EDM好きの僕が転生した (UCHIWAX)
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プロローグ
Episode.0 = Groove
僕の名前は「江田 誠」。16歳で、ただの市立高校に通う高校生だ。
勉強の成績はは中の上ぐらい。彼女はおらず、ましてや仲のいい友達すらいない。
楽器は小学生の頃にピアノを少し習ったぐらいで、弦楽器や木管、金管楽器などは全くできない。
とどのつまり、いたって僕は平凡な男である。
しかし、そんな僕にも、長いこと熱中しているある趣味があった。
それが、EDMを聞くこと。
EDMとは、Electronic Dance Music の略称であり、要はダンス音楽である。
ほら、あれだ。たまに朝のニュースのBGMとかで流れているようなやつだ。
僕が小6の時に、たまたまYOUTUBEでこの音楽ジャンルを見つけたのだが、衝撃を受けた。
体にズンズンと響き渡るキックやベースなどの重低音、パワフルなリードサウンド、かっこいいボーカル、ほかにも良い点を挙げればキリがない。
そんなわけで、僕はその時からすっかりEDMの虜になってしまったのである。
キーンコーンカーンコーン
そんな謎の回想を脳内で一人でぼーっとやっていると、いつのまにか授業が終わったようだ。
「あぁ、やっと授業が終わった。」
よし、家で新しくリリースされたEDMのサーチも行いたいし、早く家に帰ろう。
鞄を机の脇から乱暴に取り上げて肩にかけ、早歩きで教室を出る。
「しっかし田中先生の数学の授業つまんねえなぁ~。ほぼ教科書の内容読んでるだけじゃん、あれ。」
これといって得意な教科はないが、苦手な教科はある。数学だ。
公式とか全然覚えることができない。難しい問題に当たるとつい思考停止してしまう。
それで授業があんなんだから得意になれるわけがない。その意欲すら湧かない。
そして校門をくぐると同時に、鞄からWALKMANを取り出す。もう3年も使い込んでいるから、所々傷だらけだ。
「今日は久しぶりにあの曲でも聴くか。」
そしてイヤホンを耳に装着し、あの曲を流す。
Liu - Groove
ブラジルのアーティスト、LiuによるFuture Houseというジャンルの曲だ。
ドロップ(EDMにおけるサビ)のクールなメロディーと、力強いキック、そしていい雰囲気を醸し出す女性ボーカル。
完璧である。
そして何と言っても、この曲は、僕がEDMにはまるキッカケとなった曲なのだ。
「あークッソかっけえ。何回でも聴けるわこれ」
本当はジャンプしたいのだが、さすがに公道でやるわけにはいかないので、軽く頭を振りながら家を目指す。
まあそれでも周りの人から変な目で見られたが。
「さて、確か今日はW&Wが新曲をリリースするんだったっけ・・・・・・」
ドガァン
最初は、何かが倒れた音かと思った。
なんだと思って周りを見渡すと、なぜか世界が90回転していた。
・・・・・いや、僕が飛んでいるんだ。
飛んできたほうを見ると、血痕のついた輸送トラック。
そう、僕はイヤホンをしていたせいで、迫るトラックに気づかず、轢かれてしまったのだ。
僕の体が重力に従って地面に落ちる。
その瞬間、全身を砕かれたような痛みが全身を襲った。
「---------ツツツツ!!!!」
痛すぎて声にもならない。
腕と足は開放骨折を起こし、大出血していた。
血が流れるにつれ、体の感覚が無くなっていく。
痛みも感じなくなってきた。
「あぁ・・これもう僕しぬ・・」
意識が薄れていく。
<<YOU GOT "EDM Master" Abillity.>>
そんな、SIRIみたいな機械音声が脳内に流れた瞬間、僕は意識を失った。
Liu - Groove
https://m.youtube.com/watch?v=4GdWX_bFfdM
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