ハイスクールD×D~辺境より出ずる~<実況風> (かめのて)
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はじまりの一話

PC整理していたら見つけました。実況とは……?


 

 〜1〜

 

 あくまでも悪魔のための悪魔によるお家復興チャートはっじまるよー。

 

 はい、という訳で今回は去年発売されましたVR専用ゲーム「ハイスクールdd✖️π」で断絶家系の復興をエディットキャラで目指していこうと思います。なおRTAじゃないです。

 

 このゲームについて知っている方がほとんどだと思うので詳しい説明は省きます。知らない人はググりましょうね。

 

 全年齢版と成年版の二つがあるのですが今回は成年版をプレイしていきます。

 

 自由度が高いと謳われる作品ですが原作体験は勿論のこと領地経営や戦争を体験出来ます。因みに繁殖も忘れずに行う予定です(キリッ)。

 

 なお普通の実況プレイになる予定です。それといい忘れましたが初見プレイなのでよろです。

いやあ楽しみです。

 

 

 さて、まずはキャラメイクからです。早速STARTをタップしてやっていきましょう。

 

『貴方の名前を教えてください』

 目の前にウィンドウがでてきましたね。さて名前はどうしましょうか。うーん……。

 

 このゲームなんですが悪魔、天使、堕天使の三種族から選ぶことができます。他に各種族ハーフやクォーター、人間もあるのですが今回は悪魔を選ぶつもりです。

 

 よって名前は悪魔らしい名前にしようと思います。

 

 ……決めました。童話『フランダースの犬』それにちなんで「フランダー」にします。

 

 性別は男を選択。次に容姿クリエイトに移ります。やはりここは女性視聴者獲得のためイケメンにしていきましょう。

 

 髪は無難に金髪ですかね。蜂蜜色の髪にしましょうか。髪型は個人的に好きな後頭部で撫でつけるポニーテールにします。あとは瞳色をアメジスト、目尻に泣き黒子と……。顎をしゅっとさせ、切れ長の瞳にします。身長も高めに設定しておきましょう。

 

 ぼくのかんがえたさいきょうのいけめん誕生……。よぉし完成だ。

 

『貴方の種族を教えてください』

 先ほども言いましたが悪魔なので悪魔を選択。蛇足ですが人間やハーフを選ぶともれなく神器がついてきます。原作にもあった通り危険な神器については堕天使から狙われるかもです。

 

『貴方の家系を教えてください』

 ずらりと七十二柱の悪魔がリストに出ました。なお番外の悪魔も入っています。

 

 没落したお家再興を目指すので断絶したお家を選ぶことになります。どれがアタリだとかハズレだとかはないので取り敢えず選びましょう

 

『……貴方はフールフールです』

 フールフールですか。あの白くて目がない気持ちの悪いモンスター……。ごほん、すいません、ちょっと調べてきます。

 

 ……なるほど。炎の尾をたなびかせる牡鹿らしいですね。いやまあハイスクールdd における悪魔はほぼほぼ人型なので参考にはなりませんが。

 

 固有能力は雷と嵐になります。固有能力は七十二柱それぞれの悪魔が持つオンリーワンの能力を指します。例を挙げるならばバアル家の滅びの魔力などですね。

 

 さて最後に出自と素性です。二つがリンクして初期ステータスが決まります。他にも他者評価や選択肢など大いに影響します。

 

 出自は貴族や平民など。他にも色々あるようです。

 素性は「悲惨な過去」や「優秀な遺伝子を持つ」「生まれるべきではなかった」などあります。最後に関してはもうやばいですね。二週目以降の縛りプレイでやってみたいです。

 

 今回は初見プレイなので出自は貴族、素性に関しては「優秀な遺伝子を持つ」を選択しようと思います。

 

 ……あ、て、手がすべったぁー(棒読み)

 よぉし。一通りこれでキャラメイクが終了したので本編に移りましょう。

 

 

 〜2〜

 

 

 暗転した視界から、突如として荒廃した景色が入ってきました。ここが冥界のようですね。空は赤みがかる紫に染まり、独特の空気が漂っています。

 

 周囲は荒廃した大地がどこまで続いており、背後を振り返れば鬱蒼とした木々が乱雑している森がありました。

 

 ……おっとここで想定していない緊急事態が。私としては貴族の邸宅があると思っていたのですが辺りは先程も言ったように荒廃とした大地ばかり。雑草すら生えておらずごつごつとした岩肌がやけに目立っています。

 

 おかしいです……。確かに主人公の出自は貴族を選んだ筈なのですが裸一貫のようですよ私。服を着ていないのです。

 

 

 と、取り敢えずステータスを見てましょうか。(現実逃避)

 

 一先ず出自やら何やら確認してみます。

 

 

 フランダー=フルフル (20) Lv5

・出自:落ちぶれた元貴族  素性:生まれるべきではなかった

・固有能力 迸る雷嵐 滅びの魔力

 

 うーん。縛りプレイをするつもりはなかったのですが……。こうなったら仕方ありませんねーこれで行きましょうかー(棒読み)

 

 

 見ての通りステータスは貧弱です。

 

 一応レベルアップで様々な能力値にポイントを振ることが出来ますが、まあ初期ステが貧弱なので同レベル帯においては下から数えた方が早いですね。

 

 

 確認する次いでに我らが主人公フランダーくんの人生史も見ることが出来ました。

 

 二天龍との戦や先の内乱において我が家の当主を含めた軍団は壊滅し、主人公のみが生存している状況となっているようです。

 

 しかもどうやらフランダーくんは庶子扱いのようです。さらに固有能力を見る限りどうやら血脈にバアルが居るようですな。まあステが貧弱なので滅びの魔力もあまり使えそうにありませんが。

 

 

 MAPを見る限りここら一帯がフールフール領のようです。まあ何百年も前、と前置きがつきますけどね。

 

 

 隣領はナベリウスが統治していますね。

 

 それにしてもかなりハードすぎませんかね。裸一貫無一文でどうお家復興を目指せば良いのでしょうか。

 

 

 いえまあ、自業自得なんですが。兎も角ここで燻っていても仕方ありません。一先ずぶらんぶらんと所在なさげに揺れる二つの宝玉を隠したいので森に行きましょうか。

 

 

 しばらく歩き、暗澹とした森の入り口に着きました。近づくと分かるのですが冥界の空も相まって雰囲気がおどろおどろしいです。

 

 

 

 うーん。最弱ステの主人公くんが入って果たしてエンカウントした魔物に勝てるのか。

 

 まあ初期エリアですし難易度も考えられていることでしょうから大丈夫だとは思いますが、一応もしもの時を考えてセーブをしておきましょうか。

 

 まず腰蓑を作ることにします。このゲーム初のモノづくりです。ですが初のモノづくりが腰蓑を作るなんて誰が想像したでしょうか。

 

 森の入り口やその際にたくさん生える雑草を使って腰蓑の作成しようと思います。

 

 一応鑑定できるようです。

 

「鑑定!」

 

 

・冥界の雑草 [RARE1]

 冥界の何処にでも生える雑草。何かに使えるかもしれない。

 

 

 鑑定で思い出しましたが取得しているスキルの内訳をお見せしてませんでしたね。

 

 スキルそのものやその個数は出自や素性の影響で決まり、主人公くんは「鑑定」のみとなっています。

 

 本来ならば五つ六つが普通のようですな。ヘルプに記載してありました。つまり、主人公くん、というか私の悪魔生はハードなようです。

 

 ……っと、そうこうしているうちに出来ました。

 

 

・冥界の腰蓑 [RARE1]

 冥界に生える植物で作られた腰蓑は陰部を隠すこと優れている。壊れやすい。

 

 

 メニュー欄からアイテム生成を試みること三回目に出来ました。アイテム生成熟練度も上がったようです。

 

 ふぅ、一先ず大事な場所は隠せました。これで女性視聴者は逃げていかないでしょう。

 

 それにしても最近のVRは凄いですね。肌寒さを感じさせるとは妙にリアルですよ。

 

 まあそれは兎も角、股間を隠せたので次はどうするか考えます。

 

 お家再興と言っても今は無一文。自分の力は貧弱、同時に拠点もないので体力回復も出来ない状況です。

 

 現状ただ死を待つのみの状況です。となればやることは自ずと見えてきます。まずは拠点の確保です。水場に近い所が望ましいですね。

 

 森に入って行きましょう。

 

 元々フールフール領は辺境の土地であまり開発されていません。それどころか領主不在が何百年と続いていたために森は人の手ならぬ悪魔の手が入っていなかったようです。

 

 つまり雑草が乱雑し、木々が重なり合うような最早密林と言っても言い場所へ変貌しています。

 

 手刀で枝葉をかきわけ、開拓を進めながら辺りを注意深く観察していきましょう。何か使える物が落ちているかもです。

 

 お、早速見つけました。そぎ落とした葉に芋虫がついていたようです。初の生物ですね。

 

 大きさとしては人差し指位でしょうか。マダラ模様をしています。

 

 鑑定してみましょう。

 

 

・スカルモルフォの幼体 Lv9

 冥界に生息している蝶の魔物の幼体。身の危険を感じると臭い匂いを放つ。繭から取れる糸は何かに使えそうだ。

 

 

 うーん。何だかどこかで見たような説明文ですねぇ。一応魔物扱いのようです。

 

 癪ですが芋虫の方がレベルは高いです。経験値は期待できそうですね。

 

 都合20回ほど芋虫に攻撃をしたところで息絶えました。主人公くん弱過ぎですよ。ステの大切さが身に染みますね。

 

 ところでレベルが上がったようです。早速ステータスを割り振りをしましょう。

 

 目下の目標は開拓ですのでそれに影響する体力やアイテム生成に補正がかかる技量に多めに振ります。

 

 余りは適当に魔力や俊敏、耐久に振りましょうか。

 

 では引き続き……と行きたい所ですが空腹が酷いので此処らで一旦休憩します。ではでは。

 

 



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はじまりの二話

 

 フランダーです。続きからやっていきましょう。

 

 前回はキャラクリを終え、拠点確保に向けて動き出す所で終わりました。生活基盤確保の段階ですね。

 

 主人公くんの最終的な目的は領地発展いわば経営と言っても大差はないと思います。

 

 とはいえ数少ない純潔悪魔の生き残りですから冥界政府に報告すればフールフール家の再興、それこそ貴族として返り咲くことができるでしょう。

 

 しかし、それでは面白くないので政府には極力黙っていることにします。

 

 男なら、身一つで成り上がりですよ! ロマンがいっぱいです!

 

 以上蛇足でしたが、領地発展はかなり長期的なスパンになると予想されるので、その目的に至るまでの道程に幾つか目標を設けました。追々さらに追加していきます。

 

 

 第一に生活場所の確保です。これは最重要ですね。死んでしまっては元も子もないですから。

 

 

 第二に眷属集めです。隣領がナベリウスのため眷属候補が一応います。とはいえ、ぶっちゃけた話、いるかも分からないが本音です。

 

 

 そして第三に経済活動の基盤作成です。生活場所の確保と共に並行して出来れば良いのですが、ここら辺は初心者なのでまあ追々考えていきましょう。

 

 

 相変わらず見渡す限り森ばかりです。兎も角水場を探しに行きます。

 

 進めば何かが見つかるはずです。

 

 

 ばったばったと枝葉を薙ぎ倒し、木立の間を縫いながら、やがて額に汗が滲み始めた頃、小さいながらも水音がしてきました。

 

 

 足元の腐葉土も心なしか湿っているようです。

 

 

 ありました。意外と早くに水場は見つかりました。幾億の砂利が沈み清流が縫うように流れています。

 幅は目視で2、3メートルほど。沢というよりは川ですかね。

 

 

 一応ひとすくいして鑑定してみます。

 

 

・水(小) [RARE1]

 沢の水。飲水としての利用可。微量だが汚れあり。

 

 

 おお。良かった飲み水です。少し汚れはあるようですが、鑑定よれば飲めるので問題はないと思います。

 

 はしたないですが水面に口を寄せて飲みます。どうにもこのゲーム、飢えや渇きがあるんですよね。我慢ができませんでした。

 

「ぷはぁっ」

 ふぅ。良い味でした。一苦労した後の水は最高ですね。さすがVRと言ったところです。とことんリアルを追求してます。

 

 川上を辿ってみます。運が良ければ食料を獲れるかもしれません。

 

 

 迷路のように流れる清流を辿っていき、しばらく行くとV字型の渓谷が見えてきました。

 

 中央には冥界の空を写した湖が広がっています。真向かいにある湖畔の平地には、実をぶら下げる木々が乱立していますね。

 

 

 渓谷の森林は、緩やかな斜面のどこまでもどこまでも続き、無造作に、枝々は幾重にも折り重なり、法則もなく長く長く伸びているようです。

 

 

 冥界の秘境とでも言いましょうか、一応クリップを撮っておきましょう。

 

 早速、湖水の鑑定をしてみます。

 

 

・湖水(小) [RARE2]

とても澄んだ綺麗な水。飲水に適している。

 

 

 おおすばらしい。水は確保できました。

 

 次に真向かいの湖畔に向かいます。あの木の実が気になって仕方ありません。湖の淵に沿いながら湖畔に向かいます。

 

 

 リンゴのように赤い果実ですね。手のひらに収まりきりません。ずっしりとした重みがあります。

 

 

 鑑定!

 

・セカイイチ [RARE5]

 清流近くにのみ生育するリンゴ。綺麗な水と上質な魔力により大きく成長する。セカイイチしか食さないドラゴンが存在しており、そのことから別名ドラゴンアップルとも呼ばれている。

 

 

 おおー。初RARE5ですよ!! レア度の関係か説明文も長いですね。

 

 しかも縁起の良さそうな名前です。まだまだ木にたくさんぶら下げているので当分困ることはなさそうですな。

 

 

 決めた、ここを我がキャンプ地とする!

 

 

 と言うことでまず雨風を凌げる拠点を造ることにします。メニューを呼び出しアイテム生成一覧を見てみましょう。

 

 

 ふーむ……。見てみた感じ、現状造れそうなのは木の小屋だけのようですね。初回の拠点作成では、木の小屋のみ素材消費無しで作れますね。

 

 

 では早速つくってみますか!

 

 

 何処らへんがいいですかね。いくら湖畔といえど広さは限界がありますし。

 

 そうですね〜……。ではここにしましょう。湖畔の左端の方で、ちょうど湖全体を見渡せるような立地です。

 

 出来ました。1分とかかりませんでしたね。とはいえ、どうやら作成するにはいくらか時間がかかるようです。木の小屋で1分でしたから貴族の邸宅や城だとかなりの時間が掛かりそうですな。

 

 

 外観は小さめの山小屋と言った所でしょう。中に入ってみようと思います。

 

 では、ご開帳〜。

 

 ふむふむ。中は結構明るいです。天井から吊り下げられたランプから静かな灯りが齎されていますね。何とも言えない風情があります。

 

 

 壁に沿うよう置かれた木製のテーブルとテーブルを挟んだ二つの椅子は一切の加工が為されておらず、木の板を継ぎ接ぎしたような様相です。まああるだけマシなので文句は言うまい。

 

 

 右を見ればガラス張りの窓が一つだけありますね。

 

 

 奥にはベットがあります。それと小さめですがハシゴ付きのロフトが併設されていますね。

 

 ……結構、いえそれなりに良い物件ではないでしょうか。

 

 

 おや。扉のせいで気付きませんでしたが、扉の近くにハンガーのかかる服がありました。

 

 

 鑑定!

 

・麻布の服一式 [RARE1]

 この世界における農民の服。麻で出来ており比較的丈夫。

 

 よくあるファンタジー風のモノのようですな。ともかく着ることにします。

 

 

 おおー。とは言いましたが着心地は普通ですね。ですがこれで上半身も隠せました。

 

 

 ようやく女性視聴者の方も安心して見れますね。チャンネル登録お願いします。

 

 

 拠点確保を達成したのでホームスポット化しておきます。これでこの拠点には私の許可が無ければ何人とも入り得なくなりました。

 

 

 言い忘れていたのですがこのゲーム、空腹値と言う珍しいモノが設定されておりまして、これがゼロになると時間経過で体力が減少していく仕様となっています。

 

 ですので定期的に食を摂る必要があります。とはいえ普通に1日三食摂れば問題ないそうです(wiki調べ)。現実世界と同じですね。

 

 

 さて、人心地着いた所で更なる食材の確保に移ろうと思います。

 

 一応セカイイチを2、3個ほどストックしておきましょう。もしもの時のためですね。

 

 

 外は相変わらずの薄紫の空が広がっています。湖には何が生息しているのでしょうか。楽しみです。あくまでもゲームなのですが身体が良質なタンパク質を求めているような気がします。

 

 

 そのうち芋虫を見ただけで「タンパク質です」と言いそうな気がしてきました。

 

 湖には、何らかの水生生物がいると思うので……あ、網とかないですね。付随してそのほかに魚籠もないことに気が付きました。

 

 これでは獲物を獲ってもリリースするしかないです。したがって作る他無いようですな。最早サバイバルになっている気がします。

 

 アイテム作成一覧をメニューから呼び出し、必要な素材が載っているので該当する素材を探しに行きます。

 

 お。思ったより簡単そうですね。

 

 網は「クモの巣」と「木材」それと「竹」です。ここに来る途中で竹藪を見かけたので、竹はそれを使うことにしますか。

 

 対して魚籠も同様ですね。クモの巣だけは要りませんが。

 

 そして早速竹藪が群生する地点に移動しましたがここで問題が発生しました。

 

 

 どうやって素材として持ち帰れば良いのでしょうか。一本丸ごと持ち帰る訳にも行きませんし、ノコギリか何か欲しいですね。

 

 折ることも考えましたが竹の太さが尋常ではないことと、竹自体がしなるため現実的ではありません。

 

 詰まる所切断する刃物が必要ですな。ノコギリの作成に必要な素材を見てみます。「鉄」「木材」が必要ですね。

 

 ん? て、鉄ですか。……なんだか猛烈に叫びたい気分です。

 

 取り敢えずセカイイチがあるので今日の所は戻りましょう。

 

 何か別の方法で食料確保に臨む必要がありそうです。

 



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はじまりの三話

 

 

 悠々と空を駆ける様は天空の王のようであった。事実、何人の介入を許さないその在り方は最強の名を欲しいままにしていたのだろう。

 

 曰く、その速さは目に追えず。鱗は玉鋼よりも硬く、火炎は隕石の如くあったという。

 

 ブレイズ・ミーティア・ドラゴン。またの名を魔聖龍。六代龍王の一角として数えられていた王である。

 

 かの龍王を語るに、一言で言えば仁であろうか。仁とは思いやる心である。

 

 かの龍は同胞がためにその地位を棄て悪魔へと変生を遂げたのである。

 

 正しく龍の王であった。

 

 

 かくしてその魔聖龍は、翼をはためかせ、湖畔の地に降り立った。湖畔一面はドラゴンアップルの木立が至る所で背を伸ばしているではないか。

 

「なんと。これは凄い……」

 群生するドラゴンアップルの大群に目を輝かせ、思わず鋭利な牙の隙間から感嘆の吐息が漏れ出る。

 

 求めてやまないドラゴンアップルの群生地が、まだ冥界にも存在していたのだ。

 

 しかもドラゴンアップルことセカイイチは、記憶にある姿形よりも二回りほど大きいようだ。

 

 ひとつ手に取ってみる。丸みを帯びる蠱惑的な赤みは瑞々しく、ずっしりとした重みがある。そして近づかなくとも感じ取れる強く芳しい香りを放っていた。

 

「……カタチと言いサイズと言い、香りも強いか。一体どのようにすればこのようになるのだ」

 

 思うに、関係しているのは水か土壌だろうか。ドラゴンアップルを研究している身としては常識、というよりは植物全般にいえることである。

 

 湖に視線を向ける。一見して何の変哲も普通の湖だ。

 

 水面に鼻を近づける。

「普通の水か」

 自分の知らぬ特別な何かがあるかも知れない。サンプルとして水を持ち帰ることにした。次いでにもぎ取ったドラゴンアップルや付近の土壌の一部も持ち帰ることにする。

 

 

 そのとき背後から射抜くような視線を感じ取り、動きを止め、「誰だ。見ているな」と圧を飛ばす。その視線は射抜くようである一方、ある程度の実力者であるならば容易に気付けるような稚拙なものだった。

 

「出て来るがいい」

 やがて近くの木陰から姿を現したのは蜂蜜色の髪をひとつ結びにした悪魔。紫水晶のような瞳を険しくさせている。悪魔からこのような目を向けられるのは何百年ぶりのことか。

 

 思わず、ある予感がして尋ねた。

「もしやこの群生地の管理者の方であらせられるか?」

 

「一応な。……だが驚いな。まさか、かつて六代龍王として数えられていた一角が盗人の真似事とはねぇ」

 六代龍王。魔聖龍である己がかつてそう呼ばれていた一角であったことを知る者は少ない。どうやら古い悪魔のようだ。

 

「それは誤解だ、申し訳ないっ。私有地だとは知らず、あまりにも素晴らしいドラゴンアップルだったのでもぎ取ってしまったのだ……本当に悪いことをした」

 

「勘違いか。なるほど謝罪を受け取ろう。しかしそうか、このドラゴンアップルはそれほどまでに素晴らしいか」

 

「うむ。大きさといい香りと言いこれ以上のモノは見たことがない。生育方法を教えて欲しいくらいだ」

 

「ああ構わない。私の知っている範囲でだが教えよう」

 

「おお! ありがたい」

魔聖龍はどこからかメモ帳を取り出した。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 フランダーです。

 

 大変未曾有な緊急事態に見舞われています。

 

 とぼとぼ拠点に戻ろうとした訳なんですが拠点の前に巨大なドラゴンがいました。

 

 エ◯ニキやべ〇ニキならば貴重なタンパク質ですと言いそうですね(現実逃避)。

 

 その筋骨隆々なドラゴンはセカイイチを手に取って何やら観察しているようです。湖面に顔を近づけたりと奇怪な行動を繰り返しています。

 

 もしや、この土地はあのドラゴンのものだった?

 いえ、そんなことはない筈です。ですが念のためMAPから確認しておきます。

 

 

 ほっ。どうやらここは私の土地のようですね。フールフール家と書いてありますもん。視聴者の方も見えますよね?

 

 おのれ、不法侵入者め! 

 

 ……今すぐあのトカゲをとっちめたい所ですが、戦力差を理解している私ではどうしようもないです。負けると分かっている戦いに挑むほど愚かではありません。黙ってヤツが立ち去るのを見ているしかないですね。

 

 一応鑑定してみます。万が一、いえ億が一でもあり得ないと思いますが、もしかしたらレベルが私より低いかもしれません。

 

 

 そのときはけちょんけちょんのぎたんぎたんにしてやりますよ。

 

 ちなみに今の私はLv7です。

 

 

 鑑定!

 

 

・魔聖龍タンニーン Lv906

かつて龍王の一角であったドラゴン。その火炎は隕石の如き威力を秘め、紫の鱗は玉鋼のように硬い。力だけならば魔王と同等の力を持つと言われている。

 

 

 ……ファ!? レベルヤバすぎな件。それとネームドモンスターのようです。これじゃあ逆立ちしても勝てませんよ。パワーインフレ全開ですな。

 

 

 おや、奇怪な動きを繰り返していたヤツの動きが止まったようですぞ。何をするつもりなのでしょうか。

 

『……誰だ。見ているな』

 

 しゃ、しゃべったあぁああああ!!??

 み、みなさん! 聞きましたか!? あのトカゲ今喋りましたよ!

 

 という事は、NPCでしょうか。ふむ、ならばヤツを追い出すことも可能かもしれません。

 

『出て来るがいい』

 

 どう見ても私のことを言っているようです。ここまで言われてしまったらやぶさかではありませんね。

 

 木陰から出ますとドラゴンの前まで来ます。

 

『もしやこの群生地の管理者の方であらせられるか?』

 あながち間違っていませんな。私は頷いておきます。いくらドラゴンとはいえ嘗められてはいけないので鋼の克己心をもって臨みます。

 

「一応な。だが驚いたぞ。まさか、かつて六代龍王として数えられていた一角が盗人の真似事とはね」

 不法侵入した挙句に盗人紛いのことをするとは見下げた根性です。このクソトカゲめ。

 

『! それは誤解だ、申し訳ないっ。私有地だとは知らずあまりにも素晴らしいドラゴンアップルだったのでもぎ取ってしまったのだ……本当に悪いことをした』

 

「勘違いか。なるほど謝罪を受け取ろう。しかしそうか、このドラゴンアップルはそれほどまでに素晴らしいか」

 私としては、ただの大きなリンゴにしか見えませんが、ドラゴンから見ると異なるようです。

 

『うむ。大きさといい香りと言い、俺の知る限りではこれ以上のモノは見たことがない。生育方法を教えて欲しいくらいだ』

それは暗に教えてくださいと言っているようなものですぞ。仕方ありません、ここはひとつ、教えて進ぜよう。{なお鑑定知識)

 

「ああ構わないぞ。私の知っている範囲でだが教えよう」

 

「おお! まことか、ありがたい」

 一時間ほどあれこれ話し、鑑定で知った知識を伝えました。だいぶ打ち解けたと思います。タンニーンはどうやらこのドラゴンアップルを生育している農家の方のようです。

 

 話に耳を傾けていますと、何と言うか情熱が伝わってきます。しかも農家をやる理由が他のドラゴン、それもドラゴンアップルを主食とする同族のためなのですから素晴らしいドラゴンですよ。

 

 トカゲなんて言って申し訳なかったです。これからはドラゴンと呼びますね。

 

「なるほど。水と魔力の均衡をとることが重要になる。どちらも与え過ぎてはならない、か。普遍的な事で見落としていたようだ……」

 

「だが中々に難しいことだ。下手すると枯れてしまうこともある。気をつけてくれ」

これも鑑定で知ったことです。

 

「分かった。今日は非常に有意義な事を聞けたよ。どうか貴君の名を教えて欲しい」

 

「……フランダー=フールフール。ここら一帯を治めている者だよ」

 フルネームを伝えるか迷いましたが伝えることにします。一応、領主なので正統性を示さねばなりません。

 

「フランダーか。俺の名は分かっているとは思うがタンニーンだ。気軽に呼んでくれて構わまんぞ」

どうやら彼はフールフール家の事を知らないようですね。私のことを言いふらしたりはしないでしょう。

 

「了解だ、タンニーン。所でひとつ頼み事があるんだが、良いかな?」

ドラゴンアップルの事を教えたんですから、私の頼み位聞いても良いはずです。

 

「聞こう」

 

「木を切断出来るような刃物が欲しくてね。そうだな、鉈や鋸、安物で構わないから私の元へ持ってきてくれないだろうか」

それさえあれば網や魚籠が作れます。良いことをするとかえって来るものですね。

 

「刃物だと、まさかとは思うが」

 

「違うよ、ドラゴンアップルの木じゃない」

 

「そうか。明日にでも持ってくるとしよう」

 

「頼んだよ」

 タンニーンは東の空へと飛翔していった。ちなみにもぎ取られたドラゴンアップルはお土産に差し上げました。

 

 

 

 

 



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