プリキュアオールスターズ ~観永遠~ (天爛 大輪愛)
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プロローグ ~過去と未来が交差するとき~

 
 う、うわぁぁぁぁ!
 ついに、物語が始まっちゃったぁぁぁぁ……!

 コロナで鬱々としているときに、お布団の中でアレヤコレヤと空想して設定を固め、あらすじをプロローグからエピローグまで練ること1週間半、メインのキャラクターデザインを描き起こすこと3日、細かい修正などに数日……!
 まさか、みなとちゃんたちが皆さんのお目にかかる日がこようとは!

 私、ヒジョーに緊張しております!
 時々、更新ペースが落ちることもございますが、長い目でお付き合いくださいませ!

 感想、お待ちしております!
 


 それは、ずっとずっと小さいころのことだった。

 

 

 お母さんが、何かを懐かしむような目で、ガラケー――ずっと前に流行(はや)った携帯電話のこと――みたいな物に優しく指を触れていた。

 

「おかーさん……?」

 

 ためらいがちに声をかけると、お母さんは私に顔を向ける――そして、目がはっきりと合ったその一瞬、お母さんの瞳に、かすかに哀しみの色が宿った。

 そのときの私の気持ちには、見てはいけないものを見てしまったという、焦りと混乱が浮かんでいたような気がする。

 

 そして、その心境がダイレクトに表情にでていたのだと思う。

 お母さんは、次に私と目が合ったときには、先ほどのことを取り繕うかのように、ややぎこちないながらも優しい笑顔をしていた。

 その笑顔のまま、お母さんは私にエプロンを渡し、キッチンへと誘ってくれた。

 

 ふたりで、簡単なクッキーを作った。

 

 だけど、その時のお母さんは妙にせわしなく、ボウルに小麦粉をあけるときには粉が4分の1くらいはみ出してこぼれたり、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ところを、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()てしまったりしていた。

 

 なんだかんだあって、焼きあがったクッキー。

 私もお母さんも大好きなチョコレートを混ぜ込んだ、一応自信作……のはずだったんだけど。

 

「「しょっぱ!?」」

 

「おしお()、ちょっと()れすぎちゃった……」

 

「あははは、そうだねぇ。 ……どうする?」

 

()べる」

 

「うーん、聞くまでも無くそうするしかないよね……まぁ、食べられない味じゃないしね?」

 

「うんっ」

 

 そして、ふたりで「しょっぱいしょっぱい」と笑いあいながら、数日にわけて完食した。

 

 あの塩味は、あの日の私には、この家のどこかにある悲しさのような気がしてならなかった。

 それを知りたかった……だから私はやや意固地になってでも食べたのだと思う。

 

 

 それでも、知ることは――当然、できなかった。

 

 別の日、いけないとはわかっていながらも、こっそりお母さんの部屋に忍び込んだ。

 お母さんは何か重大なことを隠している、それも、私に大きくかかわりのあることを――そんな予感が、私を突き動かしていた。

 

 物をずらさないように気をつけながら、あちこちと見回してみると、ベッドの横の写真立てに、ふと視線が吸い寄せられた。

 

「……?」

 

 そこには……若かりし日のお母さんと、お母さんによく顔が似ている女の子が、雪原で仲良く並んでいる写真があった。

 

 

 ――あれ以来、お母さんはあの瞳の色を、少なくとも私の前では見せていない。

 

 

 

 

 

 胸のわずかなもやもやをフラッシュバックさせながら、私は今日も夢を見ている――

 

 

 




 
 さて、プロローグ、どうでした?
 ……って言っても、これだけじゃあ判断しようがないですよね……。

 それはそうと、実は、この作品のタイトル『プリキュアオールスターズ ~観永遠~』には、ちょっとした小ネタを入れているのでございます!
 物語の、かーなーり後(もしかしたら、みなとちゃんが3年生になってからの「第2部」になるかもしれない)のほうで答え合わせをする予定ですので、特に期待せずにお待ちをば……!

 さぁ、第1話、近日公開予定です!
 みなとちゃんの激動の人生の始まり、どうぞお見届けくださいませ!
 


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第1部:プリキュア、万時に駆ける
第1話:私が変身!? ありえない!


 

【OPフル(自作歌詞)】

明日に笑って! キュアキュアプリティ・トラベラーズ!
心から輝け! Ready? Go!

(AllStars! History Tunization!)

アルバムの扉開いたら もうそこは タイムスリップ・トゥ・パスト! 超えてひとつになるの
知らない出会いが君の中 教えて リンク・ビヨンド・ザ・ギャップ! 未知はこれから通る道

ひとりだけど いつもひとりじゃなかった 時を束ね再走(リ・ダッシュ)

私のチカラぶつけ 涙に光あてるの 虹をわたり 君を抱きしめたい!
永遠を観る少女 私はそれだけじゃない もっとここに 確かな意味ある

すぐそばに(Pretty!) いる(Cure!)
伝説。 読み解き、つむぐよ――プリキュア オールスターズ

※ 聞こえる? 心が躍るよ          ※
※ Shining Stars……! Shining All……!  ※
※                      ※
※         Say!          ※
※                      ※
※ 「光の使者!」              ※
※ 「輝く金の花!」             ※
※ 「大いなる 希望の力!」         ※
※ 「もぎたてフレッシュ!」         ※
※ 「大地に咲く 一輪の花!」        ※
※ 「爪弾くは 荒ぶる調べ!」        ※
※ 「キラキラ輝く 未来の光!」       ※
※ 「みなぎる愛!」             ※
※ 「世界に広がるビッグな愛!」       ※
※ 「咲き誇る 花のプリンセス!」      ※
※ 「ふたりの奇跡!」            ※
※ 「元気と笑顔を レッツ・ラ・まぜまぜ!」 ※
※ 「みんなを応援! 元気のプリキュア!」  ※
※ 「宇宙(そら)に輝く キラキラ星!」       ※
※ 「重なるふたつの花!」          ※
※ 「ときめく常夏!」            ※
※ 「あつあつごはんで、みなぎるパワー!」  ※
※ 「無限にひろがる青い空!」        ※
※                     ※
※ 「世界を染める 一輪の花!」       ※
※ 「万時(ばんじ)の調律者!」            ※

集合!! 心に輝きを!
落ち込んでも 前向いて立ち上がれた 未来をつくろう!

私の後ろ見れば 巡りめぐるヒストリー 勇気を手にできることしたい!
ゆるぎない過去つなぎ 一瞬の現在(いま)を歩み 闇にだって 絶対負けない!

もっともっと(Cure) 明日を(Cure) よくしたい(Pretty Travelers!)
ずっとずっと(Tuner) みんなで(of the) 希望伝え!(All Legends!)

   Ready……? ()くよ!!

すぐそばに(Pretty!) いる(Cure!)
伝説。 読み解き、つむぐよ――プリキュア オールスターズ

    To be continued!!!!


_____________________


 タイトルからもう初代オマージュで……うん。

 もう少し華やかなサブタイにする予定(『ありえな~い! 万時のプリキュア・キュアアデッソ誕生!』みたいな)だったのですが……ここは色々立ち返って。


 プロローグから伏線バンバンの拙作ですが……満を持して物語は始動っ!
 これからは、伏線を張って、回収して、張って張って、回収して、張って張って張って――張ってばっかりやないかい!!
 ……スミマセン。

あと、地味に一部のあらすじで嘘予告をしてて……そこも、すみません。
当初のプロットから、少々変わったもので……



 さぁ、普通の女の子が、どのようにして『万時(ばんじ)の調律者』へと覚醒することになったのか。
 そして、これから彼女の人生はどう動いていくのか――



???「待って待って! 私だっているよっ!」

 んっ?

???「忘れたら、まじょくば(マジ億倍)堪忍袋の緒が――うぶっ!?」

  ?「ちょっと……は、早いってば……!」

???「もぉ────っ!! 出たい出たい出たいのにぃ──────っ!!!!」


 そうそう、チラッとお目見えしたこの少女(たち)。
 この子の半生も、描いていきますよ――






 さぁ、皆様、お待たせしました!!
 いよいよ始まりますよ…………!



  では――――Let's! プリ(Pre)キュオール(Cure-All)タイム(Time)!!



 


 

 

 ピピピピ……と、スマホのアラームの音が、私――藤村(ふじむら) みなと――の部屋に鳴り響いた。

 

「ぅ、んむぅ……」

 

 ゆっくり体を起こして伸びをすると、壁にかけてある日めくりカレンダーが目に入る。

 

「そっか! 今日から私、2年生だ!」

 

 跳ねるような勢いでベッドから降り、私の通う中学校――サンクルミエール学園――の制服に袖を通す。

 えへへ、新学年だから胸のバッジの色も変わったんだよねー♪

 

 窓から差し込む、のどかな春の光に身を包まれながら、姿鏡の前でくるりと回転して――ふ、と思い出した。

 

「そーだ!」

 

 お母さん、起こさなきゃ。

 

 

 

**********

 

 

――万時(ばんじ)()

 

 

「……してやられましたね。 まさか、『時流(じりゅう)黄泉(よみ)』を迷わずに攻めてくるとは……」

 

 この『万時の間』の管理責任者・アカシア様が、悔しさをにじませてつぶやいた。

 

 時空という概念において絶対聖域とも言える位置づけになっていた……はずのこの空間は、見渡す限りの焼け野原となり果てていて、いわゆる『戦後』のような凄惨さと虚無感が嫌でも心に焼き付いていく。

 

「ウォッチ」

 

 呆然としていると、緊迫した声で名前を呼ばれ、現実に意識を引き戻される。

 ハッとして顔を上げると、アカシア様は何かを託すような――そんな目で見つめ返した。

 

 いやな……予感がした。

 

()を取り巻いていた円環的な時間概念が無理やり捻じ曲げられてしまいました。あとは崩壊あるのみ……まもなく終焉を迎えるでしょう、ここも――私も、もれなく」

 

 無意識に、息をのんだ。

 勿論、これでもアカシア様の側近ではあるから、頭では、間とアカシア様の切っても切れない関係は、わかっていた。

 わかっていたけど………………!

 

「しかし、このままではすべての時間が彼らに侵されてしまう……許されることではありません。ですから、時流の黄泉を超えていく力を持つウォッチだけでも逃げて助けを求め――」

 

「ダメですタム!」

 

 反射的に、拒否していた。

 

「ウォッチはアカシア様と最期まで一緒にいますタム……いたいですタム…………!」

 

 これだって、アカシア様が正しいことは、わかっている。

 だけど、それでも、わがままだってわかってても、ウォッチは――――

 

「ウォッチ」

 

 再び、名前を呼ばれる。

 だけど今度は、ウォッチを諭すような、揺るがない強さを持つ声だった。 いつも聞く、その声。 だけど――どこかが、確実に違った。

 

 ――微かに、震えていた。

 

「! ……」

 

 アカシア様は、泣いている。

 (しず)かに涙を、流している。

 

「間の民は、いかなる場合でも、過去と未来と現在、すべての歴史を守らねばなりません。私は、あなたを信じて頼んでいるのです」

 

 アカシア様は言葉を継いでいく。

 

「あなたには、力があります。時を超える力、そして、『伝説の戦士・プリキュア』を目覚めさせる力――――」

 

「ぁ……」

 

「彼らが何を目的にここを壊したのかはわかりません。それでも、立ち向かうことはできます。プリキュアとともに、歴史を正していってください。」

 

「あの……」

 

「反論は許しません。 これは……命令ですっ!!」

 

「お忘れですタム? アカシア様!!」

 

 いつにない強い口調で、なおも意見するウォッチに、アカシア様は目を白黒させる。

 

 

「ウォッチには、もうひとつ力があるタム!」

 

「! ……不安定な存在を固定化する力のことですか? 危険です、今まで使ったことも訓練したこともないのに、間をもう一度固定など……!」

 

「違いますタム! 固定化するのは――あなたタム!」

 

 えっ――とアカシア様は面食らった様子だ。

 

「アカシア様をウォッチの中に固定して、黄泉を渡りますタム!それくらいなら、初めてでもできるでしょ!?」

 

 それに、やっぱり――――

 

「ウォッチはアカシア様が大好きですタム、簡単には見放しませんタムっ!」

 

「ウォッチ……!」

 

 

 短い間考えたのち、アカシア様は、きっぱりと言った。

 

「わかりました、ありがとうウォッチ――行きましょう」

 

「タムっ……!」

 

 早速、心に力を込めて、アカシア様の魂をウォッチの肉体に固定させていく。なれないことをするのはキツいけど――アカシア様はウォッチを信じてくれている。信頼されている分、頑張らなければ……!!

 

 

 プリキュアの可能性を持つ誰かさん、待ってて――――――

 

 

 

 

**********

 

 

 

「うぇえ……おはよう……みなと、サンキュ……」

 

 半分寝ぼけ顔のお母さんが、エプロンを身に着けて朝ごはんを作り始める。

 こうやって、()()()寝過ごしかけているお母さんを起こすのが私の役目……だけど、お母さんは別段朝に弱いわけじゃなくて、保育士さんのお仕事の関係で夜遅いだけ。

 あっ、余談だけど、知り合いにひとり、低血糖で朝弱い人がいてね――武術の習い事の師匠・ふたばお姉さんのお姉ちゃんなんだけど……

 

「みなとー、後ろー」

 

 急に、キッチンからお母さんが声をかけてきた。

 よく『Prezon Prime』とかで その手のお笑い番組を見たりするから 私にはわかるけど、実際は私のお母さんやおばあちゃんの世代のネタ。 つまるところジェネレーションギャ……そんなこと言ったら、お母さんが「おばさん扱いするな」って途端に不機嫌になっちゃうからやめとくけど。

 

 閑話休題(話を戻して)

 びっくりしてお母さんのほうを見ると、驚いているのか笑いをこらえているのかわからない顔をしている。

 

「後ろ……寝癖がすっごいことになってるよ……」

 

 ますます、美人台無しのすごい顔芸を見せながら、震え声で私を指差すお母さん。

 

「えぇっ!? ありえなーい! 新学期なのに!!」

 

「早く、んっふ……直してきたら……?」

 

「そーするっ! っていうか笑うな!」

 

 ごめんごめん、という声と、その直後に響き渡る大きな笑い声を背中に受けつつ、私はむくれ顔で洗面台に向かう。

 

 実は、私のお父さん(超イケメン!)は有名なサッカー選手で、この一戸建てのおウチもとっても大きいし、広い庭の隣に更に広い私有のサッカーグラウンドがあったりとか、一般的に考えれば、私ってわりとお嬢様……のはずなんだけど、私にはそんな自覚は皆無。

 それよりも、お父さんが遠征試合でよく家を空けるのが、ちょっと寂しいかな……。

 

 ちなみに、お母さんが働いている理由は、単なるお小遣い稼ぎとか、お父さんの誕生日プレゼント用とか、そんな感じ。

 お母さん曰く、もう大人なんだから、人に何かプレゼントするときに、他人の稼いだお金を使うのはなんだか違う気がするんだって。お父さんへのプレゼントの場合はもってのほか、だとも。

 

 普段はお母さんとは、『お母さん』というよりかは『気が置けない親友』って感覚で接しているけど――話のノリが同い年の子みたいなんだもん――時々そういう責任感のあるところを見たとき、やっぱり『お母さん』なんだなって、頼もしく思う。

 私の自慢のお母さんなんだよ♪

 

「って、うわぁ……ひっどい寝癖、そりゃ笑うよねぇ……さっき鏡で見たとき、なんで気づかなかったんだろ……」

 

 急いで水とドライヤーを使って、明るい茶色の髪の毛をショートボブに整えていく――うん、バッチリ!

 

「みなとー! 朝ごはんできたよー!」

 

「はいはーい!」

 

 今日もすごくおいしそう。

 元々、料理は全く出来なかったみたいなんだけど――お母さんの親友さんと、私のおばあちゃんの指導のもと、花嫁修業を頑張って、ここまで上達したんだって。すごいなぁ。

 

「いただきまーす!」

 

 …………。

 

「ご馳走様でしたー!」

 

「人のこと言えないけど、はっや! ……いや、いつになく早くない?」

 

「だっておいしいし、新学期だし」

 

 お皿をさげた後、リビングに戻って、ワクワクが溢れるあまりその場でスキップする……そんな私をお母さんはジト目で見てくる。

 

「ちょーしに乗ってると絶対なんかやらかすわよ」

 

「むっ、なんでそんなこと言えるのよ」

 

 『絶対』という言葉の間に『っ』を5個ぐらい挟んできた。

 全()()()()()然、面白くない。

 

 そんなことを思っていたら、ドヤ顔気味で答えてくる。

 

母娘(おやこ)だからね?」

 

「はぁ? 別にそんなところまでは似てませ――んわっ!?」

 

 お母さんの予言(?)どおり、見事に足を滑らせて前のめりに倒れ掛かる私。

 

「危ない!」

 

 板張りの床にしたたかに顔面を打ち付けちゃう――数瞬間後に襲ってくるであろう痛みを思って覚悟を決めていたら、すばやくお母さんが体を支えてくれた。

 

「やると思ってた……」

 

 表情も声もあきれ返っているお母さんを見て、すっかりしょげこむ。

 

「うぅ、返す言葉もございません、ありがとう……」

 

 そんな私に、お母さんは苦笑いしている。

 

「やっぱりそっくりね」

 

「……だねっ」

 

 しばらくの間、リビングには私たちの笑い声が響いた。

 

 

 

**********

 

 

「……あぁーっ! 反応ありタム!」

 

 ウォッチの力によって無事に迷うことなく『時流(じりゅう)の黄泉』を抜け、『伝説の戦士・プリキュア』の適合者がいないか歴史を飛び巡りながら探していたところ、その存在を示す波動みたいなのがウォッチの本能(カン)にビビッ!と来た。

 

<でかしましたね、ウォッチ! いつの時代です?>

 

 心の中からアカシア様の声が響いてくる。

 自分でやっておいてなんだけども、やっぱり、憧れのその人が自分の中に入っているなんて、何とも不思議で、今でも夢を見ているかのような気持ちだ――――さっきの『万時(ばんじ)()』の崩壊のことも含めて……。

 

「はいっ、20XX年――ついでに言うと、日本国というところですタム!」

 

 そんな渦巻く暗い気持ちを隠すように、努めて明るい声で答えた。

 

<ウォッチ……>

 

 それなのに、アカシア様は急に悲しそうな声をなさる。

 どうしてだろうと考え始める間もなく、その結論にたどり着く。

 

 ――そっか、今のウォッチの心は、ウォッチとアカシア様、ふたりでひとつ……全部筒抜けなんだタム……。

 

<……全くその通りです。 ――ですがウォッチ、裏を返せばいつでも私がいるわけです……あなたを独りにさせません。 今は未来を向いて必ず使命を果たしましょう>

 

「! ……了解タムっ!」

 

 

 つながりあったウォッチとアカシア様の思いは、どこかちょっぴり切なくて。

 

 それでも、とってもあったかかった――――――

 

 

 

 

 

**********

 

 

 

 ひとしきり大笑いしたあと――朝の6時前くらいに――お母さんは身だしなみを整えて、とっとと保育園に働きに行ってしまった。

 

 そう、藤村家はとっても早起き。

 お母さんは単純に子供たちの受け入れの準備があるので早めに……今日はこれでもかなり遅めなほうではあるんだけど、起きているだけ。

 私は、朝ご飯は出来たてがいいっていうのと(私は全然、料理ができない)、さっきも言った通り、万が一――いや、千が……十が一にも、お母さんが結構ひっどい寝相でグースカ寝坊してたらキチンと起こさなきゃいけない、っていう理由がある(あと、この時間に起きたら絶対遅刻しないしね)。

 

 ……えーっと、この際だから、娘の気遣い ――もとい、建前を取っ払って言うけど、お母さん、結構、寝坊します。

 学生時代は遅刻魔だったなんて話は聞かないし、部活の朝練もあっただろうから、昔はわりとキチンと起きていたんだろうけど。

 社会人になってからは『遅寝・早起き』の短時間睡眠生活が祟っちゃったらしく、私が目覚まし時計をしないと、お母さんは週に1、2度は遅刻してる……と思う。 お仕事クビだね。

 

 でも、こんな風に少々イケないところがあるからといって、お母さんのことを嫌いになるわけじゃない。むしろ、何かしらの欠点があるほうが、私は好き。

 家族だけじゃなくて、だれと接するにしても、相手の長所や短所を見つけていくたびに、距離が近くなれたような気がして、良いと思う。って、エラソーに言っておきながら、私自身には、積極的に相手を知りに行く勇気はあんまり出ないんだよね。*1

 特にお母さんが相手の時は、親友ともっと仲良くなった時のような感覚になるし、可愛く思えてくる――『可愛い』とは言っても、顔はどちらかと言うとキリっとしてて「かっこかわいい」ならぬ「かっこ美しい」って感じなんだけど……。

 

 

 ……まぁ、それは今はどーでもいいや。ゆっくりしていたらもう7時前、学校に行かなきゃいけないしね。

 

 通学カバンを手にさげつつ、近くのカーテンを少しめくってみると、家の近所にある中高一貫校・ベローネ学園の制服を着た人たちがまばらに歩いている様子が見える。運動部の朝練の人たちだ。

 

 さっき言った通り、私は別の町にあるサンクルミエールの生徒なんだけど、実をいうと、お母さんはベローネ(ここ)のOG。中高と、1・2年の時はラクロス部のエース、3年の時はキャプテンを務めていて、高校生の時は全国で相当いいところまで行ったんだとか。

 それならそのままプロの選手になればよかったのになーって思ったりはしなくもない。ぶっちゃけ、する。うーん、今度わけを聞いてみようかな。

 

 ひとりでぐるぐると考えながら、玄関を出て鍵をしっかりかける。

 

「行ってきまーす」

 

 誰が答えてくれるというわけでもないけど、私はそう言って、駅へと駆け出した。

 

 

 

 ――学校の最寄り駅で降りて。

 春休みを挟んだ、しばらくぶりの西欧風の街並みに、私は改めて感動を覚える。

 少し歩いたらスクールバスの停留所があるので向かっていると、背後から聞きなれた叫び声が近づいてくる。

 

「うわぁぁぁぁぁぁあっ!? 職朝に遅れちゃうよーぅ!」

 

「のぞみ先生!?」

 

「みなとちゃ……藤村さん!」

 

 この人は、小々田(ここだ)のぞみ先生。昨年度は私の担任の先生兼国語の先生だった。

 昔は先生の旦那さんもここに勤めていらっしゃったようで、古株の教員の方々が下の名前で呼び分けていたのを聞いて、私たちも『のぞみ先生』と呼ぶようになった。今年からは、娘さんの『まもるちゃん』も中学入試を上位で突破して入学するらしく、とても楽しみにしている。

 そんなのぞみ先生だけど、私のお母さんとは中学生時代からの友達らしくて、今も家族ぐるみでお付き合いをしている。さっき「みなとちゃん」と呼ばれかけたのはそれが原因。

 

 ところでこの時刻、8時前は生徒にとっては早いほうだけれど、先生からしたら職員朝会にはギリギリ……っていうかそれ以前に、通常の先生の出勤時刻から考えて、大遅刻。

 先生はサンクのOGなんだけど、どうやら在校生時代から、なかなかの遅刻魔だったらしく、その癖は先生になってからもあまり改善していない。

 ……普段は授業もわかりやすくて、不測の事態にも強いし、最高に頼りがいのある先生なんだけどね。

 

「ま、また朝寝坊なんですね……」

 

 並んで小走りしつつ話していると、先生が目をうるうるさせる。

 

「うぅー、新年度早々なんて、情けない限りだよ……今朝も、まもるに起こされちゃったし」

 

「あぁ、私も今朝お母さん起こしましたけど……」

 

「でも私と違って遅刻じゃないでしょ?」

 

 

 ――お母様!それでは教師としての示しがつきませんわ!その辺もっと、しっかりしてくださいませ!

 

 

 まもるちゃんには、こう、お小言を言われたのだそう。

 あぁー、それはヘコむなぁ……。

 

 でも、まもるちゃんも寝坊の多い子だったような……。

 

「なんかあの子、入学式は午後からなのに、こういう日だから張り切っちゃったみたいでね……」

 

「あ、すっごくありえそう――――」

 

 話し込んでいると、遠くから重いエンジン音が聞こえてきた。

 

「――_バス、来ましたね」

 

 ……………。

 

「あっ、のぞみ先生!」

 

 バスの前扉が開き、初老の男性運転手さんが声をかける。

 

「まぁた遅刻しかけてるのかい、変わんないねぇ? 乗せてってやろうか」

 

「そ、そんな、流石に悪いですよぅ……」

 

 のぞみ先生は顔の前で手をブンブンと横に振り、激しく遠慮する。

 

「今日、新学期なんだろう? みんなに迷惑かけるほうが私は良くないと思うがね、ホレホレ」

 

 苦笑しながらなおも親切に提案してくださる運転手さんに、のぞみ先生は「じゃあ……」と恥ずかしげに乗車した。

 

 

 

**********

 

 

 ――2年1組教室

 

 

「おはよーございますっ!」

 

 今年度の担任も、のぞみ先生だった。

 

「2年1組の担任と、2年生の国語、3年生と高校1年生の国総古文を担当します! 小々田のぞみでーす! みんな、よろしくね!」

 

 はーい、と、私たち生徒から元気のいい返事があがる。

 

 お母さんにしろ、のぞみ先生にしろ、親しみやすいタイプの大人に囲まれて、私ってありえないくらい幸せなんじゃないか……って、こういうときに思ったりする。

 なーんて、自分でもハズカシイこと言っちゃったかも……?

 

 

「藤村さん、よろしくね♪」

 

「あっ、秋元さんっ、うん! よろしく!」

 

 左隣の席の秋元さんが話しかけてきた。 おっとりしているようで、趣味のケータイ小説のための題材探しに関してはスッゴク大胆なんだ。 あと、羊羹への執着が異様にすごくて……とっても面白い子!

 秋元さんの他にも、今まで仲良くしてきた子たちがたくさんいる。 朝会の前も、廊下に20人弱くらいで集まって色々おしゃべりした。 もちろん、あんまり知らない子もいるから、今度話しかけてみたいな……あくまで、願望の範疇なんだけどね。

 

 

「それじゃあ、健康調査をしてから、講堂に行きます! ファイルを……はい、回してね~♪」

 

 前の席から回ってくるファイルから調査カードを取り出し、書き終えた後は戻しつつ、これから2年生として送る1年間に期待を膨らませた。

 私たちはもう、1年生じゃない。 先輩なんだ。

 そりゃあ、陽子(同級生)に 廃部の危機だったから仕方ないとはいえ 押し切られて入った放送部では、早々に幽霊部員化しちゃって、部活で大活躍!は今更ムリってわかってるんだけどさ。

 それでも、何か新しい、充実した日々を過ごしてみたい。

 

「みぃなぁとぉーっ、なぁにボーッとしてんのよー?」

 

「えっ……ありえな~い! もうみんな行ってんの!? エリ(同級生)、ありがとう!」

 

 早くしなきゃ、始業式始まっちゃう~!

 ……ってことで、ちょっと行ってくる! いっそげ、急げ~~~っ!!

 

 

 

**********

 

 

 ――藤村家・門扉前

 

 

「ウォッチたちの記憶がただしければ、素質を持つ彼女の母親もプリキュアだったはずタム、きっと理解してくれるはず……」

 

<はい、今の時刻なら、例の彼女はいません。 行きましょう!>

 

 ウォッチはパタパタとホバリングしながら頷き、インターホンへと飛んでいって押した。

 

 ――ピィンポ~ン、ピィンポ~ン……♪

 

<で、でませんね……>

 

「困ったタム……彼女を危険なことに巻き込む前に、断りを入れておきたかったのに……」

 

<はい。 しかも、こちらの事情は、おいそれと一般の人に話せませんし、そもそもウォッチの姿で話しかけたら――どう手がかりをつかめばいいのやら……>

 

 アカシア様の悔しい気持ちが、ウォッチの中にも広がっていく。

 

<私……私も、黄泉を渡る能力を持っていたなら…………!!>

 

 ――その時。

 

「!? ……」

 

 ウォッチの体を眩いばかりの光が包み込み――

 

「こ、これは……!」

 

<どういうことですタム~!?>

 

 次の瞬間には、ウォッチが逆にアカシア様の中に入っていた!

 

<それにしても、翔んでいなくてもこんなに視点が高いなんて……不思議タム>

 

「元の身体に戻るのは、久しぶりな気がします……! ところで、もう一度逆転できるんですかね?」

 

<やってみましょうタム!>

 

 ※できた。

 

「これは便利ですねっ! この姿なら、探索の自由がもっとききそうです!」

 

<いやぁ、そのお姿は……>

 

「? ……」

 

<な、何でもないですタム……>

 

 はっきり言うのが申し訳なさすぎて、結局ごまかしてしまったウォッチ。

 ――言えばよかったと後悔するのは、しばらく歩いたあとのことで……

 

「キミ、そんなボロボロな服でどうしたんだい? お兄さんに言ってみなさい」

 

「<!! ……>」

 

 け、警察──────っ!!!!

 

ア、アカシア様……!

えぇ、逃げましょう……!

「ん? どうし――あっ!!」

 

「<スータコーラサッサ……!>」

「ま、待ちなさいっ!!」

 

 すっごく人のよさそうな巡査さんだったけど、話につかまれば、いよいよもって何もできない……!!

 ごめんなさ~い!!

 

 

 ――裏路地に紛れ込んでしばらくしたところで、姿をウォッチに変えて、息を切らしながら話した。

 ……表に人格が出てない状態でも、疲れるんだ……。

 

<そ、そうでしたぁ~……あの攻め落としで、私の服、端が焼け焦げたまま替えてませんでした……>

 

「さっき、言わなくてすみませんタム……」

 

<流石に、遠慮せずに言っていただきたかったですよぉ……>

 

「そうでしたタム……でも、元のお姿に戻られたアカシア様の嬉しい気持ちが伝わってきて、つい……」

 

<……そうでした、ね。 すみません……>

 

 文字通りの()()()()って、便利なようで、実は不便だったりする……。

 

「あれっ、ウォッチ!? どうしたの……!?」

 

 ふたりでため息をついていると、優しげなソプラノボイスが背後からした。

 なんで名前を知っているのだろう? ここはどう切り抜ければいいものか、迷っていると。

 

「私のことを知らないみたい……まさか、このウォッチは――ウォッチ、大丈夫。 私は、元・シャイニールミナス……プリキュアの仲間よ。」

 

「シャイニールミナス……! まさか、九条ひかりさんですタム!?」

 

「えぇ。 私、そこのTAKOCAFE2号店の店長なの。 奥で話しましょう」

 

 ウォッチたちは、ひかりさんに連れられ、近くのオープンカーに入った。

 ひかりさんが、『準備中』と書かれた看板をカウンターに置く。

 

 お店の営業にご迷惑をかけてもいけないので、ウォッチはアカシア様と代わる代わる、用件を手短に話した。

 

「なるほど……わかった。 あなたたちの探している人は、保育園で働いているの。 今は子供たちはお昼寝だろうから――今から連絡をとれるはず」

 

「ありがとうございますタム!」

<是非、お願いします!>

 

 ひかりさんはスマホを取り出し、例の彼女の母親に連絡をする。

 

「あっ、もしもし? すみません、お忙しかったですか? あ、ありがとうございます! あの……今、ウォッチとアカシアさんが来ていて……はい、そっちの方じゃありません」

 

 すると、ひかりさんは、スマホをスピーカーモードにし、その人の声がウォッチたちにも聞こえるようにした。

 

『ありがとう、ひかり――ウォッチ、アカシアさん、聞こえる?』

 

「<はい>」

 

『うん、OK――このままだと全ての時間が大変になる……それは、みなとの力がないと防げない、ただし危険なことに巻き込むことになるから、あたしの確認をとりたい――そうだよね?』

 

<あってます>

 

『それってさ……あたしの許可どうこうの話じゃないと思う』

 

 ウォッチもアカシア様も、この人の真意がつかみかねた。

 

『正直言って――プリキュアやることの大変さは、当事者だったあたしたちがよくわかってる。 大事な娘に、そんな目にはなるべく遭わせたくない』

 

「あっ……」

 

 そうに、決まっていた。 我が子が危ないことにさらされるなんて、元プリキュアじゃなくても絶対嫌なはず――馬鹿なことをやってしまった。

 

『でも、みなとが心の底から、あなたたちに協力したい……そう思うなら話は別だよ』

 

「<! ……>」

 

『プリキュアになるかならないか――その全決定権は、みなとにある。 あたしに気を遣ってくれなくて大丈夫だから、みなとの意志を尊重してあげて』

 

 伝わらないとはわかっていても、ウォッチたちはスマホの向こうの相手に、しっかりうなずいた。

 

『あたしからは、それだけ。 ふたりとも、健闘を祈ってるよ――ひかり、ありがとうね』

 

「いえ、こちらこそ!」

 

 こうして通話は切れた――けど、その人の言葉は、ずしり。 と、二人分の心に響いた。

 

 

 

「ウォッチ、アカシアさん……」

 

 ひかりさんが、ウォッチに目線を合わせて問いかける。

 

「これから、どうするの?」

 

 ウォッチとアカシア様に、迷いはない。

 

「ウォッチは……これから、会いに行きますタム」

<私もです。 みなとさんに会って、誠意を持ってお願いします>

 

「そう――ねぇ、ふたりとも、お腹空いてない?」

 

「<…………>」

 

 言われてみれば……。 さっきも巡査さんに追いかけられて全力疾走したし(アカシア様の身体で)

 

「ふふふ♪ それじゃあ、たこ焼きを食べていかない? ――まだまだ本家には及ばないけど、アカネさんのお墨付きだからおいしいと思うよ♪」

 

 ご好意を断るのも悪い気がして……本音を言うと、お腹ぺっこぺこなので、お言葉に甘えることにした。

 

「<いただきます>タム」

 

「まいどありっ――なんてね……♪」

 

 冗談めかしたセリフの後、目の前でたこ焼きを焼く実演がはじまる。 とてもリズミカルで、惹き込まれ、見ていて楽しい。

 技術に圧倒され、ウォッチたちは無言で眺めていた。 動きに無駄がない。 これ自体が何かの芸術のような気さえしてくる。

 

 そうこうしているうちに、たこ焼きが10個ずつ行儀よく木船のような容器に並べられ、鼻腔を刺激するソースの香りと鰹節の香ばしさとともにテーブルに運ばれてきた。

 

「<おぉーっ!!>」

 

「うふふ、召し上がれ?」

 

「<いただきます!>タム!」

 

 爪楊枝は2本ついていたけど、そもそもたこ焼きを食べることが初めてなので、1本だけ手にとって食べることにした。

 それと――ウォッチの鳥型の姿じゃ、とてもじゃないけど上手く食べられたものではないため、アカシア様のお姿にシフトした。

 

 右上の端っこの1個に軽く突き刺すと、表面にややクリスピーな手ごたえがあった。初体験の連続に、驚きと高まる期待を覚える。

 そのまま持ち上げてみると、ゆらりと揺れるかつぶしとソースのにおいが強まり、口につばきがにじんでくる。きれいな焼き色で、もう見るだけでおいしい。

 

 観察が終わると、口に持っていき、ふーふーと小さく息を吹きかけ、大きな球形の半分を口に入れる。

 カリッ――という食感がしたのは一瞬。その直後、とろりと熱い生地が口腔に広がり、たこのくにゅりとした食感が踊る。

 

「<~~~~っ♪>」

 

 お、美味しい~~~っ!!

 

「よかった。 これで少しでも、元気を出してくれたら嬉しいな……」

 

 事情を説明してくれるとき、ふたりとも、深い悲しみの色を帯びていたから――そんなこと言う ひかりさんも、どこか悲しそうに見えて――――ううん、それは気のせいだったかも。

 

<元気満タンですタム~!>

 

「はいっ、ありがとうございました、頑張ります!」

 

 

 ウォッチたちは、食後の幸せに包まれながら、意気揚々とTAKOCAFEを後にした。

 

 ご飯の力って――すごい。

 

 

 

**********

 

 

 ――若葉台駅前

 

「みなと~っ! やっほ~!」

 

「あっ、か、神澄(かすみ)くん……! やっほ……!」

 

 改札口を出ると――ぼっちゃん刈りの黒髪で、温厚そうなたれ目、そして可愛らしい童顔、やや ぶかぶかのベローネの制服を着た男の子――幼馴染の、哀見(あいみ) 神澄(かすみ)くんが、いつものように私を待ってくれていた。

 神澄くんは、近所に住んでいるんだけど、実は『ぴかりが丘』ってとこにある神社の、跡取り息子。 すごいよねぇ……。

 

 幼馴染――の、わりには、私の反応が変だったと思うんだけど……えぇ~っ、コレ、言わなきゃダメ?

 えっと……うん、実は、実はね。 私、1年前あたりから、神澄くんのことが――――

 

 あ~ん、やっぱムリムリっ!! 絶対言えないっ……!

 

 は、恥ずかしすぎて、ゆだっちゃいそう……!

 ――うん、自分でも思うよ……? 私って、ありえないくらいヘタレ……。 うぅぅ……。

 

 

「そうだ、今日 調理実習でパンケーキとコンソメスープ作ったんだ!」

 

「へ、へぇ……! そーなんだね! いいなぁ~」

 

 でしょ? と神澄くんが微笑む。 うぅっ、眩しい、かっこかわいい……

 

「私はねぇ~、あっ、そうだ! 今日、百人一首をちょこっと習ったんだけどね? のぞみ先生、なんでもスラスラって書けちゃうんだよ!」

 

 私が、小野なんとかさんって人の「花の色は 移りにけりな……」って句を言いかけるんだけど。

 

「あ、あれ……何だっけ……」

「――いたづらに わがみよにふる ながめせしまに」

 

「! ……おぉ~っ!!」

 

 賢い……頭の出来が平均レベルの私とは、まるで違う。

 

「いやいや……たまたま大好きな句だっただけだよ、僕も全部は覚えてない。 あと、小野小町さんね

 

「そうなんだねっ……! と、ところで、パンケーキとスープ、どうだったの?」

 

「そりゃ、美味しかったけど……あはは、やっぱり、みなとは作るより食べるほうなんだね」

 

 それは当たり前っ!

 

「私はっ、作ってるみんなを応援するだけで十分なの~! 第一、ありえないくらいセンスないし」

 

 ジャガイモむいたら、身より皮のほうがなぜか厚くなっちゃうし。

 

「それは……もったいないね……?」

 

 微妙に、反応に困られてる気がする……。

 

「でもさ、誰だって最初はできないもんだよ。 みなとのお母さんだって、見違えるほど上達したっていうし。 練習すれば出来るようになるよ」

 

 きっとね? と神澄くんは、お茶目につけくわえた。

 

「そうだ、料理といえば……近所の八百屋さん、つぶれることになって、残念だね」

 

「へっ!?」

 

 思わず、変な声が出た。

 

「な、何言ってんの? あそこの八百屋さん、こないだ宝くじ当てて、お店持ち直したでしょ?」

 

 それで、私たち、一緒に喜んだじゃない……。

 

「へ……?」

 

 今度は、神澄くんが首をかしげた。 なんで?

 

「そんなはず、ないよ。 実際、1ヵ月後に閉めるって書いてあったし……」

 

「え、だって、そんな……」

 

 おかしい。

 明らかに、おかしい……。

 私の記憶と、全然違う。

 あんなに嬉しそうにしてた店主さんの表情……間違えるはず、ないよ。

 

「ありえない……絶対ありえないよ……!」

 

「みなと……?」

 

「ちょっと見てくるっ!!」

 

 言い終わるか終わらないかのうちに、私は駆け出した。

 後ろから、慌てたように私を呼ぶ声が風に乗ってくる。

 

 あんなに神澄くんのこと……なのに、無視して、ゴメン。

 

 声の次には、遠くから足音が聞こえてきた。 そう、その音は遠く。

 絶対に、私に追いつけるはずがない。

 かつてのお母さんほどじゃないけど、私だって、速いんだから。

 

 

 

**********

 

 

「はぁっ……はぁっ……!?」

 

 いつもの八百屋さんの前。

 その半開きのくすんだガラス扉のところに、張り紙が1枚……。

 

「神澄くんの言ったこと――本当、だったんだ……」

 

 何で?

 私が、私だけが、おかしいの?

 

「でも、もし、そうじゃなかったら――」

 

 ()()()()()()()()()()()()――――

 

「そんなことって……でも、私がおかしくなってる自覚とかないし」

 

 私の立場からしたら、そうとしかありえない。

 

 

「どうなっちゃってんのよ……頭、冷やしてこなきゃ……」

 

 そう呟きながら、近くの小さな広場に向かった。

 

 

 

 ――若葉台 第3広場

 

 

「だめだ、とてもじゃないけど冷やせない……もう、頭爆発しちゃいそう……!」

 

 んむぅうぅ~っ!! と、オーバーヒート直前の私は、悶え声を上げる。

 

「やっぱり、私がおかしいのかな。 私、どうしちゃったんだろ……?」

 

 しょんぼりしながら頭を抱えた、その時。

 

 

「あぁーっ!! いましたタムーっ!」

 

<やりましたねっ!>

 

「タムっ!」

 

 私の前方20m少々に飛んでいるのは、しゃべる鳥――トキっていう鳥を可愛くデフォルメした感じ。

 そして、なぜか、鳥さんのあたりから、姿は見えないのに、綺麗な女の子の声が聞こえる。

 

 

 ――――ごめん、やっぱり、おかしくなっちゃってるのは、私の方だったみたい……。

 

 

「あなたっ、藤村みなと タムっ?」

 

 私のプチ絶望など露知らず、鳥さんは満面の笑みをたたえて話しかけてくる。 何で呼び捨てなの?

 

「あっ、うん……そうだけど。 ところで……鳥さんは何者……?」

 

 鳥型だけど、鳥じゃないタムっ! そう怒りながらも、それは丁寧に自己紹介してくれた。

 

「名前は、ウォッチ っていうタム。 すべての時を観、司る場所・万時の間 から遥々やってきた――まぁ、妖精みたいなものタム」

 

「そ、そりゃどうも……」

 

<そして、私は アカシア と申します。 元々、間の管理責任者だったのですが……間の崩壊が起こり、いろいろあって、今はウォッチとふたりでひとりになっています>

 

 本当に、何があったの……。 ――アカシアさんは、追々説明するって言ってくれた。

 

「でも、全ての時間を管理するところが無くなっちゃったら……それって、マジやばじゃない?」

 

「どう考えてもヤバいタム」

 

<えぇ――みなとさん、あなたもしかして、今すっごく困ってません?>

 

 困ってるよ。 あなたたちみたいな不思議な存在と出会ってしまったことも、ひっくるめて全部。

 ――それもそうだけど!

 

「うん……実は――」

 

 私は、八百屋さんのことを短くまとめて説明した。

 

<なるほど……既に、やられてましたか>

 

「タム――みなと、落ち着いてよく聞くタム」

 

 は、はぁ……と、よくわからないまま、ウォッチの話に耳を傾ける。

 

「今まさに、歴史の改変が起こっているタム」

 

「歴史……? 改変……?」

 

 タム。 ウォッチは頷く。

 

「そしてそれを引き起こしたのは、首領『グランソロー』率いる、『時空デストロイヤー』という組織タム」

 

<文字通り、時空をめちゃめちゃにしに来ているようですね>

 

「じゃ、じゃあ、八百屋さんが、私の記憶と違って、つぶれかけてるのも、そいつらのせい?」

 

「確実にそうタム。 どうやら、小手調べがてら、そういうことをしたらしいタム」

 

 なにそれ! そいつら、この町のお店ないがしろにするのもいい加減にしてよね!

 

<そして、ここからが本題です――>

 

 アカシアさんは、告げた。

 

<みなとさん、プリキュアに、なってくださいませんか……!?>

 

「へっ!? プリキュアって、あの、伝説の戦士の……?」

 

<はい、そのとおりです>

 

「無理無理無理無理無理無理!!!!」

 

「ど、どうしてタム?」

 

「だって……プリキュアって、戦うんでしょ? 絶対すごく痛いよね? そんなの……」

 

<ですが!!>

 

 なおも勧誘しようとするアカシアさんを止めたのは――

 

「アカシア様……待ってくださいタム」

 

<ウォッチ……!? はい、そうでしたね、すみません……>

 

 ウォッチは、しゅんとするアカシアさんに謝ってから、私の目をじっと見つめた。

 

「みなと……どうしても嫌なら、もうこの話はおしまいでいいタム」

 

 でも、とウォッチ。

 

「改変に影響されていないあなたは、この世界の特異点――だから!」

 

 ウォッチは、双眸を潤ませながら訴える。

 

「みなと、あなたが、あなただけが! 歪められた歴史を元に戻すことができるんだタムっ!」

 

 それだけは、心に留めておいてほしいタム……。 ウォッチは言った。

 

「私、だけが……」

 

 ウォッチの魂からの言葉が、私の頭の中で何度もリフレインする。

 

 

 ――ふ、と。 頬をやさしく撫で付ける風が、止まった。

 

「ぇ……?」

 

 町の喧騒が止まり、人の流れが、止まり。

 世界から色が、抜け落ちた。

 

「時間が止まったタム!」

 

<いよいよ彼らのおでまし、ですね……>

 

「えぇっ、な、何もかもありえないことだらけ……」

 

 私がまごついていると、ウォッチが聞いた。

 

「みなとは、今からどうするタム?」

 

「とりあえず――――行くだけ行ってみる!」

 

 よしきた、あっちタム! と、ウォッチは私を誘導した。

 

 

 

**********

 

 

 ――八百屋さん前

 

「やっほー♪ 君が特異点なのー?」

 

 来てみると、そこには宙に浮かぶ、お姫さまっぽいデザインのバルーンスカートを着た子がいた。

 すごくかわいいけど、女の子にしては、なんだか雰囲気に違和感がある。 もしかして――

 

「男の、子……?」

 

「えぇっ、びっくりぃ! 見抜ける人はなかなかいないよっ? すごいすごーい♪」

 

 その男の子は、ステッキをくるんっとまわして、名乗る。

 

「僕はメィ・クイーン♪ メィちゃん星の女王様だよ――ってのはじょーだんで」

 

 メィ・クイーンは挑発的な笑みを浮かべる。

 

「時空デストロイヤー3幹部のうちのひとり。 グランソロー様に仕える身だよ♪」

 

<あの人は、あぁ見えて本気を出すと手強いです、気をつけて>

 

「そーそー、強いんだよー♪ ……で、君が確かに特異点ってならさ――」

 

 メィ・クイーンは軽やかに1回転する。 腰までの長さのマントがふわりとゆれた。

 

「――あの方の命令どおり、跡形もなく、抹消しなきゃだね……♪」

 

 ぞくり、とするほどの邪悪な笑顔を私に向け、メィ・クイーンはステッキを空に掲げた。

 

 

「いでよっ! 僕の忠実なる(しもべ)、ユガメーカー!!」

 

 中空に、ストップウォッチと()の字を模したような独特な紋章が現れ、ステッキに向かって、くすんだ紫色のオーラが集まる。

 

「光も闇もない、安らかなる時空のために!!」

 

 紋章がスッと消え、代わりに禍々しい怪物――察するに、ユガメーカー――が現れた。

 

 

「ユガメーカァァァァァァァ!!!!」

 

 

 ド──ン、と地響きがなる。

 ユガメーカーは、生まれてすぐに、手当たりしだいに暴れだした。

 道路が揺れ、瓦礫が飛散していく。

 

 ――やっぱり、怖い。 体の震えが、止まらない。

 踏ん張っていないと、へたってしまいそう――

 

 でも、私の脳裏に、お母さんとの夕ご飯の風景がよみがえる。

 

 ――そうだ。 お母さん、たまねぎ嫌いだけど……ここのお店のだけは何とか……

 

 他所からみたら、ささいなことでも、私たちからしたら、とってもとっても大事な日常の一部。

 それを、崩されてなるものか……!

 

「もう、黙ってみてらんない……お母さんに、何が何でもたまねぎ食べさせるんだからねっ!!」

 

「タム……!」

 

<みなとさん……!>

 

 ユガメーカーを暴れさせながら、メィ・クイーンがせせら笑ってくる。

 なんだと思ってんの……!? 私の中で、ふつふつと怒りがわく。

 

「威勢はいいけど、ついさっきまで可哀想に震えてたよね? ふふっ、あがくなら、もっと痛い目にあわせちゃうよ♪」

 

「────っ! それが何だっ!!」

 

「――へ……?」

 

 私は、心の限り叫ぶ。

 

「あんたたちに、私たちの『いつも』をみすみす壊されるわけにはいかない!!」

 

 それに、私は今だって。

 

「歴史がどうとか、特異点がどうとか、そんな壮大な話はよくわかんない! でも!!」

 

 少しひるむメィ・クイーンを、キッと見上げる。

 

「私は、大好きなこの日常を、守りたい――――それだけよッ!!!!」

 

 

 途端。

 

「! ……」

「これは……!」

 

 私の中の何かと、ウォッチの中の何かが呼応して――――まばゆく、暖かい光を放った。

 

 

 

 …………。

 

 気づけば、私の左手首に、腕時計のようなものが巻かれていた。

 

「それは、『ティックコミューン』タム!」

 

 ウォッチが言うには、これを使ってプリキュアに変身することができるのだという。

 

「使い方は、きっと自然と頭の中に入っているはずタム! みなと、やってみるタム!」

 

「うんっ!」

 

 

 

 

 私が左腕を前に勢いよく差し出すと、コミューンのすぐ上に、アナログ時計を二つ重ねたような不思議で綺麗な紋章が浮かぶ。

 そこに右手のひらをかざし、時計回りに水平に動かすと、私は高らかに叫んだ。

 

 

「Let's! プリ・キュオール・タイム!!」

 

 

 次の瞬間には、体が4次元時空のような場所に放り出されていて、光に覆われた身体が徐々にRPGに出てくるような旅人風の衣装に変わっていく。

 

 袖の膨らんだトップスの上に、ショートのオーバーオールスカートをまとい、肩ひもの部分を脱いで腰に垂らす。

 クロスしたリボンのデザインが左サイドにほどこされた黒タイツをはき、レースが踊るブーツを身につける。

 両腕には黒いすらっとしたロングの手袋をはめて、右手にはさらにフィンガーレスのグローブが装着される。

 首に巻かれたスカーフがはためき、水滴型のイヤリングが両耳につけられる。

 

 前髪の端っこがくるんと伸び、後ろ髪の一部も伸びて、頭頂部でマゼンタのリボンにまとめられ、左に流す。 残った後ろ髪も肩に余るくらいは伸びて、前のほうに流される。

 

 最後に、胸の真ん中に大きなちょうちょ結びのリボンが飾られ、私はスピードをつけて地面におりたつ。

 

 

 そして『突き』の動作を左右交互に1度ずつして、前に突き出したままの右手を斜め上にあげ、プリキュアとしての名前を、名乗った。

 

 

万時(ばんじ)の調律者・キュアアデッソ!」

 

 

 

 

 …………。

 

<キュア……>

 

アデッソ(『今』)……」

 

「うわぁ……ヤバいね、覚醒しちゃったよ……♪」

 

 

「すごい、これが、今の私……」

 

 しばらく呆然とするも、私は、目の前の暴れるユガメーカーをにらみつける。

 

「こうなったからには、絶対にタダじゃおかないから――――覚悟してよね」

 

 ダッと駆け出すと――景色が流れ、一気に間合いがつめられる。

 これが、プリキュアの力なんだ。 すごい……!

 

「だだだだだだだだだだだだだだだだだだ!!」

 

 ふたばお姉さんに教えてもらった戦い方。 とにかく、先へ先へとこぶしを打ち込む!!

 心体ともに強く持って、一瞬の隙をも与えず絶え間なく――――まさか、実戦で使うことになろうとは。

 

「おらおらおらおらおらおらおらおらおらぁッ!!!!」

 

 気合いが入りすぎて、いつの間にか掛け声が変わっていた。 えへっ。

 ――それはともかく、最後の渾身の一撃で、ユガメーカーは見事に吹っ飛んでいった。

 

 だけど、それくらいじゃ許さない。

 すぐに私も前へと駆け出し、ユガメーカーが地面につくまえに、バレーボールのトスのごとく、思いっきり蹴り上げ――

 そのまま私もハイジャンプっ!!

 

「って! ()()すぎ!? ありえな~い!!」

 

 そう、飛躍した直後には、家々は小さくなっていて。 つまり飛びすぎた。

 でも裏を返せば、これはチャンス!

 

「よし! え────いっ! スーパーキィィィィィック!!」

 

「ユガメーカー!!??」

 

 ――――ド────────ンッ!!!!

 

 気持ちいいくらいの爆音と砂煙をあげて、ユガメーカーは地面にたたきつけられた。

 

 ウォッチは――たぶんアカシアさんも――この光景を唖然として眺めていた。

 うぅ、調子に乗りすぎたのはわかってるから、そんな目で見ないで……。

 

「ア、アデッソ! 次は、何をすればいいか、もちろんわかってるタム?」

 

「う、うんっ!」

 

 

 

 私は、ティックコミューンの、いつの間にか6時半になっている(短針も綺麗に『6』を向いてるからちょっと違うかも)針をくるくると回す。

 それと同時に、背後に時計のホログラムが現れ、コミューンの針の動きと同時に回っていく。

 

 針がちょうど12時をさしたそのとき、足元から光があふれる。

 背後のホログラムが体を通り抜けて右こぶしに吸い込まれていき、そこに力がみなぎってくるのがわかる。

 

 

「歪んだ時を調律せよ!!」

 

 ぐっと構えて、ユガメーカーを見据える。

 

「プリキュア! レリーズ・アデッソ・メモリ──────────────────!!!!」

 

 こぶしが目前の敵をとらえ、突き出されたこぶしから放出されたエネルギーの渦が、それを飲み込んでいく。

 

 

「ユメユメユメェ……」

 

 そう、断末魔をのこし、ユガメーカーは消えていった。

 

 

 

**********

 

 

 ――時間停止が解除されて。

 

 急に、周りが虹色の揺らめく空間に包まれた。

 かと思えば、虹色が晴れたその時には、私は神澄くんと一緒に歩いていた。

 

「え……?」

 

「ん? みなと、どうしたの?」

 

 一瞬、ずっと夢を見ていたんじゃないかと思ったけど、私の左手首には、確かにコミューンがある。

 

「う、ううん! なんでもないよ!」

 

「そう? ……あ、料理といえば、近所の八百屋さん、本当によかったよね!」

 

 宝くじの2等、あたってさ? と、神澄くんは付け加えた。

 

「! ……うん、うんっ! そうだよね!」

 

 どうしたの、そんな嬉しそうに。 って神澄くんは苦笑いしてるけど。

 

 嬉しいに、決まってるよ。 私が、この手で大切な物を守れたんだから――――

 

 

 …………。

 

 神澄くんと別れたあと、裏路地に私は隠れる。

 

「ウォッチー、どこー? もう出てきていいんだよ?」

 

「ここタムっ!」

 

 そう言って、ウォッチが出てきたところは……

 

「こ、コミューンの中にいたの!? びっくりさせないでよ……」

 

「えへへ……」

 

 ウォッチが頭をかいていると、アカシアさんが話しかける。

 

<みなとさん、本当に――本当に、ありがとうございます……!>

 

「あはは……もう、こんなことになっちゃったからには、仕方ないよね?」

 

 正直、できれば戦いなんて続けたくないけど――それでも。

 

「大好きなものを守れるなら、私、これからも頑張るから! 安心してっ!」

 

 性にはあまり合わないけど、続けてウインクにもチャレンジした。 うまくできたかな……。

 

「みなと……!」

 

<みなとさん……!>

 

 ウォッチが感激のあまりか、私の胸に飛びつく――断崖絶壁なの、バレなかったよね……?

 

 

「うぅ~! みなと、みなと~! ありがとタム~!!」

 

「私こそ、ありがとう……ほら、守るための力をくれて……」

 

「タム……!」

 

「さっ、おウチに帰ろ? おなかすいちゃった、おやつ食べたいな~」

 

 タムっ! と、ウォッチは再びコミューンに入った。

 

 

 お母さんが帰ってきたら、今日一日あったこと、話そうっと!

 きっと、びっくりするよね♪

 

「あっ、プリキュアであることを話したら、絶対ダメタムっ!」

 

 その人を巻き込んでしまって危険タムっ!! と、ウォッチにお叱りを受ける。

 

 うーん、それならしかたないけど。 私、これからしばらくずっと、このこと隠し通さなきゃいけないの~!?

 そんなの……

 

 

「ありえな~~~~いっ!!」

 

 

 

*1
みなとちゃんの母をよく知る人にはわかるだろうが、こういうとこまで母親似。 友達は多いほうなんだけど……




 


【2話・次回予告】

みなと「私がプリキュアなんて、まだ夢みたい……」

ウォッチ「ぼんやりしてたらダメタムっ!」

アカシア「えぇ! では、私たちの事情も説明しなければなりませんね――」

みなと「って、お母さん!? お、女の子の声? あはは、気のせいじゃない……?」

ウォッチ「あぁっ! それに、学校の新聞にもプリキュアのことが!」

みなと「えぇ~!? 隠しとおせる自信がないよ……」

ウォッチ・アカシア「「頑張るタム / んです !!」」

みなと「うぇぇ……ありえな~い!」


  『バレちゃだめタム! 私のプリキュア活動!』


みなと「巡り巡って! プリキュア・タイムトラベラー!」


________________________

(5月22日 敵側の紋章の表現に色々悩んだ挙句、こういうことに。 「懐中時計」モチーフのプリキュアは、是非2章で!)

______________________



 はぁぁぁぁぁぁぁぁ……!!
 か、書けたぁぁぁ……!

 いや、親の機嫌がよくてですね。
 勉強の休憩時間に堂々とPC使えることに……!

 よかった、よかった……!!

 18312文字と、字数がとんでもないことになってますが……根気強く読んでくださって、ありがとうございます!
 次回はちょっとは短くなるかもしれませんが、それでも更新はわりと亀だと思うので……でも、ヒープリがない間は、『リアル・コロナ・オペレーション』を週一で投稿できるよう、頑張らせていただきますので、よろしければ、ぜひそちらも!!

 この後は、いきなり2話……ではなく、『藤村みなとの小部屋』で1話のオマケ的なのを更新しますので、ご了承くださいね~


 あ、最後に。
 通常、感想欄では『展開予想』が禁止されていますが、このプリオルSFでは、バンバン予想してくださってかまいません!
 よほど常軌を逸しているものでなければ、どのような感想でも、私の励みとなりますので……。

 それでは、これにて第1話は終わりです!
 ありがとうございました!!

 


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第2話:バレちゃだめタム! 私のプリキュア活動!

 



  みなと「あれ~? だりあーん? どこー?」

?????「よっと!」

  みなと「わっ! なんか空から降ってきた!」

?????「それってハグプリ オマージュ――まぁいーや。
      僕は、エーミール。 一応、初めましてだね?」

  みなと「うん、そのはずなんだけど、とっても大輪愛に顔が似t」
エーミール「はいはい、言わない言わない!」

 ********

エーミール「で、『ご本人』の伝言によると、

      『今めっちゃ こころの花 が弱ってるから、
       とても外には出られません♪ デザトリアンにされちゃ嫌だし
       ――ってことで、私抜きで、よろしく勇気!』

      と、いうことだそうですね。 あばよ涙~」


  みなと「は、はぁ」

エーミール「あぁ^~ゴーカイジャーの映画が懐かしいんじゃぁ^~」

  みなと「……ダメだこの人、一向に本編が始まる気がしない……」


 ????「スプリーム・エレクトロニカっ!!」ドゥーン

エーミール「あべしっ! え、なんで君が……」

 ????「早く帰ってくるんだし。
      あんまり遅いと、私の契約活動の妨げになるんだし」

エーミール「待って待って、次の技をチャージしないで、すぐ行くから!
      なんでもしますから!(なんでもするとは言っていない) 」

  みなと「あーもー、いいから! じゃあ、3人でコールしよう!」


 せーのっ!



「「「Let's! プリ(Pre)キュオール(Cure-All)タイム(Time)!!」」」





*******************

(追記)

ラストのコール、『スプリーム・エレクトロニカ』になってて、思わず失笑しながら修正しました。

シンジルちゃん、気持ちはわかったから、ちょっと待ってってばw




 


 

 

 

 

「みなと~、またね~!」

 

「うんっ!」

 

 神澄くんと、幸せな気持ちで別れてから、私は家路につく。

 

 

「みなと~、おウチに帰ったら……」

 

「事情を話してくれるんだよね?」

 

<そうですね>

 

 コミューンの中から、ウォッチとアカシアさんが話しかけてくる。

 

 そう、昨日、私は『伝説の戦士・プリキュア』のキュアアデッソに覚醒した。

 昨日は何とか勝てたけど、相手のことを知っておかないと、次はもしかしたら負けちゃうかもしれない。

 作戦は、しっかり立てておかなきゃね!

 

「ただいま~」

 

「おかえりっ」

 

「お、お母さん!?」

 

 まさか、こんなに早く帰ってきてるなんて……作戦会議どうしよう。

 

「ど、どうしたの、こんな早く!?」

 

「あれっ、言ってなかったっけ? 今日の延長保育の担当、あたしじゃないんだよ」

 

 曰く、お母さんが最近残業続きだから、さすがに園長さんに「今日くらいは」と心配され、定時の帰宅を促されたのだという。

 

  や さ し い せ か い 。

  や さ い せ い か つ 。(ここまでテンプレート)

 

「そ、そーなんだー! よかったねー!」(棒)

 

 お母さんと園長さんには悪いけど、何も今日じゃなくたって……!

 

「そ、それじゃー私ー、やることあるからさー、ちょっと部屋いってるねー!?」

 

「そ、そっか……」

 

 目を点にするお母さんを後にして、冷や汗を流しながら、カックンカックンの動きで2階へのぼる。

 

 

「ひ、ひぇぇぇぇ、ありえない……」

 

「みなと、大丈夫タム?」

 

<落ち着いてから、また話しましょうか>

 

 いやいや、なんでふたりともそんな冷静なの……バレちゃだめって言ったの、ふたりじゃん……。

 

「ううん、大丈夫。 お母さんに怪しまれちゃいけないし、とっとと済ませちゃおう」

 

<わかりました、では――>

 

 アカシアさんのその言葉のあと、ウォッチの体が光に包まれ、その姿形を変えて――

 

「え、えぇぇぇぇぇぇえっ!!」

 

「お初にお目にかかります、私が、アカシアです」

 

 え、ちょっと待って、ウォッチは!? ウォッチはどこ!?

 てゆーか何なの、このめっちゃ美人な女の子は!?

 

<みなとっ、ウォッチはここタム、落ち着くタム!>

 

「あっ……もしかして、アカシアさんの中?」

 

<タム!>

 

 そして、私はふたりから、これまでの経緯を聞いた。

 時空デストロイヤーの『万時の間』攻め落とし、ウォッチの能力、そして、いまだに敵のはっきりとした目的はわかっていないこと。

 

「ふ~ん、勝手に攻撃に来たんなら、せめて理由を教えてくれてもいいのにね」

 

<まぁ、しばらくはとにかく防戦に徹して、時間を守り抜くしかないタム>

 

「みなとさんひとりに任せてしまうことになるのは心苦しいですが、精一杯サポートいたしますので」

 

「ひとり……」

 

 そっか、私は『ひとりでプリキュア』なんだ……。

 私が昔の雑誌やニュース映像を漁った時に見たプリキュアは、少なくとも1チームふたり以上はいた。

 だいぶ前に横浜に2度現れた『フュージョン』っていう怪物だって、当時のプリキュアが束になってかかって、やっと倒せたくらい。

 それなのに……もし、今の私の前にあんなのが現れたら――――絶対に、倒せないよね。

 

<みなと……?>

 

 うぅ、大丈夫かな……。

 

<みなと、どうしたタム?>

 

「へっ!? ううん、なんでもないっ!」

 

 私は何とかごまかそうと、アカシアさんに目を向け――

 

「そ、そーいえば、どうしたの、その服?」

 

「……。 あぁ、これはですね――」

 

 あ、あれ? なんか結構わけあり?

 

 そのとき、部屋のドアがノックされた。

 

お母さんだ……!

 

 小声でアカシアさんにささやくと、姿を慌ててウォッチのものにシフトし、ふたりはコミューンに戻っていった。

 

「みなとー? 入るよ?」

「ハ、ハイドウゾー!」

 

 かちゃり、とドアノブが回り――――

 

「おやつだけど……あれっ? お友達、来たんじゃなかったの?」

 

 うわぁ……ふたりの声、部屋の外まで漏れてたのか……。

 

「え? ず、ずっと私ひとりだけどな~……」

 

「そうなんだ、なんかたくさん声が聞こえてきたから、おやつ3人分くらい持ってきちゃったんだけど……」

 

 なんでふたり他にいるってわかるの……。

 

みなと~、なんとかなりそうタム?

 

「……あれっ? みなと何か言った?」

 

 うわぁぁぁぁあ! ウォッチのバカ──────────────────!!!!

 何のんきに、ささやいてきてんのよ!!

 

「あ、あぁ……最近、スマホのアラーム音を変えてさ~、アニメキャラの声がでるんだよね~……」

 

 心の中でウォッチに文句をたれながら、お母さんを恐る恐る見上げると……あれっ、若干笑ってる? なんで?

 

「へーぇ、そっかそっか~、じゃ、せっかく持ってきたし、全部ここに置いていくね~」

 

 どこか思わせぶりな口調でお母さんが去っていくと、私は大きなため息をついた。

 

はぁぁぁぁぁぁあ……」

 

「おやつ美味しそうタム~!」

 

「はぁっ!? あんたねぇ、さっきから何をそんなのんきにぃっ!!」

 

 私は、コミューンから出てきたウォッチをとっ捕まえようとする。

 

<……一応、あの人は大丈夫ですからねぇ……>

 

「ん? 何か言った?」

 

 アカシアさんは一言「いいえ?」と言ったっきり、お母さんが作ってきたマドレーヌに夢中になっている。

 いいえ?って何よ、いいえ?って……姿を見なくても、変な含み笑いを浮かべてるのがバリバリ伝わってくるんですけど……それこそ、さっきのお母さんのみたいな。

 

「……まぁ、何とかなったしいいや。 いただきまーす!」

 

「<いただきます!>タム!」

 

 ……うわぁ、美味しい!

 さてはこれ、こないだ料理番組でやってた、おいものマドレーヌだな。

 

 ゆっくり味わっていたら、隣では、やっぱり鳥型のウォッチの姿じゃ上手く食べられなかったらしく、アカシアさんの姿に変えていた。

 

「んぐ、美味しい……ところでみなとさん、このワンピースのことですが」

 

「あぁ。 で、どうしたの?」

 

「例の攻め落としでこげたところまでは――お気に入りの服なので良くはないですが――まだよかったんですけどねぇ……」

 

 聞くところによると、この姿でうろちょろしてたら、巡査さんに呼び止められたのだという。

 そこからは――――あぁ、なるほど。 それは災難だったね……。

 

「でしょう!? どこかで直せませんかねぇ……」

 

 アカシアさんが、遠い目をして嘆いている。

 でも、ドンマイとしか言いようがないんだよね……。

 

 

 美味しく食べ終えたので、手を拭こうとして、汚れていない左手でウェットティッシュを取ろうとした。

 

「ん……?」

 

<どうしたタム?>

 

「いや……コミューンの横に、ボタンがついてるのが気になって。 これ、何かな」

 

<うーん、ちょっとよくわからないタム>

 

「同じくです。 思い切って押してみては?」

 

 そうする、と返事をして、手をきちんと拭いてから押してみる。

 すると――――

 

 

【挿絵表示】

 

 

「な、なにこれ!?」

 

 コミューンの文字盤からホログラムが浮かんで、そこにはマップのようなものが記されている。

 ただただ驚く私の横で、アカシアさんが推察する。

 

「これ……『HOME TIME』のところが、察するに現在地ですか?」

 

<そして、英字表記で『ふたりはプリキュア』から始まって――まほーがーるず? あぁ、『魔法つかいプリキュア!』、そして、『トロピカル~ジュ!プリキュア』で終わる……これは、全部、過去に誕生したプリキュアたちタム!>

 

「え、えぇ~っ! なにそれ今すぐ行ってみたーいっ!! どうすればいいのかな?」

 

 わくわくしながら、物は試しで、『Hapiness Charge』って書かれているところをタップしてみる。

 

 ―― It's Locked!

 

 だけど、そんなエラー表示が出た。

 全部試してみても、どれもエラーになる。

 

「えぇ────……」

 

<まだ行けないみたいタム>

 

「アンロックの条件を探る必要もありますね。 ともかくこれで、あちら側がプリキュア狙いなのは大体わかりました」

 

 えっ、プリキュア狙い?

 ……考えてみれば、確かに。 普通に考えて、プリキュアの変身アイテムみたいなすごい物に、いらない機能なんかつけないよね。

 

 ――いやいやいや! 私、本当にこれからどうなっちゃうのよ!?

 

「うぅ~、憂鬱……」

 

<みなと……>

 

「どうしましょうか、思ったより大掛かりなことになりそうですし」

 

<仲間を作ってあげようにも、ウォッチがプリキュアにできるのはひとりまでだし、特異点なんてそうそういないタム>

 

 うぐっ、『ひとり』っていうの、折角忘れようとしてたのになぁ……。

 でも、仲間かぁ……仲間たって、こんな危ないことには、他人をそうそう巻き込めないよねぇ。

 

「……気分転換に、お皿でもさげてくるよ」

 

<いってらっしゃいタム>

 

「気分転換なら、ついでに散歩にでも行ってきたらどうです?」

 

「うーん、散歩の気分じゃないのよねぇ、すぐ戻ってくるから待ってて」

 

 とんとんと階段を下りて、お母さんに「ごちそうさま」と声をかけてから、お皿を流しに置く。

 

「はぁ……」

 

 無意識に、ため息が出ていた。

 

「……みなと、どうしたの?」

 

 お母さんに心配されてしまう。 ……お菓子が全部なくなってるのには突っ込まないんだね。

 ――私は、素直に思っていることを相談してみた。

 

「私……ふたばお姉さんに武術を習ってるけどさ」

 

 うん、そうだね。 相槌を打たれてから、私は続きを言う。

 

「それって、どんなに段があがっても、()()試合なんだよね。 もし、本当の本当に、実戦をしなきゃいけなくなったら……それが、ずっと続いたら――」

 

 ――――怖い……。

 

 

 お母さんは、間を置いた後、一言「座って」と促してから、こう言った。

 

「そうだね……あたしも、怖いよ。 怖くて、当たり前なんだよ」

 

 ……『当たり前』、『当たり前』、『当たり前』――――

 その単語を、何度も反芻(はんすう)する。

 プリキュアはそういう恐れを抱いちゃいけないんだ、って思い込んでいた私は、すっかり虚を突かれた。

 

 ある種の動揺を落ち着かせてから――私はお母さんを見つめる。

 お母さんは、しっかりと目を合わせ返し、続きを話す。

 

「大事なのは――これから色んな経験をすると思うけど、怖いって気持ちをなくしちゃいけないってこと。 恐れるべきことを恐れなくなったその瞬間、人は人らしくいられなくなる――守るためのその力は、誰かを傷つける力にもなりうることを、忘れないで」

 

 守るための力――お母さんは、きっと武術のことを言ってるんだと思うけど、それは、プリキュアの力だって、等しくそう。

 気をつけなくちゃ――ううん、()()()()()んじゃない、今の私のままでいいんだ。

 

 

 いい? と念を押すお母さんの顔は、とても凛々しかった。

 これは、ふたばお姉さんや道場のいつき師範と同じ――――『ヒーローの顔』だ。

 

 ……どういうことなんだろう。

 そう思いはしたけど、すぐにそれを頭の隅に追いやって、

 

「うん!」

 

と頷いた。

 

 

 

 ――それから、ウォッチやアカシアさんとの会談も、それ以上の進展もなくお開きになり。

 

 私たちは、その日を終えた。

 

 

 

**********

 

 

 ――時流の黄泉

 

 

「ってわけで、例のあの子はプリキュアになっちゃいましたとさ♪ ……あれ、怒ってます?」

 

 メィ・クイーンは、あんまり喜ばしくない報告を終えたあと、相手の顔色を顔色を伺うかのように、上目遣いをする。

 最も――その相手、時空デストロイヤーの首領・グランソローの顔は、白いヴェールで覆われていて、見えないが。

 

 グランソローの年齢は、大体、思春期前半頃と思われる。 まず、男性で間違いないだろう。

 クォーツ時計の文字盤を模したようなポンチョを、白装束の上に羽織った格好をしている。

 

 メィ・クイーンの言葉に、グランソローはため息をつく。 無造作な髪型の灰色の髪が揺れた。

 

「――そうか、やはり運命の始まりは変えられなかったか……まぁいい、メィ・クイーン、今回は休んでいろ」

 

「は、はいっ♪」

 

 これで、首領の前には、貴族夫人のような人と、ピエロじみた格好の老翁(ろうおう)が残った。

 

「もう一度だけ、様子を見よう。 うまくいかなければ、もっと遡ったところを、たたく」

 

 グランソローの顔が、女性のほうを向いた。

 

「行ってくれるな? ――アップル夫人」

 

「はい、ワタクシの(たンの)しいお料理をご覧あそばせェ!」

 

 あくどい笑みを浮かべて、女性――アップル夫人は、御前から退いた。

 

 

 

**********

 

 

 ――サンクルミエール学園・2年1組教室

 

 

「おっはよーぅ!」

 

「あっ、みなとおはよ!」

「おはよう!」

 

 いやぁ、昨日は何にも現れなくてよかったよ!

 そんなわけで、今日も私は元気元気!

 ハイテンションで挨拶をすると、今年度も同じクラスになった陽子とゆかなちゃんを始め、たくさんの友達が返してくれた。

 

 

「聞いて聞いて聞いて!」

 

「な、何?」

 

 エリが急に詰め寄ってくる。 まだカバン下ろせてないのにな……。

 

「増子さんが書いた、サンクルミエール通信、すっごく話題になってるんだけどね?」

 

 サンクルミエール通信。

 編集長(新聞部長)の『増子(ますこ) 美繰(みくる)』さんが、毎週発行する学園新聞。

 エリに促されるまま、陽子とゆかなちゃんと秋元さんと……まぁとにかく、たくさんの友達と、ぞろぞろと掲示板前に行ってみる。

 

 

 ――伝説の戦士・プリキュア あらわる!!

 

 人だかりを書き分けて読もうとすると、真っ先にそんな大見出しが私の目に飛び込んできた。

 

「えっ……」

 

 無論、私は硬直する。

 ……えっ、ちょっと、ヤバくない? 写真までつけてあるし! 写真の出所、ネットニュースだし!! ネット社会(こわ)っ!!

 

 ――あれ? そもそも、何だか、こうなること自体『ありえない』んじゃ……どうなってんの?

 

 

「すごいわ、見たことないプリキュアね!」

 

 そりゃ、おととい誕生したばっかりだからね、秋元さん!

 

「へぇ~、私もリサーチして、明日のお昼の放送のネタにしよっかな?」

 

 やめて、陽子。

 

「プリキュアって、こんな身近なところにいるのね! 面白そう、私もなってみたいわ!」

 

 控えめにいって大変だから! 進んでなるようなもんじゃないよ、ゆかなちゃん!!

 

「今度見かけたら、時間の許す限り追跡してみようかな……」

 

 エリ!!??  ……時間が許しても、私が許さないからね……。

 

「あんなに強いなら、フットサルの練習相手になってくれるかな?」

 

 いやいや、私フットサルやったことないよ、順子!

 

「わー、すごいねー、私も、会ってみたいなー」

 

 何ちょーし合わせちゃってんの私ぃ!! 我ながら、すごく棒読み!

 

 しかも、コミューンに入っているはずのウォッチたちは、家を出てから黙りっぱなしだし。

 なんで家じゃ()()だったのに、外じゃ妙に厳重なセキュリティなのよ…………助けて!!

 

 

「なっはっはっは~!!」

 

 と、思っていたら、後ろから女の子の声が響く。

 振り向くと、そこには、ショートカットヘアの眼鏡の女子。

 ……あっ、この人は……(・・;)

 

 

「プリキュア・チェイサーガチ勢ッ

 

兼!

 

皆が知りたい 私も知りたい!

サンクルミエール通信・編集長!

 

増子 美繰!!」

 

  ドゥーン!!

 

 ――なんか、日曜朝の戦隊モノみたいな爆煙の、幻覚が見えた気がした……。

 

 

 

「続けて言えば、『マスコミ来る』☆」

 

 

 両手を胸の前で十字にクロスさせ、親指・人差し指・中指を立てて……増子さんは、ポーズをキメる。

 

 ……色々ツッコみ所はあるけど――

 『プリキュア・チェイサーガチ勢』って何!? Σ(゚Д゚)

 結構、本能的に生命の危機を感じたんだけど!

 

 

「大スクープですよ、みなさんッ! 20年以上の時を経て、伝・説・再・現・前、ですよ!! くぉれがコーフンせずに居られますか、ぁいや、答えは否、居られない! あっ、これ先日、のぞみ先生に習った『反語』表現ですー

 

 

 ……無駄に滑舌いいよね。 陽子が放送部に熱心に誘う訳だよ。

 ↑

 マシンガントークに気後れしつつ、全く関係ない感想が浮かぶ、私の図。

 

 

「――ですが!!」

 

 増子さんは、そう接続語を継いだっきり、『orz』の姿勢になって、しばらく押し黙る。

 数秒、溜めに溜めてから、やっと口を開いた。

 

「情けないことに――キチンと出典を書いているので、お分かりでしょうが――この記事はネットから引っ張って来たモノ……私自身が見た訳ではないのです……」

 

 ……見てたら逆に怖いよ。

 時間止まってたんだからね……。

 

 あれっ?

 じゃあ、やっぱり、誰があの写真を撮ったのかという謎が……。

 うーん、ありえない……!

 

「そこでッ! 次こそは、この私が! 隅↑から隅↓まで! 南鳥島→から与那国島←まで!

 リズムゲーム←↑↓→の如く! 隈なく追いかけますよぉッ!!」

 

 ――月は隈なき物をのみ見るのですーっ!

 と、鼻息を荒くする 増子さん……。

 

 な ん か 色 々 と 大 丈 夫 か な ぁ !?

 

 今の増子さんなら、命の危険も平気で冒しちゃいそうで怖いし。

 あの人なんだかんだで頭いいから、写真を分析するか何かして、「正体が私だ」って気付いちゃう可能性とかあるし!

 勿論、科学技術は2020年より、格段に進化していまーす (メタファー)

 

 ……うぅ、頭が痛くなってきた……。

 

「ごめん、ちょっと、教室戻るね……」

「……みなと、顔色悪いけど、大丈夫?」

「保健室で休んだら?」

 

 心配してくれるエリと順子に、「保健室レベルじゃないから」と返し、ひとりで廊下を戻る。

 ……ひとり、か。

 

 

 

 ――放課後。

 

 

「うぅう~……(- -|||)」

 

 開幕蒼白顔でスミマセン。

 

 あの後も頭痛が治まらなくて、正直、体調が優れない……。

 神澄くんも、今日は用事があっていないし……。

 

「……あっ、そういえば今日、ふたばお姉さんの道場の日だ……」

 

 どうしようかな、行きたい気持ちはあるんだけど……頭痛のこと、お姉さんに相談してみよう。

 

「――もしもし、お姉さん?」

 

『おっ、みなと! どったの(どうしたの)~?』

 

「実は今日、頭が痛くて。 行けるかどうか、お姉さんに判断してもらおうかなって」

 

『えっ、頭痛? うーん、みなと、それ、何が原因かわかる?』

 

 ――チョコレート食べすぎちゃった?

 とフザけるお姉さんを、申し訳ないけどスルーして、今日 悩みすぎたことを説明する――勿論、プリキュアのことは伏せて。

 

『あっ、だったら、絶対来たほうがいいよ! 体動かしたら、気分も少しは晴れると思うよ~』

 

「ありがとうございます!」

 

 私がお礼を言うと。

 

『……あのさ、みなと』

 

 お姉さんは、急に神妙な声音になって、私を呼ぶ。

 

『いつでも、私を頼ってくれて、いいからね。 私も、みなとぐらいの頃は、お姉ちゃんたちに相談相手になってもらってたけどさ……結構、楽になるよ』

 

「……はい、ありがとうございます」

 

 ふたばお姉さんの優しさが、今の私にはつらい。

 

 誰にも相談、できる訳ないじゃない。

 プリキュアのことは、秘密なんだから……。

 

 

 

 ――希望が花

 

 

「――セイッ ハー!!!!」

 

 ……あ、今、誰か大技を放ったな……。

 

 私は、『明堂院の道場』の前で苦笑する。

 念のため言っておくけど、お姉さんは『先生』なだけであって、道場の家の人じゃない。

 師範代・いつきさん、そして熊本さんに次ぐ、凄腕なのは間違いないけどね。

 

 ところで、この いつきさん、実はお母さんと仲良しだったりする。

 ……一体どこで知り合ったんだろう。

 

 と、考えつつ道場の扉の前で待っていたら。

 

「あっ! みなとさん!」

 

「! ……はぐみちゃん!」

 

 背後から、知り合いの女の子に声をかけられた。

 

 彼女は、野乃はぐみ ちゃん。

 ウェーブのかかった金髪をハーフアップにしていて、着ている服からも、お嬢様感がでている。

 それもそのはず。

 なんと、はぐみちゃんは、かの日本最大規模の総合商社『アカルイアス社』の社長令嬢!

 ……とだけ言うと、雲の上の存在的なイメージを持っちゃうかもしれないけど……周りとは分け隔てなく接していて、実はフレンドリーで快活な子なんだよね。

 

「はぐみちゃん、入学おめでとう!」

 

「えへへ、ありがとう!」

 

 彼女は、社長 兼 母親の『はなさん(※お母さんの知り合い)』の母校である、『ラヴェニール学園』の中等部に内部進学した。

 そこは、結構な人数の著名人を輩出していることで有名で――例えば『ノーブル学園』は芸能・芸術系統の人が多いけど、こっちは、学問系統やスポーツ系統が圧倒的に多い。

 

 勿論、ラヴェニール学園も、女優・一条蘭世さん、シンガーソングライター・愛崎えみるさん&ルールー・アムールさんを輩出していたり……今、例に出したノーブル学園も、海洋学者の海藤みなみさんの母校だったりするので、一概には言えないけど。

 ちなみに、えみるさん、ルールーさん、みなみさんも、お母さんの知り合いだとか……うん、もう何もツッコまない……。

 

「そうだ、部活はもう決めた?」

 

「うん! 吹奏楽部でトランペット吹きたいなぁ、とか思ってるよ!」

 

「そっか、小学生の頃も、地域のブラスバンドクラブに入ってたもんね!」

 

「えへっ、クラブのひなせ先生のお陰で、ここまで音楽を好きになれたんだよね~、感謝しなきゃ」

 

 この『ひなせ先生』も、ラヴェニールの人で、普段はプロとして、日本きっての楽団にいる。

 

 ……クラブで思い出したけど――今、中で教えを受けてるのは、『のびのび町ブラスバンドクラブ』の10歳の女の子3人。

 はぐみちゃんは、その子たちの送り迎えをするために、時々ここに来る。

 

「そうだ、みなとさん! 私、さっき植物園に寄って来たんだけど……『ゆりさん』が育てている芝桜、綺麗だったよ!」

 

「へぇ~」

 

 この 月影ゆりさんは、付近にある植物園の職員で、K都大学卒。

 すごく武術も強くて、ついでに言うと、お母さんの知りあ((

 

 

 

  閑 話 休 題 。

 

 

「「「ありがとうございましたー!」」」

 

 稽古が終わったらしく、ブラスバンド組が出てくる。

 

 この3人は結構なデコボコトリオで。

 上林よるちゃんは平均的な身長だけど、沖ゆめちゃんは10歳にして私より高い159cm(よく中学生に間違われるらしい)。

 色白で体格のいい ゆめちゃんとは対照的に、佐賀村なつみちゃんは小柄で健康的な小麦肌。

 

 

「ほらほら、クラブの練習遅れちゃうよー!」

 

 はぐみちゃんに呼ばれて、3人がワッと集まる。

 体の大きい ゆめちゃんにグイグイと手を引っ張られつつ、はぐみちゃんは私に手を振る。

 

「あっ、みなとさん、またねー!」

 

「うん、はぐみちゃん!」

 

「野乃先輩、早く早くー!」

 

「め、めっちゃわかったからー! 引っ張らないで――よ、よるちゃん、なつみちゃん! 転ぶ転ぶ、押さないでぇ~っ!!」

 

 めちょっく~~~!!?? との叫び声を坂の向こうに残し、はぐみちゃんは3人と帰っていった。

 

 

 

「はは……」

 

 ――ガラッ!

 

 思わず苦笑をしていると、道場の扉が開いた。

 

「おっ! みなと、来てたの! さっ、入った入った~!」

 

「お姉さん! 失礼しますっ!」

 

 道着に着替えて、準備運動と型の確認をすると、お姉さんとの組手に入る。

 

 お姉さんの戦い方は、いつきさんたちとは少し違う。 隙を見せないほどに、技を 撃って撃って撃って撃って――とにかく、攻撃に特化している。

 基本は拳を使うけど、足技にも磨きがかかっていて、『隙を見せないほどに』じゃなくて、本当に、ほとんど『隙が無い』。

 どうしてこんな戦術なのかというと――曰く、中学生の頃に読んだ 魔法少女物の小説に、インスピレーションを得た……とのこと。

 

 

「お願いします!」

 

 一礼――直後、同時に踏み込む。

 やっぱり、お姉さんは速い。 双方の初期位置の中間地点に 私が届く前に、かち合ってしまう。

 

 拳を放つ前に、上段で蹴りを入れられる。 わざと、ギリギリ首筋に当たらないところに。

 ……当たってないのに、首の皮膚がピリついて、冷や汗が流れる。

 しゃがめばいいという話でもない。 下段で回し蹴りされて、意識を軽く飛ばされ、即刻試合終了がオチになる。 情報源(ソース)は私。

 

 必死の思いで距離を取り、着地の時の踏み込みを強め、床との反作用を使って攻撃にかかる。

 右拳の予備動作を()()()大きくし、お姉さんに最接近したところで放つ――はずれ。 これは当たり前。

 だけど、私の狙いは、左の注意を薄れさせることにあった。

 続けて、お姉さんの胸の真ん中に左を入れにかかる。

 

 よし、当たっ――――

 

「――へ?」

 

 ……ターゲットは、残像を残して、視界から外れていた。

 この短い間に死角を突くとしたら……。

 

 ハッとして()()()を見やると――大きく沈み込んで、私の無防備な胴へ狙いを定める お姉さんがいた。

 

「ぁ……っ!」

 

全 地 爆 転(モンド・バン)

 

 

 突き出した両拳は、直接は当たらない。

 でも――強く圧縮された空気の力で、私は大きく舞い上げられた(感覚上の話であって、多分、実際は1m程だと思う)。

 息が詰まって、視界が白飛びする。

 

 それでも、何とか意識を繋げて、受け身に体勢を転じる……。

 

 

「――お疲れ! 結構やるよーになったじゃん!」

 

 気づけば、私の体は、お姉さんに受け止められていた。

 

「あ、ありがとうございましたぁ……」

 

 床へ降ろしてもらい、ぜぇぜぇと荒い息をする。

 

「みなと、呼吸法 意識して」

 

「は、はいっ……」

 

 

 ふたばお姉さんの言った、呼吸法。

 

 ランニングや出産などの時にも、一番体力の消耗を抑えやすい呼吸法があるように――『明堂・花咲式』の武術にも、お姉さんが独学で開発したソレが存在する。

 1~5まで、4を除いた4つのパターンがあって、状況に応じて使い分けている。

 

 5つ目だけは、現在の所、お姉さんしか使えないもので……教えてもらうどころか、本人が使っているところも見たことがない。

 

 ちなみに、私が今、使っている『3つ目』は、大まかに言えば『クールダウンの為のもの』。

 ……なーんて、さっきから偉そうに語っているけど、私はこの『3つ目』すら完全習得できていない。

 

 うまく使いこなせられれば、()()()でもプリキュアをやっていけるだろうか?

 

 ――あっ、折角忘れることができてたのに、私また……。

 

「ん? みなと、着替えてくれば?」

 

「あっ、はい!」

 

 いけない いけない、ここは悩みが晴れた振りをしなくちゃ……。

 万が一お姉さんに追及されたら、最終的にはうっかり口を割っちゃいそうだし。

 

 

 …………。

 

「ありがとうございました!」

 

「うん、またね!」

 

 そんなこんなで、今日も稽古が終わった。

 空を見やれば、既に日没直後。

 

「……綺麗な夕焼け……」

 

 鮮やかな暖色系の光が、何故だか琴線に触れてくる。

 いよいよ泣きそうになって、慌てて目を背け、ようと――

 

「!! ……」

 

 出来なかった。

 背けるまでもなく、夕焼けが消失したからだ。

 

 

 もっと言えば、夕焼けだけじゃない。 全ての……

 

 

 () () が 消 え た 。

 

 

 

「時空デストロイヤー、タムっ!」

 

 今まで息を潜めていたウォッチが、コミューンから飛び出してくる。

 

「なんで!? どこが改変されたっての……?」

 

<今のところわかりませんが、用心に越したことはないですよ……!>

 

 アカシアさんの声に、私とウォッチは頷き合う。

 

「「変身 だよ/タム !」」

 

 

 ティックコミューンを構え、私は叫ぶ。

 

「Let's! プリ・キュオール・タイム!!」

 

 ……。

 

万時(ばんじ)の調律者・キュアアデッソ!」

 

 

 バシッとポーズを決めた後、私はまだ姿を現さない敵に呼びかける。

 

「準備はできたわよ! どっからでもかかってきなさーいっ!」

 

 

 ――暫くの、静寂。

 

    ……テレレ テレレ テレレ テレレ テレレンッ……

 

 

「……えっ? スマホのコール音……」

高貴(こォうき)な夫人は重役出勤するものなのよォ!」

 

 私の、妙な音への反応を掻き消すかのように――オペラ歌手のようなきれいな女性の声が響いた。

 あれ? この間の()()()じゃない……?

 

「オーッホッホッホ! ワタクシの美貌に惚れ込んでしまったようですわねェ!!」

 

 うん、確かに綺麗だけど……厚化粧過ぎて、ナイです。 ……とは言えず。

 

 

「……で、一体どんな改変をしたタム?」

 

「はぁ? そんなの――敢えてするまでも無いわよォ?」

 

 うっわぁ、表情からもう完全に見下してきてる……。

 ちょっと苦手なタイプかも……。

 

 

<ならば、どういうおつもりですか!>

 

「あァら、そのお声はアカシア! 驚いたわ、しぶといのねェ? ……ま、再会の挨拶はそこそこでいいわ、教えてあげましょう」

 

 相手は、左腕に下げている 林檎の沢山入ったカゴに手を伸ばしつつ、答えた。

 

「キュアアデッソ! ワタクシ、アップル夫人 は――グランソロー様の命を受け、あなたを消し炭にしに来ましたのよォ!! その目的のためなら、ユガメーカーを使役するなど、まどろっこしい! ワタクシと、可愛いチルドレンの手で、直々に手をかけて差し上げるわァ!!」

 

 カゴには、灰色の林檎と金色の林檎の2種類あって、アップル夫人は、金色の方をバラまいた。

 

 金の林檎は1m程に肥大し、どこぞのマスコットキャラクターみたいに、細い腕や くりっとした目が現れてくる。

 

「感ァン謝をおし!!」

 

 

 心底、迷ェイ惑ですッ!!

 

 ……と、心の中でツッコんでいると、ワッと金の林檎が襲い掛かってくる。

 

「「「「 リンゴリンゴリンゴー! 」」」」

 

「もぉぉうっ!」

 

 取り敢えず、目の前のことを片付けなきゃ!!

 私は、ノーブレイクで金の林檎――もとい、『チルドレン』にパンチラッシュを放っていく。

 数で押してくるだけだから、あまり考えなくても当たってくれる!

 ……でもねぇ!

 

「こっちは、練習後で疲れてんのよ! ダァァァァァアッ!!」

 

 

「「「「 リンゴリンゴリンゴー! リンゴリンゴリンゴー! 」」」」

 

 ……マズい、数で押されているからこそ、こっちの体力が持たない!

 

「あらァ、元気がなくなっちゃったかしらァ? じゃ、差・し・入・れ、よォ!!」

 

 アップル夫人は、灰色のリンゴを、数個ほど投げつけてくる。

 それは、間もなく地面に着いて――

 

  ドッッ ゴォォォォォォォンッ!!!!

 

「きゃぁぁぁぁあっ!?」

 

 ――爆発。

 そう、灰色のソレは爆弾だった……。

 

 

 私は、地面にひどく叩きつけられる。

 起き上がろうとするけど、力が入らない。

 

「やっぱ、ダメだ……」

 

 口をついたのは、そんな弱音だった。

 

 

「アデッソ……」

 

<ごめんなさい、私たちが不甲斐ないばかりに……>

 

「ううん、ウォッチもアカシアさんも、悪くないよ……けど――」

 

 どうにもならないことだけど、やっぱり。

 

「私、ひとりなんてヤダよ……!」

 

 

 …………。

 

 

 

  Real

 

  Release

 

  Mirage

 

 

ReaReMira-se :║

 

FIRST TIME - START UP 

 

 

 

レアレミラージ……?」

 

 そんな、機械的な音声が、コミューンから流れてきた直後、私の体が光に包まれた……。

 

 

「「「「……へっ?」」」」

 

 意識が完全に戻る。 多分、時間はそんなに経ってない。

 それより……。

 

「――私、だよね?」

 

「うん、そーだよ!」

「初めてのことで、こっちもびっくりしてるけど……」

「一応、『あなた』を形成する全情報の 20%分 のコピーだよ!」

 

 100パーのコピーだと、本物とごっちゃになるからー。

 ……と、3人目の彼女は、呑気に言った。

 

 お察しの通り、突如現れた彼女たちは、『レアレミラージ』という機能によって生成された、私のコピーさんである……らしい。

 

 ……なんか、ひとりじゃなくなっちゃった……? やったー?

 うーん、でも、やっぱり……。

 

「コレジャナイ……かも……」

 

「「「?」」」

 

「ううん! なんでもないよ!」

 

 コピーさん、不思議そうな顔……。

 ……今回のコピーは、私の内面まで映されてないのかな。

 

 

「――はァ、長い茶番だったわねェ。 おかげで、いい午睡になったわァ」

 

 うわっ、そうだ、この人がいた……。

 

「……ム、ムカつく~! みんな! なんなら、やり返して明日の午後まで眠らせるよっ!」

 

「いや、コピーさん、おっかないタム!!」

 

 激しく同感! なんなのこの子!

 ……あっ。 前に、ふたばお姉さんが冗談半分で言った――

 

『そんなに昼寝したいなら、ちょっくら首筋叩いたげよっか! 明日の午後まで快眠だよ~♪』

 

 が、影響してるのかな。

 

『冗談でも、武術は昼寝に使っちゃダメだよ……?』

『い、いつきお姉さん!? ……って、ツッコみ所、違わない?』

『ごめんごめん、たまには、こうやってツッコまれる役に回りたくてね♪ 普段は えりかばっかりボケ役だから……

 

 あの後、こんな風に、いつきさんに注意されてたけど……。

 

 

「ともかく! コピーさんたち、行くよ!」

「「「うんっ!」」」

 

「おいでなさァい、ワタクシのチルドレン!!」

「リンゴー!!」

 

 まぁ、いいや……。

 ちょっと不安だけど、頑張るしかない!

 

 

 

 ――Enemy's Turn

 

 

 あらあら、分身ごときでワタクシを倒せるとでも思っているのかしら、哀れねェ?

 取りあえず、どうやら、カメラがこちらに回っているようなので……仕方がありませんわ、解説して差し上げましょゥ。

 

 

ワタクシの倒し方

 

 1. 材料:4人のキュアアデッソ

 2. はじめに、4人でワタクシとチルドレンを一度に攻めて……

 3. ざまぁみなさい! 台無しにしやがりましたわねェ! あなたはいつもそう……かは知りませんが。

 4. この空振りはあなたの人生そのものですわァ。あなたは未来でも失敗ばかり!

 5. あなたはいろんな技に手を付けますけど、ひとつだって当てられませんわねェ。

 6. 誰もあなたを――

 

 

「うるさい! テンプレートのセレクトが古いんだってば!!」

 

 ――the Turn is End

 

 

 何なの、この人!

 重そうな服着てる割には、動きが柔軟で、まともに当たんない! 当たりそうでも、だいたい日傘でいなされちゃうし……。

 

「甘いのよ、アナタ。 あの難攻不落と言われた『万時の間』を墜とした ワタクシたちと、渡り合えると本気で思ってましたのォ?」

 

 言葉に、詰まる。

 

「っ……」

 

「返事は要りませんわ、弱者の言葉など――折角だから、その無様な姿、『Tuitta』に晒して差し上げようかしらねェ」

 

 Tuittaって、SNSの……!

 

「! ……こないだネットに写真バラまいたのも、あんたなの?」

 

「いいェ、アレは、お嬢がやったことですが?」

 

「お嬢……?」

 

 聞き返すと、「メィさんのことですわ」と返事が来る。

 

「えっ、でも、男の子じゃなかったけ?」

 

「……はっ? あなた、それ、お嬢に直接……? よく機嫌を損ねられませんでしたねェ」

 

 ワタクシたちが男性扱いしても怒られますのに……と、夫人はブツブツ呟く。

 どういうことなんだろう、この間は、すんなり男の子だって認めてたのに。

 

「まァいいですわ。 そろそろお開きにいたしますのでッ!」

 

 アップル夫人は傘を開いて、生地の部分をU字に裏返すと、そこに闇色のエネルギーをチャージする。

 

塵に還りなさい! イクスターミネーションッ!!

 

 

 ソレが放たれ、コピーさんたちに次々と命中していき――彼女たちは消滅した。

 

「あっ……」

 

次は、私の番。

 

「アデッソ、アデッソ~っ!」

 

 スローモーションの景色の中、ただぼんやりとする私に、ウォッチが焦った声音で呼びかける。

 だけど、何も気力が起こらない。

 あぁ、早く防御か何かしないと――『MUST』は『DON'T WANNA DO』の裏返し。

 どれだけ繕っても、私はひとりなんだってことを、思い知って。 力が、抜けた。

 

 そして、戦闘序盤、私は調子に乗っていた。

 さっきの武術の()()()の直後だから、おんなじノリでやってた……なんてことは、きっと言い訳にならない。

 ついこの間、お母さんにアドバイスを受けたばかりじゃん。

 アレには、もう1つ意味があるんじゃないかって、今、改めて自分で気づいた。

 

実戦をナメてかかると 人は人じゃ これ以上生きて いられなくなる

 

 ――馬鹿だな、私。

 

 自分で自分を嘲笑して、直後。

 全身を針で刺されたような痛みと、脳震盪で、私の意識は暗転し……た……。

 

 

「やぁぁぁぁぁぁあっ!!」

 

<アカシア様ッ!>

 

 ――どれくらい、経過したんだろうか。

 

「あらァ、アカシア。 戦いに出てきて大丈夫なのォ? ワタクシたちに敗れたくせに」

 

<む~~~! アカシア様は強くて優しいタム! 間のみんなの憧れを、侮辱するなタム~!!>

 

「ウォッチ、私などのために怒っていただかなくてもよいのです。 それよりも、みなとさんをこれ以上傷つけさせてしまっては、申し訳ない……!」

 

 

 私の眼前には、コミューンから出て 私の前に屹立してバリアを張る、アカシアさんがいた。

 

「……なんだ、私、馬鹿じゃん。 どうしようもない、馬鹿じゃん……!」

 

 とっても大事なことを、忘れていた。

 

 プリキュアになって日が浅い私なんかより、アカシアさんやウォッチは、ずっと苦しんできていた。

 自分たちの世界を守れなくて。 さらに、広がっていく脅威を、自分たちでは何もできなくて。

 それなのに、私が勝手に挫折してたら、ふたりを困らせちゃうじゃない!

 

 そして。

 

『他所からみたら、ささいなことでも、私たちからしたら、とってもとっても大事な日常の一部。 それを、崩されてなるものか……!』

『「私は、大好きなこの日常を、守りたい――――それだけよッ!!!!」』

 

 そうだ、()()()()()()()ひとりだからって、私は全然ひとりなんかじゃない!

 

 私は――私はッ!!

 

 

「アカシアさん、ウォッチ、ありがとう! 代わって!」

 

「えっ、みなとさん……!」

「みなと……!」

 

「つくづくごめんね、目が覚めた! 後は任せて、応援お願い!」

 

「! ……はいっ!」

「タム!」

 

 

 私は────!!!!

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁァァァァァァアッ!!

 

 

 ……ふたりを下がらせて、ビームを受ける私に、そっと、でも力強い声で、誰かがささやきかけた。

 

「そーだよ、アデッソ。 よく頑張ったね♪」

 

 次の瞬間。

 

「なッ、なんですのォォォォ!?

 

 あのアップル夫人が、何者かによって、思いっきり吹っ飛ばされていた。

 

 これって一体……!?

 

 

――――――

――――

――

 

 

<<SUB-COMMENT SIDE / MINATO's MOTHER>>

 

 

 小泉保育園付近の自動販売機にて。

 

 ガシャンッと、鈍い金属音が響き、あたしは購入した缶を取り出す。

 自販機なんて暫く使ってなかったけど、たまにはこういうのもいいかもね。

 

 ちなみに今買ったのはコーヒーだけど、あたしは未だにコーヒーを無糖で飲めない。 ハタチ辺りで1度チャレンジしたけど、舌がしびれてダメだった。

 

 ……プルタブを起こすと、プシュッと空気が抜ける音がする。

 あたしの、科学に強い友人が、数年前にこの(何故音がでるのかという)ことについて説明してくれたけど、サッパリわかんなかった……ごめん、ほのか。

 

 えぇっと、ちょっと使い方ズレてる気もするけど、こんな風に人の言葉が心に留まらないのって、なんて言うんだっけか……確か、『バジル豆腐』みたいな……。

 

 ――テレレ テレレ テレレ テレ テレレンッ

 

「んっ?」

 

 急いでカフェオレの残りを飲み切って、スマホをバッグから取り出す。

 

「ふっちゃん……? ……何かあったのかな……」

 

 『ふっちゃん』とは、みなとの武術の先生で、あたしの(さっき言ったのとは別の)友達の妹。

 今日は稽古の日だし、もしかしたら、練習中に事故があったのかも……!

 

「もしもし、どうしたの?」

 

『あっ! よかった、お姉さんは大丈夫なんだー!』

 

「大丈夫って? ……!!」

 

 バジル豆腐関連の考え事のせいで気づかなかったけど、いつの間にか、世界が灰色に褪せていた。

 この光景、覚えがある。 これは……!

 

『今気づいたの~!? ……まぁ、うん、そう、時が止まっちゃってて! それでね……』

 

 その後の ふっちゃんの説明によると。

 みなとが……ううん、『キュアアデッソ』が、道場の近くで、敵と戦い始めたらしく……ふっちゃん自身は、本当に危なくならない限り、見守ることにしたんだとか。

 

『あくまで、みなとの戦いだし。 でも、ちょっと心配になって連絡しちゃった』

 

 ……とのこと。

 

 

『――でね、今は…………あっ、あぁ~っ!? みなと!!??』

 

「ふっちゃん!? ふ、ふたばちゃん!!」

 

『……』

 

「ふたばちゃん、大丈夫? どうしたの!?」

 

『……。 久々に、プッツンしちゃった』

 

 やっとスマホ越しに発せられた声は、先程より、数段低いものだった。

 

『まじょくばっ、堪忍袋の緒が切れたっ!! もー許さない! ……お姉さん、保育園の近くだよね!?』

 

「うん!」

 

 武術の先生が焦るほどだ。 確実に、相当危ない。

 つられて焦ったせいで、返事がやや食い気味になった。

 

『秒で迎えに行っちゃうから! 待っててよっ?』

 

「わかった、ありがとう!」

 

 あたしが頷いて電話を切ろうとすると――

 

『あと、(えい)情報! 正しくは、馬耳東風だからね、お姉さん! バジル豆腐って何、その美味しいか美味しくないかわかんないヤツ!?』

 

 あっちゃぁ、電話越しでも読めちゃうのか、影ちゃん……。

 

「あはは……ありがとう……」

 

 気の抜けたやり取りを最後に通話を終了すると、本当に秒単位で、『赤い光』が空から近付いてきた。

 

「――シュタッ……! 『さいつよ』の ふたば、参上~っと!」

 

 『ふっちゃん家の 某・お隣さん』みたいなドヤ顔から一転、すぐに彼女は表情を引き締め、あたしを抱えて、希望が花へと連れていく――

 

 

 ……そんな中で、あの日々の、あの子の言葉たちが、ふと脳裏に蘇った。

 

 『       』

     『        』

『       』

 

 再生されたその記憶の中で、あの子は、寂しげに笑うか、泣いてばかりだった。

 

 

『――全部、私のせいなんだよ』

 

『怒ってよ、ねぇ、いっそ私のこと、嫌いになってよ! そんなの、そんな風にされたら……どうすればいいか、わかんなくなるじゃん!!』

 

 ――そして、もう何も、動かなくなった。

 

『――○○だよ』

 

 あの子との時間も。

 

 大切な、仲間も。

 

 

 ……。

 

『私と、友達になってほしいの!』

 

 思えば、あの日から始まった。

 光差す中、彼女が言った、その言葉。

 

 そして、時を超えて、重い空の下。

 そこで唐突に、終わってしまった。

 ……ひどいよね、いきなり、あんなこと。

 

 

 あたしにはもう一度、あの過去が待っているのだろうか。

 

 あたしたちが本当に待っているのは、待ち続けているのは、あなたの言葉なのにね……。

 

 

 ――SIDE OUT……

 

 

――

――――

――――――――

 

 

 

「そーだよ、アデッソ。 よく頑張ったね♪」

 

 私の目の前に、突如として、紅い 花のような衣装の 女の子が現れた。

 同い年くらい……かな。 長いポニーテールのてっぺんをわっかに留める、ちょっと特徴的な髪型をしている。

 

「あなた、は……?」

 

 なんで私のこと知ってるんだろう……と恐れつつ聞くと、女の子は、満面のドヤ顔で名乗った。

 

 

「世界を染める一輪の花! キュアモンド!!」

 

 

「キュア……モンド……?」

 

 そ! と、モンド。

 

「『こころの大樹』最強のプリキュアだよっ!」

 

 春の花のような笑みから一転、彼女は、ふぅ……と溜め息をついた。

 

「別の意味で危なかったね、アデッソ。 このままじゃ後でお説教だったよ?」

 

「へ……?」

 

「勝手に卑屈になっちゃって、根性がまるでなくてさーっ! 無防備で吹っ飛ばされた時は、本当に()()()()()()()()()()()()んだからねっ!」

 

 ……あれ、このフレーズ……?

 

「まっ、立ち直ってくれたから、一先ずヨシ! 現場にゃんにゃん! ()()としても安心だよ!」

 

「えっ、もしかして……」

「あのさ」

 

 私の言葉を遮るかのように、モンドはアップル夫人に向き直り、さっきよりドスの効いた声をかける。

 

「これ以上、みんなを困らせてくれちゃ、困るな。 言っとくけど、『最強』はハッタリじゃないよ? そのドレス、汚したくなかったら今すぐ帰って」

 

「誰が――!」

 

 と、夫人は一瞬言いかけるが、何かに気付いたかのように一旦 口をつぐむと。

 

「なるほど……徹底的に対抗なさるおつもりのようですわねェ。 わかりましたわ……ワタクシ、あまり泥臭い戦いは好きじゃありませんの――次は、容赦しない()()()ですわよォ?」

 

 大人しく帰って行った。

 

 

 ……。

 

「――ねぇ、モンド、あなたもしかして……」

 

 私に背を向けたままのキュアモンドに声をかける。

 今の彼女は、身長も顔立ちも、大体同い年くらいに見える。 パッと見、()()()とはほど遠い、けど……。

 

「   」

 

 モンドは振り返って、ゆっくり口を開いた。

 

みなと

 

 そのまま、彼女はパァンと変身を解く。 現れた姿はやっぱり……!

 

「! ふたばお姉さ――」

「バカァァァァァァァァァァッ!!!!」

 

「!!??」

 

 耳元で叫ばれ、混乱する私の肩をガシィッ!! と掴み、涙目で迫ってきた。

 

「相談してって! 言ったじゃん!!」

「えぇーっ、いやでも、プリキュアのことって、あんま大っぴらには……」

 

「言ったじゃん、言ったじゃん、言ったじゃんー!! ってゆーか、相談相手は私じゃなくたっていいから、いなくならないでよー! いったい何人が、みなとのこと好きだと思ってるの、

ねぇ~~~!?」

 

 

 ……お姉さんの言葉に、なんにも言えなくなる。 ほんと、私って情けない弟子だなぁ……。

 

 ――そう思っていると、お姉さんは、はぁっ、と息を吐き、腕を胸の前で組んだ。

 

「まぁでも、一番心配してたのは、私じゃなくてね……せめて その人には、絶ぇっ対! 謝ってよ~?」

 

「へ?」

 

 お姉さんが手のひらを向けた、その方向は、先ほどアップル夫人が向いていた方向と同じだった。

 どういうことなんだr――ヴェッ!!!!????

 

 

「アデッソ!」

 

 その人は、やや涙目で私の名前を呼んで、駆け寄ってきた。

 

「え? え? え?」

 

 思いっきり抱きしめられる中、私は理解が追いつかないで、「え?」と連呼するばかりで、何も反応できなかった。

 だって、今、まだガッツリ時間停止解除されてないし。

 なんで? なんで?

 

 

「……なんで

 

  お母さんがここにいるの?

 

 

 

 ――待って、あのウォッチやアカシアさんのルーズな態度、あと、アレヤコレヤの情報から考えて……。

 

「まさか――」

 

 

「ドッキリ大成功、ですね♪」

 

<タム!>

 

 隣に、より服がボロボロになったアカシアさんが、ニコニコ顔で立っている。

 ウォッチの声も楽しそう。

 

 アカシアさんは、その声のトーンのまま、続けた。

 

「よぉく聞いてくださいね?

 ――あなたのお母様、藤村なぎささん こと、旧姓……」

 

 

美墨なぎささんは

前世代 始まりのプリキュア・『ふたりはプリキュア』 の

 

キュアブラック

 

 

「……なんです♪ パチパチ~!」

 

 ――へぁっ?

 

「も~、アカシアさん、あたし別にそんな凄くないのに、照れちゃうってばぁ♪」(*´∀`*)

 

「またまた、ご謙遜を~♪」

 

「そーそー、なぎさお姉さん強いんだからさ♪」

 

<タムゥ~♪>

 

「「「あははははははは♪」」」

 

 

 

「ちょ、ちょ、ちょっと! ソレ、どういうこと!?」

 

 余計、話についてけなくなった! いや、なんとなく予想してたけど、いざ来られると!

 

 ……あわあわしている私に対して、お母さんは やや照れを隠せない様子で笑った。

 

「『どういうこと』って……そーゆーこと! ってなわけで、よろしくね、()()!」

 

「よ、よろしく――じゃなくて! あぁん、もーっ!」

 

 

 

 

ありえなぁ~~~いっ!!

 

 

 

 

 




 


 【第3話 予告】


みなと「うぅぅー!」

なぎさ「まぁまぁ、そんな はぶてずにー」

みなと「だってぇ~!」


ウォッチ「あぁー! 大変タム、マップが!」

アカシア「あっ! もしかして、ここ、行けるようになってます!?」

みなと「行き先は――『ふたりはプリキュア』?」


???「大切なもの……」


???「なぎさぁーっ!」


アデッソ「上っちゃ、ダメだ……!」


????「アデッソ……」

アデッソ「ごめんなさい、ごめんなさいっ……!」




  『旅の始まり! 早速ピンチでありえな~いっ!』



みなと・なぎさ「巡り巡って! プリキュア・タイムトラベラー!」




 


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藤村みなとの小部屋
いんとろだくしょーん!


 

みなと「ねーねー、だりあん」

 

だりあ「んー?」

 

みなと「私、なんでこんなとこにいるの? ……えっ!? てゆーか、ここどこ!?」

 

だりあ「今更あわてるんだ……」

 

みなと「何で目の前に知らない人がいるの!?」

 

だりあ「それは読者さn__」

みなと「もう、ありえないありえないありえな~い!」

だりあ「聞いとりゃせんな、こるぇ(これ)……」

 

みなと「ありえないありえないありえないありえない……」

 

だりあ「スゥ……」

 

だりあ「戻ってこんかぁぁぁぁぁぁいっ!!!!」

みなと「ひゃっ!? 鼓膜破れるかと思った……

 

だりあ「私がわざわざ連れてきた所だよ? 危険な場所じゃないから安心して」

 

みなと「うーん そもそもあなたが何者かもよくわかってないけど わかった~」

 

 

_________________________________________

 

 

 

みなと「で、ここはいったいどこなの?」

 

だりあ「ここは、本編からは隔離された、駄弁(ダベ)りコーナーなのだっ!!」

 

みなと「ちょっと何言ってるのかわかんない…… (やっぱ逃げよっかな……)」

 

だりあ「うーん……ここはねぇ__」

 

だりあ「__みなとちゃんが近い将来、『ぶっちゃけありえない』目にあうのは確実だから、」

  みなと「ねぇ、サラッと怖いこと言わないで…… 私どうなっちゃうのよ……」

だりあ「それについて愚痴ったり、あれしたり、これしたり……」

 

だりあ「ともかく好きに使って! って所かな」

 

みなと「えぇーっ↑ 今、好きに使っていいって、言いましたっ!?」

???「んっ?」

 

だりあ「そーだよぅ! 」

 

だりあ「()()()()()()()()()()()()()()()()のために、せめてものプレゼントだよ!」

  みなと「だからさぁ……!?」

 

だりあ「大事なことなのであと字数稼ぎのために、2回言っちゃいました~」

みなと「もういいや、運命は()()()()()()()だもんね……」

 

だりあ「そーだよぅ、だから、今は楽しいこと考えよう!」

 

みなと「おーっ!!」

 

  みなと「正直、このお姉さん(だりあん)が私のそばにいる限り、楽しいことがあるとは思えない……」

 

 

___________________________________________________

 

 

 

みなと「でも、いざ『なんでもしていいよ』って言われたら、何すればいいかよくわかんないなぁ~」

 

だりあ「みなとちゃん、趣味は?」

みなと「ラクロス」(即答)「お母さんに教えてもらったの」

 

だりあ「おぉ…… それはここじゃできないねぇ、残念だけど」

 

みなと「そっか……あれ、何でもできるわけじゃないんだ」

 

だりあ「してくれてもいいけど、尺のツゴーでさ」

 

みなと「それって、だりあんの力量の問題じゃ……」

 

だりあ「……」

 

みなと「……」

 

だりあ「じゃあ みなとちゃん、何部に入ってるの?」

 

みなと「それが、紆余曲折ありまして、放送部の幽霊部員なんだよねぇ」

 

だりあ「ほーん、じゃあ、ラジオ番組でも持ってみる?」

 

みなと「ラジオ……考えとこっかなぁ」

 

だりあ「うん、おっけーぃ」

 

 

 




 
無事、1131文字となりましたので、無駄に長ったらしいこの話は、いったんお開きということで。


みなと「……そもそも続くの、このコーナー。 まるで必要ないよね」

だりあ「……企画倒れしたら、ひっそり消しておくっしゅ」

 


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第1夜

 
このコーナーは、ガバガバなノリと些細なネタバレならOKだよって方々向けなので……ご了承をば。

(追記)
あっ、ミスった……
夜の8時半に投稿予定だったのに、できてすぐ投稿しちゃった……

(追々記)
コーナー追加しました


 


 

 

  5……

 

   4……

 

    3……

 

     2……

 

      1……

 

 

 

みなと「夜の8時半になりました! 『みなとのレイディオ・アフター・ストーリー』。 お相手は、藤村みなとです!」

 

 

みなと「みんなー第1話、バッチリみてくれたかな? うんうん! この番組は、本編がもっと楽しくなる かもしれない 小ネタや裏話などが、はぎゅっとつまった構成になってるよ~!」

 

大輪愛「私、天爛 大輪愛 も、みなとちゃんのサポートをつとめるから、よろしくね~っ」

 

 

みなと「それじゃあ、ドドンとコーナー一発目は~……」

 

  『黒ヤギさんの、お手紙ちょーだいっ!』

 

大輪愛「なんで『黒ヤギさん』なわけ?」

 

みなと「うーん、お手紙で有名な童謡が『おてがみヤギさん』だし、キュアアデッソの衣装って、黒色のパーツ多いし」

 

大輪愛「なるほどなるほど? ってことで、このコーナーでは!」

 

みなと「本編で気になったところの疑問・質問に答えていっちゃうよ~!」

 

みなと「事情が絡んで答えられないものは――」

 

『クシャポイ♪ ですわ♪』

 

みなと「この『クシャポイボタン』を押して、回答(一部/全部)拒否することがあるので、そこはごめんね~」

 

大輪愛「某・四葉財閥のお嬢様の声なんて、なんとゼータク……」

 

みなと「思い出した……私も一応『プチ・お嬢様』の部類だったよね……」

 

 

みなと「おっ、早速一通目! なになに……」

 

 

 ラジオネーム・シャイで引っ込み思案 さん

 

 前書きに出てきた「???」さん。

 本編の記述と重ね合わせても、確実にあの子なんですけど、その子のストーリーと みなとちゃんのほうを両立させるとか、年代的に無理があるのでは……

 

 

みなと「はーい、お便りありがとう! で、答えを言うと――あっ、カンペカンペ……

 

みなと「――無理は全くありませんっ! 実は、プリオルSFは2部+外伝の構成になっていて、そちらはまた外伝で……ってことみたい!」

 

 

みなと「じゃ、2通目行くよ~!」

 

 

 ラジオネーム・Twincoolさん

 

 みなとちゃんは、何で「お母さんがまだ起きてない」ってことがわかったの?

 テレパシー? キラやば~☆

 

 

みなと「はーい、お便りありがとう! ――いやいやいや、テレパシーじゃなくて……」

 

みなと「私のお母さん大抵は、一人で起きて私を起こしに来るか、そうでなかったら、まだグースカしてるかだから、消去法で『あっ、まだ起きてないな』ってわかったんだ!」

 

 

みなと「おっ、3通目! どんどん行くよ!」

 

 

 ラジオネーム・愛づる さん

 

 ちょっと気になったんだけど……敵・時空デストロイヤーの目的に関して、こちらの推察だらけであやふやになってない?

 メィ・クイーンのセリフにも、引っかかるところがあったし……本当のところどうなのかしら?

 ……この質問はやっぱり、クシャポイ?(汗)

 

 

みなと「はーい、お便りありがとう! まだウォッチたちから詳しい事情を聞いてないのでわかりませんっ!」

 

大輪愛「あと、とんでもないネタバレになるので、私としても言えませんっ! ってことで」

 

『クシャポイ♪ ですわ♪』

 

みなと「ごめんね~」

 

 

みなと「よっしゃ、次、次!」

 

 

 ラジオネーム・海賊ハリケーン さん

 

 正直、みなとさんのお母さんの正体、モロバレなんだけど……

 なんで直接の記述を避けるのかしら?

 

 

みなと「はーい、お便りありがとう! ……え? 私のお母さんの名前、言ってなかったっけ? 名前はね――」

大輪愛「わぁぁぁぁぁぁあっ!!??」

 

『クシャポ『クシャポ『クシャポイ♪ ですわ♪』

 

みなと「なんでそんなに連打するの……」

 

大輪愛「待って! みなとちゃん本人は、お母さんがアレだったこと知らないからっ! それは触れちゃダメっ! みなとちゃんと同じような初々しい気持ちで読んでもらうために、あえてふせてるの! いい!?」

 

みなと「????」

 

大輪愛「まぁ、かくいう私も、ついつい、特にひかりちゃんがしゃべる場面とかは、ひかりちゃんに移入しすぎて『○○○さん』って書きそうになったり……」

 

みなと「????????」

 

 

みなと「さぁ、気を取り直して、ゴーゴー!」

 

 

 ラジオネーム・生意気な小娘 匿名黒仮面 さん

 

 20XX年って言ってるけど、明確な年代設定をしなかったのは、なんで?

 

 

みなと「はーい、お便りありがとう!」

 

大輪愛「答えを言うと、オールスターズ時空はややこしいから、だね」

 

 

みなと「次で、6通目……かな?」

 

 

 ラジオネーム・夢見る乙女の底力 さん

 

 なんでそっちにはココがいないの?

 

 

みなと「はーい、お便りありがとう! ココって……?」

 

大輪愛「のぞみ先生の旦那さんのことだね。 実はこれ、第1部・終盤の重要な伏線だから、答えられません!」

 

『クシャポイ♪ ですわ♪』

 

 

みなと「じゃ、次いくよ!」

 

 

 ラジオネーム・犬も歩けばココ掘れワンワン(棒にあたる)♪ さん

 

 まもるちゃんとか、神澄くんとか、まさかこれも?

 

 

みなと「はーい、お便りありがとう! えっと……?」

 

大輪愛「代わりに答えると――うん、伏線、っていうか重要人物だね」

 

 

みなと「じゃあ、8通目ね♪」

 

 

 ラジオネーム・酒豪の戦術予報士 さん

 

 同級生の名前ってこれ、あたしの中の人混ざっ――あっ、ちょっと! 待ちなさい、亮太~~~!!

 

 

みなと「はーい、お便りありがとう! あれっ、放送事故起きかけたね」

 

大輪愛「起きかけたんじゃなくて、起きたね。 まぁ、そんなメタ路線にするつもりはないけど、一応、そこら辺は小ネタだね♪」

 

 

みなと「9通目、9通目~」

 

 

 ラジオネーム・腕時計 さん

 

 アカシア様のお洋服は、いつごろ直るタム……?

 

 

みなと「……おーい、モロバレだよ、投稿者」

 

大輪愛「結論を言うと、フレッシュでお洋服借りて、魔法つかいで最初の洋服を修復してもらう感じかな」

 

みなと「そこらへんのネタバレはいいんだね?」

 

大輪愛「全部クシャポイすると、お便りこなくなっちゃう」

 

 

みなと「よっしゃ、2桁! 10通目!」

 

 

 ラジオネーム・ブルーバグ さん

 

 「花の色は 移りにけりな……」とか、ちょくちょく小ネタいれるんだね。

 ちなみに、お巡りさんは今後のストーリーに関係ある?

 

 

みなと「はーい、お便りありがとう! それは、NS3の、のぞみ先生のアレかな?」

 

大輪愛「だね。 っていうか、まだ NS3の時空に行ってないのに、そんなこと言うんでないっ」

 

みなと「あと、巡査さんは関係ない……らしいね。 何があったのか、ふたりにまた聞いておこう」

 

大輪愛「無視された……」

 

 

みなと「じゃ、11通目~!」

 

 

 ラジオネーム・一般モブ男A さん

 

 みなとちゃんの変身理由、曲解すれば「たまねぎのため」になるんですが、それは……

 

 

みなと「はーい、お便りありがとう……曲解しすぎっ!! プリヲタたるもの、もっとピュアなハートで、プリキュアを見るべしっ!!」

 

『クシャポイ♪ ですわ♪』

 

大輪愛「一応クシャポイせずに答えたけどね……」

 

 

みなと「さぁさぁ、12通目!」

 

 

 ラジオネーム・私まだまだただの((早口言葉か! さん

 

 アデッソの戦い方、『ふたばお姉さん』の教えであって、ブ――

 

大輪愛「……」

 

『クシャポイ♪ ですわ♪♪♪♪♪』

 

みなと「え、え、えぇ……? 何が起こったの???」

 

大輪愛「ちなみに、そのあたりの戦い方云々は、外伝を待っててね!」

 

みなと「無視されたっ!」

 

 

みなと「まぁいいや……13通目っ!」

 

 

 ラジオネーム・カメラの0 さん

 

 「レリーズ・アデッソ・メモリー」って……。

 

 

みなと「短っ!? お便りありがとう! ――そうそうこの技名、オールスターズメモリーズから思いついたらしいね」

 

大輪愛「でも、あの敵の扱いは、ぼんやりとしか固まってなくて。 関連付けるかどうか……」

 

 

みなと「あっ、これで最後かなぁ。 14通目!」

 

 

 ラジオネーム・私 さん

 

 ちなみに、このOPは、後になって本当の意味がわかってくるタイプだったりします。

 

 

みなと・大輪愛「「……」」

 

『『クシャポイ♪ ですわ♪』』

 

 

 

 

みなと「それじゃあ、次のコーナーは……」

 

『おいでませ! 今日のNGシーン』

 

大輪愛「これは文字通り、没案を折角だからこっちに残しておくそれだね」

 

みなと「今日の没案は……()1()()?」

 

大輪愛「あぁ……無駄な掘り下げとかを省いたりしたのも入れたら、もう少し増えるけど。 それはガチの人様に見せられない没なんで」

 

みなと「ふ~ん? じゃ、上映開始のカウントダウン、いっくよ~!!」

 

 

 5!

 

 4!

 

 3!

 

 2!

 

 1!

 

 

**********

 

 

 ひとりでぐるぐると考えながら、玄関を出て鍵をしっかりかける。

 

「行ってきまーすっ」

 

 誰が答えてくれるというわけでもないけど、私はそう言って、駅へと駆け出――そうとした。

 

「あなたは――藤村みなとさん、ですね」

 

「え……?」

 

 玄関前には、不思議なデザインの上品なワンピースを着た女の子がいた。

 

「目覚めの時は近い――あなたは今日、万時を巡る戦禍へと巻き込まれます」

 

「な、なによ、それ……っていうか、あんた誰!?」

 

 不審者の女の子は、物憂げな瞳で答えた。

 

「現在の私には、何も残されておりません……ですが、見えるのです」

 

「は、はぁ……」

 

 厨二病でも患ってるかのような妙なミステリアスさに、私はたじたじになる。

 

「あなたとも、何れまた――」

 

 そこまで女の子が語ったとき、その子から後光が差し、視界がたちまち真っ白に塗りつぶされた。

 

「!! ……」

 

 ――まぶたの裏から強烈な明るさは消え、恐る恐る目を開けたとき……女の子はもう、跡形もなく消え去っていた。

 

 

**********

 

 

みなと「うわぁ……なにこれ」

 

大輪愛「まぁ、初期プロットは色々違ったからね。 そこから、後々のストーリーとか考えているうちに、知らず知らずのうちに淘汰されてたから、もう無理矢理入れることをやめた(そのせいであらすじが嘘予告になっちゃったけど)」

 

みなと「それも『なにこれ』だけど、この女の子、誰!?」

 

大輪愛「あぁ……それは、時流の黄泉をさまよって、記憶を失った状態でここに流れ着いた『プロト・アカシア様』」

 

みなと「うっわ、全然キャラ違うじゃん」

 

大輪愛「だよねぇ。 まぁ、嘘予告は申し訳ないけど、個人的には現行の第1話のほうが、話に無駄がないからよかったかなって思ってる」

 

みなと「まぁ……伏線回収し切れなかったら、それはそれでヤバいもんね」

 

 

 

みなと「じゃあ、そのまた次のコーナー! って行きたいんだけど」

 

大輪愛「まだまだみなとちゃんのプリキュアライフは始まったばかり!」

 

みなと「次のコーナーは、3話ぐらいになったら開設できるので、楽しみにしててね~!」

 

 

 

みなと「そろそろ9時、終わりの時間が近づいてまいりました!」

 

みなと「『みなとのレイディオ・アフター・ストーリー』。 お相手は、藤村みなとでした~!」

 

みなと・大輪愛「「それじゃあ!」」

 

 

みなと「おやすみなさ~い!!」

 

 




 

次回以降も、こんな感じのノリになるかなぁ……

3話以降は、またいろいろ解説コーナーもやっていく予定! なので、よろしくお願いしまーす!

 


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藤村みなとのお誕生日 20XX!

 

えー、今からみなさんに、催眠術をかけます。

今日は6月10日、今日は6月10日、今日は6月10日、今日は6月10日、今日は6月10日、今日は6月10日っ!


 失礼しました、では、とうぞ。

 今日は6月10日、10日ですよ。

 


 

 

 

 

 

注意:今後の展開のネタバレを含みます。

   苦手な方は、少なくとも4話を読んでから……

   8話の後なら、なおわかりやすいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 やっほー、みんな!

 藤村みなとだよ!

 

 なんだか、すっごく久しぶりな気がするけど……ま、いっか!((←

 番外編だし、気にしない気にしないっ!

 

 

 で、みんな、今日は何月何日か、わかる?

 

 ――そうだね! 6月10日!

 

 ところで、今日は、とっても特別な日でね……え? 『UFOが落っこちた4日後』?

 違う違う!

 

 実はねぇ……今日は、なんとっ!

 

私! 藤村みなと・14歳の誕生日!!

 

 なんです!

 

 

 ……とは言っても、本編じゃまだ4月だから、実質13歳のままなんだけど……。

 

 本編といえば、2話目を期待してた人、ごめんね……番外編です。

 

 6月10日の時間軸って言ったら、いつぐらいかなぁ。

 8話目が終わったあたり?

 

 そうだね、5GoGo! の時間を調律し終えたから、それくらいだね。

 

 

 ってわけで、みなさん!

 

 どーせ バースディパーティーやるなら、たくさんいた方が、いいよね?

 

 行っちゃいましょう、『みんな』に会いに!!

 

 

 では、みなさんご一緒に~?

 

 

 

 

 ――ビヨンド・ザ・タイム・アクシス!

 

 

 

 

 ……あれっ、そっか、まだみんな知らないのかコレ…………。

 

 

 

 ――『経験値』のギャップに戸惑いながらも、生成したゲートをくぐる。

 

 

 その時の私は気付かなかった。

 

 

 プリキュアの各時間を表示したマップの一部が、ゲートに入るその瞬間、赤く染まったことに――――

 

 

 

 

 

**********

 

 

 

 

「ここがナッツハウスかぁ!」

 

「来てよかったですねぇ」

 

「ええ、素敵なところね!」

 

 

「でも、ミップルの方が素敵メポ!」

 

「ありがとうミポ~❤」

 

 ――あたしと ほのかのコミューンから、ポムッと音をたてて、メップルとミップルが出てきた。

 

 ……またイチャイチャし始めたよ…………毎日そんな新婚の夫婦みたいに……よく飽きないよね。

 

 

 

 それはともかく。

 

 あたしたちが今いるところは、サンクルミエール学園都市の端っこにある、『アクセサリーショップ・ナッツハウス』。

 

 女子部全体で話題になりつつあるお店らしく、あたしたちも噂を聞いて。

 それで、休日を使って、ほのかとひかりとで電車に乗ってきたんだ。

 

 

 でも、噂以上にいいところ!

 

 このお店、小さな池のほとりに建っているんだけど、その池が、またすごく綺麗なの!

 お店の外観自体も、所々に木材を使っていて、超オシャレ!

 

 ……イケメン店員さん目的で来た同級生もいたみたいだけど、あたしたちは純粋に楽しむつもりで来た。

 だってそりゃあ……照れちゃうから、あまり大きな声じゃいえないけど、あたしは――

 

「……なぎさ」

 

 ふと、ほのかに呼ばれる。

 

「ん?」

 

「上……あれ、何かしら……」

 

 微妙な表情をして見上げるほのかにつられて、あたしとひかりも上を見て、目を懲らす。

 

 かなり上空に、()()()()()()()2()()()()()()()()()()が浮かんでいる。

 

「この印、どこかで……?」

 

 ひかりは、思いだそうと頭をひねっているけど、ねぇ……。

 

 ――あたしは、ほのかと顔を見合わせた。

 マークのひとつぐらい、2回も見れば、流石に覚えるわよ……しかも、あんな出会い方すれば尚更。

 

 

 紋章の周辺の空間が、歪む。

 

 次の瞬間には――刻々とこちらに近づいてくる人影が現れていた。

 

  「なーぎさ────────────────!!」

 

 嬉々とした顔で顔面から落ちてくる、その子。

 

 短い間、呆然と眺めていたけど、ハッと思い直して、あたしがピンポイントで着地点に来ないよう、慌てて避ける――

 

 

「……のわぁぁぁぁあっ!?」

 

 どぼぢゃあぁぁぁぁぁぁぁあんっ!!!!

 

 

 ――その必要はなかった。

 

 って!

 

「「「えええええええええ!!??」」」

 

 あたしたちの困惑の叫びと、ザバァァァ……という水しぶきの音が重なる。

 

 

 いや、ざばぁ、じゃないわよ、ざばぁじゃ!

 

 水没したわよ、今! すっごい勢いで!!

 

 しかもこの子、あたしと同じで泳げないんじゃなかったっけ!?

 

 

 そう思っていたら、水面下から青い光が溢れ、その光の塊が飛び出してきた。

 光は一瞬にして弾ける。

 

「いやー、『プリストリマッチ』って本当に便利だねー! アクアの力のお陰で助かったよ……」

 

 目の前の彼女は、そう一息ついたあと、人のよさ気な笑顔を向ける。

 

「やっほー! 会いに来ちゃった♪」

 

「みなとちゃん!」

「「みなとさん!」」

 

 なぎさー! ほのかちゃーん! ひかりちゃーん! と、みなとちゃんは駆け寄ってくる。

 幸いにして、一つも濡れていない。 安心して抱き合う。

 

 で、何でいつまでも、あたしだけ呼び捨てなんだろうか……。

 

 

 そんなことを思っていたら、みなとちゃんは紅潮した顔を強張らせて、早口でまくしたてる。

 

「あのねあのね! 私のね、時間ではね、今日はね、6月10日なんだけどねっ!」

 

 やたら興奮しているせいか、言葉にいちいち『ね』をつけてくる。

 中1の時の国語の授業思い出した……『ね』で文節を区切るやつ……まぁ爆睡しててロクに聞いちゃなかったけど。

 

「私、今日、誕生日なんだよねっ!」

 

「あっ、そうなの!? おめでとう!」

 

 それは素直に「おめで」たいと思う。

 

 6月10日だったんだ、知らなかった。

 っていうか、ここの時間は季節が違いすぎて、「祝いたい」気持ちはあっても、妙に実感が湧かない。

 

「6月10日って言ったら、確か『時の記念日』よね? みなとさん、時間を巡っているし、なんだか運命的ね!」

 

 あたしとひかりとみなとちゃんで、へぇ~と相槌を打つ。

 

「あれっ、みなとさんも知らなかったんですね」

 

「まぁね。 でも、確かに運命的かも……」

 

 会話が止まる。

 沈黙の中で、ふ、と頭に浮かんだことがあるので聞いてみる。

 

「もしかして、今日ここに来たのって、それが――誕生日なのが理由?」

 

「うん! どーしてもプリキュアみ~~~んなでパーティーしたくて!」

 

「み~~~んな?」

 

 あたしも丁度気になっていたところを、ほのかが質問してくれた。

 そう、その口ぶり、まるで――

 

 みなとちゃんは、むふっと笑った。

 

「その答えは……ナッツハウスに入ってからね♪」

 

 そう言ってから、みなとちゃんが何かに気づいたように、目を見開く。

 

「そうだ、『5』のみんながいるなら、『咲ちゃんたち』も、もしかして……?」

 

 そこまで呟いてから、いきなりあたしの袖をガシッと掴み、ナッツハウスへとぐいぐい引っ張っていく。

 ほのかとひかりが、びっくりして追いかけてくる。

 

「ちょっ、みなとちゃん!?」

 

「いーからっ」

 

「いや、ちょ、服がのっ、のび……伸びる伸びる伸びる伸びる伸びる伸びる伸びる!!!!」

 

 今日の、割とお気に入りだから!

 やめて~~~!?

 

 

 

 

 …………。

 

「こんちゃー!」

 

 よほどテンションがあがっているのか、みなとちゃんは砕けた調子で、ナッツハウスに入るなり挨拶した。

 

「あーっ! みなとちゃんだー!」

 

 すると、マゼンタのツーサイドアップの女の子が反応して走り寄ってきた。

 

「えっ、みなとさ……!? あら、いらっしゃい!」

 

「みなと! 未来では変わりないかしら?」

 

「数ヶ月ぶりですね~!」

 

「誰かと思えば、あのお人よしじゃない!」

 

 マゼンタの女の子の友達と思しき人たちも続々と出てくる。

 緑、青、黄色、紫……うわぁ、カラフル……。

 

「みなと! どうしたのいきなり大声出して」

 

 最後に出てきた、赤い髪の毛の子が、そういってから苦笑を浮かべる。

 

「まさか、また時間が改変されたとかいうんじゃないんでしょうね?」

 

「違うよぅ! 実はね……」

 

 みなとちゃんが、あたしをグイっと引き寄せて説明をしようとする いやだから服伸びるって…… その時――

 

 

「うわぁ~、ここがナッツハウスかぁ~!」

 

 年の近い感じの女の子2人組が入店してきた。

 

「えぇ、素敵なお店――」

 

 そして、濃い紫色の髪の毛の女の子が、店内のカオスがかった状況に気づいて……。

 

「――ね……」

 

 

 茶色い毛の女の子のほうも遅れて気づき、どうすればいいか分からないというように、ふたりで硬直している。

 

 だけど、それもほぼ一瞬。

 茶色い毛の女の子が、顔を輝かせ、叫んだ。

 

「あ~! みなとちゃ~ん!」

 

「えっ!? あ、本当ね、久しぶり!」

 

 紫の毛の女の子も、びっくりはしたものの、笑顔でこっちに寄ってくる。

 

「咲ちゃん! 舞ちゃん!」

 

 みなとちゃん……喜んでるところ悪いんだけど、いい加減離して……。

 

 

「で! みんな揃ったから言っちゃうけど!」

 

 そんな心の声を聞いてか聞かでか、みなとちゃんは、あたしから手をパッと離すと、くるりと軽快に回った。

 

 

「ここにいる人、全員プリキュアで~す!!」

 

 

 ……いや、何となく気づいてはいたけど。

 

 どうしても、11人で一緒に叫ばずにはいられなかった。

 

 

「「「「えぇえ~~~~~~!!??」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 …………。

 

「なるほどね~」

 

「みなとちゃん、今日誕生日なんだ! おめでとう!」

 

 ありがとう、と私は返す。

 

 隣では、なぎさが恨めしげに私を凝視していた……ごめんってば~!

 

 

「でも、未来にも、みなとさんの友達がいるんじゃないの?」

 

 舞ちゃんの質問に、今日の学校での出来事が思い起こされる。

 

 

 ――ごめん、みなとっ! 市総文前で忙しくてさ~!

 

 ――私も、既に○○さんと遊ぶ約束してて……

 

 ――ごめんなさい藤村さん、今日はお母さんとご飯食べに行くから……

 

 

 ――ごめんね、みなと!

 

 ――みなとさん、ごめんなさい!

 

 ――ごめんっ、藤村さん……!

 

 ――ごめんね……

 ――ごめんなさい……

 ――ごめん……

 ――ごm…………

 ――ご……………………

 

 

「ぬう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛んっ!!!!」

 

 あぁ、みんなが一歩後ずさった音がした……。

 

「陽子もエリも、み~んな用事があるんだもん! ひどいよ~っ!! ありえな~~~いっ!!!!」

 

 『陽子』って言ったときに なぎさが、『エリ』って言ったときに くるみちゃんが、それぞれビクッとした気がするけど――それどころじゃないし、スルーでいっか……。

 

 

「み、みなとちゃん……じゃあ、何しよっか? できることなら、何でも……」

 

 なぎさが、傷心中の私に声をかけてくれる。 優しい。

 っていうか……。

 

「ん? 今、何でもするって……」

 

「できることならね! 『できることなら』!!」

 

「じゃ、みんなでお菓子作りた~い♪」

 

「いや、それ、圧倒的にできないやつ!」

 

 慌てるなぎさに、満面の笑みで、「苦手なだけで、()()()()()?」と言ってあげる。

 

 なぎさはうちひしがれた。

 ほのかちゃんは、微笑ましげにこちらを見ている。 穏やかに傍観できるのは、『知ってる人』の特権だね。

 

 

「ま、まぁ、折角ですからやりましょう!」

 

「そ、そうですよ! この間は助けてもらったんですし!」

 

 ひかりちゃん、うららちゃん……!(感涙)

 

「まだまだ修行中だけど、家がパン屋さんだし、何か手伝えることがあったら言って!」

 

「羊羹なら手持ちがあるから、使うならいつでも言ってね♪」

 この母にして、あの子ありか……。

 

「そうね、みなとさんへのお礼も兼ねて、ね、咲♪」

 

 咲ちゃんと舞ちゃん、どこまでも仲がいいなぁ……初対面ケンカ中だったけど……。

 

「はいはーい! 私もやるやるー!」

 

「あんたはもう少し大人しくしてなさいっ」

 

「のぞみはすぐドジ踏むんだからー」

 

「あっ、もしロブスター使うんだったら……」

 

「水無月さん、多分使わないと思うよ……」

 

 

 

 ――そんなこんなで、できあがりました、クッキー!

 

 5分の1くらいは羊羹が練り込んであったり、一部黒焦げにはなったりしてるけど……。

 でも、総じて美味しそう!

 

 ちょっとだけ、持ち帰らせてもらおっと……。

 

 あれ、何だか今度は時間経過早いな……尺の使い方下手だね……。

 いいでしょ別に。 今し方、日付越して、10日に間に合わなくなったんだから……。(不服顔)

 

 

 

「あっれ~!? なんだかいい匂いがするんだピョン!」

 

 ナッツハウスの外から、裏返りかけたようなおじいさんの声がする。

 ……この声……。

 

 フッと怒りか込められて行くのを感じながら、私はみんなと外に出た。

 

「おぉ~! プリキュアいっぱいだピョ~ン! あれっ、初めましての娘たちもいる? (きょう)は、『スットン(きょう)』だピョン!」

 

 明らか~に、5のみんながドン引きしてる……。

 で、それは私も例外なく……いや、『引く』と言うよりは――

 

「ってことで! 郷、登場だピョォォォンっ!!」

 

「……ちょっとあんた、よくもそんなしゃあしゃあと!」

 

 もうこれ以上コイツの声は聞きたくない!

 そう思ったと同時に、口がそう動いていた。

 

「私、あんたのこと、全っ然許してないし、絶っ対に許さないから!」

 

 ちらっと、なぎさを見てから、言葉を続ける。

 

「私の大事な友達、消しかけた罪は、重いから……私の前に出てきたが最後、無事に帰れると思うな!!」

 

 当のコイツは、薄ら笑いを浮かべて、私を中空から眺めている。 ムカつく。

 

 なのに、ほのかちゃんと、明らかに戸惑い顔のなぎさは――

 

「み、みなとさん、別にそんな、もういいのよ?」

 

「そ、そうだよ! 1年以上前のことだし!」

 

「……1か月前」

 

「「へ?」」

 

 私は涙目になってわめく。

 

「私の方は、つい1か月前のできごとなのーっ! あんなことがあって、1か月で立ち直れとか、絶対無理!」

 

 ふたりとも、今、すごーく困った顔してるけど……怒り心頭の私の眼中にまともに留まっているはずもなく――ごめん……。

 

 

「でも、どういうこと!? 時間の改変が起きてるってことなんだよね?」

 

 あ、咲ちゃん。

 ……我に返って、マップを開く。

 

 

「…………」

 

 まっかっかでした。

 MaxHeart、SplashStar、5GoGo!のところが、見事に『改変あり』反応になってました。ウゾダドンドコドーン!

 

 

「あんた、何をやったわけ?」

 

「何にもしてないピョン、よくわかんないけど勝手に歴史変わってたから、便乗しただけだピョン」

 

 りんちゃんからの疑惑を否定したそいつが「こんなふうに」と指差した先には、暴れるユガメーカーがいた。

 

「「「「(ノ∀`)」」」」

 

 やるしかないってことね……。

 

 

 

 …………。

 

「ユメユメユメェ……」

 

 やってやったわよ……。 どうだ!

 

 まぁ、戦っている途中には色々あった。

 ココが、異時間軸を調律するときに使う『ツァイトライト』を、『ミラクルライト』みたいって言ったりとか。

 省くはめになったのは、それもこれも、尺の使い方がまずいせいよ、聞いてるだりあん?

 しかも本来なら、リアルコロナオペレーションに最優先で時間割くべきじゃないの?何調子に乗って、こんなに書いてるわけ?

 

 

 ともかく、厄介ごとが片付いたんだ。

 

「さ、パーティーの続きしよ――」

 

 そう振り向きかけたとき。

 

 

 景色が、虹色に包まれた。

 

「ぁ……」

 

 時間が、戻っちゃう。

 

 虹色の中、隣には、誰もいない。

 

 他のプリキュアの、ひとりたりとも、今回、特異点にはなりえなかった――

 

 

 結局、この時間は何だったんだろう。

 虚しいあまり、意識が次第に薄れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………………。

 

「みなと……みなと……!」

 

 …………。

 

「みなとっ!」

 

 ……うわっ!

 

「お母さん!?」

 

「いつまで寝てるの、お父さんも下で待ってるわよ!」

 

 お父さん……!

 そうだ、誕生日だからって、久しぶりに帰ってくれて……!

 

 

「そうだね、すぐ行くっ!」

 

 私には、お誕生日を祝ってくれる、1番身近で大切な人がいる――さっき、私ひとりを特異点にして時間が巻き戻ったのは、そのことを忘れてたバチなのかもしれない。

 

 

 プリキュアのみんな、付き合ってくれて、ありがとうね。

 

 あと、振り回しちゃってごめん。 特に、なぎさ。

 

 あと、心配してくれて、もう一度、ありがとう。

 

 

 

 

 

 大丈夫、私の誕生日は――――これから。

 

 

 




 
突然の、拙い突貫文、失礼いたしました。

……こんだけあれば、リアル・コロナ・オペレーションの次話行けたよね……すみません。
しかも、うーん、間に合うかな、今週分……。

……これ以上しゃべると、どんどん見苦しくなる気もするので、今回はここら辺で。


ありがとうございました。

 


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第2夜

 


大輪愛「こんばんはぁ~……」

みなと「だりあんっ! こないだお休みしてたけど……?」

大輪愛「ん、今は、わりかし安定飛行中やからさ……」

みなと「そっかぁ」

大輪愛「ってことで! バンバン張り切っちゃうよー♪」


※最初に言っておく! プリオルSFは、PCで読むか、スマホを横にして読むことを、かーなーりお勧めする!!


 


 

 

 

 

  5……

 

 

 

   4……

 

 

 

    3……

 

 

 

     2……

 

 

 

      1……

 

 

 

 

 

 

 

みなと「明けましておめでとうございます! 夜の8時半になりました! 『みなとのレイディオ・アフター・ストーリー』。 お相手は、藤村みなとです!」

 

大輪愛「そして、サポーターの 天爛 大輪愛 です!」

 

  「「いえ~い♪」」

 

 

???・???「ちょっと待ったぁぁぁぁぁあっ!」

 

みなと・大輪愛「ふぇ?」

 

 

ふたば「こーんにっちはー♪ 花咲ふたば、中学2年生でーす!」

 

なぎさ「やっほー♪ 藤村……もとい、美墨なぎさ、中学3年生だよ!」

 

 

大輪愛「わぁぁーっ☆」ヾ(◎´∀`○)ノ゙

 

みなと「待って、ツッコみどころだらけ……!」(ー'`ー;)

 

ふたば「いいんでないの~? どうせ本編から外れてるし。 若返りくらい、どうってことない、ない!」

 

なぎさ「そうそう! ってゆーか、むしろ()()()の方がスタンダードだしねぇ」

 

みなと「……ここじゃ、私の感覚の方が変なのね……わかった……」

 

大輪愛「そーゆーこっちゃ、諦めり」

 

 

みなと「はぁ…… よーし! じゃ、今日は4人で進行しちゃおー!」

 

 「「「おーっ!」」」

 

 

 

ふたば「そんじゃ、コーナー、1つ目は~?」

 

  『黒ヤギさんの、お手紙ちょーだいっ!』

 

大輪愛「このコーナーでは!」

 

みなと「本編で気になったところの疑問・質問に答えていっちゃうよ~!」

 

なぎさ「事情が絡んで答えられないものは――」

 

 

 

『クシャポイ♪ ですわ♪』

 

 

 

なぎさ「この『クシャポイボタン』を押して、回答(一部/全部)拒否することがあるので、そこはごめんねー?」

 

大輪愛「読者の皆さんからも、お手紙募集しているので、この間 開設した活動報告にコメントしてくださいね~!」

 

ふたば「非ログインの方からは……感想欄だと違反になっちゃいそうだし、募集できないかな。ごめんなさーい!」

 

 

 

みなと「あっ、1通目、来たよ――」

 

 

 

 ラジオネーム・”お兄ちゃんが宇宙一大好きな妹”と”特撮が大好きな兄”

 

 

アデッソの他にも知らないプリキュアが出て来たみたいだね!キュアモンドって言うんだ~!!他にも仲間になってくれるプリキュアさんはいるんですか~大輪愛さん?

 

後……リアル・コロナ・オペレーションで、マリンが出て来た時に言っていた”分身”と言うフレーズは、今回の話で言っていたもの……って事でしょうか?教えて下さい。

 

ついでに、私達の誕生日が1月1日なんで祝って下さ~い!!

 

 

 

 

みなと「お便りありがとう!」

 

大輪愛「それじゃ、まず最初に~?」

 

 

  「「「「お誕生日 おめでと~♪」」」」

 

 

ふたば「ほへー、誕生日お正月かぁ」

 

なぎさ「ほのかが言ってたけど、昔は、誕生日関係なしに、お正月に一斉に年を取ってたみたいだね」

 

みなと「あっ! 昔話の『年神様』って、そーゆーことだったんだぁ!」

 

ふたば「年始に年を配る、アレね?」

 

 

みなと「――じゃ、質問に順々に答えていこっか!」

 

大輪愛「『分身』――は、その通りです! 初期案では、『まほプリ』を救ったときに、4人以上の分身もできるようにするつもりだったけど、今は別の方法を考えてまーす!」

 

 

ふたば「あー、魔法って便利そうだし、ついつい登場数・機能過多にしちゃうよねぇ。 POKK然り……

 

なぎさ「魔法かぁ……ソルシエールさんやトラウーマと戦ったあの後は、本当にびっくりしたなぁ」

 

大輪愛「『伝説の魔法つかい』と『プリキュア』を同値で見ていたアレのこと?」

 

なぎさ「そっちじゃなくて____あれっ? 映画のほうには入ってないのかなぁ、みらいちゃんとリコちゃんが魔法を披露してくれるの」

    _人人人人人人人人人人人人人人人人_

大輪愛 > 何ソレめっちゃ見たいんですが <

     ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄

みなと「本編のほうで、魔法はお腹いっぱい見てるでしょ……」

    _人人人人人人_

ふたば > 突然の死 <

     ̄Y^Y^Y^Y^Y ̄

なぎさ「ほんっと唐突に元ネタを持ってくるわね あんまり知らないから反応に困るんだってば……

 

 

大輪愛「と、そういう横道な話はそこら辺に置いといてと」

 

ふたば「横道窓口♪」

 

なぎさ「も○みちさんじゃないかなぁ、ソレ」

 

ふたば「てゆーか、肝心の『そこら辺』、物がゴチャゴチャしてるけど、そんなところに置いといて崩れてこない?」

 

みなと「崩れる云々に関しては、お姉さんの()()で、もう遅いと思う……」

 

なぎさ「棚から()()ってヤツね」

 

大輪愛「『ぼた餅』ね。 使い方ぜんぜん違うからね」

 

ふたば「そもそも、整理整頓ができていないこと自体が由々しいんだけど、みなとぉ~?」

 

みなと「ぅぐ……だってここ狭いしさ……

 

大輪愛「なぎさちゃんのお部屋は綺麗なのにねぇ――沢山の縫いぐるみと変わったポスターはあるけど」

 

なぎさ「『変なポスター』って言わないあたりは微妙な心遣いを感じたよ」

 

大輪愛「『"好き"が、人によって違うことは当然』との、先駆者姉貴の教えがありますので」

 

 

大輪愛「今度こそ本筋に戻してと――ふたばちゃん、もう1つの質問……どう?」

 

 

ふたば「仲間、ねぇ。 そもそもタイトルからして、オールスターズ全員と仲良くなると思うけど――だよね?」

 

大輪愛「う、うん、そうだね……(未来から目をそらしつつ)」

 

みなと「おっとぉ?」

 

なぎさ「……でも、『某・妹さん』が聞いているのは、多分だけど、そういうことじゃないよね」

 

ふたば「だね。 そもそも私は『チーム』に入ったわけじゃなくて、あくまで先輩としてサポートする位置だからね」

 

なぎさ「ふっちゃんには、ふっちゃんの大事なチームがあるもんね……」

 

ふたば「――そうだね、とっても……」

 

なぎさ「! ……ご、ごめんね!」

 

ふたば「だいじょーぶ! みなと、もといキュアアデッソは、暫定『ひとりチーム』ってわけだね」

 

みなと「え? ()()?」

 

大輪愛「さぁーて、みなとちゃんの仲間は、どうなるのかなぁ~?」

 

みなと「えぇーっ! 気になる~!」

 

 

  ふたば「ちなみに『キュアモンド』のアルファベット表記は

Cure Monde         

      だよ! フランス語で『世界』って意味なの!」

 

  みなと「私は、確かイタリア語だっけ? Adesso!」

 

 

なぎさ「うーん、ひとつ思ったことがあるんだけど、いい?」

 

大輪愛「どうぞ~」

 

なぎさ「このふたり、お便り寄せてる場合かなぁ……」

 

  「「「あー……」」」

 

みなと「駆くんもすごいことになってるけど、種ちゃんも捕らわれの身だし、心配だなぁ……」

 ※このコーナーは、12月15日に収録されています※

 

大輪愛「ところで、種ちゃんの駆くんに対する恋心が判明したけど……」

 

みなと「あぁ~色々びっくりしたよねぇ、みんなはどう思うの?」

 

 

なぎさ「うーん――出会い方的にも、種ちゃんからしたら、兄妹というよりは実質、幼馴染に近しい関係だし、そういう感情を抱くのも仕方ないんじゃないかな……あたしは応援するよ、種ちゃんのこと。

    それと、ふたりにはあまり無理しないでほしいな――特に駆くん! あなた何やるかわかったもんじゃないし! 身を滅ぼすようなことはくれぐれも……って言っても、やっちゃいそうだなぁ……

 

大輪愛「私は……兄弟姉妹での恋愛については、プラトニックな関係なら肯定的やな。 法律やら何やらが絡んでくるから、それ以上進むとなるとアレやけど。 結論、なぎさちゃんと同じで応援させていただきまーす! フレフレー!」

 

 

ふたば「……その法律をさ、変えちゃえばいいんだよ……駆くんの力で……」

 

  「「「 !!?? 」」」

 

ふたば「流石に冗談だってばぁ~w まぁ、いいんじゃないかな……駆くん、頑張れ。 私が君でも、大好きな人のために できることは()()()()するはずだから」

 

 

大輪愛「……みなとちゃんは、どう思う?」

 

みなと「私、は……ひとりっ子だから、種ちゃんの気持ちも、駆くんの気持ちも、よくわかんない――けど、せっかく同じタイムトラベラーなプリキュアだし、今度一緒に遊びに行きたいな! お互い頑張ろうね!」

 

 

 …… ……

 

 

みなと「じゃあ、2通目行こうー!」

 

 

 

 ラジオネーム・一般モブ男A さん

 

 

 あんな奥手だったのに、結婚・妊娠・出産までこぎつけたなんて、よくやりましたねぇw

 

 

 

なぎさ「/// !?」

 

みなと「お便りありがt」

 

なぎさ「……バカ」ポチッ

 

『クシャポイ♪ ですわ♪』

 

 

みなと「?」

 

なぎさ「……」(///。_。///)

 

大輪愛「ちなみに、告白はどっちから?」

 

なぎさ「……あたし、から……。 省吾さんが高校を卒業する前にね」

 

大輪愛・ふたば「きゃーっ♡」

みなと「(お母さんがお父さんのこと名前で呼ぶの、初めて聞いたかも……)」

 

ふたば「ねぇねぇ、プロポーズは!? あと、初デートは いつ!? それからぁ……」

 

なぎさ「うぅう……だーっ! もうっ! 私の話はいいからっ、次に進めて!」

 

大輪愛「それがですねぇ、なぎささん」

 

なぎさ「えっ?」

 

大輪愛「まだ続きが、あーるーのっ!」

 

 

 (続き)

 

 駄目元で聞きますが。 なぎささん、何歳ですか……?

 

 

 

大輪愛「あ、これも流石にクシャポ――」

 

なぎさ「……さんじゅうきゅ((ピー

 

大輪愛「(;゚Д゚)…!? お、教えちゃうんだ……」

 

なぎさ「流石に、ここまで来れば トシに関しては諦めるってば……」

 

大輪愛「リスナーのみんな、いいね? 聞かなかったね? ね!?

    なぎさちゃんは、どっからどーみても15歳だからね!? いいね!!??

 

ふたば「大輪愛ったら必死だねぇ。 私はまだ24だから、だいじょーぶですよーだ――むぐぅっ!?」

 

みなと「わぁーっ、クッキーつまらせちゃったのーっ!?」

 

なぎさ「……がっちゅんちゅん」

 

 「「「?」」」

 

 

なぎさ「へっ!? 知らないの? サ○エさんの『ジャンケン』の前のアレ!*1

 

大輪愛「知らんかったなぁ……ふーん、さっすが平成2年生まれぇ」

 

なぎさ「うるさい、平成15年*2ッ! てゆーか、さっきまで あたしの年齢ひたかくしにしようとしてたのに、何!?」

 

みなと「平成なんて古い古ぅい♪ 時代は令和以降だよぉ♪」

 

ふたば「プハァ……わぁーっ、わーっ、急にマウントとってくるのサイテー!」

 

みなと「お姉さんだって、人のこといえないでしょ!?」

 

ふたば「でも、時空が歪んでなければ、みなとだって平成人じゃんかっ!」

 

みなと「!! ぅ……スミマセン……あれっ?」

 

なぎさ「どうしたの?」

 

みなと「いや……なんで年齢の設定はあるのに、年代は20XX年って濁してあるんだろ……」

 

大輪愛「さぁー、どーしてかなぁー?w」

 

ふたば「えーっ、教えてよー!」

 

大輪愛「ネタバレになっちゃうので、クシャポイやで☆ っていうか、ヒントは前夜で言ったし」

 

みなと・ふたば「えぇーっ!?」

 

大輪愛「ふふふペェ……♪」

 

 

 

みなと「とりあえず、次のお便り、行っちゃおー!」

 

 

 

 ラジオネーム・真実Kojino さん

 

 『ヴァールハイト』の話になったから聞いちゃうわねェ。

 ところで、この作品かなり、こちらのオマージュも強いように感じるのだけど……?

 

 

 

みなと「お便りありがと~!」

 

 

大輪愛「せやねぇ、お慕いしてる方の1人やから、32期さんは。

    ――あー……っとねぇ、ウォッチとアカシアさんの関係は、かなり参考にさせてもらいました、ありがとうございまぁす!

    ……それと、ふたばちゃん周りも、結構リスペクト入れさせて頂く予定です。

    だけど、テーマの時間旅行物は、前々から『書きたいなー』ってボンヤリ思ってたので、そこ周りは、意識して合わせたわけではないかなぁ。

 

    ――っと、こんな感じの答えでよかった?」

 

 

みなと「私に聞かれても……うん、まぁ、いいんじゃない?」

 

 

 

みなと「4通目~!」

 

 

 

 ラジオネーム・三日月 さん

 

 『(えい)』って人――誰なのかなぁ……?

 ふふふっ♪

 

 

 

みなと「お便りありがと~!」

 

ふたば「えっ……。さぁ?(えり姉並感)」

 

なぎさ「そこは、まだ聞かないでほしいかなぁ……」

 

 

『クシャポイ♪ ですわ♪』

 

 

ふたば「ごめんね~」

 

 

 

 

みなと「5通目ー!」

 

 

 

 ラジオネーム・ニャトラ&ナッターシャ さん

 

 

 ねぇねぇねぇ、いまっち! Tuitta見て~!

 

 件のアイツ、意外とスゲーんだよなぁ!

 

 ってゆーか、盛り方チョーかわいい! あれで本当は男の子とか、信じらんなーい!

 

 

 

みなと「お便りありがと~!」

 

なぎさ・ふたば「()()()()()かな……」

 

みなと「それよりも何よりも、『いまっち』とは」

大輪愛「アデッソ() っち――ってことやろ」

 

みなと「あ~……あっ! 本当だ、Tuittaに出てきた!!」

 

 

 

  メィ Chang♪

  May_Queen_gggirl

 

【プロフィール】

お歌の投稿とか、ラジオとか、エッセイとかやってまーす♪

いっぱい応援してね?

世界覆したい系・僕っ娘♪

 

固定されたツイット

最近、忙しくなっちゃった(汗) 浮上率下がるかな?

どうしても負けるわけにはいけない子がいるの♪

20XX/X/X

 

『フタバックス』の期間限定抹茶~♪

こーゆーの飲むと、世界覆しちゃうの惜しいかも?

……なんちゃって♪

20XX/X/X

 

こないだライダーをたまたま見たけど

『ドハデニックライダー』ってスゴイね……♪

20XX/X/X

 

最近、色々あってアカルイアス社の社長さんに興味あるんだけど

先月の記事で言ってた「めちょっく」って何かな……?

20XX/X/X

 

わーん、あの人もこの人もサクセスしてるじゃん!

いいな~、僕にも幸運の女神様、もっと早く来てほしかったよぅ

……あっ、今は、ばっちし幸せだよ? ふふふ♪

20XX/X/X

 

『元世界的ダンサー・桃園ラブの引退後を探る!』だって?

この記事、面白かったぁ♪ 参考参考、っと♪

20XX/X/X

 

 

 

 

みなと「な に こ れ」

 

なぎさ「てゆーか、冗談抜きで()()()の身が危ないんだけど……調べられてる……

 

ふたば「この子、普通に人気じゃんね……」

 

大輪愛「……こるぇはバッチリ推せるわ ( *• ̀ω•́ )b」

 

みなと「だりあん!? まぁ、いいや……折角、敵の情報流してくれてるし、フォローしとかないと……」

 

なぎさ「色々ルーズねぇ、考えられない……」

 

 

 

みなと「6通目っ!」

 

 

 

 ラジオネーム・生死のHugカレー さん

 

 もしかして、この小説、パソコンで書いてるの?

 

 

 

みなと「お便りありがとー!」

 

大輪愛「……書きましたっ! 縦向きスマホだと読みづらいよね、ごめん!」

 

 

 

みなと「ラスト! 7通目!」

 

 

 

 ラジオネーム・胡蝶のチャーハン さん

 

 呼吸法って、5が最高でいいのー?

 

 

 

みなと「お便りありがとー!」

 

ふたば「んー、そうだね。 今んとこ、4つ目だけが、『理論上、存在し得る』もので、まだ誰もやったこと無いんだけど……どっちにしろ、5が最高だよ、うん」

 

大輪愛「私的にも、同じ答えかな。 ただ、それは正史での話であって、バッドエンドルート(分岐点ありすぎて、書くか未定)では……♪」

 

なぎさ「……バッドエンドとか、当事者からしたら冗談じゃないよね……」

 

みなと「はは……」

 

 

……………………

 

 

みなと「さて、一通り、お便り終わったし」

 

大輪愛「目立った没シーンも無いし」

 

なぎさ「お開きにする?」

 

ふたば「しちゃう~?」

 

 

 

みなと「そろそろ9時、終わりの時間が近づいてまいりました!」

 

みなと「『みなとのレイディオ・アフター・ストーリー』。 お相手は、藤村みなとでした~!」

 

 

「「「「それじゃあ!」」」」

 

 

みなと「おやすみなさ~い!!」

 

 

 

 

*1
次回予告後に、サザエさんがクッキーを喉に詰まらせる。 その時 発する声の空耳がソレ。 実際は「詰まっちゃった」と言っているらしい。 1991年に『がっちゅんちゅん』からジャンケンに切り替わっている

*2
大輪愛は2003年度生まれである(隙自語)




 


  真実に祝福を



___________



(みなとのいない2次会)


なぎさ「さて、コーナー収録から暫く経ったけど」

ふたば「あぁあ! 駆くん、死んじゃったじゃん!」

大輪愛「一応、生き返ってエクスになったけど……あぁあぁ……」

なぎさ「本心からの行動ではないとはいえ、すぐ無理するじゃん、駆くん!」


???「人のこと言えないでしょ、なぎさ~?」

なぎさ「えっ!? わっ、ほのか!?」

ほのか「すぐ無茶するのは、なぎさもじゃない? 忘れてないわよ、オールスターズメモリーズのアレ!」

 *生身でビームを受けるシーンのこと*

大輪愛「ほんまやわぁ……私も、中3で見に行った時、『ああああああ、何やっとん!!』……が、第一感想やったもん。 普通、『痛い』じゃ済まんけん! 良くて大火傷、悪くて 消し炭やけん! 無鉄砲にも程があるけん!! この豆鉄砲の鳩村ハトぽっぽがっ!」

なぎさ「あはは……」

ほのか「笑い事じゃありませんっ! 劇中には無かったけど、私、記憶が戻った後、何度か なぎさに呼び掛けてたからね!? 死んじゃったかと思って、泣いてたところだったんだから……」

なぎさ「……。 大丈夫、ほのかを置いて、いなくなったりなんかしないから」

ほのか「! ……も、もぅ……何だか煙に巻かれた気がするけど……」


ふたば「……」←(話についていけない人)


大輪愛「さて、突然やけど――実は、お便り、もう1通来てて……」

「「「ええっ((((;゜Д゜)))!?」」」


 ラジオネーム・今日もケーキをつまみ食い さん

 初代の変身の時の『メタル全裸』、本人はどう思っているんだろう……



なぎさ・ほのか「!! ……wwwwww」

ふたば「美墨、雪城、アウトー!」

大輪愛「ガキ使は昨日やてw」

ほのか「…………!」バンバン ←(『メタル全裸』がツボに入った)


なぎさ「……考えたことなかった……w」

ふたば「確かに、なかなかアバンギャルドだよねw」

大輪愛「投稿者の変身も、どっこいどっこいやけどな」

ほのか「…………!」バンバンバン

なぎさ「ほ、ほのか、大丈夫?」

ほのか「大っ、丈夫……ぅふふ……w」

ふたば「だいじょばないじゃん」

 …………

ほのか「はぁっ、はぁっ……ごめんなさい、久しぶりに大笑いしちゃった……w」

なぎさ「大人になると、そういうの減るもんねぇ……いいんじゃない、こんな日があっても?」

ほのか「そうかもしれないわね……取り敢えず、お便りに関しては『ノーコメント』で……ふふふっw」

なぎさ「同じく……w」

 …………

大輪愛「それじゃ、ほんまに そろそろ閉める~?」

ふたば「そうだねぇ、明日も朝早いし……」

なぎさ「ふっちゃん、道場あるもんねぇ。 ほのかも、論文の締め切り近いって言ってなかったっけ?」

ほのか「そうね、ほとんど終わりかけではあるけど……そういう なぎさだって、園の『とんど』の準備があるんじゃないの?」

なぎさ「あーっ、そうだった……しかも今年、実行委員長なんだもん……新年から忙しくなるな……」

大輪愛「ほんま それっちゃ! 私も高3になるもん、受験生やわぁ、頑張らな……」

ふたば「そんじゃ、二次会も解散といたしましょーっ!」


 「「「「よい初夢を~♪」」」」



__________


 【あとがき】

 明けましておめでとうございます、天爛です。

 遂に、受験まで残り1年程。 私も、いよいよ受験生です。

 よって、予告通り、これをもって『プリオルSF』は、受験終了までストップです。 ご了承ください。
 まぁでも、息抜き程度に、別の何かを ちょこちょこっと書くつもりはあるので、覗きに来てくださったら嬉しいです!

 激動の去年でしたが、今年は何とか、終息への糸口が見えるといいな……皆様、どうかご自愛を。 絶対、負けないでくださいね……!


 というわけで……今年もよろしくお願いします!



大輪愛「鳩村周五郎の『つぐみ』って、いちかちゃんだったんだ……」

なぎさ「完璧の母っ!」



 


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