少々変わり者の副隊長 (魔剣グラム)
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変わり者の副隊長はのんびりする

最近、千年血戦編やると聞き、急ぎ執筆したヤツですね。
こんな人いたら面白そうと大分前に考えたヤツを、焼き直した作品です。
 主人公の斬魄刀の能力が完全にパクったヤツなんだけど。たぶんバレないバレない。
参考程度でまるで別物だし。たぶんその作者に知られるほど人気にはならない。


「…あー。おっぱい揉みてー…」

 男の夢を口にしながら、屋根に寝そべっている1人の漢。

 その男の耳元に、

 

ズガンッ

 

…斬魄刀が突きたった。真剣である事をヌラリと輝く刃が教えている。あと数ミリで頬が裂ける位置に、しかも当たらない位置に刀があるのは、持ち主が達人である証拠である。

「ここにいたんですね。つまらない事言ってないで、速く戻ってきてください」

漢の果てなき野望を一言で切り捨てた俺の上司は白い羽織りに『四』の数を背負っていた。

「…イヤ。今は私、自分自身で決めた休憩(サボり)中でして…」

 横を向き、卯ノ花隊長から顔を背けた。ついでに現実からも。

卯ノ花隊長は意外にある(・・)らしい。

だがソレを確かめるには命を掛けるしかない。

残念ながらチキンな男にはそれを確かめる勇気はなかった。

「次は象徴です。どこだかわかりますね?」

「…了解です。隊長」

…尸魂界1恐ろしい脅しを受けた。その男はあっさり屈服した。笑いながら1人ゴチる。

「…退魔忍かよ。俺は」

ズガンッ

…今度は股ぐらだった。木屑が股間にわずかに乗る。

「…次はどうなるかわかりますね?」

…股間がヒュッとなった。

俺は黙って立ち上がった。

腰帯を確かめる。

帯刀しているのをちゃんと確認したあと。

「執務ですか?頑張っちゃいますよ!オレ!」

「違います」

新しく副隊長になった人の顔合わせですよ。

 

 そういったニコニコ顔の隊長に対して、俺は大きくため息を吐いた。肺の中全ての息を吐ききる勢いで。そうだった。ちょうどその時期だなぁ…。だったら、

「このカッコじゃあさすがにダメですかね…?」

「ええ。ダメです」

「やっぱり、副官章つけなきゃダメですよね」

ちゃんと公式の場に出るのなら、それくらいはちゃんとせねば…!

「副官章つけてもダメです」

「ちゃんと帯刀しますよ?」

それくらいの常識はある。

「帯刀してもダメです」

「ちゃんとマントもしますよ?」

「それはやめてください」

ただの小粋な冗句なのに迫力のあるニコニコ笑顔で止める隊長。その笑顔の裏には、似合わぬ般若を観た。

「わかりました。マントは辞めます。じゃあ副官章と帯刀だけして行きますね」

「ダメです」

にべにもない否定の言葉を隊長が紡ぐ。

あまりにも理不尽だ。理不尽すぎて、

「なんでですか!帯刀も副官章もつけるって言ってるでしょう?何がいけないんですか!?」

俺はキレた。隊長相手に。凄く常識的な事しか言ってないのに…!この非常識な隊長め…!

 

 隊長は大きくため息をついた。

「自分の格好を見て疑問に思わないんですか?」

自分の正装を見下ろす。どこにも異常はない。実に健康体だ。

「…どこに異常があるんですか?実に普通の格好だと思うんですが」

その言葉を聞いて隊長はため息が深くなった。まるで、俺が非常識な事をさも当然かの様に吐いたと思ったかの様に。

失礼な!

 

「…いったい、どこに全裸で(刀と副官章以外何も身につけずに)副隊長の顔合わせに行く輩がいるんですか?」

 

…え?そんな事?

「…ここにいますが?裸って非常識なんですか?むしろ正装ですよね?」

全裸とは全てから解放された状態だ。

なににも捕らわれずに自由である事は強者の証である。

 

 弱者は弱いからこそ自分の弱い所を覆い隠すのだ。服で。靴で。帽子で。その他の様々な所を。

 

 強者とは自分の全てをさらけ出し、それでいてなお強い。

 

だからこそ全裸は強者の正装なのである!

俺には弱い部分、覆い隠さねばならない所など一切ない…!

弱者のフリなど俺の誇りにかけてもできない…!

「…象徴を斬り落としますよ」

「あ。服着ます」

男の本能にはどこまでも忠実なのだった。

 弱い部分はないが本能的に護る部分はあるのだ。狙われるのもイヤだし。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「今日は服着てるんですね。珍しい」

「隊長に脅されたんだよ…。全裸こそ正装なのに…」

「それは違う」 

いつものやりとりを雀さん(一番隊副隊長)とする。このヒト、副隊長なのだ。卍解使えるならさっさと隊長になりゃいいのに…。

 総隊長に心酔して副隊長に留まっているらしい。

俺も総隊長は憧れだ。総隊長、戦う時上半身裸になるし。

 総隊長が本気で闘う時、上半身裸になるという事は、つまりは裸は強者の正装である。

全裸は上半身裸の倍、裸だ。つまりは戦闘も霊圧も倍の強さになるはずである。

弱い点もあるが、むしろその弱点を敢えて晒す事により、無敵の強さが得られる増幅器足り得るのだから

故に全裸が、むしろ全裸こそ強者の正装なのであるッ!!!

「それは違う!」

でも最近だと、なぜか雛森副隊長が俺の正装を見て倒れた。

グルグル目を回していたけど一体なんだったんだ…?新手の一発芸か?

後で日番谷隊長にやたら怒られたしなぁ…。藍染隊長からも注意を受けたし。裸は刺激が強いって、何がだよ…?

…正装のどこがいけないんだ…?強者の意匠だぞ?

「裸だからですよ」

心を読まないでいただきたい。

まぁそんな事は置いといて。

「今日は誰のお披露目だっけ?」

「…露骨に話題を変えましたね?まぁいいです。今日のお披露目は阿散井副隊長ですよ」

あぁ…アイツか。あの…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…。誰だっけ?

「…ハゲだっけ?」

「それは斑目三席ですね」

「じゃあ目元に変な羽つけてるヤツ」

「それは綾瀬川五席です」

「崩山剣舞の…」

「それは八番隊の三席でしょう…。どんどん離れていってますよ。あの人です」

手で示した先にはある人がいた。指で指さない所に育ちの良さが感じられるな。そこにいたのは―

―赤い髪の毛に変な眉毛をしたヤツだった。眉毛はどうやら入れ墨の様だ。…うわ…。

「キャラ濃ゆいな〜。性格キツそう」

「…あなたが言いますか」

俺だからこそ言うね。基本俺ってキャラ濃くないし。常に正装なのが特徴かな。常に正装って俺、めちゃくちゃ礼儀正しいじゃん!

「それは違う」

よく見てみると、どこかソワソワしている様な印象を受ける。

 嬉しいけど、速く帰りたいみたいな…。ありがたいけど抜け出したいみたいな。そんな矛盾した考えを孕んでいる行動をとっているかのように、見受けられた。

「…なぁ」

「知りませんよ?」

光の速さで返答が来た。どーでもいい様だった。まぁ、違う隊だしな。

そうか。雀さんも知らんなら。

「ちょいと調べてみるかね…」

「あなたのそういった所は理想の上官なんですよね…」

せっかく自分の目で物事を判断する貴重な上官なのに…。現場の辛さも知ってるのに…。何故にこうなったんだ…。

我が心の友の心強い言葉。イヤ〜それほどでも。

「まぁな!理想の上司ランキングに、伊達に50年連続で選ばれてないしな!」

「絶対に関わりたくない上司ランキングには100年連続で選ばれてますよね?」

何も聞こえないね。都合の悪い事はなにも。

そんな折に。

我が心の友との情報交換(ざつだん)に心を傾けている時に、言葉が挟まる。

「阿散井恋次です。六番隊副隊長になりました!以後よろしくお願いします!」

あぁ。挨拶に来たのか。礼儀正しいね。見た目はどう見てもヤンキーなのに。…なるほどヤンキーだからこそか。あぁいう所は上下関係大事らしいし。

「よろしくお願いします。阿散井副隊長」

こちらも丁寧に頭を下げると、

「…いつもそうならどれだけ良いか」

おい。我が心の友。心の声が漏れてるぞ?

いつもこうだろうが。

普段から服を着てないだけで基本常識人だそ?俺は。

最近は虎徹ちゃんも俺の全裸に慣れたし。

…慣れるまではよく悲鳴を上げてたけどな。

 悲鳴を上げる意味が説明されるまではよくわからんかったんだよなー。

説明されてもわかんなかったし。裸だからって。別にフツウじゃん。

「…今日はちゃんと服着てるんすね」

恋次君。珍しいと言わんばかりだね。

「前に雛森副隊長の事があってね。男なら大丈夫かなと思ったんだけど、四番隊(ウチの)隊長に止められてね〜」

 サラッとウソをつく俺。別に男とか女とかどーでもいい。

別に女であっても全裸で来たし。雛森副隊長の時はちょっと問題になったけど。

「…ホントですか?」

随分疑わしそうだねぇ。恋次君。

「ホントだとも。それより」

一拍置く。

「何か悩みがあるのかね?」

そう聞くと恋次君は驚いたように目を見開いた。

表情筋が素直な子だな。瞠目して、顔を引きつらせてるよ。

そして顔を斜め下に反らして。

「…何でも…ない、です…!」

なるほど…何かあるのか。そう言ってる様なモノだぞ?

「そかそか。なんもないならいいや」

調べてみよう。

絶対に何かあるハズだ。

「そんな所もあるから一概に害悪とは言えないんですよね。普段の姿は害悪そのモノなんですが」

うるせぇよ。後輩のめんどう見るのが先輩の務めだろ。

…全裸教に入信させてもいいしな。

 

裸とは害悪ではない!

強者を目指す者のあるべき姿なのた!

 

という教義(おしえ)の宗教だ。

ちょっと頑張れば入りそうだと思うし。

「絶対に入らないと思いますよ」

心の友の冷たい言葉。

俺は負けない!

俺は志を新たに信者を増やす活動(宗教活動)に奔走する事を決めた。




次から物語がゆっくり動き出すのです。
私の作品ってかなりテンポが速くて読者置いてけぼりになりやすいんですよねぇ…。
文字数少なめの割には。
もうちょいスローペースになる様にガンバリマス(努力



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あるべき姿は裸である

最近はとっくん26歳の動画と谷やんと金子の動画をよく観ている。
フツーに面白くて好き。



「…朽木ルキア?」

虎徹ちゃんの持ってきた資料に目を通しながら、呟く。

虎徹ちゃんは四番隊『副官補佐』。つまりは俺の補佐をするのが仕事だ。

「はい。どうやら幼馴染みたいですね。その人が現世で行方不明になったらしくて」

なるほどなるほど。仲が良かったのか。それでか。

「…っ。朽木って事は…?」

「朽木隊長が養子にとったみたいですよ」

…あの決まりと誇りの権化(ごんげ)みたいな男にそんな所があったとは知らなんだ。

「…それで、なんで私がこんな事を調べさせられているんですか?仕事はあらかた片付いたからいいんですけど」

…そこを疑問に思うか。まぁ当然っちゃあ当然だが。

「こないだ、副隊長の顔合わせがあってな。そこでヤケに阿散井(あばらい)副隊長がソワソワしているのが目についたんだ。んで、聞いたら明らかに何か隠してる風だったからな」

そう言ったら、虎徹ちゃんがため息をついた。

「またいつもの病気ですか」

だって気になるだろ。それに。

「俺の可愛(かわい)可愛(かわい)い後輩だぞ」

また嘆息する俺の補佐官。

「…副隊長の先輩っているんですか?」

「総隊長とウチの隊長ぐらいかな」

護挺十三隊に入った第一期生だからな。

俺は最初の隊長(13人)の次に入った面子(メンツ)だ。

…同期はみんな死んだけど、先輩が2人だけ残っている。その2人は二人とも尸魂界(ソウル・ソサイエティ)生きた歴史(リビングレジェンド)だ。

「…千年間ずっとお節介焼いて来たんですか?」

「俺は俺のやりたい事をやりたい様ににやってきただけだ」

そんな事を1人ボソボソ言いながら、資料をめくる手は止めない。

 情報を読むのは嫌いではない。かなりのスピードで読める自信がある。伊達に千年やってない。

 見事なまでのスピードと正確性で読了した。いつも通りのスピードと正確性で。

虎徹ちゃんの1/3程の時間で読了したらしい。虎徹ちゃんはわずかだか、驚いている様に見えた。

「帰っていいぞ?と言うか仕事終わったら俺に資料だけ渡して帰ってくれても良いと話したハズだが…?」

「それを読んだら絶対に現世に行きたがるハズだから、止める様に言われまして」

「…誰からだ?」

「隊長からです」

…伊達に千年の付き合いではないな。

久しぶりに1人で現世に行きたかったんだが。

顔を伏せながら、俺の補佐は続ける。 

「…無理にでも行きたがったら、胸を揉ませてやれとの事でした。わたしの胸1つ揉んで、尸魂界(ソウル・ソサイエティ)に留まってくれるなら安いものだそうです」

…おっぱいは2つあるから1つではないな。

あと顔は見えないが、

「…耳まで赤くなってるぞ?そんな恥ずかしいならムリする事ない」

耳が真っ赤に染まっていた。恥ずかしいのをムリして言ってくれたんだなぁ…。

冒頭部分を隊長は覚えていたに違いない。

…部下に言うなよ…。

「と、副隊長は仰るだろうから、ムリしてでも言うべきだと隊長が仰っておられました」

「俺の事、よくわかってんなあ…。伊達に千年、俺の上司やってない」

部下からの信頼を損なう様なマネは、基本しないからなぁ…。

「…全裸以外、ですか?」

「全裸も含めて、だ。やはり基本的な精神は大事にしていかんとな。あと、俺はキャラ薄いから、そこを補わないとな。全裸で」

「…ムリして補う必要あるんですか…」

そんな、信頼する部下と心温まる会話をしていると。

「副隊ちょ…きゃああああ!」

「どうした!何が起こった!」

急に執務室に入って来たウチの部下が悲鳴をあげた。

「全裸だからですよ」

「………え?」

「急に意味わかんないみたいな雰囲気出すのは辞めてください」

「………え?」

「…あ。そっか。この人そんな人でしたね」

なんかウチの三席は納得したらしい。

俺の正装(全裸)を見て悲鳴をあげる部下。

悲鳴をあげられて意味わからん俺。

その場を冷静に取りまとめる三席。

 

実にいつもの光景だなぁ…。

 

「…助けようか?」

「あなたが助けに入ったら、より酷くなりそうだからじっとしててください!」

よっしゃ!今の内に現世へ…!

「それと今現世へ行ったら、゛私の剣の錆になると思え゛と隊長が」

「ジッとしてます!」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「相変わらずね」

「相変わらずですね」

「…はい」

雛森副隊長と松本副隊長に囲まれ、小さくなる私。

ここは酒場だ。女の副隊長と仲が良い私の話を笑って聞いてくれる。良い先輩達だ。

「…なんであんな変態副隊長に好意を持つの?」

「まぁまぁ、乱菊さん。気持ちはわからなくないでしょう?」

欲しい言葉を欲しい時にくれる男。誠実で、肝が据わってて、強くて、金持ちで、仕事もできて、ある1点を除けば評判のいい男。

…その1点で全てが台無しになってるけど。

「…私もそうですけど、救われない所を救ってくれたんですよ。その後始末まで全部してくれて、今の仕事まで斡旋してくれて」

私の好きになった男の性質(たち)が悪い所がそこだ。

むりやり闇から引きずり出す。

その人が闇の住人だとしても、闇から引きずり出された後の補助までちゃんとする男は少ない。

…釣った魚には餌はあげないけど。

…たぶん釣ったっていう自覚すらないと思う。

「…私は全てを救われたんですよ。副隊長に」

あの時は触られてもいい覚悟で言った。

嫌いな男には絶対に胸を命令されても触らせないと思う。

隊長は絶対それを知ってて言ってる。

…隊長も絶対性格悪い。

 

…悪いのはこれだけアピールしてるのに気付かないあの男だけど。

 

なんでいつも全裸なの…!

「まぁ、恋は盲目っていうからね」

「乱菊さん…」

お酒が足りない!

もっと、もっとお酒ちょうだい!

「良い呑みっぷりね!イヤな事は全部呑んで吐き出しちゃいなさい!」

「全裸に恋する事のどこが変だぁ!!!」

「…それは変だと思いますけど…」

うるさいうるさいうるさい!

「雛森副隊長!」

「はい」

「呑んでください!」

「はい!?」

「今度は雛森副隊長の番です」

「…なんか虎徹ちゃん目が据わってない…?」

「ウチの隊長の事話すの?さぁ呑んで呑んで!」

「え!?乱菊さんも乗るの!?」

私ばっかりズルい!雛森副隊長も乱菊さんもたっぷり話してもらうから!

「雛森副隊長が終わったら、次は乱菊さんの番ですからね!」

「…イヤー。私は好きな人いないし…」

嘘つき。私知ってるから!

「市丸隊長の事、たっぷり聞かせて貰いますからね!」

「なんで知ってるの!?」

女子会の夜は長かった。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ちょうどその頃。件の男は。

「ガハハハハ!!!楽しいなぁおい!!!」

「俺は楽しくねえよ!!」

更木隊長に追っかけられていた。真剣をギラリと輝かせながら追っかけて来る。ボロボロの白い羽織りと歯こぼれした刃。ガタガタの刃が恐怖を助長する。

「縛道の六十一『六杖光牢』」

「うっ!?ギギギギキ…!」

少しずつ足が動きだし。

ヒビが六つの杖に入る。そして。

バキバキと砕けた俺の光の牢屋。

「…ウッソだろおい」

めんどうだし。逃げよ。

「縛道の六十三『鎖条鎖縛』」

それも鎖にヒビが入っているが、まだぎり縛れている。

今の内に。

無言で斬魄刀を解放する。

空間を切り裂く様に剣を振ると。

その場から消え、隊舎の前に移動していた。

「なんとか巻いたか。…さっさと寝よ」

俺はあくびしてから、ゆうゆうと隊舎に入って行くのだった。

「服を着てください!!!」

入ってから一悶着あった。

…色々疲れた。

明日も書類やらなきゃ…。

そんな事を考えながら俺は眠りに落ちていくのだった。

 

 

 

 

 




全裸の何が悪いんだ!!!
強者の意匠であり、シンボルである!!!
裸は恥ずかしいという一般常識は陳腐なモノだ。
恥ずかしいと思う部分は子づくりの部分とちょうど一致する。
性欲は恥ずかしいモノか?
否。性欲を恥ずかしいと思う心が恥ずかしいのだ。
 李朝の様に虎になってしまう事こそが恥ずかしいのである。
服を着ない事は恥ずかしい事ではない。
なぜなら着る事で逆に恥ずかしさを覚える服もあるからだ。
弱い部分を覆い隠し、強い部分をより強調する。これこそ、弱者の考えである。
強者は隠さずとも強い。弱い部分ですら強い。
 それを弱者の一般常識という秤にかける事自体が間違っているのだ。
 大衆的意見を強者に押し付ける事でむりやりバランスをとっている事に他ならない!!!
意見をむりやり押し付けるのは正義か?
否。コレは考えを押し付けるという悪だ!
なればこそ服を着る事こそ悪なのかもしれない。








…筆者は弱者なので服を着ますけど。


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ゆらりと参ろうか。

今回はかなり少ないです…。次からガンバリマス。
…2000字ちょいしか書けなかった



…イヤー。昨日はマジで死ぬかと思った。十一番隊隊長が急に襲いかかってきやがって、それの後始末してたら深夜までかかっちゃってたよ…。それはそうと。

「虎徹ちゃん、大丈夫?」

「…うぅ。気持ち悪い…」

虎徹ちゃんがかなり酒を呑んだらしい。虎徹ちゃん、基本強いんだけど、乱菊さんとかと一緒に呑むと歯止めが効かなくなるらしく…。

 また酒で記憶が消える人ではなく、おぼろげながらもしっかり覚えているタイプらしい。 

…副官も副官補佐もボロボロではあるが、四番隊がしっかり回ってるのは元々ちゃんとした人達だからだ。

 

 今日一日なんもしなくてもなんとかなるくらいには仕事が前倒しで終わってる。

 

…その分のしわ寄せが明日以降に行くのが明白なため、仕事が休みにはならないのもまたちゃんとしてる四番隊ならではである。

 

「…よし。今日の仕事分お終い!」

「…相変わらず見事ですね。仕事に関しては尊敬してます」

午前中に仕事が終わる。日が高く登る頃には虎徹ちゃんの酔いも覚めたらしい。

いつもより、1時間遅れた(・・・・・・)のだが、褒めてくれるとは珍しい。

「…虎徹ちゃん、『酒は呑んでも呑まれるな』だよ?」

「…知ってます。だけど、昨日は何がなんでも呑みたい日だったんです」

そんな日もある。

誰だって全裸になりたい日がある様に。

「私は今までで1日もないです」

みんなもあるよね?信じてるからね!

「みんなもないハズです」

イヤ。俺は信じてる。みんなを…!

「なりたくても実際にはしない人が大半ですね。社会常識とかを(かえり)みて判断する人が多いハズです」

「暗に立場があるのに、全裸で出歩く社会常識ない人が俺だけって言ってない…?」

羞恥心?ナニソレ?オイシイノ?

というか、強さと引き換えに羞恥心を捨てた気がする。

強い人達ってどこか、壊れた(・・・)奴らだからなぁ…。

典型的なのが十一番隊隊長。

あの漢は絶対どっかぶっ壊れてるよね…。

ていうかあの隊自体、変だしな。

マジで相手してらんねえよ…。あんな野蛮な隊員達。

「あ。副隊長も野蛮さでは十一番隊と同格にみられてますよ?ほとんど全裸ですし」

「マジで!?」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「…卯ノ花隊長…」

「なんですか?」

「…俺、十一番隊と同じにみられてるんですか…?」

私の副官がそんな事を聞いてくる。

千年来の付き合いだけど、この非常識人の行動は未だ読めない。

疑問を読み取ったのだろう。更に続けられる言葉。

「…ウチの補佐が俺の事を十一番隊と同格扱いされてるって」

…勇音が?あの娘、この男大好きだからそんな事絶対言わないと思ったけど…。

「…常に全裸で野蛮なとこが十一番隊そっくりだって」

「そっくりですね」

間髪を入れず答えてしまった。だってそっくりなんだもん。

「全裸がそんなにいけないかなぁ…?強者の威容を現すのには最も最適な姿だと思ったんだけど…」

「そんな事言ってるから、隊長に昇進できないんですよ。一番隊副隊長と同じで貴男(あなた)の名前も隊長昇進の時に絶対あがるんですよ」

…絶対知ってるだろうけど。服さえ着れば隊長確実なのに、もったいない。

「…え〜。隊長なんかなりたくないですよ。仕事増えるし。迂闊(うかつ)に全裸になれないじゃないですか」

どこをどうしたら「迂闊」に全裸になってしまうのか。

護挺が発足した時からの付き合いだけど、理解不能だ。

「…あ。いくら心中でも、『もん』は年齢的にキツくないですか?」

…この心遣いがない男は。

「そんな事言ってるとモテませんよ?」

「元来モテた事ないので平気で…。…なんで抜刀してるんですか!?」

…あぁ。無意識に。

「…元剣八の血が騒いでしまいましたね。あゝ治めるのにいい試し斬り役が、ちょうど目の前に」

「まさか俺の事じゃないですよね!?」

「…ふふふ」

「否定して!って危な!」

「避けないでください。あぁ避けるモノの訓練ですか。いいでしょう。存分に付き合ってあげます」

「まさかの訓練扱い!?てか俺は試し斬り役でもないけど!なんでこっちから頼んだ風になってるんですか!?あ!危な!!死ぬ死ぬ死ぬぅ!!!」

ウチの副官はうるさい。だが強い。

いい訓練になる。

私はそのまま3時間ほど追っかけ回した。斬魄刀を利き手に。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「虎徹ちゃん、あんたんとこの副隊長が裸なのって理由あるの?」

いきなり乱菊さんに聞かれた。…あぁ。私も前聞いた事あるけど。

「…本人が言うからには、『趣味だ!』だそうです」

実に救いようがない。

「全裸が趣味って…」

「…え?私は虚を抑えるためだって聞いた事あります」

雛森副隊長の答えに、私は神の如き速度で振り向く。

「どういう事ですか?詳しく教えてください!!!」

「虎徹ちゃん、怖い怖い」

雛森副隊長は目をカッ開いた私に、少し顔を引つらせながらも教えてくれる。

(あまの)副隊長には虚が体内に巣食ってるんだって。それを抑えるためには全裸じゃなきゃダメって言ってたって藍染隊長が。藍染隊長は総隊長から聞いたらしいから正しいと思うよ?」

「…それって大丈夫なの?」

「私もそれを疑問に思って藍染隊長に聞いたんだけど、大丈夫らしいの」

副隊長二人の会話を聞き、私は心がちょっと落ち着くのを感じた。ちゃんと理由あったんだ…!

それだけで救われた気がした。

「はぁぁぁあ…」

「…全裸男にはもったいないわね」

「…間違いないですね」

先輩達のナイショ話は全く聞こえなかった。

 




次から現世かなぁ…。
頑張ろ。


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現世にて

お気に入り80名様突破だと…!
ありがとうございます!やる気がどんどん増して着ます!!!
感想をくださればまた頑張る気も増えます!!!
コレからも『少々変わり者の副隊長』の応援をよろしくお願いします!


「なぜ(けい)が一緒に行くのだ?珍しく死覇装(しはくしょう)を着て」

「迎えに行くんだろ?お前の義理の妹を?」

現世に行くのに俺も同行させて欲しいと総隊長に進言し、受け入れて貰えたのだ。

 

朽木隊長が義妹属性持ちとは知らんかったが。

「もし、お前の妹がケガしてたらどうすんだ?」

「不要だ。ルキアはかなりの練度で鬼道を修めている」

「…じゃあもし、お前達がケガしたら?」

「それも不要だ。私の心配は要らない。死神(もどき)に負けるわけがない。恋次も同じだ」

「…それはわかんねえぞ?『下級大虚(ギリアン)』をそいつは退けたのを知ってるか?」

お前の心配はしてない。と暗に伝える。

心配な方は副隊長なのだと。

「映像を観ただけだが…。知識としては。まさか副隊長が負けるとでも?」

「あぁ。『下級大虚(ギリアン)』を追っ払った力が自在に引き出せたら、まずい。だから上手くいかない時は俺の手を貸そう」

 

そう言うと、阿散井副隊長からは不満の声が上がった。

 

「イヤ。俺だけでもじゅうぶ…!」

「限定霊印を打つのは初めてだろう?慣れた者がいた方が良い。最初に慣れるまでは時間がかかる」

 

 俺たち死神は現世に行く時、現世の霊なるモノに不要な影響を及ぼしてはならないという規律がある。平時は護らねばならない不文律だ。

 そのために『限定霊印(げんていれいいん)』を副隊長以上の死神は打たねばならない。

 

限定霊印で封じ込められる力は80%。

 

慣れるまでは若干接続が悪くなるというか、少しギシギシする。その齟齬(そご)に苦しむのだ。

 

 だからその齟齬(そご)を頭に入れて動かねばならない。

それに慣れないと、現世の活動に支障をきたすのだ。

そう言うと、阿散井副隊長からは聞こえなくなった。

「…それで、なぜ。貴様はここにいるのだ?」

「それは俺も聞きたい。虎徹三席。速く隊舎に戻ってくれ」

「私は(あまの)副隊長のお目付け役です。すぐに全裸になりかねないので。全裸になったら私が止めます」

四番隊隊長からの命令です

と続ける虎徹ちゃん。若干胸を張っている。

「…なるほど。(けい)がいるからには心配ないな」

「…俺はそんなに信用ないかなぁ…?」

日頃の行いである。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 現世は夜だった。昼だったら全裸で歩き回るくらいはしたのだが。

「地獄蝶は送った。近いうちにくるはずだ」

「りょーかい。ゆっくり待とうか」

しばらくして。まず聞こえたのは足音だった。

 

タッタッタッ

 

朽木ルキアの足音か?小柄な女性の足音だ。

「…兄様…!…恋次…!」

感動の再会だな。

…そういうのはいい。

面倒事が起こらない内にサッサと帰るぞ。

「…お久しぶりになります。兄様」

朽木隊長は何も言わずに身を(ひるがえ)す。

 俺は笑いながらも再会を待った。いくらそういう感動モンが大嫌いでも空気くらいは読む。

 朽木(妹)はわかりやすく落ち込んだ。思わず笑ってしまう。

「まぁ、見つかった事だしな。尸魂界(ソウル・ソサイエティ)に帰るぞ!」

恋次がわかりやすく空気を変えようとして、そう明るく言った。

「…どうあっても、帰らねばなりませんか?」

「帰らねばならぬ」

隊長が簡潔に答えた。

なおいっそう落ち込む朽木の妹。

「さ。サッサと帰ろうぜ?その後の事は、帰ってからだ」

(あまの)副隊長殿…!虎徹三席まで…!」

俺達がいて驚いたらしい。

でもそろそろ口を出さないと面倒な事になる。

 

 ブサイクな霊圧がここに近付いて来ているからだ。

 ただただ煩雑で、ただただ無粋なそんな霊圧が。

 

「…はい」

朽木の妹がそう答えた直後。

 

ズガン

 

 

特大な音がして、男が一人、空から堕ちてきた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

特大な音がして、男が一人、降って来た。

 

髪が明るい(だいだい)の独特な男だ。

 

「ルキア!てめぇ俺に黙って出ていってんじゃねぇ!!!」

いきなりそれか。コイツがルキアの死神の能力(チカラ)を奪った男。

 

ルキアの罪を作った男…!!!

「てめぇの斬魄刀の名前はなんだ?」

俺はしらない内にそう問いかけていた。

「…ねぇよ。てか斬魄刀に名前なんかつけてんのかお前は?」

キョトンとした表情。

…なんだその程度か。その程度のヤツがルキアの力を…!

奪い尽くしたのかよ…!

俺は笑う。相手が想像以上に弱かった事を。

俺は憎む。相手が想像以上に弱かった事に。

俺は安堵する。相手が想像以上に弱かった事で。

「てめぇの斬魄刀の名も聞けねぇ!そんなヤツが俺と闘うなんざ!」

2千年早えよ!!!

 

俺はそう吼える。

 

見るのも初めてだろう、斬魄刀解放を見せてやる。

 

俺は刀の横腹に手を添えて。

一気に刃先まで撫であげる。

自らの願いを刀に込める様に。

「吠えろ!『蛇尾丸(ざびまる)』!!前を見ろ!!!」

俺はそこで宙を舞う。刀を片手に。

まるで神楽の様に。

「目の前にあるのは!てめぇのエサだ!!」

俺はそう吼えながら憎き敵に勢いよく斬りかかった。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

俺は刀を構えたまま暫し固まってしまった。

 目の前の派手な男が刀を撫ぜたとたん、刀が節のある独特な形状に変貌したからだ。

(惑わされるな!刀である事に変わりはねぇ!こうやって…)

俺の剣を受け止めに正面に掲げると。

 

…節からグニャリと曲がり、俺の身体を斬り裂いた。

 

 

 

  

 

 

 

刀が何度もぶつかり、剣戟の火花が無数に散る。攻めの太刀と護りの太刀が何度もぶつかっているのだ。 

攻めているのは、

 

「どうしたどうしたどうした!!!ルキアを護るんじゃなかったのかよ!!!」

 

向こう側。赤髪の派手な男の方。こちらは防戦一方で、中々攻撃に転じる事すらできない。

しかも向こう側は攻撃していないやつがまだ3人もいる。3人とも強いかどうかはわかんねえが、それでも人数というのは驚異だ。

 目前の男が煽って来る。だが、どうしても勝てないという事が感覚でわかった。

 

(イヤ。そんなハズはねぇ。絶対に勝てねぇなんて事はありえねぇ!)

 

こっちの身体はズタボロだ。逆に向こうは服にすら傷がない。

その理由は向こうが手加減しているのもあるが、最低限の防御で致命傷だけは防いでいるからだ。

 あっちも焦れているのがわかるが、このまま待っていても体力が先に無くなるのはこちらだろう。

(…クソッ。また護れないのかよ…!俺は!)

イヤなんだよ。護れないのは。

イヤなんだよ。お袋の時の二の舞いは。

イヤなんだよ。泣いてる家族や仲間を見るのは。

 

悔しくて悔しくて悔しくて悔しくて悔しくて!!!!!

 

後悔は二度と御免なんだよ!!!!!

 

 

 

 

 

 その瞬間。身体が羽の様に軽くなる。まるで本当に翼が生えたみたいに。

正面の男の動きがえらく遅く見えた。

 こっちの攻撃がスパスパ当たる。さっきまでの苦戦がウソの様に。

「えらく鈍くなったじゃねえか!急によ!!」

面白い様に攻撃が当たる。そして。

(これで最後だ!!!)

トドメを打ちおろそうとした瞬間。

俺は地面をバウンドしていた。そのまま地面に寝そべる。

 

 

 

は?

 

 

 

 

なんとか上半身を起こして、さっきのヤツを見る。

向こうも驚いている様に見えた。

(…イヤ。コイツはなんもしてねえ)

じゃあ。

視線をズラすとそこには。

もう一人の若干髪に寝癖がついてる死神が。

足を振り抜いた姿で止まっていた。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

(全く見えなかった。蹴った瞬間も。…刀を拔いた瞬間も。収めた瞬間さえも)

髪橙男はまだ気付いてねぇが、胸元に一撃、赤い染みができてやがる。

…たぶん、魄睡(はくすい)に当たる部分だ。瞬歩で剣を魄睡にブチ込んで、そのまま蹴り飛ばしたんだろう。

この場でコレができるのはうちの隊長と後一人。

(…同じ副隊長の(あまの)副隊長だけだ)

「…見事な瞬歩だ」

「…お褒めいただきどーも」

そんな上位者どうしの会話が鼓膜を揺らす。

「…まだだ。まだ終わってねぇ…!」

髪橙男の諦めの悪いセリフ。

この場のもう一人の副隊長は大きく嘆息した。

「…諦めろ。(わっぱ)

「うるせぇ!こんなんで…」

(あまの)副隊長の姿がブレ(・・)た。

今度は腹に深傷が刻まれていた。

「…さっきの1/5程度の速度で動いたのに、反応すらできないか」

刀をブンッと振るうと、アスファルトには血が模様を描く。

それを見て、実感が湧いて来たらしい。腹を押さえる男。激痛が襲っているらしい。

地面に倒れている。だが、生きていた。

まだ息のある男を俺は見下ろして。

(あまの)副隊長。トドメをささないのですか?」

「見りゃわかるだろ?鎖結(さけつ)魄睡(はくすい)を完璧に砕いた。もう死神の力を振るえない。死神としては死んだも同じだ」

急所だけを的確に砕く。いったいどこまで実力差があればできる芸当なのか。同じ副隊長である俺でさえ、姿が見えなかった。

同じ副隊長としての実力差に畏怖を覚えながら、尸魂界(ソウル・ソサイエティ)に帰るための『門』を開いた。

その時、肩をガックリと落とす(あまの)副隊長。

「…現世で全裸になれなかった」

「…監視が効いた様で何よりです」

そんな部下との異常な(いつもの)会話をする副隊長。

なぜか知らないが、割りと本気で肩を落としている。

 

どよーんとした空気に包まれているが、理由が異常だ。

 

(さっきの敬意は勘違いだったかもしれない)

そんな事を思いながら、俺は門をくぐった。

 

ルキアから、

「…さっきの発言は(あまの)副隊長なりの冗談というヤツなのか?」

という質問を受けた。

が、俺は非常に答えづらい事のため、聞こえないフリをした。

「あぁ…。現世で全裸になりたかった…!あの霊子濃度の薄い世界で全裸になるのは独特な感覚があって好きなんだよ。その感覚を味わいたかった…!」

「どこでもかしこでも全裸になるのは辞めてください!」

虎徹三席の正しい言葉。だが異常な男にはその言葉は正しくないらしい。

「アホか!お前!どこでもかしこでもじゃねえよ!その場にはその場なりの全裸になった時の楽しみってヤツがあんだよ!わかるだろ!?」

「私には一切わからないです!!わかりたくもないです!!!」

何も聞こえないフリをした。

「全裸になる事。それが俺の生存価値(レゾンデートル)

「そんな事に生きてる意味を掛けないでください!!!」

阿吽の漫才ではあるが、内容がヤバい。

俺は巻き込まれない様に静かに目を伏せた。

 

 

 




虎徹ちゃんと朽木隊長が空気だ…。
コレからも投稿頑張ります!







え?『漆番目の上弦』の投稿がまだだよって?







何も聞こえないな。何も聞こえない。
(耳を押さえている)
次の鬼滅が出たら書く可能性が微レ存かもしれないクラスに検討する可能性がありえるから…!
(何も具体性が存在しない)




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のんびりするかなぁ…

お気にいりが120件突破致しました!ありがとうございます!!!感想もドシドシください!!!
日常回ですね。
…なんか戦闘回の方が書いてて楽なんですよねぇ…。
物語進めなきゃいけない方がキツい気がする。
この辺り、原作では全く触れられてないからなぁ…。
破面編辺りまで一気に飛ばす…?
でも知らない人の為にはならないしなぁ…。
まぁ、全く物語作ってない私がいけないんですけどネ。


俺は悩んでいた。だから、ウチの補佐に悩みを打ち開ける事にした。

「…なぁ。悩みがあるんだが聞いてくれるか?」

「どこでも全裸になったらダメですよ」

おい。

「…全く。俺がどこでも全裸になるような男に見えるか?」

「ハイ。いつどこで全裸になるかいつも考えていると思っています」

…失礼な。

「割りと真剣な悩みだ。それにいつ全裸になるかは考えていない。常に全裸だからだ(・・・・・・・・)

そこまで服を着てくる露出狂と一緒にしないでいただきたい。

「俺は、服を脱ぐ事で快感を得ているのではない(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)強者の姿を常に示す事で満足感を得ている(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)のだ。そこは勘違いしないで欲しい」

「…私からすれば一緒ですよ。で、悩みってなんなんですか?」

「朽木の妹が処刑なるだろ?アレに違和感があるんだ。あまりにも速く決定したからな(・・・・・・・・・・・・・・)

一人の死神の生死に関わる問題だ。それを簡単に決めている様に見える。

…まるで速くその死神に死んで欲しいかのように。

「…確かに、のんびり屋の四十六室にしては凄く速かったですね。でも、異例の速度で決まったからと言って、そこに意味なんて…」

「あぁ。意味なんてわからねぇ。だが妙に違和感があるんだ」

全裸なのにわからねぇ…。

全裸になると、頭の回転が上がる(当社比)んだが…。

「…この話はここで辞めておこう。虎徹ちゃん、心に留めておいてくれるか?」

「ええ。わかりました。こちらからも探しておきます。それで、なんですが」

虎徹ちゃんも俺になんか用があったのかな。

「藍染隊長の斬魄刀お披露目には行かないんですか?」

「絶対に行かない♡」

「何故ですか?何度も誘われては、理由をつけて断っているようですが」

そんなモン理由は決まっているだろう。

「…俺の斬魄刀の能力を知っているか?」

「…知りません。私にも教えた事ないですよね?」

そうなのだ。俺は虎徹ちゃんにも斬魄刀の能力を隠している。

「…俺にとって、斬魄刀ってのは戦う相棒みたいなモンだ。その能力をあけすけに見せびらかすのは、自分から手の内を公開しているのと同じなんだ。だから、ソイツがよっぽどのバカじゃない限り、見せびらかす理由は1つしかない」

…「始解を見せる事で初めて効果が表れる能力や、始解を見せ続ける事で効果が出てくる能力である」という事だ。

「…え?つまりはどういう事ですか?」

「『始解の場に直接立ち会う事で効果を発揮する能力』と俺は睨んでいる。だから術中にハマらない様に逃げ回ってる」

…藍染隊長と戦闘では極力会わない様に気をつけて。

自由時間にも直接会わない様に気をつけて。

五番隊からは距離をとる。

そうして逃げ回っているのだ。

…なのに、しつこくコチラを嗅ぎまわっている。 

いい加減にして欲しい。

「もし、斬魄刀を見に行ったら…?」

「間違いなくソイツの手のひらの上に行くだろうな。めんどうだから、全裸の時は忙しい時だから来ないでと言ってある。常に全裸だし」

寝ている時ですら全裸だ。

自由な姿を示すのに、俺は常に忙しい。

常に多忙なのだ!

「…後、二人くらい避けている隊長いますよね?」

あぁ…。

「蛇男と盲目男な。あの二人、苦手なんだよね。1人は何考えてんだかサッパリだし、もう一人は正義の使者だし」

 剣八よりも避けてるのはそっちだ。剣八の考え自体は単純だし、時間が合うなら戦いに付き合うのもやぶさかではない。

「…市丸隊長の方はわかります。なんか不気味ですから。でも東仙隊長の方は避ける意味がよくわからないんですけど…?正義の味方って事ですよね?何がいけないんですか?」

…正義の毒を。正義の怖さを全くわかってねえなぁ…。

「いいか。正義ってのはな。正義以外の意見を全て否定しちまう言葉(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)だという事だ。自分以外の意見は聞く耳持たねぇんだよ。だから、正義って言って、暴走しだしたら厄介なんだ。正義を否定したら(・・・・・・・・)悪になっちまう(・・・・・・・)。誰しも進んで悪にはなりたくねぇ」

「…なるほど?」

よくわかってなさそうだな。

「例えばだ。正義において、『護挺十三隊は恋愛禁止』って言われたとする。この言葉は否定しにくい。『恋愛にうつつを抜かさず、しっかりと鍛錬に励みなさい』みたいな意味だと言われたら、否定し辛いだろ?」

「確かにそのとおりですね」

「しかし、だ。不純な動機で鍛錬に励む(やから)も一定数存在する。例えば、『好きなヤツにいいトコみせたい』みたいな理由でな」

「…そう…デス…ねぇ」

なんかヤケに詰まった返答が聞こえた気がする。…なるほど。コイツ、好きな人いるんだな。

いい事だ。精進したまえ。好きな人のアピールもな。

「そんな理由でも、鍛錬はしているが、奥底には恋愛がある。そんな場合はどうなるのか、とな。たぶん、アイツは許さない」

聞こえなかったフリをして続けると、虎徹ちゃんは驚いた様だった。

「…ちゃんと鍛錬しているのにですか?」

「ちゃんと鍛錬しているのにだ」

「やってられませんね」

そのとおりなのだ。鷹揚に頷く。

「だから、正義という言葉は俺は嫌いだ。正義という言葉は最も世の中で血を飲み干した言葉だからな。真っ白に見えているが、真紅の面を覆い隠しているだけだ。むしろ、正義という言葉こそが曖昧な言葉なのかもしれない」

つまりは。

「正義とは正反対の自由な姿の全裸こそが最もあるべき姿なのだ」

「私、正義の信奉者になります」

あっちゃあ…。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

その夜。ゆっくりと精霊挺を歩いていると。真後ろから声が聞こえた。

「貴公が天副隊長か?」

「そうだが?何か御用かな?」

振り向くと、木の覆面を被ったデカい影がいた。白い羽織には七の数字が書いてある。

「…狛村隊長でしたか。ご無礼をお許しください」

「許そう。それで、なにゆえ全裸で歩き回っているのかな?」

「…え?靜霊挺の見周りですね。不当に休んでいる隊士がいないか見回っているのです」

冒頭部分?そんな前の事は忘れたな。それに俺は副隊長。ある程度のサボりは効くんだよ。その分の仕事はちゃんと終わらせてサボっているし。

「…何も着てない様に見えるが」

「ええ。全裸ですね。それが何か問題でも…?」

「…ふざけているのか?」

ちょっと怒った様な声。え?どこに怒る要素があるの…?

「…え?お気に召さない事がありましたか?どこが悪いかおっしゃってください」

「なぜ全裸なのか、その理由を聞いているのだが…」

え?なんでそんな事きくの…?

「…全裸の理由?ですか?理由なんて必要ですか?全裸の?何故理由が必要なのか全く理解不能ですが…。強いて言うのなら『趣味』ですかねぇ…」

主に常識の範囲内の。

「…これが全裸副隊長か…」

声が小さ過ぎて聞こえなかった。

「貴公は強いのだろう?この後一手どうだ?」

…え?そんな好戦的なの?まぁいいけど…。

「では日を改めて戦いましょう。明日の正午からでどうですか?」

「いいだろう」

全裸の強さを魅せてやる。

 強さとは美。勝利とは美。強いものが勝つのではなく、勝ったものが強いと考える俺だ。どんなものであっても必ずや勝つ。勝ったからこそ、どんな泥臭い戦いであっても輝きを放つモノだ。

 美しいものに魅了させて、屈服させる。

それが俺の戦い方だ。 

「…ちゃんと服を着てくる様に」

「了解致しました」

え。そこに焦点あてるの?全く関係なくない…?

まぁ着て来いというなら着てくるけど。

 

 

 

 




次はワンちゃんとの戦闘回ですね。
さぁ今から戦闘だぞ。
でも物語が全く進まない?
そんな事は知らない知らない。
書いてから考える!!!


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少々変わり者のマジメなお話

お気に入りが250件超えだと…。
自粛でヒマ過ぎてひまわりになったために投稿。


狛村隊長の決闘の2時間前。

「何を考えてるんですか!?」

俺は俺の補佐に尋問にあっていた。

「…な〜んも」 

「…『な〜んも』なんですか?」

目尻がキュッと上がる。怖い。怖いよ。俺の補佐怖い。

「な〜んも考えてないよ」

ノーテンキに笑う。

…どうやらさっきの言葉は可燃性の空気(ガス)に火種を投げ込む行為だったらしい。

 

 

…ブチリと聞こえたのは空耳ではないだろう。

 

 

「そんな事をなにも考えずに決めていいと思ってるんですかぁ!!!」

…瞳が潤んでいる。

「…心配するこちらの身にもなってくださいよ…」

力ない言葉。

 

あゝ、この子をこんな状態にするために決闘を受けたのではないのだが。

 

 笑って送り出してほしかったのに、そんなに心配してくれているとは。

 

 実に信頼されているのだな。この子にとって俺は理想の上司らしい。とても嬉しく思う。

 

…だが、悔しくもある。

狛村隊長と俺が闘い、俺が勝つ事を信じられていないのが。

…力を隠してきた代償でもあるのだが。

オロオロとしている虎徹ちゃんは見てられないな。

 たぶん今からでも決闘を止められる可能性があればその点に全力を尽くすだろう。

 だからこそ、コチラが堂々としていなければダメだ。

 

「…そんなに泣くな。俺は勝てると思ったから決闘を受けたんだよ」

 

「…絶対ですか?絶対に勝てるんですね?」

 

その質問はイジワルだな。

 

「闘いには絶対はない。だが、勝算もなしに決闘を受けるほど俺はバカではない」

 虎徹ちゃんは気付いてないが、狛村隊長の始解も卍解も『致命的な弱点』がある。

それを克服できていないのが狛村隊長だ。

 

…より正確に言うと、『克服できない』弱点だ。そこを突けば容易(たやす)く勝てる。全裸ならばなおさらだ。

…若干、卑怯な勝ち方にはなるが。そこはご愛嬌。

 

「勝算はどのくらいですか?」

「8:2で俺が有利かな」

そういうと虎徹ちゃんは驚いた様だった。

 

…ちなみに、斬魄刀解放ナシでその勝率だから、大分有利なのがわかる。

「…無事に帰って来てください。それだけでいいです」

負けてもいいと良いと言う言葉。

「…全裸こそが最強だと証明するために帰って来るよ」

俺が笑うと、虎徹ちゃんも笑った。

「摩訶不思議な全裸の力を信じろ」

「それだけは信じられません」

…あぁそう言えば。

「…服着ろって言われたんだった」

「私はその点だけは狛村隊長を支持します」

…直属の部下に裏切られた…!

おのれ。狛村隊長め!!!

絶対に許さん。すぐに終わらせてやる…!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

私は焦っていた。さっきまで。

今朝、急に狛村隊長と(あまの)副隊長が決闘すると言われたら、関係者は誰だって焦る。

それなのに張本人のこの男は。

普通に仕事して、お茶で一服して。

隊長と決闘するのに、なんでもないかの様に。

いつもの日常を送っていた。全裸で。いつもの様に。

さっきまでのイライラをぶつけても柳に風で流されてしまった。

この男にはこういう事は日常なのかもしれない。

 

正義感と言うものはこの男には存在しない。

正義とか大義とか、曖昧な物には左右されない。

 

この男にあるのは、絶対的な自己(エゴ)

それがこの男を形作る核だ。

…核が全裸になる事なのが理解不能だけど。

相手の流儀を認め、強さを認め。

 自分の流儀を認められなくても、相手を理不尽なまでの強さで踏み潰すのが私の1つ上の席に座る人。

自己(エゴ)を強く持ち、自分の自己(エゴ)が認められないならば強くなるほかないと考え、実行した人。

 何度となく『蛆虫の巣』に行くか話し合いが行われたと聞いた。

でも、その度にいろんな隊長達が庇ってくれたと聞いた。

その理由は面倒見がめちゃくちゃ良くて、全裸(それ)以外は理想的な副隊長なのに、その部分だけをみて決めるのはどうかと言う言葉だったらしい。毎度、毎度。

そして、その度、卯ノ花隊長が、『あの子に勝ってから言ってください』と言うのがいつもの言葉。

今回もまた、『蛆虫の巣』にいれるかどうかの決闘なのだろう。

今回は先に勝ってからいれてやろうという事なのだろうけど。

そんな相手は、大概隊長達。しかも複数人で。

でも、毎回、あの男は理不尽をはねのけて勝って帰って来た。

強い。恐ろしく強い。

いくら破格に強いと。副隊長が強いと知っていても、心配ぐらいさせて欲しい。

私が好きな人は絶対に負けないと知っていても、不安な部分はあるの。

勝率は8:2だと言って副隊長が有利だと言っていたけど、もし2割の方を引いたらどうしよう?

そんな不安にかられてしかたがないの。

だから、勝って安心させて。

いつもの様に、全裸じゃなくていいけど。

速く帰って来て。

「…お願いします。副隊長を勝たせてあげてください」

私は死神だから何に祈ればいいのかわかんないけど、何かにお祈りを済ませて。

私は行くの。決闘の約束の場所に。

副隊長の勇姿を見に。一瞬でもいい。少しでも早く安心しに。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「よく来たな」

儂は唸る様に言った。

「…えぇ。狛村隊長との約束ですからね。他隊とはいえ、隊長の呼び出しに応じないヤツもそういないですよ」

コイツめ。藍染の呼び出しには応じないのを儂は知っているぞ。

「狛村隊長は気がいい隊長ですからね。隊長らしい隊長というか、気風(きっぷ)のいい隊長ですからね。割りと好きですよ。隊長としては」

なるほど。こうして持ち上げてくれるのは悪くない気分だが。

「そんな事を言っても、手加減はせんぞ」

「えぇ。そんな事で手加減してくれるとは思ってませんよ」

笑い飛ばす言葉。実にいい副隊長だ。実に残念だ。この副隊長を決闘で殺さないといけない事が。

(とどろ)け。天譴(てんけん)

巨大な手と剣が具現化する。

「貴殿も速く、刀を解放しろ」

相手が嘲笑(わら)う。

「不要ですよ。私の斬魄刀はあなた程度(弱い者イジメ)に使うモノじゃない」

儂の天譴(てんけん)が嘲笑う副隊長ごと地面を打ち砕いた。

 

 

 

 

 

 




戦闘に入るまでの前フリをこんなに書いたのは初めてだ。
いいワンちゃん。
でも文字通り、『かませ犬』感が抜けなさすぎる。

コイツがどう戦うか、少しヒントをあげますね。
ヒント『マトモに戦わない』。
これだけでわかった人、コメント欄にコメントください。
わからなかった人。コメント欄にわからないとコメントください。
…正解があったら、ペース速めなきゃ…!


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変わり者の理不尽な暴力と理不尽な闘い

お気に入りが360件超えました!ありがとうございます!!!あと二次創作の日間で24位でした!
最大で日間ランキング74位まで行きました!ありがとうございます。
と言うわけで答え合わせです! 
極々単純過ぎてつまらないぐらい予想の範囲内の答えですから、あまり期待せずにお読みください。


ズドン

 

天譴が大きく大地を揺らす。

確実に捉えた。

手応えはなかったが、手応えなく打ち砕いてしまったのだろう。

「さすが(あまの)副隊長と言えど、これでは影も残るまい」

そして土煙の中を透かして見ると。

ボロボロになった天副隊長の隊服と副官章が見えた。

「よし。これで…」

「儂の勝ちだな?」

どこかで聞いた事のある言葉が挟まる。

「甘いですね。甘いですよ。甘すぎて砂糖と蜂蜜(はちみつ)を混ぜてガブ飲みしているみたいだ」

…ボロボロの隊服と副官章が、スゥッ…と消える。

「縛道。二十六の曲光を知らないのですかな?」

隊服にすらホコリ1つない副隊長が背後に立っていた。

 

 

 

「儂の背後をとったからと言って、有利になるわけではあるまい」

儂は勢いよく刀を振り下ろす。

「轟け。てんけ…」

いつの間にか、瞬歩で目の前に敵が。

目の前の男は金剛拳を固く握り締める。

拳を何十発も撃ち込んで来た。拳が繰り出された数だけ身体にあたる。

よろよろと後退すれば、その分距離を詰めて、拳で殴りつけられる。

目の前の男は武器を一切使わず、拳を撃つという選択肢をとった。弱点となる部分に拳を中てて気絶させる方が速いと見たらしい。

…マズい。天譴を使う距離がない…!

天譴は儂の身体と動きが繋がっている。

具現化した巨大な刀で敵を打ち砕くという物で、近付いて来た相手には無力なのだ。

そもそも、近付いて来た相手には儂が対応すると言う物であり、近付いて来る事を前提としていない(・・・・・・・・・・・・・・・・)。その弱点を見事に突かれてしまった。

…これはマズい。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

よし。成功した。

天譴の弱点。それは近付いて来る(ふところの)敵には無力という事だ。

近付いている相手に天譴で攻撃したら、自分も巻き込んでしまう(・・・・・・・・・・・)と言う致命的すぎる弱点がある。

更に、向こうは戦いにくいと感じているハズだ。

それもそのハズ。俺と隊長では、間合いが違う(・・・・・・)

…武器を持っているヤツはよく台風に例えられる。

強風域があり、暴風域があり、目がある。

強風域が攻撃が当たる領域、暴風域が攻撃が一番激しい領域だと思ってくれればいい。

そして、絶対に近すぎる位置に、攻撃が当たらない領域がある(・・・・・・・・・・・・・)。その部分、台風で言う『目』の部分にいれば、絶対に攻撃は当たらない(・・・・・・・・・・・)

台風の『目』の位置に常にいる様に心がければ絶対に攻撃が当たらない。

天譴でいくら強風域や暴風域(攻撃範囲)を増やそうが関係ない。

『目』は無風状態なのだから、そこにいて攻撃すれば相手は文字通り、何もできやしないのだから。

『目』の領域に自分の暴風域をもってくれば?

相手は何もできずに沈む。

今のこの状況の様に。こちらのみが一方的に攻撃できて、向こうからは全く反撃がないと言う状態になる。

 

更に狛村隊長は身体が大きい。『目』の大きさも必然的にデカくなる。 

 また、剣ではどうしても決定力はあるが、拳に対して回転力が劣る。射程が長い分、手元に引き戻すのに時間がかかるからだ。その分、速度がどうしても拳には劣ってしまうのだ。

 『目』に入り込み、拳の回転力で圧倒するだけ。

実に簡単な天譴対策だ。

実に決まりきった勝利で申しわけないのだが。

 

もし、隊長が卍解したら?

その心配はない。卍解の前に殴り倒す。もし無傷で卍解してきても、今の現状が変わる事はないだろう。

何故ならば俺と隊長は近すぎる(・・・・)

 

 必然、自分を巻き込んで攻撃するか、真上から剣を落とすかだが、その両方共に攻撃手段たりえない。

 自分を巻き込む攻撃は躱されたら単なる自爆になるし、真上から剣を落とすのは、予備動作が大きすぎて容易く予測と回避が可能だからだ。

 皆は黒縄天譴明王の対策を考えているのだろうが、そんなモン要らない。ただ操っている本人に近付いて殴ればそれで十二分なのだから。『本体狙い』。これが黒縄天譴明王の対策であり、天譴の対策でもある。

極々単純明快な方法だ。

 

天譴の弱点は近すぎる相手に攻撃手段が乏しい事。しっかり自認して、弱点克服に努めて欲しい。

「破道の四『白雷』」

狛村隊長に攻撃を仕掛ける。あっさり、ボロボロにしてしまった。

「さてと。そろそろトドメといくかなぁ…」

負けを自認して貰わねばならない。

ボロボロな姿なのに悪いのだが。

「…儂の負け、か」

…おお。潔いな。その点は俺は結構好感持ってるぞ。

「狛村!そんな卑怯な戦いに…!」

東仙隊長の言葉。…全く。これだから正義は。

「東仙隊長。戦いとは元々卑怯なもの。全てが完全に平等ならばもちうる結果は引き分けしかありません。勝敗がついた段階で、どちらかが有利であり、どちらかが不利であったという事がおわかり頂けませんか?」

ムッとしたらしい、東仙隊長に言葉が割り込む。

「東仙。貴公の意思はこの男には通じぬ。…実に見事な戦いであった」

「…では、私も戦いを申し込んでもいいだろうか?」

「東仙!」

「狛村。私は理解できないのだ。この男が、全裸のこの男が副隊長に居座り続ける事がッ!!!」

「しかし、結果は…」

「…良いよ。相手したげるよ。…俺も『正義』なんて薄っぺらな言葉は大嫌いだからね。それを踏み潰すのは嫌いじゃない」

それを聞き、東仙隊長は怒った様だった。自分の最も誇りとする言葉を、「薄っぺら」だと言われて怒ったらしい。

「…なんだと?」

「『正義の味方(ヒーロー)』が勝つのは物語の中だけだと教えてあげますよ。東仙隊長」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1時間の休憩が貰えた。その間に。

「…とりあえず、初勝利おめでとうございます」

虎徹ちゃんのどこか不満そうな声。

「…おお。ありがとう」

「…それで。なんで東仙隊長にも決闘を申し込んでいるんですか?何を考えているんですか?」

…さっき全く同じやりとりやった気がする…。

「…な〜んも」

「『な〜んも考えてない』なんて言いませんよね?」

…分岐が増えた…だと…!

「その通り。なんも考えてないよ。ただ正義という言葉を振りかざす偽善者が、嫌いなだけさ」

あの戦いを見ていた。だからこそ勝てると思って来る。

実に弱い男だ。正義に相応(ふさわ)しい男だ。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「先手は譲ってやるよ」

その言葉を受けて、更にムッとしたらしい。

「恨みはない。だが平和の為ならば、滅すもやむなし」

鳴け。清虫(すずむし)

音波が俺に向かって飛んで来る。喰らってもいいが、一瞬クラクラする。めんどうだ。

「破道の五十八。『天嵐(てんらん)』」

音は空気中に伝わる波だ。だからこそ、波ごと吹き飛ばす。

そういうかなり荒っぽい手段を取られて、驚いた様だった。

空中に大きく飛び上がる。まるで蟲の様に。

「清虫弐式。『紅飛蝗(べにひこう)』」

「破道の五十八。『闐嵐(てんらん)』」

無数の刃が俺に向かって降り注ぐ。それはまるで蝗害(こうがい)の如く。蝗害の時は飛んで来るのはバッタだが、コレは刃だ。

だがこれもあっさり風で吹き散らした。

ちょっと軌道をズラせばいいだけだから簡単だ。

…コレも俺の斬魄刀の能力にかかれば、簡単なんだが…。

この程度の相手に使うまでもない。

そのままの勢いで鬼道が襲いかかり、大きく吹き飛ばした。

「なに!?」

…さっき放った闐嵐が紅飛蝗を貫通して余りあったらしい。

…予想外に弱いぞ。コイツ。

「弱いな。正義の味方(ヒーロー)

「…まだだ。卍解!!!」

とうとう使いやがったよ。

しかし、始解すらしていない副隊長に使ってなんも思わんのかね。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

清虫終式(すずむしついしき)。『閻魔蟋蟀(えんまこおろぎ)』」

私は卍解をした。かなりの苦戦を強いられて。

「どうだ?(あまの)副隊長?さすがのお前も想像すらしていなかった光景だろう?」

既に何も見えてはいないだろうがな。

私は続ける。

私は刀を手に攻撃を仕掛けた。

あっさり的中する。

さっきまでの苦戦が嘘の様に。

それもそのはず。何も見えない。何も聞こえない。何も臭わない。何の霊圧も感じない。その状況でどうやって戦えと言うのだろう。

私は攻撃したらすぐにその場を去る。カンで攻撃されるのを避けるためだ。

「わずかだか恐怖を感じるだろう。微かな恐怖は動きを半歩遅らせる。もとより光を持たぬ私の動きに…」

顔の横の空気が吹き飛んだ。躱さずともいい距離だったが…。

それでもすぐに動けるという恐怖。

「なるほど。無明の地獄はお前の棲家。恐怖などもとよりないというわけか。ならばこちらも恐怖など、感じる暇も与えない!!!」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

急に光を奪われた。耳も、鼻も霊圧知覚も奪われた。

怖い。怖い。怖い。

 

 

でも、自己(エゴ)が通せなくなるのが、もっと怖い。

自分がなくなるのがもっと怖い。

もっと恐怖するものがあるからこそ、俺は動ける。 

 

 さっきの一撃は恐怖がないからではなく、恐怖で身体が動いた。身体がすくむ?そんなモノ弱者に任せておけ。

 強者も確かに恐怖する。だが、強者は恐怖も含めて戦いだと思っている。

 それを恐怖で身も心もすくむせいで動けなくなると思っている弱者がいる。まさに正義の味方はそんなヤツらだ。 

強者も確かに恐怖はするが、身がすくむ事はない。

それに打ち勝ってこそ戦いだと感じているからだ。

 そして、強者は勝つ事に全力を尽くすのが戦いだと思っている。それ以外は全て雑念だ。

(さてと。どうしようか)

正義の味方を攻撃するためにはヤツの正確な位置を掴まなきゃダメだ。

ん?

簡単じゃないか。

至極簡単に勝てるな。この戦い。

 

 

 

 

 

 

 




と言うわけで答えは「相手の懐に入って拳の回転力で殴り勝つ」でしたね。
すっごく単純だけどこの斬魄刀には有効だと思います。
次もまた単純ですね。
次は本編とほとんど同じなので、急ぎで書きます!
明日にでも。ダメなら週明けですね。

…最近、蝗害がイナゴではなく、バッタだと知りました。

やっぱ虫に│皇《すめらぎ》は伊達じゃあないんだなぁ。


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変わり者の理不尽過ぎる戦い

日間総合ランキング24位になりました!!!ありがとうございます。
お気に入りも530件突破って…!
ありがとうございます。

今回はあんまり書けませんでした。

また次回頑張ります。
1800字も行かなかったので…。
次回から3000字目標で投稿し続けます。


嗤っている。

目も見えない。耳も聞こえない。無明の世界で。

この男に恐怖という感情はないのか。 

戦いを楽しむという歪んだ感性を持つ男。全裸で歩き回るという歪みきった男。私は理解ができない。

だが、恐怖を感じないのならば別にいい。

恐怖を感じる前に倒せば良いだけの事。

私は、剣を片手に走る。

そして、腎臓の部位に剣を突き立て。

 

 

あっさり貫通した。

ハッタリだったのか。

刀が突き刺さっている男の笑みが深くなった。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

場所がわからないなら、攻撃してくる時の突きに合わせればいい。

鎖結や魄睡といった致命傷となる部分は避けるが、それ以外を狙ってきたら、避けない(・・・・)

 たぶん、正義の味方としては、一撃で決めるのは避けるだろう。どうせ『正々堂々』という言葉にこだわるやつらだから。

…感覚を徹底的に潰すのは卑怯じゃないらしい。それは斬魄刀の能力だからなんだろうな。

だから、最初の一撃は絶対に急所ではない所を狙って来る。そこを狙い撃つ。

刀が突き刺さって…

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

…躱せなかったか。この副隊長の歪みきった感覚が油断を生んだのだろう。

…私は長引かせる趣味はない。さっさと刀を引き抜いて終わりにしよう。

刀を引き抜こうとする。だが、抜けない(・・・・)

慌てて、力を込めたが、やっぱり抜けない。

…どうやって…まさか!

刀をガシッと掴まれた。

「…久しぶりな気がしますね」

「…筋肉で清虫を絡めとるとは。しかし、この後どうする気だ?」

単純に清虫の突き刺さった所に力を込めただけみたいだ。大きく力を込める事で筋肉を肥大化させて、抜けない様にしたらしい。

「知ってます?俺、鬼道得意なんですよ」

そんな事を急に言われてもな。…私には1つ思いついたが、そんな事はしないよな。

「あ!思いついたんですね!まさに思った通りの事やりますよ!」

…おい!やめ!!!

「破道の九十。『黒棺』」

…九十番台を詠唱破棄だと…!

「一緒にかかってあげますよ」

術者ごと私は黒い棺に閉じ込められた。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

俺は基本無傷で出てきた。服はボロボロだし、全裸になるけどいいや。

…全裸を辞める様言う連中の方が俺をよく全裸にするんだよな。そこんところは理解不能だ。

次の瞬間。

 

バシャン

 

という大きな音をたてて卍解が砕け散る。

音が聞こえたが、たぶんもうボロボロだったんだろう。

俺は刀が突き刺さったままであったが、割りと元気であった。

…あ。刀抜かなきゃ。 

その前に。

 

ボロボロになった東仙隊長に声をかける。俺に突き刺さった刀をまだ両手に握り締めていた。

「大丈夫ですか?」

「…止める。なにがなんでも。私の正義の為に…!」

…うわぁ。正義なんて曖昧な言葉に命をかけられるヤツの気がしれないよ。

…でも。卍解は消えた。意思に反する卍解の消滅は持ち主の死期が近い事を意味する。

刀をしっかり握り直した隊長には悪いけど、さっさと決着つけないと。隊長が死ぬ前に。

…だが。

「…鳴け。清虫いぃぃぃぃィィイ!!!」

身体の中から直接音波を叩き込まれた。

「ガッ!?グフ!!!」

血が口からダラダラと溢れ落ちる。

いくらなんでも、身体ので中から直接音波をぶち込まれたら、さすがの俺でもめちゃくちゃ痛い。

思わず地面に膝をつき、血を吐いてしまった。

そうだ。この相手には心なんて要らない。

心が青いとかいて情けない。

実に俺の心は青臭かった。

こんな相手にも隊長としての敬意を払うなんて。

回道で傷を治しながら、俺は嗤う。ゆらりと立ち上がりながら。

「…本気で処理する相手として、俺も斬魄刀を解放しますよ」

戦うのではない。敗北が決定したのに、負けを認めず生きあがくヤツを処理するのだ。

その精神は十一番隊のものである。十一番隊をマトモに認めないくせに自身に危機が迫っている時は都合よく十一番隊の精神に頼る。その精神性が気に喰わん。コレから先は、処理(・・)だ。戦いは終わった。

「…だが、最後の足掻きは見事であった。俺に血を吐かせた冥土の土産だ」

 

 

鈍光(どんこう)を灯せ。万鈍(よろずなまくら)

 

 

右腕を振り上げて、勢いよく剣を隊長に向かわせた。

隊長は何も抵抗なく、斬り裂かれた。

 

清虫が地面にカランと音をたてて転がった。

持ち主も一瞬遅れて地面に沈んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




さてと。次回からそろそろ物語に合流せねば…!


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いつもの日常

お気に入りが750件突破致しました!え!スゴ…。
ホントありがとうございます。
コレからも『少々変わり者の副隊長』をよろしくお願いします。
…ここまで反響が得られるなんて、これっぽっちも思っていませんでした。
いつもの様にゆったりやっていきたいと思います。


「あ゛〜。おっぱい揉みて〜」

いつもの日常が帰って来た。全裸の日常(パラダイス)だ!!

 東仙隊長も狛村隊長も、「俺が」(ここ重要)傷を完治させてあげたんだよ。 

全裸でね。

煽ってやった。 

全力で。

 東仙隊長も、狛村隊長も俺に治療されるのを全力で拒否していたけど、俺が!敢えて俺が!治療してあげた。

 

俺は性格が悪いんだよ。

 

まぁ、治療には手は抜かないけど。

その日のうちには退院できて、隊長達も驚いていたよ。

ただの全裸男じゃないんだよ!

確かな実力に裏打ちされてんだよ!

そこんところを履き違えてもらっては困る!!!

「…副隊長」

「なんだ?」

見ると、虎徹ちゃんが扉のところで困った様な表情をしていた。

完全に1人だと思っていたが、いつの間にかいたらしい。

…さっきの発言、聞かれてないよな…?

「更木隊長が『あの戦いで俺も戦いたくなった。近いうちに殺し合いに行くから覚悟しとけ』と」

「二度とゴメンだと言っといて」

「…もう帰られました。宣戦布告に来ただけみたいですね」

なんて野蛮な。これだから十一番隊は。

面倒な。俺は戦いが好きじゃないんだよ。戦いは強さを確かめる1つの手段に過ぎない。

俺が好きなのは強さだ。

全部脱ぐ事で全てをさらけ出す事ができる。

 おのれの醜い所、美しい所、全てを認めて始めて、本当の強さと向き合う事ができる。

 それを自分の醜い所は覆い隠してしまって、美しい所のみを強調するだと?

確かにそれは戦いには勝てるかもしれないが、そこに本当の強さは宿らない。

 

 自分の弱い所、醜い所をいかに克服するかも強さの1つなのだから。

 

 それを隊長達(あいつら)は弱さを覆い隠す事しかしない。そこが今回、俺との戦いで浮き彫りになったはずだ。

 

 いくら覆い隠そうと、覆いを引き剥がす実力者が相手だとどうにもならないという事がよ〜くわかったと思う。

 

「副隊長」

「なんだ?」

「…好きな人っているんですか?」

…え?何?急に?

「う〜ん…。かわいい娘なら誰でも好きかな…」 

…自分でも思うが、クズの中のクズの発言である。

こう言ってはなんだが、俺の好感度は基本最低だ。

下がる事がありえないために、好きなだけクズ発言できるのがいい事だといえる。

 

…泣いてないぞ!俺は!

 

汗が目に入っただけだ!

 

「乱菊さんとかステキですよね?」

「…確かにステキだが、あれは市丸隊長のだろ?寝盗り趣味ないぞ?」

 

「じゃあ雛森副隊長は?」

「…初見で倒れられた相手にどう近寄れと言うんだ…。それにあれは日番谷隊長や藍染隊長のだろ?あんま興味ないぞ?」

 

「…うちの隊長とか!」

「…千年来の付き合いだが、だからこそお互いそんな思いない。お互いそんな気持ちあるなら、もうちょい進展性あるハズだし。…それに、カンベンしてくれ」 

 

「砕蜂隊長とかも!」

「…夜一を未だ崇めているヤツに、そんな気持ちを抱くほど俺は酔狂じゃあないなぁ…」

 

「…護挺の隊員達って、地雷多すぎませんか?」

いやはや。その通り。その通り過ぎて笑っちゃうよ。

「だからこそ千年独り身さ。千年独り身のせいで大概の家事はできるようになった。自分の面倒は自分でみられる!!!」

 

これがまさしく独神(ひとりがみ)である。

 

「…涙、拭いてください」

…あぁ。心の汗が目から滲み出てしまった。

そんなに贅沢三昧の生活はしていない。

服も全く興味ないし。…全裸ならば服に興味を持つのがおかしいと思う。

肌は男の勝負服だ!

スキンケアは、たぶん女以上に手は抜いてないけど。

男の裸は肌が命だ!!!

食い物もマズくなければそれでいい。

…食後のコーヒーは手を抜かないけどな。

 ちゃんとネルドリップ(布製のドリップ。ペーパーと比べて維持に手間がかかる)で淹れている。

ちゃんと自分で焙煎までして。

その方が薫りが立って美味いんだよ。

食事よりも食事のコーヒーの方が時間がかかる。そんな事ない?

雀さん(一番隊副隊長)は紅茶派らしいが、俺は珈琲派だ。

どうもそこは合わない。

「紙と布ってなにが違うんですか?」

「ドリップの種類だな?ペーパーは舌を刺しながら奥にいく感覚があるんだよ。ネルは舌を包み込むようにして奥にいく。トゲトゲしてるのか、まろやかな味わいなのかが違うんだよ」

「…全くわからない…」

「感覚としては飲んだ時の感覚。食感に近いかな。食べてはないが」

珈琲に関しては手を抜いた事などない!!!

 

 女性の扱い等、手を抜いてるどころか、千年経ってもそもそも触れてないモノまであるが。

 

「副隊長が納得のいくコーヒーを淹れてみせます…!」

非常に楽しみだ。

…俺の納得いくコーヒーとして、出してくるのを、飲まなかった事などないのだが。

 酸味がキツかったり、苦味が強すぎたり、焦げ臭かったりするので、その度にいいながら、全部飲む。その後、必ず言うセリフがある。

 

「俺のために出してくれるコーヒーが一番嬉しいよ」

 

あ。このコーヒー、酸味がある。柑橘系の味わいだな。

でも豊かな甘みと花を思わせる甘い薫りがふわっと漂う。

「…ブルーマウンテンだな?」

「なんでわかるんですか…」

「今回は上手く淹れられたな」

パァッと花が綻んだ。

…でも正直、ブルマンってそんな好きじゃないんだよな…。コスタリカとの違いがイマイチわかんないし…。

「明日はガテマラを淹れてくれ」

「ガテマラ?ですか?」

「グアテマラの方がわかりやすいかな」

「はい!わかりました!」

俺の補佐はコーヒーを淹れる腕が日に日に上がっていく。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

毎日。毎日。

書類仕事は午前中に終わり。

午後の副隊長のコーヒーブレイクも終わったら。

今日も今日とて全裸の副隊長の指導がある。

私は文字通り、副隊長の補佐として。

副隊長は圧倒的なまでの、努力型だ。

四番隊を皆集めて、回道の指導を行う。

その指導方法は。

割りと汚い字でこう書かれた、広い部屋で行う。

 

『実技に勝る指導なし』『百聞は一見に如かず』

 

その通りだけど。なんだかなぁ…って感じ。

そこで、傷を治すにはどうしたらいいかと言うのを、身体で学ぶ。

皆がメキメキと実力を伸ばしていくのは嬉しい。

副隊長が認められるのはもっと嬉しい。

 元々、四番隊は爪弾(つまはじ)きにされた者達の行き着く場所だったらしい。そりゃあそうでしょう。

だって副隊長が常に全裸だよ?

そんな上官がいるところなんて、よっぽどの物好きじゃないと来ない。かくいう私もそうだった。

 

でも、ここで。

 

 全裸だけど、どこまでも面倒をみてくれる上官と、挨拶だけして後はほったらかしの服着た上官。どっちがいいかと選んだ場合、私は面倒をみてくれる上官を選んでしまった。

…服着た方がもっといいけど…。

皆と一緒なのは酉の刻(約午後6時)まで。

その後は亥の刻(約午後10時)まで私の個人授業がある。そこでダメなところは徹底的に叩き直してくれる。

未だに慣れないけど、気安く話せるのはここぐらい。

「…副隊長はおっぱい揉みたいんですか?」

回道の修行中、少し余裕ができた私は聞いてみた。

私の淹れたコーヒーをゆっくり愉しんでいた副隊長は、私の攻撃にむせた。

今日の午前中。副隊長の言葉をちゃんと聞いていた私はそう切り出したのだ。

「…聞かなかった事にしてくれ。男の欲望が漏れただけだ」

私のおっぱいじゃあダメだろうか。自分で胸をむにむにしてみる。

…全然気持ちよくない。そこそこ大きいけど、破格に大きいわけではないからか。

「…私のを揉んでみますか?」

「…冗談はよせ。いざとなったら風俗いくし」

…。なんかムカムカする。

この感情を嫉妬と認めたくない。

全裸男に嫉妬するなんて、私の心が認めない。

「次はなんですか?何をするんですか?」

「え!?なんでそんな不機嫌なの?」

どうやらかなりぶっきらぼうな言い方だったらしい。

でも今日くらいはいいよね。

「なんででもいいでしょ!?今日はそんな気分なんです!!!」

早く私の心くらいわかってください。私とはかなりの付き合いなんですから。

「副隊長ってほんっっっと女心に鈍いですよね!」

「…鈍いってか、勘違いしない様にしてるだけなんだが…」

ほら。魔性の女に騙されない様にしてるだけなんだが…。騙されかかった経験あるし…。壺買わされそうになった事あるし。八百年くらい前に。

 

そんな事は私の知った事じゃないです。

それに、今は。

「逆に壺、売ってますよね?」

「なんも効果のない壺な。俺の触った壺って感じでな」

こんな男でも、一定層の狂信者がいる。全裸ではないが。その人達が買うのだ。熱狂的な狂信者(全裸になる奴)は大体『蛆虫の巣』おくりだが。

………。私も一応。一応!売られている壺を持っている。花を活けているから、無駄遣いではない。

無駄遣いじゃない。

無駄遣いじゃない…ハズ…!

普通に活ける壺の5倍くらい値段したけど、無駄遣いじゃない!

「『な〜んも効果ない天副隊長の触った壺』っていう名前で売っているのに、買うヤツの気がしれねぇよな」

………。ほんとにその名前で買う人がここにいる。

「…そうですね。でもほんとに触っているんですか?」

「当たり前だろ?一応、全てに触っているよ。そこはウソつかない。それに、そこまで触るのは手間じゃねえしな」

嘘じゃないなら、そこそこ当たりかな。

私も私のお金も報われたと思う。 

新作、買おうかな。『天副隊長が触った空色の壺』が発売されてたし。売り文句が、『天副隊長だからこそ、空の色が似合うと思いませんか?』だ。確かに名前からして適任だろう。

あまりにもしっくり来すぎて欲しくなってしまった。

…これ買うと、ピッタリ30個になるし。

「…俺のもとに『壺代』が毎月来るんだよ。かなり怖い値段が」

この人もやってるけど、回りもめちゃくちゃやってるよね…。

「…副隊長の3ヶ月分の給料とほぼ同額が毎月来て、怖いんだよ…」

…かなり売れてるんだ…。

「最初はテキトーに『壺でも売ってみるか!』のノリで初めたのに。…今度はハンコでも手を出してみようかな」

笑いながら言っている。かなり冗談の色が濃かったが。

「絶対にやめてください!!!」

「…おう。冗談なんだが…」

「それでもです!!!」

…私の出費が増える。

 

 そんなアホな事ができるのは残りわずかとはこの時、全く思っていなかった。

変わる時はいつも血の臭いと胸騒ぎから始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




息抜き回でした。
次から本筋に合流ですね!


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嵐を耐えるのならば準備が必要

お気に入りが940件突破致しました!総合評価が1000ポイント超えました!!!
ほんとにありがとうございます!!!お気に入りが増やせるよう、頑張っていこうと思います!!!
感想をくださると、もっと投稿頻度が上がるカモ…?



「…『旅禍(りょか)』が来たそうです」

虎徹ちゃんの報告を仕事をしながら聞く。

「旅禍?だいぶ久しぶりだね?どこの門から入って来ようとしたの?」

「…市丸隊長の報告だと、西からだそうです」

西か。それなら。

「…白道(はくとう)門だね。門番は…次男坊?」

「兕(ジダン)坊です」

ニアピンだな。それにしても、なぜにそこから。

確かあそこって…?

「…門番変わって以来、破られてないトコだよね?なぜにそこから」

「それでも負けて、入られそうになったそうですね。それで市丸隊長が追い返したそうです」

へぇ。

…ん?負けて入られそうになった(・・・・・・・・・・・・)

「へぇ。かなりデカい奴がいたんだね。精霊門開けられるくらいの」

精霊挺の外壁は霊圧を全く通さない殺気石でできている。

精霊挺に危機が迫ると自動で降りて来るのだ。

「いいえ。兕丹坊が自分で開けたそうです」

…は?なんで?

「門番負けたんでしょ?負けたら門なんて開けられないよ?」

死んでるんだから。

 

俺の言葉に、虎徹ちゃんは息を呑んだ。

「…市丸隊長と全く同じ事言うんですね…」

いやいや。

 

「門番は門を護るのがお仕事。負けるってのは護れなかったと言う事」

命を掛けて、門を護らないと。それはダメだよね。門番失格だよ…。

「今回は市丸隊長が正しい」

「…門番の腕、切り落としてでもですか?」

「…は?まだ腕ついてたの(・・・・・・・・)?負けたと言っても?」 

「武器破壊をされたみたいですね」

「…え?武器壊されただけで、負けたと言ったの?」

全く全く。ぬるすぎるよ。

「…虎徹ちゃん。『弁慶の大往生』って知ってる?」

「…いえ。知らないです」

 

そうか。知らないか。俺は直接聞いたから知ってるんだけどさ。本人からね。

 

「『弁慶の大往生』ってのはね。武蔵坊弁慶(むさしぼうべんけい)ってヤツが主君を命を懸けて護ろうとした話なんだよ。…その時、弁慶は主君のいる扉の前で、鬼の形相(ぎょうそう)をして武器を掲げたまま、今にも襲いかかって来そうな状態で、そんな状態でね、…死んでたんだよ。門番の、『まさしくこうあるべき姿』ってヤツだよね」

 

ホントは怖くて怖くて逃げ出しそうだった。必死なだけだったんだって。

必死の顔が元々強面(こわもて)のせいで、鬼の形相(ぎょうそう)に見えただけなんだって。笑っちゃうよね。

でも、最後の最期まで主君を俺は命懸けで護ったんだって自慢気に話していたよ。

……あんな事は二度としたくないって言ってたけど。

 

「…そんな忠誠心の高い門番はそういないと思います」

そうだね。その通りだ。でもね。

「…虎徹ちゃん。護挺の大原則を言ってご覧」

「『一死を以って大悪を(ちゅう)す』ですか?」

「そ。それこそが護挺の意義ね。この大原則は一般隊士なら誰だって知っている。…それを侵入者に最初に教えるべき門番が知らんとは。実に(たる)んでいるな」

ホントに数百年、ぬるま湯に浸かっていた影響が出てるな…。

後で本格的に鍛えなおさねば。

それに。

「…たぶん、まだ諦めていないよ」

俺の声に虎徹ちゃんは驚いたみたいだ。

「あんなに派手にふっとばされたのにですか?」

「バカはね。ときたま、予想だにしない行動をとる事がある。来ないなら、まだいい。ほんとに来た時のために準備を整えておいて」

 

しかし、虎徹ちゃんは疑問があるらしい。

 

「…しかし、どうやって?」

コレがダメなら後1つしかないだろうに。

…しかし、コレはド派手なんだが。侵入って、普通コソコソ入るモンだと思うけど。

 

「…花鶴大砲(かかくたいほう)だ。それ以外にないと思う」

 

…最悪の自体に備えて、準備はしておく必要がある。ないならないでいい。だが、だからこそ「もし」の時に使うモノがあった方がいい。

 

「…傷薬や包帯の用意はしといて。近い内には間違いなく攻めて来るから」

「わかりました」

「…そんで。聞くの忘れてたけど、旅禍の特徴は?」

「明るいオレンジの頭髪だそうです」

 

…アイツか!あんなに弱かったのにな。

 

「…間違いなく攻めて来るよ。阿散井副隊長の幼馴染(おさななじみ)の処刑までには」

「…やっぱりですか」

 

こちらも準備を進めておかねば。『男子三日会わざりければ刮目(かつもく)してみよ』って言うし。初めて会った日から三日(それ)以上は確実に経ってるからね。目ン玉飛び出るほど強くなってるかもしれない。

 

「…めんどう事って重なるんだよね…」

手元の資料の題目は『藍染隊長の斬魄刀お披露目日程』と記されていた。

 

「…行く気ないのに」

「それでも毎回来るんですよね」

不参加にマルをつけ、理由の欄は『仕事と指導が忙しいため』と書いておく。

いつものノルマをこなし、今日はゆっくりと過ぎていく。

「お昼のコーヒーです」

「…ありがとう。最近はこれだけが楽しみでね」

自家焙煎した豆を挽いたヤツ。

豆を拾う(・・・・)※という手間をかけている事を俺は知っている。そのおかげで美味いコーヒーが飲めるという事も。

さぁコーヒー飲んだら仕事仕事。

まずは、傷薬や包帯の買い出しの書類からだな。

 

…経費で落ちるかなぁ?一応、旅禍退治に必要なモノだけど、まだ旅禍が攻めて来るかわかんないしな…。

 

ポケットマネーでも十分足りるけど(壺売った時のお金)、やっぱり経費で落ちた方が楽。

「隊長に経費で落ちるか聞いて来てくれない?」

「わかりました。ちょうど良かったです。ちょっと隊長に用があったので」

いつもの約束を熟した後。

「今日は忙しいな。今日の稽古はできないかも」

稽古の中止を決めて、ゆったりと過ごす事にした。

 

…稽古の2時間前に仕事が終わり、虎徹ちゃんの個人授業の時間が長くとられたのはナイショ。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

彼にとって私はどういった存在なのか。

(少なくとも嫌われてはいない。といいな)

私の1つ席が上の上司。この隊の副官。護挺の先輩。

信じられないぐらい強いけど、稽古にはどこまでも純粋に打ち込む上司。

…いつも全裸なのと、性欲に正直なのが玉に瑕。

でも仕事はマジメでファンクラブができるほど。

…私も会員なんだけど。

上司として、こうあるべきという姿を見事に見せてくれている。

…全裸は違うけど。

でも性欲に正直なのは隠している。

たまにすごく冷たい事も言うけど、それは仕事のため。

できない部下を甘やかすのではなく、ちゃんと叱るという事もする。 

私達の副隊長から理想の上司を学びたいという人も多い。隊長達もときたまうちに来る。私達の副隊長の姿をみて、(全裸以外を)自分の隊にも取り込もうと頑張っている。

私は四番隊に来た瞬間、…終わった…と思った。

 

ここが左遷先になる事が多いから。

 

 でも、ここで理想の上司に出会う事ができたのが幸せだ。

 

最強最古の副隊長こそが理想の上司。

「…でも、私は戦闘でお役にはたてない」

たぶん天副隊長の戦闘で手助けができるのは、副隊長では雀部(ささきべ)副隊長だけだろう。それも卍解して、ようやくってところで。

 

でも。私は少しでもお役に立ちたい一心で頑張っている。

毎度、毎度。個人授業は何かを掴みたくて、副隊長に少しでも近づきたくて、私から言い始めたし。それに付き合ってくれている天副隊長は本当にありがたい。

 

……私の恋心も理由の一部としては、あるのは内緒ね。

 

もっと厳しくてもいいけど、適度に力を抜くのが一番良く自分の力を発揮できるんだって。

『8割の力で挑むのが最良の仕事のコツ』らしい。

「『なんとか経費で落ちる用に、総隊長に掛け合ってみます』って伝えないと」

隊長に掛け合ってみたら、すんなり上手くいった。

やっぱり隊長も副隊長の事はある程度、信頼しているみたいだ。仕事には手を抜かない人だと。

 

(うらや)ましい。

 

私には隊長はそこまでの信頼を寄せてくれてはいない。

 

そこは悔しい。

…長い、永い付き合いで形成された絆の証のようで。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

虎徹ちゃんの指導が終わった後。

準備も万端に整えた。血止めも包帯も十分揃っている。

そんな中で。

俺はのんびり日本酒を呑む。

つい最近までバタバタと動き回っていたせいで、こんな時間は中々とれなかった。

その時間を取り返すかのように。

どこまでもゆっくりと。 

 

この日本酒は辛口だ。

辛口の酒が大好きな俺としては、この日本酒は好きな味わいだ。

 

やっぱり嗜好品ってのは、愉しんでこそだよね。

一気飲みよりは、酒をゆっくりと一人で嗜み愉しむこの時間が、俺は嫌いではない。

 

…酒よりもコーヒーにつぎ込む金の方が多いが。

 

……さて。旅禍の小僧はどのくらい強くなってるか。

この短期間で卍解を覚えるのはムリだ。特殊な方法を使わないといけないし、そもそも表に出てきている力で斬魄刀を屈服せねばならない。

そこまでの力を表層に出す事はできるか。

……いくらなんでも不可能であろう。

始解の覚えたてくらいか?

……いや。最大限に見積もっても、副隊長には及ぶか及ばないかくらいであろう。

単純にいつもは、席官くらいのモンではないか。

 

(俺にはたぶん及ばない)

 

慢心は良くない。

が、相手を怖がりすぎるのも良くない。

憧れも恐怖も、そして見下しも刃を曇らせる。

 

 なぜなら、憧れも恐怖もそして見下しも『実力を見通す目』に色眼鏡がかかってしまうからだ。相手や自分を過度や過小に実力を見積もってしまいがちである。

 

大事なのは「理解」。相手と自分の理解。

 

理解こそが刃を最も鋭く研ぎ澄ます。

 

適度に怖がり、適度に見下さず、適度な力で勝つ。

 

それこそが俺の最も為すべき事なのだ。

そのためには情報を掻き集めねば。

情報こそが最も理解を進めるものであり、理解を深めるものでもある。

 

ゆっくりと一人で酒を嗜む一日。

……まさか昼間っから侵入しようとはしないだろう。

夜にコソコソ入って来るハズだ。ド派手な侵入経路なだけに、せめて夜から。夜闇に紛れて。

 

そんな。

 侵入者が入って来る、前日の夜はゆっくりと過ぎていった。

明日からの激動の対比の様に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お酒の好みは私と主人公は一緒にしておきました。
日本酒。美味しいですよね…。
辛口の日本酒とか最高。


…ジ丹坊のジが変換できませんでした。
できればでいいのですが、誤字報告でくださると嬉しいです…。
※豆を拾うと、味が深く、かなり薫りもたちます。
よく行くコーヒー屋が豆を拾っているので、参考にしてみました!
……スマホで打っていると、変換語数が少ないので…。
申しわけないです…。



……そういえば、ほとんど鬼道出てきてないな。タグついてるのに。


……。そこまで進めよ。速く。


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尸魂界編
侵入者の始末の悪さ


お気に入り登録がもう1000超えた…。
評価も22名の方ありがとうございます。
総合評価も1200超えという素晴らしいモノですね!
過去イチだ!!!


「…やっぱりかぁ…」

花鶴大砲(かかくたいほう)』を使って、堂々たる潜入(笑)をして来た侵入者達。

あまりにもド派手すぎて、逆に笑えて来る。昼間っから来るなんて、弱者は考えもしない。強者は一応考えるが、その可能性を切る。

…単にバカの所業だからだ。

…前日までに薬やら包帯やら揃ってて良かった…。

「虎徹ちゃん。後方支援だよ。『絶対に戦わない事』。コレは命令だよ」

「ハイ!!!」

1つだった光は文字通り、四散した。

俺達のいる所とは全く違う所へ飛んで行く。

やっべえ。…1つ、花太郎の近くに行ったぞ?

まぁ花太郎の担当する領域ってだけだが。

 

……………………。まっいっか。

 

良くないですぅ!!!

 

そんな声が聞こえた気がした。

気のせいだ。

それにアイツも七席。なんとかするだろ。

 

どうにもならないですぅ!!!

 

そんな声が聞こえた気がした。

最近、幻聴が酷いな。

 

よし。花太郎に思念でも送っとくか。

 

゛それ終わったら可愛がってやるよ。十一番隊的な意味で゛

 

これでよし。

「……いいどころか、悪化してませんか?」

気のせい。十割、100%、完全に気のせい。

「……さて。そろそろ十一番隊(バカ)達の治療だ。手こずる相手は俺と隊長でなんとかする。それ以外の治療を頼む」

「……わかりました」

俺は尊い犠牲(山田花太郎)に涙した。

「……顔が笑っていますよ?」

……笑いすぎて涙した。

「最低ですね!!!」

ちょっと5字、省いただけだ。

さぁお仕事の時間だ。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「被害はどうなってるんですか?」

雛森副隊長か。俺は手元の資料に目を落とす。

 

「被害は斑目三席と綾瀬川五席の重傷。他、十一番隊が壊滅的ですね。他隊なら『鎌鼬』が重症」

 

俺は報告を伝える。四番隊は傷の治療にあたるせいで、こんな役を押し付けられる。

「十一番隊が壊滅的な被害が出ている他、他隊も無視できない被害があり、拡大中です」

俺は欠伸を噛み殺す。こんなモンになると思っていたよ。十一番隊。護挺十三隊最強(笑)。

 

ホントはただ単純に、バカで血の気の多いヤツの集まりだ。その中でも阿散井副隊長はマシな部類だったのだろう。

 

「何か対策はないんですか!?」

慌てるな、雛森副隊長。焦りは視野を狭くする。

「この中の誰かが出る他ないでしょう。強い者には強い者をぶつける。至極当たり前の理屈です。問題は、『誰が出るか』という事」

 

俺はここで一拍おく。

 

「一応、言っておきますが、私は出られませんよ。治療部隊の陣頭指揮をとらねばなりません。その他、面倒事が起きるのであるならば、隊長が出られない場合は私が出なくてはなりません。割りと多忙ですよ」

「俺が出る」

「…阿散井くん」

自分から言ってくれて何よりだ。

副隊長の中でも強い方が出てくれて助かる。

旅禍との因縁もあるだろうしな。

 

「旅禍の目的は罪人『朽木ルキア』の奪還。それを阻止するのが我らの勤め」

 

「任せましたよ。阿散井副隊長」

 

「あぁ。任せとけ!!」

 

これで間違いなく勝てるだろう。旅禍達は副隊長の中でも下の部類だと思う。

俺や雀部さん(最古参勢)が出なくても、まず負けないだろう。

 

さてと。少し遠回りしてから帰るか。

……十一番隊の邂逅を少しでも遅らせたいんだよな。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

凄まじい爆音を撒き散らして、壁がブチ破られる。

モクモク立つ煙から、巨体がヌゥッと。

肌が浅黒く、それにもまして右腕が黒い。

 漆黒の右の(かいな)を振り回し、得体のしれない閃光を吐き出す。

 その右腕の持ち主は茶渡。本名はサドだが、仲間からはチャドと呼ばれている。

 

……S(サド)ではない。

 

その漢の前には一人の漢が立ち塞がった。

「私は八番隊第三席、副官補佐。円乗寺 辰房である!!運がなかったな!私がこの道に現れた時点で、この道は行き止まりである!!!」

筋骨隆々な漢が刀を抜くと。

 

ほぉしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃ!!!                     」

 

刀をめちゃくちゃに振り回す。ヒュンヒュン、刀が風を斬る音が激しい。

「……あれは!!!辰房さんの『崩山剣舞』!!!」

「旅禍のヤツ、手も足も出ずに突っ立ってやがる!!!さすがだ!!!」

周りからも声が上がる。

「手も足も出ないだろう!それも道理!!この辰房、いままで一度もやぶぅううううがべしッ」

 

頬に真横からマトモに拳をもらい、勢いよく吹き飛ぶ。

 

「……スマン。隙だらけだぞ」

あっけなさすぎる幕切れだった。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「じゃあ、俺ならどうかな?」

漢が降り立つ。……左腕に花が描かれている腕巻と帯刀をした、そんだけの姿で俺の前に降り立った。

「四番隊、副隊長。天邪鬼(あまのじゃく)だ」

そんな事よりも俺は気になる事があった。

「……なんで全裸なんだ?」

「趣味だ」

でも、すぐにそんな事はどうでもいいと思った。思考を切り替えて、話を変える。

「そこを通してくれないか?できれば戦いたくない」

「でもここを通すワケには、俺の立場的にもいかんのよ。だから、さ」

一拍おく。

「呑もう!仲良く!今、他の隊長達も動いているとこだし、すぐにこの争いは収まるよ!!!ちょうどいい日本酒を手に入れたんだ。だからそれまで俺と一杯楽しく()ろうじゃ…」

……なんだと?

他の隊長達も動いている?

じゃあ俺も助けに行かないと。……俺程度の力でも幾分かは助けになるだろう。

「…他の隊長達も動いている?事情が変わってしまった。天邪鬼さん、今すぐそこをどいてくれ」

相手が笑う。

「……君達は旅禍だよ?わかりやすく言えば侵入者。侵入者達の都合で俺が退くワケないじゃあない。そんな事……」

 

ズドォォォォォォン

 

 

「破道の一『衝』」

バシュン

俺の技をあっさり撃ち抜いた。

 

「常識で考えたらわかるでしょ?」

 

ニコッと笑った顔はどんな表情よりも不気味に思えた。

 

 

 

ズドォォォォォン

バシュン

 

ズドォォォォォン

バシュン

 

ズドォォォォォォン

バシュン

 

 

ズドォォォォォン

バシュン

最初の一発以降、全て術で相殺されている。「一発もマトモに当たらない」んじゃあない。「一発も相手に届かない」のだ。

 

(さっきのヤツは『副官補佐』と言っていた)

 

目の前の男とは隊は違えど、階級は1つしか変わらないハズだ。

目の前には十数メートルしかない。だが俺には遥か遠くに霞んで見えた。

 

(たった1つの階級が、ここまで遠いのか…)

 

「キミの技は凄いよ。速いし、威力も人間にしては大したモンだ。…でもね。俺には届かない。それが全てさ。どんな攻撃も当たらなければ、意味なんてないよー。……それに技も、人間にしては、の話だ。死神からすると、席官くらいのモン、さ。マトモに喰らっても、俺にはちょっと痛いぐらいにしか効きゃせんし」

 

それにね。と言葉を続けられる。

 

「技には2種類ある。使用限界を超えると全く撃てなくなるものと。……命を削って、撃ち続けられるものだ。キミの技は明らかに後者だよ。悪い事は言わないから、ここで辞めときなさい。それ以上は自殺行為だよ。……イヤ。もう自殺にどんどん近付いている。俺は、若者の自殺に付き合いたくはないかな?」

 

いつの間にか、背後に。手のひらが押し当てられて。

トンッと。

ただ手首から上を倒されただけなのに、俺は吹き飛ぶ。

 

目の前の男は、隙だらけの俺の姿を見て。

……余裕そうな笑みを浮かべる。

 

「……ホ〜ラネ。圧倒的過ぎる力の差があるでしょ?俺とキミにはそんだけの差がある。見逃してあげるから逃げなさい。勝つ、負けるとかの差じゃァない。そもそも、戦いにすらならないだけの差が、厳然たる事実としてある。君が1だとしたら、俺は100万くらいの戦力差が、ねぇ。……さっきも言ったけど、俺は若者の自殺に付き合うつもりは微塵もないよ?」

 

あぁ俺がやってる事は無謀なのだろう。

……でも!

「俺は朽木を…救うために!」

 

「…あぁ。あの罪人か。現世に行ってからだから、ほんの数カ月の付き合いだね。薄い(うっす)い友情だ。…命を懸けるのに足るのかな?それとも、それを覆す何か強烈な出来事でもあったのかな?恋愛感情とか?」

 

確かに俺と朽木との友情は薄いのかもしれない。

けど。それでも。

 

「……一護が助けたいと言ってるんだ。それだけで俺には十分過ぎる理由だ!」

 

俺はその意志を自分の目に込めて睨みつける。

 

「そんだけ覚悟は決まっているのかぁ…。若者は凄いよ。簡単に覚悟が決められるんだからね。……それに恋愛でもないんだな。俺にはムリだな。友情で動く事なんか。俺は俺の自己(エゴ)のためにしか動けねぇよ。そして言う事を聞かない……。若者の特権だよね。全く頑固だよ。そんな相手にはこれ以上の問答は無粋の極みだね。……そんじゃあ一つ良いことを教えてあげよう」

 

 

 朽木ルキアって娘は双殛っていう処刑台で処刑される。今は殱罪宮っていう白い塔にいるハズだ。

 

 

「……なんでそんな事を、俺に教えてくれるんだ?」

「冥土の土産だよ。そんじゃあそろそろ。」

 

 

相手が刀を抜いた。ゾクリと全身の産毛が総毛立つ。

だが俺は行く。俺の全てを掛けて。

 

 

俺の全てを、魂を、この『壱撃』に籠めて。

 

 

気がついたら胸に銀が生えていた。

「ゴメンよ。キミの自己(エゴ)を認められなくて。……俺の事は赦さないでくれ」

そのまま血が吹き出る。

俺の意識はそこで途切れた。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

いやはや。予想外だったね。

まさか旅禍の少年がここまで戦えるとは。

後ろを向くと。

 

まるで融解したかのような壁が視界に飛び込む。

「コイツは、不意打ちで喰らったらケガしたかもなぁ…」

籠めた一撃は怖い。

覚悟を、人生を、全てをその一撃に籠める。それができる漢は例外なく強者だ。

 

まざまざと実感していると。俺の側に1つ影が降りる。

「…警裏隊か。一体何用かな?」

地獄蝶で十分な伝令をわざわざ人を送り込んで来るとはね。

「それだけ重要事項なんだろうね?」

「ハイ!…藍染隊長がお亡くなりになられました」

は?

……。冗談キツいぜ。

「死亡確認は誰が?」

「卯ノ花隊長と伺っております」

ウチの隊長なら、問題ねぇな。俺がやる意味もねぇ。

「そうか。残念だ」

「ハ。後の五番隊の隊長については追って連絡があるそうです」

また荒れそうだぞ…。

特に雛森副隊長。あの女、藍染隊長に憧れてたからな。

憧れの君が死んだら、と思うと簡単に予測がつく。

……十中八九面倒な事になる。

あゝ、暴れるだろうな。

「…はぁ。平和が早く訪れないかね…」

その言葉はゆっくり空気に溶けていった。

 

 

 

 

 




過去イチで遊びました。特に縦書きの部分。
いや〜原作通り進めればいいのって楽ですよね。
あと、主人公の本名が出ました。
テキトーに決めた割りには、斬魄刀の能力も噛み合ってると思います。
主人公にこう言わせたいですね。
『チャドの霊圧が…消えた?』
双極の極の字が出てこなかったので、2文字に分けて記載してみました。出てくる人、ください。


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表裏は簡単に反転する

UAが5万超えました。
ありがとうございます!!!
総合評価が1700ポイントも。
お気に入りも1400件突破と凄まじいペースで伸びております。昨日一日でおよそ200件も。
日間が昨日の段階で11位。
ありがとうございます。嬉しいを通り越して驚きました。
驚異。驚異すぎて、椅子になったわ。

さて。前回の補足を少し。
前回で後半に書くべき話を抜いていました。
コイツには鏡花水月がかかっていません。
藍染隊長を徹底的に避けて来たからこそ、かからずに済んでいるのです。
だから、藍染隊長の死体が『見えない』のです。
見えない事をどう扱おうか迷ったのですが、『藍染隊長の死体に徹底的に触れない』という方針をとる事にしました。
……感想にあって、どう書くか悩んで、悩んだ結果ウヤムヤにしよーかと思った所を点かれて。『見えない』みたいに書いても良かったのですが、あまりにも不自然かなぁと思いまして。(他の副隊長とかみてもですね。それに真っ先に助けに行かないといけないのに、助けに行かないのもどうかと思いまして)
それでこんな形で、藍染隊長の死体には『全く触れない』という形を取りました。
……説明不足で申しわけありませんでした。
あと。前回の京楽隊長のパクったシーンですが。
……パクリって楽なんですよねぇ……。
あんまりにもパクるとダメなので、セリフをかなり付け足して置きました。
そんな事はおいといて。
セリフ回しを色々変えてみたモノの。
『京楽隊長でい〜じゃん』が抜けてないですね。
主人公でなくてもよくない?
確かにその通りなのですが、主人公である意味として。
大事なのは、主人公が『藍染隊長の死体を見ていない』という事が伝わってくださるとありがたいです。


本来はこのあたりの事を本編で伝えるべきなんだろなぁ……。
描写力を誰か私にください。


……俺は旅禍を最低限の治療だけして、連れ帰る事にした。

というのもこの旅禍は重要参考人。

 

藍染隊長暗殺に関わっている可能性が、多いにあるかもしれないからだ。

 

…藍染隊長…俺は苦手だったんだけどな。

 

 

 

 

 

 

帰ったら、そこは戦場であった。

 

十一番隊()が山の様にいて、ぎゃいぎゃい煩い。

文字通り猿山であった。

 

それにウチの隊員(かわいい娘のみ)に声かけているし…。

 

「おい!お前ら!!俺の部下に何をしてやがんだ!!!」

まぁこれぐらい言わねぇと聞きゃしねえ。

言っても聞かねえヤツがいっぱいいるし。

お前ら、割りと元気なんじゃねぇの?

 

そんな事をやりながらも、最低限の治療をしていたら、俺の補佐が来た。

まずは現状報告を貰いたい。

「ウチの隊員で行方不明者は出たか?」

バカども(十一番隊)をまとめて治療しながら、聞く。

「……はい」

「誰だ?」

「……山田花太郎です」

……マズいな。アイツは戦いに関しては驚くほど才能がない。霊圧も一般隊士並に低いし。びっくりするほど、ポンコツだ。 

 

……戦いの才能は無いが、逆に回道の才能は席官有数だ。四番隊の回道が上手い順で並べると、隊長、俺、虎徹ちゃん、花太郎の順なくらいだ。それぐらい花太郎は回道が得意で結果が出る男であった。

 

それに朽木ルキアの掃除当番を任されていたヤツだ。

……ある程度の情は移っているとみて間違いない。

 

殺されていれば、まだいい。あれ程の才能を失うのは惜しいがまだマシだ。 

 

……アイツの知識を利用されるのだけは防がねば…!

 

「虎徹ちゃん!花太郎の捜索を……」

「見つかりましたよ」

 

振り向くと、そこには数字の四を白い羽織に刻んだ女性の姿が。

 

「……卯ノ花隊長」

そしてヒョコッと隊長の影から花太郎が。

……心配させやがって……!

「…花太郎…」

思わず出た地獄の底からの声に、花太郎はビクッとなる。

 

「とりあえず、お仕置きはお預けな。この戦いが終わったら、たっぷりしごいてやるから覚悟しとけ」

「うわぁぁぁ!!!卯ノ花隊長!!!」

 

隊長の影に隠れた花太郎。にっこり笑顔の隊長。花太郎は安心したかのように、希望の顔を見せる。

 

「では私も手伝いますね。二人で徹底的に鍛えてあげましょう」

 

どうやら隊長も逃がす気はないらしい。

この戦いが終わったら楽しい楽しい特訓だ。大丈夫。花太郎の治療技術が爆伸びするから。

 

「……虎徹ちゃん。花太郎も同じ時間にやってもいい?」

「なら虎徹は私が引き受けます。あなたは花太郎を鍛えてあげてください」

「了解しました!」

打てば響く様なこのやりとり。

実に隊長と話すのは楽だ。

「大丈夫大丈夫。一、二回死ぬぐらいだから」

花太郎は半分泣いてる。

「一回でも死んだら、死んじゃいますよ!!!」

大丈夫。蘇ればいい。

「……隊長。あの…私は二人でも…」

「鈍い男を落とす方法、知りたくないですか?」

「隊長と一緒に頑張ります!!!」

よしよし。俺は花太郎と一対一だな。

 

とりあえず、旅禍は霊圧封印の手錠をして、ウチの牢に。

手錠をした後、治療を万全に行う。生かしておく価値が出てきたからだ。

十一番隊は最低限の治療しか行わない。

 治すとすぐ特攻しかねない為に、しばらくここで缶詰にさせてもらう。

そもそも、最低限の治療しかできないほど数が多かった。

だから最低限の治療しかしなかったというモノでもあるのだが。

 

そんな事をやってたら、夜になってしまった。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

俺は捕まえた旅禍の事は他の人に任せて、夜の見回りを行っていた。

新しい旅禍を捕まえねばならないからだ。

昼間とは対照的と言えるほど、静かなモノであった。

その時。

(…霊圧の衝突。でも片一方は、逃げてる?)

その方向に足を速める。

そこには。

 

雛森副隊長と日番谷隊長がいた。それと何故か市丸隊長と吉良も。

雛森副隊長が日番谷隊長に襲いかかっている。

 

コレは紛れもなく、よその隊長への干渉である。

よそとはいえ、隊長への攻撃は言い逃れできないほどの。

 

「何をしてる!雛森副隊長!隊律違反だぞ!!!」

注意をすると、今度は俺に向かって来た。

「あなたが…藍染隊長を!藍染隊長の仇!!!」

斬魄刀を振るい、火の玉を飛ばして来る。

…は?

「日番谷隊長!事情説明を!」

飛梅の火の玉を躱しながら、この場で一番まともな隊長に説明を求める。

「…雛森が俺達を藍染隊長殺しの犯人だと見ているんだ。俺とお前の共謀でな」

……は?なぜに?

別に俺と日番谷隊長は仲良くは、ない。他隊の副官と隊長としては実に普通の距離感を保っている。

 

「雛森副隊長!!!別に俺と日番谷隊長は仲良くないでしょ?あなたの方が仲いいの知ってますよ!!!」

「それを逆手にとって、共謀したんでしょ!!!それにここで落ち合ったのもあなた達、まち合わせしてたんですよね。知ってますよ!!!」

 

ダメだ。コイツ、人の話を全く聞かない。

思い込んだら一直線という、雛森副隊長の悪い癖が出ている。

 

「…日番谷隊長。幼馴染でしょ?なんとかしてください」

「…同じ副隊長だろ?なんとかしろ」

お互いに押し付けあう。

その間も攻撃は休まるワケではないが、割りと余裕のある攻防なのだ。

 

俺が嘆息する。 

 

このイノシシ女をどうにかせねば。 

そう対策を考えている間に。

 

このお団子頭は更に信じられない言葉を放る。

「もういいです。言い訳は!!!『五番隊副隊長・雛森桃。四番隊副隊長・天邪鬼に決闘を申し込みます』!!!」

 

おいおい。そりゃあ後戻り効かねえぞ?

 

「受けないんですか!決闘を!この卑怯者!!!」

 

決闘。それは一対一で闘う決まりみたいなモノだ。

前の俺と狛村隊長の戦いは、わかりやすく言えば『私闘』。だがコレは正式な『決闘』の名乗りだ。

 

ただし、『決闘』は同格から格上の相手にしか申し込めず、決闘の敗者は勝者の奴隷に近しい存在になる為にめったに行う事はない。

 

まぁ実態は勝者の言う事を1つなんでも聞くぐらいのモノ。

 

強制力は全く無いが、『決闘』の勝敗で決まった事に従わないヤツは求心力を失ってしまう。それは致命的だ。

 

「…わかった。後悔はしねぇんだな?」

「私が後悔なんてするわけがないです!!!」

 

俺の最後通牒に即答を返す。

 

「やめろ!雛森!そいつはお前の敵う相手じゃねえ!!!」

「しろちゃんは黙ってて!次はしろちゃんとだから!」

「…決闘は受ける。からちょいと待ってろ。『決闘』をいつ受けるかは申し込まれた方が決めるはずだ」 

 

虎徹ちゃんに地獄蝶を送る。俺にしてはとっても珍しい通信を。

 

 

 

服を持ってこいと。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

しばらくして、虎徹ちゃんが来た。俺の服を持って。

「…『決闘』を受けたんですね」 

すごく恨みの籠もった目をしている。まぁ俺が自発的に服を着るのは『決闘』の時だけだしな。…だがコレはしょうがないのだ。

「あのチビお団子イノシシ女が悪い。急に『決闘』を申し込んで来たんだ。……受けたのは悪かったけど」

俺はふんどしを締めて、死覇装を着る。

下の袴を履き、上を羽織り、帯を巻く。

刀を帯に挿し、ポンッと叩くと。

左腕に副官章を巻き、いつもの『決闘』状態になった。

 

『決闘』の受諾を意味する言葉を告げる。

 

「『四番隊副隊長・天邪鬼。五番隊副隊長・雛森桃の宣誓を受け取る』」

 

「刀を抜いてください」

「いらねぇよ。ちょいと後輩を揉んでやる程度だ。その程度に刀を使うほど、俺は大人気なくはねぇ」

お団子女は刀を向けている。俺の着替えをみてもなんも言わない。恥ずかしさはどこかヘ飛んでいったらしい。

「日番谷隊長。何か合図を」

「……ったく。しゃあねえな。始め!」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

私にとっては、全裸である事以外はとっても尊敬できる先輩。

そんな人が藍染隊長を手に掛けたなんて信じられなかった。

 でも、藍染隊長の遺言状に『私を殺したのは日番谷隊長と天邪鬼副隊長の共謀だ』と書いてあるの。

 

それを読んで、頭が真っ白になっちゃった。

その次に憎しみがむくむくと雲の様に湧いてきたの。

私は全く気づかなかった。二人が共謀して、藍染隊長を殺そうとしていたなんて。

しろちゃんも天邪鬼副隊長もそんな素振り微塵も見せなかったから。

でも。

私が、私達五番隊全員が尊敬していた藍染隊長を手に掛けた。そんな人は絶対に許せない。

 たとえそれが私の幼馴染であっても。友達の想い人であっても。

まずは私と同格の天邪鬼副隊長から。

徹底的に…ツブシテヤル

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




評価貰えた人の中で投稿している人がほとんどいない…。

是非、なんでもいいので、一作品書いてみてください!

見る目が変わりますよ!
それに、私も評価を貰えた人がどんな作品を書いているのか、読んでみたいです!!!


それと、独自設定の『決闘』ですね。
同格もしくは格上の相手に対して闘いを申し込むモノになります。
隊長につくための3つ目の条件に、『隊員200名以上の立会いのもと、現行の隊長を一騎打ちで倒す』というものがあります。
本作ではそれを少し変えたものになります。
もちろん、立会い人が必須で、他の隊にも申し込む事ができます。
立会い人の条件は、『①隊長が一人以上、②副隊長が二人以上、③他隊が闘う場合はそれぞれの隊混成でそれぞれ50人以上』のいずれかになります。本作では、隊長一人以上ですね。
しろちゃんと闘う場合は天邪鬼とイヅルになります。
もしくは市丸隊長。 
三番隊は空気ですね。


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表裏なんてぶった切って、2つ共表にすればいい

カッコ良く。カッコ悪く。

強く。弱く。

醜く。美しく。

面白い作品を目指す。



俺は『決闘』の立会いを努めながら。いつでも止めに入れる様にしながら。斬魄刀を解放する幼馴染を見る。

「弾け!『飛梅』!」

もうこの時点で刀すら抜いていない。ボケッと突っ立っているだけである、そんな「服着たばかりの」副隊長に疑問を抱く。

「……なぁ。虎徹三席」

「はい。なんでしょう?」

「……なんでアイツは『決闘』の時、服を着るんだ?」

その理由を知っているのか、顔をしかめる三席に、ちょっと怯む。いったいどんな恐ろしい理由があるんだ…?

「……前に。『自分の立場を示すためだ』とおっしゃっておられました」

……自分の立場?

虎徹三席は更に言葉を続ける。

「『決闘』においては、『立場』が非常に重要となります」

それはそうだ。格上の者は格下の者に挑めないのだから。

「『俺は立場を明確にするため以外では、服は着ない。立場はしがらみを産む。権利は足手まといになる。俺にとって服とは将に、権利や立場の象徴に他ならない。俺は自由でいたい。「自由」を選ぶのであるならば、服は文字通り足手まといなんだよ』。あの人本人の言葉です」

もちろん、そこには多大な障害が付き纏う。というか、現在進行形で付きまとっている。

 

それでも。

 

「『全裸(オレ)を否定する頭の固いヤツには絶対に負けたくない。絶対に負けない』だそうですよ」

 

……コイツ。やべぇぞ。なんか良い話風に言ってるけど、やってる事は全裸の肯定だからな?

 

「……よくわかった。アイツのヤバさが。で、なんで『決闘』の時は服を着るんだ?」

 

「『立場を明確にするため』らしいですよ?だからあの人今は『天邪鬼』としてではなく、『四番隊副隊長』として戦っているんです」

その為に服を着て副官章まで着けて戦っているんです。

その言葉に。

「……常にそうしてくれたらいいんだけどな」

その答えは間髪を入れず返って来た。

「全くです」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「弾け!『飛梅』!」

こちらは火の玉を複数個まとめて飛ばす。

 

それでも。 

 

全てぎりぎりで避けられる。地面に当たると木屑が飛ぶが、その木屑すらもすれすれで躱される。

 

あとちょっと。あとちょっとで当たる!!!

「当たって!当たってよ!弾け!弾け!!」

先程よりも更にぎりぎりで躱される。

 

ホントにあと少し。あと少しで当たる!

ホントにぎりぎり。髪の毛一本分もないんじゃないかと思うぐらいぎりぎりだ。それでも避けられる。

あとちょっと。あと……。

もう、鬱陶(うっとう)しい!

直接斬りかかって、爆発を打ち込む!

「はァァあああァァア!!!」

火の玉を絡めた飛梅を、憎き仇に容赦なく打ち下ろした。

慌てて左手を飛梅の前に差し出した敵。

それごと爆発が敵を覆い隠す。

血が地面を(まだら)(いろど)った。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

血が吹き出したのは、私の方。手首が裂けていた。

「あらら。こんな力の差があったんやね」

三番隊隊長の少しトボケた声に我に変える。

斬りかかったのも、血を流したのも私の方。

コレが意味するものとは。

私は意味がわからず、めちゃくちゃに斬りかかった。

「…な。力の差がわかったろ?剣を引いちゃくれねえか?」

少し、煤がついた男はそうたしなめる様に言った。

だが。 

むしろその言葉に怒りが湧く。

 

「わかりません!さっき斬りかかったのは私!なのになんで私から血が出ているんですか!?いったいどんなイカサマですか!?」 

 

剣を躱す相手に怒りを抱く。

私が剣で殴りつける。本来ならば致命傷となる、首を。敵は躱さない。そして。

…また私の手から血が流れる。

「……ホラ。これでわかったでしょ?」

「ちっともわかりませんよ!どんな技術を使って、攻撃を無効化して逆に私に傷を負わせているんですか!?」

目の前の男が嘆息する。

「…霊圧どうしがぶつかれば、押し負けた方がケガをする。ただそんだけの事。要するにキミの飛梅とキミの霊圧を合わせたモノよりも」

俺が無意識で垂れ流している霊圧の方が強い。そんだけの話だ。

 

その言葉を認められなかった。

「そんなハズない!ありえないです!私、副隊長ですよ!同じ副隊長だからこそ、そんな事ありえないです!絶対に何か卑怯な技術を使っているに決まって…!」

 

そんな私に嘆息を1つ。そして。

「これ以上の問答は不要。これは闘いだ。勝者が全て。勝ってから語れ」

 

そう低く告げると。

「縛道の九。『這縄(はいなわ)』」

 

…動けない!でもこんな低級鬼道、すぐに(ほど)いて…!

一瞬まごつく。その間に、

 

日輪(ひのわ)牛車(ぎっしゃ)船舵(ふなかじ)間隙(かんげき)」 

 

目の前の男は詠唱を始めた。こんな鬼道の詠唱、聞いた事ない!

 

(たなごころ)の光。()()つに()かつ」

 

一番似ているのは…!

 

「縛道の六十一改。八杖光牢(はちじょうこうろう)

……改造鬼道!?

そんな事ができるの!?

 

私自身が鬼道の使い手だからこそわかる。それがどれだけ高水準なものなのか。鬼道に関してはわかる。

 

目の前の男が怪物じみたバケモノである事が。

 

鬼道衆でも使える人は数少ない改造鬼道をまさかこんな所で聞くなんて…!

 

てのひらで握られていた光が杖に。杖が八つ、私を取り囲み、突き刺さる。

……動けない!

もうおしまいだ!

相手が勢いよく腕を振り上げ、そして。

目をギュッと閉じる。

 

「……勝負ありって事で1つ」

 

日番谷隊長に宣誓しただけらしい。

 

「……そうだな。勝負あり!天邪鬼副隊長の勝利」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「……さてと。『決闘』の勝利条件だが」

「……はい」

雛森は『決闘』に負けた。なんなりと言う事を聞かねばならない。

「貸一つで」

……え?

「別に俺は困っていないです。今欲しい物も特にない。が、他隊長への攻撃は、隊律違反には変わりはないです。その罰として、日番谷隊長、牢にいれておいてください」

 

「お、おう。別に牢屋に入れる事はいいんだけどな」

……え、エゲツねぇ。

貸一つって事は借りたって事を明確に残されるって事だ。

基本的に、雛森側が圧倒的に不利になる。まぁ、アイツの事だし、そこまでな事はしねぇと思うが。

 

それでも、刀すら抜かずに(・・・・・・・)同じ副隊長に勝ってしまうとは。

 

……俺でもできるか怪しいぞ?不意を打たない限りは。

いくら隊長になって間もないとはいえ。俺でも難しい事をいとも容易くやられるとは少し傷つくな。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「さってと、終わったぁ!!!『決闘』!!!」

よしよし。服を脱ぐかぁ。

四番隊副隊長という重責まで背負っているようで重たいんだよね。服も、副官章も。

……物理的な重さまで感じるし。ズシッとした重さを。責任と重圧で。

……アレ?脱げない?

「……虎徹ちゃん。離れて。服、脱げないから」

物理的な重さは虎徹ちゃんだったらしい。後ろからしっかりと抱きつかれている。重いのに、ミョーに柔らかさがあると思ったら虎徹ちゃんだったんだね。

なんかやけに鼻が通る様な、いい香りがすると思ったんだよね。

 

「今日くらい、自発的に服を着た今日ぐらい、服を着ていてください!!!」

 

そんな、バカな!?

「……虎徹ちゃん。俺を裏切るの?」

「なんで裸になる事にそんな本気なんですか!?」

 

イヤイヤ。常識で考えろよ。

 

「服を着ている俺なんて俺じゃねえだろ!!」

「服を着ている副隊長も副隊長です!!むしろ服を着ているからこそ副隊長です!!!」

虎徹ちゃんはなんもわかっていないな?

「よし。虎徹ちゃんも服を脱ごう!脱げばわか―」

「ただのセクハラですよ!!!」

「…てめぇ。俺の生存意義を、一瞬の考慮もなしに全否定しやがったな!!?」

「生存意義を変えましょう!!!」

生きてる意味を全否定しやがった。

……まぁそこまでお互い本気じゃぁない。

生きてる意味は本気だけどな!!!

 

でも、俺は良い上司を目指す男だ。自分の考えを持ちつつ、相手の意見は意見として受けとめる。

 

そしてもちろん、自分の考えに反映させる必要がある時は躊躇はしない。

 

「……わかった。虎徹ちゃんの意見はよくわかった」

「……それじゃあ!!!」

「……あぁ。俺の意思を伝えるから離れてくれ」

スッと虎徹ちゃんが離れた所で。

 

 

 

 

 

 

 

 

すぐさまゼンラーに。

「……ふぅ。楽になったぁあ゛」

 

 

 

 

「なんでぇぇぇえええ!!!!」

 

 

 

考えた。考えた結果、反映させる必要はないという結論に行き着いた。

 

 

お互い冗談だしな。そんな冗談ごときに本気になるほど、俺は子供じゃねえよ。

 

虎徹ちゃんの事はよくわかってる。よくな。

 

それも演技だろ。半泣きだが。でも、『泣く』という演技もあるらしい。本音で泣いている様に見える。

 

超がつくほどの、迫真の名演技だ。

 

「……役者向きだな」

 

……まぁ、俺の生存意義を否定したのも冗談って事にしてやる。

 

……本音に見えるほどの名演技だった。実に見事。

 

まぁ、それを鵜呑みにして、たまには服を着る事を検討する可能性が微粒子レベルで存在する事がありえるかもしれないな。

 

それはないか。いかに見事とはいえ、演技だし。

 

 

女性は嘘つきだしな。

 

そういう演技も実に見事だ。

 

 

……演技だよね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 




さて。最近はかぐや様しか観てない魔剣グラムです。
あと特撮も観ています。仮面ライダーフォーゼってやっぱりいいですね。メテオは変身フォームがカッコ悪い所以外は好きです。

かぐや様!アニラジをたまに聴いています。
声優さんの素の声が大好きです!
両方とも、『おかわわわ!』な声です!
特に古賀さん!
まれにみる僕っ子属性!
…狙っているのか?素なのか。全然狙っている様に見えない素晴らしいほどの『僕っ子』。めちゃくちゃかわいいです。
小原さん!
ヒンヌーをイジラれて、キレてる所が大好きです!
キレ芸がお家芸ですね!最近はキレなくなって残念です。
花澤さんとの新たな共通点かも…?
(作者は巨乳好き)


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剣なんて所詮は傷つけるモノ

頑張った。超頑張った。
前回の話の雛森とかそんなに書きたくなかったけど、コレが書きたくてここまでやってきたんだ……!



藍染隊長を殺した下手人はともかく。

俺はゆったりと振り返る。

 

「……市丸隊長。のんびりしてていいんですか?」

まだいた市丸隊長とイヅルに言う。

「俺はイヅルを捕まえねばなりません。護りますか?」

牢を脱獄したヒトは再び捕まえねばならない。

「ええよ。勝手にしたらええやん」

「…イヅル。牢に行くぞ」

消沈していたイヅルに言う。

「……はい」

これぐらい素直ならば他の副隊長もいいんだけどな。

色々破天荒なヤツ多いからな…。

太っちょ隠密機動、イノシシ暴走女、変なマユゲ、ヤクザ、メガネツンデレ委員長、サボり魔、ガキ、開発者が眠っているヤツだったかな。

 

マトモなのは、1、3、4、9ぐらいじゃねえか。

 

やっぱやべぇな。護挺って。

「……自分の事は棚上げするのが得意なんですか?」

虎徹ちゃんの声。

なんの事だ?自分の事?

 

 

……サッパリわからん。

「……首をひねる事なんだ……」

さ。さっさと帰って寝るぞ。

明日も早い。

早起きしなければ。仕事が山積みだ。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

日が出てすぐに。

 

俺は走っていた。

もう少しだ。もう少しで。

(お前を助け出してやれる…!)

懴罪宮の手前。

俺が一護を撃退した所で。

 

……カツ…カツ…。

……カツ…カツ…。

 

足音が聞こえる。

階段を降りてきたらしい。

 

……この霊圧は。

 

 

「……天邪鬼副隊長!!!」

 

「よう!こんな所で会うなんて奇遇だな!……で、どこにいこうとしていたんだ?」

俺の最も尊敬する副隊長が服を着て待っていた。

 

 

 

「……俺はルキアを助けに行きます」

「……君の幼馴染だね。罪人の。俺は立場的にこう言わねばならんな。ダメだ」

「行きます!!!

……どうあっても、通してはもらえませんか?」

「……通してやろう」

ホントかよ!言ってみるモンだな!

「ただし!条件が1つある。それを呑めるかな?」

「助けに行けるならばなんでも呑みます!!!」

「よし。わかった」

 

そこで一呼吸。

 

「斬魄刀をこちらによこせ」

 

は?

 

「キミの斬魄刀。確か『蛇尾丸』だったね。それをよこせ。…そうだな。君の幼馴染の処刑が終わるまで。そうしたら通してやるよ。

……あまりにも簡単な条件だろう?」

 

確かにここで蛇尾丸を渡す事は簡単だ。これで通れるなら。

でも、他に隊長格がいたら?この人以外の隊長格がいたら、『蛇尾丸』なしの俺では身を護る事すら不可能だろう。

 

「……申しわけありません。それはできません。でも、他の事ならばなんなりと。なんなりとしてみせます!!!」

頭を下げる。これで許してくれ…!

目の前の男は嘆息すると。

「……コレが最大級の譲歩だったのだが。ならばダメだ。隊舎に帰るといい。俺はそうする限りは手は……」

刀を抜いた。目の前の副隊長に刃を向ける。

「……服を着た俺に刃を向ける意味をわかっているのか?」

……知るか!!!

「服を着た俺は護挺の代表として立っている。『決闘』等、合意の取れた闘いでない限り。服を着た俺に刃を向ける行為は総隊長以下全隊使に、刃を向けると等しいと知れ」

それでも剣を構えるかね?

 

その質問の答えは決まっている。

 

「あたりめーだろ」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

目の前の男は嘆息を一つ。そして。

 

(……くる!!!)

 

キンッと高い金属音。

後ろを振り返り、俺は刀を受け止めていた。弾き、距離をとる。

 

狂桜(くるいざくら)。回転を掛けた特殊な瞬歩で相手の背後を取り、鎖結もしくは魄睡を破壊する。その時、血桜がまるで狂い咲く様に見える事からつけた名だ。あんたの得意技って朽木隊長が言ってたぜ。

…頭では、理屈ではあんたの動きを掴んでいた。ようやく身体がついて来れる様になったらしい」

瞠目しているのをみて、俺は思わず笑ってしまう。

「何をそんなに驚いているんだ?言ってるだけだぜ?」

あんたの剣は見えてるってな。

 

俺がそう言うと。

「なるほど。ちったあ腕を上げたんだな。でもな。俺に勝つのはムリだと思うぞ。あと少なくても千年はな。だからさっさと諦めて……」

諦められるか!

「……絶対に諦めねぇ。今回は譲れねぇ。俺は今日、あんたを超える!!!」

刀の名を呼ばずに斬魄刀を解放する。

それをみて、目の前の男は驚いた様だった。

「……阿散井副隊長。いつの間に、そんな力を」

「わかんねえさ。あんたみてぇに足元をみない連中には永遠にな」

それを聞いて、溜息をつく男。刀を収めてしまう。

「……闘う気をなくしたのかよ!?」

俺が煽ると。

「……まさか。お前ごときは素手で十分だ。この戦いの最中に俺にもう一度刀を抜かせることはできないだろうからな。(あらかじ)め収めておいてもそう変わらんだろ?」

……()かせ!!!

「卍解!!!」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「卍解!!!狒々王蛇尾丸(ひひおうざびまる)!!!」

俺が刀を卍解すると。向こうからは……ほうと言う声が聞こえた。

「それがお前の卍解か。実に見事」

俺が腕を振り落とすと、蛇の頭がこの場のもう一人の副隊長目掛け走り出す。

その副隊長は。

腰を落とし、足を前後に開いた。

まるで相撲とりがドッシリと腰を据えて構える様に。

 

その男に正面から直撃する蛇の頭。

 

その男は地面をガリガリ抉りながら、数十メートル後退した。

 

 

 

その男は。狒々王蛇尾丸の牙をしかと掴み。

受け止めていた。狒々王蛇尾丸を。

 

…は?

 

「でぇりゃああああああああああああ!!!」

勢いよく上にブン投げられて、思わず我に帰る。

……後ろを振り返ると、多大なる被害をもたらしている様子が視界に飛び込んできた。

 

ほんとに同じ死神かよ……。

 

「凄いな!阿散井くん!!!」

 

なにかと思えば手のひらをみせてくる。

ズタズタになったてのひらを。

 

「こんなに傷を負ったのは久しぶりだよ!!!」

……ちょっと待て。アイツは俺の狒々王蛇尾丸を素手で受け止めたよな?

てことは(・・・・)俺の狒々王蛇尾丸を素手で受け止めて(・・・・・・・・・・・・・・・・・)てのひらがズタズタになる程度で済んだ(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)のか(・・)

 

実感する。この男が千年前から副隊長を勤めているのが、伊達(だて)酔狂(すいきょう)でない事を。

 

しかし、こっちは卍解してんだ!!!

絶対に諦めねぇ!!!

 

 

また突進させる俺の剣。

まだ卍解できる様になって間もない。

単純な動きしかできないからだ。

しかし、シンプルな動きこそどこまでも強くなれる事を、俺は経験として知っている。

 

なぜなら俺は直接攻撃系の斬魄刀である、『蛇尾丸』の持ち主だからだ。

 

執拗に蛇の頭骨が追う。四の数字を腕に巻く者を。

 

……追いついた!!!

噛みつく攻撃をあっさり避けて。

蛇の目の辺りを殴り飛ばされた。

 

蛇の頭骨がそれて、そのスキに。

刃節(じんせつ)1つ1つに拳が放り込まれる。

 

そのたび、刃節が弾け飛び、バラバラにまるでだるま落としの様に吹き飛んでいく。

 

どんどん長さが縮み、やがて手元のわずかな節を残し、全ての節が外れた。絶体絶命だ!!!

 

……て思うじゃん?

 

 

一瞬で刃節を繋ぎ直した俺を見て、目の前の、珍しく服を着ている男は驚いた様だった。珍しく瞠目しているのをみて、思わず笑ってしまう。

 

狒々王蛇尾丸(コイツ)の刃節は俺の霊圧で繋いでいるんだ。拳じゃ殴り飛ばせねぇ。

……何を驚いているんだ?言ってるだけだぜ?」

あんたの動きは見えてるってな

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「凄いな!阿散井君は!」

俺は笑う。

楽しくて、愉しくて。

久々過ぎるな。戦っている時の高揚感は!

神経が研ぎ澄まされ、命尽きるまで全力で闘うというこの感覚。

 

大好きだ!

 

のんびり歩きながら、阿散井君のもとヘ向かう。

手ぶらで。

大蛇の牙のもとへ。

 

その瞬間、足元が猛烈にヒビが入る。

 

バキバキと音を立てて勢いよく出てきたのは、

「刃節!!!」

慌てて後ろに跳ぶと、その瞬間。

真上から大蛇が襲いかかってきた。

 

「……ヤバ!」

 

慌てて刀を抜き、受けとめる。

膝が折れたが、なんとか受け止めきる事ができた。

弾き返し、その驚き顔を見てやろうと顔をあげると、そこには予想を外したニヤケ顔が。

抜いたな(・・・・)()

驚愕する。俺に刀を抜かせるなんて。

やっぱ、お前の成長速度はめちゃくちゃだな。

 

強えよ。やっぱ。

「幕を引こうぜ。俺とあんたとの戦いに」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「幕を引くか」

そういった最古の副隊長は笑う。

「そうだな。そうするか。ならその幕は俺の剣で引くとしよう」

「さっき言った事をもう忘れたのかよ!あんたの動きは見えてんだ!!!幕を引くのは、俺の剣だ!!!」

その大蛇の頭骨を受け止めたあと、横に流す。最古の副隊長。

地面に激突し、激しく煙を立てる。

土煙を目隠しに、瞬歩で近付いてきた。

「甘え!!!」

だが今度はいくつも瞬歩で近づく分身を見せる。

近く、遠く。

右に、左に。

上に、下に。

 

いくつも分身しようが関係ねぇ!!!全部ぶん殴ればいいだけの……。 

 

グラッと。蛇の頭骨がズレる。その次に砕ける音。

操作が(つたな)く、自分の剣を自分でも未だに完璧に把握しきれてはいない。

 

自分の剣を自分で砕いてしまうという最悪の悪手をやっちまった。

(……操りそこねたか!!!)

 

「甘いのはお前だっつうの。卍解ってな、そう簡単に扱えるモンじゃあない。卍解を修得してから、数十年の鍛錬か、十数回の価値ある実戦が必要なんだよ。どちらにせよ、経験がたりなさすぎる。それがお前と、お前の卍解の欠点だ」

上から目線の通告。

そんなのはな!!!そんな事は!!!

「だからどうした?こっちはそんな事を承知の上で来てんだよ。生憎こちらの斬魄刀はにぶくて(・・・・)な。刃節1つ砕けたくらいじゃ何も変わりはしねぇんだよ!!!」

目の前の男は嘆息を1つ。

「はぁ……。素直に剣を引けばいいのに。お前、まさか忘れているわけじゃあないでしょ?」

俺はまだ始解すらしていないという事を。

 

その言葉に俺は驚愕する。確かに、この男が始解できないハズはない!!!

 

にぶい、か。

目の前の男がそう呟く。

「じゃあ、俺がホンモノ(・・・・)ってヤツを魅せてやるよ」

 

鈍光(どんこう)を灯せ。『万鈍(よろずなまくら)

 

霊圧が爆発した。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「な…!」

初めてみる。

天邪鬼副隊長の始解を。

その形は。

「……あんまり変わってなくねぇか?」

斬魄刀の解放していない『浅打』とそう変わってない様にみえた。

四という数字を腕に巻いた男が絶叫する。

「変わっているだろう!!!まずは刃先が約一寸(約三センチ)も伸びて刃の幅も五分(約1.5センチ)も増えた。刃の厚さも2分(約6ミリ)も増えている!!!」

お……おう……。

「それにそれを言ってくれるな。俺の斬魄刀も気にしてんだ」

 

その小さな声に。なんか敵対しているのにかわいそうになってくる。

 

……大変だったんだな。

 

まぁ容赦はしねぇけど。

狒々王蛇尾丸を操り、攻撃を仕掛ける。  

 

目前の男にあっさり直撃した。これまでの労苦がウソの様に。

 

   

 

 

 




あっさりと。さっくりと。 
主人公の斬魄刀の能力がついに解禁ですね。
2部構成にしました。
まぁどんな能力かはオサッシの通りですね。 

……あまりオサレではないな。一番近い能力は京楽隊長…?
……全然違うけど。

主人公がオサレ能力じゃあないなんて……。

まぁいいか。
こんな作品が1つくらいあっても。


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能力はあくまで能力。どう使うかが問題

気がついたら1800超のお気に入りがありました。UAが7万超え。
ヤバすぎてバスになったわ。
いよいよ主人公の斬魄刀の能力ですね。
今回の文字数は少なめです。
主人公の能力の意味がわかんないと言われたので、補足説明をいれたら、いつも通りになってしまった。

……まぁいいや。



「私達が負けた副隊長の事だが」

東仙の言葉に、儂は少し耳を傾ける。

「最後の最後で不可解な事がおこらなかったか?」

儂もそう思った。

「私は『清虫』を抜いていないのに、地面に落ちた。これほど不可解な事があるのか」

そうなのだ。最後で東仙の『清虫』が地面に落ちた時。東仙は引き抜く程の体力がなかったはずなのに、急にカランと落ちたのだ。まるで支えを急になくしたかのように。

「もしかしたら、その能力こそが天邪鬼副隊長の斬魄刀の能力なのかもしれぬな」

「物を透過させる能力か?そんなバカな」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

あっけなく直撃した狒々王蛇尾丸(ひひおうざびまる)。……だが。

刀を大上段に構えた最古の副隊長は止まらない。

見えるのは刀だけなのに、狒々王蛇尾丸の攻撃の直撃を受けたはずなのに。止まらない(・・・・・)

(……いったいなんの能力だ!?)

幻覚を見せる系統か?それとも透過能力?ダメだ。サッパリわからねえ…!

 

遂に狒々王蛇尾丸の中を走り抜けられた。

 

慌てて刀を自分に巻きつける様にして防ぐ。

だが。

俺の刀をすり抜けて(・・・・・)、俺の身体を深々と切り裂いた。

俺の服すらも斬れてねぇ。服ごと斬ったはずなのに。斬れているのは「身体」だけ。

 

「いったいどんな能力だ!!?」 

目の前の副隊長は少しトボケた顔で。

「色々とヒントあげたんだけど、気づかなかった?」

気付くワケねぇだろ!!!

「気付いていないみたいだから、教えてあげるね。俺の斬魄刀の能力は『(にぶ)い』って能力さ」

……鈍い……?

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

目の前の副隊長の反応の鈍さ(・・)に思わず笑ってしまう。鈍さは俺の専売特許なのに。

「……鈍い……だと……?」

「そ。さっき、俺はお前の狒々王蛇尾丸を攻撃に鈍くなって(・・・・・・・・)すり抜けて近付き、防御に鈍くなって(・・・・・・・・)お前を斬り裂いた。ただそんだけの話だ」

いやはや。実に単純な名前と解号だからね。誰か気づくんじゃないかとヒヤヒヤしたよ。

 

「鈍いってのはそもそも、察しが悪いとか。どんだけアピールされても気付かないヤツの事やその総称だ。俺の能力は攻防に鈍くなるという能力。俺は俺の能力で攻防に鈍くなる。鈍くなりすぎて、俺の身体が攻撃されているのが(・・・・・・・・・・・・・・)わからなくなる(・・・・・・・)。本体が半透明になる様なモンだ。防御に鈍くなると、防御されているのがわからなくなる(・・・・・・・・・・・・・・・・)。攻撃が半分透明になる様なモンだ。わかりやすく言うなら、『もし〜がなかったなら』の結果を引っ張って来れるっつう能力なんだ。さっきのは、『もし攻撃が通らなかったら』と『もし防御をしていなかったら』という結果を持ってきただけだ。防御を全て透過みたいにスリ抜けて攻撃したり、防がねばならない攻撃をスリ抜けたりできるのはあくまで結果。過程は凄まじく単純に、『鈍すぎる』故に生まれただけのモンだ」

 

驚愕の表情に思わず笑ってしまう。

まぁ容赦はしないけど。

 

「俺の斬魄刀は珍しい、というか俺以外に見た事ないが、「鞘と刀」で一対の能力だ。

鞘の持ち主は攻撃に鈍くなり、刀自身は防御に鈍くなる」

 

そもそもの攻撃に鈍くなる相手にはどうしようもあるまい。俺は笑う。

「この状態になった時。お前の勝ち目はなくなった。お前の牙は届かねえよ。この状態の俺にはな」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

……そんな事、認められなかった。たかが始解。始解しただけで卍解に勝つなんて。

「……絶対に諦めねぇ……」

自分に言い聞かせる。絶対に弱点はある!!!

狒々王蛇尾丸を操り、攻撃を仕掛ける。

……だが。

 

攻撃がスリ抜けられる。

当たらないんじゃない。確かに直撃はしているのだが、攻撃をスリ抜けられてしまうのだ。

 

向こうの攻撃はどんなに防御しても意味はない。

(ことごと)く攻撃が防御をスリ抜ける。何回も、何十回も。何百回も。向こうの攻めが、剣が、直撃する。

 

『防御に鈍い』なんて能力、産まれて初めて聞いたぞ!!!

 

その言葉の意味がわかんねえよ!!!

 

たぶん、精神的な意味で考えるとわかりやすいのか?

防御が固いとか言ったりするし。

 

鈍いってのは察しが悪いヤツとかだな。

たぶん、俺も鈍いほうだ。

 

じゃあ、もし。防御に鈍いヤツがいたら。

精神的な意味でだぞ?精神的な意味で防御に鈍いヤツがいたら。

防御されている事に気付かないでグイグイいくだろう。

相手はそいつをその場では受け入れるなり、距離をとるなりするだろう。

受け入れるという事はつまり、防御を突破したという事。

 

 つまり鈍臭いヤツは防御されている事にすら気付かないで、防御を突破したと言えるのではないか。

 

それをもし現実に持ってくる事ができた(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)としたら(・・・・)

 

 

 

俺はもう限界だ。頭も身体も。

産まれて初めて卍解をしたせいで、「操りながら避ける」という事ができないのだ。

こっちはズタボロだ。もう、完全に気力だけで立っている状態だ。

 

「このクソ野郎がァ!!!」

勢いのまま、腕を振り上げる。その瞬間。

 

バンッ

 

と。音が。

「卍解が解けたか。予想外に保ったな」 

言葉に俺の刀を見ると、浅打に戻っていた。

……まだだ。まだ戦える!!!

刀はあるんだ。まだ剣が振るえる!!!

目の前の男が嘆息する。

「……もう諦めろ。卍解は消えた。意思に反する卍解の消滅は、持ち主の死期が近い事を意味する。お前だって知っているだろ?」

 

がむしゃらに向かって行くのを、目の前の男は情け容赦なく蹴り飛ばす。

 

俺は吹き飛ぶ。

……だが。

そんな事になんの意味があるんだ!!!

 

絶対に諦めねぇ。勝つまでやめねぇ。

 

今度は殴り飛ばされた。

 

今度は頭突きで、肘で、膝で。

ありとあらゆる関節でボコボコにされる。

だが。絶対に諦めねぇ。俺には無限の力が湧いてくる。

 

「……こんなに諦めの悪いヤツは久しぶりだな。そろそろ諦めろ。俺には勝てない。それが全てだ」

 

「絶対に諦めねぇ。……誓ったんだよ。絶対に助けるってな」

 

「誓いか。誰に誓ったんだよ?」

 

「誰にでもねぇよ。ただ、俺の」

 

魂にだ!!!!!

 

 

俺は猛然と駆け出す。自分の全てを籠めて。

 

そして。

 

最古の副隊長の左胸に直撃した。

 

バキンッ

 

だが、貫くほどの力は俺も蛇尾丸も残っておらず。

そのまま倒れ込む。

 

「……実に見事だな。確かにお前の牙。今、俺に届いたぞ」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

俺は最低限の処置として、副官章を解き、阿散井副隊長の右腕に巻きつける。 

 

右腕に深傷(ふかで)を負わせたからだ。半分以上千切れているのに、根性で動かし続けたこの漢。深い敬意を表さざるを得ない。  

 

まるで四番隊副隊長の様になったのをみて。

 

「花太郎!!」

 

と呼ぶ。

 

「……はい」

やっぱりな。お前の霊圧が途中から現れたから少しびっくりしたぞ。

 

「……治療してやれ。その後は牢にブチ込んでおく様に」

斬魄刀は置いておく。

精々感謝しやがれ。

 

「……あの!僕じゃあ実力不足で……!」

 

知らん。久しぶりに楽しい戦いだった礼だ。

虎徹ちゃん怒っているかな……?

久しぶりに斬魄刀を解放して暴れ倒したから、虎徹ちゃんと隊長が怖い。

「ハァ……。色々あり過ぎるな。まさか副隊長が旅禍に手ぇ貸すとはな」

俺は振り返ると。

「悪いな。君の気持ちは汲んでやれねえ。俺は護挺十三番隊隊士。四番隊副隊長なんだ」

ゆっくり歩きだす。隊長と三席に向けた言い訳を考えながら。

 

その後、二人にさんざん絞られた。

隊長はニコニコ顔で。

三席は涙目で。  

こってりと絞られ尽くした。

……エロくはない意味で。 

絞られ尽くした(意味深)ならばどれだけいいか(虎徹ちゃん限定)。

 

 隊長?隊長はおばあちゃん枠だから(震え声)。敬老精神はあってもそれに性的興奮を抱くほど俺はやばくはない。光源氏とは違う(光源氏は下は十ニ、三。上は六十位まではイケたらしい。当時の六十はかなりヨボヨボなお婆さん)。

 

地味にめちゃくちゃキツかった。怒鳴られはしないが、ジワジワと真綿で首を締められる様な辛さを味わうハメになった。

花太郎は「俺の命令に従っただけ」と、道連れにできなかった事をここにいい添えておく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




というワケで「鈍い」という能力でした。
恋次の「俺の斬魄刀はニブくてな」というセリフのあとに、この斬魄刀を出したかったんです。

この能力の元ネタは、『異世界魔法は遅れてる!』という作品の、龍の吐息(ブレス)。
「雷の吐息」(ダイン・アウベル)が元ネタです。
この吐息は「防御に鈍い」という能力なのです。
そこで主人公の能力は「攻防に鈍い」という能力にしてみました。
あまりオサレではないです。
ですがカッコいいと思ったので、自分の手で書いてみたかったんです!!!


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軽いな。軽すぎるよ。

時間がかかりました。
でもそんなにクオリティは高くないという、ね。

個人的には破面編が一番好きだったり。 

十刃(エスパーダ)とか、最高にオサレじゃあないですか。

アーロニーロ・アルルエリとグリムジョー・ジャガージャックという三大オサレネームのうち二人がでてくるんですよね。


……私が好きなのはドルドーニですけど。


処刑直前。

「行きますよ。ジャック」

「了解です」

俺は服を着て、卯ノ花隊長のもとについた。

卯ノ花隊長は俺を、ふだんからジャックと呼ぶ。

呼びやすいからだと言ってはいた。

四番隊隊舎を一歩出た後。

 

……俺と卯ノ花隊長は隠密機動に包囲された。

 

聞こえるのは砕蜂隊長の声。

 

「天邪鬼!そこに止まれ!!」

 

……なんだ?

「何かあったんですか?」

「……何が問題なのかわからないです。私は非常に模範的な隊士ですから」

 

隊長の問いにそうとしか答えられない。なんもやった経験がないからだ。

……隊長は何か言いたそうだが。

 

「藍染隊長殺人の下手人として、お前の名前が上がっている!!!そのため、拘束させてもらう!!!」

 

……はあ!? 

 

「……ホントですか?」

「イヤ。まさか。私は藍染隊長が殺された事を警裏隊の報告で初めて知ったんですから」

 

隊長殺しとか、そんなめんどうな事は絶対にしない。

 

そういった信頼関係はある。

 

 

「……近い内に疑いも晴れると思いますから、ちょっと行って来ます。処刑は虎徹三席をお連れください」

 

ハァ……。また牢屋か。

何度目だよ…?

 

この大事な時期に。来いというならいくけどさ。

 

 

 

 

 

霊圧を封じ込める手錠を隠密機動の黒装束にはめられて。

 

牢屋へブチ込まれた。隊舎牢へ。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 私は処刑が終わったら、抗議しようと心に決めた。こんな大事な時期に私の副隊長を閉じ込めるなんて。どうかしているとしか思えない。

……それでも、天副隊長(ジャック)が言う事は正論だし、一番手っ取り早いのは私だってわかっている。

 

……勇音を連れて行くしかないのね。

 

私は最も信頼する部下を置いて、少々頼りない部下を伴にした。

 

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俺はしがない牢番だ。

今日は、とある隊士の処刑があるらしい。だが俺たちはふだんとなんら変わらぬ日常を過ごしていた。

 

そしたら、ある男が牢屋へブチこまれて来た。

何度か見た事あるが、四番隊副隊長。通称『ゼンラー副隊長』だ。

悪い意味で有名人だが、俺たちよりも遥かに階級は上。

 

その男がヒマなのか、何度となく「牢から出してくれよ」とゴネるのだ。こっちが断ると、その男は半ば笑って「じゃあしょうがねえな」と笑う。

 

 

だが。

三十七回目の時。

直前に独特な霊圧の振動があった。かなり大規模な。

そのすぐ後に。

いつになく真剣な顔して『命令』をしてきた。

「手錠を外せ」

との事。いつもと言ってる事は同じだが、勢いが違う。

……まぁ、ダメだよね。そんな事をしてもダメだと、こっちは流すと。

 

「わかった。ぶっ壊す」

 

と。

いやいや。壊せるワケないでしょ?

それは殺気石(霊圧を完全に遮断する物質)製だよ?

 

 

だが。

急に霊圧が高まっていく。

並の副隊長級じゃない。

 

副隊長どうしの戦いを見た事あるけど、ここまでの霊圧は。

俺が見た副隊長達を足してもここまでではなかった。

 

……もう霊圧だけで押しつぶされそうなほどの力を放っている。

 

次の瞬間。

あっさり殺気石製品が砕け散る。

 

……ウソだろ。

 

「勝手に脱獄しただけだ。隊長にはそう言っとけ」

 

その副隊長はそう言い。息を整える。

 

「ソイヤッッ!!!」

 

拳を牢屋の壁に叩きつけ、大きな穴をブチ開けた。

 

バラバラと外に落ちて行く瓦礫の山。凄まじい勢いで舞い散るホコリ。

 

俺はそんななか。

「だいぶ風通しよくなったなぁ……」

少しばかりの現実逃避にふける事にした。

 

 

 

 

……いつでも脱獄できたんじゃん……!!!

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斬魄刀をちょいと強奪して。

腰に挿してから、向かう。

藍染の霊圧の発生源は。

 

 

 

霊圧の発生源は。

 

 

 

双殛の丘!!!

 

 

 

俺は双殛の丘に向かいながら。

 

霊圧を整える。

 

藍染隊長が見えた瞬間。

 

 

 

「破道の八十二。飛竜劇焔震天砲(ひりゅうげきえんしんてんほう)!!!」

 

俺が詠唱せずとも威力を落とさない鬼道のなかで、最も威力の高い鬼道を放った。

 

だが。

 

「縛道の八十一。『断空』」

 

藍染が唱えると、藍染の後ろに薄い透明な壁ができて。

 

それにブチ当たり、凄まじい爆炎と音を撒き散らすが。

 

……貫くには至らない。

 

 

……うっそだろ?俺は最高の状態で鬼道を撃った。なのに貫けないとは。それが示すモノとは。

 

「……バケモノだな。お前」

 

「あなたには言われたくないな」

俺の鬼道をあっさり防ぐ怪物ぶりに、もう笑うしかない。

 

「天副隊長……!」

「あ。いたのね。阿散井君。全く気づかなかったな」

ホント霊圧が小さすぎて。霊圧って大きかったり、ヤケに小さかったりしたら印象残るけど、普通って一番印象残んないよね。

 

「……俺も戦います」

「ジャマだ。すっこんでろ」

寝言を言ったから、あっさり拒否する。

藍染との戦いで、俺は一対一を絶対視してはいないが、ジャマになる。旅禍の少年もいたが、さして変わらん。

「……その身体なら始解がせいぜいだろ?そんなんじゃあ時間稼ぎにもなりはしない。とっとと逃げろ。俺が逃げる時間は稼いでやる」

「逃がすと思うか?」

俺が口元に笑みを浮かべると、藍染も笑う。

 

……あぁ。勝てない。きっと俺のやっている事は蛮勇なのだろう。

 

だが、勝つか負けるかは問題ではないのだ。最期まで闘うという事に意味があるのだ。

 

「藍染!!!」

 

 

狛村隊長!!!来てくれたんですね!!!

 

「破道の九十。『黒棺』」

 

ヤバ!!!

 

慌てて狛村隊長を蹴り飛ばす。

 

……バキバキといった音は聞かなかった事にしてくれ。

 

そのまま狛村隊長は大地に沈む。

 

……え!?ウソでしょ!?かなり強く蹴ったけど、そのまま気絶しちゃうの!?

 

あ。あの蹴った時の感触。……ちょうど鳩尾に入った時の感触だった……。

 

……そんなだから、かませ犬って言われるんですよー。狛村隊長。

 

付き飛ばさず、蹴り飛ばした理由?

付き飛ばしたら、俺が「黒棺」喰らう事になっちゃうじゃん。

蹴ったら反作用で逆方向に自分が飛ぶから、「黒棺」喰らわなくてすむし。

……あと、少々の恨みもなくはない。隊長としては立派でも、立派過ぎるが故に他隊の俺にまで注意してきたし。

 

 

藍染は動かない。

 

「……鈍光を灯せ。万鈍(よろずなまくら)

 

俺は斬魄刀を解放すると、構える。

 

「初めてみるな。君の始解は」

 

ゆっくりと。藍染が。

攻撃を仕掛けて来た。

勢いよく斬りつけられて。

 

避ける(・・・)

 

「瞬歩と鬼道を併用した歩法だね」

擬鬼(おにまね)と名前をつけてみた」

 

……名前をつける才能は俺にはないんだ。

 

「伏火と曲光を組み合わせた歩法だね。瞬歩の際に霊圧と視覚の幻覚をみせているんだな。実に見事だ」

 

……一瞬で見抜かれるとはね。

 

それでも。

 

「覚悟しな!!!藍染!!!」

 

「……残念だよ。キミを倒さなきゃいけない事が」

破道の九十。『黒棺』。

 

んなっ!?

 

全身を押し潰される様な勢いで、重力の奔流が俺に襲いかかる。

 

なんとか万鈍の能力である程度は中和した。あと(ホロウ)化で……。

 

が、万鈍の欠点でもある、『自身の込めた霊圧分しか無効化できない』という能力が足枷となって重くのしかかった。

 

無効化できない分はマトモに受けてしまう。

その結果、黒棺をやり過ごす事はできたが、身体の動きは明らかに精細を欠くものになった。

 

だが、まだだ。まだ剣が振るえる……!

 

俺が剣を構えたあと。

剣が腕を掠めた。

 

……俺の剣が。

 

身体を掠めた傷以外が消え失せる(・・・・・)

 

「……実に面白い身体と能力だね。でも今のは、明らかに無理のある行動だ」

 

……その通り。実はあまりやりたくない行動だ。ホントはも一つ傷をつけたいんだが。もう霊圧に余力がないんだ。

 

そこまで準備を整えてから。俺は覚悟を決める。全力を賭ける事を。

 

俺が構えると藍染は面白そうな顔を見せる。

 

「最期の切り札かな?やってご覧。僕には無意味だとおしえて絶望させてあげるよ」

 

「滴り溢れる器」

俺は(うた)いだす。

「復讐に全てを(ひた)す。(かえ)れ、(かえ)れ・全ての(ことわり)へ・蒼天(そうてん)翠玉(すいぎょく)(ましろ)赫炎(かくえん)真黒(まくろ)隕鐵(そとまがね)()たれば海・遠からず(そら)間隙(かんげき)を射抜く撃鉄(げきてつ)が堕ちる刻・神の怒りを代行する」

 

破道の九十八゛神鳴壱穿(しんめいいっせん)゛!!!!!

 

たった一つの対象しか滅ぼす事ができないが、たった一つの対象を滅ぼし尽くす事にのみ全力を注ぐ鬼道。

 

神の怒りを落とす鬼道だ。もちろんただの雷ではない。

 

使用者の、「全霊圧」を喰う事によって生み出される雷であり、俺の霊圧は普通の副隊長より、「ちょいとばかり多め」だ。

 

それに完全詠唱をした『神鳴壱穿』は、総隊長の卍解の最大打点を相殺しきるほど。

 

……その後、俺は倒れるけど。

 

光の源流がパチパチと落ち始める。

その一瞬の後。

 

めくるめく、光の奔流が空から放たれる。

黄金が如き稲妻が。

その神の怒りには、凄まじい熱が、霊圧が、殺意が、籠もっていた。

 

そして、それを受けた藍染は。

 

かなり服はボロボロではあった。が、それでもまだ十分に余力を残して防いでいた。

 

「……驚いたな。副隊長ごときが、本気で防いだ私に傷を負わせるなんて」

 

腕から血が滴っていたが、かすり傷に近いものだったらしい。

 

そろそろ限界だな。

……俺が。

 

バタリと倒れ込むと、俺を無視して、朽木ルキアのもとへ。

 

藍染が色々ゴチャゴチャほざいていたが、俺の意識はもう限界だった。

俺の意識は闇に沈んでゆく。

 

(……ちくしょう……!!!)

 

とうとう俺の意識は闇に呑まれた。

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ゆっくりと意識が覚めていく。目を開けると。

「目が覚めましたか」

……隊長。

 

「……藍染はどうなりましたか?」

「藍染、東仙、市丸は大罪人となり、尸魂所(ソウル・ソサエティ)を離反。一刻も速くの殺害が私達の仕事となりました」

……やっぱり。それで。

「雛森副隊長は?」

……錯乱してないか、ものっそ不安だ。

「……少々錯乱状態です。現実を受け止めきれていない様ですね」

……やっぱり。藍染の残していった傷は深い。

「虎徹も落ち着かせるのに大変でしたよ。ないハズの傷が開いて、とっても慌ててました。先ほどようやくあなたの容体が落ち着いたために、気絶するみたいに眠ってしまって」

あぁ。虎徹ちゃんには心配かけたな。

だが、この束の間の平和をたのしもう。

傷が癒えるまではじっくりと骨休めだ。

俺はそう決め、今はゆっくりと休む事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 




最近、仮面ライダーフォーゼが終わっちゃいましたね。
今は仮面ライダーウィザードを観ています。
「フレイム」はラテン語なのに他は全部英語なのって意味あるんでしょうか?
わかる人、感想でください。



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戦いのその後

お気に入りが2200件超えてました。ホントは2100件超えたぐらいに投稿したかったのですが、気がついたらこんな事に。

あ。「万鈍」の東仙隊長との戦闘シーンを見返してみてくださるとわかるのですが、「剣を抜く」という描写は意図的にカットさせて頂きました。

文字数稼ぎならこの男絶対にその描写いれるハズなんですよ。(何回か書こうとしたのはナイショ)
あと色々詠唱とかを変えています。
……なんかオサレじゃあないなぁと思って。


……なんとか藍染との戦いを生き延びた俺は。

包帯グルグル巻きでブスッとしていた。

甲斐甲斐しい虎徹ちゃんのお世話になりながら。

「副隊長」

虎徹ちゃんが声をかけてくる。

「なんだ?」

「……腕の傷以外、傷がほとんどなかったのに、どうして戦いが終わってから傷が浮き出て来たんですか?」

 

……あぁ。

読者の方も気になっていた方が多いのかな。急に傷が消えた点について。

……その辺の質問は全く来なかったけど。

 

そろそろ俺の斬魄刀の能力を教えておいた方がいいな。

「俺の斬魄刀の能力。それは『鈍い』って能力なんだ。だから、『傷に』鈍くなったんだよ」

 

俺の身体自身が傷に鈍くなった。

 

その結果、傷が消えるという現象が起こったという事だ。

実に摩訶不思議な能力である。

 

……ちなみにだが、俺の能力は能力の位階で言うと、高位の能力にあたる。

 

一番低位なのは直接攻撃系。 

 

次が鬼道系。

 

一番高位の能力が、概念干渉系にあたる。

 

低位なのは直接攻撃系。狒々王蛇尾丸辺りが有名どころかな。千本桜もそれにあたる。文字通り、直接攻撃するものだ。

 

次が鬼道系。氷輪丸とかが有名どころだろうか。あとは流刃若火も。氷や火が出るたぐいのものはみんなコレだ。珍しいものだと、双魚理等もコレにあたる。

……あと、鏡花水月も。

 

一番位階が高いのは概念干渉系。

概念干渉系で一番有名なのは花天狂骨かな。

 

『遊び』の法則(ルール)を強制的に現実にもって来れるという能力だ。とても凶悪な能力である。そして俺の゛万鈍゛もここに該当する。あと、有名なのは『名前』を奪う゛一文字゛とかだろうか…?

 

……まぁ、使い手次第ってとこもなくはないけどな。

 

「さ。難しい話はこれでおしまい!!!じゃあ虎徹ちゃん」

服を脱げ。

 

「……急に脈絡もなくセクハラが始まりましたよ!!!」

「……う!!傷が!!!」

 

俺が急にうずくまると、虎徹ちゃんがあわあわと駆け寄って来た。

 

「……大丈夫ですか!?」

「……キツい。凄くキツい。あぁ痛い。全身が痛い。虎徹ちゃんが全裸に、全裸になってくれればすぐに収まって完治するかも……!」

「私が全裸になれば完治するんですね!!!」 

 

と、服に手を掛けて、死覇装の上を1枚脱いだ時点で。

 

「……私が服を脱ぐ事とあなたの傷が治る事、なんも関連がないじゃないですか!!!」

 

……あ。バレた。……むしろ今ので服に1枚脱いだ事の方が驚きだ。

 

……チッ

 

「……今、舌打ちしましたね!!!???」

「じゃあ行くよ」

 

俺は二本足で普通に立って歩き始めた。

「……傷、治っているじゃないですか!!!」

 

……表面上の傷はな。

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「……まさか真っ先に食堂に来るとは思いませんでした」

……俺はハラ空いたんだよ。虎徹ちゃん。それと、

「……隊長」

「そろそろ来る頃だろうと思ってました」

さっすが。以心伝心ですね。

「……食料の補充は?」

「万全です」

よっしゃ。オラ腹いっぺえ喰うだ。

 

 

 

数十分後。

そこは戦場と化していた。

「……隊長」

「なんです?勇音?」 

 

私は自身のすぐ上の上官を見ながら。

 

「……副隊長っていつもこんなに食べるんですか?」

卓いっぱいに広がる料理。それを直径約二尺(およそ60センチ)ある()に米を山盛りによそい。凄まじい勢いで平らげていくのを信じられない眼差しで私は見守っていた。

 

軽くドン引きである。

 

でも何故か腹は膨れてはいない。

……不思議な身体である。

 

「ええ。今日は控えめですね。いつもは本気で戦うと、もっともっと食べますよ。……食わなきゃ身体は作れないって言って」

 

……この量で控えめとは。

…アレ?

「……霊圧、どんどん回復してきてませんか……?」

隊長に聞くと。

「ええ。ジャックは物を食べると自身の霊圧にどんどん変換できるんですよ。先の戦いでだいぶ霊圧を使いましたからね」

その補充も兼ねているんです、と笑う隊長。

 

……色々、死神辞めている気しかしない。

「それにどうやら、九十番台後半の鬼道を使ったみたいですし」

あの子が使う鬼道の中で最も威力が高くて得意なのは九十八番だったかしら、と笑う隊長。

 

破道の九十八゛神鳴壱穿(しんめいいっせん)゛は文字通り、自身の霊圧全てを喰う鬼道だ。

 

下手をすると、『自分自身』も鬼道に喰われてしまうという恐ろしい鬼道なのだが……。

 

 それを完璧に使いこなし、なおかつ藍染に負傷を与えているのは驚嘆の一言では済まされない。

 

「ジャックも余裕がなかったみたいで、『完全詠唱してもちょっとしか負傷させられなかった』って言ってたし」

 

まぁそんなものだろう。というか、破道の九十五以降は何かしらの代償を払うものしかない。

一番有名なのは九十六の゛一刀火葬゛だろう。腕を丸々一本消費なんて使い勝手が悪すぎると思うんだけど。

 

 

 

……誰がこんなアホみたいな代償の鬼道を使うのかしら。

 

 

……まぁそんな事は置いといて。霊圧をバカみたいに消費したから、その補充をしているみたい。

 

……食べ物で。

 

相変わらず思うけど、『死神辞め死神』ね。

 

 

……それとあの時一瞬感じた、『虚』の霊圧は……?

 

「お代わり!!」

「……はい!?」

あ。天副隊長は5桶目のお代わりしてる。

やっぱ千年生きたらあぁなるのかな……?

「……絶対になりませんよ」

ですよね。

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副隊長は大量にご飯を食べたあと、すぐさま自室に帰る。

隊長が言うには『お昼寝の時間』らしい。

 

物を食べたらすぐに寝るなんてどこの幼児(おさなご)だ。

 

でも隊長は笑いながら言ってたし、納得済みの事らしい。

 

……副隊長の霊圧がグングン回復している。

さっきまで、普通に隊長格と同じくらいの霊圧であったのに、まだ回復するらしい。

 

「……私はまだ副隊長に背中を預けてもらえてない……」

 

隊長にも副隊長にも誰にも助けを求めず、1人で戦う。

 

そんないびつな副隊長。

 

でも、私くらいはさすがに頼って欲しい。

そんな事を思いながら、ゆっくりと副隊長の寝顔を見つめる。

 

「ふふふ。副隊長が言っていた雑学。『寝顔は一番ブサイクになる顔だ。だから虎徹ちゃんには見せたくない』ってなんだったのかな」

その後、『虎徹ちゃんは寝顔すらもかわいいよね』って褒めてくれたけど。

 

「副隊長。大好きですよ」

 

次は起きてる時に言えたらいいな。

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「ん〜〜〜〜〜〜!」

ゆっくりと覚醒の時を迎えると。俺はゆっくりと身体を起こす。

 

霊力操作をすると、いつも通りという結論にホッと一息。

 

自分に傷をつけてムリヤリ回復すると霊力操作が雑になるんだよね。

 

そしてようやく身体を起こそうとすると、腹にわずかな重みが。

 

……天使か……?

 

虎徹ちゃんでした。つまりは天使。間違ってなかった。

寝顔すらもかわいいなんてズルっこだと思わねぇ?

 

「俺はお前達四番隊を護る。護挺の名に賭けて」

 

その為に俺や隊長は強くなった。

……隊長はおそらく違うけど。

でも俺は隊長のもとで千年働いて来たからわかる。

四番隊は俺や隊長の宝であると。隊長にとっては二番目に大事な。

 

命を投げ出す覚悟を決める。自分の部下達の為に。

 

さぁ。平和だけど騒がしい日常の始まりだぁ。

割りと束の間の平和だと思う。なぜなら戦時中だからだ。

でも戦時中だからこそ、ガスを抜く時は抜く。

服を脱ぐ時は脱ぐ。

 

しまって行こう。戦いには。

 

でも戦う前に疲れてしまっては、元も子もあるまい。

 

のんびりと休みをとるのも戦いの一環だ。

 

だからこそ、いつも通りの全裸が重要なのだ。

「そこは大事じゃないですよ!!!」

あぁ起きたのね。

「おはよー。虎徹ちゃん」

「……あ。おはようございます」

さ。今日は忙しくなるよ。でもわずかとはいえ、休息の時間だ。

「今の内にできるだけの準備を整えないとね。協力してくれるかい?」

「はい!」

いい返事だ。

さてと。藍染。

俺は目指す事にした。

 

見渡す限り絶望の海の中。

一筋あるかもわからない希望の道を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




というワケで日常回でしたね。
こういう話をちょくちょくいれないと、私自身エタッてしまうので、息抜きでご覧ください。

ガッツリ戦闘は頑張ります。


オリ設定
詠唱は術式の代替作業という設定です。というか原作でも似た様な感じですよね。

だから完全詠唱すると威力が+される理由として、詠唱破棄よりも詠唱した方が制御も威力も容易くなります。

そう。制御が容易くなるために、先ほどの藍染との戦いで完全詠唱したのです。
詠唱がオサレじゃあないというのはほっといてください。


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再びの現世の前に。

なんか投稿してから2日後に日間6位に急上昇。
投稿当日ならわかる。投稿した翌日でもまだわかる。

なぜにこんなにも時間差が……?
いや。凄く嬉しいんだよ。過去イチの順位は凄く嬉しい。
凄く嬉しいんだけど。

なぜに……?


俺が藍染と闘ってから数日後。

 

「昨日の呼び出しなんて、急ですね」

俺は二人の隊長に呼び出されていた。

「久しぶりだな」「さぁこっち座って座って」

 

浮竹隊長と京楽隊長だ。 

ここ数百年隊長やってる怪物達で、天才達。

 

「なにか私にご用がおありで?」

先に口を開いたのは浮竹隊長。

「……先生と戦ってしまって、ね。俺達はどうやったら先生と戦わずに済んだんだろう?」

「山爺もかなり本気だったみたいでね。割りと相手するの苦労したんだよねぇ」

 

あぁ。恩師と戦った事に疑問があったんだね。

 

戦わない道がなかったのかって。

 

「……そんな道はないと思いますよ」

 

俺の返答に少し落胆したらしい。だって、俺は。

「……何度も何度も総隊長と戦ったんですよ。千年前から、二百年くらい。どちらかが因縁をつけては、戦いっぱなし」

 

それでようやく、お互いにわかりあえた。

 

拳で語ることも大事だと学べたんだ。

ちなみにだが、当時はお互い大人げなかった。

 こっちも向こうも卍解して。隊士が何百人死のうが関係なく、朝から晩まで斬りあったもんだ。

 

北の太刀を神鳴壱穿で相殺したり、西を無効化したり。

 

 俺達の戦いのせいでもう散々周りを巻き込むわ、余波で尸魂界(ソウル・ソサイエティ)が消し飛んで、それを俺の卍解でもとに戻すわ、その尸魂界(ソウル・ソサイエティ)を消し飛ばした熱を全て総隊長の身体に溜め込ませて炸裂させる、みたいなめちゃくちゃをやってた。

 

……最終的に真名呼和尚が出てきて、強制的に終わったけど。

 

残火の太刀とか、見慣れたしな。

 

向こうも俺の卍解を見慣れたと思う。

「昨日を最初の一回目だと思って、意見がぶつかるたびに刀もぶつけてください。それが一番早くわかりあえますから」

 

俺の意見とも言えない意見に、二人の隊長は少し持ち直したようにみえた。

 

「……『意見がぶつかるたびに刀をぶつけろ』かぁ。山爺相手になかなかに命しらずだねぇ」

「俺達にはとれない選択肢だな。……でもすまない。参考にはさせてもらうよ」

「浮竹ぇ。僕にはそんな事できないよ」

「あぁ。わかってる。だから刀をぶつけるときは二人で先生のもとに向かおう」

二人の阿吽の呼吸に助言はここまで、と俺は思う。

「きっと百年くらいでわかりあえますよ!」

その言葉に。

「……先生相手に百年はキツいな」

「……山爺相手に百年はキツいねぇ」

 

そこは意見一致するんだ……。

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助言とも言えない助言をした後。浮竹隊長に少し聞いてみる事にした。

「朽木はどうですか?」

かなり曖昧な質問ではあるが、浮竹隊長は察しが悪くはない。

 

「あぁ。霊力を取り戻しつつある。そろそろ完全に復調すると思うぞ」

 

あぁ良かった。俺の可愛い後輩だ。隊は違えど、護挺の仲間。志は同じだ。

処刑されかけたとはいえ、そこは変わらん。

 

「良かったですね。かわいい部下の調子が戻って」

「あぁ!」

 

ほんとに嬉しそうだな。

「ではそろそろお暇します。また今度お会いしましょう」

俺はこの後、用事があるのだ。……割りと大事な。

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「なんだよ?急に呼び出したりして。まぁ助かったけどよ」

俺が用があったのは黒崎一護。十一番隊隊長に追っかけられてるのをテキトーに連れて来た。

 

なぜかって?

 

「……お前。俺の可愛い可愛い部下に手を出したんだってな?」

虎徹ちゃんと花太郎。ソイツらに手を出したのはコイツだ。

「……それがどうしたよ?」

俺の可愛い部下に手を出したのなら。

「……きっちり、ケジメ。つけさせてもらう。俺の部下に手ェ出したケジメをな。と言っても、俺も鬼じゃあない。」

完全にヤのつく自由人的な言いがかりであった。

その言いがかりに旅禍は疑問に思ったらしい。

「じゃあ具体的にどうすんだよ?」

 

「指切りって知ってるか?約束を絶対に守らせる類いのモンだ。……それの約束を破った場合を適用させてもらう」

 

そう言うと、オレンジ頭の顔は引きつった。

 

 

 

 

「……ハァ、ハァ、副隊長。……急に呼び出したりして、なんの用なんですか?」

俺は敢えてこの時間に虎徹ちゃんを呼び出していた。

そこでちょうどついた虎徹ちゃんに、

「ホレ。受け取れ!」

刀を鞘ごと放り投げる。

……顔でナイスキャッチをかましたため、そこも「らしい」なぁ……と思いながら。

 

「……でもさすがに針千本用意するのは手間だから、そこはカンベンな」

 

そう言うと。

「……意味あるのか?それ?」

 

意味あるのか?だと?

 

意味あるに決まっているだろう(・・・・・・・・・・・・・・)

 

「……お前、まさかと思うが、指切りの歌知らねぇな?」

 

「イヤ。知ってるぞ?『指切りげ〜んまん。嘘ついたら針千本の〜ます』だろ?」

 

「……男の声で聞くと想像以上にキモいな」

「……うるせぇ」

 

知ってるなら、なんで意味ないなんて言うんだ?

……まさか。

 

「……『げんまん』の意味を知らねぇな?」

 

「そういや、考えた事ねぇな。意味なんてあるのか?」

あぁやっぱり。

 

「げんまんってのはな。『拳万』って書くんだ。文字通り、『(よろず)』の『(こぶし)』。だから指切りしたら、『この約束を破ったら、1万回殴られた後、針千本呑みますよ。それぐらい絶対に約束破りませんよ』っていう覚悟の歌なんだ」

 

「……マジで?そんな怖い歌なの……?」

 

「だから、俺は『1万回殴るね』と言った時、意味あるのかと答えたな?殴る事は別に否定されてない。むしろ『俺の拳ではケガしない』と挑発されたようなモンだ。むしろその挑発に乗ってやるのも俺の勤めだろう」

 

「いや、俺は知らなかったワケだし……」

 

「問答無用。さぁ構えろ。俺はとってもとっても心優しい。だからあと十秒待ってやる。護ってもいい。むしろ護れ。それが戦闘訓練を兼ねた俺の鬱憤ばらしだ。付き合え」

 

「待て!お前も刀を使え!俺だけが刀を使うなんて……!」

 

その声を聞く。実にらしいな。お前らしい。だが…。

 

「……ハハハ!!!俺はお前に手心を加えてもらう必要があると考えてるのか。

……心の底から安心しろ。お前は俺よりも遥かに弱い。成長率は著しいが、今の実力は俺よりも下だ」 

 

俺は笑った。

まさかと思うが寝ぼけてんのか?明らかに霊圧が倍以上俺の方が上だ。

死神の戦いは霊圧の戦い。霊圧が多い方が圧倒的に有利だ。

「それに、俺が刀を使うと、手加減できない。……なんせ虎徹ちゃんをぶん殴った男だ。お前は俺の可愛い可愛い部下を。しかも直属の部下をぶん殴ったヤツだ。……そんなヤツをただでかえすほど、俺は人間できちゃあいないんだよ。素手なら手加減いらねぇしな」

 

俺は言外にこう言っているのだ。

俺が刀を使うとお前を殺しちまうってな。

 

「さぁ構えろ」

そう言うと、静かに斬魄刀を構える男。

 

「……ゆくぞ」

 

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俺は気圧されて刀を構えた。

「卍解してもいいぞ?」

目の前の男がそう言うが、絶対に卍解はしねぇ。

「じゃあ、『我が万の拳。受けてみよ』ってな」

 

……消えた……?

殺気は、……下!!!

 

慌てて刀を下段に落とすと。

 

間髪を入れず、凄まじい衝撃が刀を襲う。

その一撃でふき飛ばされてしまった。

 

 

……全く見えなかった。防げたのはたまたまってだけ。

「一撃しか撃ってないぞ?そんなに驚くなよ」

次からは連打だ。

 

その言葉通り。次から次に飛んでくる拳。 

 

上から、右から、下から、左から。

前から、後ろから、上から、下から。

 

全方向の半天を、常に相手にせねばならない。

 コレが非常にキツい。しかも一撃一撃が俺の全てを打ち砕きそうな攻撃ばかりの全て必殺の攻撃だ。  

 

ストレート、フック、バチカル、上段突き、中段突き、下段突き。

 数えられるだけでも、コレだけの拳がありとあらゆるコンビネーションで襲いかかる。

 

普通はフェイントなど、『抜く攻撃』もあるのだが、この相手は全てが必殺たり得る攻撃ばかり。

 

「これは虎徹ちゃんの分。コレも虎徹ちゃんの分。コレもコレもコレも全部虎徹ちゃんの分!!!」

 

一文字毎に、百の拳が飛んできた。ぐるりと取り囲むように。全方位から上や下からも拳が放り込まれてくる!

 

「卍解!!!」

 

どんだけ虎徹ってヤツが大好きなんだよ!

「……ハァ、ハァ、ハァ…」

 

万の拳をようやく捌き終わったあと、俺は肩で息をしていた。

 

……かなりオーバーしてた気がしなくもない。

 

「……。よし。次は花太郎の分な」

まだ殴るのかよ!

 

その日、俺は初めて拳相手に卍解した。

花太郎以外にも、『すずめさん』や『その他大勢』の分の拳を受けた。

卍解してから五万を超える拳を捌いた。

 

……死ぬかと思った。

もう一人の死神の方を見ると、顔を覆っていたが、手の下は簡単に予測がついた。

 

耳が真っ赤になっていたからだ。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

戦闘訓練の一週間後。

「旅禍は帰りました」

補佐からの報告に片手をあげて答える。

書類の処理を行いながら。

 

「これからの尸魂界は荒れそうだぞ」

誰でも予測がつく事を言う。

「……ですね」

下級大虚(ギリアン)クラスなら楽勝。

中級大虚(アジューカス)クラスも許す。

だが、それ以上は。

 特に破面(アランカル)クラスになるともうめんどくさい。

 

破面(アランカル)もピンキリだが、最上級大虚(ヴァストローデ)クラスが破面(アランカル)になるとめんどうだ。 

 

「……かなり弱めの破面(アランカル)と交戦したそうですよ」

 

「……マジで?」

 

「はい。『グランドフィッシャー』って知っていますか?その虚が破面(アランカル)化したそうです」

 

グランドフィッシャー?

……あぁ。あの臆病者か。

疑似餌を出して、本体は身を隠して。

疑似餌が見えるヤツだけ選んで喰らう臆病者。

 

50年くらい放置してたけど、(倒すのに、ヘタな人材をやっても喰われるだけだから)ようやく倒せたんだね。

 

「……それで、なんですが」

虎徹ちゃんは凄く言いにくそうにモジモジしている。

「なんだ?」

「日番谷隊長に後方支援を頼まれまして。これから、現世も荒れるから治療部隊がいた方が良いと」

 

……俺の可愛い可愛い虎徹ちゃんが危ない現世に……?

 

「絶対にダメ。危険過ぎる。俺もついてく」

「……そう言うと思って、日番谷隊長に聞いておきました。『……了解。全裸にはなるなよ』だそうです」

「義骸ならな」

「死覇装着ててもダメですよ!!!」

虎徹ちゃんが一言。

「誰も死なないといいですね」

アホ。

「俺達の配備がムダに終わるのが一番いいよ」

虎徹ちゃんが笑いながら頷く。

 

 

嵐の前の静けさが終わり、風が強く渦を巻いて吹き始めた。

 

全てを巻き込み、破壊して、何も残さない。そんな戦火がすぐそばに忍び寄っている。そんな気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




というワケでしばらくの繋ぎの回ですね。
戦闘回にある程度全力の時は繋ぎの回が多くなります。
破面編に入れない……。

次からは破面編です。

詐欺は何度目だ!?

だってここを書かないと入れないんだもん……。虚圏ヘ。

卍解の披露をどっちにするか悩み中。
でもここから戦闘ばっかになりそう。
まぁいいや。


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破面篇
破面との会合


だいぶ長くかかった割には大した事がない。
まぁいいや。

タグに超超超原作準拠ってつけようかな。

あと、今回はテキトーに書いてたらかなり文字数が多くなってしまいました。
私、初めてなの。







5000字超えたの。


「やっぱうっすいなぁ。現世の霊子濃度は」

この作品の原作みたいである。

 

……え。メタいって?

 

ナンノコトカサパーリダナ。

でも私はそんな所も大好きだよ!

 

まぁ原作批判はさておき。

 

「そろそろ行ったか」

他の隊員達は一護の学校に行った。

だが、俺は、高校生にしては、歳をとりすぎている(・・・・・・・・・)

 

だからしばらくは、ここで待機。

義骸の中に入っている俺の側にいるのは。

「……虎徹ちゃんは学校へ行きなさいって俺言ったよね?」

虎徹ちゃんである。俺は三十代前半に見えるため、高校生に溶け込むのはあまり自信がない。

だが、虎徹ちゃんならそこまで労せずに溶け込めるハズだ。

「はい。でもここで待機するよう隊長に言われまして」

「……なぜに?」

「……言えません」

まぁいいや。どうせ俺の足は引っ張らないし。

「動くなら早い方がいいですね」

「そーだな。今晩攻めて来るといいな」

のんびりと待っている。ゆっくりと時間が過ぎて行った。

 

「ちょっとキミ。いい大人がこんな昼間から何をしているんだい?」

 

警察の職質に引っかかった副隊長であった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

その日の夜に。

なんとか職質から抜け出した俺は、独特な霊圧を感じとった。

 

 

虚と死神が混じったような霊圧。

この霊圧は以前感じた事がある。戦った事すらもある。

全く同じではないが、よく似た霊圧だ。

 

破面(アランカル)!!!

 

仮面が欠けて虚と死神が混じったようなヤツらだ。

……俺が前戦った事があるのは、そのなり損ない程度のヤツだが。

それでも、当時の俺が始解するぐらいに強かった。

「……懐かしいなぁ」

最悪の記憶であった。

 

ソイツらが。バラバラに動く。

こちらには全く向かって来ない。だが。

この動きはまるで。

 

「ちょっとでも霊圧があるヤツは皆殺しかよ……!」

 

アイツら。ちょっとでも霊圧があるヤツを無差別に皆殺しにするつもりだ…!

慌てて探る。霊圧が弱いヤツに向かっていないかを。

 

「……1つ。向かってやがる……!」

慌てて義骸を脱ぐと。

「虎徹ちゃん!」 

職質中からずっと待ってた虎徹ちゃんに声をかける。

「……はい」

「命令。虎徹ちゃんはそこで待機。一応、霊圧を遮断する結界を張っとくけど、あまり動かないように」

「……わかりました」

その言葉を聞くやいなや、瞬歩を使う。

反応すらもできていない霊圧に向かって、急いだ。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「まずはひと、ぶべがしっ」

「……ハァ、間にあったぁ……。ふぅ。あぶねー」

浅黒い肌の大男。その胸元寸前まで迫って来ていた手の張本人を蹴り飛ばす。

蹴飛ばした、仮面が壊れたヤツは理解不能な声をあげた。

助けた巨漢が次に声を発する。

「……あんたは!天邪鬼!!!」

「天邪鬼副隊長、だ。茶渡。コイツはお前の手に負える相手じゃあねぇよ。逃げな」

俺がそう言うと、必死な顔で、

「まて!俺も戦え……」

俺が軽く霊圧を向けるとその男はへたり込む。

「……さぁ、逃げろ」

その男は何か言いたそうであったが、立ち上がりその場から走り去った。

 

「さぁ。続きと行こうか」

俺が相手を見て、そう言うと。その破面(アランカル)は、鼻血を出しながらも、空中に留まっていた。

……冗談だろ?全力で蹴ったんだぜ?いくら限定霊印があるとはいえ。並の下級大虚(ギリアン)なら粉微塵なのに。

……自信なくすなぁ。

 

「残念だったな!俺の本来の戦闘場所は空中なんだよ!いくら地上で強くても……」

 

「……いくら地上で強くても、なんだって?」

 

「……ぇ?」

たぶん、ズレた視界が見えているのだろう。

一瞬後には闇に包まれて永遠となる刹那の一瞬が、見えているのかもしれない。

 

一瞬で両断したのだ。縦に。反応すらもさせずに。

「……ちくしょう」

 

俺の背後で破面(アランカル)文字通り真っ二つに割れた。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「ディ・ロイはもうやられたのか!」

蒼空のような髪をした男はため息をつく。

 

「じゃあ俺が三人をまとめて倒すしかねぇなァ!」

 

……ゲ。

もう一人。破格に強いヤツが俺の前に立つ。

さっきのヤツとは文字通り、次元の違う強さのヤツだ。

 

そして、もう二人。気がついたら、側にいた。

黒崎一護と朽木ルキア。

俺とセットで考えたのだろう。

「……一番強いのはどいつだ?」

「コイツ」

俺が黒崎を指しながら言う。

「ちょっと待て!俺が一番強いって……ゴフッ!」

ちょっと前に俺が素手で相手をしたのを思い出しているのだろう。……余計な事を言うな。

無言で破道の一゛衝゛を発動させる。

ズドンとあたり、言葉をつまらせた。

 

「そうか!おまえかぁ!!最初に殺すのは!!!」

 

目の前の破面(アランカル)が嬉しそうにロックオンしたのは黒崎一護。

 

……運が悪いとしか言いようがないなぁ……。

 

破面(アランカル)№6(セスタ)。グリムジョーだ」

黒崎が戦い出したため、のんびり逃げる準備をはじめると。

「天副隊長!黒崎の援護をお願いします!」

……朽木。マジメだなぁ。

「俺は四番隊(回復部隊)だ。戦闘でできる事なんてあるワケねぇだろ?俺にできるのはケガせずに帰って来るよう祈るだけだ」

「ウソつけ!この前、俺の事おもっくそボコってただろ!!!」

聞こえないね。都合の悪い事はなんも聞こえない。

「……そう言えば、さっき破面(アランカル)を一瞬で斬り伏せたような……?」

「気のせいだ」

 

「細かい事はどうでもいい!どうせ全員殺すんだからよ!!!」

 

野蛮だねぇ。でも。

 

「女の子を先に狙うのは感心しないなぁ」

破道の一。゛衝゛

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

俺は額に青筋を立てた。ルキアが急に吹き飛んだからだ。

吹き飛ばした相手を睨む。

「・・・テメェ・・・!仲間じゃねえのかよ!?」

吹き飛ばした相手はさも当然かのように。

「仲間だとも。だから助けたんじゃあねえか」

腕に四の字を巻く男は答えた。

・・・この野郎!ルキアをぶっ飛ばしやがった!

 

「・・・待て!一護!私は無事だ!・・・天副隊長が助けてくださったからな」

ルキアの叫び声に我を取り戻す。

 よくみると、さっきのグリムジョーとか名乗った男はルキアのいた所に立っていた。

腕を突き出して。

 

・・・吹き飛ばなかったら、ちょうどルキアの腹の位置にあたるんじゃねえか?

 

ルキアが吹き飛ばなかったら、どうなっていたかをありありと想像できて。

 

「コレはさすがに限定解除しないと太刀打ちできねぇぞ?」

 

そうボソリと呟いた副隊長。限定解除がなんなのかは知らねぇが、だいぶ霊力(チカラ)を解放してくれているみてぇだ。

 

「卍解しな」

副隊長が俺に向けて言われた言葉に耳を疑う。

「俺は今、だいぶ力が弱い。たぶん僅差でお前の方が強いハズだ。だから時間を稼げ。しばらくしねぇと俺は力を取り戻す事ができねぇからよ」

 

・・・その霊圧で?

俺の倍くらい軽くあんだろ。それで『力が弱い』とか信用ならねぇよ。

 

「何ごちゃごちゃ言ってんだぁ?言っとくが、おしゃべり中だろうがなんだろうが」

容赦はしねぇぞ?

 

「さっさと卍解しろ!始解じゃ時間稼ぎにもなりはしねぇぞ!!!」

 

・・・クソッ。

迷ってるヒマはねぇか。

 

「卍解!!!」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「助けていただき、ありがとうございます。・・・今度はもう少し優しく助けて欲しいものですが」

「おう。考えとくわ」

「ぴょーん!」

義魂が俺に向かって来るのを躱しながら答える。

 

義骸の中の義魂。色々ニセモノだよなぁ・・・。

 

しばらく見ていると、徐々に形勢が傾き始める。

 

破面(アランカル)有利へと。死神不利へと。

まぁあんだけ霊圧の差があったら徐々に傾いただけでも僥倖だよなぁ・・・。

 破面(アランカル)が遊んでいなかったら、ムリだったと思う。

 

「・・・まだかよ。そろそろやべぇぞ」

・・・黒崎が。

 

「・・・ジ・・・」

・・・来たか!?

「ジジジ・・・ジジ・・・。天邪鬼副隊長様。限定解除、許可申請降りました!」

・・・来たぁ!!!

よし。選手交代だな。

「限定解除!!!」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

俺の後ろで霊圧が爆発した。身体に斜めに大きく傷の入った男は瞠目する。

「どうなってやがるんだ!?」

 

「なんだなんだ!『限定解除』を知らねぇのかよ破面(アランカル)!俺達副隊長以上の死神は、力を極端に制限されちまうんだよ。現世の霊なるモノに不要な影響を及ぼさねぇようにな!その限定率は8割にも及ぶ。限定解除した今の霊圧は」

さっきまでの5倍だ!

 

そう叫ぶ。

「イヤイヤイヤ!さっきまでって、ついさっきまで俺が戦ってたじゃねえか!!!」

その男は煩わしそうに頭を振る。

「だからイヤだったんだよ。でも選手交代だ。ゆっくり休んでいいぞ」

 

その男は手をパンっと叩くと。

「グリムジョー。今からは俺が相手だ」

そう言われるのを聞き、慌てて肩を掴んだ。

「ちょっと待てよ!俺が戦ってんだ!コイツは俺が・・・!」

やれやれ。という感じで嘆息される。

「そんなボロボロで、霊圧もすっからかんでいったい何ができるっつうんだよ・・・。ここは俺に任せなさい。テキトーに倒すから」

「けどよ!」

「なんでもいい!俺のために二人まとまってくれたんだからよ!!!」

蒼髪の男が飛びかかろうとして。俺が構えたら。

その手を盲目の男が掴んでいた。

「グリムジョー。命令のない破面(アランカル)の動員。そして戦死。隊律違反だ。お前の裁きは虚圏(ウェコムンド)でくだされる」

 

「うわぁ。弱虫東仙じゃん」

副隊長の言葉に。

 

「挑発のつもりか。その手には乗らない」

「挑発って。・・・事実確認を挑発と勘違いしてしまうほど心が弱いのかよ」

・・・よよよ。とウソ泣きをする男。

・・・どこまでも鬱陶しい。

「グリムジョー。正義なんてくだらん事だと思わないかい?」

「・・・なんだ、急に。」

その男は薄ら笑いを浮かべている。

「お前の腕を掴んでいる男は『正義』なんて御大層な言葉が大好きみたいなんでな。・・・どんな御大層な理由があれど暴力は暴力なのになー」

「違う」

反応したのは盲目の男。

「何が違う?何も違いはしない。暴力は暴力。正義は暴力を肯定し、言論を否定する野蛮な言葉であるぞ?全ての戦争は正義や大義という言葉で起きる。なればこそ。正義や大義こそ一番血を啜った言葉であろう。・・・お前はなぜ正義を望む?」

その言葉に、正義の使者はまったく迷いもみせずに答えた。

「私の(めしい)た目に映るのは最も血に染まらぬ道だ。正義は常にそこにある。私の行く道こそが正義だ。天邪鬼副隊長」

その言葉に。その男は。

 

爆笑する。

 

「・・・ハァ、ハァ、ヒィ・・・。正義が最も血に染まぬ道だと?笑かすのも大概にしろよ!だめだ。また笑いがこみ上げて来て、・・・」

 

「何がおかしい?」

 

その男は笑い過ぎて目に涙を浮かべながら答える。

 

「『何が』って。『何が』って。全てだよ(・・・・)。正義が最も血に染まぬ道ぃ?んなワケねーだろ。アホか。正義ってのは常に最も血に染まる道(・・・・・・・・)だよ。結果的に一番流す血は少なくはなるけどな。道は血だらけだろ。「結果的に一番血が流れない道を選んだ」って言うのならわかる。それならわかるんだが、『正義が一番血に染まぬ道』って言うのはありえねぇ。それこそがお前が『力なき正義の使者』って言うヤツの体現だなぁ。実に的外れな事を言ってやがる」

 

「・・・お前と言葉遊びをする気はない」

 

その言葉にその男は。

「さいで。もう二度と会いたくねぇな」

「まったくだ。二度と会わない事を祈る」

ちょっと待て。帰るのか!?

「降りてこい!勝手に攻めて来といて帰るとかそりゃねーだろ!決着をつけるぞ!!」

 

「決着がつかなくて命拾ったのはお前の方だぞ!?俺の名をしかと覚えておけ。次にこの名を聞く時がお前の命日だ」

 

破面(アランカル)№6(セスタ)グリムジョー・ジャガージャックだ。

次に聞かないように気をつけろ!!!

 

 

ひび割れた空がゆっくりと戻ってゆく。

 

敗北の絶望感が空が戻っていくたびに増していくような気がした。

 

「よし。勝ったな」

「敗けた」

はぁと嘆息する男。

「勝ったと思っておけ。次は最初(ハナ)から全力で来るからそれを迎え撃つつもりでな」

「・・・そんな気分じゃねえ」

「勝つ手がかりはあるか?あるならそれにすがれ。次に負けたくないならな」

少しだけだが、光明がみえた。そんな気がした。

「わかった。行って来る」

「おう。行って来い」

次に決着をつける時は二度と後悔しないようにしねぇとな。 

 

 

「・・・虎徹ちゃん、置いていくけど大丈夫かな」

 

相変わらず締まらないのがこの男らしい。

 

 

 

 




この男が戦うのはアランカル編では空座町に決定。
……フルブリング編飛ばそうかな。


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『仮面の軍勢』との邂逅

かなり前に書き上げたのをだいぶ放置しておりました。
だって私が書かなくても面白い作品いっぱい転がってるし。

雛森の作品を読んでました。
この作品の雛森はだいぶ不遇になる予定。


「よ!」

ある倉庫の前で俺は声をかける。その倉庫は結界に囲まれていた。

俺がそう声をかけると驚いた顔をしたオレンジ頭。

その名は黒崎一護。

 

「・・・なんで、ここに・・・?」

 

「俺も同類だからな。ちょっち同類がどうしてんのか見にきた」

 

「お前も、なのか?」

俺は嗤う。

まったく要領を得ない質問だが、俺はわかるからな。答えてやるよ。

仮面を持ってるのか(・・・・・・・・・)って意味ならそうだ。上司と部下に地獄蝶を送ったから、しばらくはここにいられるぜ」

 

その言葉に。覚悟は定まったらしい。

「・・・行くぜ」

「仕切ってんじゃねぇよ、橙頭」

 

俺達はその結界に向かって足を進めた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「ここに来たのは、オレらの仲間になる気があるっちゅう事か?あと、そのツレはここから出ていってくれるか?」

懐かしいなぁ。その声。100年ぶりに聞いたよ。

「なんだよ。寂しいじゃあねぇか。俺も『仮面の軍勢(ヴァイザード)』なのによ」

 

俺がそう言うと。

 

「なんやと?」

 

目の前の平子は怪訝そうな表情を浮かべた。

 

百聞は一見にしかず。

俺が片手をまるで、何かを掲げるかのように。

すると、その手に白い破片が。

間もなく白の仮面が形作られた。

 

「ホレ」

 

その言葉に皆が瞠目する。

その姿に思わず笑ってしまう。

 

「・・・お前もまさか・・・」

「違う。コレは俺が独自に生み出したモノだ。死神としてな」

 

その言葉に平子はどーでもよくなったらしい。

 

「・・・まぁええわ。先約がいるんや。お前は後で構へんやろ?」

俺が笑いながら頷くと。

 

黒崎に向き直った。

仮面の軍勢(ヴァイザード)』に入る意思を知りたかったらしい。

だが、黒崎にはそんなモンなかったらしく戦い初めた。

 

だが黒崎はビビってやがる。自身の内なる虚を呼びたくないらしい。

 

・・・見るべきトコないし、ヒマだな。

 

ヒマだし、ハッチのトコに行こうとしたら、拳西に止められた。

「どこ行く気だ?」

「ハッチのトコ。ちょっと結界について聞きたくて」

 

あ。ひより出た。

 

アイツ気が短いんだよなぁ。

身長も、気も、堪忍袋の緒も。全て短い。 

 

「そこ!ウチの悪口考えてんのやろ!」

「・・・イヤ。まったく?」

「ちょっと遅れたのが答えやねん!後でぶっ殺したるから覚えとき!」

 

まったく。考えてんのは事実だから、悪口ではない。

それを悪口と決めつけるなんて、なんて酷い女だ。

 

そもそも女かどうかすら、怪しい体型してるくせに。

 

「また悪口考えたやろ!」

「・・・イヤ。まったく?」

「その分も後でまとめてしごいたるから、覚悟しとき」

酷い言いがかりである。この暴力女は。

 

 

ひよりに交代してからはあっという間に決着であった。

 

あっという間に(ホロウ)が呼び出され、あっという間にひよりが負けた。

暴走状態の一護がひよりを殺そうとする。と。

 

仮面の軍勢(ヴァイザード)』総出で一護を押さえつけた。

 

平子が仮面を砕く。

 

「今度はお前や」

 

あぁ。俺か。

「相手するのは、誰かな?」

 

俺が聞くと。

 

「当たり前の事言わすな。『仮面の軍勢(ヴァイザード)』全員や」

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「潰せ『鉄漿蜻蛉(はぐろとんぼ)』」

「吹っ飛ばせ『断風(たちかぜ)』」

「奏でろ『金沙羅(きんしゃら)』」

「打ち砕け『天狗丸(てんぐまる)』」

「倒れろ『逆撫(さかなで)』」

 

5人の斬魄刀が解放される。

 

5人の顔には既に仮面が。

流石に壮観だな。

 

それじゃあこっちも。

俺が笑うと、仮面が。右のこめかみの所からゆっくりと創られていく。

まるでさっきのひよりの様に。

 

「一応、聞いておこうか。(ホロウ)化は何分保つんや?」

 

 

「・・・たったの3週間だ。手加減してくれよ」

俺が肩をすくめて答える。

 

「「「「「「「!!!」」」」」」」

 

全員が瞠目するのを見る。

「・・・バケモンやな。手を抜くなよ」

「今のを聞いて誰が手を抜けるって言うんだ?」

 

「同感だよ。じゃあ僕から行くよ!奏でろ!!」

 

金の花が俺に向かって来る。

それを躱すと。

「それくらいで僕の『金沙羅』を躱したつもりかい?」

追尾してくる金の花。慌てて後ろに下がると。

 

拳西が構えていた。

 

「『断風』。行くぜ」

そこには刃を合わせ、防ぐ。爆発が起こるが、この程度はそよ風。

目の前には四人。1人足りない。

 

嫌な予感がして、身をよじる。

そこには身を捻らなければ直撃していただろう。そんな攻撃を繰り出す、リサが。  

 

・・・あぶねぇ。

 

だが、そこでは終わりでないらしい。

「いいのかよ!そこで。『天狗丸』!ちょっと熱いが堪えろよ!『火吹の小槌』!!!」

下から真上に振り上げる要領で俺を捕えようとしていた。

 

構えた。しかし、妙に甘ったるい薫りが鼻腔を満たす。

 

慌てて匂いのもとを探すと。

独特な刀が回っていた。

巨大なちぃず(・・・)切りのような形をした、穴の空いた剣である。

その姿が忽然と消え、真後ろから攻撃が降り落ちる(・・・・・・・・・・・・・)

ズドンと大きく焔が立ち昇った。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「やられた、のか?」

俺は瞠目していた。ついさっき、暴走したばかりで疲れ切っていたのだが、それでも今見た光景が信じられなかったからだ。

 

天邪鬼が殺られた。

 

言葉にするとただそれだけなんだが、信じられなかった。あれだけ強い男がアッサリ殺られると言う事が。

 

「・・・ふぅ。あぶねえ」

 

は?

 

その男は服がぼろぼろになりながらも。

生きていた。

本体はちょっと焦げたくらいで、『無傷』だ。

 

「・・・ありえねぇ。ラブの『火吹(ひふき)小槌(こづち)』だぞ?そんな軽症で済むハズがねぇ!」

「ちゃんと手応えはあった。完全に捉えたんだが・・・。どうやって躱したんだ?」

その言葉に。

「躱してねぇよ。マトモに喰らっちまった。マトモに喰らってこの程度の負傷で抑えられたのは御の字だな!」

・・・マジ、かよ。・・・嘘、だろ?

 

「さてと。こちらも本気を出すかなぁ!」

 

右のこめかみについたままだった仮面を、ゆっくりと引き下ろす。

仮面がいつもの定位置に落ち着いた所で。

 

・・・信じられないほどの霊圧が吹き出した。

 

「ここからが本番だ」

その言葉は、まるで物理的な圧力を持つかのように、『仮面の軍勢(ヴァイザード)』全員を後退させた。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「行くぜ?」

俺がそう言うと、急ぎで構える『仮面の軍勢(ヴァイザード)』。

 

ぼろぼろの服で。自信だけを顔に浮かべて。

 

・・・ぼろぼろの服ってダサいな。

 

「もういいや!」

 

すっかりボロ切れみたいな服をさっさと脱ぐ。

褌すらも外す。

 

外気が心地いい。

「なんで脱いでんだよ!!!」

 

その声は橙頭。別名・黒崎一護。俺は低く、威圧感のある声を出す。

 

「は?着てるだろ?」

 

「なんも着てねえよ!何を着てるっていうんだ!?」

 

「仮面」

 

「仮面は着るとは言わねぇよ!着けるっていうんだ!!」

 

「同じ漢字だから大差ねー」

 

黒崎とコントをやっていると。

そこで『仮面の軍勢(ヴァイザード)』の親玉から声がかかる。

 

「お前。その胸・・・」

ん?

「ん?乳首がどうしたんだ?ツーチクはNGか?」

 

「そういう事じゃあねぇよ!・・・その華の印。まさか『限定霊印』か?」

 

あぁ。俺の右胸。そこには『竜胆』の紋章。さらにそれを囲む様に十二の華が踊っている。

 

「その通り!しかもこの『限定霊印』は、俺専用の『特別製』らしい」

 

『限定霊印《華》』コレは俺の事が脅威だと感じたヤツらが創った限定霊印。

 

コレをつけないと、俺は現世で活動ができないのだ。 

 

 その限定率は脅威の96%。

 

俺は現世に行く時は特例措置を設けない限り、この『限定霊印』をつけるハメになる。

 

「『限定霊印』で封じてそれ(その霊圧)かよ・・・」

 

どこからともなく声が。

 

「さぁ、行こうか。『失敗作』達」

 

俺は獰猛に牙を剥く。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「・・・『失敗作』だと?」

俺は聞き違いかと思った。

(ホロウ)化は凄まじいほどの霊圧をもたらす。それは『成功』ではないかと。

だが、目の前の漢は信じられない言葉を放つ。

 

(ホロウ)化は死神と(ホロウ)の境界を取っ払う事で、死神や(ホロウ)とはまるで違う。別次元の進化を目指したものだ(・・・・・・・・・・・・・・)ただ霊圧を増やすだけなら(・・・・・・・・・・・・)他にいくらでも方法はある。もっと安全な方法がな。キミ達は(・・・・)進化の実験の失敗作で捨てられた(・・・・・・・・・・・・・・・)にすぎない(・・・・・)

キミ達は破面(アランカル)モドキだよ。出来損ないのな。

 

俺のその言葉に。

「ぶった斬れ!首或大蛇(くびきりおろち)

 

ひよりが突っ込んでいく。

 

「よせ!ひより!!」

 

「鈍光を灯せ。『万鈍(よろずなまくら)』」

ひよりのギザギザの刃は(憎い敵)を捉え。

 

豪快に空振りする(・・・・・・・・)

 

俺の返す刃はひよりが防ぎ。

 

防御をすり抜けてひよりを斬り裂いた(・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

「キミの動きはガタガタだよ。君の斬魄刀の刃の様に。そ〜んな鈍った動きでは、何も捉えやしない。いくら怒ってても、頭を冷やさなきゃ。復讐なんて夢のまた夢さ」

 

平子がこちらを睨む。が、

「俺にすら勝てないのに、藍染に勝てるとでも?ちゃんちゃらおかしいね。『お笑い軍勢』に名前を変えたらどうだい?」

俺は藍染に手も足も出なかったのに。

 

その言葉に仮面の軍勢(ヴァイザード)は目を剥く。

 

「さ。理不尽の時間だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




理不尽の時間。いったいコイツは何をするんだ……?
全く未定。

……できるだけOSRになればいいなぁ……。


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仮面の軍勢側

太陽は醜い。全て自分の色で染め上げなければ気が済まない。そんなそんなワガママなヤツ。

月は美しい。夜空を彩る1つの情景として、どこまでも美しく映えている。

だが、月の光は太陽の光。 

だから月がそんな光を放つためだけなら、太陽の存在を認めてもいい。


平子は驚いていた。

俺達は曲がりなりにも元隊長格。

その名前に恥じぬ実力は持っていたつもりだ。

 

だが藍染に否定され、目の前の副隊長に否定され。

 

その感情は驚愕ではない。そんな陳腐な感情を通り越して笑えて来た。

 

上下左右から襲いかかる槍を完璧に捌く男がいる。

小刀を弾き返し、爆発を涼しい顔で流す男がいる。

巨大な槌をあっさり受け止める男がいる。

黄金の華を軽やかに絡めとる男がいる。

 

ただそれだけならば、凄くはないかもしれない。

だが、『上下左右前後が反転』している。そんな状態でもできるヤツはそう多くはないのではないか。

 

「『(ホロウ)化』してもこの程度か」

 

全裸の漢が嗤う。

 

「縛道の六十三。『鎖条鎖縛(さじょうさばく)』」

 

全裸の漢に黄金の鎖が、蛇の如く絡みつく。

 

裸に黄金鎖(こがねおび)

想像以上に前衛的過ぎるファッションになった。

・・・一瞬で鎖が弾け飛んだが。

 

「ワタシの事もお忘れになっては困りマス」

 

ハチが一瞬(いまし)めた鎖がすぐに解放されて。

「もちろん、忘れてないとも。お前の鬼道の乱発は少々面倒だしな」

 

その言葉が放たれるとすぐに。

信じ難い言葉の舞踊が巻き起こる。

 

「縛道の九十九 『禁』」

 

は?

 

ズドン、と何かが叩き落された様な音がする。

 

振り返ると恰幅の良い男が1人、地面に叩き落されていた。漆黒の帯が二本交差し、Xの字を描く。

その上から純白の月の欠片が、漆黒を無数に押さえつけた。

 

「ハチ!」

その返答は返ってこない。

全裸の漢は嗤う。手を特殊な形に組みながら。

「喋れたら逆に困る。゛禁 ゛じてるからな」

人差し指に中指を絡めた状態で手を組む漢。

 

「空間系の鬼道は苦手なんだけどね。回道やフツーの鬼道は得意なんだ。特に縛道は大得意でね」

貴方の動き。゛禁 ゛じさせて貰いました。

 

まるでからかう様に告げられる一言。

 

(ましろ)〜スーパーキック!!!」

 

(ましろ)の不意打ち。(ましろ)はいい意味でも悪い意味でも、一切空気を読まない。その蹴りは確かに胸元の竜胆に吸い込まれ。

 

スリ抜けた(・・・・・)

 

「情緒ね〜な。全くよ!」

笑いながら斬り返す、敵。

怨敵が繰り出す攻撃で。慌てて腕で庇う(ましろ)

(ましろ)腕には全く傷がなく(・・・・・・・・・)胴体のみに傷を受けて(・・・・・・・・・・)、よろめいた。

 

慌てて助けに行こうとする。リサも同時に飛び出した。

 

それそのものが罠だった。

 

「縛道の六十三改。゛三重鎖条鎖縛 ゛」

三本の鎖が蛇の様に。対峙した漢の背後の空間から這い出て来る。

一本が俺に。一本がリサに。一本が(ましろ)に。

それぞれ絡みつき、完全に動きが封じられた。

 

……全くビクともしない。

「ウオォォォオ!!!」

拳西が我を忘れたかの様に男にかかっていく!!!

 

……アカン!!!

 

「縛道の六十一。゛六杖光牢(りくじょうこうろう) ゛」

コレで拳西も戦闘不能。残っているのは、ラブとローズ。

単純火力最強と特殊火力最強の二人だ。

「特殊な二人が残ったな。髪型と美学の」

 

(かたき)は。

笑う。

嗤う。

牙を剥く(わらう)

 

「行くよ!ら……」

双刀虚閃(セロ・トゥープ)

左右の胸の真ん中から放たれた白い閃光。

ローズの発言を待たずに放たれた二つの閃光。それは(あやま)たずに二人を包み込んだ。

 

 

そこに現れたのはぼろぼろの二人。

「……ちくしょう」

「……バケモノめ」

 

虚閃三叉鉾(セロ・レ)

左右の胸の真ん中と、股間で逆三角形を描いた虚閃が放たれる。言葉を発するヒマすらもなかった。

 

白い閃光が迸る。

 

爆音が二人から発生し、煙が二つ、大地に堕ちた。

仮面の軍勢(ヴァイザード)』達は静かに男に屈した。

 

 

 

 

 

 




書きたいとこまで行き付かない、そんな現象みんなも経験あるよね?

そんな時はどうしよう。

……頑張って書くほかないのか。


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鬼道改変したら終わってた。

のんびり行こうか。
この話で本格的な鬼道改変が行われます。
……長かった。
頑張った。頑張ったけど……。
感想ください。
感想くださぁぁぁぁぁい!!!(某細胞はありまぁす!!!感or乞食)



ギーコギーコ。

「この漫画、超面白ェ!!!引越し先がヤクザ。しかも四姉妹がいたと思ったら、一人男の娘でしかもそのコが一番人気だなんて!!!」 

「何年前で止まってんだよ」

「あぁそうだな。著者が逃げて打ち切りになったんだよな。白いワニの幻覚が必ず締め切り前に見えるヤツ」

ギーコギーコ。

「バリバリ的な伝説も好きなんだよなー。世代じゃあないけど」

「わかる世代がハーメルン読んでると思うか?」

「俺も世代じゃあないけどわかるぞ?」

「お前は特殊すぎるだろ」

ギーコギーコ。

ビュン!!!サッ。ガツン!!!

 

黒崎一護がお手製ポンコツウォーカーをブン投げたのだ。

 

さっきからのギコギコ音はコイツが手作りポンコツウォーカー(ポンコツヒヨリウォーカーとも言う)を必死に漕いでた音。

 

なんか「虚化のやり方を骨の髄まで叩き込む」という約束をしていたらしい。

 

俺?俺は三週間虚化できるんなら教える事ないって放り出された。

そのポンコツはシンジに直撃。

お見事。

 

一護は不満を口にしている。

曰く、

「霊圧的に俺は大丈夫」

らしい。

青い。青いな。ケツの青いガキだ。

そんな急激に強くなる方法なんてない。

 

急に強くなる方法は死の淵(アゴニサンテ)をみる他ない。優しく教えて貰えるだけ幸せに思え。

時間がない?甘ったれるな。

貴重な時間を失くしたのは、お前がビビったからだぞ?自分の中の虚に。

それをいけしゃあしゃあと、よく言えたもんだ。

まぁそれを口に出さないだけ、俺も周りも大人だ。

 

ちゃっちゃと気絶させて。

「ハチ。結界お願いしていい?俺は一護の五体を封印するから」

「ハイです」

オレンジの直方体が現れる。俺でもできなくはない。だが、これだけ瞬時に結界を複雑に組む事はできないだろう。

 

じゃあ俺も。

「闇夜の帯。白昼の欠片で縫い止める。一に塞ぎ、二に縛め、三に捕え、四に封じ、五に禁じ、全てを卍禁せよ。万象に静止という安らぎを。万物の流転。渦巻き逆巻き、不動を揺るがなきものへ」

縛道の九十九 ゛禁 ゛

まだまだ。

「鉄砂の壁・僧形の塔・灼鉄螢螢・堪然として終に音無し」

縛道の七十五 ゛五柱鉄幹 ゛

「曙光の光を溜めよ・百に別けて天を架ける」

縛道の六十二 ゛百歩欄干 ゛

最後は面倒くさくて、短縮詠唱にしてしまった。

 ゛禁 ゛の四つの隅に柱が降り落ちる。一つの柱は漆黒が交差したど真ん中を打ち据えた。

゛百歩欄干 ゛は禁の白い留め具が留めてない所に落ちて、完璧に動きを封じた。余った欄干は一護本人に刺さっている。

 

「コレで30分は大丈夫。罠も仕掛けたし」

手を組みながらいうと、周りは驚いた様だった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「始まったな」

一護の手がピクピク動いている。

こちらはかなりムリをして縛ったのだ。しばらくは動かない様にしてもらわなきゃ、困る。

ゴボゴボと虚が見た目に現れる。

左腕に最初に虚が現れる。

凄まじい重圧が俺に襲いかかってきた。

 

虚がどんどん一護の身体を支配していく。その度、こちらには凄まじい衝撃が来た。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

かなり、集中して抑えているが、そろそろ限界だ。

ちなみに、見た目はもう完成に虚だ。

「鉄西!時間は?」

「41分7秒」

「だぁあ!!!もう限界!!!」

一本、光の欄干が弾け飛ぶ。

それを皮切りに次々と光の欄干が中空を舞う。その後、鉄幹が砕かれ、一瞬で俺の最高峰の縛道は崩壊した。 

 

その中で佇む、一匹の虚。

 

「縛道の六十三。゛八重鎖条鎖縛・地縛 ゛」

地面から光の鎖が八方から顕れ、虚を拘束する。

 

まもなくの拘束で、すぐ砕かれた。

だがそれで十分だ(・・・・・・・・)

「リサ。頼んだ。弱らせたから(・・・・・・)

リサに続きを頼み、俺はそのまま結界の外に出た。

 

そのまま寝てしまい、起きたら全てが終わっていた。

 

 

「虚化おめでとう、黒崎一護」

起きたら、すぐに第一段階が終わったのを祝う言葉を告げた。

 




最近、ぐらんぶるにこの作品の原点があると思われております。

『ぐらんぶる』は確かにめちゃくちゃ面白い作品です。が、私がベースとした作品は実は『ミスマルカ興国物語』です。

そこでは『ゼンラーマン』という自由の騎士が、仮面とマントを纏い夜の都で暴れるのが強烈に印象深い作品です。

だから、あえてこの作品では『虚化』できるようにしました。

自前で仮面が用意できるからです。

興味のある方はぜひ『ゼンラーマン』で検索してみてください。
だからこそ、この作品では「支配からの解放」という基本ベースがあります。

服という拘束から自由へと解放されている。

そんな作品が書きたくて書きました。

http://hissatuwaza.kill.jp/setume/misumaruka.htm

このURLで暴れていると感じられる技が散見されるので、ぜひ、見てみてください。


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変わり者の当然の戦い。

さてと。万鈍の弱点が一個出ます。
ちなみにあともう一個弱点があったり。


黒崎一護が仮面を出現させる。

そのまま攻撃をしようとするが……。

「遅いわ!ハゲ!!!」

ひよりに先手をとられる。そのまま押し込まれて、すぐに仮面が砕かれた。

「鉄西、仮面の持続時間は?」

「4秒」

残酷すぎる現実を即座に告げる鉄西。

 

「みじか!」

 

平子は単純すぎる感想を述べた。

「全然伸びひんなぁ」

「しょうがねえさ。才能ねえし。霊力操作が致命的にヘタクソなんだぞ?アイツ」

「そこ!うるせぇどバァ!!!」

あ。ひよりに蹴られた。

 

もうちょい霊圧操作が巧けりゃなぁ。

 

「ちょっち交代するか?ひより?」

「要らんわ!ハゲ!!!」

……ハゲしか悪口知らんのかい。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「俺が行く!!!」

あ〜……また始まったな。……黒崎の駄々が。

同じ破面(アランカル)の事を聞いたのだ。

相手にすらされてなかったのに。

……しっかし。

それしか重要な手がないのも事実。

仮面の軍勢(ヴァイザード)」達はそうそう出たくはないし。俺の付き添いならなんとかなんだろ。

「行かせてやれ」

どうやら平子も同じ考えらしい。

「俺もついてく」

「……あぁ。頼む」

「しくじんじゃないで!!!ハゲ!!!」 

「わかってんよ。チビひより」

「なんやて!ハゲ全裸!!!」

「言ったな!少年体型!!!」

俺もひよりも抜刀し、戦闘態勢に入る。互いに鏡写しのように顔の前に手を構え、そして。霊圧がお互いに爆発的に高まっていく。

俺の生存価値(レゾンデートル)をバカにしたのだ。ただで済むと思うなよ……!!!

「ハイハイそこまでそこまで。」 

「ソウデス。今はそんな事してる場合じゃないデショウ」

二人に止められた。まぁ言う通りではあるか。 

しょうがなく、霊圧を収める。目の前の少年体型も同じく爆発的に高めた霊圧を己の身体に抑え込んだ。

「ひより。ローズとハチに感謝するんだな」

「こっちのセリフや!」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

俺は信じられなかった。

 目の前に超巨大な黒腔(ガルガンタ)が空いて破面(アランカル)が三人も降りて来たからだ。

 その一人がちょっと本気になって帰刃(レスレクシオン)したら、あっという間に俺たち隊長格がボコボコにされたからだ。

……アイツらでは時間稼ぎすらも難しいか……! 

まだもうちょい時間がいる。もうちょっとだけ時間を稼いでくれ……!

……乱菊が時間を稼いでくれているが、そろそろ限界か?

その瞬間、銀光が走って。

「やぁやぁやぁ。それなりに危険?ってなんで虎徹ちゃんいるの!?」

 

どっか間の抜けた声が聞こえた。 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

……イヤ〜。びっくりしたよ。虎徹ちゃんはとっくに帰ったもんだと思ってたのに。

まさか、いるとは思ってなかったよ。

そんで十刃(エスパーダ)の一人と戦っているとは、ね。

「君はエスパーダの……?」

№6(セスタ)。ルピ・アンテノールだよ」

あぁ。

「グリムジョーの後釜か。……でも、」

グリムジョーほど強いとは思えないなぁ……。

 

俺の本心ままの言葉に。ルピは青筋を立てた。

「……挑発のつもりかい?」

「イヤ。現実をそのまま告げたつもりだ」

「じゃあその身をもって知るといい。どっちが強いかというのを!!!」

触手を一本、こちらへ伸ばして来る。

速い。凄く速い。

アッサリ貫通した。

 

「な〜んてね」

 

斬魄刀の能力をすでに使っているので、無意味だ。

 

かと思ったら、その触手が俺の身体に絡みつく。

 

「……捕まえた」

「……ゲ」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

俺の斬魄刀にはいくつか弱点がある。

俺の斬魄刀の能力は攻防には基本、無敵だ。

 

だが(・・)攻防には基本無敵というだけで弱点が(・・・・・・・・・・・・・・・・・)ないわけではない(・・・・・・・・)

 

それは、攻撃や防御ではないものには無力という(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)()

 

つまり、拘束には無防備という事だ(・・・・・・・・・・・・)。 

 

「藍染様から聞いていた通りだ!!!今のうちに……」

 

「ハァ……。隠密歩法。四楓の三。『空蝉』」

そんなモン俺が把握してないとでも思ってんの?

 

もちろん、対抗策をそこで仕込まないバカなんていない。

 

服を囮にして、拘束から抜け出す隠密歩法。

俺の得意技だ。

 

「鬼さんこちら。手の鳴る方へ」

手をパンパン叩きながら、のんびりわらう。

 

「……なんで服が脱げてんの?」

 

ゑ?そんな事気にするの?

 

「イヤイヤ。常識で考えろよ。その触腕の中に服があるんだから、俺が着ているワケねーだろ?」

目の前の男が触腕を開くと、死覇装と下着、褌がバラバラと落ちた。

 

キッと睨みつけられたが。そんな事は知ったこっちゃあない。

 

どうでもいい事はほっぽって、虎徹ちゃんを助けに行く。

 

虎徹ちゃんを縛めている触手を斬って、解いてあげる。

「……ありがとうございます」

というボソッという声が聞こえた。

なにこの娘。可愛い。知ってたけど。でも上司として厳しく言わねば。

「虎徹ちゃん、俺は帰る様に言ったよね?なんでまだ現世にいるの?」

そこで背中に強い衝撃が走った。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

僕。ルピ・アンテノールは怒っていた。

隊長一人を戦闘不能にしたあと、ゆっくり甚振ろうと思ってたのに。

たかが副隊長にボコボコにされた事に。

藍染様から頂いた破面(アランカル)化という素晴らしい力を頂いたのに。

よくわかんない全裸の男にボコボコにされたから。

 

でも、イライラする原因がゆっくりとのけぞり、重力に身を任せるのを見てスッとした。

 

銀髪の女を再び、捕らえ直して。

嗜虐の笑みを浮かべる。

「どうやって甚振ってあげようかなぁ?」

 

「虎徹ちゃんに手ェ出したら許さんぞ?」

さっき叩き落とした男が僕の背中に手を当てていた。

 

 

 

 




こっちはなんとかなる弱点ですね。
あとなんともならない弱点も追加する予定です。


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ルピ

評価が4100超えました。ビックリ!
ありがとうございます!!!
感想くださいって言ったら、感想くれるヒト増えたので、もっかいいいます。

感想くださぁぁぁぁぁい!!!

あなたの感想と、評価(できれば8〜10)が活力になります。

たぶん、他の作者さんも同じハズです。
何も反応がないと、やはり悲しいです。

感想があって、いい感想なら頑張ろって思います。

みんな。オラに力をわけてくれ!!!
(作者は7つの玉を集める作品を読んだ事がない)


……イヤ。危な!!!

ヤッバかったわあ。

ちょっとでもそのタイミング逃したらダメだったのに。

なんとか間を逃さず助かった。

まぁ背中にちょっと当たったケド。

 

……え?モロに喰らってただろって?

あの撫でられたくらいの打撃は喰らうとは言わないのだよ。

 

こんなザコい攻撃が十刃とはね。

 

……コレが十刃の平均だと思わないでおく。

 

「この……全裸野郎!!!!!」

「なんだ?それに現世にはこんな言葉があるらしいぞ?知らんのか?

 

『パンツは脱ぐから恥ずかしくないもん!』

 

そんな尸魂界(ソウル・ソサイエティ)よりも素晴らしい言葉が」

パンツとは要するにふんどしの様なもの。

女の子は見えたら恥ずかしく思うらしい。

 

なら脱いでしまえという画期的すぎる意見だ。

なんて素晴らしい。

 

まるで私を肯定する意見だ!!!

「そんな言葉、知らないですね。夜一サンは知っていますか?」

「儂も知らぬ」

うるせぇよ。夜逃げコンビ。

 

なんか変なヤツが手に霊圧を集めていく。あぁ。こりゃ虚弾(バラ)だな。

ほらボケッとしてるから、変なヤツの虚弾(バラ)喰らってるし。

 

しっかし。

 

「手品師みたいだなぁ。浦原サン」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 

 

「何なんスカ、今の技は。……見た事ない技だ」

若干雰囲気変わったなぁ。でも、後ろがお留守だよー。

背中に大男から同じ技喰らってるし。

「教えてやろうか!今のは虚弾(バラ)って言ってよ!自分の霊圧を固めて敵にぶつける技だぁ!威力は虚閃(セロ)には及ばねぇ。だが、スピードは!」

虚閃(セロ)の20倍だぁ!!!

 

 

……その限りではないんだがね。基本的には言う通りだ。

 

虚閃(セロ)虚弾(バラ)も、割りと遊びのある技なんだよね。虚閃(セロ)虚弾(バラ)も使い手次第でやっかいかどうか決まる。

 

速くもできる。

威力も高められる。

発射までの速度も早められる。

複数撃つ事もできる。

操る事もできる。

 

まぁ全部霊圧を上乗せが必要だけどね。

 

めっちゃ撃ってんじゃん。

虚弾(バラ)

 

あれじゃあ霊圧の無駄遣いだっての。

 

でも当たる直前、少し浦原サンの霊圧が変わったような……?

 

……おっと。

 

あぶないあぶない。こっちもボケッとしている場合じゃあなかった。

 

「チィッ。捕まってくれても良かったのに」

ルピがテンタクルを伸ばしてくる。そんな俺は弱くみえるかね。

 

(のろ)いな。全てが。理解さえも」

 

狂い咲く血。胸の真ん中には紅く染まった(しろがね)が生える。

 

「なん……だと……」

 

 「万鈍(よろずなまくら)9つ目。狂桜(くるいざくら)

回転のかかった特殊な瞬歩を用いて使う必殺技。俺の十八番(オハコ)だ。

 

……九番目なのに十八番とはこれいかに。

 

 ちなみに白哉はコレを改良して、鎖結と魄睡両方を破壊する必殺技にしていた。

 俺は片方しか破壊できない。だが、片方を破壊しながら逃げる事で、反撃すらも許さない技だ。

 

相手からしたら、対面のヤツの剣がなぜか剣を掲げたかと思うと、いきなりその剣が真紅に染まる。紅く染まる理由を理解する頃には死んでいる。そんな技だ。

 

……エゲツなっ。

 

全ての触手が解かれて、相手が地面にゆっくりと吸い込まれていく。

 

「……ふぅ。終わったぁ。危なかったね」

 

虎徹ちゃんを小脇に抱えながら言う。狂桜のついでに助けておいたのだ。

 

「そうですね」

 

虎徹ちゃんはどこか不満そうに答えた。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「四番隊副隊長 天邪鬼 汝を空座町治療部隊長へ任命する」

 ルピ・アンテノールの闘いのあと、尸魂界に帰る。そこで総隊長に呼び出され。一通り報連相をちゃんとしろと怒られたあと。(当たり前)

藍染との戦いで、僕は空座町の補佐を命じられた。

補佐、というよりも、治療全般だ。隊長と言っても俺1人しか隊員いないんだけど。

 

まぁ弱いのをいっぱい呼んでも、しゃーないって事なんだろな。結局、俺はルピ倒せなかったし。あんなのが十人いたらどんだけ一般隊員いてもあんま意味ないって事だろな。

 

んで、隊長が虚圏(ウェコムンド)に行くなら、俺が現世に来いって事らしい。

 

……シンプルにイヤなんだけど。

 

理由?絶対に強い十刃連れてくんじゃん。藍染はサ。戦いおこるのわかりきってるんだからサ。

 

そんな中で走り回って治療やれって?

ムリムリ。

 

断ろうとしたら、かなり霊圧向けられたんだけど。

 

え。強制なの?

雀さんに視線向けたら、無言で頷かれたんだけど。

 

イヤイヤ。やりたくないよ?なんで他のヤツの尻拭いを俺がせんならんのさ。十一番隊以外(護挺)のヤツならまだしもヤのつく自由業(十一番隊)のヤツとか治療せんならんのサ?

 

「残念ですが、お断りを……」

「卯の花からの伝言じゃ。……儂から伝えるようにと言われた。『お願いしますね』とのことらしい」

 

……隊長。そんな事、総隊長と隊長の二人から言われたら、断れないでしょ。連名の書状まで直筆で書かれてサ。

 

「謹んでお受け致します」

 

……ちなみに虎徹ちゃんは虚圏(ウェコムンド)に連れていくらしい。

 

こっちに来なくて良かった反面、向こうで危険な目に遭遇するじゃないかと気が気でない。

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は作品の設定を書くつもりです。

整理してから戦いに望むつもりです(自分が)

頑張って思い出さねば……!


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設定

あなたの☆8~10の評価が励みになります!!!
前回これを言ったら評価がググッと伸びたので、また言います。
……でも励みになるのは本当なので、できればください。くださぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!!!!
あと、感想もくださるとよっぽど変なのじゃあない限り、返信頑張ります。
返信するのでください。くださあぁぁぁぁぁぁぁあい!!!!!!!


主人公   天 邪鬼(あまのじゃく)

斬魄刀   万■■■鈍(よろずなまくら)

卍解    ■■■■■■       

あだ名   ジャック 天副隊長

身長    177センチ

体重    77キロ

誕生日   9月19日

好きなもの 珈琲

嫌いなもの 飲み物の中に粒があるもの

好きな人  虎徹 勇音

嫌いな人  大前田 稀千代

尊敬する人 山本元柳斎重國/卯ノ花 烈

親友    雀部長次郎忠息

 

備考

 通称、全裸副隊長。四番隊副隊長。千年間、卯ノ花隊長の下につく。その後、総隊長と反りがあわずに200年くらい戦闘の日々を送る。

 総隊長に勝つために虚化の実験を千年前に始める。とうとう800年前に、虚と死神の融合の理論が完成。理論のみのものを試し、失敗。一匹の試作品の破面(アランカル)を逃がす。その後、成功作の寄生型虚と融合する。が、融合に失敗した結果、仮面を被らねば虚化できない仮面の軍勢(ヴァイザード)となる。しかし皮肉な事に、その頃、総隊長との因縁をつけては闘いの日々も終わる。まともに戦う事も仕事の関係上、ほとんどできなくなる。

 融合した虚の名前は空白(ネモ)最上級大虚(ヴァストローデ)五匹分の霊圧を一匹の虚にまとめたもの。

 

 千年前、滅却師(クインシー)が攻めて来た時、着ていた服が全てボロボロになってしまい、全裸で戦い始めたのがきっかけ。全裸で十日十晩闘い続けて、尸魂界を護りきったという誇りから、常在戦場の心がけで常に全裸になった。

故に全裸で動き回る事に、抵抗がない。

 

 コーヒーが大好きだが、雀部さんの紅茶も美味いと思っている。緑茶も嫌いではない。よく、雀部さんと紅茶コーヒー論争をしていて、お互い飲ませあい、お互いのものは悔しいながらも美味いと認めている。ちなみに総隊長もこの男のコーヒーはマズいとは絶対に言わず、たまに呼びつけて淹れされては、お代わりを要求する(美味いとも言わない)。滅却師が来て以来、滅却師がもたらした珈琲にハマったのがきっかけ。強烈な苦味のあるものが大好き。

逆に酸味のある、コスタリカ系は苦手。

 

 最近、全裸を控える様になって以来、部下との暖かい触れ合いが少なくなったのが悩み。そのため、治療教室を始めた。これは四番隊全員強制参加だが、不満を持つものはあまりいない。丁寧な指導で確実に実力が伸びるからだ。

 

 卯ノ花隊長にかなり信頼されている。仕事面でもプライベート面でも。隊長にしか捺せない隊長印を任されているほど。

 

 ただ、いい意味でも悪い意味でも有名人。常に全裸でいるため、四番隊以外の隊員の多くからは(特に女性からは)毛嫌いされている。

 ただ、隊長や副隊長クラスには信頼されている事も多い。認めていないのは、狛村隊長や東仙隊長くらい。その中でも狛村隊長は言い分もちょっとわかると言われた事がある。だが、この男は口下手の為、全裸の理由は全く言わない。所詮、全裸男の言う事は聞かないだろうと思っている。

 

強さは斬拳走鬼で言えばどれも総隊長に一歩劣る。

霊圧量でも一歩劣るが霊圧操作は少し勝る。

総隊長が『儂と同等の力を持つ』と認めた唯一の漢。

千年前のケンカの理由は、そんな自分と同等の力を持つ漢が、『常に全裸など認められない』といった理由。

斬魄刀の相性は良くもなければ、悪くもなく、本当に対等といった水準。『お互いの剣は相性が良くもあり、悪くもある』とは雀部さんの言葉。身体のほとんどの傷は主人公がつけた。のにも関わらず、名前を変えるに至った理由は雀部さんのため、雀部さんは少し気にしていたりする。が、主人公は微塵も気にしなかったために、無駄な気苦労をしたと後に笑った。

 

 

主人公

強さ

剣術   SS++

体術   SSS+++

瞬歩   SS++

鬼道   SSS+++

霊力量  SSS+++

霊力操作 測定不能

総評   規格外

 

一般隊士

強さ

剣術   C-

体術   D+

瞬歩   E(使えない)

鬼道   D+

霊力量  C-

霊力操作 D-

総評   D+




大前田が苦手な理由、わかりますか?
斬魄刀解放状態を思い出してください。
『何か』に似てる様な……?
だから、あえて意図的に黒崎一護の復讐の時、その他大勢と大前田を一緒くたにしました(後付けだってわかるかなぁ?ほんとは好きな人と親友以外は影が薄かったって理由なんだけど)。


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転界結柱

なんか色々入れてみたなぁ。 
頑張った。
感想くれって言ったら、1個もなかった。ここはツンデレったほうがいいのだろうか……?

……か、勘違いしないでよね!感想欲しいなんて言ってないんだからね!

後、8,9,10の評価ください。貴方の評価が作者皆さんの励みになります。


尸魂界のある所で。俺は霊力を注いでいた。

となりには涅マユリがいる。

柱に霊力を流し込む。そうする事で隊長達が暴れられる強度の空間ができるのだ。

 

 

「……なんで俺が」

こんなグチをこぼしつつ、転界結柱に力をぶち込む。

「サッサとしたまえ。ここが終わったら次も待ってるんだヨ」

涅隊長が言う。

穿界門の応用でこんなのができるらしい。柱を4本建てて、その間を転移させて、隊長格が戦闘可能な空間を作ったのだ。

 こんなにも巨大な空間を入れ替えるワケだから、霊圧がそれなりにいる。強度も高めるために、さらに霊圧をぶっこむ必要がある。

 

その霊圧を1人で供給できるのは、俺と総隊長だけらしい。

 

んで、総隊長は色々あってできないらしいから、俺が来たというワケだ。

 

一人で霊圧を注ぎ込み終わると同時に倒れ込んだ。

「相変わらず、バケモノだネ。干からびてそのまま死んでくれても構わんヨ。いいサンプルになる」

「死なんよ。今も回道で霊圧を回復させ続けている」

 

……お前、さっきまで働いてたヤツに言うセリフがそれかよ。まさに狂気の科学者だな。

 

「どうせ何もできんだろう。そのまま倒れ込んでいたまえ。直にここに隊長格が揃う」

「了解した」

残りの霊圧で小さな結界を編む。

霊圧を遮断する結界だ。

 

「……バケモノだネ」

うるさい。

(アルが死んだ、か。尻拭いをしてくれたヤツに感謝しなきゃ、な)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

巨大な黒腔が開く。

その中から、真白の衣装が、壱、弐、参。

 

真白を漆黒が囲む。

明らかに不利。人数が圧倒的に上回っている。

 

悪人どもの真白の衣装の真ん中。

その中の巨悪が口を開く。

「わかっているとも。そこにあるのが本物の空座町ではない事も」

だが、それが。

「どうしたと言うんだ?君達を全員打ち倒し、本物の空座町に行けばいいだけの事」

スターク、バラガン、ハリベル。来るんだ。

 

小さな黒腔が3つ。その中から破面が1、2、3。

 

そこで総隊長が動く。巨大な炎の壁が藍染達を阻む。

「『城郭炎上』。これでしばらくは出てこれまい。ゆるりと潰してゆこうかの」

 

尸魂界の炎熱系最強最古の斬魄刀。それが文字通り、『噴炎』を上げる。

 

「エッグいなぁ。やっぱめっちゃブチギレてんじゃん。山ちゃん」

800年振りに見たけど、相変わらずド派手だねぇ。

 

……なんか、一人の破面が骨の玉座に座ったんだけど。

 

んで、ザコ虚を呼んで柱を壊しはじめた。4本の柱を。全て。

……確かに、それを壊せば本物の空座町が帰ってくる。

 

……でも、そんなアキレスの踵に誰も配置しないなんて、そんなアホな事あるかい。

 

ほら。一瞬で倒された。 

二人の副隊長と十一番隊の三席と五席に。

 

……どうやら二番隊の副隊長は知らなかったようだけど。

 

だが、まだ骨の玉座のヤツは諦めてないらしい。

「4匹の蟻が護る柱か。滑稽滑稽。ならば4匹の龍で柱ごと踏み潰せばよい」

 

なんか強そうなのが4匹。出てきて、東西南北に散った。

 

一番強そうなのは……。斑目のトコ行ったぞ?

 

……はぁ。手助けがいるかね。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

……やっべぇ。コイツ、マジで強いぞ。

俺の頭の中に敗北の2文字が浮かぶ。

ここで卍解は使えない。俺は隊長になりたくない。更木隊長のもとで戦って、更木隊長のもとで死にたい。その想いを遂げるためにここで卍解を使うのは絶対にダメだ。

やべぇ。……柱を壊される。

相手が拳を振りかぶった瞬間。

相手が吹き飛んだ。

 

は?

 

その場に立っていたのは四番隊副隊長。

「……ふぅ。危ねえ」

俺は怒りのあまり、飛びかかった。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

俺の魂込めた柱を壊されかかったために、慌てて敵を蹴り飛ばしたら、仲間に襲いかかられた。何を言ってるのかわかんねぇと想うが……。

「俺の戦いに手を出してんじゃねぇ!!!」

……斑目。お前か。

「甘ったれるな!!!何が『俺の戦い』だ!!!手を借りる。なんら恥ずかしい事ではない!!!」

「できるかよ!そんな腑抜けた戦い方!!」

「これは『お前の戦い』じゃあない。『尸魂界の戦い』だ。お前に求められてんのは、『勝つ』という結果のみ」

勝ち方を選べるのは強者の特権だよ?

 

そんな他隊の三席と心温まる会話を楽しんでいると、言葉が挟まる。

「……今のは効かなかタヨ。虫ケラ。しかしビクリとはシタよ。まさかバラガン様の従属官(フラシオン)であるこの私を蹴り飛ばすとは」

 

「おう。バラガンってのが何なのかは知らんが」

 

「だが本物ではない。本物ってのは」

こんなのを言う。

 

勢いよく巨大な拳が小さな影に向かう。

そのまま吹き飛ばす。のが理想だったんだろうが。

 

小さなてのひらで、巨大な拳があっさり受け止められた。

「コレが本物かい?」

つまらなそうに言う小さな男。

「まだ、ダ。まだ私の最高を見せてイナイ」

気吹(いぶ)け。大腕鯨(カルデロン)

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

相手の身体がドンドン巨大になる。

 

「正体表しやがったな!」

加勢に行かねぇと!

「ジャマだ。のいてろ」

「天副隊長!!」

「射場副隊長!コイツ連れてけ。足手まといになられたらたまらん」

「…ワシらにできる事はないですか?」

コイツ、持って立ってろ。できるのは、今はそれだけだ」

「押忍」

「…お前達にも、後で働いてもらうからな」

「押忍!!!」 

おいおい!!

「射場さん!!俺たちも加勢に!!」

「じゃかしい!黙っとれ!!」

そこで言葉が挟まる。

「斑目三席」

「……なんだよ」

「矜持を持つのはいい。だが溺れるな。誇りを持つのはいい。だがすがるな。お前は負けた。お前は弱い。それを認めろ。それを認められるのも、」

『強者』の在り方ってモンだ。

 

腕に四の数字と竜胆を巻く漢は、軽く片目をつぶる。決めたつもりのようだが、単なる瞬きになっていた。

「『口で語る奴は漢としては三流以下。真の漢は背中で語る』」

そう言葉を置いて、漢は行く。

 

戦いに。

 

 

 

 

 

 




原作ではなかったトコを冒頭に付け加えてみました。
アルってのは、逃した虚です。
そういえば、BLEACHで、一周年を経過したのをお祝いするのを忘れてました。
去年の11月29日が作者のBLEACH記念日です。
漂白という名の対比が大好きになってから、10年くらい経っていますね!


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フラシオンとの決着

ポウとの戦いの決着ですね。

IF話は、興味のある人のみ、読んでみてください。
後書きに書くか迷って、本文に書いてみました。


俺は目の前に立つ。

現世で言うならば300メートルは優に超えるバケモノの前に。

「……ハリボテエレジーだなぁ」

見た目は凄い。大きいし、重いし、急所には届きにくいし。

 

でも、デカくなるぶん必然的に、ノロくなるし、近くにいると攻撃が当たらなくなるし、動きも大きくなる。重力も、空気抵抗も。自然の全てがデカいヤツの敵になる。

 

蚊から人間への攻撃と、人間から蚊への攻撃。どっちの攻撃が当たりやすいかと言えば、蚊から人間への攻撃のほうが遥かに当たりやすいだろう。

 

『最高のパンチダ。喰らエ虫ケラ』

 

かなりゆっくり突き出される拳。それを。

 

人差し指で受け止める(・・・・・・・・・・)

 

否。受け止めようとした。拳は左人差し指を貫通して、拳にぶつかり、そして。

 

そこで止まった。

あまりにも強靭過ぎる人差し指が相手の拳を文字通り、刺し貫いてしまったのだ。

 

「……こんなのが最高の拳かよ。じゃあ、俺も普通の拳のお手本ってヤツを見せてやる」

左手の一部が相手の拳に埋まったまま。

右手を引き絞る。

 

一骨(いっこつ)

 

総隊長の『一骨』。それのモドキだ。

モドキだから、ホンモノ程の威力は出ない。せいぜい8割が関の山。

だが、8割ほどの威力でも、大抵の敵をねじ伏せる。

 

ドバァンッという、ものすごくけたたましい音。

 

相手のケツが地面に激突し、凄まじい砂が吹き上がる。

(文字通りの土砂降りだなぁ)

 

相手の拳が片方、ひしゃげている。

 

俺がやったとはいえ、いま時期の破面(アランカル)は弱い。まさか霊印がないだけでこんなにも楽になるとはね。

 

「もういっちょ!」

 

相手の顔の真ん前に出て。拳を顔面にめり込ませる。

 

込めた力が想像すらもできない程、巨大で凶悪で凶大な力の暴虐。

 

その結果が、尻もちをついた巨大な破面の後頭部を地面に叩きつけるのに余りあるほど莫大過ぎる力だ。

 

また土砂降り(文字通り)が降る。

 

「どうだ?虫棲(むしけら)の拳の味は?美味いか?不味いか?お前には少々食べごたえがありすぎるんじゃあないか?いかんせん、骨を感じると思うぞ?」

 

上から語りかけると、返答は緑の閃光。

 

……ノロいな。弱いな。軟いな。

 

マトモに喰らう。……避けるのが、面倒だ。

服を消しとばしたが、本体は無傷。

 

剣帯と帯だけが服としては残る。コレがないと、斬魄刀が落ちちゃうから、コレだけは特別製だ。

 

……フンドシ?漏れなく消し飛ばされましたが、なにか?

 

『フハハ。服を消し飛ばシテやった。次はお前だ!虫ケ……』

 

拳がドテッ腹に突き刺さる。

今度は左胸。

次は首。

 

殺意と暴力。それを、それだけを思う存分、食べさせてあげよう。お歳暮代わりに。要らないって?

 

遠慮は要らないって。

 

ほら。拳。今度は純度の高い殺意と拳を贈ったよ。

 

美味しい?そっかー死ぬほど美味しいか。良かった良かった。

 

 

「さっさと死ね」

 

人を虫ケラ呼ばわりするようなヤツには当然の末路だよね?

 

 

ちっこいヤツに、こんなにもボコボコにされるのは、始めての経験だろう。

私、始めてを貰っちゃった!

 

向こうがふらふらになりながらも立ち上がった。

 

……根性見せるねえ。

でも、根性だけなら、意味など存在しない。

 

……さてと。そろそろ終わらせるかぁ。

 

 

俺の剣技。13個ある必殺剣のうち、最も殺意の高い技を喰わせてやろう。

 

万鈍(よろずなまくら)四つ目・死会(しあ)わせ」

 

剣を一振り。ただそれだけ。

 

「ギャハハ!今の空振りは……」

 

そう。俺はただ首の高さで剣を空振りしただけ。

 

向こうからしたら爪楊枝のような剣だ。

 

だが。

 

影が動き出す。身体にどんどん近づいて行く。

 

最後、ドォォォォンと地面が揺れて、身体が影と繋がった。

 

離れた頭が一瞬遅れて地面で弾んた。  

 

 

「俺の必殺剣。四つ目。死会わせ。距離に鈍くなり、頸と躰を別かつ剣技だ」

 

「お前の生き方は正しい生き方だったかもしれない。だが、その生き方は、

 

『幸せ』

 

だったかい?」

 

 

その呼びかけは、すでに永久にかえって来ることはない。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

IF話

 

「名はなんだ?死神?」

「天邪鬼。4番隊副隊長」

「副隊長?ならば、『副隊長相当の力で闘う』としよう」

剣を構え、突っ込んでくる。

それをマトモに受け止める。鍔迫り合いに持ち込み、吹き飛ばした。

 

更に瞬歩で背後に回り込み、蹴り飛ばす。

 

「まさか、コレが副隊長という事ではあるまい?今の力はかなり甘く見積もっても、五席ってとこだ」

正解(エサクタ)!」

は?

「今の俺の力は護挺13隊の五席クラスだ。正確な見立てで嬉しいよ」

……かなり甘く見積もってもって言うのは聞き流したのかい。

「そして、コレが!」

仮面に剣を突き立てた。まるで頭を割るように。

……すげぇ。よく髪斬らないな。

「四席!」

剣の勢いが強くなった!

……気がする。霊圧がちょびっと上がったから強くなったんだろう。

筆の重さに例えたら、さっきのが、フツーの筆の重さで、今のが、墨を含ませた筆の重さって感じ。

 

今度は仮面の横を削る。

……よく髪と耳を斬らないなぁ。

 

「三席!」

また霊圧が上がった!

……のかな。たぶん、きっと、おそらく。

墨をたっぷり含ませた筆の重さに変わった感じ。

 

「そして、コレが、」

副隊長、だ!

 

……すげぇ。約7割の仮面が一気に砕かれた。

……どうやって砕いたんだ?

 

「コレが副隊長の霊圧!」

ちっぽけだなぁ。

「コレが副隊長のパワー!」

五席が筆の重さなら、副隊長は筆2本分の重さって感じ。

やったね!剣の重さが倍増したよ! 

「コレが副隊長の剣だ!」

……。軽すぎね?

「アハハ!アハハハハ!アーハッハッハ!!!」

敵は笑う。笑いながら、剣を上に。下に。右に。左に操る。

……遅すぎて、辛い。合わせるのが、つい、3呼吸ほど、速くなっちゃう。頑張って遅くせねば……! 

……あ。速く剣を操りすぎて。

このままだと、相手の剣をマトモに喰らってしまう!マズい!

相手の剣の直撃前に慌てて逃げる。残像だけ置いて。

「……フゥー。危ねえ」

気持ちよく剣を振るってもらってるのに、剣がこっちの身体直撃したら、向こうに傷がついちゃうよ。霊圧の関係上、しょうがない事とはいえ。

 

「人生とは困難な選択の連続だ。少しでも正解を選択した者が生き残る!」

 

「……なんだと?」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

目の前の男の雰囲気が変わる。

先ほどまでの、フザケた、決して本気ではなかった霊圧から、一気に重厚な霊圧ヘ。息が詰まるような。

「『人生は困難な選択の連続と。少しでも正解を選択した者が生き残る』と、お前は言ったな?」

くだらん、と。目の前の男は吐き捨てた。

「俺はな、『人生には転換点となる、大事な選択肢がいくつかある。いくら失敗してもいい。だが、大事な選択肢だけは、決して間違ってはいけない』っていうのが俺の信条なんだ」

畢竟、俺にあたった時点でお前の選択は間違った。

 

その言葉に。

俺は怒りを覚える。

「じゃあお前を殺して、俺の選択が正しいと証明してやろう!」

水面に刻め。蟹刀流断(ピンザクーダ)

刀剣解放(レスレクシオン)ってヤツか」

霊圧が爆発的に上昇する。

「それだけではないぞ!」

仮面を剥ぐ。

左手で。

「9割の仮面を剥ぎ取った俺の霊圧は隊長格のそれと同等!副隊長である君に、勝ち目はない!!!俺を怒らせた事が、君としては不正解(ノス・エス・エサクト)だったということだ!!!」

 

右のハサミをガバッと開く。そこから、水流を高圧で吐き出す。

手の奥、肘の所で、絞るイメージだ。

 

「……へぇ。水を高速高圧で吐き出しているのか」

目を反らす男に。

正解(エサクタ)。だが、そうやって敵から目を外すのは良くない。不正解(ノス・エス・エサクト)

襲いかかる。背後から。

「……何を言ってるんだ?お前。コレは『油断』じゃあねぇぞ。『余裕』だ」

爪が副隊長の背中に直撃した。

血がほとばしった。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

やっぱりだったかぁ。

「どういう事だ!!!」

え。また同じ説明するの?読者飽きちゃうよ?

「……霊圧同士がぶつかれば、押し負けた方がケガをする。つまりは君が最大限に高めた霊圧で俺にぶつかっても、俺が無意識に垂れ流している霊圧のほうが強い」

その言葉に、

「お前!!!隊長格の俺の霊圧に、副隊長のお前の霊圧のほうが強いというのか!!!」

「俺は例外なんだよ。『少々変わり者』なんだ」

少々変わり者の(ちょっぴり強い)』副隊長って事だよ。

 

……さてと。そろそろ決めるかねぇ。

 

「『死骨(しこつ)』」

 

腹に、拳が沈み込む。

加減はした。が、それでも、相手は、口からは血を吐き、吹き飛ぶ。

 

「『お死舞(しまい)』」

 

今度は後頭部に足が吸い込まれる。

 

頭から地面に叩きつけられて、視界が歪んでいるだろう。

 

万鈍(よろずなまくら)四つ目。 

 

「『死会(しあ)わせ』」

 

「正解ばかり選んで生きるのは正しい生き方かもしれない。でもその生き方は、

幸せ

 

だったかい」

 

 

正解ばかりを選んで生きてきた漢は、一度の不正解を選んでしまったばかりに、この世から消えた。

 

たった一度の不正解を選んでしまったが故に。

 

………たった一度の幸せも知らずに………。

 

「正解に囚われた男よ。遠回りを知らぬ漢よ。できれば、俺を赦さないでくれ」

……お前の考え方はそれでなお、完成する。




というワケでフィンドールとの戦いも描いてみたかったんです。
元々、フィンドールとの戦いだったのですが、ポウとの戦いに変えました。
……ヒサギサンの出番を奪うのは、良くないと思って。


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混獣神との戦い

……エタッてないです。実はだいぶ前に出来上がってて……。
ホントに出来上がってたんです!

……STAP細胞はあるんです!
ありまぁす!!!

登録解除しないで!

やべぇ。トタンに説得力なくなって来た。
この次からかなぁ。

あ。登録お願いします。あなたの評価が作者の励みになります。


雛森桃が援軍に来た。

……まぁアイツはダメだろうなぁ。

割り切れてないって顔してるし。

藍染が裏切った事を、な。

 

憧れの君が全てを裏切ったんだ。

 

割り切れてない事がある種、当然と言える。

 

とはいえ。だ。自分が弱いと自覚しているのは悪くない。

罠にかけて倒す算段はお見事。その一言に尽きる。

 

……敵がオツムの弱い事も功を奏した結果ではあるが、さすが副隊長だな。

複数の鬼道を混ぜあわせるなんて、尋常な鬼道の腕じゃあできないからねぇ。

どっかの、勝ち目が全くないくせに三人の相手をすると言ったおバカさんとはえらい違いだ。

 

まァ、それしか選択肢がなかったとはいえ、なァ。

俺がよっぽど助けに行こうかと思ったぐらいだ。

 

あ。相手帰刃(レスレクシオン)した。

 

爆炎から無傷で出てくるなんて。

相変わらず、意味わからん事やってんなぁ。虚は。

 

鹿と蛇と獅子かぁ。

共通項がイマイチよくわからんけど。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

目の前の破面(アランカル)が、全員。雛森の鬼道に引っ掛かった。

「……弾け。飛梅」

その言霊は火薬庫に松明を持ちながらタップダンスを踊るのと同じ事。

 

私達には被害がないように凄まじい爆発が弾け飛んだ。

 

「突き上げろ!碧鹿闘女(シエルバ)!」

「噛み殺せ!金獅子将(レオーナ)!」

「絞め殺せ。白蛇姫(アナコンダ)

 

 

……刀が敵の身体に回帰する。その時に傷が治ったのだろう。無傷の身体で。

そんな、めちゃくちゃな。

「……アレで一気にケリつけんぞ!」

「……アレ出すのかよ。こんなヤツラに」

「……しょうがありませんわね」

3人が自身の左腕を掴むと同時に。

………目の前の3人の霊圧が左腕に集束していく。

3人の霊圧が溶け合い、混ざり合い、一つの巨影を創り上げた。

 

「「「混獣神(キメラ・パルカ)」」」

 

目の前にできたのは、霊圧の奥底すらもわからないような。一つの姿。鹿と獅子と蛇が混ざったような形のものだ。

……底知れないほどに不気味な霊圧。

 

……一切気は抜けな……!

 

 

「………え………?」

 

 

……脇腹が、ない?私の脇腹が?

後ろに顔を向けると、相手の手中にあるのは、赤く染まった私の一部。

あ。マズい。死ぬ。このまま、地面に叩きつけられたら、その衝撃で死にかねない。

「乱菊さん!!!縛道の三十九!吊干!」

なんとか雛森のおかげで助かったけど、着地の衝撃で顔が歪む。

 

「しっかり!今すぐ回道で手当てしま……」

私の目に映ったのは、雛森のちいさな身体に巨大な拳が吸い込まれたところ。

「縛道の三十九。吊干」

今度は吉良が助けに来てくれたのね。修平も。

「縛道の七十九。倒山晶」

「コイツは任せろ。頼んだぞ。元四番隊」

「何年前の話ですか。……任されましたよ」

 

そう言葉だけ置いて立ち向かっていく。

相変わらずねぇ……。

 

「……頼むぞ。腕が鈍っててくれるなよ」

 

けど、その甲斐も、たぶんダメね。

吉良は気づいてないけど、私が治る前に、時間稼ぎは終わる。

 

 

その影が目の前に降り掛かった時。

 

吉良は気づいてしまった。だが、もう遅い。何事も、終わってから……。

 

私は衝撃に備えて目をギュッと閉じたのに。衝撃がいつまで経っても来ない。

 

「……回復部隊を前にだすとはね。情けない隊員達だね。もうちょっと頑張れよ」

 

 

 

その姿は、

「天邪鬼副隊長!」

「イヤ〜。すまんすまん。もう大丈夫」

「……服を、着て、ください……」

「雛森、大丈夫?ちゃんとしゃべれる?」

………アレ?さっきまであんなに痛かったのに、痛みが消えて……。

見ると、滑らかな肌が瞳に映る。

まさか触れずに治してるの?

「……すごい」

「表面だけ塞いだだけだ。吉良」

「……そんな事よりもさっきのバケモノは!?」

「ああ。アレか。アレなら」

 

蹴り飛ばして来たよ。 

 

ほらと指差すその先には、先程の怪物が横たわっている。

 

……かなり遠くで。

 

その怪物が。

 

……巨大になった。

 

より正確に言うならば、一瞬で詰め寄られたって言う方が正しいんだと思う。

 

たぶん響転(ソニード)ね。

 

その怪物が右腕を振り上げて。

 

右腕が飛んだ。

 

「は?」

 

「青いなァ。

若いなァ。

 

……おい童よ。まさか俺が、そんな攻撃も読めないって思っているのかい?」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

腕を切り飛ばしたのに、なんも音沙汰ない。俺が話しかけても、何も返答がない。

 

「返答は……ナシか。致し方あるまい」

 

グギャアアアアアアアアアアアア!!!!!

「は?」

と言ったのはどの声か。

 

なんか怒ってるっぽい。

 

メキャメキャと。

人体からは鳴るはずのない音が鳴り響くと。

 

「おぉ。すげぇ。腕が治ってる」

 

俺が切り飛ばした腕が一瞬で生え、なおかつ太くなってしまったのだ。

 

どんどん、どんどんデカくなりやがる。

 

最初の、およそ倍はデカくなったんじゃあないか?霊圧もそれに比例して上がっている気がする。

 

俺を掴もうと、無造作に手を伸ばして来るが。

 

「届かんよ。その程度の速度では」

 

俺を掴むには、あまりにも。

「鈍すぎる。鈍いのは私の専売特許だぞ?」

 

ギョロリと。目が仮面のすぐ横に。

 

うわ。キモ。

そこに目があったのかよ。

よく目に毛が入らないなぁ。

 

ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!

と叫び声。

 

「いくら赤子でもうるさいぞ。少し黙れ」

 

赤子は拳を振り下ろす。さっきよりも幾分かは速いが。

 

「……遅すぎる。のろすぎる。雑すぎる」

あまりにも私には届かない速度で。 

あまりにも私には届かない鋭さで。

あまりにも私には届かない雑さで。

 

なんだか溜息が出てくる。

 

「教えてやろう。拳とは、こう撃つものだ」

 

拳を何度も、何度も放り込む。

ストレート、フック、ジャブ。

顔面、鳩尾、股関。

腰の入った、後ろ足がしっかり踏みしめられた拳達。

 

「ついでに教えてやろう。蹴りとはこう撃つものだ」

 

相手の身体に蹴りを何度も捩じ込む。

回し蹴り、前蹴り、飛び蹴り。

上段、中段、下段。

腰の入った、体幹が信じられないほどに強く、体重移動の素晴しい蹴り達。

瞬歩すらも併用して、拳と蹴りを無数に繰り出してやった。

 

 

 

 

蹂躪される方が、いとも容易く逆転する光景に、周りは目を疑うしかない。

 数百を超える拳を叩き込まれて、怪物はあっけなく、大地に沈んだ。

 

だが。

 

その怪物は。瞬時に起き上がる。

 気ン持ち悪い動きで。 

人体にある関節の動きを無視したような動きで。

 

 

(目の前のヤツ)を殺す事だけしか考えられないバケモノかぁ」

目的も何もなく。ただ(いたずら)に暴力を振るうだけの怪物。

 

憐れ。

 

(わっぱ)よ安らかに睡れ。

 

万鈍(よろずなまくら)(つい)の型。比翼別(ひよくわ)かち

 

その怪物は、比翼という片目片翼の鳥を分けたかの如く。

片腕と片目ずつに半身をもがれ、ドサリと地面に沈んだ。

 

……だが、どうやらこの比翼の鳥は、少々「生き」がいいらしい。

 

片目がギョロリと動く。

「……よせ。お前はきっと殺す事しか教えられなかったのだろう。実に憐れなクソガキだ。そんなクソガキを何度も斬るのは。私の精神状態に響く。はっきり言って気が重い」

どうやらこの比翼の鳥は、一羽だけでも「私を殺す」という思いが強いらしい。

 

「よせというのがわからんのか。聞こえんのか」

 

地面についた手の勢いのままこっちに向かってきて。

 

「せめてもの情けだ。……一足早く棺の中にいれてやろう。

……破道の九十。゛黒棺 ゛」

 

黒い箱が私の手元に顕れると同時。

 

片目片翼のバケモノ二匹は黒に覆われた。

 

黒が解かれると同時。莫大すぎる重力の奔流によって、原形を留めないほどに小さくなった肉体から。膨大な血が濁流となって流れ出る。

 

その瞬間。

 

女破面3人が襲いかかってくる。

「片腕のみで挑むその心構えは悪くない。小娘ども。決死の覚悟で挑んで来たのだろう。その意気に免じて」

 

縛道の六十三。鎖条鎖縛

 

「この程度で済ませておいてやる」

鎖条鎖縛でグルグル巻きにされた3人は、悪態をつくしかほかなかった。

 

「安心しろよ。この戦いが終わったら、解いてやる。それまで待ってろ」

 

 

その言葉に、3人は黙って歯噛みするしかなかった。

 

「見事じゃな、ジャック」

後ろを向くと、総隊長がいた。

「山ちゃんなら簡単に倒せたでしょ?さすがに総隊長を前に出すワケにはいかないけど、さ」

「山ちゃんと言うな。……それで死覇装は、どうした?」

「虚閃で消し飛ばされた。服の仇はとったけど」

 

ビリビリと山ちゃんの青筋が立つのを直感する。

 

ヤッバイ事になってる!?

服を着てないだけなのに!?

 

「……あ。向こうの破面倒さないと!」

 

慌てて瞬歩でその場を立ち去る。

「待て」

という言葉が聞こえたが聞こえないフリをして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




やべぇな。次からはちゃんとしなきゃ。


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変わり者は切り札を切る

最新話になります。

待たせたな!

……えっ!?待ってない?


そんな寂しい事言わないで!!!


あなたの感想と評価が作者達のモチベーションアップになります。

皆さんも感想といい評価を私達にください。

くださぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーい!!!!!!!!!


目の前にいたのは、目が潰れたオッサン。

「?蟻か」

「……十刃(エスパーダ)の2番目?かな?」

そういうと、目の前のオッサンはいきなり激昂する。

 

「違う!儂は虚圏(ウェコムンド)の王!虚圏(ウェコムンド)の神!バラガン・ルイゼンバーンだ!!!神に背きし不届きな蟻め。儂が直々に相手をしてやろう」

そういうと、後ろの骨の玉座に手を突っ込み、巨大な斧を取り出す。

 

……質量保存の法則は?

明らかに入るワケない大きさの、超巨大な斧だ。

どうやって仕舞ってたんだろ?でも。

 

……やる事は変わらん。

 

まずは距離を取り。

 

「破道の八十四。飛龍撃滅震地砲」

手元から鬼道を放った。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

全裸男の手から、巨大な爆炎が放たれた。

「すげぇ。めちゃくちゃだ。メチャクチャ強え!!!」

大前田の言う通りだ。

あの男は、斬拳走鬼。スキもなく、なんでもこなす。

 

爆炎の中央にいるはずの十刃(エスパーダ)は。

 

「滑稽じゃな」

 

いつの間にか全裸男の後ろに立っていた。

 

全裸男は驚愕を顔に浮かべる。

「……隊長。今のあの爺さんの動き、見えましたか?」

「……私にも見えなかった」

 

まるで瞬間移動をしたかのように。突然背後に現れたのだ。

斧を振りかぶった状態で。

 

極限の状態でも、その副隊長は判断を間違えない。

 

向こうの能力が、よくわからんうちは距離を取る。

それなのに。

 

急激に逃げる速度がノロくなる。

 

そのまま腕を掴まれた。グルンと回され、ビルに叩きつけられる。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「解せんか。儂の力が」

 

「……」

 

パラ…パラ…。

ホコリがもうもうと立ち上る中で。

 

黙り込む俺に対し。その破面は得意げに口を開く。

「蟻ごときが気づくはずな……」

「……あぁ。そうか!時間か。お前、時間を操ってんだな!」

ピンときた俺。

 

「どんな風にかは知らんが、お前の能力は「時間に関係する能力」だ。急激に速度が落ちるのも、お前の速度が急激に上がるのも、それで納得いく。なるほどなるほど。確かに強力な力だ」

 

「……そうだ。だが、対策などしようがないだろう!時間という神の、唯一絶対の力を操る儂に、お前ら蟻が!」

 

「……そんな事ないぞ?やりようはいくらでもある」

さてと、ちょっくらやるかぁ。

 

ぐっぐっと、身体をほぐすと。

 

消えた(・・・)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「……(のろ)い」

真後ろに現れた俺に対し、その隻眼のジジィは、力を放つ。

 

だが。

 

俺の右の拳は、そいつの頬をぶち抜いた。

「手応えあり」

 

 

 

「……どうやって儂の力を躱した!?」

 

その瞠目した顔に。

俺は笑みをこぼす。

 

「躱してなんかないさ。ホラ!」

左手を突きだす。

俺の左手には、斬魄刀が握られている。

「俺の斬魄刀の能力。それは『(にぶ)い』という能力でね。さっきの攻撃は『空間に鈍くなった』だけだ」

 

ホンの3寸。その間に100間という空間を用意した。

ただ単純に、破面のいる空間「100間」に拳を通しただけ。

 

いくら時間を操ろうが、空間は操れないからね。

 

ちなみに、斬魄刀で攻撃する事はできない。

 

さらに、解説があったという事は。

 

……遠距離からバカスカ殴るに決まっている。

 

……汚い?……卑怯?

なに?その妄言。

これは『戦争』だよ?勝つ事が重要。てか勝たないとダメ。

 

戦争は、敗者は勝者に全て奪われるだけ。

 

正義も、意志も、自我も、自由も。

理念も、物資も、経済力も、軍事力も。

 

奪われるのが嫌なら、勝つしかない。

 

「……蟻がァ!!!!!神に背きし不届きを、塵となって詫びるが良い!!!!!」

 

 

朽ちろ。髑髏大帝(アロガンテ)

 

向こうがそうなるなら。

 

「……じゃあこちらも切り札を切るかなぁ」

 

 

ありふれた切り札を。あまりにも想像しやすい切り札を。

俺はその切り札を告げる。ホンの小さな声で。囁く。

 

 

「卍解」

 

 

神騙蛇堕(かみかたりへびおち)■■(■■■■)

 

 

霊圧が一瞬、収縮した後爆発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




アニメ全く観てないんだよね。
鬼滅観ようかなぁ。

最強の作画だったらしいし。


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決着

とうとう決着がつきますね。
どっちが勝つか楽しみですね。


なんとなく、当日のランキングひらいたら、この作品あって笑いました。

めっちゃ嬉しいです!ありがとうございます!
感想と高評価をください。
特に感想をくださああああああああああい。

全部読んでます。

僕は文才がないのですが、書くことはやっぱり楽しいですね。下手の横好きとしてこっれまでどうりやっていきたいです。


俺は囁く。

「卍解」

 

神騙蛇堕(かみかたりへびおち)■■(■■■■)

 

 

ん?

 

「卍解。神騙蛇堕(かみかたりへびおち)■■(■■■■)

 

 

………あぁ。

言葉にならなかったのか(・・・・・・・・・・・)

 

てことは。

俺の刀が、煙に包まれる。

 

煙が晴れると、そこには。

 

身の丈を越える刃渡りを持った刀を持った俺がいた。

 

刃渡りは7尺を優に超え、柄も2尺ほどに。

 

刀の幅も7寸ほど。

かなり分厚いが、刀の長さに見合った身幅となっている。

後に日本刀が美術品になったと言われても納得するほどの美麗さであった。

 

刀としてはデカいが、卍解としては非常に小さなモノだ。

 

 

その刀を手に。

 

俺は笑う。

「なんだ。そんな霊圧か。俺の完全な力も引き出せずに、神を名乗るのかよ!」

 

相手は怒ったようだったが、それすらも俺にとっては、笑けてくる。

 

 

俺にむかって神を名乗るとはね。

 

 

俺の卍解の名前。それを前にして、あまりの皮肉さに笑えてくる。

 

「『神を騙り』『蛇へ堕とす』」

 

それこそが俺の卍解の名前である。

 

そんな卍解の能力は。

 

今は(・・)、自分の実力(斬魄刀も含めて)の凶悪的な強化だ。

 

俺は、謳う。

「千里の(じょう)。全を一に、一を全に。遠間の果ての鍵をかけろ」

 

そう口ずさむと、神を名乗った破面(アランカル)が文字通り消え去った。

 

ああ。弱い。

 

こんなもの、神ならば破壊して当然。それが破壊できぬというのは神としての実力が足りなかった証左。

 

俺は霊圧を極度に、極限に究極に、窮極に高める。

当然だ。

相手は何も感じやしないのだから(・・・・・・・・・・・・・・・)()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「滴り溢れる器。復讐に全てを(ひた)す。(かえ)れ、(かえ)れ、全ての(ことわり)へ。蒼天(そうてん)翠玉(すいぎょく)(ましろ)赫炎(かくえん)真黒(まくろ)隕鐵(そとまがね)()たれば海。遠からず(そら)間隙(かんげき)を射抜く撃鉄(げきてつ)が堕ちる刻、神の怒りを代行する」

 

「破道の九十八。神鳴一閃」

 

俺の全力の神鳴一閃は、先ほどまで(アランカル)がいたところを通り過ぎるとき、不自然なまでに小さくなる。

 

そしてそこを通り抜けた後は、ほんの一間四方になる。その後、地面に突き刺さり、数十メートルの深さの穴をぶちぬいた。

 

「…どうだ。偽りの神の味は?」

 

俺の攻撃を何とかしのいだらしい神に聞く。

向こうはもう死の一歩手前だ。数瞬後には確実な死が訪れるだろう。

それに対し、こちらは余裕の笑みすら浮かべている。

 

卍解して霊圧が増えているため、4割の霊圧で神鳴一閃を撃ってみた。

なかなかの威力になったのではなかろうか。

 

「許さん、許さん、許さんぞ!蟻め。神に背きし不届きを…」

 

 

 

…いや。え。これだけ?もっと他に語彙力はないの?

 

 

なんだつまんない。せっかく神の名がついてる技で瀕死に追い込んであげたのに。

 

 

「もういいよ。聞き飽きた。自分が唯一絶対じゃないと気が済まないおじいちゃんなんでしょ。世界が広いことも認められないおじいちゃんなんでしょ。下から抜かれていることも認められないおじいちゃんなんでしょ。そんなんなら、ここで殺す」

生かしとく価値ないって判断せざるを得ない。

 

「せめてもの情けだ。ひつぎにはいれてやるよ」

破道の九十。黒棺。

 

神を名乗った、神をただ僭称した破面(アランカル)は重力に飲み込まれて消えた。

「神を名乗るのなら。神だと偽るのなら。もうちょいまともな実力をつけてからきてほしかったなあ」

僭主よ、偽りの王よ、願わくば次の生では安らぎを。

 

俺はそう願った。




久しぶりに急ぎで書いた気がする。

書くのってこんな楽しかったっけ?

おすすめのアニメ教えてください。
あと鬼滅観たほうがいいですかね?

あ、次回どうやって倒したのか解説しようと思います。

わかりやすくヒントはあるので、それで察してみた後でこたえ合わせも面白いかもしれません。

あと、前回は、タイトルミスしたまま投稿しちゃいました。よくあるんですよね。
たいてい、めんどくさいからタイトル決めるの後回しにしちゃって書いた後にタイトル決めるんですよね。

…え。皆さんないですか?あるあるだと思うんですが…。

『あ』にタイトルがなっているときは、タイトル変えずに投稿したんだなと思ってください。一日もしないうちにちゃんとしたタイトルに変えているので、『あ』で読めた人はいいことが起こるかも…?


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神と擬神

めっちゃ久しぶりな投稿の気がするなぁ……。

………気の所為だな。


高評価と感想ください。


「……やばいねぇ。隊長格(僕達)の霊圧超えてんじゃない?」

僕は浮竹にそう問いかける。

あの、副隊長の卍解の能力は、始解の純粋すぎる強化だ。狂化と言っても過言ではないほどであるが。

 

「……卍解して、霊圧も上がってるからな。彼ならアレぐらいやるだろう」

 

「……どうやって、俺達の仲間を倒したんだ?」

目の前の破面(コヨーテ・スターク)が聞いてくる。

 

「……たぶん、空間を捻じ曲げたんだろうね。1寸の間に千里の距離を用意したんだと思うよ」

 

急に消えたのは、そのせいである。

 

千里先にいる人を見れるほどの目がいい人はいない。

千里先にいる人の声が聞けるほどの耳がいい人はいない。

千里先にいる人に攻撃を届けられるほどの強い人はいない。

 

ただ、光は一瞬で通る。約秒速30万キロの光は、さして距離など関係ない。雷も亜光速のため、攻撃することは可能。

 

故に神鳴一閃は、あの男の卍解と相性がバツグンなのだ(弱まらないとは言ってない)。

 

 

距離を千里用意して、絶対に躱せない位置に敵を置いて神鳴一閃でドーン。

 

ケタはずれの実力が純粋に必要のため、めったにやらないコンボだ。

 

あの男も、肩で息をしているから疲弊してないというワケではないだろう。

 

だが、『無傷』で倒した事は、称賛せざるをえない。

 

……なんだ?ナニかを副官章の裏から出して……?

──────────────────────────

 

俺は、副官章の裏から、とある瓶(・・・・)を取り出して、イッキ飲みした。

 

身体がバチバチと弾ける感覚。

 

痛覚に直接ヤスリがけされたような激烈な痛みと共に、霊圧が爆発的に回復する。

 

それと同時に過剰なまでの低血糖症状を感じ、足がフラついた。

頭がクラクラくる。

 

「……久々だと、なかなか応えるなぁ」

 

俺はそう自嘲ぎみに笑った。

 

 

俺はビンを投げ捨て、牙を剥き出す様に笑った。

それでもこれで、まだ闘える。

 

メシを探そう。ないなら、誤魔化そう(・・・・・)

 

俺が喰い尽くす程度のメシは用意されてるかな?

 

とりあえずは近くの、7という数字の書かれた赤い小さな店に入ろう。

 

正直やってる事は強盗となんら変わらんが、バレなきゃ問題ない。

 

「『バレなきゃ犯罪じゃないんですよ』。なんて素晴らしき言葉だ」

 

 

え?山ちゃんが聞いたら怒りそうって?

 

甘いナァ。甘すぎるよ。

 

山ちゃんにもバレないように盗み食いするから大丈夫大丈夫。

 

俺は、山ちゃんにもバレないように盗み食いするプロフェッショナルだよ。

 

山ちゃんは、『逃げる悪ガキに撒かれた事はない』って言ってたけど、『逃げる天邪鬼()に撒かれた事はない』って言った事はない。それぐらい何度も撒いてる。

 

「全ては尸魂界(ソウル・ソサエティ)の勝利がために」

 

戦争に善悪はない。あるのは結果のみ。

勝者が善。勝者こそが正義。そういう風に事実を捻じ曲げる。

 

………ずっとそうやって来たのだから。

───────────────────────────

 

小さな店の在庫をほぼ食い尽くした。

やっぱペロリだったなぁ。ちょっと足りないくらいだった。

腹八分目がちょうどいいって言うし、これくらいでいいのかも。

 

俺の中に霊圧が充実している。ちょうど店を出た時。

 

また黒控が開いた。

 

そこにいたのは、一匹の破面(アランカル)と巨大なナニか。

………ナニかは拘突とよく似ている。

 

ただ、拘突は下がバカッと開いて大虚(ギリアン)を大量に吐き出さないだろう。

 

「……準備体操にはちょうどいい相手かなぁ」

 

なんてゴチたものの。

 

俺が出る幕はなさそうだ。仮面の軍勢(ヴァイザード)達に任せよう。

 

 

 

 




この前、めちゃめちゃ久しぶりに低評価の作品読みました。1700話以上書いてて、評価が0.~の作品です。

それ読んで、全然面白くない(地の文が少なすぎて何してるのかわからない)と感想を書きました。
……ほぼほぼ会話文なんですよね。
ちなみに、他の人もほぼほぼ似たりよったりな感想でした。

私には才能がないけど、書く意欲が湧きました。なぜならその人は1700話以上書いて青評価だけど、まだ書く熱意は失っていないのですから。

シンプルにその努力の化身とでも言うべき、創作意欲に感動しました。

ナルトで言うロック・リー。
BLEACHで言う茶渡泰虎的な存在感ですね。

努力して努力してようやく八門遁甲の一門目が開いたか開いてないか、というレベルのものを感じました。

チャドの右腕オンリー(盾すらない)の才能を感じました。

私はロック・リーの杜門クラスの才能なので、負けてられないなと思いました。

チャドの両腕があるレベルの才能なので頑張らなきゃなって思いました。


個人的には最新話を投稿するよりも、1話から順に抜本的に見直して手直しする方が伸びると思います。だけど頑張って欲しいですね。努力は報われてほしいです。

というか、設定は割りと面白いと思います。筆者の熱意もすごくあるのが伝わってきます。でも書く力が致命的なんですよね。

さて、前置きはここまでにして。
私の投稿は物凄くのんびりですが、これからも応援のほどよろしくお願いいたします。

高評価と感想をたくさんください。くださいぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!


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仮面の軍勢達

できたので投稿します。
感想と高評価お願いします。





「あぁ」

声が漏れる。

 

仮面を被った『元』隊長格達が『最下級大虚(ギリアン)』相手に暴れ狂う。 

久しぶりにみる。

 

ってもなあ。

(ホロウ)化の上で卍解すらできないかぁ。

 

指を握り、また解く。若干、ギシつく。

「本調子じゃあないからねぇ。任せられるうちは任せよう」

負かされないといいけどネ。

 

淡い期待を抱き、戦いの趨勢に目をこらした。

 

─────────────────────────────

「……久しぶりやな」

金髪オカッパの元五番隊隊長VSオールバックの元五番隊隊長。

最初に口を開いたのは金髪オカッパの方であった。

「百年振りだね」

オールバックも言葉を返す。

 

「……不安か?」

オカッパは更に言葉を続ける。

「無視したかとあかんで。なんぼお前が強いというたかて、不安があるはずや。俺はお前に近寄ろうともせんかった。だから、」

お前は俺の斬魄刀の能力を知らんのや。

 

「……それがなにか問題でもあるのか?」

疑問を返す事でその言葉を肯定する。

「他人の神経を100%支配できるのが、お前の鏡花水月だけやと思うたら大間違いや」

 

倒れろ。逆撫。

ようこそ逆様の世界へ

──────────────────────────

刀身には等間隔で5つの穴が空き、その下の柄尻には直径約15センチの円盤がくっついた独特な形。

「……面白い形の刀だな」

「ええやろ。貸さへんで」

「だが、神経を支配できるといったのは、聞き違いかな。特段なにも変わっていないように思えるが」

「……変わってるで。すでに」

あら〜…。な〜んや、……ええ匂いがせえへんか?

目を見開く。いつの間にか、甘ったるい匂いが周りを包んでいた。

「今更息止めたかて遅いで。ようこそ」

逆様の世界へ。

 

……上下左右が、入れ替わっている。

足元が空だし、天空にはアスファルトが広がっている。

 

正面には、平子元隊長。

「……面白いな。全てが逆だ。上下左右、」

前後もな。

身を翻すと、逆様の刀を持つ者は、瞠目した。

「気がつかないとでも思ったか?」

刀をあわせようと、クロスするように刀を繰り出すと。

相手の刀が自分の刀と平行の傷をつくる。(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

「気づけへんかったみたいやなぁ。上下左右前後も逆。やから、見えてる方向と斬られる方向も逆や。上下左右前後、ダメージを受ける方向、それを全て頭の中だけで反転して戦えるか?」

…なんだ。そんな事か。

「……無理や。そんな奴いてひん。強ければ強いほど、戦いに慣れてれば慣れとるほど」

身体は見たまま、反射で戦う!

 

頭をかち割る勢いでくる相手の剣。それを足元に剣をだして受ける。

 

()受けようとした(・・・・・・・)

 

その私の右腕に、蛇のような金の鎖が巻き付いた。完全に右腕の動きを封じられて私は目を見開いた。

 

「……右昭田鉢玄」

 

おそらく鎖条鎖縛で私の動きを封じたのだろう。

「この程度の縛道で私の動きを縛ったつもりか?」

「どこまでがこの程度、デスカ?」

 

縛道の九十九 四体禁!

 

私の体に黒い帯が4本巻き付く。自身の身体から四体を封じるように。その上から、白のかけらが無数におさえつけた。

 

縛道の六十二 百歩欄干(かこみ)

 

百歩欄干が、私を中心に展開した。

百の欄干がほぼ全て、私に突き刺さる。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「……フゥ。コレでしばらくは出られないデショウ」

「さすがや、ハッチ」

俺は肩の力を一旦抜いた。これでしばらくは他のヤツの戦いに集中できる。

 

 

 

 

 

 

 



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最強VS最強VS最強

感想と高評価お願いします。


霊圧が、消えた。恐ろしいほどの静けさに変わる。

「………なんや、この感覚は………!?」

霊圧は消えた『ハズ』だ。

霊圧は消えた『ハズ』なのに、身体の震えが止まらない。

 

「『コレでしばらくは出られない』、か。嘗められたものだな。崩玉よ」

 

そこには、全く霊圧が感じられない男が立っていた。

「なんや、それは………!」

 

縛道が。消えている。

ハッチの縛道が。

まるで、藍染の存在そのものに『呑まれた』かのように。

 

「さて、と。君はあといくつ手段を持っているかね?それは君たちの『希望』の数だ。ならば、私がやる事は単純だ」

君たちの手段を1つ1つ叩き潰して(全てを絶望に変えて)いくだけだ。

 

俺は戦慄する。

藍染はそこで言葉を続ける。噛んで含めるかのように、鷹揚に、強者の余裕の現れのように。

「さぁ。今ので終わりではないだろう?次の手段を出してみたまえ。その全てを正面から受けきろう。1つづつ順に。そして君たちが用意してきた全てが終わった時『希望』が潰える。そして、そこで倒れ伏しながら見ているがいい。私の行く末を」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

あ。一瞬で倒した。下級大虚(ギリアン)達を。

俺は『仮面の軍勢(ヴァイザード)』達を見守りながら、のんびりしていた。

 

あ。浮竹隊長。

なんか変なヤツにやられてる。

丁度こっちに落ちて来たから、助けてあげないとなぁ。

「………ッ。キミは」

「細かい事は後です。とりあえず、治療しますよ」

その傷は致命傷ではないが、間違いなく重傷だった。ほっとくと死にかねん。

「………ありがとう」

みるみるうちに顔色が良くなる。危ない状態は脱した。

だが、戦闘復帰できるほどではない。

たぶん、浮竹隊長もそれは十分に理解していると思う。

「私が隊長の分も働くから、心配しないでください」

「………すまない」

ものすごく聞き分けのいい隊長だ。

他の隊長。特に11番隊は見習ってほしい。

 

「さってと。俺の斬魄刀でどこまで頑張れるかなぁ」

 

そろそろ藍染も動く頃だろう。ヤダなぁ。そうなったら本格的に俺の出番じゃん。山ちゃんの霊圧が、地面に静かに流れてるよ。

巧妙に隠してるけど、長年戦ってきた俺にはわかる。

 

………たぶん『炎熱地獄(えんねつじごく)』だ。

 

おいおい。俺のサポートあてにしてんのかよ。

イヤ。そんなワケないか。ここで差し違えてでも藍染を殺すつもりなんだな。

 

あ。愛川元隊長(元アフロ現星の髪型)鳳橋元隊長(音楽家)じゃん。

 

やっぱ元隊長は強いな。

 

………それは藍染も強いと認めてしまうか。

でも藍染が強いのは『事実』だから、しょうがないけどさ。

 

なんか、1番から狼がいっぱい出てきたんだけど。

さすが、1番(・・)強いねぇ。

「あの1番。藍染に似てる臭いがするねぇ」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

十刃(エスパーダ)が壊滅した後。

それぞれがボロボロな中、藍染に立ち向かう。

それを見て、ボクは思う。アカンな、と。

 

「なんで十刃(エスパーダ)っていう思想もなんもかんもバラバラなヤツが個々の思惑はどうあれ、1つの組織として活動できたと思う?」

 

答えは単純。強いからや。

藍染隊長の凄さは、キミらの想像の遥かに上をいく。

 

そして、かつて仲間だった者達では足りん、と思う。

ボクは脇差を一撫でして。

静かに壊滅していくのを見守った。全員が地に倒れ伏したのを見て。やはり足りんな、と思う。

 

その時、炎が立ち昇った。天を衝くほどの焔が幾つも立ち上がる。それは藍染隊長を中心に据えているように見えた。

 

「ようやっと総隊長のお出ましかいな」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「お。俺の出番か?」

焔が幾つも天を目指すのを見て、俺は思った。

山ちゃんを見たら、腹に斬魄刀が刺さっている。

「お主は儂と共に『炎熱地獄』で死んでもらう」

………山ちゃん。

「みな、覚悟はできておる。それこそが護廷十三隊の意義と知れ」

俺はできてないよ。山ちゃん。

「『炎熱地獄』。存分に味わえ!!!!!」

あれ?

「炎が。消えた?」

あ。改造破面(アランカル)で焔を封じたのか。

マジで天才だなぁ藍染惣右介。

 

「でもさ。でもさ。そんなモンで山ちゃんが抑えられると思わない方が良いよ。なんせ、さ。あの人よりも強い死神は千年産まれてないんだから」

 

ホラ。改造破面(アランカル)がボコボコにやられてる。

強いねぇ。強すぎるねぇ。ある程度、戦闘力はもたせてるハズなんだけど。それをボコボコにするとはね。

 

ホラ。『双骨』で打ち砕いちゃったよ。死神じゃねー。

 

………あれ?待てよ。炎を封じたのなら(・・・・・・・・)その炎はどこに封じた(・・・・・・・・・・)

俺は駆け出した。

 

 



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最強&最強VS最強

感想と高評価をください。


(むご)い事をする」

儂は儂の炎を封じた小童を容易く打ち砕いた後、藍染に告げる。

「酷い事?何の意味もないただの(から)の魂魄に、生きる意味を与える事が酷い事ではないはずだ。それをバラバラに打ち砕く方がより酷い事だと私は思うが」

全く。口ばかりの小僧が。

「問答は無用じゃ」

「そんなだから、君は私の言葉を聞き逃す」

ん?

「あの子の力は『流刃若火(りゅうじんじゃっか)』の炎を封じるために作った。放たれていない炎は封じる事ができない」

そこで一拍置く。噛んで含めるように。

「あったはずだ。すでに放たれた炎が。その炎はどこに封じた?」

藍染の言葉に儂はハッとする。

見ると(わっぱ)の頭が、膨らんでいる!!!!!

「聡明だ。総隊長」

その炎を抑え込もうとした時、

「山ちゃん!!!」

………その呼び方は改めよ。任せた。

──────────────────────────

炸裂しようとする炎。それを、食い止める(・・・・・)んじゃない。俺の能力で、攻撃そのものを『鈍らせる』。

炎が、爆発した。

 

「うおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!」

 

熱い。左腕が、徐々に焼け焦げる。どんだけ力を込めたんだよ!山ちゃん!マジ中のマジじゃん!!!

「………見事だ。あれだけの爆炎を、ほぼ被害ゼロに抑え込むとは」

「………フウ、ふう、ふう。」

俺の左腕が完全に焼け焦げて炭と化している。だがその他の被害は、ほぼゼロだ。

ちょっと煤が散ってはいるが、被害とは呼べるほどのものでもない。

炎が轟音と共に爆裂したが、熱も音も全てを『鈍らせた』。

結果、爆炎が建物や人、その他もろもろ全てを『透過して通り抜けた』のだ。

 

もうちょい弱ければ、藍染だけに効かせるとかもできたんだが。

山ちゃんの力が強すぎて、対象選択ができなかった。

その代償が左腕。余りにも『鈍らせる』力が強すぎる場合、こちらへ跳ね返って来てしまう。今回は『左腕一本のみ』。山ちゃん相手なら上出来だ。

 

俺が倒れ伏したのを見て、藍染はこちらへ寄って来る。

「君専用の改造破面(かいぞうアランカル)も作りたかったんだが、時間がなくてね。せめて、私の手でとどめを刺そう」

おいおい。俺がお前程度にとどめを刺されると思ってんのかよ。

俺の頭の近くまで、歩いて来た。今はなんもできないって思ってんのかよ?俺を。ナメ過ぎだぜ?俺を。

 「甘いなァ、藍染」

左手でガシッと藍染をつかむ。藍染が目を見開いた。

「『破道の九十六。一刀火葬(いっとうかそう)』」

左腕に熱の血管が走る。

ビキビキと音を立てて、一気に爆炎が噴き上がる。

その炎の形は、『剣』を(かたど)っているかのように見えた。

藍染が逃げると、今度は爺が追ってくる。

 

「昔から、逃げる悪ガキに撒かれた事はないんじゃよ」

 

今は改造破面(かいぞうアランカル)はいない。全てにおいて、実力でどうにかしないといけない。

 

俺は左の脇腹に軽く傷をつける。

そうすると、左腕が生えて来た。

本来ならやりたくない手段だが、緊急事態故に許してほしい。

副官章の裏にいくつか隠してあった、ビンの中身を一本丸々飲み干す。

 

「あいてててててててて」

 

莫大な霊圧が一気に回復したと同時に、空腹でふらつく。

だが、そんな事は言ってられない。

 

「加勢すんぜ!山ちゃん!!!」

 

─────────────────────────

「君ら2人は脅威だ。私にとっても」

私は思う。尸魂界(ソウル・ソサエティ)の歴史そのものを知ってる(・・・・)2人だ。

直接、2人と対峙(たいじ)するのは、私にとっても避けたい事であった。

 

「『流刃若火』!!!」

「あぶねぇよ!もうちょいであたるじゃねえか!飛竜激賊震天雷砲(ひりゅうげきぞくしんてんらいほう)!!!」

「儂を巻き込む気じゃったな!!!」

「お前だって巻き込むつもりだったじゃねえか!!!」

連携はさんざんである。

でも、隙がない(・・・・)。 

何故か。それはお互いが余りにも卓越すぎる実力者だからである。そのため、お互いに巻き込むつもりでも『片方が避けて攻撃が成立するため』だ。

 

「もう一度、『炎熱地獄』をやる」

「ドアホ。もっかい『炎熱地獄』やろうもんなら、その隙に2人共殺されるっての。残念ながら俺は、お前をからう気はないぞ?」

「からってもらう必要はない。儂を連れて帰れ」

「結局それは俺がからうんじゃねぇかよ」

からうからわんの話をしてる今は、全く緊張感がない。

だが、全く隙がない。

私は気を引き締めた。

 

 




………今回は意図的に鹿児島弁をいれてみました。

え?何故かって?

鹿児島弁ってほぼ標準語かを確認するために?
………わかりますよね?標準語は。
………全く一緒ですよね?鹿児島弁は。

どこが鹿児島弁かわかったらコメントください。
たぶん、全然わかんないハズですので。


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最強&最強VS超最強

感想と高評価をください。よろしくお願いします!


霊圧が爆発した。

信じられないほどの霊圧が噴き上がる。

俺が後ろを振り返ると。

『ハンペン』と化した藍染が。

「………な」

「驚いているか。(あまの)副隊長」

「なんだそりゃあ!!!!!!」

俺が爆笑する。

「何がおかしい。天邪鬼」

「何がって、何がって」

腹を抱えて笑う俺。

「急にシリアスになったと思ったら、思ったら。ククッ『半のっぺらぼう』みたいになって、なって。クククッそれでもイケボで、イケボで。あまりのギャップに笑いが、笑いが、ギャハハハハ。止まらん。ギャハハハハハハハハ」

ヒーヒー言ってる俺に。

空中をバンバン叩いて、四つん這いになって笑ってる俺に。

 

藍染は首を刎ねる軌道で剣を振った。

 

「危ないだろう!あ。その顔をこっちに向けないで。笑いが、笑いが再燃しちゃう!!!」

「失礼だと思わないのか?人の顔を見て笑うのは」

「そもそも論、今のお前『人の顔』じゃねえし。口がないのに、どうやって物を食うんだよ?三大欲求の1つを満たせないのに、人間を名乗るなよ」

そんな事を言いながら、ヒーヒー言ってる俺を。

藍染はつまらなさそうに見下す。

「口など、必要ないものだと『崩玉』が判断したのだ」

「じゃあどーやって喋ってんだよ?お前の声、謎すぎね?」

なんか、エコーがかかってるように聞こえる。

 

そこで、激アツの焔が遮る。『流刃若火』の『万象灰燼(ばんしょうかいじん)』だ。その焔に、藍染が巻き込まれた。ちなみに俺は逃げた。

「この時点で問答は無用。この(わっぱ)の相手は儂がやる」

「イヤ。二人でやろう。お前1人の場合は、他の隊長や色んなヤツに迷惑を掛けるだろ?俺がフォローしてやるよ」

 

俺の腹に斬魄刀が突き刺さる。

「いってぇなぁ、藍染」

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さっきは爆笑したが。

明らかに霊圧が上がってる。

強すぎて強すぎて震える。

「気張らんとなぁ」

やだやだ。

霊圧が倍くらいになった藍染は。

きょとんとした顔をしていた。

………常にきょとんとした顔のようなモンだが。

やっべ。また笑いが。

「頑張るな。天副隊長」

あ。俺の腹に斬魄刀刺さったままだった。

でも、そこに藍染がいる事を教えてくれる。

俺の腹に刺さった斬魄刀の霊圧が。

そんな事を考えながら、腹にググッと力を籠める。

筋繊維を肥大化させて、藍染を食い止めるために。

「山ちゃん!!!」

「わかっておる」

俺からズルリとムリヤリ抜かれた刃は、紅く染まっていた。

炎をまともに浴びたハズなのに髪の毛に煤1つついていなかった。

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私はワンダーワイスを失い、尸魂界(ソウル・ソサエティ)歴史そのものを知る者達2人を相手に苦戦を強いられていた。

 

2人はとても強い。そして老獪(ろうかい)だ。

さんざん笑われたのは不快だ。たが、その時でさえ隙1つ見せなかった。

 

面白い。

 

私を倒せるのならやってみるがいい。

相変わらず、自分で自分に傷をつけて治すのは異常だな。

だが、それでも傷は増えている(・・・・・・・)というのは事実だ。

 

「『万鈍(よろずなまくら)』」

 

その刀を躱す。

私が距離を取ったのを見て。

「『万象灰燼』」

その技も身を捌く。

「………『距離をとる』のか」

眼前の男は口を開く。

「君たちは強いからね」

「………『距離をとる』程度でどうにかなるって思われてるよ!山ちゃん!!!」

 

二人は口をニィっと吊り上げる。

「「嘗めるな!!!!!」」

 

「嘗めるな」か。

私はそう思う。

それはこちらのせりふである、と。

霊圧を飛躍的に高める。普通の死神ならば感じられないほどの霊圧だ。

 

「この程度の霊圧で驚いているのか」

 

全く。嘗めているのはどっちかを教えてやろう。

 

 

 

 




前回の鹿児島弁は『からう』でした。
びっくりしましたか?普通に使いますよね?

『肩とか背中に密着させて物を持つ時』に使います。
『担ぐ』と『背負う』と『掛ける』を足したような意味です。

説明なくてもわかりますよね?


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