ウォーターガール (アノヒ)
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ウォーターガール

この世界に生まれてくる中で最も幸せな人生とは何処から考えるものだろうか?

 

ある人は最初から最期まで最高なら幸せと言い

ある男は普通に生きられる事が幸せと言い

ある者は復讐が遂げられることが幸せと言い

ある女は好き勝手に生きるのが幸せと言う

 

だがわたしは違った

知っているが故に苦しみ、

高みに居るからこそ恐怖し

死を思うからこそ忌諱する

他人がどう行動するか分かるから嫌悪する

 

賢者は戦いよりも死を選ぶ、更なる賢者は生まれぬことを望む

どうやらわたしは賢者ではなく、ただカンニングペーパーを持たされた愚者らしい

 

最初に産まれた時は生前と変わらない街並みと平凡な家庭に感謝した

性別は女だったが特別病気や怪我もなく容姿も良いものだった

だが10の頃に一変した

もしかすれば気付いていたが見ないよう記憶を蓋をしていたのかもしれない

 

銃の悪魔

その災害を目の当たりにした時死ねば良かったと後悔した

悪魔にとって人間は餌でしかない

ナンセンスなマンガやコメディのように人が死ぬ

それを知ってどうしようもない

だからこそ諦めた生き方をしていた

 

 

だが悪魔は現れる

通学路の帰り道、縦から潰されて虫のように身じろぐ先程まで話していた男の子、

不自然に凹んだウェストで内臓を撒き散らす知り合いの女の子

最期まで叫びながらひしゃげた先生

その場に居合わせたわたし

圧死の悪魔と名乗った悪魔は

丸太のような無数の脚で蠢く蜘蛛の下半身と棒人形の様な上半身で3人を殺して現れた

偶然離れた位置に居たせいで足を折る程度で死ねなかった

 

「あっしはもっと楽しみたかったのにどうしてニンゲンは脆いですなぁ

 最初は小突いただけなのに淡白な反応ですし、柔らかいのは吐いて動かない

 多少大きいのはまあまあですなぁ

 

 さて、次は長く楽しみたいのであっしも加減しますから」

 

何故存在を知っていて逃れなかったのだろう

そう思いながら折られた脚を踏まれバットでフルスイングされたかの様な痛みと折れていく腕で庇いながら後悔した

もう一度生きられたのに棒に振って何も残せず何も出来ずただ玩具のように死ぬ

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だいやだいやだ嫌だいやだいやだいやだいやだイやだイヤダイヤダイやだイヤダイヤダいy

 

 

唐突に衝撃が去り未だ動かせる腫れた瞳に見えたのは

圧死の悪魔が弾けた様にも掻き出された様にも見える致命傷を負い飛び出した存在

ソレはは悪魔の手足を削ぐ様に輪切りにし、その残骸の上でわたしを見下ろした

その姿はかつて別の世界、別の話、別の物語で語られた化け物(英霊)だった

 

「おかあさん……」

 

その日わたしは運命と出会えた



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バースデーガール

悪魔出現による死傷者多数!?

近年悪魔の被害者数は上昇の一途を辿っている
今月では帰宅途中の生徒を狙った悪魔の事件で3名が体を強く打って死亡
一名は骨折による全治3カ月の重傷で済んだ
近年の行方不明者数は毎年3000人増加しており悪魔の駆除が間に合ってないのではと専門家も憂慮しているる4~10月中の駆除頭数は今年193頭で、例年の約4倍。畑や民家、街中で被害が多発しているほか、通学路近くでも被害跡が見つかっており、町は注意を呼び掛けている。

ーーー当時の雑誌記事より


目が覚めると目の前には子供らしきモノが居た

まるでパッチワークで子供らしい要素を詰めていった結果、人とは違う何かに出来上がってしまったような不自然な人形の姿

明らかに既視感のある姿のモノは唐突に近づくと抱きついて来た

 

「おかあさん!ぶじでよかったね!まにあってよかったー」

 

…抱きつかれた感触と痛みで聞き間違いかもしれないが未だ産んだことがないのに母と呼ばれる事実とそう呼ぶのが当然と理解する記憶に混乱した

とりあえず頭を撫でてみる

 

「わたしたち、なんどもおかあさんからうまれようとしたんだけど、おかあさんがうごかなくなるの

 でもね、あのあくまがおかあさんをいじめてたからやっつけちゃった!

 いつもいじめてるみたいであのあくまきらいだったの!」

 

どうやらどのみち死ぬ運命だったようだ

このコが言う産まれると言うのが某エイリアン的出産なら母体が持たないのは

あの悪魔の死骸から見て当然だろう

だがこのコを最期に産むのも悪くないと思う

何せ産まれて生を謳歌したいというわたしよりずっと前向きな理由なのだから

だからこそ、このコに生きて欲しいと思えた

 

「おかあさん、いつもとちがってやさしい…いつもはおこるかなくのに……

 ーーーねぇわたしたちとやくそくしない?

 わたしたちはうまれたいの、だからおかあさんのおなかをかして?」

 

わたしは

 

 

「じゃあ約束ね、おかあさんは痛いの苦手だから出来るだけ優しくしてね」

 

受け入れることにした

 

その後目が覚めると病室に居た

複数折れた箇所はギプスで固定されて鎮痛剤でぼぅとする意識の中

腹を見たらアザ以外の傷はなかった

背中も違和感がないことから破裂してる訳じゃないようで

どうやら全て夢なのではと思えた

テレビもいつものくだらないバラエティが流れて居るし外も穏やかだ

どうせ階段か坂から落ちて夢でも見てたんだろう

 

 

そう思いたかった

でも両親が、同級生の遺族が、結婚してた先生の奥さんが扉から怒鳴り込んできた時点で地獄は終わりじゃないと思えた

 

 

 

どうやら悪魔に襲われたのは全てわたしが原因ということにするそうだ

何らかの理由で被害者らを怨み、心中しようとしたと言う

だが悪魔同士で殺し合いが始まりお前だけ生き残ったと言われた

確かに何の武器もない唯の人間が悪魔に勝てないのは分かるが

無理矢理過ぎる

どうせやるせなさを埋めるための槍玉だろう

両親も責められたくないから同調したのだろう

そうでなければ彼らが追い込まれる

悪魔での死亡は大抵保険適応外の所が大きい、何せ死体も残らないか原型すら判らないのが多すぎて可哀想なくらいだ

だから殺人の方便で済ませてしまいたいのだろう

未だ怪我が治ってないのが理由か未だ警察は逮捕しに来ない

そう呆然と考えてる途中医者が往診にきた

 

 

「おいしゃさんはきらい!」

 

そこにおるんかい



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エスケープガール

悪魔とはーーー近年の悪魔の傾向とその被害関係ーーー


私たちデビルハンターにとって飯の種であり、この業界で最も最期の逢瀬の相方である悪魔たち
彼らは自身の名前に起源を持ちその起源に類する現象を引き起こします
それらは人間の恐怖から生まれる概念から肉付けするように構成されています
だからと言ってそれだけに注意しては足を掬われ頭から喰われます
こちらに来る悪魔には手足も頭もついてます
人間に出来る事は悪魔もするでしょう
だからこそ
それ以上の人間らしさで対処しましょう
次のページでは使える工具、商品が!

ーーl以上、月刊誌儲かる?非合法デビルハンターのススメより抜粋


きがつくとわたしはニンシンしていた

 

急に悪寒を覚え聞き返す間もなく逃げ出すように出て行った医師の説明を簡潔にするとこうだ

 

外傷は運び込まれた時点では想定より軽微なもので救急隊員の話と違った

わたしは妊娠していて生後9か月〜10カ月の胎児が確認された

何があったか今後警察から詳しく調査があるとのことだった

 

妊娠と聞いて普段の素行の悪さが原因か?や早くして夫に先立たれたや

あの修羅場で死ねば良かったと

考えるが答えは違うのだろう

おそらく今あのスプラッタな悪魔が自分の胎のナカに居るのだろう

 

知っている知識と違う

 

 

本来悪魔に身体を捧げた人間はベースは残るものの自我と人格は消し飛んで出来上がった

空の肉体にペーストする様に悪魔が入り悪魔らしい悪魔になる

 

なのにわたしは【わたし】として存在し例の悪魔はここに居る

 

 

あっおなかけった

 

 

 

とにかく、

例外は主人公くらい仲良しか、益になると判断された悪魔くらいで

わたしが知っている限り大抵悪魔は人間を餌としか見ていない

例え何もしない野良でいたとしても害なら処分される社会だ

人権ある悪魔が新聞にもテレビにも露出しない時点でわかりきっていた

 

わたしの状況は特殊であり、いつ暴発するかわからない拳銃を抱え込んだと

 

とりあえず説明書代わりに本人に声をかけてみる

 

「なぁに?おかあさん」

 

なんとなく母性がガン上がりした

 

 

……それからいくつか話してわかったことが

念話は出来ないようで、不穏な考えで即死の線はなくなり安心した

この子の名前は水子の悪魔だそうで今の姿は女の子だそうだ

嫌いなものはお医者さんと暴力を振るう人

好きなものはおかあさんなんて、なんて可愛い子

 

どうやら約束通り無理して生まれるのではなく普通?に生まれるつもりらしい

そのために多少の力をくれているのだそうだ

まさかこんなにおかあさんを思ってくれるなんて!なんて良い子なんでしょう!それならおなかに入れても痛くない!(暴論)

 

簡単に言えばこの子が愛おしくなったのだ

 

思えば以前もこの人生も心の底から湧き上がるような想いは無く

唯現実に絶望して惰性に生きていた

だがこの子はどうだ!かつて伝え聞いた声で、愛らしい姿で、このクソッタレた現実に存在しているのだ

 

護らねば

 

そう決してわたしはもう殆ど繋がっている手足と覚悟の決まった脳で

病院から抜け出し、持てるだけの荷物と金と衣服を実家から強奪し出て行った

 

両親は何か騒いでいたがお腹の子の教育に悪いので眠ってもらった

今は我が子が大事ですので

 

 

我が子が生まれた時に平穏な生活を与え、乗り越える為に

 




すいません漢字抜くのキツい


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ハンティングガール

親から離れ、わたしは直ぐに向かったのは県を離れ人が少ない限界村落だった

 

 

 

悪魔の増加に伴い県警同士の連携はかつての世界より希薄で、せいぜい悪魔の注意喚起か人間の犯罪抑止か避難誘導くらいの役立たずになっていた

 

警察の力が減少したのには大きな理由がある

 

 

 

銃の悪魔だ

 

 

 

銃の悪魔の惨事以降、銃の規制や販売の禁止に伴い世界のパワーバランスは変化した

かつての大国も銃無くしてコミュニティを守れず

他の国々は兵器の代わりに悪魔を所持し

戦場は想像より早く精巧な鉄と石と木で戦うようになった

 

 

そんな世界に真っ先に牙を剥いたのは悪魔などではなく動物だった

増えた鹿は畑を荒らし、猪は暴れ、熊は人里に降りて来た

 

例え罠や槍で減らすことができても、かつてのような安全な狩りはもはや不可能になっていた

 

特に法の変化が鈍く複雑になるこの国はその弊害をモロに受けた

斃すべき悪魔も倒せないどころか動物たちに襲われる日々

 

 

真っ先に被害が出たのは農村や田舎だった

そのため田舎に住むのは文字通り骨を埋めるつもりの人間かスネに傷のあるものくらいしか居なくなったらしい

 

そんなニュースの受け売りでここまで動いているが結果としては上手くいった

 

田舎の家なんて投げ売り状態でガス水道は止まったままの家を奪った札束で買い

住む準備を始めた

 

水子の悪魔は気付かぬ間に生まれていた

 

お腹を裂かずどうやらやくそく通りのあっさりした出産だったが急激に成長するのは悪魔らしかった

自分の容姿から外れた幼い顔に銀髪、アンバランスな肢体はどうみても

アサシンの姿であった

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「おかーさん」

森の中で山菜採りに向かう中、娘のジャックに声をかけられる

悪魔の力で頑丈になった身体で狩りに向かおうと娘を連れ出すのには理由がある

出会った時に見せた悪魔の力と記憶で知るアノ戦い方

生まれたばかりとはいえ本当に戦えるのか見てみたかった

多数の家に残っていた鉈や出刃包丁、斧を持ちだし山に向かった

 

「おかーさんはお肉が欲しいの?」

 

「そーね、やっぱりお肉は大事だしお隣さんへの祝い事に配れそうなのはそれくらいしかないからね、

でもあまり危険な事はしないでね?

ジャックちゃんに何かあったらお母さん耐えられないから。」

 

「大丈夫!わたし達はいつでも居るよ!こう見えて強い悪魔なんだから!」

 

結果としては鹿も兎も見つからず、その辺にいた雀や鳩などの鳥数匹を捕まえようとして悪戦苦闘した結果

石を投げた方が早いと気付き

穴あきだらけの残骸を持って帰ることになった

強化されたと言っても人より強いだけで、獣に劣るのはショックだった

投げナイフや投げ斧で行けるかと思っていたが包丁は当たらず幹に刺さり

斧も柄の方で鳥の頭を潰した時に投げる才能は無いのを理解した

 

ジャックも森の中を元気に駆け回りわたしの真似をして枝を投げていたが遥かに上手かった、枝でも木に刺さるとは…

 

帰ろうとしたその時熊に出会った

「水子の悪魔はどこだ」

 

 

 

悪魔かい

 

 




設定語りばっかですいません


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デットガール

悪魔の力とは何か
人知を超えた力か、はたまた人を超えうる知性か、それともおおよその物理法則を無視する能力か?

答えは違う



それこそが根源であり強さであり脆さであり弱点である

だからこそ理解して陳腐化し打破する事で矮小化する

だが恐怖や不安は尽きることがないように悪魔も同様に同種が尽きることはない

だからこそ、デビルハンターには慣れが必要である

悪魔には共通の注意点がある、それは周囲の人間という名の血液袋と恐怖心
だからこそデビルハンターは少数で狩らねばならない

少数だから山分けの心配をしなくていいのもあるが


〜〜デビルハンターに聞いた指南書一章、現実なんてゲームと一緒より〜〜



ある日森の中で会うものと言えばクマさんだが、まさかの熊の悪魔である

 

「水子の悪魔はどこだ」

 

熊の悪魔が告げる、誤れば生命は無いと含むように

 

日も落ちて来てもう昼過ぎなのと、木々生茂る森ゆえに神秘性や恐怖を感じるここに動物達が居ないのは、悪魔という頂点に隠れるしか無いのだから…

 

「ベァははっ、怯えてしまうのも無理は無かろう、かつての勢いを取り戻す森の恐怖の権化、神とまで恐れられた我が姿に目を奪われたのであろう…だが我が目的h………」

 

 

 

だが、この熊の悪魔の存在で恐怖も糞もない謎空間になっている

 

熊の悪魔を言い張るだけにデカさは4mを超え太くしっかりとした姿

動物園の腑抜けた熊より凛々しさすら感じる異様に大きな頭に牙、かぎ爪

そして毛皮に似せたような布地

 

 

若干バースが狂った威圧感を感じる程度の馬鹿でかいティディベアである

 

 

 

わたしは悪魔の定義が理解出来ず呆然とし

 

最初は興味の湧いたジャックは話に飽きて鉈や山刀などを投げては拾い始めた

 

 

そんな謎空間が終わったのは一本の包丁だった

 

 

 

「熊のはなしつまんない〜帰れ〜」

 

ジャックの癇癪混じりの若干暴投気味の包丁は悪魔らしい威力で熊の悪魔の耳を掠めて中の茶色い綿を散らしていった……やっぱティディベアじゃねーか!

 

「貴様ぁぁぁ!我が肌に傷を与えるとはあああx亜xあ!

このサルもどきのガキが嗚呼あ!もはや許さん!手足へし折って巣穴に埋めてやるグウウ魔ああああああああぁぁ!」

 

 

どうやら心は野生の熊だったようで交渉に失敗した水子の悪魔のジャックに突進し始めた

 

ジャックは持ち前の瞬発力で避けるがやはり熊

 

怒りに身を任せ木々ごとなぎ倒し、なぎ倒した木々に爪をかけ直角的な追撃を始めた

 

布地に見える腕の鉤爪はジャックを捕らえようとシャケ取りのようなフルスイングで枝を切り裂き

 

大きな顎門は空間ごと砕くかの如く大きく開き幹を抉る

 

もはやその場に無事なモノはなく、離れていたわたしは、その場の例外に安堵した

 

 

 

そんな中でのジャックは地を跳ね、枝を駆け、手に持つ刃物で熊の悪魔の布地の肌を切り裂いていた

 

 

対峙する悪魔は一方でズタズタな姿、もう一方は息は上がり気味だが五体満足

 

そんな中、熊の悪魔は

 

「弱い、ニンゲンと契約した上でその程度、やはりこれは要らんな」

 

 

アノ糞熊は唐突に倒木の一部を抉るように振り抜いて幹をこちらに当ててきた

 

わたしは唐突な行動に対応出来ず、その場に固まってただ

 

 

ジャックが打ちのめされるのを見るしかなかった

 

 

 



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アンデットガール

わたしの前に立っていた少女はわたしの為に死んだ

 

熊の悪魔のひと薙ぎで折れた大樹が散弾のように弾け飛び

 

もうひと薙ぎで枝々が矢のように襲い掛かる

 

それを繰り返して繰り返す中

 

生存出来る生物は居らず

 

例え悪魔だとしても

 

1人しか守れない

 

 

 

この世界で生きようと思う理由とここまで来た理由を肉片に変えられて

 

わたしは呆然としていた

 

かつて抱きしめた胴体には枝や石礫がめり込み

 

抱きついてきた両の腕は大木の質量に押しつぶされ

 

かつて撫でた頭部は石榴の如く爆ぜていた

 

 

 

わたしはこのクソ熊を殺さんとジャックの腰帯と散らばった刃物を握り締め

 

その首を落とさんと駆け上がった

 

熊の悪魔は投げるものの無くなった空白地帯で

 

「死ねば糧と成れたものよ、貴様に用はないが我らの噂が広まっては困る、だからこそ餌として持ち帰ろうぞ」

 

誘い込まれた

 

 

所詮は水子の悪魔と同じ身体が契約で丈夫なだけの少女

 

熊の悪魔にとって俊敏さ以外は脅威ですらない、だからこそ

 

 

 

隠れられず逃げられず避けれない場所を作った

 

 

 

 

わたしは糞熊の脇下に鉈を叩き込むもお返しとばかりに腕を折られ

 

指を潰しつつも返す包丁の切っ先でその左手を抉り

 

脇腹を殴られ視界の眩む中、糞熊の頬を食い破った

 

 

かくしてその場に残ったのは満身創痍のわたしと布地が破け地毛が見える熊の悪魔だった

 

「まあまあだ、これなら生き餌としては充分役立つ」

 

意に介さず熊の悪魔は動けないわたしをどうやら文字通り手土産にするらしい

 

ぼぅとする頭で動くことも出来ず

 

熊の悪魔は布地からはみ出した別の顎門でわたしをくわえようとし

 

 

肩が膨らんで爆ぜた

 

 

「ぬぅぅおおお

 

 

 

熊の悪魔は理解出来なかった、水子の悪魔は死んだ、契約者らしきメスもただ強いだけのニンゲンで次の交渉の餌としていいだけ

 

ここで傷を負う原因がない

 

内側からの異物感、己が血を奪われる感触、

 

吐き気と共に襲われる倦怠感

 

ここに居る全ては制した

 

ではこの原因は?

 

我が内から何かが爆ぜて出てきたコレはなんだコイツハナンダ?

 

 

 

「おかあさん、ただいま」

 

水子の悪魔がここに居た

 

死んだ骸はそのままに、今熊の悪魔の肩口に上半身を覗かせて生まれるが如く

 

わたしは最後の力を振り絞り斧と山刀を投げ渡した

 

わたしのジャックは血塗れたままに刃を受け取りそのまま熊の悪魔の肩ごと切り飛ばし生まれた

 

ジャックはわたしを熊の悪魔から引き離し守るように熊の悪魔と対峙して

 

 

片腕をなくした熊の悪魔は唸るように背後の森に近付いた

 

熊の悪魔は鼻をひくつかせ

 

そしてそのまま

 

「時間か」

 

唐突に視界を火炎に覆われた

 

熊の悪魔は森に消え、いなくなり

 

わたしたちは疲れきって倒れた

 

その後やけに厳ついおっさんと人の姿じゃない生物に背負われて

 

車に載せられ気がついたら

 

留置所でした

 

アカン

 




日時
■月■日3時■■分
場所
■■県■■市旧■■村近くの山中にて
出動理由

■■■■■と■■の悪魔の情報提供により対象の活動を確認

対処のため担当地域近くの所属デビルハンターに急行要請

現場では半径■■■メートル以内にて悪魔と思わしき戦闘痕を発見


現場では3名の重軽傷者を発見

うち1名は全身を強く打って死亡残る2名は全治1ヵ月の軽症と栄養失調による失神

現場の痕跡から推測し3名を悪魔関係者と断定

当社で確保し収容することを決定した

推測では対象のいずれかを悪魔との契約者と推定し交渉を進めるものとする

ーーあるデビルハンター事務所の報告書よりーー


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ーーーーガルゥ

ーーーー日本の国土の殆どが山と言うならば、山の殆どは海に面している

 

かつてのささやかな賑わいが有れば両方の幸が楽しめる筈だろうこの土地も

悪魔とは関係なく

少子高齢化や交通の便の悪さ、漁獲量の減少などにより既に廃村であった

 

だが今は人知れずに異なる者たちが住う漁村と変わり果て、かつての賑わいを見せていた

 

 

そんな漁村の中でも一際大きな建物である修理ドックに

 

片腕を咥え、ずた袋を背負いながら入るのは熊の悪魔であった

 

暗がりに向かい己の腕を吐き捨てると

 

「うぉぉい!化粧の悪魔!破けたから直してくれぃ!」

 

暗がりの中場違いな布地が吊られた奥からヒールの鳴らして出てきたのは

 

蜘蛛の如く細ばった数々の腕とそれを束ねてドレスの如く誂えた異形の姿

 

 

化粧の悪魔はくねりながら熊の悪魔を一瞥すると一言

 

「対価は?」

 

悪魔にとって契約は大事なものだ

 

だが悪魔同士ならそうではない、結局は力で捻じ伏せ喰らうか命令する。

 

だが熊の悪魔はさも当然の如く

 

「俺の腕だ!「足りない」ぐぬぅ…ならば帰り路にて捕らえしニンゲン一匹と三匹分の衣類と皮はどうだ?」

 

その対価に化粧の悪魔は軽く呆れながら返事をしようとし

 

 

突然屋内に響き渡る低いながらも重圧感のある二つの声が響き渡った

 

「おまえ、何故我が前に一番に来なかった?」

「此処で決めた定めを忘れたか熊よ」

 

熊の悪魔はイラつきながら

 

「身綺麗にしてから向か「手酷くやられたな」

 

「やはり童に好かれそうな姿と思い向かわせたが中身が駄目だったかぁ」

 

……うっさいわ!確かに向かい入れることは出来なかったが所詮人に近い脆弱な悪魔よ!」

 

 

「それにしては片腕をやられたようだな?」

 

「対価の支払いは一度こちらに精算してからその後にすれば良いであろうにどうしてお前は出来んのだ」

 

「ぐらぁ?!」

「グルウゥxっx!?」

「ギぃxぃx?!」

その場の悪魔は互いに睨み合いながら牙をちらつかせ剣呑な様子になりつつあった

 

化粧の悪魔は馬や鹿の悪魔では無いのに馬鹿な熊の悪魔に内心毒づきながら格の違う悪魔達に萎縮していた

 

悪魔なのに神に縋ろうとした時 主が訪れた

 

「騒がしい、何事だ」

 

その一言でいがみ合った悪魔達は膝をつき頭を垂れる

 

その先にいるのはただ1人の少女

 

「我らは互いにかつての栄華を目指す同胞(ハラカラ)。此処で争うな」

その姿はかつて別の世界、別の話、別の物語で語られた

 

ある時代の主役その人

 

かつての王かつての幻想の

 

化け物(英霊)の姿

 

騎士王そのものであった



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プリズンガール

東京経済新聞
原油価格の高騰をきっかけとして地方の人口は世界大戦終結後減少してきた。1970年代以降、風力発電などが注目されていたが…
代替エネルギーXXがXXされ…


暗闇の中何度も夢を見る…暖かい海の底で身じろぐように、波のような流れの中で鼓動が始まる

一つは上手く形を保てず、一つは飢えた末に途絶え、一つは異物に貫かれ、一つは腐り一つは潰れ一つは意識が一つは切り裂かれ一つはバラバラに

 

 

どれも異なるのに同じなのは私を見ていた

 

目の前に光が入る

どうやら長い間寝ていたようだ、身体の節々に違和感はあるし目で見る限り溶接された様なゴツい拘束具で椅子に座らせている様だった

 

何度か意識が覚醒しても視界は見えないので仕方ないが今までその様だったのは悪魔絡みなのは確かだろう

 

何も音は聞こえないにも関わらず安っぽい部屋の中だ病院の治療器具があるのに窓もベッドもない光源は床に置かれたスタンドだけ

 

 

部屋に誰かが入ってくる、死ぬことがなければ良いが…娘の為にも…

 

 

青髪の男はズカズカと入るとスタンドの近くで胡座をかいてしまった

服装は黒服というより薄ら青みが入ったストライプのようなスーツ

軽い隈と三白眼が無ければ好印象の青年であろう姿に不釣り合いな持ち物

 

青髪は持ち物を広げて半ば独り言のように質問(発言)する

 

「今回意識が戻った女性はOO県XX市在住藤村立花 16歳、悪魔の兆候無し意識は本人と断定、失踪前から素行不良有り、アバズレ、普段明るく元気だったが悪魔の襲撃一年前から不安定な精神性が見られた…

 

……私の中で疑問しか湧かない、この青髪はこちらに何も意識を向けない、

なのに手持ちの品に全て書かれているかの如く、()()()()()()()()()()()()()()()()()

…おかしい…記憶の限り身分が分かるものは全て手放していたし生前の世界と異なりここでの警察はヒトに対してのみ機能しているがそれも都市部での話だ、地方での警察は防犯程度しか機能しておらず悪夢に対しては全くの無干渉で目の前で襲われていても、かつての防空壕に避難誘導するのが精々である

 

なので事情聴取自体がない

 

大抵ほっといても死体になるか食われてる世界で戸籍証を持ってなければ前世の頃の警察並みの調査力と治安でなければ調べることすら出来ない

まさか公安…?脳裏に冷や汗がでる

 

公安は不味い

 

後にも先にも真っ暗な首輪に絶望していると青髪野郎が唐突に調書を辞めて初めてこちらに声をかけた

 

 

青髪は首を傾げ持ち物を震わせながら、首を傾げ私に確信を聞く

本来その言葉はこの世界には認知されず、悪魔ですら名を知らずに知られており、ある悪魔が知っているモノ

 

「貴様、チェンソーマンとは何だ?」



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ブックマン

青髪の男は寝不足だった、男は地方にしてはそれなりの民間のデビルハンターだった、だがある悪魔との契約の結果まともなデビルハンター業が行う余裕は減り

悪魔による殉職の列から逃れられた代わりに、ある悪魔の力である分野の業務をまとめて請け負っていた

男にはまさに天職と謳われたが本人としては対価のせいで悪夢であった

そんな中、回されてきた業務がこの場所の調書だった

 

ソイツの手掛かりは何もないが、存在するだけで充分だ

吾輩の悪魔の力でどうとでもなる

吾輩の手元の場違いな装丁のソレを広げ指をなぞる、女の姿を描き文書を綴る

 

ただそれだけで充分だ、女の全てが本となる、悪魔か化身か全て綴る

これまでの死体のカケラや遺品、不明な悪魔の残骸でも全て綴る

だからこそ前線から外された、目の前の暴力よりも後始末を押し付けられて、

 

 

 

普段ならそれで終わる筈だった

 

違和感はこの女であった

 

女の内容が突然同じワードの繰り返しになりその先が袋綴じになってから

普段ならありえないことだ悪魔との契約でもこのようなイレギュラーはなかった

 

そしてこの悪魔にとっても同じ様だ

いつもの余裕を無くして震えている

 

「開けちゃダメだ」そう警告する様に

 

だから仕方なく中を覗き込んだ、開けてないから問題無かろう

 

そして知った

 

「貴様、チェンソーマンとは何だ?」

 

その言葉を吐き出しながら、ある言葉を思い出す、天と地の間にはお前の哲学などには思いもよらぬ出来事があるのだ

 

髭面のクズの台詞を思い出しながら女の様子を注視する

 

女も聞かれた質問に仰天すると同時に青褪めていたそんな中異変があったのは部屋の以前からの異変であった

 

曰くその重傷者は治る速度がおかしく、その様は悪魔の様だ

曰く患者のうわごとが何人も聴こえている

曰く動けない患者なのに、移動している

曰くドアを叩く音がするが誰も居ない

曰く誰もいない廊下に足跡がある

曰く視線を感じる

曰くそばにいる

 

そんな女だからこそ何なのかを調べる為に吾輩が呼ばれた

 

だがこれはまずい

 

手はあるが余裕がない

 

周囲に湧くかの如く子どもが現れる

 

姿ははっきり見えないが明らかに悪魔だ

 

敵意が有り、殺意がある

 

「おかあさん?ころしていい?」

 

そんな声が聞こえる

 

女はいつのまにか壊れている拘束具の椅子に座ったまま青褪めていた、視線は彷徨い虫ですら怯えているようであった

それでも余裕が出てきたようでぎこちない返事をした

 

 

「だ大丈夫よ、お母さんは平気だからダメよ、お母さんこの人と話すからまた、いつものおそうじをお願い、お母さん虫やネズミが苦手だから…」

 

そういうと殺意は薄れ、周囲の悪魔は消えた

 

吾輩は遅れた準備をようやく整えて準備(処分)を整えつつ聞いた

 

「必要な物は?」

 

「紙とペンを」

 



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リクルートガール

何万何千回目かのはじめまして
繰り返すページのさざなみ……押し返す草のしおり……ここでは誰もがお客様、聞き逃さないでありがとう
むう、やる気なのね! いけないひと、つむじ曲がりのお客様、難しい話のおじさんもみんなみんな面倒ね!
ワンダーランドはおとぎの国。ライムの響きは夢のゆりかご。
1シリングの価値もない。保証期間は十年足らず。
いずれ消える甘い恐怖。でも必要な甘い苦痛。
ここではわたしは女王様!

ーーある悪魔の契約報告書の写し(:ミーム汚染済み:)


私は半ば布製の拘束具に身を包んだままだが解放されることになった

 

内容が内容だからではなく、人材不足故である妊婦を労われよ

 

民間のデビルハンターとはいえ能力はピンキリ、才能があるのは公安に吸われ残るのは味噌っカスか難ある人材

 

だからと言って秘蔵っ子か拘束悪魔は大抵お国に報告しなければ補助金等のおぜぜが貰えないのだ

 

だがここに例外が居る、困るなら改竄すればよい、ここの民間デビルハンターはその手で拡大してるクチである

 

そしてその首謀者が目の前の青髪クズである、契約する悪魔は絵本の悪魔であり目の前でページや文書を改変している

明らかに本の姿をしているのにそこから感じる無邪気さを感じ持ち主とアンバランスに見える

 

 

「コイツの代償はインク代わりの血液と上等な小説を差し出すこと、それだけでここまでデカく成長出来た、俺としてはクソの様な肉体労働から逃れた筈が執筆活動で死にそうになってる、

だからお前の爆弾にはお前で防ぐコトにする!無限弾除けに代行者助かるコトこの上なしだクソが!」

 

フランクに話すのは運命共同体な故であろう、大丈夫?おっぱい揉む?

 

まああのキーワードの時点で地獄を避ける為にも死なない為にも丁度良かった

彼もことの重大性を理解してくれたので助かる()()()の助けもあり

収監時からずっと営内の小動物は処分して貰っていた、不自然じゃないように食べて貰っていたが後でお菓子を買ってあげなきゃ、心は痛いが死ねば何もないのでお母さん許して

 

そんなこんなで私は偽名と民間デビルハンターの職と熊の悪魔の目撃情報と戦闘記録の不都合は筆なめなめ(改竄)してもらい報酬を貰った

 

初任給含めてこれだけ有れば半年は食っちゃ寝が出来る

買ってた田舎の家は捨て再び文明的な生活に戻れたが、この拘束具は着用必須だそうな

契約悪魔の危険性と封じ込め名目のパフォーマンスだそうで男のロマン詰め詰めの特別仕様である

(まぁパフォーマンスなので日常生活では仕事以外では脱いでいいそうで)

 

新生活を始める為に青髪と買い物して部屋を教えて貰いとりあえずそこで別れて明日となり、とりあえず今日は我が子と出所パーティーを始めた

 

「「「いえーい」」」「だっしゅつおめでとうおかあさん」

「あぁ〜ありがと、うちの子かわいい〜」

「これたべていいの」「私も食べたいのだわ」「いいよ」

 

なんか人数多くない?一人ゴスロリいるし

 

まぁいいか!!よろしくなぁ!

 

その後、酒飲んで吐いてそのまま寝た、誰だろコイツ?



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モーニングガール

新たなエネルギー源
エネルギーに取り組んでいるのは国内の中小企業が集まって作られた企業の集合体である「XXエネルギー企業共同体」で国内の様々な開発系の企業が集まって作られた再開発だ。代表である木塚原麻郡さんは「バイオ燃料や再生燃料開発は政府主導…ページは破れている

ーー東京経済新聞朝刊より




二日酔いの頭と硬く清潔なフローリングの床に菓子の食いカスと酒と飴に寝ゲロを撒き散らしそれぞれ寝ていた

 

私はパンツのみの姿で寝ゲロにダイブして

 

ゴスロリは両手に菓子を掴んだままありったけの夢を掻き集めて溺れるように包装紙と食いカスに沈んでいた、まさに理想を抱いて死んでる…

 

ジャックちゃんは気に入ったマントとエチエチに切った服で満足し切れ端を集めて巣のようにしていた

 

改めてベッド買わなきゃ(使命感)

 

このままでは不味いので起き上がると突然玄関が開いた

 

「おい!お前の所に絵本の悪魔が来なかったか!こんなことは初めてで恐らく逃げt……その体、臭

 

 

なんかムカついたので横っ腹に蹴りを入れた

 

どうやら絵本の悪魔が逃げたそうな、普段から本の姿で契約に満足しておりクソガキの態度を取るがこんなことはなかったそうな

 

とりあえず掃除と風呂に替えの下着と我が子を起こしながら聞いていた

 

ゴスロリも目が覚めたそうで我が子と遊んでいる、おいおい飴でキャッチボールをしてはいけませんよ、ぬぅ中々の豪速球、目が追いつかない

青髪カスが話に夢中だが目の前の飴の弾丸でちょっと気が散る

 

「ちょっと食べ物で遊んじゃいけませんy

 

デットボールズ、試合中断です

 

イテェ…飴の悪魔発生すんぞコラァ!何個かめり込んだし

メスガキ糞ゴスロリは笑ってるが、ジャックは心配してくれたoh天使…

 

 

めり込んだ飴を抉り出しながら唐突に脳内のイカれた線と線が繋がる

 

ゴスロリはまさか……あの姿(英霊)

 

まだ頭を抱えた青髪が半ば独り言の様に喋っているが

ちょっと精神的にヤバそうだった、色々ストレス抱え込んでいるのか前からやつれて見えてたし実際やってるコトも激務なんだろう

 

そこに天使(悪魔)が舞い降りる

 

「全く申し訳ないかしら、頭がブリキのマイマスター、お目目は伽藍、お口はラジオ、おくしは抜けてハゲちゃいそう、

そんなあなたにご執心、そんな悪魔はここに居る、かわいいおべべにかわいいおくし、かわいいもので満たされて、仲間の血肉を戴いて、ここにコロリと登場よ!」

 

どうやらコレが絵本の悪魔(ナーサリー・ライム)だそうだ

 

かつての記憶が激しく動揺する、何故その姿?何故その容姿?何より何故

アンデルセン(青髪)が人間なんだ?

なら悪魔とは一体?

 

頭を潰されたかの様な衝撃にへたり込みつつジャックに支えて貰いながら向かい酒をあおる、よく分からなくなった頭痛の中見たのは

 

唖然とした青髪とゴスロリの姿で

 

その姿はまるで…

 

おまわりさんこっちです射殺はよ

 

 



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アフターガール

家族や身内としての兄弟と
兄より格下の弟としての兄弟と
意味が違うのを都合良く使い分ける社会
そんな家族という最小の奴隷から解き放つのは共産主義である

_ある発禁書ー資本の犬でもわかるただしい共産主義ー


青髪とゴスロリはとりあえず後から来た同僚らしき人達に保護して貰った

本人の弁明と自身の契約悪魔の変貌に発狂で忙しそうだが

 

他同僚としては

 

「逃げるなぁァァァ!責任から逃げるなぁァァ!」

 

「書類仕事は溜まったんだ!、お前の仕事は一轍しない間に溜まったんだ!」

 

「いつだって俺たちは、お前が逃げたした夜の残業の中で戦っていたんだ!」

 

「独身にされた人間がだ!! 別れた心の穴は簡単には塞がらない!! 抜け毛だって失ったが戻ることもない!!」

 

 

「「「そんな状態でお前は幼女に手を出してんじゃねぇ!!」」」

 

……会社説明のようなドブ川のヘドロを目の前で見せられつつ

自身もこのデスマーチに慣らされる事実に咽び泣いた

 

 

後日理解したが自分とジャックは現状民間のデビルハンターの見習いとして実務に従事する形でここでの生活を保証して貰っている

 

通常の社会なら戸籍や資格、保険等、国民が保障される:支配:が問題になるのだが今は悪魔が蔓延る時代!

 

お手軽公文書偽造に戸籍はそこら辺の死体のリサイクル!ヤのつく必要悪()もホクホク顔になる程の収入源だそうで

 

その元締めを悪魔で脅迫して下部組織に取り込んで不法移民ごとポッケに突っ込んで使えるのを『研修生』として減らない消耗品に仕立てた枠だそうな

 

だからこそ、ここは民間デビルハンターとしては中堅ながらも国際色豊かな職場です()

 

現状悪魔に目を付けられてるのは明白なのでジャック共々ココで身を隠しつつ働くこととした

 

うちの子は悪魔だからこその脅威的な力と無邪気さで着いて来てくれたが

思ってたんと違う…違うのだ!

 

仕事は意外にも害獣駆除、よくわからない作物の収穫、漁業のヘルプで

悪魔とは全く関係ない日雇い労働者染みた作業の連続である

 

まともな社会と異なり銃も文明も遠ざかると田舎は武士の集まりと化すようだ

歴史書で見た様な櫓や鉄条網、堀の中で足軽のような武装をした農業従事者がコンバインやトラクターで開墾やビニールハウスで栽培する姿はともかく

 

小さな商店街に至ってはヤクザと一般人の区別が付かないのである

 

そんな中明らかに場違いな体格と人種の研修生達に囲まれて働いてはいる

 

自身とジャックはやはり元から日本人であるのと持ち前の身体能力で楽なのだが

 

赤の他人とはいえ未だ未発売の狩猟ゲーに出るような一般猪にキックバックされる研修生や海に消える研修生、失踪したように隠蔽される研修生等々人間性がゴリゴリ削れるイベントを経て思った

 

デビルハンター詐欺じゃん

 

デビルどこだよ悪魔のような搾取しかないやん

この会社が悪魔じゃん

 

ということで青髪に蹴りを入れながら異動してもらい晴れて見習いとして精神安定の為にも悪魔を殺す事を積極的に選びました



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