プリンセスコネクト!SCP (井村六郎)
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プリンセスコネクト!SCP

なろうの自分の作品更新しないで何やってんだろ…息抜きだと思って大目に見て下さい。
自分、プリコネのユーザーでして、最近SCPにもはまってるんです。というわけでクロスオーバーさせてみました。

時系列は王都終末決戦から少し経った後、シェフィと出会う前です。


ペコリーヌ「いや~美味しかったですねぇ~☆」

 

 いつものように、ギルド活動を終えて戻ってきた、美食殿一同。

 

ペコリーヌ「明日はどこに食べ歩きに行きましょうか?」

 

キャル「たまには魔物料理以外も食べさせてよね……」

 

 げんなりした様子のキャル。と、ギルドハウスの呼び鈴が鳴った。

 

コッコロ「はい、ただいま参ります」

 

 応対するコッコロ。ドアを開けてみると、そこにはユイ、ヒヨリ、レイの三人が立っていた。

 

コッコロ「まぁ。これはトゥインクルウィッシュの皆様」

 

ヒヨリ「コッコロちゃん、騎士くん、みんな、やっほー」

 

 コッコロが三人を招き入れる。

 

キャル「今日はどうしたの? 遊びに来たの?」

 

レイ「いや、今日は大事な話をしに来たんだ」

 

ユウキ「大事な話?」

 

ユイ「今日ね、ギルド活動から戻ってきたら、私達のギルドハウスの郵便受けにこんな手紙が入っていたの」

 

 ユイは封筒を開けて、中身を見せる。手紙には、こう書かれていた。

 

『ユイ様、3時間預からせていただきます 秘密結社キャッチ&リリース』

 

 他には、日時が記載されている。どうやら、明日の9時だ。

 

キャル「……えーっと、何この……何? 預かるって何を?」

 

コッコロ「ユイ様を預かる、といいますと、身柄を預かる、という事では?」

 

キャル「要するに、誘拐するって事?」

 

ヒヨリ「びっくりだよね。たぶんそういう事だと思うけど……」

 

キャル「いろんな意味でびっくりしたわ。誘拐するのに予告状出すとか聞いた事ないんだけど」

 

コッコロ「差出人の名前も記載されておりますね」

 

キャル「秘密結社キャッチ&リリース? 何これ? ふざけてんの?」

 

 キャッチ&リリースという、奇妙奇天烈な名前の組織があるなど、聞いた事がない。

 

レイ「私達も最初はいたずらかと思ったんだけど、胸騒ぎが消えなくてね。王宮騎士団にも通報はしておいたんだが、やっぱり見知った人達を頼りたいんだ」

 

 というわけで、ユイを匿ってもらいに来たのである。

 

ペコリーヌ「なるほど、そういう事なら、オールオッケーです!」

 

コッコロ「わたくしも何だか嫌な予感がして参りました。主様、わたくしもぜひユイ様をお助けしとうございますが、よろしゅうございますね?」

 

ユウキ「うん、もちろんだよ。絶対に助けよう」

 

キャル「あたしは、こんな事をしでかす輩に興味があるから協力してあげる。そのツラ拝んであげようじゃない!」

 

ユイ「ごめんね。みんなありがとう」

 

ペコリーヌ「困った時はお互い様ですから。あ、どうせなら今夜はこのままここに泊まってもらった方が良くないですか?」

 

ユイ「え!?」

 

コッコロ「そうでございますね。上手くいけば諦めてお帰りいただけるかもしれません」

 

ヒヨリ「なるほど! それは名案だね!」

 

レイ「じゃあそうさせてもらおうか。今通信魔法で王宮騎士団にそう連絡する」

 

ユイ「き、騎士クンと、同じギルドハウスで、お泊まり……」

 

ユウキ「どうしたの?」

 

ユイ「う、ううん! 何でもないの!」

 

 顔を真っ赤にして否定するユイに、ユウキは首を傾げるのだった。

 

 

 

 そして、翌日。

 

ペコリーヌ「さて、そろそろですね」

 

 予告状に記載されていた時間の5分前、一同は誘拐犯の襲撃に備えていた。

 

ネビア「あら、物々しい雰囲気。確か、誘拐犯が来るんだっけ?」

 

コッコロ「はい。ネビア様は隠れていて下さい」

 

ネビア「言われなくてもそうするわ。どう考えても私、戦力外だし」

 

 コッコロに言われたネビアは、二階に隠れて様子を見る事にした。

 

 この場にいるのは7人だけ。本来護衛に駆けつけてくれるはずの王宮騎士団は、突然急用が入って回せる人員がいなくなったとの事だ。

 

レイ「仕方ない。元々はこっちの問題だし、私達の力で対処しよう」

 

ヒヨリ「9時になるよ!」

 

 ヒヨリが壁掛け時計を確認し、一同が武器を構える。

 

 時計の針が、9時を指し示した。

 

ヒヨリ「……来ないね。やっぱり、諦めて帰ってくれたのかな?」

 

レイ「……いや、妙な気配がする」

 

コッコロ「はい。主様、ユイ様、ご注意を!」

 

 その時だった。ギルドハウスの玄関が、壁が、床が、歪み始めたのだ。まるで、波紋を広げる水面のように。

 

 間もなくして、それは水の中から浮かび上がるようにして、壁から現れた。

 

 スーツを着用した男性。だが、頭が魚になっている魚人間だ。

 

キャル「な、何よこいつ!?」

 

ペコリーヌ「わーい! 美味しそうなお魚さーん!」

 

キャル「ペコリーヌ!?」

 

ペコリーヌ「いただきまーす!」

 

 魚人間を見て大喜びしたペコリーヌは、魚人間に掴み掛かり、頭から丸かじりする。魚人間の首から下の人間部分が溶けるように消失し、魚人間は絶命した。

 

 だが、同時にペコリーヌも倒れてしまった。

 

コッコロ「ペコリーヌ様!?」

 

 コッコロは呼び掛けるが、ペコリーヌは反応しない。

 

キャル「このバカ! いつもいつも見境なく食らいつくから、そんな事になるのよ! いつかこうなるんじゃないかと思ってたわ!」

 

レイ「気を付けて! 次が来る!」

 

 床から、三人の魚人間が出てきた。

 

ヒヨリ「ユイちゃんは、あたしが守る!」

 

 それを見て突撃するヒヨリ。魚人間の胸の中心を狙って、拳を繰り出した。魚人間は、それを片手で止める。

 

ヒヨリ「う、あ……?」

 

 拳が魚人間の手に触れた瞬間、ヒヨリは呻き声を上げて倒れ、気絶してしまった。

 

レイ「ヒヨリ!」

 

コッコロ「今までの流れから察するに、どうやら触ると気絶させられてしまうようです」

 

レイ「だったら、触らないように戦うだけだ!」

 

 レイとコッコロの二人が立ち向かう。レイの武器は剣で、コッコロの武器は槍なので、魚人間に触れる事なく戦う事が出来る。二人に斬り伏せられた魚人間は、魚に戻って絶命していく。

 だが、倒しても倒しても現れる魚人間に、二人は瞬く間に囲まれていった。キャルとユイが魔法で援護射撃を行うが、魚人間は現れ続けて止まらない。

 

レイ「ぐあ……」

 

コッコロ「くっ……主様、キャル様……ユイ様を連れて、お逃げ、を……」

 

 二人の魚人間がレイとコッコロの背中に触れ、気絶させてしまった。

 

ユイ「レイちゃん! コッコロちゃん!」

 

キャル「こ、この化け物ども! 来るんじゃないわよ!」

 

 ユイの盾になるユウキと、ひたすら魔法を撃ち続けるキャル。だが、魚人間が一人、キャルの背後に現れ、その両肩に触れる。

 

キャル「し、しま……」

 

 キャルが気絶した隙を狙うようにして魚人間が床から現れ、ユウキを気絶させた。

 

ユウキ「くっ……」

 

ユイ「騎士クン!」

 

 そして、ついにユイの背後にも魚人間が現れ、ユイを気絶させる。

 

ユイ「あ……い……や……」

 

 気絶したユイを小脇に抱え、魚人間達は撤退していった。

 

 

 

ユイ「……ん……」

 

 目を覚ますユイ。周囲を見渡すと、そこはそれなりの広さのある一室で、ユイはベッドの上にいた。

 

ユイ「私は……ひっ!」

 

 さらに周囲を見回して、ユイは息を呑む。この部屋の出口は、二つ。その内の一つに、あの魚人間が一人立っていて、こちらをじっと見ていたのだ。

 

ユイ「い、嫌……!」

 

 ユイは恐怖しながらあとずさるが、背中は壁にぶつかる。逃げ場がない。魚人間は相変わらず無言でユイを見ており、その表情を伺い知る事は出来なかった。それが余計にユイの恐怖を煽る。

 

ユイ(……落ち着いて、私。パニックになっちゃ駄目だ)

 

 しかしどうにか心を強く持ち、ユイは目を閉じて深呼吸をする。

 

ユイ(今ここには私しかいない。だったら、私がしっかりしなくちゃ!)

 

 自分一人の力で何が出来るか、どこまで出来るかわからない。しかしだからこそ、慌てず騒がず状況を分析し、自分に出来る事を探し尽くさねばならないのだ。

 

ユイ(襲ってくる気配はない。ならまず、この部屋について調べてみよう)

 

 ベッドの他には本棚と壁掛け時計があり、納めてある本は魚関係で統一されていた。魚人間のいない方の扉を開けてみると、中はトイレ、洗面台、バスルームの三点付きユニットバスになっている。そして窓はなく、ここから出るには魚人間を倒していくしかなさそうだ。

 

ユイ(でも私の力じゃ、ここから逃げるのは無理そうだなぁ)

 

 ベッドに戻って考える。よしんば魚人間を倒せたとしても、即座にまたあの数の暴力が押し寄せ、鎮圧されてしまう事は目に見えていた。

 

ユイ「何だか喉が渇いちゃった」

 

 気が付けば、ユイは小さな欲望を口にしていた。途端、今までユイを監視する以外の行動を何一つしなかった魚人間が、動き出した。驚いて見ていると、魚人間は一度出口から退出し、コップに水を一杯汲んで戻ってきて、ユイに渡した。

 

ユイ「あ、ありがとうございます」

 

 おずおずとだが水を受け取り飲み干す。

 

ユイ「ご、ごちそうさまでした……」

 

 コップを返すと、魚人間はまた退出してコップをどこかに返し、戻ってきてまたユイを監視しだした。

 

ユイ(私が喉が渇いたって言ったから、持ってきてくれた……?)

 

ユイ「あの、クッキーってありますか?」

 

 気になったユイは、魚人間に次の注文を出す。すると、またしても魚人間は一度退出し、戻ってきた。その手には、カゴに入ったクッキーを持っている。

 

ユイ(やっぱり、私が何かお願いすると、それに応えてくれるんだ!)

 

 クッキーを受け取ってから、ユイは手紙の内容を思い出した。3時間、身柄を預かる。という事は、3時間経ったら帰してくれるという事。それが本当かどうか、聞く事にした。

 

ユイ「あの、3時間経ったら、本当に帰してくれるんですか?」

 

魚人間「……」

 

 魚人間は何も言わない。代わりに、頷いて答えた。どうやら、喋れないようだ。喋れない相手にこんな事を聞くのは酷かもしれないと思ったが、ユイは訊ねる。

 

ユイ「どうして私を誘拐したんですか?」

 

 すると、魚人間は何か考えるような仕草をした後、退出した。そのすぐ後、今度は別の魚人間がやって来て、ユイの監視に就いた。

 

ユイ(答えられないって事なのかな?)

 

 ユイは仕方なく、3時間待つ事にした。

 

 

 

 それから時は経ち、ユイは壁掛け時計を見た。

 

ユイ(あと少しで3時間経つ)

 

 と、出口のドアが開いた。あの最初の魚人間が戻ってきたのだ。

 

ユイ「えっ?」

 

 魚人間はユイに、封筒を渡す。直後、魚人間はユイの両肩に触れ、ユイは気絶した。

 

 

 

レイ「ユイ! ユイ起きて!」

 

ヒヨリ「しっかりして!」

 

ユイ「う、ん……」

 

 次に目が覚めた時は、美食殿のギルドハウスに戻っていた。ユイは自分が魚人間のアジトで経験した事を話す。

 

ユウキ「え、それだけ?」

 

ペコリーヌ「変な事とかされなかったですか?」

 

ユイ「うん。誘拐された時は怖かったけど、そんなに悪い人達って感じじゃなかったかな」

 

キャル「あれ? ポケットから何かはみ出してるわよ?」

 

 キャルはユイのスカートのポケットから、封筒がはみ出している事に気付く。ユイは封筒を開けて、中に入っていた紙を見せる。

 

 手紙には、こう書いてあった。

 

『しゅみです 秘密結社キャッチ&リリース』

 

キャル「……は? 趣味? どういう事?」

 

 唖然とするキャル。と、ユイは思い出した。

 

ユイ「そういえば私、お魚さんに何でこんな事をしたのか聞いたんだった。もしかしたら、これがその答えなのかも」

 

ネビア「え、じゃあ趣味で誘拐したって事?」

 

キャル「何この……何?」

 

コッコロ「何とも、不思議な体験でしたね、主様……主様?」

 

 コッコロは、ユウキが反応しない事に気付く。ユウキは、立ったまま眠っていた。

 

ネビア「あ、さては……」

 

 気付いたネビアは、ユウキの頭に座って同じように眠りにつく。

 

 

 

ネビア「やっぱり、フィオに呼び出されてたのね」

 

 ユウキは自分の精神を、アメスに呼び出されていた。

 

アメス「あ、やっぱりネビアも来たのね」

 

ネビア「当然でしょ? で、その子を呼んだのは今回の事件について話す為ね? あの魚人間の集団は一体何なの? あれもこの世界の不具合? 魔物ともシャドウとも違う感じがしたけど」

 

アメス「ああ、あれね」

 

 アメスは矢継ぎ早に問い掛けられ、話す事にする。

 

アメス「実は、私にもよくわかっていないの」

 

ネビア「わかっていない?」

 

アメス「全部が全部わかっていないわけじゃないのよ? 原因は、王都終末決戦」

 

 それは少し前に行われた、この世界の命運を左右する最終決戦。

 

アメス「あの時千里真那が集めたマナは、この世界に大きな歪みを生み出した。その歪みは空間に小さな穴を空けて、異なる世界に繋がってしまったの。現実世界とそっくりだけど、全く違う世界にね」

 

ネビア「あの魚人間達は、その世界からやって来たって事? 現実世界と似てるけど違うってどういう事?」

 

アメス「正確な事はわからない。でも、ああいった化け物が他にもたくさんいて、そいつらを研究してる組織があるって事だけはわかった」

 

ネビア「他にもって、じゃあまだ来る可能性があるってわけ?」

 

アメス「今はもう繋がってないから来ないわ。私がどうにか修復したから」

 

ネビア「ふーん……」

 

 一通りアメスの話を聞いてから、ネビアは考える。

 

ネビア「まぁあの魚人間、誘拐する以上の事はしないみたいだし、不気味だけどそこまで悪い連中でもないみたいだから、放置でいいんじゃない? 他に増える可能性もないなら、大丈夫でしょ」

 

 特に危険もなさそうなので、ネビアはあまり重く受け止めていない。

 と、アメスが複雑な表情を浮かべた。すごく大切だから言わなきゃいけないんだけど、すっごく言いたくない。そんな顔をしている。

 

ネビア「何その顔?」

 

 と、ネビアは悪い予感を覚えた。

 

ネビア「……まさか……」

 

アメス「……うん。他にもいろいろ、あっちからこっちに来たみたいなの。それを伝えたくて……」

 

ネビア「……どんなのが何匹来たか、わかる?」

 

アメス「……わからないけど、最低でも9匹。ものすごく凶暴そうでヤバそうなのが、4匹確実に……」

 

 アメスの返答を聞いて、ネビアは頭を抱えた。

 

ユウキ(そういえば、王宮騎士団が急な案件で来られなくなったって言ってたけど、もしかして……)

 

 

 

 ランドソル広場。

 

 本来ならここでカルミナのステージが行われるはずだったが、今は阿鼻叫喚の巷と化している。

 

「小娘ども。貴様らはハラワタを引き裂かれもがき苦しんだ後、頭を踏み潰されて死ぬのだ」

 

 会場は巨大なトカゲのような怪物に襲われている。

 

ノゾミ「みんなを傷付けるなら、許さない!」

 

チカ「風の精霊よ、みんなを守って!」

 

ツムギ「動きを止めます! フェイタリティバインド!!」

 

ホマレ「今日はオフのつもりだったんだけど、見過ごすわけにもいかなそうだね。カヤ、イノリ、お願い」

 

カヤ「任せとけ!」

 

イノリ「ぴうぅぅぅぅ!! こうなったらもうヤケクソですぅぅぅぅぅ!!」

 

 カルミナとドラゴンズネストのメンバー達が、王宮騎士団とともにクソトカゲに挑んでいった。

 

 

 王宮前。

 

「オアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

クリスティーナ「どうした? もっと全力で打ち込んでこい!」

 

 クリスティーナが真っ白でガリガリな怪人と交戦していた。そこへ、通報を受けたジュンが駆けつける。

 

ジュン「クリスちゃん!? 今度は何をしたんだ!?」

 

クリスティーナ「何もしていないさ。ここで座り込んでいたから何をしていたのかと聞いたら、突然『顔を見られた』と喚きながら襲い掛かってきたというわけだよ」

 

ジュン「顔を見られた? どういう事?」

 

クリスティーナ「不可解な点は他にもある。こいつの攻撃は問題なくかわせるし、私の攻撃も問題なく当たるのだが」

 

 クリスティーナは怪人の爪による攻撃をかわし、右肩に剣を叩き付けた。だが、怪人は衝撃で地面に沈み込んだだけで、ダメージを受けていない。

 

クリスティーナ「ご覧の通り傷一つ付かない。手詰まりというわけだよ」

 

ジュン「だが衝撃は受けるみたいだ。力で押さえ込めるなら!」

 

 ジュンはクリスティーナの攻撃で怪人が沈み込んだのを見て、怪人に組み付いて押さえ込んだ。怪人は叫びながら暴れるが、関節を完全に押さえ込まれているせいで動けない。

 

「ほう、なかなか面白い光景に出くわしたな」

 

 その時、凶悪な顔付きの男性が現れた。

 

クリスティーナ「何者だ? どこから現れた?」

 

 男性は笑いながら、右手をかざす。すると、その手にブレードが現れた。

 

「俺の名はアベル。死にたくなければ、全力で抵抗してみせろ!」

 

 

 

 自警団ギルドハウス。

 

マホ「今日はみんなに新しいメンバーを紹介しますえ」

 

「クミホと申します。皆さんよろしゅう」

 

カオリ「よろしくさー!」

 

マコト「よろしくな……」

 

カスミ「よ、よろしく、クミホさん……」

 

 マホとカオリは気分が良さそうだが、マコトとカスミは、このクミホというキツネの獣人の女性を信用してはいけないような気がしていた。

 

クミホ「マホさんをすぐに食べなくてよかった。どれもこれもみんな美味しそう」

 

マコト「え」

 

クミホ「嫌ですわぁ。食べちゃいたいくらい可愛いって事ですよ」

 

 マコトは舌なめずりをしたクミホに、恐怖を感じていた。

 

 

 

 エルフの森。

 

アオイ「……」

 

 地面に体育座りしていたアオイは、前を見る。

 

アオイ「私はぼっち生活が長すぎて、精神を病んでしまったんですね。だからこんな幻覚が見えるんですよ、きっと」

 

 そういうアオイの目の前には、彼女をじーーーっと見つめる2匹の涙型の生命体がいた。

 

 

 

聖テレサ女学院、象牙の塔。

 

ユニ「なるほど、君もずいぶん苦労したんだねぇ」

 

クロエ「……ね、パイセンどしたの? さっきから独り言すごいんだけど。もしかして勉強のしすぎでおかしくなった? ついにイッちゃった?」

 

チエル「違いますよ。あの胸像と、おしゃべりしてるんです」

 

クロエ「あのブッサイクな胸像と?」

 

チエル「チエルもちょっとおしゃべりしたんですけど、元々は人間だったみたいですよ?」

 

クロエ「マ? 何でそんなヤバいブツがテレ女にあんの?」

 

チエル「そこまでは……気が付いたらいたとしかわからないみたいです」

 

ユニ「さて、そろそろ講義の時間だ。戻ってきたらまた話の続きをしよう」

 

胸像「わかりました。あ。あなたは絵の才能がありますよ」

 

ユニ「ん。知ってる」

 

 

 

 リトルリリカルの待ち合わせ場所。

 

キョウカ「きゃああああああああああ!!」

 

ミソギ「今の、キョウカの声!?」

 

ミミ「キョウカちゃん、どうしたの!?」

 

 キョウカが来るのを待っていると、すぐ近くからキョウカの悲鳴が聞こえたので、二人が駆けつける。

 

キョウカ「な、何ですかこれぇ!? 動けません! 誰か助けてぇ!」

 

「ごぼごぼ。くうくう」

 

 キョウカはオレンジ色のスライムに首から下を取り込まれ、頭を撫で回されてもがいていた。

 

ミソギ「なんか楽しそう! ミソギも遊ぶ!」

 

ミミ「ミミも遊ぶよー」

 

キョウカ「遊んでなんかいません! 助けて!」

 

 キョウカが遊んでいると勘違いしたミソギとミミはスライムに抱き付き、一緒に取り込まれた。

 

くすぐりオバケ「ごぼごぼ。くうくう」

 

ミソギ「あははっ! プニプニして気持ちー!」

 

ミミ「いい匂いがするー」

 

キョウカ(あ、あれ? お母さんに抱き締められているみたいで、だんだん気持ち良く……)

 

 スライムを堪能する三人。すると、スライムは取り込んだ三人を思いっ切りくすぐり始めた。

 

ミソギ「あはははははは! くすぐったい!」

 

ミミ「あははははははは!」

 

キョウカ「わ、私くすぐりはっ! やっぱり助けて下さーい!」

 

 

 

 ラビリンスのアジト。

 

リノ「……お姉ちゃん。あれ、何ですか?」

 

シズル「……えっと……」

 

 二人の目の前には、本を読んでいる猿がいた。と、猿が二人の存在に気付く。

 

「おお、これは失礼。私の事は、ブライト博士と呼びたまえ」

 

二人「喋った!!」

 

 

 

 王都終末決戦は、アストルムに爪痕を残した。

 しかし、その爪痕の大きさが想像を遙かに超えるレベルだったと彼女達が気付くのは、まだまだ先の話だ。

 

 

ハツネ「むにゃむにゃ……あなた誰? ……このままだと世界が滅亡する? ……またまたぁ……」




今回登場したSCP
374ーJP 秘密結社キャッチ&リリース
682 不死身の爬虫類
096 シャイガイ
076 アベル
953 妖狐変化
131 アイポッド
892-JP ヴァンダリズムに反逆を
999 くすぐりオバケ
963 不死の首飾り
990 ドリームマン

あの世界詰んでませんかね?まぁあの世界自体が一つのSCPみたいなもんですし、平気でしょう。たぶん。

この作品の内容は『クリエイティブ・コモンズ表示-継承3.0ライセンス』に従います。作者名はわからなかったので書けませんでした。


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