイリス「まぁ、怪しいよなってのはある。ただ今のところ、泳がせておいて問題ないとも見てる。」

 

セネリオ「今回狂王が真っ先にここに来たことが不思議でした....国境付近とはいえ、こうも正確に来るとは考えにくいです。」

 

エイリス「....ナーシルが、情報を流したって言いたいんだな。」

 

セネリオ「はい。これに確信を抱いたのは狂王の行動だけではありません。これまでのデイン軍の待ち伏せ....そして今回、タニス将軍側に来た謎のデイン軍の援軍。本来なら手の内を隠すべき彼らが、こちらに堂々と公開し、さらにその戦力を差し向けてきた....こんな所業、相手の出方を知っていなければまずやらない事です。」

 

エイリス「それで....その話だけじゃないだろ?」

 

セネリオ「.....少しの間、参謀の地位を代行してもらえませんか?次の作戦までは既に考えています。」

 

エイリス「諜報か....なら、うちの部下の諜報部隊も貸そうか?あいつら情報筋が裏からも取れるから、かなりいいぞ。」

 

セネリオ「そうしてほしいのは山々ですが....ナーシルは勘がいい類の人物....生半可に動けばバレます。」

 

エイリス「なら参謀を抜けたら、それはそれであれじゃないか....?」

 

セネリオ「アイクとエリンシア王女が怪我をしており、それを見る必要がある、そういう事には出来ます。ナーシルも分かっているでしょう、僕がアイクをどれだけ大切に考えているかを。」

 

エイリス「なるほどな....つまり、アイクとエリンシアは重傷だから、一時だけ俺が指揮を含めて動かすって形を取るのか。」

 

セネリオ「はい。おそらくこれを見た帝国軍は、自分たちが旗印を落としたのだと声高に喧伝するでしょう。先程の報告会でも継続と訴えたのはその為の演技です︎。」

 

エイリス「おーけーおーけー.....だが、本当にいいのか?一時とはここで変われば、帝国軍の援軍たちの考え方が変わる恐れがある。そこはどうする?」

 

セネリオ「心配ありません。アイクが重傷を負うのと同時に、エイリスの援護の下差し違うように奮戦したと偽報を流しました。辻褄は合いますし、理屈も通っています。」

 

エイリス「抜け目ないな....分かった。次はそうする。やっておきたいこともあるしな....」

 

次の章は....何かと重いし、支援レベルが確認できない為、例のイベントをどう対処するかもある.....なんなら、出来れば次の敵将の手を汚させるような真似すらさせたくない。次はそれくらい.....やるせない章であり、重い話が来る。

 

セネリオ「疲れているでしょうが....よろしくお願いします。」

 

エイリス「あー、最後にひとついいか?」

 

セネリオ「どうかしましたか?」

 

帰ろうとしたセネリオを引き止める。

 

エイリス「ミストが持ってるメダリオンの事なんだけどさ...」

 

セネリオ「あれが、どうかしましたか?」

 

エイリス「他言無用でお願いするが......あれは相当危険な代物なんだ。ミストが持ってる分には問題は無いんだが.....あれが別の誰かに、特にデイン側に渡るとかなりまずい状態になる。」

 

セネリオ「.....分かりました。ミスト周辺の動向に注意を向けておきます。.....話はこれで終わりですか?」

 

 

エイリス「ああ。後はお互いきっちり仕事を果たすだけだ。」

 

セネリオ「そうですね。頼みましたよ。」

 

そのまま2人で拠点にポータルで戻り、夜明けを待った。

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翌朝 拠点内部

 

エイリス「えーと...まぁとにかく色々ありまして、次の進軍までは俺がとりあえずアイクの代理をやります。なので間違ってアイクたちのいる天幕の方に行かないようにお願いします。」

 

帝国軍兵士たちの中にどよめきが生まれる。だが、批判というより、「あいつが....?」みたいな感じだった。

 

ベグニオン兵「アイク将軍は今どうなっているのです?」

 

エイリス「重傷もいいところ。まぁアシュナードとぶつかったんだ.....無理もない。」

 

ベグニオン兵「それほどまでに強力でしたか。」

 

エイリス「まぁね、でも重傷を負ったのはあっちも同じ。差し違えたことで....デイン側にも動揺は生じている。」

 

ベグニオン兵「と、言いますと?」

 

エイリス「デイン軍を実力順に分けると、頂点にアシュナード、その下に漆黒の騎士.....そして越えられない壁があって、四駿がいる。あっちにとったら絶対的信頼をおける最強の国王が2度も撃退された。紛れもなくこの事態はデイン側にとって痛手。アイク達の重傷が気にはなるが....相手の牙城を崩した今のタイミングを逃すことは出来ない。」

 

ベグニオン兵「そうでありますな。」

 

エイリス「アイク達が倒れている今、俺たち残った戦力がこの軍の中心になる。」

 

一息置いて、改めて整列しているベグニオン軍を見渡す。

 

エイリス「すーーっ.......兵士諸君、心して聞け!君たち一人一人がデイン軍を倒す英雄になるかもしれない!武功を上げ、君たちの威信と勇猛さを大陸中に改めてひびき渡らせろ!デイン軍を蹴散らし、この軍の主力が誰であるかを、その実力で示すのだ!!」

 

ベグニオン軍『はっ!!』

 

適度に高揚した雰囲気を更に上げ、とりあえずアイク不在からくる不安をかき消す。これで当面は手柄は武功に集中して、余計なことは考えなくなるだろう....多分な。演説と簡単な進軍方針を発表して、天幕に戻った。にしても士気、結構上がったな......ただ、あげ方はちょっと不味かったかも.....

 

 

ベグニオン兵A「やはり歴戦の将が言う言葉は違うな。」

 

ベグニオン兵B「あの魔道将軍、幼い割に将としての器がある。」

 

ベグニオン兵C「それに元々エイリス殿が率いていた兵は、盗賊、山賊、海賊、そして村民がほとんどらしい....つまり、武功を上げれば確実にそれを取り立ててくれる。我々にも機会はあるぞ!」

 

ベグニオン兵A「こうしてはおれん.....皆、今すぐ練兵に向かうぞ!少しでも武功を上げるために鍛錬するのだ!」

 

ベグニオン兵B「ところで、次の戦地はどこだ?」

 

ベグニオン兵C「ダルレカ水門付近の街のはずだ。ここから最短で行くのならばな。」

 

ベグニオン兵B「水門....か。厄介ではあるな。大河を使い進軍を妨げられてはたまらん。」

 

ベグニオン兵A「では、我々でまず水門を制圧しよう。必ずそこにもデイン軍がいる。我々がまず先陣を切り、武功を立てるのだ。」

 

ベグニオン兵C「偵察から戻り次第、タニス将軍に進言してみよう。魔道将軍達はおそらく主力を叩くはず....彼らと同じ戦場に立ったとしても、武功は上げにくい。」

 

ベグニオン兵B「では、別方向から戦うことになるな。」

 

ベグニオン兵A「敵の不意を付き、我々の手柄とするのだ。」

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半日後 拠点 天幕内部

 

タニス「ただいま偵察から戻った。」

 

エイリス「お疲れ様。」

 

セネリオ「では、会議を始めます。偵察した結果を教えてください。」

 

タニス「敵の数はそこまで多くない。ざっと見る限り30....その程度だ。伏兵などはいなかった。」

 

セネリオ「敵の主力編成は?」

 

タニス「今回ダルレカ水門の近くに陣取っているのは......元ベグニオン聖竜騎士団を率いていた、シラハム・フィザット卿、そして彼の配下もいた。」

 

ジル「!!!父上が.....」

 

ジルが明らかに動揺するのが手に取るように分かった。実の父親が次の戦いの将であった。

 

ティアマト「何故抜けたのかしら?帝国の聖竜騎士団なんて率いるなら、相当地位も高かったはず......」

 

タニス「先代神使様がご崩御された後、汚職に塗れる元老院の体制を厭い、理想郷を求め、旅立ったと聞く。若き竜騎士たちの英雄譚として、ベグニオン軍の中では知られている。フィザット卿はその当人なのだ。」

 

ジル「.........」

 

サザ「理解出来ないな。ベグニオンを抜け出す胆力があるなら、王位がアシュナードになった時点でデインを抜けても良さそうなんだけどな。」

 

タニス「フィザット卿も軍人の端くれ....抜け出したとはいえ、騎士として、軍人として主を裏切った後ろめたさはあったのだろう。2度も同じ事をしたくない.....そのような思いがあっても不思議ではない。」

 

サザ「軍人ってのは分かんないものだな。エイリスはそういうのあったのか?」

 

エイリス「いや、俺まず特定の主に仕えて無かったし.....末端からいきなり将校になって、それでやっとだーと思ったところで貴族達からクビにされたし。」

 

サザ「そういやそうだったなお前は。」

 

オスカー「当時もかなり騒がれてたからね。確か、ジョフレ将軍からレニング王弟に仕官しないかって言われて断ったらしい。」

 

エイリス「俺の話はまた今度な。話が脱線してる....それで、そのフィザット卿と戦うことになる訳だけど....ジル、お前はどうする?」

 

ジル「...!!!!」

 

今の今まで深刻そうな顔をしていたジルの方を向く。話を振られて、顔を上げた。

 

エイリス「これからある質問をするけど、ジルがどう答えようと、この場の全員はその意思を尊重して欲しい。皆、約束してくれるか?」

 

ティアマト「.....いいわ。何を聞くの?」

 

エイリス「単純な事ですよ。ジル.....父親について俺たちと敵対するか、俺たちについて父親と敵対するか、どうする?」

 

一同『!!!!!!』

 

タニス「待てエイリス殿、それが何を意味しているのか分からないのか!?」

 

エイリス「分かった上で言ってますよ。」

 

セネリオ「利敵行為です。それを僕たちに認めろと言うのですか。」

 

エイリス「もちろん。そうしてもらう。」

 

サザ「......お前の行動は、よく分からん。」

 

周りからは当然否定的な反応が示される。それは当然だ。堂々と裏切る選択肢を与えているからだ。

 

エイリス「アイクが負傷で離脱している以上、その役割を代行している俺には軍の人事権も有している。悪いけど、この場は立場と俺の顔を立ててもらう。」

 

サザ「この場で暴れだしたらどうする?武器をちゃんと装備してない今の状態なら、俺たちの2、3人の首取って父親に献上、なんて真似される可能性もあるんだぞ。」

 

エイリス「......俺がいる場所で、それは出来ないよ。もしそんな真似をした場合、その時はこの場で責任をもって俺がジルを始末する。」

 

ジル「.........」

普段はこんな物騒な言葉と上からの威圧的な態度を取ってないから、やってて自分でも違和感が凄い。まぁでも本来はこうあるべきなんだろうけどね。そしてジルは、さっきの言葉を受け止めきれてないのか、目が泳ぎ始めている。

 

エイリス「父親につくなら、それはそれで結構。次会う時は戦場で向かい合う事になる。保留でも別にいいし。それに元々ジルはデイン軍、ひょんな事で俺たちに付いてくる事になったけど、さすがに父親や顔なじみがいる軍と戦うとなれば、色々と混乱する。戦場でいきなり裏切られても困るから、今聞いてるって訳。」

 

ミカヤ「エイリス.....さすがに、これはないわ。ジルの気持ちを......」

 

自分でも酷いことをしているのは充分自覚している。だけど、ゲームと違ってジルを動かすことが出来ない。ゲームなら、出撃させるかとか支援の確認とかが出来る。だけどこっちだとそうはいかない。出撃していつの間にか敵になってる事もあるし、出撃を禁止しても勝手に出ていって会おうとする事すらある。

 

エイリス「ミカヤ、悪いけどこの問題だけはこうしておかないといけないんだ。」

 

ミカヤ「それでも急すぎるわ。」

 

エイリス「....なら、拘束して拠点に無理やり収容することになるよ?本人が裏切るつもりなら、出撃を許可しなくても勝手に出ていくだろうし。」

 

ミカヤ「......」

 

エイリス「今まで特に対処に急を要さなかったから放置してたツケが出ただけの話。だから最初に聞いたんだ、どんな選択をしようとジル本人の選択を尊重するって事を。」

 

ジル「エイリス....いや、将軍殿。私に与えられている選択肢を、教えてくれ.....」

 

エイリス「選択肢作ってもいいけど、出来れば自由に決めて欲しい。」

 

サザ「.......自分で決めたらいいだろ、それくらい。」

 

サザの何気ない一言に、ジルが大きく反応する。ミカヤもジルの方を心配そうに見る。......この3人、何かあったのか。

 

ジル「......今ここでは決められない。エイリ...将軍殿、次のダルレカの戦いに私を出撃させてくれ。そこで決めたいんだ。」

 

セネリオ「それはつまり、裏切る事も当然あるという認識で間違いないんですね?」

 

ティアマト「セネリオ、その言い方は.....」

 

セネリオ「こっちは戦争なんです。身近に裏切る選択肢があると平然と言ってのける人間がいるのは問題です。」

 

セネリオの言葉に一部の者が頷く。この問題、本来の蒼炎ならあんまり重く触れられてなかったけど、ちゃんと会議で触れたらここまで分裂するんだ......そりゃそうか。戦争だもんな。

 

ジル「.....ならば、こうしよう。もし私が裏切る選択肢をしたなら、その時はまず将軍殿に書簡で伝える。そしてその返事が来る次第、私は行動を始める。」

 

セネリオ「.........いい加減にしてくれませんか?そんな自分勝手な言い分が通るとでも思ってるのですか?書簡で伝える?僕たちがやっているのは戦争ごっこでは無いのですよ。それに何故主導権がそちらにあるのですか?その図太さと非常識さ、どうにかした方がいいですよ。」

 

セネリオが声を荒らげるのを何とかして堪えようとしている。実際問題、今のジルの提言を聞いて、タニスは呆れ、ナーシルはこんな人間いるのかというような顔をしており、ティアマトも少し頭を悩ませている。

 

ジル「私だって必死なんだ!軍人である以上、軍を裏切ることがどれほど罪深い事か......そんな事は訓練生時代から嫌という程教えられている。しかし、ここまでデイン軍でありながら私を置いてくれたここへの恩義に背くことは人の道を外れている。この問題は私がずっと所属を曖昧にしたまま、アイク将軍に甘えていたせいだ。だから私は、書簡で伝えると言ったのだ。」

 

セネリオ「だからそれが」

 

ジル「待ってくれ。私は書簡が返ってくると同時に動くと言ったはずだ。つまり、書簡を返さず握り潰せば私は行動を起こさない。つまり、無抵抗のままでいるということになる。」

 

マカロフ「それを、俺たちに殺せって事か?」

 

ジル「そういう事だ.....。だが覚悟はしている。デインを裏切り、この軍を裏切った私に、もはや居場所など無い......。そのような軍人には屈辱的な死に方がお似合いだ。私はそれを受け入れる気はあるし、どのような拷問、陵辱、殺され方をしようともそれは今までの行動の報いとして甘んじて受け入れる。」

 

ジルが放った言葉に再び場が静まりかえる。裏切りに後ろめたさを感じる人間は多くいる。だけど、ここまで覚悟ガンギマリな処分を自分から口にしてそれを受け入れる態度を取り、更にそれのやり方まで全部自分で言ったのだ。こんな異様な光景は、今までに無かった。

 

エイリス「まぁ何にせよ、元々ジルは傭兵団で雇った訳で、アイクに人事の一切の権利があるから、今はその代行の俺がその権限を持っている。ジル、これだけは言っておくよ。選択は好きにすればいい。」

 

ジル「........」

 

マカロフ「つかそれってさ、逃げてるだけじゃん。」

 

そして今までの会話を聞いていたマカロフが前に出てきてジルの前に立つ。え?ここでお前出るの.....?

 

マカロフ「裏切るから処分はいかようにもしてください〜って、それ、自分の罪悪感を無くす為にわざと罰を受けようとしてるって事だろ。罰を受けることで、罪を償った感を、罪悪感から逃れた感を得たいだけじゃん。うちの妹よく言うんだよ。『お金借りてる人に申し訳ないと思わないの!?早く返してちゃんと罪悪感抱いてよね!!』ってさ。」

 

ジル「!!!」

 

エイリス「そうだな。とりあえずさっさと肩代わりした分の借金と利息分の働きをして欲しいもんだな。」

 

マカロフ「いやー、そうしたいのは山々なんだけど今手持ちがなー.....」

 

エイリス「よくそれで他人を諭す気になったなお前......」

 

マカロフ「それに、軍人なんだろ?親父さんの前でそんな醜態晒すなって。親父が可哀想だろ?それ身内の恥になるし。身内の恥を堂々と晒すなよー。」

 

ティアマト「マーシャが着替えてる最中に財布盗もうした貴方は充分マーシャにとって身内の恥じゃないかしら.....?」

 

マーシャ「え!!!?そんな事してたの!!?」

 

マカロフ「俺が折角ありがたい話をしてるんだから、話の腰を折るなよー。」

 

一同(((((逃げたな.....)))))

 

マカロフ「まぁなんだ、裏切るなら綺麗さっぱり裏切って、こっちに付くならちゃんと付く。これが一番だと思うぞ。言っちゃなんだが、人間自分が1番だ。他人とか組織の事ばっか考えてたら毛が抜けるぞ。」

 

マカロフがジルを諭す光景、なんだこの異様さは.....だが、さすがろくでなし。普段の自分の行いの結果もあって、発言の深みが凄い。こう立場を気にせずさっぱり言ってやれるのも、こういう人間の良さなんだろうな....ろくでなしだけど。

 

エイリス「マカロフ、とりあえずありがとう、下がってくれ.....まぁそういう事だ。安心しろ、俺が本気を出したらジルがそんな行動を起こす前に、1発で消し炭に出来る。俺の魔法、竜騎士に特攻あるから。」

 

ジル「そうなのか....」

 

エイリス「まぁ軽い冗談はともかく、さすがに1人で行かせるのは心許ないな.....サザ、ミカヤ。2人で、ジルがフィザット卿の所まで行って話すのを見届けてくれないか?」

 

サザ「分かった。」

 

ミカヤ「分かったわ....でもエイリス、もしもの事があったら....」

 

エイリス「.....そこはお前たちに裁量権を与える。ただ、もし2人で対処出来ないのであれば....その時は戦線から1回離脱して俺たちと合流してくれ。不安なら、もう1人つける。レテ、行ってくれるか?」

 

レテ「要請なら仕方ない。だが裏切ると分かれば、私はその時点で襲いかかるからな。」

 

ジル「分かっている.....」

 

エイリス「よし、これで一旦ジルの案件は纏まった。次に進軍方針だが。」

 

 

パンと手を叩いて、空気を変える。この話に熱中していたが、よくよく考えたらほとんど何も決まってなかった......

 

 

 

 

タニス「では私から進言させてもらう。先程、帝国軍の兵士が、先に水門を掌握するべきとの献策を私に伝えた。理由として、水門を解放して進軍を遅くさせる企みを防ぎたいとの事だ。」

 

セネリオ「水門を開けるとなれば、市民への被害は甚大ですが.....今のデイン軍なら、やっても不思議では無いですね。」

 

ネフェニー「うん....制圧は、しておきたい。」

 

エイリス「よし、ならタニス将軍、帝国軍一個小隊を率いて水門の制圧に向かってくれ。」

 

タニス「分かった。我々が別働隊として制圧に当たる。」

 

エイリス「ネフェニーとヤナフとマーシャは、本隊として出撃するけど、水門がもしデイン軍に再び掌握されそうになった時は援護に向かう準備をしておいてくれ。」

 

ネフェニー「ん.....分かった。」

 

タニス「出撃時間は?」

 

エイリス「今日の明け方。明日になれば、確実にあっちも動き出す。今夜中に動いて水門を制圧。明け方には俺たち本隊がフィザット卿率いる部隊と対峙出来るようにそれ以外の不安要素を全て取り除く。セネリオ、これでいいな?」

 

セネリオ「はい、問題ありません。これならば、充分に実行可能と思います。」

 

エイリス「よし、果断即決。ここからは速さが勝負になる。全員、すぐに出撃準備を。タニス将軍は帝国軍に通達。至急小隊を率いて向かってくれ。」

 

タニス「了解した。兵士たちに伝える。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

一方 デイン軍

 

シハラム率いる竜騎士は、来るであろうクリミア軍に備え、準備を整えていた。住民への通達は完了済、部隊の士気もそれなりに高かった。何よりここ10数年、現地の人々との関係に尽くし、着々とその信頼を得た。今回の戦争の通達で、自分たちの軍事行動に了承をくれたのもその証と言って間違いないものだった。

 

シハラム「必ず被害は最小限に食い止める。皆の者、良いな?」

 

兵士たち『はっ!』

 

デイン軍兵士「シハラム殿、プラハ様がお見えになっております。」

 

シハラム「プラハ殿が...?通してくれ。」

 

デイン軍兵士を控えさせ、プラハを天幕に招き入れる。

 

プラハ「準備は出来てるのかい?」

 

シハラム「はっ、クリミア軍を迎え撃つ為にも現地住民への通達も終え、今は迎撃に備えております。」

 

プラハ「それはいい心がけだ。だけど足りない。水門を開けな。それが1番手っ取り早い。」

 

シハラム「........本気ですか!?」

 

プラハ「明日の朝、すぐに取り掛かりな。」

 

シハラム「し、しかし、プラハ殿!そんなことをすれば、デイン側にも被害が......」

 

水門を開けることになれば、集落の被害は甚大。折角軍事行動についての理解を得られた直後に、この無慈悲な命令が降りた。納得が出来ないのも当然である。

 

プラハ「国のためなんだ。領地の1つぐらいでぐだぐだお言いでないよ。」

 

しかしプラハはそんなシハラムを気にも留めず淡々と言う。まるで犠牲を出すことを軽んじているかのように。

 

シハラム「お言葉だが.......クリミア軍の足止めが目的であれば何もそこまでせずとも、我が部隊の力をもってして.....」

 

プラハ「........その台詞は聞き飽きた。いいかい?おまえたちのような、よそ者部隊が、勢いにのった今のクリミア軍を潰せるなんて期待はしちゃいない。確実に足止めさえしてくれればそれでいいんだ。あのイカれた魔道将軍やムカつく戦乙女を殺せとは言ってないんだ。温情だろ?」

 

シハラム「プラハ殿!あなたはそこまで、我らを軽んじられるか!?確かに.....我らの生まれ育った国はベグニオンであって、デインではない。しかし......我が竜騎士隊がベグニオンよりデイン配下に移ってからの18年......私も部下たちも、デインの国風に馴染むべく最大限、努力を惜しまなかったつもりだ。それを未だ、よそ者呼ばわりをなさるとは....」

 

その言葉は、これまでの全てを否定するものだった。帝国の汚職を厭い国を離れ、デインに所属してからは忠誠と理解の為に粉骨砕身した。それがまるでいらないと言わんばかりの発言にさすがに怒りが滲み出た。

 

プラハ「年数なんか聞いちゃいないよ。生まれ?育ち?ハッ、そんなものこの国じゃ、どうだっていいんだ。デイン王の要望に応えられる者こそがデイン国民なのさ。」

 

シハラム「私たちが、無能だと......そうおっしゃるのか?」

 

プラハの信じられない発言に、震えをおさえ聞く。ここまで軽んじられることがあるだろうか、そんな思いがシハラムの心を支配した。

 

プラハ「さてねぇ。とりあえず、王都の警備として召し上げられたはずのあんたの部隊が、どうしてこんな辺境の配属になったのか......答えは明白だと思うが。どうだい?」

 

シハラム「.......っ!」

 

しかし、現実はそうであった。本来聖竜騎士団ともなれば、デイン側からすれば中心に近い役職を与えるのは当然の歓待である。しかし、その当の自分たちは国境付近の街にいる。これが現実でありデイン王が出した答えであった。お前たちは実力の無い、弱者であると。

 

プラハ「悔しかったら、ここで見事クリミア軍を仕留めてみせるんだね。おまえたちが上手く立ち回れば被害を最小限に食い止めることができるんじゃないかい?あくまで、あの魔道将軍率いる部隊を相手に、だけどね。」

 

シハラム「........」

 

プラハの言葉で、シハラムの心にも1つの決断を下すことになった。何としてでも止めて戦果を上げる。この国ではこれが普通であり、こうしなければ自分たちは生きていけない......そう覚悟を決めた。

 

プラハ「フフン、いい顔だ。結果を楽しみにしてるよ。特に魔道将軍、あいつはデイン王に2度も屈辱的な仕打ちをした。あいつを倒したとなれば、さぞお喜びになり、取り立ててくれるだろうねぇ。」

 

シハラム「.......」

 

プラハ「しかしこんな辺境にわざわざ私を通達の為に送るとは、イナは何を考えてるんだい....漆黒もそれに肩入れしていた。おい、そこの兵士。」

 

兵士「は、はい!!」

 

プラハ「私の寝る場所を用意しな。あと馬の手入れもしておきな。」

 

兵士「か、かしこまりました!!」

 

そしてプラハは天幕から出ていき、休息を取りにいった。

 

デイン兵「シ、シハラム様.....ほ、本当に、やらねばならないのでしょうか?こんな恐ろしいことを.......やっと.....この土地の領民たちとの間に信頼関係が築かれつつあったというのに.....」

 

シハラム「.......従うより他、我らに選択肢はない。あの女の言うとおりだ。我らにできることは.....一刻も早く、クリミア軍を倒すことだけなのだ.....」

 

デイン兵「......将軍.....」

 

シハラム「魔道将軍、出来れば貴殿とは1人の騎士として、戦場であいまみえたかった.....」

 

デイン兵「それにシハラム様....敵方にはジルお嬢様も......」

 

シハラム「分かっている.....だが、それはジルが決めたことだ。」

 

デイン兵「我々を裏切り....ジルお嬢様は殺しにくるのでしょうか。」

 

シハラム「娘にはデインに馴染むよう徹底的に教育したのだ.....どうなるかは分からぬ。だが軍人であるならば、我々と敵対することが当然だ.....」

 

デイン兵「心中お察しいたします.......」

 

シハラム「お前たちも、今夜は身を休め、明日水門を開け作戦を実行する。.....辛い1日になるだろうが、共に参ろう。」




戦闘中に奥義が発動しないルキノの武器スキルは、おそらく原作にある能力勝負を頑張って形にしたんだろうな....とは感じた。.......開花エリンシアが杖なのは、まぁ.....うん。加入タイミングとの遅さと力の低さ故に杖運用されるのがエリンシアは中々あるからな......



なんかこういう回が最近多くて、中だるみしてる感が拭えないのが本当に申し訳ないな.....ただ、ここでこういう細かいところを入れておきたいのじゃ(二次創作だし許して)。


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電光石火

最近のヒーローズはインフレスピードがヤバすぎてついていけんのだ....(なんかリュールが妙に硬い)


深夜 ダルレカ水門付近

 

タニス「まだ身を隠せ....機会を狙って、奇襲をしかける。」

 

ベグニオン兵『はっ!』

 

ベグニオン兵を引き連れ、偵察で分かった警戒が手薄な道を辿る。市民が避難しているからか、街は不気味なほどに静かだった。

 

ベグニオン兵A「タニス将軍、なぜ我々だけ先行しているのですか?」

 

タニス「大勢を引き連れていけば奇襲を悟られる。まず我々で水門を制圧し、その後本隊を突撃させる。」

 

ベグニオン兵B「しかし、敵兵力が多い場合は?」

 

タニス「事前に偵察済だ。ここの警備に兵士はあまり割かれてない。もうすぐ着く。息を潜めろ。」

 

水門付近に近づき、警備の兵士と駐屯所を確認する。

 

タニス(敵は5、6人程度.....よし。)

 

タニス「行くぞ。迅速にこの場を制圧する!」

 

ベクニオン兵『はっ!』

 

一気に姿を現し、油断していた見張りの兵を殺す。

 

ベグニオン兵C「動くな!武器を捨て手を上げろ!」

 

駐屯所にいた兵士も制圧し、水門の制圧に成功する。

 

タニス「合図を送れ!ここの防御を厚くするんだ!」

 

ベグニオン兵『はっ!』

 

狼煙を上げ、制圧の合図を送る。それを確認した残りの兵が一気に水門まで登ってくる。

 

タニス「これで本隊にも制圧したことは伝わったはず。我々はここで待機!水門を取り返しに来るデイン兵を迎え撃て!」

 

ベグニオン兵『はっ!』

 

タニス(しかし妙だな....あまりにも上手くいきすぎている。)

 

仮にも水門、ここを制圧されれば水の供給を絶たれる事にもなる。そのような要所の警備がたったの6人。20人いれば奇襲は成功してしまう。

 

ベグニオン兵B「タニス将軍!」

 

タニス「何だ?」

 

ベグニオン兵B「それが....水門付近の洞窟らしき場所に、人が.....」

 

タニス「敵兵士か?」

 

ベグニオン兵B「いえ、それが....」

 

タニス「なんだ、はっきり言え。」

 

ベグニオン兵B「....村民です。避難しているであろう、非戦闘員がいました。」

 

タニス「何だと!?偵察の時にそんな影は.....」

 

ベグニオン兵C「タニス将軍!ご報告申し上げます!」

 

タニス「今度は何だ!?」

 

ベグニオン兵C「山麓から....【四駿】のプラハ殿が登ってきています!」

 

タニス「くそ.....謀られたか。迎撃する。村民は一旦放置する!先にプラハを迎え撃つ!各員、戦闘態勢に入れ!」

 

ベグニオン兵『はっ!』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

デイン軍 シハラムside

 

シハラム「..........」

 

竜騎士を待機させながら、シハラムはしわの入った眉に手を当てる。

 

竜騎兵「将軍.....」

 

シハラム「仕方ない.....これも、作戦なのだ。」

 


さかのぼること3時間前、シハラムはプラハからとある命令を下されていた。

 

 

プラハ『あぁそうだ.....住民を水門付近に避難させな。出来れば、水門を開けた途端水に飲み込まれる場所で。』

 

シハラム『な、何をおっしゃられる!?住民に死ねと申されるのか!!』

 

プラハ『勿論ただ死んでもらう訳じゃないさ。今しがた入ってきた情報によれば、あちら側は水門を制圧するつもりらしい。』

 

シハラム『....それがどうされたのか?』

 

プラハ『要は、相手はこっち側に水門を開けて攻城戦の遅延をしようっていう策を封じようとしてる訳さ。』

 

シハラム『なぜそこまで分かられる?』

 

プラハ『魔道将軍は未来を見る.....この言葉、聞いてない訳じゃないだろ?デインにいれば嫌でも耳に入る話さ。』

 

シハラム『......水門を開ける策を読んでいる、と。』

 

プラハ『そう考えて妥当だろうね。弱小なクリミアには勿体無い人材だよ全く....そこでだ、水門付近に住民を避難させる。』

 

シハラム『彼らを盾にすると?』

 

プラハ『違うさ。住民を捕縛して脅迫してるって噂を流す。お優しいあちら側の事だ、非戦闘員が後ろにいればそれらを守るために戦う。』

 

シハラム『........』

 

プラハ『そこをこっちが....あたしが単騎で落とす。どうせ奇襲、本隊はあんた達を落としに来るだろうね。』

 

シハラム『まさか......我々を捨て石にするのか。』

 

プラハ『それが何か?アシュナード様ですら倒せてないあいつを、あんた達が落とせるとでも?』

 

シハラム『.....作戦の全容を聞こう。』

 

プラハ『妙に従順だね、それでいい。私が単騎で水門を制圧した後は、水門を開けて住民ごと死んでもらう。そしてそれを全てあいつら側が行った虐殺行為として流布する。つまり構図としては、『残虐非道な行為をしようとしたクリミア軍にあたしが報復、シハラム将軍率いる竜騎兵団は、卑怯なクリミア軍に一矢報いようと突撃するも全滅。』....どうだい?あんたにしては名誉ある死に方だろう?』

 

 

シハラム『賛同できぬ....そのような嘘にまみれた栄誉など.....』

 

プラハ『抜かすんじゃないよ!!相手がどれだけ強いかは分かってるんだろ!?ならこっちも手段なんて選んでられないってのがまだ分からないのかい!?』

 

シハラム『.....!!!!』

 

プラハ『それにあたしは【四駿】、あたしの命令を無視することは規律違反。従うしか選択肢が無いのが分かる?』

 

シハラム『......承知した。その策に従い...ましょう....』

 

プラハ『ふん、最初からそう言えば良かったんだよ。編成しときな。いつでもいいように。』


シハラム「ぐっ.....!!!」

 

血が出るほどに唇を噛む。軍人として、手を汚す覚悟は出来ていても、このような汚し方をしたくはなかった。その後悔の念がシハラムを悩ませる。

 

デイン兵「将軍!ご報告します!水門付近から狼煙が上がっております!」

 

シハラム「来たか....出撃する。一刻も早く、クリミアを倒すのだ!」

 

デイン兵『はっ!』

 

 

ハール「.....本当にこれで良かったんですか?......シハラム殿。」

 

シハラム「国王の信を得るには非情冷酷であらねばならん。我らがこの国で与えられた任務は.....ラグズの乱獲、駆逐.....そして....よりによって領民の暮らすこの土地を水没させることの手助けか.......」

 

ハール「シハラム殿.....この国で『ラグズ』なんて言葉を使うとたちまち逆賊としてひったてられますよ。」

 

シハラム「......フッ、そうだな。極端な反ラグズ思想を持つこの国で暮らすため......これまでの知識を封印し、我が子には徹底的に“半獣”を憎むよう教育を施した。子供に思想を植え付ける愚かな行いではある......ただ、この国で生き延びるために......」

 

全て愚かで、誤った行いであることは重々に承知していた。しかし、この国で生きていくことを決めたことは自分自身であり、自分の娘に自分が持つ知識をそのまま与えれば.....即異端扱いを受け、罰せられていたことは明確であった。それを見過ごせるほど、父親として冷酷にはなれなかった。

 

ハール「......アシュナードのせいで、この国がこうなってしまったことは大誤算でしたが.....それでも、俺は....元老院の汚職への加担を厭い......ベグニオンを捨てたあなたの志を.....支持しますよ。」

 

シハラム「ジルは......クリミア軍を離れただろうか?」

 

ハール「一応、忠告はしておきました。言い返されましたけどね。」

 

シハラム「そうか.....娘と戦うことだけは.....避けたい。」

 

ハール「戦うことはどうかは知りませんが....必ずシハラム殿に会いに来るとは思いますよ。」

 

シハラム「ジルはお前に何と言い返した?」

 

ハール「『そのご忠告、今回ばかりは聞けません。父上に会い、選択したいと思います。それが私に親しくしてくれた友と交わした約束への、せめてもの礼儀です。』との事です。見違えてましたよ。」

 

シハラム「(良き友と出会えたようだな.....)1つだけ、頼まれてくれるか。」

 

ハール「なんなりと。」

 

シハラム「おまえは、戦いに参加するな。」

 

ハール「!?」

 

シハラム「勝負がついたのち......我が隊が敗れたなら......生き残った者と.....その家族たちを頼む。」

 

ハール「はっ!.......シハラム隊長。」

 

シハラム「隊長か.......おまえにそう呼ばれたのは.....何年ぶりだろうな。」

 

ハール「ご武運を。そして......長い間.....お世話になりました…!」

 

シハラム「......うむ.....」

 

ハールに撤退を促し、真正面から来るクリミア軍を見据える。対峙するのにもう数分もない距離に来ていた。

 

シハラム(魔道将軍殿....そなたの水門を制圧する策に感謝しますぞ。それと同時に....あなたを討たせてもらう。)

 

トマホークを握りしめ、周りに待機している部下たちを一瞥する。

 

シハラム「行くぞ....偽りの名誉とて構わぬ。.....せめて、騎士として、領地を治める者として、不法侵入を犯した者を倒す!総員突撃!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

エイリスside

 

エイリス「時間との勝負だ!この一瞬でケリをつける!進め!」

 

最前線で指揮を取りながら、次々に目の前にいる敵兵を蹴散らす。

 

ジル「.....将軍殿。行ってまいります。」

 

エイリス「分かった....ミカヤ、サザ、頼んだぞ。」

 

レテ「不安だ...おい、私も行く。いや、行かせてもらうぞ。」

 

エイリス「構わない。行ってくれ。」

 

ジルが少し高く浮上し、シハラムの元へ龍を進める。ミカヤとサザ、レテもそれについていくように少し先行した。

 

 

 

ベグニオン兵「ご報告申し上げます!!水門の麓から【四駿】のプラハ殿が単騎突撃!現在タニス殿率いる帝国軍と交戦中にございます!」

 

エイリス「やっぱり来たか....ネフェニー、頼んだぞ。」

 

ネフェニー「うん....」

 

ネフェニーを別働隊として派遣し、目の前の相手に集中する。

 

 

 

 

 

 

 

 

シハラム「ジル、来たか.....」

 

ジル「父上.....」

 

ジルとシハラムが対面する。

 

デイン兵「ジルお嬢様!ハール殿だけでなく、父上を裏切られるとは...!!」

 

シハラム「.....口を慎め。」

 

デイン兵「はっ......申し訳ありません。」

 

シハラム「お前たちは先に前進せよ.....2人で話がしたい。」

 

デイン兵「し、しかし将軍!後ろに敵兵が2人と、半獣が1匹います!これでは....」

 

シハラム「構わぬ。事実、そこの御仁達は何も構えていない。....良いな?」

 

デイン兵「.....!!!はっ!」

 

周りにいた竜騎兵達に出撃命令を出し、ジルを再び見据える。

 

シハラム「ジル....見違えるように成長したな。」

 

ジル「父上こそ....何があったのですか?随分と思い詰めた顔をしていますが.....」

 

シハラム「ジル.....後ろにそのはん....ラグズは、お前の仲間か?」

 

ジル「!!!.....父上、どうしてそれを.....それに今ラグズと....」

 

シハラム「ジル....お前には全て話さねばならぬ。......私は元ベグニオン聖竜騎士団にいた。」

 

ジル「はい.....それはタニス殿から聞きました。」

 

シハラム「タニス、か.....聖天馬騎士団にいたあの気性の強い女か。聖天馬騎士団とはよく共に戦い、ベグニオンを守ったものだ.....だが、帝国は汚職に塗れていた。元老院同士の不正な取引、反神使派、奴隷解放令が出たにも関わらずラグズを奴隷として酷使する貴族たち......私は、それを仕方ないと済ませられるほど大人では無かったのだ。」

 

ジル「......」

 

シハラム「結果として、私は当時の部下たちを引き連れベグニオンから抜け、ここデインに士官することになった。ラグズへの差別が厳しいが、軍に規律があり実力主義であった.....アシュナード王に変わられてからは全てが変わったが、私はここに忠誠を尽くすことにしたのだ。」

 

ジル「そうだったのですか.....」

 

シハラム「そしてお前が産まれ、ある選択をしなければならなかった。この国は大陸で最もラグズを差別する国....もしラグズなどと正式な名前で呼ぼうものなら、すなわち反逆者として処罰される程に、だ。だから私は、お前がこの国で生きていく為に、私の持つ知識を封じて徹底的な反ラグズ教育を施した。その結果、お前はデインの立派な騎士になったのだ。」

 

ジル「......!!!」

 

シハラム「.....許して欲しいとは言わぬ。全ては正義を貫く事の出来なかった、この愚かな父親の責任だ.....」

 

ジル「父上....父上は何も間違っていません。父上はデインに忠誠を誓った身。であるならば、父上がデインの意向に沿って教育を施すのは、兵士として当然の役割です。」

 

シハラム「そうか、そう言ってくれるか......お前を、ベグニオンで産んでいれば、そうはならなかっただろう......」

 

ジル「父上、ご自分を悪く言うのはおやめ下さい。私も、この目でベグニオンの汚職と内政事情は確認しました。実際.....この軍の将軍代理であるエイリス殿は、反神使派の頭角であるルカン殿と対峙し、ベグニオン神使を陰謀の魔の手から救われました。」

 

シハラム「.....それか真実か?」

 

ジル「はい。」

 

シハラム「そうか.....そうであったか.....(これならば、娘の心配をする必要も無いようだ)」

 

ジル「父上....?どうされました?」

 

シハラム「何でもない。幾多の修羅場を乗り越え、成長したのだな......」

 

ジル「......」

 

シハラム「ジル....水門の方に【四駿】のプラハ殿が向かった。そしてその付近には領民もいる.....分かるな?」

 

ジル「まさか...父上....!!!」

 

シハラム「私は....その命令に従ったのだ。これから、領民を見殺しにする覚悟ももう出来ておる。」

 

ジル「そんな.....」

 

シハラム「これを止める方法は1つ....私を討つ事だ。どうするジル.....時間は無い。ここから先、どうするか決めて欲しい。」

 

ジル「......」

 

シハラム「どちらを選んでも構わぬ。だが敵になるなら、父を手にかける覚悟をせよ。」

 

ジルはミカヤとサザ、レテを一瞥し、再び父を見据える。利でもない、生存戦略でもない、忠義でもない......付くか付かないか、ただそれだけだった。

 

ジル「......父上、率直に結論を申し上げます。私.....私、ジル・フィザットはこれよりシハラム・フィザットを敵とみなし、戦います。」

 

シハラム「そうか......」

 

ジル「私には、友と交わした約束があるのです....そして、この戦いの中で私は幾度となく、自らの選択から逃げ、ずっと命令されるがままに生きてきました......しかし、そんな私を正面から見据え、叱ったり慰めてくれた人がいるのです。そしてそれは、今私の下にいる2人に限りません...あのラグズも、アイク将軍の妹も......私は、私を狭い世界から救ってくれた御仁達を護る為に、約束を果たす為に戦います。ですので父上....お手向かい致します。どうかお許しを.....」

 

シハラム「構わぬ。自らそう決めたのであろう。構えろジル....ここからは敵同士だ。もう許しを乞うことも、泣くことも許さぬ。覚悟せよ!」

 

ジル「.....決着を付けます。」

 

両者が斧を握り、距離を取り始める。

 

デイン兵「!!....いけません、将軍!」

 

しかし、シハラムを援護しようと近くにいた竜騎兵達が近寄ってくる。

 

サザ「近づくな!」

 

ミカヤ「この2人の戦いは....邪魔させないわ。」

 

レテ「お前たちの相手は私たちだ。覚悟しろ!」

 

サザは短剣を投げ、ミカヤはパージで竜を怯ませ、レテは直接飛び上がって襲いかかる。

 

シハラム「お前たちはその3人を相手をしろ。この竜騎兵は....私1人で討つ。手を出すな。」

 

デイン兵「しかし、将軍.....」

 

シハラム「命令が聞こえぬのか!!もうこの者は敵だ!私に構う必要はない!」

 

デイン兵『はっ!』

 

竜騎士は3人の追撃に当たり、シハラムはジルを見据え、斧を振り上げる。

 

ジル「父上....いや、シハラム・ウィザット将軍、いざ参る!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

帝国軍side

 

タニス「くっ...やはり強い...!!!」

 

プラハ「お前たちごときであたしが止められるとでも思ってるのかい!」

 

ベグニオン兵「ぐぁっ!」

 

プラハの猛攻の前に、帝国軍の兵士が1人、また1人と倒れていく。帝国軍も攻撃をしかけてはいるが、プラハにそれといったダメージが与えられていない。

 

ベグニオン兵C「タニス将軍!被害甚大です!撤退命令を!」

 

タニス「ダメだ!ここを許せば、味方もろともこの水門から出る水に巻き込まれて壊滅する!」

 

ベグニオン兵C「し、しかし我々では....!!!」

 

タニスも頭の中では撤退が正解だということは分かっていた。だがここを通せば作戦は失敗に終わるだけでなく、水害の被害が敵味方、そして領民に及ぶ。通すことだけは許されなかった。

 

タニス(どうする.....こういう時、シグルーン隊長なら、エイリス殿なら.....)

 

シグルーンとエイリスなら、おそらく単機でプラハを食い止め、残りの戦力で他に当たる.....それ以外タニスには思いつかなかった。

 

タニス(ここを死に場所としたくは無かったが....背に腹はかえられない。)

 

ベグニオン兵A・B『喰らえ!』

 

プラハ「ちっ....厄介な奴らめ。」

 

命令を口にしようとした瞬間、兵士2名がプラハを一瞬ではあるが怯ませた。

 

ベグニオン兵A「怯むな!この任務は、魔道将軍殿が我々帝国軍を信頼し、配置された重要な任務である!!敵がたとえ【四駿】であろうと、我々帝国軍人が屈してはならぬのだ!!」

 

ベグニオン兵B「タニス将軍、ご命令を。我々帝国軍兵士、この場でたとえ全滅しようとも任務を続行いたします。」

 

気づくと、目の前の帝国軍兵士の顔色が変わっていた。先程まで撤退を促したり、弱腰になっていた兵士たちも、覚悟を決めた顔をしていた。

 

タニス「.....すまなかった。お前たちの覚悟は、よく分かった。.....旗を振れ!」

 

命令と共に兵士の1人が、ベグニオン帝国軍の旗を高々と掲げ、大きく振る。

 

タニス「この場で何としてでも......本隊が敵将を討ち取り戦いを終わらせるまでなんとしてでも耐える!!そして.....【四駿】を討ち取り我々の威信を奴らに見せてやるのだ!!!」

 

帝国軍兵士『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!』

 

タニス「この旗に誓え!我々帝国軍、必ずや領民を守り抜き、任務を果たし、奴を討ち取ると!!!」

 

帝国軍兵士『はっ!』

 

帝国軍兵士達の士気が一気に上がり、タニス自身も剣を抜き、臨戦態勢に入る。

 

タニス「行くぞ!!!」

 

一斉の突撃によってプラハの馬を怯ませ、プラハに攻撃を当てる。

 

プラハ「ちっ...弱っちい奴らがいい気になってるんじゃないよ!!!」

 

プラハも負けてはおらず、フレイムランスを一閃して帝国軍を蹴散らしタニス達と距離をとる。

 

プラハ「あたしはね....お前らのような弱っちい癖に一丁前に気取ってる奴らが大嫌いなんだよ!!心の底からね!!殺すだけじゃ足りない.....四肢を切断して指を切り落とし、これ以上ない屈辱をあじあわせてやる!!!」

 

血管が浮き出るほどの怒りの形相をしたプラハが、今度は帝国軍に突撃し、兵士を次々となぎ倒していく。

 

タニス「はぁぁぁぁ!!!」

 

プラハ「ちっ!!!ちょっとは出来るやつが来たかい。」

 

タニスの突撃を上手く受け止め、はじき返す。

 

プラハ「いいねぇ....まずはお前から倒してやるよ。他の兵士共は後でどうとでもしてやるさ。」

 

タニス「たわけが。わざわざ倒されるために前に出てきた訳が無いだろう。」

 

フレイムランスと銀の剣が何度も撃ち合い、激しい攻防戦が繰り広げられる。

 

タニス「ちっ....やはり槍には不利か。」

 

プラハ「剣でここまでやりあった事は褒めてあげるよ。でも、相手があたしだったことを後悔しながら....死にな!」

 

タニス「ぐっ...!!!!」

 

フレイムランスの激しい一撃がタニスに当たり、重傷を負う。

 

プラハ「とどめだ。」

 

プラハが槍を振り下ろした。......が、それはタニスに当たらなかった。あと数mmの所で止まった。

 

プラハ「ちっ.....もう来たってのかい。」

 

 

 

 

 

ネフェニー「ごめん....救援が遅れた。」

 

ベグニオン兵B「今のうちだ。」

 

ネフェニーがプラハを牽制している間に、兵士たちがタニスとペガサスを担ぎ後ろに下がる。

 

ネフェニー「数年ぶり....かな。」

 

プラハ「ふん....あの時は仕留め損なったが、今度こそあんたの首をはねてやるよ。農民風情が。」

 

ネフェニー「農民....?じゃあ農民に首切られるあんたは.....何なんだろうね。」

 

プラハ「言うじゃないか。」

 

ネフェニーの煽りと共に、フレイムランスとゼーンズフトが激しく打ち合う。数十合打ち合うがどちらにも傷がつかない。

 

プラハ「まぁ....ちんたらしてくれてたおかげで、こっちも準備が整ったけどね。」

 

ネフェニー「なに.....?」

 

そしてプラハの後ろや横からデイン兵がぞろぞろと湧き出る。プラハで注目させてる間に静かに忍び寄ってきていた。

 

ベグニオン兵A「ネフェニー殿。」

 

ネフェニー「何?」

 

ベグニオン兵A「あの者の相手は....申し訳ありません。お頼み申します。我々では....勝てません。」

 

ネフェニー「ん.....それはいい。強くなって次勝てば、いいだけ。」

 

ベグニオン兵A「その代わり....我々が今出てきた増援を片付けます。」

 

ネフェニー「任せた...それと、タニス将軍を、無事に撤退させて.....」

 

ベグニオン兵A「はっ!了解いたしました。」

 

帝国軍はその命令を全体に通達させ、包囲の一部分を破ってタニスを拠点に移送し始める。

 

ベグニオン兵A「作戦変更!これより、急遽現れた増援を殲滅する!これより先1人も死ぬな!生きて、この死地を突破するのだ!!!」

 

帝国軍も奮起し、果敢にデイン軍に突撃し、互角以上の勝負を繰り広げる。

 

プラハ「へぇ、あたしを倒すとか言っておいてこれかい。だから弱っちいのは嫌いなんだよ!!」

 

ネフェニー「即座に状況に応じて動ける....プライドより、大事。」

 

プラハの煽りを即切り返し、ネフェニーがプラハを帝国軍から遠ざける。

 

プラハ「もったいないねぇ!あんたも、あの魔道将軍も!クリミアじゃもったいない!」

 

ネフェニー「....あの人に尽くす、ただそれだけ...信じてくれるから。」

 

槍の打ち合いが更に激しくなり、周りのデイン兵も巻き込みながら戦いが続く。

 

ベグニオン兵B(これが『戦乙女』と【四駿】の戦い.....強い。格が違う。)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ジルside

 

ジル「はぁ!!」

 

シハラム「単純だ。聞かぬ。」

 

ジルの斧をいなし、追撃をジルに当て続ける。

 

ジル(くっ...やはり父上だ....強い....)

 

シハラム「娘とて油断せぬ!!そのような甘い戦い方を教えた覚えはないぞ!!」

 

激しい追撃をくらい、おされる。シハラムの攻撃をなんとか急所に当てないだけでジルには精一杯だった。

 

ジル(正面からでは勝てない....ならば!!)

 

斧を大きく振り、竜を後ろに引かせ、高度を一気に上げる。

 

シハラム(急降下、か.....基本に忠実な戦い方だ。)

 

竜騎士は騎馬と異なり、機動力の他に空間的な上下が追加される。またペガサスと異なり、竜は力強い為に、その上昇や降下のスピードが大きい。そのため竜騎士を目指す人間は、まずペガサスに乗って空中の戦闘に慣れてからドラゴンに乗り、竜騎士となる。急降下はその中で、竜騎士が強襲をする為に覚える基本的な動きである。

 

ジル(父上に正面からは勝てない.....危ないが、やるしかない!!)

 

手網を握り、急降下でシハラムに接近する。それと同時に、手網から手を離して鐙に全ての体重をかけ、ドラゴンの上で立ち上がる。

 

シハラム「何をする気だ......?」

 

ジル「う......うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

シハラムに突撃する直前で鐙から足を離し、シハラムのドラゴンに向かって飛び降り、斧を振るう。

 

シハラム「ぐっ......!!!」

 

急降下と相まって、ジルの攻撃を防御するも、トマホークは壊れ、持っていた腕は綺麗に切り落とされた。

 

ジル「その首、頂戴します!!」

 

そしてシハラムが動揺している隙を突いて、斧を横に振るい、首を切り落とす。

 

ジル「(父上....お許しを.....)ジル・フィザット、デイン軍の将軍が1人、シハラム・フィザットを討ち取った!!我々の勝利だ!!!!」

 

ジルの大きな勝鬨が戦場に響き、デイン軍の攻勢が弱まる。

 

 

 

 

 

プラハ「ちっ!やられやがって.......撤退だ!もう水門を開ける意味もなくなった!」

 

プラハも撤退命令を下し、デイン軍は撤退を開始する。

 

ベグニオン兵A「追撃しますか?」

 

ネフェニー「ううん....追撃する余裕はない。生存者の確認と、負傷者の移送を.....」

 

ベグニオン兵A「はっ、了解しました。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

数時間後

 

デイン軍は完全に撤退し、領民を一旦、水門付近の洞窟から集落に返した。

 

領民「私たちを殺す気なんだろ!!」

 

エイリス「そんな余裕、こっちには無いので。.....皆さんは今からベグニオンの統治下に置かれます。戦争が終わり次第、デインに統治権を戻しますので、暫くはこちらの指示に従ってください。」

 

領民「よくもシハラム様を.....!!!なんであんないい人が.....!!!」

 

領民「しかも、シハラム様の娘が殺したらしいじゃないか!!親子を衝突させるなんて、悪趣味にも程があるよ!!」

 

エイリス「こっちからは特に危害を加えるつもりはありません。......とりあえず、2日間、皆さんに謹慎処分を下します。こちらも、色々やる事がありますので、大人しくしておいてください。」

 

領民を各々の家に帰らせ、目の前には血と死体と朝焼けだけが残った。

 

エイリス「さて.....この将軍は、ベグニオンからデインに移り、デインに忠誠を捧げ、散っていった......言いたいことは、分かるか?」

 

ベグニオン兵C「弔う、という事でしょうか。」

 

エイリス「それくらいしか、今はできる事が無いよな....領民に対する、危害を加えないという示しは作っておかなきゃな.....」

 

ベグニオン兵C「了解しました。」

 

周りに散らばっているシハラムの配下の兵士の死体を集め、それぞれを棺桶に入れて土葬する。当然、隣で倒れている竜も同じく埋める。

 

エイリス(ジルは.......)

 

ジルを一瞥すると、シハラムの身体と首を棺桶に収め、その前で涙を流している。戦で仕方ないとはいえ.....酷なことをさせたな。

 

 

 

 

 

ジル「う、うぅ.......」

 

サザ「そう泣くな。自分で決めた事だろ。」

 

ミカヤ「サザ、今は.....」

 

ジル「いや....分かってはいるんだ。覚悟はしたし、命を懸けた戦い方をしてようやく勝てた......ただ、やはり父上なんだ......敵じゃ、ないんだ......」

 

 

首を切り落とす直前、シハラムはこちらを見て....少し微笑んでいた。ジルにはその意味があまり分からなかったが、切り落とした後の顔も、その時とあまり変わらない顔であった。

 

ジル「恐らくだが....最後の最後で、私の攻撃を受け入れた......」

 

ミカヤ「ジル.....」

 

サザ「娘、だからな.....お前には、生きていて欲しかったんだろうな。」

 

ミカヤ「.........」

 

サザ「家族同士の殺し合い.....俺達も、お前にかなり酷なことをさせたな。」

 

ジル「いや、いいんだ.....誰かにやられる位なら.......」

 

涙を拭うも、涙が再び溢れる。覚悟もした、仕方のない事だった、こうしなければ他の誰かが殺していた.......理屈では分かっていても、どうしても心が納得してくれなかった。

 

ジル「情けないな.....私は......」

 

ミカヤ「女神様は.....流した涙の分だけ、その魂に慈悲を与えてくれるそうよ......情けなくなんかない。今は泣いていいのよ。今は......」

 

ジル「う、うぅ....すまない......」

 

サザ「謝るな。今のうちに、弔ってやれ。」

 

 

 

 

 

エイリス「.....後は頼んだ。俺は戦後処理に当たる。」

 

レテ「あぁ、あの3人は私が見ておく。お前は仕事にかかれ。.....自由にさせておいた方がいい。今はな。」

 

エイリス「悪いな。」

 

3人をレテに任せ、俺は戦後処理に当たった。本隊にはほとんどダメージは無かったが、帝国軍は甚大な被害を被っていた。タニスは重傷こそ負ったものの、治療すれば治ることが分かった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ハールside

 

ハール「1、2、3......しめて5人か。よく生き残ったほうだ。ジルが早期に討ち取ったことが響いたか......」

 

ダルレカの街の外れの森で、ハールは生存者を集めた。ジルがシハラムに特攻したことも相まってか、全滅する前に戦いに決着がついた。

 

デイン兵「ハール隊長......私たちは、どうすれば.....シハラム将軍を失い、住む家を失い......家族をどうすれば......」

 

ハール「おまえたちは、これからどうしたい?この土地は.....俺たちをまだ受け入れてくれるが......すぐにベグニオンの統治下になるだろうな。ベグニオンに戻るか、クリミアの仲間になるか.......」

 

デイン兵「将軍に手を下した.....クリミアの軍門に降ることだけは......どうしても......」

 

ハール「ジルの下でも、か。」

 

デイン兵「はい....裏切り者と罵った今、ジルお嬢様に会わせる顔などありません......」

 

ハール「じゃあ、ベグニオンに戻るしかないか......歓迎はされんだろうが......聖天馬騎士団に古い知り合いがいる。そいつを頼るとするか。」

 

デイン兵「うっ.....うっ.....わたしたちの18年の生活は......なんだったのでしょうね......」

 

ハール「.......言うな。それを察してるからあっちも丁重に弔ったんだ.......これまでの事が無駄だったとしても.....領民を巻き込む戦術に従わざるを得なかったとしても.......俺にとってあの人の部下だったことは誇りだ。」

 

デイン兵「私も....私も.....」




ここのジルとシハラムのやりとりって、トラキアのオルエンとラインハルトとのやりとりと似てるんですよね。条件次第で裏切るということを除いたら。


なんか途中で竜騎士の戦い方、とか偉そうな表現出てきてますけど、基本的には作者の妄想と、本家のゲーム内のドラゴンナイトの攻撃モーションから考察したものです。はい。それだけです。本家のどこかにこれに関する説明があったら教えてクレメンス......


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覚醒、快進撃

とりあえず、やっておかないといけないことは済ませられたので、ここからは多分進みが速くなりそうな予感がしなくもない。



GBA三部作がSwitchで配信されたとか。皆もノアどので無双しよう


エリンシア「今頃、皆様はどのようにされてるでしょうか....?」

 

アイク「ダルレカ水門を制圧する方針らしいが....まぁ心配いらないだろ。エイリスもいる事だ。」

 

アシュナードに重傷を負わされたアイク、エリンシア両名はただベッドの上で寝て回復を待っていた。傷こそ大きいものの致命傷とまでは至らず、回復も早いため、アイクはもう剣を振るうまで回復し、エリンシアは歩けるまでには戻っていた。しかし、まだ万全とは言えず軍医からは安静を言い渡されている。

 

エリンシア「アイク、傷の方はもう良いのですか?」

 

アイク「もう大丈夫なんだがな、セネリオから軍医の言うことは聞いておくようにって口うるさく言われた。動きたくても動けん。」

 

エリンシア「ふふ、素直なんですね。」

 

アイク「俺は細かいことは分からん。けどエイリスが救援に来た時、俺は剣に触れるのがやっとで、立つことも出来なかった。それくらいの傷を負ってたからな。口うるさく言われても素直に受け入れられた。」

 

エリンシア「私もですよ、それに私は....」

 

エリンシアは服を脱ぎ、鎧の上から入れられた傷を見せる。

 

アイク「お、おい。急に脱ぐな。」

 

エリンシア「いいじゃないですか。今更隠す仲でも無いでしょうに。それとも.....アイクは卑しい気持ちをお持ちですか?」

 

アイク「.....あんまりからかうな。それなら俺も傷は残った。....ほら。」

 

エリンシア「まぁ.....お互い、深い傷が残りましたね。」

 

お互い、肩甲骨からへその辺りにまで残った傷跡を見せ合う。アイクは気まずそうに目を逸らし、エリンシアはアイクの傷に触れる。

 

アイク「悪いな...お前を守る仕事があるっていうのに、傷を負わせた。依頼の報酬は減額しておいてくれ。」

 

エリンシア「気にしないでください。元々私もこうなる事も覚悟の上で戦線に出ました。これは私個人の責任であって、アイクのせいなどではないですよ。」

 

アイク「お前もその傷....隠しておけよ。後でクリミアの貴族たちに見られたらどう言われるか分からん。.....あと気まずい。」

 

エリンシア「ふふっ、ごめんなさいね。少し戯れが過ぎましたね。」

 

エリンシアは脱いだ服を着て元の位置に戻る。

 

エリンシア「こうやって気分を紛らわせても........やはり、悔しいですね。倒すべき相手にここまでやられて、一矢報いることも出来ず.....」

 

アイク「.....仕方ない。それが今の俺たちとあいつの間にある実力の差だ。強くなるしかない。」

 

エリンシア「........」

 

アイク「そして....アシュナードだけじゃない、俺たちは、エイリスが俺たちに合わせてくれていた事も今回改めて痛感させられた...本気になったあいつはアシュナードと互角以上。狂王を退けたという話は作り話や誇張じゃないと目の前で見せられた。」

 

エリンシア「そうですね....」

 

アイク「正直、俺は今の立場をやりとげられるか、初めて不安になった。親父の背中を追っていた頃からは成長出来ていたし、今のところ漆黒の騎士を除いて負け無し....なんて気付かない内に調子に乗っていたんだろうな。」

 

エリンシア「私もそうですよ。アイクとエイリス様の背を追って....剣術も鍛えてもらって、飛行技術も磨いて......その結果がこのザマですから。あの時アイクが庇ってくれなかったら....私はもう戦うことを諦めて、アシュナードの剣で殺される運命を受け入れていました。その心の弱さも.....」

 

静かな空間、2人だけのこの空間に悔しさと忌々しさを少し含んだ言葉が飛び交う。心の中では分かっていた事実....アシュナードとエイリスとの圧倒的な戦力の差を、敗北と援護という形で現実に目の当たりにさせられた。

 

アイク「きっとエイリスの事だ。『気にしなくていいよ。』なんて言うだろうが、そうもいかない。この敗北を糧にして強くなる。」

 

エリンシア「.....ふふっ。」

 

アイク「何かおかしい事言ったか?」

 

真面目な会話の中、突然笑いが盛れたエリンシアに不審な目を向ける。

 

エリンシア「アイクがこんなに沢山話してくださったこと....今までに無かったなと。オマツリの時よりも、更に饒舌に。」

 

アイク「口数は少ないんだけどな......エリンシアと話す時は自然と話してしまう。」

 

エリンシア「嬉しいです。それだけ私は、アイクにとって心を許せる相手になれている、という事ですよね....?」

 

アイク「よく分からん。けど、そうなのかもな。」

 

エリンシア「他の団員さんとは、普段あまりこのように話さないのですか?」

 

アイク「団の中じゃ俺は駆け出しに近かったからな。そんな事する暇があるなら剣を振って訓練してなきゃ、ボーレに笑われるからな。」

 

エリンシア「私も皆様の事はよく見ていますが.....グレイル様が存命で、アイクが駆け出しだった頃の傭兵団というのはどのような感じだったのですか?」

 

アイク「聞いても面白くないぞ?」

 

エリンシア「知りたいんですよ。皆様の事も、アイクの事も。」

 

それから2人は昔の傭兵団の事について話に花を咲かせた。グレイルに叱られた事、ボーレと競った事、オスカーの料理が上手いこと、強欲な依頼主の依頼を蹴ったこと......話のネタが尽きることは無かった。一方エリンシアも、話が弾んで昔の離宮の話や、貴族の世界の話、家臣やエイリスの入隊直後の話をした。

 

アイク「やっぱり、俺には貴族の世界は分からん。」

 

エリンシア「そう言うと思ってましたよ。エイリス様も同じようなことをおっしゃってましたし。」

 

アイク「あいつもあいつで合わないだろうな。」

 

エリンシア「ですから昇格した直後はそれはもう大騒ぎで.....離宮にいた私にすら噂が入ってきてました。」

 

アイク「クリミア軍の練兵は誰が担当してたんだ?」

 

エリンシア「アイクはご存知ないと思われますが....クリミア軍にはジョフレとルキノという、勇敢で強く、優しい人がいました。特にジョフレは、私にとっては幼なじみ.....というべき存在です。そのジョフレとルキノが主に練兵、ユリシーズが座学および周辺国の情勢と歴史、エイリス様が実践演習と行軍指揮及び魔道教育を担当していました。」

 

アイク「将軍職自らが指導か.....教えるだけあって相当強いんだろうな。」

 

エリンシア「強いですよ。今はどうか分かりませんが....エイリス様に促されて私がジョフレと手合わせした時は、手加減されてても1度も敵いませんでした。」

 

アイク「へぇ、エリンシアがそれだけ買ってるなら相当強いんだろうな。一度手合わせしてみたい。」

 

エリンシア「.....そうですね。今、どうしてるのでしょうか......」

 

エリンシアが窓に顔を向け、少し不安げな雰囲気を出す。親しい存在が離れ、今どんな状態にいるか分からない.....アイクもその気持ちを察せないほど子供ではなくなった。グレイルの死を経験し、身近な人間がいない事の辛さを知ったからだ。

 

アイク「....無事かは、分からないな。ただ確実なのは、速く進軍すればその分生きてる確率も高まる。」

 

エリンシア「.....そう、ですね。少しでも前進しないといけませんね。」

 

 

 

 

???「話は聞かせてもらった。」

 

アイク「誰だ?」

 

声の聞こえる方に顔を向けると、いつの間にか緑髪の男が壁に背を預け、2人を見ていた。

 

エリンシア「いつの間に....」

 

ソーンバルケ「私は、砂漠の戦より参加している。名はソーンバルケという。挨拶が遅れて申し訳ない。」

 

アイク「どうしてここにいるんだ?今は水門の攻略に出てる筈だが。」

 

ソーンバルケ「いくばくかの好奇心と、概ねは運命の導きによって。」

 

アイク「???」

 

ソーンバルケ「砂漠で加わった時よりおまえの剣を見ていた。独自の技を操るようだが、いまだ動きに迷いが残っている。修行半ばで、師を失ったか?」

 

アイク「!!」

 

ソーンバルケ「だが、どうやら独自の技の開花は近い。先の戦いで感覚を掴んだか?」

 

エリンシア「アイク、それってあの.....」

 

アシュナードに切りかかる際に、ラグネルを空中に投げ、その剣を掴んでそのまま叩き切る。あの時に剣から伝わった不思議な感覚。

 

アイク「あれは......俺にも分からない。剣を握ったら不思議な感覚があってな....それに身を委ねたらあの技が出た。」

 

ソーンバルケ「ほう、剣が持ち主を選んだか.....おそらくだがそれは、先代の持ち主の技だ。」

 

アイク「先代....親父か!?」

 

そしてソーンバルケの言葉と共に、アシュナードの言葉を思い出す。

 

ソーンバルケ「それは知らない。だがその剣は特殊な剣だ。普通の剣とは明らかに違う。」

 

アイク「.......」

 

ソーンバルケ「不思議な事だが、持ち物が持ち主を選ぶこともある。それはその剣だけじゃない。それぞれの持ち主にしか扱えない得物がある。そして、その剣はおまえを選んだ。」

 

アイク「....お前なら、俺の剣技を完成させられるか?」

 

ソーンバルケ「否、剣技を極めるかどうかはお前次第だ。幸い基礎だけは固まっている。俺はあくまでそれを形にするだけだ。........無様な負け方を二度としたくないならば、この私が力になろう。その技....完成すればどれほどのものか見てみたい。」

 

アイク「あんた、いったい.....」

 

ソーンバルケ「私の素性を知らずとも、剣を習うことはできるだろう。どうする、おまえの心1つだ。」

 

突然の提案にアイクは呆気を取られる。しかしその出で立ち、剣を見ればわかってしまうほど洗練された所作。そしてアイクの剣の腕を瞬時に見抜く洞察力。猛者が持つ素質そのものだった。

 

アイク「.....分かった。お前に教えを乞う。」

 

ソーンバルケ「ならばまずは体を癒せ。万全を期した時、剣を持って訪ねてこい。」

 

エリンシア「あの、私も....!!!」

 

ソーンバルケはエリンシアを一瞥し、これまでの剣を思い出す。

 

ソーンバルケ「お前の剣も中々だが、私よりも教えるのに適しているベオクがいる。そっちに教えを乞うといい。」

 

エリンシア「適している、とは?」

 

ソーンバルケ「じきにここに来る。では私は失礼させてもらう。」

 

ソーンバルケはそれだけ残し部屋を後にする。

 

エリンシア「私に、適している....?」

 

しばらく経ち、その人物が部屋へと入ってくる。影が2つあった。

 

エリンシア「シグルーン様と.....ワユ様!?」

 

シグルーン「突然の来訪お許しくださいエリンシア様。この度は指南役として呼ばれましたシグルーンです。」

 

ワユ「あたしも呼ばれたよー。剣教えたらいいの?」

 

エリンシア「どうしてお2人が.....?」

 

シグルーン「端的に申しますと、エリンシア様への剣の指南を任されました。これからの戦い、戦線に出られるのであれば、今のままでは実力が不充分です。」

 

ワユ「だから剣を鍛えるって感じ。」

 

ソーンバルケ「お前の剣はアイクとは全く異なる。力をそのまま扱うアイクの剣とは違い、そっちの剣は流れが重要になる。」

 

エリンシア「流れ....」

 

アミーテを抜き、軽く振ってみる。力の限り振るう剣ではないということは元々分かっていた。しかし、ソーンバルケのいう「流れ」をエリンシアはあまり分からなかった。

 

ソーンバルケ「修行すれば分かる。では次の命令が出るまでは分かれて修行を行う。」

 

そう言い残し、ソーンバルケはアイクを引き連れ外へと出ていった。

 

シグルーン「では、こちらも始めましょうか。」

 

エリンシア「修行は良いのですが....動いていいのでしょうか。軍医からは安静にと言われていまして......」

 

シグルーン「先程伺って聞いてみましたが、絶対安静という訳でもないみたいです。もちろんそんなに厳しいことはしません。」

 

エリンシア「でしたら....よろしくお願いします。」

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デインside デイン王城

 

プラハ「.......いうわけだ。ベグニオン軍を蹴散らして行軍を遅らせたが、そう長くはもたない。決戦は王都で、ということになるかねぇ。」

 

イナ「準備はできています。プラハ将軍が指示しやすいよう、副官にはブライアン殿をたてました。作戦の詳細については、彼の方から直接聞いていただければ.......」

 

プラハ「悪いがね、イナ。王都で指揮をとるのは、あたしじゃないんだよ。」

 

イナ「漆黒の騎士殿ですか?では、少し策に手を加えなくては。副官も別の人間の方が......」

 

プラハ「違うよ。陛下はおまえをご指名なんだよ、イナ。」

 

イナ「........私が?軍の指揮をとるのですか?」

 

プラハ「そうさ。大出世ってやつさ、イナ将軍。」

 

イナ「私は.....そんな大役を......王に確認を.......」

 

プラハ「へえ、珍しいじゃないか。おまえが取り乱すなんて。だけどね、陛下にお目にかかりたいなら任務をまっとうするしかないんだよ。それまでは連絡も絶つようにとのお達しなんだ。」

 

イナ「........」

 

漆黒の騎士「少し、遅れたか。」

 

プラハ「これはこれは漆黒の騎士殿。えらく久しぶりじゃないか。あんたはいつでも大忙しだねぇ。毎日あちらこちらへ......どこで暗躍していらっしゃるのやら......」

 

漆黒の騎士「それだけ、王の信任が厚いということさ。イナ、東の間に行ってくれ。例の男が現れた。」

 

イナ「.....はい.....」

 

プラハ「【虫】だね?アレはもってきていたかい!?」

 

漆黒の騎士「そのようだな。だが、イナに直接手渡したいそうだ。多少手負いをしていだがな。」

 

プラハ「フン、手に入ればどうだって構わないさ。」

 

漆黒の騎士「イナが戻ったら.....君の手で確実に陛下の元に届けてくれ。くれぐれも、途中で包みを解くことがないよう注意してな。」

 

プラハ「.....言われなくてもわかってるよ!それより、あんたはこの後どうするんだい?」

 

漆黒の騎士「私か? 私は.....」

 

 

 

 

東の間

 

???「イナ、無事だったか!」

 

イナ「その傷は.....?」

 

???「.....来る時に転んでね。」

 

イナ「…メダリオンは?」

 

???「ここにある。受け取ってくれ。」

 

イナ「......何重もの包みごしに触れても、重い気を感じる。これが、邪神の......負の力.....」

 

???「これで、おまえはデイン王の元へ戻れるな?」

 

イナ「........いいえ。だめになったの。」

 

???「どういうことだ!?」

 

イナ「王都の守備を任されたわ。......私、クリミア軍と戦わなくてはならない。」

 

???「!!!」

 

イナ「.......ありがとう。私のために、ここまでしてくれて........でも、もう.......これで十分。貴方は......どうか自由になって。これ以上、デインの言いなりにならないで。」

 

???「まさか......死ぬつもりか?」

 

イナ「いいえ.....私も退くわけにはいかない。.......たとえクリミア軍を全滅させてでも....私は.....あの方の元へ......」

 

???「だが、相手はおまえのことなど.....」

 

イナ「それでも構わない。私のいる場所は、あの方のお側しか考えられないのだから.....」

 

???「.......イナ、もしクリミア軍に敗れた時は大人しく降伏するんだ.....【魔道将軍】は....おそらくだがお前の事情も全て知っているはずだ。」

 

イナ「..........」

 

???「そして....なりそこないを元に戻す手立ても準備している。もうお前がデインに付き従う理由も無いはずだ。」

 

イナ「随分と買っているのね。.....耳にはしている。未来を見通す人物だと。」

 

???「.....信頼にたる人物だ。イナ、頼む.....」

 

イナ「もう無理よ.......貴方とは、もう会えないでしょうけどずっと幸せを祈っているわ。」

 

???「イナ!待つんだ!!」

 

イナ「私のことは忘れて。これが最後のわがままです。........さよなら、ナーシル。」

 

ナーシル「.....ならばイナ.......」

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エイリスside 拠点

 

エイリス「なんか騒がしいな.....」

 

早朝、戦いを終えて拠点に戻ると、昼間とほぼ変わらないほど人が出て騒がしくしていた。

 

ミスト「え、エイリスさん!!!!」

 

エイリス「ミスト、このひと騒ぎ何....?」

 

ミスト「無いの!!私のメダリオンが!!!!」

 

エイリス「メダリオンか......それは後で探す。それ以外には?」

 

ナーシルが持っていってるのはもう明白だけど、それだとこの騒ぎに説明が付かない。メダリオンがどういう代物かは、ごく1部の者しか知らない。少なくとも、商人や待機していたメンバーが騒ぐほどのことは起きるはずがない。

 

ミスト「えっと.....セネリオが、怪我を負ってて.....それで、裏切り者がーって.....」

 

エイリス「そっちみたいだな....」

 

本来だとナーシルがこっそり盗んでいったと進むが、セネリオをナーシルのマークに当てていたせいで、おそらく揉め事が起こってセネリオがダメージを負ってる、あたりだろう。

 

エイリス「怪我の度合いは?」

 

ミスト「かなり酷くて....なんとか意識を保ててる程度の。」

 

エイリス「いや重症じゃないか.....すぐ向かう。ミストはとりあえずヨファとネフェニーと3人でメダリオン探してみろ。もしかしたらあるかもしれないし。」

 

ミスト「う...うん....」

 

 

 

 

医務室

 

エイリス「とりあえず....これで。」

 

自作の杖でセネリオを回復させ、喋れる状態にまでは戻せた。あと少し遅れてたら割とやばかったらしい。

 

セネリオ「.....すみません。やられました。」

 

エイリス「....何があった。ナーシルにやられたのは分かるが.....」

 

セネリオ「ナーシルがミストからメダリオンを盗るところを見ました。それを取り戻そうとしましたが、このザマです.....すみません。」

 

エイリス「気にするな。竜鱗族相手だったんだ。仕方ない。」

 

逆にこの時点でセネリオが単騎でナーシルを退けられてたらそれは天晴れすぎる。ナーシルの強さは凄いからな.....

 

エイリス「とりあえず数日ちゃんと杖振ったら全快するから、しばらく安静な。その間に、俺はデイン王都までもう行軍を進める。メダリオンを盗られた以上、こっちものんびりしてられない。それにさっきの戦いでベグニオン軍の数もかなり減った....不謹慎だが、少人数になってくれたおかげで行軍が楽になる。」

 

セネリオ「はい.....お願いします....」

 

エイリス「じゃあ寝てな。」

 

セネリオを落ち着かせ、部屋を出る。とりあえずメダリオンを盗るのを止めると必要なイベントが発生しなくなるから、これは仕方ないということにしておこう......

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数分後 天幕

 

エイリス「......というのが、現在の状況になります。」

 

復活したアイク、エリンシア、そして何故か来訪しているゼルギウスとシグルーン様に現状報告を話す。芳しくない戦果だったからか、あまり返ってくる反応は良くない。

 

ゼルギウス「しかし、この小さな集落を落とすためだけにここまで兵を消費してしまうとは......どのような考えか?」

 

エイリス「こちらは【四駿】プラハを警戒し、水門の防衛にベグニオン軍を配置しました。」

 

ゼルギウス「それならば、エイリス殿の配下を回せば良かったのではないか?」

 

エイリス「.....それに関してはその通りだと、今となっては思います。こちらはフィザット将軍とプラハが正面にいると踏んでいました。フィザット将軍の竜騎兵は数が少なく、その補強として来るだろうと......」

 

 

ゼルギウス「.....私個人としては、エイリス殿の判断は正しいと思う。仮に水門を開放し、進軍を遅らされればその分相手に猶予を与えてしまう。しかし、戦力を二手に分けられないほど、エイリス殿達は弱くは無いはずだ。......そこは考慮しても良かったのではないか。」

 

エイリス「面目ない。」

 

ゼルギウスに頭を下げ、謝罪の意を示す。といってもゼルギウスもそこまで厳しい顔をしている訳でもなく、分かってはいてくれているようだ。

 

ゼルギウス「しかし、今回の戦果をベグニオンはあまり快くは思わない。我々とてデインとの距離はそう遠くない。いくら神使の勅命で手助けしているとはいえ、国防に響くかもしれないほど軍は動かせない。」

 

シグルーン「サナキ様も今回は驚かれていました。『あやつが指揮してそうなったとは....よほどの事情があったのだろうな。』とご理解はされていましたが、元老院は快く思ってはおりません。」

 

エイリス「分かっています。ですので....ここからデイン王都ネヴァサまでの拠点は、俺とネフェニーの2人で落としてきます。これで落とし前ということにさせてください。」

 

「!!!!!!」

 

落とし前の付け方にアイクとエリンシアが驚き、ゼルギウスとシグルーン様は静かにこちらを見据える。

 

シグルーン「ここからネヴァサまで、敵の要塞は3つほどありますが......無茶が過ぎるのではないですか?」

 

ゼルギウス「.....私は、足りないと思う。おそらくだが、王都を落とすまではベグニオン軍は手を貸すことを渋るはずだ。」

 

シグルーン「とはいえ、王都を2人で落とさせるのはさすがに.....」

 

ゼルギウス「いや、私は2人でやるのは王都まででいいと思っている。王都をアイク将軍の指揮の下で陥落させる。こうしなければ、結局エイリス殿と配下さえいれば問題ないと取られ、尚更援軍を拒むことになる。元老院に勝ち馬に乗れると思わせるにはそうしておく必要がある。本来ならば地位や業績など戦争には不要だが、戦争のいろはを知らない、戦場に出ない政治屋を分からせるにはそうしなければいけない。」

 

アイク「.....貴族の世界は、相変わらず分からんな。」

 

ゼルギウスの進言で一同の考えはある程度まとまった。アイクはゼルギウスの視野の広さと的確な方針提示に感心する。頭の硬い元老院に付くには勿体ないほどの素質をアイクは本能で感じた。

 

エイリス「助言感謝します。ゼルギウス将軍。」

 

ゼルギウス「気にするな。元老院には私からとりなしておこう。武運を祈る....必要は無いか。エイリス殿達のことだ、言ったことは必ず果たすだろう。」

 

エイリス「俺は今からネフェニーを呼んで、進軍してくる。2人はそれぞれ師匠の下で剣の修行をしておいてくれ。」

 

アイク「....本当にお前達2人でやるのか?」

 

エイリス「将軍代理を引き受けてこのザマだ。落とし前としてはこれでも足りないくらいだ。アイク、早く戻ってきてくれよ。将軍はお前の方が向いてる。」

 

アイク「........」

 

ポータルを手に持ち、外に出る。シグルーン様もエリンシアを連れてその後外に出て、アイクも何かを考えていたがしばらく経って外を出た。

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ダルレカ郊外 平原

 

ネフェニー「あんたと2人きり.....久しぶり、やね。」

 

エイリス「これから戦場に行くんだぞ....デートじゃないし。」

 

ネフェニー「分かっとる.....何があっても守るよ。」

 

頼もしい笑みをネフェニーが返してくる。ほんとこの子、顔がいいからこういうかっこいい顔される度にドキドキするんだよな.......

 

 

 

数日後

 

エイリス「落としたはいいが....皆付いてきてるか?」

 

ネフェニー「もう直来ると思う......多分。」

 

拠点を順次落としていくから拠点は基本的に展開せずに進軍を続けて、と指示は出したものの、まだ到着してなかった。

 

???「もうここまで来るとは.....驚いたね。」

 

ネフェニー「....誰?」

 

ネフェニーが声のする方に槍を構え、警戒に入る。それと同時に槍を持ってない手で俺を後ろに誘導する。

 

 

 

ナーシル「私がここにいることがどういう事か.....まぁ、分かってしまうか。」

 

ネフェニー「あんたが....内通者?メダリオンはどこ?」

 

ナーシル「持っていない。この通りだ。」

 

ネフェニー「....どうする?」

 

ネフェニーがこちらの判断を伺ってくる。

 

エイリス「.......それはアイクが決めることだ。俺は何もしない。」

 

ナーシル「そうか、ありがたい限りだ。」

 

そう言うと、ナーシルは構えていた手をしまい、俺の横を通って拠点の方に行こうとした。

 

エイリス「ただし......俺たちとイナの戦いに手を出さなかったらの話な。もし途中で妨害しようものなら......殺す。」

 

ここでナーシルが敵になったら後で色々と困るので、とりあえず脅しをかけておく。

 

ナーシル「それはあの子を.....イナを殺すということか?」

 

だがナーシルも脅しを素直に聞き入れなかった。むしろ殺意のある目でこちらを睨んでいる。

 

エイリス「この先で指揮を取っているんだ。敵将である以上討ち取る気でいる。当然だろう?」

 

ナーシル「.....君と敵対するのはゴメンだ。だがイナも大事だ。」

 

エイリス「じゃあ王都攻略の間は大人しくしておいてくれ。アイクがどうするかは知らないが.....決着がついた後は好きにしてくれ。」

 

ナーシル「.......本当に君というべオクは分からないな。君が今言ったことは立派な利敵行為だよ?」

 

エイリス「なに.....利敵行為じゃない。本来ならそうなる未来なんだよ。」

 

ナーシル「そうか.....」

 

ナーシルはそう応えて静かに拠点の方に向かっていった。さらっとお前の行動は分かってるんだぞって言ったつもりなんだけどな.....通じなかったかな。

 

エイリス「ネフェニーも、この事は黙っといてくれ。ただし....イナ、敵の将を助けようとする以外の不穏な動きが見られたら、その時は取り押さえてくれ。頼んだぞ。」

 

ネフェニー「.....うん。」

 

その後、アイクたちと合流して進軍方針を立てた。ちょっとアイクとエリンシアの距離感が近くなっていた。




わい「久々に闘技場やるかぁ....どれどれ」

リュール!忍カミラ!ルキノ!伝承ユーリス!闇堕ちベレス!(それぞれ別々に出てきた)

( ゚д゚)

最近の赤属性、強すぎでは。普通にハガを粉砕するキャラも多いし、総選挙ディミトリ(錬成済)当てても全然削れないどころかこっちが瀕死になっているという


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