ヒーリングっど♥プリキュア 雪の呼吸の使い手 (水甲)
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ifストーリー
if ひなた ①


急に思い立ち、本編そっちのけでifルート書きます。

話的には、もしもヒロインがちゆではなくひなただった場合の話です。


「こほっ、こほっ」

 

「風邪みたいですね」

 

しのぶさんが体温計を持って心配そうにしていた。

 

「季節の変わり目なので、休んでいればすぐに治りますよ」

 

「すみません…………」

 

「姉さんの手伝いで家を空けますが…………一人で大丈夫ですか?」

 

今日はカナエさんも杏寿朗さんも遠出していて、明日にならないと戻ってこない。しのぶさんも気を使って残ろうとしてるけど…………

 

「気にしないでください。一人でいるのは慣れてるんで…………」

 

小さい頃から一人でいるから…………

しのぶさんは困った顔をしながら納得して出掛けるのであった。

 

一人でいるのは…………慣れてるから大丈夫…………

 

 

 

 

 

 

「…………てる?」

 

声が聞こえた。夢かな?

 

「…………ル、交換して」

 

額に冷たい何かが当てられる。何だろうと思い、目を開けると…………

 

「あ、起こしちゃった?」

 

「ひ…なた?何で?」

 

何故か起きるとひなたがいた。何でいるんだ?

 

「しの姉と会って、紫乃っちが風邪引いて一人でいるって聞いたの。だから私が看病しにね」

 

ひなたが看病…………不安しかない。

 

「何?その顔は…………私が何か失敗すると思ってるの?」

 

「うん」

 

「正直に答えないでよ!?もうほら、寝てて」

 

寝かせようとするひなた。だけど僕としては…………

 

「悪いんだけど……寝る前に着替えたいから……」

 

熱のせいか、パジャマが汗でびっしょりで少し気持ち悪い。寝る前に一回着替えておきたい。

 

「あ、そうだよね。それなら…………汗とかも拭いた方がいいよね」

 

「うん、だから…………」

 

「私が拭いてあげるから、脱いで」

 

何で?自分でやるって言ってるのに…………

 

「い、いや……」

 

「ほらほら、ぬぐぬぐ」

 

聞いちゃいないよ…………

 

説得するのも体調が悪くて無理そうだし、諦めて上着を脱いだ。

 

「あ…」

 

「無理にはやらなくても……」

 

「ううん、大丈夫」

 

ひなたに背中を拭いてもらうことになったけど…………やっぱり恥ずかしい。

 

「……何でここまでしてくれるんだ?」

 

「何でって?」

 

「いや、別にお見舞いくらいでいいのに…………看病とかしてくれるの…………意外と言うか…………友達でもここまでしてくれるのは…………」

 

「…………だから」

 

「…………はい?」

 

「紫乃っちが寂しそうだったから」

 

寂しいって……そんなことは……

 

「紫乃っち、一人でいるの慣れてるって言うけど…………強がりにしか聞こえないよ」

 

「そんなことは……」

 

「そんなことあるよ……誰だって一人でいるのは寂しいものだもん。だから……」

 

強がりか……そうかもしれない。一人でいるのに慣れていた。だから寂しいのも…………

 

『ねぇ、一人でいないで遊ぼうよ』

 

「…………そう言えばひなたのお陰だったな」

 

「ヘ?」

 

「いや、去年、クラスで一人でいる僕に積極的に話しかけてきて、寂しさを忘れられたのは、ひなたのお陰だったなって……」

 

「あ、あれは……その」

 

「ありがとう。ひなた」

 

お礼を言うけど、ひなたは黙っていた。

 

「ひなた?」

 

「改めてお礼言われると恥ずかしい…………振り向かないで絶対変な顔してるから」

 

直球の言葉に弱いな。ひなたは…………

ひなたに言われた通り振り向かないでおこう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

体を拭き終わり、着替えも済ました僕。

 

「それじゃそろそろ帰るから」

 

「悪いな。いろいろとしてもらって」

 

「ううん、全然」

 

「これで風邪移したら、今度は僕が同じように看病しに行くから」

 

「そ、それって…………その、背中とか拭いたりも……」

 

もじもじするひなた。まぁひなたがいいって言うなら…………

 

「ひなたがいいならするけど…………」

 

「や、それは…………好きな人にしてもらうのは……いいけど……でも恥ずかしいし」

 

「ん?」

 

「え?」

 

何か今……変なこと言わなかったか?

 

「……えっとひなた?」

 

「あ、えっと…………なま、またね‼」

 

ひなたは慌てて帰るのであった。さて、今気になることを言われたけど…………

 

「…………熱が上がったかな?寝よう」

 

顔が熱いのは風邪のせいだよな。うん




次回は本編更新後になります


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if ひなた ②

風邪が治り、学校に行くとひなたの姿がなかった。

 

遅刻かなと思っていると、担任が風邪を引いて休みだとの話だった。

 

 

 

 

 

 

 

放課後、お見舞いに行くけど、ちゆは部活、のどかは用事があると言うことで僕一人だった。

 

ひなたの姉のめいさんに部屋まで案内された。

 

「ひなた、入るぞ」

 

「ん~ニャトラン?背中拭いて…………」

 

寝惚けているのかパジャマを脱ぎ出すひなた。

 

「いや、僕……」

 

ニャトランは何処に行った‼鞄の中にいるのか?

 

「早く…」

 

パジャマを完全に脱ぎ終わり、綺麗な背中が露になる。

 

目のやり場に困る。どうする?逃げるべきか?

 

でもこのまま逃げるのは…………

僕は腹くくり、ひなたの背中を…………

 

「お~い‼ひなた、背中拭いて着替え…………」

 

拭こうとした瞬間、鞄からニャトランが出てきて、僕らを見て固まる

 

「あれ?ニャトラン?じゃあ…………」

 

ひなたは僕の方を振り向き、固まる

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

静寂が流れ……ニャトランは鞄を持ち……

 

「のどかかちゆの所に行ってくるニャ。2、3時間したら戻ってくる…………」

 

ニャトランは出ていき……ひなたは……

 

「紫乃っち……着直すから出てって」

 

「はい」

 

 

 

 

部屋の外に出て、ひなたが着直すのを待つ。

 

さっきのひなたの背中……きれいだったな……

 

いやいや、何を思い出してるんだよ‼?

事故とは言え、女の子のあんな姿を見たんだ。忘れた方が……

 

「入っていいよ」

 

ひなたの声が聞こえ、部屋に入る僕。

 

「あ、あはは、お見苦しいものを見せてごめんね」

 

「見苦しいなんて……」

 

凄く綺麗なとか言わない方がいいよな。うん、

 

「熱で意識朦朧してて……何かごめんね」

 

「気にしないでいいよ。と言うか謝るのは僕のせいだよな」

 

「何で?」

 

「だって……風邪移したの僕のせいだよな」

 

ちゃんと気を使っていれば…………

 

「紫乃っちのせいじゃないよ。気にしないで」

 

「でも……」

 

「紫乃っちは責任感じすぎだよ~」

 

ひなたは笑顔で言うけど…………本当に申し訳ない

 

「そんなに暗い顔をしないで」

 

ひなたは心配そうにしているから、別の話題に変えた。

 

 

 

 

 

 

夕方になり、気がつくとひなたは眠っていた。

 

「疲れてるよな…………」

 

音を立てずに帰ろうとしたけど…………昨日のひなたに言われた事を思い出した。

 

『好きな人……』

 

「ひなたは僕の事……好きなのかな?」

 

ちゃんとした答えを聞きたいけど…………答えを聞いて僕は……

 

「僕は……ひなたの事が好きなのかな?」

 

一人でそう呟きながら、部屋を後にするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひなたside

 

紫乃っちが帰った後、目を開ける私。紫乃っちのあの言葉…………

 

『僕はひなたの事が好きなのかな?』

 

紫乃っちは分からないでいる。自分の気持ちに…………悩んでる

 

「ごめんね。紫乃っちが答えを出しても…………私は……その気持ちには応えられないよ…」

 

一人で呟いていると、ニャトランが帰ってきた。

 

「あれ?紫乃は…………ってひなた!?どうしたんだよ!?泣いてるじゃないか!?紫乃に何か……」

 

「ううん、違うよ……欠伸して……」

 

私は笑って誤魔化すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

自分の気持ちを考えていた。僕はひなたの事を好きなのか…………

 

「こう言うときに相談できたらな…………」

 

ため息をつきながら、誰かに相談しようと思った。

ちゆとのどかは…………相談しやすいけど、納得する答えを出してくれるか……

 

しのぶさん……恋愛関係に疎い感じがする。

 

やっぱり残ってるのは…………

 

僕はカナエさんを呼び、リビングで相談を持ちかけた

 

「つまり、自分の気持ちがどうなのかってこと?」

 

「うん、本当に好きなのか分からないんだよ」

 

包み隠さずに自分のことだと話した。カナエさんは少し考え込み…………

 

「そう言うときは…………その子の事を考えて……ドキドキする?」

 

ひなたの事を…………

 

いつも突っ走っていて、危なっかしいけど、誰かを思っての優しさ。分け隔てなく見せる明るい笑顔…………

それに一人でいることに慣れていた僕に…………光をくれた

 

「カナエさん、ありがとう。答えでたよ」

 

「それじゃ早速告白ね」

 

「早くないですか?」

 

「早いに越したことないから。明日報告待ってるから…………」

 

笑顔が物凄くウキウキしてるのは気のせいですか?

 

 

 

 

 

 

 

二日後の放課後、ひなたを呼び出して、校舎裏でひなたを待っていた

 

「お待たせ~」

 

「悪い。急に呼び出して」

 

「あはは、こんなところで話したいことって、告白するの?」

 

「…………」

 

僕は黙りこむと、ひなたは察したのか顔を赤く染める

 

「えっと……」

 

「ひなた……お前のお陰で僕は助かってるんだ。お前と言う光のお陰で…………だから聞いてほしい。僕は…………」

 

告白しようとしたけど、ひなたが突然手で口を押さえてきた。

 

「ごめん、紫乃っちが言いたいことはわかるよ、でも……私は応えられない」

 

「ひなた…………」

 

「紫乃っちには私なんかよりももっと素敵な人がいるから…………私よりもその子の事を選んであげて……私はただ紫乃っちが好きだった事を思い出にしたいから…………」

 

ひなたは微笑みながら、その場から去ろうとしていた。

 

僕は…………

 

 

 

「ひなた‼」

 

ひなたの腕をつかんだ。

 

「離して…………」

 

「離さない」

 

「離してよ…………」

 

「絶対に離さない‼」

 

ひなたを僕の方を向かせた。ひなたは涙を流している。

 

「紫乃っち…………」

 

「お前がどうしようとも関係ない‼僕はひなたが大好きだ‼」

 

僕は無理矢理ひなたにキスをする。ひなたは僕の胸を叩き、拒否する。

 

「んん!?ん……」

 

唇を離すと、ひなたは泣いていた。無理矢理キスをしたんだ。叩かれるのも覚悟していた。だけどひなたは…………

 

「ひどいよ……こんなことされたら…………好きでいられないよ」

 

「ごめん」

 

「…………大好きになっちゃう」

 




次回は本編に戻ります。本編後にまたifを書きますのでお楽しみに


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if ひなた ③

ひなたに告白してから、数日経った。

僕らはお互いの気持ちをはっきりさせたけど…………

 

「おはよう」

 

朝、教室に入ってきたひなたに挨拶をすると……

 

「…………はよ」

 

何故か歯切れの悪い返事だった

 

 

 

 

 

 

それから話しかける度にひなたに避けられる。

これ…………どう言うことなんだろう?

 

「ひなたちゃんと喧嘩したの?」

 

帰り道にのどかにそんなことを言われた。やっぱり感づかれたか…………

 

「喧嘩は……してないよ。ただ……」

 

話してもいいのかな?でもこのままこんな関係が続くなら……みんなに心配かけそうだな

 

「実は……」

 

のどかにこれまでの事を話した。

 

「えっと……つまり、無理矢理キスをしたと…………」

 

「あの……そこはあんまり掘り下げないでほしい……」

 

「でもひなたちゃんの気持ちを引き出すためにしたんだよね」

 

「……はい」

 

わざわざ言わせないでくださいよ。のどかさん。

 

「ひなたちゃんはもう素直になってると思うよ」

 

「でも避けられてるし……」

 

「避けられてるのは………言わない方がいいよね。とりあえずちゃんと話した方がいいよ」

 

話した方がいいか…………

 

「ありがとう。のどか」

 

「でも無理矢理キスはダメだからね」

 

「……はい」

 

物凄く念を押されつつ、ひなたのところへと行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひなたの家を訪ねてもひなたはいなく……街中を走り回って探すのであった。

 

「と言うか……スマホで電話すれば…………」

 

スマホを取り出して、電話をしようとすると……充電が切れていた。

 

「だあぁーーーもう‼」

 

何でこんなときに充電が切れるんだよ‼もう一回……探しに……

 

「紫乃っち?」

 

不意に声をかけられ、振り向くとひなたがいた。

 

「ひなた……」

 

「あ、ど、どうしたの?こんなところで……汗だくだし……」

 

目をそらしながら言うひなた。僕はひなたの目の前に立ち……

 

「避けてないか?」

 

「さ……避けてないよ……ほら、今だって……」

 

「目を合わせてくれないじゃないか…………」

 

「そ…それは……」

 

僕はひなたの肩を掴み、真っ直ぐ見つめる

 

「僕の目を見て……話してくれ」

 

僕がそう言うと、ひなたはゆっくりと僕の方を見て……顔を赤らめる

 

「ひなた……顔赤いぞ」

 

「あ、当たり前だよ‼だって……好きな人に見つめられたりすると……」

 

「えっと……」

 

「紫乃っちのことを見ると急に恥ずかしくなって…………その……」

 

それってつまり……好き避けってこと?

 

「今も……こうしてるのだって……恥ずかしいんだよ」

 

「ご、ごめん」

 

慌てて離すと、ひなたは……

 

「その……ちゃんと返事してなかったけど…………」

 

「返事?」

 

「だから……その……」

 

もじもじするひなた。僕は変に何も言わずに待つことにした。

 

「付き合うの……いいよ」

 

「……いいのか?」

 

「だって一人でいろいろと考えたんだけど…………紫乃っちにあんな風にキスされたら…………私の気持ち……押さえられなくなったって言うか…………だから紫乃っちのことが大好きなの‼」

 

メチャメチャ顔を赤くして……ひなたってこう言う恋愛関係って慣れてないのかな?いや、面と向かって言われたりしたときに、メチャメチャ恥ずかしがってたし…………

 

「ひなた……よろしく」

 

「うん」

 

こうして恋人同士になった僕らであった。

 

だけど…………

 

「その……いきなりキスはもうなしで……ちゃんと段階を進んでから……」

 

「段階?」

 

「さ、最初は……手を繋ぐところから慣れさせて」

 

意外とと言うより、ひなたらしいな




オリスト……オールスターみたいな話か幸せな夢な話どっちか書きます。
幸せな夢な話はその前にのどかifをあげるかも


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if ひなた ④

今回はちょっとエッチです


「今度の休みに?」

 

「うん、宿題を一緒にやらないかと思って」

 

「それって二人きりで?」

 

「のどかとちゆの二人は用事あるって話だから…………」

 

「二人きり…………」

 

何故かひなたは悩んでいた。ひなたも用事あるのかな?

 

「い、いいよ」

 

何故か顔を赤らめながらそう言うのであったが…………何で顔赤らめたんだ?

 

 

 

 

 

 

 

ひなたside

 

紫乃っちに誘われたけど…………これってそう言うことだよね。

 

「か、可愛いの付けた方がいいよね」

 

こう言うのはちゃんとした方がいいよね…………

 

私は急いで買い物に出掛けるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

「いらっしゃい」

 

「お、お邪魔します…………」

 

一緒に宿題をするため、僕の家にやって来たひなた。それにしても……また顔が赤いけど……

 

「そ、そう言えば……カナ姉たちは?」

 

「みんななら出掛けて……明日には帰ってくるみたいだけど……」

 

「そうなんだ……それってやっぱり……」

 

ひなたはモジモジしていた。本当にどうしたんだ?

 

ひなたを部屋に上げ、早速宿題をすることになったのだけど…………

 

ひなたは何故かチラチラと僕の方を見てきていた。本当にどうしたんだ?

 

 

 

 

ひなたside

 

うぅ……本当に恥ずかしくなってきた。紫乃っち、てっきり部屋に入った瞬間に押し倒したりしてくるかと思ったのに…………普通に宿題始めるし…………

 

もしかして私に魅力とかないのかな?でもそれならそれでやるべきことは…………

 

「あ、暑いな……」

 

胸元を少し見えるように扇ぐ。めちゃめちゃ恥ずかしいけど…………我慢しないと……

 

「クーラーつけるか?」

 

紫乃っちは…………無反応って!?彼女のちょっとはだけた所を見ても…………ん?はだける?

 

「あ、あー一枚脱ぐから大丈夫だよ」

 

一枚脱いで見せた。これならきっと…………

 

あれ?これって私がまるでしてほしいから誘惑してるみたいじゃん!?

 

私は急いで着直した。

 

「どうしたんだ?」

 

「え、えっと……やっぱりクーラーつけて」

 

「あ、うん」

 

考え直して良かったかもしれない。もう大人しく宿題しよう

 

 

 

 

 

 

 

何とか宿題を終わらせ、特に何もなかった。本当に変なことにならなくって良かった…………

 

「今日はありがとうね」

 

「別に大したことはしてないよ」

 

「それでもありがとう。また明日ね」

 

私は手を振りながら帰るのであった。それにしても紫乃っち…………誘惑したのに無反応だったけど…………

 

「私のこと…………大切にしてくれたのかな?」

 

何てそんなことを思いながら家に帰るのであった。

 

 

 

 

 

紫乃side

 

ひなたを見送り、扉を閉めると僕はその場に座り込んだ。

 

「ひなたの奴……無防備過ぎだろ……」

 

露骨に誘惑してきて、本気でやばかった…………何とか自分の股をつねりながら我慢していたけど…………

 

「マジで何だったんだ?」

 

と言うかヘタレとか思われてないよな。



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if のどか ①

私と彼との出会いはほんの些細なきっかけだった。

 

彼は私の隣の家に住んでいる。

出会ってから色々と衝撃的な出来事が起こったけど……彼と一緒に頑張れた……

 

 

 

 

 

 

「のどか?調子悪いのか?」

 

「えっ?」

 

不意に声をかけられた。そうだ。今日は紫乃くんの家で勉強を教わってるんだった。

 

「少し休むか?」

 

「さっき始めたばっかりだよ~大丈夫」

 

「そう?」

 

紫乃くんは勉強できる方だ…………だからちょっとした時間にこうやって教えてもらってる

 

「紫乃くんって、昔から勉強できる方だったの?」

 

「ん?そういう訳じゃないな…………ほら、前に話したけど、僕も病弱だったんだ。病院にいる間はそれとなく勉強をしていたな」

 

「そっか……」

 

「まぁこうして……いるのも宗一さんのお陰だけど……」

 

紫乃くんの身体には特殊な血液……鬼の血が流れている。それのお陰で身体が丈夫になって、再生能力や身体能力が人よりも上がってる……それについて悩んでいたこともあるけど……紫乃くんは紫乃くんだ

 

「ん?のどか、少し動かないで」

 

彼はそう言って私の髪に触れた。突然のことで驚く私……

 

「し、紫乃くん……」

 

「はい、髪にゴミついてたよ」

 

そう言って見せてきた紫乃くん…………何というかそう言うことをいきなりやらないでほしい……凄くドキドキするから……

 

「ねぇ、紫乃くん……」

 

「何だ?」

 

「紫乃くんは好きな人いるの?」

 

「好きな人?」

 

私……無意識に聞いていた……でも仕方ないことだ。

彼の思いを寄せている人が私以外だったら…………私は素直に応援したい……

 

「まぁ……いるかな?」

 

いるんだ…………このままこの話を終わらせてもいいけど……私は更に問いかけた

 

「誰?」

 

「…………教えない」

 

「そっか」

 

これ以上は聞かないことにした。だって聞いたらいけない気がするから……

 

 

 

 

 

 

 

少し時間が経ち、気がつくと夕方になっていた。私はそろそろ帰ることを伝えようとすると……

 

「寝てる……」

 

疲れているのか寝てしまっている紫乃くん……起きるの待つべきだけど……いつ起きるか分からないから…………私はメモを残して帰ろうとする……

 

だけど何故か立ち止まり……私は紫乃くんに耳打ちをした

 

「紫乃くん……好き。大好きだよ」

 

今だけは自分の気持ちを伝えさせて…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

目を覚ますとのどかの姿はなかった……なかったけど……

 

「あの時の言葉は……嘘じゃないよな」

 

あの時、のどかが耳打ちしてくれた言葉……

 

夢じゃないよな……聞こえた瞬間起きようとしたけど、止めた……でも薄目を開けながらのどかの顔を見たら…………

 

のどかは頬を赤く染めていた

 

「…………どうしたものか……」

 

僕は自分の気持ちを伝えるべきか……



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本編
01 お医者さん見習いと見習い隊員


以前書いていたものと流れは変わりませんが、頑張って書いていきます


「おじさん、どうしたの?」

 

幼い頃、森で遊んでいると傷だらけの黒い服を着たおじさんが倒れていた。

 

おじさんの反応はなく、どうしようかと思い、お祖父ちゃんに助けを求めに行くのであった。

 

 

 

 

 

 

おじさんは病院に運ばれ、怪我が治った後、お祖父ちゃんが保護することになった。おじさんの話はお祖父ちゃんが聞くことになり、どうにも別の世界から来たとからしい。

 

 

 

 

 

 

二年前

おじさんとお祖父ちゃんは亡くなった。悲しみのなか、僕は森でおじさんに習ったことをしていると、長い黒髪の女性と黄色い髪の男の人が倒れていた。その二人が着ていた服はあのおじさんと同じだった。

 

僕は両親に連絡して、二人を病院に連れていく。

 

二人の話を聞くとやはりおじさんと同じ世界の人だった。両親が保護人になり、二人は僕の家に住むことになった。

 

 

 

 

 

 

そして現在

 

春休み最終日、家の庭で木刀を素振りしていると、誰かの声が聞こえてきた。家に誰かいなかったかと思ったけど、両親は仕事で帰ってきてないし、あの二人は買い物だった。玄関先に行くとそこには眼鏡をかけた中年の男性がいた。

 

「あれ?君一人かな?」

 

「あぁ両親は仕事が忙しくって、滅多に帰ってこないですけど、どちら様?」

 

「今日隣に引っ越してきた花寺です」

 

「橘紫乃です。お隣さんですか。よろしくお願いします」

 

「はは、娘と変わらないのに礼儀正しい子だね。良かったら娘と仲良くしてくれないかな」

 

「分かりました」

 

他愛ない話をし終え、素振りを続けた。

 

 

 

 

 

 

家で少し出掛けようと、玄関の扉を開けると

 

「わっ!?」

 

赤い髪の見知らぬ女の子がいた。

 

「っと、どちら様?」

 

「あ、私、花寺のどかって言います。えっと…………」

 

さっき言ってた娘さんかな?もしかして挨拶しに来たのかな?

 

「橘紫乃です。何か用事?」

 

「えっと、お父さんが街を案内してもらいなさいって言われて…………」

 

街の案内か…………暇していたからいいかな

 

 

「いいよ。のどかさん」

 

「ありがとうございます。橘くん」

 

「紫乃でいいよ」

 

「しの…………くん」

 

何故恥ずかしがる。まぁ普通はそういうものなのかな。

 

 

 

 

 

 

のどかさんの街を案内する中、のどかさんはあることを聞いてきた。

 

「紫乃くんのお家、変わってるね」

 

「そうか?」

 

「だって紫乃くん、道場あって、武術家さんなの?」

 

「武術家と言うより、知り合ったおじさんのためにお祖父ちゃんが作ったんだよ」

 

「おじさん?」

 

「今は亡くなったけど、いい人だったよ」

 

「……ごめんなさい」

 

「気にしなくていいよ。残してくれたものがあるから」

 

背中に背負う竹刀を僕は見た。特別なときにしか変わらないようにお祖父ちゃんの知り合いがそうしてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

のどかさんと一緒に街を歩いているとアニマルクリニックに着いた。ここは確か…………

 

「アニマルクリニックがあるんだね」

 

のどかさんがそんなことを言っていると、のどかさんが誰かとぶつかった。

 

「ごめん、大丈夫?めっちゃ痛かったよね」

 

「いえ、大丈夫です。私もよそ見してたので…………」

 

「嘘!?めっちゃいい子じゃん…………って紫乃っちじゃん」

 

のどかさんがぶつかった女の子。学校の知り合いだった。

 

「なになに?デート?」

 

「違う。と言うか急いでたんじゃないのか?」

 

「そうだった‼うちカフェもやってるから遊びに来てね~紫乃っちはちゃんとエスコートするんだよ~」

 

違うって言ってるのに…………

 

「光の速さで言っちゃった…………」

 

「ああいう奴だから気にするな」

 

「あ、あはは、あれ?」

 

のどかさんは重い荷物を持ったお婆さんに気がつき、荷物を持ってあげることにした。なんと言うか人助けが好きだな。

 

 

 

 

 

 

 

お婆さんの荷物を家まで持っていき、また歩き始めるが、のどかさんは何だか疲れていた。

 

「大丈夫か?」

 

「あはは、歩き過ぎちゃって…………」

 

「思ったけど、のどかさんって…………」

 

「何?」

 

「いや、なんでもない。飲み物買ってくる」

 

「うん」

 

何かしらの事情があるみたいだし、変に聞かない方がいいよな。

 

 

 

 

 

飲み物を買い終えると、さっきの場所にのどかさんがいなくなっていた

 

「…………どこに行ったんだ?」

 

辺りを探していると、遠くの方にのどかさんが誰かと話しているのが見え、そこに向かうと…………

 

「あれ?紫乃」

 

「ちゆと一緒だったか」

 

「あ、ごめんなさい。紫乃くん」

 

「知りあい?」

 

「お隣さん」

 

「そっか、それじゃまたね」

 

ちゆはそう言って走り去った。なんと言うか知り合いによく会うな今日は…………

 

「あの紫乃くん」

 

「ん?」

 

「大きな公園とかないかな?行ってみたくって」

 

公園か。近くにあったな。それに本来の目的である採取に行こうとしてた場所だし

 

「それじゃ行こう」

 

「うん」

 

 

 

 

 

 

 

公園に着き、一旦のどかさんと別れ、瞑想をしていた。少ししてから…………

 

「そろそろのどかさんと合流するか」

 

のどかさんを探しに行こうとした瞬間、突然地響きと悲鳴が聞こえてきた。

 

辺りを見渡すと巨大な化け物が暴れている。

 

「何だあれ?」

 

化け物が何なのか分からないし、逃げるべきだけど…………

 

「のどかさんは…………大丈夫。きっと逃げてるはず‼」

 

今が特別なときだよな。竹刀袋を開けると、竹刀が刀に変わっていた。

 

「日輪刀…………力を貸してくれ‼」

 

刀を抜くと真っ白な刀身が現れ、化け物へ向かっていき…………

 

「『雪の呼吸!一の型‼初雪‼』」

 

化け物の首を斬るが、効いてる様子がなかった。

 

 

「メガビョーゲン‼」

 

「効かないか」

 

「誰だ?あいつ?まぁいい。やれメガビョーゲン‼」

 

化け物の近くにいた角が生えた少年が指示を出していると言うことは、あれが操ってるのか?でも今は気にしないで化け物を倒さないと…………

 

化け物に対して攻撃を加えていくけど、ダメージがないと言うより、少ししか効いてない。

 

「少しずつ削っていくか」

 

二の型をしようと刀を納めると、突然化け物が何かに吹き飛ばされた。吹き飛ばした相手はピンクの髪に白とピンクを基調とした服を着た女の子だった

 

「大丈夫です…………紫乃くん!?」

 

「何で僕の名前を!?ってその声、のどかさん?」

 

「えっと……」

 

「話は後だな‼あの化け物を倒す方法知ってるか?」

 

「メガビョーゲンはプリキュアじゃないと倒せないラビ‼」

 

何かステッキが喋ってるけど気にしないでおこう。

 

「それじゃ動きは僕が止める‼『一の型‼初雪‼』」

 

音もなくメガビョーゲンの体を切り裂く。メガビョーゲンは痛みで暴れまわる中、のどかさんがメガビョーゲンの腕を掴み、思いきり投げ飛ばした。

 

「今ラビ‼肉球を三回触れるラビ‼」

 

ステッキの肉球を三回触れた。

 

「エレメントチャージ!」

 

「「ヒーリングゲージ上昇!」」

 

「プリキュア !ヒーリングフラワー!」

 

花のエネルギーが螺旋状になり、メガビョーゲンを貫く。

 

『ヒーリングッバイ』

 

メガビョーゲンが消え、さっきの角が生えた少年も消えた。

 

「プリキュアか…………すごいな」

 

「えっと……紫乃くん?」

 

さっきの姿から元に戻ったのどかさん。僕は刀を納めると元の竹刀に戻る。

 

「のどかさん、何者なの?」

 

「えっと……プリキュアになっちゃいました」

 

なっちゃいましたって、ついさっきなったのか?

すると変なウサギとペンギンと猫が弱った犬を心配していた。話を聞くとどうにもさっきのメガビョーゲンとやらが地球を汚していたかららしい。

 

『私の力で何とかしましょう。花のエレメントボトルをラテ様に』

 

ラテと呼ばれる犬にのどかさんがボトルを与えると、ラテが元気になった。

 

「良かった…………」

 

「色々と話してもいいかな?」

 

「えっと……私もよくわからなくって……ラビリン達に…………って喋ってる!?」

 

今さらじゃないかな?

 

 

これがお医者さん見習いと僕の出会いだった。



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02 説明と登校

のどかさんを家まで送り、僕も家に帰ると、家の前に見覚えのある女性が立っていた。

 

「お帰りなさい。紫乃くん」

 

長い黒髪に蝶の髪飾りを付けた女性が笑顔で出迎える。この人は以前保護した胡蝶カナエさん。買い物から帰ってきてたのか…………

 

「化け物が出たって聞いたけど、大丈夫だった?」

 

心配そうにするカナエさん。さて一応話しておいた方がいいのかな?

 

「化け物と戦ったよ」

 

そう告げた瞬間、カナエさんは更に心配そうにしていた。

 

「大丈夫!?怪我は?痛いところない?」

 

「カナエさん!?大丈夫だから!?」

 

「紫乃くん。ラテのこと許して…………何してるの?」

 

ラテを連れてのどかさんが着たけど、今の状況に困惑していた。

 

 

 

 

 

 

「すみません。お夕飯一緒に頂いて」

 

「いえいえ、紫乃くんが娘に街案内してもらったり、それにお隣さん同士これからの親交を深めると言うことで」

 

「カナエさんは……親戚の方と聞きましたが、紫乃くんのご両親は何を?」

 

「海外で働いていて、私ともう一人の方で紫乃くんの面倒を見てるんです」

 

カナエさんたちが夕飯を食べながら話しているのを聞く僕とのどかさん。

 

「きれいな人だね」

 

「まぁ、よく言われるみたいだよ」

 

「紫乃くん。ご飯が終わったら、のどかちゃんに学校のこと教えてあげなさい」

 

「はーい」

 

学校のことよりかは、他の事を色々と聞きたい。のどかさんも聞きたいことがあるだろうしな。

 

 

 

 

のどかさんの部屋で、のどかさん、ラテ、ラビリン、ペギタン、ニャトランと話をすることになった僕。

 

「えっと、小さい頃に会ったおじさんに教えてもらったの?その鬼を倒す力を…………」

 

「うん、まぁ、おじさんがいた世界とは違う世界らしいから…………カナエさんも同じ世界の人だよ」

 

初めてあったときに聞いたら驚いたよ。しかもおじさんと知り合いとか…………

 

あともう一人のあの人はまだ出掛けてるらしいけど、明日なら紹介できるかもしれないな

 

「それでメガビョーゲンと戦えたラビか……」

 

「でも刀とか持っていて大丈夫なの?」

 

「おじいちゃんの知り合いが色々と改造してくれたんだよ。お陰で大丈夫かな?」

 

戦い以外の時は竹刀で誤魔化したり、持ち運びに便利だったりできるようにしてもらっている。おじいちゃんの知り合いは何者なのかな?

 

「それでラビリンたちのこととかあのメガビョーゲンのこととか聞いていいか?」

 

ラビリン達はすぐに僕に話してくれた。

 

ラビリンたちヒーリングアニマルはヒーリングガーデンと呼ばれる場所で、地球の治療をしている。ラテはそこの王女様らしい。

 

だけどある日、突然現れた地球を病気にしようとするビョーゲンキングダムが攻めてきて、ラビリン達は女王にラテのことを頼まれ、プリキュアのパートナーとなり、ビョーゲンキングダムと戦うことになった。

 

「それでのどかさんが選ばれたのか」

 

「のどかとは肉球がキュンとなったラビ」

 

「ラビリン、私、頑張るね。紫乃くんも一緒に…………」

 

「関わった以上はな」

 

「それと紫乃。プリキュアの事はナイショラビ」

 

秘密にしておく必要があるなら、秘密にしておくか。でもカナエさんには話してあるから、しょうがないか

 

 

 

 

 

 

カナエさんと家に帰り、プリキュアの事を話しつつ、秘密にしておくようにと伝えた。カナエさんも納得するのであった。

 

「それで?紫乃くんは…………戦うの?」

 

「関わった以上はね。それにカナエさんたちが言っていた鬼とは違うから大丈夫だよ」

 

鬼…………人を食う鬼。カナエさんたちはその鬼と戦っていたけど、この世界にはそんなのいない。世界の違いのお陰でカナエさんたちは平和に過ごせている。

 

「そう……だけど……」

 

「それじゃあおやすみ」

 

カナエさんは部屋から出ていき、僕は道場で鍛練に励むのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明け方になり、鍛練したまま寝落ちしたことに気がついた。部屋に戻り寝直すと…………

 

 

 

 

 

『あら、のどかちゃん。制服似合ってるわよ』

 

『ありがとうございます。あの紫乃くんは?』

 

『寝てるみたいね。ちょっと待ってなさい』

 

何か声が聞こえるけど、そろそろ起きた方がいいかな。身体を起こすとカナエさんが部屋に入ってきた。

 

「あら、おはよう。のどかちゃんが来てるわよ」

 

「ん~すぐに着替える~」

 

制服に着替え、玄関に行くと制服姿ののどかさんがいた。

 

「おはよう。紫乃くん」

 

「おはよう。のどかさん」

 

「二人とも何だか幼馴染みみたいね」

 

カナエさん。僕らはまだ出会って一日しか経ってないんだけど…………

 

「ほら、遅刻するから行きなさい」

 

「「はーい」」

 

 

 

 

 

 

 

のどかさんと一緒に登校する中、のどかさんの鞄がやけに膨らんでいるのが気になるけど…………

 

「のどかさん、鞄…………」

 

「あっ、実は連れてきてるの」

 

のどかさんは鞄を開けるとラビリン達が入っていた。連れてきていいのか?まぁ学校で襲われたら大変だからな。僕も学校では鞄に入れられるように小さくした竹刀を持っている

 

「ねぇラビリン、ペギタン達のパートナー探しのために、クラスのみんなに聞いてみようか?プリキュアになりたい人ーって」

 

「ダメラビ!?」

 

「ヒーリングガーデンのことは秘密ペエ」

 

「そうなんだ~それじゃあ紫乃くんがプリキュアに…………」

 

「やだ」

 

「何で~?一緒にプリキュアやろうよ~」

 

「あのフリフリした格好になれと…………と言うか心の肉球がキュンとならないとダメなんだろ。ペギタンとニャトラン」

 

「ペエ?」

 

「やれやれ」

 

二匹の肉球に触れるが、特に反応なし。そうそうなれるわけなかったか。

 

「僕は僕で戦う力を持ってるから、プリキュアにならなくても大丈夫」

 

「そっか~」

 

そんな感じに学校まで登校するのであった。

 



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03 コンビ解消

 

 

のどかさんを職員室まで案内したあと、自分の教室に入ると、席が一つあった。

 

「まさか……」

 

のどかさんがこのクラスに入るのか…………すると隣の席の髪の毛を二つに縛ったクラスメイト『平光ひなた』が声をかけてきた。

 

「おはよう~紫乃っち」

 

「おはよう」

 

「昨日の子とのデートはどんな感じだったの?」

 

「デートじゃない。街の案内をしてただけだよ」

 

「そんな事言って~」

 

肘でついてくるひなた。デートじゃないのに…………

 

すると僕の後ろの席の沢泉ちゆが教室に入ってきた。

 

「ちゆ、ひなたをどうにかしろ!?」

 

「朝から仲がいいわね。そう言えば紫乃。カナエさんが昨日忘れ物してたわよ」

 

「何でちゆのところに?」

 

「暇なときに入りに来てるわよ。はい、スマホ」

 

スマホを忘れるなんて…………まぁ、使いなれてないから仕方ないけど…………とりあえず眠いから寝よう。

 

「チャイムがなったら起きるから起こさないでくれ」

 

「あと5分しか…………って寝てる!?」

 

 

 

 

 

10分後

 

「よく寝た」

 

「5分じゃなくって、10分よ」

 

「よく寝てたね~」

 

「あ、あはは…………」

 

あれ?のどかさんがいつの間に!?担任も何か気にしてないみたいだし…………まぁいいか

 

「同じクラスだね。紫乃くん」

 

「そうだな。のどかさん」

 

お互いに笑顔で返す。なんと言うか長い一年になりそうだな。

 

 

 

 

 

 

ホームルームも終わり、帰り支度をする僕とのどかさん。ひなたはそそくさと帰っていた。

ちゆは部活に向かおうとしていると、

 

「花寺さんは部活決めたの?」

 

「私?私は…………紫乃くんは?」

 

「由緒正しき帰宅部‼」

 

「運動できるのに……もったいないわね。花寺さん、折角だから見学してみる?」

 

「いいの?」

 

 

 

 

 

 

 

のどかさんに付き合いながら、部活を見学する僕。ラビリン達は木の上から見ているみたいだな。

 

さてのどかさんはと言うと、あまり運動が出来ないみたいだな。やっぱりと言うべきか…………

 

「ねぇ、紫乃」

 

「何?」

 

「花寺さんって、運動したことないの?」

 

普段から運動とかしてる人間にはわかるものだな。

 

「詳しくは知らないけど、そうみたいだね。とりあえず僕は先に帰るよ」

 

「またね」

 

 

 

 

 

 

帰り道、ラビリンとペギタンが飛んでいくのが見えた。何かあったのか追いかけていき、灯台に行くと上の方でラビリン達がいた。

 

「ラビリン、ペギタン」

 

「紫乃」

 

「のどかと一緒じゃないペエ?」

 

「散歩しながら帰ってたから…………ラビリン、幻滅でもしたのか?」

 

「幻滅なんて…………ただのどかがあんなにどんくさいと危険ラビ」

 

「危険?」

 

「そうラビ、只でさえメガビョーゲンの浄化は危険ラビ。だから…………」

 

「危険な目に合わせたくないか。いい子だな、ラビリンはコンビを解消するラビ」

 

ラビリンの頭を撫でる僕。なんと言うかいいコンビになるな。

 

「ちゃんと話し合ってみたらどうだ?もし不安なら僕が付いていくから」

 

「紫乃…………」

 

「紫乃はやさしいペエ」

 

「カナエさんに優しくされたからな。僕も同じことをしてるだけ」

 

一人と二匹で夕日を眺めていると、ラビリンが何かに気がついた。

 

「ラテ様!?」

 

「あっちの方ペエ」

 

「メガビョーゲンか!?」

 

ラビリン達が直ぐ様飛んでいく。僕も急がないと…………

 

 

メガビョーゲンが暴れているところは学校だった。すでにのどかさんが来ていたけど、メガビョーゲンに吹き飛ばされていた。僕は地面に叩きつけられそうになったのどかさんをキャッチした。

 

「のどかさん!?」

 

「紫乃くん…………」

 

「のどか!?何でそんな無茶を…………」

 

「だって助けたいから…………ラテも、エレメントさんも、学校も……」

 

「のどか……」

 

「私ね。前までは病気だったの…………」

 

のどかさんは語った。病気で辛いことがあったけど、両親や病院で働く人たちに励まされ、助けられたことを…………そして自分もいつか助けられるようになりたいと願った。運動ができなくっても、それでもラビリンと一緒に地球を助けたいと…………

 

「のどか…………パートナー解消って言ってごめんなさいラビ~」

 

「ううん、いいよ。ラビリン」

 

「仲直りだな。それじゃあ行くぞ‼のどか、ラビリン」

 

「うん‼」

 

「ラビ‼」

 

ヒーリングステッキにエレメントボトルを装着するのどかさん。

 

「スタート!プリキュア ・オペレーション」

 

「エレメントレベル上昇ラビ‼」

 

「「キュアタッチ!」」

 

肉球を1回押し、白衣を纏い変身する。

 

「「重なる二つの花!キュアグレース!」」

 

「赤で行くか‼」

 

僕は鞄から竹刀を取り出し、日輪刀に変えた。

 

「これで良し」

 

「名乗らないの?」

 

「思い付かないからパスで」

 

グレースが残念そうにしていると、メガビョーゲンが攻撃を仕掛けてきた。グレースはバリアで防ぎ、僕はメガビョーゲンの横に移動し、

 

「『雪の呼吸!一の型‼初雪』」

 

メガビョーゲンの腕を切りつける。大きい分攻撃が当たりやすいな。

 

『メガ!?』

 

「呼吸…………なるほど奴等が言っていた奴だな」

 

「奴等?」

 

「その力が奴等の言う通りなら‼メガビョーゲン‼」

 

メガビョーゲンが大きく腕を上げた瞬間、

 

「『炎の呼吸‼伍ノ型‼炎虎‼』」

 

炎の虎のような一撃がメガビョーゲンを吹き飛ばす。

 

そして僕らの前には炎のような人…………煉獄杏寿郎がいた。

 

「うむ‼話は聞いていたが、あれがメガビョーゲンか‼」

 

「杏寿郎さん!?」

 

「誰?」

 

「カナエさんと一緒に保護した人の一人だよ」

 

杏寿郎さんの一撃を受け、怯んだメガビョーゲン。今なら…………

 

「グレース‼」

 

「うん‼キュアスキャン‼」

 

ステッキでメガビョーゲンを調べていき、エレメントさんの場所を特定した。メガビョーゲンは攻撃を放つが、グレースはバリアで防ぎ、攻撃を弾き返した。

 

「今ラビ‼」

 

「エレメントチャージ!」

 

「「ヒーリングゲージ上昇!」」

 

「プリキュア !ヒーリングフラワー!」

 

グレースの技を喰らい、エレメントさんを助け、メガビョーゲンが浄化されていく。

 

『ヒーリングッバイ』

 

「「お大事に」」

 

 

 

 

 

 

 

「片付いたな」

 

「紫乃くん」

 

グレースは手をあげると、僕はハイタッチをしたのだった。

 

「うむ‼仲良きことは良いことだ」

 

「杏寿郎さん、今日来ていたんですね」

 

「あぁ、騒ぎを聞いてすぐに駆けつけた。紫乃‼いい闘い方だった」

 

誉められてちょっと嬉しくなる僕であった。

 

 

 

木のエレメントさんを助け、ラテもエレメントさんのお陰で元気になった。

 

「紫乃くん、ありがとうね。助けてくれて」

 

「僕はサポートしただけだよ」

 

「それでもありがとう」

 

のどかさんにお礼を言われつつ、帰る僕らであった。

とりあえず二人の関係もよくなったみたいだし、これでひと安心かな?

 

ただ僕らが帰ろうとしている姿をある人に見られていた。

 

「あれって、花寺さんと紫乃?それにあの不思議なウサギさん達は…………」

 

 

 

 

 

 

学校から離れた場所でも…………

 

「メガビョーゲンに対してあそこまで攻撃を喰らわせるとは…………なるほど鬼殺隊か…………」



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04 疑いとお弁当

のどかさんと一緒に登校している途中のこと

 

「ランニング始めたんだ」

 

「うん、朝起きてからだから、すっごく気持ちよくって生きてる~って感じなんだ」

 

朝か……付き合ってあげたいけど、大体朝は寝不足で起きれないんだよね。

 

「まぁ頑張ってよ」

 

「うん」

 

そんな他愛のない話をしていると、鞄の中からラビリンが顔を覗かせてきた。

 

「ラビリン、付いてきたんだ……」

 

「いつどこでメガビョーゲンが現れるか分からないラビ‼付いてくるのは当たり前ラビ」

 

確かに警戒していていいかもしれないな。

 

「紫乃だって、武器持ち歩いてるラビ?」

 

「一応、何が起きてもいいように用心してるけど」

 

鞄に触れてそう言う。まぁ何事もないのが一番だけど…………

 

 

 

 

そんなこんなで学校に着き、教室にはいるとひなたがクラスメイトと話しているのが聞こえた。

 

「嘘!?学校に怪物が出たの!?」

 

「!?」

 

やっぱり誰かに見られていたか…………

 

「あ、のどかっち、紫乃っち、おはよう」

 

「お、おはよう」

 

「おはよう」

 

まぁプリキュアの話が出てないから大丈夫そうだな。

 

「家のお隣さん、この間、公園で怪物見たんだって、いつの間にか消えてたみたいだけど」

 

「じゃあ幻?」

 

「違うよ。私も学校で見たもん」

 

「へぇー、のどかっちと紫乃っちは怪物見た?」

 

「プリキュアの事は秘密ラビ」

 

「えっ!?み、見てないかな……」

 

「家で寝てた」

 

そう言っていると、ちゆが教室に入ってきて、

 

「花寺さんと紫乃は見たんじゃないの?」

 

「えっ!?えっと……」

 

「始業式のあと、下校したあとに学校に来たでしょ」

 

「み、見間違いじゃないかな?」

 

「そうそう」

 

「そう…………」

 

何とか誤魔化すけど、ちゆに見られていたかもしれないな。

 

 

 

 

 

 

 

昼休み

 

のどかさんとお昼を食べていた。因みに人目を避けているから、ラビリンもお昼を食べている。

 

「紫乃くんは…………カナエさんの手作り?」

 

「優しい人ラビ」

 

「優しい人だからね。結構面倒見てくれるし」

 

「あの煉獄……さん?あの人ってここの先生だったんだね」

 

「非常勤の剣道部顧問だよ。カナエさんは華道部の非常勤講師」

 

母さんたちが紹介してくれたんだっけかな?と言うか別世界の人が働けるのと言うのは突っ込めない。

 

「花寺さん、紫乃」

 

そんな話をしていると、ちゆがこっちに駆け寄ってきた。ラビリンは慌てて隠れた。

 

ちゆが抱いてるのって…………

 

「沢泉さん」

 

「この子、花寺さんのおうちの子?」

 

「ラテ!?」

 

「学校に来てたのか…………」

 

「校庭にいたから連れてきたの」

 

「付いてきちゃったのかな?ありがとう沢泉さん。どうして家の子だとわかったの?」

 

「怪物が出たあと、見かけたから……」

 

「そうなんだ~えっ!?」

 

やっぱり見られていたのか…………

 

「どうして学校に来てないって言ったの?あのとき一緒にいたうさぎとペンギンと関係ある?」

 

「えっと…………その……」

 

「飼ってるんだよ。のどかさんが不思議なうさぎとペンギンも一緒に」

 

「そ、そうなの。あの時逃げ出しちゃって、学校に勝手に入ったから怒られると思って…………」

 

「そうなんだ」

 

何とか誤魔化せたのかな?ちゆは気になることがあると放っておけないみたいだけど、これ以上は聞かなそうだな。

 

「ところでさっきから気になっているんだけど…………」

 

「何?」

 

「紫乃のお弁当……カナエさんの?」

 

「そうだけど……」

 

「相変わらずきれいなお弁当……私も頑張らないと」

 

何だか呟いてるけど、気のせいかな?

 

 

 

 

 

 

 

のどかさんとちゆが職員室にラテを預けに行くと言うので、僕は茂みに隠れたラビリンを回収しようとすると、ラビリンの他にぺギタンがいた。

 

「ラビリン。ぺギタン落ち込んでるけど、何かあったのか?」

 

「パートナー探しで色々とラビ」

 

「紫乃、僕とパートナーになれないかな?」

 

「何で?」

 

「人間とパートナーになるのが怖いんだペエ」

 

怖いと言うよりかは、ぺギタンは勇気がない感じがする。

確かに怖いかもしれないけど…………

 

「僕とじゃ心の肉球がキュンとしないだろ。だけどアドバイスはあげられる」

 

「アドバイス?」

 

「ほんの少しの勇気が大切だから…………」

 

それにもしかしたら勇気を分けてくれるパートナーがいるかもしれないな。

 

僕はとりあえずラビリンたちを学校の鞄に入れて、教室に戻るのであった。

 

 

 

教室に戻るとのどかさんとちゆの二人も戻っていた。

 

「あ、紫乃くん」

 

「ん?」

 

「今日の放課後、沢泉さんのおうちに行こう」

 

ちゆの家か…………久しぶりにいくな…………

僕はちゆの方を見ると……

 

「いいわよ。紫乃も一緒で」

 

「うん」

 

OK貰えたし、放課後一旦、僕とのどかさんは家に戻ってから向かうことになった。ちゆもそれに付き添うみたいだ。

 

 

 

 

 

そして放課後、のどかさんとちゆと別れて、家に戻った僕。

 

カナエさんにちゆの家に行くと伝えると、

 

「私も行くわ」

 

「何で?この間も行ったのに?」

 

「あそこのお風呂大好きだからよ。それにまた出てくるかもしれないからね。そのときは私も戦うわ」



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05 新たなプリキュア キュアフォンテーヌ‼

カナエさんと一緒にちゆの家にたどり着くとのどかさんは驚いていた。

 

「わぁーここ沢泉さんのお家だったんだ~」

 

「えぇ、紫乃から教えてもらってなかったの?」

 

「わざわざ教えたりはしなくてもいいかなと思って…………」

 

「紫乃らしいわね」

 

旅館に入ると、ちゆのお母さんが出迎えてくれた。

 

「いらっしゃい。ようこそ、沢泉へ。ちゆのお友だちね。それにカナエちゃん、もうすっかり常連ね」

 

「お久しぶりです」

 

「また来ちゃいました」

 

丁寧に挨拶をしつつ、ちゆが旅館を案内してくれた。

 

「良い旅館。あの子達も連れてきたかったわ」

 

「あの子達?」

 

「カナエさんの……家族かな。こっちに来てから会えないけど…………」

 

時折その家族を思い出すカナエさんは寂しそうだった。

 

そしてペットが入れる温泉の場所に案内され、ちゆは着替えてくると言い、部屋に戻った。

ラテに入ってもらおうとしたけど、ラテはまだ小さいため水に怖がっていた。

 

「カナエさんは、鬼殺隊の人なんですか?」

 

「えぇ、そうよ」

 

「きれいな人なのに強いんですね」

 

「ふふ、ありがとう」

 

「でもどうやってこの世界に?」

 

「分からないわ。気がついたら病院で……」

 

おじさん、カナエさん、杏寿郎さんの三人がこの世界に来た理由はわからない。ただ気がついたら病院にいたらしい。

その原因が分かれば良いのだけど…………

 

フッと気がつくとペギタンがため息をついていた

 

「ぼく、何もできてないペエ。パートナー探しにいけないし、ラテ様のお世話もできてないペエ」

 

やっぱりまだ落ち込んでいたのか…………ラビリンもペギタンの悪いところだと言うけど…………

 

「ぼくもラビリンみたいにお手当てしたりして、助けたいペエ」

 

気持ちは十分みたいだけど、後は勇気だな…………そんなことを思っていると、扉をノックする音が聞こえ、ラビリンとペギタンは急いでお湯の中に隠れた。

 

「花寺さん、紫乃、今の声は?」

 

「声?ラテと話してたの聞こえちゃったかな?ねぇ、カナエさん」

 

「えぇ」

 

「そう…………」

 

もう誤魔化すの大変だからばらしてもいいんじゃないのか?

 

するとラテがくしゃみをして、苦しそうだった。もしかしてと思い、僕らはちゆと別れて外に出た。

 

 

 

 

 

 

のどかさんが聴診器でラテの声を聞き、温かい水がと話していた。

 

「例の敵が現れたのね」

 

「はい、温かい水…………」

 

「ここって源泉とかあるはずよ。行きましょう」

 

 

 

 

 

 

源泉の場所に行くとメガビョーゲンが暴れていた。

 

「のどか?大丈夫ラビ?」

 

「うん、行くよ‼」

 

「スタート!」

 

「プリキュア ・オペレーション」

 

「エレメントレベル上昇ラビ‼」

 

「「キュアタッチ!」」

 

「「重なる二つの花!キュアグレース!」」

 

のどかさんはプリキュアに変身し、僕とカナエさんは刀を抜く。

 

「あれがプリキュア……可愛いわね」

 

「変身したいんですか?」

 

「一度くらいわね」

 

僕とカナエさんが日輪刀を構えるとメガビョーゲンの前に角を生やした女性がいた。

 

「あんたらが噂のプリキュアと鬼狩りね」

 

「ビョーゲンズの仲間の一人、シンドイーネラビ!?」

 

「キングビョーゲン様の因縁の相手、お手並み拝見させてもらうわよ‼メガビョーゲン‼」

 

メガビョーゲンの攻撃を避け、グレースはキックを喰らわした。

 

「『雪の呼吸!一の型‼初雪‼』」

 

「『花の呼吸‼伍ノ型‼徒の芍薬』」

 

二人同時に攻撃を喰らわせる。メガビョーゲンは少し怯む

 

「このまま押しきるぞ」

 

「うん‼」

 

メガビョーゲンは僕らに向かって放水してきたけど、僕らはそれを避け、放水で近くの木が吹き飛ばされる。木の落下地点には…………ちゆ!?

 

「危ない!?」

 

「くそ!?」

 

僕とグレースはちゆを庇った。その影響で僕は日輪刀を落とす。

 

「うっ、紫乃くん…………」

 

「大丈夫…………ちゆ、大丈夫か?」

 

「紫乃、花寺さん……」

 

「えっ?」

 

変身してるところを見られていたのか…………僕だけならまだ良かったけど…………今はそれどころじゃない

 

「グレース‼ちゆは僕が」

 

「うん」

 

グレースがメガビョーゲンに立ち向かうけど、ダメージを負っていて、思うように動けないみたいだ。

カナエさんも援護しようとするけど妨害を受けている。何とかしないと…………

 

そんなとき、ちゆがペギタンとラテのところへ向かった。僕も追いかけると…………

 

「ペンギンさん」

 

「ペエェェェ!?」

 

「あなたももしかしてあんな風に戦えるんじゃない?」

 

ちゆの問いかけにペギタンは頷く。

 

「出来るのね!なら、私にも手伝わせて、お願い」

 

「無理ペエ」

 

「どうして?」

 

「自信ないペエ。ラビリンたちでも苦戦してるのに、こんな僕じゃ君を危ない目に合わせるだけペエ」

 

「でも、あなたもみんなを助けたいんでしょ」

 

ちゆの奴、聞いてたのか…………

 

「怪物は私も怖いわ、でもそれ以上に大切なものを守りたいの」

 

ちゆの力強い言葉、大切なものを守るか…………

 

「私は貴方より大きいから少しは力になれると思う。もし勇気が足りないなら私のを分けてあげる。大丈夫、私がいるわ」

 

ちゆの言葉を聞き、ペギタンの心の肉球が光り出した。

 

「私はちゆ、あなたは?」

 

「僕、ペギタン」

 

二人の手が触れ、ヒーリングステッキが現れた。

 

「紫乃、行くわよ」

 

「あぁ」

 

僕とちゆが並び立ち、

 

「スタート!」

 

「プリキュア ・オペレーション!」

 

「エレメントレベル上昇ペエ!」

 

「「キュアタッチ」」

 

「「交わる二つの流れ!キュアフォンテーヌ‼」」

 

「沢泉さん!?」

 

僕とフォンテーヌは素早く動き、メガビョーゲンを撹乱する。

 

「こっち‼」

 

「こっちよ‼」

 

二人の動きに翻弄するメガビョーゲン、その隙に攻撃を加える。

 

「『弐ノ型‼吹雪‼』」

 

一瞬のうちにメガビョーゲンの体を何十回も突き刺す。

 

『メガ!?』

 

「フォンテーヌ‼」

 

「「キュアスキャン‼」」

 

スキャンによってエレメントさんの囚われている場所を見つけるが、メガビョーゲンがその隙に攻撃を仕掛けてきた。

僕とグレースとカナエさんでその攻撃を妨害し…………

 

「エレメントチャージ!」

 

フォンテーヌがヒーリングステッキの肉球に3回触れ、

 

「プリキュア!ヒーリング・ストリーム!」

 

水のエネルギーが螺旋を描き、メガビョーゲンを浄化した

 

『ヒーリングッバイ~』

 

「「お大事に」」

 

 

 

 

 

 

 

 

シンドイーネも撤退し、助けたエレメントさんの声を聞くことに、僕はちゆのを半分借りて聞くことに

 

「お加減はどうペエ?」

 

『ありがとう、みなさん。』

 

エレメントさんが力を分けてくれて、ラテも元気になった。

 

 

 

 

 

 

戦いも終わり、僕らは高台に来ていた。

 

「ありがとうペギタン。私の大切なもの、守れたのは貴方のお陰よ」

 

「僕の方こそ、ちゆがいたから頑張れたペエ。だからこれからも僕と一緒にお手当てしてペエ」

 

「もちろん、助けてもらうだけで、後は放り出すことできないわ」

 

ペギタン、良かったな。

 

「ねぇペギタン。よかったら私の家に住まない?」

 

「いいのペエ!?」

 

「のどかも沢山匿うの大変でしょ」

 

「のどか…………」

 

「駄目?」

 

「ううん、いいよ。ちゆちゃん」

 

のどかさんとちゆの絆も深まったのかな?するとちゆは僕を見て

 

「紫乃の事、聞かせてね。カナエさんとの関係も……」

 

「あぁ」

 

「ちゆちゃんと紫乃くん仲良いけど…………どういう関係?」

 

「言ってなかったの?」

 

「うん」

 

「私と紫乃は幼馴染よ」

 

「幼馴染なの!?」

 

何故か驚くのどかさんだった。

 

 

そんな中、カナエさんは…………

 

(どうしてあのビョーゲンズは鬼狩りのことを?まさか奴らまで来ているの?)

 



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06 喋れる猫と遭遇したひなたに遭遇

ビョーゲンキングダム

 

そこではシンドイーネがキングビョーゲンにプリキュアが増えたことを報告する中、

 

「さて挨拶でもするかな」

 

「何だ?お前も出るのか‼」

 

筋骨隆々の巨漢…………グアイワルがそう告げる。男は笑みを浮かべ……

 

「挨拶だよ。鬼狩りに…………誰かしら誘うかな?」

 

「邪魔だけはするなよ」

 

「邪魔はしない。ただ少々もらうだけだ」

 

 

 

 

 

 

僕は街中を荷物を抱えて歩いていた。普通なら大荷物を抱えて歩くのは苦痛だったりするけど…………

 

「だいたい買えたかな?」

 

僕はカナエさんに頼まれた買い物を済ませていた。それにしてもカナエさんはこの間から何か気にしてるけど、大丈夫かな?

 

「何かあったのかな?あれ?」

 

歩いていると見覚えのある後ろ姿…………あれはひなたか?

ひなたが大慌てで走っているのを見かけ、更にその後ろを追いかける猫、ニャトランを見付けた。何かあったのかと思い、僕は荷物を持って、追いかけた。

 

 

 

 

 

森の中に入り、ひなたたちの事を探していると…………

 

「やめい‼」

 

「えっ?」

 

「あっ!?」

 

「ん?」

 

丁度ひなたたちに追い付くと、ニャトランがうっかり喋ってしまい、驚くひなたと言う場面に遭遇してしまった。

 

「って!?紫乃っち!?今の聞こえたよね」

 

とりあえず頷くとひなたが僕の腕を掴み…………

 

「ちょっと来て‼」

 

「えっ?いや、待って…………」

 

ひなたに引っ張られて、何処かに連れていかれる僕であった。

 

 

 

 

 

 

 

ひなたに連れてこられた場所は、ひなたの家、平光アニマルクリニックだった。ひなたは診察室の扉を勢いよく開け、

 

「お兄、お兄、お兄‼やばい!?しゃべる猫‼」

 

「ひなたちゃん!?」

 

「それに紫乃まで…………何で疲れてるの?」

 

「そう言うちゆたちだって…………何でここに…………」

 

診察室にのどかさん、ちゆ、カナエさん、杏寿郎さんがいた。アニマルクリニックにいると言うことは、ラテの調子でも悪かったのかな?

とは言え今はひなたの事をどうにかしないと…………

 

「しゃべる猫って、また聞き間違えじゃないのか?」

 

ひなたの…………父親に見えるけど、お兄さんは何だか慣れているみたいだった。ちゆは慌ててひなたの口を押え…………

 

「そう聞き間違い。気のせいよ」

 

「ひなたちゃん、私喉渇いちゃった。隣のカフェ行きたいな~」

 

何とかしてひなたを連れ出すのどかさんたちであった。

 

 

 

 

 

 

隣にあるひなたの姉が経営するカフェにて、一息をつく僕ら。

 

「それじゃあ、紫乃っちの親せきなの?」

 

「うむ、話してはなかったな」

 

「まぁ、みんなが知っていると思っていましたが、平光さんと紫乃くんは?」

 

「去年同じクラスになって、仲良くなったんだよね!紫乃っち」

 

「まぁ色々とあったけど…………」

 

「そうなんだ~」

 

ひなたにカナエさんたちの事を親戚だと明かしつつ、ニャトランの事を誤魔化せそう…………

 

「でねさっき拾った猫なんだけど…………」

 

「気のせいよ。猫は喋らない」

 

「えぇ?何~?ちゆちー怖い~」

 

「ちゆちー…………」

 

誤魔化せてないか。さてどうしたものか…………

 

「ダメそうラビ」

 

「ふぅ、しょうがない」

 

鞄の影に隠れたラビリンたち。するとニャトランが机の上に飛び出し…………

 

「俺の名前はニャトラン」

 

「ほら、喋った」

 

「みんな、初めまして」

 

「「えぇ!?」」

 

「なるほど……」

 

最初から喋れる猫にしつつ、みんなとは初対面にしておくのか…………考えたな。

 

「私、ひなた。ねぇ、ニャトラン。何で喋れるの?」

 

「それがわからないんだ。生まれたときから俺だけ喋れてさ」

 

「そうなんだ!?すご~い」

 

「喋れる猫で押し通そうとするラビ」

 

「凄い度胸ペエ」

 

何だか無理矢理な気がするけど、大丈夫みたいだな。

 

「なぁひなた。俺の事は他の人には内緒にしてくれよな」

 

「もちろんだよ。てか最初からそのつもりだし」

 

ひなた曰く見世物にされたら可哀相だと思い、更には迷子ならお家を探してあげないといけないと思い、お兄さんに相談しようとしたらしい。何て言うかそう言う所は出会ったときから変わらない。

 

「ひなたちゃん、優しいんだね」

 

「えぇ!?私なんて全然、全然」

 

「そういえば平光さん、友達との約束はいいの?」

 

「やだな~ひなたでいいって、えぇぇぇぇぇぇーーーー!?」

 

スマホを見て大声で驚くひなた。まさかと思うけど…………約束を忘れていたな…………



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07現れる鬼とキュアスパークルのデビュー戦

ひなたの付き添いで、ゆめポートを訪れた僕ら。

ひなたは友達に電話をするが何度もかけてもかからなかった。

 

ちゆは買い物で夢中で気づかないだけと言うが…………

 

「はぁ~やばぁ、またやっちゃった」

 

「またって?」

 

「私、目の前の事にいっぱいになっちゃって、すぐ他の事忘れちゃうんだよね」

 

「まぁしょうがないと言うか……」

 

「大丈夫よ。ひなたちゃん、みんなで探しましょう」

 

「この人数なら直ぐに見つかるさ」

 

「カナ姉、杏兄…………」

 

まぁ、放っておけないからな。するとひなたのフードからニャトランが出てきて、

 

「二人の言う通りだ。ひなた。ひなたが俺を助けようとして遅れたって、その友達に言ってやるからさ」

 

「友達にバレるペエ……」

 

「隠す気あるのか?」

 

僕とペギタンが突っ込みを入れつつ、のどかさんとちゆの二人が代わりに説明することとなり、僕らは捜索を開始するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

探し回っているとラテがくしゃみをした。まさかメガビョーゲンが…………

 

「のどか、これって」

 

「メガビョーゲン!?」

 

「ひなたは俺に任せろ」

 

ニャトランがひなたを安全な場所に誘導し、僕らはラテの声を聞いた。

 

『キラキラ、鏡が泣いてるラテ。近いラテ』

 

「鏡?」

 

そんなものからもメガビョーゲンが生まれるのか?僕らは爆発音が聞こえた方へと行くと、メガビョーゲンが暴れていた。

 

「のどか、ちゆ」

 

「行くラビ‼」

 

「私たちも」

 

「うむ‼」

 

「行こう」

 

「「スタート‼」」

 

「「プリキュア‼オペレーション‼」」

 

「エレメントレベル上昇ラビ‼」

 

「「キュアタッチ!」」

 

「「重なる二つの花!キュアグレース!」」

 

「エレメントレベル上昇ペエ!」

 

「「キュアタッチ」」

 

「「交わる二つの流れ!キュアフォンテーヌ‼」」

 

のどかさんとちゆがプリキュアに変身し、僕らは日輪刀を抜く。

 

するとメガビョーゲンの近くに筋肉隆々の男が現れた。

 

「ははははは、出たなプリキュア‼それに鬼狩り‼」

 

「あれは!?」

 

「ビョーゲンズのグアイワルラビ‼」

 

「お前たちの力‼この俺に見せてみろ‼やれ‼メガビョーゲン‼」

 

グアイワルの指示にて、メガビョーゲンが襲いかかる。僕は呼吸を使おうとした瞬間、横から鋭い攻撃を受け、近くの壁に叩き付けられた

 

「かはっ!?」

 

「紫乃くん!?」

 

「ビョーゲンズか!?」

 

メガビョーゲンの前には赤い髪に額には角を生やした、金棒を持った男がいた。

 

「初めましてだな。俺は酒呑。お前たちが鬼狩りか?」

 

「酒呑?」

 

「あれがカナエさんたちが言っていた鬼……」

 

「違うわ……私たちが戦っていた鬼とは違う」

 

「妖怪などの鬼と言うことか」

 

「話は聞いてるぜ‼柱の二人‼楽しませろよ」

 

酒呑が大きく金棒を振った瞬間、地面が割れてカナエさんたちに瓦礫が襲いかかる。二人は瓦礫を避ける中、僕は立ちあがり、酒呑の首めがけて……

 

「『雪の呼吸!一の型‼初雪』」

 

斬ろうとするが、酒呑に刀を掴まれ、そのまま投げ飛ばされた。

 

「紫乃くん!?」

 

ギリギリの所でグレースに助けられたけど、グレースたちもメガビョーゲンの反射攻撃に苦戦していた。

 

どうすればいいのか考えていると…………

 

「うそ、何これ?プリキュア?」

 

「ひなたちゃん!?」

 

「避難したはずじゃ!?」

 

「見られたペエ」

 

「もうニャトラン‼何してるラビ」

 

こんな状況で…………ニャトランのやつ……まさかと思うけど…………

 

ひなたはと言うと…………

 

「か、可愛い~‼」

 

何か目を輝かせていた。そんなひなたを見て、その場にいた全員が戸惑っていた。

 

「え?え?何これ?めっちゃ可愛い~どうやって着替えたの?誰デザイン?あ~もう、超可愛い~」

 

こんなときになんと言うかぶれないな…………

 

「雑魚は退いてろ‼」

 

不意に酒呑が蹴りを喰らわし、僕はそのまま壊れたお店の中に吹き飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

 

お店の中に吹き飛ばされた僕。血だらけになりながら、立ち上がる。

 

「くそ…………」

 

何とか立ちあがろうとした瞬間、ひなたが飛ばされてきて、僕を下敷きにした。

 

「いたた…………紫乃っち、ごめん、大丈夫?」

 

「早く退いてもらえたら嬉しいのだけど…………」

 

「ひなた、紫乃、大丈夫か?」

 

「私は大丈夫だけど…………紫乃っちは?」

 

「僕も…………つぅ!?」

 

身体中にに痛みが走った。頑丈な身体だけど、よく死なないですんだな…………

 

「紫乃っち…………無理しないで、ニャトランは大丈夫?」

 

ひなたは持っていたハンカチで血を拭くと、ニャトランの事を心配していた。

 

「俺、ひなたの事気に入ったぜ。心の肉球にキュンときた。なぁひなた。俺と一緒にプリキュアになんないか?」

 

「えっ?私もなるの?」

 

「あの怪物、ビョーゲンズから地球を守んないか?」

 

「地球を……守る?」

 

「そう、お前の中の好きなものや大切なもの、お前の手で守るんだよ。ひなた、お前なら出来る。て言うか俺はお前と組みたい‼」

 

ひなたは決意したのか、ニャトランに触れ、

 

「紫乃っちも一緒に守ってるんだよね」

 

「あぁ」

 

「それなら、やるよ‼ニャトラン」

 

まばゆい光と共にヒーリングステッキが現れ、ひなたはプリキュアに変身する。

 

「スタート‼」

 

「プリキュアオペレーション‼」

 

「エレメントレベル上昇ニャ‼」

 

「「キュアタッチ‼」」

 

「「溶け合う二つの光‼キュアスパークル‼」」

 

僕は何とか立ちあがり、スパークルと並び立つ。

 

「行くぞ。スパークル」

 

「紫乃っち、大丈夫なの?」

 

「気合いで何とか…………」

 

「無理はしないでね」

 

スパークルと共に駆け出し、スパークルはメガビョーゲンを相手取り、僕は酒呑に立ち向かう

 

「ハアアアア‼」

 

酒呑の金棒を受け流し、首を狙う。酒呑は避けていく

 

「ちっ‼」

 

「紫乃っち、凄い‼私も‼」

 

ひなたはヒーリングステッキから黄色いエネルギー弾を放つが、メガビョーゲンの反射で返される。だけどそれを更に返してメガビョーゲンを吹き飛ばす。

 

「やるな‼スパークル」

 

「雑魚が!?」

 

「よそ見はしないほうが」

 

「いいですよ」

 

『伍ノ型‼炎虎』『伍ノ型‼徒の芍薬‼』

 

向かってくる酒呑に対して、カナエさんたちが攻撃して吹き飛ばす。

 

「くっ!?」

 

「止まったところに‼『参ノ型‼雪桜‼』」

 

僕は更に追撃を放ち、酒呑の腕を切り落とす。

 

「紫乃っちも頑張ってる‼なら、私たちも一気に止めを」

 

「待て!?ひなた‼浄化するんだ」

 

「浄化?」

 

一瞬立ち止まるスパークルに、メガビョーゲンが攻撃を放とうとするが、グレースとフォンテーヌがサポートに入り、スパークルを助けた。

 

スパークルはその隙にキュアスキャンを使い、エレメントさんの居場所を確認した。

 

「このまま一気にデビュー戦、大技決めるぜ」

 

「OK、エレメントチャージ‼」

 

「「ヒーリングゲージ上昇‼」」

 

「プリキュア‼ヒーリング・フラッシュ‼」

 

黄色いエネルギーがメガビョーゲンを貫き、エレメントさんを助けて、メガビョーゲンを浄化した。

 

『ヒーリングッバイ~』

 

「「お大事に」」

 

メガビョーゲンが浄化され、グアイワルは撤退。酒呑は落ちた腕をくっつけると、

 

「何でお前は立ち上がるのか分からないが、楽しめそうだ」

 

「貴方は…………私たちが知る鬼とは違うのですね」

 

「人から鬼になったのではなく、元から鬼ということだな」

 

「あぁ、そうだ。だが面白いことを教えてやる。お前たちの知る鬼は…………俺たちの配下になっている‼鬼神様の力によってな‼」

 

「「!?」」

 

「ガキ‼お前は確実に殺す‼」

 

酒呑はそう言って姿を消すのであった。鬼……それに鬼神とカナエさんたちの知っている鬼が…………

 

 

 

 

 

 

 

 

それからエレメントさんの無事を確認し、ラテも力を分けてもらって元気になった。

 

 

 

 

「そう言えば紫乃っち、体大丈夫?」

 

「まだ痛いけど…………元気だよ」

 

「頑丈すぎない?」

 

「昔からと言うか…………」

 

おじさんと出会ってから怪我とか治りが早いんだよな…………

 

こうしてひなたもプリキュアの仲間入りするが…………

 

「紫乃の身体については?」

 

「特異体質と言うべきでしょうか……治りが早いだけの人間ですよ」

 

「うむ、しかし奴らもいるとは」

 

「あの鬼の口振りでは日の光なんて関係ないみたいですね」



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08 ちゆとひなたの悩み

朝、のどかさんと一緒に登校しながら、この間の鬼について話していた。

 

「じゃあカナエさんたちが戦っていた鬼とは違うんだ…………」

 

「ビョーゲンズとは協力してるみたいだけど…………ラビリン」

 

「何ラビ?」

 

「ヒーリングガーデンが襲われたときって、酒呑の姿はあったか?」

 

「なかったラビ…………」

 

姿はなかったか…………だとしたら、酒呑たちが協力し始めたのは襲ったあとなのか?もしくはビョーゲンズのみで対抗できるから表に出なかったのかな?

 

「でもプリキュアが三人になったし、紫乃くんがいるから大丈夫だよ」

 

のどかさんは笑顔で言うけど、あの酒呑は強すぎる。

 

「そういえば紫乃」

 

「何?ラビリン」

 

「気になっていたことがあるラビが……何でのどかの事をさん付け呼びしてるラビ?」

 

そういえばそうだよな…………最初に会ったときの呼び方が定着したけど、のどかさんが嫌なら……

 

「呼び捨てでいいかな?」

 

「あ、うん、紫乃くんがいいなら…………」

 

「それじゃ……のどか」

 

「なぁに?紫乃くん」

 

何だろう?何か恥ずかしい……

 

 

 

 

 

 

教室に入ると何故かちゆが怖い顔をしていた。ちゆの視線の先にはクラスメイトと話すひなたの姿があった。

 

「どうしたの?」

 

「あれ、大丈夫かしら?」

 

もしかしてプリキュアのことを話さないか心配なのか?いくらなんでも話したりするわけは…………

 

「私たち頑張って勝ったんだよ~」

 

うん、前言撤回。ちゆは誤魔化しつつ、ひなたを連れ出していくのであった。

 

 

 

 

 

 

「プリキュアのことは秘密って言ったでしょ」

 

「あ、そうだった。ごめーん、何が言っていいのか悪いのか分からなくなっちゃって…………」

 

何というかひなたらしいけど…………

 

「そうだよね。今まで知らなかったことだもん」

 

「そうね。今後のためにもおさらいしましょう。放課後、集合ね」

 

おさらいか…………確かに必要かもな、ちゆとひなたにも話しておきたいことあるし…………

 

それにしても、何でひなたはちゆに対して緊張してるんだ?

 

 

 

 

 

 

放課後、ひなたの家のカフェにておさらいをすることになった。

 

「つまりそのテアティーヌ様がラテのお母さんなのよね」

 

「そうそう、ヒーリングカーテンの偉い人‼」

 

「ヒーリングガーデンの女王様ラビ」

 

「そこ間違うか~?」

 

「ここまではいい?」

 

ひなたがツッコマれつつ、のどかが更に説明を続けた。

 

ヒーリングガーデンは地球のお手当てをするヒーリングアニマルが集まる秘密の世界。

 

そこに突然ビョーゲンズに襲われ、テアティーヌがキングビョーゲンと相討ちになり、お互いにかなりのダメージを負ったらしい。

 

その次にビョーゲンズは地球を蝕みに来て、自分達のものにするために…………

 

そして協力者として、酒呑………いや他にも仲間がいるみたいだから、酒呑たちがいる。

 

「なるほど~」

 

「でもこうしてプリキュアが三人いるんだ。あいつらの好きにはさせないぜ」

 

「でも増えたぶん人に見られやすくなってるのが心配ペエ」

 

「そうね。気を付けましょう。紫乃も気を付けて」

 

「分かってる」

 

と言うかよく今までバレなかったな

 

「OK、頑張ってビョーキンズを浄化するぞー」

 

張り切っているのはいいけど、何でこう的確に間違うかな?

 

「あれ?また間違えた?」

 

ラビリンたちも呆れている中、のどかは笑顔で……

 

「大丈夫。ゆっくり覚えていこう」

 

「でも最低限のことは気を付けましょう」

 

「うっ、はい」

 

あれ?何だかひなたってちゆに対して緊張してる? 気のせいかな?

 

 

 

 

 

 

僕の気のせいは気のせいじゃなかったのは、次の日になってからわかった。

 

昼休みにひなたに相談があると言われて、校舎裏に呼び出された僕。

 

「あたしさ、ちゆちのこと、怒らせてるよね」

 

「そうか?そうは見えないけど…………」

 

「そうだって……色んなこと教えてもらってるのに、あたし、物覚え苦手だから…………」

 

「気にすることはないと思うけど…………のどかにも相談してみたらどうだ?」

 

「うん…………のどかっちにも後で相談してみるね」

 

「というかひなたなら気にしなそうだけどな」

 

「何それ~私が考えてないって言いたいの?」

 

「いや、性格の話だよ、僕もひなたの性格のお陰でこうして仲良くなったし、結構助かってるところもあるからな」

 

「いや~何だかうれしいな~」

 

それにしても、どうにもひなたはちゆの事を怖がってるみたいだな…………まぁ親しくなったのはつい最近だし…………お互いのことを知るのにも時間が必要かもしれないな。

 

そしてそれはちゆ自身も…………

 

 

「私、ひなたのこと怖がらせてるよね」

 

アトリエで調合していると、ちゆが訪ねてきて、その話になった。一応のどかにも同じことを相談したみたいだけど…………

 

「ちゆ、怖がってるんじゃなくって、ちゆが可愛いから緊張してるんじゃないのか?」

 

冗談を言うと…………ちゆはあきれていた。

 

「真面目に相談に乗る気ある?」

 

「冗談だよ。まぁ互いに話すようになったのは最近だから仕方ないんじゃないのか?そう言うことを気にするのは」

 

「そういうものかしら?」

 

「そういうもの…………」

 

まぁ中には出会ってすぐに仲良くなる人たちがいるけど…………

 

「ゆっくり考えていけばいいよ」

 

「そう……ね……ありがとう。紫乃、お邪魔したわね」

 

「いいって、因みにさっきのちゆがかわいいって言うのは冗談じゃないから」

 

「…………バカ」

 

あれ?何だか本当のことを言ったのに、怒られたぞ?

 

「あらあら」

 

「うむ‼青春してるな」



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09 水族館で深まる絆

ひなたとちゆのお互いの悩み…………何とか解決してやりたいなと考えていると、のどかが訪ねてきた。

 

「こんな時間にどうしたんだ?」

 

「ごめんね。あの、紫乃くん。明日予定ある?」

 

「明日?特にはないけど…………」

 

「明日、水族館に行かない?」

 

のどかと二人きりで…………なのか?

 

「みんなで‼」

 

うん、だと思っていたよ。のどかは僕にチケットを四枚見せた。

 

「お母さんにちゆちゃんとひなたちゃんの事相談したの。そしたら一緒にいる時間を増やしたら自然と深まるって…………それでもらったの」

 

一緒にいる時間か。そのためのお出掛けもいいかもしれないな。

 

「わかった。明日行こうか」

 

「うん」

 

 

 

 

 

 

「お待たせ~」

 

「二人とも早いな」

 

すこやか水族館に来た僕ら。何というか二人が先に来てるのを見るとその間の会話とか気になる…………

 

「どこ行く?」

 

「それじゃ私、イルカ…………」

 

ひなたがいきたい場所を言おうとするが、すぐにやめ、ちゆの方見て…………

 

「ちゆちの行きたいところに行こう」

 

「私はどこでもいいわよ」

 

「うっ……」

 

「じゃあね、私イルカ見たい」

 

のどかの希望でイルカを見に行くことになった。

 

 

 

 

 

それからイルカショーを見て、今度は中にあるクラゲの水槽を見ていた。

 

「ふわぁ~きれい~」

 

「すご~い、意外とめっちゃ可愛い」

 

「そうね……夢みたい……」

 

ちゆがクラゲに見とれていた。

 

「こうやって見に来るのは久しぶりだな」

 

「小さい頃ね……懐かしいわ」

 

「何だかちゆちー、教室にいるときと全然違う」

 

「私、そんなに怒ってる?」

 

「違うよ。雰囲気が柔らかいと言うか…………あわ、あわわわ!?」

 

水槽の泡に驚くひなた。するとちゆが笑いをこらえ始めていた。

 

「あわわって、泡見てあわわって……」

 

「えっ?ダジャレ?」

 

それからひなたはダジャレを言って、ちゆを笑わせていく。

 

「相変わらずツボに入りやすいな…………」

 

「そうなの?」

 

幼い頃から変わらないというか、変わってないな。

 

するとラビリン達がペギタンがいないことに気がついた。まさかと思うけど…………

 

「迷子か?」

 

 

 

 

 

 

 

 

水族館中を探し回り、お土産コーナーを探していると、ラテが具合悪くなった。僕らは人目を避けてラテの声を聞くと……

 

『ここの泡が泣いてるラテ』

 

「ここの泡?もしかして水槽の泡?」

 

「急いでメガビョーゲンを探しましょう。被害が大きくなる前に‼」

 

「待ってよ。ペギタン見つけるのが先でしょ」

 

「でも……」

 

「ペギタンだって、ちゆちーを探してるよ‼一人で心細くて泣いてるかも……」

 

「メガビョーゲンが現れたのよ‼放っておくわけにはいかないじゃない」

 

言い争う二人。こんなときに止めろと言おうとした瞬間…………

 

「どっちも探そう。ペギタンは私たちの大事なお友だちだし、それにメガビョーゲンを見つけても、ペギタンがいないとちゆちゃん、プリキュアになれないでしょ」

 

「確かにのどかの言う通りだな」

 

にしてものどかは言い争う二人を止めるなんてすごいな…………それも諭すように優しく…………

 

「わかったわ」

 

「私たちはあっちを探そう」

 

ちゆとひなたが一緒に探しにいき、僕とのどかは別の方へと向かった。

 

「のどかはすごいな」

 

「何が?」

 

「言い争う二人を止めるなんて…………僕なら絶対に怒鳴ってた」

 

「たまたまだよ。紫乃くんでも止められてたよ」

 

「そうかな?」

 

走りながらそう話していると…………僕らの前に白髪の少女が現れた。

 

「あの人!?」

 

「のどか……先に行って」

 

「でも……」

 

「やつの狙いは僕だ。早く‼」

 

「うん」

 

のどかは少女の隣を通り抜けた。少女は特に攻撃とかせず見逃す。

 

「今日はプリキュアの相手は私ではないからな。狙いはお前だ‼」

 

「お前はカナエさんが言っていた鬼か‼」

 

「鬼神様の命を受け、お前を倒す‼この下弦の肆‼零余子が‼」

 

爪を鋭く伸ばす零余子。僕は日輪刀で防ぐ。

 

「日の光は関係ないのか‼」

 

「鬼神様のお陰でな‼」

 

「なら、首が弱点なのは変わらないか‼」

 

爪を弾き、零余子の首を狙う。

 

「『一の型‼初雪‼』」

 

「くぅ!?」

 

ギリギリのところを避ける零余子。

 

「下弦の肆…………普通の奴と違って強いはずだよな」

 

さっきから逃げることに集中してる気が…………気のせいかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

零余子side

 

違う。酒呑様から聞いた話と違う。このガキ……強い。普段なら柱相手に直ぐに逃げていた私でもこのガキには勝てるはずだと言われたのに…………考えが甘かった。

 

 

 

 

紫乃side

 

一気に距離を積め、零余子の腕をつかみ、投げ飛ばした。

 

投げ飛ばした先にはのどか、ちゆ、ひなたがいた。どうやらペギタンとメガビョーゲンを見つけたみたいだな。

 

「ちっ、あんた、何やられてるのよ‼」

 

「やられてない!?でも足止めはしておいた」

 

零余子はそのまま姿を消した。さて後はメガビョーゲンだな。

 

「みんな…………お手当てするわよ‼」

 

何かちゆが怒ってるけど…………何があった?もしかしてシンドイーネが何かしたのか?

 

「「「スタート」」」

 

「「「プリキュアオペレーション」」」

 

「「重なる二つの花!キュアグレース!」」

 

「「交わる二つの流れ!キュアフォンテーヌ‼」」

 

「「溶け合う二つの光‼キュアスパークル‼」」

 

「「「地球をお手当て‼」」」

 

「「「ヒーリングっとプリキュア‼」」」

 

プリキュアに変身したのどかたち。僕も並び立った。

 

「小賢しい‼」

 

メガビョーゲンが攻撃を放ち、僕らは避けると、スパークルが

 

「小賢しいってどういう意味?」

 

などと考え出していた。その隙にメガビョーゲンが攻撃を仕掛けてきたけど、僕とフォンテーヌが攻撃を弾く。

 

「生意気って意味よ」

 

「何それ!?めっちゃ失礼じゃん!?」

 

「ならさっさと倒すぞ‼『二ノ型‼吹雪‼』」

 

メガビョーゲンの体を何十回も突き刺し、怯ませると

グレース達が三人同時に蹴りを喰らわす。更に怯んだメガビョーゲンをグレースがキュアスキャンでエレメントさんの場所を確認し…………

 

「フォンテーヌ‼」

 

「えぇ‼エレメントチャージ‼」

 

「ヒーリングゲージ上昇‼」

 

「プリキュア・ヒーリングストリーム‼」

 

フォンテーヌの浄化でメガビョーゲンを浄化するのであった。

 

「「お大事に」」

 

 

 

 

 

 

 

 

無事に浄化して、エレメントさんも助け、ラテも元気になった。

 

僕はと言うと…………

 

「何だったんだ⁉あの鬼は…………」

 

考えても仕方ないか。

 

 

 

 

 

 

 

ビョーゲンキングダム

 

零余子の前には真っ赤な鎧を纏う男がいた。

 

『逃げたな。零余子』

 

「ひっ、す、すみません」

 

『思った以上に手強いか?』

 

「そ、それは…………」

 

『なら、油断せずに挑めば良い。日の光を克服したお前たちは自由に動けるのだからな』

 

「あ、はい…………」

 

前の上司なら殺されるはずが、全くと言っていいほどおとがめがない。

 

『お前たちが動くことで、キングビョーゲンと我が力を得る。お前たちは人を食うことなく、ただ自由に戦え‼そして生きて戻れ』

 

「は、はい‼」




やさしいせかいな敵の組織


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10 寂しそうなラテ

「この家、のどかパパが作ったの!?」

 

「作ったってより、リフォームのデザインをね。それが本職なんだ」

 

「すご~い、レトロかわいい~めちゃめちゃおしゃれ~」

 

今日はのどかの家にちゆたちと遊びに来ていた。とは言え僕の場合はちょくちょく夕飯をご馳走してもらっている。

 

「ひなたちゃんちもちゆちゃんちも素敵なの。ね」

 

「うちは旅館なので、素敵じゃないと困るんです」

 

「沢泉でしょ。よく知ってるわ。私、小学校はこっちなの」

 

「いい旅館よね」

 

のどかのお母さんとカナエさんが楽しそうに話していた。

 

「紫乃くんは結構来てたって聞いてるよ…………家出したときとか」

 

「ちょ、カナエさん!?」

 

「そんなこともあったわね」

 

「紫乃っち、そうだったんだ~」

 

「家出とかしてたんだ」

 

「あの頃は…………色々とあって…………」

 

寂しさからの家出みたいなものだったし…………と言うか人の恥ずかしい過去を話さないでほしいよ。

 

「それでカナエさん、頼んでいたことは…………」

 

「いいですよ。非常勤ですから、その日だけなら」

 

カナエさんたちは何の話をしてるんだ?

 

 

 

 

 

 

 

カナエside

 

「それじゃお願いしますね。カナエさん」

 

私はのどかちゃんのお母さんたちがいない間のラテの面倒をみることになった。ラテちゃんの面倒を見るのは楽しみにしていた。前はしのぶが苦手で飼えなかったから…………

 

「ラテちゃん、元気ないね」

 

「きっとのどかのお母さんがいなくて戸惑ってるラビ」

 

「まだ小さいからね」

 

ラテちゃんの気持ちは分かる。この世界に来て私も時折寂しくなる。生きているのにあの子達に会えないなんて…………

 

「カナエ?どうしましたラビ?」

 

「ううん、何でもない」

 

きっとその内慣れてくれるかもしれないはず

 

 

 

 

 

 

 

ビョーゲンキングダム

 

「茨木よ。今回はお前か」

 

「はい、酒呑様」

 

青髪の少年が酒呑の前に膝をつく。

 

「奴の力を見てこい。お前といい宿敵になる」

 

「わかりました」

 

 

 

 

 

 

 

カナエside

 

次の日もラテちゃんの面倒を見に来た私たち。今回はペギタンとニャトランも一緒だ。

 

「ラテ様、全然食べてないペエ」

 

ラテちゃんは昨日同様元気がなく、ご飯も食べてない。

 

「大丈夫ラビ?お腹痛いラビ?」

 

「ラテちゃん、もしかして…………」

 

私にはわかる。私も同じ…………いや、あの子達に同じ思いをさせていたかもしれない

するとニャトランが…………

 

「よし!こんないい天気だ。庭で日なたぼっこしてれば、気も晴れるってもんだ」

 

「「あっ!?」」

 

ニャトランがそう言って窓を開けた。その瞬間、ラテちゃんが庭へ飛び出し…………敷地から飛び出していった。

 

「もうニャトランが窓を開けるからラビ!?」

 

「俺のせいかよ!?」

 

「早く追いかけるペエ」

 

「私も行くわ」

 

 

私たちはラテちゃんを追いかけた

 

 

 

 

 

 

ラテちゃんは匂いを嗅いで、ある場所へと向かう。もしかして…………というよりかは…………

 

「もしかしてラビ……」

 

ラビリンも気がついたみたいだ。ラビリンはペギタンたちにのどかちゃんたちに知らせるように伝えつつ、ラテちゃんが向かってる場所に心当たりがあることを伝えたのだった

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

のどかたちと帰ろうとしたとき、ペギタンとニャトランが僕らの元へとやって来た。

 

「どうしたの?ペギタン」

 

「ニャトランも…………ラビリンは?」

 

「ラテ様が逃げ出しちゃったペエ」

 

「「「えぇ!?」」」

 

「カナエさんがいたんじゃ…………」

 

「それは…………色々とあってだな……のどかがラテ様が向かった先に心当たりがあるって言ってたぞ」

 

「私が?」

 

「ラテ様、何だか元気がなくって…………寂しそうだったペエ」

 

もしかして…………ラテは

 

「心当たり…………あるかもしれない。付いてきて」

 

「私たちも行くわ」

 

「でものどかっち、心当たりって?」

 

「まぁなんとなく分かるけどな」

 

「「?」」

 

ラテの向かった場所…………きっと彼処だろうな

 

 

 

 

 

 

 

 

たどり着いた先はすこやか運送だった。そこにはラテがいた。

 

「ラテ」

 

「く~ん」

 

「そっか、ラテはお母さんに会いたかったんだね」

 

「こんなところに来ちゃうなんて、すごい、めちゃめちゃかしこいじゃ~ん」

 

のどかがラテを抱き抱え、ひなたが撫でていると、ちゆが中に入って、のどかのお母さんがいるかどうか聞くのであった。そんな中、僕は…………

 

「カナエさんは気づいてたんですか?ラテの気持ちに」

 

「うん、私はさせていたほうね」

 

「させていた…………」

 

のどかたちはラテの声を聞き、ラテが寂しい思いをして、のどかのお母さんに会いに来たことを知った。

 

「私もね。病気で心細かった時に、ちょっとお母さんが見えなくなると直ぐに探して、後を追っちゃったんだ。ラテも寂しかったよね。ラテはあの頃の私よりちっちゃいもん」

 

のどかも同じ思いをか…………

 

「僕も同じだよ」

 

「紫乃くん?」

 

「母さんたちが忙しくって、家にあんまりいられないのは知ってたけど…………寂しい思いをしてたから…………」

 

ちょっと気を引きたくって、家出なんかしたんだよな。あの時は…………

 

「私は妹たちに寂しい思いをさせていたかもしれない。死んで………残ったあの子達は悲しかったり、寂しかったりしてるはず…………」

 

カナエさんの家庭の話…………聞いたことなかったけど、結構大変だったんだ…………

 

「のどか、これからは大丈夫だよな」

 

「うん、大丈夫だよ」

 



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11 のどかの思い

15 のどかの思い

 

とりあえずのどかのお母さんを待とうと話をしようとした瞬間、ラテがくしゃみをし、具合悪そうにしていた。

 

「ラテ!?」

 

「これって!?」

 

「ビョーゲンズだよ、ビョーゲンズ」

 

のどかは急いで聴診器でラテの声を聞くと…………

 

『あっちの方でイチゴさんが泣いてるラテ……』

 

イチゴって、まさかのどかのお母さんが行ってる場所じゃ…………僕らは急いでその場所へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

イチゴ農園まで走っていく僕ら。するとのどかは足が縺れてしまい、転びそうになった。

 

「のどか!?危なかったラビ」

 

「のどかっち、大丈夫?」

 

「今回は私たちでお手当てするわ。のどかはラテと後から来てくれれば…………」

 

「行くよ…………私もラテも……危ないのはイチゴだけじゃない。大好きなお母さんもなの」

 

のどかは強い意思を秘めた目でそう告げる。

 

「私たちが寂しいとき、お母さんが助けてくれた。今度は私たちが助ける番なの‼」

 

走り出そうとするのどか。するとカナエさんは…………

 

「落ち着きなさい」

 

「カナエさん…………」

 

「紫乃くん」

 

「分かった」

 

僕はのどかを背負う

 

「お姫様だっこじゃないの?」

 

お姫様だっこって…………試しにやってみることにした。

 

「紫乃くん/////」

 

「私も前にしてもらったな~」

 

「なんと言うか少しは気にしたりしないのかしら?」

 

突っ込まれつつ、先を急ぐ僕らであった。

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなでイチゴ農園にたどり着くとメガビョーゲンが暴れていて、その近くにダルイゼンとのどかのお母さんが倒れていた。

 

「お母さん!?」

 

「へぇ、来たんだ。プリキュア」

 

「みんな…………行くよ」

 

「「「「スタート」」」」

 

「「「「プリキュアオペレーション」」」」

 

「「重なる二つの花!キュアグレース!」」

 

「「交わる二つの流れ!キュアフォンテーヌ‼」」

 

「「溶け合う二つの光‼キュアスパークル‼」」

 

 

「「「地球をお手当て‼」」」

 

「「「ヒーリングっとプリキュア‼」」」

 

のどか達がプリキュアに変身し、メガビョーゲンへと向かっていく。メガビョーゲンは蔓も伸ばしていくが、グレース、フォンテーヌ、スパークルは蹴りで弾く

 

そして着地して、三方向からシールドで押さえつけ、僕はその間に攻撃をしようとした僕とカナエさんだかが…………

 

『メガビョーゲン‼』

 

メガビョーゲンは思いきり力を解き放ち、僕らを吹き飛ばした。

 

みんなが何とか着地をするが、グレースが地面に靄がかかったところに、足をとられていた。

 

フォンテーヌ達が助けようとするが、メガビョーゲンに阻まれている。助けられるとしたら、グレースの近くにいる僕だけだ。

 

「させないよ」

 

助けに入ろうとした瞬間、突然現れた青髪の少年に蹴られた。

 

「くっ!?誰だ‼」

 

「僕は茨木。酒呑様の命を受け、お前を倒す」

 

茨木の蹴りが連続で襲いかかる。僕は耐えながら、突破口を探していた。

 

するとグレースの近くにダルイゼンが現れ、ラビリンに靄を押し付けた。

 

「貴方たち、何でこんなひどいことするの!?」

 

「ひどい?何が?」

 

「地球を病気にして、みんなを苦しめることだよ」

 

「決まってるだろ。俺はその方が居心地がいいからさ」

 

「自分さえよければいいの!?」

 

「いいよ」

 

ダルイゼンはグレースの頬に靄を押し付ける。グレースは怯えていた。

 

「くそ‼」

 

「ほら、どうするんだ?」

 

茨木の攻撃から逃れて、グレースを助けないと…………

 

『いいか紫乃。友達や家族…………好きな人を助けるためなら…………無茶でも何でもやれ‼それが男だ‼』

 

不意に思い出した声…………無茶でも何でもか……やるしかないな‼

 

僕は距離を置き、刀を納めて構えた。そして一瞬のうちにグレースの側に行った

 

「速い!?」

 

「紫乃くん?」

 

「ハアアアア‼」

 

ダルイゼンに蹴りを放つが、避けられてしまう。だけどその隙にグレースを助けた。

 

「紫乃くん……?」

 

「…………大丈夫」

 

疲労が半場ない…………でもグレースを助けるためにしたことだから…………大丈夫だ

 

「おい、ちゃんと押さえておけよ」

 

「ちょっと油断しただけだ」

 

茨木はそう言い残して姿を消した。ダルイゼンは舌打ちをして構え、グレースと僕も構えるが…………

 

不意にフォンテーヌたちの方を見るとメガビョーゲンの攻撃でピンチになっていた。僕とグレースは頷き合い、メガビョーゲンへと向かっていく。

 

「「ハアアアア‼」」

 

二人同時に攻撃を繰り出し、メガビョーゲンを怯ませた。その隙にフォンテーヌがキュアスキャンでエレメントさんの場所を見つけた。

 

「スパークル‼」

 

「よぉし‼」

 

「動きは止めるわ」

 

カナエさんが連続で攻撃を放ち、メガビョーゲンの動きを押さえる

 

「今‼」

 

ハア‼」

 

スパークルが膝蹴りをして、メガビョーゲンが倒れこんだ。

 

「グレース‼」

 

「エレメントチャージ!」

 

「「ヒーリングゲージ上昇!」」

 

「プリキュア !ヒーリングフラワー!」

 

グレースの浄化技でメガビョーゲンは浄化されるのであった。

 

「「お大事に」」

 

 

 

 

 

 

 

メガビョーゲンを何とか倒し、のどか達がエレメントさんと話してる間、僕は体の痛みに耐えていた。

一瞬とはいえ、まだ使わない方がいいと言われた陸ノ型を使ったんだ

 

「紫乃くん……体の負担が大きいの?」

 

カナエさんが心配しているけど、僕は立ちあがり、笑顔を見せた。

 

「大丈夫…………ちょっと無理しただけだから…………」

 

「…………」

 

何とか誤魔化すなか、カナエさんは黙っていた。

 

 

 

 

 

それからのどかたちは、実りのエレメントさんからの新しいボトルをもらったけど、それはとても貴重なものらしく、大切に扱うようにと言われるのであった。



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12 のどかに迫る新聞部!?

ある日の放課後、のどかたちと一緒に廊下を歩いていた。

 

「はぁ~お腹へっちゃった~」

 

「ちゆちゃんは今日部活?」

 

「今日はお休み」

 

「帰りにでも寄り道でも…………ん?」

 

「ん?」

 

また視線を感じた。ここ最近、誰かに見られている気がする。のどかもその視線に気がついたのか、後ろを振り向いた。

 

「どしたの?のどかっち、紫乃っち」

 

「誰か私たちを見てるような…………」

 

「のどかも気づいた?」

 

「ちゆちゃん、知ってたの!?」

 

「昨日から誰か付け回してるみたい」

 

「悪意がないから放置しておきたいけど…………」

 

「紫乃くんも!?って昨日から!?」

 

「誰かって…………誰?」

 

誰なのか気になるけど…………何で付け回されているのか…………

 

僕は三人のことを見つめた。

 

「なるほど、みんな可愛いからか」

 

「なっ!?」

 

「えっ!?」

 

「ほえ!?」

 

つけ回したくなる気持ちは分からなくもないな

 

「紫乃くん/////」

 

「紫乃っち////」

 

「可愛いとか////あなたね////」

 

 

 

 

 

 

 

次の日も、渡り廊下を歩いていると、誰かが後をつけている感じがした。

 

「来てる?」

 

「うん」

 

「し‼静かに‼」

 

「作戦通りに…………」

 

建物の中に入り、近くの教室に身を潜める僕ら。

後をつけていた人物が掃除用具の近くまで着た瞬間…………

 

「私たちに何か用‼」

 

「ずっと後をつけてたよね‼」

 

「もう逃がさないぞ~」

 

「話を聞かせてもらおうか…………」

 

「わあああああー!?」

 

ちゆは用具箱から飛び出し、のどかが机の裏から、ひなたは骸骨標本を持ってきて、僕はモップを突きつける。

 

後をつけていた人物が驚いて置いてあった風船の上に尻餅をついていた。

 

「あなた、隣のクラスの…………」

 

後をつけていたのは眼鏡をかけた男子生徒だった。

 

「ふっ、バレたからには仕方ありませんね。走り出したら止まらない‼スクープ追いかけて東へ‼西へ‼たまに行きます‼南も北も‼あぁ、スクープイズビューティフォー。すこやか中学敏腕ジャーナリスト‼その名も益子道男です‼」

 

「有名な人?」

 

「うちの新聞部」

 

「あ~新聞部」

 

「ノンノン、新聞部ではありません。すこ中ジャーナル。編集長件記者です」

 

どっちでもいい気がするけど………

 

「でも他に部員いなくて一人でやってるんだよね」

 

「一人?」

 

「ノンノン、寂しくはありませんよ。僕のような優秀は人材が他にいないのです」

 

優秀なら僕らに気づかれない気がするけど…………

 

「何で私たちのこと、付けてたの‼」

 

「ふっ、スクープの臭いあるところ、この敏腕ジャーナリスト、益子道男ありです」

 

「面倒だからストーカーということで、先生に言いに行こう」

 

「紫乃…………あんた……」

 

「止めてください。これにはちゃんとしたわけが…………花寺のどかさん‼君は秘密の臭いがします‼」

 

「やっぱり警察につれていこう。大丈夫、初犯だからな」

 

「紫乃っち……何か怒ってる?」

 

別に怒ってないけど…………

 

「えっと…………ロープ……」

 

「橘紫乃さん、貴方にはお近づきの印に…………」

 

益子から封筒を受けとり、のどかたちから見えないところで中身を見ると…………

 

「………………それでのどかに何かあるのか?」

 

「急に紫乃っちが笑顔になった!?」

 

「何が入ってたんだろ?」

 

「紫乃…………見せなさい」

 

「断る‼益子…………いくら払えば他のももらえる?」

 

「いえいえ、お金は取りませんよ」

 

いいものを貰ったな…………とりあえず話を聞くと、どうにものどかがメガビョーゲンを呼んでるのではないかという話だった。

 

明らかに違うのだけど、益子は疑うのであった。

 

 

 

 

 

 

のどかの家に集まり、ラビリンたちにも今日のことを話していた。

 

「のどかがビョーゲンズだって疑われてるラビ!?」

 

「濡れ衣もいいところよ」

 

「のどかっちはビョーゲンズを浄化してるプリキュアだって、ちゃんと説明しよう」

 

「ダメラビ!」

 

「プリキュアの正体は絶対に知られたらダメなんだペエ」

 

「うっ、だよね……」

 

「もしプリキュアの正体が知られたら……それこそ一大事ラビ。そうなったら……」

 

ラビリンたちは神妙な表情をしていた。もしもプリキュアの正体が知られたら…………

 

「どうなるの?」

 

その場にいた全員が息を飲む…………

 

「「「さぁ?」」」

 

知らないのかよ!?

 

それから話し合って、のどかがしばらく僕らと距離をおいた方がいいと言うことになった。それはそれでどうなんだろうかと思うけど…………

 

「所で紫乃……それこそ益子くんから何を貰ったの?」

 

「別に普通の風景の写真だよ」

 

「嘘ね。見せなさい」

 

「やだ」

 

絶対に見せない…………特にちゆには…………

 

何とか死守する僕であった

 

 

 

 

 

 

 

次の日から、のどかは僕らと少し距離を置くが、益子の追跡は続いていた。石膏像に紛れたり、肖像画に紛れたり等々…………

 

見かねたちゆとひなたの二人は益子の追跡を何とかしようとしていた。そして僕も…………

 

「益子」

 

「何ですか?邪魔をしないでください」

 

「他の写真ないかな?」

 

「他ですか?一応ありますけど…………」

 

益子から写真を受けとる隙にのどかはその場から離れた。

 

「それにしてもどうして写真なんか…………」

 

「いや、頑張ってる所の写真だから…………」

 

本人には見せるのも、理由を言うのも恥ずかしいからな…………

 

「まぁ、いいですけど…………って逃げられた!?」

 

益子はのどかの姿がないことに気がつき、走り去るのであった。



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13 雨上がりと気持ち?

家で鍛練していると、不意に窓を見たら、雨が降っていた。

 

「雨か…………直ぐに止むかな?」

 

一人でそう呟き、現状使える呼吸を放つ。今の僕には一から伍までしか使えない。まだ体が出来てないからだ。

 

そんなことを考えているといつの間にか雨がやんでいた。少し外に出ると、ちゆとひなたの二人に出くわした。

 

「どうしたんだ?二人とも?」

 

「のどかっちに会いたくなって…………」

 

「そっか……とりあえず雨は止んでるぞ」

 

「「えっ?」」

 

気づいてなかったのかな?

 

三人で話し、のどかの家に行くと、のどかがベランダから顔を覗かせていた。僕らは家に上がろうとしたとき、

 

「くちゅん」

 

ラテが何かを察知した。のどかはラテの声を聞くと、雨が泣いてるとのことだった。

 

 

 

 

 

 

 

急いで現場に向かうと、メガビョーゲンとグアイワルがいた。そしてその近くには益子が眼鏡を探していた。

 

「いた。メガビョーゲン‼」

 

「グアイワルラビ!」

 

「今回は鬼はいないか……」

 

「ふん、あんな奴らの手を借りるつもりはない‼」

 

「みんな、行くわよ‼」

 

「「「スタート」」」

 

「「「プリキュアオペレーション」」」

 

「「重なる二つの花!キュアグレース!」」

 

「「交わる二つの流れ!キュアフォンテーヌ‼」」

 

「「溶け合う二つの光‼キュアスパークル‼」」

 

「「「地球をお手当て‼」」」

 

「「「ヒーリングっとプリキュア‼」」」

 

のどかたちがプリキュアに変身し、僕は日輪刀を抜き、メガビョーゲンに立ち向かっていく。

 

「時は来た‼我が勝利の時‼」

 

メガビョーゲンが水飛沫を飛ばしてきたが、僕は咄嗟に『初雪』で弾いた

 

更に接近して、『雪桜』を放ち、怯んだメガビョーゲンに追撃にグレースたちが同時に蹴りを放つ

 

『メガ!?』

 

「スパークル、ニャトラン」

 

「OK、キュアスキャン‼」

 

雨のエレメントさんの場所を確認するが、メガビョーゲンが身体を回転させて水飛沫を飛ばしてきた。

 

「回転を止めるなら…………『雪の呼吸!肆の型‼深雪‼』」

 

回転しながら、メガビョーゲンに深く切りつける。するとメガビョーゲンは回転を緩め始める。

 

「グレース‼実りのエレメントさんの力を使うラビ」

 

「うん、実りのエレメント‼」

 

実りのエレメントのエネルギー弾がメガビョーゲンに当たり、メガビョーゲンは地面に倒れた。

 

「グレース‼」

 

「任せて‼エレメントチャージ!」

 

「「ヒーリングゲージ上昇!」」

 

「プリキュア !ヒーリングフラワー!」

 

グレースの浄化技でメガビョーゲンは浄化されるのであった。

 

「「お大事に」」

 

 

 

 

 

 

 

雨のエレメントさんも無事助けられ、安心していると、益子がやって来た。

 

「スクープですよ。怪物を倒した女の子たち……名前は、プリ……プリキュア」

 

「へぇー」

 

「そうなんだ~」

 

益子はのどかがメガビョーゲンと関係ないと分かり、謝るのであった。これで安心だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日の朝、益子に呼び止められた。

 

「橘くん」

 

「何だよ?」

 

「貴方は…………彼女が好きなんですか?」

 

「はい?」

 

「貴方の事は少し調べていて…………例の写真を素直に受け取る…………貴方は頑張ってる姿をとか言っていましたが…………本当は彼女のことが好きなんですね‼…………のことを‼」

 

こいつ…………読みが当たってる。好きとかそう言う気持ちなのかどうかは分からないけど…………

 

「応援はしますよ」

 

何だか応援された…………気持ちか…………どうなんだろうな?

 



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14 飛べないちゆ

ちゆの鮮やかに飛ぶ姿…………いつ見てもきれいだった。

 

「ナイスジャンプ!ちゆちゃん」

 

のどかはちゆの手を振り、ちゆも手を振って返していた。

今日はのどかとひなたの二人と一緒に陸上部の見学をしていた。

 

「陸上してるちゆちゃんって、生きてるって感じがするよね」

 

「分かるーハイジャンプしてるときは、めっちゃ生きてるって感じ」

 

「昔から頑張ってるからな。それに春の大会も近いから、みんな気合い入ってるし」

 

「紫乃くん、何だか楽しそうだね」

 

「そうか?」

 

「そうそう、いつもよりニコニコしてるよ」

 

二人にそんなことを言われて、少し考えると…………確かにそうかもしれないな。

 

ちゆがもしかしたら大会で優勝するかもと話していると……

 

「安心するのはまだ早いかと」

 

「「えっ?」」

 

「益子、どうしたんだ?こんなところで」

 

「安心するのは早いって、どういう意味?」

 

のどかはそう聞き、益子はすこ中陸上部のライバルの西中陸上部の写真を見せた。

 

「県大会の最高記録を、沢泉さんの自己ベストを越えています」

 

だから安心するのは早いか…………

 

「沢泉さんの特集を組もうと思いましたが、雲行きが怪しくなってきましたね」

 

のどかとひなたの二人が写真を見つめていると、ちゆが後ろから声をかけてきた

 

「なに見てるの?」

 

「わわ、ちゆちー、どしたの?休憩?」

 

「丁度良かった。ぜひ僕のスクープ写真を…………」

 

益子が写真を見せようとするが、ひなたに突き飛ばされてしまうのであった。

 

「えっと、その、可愛いクラゲの写真を…………」

 

「西中陸上部の写真を見てたんだよ」

 

「紫乃くん(紫乃っち)!?」

 

 

 

 

 

グランドに入り、ベンチに座りながらちゆは写真を見ていた。

 

「ちゆちゃん…………」

 

「気にならないなら嘘になるけど…………」

 

「いちいち気にしないだろ」

 

「えぇ、陸上は自分との戦い。私のライバルは私だから」

 

ちゆはそう言って、練習に戻っていく。

 

大丈夫そうだと思った瞬間、ちゆがジャンプに失敗した。

 

 

 

 

 

 

 

ちゆside

 

旅館の仕事を手伝っていると、一緒に手伝ってくれているペギタンに私は…………

 

「カッコ悪いところ見せちゃったわね」

 

「ううん、そんなことないペエ。毎日一生懸命頑張ってるちゆは格好いいペエ」

 

格好いいか…………今の私にはそんなことを言われる資格はないのに…………

 

「大丈夫ペエ。明日はきっと跳べるペエ」

 

ペギタンは励ましてくれているけど、今の私には…………

 

「ちゆ、お客さんよ」

 

お母さんが呼びに来て、ペギタンは急いで隠れた。

 

「お客さん?誰だろ?」

 

誰だろと思いながら、玄関にいくとそこには紫乃がいた

 

「どうしたの?家出?」

 

「何で家出してきたと思うんだよ」

 

「だってこんな時間に来るとしたら、家出くらいじゃない」

 

幼い頃のイメージが強いからそう思えた。

 

「まったく…………」

 

「それで何か用なの?」

 

「ちょっと様子を見に来たんだよ」

 

「様子って…………」

 

「元気そうに見えるけど、やっぱり気にしてるんだな」

 

紫乃…………付き合いが長いから分かるのね

 

変に誤魔化したりせずに、私はただ頷いた。

 

「無理だけはするなよな。倒れでもしたらみんな、心配する」

 

「紫乃も?」

 

「僕は…………物凄く心配するかな?」

 

物凄く…………ね。紫乃らしい答え。

 

「空を泳ぐんだろ」

 

「…………えぇ」

 

紫乃は覚えてくれていたのね。私がハイジャンプを始めた理由を…………

 

 

 

 

次の日の朝、ランニングしに行こうとすると、のどかとひなたの二人が待っていた。二人も心配してくれて来てくれたらしい。

 

「紫乃くんに声をかけたんだけど…………」

 

「『寝かせてくれよ。寝たのさっきなんだから…………』だって」

 

無理をしてるのはどっちなのよ。

心の中でツッコミをいれる私であった



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15 空へ、そしてちゆの思い

今日もちゆの練習を見に来た僕、のどか、ひなたの三人。未だにちゆは飛べないでいた。

 

「ちゆちー」

 

「辛くないのかな…………」

 

「辛いはずだよ。でもそれでも飛ぼうとするのがちゆだから…………」

 

心配する二人に、僕はそんな言葉をかける。

ちゆは少し休んでいるとのどかが…………

 

「頑張るのも大事だけど…………あんまり無理しないでちゆちゃん」

 

「記録でなくても死なないし、ね‼」

 

「…………それでも私は飛びたいの。今は無理をしてでも、自分の限界を超えたい。そういうのってもう古いのかな?」

 

笑顔でそう告げるちゆ。これはもう言っても聞かないと言うよりかは、僕らにも出来ることをした方がいいかもしれない。

 

 

 

 

 

帰り道にのどかとひなたは横断幕を作ろうと言う話になり、僕にも手伝ってほしいと言うけど…………

 

「僕にはちょっとやることがあるから…………そっちは二人に任せるよ」

 

 

 

 

 

 

ペギタンside

 

日曜日の朝もちゆは練習に向かおうとしている。ちょっと頑張りすぎだ。

 

「ちゆ、日曜日くらい休んだ方がいいんじゃないかペエ」

 

「ありがとうペギタン。行ってくるわね」

 

ちゆは笑顔で誤魔化すけど…………僕も何か助けにならないとダメだ。

ヒーリングバッグに入り、ちゆが飛べなくなった原因を探すと、ある文章が目に入った。

 

イップス。これまで簡単に出来たことがある日突然出来なくなり、出来なくなったことが気になり、更に出来なくなる症状…………ちゆはこれにかかってる

 

僕は大慌てで家を飛び出し、のどかの家に向かった。

 

 

 

 

「大変ペエ。イップス、イップス」

 

「どうしたラビ?ペギタン」

 

「ちゆがイップスになったペエ。みんなでお手当てを考えるペエ。のどかは?のどかはどこペエ?」

 

「のどかならひなたと買い物に出掛けたラビ。多分今はひなたの家に……」

 

「ひどい……ひどいペエ」

 

きっと二人はちゆの事をそっちのけで買い物を楽しんでる。

そうだ‼こういうときは…………

 

 

 

 

「紫乃、紫乃はいるペエ!?」

 

「あれ?ペギタン?」

 

「何を慌ててるだ?」

 

紫乃の家に行くと、カナエと杏寿郎が何かをしていた。

 

「紫乃は、紫乃はどこにいるペエ!?」

 

「紫乃くん?紫乃くんなら…………」

 

「散歩に出かけているぞ」

 

紫乃もちゆが大変なときに散歩…………

 

「紫乃の薄情者ペエ~」

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

「へっくしゅ!?」

 

「風邪?」

 

「いや、誰か噂してるのか?」

 

ちゆと二人でベンチに座りながら話しているときに、くしゃみが出た。

 

「別に付き合わなくてもいいのに…………」

 

ちゆは笑顔でそう言うけど、そんな訳には行かない

 

「頑張ってるちゆを見てたいんだよ」

 

「私を?」

 

僕はこの間益子からもらった写真を見せた。写真にはちゆの姿が写っていた。

 

「これ…………盗撮?」

 

「違う!?ちゆの跳んでる姿が綺麗だから、いつか写真とかほしいと思って…………」

 

まさか益子から貰うとは思っても見なかった…………

 

「紫乃…………」

 

「頑張ってるちゆに対して出来ることは、ちゆの側にいることだから…………応援は大会当日にするよ」

 

「てっきり何かするのかと思ったわ」

 

「何かしてもちゆは望まないだろ」

 

「そうね……」

 

お互い笑い合うのであった。

 

「何だか紫乃が側にいるだけでも……のどかやひなたがいる時とは違う安心があるの…………」

 

「どう言うこと?」

 

「…………跳べるようになったら言うわ」

 

「じゃあ、跳べるようになったら、二人きりで出掛けようか」

 

「えぇ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして大会当日

 

のどかとひなたと一緒に応援に来ていた。二人は完成した横断幕をちゆに見せた。

横断幕には『空へ、限界突破』と書かれていた。何故か破が直されてるけど、何があったんだ?

 

とは言えちゆは気合が入ったみたいだ。

いざ大会が始まろうとしたとき、ラテが具合悪そうになった。

 

「ラテ!?」

 

「ビョーゲンズ!?」

 

メガビョーゲンの出現を感知したと同時に、会場にメガビョーゲンが現れた。こんなときに現れるなよ

 

「ちゆ‼」

 

「分かってる‼」

 

「「「スタート」」」

 

「「「プリキュアオペレーション」」」

 

「「重なる二つの花!キュアグレース!」」

 

「「交わる二つの流れ!キュアフォンテーヌ‼」」

 

「「溶け合う二つの光‼キュアスパークル‼」」

 

「「「地球をお手当て‼」」」

 

「「「ヒーリングっとプリキュア‼」」」

 

 

みんながプリキュアに変身した。

 

「行くわよ‼紫乃‼」

 

メガビョーゲンが氷の光線を放つ。僕らは散らばりながらメガビョーゲンを翻弄し、四人でキックを放つ。

 

『メガ‼ビョーゲン‼』

 

メガビョーゲンが全身を氷で覆い、覆った状態で光線を放ち続ける。

 

「みんな‼あいつの攻撃を私から逸らすこと出来る?」

 

「分かった‼スパークル、紫乃くん」

 

「OK」

 

「フォンテーヌ‼任せたぞ‼」

 

グレースとフォンテーヌがメガビョーゲンの気をそらしつつ、僕は素早く動きながら、氷を切っていく。

 

メガビョーゲンの目をそらしている間、フォンテーヌが上へと跳び

 

「エレメントチャージ‼ヒーリングゲージ上昇‼プリキュア・ヒーリングストリーム‼」

 

フォンテーヌの浄化技で、メガビョーゲンを浄化するのであった。

 

「「お大事に」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無事メガビョーゲンを浄化したけど、ラテが元気にならなかった。

 

「氷のエレメントさん。力を分けてほしいペエ」

 

「いいですよ」

 

氷のエレメントさんから氷のエレメントボトルを受けとり、ラテに与えると元気になった。

 

そしてちゆは僕らの前で飛んで見せ、ジャンプを成功させるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜の事、

 

「紫乃、起きてる?」

 

「どうしたんだ?こんな時間に?」

 

道場で鍛練中にやって来たちゆだけど、何故か顔が赤い。どうしたんだ?

 

「みんなのお陰でまた跳べるようになった。ありがとう」

 

「のどかやひなたにも言ってあげろよ。僕は側に…………」

 

「紫乃が側にいるとね…………安心するの。でもその安心は…………好きだからこその安心だと思う」

 

…………好き?聞き間違いじゃないよな?

 

「紫乃、私は貴方の事が好き…………大好き」

 

ちゆの想い…………僕はどう答えるべきなんだ。いや、悩んでる場合じゃない

 

「小さい頃から…………一緒にいることが多かったけど、僕のちゆへの気持ちは…………」

 

「無理して答えなくていいよ。他の人が好きなら…………紫乃の気持ちを大事に…………んん!?」

 

何かをいいかけるちゆの口をキスして塞いだ。一秒くらいして離すと…………

 

「これが返事でいいかな?」

 

ちゆは顔を赤くしながら、涙を流す。

 

「バカ…………大好き」



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16 デートとちゆの想い

ちゆside

 

「…………よし」

 

鏡の前で身だしなみを整える私。今日は紫乃と…………

 

「ちゆ?何処かお出かけペエ?」

 

「えぇ、し…………買い物に出掛けるのよ」

 

危ない。ペギタンに言うところだった。まだみんなには内緒にしとかないと…………

 

「ペギタン、悪いけど…………」

 

「分かってるペエ。僕も今日はラテ様のお世話しに行くペエ」

 

「そうなんだ。それじゃあ行ってきます」

 

「行ってらっしゃいペエ」

 

ペギタンに見送られながら、私は待ち合わせ場所に向かうのであった。

 

 

だけど…………

 

「こちらニャトラン。ちゆが出掛けたみたいだぜ。ドーゾー」

 

「こちらひなた。ちゆちーがおめかししてる…………怪しい」

 

電柱の影にひなたとニャトランの姿があったことについては気がつかない私であった。

 

 

 

 

 

 

待ち合わせ場所に行くと、紫乃がすでに来ていた。

 

「お待たせ。紫乃」

 

「そんなに待ってないよ。さっき来たばっかりだし」

 

本当は一時間前から来てたのかしらと分かってしまう自分がいる。

それだけで恋人らしい事をしてる…………

 

「それで…………本当にあそこに行くのか?」

 

「えぇ、私が行きたいところって言ったじゃない。ほら、行きましょう」

 

私はそう言って紫乃の手を繋いだ。

 

 

 

 

 

「手を繋いでるぞ‼ありゃ付き合ってるな」

 

「ううん、恋人繋ぎじゃない‼まだ分からないよ」

 

「ひなたちゃ~ん、邪魔しちゃ悪いよ~」

 

「そうだけど気になるじゃん」

 

「二人とも暇ラビ?」

 

「ちゆ、何で紫乃と出掛けるって言わなかったペエ?」

 

「動いた‼行くよのどかっち」

 

「ひなたちゃん、待ってよ~」

 

 

 

 

 

 

少し歩いてついた場所は、運動公園だった。私たちはジャージに着替えると…………

 

「それじゃランニング始めましょう」

 

「OK」

 

しばらく二人で公園を走り、走り終えると紫乃はベンチに座って疲れ果てていた。

 

「運動不足じゃない?」

 

「割と鍛えてるんだけどな…………」

 

「全く…………」

 

紫乃の隣に座ろうとしたけど、躊躇してしまう。

 

「どうしたんだ?」

 

「えっと…………汗くさいかなって……」

 

隣に座って嫌な思いをさせたくないな…………

すると紫乃は私をベンチに座らせる。

 

「気にしなくていいよ。と言うか気にならないから」

 

「紫乃…………」

 

「休憩も終わり‼続きやろうか」

 

「えぇ」

 

もう一度走りに行く私たちであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから沢山運動をして、夕方になり、二人で海まで来て夕陽を眺めていた。

 

「きれいな夕陽ね……」

 

「…………」

 

「紫乃?」

 

「ちゆ、みんなに言わなくていいのか?付き合ってること」

 

「…………」

 

私はのどかたちに紫乃と付き合ってることを言ってない。いや、言えないでいた。

だってあの二人は…………

 

「言えないよ…………二人は紫乃の事が好きなのに…………私が奪ったって思われてるから…………」

 

「そんなことは…………」

 

「そんなことはないって思いたいけど…………そんなことが頭に浮かぶの……だから……きっと言ったら二人に何を言われるか……」

 

私は涙を流した。今の関係を壊したくないからこそ、言えない。

 

紫乃はため息をつき…………

 

「じゃあ聞いてみたらどうだ?いるんだろ二人とも」

 

「えっ!?」

 

後ろを振り向くと、のどかたちがいた。偶然通りかかったの?

 

「あはは……知ってたの?」

 

「何となくな」

 

ひなたは苦笑いを浮かべていると、のどかは紫乃を真っ直ぐ見て…………

 

「紫乃くん。私…………貴方の事が好きだよ」

 

「のどか!?」

 

「…………嬉しいけど、僕はちゆが大好きだから」

 

「知ってる。だからこの想いだけは伝えたかったの。それに紫乃くんがちゆちゃんと愛し合っていても、私は紫乃くんの事を好きで居続けていい?」

 

「あぁ、お前がそうしたいなら…………」

 

「のどか…………」

 

のどかは少し涙ぐむ。するとひなたは…………

 

「ちょっと何かずるいよ。私も紫乃っちの事が好き。のどかっちと同じように好きで居続けていい?」

 

「そうしたいならな」

 

「OK。そうするね」

 

二人とも…………怒ってないの?

 

「ちゆちゃん、私たちはちゆちゃんを傷つけたりしないよ」

 

「そうそう、友達だもん。だから気にしないでね」

 

「のどか…………ひなた…………」

 

私は泣きながら二人を抱き締める。二人も私を抱き締めてくれた。

 

「ごめん、ごめんね」

 

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

ちゃんと言えたあと、のどかと一緒に家まで帰ることになった。

 

「紫乃くん」

 

「何だ?」

 

「ちゆちゃんを傷つけたりしたら許さないからね」

 

のどか…………笑顔で言うのは止めてほしいのだけど…………

 

「傷つけたりすると思うか?」

 

「ふふ、言ってみただけだよ」

 

何かすごい釘を刺されたけど、大丈夫。絶対にちゆは傷つけたりしないし、ちゆの大好きな友達であるのどかとひなたも傷つけない。

 

「守ってみせるから」

 

「ちゆちゃんを?」

 

「ちゆの大好きな友達のお前たちもだよ」

 

「それじゃちゆちゃんが大好きな紫乃くんは私たちが守るから」

 

お互いに決意を言葉にして誓い合うのであった。

絶対に守ってみせるから…………三人の仲間として、ちゆの恋人として…………

 

何があっても…………

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは…………傷は……痛まない、と言うより痛くない」

 

蝶の髪飾りを付けた少女が一人、やって来ていた。



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17惚気話とひなたの提案

のどかの家に集まった僕らは、ひなたが録ったニャトランの動画を見ていた。

 

「最近始めたばっかで、ニャトランちょい出ししたら、急に再生数伸びたんだよね」

 

「まっ、俺の魅力半端ねぇからな」

 

「何目立ってるラビ!?」

 

「ヒーリングアニマルだってばれちゃうペエ」

 

まぁ喋らなければ大丈夫だと思うけど…………

 

「所でさ紫乃っち、ちゆちー」

 

「「何?」」

 

「何で二人とも離れて座ってるの?隣同士に座ったりしてイチャイチャすればいいのに…………」

 

お互い離れて座っていると言うか、お互いの顔が見やすいように正面に座ってるんだけど…………と言うか

 

「「恥ずかしいから…………」」

 

二人同時に言うと、のどかは……

 

「息ぴったり」

 

嬉しそうに言い、ひなたは呆れていた。

 

「もう、私たちに遠慮しないで隣に座る‼」

 

ひなたに言われるまま、ちゆの隣に座ると、ちゆは手を握ってきた。僕はちゆの手を握り返す。

 

「本当に告白の返事がキスをしたとは思えないんだけど…………」

 

 

告白の返事についてバレてるけど…………ちゆが喋ったのかな?まぁ、言っても問題はないし…………いいか

 

「と言うか何で返事がキス?」

 

「あれは…………嬉しかったから……つい」

 

「返事がキスっていいなと思うけど……好きって言ったりしないの?」

 

「寝る前に電話で言ってもらってるわ」

 

ちゆさんや頼むから恥ずかしいからその話は……

 

「例えば?」

 

「例えば…………おやすみって言ったら、『ちゆ、おやすみ…………好きだよ』って////」

 

「ちゆちゃんは何て返してるの?」

 

「私も好きって……」

 

「ふわぁ~」

 

「めっちゃいちゃついてる!?」

 

「他には?他には?」

 

「えっと……キスは告白してからはしてもらってないけど、ほっぺにしてきたり、したり…………」

 

物凄く恥ずかしいのだけど…………惚気話聞いて楽しまないでほしい。

フッとひなたが部屋に飾られていた写真が目に入った。

 

「ねぇ、あれのどかっちの写真?」

 

「うん、お父さんが撮ってくれて」

 

「へ~見せて見せて」

 

みんなでのどかの写真を見ることになった。写真には幼い頃ののどかの姿が写されていた。

 

「可愛い~っていうかのどかっち、今と全然変わんないし」

 

「ふふ、そうね」

 

「あれ?小さい頃のばっかだね。今のは?」

 

「あ、休んでる間はあんまり撮らなかったから」

 

のどかの一言に僕らの間に変な空気が流れた。

 

ひなたは直ぐ様のどかに謝る。

 

「ごめん!?そうだよね!ほんとごめん‼」

 

「ううん、今はすっかり元気満タンだし、ねぇ、ラテ」

 

のどかは気にしてないと言うのは良いことだけど、ひなたは気にしすぎな気が…………

 

するとひなたは何か考え、あることを提案するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

ひなたの提案でついた場所はゆめポートだった。ゆめポートに着いて、のどかはテンションが高くなっていた。

 

「私、また着てみたかったんだ~」

 

「でしょ~ここって一日いても全然飽きないんだよね。ファッションでしょ、可愛い雑貨に、スイーツもめっちゃ美味しいし」

 

ひなたもテンションが高めだな…………まぁ、こう言うところは女子からしてみれば楽しい場所だからな。

 

ひなたの案内でたどり着いた場所は『エンジェルフォットさつえいかい』と言う場所だった。

 

そこはアクセサリーやドレスなどをレンタルして、撮影してもらうと言う場所らしい。明らかに僕は場違いな気がするけど…………気にしたら負けかな?

 

のどかはやる気満々で、ちゆは遠慮していたが…………

 

「紫乃っち、紫乃っち、ちゆちーの可愛い姿みたいよね~」

 

「いや、ちゆが可愛いのは当たり前だし……いつも可愛いから……」

 

「今よりもっと可愛くなるとしたら?」

 

「…………見たいです」

 

「紫乃////」

 

「ちゆちーも紫乃っちにかわいい姿見せたいでしょ。ほらほら行くよー」

 

ひなたに押されるまま、みんなでエンジェルフォットに入るのであった。

 

 

 

 

 

 

「人が多い…………それにここに来て急に頭のなかに入ってきたあの情報は…………」

 

一人の少女がそう呟き、エンジェルフォトに入っていくのであった。




謎の少女は次回明らかに‼


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18 一生懸命の気持ちと蟲柱

みんなと一緒にエンジェルフォトさつえいかいに来ていた。

 

女子向けだから僕は離れた場所にあったイスに座っていた。

イスの下ではラビリンたちがビーズメーカーを使って何かを作っていた。

 

「ひひひ、ここなら人間に見られず自由にビーズメーカーが使えるぜ」

 

「きっとラテ様喜ぶペエ」

 

何か企んでる感じがするけど、気のせいかな?

 

「これ違うラビ。きっちり白黄色赤の順番ラビ」

 

「大体でいいんじゃね?これ可愛いんだしよ」

 

「ダメラビ。やり直すラビ」

 

「ラビリンは厳しいペエ…………」

 

ペギタン、どんまいと心の中で呟いていると、

 

「ん?」

 

フッとカナエさんに似た人が人混みにいるのが見えた。確かめようとするけど、直ぐに紛れてしまい見失う。

 

「カナエさん?」

 

確か今日は学校に行ってるはずだからこんなところにいないはず…………

 

「見間違いかな?」

 

とりあえずみんなの事を待つことにするのであった。

 

 

 

 

 

 

「のどか!?」

 

少しするとちゆがのどかの名前を呼ぶ声が聞こえ、そこに向かうとのどかが目を回していた。もしかして人混みで目を回したのか?

 

「とりあえず少し休もう」

 

「えぇ」

 

「あっ……」

 

ひなたは少し思い詰めた顔をしているけど、話すのはあとの方がいいかな?

 

 

 

 

 

外に出て、のどかを休ませていると、ひなたが飲み物を買ってきて、のどかに謝っていた。

 

「ごめん、本当にごめん」

 

「え?」

 

「ダメダメだよね。のどかっちが辛かったのに、全然気づかないで…………」

 

「ひなた……」

 

「ううん、そんな…………」

 

「も~私ってば、つい周りが見えなくなるって言うか…………一人でどんどん突っ走っちゃって…………これ飲んで落ち着いたら帰ろう」

 

のどかの事を思いやるひなた。のどかは…………

 

「ひなたちゃん、私……帰らないよ」

 

「ふえ?」

 

「だってこんなにドキドキするくらい楽しいんだもん。帰りたくないよ。ちょっと疲れちゃったのはそうなんだけど…………だからひなたちゃん……」

 

のどかが何かを言いかけた瞬間、ラテが突然走り出す。ひなたは慌ててラテを追いかけていった。

 

「ひなた!?」

 

「僕が行くから、ちゆはのどかの事を」

 

「分かったわ」

 

 

 

 

 

 

 

「もう少し美しいものがあると思ってみたけど、やっぱり人間界って、本当にセンスないわね。見苦しいったらありゃしない。貴方もそう思わない?零余子」

 

「私は一応元人間なんだけど…………まぁ、貴方がそう言うならそうなんじゃないの?」

 

「ふふ、なら私がもっと綺麗にして、貴方に見せてあげちゃう。進化しなさい。ナノビョーゲン‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

ドッグランで何とかラテを保護したけど、突然くしゃみをして苦しそうになった。

 

僕とひなたは人気のないところでラテの声を聞くと…………

 

『あっちの方で綺麗な石が泣いてるラテ』

 

「綺麗な石?まさか!?」

 

ひなたと一緒にメガビョーゲンのいる場所に行くと、さっきまでいたイベント会場にメガビョーゲンが暴れていた。

 

「信じらんない。せっかくのイベントが目茶苦茶じゃん!?」

 

ひなたはラテを安全なところに移動させ、変身しようとするが…………

 

「のどかたちを待たないのか?」

 

「紫乃の言う通りだ。二人だけで大丈夫なのかよ?」

 

「そんなの待てないって、今すぐここ守んなきゃ私たちで……」

 

「ひなた…………」

 

目の前の事しか見えてない。何か言うべきだけど、話してる場合じゃないな

 

「スタート‼」

 

「プリキュアオペレーション‼」

 

「エレメントレベル上昇ニャ‼」

 

「「キュアタッチ‼」」

 

「「溶け合う二つの光‼キュアスパークル‼」」

 

ひなたは変身し、僕は日輪刀を構えた。

 

「何?またプリキュアと鬼狩りじゃないの」

 

「柱はいないみたいね。今度こそ鬼神様の為に‼」

 

「スパークル‼」

 

「メガビョーゲンは任せて‼」

 

スパークルがメガビョーゲンに攻撃を仕掛けていくなか、僕は零余子と対峙していた。

 

「前みたいに逃げないのか?」

 

「言っただろ‼私は鬼神様の為に…………あの方は優しい方だ‼鬼舞辻様とは違う‼」

 

何か苦労してるのかな?零余子の言葉から前の主に対しての苦労が伺えるんだけど…………

 

「今は気にしてられない‼『壱ノ型‼初雪』」

 

初行くを放つが、零余子は爪で受け止める。

 

「逃げる気はないのは本当みたいだな‼」

 

僕の剣撃と零余子の爪が激しくぶつかり合うなか、スパークルは…………

 

「可愛いのいっぱい台無しにして、せっかくあんなに楽しんでたのに‼絶対元通りにしてみせる‼」

 

メガビョーゲンの攻撃を避けながら、攻撃を放つが、メガビョーゲンには効いてなかった。

 

「こいつ、めっちゃ頑丈なんだけど‼」

 

「スパークル‼無理はするな‼直ぐにこいつを片付けて…………」

 

「私を雑魚扱いするな‼」

 

一瞬の隙を突かれ、零余子の爪が僕の肩を貫き、思いきり蹴り飛ばされ、近くの壁にぶつかった

 

「くっ!?」

 

「紫乃っち!?」

 

「スパークル!?後ろ!?」

 

スパークルもよそ見をしていたためか、メガビョーゲンに吹き飛ばされ、僕の近くに倒れた。

 

「うっ……」

 

「スパークル……」

 

何とか立ち上がるけど、肩に痛みが走り、上手く刀を握れないでいた

 

「あはは、プリキュア三人でも大したことないのに、たった一人で何とかしようとするなんて、ホント考えなしなんだから」

 

「そっちの鬼狩りも舐めすぎね」

 

シンドイーネと零余子の笑い声が響くなか、スパークルは…………

 

「私……また……」

 

後悔していた。また一人で突っ走ったせいでこんなことになったと思っているのかもしれないけど…………

 

僕はスパークルの頭を撫でた。

 

「紫乃っち!?」

 

「大丈夫。のどかやちゆは気にしてない。スパークルはみんなのために一生懸命になってるだけだから」

 

「紫乃っち…………」

 

「よそ見をしてる暇があるのか‼」

 

零余子がまた襲いかかる。僕はスパークルを守ろうとした瞬間、

 

『蟲の呼吸‼蜻蛉の舞‼複眼六角』

 

六つの連撃が零余子を切り付けた。零余子は後ろに下がると、僕とスパークルの前に、蝶の髪飾りを付けた少女がいた。

 

「下弦の鬼ですか……それに貴方は隊の人間ではないのに…………」

 

何処と無くカナエさんに似てる気がするけど、少女が持っている刀は…………日輪刀?

 

「鬼殺隊の人?」

 

「私は胡蝶しのぶ。蟲柱です」

 

しのぶ…………前にカナエさんが言っていた妹さん?

 

「柱!?まずい‼逃げさせてもらう」

 

零余子は直ぐに逃げ出すと、のどかたちが合流してきた

 

「ひなたちゃん、紫乃くん」

 

「ごめんなさい。気づくの遅くなって……行くわよ。のどか」

 

「うん」

 

「「スタート‼」」

 

「「プリキュア‼オペレーション‼」」

 

「エレメントレベル上昇ラビ‼」

 

「「キュアタッチ!」」

 

「「重なる二つの花!キュアグレース!」」

 

「エレメントレベル上昇ペエ!」

 

「「キュアタッチ」」

 

「「交わる二つの流れ!キュアフォンテーヌ‼」」

 

二人がプリキュアに変身し、僕らの近くに駆け寄る

 

「紫乃、この人は?」

 

「詳しいことは分からないけど、カナエさんの妹のしのぶさんだよ」

 

「貴方…………どうして姉さんの事を……」

 

「えっと……」

 

しのぶさんに事情を話そうとすると、スパークルが突然謝りだした。

 

「ごめん、私……また突っ走っちゃって……今日のイベントだってそうだし、今だって……」

 

謝るスパークル。するとグレースがスパークルの手を握り、

 

「スパークル、さっき最後まで言えなかったけど……今日ずっと自分の事そっちのけで、かわいいアクセサリーとか私たちに似合うのを見つけてくれたよね。私、楽しすぎて胸がいっぱいになっちゃった」

 

「私も……私も紫乃のことを理由にして、ドレスで写真なんてって思っていたけど、その、ワクワクしたわ。それに突っ走ってしまったのは、貴方が一生懸命だったからでしょ」

 

「なぁ、言った通りだろ」

 

「フォンテーヌ……紫乃っち……」

 

「ありがとう。私、そんなスパークルが好き」

 

グレースに好きと言われて、顔を赤らめて照れるスパークル。

 

「あの……呑気に……」

 

しのぶさんが苦笑いをしながら言われて、僕らはメガビョーゲンと対峙する

 

「鬼とはちがうみたいですね」

 

「でも攻撃は通じます‼『雪の呼吸!弐ノ型‼吹雪』」

 

何十回も突きを喰らわせるが、メガビョーゲンの体には傷ひとつつかなかった。

 

グレースがキュアスキャンでエレメントさんの居場所を調べると、宝石のエレメントさんだった

 

「宝石だから固いのか‼」

 

「砕くには少し厄介ですね」

 

「フォンテーヌ、氷のエレメントボトルを使うペエ」

 

「分かったわ。氷のエレメント‼」

 

フォンテーヌが氷のエレメントの力でメガビョーゲンを滑らせ、凍りつかせた。

 

「今よ‼スパークル‼」

 

「OK、エレメントチャージ‼」

 

「「ヒーリングゲージ上昇‼」」

 

「プリキュア‼ヒーリング・フラッシュ‼」

 

スパークルの浄化技を喰らい、メガビョーゲンが浄化されるのであった。

 

「「お大事に」」

 

 

 

 

グレースたちがエレメントさんの状態を確認してる中、僕はしのぶさんに事情を 話していた。

 

「ビョーゲンズ……プリキュア……それに鬼神と私たちの世界の鬼…………厄介なことになってますね」

 

「それにあの零余子って下弦の鬼にも逃げられましたしね」

 

あの鬼…………逃げ足早すぎだろ

するとしのぶさんはクスクス笑っていた。

 

「多分大丈夫だと思いますよ。私が切ったときに毒を撃ち込みましたから、上手くいけばそのまま死ぬか。もしくは苦しんでいる頃でしょう」

 

笑って言ってるけど、かなり怖いんだけど…………

 

「とりあえず家にカナエさんと杏寿郎さんがいるので、詳しい話はまた」

 

「えぇ、紫乃君」

 

「お~い、紫乃っち~」

 

みんなが呼んでいるので、僕らは皆のところに行くのであった。

 

 

 

 

 

 

零余子side

 

「かはっ!?」

 

血を吐く私。あの柱の女…………刀に毒を仕込んでいたのか?何とか分解したが…………それでも苦しみが襲う

 

「許さない…………あいつらだけは!?」

 

『ならば力を授けよう』

 

突然何かが体を貫き、何かを打ち込まれる

 

『更なる強さを手にしろ。零余子』

 

力が溢れてくる。これならあいつらを殺せる‼

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

みんなの撮影が終わり、写真を見せてもらったけど…………

 

「ちゆ……顔……」

 

「言わないで……」

 

ちょっと緊張してたみたいだけど…………

 

「ドレス姿のちゆ。凄くかわいいよ」

 

「紫乃///」

 

「仲良いね~二人とも」

 

「うん」

 

「あの二人は…………恋人同士なんですか?」

 

何か三人に言われてるけど、僕とちゆはお互い手を握り、見つめあうのであった




次回はオリストになります


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19 紫乃の思い

しのぶさんを家に連れていき、カナエさんと再会させた。

 

「姉さん…………」

 

「しのぶ…………」

 

しのぶさんは涙を流し、そんなしのぶさんをカナエさんは抱き締めた。姉妹の再会を無事に果たしたと言うことでいいのかな?

 

「うむ‼今日はいい日だ‼紫乃、今日は御馳走を作った方がいいのでは?」

 

「材料用意してないですよ。まぁ出来る限り豪華にしますよ」

 

「煉獄さんもまたこうしてお会いできて良かったです」

 

「うむ‼」

 

さて三人が思出話に華を咲かせている間に夕飯を作るか

 

 

 

 

 

食事を作り、夕食を食べている時のこと

 

「それじゃしのぶはこっちに来たときに…………」

 

「はい、色んな知識が頭の中に入ってきました」

 

「私たちとは違うのね」

 

「俺たちは紫乃が色々と教えてくれたからな」

 

「本当に大変でしたよ」

 

大正時代から色々と教えるのは本当に大変だった。母さんたちが協力してくれたとは…………

 

「私たちがこの世界に連れてきたのは誰なのでしょうか?」

 

しのぶさんの疑問は分かる。三人ともどうやって来たのか…………

 

「考えられる理由は3つ、そっちの世界の鬼…………上弦の鬼の力、鬼神たちの力、その他の誰かの力ですね」

 

「上弦の鬼は違うでしょう。奴等は人を食うこと、私たちを食わずに転移させるのは変かと」

 

「鬼神たちの場合は、転移等の失敗だと思うけど、安定しない力を扱うのはどうかと思うわ」

 

しのぶさん、カナエさんの二人が2つの理由を否定する。残ったのは…………

 

「誰かしらの仕業と言うが、誰なのだろうかという話になるな」

 

杏寿郎さんの言うことは分かる。転移させた誰かとは誰なのか…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

産屋敷邸

 

月明かりが照らす産屋敷邸の庭に洋装を纏った一人の初老の男性がいた。

 

「誰だい?」

 

「おや、私に直ぐに気がついたのか」

 

初老の男性は意外そうな顔をしていた。なるべく気配を感じさせないようにしていたはずなのにと…………

 

「それで何か用なのかい?あまり長居すると隊士が来て揉めることになるよ」

 

「そうだね。まずは自己紹介をしよう。私は宗一。この世界とは別の世界線の未来から来た者だ」

 

「それは興味深いね」

 

直ぐに信じられるとは…………この男は面白い

 

「無駄な問答はやめておこうか。君に頼み事をしに来たのだよ。私の世界にいずれ大きな脅威が現れる。力を貸してもらいたいのだよ」

 

「私の力…………と言うより私の子供たちの力をだね」

 

「そうなるね。今君たちは大変なのは分かっているが、全てが終わったあと…………彼らを私のいる世界に転移させようと思うが…………良いかな?」

 

宗一の頼み事に産屋敷は笑顔で答える

 

「いいよ。ただし全てが終わったあとというのは、死んだ子らもだね」

 

「そうなるが…………」

 

「彼らには戦いが終わったあと、平和に生きられるようにしてくれるかい?」

 

「それは勿論。鬼狩りの力を私の親友の孫に貸して貰えるならね」

 

「孫?」

 

「彼は、ある男より指導を受け、雪の呼吸を受け継いだのだよ」

 

「雪の呼吸…………なるほど彼もそちらにいるのだね」

 

「死んだよ。鬼神と名乗るものたちにね殺されてね」

 

「…………そうか」

 

「それでは私は他に行くところがあるので、またお会いできれば」

 

「お互い生きていればね」

 

宗一は消え、産屋敷は翌日の朝、ある手紙を書き、ある継子に渡すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日の朝、朝食を作っていると、しのぶさんが起きてきた。

 

「早いのですね」

 

「えぇ、食事作るのが日課なので…………しのぶさんこそ早いですね」

 

「早く起きるのが習慣だったりするので」

 

しのぶさんは隣に立ち、作るのを手伝ってくれるのであった。さて後はあるものを買いに行かないとな。

 

そのために連絡はすんでいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お邪魔しまーす」

 

朝ご飯食べたあと、しばらくしてのどかたちが訪ねてきた。僕はしのぶさんを連れて

 

「それじゃ頼んだよ」

 

「うん」

 

「任せて‼しの姉にぴったりの服を買うから」

 

「あの……これは?」

 

「私服を買った方がいいかと思って、僕だとよくわからないし、頼んだんですよ」

 

「私服…………」

 

いつまでも着物だと浮いたりするからね。お金はのどかに預けて、しのぶさんを連れて出かけて…………

 

「ちゆは行かないの?」

 

「私は…………」

 

「ちゆちーは紫乃っちと一緒にいたいんだって、だから買い物はのどかっちと私で大丈夫」

 

「しのぶさん、行きましょう」

 

「は、はい」

 

のどかはちゆにラテを預けて、三人は買い物に出て、残った僕とちゆは…………

 

「とりあえず……」

 

「どうしよっか?」

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず二人で日なたぼっこすることにした。ラテはラビリンたちと元気に庭を駆け回って遊んでいる

 

「平和ね」

 

「今日は特に何もなく過ごせそうだよ」

 

二人で他愛のない話をしていると、ちゆはあることを聞いてきた。

 

「ねぇこの間の怪我は大丈夫なの?」

 

「うん、傷もないよ」

 

零余子につけられた傷は綺麗に無くなっている。治りやすい体質とは言え…………

 

「化け物みたいだよな」

 

「紫乃?」

 

「小さい頃からそうだった…………傷とか治りやすいし、化物みたいなもんだよな」

 

周りに気づかれないようにしていたけど…………ちゆはこんな化物みたいな体質の僕の事を…………

 

「ちゆはどう……」

 

言いかけた瞬間、柔らかい感触が唇に感じた

 

「私は紫乃が何者だろうと…………大好きよ」

 

恥ずかしそうにしながら言うちゆ。僕はちゆを抱き締めた。

 

「ありがとう。ちゆ、大好きだよ」

 

「紫乃////」

 

 

 

 

 

 

「何だかお邪魔ラビね」

 

「杏寿郎に頼んで何処か行くか?」

 

「ラテ様、お出かけペエ」

 

「わん」

 

 

 

 

 

 

 

 



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20 愚痴と郊外学習

ビョーゲンキングダム

 

ダルイゼンはめんどくさそうにしながら出撃し、シンドイーネ、グアイワルは言い争うながらどちらがより地球を蝕めるかと勝負しに行くなか、鬼神一派は…………

 

 

「下弦は揃ったみたいだな」

 

「上弦はまだみたいですが…………」

 

「奴等を出現させるのに、鬼神様は時間をかけているからな」

 

「まぁいい。茨木よ。零余子を連れて奴等と共に動け」

 

「分かりました」

 

茨木は姿を消すと、目の前にいる下弦の弐、轆轤を見た。

 

「どうした?飲まないのか?」

 

酒の入ったグラスを渡す酒呑。轆轤はただただ震えていた

 

「いえ、私は…………」

 

「酒は苦手か?今のお前たちなら酔うことも出来るのに…………」

 

轆轤は更に震える。新たに使えることになった上司の酒を断ってしまった。もしかしたら殺されると…………

 

「い、いや、やっぱり頂きます」

 

こうなったら酒を飲んで、勢いのまま酔っぱらってしまえ…………どうせ殺されるなら…………と轆轤は一気に飲み干した

 

 

 

 

数分後

 

「マジで鬼舞辻様は部下を大事にしないんだよ‼」

 

「おう」

 

「役に立つことを主張しても、指図するなって言うし」

 

「た、大変だったな」

 

「マジで何なんだよ‼あの鬼舞辻様は!?」

 

酔いに任せて愚痴る轆轤。酒呑も苦笑いを浮かべる

 

「ほら、不満を全部出せ」

 

「酒呑さま…………優しい方だ…………」

 

(零余子もそうだったが、こいつらの元上司はどんだけなんだよ…………)

 

心の中でそう呟く酒呑であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちゆちゃん、おはよー」

 

「ちゆ、おはよう」

 

すこやか駅の前でちゆと会う僕ら二人。今日は郊外学習で隣の市まで行くことになった。

 

「二人とも早いわね」

 

「うん、楽しみで一時間前から来てたんだよ」

 

「一時間も!?」

 

驚くちゆ。そして僕の方を見た。

 

「巻き込まれたの?」

 

「そんなところだよ…………朝早く訪ねてきて…………『紫乃くん、早く行こう』って笑顔で言われた」

 

「た、大変だったわね」

 

「私、電車に乗って何処かに行くのずっと楽しみにしてたんだ~家族でお出かけするのもずっと車だったし……わぁ~改札に引っ掛かったらどうしよ~」

 

「引っ掛かりたいのね……」

 

そんなことを話していると、近くを通りかかったお婆さんが小銭を落とした。

 

「大変!?手伝います」

 

一緒に拾ってあげていると、のどかの所に自転車が迫ってきた。ちゆは自転車の進む方向を変えるために

 

「すみません。落とし物です」

 

「ちゆちゃん、ありがとう」

 

「危なっかしいのよね。のどかは……早く助けたいのは分かるけど、もう少し周りを見なくちゃ」

 

「うん、気を付ける」

 

「その分ちゆやひなたが守るだろ。僕もね」

 

「えへへ、ありがとう」

 

「紫乃は別の意味で危なっかしいわよ」

 

「何で!?」

 

「体質で無茶しそうじゃない」

 

ちゆにそんなことを言われたけど、そんなことは…………

 

「何かやりそうかも…………」

 

肉を切らせて骨を断つとか言って、敵の攻撃を受けそうだな…………

 

小銭を拾い終えると、御守りが見当たらないと言うお婆さん。

それと同時にひなたがやって来た

 

「おはよーいやぁ~遅刻するかと思った~って何してるの?」

 

「御守り落としちゃったんだって」

 

「そんなに遠くにはいってないと思うけど…………」

 

「んーああいうところに落ちてるんじゃない?」

 

ひなたが指を指した方を見ると、側溝だった。みんなで中を覗くとそれらしきものがあった。

 

四人で開けようとすると…………

 

「うむ‼俺が開けよう」

 

いつの間にかいた杏寿郎さんが側溝の蓋を軽々と持ち上げる。のどかは御守りを拾い、お婆さんに渡した。

 

「杏寿郎さん、どうしたんですか?」

 

「何があるか分からないからな‼付いていくことにした‼」

 

「念のためと言うことですよ。紫乃君」

 

しのぶさんも来てたのか…………

 

 

 

 

 

 

 

 

しのぶside

 

紫乃君がのどかちゃんに連れられて、出掛けた後の事

 

「紫乃くんが稀血?」

 

「えぇ、彼の稀血の中には、更に希少な稀血があるの。鬼を酔わせたり……紫乃君の場合は」

 

「傷などの治癒能力の高さということか」

 

「煉獄さん、治癒能力ではないかと思います。もしかしたら鬼のように再生能力をもつ稀血かと…………」

 

「しのぶ、可能性の問題よね」

 

「はい、あくまで可能性です」

 

「とは言えわからない以上、調べる必要があると言うことだな。なら、紫乃たちに付いていこう‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

電車に乗り、のどかは窓の外を見てはしゃいでいた。

 

「わぁ~大きな川~」

 

「のどかっち、子供みたい」

 

「ひなた、さっきよく分かったわね」

 

「何が?」

 

「御守りのこと」

 

「あ~私、よく落とし物するから、経験者は語る的な」

 

「まずは落とさない経験を積もうな。ひなた」

 

「紫乃っち、ひどい~」

 

「ねぇねぇ見た?さっきお魚跳ねてたの」

 

のとがはのどかで楽しそうだな…………

 

「そういえばカナエさんは?」

 

「姉さんは他にも転移した人間がいるかもしれないと、ラテちゃんの事を見守りながら探したりしてますよ」

 

「また誰かが来るかもしれないからな」

 

また誰かが転移か…………短い期間内で誰かが来るとかないよな…………

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなでガラス美術館に着いた僕ら。みんな展示されているガラス細工にうっとりしていた。

 

「職人と言うのは凄いですね。このような美しいものを作るなんて」

 

「うむ‼そうだな」

 

二人も楽しんでるみたいで良かった。さて僕も楽しもう…………

 

「その血を目覚めさせろ」

 

不意に誰かの声が聞こえ、後ろを振り向くが誰もいなかった

 

「…………気のせい?」

 

何だったんだろ?目覚めさせろって…………

のどかたちの所に行き、ガラス細工の製作者の相良さんから自分の思いを聞いているうちに、さっきの言葉を忘れるのであった。

 

 

 

 

移動している時、のどかは何かの視線に気がつき、辺りを見渡すとラビリンたちが来ていた。更には…………

 

「姉さんも……」

 

「ラビリンたちに頼まれてね」

 

「うむ‼探すついでということか?」

 

「ついでって…………」

 

ラビリンたちはラビリンたちで、何かあったときのために一緒にいた方がいいって言うけど…………

 

「と言うか誰かが転移してるかも知れないけど、手懸かりみたいなものないんですか?」

 

「手掛かりか…………」

 

「傷だらけの人とか数珠を鳴らす盲目の人とか…………」

 

「みんなに嫌われてないと思ってる人とかの目撃情報はないですね」

 

何か変わった人たちが多くないか?と言うかしのぶさんの言う嫌われてると思ってない人は手掛かりになるの?

 

「後は見た目では…………猪のような少年がいるな‼」

 

どんな人だよ…………



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21 守りたい思い 目覚め

突然、学校のみんなが慌てて逃げていくのが見えた。

 

何事かと思っていると、ラテがくしゃみをした。

 

「ラテ!?」

 

「ビョーゲンズですね」

 

僕らは騒ぎの中心地に行くと、メガビョーゲンが暴れまわっていた。のどかたちはすぐに変身するのであった。

 

「「「スタート」」」

 

「「「プリキュアオペレーション」」」

 

「「重なる二つの花!キュアグレース!」」

 

「「交わる二つの流れ!キュアフォンテーヌ‼」」

 

「「溶け合う二つの光‼キュアスパークル‼」」

 

「「「地球をお手当て‼」」」

 

「「「ヒーリングっとプリキュア‼」」」

 

「やめなさい‼メガビョーゲン」

 

「何!?早いぞ‼」

 

「今日は一人か……一気に叩くぞ‼」

 

メガビョーゲンの攻撃を避けつつ、一撃を喰らわせる

 

「行くぞ‼『雪の呼吸‼壱ノ型‼初雪‼』」

 

メガビョーゲンが怯んでいると、グレースはガラス細工職人の相良さんに逃げるように伝えた。

 

「早く逃げてください」

 

「でも……」

 

「大丈夫。大切な作品は私たちが守ります‼」

 

グレース…………守るために速攻で決めないとな。

 

フォンテーヌが蹴りを喰らわせ、スパークルが拘束して痺れさせる。更には

 

『炎の呼吸‼弐ノ型‼昇り炎天』

 

『花の呼吸‼肆ノ型‼紅花衣』

 

『蟲の呼吸‼蜂牙の舞‼真靡き』

 

杏寿郎さんたちの攻撃を喰らい、更に怯むメガビョーゲン。グレースはキュアスキャンでエレメントさんの場所を特定する。

 

そんなとき、ラテがくしゃみを二回する。二回?嫌な予感がする

 

「フォンテーヌ‼」

 

「分かったわ」

 

様子がおかしいラテの声をフォンテーヌが聞くと、ラテは……

 

『遠くのあっちの方で大きな川が泣いてるラテ。あっちの遠くで黄色いお花が泣いてるラテ』

 

「なんて事!?」

 

同時に三体も出たと言うことか!?

 

「シンドイーネはともかく、ダルイゼンまで動いていたか。運が悪かったな。プリキュア、鬼狩り」

 

フォンテーヌは天井を撃ち、一旦みんなと話し合うことにした。

 

「どどど、どうしよう!?」

 

「スパークル、落ち着いてください」

 

「みんなで手分けしてお手当てしよう」

 

「うむ‼そうするべきだ‼」

 

手分けしてか…………なら、僕はフォンテーヌと一緒にと思ったけど…………

 

「杏寿郎さん、フォンテーヌと一緒にいってください。カナエさんはスパークルと…………しのぶさんはグレースとメガビョーゲンを…………」

 

「紫乃?」

 

殺気を感じると、煙が晴れた所に零余子がいた。

 

「紫乃君…………」

 

「狙いは僕だ‼」

 

「紫乃…………無茶して死んだりしないでよね」

 

それぞれが別れ、僕は零余子と対峙する

 

「今日は逃げないのか?」

 

「黙れ‼お前を殺すための力は得た‼」

 

鋭い爪を僕は弾こうとするが、逆に弾かれた!?

 

「こいつ!?強くなってる!?」

 

「鬼神様の力を嘗めるな‼」

 

胸、頬を爪で切り裂く零余子。僕はカウンターで技を放つ

 

『弐ノ型‼吹雪』

 

突きの連撃を零余子は避け、更に右腕を切りつける

 

「つぅ!?」

 

距離を置いて、傷の再生を待とうとするが、零余子は距離を詰めてきては、切り裂き続ける

 

「ほらほらほら、どうした‼」

 

「クソ!?」

 

防ごうにも防ぎ切れない。それなら…………

 

僕は防御を解くと零余子は僕の右目を貫く。その瞬間…………

 

『伍ノ型‼雪雷‼』

 

零余子の腹を切った瞬間、広がるように零余子の体に五ヶ所切り刻まれる

 

「つぅ!?」

 

「追撃‼」

 

更に蹴りを喰らわせ、吹き飛ぶ零余子。僕は距離を置き、傷の再生に集中する

 

「いてぇ…………肉を切らせて骨を断つとかやるんじゃないな…………」

 

正直この体だからこそ出来ることだな

ある程度治り、目も見えるようになった。さぁ…………

 

「休んでるとは…………本当に嘗めているな‼鬼狩り‼」

 

不意に背後から声が聞こえた瞬間、零余子の姿が見えた

 

 

 

 

 

 

 

カナエside

 

スパークルと一緒に川まで来たけど、今までのメガビョーゲンより大きくなってる!?

 

「大きすぎだよ!?何で!?」

 

「ここにくるまでの間に時間が経ちすぎたんだ‼」

 

「食い止めるだけで精一杯ね」

 

攻撃を放つが、あまり効いてる様子がない。

 

「あははは、このままやっておしまい‼メガビョーゲン」

 

スパークルと攻撃を避けるけど、どうすれば…………

 

「ぎゃああああああ!?何あれ!?化けもんじゃんか!?」

 

人?土手の方を見ると黄色い髪の子が叫んでいた。

 

「ちっ、うるさい子だね。メガビョーゲン‼」

 

メガビョーゲンが黄色い髪の子を襲おうとしたが、スパークルが咄嗟にプニシールドで守る

 

「大丈夫!?って気絶してるし!?」

 

「何なんだ?こいつ?」

 

 

 

 

 

 

杏寿郎side

 

フォンテーヌと共にメガビョーゲンの所に向かう。

 

「見つけた‼」

 

「黄色い花はタンポポの事だったペエ」

 

「病気が進んでいるな‼」

 

「ええ、早くお手当てを…………」

 

メガビョーゲンの攻撃を避ける俺たち。どうにも強くなってる気がするが、

 

「見つけるのに時間がかかって、それだけ強くなってるペエ」

 

「気をつけ…………フォンテーヌ‼」

 

「杏寿郎さん?はっ!?」

 

俺の前には以前話に聞いた青髪の少年…………茨木がいた。

 

「すまないが一人でいけるか?」

 

「はい‼」

 

フォンテーヌがメガビョーゲンと戦い。俺は茨木と対峙する。茨木は黒い刀を抜き、笑みを浮かべる

 

「柱が相手か…………楽しませろよ‼」

 

「お前を楽しませる気はない‼」

 

 

 

 

 

 

 

しのぶside

 

グレースが攻撃を喰らい、受け身を取ろうとするが、何故か受け身をとれずにいた。

 

「グレース…………まさか」

 

「……私がぶつかれば、ここにある作品が…………」

 

優しい子…………だけどそれが今仇になってる。

 

「どうしたプリキュア‼動きが鈍いぞ」

 

「グレース、作品を守りたい気持ちはわかるラビ。でも時間がかかれば掛かるほど、メガビョーゲンが育って強くなるラビ‼」

 

どうすればいいのか考えた。私一人ではメガビョーゲンを浄化することはできない。

それなら…………

 

「一旦合流してください。その方がいいかと」

 

「しのぶの言う通りラビ。まずは川の方に…………」

 

「いや」

 

「グレース!?」

 

「どうして…………」

 

「だって、ここを離れてる間に取り返しのつかなくなっちゃったら…………どうするの?この作品たちは…………作った人の思いは…………」

 

「でも……」

 

グレース…………あなたは、彼の優しさと同じだ。他者を全てに大して思いやる気持ち、優しさを持っている。

 

「私は絶対に守りたい‼ここを離れたくない」

 

実りのエレメントの力でメガビョーゲンを吹き飛ばすが、吹き飛んだ先に作品があり、グレースは咄嗟にメガビョーゲンを抱える

 

「くっ!?」

 

サポートに入ろうとするが、突然近くの壁を突き破り、何かが壁にめり込んだ

 

「紫乃くん!?」

 

「あははは、再生できても痛みで気絶なんてね‼」

 

下弦の鬼まで来るなんて…………グレースをサポートしながら戦うなんて…………

 

『花の呼吸‼伍ノ型 徒の芍薬』

 

下弦の鬼が突然切られた。そして私の前に……

 

「カナヲ?」

 

「姉…………師範。お久しぶりです」

 

私の継子で妹のカナヲがこの世界に…………再会を喜びたいけど、今は…………

 

「話はあとです。今は」

 

「はい‼」

 

「鬼狩りが増えたところで、強化した私と戦えるとでも‼それにプリキュアもまとめて‼」

 

下弦の鬼が不意にメガビョーゲンを見ると、グレースの側にフォンテーヌ、スパークルが合流していた。

 

「いつの間に!?」

 

グレースたちはメガビョーゲンを外へと連れ出す。残った私たちは…………

 

「今度は私たちが相手よ」

 

「ちっ、今は一番ムカついてるこの鬼狩りだ‼」

 

気絶した紫乃君に止めを刺そうとする下弦の鬼。咄嗟に守ろうとしたが間に合わない!?

 

「死…………」

 

ベキャ‼

 

何かがへし折られる音が響いた。下弦の鬼を見ると、右腕が無惨に折られていた

 

「ぎゃああああああ!?」

 

下弦の鬼は痛みでもがき苦しんでいた。そしてその前には、黒い髪が白に変わり、額には鬼の角を生やした紫乃君の姿が…………

 

「…………」

 

「こ、こいつ!?一旦茨木様の所に!?」

 

下弦の鬼は逃げたと同時に侵されていた場所が浄化されていた。

 

「紫乃?」

 

メガビョーゲンを浄化したグレース達が戻ってきたが、紫乃君の姿を見て驚きを隠せないでいた。

 

紫乃君はこっちを向き…………

 

「大丈夫…………意識はしっかりしてる」

 

普通に話しかけて来たのであった。



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22 集う鬼殺隊

「それで彼の血は馴染んでるかな?」

 

「えぇ、貴方に頼まれ調べた結果、普通の人の血と馴染んでいます」

 

珠世邸にて、宗一はある血を調べてもらっていた。

 

「この血は一体……」

 

「私が作った血だよ。奴らに対抗するために」

 

「…………鬼神。鬼舞辻無惨たちの鬼とは違う鬼」

 

「雪の呼吸の使い手を殺し…………鬼舞辻の鬼たちを従える存在だ」

 

「…………この血の持ち主は貴方の目的のために利用しているのですね」

 

悲しそうにしている珠世。宗一は首を横に振った

 

「その血の持ち主には戦いなんて知らない、ただ丈夫なだけの人間として生きてほしかっただけだよ。だが戦うことになるとは思っていなかった」

 

「…………」

 

「血は馴染み、きっかけさえあれば彼は力を手にするだろう。鬼のようになれる。そして君たちみたいに血気術を使える。それも彼の心に応えるようにね」

 

「…………あなたは何者なんですか?」

 

「私は…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然変異した僕。すぐに元の体に戻ったけど…………

 

「…………身体におかしなところはありませんか?」

 

「特には…………」

 

しのぶさんは警戒していた。さっきの姿はやっぱり鬼…………なのか?

 

「紫乃、大丈夫?私の事分かる?」

 

「うん、大好きな人だってことは…………」

 

「紫乃////」

 

「何か急に惚気たけど、大丈夫なの?」

 

「大丈夫みたいですね。私たちの事を理解しているみたいですし、試しに…………」

 

しのぶさんが突然自分の腕を切り、血が流れた。

 

「な、何をしてるんですか!?」

 

「特に反応はないみたいですね」

 

「いや、確かめるためとかで腕を切らないでくださいよ」

 

僕の身体に何が起きてるか分からないけど、今はメガビョーゲンを何とかしないと…………

僕らは急いで川へと向かうのであったが…………

 

「おっと……」

 

体がふらつき、グレースにもたれ掛かってしまった。

 

「し、紫乃くん!?」

 

「紫乃っち、そこはフォンテーヌに…………」

 

「ってそんなことを言ってる場合じゃないわよ!?紫乃、大丈夫なの?」

 

「何か…………力が入らない…………再生能力なのかあの姿になったのか分からないけど…………」

 

「反動が来てるみたいですね。紫乃君は…………」

 

「休んでる場合じゃないよ…………」

 

「…………言うと思いました」

 

しのぶさんに呆れられ、僕はフォンテーヌに背負われて、メガビョーゲンの所へと向かうのであった

 

「…………紫乃って、あの子が……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

川へと向かう僕ら、そんな中グレースは…………

 

「ごめんなさい。ラビリン。やっぱりラビリンの言う通りだった」

 

「ラビ?」

 

「あのままだったら、私一人だったら、きっと守りきれなかった。もっと大変なことになってた」

 

「グレース…………」

 

「もっと周りを見て考えなきゃって、朝、ちゆちゃんが言ってくれてたのに…………本当に助けようと思うなら、目の前の事だけじゃ駄目なんだよね」

 

「グレースは一生懸命だったラビ。そう言うこともあるラビ」

 

「ラビリン……また間違えそうになったら、またちゃんと言ってね」

 

「もちろんラビ‼」

 

「グレース、あなたは優しい子よ。だから私も貴方の優しさに合わせたのよ。間違っていても、その優しさは大切にして」

 

「しのぶさん…………はい‼」

 

グレースも何とか吹っ切ったみたいだな。

 

「カナエさんは大丈夫かな?」

 

「姉さんなら大丈夫と言いたいけど、足止め位しかできないから…………」

 

「カナエ姉さんも来てるんだ…………」

 

カナヲは驚いていた。そこら辺説明してないから仕方ないけど…………

 

「フォンテーヌ、杏寿郎さんは?」

 

「あっちには茨木って鬼がいたわ。2対1でどこまで…………」

 

杏寿郎さんは強いから大丈夫だと言いたいけど、心配だ。早く行かないと…………

 

「そういえば、あいつは起きて逃げたのか?」

 

「あっ!?忘れてた!?大丈夫かな?」

 

「誰のこと?」

 

「いや、戦ってるときに黄色い髪の子がいて、守ったんだけど…………気絶して……」

 

そのまま放置したのかよ……でもかなり大変な戦いだから仕方ない…………のか?

 

「黄色い髪の子?」

 

「スパークル」

 

「何?えっとカナカナ」

 

「カナカナ!?」

 

「いいあだ名ね。カナヲ」

 

「は、恥ずかしい…………それでその黄色い髪の子って…………黄色い着物を羽織った」

 

「そうそう、ってカナカナ知ってるの?」

 

「師範……」

 

「彼も来ていたのね。だとしたら他にも来ている可能性があるわ」

 

もしかして鬼擦隊の人が他にも来てるのか?

 

 

 

 

 

 

 

カナエside

 

スパークルがみんなと合流しに行くなか、私は一人でメガビョーゲンを食い止めていた。

 

メガビョーゲンは大きく強くなってきている。今避けられているけど…………

 

「悔しいわね。足止めしか出来ないなんて」

 

「鬼狩りがどう頑張ってもメガビョーゲンを倒すことなんて無理なのよ‼」

 

メガビョーゲンの拳が迫り、避けた瞬間、メガビョーゲンが光線を放とうとしていた。また避けようとするが、侵された地面足を取られてしまった

 

「まずい!?」

 

ダメかと思った瞬間

 

『雷の呼吸‼壱ノ型 霹靂一閃』

 

雷みたいな音がなると同時にメガビョーゲンの攻撃が中断される。そして私の前にさっき気絶した男の子がいた

 

「あ、あなた!?鬼殺隊の…………」

 

よく見ると彼は目を閉じている。まさかと思うが…………寝ている状態で!?

 

「さっきの奴!?演技してたって言うの!?」

 

演技…………ではないかと。すると私の所に紫乃くんたちが駆けつけてきた。

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

メガビョーゲンの所にたどり着き、フォンテーヌに下ろしてもらうがまだ体がふらつく。

 

「紫乃、休んでて。ここは私たちが‼」

 

「ってあの子…………気絶してたのに……」

 

「彼は我妻善逸くん。カナヲと同期で雷の呼吸を使うわ」

 

「寝ている時に覚醒するみたい」

 

寝ているときだけって…………

 

『雷の呼吸‼壱ノ型 霹靂一閃 六連』

 

大きな音と共にメガビョーゲンの体がぐらつく。強すぎないか?

 

「今のうちに‼グレース、決めちゃって‼」

 

「エレメントチャージ!」

 

「「ヒーリングゲージ上昇!」」

 

「プリキュア !ヒーリングフラワー!」

 

グレースの浄化技を喰らい、メガビョーゲンが浄化された。

 

「「お大事に」」

 

「邪魔されなければ‼もう!?」

 

シンドイーネが撤退し、無事に水のエレメントさんを助けることができた。

 

「カナヲ、あなたも…………」

 

「カナエ姉さん…………」

 

「話は聞いてるわね。まだ終わってない」

 

「はい」

 

カナエさんとカナヲが再会できたのいいけど…………

 

「ねぇ~何なんだよ~あの化けものは~」

 

善逸が僕の服をつかんで離さなかった。さっきまで凄かったのに…………この落差は何なんだよ

 

「話は後でするから、今はもう一体の方に‼」

 

「紫乃、もう一回背負うわ」

 

フォンテーヌにおんぶしてもらおうとした瞬間、善逸の掴む手が強くなった

 

「何女の子におんぶしてもらおうとしてるの?お前……」

 

「へっ?いや……」

 

「誰だか知らないけど、羨ましいぞ‼この野郎‼」

 

何故か怒り狂う善逸に殴られる僕。何?何なんだよ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

杏寿郎side

 

「ハア‼」

 

「ふん‼」

 

茨木との戦い。集中しないと此方がやられる。だがメガビョーゲンを止めないと…………

 

メガビョーゲンは此方を気にせず汚染を広げる。広げた結果、メガビョーゲンが大きくなっている

 

「ははははは‼さぁどうする‼俺の相手をするので精一杯か‼」

 

「くっ!?」

 

手が足りない。どうすれば…………

 

「猪突猛進‼猪突猛進‼」

 

不意に汚された森の中から聞き覚えのある声が聞こえ、メガビョーゲンに何かが切りかかる。メガビョーゲンは防御する

 

「デカブツが‼お前が森をこんなにしたのか‼」

 

「あれは!?猪頭少年‼」

 

猪の被り物をし、上半身裸の少年。彼もここに来ていたのか

 

「おい、猪‼先に行くな」

 

「お前が遅いんだよ」

 

もう一人の顔に傷がある少年。あれは…………不死川の弟の‼

 

「おっ!?何でおっさんが生きてんだ!?」

 

「話は後だ‼今はあのでかいのを‼」

 

「やれやれ、鬼狩りが増えたな……ねぇ、茨木。どうすんの?」

 

「そこまで成長したなら負けることはないだろ。ダルイゼン」

 

「まぁ、そうだけどさ」

 

二人にメガビョーゲンを任せようとした瞬間、空から下弦の鬼が現れ、二人の前に立ち塞がる

 

「茨木様、申し訳ありません‼」

 

「逃げてきたのか?」

 

「あの鬼狩りが…………鬼に変わり……」

 

あの鬼狩り?紫乃のことか?どういうことだ?彼が鬼に変わったとは…………

 

「邪魔だ‼」

 

『獣の呼吸‼弐ノ牙 切り裂き』

 

二本の刀を交差させて、下弦の鬼の腕を切り落とす。落ちた腕を猪頭少年は不死川弟に向かって蹴り飛ばす

 

「これなら‼」

 

不死川弟は鬼の腕を食らい、下弦の鬼と組み合う

 

「こいつら!?」

 

「零余子‼そいつらを近づかせるな‼足止めしておけ‼」

 

「足止めね…………しなくても十分だよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

最後の一体のところにたどり着いた僕達。善逸はしのぶさんが当て身で気絶させたけど…………

 

「ひどい……」

 

大地は真っ赤に侵され、メガビョーゲンが今まで以上に大きくなっていた。

 

「いなくなったと思ったら、仲間を連れてきたんだ…………でもお手当てできるかな?」

 

「杏寿郎さんは……」

 

「あそこに‼」

 

「下弦の鬼と戦ってるの…………伊之助と玄弥!?」

 

「彼らも来ていたのね」

 

カナヲの同期でいいのかな?でも今は……

 

「もう大丈夫だから‼三人は…………」

 

「紫乃君。貴方はプリキュアと一緒に戦ってください」

 

「しのぶさん……でも……」

 

「メガビョーゲンは今まで以上に強くなっているはず、彼女たちと一緒に戦うべきだわ」

 

カナエさんも同じ意見か…………

 

僕は日輪刀を構え、グレースたちとメガビョーゲンに立ち向かうのであった

 

『メガ‼』

 

メガビョーゲンの攻撃をグレースたちは防ぐが、強くなっているためか吹き飛ばされる。僕は回避して……

 

『雪の呼吸‼壱ノ型 初雪』

 

技を叩き込むが効いてない!?

 

『メガ‼』

 

メガバイトの攻撃を喰らい、地面に叩きつけられる僕。本気でヤバイな…………

 

「紫乃!?」

 

「大丈夫……」

 

立ち上がるけど、地面が汚されていて踏ん張れない…………

 

するとメガビョーゲンは綿毛を出してきた。グレースたちはシールドで防ぐが爆発して防ぎきれない

 

切っても爆発するし…………どうすれば…………

 

不意に綿毛がラテの所まで迫ってきていた。グレースたちが何とかシールドで防いでいるが、持ちそうにない。僕は三人の前に立ち盾になる

 

「紫乃!?」

 

「大丈夫……」

 

爆発が激しく再生が間に合わない…………爆発が大きくなり、僕らは吹き飛ばされてしまうのであった

 

 

 

 

 

しのぶside

 

「みんな!?」

 

「一旦退くぞ‼紫乃たちのところに向かうぞ」

 

私たちは吹き飛ばされた四人を探しに行くのであった

 

「やれやれ、零余子よ。後は高見の見物でもしておこう」

 

「鬼狩りは?」

 

「奴らでは育ったメガビョーゲンを倒すことは出来ない。それに鬼神様の力は強まり…………上弦の鬼たちの出現も早くなるだろう」

 



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23 ミラクルヒーリングボトルと守りたい想い

「紫乃!?」

 

「紫乃っち」

 

「紫乃くん」

 

三人の声が聞こえ、目を覚ます僕。

 

「みんな……」

 

「良かった…………」

 

ちゆは僕に抱きつく。僕は抱きつくちゆの頭をぽんぽんする

 

「ごめん……心配かけて、杏寿郎さんたちは?」

 

「私たちだけここに吹き飛ばされたみたい……」

 

みんなは無事なのか…………良かった

 

「早く……お手当てをしに……」

 

「……本当にお手当て出来るのかな?」

 

突然ひなたがそんなことを言い出す。確かに今まで以上に強くなっているメガビョーゲン。不安になるのも無理もない

 

「ひなたちゃん……」

 

「まさかあんなに強くなってなんて……」

 

「ラビリンたちもあんなに成長したメガビョーゲンは初めてラビ」

 

「正直怖かったペエ」

 

「浄化するにしてもまだまだ時間がかかる。つまりもっと強くなってるってことよね」

 

「そんなのもっと無理じゃん」

 

みんな…………不安でしょうがないよな。僕も不安でしょうがないけど…………

 

「ねぇ、ラビリン。このままメガビョーゲンの成長が続いたらどうなるの?」

 

「今、病気にされてる所は二度と元に戻らなくなるラビ」

 

二度と…………そんなこと……

 

「ダメそんなの‼絶対浄化しなきゃ…………」

 

「わかってるラビ。でもどうしたらいいラビ?」

 

「力の差が圧倒的すぎるニャ」

 

「私たち…………やり方間違えたかな?」

 

「ひなた……」

 

「だってめちゃめちゃ強かったんだよ。杏兄たちでも敵わないよ…………私たちがみんなビビんないで、手分けして自分の担当浄化してたら…………あんな強くなんなかったってことでしょ」

 

「ごめんペエ。僕たちの判断が良くなかったペエ」

 

「ペギタンのせいじゃないわ。私も賛成したもの…………」

 

「…………」

 

みんな……間違ってない。落ち込むことはない。

僕はあることを言おうとした瞬間、

 

「そんなことないよ」

 

「のどか……」

 

「ラビリンたちの判断があったから、光のエレメントさんを助けられた。作品だって守れた。相良さんの思いだって守れた。水のエレメントさんを助けることができた。それは全部本当のことだよ」

 

「でも結局…………最後のメガビョーゲンを浄化できなかったら……花のエレメントさんは……」

 

「諦めなきゃいいんだよ。みんな、見捨てるつもりで花のエレメントさんを最後にした訳じゃないでしょ。全部のエレメントさんを助けたい気持ちは変わらないでしょ、だったらどんなに難しくてもお手当てを続ける。それしかないんだよ」

 

のどか……強いな。お前は……

 

「でも解決策が分からないんじゃ…………どうにも」

 

「それでも……戦うことを諦めたら終わりだから……」

 

笑顔でそう告げるのどか。諦めたら終わりか…………

 

『いいか。大丈夫は言い聞かせるものじゃない。自分を奮い立たせ。諦めないと誓う言葉なんだよ』

 

そうだよな。そうだったね。お祖父ちゃん

 

『俺たちは諦めたりしない。お前も諦めるな。諦めそうになったら、言葉にして言うんだ』

 

…………おじさん。ありがとう。

 

「大丈夫。諦めないし、勝とう」

 

「紫乃……そうね。その通りね」

 

「そうと決まったらすぐに…………ってどっちいったらいい?」

 

そういえば道……分からなかった……

 

のどかたちがラテの心の声を聞こうとするが、病状が重くなり、聞けなくなっていた。ひなたは思わず……

 

「もうどこにいるか教えてー森さーん‼」

 

その叫びと同時に森中のエレメントさんたちが道を示してくれた。

 

それと同時に茂みから猪の被り物をした奴が現れた

 

「いやがった‼いやがったぞ‼」

 

「お前……伊之助だっけ?」

 

遅れて杏寿郎さんたちが合流してきた

 

「みんな、無事か!?」

 

「無事みたいですね」

 

「良かった」

 

みんなが安堵してる中、僕は……僕らは諦めないことをみんなに伝えた。するとカナヲが……

 

「これ……今渡すべきだと思うの」

 

「手紙?」

 

「お館様から貴方に…………」

 

「「「お館様から!?」」」

 

お館様?それって鬼殺隊のトップの?何で僕に…………

 

手紙を読んでみると…………

 

『初めまして。君の事は宗一…………君のお祖父様の親友から聞いてるよ』

 

「宗一……おじさんが?」

 

気になることがあるけど、続けて読むことにした。

 

『鬼神たち、鬼舞辻の鬼たちとの戦うことになり、大変かもしれない。辛いことが多いかもしれないが、共に戦う仲間がいるはずだ。柱たちに…………隊士たちにこの手紙を読ませ、君と共に戦うんだ。彼の言葉を信じるんだと伝えるんだ。これが私の命令だと…………そして紫乃……君は宗一が与えた力。鬼となり、人を守る力を持っている。思い出すんだ。君が何のために力を目覚めさせたのかを…………みなと共に戦え。時代が違っても、世界が違っても君は鬼殺隊の一員だ』

 

会ったことがないけど…………心に響く。ありがとうございます。

 

「行こう……メガビョーゲンを浄化するために」

 

「だが鬼たちの妨害があるだろう」

 

「鬼を気にせずに…………みんなで戦おう。邪魔されるなら、無視する」

 

「紫乃……」

 

「意外とゲスイね。紫乃っち……」

 

何か呆れられてるけど……気にしないようにしておこう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みんなでメガビョーゲンの所にたどり着く。茨木たちの姿はない。

 

「何?また来たの?懲りない連中だね」

 

「花のエレメントさん、待たせてごめんね。必ず助けるから‼」

 

「「「スタート」」」

 

「「「プリキュアオペレーション」」」

 

「「重なる二つの花!キュアグレース!」」

 

「「交わる二つの流れ!キュアフォンテーヌ‼」」

 

「「溶け合う二つの光‼キュアスパークル‼」」

 

「「「地球をお手当て‼」」」

 

「「「ヒーリングっとプリキュア‼」」」

 

三人がプリキュアに変身し、メガビョーゲンに立ち向かう。

 

向かう途中にカナヲたちの戦いかたを聞いていた。

 

「玄弥だっけ?取り込んだ力はまだあるの?」

 

「いや、また出たら取り込むつもりだったけど…………」

 

「それなら教えてほしいことがある。前におじさんから聞いた反復動作の事を…………」

 

おじさんは今のところは必要ないと言っていた。でも今は…………必要なはず。集中力を極限まで高めて、全ての力を開放する。

 

「分かった。決められた動作をするんだ。そうすれば…………」

 

決められた動作を…………僕はあの時…………何を思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

グレースside

 

私たちはメガビョーゲンに立ち向かう。

 

『炎の呼吸‼伍ノ型 炎虎』

 

『蟲の呼吸‼蜂牙ノ舞 真靡き』

 

『花の呼吸‼陸ノ型 渦桃』

 

『雷の呼吸‼壱ノ型 霹靂一閃』

 

『獣の呼吸‼肆ノ牙 切細裂き』

 

杏寿郎さんたちがメガビョーゲンを攻撃して、注意を引いている。私たちも一緒に攻撃を喰らわせると、メガビョーゲンが怯んだ

 

だけどメガビョーゲンの反撃に私たちは吹き飛ばされる

 

「体力削られてるみたいだね。まぁ、何をしようとも無理なものは無理なんだぜ」

 

「まさか……」

 

エレメントさんの様子を見ると、エレメントさんがぐったりしていた。

 

「エレメントさんはメガビョーゲンに力を使い果たされる寸前ラビ」

 

「エレメントさんが消えたら……」

 

「この辺りの蝕まれた土地はもう終わりペエ」

 

私は…………諦めない。

 

「エレメントさん……諦めないで‼」

 

「あなたを助けたいのは…………私たちだけじゃない‼」

 

「光のエレメントさんも水のエレメントさんも……あと、とにかくたくさんのエレメントさんも‼みんなみんな、言ってたんだよ‼」

 

「どうかあなたを助けてほしいって‼」

 

「だからお願い……一緒に頑張って‼」

 

私たちは立ち向かう。ううん、私たちだけじゃない‼煉獄さんたちも……

 

「まだやれるな‼みんな‼」

 

「あの子達が諦めてない」

 

「柱である私たちが諦めたらダメね」

 

「姉さんたちだけじゃない」

 

「俺たちも諦めねぇ‼」

 

「守るために‼」

 

みんなが諦めないで戦ってるの…………だから

 

「一緒に‼」

 

私たちが同時に挑むけどメガビョーゲンに吹き飛ばされる。

 

「お大事に…………なんてね」

 

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

みんなの思いが…………聞こえる。そうだった。僕は守るために…………みんなの事を……みんなの想いを……守る‼

 

「ハアアアアアア‼」

 

身体中から力が溢れ、髪は白く、額には角が生える。

 

「お前!?この短時間で!?」

 

「反復動作……出来たみたいだな‼」

 

僕は日輪刀を構え…………

 

『雪の呼吸‼陸ノ型 雪豹』

 

素早く、そして鋭くメガビョーゲンを切り刻む。

 

『雪の呼吸‼壱ノ型 初雪連撃』

 

更に切り刻む。メガビョーゲンは今まで以上に苦しんでいた

 

「あいつ!?」

 

「安定してなかった陸ノ型が使えるようになってる‼それに他の型も…………」

 

メガビョーゲンを切り刻む中、グレースたちが光に包まれ、その手には新しいエレメントボトルがあった。

 

「みんなが戦おうって……地球の病気と……戦おうって‼」

 

不意に頭の中に何かが浮かぶ。

 

『血鬼術 癒し 浄化』

 

「やってみるか‼」

 

『血鬼術‼浄化雪‼』

 

紅い雪がメガビョーゲンを包み込み、拘束していく。分かる…………メガビョーゲンが少しずつ浄化されていくのが‼

 

「グレース‼フォンテーヌ‼スパークル‼今だ‼」

 

ヒーリングステッキに新しいボトルを装着し、

 

「トリプルハートチャージ!」

 

「「届け!」」

 

「「癒しの!」」

 

「「パワー!」」

 

肉球を3回タッチし、背面にオアシスを作り出す。

 

「「「プリキュア・ヒーリングオアシス‼」」」

 

ステッキからピンク、水色、黄色の螺旋状のエネルギーを放つ。

 

エレメントさんを救いだし、メガビョーゲンが浄化される

 

『ヒーリングッバイ』

 

『お大事に』

 

 

 

 

 

「あの鬼狩り……メガビョーゲンを!?」

 

「あの姿…………なるほど‼奴が関わっていたか‼」

 

「奴とは?」

 

「裏切り者だよ‼人に鬼の力を与える血をもって逃げた…………そしてそれは創造した力を扱う‼」

 

 

 

 

 

 

 

エレメントさんも無事に助けだし、侵された大地は時間が経てば元に戻るらしい。ラテも新しいボトル……ミラクルヒーリングボトルで元気になるのであった。

 

そして僕は……

 

「疲れた…………」

 

最初みたいな疲労はないけど…………今日一日で本当に疲れた

 

「まさか血鬼術が使えるなんて……」

 

「うむ‼浄化の力をもつ血鬼術‼紫乃らしい力だ」

 

「僕らしいって?」

 

「貴方は優しいってことよ。それじゃ私たちは先に戻って、カナヲたちの歓迎の料理を作っておくから、寄り道しないでね」

 

そう言ってカナエさんたちと別れるのであった。

 

「にしても…………宗一おじさんが関わってるのか……」

 

カナエさんたちの事やら日輪刀の認識をずらしたりとか……それにお館様と話をしたりとか…………相変わらず不思議な人だな…………

 

「おーい、沢泉、花寺、平光、橘」

 

「あれ?先生、どうしたんですか?」

 

「お前たち……何処にいたんだ」

 

そう言えば校外学習の事を忘れてた

 

「えっと……」

 

「橘!?お前、その格好!?」

 

戦いで夢中になって制服がボロボロになってるの忘れてたよ。とりあえず逃げていて崖に落ちて、三人に助けられていたと誤魔化すけど…………

 

「おまっ!?早く病院に」

 

「木とかクッションになってたんで怪我は大丈夫です。はい…………」

 

我ながら苦しい言い訳をしつつ、すこやか市に帰るのであった。




次回はオリストになります


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24 嫉妬と年相応の……

オリストになりますが、ちゆとのイチャイチャメインです


ビョーゲンキングダム

 

鬼神の前には酒呑が膝をついていた。

 

『宗一……やはり奴か』

 

「はっ、鬼狩りに力を与え、鬼狩りたちを召喚している模様です」

 

『好きにさせておけ。こちらの手札は揃いつつある。上弦の陸から参まで揃った』

 

「奴等には褒美は?」

 

『参だけだ。奴は条件付きでの協力だ。満たせば好きにさせる。裏切ろうが何をしようがな』

 

「分かりました。それと鬼神様、鬼舞辻を呼び出すことは?」

 

『奴が我々に協力するとは思えない……召喚はしない』

 

「そうですか……」

 

『何か気になることでもあるのか?』

 

「下弦の壱と伍以外全員に……鬼舞辻だけは勘弁してくれと土下座をされました」

 

『………………く、苦労しているみたいだな』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カナヲ、善逸、伊之助、玄弥たちが僕の家に住むようになって数日が経った。人数が増えて賑やかになりつつある中のリビングで…………

 

「今後、他の柱が来るみたいですね」

 

「うむ‼紫乃の祖父の親友がそうするとお館様からの手紙に書かれていたからな」

 

「みんなに会えるのは楽しみだわ」

 

にこやかに話すカナエさんだけど…………そもそも僕がここにいてもいいのか……

 

「あの、僕が話に参加してもいいんですか?」

 

他にも適任はいるだろうに…………

 

「貴方には充分話に参加する資格はありますよ」

 

「うむ‼お館様から紫乃と共に戦えと言われたのだ‼ならば話し合いには参加しても問題はない」

 

「ということよ。納得した」

 

まぁ、一応は納得しておこう…………

 

「とりあえず今後の目的としては、転移した仲間たちと合流することですね」

 

「うむ‼他の柱たちと合流出来れば戦力が上がるだろう」

 

「それに炭治郎君と禰豆子さんも…………だけど」

 

しのぶさんは何か気になってるのかな?その炭治郎たちについて…………

 

「合流もいいけど、他の柱たちが紫乃くんを認めてもらえるかどうかね」

 

「僕はそんなすぐに認めてもらおうとは思ってないですよ。と言うか三人がすぐに認めてくれた方がびっくりです」

 

多少は認めないとか言うだろうけど、すぐに認めてくれていたのか、協力的だった。

 

「紫乃‼君は彼の…………雪柱が認めた男だ‼そんな彼が認めたのだから俺も認めるさ」

 

「厳しい人で、雪の呼吸も取得には普通より厳しい鍛練を積む必要があるからね。貴方はそれを乗り越えたのだから」

 

杏寿郎さん……カナエさん……あれの何処が普通より厳しいのかな?この体質じゃなかった…………死んでたぞ

 

「巻き込まれたとは言え、のどかさんたちと共に戦おうとしている貴方を認めないわけにはいかないわ。それだけよ」

 

「そうですか…………」

 

「ただ他の柱は…………」

 

しのぶさんは何か言いかけるが、何故かため息をつく

 

「…………癖が強いですね。先ずは恋柱の人と合流を目指しましょう。彼女は比較的…………癖は……強くないので……」

 

何かすごく気になるのだけど…………何?他の柱ってどんな感じなの!?

 

 

 

 

 

 

 

 

「と言うことがあったんだよ」

 

「それで町にいないか探してるのね」

 

ちゆと一緒に街を見て回りつつ、教えてもらった恋柱の人を探していた

 

「えっと…………髪先が緑であとは桜色の髪の毛の人で胸元がはだけていて、胸が大きい…………」

 

「ふ~ん」

 

あれ?ちゆから殺気が感じるのだけど……

 

「女性の人なんだ……」

 

「あの……ちゆさん?」

 

「何?」

 

「怒ってます?」

 

「怒ってないわよ」

 

笑顔だけどメチャクチャ怖いのだけど…………何?何かしたか?僕は…………

 

「…………ごめん」

 

「ちゆ?」

 

「ちょっと嫉妬しちゃった」

 

不安そうにしながら僕を見つめるちゆ。嫉妬って…………

 

「紫乃の所に女の人が集まってるから…………紫乃の気持ちが他の人に行っちゃったらって思ったら…………」

 

知らないうちにちゆを不安にさせていたのか…………

 

僕はちゆを抱き締めた。

 

「し、紫乃!?」

 

「僕はちゆのことが大好きだよ。この気持ちは何処にもいかない」

 

「紫乃…………」

 

 

 

 

 

 

 

近くの公園で人がいないことを確認して、ベンチに座りちゆとイチャイチャする。

 

ちゆは僕にくっつき、僕はそんなちゆの頭を撫でる

 

「紫乃」

 

「ちゆ」

 

僕はちゆの首すじにキスをする。

 

「ひゃ!?紫乃……何……してるのよ……」

 

「ごめん、きれいで……」

 

更に首すじにキスをし続ける。

 

「やめ……そう言うのは…………もう少し大人に……」

 

大人になったらしていいのか…………

 

「もう!?」

 

恥ずかしそうにしながら、キスしたところを手で隠すちゆ。なんと言うか色んな表情のちゆを見てて凄く可愛く思える。

 

「年相応の事を…………しない?」

 

年相応の…………首すじはダメなら……露出している肩にキスをする

 

「や、だから……その……」

 

「肩もダメなのか…………じゃあどこならいいの?」

 

「…………紫乃……貴方ね……普通に口に……んん!?」

 

キスをして、すぐに唇を離すが、ちゆは頬を赤く染め……

 

「も……もう一回……して」

 

それからお互い満足するまでキスをし続けるのであった。

 

 

 

 

 

 

「あ、あの二人……え?え?恋人ってあんな風にするの!?」

 

桜色の髪の毛の人が物陰で二人の様子を見ていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

帰り道……

 

「いや~何か変なテンションになってたね」

 

「ほ、本当によ…………うぅ……あんなにキスするなんて…………」

 

我に返ったちゆは物凄く恥ずかしがっていた。流石にキスをしすぎたと言うか…………

 

「あれ?紫乃くん、ちゆちゃん」

 

後ろから声が聞こえ、振り向くとのどかとひなたとカナヲの3人がいた。

そう言えばカナヲの服を一緒に買いに行ってたのか

 

「何か悪いな。カナヲの服の事頼んで」

 

「ううん、紫乃くんの頼みだからね。二人はデート?」

 

のどか…………そこはもう少し恥じらいとかないのか?

 

「そ、そんなところよ」

 

「仲いいね~ね、ひなたちゃ…………ん?」

 

みんなでひなたの方を見ると、ひなたは顔を真っ赤にさせていた。

 

「え///えっと、二人とも///私達まだ中学生だよ。そう言うことは///もう少し大人になってからの方がいいよ‼」

 

どういう事か考えていると、ちゆは自分の首すじに手をやり…………

 

「ひ、ひなた……誤解してるみたいだけど……」

 

「だ、大丈夫///恋人同士だし///そう言うことをするのは分かってるけど///ちゃんと年相応のつきあい方を////」

 

「ひなたちゃん?」

 

「年相応?」

 

凄い誤解してるひなたと分かってないのどかとカナヲの二人。とりあえずぼくとちゆはひなたの誤解を解くのであった。

 



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25 ピクニックと上弦の参

プリキュア放送延期になってしまい、始まるまでの間、オリストになります。




ビョーゲンキングダム

 

『ほう、戦ってみたいと』

 

「あぁ、お前たちがあの鬼狩りに固執している。俺も少しは興味が沸いた」

 

『ならば出撃を認めよう。◼◼よ』

 

「今の俺を◼◼と呼ぶな‼」

 

『そうか……貴様の目的が達成するまで…………はだな』

 

 

 

 

 

 

 

「宗一さんに会えないかって?」

 

「えぇ、一度お会いして話を聞きたいので」

 

しのぶさんからそんな話が出た。確かに色々と話を聞きたいだろうけど…………

 

「あの人……基本的に行方つかめないので…………会うのは難しいですよ」

 

連絡もつかないし……何をしてるのやら…………

 

「そうですか……」

 

「話したいことってなんですか?」

 

「色々とですよ。私達の日輪刀が折れず、刃零れしないように施し、貴方の力についてやお館様と話をしたりなど…………何者なのか知りたいので……」

 

確かに話を聞きたいだろうけど…………あと気になるのは……

 

「僕の日輪刀はそんな感じに強化されてないですよ」

 

「そうなんですか!?」

 

「おじさんの刀だけ強化してないみたいです。理由聞こうにも…………」

 

会えてないからな…………

 

「とりあえず柱の人探しながら出かけてきます」

 

「デート?」

 

「違いますよ。のどかたちとピクニックに行くんですよ」

 

「ふふ、楽しんできてくださいね」

 

しのぶさんに見送られながら出掛ける僕であった。

 

 

 

 

 

 

近くの自然公園に来た僕ら。ラテはのびのび遊んでいるみたいで良かった。

 

「いい天気~」

 

「でしょ~たまにはこう言うのもいいよね」

 

「ひなたらしい提案ね」

 

ひなたの提案だったか。まぁ、こう言うのも悪くないな

 

「紫乃っちも休めるかなって思ってね」

 

「僕?」

 

「紫乃っち、割と無茶とかしてるから…………休んでほしいと思ってね」

 

「ひなた……」

 

無茶か……あんまり心配かけさせたくないな。

 

「ほら、ちゆちーとイチャイチャしてていいよ」

 

「ひなた…………」

 

ひなたに背中を押されて、僕とちゆは少し散歩しに行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちゆと二人で歩いていた。ちゆは僕と腕を組んでいる。

 

「ちゆ……その、くっつきすぎじゃ……」

 

「そう?」

 

普通なら恥ずかしそうにしていたりするのに…………今日はたまに見せる甘えんぼうちゆか!?

 

「紫乃……大好き」

 

甘えん坊ちゆは恥じらいが無くなり、気持ちを素直に伝える状態。可愛いからいいけど…………僕も恥じらいを捨てないと恥ずかしくって死にそうだよ…………

 

「ねぇ……」

 

ちゆは目を閉じていた。これって…………僕も目を閉じて顔を寄せる

 

あと少しで唇が触れようとした瞬間…………

 

ドオオオオン‼‼

 

激しい音が鳴り響き、僕らの前に一人の鬼がいた。

 

白髪に刺青の入った鬼…………

 

「お前が鬼神たちの言う鬼狩りか」

 

「…………お前は」

 

現れた鬼の目には『上弦』と『参』の文字が入っていた。

 

「俺は猗窩座。お前を試してやる‼」

 

はっきり分かる。今の僕には勝てない…………

逃げるべきだけど逃げられる気がしない…………

 

「ちゆ……逃げろ」

 

「紫乃……でも!?」

 

「ペギタンがいない以上…………変身できないだろ。みんなと合流して…………逃げろ」

 

「でも……」

 

「いいから‼」

 

「!?」

 

ちゆはすぐに走り出した。猗窩座は追うことはしなかった。

 

「追わないのか?」

 

「興味があるのはお前だけだ」

 

『術式展開』

 

壱から拾の数字が書かれた雪の結晶の陣が猗窩座の足元に現れ、

 

『破壊殺・羅針』

 

何だ?あの陣は?分からないけど、不用意に近づかない方がいいかもしれない

 

「来ないか…………来ないならこちらから‼」

 

『破壊殺・乱式』

 

凄まじい連打が襲いかかる。僕は刀で防ごうとするが間に合わない。

 

『雪の呼吸‼壱ノ型 初雪』

 

防ぐのが間に合わないなら迎え撃つ。技を放ち、猗窩座の腕を切るが…………

 

「遅い‼」

 

切る前に連打を喰らい、吹き飛ばされる。

 

右腕は吹き飛び、左腕はひしゃげ、右腹が抉られた。

 

「かはっ…………」

 

再生していくけど、痛覚がある分、意識が飛びそうになる

 

「鬼のような再生能力…………だが再生能力のみだな」

 

「分かるのか…………」

 

「痛みに耐えきれていないからな」

 

『破壊殺・脚式‼冠先割』

 

蹴りを放ってきて、すかさず避けようとするけど…………胸が抉られる

 

「ぐっ!?」

 

「ただ受けるのみだな‼その程度で鬼神が固執するとは思えないな」

 

『破壊殺・砕式‼万葉閃柳』

 

重い一撃を喰らい、地面に倒れる。

 

「手も足もでない。弱者は嫌いだ」

 

「…………弱者を舐めるなよ…………思いがけない一撃を喰らうぞ」

 

僕はそう告げた瞬間、猗窩座の頬に傷がつけられる

 

「!?」

 

「ほら、喰らっただろう?」

 

偶然だけど…………

 

「……お前は何のために強くなる?」

 

「何のため?守るためだ」

 

僕は鬼の姿になり、刀を構える。

 

「みんなを守るため、みんなの思いを守るために‼」

 

「……守るためか」

 

『雪の呼吸‼陸ノ型 雪豹』

 

素早く一瞬で猗窩座を切ろうとするが、突然刀が折られた。

 

『鈴割り』

 

あの一瞬で…………折られたのか?

猗窩座は構える。

 

「強くなければ守れない‼お前はその事を知らない‼だからこそ知れ‼」

 

『破壊殺・乱式』

 

凄まじい連打をもろに喰らい、吹き飛ぶ。身体中の骨が砕け、抉られる。

 

「強くなければ守れない‼」

 

「紫乃!?」

 

意識が薄れる中、ちゆの声が聞こえる…………

 

 

 

 

 

 

フォンテーヌside

 

みんなと合流して、紫乃の元に向かうが、紫乃はボロボロにされて地面に倒れていた。

 

「あのまま逃げればいいものを…………」

 

猗窩座は構えていた。私達は猗窩座に恐怖していた

 

「フォンテーヌ…………紫乃っちを連れてくだけでなんとかなりそうにないよ…………」

 

「…………怖いけど紫乃は私たちが守る‼」

 

「…………何だろう?この人…………怖いのに……」

 

グレースが何か感じ取っていた。猗窩座は興味無さそうにしていた

 

「興が逸れた。俺は帰らせてもらう」

 

猗窩座は背を向ける。もしかして見逃して…………

 

「ダメじゃないか。見逃すなんて」

 

突然、猗窩座の隣に頭から血を被ったような鬼が現れた。

 

「童磨…………」

 

「ここで片付けちゃおうよ。プリキュアもさ」

 

童磨と呼ばれる鬼は扇を取り出す。

 

「人を食わなくなったのはいいけど、やっぱり食べたいよね」

 

屈託のない笑顔に恐怖を感じる。私達は判断を間違えた?煉獄さんたちに連絡しておけば…………

 

「まずは其処で転がってる鬼擬きを殺して…………君たちを殺そう。それとも鬼擬きの目の前で君たちを食べるかな?」

 

逃げなきゃ…………逃げなきゃ……

 

「まずは君たちを…………」

 

『恋の呼吸‼陸ノ型 猫足恋風』

 

襲いかかる童磨が切り刻まれる。そして私達の前に桜色の髪に、胸元がはだけた女性が鞭のような日輪刀を持って立っていた

 

「すごい音が聞こえて、来たけど何で上弦の鬼がいるの!?」

 

「あ、あなたは…………柱の人?」

 

「何で知ってるの…………あれ?この子……前にイチャイチャしてた」

 

紫乃のことを知ってる!?ううん、話を聞く限りだと……見られてた!?

 

「柱が来たんだ。まぁ、いいや。まとめて…………」

 

童磨が再度襲いかかろうとした瞬間…………

 

「……退くぞ」

 

猗窩座が童磨の腕をつかみ止める

 

「猗窩座殿、何で止めるんだい?もしかして女性に対して甘さでも出てきたの?」

 

「…………お前は勝手に出撃したのだろう。奴等がそれを許すとでも思ってるのか?」

 

「だからこそここで…………」

 

不意に鬼たちが何かを感じ取った。さっきまで気絶していた紫乃が立ちあがり、折れた刀を構えていた。

 

「…………みんなに……手を出したら…………殺すぞ‼」

 

「…………酒呑‼聞こえるか‼童磨を連れ帰れ‼」

 

「ちょっ!?猗窩座ど……」

 

童磨はすぐに消えると、猗窩座は紫乃を見つめる。その目は優しい目だった

 

「守るなら、強くなれ。口先ではなく…………その時に改めてお前と戦おう。鬼狩り、いや橘紫乃」

 

そう言い残して姿を消すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

猗窩座たちがいなくなったのを確認し、僕は変身を解いたちゆに支えられる

 

「ごめん……」

 

「紫乃……私たちもごめんなさい。早くあなたを助けたいと思って…………」

 

「ちゆちーが悪いんじゃないよ。私も紫乃っちが危ないって聞いて……考えずに……」

 

「でも何であの人……見逃してくれたのかな?」

 

猗窩座の行動に疑問が残る中、僕は三人を助けてくれた柱の人に声をかける

 

「甘露寺さんですよね…………」

 

「何で名前知ってるの!?」

 

「しのぶさんたちに聞いて…………助けてくれてありがとうごさいます」

 

「ううん、私も間に合ったから良かったけど…………それに退いてくれたし……」

 

退いたのはいいけど…………僕は折れた日輪刀を見つめた。

 

おじさんの形見……折れちゃったな。それに…………

 

『守るなら、強くなれ。口先ではなく…………』

 

猗窩座の言葉が頭に響いた。強く…………ならないと…………

 




オリストの内容としては、鬼滅の刃の刀鍛冶の里編にオリ主とのどかたちが参戦する感じです


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26 時代を越えて

長編オリスト二話目

あの人がちょっと出ます


猗窩座との戦いにて、日輪刀が折られてしまう。

一応当初の目的である柱の人『甘露寺蜜璃』と合流できたけど…………

 

「上弦の参と弐…………」

 

「あの男が蘇っているのですね」

 

「しのぶ、落ち着きなさい」

 

しのぶさんから殺気を感じる。メチャクチャ怖いんだけど…………

 

「話を聞く限り、猗窩座は以前とは違うみたいだな」

 

杏寿朗さんは会ったことあるみたいだけど…………

 

「以前の奴は強さを求める戦いを楽しむ奴だったが…………話を聞く限りでは違う目的のために動いている」

 

かなり強くなっているってことなのか…………

 

「…………紫乃くん、日輪刀はどうするの?」

 

「…………ない以上は鬼の力で戦うしかないけど……」

 

「……ごめんね。紫乃っち」

 

突然ひなたが謝ってきた。ひなたは俯きながら話してきた。

 

「私がピクニックなんか誘ったりしなきゃ…………」

 

「ひなた…………」

 

僕はため息をつき、ひなたの頭を撫でた

 

「ふえ!?」

 

「お前のせいじゃないよ。襲撃なんて誰も読めなかったんだし…………気にするな」

 

頭を撫でていると…………

 

「そ、そう言うのはちゆちーにしてあげた方が……」

 

「む~」

 

ちゆは不満そうにしていたので、僕はちゆの頭も撫でる

 

「えへへ」

 

「二人ともいいな~紫乃くん、私も~」

 

のどか、ちゆ、ひなたの頭を撫でる僕。それを見たしのぶさん、カナエさん、杏寿朗さん、蜜璃さんは

 

「あ、あの子…………宇随さんみたいに三人を嫁にしようとしてるの?」

 

「ちゆちゃんとお付き合いしてますよ」

 

「のどかさん、ひなたさんはそれでも大好きと言ったらしいですよ」

 

「うむ‼仲の良いことは良いことだ」

 

「す、すごい……だからいっぱいキスしたり、首筋にキスしたりしてたんだぁ~」

 

蜜璃さんの一言に僕とちゆは顔を赤らめるのであった。いや、あれは…………

 

「紫乃っち、少しは人の目を気にしようね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビョーゲンキングダム

 

「…………あのさ、これなに?」

 

童磨はあるドアに貼られていた紙を見て、たまたま近くにいた半天狗に紙に書かれていた内容の意味を聞いていた。

 

「あぁ~恐ろしい~童磨殿は言葉の意味を理解できてないみたいだ」

 

貼られていた紙に書かれていたのは…………

 

『上弦組立ち入り禁止』

 

「全く折角だから挨拶しようとしたのに…………まぁいいや。出撃被ったときにでも挨拶するかな。それとも前に聞いた他のプリキュアでもちょっかい出してくるかな?」

 

「あぁ~恐ろしい。勝手な行動をすれば酒呑殿に怒られると言うのに……」

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

家の道場で折れた日輪刀を見つめる僕。鬼の力だけで何とか出来るとは思えないし……新しいのを打ってもらうにも鍛冶師とかいないし……

 

「どうしたものか」

 

「落ち込んでるのか?」

 

不意に声をかけられ、振り向くとそこには玄弥がいた。

 

「落ち込んでるって言われたらそうだけど……あんまりのどかたちの前で落ち込んだりしてるの見せるの悪いし…………」

 

「優しいな。お前…………」

 

さてどうしたものか…………

 

「ならば新しいのを打ってもらえばいいのだよ。紫乃」

 

突然声をかけられ、気がつくと僕と玄弥の背後に洋装の男性…………宗一さんがいた。

 

「誰だ!?」

 

玄弥は咄嗟に銃を抜こうとするが、宗一さんの持っていた杖で弾かれる。

 

「物騒なものはしまいたまえ。私は味方だよ」

 

「玄弥、この人は前に話した人だよ」

 

「お前の鬼の力や俺たちを連れてきた奴か!?」

 

「いろいろと話したいだろうけど、今はこれを渡しに来た」

 

宗一さんは時計を取り出してきた。何だろう?普通のものに見えるけど…………

 

「これは渡航機。一回しか行けず、設定したものしか時や時空を越えることができない。これを使い日輪刀を打ってもらえ。行くものは、お前、玄弥、プリキュア三人にヒーリングアニマルたち、恋柱、あと一人は好きに選べ。但し煉獄とカナエは無理だ。設定した時間には彼は既に死んでいるからな」

 

そう言い残して、渡航機と説明書を渡して、宗一さんは姿を消すのであった。だけど…………

 

『刀とそして血鬼術、そして強くなる方法がある。また変えられるのは確定した運命のみ、プリキュアたちにも伝えるんだ。自分達の力はメガビョーゲンだけ浄化するのではないと…………そして産屋敷に最初に会え。話しはしてある』

 

声が聞こえなくなり…………僕は

 

「渡航機…………」

 

「……まさかあの時に戻るのか?」

 

 

 

 

 

 

 

みんなを呼び、宗一さんからの話をした。

 

「なるほど……つまりあの時に戻ると言うことですか」

 

「説明書には、その場にいた人たち……玄弥と蜜璃さんは記憶やら何やらが引き継いだ状態で戻るとか…………」

 

「それじゃ早めに動けるってことね」

 

「それに…………あいつにも」

 

玄弥は誰かに会えるのを楽しみにしてるのかな?さてあと一人は誰にするか…………

 

善逸は首を横に振る

 

「ヤダヤダヤダ」

 

「そんなに!?強いのに……」

 

「強くても怖いものは怖いんだよ‼」

 

善逸は拒否か……

 

「伊之助は?」

 

「俺か?行って……」

 

「私が行く‼」

 

突然大声を出すカナヲ。珍しいな……カナヲが大声なんて…………

 

「どうしても…………会いたい人がいるの……」

 

もじもじしながら言うカナヲ。会いたい人って…………

 

「……仕方ねぇな。譲ってやるよ」

 

伊之助が譲り、カナヲも同行することになった。後は……

 

「のどかたちは……無理しなくても……」

 

「ううん、行くよ。私たちも行くべきだって言われてるんだよね」

 

「紫乃の帰りを待つのちょっと辛いもの……」

 

「…………守ってくれるんだよね。紫乃っち」

 

「…………あぁ」

 

「それならラビリンたちも行かないとラビ」

 

「その……怖いけど頑張るペエ」

 

「しゃーねぇな。付いて行くか。なっ、ラテ様」

 

「わん」

 

みんなの覚悟が決まったみたいだな。早速渡航機を使う僕らであった。

 

 

 

 

しのぶside

 

「行ったみたいですね」

 

一瞬で姿が消えた紫乃君たち。あっちでどんなに過ごしても一時間しか経ってないらしいけど……

 

「ねぇ、しのぶ」

 

「何?姉さん」

 

「カナヲがどうしても会いたい人って?」

 

「それは…………!?」

 

私はあることに気がついた。あの時、あの場所での…………あれは……

 

「ふふ、そう言うことだったのね」

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつくと何処かのお屋敷にいる僕、のどかたち、ラビリンたち、カナヲ。玄弥と蜜璃さんがいないのは…………先にあっちに行ってるのかな?

 

「凄い、本当に大正時代なの!?」

 

「そうみたいね」

 

「わぁ~私、時間旅行って初めて~」

 

「呑気と言うか…………いつも通りで助かると言うか…………」

 

「ここ……お館様の屋敷」

 

「そうなの!?」

 

転移先とか選べないのかよ…………すると目の前の部屋から白樺のような女性が出てきた

 

「お話は聞いています。あなた方が宗一様の仰っていた方々ですね。私は産屋敷耀哉の御内儀、あまねと言います」

 

「ねぇ、御内儀って?」

 

「奥さんって事よ」

 

「まず当主に会われる前にこちらで用意した隊服に着替えてもらってもよろしいでしょうか?異邦よりの来客とはこの時代に合わせてもらいます」

 

「わかりました」

 

のどかたちも賛成みたいだし、僕らは別れて着替えるのであった。カナヲはのどかたちを連れて着替えの部屋まで連れていくのであった。

 

 

 

 

 

 

善逸や玄弥が着ている隊服に着替え終えた僕。のどかたちは何処だろうか…………

 

と言うかウロウロしてて怪しまれないか心配だ。

 

どうしたものか考えていると長髪に羽織が半分違うものを羽織ったの男の人がこっちに歩いてきた。

 

「あの、すみません……」

 

「…………」

 

「あの…………」

 

「…………」

 

無視されたよ。何?無視って……と言うか少しは怪しんだりしてくれよ。全く見向きしなかったよ

 

ため息をつきつつ、みんなの着替えを待っていると…………

 

「お待たせ」

 

のどかたちが着替えを終わらせてやって来た。僕は遅いと言おうとしたが…………

 

「…………ドウイウコト?」

 

何でミニスカートでノースリーブなんだよ。

 

「何か渡されたのがこれなんだよね」

 

「あ、あはは、ちょっと恥ずかしいよね」

 

「それにこれ…………腕上げたら脇とか……」

 

ちゆが腕を上げると、綺麗な脇と水色の…………

 

「セイヤッ!?」

 

ちゆの下着を見てしまい、全力で自分の目を潰す僕。

 

「ど、どうしたの!?」

 

「…………ちゆちー、その今気づいたんだけど……下着とか見えちゃうね。この服」

 

「あっ!?」

 

その後遅れてきたカナヲがみんなの服を取り替えてもらうようにするのであった。




童磨…………その内やるであろうオリストの一つで童磨がボコボコに……

のとがたちの服はゲスメガネのおか……せいです

次回、産屋敷との対話と紫乃、ラッキーイベントです


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27 湯煙ハプニング

のどかたちの着替えが終わり、お館様との面会をする事になった。

 

因みにのどかたちが着ていた服はカナヲが回収し、しばらくしてから悲鳴が聞こえたけど…………何だったのだろうか?

 

「待たせたね。こんな格好ですまない」

 

案内された部屋の奥には身体中包帯を巻き、包帯がないところから見える傷跡のような痣…………怪我とかではなく病気によるものだろうか?二十代くらいの男性があまねさんに支えられながら身体を起こしていた。

 

「初めまして、君がいた世界では話は聞いていると思うが、私が産屋敷輝哉だ。橘紫乃、花寺のどか、沢泉ちゆ、平光ひなた、そしてヒーリングアニマルのみんな」

 

僕らの事を知っている……当たり前だよな。宗一さんから話はしてありそうだけど…………

 

「ねぇ、何だかあの人の声を聞いてると……」

 

「えぇふわふわするわ…………」

 

ひなた、ちゆの二人の言うことは分かる。この人は声を聞いてると落ち着く…………何かしらの力を持っている?

 

「紫乃、君の事は宗一から聞いてるよ。雪の呼吸を受け継ぎ、人の身でありながら鬼になれると」

 

宗一さんは全部話しているみたいだ。まぁそうだろうと思ったけど…………

 

「のどか、ちゆ、ひなた。君たちに聞きたい。もしも彼が鬼の力が暴走し…………人を襲うようになったらどうする?」

 

「「「!?」」」

 

「答えてくれないかい?」

 

のどかたちは迷っていた。ここで僕が暴走しないと言いたいけど……その保証はない

 

「…………私は」

 

「…………殺すって事だよね」

 

ちゆ、ひなたは迷いながら、のどかはある事を発言した

 

「私は止めたい」

 

「止められるのかい?」

 

「止めて見せます。声をかけたり、出来ることをして…………止められないって事はまだわからないから‼」

 

のどかの意思にお館様は微笑んだ。

 

「そうだね。止められないこともわからないからこそ、止めようとする。いい答えだね」

 

「産屋敷さん……」

 

「ここに来て、君たちは知れるといいね。彼を守る事を……そして紫乃、強くなるんだ。君はここで自分の力を知れるから」

 

面会は終わり、僕らは刀鍛冶の里に向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

里までは鬼殺隊事後処理係の『隠』に目隠しと耳栓をされて背負われながら向かう。

 

ついた場所は本当に里って感じの場所だ。それに仄かに温泉の臭いが……

 

「長がお待ちしてます。此方へ」

 

「それじゃ僕は行くけど……カナヲ」

 

「うん、任せて」

 

カナヲにのどかたちを任せて、僕は隠の人から聞いた長の所に行くのであった。

 

 

 

 

長の屋敷に行き、案内された部屋にはひょっとこの面を被った人たちが数人。その中央には小さいひょとこが……

 

「やぁやぁ、君が橘紫乃君だね。私は里で一番小さく、一番偉い人だよ」

 

「は、初めまして……橘紫乃です」

 

頭を下げると長は気さくに話しかけ続けてきた。

 

「いい子だね。君の刀は鉱造に任せようとしてるんだけど、蛍を探していてね。時間はかかるからのんびり里にいるといいよ」

 

「は、はい」

 

鉱造って誰だろう?まぁ出来るまでのんびりか…………

 

「あと産屋敷様からに頼まれてね。君にはある鍛練を受けてもらうから……明日案内するから」

 

鍛練?何をされるのだろうか?気になることが多いけど…………

 

「そうだ。長さま。これを」

 

僕は折れた刀を渡した。ずっと持っていてもいいけど…………

 

「出来たら供養してください。おじさんの刀…………お守りにして持っているより、ちゃんと供養した方がいいと思って」

 

「いい子だね。この刀は此方で処理するよ」

 

話が終わり、部屋をあとにしようとしたとき、木箱を背負った額に痣がある男の子とすれ違った。鬼殺隊の人かな?

 

「こんにちわ」

 

「こ、こんにちわ」

 

挨拶を交わし、僕は部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

のどかたちを探しているけど見当たらない。と言うか玄弥と蜜璃さんもいないけど…………

 

「まぁいいや。温泉にでも行こう」

 

里の人に聞いた温泉へと向かう僕であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

石段を登り、たどり着いた温泉。湯煙で見えないけど人はいないのかな?

 

とりあえず入り、のんびりしてると…………

 

「ちゆちースタイルいいね」

 

「ちょっとひなた……」

 

「ひなたちゃん、大きいな……」

 

「へっ!?」

 

「意外と着やせするのね」

 

「羨ましいな~私なんて…………」

 

「のどかっちだってこれからだよ~」

 

何か聞き覚えのある声と名前が…………いや、気のせいだよね

 

「温泉気持ちいいラビ」

 

「ちゆのおうちの方がもっと凄いペエ」

 

「まぁこういう温泉もいいよな」

 

「く~ん」

 

「ラテ様はもう少し慣れてから入るラビ」

 

わぁ~聞き覚えのある語尾だ~

 

と言うかまずいよな。覗き……という訳じゃないけど…………今は気づかれてない。湯煙のお陰でこっちの姿は見えてない。音を立てずにゆっくり出て…………

 

そんな時風が吹く。その風が湯煙を晴らし…………

 

「「「えっ?」」」

 

「あっ!?」

 

…………時が止まった

 

互いに裸のまま固まっていた。

どうする?どうすればいい?この状況…………

 

1 みんなよりも早く悲鳴を…………のどかは年相応の膨らみがあり、ほんのり肌が赤く染まっている。

病院生活が長かった割には肉付きもよく、健康的に色っぽい

 

 

2 何事もなく…………ちゆは運動部に所属しているだけあって、腕や足が引き締まっていて、スタイルもいい。胸部はのどかと同じくらいかちょっと大きい感じか…………

髪を纏めているからか、肌を伝う汗が妙に色っぽい

 

3 ひなたは服のせいで分からなかったけど、意外と大きいな…………それに髪の毛を纏めてないからか、濡れた髪が肌に張り付いて色っぽい。

 

何と言うかみんな官能的だな………………

 

 

 

 

選択肢おかしくないか?この状況の打開策を考えていたんじゃ…………

 

もう一回考えないと…………

 

1 のどかは驚いた顔をしたまま、固まり…………

 

2 ちゆは顔を赤らめ、困惑している。

 

3 ひなたは急いで自分の身体をタオルで隠し、目に涙を浮かべながら

 

「………………バカ」

 

4 ラビリンたちは三匹して『御愁傷様』と言う

 

選択肢すらでない。どうする?どうすれば…………もう心のままに従って、

 

「………………みんな、良いから…………」

 

プリキュア・ヒーリング・フラッシュ(物理)が頭に喰らい、気絶するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

玄弥side

 

甘露寺さんとカナヲと今後色々と様子を見ようと話を…………俺は話を聞いていただけだが…………

そんなことをしていると、何故か浴衣がはだけた状態ののどかたち三人とすれ違いつつ、温泉に入ると、湯船に頭から血を流す紫乃が浮かんでいた。

 

「な、何が…………」

 

「げ、玄弥…………?」

 

不意に後ろを振り向くと炭治朗が驚いた顔をしていた。

 

「こ、殺したの?」

 

「殺してねぇ‼」

 




ただただ書きたかった


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28 土下座!鍛練!夜の温泉で!

プリキュア・ヒーリング・フラッシュ(物理)を喰らい、打ち所が悪く気絶していたけど、目を覚ますと湯船で玄弥と長の所ですれ違った子……炭治朗がいい争いをしていた。とりあえず止めに入り、何とか収まり、男三人でのんびり入ることになったけど、木箱から出てきた竹筒をくわえた子が楽しげに泳いでるけど、目のやり場に困る。

 

「それじゃ鬼みたいに再生能力が?」

 

「あと鬼になれる」

 

鬼化して見せると驚く炭治朗。まぁ鬼殺隊なら驚くよな

 

「鬼でも襲ったりしないからな」

 

「分かるよ。紫乃はそんな感じがするから」

 

「玄弥……こいつ、信じやすいのか?」

 

「炭治朗だからな」

 

「いや、匂いで分かるよ。紫乃から鬼の匂いはしない。優しい匂いがするから」

 

匂いって…………そういえば善逸は聴覚が鋭く、伊之助は触覚、カナヲは視覚。どこかしらの五感が鋭いらしい。玄弥は鬼を食べたりして力を得るから、味覚になるのか?

炭治朗は嗅覚に優れてるのか

 

「そういえば玄弥って……風柱の人と同じ名字だよね。兄弟なの?」

 

「…………あぁ」

 

何だか言いにくそうだな。兄弟の問題やら大変みたいだな。

 

「悪いな。今は詳しく話せないんだ。後で話すよ」

 

「わかった。待ってる」

 

「僕にも後で聞かせろよ」

 

「あぁ」

 

風柱か…………どんな人なのだろうか気になるな。玄弥のお兄さんだから優しいのかな?

 

「そういえば何で紫乃は倒れてたの?」

 

「確かに……俺が来る前にあいつらに会ったけど……」

 

「…………」

 

僕はありのまま話した。温泉に入ろうとしたら、先に入っていたのどかたちと出くわし…………つい

 

「いい身体してるなって言おうとしたら、石投げられた」

 

「自業自得じゃねぇか」

 

「あ、あははは……」

 

後で謝らないとな。

 

 

 

 

 

 

「すみませんでした‼」

 

温泉から上り、玄弥と炭治朗に同行してもらいながら、ちゆたち三人に土下座した。

 

「えっと……気にしないで」

 

「そうよ。わざとじゃないんだから……」

 

「その……石投げたのごめんね」

 

みんな許してくれているみたいだ。良かった…………

 

「それにさ、煙で見えてなかったでしょ。見られてないなら…………」

 

煙で?いや、ばっちりだったけど…………

 

「いや、ふつう…………」

 

ゴンッ‼

 

玄弥に思いきり頭を叩きつけられた。

 

「おまっ!?余計なことを言うな‼自分から死にに行くのか‼」

 

「玄弥、落ち着いて……」

 

「す、すまん。つい……」

 

何だかんだあってみんなに許してもらいつつ、蜜璃さんとカナヲと合流し、一緒に夕飯を食べてその日は終わるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

朝になり、僕らの部屋にひょとこの面を付けた男の人が訪ねてきた。

 

「君が橘紫乃くんだね。私は鉄穴森 鋼蔵と言います」

 

「ど、どうも」

 

「君の日輪刀…………元々の持ち主の方の担当をしていました。この度貴方のも打つように頼まれました」

 

おじさんの担当だったんだ…………僕は土下座して謝る

 

「すみません。刀を折ってしまって……」

 

「あぁ~お気になさらずに」

 

「いえ、気にします。大切な刀を折ったのですから…………」

 

「本当にあなたは優しい方ですね。刀の事も大事に思っていてくださる。出来上がるまでの鍛練の準備がすんでいます」

 

鉄穴森さんから鍛練の場所を教わり、僕らはそこへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

蜜璃さんや玄弥も誘いたかったけど、忙しいみたいでいなく、カナヲは炭治朗と一緒に何処かに行ったらしい

 

「絶対カナカナってたんじーの事…………」

 

「確かにそう見えるけど…………」

 

「仲良さそうだもんね。禰豆子ちゃんと仲いいみたいだもん」

 

恋愛話に花を咲かせるのどかたち。女子は好きだな…………

 

「あっ、ここか……」

 

目的地には一体の人形が置かれていた。六本の腕の人形……

 

「これが紫乃の鍛練…………」

 

「あれ?動かしてくれる人がいないけど…………」

 

「ねぇねぇ、手紙が置いてあるよ」

 

ひなたが見つけた手紙を受けとり、読んでみると…………

 

『少しお待ちください』

 

「何処かに行ってるのかな?」

 

「少し待ってましょう。勝手に触ったりしたら壊れたりするし…………」

 

「そうだね」

 

「へぇ~絡繰り人形ってやつだよね。昔の人ってこんなの作れたんだ~」

 

何かひなたが触ってるけど…………大丈夫だよな

 

カチッ

 

変な音が聞こえた瞬間、絡繰り人形が動き出した。

 

「ひ、ひなた……」

 

「ご、ごめん!?」

 

絡繰り人形は動きだし、持っている木刀を振り回してくる。僕は咄嗟に持っていた木刀で立ち向かう。

 

「みんなは下がって‼」

 

『雪の呼吸‼壱ノ型 初雪』

 

技を放つが六本の木刀に弾かれる。

 

まさかと思うけど…………

 

『雪の呼吸‼弐ノ型 吹雪』

 

何十回もの突きを繰り出すが、突きが全て弾く。

 

「…………技に反応してる?」

 

「紫乃‼私たちも…………」

 

「みんなは下がって…………」

 

「でも!?」

 

これは僕の鍛練だ。それに気になることがある。技術があっても、勝手に反応するとかこの時代ではあり得ないはず…………

 

『先ずは弾かれないように人形に技を当てろ。そこの娘たちはしばらく待っていろ』

 

何処からともなく声が聞こえてくる。誰かが操ってるのか?だとしたら…………

 

「やってやる‼」

 

『雪の呼吸‼壱ノ型 初雪』

 

技を繰り出し、弾かれる。何度もそれを繰り返すなか…………

 

見えてきた。隙間が…………

 

『雪の呼吸‼弐ノ型 吹雪』

 

絡繰り人形の木刀の太刀筋の隙間を潜り抜けながら、絡繰り人形に技を当てる。

 

すると人形は止まる。それと同時に地面に倒れると…………

 

「紫乃!?」

 

みんなが駆け寄ってきた。こんなに技を繰り出すのは初めてだ。流石に疲れる。何とか立ち上がる。

 

「大丈夫……疲れただけだから…………」

 

「もう…………」

 

ちゆは僕を抱き締めてきた。あの……こんなときに……

 

「ちゆちー、流石だね」

 

「うん、流石だね」

 

何が流石なのか気になるのだけど…………

するといつの間にか手紙が置かれていた。

 

『この絡繰りは雪の呼吸の使い手の為の専用のもの。説明書に書かれているように動かせば、全ての技に対応出来るようにしてある。そっちの娘共に手伝ってもらい、全ての技の精度を上げろ。相鉄』

 

もしかしてさっき動かしていた人が…………

 

「私たちも手伝えるって事だよね」

 

「えぇ、説明書を見る限りでは、簡単に動かせるわ」

 

「えっと、紫乃っちの技に対して後だしすればいいんだよね」

 

「糸は七本……ラビリンたちも手伝うラビ」

 

「僕たちも手伝うペエ」

 

「よっしゃ‼行くぜ紫乃‼」

 

みんなに手伝ってもらいながら、鍛練が始まるのであった。

 

(それにしても…………七本?あと一本は何なのかしら?)

 

 

 

 

 

 

 

 

夜になり、鍛練が終わり、温泉に入る僕。流石に昨日みたいな事にはならないように注意はした。

 

「いないな…………はぁ、疲れが取れる…………」

 

今日1日、鍛練してたけど…………弐ノ型しか当てられてないな…………

 

「気合いをいれて頑張らないと……」

 

体質のお陰で怪我はないけど…………疲れはある分……温泉の気持ちよさに……眠く……

 

「紫乃?」

 

ちゆの声が聞こえてくる。何だろう?夢かな?

 

「…………疲れてるのね」

 

ちゆは微笑むと、僕にキスをした。

 

「お疲れ様」

 

 

 

 

 

 

目を覚ますけどちゆの姿はなかった。夢だったのか?それにしては…………感触がリアルだったような…………

 

「まさか…………」

 

夢じゃなかったとか…………

 

 

 

 

 

 

 

 

湯船から上り、部屋に戻るとのどかたちが楽しそうに話していた。

 

「おかえり。紫乃くん」

 

「長湯だったね~」

 

「途中で眠ってた」

 

「それ溺れるよ~」

 

「溺れる前に起きたけど…………そういえばちゆ」

 

「な、何?」

 

何故か動揺しているちゆ。どうしたんだろう?

 

「温泉に来てなかった?」

 

「…………来てないわよ」

 

来てなかったなら、あれは夢…………

 

「あれ?ちゆちー温泉に入りに行くっていってなかった?」

 

「うん、でもすぐに戻ってきたけど…………」

 

「そ、そうだったかしら?」

 

何か誤魔化してるけど…………これ以上は聞かない方がいいかな?

 

 

 

ちゆside

 

温泉で寝落ちしそうになっていた紫乃。疲れているせいもあるのかもしれない。

 

「頑張ってるのね」

 

頑張ってるご褒美にほっぺにキスをして、戻ろうとしたけど…………

 

「あっ!?」

 

手が滑り、ほっぺにキスではなく、唇にしてしまった。気づいてまた見られるのが嫌で私は慌てて温泉から出るのであった。




一話に一回イチャイチャさせないと…………戦闘等で書くのにモチベーションが…………

次回は炭治朗の鍛練を見に行く感じです。時透くんとも出会う感じです


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29 炭治朗の鍛錬

鍛練を初めてから数日後、炭治朗の姿が見ないことに気がついた。そう言えば鍛練始めた日から姿見てないような…………

 

「炭治朗知らない?」

 

「ううん?最近見てないね」

 

「何処に行ったのかしら?」

 

「カナヲちゃんも見てないけど…………」

 

何処にいるのか気になり、二手に別れて探しに行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

のどかside

 

ちゆちゃんと一緒に炭治朗くんを捜す私。

 

「何処にいるのかしら?」

 

「う~ん、あっちかな?」

 

探し回っているけど、森の中だから中々見つからない。

 

「のどか、迷ったりしたら大変だから一旦戻りましょう」

 

「うん」

 

目印がないから遭難したら大変だもんね。

戻ろうとした私たちだけど…………

 

「ねぇ」

 

「わぁ!?」

 

「だ、誰?」

 

急に後ろから声をかけられ、振り向くとそこには長い黒髪の男の子がいた。着てる服から見て、鬼殺隊の人かな?

 

「…………隊の人だよね。こんなところで何してるの?」

 

「えっと…………」

 

「人を探してるのよ。竈門炭治朗って子を」

 

「炭治朗?」

 

知らないみたいだけど…………この子、何だか不思議な感じがする。

 

「知らないみたいですね。それじゃ私たちはこれで」

 

ちゆちゃんはすぐにその場から離れようとすると、

 

「君たち……何で日輪刀持ってないの?」

 

日輪刀について聞かれた。どうしよう……何て言えば……

 

「今、打ち直してもらってるんです。だから持ってないの」

 

「ふ~ん」

 

男の子は興味がないのかすぐにその場から姿を消した。

 

「ちゆちゃん、ありがとうね」

 

「通じたと思いたいけど、何だか興味がない感じね」

 

ちゆちゃんの言う通り、あの子…………物事に興味がない感じがする。

 

「変わった子ラビ」

 

「思わず隠れたけど……怖い感じがするペエ」

 

「何者だったのかしら?」

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

ひなたと一緒に炭治朗を探していると、すぐに見つかったけど…………

 

「炭治朗さん、ほら、動きが鈍いですよ‼」

 

「た、炭治朗……」

 

「ハア‼」

 

絡繰り人形を相手に鍛練をしていたけど…………何かきつそうだ。

 

「何してるの?」

 

「ひなた……実は」

 

カナヲは何があったのか説明した。

炭治朗に熱く声をかけてる少年『小鉄』くんは、絡繰り人形の持ち主だけど、時透と言う子に先祖が残した大切な絡繰り人形を無理矢理使わされ、壊されてしまったらしい。その復讐と言うか何と言うか変な方向に情熱を燃やして、その時透くんをギタギタにしてもらうように、炭治朗を鍛え上げようとしていたらしい。

 

「でもたんじー、何か窶れてない?」

 

「その鍛練なんだけど……」

 

一撃入れるまでは飲み食いさせないと言うものらしい。昨日辺りようやく一撃入れたらしいけど…………

 

「鍛練ってなんだろうね?」

 

ひなたは苦笑いを浮かべるが…………僕が受けた鍛練に比べたら……まだましじゃないかな?

 

「絡繰り人形……もしかして僕がやってる……」

 

不意に小鉄くんが僕らに気がつき、自己紹介をすませて、僕はあの人形について聞いた

 

「あぁ、あの人形の管理を任されてましたよ」

 

「やっぱり、あれも古いやつなの?」

 

「いえ、あれは家にあった秘蔵書を元に相鉄さんが雪の呼吸の使い手のために作ったものです」

 

雪の呼吸の使い手のために作られたものか…………もしかしておじさんも関わってるのかな?

 

「あの人形は雪の呼吸の基本までの型を鍛え上げるものです。そして七本目の糸は漆の型を産み出すためのものだとか……」

 

漆の型を…………産み出すか……今は普通の状態で陸の型を放てるように鍛えてるけど…………漆の型か

 

「頑張らないとな」

 

「私たちも手伝うよ」

 

改めて強くなろうと決意する中、ひなたはあることを聞いてきた。

 

「そう言えば禰豆子っちは?」

 

禰豆子の姿が見当たらない。そう言えば木箱に入ってるみたいだけど…………禰豆子って……

 

「禰豆子は鬼だから、昼間は木箱に入ってるよ」

 

「鬼なの!?」

 

「やっぱり……」

 

でも人を襲ったりしてないし、鬼殺隊のみんなも何も言わなかったりしてるみたいだから…………認められたりしてるのかな?

 

「炭治朗は禰豆子を元に戻すために……もう誰も悲しい思いをさせないようにしてるの」

 

「いい奴だな」

 

「うん」

 

炭治朗も見つかり、僕らは邪魔にならないように帰るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

次の日の夜、漆の型を産み出そうとして頑張ったけど……中々難しい。

 

「どうしたらいいのかな?」

 

ため息をつきつつ、温泉から出て、宿に帰ろうとした。

 

「刀も予備のあるけど……」

 

完成するのはいつになるのかな?

 

色々と考えていると、足に何かが当り、割れる音が聞こえた。

 

「あっ……」

 

何だかきれいな壺の破片が散らばっていた。まさかと思うけど…………

 

「やっちゃった?」

 

やばい……怒られる……と言うか誰だよ壺を置きぱなっしにしたのは!?

 

「…………後で謝ろう」

 

気分が滅入りながら宿に戻るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「ヒョ!?あの小僧!?壺に気を止めずに‼」

 

一体の鬼が紫乃を見つめていた。自慢の壺を気に止めずに割るなんて…………許さん‼




次回、戦闘始まります


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30 現れる鬼たち

紫乃side

 

温泉からの帰り道、里中に悲鳴が響く。何事かと思い、辺りをみると壺がついた怪物が暴れていた。

 

「あれは……」

 

壺、怪物…………まさかと思うけどさっき割った壺に封印されていた怪物!?

 

「…………黙っていよう」

 

とりあえず怪物を倒していくことにするのであった。

 

『雪の呼吸‼壱ノ型 初雪』

 

鍛錬のお陰なのか技の威力が上がっている。

 

「壺が弱点か。早く倒していかないと…………」

 

まだ敵が多い。のどかたちと合流しないといけないし、里の人たちを助けないと…………

 

「迷ってばかりだ。どうしたら…………」

 

やるべき事が多い。多すぎる。考えろ……考えるんだ。

 

「片っ端から片付ける‼」

 

暴れまわる怪物を倒して、のどかたちと合流する。待っててくれ

 

「紫乃くん!?」

 

すると僕のところに蜜璃さんが駆けつけてきた。確か任務とかでいなかったはずなのに……

 

「早く来れるように来たんだけど、みんなは?」

 

「宿の方に……」

 

「早く合流しないと…………」

 

蜜璃さんと一緒にみんなと合流しに行こうとしたとき、誰かが話しているなのが聞こえた。

 

「小鉄はどこに?」

 

「森に行ってるみたいだけど…………」

 

小鉄くんが…………こんな騒ぎの中……どうする?どうすれば…………

 

「紫乃くん、みんなは私に任せて」

 

「蜜璃さん……でも!?」

 

「私や玄弥くんは経験してるから大丈夫‼だから紫乃くんは急いで」

 

任せて……いいんだよな。間違ってないよな……そんな考えが頭の中に巡りつつ、僕は蜜璃さんにみんなの事を任せて森へと入るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

のどかside

 

突然宿の中から大きな音が響いて、音の場所に行くと半壊された場所に三体の鬼がいた。

 

「ほう、他にも鬼狩りがいたか」

 

「だが刀を持っていないみたいだ。すぐに片付けられるぞ」

 

「悲しいな。知らぬまま死ねずに」

 

「鬼!?」

 

「ど、どうしよう……私たちだけで……」

 

「……」

 

玄弥くんは槍に刺されていて、禰豆子ちゃんは押さえつけられている。カナヲちゃんは錫杖を持っている鬼と対峙している。私たちは…………

 

「戦おう」

 

「のどか!?」

 

「私たちで何とかできるの?」

 

「このまま放っておけないよ。だから…………できる限りの事をしよう‼」

 

「……そうね。できる限りのことをしましょう」

 

「……分かった。やるよ‼」

 

「「「スタート」」」

 

「「「プリキュアオペレーション」」」

 

「「重なる二つの花!キュアグレース!」」

 

「「交わる二つの流れ!キュアフォンテーヌ‼」」

 

「「溶け合う二つの光‼キュアスパークル‼」」

 

「「「地球をお手当て‼」」」

 

「「「ヒーリングっとプリキュア‼」」」

 

私たちは変身して、三人に分かれて戦う。

 

「姿を変えたところで‼」

 

カナヲちゃんと対峙している鬼……積怒が雷を落とすけど……

 

「ぷにシールド」

 

シールドで防いだ。

 

「防げたラビ」

 

「カナヲちゃん‼」

 

「うん」

 

『弐ノ型 御影梅』

 

カナヲちゃんが鬼を切りつける。私たちはなるべく防ぐことに集中しないと…………

 

 

 

 

 

フォンテーヌside

 

「積怒、油断したのか?」

 

この鬼……舌に哀って書かれてる。三体しかいないけど、喜怒哀楽ってこと?

 

「ハアアアア‼」

 

「邪魔だ」

 

槍を大きく振りかぶるけど、私はシールドで防ぐ。一撃が重いけど……

 

「玄弥‼」

 

玄弥が後ろから鬼の首筋に噛みつき、肉を食らう。

 

「オラッ‼」

 

肉を食らったことで、鬼の力を得て銃弾を至近距離で喰らわす。

 

「ぐっ‼」

 

「サポートは任せて」

 

「無理して怪我すんじゃねぇぞ‼紫乃に怒られるからな」

 

「そうね」

 

「こいつら‼」

 

 

 

 

 

 

 

スパークルside

 

押さえつけられている禰豆子っちを助けるために、背後から蹴り飛ばす私。一瞬の隙が出来て禰豆子っちが解放されて、鬼の顔を蹴る

 

 

「小娘共が‼全然楽しくないぞ‼」

 

「むぅーーー」

 

禰豆子っちが手から炎を出し、鬼を焼く。これって血気術?

 

「よぉし‼私たちも一気に決めるよ」

 

「いや、ひなた‼?鬼にプリキュアの技が効くわけないだろ」

 

「やってみなきゃわからないじゃん」

 

「エレメントチャージ‼」

 

「「ヒーリングゲージ上昇‼」」

 

「プリキュア‼ヒーリング・フラッシュ‼」

 

浄化技を放ち、焼かれている鬼に当たった瞬間…………

 

「ぎゃああああああああ!!!?」

 

鬼が塵になった。あれ?

 

「どういうこと?」

 

「もしかしてプリキュアの浄化が鬼にとっては太陽の光と同じなのか‼」

 

「なるほど‼グレース‼フォンテーヌ‼」

 

 

 

 

 

 

 

炭治朗side

 

翼の生えた鬼を貫きながら宿に戻ると、禰豆子たちの他にも変わった姿の女の子達がいた。

 

「誰?それに三体いたのに2体しか…………」

 

「哀絶‼何だあの小娘共は‼」

 

「わからん‼だが他の鬼狩りたちとは違う‼」

 

俺はみんなのところに駆け寄ると、謎の女の子達から似た匂いを感じた

 

「君たち……紫乃と一緒にいた……鬼殺隊の……」

 

「私たちはプリキュアです。炭治朗くん、黙っててごめんね」

 

「力になれることは分かったわ。あと三体‼」

 

「一気に決めるよ‼」

 

よくわからないけど……これなら戦える

 

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

小鉄くんを探しているとあばら屋を見つけた。それと同時に小鉄くんと鉄穴森さんと長い黒髪の男の子と合流した。確かのどかが会った不思議な子……炭治朗に聞いたら時透だっけ?

 

「紫乃殿‼無事で」

 

「鉄穴森さん、良かった。どうしてここに?」

 

「鋼鐵塚さんが……炭治朗くんの刀を打っているかたがいるのです。早く避難しないと……」

 

鉄穴森さんが小屋に近寄ろうとした瞬間、時透が止めた

 

「待った」

 

「あれは……」

 

小屋の近くに壺が置かれていた。まさかと思うけど……

 

「ヒョッよくぞ気がついた。貴様は柱ではないか?それにそこにいるのは私の壺を割った小僧ではないか」

 

何かうねうねしたものが壺から出てきた。本来目があるところに口が二つ、額と口のところに目がある。その目には上弦と伍と書かれている。

 

「上弦の鬼‼」

 

「私は玉壺と申すものであります。ここに居られる四人には殺すま…………」

 

『雪の呼吸‼弐ノ型 吹雪』

 

とりあえず突きを喰らわせようとしたけど、壺に引っこみ、別の壺に移動した。

 

「せっかちな‼私の素晴らしい作品を‼」

 

「いや、壺の芸術とかいまいち分からないから…………花瓶と漬物に使ってるくらいだし」

 

「芸術を分からんとは嘆かわしい‼」

 

「漬物に使える壺くれない?」

 

「貴様はどれだけ漬物に拘る‼」

 

だって美味しいし…………

 

「それに漬物は瓶だ‼」

 

「そうなの?どうでもいいけど…………」

 

「このガキ‼」

 

「話終わった?早く片付けよう」

 

僕と時透の二人で玉壺に斬りかかる。玉壺は壺から壺へと移動して、金魚みたいなものを産み出す。

 

『千本針‼魚殺』

 

金魚から大量の針を吐いてきた。時透と僕は避けていくと鉄穴森さんたちの方に針が迫る。時透は二人を庇った

 

「時透!?」

 

「お前も針まみれになれ‼」

 

一瞬の油断で大量の針を喰らってしまった。

 

「直撃だな。生きてはいない」

 

「針まみれは初めてだよ……」

 

針を抜き、刀を構える。

 

「あの柱の小僧より弱いくせに‼だが毒で意識は保てないだろ」

 

確かに意識は薄れていく。だけど……まだ立てる

 

「動けないように針まみれだ‼」

 

更に針が僕の身体に刺さり、僕は倒れる。

 

「ヒョッヒョッヒョッ後は柱のみ‼」

 

 

 

 

 

 

 

薄れていく意識の中、僕は身体に力が湧くのを感じた。

 

(何だ?毒の影響なのか?違う…………鬼の力が玉壺の毒を取り込んで力に変えている?)

 

中和もしてくれてるのか?後は立ち上がるだけだけど…………

 

今の僕には上弦の鬼には勝てない。何か…………ないのか?

 

考え、考え抜いた。そしてあることに気がついた。血気術だ。僕だけの血気術を…………あいつの動きを……傷ついた人を助ける力を…………

 

 

 

 

 

 

 

「ヒョッヒョッヒョッあの水の檻を破ったみたいだが。毒が回った体でどうにかできるのか?」

 

「悪いけど身体の調子がいいんだ‼」

 

「ふん、痣を出した程度で…………」

 

玉壺が話に夢中で僕に気づいてない。僕は立ち上り、自分の手首を切った。その瞬間、勢いよく血が噴き出す

 

『血気術‼血癒の雨』

 

「ヒョ!?針まみれになったはずなのに!?それにその姿は!?」

 

「鬼になれるんだよ。それに血気術も使えるんだよ」

 

「ふん、いくら血気じゅ…………ゴフッ!?」

 

玉壺が突然吐血する。効いてるか

 

「僕の血気術は回復。人間には傷ついた身体を癒し、鬼には回復阻害、過剰回復。過剰回復は再生力を狂わせるから、身体が崩壊する。ほら、集中しないと身体が壊れるよ」

 

「ぐぬぬぬぬ!?」

 

意識をそらしているなか、鉄穴森さんが一本の日輪刀を渡してきた。

 

「紫乃殿、これを‼貴方の刀です」

 

新しい日輪刀を受けとり、僕は構えた。

 

『雪の呼吸‼漆の型 雪崩』

 

玉壺の腕を切り落とす。切り落とした腕はバラバラになっていく。

 

雪崩は飲み込むかのように相手を切り刻む技。速度が重要だけど鬼化してるからそこら辺はクリアしている。

 

「時透、行くぞ」

 

「…………無一朗でいいよ。そう呼ばれたいから」

 

何か寝てる間に感じがよくなってないか?まぁいいか




血気術 血癒の雨…………名前が入ってますね


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31 陽の光と後日談

今回でオリスト終わりです


玉壺との戦い。玉壺は僕の血鬼術で苦しんでいる。

 

「ぐぬぬぬぬ!?この程度で!?」

 

「ほら、集中しないと……身体が壊れるよ」

 

「その壺みたいに醜くなるね」

 

「私の壺の何処が醜……ゴフッゲフッ」

 

更に吐血する。さっきから言ってるのに……

 

「ならば真の姿になって‼お前たちで四人目だ‼」

 

「結構いるね」

 

「黙れ‼うおおおおおお‼」

 

真の姿になろうとするけど、大丈夫か?

 

「ゲフッゲフッゲフッゲフッゲフッ」

 

更に吐血してる。鬼だから血がなくなって死ぬこと無さそうだけど…………

 

「さっきから紫乃が言ってるのに……馬鹿なの?」

 

「と言うかこいつ上弦なのか?」

 

「下弦以下だね」

 

「この!?」

 

「お前はもういいよ」

 

『霞の呼吸‼漆の型 朧』

 

瞬く間に玉壺の首を切り落とす無一朗。

 

「ヒョッ私が…………」

 

死に際の台詞を言おうとしていたけど、無一朗は容赦なく落ちた首を細切れにして、玉壺は塵になった。

 

「終わった?」

 

「まだだよ。他にも鬼がいる」

 

玉壺以外にも!?僕と無一朗は急いで次のところに行こうとするが、無一朗は泡を吹いて倒れた。

 

「無一朗!?」

 

「時透殿も毒を食らっています‼何とか……」

 

「紫乃殿の血鬼術では?」

 

「毒の解毒とかできない感じで…………みんなの治療もしないとだし…………」

 

『血鬼術 恵みの血癒』

 

鉄穴森さんたちの傷を癒す僕であった。

 

 

 

 

 

 

 

???side

 

月明かりの中、三匹の鬼が苦戦している。なるほどね。あれがプリキュア。鬼舞辻の配下を殺せるみたいね。

 

「このままだと簡単に終わっちゃうわね。煽りつつ協力してあげようかしら」

 

私は腕を触手のように変えるのであった。

 

 

 

 

 

 

炭治朗side

 

「プリキュア‼ヒーリング・フラワー‼」

 

「プリキュア‼ヒーリング・フラッシュ‼」

 

ちゆとひなたの二人が2体の鬼を浄化して、残りは怒り鬼のみ。

 

怒り鬼はのどかたちに対して警戒している。このまま倒せば…………

 

「炭治朗‼お前は外に行け‼」

 

「玄弥?」

 

「この鬼は本体がいる‼小さいやつだ‼お前なら切れる」

 

何で玄弥がそんなことを?でも今は玄弥を信じる。

 

俺は外へと出て匂いで鬼を探していると、小さな鬼が逃げていた。

 

「逃げるな‼」

 

鬼の首を切り落とそうとするが、避けられる。このままだと…………

 

「いたーーーー‼」

 

小さな鬼の前に甘露寺さんが立ちふさがり、長くしなやかな刀で首を切り落とそうとしていた。

これで………………

 

 

 

積怒side

 

こいつら!?何なんだ!?日輪刀や日の光以外で分身を倒した?いや、浄化したのか!?それに本体の事まで!?

 

「憎珀天に……」

 

駄目だ。他のやつらがやられた以上、本来の力を出せない。このままやられると…………

 

突然何かが貫いた。白い触手?

 

「はぁい、鬼舞辻の配下さん。私が力をあげる」

 

「何者だ?」

 

「私は鈴鹿。あぁ私の姿はあなたにしか見えてないわよ。そうしてるからね」

 

何かが注がれる。これは…………

 

「馬鹿な鬼舞辻の代わりに、協力してあげる。それに聞こえてるでしょ。馬鹿な鬼舞辻。貴方はいずれ死ぬわ。残念ね。可哀想ね」

 

鈴鹿の姿が消えた瞬間、憎珀天に姿を変え、鬼狩りたちを吹き飛ばす。

 

 

 

 

 

 

 

 

炭治朗side

 

本体が雄叫びをあげた瞬間、背後から強烈な気配を感じた。何だ?六体目?

 

「炭治朗くん!?」

 

甘露寺さんがギリギリのところを技を放ち助けてくれた。背後にいた鬼…………子供みたいな鬼だけどそれ以上に恐怖を感じる。

 

「お前たちは何故、か弱き者を殺そうとする。この悪人共めら‼」

 

「悪人!?お前は……罪もない人たちを傷つけた‼この悪鬼‼」

 

「分身を倒した……いや浄化したらしいが、あの小娘共は瓦礫に埋まっている。お前たちだけでどうにか…………」

 

憎しみの鬼の言葉を遮るように突然血の雨が降り始める。この血…………

 

「玉壺か。遊んでいるの…………ぐっ!?」

 

突然憎しみ鬼が立ちくらみを起こしていた。何だ?この血の雨と何か関係があるのか?

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

少し前、無一朗に支えながら森中を走り回っていた。

 

「どこにいくんだよ‼というか宿に戻った方がいいんじゃないのか?」

 

「怪我人の治療が先だよ…………もう死んだ人は蘇らないけど……」

 

いや、蘇ってるんだけどな…………ここに来るまでの間に事情は話したよな

 

「全員ではないでしょ。君の世界に来ているのは…………」

 

「そうだけど…………」

 

「こっちです‼ここが里を一望できる場所です」

 

「こんなところで何を?というか鋼鐵塚さんは何時まで研いでるんですか!?」

 

「…………」

 

「聞いてないし!?」

 

小鉄くんたちは放っておいて…………ここに連れてこられた理由はあれしかないよな

 

「それじゃ仕方ない‼」

 

範囲を全体に広めつつ、更に感知も出来るように…………

 

『血鬼術‼血癒の雨‼』

 

雨を降らして、里の人たちの傷を癒す。しばらくは降り続けるから…………後は……

 

「炭治郎に刀を渡そう」

 

無一朗は鋼鐵塚さんが研いでる刀を奪い、走り出す

 

「貴様‼まだ研ぎ途中のを‼」

 

めっちゃ切れてるんだけど…………

 

 

 

 

 

 

のどかside

 

気がつくと変身が解けていた。あの時……鬼が姿を変えて……

 

「つぅ!?」

 

身体が痛い……でも思ったよりは痛くなかった。もしかしてと思うと、カナヲちゃんが近くで私よりも傷だらけで瓦礫に埋まっていた。

 

「カナヲちゃん……」

 

助けたいけど……足が瓦礫に挟まって動けない……

 

「ちゆちゃん……ひなたちゃん……」

 

二人も玄弥くんと禰豆子ちゃんが助けてくれたみたいだけど、気絶している。

 

ラビリンも気を失ってる…………このままじゃ……

 

そんなとき、赤い雨が降り始める。これって…………

 

「ん……」

 

「私たち……身体…痛くない?」

 

二人が意識を取り戻した。

 

「のどか!?」

 

「足!?直ぐに助けるから」

 

「私よりも……カナヲちゃんを」

 

ちゆちゃんたちが瓦礫をどかそうとするけど…………動かない。

 

「わたしの事は……」

 

「むぅ~」

 

突然禰豆子ちゃんが瓦礫を退かす。禰豆子ちゃんの身体は雨が当たってる場所から爛れていた。

 

「禰豆子ちゃん……ダメ……身体が……」

 

私は泣きながら説得するけど、禰豆子ちゃんは優しく頬笑む

 

瓦礫を退かして私とカナヲちゃんを助けてくれた。

 

「禰豆子ちゃん……」

 

禰豆子ちゃんは早く行くようにと指を指す。

 

「ごめんね、行こう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

炭治郎side

 

「何だ!?何なんだ!?これは!?」

 

憎しみ鬼が苦しんでいる。この雨が…………鬼を苦しめてる?

 

「炭治郎くん‼貴方は本体を‼」

 

「わかりました」

 

本体の方を見ると、本体は元の大きさに戻って逃げ出していた。血の雨が降らない場所に移動するのか?

 

「させるか‼」

 

木の蜥蜴を出して、俺と甘露寺さんに襲いかかる。だけどその前にのどかたちが現れて攻撃を防いだ。

 

「炭治郎くん!?急いで!?」

 

「ありがとう‼」

 

本体は遠くにいる。急がないと…………前に善逸に教わった移動方法を思いだし、足に全ての力を込めて、一瞬で本体の首を切ろうとする。

 

「この!?苛めて楽しいか‼弱いものいじめるなーー‼」

 

本体は俺もろとも崖に落ちていく。

 

刀は首に刺さったまま……本体は逃げる

 

「待て……罪を……償わずに逃げるな……ここで逃げても……一生……」

 

逃げる本体……早く倒さないと…………

 

その時、何処からともなく日輪刀が降ってきた。これって…………

 

「炭治郎!?早くそれで‼」

 

崖の方を見ると時透くんがいた。鋼鐵塚さんも一緒にいる……もしかして……あの刀なのか?

 

「そいつは僕の血で力も何も使えない‼」

 

紫乃……分かったよ。俺は刀を握り、再度駆け抜ける。

 

『炎舞一閃‼』

 

鬼の身体を切り裂く‼その瞬間、本体は塵になり消えていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

夜が明け、ようやく長い戦いが終わった。

 

「つ、疲れた……」

 

「時透くん、紫乃、ありがとう」

 

「ううん、良かった」

 

「手伝えて良かったよ…………」

 

「あの赤い雨は……紫乃が?」

 

「うん、人を癒し、鬼を苦しめる毒の…………禰豆子は大丈夫かな?」

 

きっと何処かで雨宿りを…………

 

「紫乃くん!?」

 

のどかたちがこっちにやって来る。みんな無事だったのか…………

 

「ありがとう。三人のお陰で…………」

 

「ううん、禰豆子ちゃんが行ってて…………」

 

「雨で身体を爛れながら…………」

 

「ごめん……私たちがいたのに……」

 

「禰豆子が……」

 

大丈夫……大丈夫だよな。 雨からさけてるよな…………

 

じゃなかったら……僕のせいだよな。

 

そんなことを思っていると、カナヲと玄弥と蜜璃さんががこっちに…………三人と一緒にいるのは…………

 

「ね、禰豆子…………」

 

日が指しているのに、禰豆子は行動している…………それに僕の血も効いてない?

 

「禰豆子……禰豆子‼」

 

炭治郎は禰豆子を抱き締めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歓喜と怒りのあまり、潜伏先の住人を殺していた、

 

歓喜は陽の光を克服した鬼が現れたこと‼禰豆子さえ取り込めば長年の夢が‼

 

怒りは半天狗に力を与えたものと鬼を浄化した小娘共‼そして玉壺を倒した鬼擬きの毒‼奴等は何なんだ‼いずれ…………奴等も殺す‼殺してやる‼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

里での一件から数日後、僕らは産屋敷邸に呼ばれて、アマネさんと話していた。

 

「日輪刀と上弦2体討伐。ご協力ありがとうございます」

 

「いえ、僕らは手伝っただけなので…………」

 

「それに私たちは……」

 

「うん」

 

「禰豆子ちゃんが決断してくれたから…………」

 

三人は落ち込んでいるけど、きっと僕があの場にいたら…………同じように決断できなかった。

 

「霞柱様には事情を話し、他のものには内密にすると言うことにしました。恋柱様と不死川隊士、栗花落隊士には…………」

 

「メモには記憶保管するらしいですよ。僕らがいたこととか…………」

 

「補完ですか……仕方ないことですね」

 

そこら辺上手くできてる感じがするな…………

 

「僕らは元の世界に戻ります。またいつか……」

 

「いつか……」

 

何故か悲しそうにしていたけど……何なんだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

カナヲside

 

「それじゃカナヲは未来のカナヲなんだね」

 

「うん、あの世界に戻ったら、記憶補完するみたいだから…………紫乃たちのことは覚えてないかもしれないの」

 

「そっか…………」

 

またこうして炭治郎と話せて……良かった。

 

「またこのカナヲと会えるよね」

 

「多分…………」

 

「大丈夫。信じればまた会えるから…………」

 

炭治郎は優しく頬笑む。やっぱり私は……彼の事が…………

 

「あの……炭治郎……やくそくしてほしいことがあるの…………」

 

「約束?何……」

 

私は炭治郎にキスをする。唇を離すと炭治郎は固まっていた。

 

「再会したら…………答えを聞かせて」

 

私はそれを言って、逃げるように病室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

しのぶside

 

「…………まさか」

 

たまたま通りかかったら、カナヲが炭治郎君と接吻してたのを目撃してしまった。

 

「カナヲが……あんなことを……」

 

気持ちをはっきりさせるようになったのは嬉しいけど…………あんな風になって…………

 

「ど、どうしましょう…………」

 

柱合会議に集中できるか……どうか……

 

姉さん、教えて‼どうしたらいいの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

人気のないところで、僕らは渡航機を起動させ、元の世界に戻るのであった。

 

気がつくと僕の家に戻っていた。時間は……一時間しか経ってないのか……

 

「何だか……すごく疲れたね」

 

「濃い時間だったよ…………」

 

「帰って休みましょう。紫乃も休んでね」

 

「うん」

 

のどかたちと別れて、僕、玄弥、蜜璃さん、カナヲ(顔真っ赤)は家に戻った。

 

「ただいま」

 

「おかえりなさい……みんな戻ってきたみたいね」

 

しのぶさんたちが出迎えてくれる中、しのぶさんはカナヲにあることを言った。

 

「カナヲ……気持ちを表に出すのは良いことよ。でもね…………ああいうのは……」

 

「し、師範!?」

 

「身近にイチャイチャする人がいるのを参考にしているのは…………やめなさい。貴方は貴方らしくお付き合いを」

 

何かカナヲを心配してるけど…………大丈夫かな?というか何があったんだ?

 

 

 

 

 

 

 

ビョーゲンキングダムにて

 

「あぁ、腹立たしい‼あの小僧共め‼」

 

玉壺は自分を倒した二人について怒りを思い出していた。

 

「また思い出してたの?玉壺」

 

「ヒョッ!?童磨殿」

 

「ちょっとさぁ、協力頼めない?玉壺の復讐も出来るよ‼」

 

「本当か‼」

 

「ある奴に頼まれてるんだよね。でも俺は出撃停止されてるから、代わりに猗窩座殿が一緒に行くから」

 

「何でもいい‼奴等を殺せるならな‼」

 

「だってさ。金地鬼」

 

二人の前に金髪の角が折られた鬼がいた。

 

「これで鬼神様も認めてくれる‼」

 

 

 

 

 

 

 

 




何だか雑になってしまった。半天狗の本領発揮は後々……玉壺は…………あるオリストでまた可哀想なことに…………




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32 プリキュアチームビルディング大作戦?

今日はのどかの家に集まる僕、ちゆ(僕の膝の上)、ひなた、カナヲの四人。のどかがラテにご飯を上げていると、ラビリンたちからある話が出た。

 

「こほん、えーこれよりプリキュア緊急ミーティングを始めたいと思うラビ」

 

「プリキュアミーティング?」

 

「僕とカナヲはプリキュアじゃないんだけど……」

 

まぁ、一応は話に参加しておこう。

 

「何を話し合うの?」

 

「あれだ‼ファンがプリキュアの魅力とか好きなところを語り合う的な?」

 

「「違うラビ(ニャア)‼」」

 

「もっと真面目なミーティングラビ」

 

「因みにキュアフォンテーヌの魅力は……行動力と優しさペエ」

 

「優しい笑顔とか……あとは……」

 

 

 

 

 

 

ある日の事、学校でちゆに急に抱きつかれて…………

 

「甘えたくなって」

 

と恥ずかしそうに言うのであった。

 

 

 

 

「と言うことが…………」

 

「//////」

 

「紫乃は知らないペエ‼偶々ちゆが着替えてるときに見ちゃったけど…………普段は着けないフリフリの下着を着けては、顔を真っ赤にさせてるペエ」

 

「ふっ、そういう日は何故かもじもじしてるのを知らないのか?」

 

「///////」

 

「あ、あとは…………」

 

「未だにキスするときに身体を震わせたりするし、おねだりで…………」

 

『ねぇキスして……』

 

「あ、あの…………もう//////」

 

恥ずかしくって手で顔を隠すちゆ。ラビリンたちはと言うと…………

 

「このバカップルは放っておいてラビ」

 

「と言うかナチュラルに膝の上に座ってるしね。ちゆちー」

 

あれ?何で呆れられてるんだろう?

 

「この前戦ったメガビョーゲンのこと覚えてるラビ?」

 

「強かったわね……」

 

「うん…」

 

「お手当てするのに時間がかかればそれだけ強くなるペエ」

 

「それを避けるにはどうしたらいいか」

 

「メガビョーゲンの浄化を一刻も早くするしかないわね」

 

確かにこの間の戦いは偶然とは言え、三体同時に現れた。それに鬼たちもいた。また三体同時に出現され、鬼たちに足止めされたら…………

 

「でもさ、この間三人で出した技……えっと、何だっけ?」

 

「プリキュア・ヒーリングオアシス?」

 

「そう、それ‼あれでメガビョーゲンをドーンって倒したじゃん」

 

「その技のポイントは?」

 

「三人揃って出すこと……」

 

「その通りラビ」

 

「つまりプリキュアのチームワークを強くすることが大切ってことだ」

 

「どうやって?」

 

まさかと思うけど…………ラビリンたちは……

 

「その……特訓しか…ないのかなってなったペエ」

 

「特訓!?」

 

「名付けてプリキュアチームビルディング大作戦ラビ‼」

 

どこから出したんだ?その横断幕は…………

 

「紫乃……私たちも必要なことだと思う」

 

「連携するってことか?」

 

「うん、どんなに強くなっても……一人では上弦の鬼を倒すのは難しいこと……だから」

 

確かに上弦の鬼との戦いはかなり厳しい。あの時は無一朗のサポートして勝てたくらいだし…………連携していくのは重要だ。

 

「ふわぁ~大作戦!特訓なんて私、初めて~」

 

のどかはのどかで興奮してるけど…………特訓か…………

 

 

 

 

 

 

 

 

ビョーゲンキングダム

 

キングビョーゲンの前にダルイゼン、シンドイーネ、グアイワルの三人が集められていた。そして鬼神もまたその場にいた

 

「お呼びでしょうか?キングビョーゲン様?シンドイーネ、駆けつけました~」

 

『会わせたい者たちがいる』

 

「会わせたい奴?」

 

「何者ですか?」

 

三人の前にネズミのような獣人と黒髪の女性と黒髪の少女がいた。

 

「ちぃーす‼キングビョーゲン様‼只今参上ーっす」

 

「可愛いネズミね」

 

「…………」

 

『来たか。バテテモータ』

 

『鈴鹿、八瀬、久しいな』

 

「お久しぶりです。鬼神様。これで四鬼将揃い踏みですね」

 

「…………」

 

「ども~ダルイゼンの兄貴‼」

 

「兄貴!?」

 

「随分とお調子者ね。おまけに女の鬼なんて……」

 

「安心して、私は…………まぁいいわ」

 

「そこはその、急成長注目若手ってことで、多目に見てくださいな~シンドイーネ姐さん」

 

「あんたに姐さん呼ばわりされる覚えないわよ!それにそっちのあんたからは身の危険が感じるのよ!?」

 

「ふふ」

 

バテテモータの胡麻すりしていく。

 

「二目麗しいかな~シンドイーネ姐さんの類いまれなる美貌‼輝かしいかな~グアイワル先輩の明晰やる頭脳‼誇らしいかな~ダルイゼン兄貴の沈着にして、冷静なるハート‼」

 

バテテモータは鬼神の方を見た

 

「流石は鬼の神‼配下の鬼たちも絶大なる信頼をおいてますよ‼」

 

『信頼か……』

 

全身鎧なのにも関わらず、何故か疲れた顔をしているように見える鬼神であった。

 

「皆様の活躍はこんな小さいときからよーく知ってます。自分もバリバリ地球を蝕みたいと思いますよ~」

 

早速出撃することになったバテテモータ

 

「八瀬、配下の鬼を連れて行きなさい」

 

「…………了解」

 

バテテモータと八瀬の二人が消え、鈴鹿は……

 

「鬼神様、金地鬼はよろしいのですか?」

 

『好きにさせろ。奴には条件をつけた。鬼狩りを殺せば八瀬との血戦を認めると』

 

「まだ根に持っているんですね。負けたことを…………ふふ、ダサいやつ」

 

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

特訓の場所は、勝手に入っていいのか分からない採石場だった

 

「ここで特訓するの?」

 

「滝にうたれるとかじゃなくって?」

 

「階段を兎跳びで登ったり……」

 

「綱渡り……とかしないよね」

 

「そっちでも良かったけど…………」

 

ラビリンたちはカナヲを見た。まさかと思うけど……

 

「ラビリンたちに、私たちの使ってる呼吸とかのどかたちに使えないかって言われたけど…………」

 

「才能が必要だっていわれたラビ……」

 

「えぇ~カナヲちゃんみたいに花の呼吸とか使えないの?」

 

「私は……水かしら?」

 

「私は……似た感じで雷?」

 

呼吸って才能とか必要なんだ…………

 

「厳しいからすぐにって訳には行かないし」

 

「爺ちゃんに教わった鍛練なんて……」

 

善逸は震えていた。どんだけ嫌な思い出になってるんだよ

 

「まぁ、俺は使えないから別の方法を考えたりしたけど……」

 

玄弥は苦肉の策で鬼食いで力を得たらしい。

 

「呼吸なんて勝手に身に付くだろう」

 

「伊之助は……我流だもんね。紫乃は?」

 

「僕は………………」

 

思い出すだけでも震えてきた。雪山、吹雪、熊退治、パンイチ…………

 

「思い出したくない…………」

 

「…………わかったわ」

 

察したみたいで良かった。

 

「なのでチームアップ強化をすることにしたラビ」

 

「三人の心が通じあえば戦いも楽になるはずだ」

 

最初の特訓としてジェスチャーゲームをすることになるのであった。



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33 新たな敵‼

今回で放送分の話は終りか……


早速ジェスチャーゲームを始めることになったけど…………

 

「何で僕らも?」

 

僕らは僕らで別の特訓をするじゃないのかなと思っていたけど…………

 

「色々と試す必要があるから……」

 

「と言うかやる必要あるのか?」

 

善逸の突っこみは流され、ちゆがペギタンから見せられた紙の内容を元にジェスチャーを始める。

 

「やべ……全く分からねぇ……」

 

「だからやる必要は……」

 

伊之助は分からず、善逸はまだ言ってるけど…………

 

「はい‼オッス、俺、沢泉ちゆ‼温泉だ~いすき」

 

「違うラビ」

 

「ちゆは俺とか言わないペエ!」

 

「はい!こんにちわ、私沢泉ちゆ!温泉だ~いすき」

 

「だから違う‼」

 

「あ!?オッス!俺、沢泉ちゆ!紫乃っち大好き‼」

 

「違うよ~私、沢泉ちゆ!紫乃くん大好きだよ‼」

 

「自己紹介から離れるラビ‼」

 

「て言うか……何この公開処刑は……」

 

絶対二人ともふざけてるだろ……

 

「普通に自分が引き付けるから、右側を攻めてじゃないのか?」

 

「おぉ~流石は紫乃っち。愛の力?」

 

「ちゆちゃんと通じあってるね」

 

「/////」

 

二人に誉められるけど、ちゆが顔を手で隠していた。

 

「……ちっ‼」

 

何故か善逸に舌打ちをされるのであった。

 

「そもそもやってる内に攻撃されるだろ……」

 

「玄弥、あくまで心を通じあえるようにだから……」

 

玄弥とカナヲの言う通りだ。戦闘中にやっていたら攻撃されるけど、今回はあくまで以心伝心できるようにするためだから…………

 

「紫乃、紫乃」

 

するとちゆは僕の肩を叩き、さっきとは違う動きをして…………

 

「…………」

 

僕はちゆを抱き締めた。

 

「あの二人……何してるの?」

 

「ちゆちゃんのジェスチャー何だったんだろう?」

 

「おい、紋逸、何抜いてるんだ?」

 

「あいつ……見せつけやがって……」

 

嫉妬に狂う善逸は玄弥に押さえつけられるのであった。

 

 

 

 

 

 

ショベルカーの前にバテテモーダ、八瀬、病葉の三人がいた。

 

「嫌な臭いがするね……健康な地球の臭いは‼」

 

「何で俺が……」

 

「あんたとは他人の気がしないんだよね~仲良くしようぜ」

 

「まぁいいか」

 

「…………声、似てる」

 

 

 

 

 

 

 

 

今度はお題にそったもののポーズをすると言うものだ。

 

「それじゃ行くよ~」

 

「猫のポーズ」

 

三人は猫のポーズをするけど、合わない。

 

「ペンギンのポーズペエ」

 

また合わない……

 

「ウサギのポーズラビ」

 

あわ…………

 

「ちゆ……かわいいよ」

 

「紫乃ったら……」

 

「げんやん、紫乃に突っこみ」

 

「突っ込んだら敗けだろ」

 

何かまた呆れられてしまった。いや、本当に可愛かったからな。

 

ラビリンたちは一旦作戦を練り直すと言うことで、鞄の中に入るのであった。

 

僕ら休憩することになり、お茶を飲んでいると……

 

「そういえば紫乃っちの鍛練ってどんなのなの?」

 

「えっ?」

 

「あそこまで震えるなんて……トラウマになるほどなの?」

 

「ははは、柱稽古とかに比べたらまだまだなやつでしょ」

 

「軟弱だな」

 

善逸と伊之助の二人がそう言うけど……みんな凄い鍛練をしてるんだな……

 

「あまり思い出したかないけど…………小学生の頃に、雪山におじさんと一緒に行って…………」

 

 

『雪の呼吸に必要なものは、雪と言うものを知ることだ‼』

 

と言われてパン一にされて、吹雪の中瞑想させられたり…………

 

『寒さに慣れろ‼そうすればいつもと変わらないように動ける‼』

 

木刀で熊と戦わされたり…………

 

 

 

 

「それぐらいかな?」

 

話終えると、みんなが絶句していた。

 

「下手すれば……虐待にならない?」

 

「うん……」

 

「小学生の頃、一時期姿がなかったのはそう言うことだったのね…………」

 

「あれ?何でか柱稽古の方がまだマシなんだけど…………」

 

「熊くらい倒せるだろ」

 

「それ、伊之助くらいだからね……」

 

「お前、苦労してるんだな」

 

何故か慰められる僕であった。

そんな時、ラテが具合悪そうになり、急いで声を聞くと……

 

『おっきな車さんの中で小さな石さんが泣いてるラテ』

 

僕らは急いでメガビョーゲンの場所へと向かうと、そこにはショベルカーのメガビョーゲンが暴れていた。

 

「みんな‼行くよ」

 

「「「スタート」」」

 

「「「プリキュアオペレーション」」」

 

「「重なる二つの花!キュアグレース!」」

 

「「交わる二つの流れ!キュアフォンテーヌ‼」」

 

「「溶け合う二つの光‼キュアスパークル‼」」

 

「「「地球をお手当て‼」」」

 

「「「ヒーリングっとプリキュア‼」」」

 

のどかたちがプリキュアに変身し、メガビョーゲンに向かっていこうとすると、何処からともなく現れた何かに吹き飛ばされる。

 

「何?」

 

「チース‼あんたたちがプリキュアと鬼狩りですか?はっじめましてー」

 

「だ、誰にゃ?」

 

「あ、あれもビョーゲンズ?」

 

「自己紹介したいとおもいっます‼自分、この度ビョーゲンズ‼注目若手として新登場した‼バテテモーダっす」

 

「バテテモーダ……カピバラみたいな見た目しやがって‼」

 

「カピバラ?ネズミじゃないの?」

 

「いや、あれは海狸だ‼」

 

「何でもいいんじゃ……」

 

「と言うか伊之助と被るんだけど……」

 

「んだと‼俺は猪だ‼ネズミに負けるか‼」

 

「鬼狩りのみなさんは名前を覚えるのが苦手なようで‼任せるよ‼」

 

突撃していく伊之助の前に黒髪の少女が現れ、一瞬で投げ飛ばした。

 

「…………」

 

「あいつは!?」

 

「よそ見をするな‼」

 

更に僕らの前に下弦の鬼が現れて、拳を放つ。僕らは一旦後ろに下がった。

 

「俺は病葉‼下弦だが……舐めてかかるなよ‼」

 

「…………四鬼将 八瀬」

 

四鬼将?まさかと思うけど、酒呑や茨木と同じ…………

 

「…………あの鬼擬きは私が」

 

「いいぜ‼鬼神さまから受け取った力を見せつけてやる‼」

 

病葉がカナヲたちに向かっていき、僕は八瀬と対峙していた。八瀬は何処からともなく出した大剣で向かってくる。僕は日輪刀で受けきるが……

 

「重い‼」

 

「しっかりしないとダメ……」

 

追撃に蹴りを放つ。強い……

 

「強いけど……僕だって……」

 

僕は鬼化し、八瀬に向かっていく。

 

『漆ノ型‼雪崩』

 

「ん!?」

 

技を叩き込むが、八瀬は動じない。だけど……

 

「身体……変?」

 

「日輪刀に僕の血を塗ってあるからな。鬼神たちの鬼にも有効か」

 

「毒?」

 

僕は八瀬の胸ぐらを掴み、そのまま投げ飛ばした。

 

グレースたちの方を見るとうまく連携してバテテモーダを吹き飛ばし、メガビョーゲンと激突させる

 

「今ラビ‼ミラクルヒーリングボトルを」

 

「トリプルハートチャージ!」

 

「「届け!」」

 

「「癒しの!」」

 

「「パワー!」」

 

「「「プリキュア・ヒーリングオアシス‼」」」

 

ヒーリングオアシスでメガビョーゲンを浄化した。

 

「ははは、メガビョーゲンやられちゃったか。まぁいいや」

 

「笑ってる……」

 

「どうして……」

 

「どうして?だって自分がやられた訳じゃないからね。それにしても戦うのって超楽しい。これで終わりだと思わない方がいいっすよ。注目若手は自分だけじゃないッスから」

 

バテテモーダは以前戦ったメガビョーゲンから生まれたことを言い、そのまま姿を消すのであった。そしていつの間にか病葉も八瀬も姿を消していた

 

 

 

 

 

 

「あの下弦‼足止め役か!」

 

「それでも……強かった……」

 

「…………」

 

戦いがもっと激しくなりそうだな……でも……

 

僕はのどかたちの方を見た。みんなは挫けてない。それなら大丈夫…………だけど……

 

「…………」

 

ひなただけは深刻そうな顔をしていた。




次回はひなたifです。その後はオリストになります


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34 ライブイベント

今回からまたオリストになります。今回のオリストはオールスター回みたいな話です。

懐かしのあの人物が……


「…………」

 

ひなたの様子が気になる。大丈夫か?

 

そんなことを教室で考えていると……

 

「どうしたの?悩んでるみたいだけど……」

 

「悩みなら聞くよ」

 

「ちゆ、のどか……いや色々とな」

 

「色々?」

 

「話せたら話して……」

 

二人にそんなことを言われるが、ここはひなたにちゃんと話を……

 

「聞いて、聞いて」

 

するとひなたが大慌てで教室に入ってきた。

 

「どうしたの?ひなたちゃん」

 

「これ見てよ」

 

ひなたは一枚のビラを見せてきた。そこに書かれていたのは…………

 

「ツインラブ?」

 

「有名なの?」

 

僕とのどかは聞いたことがなく、頭に?マークを浮かべた

 

「えぇ!?知らないの!?めちゃめちゃ有名だよ‼」

 

「いや、あんまり興味とかなくって…………」

 

「私も病院にいたことが多くて…………」

 

「まぁ二人はしょうがないとして…………確かこの間家の旅館に予約が入ったけど……」

 

「マジで!?ちゆちーそう言うのは早く言ってよ~」

 

「ダメよ。サインとかもらいに行くのは……」

 

「ぶーぶー」

 

ひなたは顔を膨らませるけど……それにしてもツインラブか……中学生くらいの子と小学生くらいの子のバンド……

 

「紫乃っち、杏兄たちも誘っていこうよ」

 

「誘うって……チケットとか必要なんじゃ…………」

 

「ううん、今回のイベントはチケットとか必要ないんだって」

 

それなら誘っても良さそうだな。それに……ひなたもいつも通りだし、ちょっと安心だな。

 

「アイドルね……」

 

ちゆがこんなフリフリの服着たら似合うだろうな……

もしもアイドルにスカウトされて……イケメンと付き合い出して…………

 

「紫乃っち……何で泣きそうなの?」

 

「だ、大丈夫?」

 

「い、いや……ごめん。ちゆ」

 

「何?」

 

「僕を捨てないでくれよな」

 

「な、何言い出してるの!?そんなことするわけないでしょ……もう」

 

ちゆの言葉を聞いて安心する僕であった。

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜に、みんなにライブの話をした。

 

「ライブですか……折角だから行きましょう」

 

「でも姉さん……」

 

「大丈夫よ。もしものために備えておいた方がいいでしょ」

 

もしもって……ビョーゲンズが現れたときのためにかな?

 

「うむ‼だが楽しむことは忘れないようにな」

 

「ライブたのしみね。しのぶちゃん」

 

「……分かったわ」

 

みんなも行くのには賛成みたいだ。だけど……

 

「そのライブって奴は人が多いのか?」

 

「まぁ多いって言うか……下手すれば一万人とか……」

 

「だったら俺はパスだ。人が多いと感覚が鈍るからな」

 

伊之助らしい返答だな。

 

「まぁ人混みに行かないで、近くで聞くくらいは出来るんじゃないのか?」

 

「無理無理、こいつにはそう言うのは分からないから……それにしても……このルールーちゃんかわいいな……」

 

「善逸……倒れたりするなよ。あと無理矢理会おうとかするなよ」

 

「紫乃、たまに思うけど……お前は俺の事をどう思ってるんだよ‼」

 

「……変わった人?」

 

「返答に困ることを言うな‼」

 

何にせよ、みんな行くことで決まりかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなでライブ当日

 

伊之助は離れた場所で音だけ聞くと言うことで、途中で別れるが……

 

「ちゆちーそれで来たの?」

 

「ツインラブの二人?もちろん、ただスタッフの人も一緒にね」

 

スタッフも同じ旅館なのか……そう言うものなのかな?

 

「それじゃ楽し……」

 

「あら?のどかちゃんは?」

 

カナエさんの言葉を聞き、僕らは辺りを見渡すけど……いない。この人混みだから……はぐれたか?

 

「とりあえず……探そう」

 

この人混みだと電波も通じるかどうかだし……

 

「ペギタンたちも探して」

 

「でも見つかったら……」

 

「大丈夫。みんなステージの方に夢中だから、上を見たりしないって」

 

「確かにそうだな。よし‼ペギタン行くぞ」

 

ペギタンとニャトランは空からのどかを探しに行き、僕らも別れて探すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

のどかside

 

みんなとはぐれてしまった私とラテとラビリン。どうしよう……

 

「のどか、電話は?」

 

「通じないみたい……一回入り口に戻ろう」

 

私は人混みを掻き分けて入り口に戻ろうとするけど、中々進めない……このままだと……

 

「そこのあなた‼」

 

不意に誰かに腕を捕まれ、振り向くとポニーテールの女の人がいた

 

「あ、あの……」

 

「あぁ、すみません。困ってる様子なので……私、このライブのスタッフです」

 

優しい声の人だな……何処と無く蜜璃さんに似てる気が……

 

「どうかしました?」

 

「い、いえ」

 

「とりあえず……スタッフルームに行って、アナウンスをかけますね」

 

「すみません……」

 

「いいですよ。困ってる人を助けるのは使命ですから」

 

本当に優しい人だな……ラテも嬉しそうだし……

 

スタッフルームに行く途中、スタッフさんは無線機に出た

 

「どうかしたの?えっ?空飛ぶペンギンと猫?」

 

「!?」

 

「変わった動物じゃないの?とりあえず見張ってて」

 

ペギタンとニャトランだよね……もしかして私たちを探してくれてるのかな?

 

「今度は……誰かと担当場所を変えてくれ?うん、うん、分かったわ。気を付けて」

 

スタッフさんはため息をつく、何だか苦労してるのかな?

 

「あの……」

 

「すみません。色々と……はぁ……」

 

何か苦労してるみたいだ。

 

「いたいた。お~い、のどかっち」

 

するとひなたちゃんの声が聞こえた。見てみると紫乃くんたちも一緒だった。

 

「お友だち?」

 

「はい‼」

 

「良かったわね。合流できて」

 

「ありがとうございました」

 

私はお礼を言い、みんなのところへと行くのであった。

 

「あの子達と同じ年かな?それにしても……あいつは……」

 

 

 

 

 

 

杏寿朗side

 

のどかを探している途中、一人の男とすれ違う。この催しの関係者かと思ったが……

 

「今のは……」

 

すれ違った際に感じたのは……殺気?気になる

 

「どうかしたんですか?煉獄さん?」

 

「……今の男から感じなかったか?」

 

「……殺気ですか?」

 

しのぶも感じていたか……俺はしのぶにみんなと合流して、避難するように伝え、男の後を追う

 

 

 

 

男は人気のない森の中に入った。尾行に気づいているのか?

 

男は立ち止まると……

 

「いい加減……付いてくるのはやめないか?」

 

「!?」

 

男は振り向くと、いつの間にか刀を持っているのに気がついた。

 

日輪刀?いや、違う……

 

「すまない。少しまよ……」

 

「言い訳はいい。尾行に気づいてたから……本当に迷子なら謝るけど……」

 

男から殺気が滲み出る。この男は……一体

 

「へっ‼俺の尾行に気づくとは‼やるなお前‼」

 

すると茂みから猪頭少年が出てきた。彼も尾行していたのか……

 

「変なの頭につけて……怪しすぎだろ……話くらいは聞くから……」

 

「話?必要ねぇ‼」

 

猪頭少年が男に刀を抜き、襲いかかる。こうなった以上は俺も……

 

「はぁ……仕方ない。黙らせて話を聞くか‼」




次回はスタプリsideになります


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35 執行者と竜騎

今回はスタプリとハグプリがメインです


フレイヤside

 

ある日の事、ひかるたちからある話が出ていた。

 

「ライブイベント?」

 

「そうなの。はなちゃんたちに誘われたんだ~」

 

聞きなれない名前……誰だろうか?

 

「ひかる様、そのはな様とは?」

 

「ちょっと前に知り合った子だよ」

 

「フレイヤとサレナとユニと出会う前ルン」

 

「へぇ」

 

「彼女たちもまたプリキュアだもんね」

 

「懐かしいですね……」

 

どんな子なのかちょっと興味が湧くけど……

 

「「「はぁ……」」」

 

何故かひかる以外がため息をつく。そんなため息をつかれる子なの?

 

「何でため息ニャン?」

 

「んーと、そのはなちゃんの友達……ちょっと口が悪いと言うか……」

 

「口が悪いどころじゃないプルンス!?フワが一時期真似して大変だったプルンス!?」

 

何か大変だったみたいね。私はチラシを受けとり、そこに写った二人の少女を見た。可愛らしい子ね……

 

「お嬢様……」

 

「フレイヤは別の意味で教育に悪いニャン」

 

ユニに失礼なことを言われつつ、みんなでライブイベントに行くことが決まるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ミナトside

 

「ライブのスタッフ?」

 

「はいなのです。ルールーが一時的にこちらにいるうちにやるのです。そのイベントの警備などをミナトさんたちにお願いしたいのです」

 

えみるからの突然の依頼。

いろんな事が終わったあとに何でも屋的なものを始めた俺たち。まさかえみるから依頼が来るとは……

 

「ミナトくん、いいでしょ。私からもお願い」

 

はなにも頼まれるが、別に断る理由がないし……

 

「セリュー、引き受けてもいいよな」

 

何でも屋の副リーダーの役職をもったセリューに聞くとセリューは頷いた。

 

「そうね。引き受けましょう」

 

「だそうだ」

 

「ありがとうございますのです」

 

「良かったね。えみる」

 

えみるとはなは嬉しそうにしていた。まぁこの笑顔を見れるならな……

 

「所でさ……」

 

するとほまれがあることを聞いてきた。

 

「何でハリーに関節技極めてるの?」

 

俺の下には関節技を極められたハリーがいた。いい加減離しておくか

 

「いや、急に襲いかかってきたから……反射的に」

 

「ハリーはどうしてそんなことを?」

 

「うぅ……聞いてくれ、さあや……この馬鹿に説教をしようとな……」

 

「説教?」

 

「こっちに戻る都合ではぐたんが赤ん坊になってるだろ」

 

「そういえばそうだね」

 

時空間の移動の影響で、こちらの時代ではキュアトゥモローではなく、はぐたんに戻ってるらしい。

 

「それと俺が襲われる理由にはならないだろ」

 

「まぁ聞けや。キュアトゥモローなんやけど…………めっちゃ口が悪くなってるんだよ」

 

「「「ミナトくんのせいだね」」」

 

「ミナトさん……」

 

「確率的にミナトの影響を受けていますね」

 

何でみんなして俺のせいにしてんだよ

 

「例えばどんな感じなんだ?」

 

「まぁ敵に対して容赦なく急所を攻めて……『葬りますね』って笑顔で言ったり……」

 

葬るはアカメの影響だろ……

 

「敵に挑発するときなんか…………『すみません、どちらの方か知りませんが……その汚ならしい姿を見せないでください。あなたはピーでピーなんですか?』って……」

 

「…………ちゃんと耳を塞がないのが悪い」

 

「いや、ほぼ原因はあんただからね」

 

「まぁミナトの場合は狙ってやってるし……はぐたんもそこら辺見習ってるんじゃ……」

 

「見習うところを間違ってるんや…………」

 

それにしても……別にはぐたんに言い聞かせてないし……未来で何かしら教え込んだのか?

 

「でも……人数足りるかしら?」

 

「大きいイベントだからな……」

 

いくら俺たちでも何とかするのは難しいよな……

 

「そちらは大丈夫かと」

 

ルールーがそう言いながら、端末を取り出した。何処かに連絡するのか?

 

「今回の時空間の移動であちらと一時的に繋がりました。連絡も取れるとドクターより聞いております」

 

と言うことはあっちから助っ人か…………頼んでみるか

 

「ルールー頼めるか?」

 

「はい」

 

 

 

 

 

 

 

当日、助っ人に呼ばれたのは…………

 

「タツミ、ウェイブは分かるけど……何でエスデスとメラルドの二人もいるんだよ……」

 

警備やらイベントの手伝いに、最強の二人が来るのはおかしくないか?

 

「たまたまメラルドと一緒でな」

 

「二人でお茶をしていたらね」

 

お茶をするほどの中になってるのか…………

 

「とりあえず二人はえみるの警護を……」

 

「いやいや、ミナト!?突っ込めよ」

 

「もう少し何かしら言うことがあるだろ」

 

タツミとウェイブの二人がそんなこと言うけど……

 

「突っ込んだら負けだよ。二人とも……」

 

もう諦めるのであった。

 

「こっちよ」

 

ため息をついていると、サヨがひかるたちを連れてやってきたけど……見知らぬ三人の少女がいる。と言うか猫耳?

 

 

 

 

 

 

 

フレイヤside

 

ひかるたちと一緒に舞台裏に来た私たち。そこには数人の女の子たちと男が一人…………

 

だけど私は男よりもえみると言う子の近くにいる黒髪の女性が気になる。彼女からは私と同じ趣向を持ち合わせている‼

 

彼女も私に気がつき…………

 

「メラルド・オールベルグだ」

 

「フレイヤよ」

 

お互いに握手を交わす。そして…………

 

「「貴女とは仲良くなれそうね」」

 

「何か嫌な結束が生まれたニャン…………」

 

ユニがため息をつくのであった。

 

「とりあえず俺たちは警備を始めるけど、ひかるたちにも手伝ってもらうか」

 

「私たちに?」

 

「まぁ起こらなければいいけどな」

 

彼の提案は……なるほどね。色々と警戒してるのね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミナトside

 

会場を見回りしている中、いつも通りにすれ違う人に対して殺気を出していた。大体の人は気に止めないけど……

 

「ん?」

 

誰かに付けられている?とりあえずセリューに連絡して、人気のない所に行くか。

 

 

 

 

そして現在、後を付けていた男と猪のかぶり物の男と対峙していた。

 

何だか誤解されているけど…………

 

「掛かってこい‼」

 

俺は村雨を構えると、後を付けていた男は不思議そうな顔をしていた。

 

「抜かないのか?」

 

「抜くかどうかは試してからだ」

 

大きく振り、二人は避け、すぐに攻勢に回る

 

『炎の呼吸‼壱ノ型 不知火』

 

『獣の呼吸‼壱ノ牙 穿ち抜き』

 

二人の攻撃を避け、カウンターを放つが、二人は避けるが、追撃に蹴りを放つ。二人は刀で受ける

 

「意外とやるな」

 

「猪頭少年、気づいたか?」

 

「あの野郎‼抜かずに戦うなんて、嘗めていやがる‼」

 

「そっちではない。彼は俺たちとは違う……」

 

「違う?」

 

「彼は…………」

 

「話してる余裕あるのか?」

 

とりあえず隙を突く。尾行していた男はかぶり物の男を庇い、前に出て防ごうとするが、俺は寸前で止める

 

「何故止める?」

 

「刃を交えて分かったんだよ。あんたらは悪い奴じゃない」

 

俺は村雨をしまうと、かぶり物の男は怒っていた。

 

「てめぇ‼逃げるのか‼」

 

「こっちは仕事があるんだよ。一応怪しい奴は撤回しておく。ライブ楽しんでくれ」

 

「…………分かった。猪頭少年、戻ろう」

 

二人はその場から離れ、俺は無線機でセリューに連絡を入れた。

 

「こっちは終わったから戻る」

 

『ミナト!?プランβ』

 

プランβ?まさかと思うけど…………

 

「怪しい奴はいなかったはずだ」

 

『既に仕掛けられていた。会場を覆うようにね……ミナトは早く会場に戻って‼』

 

全く……緊急事態なんか起こるなよ

 

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

入れ口に戻ると、杏寿朗さんが伊之助を連れてやって来た

 

「何かあったんですか?」

 

「何、少し勘違いをしてな。これで全員合流したか?」

 

「煉獄さん……」

 

「しのぶ、大丈夫だ」

 

何かあったのか気になるけど、終わったことみたいだから深くは聞かない方が…………

 

「…………師範!?」

 

突然カナヲが何かに気が付いた。その瞬間、地響きが起きた。

 

「これは!?」

 

「ステージの上に鬼が……あの姿は多分鬼神の……」

 

カナヲは目がいいから、見えたのか。僕らは急いで会場に戻ると、会場には大量の壺を着けた化け物がいた

 

「上弦の鬼か!?」

 

「紫乃!?」

 

「ちゆたちは…………」

 

会場の人たちを守れと言おうとしたが、何故か観客が全くいなかった。食われたのか?でも血とかないし……

 

「一体……何が……」

 

「ほう……我々に気がつき、逃がしたか」

 

すると僕らの前に金髪の鬼が一人現れた。

 

「お前は……」

 

「金地鬼。元四鬼将だ。お前らを殺して俺は返り咲く‼さぁゲームだ‼このイベントの出演者を俺が殺す前に止めてみろ‼」

 

金地鬼が消えた瞬間、壺の化け物が僕らに襲いかかる。のどかたちは直ぐ様プリキュアに変身し、僕らも迫り来る化け物を倒していく。

 

「数が多い‼」

 

「もう折角楽しみにしてたのに‼」

 

「早く片付けないと……」

 

「……紫乃くん!?」

 

突然空から何かが落ちてきた。あいつは……

 

「久しぶりだな。小僧‼そして杏寿朗‼!‼‼」

 

「「猗窩座!?」」

 

こいつまで来ているのかよ!?

あの時よりかは強くなったはずだけど……まだ僕には……

 

「紫乃、みんなは先に行け‼こいつは俺が相手する‼」

 

「でも……」

 

「安心しろ‼死ぬ気はない」

 

杏寿朗さん…………僕は杏寿朗さんを信じて、先へと進む

 

 

 

杏寿朗side

 

猗窩座と対峙するが、何故か猪頭少年と黄色い髪の少年が残った

 

「足止めなら一人じゃなくてもいいだろ」

 

「って伊之助!?離せよ⁉」

 

「いいからこいつを倒すぞ‼」

 

「他の奴等がいるが、まぁいい‼」

 

『術式展開‼羅針』

 

猗窩座は足元に雪に結晶のような術式を展開した。

 

「二人とも…………一気に攻めるぞ‼」

 

「来い‼」

 

『破壊殺‼砕式‼万葉閃柳‼』

 

地面を一瞬で砕く。俺たちは後ろに避け

 

『炎の呼吸‼伍ノ型‼炎虎』

 

『捌ノ型 爆裂猛進』

 

『壱ノ型 霹靂一閃』

 

三人の同時攻撃。猗窩座は笑みを浮かべ、

 

『破壊殺‼乱式』

 

全ての攻撃を弾き、更に追撃として

 

『破壊殺‼脚式‼流閃群光‼』

 

何発もの蹴りが俺たちを襲う。猗窩座はあの日戦ったときより……強くなっている!?

 

「この程度か……いや、守るものが多く意識が俺に向ききってないのか‼」

 

無意識にそうなっていたかもしれない。知れないが…………猗窩座に読まれるとは…………

 

「つまらんが……杏寿朗‼全てを守ってみろ‼」

 

『破壊殺‼終式‼』

 

今までとは違う……こいつは……

 

「避ける?いや……全て弾……!?」

 

 

 

 

 

 

猗窩座side

 

終式を放とうとした瞬間、杏寿朗の視線は俺に向いていなかった。よそ見?

 

だがそれは残りの二人もだ。俺の……後ろを見ている?

 

突然羅針に闘気を感知した。それと同時に殺気も…………

 

後ろを見た瞬間、刃が首に迫っていた。この刀は日輪刀ではない。だが本能が避けろと命じる。この距離で避けるのは無理だ‼なら…………

 

自分で自分を殴りその衝撃で避ける

 

「彼は……!?」

 

「あの野郎‼」

 

「……誰?」

 

「観客は逃がしたから、後は片付けるのみ…………」

 

男の手には禍禍しい刀が握られていた。男は刀を俺に向け……

 

「お前があの化け物を従えてるのか?ならお前の計画は終わりだよ」

 

「貴様……何者だ‼」

 

「ナイトイェーガーズ‼龍騎‼ミナトだ‼」

 




簡単な紹介

スター☆トゥインクルプリキュア 星の執行者

https://syosetu.org/novel/218972/

主人公

フレイヤ

プラネットパレスの執行者の一人。

星の寿命等を管理し、星の命を守る存在

スターパレスのプリンセスたちとは知りあいである

プラネットペンを用いて戦うが、生身での戦闘力も高め。

白髪で、見た目は14歳くらい

女の子が好きなためか、ユニにツッコミを入れられている。


HuGっと!プリキュア 竜騎の暗殺者

https://syosetu.org/novel/151203/


ミナト・ユウ
 
ある世界で腐った国を変えるために革命軍の『ナイトレイド』と呼ばれる組織に入った男。

ある戦いにて異世界に転移し、プリキュアたちと出会い、共に戦うことになった。
戦いの中でえみると結ばれ、愛の力にて世界を救った存在でもある

戦闘においては相手を挑発したりするため、年齢が低い人たちには聞かせられないことを言い、仲間に呆れられたり、怒られたりもしている。

はなの家に居候し、ルールーと同室。えみるの婚約者

仲間から受け継いだ帝具『一斬必殺 村雨』を所持しているが…………

次回はミナトVS猗窩座になります


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36 龍騎

プランβ

 

武装集団やら何やらの悪意を持った人間が会場に現れた際、観客に安全に避難をしてもらいつつ、速やかに排除すること

 

今回はひかるたちにも手伝ってもらい、すぐに終わるものだと思っていたが、出てきたのが化け物だとは…………

 

まぁこっちは遠慮なく排除出来るからいいけど……そんなことを思っていると、さっきの奴等が謎の人物と戦っていた。

 

すかさず助けに入るけど、まさか自分で自分を殴って回避するなんて…………おまけに傷も再生してるし…………

 

「ナイトイェーガーズ?知らないが……お前に興味が湧いた‼俺は猗窩座‼」

 

猗窩座が蹴りを放ってくる。俺はそれを避け、横に村雨を振る。猗窩座はそれを白羽取りしようとするが、また回避する。

 

回避した瞬間、追撃の突きを放つが、しゃがんで避ける

 

「はえぇ…………」

 

「あのミナトと言う男…………やはりか」

 

「やはりって?」

 

「…………剣士の動きではない」

 

俺は鞘と村雨を挟み込むように猗窩座に振る。猗窩座は鞘の一撃を掴み、村雨の斬撃が襲う前に、俺を投げ飛ばす。俺は着地した。

 

「面倒だな……」

 

「……ミナトと言ったな。少し戦って分かった‼お前は普通の剣士とは違う」

 

何故か笑みを浮かべる猗窩座。なんと言うか楽しんでるのか?

 

「貴様は斬る瞬間のみ闘気を出す。そして動きも普通の奴等とは違う。ただ人を殺すためだけの動きだ」

 

「…………まさか分かるとはな」

 

 

 

 

 

杏寿朗side

 

やはりか……あのミナトの動き……戦うために鍛えられたものではない。言うなれば暗殺者としての動き方だ

 

だからこそあの殺気……

 

「そしてその刀……毒が塗ってあるな‼それも俺たちみたいな鬼に対して大きく効果的だ‼」

 

「そこまで分かるなんてな。お前の言う通りだよ。村雨は一斬必殺。㎜単位で切られても毒は身体を周り…………死に至る」

 

「解毒も不可能みたいだな」

 

「毒は毒でも呪毒だよ」

 

「お前の攻撃を避ければいい話だ‼」

 

奴の言う通り、攻撃が当たらなければ、どんなに強力な毒も意味がない。

どうする気だ

 

「…………このまま続けたら、こっちの体力切れになるし…………やってみるか」

 

ミナトは刀を納めると、右手を前に突き出し、身体中から白いオーラが現れた。

 

 

 

 

 

 

 

ミナトside

 

あの時の戦いから愛の奇跡の残滓が使えるようになった。

 

だけどえみると過ごしていくうちにあることを理解した。

 

愛を育み続けてきた結果、愛の奇跡の残滓の使い方を更に理解した。

 

「来い‼レガオン‼」

 

白いオーラを一つにまとめ、一本の剣を作り出す。

 

これはあの戦いで失った俺の帝具。

 

「武器を二本にしたところで‼」

 

「何勘違いしてる‼奥の手‼」

 

俺の身体を鎧で包み込む。これが呉越竜騎レガオンの奥の手。

 

「鎧を纏った所で‼」

 

猗窩座の拳と俺の拳がぶつかり合う。

 

『破壊殺‼乱式‼』

 

強力な連打が襲いかかる中、俺は全て拳で打ち返す

 

「お前相手ならこっちの方がやり易い‼」

 

「殴り合いが好みか‼」

 

「ほら、お前らは早く行け‼」

 

俺は戦いを見守る三人に対してそう告げる。見ている暇があるなら、残りの化け物を片付けてほしい

 

「任せていいのか?」

 

「あぁ‼」

 

「ならば二人とも行こう‼」

 

三人が直ぐ様駆け出す。

 

「まだ本気ではないな‼本気を出せ‼」

 

「お前が満足するならな‼」

 

『破壊殺‼』

 

何度も拳を打ち合う。互いに殴っては殴り返すを繰り返す。

 

「人の身で耐えきれるのか‼」

 

「耐えきれる‼戦う理由があるからな‼」

 

「戦う理由だと‼」

 

「お前にもあるだろ‼そこまでして戦う理由が‼」

 

「!?」

 

猗窩座は俺の顔を殴る寸前で拳を止めた。

 

「…………俺の戦う理由……」

 

「ないのか?」

 

「…………興が逸れた。あの鬼に頼まれた仕事は終わりだ」

 

猗窩座はそう言い残して、姿を消した。俺は奥の手を解き

 

「何だったんだ?まぁいいや、みんなと合流するか」

 

 

 

 

 

 

 

 



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37 ざまぁみろ

今回の話…………童磨好きの人は、おすすめしません


ステージ裏に行くが既に逃げていたか

 

「まぁいい。鬼狩りを殺せれば…………」

 

「いいのかい?」

 

何処からともなく現れた童磨。出撃するなと言われてなかったか?

 

「手伝ってやろうと思ってね。ほら、俺って仲間思いでしょ」

 

くだらない妄言。まぁいい。

 

「ならここにいないで女でも殺してこい」

 

「はいはい」

 

 

 

 

 

 

 

童磨side

 

目標を探していると直ぐに見つけた。逃げ回っていると思っていたのか立ち止まっていた

 

「お嬢さん、こんなところで何してるんだい?」

 

「えっ?」

 

「まぁいいや。君を殺して…………いや、君を食わせてもらうよ」

 

久しぶりの人の肉、楽しみだ

 

「待ちなさい‼」

 

不意に現れたの……

 

「あれ?カナエちゃんとしのぶちゃんとカナヲちゃんじゃないか。久しぶり」

 

「貴方は……まだこんな悲しいことを……」

 

「その子に指一本も触れさせない‼」

 

日輪刀を構える三人。こんなに食事が出来るなんて……最高だよ。

 

「君たちの相手はこの子を食べてから‼」

 

目標の少女は怯えて動けないでいた。可哀想に……直ぐに救ってあげるよ‼

 

少女に触れようとした瞬間、両目に針が突き刺さる。

 

「つぅ!?」

 

「汚い手で触らないで欲しいわね」

 

少女の姿がみるみる内に変わる。小さな女の子が別人に…………

 

「やれやれ、囮役も大変ね。もしもしはな?こっちは釣れたからミナトと合流して」

 

何だ?この女は……それに身体に何かの毒が流し込まれてる。

 

「初対面に毒針なんてひどいな~」

 

「効いてない?おまけに傷も治ってる!?」

 

「こんなこと初めてだよ、でもいいね。君も食べてあげるよ」

 

「はぁ、大人しく毒で死んでればいいのに…………私はナイトイェーガーズのチェルシー」

 

「チェルシーか。俺は童磨。優しいね自己紹介してくれるなんて」

 

「ふふ、冥土の土産よ」

 

 

 

 

 

しのぶside

 

色々と困惑するしていた。姿を変えた彼女……何かの特殊能力なのかと思っていると、当然童磨の両腕が切り落とされる

 

「あれ?」

 

「ふむ、再生するのか……」

 

「どこまで再生するか楽しみね」

 

気がつくと水色の髪の女性と黒髪の女性が二人並んで立っていた

 

「誰?まぁ誰でもいいか。君たちみたいに突然切りかかる子は…………」

 

口を剣で突き刺す。この人……容赦ない

 

「人が話してるのに…………うぐっ!?」

 

童磨の身体から無数の虫が身体を突き破って出てくる

 

「これでも死なないわね」

 

「これは楽しめそうだ‼」

 

二人の女性は笑みを浮かべる。何故かこの人たちの笑みは…………恐怖を感じる。

 

『血……』

 

童磨が血鬼術を発動しようとするが、童磨の身体が気がつかないうちに切り刻まれる。

 

「早い!?」

 

「ううん、早いんじゃない…………私の目でも捉えきれないもの」

 

「純粋な早さじゃなく…………」

 

「可哀想に……だから毒で死んでおけばいいのに…………というか制限とかなしなのね」

 

チェルシーと呼ばれる少女は呆れながらそう告げる。童磨の顔は今まで以上に焦った顔をしていた。

 

「メラルド、お前も……」

 

「あら?気がついていたの?」

 

「お前のことだ。力をつけているはずだ」

 

「そうね……皇具のお陰で新しい子供が出来たのよ。貴方に対抗するために」

 

「ならば……後はやるしかないな」

 

「えぇ」

 

「こ、こんなことって…………」

 

童磨は恐怖に満ちた表情を浮かべるのであった。正直言うと…………ざまぁみろね

 

 

 

 

 

 

 

 

フレイヤside

 

とりあえず化け物を退治していく私たち四人。ひかるたちは大丈夫だろうか……

 

「心配ね」

 

「ってのんびりしてる場合かよ‼」

 

「こっちを手伝ってくれ」

 

「お嬢様……もう少しやる気を出してください」

 

タツミ、ウェイブ、サレナの三人に注意される中、一つの壺が私たちの前に現れた

 

「ヒョッヒョッヒョッ、まさかこんな事になるとは…………だが私が来た以上は……」

 

壺から変なのが出てきたけど、とりあえずデスサイズで切っておくけど、別の場所に移動していた。

 

「いきなり切りかかるとは…………最近の小娘はダメだな」

 

「…………」

 

「こいつ!?」

 

「化け物を産み出していたやつか‼」

 

「厄介ですね。ある程度ボコボコにしないとダメそうですね」

 

「ヒョッヒョッ…………何か一人だけ変なこと言ってないか?」

 

サレナは直球ね…………

 

「まぁいい‼貴様らは私の獲物だ‼全員ぶっ殺し…………」

 

「臭うわね…………生ゴミの臭いがするわ」

 

私がそう告げた瞬間、タツミ、ウェイブは「こいつもか…………」と言う反応し、サレナは呆れた顔をし…………

 

「生ゴミ?それは…………」

 

「あぁ貴方のその壺から臭うわね。全く酷い臭いね」

 

「……き、貴様に……」

 

「あら?キレるの?ふふ、短気ね。貴方、偉そうにしてるけど……下っぱかしら?」

 

壺の化け物から何かが切れる音が聞こえるけど…………これぐらいで切れるなんて本当に下っぱかしら?

 

「さぁ雑魚狩りで飽き飽きしてたから、ストレス発散させてもらうわね」

 

私は笑顔でそう告げるのであった。




次回は紫乃たちに戻ります


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38 圧倒的な力

グレースたちと一緒に舞台裏に行くとそこには金地鬼の姿があった。

 

「来たか」

 

「間に合ったのか?」

 

「多分……」

 

「この鬼が来る前に逃げたのよ‼」

 

「もうせっかく楽しみにしてたのに‼ライブめちゃくちゃにして」

 

グレースたちがそう言う中、僕は鬼化して玄弥の前に腕をつきだした。

 

「僕の腕で悪いけど……」

 

「必要ねぇよ。と言うかお前のはどんな感じになるか分からないから止めとく」

 

「もうここまで追い込んだんだから覚悟しなさい‼」

 

蜜璃さんが日輪刀を抜き、

 

『恋の呼吸‼壱ノ型初恋のわななき』

 

技を放つが、金地鬼は刃を受け止める

 

「!?」

 

「ほう、面白い刀だな。それに使用者も中々の力を持っているが……弱い‼」

 

金地鬼が引っ張った瞬間、蜜璃さんの身体が浮き上がり、投げ飛ばされる

 

「つっ!?」

 

蜜璃さんは受け身をとるが投げ飛ばされたことにたいして驚いていた。

 

蜜璃さんは見た目以上の力持ちなのに……力負けしたのか?

 

「この程度か。柱と言うものは」

 

「な!?まだ本気出してないだけだから‼」

 

『弐ノ型‼懊悩巡る恋』

 

高速の斬撃が金地鬼に迫るが、金地鬼は斬撃を避け、蜜璃さんに一瞬で近づき、みぞうちに一撃入れる。

 

「かはっ!?」

 

蜜璃さんはお腹を押さえて、その場に座り込む。僕は急いで血鬼術で治そうと駆け寄ろうとするが……

 

「敵に背を向けるのか?」

 

金地鬼の鋭い一撃が叩き込まれ、地面に転がされる。何とか立ち上がろうとするが、踏まれて押さえつけられた。

 

「ぐっ……」

 

「お前が相手してきた奴等は加減していたみたいだな。悪いが俺は手加減はせずにお前を殺す‼」

 

「ハアアアア‼」

 

グレースたちが攻撃を繰り出すが、金地鬼は人さし指一つで三人の拳を弾き、吹き飛ばす

 

「プリキュアか……お前らは抹殺対象ではない。大人しくしていろ」

 

「ちっ‼」

 

「そこのお前もだ」

 

銃を構えて撃とうとしていた玄弥だが、金地鬼が軽く腕を振っただけで、顎に一撃を喰らった

 

「玄弥!?」

 

「まずはお前らを殺したあと、他の奴等を殺す。上弦との戦いで弱っているだろうしな」

 

「あなた……そこまで強いのに……何で……」

 

「確実に殺すためなら……何でも使う‼それだけだ‼」

 

金地鬼の言葉を聞き、グレースは立ちあがり……

 

「何でもって……このイベントを無茶苦茶にしたのも……ただあなたの目的のために?そんなのおかしいよ」

 

「小娘が……いい加減黙れ‼」

 

金地鬼が両腕を振り、グレースたちを吹き飛ばし、三人の変身が解けてしまった。

 

「みんな!?」

 

「先ずはお前だ‼プリキュアもお前の亡骸を見て……どんな反応をするだろうな」

 

「僕は死なない……そんなことも……」

 

「死ぬまで殺せば……死ぬだろう」

 

金地鬼が大太刀を抜き、僕の首を切ろうとかかげた。

 

「さぁ、何度目で死ぬかな?」

 

「紫乃!?」

 

金地鬼が大太刀を振り落とす。もうダメかと思った瞬間……

 

『壱ノ型‼不知火』

 

斬撃が金地鬼の腕を切り落とす。金地鬼は斬られた瞬間、後ろへ下がった。

 

「うむ‼待たせたな」

 

「杏寿郎さん……」

 

杏寿郎さんに伊之助と善逸も駆けつけてきた。

 

「無事とは言えないが……間に合ったな」

 

「杏寿郎さん……奴は強いです。さっきまで戦ったばかりじゃ……」

 

「紫乃、俺たちは大丈夫だ‼」

 

「あの暗殺野郎に任せてきたからな」

 

暗殺野郎って……誰?

 

「ほう、上弦を相手に逃げてきたのか‼」

 

「逃げてねぇよ‼」

 

伊之助が怒ってるけど……本当に何があったんだ?

 

「だが人数が増えたところで……」

 

「お待たせしました。大丈夫ですか?」

 

するとしのぶさんたちも駆けつけてきたけど……何か機嫌がいいのは気のせいかな?

 

「師範……」

 

「しのぶ、もう少し感情を抑えないとダメよ」

 

「ふふ、あのくそ野郎の恐怖に引きつった顔……最高だったわ」

 

本当に何があったんだ……

 

「……誰一人鬼狩りを殺せないとは…………ガッカリだ‼」

 

金地鬼の筋肉が膨れ上がり、顔付きも変わっていき、巨大な尻尾も生え始め、怪物のような姿になった。

 

「まぁいい‼ここで全員ぶっ殺す‼」

 

巨大な腕を上げ、僕らを叩き潰そうとするが……

 

「「ハアアアア‼」」

 

天井を突き破り、二つの何かが金地鬼の頭をぶん殴った

 

「あの壺‼何処に逃げたのよ‼」

 

「間に合ったか」

 

大鎌を持った少女と鎧を纏った男が並び立っていた。

 

「生きていたのか」

 

「ん?さっきの……それでこの怪物が元凶か?」

 

「逃げられたのね‼あの壺‼今度会ったら粉々にしてやるんだから‼」

 

何か変わった人たちだけど…………誰なんだ?

 

「ミナトくん」

 

「フレイヤ」

 

するとのどかたちの所に見知らぬ少女たちが駆け寄っていた。

 

「あ、あなたたちは?」

 

「ごめんね。みんなを避難させていたから」

 

「でも私たちが来たからにはもう大丈夫‼」

 

大丈夫って……相手は化け物なのにどうするんだ?

 

「ダメ……あの怪物は…………」

 

「大丈夫‼私たちプリキュアだから」

 

「あなたもだよね」

 

「プリキュア……」

 

駆けつけてきた少女たちが並び立ち、のどかたちも並び立つ

 

「みんな‼行くよ」

 

『うん‼』

 

「「「「「ミライクリスタル!ハート、キラっと!」」」」」

 

「輝く未来を抱きしめて!!みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

 

「輝く未来を抱きしめて!!みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

 

「輝く未来を抱きしめて!!みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

「「輝く未来を抱きしめて!!みんな大好き!愛のプリキュア!」

 

「キュアマシェリ!」

 

「キュアアムール!」

 

「「「「「HUGっと!プリキュア!」」」」」

 

「宇宙に輝くキラキラ星‼キュアスター‼」

 

「天にあまねくミルキーウェイ‼キュアミルキー‼」

 

「宇宙を照らす‼灼熱のきらめき‼キュアソレイユ‼」

 

「夜空に輝く‼神秘の月あかり‼キュアセレーネ‼」

 

「銀河に光る‼虹色のスペクトル‼キュアコスモ‼」

 

「「「「「スター☆トゥインクルプリキュア‼」」」」」

 

「私たちも‼」

 

「「「スタート」」」

 

「「「プリキュアオペレーション」」」

 

「「重なる二つの花!キュアグレース!」」

 

「「交わる二つの流れ!キュアフォンテーヌ‼」」

 

「「溶け合う二つの光‼キュアスパークル‼」」

 

「「「地球をお手当て‼」」」

 

「「「ヒーリングっとプリキュア‼」」」




次回辺りでオリストも終われるかな?


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39 戦いの終わりと忌み子

今回でオリスト終了です


巨大化した金地鬼。僕らは一斉に動き出す。

 

「オラッ‼」

 

鎧を纏った男が金地鬼の顔を殴るが金地鬼は微動だにしない

 

「この程度‼効くも思ってるのか‼」

 

「硬いな‼だけど‼」

 

鎧が形を変え、狂暴な姿に変わる。

 

「狂竜騎‼」

 

もう一度殴った瞬間、金地鬼がぐらつく

 

「この程度で俺を倒せると思ってるのか‼」

 

「俺一人じゃ難しいけど……」

 

「プルートエンド」

 

大鎌の一撃が更に金地鬼にダメージを与える

 

「なるほどね。硬い皮膚を持ってるみたいだけど…………」

 

連撃を与え続けると、金地鬼の額が少し砕ける

 

「同じ場所に攻撃を繰り出していけば、砕ける‼」

 

「このまま倒せると思うな‼」

 

巨大な腕を振る。玄弥を倒したあの技か?

 

するとフレイヤは大鎌を回転させると、何かを弾く音が響いた。

 

「なるほどね。皮膚とか爪を飛ばしていたのね。種さえわかれば防げるわ」

 

「ち‼」

 

金地鬼の攻撃を見破ったのか‼

 

「それと…………よそ見してたらダメよ」

 

「「「ハアアアア‼」」」

 

スパークル、ソレイユ、セレーネ、エトワールが額に蹴りを喰らわす。

 

「ぐううう‼」

 

「攻撃を受け止めない?」

 

「受け止める?」

 

蜜璃さんがそう言うと、ミナトは少し考え込んでいた。

 

「なるほど…………集中できないのか?」

 

集中って…………

 

「そこの……えっと」

 

「煉獄杏寿郎だ。ミナトと言ったな。どうすればいい?」

 

「先に攻撃くわえてくれ‼」

 

「うむ‼」

 

『炎の呼吸‼玖ノ型‼煉獄』

 

凄まじい轟音と共に金地鬼へと向かっていくが、攻撃が当たる寸前で刃が掴まれていた

 

「このてい…………ぐっ!?」

 

気がつくと金地鬼の腹部に一撃を入れているミナトの姿があった。何で杏寿郎さんの一撃を止められてミナトの一撃を?

 

「お前の能力かどうかわからないけど…………認識した相手の動きを遅らせるみたいだな‼」

 

認識した相手の?じゃあ……

 

「私の攻撃を止めたのは……その力で?」

 

「効果範囲は目の前の相手のみ…………姿さえ見えなければ……意味がない‼」

 

更にもう一撃蹴りを喰らわせ、宙へと浮かんだ。

 

その先にはフォンテーヌ、ミルキー、アンジュの三人が待ち構え、同時にパンチを喰らわせる。

 

「ぐうううううう!!!」

 

「種さえわかればどうってことないわね。そっちの彼は見てるだけ?」

 

フレイヤは僕の方を見た。見ているだけで終わるつもりはない‼

 

僕は鬼化し、グレース、スター、エール、マシェリ、アムールと共に金地鬼に攻撃を喰らわせていく。

 

『雪の呼吸‼漆ノ型‼雪崩』

 

みんなの一撃で金地鬼の額が割れると、追撃に

 

善逸たちの技が放たれる

 

『霹靂一閃』

 

『切細裂き』

 

『真靡き』

 

『恋猫しぐれ』

 

『徒の芍薬』

 

『渦桃』

 

全員の技が額に当たり、金地鬼の身体にヒビが入る

 

「とどめだ‼」

 

「終わらせるわね」

 

「行くぞ‼」

 

僕、ミナト、フレイヤの三人の同時攻撃で金地鬼の身体が砕け散った。これで終わりなのか?

 

「逃げられたか」

 

「そうみたいね」

 

二人がそんなことを言っていた。逃げられたって…………追わなくて…………

 

急に意識が途切れた僕はそのまま倒れ込むのであった。

 

 

 

 

 

 

 

金地鬼side

 

ギリギリのところで逃げたが…………まだ終わりじゃない‼邪魔物が多すぎただけだ‼

 

「次こそは…………」

 

「お前に次はあるのか?金地鬼」

 

目の前には茨木がいた。俺を処分しに来たのか…………

 

「悪いがお前では俺には勝てん‼」

 

「お前を処分するのは俺ではない‼」

 

茨木がそう告げた瞬間、俺の首が切り落とされた。

 

「なっ!?お、お前は…………」

 

「…………」

 

「すまないな。お前の手を借りて」

 

「別に……俺はライブをめちゃくちゃにしたこいつが気に入らないだけだ。そっちはそっちでやりたいことやりな」

 

「ふっ、お前も戦いに参加すればいいのに、なぁ忌み子」

 

「俺は忌み子じゃない‼」

 

「そうだったな。そう言われるのは嫌がるもんな」

 

 

 

 

 

 

 

 

ミナトside

 

戦いが終わり、逃げた敵を探していると、近くの森に白い灰があった。

 

「死体は残らないでいいのか?」

 

「処分されたみたいね」

 

後ろを振り向くとそこにはフレイヤの姿があった。フレイヤも探していたのか

 

「今回はお互い本気を出さなかったけど……それは良かったのかしら?」

 

「まぁな。後は戦いのあとに眠ったあいつの役目だろ」

 

俺はレガオンを消す。今回みたいなイレギュラーは勘弁してほしいな

 

「それで?ライブは?」

 

「また今度だな。まぁその時は何もなければいいけど…………」

 

「フラグね」

 

フラグ言うなよ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

目を覚ますとちゆの顔がすぐに目に入った。

 

「僕……」

 

「疲れが出たんじゃないかって…………」

 

「心配かけて悪い…………と言うかずっと膝枕してくれたのか?」

 

「えぇ、紫乃の寝顔見れたから良かったわ」

 

笑顔で言うことなのかな?僕は身体を起こした。

 

「みんなは?」

 

「帰ったみたい。私は紫乃が起きるまでいるって言ったから……」

 

「ありがとう……ちゆ」

 

それにしても凄い戦いだった。あの金地鬼……強かった……下手すれば僕らは全滅していた。

 

「強くならないとな……」

 

「紫乃……無理はしないでね」

 

心配そうにするちゆ。無理をするなか…………したらちゆが泣きそうだな

 

「ちゆを悲しませないように頑張るよ」

 

「信じてるよ」

 




とりあえず一旦本編は止まります。プリキュア再開したら本編書きます

ifはのんびり更新しますもまた最後ら辺に出てきた忌み子は後々始める予定のもう一人の主人公ですので、そちらもお楽しみに


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40 合間の話

鬼滅の刃最終回迎えたので、その記念と言うべき合間の話です


鬼舞辻を倒して数ヵ月後

 

産屋敷邸で実弥と義勇の二人は当主である輝利哉の前にいた。

 

「戦いが……続くですか?」

 

「あぁ」

 

「鬼舞辻を倒し、鬼も全て消滅したと言うのに…………」

 

実弥もまた義勇の疑問に同意していた。これ以上戦うことはないはずなのに…………

 

「先代曰く別世界での戦いは続く。その戦いが終わらない限りは……と言うことですよ」

 

別世界?輝利哉は何を言っているのか理解できない二人。輝利哉は更に話を続けた。

 

「覚えているだろうか……上弦の伍と肆を倒した際に出たある隊士たちの事を」

 

「「!?」」

 

二人は覚えていた。謎の力で鬼を浄化した三人の少女と鬼のような姿になり、鬼を弱らせた少年の事を…………

 

「彼等は別世界の人間であり、悪意を持った者たちによって蘇った鬼たちと戦っている。死んだ子達と共に」

 

「「!?」」

 

理解するのにかなりの時間が有した。あの時、アマネ様は鬼殺隊の切札と言っていたはずなのに、まさか別世界の住人で、死んだ皆と一緒に戦っていることを……

 

「岩柱には話していたみたいだ。霞柱と炭治郎は彼等から話は聞いていたみたいだよ」

 

「それで……俺たちもその世界で戦えと?」

 

「お館様の命なら……」

 

「…………すまない。ようやく戦いから解放されたのに…………」

 

頭を下げる輝利哉。実弥と義勇の二人は慌ててそれを止める

 

「頭を上げてください!?」

 

「我々は戦います‼その世界で皆が戦っているのであれば…………」

 

「すまない……今回の件は元柱である宇隋にも、そして炭治…………」

 

「炭治郎も戦わせるのですか?」

 

「…………義勇。彼にも話しはした。私自身、あの兄妹にはもう戦いとは無縁であってほしく、話だけにしたのだが…………」

 

「…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

炭治郎side

 

禰豆子と病室にいると、義勇さんが訪ねてきた。

 

「……炭治郎」

 

「義勇さん、どうしたんですか?」

 

「炭治郎…………禰豆子……お前たちは戦うのか?」

 

「……もしかして紫乃の事ですか?」

 

紫乃……彼は刀鍛冶の里で出会った不思議な人だ。鬼の力を宿し、別の世界で戦ってる

 

「助けたい」

 

「助ける?」

 

「はい、助けたいんです。紫乃は戦うために鍛えてきたんじゃなく、守るために戦おうとしているから…………俺も禰豆子も一緒に紫乃の守るための戦いを助けたいんです」

 

「…………そうか、お前が、お前たちが決めたことなら……止めない」

 

「義勇さんも一緒に戦いましょう」

 

「あぁ‼」

 

紫乃……待っていてくれ。俺も一緒に戦うから……そして禰豆子も……力になるために宗一さんから受け取った物がある

 

それは紫乃と同じ人の身でも鬼となる薬…………

 

禰豆子も決意したんだ。止めることは出来ない




炭治郎は2パターン考えていましたが、普通に参戦パターンになります


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41 ポッキーゲーム

勢いで書いた日常回です


「暇だからポッキーゲームしよう‼」

 

僕の家で宿題をしていると、ひなたが突然提案してきた。

 

「宿題は?」

 

「ちゆちー固いよ~ちょっとした休憩だよ~」

 

休憩か……それにしては早すぎるような……

 

「ポッキーゲーム?」

 

のどかはポッキーゲーム知らないのか……まぁやることはないし……

 

「のどかっち、ポッキーゲームはね。お互いにポッキーの端をくわえて、少しずつ食べていくの。途中で折れたら負け」

 

「最後までいったら?」

 

「どっちも勝ちかな?それじゃあ最初は…………」

 

ひなたは僕とちゆの方を見ると…………

 

「のどかっちとちゆちー」

 

あれ?てっきり僕とちゆだと思ったんだけど…………

 

 

 

のどかとちゆの二人はポッキーの端をくわえて、少しずつ食べていく

 

「何だか恥ずかしいね////」

 

「そ、そうね///」

 

二人は顔を紅くしながら食べていく。あと数センチまで来ると…………

 

「…………ちゆちゃん」

 

「の、のどか……」

 

何か変な空気が流れた。何か僕がいたらダメな気が…………

 

「う~」

 

耐えきれずにのどかの方が折れた。

 

「ちゆちーの勝利ー‼」

 

「これ凄く恥ずかしいよ~」

 

「流石にこれは……」

 

「それじゃちゆちー、私と勝負」

 

「あれ?紫乃くんとじゃないの?」

 

のどか……それはまずいから勘弁してくれ。

 

「そうね…………順番的にはひなたと紫乃ね」

 

あれー?ちゆさん?

 

「えぇ!?」

 

「ほら、早く」

 

「ひなた、諦めろ」

 

何かちゆが怖いからやった方がいいな。

 

 

ひなたも諦めて、僕とポッキーゲームをすることになった。

 

「/////」

 

「ひなた?」

 

ひなたは真っ赤になりながら、直ぐ様ポッキーを折ってしまうのであった。

 

「ひなた……早すぎないか?」

 

「だ、だって……最後までしたら……その……」

 

何かひなたらしい理由な気がする。さてそれじゃ……

 

「僕とちゆか?」

 

「えぇ」

 

何か声のトーンが上がったのは気のせいか?

 

「うぅ、この二人だと……オチが……」

 

「オチ?」

 

僕とちゆの二人でポッキーゲームを始める。お互い一生懸命ポッキーをかじっていく。

 

ちゆは特に顔を紅くせずに続けていく。

 

あと数センチまで来ると…………距離も近くなり、これはかなり恥ずかしいな…………

 

「ち、ちゆ?」

 

「…………」

 

ポッキーを最期までやると…………唇に触れた。

 

「んん!?」

 

「ん…」

 

唇を離すとちゆは……

 

「しちゃったね////」

 

「ち、ちゆ……」

 

もしかして積極ちゆなのか?

 

「ほらーーやっぱりーー」

 

「二人とも……仲良いね」

 

ひなたは予想していたのか…………あとのどかは仲いいで済ませるの凄くないか?

 

「紫乃……もう一回……」

 

「ち、ちゆ……」

 

もう一度…………と言うかポッキーなしなの!?

 

「ちょ……ちゆ……」

 

のどかとひなたの二人に助けを求めるが二人はマジマジ見ていた。

 

見てないで止めて欲しいのだけど…………

 

「紫乃……」

 

もう少しでキスしそうになった瞬間

 

「お茶持ってきたから休憩でも…………」

 

「あっ…」

 

「ちゆ…」

 

「何か邪魔したみたいだな」

 

お茶を持ってきたカナエさん、ラビリンたち…………

 

「その……のどかちゃん、ひなたちゃん……二人の邪魔しちゃ悪いから出ていきましょう」

 

その気遣いは……少しおかしい気がしますよ……カナエさん

 

「あっ////」

 

ちゆも正気に戻り、とりあえず宿題の続きをすることになるのであった。



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42 悪夢

オリストです


「はっ!?」

 

深夜、突然目を覚ました僕。何か嫌な夢を見ていた気がした。

 

「…………思い出せない」

 

さっきまで見ていた夢が思い出せないでいた。夢って言うのは思い出せないものかもしれないけど…………

 

「寝直そう…………」

 

思い出せないならその方がいいと思いながら寝直すのであった。

 

 

 

 

 

 

『化け物』

 

やめて……くれ

 

『化け物』

 

やめてくれ

 

『貴方みたいな化け物は死んだ方がいいわ。この化け物‼』

 

やめてくれ…………………………

 

 

 

 

 

 

 

ちゆ

 

 

 

 

 

 

 

朝になり、汗だくになっていることに直ぐに気がついた。

 

「夢……でいいんだよな……」

 

今度ははっきり覚えていた。何であんな夢を見たんだ?

 

ちゆに化け物と罵られる夢…………

 

きっとただの夢でいいんだよな。

 

 

 

 

「ふふ、ねんねころり……夢に囚われて境はなくなる」

 

「いい趣味じゃないと思うけどな」

 

「何だ?来たんだ……」

 

「暇だからな…………」

 

「どんな手を使ってもあの鬼狩りを追い詰めていいって言われたからね」

 

「まぁ結果が楽しみだよ。俺も手伝えと言われてるからね」

 

「君に手伝えることはないよ。自滅が目的なんだからさ」

 

 

 

 

 

 

学校に行っても、あの夢が気になっていた。

 

ちゆがあんなこと言わないのは知っているのに…………

 

「紫乃くん、どうしたの?元気ないよ」

 

「のどか……何でもないよ」

 

「何でもないようには見えないけど…………」

 

「もしかしてちゆちーと喧嘩した?」

 

ひなたも心配そうにしていた。そんなに僕は顔に出るのか?

 

「喧嘩したの!?それなら……」

 

「喧嘩してないわよ」

 

二人と話していると、ちゆも会話に参加してきた。

 

「そうなんだ。まぁ二人が喧嘩でもしたら何かの前触れだと思っちゃうよ」

 

「ひなた…………でも紫乃、何かあったの?」

 

「実は…………」

 

話そうとするけど…………

 

『化け物』

 

あの夢の内容が頭の中に浮かぶ。

 

「…………何でもない」

 

僕はそう言うと、ちゆは少し不満そうにしていた。

 

「……そう」

 

流石にちゆがあんなこと言わないよな…………

 

「………………」

 

 

 

 

 

 

 

メガビョーゲンと戦い、僕は鬼の姿でメガビョーゲンを追い詰める。

 

「ここまで追い詰めたなら…………みんな‼」

 

グレースたちに止めを指すように言おうとするが…………

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

何故か三人とも、僕を怖がっていた。

 

「みんな…………?」

 

「紫乃くん……化け物みたい」

 

「来ないで……」

 

何でそんなことを言うんだ…………

僕はちゆの方を見た。

 

「紫乃…………化け物……貴方を殺す方がビョーゲンズよりも重要よ」

 

ステッキを向けるちゆ。やめて…………くれ

 

「死んで……化け物」

 

 

 

 

 

 

 

目を覚ますと保健室にいた。何で僕は保健室に?

 

「紫乃……大丈夫?」

 

ベッドの脇にはちゆが心配そうにしていた。僕は…………

 

「お昼になって、みんなでお弁当食べようとしたら、紫乃……急に倒れて…………それに寝てるときもうなされてたけど……大丈夫?」

 

ちゆがそっと僕に触れようとしていると……

 

『死んで……化け物』

 

あの時の言葉が頭に浮かび、思わずちゆの手を拒むように叩いてしまった。

 

「あっ……」

 

「…………」

 

叩いた場所が紅く染まっていた。普通なら謝るべきなんだけど…………僕は黙ったままだった。

 

「…………ごめんね」

 

ちゆは笑顔で誤魔化すけど…………謝るのは僕の方なのに…………

 

「私……戻るわね」

 

ちゆは逃げるように保健室から出ていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「魘夢……上手くいったみたいだ」

 

一人の少年の手に口が浮かび上がっていた。

 

『君の体を使って出来ると思ったからね。どんな様子だい?』

 

「精神面は弱いね。まぁ普通の人間なんだからそうなんだけどさ」

 

『このまま追い詰めたらどうなるかな?上手くいけばプリキュアもろとも自滅かな?』

 

 

 

 

 

 

 

夢のせいか調子が悪い。僕は先生に断り、早退するのであったけど…………

 

『化け物』

 

のどかはあんなこと言わない…………

 

『化け物』

 

ひなたはあんなこと言わない

 

『化け物』

 

ちゆはあんなこと言わない

 

自分に言い聞かせるけど…………ずっと声が響く。

 

『化け物』

 

『化け物』

 

『化け物』

 

やめてくれ…………やめてくれ……やめてくれやめてくれやめてくれやめてくれやめてくれ

 

 

 

 

 

 

 

 

ちゆside

のとがたちと帰っている途中……私は紫乃の事を思い出していた。

 

紫乃に叩かれた手が痛む…………

それに叩いたときの怯える顔…………

 

ショックを隠せないでいた。あんな風に拒絶されるなんて…………

 

「紫乃…………」

 

「ちゆちゃん?どうしたの?」

 

「泣いてるけど…………何かあったの?」

 

二人に心配され、私は笑って誤魔化そうとするが…………

 

「大丈夫……だい…………じょう……ぶだから……」

 

涙が止まらない。するとのどかが私を抱き締めてくれた。

 

「大丈夫だよ……泣いても」

 

「私たちに出来ることあるなら…………」

 

「ごめん……ごめんね……」

 

 

 

 

 

近くの公園のベンチに座りながら、私は泣きながら紫乃の事を話した。

 

「紫乃っち……何かあったのかな?」

 

「ちゆちゃんにそんなことするの……大丈夫かな?」

 

「紫乃に……何かあったのかな分からない…………もしかしたら私……知らないうちに紫乃を傷つけたのかな?」

 

「ちゆちーはそんなことしないよ‼」

 

「そうだよ‼紫乃くんに何かあったんだよ‼」

 

「でも……やっぱり私が…………」

 

また涙が溢れてきた。二人は私を落ち着かせようとするけど…………涙が止まらない

 

「こう言うときは話してみよう‼」

 

「私たちも付いていくから‼カナ姉たちも付き添ってもらいながら‼」

 

「のどか……ひなた……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

辺り一面血だらけの場所……そこら辺に散らばる肉の塊…………

 

「…………」

 

僕は何かを殴っていた。原型をとどめないくらいに殴り続けていた。

 

僕は何を殴ってるんだ?

 

もう死んでるはずなのに…………声が聞こえてきた。

 

「し……の……」

 

声を聞いた瞬間、僕は全てに気がついた。辺りにある血、肉の塊…………のどかとひなた……そして殴っていたのは……ちゆ?

 

『痛いよ……』

 

『ひどい……』

 

『紫乃…………』

 

みんなを殺した時の声が聞こえ続ける。僕は…………僕はみんなを殺した?

 

『そうだよ……君が殺した』

 

誰かの声が聞こえてきた。僕が殺した…………

 

『だけど仕方ないことだよ。君を化け物と罵る彼女たちが悪いんだ…………』

 

違う……

 

『違わない……君を罵る彼女たちが悪いんだ』

 

違う…………

 

『人間は酷いよね。少し違うだけで化け物と罵る。恐れる。殺そうとする。だからこそ君は正しいことをしたんだ』

 

正しいことを?

 

『君は正しい。正しいんだよ』

 

僕が正しい…………

 

『君を罵り、恐れ、殺そうとする人間を殺してしまおう…………』

 

殺す…………

 

 

 

 

 

???side

 

「充分かな?」

 

魘夢はニタニタ笑っていた。鬼狩り…………紫乃を眠らせて、更に追い込んでいるが…………

 

「どう自滅させるんだ?」

 

「彼は悪夢に蝕まれてる。このまま夢と現実の境を無くして…………プリキュアたちにぶつける」

 

「あいつらがこいつを殺せるのか?」

 

「彼にプリキュアを殺させる。意識を取り戻したときに…………彼はどうなるかな?」

 

最悪精神崩壊か…………もしくは……

 

「他の鬼狩りに殺され……プリキュアたちに深い傷を残せるな」

 

「さぁ……始めよう…………まずはプリキュアたちを誘いだそう」

 

「誰かしら呼んでくるか」

 

「チースッ‼呼ばれる前に来たッス」

 

いつの間にか来ていたバテテモーダ。出待ちしてたのか?

 

「それじゃ頼んだよ」

 

「進化ベイベー‼ナノビョーゲン‼」

 

メガビョーゲンが出現し、暴れ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

ちゆside

 

「紫乃が帰ってない?」

 

話そうと思い、紫乃の家に行くと、カナエさんから紫乃が帰ってないことを聞かされる

 

「そうなのよ……学校早退したのは聞いてたけど…………」

 

「紫乃…………」

 

「探しに行こう‼」

 

「そうだよ‼ちゆちー‼」

 

「えぇ‼」

 

探しに行こうとすると、のどかの家からラビリンたちが慌ててやって来た。

 

「のどかー大変ラビ!?」

 

「メガビョーゲンが現れたペエ」

 

「直ぐに…………って紫乃はどこに行った!?」

 

「紫乃くんは…………」

 

「今はメガビョーゲンね。みんなに連絡入れておくわ」

 

紫乃の事が心配だけど…………今はメガビョーゲンを止めないと‼

 

 

 

 

 

 

 

 

???side

 

教えてもらった場所に向かう俺たち…………

 

「未来だって聞いたけど……本当にすごいな……」

 

「うん、でもみんなに会えるの楽しみだね」

 

そんなことを話してると、見覚えのある人たちが何処かへ行くのが目に入った。

 

「あれって……確か……」

 



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43 悪夢蝕み 思い届かず

ちゆside

 

メガビョーゲンの出現場所に向かうとそこにはバテテモーダと噴水のメガビョーゲンがいた

 

「来たッスね‼プリキュア‼」

 

「バテテモーダ‼」

 

「もう紫乃っちを探さないといけないのに‼」

 

「みんな‼行くよ‼」

 

「「「スタート」」」

 

「「「プリキュアオペレーション」」」

 

「「重なる二つの花!キュアグレース!」」

 

「「交わる二つの流れ!キュアフォンテーヌ‼」」

 

「「溶け合う二つの光‼キュアスパークル‼」」

 

「「「地球をお手当て‼」」」

 

「「「ヒーリングっとプリキュア‼」」」

 

プリキュアに変身し、メガビョーゲンに向かっていこうとすると…………

 

「おっと‼あんたらの相手はメガビョーゲンじゃない‼特別ゲストのご登場だぁ‼」

 

バテテモーダがそう告げた瞬間、私たちの前に現れたのは…………

 

「紫乃……?」

 

「何処に行ってたの?私たち心配して……」

 

「紫乃くん?」

 

紫乃は私たちの声に反応せず、ゆっくりと顔をあげ…………

 

『雪の呼吸‼壱ノ型初雪』

 

突然私たちに切りかかる紫乃。咄嗟の事で動けずにいると、カナエさんが紫乃の斬撃を受け止める

 

「紫乃くん!?どうしたの!?」

 

「…………僕は化け物じゃない」

 

カナエさんの刀を弾き、お腹に蹴りを喰らわす。

 

「うっ!?」

 

「紫乃!?どうしたの!?」

 

「ムダムダッス‼そいつはあんたらの敵ッス‼」

 

「どう言うこと?」

 

「それはこちらの方から説明するッスよ‼」

 

バテテモーダの隣に黒髪の鬼が現れた。あの鬼が紫乃を…………

 

「僕は下弦の壱、魘夢。人に幸せな夢を見せているんだ」

 

夢?夢って…………

 

「彼には素敵な悪夢を見せてるんだ…………例えば君たちに化け物と罵られる夢をね」

 

「で、でも……それだけで…………」

 

「少しずつ、少しずつ無意識に見せていたんだよ。彼からしてみれば忘れるくらいにね。だけど時が経つにつれて……その夢は彼を蝕む。その結果がこれだよ」

 

「ひどい……」

 

「紫乃っち‼起きて‼」

 

「僕は化け物じゃない、化け物じゃない」

 

『弐ノ型‼吹雪』

 

連続で繰り出される突きを私たちはシールドで防ぎ、私は紫乃に呼び掛ける

 

「紫乃‼私たちはあなたの事を化け物だなんて…………言わない‼言わないって言ったじゃない‼」

 

「嘘をつくな‼」

 

『参ノ型‼雪桜』

 

重い一撃がシールドを破壊する。紫乃はそのまま私を切ろうとするが…………

 

「何やってるんだよ‼」

 

何処からともなくやって来た伊之助が紫乃を突き飛ばす

 

「伊之助……」

 

「おい‼こいつはお前の大切な奴だろ‼敵はあっちだ‼」

 

「殺される前に殺す…………」

 

「紫乃…………」

 

「何とか止めないと……」

 

「紫乃っち……体質的に治るから…………痛みで目を覚ますよね」

 

グレース、スパークルが立ち上り、ヒーリングステッキを構える。

 

「紫乃くん…………少し我慢してね」

 

カナエさんも覚悟を決めるけど…………

 

「紫乃……紫乃……」

 

私は立ち上がれずにいた。紫乃は傷つけても治るけど…………傷つけたくない…………

 

「みんな……僕を化け物って…………僕は化け物じゃない」

 

「いやー魘夢さんは流石ッスね‼それにしてもそいつばかりに集中してていいんですか?メガビョーゲン‼」

 

メガビョーゲンが辺りを蝕む。このままじゃ…………

 

「…………グレース、スパークル、二人でメガビョーゲンを相手して…………」

 

「えっ?」

 

「でも紫乃っちは?それにフォンテーヌは…………」

 

「紫乃くんは任せて……フォンテーヌ……貴方はどうしたいか考えて…………」

 

私がどうしたいか…………

 

「僕は化け物じゃない」

 

「そうね。貴方は化け物じゃない」

 

「ただのバカ者だ‼」

 

カナエさんと伊之助が紫乃と戦う。

 

 

 

グレースside

 

メガビョーゲンと戦う私とスパークル。

 

メガビョーゲンの放水攻撃をシールドで防いでいくが……

 

「何か……加減されてる?」

 

「舐めプかな?」

 

「もしかしたらあのメガビョーゲンは俺たちを誘い出すために…………」

 

「紫乃と戦わせるためだけにラビ?」

 

「それだったら‼キュアスキャン‼」

 

スパークルがキュアスキャンでエレメントさんの場所を特定し、

 

「一気に浄化して、紫乃っちを助けよう‼」

 

「うん‼」

 

私は浄化技を放ち、メガビョーゲンを浄化する。

 

 

 

 

???side

 

「順調だね」

 

「やぁ、今凄く面白いよ」

 

「バテテモーダの方は?」

 

「今回は餌役だからやられてもこっちは痛くも痒くもないッスね‼とりあえず戻るッス」

 

バテテモーダは消え、戦いの様子を見る。プリキュアにメガビョーゲンは浄化されたけど…………

 

「鬼狩りは苦戦してるね」

 

「助けるのに気を遣ってるからね」

 

魘夢は笑みを浮かべる。さてどうなるかな?

 

 

 

 

 

 

 

フォンテーヌside

 

カナエさんと伊之助が紫乃を助けようとしていると、煉獄さん、甘露寺さん、しのぶさんの三人が駆けつけてきた。

 

「紫乃‼何が起きてるんだ‼」

 

「操られてるのかな?」

 

「……フォンテーヌ、何があったの?」

 

「紫乃は…………下弦の壱に夢を見せられてます…………悪夢を…………」

 

「下弦の壱……奴か‼」

 

「ならあの鬼を殺せば‼」

 

「あぁいい忘れたけど…………俺を殺してもそいつは解放されないよ。と言うか永遠にそのまま…………」

 

「くっ!?」

 

「そっちの柱は覚えてるよ。あの時みたいにあの耳飾りの奴とあの鬼がいないから…………さぁどうする?」

 

紫乃を救うには…………

 

「僕は…………僕は…………」

 

「先ずは紫乃を動けないように拘束するぞ」

 

煉獄さんたちは紫乃を止めようとしている。私は…………私は…………

 

「僕は化け物じゃない‼」

 

紫乃は鬼化して、刀を構える。

 

『漆ノ型‼雪崩』

 

技を放ち、みんなを吹き飛ばす。このまま見てるだけじゃ…………ダメ……

 

「紫乃くん!?」

 

「みんな……紫乃っちを助けようとしてるから…………」

 

「あの野郎……」

 

すると玄弥たちも駆けつけてきたけど…………善逸とカナヲの二人は……

 

「これ……まるで……」

 

「炭治朗の時と同じ…………」

 

「でもあのときは…………」

 

二人は何かと重ねていたけど…………私は立ち上り……

 

「……ペギタン」

 

「フォンテーヌ?」

 

「下がってて…………」

 

私は変身を解き、紫乃に歩み寄る

 

「ちゆ!?危ないペエ‼」

 

「ちゆちー!?」

 

「ちゆちゃん!?」

 

私はゆっくりと紫乃の前に出て、抱き締めた

 

「紫乃……お願い……目を覚まして…………」

 

「僕は…………」

 

紫乃は動かずにいる。私は呼び掛け続けた。

 

「お願い……誰も貴方を化け物って呼ばない……貴方は貴方じゃない…………」

 

「…………」

 

「のどかもひなたも、カナエさんたちも……私もあなたの事を化け物って呼ばない…………だから目覚めてよ…………」

 

「………………ゆ……」

 

今……何て言った!?

 

「……ち…………ゆ…………」

 

私の名前を呼んでいる……もしかして目覚めかけてる?

 

「紫乃‼お願い……目を覚まして…………」

 

「ち……ゆ……」

 

私は呼び掛け続ける。紫乃……お願いだから……

 

「ちゆ…………」

 

「紫乃……」

 

「何で…………僕をそんな目で見るんだ…………」

 

「え?」

 

突然、紫乃に頬を打たれる。私はそのまま地面倒れこんだ。

 

「紫乃くん!?」

 

「紫乃っち!?」

 

「僕は…………お願いだからそんな目で見ないで…………」

 

「紫乃…………」

 

紫乃は私の首を掴み、締め上げていく。

 

「し……の……」

 

紫乃は刀を構えた。このままだと貫かれる…………

 

「紫乃……お願いだから目を覚まして…………」

 

「うわああああああ‼」

 

「さぁ殺せ‼その瞬間、お前の悪夢を解いて…………亡骸を見て更なる悪夢を‼」

 

もうダメかと思った瞬間…………

 

『ヒノカミ神楽‼円舞』

 

炎を纏った一撃が紫乃の腕を切り裂く。更には……

 

『血鬼術‼爆血』

 

更に炎が紫乃を襲う。紫乃は後ろへ下がって炎を避けた

 

「…………紫乃、久しぶり。でもこんな形で会いたくなかった」

 

「あ、貴方は…………」

 

「嘘……」

 

私を助けてくれたのは、刀鍛冶の里で出会った兄妹…………炭治朗と禰豆子の二人だった。

 

「炭治朗……」

 

「禰豆子ちゃん……」

 

「紫乃、君は俺が救ってみせる」




ようやく登場しました。とりあえず残り二話になります(なるかな?悪い癖が出なければいいけど…………)


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44 悪夢から解放するために

今回でオリスト終わります。三話で何とか終われた


「炭治朗……」

 

紫乃を止めるために駆けつけてきたのは、過去の世界で出会った竈戸兄妹だった。

 

「大丈夫?」

 

「禰豆子ちゃん……」

 

「禰豆子ちゃん、何で血鬼術を?」

 

善逸の言うことは分かる。私たちが会ったときはまだ鬼だったけど…………今は人間に戻ってる?

 

「善逸さん、詳しい話は後で…………お兄ちゃん‼」

 

「あぁ」

 

炭治朗は刀を構える。紫乃は直ぐに切りかかる

 

『雪の呼吸‼壱ノ型 初雪』

 

『ヒノカミ神楽‼円舞』

 

二人の刃がぶつかり合う。このまま任せても…………

 

「良いわけないわよね……」

 

私は立ちあがり、紫乃の元へ…………

 

「ダメ!?ちゆちー」

 

「危ないから!?」

 

グレースとスパークルの二人に腕を掴まれ、止められてしまう。

 

「ダメなの……紫乃は私が止めないと…………」

 

「ちゆちゃん……」

 

私は二人の手を払いのけて、紫乃の所へ行く

 

 

 

 

 

炭治朗side

 

『ヒノカミ神楽‼陽華突‼』

 

『雪の呼吸‼弐ノ型 吹雪』

 

お互いの突きがぶつかり合い、弾かれる。

 

「紫乃……あの頃より強くなってる‼」

 

「僕は……僕は……」

 

こっちに来るときに会った宗一さんから転移の影響で動かなくなった腕と見えなくなった目が治ったけど、それでも紫乃と戦うにはきつい。

 

「俺が鬼になったときも……みんな、こんな思いしたんだろうな…………」

 

鬼になり、みんなを傷つけた。だからこそ…………

 

「だからこそ紫乃……お前を救う‼」

 

逆の立場だからこそ…………救いたい思いが強かった。

 

『ヒノカミ神楽‼火車』

 

『雪の呼吸‼参ノ型 雪桜』

 

紫乃はこっちの攻撃に合わせるかのように、直ぐに対応してくる。速度を上げても対応してきそうだ

 

「悪夢を解く方法が分かれば……」

 

あの時みたいには行かないのは分かる。でも方法はあるはず…………

 

そんな時、ちゆが紫乃を抱き締めた。

 

「お願い……目を……覚ましてよ」

 

「危ない!?下がって……」

 

抱き締めるちゆに対して、紫乃は爪を鋭く尖らせ、背中を割く

 

「つぅ……!?」

 

服は破かれ、背中から血が流れる。それでもちゆは放さない。紫乃はちゆを傷つけていき、髪留めのゴムが切られ、髪がほどかれた。

 

「絶対に…………紫乃を……放さない‼」

 

「くっ‼」

 

紫乃はちゆを引き剥がそうと首に噛みつこうとしていた。俺は咄嗟にヒノカミ神楽を放ち、紫乃を吹き飛ばす。

 

「危ないから下がって‼紫乃は俺が必ず助けるから」

 

座り込むちゆだけど……首を横に振る

 

「私が……助けたい……私じゃないと…………」

 

「ちゆだけじゃダメだ‼みんなで助けないと‼」

 

「炭治朗…………」

 

今は紫乃の動きを止めないと…………今の紫乃はこっちの動きに対して直ぐに対応してくる。それならば……みんなで動けば…………

 

「どうしても助けたいなら、良い方法があるよ」

 

ちゆの側にいつの間にか下弦の壱がいた。俺は咄嗟に切ろうとするが…………

 

「やめた方がいいよ。切ったら彼は戻らなくなる」

 

寸前のところで止める俺。どこまで卑怯なんだ…………

 

「方法…………」

 

「彼の夢の中に入り、悪夢の元凶になってる核を壊すんだ。そうすれば…………彼は戻るよ」

 

「核を…………」

 

「ダメだ‼鬼の言うことなんて…………」

 

「ちゆちゃん!?」

 

「ちゆちー!?」

 

みんなの止める声が響くけど…………ちゆは……

 

「分かったわ……それしかないなら…………」

 

「それじゃ…………お眠り」

 

下弦の壱が血鬼術を発動し、ちゆは眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

???side

 

「えげつない奴……その核がそいつの精神の核だと言うのに…………」

 

とことん追い詰めたいみたいだな。まぁこれで当初の目的は達成する。

 

「終わりだな」

 

俺はその場から去るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

ちゆside

 

気がつくと、暗い空間にいた。ここが紫乃の夢の中?

 

少し進んでいくと、景色は続くのに、壁にぶつかる。

 

「紫乃……助けるからね」

 

どうやって壁を破ろうと思っていると、いつの間にか握られた錐に気がつき、私は壁を引き裂こうとした瞬間

 

「ひっく、ひっく」

 

誰かの泣く声が聞こえた。私は辺りを見渡すと…………

 

「子供?」

 

小さな男の子が泣いていた。私は直ぐにでも紫乃を助けたいけど、放っておけずその子に近づいた。

 

「あなた…………どうして泣いてるの?」

 

「お姉ちゃん……誰?」

 

この子……見覚えがある。小さい頃の紫乃だ。

 

「私は……ちゆ。あなたは?」

 

「僕は……紫乃。ちゆって……ちゆちゃん?」

 

私のことを知ってるのね…………だけど私はあえて違うと首を横に振る。

 

「どうして泣いてたの?」

 

「みんなが…………化け物って言うんだ」

 

化け物って…………

 

「お父さんもお母さんもおじいちゃんも友達も…………ちゆちゃんも…………」

 

泣きじゃくる紫乃。これが紫乃が見せられている悪夢…………

 

「紫乃……あなたは化け物じゃない」

 

「嘘だ……みんなが……お姉ちゃんも僕のことを…………」

 

私は咄嗟に紫乃を抱き締めた。

 

「私は……紫乃のことを化け物だって言わない」

 

「嘘だ……」

 

「貴方のお父さんもお母さんもおじいちゃんも……のどかもひなたも……カナエさんたちも…………化け物って言わない‼もしも化け物って誰かが言おうとしても…………私が言わせない‼」

 

だから……だから…………

 

「紫乃……信じて……」

 

涙を流すわたし。そんな時、頭を撫でる優しい手を感じた。

 

私は顔を上げるとさっきまで小さかった紫乃がいつもの紫乃に戻っていた。

 

「ごめん……心配かけて……」

 

「紫乃……」

 

「ちゆのこと……みんなの事を沢山傷つけた…………」

 

「大丈夫……みんな、怒ってないから…………」

 

「ちゆ……信じて良いんだよな」

 

「当たり前じゃない。私は貴方にひどいことを言ったりしない…………私が紫乃の事を好きな限り……」

 

「ちゆ……」

 

紫乃は私を抱き締める。すると段々と暗い空間に光が差してきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

目を覚ました瞬間、ちゆの側にいた鬼を思いきり殴った

 

「つぅ!?貴様…………何故起きた‼そこの女に精神の核を…………」

 

「罠だったみたいだけど…………貴方の目論見は打ち破ったわ」

 

「くっ!?」

 

鬼は僕らから距離を置く。僕はちゆの背中の傷に触れ…………

 

『血鬼術‼血癒』

 

傷を治した。痛かっただろうに…………

 

「気にしなくて良いわよ。紫乃を助けるために負ったんだから…………ペギタン」

 

「ちゆ……行くペエ」

 

「スタート!」

 

「プリキュア ・オペレーション!」

 

「エレメントレベル上昇ペエ!」

 

「「キュアタッチ」」

 

「「交わる二つの流れ!キュアフォンテーヌ‼」」

 

プリキュアに変身し、僕と並び立つと、グレースたちも駆け寄ってきた

 

「紫乃っち、もう大丈夫なの?」

 

「ごめん、迷惑かけて……グレースも約束を……」

 

「ちゃんと謝ったの?」

 

「あぁ」

 

「それならいいよ」

 

グレースは笑顔でそう告げる。

 

「炭治朗も……みんなもごめん」

 

「いいよ。俺も前に似たようなことあったから…………今はあの鬼を倒そう‼」

 

「あぁ‼」

 

「悪夢が解けた以上は…………」

 

鬼が逃げようとするが、そうはさせない‼

僕は手首を切り、

 

『血鬼術‼血癒の矢』

 

血を矢に変え、鬼の肩を貫く。

 

「ぐっ!?何だ?身体が…………」

 

「集中しないと……身体が崩壊するぞ‼」

 

「ハアア‼」

 

フォンテーヌが動けずいる鬼に蹴りを喰らわす。

 

「くっ!?ならこっちも……がはっ!?」

 

血鬼術を発動させようとしてるけど、血を吐く鬼。

 

「もうお前には…………血鬼術を使わせない‼」

 

「紫乃、一緒に行くわよ」

 

『雪の呼吸‼漆ノ型 雪崩』

 

鬼の両腕を切り裂き、追撃に……

 

「エレメントチャージ‼プリキュア!ヒーリング・ストリーム!」

 

フォンテーヌの浄化技を放たれ、鬼は塵になって消えるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

???side

 

「魘夢が殺されたみたいだな」

 

酒呑がそう告げた。まさか……悪夢を乗り越えるとはな…………

 

「下弦が一人減ったが…………どうするんだ?」

 

「お前にも動いてもらうぞ。一青」

 

「仕方ないか…………」

 

俺は笑みを浮かべる。紫乃……お前と戦うのは楽しみだ

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

二日後、炭治朗たちは僕の家で住むことになり、軽い歓迎会をすることになった。そんな歓迎会の最中に、僕はちゆと二人でいた。

 

「紫乃、呼び出してどうしたの?」

 

「ん……その……これを渡そうと思って……」

 

ちゆに渡したのは水色のシュシュだ。あの時、ちゆの着けていたのを破ってしまい、お詫びに渡そうと思って買ってきた。

 

「ごめん……色々と……」

 

「紫乃……気にしないで……って言いたいけど……」

 

「ちゆ?」

 

「手を叩かれたときに……凄くショックだったわよ」

 

あの時か……あの時は本当に……色々と

 

「ごめん……」

 

「謝っても許さない」

 

本気で怒ってる……悪夢に蝕まれていたとはいえ、ちゆのことを傷つけたのいけないことだ。どうしたら許されるかと考えていると……

 

「何てね……仕返しにちょっと意地悪しちゃった」

 

ちゆが僕のおでこにキスをする。

 

「ち、ちゆ?」

 

「もう心配かけないでね」

 

「うん」

 

それから手を繋ぎながら、リビングに戻るのであったが……

 

 

 

 

 

「…………」

 

この時、ひなたの様子がおかしかったことに僕らは気付かなかった

 

 




最後のひなたは、アニメ本編に改めて繋げる感じにしました。


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45 一青

今回は裏主人公の物語です。

別連載にしようとしたけど、普通にこちらで一話のみの話にしました、


幼い頃の記憶…………それは母親が俺を見る目…………

 

汚いものを見るような目……

 

恐ろしいものを見る目……

 

不快そうに見る目……

 

優しさもなにも感じさせない目……

 

「あんたなんか…………生まなければ良かった。あんたは忌み子よ」

 

吐き捨てるかのように言い、俺を捨てた。

 

 

 

 

 

 

 

目を覚ますと汗だくだった。またあの夢…………

 

「いい加減忘れたい」

 

悪夢に蝕まれる俺。もう思い出したくないのに…………

 

悪夢のせいで朝から疲れたけど、早いところ飯を食べないと…………

 

 

 

 

俺は成瀬一青。すこやか中に通ってる中学二年。

 

一人で……というわけではないけど、親はいない…………

 

俺は捨てられ、自分の名前も救ってくれた人が与えてくれたものだ

 

 

 

 

 

 

 

「供物と言うわけではないな」

 

一番古い記憶。俺は鎧を纏った男の前にいた

 

「鬼神様……何故人の子がここに?」

 

「ここは普通に来れる場所じゃないだろ」

 

「歪みだろうな。それにしてもこの赤子……」

 

鎧を纏った男……鬼神は俺に触れようとする。その瞬間、鬼神の手が何かに弾かれる。

 

「なるほど……忌み子か」

 

「忌み子……捨てられたのだな」

 

「人間は本当にろくな奴じゃないな」

 

「まぁいい。ここに会ったのも何かの縁だ‼」

 

 

 

 

 

 

 

それから俺は鬼たちに育てられ、名前も与えられた。

 

「……今日はサボるか」

 

確かめたいことがあった。そのためにあの場所に行かないと…………

 

俺は指をならすと一瞬で別の場所に移動した。

 

 

 

そこは赤黒い世界……ビョーゲンキングダム。

俺はしばらく道なりに歩いていると、角と蠍の尻尾を生やした男がいた

 

「何?また来たの」

 

「俺も一応は協力者だからね。ダルイゼン」

 

ダルイゼン。ビョーゲンキングダムの幹部の一人。地球を病気で蝕み、自分達が住みやすいようにしているらしい。俺を拾った鬼たちも協力している。

 

「それで何か用?」

 

「あぁ、少し前に怪物騒ぎがあったけど……動き出したってことでいいのか?」

 

「わざわざそれを確かめるために来たの?まぁそうだよ」

 

やっぱりか……ダルイゼンたちが動き出したなら、鬼たちも動く。

 

「それと同時に……プリキュアが現れた」

 

「プリキュア?あぁ伝説の戦士か……」

 

「あと変な奴も……」

 

「変な奴?」

 

「刀を持った奴だよ。お前と歳は変わらない」

 

そんな奴がいるのか……それにプリキュア……

 

「お前も動くの?」

 

「俺は適当に動くよ。お前たちの邪魔にならないように…………」

 

俺は笑みを浮かべ、家に戻るのであった。

 

「変わった奴…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

家に戻ると外は夕方になっていた。あっちに行くとたまに時間がずれるな……

 

「刀を持った奴か…………」

 

俺は何もない場所から一本の刀を出現させる。

 

「月輪刀…………月の光を浴びた鉱石から作られた刀…………」

 

この刀は俺が捨てられたときに一緒にあったらしい。俺のだとということで、所持してるが…………

 

「戦うことになったら……どうなるだろうな」

 

いつか来る戦いに期待する俺。その時が楽しみだよ…………

 

ピンポーン

 

呼び鈴がなり、月輪刀をしまい、玄関を開けると……

 

「あれ?元気そうじゃん」

 

「何しに来たんだよ。平光」

 

訪ねてきたのは同級生の平光ひなただった。一体何しに来たのやら……

 

「はい、これ先生に頼まれたプリント」

 

プリント…………わざわざ来たのか……

 

「別に机の中にでも入れておいてくれればいいんだけど……」

 

「先生に頼まれたの。いーくん、体調不良で休みだからって」

 

「そう……」

 

プリントを受けとり、扉を閉めようとすると、

 

「サボったりしたらダメだからね。また明日」

 

閉め切る前にそんなことを言われた。サボりか…………

 

「今日は頭痛が酷かっただけだ。と言うか不良だと思われてるのか?俺は……」

 

「違うの?」

 

「違う……ほら、暗くなるから早く帰れ」

 

「うん、じゃあまた明日」

 

平光は笑顔でそう言うのであった。

 

 

 

 

 

 

「明日か……」

 

夢を見なければ行けそうだな。

 

「へぇ、仲良さそうじゃない」

 

リビングに入ると同居人の一人である下弦の鬼、零余子がいた。俺の家は言うなれば鬼たちのたまり場になっている。

特に問題とかはないからいいけど……

 

「盗み聞きか?趣味の悪いやつ」

 

「ちょっと聞こえただけだから…………」

 

「あっそ」

 

とりあえず零余子にお茶を出し、目の前に座った。

 

「お前はプリキュアに会ったのか?」

 

「私たちはまだ出撃してないわよ。命令が下ってないしね」

 

「そうか……俺も戦うときは……楽しみだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

それから暫くしてから、プリキュアが増え、鬼狩りも増えていることを知り、そのプリキュアと鬼狩りの一人が、クラスメイトだと知った。それにひなたもプリキュアだと言うことを…………

 

「それでお前はどうするんだ?」

 

酒呑に呼び出された俺は今後戦えるのかを言われた

 

「さぁな……だがお前らには恩がある」

 

「恩のために戦うのか?」

 

「あぁ」

 

「ならばお前に任せるぞ」

 

そう……俺は戦う。どんな事が起きたとしても…………



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熱中症

何となく思い付いたよくあるネタです

因みに短めです


ある日の事……

 

「暑い……」

 

「暑いわね……」

 

今日はちゆの自主練に付き合う僕。

だけど……この暑さに僕らはバテていた。

 

「はい、紫乃」

 

ちゆは飲んでいたドリンクを渡してきた。僕は気にせず受けとり、飲むと……

 

「……少しは気にしたりしないの?」

 

気にする?何を?駄目だ……暑さで頭が回らない……

 

「……紫乃、少し木陰で休んだら?」

 

「ん~大丈夫……」

 

「大丈夫そうに見えないけど……体質で平気じゃないの?」

 

「平気みたいじゃないみたいだな……」

 

「そのままだと熱中症になるわよ」

 

ん?ちゆは何を言った?

 

「ちゆ、さっき何て言った?」

 

「だから……熱中症に」

 

僕の聞き間違いじゃなかった。

今日は大胆なちゆなのか?でもそんな感じではなかったけど……

 

「大丈夫?立てる?」

 

待て待て……僕の勘違いとかだよな……もう一回聞きたいけど……怒られそうだな。でもちゃんと聞き取れなかった僕が悪いんだ‼

 

「ちゆ……さっき何て言ったかもう一回……」

 

「熱中症になるわよ……本当に大丈夫?」

 

勘違いじゃなかった!?

 

流石にこのままだとちゆの機嫌が悪くなる……それなら…………

 

僕は立ち上りちゆにキスをした。

 

唇を離すとちゆは顔を赤くしていた。

 

「な、な、なな、何してるのよ!?」

 

「えっ?ちゆがしてほしいって言ったから…………」

 

「言ってないわよ!」

 

嘘だ……確かに言ったはずだ。何回も聞き直したし…………

 

「言ったよ‼ねっ…ちゅうしようって‼」

 

「そんなこと……」

 

言い返そうとしたちゆだけど、何故か考え込んだ。そして……

 

「紫乃……勘違いしてるみたいだけど……熱中症よ熱中症。熱!中!症‼」

 

「…………」

 

ちゆに指摘を受けてようやく気がついた。僕はアホみたいな勘違いを…………

 

「暑さに本当にやられてるみたいね…………ほら、休んでていいわよ」

 

「うん……ちゆ、ごめんな」

 

「いいわよ。気にしないで……それに」

 

ちゆはそっと僕にキスをして…………

 

「したくなったら、するから////」

 

ちゆ……余計暑くなるよ…………

 

 

 

 

 

 

 

「と言うことが合ったのよ」

 

次の日、ちゆがのどかとひなたの二人に昨日の話をしていた。

 

「//////」

 

「あはは……」

 

ひなたは顔を赤らめ、のどかは苦笑いを浮かべていた。

 

「あの……ちゆ、わざわざ報告しなくていいから」

 

「だって……いきなりキスされて……何事かと本当に思ったんだから……」

 

「あれは……本当に聞き間違えというか…………頭が働かなかったというか……」

 

本当に恥ずかしいからそろそろやめてほしいのだけど…………

 

恥ずかしいから一旦離れようとすると…………

 

 

「ねぇ紫乃」

 

「何?ちゆ?」

 

「ねぇ、ちゅう…しよ」

 

これは…………

 

僕はクラスメイトの目を気にしつつ、キスをしてすぐに唇を離すのであった。

 

「今度は……聞き間違いじゃないよな」

 

「うん」

 

「ねぇ……のどかっち」

 

「何?ひなたちゃん」

 

「あついね……」

 

「うん、あついね……」




久しぶりの更新がこんな話ですみませんでした。

ヒープリ、再来週再開になるのかな?


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46 ひなたの辞める宣言!?

プリキュア再開で即行書き上げました。

キュアアースの声優さん発表されて、○○○○ブ!?と思ってしまった

今回の話、本編以上にひなたの精神が……


「これでよし!」

 

今日は平光クリニックでラテの健康診断に来た僕ら。因みに今回はラテだけではなく……

 

「この子も問題ないよ」

 

「ありがとうございます」

 

カナヲのペットの蛇の鏑丸。この世界に来る前に玄弥のお兄さんから授かったみたいだ。

 

「ラテちゃんは繊細の子だから寂しい思いをさせないようにね。鏑丸は部屋の温度とかに気を付けて上げて」

 

「はい」

 

「健康診断でそんなことまで分かるなんて凄いですね」

 

「動物のこと、獣医の腕に関しては誰にも負けないつもりさ!」

 

何故かカッコつけるひなたのお父さん。でも確かに腕はいいって聞いてる

 

「わぁ~ひなたちゃんのお父さん格好いい~」

 

「照れるな~照彦だけに」

 

「……あーひなたちゃんのお父さんの名前」

 

「ぷくく」

 

ちゆ、受けすぎだよ

 

「おーい、ひなたー!初めて受けたぞ」

 

「ん?あーうそ、良かったじゃん」

 

何だかひなたの奴、空元気と言うか……様子がおかしい気がする

少し前は元気を取り戻したと思ったけど……

 

そんなことを考えていると、ひなたの姉、めいさんが顔を出し……

 

「トリミング終わったからワゴン出してくるね」

 

「めいさん、トリマーもやってカフェもやって凄いね」

 

「……うちはさ、何でもできちゃうんだよね。お姉もお兄もパパも……私なんてプリキュア辞めそうなのに……」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「「「「えぇーーー!?」」」」

 

まさかのひなたのやめる宣言……僕らは驚きを隠せないでいるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

一青side

 

『初仕事は楽しんだようだな。バテテモーダ』

 

幹部クラスがキングビョーゲンの前に集まっている中、俺は茨木に呼ばれて一緒に話を聞いていた。

 

「いやいやいや、楽しんだだけで、先輩方に比べたらまだまだもう」

 

『良いな。お前たち、今後より活発な働きを期待してるぞ』

 

働きね…………俺も動かないとな

 

「一青。次はお前も奴等と動け」

 

「下弦は?それに四鬼将が動けばいいだろ」

 

「下弦の壱がやられた分の増員で色々とな……酒天様が苦労しているから……」

 

苦労?一体何に苦労してるんだ?

 

「五人中四人が鬼舞辻を増員させて、下っ端として働かせたいと言い出してな」

 

闇が……闇が見えるのは気のせいか?

 

「奴等には話は通してある。任せたぞ」

 

茨木はそのまま姿を消した。まぁいい加減動くつもりだからいいけどな

 

「それで今回は誰が出るんだ?」

 

「俺たちだ‼」

 

「よろしくっす‼一青の兄貴‼」

 

バテテモーダとグアイワルか……一応言っておくか

 

「戦いの時に俺の名前を言うなよ。色々と都合が悪いからな」

 

「じゃあ何て呼べばいいんっすか?」

 

「月鬼でいい」

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

ひなたの部屋に集まる、のどか、ちゆ、僕、カナヲ、禰豆子、善逸。そしてラビリンたち。

ニャトランはひなたの辞める宣言で戸惑っていた。

 

「ひひひひひ、ひなた!?プリキュア辞めるってどういうことニャア!?」

 

「近い近い、てか辞めるって言ってないし……」

 

「それじゃ何ラビ?」

 

「説明してほしいペエ」

 

「あー何て言うか……」

 

ひなた曰くこの間苦労してメガビョーゲンを倒したのに、バテテモーダと言う新しい強敵が増えた事で、終わりが見えないことに対して考えたらしい。更には……

 

「それにさ、この間の紫乃っちみたいに……敵が直接襲ってきたりとかしてるじゃん……それも色々と考えたら……」

 

怖くなったと言うことか……確かに前のあの悪夢関係はかなりきつかった。それがもし……今度はのどかたちにああ言ったことが起きたらと考えると……僕も怖いな

 

「まぁでも紫乃っちみたいなことが起きても、みんながいるから大丈夫なんだけどさ……」

 

ニャトランはやめてほしくないと訴える中……

 

「ひなた……分かる‼分かるよぉ~やめたくなるよね!」

 

善逸が何故か泣きながらそんなことを言っていた。

 

「善逸って、そんなに止めたがってたの?」

 

「何て言うか……強いのにもったいないと言うか……」

 

「いつも言ってたよ……」

 

何て言うか……強いのに……もったいない

 

「いや、今すぐ辞めるって訳じゃないけど……と言うか善ちゃん、鼻水……」

 

まぁ今は悩むだけなら問題はないだろうな。僕は用意されたジュースをひと口飲むと……

 

「あれ?味変わった?」

 

「確かに美味しいけど、いつもと違う」

 

「うん、でも美味しい」

 

「やっぱり?それ作ったの私だけど……お姉のとは違うよね。私、ちっちゃい頃から水泳も体操もピアノもダンスもお兄やお姉の真似しても同じに出来ないの……何してもぜーんぶダメ。そう言うのテンション下がるじゃん。長く続かなくなっちゃって……」

 

同じか……それはちょっと違う気がする。僕もまた悩んでいたこともあるから……その答えは出せる。

 

「ひなた……」

 

「ん?何、紫乃っち?」

 

僕は答えを告げようとした瞬間、ラテが具合悪そうにしていた。

 




まぁ下弦の壱関係でそりゃ……ね。

次回に続きます


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47 意味なくなんかない

前書きでいちゃつかせようと思ったけどやめました。

今回結構な文字数に……


ラテが具合悪くなった瞬間、ラビリンたちの前髪が逆立った。

 

「ラビリン!?」

 

「どうしたの!?」

 

「分からないラビ」

 

「何だか急に!?」

 

「ニャアアア!?」

 

「ニャトラン、なにそれ?めっちゃ可愛いんだけど~」

 

「見るな~」

 

ニャトランの額に魚の痣って……確かに可愛いけど……

 

「なぁ?何か今ビリリって音しなかったか?」

 

「いや?してないけど……」

 

善逸は耳がいいらしいけど、ビリリって音ってなんだ?

 

『上の方でパチパチしたプロペラさんが泣いてるラテ』

 

プロペラ?それに上って……

 

 

 

 

僕らは外に出て、それを見上げるが何もいなかった。ラテの……勘違いって訳じゃないよな。

 

のどかはもう一度ラテの声を聞くと

 

『パチパチのプロペラさん、あっちの方ラテ』

 

「メガビョーゲンが移動したってこと?」

 

「行ってみましょう」

 

ラテの言う方向に向かう僕ら。しばらく歩いていると、

 

「いたっ」

 

「大丈夫ですか?」

 

「えぇ、ちょっと静電気がね。でも一度放電したからもう大丈夫よ」

 

そう言ってドアノブに触れると、また静電気が起きた。更には別のお婆さんのところにも……

 

「やーね。静電気なんて起きる季節じゃないのに……」

 

一体何が起きてるんだ?

 

「紫乃くん、お兄ちゃんたちも呼ぶ?」

 

「炭治郎たちにも手伝ってもらうか……」

 

「そう言うも思って、連絡はすんでるよ」

 

カナヲ、仕事が早いな……

 

のどかはまたラテの声を聞き、今度は別のところにいるとのことだった。

 

 

 

 

 

 

配送センターでもベルトコンベアーが動かなくって、困っていた。

 

「ここにもいないね」

 

「おいおい見えないメガビョーゲンなのか」

 

「ねぇ、また音が聞こえたんだけど……」

 

善逸の言う音も気になるけど……メガビョーゲンの姿が見当たらない……

 

ラテはまた別の所に向かったと伝え、また僕らは向かう

 

 

 

 

 

商店街に行くけど、やっぱり姿が見えない。

 

「善逸、音は?」

 

「ここに来る前に聞こえたけど?」

 

だとしたらもう逃げられたか。するとちゆがお店の人と何かを話して戻ってきた。

 

「ちゆ、何か分かったのか?」

 

「さっきからあちこちで起きてる静電気問題。きっとメガビョーゲンの影響よ」

 

「そう言えばラテが教えてくれたところでバチバチって!?」

 

「善逸さん、音が聞こえたのは何処からなの?」

 

「えっ?空の上から……」

 

だとしたら空を飛べて早い奴か。

ラビリンたちもニャトランを押さえつけて、証拠を見つけてるし……

 

「ラテ、今どこにいるか分かる?」

 

のどかがラテの声を聞こうとすると……

 

「聞いても意味なくない?」

 

「えっ?」

 

「行っても見えないし、どうせまた逃げられるし……」

 

「おい、ひなた。何で捜す前から諦めてるんだよ」

 

「探したじゃん。あっちこっち行ったら今じゃん」

 

「それはそうだけど……」

 

「こうしてる間にもまたメガビョーゲンが強くなってるわけでしょ。もっと見つからなくなるに決まってるじゃん!」

 

「ひなたちゃん……」

 

「……決まってるか」

 

僕はため息をついた。ひなたは分かってないな

 

「紫乃っち?」

 

「ひなた、まだ決めつけるのは早いと思うぞ」

 

「でも……」

 

「そんな風にダメだとか決めつけるのはよくないことだと思う」

 

そんな風に決めつけていたら、今ごろ僕はここにいなかった。

 

「ひなた、お前は僕が悪夢に苦しんでいたとき、もう駄目とか、助けられないとか決めつけていたか?」

 

「う、ううん」

 

「最後まで諦めないから、僕はみんなに助けられたんだよ」

 

「紫乃っち……」

 

「それにね。ひなたちゃん、お兄ちゃんは私が鬼になったときに、絶対に元に戻すって気持ちがあったから……諦めなかったから戦いを終わらせられたんだよ」

 

禰豆子の言葉にカナヲも頷いていた。

 

「だから……」

 

決めつけずに最後まで諦めないと言おうとしたら、小さな女の子がこっちに向かってきた

 

「ひなたちゃん、大変なの」

 

「どうしたの?」

 

「めいちゃんが閉じ込められちゃった。あっち」

 

「お姉が!?」

 

まさかと思うけど、この騒動でか?

 

 

 

 

 

 

 

 

めいさんのワゴン車に行くと、めいさんがワゴン車の中に閉じ込められていた。

 

「お姉、すぐに助けるっし!」

 

「さわっちゃダメ!危ないから!」

 

「えっ?」

 

「暫くしたら静電気も収まるよ。まっ、ダメならパパとお兄ちゃん呼んで、みんなでワゴンのドアぶっ壊してよ。そしたら出られるでしょ」

 

「お姉……」

 

めいさん、優しいな。閉じ込められて不安なはずなのに、ひなたを心配させないようにしてるなんて……

 

僕らはワゴンから離れると、ひなたに告げた。

 

「ひなた、諦めるつもりはないよな」

 

「う、うん」

 

まだ不安そうだな。するとのどかはあることを告げた。

 

「ひなたちゃんのジュース、美味しかったよ」

 

「えっ?」

 

「めいさんのお店のジュースとは違ったかもしれないけど、美味しかったよ。ひなたちゃんが作ったって聞いて、私嬉しかった。意味なんかなくないよ」

 

「のどかっち……」

 

「助けたいなら動いてみないと……紫乃の時だってそうだったでしょ」

 

「ちゆちー」

 

「誰かみたいにじゃなく、ひなただけのものがあるんだから、不安になったりするなよ。それに……僕みたいに襲われたりしたら、のどかやちゆが助ける」

 

「紫乃っちは?」

 

「襲われる前に助ける!」

 

「紫乃っち……そう言うことはちゆちーに言ってあげなよ……」

 

かっこつけたのに、辛辣だな。でもひなたの気持ちも変わってきたな。するとラビリンたちが何かを発見した。それはドローンだった。

今回のメガビョーゲンは空を飛んでるから見つけられなかったのか……

 

ひなたはスマホで調べると、UFOの目撃情報が入っていた。

 

「駅から北に行ったっぽい」

 

「行こう!」

 

「うん!」

 

「「「スタート」」」

 

「「「プリキュアオペレーション」」」

 

「「重なる二つの花!キュアグレース!」」

 

「「交わる二つの流れ!キュアフォンテーヌ‼」」

 

「「溶け合う二つの光‼キュアスパークル‼」」

 

「「「地球をお手当て‼」」」

 

「「「ヒーリングっとプリキュア‼」」」

 

久しぶ…………プリキュアに変身し、メガビョーゲンの所へと向かった

 

 

 

 

 

 

 

一青side

 

ドローンメガビョーゲンに乗りながら、優雅に蝕んでいる俺たち。

 

「ふっははは、どうだバテテモーダ!少しずつ広範囲に蝕んで、このグアイワル様の繊細かつ高度なテクニック!」

 

「流石は先輩っす!新人の自分には全く思い付かないっす」

 

「そうか!そうか!この俺の子分になりたいか」

 

「?アザッス!先輩!」

 

通じてない通じてない。と言うかバテテモーダも大変だな。

 

すると下から黄色い閃光がメガビョーゲンに当たり、俺たちは下へと落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

「やーーーっと見つけたよ!メガビョーゲン!」

 

「おっと!プリキュアじゃないですか!チース!」

 

「ふっ、遅かったじゃないか。今からメガビョーゲンを浄化できるのか?」

 

「するよ!絶対!」

 

メガビョーゲンを見つけたのはいいけど、グアイワルとバテテモーダと一緒にいる黒いコートに黒い角が生えた仮面をつけてるのは誰だ?

 

「雪の呼吸の使い手は任せろ」

 

仮面の男が刀を抜いた瞬間、

 

『十二月の呼吸!壱の月!睦我月‼』

 

振り落とされる斬撃を僕は防ぐが、右肩が切られた。

 

「防いだのに!?」

 

「初めまして、橘紫乃。俺は月鬼。十二鬼月の世話役みたいなものだ」

 

「月鬼?それに世話役って……四鬼将なのか?」

 

「いや、違う。だが実力は!」

 

腹に蹴りを喰らい、膝をつくと……

 

『弐の月!如切月!』

 

一振りで、左肩と右足を切られた。こいつ、本当に強い

 

グレースたちは大丈夫か?

 

グレースたちは素早く動くメガビョーゲンに対して目が追い付いていない。

 

「キュアスキャン」

 

スパークルがエレメントさんの位置を特定した。

 

「雷のエレメントさんだから、雷みたいな動きをするのか‼」

 

「雷がなんだって言うの!私なんて一度も雷に怖がったことはなかったんだから‼」

 

スパークルとグレースがメガビョーゲンと立ち向かう。

 

「くっ!?」

 

「仲間のところに行きたいか?悪いが……」

 

『血鬼術!爆血!』

 

炎が月鬼の視界を奪い、僕はその隙に蹴りを喰らわせ……

 

『血鬼術!血癒楔』

 

月鬼を拘束した

 

「ちっ!」

 

「カナヲ!目で追えるか?」

 

「追えてるけど…………」

 

動きに付いていけないか。どうすればと思っていると……

 

「紫乃‼」

 

いつの間にか目を閉じ、構えている善逸の姿が見えた。それなら……

 

「フォンテーヌ!氷のエレメントで僕の血を凍らせてくれ!」

 

「分かったわ!」

 

『血鬼術!血癒玉!』

 

いくつかの血で作られた玉をフォンテーヌが凍らせた瞬間、

 

『雷の呼吸!壱の型!霹靂一閃・六連!』

 

それを足場にして、メガビョーゲンのプロペラを切りつける。

 

「浅い!?」

 

「寸前で避けたのか!?」

 

あのメガビョーゲン、善逸より早いのか!?

だけど善逸は凍った血玉に乗った瞬間……

 

『雷の呼吸!壱の型!霹靂一閃!神速!』

 

目にも止まらぬ速さでメガビョーゲンのプロペラを切り落とした。

 

「善逸、やっぱり凄い」

 

「スパークル!」

 

グレースのぷにシールドを足場にして、墜落しそうなメガビョーゲンに踵落としを喰らわすスパークル

 

メガビョーゲンは地面に叩きつけられ……

 

「トリプルハートチャージ!」

 

「「届け!」」

 

「「癒しの!」」

 

「「パワー!」」

 

「「「プリキュア・ヒーリングオアシス‼」」」

 

ヒーリングオアシスでメガビョーゲンを浄化するのであった。

 

「やるね……今日のところはそこそこ楽しめたよ。それじゃ」

 

月鬼は姿を消し、グアイワルとバテテモーダもいつの間にか姿を消していた。

 

「月鬼……何者なんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一青side

 

カッコつけて姿を消したけど、俺はあいつらみたいに一瞬で移動とか出来ないんだけど……

 

「さて、帰る前に……何か飲んでいくか」

 

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

そんなこんなで雷のエレメントさんから雷のエレメントボトルを貰い、ラテも元気になった。めいさんも無事にワゴンから出られたみたいだ。

 

そしてひなたも……

 

「ありがとね。バテテモーダとか月鬼とか四鬼将とかまだ全然いるけど、それでも今、私が頑張ればみんなを助けられるもんね!意味なくなんかないんだもんね」

 

ひなたも気持ちが前向きになったんだな。さて……

 

「紫乃~早く治してよ~」

 

「善逸さん、家に帰ってからにしよ」

 

「着地に失敗して、骨を折るなんて……」

 

「私たちは先に帰ってるね」

 

禰豆子とカナヲに肩を借りながら泣く善逸。本当に格好いいときは格好良いのに……

 

「紫乃っちも……助けてくれるんだよね。襲われそうになる前に」

 

「あぁ」

 

「本当に紫乃っちは…………ちゆちーに内緒で私と付き合う?」

 

「ひ、ひなた……」

 

ひなた、冗談でも止めてくれ。ちゆが泣きそうだから……

 

「冗談だよ~お姉!紫乃っちとちゆちーに恋人御用達ラブラブドリンクを~」

 

「はーい」

 

めいさんが出してくれたの、ハート型のグミが乗ったジュースだったけど、何故かストローが二つある……

 

「さぁさぁ二人とも~」

 

ひなた…………お前……

 

「紫乃、飲みましょう」

 

「そうだな」

 

気にせずジュースを飲むのであった。

 

「弄っても照れなくなったね」

 

「本当にね」

 

「何か楽しそうだな」

 

するとクラスメイトの一青が声をかけてきた。

 

「お前らもUFO探してたのか?こんなところに来て」

 

「まぁそんなところ」

 

「でも何処か行っちゃったみたい」

 

「そうか……それじゃな」

 

一青はジュースを受けとり、帰っていくのであった。あいつ、UFO探しなんて……世俗的と言うかなんと言うか……

 




今回の話……カッコつけたのに台無しなった男三人がいます



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48 すこやかフェス

のどかside

 

今日はすこやか総合病院で私の検診結果をお母さんたちと一緒に聞きに来ていた。

 

「先生、のどかの検診の結果は……」

 

「どうなんでしょう?」

 

「うむ……いや、全くもって健康です。元気すぎるくらいだ」

 

結果を聞いて、お母さんたちも……そして私も凄く嬉しかった。

 

「前の病院のカルテを見ましたが、君!本当に病気だったのかい?」

 

「はい!」

 

「はははは、返事も元気そのものだし、何の心配もいらんでしょ。それにしても……」

 

「何ですか?」

 

「いやね。君みたいに病弱な子が急に元気になった子がいてね。確か…………」

 

私はその子の名前を聞いて驚きを隠せないでいた。

 

 

 

 

 

 

 

「本当に良かったわね」

 

「うん、でも何で私、元気になれたんだろ?」

 

「いいじゃないか。元気になれたんだから」

 

お母さんたちは喜んでくれている。でも私は先生が話していた事が気になっていた。

 

「お母さんたちは知ってたの?」

 

「あの子の事ね。えぇ、あの子が話してたわね」

 

「うっかり話してたみたいだね。のどかたちには後々話すって言っていたけど……」

 

そっか……話す前に知っちゃったけど……その事ちゃんと話した方がいいかな?

 

そんなことを思っていると、町の方から花火が上がっていた

 

「そう言えば今日はお祭りだったわね」

 

「お祭り!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すこやかフェスに私とラビリンとラテで訪れていた。

 

「色んなお店があるね~」

 

「どれも美味しそうラビ~食べてみたいラビ」

 

ドーナッツ、カップイチゴに目移りしている。どれも本当に美味しそうだもんね

 

「お母さんにお小遣い貰ったから後でご馳走するね」

 

「本当ラビ!やったラビ」

 

 

 

 

 

 

 

一青side

 

ビョーゲンキングダムにて……

 

「えっ!?いいんっすか!?これ、グアイワル先輩の大事なおやつじゃないですか‼」

 

「あぁ、実にその通りだ。俺がずっーーと取っておいた。だが特別に……物凄く特別に!!!お前にやろう!!!」

 

「じゃ!遠慮なく~うっまーーーーーい‼」

 

多少は遠慮してやれよ……バテテモーダ。グアイワルがよだれ垂らしてるからな。

 

「これを食べて精進するだぞ!」

 

「えぇ、任せてください!」

 

バテテモーダもおだてるのに大変だな。

すると茨木と累が俺の所にやって来た。

 

「ここにいたか。一青」

 

「呼び出されたからね。それで今回はそいつと一緒にプリキュアと鬼狩りと戦えばいいのか?」

 

「いや、今回は人探しだ」

 

「人探し?」

 

「あぁ、上弦の中にそう言う契約を結んでいる奴がいるからな」

 

鬼を使役するのも大変だな。まぁ頼まれてやるか

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

「賑わってるわね」

 

「そうだな」

 

すこやかフェスに僕とちゆの二人で見て回っていた……と言うより偶々出会ったので、流れ的にそうなった

 

「それにしても……デートなら良かったのに……」

 

少し怒った顔をするちゆだけど……デートだったら……

 

「こう言うのはみんなで楽しみたいし……のどかやひなたが気を遣ってくるかもしれないからな……」

 

「そうだけど……」

 

「それにデートするときはちゃんと前もって誘うから……」

 

「紫乃……」

 

手を握りると、ちゆは握り返してきた。まぁこんな時間も悪くない

 

「何だか二人の世界に入ってるペエ」

 

「気にしない方が良いですよ。ペギタン」

 

「しのぶちゃん、しのぶちゃん、あれ、美味しそうだよ」

 

「蜜璃さん、食べ過ぎないようにしてくださいね。炭治郎くんはカナヲと一緒じゃなくって良かったの?」

 

「えっ?ほら、女の子同士の方がいいかなって、禰豆子もそうしたいって言ったから……」

 

「…………紫乃くん、貴方の爪の垢を炭治郎くんに飲ませてあげて」

 

呆れながらそう言うしのぶさん。苦労してるんだな……何にとは言わないけど……

 

「あ、ちゆちゃん、紫乃くん、それにしのぶさんたちも」

 

するとワゴン車の所にのどかたちがいるのを発見して、合流するのであった。

 

 

 

 

しのぶさんと蜜璃さんと別れ、敏が近いもの同士お店を見て回ることになり、足湯に浸かりながら名物のすこやか饅頭を食べる僕たち。

 

「そう言えば今日ね。病院で先生にすっごく元気だって言われたの」

 

「本当!?のどかっちやったじゃん」

 

そう言えばのどかって病弱だったな。普段の様子からその事を忘れるくらい元気だったし……

 

「もう前から元気だったんだけど、お墨付きをもらった感じで……嬉しくって……」

 

「良かったわね。のどか」

 

「うん、私……この街に引っ越してきて、更にパワーアップしてる気がする」

 

「やっぱプリキュアパワーでしょ」

 

「プリキュアになれて元気になるって聞いたことないラビ」

 

「だったらきっと温泉パワーね」

 

まぁ何が理由でものどかが元気ならそれでいいと思うな。

 

「それでね……先生に……前にも私みたいにすっごく元気になった子がいたって……」

 

「そうなの?」

 

「同じ様な子がいるのね」

 

「紫乃は聞いたことある?」

 

炭治郎は僕にそんなことを聞いてきた。

 

確かに聞いたことがある。

 

「紫乃……くんだって……」

 

「「「えっ!?」」」

 

ちゆ、ひなた、炭治郎は驚いていた。まぁ驚くよな。話してなかったし……

 

「そうだよ……僕ものどかみたいに……病弱だったんだ」

 

これは幼馴染みのちゆでも知らない話だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

しのぶside

 

蜜璃さんと一緒に食べ歩きをしていると、どうにも見覚えのある後ろ姿を見つけた

 

「蜜璃さん、あれって……」

 

「ん?あーーー‼」

 

まさかこんなところで会うなんて…………




紫乃の伏線は一応前々から触れています。

そして誰と出くわしたのか…………


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49 紫乃と街と過去……

幼い頃、僕はのどかみたいに病弱だった。

 

外の景色を見れば、走り回りたいと思いたいほど…………

 

ずっと辛い思いをしていた。

 

そんな入院していたとき、お爺ちゃんの知り合いの宗一さんが僕に処置を施した。

 

今思えばそれは僕の鬼の力を授けたものだったのかな……

 

 

 

 

「お陰で健康的になれたから…………って何でみんな、悲しそうな顔してるんだよ!?」

 

「だ、だって……紫乃っち……」

 

「何で話してくれなかったのよ……」

 

「わざわざ話すことじゃなかったし……」

 

「秘密にしてたなら……話してごめんね」

 

「いや、謝ることじゃないし……」

 

「紫乃……その……宗一さんの事は恨んだりしてないのか?元気になったけど、鬼の力や不死身になったことについて…………」

 

「恨みとかはないよ。宗一さんは僕のためを思ってやったことだし…………もしも病気が治らなくっても……恨むのは間違ってるから……」

 

「そっか……紫乃らしいな」

 

炭治郎は笑顔で返すけど…………

 

「のどかたちも泣くなよ……ほら、好きなものあげるからさ」

 

「「本当に!?」」

 

のどかとひなた、変わり身早いな……

 

「紫乃……」

 

「ちゆも気にするなよ……ただ昔は身体が弱かっただけの話だからさ。今は元気なんだから」

 

「そうね。紫乃の知らなかったことが知れただけで充分だわ」

 

「ほら、食べ歩きしよう」

 

「えぇ」

 

それからみんなで食べ歩きを満喫したり、腕相撲をしたり、フェスを楽しむのであった。

 

 

 

 

 

 

 

一青side

 

「さて……フェスだから探し人が見つかるかな~」

 

人間の姿をした累と共に探し人の捜索を始めるのであった

 

「ねぇ」

 

「何だよ。累」

 

「その探し人の特徴は?」

 

特徴?はて……

 

「累が聞いてるんじゃないのか?」

 

「知らないよ」

 

「じゃあどうやって探すんだよ……」

 

「さぁ?」

 

………………情報集めてからにしておけば良かった……

 

「…………何か食べるか?」

 

「まぁそうだね。だけどこの街に鬼狩りがいるんだろ?大丈夫なのか?」

 

「特別な処置をしてるからな。人の姿なら鬼だとバレないし、俺も戦うときも似たような処置をしてある」

 

じゃないと敵に俺の正体がバレるからな

 

「さて、今日は何があっても楽しむぞ」

 

「…………」

 

後で茨木に話を聞いておこう

 

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

みんなでフェスを回っていると、すこやか饅頭を売っている屋台の人達の声が聞こえた。

 

話を聞くとどうにも蒸器が壊れたらしく、すこやか饅頭を作れないらしい。

 

すると周りの人達が力を貸してくれることになり、僕らも手伝うことになった。

 

「すごいね……みんなの力であっという間に解決しちゃうんだもん」

 

「そうね」

 

「あら、こんなの大したことじゃないわ」

 

近くの椅子に座っていたお婆さんがそんなことを言い出した。大したことないって……

 

「すこやか市はね。そもそもそう言う町なんだよ」

 

「そう言う?」

 

「えぇ、昔から病気やトラブルに見舞われる度に、みんなで協力して困難を乗り越えたんだよ。だからすこやか饅頭が作れないなんてトラブル、この町のみんなが力を合わせれば何て事ないよ」

 

力を合わせればか……確かにそうかもしれないな。

 

「確かにすこやか市はそう言う街かもしれないわ。何かあったらみんなで乗り越えるって言う」

 

「そう言うパワフルなとこあるかもね」

 

「だな」

 

僕らもそうしていってるしな。

 

「のどかの元気の源はこの街から貰ってるかもしれないな」

 

「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

しのぶside

 

「つまり……協力する気はあると」

 

「お館様からの命令だからな」

 

「それじゃ早くみんなの所に紹介に……」

 

「…………」

 

この人は……黙りこんで……のどかさんたちに聴診器借りてきた方がいいかもしれない。

 

そんなとき、離れたところから悲鳴が聞こえてきた。

 

「何だろ?」

 

「まさか!?行きましょう!冨岡さん‼」

 

「……まだ鮭大根を……」

 

「………………」ピキッ

 

「し、しのぶちゃん?」

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

メガビョーゲンが現れ、のどかたちは何処かに行っていたラビリンたちと合流し……

 

「「「スタート」」」

 

「「「プリキュアオペレーション」」」

 

「「重なる二つの花!キュアグレース!」」

 

「「交わる二つの流れ!キュアフォンテーヌ‼」」

 

「「溶け合う二つの光‼キュアスパークル‼」」

 

「「「地球をお手当て‼」」」

 

「「「ヒーリングっとプリキュア‼」」」

 

プリキュアに変身して、メガビョーゲンの前に立った。

 

「ちぃーす!プリキュアー!ご機嫌いかがっすかー!」

 

「ふん、あんた来たからちょー最悪」

 

「おーこっわ!」

 

今回はバテテモーダだけなのか?なら、プリキュアたちの戦いに集中できる!

 

「それじゃー行くよー!」

 

メガビョーゲンの突進を僕らは避け、炭治郎と同時に攻撃を仕掛けようとするが、メガビョーゲンは両腕の扇風機を掲げて、風を巻き起こして僕らを吹き飛ばした。

 

 

吹き飛ばされた僕らは近くの山に落ちると、追ってきたメガビョーゲンがまた風を起こして僕らの動きを封じる。

 

「動けなーい!?」

 

「この風じゃ……血鬼術も……炭治郎、何か策がないか?」

 

「流石にこれだと……」

 

「任せて‼」

 

フォンテーヌが風が吹いていないところへと移動して、メガビョーゲンに攻撃を加え、よろけた瞬間にスパークルと共に

 

「ハアアアア‼」

 

『雪の呼吸!壱の型!初雪!』

 

『ヒノカミ神楽!円舞』

 

更に攻撃加えて倒れるメガビョーゲン。その隙にグレースはキュアスキャンで風のエレメントさんの場所を確認し、攻撃を加えようとした瞬間

 

『十二月の呼吸!参の月弥夜李‼』

 

三つの斬撃がグレースたちに迫ってきた。僕と炭治郎は咄嗟に防ぐ。

 

「はぁ、あいつめ……後で大量に奢らせてやる‼」

 

「そもそも本来の目的忘れてたでしょ」

 

メガビョーゲンの前には月鬼とあれは……

 

「下弦の伍!?」

 

「久しぶりだね。君の妹は元気にしてる?」

 

下弦の伍はそう言って、手から何かを出してきた。僕は身構えた瞬間、身体を動けなくされていた

 

「これは……!?」

 

「紫乃!?」

 

炭治郎は慌てて僕を助けようとするが、月鬼がそれを邪魔する

 

「悪いが奢らせる分の働きはする‼それに……」

 

『十二月の呼吸!肆の月!雨月‼』

 

四連続の突きが炭治郎を襲う

 

「日の呼吸と十二月の呼吸の力比べだ‼」

 

「くっ」

 

早く抜け出さないと……僕は拘束から抜け出そうとしていた

 

「紫乃くん、ダメ!?」

 

「再生できるからって、その間に攻撃されるわ!?」

 

「今、助けに」

 

「僕の事は気にするな!」

 

「気にするわよ‼」

 

フォンテーヌに怒られた瞬間、首に何かが巻き付いた。

「これは……糸!?」

 

「君はどこまで再生できるかな?」

 

ゆっくりと締め上げてくる糸……このままだと……

 

『水の呼吸!拾壱の型!凪』

 

突然、締め上げていた糸が切られた。そして僕の前には黒髪に半分ずつ縫い合わせた羽織を羽織った男がいた。

 

「お前!?」

 

「義勇さん!?」

 

炭治郎は月鬼の攻撃を弾き、義勇と呼ばれる人に駆け寄る

 

「久しぶりだな。炭治郎」

 

「義勇さんも……」

 

「積もる話は後だ。こいつを倒して……」

 

「あの時の恨みは忘れて……」

 

「止めとくぞ。累。分が悪い」

 

月鬼は下弦の伍を押さえつけて、姿を消した。

 

「逃げたのか?」

 

逃げたなら、グレースたちのところに…………

 

するとメガビョーゲンが空を飛び、グレースたちを吹き飛ばす。僕らは急いでグレースたちの所へと向かった。

 

 

 

 

 

 

街に戻るとたちはメガビョーゲンを倒し終えていた。

 

「大丈夫だったか?」

 

「うん、紫乃くんたちも」

 

「えっと……そちらの人は?」

 

「この人は水柱の冨岡義勇さん。俺の兄弟子なんだ」

 

「………………」

 

冨岡さんは何も言わず、その場から去ろうとしていた。

 

「義勇さん、どこに!?」

 

「…………胡蝶に鮭大根を……」

 

そう言ってその場から去った。鮭大根って……

 

「何か感じ悪い人だね」

 

「いや、あの人は……口下手と言うか……」

 

要するにコミュニケーションをあまり取ろうとしてないと言うことか…………

 

 

 

 

 

 

僕らは助けた風のエレメントさんから話を聞くと……

 

『ありがとう。みなさん。それにしても、プリキュアと鬼殺隊の方に会えるなんて本当に久しぶりです』

 

久しぶりって……どう言うことだ?

 

『私が前に会ったのずっとずっと昔でしたから』

 

「昔?」

 

「それは伝説のプリキュア!?のどかたちの前のプリキュアラビ!?」

 

ラビリン曰く昔、のどかたちと同じようにビョーゲンズと戦っていたらしい。その時にテアティーヌとのパートナーを組んでいたらしい

 

『その女の子はこの街に住んでいたんですよ。遥か昔、この土地に住んでいた女の子が音楽を奏でることで、人間のみならず動物やエレメントの心と病を癒していたのです。その女の子があなたたちの前のプリキュアです』

 

そんな事があったのか……いや、それだけじゃない

 

「鬼殺隊について何で知ってるんだ?鬼殺隊は別世界の…………」

 

『存在してましたよ。ただあまり知られないようにしていたみたいで、ある日、双子の剣士が鬼の始祖を力を合わせて戦い…………鬼の始祖を倒しました。その時にプリキュアと力を合わせていましたね』

 

双子の剣士……それにプリキュアと一緒に……

 

「…………歴史が違うのか……」

 

炭治郎は何か覚えがあるのかな?

 

「その剣士が使っていた呼吸は?」

 

『日と月です。二人とも子孫を残したみたいですよ』

 

子孫もいるのか…………

 

『ただ日の呼吸の剣士は、鬼の血で何かをしていたみたいですね。プリキュアが問い詰めたみたいですけど…………』

 

エレメントさんの話では、日の呼吸の剣士は、鬼の始祖の血が何かを目覚めさせたみたいだと言っていたらしい

 

その何かって………………

 

 

 

 

 

 

 

 

エレメントさんからの話を聞き終えると、ラビリンが慌てて僕らをあるところへと連れ出した。そこは大声コンテストが開かれていて、賞品としてすこやか饅頭100個がもらえるとのことで、僕、のどか、ちゆ、ひなたの四人で参加することに…………

炭治郎は冨岡さんの所へと行くとかでいなかった。

 

「スマホ新しいのほしーーい‼」

 

「沢泉の温泉!サイコーーー‼」

 

僕の番か……まぁ叫ぶ内容は……

 

「紫乃っち、ちゆちー大好きって叫ぶの?」

 

「………………………………そんなことないぞ」

 

「そっか」

 

ひなたは最近僕の心を読みすぎじゃないかな?だけど今回は違う‼

 

「ちゆーーーーーー愛してるーーーーーー!!!」

 

「もう……紫乃ったら////」

 

叫んだけど、ひなたには呆れられた。

 

「私……すっごく生きてるって感じーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

結果、大声コンテストはのどかの優勝で決まり、みんなですこやか饅頭を食べることになった

 

 

 

 

 

 

 

 

「鬼の始祖…………奴の血が鬼神たちを甦らせた…………」

 

宗一さんは一本の刀を手にしていた

 

「これは一族の罪……紫乃、お前に押し付けてすまない…………そして月の呼吸の剣士の末裔を探さなければ…………」

 




色々と伏線撒きました。

そして紫乃と無惨はある意味似ていた感じです

次回のプリキュアのあらすじを見て、あの人を出すことを決めました


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手記

合間の話となります


◾◾◾手記

 

鬼の始祖を弟と倒した……

 

だが星を護る少女により、ある事を聞かされた

 

「鬼は最後の瞬間…………大地に自分の血と小さな肉片を植え込みました。時が経ち……奴は蘇るかと……」

 

それを聞いた瞬間……弟は大地に転がる鬼の肉片から血を抜きとり…………

 

「奴は死んだからこそ……奴の手によって鬼にされたものは解放されたはずだ」

 

「それは鬼が甦るために…………他の鬼を滅ぼし……復活への時間をかけていると思います」

 

そのような事が…………

 

「奴を倒すには……大地の……星の命を……」

 

奪い……復活をなかったことにするのか?だがそれは彼女の役割と反している

 

「…………兄上……私はある方法で鬼を止めます。あなたは…………敵になってください」

 

弟は優しく頬笑み……その場から消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

プリキュアから新たな鬼の目撃情報を聞かされた。だがそれは古に封印された鬼…………

 

「弟だ」

 

「だと思います。私も問いただしました。古の鬼と始祖をぶつけるつもりです」

 

古の鬼はそう言う力を持っているらしいが…………

 

「私は役目を果たしますが……貴方は?」

 

「………………」

 

自分の役目……それは鬼を倒すこと…………だがそれは長い戦いになる

 

そのために一族に手記を残す。

 

 

 

 

 

 

 

 

呪いと言っていいほど…………◾◾家では子は双子で生まれる。

 

これは呪いなのか?それとも…………

 

 

 

 

 

 

 

一族の中に双子ではなく、一人だけ生まれた家が合った。

 

その子は忌み子と呼ばれ…………不思議な力を宿した。それは……古の鬼と同じ…………

 

私はその力が人に危害を加えないように…………月の光を浴びた刀を授けた。

 

ただの気休めだ…………

 

 

 

 

 

 

 

古の鬼はビョーゲンズと協力し…………大地を蝕むことで始祖の復活を防いでいた。

弟はそれが目的だったが…………

 

弟にとっては未来永劫に続く罪となった。

 

私は…………

 

 

 

 

 

 

 

 

「だそうだよ」

 

鬼神に読み聞かせた手記……

俺の家に残されたものだ

 

『我々の役目は終わっている。だからこそ……』

 

「封じようとした日の呼吸の使い手を殺したんだね」

 

『そうだ。そしてその一族は我らを宿す器となり、時空を越える力を手にした』

 

「その中で古の鬼の呪縛を破り……裏切ったのが……」

 

『宗一だ。奴は一族の罪をあの小僧に……託している』

 

「まぁ……それでも勝つのは俺の方だよ……時が経って……忌み子は不吉と呼ばれて捨てられた俺が……あいつに勝つ」

 

『…………我らは鬼舞辻の配下を呼び寄せ…………協力してくれたビョーゲンズに力を貸し続ける』

 

これが……全て……役目と言う呪いだった。

 

「それで……協力してくれているけど……上弦のあいつの要求は本当にいいの?あいつ……凄く強いのに……」

 

『奴とはそれが契約だ。奴は見つけたあと……決着をつける』

 

「まぁその時は……邪魔が入らないようにしておくよ」

 

俺はそういい残して、姿を消すのであった。



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50 のどかとラビリンの喧嘩

今週……ちゆの出番少なかった……




ある日の学校で……

 

「どうしよう……音楽で使うリコーダー……家に忘れてきちゃった」

 

「えぇ!?のどかっちが忘れ物なんて珍しい~」

 

「正直に先生に言うしかないわね」

 

「流石に誰かに借りるのって言うのはな」

 

衛生的に悪かったりするしな……

 

「その必要はないラビ」

 

茂みからラビリンたちが出てきて、ラビリンはのどかの忘れ物のリコーダーを届けた。

 

「ラビリン、ありがとう~」

 

「友達なら当然ラビ~」

 

「何て言うか友達と言うより姉妹みたいだな」

 

「まぁ姉妹みたいに仲が良いってことだよ」

 

「そうね」

 

「ラビリンたちだけで来たのか?」

 

「来るときに玄弥が出かけるところだったペエ」

 

「玄弥に連れてきて貰ったから帰りも安心だぜ」

 

なんと言うか……玄弥も面倒見いいな……

 

 

 

 

 

 

 

玄弥side

 

ラビリンたちの付き添いで紫乃たちが通ってる学校まで来て、その帰り道…………

 

「良かった良かったペエ」

 

「たくっ、待ってる間大変だったんだからな」

 

怪しいやつって言われて、教師たちに通報されそうになったけど…………非常勤でたまたま来ていたカナエさんのおかげでなんとかなったけど……

 

「まぁ大丈夫だったから良かっただろ」

 

「まぁな」

 

ふっとある場所を通りすぎると、ペギタンが立ち止まり……あるものを発見した。

 

紫色の……だるまのぬいぐるみ?

 

「何だこりゃ!?」

 

「ちゆに教えてもらったことがあるペエ。だるまはとっても縁起がいい置物だって」

 

「そのだるまがなんでラベンダーと一緒になってるんだよ!?」

 

「ちゆに教えてもらったことがあるペエ。これはきっとダジャレって奴だペエ」

 

「意味わかんねぇーー」

 

まぁこの時代らしいものだと思っていた方がいいな。

 

「か、可愛いラビ」

 

ラビリンだけはペギタンたちが思っていた印象と違っていた。可愛いの……か?

 

「本気か!?」

 

「かわいくないペエ」

 

「えっ!?…………冗談ラビ」

 

冗談か……そうは見えなかったけどな…………

 

 

 

 

 

 

夜、紫乃にあることを頼んだ

 

「紫乃……悪いんだけど……お金を貸してくれ」

 

「…………やだ」

 

だよな……速攻断るよな

 

「お金貸すのはいいけど、何に使うんだ?」

 

「その……は、ハーブティーを…………」

 

「ハーブティー?飲みたいなら買ってくるけど…………」

 

「いや、そうじゃなく……」

 

「ちゃんと理由を話してくれ。じゃないと貸すことは出来ない」

 

紫乃らしい答えだな。ちゃんと……理由を…………

 

 

 

 

「なるほどな。ラビリンには世話になってるからそのお礼をしたいってことか」

 

「あぁ」

 

こっちに来てから割と世話になってるから…………のどかにも…………お礼をしたいと考えていた。その機会が回ってきたんだ

 

「分かったよ……」

 

「それじゃ……」

 

「金は貸さない」

 

分かったんじゃないのかよ…………

俺は銃を抜こうとしたけど……

 

「たまにはハーブティー飲みたいし……付き合え。玄弥」

 

「えっ?」

 

「何だよ……駄目なのか?」

 

「い、いや……付き添ってやるよ」

 

何だかんだ紫乃は優しい…………

 

「それにしても……玄弥は変わってるな」

 

「変わってるって?」

 

「ん?ラビリンの事が好…………」

 

紫乃の額に銃弾を撃ち込む俺。こいつはアホなのか?

 

「いきなり撃つなよ……死ぬだろ‼」

 

「お前なら死なないだろ‼」

 

「基本再生能力持ちでも痛みとかあるんだからな‼外傷で死ねなくても、ショック死とかで死ぬからな‼」

 

「お前がアホみたいなことを言うからだ‼」

 

「アホって…………何?のどかの事が好きなの?」

 

「……………………」

 

「へぇーなるほどな~確かにたまに仲良く話してるところあるもんな~」

 

「う、うるせぇよ。つうか好きって訳じゃねぇよ‼俺は日頃のお礼をだな……」

 

精一杯の文句を言う俺だった。

 

 

 

 

 

 

 

一青side

 

「鬼喰い?」

 

酒天と鈴鹿の二人に呼び出された俺はある任務を頼まれていた。

 

「あぁ、鬼狩りにいるだろう。そいつの処分をな」

 

「そんなに厄介なのか?」

 

「厄介と言うより…………私たちの血肉を取り込んだ時のことを考えてね」

 

「下手すれば脅威になるからか。厄介どころじゃないな」

 

「そこでだ。お前には他の鬼狩りの足止めを頼む」

 

「俺一人でか?」

 

「勿論……上弦から一人……いや、二人だな」

 

まぁ楽になるならいいか

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

玄弥の付き添いでハーブティーを飲みにきた僕と…………

 

「楽しみね」

 

「ハーブティーって飲んでみたかったんだよね~」

 

カナエさんと蜜璃さんの二人も付いてきた。まぁ女性がいると助かるな

 

「それにしてもこのラベンダルマ……可愛いわ」

 

「うんうん、しのぶちゃんたちの分も通わないと」

 

その目的のラベンダルマは期間限定で……スタンプを押してもらってもらえるものらしい。

 

お店の入り口に着くとのどかとラビリン、ラテがいた。

 

「あれ?紫乃くんたち、どうしたの?」

 

「僕は…………玄……」

 

「紫乃たちがハーブティー飲みたいって言って……その付き添いで」

 

慌てて口を塞ぐなよ……恥ずかしいのは分かったから

 

「そうなんだ。私たちも……」

 

「のどか!」

 

「えっと……」

 

あくまで秘密にしておきたいと言うことかな?するとカナエさんは

 

「このラベンダルマ可愛いよね。ラビリン」

 

「カナエ……可愛いラビ」

 

まぁ何が好きなのかはからかったりしないから……安心はしてほしいけど…………

 

「のどかちゃんたちも?」

 

「はい」

 

なんと言うか…………玄弥はドンマイだな。

 

みんなでお店の中に入ると、お客さんは誰もいなかった。

すると店員の人が出てきて……

 

「いらっしゃい」

 

なんと言うか……おか……中性的な人だな。

 

「良かった。この子、あんまり人気が無くてね。でも5人も来てくれるなんて嬉しいわ。自慢のハーブティー入れるわね」

 

みんなでハーブティーを飲むと…………

 

「ふわぁ~何だか落ち着く~」

 

「でしょ。ラベンダーにはリラックス効果があるの」

 

「へぇ~」

 

「確かに……落ち着く……」

 

「たまにはこう言うのも悪くない時間ね」

 

「うん」

 

それから通い続けて、スタンプも埋まり、目的のラベンダルマを手に入れて、ラビリンは嬉しそうにしていた。

 

 

そんな帰り道……

 

「のどか、ありがとうラビ」

 

「ううん、お礼を言うのはこっちの方だよ」

 

「どうしてラビ?」

 

「私もすっかり愛着わいちゃったし……それに初めてだったんだ。友達と一つのことで盛り上がれたのって…………」

 

のどからしいな…………にしても……

 

「僕らが持つとシュールだな。玄弥」

 

「言うな……」

 

「ふふ、大切にしないとね」

 

「また来て、女子全員分も集めないとね」

 

カナエさんと蜜璃さんの二人がそんなことを話していると前の方にひなたとニャトランがいた。

 

「おーい」

 

「ひなたちゃん、ニャトラン」

 

ラビリンはと言うと、何故かラベンダルマが見られないようにしていた。

 

「お買い物に行ってたの?」

 

「うん、ちょっとゆめぽーとにね」

 

「ラビリン、なに持ってるんだ?」

 

ニャトランの問いにラビリンは恥ずかしがってると、のどかは嬉しそうにひなたたちに見せていた。

 

「ラベンダルマちゃんだよ。いいでしょ~」

 

「の、のどか……」

 

「今日一緒にイベント行って、貰ってきたんだ~」

 

「あ、その、これは……」

 

「あ、あのダサい達磨じゃん」

 

ダサいって……僕も愛着わいて可愛いと思うけどな…………

 

「ラビリン、この前あんなこと言ってたのに、ハマったのか~」

 

ニャトランはそう言うけど、ラビリンにはからかわれてるように思い、持っていたラベンダルマを投げ捨てた。

 

「ラビリンはこんなの好きじゃないラビ‼」

 

思わず投げ捨てたのだろうけど……何だか空気が変わってきたな…………

 

のどかは投げ捨てられたラベンダルマを拾い……

 

「何するの‼ラビリン!」

 

「ラビリンは別にそんなのほしくなかったラビ!」

 

「どうしてそんな嘘を……」

 

「嘘じゃないラビ」

 

「嘘だよ!私……楽しかったのに……何でそんなひどいこと言うの!」

 

「ひどいのはのどかの方ラビ!ラビリンは嫌だったのに‼」

 

「何が!」

 

「言いたくないラビ!」

 

「それじゃ分からないよ!」

 

やばい……この状況はまずい……カナエさんも蜜璃さんも動揺してるし……玄弥もどうしたらいいのか困惑してるし…………

僕はひなたに助けを求め、アイコンタクトを送るが、ひなたもニャトランも動揺してる

 

「もう放っておいてほしいラビ」

 

ラビリンはそう言って、何処かへ行くのであった。のどかはラベンダルマを握りしめて、涙を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、のどかにラビリンが帰ってるか聞いたら、帰ってるけど口を聞いてくれないらしい。

 

電話を切ると……

 

「紫乃……」

 

「どうした?玄弥」

 

「あの二人……仲直りさせてほしいんだ」

 

「…………何でそう思った?」

 

「…………俺は喧嘩したり、ひどいことを言って疎遠になるのが嫌なんだ…………」

 

「それは……玄弥自身も経験があるのか?」

 

「…………」

 

黙ったまま頷く玄弥。

 

「話を聞いてもいいか?」

 

「あぁ」

 

玄弥は語った。苦楽を共にしてきた玄弥たち兄弟だけど…………ある日の夜、母親の帰りを待っていた時に、侵入してきた何かに兄弟たちが殺され、玄弥の兄は守るために一人で立ち向かったけど…………玄弥が目にしたのは、血だらけになった玄弥の兄とその側に横たわる…………母親の姿だった。

 

玄弥はそれを見て、罵声を浴びせた。

 

だけど後々、襲ったのは鬼にされた母親で…………玄弥の兄自身も……自分が母親を殺したことにショックを受けていた。

 

玄弥はお兄さんにその事をずっと謝りたかった…………

 

「謝れたのは…………俺が死ぬ寸前だったんだ。その間……兄貴は俺と話してくれなかった。鬼殺隊に入ったことも怒っていたけど…………」

 

それは……玄弥の兄は玄弥にはただ幸せになってほしかったと言う意味があったらしい。鬼もなにも知らないまま……幸せな家庭を築いてほしい……その幸せだけは守ると言うものだった

 

「だから……俺みたいになってほしくないんだよ…………」

 

「玄弥……」

 

放っておけないよな。二人のこと…………

 

「のどかたちに話してもいいか?」

 

「…………ラビリンには俺が話すよ」

 

とりあえず仲直りのために動くか。




本当は紫乃の出番も無くそうかと思ったけど……主人公の出番がないのも何だかと思いました。



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51 仲直りと一陣の風

「昨日のこと……聞いたわ」

 

昨日のことについて、ちゆも気にしていたみたいだ。

 

「ラビリンはきっと……そのだるまが好きなんだってこと……ニャトランたちに知られることが嫌だったんでしょうね」

 

「のどかっち、別に悪くないし……好きなものは好きって言いたいじゃん」

 

「そうね……多分どちらが間違ってるって話じゃないのよ……」

 

のどかはどうしたらいいのか分からないみたいだな。

 

「玄弥が言ってた。取り返しのつかない前に早く仲直りしてほしいって……」

 

「玄弥くんが?」

 

「あいつも……色々とな」

 

僕はのどかたちに玄弥の過去について話すのであった。

 

話を終えると……

 

「そんなことが……」

 

「げんちーは……自分みたいになってほしくないってこと?」

 

「だな」

 

とは言え、のどかが気にしてるのは…………

 

「のどかは……喧嘩したことを気にしてるのか?」

 

「…………」

 

のどかは首を横に振った。だろうな…………

 

「のどかも……初めての事だから悩んでるなら…………アドバイスを一つ」

 

「何?」

 

「しっかりとラビリンと話すことだ。聞いてもらえなくても…………ちゃんと向き合うんだよ」

 

「紫乃くんも経験あるの?」

 

「あるよ…………両親とな」

 

何度もぶつかった覚えがある。その度にひどいことを言って…………落ち込んだことがあった。

 

「もしも一人で辛いなら……僕もちゆもひなたも付いてる……」

 

 

 

玄弥side

 

公園でカナエさんと甘露寺さんと一緒にラビリンたちと話していた。

 

「別にバカにした訳じゃないんだぜ。確かに可愛くねぇとか思ったけどさ……」

 

「ニャトラン!」

 

「でもまぁ……悪かった」

 

「ごめんペエ」

 

ニャトランたちは謝るがラビリンは黙り込んだままだった。公園に来る前に俺の過去を話したけど……

 

「なぁ、のどかとちゃんと話せよ」

 

「…………」

 

ラビリンも喧嘩したことを気にしてるのか…………早くどうにかしないと…………

 

そんなとき、ラテが具合悪そうになった。まさかこんなときに…………

 

 

 

 

 

 

カナエさんたちと一緒にハーブガーデンに向かうと、ガラス瓶のメガビョーゲンが暴れていた。

 

「あの野郎‼」

 

「みんなが来るまで食い止めましょう」

 

「うん!」

 

俺たちはメガビョーゲンを食い止めようとした瞬間、上からいくつもの帯が地面に突き刺さった。

 

「お兄ちゃん、こいつらを止めておけばいいんだよね」

 

「あぁ……そうだ」

 

俺たちの前に現れたのは…………上弦の陸!?炭治朗たちがやっとの思いで倒した奴等が……何で!?

 

「こんなときに……」

 

「早く倒して……」

 

「あんたら小娘には用がないんだよ!」

 

「俺たちは……足止めだ。狙いは……」

 

突然何処からともなく襲ってきた金棒と触手が俺を吹き飛ばした。受け身をとれずに地面に転がされる俺……右腕が折られた……

 

「鬼喰い見つけたぞ」

 

「さっさと処分ね」

 

こいつらは……

 

「始めましてだな‼俺は四鬼将の酒呑‼」

 

「私は鈴鹿」

 

「お前の体質は面倒だからな……ここで死んでもらう」

 

「柱は上弦に足止めしてもらってるしね」

 

狙いは俺なのか…………何とかして戦わないと……

 

「玄弥‼」

 

すると紫乃たちが駆けつけてきた。

 

 

 

 

 

紫乃side

 

ハーブガーデンに着たら、上弦に四鬼将……厄介すぎだろ

 

「行くわよ」

 

「ペエ」

 

「私たちも」

 

「おう」

 

「ラビリン……行くよ」

 

「ラビ……」

 

のどかたちはプリキュアに変身するのだが、のどかとラビリンがタッチしようとした瞬間、弾かれてしまい、変身が出来なかった

 

「どうして……」

 

「玄弥‼のどかたちを安全なところに‼」

 

「そうしたいけど……こいつらは俺が狙いなんだ‼」

 

「なら……」

 

玄弥を逃がそうとすると、突然現れた月鬼に妨害された。

 

「お前の相手は俺だ‼」

 

「くそ!」

 

どうすれば…………

 

『水の呼吸!肆の型!流流舞い!』

 

『炎の呼吸!壱の型!不知火』

 

酒呑たちの前に義勇さんと杏寿朗さんの二人が対峙する

 

「早く行け」

 

「うむ!ここは任せろ」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

玄弥とのどかたちはその場から離れた。これなら…………

 

「まぁ……足止めはしっかりするさ」

 

月鬼の言葉に違和感を覚えた。足止め?まさか!?

 

 

 

 

 

 

玄弥side

 

離れた場所に移動するが、のどかたちは変身できなかったことがショックだった。

 

「…………」

 

「…………」

 

するとのどかに抱かれていたラテが抜け出し、のどかの指を噛み、ラビリンの背中を押す

 

「……」

 

「……」

 

ラテは黙り込む二人に吠えた。そっか…………二人のことを考えて…………

 

「……ごめんね」

 

「……何でのどかが謝るラビ……」

 

「ラビリンの気持ち……分かってなくって……」

 

「のどかは全然悪くないラビ……言ってもないのに……勝手に分かった気になって……一人で勝手にムカッてしたラビリンが悪かったラビ……」

 

「ラビリン……」

 

「なのにのどかに謝らせちゃって……ごめんなさいラビ。のどかはもうラビリンのこと嫌いになっちゃったかと思ったラビ……凄く嫌だったラビ……苦しかったラビ」

 

「私もだよ……喧嘩したときよりもその後一人でずっと悩んでいた夜の方が辛くて、嫌だった……嫌いなんかならないよ……私……ラビリンと友達止めたくない!ラビリンは?」

 

「そんなの……一緒に決まってるラビ」

 

「良かった……」

 

これで二人は仲直りだな……

 

「スタート!」

 

「プリキュア ・オペレーション」

 

「エレメントレベル上昇ラビ‼」

 

「「キュアタッチ!」」

 

「「重なる二つの花!キュアグレース!」」

 

 

二人は変身出来たみたいだな。後は……

 

「玄弥くん!?」

 

グレースの声が響いた瞬間、重い一撃と共に右腕が切り落とされた

 

「があ!?」

 

吹き飛ばされ、地面に倒れた瞬間、両足が潰された

 

「八瀬……ご苦労」

 

「……四鬼将総出」

 

「玄弥‼」

 

まさか……こんなことが……

 

「脅威は即刻……排除する」

 

茨木が刀を振り上げた。まずい……このままだと……

 

「首を切るといい……胴体を切っても生きてたらしいから」

 

「なら、首を切り、八瀬……お前は転がった頭を潰せ‼」

 

「分かった」

 

あぁ……もう俺は……死ぬのか………………

 

でものどかとラビリンが仲直りできたのを見届けられて……良かった…………

 

兄貴…………会いたかったけど…………ごめん……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『風の呼吸!塵旋風・削ぎ‼』

 

一陣の風が二人の四鬼将を吹き飛ばし、俺の前に…………

 

「てめぇは……無理矢理戦わされてるのか?」

 

「あ……あ……」

 

「何でもいいか……おい‼紫乃とか言うやつ‼」

 

「へっ?はい!」

 

「無理矢理戦わしてるのか?」

 

「違う……玄弥の意思だ!」

 

「なら、さっさと傷を治してやれ!お前にそんな力があることは知ってる‼」

 

「させると…………」

 

『参ノ型!晴嵐風樹‼』

 

月鬼を吹き飛ばし、紫乃は俺の身体を癒した。

 

「てめぇら…………俺の弟に手を出したことを後悔させてやる‼」

 

「あ……兄貴‼」

 

兄貴が……助けに来てくれた…………

 

 

 

 

紫乃side

 

玄弥の傷を癒すと、僕は玄弥の兄…………実弥さんの隣に並んだ

 

「玄弥は大丈夫だろうな‼」

 

「はい……」

 

「なら……速攻で終わらすぞ‼」

 

互いに構えると、月鬼は……

 

「どうする?邪魔が増えたけど……」

 

「酒呑様……」

 

「これ以上は無駄な犠牲を払うな……退くぞ」

 

そう言って鬼たちは消え、僕は直ぐ様グレースたちのところに助けに入った

 

「紫乃くん」

 

『雪の呼吸!伍ノ型!雪雷‼』

 

五連撃の刃がメガビョーゲンを怯ませ、更に…………

 

『風の呼吸!漆ノ型‼頸風・天狗風』

 

追撃を喰らい、倒れるメガビョーゲン。

 

「みんな‼今だ‼」

 

「トリプルハートチャージ!」

 

「「届け!」」

 

「「癒しの!」」

 

「「パワー!」」

 

「「「プリキュア・ヒーリングオアシス‼」」」

 

メガビョーゲンを浄化し、無事戦いが終わるのであった。

 

 

 

 

 

 

一青side

 

撤退したあと、酒呑に今後鬼喰いについて触れた

 

「いつでも奴を殺せることは分かった。一青、お前は傷を癒せ」

 

肩から流れる血……流石に柱は強いな…………

 

「一青、傷が治り次第、お前には次の任務を与える。ゲートを封じろ」

 

「はいはい……」

 

柱の強さは分かった。そして自分の実力も……

 

「楽しみだな。柱を殺すために…………強くなれるのが……」

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

のどかとラビリンも無事に仲直りし、僕の家では……

 

「玄弥…………」

 

「兄貴……」

 

感動の兄弟の再会…………とはいってないのかな?

 

実弥さんは拳を振り上げ、玄弥は思わず目を閉じる…………だけど実弥さんは玄弥の頭をなで…………

 

「お前の意志で戦ってる以上は……止める気にはなれねぇ……勝手に死んだら許さねぇからな。お前はちゃんと幸せになって……老いて死ね‼」

 

「あ…兄貴……その時は兄貴も……一緒に……いてくれ……」

 

「ちっ、考えてやるよ‼それと紫乃‼」

 

「は、はい‼」

 

「お館様の命令だから戦ってやるが……てめぇはまだ認めてねぇからな‼」

 

「あぁ、大丈夫です。そんなすぐに認めてもらおうとは思ってないので」

 

「ちっ、変わった奴だな」

 

不死川兄弟の問題は解決したかな?

 

すると呼び鈴がなり、玄関を開けると……

 

「紫乃くん」

 

「どうしたんだ?のどか」

 

こんな時間に珍しいと思った。と言うか隣だからって夜道を歩くのは危険だぞ

 

「ラビリンと仲直りできたの……紫乃くんと玄弥くんのおかげだよ。ありがとうね」

 

「わざわざお礼を言わなくても…………」

 

「それで……聞きたいことがあるの」

 

「聞きたいこと?」

 

「…………紫乃くんが経験あるって言ってたけど……紫乃くんの両親って…………」

 

「…………」

 

僕は黙りこんだ。今まで詳しく話してないし…………簡単には話したけど…………

 

「ごめん。僕からは話せない。ちゆなら話してくれるから…………」

 

僕はそれだけを告げて、のどかと別れた。

 

僕の両親…………

 

「いい加減……帰ってくればいいのに…………」

 

 

 




次回はひなたと一青の話にするか……紫乃とちゆの話にするか…………


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52 ひなたと月鬼

今回はオリストです


ひなたside

 

ある日のこと、私とニャトランは買い物に出掛けた帰り道……

 

「あれ?あの人……」

 

「どうしたんだ?ひなた」

 

「さっき森の中に……えっと月鬼がいたんだけど……」

 

「なんだって!?って敵うわけないから見なかったことにしようぜ」

 

「でも……気になるよ。ニャトランは紫乃っちたちを呼んできて!?私は後を付けていくから」

 

私は急いで森の中に入っていくのであった。

 

「あ、おい!?」

 

 

 

 

 

 

 

森の中を抜けると小さな洞窟を見つけた私。もしかして……この中に……

 

本当はみんなを待つべきだけど……

 

「気になるから……行ってみよう」

 

私は洞窟の中に入るのであった。

 

 

 

 

 

 

スマホのライトで照らしながら奥へと進んでいくけど…………

 

「あーもう!?歩いても歩いても行き止まりにつかないじゃん!」

 

大人しく入り口で待ってれば良かった。でも一本道だし……今から戻れば…………

 

「動くな」

 

突然首筋に何かを突き付けられた。いつの間にか目の前には月鬼がいた。

 

「ここで……何をしている。プリキュア」

 

「わ、私は……その……見掛けて……怪しいと思ったから……」

 

「…………付けてきたか。まぁいい。ヒーリングアニマルもいないみたいだな。早く出ろ。ここは危険だ」

 

「き、危険って……」

 

「いいから……早くで……!?」

 

月鬼は私を急に突き飛ばし、奥の方に向けて刀を構えた

 

「な、何!?」

 

「鬼神め……ゲートくらい閉じ忘れやがって……」

 

洞窟の奥から蜘蛛の顔をした鬼がこちらを見つめていた

 

『か……ぞ……くに手を出すな‼』

 

鬼は壁を殴った瞬間、月鬼が鬼の首を切り落とす。

 

ホッとした瞬間、天上にヒビが入り…………

 

「えっ?」

 

「ちっ‼」

 

天上が崩れだしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

気がつくと……何処も痛くない。どうしてかと思うと、私に倒れこんだ月鬼が……

 

「もしかして……助けてくれたの?」

 

敵同士なのにどうして……

 

「うっ…」

 

怪我してるのかな?それに仮面から血が流れてるし……止血してあげた方が良いよね

 

私は仮面に触れようとした瞬間、月鬼は突然私の首を締めてきた

 

「う……ぁ……」

 

「仮面に触れるな……」

 

殺気の籠った声でそう言い、手を離してくれた。私は咳き込みながら……

 

「あ、あの……血……」

 

「これぐらい……すぐに止まる。怪我はないか」

 

「う、うん」

 

月鬼は辺りを見渡していた。入り口までの道は岩で塞がってる……

 

「厄介だな。おい、ひな……プリキュア‼」

 

「な、何?」

 

「お前一人できたのか?」

 

「一応……ニャトランに呼んできて貰うように頼んだけど…………」

 

でもここを見つけられるか…………

 

「なら、助けが来るのを待つか」

 

「あれ?貴方は瞬間移動とか……」

 

「出来ない」

 

「…………いつもしてなかった?」

 

「あれは一瞬で移動してるだけだ。あんな瞬間移動は出来ない」

 

「……あれだけかっこよく消えてたのに?」

 

「…………」

 

 

一青side

 

マジでこんな状況じゃなかったら……斬っていたぞ。

 

「何だか……いーくんみたい」

 

突然名前を呼ばれて驚く俺。こいつ、気づいてるのか?

 

「いーくん?」

 

「友達なんだけどね……色々と無理してるのにカッコつけてたりするんだよね~」

 

悪かったな。カッコつけていて……

 

「でも辛いことが多いのに…………無理してるところを見てるとね…………ちょっと心配で放っておけないんだよね」

 

「…………」

 

そんなことを思っていたのか…………

 

「あんまり喋ると無駄な体力を使うから寝てろ」

 

「こんな状況で!?」

 

「体力の温存をしてろってことだよ」

 

「う~ん、わかった」

 

ひなたは目を閉じ、眠りにつくのを待った。暫くして寝息が聞こえたのを確認し…………

 

「そろそろいいぞ」

 

俺は瓦礫の向こうに言うと…………一瞬の内に瓦礫が砕かれた

 

「助かった。狛治」

 

「俺をその名前で呼ぶな」

 

「良いだろう。別に……」

 

俺は眠るひなたを抱え、入り口に戻る

 

「…………そいつはお前にとって何だ?」

 

「ただの友達だ…………」

 

「…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひなたside

 

「おい、ひなた」

 

目を覚ますといつの間にか洞窟の入り口にいた

 

「あれ?紫乃っち、ニャトラン」

 

「ひなた、月鬼はどこに行ったんだよ」

 

「んと……あれ?いなくなってる……」

 

もしかして運んでくれたのかな?と言うか変なことされてないよね。

 

「まぁ無事ならいいけど……」

 

「にしても……ここは何なんだ?」

 

ニャトランがそう言うと、私は洞窟の方を見た。何故か崩れてるけど…………

 

「ひなたは中に入ったのか?」

 

「うん、ただ…………奥に何があったのか分からない」

 

ゲートとか何だとかよく分からないし…………

 

「とりあえずひなたが無事で良かったぜ」

 

「帰るか」

 

「うん」

 

それにしても……あの月鬼って人にお礼をいい忘れちゃったな…………



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53 永遠の大樹

今回鬼滅組は出てきません


今日は僕たちはある場所に来ていた。それは『永遠の大樹』と呼ばれる大樹がある場所だ。その下で友情を誓いあった友達は永遠に友達でいられると言う逸話がある

 

「そんな伝説があればもっと早く教えてくれれば良かったのに~」

 

「伝説って言うか噂って言うか……ただのプチ名所よ。私も小さい頃に一度行ったきりだし」

 

「それに今更誓い合わなくても、私たちとっくに親友だし、仲間だし」

 

「パートナーだしラビ」

 

「それはそうかもしれないけど~永遠の大樹に誓うって絶対にやってみたいやつだよ」

 

「まぁ確かにやってはみたいけどな」

 

「紫乃は来たことあるの?」

 

「一度だけお祖父ちゃんに連れられて……」

 

懐かしいな……お祖父ちゃんと行ったきりだ…………

 

「紫乃っちのお祖父ちゃんって…………宗一さんの親友で」

 

「雪の呼吸を教えてくれたお師匠さんを保護した人だったわね」

 

「少し前に……亡くなったけどね」

 

「紫乃くん……」

 

「のどか……あんまり気にするなよ。僕自身、気にしてないからさ」

 

まぁ思い出の場所に行くから思い出したけどね

 

大樹の所に着くと、大樹は昔見たような大きなものではなく、折れていて今にも枯れそうだった

 

「これが……永遠の大樹?」

 

「えっと……こんなんだったっけ?」

 

「ううん、もうちょっと……

 

何かあったのかな?すると……

 

「そいつはもう寿命なのさ」

 

一人の老人がこっちにやって来た。この町に長くいる人かな?

 

「ひどい嵐の晩があっただろ」

 

あぁ、あの日か……確かにひどかった…………特に……伊之助がはしゃいで……外に出て探すはめになったな

 

「あれで止めを刺されちまった。近い内に役所の連中が切り倒しに来るらしいんだ」

 

そんなことが……

 

「永遠の友情を誓いに来たのか?無駄足だったな。この木は終わりかけのつまらん木だ」

 

「終わりかけ…………それでも……」

 

僕は言い返そうとすると、老人は僕を見て驚いていた。

 

「お前は!?橘!?」

 

「へっ?」

 

「紫乃の知り合いなの?」

 

いや、初対面なんだけど…………

 

「すまない。知り合いに似ていてな。人生の先輩としてアドバイスだ。永遠なんて信じるな」

 

老人はそう言って去っていく。あの人……お祖父ちゃんの知り合いなのかな?

 

「……どうする?誓う」

 

「のどかっち?」

 

「あの人……何だか寂しそう目をしてた……」

 

「そうか?あのじいさん、ひたすら怖い目付きしてたぞ」

 

「うんうん、ニャトランもびっくりな目付きだったペエ」

 

「俺の目付きの何処が怖いんだ‼」

 

ニャトランの目付きは置いとくとして、僕もあの人の目は寂しそうだったことは感じていた。それに…………僕を見た時の……あの懐かしそうにしていた目も…………

 

のどかはおじいさんが何か思い入れがあるのかと思い、ラビリンの助言でエレメントさんに話を聞くことにした。

 

『昔々、この木の下で永遠の友情を誓いあった三人がいました』

 

さっきのおじいさんも誓っていたのか……

 

『それから長い時が経ちました。そして……その若者の一人……てつやさんはこの場所に来ては悲しい目をして帰っていきました。みなさん、私のお願いを聞いてはもらえないですか?』

 

エレメントさんのお願いはまたあの三人の仲を取り戻してほしいとのこと、そして手がかりとしては『純』という喫茶店に三人が集まっていたらしい。

 

のどかたちはエレメントさんのお願いを聞くことにした。

 

「そう言えばさっきの……てつやさんが僕を見て驚いていたこと分かるか?」

 

『多分ですが、三人の友情の誓いを見守っていた人がいました。それが貴方のお祖父さんでは?』

 

「そこら辺も聞いてみるか」

 

お祖父ちゃんの過去については多少興味はあるし……

 

 

 

 

 

 

 

喫茶『純』に来た僕ら。のどかたちは店員さんから情報を聞いてると、早速例の老人二人を見つけた

 

「君!?」

 

「橘くん!?」

 

「あの……お祖父ちゃんの知り合いですか?」

 

なんと言うかおんなじ反応をされるのだけど…………

 

「あぁ、すまないね。そうか……君は橘くんのお孫さんなのか」

 

「懐かしいわ…………橘くんには沢山お世話になったわ……」

 

この二人も懐かしんでるけど……何故か申し訳なさそうにしていた。

 

「でも私たちは……橘くんを裏切ったの……」

 

「墓前でも謝れなかった……」

 

裏切った?謝れなかった?

 

「あの……何が……」

 

僕は聞こうとすると、ちゆはあることに気がついた。

 

「あの指輪……」

 

「…………橘くんに見届けられながら誓いあったのに……」

 

「ほんの些細なことでな……でも私たちには大きなことだった」

 

「あの……てつやさんは……あの木の下で待っています!会ってください」

 

のどかは必死に頼み込むけど、二人は首を横に振るのであった。

 

「悪いけど大樹には行けないよ」

 

「生きるということは変わっていくことなの。今更顔を合わせても……私たちきっと話すことなんて何もないわ」

 

何もないのか…………

 

 

 

 

 

 

 

 

一青side

 

バテテモーダのラップがうるさく早々に避難してきた俺は、散歩がてらに永遠の大樹に来ていた

 

「折れてるな……まぁ長い間この街にあったからな」

 

折れた大樹に触れていると…………

 

「君も一人なのか?」

 

見知らぬ老人がいた

 

「昼間も君と同じくらいの子達が来ていてな。永遠の誓いをしようとしていたが……」

 

「俺はそんな迷信は信じてないので……ただこの木には思い出があるので」

 

「思い出?」

 

「一人で泣いていたときに、この木の下にいると落ち着いて…………」

 

「そうか……」

 

なんと言うか寂しそうな目をしてるな。このじいさん…………

 

すると花寺がこっちにやって来るのが見えた。さっき言っていた同い年の子はこいつらか

 

「嬢ちゃん」

 

「二人は……喫茶純にいます!2時頃にいつも来てるんです!だから……」

 

「おい、藪から棒に何を……」

 

「だから……会いに行ってください!そうすれば……そうすればきっと……」

 

「…………40年ぶりにこの街に帰ってきた。時期にまた街を出る。ここにはもう戻らん。だから良いんだ……もう……終わったことだ」

 

なんと言うか年を取っても素直になれない人がいるもんだな…………

 

 

 

 

 

紫乃side

 

「終わってない!」

 

僕は堪らず叫んだ。さっきから聞いていたけど……何でこう会えないだの終わっただの……

 

「橘……のお孫さんだね。君は本当に似ているよ」

 

「今はお祖父ちゃんのことは関係ない‼どうして何でもかんでも諦めたりしてるだよ!」

 

「そうだよ……だって毎日ここに来てるってことは……約束を信じてるからでしょ!永遠の友情を信じてるからでしょ!」

 

僕とのどかの叫びは届いてるのか分からず、てつやさんは黙ったまま去っていく。

 

「余計なこと言っちゃった……」

 

「そんなことない……三人が心配だからこその言葉だもの……」

 

「僕は……心配というより……」

 

「紫乃だってお祖父さんのことを思ってでしょ」

 

「……それもあるけど……怖くなったの……私たちも友達でいられなくなる日がくるんじゃないかって……」

 

友達でいられなくなるか……そう考えると嫌になるな

 

落ち込むのどかに対してひなたは笑顔で……

 

「誓おう」

 

「そうね……誓いましょう」

 

「そうだな……」

 

四人で手を合わせていると、ひなたは近くにいた一青にも声をかけた

 

「いーくんも、一緒に」

 

「俺はパス。まだお前らとは親しくないからな」

 

そう言って帰っていく。あいつなにしに来たんだ?とりあえず改めて僕らは誓い合う

 

「私、花寺のどかは大樹に誓います」

 

「沢泉ちゆは誓います」

 

「平光ひなたは誓います」

 

「橘紫乃は誓います」

 

「「「「永遠に友達でいること‼」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

一青side

 

誓いか……あのじいさんもそうなんだろうけど……話を聞く限り恋愛絡みみたいだな……

 

「というか……あいつらも下手すればあんな風になっていたかもしれないな」

 

紫乃と沢泉の関係を考えると……

 

「まぁどうでも良いな」




ある意味、ちゆと紫乃の恋人関係についてののどかとひなたの想いは早めにやってあるので安心という……


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54 ありがとうとさようならのフェス

「それじゃ……のどかちゃんたちは諦めてないのね」

 

カナエさんと洗い物をしながら今日の話をしていた。

 

「そう、永遠の大樹にありがとうとさようならを伝えるフェスをやるみたいなんですよね」

 

なんと言うかのどかたちらしいな。

 

「そう言えば紫乃くんのお祖父さんのことは何か分かったの?」

 

「それが何も……」

 

お祖父ちゃんの遺品を調べたけど、あの三人については何も書かれてない。

 

「まぁお祖父ちゃんもきっと喜ぶと思いますよ」

 

「そうね……それにしても……うちももう少し仲良くなれないかしら?」

 

カナエんはため息を漏らしていた。まぁため息をつきたくなる気持ちは分かる。

 

「しのぶさんと義勇さんはもう少し仲良くなれないですかね」

 

「義勇くんはもう少し言葉をね……」

 

二人してため息をつくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから先生にOKをもらい、フェスの準備を進める僕ら。そしてフェス当日、たくさんの人が集まる中、僕らはあの三人を探していた

 

「なんと言うか……」

 

「いい年して意地張りすぎ~」

 

ひなたのいう通りだよ。全く……

 

するとのどかはてつやさんが帰ろうとしているのを見つけて、止めようとした瞬間、ラテが具合悪そうにした。

 

「ラテ!?」

 

「あそこだ‼」

 

永遠の大樹の側でメガビョーゲンが暴れていた。

 

「yo yo yo、メガビョーゲン‼」

 

「遂に遂に来た来たムシバミターイム‼」

 

何でラップなんだ?のどかたちが変身できる場所を探しているうちに足止めをしようとしていると、てつやさんが割って入っていく

 

「出ていけ!ここは…この木は……俺たちの場所だ‼」

 

俺たちの場所か……

 

「おじさんはさっさと逃げ……」

 

「ヒョッこんな朽ちて行く木の何処がいいのだか」

 

大樹の上には変な壺に入った奴がいた。

 

「ヒョヒョ久しぶりだな!鬼狩り!」

 

「…………」

 

あいつ……誰だっけ?見覚えがあるけど…………

 

「恐ろしくって声もでないか‼なら無理矢理声を出させてやる‼」

 

無数の魚を召喚し、てつやさんたちに向かって放たれた。僕は三人の前に出て庇った。

 

「橘の孫!?」

 

「早く……逃げてください」

 

身体が痺れる……これ毒か……

 

「どうしてそこまでして私たちを守るんだ……」

 

「守るのに理由なんて必要ないからです‼」

 

「「「!?」」」

 

「お前の毒に侵されて、あのガキに殺された恨みは忘れないぞ‼」

 

『血鬼術!千本針魚殺』

 

二匹の金魚から無数の針が放たれた。僕一人じゃ守りきれないと思った瞬間

 

「紫乃‼」

 

グレースたちが助けにはいり、シールドで攻撃を防いだ

 

「早く逃げてください」

 

「君たちは……一体……」

 

「大樹は私たちが」

 

「すまない」

 

てつやさんたちが逃げるのを見届け、僕も毒の解毒を済ませた

 

「プリキュアに鬼狩り!まとめて倒してくれる‼」

 

「そもそもお前は誰だっけ?」

 

「貴様らに倒された玉壷だ‼」

 

あぁ、思い出した。無一朗と一緒に戦ったあの時の……

 

「すまん。何か真の姿になって自滅したんだっけ?」

 

「貴様!!!!!こんな無様な大樹なんて……破壊して私の素晴らしい作品を飾って……」

 

玉壷が血鬼術を発動しようとした瞬間、その場にいた全員が殺気を感じ取った

 

そして…………

 

『十二月の呼吸!十二の月‼死走ル月!』

 

玉壷はバラバラにされ、メガビョーゲンも吹き飛ばされた。

 

「…………」

 

大樹の側には月鬼の姿があった

 

「何してるっすか!?敵はあ……」

 

また殺気が周囲を包み込んだ。なんだよ……あの殺気は…………

 

「プリキュア……さっさと浄化しろ」

 

「えっ、あ、はい」

 

グレースたちはメガビョーゲンを浄化し、バテテモーダを撤退。

 

月鬼はバラバラにした玉壷の頭を掴み……

 

「な、味方だぞ……」

 

「…………殺さないだけでも増しだと思え」

 

そう言って、去ろうとしていると

 

「ねぇ、月鬼‼」

 

スパークルが呼び止めた。今の状態で呼び止めるなよ……はっきり言って怖いんだけど……

 

「ありがとうね」

 

「…………勘違いするな。俺はバテテモーダのラップが気に入らなかっただけだ」

 

「そうじゃなくって……この間助けてくれて……」

 

「…………ふん」

 

月鬼は消え、戦いが終わるのだけど…………

 

月鬼の技が見えなかった……あれは一体……

 

 

 

 

 

 

 

戦いの影響で大樹は砕けてしまったけど……中に新しい命が生まれていた。それにてつやさんたちも仲直りできたみたいだ

 

「紫乃と言ったかな」

 

「は、はい」

 

「君の言葉を聞いて思い出したよ。紅のことを」

 

「あの人も……同じことを言っていたわ」

 

「懐かしい……私たちが不良に絡まれていたときに、助けてくれて……同じことを言っていたよ」

 

『守るのに理由なんて必要ない』

 

お祖父ちゃんが同じことを…………何だか嬉しいな

 

 

 

 

 

 

 

一青side

 

「…………」

 

ありがとうか……

 

『機嫌がいいみたいだな。一青』

 

鬼神が珍しく声をかけてきた

 

「そんなに……」

 

『玉壷を斬ったみたいだが、龍の尾を踏んだみたいだな』

 

「別に……」

 

『気を付けろ。お前は普通の人間なんだ。鬼たちや四鬼将とは違うのだからな』

 

「俺はあいつと同じようになれないのか?」

 

『お前にはお前の力がある。まだ目覚めないだけだ』

 

「どうすれば目覚める」

 

『…………橘紫乃と戦い続けろ』

 

戦い続けるか…………だけど……

 

『ありがとうね』

 

何でひなたの顔が浮かぶんだよ…………



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55 ちゆの女将修行

今回、オリジナル多めです


ちゆside

 

ある日の朝食の事……

 

今度の週末、仲居さん二人が休みのため、私と弟のとうじが手伝うことに…………

 

「そう言えばちゆ」

 

「何?おばあちゃん?」

 

「橘さんのお孫さん……紫乃くんにも声をかけておいて」

 

どうして紫乃も?

 

「ちゆの恋人……彼にも将来的には旅館の仕事を教えないとね」

 

飲んでいた味噌汁でむせてしまった。

 

「し、紫乃とは……その……」

 

「あら、いいじゃない?あの子いい子だし」

 

お母さんまで…………

 

「ちゆがお嫁に……うぅ」

 

お父さん……気早いから……

おじいちゃんは無言だけど……何か怖い

 

「紫乃兄ちゃんに家に住むの!?」

 

とうじ……それも早いから……

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

「と言うことなのよ」

 

お昼ご飯を食べているとちゆからそんな話が出た。

 

「まぁいいけど……」

 

手伝うのはいい。特に予定もなかったし……

 

「ただ……将来的にって……」

 

「紫乃くん、ちゆちゃんと結婚しないの?」

 

「てっきりこのままゴールインかと……」

 

まだ中学生なんだけど……と言うかツッコミがいなすぎて、ツッコむ気になれない

 

「まぁお母さん達は冗談で言ってるだけだけど……」

 

冗談ならいいけど…………

 

「そう言えば紫乃っちって将来の夢とかあるの?」

 

「将来の夢?考えたことないな」

 

「紫乃くんとちゆちゃんが経営する旅館……見てみたいな~」

 

まず僕らが結婚してからっていう想定は止めてくれ。いや、将来的には…………

 

「まぁ別に夢とかはないかな…………まぁただ……」

 

「「「ただ?」」」

 

「…………ちゆの側にいれたらいいかな」

 

「紫乃……」

 

「仲良いね~」

 

「まぁ慣れたよ」

 

 

 

 

 

 

 

一青side

 

急に呼び出されて行くと、零余子がシンドイーネにマッサージをしていた

 

「何してるんだ?」

 

「一青……シンドイーネがやる気起きないっていうから……」

 

「私は癒しが欲しいのよ‼そうすればやる気出るわ‼」

 

そう簡単に出るものなのか?

 

するとバテテモーダがやって来ては

 

「おっ、シンドイーネ姐さん、相変わらずお綺麗で」

 

早速胡麻すりしてるよ……

 

「と言うか俺が呼び出されたのは?」

 

「何かしらの癒しとかないかと」

 

零余子……そのために呼び出したのか……学校があるから帰りたいのだけど……

 

「癒しね……これでも見せてやれ。バテテモーダ」

 

俺は雑誌をバテテモーダに渡し、学校へと戻るのであった。

雑誌には温泉特集が載ってるから多少は気が紛れるだろ

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

週末になり、ちゆの旅館を手伝うことになった。もらった服に着替え、ちゆのサポートに回ることになった。

 

「紫乃、座布団だけど……」

 

「こっちでいいか?」

 

「えぇ」

 

 

「紫乃、掃除だけど」

 

「終わったよ。ちゃんと見えないところもバッチリ」

 

「流石ね」

 

 

 

「あの子、もうちゆとあんな仲に……」

 

「すごい子だな。いつでもちゆをお嫁に……うぅ」

 

何かちゆの両親の声が聞こえるけど……気にしない方がいいな。

 

「そう言えばペギタンは?」

 

「ペギタンなら陰で頑張ってるわ」

 

何か手伝う前に……『ちゆの二番目のパートナーになってみせるペエ』って言っていたけど、頑張ってるのかな?

 

「紫乃、先に休憩していいって」

 

「いいのか?」

 

「えぇ、大丈夫よ」

 

お言葉に甘えて少し休憩してくるかな?

 

 

 

 

 

ちゆside

 

紫乃が休憩している間、おばあちゃんとお母さんにおもてなしの心を教わった私……私も頑張らないと……

 

「そこのお嬢さん」

 

「はい?」

 

何だか変わった恰好……と言うより変に派手な男の人と三人の女の人が声をかけてきた。

 

「ここ旅館か?予約してないが泊まれるか?」

 

「すみません。今日は予約が……」

 

「そうか……因みに日帰りで温泉に入れるらしいが……」

 

「それなら……」

 

私は変な四人組を案内するのであった。それにしても本当に変わってる人たちだな……

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

休憩から戻るとちゆから一緒にお客さんに街を案内しないかと誘われ、一緒に行くことになった。

 

そのお客さんは外国人の家族で、ちゆと一緒に案内をしてるけど……何かエミリーって子の様子がおかしいな。

 

おかしいと言うよりかは……

 

「どうかしら?」

 

お饅頭を食べたエミリーに声をかけるちゆだけど

 

「クッキーの方が美味しいわ」

 

「そう……」

 

素直じゃないな……まぁ年頃の子だから仕方ないか

 

灯台まで行く途中、エミリーは公園を見つめていた。遊びたいのだろうな

 

 

 

 

 

 

 

一青side

 

散歩をしていると、零余子が俺の前に現れた。

 

「何だ?」

 

「キングビョーゲンが呼んでるわよ。私も動いてるシンドイーネに声をかけないと」

 

「キングビョーゲンが?」

 

珍しいことがあるものだな。鬼側である俺を呼び出すなんて……

 

「とりあえず向かうか」

 




一青たちはオリストでやります。


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56 ちゆのおもてなし

灯台まで案内したけど、未だに素直になれないエミリーに対して、少し落ち込むちゆ。教えてあげたいけど…………こう言うのはちゆが気づかないとダメなのかもしれない。

 

そんなことを思いつつ、旅館に戻るとのどかとひなたの二人が旅館を覗き込んでいた。

 

のどかはちゆの様子に気がつき…………僕らは今海に来ていた

 

「ふわぁ~気持ちいい~」

 

「海最高ーー」

 

ひなたがそんなことを叫んでいると、ちゆは前に出て……

 

「エミリーさんを!笑顔にしたーーーーーい!!!」

 

大声で叫ぶちゆに僕以外のみんなが驚いていた

 

「どうしたペエ?」

 

「実はね」

 

ちゆはのどかたちにエミリーちゃんの事を話した。

 

「そっか……その子全然楽しくなさそうだったんだ……」

 

「えぇ、でもどうやったら女将みたいにおもてなししたら分からなくって……」

 

「ちゆは精一杯やってるペエ」

 

「ありがとう。ペギタン。でもここで叫んだらスッキリしたわ」

 

「のどかっちのお陰じゃん」

 

「えへへ、ちゆちゃん、海好きだもんね」

 

「のどか……」

 

ちゆも気づき始めてるのかな?

 

「ちゆはさ、ちゆらしいおもてなしをすればいいんだよ」

 

「紫乃……」

 

「僕が見る限りではエミリーちゃんは素直になりきれてないだけだよ」

 

「素直に……」

 

「それにちゆは気づいてるんじゃないのか?」

 

「気づいて……」

 

ちゆはしばらく考え込み……あることに気がつき、僕らにお礼を言って走っていくのであった。

 

 

 

ちゆside

 

私はエミリーさんのところに行くと、エミリーさんは足湯に浸かっていた

 

「隣いいかしら?」

 

「いいけど……別に」

 

私はエミリーさんの隣に座り……

 

「エミリーさんはいつもどんな遊びしてるの?」

 

「ブランコ……おいかけっこ……」

 

「じゃあきっと公園が好きなのね」

 

「……公園は好きよ。でもここの公園は嫌い……お友だちがいないんだもん」

 

「……」

 

「もうすぐ日本に引っ越すのでも私は嫌!こっちでお友だちができるか分からないし……」

 

「そうだったの……良かったら明日、近くの公園に行ってみない?」

 

「えっ?」

 

「一緒に遊びましょう。ブランコとか滑り台とか」

 

「でも……」

 

「それにね。シーソーとか後は……」

 

「どうしてもって言うなら……」

 

「じゃあ約束ね」

 

エミリーさんが心を開いてくれた。嬉しいな……

 

 

 

 

 

紫乃side

 

二人の様子を陰で見守ってると、ちゆのおばあちゃんが声をかけてきた

 

「ちゆにアドバイスあげたりしないんだね」

 

「アドバイスですか?なんと言うか全部教えるよりかは……自分で気づいた方がいいかと思って……」

 

「ちゆの事を本当に大切に思ってるんだね。孫を安心して頼めるよ」

 

「あの……結婚すること前提ですか?」

 

「違うのかい?」

 

「まぁ将来的には……」

 

雨が降るのを見つつ、そう答えるのであった。

 

 

 

 

 

 

しばらくして雨も小降りになったのを確認すると……のどかから連絡が入り……メガビョーゲンが現れたことを知り、出現した場所に行くと、長靴のメガビョーゲンが暴れていた

 

「来たわね!プリキュアと鬼狩り!」

 

「シンドイーネ!」

 

「ひどい!」

 

「みんな行くラビ!」

 

「「「スタート」」」

 

「「「プリキュアオペレーション」」」

 

「「重なる二つの花!キュアグレース!」」

 

「「交わる二つの流れ!キュアフォンテーヌ‼」」

 

「「溶け合う二つの光‼キュアスパークル‼」」

 

「「「地球をお手当て‼」」」

 

「「「ヒーリングっとプリキュア‼」」」

 

のどかたちはプリキュアに変身し、僕は日輪刀を構える。

 

メガビョーゲンは跳ね回り、攻撃が当たらない。

 

更には跳び跳ねた際にスパークルが水を被る

 

「もう何するの‼」

 

「水も滴るなんとやらだからいいんじゃないのか?」

 

「今は良くないよ」

 

メガビョーゲンが跳び跳ねるたびに蝕むまれていく。

 

「だめーーーー‼」

 

フォンテーヌが止めようとするが、攻撃をくらい吹き飛ばされ、更には押し潰されようとしていた。

 

「ここは大切な場所なの‼」

 

「大切?こーんな地味な公園の何処が?」

 

「この公園で……あの子が笑ってくれるかもしれない!だから‼」

 

「てゆうか、大切とか言われたらますます蝕みたくなっちゃう‼」

 

大切な場所を……奪わせは……

 

グレースたちがメガビョーゲンを支えに来て、僕はその間に鬼化して……

 

『弐ノ型!吹雪‼』

 

メガビョーゲンを吹き飛ばす。

 

「大切な場所を奪わせたりはしない!グレース!」

 

「キュアスキャン‼」

 

雨のエレメントさんの場所を確認し、僕は追撃に……

 

『漆ノ型!雪崩‼』

 

メガビョーゲンの動きが完全に止まったのを確認し……

 

「トリプルハートチャージ!」

 

「「届け!」」

 

「「癒しの!」」

 

「「パワー!」」

 

「「「プリキュア・ヒーリングオアシス‼」」」

 

 

浄化技をくらい、メガビョーゲンは倒されるのであった。

 

「もう!」

 

「シンドイーネ!」

 

すると零余子が現れた。珍しく戦いが終わったあとに来るなんて……

 

「何よ!あんたがもう少し早く……」

 

「キングビョーゲンがお呼びです」

 

「それを早く言いなさい‼」

 

直ぐ様撤退していくけど……何があったんだ?

 

 

 

 

 

 

 

雨のエレメントさんからエレメントボトルを受けとり、ラテも元気になった

 

 

 

 

ちゆのおもてなしも上手く行き、エミリーちゃんも心を開いてくれるようになった。

 

「それにしても……」

 

零余子のあの慌てよう……一体何が起きてるんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれがお館様が言っていた雪の呼吸の後継者か……まぁ見る限り引退した奴が出張ることは…………!?気のせいか?」

 

 

 

 

 

 

「あれがプリキュアと鬼狩りか……まぁ俺は楽しませてもらおうかな」

 

 

 




次回、オリストです。あのキャラが登場します


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57 幽閉者

オリストとなります。


一青side

 

『集まったか』

 

キングビョーゲンの前に集まるビョーゲンズ、鬼神、四鬼将、上弦の壱、弐、参、俺が集まっていた。

 

『キングビョーゲンよ。緊急事態だと聞いたが』

 

『……幽閉していた奴が逃げ出した』

 

「「「!?」」」

 

「あの奴って誰のことッスか?」

 

『バテテモーダよ。奴はビョーゲンズの一人だったが……』

 

「あいつは俺たちみたいとは違う」

 

「地球を蝕むことが出来なかったのよ」

 

「つまり落ちこぼれってことッスか?」

 

「俺たちもそう思っていたが…………」

 

グアイワルたちの様子がおかしい…………何があるんだ?

 

『奴は地球を蝕むのではなく、人間どもをいたぶることを楽しんでいた』

 

「しかも厄介なのは……俺たちの使命を妨害していたことだ」

 

「あの時は大変だったわ。奴一人で私たち、それにメガビョーゲンの大群を相手にして幽閉することが出来たんだから」

 

『……我等を呼んだ理由は我等が奴を解放したからか?』

 

『鬼神よ。それは違う。奴は誰かに助けてもらおうとは思ってない。奴は奴の欲を満たすために動いていた。誰かとつるむと言うことはない!!お前たちを呼んだのは奴を処分してほしいからだ』

 

「なるほどね。だから俺たちみたいな強い奴を集めたってことか」

 

「……我々と奴は同等と言うことか」

 

「くだらん」

 

集められた理由はわかったけど…………問題はひとつ

 

「奴の始末は分かったけど……プリキュアと鬼狩りはどうするんだ?俺たちが動けば奴等も動くぞ」

 

『使えるものはつかえ』

 

なるほど……利用していいんだな。まぁそう都合よく行くとは思えない。

 

「それでそいつの名前は?

 

『ビョウセイだ』

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

「あら?紫乃くん、今日は学校は?」

 

「しのぶさん、何だか通り魔の話があって休校なんですよ」

 

ここ数日、人を暴力のままにいたぶる通り魔がいるらしい。しかも昼、夜にだ。学校側からしたらそんな危険な人物がいるなら……と言うことだな

 

「だから姉さんと煉獄さんは朝からいないのね」

 

「因みに外出を控えるようにって言われてますけど、のどかの両親が心配して、義勇さんと実弥さんはのどかの所に泊まってます」

 

あの二人ならまぁ……通り魔が来ても……通り魔に同情しちゃうな

 

「通り魔ね……まぁ学校から言われてるならね…………」

 

しのぶさんは何かを考え込んでいた。何だろ?何か気になることでも?

 

「みんなちゃんと家にいるのかしら?」

 

「ははは……外出してる奴なんて……」

 

何か失礼だけど……ある人物が思い浮かんだ。大丈夫だろうな

 

 

 

 

 

 

 

一青side

 

流石に街は人気がすくない……と言うより大人ぐらいしかいないと思っていたが…………

 

「あれ?いーくんじゃん。どうしたの?こんなところで」

 

「ひなた……お前……」

 

何で外出禁止なのにいるんだよ

 

「外危ないのに~」

 

「それはこっちの台詞だ!早く帰れ」

 

「いや~そうしたいけど、学校に宿題忘れて~いーくんも?」

 

「俺は…………コンビニに行くだけだ。買い置きがないから……」

 

「そうなんだ~それじゃ気を付けてね」

 

それはこっちの台詞だ。まぁあいつならプリキュアになれて…………

 

突然おぞましい殺気を感じた。誰かに向けている訳じゃない。

 

「ちっ、厄介だな‼」

 

俺はひなたの後を追いかけるのであった

 

 

 

 

 

 

ひなたside

 

「早く帰らないとお姉に怒られるな~」

 

「つうか宿題なら俺が取ってきてやったのに」

 

「それ学校に着いてから思い付いたよ。ニャトラン」

 

本当に前しか見えてないな~

 

そんなことを心のなかで思っていると……目の前に男の人が立っていた。

 

黒髪に額に赤く染まる目……明らかに人じゃない

 

「だ、誰?ビョーゲンズ?」

 

「あんな奴知らねぇぞ!鬼じゃねえのか?」

 

「お嬢さんの当たり。俺はビョウセイ。さぁ楽しませてもらおうか」

 

「……行くよニャトラン」

 

私はスマホでみんなに連絡し、変身する

 

 

「スタート‼」

 

「プリキュアオペレーション‼」

 

「エレメントレベル上昇ニャ‼」

 

「「キュアタッチ‼」」

 

「「溶け合う二つの光‼キュアスパークル‼」」

 

「プリキュアだったか。あいつらはいたぶった事なかったからな」

 

ビョウセイが拳を構えた瞬間、頬に突然痛みが走り、私は倒れていた。

 

「えっ?」

 

「あぁその表情……何されたか理解できてない顔……最高だな」

 

何こいつ?おかしい……私は立ち上がろうとすると……ビョウセイがいつの間にか私の近くにいて、腹を蹴ってきた

 

「かはっ!?」

 

痛い……痛い……

 

「そうそう、それそれ……最高だよ!」

 

ニャトランがシールドを張って攻撃を防ぐけど、シールドが間に合わず……何度も蹴られてしまう

 

「あぁ……可愛い子をいたぶるのは本当に楽しいな……」

 

今度はお腹に拳をいれ、変身が解除される。

 

「ニャト……ラン……」

 

ニャトランは気絶してしまってる……早く助けないと……

 

「ヒーリングアニマルか……こいつを踏み潰したら……お前の表情が……歪むんだろうな」

 

ビョウセイがニャトランを踏み潰そうとしている。助けないと……

 

「ニャトラン!?」

 

もうダメかと思った瞬間、ビョウセイの足が切り落とされた。

 

そして私の前に……月鬼がいた

 

「見つけたぞ。ビョウセイ」

 

「誰だ?あぁキングビョーゲンが協力してる奴か。何しに来たんだ?」

 

「お前を始末する」

 

 

 

月鬼side

 

『十二月の呼吸!伍ノ月 殺月‼』

 

ビョウセイの身体を切り刻む。ビョーゲンズなら再生することは……

 

「舐めてるのか?」

 

突然右腕が蹴りおられる。痛みに耐えながらビョウセイを見ると、ビョウセイの身体は再生していた。

 

「俺はな。地球を蝕むことはできないが……そのぶん特異体質でな」

 

更に蹴りを放つ。俺は避け、

 

『十二月の呼吸!陸ノ…………』

 

技を放とうとするが、ビョウセイに刀を掴まれてしまい、そのまま投げ飛ばされてしまった。

 

「くっ」

 

「はははは‼弱いな‼それにその腕‼再生はできないところを見ると人間みたいだな」

 

「それがどうし……」

 

「いたぶるのが楽しくなるな‼」

 

折れた右腕を掴まれ、地面に叩きつけられ、更には何度も踏みつけられる

 

「さっきの威勢はどうした‼」

 

「ぐ……あ…」

 

「月鬼……」

 

このままやられたら……俺は守らないと…………誰を?

 

「あーー‼楽しいな‼痛め付けるのは‼」

 

「もう……やめ……て……」

 

「人間なら……この女を目の前でいたぶったら……どんな感じになるかな?」

 

ビョウセイは笑みを浮かべた。

 

守らないと…………守らないと…………

 

「俺は……守らないと……」

 

誰を?誰を守るんだ?俺には守るべき……奴なんて……

 

『雪の呼吸‼壱ノ型‼初雪‼』

 

突然、ビョウセイの左腕を切り落とされた。

 

「ひなた‼」

 

「ひなたちゃん‼」

 

ひなたの側にはグレースとフォンテーヌがいた。俺を助けたの…………こいつか……

 

「勘違いでいいのか分からないけど……ひなたを助けてくれたのか?」

 

「くっ……偶々だ」

 

俺は立ち上がり、ビョウセイを睨んだ。

 

「プリキュアと鬼狩りか…………どうにも他にもいるみたいだな……」

 

他にも?なるほどな……柱を呼んだのか……

 

「なら……ゲームだ‼」

 

ビョウセイが指をならした瞬間、ひなたの悲鳴が聞こえ、後ろを振り向くとそこにはクラゲみたいな怪物がひなたを縛り上げていた。

 

「こんな街中では楽しめないからな…………この女を返してほしければ…………近くの山の頂上に来い‼そこで更に楽しんでやる」

 

ビョウセイはひなたをつれて姿を消すのであった。

 

「まちや……ぐぅ!?」

 

身体に痛みが走り、俺は意識を失うのであった。

 

 

 

紫乃side

 

倒れそうになる月鬼を助けたのは……酒呑だった。

 

「無理しやがって‼おい‼鬼擬き‼」

 

「何だよ‼」

 

「一時休戦だ‼あの野郎を倒すまでのな‼」

 

酒呑はそう言って月鬼を連れて姿を消し、それと入れ違いに猗窩座が姿を現した。

 

「……情報を教えてやる」




まさかのビョウセイの登場でした


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58 紫乃の選択

ビョウセイと言うやつがひなたを拐い、猗窩座から協力を申し込まれる。

 

詳しく話を聞くために僕の家で、僕、のどか、ちゆ、柱のみんな、炭治朗でビョウセイの情報を聞く。

 

「奴の強さは、下手すれば俺たちよりも強い」

 

「だからこそ協力か……」

 

皆で戦えば勝てるけど…………

 

「都合の良いやつらだな。てめぇらの仲間内の揉め事に俺たちを利用するって‼」

 

実弥さんが今にも刀を抜きそうになるけど、義勇さんがそれを止めていた

 

「不死川、判断するのは紫乃だ」

 

「そうですね……今は紫乃くんが判断するしかないですね」

 

僕の責任は重大だな。

 

「でもひなたちゃんが危ないし……」

 

「でも……協力するとしても……」

 

ちゆは実弥さんと同じ反対か…………確かに協力しても信じきれるか……おまけに……

 

「一応聞くけどそっちの戦力は上弦三人と月鬼だけなのか?」

 

「動けるとしたらな」

 

「だとしたら……」

 

僕はしのぶさん、カナエさんを見た。二人からしてみれば嫌なやつと一緒に組んで戦うと言うことだ。

 

「私は紫乃くんの決定に従うわ。しのぶは?」

 

「私は…………」

 

納得できないよな…………杏寿朗さんはどうなんだろう?

 

「俺は構わない。今の猗窩座は信用できる」

 

さて……どうしたものか……

 

「紫乃くんはどうするの?」

 

蜜璃さんは急かしてきた。急かしたくなる気持ちもわかる。時間がない。

 

「僕は…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

一青side

 

気がつくと家にいた。確かビョウセイにやられて……ひなたを……

 

「くっ!?」

 

起き上がるが全身から激痛が走った。

 

「寝てる場合じゃないな……」

 

こっちの問題に巻き込んだ以上はひなたを助けないと…………

 

「どこへ行く」

 

不意に首筋に刃が突き立てられた。俺の前には茨木がいた

 

「リベンジしにだ」

 

「人の身で奴と戦うのは無理だ。特にお前では余計にな」

 

「わるいが……邪魔をするな」

 

「大人しく寝ていれば良いものを……」

 

今にも戦いが始まろうとする中、零余子が部屋に入ってきた。

 

「報告です!上弦の壱、弐がビョウセイと接触しました。更に奴のアジト周囲に怪物が暴れていて、私たちや四鬼将が対応してますが……」

 

「…………分かった。一青、死ぬ気なら死ね‼」

 

そう言って茨木は姿を消し、俺は零余子にビョーゲンズについて聞いた

 

「あの四人は無理矢理プリキュアと協力させるために、メガビョーゲンを呼ぼうと……」

 

「あいつらに伝えろ。プリキュアも鬼狩りも必要ない。俺がけりをつける……」

 

痛みに耐えながら、俺は月鬼の姿になり、ビョウセイの元へと向かう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山の頂上に行くと、地面には無数の刀傷と氷が撒かれていた。

 

「厄介だな」

 

「本当に……ここまでしぶといのは初めてだよ」

 

「上弦の壱、弐か……骨があるが俺を殺すことは出来ないな‼」

 

実力者の二人に対しての互角に戦っている……奴の再生能力がそれほどまでに勝ってるのか?

 

「氷付けにしても抜け出すなんて……厄介だね」

 

「細切れにするか」

 

「ムダムダ‼俺は倒せないよ‼さぁて鬼狩りも誘ったのに……来てないみたいだから…………あの女殺しちゃおうかな?」

 

ビョウセイの視線の先には怪物に拘束されたひなたの姿があった。早く……助けないと……

 

俺はビョウセイがひなたを見ている隙に……

 

『十二月の呼吸‼十二ノ月‼死走ル月‼』

 

最大にして最強の技を放つが…………

 

「が!?」

 

放つ前にビョウセイの拳が腹部にめり込んでいた。

 

「遅いね~まぁ仕方ないよね」

 

ビョウセイはにやにや笑っていた。早くその顔を……歪ませたい……

 

「普通の人間が……俺に勝てないんだよ!」

 

ビョウセイの拳が仮面にヒビを入れ、頬の部分が砕けた。

 

「そろそろお前は飽きたし……最後にお前の目の前でこの女を殺して……絶望したまま殺してやる‼」

 

守れない……俺は守れないのか……

 

「やめろ……止めろ‼」

 

ビョウセイがひなたを殺そうとした瞬間、爆音と共にビョウセイの腕が切り落とされる。そして俺の前には二本の刀を持った男と紫乃がいた

 

「ちっ!鬼狩りが来たか」

 

「地味で暗いやつだな!ネチネチネチネチとして……」

 

「大丈夫か?」

 

「…………協力する気か?お前らの仲間がそれを許すわけ……」

 

「協力?違う……ただたまたまだ」

 

偶々?どう言うことだ?

 

「いいから、そこにいるなら邪魔だから退いてろ」

 

「黙れ……こいつは俺の敵だ‼」

 

「やれやれ、素直に一緒に戦うことができないやつだな。まぁ面白いけどな‼」

 

俺たちは並び立ち、ビョウセイと対峙するのであった。




次回でオリスト終わりです


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59 発現

少し前、猗窩座からの協力要請に僕はどうするかの選択を決めた。

 

「僕は……協力しない」

 

「……そうか。理由は何だ?」

 

「しのぶさんたちの事を考えたよ……多分戦いに集中できないと思う」

 

「……だろうな」

 

「それに……僕の血鬼術はお前たちには毒だ。お前たちも集中できないだろ」

 

ましてやひなたの命がかかっている。そんな状態での戦いでは負ける可能性がある

 

「そう決めたなら……それでいい」

 

「だけど……偶々手伝う形になるかもな」

 

「……どう言うことだ?」

 

「偶々戦ってるときにうっかり協力する形になるかもしれないと言うことだよ。それなら仕方ないだろ」

 

「…………偶々か……」

 

猗窩座は微笑むと、不意に僕の頭を誰かが掴んだ

 

「面白いやつだな。お前」

 

いつの間にか見知らぬ男がいた。誰だこの人?

 

「宇髄さん!?」

 

「よぉ炭治郎‼それに懐かしい顔があるな」

 

「うむ!お前も来ていたか」

 

「久しぶりです」

 

「誰この人?」

 

「…………元音柱の宇髄天元だ。上弦の陸との戦いで腕を失い、引退したが……」

 

「こっちに来たら失った腕が生えていたからな。しばらく協力するか考えていたが……面白い奴だよ。紫乃」

 

「面白いって……」

 

「それで偶々協力するとして、作戦はあるのか?」

 

「話を聞くと、ビョウセイの再生力をどうにかしないとダメみたいだけど……」

 

「私たちの浄化の力で倒せるかな?」

 

「可能性はあるわね」

 

のどかとちゆの言う通りだけど……ビョウセイはそれすら読んでいるかもしれない。だから…………

 

「同じ再生力持つ人間として…………根比べだけど…………」

 

 

 

 

 

 

 

月鬼side

 

「偶々……か……」

 

「そう、偶々だ。そう言うわけだからそっちの鬼たちは……離れた方がいいよ」

 

「……お前の血鬼術か」

 

黒死牟がそう告げて、童魔と共に姿を消した。

 

「いくら数が増えたところで‼」

 

『音の呼吸‼壱ノ型‼轟‼』

 

爆音と共にビョウセイが煙に包まれる。その間に紫乃が血鬼術で俺の傷を癒した。

 

「礼は言わないぞ」

 

「偶々だよ。あいつの再生力を奪うためのな」

 

「確かにお前の血鬼術は鬼からしてみれば毒になるが…………俺には効かないぞ‼」

 

ビョウセイは音柱の刀を摘まんでいた。だけど……

 

「もう一発‼」

 

ビョウセイごと刀を持ち上げ、地面に叩きつけて爆発が起きる。

 

「俺をバラバラにしても無駄だ‼何度も再生してやる‼」

 

「月鬼……攻撃を繰り出し続けろ」

 

「……何かあるんだな」

 

「確証はできないけど……」

 

「いいだろ‼そいつは俺の獲物だ‼」

 

『十二月の呼吸‼十二の月‼死走る月‼』

 

ビョウセイを切り刻む。更に音柱が技を放ち続ける。

 

『音の呼吸‼伍ノ型‼鳴弦奏々』

 

刀を回転させながら、爆発と共にビョウセイを攻撃する。

 

「無駄だ‼」

 

ビョウセイは俺たちの攻撃を受けきり、刀を掴む。その瞬間……

 

『ヒノカミ神楽‼炎舞』

 

『水の呼吸‼十一ノ型‼凪』

 

『風の呼吸‼伍ノ型‼木枯らし颪』

 

『炎の呼吸‼壱ノ型‼不知火』

 

背後から四連続の攻撃を受ける。

 

「こいつら……いつの間に‼」

 

「周囲に気を配らないとな‼」

 

ビョウセイが後ろを向いた瞬間、今度は左右から

 

『虫の呼吸‼蝶ノ舞!戯れ』

 

『『花の呼吸‼伍ノ型‼徒の芍薬』』

 

『恋の呼吸‼壱ノ型初恋のわななき』

 

『雷の呼吸‼壱ノ型‼霹靂一閃』

 

『獣の呼吸‼伍ノ牙‼狂い裂き』

 

『血鬼術!爆血』

 

更なる攻撃でビョウセイにダメージを与える。このまま続ければ……奴の体力が落ちると言うことか……

 

「みんな、ありがとうね」

 

気がつくと鬼喰いがひなたを助けて、プリキュアが三人揃っていた。

 

「一気に決めるよ」

 

「トリプルハートチャージ!」

 

「「届け!」」

 

「「癒しの!」」

 

「「パワー!」」

 

「「「プリキュア・ヒーリングオアシス‼」」」

 

浄化技を放ち、ビョウセイを包み込んだ。確実に攻撃を与えるための布石だったのか…………だがビョウセイは……

 

「効かない……効かないぞ‼」

 

再生力も落ちず、無傷だった。

 

「俺を倒すことは出来ない‼」

 

「それは……どうかな?」

 

紫乃が鬼化して、ビョウセイの首に刀を突き刺す。

 

「首を切っても無駄だ‼鬼たちとは……」

 

「月鬼‼」

 

紫乃は俺の名を告げた。まさかお前ごと切れと言うのか…………

 

「…………分かった」

 

『漆ノ月‼不身月‼』

 

横一閃に紫乃ごとビョウセイを切り裂く。紫乃は刀を抜き、身体を再生させ……

 

「終わりだ」

 

「何をいっている……俺はまだ元気……がふっ」

 

突然ビョウセイは血を吐いた。どう言うことだ

 

「あらかじめみんなの刀には僕の血を塗っておいた。普通なら鬼には毒、人には治癒になる。ビョーゲンズには治癒になるけど…………お前には大量に僕の血を流し込んだ……その結果……お前の再生力と僕の血の治癒力がぶつかり合って…………お前の再生力を押さえ込んだ」

 

「ぐっ、こんなことが……」

 

「止めだ‼」

 

「それは俺の役目だ‼」

 

今までの痛みをこの一撃に…………

身体が熱くなってきた。ふっと気がつくと両手の甲に痣みたいなものが浮かび上がった。

 

「あれは!?」

 

『十二月の呼吸‼終ノ月‼』

 

刀を抜いた瞬間、ビョウセイの身体が真っぷたつに切り裂かれて、塵となって消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

宗一side

 

馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な

 

何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ

 

何故あいつが痣を発現させた!?

最初に発現させるのは紫乃だと思っていた。あいつなら…………発現できる筈だと…………

 

「奴は…………始まりの剣士の末裔だからか!?だとしても…………」

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

ビョウセイとの戦いは終わり、月鬼は帰ろうとすると、ひなたが抱きついた

 

「助けてくれて……ありがとうね」

 

「俺は助けてなんかいない……」

 

「ううん、助けてくれたじゃん」

 

「…………」

 

月鬼はひなたを振りほどき、消えていくのであった。

 



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60 ニャトランのズッキュン?

「痣は言うなれば寿命の前借りです。痣を発現させれば、その分身体能力は上がります。ただ誰もが痣を発現させるわけではありません」

 

ある日のこと、しのぶさんから痣について聞かされていた。

この間の月鬼が発現した痣……そんな力が……

 

「紫乃くん……大丈夫?」

 

「ん…まぁ大丈夫だよ」

 

のどかは心配してるけど……僕は大丈夫だ。痣の発現しなくて思い詰めたりしない。

 

「紫乃、貴方には貴方の力があるから」

 

「そうだよ!だから気にしないで」

 

あの……そんなに僕は思い詰めたりすると思われてる?

それはそれでショックなんだけど……

 

「それにしてもニャトラン何処に行ったんだろうね?」

 

めいさんのワゴンカフェで集まるなか、ニャトランだけいない。ラビリンはラテのお世話があるのに来なかったニャトランに対して怒っているけど……

 

「あら?」

 

するとちゆがクリニックの前にいる女性に気がついた。

 

「こんにちわー!今空いてますよ!」

 

ひなたが駆け寄り……

 

「病院の方?」

 

「はい、パパが院長やってます。平光ひなたです」

 

「先日引っ越してきた日下織江です。実は店の前で怪我をしているこの子を拾って……」

 

織江さんが抱いていたのは……ニャトランだった。と言うかニャトラン……その顔……

 

「ニャトラン!?」

 

のどかたちはなんとも言えない表情をしている。いや、分かるけど……

 

「どうしたラビ?」

 

 

 

 

ニャトランに事情を聴くことになるけど、ずっとうっとりしていた。

 

「怪我したって聞いたけど、大丈夫?」

 

「大丈夫……いや、駄目だ……」

 

「どこか痛むの!?」

 

「僕が診察するペエ」

 

「こんなのはじめてなんだ~あの人を見た瞬間、心にズッキュンときちゃったんだよ!!」

 

「「「「えぇーーー!!」」」」

 

ズッキュンって、恋をしたと言うことか?

 

「妖精もするのね」

 

しのぶさんは落ち着いてジュースを飲んでいた。

 

のどかたちは言うと……

 

「ズッキュンってどう意味?」

 

「多分、キュンよりずっとキュンってことかしら?」

 

「プリキュアは心の肉球と組むラビ」

 

「つまりキュンよりもズッキュンの人と……」

 

「「パートナー交代!?」」

 

いや、変な想像してるけど、ちゆは分かってないのか?

 

「ズッキュン……ズッキュン来ちゃうよね~うんうん、織江さんと仲良くなれるといいね」

 

「だよな~」

 

「「まさかの応援ラビ(ペエ)!?」」

 

ひなたは分かってるみたいだな。

 

ひなたの提案で早速会いに行って、お礼を言いつつお近づきになろうとすることになった。

 

 

 

 

 

 

 

一青side

 

痣の発現について、黒死牟から話を聞くが…………

 

「何でひなたの顔が浮かぶんだ!!」

 

目を閉じる度にひなたの顔が思い浮かぶ……

なんなんだ……これは……

 

「くっ……どうしたものか……」

 

こう言うとき誰かに相談できればいいが…………周りに相談できるやつなんて…………いないな

 

「耐えしのぐか」

 

一人でそう呟いていると、竈門兄妹が前を歩いているのが見えた。見つからないように逃げようとすると、二人の前に一人の少女が倒れこんだ。あの女…………まさか!?

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

お礼を言いに織江さんのお店であるアロマショップを訪れた僕ら。お近づきになるためなのか、ニャトランの希望でお店の準備の手伝いをすることに……

 

時折織江さんが涙を浮かべているけど、何かあったのかなと思いつつ……

 

 

「それにしても……ひなたちゃんは優しいわね」

 

「まぁひなたらしいですけどね」

 

「ズッキュンか……私は経験がないわね」

 

「しのぶさんは義勇さんと仲が良いみたいですけど……ズッキュン的な……」

 

いいかけた瞬間、目潰しを喰らう僕。照れかくし…………

 

「本当の意味で節穴にしますよ」

 

笑顔で脅されて、黙る僕であった。

目の再生が終わると今度はチラシ配りをすることになるのであった

 

 

 

 

 

 

粗方配り終え、みんなで足湯に浸かっていると炭治朗と禰豆子の二人がやって来たけど……

 

「たんじーどうしたの?その子?」

 

「あ、いや、町を歩いていたら急に倒れて……病院までつれてこうと思ったんだけど……」

 

「場所分からないから、紫乃くんを探しに来たの」

 

なるほど……それにしても着物着てるけど誰かの知り合いなのかな?

 

「彼女は私が見るわ。みんなは頑張ってね」

 

しのぶさんは例の少女を連れて、家に帰るのであった。

 

 

 

 

 

 

一青side

 

やはり聞いていた見た目通りだ……彼女はあいつの……

 

「伝えるべきだな」

 

伝えて果たしてあいつは何をするのかは分からないが…………



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61 守りたい思いと敗北

織江さんにプレゼントを渡すためにニャトランが頑張っている頃……

 

 

 

 

「それは本当か?」

 

『あぁ、聞いていた容姿通りだった』

 

「……そうか」

 

『どうする?連れ去るか?』

 

「いや、いい。俺には俺のやりたいことがあるからな」

 

『そうか……その時は……頼れよ』

 

電話を切り……

 

「恋雪……」

 

 

 

 

 

 

 

プレゼントを渡しに行こうとしていると、ラテが具合悪そうになった。まさかと思い、ラテの言うところに向かうとランタン型のメガビョーゲンが暴れていた

 

「みんな‼」

 

「「うん」」

 

「「「スタート」」」

 

「「「プリキュアオペレーション」」」

 

「「重なる二つの花!キュアグレース!」」

 

「「交わる二つの流れ!キュアフォンテーヌ‼」」

 

「「溶け合う二つの光‼キュアスパークル‼」」

 

「「「地球をお手当て‼」」」

 

「「「ヒーリングっとプリキュア‼」」」

 

 

僕と炭治郎は日輪刀を構え、嶺豆子も構える

 

メガビョーゲンは何かを吐き出して辺りを蝕んでいく

 

「ちょっと何してくれちゃってるの‼」

 

「お!プリキュア!チース!」

 

グレースたちがバテテモーダとメガビョーゲンに攻撃を仕掛ける中、僕らも行こうとすると

 

「お前の相手は俺だ‼紫乃‼」

 

月鬼が現れて、斬りかかってくる。僕は攻撃を防ぎ……

 

「紫乃!?」

 

「炭治郎たちはグレースたちを‼」

 

僕は月鬼と対峙する

 

「探し物のついでだ‼お前をここで終わらせる‼」

 

「出来るものなら‼やってみろ‼」

 

お互いの刀が激しくぶつかり合う。この間の痣の力は常時発動できるわけじゃないのか?

 

「考えてる暇はない‼」

 

『十二月の呼吸‼十二の月‼死走ル月‼』

 

技が放たれた瞬間、防ごうとするが、両腕がバラバラにされてしまった。

 

距離を取って再生しようとすると……

 

『十二月の呼吸‼玖ノ月‼夜那蛾月‼』

 

両足を切り落とされた。射程範囲が……大きい!?

 

『十二月の呼吸‼拾ノ月‼表神在月‼』

 

更に斬撃を喰らい、再生も追い付かない…………

 

「その程度か……お前も俺と同じように痣を発現するかと思ったが……残念だ」

 

『拾ノ月裏‼神那月』

 

攻撃の動作も見えなく、四肢を切り落とされてしまった。

 

 

 

炭治郎side

 

メガビョーゲンとバテテモーダを相手にしながらの戦い、ここまで強いなんて……

 

メガビョーゲンが攻撃を放ち、全員が避ける中、ベンチに置かれたプレゼントに目掛けて、攻撃が迫っていた。スパークルが慌ててプレゼントを庇い、地面に倒れた

 

「「スパークル!?」」

 

「くそ‼」

 

「早く助けないと‼」

 

「ダメダメ‼よそ見はダメ‼」

 

助けに入ろうとするが、バテテモーダが妨害して近づけない

 

 

 

月鬼side

 

「スパークル!?おい、スパークル!?」

 

「大丈夫大丈夫。ほら、ニャトランの大切なもの無事だったよ」

 

不消化で日の呼吸の使い手と戦おうとしたが、スパークルが考えなしに飛び込んできたことに驚きを隠せないでいた。

パートナーのためにそこまでするのか……

 

「ニャトラン、最初に言ってくれたじゃん。プリキュアになるとき、好きなものや大切なものを守るんだよって……守りたいんだ……ニャトランの気持ち……私はさ、ひとつの事に集中するの苦手じゃん。だから何かを特別に好きってこと分からないんだよね。でもニャトランの特別な好きを守ることはできる!」

 

特別な好きを守る……何でだ……何でその言葉に惹かれるんだ……

 

「すっごく嬉しいの!一生懸命なニャトラン、かっこ良かったんだもん!」

 

「かっこいいのはスパークルにゃ!今日だっていっぱいアイディア出して、ひとつの事に満足しないで、グングン進むすげぇ奴だって思ってたにゃ!」

 

「やった!私たち両思いじゃん」

 

「あったり前だぜ!」

 

両思いの使い方合ってるのか?まぁいい。

 

「やれやれ」

 

「月鬼!?紫乃っちは?」

 

「奴なら気絶している……動くな」

 

俺はスパークルの足を固めている蝋を破壊した

 

「おい、雨のエレメントボトルを使え‼そうすれば終わるぞ」

 

「ちょ!?何アドバイスしてるんっスか!?」

 

「不消化でな。八つ当たりだ」

 

「不消化って……月鬼、便秘?」

 

「お前は女の子だろ……アホみたいなことを言うな」

 

キュアフォンテーヌが雨のエレメントボトルで雨を降らし、メガビョーゲンを弱らせる。さてそろそろ帰る

…………

 

「まだ立ち上がるか」

 

再生に体力を使い、既に限界を向かえつつある紫乃……

 

「まだ……僕は……」

 

「悪いが……俺は誰よりも強くなるんだ‼」

 

痣が腕に浮かび、刀を構えた

 

「お前みたいに守るために強くなろうとする奴は……俺には勝てない‼」

 

『十三ノ月‼極・月光‼』

 

心臓を貫き、紫乃の身体が切り刻まれる。

 

「く…そ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

戦いが終わり…………ニャトランの恋はというと、織江さんには炎さんという結婚相手がいらしく……ニャトランの恋は終わったのであった……

 

そんな中……僕は……

 

「紫乃?」

 

「…………悪い。帰るよ」

 

そう告げてみんなと別れた。そのあとラテが調子を崩したらしいけど…………

 

「待って……紫乃」

 

「…………」

 

『守るために強くなろうとする奴には、俺には勝てない』

 

月鬼の言葉がいつまでも頭に響いた。

 

「紫乃!」

 

ちゆの声は届かず、僕は…………



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62 雪の呼吸の意味

本編3割でオリスト7割になってます


ちゆside

 

「お兄…どう?ラテ死んじゃわないよね…」

 

メガビョーゲンとの戦いのあと、ラテが苦しそうにしていて、私たちはひなたのお兄さんに視てもらっていた。

 

「ひなた、落ち着け。疲れが貯まってるところに風邪貰っちゃったみたいでね。薬を出しておくからしっかり休ませておくこと」

 

「はい…」

 

ラテ……それに……

 

「紫乃……」

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

すこやか山のある場所に来た僕。

 

「ここに来るのも……おじさんが死んでから……か」

 

月鬼に完全に敗北した僕……傷は再生したのに……心が痛い……

 

「守りたい思いが……弱くなんて……」

 

おじさんの教えが……否定されて…………僕は…………

 

 

 

 

 

 

 

一青side

 

ビョーゲンキングダムにて、轆轆と病葉の二人が鬼神に呼び出されていた。

 

『貴様らに力を与えよう』

 

「力をですか?」

 

「ですが何故……今?」

 

『月鬼が橘紫乃に勝利した。奴は心が弱っている今‼奴を殺す‼そのための力を与えよう』

 

二人の前に一本の角が現れた。

 

「こ、これは……」

 

『私の角だ。その角を使い、お前たち二人は上弦と同等の力を得る‼さぁ奴を殺せ‼』

 

「「はっ‼」」

 

紫乃……あいつも終わりだな。

 

 

 

 

ちゆside

 

のどかの家でラテのお見舞いをしたあと、紫乃の家を訪ねる私……出てきたカナエさんに紫乃が帰ってきているか聞くけど……

 

「いない!?」

 

「えぇ、少し前に暫く帰らないって言って、荷物を持って何処かに行ったわ……」

 

「そんな……」

 

紫乃……何処に……

 

「……きっと帰ってくるわよ」

 

「えっ?」

 

「あの子は雪の呼吸を受け継いでるもの……迷いも何も振り切って……みんなのところに……ちゆちゃんの所に帰ってくるわ」

 

「どういうことですか?」

 

「そうね……折角だから話しておこうかしら……紫乃くんの師匠……雪柱の東堂さんのことを」

 

 

 

 

これは私と岩柱の人と東堂さんが任務明けで食事をしていたときに、私が聞いたの

 

「継子をとらない理由か?」

 

「えぇ、貴方ならいてもおかしくないと思いますけど……」

 

「そうだな……まず俺の呼吸は水の呼吸の派生なのは知ってるか?」

 

「はい」

 

「新しい呼吸だと言っていたな」

 

「二人は俺の呼吸を見て、どう思った?」

 

「……優しいですか?」

 

「優しさと時折感じる全てを飲み込む力を感じる」

 

「雪って言うのは元々そう言うものだ。深々と降り積もり、一見何処と無く優しさを感じるが……時折吹雪いて人々を襲う……雪の呼吸はその二面性がないとダメなんだよ」

 

「つまり……」

 

「東堂……お前に優しさがあるのか?」

 

「悲鳴嶋……お前な……まぁいいや。俺の場合は優しさが技……荒々しさが鬼への憎しみ……その二面性が雪の呼吸を扱うに必要なんだよ」

 

「つまり……今は受け継いでくれるひとがいないと言うことですか?」

 

「そうなるな。それにな……俺の技の優しさは……水の呼吸の干天の慈雨が元になってる」

 

干天の慈雨……鬼が自ら首を差し出してきたときに放つ慈悲の技……

 

「もしも俺の継子がいるなら……心が優しく……誰かを守りたい思いが強く、迷いなんて振り切る荒々しさと技の激しさを持ってる奴だな」

 

 

 

 

 

 

「それが紫乃……」

 

「私も最初に会って彼の呼吸を受け継いだことを知ってね……そうか……この子が東堂さんが言っていた子なんだって思ったわ……だから戻ってくるはずよ」

 

「…………」

 

「もしも心配なら……探してみたら?前に話していた稽古場がすこやか山にあるはずだから……」

 

「はい……」

 

 

 

 

 

 

 

次の日、ラテのお見舞いに来た私……

 

「ちゆちゃん……いいの?」

 

「ラテの事が心配だもん。部活は……」

 

「そうじゃなくって…紫乃くんのこと……」

 

のどかは心配そうにでもなく、少し怒った顔をしていた。そっか……のどかが怒るのも無理ないよね……

 

「ラテ……ごめんね。私……ラテを言い訳にしていた……」

 

ラテを撫でながら、私は紫乃が戻ってくるのを待っていたことを反省した。今は紫乃一人にするんじゃなく……紫乃と向き合わないと‼

 

「行ってくるわね」

 

「うん」

 

「ちゆちー行ってらっしゃい」

 

私は紫乃の元へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

ずっと座禅を組んで瞑想をしていた。今……僕に必要なのは………………

 

「……の」

 

聞き覚えのある声が聞こえ、目を開けるとちゆが目の前にいた。

 

「ちゆ?」

 

「紫乃‼」

 

ちゆが抱きついてきて、思わず倒れそうになった。何でちゆが……

 

「紫乃……バカ‼」

 

「バカって……いきなり来て……」

 

「バカバカバカ」

 

「いや、だから……」

 

「紫乃……紫乃の強さは呼吸とかその身体とかじゃない……紫乃の強さは……私たちを守りたいって思いの強さよ」

 

「ちゆ……」

 

「一回負けたからって……それがどうしたのよ……紫乃なら……」

 

「立ち上がるよ……」

 

「えっ?」

 

ちゆは驚いた顔をしていた。まさかと思うけど強さを求めて自暴自棄になって何かやらかそうとしてるのかと思われていたのかな?

 

「負けたときは……誰の声も届かないくらいに落ち込んでたよ……だけどここに来て思い出せた…………僕の強さの理由を……強くなる理由を……」

 

「そっか……私……ここに来る必要なかったのね」

 

「そんなことないよ。ちゆに会えて……もっと気持ちが強くなった‼それとちゆ、ごめんな。心配かけて……」

 

「ううん、気にして…………やっぱり許さない」

 

てっきり許してくれるかと思ったんだけど……

 

「これからは何があっても……守りたい思いは忘れないで……」

 

「あぁ」

 

それからちゆと一緒に手を繋いで山を降りるのであった



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63 新たなプリキュアと鬼神の角

「ラテ……大丈夫か?」

 

ちゆと一緒にラテのお見舞いをする僕。

 

「くぅ~ん」

 

「ラテ……何だか嬉しそう」

 

「紫乃っち、まず私たちに謝ることあるよね?」

 

ひなたは怒った顔をしていた。そうだよな……謝らないとな……

 

「ごめん、心配かけて……」

 

「うん、いいよ」

 

「紫乃くんが戻ってきてくれただけで嬉しいよ」

 

二人に許された。後はラテが元気になれば…

 

「それじゃ紫乃っちがもっと強くなれるように考えよー」

 

「はい?」

 

ひなたの突然の提案……いきなり過ぎて反応に困るんだけど……

 

「紫乃くん、私たちもね。紫乃くんに何かできることないかなって思ってね」

 

「それで紫乃が戻ってきてから話し合おうって……」

 

「みんな……」

 

なんと言うか……ありがたい話だ……

 

「はい、何か案ある人‼」

 

「はい!」

 

早速話し合いが始まり、のどかが挙手した。

 

「しのぶさんに聞いたけど、紫乃くんはもう限界まで鍛えてあるって、鬼の力を扱えば下弦の鬼と上弦の間くらいの強さだって」

 

「でもあの月鬼は…………紫乃よりも強かった……」

 

「前にさ……たんじーに聞いたら、鬼って……えっとなんとかなんとかの血が濃いほど強いって……それだったらその血を飲めばいいんだよ」

 

ひなた……鬼舞辻舞惨な。それに……

 

「その血は何処にあるんだよ」

 

この世界にはいたけど倒されてるし…………

 

「そもそも僕はあの鬼たちとは違うし…………」

 

「そっか~」

 

「人の血とか飲んだりはダメなの?」

 

「さぁ?それで強くなっても僕はやりたくないけど……」

 

「試しにさ、ちゆちーの首噛んでみたら?」

 

ひなた……人の話を聞こうか……

 

「紫乃くん、試しに」

 

「のどか……ちゆの意見も……」

 

「その……紫乃が良ければ…………」

 

ちゆは髪をかきあげ、首筋を晒す。

 

「……ちゆ……ちょっとごめん」

 

ちゆの首筋に甘噛みをすると……

 

「ん////」

 

ちゆの声……それに仄かに香るちゆの匂い…………噛むのを止めるとちゆの首筋が少し赤くなっていた。

 

「どう?強くなった?」

 

「/////」

 

「/////」

 

別の意味でこれはやめた方がいいな…………

 

 

 

 

 

 

それから夕方まで話し合いが続くけど、どうにも答えが見つからず、解散することになった。

 

一番現実的なのは……やっぱり今を越えることだろうな……

 

「鍛えるか……」

 

それしかないよな……心を強く持ち……鍛えよう

 

 

 

 

のどかside

 

その日の夜、ラテが何だか辛そうにしていた。私はラビリンと一緒にラテの声を聞いてみた

 

「どこか辛いの?聞かせて」

 

『元気になれないのが悲しいラテ』

 

「みんなと早くお外に行きたいよね」

 

「元気になったらたくさんみんなと遊ぶラビ」

 

『みんな……みんなラテに優しいラテ……でもラテ、何もしてないラテ。みんなプリキュアになって頑張ってるラテ……紫乃だって大変なのに……ラテはいつも助けてもらってるだけラテ……』

 

「ラテ様……」

 

「そっか……そんなこと思ってたんだね。ラテ、私たちこそラテのお陰で助かってるんだよ」

 

私はそっとラテを抱き締めた。ラテは何もできない訳じゃないよ……

 

「ラテ様は地球の苦しみを身体で感じてくれてるからラビリンたちはお手当てできるラビ」

 

ラテが不安になるのは仕方ないけど……私たちはラテのお陰で…………

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

次の日、すこやか山に鍛練しに(みんなには連絡済み)向かうと、山の頂上から大地が蝕まわれていた。

 

「まさか!?」

 

急いで山の頂上に向かうとそこにはメガビョーゲンが暴れていた。どう言うことだ?何でラテは感知しなかった?まさか…………調子が悪いと感知出来ないのか?

 

「あれー?鬼狩りじゃないっすか!今日は一人っすか?」

 

バテテモーダが現れると、僕は刀を構えた。

 

「偶々だよ」

 

「まぁどうでもいいっすけど……あんたの相手は俺じゃないので……」

 

バテテモーダがそう言った瞬間、僕の後ろに下弦の二人が現れた

 

「お前らは……轆轤と病葉!?」

 

「お前を確実に殺せと言われてるからな」

 

「嘗めてると……痛い目にあうぞ‼」

 

「月鬼と再戦したいところだけど…………仕方ない‼お前らを片付けて、メガビョーゲンを……」

 

「だから俺たちを」

 

「嘗めるな‼」

 

轆轤が取り出したの何かの角だった。角から黒い光が放たれ、二人を包み込むと…………巨大な異形の鬼へと姿を変えていた。

 

『これが鬼神様のお力‼』

 

「合体したところで‼」

 

『漆ノ型‼雪崩』

 

一気に攻めようとするが、異形の鬼に腕を捕まれ、そのまま地面に叩きつけられた。

 

「かはっ!?」

 

『すごい力だ‼こいつの動きが分かる‼』

 

「くそ‼それなら……」

 

『血鬼術‼血癒の矢』

 

血で作った矢を放ち、異形の鬼に刺さる。鬼ならこれで…………

 

『ふははは‼何だ?何かしたのか?』

 

効いてない!?鬼神の力の影響なのか!?

 

『オオオオオオオオ‼』

 

異形の鬼は口を大きく開き、衝撃波を放ってきた。僕は避けようとするが、足をメガビョーゲンに捕まれ、直撃を喰らった

 

「かはっ!?」

 

『流石は鬼擬き‼肉は残るか‼だがお前では俺たちには勝てない‼』

 

「紫乃!?」

 

「紫乃くん!?」

 

「何?あの鬼‼」

 

フォンテーヌたちも来たが、異形の鬼に驚いていた

 

「だ…いじょうぶ…みんなは…メガ…ビョーゲンを…」

 

血まみれになりながら、笑顔を向ける。まだ僕は…負けてない…

 

「紫乃…」

 

「余所見してる場合っすか‼プリキュア‼」

 

メガビョーゲンがみんなを襲う。助けに……入らないと……

 

『俺たちを忘れるな‼』

 

異形の鬼に殴られ、近くの木に叩きつられる。みんなもメガビョーゲンに拘束され……

 

『バテテモーダ。お前はビョーゲンズの目的を果たせ‼』

 

「そっちはそいつに止めっすか?プリキュアも残念だね!仲間の死に際に会えなくって」

 

バテテモーダの笑い声が響く中……避難していたラテが必死にメガビョーゲンを止めようとしていた

 

「ラテ……」

 

ラテが……頑張ってるんだ…………僕だって……負けられない…………

 

するとラテは何かに気がつき、地面に落ちていた何かをくわえて、僕の方に放り投げた。

 

「これは……」

 

ラテが届けてくれたのは…………異形の鬼が合体した時に使った『鬼神の角』だった。

 

『このくそ犬‼』

 

「ラテ……」

 

ラテがバテテモーダに捕まり、今にも握りつぶされようとしていた。

 

助けるんだ……ラテを……みんなを‼

 

僕は鬼神の角を身体に埋め込んだ。効果あるかわからないけど…………僕には強くなる理由がある‼

 

「オオオオオオオオ‼」

 

身体が今よりも成長し、力が溢れる‼

 

「うぐっ……ううう……」

 

だけどそれ以上に嫌なものが溢れる…………

『喰らえ…………もっと力を得るために…………』

 

違う…………僕は…

 

「紫乃‼」

 

フォンテーヌの声が聞こえ、見上げた。フォンテーヌは何も言わず……ただ強く頷いた。

 

「ありがとう……フォンテーヌ‼」

 

『何故喰らわない‼お前には私の血が混ざり、古の鬼の身体を喰らったことで……』

 

目の前に現れる青白い顔の男を思いきり殴った‼

 

僕は人間だよ‼

 

声が聞こえなくなり、ラテを助けようとすると……一陣の風が吹き、バテテモーダに捕まったラテが、見たことのない少女に助けられていた。

 

「プリキュアラビ!?」

 

「えっ?」

 

「先代のプリキュアにゃ!?」

 

「テアテーヌ様のパートナーだったプリキュアにそっくりペエ!?」

 

あれが先代のプリキュア?何か不思議な感じがするけど……

 

「ラテ様、あなたの望み……私が叶えましょう」

 

謎のプリキュアはそっとラテを下ろすと……

 

「地球を蝕む邪悪な者よ!最後の時です!清められなさい」

 

謎のプリキュアは一瞬で移動し、グレースたちを助けた。

 

更に謎のプリキュアは連続で攻撃し、メガビョーゲンを頂上まで吹き飛ばす。

 

「凄いな……」

 

『俺たちを無視してるんじゃねぇよ‼』

 

異形の鬼が殴りかけようしてきたが、僕は拳を受けとめ、思いきり殴り返すと異形の鬼がメガビョーゲンと同じところまで吹き飛ばされる

 

「加減が難しいな」

 

「紫乃‼大丈夫?」

 

「あぁ、フォンテーヌのお陰だよ。ありがとう…大好き」

 

「ちょっと…そこの二人~早く追うよ~」

 

「あはは……」

 

スパークルに注意され、グレースは苦笑いをしていた。僕らは急いで頂上まで向かうと……謎のプリキュアがメガビョーゲンを圧倒していた

 

『何故だ!?何故……こいつは俺たちみたいな鬼じゃないのに……鬼神様の力を扱える‼』

 

「知らないよ……ただ……いい加減……倒されてくれ」

 

僕は日輪刀を構え、グレースたちがヒーリング・オアシスを放った瞬間、異形の鬼の首を切り裂いた

 

『が……きじん……さま……』

 

首を切られて、異形の鬼は塵となり……メガビョーゲンも無事に浄化された

 

 

 

 

 

 

 

月鬼side

 

紫乃の最後を見にきたはずなのに……何だ?あいつの……あの強さは……

 

「奴は……何なんだ?」

 

『なるほど……打ち勝ったか』

 

不意に鬼神が現れた。打ち勝った?

 

『奴は裏切り者が作った血を体内に取り込んでいる。それは始祖の鬼の血を改造したもの』

 

「だからあいつには食人衝動がない……」

 

『そして我が角を取り込んだことで、始祖の鬼の血が暴走するはずだった』

 

それを紫乃は……打ち勝った……精神力の違いなのか?




次回に続きます


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64 生まれたての精霊少女

メガビョーゲンを倒すことが出来たけど、ラテの具合が悪いままだった。

 

「風のエレメントさんに力を分けてもらおう!」

 

ひなたがそう提案した瞬間…

 

「その必要はありません」

 

謎のプリキュアが僕らの前に現れて、風のエレメントボトルを生み出し、謎のプリキュアは金髪の少女に変わった

風のエレメントボトルのお陰でラテが元気になったが……まだ風邪の影響を受けているから本調子じゃないみたいだ

 

「ラテ様……可愛そうに……」

 

「貴方は……一体……誰なんですか?」

 

のどかの問いかけにプリキュアは……

 

「誰?それは名前の事ですか?だとしたらまだありません」

 

「えっ?」

 

「先程生まれたばかりなのです。私、人間ではありません」

 

その発言にみんなが驚いていた。すると彼女は僕を見て……

 

「貴方も人間ではないでしょ」

 

「僕は人間だよ」

 

「そうですか……混ざっていて分かりませんでした」

 

混ざっていてって……人と鬼のことだよな……そんなことも分かるのか……

 

 

 

 

 

 

一旦話を聞くため、のどかの家に集まった僕ら。更に僕の状態を見てもらうためにしのぶさんを来てくれていた

 

「紫乃くん、何かおかしなところはないですか?」

 

「特には……調子がいいと言うか……どこもなにもないですね」

 

「…………紫乃くんの鬼の血と鬼神の角が混ざりあって、能力が上がっているみたいだけど…………その分鬼としての嫌な部分が現れるはずかと思っていましたが…………」

 

「そう言えば取り込んだときに変な空間にいて、青白い顔の男が『人を喰らえ』って言ってましたけど……殴ったらいなくなりましたね」

 

「青白い…………ふふ、なるほど、紫乃くんは乗り越えたと言うことですね」

 

一体どういうことなんだろう?とりあえず血を詳しく調べてもらうことになり、プリキュアの話を聞くことになった。

 

「私はラテ様を助けたいと言うテアティーヌの願いによって生まれました」

 

「「「テアティーヌ様の!?」」」

 

「願いを聞き届けた地球が風のエレメントを使って、私を生み出したのです」

 

「地球って、いきなり人間作れるの!?凄くない!?」

 

「ですから人間ではありません。強いて言えば精霊みたいなものです」

 

「精霊……」

 

「そもそもヒーリング・ガーデンはお手当てのために地球が自ら生み出した存在ラビ」

 

「最初に生まれたヒーリングアニマルがテアティーヌ様なんだよ」

 

「そうだったの……」

 

何か話が大きすぎるな…………

 

すると精霊がラテを抱き抱え……

 

「それでは私はヒーリング・ガーデンに参ります。大切なラテ様を安全な場所にお連れしなくては」

 

そう言ってテラスから飛び降りる精霊…………流石は精霊だから飛び降りるなんて容易…………

 

「あっ」

 

訳ではなく普通に落下していくのであった。

 

「いたた、そうでした。風のエレメントの力はボトルに変えてしまったから飛べないのでした」

 

意外とどじっ子なんだな…………精霊はラテを連れて何処かへと向かうけど…………

 

「いや、あれ、誘拐じゃないのか」

 

「そうよ!?」

 

「ちょっと待って~」

 

僕らは急いで追いかけていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

一青side

 

紫乃が強くなり、更には謎のプリキュア…………

 

「激しくなるな」

 

一人でそんなことを呟いていると、バテテモーダがグアイワルに緑色の石を渡していた。

 

「あれは……」

 

聞こえてくる話を聞く限りだと、メガビョーゲンの欠片みたいだな。それで何をするかは分からないけど…………

 

「今はあいつに頼まれた仕事をしないとな」

 

俺は一枚の手紙を見つめた。あいつなりの覚悟か…………

 

「鬼でも面倒な考えをするな…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

精霊を追いかけていき、灯台まで来るとようやく追い付いた

 

「待つラビ!ラテ様をつれてかないでほしいラビ」

 

「どうして?テアティーヌがラテ様を守れって……」

 

「テアティーヌ様はそんなことを言わないラビ」

 

ラビリンの話では、テアティーヌはラテに王女の務めを果たすように伝えたらしい。話を聞く限りだと、どうにも理解の仕方がおかしい…………生まれたばかりだからなのか?

 

のどかはそれに気がついてラテの気持ちを聞こうとすると、ラテが突然体調を崩した。まさかと思うけど……こんなときに……

 

「精霊さん、ラテの気持ち……聞いてあげて」

 

のどかは聴診器を渡し、僕らは急いでメガビョーゲンの所へと向かうのであった。

 

「あれが……お館様が言っていた鬼の力を持つ少年か…………」

 

そんな僕らの様子を何処からか見ていた男がいたことに誰も気が付かなかった。



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65 集う柱、誕生!キュアアース

カナエside

 

少し前に炭治郎君たちが連れてきた彼女…………まだ眠り続けていた。

 

着ていた服からして、私たちの世界の人だけど……誰とも知り合いじゃない。鬼かと思ったけどそんな感じもしない…………

 

「話が聞ければいいのに…………」

 

一人でため息をついていると、紫乃くんから連絡が入った。内容はメガビョーゲンが出現したことだ。

私はみんなに連絡を入れて、近いところにいる人を向かわせる。

 

「…………治さん……」

 

不意に眠っている彼女が誰かの名前を呼んだ気がした。

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

メガビョーゲンのところに向かうと、ソーラーパネルの所で暴れていた。

 

「「「スタート」」」

 

「「「プリキュアオペレーション」」」

 

「「重なる二つの花!キュアグレース!」」

 

「「交わる二つの流れ!キュアフォンテーヌ‼」」

 

「「溶け合う二つの光‼キュアスパークル‼」」

 

「「「地球をお手当て‼」」」

 

「「「ヒーリングっとプリキュア‼」」」

 

三人がプリキュアに変身し、僕は鬼になってメガビョーゲンに向かっていく。

 

『雪の呼吸!壱ノ型‼初雪』

 

グレースたちは連携してメガビョーゲンを攻撃し、僕は追撃で更にダメージを与えていく。

 

「ふん、あいつはまだか。とりま、試してみるか」

 

バテテモーダがメガビョーゲンに何かを埋め込んだ瞬間…さっきより大きくなり、目からビームを放ってきた。

 

『血鬼術‼守護血癒』

 

咄嗟に血鬼術で攻撃を防ぐけど、威力が強すぎる

 

「どういうこと!?」

 

「急にでっかくなったんだけど!?」

 

「あはははは‼実験大成功ーー‼どうです‼キングビョーゲン様‼発見しちゃいました‼簡単にメガビョーゲンを急成長させる方法を‼あはははは‼さぁ来い来い‼正体不明の紫プリキュアちゃん‼」

 

くそ‼いきなり強くなりやがって‼

 

「紫乃くん!?」

 

「…………メガビョーゲンか」

 

すると蜜璃さんと義勇さんの二人が駆けつけてきてくれたけど……倒せるかどうか……

 

『メガーーーーー‼』

 

不意打ちにメガビョーゲンの攻撃を喰らい、僕は吹き飛ばされた。

 

何とか着地したけど新しい力が上手く扱えてない……

 

「どうすれば……」

 

「ラテ様……これ以上は危険です」

 

フッと近くに精霊とラテの姿があった。

ラテは何か伝えたいことがあるみたいで、精霊は聴診器でラテの声を聞いた。

 

『ラテはここにいたいラテヒーリングガーデンには帰りたくないラテ』

 

「ラテ様……お母様にお会いしたくないのですか?」

 

『会いたいラテ。でもラテもここにいるけど……ラテもみんなと一緒にお手当てしてるラテ』

 

ラテ……お前は……

 

「少年」

 

突然後ろから声が聞こえて振り向くと、巨体の男がいた。何だ?見た目からしてお坊さん?

 

「誰?」

 

「鬼の力を宿し、鬼を狩る……お前はいずれ鬼に支配されたらどうする?」

 

「急に質問するなよ……と言うか決まってるだろ……その時は……皆に切ってもらう‼」

 

「…………」

 

「それだけじゃなく……まず暴走なんてしない……支配なんてされない……みんなを守りたいから‼」

 

僕の答えを聞き、坊さんは笑顔になった。

 

「偽りないその心……聞いていた通りだ。そこの少女よ……いや、仔犬よ。お前はどうしたい?」

 

今度はラテに問いかけた。本当に何なんだこの人は……

 

『ラテは地球さんが泣いてるのラテしか分からないラテ……それしかできないけど頑張りたいラテ』

 

ラテは精霊に手をさしのべた

 

『お願いラテ……地球さんに貰ったパワー、ラテを守るよりお手当てに使ってほしいラテ‼』

 

「何でしょう……心が……私の中で高まり、渦巻き……苦しいわけでもない……ただ貴方の手を取りたいとどうしようもなく思ったのです」

 

二人の間にまばゆい光が現れ、エレメントボトルが生み出された。

 

「心の肉球が反応したのか……」

 

「答えは見届けた‼行こう‼」

 

「いや、あんた誰だよ?」

 

「その人は岩柱の悲鳴嶼さんだよ。紫乃」

 

「判断をするのが自分だからって……勝手なことを」

 

振り向くとそこには口元を隠した男と……お前は……

 

『岩の呼吸!弐ノ型‼天面砕き‼』

 

鉄球がメガビョーゲンの頭上に落とされ、更には

 

『蛇の呼吸!壱ノ型‼委蛇斬り』

 

『霞の呼吸!弐ノ型‼八重霞』

 

二人の連撃がメガビョーゲンを圧倒する

 

「あれは!?」

 

「来てたんだ‼」

 

僕は皆の元に降り立ち、

 

「紫乃……あの人たちは……」

 

「これで柱集合みたいだよ」

 

駆け付けてきたの岩柱、蛇柱の二人と、あの時代で仲良くなった無一郎だった。

 

「紫乃、久しぶり」

 

「無一郎こそ」

 

「強くなったみたいだね。でもその姿……扱いきれてない感じ?」

 

「いや、さっき岩柱の人の問いかけに……分かったことがある……守りたい想いが……あればどこまでも強くなれる‼それに……」

 

崖の方には精霊とラテの姿があった。今回はデビュー戦だな

 

「ラテ様……参りましょう」

 

「わん!」

 

「スタート!」

 

「プリキュア!オペレーション!」

 

「エレメントレベル上昇ラテ」

 

「「キュアタッチ」」

 

「「時を経て繋がる二つの風‼キュアアース‼」」

 

精霊がプリキュアに変身した。

 

アースは素早く駆出し、メガビョーゲンを蹴り飛ばす。

 

「あなた方はメガビョーゲンを……紫乃」

 

「一緒にやろうってか?」

 

「えぇ、これの相手は私たちで」

 

「これって……誰の事すっか‼」

 

バテテモーダの攻撃をあっさりと避けるアース。驚いてる隙に僕はバテテモーダの顎を、アースは頭を蹴る

 

「ぐあ!?」

 

「名前を覚える必要はありません。今この場で浄化するのですから」

 

「ぐ……うおおおおおお‼」

 

バテテモーダが更に攻撃を繰り出して行くが、アースは避け続け……

 

「ハアアアア‼」

 

同時にバテテモーダの腹を殴り、吹き飛ばす。

 

「来い‼メガビョーゲン‼こいつらを潰すぞ」

 

メガビョーゲンとバテテモーダが同時に仕掛けてくる

 

「一発逆転‼下克上だぁぁ‼」

 

「アースウィンディハープ」

 

ハープをとり出すアース。

 

「舞い上がれ!癒しの風‼プリキュア・ヒーリングハリケーン!」

 

無数の白い羽根を纏った紫の竜巻を放ち、メガビョーゲンとバテテモーダを浄化するのであった

 

「俺の野望がーーーーーひーりんぐっぱーーーーい‼」

 

「お大事に」

 

 

 

 

 

 

 

無事にアースとラテの絆も深まり、のどかたちも受け入れ……いや最初から受け入れていたか。

 

今後アースの人としての姿の時はあすみと呼ぶことになり、義勇さん、蜜璃さんの二人も来てくれた三人と再会を喜びあい……無事に…………

 

「橘紫乃」

 

声が聞こえた瞬間、僕らの前に月鬼がいた。

悲鳴嶼さんたちは構えると、月鬼は一枚の手紙を渡してきた。

 

「これは……」

 

「果たし状だ。猗窩座からの…………」

 

手紙にはすこやか山の頂上で日付けが代わる時に戦いを始めると言うものだった。

 

「立会人は何人でも連れてこい…………だが邪魔はするな。あいつはお前との一騎討ちを願っている」

 

月鬼はそう告げて、姿を消した。

 

猗窩座との……一騎討ち………………

 




次回オリストです


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66 一騎討ち

一度目は失意の中で……

 

二度目は感謝の中で……

 

三度目は…………

 

 

 

 

 

 

リビングで皆に渡された果たし状を見せていた。書かれていた内容としては、日付けが変わる時に、一騎討ちをしようというものだ

 

「紫乃……受けるのか?」

 

「指名されたからな……」

 

今の自分が猗窩座に勝てるかは分からないけど……逃げるべきではない

 

「ちゆちゃんたちには伝えたの?」

 

「うん、話してある……」

 

ちゆたちにも見届ける権利はある。

 

「それでどうするだ?こうして柱を呼んだのは理由があるんだろ」

 

不死川さんの問いかけに頷く僕。猗窩座の最大の奥義については炭治朗と義勇さんから聞いてある。

 

「皆に……頼みたいことがあるんだ…………」

 

僕はやろうとしていることを話すと……

 

「それって……あと六時間で出来ることなの!?」

 

「カナエさん、後六時間じゃなく、まだ六時間あるんです。出来ることはやっておきたいんです」

 

「ふふ、ふははは、お前は面白いやつだな‼」

 

不死川さんは笑いながら僕の頭を掴み……

 

「鬼殺隊最強の柱に……元も含めてか。頼むんだ‼死ぬ気でやれよ‼」

 

「はい‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カナエside

 

指定の時間が近づき、紫乃くんは向かった。付き添いとして柱からは煉獄さんと富岡くんが……そして炭治朗くんが付いていく。私は眠り続けている彼女の介護をしている

 

「きっと猗窩座に勝てるわよね」

 

そう呟いていると……

 

「ん……」

 

彼女が目を覚ました。どうして突然……

 

「大丈夫?貴方は……」

 

「早く……行かないと……」

 

「えっ?」

 

「私…………狛治さんの所に…………今は…………」

 

彼女が告げた名前……彼女は…………

 

私は急いで準備を済ませて、しのぶとカナヲを起こすのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

指定された場所に行くと、ちゆたちが来ていた。それにアスミも……

 

「来たんだな」

 

「家で待ってられないからね」

 

「私も……ううん、私たちもだよ」

 

「紫乃っち、絶対に負けないで」

 

三人が応援するなか……アスミは……

 

「全員で戦えば勝てるはずなのに……」

 

「そう言うもんなんだよ…………大人しく見てろよ」

 

「はい」

 

僕は待っていた目の前の男を見つめた。その後ろには……月鬼と上弦の壱と酒呑の姿があった。見届け人か……

 

「来たか……悪いが見学しているやつらは、邪魔はするなよ‼」

 

「それはこっちの台詞だよ‼もしも邪魔とか見学してる皆に危害を加えたら……許さないからな」

 

お互いに脅しをかけ……構えた。

 

「さぁ始めよう‼橘紫乃‼」

 

「あぁ‼来い‼」

 

『術式展開‼羅針』

 

『雪の呼吸‼壱の型‼初雪』

 

最初に仕掛けたの僕からだ。猗窩座は簡単に避けるが…………技の途中で次の技に切換え

 

『弐ノ型‼吹雪‼』

 

「ち!」

 

猗窩座の右腕に刀が貫く。猗窩座は距離をおき……

 

『破壊殺‼乱式』

 

何十発もの拳が迫る。初めて戦ったときは手も足もでなかったけど…………

 

『血鬼術‼血癒守護』

 

血の盾で攻撃を防ぎ……上から切りかかる。

 

『破壊殺‼脚式‼飛遊星千輪‼』

 

鋭い蹴りで対抗してきた。

 

『血鬼術‼治癒影‼』

 

猗窩座は僕を捉えず、血鬼術で作り上げたデコイが霧散した。

 

『雪の呼吸‼参ノ型‼雪桜』

 

猗窩座の両腕を切り落とすが、すぐに再生し……

 

『破壊殺‼鬼芯八重芯』

 

防御が間に合わず、直撃を喰らってしまった。

 

「かはっ‼」

 

「やるな‼拳を合わせて理解した‼お前は強くなっている‼だが何故お前は血鬼術を防御のためにしか使わない‼お前のその力なら俺を弱らせられるだろ‼」

 

「悪いけど……お前には……猗窩座と言う本気で挑んでくる相手には…………使うわけにはいかない‼使ったらお前に失礼だろ‼」

 

猗窩座は一人の武人として……僕と一騎討ちをしている。それなら敬意を払うべきだ

 

「そうか……本当に面白いやつだ。そしてお前になら託せる‼」

 

「託す?」

 

「お前の敬意に対して……終式で返そう‼」

 

猗窩座が構える。さて……それなら…………僕は

 

『破壊殺‼終式‼』

 

『雪の呼吸‼捌ノ型‼』




短めですが、次回に続きます


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67 幸せに

ちゆside

 

紫乃と上弦の参との戦い。紫乃は上弦の参の攻撃に対応できるようになっている

 

「紫乃……」

 

「紫乃くん、強くなってる……」

 

「そりゃそうだよ!あの時に比べたら凄く強くなってるもん」

 

ひなたの言う通り……紫乃はあれから身体だけじゃなく、心も強くなってる…………きっと勝てるハズだけど……

 

「…………感じが変わりました」

 

アスミがそう言った瞬間、富岡さんと煉獄さんの二人が身構えた。

 

「あの技がくる!」

 

「うむ、みんなはもう少し離れていた方がいい。あの技は…………」

 

「一体……何が!?」

 

「…………全方向からのほぼ同時に放たれる技…………回避できたのは炭治朗のみだ」

 

「俺もあの時は…………紫乃があの時の俺みたいに透明な世界に入れたら……」

 

「…………無理だろう。あの時みたいなことは早々起きない」

 

「だが……」

 

「……だが」

 

紫乃は備えた。防ぐために?ううん、違う……紫乃は……

 

『雪の呼吸‼捌ノ型‼雪花』

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

数時間前

 

道場で柱の皆にある鍛練をお願いした。それは……

 

「同時に技を放つ……だと!?」

 

「杏寿朗さんや義勇さんから聞いた限り、猗窩座の技は…………僕には避けきれないから…………それなら対抗するしかないと思って……」

 

「うむ!だがそのためにこんな短い時間で何とかしようとしても……付け焼き刃に過ぎないぞ」

 

「付け焼き刃でもやる価値はありますよ」

 

僕は鬼神の角で鬼化した。

 

「身体能力も動体視力も上がってるなら……何とかできるはず‼」

 

無茶だろうが何だろうがやれるだけの事をするだけ‼

 

 

 

 

 

 

 

『青銀乱残光』

 

威力も速度も上がった必殺の技…………僕は…………

 

 

 

 

 

 

 

ちゆside

 

同時に技が放たれて、土煙が舞う…………紫乃は……どうなったの?

 

土煙が晴れ…………立っていたのは上弦の参……

 

「し……の……?」

 

まさか紫乃は負けたの?そう思った瞬間、上弦の参の両腕が切り落とされていた。

 

「くっ!?まさか……」

 

そして完全に土煙が晴れるとそこには血まみれになりながらも立っている紫乃の姿があった。一体何が…………

 

 

 

 

 

月鬼side

 

見えなかった……あいつは何をしたんだ?

 

「あの小僧……やるな」

 

「月鬼……見えなかったみたいだな」

 

黒死牟と酒呑の二人には見えていたのか?一体何が……

 

「奴は……猗窩座の技が放たれた瞬間…………避けるのではなく、飛び込んでいき…………攻撃を逸らしていった」

 

「鬼神さまの力を取り込んだとはいえ…………あの技を逸らすことは難しいが…………奴は傷だらけになりながらも懐まで潜り込み…………猗窩座の腕を切り落とした」

 

紫乃が……そんなことを……何て言う奴だ…………

 

 

 

 

 

紫乃side

 

完璧と言うわけにはいかなかったけど…………成功だな…………

流石に全部逸らすことは出来なかったけど…………両腕を切り落とした…………後は…………再生する前に……

 

「ちっ!」

 

猗窩座が両腕を再生しようとした瞬間、更に腕を切り落とす。

 

『破壊殺‼滅式‼』

 

切り落としてもすぐに片腕だけ再生させ、僕の両手を打ち砕く。

 

「切れなくっても‼」

 

僕は頭を大きく振りかざし、思いきり頭突きを喰らわす。

 

「くっ」

 

一瞬眩んだ猗窩座。僕は更に蹴りを喰らわし…………落とされた刀を拾い上げた。

 

『雪の呼吸‼壱ノ型』

 

「させるか‼」

 

『術式展開‼終式』

 

このタイミングで‼技を切り替えることは出来ない…………まずい

 

「狛治さん‼」

 

突然誰かの声が聞こえた。その瞬間、猗窩座の動きが止まり、驚いた顔をしていた。

 

「………………■■■」

 

 

 

 

 

 

 

猗窩座side

 

俺はまた甦った。罰を受けるはずなのに…………

 

甦らせた奴は言った。協力すれば願いを叶えると………………

そんな言葉に乗る奴なんていない…………

 

だが俺には一つだけあった。それは…………

 

「俺の婚約者である恋雪がこの世界に現れたら…………彼女が幸せになってもらいたい。そして俺は…………戦いで死ぬ」

 

『それでいいのか?お前は鬼でも幸せになる資格はあるはずだ』

 

「ない……俺はもう彼女と同じ道を歩むことは出来ない…………」

 

『分かった…………それが契約だ』

 

 

 

 

 

 

 

最初は恩人も愛しい人もいなくなり、失意の中で死んだ

 

二回目は、俺の記憶を思い出させてくれたことに……大切な人を思い出させてくれたことに感謝をして、死んだ。

 

三回目は……………………

 

 

 

 

 

 

 

いつまでも死は来ない…………気がつくと、寸前のところで橘紫乃は刀を止めていた

 

「何故……殺さない」

 

「死に際の台詞が…………幸せにじゃねぇよ…………あんたを殺すなんて……出来るか‼」

 

「……だが」

 

「悪いけど……この戦いは僕の勝ちだ‼勝者の言うことを聞いてもらうぞ‼」

 

「お前の……言うことを?」

 

「生きろ‼あの人がお前の何なのかは知らないけど…………ちゃんと幸せにして…………それから死ね‼」

 

橘紫乃はそう言って、そのまま倒れ込んだ。限界まで戦ったからだ…………

 

幸せにしてから死ね……か……

 

「狛治さん……」

 

「…………俺は人ではない…………恋雪……それでも」

 

「はい……貴方が背負った罪は私も背負います…………貴方が鬼になったのなら……私も鬼になって……今度は貴方と共に生きます」

 

恋雪は笑顔でそう告げる…………俺に…………

 

「幸せになる資格はあるのか……幸せにする資格はあるのか?」

 

「はい……狛治さん」

 

恋雪は俺を抱き締めた。その瞬間、何故か涙が溢れだした。

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

「頑張りすぎですよ。紫乃くん」

 

「カナエさんが連れてきたの?」

 

「えぇ」

 

「そっか……」

 

猗窩座にとっては良いことだな。

 

「紫乃!?」

 

するとみんなが駆け寄ってきた。みんなも心配かけたな

 

「紫乃……良かった」

 

「凄いよ!紫乃っち、上弦の参に勝っちゃうなんて」

 

「あれを勝ちでいいのかな?勢いで言ったけど……」

 

「…………あの人たち……幸せになれるかな?」

 

のどかは心配そうにしていた。確かに鬼と人だからな…………するとカナエさんは

 

「大丈夫よ。しのぶから鬼から人に戻す薬があるから……時間がかかるけど…………」

 

ちゃんと幸せになれるのか…………

 

それならいいかな

 

 

 

 

 

 

 

月鬼side

 

「…………」

 

「月鬼、黒死牟……猗窩座は死んだ。そう報告する。異論はないな」

 

「…………もしも奴が今度現れたときは…………猗窩座ではなく狛治として戦う」

 

「…………」

 

二人の話が入ってこない…………俺にもあの二人みたいに幸せになることはあるのか…………

 

 




これにてオリスト終わりです。

次回は本編に戻ります

あとヒープリ本編がどんな感じになるか分かりませんが……一応最後らへんの戦いについては思い付いてます


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68 アスミの居候

今回の話は前回の続きになります


「それじゃ……俺たちは……」

 

「暫く家にいていいよ……行く場所ないだろうし……」

 

戦いが終わり……狛治さんと恋雪さんの二人の今後に関して……暫くは僕の家にいてもらうことになった。杏寿朗さんたちも了解してくれている。と言うより……僕がそうしたいならということで納得してくれていた。

 

「それじゃ帰ろうか……ちゆちゃんとひなたちゃんは送っていくわ」

 

「ありがとうございます」

 

「バレたら怒られるな~」

 

「その時は私が話しますよ」

 

カナエさんとしのぶさんが二人を送っていくとして…………あれ?

 

「アスミはどこに住んでるんだ?」

 

全然気づかなかったけど……生まれたばっかりだから家とかないよな…………まさか野宿?

 

「そっか、紫乃は知らなかったっけ?」

 

「あの時直ぐに家に帰っちゃったからね」

 

「アスミちゃんは私の家に住むことになったよ」

 

のどかはちょっと疲れた顔をしていた。何があったんだ?

 

ちゆとひなたの二人と別れて、のどかから話を聞くことに…………

 

 

 

 

 

のどかside

 

紫乃くんが鍛練しに帰ったあとの事、私たちは一旦家に帰ろうとしていたら、アスミちゃんの家についての話が出た。アスミちゃんは地球が自分の家だといい、地べたに寝ようとしていた。このままだとまずいと思い……

 

 

 

 

「のどか、その子は?」

 

「この子は風鈴アスミちゃん」

 

「始めまして、アスミちゃんです」

 

「お父さん、お母さん、お願いがあるの。今日から暫くアスミちゃんに家に泊まってもらっていいかな?」

 

アスミちゃんを泊めることをお願いする私。あのままアスミちゃんを放っておけないもん

 

「泊まって頂くこと事態は構わないけど、暫くってどう言うこと?」

 

「まさか家出か何かか?」

 

「お家の方は何て言ってるの?」

 

お母さんに詰め寄られる私……こう言うとき紫乃くんとか上手いこと言えたかな?

 

「随分大人っぽいけど、同級生?それとも学校の先輩か?」

 

「何にしても保護者の方に連絡しないと」

 

「ち、違うの……アスミちゃんね。ラテの飼い主なの」

 

何とか誤魔化さないと…………

 

「日本の事知りたくって、海外から来たバックパッカーでね。旅の途中ではぐれちゃったんだって~」

 

「そうだったの」

 

「それは大変だったね」

 

し、信じてもらえたみたいで良かった……

 

「ラテも飼い主に会えて良かったわね」

 

「はい、ラテ様は私の大切な存在ですから 」

 

「「ラテ様!?」」

 

「アスミちゃん……ラテの事好きすぎて……時々様って呼んじゃうんだって~ね」

 

な、何とかなった……のかな?

 

 

 

 

 

それからお母さんたちに嘘をついたことを嘆いたら、アスミちゃんが外で寝ようとしたり……

 

ご飯を食べてるときも、お箸をうまく使えなかったり、初めて食事をしたと言ったり…………

 

お風呂の使い方も教えたら、間違えてシャワーが出て、びしょ濡れになったり…………

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

「と言うことがあったの」

 

笑顔で話すのどかだけど…………目が笑ってない……

 

「く、苦労したんだな」

 

「あはは……紫乃くんの方は大丈夫だったの?」

 

僕の場合は…………

 

「私たちは知識があったから……でも知識があっても暫くは迷惑を……」

 

カナエさんと杏寿朗さんが来たときの事を思い出すな…………

 

「電化製品……どれくらい買え変えたんだろう?」

 

「本当にあのときは…………」

 

「た、大変だったんだね」

 

「それから他の皆には色々と教えたよ…………と言うわけで狛治さんと恋雪さんも色々と教えるからね」

 

「はい!」

 

「分かった…………だが本当に大丈夫なのか?恋雪はともかく……鬼狩りが俺を受け入れてくれるのか」

 

狛治さんは気にしすぎだよな……まぁそこら辺は根深いものがあるから仕方ないよな…………

 

「まぁ納得はさせるよ…………食事に関しては僕が握ってるから」

 

「「???」」

 

「紫乃くん、どう言うこと?」

 

「ふふ、食事関係は紫乃くんが管理してるから…………喧嘩とかした場合は暫くは好物出さないようにしていたりするからね」

 

「結構効果的だからな……とりあえずのどかとアスミはまたな」

 

「うん」

 

「はい」

 

二人を家まで送り、僕らは家に帰るのであった。



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69 思いと新たな敵

今回、色々と雑です


朝になり、改めて狛治さんと恋雪さんをみんなに紹介し…………

のどかとアスミが来るのを待っていた

 

けど……

 

「狛治さんと恋雪さんの案内は分かるとして、行冥さんが付いてくるなんて驚きなんですけど……」

 

「……上弦の参……狛治はみんなは認めているが、それはお前が言ったからだ。個人個人では認めていないものがいる」

 

「…………そうそう認められるものだとは思ってない」

 

「狛治さん…………」

 

「でも行冥さんが認めたら皆が認める…………そう言うことですよね?」

 

「その通りだ」

 

それなら僕は何もしなくていいな。狛治さんはもう信用できるから……

 

「お待たせ~」

 

するとのどかとアスミの二人がやって来た。

 

 

 

 

 

 

 

のどかは歩きながらアスミに色々話していた。

 

「ひなたちゃんのお家はアニマルクリニックなの」

 

「まぁ、ひなたは地球だけではなく動物のお医者さんもやっているのですか」

 

「うん。お医者さんはひなたちゃんのお父さんとお兄さんでね……ってアスミちゃん!?」

 

「危ない!?」

 

アスミは横断歩道が赤なのが分からず、渡ろうとしていた。のどかは咄嗟にアスミを連れ戻した

 

「大丈夫か!?」

 

「う、うん」

 

「知らないと言うのは大変だな」

 

生まれたばっかりだからそう言う知識がないのは仕方ないけど…………

 

「おい、その手」

 

「あー!?その手擦りむいてるラビ」

 

狛治さんがのどかの手が擦りむいていることに気がつき、ラビリンは驚いていた。

 

「ちょっとだけだもん。大したことないよ。ひなたちゃんのお家で消毒させてもらうし、それよりもアスミちゃん……」

 

のどかは信号についてアスミに教えていたけど、アスミは浮かない顔をしていた。

 

「どうしてのどかは私のために尽くしてくれるのですか?プリキュアだからですか?」

 

「えっ?」

 

「疲れているのに色々とお世話してくれたり、私のために怪我をしてくれて……それでも笑顔で説明してくれて……のどかはそう言う風に生まれたのですか?私がラテをお守りするように生まれたように」

 

「ううん、違うと思う。私ね、いろんな人に沢山助けてもらって……今こうやって元気になれたの。それでね私もいろんな人を助けたいと思うようになったの。だからそう言う風に生まれたんじゃなくって、経験して変わったんだと思う」

 

助けてもらったから自分も助けたいか…………のどからしいな

 

「紫乃はどうなんですか?敵であった彼を助けたりしていますが」

 

「僕も似たような感じかな?ただ……」

 

僕は皆から鬼について話を聞いた。鬼の中には悲しい思いをしている奴がいる。

 

違う世界で蘇って、後悔している奴がいたら…………

 

「助けたいから助ける。それだけだよ」

 

「紫乃……」

 

「紫乃くんらしいね」

 

「紫乃……その思いを大切にしろ」

 

行冥さんが笑みを浮かべてそう告げるのであった。

そんなとき、ラテがくしゃみをして、具合悪そうになった。

 

 

 

 

 

 

 

ちゆたちと合流して、メガビョーゲンの所に行くと、既にメガビョーゲンが大きくなっていた

 

「えぇ!?でかくなってる!?」

 

「まだそんなに立ってないのに」

 

「昨日と同じようなことが起きているみたいだな」

 

「それなら早いところ片付ける!」

 

「「「スタート」」」

 

「「「プリキュアオペレーション」」」

 

「「重なる二つの花!キュアグレース!」」

 

「「交わる二つの流れ!キュアフォンテーヌ‼」」

 

「「溶け合う二つの光‼キュアスパークル‼」」

 

「スタート!」

 

「プリキュア!オペレーション!」

 

「エレメントレベル上昇ラテ」

 

「「キュアタッチ」」

 

「「時を経て繋がる二つの風‼キュアアース‼」」

 

「「「地球をお手当て‼」」」

 

「「「「ヒーリングっとプリキュア‼」」」」

 

メガビョーゲンの回りに立つ僕ら。今回は鬼たちはいないみたいだな

 

「速やかに浄化しましょう」

 

アースが素早く動き、メガビョーゲンを翻弄する。

 

「さっすがアース!」

 

「メガビョーゲンが大きくても関係ないぜ」

 

「フォンテーヌ、今のうちに」

 

「えぇ」

 

フォンテーヌがキュアスキャンをして、エレメントさんの場所を確認すると、メガビョーゲンが背中から花びらを出して視界を塞いで、攻撃を繰り出してきた。

 

「くそ!?」

 

「紫乃……お前の新たな型でどうにかできないのか?」

 

「ここまで数が多いと……」

 

「なら、任せろ」

 

狛治さんが前に出て、拳を構えた

 

『破壊殺乱式』

 

無数の拳撃で花びらを全部破壊して、メガビョーゲンを吹き飛ばす。

 

「ナイスです」

 

「手伝う以上はやれることはやる」

 

「へぇ!仲間面になるの早いな」

 

突然声が聞こえたと思ったら、黒い斬撃が僕らを襲ってきた。

 

「今のは!?」

 

「奴は!?」

 

そこには刀を持った鬼がいた。誰だ?見たことない

 

「下弦の壱に新たに任命された檜岳って言う!お前らと裏切り者は……殺してやるよ」

 

「檜岳だと!?」

 

行冥さんは知っているのか驚いていた。

 

「あん?あぁ、先生か……はは!懐かしいな‼俺を追い出した連中を殺した罪で囚われたって聞いたが…………そう言えば柱になってたな」

 

囚われていた?どう言うことだ?

 

「お前が自分の命欲しさに……鬼を招き入れたからだろ‼」

 

「あぁ、そうだったな‼」

 

よく分からないけど…………要するに……

 

「クズ野郎か!」

 

「黙れよ‼鬼擬きが‼」

 

『雷の呼吸!弐ノ型!稲魂』

 

一瞬で五連撃の技を放ってきた。この技…………雪の呼吸と……

 

「そう言えば雪の呼吸の使い手だったな‼各呼吸の特徴を真似た擬きの呼吸が俺に勝てるわけないだろ」

 

真似た?擬き?

 

「紫乃!耳を貸すな‼」

 

「知らないみたいだな!雪の呼吸は只の真似事‼誰にも使える呼吸なんだよ‼」

 

「…………」

 

「ちっ」

 

『破壊殺!乱式‼』

 

『肆ノ型!遠雷』

 

狛治さんの技がぶつかり合う中……僕は……

 

「動揺してるな‼所詮は鬼狩りも呼吸も真似事なんだよ‼」

 

「…………ふぅ、行冥さん、狛治さん、こいつ馬鹿なのか?」

 

『雪の呼吸!壱ノ型!初雪』

 

檜岳の右腕を切り落とす僕。真似事とかなんとか言ってるけど…………

 

「雪の呼吸は水と雷の呼吸を混ぜ合わせたみたいなものだって聞いてるんだよ‼師匠や柱の皆から」

 

前から似ていると思っていたし、師匠からも重ね合わせたものだと聞いていた。それに杏寿朗さんから、雪の呼吸は二つの呼吸から発生したものだと聞いていた

 

「今更どうこう言う奴がいるとは思っていたけど……お前だったとは………本当に下弦か?ただのお飾りじゃないのか?」

 

「言わせておけば‼」

 

『破壊殺!滅式』

 

鋭い一撃が檜岳を吹き飛ばす

 

「裏切り者と言うなら………甘んじて受けよう‼だが戦うなら容赦はしない」

 

「ちっ!今日は顔合わせだ‼お前たちは勿論‼善逸は確実に殺す」

 

檜岳はそう言って姿を消した。

 

グレースたちも無事にメガビョーゲンを浄化したみたいだけど………ダルイゼンがメガビョーゲンの体から何かを奪い取ったらしいけど……一体……

 

 

 

 

 

 

 

 

それから皆でジュースで乾杯をする中……

 

「狛治……」

 

「何だ?」

 

「皆を納得させるのは大変だが……俺はお前を認める」

 

「…………」

 

「狛治さん、こう言うときはありがとうって言わないと」

 

「ありがとう」

 

行冥さんは認めてくれたみたいだな。

 

「因みに紫乃、柱の皆がいつまでも認めなかった場合はどうするつもりだったんだ?」

 

「ん?まぁ……大好物を大嫌いにするくらいにはしていたかな?」

 

「「「???」」」

 

まぁそうならないことを祈ってほしいな……

 



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70 好きと言うこと

今回は1話完結にしました


学校に来て、のどかからアスミの話を聞いていた

 

「アスミちゃん、今朝は嬉しそうだったな~」

 

「そりゃそうでしょう!私も自分の部屋貰えたとき、めっちゃ嬉しかったし~」

 

「だね」

 

「でも大丈夫かしら?家にアスミ一人で………」

 

「そう言われてみると……」

 

「ラビリンもラテもいるんだって、一人じゃないから心配ないない」

 

「それに、今日は義勇さんと狛治さんもいるから………」

 

「そう………余計心配じゃない?」

 

そんなことは………ダメだ。余計心配だ………狛治さんはともかく義勇さんは基本的に話したりしないし、話しても最低限のことを言うから………

 

「喧嘩してないよな………いや、しのぶさんも来てるから………」

 

「紫乃………余計心配になってない?」

 

ちゆ、頼むから言わないでくれ………何でそんな計画表作ったんだ………僕は

 

「そう言えば紫乃っちの家で不思議に思ったことあるんだよね」

 

「何?」

 

「沢山人がいるのに、部屋足りてるの?」

 

「あ、私も思った。紫乃くんのお家広いけど、部屋空いてるの?」

 

二人の疑問は確かだ。大きい家だけど、部屋数が足りてないと思うのは当たり前だよな

 

「大きい部屋が二つあるから、男女で分かれてる感じだよ。個室は杏寿郎さんとカナエさんと僕だけだし………」

 

「圧倒的に女子の人数が少ない気がして、大部屋の意味とかあるのかしら?」

 

「まぁ広い分、荷物とか多かったりするし………」

 

まぁでもみんな、起きる時間はバラバラだからリビングに一気に集まったりすることがないかだけマシだよな

 

「そうなんだ~」

 

 

 

 

 

 

 

一青side

 

廊下に出て、教室で聞こえた話を思い返した。

 

「あいつは馴染んでるようだな」

 

狛治があっちでも無事に過ごせているみたいだな。

 

さて………次の戦い………強くなった紫乃の力を試すか

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

放課後、のどかは心配だからと慌てて帰り、僕は買い物を頼まれたため、ちゆとひなたの三人で帰っていた

 

「のどかっち、慌てて帰っちゃったね」

 

「私、余計なこと言っちゃったかしら?」

 

「アスミンのこと?」

 

「えぇ、心配させちゃった」

 

「大丈夫だとおも………いたい」

 

僕も心配でしょうがないよ………喧嘩してないよな………義勇さんとしのぶさん

 

するとすれ違った人たちがあることを話していた

 

「あの子、何なのかしら?」

 

「透けてて、もしかして幽霊?」

 

幽霊って昼間に出たっけ?

 

そう思いながら見てみると、半透明になったアスミの姿があった。ちゆは慌ててひなたに誤魔化すようにと伝えて、僕とちゆはアスミを連れていくのであった

 

 

 

 

 

 

 

ちゆの家にアスミを連れ込み、事情を聴くことに………

 

どうにもラテへの過保護が原因で、ラテに嫌われたと思ってしまったらしいもそれに………

 

「しのぶや義勇がギスギスしていたり、狛治が困り果てていたり………」

 

うん、それは僕からごめんなさいだ

 

どうにもアスミは悲しい思いをすると消えそうになってしまうらしい。ちゆいわく地球の神秘らしいけど………

 

「アスミは悲しいのね」

 

「悲しい?」

 

「アスミの今の気持ちは悲しいと言うのよ」

 

「そうなんですか………」

 

そんな話をしていると襖越しからとうじの声が聞こえてきた。ちゆは慌てて………

 

「お母さんがおやつどうぞって、おぉ!?」

 

「ありがとう。とうじ」

 

おやつを受けとり、すぐに襖を閉めるのであった‼あれで誤魔化せるのか………

 

アスミは夢中になって、おやつを食べると、少し元気が出てきたみたいだ

 

「アスミは甘いものが好きなのね」

 

「好きとは?」

 

「そうね………例えば…」

 

 

 

ちゆはアスミに自分の好きなものを教えた。好きは時には辛いものもあると言うこととかも………

教えている間、僕とペギタンは………

 

「………………」

 

「どうしたペエ?」

 

「いや、てっきりちゆの好きに僕を紹介するかと………」

 

「紫乃、それは………」

 

「まぁ何となくちゆの気持ちは分かるからいいけど………」

 

「ペエ?」

 

 

 

 

 

 

 

次の日、ちゆが今自分が好きなものについて見せるといい、みんなでちゆのハイジャンプの練習を見ていた。

 

「時代だな………今はこういうのがあるのか」

 

「狛治さん、知らないことがあるだろうけど………今はゆっくり知っていこう」

 

狛治さんとそんな話をしているけど、義勇さんとしのぶさんは無言でギスギスしていた。今は関わらないでおこう

 

ちゆの練習を見ていると、バーがいつもより高くなっていた。

 

「ちゆちゃん、バー高めにしてる?」

 

「チャレンジチャレンジだね」

 

頑張ってるな………ちゆ

 

ちゆは何度も飛ぶけど、何度も失敗している。だけどめげずに頑張っている

 

 

 

 

ちゆが休憩にこっちに来て、のどかはちゆにタオルを渡し、僕はスポドリを渡した

 

「ありがとう。のどか、紫乃」

 

「ちゆちゃん、お疲れ様」

 

「頑張ってるな」

 

「えぇ」

 

「ちゆ、何故失敗してばかりなのに、そんなに何度も跳ぶんですか?」

 

「それは私がハイジャンプのことが好きだから」

 

「好き?美味しくも暖かくもないのに?」

 

「そうね。練習はハードだし、失敗もするけど………でも私はハイジャンプが好きどうしたら上手く跳べるのか。もっと高く跳びたいって考えてるの。この気持ちは止めようと思っても止められない。好きってきっとそういうものよ」

 

アスミは好きと言う気持ちを知ろうとしている。きっと知っていけば、色々と楽しくなってくるかもしれないな。

 

「あれ?みんな来てたんだ」

 

ラビリンたちも来たけど、ラテはちょっと怖がってる感じで、アスミはまた半透明に………

 

ひなたは何とか楽しませようとしていると………ラテが具合悪くなった。

すると悲鳴が聞こえてきた。アスミがこの状態だと戦えない。僕らでやるしかないな

 

 

 

 

 

メガビョーゲンが暴れていた。のどかたちは………

 

「みんなはメガビョーゲンを!」

 

「うん」

 

「「「スタート」」」

 

「「「プリキュアオペレーション」」」

 

「「重なる二つの花!キュアグレース!」」

 

「「交わる二つの流れ!キュアフォンテーヌ‼」」

 

「「溶け合う二つの光‼キュアスパークル‼」」

 

「「「地球をお手当て‼」」」

 

「「「ヒーリングっとプリキュア‼」」」

 

「来たわね!プリキュアと鬼狩り!メガビョーゲン!やっておしまい!」

 

みんながメガビョーゲンに攻撃を仕掛ける中、何かが斬りかかってきた。僕は攻撃を防ぐと

 

「月鬼‼」

 

「新しい力を得たお前の力を見せてもらう‼」

 

「紫乃!」

 

「こっちは任せろ‼」

 

互いの刃がぶつかり合う中、グレースたちは義勇さんたちと連携をとって、メガビョーゲンを圧倒していた。だけどそこにシンドイーネが何かを取り出した

 

「こっちにはこれがあるのよ」

 

あれは………前にダルイゼンがメガビョーゲンから回収した………

 

「気になるみたいだな」

 

月鬼の蹴りを防ぐと、月鬼は構えながら、あの石について話した

 

「あれはメガパーツ。言うなればメガビョーゲンの成長を速めるもの‼」

 

月鬼の斬撃が襲う。僕は咄嗟に鬼化した。

 

「その姿だ‼」

 

『十二月の呼吸!十二ノ月死走ル月』

 

『雪の呼吸!捌ノ型!雪花』

 

いくつものの斬撃を僕は弾いていく。そして最後の一撃がぶつかり、吹き飛ばされた。

 

何とか着地するとアスミが蝕まれたものを見て、悲しそうにしていた。

 

「あの方たちの好き………」

 

グレースたちが成長したメガビョーゲンに苦戦している。

 

アスミは飛んできたボールからラテを守り………

 

「ラテ、私はラテの事が好き………いいえ、大好きです。だから少々心配し過ぎてしまうかもしれません。これからはラテの気持ちを第一に考えて、ずっとお側にいたいと思います」

 

アスミの気持ちが届いたのか、ラテがアスミに抱かれ、もとの姿に戻ると、風が吹いた

 

「スタート!」

 

「プリキュア!オペレーション!」

 

「エレメントレベル上昇ラテ」

 

「「キュアタッチ」」

 

「「時を経て繋がる二つの風‼キュアアース‼」」

 

「あんたが噂のプリキュア………ってどこに行ったの?」

 

アースは一瞬で移動して、メガビョーゲンの頭を蹴り、更にスパークルが追撃を与えて、メガビョーゲンが目を回していた。

 

「フォンテーヌ、あの両腕を凍らせてください」

 

「分かったわ‼氷のエレメント‼」

 

しのぶさんの指示に従い、フォンテーヌがメガビョーゲンの両腕を凍らせると、義勇さんと狛治さんが凍った腕を破壊した

 

「ちっ!このまま終わらせるか‼」

 

月鬼がまた切りかかるけど………突然、月鬼の右手から血が吹き出し、刀を落とした

 

「悪いけど………捌ノ型は攻撃を受け流すだけじゃなく、受け流しつつ、ダメージを与えるんだ」

 

「くっ!」

 

月鬼は撤退するのであった。あっさり逃げるな………

 

「私は大好きなキングビョーゲン様にお会いしたいだけなのに‼」

 

「大好き?」

 

「そうよ。大好きよ!悪い?」

 

「いいえ、大好きは悪くありません。ですが貴方の大好きのために私、そして皆さんの大好きを傷つけることは許しません!」

 

アースがヒーリングハリケーンを放ち、メガビョーゲンを浄化するのであった。

 

大好きのために大好きを傷つけるなか………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メガビョーゲンを浄化し終え、アスミとラテも和解………と言うより、ラテはアスミに怒られるんじゃないかと思っていたらしい。まぁ誤解があったのも仕方ないな

 

「そう言えばちゆと紫乃は好き合っていますが、ちゆが言う好きに入ってないのはどうしてでしょう?」

 

「それは………」

 

「まぁ好きにもちょっとした違いがあるからな」

 

「同じ好きなのにですか?」

 

「アスミちゃん。そこはゆっくり知っていこう」

 

アスミが頭に?を浮かべるのであった。



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71 可愛いとは何ですか?

今回、主人公の出番は少ないです


今日はひなたの家に集まり、アスミが着せ替え人形みたいにさせられていた。

 

「アスミン、どれも似合って可愛い~」

 

「あのひなた?先程からひなたが言っている可愛いとは何ですか?」

 

「えっ?」

 

「好きとは違うんですか?」

 

アスミは色んな事を知ろうとしているからな……そう言う質問が来るのは分かる

 

「この前アスミは好きって感情を学んだの」

 

「はい、好きは美味しくって温かく、譲れない思いです。でも可愛いは何ですか?」

 

「可愛いは可愛いだよ?ね」

 

「可愛いと好きって似てるよね……でも何となく違うような……」

 

「可愛いと好きになるラビ~」

 

ラビリンはラベンダルマを取り出して言うけど、確かに似てて違うよな……可愛いと好きって…………

 

「と……そろそろ時間だ」

 

「あれ?紫乃っち、どっか行くの?」

 

「紫乃は確か検査よね」

 

「あぁ、まぁ早く終われば直ぐに戻ってこれるけど」

 

「検査?」

 

「僕の血について色々と調べるんだよ。後は再生力とか……本当に色々」

 

しのぶさんに前々から調べるべきと言われていたからな。もしかしたら今後色々と役立つかもしれない

 

 

 

 

 

 

 

 

ちゆside

 

紫乃と分かれた後、トリーミングしたラテを見に来ていた。

 

「ラテ、可愛い~」

 

「お姉、急だったのにありがとう!」

 

「時間があればもっと可愛く出来たんだけど、今日はここまでね」

 

「ね、可愛いと思うでしょ」

 

アスミはラテを見つめて、めいさんにお礼を言うけど……ちょっと丁寧ね……

 

それからひなたがある用事があることを思い出し、私たちも付き合うことになった。

 

「この子は保護犬のポチットだよ~」

 

「ポチット?ポチじゃなくって?」

 

「眉毛がポチっとしてるから」

 

ひなたらしいネーミングね。でも可愛い

 

「ひなたちゃん、少し触ってみてもいい?」

 

「うん、いいよ。でも……この子…」

 

のどかが触ろうとした瞬間…ポチットが逃げ出し、ひなたの後ろに隠れた

 

「この子、あたしたち以外には臆病で……あ、一人だけなついてる子いた」

 

一人?

 

すると見覚えのある子がやって来た

 

「何だ。他のみんなも来ていたのか」

 

やって来たのは一青だった。どうしてここに?

 

「ポチットを保護してくれたのいーくんなんだよね。だからポチットなついてるんだ」

 

そんな理由が…………

 

「まぁ最後まで見届けたいからな……」

 

一青はポチットの頭を優しく撫でていた。

 

「あ、そーだ!いーくんにはまだ紹介してなかったよね!この子は風鈴アスミちゃん、ラテの飼い主なんだ~」

 

「初めまして……」

 

「初めまして……あら?」

 

アスミは一青の顔を見て、不思議そうな顔をしていた

 

「どしたの?アスミン」

 

「いえ、何処かでお会いしたことありませんでしたっけ?」

 

アスミと一青が?でも何処かで会うってことないだろうし……

 

「気のせいだろ」

 

一青は否定するけど、私は誰かと似ている気がしてならない…………

 

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

「再生力は普段の姿の時は変わらないみたいね」

 

「鬼化したときは?」

 

「前に比べて比較的に上がってるわ…………鬼神の角と鬼舞辻の血が混ざった影響が大きいわね」

 

身体能力だけではなく、再生力も上がってるか……

 

「それと前の検査で採っておいた血でも血鬼術扱えるかだけど……無理みたいね」

 

「流石に無理でしたか」

 

もしもの時に、治癒薬として常備出来ないかと思ったけど……仕方ないか

 

「紫乃くん、どうしてそこまで検査に協力的なの?」

 

突然しのぶさんにそんなことを聞かれた。何でって……

 

「貴方は剣士よ。でもまだ14歳…………人並みには遊んだりとかしてもいいんじゃないのかしら?」

 

「それは…………」

 

正直話すのが恥ずかしい……僕がこうして検査を受けているのは…………

 

「みんなから聞いてるんですけど…………鬼舞辻との戦いを…………」

 

「えぇ」

 

「もしも僕がその場にいたらって考えたら………………何かしら変わっていたかもしれない………死んでいた人が生きている未来を作れたかもしれないって………」

 

「それはかもしれないと言う可能性の話よね」

 

「そうですけど………もしもとか考えたら………色々と自分の能力について………知りたくなって」

 

「紫乃くん」

 

「ただの我が儘ですけどね………」

 

 

 

 

 

 

 

ちゆside

 

一青を交えて、みんなでドッグランに向かっていた。

 

ひなたは無理だと言っていた病院のお手伝いをするようになっていた。そんな話をしていると………

 

「ちゆもポチットが可愛いですか?」

 

「え、えぇ」

 

「私には可愛いが分かりません」

 

「可愛いは人それぞれだから………」

 

「人ではない私には可愛いが分からないのですね………」

 

アスミがそう言ってまた透明になった。私は慌てて声をかけた

 

「人それぞれって言うのは各自色々と言うことで………大丈夫…そのうち分かるわよ」

 

「そうですか…」

 

今は一青がいるんだから…透明になったところを見られたら……

 

 

 

 



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72 一青の痛み

今回色々と雑です


一青side

 

ドッグランに来た俺たち、俺は離れたところで様子を見ていた。

 

こんな風にこいつらと関わることになるなんて……

と言うかその役目は俺じゃなく、紫乃だろ…………何で今日に限って俺なんだよ……

 

そんなことを考えていると、ひなたと例のプリキュア……アスミの話が聞こえてきた。

 

ひなたは最初はポチットと仲良くなれなかったことに対して、悩んでいたけど…………それでも仲良くなりたいと言う気持ちで向き合ってきたらしい

 

「それにね。何だかポチットといーくんって似てるんだよ」

 

「一青とですか?」

 

「いーくんって、みんなと壁を作ったりするんだよね。最初の頃は幼馴染みの私にも心開かなくって……それでも仲良くなりたいと思ったんだ」

 

俺とポチットが似てるか……そんなわけないだろ……俺の場合は事情が事情だからな…………

 

「はぁ」

 

少し散歩でも行くか…………

 

 

 

 

少し歩いていると、メガビョーゲンが暴れているのを見つけた。グアイワルの奴か…………今回はプリキュアのみだから様子を見ているか

 

グレースとフォンテーヌがメガビョーゲンを食い止めつつ、スパークルとアースの二人が避難させているのか…………

 

「こりゃ出る必要はないな……」

 

プリキュアがメガビョーゲンを圧倒しているが……

 

「そう簡単には行かせん!」

 

グアイワルがメガパーツを埋め込み、メガビョーゲンが急成長した。

メガビョーゲンから放たれるモロコシのミサイルを喰らい、更には縛られて地面に叩きつけられるグレースとフォンテーヌ。

 

「さて、どうせ異変を感じているんだろ……早く来ないと……」

 

呟くが…………何で俺は心の中で嫌な感じがしているんだ?

 

アースとスパークルが救援にはいるが、スパークルがメガビョーゲンの直撃を喰らってしまう。

それを見るたびに……胸が傷む……

 

「フハハハ‼どうだ‼プリキュア‼」

 

「くっ……グアイワル……ここは人と動物がみんなで遊ぶ場所なの‼あんたたちはお呼びじゃないっての!」

 

「人と動物が遊ぶ?下等生物がそんなことを……下らん‼」

 

「下等生物?」

 

俺は……見ているだけでいいのか?いや、本来は見ているだけでいい…………

 

気がつくとポチットがメガビョーゲンとグアイワルの前に立ちふさがる…………

 

ポチットは守ろうとしているのか…………

 

「うるさい下等生物が……やれ、メガビョーゲン」

 

「だめ!?逃げて!?だめーーーーーーー!!?」

 

ポチット目掛けて放たれた攻撃は………………

 

「えっ?」

 

「何で?あの人が……」

 

「月鬼?」

 

俺が切り裂いた。するとアースが俺に近寄る

 

「貴方は敵ではないのですか?」

 

「敵だよ……だけど……そうしないと駄目だと思ったから……」

 

「月鬼‼裏切るのか‼」

 

「裏切る?悪いが違うな……俺は犬好きだからな……傷つけようとしたから…………邪魔しただけだ」

 

「そんな理由で‼」

 

「それと……メガビョーゲンはもう終わりだ」

 

俺がそう告げた瞬間、メガビョーゲンが切り刻まれた。

 

「…………今回は味方と考えていいんですね」

 

「勝手にしろ」

 

アースが浄化技を放ち、メガビョーゲンを浄化するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はみんなと離れ…………自分の腕を見た

 

「痣が浮かんでる……」

 

意識的にやろうとしても出来なかったのに……何で今回に限って…………

 

「俺は……一体……どうしたいんだ…………」



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73 みんなで湖畔にピクニック

のどかの家に集まり、僕はちゆからある話を聞いていた

 

「月鬼が!?」

 

「えぇ、まさか協力してくれるなんて」

 

前は目的が被ったと言う感じで協力していたけど……ちゆの話を聞くと今回は普通に協力してくれるなんて…………

 

「それに……月鬼……私……誰かに似てる気がするの」

 

「誰かって……誰に?」

 

ちゆは首を横に振る。何となく的なことなんだろうけど……凄く気になる

 

「みてみて、ここのカフェ、めっちゃ人気なんだって」

 

ちゆとそんなことを話しているとひなたが雑誌の特集ページを見せてきた。

 

「注目カフェ特集?」

 

「おおらか市にあるのね」

 

「遠いの?」

 

「電車で二時間以上かかるかしら?」

 

「今度の日曜、みんなで行こうよ!ね!」

 

「私もですか?」

 

「勿論!紫乃っちも誰か誘ってね」

 

誰かって……まぁ暇な人がいるだろうし……いいかもしれないな。

 

ひなたがアスミに雑誌をみせると、アスミはあるページを見つめていた

 

「おおらか市街から五キロ……山の中に広がる湖畔……ねぇ、ここに行こうよ」

 

「えっ?えっと……」

 

「お、どれどれ?大自然って感じだな」

 

「めっちゃ人気の……」

 

「綺麗な湖ペエ」

 

「みんなで遠くに行くの初めてだし、アスミちゃんの行きたいところにしない?」

 

「いいんじゃない?」

 

「賛成ラビ」

 

みんなで遠くにか……確かに初めてだな……過去に行ったけど……それにこう言うところに行くのも悪くないな

 

「僕も賛成だよ」

 

「どうかな?ひなたちゃん」

 

「お弁当持ってハイキング」

 

「それめっちゃ楽しそう!行く!」

 

「ありがとう」

 

「それじゃ早い時間の方が人も少なそうだし、駅に朝6時に集合でどう?」

 

ちゆの提案にひなたとニャトランは驚愕していた……

 

「6時よ」

 

「まだ夜にゃああ!!」

 

「朝ラビ!」

 

どんだけ朝起きるの苦手なんだよ……

 

「紫乃は……余裕そうね」

 

「まぁ身体が朝早くに起きるのに染み付いてるからな」

 

とりあえず何人かに声をかけておくか…………いや、折角だから……あの面子でいいかな?

 

 

 

 

 

 

日曜日、僕らと炭治郎たち同期メンバーで湖畔に来ていた

 

「わぁ~素敵~」

 

「来て良かった~」

 

「本当ね」

 

「うおおおおおおお!!」

 

伊之助が急かさず飛び出していき、湖に飛び込んだ

 

「伊之助!流石に飛び込むのは……」

 

炭治郎はそんな伊之助を追い掛け

 

「禰豆子ちゃ~ん~あっちに~」

 

「カナヲちゃん、あっちに行ってみよう」

 

「うん」

 

禰豆子とカナヲは向こうの方に行き、無視された善逸は項垂れ、そんな善逸の肩を叩く玄弥……各々楽しんでるみたいだな

 

「紫乃は楽しまないの?」

 

「いや、楽しんでるよ。まぁ前みたいに変なことが起きないと思いたいけど……」

 

「変なこと……あぁ」

 

前にピクニックに行ったときは、狛治さんが襲撃してきたけど、今日のところは何も無さそうだな

 

 

 

それからみんなでお昼を食べ、少し食休みをしていると、アスミが風の音を聞いているのが見えた

 

「アスミちゃん、何だか自然とお話ししてるみたい。言葉が分かるの?」

 

「いいえ、想いが伝わってくるんです」

 

「想い?草や木の?」

 

「土や花、そして湖の……」

 

「ふわぁ~ここはとても気持ちいいよね。生きてるって感じ」

 

アスミも初めてのピクニックを楽しんでるみたいだな。すると近くで鳥の鳴き声が聞こえてきた

 

僕、のどか、アスミ、ラビリンたちと辺りを探してみると小鳥がいた。

 

「巣から落ちちゃったのかな?もしかして怪我とかしてるのかも……」

 

「あ!?のどか……」

 

「ダメ‼」

 

のどかが小鳥に触れようとすると作業着を着た女性が止めに入った

 

「触っちゃダメよ!この子は多分巣立ちの時なんだよ。まだうまく飛べないだけ……」

 

「あ……」

 

「親鳥が見てるかもしれない。勝手に連れていったらダメよ」

 

自然には自然の掟があると言うことか…………

 

「私たちがいると親鳥たちは出てこれません」

 

「そう、人が近くにいると野生の雛からしてみれば、ストレスになるかもしれない」

 

「そうなんですね……」

 

女性は軍手をして、雛を草むらの所に置いた。変に人の臭いをつけるのもダメなんだな

 

 

 

 

 

 

 

 

ビョーゲンキングダム

 

ダルイゼンside

 

「何処か行くの?」

 

「珍しいね。四鬼将が出てくるなんて」

 

しかもあまり話さない八瀬がなんてね……

 

「最近待機していたから、飽きた。何処か行くなら私も行く」

 

「まっ、ちょっとした実験をしに行くんだよ」

 

俺はメガパーツを見せながらそう言うと、八瀬は

 

「実験…………見てみたい」

 



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74 思いを風に乗せて

声をかけてきた女性……樹サクヤさんが僕らに話してくれていた

 

「野生の鳥や動物はさ、人に感染する病気を持ってることがあるから、素手で触っちゃダメだよ」

 

「そうだったんですね」

 

「はん、そんなもん俺には効かねぇけどな」

 

伊之助は自慢げに言うけど…………そうなのか?

 

「伊之助って、毒とか薬とか効きづらい体質なんだ」

 

それは知らなかった…………と言うか毒が効かないけど、薬もって……結構大変なんだな

 

「あの……ありがとうございました」

 

ごみを拾うサクヤさんにのどかは改めてお礼を言った。確かに知らなくっても、小鳥からしてみれば大変なことだろうな

 

「あの……サクヤさんは獣医さんですか?」

 

「違うわ。私はおおらか市で樹木医をやってるの」

 

「樹木医?」

 

「木のお医者さんですね」

 

「えぇ!?お医者さん!?木の!?サクヤさん、木を治せるの?」

 

「そうよ」

 

サクヤさんは樹木医について話してくれた。木を見て、調べて処置をする。なんと言うかやっていることがのどかたちと近い感じだな。

 

「何か……俺たち……」

 

「まぁ……仕方ないけど……」

 

「俺なんか木を投げてたぞ」

 

木を傷つけたことに関して、ちょっと落ち込む炭治朗たち……いや、あれは仕方ないことだとは思うけど……

 

「まぁみんながそうやって落ち込んだりしてるから、大丈夫だと思うぞ……何も考えずに破壊したりとかしてないし……」

 

朴がそう言うと、ちょっとだけ安堵する炭治朗たち……まぁ戦ってるときに自然の事も考えないとな……

 

「サクヤさんはどうして樹木医を?」

 

「私?んー小さい頃からここによく来ててね。友達と家族と一人でよく来たな……ここにいると心が休まる。私の大好きな場所……だからだよ。守りたいと思ったの……木は大地に根を張って、繋がってるでしょ、地球と……木が枯れたり、元気がないのは地球の悲鳴なんだと私は思ってる」

 

地球の悲鳴…………何故か風のエレメントさんが言っていた話を僕は思い出した。

 

始祖の鬼……そして鬼殺隊……鬼神たち…………ビョーゲンズ…………

 

どうにも鬼神たちとビョーゲンズが繋がっていることに違和感を覚えるのであった。

 

 

それからその日はそのまま帰りのだけど……僕の感じた違和感は一体…………

 

 

 

 

 

 

 

ダルイゼンside

 

夜、実験のためにメガパーツを小鳥に埋め込んだ

 

「どんな事が起きるの?」

 

「さぁ?試して見てるけど……もしかしたら新しい幹部が生まれるかもね」

 

「そう……」

 

八瀬は何故か湖を見て、何か辛そうにしていた

 

「どうした?」

 

「何となく……変な感じがするの……蝕んでいくことに……」

 

「へぇ、でもあんたらのボスはそれを望んでるよね」

 

「そうだけど…………」

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

次の日、のどか、ちゆ、アスミと伊之助と一緒に集まっていたら、突然ラテが具合悪そうになった。

 

『この前遊んだおっきなお水さんが泣いてるラテ』

 

「この前遊んだお水……」

 

「湖?」

 

「ひょっとしておおらか市!?」

 

するとひなたが慌ててやって来た。

 

「大変大変!?これ見て!」

 

映し出された映像には、謎の飛行生物が湖の方に飛び去ったニュースが流れていた。そこにはサクヤさんも映っていた。

 

どうにかして湖に行かないとだけど…………時間がかかる……どうすれば……

 

そんな時、アスミが風を纏い始め、竜巻を起こすと空におおらか市の湖までのゲートが開いた

 

「行きましょう!地球のお手当てに!」

 

僕らはゲートをくぐり、湖にたどり着いた。そこにはサクヤさんが謎の存在に突き飛ばされていた

 

「サクヤさん!?」

 

「何だ?お前ら‼」

 

「あなたは何なの!?」

 

「おいらはネブソックって言うんだぞ!」

 

黒い鳥のビョーゲンズ…………新しい幹部なのか?

 

「サクヤさんが守っている大切な自然を……許せません!」

 

「「「スタート」」」

 

「「「プリキュアオペレーション」」」

 

「「重なる二つの花!キュアグレース!」」

 

「「交わる二つの流れ!キュアフォンテーヌ‼」」

 

「「溶け合う二つの光‼キュアスパークル‼」」

 

「スタート!」

 

「プリキュア!オペレーション!」

 

「エレメントレベル上昇ラテ」

 

「「キュアタッチ」」

 

「「時を経て繋がる二つの風‼キュアアース‼」」

 

「「「地球をお手当て‼」」」

 

「「「「ヒーリングっとプリキュア‼」」」」

 

 

のどかたちがプリキュアに変身し、僕と伊之助も戦おうとすると、何処からともなく現れた八瀬が襲いかかってきた。

 

「貴方の相手は私……」

 

「伊之助!グレースたちを頼む」

 

「あぁ!あの鳥野郎を焼き鳥にしてやる!」

 

伊之助に任せて、僕は八瀬と対峙する。八瀬は金棒を大きく振り上げ、僕を潰そうとする。僕は何とか避けるが、避ける度に地面が抉られる

 

「一撃をもらったら……ヤバイな」

 

それなら早いところ決着を付ける‼僕は鬼神の角を使って鬼へと変わり、八瀬の金棒を蹴りあげ……

 

『雪の呼吸!漆ノ型!雪崩』

 

八瀬の両腕を切りつけていく。

グレースたちはネブソックと戦っているが、飛んでいるから攻撃も当てづらい……アスミと伊之助は直ぐに対応できているみたいだな

 

「余所見だめ……」

 

いつの間にか拾い上げていた金棒を振り回す八瀬……

 

「くそ……」

 

どうにかしてあの金棒を…………

 

「これでお終い」

 

僕は咄嗟に手を伸ばし、金棒に触れた瞬間…………

 

「!?」

 

「何これ?」

 

頭の中に何かが映し出された。大地を蝕む大量の肉片…………それを押さえつけているビョーゲンズたちの汚染と……鎧を纏った鬼の姿……

 

「何……これ…わからない…わからない‼」

 

八瀬は激しく動揺して、姿を消した。

 

あの映像に関しては後だ!今はグレースたちを……

 

ネブソックが空へと大きく飛んでいく。あのまま落下してきたら……

 

と思ったら……墜落してきた。

 

「お、おっかねぇ~高いところおっかねぇ~」

 

「高いところ苦手なの?」

 

「飛べるのに?」

 

「うるせぇ!」

 

ネブソックが攻撃を仕掛けてくるが、僕、伊之助、アースの三人で攻撃を仕掛けていく。

 

ネブソックは空へとまた上がっていくが

 

「はっ!?おっかねぇーー!?」

 

何だ?この知能の低さは?

 

墜落していくネブソックをグレースたちが蹴りあげ、更に僕と伊之助の二人で

 

『壱ノ型!初雪』

 

『弐ノ牙!切り裂き』

 

同時にダメージを与える。そしてアースの浄化技がネブソックに当たり浄化されるのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無事お手当てを終わらせ、帰る僕らだけど……アスミのあのワープはとても力を使うため、帰るのに電車を使わないといけないみたいだった。

 

そんな中……僕は頭に浮かんだ映像について考えた……

 

あれって…………始祖の鬼……だよな……

 

何で頭に浮かんだんだ?



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75 ペギタン行方不明事件(命名アスミ)

ペギタンside

 

ある日の事、ちゆと一緒に映画を観ていたけど……怖いシーンでつい、ビックリしてしまった

 

「はー面白かった!……だから見ない方がいいって言ったのに……ペギタン?平気?」

 

「へ、平気ってペエ!全然怖くなかったペエ!CGがいまいちだったペエ。いきなりババンッと出すのは怖いんじゃなくって、ビックリなだけペエ。それにそれに……」

 

ふっとちゆが僕の頭を撫で……

 

「ふふ、可愛い」

 

か……可愛い……!?僕はショックだった……可愛いって……可愛いって……

 

 

 

 

 

 

ショックのあまり、僕は近くの公園のベンチで落ち込んでいた

 

「はぁ~いつまで経っても僕は弱虫のままだペエ……可愛いじゃなくって格好いいって言われたいペエ」

 

紫乃みたいにかっこよく……呼吸とか使って……

 

『癒しの呼吸!』

 

って感じで……と想像していたら、女の子が僕を見つめていたことに気がついた

 

まずい……見られた?ぬいぐるみの振りをして何とか逃れないと……

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

カナエさんと一緒に買い物をして、その帰り道の事……

 

「紫乃!?」

 

ちゆの声が聞こえ、振り向いた瞬間、ちゆが抱きついてきた

 

「あら?私は邪魔かしら」

 

「い、いや、その……ちゆ……どうかしたのか?」

 

「ペギタンが……ペギタンが……」

 

ペギタンがどうかしたのか?もしかして体調崩したとか?

 

「いなくなったの!」

 

いなくなった?

 

「何処に散歩しにいったんじゃなくって?」

 

「違うの……いなくなる前まで一緒に映画を見てて……少し離れたらいなくって……探しても見つからないの……私……私……」

 

泣きじゃくるちゆを僕はなだめつつ、カナエさんにあることを頼んだ

 

「のどかたちに頼もう」

 

「そうね。人が多い方がいいわ」

 

ちゆをこんなに心配かけさせて……ペギタンは一体何処に……

 

 

 

 

 

 

 

ペギタンside

 

まさか女の子にお持ち帰りされるなんて……

 

ぬいぐるみだと思ってもらえたのラッキーだったけど……捨てられたぬいぐるみだと思われたの予想外だった……

 

どうすればいいのか考えていると、女の子は僕の事を見つめ……

 

「ジョセフィーヌ?貴方は今日からジョセフィーヌだよ。私はりり、よろしくね」

 

それから僕は着せ替えやら色々とさせられていた。

 

このままバレないようにしていたら、お腹がなり……

 

「えっ?もしかして野生ペンギンさん?それとも迷いペンギンさん?どっちでもいいけど、すごーい、本物のペンギンさんだぁ~」

 

りりちゃんは僕を持ってクルクル回りだした。ヒーリングアニマルだってばれなかったから良かったけど……これは本当に予想外だった

 

 

それから何とか脱出しようとしたけど、部屋の窓の外には……ドーベルマンが三匹いて、怖くって逃げられなかった。

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

のどかとひなたの二人と合流し、ペギタンを探しているけど見つからない……

 

のどかは自販機の下を覗いたり、ひなたはメガホンを使って呼んでるけど……

 

「ちゆ……大丈夫か?」

 

「……えぇ」

 

ちゆの顔は暗いままだった。

 

「たくっ、パートナーに心配かけて、何やってるんだ?ペギタンの奴」

 

「悪いのは……私……」

 

ちゆ……

 

「ただいま戻りました」

 

するとアスミがラテを連れてやって来た。まさかと思うけど……

 

「嗅覚探偵ラテ様の登場ラビ!」

 

嗅覚ならラテと炭治郎じゃないのかと思うけど……炭治郎は今は出掛けてるし…………

 

「アスミ、何か手がかりはあったのか?」

 

「はい……それが……」

 

 

 

 

 

 

アスミに案内された場所は公園のベンチだった。ラテの話では匂いがそこで途切れていて、誰かに連れていかれたらしい

 

「ペギタン……」

 

「…………今日はもう遅いから帰ろう」

 

僕がそう告げると、のどかとひなたとアスミの三人は頷き……

 

「カナエさん、みんなの事送ってあげて」

 

「えぇ、紫乃くんはちゆちゃんの側にいてあげて」

 

みんなと別れて、僕はちゆを抱き締めた

 

「大丈夫……明日また探してみよう」

 

「でも……もしも何かあったら……」

 

「ペギタンなら大丈夫。ちゆから勇気を貰ってるから…………何かあっても大丈夫だよ」

 

「紫乃……」

 

「と言うか気にしすぎだよ……何があったのか分からないけど……」

 

「昼間にペギタンと一緒に映画を見てて……怖がってるのに強がってるペギタンに私……可愛いって言ったの……もしかしたらそれでペギタンを傷つけて……外に出たんだと思うの……」

 

ペギタン……かっこよく思われたいからな。

 

「大丈夫……必ず見つけるから……」

 

「紫乃……」

 

ここまでちゆに心配かけて……本当にどこにいるんだ?と言うか……

 

「でも少し嫉妬してる」

 

「えっ?」

 

「ちゆにここまで心配されるペギタンが羨ましいよ……」

 

「ふふ、紫乃ったら」

 

ようやく笑った。やっぱりちゆは笑顔が似合うな

 

「紫乃がいなくなったら……私きっと……ずっと泣いてると思うの」

 

「ちゆ……」

 

「大好きな人がいなくなる……それだけで本当に辛いから……」

 

「そっか……」

 

嬉しいことを言ってくれているけど……それでもちゆにそんな思いをさせたくないと思う僕であった。



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76 分けてもらった勇気

ペギタンside

 

りりちゃんのお家はアパートで、お母さんも遅くに帰ってくるからいつもりりちゃんは一人だ

 

だから僕と仲良くなれて嬉しかったんだろうけど……

 

「ちゆのところに帰るべきか……どうしようペエ」

 

そう一人で呟きながら眠りにつくのであった。

 

 

 

 

 

次の日

 

寝ようと思っても寝付けず、僕はりりちゃんが学校に行くのを見送った。

 

今のうちならと思いながらも、どうにも今のままりりちゃんを放っておいても良いのかと悩みながら、ちゆのところへ帰ろうとするのであった。

 

そんな帰る途中、ある小学校を見つけた。ここはりりちゃんが通ってるはず……僕はどうしても気になり、様子を見に行った。

 

りりちゃんは誰とも馴染まずに一人でいた。きっとあれは……勇気が出ないんだと思う

 

何とかしてあげたいと思っていると……僕は男の子たちに見つかってしまった。

 

「ペンギン?本物?何で?」

 

「ぺえええ!?」

 

どうすれば良いのか分からないでいると、

 

「やめて、私のペンギンなの!痛そうにしてるでしょ!離してあげて!」

 

「何だよいきなり」

 

「転校生の癖に生意気だぞ」

 

りりちゃん……勇気を出してるんだね…………

 

すると他の生徒が話に入ってきて、僕は解放されたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

その騒動のお陰なのか……りりちゃんに友達が出来た。

 

学校の帰り道にりりちゃんは嬉しそうにしていた

 

「私ね……ずっと勇気が出なかったんだ……ここに来て、ずっと一人で……お家でも寂しかったんだ……ありがとう。これからもずっと一緒にいようね」

 

一緒に……いたいけど…………

 

「ペギタン!?」

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

「星は必ず戻ってくる。TVドラマのデカ長さんが言っていた通りですね」

 

アスミ……どんだけ馴染んでるんだよ……とは言えペギタンを誘拐?していたのが小学生の女の子だったとは……

 

「と言うかこんなちびっ子が犯人?全く最近の若者は……」

 

「あ、あはは……私たちも若者なんじゃ……」

 

「良かった……無事だったのね」

 

まぁ何がともあれ……ペギタンが見つかって良かった。ちゆも嬉しそうに……

 

「本当の……飼い主さん!?」

 

ペギタンがちゆの所へと行こうとした瞬間、女の子がペギタンを捕まえ、走り去っていく。

 

追いかけようとした瞬間、ラテがメガビョーゲンを感知した

 

「タイミングの悪い…………」

 

「ちゆちゃん、紫乃くん、二人はあの子を追いかけて」

 

のどかたちにメガビョーゲンを任せて、僕とちゆは女の子を追いかけた。

 

その前に別行動しているカナエさんに連絡を入れてのどかたちと合流するように伝えらのであった

 

 

 

 

 

 

ペギタンside

 

僕はりりちゃんの部屋に閉じ込められてしまった。ドアを叩き続けるけど……

 

「ゴメンね…ゴメンね…でもジョセフィーヌとさよならするの嫌だよ…」

 

りりちゃん…………

 

さよならはしたくないけど……僕はりりちゃんに話しかけた

 

「りり、ごめんペエ。パートナーが僕を待ってるペエ。でも泣かないで、りりはもう一人ぼっちじゃないペエ。それに……僕を助けてくれたあの勇気があればもう何だってできるペエ」

 

僕は意を決して、窓を開けると隣の家の犬が吠えていた。りり、僕も勇気を出すペエ!ちゆから分けてもらった勇気を!

 

僕は家から出て、ちゆのところへと向かう

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

女の子を見失い、ちゆも走り続けていたからか疲れきっていた。

 

今にも泣きそうなちゆ。僕は……

 

「大丈夫だ……必ず見つかる」

 

「でも……」

 

「ちゆーーーーー‼」

 

ペギタンの声が聞こえ、顔をあげるとペギタンが僕らのところへと戻ってきた

 

「ペギタン!?」

 

「ちゆ、急がなくっちゃペエ!」

 

「えぇ!」

 

「スタート!」

 

「プリキュア ・オペレーション!」

 

「エレメントレベル上昇ペエ!」

 

「「キュアタッチ」」

 

「「交わる二つの流れ!キュアフォンテーヌ‼」」

 

 

フォンテーヌと一緒にメガビョーゲンの所へと向かうと、グレースたちは苦戦していた。フォンテーヌはメガビョーゲンの頭を踏みつけて、僕は鬼化してメガビョーゲンを思いきっり投げ飛ばした

 

「今のうちに‼」

 

追撃にグレース達が攻撃を加えていき、僕とカナエさんはメガビョーゲンを切りつけた。

 

「今だよ!フォンテーヌ!」

 

「「キュアスキャン!」」

 

エレメントさんの場所を確認し……

 

「エレメントチャージ!プリキュア!ヒーリング・ストリーム!」

 

浄化技を放ち、メガビョーゲンを浄化するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

次の日、ちゆはペギタンを誘拐……もとい保護してくれた子に会いに行き、時々遊びに来てもいいかと約束をするのであった。

 

「良かったな……」

 

「……紫乃くん、ちゆちゃんを悲しませないでね」

 

「どういうことですか?」

 

「もしもの時よ…」

 

大丈夫……僕はいなくなるつもりは……ない



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77 ラテの成長日記

プリキュア本編が総集編だったので、こちらも……


今日はみんなでお出掛けする日、バス停でひなたのことを待っていた

 

「ひなたちゃんまだかな~?」

 

「「わぁーーーー」」

 

するとバス停の裏からひなたとニャトランの二人が驚かしてきた。

 

「もー!ひなた、ニャトラン!」

 

「びっくりしたラビ」

 

「えへへ、サプライズ、サプライズ」

 

「お二人とも遅かったですね」

 

「と言うか驚かすって……」

 

「えぇ!?アスミンと紫乃っちは驚かないの?」

 

「驚きましたよ」

 

「いや、気配とか読めたし……」

 

「紫乃っちはともかく、アスミンは全然わかんないし~」

 

「のどかたちくらいびっくりしてくんないと、驚かしかいがないんだよな~」

 

「そうなんですね。私もそれぐらいびっくりしたいです」

 

と言うか僕はともかくって……それにしても……アスミを驚かすか……ひなたは何かを企んでるみたいだし……

 

 

 

 

 

 

次の日のこと、家でひなたに頼まれたことをしていると、アスミが訪ねてきた

 

「ど、どうしたんだ?アスミ?」

 

「ラテの成長日記をつけるために、私がみなさんと出会う前の話を聞こうと思いまして……紫乃は最初から関わっていたんですね」

 

「まぁ……そうだな」

 

のどかが引っ越してきた時に町の案内をしていて、そこでのどかがプリキュアに変身して、僕も雪の呼吸で戦うようになった

 

雪の呼吸の事や鬼の力について、のどかたちに知られたけど……みんな、それを受け入れてくれていた。

 

「なるほど……では紫乃が一番長くみんなのことを見ていたんですね」

 

「まぁそうなるな」

 

「それと……別世界の方々とも生活をしているんですよね?」

 

「まぁ……のどかたちと出会う前の付き合いは師匠と…………」

 

「あら?アスミちゃん、どうかしたんですか?」

 

「うむ!紫乃に何か用事か!」

 

丁度カナエさんと煉獄さんの二人が出てきた。僕は二人にアスミの話をすると……

 

「そうね……私たちは転移してきましたね」

 

「うむ!紫乃が俺たちを見つけて、保護をしてくれた。更には仕事も紹介してくれたからな」

 

改めて言われると恥ずかしいのだけど……

 

「紫乃くんは恩人でもあるけど、私からしてみれば、ちょっと心配な弟ね」

 

「体質があるとはいえ、無理をしすぎだな。だがそれが紫乃だ」

 

「い、いや、あの……と、とりあえず僕の準備は終わったから……アスミに付き合うよ」

 

恥ずかしさのあまり僕はアスミを連れて逃げ出すのであった

 

 

 

 

 

 

アスミの用事に付き合っていると、竹を持ったペギタンと出くわした。アスミはペギタンにちゆとの出会いを聞くと……

 

「なるほど……因みに紫乃とちゆはお付き合いをしてると聞いたときはどうしたんですか?」

 

いや、アスミさん!?

 

「最初は……嫉妬したペエ。でも紫乃が頑張ってるところを見て、紫乃は憧れになったペエ」

 

ペギタン……あの嬉しいけど……けっこう恥ずかしい……

 

「ありがとうございます。次はちゆにでも……」

 

「い、今はダメペエ!?話を聞くならひなたのところに行くペエ」

 

「そうですか……分かりました」

 

あの……これアスミに付き添ったの失敗だったか?

 

 

 

 

 

ひなたの家に行くと、ひなたが僕らに気がつかずに、走り去った。

 

「さぁて、俺も……ってアスミに紫乃!?こんなところで何してるんだ?」

 

「ラテの成長日記をつけるために、話を聞いてるんです」

 

「その……付き添い」

 

「紫乃は何でそんなに疲れてるんだ?まぁいいや」

 

ニャトランはひなたとの出会いを話すと……

 

「紫乃については?」

 

「ん?あぁなるほど……紫乃はそうだな~頼りになる奴だな。鬼と戦いながらも、ひなたたちを守ろうとしてくれるしな。紫乃はすげぇよ」

 

ニャトラン……お前、わざと言ってないか?

これ……僕は帰っても良いけど……付き添わないと例の計画が漏れそうだな……




終始紫乃が恥ずかしがる話でした


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78 花火大会

一旦休憩と言うことで、めいさんの所でお茶をする僕とアスミ……と言うか一番疲れてるのは僕なんだけど……

 

「今日はアスミちゃんとデートなのね。紫乃くん」

 

「お願いですから……やめてください……ちゆに誤解されて怒られる」

 

「ふふ、冗談よ。さぁて今日は忙しいぞ~」

 

「めいさんも忙しそうですね。今日は何かあるのですか?」

 

「花火大会があるのよ」

 

「花火大会?」

 

ひなた……口止めしておいてくれよ……とは言えまだ色々と気づかれてないな

 

 

 

 

 

 

 

アスミには花火大会の事を軽く説明した。

 

「空に大きな花が開く……一体どのような状態なのでしょ?」

 

「まぁ見てみてからのお楽しみだな」

 

「あら、アスミに紫乃、こんなところで何してるの?」

 

後ろからちゆの声が聞こえ、振り向くと僕ら二人。ちゆは買い出しの途中か

 

「あぁ、ちゆ。今、ラテの成長日記をつけていて、みなさんに聞いている所なんです」

 

「あぁ、ペギタンがそんなことを言っていたわ」

 

「ペギタンと一緒ではないのですか?」

 

「えっと……いつも一緒にって訳じゃないのよ……たまにいなくなるし……」

 

ちゆ、何とか誤魔化してくれ……

 

「先日のようにですか?」

 

「そう……水族館で迷子になったりとかね」

 

「あったな。ひなたとギクシャクしてたときだな」

 

懐かしいな……あの時はちゆとひなたが僕とのどかのところに代わる代わる相談にきたな……

 

「でもそれがきっかけでひなたと仲良くなれたわね」

 

「仲良くなかったのですか?」

 

「三人と力を合わせていく内に自然と距離が縮まったのよ」

 

「三人って……僕は?」

 

「紫乃とは……もう距離が縮まってたじゃない。それに……」

 

「三人で力を………………そう言えば紫乃とはどのような感じで付き合い始めたのですか?」

 

「えっ!?そ、それは…………ラテの成長日記に関係あるのかしら?」

 

「個人的な興味です」

 

趣味って……

 

「し、紫乃とは……昔から一緒にいると安心するの……それが好きだからこそだって気がついて……」

 

「それでお付き合いをしたのですね。お二人は仲が良いので苦労とかない感じですね」

 

「そんなことないわ…………前に紫乃が鬼に悪夢を見せられて…………」

 

あの時か……あの時は本当に大変だった。悪夢で誰も信じられなくなって、みんなが敵に見えたんだ

 

「紫乃の心に触れて…………何とか助けたけどね」

 

「そのようなことが…………」

 

「それじゃ私は急ぐから」

 

ちゆと別れると……アスミは

 

「ちゆは何故忙しいのでしょうか?もしかして……のどかたちと花火大会……」

 

何か……変な誤解をしてないか?まさか自分だけ除け者にされるとか……

 

 

 

 

 

 

今度は電話しているひなたと出くわしたが、ひなたは慌てて浴衣が入った袋を隠した。

 

何とか誤魔化すために自分がプリキュアをやめようとしていたことを話す。

 

「三人のコラボ技で何とか出来たんだよね」

 

「三人の…………ひなた、紫乃の事で何かありますか?」

 

「えぇ~それ本人がいる前で言わないとダメなの?」

 

出来れば言わなくて良いのだけど…………

 

「そうだな~さっきの心が折れかけた理由のひとつに紫乃っちの事が色々とあったからかな?紫乃っち…………たくさん傷ついたり、沢山辛いことがあったりしてね」

 

「あれは……」

 

狛治さんとの一件とかだな。

 

「それで過去に行って……温泉…………」

 

ひなたは突然顔を赤くした。もしかしてあれを思い出したのか?

 

「どうなさったのですか?」

 

「うんと……何でもない……それじゃ‼」

 

ひなたはそのまま走り去るのであった。あの温泉での出来事は忘れたいよな

 

「紫乃は温泉で何を?」

 

「ほ、ほら、次行こう‼」

 

 

 

 

 

 

 

学校の近くへと行くとのどかと出くわした。

アスミはのどかからコラボ技……ヒーリングオアシスの話を聞くのであった。

 

「メガビョーゲンの浄化が出来なくって、みんなで力を合わせて立ち向かっていたんだよ。そのときに三人の思いが重なってミラクルヒーリングボトルが生まれたんだよ。エレメントさんたちが力を貸してくれたんだ。みんなで地球の病気と戦おうって……」

 

「……私もみんなと一緒にお手当てしたいです」

 

「アスミちゃんも一緒にお手当てしてるよ?」

 

「すみません……何でも……紫乃の事を聞きたいのですが……」

 

「紫乃くん?」

 

「何か……みんなから見た僕の事とか……知りたいんだって」

 

「あはは、何だか大変だね。紫乃くんは同じ年だけど……色々と気を使ってくれる優しい子だよ」

 

「いや、のどか……そこは……」

 

気を使って欲しいのだけど……

 

「それにね。色々と話したくないことがあるのに、私たちには色々と気を使ってるから……少しは私たちに色々と話して欲しいかな?」

 

「か、考えておくよ」

 

「待ってるね」

 

のどかが笑顔で言うと、打上がやって来て、のどかに花火の事を話そうとしていたが、のどかは慌てて打上と何処かへと行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

諸々話が聞けてアスミと別れると…………

 

「ん?電話?」

 

誰かから電話が来て、出ると……

 

『久しぶりね。そっちはどう?』

 

「母さん……」

 

『話はカナエさんから聞いてるわよ。鬼の事…………プリキュアのこと、宗一さんは私たちのところには顔を見せてないわね』

 

「見せられないと思うよ……あの人は……きっと恨まれてると思ってるから」

 

『そうね……紫乃……何があっても負けないでね』

 

母さんとの電話を切ると……

 

「負けないか……」

 

これからは負けるつもりはない。

 

 

 

 

 

 

そして夜になり、のどかがアスミを連れて、サプライズで花火大会を楽しませることになった。

みんな、浴衣を着て楽しむ中…………

 

「紫乃……来年は……」

 

ちゆが手を握り、僕を見つめる。

 

「分かってる来年は…………」

 

一緒に見ようと約束をするのであった

 




次回は気力があればのどかifを書きます


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79 悔しい気持ちと…………

ある日のこと、家でのんびりしているとひなたから電話がかかってきた

 

「もしもし?」

 

『あ、紫乃っち?ちょっと今から気球のイベント会場に来て』

 

それだけ伝えられて、電話が切られた。

 

「一体……何があるんだよ?」

 

とりあえず行ってみるか…………後は暇そうな奴にでも…………

 

 

 

 

 

 

 

一青side

 

ビョーゲンキングダムにて、ダルイゼンたちが自由に過ごしているなか、俺は鈴鹿に呼ばれていた。

 

「何だ?」

 

「ちょっと実験に付き合ってもらいたいのよね」

 

「実験?」

 

どうせ下らないものだなと思い、俺は行かないと断ると…………

 

「鬼神様に頼まれたのよ。あの鬼擬きにこれを植え付けろと」

 

鈴鹿は小さな玉を見せる。何処か禍禍しい感じがするけど…………

 

「何に使うんだよ」

 

「それは後々の楽しみよ。一瞬でもあいつの動きを止められればいいんだけどね」

 

動きをか…………それなら……

 

「戻れなくなるが…………いい方法がある」

 

 

 

 

 

 

 

気球のイベント会場に、行冥さんと一緒に向かうと、途中でちゆと合流した

 

「紫乃も呼ばれたの?」

 

「うん、丁度暇していたし……行冥さんも一緒にね」

 

「偶々だ」

 

「そうなんですか……それじゃひなたを待たせるの悪いし、行きましょう」

 

ちゆはそう言って僕と手を繋いだ。なんと言うか……慣れてきてるな

 

 

 

 

会場に着き、辺りを探すとめいさんのワゴン車を見つけた。

 

「ひなた」

 

「お待たせ」

 

「わおーちゆちー紫乃っち、行冥さん」

 

ひなたはお店の手伝いで来ていたのか。聞く限りだとのどかは家族で来てるみたいだな

 

「あ、みんな~」

 

するとのどかがこっちに駆け寄ってきたけど…………アスミの姿がないな?

 

「これで全員集合だね」

 

「あれ?アスミは?」

 

「そうそう、私、アスミちゃんを探しに来たの」

 

「えっ?アスミんって迷子ちゃん?」

 

迷子……まぁ見た目が大人でも精神年齢が…………とりあえず辺りを探してみるか

 

 

 

 

 

 

 

アスミside

 

私はある場所にいた。そこにはのどかのお父さんの大学の後輩のカズさんが落ち込んでいた。

 

先程失敗してしまっていたのに彼は笑っていた

 

「どうしてなのですか?」

 

「えっ?」

 

「どうして大好きな気球が上手く行かなかったのに、先程はははと笑ったのですか?」

 

「い、いや、それは……もうずっと練習してるんだけど……僕は昔から本番に弱いと言うか……こういう競技でも上手く行ったことなくって……だから何て言うか……諦めの笑いかな?」

 

「私とラテはみなさんを懸命に応援して、負けてしまったとき、モヤモヤした気持ちになりました。このむむむな気持ちは一体……」

 

「それはずばり悔しいって気持ちよ」

 

振り向くとそこにはのどかたちがいた。

 

 

 

 

 

紫乃side

 

アスミを探していると、知らない男の人と話してるのを見つけた。話を聞いていると、どうやらアスミは悔しいという気持ちを知ろうとしていた。

 

「悔しい?」

 

「えぇ、私もハイジャンプの大会に負けたとき、とても悔しい思いをしているわ」

 

「これが……悔しいという気持ち……」

 

「悔しいをどうにかするのには、やっぱ勝ってもらうしかないしょ!」

 

そうだな。悔しいがあるからこそ……

 

「勝つための原動力になるしな」

 

するとカズさんのチームメイトの人が貧血で倒れたらしく、どうするか話していると、ラテの提案でアスミが代わりに風を読むことを引き受けるのであった

 

 

 

 

 

 

アスミは風の流れを読んでいき、的確に指示を送っていく。

風のエレメントから生まれたからこそ出来ることなのだろう。

 

そんなとき、気球型メガビョーゲンが姿を現した。

 

「こんなときに……」

 

「行こう」

 

のどかたちはプリキュアに変身し、僕と行冥さんはメガビョーゲンに駆け寄る。

 

「俺の研究成果を見るがいい‼」

 

グアイワルはいくつものメガパーツをメガビョーゲンに埋め込んでいき、メガビョーゲンが大きく成長した。

 

「めっちゃ大きいし!?」

 

メガビョーゲンの熱風がグレースたちを襲う中、僕と行冥さんは左右に分かれて

 

『雪の呼吸!壱ノ型初雪』

 

『岩の呼吸!壱ノ型!蛇紋岩・双極』

 

斧と鉄球を同時に投げつけて、メガビョーゲンへと放つが、メガビョーゲンの熱風で勢いを殺された。

 

「厄介だな」

 

「しかも打撃があんまり通じてない」

 

気球だからなのか?メガビョーゲンは周りの雲から攻撃を放ち続ける。

 

フォンテーヌが氷のエレメントボトルを使おうとするが妨害されてしまう

 

「ふはははは‼どうだ!?ん?おい!?」

 

すると風でメガビョーゲンが流された。

 

「なるほどな……気球だからか」

 

「それなら!アース」

 

アースはハープを鳴らすと、風の輪を生み出し、メガビョーゲンを囲い、竜巻を起こす

 

「行っちゃえ!アース」

 

「追撃をお願いします!紫乃、行冥」

 

『漆ノ型!雪崩』

 

『弐ノ型!天面砕き』

 

斬撃と共に上からの鉄球をメガビョーゲンに喰らわせ、アースの浄化技にてメガビョーゲンを倒すのであった。

 

 

 

 

 

 

それから空気のエレメントさんから新しいエレメントボトルを受けとるのであった。

 

イベントは中止になってしまったけど、カズさんはこれからも頑張ると誓うのであったが…………

 

「今何か?」

 

「聞こえたラビ」

 

「聞き間違いじゃないな」

 

僕とのどかは何かの声が聞こえ、声の方へと向かうとそこにはダルイゼンがいた。

 

のどかはプリキュアに変身し、止めに入る

 

「待って!」

 

「カラスにメガパーツを埋め込もうとしてるのか?」

 

「やれやれ、またお前たちか…………いや、そうだ。キュアグレース、お前を使って育てて見るのもいいか」

 

育てる?そういえばこの間のネブソック…………それに今回のカラス…………まずい!?予想が正しければ……ダルイゼンは!?

 

「グレース!?退け‼」

 

僕は止めに入ろうとした瞬間、目の前に月鬼が現れた。妨害するつもりなら……月鬼ごと巻き込んで…………

 

「邪魔はさせない」

 

月鬼は刀を構えずに、仮面を取ると…………素顔が…………

 

「一青!?」

 

月鬼が一青!?どういう…………

 

「貴方にはこれをあげるわ」

 

背後から何かが貫いてきた。よく見ると触手?触手は直ぐに引き抜かれるが…………身体が動かなくなった

 

「紫乃くん!?」

 

「お前にはこれだよ」

 

一瞬の隙を突かれて、グレースにメガパーツが埋め込まれる

 

「あ…………」

 

「貴方には鬼神様と私たち四鬼将を封じていた宝玉を埋め込んであげたわ。これで貴方は再生力と…………おまけに鬼の血を更に活性化させてあげる。貴方は…………そのまま鬼へと変わりなさい」

 

なんだ……と…………

 

「これでお前も終わりだな」

 

一青の声が聞こえる中で……僕は気を失うのであった。



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80 二人の苦しみ

一青side

 

のどかはメガパーツを埋め込まれ、紫乃は鬼の血の活性化と再生能力を奪われた。

 

「帰るぞ」

 

「あら?放っておいていいの?」

 

「これ以上何をする?」

 

「そうね……やって来た仲間にこいつで襲わせるとか?」

 

鈴鹿……こいつは楽しんでるのか?

 

「のどか、のどか。早く出ていくラビ」

 

ヒーリングアニマルがそう言うが、ダルイゼンは……

 

「無駄だよ。いつ出てくるかはメガパーツとの相性次第、自分の意思では取り出せない。ヒーリングアニマルに出来ることは精々心配できることくらいさ」

 

のんびりしてる奴等が来るぞと言おうとした瞬間、

 

「のどか!?」

 

フォンテーヌとスパークルがダルイゼンに向かっていき、アースはのどかを……そして……

 

「ふん‼」

 

俺と鈴鹿に鉄球と斧が迫る。俺たちはそれを避けると……

 

「えっ?どうしていーくんが?」

 

「鬼と一緒に……」

 

「仲間だからだよ……こいつらと……」

 

「やっぱり……何処と無く似てる気が……のどかと紫乃に何をしたの!」

 

「のどかにはメガパーツを……紫乃には鬼の…………」

 

「いーくん!?」

 

スパークルの声が遮ってきた。何だ?まだ信じられないのか?

 

「何か事情が……あるんだよね?そうだよね?」

 

「事情?あるとすれば…………呪いだよ」

 

「呪い?」

 

「始まりの剣士二人の呪い。俺は忌み子、紫乃はあの男に押し付けられた呪い…………ただそれだけだ」

 

「精々頑張りな。キュアグレース」

 

「じゃあね。お嬢ちゃんたち」

 

 

 

 

 

 

 

ちゆside

 

のどかをのどかのご両親たちの所に送り、紫乃は……目を覚ますけど……

 

「紫乃……」

 

「大丈夫……再生能力を封じられただけだから…………」

 

何処か苦しそうだった。多分再生能力を奪われただけじゃない…………紫乃はこれ以上私たちに心配をかけないようにしてる……

 

ひなたもまた一青の事で悩んでいる……

 

「紫乃は私が連れていく。三人は真っ直ぐ帰れ」

 

行冥さんに言われて、私たちは帰るのであった。

 

 

 

 

 

紫乃side

 

「あの……おんぶしなくても……」

 

「紫乃、再生能力を失っただけか?」

 

「!?」

 

気づかれている?でも……

 

「それだけ……」

 

「私も多少は嘘かどうか分かる。確定させるために今ここに善逸と炭治郎を連れてくるか」

 

あの二人……嘘とか見抜きそうだな……

 

「…………奴等に埋め込まれた鬼神たちを封印していた宝玉に…………鬼の血を活性化させる効果もありました……」

 

「今は?」

 

「頭の中に響く声が五月蝿いし…………少し気を抜くと……力が……」

 

「現状はお前の身体にあるものを取り除くくらいしかないな……」

 

「しのぶさんあたりに頼んでみてもらいます……ただ」

 

「何だ?」

 

「みんなにもしもの時は…………僕を殺すように……鬼として殺してくれって…………」

 

「そうならないようにする」

 

僕は何とかするけど……のどかは……大丈夫か?

 

 

 

 

 

 

 

一青side

 

ダルイゼンが更に地球を蝕むために、ダルイゼン、グアイワル、シンドイーネたちと同じテラビョーゲンズを増やすと言ってるが…………

 

「そもそもあいつらは元々何なんだ?」

 

何から生まれたのか気になるが…………

 

「ちょっと、一青!」

 

「何だよ。零余子」

 

「今来たところだけど、あの子がずっと呼び鈴ならしていたわよ」

 

あの子……ひなたか

 

「普通に顔を会わせる気はない」

 

「はぁ……あんた、一応人間よね。話をするくらいはしたら?」

 

話しか…………今さらだな

 

『…………全ての鬼たちに告げる!』

 

突然鬼神の声が響き渡る。何だ?召集か?

 

『次の出撃……私が出る!』

 

鬼神が!?何をするつもりだ?

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

「現状どうにもなりませんね」

 

みんなに事情を話した後、しのぶさんに自分の身体を調べてもらったけど…………匙を投げられた

 

「今までの紫乃くんは、血の影響と鬼神の角で、人でありながら鬼の力を扱えるようになってる。これは禰豆子さんも同じね」

 

禰豆子も宗一さんに血をもらったんだっけ?だから人の状態で戦えるけど……

 

「でも今は鬼になりかけてる。それは鬼の血が蝕んでる状態ね…………」

 

「…………」

 

「戻るためには宝玉を取り出すか…………もしくは人に戻す薬を使うしかないわね」

 

「人に戻す薬?」

 

聞いたことがある。炭治郎たちに協力してくれた鬼がしのぶさんと作り上げた薬……それで禰豆子もそして炭治郎も……

 

「でも薬は無理ね。使っても貴方は鬼の力を失う…………これまでみたいに戦えないわ」

 

「…………しのぶさん、出来れば……その薬を作っておいてくれないかな?」

 

「どうして?」

 

そんなの決まっている…………僕はみんなを傷つける前に……

 

「みんなに殺されるか…………人間に戻って……戦い続ける。それしかないかな」

 

「紫乃くん……分かってると思うけど……貴方は鬼の血で普通に生活できている。もしも無くなったときは…………元の病弱な身体に戻るわよ」

 

「それでも…………這いつくばって……戦うよ」

 

「…………どちらもならないようにしなさい」

 



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81 鬼神襲来

今回もグタグダです


のどかが倒れた次の日、僕はちゆたちと一緒にのどかの事を心配していた。

 

「元気出して……って無理か」

 

「はい……難しいです」

 

「でもありがとうございます」

 

めいさんはラテに早くのどかが元気になるといいねと伝え、お店に戻った。

 

「紫乃……私たちに隠してることあるでしょ」

 

めいさんがお店に戻るのを見て、ちゆはそんなことを聞いてきた。やっぱり隠し事できないな……

 

「…………」

 

「誤魔化したら……怒るからね」

 

「分かった。再生力の他に…………鬼へと変わりそうになってる」

 

「「「!?」」」

 

「紫乃は元々鬼になれるんじゃなかったペエ?」

 

「僕は人のまま、鬼化していたけど……今回は本当に鬼になりそうなんだ…………」

 

今は抑え込んでるけど……いつ発作が起きるか……

 

「で、でもよ……何とかなるんじゃないのか?禰豆子だって元に戻ったんだろ」

 

「鬼から人に戻す薬があれば、大丈夫だけど……その分普通の……人間に戻るんだ」

 

「…………紫乃はそれでも戦うのよね」

 

「あぁ」

 

「……それなら私は紫乃を守るわ」

 

てっきり反対されるかと思ったんだけど…………

 

「紫乃が決断したのだから……私は無理矢理納得する。それだけよ」

 

無理しないでほしいけど……ちゆらしい答えだな

 

「ひなた、一青は?」

 

「……会えなかった。会って話したいのに……」

 

ひなたはひなたでまだ立ち直れてない……なんと言うか、のどかの事も僕の事も一青の事も問題が山積みだな

 

とりあえずのどかの事について話し合うことになった

 

「のどかが前にかかっていた病気もメガパーツのせいだったのかしら?」

 

「可能性はあるペエ」

 

「テアティーヌ様が元気だった頃もメガビョーゲンを直ぐに浄化できていた訳じゃないからな~」

 

「そうなのですか?」

 

「初期段階で浄化出来ないまま、進化する個体もいるペエ」

 

「それがキングビョーゲンだったり、ダルイゼンやシンドイーネ、グアイワル、バテテモーダ、ネブソック。あの辺の知性を持った奴らなんだ」

 

メガビョーゲンから……あいつらみたいな…………もしかしてのどかの前の病気が……あいつら関係だとしたら…………のどかから何が生まれた?いや考えすぎか?

 

一旦のどかに会いにいこうと話になり、病院へと向かうことになった

 

 

 

 

 

 

 

 

のどかside

 

「のどか……巻き込んでごめんラビ……」

 

泣きじゃくるラビリンに私はそっと触れた。

 

「ラビリン……」

 

「のどか!?」

 

私はラビリンの涙を拭いてあげると……

 

「泣かないで……大丈夫だから……」

 

「全然……全然大丈夫じゃないラビ……」

 

「……前はね。原因が分からないまま、ずっとずっと苦しいのが続いて……体も心も不安で辛いままだったけど……今はビョーゲンズのせいだって知ってるもん」

 

「のどか……」

 

「体がやっぱり辛いけど、心は頑張れる……だってね……ラビリンがいてくれるもの。ラビリンと出会って……ビョーゲンズと戦う力を貰ったもん。毎朝ランニングも行ってるもん……」

 

「そうラビ……のどかは強くなったラビ……」

 

「だから私……絶対負けないよ……」

 

「のどか……」

 

その時、ピンクの光が灯り、急に私は苦しくなった

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

病院に行くと、ラテが走りだし、ある病室に入ると……のどかがピンクの光に照らされて、苦しんでいた。

 

ラテ曰くビョーゲンズが苦しんでいるとのこと……プリキュアの力がのどかを救おうとしているのか?

 

のとがとラビリンの想いが届き、黒いモヤがのどかから出て、外へと出ていく。

のどかは元の状態に戻り、僕らは追っていくと……

 

「ダルイゼン!?」

 

「先ほどのメガパーツも」

 

「丁度いい。お前らも見なよ。キュアグレースの中で育ったメガパーツがどんなテラビョーゲンに進化を遂げるのか……」

 

メガパーツがみるみる内に姿をかえると…………それは、ダルイゼンとよく似た姿の少年だった。

 

「身体……動く。僕……進化した」

 

「ダルイゼンに似てるペエ!?」

 

「ダルイゼン……違う……僕……ケダリー……仕事……地球病気にする」

 

ケダリーが辺りを蝕み始め、のどかたちはプリキュアに変身し、僕も戦おうとすると…………

 

『貴様の……いや、貴様らの相手は我だ』

 

何処からともなく声が聞こえ、空から四鬼将、一青、十二鬼月が現れ、その中心に鎧を纏った鬼がいた。

 

「いーくん!?」

 

「揃い踏み!?」

 

「それに……あの鎧の人……」

 

『我が名は鬼神‼力を見せよ‼』

 

鬼神がそう告げた瞬間、空に穴が開き、そこから炭治朗たちが出てきた

 

「ここは?」

 

「た、炭治朗~何かすごい状況だよ~」

 

『お前たちは……手を出すな。さぁ鬼狩り……来い‼』

 

グレースたちがケダリーと戦う中、僕らは一斉に技を放つ

 

『水の呼吸』

 

『雷の呼吸』

 

『獣の呼吸』

 

『『花の呼吸』』

 

『蟲の呼吸』

 

『音の呼吸』

 

『風の呼吸』

 

『岩の呼吸』

 

『蛇の呼吸』

 

『恋の呼吸』

 

『炎の呼吸』

 

『霞の呼吸』

 

『ヒノカミ神楽』

 

『雪の呼吸』

 

同時に技が放たれようとした瞬間、鬼神は指を口もとに持っていき…………

 

『…………』

 

僕以外のみんなが膝まつく。

そして僕は腹を貫かれる

 

「がっ……」

 

『封印の宝珠はもう要らないな。さて……どうなる?』

 

身体の底から何かが込み上げてくる。これは………押さえ込んでいた鬼の………

 

「紫乃!?」

 

「油断………」

 

フォンテーヌが駆け寄ろうとするが、ケダリーに蹴られてしまう。

 

「いーくん!お願いだから………助けてあげてよ」

 

「言ったろ………俺は」

 

「敵じゃないよ………」

 

「!?」

 

スパークルが必死に説得していく中………押さえ込んでいたものが………

 

「ぐが………があああああ!?」

 

「紫乃!?」

 

ダメだ…押さえきれない………………活性化させられて、更に封印が解けた勢いで………もう………

 

「紫乃!?」

 

フォンテーヌの声が………聞こえなく………

 

「くそ………」

 

玄弥も銃弾を鬼神に放つが、鬼神には通じてなかった

 

『その程度か』

 

もうダメだ………

 

『惑血………』

 

突然、意識が戻り始めた。何だ?この匂い………

 

「へぇ、あの女も来てるんだ」

 

童磨は何か………いや、十二鬼月は全員知ってるのか?

 

『日の呼吸!壱の型!円舞!』

 

更に誰かが鬼神の肩を切り裂く………あれは………

 

「珠世。急いで紫乃に………」

 

「分かりました」

 

『久しいな。宗一』

 

助けてくれたのは………宗一さん?それにこの女の人……

 

「今、貴方の中の鬼へと変わろうとするものを再生力に変える薬を打ちました。これで………」

 

「か……あさん?」

 

「!?」

 

何で母さんが………

 

『とんだ邪魔が入った。帰るぞ』

 

鬼神はそのまま去っていき、宗一さんと………母さんに似た女性も消えていく。

 

「紫乃!?」

 

「フォンテーヌ………ケダリーは?」

 

「浄化したけど………」

 

フォンテーヌがグレースの方を見た。何かあったのか?

 

 

 

 

 

 

戦いが終わり、のどかからダルイゼンがのどかから生まれた存在だと聞かされた。

 

まさか………それに……

 

「あの人は……」

 

薬を打ってくれたあの人は……どうして母さんに似てるんだ?

 

それに…………

 

「あの時……どうしてか……ああしなければならないと思ってしまった」

 

「あの鬼神は……何か…したわけではないみたいですね」

 

炭治朗とカナエさん二人……いや、今この場にいない鬼殺隊の人は……みんな不思議がっていた。あの鬼神は………………

 

 

明かされた謎と同時に新たな謎が………………



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82 約束

今回はオリストです


「珠世は言うなれば、裏切り者の鬼です」

 

しのぶさんの診察を受けながら、あの珠世さんについて聞いていた。

 

「裏切り者?」

 

「鬼舞辻の呪いから解放され、復讐のために動いていましたが…………私たち鬼殺隊と鬼たちの戦いが最終局面を迎えた頃に、私と珠世……珠世の従者で人間に戻す薬を作り上げました」

 

それがきっかけで鬼舞辻を苦しめたらしい。

 

「彼女がこちらに来ていることは……驚きましたが……紫乃くん、あの時の……」

 

「…………これです」

 

僕は一枚の写真を見せた。それは家族写真……そして僕の母親は………

 

「似ている?」

 

「はい」

 

珠世さんと僕の母親は本当に似ていた。

 

「………あくまで想像ですが………珠世は貴方の先祖なのかもしれませんね」

 

「先祖………」

 

だとしたら似ているのも分かる気が………

 

「あくまでもしもですが………この世界の珠世は鬼にされなかった。そう言うことになるかもですね」

 

本当にもしもかもな………………

 

「そう言えばひなたちゃん、昨日の夜訪ねてきたけど………」

 

「あぁ…ちょっとな………」

 

ひなた自体、ある問題を解決しようとしているし、僕も………それにちゆものどかの二人もひなたが決めたことに納得してる

 

 

 

 

 

 

 

ひなたside

 

いーくんの家の呼び鈴を押す。

押すけど誰も出ない………

 

「………………」

 

私はまた押す。誰も出ない………

 

「………!」

 

何度も何度も押し続ける。すると………

 

「うるさーーーーい‼何度押せば………ってあんたはプリキュア!?」

 

出てきた女の子………確か鬼の零余子さん

 

「いーくん。いる!」

 

「あいつなら部屋で寝てるわよ………と言うか敵である………」

 

「ニャトラン!」

 

「おうよ!」

 

「スタート‼」

 

「プリキュアオペレーション‼」

 

「エレメントレベル上昇ニャ‼」

 

「「キュアタッチ‼」」

 

「「溶け合う二つの光‼キュアスパークル‼」」

 

私はプリキュアに変身し、いーくんの部屋へと向かう

 

「ちょ!?今は私一人なんだけど!?」

 

零余子さんの声を無視して、いーくんの部屋にたどり着くと………

 

「ハアアアア!」

 

思いきり扉を蹴破る。すると寝ていたいーくんが刀を持って身構えていた。

 

「お前………」

 

「いーくん………」

 

私は雷のエレメントボトルを使い、いーくんに向かって放つ。いーくんは避けて、外へと飛び出す

 

「単身で乗り込むなんて………あいつら知ってるのか?」

 

「………………」

 

私はいーくんの問いかけを無視して、いーくんへと駆け出す

 

「悪いが………先に仕掛けたのお前だ!痛い目に………」

 

刀を構えようとしたいーくんを私は抱き締めた。

 

「は?」

 

いーくんは戸惑っていた。

 

私は変身を解き………

 

「いーくん、操られたりとかしてないよね」

 

「………してない。俺の意思で戦ってる」

 

「そっか………私たちの仲間に…なれない?」

 

「悪いが俺は、鬼神たちに恩義がある………お前たちの………」

 

「それなら………それでいいよ…だけど戦う時以外はいつも通りでいよう」

 

「………そんな事いいのか?」

 

「うん、私が決めたから………」

 

私はいーくんに微笑むと、いーくんは顔を背ける

 

「たくっ………仕方ないか……戦う時は」

 

「本気で」

 

「日常は?」

 

「これまでと同じ様に……いよう。いーくん」

 

「…………明日迎えに来いよな」

 

「うん」

 

私はいーくんと指切りをして、約束をするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

次の日、私はいーくんの家に行くと、玄関の前で待っていた

 

「おはよう。いーくん」



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83 のどかのストレス?

しのぶside

 

ある日の事、紫乃くんの血を調べていて、気がついたら朝を迎えていた。私は外に出て背伸びをする。

 

「流石に徹夜は厳しいですね」

 

比較的に夜行動することが多かったけど……この世界に来てからはちゃんと寝るようにしている。

 

それだけ、この世界は平和だということ……

 

「朝食を食べたら……少し寝ようかしら?」

 

一人でそんなことを呟いていると……

 

「あの!しのぶさん!」

 

訪ねてきたのは、のどかちゃんだった。いつもならもう少ししてからランニングするはずなのに……こんなに早くから?

 

「おはようございます。どうしたの?今日は早いけど……」

 

「お願いがあるんです」

 

「お願い?」

 

「私に呼吸法を教えてください!」

 

「はい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

今朝ののどかちゃんからの申し出を私は考えさせてと伝えたけど……一体何があったのだろうか?

 

そんなことを考えながら、アスミさんたちの話を聞いていた。

 

「のどかがランニングに熱心なのはいいことじゃねぇの?」

 

「でもついこの間ラビ!メガパーツのせいで苦しんだのは……ハードな運動は少し心配ラビ……」

 

「そうね……それにあの子……私に呼吸法を教えてくださいって頼み込んできたわ」

 

「そうラビ!?」

 

「だけどよ。才能とかの問題だろ。しのぶたちが使ってるの」

 

「誰にも使えるって訳じゃないって聞いたペエ」

 

「えぇ、私も考えさせてと伝えたけど……後々みんなにも聞いたら……同じことを頼み込んだと……」

 

あの不死川さんにまで頼むなんて相当なものだ。一応紫乃くんには内密にはしてある

 

「あれじゃねぇのか?ダルイゼンの」

 

ニャトランの言うように……ダルイゼンがまさかのどかちゃんから生まれた存在……それに生き物から生まれると言うこと……

 

そして……鬼神……あの時私たちは何も出来ずに動けなくなった。まるでそう命じられたように…………

 

あの後、宇髄さんと善逸くんから聞かされたのは……小さく息をはいただけとの事…………毒にやられた?それとも…………

 

「しのぶ?」

 

「あ、何でしょう?」

 

「今からのどかのストレスを発散のために何か出来ないか探しましょう」

 

ストレスが原因……なのか分からないけど、私はそれに付き合うのであった。

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

「ふぁ~」

 

移動教室のため、廊下を歩いているとのどかが大きな欠伸をした。

 

「昨日夜、遅かったの?」

 

「ううん、早かったよ」

 

「えぇ!?じゃあ昨日のドラマ見なかったの?」

 

他愛のない話をする中、僕はあることが気になっていた。

 

「お前も一緒に行動するなんてな」

 

僕の隣を歩くのは一青だった。ひなたが戦うとき戦うし、普段は普段通りにすると約束したらしいけど…………

 

「仕方ないだろ。普段通りにしようとしたら…………『いーくんも、行くよ~』って連れ出されてるんだからな」

 

「…………ひなたは何を考えてるんだ?」

 

いつも通りなのにいつも通りじゃない気がする。

 

「おい」

 

すると後ろから声をかけられた。あれは……

 

「あぁごめんごめん」

 

「気を付けろよ。傷ひとつで音が変わる。それと廊下を塞ぐように歩くのは止めてくれるか?」

 

それだけ言って去っていった。

 

「ひぃ~やっぱ怖いわ……吹奏の王子さま」

 

「すいそう?水槽の王子さま?人魚?」

 

明らかに違うことを思い浮かべるのどか。後ちゆも受けてるし……

 

「違う違う!吹奏って、吹奏楽部の吹奏。今のは菅原有斗くんって言って、楽器の演奏が上手くてうちの学校じゃ有名なんだよ~」

 

「そうなんだ~」

 

「でもね…クールでストイックで同じクラブのメンバーから怖がられてるって話……」

 

「それだけ音楽に対して熱心って事だよ!」

 

今度はクラスメイトの……金森ことえが話に入ってきた。

 

「ことえっち」

 

「金森さん」

 

金森さんを交えながら、吹奏楽部の話を聞いていた。

 

金森さんはトランペット担当で、菅原はそのパートリーダーらしい。

 

「金森さん、先週まで休んでいたけど、もういいの?確か風邪をこじらせたって先生が……」

 

「もう大丈夫。定期演奏会前なのに体調崩しちゃって最低だよ」

 

すると金森さんも欠伸をした。

 

「寝不足?」

 

「ちょっとね……花寺さんも眠くないの?あんな時間、私だけかと思って驚いちゃった」

 

あんな時間?何かのどかの奴……隠してる?

 

「…………」

 

一青も何か勘づいてるみたいだし…………

 

 

 

 

 

 

 

しのぶside

 

アスミたちと一緒に海に来た私。ペギタン曰くここがちゆちゃんにとってストレス発散の場所らしい。

 

「ここがちゆのストレス発散と言うか気分転換スポットペエ。この間も……」

 

ペギタン曰くちゆちゃんはペギタンのラップがみたいと叫んだらしい。それを聞いたペギタンは食器にかけるラップだと勘違いしたらしい

 

「yo、yo、ラテの寝顔は最高。月の光は月光。どっちも素敵で結構。チェケラ」

 

アスミがお手本を見せてくれたけど……この子は本当に何で覚えてるのかしら?

 



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84 焦るのどか

お昼休み、みんなでご飯を食べていると、のどかのお弁当がいつもよりでかかった。

 

「でっか!?めっちゃサイズアップしてない?」

 

「いっぱい食べると元気になるでしょ」

 

「そりゃそうだけど……」

 

「明らかに食べ過ぎだろ」

 

一青も思わずツッコミを入れるくらいの大きさだった。

本当にのどかはどうしたんだ?

 

するとトランペットの音が聞こえてきた。あれは……金森の…………

 

のどかたちが思わず拍手をするけど……

 

「自主練なんだ……休んでた分を取り戻したくって……」

 

また吹こうとすると、菅原が声をかけてきた。

 

「金森、昼休み、中庭での練習はクレームが来るから禁止されてるの知ってるだろ」

 

「あぁ!?そっか、ごめんなさい」

 

「音楽室で他のメンバーと練習しろよ」

 

「でも、感がまだ戻らないからみんなの練習の足を引っ張るわけには……」

 

「……放課後なら奥の庭は演奏しても平気だから……」

 

「……ありがとう」

 

二人のやり取りを見届けながら、 ベンチに戻る僕たち……

 

「ことえっち、あんなに頑張ってるのに……」

 

「金森さんたちは演奏会に向けて、高いレベルを目指してるのよ……」

 

「頑張ってる人って応援したくなるね」

 

「分からなくはないけど…………」

 

「そうだな……」

 

 

 

 

 

 

しのぶside

 

アスミと一緒に散歩をしていると……

 

「のどかは一体……のどかに一体……」

 

「そろそろ帰るペエ?」

 

「ラビ」

 

「私はもう少し探してもいいですか?のどかはいつも一生懸命です。だからのどかのために頑張りたい」

 

「アスミ……」

 

誰かのために頑張ろうとする気持ち…………それがこの子たちを強くしているのね……

 

すると学校帰りののどかたちと出会した。

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

「みんな?」

 

「のどか……ちゆ、ひなた、紫乃……それに月鬼」

 

アスミたちは散歩帰りか?

 

「俺は一青でいい」

 

そういえば一緒に行動すること知らせてなかったな……だけどアスミは一青のことをお構いなしに……

 

「のどか、気分転換に何をしたいですか?」

 

「えっ?」

 

「聞いちゃうのかよ!?」

 

「どしたの?いきなり」

 

「のどか、最近ランニング頑張りすぎラビ」

 

「少し控えて、楽しく気分転換した方がいいペエ」

 

「えっ?」

 

「どれくらい走ったの!?急に増やしたりしたら身体に悪いわよ!」

 

「あ!?急にお弁当大きくなったのそのせい!?」

 

「それに……呼吸法を私たちに教わろうとしていたり……」

 

「マジか……」

 

「何でそこまでする必要があるんだ?プリキュアはそれなりに身体能力上がってるだろ」

 

詰め寄られて焦るのどか……

 

「えっとね……単に鍛えなきゃって」

 

「だからと言って、不死川さんにまで頼もうとするなんて……」

 

あの人にまで……そこまでして鍛えなきゃならなく理由が分からない

 

するとまたトランペットの音が聞こえてきた。

 

様子を見ると金森と菅原の二人が練習してる…………菅原は金森に焦るなと伝えるけど…………もしかしてのどかも焦ってる?

 

 

 

 

みんなで帰る途中、のどかは自分と金森が似てると呟くと、ラテが具合悪くなった

 

「「ビョーゲンズ!?」」

 

「一……っていないし!?」

 

「彼とは今回も戦うと言う事ですね……」

 

しのぶさんが言いたいことは分かる。覚悟を決めろと言うんだな

 

「みんな、行こう!」

 

「「「スタート」」」

 

「「「プリキュアオペレーション」」」

 

「「重なる二つの花!キュアグレース!」」

 

「「交わる二つの流れ!キュアフォンテーヌ‼」」

 

「「溶け合う二つの光‼キュアスパークル‼」」

 

「スタート!」

 

「プリキュア!オペレーション!」

 

「エレメントレベル上昇ラテ」

 

「「キュアタッチ」」

 

「「時を経て繋がる二つの風‼キュアアース‼」」

 

「「「地球をお手当て‼」」」

 

「「「「ヒーリングっとプリキュア‼」」」」

 

のどかたちがプリキュアに変身し、巨大化したメガビョーゲンに向かっていく

 

「アースはみんなの避難を!私たちはメガビョーゲンを」

 

フォンテーヌがキックを放つが、メガビョーゲンは防ぎ、吹き飛ばす

 

「火のエレメント!」

 

スパークルも攻撃を仕掛けるが、メガビョーゲンが放つ音波攻撃に相殺されてしまう

 

「強い!?」

 

「でかいだけってことじゃないの!?」

 

メガビョーゲンが空に向かって攻撃を放つと、拡散して、僕らを襲う

 

「くっ」

 

「はっ」

 

僕としのぶさんが攻撃を仕掛けるが、すぐに弾かれてしまう

 

攻撃が続く中、グレースが一人、向かっていく。あれじゃ……ただやられに行くだけだ

 

「グレース!?危ないラビ!?」

 

「危なくっても動いていれば……何かきっかけが見えてくるはず!」

 

葉っぱのエレメントで攻撃をするが、やっぱり相殺されてしまう

 

グレースはメガビョーゲンの攻撃を受けて、倒れてしまい、今にも踏み潰されそうになっていた

 

「「グレース!?」」

 

すると寸出のところでアースがグレースを助けに入り、メガビョーゲンを倒す

 

「グレース、大丈夫ですか?」

 

「あ、ありがとう……アース」

 

「グレース……どうして焦るのです?自分でも焦っていると気づいているのでしょう」

 

「……だって……だって……私がダルイゼンを作り出しちゃったから……そのせいで地球が……だから、私が何とかしなきゃ、もっと頑張らなきゃ……」

 

「グレースは……テラビョーゲンを作りたいと思ったのですか?」

 

「そんなこと、思わないよ……」

 

「そうです。貴方はそんなこと望みませんよね。金森さんの風邪と一緒です。貴方のせいではありません。だから自分を責める必要はありません」

 

グレースがそこまで思い詰めていたなんてな……気がついてやれば良かった

 

「紫乃くん、これからですよ」

 

「しのぶさん……はい!」

 

僕らは立ち上がると、フォンテーヌがキュアスキャンで音のエレメントの場所を特定すると、メガビョーゲンがまた攻撃を仕掛けてきたが……

 

『十二月の呼吸!十二ノ月!死走ル月!』

 

メガビョーゲンの身体が切り刻まれた。

 

「お前!?月鬼‼邪魔をするな!」

 

「悪いな。グアイワル。鬼が出てきていない以上は……好きに動く」

 

今更来たのかよ……まさかと思うけど…………刀を取りに行ったのか?

 

「さっさと浄化しろ」

 

「わかりました」

 

アースの浄化技で、メガビョーゲンを浄化し、グアイワルも撤退したのだった。

 

それからのどかのためにみんな、協力すると約束し、音のエレメントさんからもボトルをもらうのであった。

 

「たくっ、お前らみたいに普段から持っていたいな」

 

「いーくん、瞬間移動とか出来ないからね~」

 

「これからは……鬼が出なければ協力すると言うことですか?」

 

しのぶさんが一青に問いかけると……一青は……

 

「そうなるな。気に入らないなら切りかかればいい」

 

「…………いえ、別に…ただ奴だけは邪魔をしないでください」

 

「童磨か……まぁ頭のすみっこに入れておくよ」

 

「しっかり覚えておいてくださいね」

 

一青に脅しをかけるしのぶさんであった。

 

 

 

 

 

 

 

次の日、のどかがアスミと一緒にランニングする姿を見て、いつも通りに戻ったのかと思う僕であった。

 

 

 

 

 



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85 動物園に行こう

鬼滅見てきましたー煉獄さん……


『ガオオオオオ!!!』

 

吼える虎に驚くのどか、ちゆ、ひなた、ラビリン、ペギタン、ラテ。

 

アスミは平然として……

 

「すごい迫力です」

 

「うおおおお!!!何だ!!やんのか!!」

 

伊之助は挑もうとしていて、僕がそれを止める。

 

「頼むから落ち着け……」

 

今日はみんなと一緒にすこやかZOOに来ていた。

ひなた曰くお兄さんからチケットを貰ったけど…………

 

「連れてくるメンバー間違えた……」

 

事あるごとに肉食動物に挑もうとする伊之助と……

 

「うむ!紫乃!虎を飼おう!防犯などに役に立つぞ!」

 

「いや、飼いませんからね!?」

 

我が道を行く杏寿朗さん…………本当に連れてくるメンバー間違えた……

 

「そういえば一青は?」

 

「いーくんならそろそろ……」

 

因みに一青も誘ったらしいけど……あいつも誰かしら連れてくると言っていたな。

 

「お待たせ」

 

噂をすれば一青と…………下弦の……零余子だっけ?がやってきた

 

「たくっ、何で私も付き添わないといけないのかしら?」

 

「むっち、ほら、一緒に楽しもうよ」

 

「むっちって何よ!?」

 

「鬼も呼んだの?」

 

「ひなたがどうしてもってな。比較的に話せば分かる奴だから…………」

 

「そうなんだ?上弦の人たちは?」

 

「………………まともな奴が………………」

 

一青が遠くを見つめていた。まぁ狛治さん抜けてからまともそうな人いないのか……

 

「うむ!ひなたは鬼と仲良くなろうとしてるのか?」

 

「うん!何て言うかさ……いーくんと話し合ったって分かり合える人とは分かり合いたいから」

 

ひなたらしい答えだな。まぁ僕も反対する理由はないし……

 

「紫乃がいいなら良いだろう!宜しくな!零余子!」

 

「は、はい」

 

杏寿朗さんに怯える零余子。後々聞くと、鬼舞辻の配下の時に柱に怯えて逃げ回っていたら、粛清されたらしい…………なんというか鬼の社会も大変だな……

 

「にしても虎の迫力は凄いな……」

 

「俺の仲間は最高にワイルドだぜ!」

 

「あれ?虎と猫って仲間な訳?」

 

「て言うかニャトランは猫じゃ……」

 

ラビリンが突っ込みを入れようとすると、見知らぬ子供が話しかけてきた。

 

「お姉さん、全然知らないんだな。虎と猫は同じ猫科の動物だって」

 

「へぇーそうなんだ」

 

「因みにそいつはアムール虎の雄。虎の中で一番でかい種類なんだ」

 

「ふわぁーよく知ってるね」

 

「あのアムール虎は体重が250キロにもなるのね」

 

「虎がお好きなのですか?」

 

「猫と同じって考えると虎もかわいいよね」

 

「何かバラバラでうける」

 

まぁこの四人はそんな感じなんだよな…………

 

少年はしょうがないと言い、動物園の案内をしてくれることになったが……

 

「所であの被り物の兄ちゃん、入ってるけど大丈夫?」

 

ケージの中を見ると伊之助が虎と戦おうとしていた

 

「さぁ!来やがれ!」

 

「やめろー!!!?」

 

 

 

 

 

 

伊之助を何とか回収し、少年に案内をしてもらうことになった。

 

「この動物園は世界の地域別に色んなゾーンに分かれていて、お姉さんたちはどんな動物が見たいの?」

 

するとちゆがあることに気づき、少年に聞いてきた。

 

「ねぇ、そういえばあなたは一人で来てるの?」

 

「いや、お父さんと……」

 

「コウター」

 

父親らしき人が駆け寄ってきたけど、あれって……担任の丸山先生……じゃあこのコウタは息子なのか

 

挨拶を交わすとアスミと零余子が自己紹介をし、先生は迷惑をかけてないか心配していたけど、こっちとしては助かっている

 

「それで次はどこ行きたいの?」

 

コウタにそう聞かれ……

 

「キリン!絶対キリン!」

 

とひなた

 

「私はハシビロコウが見たい」

 

とちゆ

 

「動物と触れあいたい」

 

とのどか

 

「私はどこでも構いません」

 

「俺もみんなに任せる」

 

「私もね」

 

「うむ!みんなの意見に従おう」

 

「俺は戦えるところがいいな!」

 

一青、零余子、杏寿郎さん、伊之助がそれぞれ意見を述べ、僕は……

 

「休みたい……」

 

マジで来て早々疲れたよ……

 

「みんな行きたいところバラバラじゃん」

 

「だったら端から順番に見ていけばいいんじゃないか?」

 

移動しながらコウタに性格がバラバラなのにと言われたけど、先生はバラバラだからこそいいんだと言われた。

 

「それに彼だって一人でいることがあったが、今は輪に入ってるからな」

 

「それは……」

 

一青は少し照れていた。先生に気を使わすなよ……

 

 

 

 

 

 

 

茨木side

 

ビョーゲンズがそれぞれ動き出すなか、俺は酒呑様にあることを聞いた

 

「よろしいんですか?」

 

「何がだ?」

 

「一青の事です。奴らと行動していますが……」

 

「鬼神様が許している。好きなようにしろとな」

 

一青…………あいつには何かあるみたいだが…………まぁいい。敵になるなら試してみたいからな



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86 バラバラでも……

円山先生たちと動物園を見て回っていると、元々一緒に来るはずだったコウタの友達のシュウイチとそのお父さんと出会した。

 

「あれが喧嘩した子ね」

 

「仲直りのチャンス~」

 

仲直りかと思ったけど、二人ともなんと言うか意地を張っていた。喧嘩の理由は…………虎とライオンどっちが強いって言う話だった。

 

「なんと言うか子供らしい喧嘩をしているな」

 

「うむ!あんな風に喧嘩をするのはいいことだ!」

 

「はん!虎だとかライオンだとかどっちだっていい!俺の方が…………」

 

「伊之助……暴れたら、飯抜きだからな……」

 

「本当にお前……苦労してるんだな」

 

「戦いの時と比べたら……本当に違うわね」

 

一青と零余子の二人に突っ込まれつつ、いい争いをして落ち込むコウタにのどかは気をつかってお昼を食べようと提案するのであった。

 

 

 

 

 

みんなそれぞれ好きなものを食べていると…………

 

「やっぱりお姉さんたち、バラバラだし……」

 

「そういえばそうね」

 

のどかたちは頼んだものをお互いに交換して食べさせあいっこしていた

 

「バラバラだといいね~」

 

「バラバラだと……」

 

「キャラが違うからこそ、楽しいと言うこともある。興味のなかった動物を見たり、いつもなら注文しない料理を美味しいと感じたり……相手がいるから自分の世界が広がる。友達はいいもんだ」

 

バラバラだからこそか……確かにそうかもな……

 

 

 

 

 

 

ご飯を食べ終え、次の場所へと向かおうとすると、ラテが具合悪くなった。僕らは先生と別れ、メガビョーゲンの所へと向かった。

 

「零余子!お前は……」

 

「はいはい、わかってるわよ」

 

一青は零余子に何かを頼んでいた。何だ?

 

「安心しろよ……今回も鬼は関わってないからな。あいつには避難の方を任せた」

 

「本当にいいのか?」

 

「自由にやっていいって言われてるからな……まぁ鬼でも下弦かもしくは上弦の壱が出ない限りは……な」

 

下弦はまだわかるけど……上弦の壱とどんな関係が?

 

考えていてもしょうがない。

メガビョーゲンの所へと向かうと、そこにはメガビョーゲンもダルイゼンの姿があった。

 

「ダルイゼン!」

 

「行きましょう!」

 

「「「「スタート」」」」

 

「「「「プリキュアオペレーション」」」」

 

「「重なる二つの花!キュアグレース!」」

 

「「交わる二つの流れ!キュアフォンテーヌ‼」」

 

「「溶け合う二つの光‼キュアスパークル‼」」

 

「「時を経て繋がる二つの風‼キュアアース‼」」

 

「「「地球をお手当て‼」」」

 

「「「「ヒーリングっとプリキュア‼」」」」

 

グレース達と一緒にメガビョーゲンを圧倒していく。

おかしい……今回はメガパーツを使わないのか?

 

「仕方ない……少し相手してやるか」

 

ダルイゼンがグレース達の前に立ちはだかると、一気にグレース達を圧倒していく。

 

「みんな!」

 

『雪の呼吸!壱ノ……』

 

「悪いけど、打たれる前に打っとくよ」

 

一瞬で目の前に現れ、顎に蹴りを喰らってしまう。

 

「くっ!」

 

『血鬼術!血癒膜』

 

「おっと!そうだった。君の血は……厄介だったね」

 

『十二月の……』

 

「一青……お前ともやりあいたかったけど…………本気の相手はまだしたくないからね」

 

後ろから切りかかる一青の刀を白羽取りして、そのまま投げ飛ばした。

 

「ちっ」

 

「そろそろいいかな?」

 

ダルイゼンを相手している内に成長したメガビョーゲン。ダルイゼンはメガビョーゲンからメガパーツを回収した。

 

「時間稼ぎか……」

 

「なら!こいつを相手にした方が早い!」

 

伊之助がメガビョーゲンに攻撃を仕掛ける。

 

『弐ノ牙!喰い裂き!』

 

メガビョーゲンを吹き飛ばし、更に追撃に杏寿朗さんが……

 

『炎の呼吸!伍ノ型!炎虎!』

 

「音のエレメント!」

 

杏寿朗さんとアースの同時攻撃でメガビョーゲンを地面に倒した。

 

「今だよ!」

 

「トリプルハートチャージ!」

 

「「届け!」」

 

「「癒しの!」」

 

「「パワー!」」

 

「「「プリキュア・ヒーリングオアシス‼」」」

 

ヒーリングオアシスで一気にメガビョーゲンを浄化するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

何とかメガビョーゲンを倒せて、安心していると…………僕らの前に……茨木が現れた。

 

「一青……少しいいか」

 

「裏切りとかなら……」

 

「いや、それはいい。先程召喚された鬼を獪岳が連れ去った」

 

「…………あの野郎か」

 

「何かが起きる前に止めろ」

 

茨木はそう言って姿を消すのであった。一体何が起きているんだ?



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87 進化したビョーゲンズ

零余子side

 

ある程度の避難を終え、動物園の入り口に戻る頃には、蝕んでいた大地が元に戻っていた。

 

「終わったみたいね」

 

協力体勢をしているのに、何故か安堵する私……まぁこれも一青のせいね。

 

とはいえ気にしてはられないし……

 

そんなことを思っていると、コウタくんが友達の子と仲良さそうに手を振っていた。やれやれ、子供は仲直りが早いわね…………

 

「声でもかけておきますか」

 

「いいや、お前は邪魔だ」

 

声をかけようとした瞬間、首に刀が刺さる

 

「つぅ!?」

 

突然の事で、私は地面に倒れると、背中を思いきり踏まれた。

やったのは……獪岳だった。

 

「鬼神の命令とか関係ねぇ!俺を認めない奴等に痛い目に遭わせてやるよ!」

 

「あんた……」

 

「ふふ、面白いことしてるじゃない」

 

すると今度はシンドイーネが現れたけど……今までとは姿が違った。一体何が……

 

「お……ねえちゃん?」

 

コウタくんが私に気がつき、駆け寄ろうとした。私はすぐに逃げるように伝えようとした瞬間

 

「進化しなさい!ナノビョーゲン!」

 

コウタくんに向かってナノビョーゲンが放たれる。するとすんでの所で円山先生が駆けつけて…………代わりにナノビョーゲンに蝕まわれる

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

グレースたちが葉っぱのエレメントさんの無事を確認すると、一青は茨木に言われたことを気にしていた。

 

「どうにも言うことを聞かないやつがいるな……」

 

「大丈夫?私たちも手伝うよ!ね!紫乃っち」

 

まぁ話を聞いた以上はな…………

 

「これは……って言っても関わってきそうだな。とりあえず一旦零余子と合流し……」

 

一青がいいかけた瞬間、ラテがまた具合悪くなった。

 

「今お手当て終わったばっかりなのに?」

 

『あっちで先生が泣いてるラテ……』

 

「先生って……円山先生の事?」

 

何で先生が?グレースたちも何でか考えているが答えが出ずに、とりあえず行ってみることにした。

 

 

 

 

 

動物園の入り口に着くとそこには血だらけで倒れた零余子と今までとは違う感じのメガビョーゲンがいた。

 

「なーんだ。普通のメガビョーゲンじゃん」

 

「油断するな!こいつは今までとは違……」

 

メガビョーゲンが突然ビームを放つと、着弾地点が大きく蝕んでいた。

 

「一気にあんなに蝕めるペエ!?」

 

「お手当てを急がないと!」

 

アースがラテを安全なところに避難させ、グレースがキュアスキャンで確認すると…………中には先生の姿があった。

 

「メガビョーゲンの中に先生が!?」

 

「何で!?エレメントさんじゃないの?」

 

「ラビリン、ペギタン、ニャトラン、今までこのようなことはあったのですか?」

 

「いや……」

 

「ラビリンたちも初めてラビ!?」

 

メガビョーゲンがビームを放ち、グレースたちがぷにシールドで防ぐが……あっさり破られてしまう

 

「みんな!?」

 

「俺たちも行くぞ!」

 

「うむ!」

 

「うおおおおお!!」

 

四人で攻撃を仕掛けようとした瞬間、

 

『雷の呼吸!肆ノ型!遠雷!』

 

黒い雷が僕らを襲う。僕は何とか着地して、更に攻撃を仕掛けようとするが、足に銃弾が掠めた

 

「まんまと来たな!鬼狩り!」

 

「あはははは!!」

 

僕らの前に現れたのは、獪岳と今までとは違った姿をしたシンドイーネだった

 

「どう?プリキュア!この私が生み出した新種のビョーゲンズ!ギガビョーゲンの力は!」

 

「ギガビョーゲン!?」

 

「メガビョーゲンじゃないペエ!?」

 

「そう!私はね。進化したの!この体にメガパーツを取り込むことによってね!そして、更なる力を得た!私は地球上の生き物を使ってギガビョーゲンを生み出せるようになったのよ!」

 

そんなことが…………くそ、早く動かないと……

 

立ち上がろうとするが、両肩に銃弾が放たれる。

 

「くっ!」

 

「無様だな!まぁ仕方ないか!お前には新たに呼び出した鬼の居場所を探ることは出来ずに、永遠と動けなくしてやる」

 

「お前!鬼神の命を受けずに……こんな勝手を……」

 

「黙れよ!俺が……上弦まで上り詰めた俺が!!こっちでは下弦なんかにしやがって!どんな手を使っても俺は認めさせてやるんだよ!」

 

『伍ノ型!熱界雷!』

 

更に技を放たれる。みんなは何とか避けているけど…………このままだと……

 

「あんたらとは違うのよ!この身体はキングビョーゲン様への愛!さぁギガビョーゲン!お前の力を見せてやりなさい!」

 

ギガビョーゲンも動き出している…………どうする?獪岳と謎の鬼に集中すべきか?

 

「紫乃!お前はプリキュアをサポートしろ!」

 

「杏寿郎さん……」

 

「お前の血鬼術なら…………獪岳もギガビョーゲンも動きを止められるはずだ!」

 

一青は零余子を範囲外まで避難させる。

それなら…………

 

『血鬼術……血癒の……』

 

血鬼術を発動させようとした瞬間、影のような黒い大神の群れが僕の身体に噛みついてきた。

 

「ぐっ!?」

 

「あの狼は!?」

 

「お前は厄介だからな!!先に封じておく!!」

 

『陸ノ型!電轟雷轟!』

 

身体中に無数のヒビが入る……これは……血鬼術!?

 

「ギガビョーゲン!そいつらもついでに!」

 

ギガビョーゲンが僕らに攻撃を仕掛け、そのまま散り散りに吹き飛ばすのであった。

 

「さぁて!ここからが本番だ!珮狼!」

 

「分かっている!一気に鬼狩りを消すのだな」

 

「誰?その軍服?まぁいいわ。私はキングビョーゲン様に報告しに行くわよ!」

 

 

 

 

 

 

 

「紫乃!紫乃!」

 

気がつくとちゆの顔が目の前にあった

 

「ち……ゆ……」

 

「無事なの?」

 

「とりあえず……と言いたいけど…………」

 

血鬼術混じりの呼吸の技を喰らったからか、まだ身体が痛む…………

 

「ダメージが大きく過ぎて……再生に時間がかかってる……」

 

「動ける?」

 

「何とか……」

 

ギガビョーゲンに……姿を見せない鬼…………厄介すぎだろ……

 

「他のみんなは……」

 

「散り散りになったけど……何とか集まりましょう」

 

それしかないな…………その前に……

 

「メール?誰に?」

 

「厄介な事が起きてるから…………みんなにね」

 

連絡をいれたから……後は一旦合流しないと…………




珮狼は煉獄外伝に出てきた鬼です


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88 大切な存在

一青side

 

吹き飛ばされ、ひなたとニャトランと一緒の場所に落ちた俺。ひなたは特に目立った怪我はしてないけど……

 

「いっくん、大丈夫?」

 

「何とかな……」

 

俺は右腕に走るひびの痛みに耐えていた。流石に避けきれなかったか……

 

「早いところ……紫乃っちと合流しないと……」

 

あいつなら治せるだろうけど……あいつも傷を負っているはずだ。今頃は治療に専念してるだろうけど……

 

「そうだな」

 

今のままだと戦うのはきつい……何とか治してもらおう

 

ひなたとニャトランと一緒にみんなと合流しに行くが…………動物園の動物たちが怯えている。これもあのギガビョーゲンの仕業か……

 

 

 

 

 

 

のどかside

 

煉獄さんと伊之助くんと一緒にみんなと合流しに向かうけど……

 

「動物たちが……」

 

「うむ!早いところ何とかしなければな」

 

「あのギガなんとかって奴をさっさと倒しちまおうぜ!」

 

「その前に鬼だ。それに……」

 

「遠くから狙ってる鬼ですか?」

 

「うむ!奴はかなり厄介かもしれないが…………」

 

煉獄さんは何か知ってるみたいだけど……今は急いでみんなと合流しないと……

 

 

 

 

 

紫乃side

 

ちゆと一緒に向かっていると広場でみんなと合流できた。とりあえずあのギガビョーゲンと鬼をどうにかしないと…………

話し合おうとしていると、茂みから音が聞こえ、見てみるとそこにはコウタが隠れていた。

 

「コウタくん!?」

 

「お、お姉さん……」

 

コウタは足を擦りむいていたが、この辺りは蝕んでいて傷を洗うことも出来ないでいると、コウタは泣きながら……

 

「こんなの何でもないよ……お父さん……お父さんが怪物に食べられて……」

 

見ていたのか…………くそ……

 

「コウタくん……泣かないで……きっとお父さんは助かるよ」

 

のどかは泣くコウタを慰める。するとちゆたちも……

 

「そうよ……これまで何度も怪物は現れたけど……いつも最後は元通りだったでしょ」

 

「プリキュア……」

 

「そう!プリキュア…………って何で知ってるの?」

 

「お父さんがくれたすこ中ジャーナルで読んだ……」

 

なるほど……なら、知っていても問題はないな

 

「きっとお父さんのこともそのプリキュアが助けます」

 

「この動物園もね」

 

「本当に?」

 

「お父さんもまだ怪物の中で戦ってるはずだよ。だからコウタくんも希望を捨てないで」

 

何とか元気付けることが出来たみたいだな。

 

するとしのぶさんから電話がかかってきて、出ると……

 

『まずいわ!紫乃くんが話していたギガビョーゲンと港に影のような狼が現れたわ』

 

「行動開始したみたいだな……」

 

改めてラテに話を聞くと港にギガビョーゲンが現れたらしい。早く何とかしないと

 

のどかたちはプリキュアに変身して、ギガビョーゲンの所へと向かう。僕らも行こうとすると……

 

「紫乃!お前は狼を出している鬼を倒せ!」

 

「僕が?」

 

「奴を倒せば血鬼術が解けるはずだ!」

 

「でも獪岳は……それにギガビョーゲンも……」

 

「獪岳は俺に任せろ…………そもそも奴を倒すのを頼まれているからな」

 

「一青……」

 

完全に腕の傷が治ってないのに…………

 

「紫乃!他のみんなも対応している!俺と猪頭少年はギガビョーゲンの方に行く!」

 

「…………分かりました!急いで倒して…………合流します!」

 

僕はみんなと別れ、狼を出している鬼のところへと向かった。奴は……何処に…………

 

「再生能力が落ちてるからやりたくないけど……」

 

僕はビルの屋上にまで駆け上がり、目を閉じた。

 

「………………」

 

身体の神経を集中させると…………右後方から右肩を銃弾が撃ち抜いた。

 

「あそこか!!」

 

場所が分かると、鬼の所へと向かう。

 

 

 

 

鬼の所にたどり着くと、そこには軍服姿の鬼がいた。

 

「煉獄とやりたかったが!お前は期待させてくれんだろうな!」

 

「まぁな!」

 

この鬼……強い……下弦として呼ばれてきたのだろうけど…………強化されてるのか伝わる殺気は……上弦クラス……

 

「お前の事は聞いている!鬼擬きだが、傷が塞がっていないな……それで俺に勝てるのか?」

 

「勝ち負けは考える気はない……ただお前の首をはねるだけだ……」

 

「面白い!やってみろ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

一青side

 

プリキュアたちと煉獄、伊之助と共にギガビョーゲンの攻撃を避けながら少しずつ体力を削っていく。

 

「さて……出てこい!獪岳!」

 

「はっ!お前が相手か……まぁいい!あの鬼擬きと違ってお前は倒しやすいからな!」

 

舐められたものだな…………俺は紫乃より倒しやすいか……

 

「口だけ達者だな」

 

「何?」

 

「鬼たちの経歴は大体聞いている……お前は自分だけ生き残るためだけに…………自分のことしか考えてない…………お前みたいな屑はこっちにも要らない存在だ」

 

「はっ!挑発のつもりか?乗ってやるよ!」

 

『雷の呼吸!肆ノ型!遠雷!』

 

『十二月の呼吸!肆の月!雨月‼』

 

技の打ち合いになり、互いの刀がぶつかり合う

 

「お前は気に入らねぇんだよ!」

 

「俺もだよ!」

 

「只の人間が!鬼神に拾われただけの屑が!大威張りでいやがるな!」

 

『参ノ型!聚蚊成雷!』

 

『弐の月!如切月!』

 

とんでもなく速い攻撃を何とか受けきる。一瞬でも気を抜くな!呼吸を乱すな!

 

『弐ノ型!稲魂!』

 

『十二月の呼吸!十二の月‼死走ル月!』

 

相手の攻撃を全部防ぎ…………隙をついて……奴の首を切る!

 

「どうやらあっちは終わりそうだな!」

 

獪岳がそう告げた瞬間、プリキュアの方で動きがあった。

 

『炎の呼吸!奥義!玖ノ型!煉獄!』

 

煉獄の大技を喰らったギガビョーゲン……その瞬間、プリキュアたちが……

 

「トリプルハートチャージ!」

 

「「届け!」」

 

「「癒しの!」」

 

「「パワー!」」

 

「「「プリキュア・ヒーリングオアシス‼」」」

 

浄化技を放つが、ギガビョーゲンも対抗して巨大なビームでヒーリングオアシスを弾き飛ばし、ギガビョーゲンと戦っている全員が吹き飛ばされる。

 

「そこだ!!」

 

『陸ノ型!電轟雷轟!』

 

獪岳が放った技が……俺ではなく、倒れたスパークルに目掛けて放たれる。

 

「くそ!」

 

『十二月の呼吸!十二の月‼死走ル月!』

 

スパークルの前に立ち、技を相殺するが、相殺しきれずに斬撃を喰らってしまった。

 

「かはっ……」

 

身体中にヒビのような傷が走る…………

 

「いっくん!?」

 

「あはははは!!その女がそんなに大切か!見捨てていれば俺を殺せたのにな……」

 

スパークルが大切…………

 

「お前は所詮只の人間なんだよ!親に捨てられ!みすぼらしい姿を晒していた!只の人間だ!」

 

獪岳の言葉が頭に入らなかった…………俺は……スパークルが……ひなたが大切なのか?

 

そりゃそうだよな…………こんな明るい奴が……俺を救ってくれているんだ…………だから……大切だよな……

 

「いっくん?」

 

心配そうにしているスパークル。俺は彼女に…………

 

「スパークル……いや、ひなた……好きだ」

 

「ふぇ!?」

 

「「えぇ!?」」

 

「こんなときに!?」

 

「うむ!青春だな!」

 

「つうか告ってる場合か!!」

 

顔を赤らめるスパークル…………そうだ……俺は……スパークルが……ひなたが好きなんだ……だからこそ…………

 

「あん?痣か……発現しただと!!」

 

脈拍が速い……身体も熱い……だけど…………動ける!

 

『終ノ月!!』

 

刀を構え、一瞬で獪岳の首を切り落とした

 

「なっ!?」

 

「悪いな…………お前の敗けだ」

 

獪岳は塵となり消えていく…………一応礼だけは心の中で言っておくか…………大切な存在に気づかせてくれて……ありがとう



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89 発現と新たな力!ヒーリングっとアロー

「はぁ……はぁ…」

 

珮狼と名乗る鬼と戦っている僕だけど……ここまで厄介なんて……

 

「どうした!その程度で煉獄の代りを務まるのか!」

 

回りにいる血鬼術で作られた狼の口から銃口を向けられていた。何とか接近して倒していくが、その度に珮狼が放る火炎ビンや爆弾を喰らってしまう。

 

「鬼擬き……再生能力が落ちてきているな」

 

当たり前だろ……こっちは……完全に回復してないのに…………戦ってるんだ……

 

「急いで俺を倒さないと……街の人間が食われるぞ!お前の仲間が間に合えばいいけどな!」

 

挑発のつもりだろうけど…………確かに急がないと間に合わない……それに……ギガビョーゲンの攻撃も激しそうだし……余力を残しておかないと……

 

『雪の……』

 

「遅いんだよ」

 

技を放とうとするが、両腕を狼に咬まれ、更には腹部を銃で撃たれる……

 

「くっ……」

 

狼を振りほどくけど…………更に噛みついてきて、僕を飲み込んでいく。

 

「終わりだな…………そのまま取り込まれていろ」

 

終わり……僕が……みんな……戦ってるのに…………

 

意識を失いそうになる……このまま…………

 

終わるわけにはいかない……

 

『血鬼術!血癒の雨!』

 

狼から抜け出し、血鬼術を発動させる。

 

「鬼にとって……いやビョーゲンズもか……毒になるが……この程度で倒せるとでも?」

 

「余力を残しておくとか考えていたからダメだったんだ…………これはちょっとしたサポートだ」

 

全部出し尽くす!僕は鬼の姿から人の姿に戻った。残ってるのはほんのちょっとの再生能力と…………1発分の体力…………みんなの……ために!

 

「はっ!一気に決めるか!!」

 

珮狼は持っていた銃や爆弾などを捨て、街中に放った狼を自分の身体に取り込んでいき、巨大な狼へと変わり、一本の刀を構えた。

 

「いいぞ!今のお前からはあの時と同じ高揚感が甦って来る!!」

 

首を切り落とす………………渾身の力が必要だ…………

 

「いざ!純情に勝負!」

 

珮狼の刃が右肩から切り裂いていく……痛みを感じるな…………狙うのは…………

 

「首のみ!!」

 

『雪の呼吸!玖ノ型!奏雪!!』

 

首目掛けて突きを放つ。突きのみで切り落とすことが出来ないけど…………この勢いで…………

 

「ぐう……何だ!?突きの勢いで…………まさか……」

 

このままギガビョーゲンの所までいかせてもらう!!

 

 

 

 

 

 

 

突きの勢いで……ギガビョーゲンの身体へとぶつかる。多少は仰け反るギガビョーゲンと刀が刺さったままの珮狼

 

「かはっ!狙いが外れたな……俺の首は……」

 

「お前の首は…………切り落とす!」

 

身体中が熱くなり、脈拍も早くなる…………僕はこの勢いで横薙ぎで珮狼の首を切り落とした。

 

「なっ!?あれは……痣か…………本当に面白い奴だ…………」

 

珮狼が塵となり、僕はまだ倒れそうになるけど……耐えていた。

 

「紫乃……」

 

フォンテーヌの声が聞こえると……みんなボロボロだった。

 

「まだ……戦える……」

 

「ですが……」

 

アースは……いや、フォンテーヌもスパークルも諦めかけていた。と言うか一青は?

 

「お前も……発現したのか」

 

一青もボロボロになっているけど……諦めていない。それに杏寿朗さんも伊之助も……

 

「私は……諦めたくない……先生の……ビョーゲンズのせいで苦しむ人たちの気持ち……分かるから……」

 

「そんな大切な人の無事を祈るコウタくんの気持ち分かったラビ!」

 

「ギガビョーゲンがどんなに強くっても……」

 

「ほっとくわけにはいかないラビ!」

 

グレースは立ち上がる。まだ諦めてないな。そんなグレースの思いを知り、フォンテーヌもスパークルも立ち上がる

 

「先生たちだけじゃないわ……地球をビョーゲンズに奪われたら……たくさんの生き物が苦しむって……よく分かった!」

 

「そうペエ!エレメントさんもみんな苦しむペエ!」

 

「ふふ、何か先生の言った通りだなって……私たちキャラバラバラだからいいんだって!」

 

「誰かが挫きかけても、誰かが立ち上がる!そうしたらこうして次々勇気が沸いてくる!」

 

「アース!私たちまだ頑張れるよ!」

 

「ラビリンたちヒーリングアニマルと人間のパートナー、それに地球と風から生まれたアース!」

 

「そして色んなエレメントさんたちから力を預かってるペエ!」

 

「僕たちも……いる!」

 

「こんなにたくさんの人がたくさんの力が集まってるんだもの……」

 

「まだまだいけるよ!」

 

みんなでアースに手をさしのべる。誰も諦めてない……

 

「そんな気してこない?」

 

「…………はい、みんなで手を取り合えば必ず!」

 

アースも立ち上がる…………さぁ行くぞ!

 

「紫乃……お前は動けるのか?」

 

「一人でのんびり待ってるわけにはいかないだろ…………グレースたちの言葉を聞いて…………力がわいてきた!」

 

「だろうな!」

 

僕と一青は同時に動きだし、後方から一撃を喰らわす!

 

「杏寿朗さん!伊之助!」

 

「うおおおおおおお!!!」

 

「全員!心を燃やせ!!!」

 

上から二人の攻撃を喰らわし、更に前からグレースたちが同時にぶつかる

 

『私たちはお手当てを諦めない!!!』

 

ギガビョーゲンにぶつかった瞬間、虹色の光が辺りを照らした。そして全てのエレメントボトルが一つになり、新しいエレメントボトルを生み出す。

 

「新しいエレメントボトル!?」

 

「今まで集めたエレメントさんたちの力が一つになったラビ!?」

 

ラテが鳴いた瞬間、プリキュアの武器が集り、弓矢へと変わった。

 

「ラテ様が僕たちの力を一つにまとめてくれたペエ!」

 

「流石ラテ様だぜ」

 

「グレース!行くラビ!」

 

『ヒーリングアニマルパワー全開!』

 

グレースたちが神秘的な衣装に変わり、白い翼を生やした。

 

『アメイジングお手当て!準備OK!』

 

掛け声とともにヒーリングアニマルが半透明となりその状態で弓の引き金を押し、

 

「プリキュア・ファイナルヒーリングっど・シャワー!」

 

4色の螺旋状のビームを放ち、取り込まれた人を助けながらギガビョーケンを浄化するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

戦いも終わり、限界で僕と一青は倒れ込んだ。

 

「つ、疲れた……」

 

「こっちもだ……」

 

互いに疲れ果てていると…………僕らの前に痣が浮かんだ鬼…………上弦の壱が現れた。

 

「このタイミングでか!?」

 

みんなボロボロで……戦うのはきついのに……

 

「一青……鬼神からの言葉だ」

 

「何だ?」

 

「お前と下弦は自由にしろ…………我々には気を遣うなだ」

 

それだけを告げて上弦の壱は姿を消した…………それって…………

 

「これからは……一緒に戦えってことか?」

 

「かもな…………………………あ!?」

 

一青は突然何かを思い出し、ひなたの方を見ると、ひなたも一青の顔を見て顔を赤らめていた。

 

何があったんだよ………………

 

 

 

 

 

 

 

 

「よろしいんですか?」

 

『茨木……いいのだよ。これで……一青は痣の発現の仕方を知り、雪の呼吸を継いだ者も痣を発現した。全て計画通りだ』

 

「鬼神様の長年の夢ですか……」

 

『ここからは……夢を叶えるための準備を始めよう』



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90 職業体験

早朝…いつものようにしのぶさんに検査をしてもらっていた。

 

「再生力も戻ってますね」

 

「本当ですか?」

 

「えぇ、それにしても鬼の力を全力で使い…更に痣の発現……かなり無理をしすぎですよ」

 

「いや、その…」

 

「無理をしなければいけなかったとはいえ……やりすぎですよ」

 

しのぶさん……めちゃくちゃ怒ってる……いや、怒られることをしたんだから仕方ないよな……

 

「痣は寿命の前借りですから…………長生きは……」

 

「あの……その事なんですが……」

 

「はい?」

 

「僕の場合ってどうなんですか?」

 

正直鬼の力で不老だったりするのか気になるんだけど…………だとしたら痣のデメリットとかは……

 

「それは詳しくは分かりませんけど……貴方は鬼よりなのか人よりなのか半端なんですよね……もしかしたら不老なのか…………」

 

不老か……だとしたらちょっと悲しい……下手をすれば…………若い姿のまま……

 

「まぁまだ分かりませんからね。ほら、早く行かないと遅れますよ」

 

「あ……うん」

 

そういえば今日は職業体験だったな…………

 

 

 

 

参加者が沢泉に集り、改めて説明を受けた。

 

「学校の職業体験と言うことで今日はこの沢泉を仕事を見ていただきます。一つだけお客様の前では笑顔でお願いしますね」

 

『はい』

 

今回はちゆは教える側に回ってるけど……一青は未だに浮かない顔をしている。

 

「お前……まだ……」

 

「あぁ……」

 

一青の浮かない顔をしている理由は分かってる。鬼神たちと別れたことよりも…………勢いで告白したことが気がかりみたいだな。まぁ今は職業体験に集中してるみたいだけど……

 

「みなさんには主に旅館の裏方の仕事を体験してもらいます。私も見ますが、細かいやり方などは娘のちゆが教えます」

 

「分からないことがあれば何でも私に聞いてください。今日は一日一緒に頑張れましょう!」

 

本当に様になってるなちゆは…………

 

「息子のとうじもみなさんと一緒に旅館の仕事について勉強させてもらいますので」

 

「あ、あの……弟のとうじです。よろしくお願いします」

 

とうじも頑張れ……

 

「それと将来的に婿となる紫乃くんにもこれまで以上に……」

 

「いや……普通に職業体験させてください!」

 

「もう……お母さんは……」

 

家族公認になってるとはいえ、改めて言われると……結構恥ずかしいんだか……

 

 

 

 

 

 

 

 

茨木side

 

キングビョーゲンがダルイゼンたちにメガパーツでの強化をするようにと言い、グアイワルは強化し、ダルイゼンは様子を見るとなっていた。

 

そんな時のこと…………

 

「では……これからは……」

 

『あぁ、上弦組に出撃させろ』

 

下弦と一青が抜けた今……戦力としては上弦しかいない……さて……誰に向かわせるか……

 

「ヒョッヒョッヒョッ、折角なので私が行こうか?」

 

「玉壺……お前に務まるのか?」

 

「今までの油断したまで……今回は本気でやらせてもらおう」

 

本気の結果……負けていなかったか?まぁいい。玉壺に出撃を命じるのであった。

 

 

 

 

 

 

早速職業体験が始まり、各自掃除をしていた。因みにアスミは撮影係としてみんなの写真を撮っていた

 

僕ら客間の掃除をすることに……

 

「相変わらず紫乃は掃除とか得意ね」

 

「まぁ……普段からしているからな」

 

「教えることなさそうね」

 

「いや、僕がやっているのはあくまで普段通りの事だから…………旅館での仕事とかはまだまだだよ。これからもよろしくなちゆ」

 

「えぇ」

 

「二人ともいつも仲良しだね~」

 

のどかは僕らの様子を見てそんなことを呟くのであった。

 

 

 

 

 

一青side

 

掃除用具を取りに戻ると、ひなたと出会した。

 

「「あ……」」

 

互いに顔を赤らめる。あれ以来こんなことが続く…………本当に勢いって怖いな……

 

「あのさ、これ終わったらで良かったら…………言いたいことがあるの」

 

「言いたいこと?」

 

「うん……」

 

ひなたが言いたいことは分かっている。ちゃんと向き合わないとな…………するととうじの声が聞こえた。ひなたに様子を見に行くと伝えると……

 

物陰から様子を見ると座布団を大量に運んでいたらしく……バランスを崩して転んでいた。ちゆが助けに入るけど……何か気合いが入りすぎて空回りしているみたいだな。

 

それからペット用の浴場で温泉に飛び込んでしまい、ずぶ濡れになっていた。何か心配だな…………

 



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91 見ていてくれる人

休憩時間、僕らはすこやかまんじゅうを食べていると、とうじがため息をついていた。

 

「ね、一緒に食べようよ。めっちゃうまだよ~」

 

「いいです……」

 

「とうじくん?」

 

落ち込んでいるみたいだけど、失敗が続いていたからかな?

 

「僕……失敗ばかりで……それを全部お姉ちゃんに助けてもらって……同じ姉弟なのにどうしても上手く出来ないんだろう?」

 

「そんなこと……」

 

「分かるそれ!すんごい出来る兄姉いるとなんか焦るの……めっちゃ分かる」

 

そう言うものなのか……僕は一人っ子だから良く分からないけど…………玄弥たちもそんな感じなのかな?

 

「まぁそういう愚痴とかはよく聞かされていたな……」

 

一青は覚えがあるのか?そう言えば上弦に兄妹の鬼がいたな……

 

「でも……あんまり焦らなくてもいいと思うよ」

 

のどかは笑顔でそう言うのであった。まぁ確かに焦ってもしょうがないよな

 

 

 

 

 

 

休憩が終わり、外の作業をしているとちゆがとうじを叱っているのを見掛けた。

 

「ミスは仕方ないけど……お客様の前でため息なんて、おもてなしの心を忘れるのだけは見過ごせないわ」

 

「……はい」

 

「落ち着くまで少し休んでいなさい」

 

とうじは頷くけど、やっぱり落ち込んだまま戻っていく。

 

「とうじ、大丈夫か?」

 

「紫乃……」

 

「厳しいことを言ったって思ってるのか?」

 

「……そんなこと……少しだけあるわ。でも」

 

ちょっと落ち込むちゆだけど、僕はそっと頭を撫でる。

 

「ちゆは間違ってないよ。ちょっととうじの事は僕に任せてもらっていいか?」

 

「紫乃……うん」

 

ちゆから許可を貰い、ちゆは仕事に戻った。さて……

 

「ペギタン、いるだろう?」

 

「紫乃……」

 

茂みに隠れて様子を見ていたペギタン。僕はそんなペギタンにあることを頼んだ。

 

「ちょっとアスミにお願いしてきてくれないか?」

 

「紫乃……分かったペエ」

 

 

 

 

 

 

足湯の所で落ち込んでいるとうじを見つけた僕とアスミの二人。

 

「とうじ!」

 

「とうじさん、少しよろしいですか?」

 

アスミはとうじに撮った写真を見せながら語った。

 

「皆、それぞれいいところがあります。のどかはとても丁寧で、ひなたは周りを明るくする笑顔があって、紫乃と一青には頑張ろうとする心があります」

 

「でも僕には何もないや……お姉ちゃんがこんなにも出来るのに……」

 

「いいえ、とうじさんにも良いところがあります。それは……ちょっと不器用だけどとっても一生懸命で優しいですから」

 

ペギタンの思いをアスミが代弁してくれていた。ペギタンはとうじをライバル視しているけど、だからこそよく見ている。

とうじがずぶ濡れになったのもお客さんの子犬を守ろうとしたからだと……

 

「僕が一生懸命で優しい……」

 

「えぇ、とうじさんのことを見ていた人がそう話していたのです」

 

「えぇ!?そんな人が!?」

 

「とうじの事、認めてくれている人がいるだけでも嬉しいだろ」

 

「紫乃兄さん……」

 

「自分を他の人と比較する必要はない。頑張っている所を見てくれる人はちゃんといるのですから……」

 

とうじも元気になってきたかな?

 

 

 

 

 

作業に戻ると外から悲鳴が聞こえてきた。まさかと思い、外に出るとギガビョーゲンが暴れていた。

 

「たくっ!こんなときに出てくるなよ」

 

「ひなたたちはまだみたいだな」

 

一青と一緒に先にメガビョーゲンのところに来たけど……

 

「何で月鬼の姿なんだ?」

 

「ここだとうっかり見られるかもしれないからな」

 

あぁなるほどな……

 

「お前は隠さなくてもいいのか?」

 

「僕は……」

 

鬼の姿に変わり、刀を構えた。この姿だと角の方が目に入るから正体がばれることはない。

 

「これなら安心だ」

 

「なるほど……確かに……」

 

「紫乃!」

 

「いっくん!」

 

するとフォンテーヌたちも合流してきた。

 

「お待たせ!」

 

「ふふ、来たな!プリキュア!」

 

「グアイワルじゃん」

 

「進化した俺様のギガビョーゲンの力を見せてやる!」

 

またギガビョーゲンか……かなり手強いな……

 

「ヒョッヒョッヒョッ!お前たちの相手はこの私だ」

 

突然無数の針が僕らに向かって放たれた。僕は血鬼術で防ぐと……

 

「久しぶりだな!小僧!」

 

「変態壺か……」

 

「いや、玉壺は壺変態だろ!」

 

「変態には変わりないな」

 

「貴様ら!馬鹿にしておるのか!」

 

なんと言うか切れやすい奴だな……

 

「皆はギガビョーゲンを頼む」

 

「うん」

 

グレースたちがギガビョーゲンと戦う中、僕らは玉壺と戦う。今回のギガビョーゲンは旅館のお客様のみたいだ。

 

「余所見をするな!」

 

『蛸壺地獄!』

 

壺から放たれる蛸の足。僕と一青が避けつつ、切り落としていく

 

「なっ!?」

 

「悪いけど……あの頃よりも強くなってるからな」

 

「それにお前を一度バラバラにしたこと……忘れたのか?」

 

「ぬうううう!!」

 

悔しそうにしている玉壺。すると一匹の子犬がこちらに向かってきた。更にはそれを追うとうじ!?

 

「くそ!?」

 

僕とフォンテーヌがとうじを守りに入る。グレースたちに蹴られて倒れたギガビョーゲンが光線を放とうとしたが、それをグレースたちが妨害し、玉壺の蛸の足も一青が切り落としていく。

 

するとギガビョーゲンが暴れ、グレースたちを吹き飛ばし、その影響で飛んできた木からフォンテーヌがとうじを守りつつ、川へと落ちていった。

 

「フォンテーヌ!?」

 

「紫乃!」

 

「余所見をするな!」

 

玉壺の鋭い一撃が僕を襲い、僕も川へと落とされた。

 

何とか着地するとフォンテーヌもとうじも無事みたいだった。

 

「大丈夫?」

 

「あ、はい」

 

「よくワンちゃんを守ったわね。怖かったでしょ?」

 

「うん……でも大切なお客様だから」

 

「そう……後は私たちに任せて」

 

とうじを安全なところへと避難させると、

 

「行けるか?フォンテーヌ」

 

「えぇ!」

 

僕とフォンテーヌは戦いの場に戻り、フォンテーヌは思いの力で強化した氷のエレメントとアースの空気のエレメントの力でギガビョーゲンを吹き飛ばす。

 

「ヒョッヒョッ!戻ってきたところで真の姿に戻った私に……」

 

「真の姿に戻りすぎて安っぽいぞ」

 

「まぁどうせなら最初からその姿でいればいいのにな!」

 

「貴様ら!」

 

『血鬼術!陣殺魚鱗!』

 

自由自在に動き回る玉壺だけど……僕と一青には……

 

痣を発現させ、身構えた。

 

『雪の呼吸!捌ノ型!雪花』

 

『終ノ月!』

 

玉壺の攻撃を全て弾き、弾かれたところに一青が切り刻んだ。

 

「なっ!?」

 

「更に……おまけだ!」

 

玉壺の頭を掴み、倒れたギガビョーゲンの所へと投げつけた。

 

「みんな!頼む!」

 

「うん!」

 

『ヒーリングっとアロー!』

 

『アメイジングお手当て!準備OK!』

 

『プリキュア・ファイナルヒーリングっど・シャワー!』

 

ギガビョーゲンもろとも玉壺が浄化技に巻き込まれるのであった。

 

「な……なあああああああ!!!!!!!!」

 

『ヒーリングッパイ~』

 

無事にギガビョーゲンの浄化と玉壺が消滅するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

ギガビョーゲンにされたお客さんも無事に戻り、とうじが助けた子犬も元に戻ったお客さんに安心するのであった。

 

「僕ももっと頑張らないと」

 

「そうね」

 

「もしかして僕をずっと見てたのってお姉ちゃん?」

 

「さぁね」

 

とうじも自信がついたみたいだな。

 

「それにしても……鬼が浄化技で消滅するなんてな」

 

「過去でのどかたちがその事に気がついたみたいなんだ…………もしかしたら鬼の血=穢れみたいなものじゃないのか」

 

「だとしたらお前は巻き込まれた大変だな」

 

「まぁ……そうだな」



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92 恩人と母親

ある日のこと、授業が終わると……

 

「ねえねえ、ちゆちー、今日部活?」

 

「ううん、朝練だけ」

 

「じゃあゆめぽーと行かない?セール始まったんだよね~30%OFF!のどかっちと紫乃っちたちも」

 

「ごめんね。私、今日約束あるんだ」

 

「僕も……」

 

「俺はいいけど」

 

 

 

「紫乃が用事なんて珍しいわね」

 

「のどかっちも、家族でどっか行くの?」

 

「あのね、大好きな人に会うの」

 

「大好きな人?」

 

「僕は……帰ってくるんだよね」

 

「帰ってくる?」

 

フッと気がつくと校門の前に見知らぬ男性と……僕の

 

「おーい、のどかちゃん」

 

「紫乃ー」

 

「蜂須賀先生」

 

「母さん……」

 

「「え、えぇーーー!?」」

 

「前に聞いたけど……本当に似てるな……あいつの母親」

 

 

 

 

アスミとカナエさんも呼び、キッチンカーで一緒にジュースを飲むことになった。

 

「始めまして、紫乃の母親の橘朱実です」

 

「ほ、本当に似てる……」

 

「私も会ったことはあるけど……いざ改めてみると……本当に似てるわね」

 

「話は聞いてるわ……色々とね」

 

まぁ積もる話は後々にして…………

 

「こっちの人はのどかっちの担当の先生?」

 

「うん」

 

「まとまった休みが取れるようになってね。元気になったのどかちゃんの顔が見たくなったんだ。ここは温泉もあるしね」

 

それにしてものどかの担当の先生と母さんが一緒に来るなんて……思ってもみなかったな……

 

「お久しぶりです。朱実さん」

 

「カナエちゃんも、紫乃のことありがとうね」

 

「紫乃のお母さんは……カナエさんたちのこと知ってるんですね」

 

「えぇ、保護したときにいたからね」

 

懐かしいな……あのときのこと…………

 

のどかたちはいつの間にかラテと遊んでるし……先生もそれを見て穏やかな表情を浮かべていた。

 

「そう言えば一青」

 

「なんだ?」

 

「告白の返事どうなったんだ?」

 

「うぐっ!?」

 

この間ひなたが返事をするって言っていたけど……どうなったんだろうな?

 

「振られた?」

 

「いや、そういう訳じゃないけど…ひなたに……ゆっくり……お互いの気持ちを確かめたいって」

 

それってつまり……

 

「恋人(仮)?」

 

「仮言うな……」

 

 

 

 

 

 

 

茨木side

 

ダルイゼンがキングビョーゲンに言われるがまま、メガパーツを埋めこみ、新たな姿を得る中……

 

「紫乃に一青……少し試すか」

 

「あら?珍しくあなたが行くの?」

 

「鈴鹿……あぁ、見てみたいものがあるからな」

 

「そう……迂闊に正体がバレないようにね」

 

「…………そうそうわかるはずがない」

 

そう……今はまだ明かせないな……

 

 

 

 

 

 

 

 

家に帰るとのどかが訪ねてきた。

 

「どうしたんだ?」

 

「あのね、今日先生と一緒にご飯食べるんだけど、紫乃君たちもどうかなって」

 

何で僕たちも?と思った。こう言うのはのどかたちだけで楽しむものなのに……

 

「先生がどうしても紫乃くんと話したいって」

 

「僕に?」

 

何だろうな?あの人とは今日が初めてだし……

 

「紫乃、行ってきなさい」

 

「母さん……」

 

「多分、紫乃にとっても重要なことだから」

 

僕にとって重要ってなんだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

沢泉に来た僕。料理が出来るまでの間に先生と話すことになった。

 

「すまないね」

 

「いえ、僕もお邪魔して……」

 

「実は君とはじめて会ったときに気になっていたんだが……君はこの街の病院にいなかったかい?」

 

「!?」

 

そこは……僕が入院していた病院……どうして知ってるんだ?

 

「あそこの病院に知り合いがいてね……君の事を聞いていたんだ……」

 

「そう……なんですか……」

 

「すまないね。辛いことを思い出させて……ただもしもその時に君が元気になったとき……話ができたらと思っていたんだ」

 

「話?」

 

「のどかちゃんのことだよ……あの子は原因不明の病気で長く苦しんでいたから……」

 

そっか……先生は知らないもんな……あのときののどかには……

 

「もしかしたらのどかちゃんを救う手がかりになったかもしれないと思ったんだけど……二人とも元気になっているみたいで良かったよ」

 

この人……本当にいい先生だな



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93 お互いに頑張る力を

蜂須賀先生との話を終えて、流石にこれ以上は邪魔しちゃいけないと思い、ラビリンとラテを預かってもらっているちゆの部屋を訪れた。

 

「あら?話は終わったの?」

 

「あぁ」

 

「何だか浮かない顔をしてるけど……」

 

「なんと言うか……僕は色々とみんなに心配かけてるなって」

 

昔の話をされたのもあるけど……いざ思うと今でも心配されてるのか

 

「そうね……紫乃は無理をしすぎなのよ」

 

無理って……

 

「紫乃の病弱だった頃の事は私は知らないけど……きっと我慢していたりしてたわよね」

 

うっ……バレてる

 

「それに今も……紫乃が無理する度に私は……」

 

泣きそうになるちゆ。本当に申し訳なかった。

 

「紫乃!?ちゆを泣かせたペエ!」

 

「ちゃんと謝るラビ!」

 

「い、いや、その……ごめん」

 

僕はそう言いながらそっとちゆを抱き締めた。

 

「大丈夫よ……紫乃がそうしないといけないのは分かってるから……でもお願いだから……いなくならないで……」

 

「分かってる……もしもの時があっても戻ってくるから……」

 

「……約束よ」

 

「あぁ……」

 

本当にもしもの事が起きなければいいけどな…………

 

 

 

 

 

しばらくちゆを抱き締めていると、のどかが慌ててやって来た。話を聞くとどうにも先生が病院を辞めると言う話を聞き、その理由が自分の身体が治らなかったことが理由だった。のどかの場合は……ビョーゲンズの影響だから仕方ないけど……のどかからしてみれば自分のせいで辞めることになるのが嫌で、その原因を話した方がいいと思ったのだが……

 

「のどか……それは」

 

「分かってるけど……でも……先生は何も悪くないのに……」

 

「のどか?やはりここでしたね」

 

するとアスミがやって来た。アスミは先生がのどかを呼んでいると伝え、のどかは先生と話をしに行くのであった。

 

 

 

 

 

 

こっそり二人の話を聞くことにした僕。話を聞くと先生は病院をやめて、外国の研究機関に行くことになった。

病気で苦しんでいる多くの人を助けるために…………それを決意させたのがのどかが送った手紙だった。のどかは先生が何も力になれなかったことを恨んではおらず、励ましてくれたことにお礼を告げていた。のどかも先生もお互いに頑張る力を貰えたみたいだ

 

「本当に……誰かのために頑張れてる人は凄いよな」

 

恨んだりすることなんて出来るわけないよな……うん

 

 

 

 

 

 

 

次の日、みんなで集まっているとラテが具合悪くなり、声を聞くと先生に異変が起きたみたいだ。僕らは急いで現場に向かうとギガビョーゲンと進化したダルイゼンの姿があった。

グレースたちが必死にギガビョーゲンと戦い、僕と1青も参戦しようとするが……

 

「お前たちの相手は俺だ」

 

「茨木!」

 

茨木が真っ白な刀を持って現れた。

 

「少し遊んでやる!!」

 

茨木が大きく振りかぶった瞬間、僕の肩が切られた

 

「速い!」

 

「速いだけじゃない!」

 

「ふん!」

 

僕と一青の間に立ち、鋭い蹴りを食らわしてきた。

 

「遊びどころじゃないな」

 

「本気じゃないのか?」

 

「いいや、本気は出していない……」

 

茨木が刀を振った瞬間、僕の両腕が切り落とされる。

 

「くっ!?」

 

「まだまだだな」

 

『十二月の呼……』

 

「ふん!」

 

技を放つ前に一青を蹴り飛ばす。本当にこれで本気じゃないなんて……

 

「強くなれ……お前たち」

 

「強くなれって……」

 

「どういう……事だ……」

 

「いずれ知るだろう。そして知ったときに……お前たちの役割を知る」

 

茨木はそう言い残して消えていく。

 

「あいつ……俺たちにギガビョーゲンと戦わせないようにしていたのか?」

 

「みたいだけど……」

 

グレースたちは苦戦しながらも何とか浄化したみたいだけど……

 

「まだ…僕らは弱いのか?」

 

「いや、奴が強いだけだ…………奴だけじゃない……四鬼将全員だ……」

 

これからの戦い……かなりきついものになるかもしれない…………な……

 

 

 

 

 

 

 

「あれが紫乃たちが戦ってる敵ね」

 

「それにしても朱美さん、どうして見に?」

 

「ちょっと気になってね……あの男……まさかね」



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94迷うちゆ?

今日は秋の対抗陸上大会の日、みんなでちゆの応援に来ていた。

 

「ちゆちゃーん」

 

「いっけー」

 

「ちゆー行くペエー」

 

のどか、ひなたの応援する中、ペギタンが飛び出そうとしていたが、ラビリンたちに止められていた。

 

「ちゆ、頑張れ」

 

「みんなみたいに大声で叫ばないのか?」

 

「それは……恥ずかしいし……」

 

でもどんなに小さい声でも届いているって思っている。

 

ちゆはバーを飛び越え、次は県大会の記録越えしそうだった。

 

次の選手は西中の高美ツバサって子だ。確か……ちゆのライバルだっけ?

 

彼女が跳ぶが、バーに足が当たり、失敗してしまう。次にちゆが成功すれば…………

 

フッとちゆが僕の方を見た気がした。気のせいだよな?

 

ちゆは走り出し、高く飛び…………成功をして優勝するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夕方、キッチンカーでちゆの祝勝会を開いていた。

 

「優勝おめでとう」

 

「感動しました」

 

「だよねだよね」

 

「ありがとう」

 

「ほら、紫乃っちからも何かないの?」

 

「僕?……ちゆ、おめでとう」

 

「紫乃、ありがとう」

 

「もういつも通りなんだから~」

 

「まぁこの二人らしいけどな……」

 

いや、色々とお祝いの言葉を言いたいけど……ちゆが頑張ってきたのは分かっていたし…………ちゃんと全部込めてのおめでとうだし……

 

「ちゆちーさ、ハイジャンの選手目指さないの?」

 

「わぁ~今度は世界とか?」

 

「世界?」

 

何故か考え込むちゆ。どうしたんだろう?

 

「考えたことないわ」

 

「えぇ~もったいない。目指せばいいのに」

 

「どうして目指さないのですか?」

 

「私よりも凄い人、いっぱいいるもの」

 

「…………」

 

なんと言うか今まで考えてみなかったって感じか?まぁ僕から何か言うよりもちゆが決めたんだから仕方ないよな

 

 

 

 

 

 

 

次の日

 

校門前でちゆと挨拶を交わすと、突然益子が現れ……

 

「おはようございます」

 

「わっ!?」

 

「おっと……」

 

現れた瞬間、カメラを破壊しようとしたけど止めた

 

「た、橘さん……貴方何を……」

 

「すまん。驚いて……」

 

「まぁいいでしょう。今日は沢泉さんに独占取材をしに来ました!」

 

「取材!?私に?」

 

「オフコース!昨日の陸上大会で我が校唯一の優勝者!沢泉ちゆさん!その特集号を組むことになりました!タイトルはズバリ!『すこやか中のハイジャンプリンセス!大空を飛ぶ可憐なるその姿は鳥かはたまた蝶か!ちゆ・さわいずみ!すこやかに舞う!』」

 

「わぁ~長いタイトルだね~」

 

「ていうかダサッ」

 

「失敬ですね」

 

突っ込まれる益子。すると今度は後輩の子達が来て、ちゆに激励を送るのであった

 

 

 

放課後も見学者が多くいる中、ちゆは益子から取材を受けていた。

 

「と言うか僕もここにいていいのか?」

 

何故か僕も取材を受けるのであった。

 

「もちろん!沢泉さんのパートナーとして!橘さんにも聞かないと!」

 

「僕は……別に」

 

「ふふ」

 

すると顧問の先生が週間陸上トップからのインタビューを受けること話が出てきた。ちゆは喜んで……って様子ではなかった。

 

「それと橘くん、君も付いていってあげて」

 

「いや、何で僕も!?」

 

「いいから、お願いね」

 

何か……巻き込まれた?

 

「紫乃、ごめんね」

 

「いや、大丈夫だよ……」

 

まぁこれも乗り掛かった船だし……付き添いくらいはするか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜

 

「明日付き添いね~」

 

「と言うわけで、夕飯の当番お願いしますね。蜜璃さん」

 

「任せて!美味しいもの沢山作るから!」

 

道場へと向かいながら蜜璃さんとそんな話をしていた。そして道場に着くと実弥さんが木刀を構えて待っていた。

 

「来たか!」

 

「すみません!鍛練に付き合ってもらって……」

 

「別にいいが……お前、何で急に?」

 

「実は母さんから貰ったものがあって……」

 

それは僕の師匠が残した指南書だった。

 

「母さんが仕事でまた出掛ける前に貰って読んだんですが…………」

 

そこには雪の呼吸の最後の型が書かれていた。その型は取得が難しいみたいで、速さとしなやかさが重要だと書かれていた。

 

「多分一番近いのはお二人の呼吸だと思って…………」

 

「要するに……模擬戦で何かヒントを得ようとしているのか!いいぜ!!乗った!!」

 

「私も頑張っちゃうわ!!」

 

「よろしくお願いします!!」

 

「因みに…………お前は身体が頑丈だから……体力ギリギリまでやれるな!」

 

「えっ?」

 

「よぉし!張り切っちゃうわよ」

 

いや、張り切らなくても…………

 

 

その後、僕は柱二人相手に全力の模擬戦を行うのであった。



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95 ちゆのハイジャンプにかける思い

放課後、ちゆの付き添いで取材の様子を見ていた僕。

 

「それじゃ柔軟をしている写真を撮りながら、インタビューしますね」

 

ちゆとツバサさんの二人は柔軟をしながらインタビューに答えていた。

 

「高美さんはハイジャンプを始めたきっかけは?」

 

「小さいとき、地面を蹴って飛びあがったら、どんどん高く飛べるような気持ちになったのが始まりです。私に翼はないけど高く飛びたいって思ってます」

 

「なるほど、沢泉さんは?」

 

「私は小さいときに空を泳ぎたいって思ったのがきっかけです」

 

「へー飛びたいじゃなくって泳ぎたいなんだ」

 

「そうなの」

 

「面白いわ。貴方は空を泳ぎたい。私は飛びたい。案外似てるのかもね。私たち」

 

「友達になれそうでうれしい」

 

「ライバルでしょ」

 

「え、えぇ」

 

なんと言うかちゆとツバサさんの意識の違いみたいなものを感じるな…………まぁ友達もライバルも似てるからな

 

「そう言えば高美さんは海外に行くんでしたね」

 

「はい!親の仕事の都合で、国内での大会は先日で最後で、絶対に優勝したかったんですけど……沢泉さんに負けちゃいました。それでもそれをバネにして頑張りたいと思います」

 

それからつつがなくインタビューは終わったけど……本当に僕は付き添いだけで終わったな……まぁいいけど

 

 

 

 

 

 

ちゆの着替えを待っていると更衣室から大声が聞こえてきた。

 

『別にいいなんて思ってないわ!』

 

『あなたに負けて悔しかった。悔しくて悔しくて眠れなかった。でも自分よりも高く飛ぶ人がいた!だから私はもっと高く飛べるように練習しようって!私は世界を目指して真剣にやってるのに、貴方は!一瞬でもライバルと思った私がバカだった!』

 

『高美さん!?』

 

『私……大会のあと必死に練習して貴方の記録より高く飛んだわよ。さよなら……精々お遊びのハイジャンで頑張るといいわ』

 

これ……気まずいな……早いところ避難しないと…………

 

と思っていたら、丁度高美さんが更衣室から出てきた。

 

「貴方……沢泉さんの……彼氏?」

 

「そう言う認識はもう広まってるのか……」

 

まぁ特に隠すことはしなかったからな…………

 

「貴方は沢泉さんに対して何か言いたいこととかないの?」

 

「僕からは特には……」

 

「冷たい人ね」

 

「そう思われても仕方ないけど…………正直言うとヒントとか答えを与えることはしたくないだけなんだよ」

 

「…………」

 

「安易にそう言うことして、成長しないと思うから……」

 

まぁこれは師匠からの受け売りだけどな

 

「前言撤回するわ。沢泉さんの事、しっかり見守ってる優しい人ね」

 

「まぁこれだけは言える……ちゆはちゃんと答えを出す……あんたがこの国を去る前に……」

 

そう言うと、ツバサさんは笑みを浮かべ、去っていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、のどかの家でみんなで集まるけど、ちゆは眉間にシワを寄せて悩んでいた。心配したのどかたちはちゆに事情を聴くと……

 

「高美さんに私のハイジャンはお遊びって言われたの」

 

「えっ!?」

 

「あの西中の子?なにそれ~」

 

「私だって真剣にやってる!負けたら悔しい!でも私は……海と空が溶け合うあの青い世界に近づきたい!その思いでやってるの!それの何処がいけないの?」

 

「いけなくない!いけなくない!」

 

「彼女は海外に行くからもう日本で私と戦えないって……それで私は……ハイジャンで世界とか考えてないって……」

 

「本当にちゆちゃんと勝負したかったんだね」

 

「ちゆはちゆの思ったように飛べばいいペエ」

 

「そうそう」

 

「人それぞれ考えがあります」

 

「最初の思いを大切にすればいいラビ」

 

「初心わするるべからずって言うしな!」

 

「そうね……私は……私の思いだけは……」

 

ちゆは答えを見つけたみたいだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜

 

「よ!」

 

「紫乃?どうしたの?こんな時間に……」

 

「ちょっと鍛え直すために走ってる。ちゆは?」

 

「私は……最初に飛んだときの事を思い出していたわ」

 

「そっか……決めたのか?」

 

「えぇ……」

 

なら心配はいらないな。帰ろうとするとあることを思いだし、ちゆに聞いてみた

 

「そう言えばちゆ?」

 

「何?」

 

「この間の大会の時に、僕と目があった気がしたんだけど……」

 

「あぁ、あれは……紫乃から勇気を貰おうとしたのよ」

 

「僕から?」

 

「えぇ、紫乃は基本的には何もアドバイスとかしないけど……それは優しさから来てるものだって知ってるの。だけど……私としては少しでも勇気が欲しいから…………」

 

それで僕の方を見たのか……

 

「まぁちょっとしたおまじないみたいなものよ……」

 

「そっか」

 

「紫乃……明日……私……」

 

「見守ってるよ。ちゆ」

 

「ありがとう」

 

ちゆは満面の笑顔でそう言うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日の放課後、ちゆの練習を見つめる僕。ちゆはこの間の大会よりも5センチ高く飛ぼうとしていた。

 

「頑張ってるんだな」

 

「あぁ……」

 

気がつくと一青が隣にいた。別の場所にはのどかとひなたの姿も……

 

「ライバルと言う存在があんな風に高めあってるのかもな」

 

「俺とお前みたいにか?」

 

「そうかもな…………」

 

僕と一青もそう言う関係だ。今は共に戦う仲間だけど……

 

「いつか別の形でお前と決着をつけたいな」

 

「まぁその時は血が流れないような勝負だ」

 

「あぁ……」

 

そんなことを話していると、ちゆが成功し、何処かへと向かっていく

 

僕らはそんなちゆを追いかけていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ちゆは西中に来て、ツバサさんの事を聞いたみたいだが、帰ってしまい、また何処かへと走っていく。多分伝えたいんだな。一緒にみんなとちゆと追いかけていくと、競技場の近くでアスミと合流した瞬間、ラテが具合悪くなった。みんなはプリキュアに変身して、競技場に向かうと、そこにはギガビョーゲンが暴れていた。

 

「おぉ!?何か跳んでる!?」

 

「出たわね!プリキュアに鬼狩り!」

 

フォンテーヌがキュアスキャンするとギガビョーゲンの中にはツバサさんの姿があった。

 

「高美さん!?」

 

「あら?あんたの友達?」

 

「違う!ライバルよ」

 

「ライバル~」

 

「彼女を返しなさい!」

 

「お断り!!」

 

フォンテーヌがシンドイーネと戦う中、僕らはギガビョーゲンと戦うが、ギガビョーゲンは高く飛び上がり、バネを飛ばしてきた。僕らはそれを避けていくが、バネの反動で攻撃を喰らってしまう。

 

「みんな!?彼女のパワーをこんなことに使わせない!」

 

「ライバルなら丁度いいじゃない!いなくなった方がさ!」

 

「違う!彼女がいてくれるから私はもっと飛べるの!」

 

「ライバルなんて邪魔で目障りなムカつくだけよ!消えりゃいいのよ!」

 

「貴方には分からない!」

 

「分かりたくもないわよ!」

 

フォンテーヌがシンドイーネと激しくぶつかり合い、シンドイーネの攻撃を避け、蹴り飛ばした。

 

「紫乃!」

 

「あぁ!」

 

フォンテーヌと手を繋ぎ、ギガビョーゲンの攻撃を高く飛んで避ける。ギガビョーゲンは同じように飛んでくるが……

 

「フォンテーヌ!」

 

僕はフォンテーヌを投げ、落下しながら、ギガビョーゲンに攻撃を繰り出し、フォンテーヌは雨のエレメントボトルを使い、ギガビョーゲンを地面へと叩きつけた。シンドイーネがそんなフォンテーヌに攻撃をしようとするが……

 

「雨のエレメント!」

 

「ハアア!!」

 

アースと一青の攻撃で防いだ。

 

「今よ!」

 

『ヒーリングっとアロー!』

 

『アメイジングお手当て!準備OK!』

 

『プリキュア・ファイナルヒーリングっど・シャワー!』

 

浄化技を放ち、ギガビョーゲンを無事浄化するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「良かった……」

 

目を覚ましたツバサさんに安堵するちゆ

 

「どうして……」

 

「あのままさよならできないもの。ライバルと」

 

「あ、あの……この前はごめんなさい。あんなひどいこと言って……貴方が世界を目指さないなんて私に貴方を責める資格はないの。でもこれだけは……信じてほしいの……私、本心から貴方と……」

 

ちゆはそっと手を差し伸べながら……自分の思いを告げた。

 

「次は世界で」

 

「な…んて…」

 

「私も世界を目指すわ!もっともっと高く飛ぶ!貴方には負けないわよ!ツバサ!」

 

「ちゆ…」

 

二人は互いに認めあったライバルになった……本当にいつか見てみたいな。二人が世界の舞台で戦う姿を…………

 

 

 

 

 

 

でも…………

 

 

 

 

 

 

一青side

 

ただそこには紫乃の刀が地面に突き刺さり……フォンテーヌの紫乃を呼ぶ声だけが……響くのであった。



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96 南の島でビーチバレー

ある日の事、家に帰るとアスミからある誘いを受けた

 

「南の島に行きましょう!」

 

「はい?」

 

「今度の休みに南の島に行くことになりました。ぜひ来てください」

 

いや、話が進んでいるのだが……何でいきなり南の島に?

 

と言うかどうやって……あぁアスミのワープなら行けるけど……

 

とりあえず参加することを伝えるのであった。

 

 

 

 

そして当日

 

アスミのワープで南の島を訪れた僕ら。因みにいつものメンバーに義勇さんとしのぶさんも参加することになった

 

「ふわぁ~本当に南の島だ~」

 

「ビーチが綺麗ラビ~」

 

「日差しめっちゃつよ~UVカットクリーム効くかな?」

 

アスミはワープゲートを閉じた。本当に便利な能力だな……

 

「ありがとう。連れてきてくれて」

 

「礼はラテに伝えてください。帰りは夕方になりますよ」

 

ニャトランとペギタンの二人が波打ち際ではしゃいでいると、海のエレメントさんが現れて、僕らの事を歓迎してくれていた。

 

さて、早速遊ぼうとしていると何故かコーチ姿のラビリンと何か渋い監督の姿の格好をしたラテに止められた。

 

「これよりビーチバレー合宿を始めるラビ!」

 

どうにも二人は『燃えよ!ビーバレ』というアニメの影響を受けたみたいだった。

 

まぁ、折角だから良いかもしれないけど

 

「あれ?冨岡さん、どこ行くんですか?」

 

「どこでも良いだろう」

 

「もしかしてビーバレ出来ないんですか?」

 

「…………」

 

「まぁ仕方ないですね。苦手なら」

 

「…………苦手じゃない」

 

何か空気が不穏なんだけど……気のせいかな?

 

 

 

 

 

 

それからちゆとアスミはまさにスポーツという感じで盛り上がっていた。のどかとひなたはのんびりとやっている中…………

 

「どうしてだろうな?」

 

「あぁどうしてだろうな……」

 

僕はしのぶさんと一青は義勇さんとチームを組んで試合していたけど……

 

点はお互い取っては返しを繰り返していた。

 

「ふぅ、お二人とも熱くなってますね」

 

「まぁ何かしら決着をつけたいって話していたから……」

 

「良い機会だから……これで決着をつける!」

 

「…………だからと言って鬼化と痣を発動させるのはどうなんだ?」

 

いや、何か段々と本当に本気になってきたと言うか……

 

「ほら!行くぞ!」

 

「来い!」

 

それから休憩がかかるまでの間、全力の勝負をするのであった。なお、勝敗は…………ビーチボールが壊れたので引き分けに……

 

 

 

 

 

それからみんなでバーベキューをすることになったけど、これもしかしてちゆが持ってきたのか?

 

来るときに荷物が多かったし……

 

「それにしても他のみんなもこれたら良かったのに」

 

「まぁみんな忙しいからな……一青の方は?」

 

「誘ったけど興味ない感じだったな」

 

まぁ鬼殺隊と鬼たちが仲良くしている所……見てみたい気はあったけど……

 

 

食べ終えた後、のどかがラリーを教えてほしいと言い出した。

 

「私好きなの。手から手へボールが繋がれていくの凄く面白くって、ボールを落とさない限りずっと続いていくんだもん。だからちゃんと受け止めてちゃんと返せるようになりたいの」

 

「のどか~」

 

ラビリンも嬉しくなり、何か青春というよりスポ根が始まるのであった

 

 



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97 繋ぐボール(紫乃たちは諦める)

突然ラテの具合が悪くなった。もしかしてビョーゲンズが現れたのか?

 

「まさかすこやか市にビョーゲンズ?」

 

「困ったわね。アスミの力がまだ戻りきってないわ」

 

アスミはラテの声を聞くために聴診器をとり出し……

 

『あっちでヤシの木さんが泣いてるラテ』

 

「あっちって……」

 

「島の反対側でしょうか?」

 

「運がいいのか悪いのかだな」

 

「だけど……都合がいいかもな」

 

僕と一青が刀を抜くと、しのぶさんと義勇さんも抜いた。一旦ラテが指定した場所に行くがおらず、ラテは僕らが元いた場所をいい、戻るとグアイワルとメガビョーゲンが暴れていた。

 

「ラビ~ラビリンたちの青春が~」

 

「みんな!」

 

「「「スタート」」」

 

「「「プリキュアオペレーション」」」

 

「「重なる二つの花!キュアグレース!」」

 

「「交わる二つの流れ!キュアフォンテーヌ‼」」

 

「「溶け合う二つの光‼キュアスパークル‼」」

 

「スタート!」

 

「プリキュア!オペレーション!」

 

「エレメントレベル上昇ラテ」

 

「「キュアタッチ」」

 

「「時を経て繋がる二つの風‼キュアアース‼」」

 

「「「地球をお手当て‼」」」

 

「「「「ヒーリングっとプリキュア‼」」」」

 

のどかたちがプリキュアに変身すると、グアイワルが僕らの存在に気がついた。

 

「ちっ、こんなところにまで現れるとは!やれ!メガビョーゲン!特訓の成果を見せてやれ!」

 

「特訓ラビ!?」

 

メガビョーゲンが頭のヤシの実を取った。まさかと思うけど……

 

「赤道直下で編み出した必殺技!食らえ!激熱!赤道直下サーブ!」

 

メガビョーゲンが放った強力なサーブが地面を抉った。

 

「何だあのサーブ!?」

 

「凄い威力!?」

 

「特訓って言うのはあながら嘘じゃないみたいだな」

 

「紫乃!止められるか?」

 

「あれだと受け止めるのが難しいけど……なんとかやってみる!その間に一青としのぶさんと義勇さんはメガビョーゲンに攻撃を……」

 

するとアースがレシーブで変えそうとしていた。

 

「アース!?大丈夫?」

 

「はい!次は必ず繋ぎます!」

 

「繋げなくっていいし、避けて!」

 

何か……変なスイッチ入ってないか?すると今度はフォンテーヌが同じようにレシーブで返そうとしたが、失敗して吹き飛ばされていた。

 

「何してんの!?フォンテーヌ?」

 

「身体が勝手にレシーブを……」

 

「アスリートやばっ!?ってもしかして……」

 

「いや、そんなまさか……」

 

僕とスパークルがグレースの方を見ると、吹き飛ばされているグレースの姿があった。

 

「どうします?紫乃くん」

 

「……付き合わないとダメか?」

 

困り果てているしのぶさん……僕もこれ、どうするか悩むのであった。

 

「どうだ!この威力!この必殺技を編み出すために地獄の強化特訓をしたからな!ビシビシ鍛えてやったぞ!」

 

『メガ~』

 

何かメガビョーゲンが嫌そうな顔をしているけど……本当に辛かったんだな……

 

「そんな鬼コーチ時代遅れラビ!選手の未来を潰しちゃうラビ!」

 

「ひどい!」

 

「引くわ~」

 

「そんな歪んだ指導、アスリートとして認めるわけにはいきません!」

 

「恐怖が支配する特訓なんて無意味なんて事、ここで証明して見せるわ!」

 

何故だろう……ついていけないのは僕だけ?

 

「なぁ、俺たちどうする?」

 

「まぁ様子見てようか」

 

「そうですね……」

 

「……あぁ」

 

良かった……僕だけじゃなかった。

 

グレースたちが円陣を組み、メガビョーゲンのサーブをグレースがトスで上げ、フォンテーヌが氷のエレメントで凍らせ、アースがアタックを放つが、メガビョーゲンはそれを避ける。避けたことでグレースたちがメガビョーゲンを非難するけど……

 

「いや、普通は……」

 

「ツッコムと疲れるぞ」

 

「あ、うん」

 

そして実りのエレメントの力でボールを作り出し、プリキュアたちが繋いでいき、グレースのアタックがメガビョーゲンを吹き飛ばし、グレースの浄化技でメガビョーゲンを浄化するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

無事メガビョーゲンを浄化し終わり、のどかはもう一度円陣を組みたいという中、僕らは……

 

「今回、鬼たちがいたらどうなっていたのでしょうか……」

 

「多分……突っ込まれそうだったな」

 

「まぁのどかたちも楽しそうだからいいかもな……」

 



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98 ひなたの決意?

ある日の学校にて、英語の小テストが返ってきた。

 

「88点……まぁまぁだな」

 

「わっ!紫乃くん凄いね」

 

「一応勉強はしてるから……」

 

「私も少し点数上がったよ~」

 

のどかはそう言って見せてきた点数84点。のどかって意外と出来るんだな……

 

「ちゆちゃんは……」

 

二人でちゆの点数を見ると100点だった

 

「ちゆちゃん凄い!部活も大変でしょ?もしかして徹夜?」

 

「まさか……授業を真面目に聞いていれば、徹夜までしなくても……」

 

「不公平だ~」

 

すると恨めしそうにしながらひなたが現れる。いや、何でそんなに軽くホラーなんだよ……

 

「夜中まで勉強してもダメだった可哀想な子もいるんですよ~」

 

「…ひなたちゃんは何点だったの?」

 

ひなたが見せてくれた点数は32点。なんというか結果が実を結ばないというか…

 

「ま、まぁ、次こそ頑張れば良いのよ」

 

「そ、そうだよ。それに勉強が全てじゃないよ。ひなたちゃんは歌も上手いし、洋服のセンスもいいし」

 

「あーーー!これから友達と会う約束してたんだーー!小学校の頃に引っ越しちゃった親友で!めっちゃ楽しみ~じゃあシーユー」

 

なんというか立ち直りが早いな……

 

「親友?あぁあいつか」

 

「ん?一青は知ってるのか?」

 

「まぁな……」

 

「所で一青くんはテストどうだったの?」

 

「俺か?俺は……」

 

一青の点数は……65点だった。何か普通だな……

 

「まぁあんまり勉強してなかったからな」

 

一青らしいと言うべきなのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

一青side

 

零余子と塁を連れて買い物をしていると、落ち込んでいるひなたを見かけた。

 

「どうしたんだ?あいつ?」

 

「ねぇ、早く買い物済ませようよ」

 

「タイムセールが終わるわよ!」

 

「はいはい」

 

何か染まった零余子に促されながら、そのままスーパーに向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

次の日、ひなたからある宣言を聞かされていた。

 

「私……勉強する」

 

どうにも久しぶりに会った友達がどうにも冷たかったらしくけど……

 

「時の流れは残酷だから……もし、もし私たちが別々の高校に進学したら……」

 

のどかとちゆの二人がひなたの事を忘れてしまうと言う想像を聞かされるけど……

 

「ない」

 

「そうだよ!そんなことないよ。私たちずっと友達って約束したでしょ?」

 

「でもエリザベス……じゃなかったエリ子は五年会わないだけですっかり他人になっちゃったし……だから決めた!私、のどかっちとちゆちーと紫乃っちといっくんと一緒の高校に行く!そのためなら勉強頑張れる!私!今度こそ本気出す!」

 

燃えるひなただけど……あれ?一緒の高校に行くこと確定なのか?

 

「まぁ、ひなたが頑張ろうとしてるんだから応援しような……紫乃」

 

一青、心を読むのは止めてくれ……

 

 

 

 

 

 

そして次の日、ひなたから全然集中出来なかったみたいだった。ちゆはひなたにどんな参考書を買ったのか見せてもらうけど……

 

「記憶力が良くなるお料理レシピ」

 

「試験で緊張しない呼吸法」

 

「運を磨いて三択問題に勝つ」

 

「鉛筆転がしの極意」

 

どうにも試験勉強とは関係ないと言うか……

 

ちゆも何か引いてるし……

 

「もうみんなで協力して勉強会開いた方がいいんじゃないか?」

 

「そうね……」

 

こうしてお泊まりで勉強会を開くことになるのであった。

 



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99 エリザベスとナターシャの友情

紫乃side

 

少し遅れてひなたの家に来ると…………

 

「わからない所がわからないのがわからない」

 

「わからない所がわからないのがわからないのがわからない」

 

何か言い争っていたけど……先に来ていたのどかと一青に事情を聞くと……

 

「まぁわからない所が判らないみたいだな」

 

「うん」

 

うん、分からないけど……とりあえず終わるの待つか……

 

.因みにアスミはアスミでラテたちと遊んでいた。

 

 

 

ひなたとちゆの言い争いが終わり、勉強会を始めることに……

 

「サティスファクションって言うのは、まずサティスさんという人がいて、ハクションってくしゃみをしているビジュアルが思い浮かばない?」

 

「浮かぶ!めっちゃ浮かぶ!」

 

「えぇ!?」

 

「いや、何それ?」

 

「でね。くしゃみをするとすっきり満足するでしょ?だからサティスファクションって満足って覚えられるよ。サティスさん、お大事に」

 

「お大事に……ってそんなやり方で覚えられるのかよ!?」

 

「のどからしいというか……」

 

「のどかしか覚えられないんじゃないのか?」

 

独特な覚え方で……なんとかなるものかと思っていたら、ひなたは……

 

「覚えられる!のどかっち式連想暗記法!めっちゃ私向きかも!」

 

「本当に?じゃあhundred。百って単語覚えてみよう」

 

「うん!」

 

「hundredで思い浮かぶものは……」

 

「ハンド!手!手と言えば指が五本!ゴホンといえば風邪!風邪といえば熱!熱といえばお湯!お湯といえばお風呂!」

 

何かだんだん離れていってないか?ひなたもなんの話をしていたのか分からなくなってるし……

 

 

 

 

 

そんなこんなで寝る時間になり、僕と一青は用意された部屋で寝ることになった。

 

「そういえば…あれからお前は痣は出るようになったのか?」

 

「う~ん、どうにもみんなとは違う感じなんだよな」

 

「そうなのか?」

 

「あの時は……鬼の力がかなり低い状態だったから…………」

 

「人としてなら出せるのか……」

 

「痣を発現したまま鬼の力は扱えないし…………結構厄介な感じだな」

 

「…………だとしたら、お前はどっちで戦うんだ?」

 

「戦う?」

 

「今後……四鬼将と上弦…………鬼の状態で勝てると思うか?」

 

「それは…やってみなきゃ…」

 

「分からないか…………まぁどちらがより戦いやすいかはお前が決めた方がいいな」

 

一青はそう言って眠りにつくのであった。どちらが戦いやすいか……

 

「やるだけやってみないとな」

 

そのためにはまず…………鍛練中の技を身に付けないと…………

 

 

 

 

 

 

 

朝起きるとちゆからひなたがこの間言っていたえり子さんと話をすると聞き、僕らは何故か様子を見ていた。

 

「えっと……もうこっちの用事って済ませたの?」

 

「まだ……」

 

「そ、そっか……」

 

何か気まずい空気が流れてるんだけど……もうしばらく様子を見た方がいいか?

 

するとひなたが帰ろうとして……

 

「ごめん。やっぱ私帰る!」

 

「えっ!?」

 

これ……本当にどうなってしまうのかって言うときに、ラテの具合が悪くなった。

 

「こんなときに!?」

 

するとメガビョーゲンとシンドイーネの姿が見えた。ひなたとえり子さんが避難し、のどかたちはプリキュアに変身し、僕は鬼化し、一青は月鬼の仮面を被った。

 

「どうして変装?」

 

「うっかり見られたらまずいからな」

 

「近くにえり子さんもいるしな」

 

ちゆの問いかけにそう答えるのであった。

 

 

 

 

 

 

ひなたside

 

えり子と隠れている中、私は避難するときにえり子が言っていた言葉を思い出した

 

「えり子、さっきナターシャって……」

 

「ごめんね。本当はいっぱい話したいことあったのに……久しぶりにあったから緊張しちゃって……会いたいって思っていたのは私だけで……ナターシャはもっと仲のいい友達を見つけたのかなって……思ったらさ……そしたら楽しそうに新しい友達の事を話すから、私……焼きもち焼いちゃって……」

 

「エリザベス……」

 

良かった…絆は消えてなかったんだ…

 

するとメガビョーゲンがこっちにやって来たけど、グレースが助けに入ってくれた。私とエリザベスはフォンテーヌとアースに助けられると

 

「ありがとう」

 

「そっちも上手くいったみたいね」

 

私はニャトランと合流し、プリキュアに変身するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

メガビョーゲンの攻撃を避けるが、流石に手数が多いな……

 

「グレース!大丈夫か?」

 

「何とか」

 

「厄介だな……」

 

「あははは!たった一人でどこまでやれるかしらね?アリキュア」

 

「アリキュア?」

 

「蟻みたいにちっぽけって意味よ!さぁ踏み潰しなさい!」

 

メガビョーゲンが攻撃を仕掛けようとするが、すんでのところでフォンテーヌとスパークルが蹴りを喰らわして駆けつけてきた。

 

さらにアースの強力な蹴りを喰らわす。

 

「スパークル!今です!」

 

「キュアスキャン!」

 

キュアスキャンし、エレメントさんの場所を確認し、

 

「トリプルハートチャージ!」

 

「「届け!」」

 

「「癒しの!」」

 

「「パワー!」」

 

「「「プリキュア・ヒーリングオアシス‼」」」

 

無事浄化するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

それからひなたからえり子さんの事を紹介してもらい……

 

「そういえば…ナターシャと一青くんは……付き合い始めたの?」

 

「えっと……」

 

「それは…」

 

二人は顔を赤らめるけど……この二人……未だに恋人未満だっけな……

 

とは言え無事に問題も解決したな……

 

ただ気になるのは鬼たちが出てこないことだった……何だか……不安だな……



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100 秋を満喫

登校中、のどかからアスミがアルバイトを始めると言う話を聞かされた。

 

「饅頭屋でアルバイトか……」

 

「うん!アスミちゃん、張り切ってたよ」

 

「それでラビリンたちは秋を満喫しに行ってるのか……」

 

「そう言えば……」

 

「ん?」

 

「カナエさんと煉獄さんは仕事してるけど……他の人たちは何してるの?」

 

今更な質問だな……まぁ気になるのも無理もないか。

 

「他のみんなはアルバイトをしたり、ボランティアしたりとかだな……まぁボランティアは炭治郎たちがメインでやってるけど……」

 

多分今ごろ…………

 

 

 

 

 

ラビリンside

 

ラテ様に秋を満喫してもらうために、まずはスポーツの秋と言うことで、野球をやっていたけど、大量のゴミが溢れているのを見つけた。

 

葉っぱのエレメントさんに話を聞くとピクニックに来た人たちがゴミを捨てているらしい。だけどボランティアの人たちがゴミを集めたりしているのを見て、ラビリンたちも一緒に拾ったり注意していると…………

 

「テメェら!何ゴミを捨ててるんだ!」

 

「ヒィィィィ!?ごめんなさい!!!!!」

 

注意された人は怯えながらゴミをゴミ箱に捨てて去っていく。

そして注意したのは……

 

「不死川、お前、何やってるんだ?」

 

「あん?ヒーリングアニマル供か。ゴミ拾いだよ」

 

「に、似合わないペエ」

 

「あぁん!」

 

「ひぃ!?」

 

「不死川がゴミ拾いなんて……何故ラビ?」

 

「この間注意したら、ボランティアの奴等に手伝うように言われたんだよ!お前らも手伝ってるのか?」

 

「そうラビ」

 

「はん!ありがとうよ」

 

意外と根は優しい人ラビ。

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

美術の時間、五人で似顔絵を描いてるけど……

 

「こういうのって苦手だな」

 

「俺も……」

 

僕と一青はため息をつくのであった。こういうのは本当に苦手だな……

 

「そう言えば……ヒーリングアニマルたちは遊んでるんだっけ?」

 

「そうらしいぞ」

 

「まぁ何もなければいいけどな」

 

何か不安な人かことを言わないでくれ……一青。

 

 

 

 

 

 

ラビリンside

 

今度はみんなで芸術の秋を楽しんでいると、花に丁寧に水をやっている人たちがいた。

エレメントさんが言うにはあぁやって手間隙かけているからこそ綺麗に咲くことができるとか……

 

「おい?あれ……」

 

「狛治と恋雪ペエ」

 

「なんと言うか……」

 

声をかけるのも気を遣うくらいイチャイチャしてる……

 

「あの二人はようやくみたいラビだから……そっとしておくのがいいって紫乃が言ってたラビ」

 

 

 

 

 

次の秋を満喫するために訪れた場所は、農園だった。

だけど農家さんが作ったものだから果物は採ってはダメだけど、手前の森のものならいいと実りのエレメントさんに教えてもらうのであった。

 

人が来たので隠れるけど、うっかり子供に見つかってしまったけど、優しい農家さんと…………

 

「…………」

 

明らかにこの場所に似合わない冨岡がいた。

 

農家さんは子供に注意をし、冨岡さんは荷物運びを手伝わされていた。

 

「冨岡……何であの仕事を?」

 

「さぁペエ?」

 

「多分紫乃辺りが何かしたラビ……」

 

頭を下げたとか…………

 

 

 

 

 

 

切り株の上でのんびりしながら、みんなと出会ったことを話していたけど……

 

ペギタンがお手当てが終わったあとのことを話した。確かにお手当てが終わったら……みんなとお別れにしちゃうことに……

 

「だったらお手当てしなければいいんじゃない?」

 

突然声が聞こえて、探してみると木の上にダルイゼンの姿があった。

 

「プリキュアの姿はないけど、お前たちだけ?」

 

「そうだったらどうするだよ」

 

ダルイゼンは木から下りて、ラビリンたちに手をかざした。

 

「ここで片付けちゃってもいいかな?」

 

ラビリンたちは必死に抵抗するが……

 

「ちびっこたちだけでどうにかできるのかな?」

 

何とかラテ様だけを逃がすけど、ダルイゼンにラビリンたちは吹き飛ばされる。

 

「相変わらず威勢だけはいいみたいだな」

 

すると農家さんが止めに入ってきたけど、あっさり吹き飛ばされ、ギガビョーゲンにされてしまった。

 

「優しい農家さんのお陰でいい感じに育った」

 

ラビリンたちはギガビョーゲンが農園に向かおうとしていたが、何とか止めようとしていると……

 

「あれ~?プリキュアと別れたくないんだろ?だったらお手当てをやめればお前たちの望みは叶うんじゃない?」

 

「それは……それは違うラビ!」

 

「みんなで過ごす時間だけは失いたくない!けどな、守りたいのはそれだけじゃない!」

 

「最初は少し怖かったけど、みんなと過ごす人間界には優しい人がたくさんいて……今はちゆたちだけじゃなくみんな大事ペエ!」

 

「大好きなみんなを守るためにラビリンたちはここにいるラビ!だから……だから何を言われようと!絶対にお手当てはやめないラビ!」

 

「まぁどうせ、俺がプリキュアを潰せば一生会えなくなるけどね……」

 

「…………そうはさせない」

 

『水の呼吸!壱ノ型!水面斬り』

 

『風の呼吸!壱ノ型!迅旋風・削ぎ』

 

『破壊殺・乱式!』

 

ダルイゼン目掛けて放たれた攻撃……あれって……

 

「どうやら間に合ったな!」

 

「遅れた分、しっかりこいつらを倒す」

 

「悪いが雇い主を救わせてもらう」

 

不死川、狛治、冨岡……助けに来てくれたラビ……それに……

 

「ラビリン!」

 

「ペギタン!」

 

「ニャトラン!」

 

のどかたちが駆けつけてくれて、プリキュアに変身するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

のどかたちがプリキュアに変身し終えると、僕と一青の隣に実弥さんたちが並び立つ。

 

「一気に決めるぞ!」

 

ギガビョーゲンに仕掛けようとした瞬間、森の奥から巨大な木竜が現れ、僕らを吹き飛ばす。

 

「くっ!」

 

「こいつは……」

 

「どうやら……お前たちだけみたいだな」

 

そこにいたのは……確か半天狗の4体が合体した姿の……憎伯天……

 

「上弦か」

 

「なら、こいつはおれたちが相手してやる」

 

「紫乃……お前は……」

 

「わかっ……」

 

グレースたちの所に向かおうとした瞬間、頭に声が響いた。

 

『取り込め』

 

なんだ?今のは……

 

『取り込め』

 

この声は…………

 

『取り込め!そうすればお前は更なる力を得る!』

 

声が響く中、憎伯天の木竜に吹き飛ばされる

 

「うぐっ!?」

 

「紫乃!どうしたんだ?」

 

「なんでもない……」

 

取り込めって……なんなんだ?

 

「…………先ずは……」

 

憎伯天が手をかざした瞬間、何処からともなく酒呑が現れた。

 

「どうやら進化してるみたいだな……お前を先行させたのは良かったかもな。一青!お前の力を解放してみろ!そうすれば……」

 

「俺の……力?」

 

「色々と分かるかもな!」

 

酒呑はそう言い残して、憎伯天と共に去るのであった。

グレースたちも何とかギガビョーゲンを浄化したみたいだけど……

 

「何だったんだ……」

 

あの声は……一度だけ聞いたことが…………でも……

 

 

 

 

 

 

それから農家さんがお礼にたくさんの果物をくれて、めいさんのお店でジュースにしてもらってみんなで秋を満喫するが……僕はあの声がなんなのか気になって仕方なかった

 



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101 ちゆの悩み

久しぶりの更新ですみません


ある日の沢泉家

 

「姉ちゃん凄い!今度は新聞に載るなんて」

 

「本当ね~」

 

「もう大騒ぎしないで、新聞にちょっと載せてもらっただけなんだから」

 

沢泉家ではちゆが新聞に載ったことに関して大盛り上がりだった。まぁちゆの評価がそれだけ高いということだな。

 

「所で……紫乃?」

 

「ん?」

 

「普通にいて驚いてるんだけど…………何で家にいるの?」

 

「あぁそれは……」

 

朝ランニングしていたときに、ちゆのお母さんに声をかけられて、そのままお邪魔することに…………

 

「紫乃くんは将来的にちゆのお婿になるのだからね」

 

「もう///」

 

満更でもなさそうなちゆ。とりあえずお茶を飲んだら帰るかなと思っていたら…………

ちゆの家族はちゆにはハイジャンプに集中してもらおうと言う話になった。その間女将の修行はとうじが頑張ることになり、とうじも乗り気だけど…………ちゆだけは浮かない顔をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

授業中でもちゆはずっと浮かない顔をしていて、集中も出来ていないみたいだった。のどかとひなたもそれに気がついていた。

 

 

 

そんなお昼休みのこと、ベンチでのどかが事情を聞いた。

 

「ちゆちゃん、何か悩みごと?」

 

「あ、もしかして……今度はテレビの取材が来たとか?そしたら私たちも一緒に……」

 

「ううん、そんなんじゃなくって……」

 

ちゆは今朝の話をのどか、ひなた、一青に話した。

 

「それじゃとうじくんが旅館やるの?」

 

「えぇ、でも……小さい頃からずっと自分が女将をやると思っていたから……何だか不思議な感じね」

 

「でもちゆちー、これでハイジャンに集中できるじゃん。世界へジャーンプでしょ?」

 

「世界へ……そう……そうよね……そのためにはもっと頑張らないと……これからはハイジャンに専念してみるわ」

 

答えが見つかったみたいだけど……

 

「本当に……それでいいのかね?」

 

「小声で言わずに普通に言ったらどうだ?」

 

「いや、僕はあえて言わないよ。その方が……」

 

「お前の拘りはいいけど……たまには力になってやれ。答えは出てるんだろ」

 

一青の言う通りだけど……それは果たしてちゆが望む答えなのか……

 

「それよりもお前……大丈夫か?」

 

「何が?」

 

「この間の戦い……声が聞こえたとか言ってたろ。まさかと思うけど……鬼舞辻の……」

 

「いや、鬼舞辻じゃない」

 

何度か声は聞いたことあったけど……この間の声は鬼舞辻じゃなかった。ただどこかで聞いたことなのは確かだ

 

あの声は……それに喰らえて……

 

「鬼としての力がまた覚醒しかけてるのかもな」

 

「そうか……」

 

そう言えば一青も忌み子と呼ばれてるらしいけど……何かしらの力があるのか?

本人にはあえて聞かないようにはしてるけど…………

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、みんなでちゆの練習を見学していたけど…………途中からアスミが合流したが…………どうにもちゆの調子が悪い。ペギタンもそれに気がついていたみたいだけど…………

 

「たまには答えを教えるべきか……」

 

我ながらめんどくさいことに拘ってるな…………

 

「紫乃くん、どうかしたの?」

 

家で考え事をしていると、禰豆子が声をかけてきた。

 

「ん…いや…めんどくさい性格してるなって」

 

「紫乃くんが?」

 

「まぁ……な」

 

本当に……どうしたものか……禰頭子にちゆの事を話すと…………

 

「どっちにするのか悩んでる感じ?」

 

「多分な…………僕には分からないことだよ」

 

夢とかそう言うのなかったし……

 

「そうなの?小さいときとか」

 

「いや、小さいときは……」

 

小さい頃の夢はかなり恥ずかしい…………正直誰にも話したくないけど…………

 

「どうすればいいのか答えを出すのはちゆちゃんだけど……紫乃くんはたまには素直になったら?」

 

素直にか……それも悪くないな…………

 

「とりあえずちゆのところに行ってみるよ」

 

「それならさっき海岸の方に走っていったよ」

 

「わかった」

 

ちゃんと話をするか。



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102 どっちも選ぶ道

ちゆと話すために多分いるだろうなと思った海岸に来ると……

 

「ハイジャンで世界にいきたーーーーい!!!でも!旅館も好きーーー!!」

 

ストレスが溜まってるからかやっぱり叫んでいた。

 

「ここにいたか。ちゆ」

 

「紫乃!?」

 

「ちゆーーー」

 

「ペギタンまで……」

 

「やっぱりちゆはここにいたペエ」

 

「悩んでるんだろ。どっちにするか」

 

「あ……」

 

「それなら……」

 

いいかけた瞬間、悲鳴が聞こえてきた。悲鳴の方を見るとギガビョーゲンが暴れまわっていた。

 

「話は後だ!」

 

「えぇ!」

 

「スタート!」

 

「プリキュア ・オペレーション!」

 

「エレメントレベル上昇ペエ!」

 

「「キュアタッチ」」

 

「「交わる二つの流れ!キュアフォンテーヌ‼」」

 

ちゆがプリキュアに変身し、一緒にギガビョーゲンの前に立ち塞がった。

 

「シンドイーネ……」

 

「あ~ら、今日は二人だけ?ま、精々足掻くがいいわ。蝕んじゃってギガビョーゲン!」

 

ギガビョーゲンが高く飛び上がる。サーファーだからなのか?まぁいい!僕とフォンテーヌは攻撃を避け、僕は追撃を喰らわせようとしていた。

 

『雪の……』

 

『血鬼術!凍て曇り!』

 

突然氷の霧が迫ってきた。僕は咄嗟に避けるが……

 

「ぐ!?」

 

「あれ~?避けられちゃったか。まぁいいや。俺も遊ばせてよ」

 

「ちっ、童磨か……」

 

避けたけど、左腕が凍りついてしまった。

 

「何よ?鬼神の命令できたの?」

 

「ちがうちがう。ただの暇つぶし。さぁ遊ぼうよ。鬼擬き」

 

「紫乃!?」

 

「大丈夫……フォンテーヌはギガビョーゲンを頼む」

 

片手で何とか構えるけど……結構厳しいかもしれないな

 

フォンテーヌはギガビョーゲンの攻撃を難なく避けていく

 

「もう!私のキングビョーゲン様への一途な愛を邪魔するんじゃないわよ!」

 

「一途……」

 

「そうよ!私はずっとずっとキングビョーゲン様を思ってやってきた!この一途な思いがあってこそ!キングビョーゲン様の愛をつかめるのよ!」

 

「一途な思い……」

 

「フォンテーヌ!避けろ!」

 

「えっ?きゃあ!?」

 

ギガビョーゲンの後ろからの攻撃を喰らい、吹き飛ばされるフォンテーヌ。すぐに助けに入ろうとしたが…………

 

「余所見してていいのかな?」

 

『血鬼術!蔓蓮華』

 

氷の蔓が襲いかかってきて、僕は全部弾くが……

 

『冬ざれ氷柱』

 

無数の氷柱が身体中に突き刺さった。

 

「がぁ!?」

 

「どうしたの?鬼化して再生しなよ」

 

「くっ……」

 

何とか引き抜くけど……再生ができない……これは……傷口が凍らされた!?

 

「紫乃……」

 

「フォンテーヌ!?紫乃くん!?」

 

ビョーゲンズを感知して、のどかたちがやって来て、プリキュアに変身した。

 

「紫乃、お前は海の中に飛び込め!それで何とか凍らされた箇所が溶けるはずだ」

 

「そうか……一青、少し任せる」

 

「今度は裏切り者か。暇潰しが面白くなってきたよ」

 

『血鬼術!散り蓮華』

 

無数の氷の刃が一青に迫るが……一青は痣を発現し

 

『十二月の呼吸!終ノ月!』

 

全ての刃を切り裂いていく。

 

「すごいすごい!どれくらい耐えきれるかな?」

 

早く戻らないと……凍りついた身体を何とか動かしていくと、膝をついたままのフォンテーヌが目に入った。

 

「シンドイーネの言う通りかもしれない。何事も一途な思いに敵わない。なのに私はハイジャンと旅館……どっち付かず……」

 

「それでいいペエ!どっちも好きなんだからどっちもやっちゃえばいいペエ!ちゆなら出来るペエ!僕はずっと頑張るちゆを見てきたペエ!ハイジャンも女将修行も、それにプリキュアも、どれも手を抜いたりしないで、頑張ってきたちゆなら、絶対できるペエ!それでもまだ勇気が足りないなら僕の分けてあげるペエ」

 

「は!」

 

「ペギタンの言う通りだよ…………どれかひとつなんて選ばずに…………全部やればいい」

 

「紫乃……そう、そうよね……私はずっとチャレンジしてきた。ハイジャンも旅館も……全部好きだからやってこれた」

 

「辛くても……僕が支えるから……それが僕の夢だったからな」

 

「どういうこと?」

 

「思い出したんだよ……子供の頃の夢を……大好きなちゆを支えられるように強くなるって」

 

「紫乃……ありがとう」

 

笑顔を見せるフォンテーヌ。その瞬間、凍りついた身体がもとに戻った。溶けた?違うこれは…………

 

『喰らったんだ。それが成長したお前の力だ』

 

誰だか知らないけど……これなら!

 

「あははは!あんたたちの望みなんて何一つ叶うもんですか!叶うのは地球を蝕むというキングビョーゲン様の望みだけ!」

 

「そんなことない!誰の望みだってビョーゲンズなんかに邪魔なんてさせない!」

 

フォンテーヌとシンドイーネが戦う中、僕は童磨の所へいき、童磨は血鬼術を発動させようとしていた。

 

『寒烈の白姫!』

 

「させるか!」

 

僕は一青の前に出て、両手を前に突き出すと、童磨の血鬼術が僕の身体に吸い込まれた。

 

「なっ!?」

 

「お前、それ……」

 

「奴の動きは僕が封じるからその間に奴の首を!」

 

僕は鬼化して、血を凍らせて作った氷柱を童磨に向かって放つ

 

『血鬼術!血癒凍り!』

 

童磨の身体を貫くと、氷柱が童磨の身体を凍らせて動きを封じた。その瞬間、一青が童磨の首を切ろうとするが……

 

「ここで死ぬわけにはいかないんだよね」

 

凍らされた箇所を無理矢理千切り、童磨は撤退するのであった。

 

「逃げられたか」

 

「それがお前の新しい力か?」

 

「みたいだよ…………後は……」

 

フォンテーヌたちの方を見ると、ギガビョーゲンの攻撃に苦戦していたが、フォンテーヌが雨のエレメントを使い、ギガビョーゲンの動きを封じた。そして……

 

『ヒーリングアニマルパワー全開!』

 

『アメイジングお手当て!準備OK!』

 

「プリキュア・ファイナルヒーリングっど・シャワー!」

 

ヒーリングっど・シャワーでギガビョーゲンを浄化するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無事に浄化し終わり、ちゆも悩みが解決して満足そうにする。

 

「紫乃、ありがとう」

 

「僕は別に……言いたいことはペギタンが全部言ってくれたから」

 

「それでもありがとう。そしてこれからも……紫乃?」

 

「どうした?ちゆ?」

 

「右頬、治ってないみたいよ」

 

ちゆに言われて頬に触れると確かに治ってなく、血が流れていたけど……直ぐに再生した。

 

「大丈夫?」

 

「あぁ」

 

心配するちゆだけど、僕は笑顔で返すのであった。

 

 

だけど…………この時気づいていなかった。ほんの少しだけ、頬の傷から塵みたいなものが出ていたことに、僕もみんなも…………



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103 突入!ビョーゲンキングダム!

「と言う夢を見たんだよね~」

 

教室でひなたがある夢の話をしていた。その内容は、どうにもビョーゲンズが改心したと言う夢らしいけど……

 

「でもその夢、正夢になるといいね~」

 

「えっ!?流石に困るよ~タピオカ千年分なんて~」

 

「そこじゃないよ~」

 

「ダルイゼンたちの話」

 

「あ、そっちね」

 

「キングビョーゲンはどうなったの?」

 

「あ…」

 

「ダルイゼンたちがいい人になってもキングビョーゲンがいる限り、健やかな毎日はやってこないんじゃないの?」

 

「えぇ~でも私、キングビョーゲン見たことないし……いっくん見たことは?」

 

「ないな。俺の場合はたまにあそこに行くくらいだったし……」

 

「鬼神たちは会ったこととかあるのか?」

 

「それはあるな……」

 

のどかは想像で描いた絵を見たけど、王さまみたいな感じだ……

 

「どんな奴なんだろうな?」

 

ちょっと気になる僕であった。

 

 

 

 

 

 

 

そしてある日の休日、みんなと遊びに出掛けるために待ち合わせをしていると、のどかはひなたから連絡を受けた。その内容は……

 

「ビョーゲンキングダムの入り口を見つけた!?」

 

「そうみたい……」

 

「グアイワルが入り口を開けたまま……そういうことあるのかしら?」

 

「……罠だな……とりあえず見てみないことに」

 

一青の言う通りだな。だけどその前に……僕はメッセージを入れておくのであった。

 

 

 

 

 

ひなたが見つけた入り口の場所に行くと、確かに開いたままだった。

 

「どう思う?」

 

「罠ね。わざわざ開けたままにしておく必要がないもの」

 

「でもここを通ればビョーゲンキングダムに……」

 

「おいおい!」

 

「確かにキングビョーゲンを浄化するチャンスだよね」

 

ラビリンものどかの意見に賛成なのか頷いた。

 

「キングビョーゲンとはどれくらいの強さなのですか?」

 

「すっごく強いラビ」

 

「テアティーヌ様ですら浄化しきれなかったくらいだペエ」

 

「今の俺たちじゃ勝てねぇだろな……」

 

「でも……」

 

「でも?」

 

「テアティーヌ様と相討ちになって、今のキングビョーゲンは弱ってるはずペエ」

 

「もしかしたら……」

 

「何言ってるんだ!ビョーゲンキングダムがどれだけ危険な場所なのか俺たちですら分からねぇんだぞ!そんなところにひなたたちを連れていけるか!」

 

ニャトランだけ反対か……まぁこちらの戦力的に、俺と一青、のどかたち、それに僕が呼んだ杏寿郎さんとカナエさんだけだから……

 

「行こうよ」

 

「おまっ!?ちゃんと考えろよ!」

 

「考えたよ」

 

「興味本意で行こうとかそう言うことで……」

 

「違うよ!前の私なら無理やめようとか思ってたかもしれないけど、無理って諦めたと思う。でもやってみたら何か変わるって思ったから!チャンスだよ!行った方がいいと思う!」

 

ひなたも変わったな……

 

「行くか!」

 

「それなら紫乃くん、これを……」

 

カナエさんが渡してきたのは鬼殺隊の制服だった。これ……

 

「こう言うときに気合いが入ると思ってね」

 

「うむ!紫乃にはもう相応しいからな!」

 

そっか、ありがとう!

僕は鬼殺隊の制服を着ると……

 

「一青は?」

 

「俺はいいよ。今のままで充分だ」

 

そう言いながら、刀をとり出し、閉じかけようとしていた入り口に僕らは飛び込むのであった。

 

 

 

 

 

 

 

通り抜けた先は薄暗い洞窟みたいな場所だった。

 

みんなで先へと進んでいくと…………道案内の立て看板が……

 

「こっちだって~」

 

「いや~道先を教えてくれるなんてビョーゲンズは優しいな~ってわざわざ教えてくれるやついないだろ!」

 

ノリツッコミをするニャトラン。一旦確かめるためにアスミが看板とは違う道を進むと罠が発動した。だけどアスミは上手く回避するのであった。

 

信用していいのか分からないけど……看板通りに進んでいくと…………ラテが何かを感じとり、洞窟を抜けると、広い場所に出た。そしてそこには…………

 

『ほう!ネズミが紛れ込んだと思ったら、ヒーリングアニマルたちか。ならばその人間たちがプリキュアか』

 

声が響いてきた。辺りを見渡すと空に巨大な顔みたいなものが……あれが……キングビョーゲン……

 

『ここに足を踏み入れたと言うことは命は要らないと言うことか!』

 

「ラビリンたちが来たからにはもう好き勝手させないラビ!」

 

「テアティーヌ様に託されたヒーリングアニマルの代表として!」

 

「お前が地球を蝕むのをここで止めてみせるぜ!」

 

『面白い!それに鬼狩りがいるなら!憎伯天よ!』

 

「呼んだか?ほう!ここにまで来るとはな」

 

「みんな……いくよ!」

 

のどかたちはプリキュアに変身し、僕らも刀を構えるのであった。



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104 キングビョーゲン浄化?定められた宿命

『あれがキュアアースか!報告通り古のプリキュアに似ている!その実力はいかほどかな?』

 

キングビョーゲンが無数の光弾を放ち、グレースたちが攻撃を避ける。

 

「よそ見をするな!」

 

すると巨大な木竜が僕に迫ってくるが、僕は手をかざし、憎伯天の血鬼術を吸収した。

 

「ちっ!」

 

「相性的には僕が戦うべきだな。一青たちはグレースたちのサポートを!」

 

「いや、お前の相手は俺だ」

 

空から何が降ってきた瞬間、僕の右腕が切り落とされた。こいつは…………茨木!?

 

「憎伯天、お前は残りの奴をやれ」

 

「分かった」

 

「うむ!面白い!カナエと一青はプリキュアの方に!こいつは俺が斬る!」

 

「煉獄さん……分かりました!」

 

「二人とも無理するなよ」

 

それぞれ分かれて戦うことになったが……さて……気合いを入れるか

 

 

 

 

 

 

一青side

 

アースが攻撃を避けながら、キングビョーゲンにキックを喰らわそうとするが、すり抜けてしまう。

 

『無駄だ!』

 

そのままキングビョーゲンの攻撃を直撃するアース。こいつ、実態がないのか?

 

『鬼神のお気に入りか……面白い!どれ程のものか試してやる!』

 

光弾が俺の方に放たれる。俺は避けていくと、グレースたちがエレメントボトルの力で応戦するが…………切りがないみたいだが……突然キングビョーゲンの攻撃が止まる

 

「止まった?」

 

「油断するな!みんな!」

 

すると地面から黒い鬼みたいなものが五体現れ、それぞれに向かっていく。

 

「花の……きゃあ!?」

 

「十二月の……くっ!?」

 

見た目が雑魚みたいなのに……こいつら強い!?

 

『お前たちが戦いやすいようにしてやった』

 

だからって……強すぎだろ……

 

グレースたちはアースのサポートで距離を取ると、

 

「プリキュア!ヒーリングフラワー!」

 

「プリキュア!ヒーリングストリーム!」

 

「プリキュア!ヒーリングフラーシュ!」

 

『花の呼吸!伍ノ型!徒の芍薬!』

 

『十二月の呼吸!参の月弥夜李‼』

 

一瞬の隙をついて、俺たちも攻撃をくり出し、吹き飛ばすが…………敵は無傷だった。

 

敵は更に強めの攻撃をくり出し、俺たちは吹き飛ばされるのであった。そして助けに入ろうとするアースもキングビョーゲンの攻撃で吹き飛ばされた。

 

『お前たち、その程度の力でよくプリキュアを名乗れたものだな』

 

くっ……強すぎる……

 

 

 

 

 

 

 

 

杏寿郎side

 

鬼の血鬼術……迫り来る枝を切り落とすが、やはり尽きないか

 

「防ぐばかりでいいのか?あいつらやられているぞ」

 

「確かに……助けに行くためにはお前を速攻で倒した方がいいが…………その前に終わる」

 

「何?」

 

「皆、既に立派な戦士だ!だからこそ!安心してお前を倒すことに専念できる!」

 

「ふっ!その結果……惨たらしく死ぬのは奴等の方だ!」

 

「それはどうかな?」

 

気がつくと赤い雨が降りだしてきた。紫乃がサポートしてくれているのだな

 

「ちっ!面倒な……だが……」

 

『炎の呼吸!壱ノ型!不知火!』

 

鬼が技を放とうとしたが……その前に首を切り落とした。強くなっているからか、気づかなかったか…………ほんの少し動きが鈍くなっていることを……

 

「お前の敗因は…………油断だ」

 

「くっ……ふふふ、油断か……ならお前たちは…………気づかなかったことだな」

 

死に際の台詞…………どう言うことだ?

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

何とかサポートしていくけど……

 

「どうした?動きが鈍いぞ」

 

「はぁ……はぁ……」

 

血鬼術吸収をしてから、どうにもダメだ……何だ?この疲労は……

 

「お前には重すぎるみたいだな」

 

「何がだ……」

 

「鬼の力を秘め、鬼とビョーゲンズを浄化する力に、痣、そして吸収……強い力を宿し続けていけばいくほど、お前は滅びの道を進む」

 

「何を…………うくっ!?」

 

突然右腕が落とされた。再生したのに……いつの間に……いや、これは……

 

「崩れ落ちた?」

 

「反動だ。お前が吸収するたびに…………鬼の力に身体が耐えきれなくなる」

 

「そんなもの……」

 

「気合いでどうにかなると思うか?お前には重すぎるんだよ!力も!宿命も!」

 

宿命?どう言うことだよ…………

 

「お前はあの裏切り者にも、鬼神にも宿命を定められているのだ!」

 

「訳の分からないことを…………」

 

僕は茨木に突っ込んでいくが……茨木は刀を構えた……あの構えは!?

 

『雪の呼吸!漆ノ型!刃雪!』

 

放たれた一撃が右肩を抉り、僕は吹き飛ばされた。何だ……何で……こいつが師匠の…………

 

「警告しておく。これ以上は吸収の力を使うな……お前にはまだ早い!」

 

「お前は…………」

 

「キングビョーゲン!俺は帰るぞ!」

 

『好きにしろ!』

 

茨木は姿を消すと、僕はみんなが倒れていることに気がついた…………くそ……

 

『役立たずのヒーリングアニマルと力のない王女が束になってもどうてことはない!』

 

言いたい放題だな……色々と考えなきゃいけないことがあるのに…………

 

僕は何とか立ちあがり、構えた。

 

『無駄な足掻きを!そのボロボロの身体で我に勝てるとでも思っているのか!』

 

「勝つ!それだけしか今は考えない!」

 

『血癒ノ雨!』

 

再び雨を降らせていく。そして、弱気になってるラビリンたちに向かって叫んだ!

 

「諦めるな!」

 

「紫乃~」

 

「でも……」

 

「お前、その身体で……」

 

「お前らは半人前じゃない!グレースたちがいるだろ!一緒に頑張ってきただろ!」

 

僕の叫びと共にグレースたちが立ち上がる。

 

「お前たちは半人前でも……お手当てしたい気持ちは……強くなっただろ!」

 

「そうだよ……ラビリン……」

 

みんな、立ち上がった。僕は力を振り絞り、キングビョーゲンに向かって、血鬼術を放った

 

『血鬼術!血癒木竜!』

 

血の色に染まった木竜がキングビョーゲンに当たり、ほんの少しダメージを与えた瞬間、僕の左足が崩れた。

 

「今だ!」

 

『ヒーリングアニマルパワー全開!』

 

『アメイジングお手当て!準備OK!』

 

「プリキュア・ファイナルヒーリングっど・シャワー!」

 

『グオオオオオオオオ!?』

 

浄化技を喰らい、キングビョーゲンの断末魔が響く。キングビョーゲンを浄化できたのか?

 

 

 

 

 

 

 

グレースたちも喜び合う中、僕は一青に支えられていた

 

「再生できるのか?」

 

「多分……それと後で聞きたいことがあるんだ」

 

「分かった」

 

今は勝利を喜ばないと…………だけど……

 

「礼を言うぞ。プリキュア」

 

突然グアイワルが姿を現すのであった。



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105 キンググアイワル誕生

キングビョーゲンを浄化したのも束の間、突然現れたグアイワル。

 

「礼を言う?」

 

「どういうことラビ?」

 

「そのままの意味だ。お前たちは俺の作戦通り、キングビョーゲンを片付けてくれとのだからな!」

 

「作戦?」

 

「何でお前がキングビョーゲンを?」

 

「ふん!決まっている!」

 

グアイワルは大量のメガパーツを取り込み、更なる進化を遂げた。

 

「俺がキングになるためだ!」

 

王様みたいな見た目に変わったグアイワル。なるほどな……そのために僕らを利用したのか……

 

「いいぞ!力がみなぎっている!キンググアイワルの誕生だ!」

 

「キンググアイワル……」

 

するとシンドイーネとダルイゼンの二人が現れ、進化したグアイワルを見て驚いていた。

 

「グアイワル、その姿……どういうことだ?」

 

「いいところに来たな。喜べ!今日からこのキンググアイワルがビョーゲンキングダムの王だ!」

 

「はぁ?冗談はあんたの筋肉だけにしなさいよ」

 

「冗談ではない!俺はずっと考えていた。あんな浮いているだけの靄より俺こそがキングに相応しい!だから!邪魔物はプリキュアに片付けさせた!」

 

鬼たちは……いない?見限ったのか?それとも……グアイワルと組んでいるのか?

 

「良くて相打ちかと思ったが、最後まで片付けてくれるとは!悪くない働きだったぞ!プリキュア!」

 

「嘘よ!キングビョーゲン様がプリキュアなんかに負けるはずない!」

 

「でも気配が感じない」

 

「うぅ~嫌よ!私は絶対キングビョーゲン様を見つけてみせる!あんたなんか認めない!」

 

シンドイーネはそういい残して姿を消すのであった。

 

「お前はどうする?ダルイゼン」

 

「別に、俺は誰がキングだってどうでもいい。地球を蝕んで住み心地のいい世界になればいいから」

 

「ならば見ていろ!プリキュアと鬼狩りを片付けて!直ぐに地球を蝕んでやる!」

 

グアイワルが向かっていく中、僕は戦おうとするが……

 

「お前は寝てろ!」

 

「紫乃くん、ここで一緒に……」

 

一青は僕をカナエさんに預けて、グレースたちと一緒に向かっていく。

 

「くそ……」

 

「今の状態じゃ戦うのは無理よ……ゆっくり身体を治して」

 

見ていることしか出来ないのか……

 

グアイワルは強大な力でグレースたちを圧倒していく。杏寿朗さんと一青の二人の斬撃を簡単に受け止め、スパークルの火のエレメントをそのまま弾いていった。

 

全員でかかるが、グレースとフォンテーヌを吹き飛ばし、二人は変身を解除してしまった。

 

「くそ……カナエさんは……二人を」

 

「でも!」

 

「いいから!」

 

何かしらサポートしないと!

スパークルがヒーリングフラッシュを放つが、グアイワルがそれを弾いた。

 

「甘いわ!」

 

スパークルが殴られ、変身を解除されてしまう。

 

「アース!」

 

一瞬の隙をついて……みんなを逃がさないと…………血鬼術を使おうとした瞬間、

 

『惑血!視角夢幻の香』

 

突然不思議な紋様が辺りを包み込んだ。

 

「ぬぅ!なんだこれは!」

 

「今のうちに……」

 

声が聞こえた瞬間、僕は杏寿朗さんに抱えられた。

 

「一旦引くぞ!」

 

「みんなは?」

 

「安心しろ!無事だ」

 

一旦安全なところに避難することになった僕たちであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

遠くから戦いを見つめていた鬼神。

 

『キングビョーゲン……お前の計画は順調のようだな』

 

浄化されたはずのキングビョーゲンに語りかける。

 

『お前が地球を蝕めば……私の計画も成就する』



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106 ひなたの後悔

「ん…」

 

「気がついたみたいだな。のどか」

 

気絶していたのどかが目を覚ますと、僕の身体を見て、戸惑っていた。

 

「紫乃くん…その身体……」

 

「ちょっと……無理しすぎて…………どうにも治らなくなってる」

 

少し時間が経てばなおるかと思ったけど…………そう言うことじゃないみたいだな

 

「紫乃くん……」

 

「今は僕の事よりキンググアイワルだ……正直強すぎだろ……あれ……」

 

「はい……逃げるのが精一杯でした」

 

戦闘続きとは言え、明らかなパワーアップ……対抗するにしてもどうしたものか……それに今からどう動くか……

 

「もう一度キンググアイワルを浄化しに行こう」

 

「のどか……」

 

圧倒的な強さを見せつけられたのにも関わらず……にか?

 

「放っておけないよ……このままじゃもっと悪いことが起こるかもしれない……」

 

確かに放置できないよな……

 

「そうね。やるしかないわね」

 

ちゆもアスミものどかの意見に賛成みたいだな。するとラテが具合悪くなり、声を聞いてみると……

 

『みんなの町が泣いてるラテ』

 

まさかすこやか市が蝕まれてるのか……何とか戻らないといけないが、アスミのワープで戻れないかとちゆが聞くが、ビョーゲンキングダムが完全に蝕まれているせいでそれもできない……詰んだか?いや……まだだな。念のために保険を掛けておいたからそれまでは……

 

「ごめん、全部私のせいだ……私がグアイワルの罠にはまったせいで……取り返しのつかないことしちゃった……」

 

「ひなたちゃん、そんなことないよ……」

 

「そんなことあるよ!だって……ニャトランが反対したのに私が行こうって言ったせいで……みんなも地球も……困っちゃってるじゃん……」

 

「こんなことになるなんて……誰も思わなかったわよ……」

 

「分かってた……何やっても私は……私は……失敗する……ちゃんと考えたつもりでも……迷惑かけて……紫乃っちはあんな身体になって……やっぱり私……何もしなきゃ良かった…………」

 

泣きながら後悔するひなた……あまり自分の事を責めるなと言おうとした瞬間……

 

「てい!」

 

一青がチョップを喰らわした。

 

「い、いっくん?」

 

「失敗したことを後悔するなよ……」

 

「で、でも……」

 

「そうだよ。おまえ、失敗したことばっかり考えるなよ」

 

ニャトランも励まし始めた。

 

「それに紫乃のアレは自業自得だろ」

 

「おい……」

 

いや、そうだけど…………

 

「成功したことを考えろよ。俺と話したときとかさ」

 

「あ……」

 

そういえば一青がこうして一緒にいられるようになったのもひなたのお陰だったな

 

「それに……お前は泣いてるより……笑ってる方が……いいぞ」

 

「いっくん……」

 

ひなたも元気を取り戻したのはいいけど…………何か見せつけられている気がするのは気のせいか?

 

「それに……紫乃、お前の事だ。保険かけてるだろ」

 

『保険?』

 

のどかたちが僕の方を見てハモった。流石に……

 

「バレてたか」

 

「敵の本拠地に向かうのに、鬼殺隊から二人って言うのもおかしいだろ」

 

「念には念を入れておきたかったから…………」

 

「どう言うこと?」

 

「ちゆ、どれくらい持つか分からないけど、アッチは思った以上に蝕まれてないはずだよ……何せ」

 

「あ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グアイワルside

 

「どう言うことだ?」

 

思った以上に蝕まれてない……まさか……

 

「鬼狩りか!?」

 

まさか……邪魔されるとは……だが……

 

「それも時間の問題だ!」

 

プリキュアがいなければ浄化は無理だ

 

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

あっちに戻る方法を話し合っていると、ラテがあることに気がつき、浄化技でもしかしたらあっちと繋がるゲートを空けられると言う話になったが……

 

「あっちは大丈夫だとしても……」

 

片腕と片足を失ってる状態じゃ……戦いは無理だな

 

「みんな、悪いけど……」

 

戻るとしても僕は置いていって欲しいと伝えようとした瞬間、誰かがこっちにやって来た

 

「誰だ!」

 

一青、杏寿朗さん、カナエさんが身構えると、現れたのは……

 

「お久し振りです……と言うべきですね」

 

珠世さんだった。やっぱり助けてくれたのは……

 

「紫乃くん……少し失礼します」

 

珠世さんはそう言って、僕に注射をすると再生できてなかった部分が再生した

 

「回復剤を打ちました。とは言え力の反動は消えた訳じゃないので……」

 

「あ、あの……珠世さんって……紫乃くんの」

 

のどかが僕と珠世さんの関係を話そうとした瞬間、珠世さんは悲しそうな顔をした

 

「彼と私の関係は限りなく小さい可能性……だからと言って喜ぶことは…………」

 

珠世さん…………

 

「私は貴方たちを助けるようにと宗一に言われてきました。後は……」

 

「みーつけた」

 

珠世さんがいいかけた瞬間……ダルイゼンに見つかった。のどかたちはプリキュアに変身するのであった。

 

「「「「スタート」」」」

 

「「「「プリキュアオペレーション」」」」

 

「「重なる二つの花!キュアグレース!」」

 

「「交わる二つの流れ!キュアフォンテーヌ‼」」

 

「「溶け合う二つの光‼キュアスパークル‼」」

 

「「時を経て繋がる二つの風‼キュアアース‼」」

 

「「「地球をお手当て‼」」」

 

「「「「ヒーリングっとプリキュア‼」」」」

 

「カナエさん、珠世さんをお願いします!グレースたちは蝕みが少ないところを浄化しろ!」

 

「紫乃くんは……」

 

「ダルイゼンの足止めだ!」

 

「へぇ、お前が相手か」

 

「紫乃、俺も……」

 

「一青、お前はグレース達を守ってくれ」

 

「お前……」

 

今体力的には僕の方が動ける…………それに……

 

「無茶をする気はない!」

 

僕は駆け出し、ダルイゼンに向かっていく

 

「お前が相手か!まぁいい!」

 

ダルイゼンが攻撃を避け、光弾を放つ。僕は何とか避けながらダルイゼンに斬りかかる

 

「ち!面倒だ!」

 

「紫乃くん!」

 

グレースの呼び声が聞こえ、振り向くとあっちに続く穴が開いたみたいだ。

 

『血鬼術!血癒の血柱!』

 

ダルイゼンを血で出来た柱に囲い込み、全員で穴の中に飛び込むのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何とか元の世界に戻った僕ら。

街はそれなりに蝕みが進んでいたけど…………

 

「早いところ終わらせるぞ!」

 

まだ僕らの戦いは終わらない!すこやか市を戻さないと!

 



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107 みんなで協力

グレースside

 

すこやか市に戻ってきた私たちは分かれてメガビョーゲンを浄化しに向かった。私がたどり着いた先にはしのぶさん、不死川さん、玄弥くん、カナヲちゃんがメガビョーゲンと戦っていた。

 

「お待たせしました!」

 

「グレースちゃん……姉さんは?」

 

「カナエさんと煉獄さんは一旦家に戻りました。珠世さんがあるものを作りたいと……」

 

「あの人も……」

 

「お前ら!話してる場合じゃねぇ!」

 

不死川さんに怒鳴られ、私はメガビョーゲンに蹴りを放ち、メガビョーゲンを吹き飛ばす。

 

「ラビリン!」

 

「ラビ!」

 

『プリキュア!ヒーリング・フラワー!』

 

『ヒーリングっパイ~』

 

何とかメガビョーゲンを浄化し終えた。

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

フォンテーヌと一緒にメガビョーゲンの所に向かうと、義勇さん、炭治郎、天元さん、小芭内さん、蜜璃さんがメガビョーゲンを圧倒していた。と言うか浄化できなくても、ここまで足止めできるの凄くないか?

 

「紫乃!戻ったの!」

 

「あぁ、色々とあったけど……」

 

「後は浄化するだけだよ~」

 

蜜璃さんが嬉しそうに話しているけど、本当に凄いな……

 

「フォンテーヌ!」

 

「えぇ!」

 

『プリキュア!ヒーリングストリーム』

 

メガビョーゲンを浄化し終えると、僕は家に向かった三人の事が気になっていた。

 

僕の血を……と言うより血鬼術で何をするつもりなんだろう?

 

 

 

 

 

 

 

一青side

 

スパークルと共にメガビョーゲンの所へとたどり着くと、善逸、伊之助、無一郎がメガビョーゲンを押さえていた。

 

『十二月の呼吸!終ノ月!』

 

俺は技を放ち、メガビョーゲンをスパークルの方へと飛ばすと

 

『プリキュア!ヒーリングフラッシュ!』

 

浄化技を喰らわせるのであった。

 

「何と言うか……ここまで押さえられるとはな」

 

「あれ、結構でかいだけだったし」

 

無一郎は興味無さそうに言うけど、本当に凄いことしてるんだけどな……

 

 

 

 

 

 

 

アースside

 

メガビョーゲンの所にたどり着くと、悲鳴嶋が鎖でメガビョーゲンを縛り上げ、狛治が連撃で圧倒していた。

 

「後は浄化するだけですね」

 

私は直ぐ様メガビョーゲンを浄化するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

何とかメガビョーゲンを浄化し終えたけど、ラテがまだ具合悪くなっていた。声を聞く限りまだギガビョーゲンがいるみたいだ。

 

「紫乃くん、どうします?全員で行きますか?」

 

「いや、何人か着いてきてもらって、他のみんなは町の人の避難を」

 

僕はそう指示を出すけど……何だろう?何か嫌な予感がしてならない。

 

気のせいであってほしいけど…………

 

「蜜璃さん、炭治郎、いっ……」

 

二人に声をかけようとしたけど、小芭内さんが凄い睨んでいた。怖いから小芭内さんにも頼み、ラテが感知した森林公園へと向かうのであった。




ちょっと短めですみませんでした


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108 キングビョーゲンの闇

みんなでギガビョーゲンの所へとたどり着く。

 

「見つけた!」

 

「早くお手当をしないと!」

 

「そうはさせん!」

 

ギガビョーゲンを浄化しようとしたがグアイワルが現れ、攻撃を仕掛けてきた。グレースたちはギガビョーゲンとグアイワルを同時に対応する。僕らも混ざろうとした瞬間、

 

『血鬼術!飛び血鎌』

 

血の斬撃が僕らに向かって襲い掛かってきた。僕は咄嗟に血鬼術で防ぐ。

 

「お前らの相手は俺たち兄妹だ」

 

「あはは、お兄ちゃん。こいつらどれだけ遊べるかな?」

 

あれは…妓夫太郎と堕姫だったか。ここで十二鬼月が出てくるのかよ。グレースたちのほうを見ると、ダルイゼンとシンドイーネも参戦していた。みんな、圧倒されていて、変身が解除されていた。

 

「みんな!?」

 

「おい!一旦集まったほうがいい」

 

「わかった!みんな、下がって」

 

僕は血鬼術で鬼の視界を塞ぎ、のどかたちの所に集まる

 

「よく頑張ったと褒めてやろう。だが、ここまでだな!」

 

「さあ、今よ、グアイワル! キングとしてケリをつけちゃいなさいよ!」

 

何だ?何でシンドイーネは協力的なんだ?違和感を感じていると、グアイワルが光弾を作り出していた。

 

「フッフッフ。ハッハッハッハ! ついにこの手でプリキュアを倒す時が来た!別れのセリフは決めていた! じゃあな! プリキュア! かばよ!」

 

グアイワルがとどめを刺そうとした瞬間、背後から黒い手が現れ、グアイワルを掴んだ

 

「なっ!?」

 

「『かばよ』じゃなくて、『あばよ』でしょ。最後の言葉まで間が抜けてるわ。」

 

「シンドイーネ、お前……」

 

グアイワルはそのまま取り込まれ、黒い手が見る見るうちに形を変え、真っ黒な獣のような姿に変わった。

 

「あれは……」

 

「まさか……」

 

「我はキングビョーゲン。ビョーゲンズの真の王である!」

 

あれが……キングビョーゲン……倒したはずなのに……いや、まさか……

 

「何で……オレ達がビョーゲンキングダムで浄化したニャ!」

 

「それは、我が身を分けた一部に過ぎない」

 

まさかわざと倒されたと言うのかよ……

 

「間抜けなグアイワルが裏切ろうとした事なんて、キングビョーゲン様はお見通しだったんですー!」

 

「シンドイーネらがメガパーツで進化を見せた時から、ひそかに計画が進んでいた。少しずつ地球を蝕み力を蓄えるよりも、進化したしもべを取り込む方が、我の復活への近道であると。グアイワルは、我の望むように進化を遂げてくれた。おかげで、我が身はこの通りだ」

 

「ウソでしょ…」

 

「酷い…自分の仲間をそんな風に…」

 

とんでもない方法で復活したっていうことかよ……

 

『復活したみたいだな。キングビョーゲン』

 

するとキングビョーゲンの隣に鬼神と四鬼将が現れると妓夫太郎と堕姫の二人が鬼神の前にひれ伏した。

 

『では良いのだな』

 

「はっ!」

 

「元よりそのように」

 

鬼神が二人の頭を掴むと、二人もまた鬼神に取り込まれた。

 

『これでお前と並び立つな』

 

「鬼神よ。ここですべてを終わらせるか?」

 

『いや、まだだ』

 

「ならば……」

 

キングビョーゲンが目を光らせた瞬間、ギガビョーゲンが元気になり襲い掛かってきた。のどかたちはギガビョーゲンと戦う中、僕らは鬼神と向き合っていた。

 

「お前の目的はなんだ!キングビョーゲンみたいにこの星を蝕むつもりか!」

 

『その通りだが、我はその先を見ている』

 

その先?一体……

 

『いい機会だ……お前には素晴らしい再会を見せてやる』

 

鬼神がそう告げた瞬間、茨木が僕らの前に立ちふさがると、見る見るうちに姿を変え……

 

「な……」

 

「えっ?あの人……」

 

「まさか……」

 

「紫乃たちの知り合い?」

 

「誰なんだ?こいつは?」

 

驚きを隠せないでいた。何で……確かに死んだはずなのに……どうして……

 

「久しぶりだな。紫乃」

 

茨木が僕の師匠……東堂さんだったなんて……

 

「何で……まさか裏切ったのか……いや、違う……」

 

「裏切ったさ。元より全てを……犠牲にして鬼へと変わった。紫乃よ……お前の最後の相手は俺だ」

 

鬼神と共に東堂さんは姿を消した。こんな……こんなことって………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大きな爪痕を残してキングビョーゲンと鬼神は去った。のどかたちは帰りが遅くなったことを親たちに怒られているだろうけど……僕は一人道場にいた。

 

一体師匠がなんのために裏切ったのかわからないけど、今できることは……雪の呼吸の奥義を完成させることだ。

 

ただ気になるのは……最後の相手が東堂さんって……僕が殺されるということなのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

のどかside

 

ものすごい一日が終わった次の日の朝、私はいつでも戦えるようにと日課のランニングをしていたら、私の前にダルイゼンが現れた

 

「見つけた……」

 

「ダルイゼン!」

 

「いいからよこせよ! その身体!」

 

私は変身しながら、人気のない森へと場所を移した。追ってきたダルイゼンだけど、なんだか様子が……

 

「様子が変ラビ!」

 

「もしかして、キングビョーゲンにやられたの? グアイワルを取り込んだみたいに、また、仲間を……」

 

「助けて……くれ…このままじゃ…オレは、オレじゃなくなる……消えて、なくなる……頼む……キュアグレース……お前の中にオレをかくまってくれ……」

 

「な、何言ってるラビ!」

 

「お前は、オレを育てた宿主だ……お前の中ならきっと、この傷は癒える……キングビョーゲンに見つからずに、回復できる……頼む…助けてくれ……キュア…グレース……」

 

助けを求めるダルイゼンの手を私は咄嗟に振りほどき、その場から逃げ出した。

 

「お前、オレに言ったよな! 自分さえ良ければいいのかって!結局お前も同じじゃん!」

 

ダルイゼンの叫びが響く中、私は……ただただ逃げ出すのであった。

 

 



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109 のどかの思い……

「出来たわ」

 

しのぶさんの部屋に呼ばれた僕。しのぶさんは僕の前にある小瓶を見せた。

 

「これは?」

 

「紫乃くん、君の血鬼術を混ぜた薬よ」

 

それって……前やろうとしたけど無理だって話じゃ……

 

「珠世さんの助力でこれを完成させました。柱や炭治郎くんたちの分は私の方で渡しておきます。紫乃くんはこれを彼に……」

 

一青に渡せって言うことか……のどかたちには渡さないのかと思ったけど、滅多なことで大怪我をすることはないだろうからいいけど……

 

「それにしても……しのぶさん、意外ですね」

 

「はい?」

 

「いや、鬼が嫌いって聞いてたのに……」

 

「あぁその事ですか……あの人は別ですよ……」

 

しのぶさんは認めているということなのかな?

 

「それと吸収の力については、使用しない方がいいという見解です」

 

「やっぱり……」

 

「時間を掛ければ制御出来たかもしれませんが、今は……」

 

キングビョーゲンの復活……決戦が近いことを考えると……な

 

「紫乃くんは、今何を?」

 

「雪の呼吸の奥義を…………師匠と……東堂さんと戦うために……」

 

「あの人が……何か理由があると信じたいですが……」

 

「そのために必要なことはしないとですね。それじゃ僕はそろそろ学校に……」

 

「はい、あと報告というか知らせておくことが……私と姉さんと珠世さんはこの家にいますが他の方々は街を見回ってます」

 

「いつでも……動けるように?」

 

「えぇ」

 

いつ敵が動くかわからない以上は警戒しておく必要があるか…………

 

 

 

 

 

 

 

家を出ると丁度のどかが出てきた。

 

「のどか、おはよう」

 

「…………」

 

あれ?無視された?もう一回声をかけた方がいいかな?

 

「のどか?」

 

「えっ?あ、紫乃くん……おはよう」

 

何だか元気ないけど……どうしたんだ?

 

「何かあったのか?」

 

「ううん、何も……」

 

ダメだ……気になる……けど深く聞かない方がいいのか、もしくは僕の勘違いなのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お昼になり、ちゆ、ひなた、一青と一緒にご飯を食べているとひなたからのどかの話が出た

 

「そうそう、今日ののどかっち……何か変なんだよね~閉まってるドアぶつかるし……何もないところで転ぶし……理科の実験でリコーダー吹くし……」

 

「今もお弁当忘れたからパンを買うって……一人で先に行ったまま……戻ってこないの」

 

「のどかにしては珍しいペエ」

 

「ひなたならともかくな~」

 

「紫乃は何か知らない?」

 

「いや、朝出るときからあんな感じだったけど……」

 

本当に何かあったのか?

 

すると茂みからラビリンが出てきて

 

「本当はお弁当忘れてないラビ……」

 

「そうなの!?」

 

「じゃあ何で!?」

 

ラビリンは何か知ってるのか?でもラビリンの様子を見る限り話してくれなそうだ……

 

「ラビリン……のどかに何かあったの?」

 

「もしかしてまた喧嘩?」

 

「違うラビ!」

 

ちゆがラビリンに話してほしいと聴くが、ラビリン自身、のどかが何に悩んでるのか分からないでいた。ちゆはラビリンなら話してくれるんじゃないかとアドバイスを送るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

キングビョーゲンがダルイゼンを取り込もうとしている。さて……

 

『四鬼将よ……準備は出来ているか』

 

「はっ!酒呑供に全員覚悟出来ております!」

 

「ふふ、ついに……ね」

 

「…………位置確認すんでいる」

 

「…………後は」

 

『東堂よ。お前はなすべき事を……そして黒死牟よ』

 

「分かっている……」

 

『全ては動き始めてからだ』

 

鬼神たちの話を遠くから童磨が見つめていた。

 

「何をこそこそしてるか気になるけど……まぁいいや、俺には俺のやることを…………ね」

 

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

のどかの様子が気になり、家を訪ねた僕

 

「のどかなら部屋にいますよ」

 

「そっか」

 

出迎えたアスミと一緒にのどかの部屋の前に行くと……ラテが止めにはいった

 

『のどかが助けたいなら、ラビリンは一緒にダルイゼンを助けたいラビ!』

 

ダルイゼン?どういうことだ?

アスミと顔を見合わせていると、今にも泣きそうな声でのどかは……

 

『違うの……そんなことじゃないの……そんな優しい子じゃない……』

 

『のどか……』

 

『あの時……私、自分の事しか考えてなかった……だって……辛くて怖かったの……強い気持ちでいなきゃ負けちゃうから……笑ってないと自分が潰れちゃうから……だからすっごく頑張った……今の私を作ってる大事な経験だと思ってる……でも……それでも……叶うことなら……あんな苦しい思い……したくない……』

 

のどか…………正直何て声をかけたら…………

 

「のどかちゃん、貴方の気持ちは分かります」

 

不意に声が聞こえ、振り向くとしのぶさんが部屋の扉の前にいた。僕とアスミは咄嗟に隠れ……

 

「しのぶさん……」

 

「私も…………ずっとそうでした…………」

 

「しのぶさんも……?」

 

「私は…………姉さんの意思をついで…………鬼と仲良くなれないかとやって来ました……姉さんみたいに笑顔を絶やさないで……でも……鬼たちは保身のために嘘をつき、人々の絶望の悲鳴を聞くたびに……怒りが蓄積されてきました……」

 

「あ……」

 

「私は……自分の気持ちを押さえるのに疲れてしまったけど……のどかちゃん、あなたは?」

 

「えっ?」

 

「あなたはどうしたいの?」

 

「そうラビ……のどかはダルイゼンを助けたいラビ?」

 

「私は……無理……どうしても嫌!嫌なの!」

 

「だったら助けなくっていいラビ!悩む必要もないラビ!」

 

「えっ?」

 

「えぇ、悩む必要はないわ」

 

「のどかが自分を犠牲にしないといけないなんて、そんな義理も責任もないラビ!のどかは十分頑張ってくれてるラビ!それはラビリンたちがよーく知ってるラビ!もしのどかに何か言ってくる奴がいたら、ラビリンがぶっ飛ばしてやるラビ!」

 

「その時は鬼殺隊全員…………きっと紫乃くんもやってくれるわ」

 

「ラビリン……しのぶさん……」

 

「のどかが苦しむ理由は何もないラビ」

 

「うん…うん」

 

のどかも立ち直ったみたいだな……それにしても……ダルイゼンか……

 

「そろそろ行きます?」

 

「だな」

 

アスミと一緒に部屋に入った瞬間、ラテがくしゃみをした。まさか……

 

慌てて声を聞くと、展望台の方で何かが泣いてると言われたけど……何が起きてるんだ?



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110 最終決戦 のどかの答え

今回から最終決戦に入ります。


ちゆ、ひなた、一青と合流し、灯台の方に向かうと、巨大な悪魔みたいなものが暴れていた。何だ?あれは……

 

「ダルイゼン……」

 

のどかはあの悪魔みたいなものの正体に直ぐに気がついた。あれが……ダルイゼン!?

 

「どういうこと?」

 

「メガパーツを取り込んだのかもしれないわ」

 

「何だか正気を失ってるみたいペエ」

 

「誰もがいい感じに進化出来るって限らないのか?」

 

「だとしても……やるべきことは一つね」

 

しのぶさんが刀を抜く。本当ならみんなも来て欲しいけど……先に着いた僕らが何とかするしかない

 

「のどかちゃん、貴方のせいじゃないわ」

 

「そうラビ!のどかは悪くないラビ」

 

「……うん」

 

「「「「スタート」」」」

 

「「「「プリキュアオペレーション」」」」

 

「「重なる二つの花!キュアグレース!」」

 

「「交わる二つの流れ!キュアフォンテーヌ‼」」

 

「「溶け合う二つの光‼キュアスパークル‼」」

 

「「時を経て繋がる二つの風‼キュアアース‼」」

 

「「「地球をお手当て‼」」」

 

「「「「ヒーリングっとプリキュア‼」」」」

 

みんながプリキュアに変身し、ダルイゼンに向かっていく

 

『虫の呼吸!』

 

『十二月の呼吸』

 

『雪の呼吸』

 

僕らも木の枝から高く飛び上がり切りかかるが、弾かれてしまう。

グレースたちも四人同時にキックを放つが弾かれ、光弾を放ってきた。

 

みんなは何とか避けていくと……

 

『キュアグレース!キュアグレース!』

 

「グレースの中に入ろうとしてるラビ!?」

 

「グレースを守りましょう!」

 

アースたちがグレースを守ろうという動きをするが、ダルイゼンは攻撃を繰り出し続けて、吹き飛ばしていく。

 

「くそ……それならしのぶさん!一青!」

 

僕は二人の刀に振れた瞬間、ダルイゼンの動きが止まった

 

『助けてくれ……こんなの俺じゃない……』

 

まだ助けを求めてるのか……

 

「ダルイゼン!グレースの優しさに付け入るのはやめるラビ!」

 

『キュアグレース……お前だけは頼りなんだ……お前の中に……』

 

助けを求めるダルイゼンを見て、グレースは問いかけた

 

「そしたら私はどうなるの?」

 

『…………』

 

「いつまで!」

 

フォンテーヌたちがダルイゼンに攻撃を浴びせ続け、グレースは更に問いかけた

 

「あなたが元気になったらどうするの?貴方は私たちを……地球を二度と苦しめないの!」

 

『ぐぬぬぬ!』

 

ダルイゼンは答えなかった……そしてグレースが出した答えは……

 

「私はやっぱり貴方を助ける気にはなれない!」

 

『グアアアア!』

 

ダルイゼンは強力な光線を放ってくる。

 

「貴方のせいで私がどんなに苦しかったか……貴方は全然分かってない!」

 

グレースは巻き上げられた岩の上をかけ上がっていき、

 

「分かっていたらら地球を……沢山の命を蝕んで笑ったりしない!」

 

鋭い蹴りを喰らわせる。

 

「都合のいいときだけ私を利用しないで!」

 

ダルイゼンはグレースを捕まえようとするが、フォンテーヌたちが阻み、僕らも……

 

「「「ハアアアア!!!」」」

 

全力で切っていく。

 

「私は貴方の道具じゃない!私の体も!心も!全部!わたしのものなんだからぁぁぁーーー!」

 

グレースの怒りの一撃がダルイゼンを地面に倒れさせた

 

「あいつの敗因は……グレースの優しさを利用したことだな」

 

「と言うか自分の事しか考えてないのが悪いだろ」

 

「二人とも、ああいう男にならないでくださいね」

 

しのぶさんに忠告される中、僕はとりあえずグレースは怒らせない方がいいと密かに誓うのであった

 

『ヒーリングアニマルパワー全開!』

 

『アメイジングお手当て!準備OK!』

 

「プリキュア・ファイナルヒーリングっど・シャワー!」

 

ヒーリングっどシャワーを喰らい、ダルイゼンは浄化されず、進化する前に戻されるのであった。

 

「浄化しきれなかった……」

 

「進化した影響なのかしら?」

 

「馬鹿ね。あれじゃ見つけてくれって言ってるみたいじゃない」

 

突然シンドイーネが現れると、キングビョーゲンを呼び、キングビョーゲンが現れ、ダルイゼンを取り込んだ。そして獣の姿から巨大な魔神のような姿に変わった

 

「我はネオキングビョーゲン!時は来た!後は地球の全てを取り込むのみ!」

 

『そして……我らとの決着も……』

 

更に鬼神まで現れるのであった。

 

「……鬼神」

 

『鬼擬き、一青、鬼狩り、貴様らには相応しい相手を用意している!』

 

鬼神が指をならした瞬間、僕ら三人は黒い球体に飲み込まれるのであった。



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111 最終決戦 鬼神の計画

紫乃たちがダルイゼンと戦っている合間……

 

蜜璃side

 

冨岡さんと伊黒さんと一緒に戦いの場所へと向かっていると、私たちの前に一人の鬼が現れた。

 

「悪いけどあなたたちはここで足止めよ」

 

「えっ!?あれって四鬼将の……」

 

『水の呼吸!陸ノ型!ねじれ渦』

 

四鬼将の姿を確認した瞬間、冨岡さんが直ぐに斬りかかる

 

「あん!せっかちね。改めて名乗ろうとしたのに」

 

「……悪いが時間がない」

 

「珍しく気が合うな。いちいち相手してられない」

 

『蛇の呼吸!壱ノ型!委蛇斬り』

 

伊黒さんも斬りかかる。確かに今は急がないといけないから……それにしても伊黒さんかっこいいな~じゃなかった。

 

『恋の呼吸!壱ノ型!初恋のわななき!』

 

私も技を放つ。鬼は避けようとせずに攻撃を受けていた

 

「ふぅ……痛いわね……まぁいいけど……私は鈴鹿!四鬼将の鈴鹿よ」

 

「……名乗る必要は…………」

 

「悪いけど……血を流す必要があったの……斬りかかってくれてありがとう」

 

鈴鹿がお礼を言った瞬間、私たちは地面に倒れこんだ。なにこれ?

 

「毒か?いや……違う」

 

「押さえ込まれている?」

 

「もしかして重さを操るとか?」

 

「ふふ、あなたたちはもしもの時の保険よ………………さぁ……血を大地に染み込ませ…………」

 

鈴鹿はそう言いながら、何処からともなく取り出した刀を自分の首に当て……

 

「儀式がなったら……解放されるわ」

 

私たちに頬笑み……自分の首を切るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

実弥side

 

宇髄と煉獄と一緒に四鬼将の八瀬と対峙していたが…………

 

「妙だな?派手に反撃してこないなんて」

 

「何が狙いだてめぇ!」

 

「うむ!戦う気がないのか?」

 

「…………私の目的は血を流すこと……そして……もう十分…………」

 

八瀬が指をならした瞬間、俺たちは真っ赤な鎖に縛られた

 

「なっ!」

 

「儀式が……なれば解放する…………これは必要なこと……」

 

八瀬は自分の心臓を取り出し、自分で潰すのであった。

 

 

 

 

 

行冥side

 

酒呑と対峙する私と時透だが……

 

「戦う気がないのか?」

 

「あぁ!俺は……と言うより俺たちはな」

 

「嘘?」

 

「ではなさそうだ。殺気が感じられない」

 

こいつらの目的は私たちの足止めではないのか?

 

「鈴鹿と八瀬は行動に移したか……後は茨木だけだが、時間がかかりそうだが…………」

 

奴の目線の先には巨大な魔神の姿だった。あれは……キングビョーゲン!?

 

「お前らは保険だ。俺たちの儀式が……鬼神様の計画が失敗した場合のな」

 

「お前たちは何を……」

 

「いいぜ。教えてやる……この長い計画の全てをな」

 

酒呑が話した計画……それは今までの事がひっくり返るものだった。

 

「馬鹿な!?」

 

「だとしたら…………鬼神は一体……」

 

「それは儀式が始まったら知りな!」

 

 

 

 

 

 

 

グレースside

 

紫乃君たちが鬼神によって何処かへと飛ばされてしまった。

 

「紫乃くんたちをどこに!」

 

『知る必要はない』

 

知る必要がないって……

 

「グレース、今はネオキングビョーゲンを……」

 

「ふっ!もう遅い!」

 

ネオキングビョーゲンが両腕を広げた瞬間、すこやか市が蝕まれしてしまった。

 

『みんなの町が……お母さんたちも……』

 

「まさか……」

 

「すこやか市が全部……」

 

何で……こんなに一気に……

 

「あははは!どう?ネオキングビョーゲン様の偉大なる計画は?ネオキングビョーゲン様はグアイワルを取り込む前から計画していたのよ!ご自分の一部を散りばめて、町を取り囲んで後から一気に蝕む計画をね!その力を発動させるためには完全なる復活……いいえ、更なる進化が必要だった!」

 

「それでグアイワルとダルイゼンを」

 

「ネオキングビョーゲン様のお役に立てたんだから、あいつらもきっと喜んでるわ」

 

ラテの声を聞くと、段々と範囲が広がっていく。このままじゃ……

 

「ふっ!テアティーヌの生まれた地であり、古のプリキュアが生まれた地であるこの場所を……我らビョーゲンズの新たな始まりの地として、塗り替えてやろう!」

 

町を……みんなを助けるためにも……ネオキングビョーゲンを浄化するしかない!

 

私たちはネオキングビョーゲンに向かっていくが、何かに攻撃が弾かれてしまう。

 

「終わりか?なら、我から行くぞ!」

 

ネオキングビョーゲンが黒い斬撃を飛ばしてきて、私たちは避けるが……

 

『ふん!』

 

鬼神の一太刀が迫り来ていた。私たちはぷにシールドで防ぐが、強力な一撃で防げなかった。

 

 

 

変身解除され、ラテが駆け寄るが……シンドイーネがラテの前に……

 

「ふふふ、プリキュアもお供のヒーリングアニマルも動けない。そして鬼狩りは足止めされている。どうする?王女様?」

 

シンドイーネがラテに触れようとした瞬間、まばゆい光がシンドイーネを吹き飛ばし、光が消えるとそこには大きなヒーリングアニマル……もしかしてあれが……

 

「みんな、大丈夫ですか?」

 

『ハアアアア!』

 

鬼神がテアティーヌ様に斬りかかるが、それを誰かが止めに入った。あの人は……

 

「紫乃たちがいない……」

 

『宗一か……姿を見なかったと思ったら、ヒーリングガーデンにいたのか』

 

「あぁ、お前を倒すためにな!」

 

『ふっ!無駄だ』

 

宗一さんと鬼神が激しくぶつかり合い、テアティーヌ様がネオキングビョーゲンの攻撃を弾いていく

 

「以前ほどの機敏さはないか。さてはテアティーヌ……不完全な回復で駆けつけたみたいだな。その程度で更なる進化を遂げた我を浄化できると思ったか!」

 

「それでも私には果たしたい使命があります!そして信頼する仲間がいます!」

 

テアティーヌ様が遠吠えをした同時にまばゆい光が辺りを照らした。するとこの場所を囲むように光の結界が現れた。

 

「動けぬ……」

 

「仲間たちとともに結界を張りました」

 

「テアティーヌ!!!!」

 

「奴が動けない以上…………」

 

『させぬ!』

 

宗一さんがネオキングビョーゲンを斬ろうとするが、鬼神がそれを止める。

 

「みなさんは今のうちにネオキングビョーゲンを浄化する手だてを……」

 

「みなさん……はぁ!」

 

アスミが風を起こして、この場から私たちは逃げるのであった。

 

 

 



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112 最終決戦 氷と蟲と花

しのぶside

 

「つぅ……ここは……それに……あの光の壁は?」

 

鬼神に跳ばされ、気がつくと灯台からそう離れていない場所にいた私。気を失っていた間に何が……

 

「しのぶ!」

 

「姉さん!」

 

すると姉さんとカナヲの二人がこっちに駆け寄ってきた。

 

「良かった……無事なのね」

 

「えぇ……でも何が……」

 

街も蝕られて……あの光の壁も……それにみんなのことも……

 

「今はみんなのところに……」

 

「あれれ~少し遊んでいこうよ」

 

耳障りな声が聞こえた瞬間、森の中から嫌な奴が現れた。

 

「久しぶりだね~ここで会ったんだから遊んでいこうよ」

 

「あなたね……上弦の弐」

 

「……あの時から変わってないわね……悲しいほどに……」

 

「お前と遊んでる暇はない」

 

私たちは刀を抜くと、奴は笑みを浮かべていた。

 

「聞いてよ~鬼神のやつ、俺には何の役割を与えないんだよ~しかも君たちに手を出すなって言われてるし~ムカつくよね」

 

『血鬼術!散り蓮華』

 

氷の粒が迫り来る。私たちは木を盾にして攻撃を防ぐ

 

「しかもムカつくのが……俺たち鬼は力を与える代わりに人を食べる機能を無くしちゃったんだよね。折角君たちをまた食べようと……あぁ食われたのはしのぶちゃんだけだっけ?」

 

本当にムカつく……でもダメ……感情を押さえ込みなさい……

 

「だからさ、君たちを氷像にして、永遠に飾り付けてあげるよ!」

 

『血鬼術!寒烈の白姫』

 

2体の氷姫から放たれる氷の息を私たちは掻い潜り、

 

『蟲の呼吸!蝶ノ舞!戯れ』

 

『花の呼吸!弐ノ型!御影梅』

 

『花の呼吸!肆ノ型!紅花衣』

 

三人同時に放たれる攻撃を奴は未だに笑みを浮かべながら…………扇子で受け止めていた。

 

「すごいすごい!でも……俺の方がまだ強い!」

 

『冬ざれ氷柱』

 

上から無数の氷柱が降り注ぎ、私たちはギリギリの所で避けるが……

 

「つぅ!?」

 

間に合わずに、少し掠めた

 

「いや~言ったよね?あの頃より強くなってるって……と言うよりしのぶちゃんさ……弱くなった?」

 

「本当に……ムカつく奴……」

 

「しのぶ……落ち着いて」

 

「姉さん……」

 

「前みたいにわざと食われて毒で俺を殺す?無理だと思うよ…………あの毒も……もう効かない」

 

だとしたら……首を切るしかない…………でも三人で掛かっても奴は倒せない……

 

「そろそろあきらめて…………氷像になろうよ」

 

『霧氷…………』

 

血鬼術を放とうとした瞬間、何かが奴の後ろから向かってきて……奴の右腕を切り落とした

 

『!?』

 

『雷の呼吸……霹靂一閃・神速』

 

「善逸!?」

 

「他にも仲間が…………」

 

「そいつだけじゃない!」

 

『破壊殺!乱式』

 

無数の拳が奴を殴り続け、吹き飛ばす

 

「遅くなったが…………間に合ったか?」

 

「狛治さん……」

 

彼らがいるということは……た

 

「ひどいな~昔の仲間をこんな風に殴る…………」

 

『投げ裂き!』

 

2本の刀が奴の頭を切り裂いた。

 

「そいつも……」

 

奴が喋ろうとしたが、口の中に弾丸がぶちこまれ……

 

「当たった!」

 

『血鬼術!爆血!』

 

炎が奴を包み込む。奴は苦しみながらも、血鬼術を発動させようとしていた。

 

『血鬼…………』

 

だけどその前に…炭治朗くんが駆け出し……

 

『ヒノカミ神楽!炎舞』

 

奴の首を切り落とすのであった。

 

「あ……あ……ここで……終りか……まぁいいや…………楔は打ったからね…………」

 

奴は最後の言葉を残して塵になった。

 

「間に合って良かった」

 

「炭治朗……みんなも無事だったの?」

 

「うん、宗一って人がここまで連れてきてくれて…………でもしのぶさんたちが危なかったから…………」

 

「善逸さんの足でも間に合うかどうかだったんだけど…………」

 

「俺の拳を放つと同時に、あの技で間に合わせた」

 

なんというか……無茶な事を……それにしても……奴が残した言葉が気になるけど……今は……

 

「のどかちゃんたちと合流しましょう……」

 

「はい!みんなのところは匂いで分かります」

 

回復薬を少し飲み、のどかちゃんたちと合流しに向かうけど…………楔って…………



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113 最終決戦 月の教え

「いっくんって、親に会わないの?」

 

「いきなりだな……」

 

「いやさ、話は聞いてるよ。捨てられて……」

 

「ひなた……お前さ……少し気を遣うとか……まぁいいか。今更会う気はしない」

 

「もしかして……恨んでる?」

 

「いや……今は……みんなと……ひなたと一緒にいれるから…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

「は!?」

 

「一瞬、気を失っていたか」

 

俺は……気を……そうだ……鬼神が俺たちを別の場所に飛ばして………その場所には黒死牟がいて…………戦っていたけど…………

 

「加減しているとはいえ、それ以上は死ぬぞ」

 

身体中、斬られている。深くはないけど……それでもかなり痛い……

だけど…………

 

「まだだ!」

 

諦めるわけにはいかない!

 

『十二月の呼吸!終ノ月!』

 

『月の呼吸!陸ノ型!常夜孤月・無間』

 

放とうとした技が、黒死牟の技に遮られ、身体中を刻まれる。

 

「かはっ……」

 

「撫でる程度だ。だがお前はそれだけで死ぬ」

 

まだ……死ぬわけには…………

 

「一つ思出話をしてやろう」

 

斬りかかるが、黒死牟は刀で受けながら話し出した。

 

「お前はこの世界の私の子孫。そしてお前は忌み子…………」

 

俺の事をわざわざ話すなよ…………分かってるんだよ……

 

「忌み子のお前にはある力があると言われている」

 

俺は痣を発現させ、斬りかかるが弾かれた。

 

「痣の力だと思っているみたいだが……それは違う」

 

「違う?なら、紫乃みたいな鬼の力か!」

 

連続で攻撃を繰り出し続けていくが、その全てを弾いていく。

 

「違う。特殊な力だと思うな!」

 

『月の呼吸!捌ノ型!月龍輪尾』

 

強力な一撃が放たれ、俺の腹が切り裂かれた。

 

「あ……」

 

「気づかぬなら……そのまま朽ちていけ」

 

俺は……死ぬのか?死ぬときって……痛みってないんだな…………いや、違う…………これは…………

 

俺は倒れそうになったけど、何とか踏みとどまる。

 

「ほう……まだ死なぬか」

 

「あいつの……紫乃の血で作られた薬のお陰で何とかな」

 

切られたときに割れたんだろうけど……助かった……

 

「俺は……忌み子じゃない」

 

今までの構えとは違う構えをとった。

 

俺の力…………それは痣の力ではない。大昔、鬼舞辻を日の呼吸の剣士とともに追い詰めた呼吸…………

 

『月の呼吸!闇月・宵の宮』

 

放った技は黒死牟の首を捉えた。このまま切り裂く…………でも…………

 

「つぅ!?」

 

完全な回復が出来ていないからか…………痛みで技が止まってしまった。このままだと…………

 

「…………それでいい」

 

黒死牟がそう告げた瞬間、奴の首が跳んだ。

 

「は?」

 

今……自分から首を動かした?

 

「…………どういうことだよ……」

 

「お前の勝ちだ。一青」

 

「勝ちなわけないだろ!自分から首を…………」

 

「忌み子の意味……それは特殊な力でも、痣の力でもなく…………唯一月の呼吸を受け継ぐ事が出来るということだ…………」

 

月の呼吸を…………

 

「お前は鬼神に拾われ、俺のもとで鍛えたが…………月の呼吸の派生しか扱えなかった。だが今は……違う…………」

 

「何で……今更…………ネオキングビョーゲンに通じるからか?」

 

「いや、鬼神はもしもの事を考えていた。そしてこの戦いは…………私がお前に教える最後の稽古だ…………」

 

黒死牟はそう言い残して塵になっていく。

 

「もしもって……なんだよ……」

 

訳がわからない……だけど今は……

 

「あいつらと合流しないと…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

のどかside

 

離れたところに避難した私たち。そしてあの光の結界…………私たちはどうすればネオキングビョーゲンを浄化出来るか話し合った。

 

あのバリアを破らない限り……私たちの攻撃は通じない。でもその方法が……

 

「私、考えたのですが……」

 

「何々?名案?」

 

「グアイワルたちはメガパーツを取り込み、ネオキングビョーゲンはグアイワルたちを取り込んでいました。つまりビョーゲンズにはビョーゲンズの力を吸収する性質があると言うことです。ということはビョーゲンズの力と一緒に私たちの技を放てば、バリアの向こうに届くのではないでしょうか?」

 

確かにそれなら……可能性があるけど…………

 

「でもどうやって?」

 

「僕たちはビョーゲンズの力を使えないペエ」

 

「私の中にビョーゲンズの力を宿すのです」

 

それって……アスミちゃんにかなりの負担が…………

 

「ダメだよ!そんなのダメ!アスミちゃんに……ううん、誰にもあんな苦しい思いはさせたくない!ダメ……ダメ……」

 

あんな苦しいのは…………

 

ラテも反対しているけど、アスミちゃんは大切なものが増えたから……人間ではない自分にしか出来ないことだと言う…………

 

アスミちゃんは守りたいんだ…………守りたいからこその決意なんだ…………

 

「どんなに反対されても、私は実行します。私の心も身体も私のものですから……」

 

アスミちゃんの覚悟…………受け取らないと……

 

「こんなところにいたのね」

 

するとシンドイーネが現れるのであった。

 



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114 最終決戦 雪の呼吸

鬼神によって別の場所に連れてこられた僕。そこには師匠が……東堂さんが待ち構えていた。

 

「来たか」

 

「……あんたが最後の相手ってどういうことだ?」

 

「そのままの意味だ。お前が俺を倒さない限り…………な!」

 

刀を抜き、駆け出してきた。僕も構えて……

 

『『雪の呼吸!壱ノ型!初雪』』

 

同じ技を放つが、東堂さんの方が上手で弾かれ……

 

『弐ノ型!吹雪』

 

何十回も身体を貫く。

 

「どうした?その程度なら治るだろ」

 

治るけど……普通の攻撃よりもかなり効くんだよ……

 

「お前の力……その血は鬼舞辻の血を宗一が改良したもの…………知っているな」

 

「あぁ……それで一度苦しんだよ……」

 

鬼神の角とかと言う奴でな……だけどそれでも立ち上がれたのは……

 

「みんなが……好きな人がいたから立ち上がれた」

 

「ならば!」

 

『雪の呼吸!参ノ型!雪桜』

 

『雪の呼吸!玖ノ型!奏雪』

 

攻撃を受け流しながら、武器破壊を狙う。だけど……弾こうとした瞬間、東堂さんの攻撃の重さに負け、刃が地面に埋められ…………

 

『捌ノ型!雪桜死』

 

縦に五回切りつけられる。攻撃の速度が速い…………

 

「同じ使い手でもこうまで違うのは……お前はまだ使いこなしているだけだから」

 

『玖ノ型!死雪!』

 

両腕が切り落とされる。まだ……だ……

 

「俺は極めた。極めた技には勝つことはできない」

 

首に切っ先が当てられる。

 

「どうする?鬼の力を使うか?」

 

鬼の力を使えば…………勝てる可能性がある…………もしくは痣を発現させれば…………

 

「僕は……」

 

両腕を再生させた僕は当てられた刃を掴み、立ち上がる

 

「使わない……あんたには…………雪の呼吸で勝つ!」

 

後ろへと下がり、刀を納めて、構える

 

「これが……あんたに見せる……最後の技だ!」

 

「ほう……なら…………」

 

東堂さんは構えながら、身体を鬼へと変える。

 

「見せてみろ!お前の最後の技を……打ち砕く!」

 

「ここで……極める!」

 

刀を抜いた瞬間、東堂さんの刃が上から振り落とされる。

 

今は避けることは考えない…………雪の呼吸と恋の呼吸と風の呼吸と…………

 

 

 

 

 

 

 

「花の呼吸の型を見せてほしい?」

 

「うん」

 

「でも?どうして私に?カナヲの方が……」

 

「あぁ……なんと言うか……カナエさんの方が今編み出している技に合ってると言うか…………」

 

「そう、それじゃ……見せるわ」

 

優しく微笑みながら、僕の鍛練に付き合ってくれたカナエさん…………もしも、もしも生きる世界が同じだったら……この人の運命は変わっていたのかもしれない…………

 

 

 

『雪の呼吸!奥義!拾ノ型!雪月花!』

 

 

 

 

刀を納めると…………東堂さんの両腕は切り落とされ、身体に横一閃入れられて、血が吹き出した。

 

「……見事…………」

 

「……教えてくれ……あんたは死んだはずだ。何で……」

 

「簡単だ…………あの場所に……いた……皆には偽りの記憶を植え付けていたんだ」

 

「……鬼神の力か?」

 

「あぁ…………俺は…………鬼神と戦いながら奴の計画を知った…………そしてそのために…………お前を鍛えた」

 

「何で……鬼神は何をしようと……」

 

「プリキュアと合流しろ……そして……………………真実を知れ………………俺は……鬼神の最後の計画のために死ぬ…………」

 

「………………」

 

僕は後ろを向き、みんなのところへと向かう。戦っているときにアスミのワープが見えた。あそこに……みんなが…………

 

「…………紫乃……拾ノ型……雪の呼吸の奥義を自分のものにしたな………………頑張ったな………………後は鬼神が危惧していたことが………………起きないことを祈る…………ネオキングビョーゲンを倒して……終りにしてこい………………」

 

 

 

 

 

 

 

皆のところに向かうと、みんなは進化したシンドイーネに苦戦していた。

 

「あーあんなところにキングビョーゲン!」

 

スパークルが指を指してそう叫ぶと

 

「引っ掛かるわけないでしょ!グアイワルじゃあるまいし!と言うかキングビョーゲンじゃなくネオキングビョーゲン様よネオキングビョーゲン様!いい加減覚えなさい!」

 

一瞬の隙をついて、アースとフォンテーヌとグレースがエレメントボトルを使い

 

「音のエレメント!」

 

「雨のエレメント!」

 

「葉っぱのエレメント!」

 

シンドイーネを吹き飛ばす。

 

「なめた真似を」

 

「これでどうだ!」

 

僕は血の塊をシンドイーネにぶつけ、目を塞ぐ

 

「紫乃くん!」

 

「今だ!」

 

『ヒーリングアニマルパワー全開!』

 

『アメイジングお手当て!準備OK!』

 

「プリキュア・ファイナルヒーリングっど・シャワー!」

 

ヒーリングっど・シャワーでシンドイーネは進化する前に戻される

 

「まだよ……まだ……ネオキングビョーゲンのお役に……」

 

「浄化しきれなかった……」

 

するとラテが必死に何かを伝えようとしていた。

 

「おあ……おあしす」

 

「そうか!みなさん、ヒーリングオアシスを」

 

アスミはそう伝えると、シンドイーネを抱き抱え

 

「トリプルハートチャージ!」

 

「「届け!」」

 

「「癒しの!」」

 

「「パワー!」」

 

「「「プリキュア・ヒーリングオアシス‼」」」

 

ヒーリングオアシスがシンドイーネに直撃し、浄化されると、シンドイーネの欠片をアースが取り込んだ

 

「取り込んで良かったのか?」

 

「ネオキングビョーゲンを倒すために必要なの……」

 

必要って……

 

四人から話を聞くと、確かにその方法なら…………

 

「紫乃……大丈夫?」

 

「……ちょっと悪いけど……」

 

心配そうにしているフォンテーヌを僕は抱き締めた。

 

「あ……」

 

「敵とはいえ……恩人を……直ぐに立ち直るから…………」

 

「うん……」

 

「人が戦ってる最中にいちゃついてるのか?」

 

すると一青とカナエさんたちがこっちにやって来た。僕は直ぐにフォンテーヌから離れ…………

 

「後は……」

 

「うん、みんな、行こう。お手当てしに……」

 

最後の戦いの場所へと向かうのであった。



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115 みんなが健やかに

今回詰め込みすぎた


『ふん!』

 

「くっ!?」

 

鬼神の一撃に倒れる私。テアティーヌもネオキングビョーゲンを押さえ込んでいられずにいる。このままだと……世界は…………

 

すると結界を突き破り、赤い光が鬼神の刀に宿る。

 

『四鬼将よ……よくやった』

 

「貴様…………」

 

「鬼神よ。いつまでそうしているつもりだ。いい加減終わらせろ」

 

私たちの戦いを見ていたネオキングビョーゲンは飽きたのか止めを指すように促す。まずい……このままでは……

 

『そうだな……終わりにしよう…………』

 

鬼神が刀を振り上げ…………ネオキングビョーゲンに斬りかかる。

 

「何!?」

 

突然の裏切りに驚くネオキングビョーゲン。それと同時に結界の中に突入したプリキュアと紫乃たちの姿が…………

 

 

 

 

 

 

 

紫乃side

 

結界の中に入ると、鬼神がネオキングビョーゲンに斬りかかっていた。

 

どういうことだ?でも今は…………

 

「足場は作る!みんな!一気に!」

 

僕は血で足場を作り、みんなはネオキングビョーゲンに技を放つ

 

ネオキングビョーゲンはバリアを張り防いでいく

 

「シンドイーネを浄化したか。対した奴等だ。だがあの程度の僕などいくらでも作れるが……鬼神よ!何故裏切る!」

 

『決まっている…………ネオキングビョーゲンよ。お前がこの街を蝕んだお陰で……計画が達成出来るからだ!』

 

鬼神は障壁を破り、ネオキングビョーゲンにダメージを与える

 

「計画だと!」

 

『この大地に眠り続ける悪鬼を滅ぼすためにな!』

 

悪鬼?どういうことだ?

 

「…………そう言うことか」

 

一青は鬼神の言葉を聞き、何かに気がついた。

 

「倒したはずだけど、奴は復活の機会を伺っていた…………」

 

『そうだ!そしてそのためにはこの大地を蝕み、プリキュアに浄化をしてもらうことだ!』

 

鋭い一撃がネオキングビョーゲンを仰け反らせると、グレースたちが続いて攻撃を繰り出す

 

「どうやらテアティーヌの危機に駆けつけただけみたいだな」

 

ネオキングビョーゲンは余裕でそう告げるが、アースの一撃を喰らい、攻撃が通ったことに気がついた。

 

「何!?」

 

『アース!』

 

みんながアースをサポートして、強力な一撃を放つ。

 

「やった!」

 

「あのバリアを突破したぜ!」

 

『畳み……』

 

「まだだ!」

 

僕が叫んだ瞬間、結界は破られ、ネオキングビョーゲンが完全に動けるようになり、真っ黒な光を放ち、僕らを吹き飛ばす。

 

「裏切り者には……粛清を!」

 

地面に落ちていく鬼神をネオキングビョーゲンは殴り、鬼神は地面に叩きつけられ

 

「全て我の養分となるがいい!」

 

ネオキングビョーゲンはグレースたちを取り込もうとし、僕と一青は助けようとするが……一緒に取り込まれるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

気がつくと……おぞましい空間にいた。

 

「紫乃……くん……」

 

「のどか……」

 

気がついたのは僕らだけなのか?

するとネオキングビョーゲンの声が響いた。

 

『絶望するようなことではない。人間と我らは変わらぬ。地球上の生物は全て万物が同じだ。いずれかの生命が蔓延れば、別の生命が絶滅へとおいやられる。この世界はそう出来ている。生きると言うことはそう言うことだ。戦いに勝ったものだけが生きることを許される。その勝者が我だったと言うことだ』

 

炭治郎たちは?みんなは…………

まだ負けてない……だけど……立ち上がることが…………

 

「…………生きることは戦うこと……そうだね。私もそう思う」

 

のどか?

 

「私は病気と戦ったから……今元気でいられる。ちゆちゃんは未来の目標に向かって戦っていて、だから毎日が充実してて……ひなたちゃんは自分の嫌いなところと戦いながら、いつも笑顔でどんどん強くなって……アスミちゃんは戦いの中で生まれて、今もずっと大好きなラテのために戦い続けてる…………一青くんは私たちと戦いながら、自分のすべき事とやるべき事に思い悩んで……答えを出した。紫乃くんは…………鬼の力で怪我とか治るけど……心と身体の痛みと戦いながらも……わたしたちの事を思って立ち上がってくれた。ラビリンもペギタンもニャトランもラテも故郷を離れて地球のためにずっと戦い続けてくれてる。私たち……いつも何かと戦っている…………戦いながら生きてる……貴方の言う通り……」

 

ネオキングビョーゲンは嘲笑うけど…………違うな……

 

「だから私は戦い続ける!今までと同じ、ううん、今まで以上に戦い続ける!勝つためじゃない!負けないために!私が健やかに生きるために!大好きな人たちが健やかに生きられるために!他の全てを見下して、虐げて、奪ってくる!貴方みたいな存在のせいで!悲しむ人が増えないように!」

 

のどか……本当に強くなったな。最初に出会ったときから……今日まで……ずっとずっと負けないために戦ってきたから……

 

『はっ!今更人間一人で何ができる!』

 

「できるラビ!」

 

「ラビリン!」

 

「諦めない人が一人いれば、勇気付けられる人も生まれるラビ!一緒に戦う人が増えるラビ」

 

「仲間が出来たら、支えられる」

 

「弱い心も貫きたい強い思いも!」

 

「そして一緒に立ち向かえる!」

 

「失敗しても間違っても!」

 

「笑い飛ばして、フォローしあって」

 

「もっと大好きな仲間になる!」

 

「大切なものはどんどん増えて」

 

『もっともっと守りたくなって』

 

「もっともっと諦められなくなるのです」

 

「そして……守りたいものが増えれば……」

 

「強くなれる!」

 

みんながのどかの言葉を聞き、立ち上がる。そして手を繋ぎ、向き合った。

 

「一人じゃ難しくても」

 

「みんなで手を取り合って」

 

「諦めずに」

 

「戦い続けます!」

 

「みんなと……」

 

「この世界に生きる全てと共に……」

 

みんなの思いが重なり……

 

「私たちは生きたい!!!」

 

まばゆい光と共にネオキングビョーゲンの中から抜けだし、のどかたちはみんなの思いを受け取り……変身する

 

「「「「スタート」」」」

 

「「「「プリキュアオペレーション」」」」

 

「「重なる二つの花!キュアグレース!」」

 

「「交わる二つの流れ!キュアフォンテーヌ‼」」

 

「「溶け合う二つの光‼キュアスパークル‼」」

 

「「時を経て繋がる二つの風‼キュアアース‼」」

 

「「「地球をお手当て‼」」」

 

「「「「ヒーリングっとプリキュア‼」」」」

 

まばゆい光と共にネオキングビョーゲンへと向かっていく。

 

「紫乃……行くぞ!」

 

「あぁ……どうしてか……僕たちも……浮かんでるしな」

 

みんなの思いが僕らにも力を貸してくれてる…………すると一本の刀が僕の方に投げられ、受けとると……

 

『紫乃!受けとれ!それには東堂の思いも!』

 

「鬼神……」

 

二本の刀を構えて、グレースたちも一緒に立ち向かう

 

『月の呼吸!月龍輪尾』

 

『雪の呼吸!壱ノ型!初雪!』

 

二人でネオキングビョーゲンの身体を切っていく

 

「くっ!小賢しい!」

 

『雪の呼吸!奥義!雪月花』

 

奥義を放ち、ネオキングビョーゲンの顔を切りつけ、

 

『ヒーリングアニマルパワー全開!』

 

『アメイジングお手当て!準備OK!』

 

「プリキュア・ファイナルヒーリングっど・シャワー!」

 

最後の一撃をグレースたちが放つ。ネオキングビョーゲンは必死に押さえ込むが…………

 

『私たちは!生きることを!健やかな未来を諦めない!』

 

みんなの思いが1つになり、ネオキングビョーゲンを浄化するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世界中の蝕みが消え、僕らは浄化したことに安堵しつつ…………倒れた鬼神を見つめていた

 

『よく、やった……』

 

「鬼神……お前は……」

 

『…………この鎧も……限界が近いみたいだな……』

 

鬼神の鎧がひび割れ、砕けると…………そこには青白い顔の男が……僕らは……知っていた

 

「なっ……」

 

「やはりか……」

 

駆け寄ってきた義勇さんたちは驚きを隠せないでいた。それもそうだ……この人は…………

 

「初めましてになるかな?別世界の我が子たち……」

 

鬼神の正体は……産屋敷さんだった

 

「これで……全て納得いく。あの時、鬼神と初めて相対したときに……」

 

あの時、みんなが膝待ついたのは……長い間染み付いた癖を利用したのか…………

 

「鬼神……何故……お前は……」

 

宗一さんは睨み付けながらそう聞くと、産屋敷さんは笑みを浮かべた。

 

「この大地に眠る悪鬼を……滅ぼすためだ……一青はそれに気がついた……そうだろ」

 

「あぁ、俺の先祖が残した日記通りだと……そうなるけど…………」

 

「この大地に眠りつく鬼舞辻を滅ぼすために……地球を蝕む必要があった。だがそれだけでは足りなかった…………」

 

「プリキュアの力……か」

 

「そうだ……だが宗一は地球を蝕むことを良しとせず、私の話を聞かずに……」

 

「…………」

 

「この事を知っていたのは私と四鬼将と黒死牟のみだが…………私はある不安があった」

 

「それって……鬼舞辻が甦ることですか?」

 

のどかの問いかけに頷いた産屋敷さん

 

「その時……見つけたのは一青、君だ…………私はどんな手を使っても君を……仲間に率いれて、プリキュアと共に戦うように仕向けるように…………君の家族の記憶を……君の記憶を書き換えた」

 

「!?」

 

それじゃ……一青は……捨てられた訳じゃ……

 

「だがそれだけでは足りなかった…………その時、宗一のある気遣いで……」

 

「僕が鬼の力を得た……」

 

「君の力は…………鬼舞辻を倒すためのものだった。全てを癒し、浄化する優しい血鬼術………………だからこそ君には強くなってほしかった……仲間たちと共に……」

 

その為にこの人は………………許されないことを……罪を犯し続けた…………

 

「…………すまないと思っているが…………全て世界を救うために…………それだけのために利用した…………」

 

「お館様…………」

 

「実弥……私をそう呼ばないでくれ…………呼ばれる資格はない……」

 

産屋敷さんは立ちあがり、白いゲートを広げた。

 

「これを通れば…………君たちはもとの世界に戻れる…………」

 

この人は……罪を背負いながらも…………戦い続けたのか……

 

「この鎧のお陰で…………手助けもできた…………」

 

「鬼神は……その鎧なのか?」

 

「そうだ……大地の守り神が宿る鎧……それが鬼神だ…………残したことがあるなら、この扉は消しておく…………帰るときに…………テアティーヌ……任せてもいいか」

 

「えぇ……」

 

産屋敷さんはみるみるうちに塵になっていく。

 

「私は……地獄へと落ちる…………これは私が望んだことだ…………」

 

そう言い残して、消えていくのであった。

 

「…………」

 

世界を救うために……罪を背負いながら…………か

 

僕はみんなの方を見て……帰ろうと伝えようと…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フォンテーヌside

 

それに気がついたのは…………カナヲだった

 

「あれは……」

 

カナヲが見つめた先には木に刺さった楔?

 

それが突然黒い穴を開けると同時に触手が伸び、紫乃の身体を貫いた

 

「つぅ!?」

 

「し……の……?」

 

そして鬼殺隊のみんなが同時に紫乃を貫いた触手を斬ろうとしたが、紫乃は穴へと吸い込まれ…………

 

『なるほど……この世界の私は死んだか……だが……』

 

穴から声が聞こえると、そこから現れたのは……

 

「童磨に任せて正解だったな…………こちら側に来られるように…………そして長年の夢が叶った」

 

朝日に照らされながら、一人の男が姿を現した

 

「あの男はこの小僧を切り札だと考えていたみたいだが…………お前たち人間からしてみれば弱点だな」

 

不気味な笑みを浮かべながら現れたのは…………

 

「鬼舞辻……無惨!!」



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116 悪鬼襲来

一青side

 

ゆっくり歩む一人の男。こいつが鬼舞辻…………朝日に照らされてもなお動けているのは…………

 

「不思議そうだな。滅びたはずの私がいることが……」

 

ゆっくりと身体を変化させていき、13本の細い管と身体中に鋭い牙を生えた。

 

「あの日、私は確かに滅びたが……一つの細胞のみ、この楔の中に逃がした」

 

楔を抜いて、俺たちに見せた。あれは……まさか……

 

「これはあちら側の鬼神の角……それを手にして、次元の中に実を潜めつつ、童磨に気を伺うように命じたのだ……そして今、私は日を克服した!そしてまずやることは…………」

 

管と両腕が伸び、地面を抉る。

 

「お前たち鬼狩りの復讐だ」

 

囲っていた俺たちに向かって、鬼舞辻の攻撃が迫る。

 

「全員!頭を下げろ!」

 

悲鳴嶋さんの声が聞こえた瞬間、咄嗟に頭を下げ……俺は鬼舞辻に向かっていく。

 

「ダメだ!?一青!」

 

炭治郎の制止の声を無視しながら、俺は技を放つ

 

『十二月の呼吸!終りノ月!終月!』

 

鬼舞辻の身体を切っていくが…………

 

「その程度か?」

 

切ったはずなのに……傷が…………

 

右腕が迫り来る中、咄嗟に防ごうとするが、そのまま吹き飛ばされ……

 

「いっくん!?」

 

「かはっ……」

 

左腕の感覚が……ない…………見てみると、千切れそうになっていた。

 

「まずいぞ……人数はあの時以上だが…………確実にやつを倒す方法がない」

 

「日の光も効かないか」

 

「そして……珠世の薬もな…………選ばせてやる」

 

鬼舞辻の身体中の口から血が吹き出し、雨のように降りだした。その血に触れた瞬間、身体に痛みが走る

 

『血鬼術!不血癒ノ雨』

 

「毒におかされて死ぬか……楽に殺されるか……選べ」

 

誰も……選ばない……選ぶのはこいつの死だけだ…………だけど……倒す方法なんて……

 

「みなさん!浄化技を!」

 

するとテアティーヌの言葉を聞き、あることを思い出した。そうだ……プリキュアなら……奴を倒せるはずだ……

 

「ほう……面白いことを言うな」

 

鬼舞辻が攻撃を繰り出そうとした瞬間、奴の身体に鎖が巻き付いた。

 

「私たちがこいつを押さえている!今のうちに!」

 

「分かりました!みなさん!」

 

「うん!こいつをこのままにしていたら」

 

「みんなが……」

 

「紫乃……私たちが必ず浄化するから」

 

『ヒーリングアニマルパワー全開!』

 

『アメイジングお手当て!準備OK!』

 

「プリキュア・ファイナルヒーリングっど・シャワー…………」

 

ヒーリングっどシャワーを放とうとした瞬間、鬼舞辻は…………

 

「いいのか?私の中にいる小僧も死ぬぞ」

 

「「「!?」」」

 

鬼舞辻の言葉を聞いた瞬間、浄化技が消え…………

 

「死ね!」

 

鬼舞辻から放たれた衝撃波にみんなが吹き飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

 

フォンテーヌside

 

「フォンテーヌ……大丈夫ペエ?」

 

衝撃波をぷにシールドで守ってくれたみたいだけど…………みんな、倒れていた。

 

「グレース……スパークル……アース……みんな……」

 

「人はほんの小さな希望にすがるが……無様でしかないな」

 

「えっ……」

 

「奴は取り込んだ瞬間、死んだ!私を倒しても無駄だ」

 

紫乃……が……もう……

 

「厄介な力だが……所詮は小娘。このまま死ぬがいい」

 

「フォンテーヌ!逃げるペエ!」

 

死ぬの……私……こんな悪鬼になす統べなく……殺されるの…………いや……いや……助けて……助けてよ…………

 

 

 

紫乃!

 

 

 

 

 

『月の呼吸!』

 

『ヒノカミ神楽』

 

突然鬼舞辻の両腕が切り裂かれ、鬼舞辻は後ろへと下がった。私の前には一青と炭治郎の二人がいた

 

「まだ……死ぬかよ……」

 

「お前を……このまま逃したら……」

 

二人が鬼舞辻に刀を向けると、倒れていたみんなも起き上がる。

それを見て……ううん、別の事に鬼舞辻は驚いていた。

 

「どういうことだ!?何故……致命傷を与えたはず!いや、毒に侵されて立ち上がることなぞ!」

 

確かに……それに一青の左腕も治ってる?

 

 

 

 

 

 

 

鬼舞辻side

 

私の中の細胞にいるはずの小僧を呼び出すが……一向に現れない。まさかと思い、中枢へと向かうとそこには……

 

「馬鹿な!?」

 

「何を驚いてるんだ?」

 

何故だ……取り込んだはずなのに……

 

「お前は僕を取り込んだと思っていたみたいだけど…………そうはいかないみたいだな」

 

「き、貴様!?」

 

「日の光の克服で気づかなかったみたいだな…………まぁお陰で……お前を殺せる」

 

小僧は笑みを浮かべていた。まさか……まさか…………!?

 

「さぁ……終わらそう……鬼舞辻無惨!」



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117 健やかな未来を

身体を貫かれた時、直ぐに気がついた。これは鬼舞辻だと……

このまま取り込まれる。どうしたらいい……だけどある考えが浮かんだ……

取り込まれるならそれを利用してやると……

 

 

奴の中に入った瞬間、僕は両足だけ取り込ませた。そうすれば奴は日の光を克服したと思い込む。

そして何でこうして無事でいられるのは……もしかしたら、僕の中にある鬼神の角の影響だと……さぁて……ここからが勝負だ!

 

 

 

 

 

 

「おのれ!」

 

「どうした?悔しかったら取り込んでみろよ」

 

煽ってみるが鬼舞辻は何もしてこない。いや、出来ない。何せ少しでも行動を起こしたらいくつもある心臓と脳を潰す気満々だからな

 

「さて……みんな!聞こえるか!」

 

外で戦っているみんなに呼び掛けた。今の状況を知らせないとな

 

「紫乃?」

 

「生きてたの?」

 

「良かった……」

 

「紫乃、無事で」

 

「たくっ、生きてるなら言えよ!」

 

「わるい、とりあえず鬼舞辻は僕が押さえておく!みんなは鬼舞辻の心臓と脳を破壊してくれ」

 

「だけど……」

 

珍しいな。炭治郎が弱気なんて……

 

「前は弱っていたから、心臓と脳の場所は傷で分かったけど……」

 

「今の状態で視るには……透き通る世界に入らないと」

 

透き通る世界って何のことか分からないけど、仕方ない

 

「させるか!今すぐお前らに致命傷を与えれば!」

 

鬼舞辻が攻撃を仕掛けようとし、近くにいた炭治郎に当たるが……

 

「いた……くない?」

 

「何!?」

 

「お前の攻撃は当たれば、直ぐに治療するようにしてある…………そしてさらには!」

 

操作をすると、鬼舞辻が細い管を自分自身に突き刺した。

 

「自滅でもしてろ」

 

今の鬼舞辻は攻撃も防御も不可能な状態にして…………更に心臓と脳の位置が分かりやすいように大きな瘤でも作っておくか。

 

「これで弱点丸分かりだ!みんな、日輪刀で突き刺せ!」

 

『おう!』

 

炭治郎、善逸、伊之助、カナヲ、カナエさん、しのぶさん、義勇さん、実弥さん、行冥さん、無一郎、天元さん、伊黒さん、蜜璃さん、杏寿郎さんが瘤に日輪刀を突き刺していく。そして弱った所を玄弥、禰豆子、狛治さんが追撃を与え、一青が最後の心臓を貫く

 

「止めは……グレース、フォンテーヌ、スパークル、アース!」

 

「で、でも紫乃っち……そのままだと……」

 

「そうよ!早く抜け出して!」

 

「このままでは一緒に……」

 

「紫乃くん……」

 

「………………大丈夫だ。いつもの要領で……やれば……」

 

「そっか!それなら……」

 

「紫乃を……」

 

「救える!」

 

「…………やるよ!みんな!」

 

『ヒーリングアニマルパワー全開!』

 

『アメイジングお手当て!準備OK!』

 

「プリキュア・ファイナルヒーリングっど・シャワー!」

 

「やめろ!やめろぉぉぉぉぉ!!!!」

 

「鬼舞辻…………地獄に永遠に堕ちてろ!」

 

「ぐあああああ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

眩い空間の中……

 

「紫乃……良かった……無事なのね……」

 

ちゆの言葉に僕は首を横に振る

 

「悪い……嘘ついた……僕を助けることは出来ないんだ……」

 

「えっ?」

 

「待って……それじゃ……」

 

「では……鬼舞辻と……」

 

「やっぱり……なんだね」

 

のどかだけは分かっていたか……

 

「紫乃くんならそうするかなって思ってた」

 

「悪いな…………」

 

「そんな…………」

 

ちゆ、ごめんな。一緒にいたかったのに…………

 

「紫乃……信じないから……このまま消えるなんてこと……」

 

「ちゆ……」

 

「待ってるから……戻ってくること…………」

 

「…………」

 

「約束だから……」

 

約束か……守らないとダメそうかな…………

 

「みんな、これからも健やかな未来を……頼む」

 

僕は笑顔でそう告げるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちゆside

 

元の姿に戻ると、鬼舞辻のいた場所に……紫乃の日輪刀が刺さっていた。

 

「紫乃…………」

 

のどかやひなたが涙をこらえる中、私はただ泣き叫ぶだけだった………………

 

 

 

 

 

 

そしてそのまま意識を失う…………紫乃…………



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118 帰りを待つ

のどかside

 

あれから数日後…………世界に平穏が訪れた。

 

何か変化があったとしたら、街のみんなの様子が少しだけ変わった。何だかラビリンたちのこと知ってるみたいで……気のせいかな?

 

そして…………

 

「帰るんだね」

 

「うん、ここでやれることはやれたと思うから……」

 

私は炭治郎くんたちの見送りをラビリンと一緒にしていた。みんな、元の世界に帰るけど……

 

「紫乃はきっと生きてるはずだから……」

 

「えっ?」

 

「先に帰った珠世さんが言っていたんだ。どんなに改良しても血鬼術で作られたものはその鬼が死ねば消えるって……でも……」

 

炭治郎くんはある小瓶を見せた。これって……

 

「消えずに……それに効果も残ってる……だから紫乃は生きてる」

 

生きてる……紫乃くんが…………

 

「だから……私たちは残るわ」

 

すると紫乃くんの家からカナエさん、狛治さん、恋雪さんが出てきた。三人はこの世界に残るみたい。

 

「でも残って大丈夫ラビ?あっちで色々と変なことが……」

 

「テアティーヌが言うには、大丈夫だって……ちゃんと転生もするとか……」

 

一体どういう理屈なのか分からないけど…………でも

 

「紫乃くんの帰る場所……守っていくんですね」

 

「えぇ、これから先……ずっとね」

 

「それじゃ……のどか、ありがとう。また」

 

「うん、またね」

 

みんなは元の世界に戻っていった。そういえばあの薬……持って帰ったけどいいのかな?

 

「明日はアスミちゃんたちが帰るのね」

 

「うん」

 

「のどか、淋しいラビ」

 

「淋しいけど……」

 

心配なのはちゆちゃんだ…………ちゆちゃんはあれからいつものように明るく振る舞ってるけど、無理してるみたい…………

 

「ちゆちゃんなりに……頑張ってるはず」

 

「そう言えば一青くんの家は?鬼たちがいるけど……」

 

「あぁそれなら、珠世さんが帰り際に薬を渡して人に戻って、今でも一青くんの家に住んでるみたい」

 

騒がしいと言いながらも嬉しそうにしている一青くん。

家族の事は昨日遠くから見てきたと話していた。

その後くらいにようやくひなたちゃんと付き合うようになったとか……

 

「そう……」

 

だからね……紫乃くん……早く帰ってきて……

 

 

 

 

 

 

 

一青side

 

「あーもう!何で宿題しないとダメなの!」

 

「溜め込んでるお前が悪い」

 

ひなたの家でひなたの宿題を手伝っている。何と言うかいつも通りな感じがするけどな……

 

「付き合い始めたんだからデートしたかったのに……」

 

「それはお前が悪い。それに……」

 

「ちゆちーのことだよね」

 

俺とひなたは少しちゆに気を遣っている。本人は気にしなくていいって言っていたけど…………

 

「紫乃っち…………生きてるよね?」

 

「多分な……」

 

薬については俺も……と言うよりみんな知っているけど…………

 

「あの馬鹿……」

 

「早く……帰ってこないかな……」

 

俺もひなたも帰りを待ってる……だから……早く……

 

 

 

 

 

 

 

 

ちゆside

 

いつも通りの朝、いつも通りの日常の中……私は……みんなに心配かけまいといつも通りに振る舞っていたけど…………

 

「やっぱり……無理してるって思われてるわよね……」

 

砂浜でそう呟く。

みんなに心配かけまいとしてるけど…………やっぱり辛いわね

 

泣かないようにしてるのに…………

 

「紫乃…………」

 

 

 

 

 

 

それからラビリンたちがヒーリングガーデンに帰っていき、私たちはそれを見送った。

 

 

 

 

 

 

 

アスミside

 

ヒーリングガーデンに戻った私たち。すると出迎えてくれたテアティーヌがある場所に案内してくれた。

 

「ここは?」

 

「まだ蝕まれてる場所ラビ」

 

「ゆっくり時間を掛けて浄化しないとペエ」

 

「にしてもテアティーヌ様は何でここに俺たちを?」

 

「先に戻った際……あるものを見つけました。私たちは保護を……」

 

たどり着いた場所には…………

 

「そんな…………」



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119 ヒーリングガーデンへ

のどかside

 

ラビリンたちが帰ってから暫くした後、ラビリンたちから連絡をもらい、私たちは灯台に集り、ヒーリングガーデンへと行くのであった。

 

 

ヒーリングガーデンへと着くとそこは……綺麗でキラキラしていた。

 

「まるで絵本の世界ね」

 

「気に入ったペエ~」

 

「もっとすごいもん見せてやるぜ」

 

ラビリンたちの案内の元、私たちは歩いていく中、

 

「ちゆちゃん、それ……」

 

「あぁ……これは……持ってきてほしいって言われたの」

 

ちゆちゃんの荷物には紫乃くんの日輪刀があった。持ってきてほしいって……何につかうんだろう?

 

 

 

 

ヒーリングガーデンの中心、ヒーリングパレスに辿り着くと、湖の上を歩いて先代のプリキュアの像の前に立ち止まる

 

「これってテアティーヌさんのパートナーだった」

 

「そう、先代のプリキュアラビ」

 

「本当にアスミに似てるわね」

 

「私もそう思います」

 

像の後ろからアスミちゃんとラテが姿を見せてくれた。

 

「みなさん、お久しぶりです」

 

「わん」

 

ラテも少しだけ飛べるようになっていた。本当に嬉しいな……

 

「のどか……」

 

「ふわぁ~名前呼んでくれるの~」

 

「最後のお手当ての頃、ちょっと喋れるようになってたけど……」

 

「ちーゆ」

 

「はーい」

 

「私は?」

 

「ひなた」

 

「そうそうひなただよ~」

 

「いお」

 

「ん……こうして呼ばれるのは嬉しいな」

 

「ニャトラン、ペギタン、すあま」

 

何故かラビリンだけすあまって……私たちは笑いをこらえるのであった。

 

「みなさん、ようこそヒーリングガーデンへ」

 

「テアティーヌさん」

 

テアティーヌさんも出迎えてくれて、私たちは挨拶をした。

 

「地球の危機に立ち向かってくれて、ありがとう」

 

「あの……お加減はどうですか?」

 

「少しは……良くなりました」

 

私たちはテアティーヌさんにお土産を渡すと四人全員すこやか饅頭だった。

テアティーヌさんは仲間たちに分けてほしいと言い、私たちはラビリンたちと一緒に行くのであった。

 

 

 

 

 

 

一青side

 

お土産を渡しに行くと、ヒーリングアニマルたちは歓迎してくれた。

なんと言うかこれまでのことがあったからこそこうして受け入れてくれてるんだな……

 

その後、小さなヒーリングアニマルたちの所でお土産を渡す中……アスミは浮かない顔をしていた。

 

「どうかしたのか?」

 

「……いえ」

 

「隠すなよ。俺だけじゃなく紫乃の刀まで持ってこいって……何かあるだろ」

 

「……そうですね……隠していても仕方ないですね」

 

フッとのどかはある場所を見つけた。そこはヒーリングガーデンにしては暗いと言うか……蝕まれているのか?

 

話を聞くとまだ元に戻ってないみたいだ。のどかたちは元気になるように祈っていると……

 

「何故人間なんか連れ込んだんだ」

 

「サルローさん」

 

サルローと言う年老いたヒーリングアニマルが茂みから出てきたけど、あまり歓迎してないみたいだな。

 

「人間なんて何ラビ!」

 

「僕たちの大切なパートナーペエ」

 

「テアティーヌ様が正式に招いてくれたんだ!」

 

「へっ、女王は人間に甘すぎるんだ」

 

サルローの言葉を聞いて、落ち込むラテ。ラビリンたちは怒るけど……

 

「サルローさん、何故貴方は人間のみなさんを嫌がるんですか?」

 

「分からんか?人間なんぞもはや人間と変わらんからだ。自然を破壊し、動物の命を奪う……ある程度は生きるために必要なことだ。それが人間の進化と言うものだろう。だが限度と言うものがある!ビョーゲンズだって進化の果てがキングビョーゲンだ!おまけに大地に眠る鬼を封じるために協力していた人間だっていやがる。俺から言わせてもらえば人間だって浄化するべき存在だ。この星のためにな」

 

サルローさんはそう言って去っていく

 

「そういう考えもあるのですね」

 

「ないラビ!」

 

「うんうん」

 

「俺たちが出会ったのみんないい人だったぞ!」

 

「キングビョーゲンにも言われた……人間もビョーゲンズと変わらないって」

 

「そうね……人間が便利に暮らすために空気や海を汚してるのも事実よ」

 

「そのせいで野生の生き物が死んでいくことがある」

 

「考えたら……うちの病院も事故にあった動物が運ばれることがあるんだよね」

 

「私たち人間も……地球に酷いことしてるんだよ……」

 

「いつか私たちもニャトランたちに浄化されちゃうのかな?」

 

「いやペエ、ちゆたちと戦うことになるなんて……」

 

正直、ラビリンたちが出会ってきた人たちはいい人だったのかもしれないな。

下手をすれば……見切りをつけられていたかもしれない

 

「……だからこそテアティーヌはあれを保護したのかもしれません」

 

「「「あれ?」」」

 

「ここです」

 

アスミの案内で辿り着いた場所には祠があり、中には巨大な肉の塊が……

 

「これって……」

 

「私たちが帰った際に見せられました。これは……人に見切りをつけた際に起動すると……鬼神の牙です」

 

鬼神の牙…………

 

「中に何が?」

 

「分かりません。ただ話を聞くと……鬼舞辻の怨念とキングビョーゲンの怨念を取り込んでいるみたいです」

 

「……そんな」

 

「こんなのが……」

 

「俺とちゆに刀を持ってこさせたのはこれが理由か?」

 

「はい……テアティーヌは言いました。もしも人間を信じるのであれば……切って欲しいと………………」

 

アスミは信じてるんだな……俺達人間を…………

 

「…………切るべきか……」

 

正直迷う。どうしたらいいのかって……こういうとき紫乃がいれば……決断してくれそうなのにな…………

 



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120 起動

一青side

 

突然ラテが具合悪くなり、話を聞くとメガビョーゲンがヒーリングガーデンに現れたらしい。俺達は急いでそこへと向かうと小さなヒーリングアニマルを捕まえたメガビョーゲンが六体いた。

 

のどかたちはプリキュアに変身し、俺は刀を抜いた。

 

グレースたちはヒーリングアニマルたちを助けようとするが、見事なくらいに連携されて苦戦していた。

 

「プリキュア!エレメントはあの赤い奴の中だ!」

 

「えっ?エレメントさんが一人だけ?」

 

「すこやか饅頭は六個入りで一つラビ」

 

だからなのか?それはそれで面倒だけど……

 

「六個入りで一つ……」

 

するとアースの動きが鈍り、メガビョーゲンの攻撃を受けてしまった。

 

「アース!?」

 

「どうしたの?どっか調子悪いの?」

 

グレースたちが心配していると、アースは泣きながら……

 

「すみません……あのすこやか饅頭を攻撃するなど……私にはとても……」

 

「「「好きすぎー」」」

 

三人揃って突っ込みをいれるけど……状況が悪すぎる

 

「恐らくあれに野生のナノビョーゲンがついていたんだろ。人間がナノビョーゲンを持ち込んだんだ」

 

サルローがそう告げた瞬間、グレースたちは……

 

「それなら尚更私たちが責任もって浄化しなきゃ……」

 

「ごめんね。私たちのせいで……」

 

「こんな失敗やらかすとか思ってもみなくて……」

 

「今更なんだ!災いを持ち込むのはいつだって人間なんだ!」

 

グレースたちが動揺してる。くそ……違うって否定したい……

 

すると鬼神の牙がある方から爆音が聞こえた瞬間、何かが俺達の前に現れた

 

「…………」

 

白髪に両腕は金属で出来ており、額には二本の角が生えた男。こいつは……

 

「ヒーリングアニマルが人間に見切りをつけた。そのため処理を開始する」

 

「まさか!?」

 

テアティーヌがそいつを見て、驚きを隠せないでいた。

 

「みなさん!逃げてください!それは鬼神の牙!サルローの声を聞き、起動を!?」

 

何だって!?だけど……何でサルロー一人に?

 

「鬼神の牙には……二つの怨念が宿り……人間への憎しみが……強くなっていましたが……まさか……こんなときに……」

 

「くそ!グレースたちは……」

 

メガビョーゲンをと言おうとした瞬間、俺の前に鬼神の牙が現れ、腹に思いきり一撃を喰らった。

 

「かはっ!?」

 

「いっくん!?」

 

「処理する!処理する!」

 

「どうして……何で……」

 

戸惑うグレース。すると牙は動きを止め……

 

「お前たち人間は自分の事しか考えていない。それがもたらすものに気づかずに……」

 

「でも!それは……」

 

「ならば何故お前たちの仲間は死んだんだ」

 

「「「!?」」」

 

こいつ、紫乃のことを言ってるのか?

 

「お前たちが世界を救うために犠牲にした。助ける方法を探さずに」

 

「ち、ちがう……犠牲になんて……」

 

「あれは……紫乃が……」

 

「あの時は……そうするしか……」

 

「そう言い訳して、自分達が正しいと決めつけている」

 

牙の言葉に対して、言い返せないグレースたち。くそ……

 

「大地を汚し、海を汚し、動物を傷つけ、仲間を見捨てる。人間は浄化するべき……」

 

「紫乃は……生きてる……」

 

フォンテーヌが必死に否定しようとするが……牙は

 

「ならば何故助けに来ない。それはお前たちに見切りをつけたからだ」

 

「ちが……」

 

「また否定」

 

 

 

 

フォンテーヌside

 

牙の言葉を否定できない……私は……私は……

 

「先ずはお前から処理する」

 

両腕を二本の剣に変えて、襲いかかる。私は咄嗟にぷにシールドで防ごうとするが、間に合わない………………

 

「フォンテーヌ!?」

 

「逃げて!?」

 

「くっ!?」

 

「くそ!」

 

みんなが駆け寄ろうとするが……間に合わない………………

 

紫乃…………助けて……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『雪の呼吸!壱ノ型!初雪』

 

 

 

 

 

 

迫り来る剣を打ち砕く音と共に…………雪が舞い散る

 

そして私の前に…………

 

「持ってきてくれてたのか。良かったよ……」

 

白い日輪刀を持ち、いつも私たちを助けてくれた優しい声…………

 

「嘘……」

 

「本当に?」

 

「来てくれたんですね」

 

「たくっ……遅いぞ」

 

「紫乃……紫乃……紫乃!?」

 

「お待たせ!ちゆ……みんな!」

 




話の都合上、三話に分けることに……


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121 戻ってきた剣士、新たなプリキュアと謎の少女

「紫乃紫乃紫乃」

 

フォンテーヌが抱きついてきてるけど……今は出来れば……

 

「何故生きている?何故ここにいる」

 

「誰か知らないけど……気づいたらここにいたんだよ」

 

そう……あの日……僕は一緒に浄化されて消えるはずだったけど……何かしらの作用で気がついたらヒーリングガーデンに来ていた。だけど……いた場所が蝕まれている場所だし、かなり距離があって来るのに時間がかかった。

 

「それで着いてみれば……こんなことになっていたからな…………」

 

「ならば問おう!お前は仲間に見捨てられてどう思った」

 

「紫乃……」

 

「紫乃くん……」

 

「紫乃っち……」

 

「紫乃……」

 

見捨てられたか……

 

「お前、何言ってるんだ?見捨てられたわけないだろ。僕は僕自身が望んで選んだことなんだよ」

 

「…………理解不能。お前は見捨てられていないだと?ならば更に問おう!人間はこの星を汚す存在……今もこのヒーリングガーデンに災いをもたらした」

 

「確かにそう言う奴がいるけどな……ここにいるみんなは違うし……メガビョーゲンが現れたのも偶々みたいなものだろ。と言うか持ち込んだとか思ってるのか?人間に見えないものに対してどう注意するんだよ」

 

僕は斬りかかるが、奴は後ろへ下がった。

 

「理解不能。ならば……」

 

「それに……この星を汚すとか言うけど……守ろうとしている人だっている!」

 

「そんな人間はいない。人間は災いを……」

 

「違うラテ……」

 

ラテから眩い光が照らされると、メガビョーゲンの頭上に光のゲートが開き、そこから二人の少女が降ってきた。

少女たちはそのままメガビョーゲンに激突すると……捕まっていたヒーリングアニマルたちが解放され、少女の所に落ちる

 

「えっ?ここどこ?あーよしよし」

 

こいつ……まるでプリキュア……と言うかプリキュアだよな?

 

「あの姿は……まさかプリキュア!?」

 

「誰?」

 

「あ、こんにちわ!私、キュアサマー!もしかしてみんなも」

 

「危ない!?後……」

 

フォンテーヌが言い終わる前にサマーはメガビョーゲンの攻撃を避けていく

 

「プリキュアなの~」

 

「ぶれないな~サマーちゃん」

 

もう一人の少女は呆れながら言うと………

 

「それじゃ私はこっちを!」

 

もう一人の少女は重そうな剣を構える。

 

「初めまして、私は早枝葉きぃです」

 

「戦えるのか?」

 

「はい!」

 

重そうな剣を持って、駆け出していき、敵に攻撃を喰らわす

 

「理解不能。プリキュアでも、その男たちみたいな剣士でもないはずなのに……」

 

「私はリリィだからね」

 

リリィ?よく分からないけど……

 

「合わせろ」

 

「うん!」

 

僕、きぃ、一青で攻めていくと、サマーがメガビョーゲンの攻撃を喰らい、吹き飛ばされるがグレースたちがメガビョーゲン六体を縛り上げる

 

「人間が地球にひどいことしてるとか、私、全然分かってなかったけど……でも!今から遅くないよね」

 

「これ以上ひどいことにならないように、最悪な未来を避けるために私たちにも何か出来るはずよ!」

 

「そして少しでもすこやかな未来を!私たちだけじゃない!地球の沢山のみんなが健やかに生きられる未来にしたいから!」

 

「そのために……僕らは生きる!」

 

「プリキュアと共に!」

 

鬼を吹き飛ばし……構えた。

 

『雪の呼吸!奥義!玖ノ型!雪月花!』

 

鬼の首を一閃し、鬼は塵となって消えていく

 

「再び……人が…………」

 

「星を滅ぼす存在になったら現れる?安心しろ……そうはならない」

 

星を汚すとか浄化するとかは、テアティーヌは分かっているはず、でも信じてるからな。

 

グレースたちもメガビョーゲンを浄化し、何とか無事に戦いが終わる。

 

サマーときぃの二人はまた会おうと約束をして帰っていく。

 

「ふぅ……一件落着……」

 

『紫乃(くん)(っち)』

 

かと思ったら、みんなが抱き付いてきた。

 

「ちょ!?痛い痛い!鬼の力無くなってるんだから……」

 

ってみんな聞いてないし……すると一青は

 

「鬼の力がない?」

 

「あの時に……一緒に消えたみたいなんだよ……まぁ残ってるのが少しの再生能力のみだけどな」

 

まさか消えるとはな……でもそれもいいかもしれない……

そのお陰で……みんなとこうして再会できたしな

 

 

 

 

 

 

 

こうしてみんなとの再開を終え、僕らはヒーリングガーデンを後にするのであった。




次回で最終回です!

後トロビカルージュは書くかもですね


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最終話 幸せな未来を願う

「ふぅ……」

 

部屋の掃除を終え、僕はひと息ついた。

ヒーリングガーデンから戻ってきて、数日が経った。戻ったらカナエさんたちに思いきり抱き締められたり、怒られたりしたけど……なんと言うか帰ったらただいまをいってくれる人がいるのは嬉しいものだな

 

「そう言えば……日輪刀どうしよう?」

 

もう戦うことがない……って思いたいけど、ずっと持ち歩くのも…………

 

「飾っとくかな?」

 

どうしたらいいものか考えていると、カナエさんが呼びに来た。

 

「紫乃くん、ちゆちゃんきてるわよ」

 

「うん、部屋に上がってもらって」

 

「分かったわ」

 

少ししてちゆが来て、部屋を見ると……

 

「ちらかっ……掃除?」

 

「うん」

 

「何でまた?」

 

あー理由としては……

 

「いない間に掃除してもらってたけど、何となく自分でもやりたかったし……」

 

「落ち着かないってこと?」

 

「なのかな?それでちゆはどうしたんだ?」

 

「えっ?」

 

何故か目線を反らすちゆ。何だ?どうしたんだ?

 

「その…ね…紫乃がちゃんと帰ってきてるかなって…思って」

 

「いや、ちゃんと…」

 

帰ってきたからと言おうとしたけど、あの戦いの時を考えると申し訳なかった。僕自身も死んだかと思ったけど……ちゃんと生き残れたし……

 

「悪かったな…悲しい思いをさせて……」

 

「ううん、大丈夫よ……でも一つだけお願いがあるの」

 

「何だ?」

 

「ずっと……一緒にいて……」

 

それって……いや、あんな思いをさせたから出た言葉だよな?

 

「もう……いなくなったりしないから……」

 

僕はちゆの頭を撫で…キスをした。

 

「紫乃…ありがとう」

 

 

 

 

 

 

 

 

遊びに来たちゆを見送ると、後ろから気配を感じた

 

「何だ?のどか」

 

「あ、バレちゃった?」

 

「気配でな」

 

「そっか」

 

のどかは何故かニコニコしていたけど、どうしたんだ?

 

「紫乃くん、帰ってきて良かった」

 

「何か悪かったな」

 

「ううん、多分だけど紫乃くんも死ぬ覚悟だったのかなって思ったから」

 

「まぁ…そうだな」

 

なんと言うかのどかは勘が良すぎだろ…これも成長したと思えばいいかな?

 

「そう言えば鬼たちは…どうなったのかな?」

 

「どうって?」

 

「鬼は悲しい思いをした人たちが多い感じがするんだけど…みんな、どうなるのかなって?」

 

「どうなったか…生まれ変わりとかがあるなら…全部の罪を償って…幸せに暮らしてると思うな……」

 

とはいえ根っこの部分が悪人みたいな奴はどうなったか……

 

「何でまたそんなことを?」

 

「何となく……」

 

何となくか…まぁのどからしいと言うかなんと言うかだな

 

「それに……みんながいる世界でも…きっと幸せに暮らしてるよ……」

 

「うん……そうだね。もしかしたら私たちのこと、伝わっていたりしてね」

 

「どうなんだろうな?それ……」

 

「そうだ!前に夢の世界に行ったときの写真見る」

 

「あ、そう言えばそんなのがあったな」

 

色々とあったけど……とりあえず僕らは幸せに生きてるよ……そっちはどうだ?炭治郎?

 

 

 

 

 

 

おばあちゃんから聞いたご先祖様のお話には続きがあった。

 

それは遠い世界に、ご先祖様は招かれて、そこで星を守るために戦う四人の少女と不思議な動物とそして……優しく強い……雪のような剣を持つ一人の少年とのお話しだった。その人はどうなったか気になるけど……でも……家に残された一枚の写真を見て……あぁきっと幸せに生きてると思う




と言うことで最終話です。

ヒープリ自体本当に色々とありましたね。

最後のシーンは炭治郎の子孫の話ですね。

そしてラスボスの無惨……呆気ないというか……紫乃自体が本当に対無惨に特化してるというか…………
最初の案では無惨を浄化するのはフォンテーヌだけにするつもりでしたが、流石にそれは辛すぎるためやめました。
後出そうと思っていましたが、結局出せなかった二人がいましたけど……特に理由はないですね。まぁ鳴女は……能力がいかせる場所がないと言いますか……

とりあえず本編はこれにて、ifストーリーはのどかとアスミの話を書いていくつもりです。

そしてトロプリは二話以降書いていくつもりです

ではまた


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