鬼滅の刃~総大将の軌跡~ (大筒木朱菜)
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設定
キャラ設定―主人公&ヒロイン―


主人公とヒロイン専用設定を主要キャラ設定から分離させました。


・主人公

 

【名前】

奴良リクオ

 

【容姿】

「ぬらりひょんの孫」に登場する奴良リクオ(夜若)

 

【誕生日】

4月23日

 

【身長/体重】

148cm/48kg(12歳時点)

175cm/66kg(21歳時点)

 

【出身地】

東京府

 

【所属組織】

鬼殺任侠連合・鬼滅組総元締奴良組

大日本帝国軍元帥府直轄対惡鬼殲滅部隊・帝鬼軍

 

【役職/階級】

鬼滅組総大将候補 兼 奴良組若頭(12歳時点)

帝鬼軍総隊長補佐 兼 水龍(ミズチ)隊隊長/大佐(12歳時点)

 

【趣味】

武術系作品の術技再現、甘味巡り、外道潰し

 

【好物】

甘味、漬物、酒の肴(塩辛etcetc)

 

【保有能力】

・「ありふれた職業で世界最強」に登場する南雲ハジメが異世界・トータスで形成した価値観

(生物殺傷への忌避軽減系精神強化能力)

・「落第騎士の英雄譚」に登場する黒鉄一輝の保有技能

(技術模倣能力&模倣改良能力&読心能力もどき&見切り能力)

・「学戦都市アスタリスク」に登場する星脈世代(ジェネステラ)級の身体能力

(身体強化系能力)

・創作物に登場する武術の知識と行使技術

(創作物系技術完全再現能力)

・「鬼滅の刃」の主要登場人物に原作開始までに起こるであろう出来事の知識

(正史世界未来視)

 

【会得術技】

鬼滅流

天神型(イザナギノカタ)((そら)の呼吸)――秘剣増産中

天照型(アマテラスノカタ)(()の呼吸)――体得率120%

月詠型(ツクヨミノカタ)((つき)の呼吸)――体得率120%

虚空型(オボロノカタ)((かぜ)の呼吸)――体得率120%

焔燃型(カグツチノカタ)((ほのお)の呼吸)――体得率120%

土公型(ドコウノカタ)((いわ)の呼吸)――体得率120%

雷電型(イカヅチノカタ)((かみなり)の呼吸)――体得率120%

水龍型(ミズチノカタ)((みず)の呼吸)――体得率120%

桃源型(トウゲンノカタ)((めい)の呼吸)――体得率120%

宿儺型(スクナノカタ)((かすみ)の呼吸)――体得率120%

??型((けだもの)の呼吸)――体得率120%

雲耀型(ウンヨウノカタ)((くも)の呼吸)――体得率120%

??型((こい)の呼吸)――体得率120%

??型((おと)の呼吸)――体得率120%

飛天型(ヒテンノカタ)((りゅう)の呼吸)――体得率120%

氷輪型(ヒョウリンノカタ)((ゆき)の呼吸)――体得率120%

繚乱型(リョウランノカタ)((はな)の呼吸)――体得率120%

大蛇型(オロチノカタ)((へび)の呼吸)――体得率120%

常世型(トコヨノカタ)((むし)の呼吸)――体得率120%

水波型(ミヅハノカタ)((あめ)の呼吸)――体得率120%

春山型(ハルヤマノカタ)((ふじ)の呼吸)――体得率120%

縮地

 

【所有武装】

日輪刀・水刀「銀龍(ぎんりゅう)」≪大太刀型≫

鬼滅武装「阿朱羅丸」≪日本刀型≫(転生特典武装)

金時計

鬼滅羽織(表地:天一文字の黒地隊首羽織/裏地:畏一文字の黒地隊首羽織)

 

 

 

・ヒロイン

 

【名前】

及川氷麗(つらら)

 

【容姿】

「ぬらりひょんの孫」に登場する雪女・氷麗(つらら)

 

【誕生日】

1月11日

 

【身長/体重】

147cm/41kg(14歳時点)

150cm/43kg(23歳時点)

 

【出身地】

東京府

 

【所属組織】

鬼殺任侠連合・鬼滅組傘下雪白一派

大日本帝国軍元帥府直轄対惡鬼殲滅部隊・帝鬼軍

 

【役職/階級】

鬼滅組雪白一派若頭(14歳時点)

帝鬼軍氷輪(ヒョウリン)隊副隊長/中佐(14歳時点)

 

【趣味】

リクオのお世話、甘味巡り、家事全般

 

【好物】

氷菓子

 

【会得術技】

鬼滅流

天照型(アマテラスノカタ)(()の呼吸)――体得率?%

月詠型(ツクヨミノカタ)((つき)の呼吸)――体得率?%

虚空型(オボロノカタ)((かぜ)の呼吸)――体得率40%

焔燃型(カグツチノカタ)((ほのお)の呼吸)――体得率40%

土公型(ドコウノカタ)((いわ)の呼吸)――体得率20%

雷電型(イカヅチノカタ)((かみなり)の呼吸)――体得率20%

水龍型(ミズチノカタ)((みず)の呼吸)――体得率100%

桃源型(トウゲンノカタ)((めい)の呼吸)――体得率?%

宿儺型(スクナノカタ)((かすみ)の呼吸)――体得率50%

??型((けだもの)の呼吸)――体得率?%

雲耀型(ウンヨウノカタ)((くも)の呼吸)――体得率?%

??型((こい)の呼吸)――体得率?%

??型((おと)の呼吸)――体得率?%

飛天型(ヒテンノカタ)((りゅう)の呼吸)――体得率?%

氷輪型(ヒョウリンノカタ)((ゆき)の呼吸)――体得率105%

繚乱型(リョウランノカタ)((はな)の呼吸)――体得率100%

大蛇型(オロチノカタ)((へび)の呼吸)――体得率?%

常世型(トコヨノカタ)((むし)の呼吸)――体得率?%

水波型(ミヅハノカタ)((あめ)の呼吸)――体得率?%

春山型(ハルヤマノカタ)((ふじ)の呼吸)――体得率?%

 

【所有武装】

日輪刀「雪月花(せつげっか)」≪日本刀型≫

量産型鬼滅武装≪日本刀型≫(阿朱羅観音の複製品)

金時計

鬼滅羽織(表地:雪一文字の黒地隊首羽織/裏地:「ぬらりひょんの孫」の雪女・氷麗(つらら)の着物柄)

 

 

 

【名前】

胡蝶カナエ

 

【誕生日】

6月25日

 

【身長/体重】

150cm/40kg(12歳時点)

167cm/52kg(21歳時点)

 

【出身地】

東京府

 

【所属組織】

鬼殺任侠連合・鬼滅組預かり(12歳時点)

 

【役職/階級】

鬼滅組預かり鬼殺剣士見習い(12歳時点)

 

【趣味】

琴、華道、茶道

 

【好物】

和菓子

 

【会得術技】

鬼滅流

天照型(アマテラスノカタ)(()の呼吸)――体得率?%

月詠型(ツクヨミノカタ)((つき)の呼吸)――体得率?%

虚空型(オボロノカタ)((かぜ)の呼吸)――体得率?%

焔燃型(カグツチノカタ)((ほのお)の呼吸)――体得率?%

土公型(ドコウノカタ)((いわ)の呼吸)――体得率?%

雷電型(イカヅチノカタ)((かみなり)の呼吸)――体得率?%

水龍型(ミズチノカタ)((みず)の呼吸)――体得率?%

桃源型(トウゲンノカタ)((めい)の呼吸)――体得率?%

宿儺型(スクナノカタ)((かすみ)の呼吸)――体得率?%

??型((けだもの)の呼吸)――体得率?%

雲耀型(ウンヨウノカタ)((くも)の呼吸)――体得率?%

??型((こい)の呼吸)――体得率?%

??型((おと)の呼吸)――体得率?%

飛天型(ヒテンノカタ)((りゅう)の呼吸)――体得率?%

氷輪型(ヒョウリンノカタ)((ゆき)の呼吸)――体得率?%

繚乱型(リョウランノカタ)((はな)の呼吸)――体得率?%

大蛇型(オロチノカタ)((へび)の呼吸)――体得率?%

常世型(トコヨノカタ)((むし)の呼吸)――体得率?%

水波型(ミヅハノカタ)((あめ)の呼吸)――体得率?%

春山型(ハルヤマノカタ)((ふじ)の呼吸)――体得率?%

 

【所有武装】

竹光(12歳時点)

 

 

 

【名前】

胡蝶しのぶ

 

【誕生日】

2月24日

 

【身長/体重】

127cm/24kg(9歳時点)

151cm/37kg(18歳時点)

 

【出身地】

東京府

 

【所属組織】

鬼殺任侠連合・鬼滅組預かり(9歳時点)

 

【役職/階級】

鬼滅組預かり鬼殺剣士見習い(9歳時点)

 

【趣味】

怪談話

 

【好物】

生姜の佃煮

 

【会得術技】

鬼滅流

天照型(アマテラスノカタ)(()の呼吸)――体得率?%

月詠型(ツクヨミノカタ)((つき)の呼吸)――体得率?%

虚空型(オボロノカタ)((かぜ)の呼吸)――体得率?%

焔燃型(カグツチノカタ)((ほのお)の呼吸)――体得率?%

土公型(ドコウノカタ)((いわ)の呼吸)――体得率?%

雷電型(イカヅチノカタ)((かみなり)の呼吸)――体得率?%

水龍型(ミズチノカタ)((みず)の呼吸)――体得率?%

桃源型(トウゲンノカタ)((めい)の呼吸)――体得率?%

宿儺型(スクナノカタ)((かすみ)の呼吸)――体得率?%

??型((けだもの)の呼吸)――体得率?%

雲耀型(ウンヨウノカタ)((くも)の呼吸)――体得率?%

??型((こい)の呼吸)――体得率?%

??型((おと)の呼吸)――体得率?%

飛天型(ヒテンノカタ)((りゅう)の呼吸)――体得率?%

氷輪型(ヒョウリンノカタ)((ゆき)の呼吸)――体得率?%

繚乱型(リョウランノカタ)((はな)の呼吸)――体得率?%

大蛇型(オロチノカタ)((へび)の呼吸)――体得率?%

常世型(トコヨノカタ)((むし)の呼吸)――体得率?%

水波型(ミヅハノカタ)((あめ)の呼吸)――体得率?%

春山型(ハルヤマノカタ)((ふじ)の呼吸)――体得率?%

 

【所有武装】

竹光(9歳時点)

 

 

 

 




会得術技の体得率は100%で使いこなす域に達している状態で、100%を超えることは猗窩座でいう所の至高の領域に足を突っ込んでる状態です。
120%は縁壱の様な術技を極めた状態で、至高の領域に余す所なく全身が収まってる状態になります。
(ちなみに各術技の型式を使用できても、ただ単にできている状態の場合は体得率が65~70%といった所です。
原作炭治郎が無惨戦で使用していた日の呼吸は、当作品の体得率でいえば80~85%といった所です)


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主要キャラ設定―帝鬼軍/鬼滅組―(2021/06/03 編集)

帝鬼軍/鬼滅組に所属するキャラを記載。他のキャラは随時更新予定。


・幹部キャラ

◎水龍隊/奴良組

【名前】

奴良鯉彪

 

【容姿】

「ぬらりひょんの孫」に登場するぬらりひょん(江戸百物語組編ver)

 

【誕生日】

1月31日

 

【身長/体重】

178cm/67kg(47歳時点)

 

【出身地】

東京府

 

【所属組織】

鬼殺任侠連合・鬼滅組総元締奴良組

大日本帝国軍元帥府直轄対惡鬼殲滅部隊・帝鬼軍

 

【役職/階級】

鬼滅組総大将(47歳時点)

帝鬼軍総隊長/少将(47歳時点)

 

【趣味】

賭け事全般、煙管、釣り

 

【好物】

酒、酒の肴、煎餅

 

【会得術技】

鬼滅流

虚空型(オボロノカタ)((かぜ)の呼吸)――体得率50%

焔燃型(カグツチノカタ)((ほのお)の呼吸)――体得率40%

土公型(ドコウノカタ)((いわ)の呼吸)――体得率30%

雷電型(イカヅチノカタ)((かみなり)の呼吸)――体得率30%

水龍型(ミズチノカタ)((みず)の呼吸)――体得率100%

宿儺型(スクナノカタ)((かすみ)の呼吸)――体得率60%

氷輪型(ヒョウリンノカタ)((ゆき)の呼吸)――体得率60%

繚乱型(リョウランノカタ)((はな)の呼吸)――体得率55%

 

【所有武装】

日輪刀「鵺切丸(ぬえきりまる)」≪日本刀型≫

量産型鬼滅武装≪日本刀型≫(阿朱羅観音の複製品)

金時計

鬼滅羽織(表地:水一文字の黒地隊首羽織/裏地:滅一文字の黒地隊首羽織)

 

 

 

【名前】

奴良鯉伴

 

【容姿】

「ぬらりひょんの孫」に登場する奴良鯉伴

 

【誕生日】

4月9日

 

【身長/体重】

178cm/67kg(享年29歳時点)

 

【出身地】

東京府

 

【所属組織】

鬼殺任侠連合・鬼滅組総元締奴良組

大日本帝国軍元帥府直轄対惡鬼殲滅部隊・帝鬼軍

 

【役職/階級】

鬼滅組総大将(享年29歳時点)

帝鬼軍総隊長/少将(二階級特進)大将(享年29歳時点)

 

【趣味】

遊び歩き、煙管

 

【好物】

酒、酒の肴

 

【会得術技】

鬼滅流

天照型(アマテラスノカタ)(()の呼吸)――体得率50%

月詠型(ツクヨミノカタ)((つき)の呼吸)――体得率80%

虚空型(オボロノカタ)((かぜ)の呼吸)――体得率100%

焔燃型(カグツチノカタ)((ほのお)の呼吸)――体得率90%

土公型(ドコウノカタ)((いわ)の呼吸)――体得率60%

雷電型(イカヅチノカタ)((かみなり)の呼吸)――体得率90%

水龍型(ミズチノカタ)((みず)の呼吸)――体得率110%

宿儺型(スクナノカタ)((かすみ)の呼吸)――体得率100%

氷輪型(ヒョウリンノカタ)((ゆき)の呼吸)――体得率70%

繚乱型(リョウランノカタ)((はな)の呼吸)――体得率85%

 

【所有武装】

日輪刀「袮々切丸(ねねきりまる)」≪日本刀型≫

量産型鬼滅武装≪日本刀型≫(阿朱羅観音の複製品)

金時計

鬼滅羽織(表地:水一文字の黒地隊首羽織/裏地:滅一文字の黒地隊首羽織)

 

 

 

 

◎焔燃隊/陽炎会

【名前】

狒守猩影(しょうえい)

 

【容姿】

「ぬらりひょんの孫」に登場する狒々・猩影(しょうえい)

 

【誕生日】

4月25日

 

【身長/体重】

185cm/82kg(14歳時点)

225cm/108kg(23歳時点)

 

【出身地】

東京府

 

【所属組織】

鬼殺任侠連合・鬼滅組傘下陽炎会

大日本帝国軍元帥府直轄対惡鬼殲滅部隊・帝鬼軍

 

【役職/階級】

鬼滅組陽炎会会長

帝鬼軍焔燃(カグツチ)隊隊長/大佐

 

【趣味】

自己鍛錬

 

【好物】

獣肉、魚肉

 

【会得術技】

鬼滅流

天照型(アマテラスノカタ)(()の呼吸)――体得率?%

月詠型(ツクヨミノカタ)((つき)の呼吸)――体得率?%

虚空型(オボロノカタ)((かぜ)の呼吸)――体得率10%

焔燃型(カグツチノカタ)((ほのお)の呼吸)――体得率105%

土公型(ドコウノカタ)((いわ)の呼吸)――体得率50%

雷電型(イカヅチノカタ)((かみなり)の呼吸)――体得率20%

水龍型(ミズチノカタ)((みず)の呼吸)――体得率50%

桃源型(トウゲンノカタ)((めい)の呼吸)――体得率20%

宿儺型(スクナノカタ)((かすみ)の呼吸)――体得率20%

??型((けだもの)の呼吸)――体得率?%

雲耀型(ウンヨウノカタ)((くも)の呼吸)――体得率?%

??型((こい)の呼吸)――体得率?%

??型((おと)の呼吸)――体得率?%

飛天型(ヒテンノカタ)((りゅう)の呼吸)――体得率?%

氷輪型(ヒョウリンノカタ)((ゆき)の呼吸)――体得率20%

繚乱型(リョウランノカタ)((はな)の呼吸)――体得率20%

大蛇型(オロチノカタ)((へび)の呼吸)――体得率?%

常世型(トコヨノカタ)((むし)の呼吸)――体得率?%

水波型(ミヅハノカタ)((あめ)の呼吸)――体得率?%

春山型(ハルヤマノカタ)((ふじ)の呼吸)――体得率?%

 

【所有武装】

日輪刀・炎刀「加具土命(かぐつち)」≪日本刀型≫

日輪刀「緋炎(ひえん)」≪大太刀型≫

量産型鬼滅武装≪日本刀型≫(阿朱羅観音の複製品)

金時計

鬼滅羽織(表地:炎一文字の黒地隊首羽織/裏地:黒地の炎柱風羽織)

 

 

 

【名前】

狒守猩炎(しょうえん)

 

【容姿】

「ぬらりひょんの孫」に登場する狒々(慶長時代ver)

 

【誕生日】

7月8日

 

【身長/体重】

225cm/114kg(享年45歳時点)

 

【出身地】

東京府

 

【所属組織】

鬼殺任侠連合・鬼滅組傘下陽炎会

大日本帝国軍元帥府直轄対惡鬼殲滅部隊・帝鬼軍

 

【役職/階級】

鬼滅組陽炎会会長(享年45歳時点)

帝鬼軍焔燃(カグツチ)隊隊長/大佐(二階級特進)中将(享年45歳時点)

 

【趣味】

釣り

 

【好物】

獣肉、魚肉

 

【会得術技】

鬼滅流

焔燃型(カグツチノカタ)(ほのお)の呼吸)――体得率100%

 

【所有武装】

日輪刀「紅蓮(ぐれん)」≪大太刀型≫

量産型鬼滅武装≪日本刀型≫(阿朱羅観音の複製品)

金時計

鬼滅羽織(表地:炎一文字の黒地隊首羽織/裏地:黒地の炎柱風羽織)

 

 

 




会得術技の体得率は100%で使いこなす域に達している状態で、100%を超えることは猗窩座でいう所の至高の領域に足を突っ込んでる状態です。
120%は縁壱の様な術技を極めた状態で、至高の領域に余す所なく全身が収まってる状態になります。
(ちなみに各術技の型式を使用できても、ただ単にできている状態の場合は体得率が65~70%といった所です。
原作炭治郎が無惨戦で使用していた日の呼吸は、当作品の体得率でいえば80~85%といった所です)


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鬼滅流術技設定―天神型(イザナギノカタ)冥神型(イザナミノカタ)

天神型(イザナギノカタ)は秘剣が増える可能性が大変高いので、陰陽五行&派生型式と分離させました。

2022/04/15
鉄の秘剣の型式を大改変しました。


天神型(イザナギノカタ)「呼吸音:シュゴオォォォォ」

(くろがね)ノ秘剣

一式〝虎穿(こせん)〟(参考作品:我間乱)

 一式・改〝虎穿(こせん)無刀(むとう)

二式〝犀撃(さいげき)〟(参照作品:落第騎士の英雄譚)

三式〝裂甲(れっこう)〟(参照作品:落第騎士の英雄譚)

四式〝(まどか)〟(参照作品:落第騎士の英雄譚)

五式〝蜃気狼(しんきろう)〟(参照作品:落第騎士の英雄譚)

六式〝(くる)(ざくら)〟(参照作品:落第騎士の英雄譚)

七式〝毒蛾(どくが)太刀(たち)〟(参照作品:落第騎士の英雄譚)

八式〝雷光(らいこう)〟(参照作品:落第騎士の英雄譚)

九式〝天津風(あまつかぜ)〟(参照作品:落第騎士の英雄譚)

十式〝凪繊月(なぎせんげつ)〟(参考作品:我間乱)

十一式〝卍抜(まんじぬ)き〟(参考作品:我間乱)

終式〝追影(おいかげ)〟(参照作品:落第騎士の英雄譚)

 

修羅(しゅら)ノ秘拳』(参照作品:修羅の門)

蔓落(かずらお)とし〟

上腕蔓(じょうわんかずら)ひねり〟

(いかづち)

飛燕十字蔓(ひえんじゅうじかずら)

 〝飛燕裏十字(ひえんうらじゅうじ)

斗浪(となみ)

狼牙(ろうが)

巌颪(いわおろし)

獅子吼(ししこう)

羽車(はねぐるま)

傾葵(なだれあおい)

葛風(くずかぜ)

孤月(こげつ)

 〝裏孤月(うらこげつ)

無刀金的破(むとうきんてきは)

紫電(しでん)

(つむじ)

斧鉞(ふえつ)

虎砲(こほう)

蛇破山(じゃはざん)

 〝裏蛇破山(うらじゃはざん)朔光(さくこう)

牙斬(がざん)

浮嶽(ふがく)

浮身(ふしん)

指穿(しせん)

金剛(こんごう)

訃霞(ふがすみ)

(ひょう)

奥義〝無空波(むくうは)

奥義〝龍破(りゅうは)

奥義〝神威(かむい)

四門〝朱雀(すざく)

四門〝青龍(せいりゅう)

四門〝白虎(びゃっこ)

四門〝玄武(げんぶ)

 

(はがね)ノ秘剣』(参照作品:ツバサ・クロニクル)

一式〝破魔(はま)竜王刃(りゅうおうじん)

二式〝閃竜(せんりゅう)翔光撃(しょうこうげき)

三式〝天魔(てんま)昇龍閃(しょうりゅうせん)

四式〝地竜(ちりゅう)陣円舞(じんえんぶ)

五式〝破魔(はま)龍王陣(りゅうおうじん)

六式〝閃竜(せんりゅう)飛光撃(ひこうげき)

七式〝天魔(てんま)空龍閃(くうりゅうせん)〟(オリジナル)

八式〝地竜(ちりゅう)陣炎舞(じんえんぶ)〟(オリジナル)

 

(おおかみ)ノ秘剣』(参照作品:るろうに剣心)

一式〝牙突(がとつ)

二式〝牙突(がとつ)天墜(てんつい)〟(※1)

三式〝牙突(がとつ)絶空(ぜっくう)〟(※2)

四式〝牙突(がとつ)六刃(むじん)

終式〝牙突(がとつ)無窮(むきゅう)〟(※3)

 

(うつろ)ノ秘剣』(参照作品:刀語)

(きく)

牡丹(ぼたん)

百合(ゆり)

鬼百合(おにゆり)

(さくら)

薔薇(ばら)

(すみれ)

(うめ)

鷺草(さぎぐさ)

柘榴(ざくろ)

菖蒲(あやめ)

木蓮(もくれん)

桜桃(おうとう)

野苺(のいちご)

桔梗(ききょう)

雛罌粟(ひなげし)

沈丁花(じんちょうげ)

女郎花(おみなえし)

銀杏(いちょう)

山茶花(さざんか)

蓮華草(れんげそう)

蒲公英(たんぽぽ)

一ノ奥義〝鏡花水月(きょうかすいげつ)

二ノ奥義〝花鳥風月(かちょうふうげつ)

三ノ奥義〝百花繚乱(ひゃっかりょうらん)

四ノ奥義〝柳緑花紅(りゅうりょくかこう)

五ノ奥義〝飛花落葉(ひからくよう)

六ノ奥義〝錦上添花(きんじょうてんか)

七ノ奥義〝落花狼藉(らっかろうぜき)

終ノ奥義〝七花八裂(しちかはちれつ)

 終ノ奥義・改〝七花八裂(しちかはちれつ)(かい)

 

 

冥神型(イザナミノカタ)「呼吸音:シュフゥゥゥゥ」

一式〝桜舞(おうぶ)〟(参照作品:BLACK CAT)

二式〝飛影(ひえい)〟(参照作品:一億年ボタンを連打した俺は、気付いたら最強になっていた)

三式〝朧月(おぼろづき)〟(参照作品:一億年ボタンを連打した俺は、気付いたら最強になっていた)

四式〝???(???)〟(参照作品:一億年ボタンを連打した俺は、気付いたら最強になっていた)

五式〝???(???)〟(参照作品:一億年ボタンを連打した俺は、気付いたら最強になっていた)

六式〝断界(だんかい)〟(参照作品:一億年ボタンを連打した俺は、気付いたら最強になっていた)

七式〝冥轟(めいごう)〟(参照作品:一億年ボタンを連打した俺は、気付いたら最強になっていた)

八式〝瞬閃(しゅんせん)〟(参照作品:一億年ボタンを連打した俺は、気付いたら最強になっていた)

九式〝八咫烏(やたがらす)〟(参照作品:一億年ボタンを連打した俺は、気付いたら最強になっていた)

 九式・改〝八咫烏一閃(やたがらすいっせん)神速(しんそく)

十式〝雷霆(らいてい)〟(参照作品:BLACK CAT)

十一式〝神威(かむい)〟(参考作品:我間乱)

終式〝滅界(めっかい)〟(参照作品:BLACK CAT)

 




※1)牙突弐式
※2)対空式の牙突参式
※3)牙突零式


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鬼滅流術技設定―陰陽五行―(2022/04/15 一部編集)

取り敢えず、陰陽五行と派生型式の術技を投稿してみました。
他漫画からの輸入技については技名の後ろに参照作品を記載しています。(2020/07/21)

焔燃型(カグツチノカタ)の術技を一部変更
(2021/06/02)

派生型式を分離させました。
(2021/07/14)

焔燃型(カグツチノカタ)雷電型(イカヅチノカタ)の術技を改変しました。
(2022/04/15)



他作品技は主人公が鬼滅流を覚えてから追加されたもので、術技難易度で順番が変化しています。


― 陰陽 ―

天照型(アマテラスノカタ)「呼吸音:ゴォォォォ」

一式〝円舞(えんぶ)

 一式・改〝円舞一閃(えんぶいっせん)

 一式・改〝円舞一閃(えんぶいっせん)神速(しんそく)

二式〝碧羅(へきら)(てん)

三式〝烈日紅鏡(れつじつこうきょう)

四式〝灼骨炎陽(しゃっこつえんよう)

五式〝陽華突(ようかとつ)

 五式・改〝陽華突(ようかとつ)虎穿(こせん)

六式〝日暈(にちうん)(りゅう)頭舞(かぶりま)い〟

七式〝斜陽転身(しゃようてんしん)

八式〝飛輪陽炎(ひりんかげろう)

九式〝輝輝恩光(ききおんこう)

十式〝火車(かしゃ)

十一式〝幻日虹(げんにちこう)

十二式〝炎舞(えんぶ)

終式〝日ノ神神楽(ひのかみかぐら)

 

 

月詠型(ツクヨミノカタ)「呼吸音:ホォォォォ」

一式〝闇月(やみづき)(よい)(みや)

二式〝珠華ノ弄月(しゅかのろうげつ)

三式〝厭忌月(えんきづき)(つが)り〟

四式〝天狼(てんろう)月暈(つきがさ)〟(※1)

五式〝月魄災禍(げっぱくさいか)

六式〝常世孤月(とこよこげつ)無間(むけん)

七式〝厄鏡(やっきょう)月映(つきば)え〟

八式〝月龍輪尾(げつりゅうりんび)

九式〝(くだ)(つき)連面(れんめん)

 

 

 

― 五行 ―

水龍型(ミズチノカタ)「呼吸音:ヒュゥゥゥゥ」

一式〝水面斬(みなもぎ)り〟

 一式・改〝水面一閃(みなもいっせん)十二連(じゅうにれん)

二式〝水車(みずぐるま)

 二式・改〝横水車(よこみずぐるま)

 二式・改〝水車一閃(みずぐるまいっせん)

三式〝逆鱗(げきりん)〟(参照作品:我間乱)

四式〝流流舞(りゅうりゅうま)い〟

五式〝()(しお)

 五式・改〝()(しお)流流(りゅうりゅう)

 五式・改〝()(しお)(らん)

六式〝干天(かんてん)慈雨(じう)

七式〝ねじれ(うず)

 七式・改〝ねじれ(うず)流流(りゅうりゅう)

八式〝雫波紋突(しずくはもんづ)き〟

 八式・改〝雫波紋突(しずくはもんづ)き・(きょく)

 八式・改〝雫波紋突(しずくはもんづ)き・虎穿(こせん)

九式〝湍流桧瀑(たんりゅうひばく)〟(参照作品:我間乱)

十式〝滝壺(たきつぼ)

十一式〝水流飛沫(すいりゅうしぶき)

 十一式・改〝水流飛沫(すいりゅうしぶき)(らん)

十二式〝漣回天(れんかいてん)〟(参照作品:我間乱)

十三式〝生生流転(せいせいるてん)

 十三式・改〝生生流転(せいせいるてん)(ねじ)流流(りゅうりゅう)

十四式〝明鏡止水(めいきょうしすい)〟(参照作品:ぬらりひょんの孫)

十五式〝鏡花水月(きょうかすいげつ)〟(参照作品:ぬらりひょんの孫)

十六式〝(なぎ)

十七式〝水鏡(みかがみ)〟(※2)

終式〝青龍(せいりゅう)〟(参照作品:SAMURAI DEEPER KYO)

 

 

焔燃型(カグツチノカタ)「呼吸音:コォォォォ」

一式〝不知火(しらぬい)

二式〝(のぼ)炎天(えんてん)

三式〝火柱(ひばしら)〟(参照作品:我間乱)

 三式・改〝紫電火柱(しでんひばしら)

 三式・改〝虚蹴紫電(こしゅうしでん)火柱(ひばしら)

四式〝気炎万象(きえんばんしょう)

五式〝紅蓮旋(ぐれんせん)〟(参照作品:我間乱)

 五式・改〝紫電紅蓮旋(しでんぐれんせん)

 五式・改〝虚蹴紫電(こしゅうしでん)紅蓮旋(ぐれんせん)

六式〝盛炎(せいえん)のうねり〟

七式〝朱円月(しゅえんげつ)〟(参照作品:我間乱)

八式〝炎虎(えんこ)

九式〝鳳凰天駆(ほうおうてんく)〟(参照作品:テイルズシリーズ)

十式〝煉獄(れんごく)

十一式〝濃紅大申爪(こきくれないだいしんそう)〟(参照作品:ぬらりひょんの孫)

十二式〝火産霊神(かぐづち)〟(参照作品:るろうに剣心)

終式〝朱雀(すざく)〟(参照作品:SAMURAI DEEPER KYO)

 

 

虚空型(オボロノカタ)「呼吸音:シィァァァ」

一式〝影縫(かげぬい)〟(参照作品:我間乱)

二式〝影喰(かげぐ)い〟(参照作品:我間乱)

三式〝塵旋風(じんせんぷう)()ぎ〟

四式〝爪々(そうそう)科戸風(しなとかぜ)

五式〝晴嵐風樹(せいらんふうじゅ)

六式〝昇上砂塵嵐(じょうじょうさじんらん)

七式〝木枯(こが)らし(おろし)

八式〝黒風烟嵐(こくふうえんらん)

九式〝勁風(けいふう)天狗風(てんぐかぜ)

十式〝初烈風斬(しょれつかぜき)り〟

十一式〝韋駄天台風(いだてんたいふう)

十二式〝襲色紫苑(かさねいろしおん)(かま)〟(参照作品:ぬらりひょんの孫)

十三式〝草薙(くさなぎ)〟(参照作品:落第騎士の英雄譚)

終式〝白虎(びゃっこ)〟(参照作品:SAMURAI DEEPER KYO)

 

 

土公型(ドコウノカタ)「呼吸音:ゴウゴウゴウン」

一式〝荒神(あらがみ)〟(参照作品:我間乱)

二式〝岩喰(いわぐい)〟(参照作品:我間乱)

三式〝磐裂根裂(いわさくねさく)〟(参照作品:我間乱)

四式〝蛇紋岩(じゃもんがん)双極(そうきょく)

五式〝天面砕(てんめんくだ)き〟

六式〝岩軀(がんく)(はだえ)

七式〝流紋岩(りゅうもんがん)速征(そくせい)

八式〝瓦輪刑部(がりんぎょうぶ)

終式〝玄武(げんぶ)〟(参照作品:SAMURAI DEEPER KYO)

 

 

雷電型(イカヅチノカタ)「呼吸音:シィィィィ」

一式〝紫電閃(しでんせん)〟(参照作品:我間乱)

 一式・改〝虚蹴紫電閃(こしゅうしでんせん)

 一式・改〝紫電虎穿(しでんこせん)

 一式・改〝虚蹴紫電(こしゅうしでん)虎穿(こせん)

二式〝霹靂一閃(へきれきいっせん)

 二式・改〝霹靂一閃(へきれきいっせん)六連(ろくれん)

 二式・改〝霹靂一閃(へきれきいっせん)八連(はちれん)

 二式・改〝霹靂一閃(へきれきいっせん)神速(しんそく)

三式〝雷切(らいきり)〟(参照作品:落第騎士の英雄譚)

四式〝稲魂(いなだま)

五式〝聚蚊成雷(しゅうぶんせいらい)

六式〝遠雷(えんらい)

七式〝熱界雷(ねつかいらい)

八式〝電轟雷轟(でんごうらいごう)

九式〝鳴神(なるかみ)〟(参照作品:我間乱)

 九式・改〝鳴神(なるかみ)虎穿(こせん)〟(参照作品:我間乱)

十式〝建御雷神(たけみかづち)〟(参照作品:落第騎士の英雄譚)

終式〝火雷神(ほのいかづちのかみ)

 




※1)鬼滅流オリジナル。天照型(アマテラスノカタ) 六式〝日暈(にちうん)(りゅう)頭舞(かぶりま)い〟と同質の移動斬撃術。
※2)鬼滅流オリジナル。相手の技を〝凪〟で無効化すると同時に、剣技で疑似再現した攻撃を敵に向かって放つ反射斬撃術。


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鬼滅流術技設定―派生型―

派生型式が増えそうなので、陰陽五行から更に分離させました。




他作品技は主人公が追加したもので、術技の難易度で順番が変化していることがあります。


水龍型(ミズチノカタ)の派生 ―

氷輪型(ヒョウリンノカタ)「呼吸音:スゥゥゥゥ」

一式〝霜天六花(そうてんりっか)〟(※1)

二式〝夢氷月天(むひょうげってん)〟(参照作品:SAMURAI DEEPER KYO)

三式〝牙廻氷衝(がかいひょうしょう)〟(※2)

四式〝氷繭星霜(ひょうけんせいそう)〟(参照作品:SAMURAI DEEPER KYO)

五式〝氷刺雪魄(ひょうしせっぱく)〟(※3)

六式〝青藍氷翠(せいらんひょうすい)〟(※4)

七式〝月下氷刃(げっかひょうじん)〟(※5)

終式〝(ゆき)下紅梅(したべにうめ)〟(参照作品:ぬらりひょんの孫)

 

 

繚乱型(リョウランノカタ)「呼吸音:フゥゥゥゥ」

一式〝菖蒲斬(あやめぎ)り〟(※6)

二式〝御影梅(みかげうめ)

三式〝(みだ)山吹(やまぶき)〟(※7)

四式〝紅花衣(べにはなごろも)

五式〝(あだ)芍薬(しゃくやく)

六式〝渦桃(うずもも)

 六式・改〝渦桃(うずもも)流流(りゅうりゅう)

七式〝桜閃(おうせん)〟(参照作品:一億年ボタンを連打した俺は、気付いたら最強になっていた)

 七式・改〝連桜閃(れんおうせん)

八式〝桜吹雪(さくらふぶき)〟(参照作品:新サクラ大戦)

九式〝百花繚乱(ひゃっりょうらん)〟(参照作品:ラブひな、魔法先生ネギま!、UQ HOLDER!)

十式〝雷桜(らいおう)〟(参照作品:一億年ボタンを連打した俺は、気付いたら最強になっていた)

 

 

常世型(トコヨノカタ)「呼吸音:フウゥゥゥ」

蝶ノ舞一式〝(たわむ)れ〟

蝶ノ舞二式〝蜂雀(ほうじゃく)〟(参照作品:胡蝶の忍び)

蝶ノ舞三式〝鱗翅刃(りんしじん)〟(参照作品:胡蝶の忍び)

蜂牙(ほうが)ノ舞一式〝真靡(まなび)き〟

蜻蛉(せいれい)ノ舞一式〝複眼六角(ふくがんろっかく)

蜈蚣(ごこう)ノ舞一式〝百足蛇腹(ひゃくそくじゃばら)

蜘蛛ノ舞一式〝蜘蛛糸絡(くもいとがらみ)〟(参照作品:胡蝶の忍び)

蜘蛛ノ舞二式〝蜘蛛糸傀儡(くもいとくぐつ)〟(参照作品:アラクニド)

蟷螂(とうろう)ノ舞一式〝千手観音蟷螂斬(せんじゅかんのんとうろうざん)〟(参照作品:キャタピラー)

 

 

大蛇型(オロチノカタ)「呼吸音:シュゥゥゥゥ」

一式〝委蛇斬(いだぎ)り〟

二式〝狭頭(きょうず)毒牙(どくが)

三式〝塒締(とぐろじ)め〟

四式〝頸蛇双生(けいじゃそうせい)

五式〝蜿蜿長蛇(えんえんちょうだ)

終式〝八岐大蛇(やまたのおろち)〟(参照作品:落第騎士の英雄譚)

 

 

水波型(ミヅハノカタ)(元天神型(イザナギノカタ) 雨の秘剣)】「呼吸音:ヒュゥゥゥゥ」

(参照作品:家庭教師ヒットマンREBORN!)

一式〝車軸(しゃじく)(あめ)

二式〝逆巻(さかま)(あめ)

三式〝()らずの(あめ)

四式〝五風十雨(ごふうじゅうう)

五式〝五月雨(さみだれ)

六式〝秋雨(あきさめ)

七式〝繁吹(しぶ)(あめ)

八式〝篠突(しのつ)(あめ)

九式〝うつし(あめ)

十式〝霧雨(きりさめ)

十一式〝斬雨(きりさめ)

終式〝時雨之化(じうのか)

 

 

 

虚空型(オボロノカタ)の派生 ―

宿儺型(スクナノカタ)「呼吸音:フウウウウ」

一式〝垂天遠霞(すいてんとおがすみ)

 一式・改〝垂天遠霞(すいてんとおがすみ)虎穿(こせん)

二式〝うろこ(ぐも)〟(参照作品:一億年ボタンを連打した俺は、気付いたら最強になっていた)

三式〝八重霞(やえがすみ)

四式〝霞散(かさん)飛沫(しぶき)

五式〝移流斬(いりゅうぎ)り〟

六式〝霞雲(かうん)(うみ)

七式〝(つき)霞消(かしょう)

八式〝(おぼろ)

終式〝雲散霧消(うんさんむしょう)〟(※8)

 

 

 

雷電型(イカヅチノカタ)の派生 ―

飛天型(ヒテンノカタ)(元天神型(イザナギノカタ) 龍ノ秘剣)』「呼吸音:シィィィィ」

(参照作品:るろうに剣心)

一式〝龍槌閃(りゅうついせん)

 一式・改〝龍槌閃(りゅうついせん)(ざん)

二式〝龍翔閃(りゅうしょうせん)

 二式・改〝龍槌翔閃(りゅうついしょうせん)

三式〝双龍閃(そうりゅうせん)

 三式・改〝双龍閃(そうりゅうせん)(いかずち)

四式〝土龍閃(どりゅうせん)

五式〝龍巻閃(りゅうかんせん)

 五式・改〝龍巻閃(りゅうかんせん)(つむじ)

 五式・改〝龍巻閃(りゅうかんせん)(こがらし)

 五式・改〝龍巻閃(りゅうかんせん)(あらし)

六式〝龍巣閃(りゅうそうせん)

 六式・改〝龍巣閃(りゅうそうせん)(がらめ)

七式〝飛龍閃(ひりゅうせん)

八式〝龍鳴閃(りゅうめいせん)

九式〝九頭龍閃(くずりゅうせん)

 九式・改〝二十七頭龍閃(にじゅうななずりゅうせん)

終式〝天翔龍閃(あまかけるりゅうのひらめき)

 

 

鈿女型(ウズメノカタ)「呼吸音:スィィィィィ」

一式〝(とどろき)

二式〝鋼伸牙顎(こうしんががく)〟(※9)

三式〝転環遁走(てんかんとんそう)〟(※10)

四式〝響斬無間(きょうざんむけん)

五式〝鳴弦奏々(めいげんそうそう)

 




※1)鬼滅流オリジナル。るろうに剣心に登場する飛天御剣流の〝龍巣閃〟と同質の6連乱撃斬術。
※2)鬼滅流オリジナル。水龍型(ミズチノカタ) 七式〝ねじれ渦〟繚乱型(リョウランノカタ) 六式〝渦桃〟と同質の回転斬撃術。
※3)鬼滅流オリジナル。るろうに剣心に登場する倭刀術〝回刺刀勢〟と同質の反射刺突術。
※4)鬼滅流オリジナル。。繚乱型(リョウランノカタ) 五式〝徒の芍薬〟と同質の多連撃斬術。
※5)鬼滅流オリジナル。神速抜刀術。
※6)鬼滅流オリジナル。水龍型(ミズチノカタ) 一式〝水面斬り〟と同質の斬撃術。
※7)鬼滅流オリジナル。水龍型(ミズチノカタ) 十一式〝水流飛沫〟と同質の地形対応術。
※8)鬼滅流オリジナル。相手を塵すら残さず粉微塵にする超神速の乱撃斬術。使えば利き手腕が壊れる。(再起可能かは使い手の才能次第)
※9)オリジナル名称。柄頭が鎖で繋がったニ刀の内、片方の刃先を摘まんで振り回すことで間合いを伸ばす斬撃術。
※10)オリジナル名称。敵の動作を音楽の旋律として把握し、攻撃を弾いたり受け流しながら反撃に転じる戦闘技術。


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鬼滅流術技設定―複合派生型― (2021/07/20 型式追加)

複数の呼吸術を融合、もしくは使い分けて使用する型式を上げています。

読者様から頂いた型式案(桃源型)を追加
(2021/07/20)


― 陰陽五行の派生 ―

桃源型(トウゲンノカタ)「呼吸音:ポォオオオ」

(参照作品:ラブひな、魔法先生ネギま、UQホルダー)

一式〝斬岩剣(ざんがんけん)〟(岩系+炎系)

 一式・改〝斬岩剣七連(ざんがんけんななれん)〟(岩系+炎系+雷系)

 一式・改〝斬岩剣十四連(ざんがんけんじゅうよんれん)〟(岩系+炎系+雷系)

 一式・改〝斬岩剣(ざんがんけん)弐ノ太刀(にのたち)〟(岩系+炎系+水系)

二式〝斬鉄閃(ざんてつせん)〟(岩系+日系)

 二式・改〝二刀連撃斬鉄閃(にとうれんげきざんてつせん)〟(岩系+日系+雷系)

三式〝斬空閃(ざんくうせん)〟(風系)

 三式・改〝斬空閃(ざんくうせん)弐ノ太刀(にのたち)〟(風系+水系)

 三式・改〝斬空掌(ざんくうしょう)〟(風系)

 三式・改〝斬空掌散(ざんくうしょうさん)〟(風系)

四式〝斬光閃(ざんこうせん)〟(月系)

 四式・改〝拡散斬光閃(かくさんざんこうせん)〟(月系)

五式〝飛燕抜刀霞斬(ひえんばっとうかすみぎ)り〟(風系)

六式〝竜破斬(りゅうはざん)〟(岩系+炎系+日系)

七式〝百烈桜華斬(ひゃくれつおおかざん)〟(水系+雷系)

八式〝剣風華爆焔壁(けんふうかばくえんへき)〟(炎系+雷系)

九式〝桜花乱舞(おうからんぶ)〟(水系+岩系)

 

 

 

天神型(イザナギノカタ)天照型(アマテラスノカタ)水龍型(ミズチノカタ)繚乱型(リョウランノカタ)の派生 ―

春山型(ハルヤマノカタ)(元天神型(イザナギノカタ) 藤ノ秘剣)】「呼吸音:フゥウウウゥゥ」

(参照作品:学戦都市アスタリスク)

一式〝拾餌(えひろい)

二式〝釣船(つりふね)

三式〝妙妙(みょうみょう)

四式〝妹背山(いもせやま)

五式〝八橋(やつはし)

六式〝昔男(むかしおとこ)

七式〝楽々波(さざなみ)

八式〝迦陵頻(かりょうびん)

九式〝芙蓉(ふよう)

十式〝熊谷(くまがえ)

十一式〝風車(かざぐるま)

十二式〝村雲(むらくも)

十三式〝呉竹(くれたけ)

十四式〝(ゆめ)(かよ)()

十五式〝九万里(くまんり)

十六式〝布晒(ぬのさらし)

十七式〝()ツの(そで)

十八式〝つく羽根(ばね)

十九式〝青海波(せいがいは)

二十式〝澤瀉(おもだか)

二十一式〝比翼(ひよく)

二十二式〝瓢箪町(ひょうたんまち)

二十三式〝鶺鴒(せきれい)

二十四式〝三巴(みつどもえ)

二十五式〝雛遊(ひなあそ)び〟

二十六式〝(かなえ)

二十七式〝寄木(やどりぎ)

二十八式〝花橘(はなたちばな)

二十九式〝蓬莱(ほうらい)

三十式〝花見車(はなみぐるま)

三十一式〝鳴子(なるこ)

三十二式〝花菱(はなびし)

三十三式〝百鶴(ひゃっかく)

三十四式〝早乙女(さおとめ)

三十五式〝(みつ)(いち)

三十六式〝(あさがお)

三十七式〝横雲(よこぐも)

三十八式〝荘子(そうじ)

三十九式〝巣籠(すごもり)

四十式〝相生(あいおい)

四十一式〝風蘭(ふうらん)

四十二式〝葭原雀(よしわらすずめ)

四十三式〝(はる)(あけぼの)

四十四式〝龍膽車(りんどうぐるま)

四十五式〝(あり)(とう)

四十六式〝野干平(やかんべい)

四十七式〝杜若(かきつばた)

四十八式〝(うり)(つる)

四十九式〝稲妻(いなづま)

終式〝連鶴(れんづる)

 終式〝連鶴(れんづる)(あらた)

 

 

 

虚空型(オボロノカタ)雷電型(イカヅチノカタ)の派生 ―

雲耀型(ウンヨウノカタ)(元天神型(イザナギノカタ) 雲ノ秘剣)】「呼吸音:シィアアァァ」

(参照作品:竹刀短し恋せよ乙女、武装少女マキャヴェリズム)

一式〝疾風(しっぷう)〟(風系)

二式〝迅雷(じんらい)〟(雷系)

三式〝瞬光(しゅんこう)〟(雷系)

 



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年表&年齢設定&強さ表 (強さ表追加 2021/06/03)

話が進むにつれて随時更新します。

当作での年齢は、実際の大正時代を参考とした数え年(出生時を1歳。正月を迎える度に加齢)で記載させて頂いています。

なので、現在の年齢計算でいくと記載年齢より1~2歳若いことになります。
(12月生まれの人とか30日以内で2歳になるということなので(笑))




奴良鯉伴・山吹乙女・山吹乙音・山吹紀乃・真菰を追加。(2021/05/29)

奴良鯉彪・奴良櫻を追加。(2021/05/30)

狒守猩炎・野麻蔵牛鬼・及川雪麗を追加。(2021/05/30)

倉田青・九首見無禅を追加。(2021/06/01)

白蔵僧護・烏間九郎丸・黒田安慈・伊達イタクを追加。(2021/06/01)

後書きに魔法先生ネギま風強さ表を追加。(2021/06/03)

産屋敷耀哉・及川冷麗を追加。(2021/06/24)


1871年(明治4年)

【主な出来事】

大日本帝国陸軍創設

対惡鬼殲滅部隊『帝鬼軍』創設

倉田青、誕生

 

【人物(年齢)】

奴良鯉彪・狗神刑部(13歳)

狒守猩炎・野麻蔵(やまくら)牛鬼(ぎゅうき)(12歳)

??櫻(11歳)

白蔵僧護(10歳)

及川雪麗(8歳)

倉田青(1歳)

 

 

 

1875年(明治8年)

【主な出来事】

烏間九郎丸、誕生

 

【人物(年齢)】

奴良鯉彪・狗神刑部(16歳)

狒守猩炎・野麻蔵牛鬼(15歳)

奴良櫻[旧姓:??](14歳)

白蔵僧護(13歳)

及川雪麗(11歳)

倉田青(4歳)

烏間九郎丸(1歳)

 

 

 

1875年(明治8年)

【主な出来事】

奴良鯉彪と??櫻、結婚

 

【人物(年齢)】

奴良鯉彪・狗神刑部(17歳)

狒守猩炎・野麻蔵牛鬼(16歳)

奴良櫻[旧姓:??](15歳)

白蔵僧護(14歳)

及川雪麗(12歳)

倉田青(5歳)

烏間九郎丸(2歳)

 

 

 

1876年(明治9年)

【主な出来事】

奴良鯉伴、誕生

奴良鯉彪、帝鬼軍総隊長・鬼滅組総大将に就任

狗神刑部、宿儺隊長に就任

及川雪麗の帝鬼軍入隊&初陣

 

【人物(年齢)】

奴良鯉彪・狗神刑部(18歳)

狒守猩炎・野麻蔵牛鬼(17歳)

奴良櫻(16歳)

白蔵僧護(15歳)

及川雪麗(13歳)

倉田青(6歳)

烏間九郎丸(3歳)

奴良鯉伴(1歳)

 

 

 

1877年(明治10年)

【主な出来事】

九首見無禅・黒田安慈、誕生

狒守猩炎、焔燃隊長に就任

野麻蔵牛鬼、月詠隊長に就任

 

【人物(年齢)】

奴良鯉彪・狗神刑部(19歳)

狒守猩炎・野麻蔵牛鬼(18歳)

奴良櫻(17歳)

白蔵僧護(16歳)

及川雪麗(14歳)

倉田青(7歳)

烏間九郎丸(4歳)

奴良鯉伴(2歳)

九首見無禅・黒田安慈(1歳)

 

 

 

1878年(明治11年)

【主な出来事】

山吹姉妹、誕生

白蔵僧護、土公隊長に就任

及川雪麗、氷輪隊長に就任

 

【人物(年齢)】

奴良鯉彪・狗神刑部(20歳)

狒守猩炎・野麻蔵牛鬼(19歳)

奴良櫻(18歳)

白蔵僧護(17歳)

及川雪麗(15歳)

倉田青(8歳)

烏間九郎丸(5歳)

奴良鯉伴(3歳)

九首見無禅・黒田安慈(2歳)

山吹乙女・山吹乙音(1歳)

 

 

 

1887年(明治20年)

【主な出来事】

??紀乃、誕生

 

【人物(年齢)】

奴良鯉彪・狗神刑部(29歳)

狒守猩炎・野麻蔵牛鬼(28歳)

奴良櫻(27歳)

白蔵僧護(26歳)

及川雪麗(24歳)

倉田青(17歳)

烏間九郎丸(14歳)

奴良鯉伴(12歳)

九首見無禅・黒田安慈(11歳)

山吹乙女・山吹乙音(10歳)

??紀乃(1歳)

 

 

 

1889年(明治22年)

【主な出来事】

悲鳴嶼行冥、誕生

 

【人物(年齢)】

奴良鯉彪・狗神刑部(31歳)

狒守猩炎・野麻蔵牛鬼(30歳)

奴良櫻(29歳)

白蔵僧護(28歳)

及川雪麗(26歳)

倉田青(19歳)

烏間九郎丸(16歳)

奴良鯉伴(14歳)

九首見無禅・黒田安慈(13歳)

山吹乙女・山吹乙音(12歳)

??紀乃(3歳)

悲鳴嶼行冥(1歳)

 

 

 

1890年(明治23年)

【主な出来事】

奴良鯉伴、水龍隊長・帝鬼軍総隊長補佐に就任

山吹家襲撃

山吹姉妹・倉田青の帝鬼軍入隊&初陣

烏間九郎丸、虚空隊長に就任

 

【人物(年齢)】

奴良鯉彪・狗神刑部(32歳)

狒守猩炎・野麻蔵牛鬼(31歳)

奴良櫻(30歳)

白蔵僧護(29歳)

及川雪麗(27歳)

倉田青(20歳)

烏間九郎丸(17歳)

奴良鯉伴(15歳)

九首見無禅・黒田安慈(14歳)

山吹乙女・山吹乙音(13歳)

??紀乃(4歳)

悲鳴嶼行冥(2歳)

 

 

 

1891年(明治24年)

【主な出来事】

山吹乙女、繚乱隊長に就任

山吹乙音、雷電隊長に就任

九首見無禅の帝鬼軍入隊&初陣

山吹姉妹、紀乃を保護

??冷麗、誕生

 

【人物(年齢)】

奴良鯉彪・狗神刑部(33歳)

狒守猩炎・野麻蔵牛鬼(32歳)

奴良櫻(31歳)

白蔵僧護(30歳)

及川雪麗(28歳)

倉田青(21歳)

烏間九郎丸(18歳)

奴良鯉伴(16歳)

九首見無禅・黒田安慈(15歳)

奴良乙女・山吹乙音(14歳)

山吹紀乃[旧姓:??](5歳)

悲鳴嶼行冥(3歳)

??冷麗(1歳)

 

 

 

1893年(明治26年)

【主な出来事】

奴良鯉彪、帝鬼軍を引退

山吹乙女、帝鬼軍を寿引退

奴良鯉伴、帝鬼軍総隊長・鬼滅組総大将に就任

奴良鯉伴と山吹乙女、結婚

産屋敷耀哉・宇随天元・及川氷麗・狒守猩影・狗神玉章、誕生

 

【人物(年齢)】

奴良鯉彪・狗神刑部(35歳)

狒守猩炎・野麻蔵牛鬼(34歳)

奴良櫻(33歳)

白蔵僧護(32歳)

及川雪麗(30歳)

倉田青(23歳)

烏間九郎丸(20歳)

奴良鯉伴(18歳)

九首見無禅・黒田安慈(17歳)

奴良乙女・山吹乙音(16歳)

山吹紀乃(7歳)

悲鳴嶼行冥(5歳)

??冷麗(3歳)

産屋敷耀哉・宇随天元・及川氷麗・狒守猩影・狗神玉章(1歳)

 

 

 

1894年(明治27年)

【主な出来事】

伊達イタク、誕生

及川雪麗、冷麗を保護

烏間九郎丸、イタクを保護

 

【人物(年齢)】

奴良鯉彪・狗神刑部(36歳)

狒守猩炎・野麻蔵牛鬼(35歳)

奴良櫻(34歳)

白蔵僧護(33歳)

及川雪麗(31歳)

倉田青(24歳)

烏間九郎丸(21歳)

奴良鯉伴(19歳)

九首見無禅・黒田安慈(18歳)

奴良乙女・山吹乙音(17歳)

山吹紀乃(8歳)

悲鳴嶼行冥(6歳)

及川冷麗[旧姓:??](4歳)

産屋敷耀哉・宇随天元・及川氷麗・狒守猩影・狗神玉章(2歳)

伊達イタク(1歳)

 

 

 

1895(明治28年)

【主な出来事】

奴良リクオ・冨岡義勇・胡蝶カナエ・伊黒小芭内・不死川実弥・錆兎、誕生

黒田安慈の帝鬼軍入隊&初陣

 

【人物(年齢)】

奴良鯉彪・狗神刑部(37歳)

狒守猩炎・野麻蔵牛鬼(36歳)

奴良櫻(35歳)

白蔵僧護(34歳)

及川雪麗(32歳)

倉田青(25歳)

烏間九郎丸(22歳)

奴良鯉伴(20歳)

九首見無禅・黒田安慈(19歳)

奴良乙女・山吹乙音(18歳)

山吹紀乃(9歳)

悲鳴嶼行冥(7歳)

及川冷麗(5歳)

産屋敷耀哉・宇随天元・及川氷麗・狒守猩影・狗神玉章(3歳)

伊達イタク(2歳)

奴良リクオ・冨岡義勇・胡蝶カナエ・伊黒小芭内・不死川実弥・錆兎(1歳)

 

 

 

1896年(明治29年)

【主な出来事】

産屋敷耀哉、鬼殺隊当主を継承

煉獄杏寿郎、誕生

奴良リクオの肆拾倍伝説開始

 

【人物(年齢)】

奴良鯉彪・狗神刑部(38歳)

狒守猩炎・野麻蔵牛鬼(37歳)

奴良櫻(36歳)

白蔵僧護(35歳)

及川雪麗(33歳)

倉田青(26歳)

烏間九郎丸(23歳)

奴良鯉伴(21歳)

九首見無禅・黒田安慈(20歳)

奴良乙女・山吹乙音(19歳)

山吹紀乃(10歳)

悲鳴嶼行冥(8歳)

及川冷麗(6歳)

産屋敷耀哉・宇随天元・及川氷麗・狒守猩影・狗神玉章(4歳)

伊達イタク(3歳)

奴良リクオ・冨岡義勇・胡蝶カナエ・伊黒小芭内・不死川実弥・錆兎(2歳)

煉獄杏寿郎(1歳)

 

 

 

1897年(明治30年)

【主な出来事】

甘露寺蜜璃・雛森桃、誕生

山吹紀乃の鬼滅流修行開始

 

【人物(年齢)】

奴良鯉彪・狗神刑部(39歳)

狒守猩炎・野麻蔵牛鬼(38歳)

奴良櫻(37歳)

白蔵僧護(36歳)

及川雪麗(34歳)

倉田青(27歳)

烏間九郎丸(24歳)

奴良鯉伴(22歳)

九首見無禅・黒田安慈(21歳)

奴良乙女・山吹乙音(20歳)

山吹紀乃(11歳)

悲鳴嶼行冥(10歳)

及川冷麗(7歳)

産屋敷耀哉・宇随天元・及川氷麗・狒守猩影・狗神玉章(5歳)

伊達イタク(4歳)

奴良リクオ・冨岡義勇・胡蝶カナエ・伊黒小芭内・不死川実弥・錆兎(3歳)

煉獄杏寿郎(2歳)

甘露寺蜜璃・雛森桃(1歳)

 

 

 

1898年(明治31年)

【主な出来事】

胡蝶しのぶ・真菰、誕生

及川冷麗・及川氷麗・狒守猩影・狗神玉章の鬼滅流修行開始

甘露寺蜜璃の捌倍伝説開始

 

【人物(年齢)】

奴良鯉彪・狗神刑部(40歳)

狒守猩炎・野麻蔵牛鬼(39歳)

奴良櫻(38歳)

白蔵僧護(37歳)

及川雪麗(35歳)

倉田青(28歳)

烏間九郎丸(25歳)

奴良鯉伴(23歳)

九首見無禅・黒田安慈(22歳)

奴良乙女・山吹乙音(21歳)

山吹紀乃(12歳)

悲鳴嶼行冥(10歳)

及川冷麗(8歳)

産屋敷耀哉・宇随天元・及川氷麗・狒守猩影・狗神玉章(6歳)

伊達イタク(5歳)

奴良リクオ・冨岡義勇・胡蝶カナエ・伊黒小芭内・不死川実弥・錆兎(4歳)

煉獄杏寿郎(3歳)

甘露寺蜜璃・雛森桃(2歳)

胡蝶しのぶ・真菰(1歳)

 

 

 

1899年(明治32年)

【主な出来事】

伊達イタクの鬼滅流修行開始

山吹紀乃の帝鬼軍入隊&初陣

 

【人物(年齢)】

奴良鯉彪・狗神刑部(41歳)

狒守猩炎・野麻蔵牛鬼(40歳)

奴良櫻(39歳)

白蔵僧護(38歳)

及川雪麗(36歳)

倉田青(29歳)

烏間九郎丸(26歳)

奴良鯉伴(24歳)

九首見無禅・黒田安慈(23歳)

奴良乙女・山吹乙音(22歳)

山吹紀乃(13歳)

悲鳴嶼行冥(11歳)

及川冷麗(9歳)

産屋敷耀哉・宇随天元・及川氷麗・狒守猩影・狗神玉章(7歳)

伊達イタク(6歳)

奴良リクオ・冨岡義勇・胡蝶カナエ・伊黒小芭内・不死川実弥・錆兎(5歳)

煉獄杏寿郎(4歳)

甘露寺蜜璃・雛森桃(3歳)

胡蝶しのぶ・真菰(2歳)

 

 

 

1900年(明治33年)

【主な出来事】

不死川玄弥・我妻善逸・カナヲ、誕生

奴良リクオ、鬼滅流の修行開始。1日で終了

 

【人物(年齢)】

奴良鯉彪・狗神刑部(42歳)

狒守猩炎・野麻蔵牛鬼(41歳)

奴良櫻(40歳)

白蔵僧護(39歳)

及川雪麗(37歳)

倉田青(30歳)

烏間九郎丸(27歳)

奴良鯉伴(25歳)

九首見無禅・黒田安慈(24歳)

奴良乙女・山吹乙音(23歳)

山吹紀乃(14歳)

悲鳴嶼行冥(12歳)

及川冷麗(10歳)

産屋敷耀哉・宇随天元・及川氷麗・狒守猩影・狗神玉章(8歳)

伊達イタク(7歳)

奴良リクオ・冨岡義勇・胡蝶カナエ・伊黒小芭内・不死川実弥・錆兎(6歳)

煉獄杏寿郎(5歳)

甘露寺蜜璃・雛森桃(4歳)

胡蝶しのぶ・真菰(3歳)

不死川玄弥・我妻善逸・カナヲ(1歳)

 

 

 

1901年(明治34年)

【主な出来事】

嘴平伊之助・竈門炭治郎、誕生

 

【人物(年齢)】

奴良鯉彪・狗神刑部(43歳)

狒守猩炎・野麻蔵牛鬼(42歳)

奴良櫻(41歳)

白蔵僧護(40歳)

及川雪麗(38歳)

倉田青(31歳)

烏間九郎丸(28歳)

奴良鯉伴(26歳)

九首見無禅・黒田安慈(25歳)

奴良乙女・山吹乙音(24歳)

山吹紀乃(15歳)

悲鳴嶼行冥(13歳)

及川冷麗(11歳)

産屋敷耀哉・宇随天元・及川氷麗・狒守猩影・狗神玉章(9歳)

伊達イタク(8歳)

奴良リクオ・冨岡義勇・胡蝶カナエ・伊黒小芭内・不死川実弥・錆兎(7歳)

煉獄杏寿郎(6歳)

甘露寺蜜璃・雛森桃(5歳)

胡蝶しのぶ・真菰(4歳)

不死川玄弥・我妻善逸・カナヲ(2歳)

嘴平伊之助・竈門炭治郎(1歳)

 

 

 

1902年(明治35年)

【主な出来事】

山吹紀乃、繚乱隊長に就任

竈門禰豆子・時透有一郎・時透無一郎、誕生

冨岡父母病死

 

【人物(年齢)】

奴良鯉彪・狗神刑部(44歳)

狒守猩炎・野麻蔵牛鬼(43歳)

奴良櫻(42歳)

白蔵僧護(41歳)

及川雪麗(39歳)

倉田青(32歳)

烏間九郎丸(29歳)

奴良鯉伴(27歳)

九首見無禅・黒田安慈(26歳)

奴良乙女・山吹乙音(25歳)

山吹紀乃(16歳)

悲鳴嶼行冥(14歳)

及川冷麗(12歳)

産屋敷耀哉・宇随天元・及川氷麗・狒守猩影・狗神玉章(10歳)

伊達イタク(9歳)

奴良リクオ・冨岡義勇・胡蝶カナエ・伊黒小芭内・不死川実弥・錆兎(8歳)

煉獄杏寿郎(7歳)

甘露寺蜜璃・雛森桃(6歳)

胡蝶しのぶ・真菰(5歳)

不死川玄弥・我妻善逸・カナヲ(3歳)

嘴平伊之助・竈門炭治郎(2歳)

竈門禰豆子・時透有一郎・時透無一郎(1歳)

 

 

 

1903年(明治36年)

【主な出来事】

奴良リクオ・及川氷麗・狒守猩影・及川冷麗・伊達イタクの帝鬼軍入隊&初陣

 

【人物(年齢)】

奴良鯉彪・狗神刑部(45歳)

狒守猩炎・野麻蔵牛鬼(44歳)

奴良櫻(43歳)

白蔵僧護(42歳)

及川雪麗(40歳)

倉田青(33歳)

烏間九郎丸(30歳)

奴良鯉伴(28歳)

九首見無禅・黒田安慈(27歳)

奴良乙女・山吹乙音(26歳)

山吹紀乃(17歳)

悲鳴嶼行冥(15歳)

及川冷麗(13歳)

産屋敷耀哉・宇随天元・及川氷麗・狒守猩影・狗神玉章(11歳)

伊達イタク(10歳)

奴良リクオ・冨岡義勇・胡蝶カナエ・伊黒小芭内・不死川実弥・錆兎(9歳)

煉獄杏寿郎(8歳)

甘露寺蜜璃・雛森桃(7歳)

胡蝶しのぶ・真菰(6歳)

不死川玄弥・我妻善逸・カナヲ(4歳)

嘴平伊之助・竈門炭治郎(3歳)

竈門禰豆子・時透有一郎・時透無一郎(2歳)

 

 

 

1904年(明治37年)

【主な出来事】

奴良リクオ、水龍隊長・帝鬼軍総隊長補佐に就任

奴良鯉伴・他隊長格3名殉職

奴良鯉彪、帝鬼軍総隊長に復帰

倉田青、土公隊長に就任

狒守猩影、焔燃隊長に就任

伊達イタク、虚空隊長に就任

 

【人物(年齢)】

奴良鯉彪・狗神刑部(46歳)

野麻蔵牛鬼(45歳)

狒守猩炎(享年45歳)

奴良櫻(44歳)

白蔵僧護(享年43歳)

及川雪麗(41歳)

倉田青(34歳)

烏間九郎丸(享年31歳)

奴良鯉伴(享年29歳)

九首見無禅・黒田安慈(28歳)

奴良乙女・山吹乙音(27歳)

山吹紀乃(18歳)

悲鳴嶼行冥(16歳)

及川冷麗(14歳)

産屋敷耀哉・宇随天元・及川氷麗・狒守猩影・狗神玉章(12歳)

伊達イタク(11歳)

奴良リクオ・冨岡義勇・胡蝶カナエ・伊黒小芭内・不死川実弥・錆兎(10歳)

煉獄杏寿郎(9歳)

甘露寺蜜璃・雛森桃(8歳)

胡蝶しのぶ・真菰(7歳)

不死川玄弥・我妻善逸・カナヲ(5歳)

嘴平伊之助・竈門炭治郎(4歳)

竈門禰豆子・時透有一郎・時透無一郎(3歳)

 

 

 

1905年(明治38年)

【主な出来事】

冨岡家襲撃

悲鳴嶼行冥の冤罪投獄事件発生

 

【人物(年齢)】

奴良鯉彪・狗神刑部(47歳)

野麻蔵牛鬼(46歳)

奴良櫻(45歳)

及川雪麗(42歳)

倉田青(35歳)

九首見無禅・黒田安慈(29歳)

奴良乙女・山吹乙音(28歳)

山吹紀乃(19歳)

悲鳴嶼行冥(17歳)

及川冷麗(15歳)

産屋敷耀哉・宇随天元・及川氷麗・狒守猩影・狗神玉章(13歳)

伊達イタク(12歳)

奴良リクオ・冨岡義勇・胡蝶カナエ・伊黒小芭内・不死川実弥・錆兎(11歳)

煉獄杏寿郎(10歳)

甘露寺蜜璃・雛森桃(9歳)

胡蝶しのぶ・真菰(8歳)

不死川玄弥・我妻善逸・カナヲ(6歳)

嘴平伊之助・竈門炭治郎(5歳)

竈門禰豆子・時透有一郎・時透無一郎(4歳)

 

 

 

1906年(明治39年)

【主な出来事】

胡蝶家襲撃→保護

伊黒一族、逮捕(ほぼ全員、投獄or極刑。伊黒小芭内を含む一部の乳幼児は保護)

悲鳴嶼行冥の鬼殺隊入隊

 

【人物(年齢)】

奴良鯉彪・狗神刑部(48歳)

野麻蔵牛鬼(47歳)

奴良櫻(46歳)

及川雪麗(43歳)

倉田青(36歳)

九首見無禅・黒田安慈(30歳)

奴良乙女・山吹乙音(29歳)

山吹紀乃(20歳)

悲鳴嶼行冥(18歳)

及川冷麗(16歳)

産屋敷耀哉・宇随天元・及川氷麗・狒守猩影・狗神玉章(14歳)

伊達イタク(13歳)

奴良リクオ・冨岡義勇・胡蝶カナエ・伊黒小芭内・不死川実弥・錆兎(12歳)

煉獄杏寿郎(11歳)

甘露寺蜜璃・雛森桃(10歳)

胡蝶しのぶ・真菰(9歳)

不死川玄弥・我妻善逸・カナヲ(7歳)

嘴平伊之助・竈門炭治郎(6歳)

竈門禰豆子・時透有一郎・時透無一郎(5歳)

 

 

 

 




強さ表

数値        該当者

2000~1500    奴良リクオ(青年期)
1500        継国縁壱(全盛期)
1200        竈門炭十郎(全盛期)
1000        奴良リクオ(少年期)、全集中の呼吸を極めし者
1100~650     十二鬼月(上弦)、上弦級の異能惡鬼(おに)
1000~750     後天的痣者(戦国時代)
900        奴良鯉伴(全盛期)、鬼舞辻無惨(戦国時代)
850        及川氷麗(少女期)、狒守猩影(少年期)
800        帝鬼軍隊長(旧世代)、全集中の呼吸を使いこなせる者
600        帝鬼軍副隊長(旧世代)
500        鬼殺隊の歴代柱、帝鬼軍副官補佐(旧世代)
450~350     十二鬼月(下弦)、下弦級の異能惡鬼(おに)
400~250     鬼殺隊の歴代継子(常中使用可)
350~250     上級の異能惡鬼(おに)
300        戦車、上級帝鬼軍隊員(常中使用可)
250~150     中級の異能惡鬼(おに)
200        中級帝鬼軍隊員(常中使用可)
100~80      下級級の異能惡鬼(おに)
100        上級鬼殺隊隊士(常中使用可)、下級帝鬼軍隊員(常中使用可)
70~50       異形惡鬼(おに)(血鬼術使用不可)
60         中級鬼殺隊隊士(常中使用不可)
40~20       雑魚惡鬼(おに)(血鬼術使用不可)
30         下級鬼殺隊隊士(常中使用不可)
10         警察、下級軍人
1          一般人
0.75        茶々丸
0.5         猫、産屋敷耀哉



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原作開始前(明治後期)
プロローグ:大改訂版(2022/04/15)


お久しぶりです。
最新10話更新前にプロローグ~5話(特に4話)と鬼滅流術技設定を再編集することにしました。
改めて読み直して頂けると、嬉しいです。(^-^)


 

 

【視点:???】

 

 

 

どうも、奴良リクオだ。「ぬらりひょんの孫」に登場する主人公と同じ名前、似た様な容姿(夜)だが本人ではない。

 

何故なら俺が現在進行形で生きている世界が「ぬらりひょんの孫」の世界ではなく、「鬼滅の刃」の並行世界っぽい所な上、俺自身が二次創作でいう所の神様転生憑依者だからだ。

 

俺が生きている現世が「鬼滅の刃」の並行世界と断言できる理由は、この世界には(おそれ)を持つ妖の類が一切存在しないのに、惡鬼(おに)だけは存在している上、俺の家が鬼狩りの家系だからだ。

 

より正確な情報を伝えると、俺の父方の実家が戦国時代から続く鬼狩りの家系であり、江戸時代から続く任侠組織――鬼殺任侠連合・鬼滅組総元締の家系であり、明治維新以降は政府公認の大日本帝国軍元帥府直轄対惡鬼殲滅部隊・帝鬼軍の総隊長を世襲している鬼殺軍人の家系ということになる。

 

ちなみに冒頭で今世での俺の容姿が、奴良リクオ(夜)と同じではなく似ていると評したのは、アニメ版「鬼滅の刃」風にリメイクされた様な姿だから。

 

あと、俺自身が二次創作でいう神様転生憑依者と断言できるのは、「ぬらりひょんの孫」や「鬼滅の刃」の知識がある上、前世の記憶や神を名乗る存在Xと遭遇した記憶があるからだ。

 

前世の俺は神戸市出身の30代ぽっちゃりオタク。週2日ある休日の内の1日に三宮とハーバーランドのオタショップ&ゲーセン巡りを楽しんでいたら、転生系ラノベの御約束ともいえるイベントが発生したんだ。

 

三宮からハーバーランドに徒歩移動している途中で存在Xによって誤殺。存在Xが生物の寿命を管理するデスノートっぽい名簿の俺の項目に間違った死亡日時を書いたのが原因らしい。

 

このデスノートモドキ、日時だけで詳しい死因を書かないと死因は100%脳梗塞だそうだ。心臓発作の方が苦しそうだから、脳梗塞で楽に逝けたのは幸せだったのだろうか?

 

何はともあれ、俺は死後に出会った存在Xから一方的に複数の特典授与と捲し立てる様な謝罪をされて、強制的にこの並行鬼滅世界の奴良リクオへと転生させられた訳だ。

 

で、俺が転生した際に与えられた6つの特典についてだが、現世である並行鬼滅世界を生き抜くのに適した特典だったりする。

 

特典その①、「ありふれた職業で世界最強」に登場する南雲ハジメが異世界・トータスで形成した価値観。

 

この特典は世界に存在するものを〝特別〟、〝敵〟、〝それ以外〟の3つに分類し、自分の目的や生存を阻む存在、〝特別〟に害する存在を〝敵〟と認識し、〝敵〟絶対殺すマンになれる精神強化系っぽい能力だ。

 

ぶっちゃけ、命の遣り取りが行われる世界でしか役に立ちそうにない特典だが、ごく一部とはいえ、現世では人間が夜限定で惡鬼(おに)と命の遣り取りをしている上、俺も無関係ではいられないので無くてはならない特典だ。

 

特典その②、「落第騎士の英雄譚」に登場する黒鉄一輝の保有技能。

 

これは模倣剣技(ブレイドスティール)完全掌握(パーフェクトビジョン)。秘剣、抜き足、比翼の剣技が含まれる。模倣剣技(ブレイドスティール)に関しては模倣技術(スキルスティール)と呼ぶべきかもしれない。剣技以外の技術――柔術や柔道、空手などの格闘技も模倣できるので。

 

ちなみに魔力を用いた(・ ・ ・ ・ ・ ・)一刀修羅と一刀羅刹は存在しない。何故ならこの鬼滅並行世界には魔力が存在しないからだ。

 

特典その③、「学戦都市アスタリスク」に登場する星脈世代(ジェネステラ)級の身体能力。

 

「ありふれ」、「落第騎士」の次に来たのは「学戦都市アスタリスク」要素。けど、飽く迄星脈世代(ジェネステラ)級の身体能力って所がミソだね。

 

魔力と同じ様に万応素(マナ)星辰力(プラーナ)もこの鬼滅並行世界には存在しないので、惡鬼(おに)でいう所の血鬼術の様な異能は使えない。

 

身体能力に関しては天霧綾斗相当。筋肉密度は最低でも一般人の40倍といった所だ。まぁ、筋肉密度40倍というのは俺の予想でしかないんだけどな。

 

筋肉密度8倍娘が生後約1年の頃、肆貫の漬物石を持ち上げたのに対して、俺は生後約1年の時に弐拾貫の小岩を持ち上げたことがあるから単純計算で8倍娘の5倍と思ったんだ。

 

特典その④、創作物に登場する武術の知識と行使技術。

 

これを見た瞬間、俺は模倣剣技(ブレイドスティール)いらなくね?と思ったけど、どうやら二天一流とか柳生新陰流、北辰一刀流、天然理心流、神道無念流、警視流、タイ捨流、示現流といった現実に存在する剣技はこの特典に該当しないっぽい。

 

つまり、天霧辰明流や刀藤流、無明神風流、無明歳刑流、飛天御剣流、隠密式小太刀二刀流、牙突、時雨蒼燕流(特式の一部除外)などの創作物の武術のみが該当するみたいだ。

 

使用方法は例えば刀藤流を使う場合、刀藤流のことを考えると基本となる49の型だけでなく、刀藤綺凛が編み出した連鶴・新の知識が浮かび上がり、行使できるといった感じ。

 

あと、現実に存在する流派でも剣技そのものが創作である場合はこの特典に該当し、使用可能となる。例えば、「しなこいっ」と「武装少女マキャヴェリズム」に登場する示現流と薬丸自顕流の雲耀【疾風】、【迅雷】、【瞬光】など。

 

他にも「鬼滅の刃」に登場する全集中の呼吸の流派の型だけでなく、全集中の呼吸・常中を含む呼吸術そのものや、創作物に登場する武術全般なので「刀語」の虚刀流や「修羅の門シリーズ」の陸奥圓明流と不破圓明流、「Ultra Red」の破傀拳なども該当する。

 

ご都合主義というべきか、鬼滅組総元締で帝鬼軍総隊長を世襲する奴良家には、全集中の呼吸術の原点である日の呼吸だけでなく、日の呼吸から直接派生した月の呼吸と五大流派の呼吸、更に五大流派から派生した花の呼吸霞の呼吸などの指南書が存在していた。

 

そのお陰で、俺が指南書を見た後に全集中の呼吸を使ったら、怪しまれるどころか天才扱いされた。

 

そして、一度天才認定されると、他の剣術などを自己流の様に使っても怪しまれることがなく、最終的には神童扱いされた。

 

その神童扱いによる影響なのか、9歳の時には爺と親父から鬼狩りとして活動する様に言われた訳なんだが……。

 

特典その⑤、「終わりのセラフ」に登場する鬼呪装備・阿朱羅丸。

 

阿朱羅丸って聞いたら対吸血鬼殲滅装備だと思うよな?この阿朱羅丸、原作「終わりのセラフ」の阿朱羅丸と異なる点が多々あったりする。

 

当然といえば当然なんだが、吸血鬼ではなく惡鬼(おに)が存在するこの鬼滅世界では、阿朱羅丸も吸血鬼殲滅装備から惡鬼殲滅装備に仕様変更されている。

 

端的に説明すると、鬼滅世界の一般的な惡鬼殲滅装備である日輪刀の上位互換といった所だろうか?

 

まず、惡鬼(おに)を最短で消滅させる手段は、日輪刀と同じく首を斬り落とすこと。そして、嚇刀状態の日輪刀と同じく惡鬼(おに)の再生能力を阻害し、細胞を破壊できる。

 

ただ、嚇刀と阿朱羅丸が惡鬼(おに)に及ぼす再生阻害と細胞破壊は性質が異なるものである上、阿朱羅丸の方が段違いというか、別次元で効果が強い。

 

例えるなら、嚇刀による再生阻害と細胞破壊は天然の毒や病原菌による現象で、阿朱羅丸による再生阻害と細胞破壊は呪毒による超常現象といった所だろうか?

 

通常の日輪刀で鬼の腕を斬り落とした場合、当然のことだが蜥蜴の尻尾みたいに腕が生えてくる。嚇刀で斬り落とした場合、超速再生はできないが時間を掛ければ再生させることはできる。

 

阿朱羅丸で鬼の腕を斬り落とした場合、斬り落とした腕を再接着することはできるが、再生させることはできない。

 

そして、斬り落とした腕に阿朱羅丸を刺すと、細胞破壊の呪毒によって大きさにもよるが塵になって消滅する。消滅した部位は二度と再生しない。

 

阿朱羅丸が日輪刀と完全に異なる点は、本物の鬼呪装備にも存在していた所有者の身体能力を強化できる基本特性だ。

 

一応、黒鬼シリーズということもあって阿朱羅丸の身体強化率は基本特性の時点で10倍。あと、この阿朱羅丸にはちゃんと憑依化と具現化の能力もある。

 

憑依化能力は原作「終わりのセラフ」と同じく身体能力を爆発的に向上させるもの。身体強化率は基本特性に乗算される形で10倍となる。

 

つまり、憑依化を使った阿朱羅丸による最大強化率は、通常時の100倍ということだ。まぁ、原作「終わりのセラフ」の吸血鬼と人間の能力差を考えると、妥当な強化率だと思える。

 

具現化能力は本来の阿朱羅丸とは若干異なっていたりする。その異なる点とは、阿朱羅観音で創造した刀を第三者に渡すと壊れるまでこの世に具現化し続けるという点だ。

 

型月ファンがこの説明を聞いたら、殆どの人間が正義の味方の投影もどきだと思うだろう。俺自身、阿朱羅観音の特性を理解した時に同じことを思った。

 

しかも、阿朱羅観音で創造した刀は、原作「終わりのセラフ」の鬼呪装備でいう所の菩薩~明王級で等級を調節できたりする。

 

第三者へと渡った阿朱羅観音製の刀―――現時点では鬼滅装備と呼称しようか。この鬼滅装備の特性は完全に阿朱羅丸の下位互換だ。

 

鬼滅装備と阿朱羅丸の一致点は呪毒による惡鬼(おに)の再生妨害&細胞破壊、基本特性である所有者の身体能力強化だ。

 

ちなみに等級によって刀の強度と、再生妨害&細胞破壊能力、基礎特性の効果が変動する。

 

原典である阿朱羅丸は、鬼滅装備の頂点である黒鬼級ということもあって、刀の強度も能力も特性も最強といえる。

 

阿朱羅丸の日本刀としての強度を「ONEPIECE」の刀剣で例えると、問答無用で最上大業物――夜と同等だろう。

 

多分、阿朱羅丸の刀身は恐竜に踏まれても曲がることはないだろうし、切れ味は熱したナイフでバターを切るように鋼鉄を容易く断ち斬れる。

 

原作「終わりのセラフ」で黒鬼級と同等とされていた菩薩級鬼滅装備も、日本刀としての強度と再生妨害&細胞破壊能力は阿朱羅丸と同等だろう。

 

ただ、基本特性である所有者の身体能力強化率は7倍が限界。あと、阿朱羅丸の様な憑依化能力と具現化能力が存在しない。

 

これは阿朱羅観音で創造された鬼滅装備に、阿朱羅丸の分体――分霊(?)が宿っていないからだろう。

 

まぁ、阿朱羅丸が宿っていないお陰で、他の鬼滅装備所有者は体を阿朱羅丸に乗っ取られる心配がない訳なんだが……。

 

黒鬼・菩薩級より1階級下の羅刹・茶枳尼級は、大業物相当。基本特性である所有者の身体能力強化率は6倍が限界。

 

日本刀としての強度は、アフリカゾウ(平均体重8.5t)に踏まれても曲がることがないだろうし、切れ味も熱したナイフでバターを切るように鉄を断ち斬れる。

 

羅刹・茶枳尼級より1階級下の童子級は、良業物相当。基本特性である所有者の身体能力強化率は5倍が限界。

 

日本刀としての強度は、アジアゾウ(平均体重4.2t)に踏まれても曲がることがないだろうし、切れ味も熱したナイフでバターを切るように大岩を断ち斬れる。

 

童子級より1階級下の明王級は、業物相当。基本特性である所有者の身体能力強化率は4倍が限界。

 

日本刀としての強度は、シロサイ(平均体重2.3t)に踏まれても曲がることがないだろうし、切れ味も熱したナイフでバターを切るように大岩を断ち斬れる。

 

流石、対惡鬼殲滅武装というべきか。鬼滅装備はトンデモ性能だ。強いてデメリットを上げるとするなら、創造元である阿朱羅丸と寸分違わぬ日本刀型で固定されている所くらいか?

 

全集中の呼吸術を用いた剣術や鬼滅流の中には、阿朱羅丸の様な大刀型の日本刀よりも大太刀や小太刀、脇差、中には鎖斧が適した術技も存在するからな。

 

そういう意味では、刀鍛冶の腕次第で自由に形状の注文ができる日輪刀が鬼滅装備より優れていると言えるだろう。

 

この阿朱羅丸をどういった経緯で奴良家が手に入れたかというと、爺の幼少期―――曾爺さんが鬼滅組の総大将を務めていた幕末期に、某胡散臭い京都の陰陽師に扮した存在Xが渡してきた様だ。

 

存在Xが曾爺さんに阿朱羅丸を渡した時、奴良家直系の男児が鬼狩りとして一人前になった時に継承させるよう言っていたみたいで、俺が継承する前は親父が使っていた。

 

つまり、この並行鬼滅世界での阿朱羅丸はぬら孫世界の袮々切丸ポジということだ。ちなみに阿朱羅丸は本来俺専用の鬼滅装備なので、曾爺さんと爺、親父は憑依化能力までしか使えなかったそうだ。

 

俺が阿朱羅丸を継承して以降、俺以外の鬼狩りの標準装備も阿朱羅観音製鬼滅装備となっているが、親父の代までは鬼滅組専属の鍛冶師一族が製作した日輪刀を標準装備としていた。

 

まぁ、今でも鬼滅組出身の鬼狩りの中には、鬼滅装備以外に副武装として専属鍛冶師の日輪刀を所持している者も多いし、特殊形状の日輪刀――日輪武装を必要とする者も多いので、専属鍛冶師は職にあぶれた りはしていない。

 

特典その⑥、この並行鬼滅世界に存在する「鬼滅の刃」の主要登場人物に原作開始までに起こるであろう出来事の知識。

 

具体例を挙げるなら、主要登場人物の顔と名前を思い浮かべると、その人物が鬼に襲われるタイミングを秒単位での日時で知ることができる。

 

ちなみに俺と冨岡義勇、胡蝶カナエ、不死川実弥、伊黒小芭内は同じ年齢で、俺→胡蝶カナエ→伊黒小芭内、不死川実弥、冨岡義勇の順で誕生日がやってくる。

 

現時点で把握している出来事は、俺が11歳の時に鬼による冨岡家襲撃と悲鳴嶼行冥(17歳)冤罪事件が発生。

 

12歳の時に蛇鬼によって伊黒一族ほぼ全滅。悲鳴嶼行冥の鬼殺隊入隊。鬼による胡蝶家襲撃。

 

13歳の時に悲鳴嶼行冥の柱就任。鬼化した不死川母による不死川家襲撃。錆兎と冨岡義勇が鬼殺隊最終選別試験へ参加。

 

14歳の時に胡蝶カナエが鬼殺隊最終選別試験へ参加。15歳の時に冨岡義勇と胡蝶カナエの柱就任。不死川実弥が鬼殺隊最終選別試験へ参加。

 

16歳の時に不死川実弥の柱就任。17歳の時に花柱・胡蝶カナエが上弦の弐・童磨と格闘の末に死亡。18歳の時に鬼による時透家襲撃。

 

19歳の時に鬼舞辻無惨による竈門家襲撃。甘露寺蜜璃の見合い破談から鬼殺隊入隊。胡蝶しのぶの柱就任。

 

20歳の時に煉獄杏寿郎と伊黒小芭内、甘露寺蜜璃、時透無一郎の柱就任。21歳の時にかまぼこ隊+αが鬼殺隊入隊。

 

以上が大まかに「鬼滅の刃」の主要登場人物に起こるであろう出来事の予定らしい。恐らく存在Xは俺を介入させて原作破壊でもさせたいのだろう。

 

俺的にも「鬼滅の刃」では胡蝶姉妹と無一郎の死亡などが割とトラウマ級にショックな出来事だったので、最低でも胡蝶姉妹と時透兄弟は助けて一般人として天寿を全うして欲しいと思っている。

 

さて、前世の死因と転生特典についての説明を終えた所で、今度は冒頭から度々出ている鬼滅組や帝鬼軍について説明しよう。

 

まず、鬼滅組の前身は戦国時代に継国縁壱と共に鬼殺隊を脱退した奴良家を中核に、同じく鬼殺隊を脱退した準柱級隊士、裏方の(カクシ)、刀鍛冶が集まって構成された鬼狩り集団だ。

 

まぁ、奴良家の先祖が継国兄弟と共に産屋敷家の鬼殺隊の前身に属していたことは、各呼吸術の流派の指南書が存在することから、容易に想像できただろう。

 

では、どうして奴良家が煉獄家の様に産屋敷家の鬼殺隊に属さず、鬼滅組という別の鬼狩り組織を結成したのか?

 

それも大体の予想はできると思うが、当時の鬼殺隊に所属していた鬼狩りが、継国縁壱を鬼殺隊から追放するという愚行を犯したからだ。

 

縁壱の追放により、鬼滅組を結成した9つの呼吸術の流派の始祖――親縁壱派が鬼殺隊に愛想を尽かして離脱。

 

親縁壱派は本人の意思を尊重して縁壱とは別行動(ただし、縁壱が死亡するまでは代替わりをしても定期的に連絡を取り合っていた)をとり、江戸幕府が創設されると同時に江戸に本拠地を作り、鬼狩り組織を任侠組織として再編、奴良組と呼称。

 

元々は任侠連合と呼べるほど大きな組織ではなく、構成員数も数十人だったみたいで、江戸中期頃に構成員数が数千人を超えたことで流派ごとに組が分裂。奴良組を任侠連合として再々編成し、鬼滅組と呼称したそうだ。

 

ちなみに鬼滅組の前身である任侠組織名が奴良組だったのは、親縁壱派の代表が奴良家の祖先だったからで、その名残とでもいうべきなのか、鬼滅組でも総元締は奴良家の直系が務めることになっていた。

 

ここまでが鬼滅組の話で、ここからは帝鬼軍について説明しよう。といっても、別に難しい話ではない。

 

幕末期の京都で維新十傑の数名を含む数十名の維新志士が惡鬼(おに)に襲われたことで、明治維新後の政府及び帝国軍高官が惡鬼(おに)の存在を認知。

 

そして、惡鬼(おに)に襲われていた数十名の維新志士救ったのが、偶然にも京都で活動していた曾爺さんを含む水の呼吸一門である奴良組で、明治維新後に鬼殺任侠連合である鬼滅組は政府公認組織として生まれ変わり、現在では元帥府直轄対惡鬼殲滅部隊・帝鬼軍となったというだけの話だ。

 

あっ、念の為言って置くと、鬼滅組という任侠組織が消滅した訳じゃないぞ。鬼滅組は真っ当で良識的な任侠として一般市民や警察に認知され、存続している。

 

鬼滅組出身の鬼狩りは軍人と任侠の兼任を政府から許可されているからな。ただ、帝鬼軍の鬼狩りは軍人業を優先せざるを得ないので、任侠業まで手が回らなくなってしまっている。

 

では、どうやって任侠組織を維持しているかというと、鬼殺隊でいう所の隠――帝鬼軍では隠密と呼称される部隊が、任侠業を含む裏方仕事を頑張ってくれているお陰で鬼滅組は存続できている訳だ。

 

惡鬼(おに)の首魁である鬼舞辻無惨を滅殺し終えた後、帝鬼軍は解体されることになっているからな。隠密のお陰で鬼滅組に属していた鬼狩りは、そのまま任侠へと戻ることができることになっている。

 

帝鬼軍に所属する鬼殺隊員の服装は、「終わりのセラフ」に登場する日本帝鬼軍の軍服と同じで、違う点があるとするなら、女性隊員の制服がミニスカートやタイトスカートではなく、洋袴(ロングスカート)や袴風になっている点だろう。

 

隠密である鬼滅組の組員は情報収集のし易い服装で、一般人でも着ている様な着流しや袴、小袖などの和装が殆どだ。

 

一応、帝鬼軍の支援組織という扱いなので、隠密は最低限の武装―――脇差型の日輪刀を帯刀することが政府から許可されている。

 

では、隠密はどうやって治安組織の公務員に帯刀を許可されていることを証明するのか?それは帝鬼軍と隠密が共通で持っている物を提示することで解決できる様になっている。

 

その提示する物とは懐中時計と羽織だ。懐中時計は表蓋に旭日章があしらわれもので、一般隊員は銀製。幹部隊員は金製となっている。

 

羽織は「BLEACH」の隊首羽織の色を反転させた黒地の羽織で、背中には数字ではなく、羽織主が最も得意とする鬼滅流の型式の一文字――水龍型(ミズチノカタ)であれば〝水〟一文字が刻まれていて、左右の二の腕に鬼滅組の代紋である菱型の中に〝滅〟一文字が刻まれている。

 

実はこの羽織は時代を先取っていて、両面仕立て――リバーシブルだったりする。表地は統一された黒地隊首羽織だが、裏地は各隊員の思い入れのある布地――惡鬼(おに)に殺された家族の形見などで仕立てられる様になっている。

 

俺の羽織は、表も裏もほぼ同じ形状で、唯一の違いは背中の文字が表地は〝天〟一文字で、裏地が〝畏〟一文字という所だろう。

 

帝鬼軍&鬼滅組と鬼殺隊の相違点は、政府公認か非公認かというもの以外にもいくつか存在する。まず帝鬼軍&鬼滅組では鬼殺隊の様な藤襲山での入隊最終選別などは行っていない。

 

というか、鬼殺隊の最終選別がありえない。折角育てた人材を無駄死にさせかねない最終選別とか、最初にこの試験を考えた奴は頭がおかしい。一般人を惡鬼(おに)から守る鬼狩りを選別する試験で―――

 

 

「実力がなければ惡鬼(おに)に喰い殺されるけど、それは仕方ないよね?恨むなら生き残れる実力のない自分を恨んでね?」

 

 

と言わんばかりのことをさせるとか、「NARUTO」の血霧の里の下忍試験と同じぐらい頭湧いているとしか言えない。

 

軍隊みたいに小隊を組んで、実力者である上官が部下と連携して任務を遂行しつつ新人を実戦で育成するって発想がないのか?

 

まぁ、鬼殺隊の構成人数が隊士と裏方の隠を合わせて数百人って話だから、小隊とか組めないんだろうけど。

 

けど、最終選別で数十名中生き残るのが数名と考えると、狂気の最終選別をしなければ構成人数が10倍の数千人にはなっていただろう。

 

そして、構成人数が多ければ部隊編成ができ、例えば5~6人1組の班を作って班長に(きのえ)(ひのえ)の隊士を1人、副長に(ひのと)(つちのと)の隊士1人、残りの3~4人を(かのえ)(かのと)(みずのえ)(みずのと)を1人ずつとすれば、十二鬼月が相手でもなければ隊士の死亡率を減らせる上に鬼の討伐率が上がり、実戦で新人を育成することもできたのではないだろうか?

 

帝鬼軍&鬼滅組の場合、5人1組の班制を採用している。どういった班編成にしているかを話す前に、まずは鬼滅組に所属している呼吸の流派に付いて話そう。

 

鬼滅組本家である奴良組は水の呼吸を継承する家系で、傘下組織である8団体が月、炎、風、雷、岩、霞、花雪の呼吸を継承している。

 

特典その④の全集中の呼吸の所で雪の呼吸に付いて一切触れていなかったが、それは雪の呼吸がこの世界にのみ存在するを組み合わせて生まれた派生系の呼吸だからだ。

 

ぶっちゃけ、雪の呼吸に関しては模倣技術(スキルスティール)で習得するまで俺も使えなかった呼吸術だ。

 

それと「鬼滅の刃」では神道無念流や北辰一刀流の様な流派名が存在しなかった呼吸術を使った剣技だが、鬼滅組では任侠連合が結成された江戸幕府中期頃から鬼滅流という流派名を名乗っている。

 

鬼滅流では日の呼吸天照型(アマテラスノカタ)月の呼吸月詠型(ツクヨミノカタ)水の呼吸水龍型(ミズチノカタ)炎の呼吸焔燃型(カグツチノカタ)風の呼吸虚空型(オボロノカタ)雷の呼吸雷電型(イカヅチノカタ)、岩の呼吸を土公型(ドコウノカタ)霞の呼吸宿儺型(スクナノカタ)花の呼吸繚乱型(リョウランノカタ)雪の呼吸氷輪型(ヒョウリンノカタ)と呼称している。

 

更に鬼殺隊の呼吸術で型と呼ばれるものを、鬼滅流では式と呼称する。〝水面斬り〟で例を挙げるなら、鬼殺隊は水の呼吸 壱ノ型〝水面斬り〟と言うが、鬼滅流では水龍型(ミズチノカタ) 一式〝水面斬り〟という。

 

鬼殺隊の《b》呼吸術《/b》と鬼滅流の違いについて語り終えた所で、今度は鬼滅組に所属する奴良組以外の任侠組織についても説明しよう。

 

鬼滅組本家である奴良組以外の8団体は家名+組ではなく、それぞれの組が鬼滅流で極めている型に因んだ名称を団体名としている。

 

何代か前までは奴良組だけでなく全傘下組織が戦国時代からの鬼狩りの血族が世襲制で組長を輩出していたが、現在ではそれぞれの組で最も実力のある者が組長を継ぐ様になっているからだ。

 

それに伴い、傘下組織に家名が使用されなくなったという訳だ。現在でも実力込の世襲制で組長を輩出しているのは、水龍型(ミズチノカタ)を極める奴良組と氷輪型(ヒョウリンノカタ)を極める雪白一派の及川(おいかわ)家、焔燃型(カグツチノカタ)を極める陽炎会の狒守(ひがみ)家だけである。

 

及川家の団体名が家名の及川組ではなく雪白一派となっているのは、女系一族である及川家の当主となる女児を奴良家の当主となる男児に嫁がせたい、という考え方が代々継承されているからだとか。

 

狒守家は奴良組傘下組織である他の7団体の名称が家名ではなくなったことから、「うちも名称を変えた方がいいのでは?」と思ったからだそうだ。

 

閑話休題。帝鬼軍発足以前の鬼滅組でも構成人数は鬼殺任侠だけで約1万人。隠密も含めれば約1万5000人。

 

最も人数が多い団体は初心者にも易しいということもあって、水龍型(ミズチノカタ)の使い手が集まっている奴良組だった。

 

各構成人数は奴良組(水):約2000人、陽炎会:約1800人、風塵会:1600人、迅雷組:1400人、岩船会:約1400人、桜花組:600人、雲霞一派:約600人、雪白一派:約400人、月牙組:約200人。

 

鬼滅組から帝鬼軍に再編されてからは、帝国陸海軍から異動してきた者もいるので、鬼殺隊員の最大構成員数は約2万人となっていて、各流派の構成人数も変動しているけどな。

 

だが、どれだけ人員が増えようと帝鬼軍には鬼殺隊の鎹烏の様な便利な動物は存在しないので、主な活動地域が鬼の出現率の高い関東地方に偏ってしまう。

 

まぁ、通信手段以外にも新規の鬼殺隊員の育成が、地方への人員派遣を難しくしている原因となっているわけなんだが………。

 

無論、地方――東北や関西、中国地方で不可解な行方不明事件が起きた場合、元帥府からの調査命令で大佐(鬼滅組貸元)1名を含む中隊(尉官以下44名)を派遣したりしている。

 

ちなみに鬼滅組での主な班編成は水、炎、風、雷、岩が1400班。水、花、霞、雪、月が200班。水、炎、花、霞、雪が200班。水、炎、風、花、霞が200班となっていた。

 

そして、1980年代以降でいう所の東京に80班。埼玉、千葉に各220班。神奈川に260班。群馬に340班。栃木に300班。茨城に380班の鬼殺任侠班が惡鬼(おに)を滅する為に夜な夜な巡回を行っていた。

 

東京を担当する鬼殺任侠班の数が極端に少ないのは、鬼滅組の総元締である奴良組の本拠地が東京市にあり、傘下組織の8団体の本拠地も東京府内にあったからだ。

 

本拠地があるということは、鬼殺隊の柱と同等以上の実力者である鬼滅組の総大将(現帝鬼軍 少将)と若頭(現大佐)、8人の貸元(現大佐)と8人以上の若頭(現中佐)が東京には勢揃いしていたこともある。

 

傘下組織の若頭が8人以上なのは、組によって2人いる所もあったからだ。あと、常に貸元と若頭が揃っていると断言しないのにも理由がある。

 

帝鬼軍発足前の鬼滅組では、隠密から齎された情報で関東圏以外の地方に鬼殺任侠が派遣されていた。

 

しかも、帝鬼軍での中隊規模派遣ではなく、組長や若頭の単独派遣が多く、若頭以上の鬼殺任侠は十二鬼月――特に上弦との交戦率が高かった為、殉職率も高かったそうだ。

 

傘下組織の8団体に関しては、東京だけでなく他の6県にも支部が存在する為、貸元とその若頭はどちらか1人が支部で鬼殺任侠班の指揮をする為に東京不在ということも多々あったとのこと。

 

どの県にどの組が支部を置かれているかというと、埼玉に桜花組。千葉に雲霞一派。神奈川に岩船会。群馬に迅雷組と月牙組。栃木に陽炎会。茨城に風塵会と雪白一派といった感じだ。

 

ちなみに帝鬼軍では、鬼滅組傘下組織名が型式名+隊で統一されていたりする。

 

この際、貸元とその若頭――――というか、帝鬼軍幹部(佐官以上)に付いても説明しておこう。ぶっちゃけ、その殆どがぬら孫キャラで構成されている。

 

氷輪(ヒョウリン)隊(雪白一派)などは分かり易いだろう。氷輪隊隊長は及川雪麗(せつら)大佐。そして副隊長は2人居て、1人目は俺の幼馴染(年上)でもある及川氷麗(つらら)中佐。もう1人は雪麗さんの養女である及川冷麗(れいら)中佐。

 

見た目は現隊長が初代の戦友であった雪女の雪麗。同副隊長がリクオの側近頭である雪女の氷麗と遠野編以降に登場した奥州遠野一家の雪女である冷麗だ。

 

焔燃(カグツチ)隊(陽炎会)隊長は氷麗(つらら)と同じく俺の幼馴染(年上)でもある狒守猩影(しょうえい)大佐。副隊長官は不在。前隊長は狒守猩炎(しょうえん)大佐(殉職により二階級特進 故中将)。

 

見た目は前隊長が初代編に出てきた若かりし日の狒々。現隊長が四国八十八鬼夜行編以降に登場した狒々の息子の猩影だ。

 

虚空(オボロ)隊(風塵会)隊長は伊達(だて)イタク大佐。副隊長は不在。前隊長は烏間九郎丸(くろうまる)大佐(殉職により二階級特進 故中将)。

 

見た目は前隊長が三羽烏の黒羽丸(くろうまる)だ。現隊長の見た目は奥州遠野一家の鎌鼬のイタク。

 

イタクの名字に関しては洒落が効いている。何故なら伊達(だて)を別の読み方にすると伊達(いたち)になるからだ。

 

雷電(イカヅチ)隊(迅雷会)隊長は俺の母親である奴良乙女の双子の妹である山吹乙音(おとね)大佐。同副隊長は九首見(くすみ)無禅(むぜん)中佐。

 

現隊長の見た目は京都編で登場した山吹乙女を依代とした羽衣狐。吊り目で闇落ちしてそうな見た目だったから、闇落乙女という表現が合っているかもしれない。

 

同副隊長の見た目はリクオの側近である首無。というか、完全に首のある首無。つまり、義賊として活躍していた人間の頃の首無ならぬ首有だ。(笑)

 

無禅は日本刀型の日輪刀や鬼滅装備以外に日輪刀と同じ素材でできた鋼線も武器として使い、首無の鬼憑(ひょうい)である弦術・殺取(あやとり)を使うことができる。

 

土公(ドコウ)隊(岩船会)隊長は倉田青大佐。副隊長は不在。前隊長は白蔵(しろくら)僧護(そうご)大佐(殉職により二階級特進 故中将)。

 

見た目は前隊長が髑髏風の狐面を付けた人で、ぶっちゃけ京都編で登場した京妖怪の白蔵主(はくぞうず)だ。

 

現隊長の見た目はリクオの側近で人間に擬態した青田坊。首に付けている数珠飾りは髑髏ではなく拳大の木製の珠となっている。

 

繚乱(リョウラン)隊(桜花組)隊長は母さんと乙音さんの義妹である山吹紀乃(きの)大佐。副隊長は不在。前隊長は俺の母親である奴良乙女元大佐(旧姓:山吹)

 

現隊長の見た目はリクオの百鬼夜行の一員である毛倡妓。前隊長の見た目も奴良組二代目総大将である奴良鯉伴の前妻・山吹乙女そのものである。

 

母さんが隊長を務めていたのは俺が生まれる2年前で、親父との結婚を機に帝鬼軍を引退。

 

妹の乙音さんと先輩の女隊長 兼 組長である雪麗さんに隊長代理をして貰いながら紀乃が隊長になれるように教育したそうだ。

 

ちなみに、親父(18歳)と結婚した時の母さんの年齢は16歳。13歳の時に妹の乙音さんと共に家が惡鬼(おに)に襲われている所を爺に助けられたらしい。

 

爺が来た時には母さん達の両親は惡鬼(おに)に殺された後だったみたいで、助けられた母さん達は正史鬼滅世界の胡蝶姉妹の様に鬼殺隊員になる道を選んだそうだ。

 

そして、母さんは鬼殺隊員となってから1年で大佐(隊長)まで伸し上がり、親父と結婚するまでの2年間は立派に役目を果たしたそうだ。

 

双子の妹である乙音さんも同時期に大佐(隊長)になって、今では在任期間が15年の割と古株幹部だったりする。

 

現隊長の紀乃は現役時代の母さん(15歳)と乙音さん(15歳)が惡鬼(おに)から助け出した孤児。母さん達との年齢差が9歳だけど、その関係性は胡蝶&栗花落三姉妹に近いと思う。

 

宿儺型(スクナ)隊(雲霞一派)の現隊長は鬼滅組で爺と同時期に若頭をしていた狗神刑部大佐(49歳)。同副隊長は俺と2歳しか歳の離れていない狗神玉章(たまずき)

 

名前から大体想像できると思うが、四国八十八鬼夜行の組長である隠神刑部狸と隠神刑部狸・玉章だ。

 

ただ、現隊長の見た目は隠神刑部狸の人間に擬態した姿ではなく、50手前とは思えない美丈夫で狐風の面した―――つまり、妖怪状態の玉章だ。

 

では、同副隊長の見た目はどういったものか?こちらは人間に擬態した玉章としか言いようがない。念の為言って置くと、顔に傷が無い方だ。

 

月詠(ツクヨミ)隊(月牙組)の隊長は野麻蔵(やまくら)牛鬼(ぎゅうき)。副隊長は黒田安慈。この2人も名前から分かると思うが牛鬼、黒田坊。見た目もそのままだ。

 

年齢に関しては牛鬼が鬼滅組で爺や刑部爺さんと同時期に若頭をしていたみたいで、若く見積もっても40半ばだ。黒の方は20半ばか後半といった所だろうか?

 

…………そういえば、帝鬼軍&鬼滅組と鬼殺隊の違いがもう1つあった。鬼殺隊の柱に相当する帝鬼軍&鬼滅組の最高幹部―――隊長 兼 組長に就任した者は、戦国時代から受け継がれている日輪刀を継承している。

 

奴良組で継承されている日輪刀の名は水刀・銀竜(ぎんりゅう)。形状は「ツバサRESERVoir CHRoNiCLE」に登場する銀竜。

 

陽炎会で継承されている日輪刀の名は炎刀・加具土命(かぐつち)。形状は「るろうに剣心」に登場する無限刃。

 

風塵会で継承されている日輪刀の名は風刀・疾風(はやて)。形状は「ONEPIECE」に登場する天羽々斬。

 

迅雷組で継承されている日輪刀の名は鳴刀・紫電(しでん)。形状は「刀語」に登場する斬刀・鈍。

 

岩船会で継承されている日輪刀の名は岩刀・兜割(かぶとわり)。形状は「NARUTO」に登場する鈍刀・兜割。

 

桜花組で継承されている日輪刀の名は花刀・桜花(おうか)。形状は「新サクラ大戦」に登場する帝剣。

 

雲霞一派で継承されている日輪刀の名は霞刀・神仙(しんせん)。形状は「BLEACH」に登場する斬魄刀・天鎖斬月(内なる(ホロウ)ver)

 

雪白一派で継承されている日輪刀の名は雪刀・袖白雪(そでのしらゆき)。形状は「BLEACH」に登場する斬魄刀・袖白雪。

 

月牙組で継承されている日輪刀の名は月刀・天鎖斬月(てんさざんげつ)。形状は「BLEACH」に登場する斬魄刀・天鎖斬月(完現術(フルブリング)融合ver)

 

まぁ、これらの日輪刀は継承されているものの、組長の戦闘スタイルの関係で実戦使用されていないものもあったりする。

 

うちの爺などがいい例だ。本来なら帝鬼軍総隊長 兼 鬼滅組総大将である爺が持ってなきゃいけないもんだって言うのに、銀竜が一般的な打刀より刀身の長い大太刀型だからって、爺は「使い難い」と言いながら俺に渡してきたからな。

 

これで鬼滅組の説明は大体し終えたか。それじゃあ、今度は俺の現状について説明だ。

 

現在(数え年11歳)の俺の帝鬼軍での立場は、総隊長補佐 兼 水龍(ミズチ)隊隊長で階級は大佐。

 

帝鬼軍支援組織である鬼滅組の10代目総大将候補 兼 若頭も兼任している。そして、帝鬼軍総隊長 兼鬼滅組総大将は8代目である俺の爺――奴良鯉彪(りひょう)少将だ。

 

爺は数えで47歳であるにも拘らず見た目が30半ばくらいで、一言で言い表すと「ぬらりひょんの孫」で奴良鯉伴が活躍していた江戸時代の不精髭が生えたぬらりひょんといった感じだ。

 

この説明で疑問に思うことがあるだろう。鬼滅組10代目総大将候補の俺が、帝鬼軍の総隊長補佐と鬼滅組の若頭を務めているのに、どうして8代目の爺が総隊長 兼 総大将なのか、と。

 

それは俺の親父である帝鬼軍総隊長 兼 鬼滅組9代目総大将――奴良鯉伴が既に殉職しているからだ。

 

世田ヶ谷、駒沢、玉川の3地区で鬼殺隊員が32人――1小隊も消息不明になる事件が発生し、親父と焔燃組、虚空組、土公組の大佐を含む40人――1小隊と2分隊で事件調査が行われることになったんだ。

 

端的に述べるなら3地区で起こった行方不明事件の原因は十二鬼月の上弦4体と下弦2体によるものだった。

 

親父達と一緒に調査に出て生還した32人――1小隊の報告で、関与していた上弦は黒死牟、童磨、猗窩座、半天狗。下弦は俺自身名前を知らないんだが参と肆だったそうだ。

 

尉官隊員が下弦を討伐し終えた直後に上弦が現れ、8人――1分隊が一瞬の内に黒死牟と童磨によって殺され、親父達の命令で生き残った鬼殺隊員は撤退することになったらしい。

 

殿を務めることになった親父達を最後に見た鬼殺隊員曰く、黒死牟と対峙していたのは親父で、童磨と対峙していたのは白蔵。猗窩座と対峙していたのは猩炎、半天狗は九郎丸だったみたいだ。

 

生き残った一般隊員は現場から最も近い雲霞一派の本拠地に駆け込み、伝書鳩で鬼滅組の本拠地と帝鬼軍本部に連絡。

 

即座に帝鬼軍の隊長格と副官補佐級の実力を持つ鬼殺隊員が現場へと駆け付けることになった。

 

まぁ、親父達が黒死牟達と遭遇したのが日の出の2時間前で、各部隊に連絡が届いたのが日の出の1時間前だったこともあって、現場に到着した時は既に夜が明けていて黒死牟達の姿は無くなっていた。

 

そして、この時点で白蔵と猩炎は既に死亡。親父と九郎丸はかろうじて息があったが、俺達に黒死牟達の詳細な情報を伝えた後に息絶えてしまった。

 

流石に15歳にもなってないガキが帝鬼軍総隊長 兼 鬼滅組総大将なんてやってたら、鬼滅組の古株は納得しても、正規軍から異動してきた奴は納得しねぇだろってことで、一度引退した爺が出戻って来たって訳だ。

 

ってか、その理論で行けば帝鬼軍総隊長補佐 兼 同水龍(ミズチ)隊隊長 兼 鬼滅組若頭で、軍階級が大佐ってのも十二分に問題だと思うんだが、その点が完全スルーなのは一体どういうことなんだろうな?

 

閑話休題、帝鬼軍の総隊長補佐である俺が現在何をしているかというと、単独行動で豊多摩郡野方村に来ている。

 

理由は簡単。冨岡姉弟を惡鬼(おに)から救う為だ。実はあと20分くらいで冨岡家が襲撃されるんだよ。

 

取り敢えず、惡鬼(おに)を探す為に村を走り回っているんだが、今の所惡鬼(おに)と遭遇できていない。

 

真っ先に冨岡家が襲撃されるとは限らないが、その可能性もあり得るので、その前に惡鬼(おに)を倒したい。

 

百歩譲って冨岡家が襲撃されたとしても蔦子さんが殺される前に惡鬼(おに)を滅殺しなければ、冨岡姉弟の救済計画は失敗となる。何としても成功させねば。



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第1話:大改訂版(2022/04/15)

 

 

【視点:奴良リクオ】

 

 

 

鬼による冨岡家襲撃まで残り15分。俺が分かるのは正史鬼滅世界の主要メンバーに起こる出来事の日時のみなので、冨岡家が襲撃される前に他の一般人が襲われることも考慮して45分前から野方村を巡回しているんだが、惡鬼(おに)と遭遇する気配すらない。

 

最初に惡鬼(おに)に襲撃されるのが冨岡家だとするなら、冨岡蔦子を救済することができず、ネガティブ義勇を生み出すことになってしまう。

 

今の俺は阿朱羅丸の身体強化の影響で五感も強化されているんだが、かまぼこ隊+αほどではないので、超聴覚や超嗅覚、超触覚で広範囲索敵することもできない。

 

俺の最大索敵範囲は精々半径30mといった所だからな。血の臭いや人間らしくない音が聞こえるまで村を巡回し続けるしかないか。

 

そんなことを考えながら10分ほど巡回を続けていると鉄と腐った食べ物を混ぜた様な悪臭が臭ってきた。

 

音に変化がないことから臭いだけが先に流されてきたんだと判断した俺は、屋根の上なども走りながら最短距離で臭いの元へと向かう。

 

臭いの元へと近付くにつれて腐った魚の様な悪臭と、黒板を引っ掻く様な音が聴こえ始めた。今まで多くの惡鬼(おに)を滅殺してきたから分かることなんだが、雑魚特有の悪臭と悪音といった所だ。

 

冨岡家襲撃の2分前。俺が目的地に到着すると、そこには3体の惡鬼(おに)が一件の民家の前で言い争いの様なことをしていた。

 

惡鬼(おに)達はすぐに和解したのか、1体はその民家の前に留まり、残りの2体は別の民家へと向かい始める。

 

そして、民家の前に留まっていた鬼が玄関戸を壊そうとした瞬間、戸の方が先に開き始めた。開かれる戸の向こう側から見えた姿は冨岡蔦子と思われる10代後半から20代前半の女性だった。

 

それを目視した瞬間、惡鬼(おに)より早く行動する為、俺は雷電型(イカヅチノカタ) 二式・改〝霹靂一閃・神速〟を使って惡鬼(おに)に向かって突っ込み、抜刀術ではなくフライングヤクザキックを見舞ってやった。

 

 

「ぐべらぁッ!」

「………へ?」

 

 

フライングヤクザキックを喰らった惡鬼(おに)は、身体を鳩尾からくの字に折ると同時に無様な呻き声を上げ、後転で吹っ飛びながら地面に何度も頭を打ち付け、家から出てきた冨岡蔦子は目の前で起こった急な出来事に呆然としながら間抜けな声を上げていた。

 

横目で冨岡家の中を見てみると、正史では押入れか何かに隠れている筈の冨岡義勇の姿を確認することができた。これはこの世界が並行世界であるから起こった違いなんだろうか?

 

 

「えっ?えっ?い、一体何が?」

「こっちのことは気にする必要ねぇから、玄関戸を閉めて家の中でじっとしててくんねぇか?でねぇと、これから女子供には少しばかり刺激の強い光景を見ることになるぜ」

 

 

俺が冨岡蔦子とその後ろにいる冨岡義勇へ家の中に閉じ籠るよう告げていると、蹴り飛ばした惡鬼(おに)が凄い殺気を飛ばしながら叫んできた。

 

 

「テメェ、何者だ!?俺の飯の時間を邪魔してタダで済む思ってんのか!!?」

「ひっ!!」

 

 

惡鬼(おに)の殺気に中てられたのか、冨岡蔦子は小さな悲鳴を上げると同時にその場にへたり込んでしまった。姉の傍に近付いていた冨岡義勇も腰を抜かしてしまっている。こりゃあ動けそうにないな。

 

惡鬼(おに)の放った殺気と吹っ飛んだ時の物音が気になったのか、他の民家を襲撃しようとしていた惡鬼(おに)達も戻って来た。

 

再生力は中々のものみたいだが、血気術が使えない雑魚惡鬼(おに)だ。この程度なら10体いても問題ない。

 

だが、冨岡姉弟が腰を抜かして動けないことを考えると、念の為俺にヘイトを集中させ、冨岡姉弟に被害が及ばない様にしといた方がよさそうだな。

 

 

「おうおう、元気いいな。さっき蹴った感触だと右腕と一緒に右半身の内臓と肋骨も潰した筈なんだけどな。

それに頭を地面に何度も打ち付けた際に首の骨も折れた筈だろ。随分と再生速度が速いじゃねぇか。今まで何人喰って来たんだ?」

「テメェ、俺達の事を知ってるってことは鬼狩り――鬼殺隊って奴か?」

「はぁ?鬼殺隊?あんな政府非公認組織と一緒にすんな。俺は帝国軍元帥府直轄対惡鬼殲滅部隊――帝鬼軍の大佐だ」

「帝鬼軍だぁ?」

「あの惡鬼(おに)を1体相手するのに5人組で向かってくる噂のヘタレな軍の狗かよ!」

 

 

確かに鬼滅組は5人1組の班で行動しているが、雑魚惡鬼(おに)1体相手に複数人で相手取ることなど殆どない。

 

そういったことをするのは、組に入り立ての新人への実戦教育をする時のみな上、新人に付き添うのは班長だけだ。

 

副班長や他の2人の鬼殺隊員は自分達の担当地区に他の惡鬼(おに)が存在しないかの確認をすることが殆どだ。

 

5人で一斉に攻撃する相手なんて、十二鬼月の下弦や下弦級の厄介な血鬼術を持つ惡鬼(おに)くらいしかいない。

 

 

「見た所、10歳くらいの餓鬼じゃねぇか。仲間呼ばなくていいんでちゅか~?(笑)」

「そういうテメェ等も群れてんじゃねぇか。人間を自分達の食い物でしかない劣等種と見下してる割には、自分達に噛みつく存在が現れた途端に群れ始める。

どっちがビビりなんだ?ってか、そっちこそ仲間呼ばなくていいのか?まぁ、雑魚がどれだけ群れ様が雑魚でしかないけどな。

なんなら十二鬼月の上弦を呼んでもいいぞ?上弦の皆様、鬼狩り気取りの軍の狗が怖いんでお助け下さ~いってwwww」

 

 

正史鬼滅世界で感情を制御できないのは未熟者と胡蝶しのぶが言っていたが、どうやら俺は未熟者の様だ。

 

俺にとって帝鬼軍を馬鹿にする=鬼滅組を馬鹿にする=家族を馬鹿にすることだからな。

 

直接害された訳でも無いが、家族=〝特別〟で〝特別〟を馬鹿にされると、同じ様に相手を馬鹿にした上、最低でも半殺しにしたくなる。

 

今回は相手が惡鬼(おに)だから滅殺確定だ。それにしても、我ながら稚拙な煽り文句だ。もし、煽の呼吸を使う煽柱が存在するのならば、是非とも継子にして煽の呼吸の教授をして貰いたい。

 

だが、こんな稚拙な煽りでも雑魚には効果覿面だったみたいだ。惡鬼(おに)達は全員が額に青筋を立てていた。

 

パワハラキングと名高い鬼舞辻無惨によって生み出されたとは思えない煽り耐性の低さ。取り敢えず、もう少し稚拙な煽り文句を言っておこう。

 

 

「そういえば、お前ら雑魚からすれば殿上人ともいえる十二鬼月の上弦も、帝鬼軍の少将と大佐を相手に、戦いの途中で逃げ出す腰抜けだったな。

確か、上弦の壱から肆の4体が少将と3人の大佐と対峙して、全員を殺しきることもできず日の出にビビって逃げ出したんだったか?。

鬼舞辻無惨が選別した『ぼくのかんがえたさいきょうのはいか』がその程度の集団とか、抱腹絶倒もんだ。

っていうか、十二鬼月にすらなれんテメェらはどういった存在な訳?ビビりや腰抜け以下で最下層とか、ただの塵滓(ゴミカス)じゃね?」

 

 

俺が煽り文句を言い終えると、惡鬼(おに)達は額に青筋を浮かべたまま、何故か白目で突っ込んできた。しかも、何故か縦一列で。もしかして、ジェットストリームアタックか?

 

3体とも同じくらいの背丈なんで、〝霹靂一閃〟を使えば一気に片づけられるが、ここは敢えて悪ノリしてみよう。

 

俺は阿朱羅丸を抜刀すると全集中の呼吸術でヒュゥゥゥゥと息を吸い込み、惡鬼(おに)達に向かって駆け出す。そして―――

 

 

「死ねぇッ!!―――!?俺を踏み台にした!!?」

「……全集中、水龍型(ミズチノカタ) 五式・改〝打ち潮・流流〟

「「ガッ!!」」

 

 

俺は先頭の惡鬼(おに)を踏み台にした後、予想通り上に跳んできた2体目と3体目の頸を〝流流舞い〟の様な空中機動と〝打ち潮〟の斬撃を組み合わせた〝打ち潮・流流〟で斬り落とした。

 

俺が攻撃した勢いで地面へと滑るように着地した時、踏み台にした惡鬼(おに)は地面に四つん這いになりながら塵となっていく仲間(?)を呆然と見ていた。

 

 

「ま、真島(ましま)織照(おるてか)()られた?それも一瞬で……?」

 

 

あっ、今()った2体は名前も黒い三連星っぽかったのか。ってことは、こいつはガイアなのか?そう言われれば、そんな見た目な気もする。

 

まぁ、そんなことはどうでもいいか。残った惡鬼(おに)もさっさと()ってしまおう。そんなことを考えながら残った惡鬼(おに)に向かって歩を進めると、急に惡鬼(おに)は駆け出し始めた。

 

普通なら逃げ出したと思うだろう。だが、惡鬼(おに)が駆け出した先は冨岡家だった。恐らく、冨岡蔦子か冨岡義勇を人質にして逃亡しようとでも考えたのだろう。

 

俺は水龍型(ミズチノカタ)とは異なるシュフゥゥゥゥという呼吸音の全集中の呼吸術を使い、離れた距離にいる惡鬼(おに)目掛けて剣技を繰り出す。

 

 

「全集中、冥神型(イザナミノカタ) 九式・改〝八咫烏一閃・神速〟

 

 

冥神型(イザナミノカタ) 九式・改〝八咫烏一閃・神速〟とは「一億年ボタンを連打した俺は、気付いたら最強になっていた」に登場するアレン=ロードルの我流剣術 八の太刀〝八咫烏(やたがらす)雷電型(イカヅチノカタ) 二式・改〝霹靂一閃・神速〟を組み合わせた複合剣技。

 

〝霹靂一閃・神速〟の神速移動と〝八咫烏〟の同時八連撃。るろうに剣心で例えるなら瞬天殺(しゅんてんさつ)(移動速度)+多重次元屈折現象まで昇華させた九頭龍閃(くずりゅうせん)(乱撃速度)の複合技といえば分かるだろうか?

 

ちなみに冥神型(イザナギノカタ)は別名が黄泉の呼吸で一応俺が編み出した新しい呼吸となっているけど、実際の所はアレン=ロードルの我流剣術+αで構成されている。

 

あと、冥神型(イザナギノカタ)には対の型式である天神型(イザナギノカタ)が存在するけど、こっちは基本的に黒鉄一輝の秘剣で構成されている。

 

まぁ、天神型(イザナギノカタ)は黒鉄一輝の秘剣以外に、刀藤流で構成した《b》藤ノ秘剣や、天霧辰明流で構成した霧ノ秘剣、飛天御剣流で構成した龍ノ秘剣などもあったりする。

 

例えば龍槌閃は、天神型(イザナギノカタ) 龍ノ秘剣一式〝龍槌閃〟となる。時雨蒼燕流は雨ノ秘剣、陸奥圓明流は修羅(しゅら)ノ秘拳といった感じで、それぞれの流派を現す様な言葉を使って表現している訳だ。

 

閑話休題。冨岡姉弟へと駆け出していた惡鬼(おに)は、姉弟の元に辿り着くことなく八つ裂きになり、その体が地面に着くより早く消滅した。

 

もし、鬼舞辻無惨が惡鬼(おに)越しに見ていたとしても、この複合秘剣なら何が起こったか知覚することすらできないだろう。何せ、気が付いた時には八つ裂きになっているのだから。

 

取り敢えず、これで俺の第1ミッションである冨岡姉弟の救済は成功した。姉が死ななかった以上、冨岡義勇は一般人として生きて行くことができるだろう。

 

まぁ、二度と惡鬼(おに)に襲われないという保証はないので、冨岡家へ藤の花の香炉を送ろうと思う。

 

正史的には冨岡義勇の離脱は戦力低下に繋がるだろうが、親父が死んで以降は帝鬼軍で戦力強化――主に1人の隊員が複数の呼吸術を使用可能とする能力強化が行われているので、10年も経たない内に下っ端隊員の地力が最低でも鬼殺隊の戊相当にはなるだろう。

 

悲鳴嶼行冥の冤罪事件は冨岡家襲撃事件とほぼ同時(1時間違い)に発生しているから青梅町担当の班に任せたんだが、大丈夫だろうか?

 

襲われる明確な日時や悲鳴嶼行冥の詳細な人物像などは話せてないからな。

 

 

「風の噂で鬼殺隊員になれそうな人物の話を耳にしたから、巡回ついでに帝鬼軍へと引き込めそうなら家族共々保護してくれ」

 

 

としか言えてないし。……まぁ、俺も全知全能って訳じゃないから、助けられなかった時は諦めよう。それよりも次の救済対象は1年後の胡蝶家だ。

 

今回の失敗を生かして、他の救済したい奴らの正確な住所を巡回ついでに調べる様にしておくか。

 

 



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第2話:改訂版(2022/04/15)

 

 

【視点:奴良リクオ】

 

 

 

どうしてこうなった?俺は今、奴良家にある鬼滅組の幹部集会が行われていた大広間にいるんだが、目の前の光景にそう思わずにはいられなかった。

 

広間の上座には帝鬼軍総隊長に出戻った爺と総隊長補佐である俺が並んで座り、俺と爺の前には帝鬼軍隊長格が左右に別れて座っている。

 

これだけなら定期的に行われている幹部会を奴良家で行っているだけの光景なんだが、普段と異なる点がある為、俺は戸惑っている。

 

普段と異なる点とは、隊長格に挟まれる形で下座に正座している10日前に助けた姉弟―――冨岡蔦子と冨岡義勇の2人と冨岡蔦子の夫との思しき男の存在だ。

 

夫もいるということは、惡鬼(おに)から救ったことで冨岡蔦子は正史とは異なり翌日に祝言を挙げることができたのだろう。

 

そして、冨岡義勇の年齢と両親のいない家庭環境を考えると、普通なら江戸後期の元服制度であっても15歳までは姉の嫁ぎ先で面倒は見て貰える筈だ。

 

であるにも拘らず、冨岡義勇は風呂敷を持った状態で姉夫婦と共に奴良家を訪ねてきた。………本当、どうしてこうなった?

 

 

 

【視点:冨岡義勇】

 

 

 

今から遡ること数日前、誰もが寝静まっている筈の深夜に僕達の家の前から言い争いの様な声が聞こえてきた。

 

僕達の住んでいた村では揉め事が起こったとしても、近所迷惑も考えずに深夜まで言い争いをすることはない。

 

地方の村では稀に野盗が現れると村の大人達が話しているのを姉さんと一緒に聞いたこともあったので、真っ先に野盗がこの村にも来たのかもしれない、と思った。

 

姉さんも同じことを考えていたみたいで、僕に少し外の様子を見て来るから部屋の奥に隠れている様に言って来たけど、明日祝言を迎える姉さんに何かあったらいけないと思って、少し離れた状態で気付かれない様に後を付けた。

 

そして、姉さんが玄関へと向かい戸を開くと、そこに猫の様な縦長の瞳で血の気の引いた青白い肌の巨漢が立っていた。

 

何となく危ないと思って姉さんに駆け寄ろうとした瞬間、巨漢が文字通り吹っ飛び、玄関先には黒い軍服の上に黒い羽織を羽織った僕と同じくらいの年頃の男の子が立っていた。

 

姉さんが間に立っていたので、巨漢が吹っ飛んだ詳細は分からなかったけど、巨漢が消えた直後に地面を何かが転がる様な音が聞こえたから、巨漢が吹っ飛ばされたことだけは理解できた。

 

その後、男の子に対して怒鳴り声を上げる巨漢の怒気で姉さんは顔を蒼くしながら玄関口にへたり込み、僕も土間で腰を抜かしてしまった。

 

いや、今思えばあれは怒気じゃなくて殺気だったのかもしれない。殺気立つという言葉を聞くことはあるけど、実際に殺気を向けられると僕みたいな庶民は腰を抜かしてしまうんだと、今回の件で思い知らされた。

 

殺気を向けられたことで軽い恐慌状態になった僕だけど、男の子に玄関を閉じて家の中でじっとしていろと言われていたことを思い出し、玄関だけでも閉じようと這いずりながらも姉さんの所へと向かった。

 

姉さんの所まで辿り着けた僕は扉を閉じようとしたけど、恐怖に手が震えて閉じれず、そのことを伝えようと男の子に視線を向けると、男の子は刃が若草色の刀を抜いて、巨漢へと向かって走っていた。

 

巨漢には仲間がいたみたいで、相手側の人数は3人に増えている。廃刀令で刀を持ち歩くことが許されていない今の時代に、軍服を着ているとはいえ僕と同じくらいの男の子がどうして刀を持っているのか?という疑問が一瞬だけ思い浮かんだけど、そんなことよりも11歳くらい子供が刀を持っているからといって大の大人3人相手に勝てるとは思えなかった。

 

けど、予想とは大きく外れた光景を僕は目にした。男の子は僕が最初に見た巨漢を踏み台にすると、その背後から飛び出して来た大人2人に向かって流れる様な動きで剣戟を放って、その首を一刀両断した。

 

この時、男の子の持つ刀の刀身から流水が発生しているように見えて、その軌跡は清流の川を作り出しているみたいで流麗という言葉でしか言い表せないものだった。

 

首を斬り落とされた大人2人は、当然のことながら傷口から血を噴き出していたけど、その体はすぐに腐った木の枝みたいに崩れ去った。

 

この光景を見たことで僕は巨漢達が人の理から外れた人外だと理解した。では、そんな人外を圧倒する男の子は一体何者なのか?

 

今にして思えば、姉さんが玄関戸を開いた時、玄関先に立っていたことから人外が僕の家を襲おうとしていたことが分かるし、そんな人外と戦っていた彼が僕達を助けようとしていたことも分かる。

 

けれど、襲われた当時の僕は人外を殺せる彼が化物に見えて、人外と化物の争いに巻き込まれた様にしか思えなかった。

 

そんな思いが最も強くなったのは、仲間を殺された人外が僕と姉さんに向かって走って来た時だ。

 

人外より遠くにいた彼が文字通り一瞬の内に人外を追い抜き、僕達の目の前に現れたかと思えば、人外が八つ裂きにされていたんだ。

 

人間業とは思えないことを目の当たりにした僕と姉さんは、恐怖で体が強張って微動だにできなくなった。

 

当然と言えば当然なんだけど、彼は助けに来ただけで僕達をどうこうする気など無かったので、人外を倒し終えると、その正体が惡鬼(おに)であることと惡鬼(おに)を極力遠ざける方法を説明してくれた。

 

それだけでなく、惡鬼(おに)避けの香炉を翌日には届けることと、村の安全を確保する為に明け方まで巡回することを告げ、動けずにいる僕と姉さんを玄関から一番近い部屋まで移動させた後、家から出て行った。

 

その後、彼が言っていた通り、彼と同じ軍服と羽織を羽織った強面の人が夜明けと同時に惡鬼(おに)避けである藤の花の香炉を持ってきた。

 

夜明けまで巡回すると言っていた彼がどうやって明け方に香炉を届けさせることができたのか、疑問に思っていると強面の人がその答えを教えてくれた。

 

彼は巡回前に伝書鳩で強面の人に香炉のことを伝えたそうだ。強面の人は香炉だけでなく、外出用にと藤の花の匂袋まで2人分渡してくれた。

 

この時には僕と姉さんも大分落ち着いていた為、彼や強面さんがどういった人達なのか尋ねることにした。そしてこの時、僕達は初めて惡鬼(おに)を退治する鬼狩りの剣士という存在を知った。

 

鬼狩りは一般的に知れ渡っている職業とは言い難いものだけど、大昔――少なくとも戦国時代からは存在していたみたい。

 

僕と姉さんを助けてくれた男の子の所属する帝鬼軍は、その戦国時代の鬼狩りの末裔が帝国軍と共に立ち上げた対惡鬼殲滅部隊で、惡鬼(おに)から民衆を守る為、闇夜で人知れず戦い続けているそうだ。

 

帝鬼軍の前身が任侠組織で、現在も昼間は金貸業などで返金できなくなった者に対しては腹黒いこともしているらしいけど、それも見方を変えれば人助けになっているとの話。

 

例えば、実の子を金稼ぎや八つ当たりの道具にしている様な毒親に対して、子供を担保に金を貸し、返せない金額にまで借金が膨れ上がったら毒親を鬼滅組が所有している鉱山で強制労働させるらしい。

 

担保にされた子供は鬼滅組本家で料理や掃除、洗濯などの手伝いもさせられるが、普通の子供と同じ様に育てられているそうだ。

 

閑話休題。僕と姉さんは強面さんの話を粗方聞き終えた所で、男の子にちゃんとしたお礼ができていないことを思い出した。

 

本当ならすぐにでもお礼を言いに行きたい所だけど、祝言当日で花嫁である姉さんは色々と支度をしなきゃいけない。

 

うちは両親がいないので、唯一の家族である僕も姉の嫁ぎ先へと挨拶に行かなきゃいけないと思っていた。

 

だから、男の子と強面さんに申し訳なく思いながら理由を説明し、後日お礼に窺う旨を伝えた。すると、強面さんは―――

 

 

惡鬼(おに)から一般人を守るのは帝鬼軍の責務だから気にする必要はねぇ。リクオ様も同じことを仰られる筈だ。

それにしても祝言とは本当に目出度い。祝儀袋を持っていないから、そのままの手渡しになっちまうが受け取ってくれ」

 

 

笑いながらそう言い終えると懐から財布を取り出し、壹圓(いちえん)札を10枚も渡してきた。

 

当然、僕と姉さんはそんな大金を貰う訳にはいかないと受け取りを拒否していたけど、強面さんに押し切られてしまった。

 

強面さんが帰った後、姉だけでなく僕も姉の嫁ぎ先である義実家に15歳までお世話になることになっていたので、昼間の内に引っ越し作業などを行った。

 

姉さんの祝言は無事に挙げ終えた訳なんだけど、祝言の翌日――義実家に知人などが祝いの訪問が行われた時にちょっとした騒ぎが起こった。

 

鬼滅組から冨岡家宛にご祝儀が送られてきたからだ。しかも、送り主が鬼滅組本家奴良組若頭・奴良リクオで包まれていた金額は五拾圓(ごじゅうえん)の札束だ。騒ぎにならない訳が無い。

 

あとから義実家の両親から聞いた話だけど、この金額は高等国家公務員の初任給と同じ金額らしい。

 

一般人の考え方なら任侠者から御祝儀が送られてきた場合、祝言を挙げ終えた直後であっても婚姻関係を破棄される可能性がある。

 

けど、姉夫婦の婚姻関係が破棄されることはなかった。その理由は義実家も鬼滅組、もとい帝鬼軍の大佐に悪鬼(オニ)から助けられたことがあるから。

 

知人や嫁ぎ先の近隣住人からのお祝いも終わって数日後。姉さんも新しい生活に少しは馴染み始めた所で、僕はある相談を姉夫婦にした。

 

相談をした直後は姉さんだけでなく、姉さんの旦那さんである義兄さんからも「考え直さないか?」と言われた。

 

でも、姉さんの祝言が終わってから数日間、ずっと考え続けて決めたことだったからと言った。………よくよく考えると、これは相談じゃなくて自分が決めたことの報告だ。

 

そして、姉さん達に報告した翌日、義兄さんが鬼滅組傘下の桜花組経由で鬼滅組本家の場所を知っていた為、恥ずかしながら僕は姉夫婦と一緒に鬼滅組本家を訪ねた。

 

 

 

【視点:奴良リクオ】

 

 

 

「あんた達は10日前に助けた冨岡姉弟だったな。青からも報告を受けてるが、姉の方は9日前に祝言を挙げたんだってな。そっちの男性は旦那かい?

夫婦になって間無しの男女とその弟が一体どうして関東最大の任侠組織――それも本家を訪ねて来たんだ?

先の礼だけなら、帝鬼軍本部に手紙を送ればいい話。何か身の回りで任侠にしか解決できねぇ荒事の問題でも起こったのかい?」

 

 

この場には爺もいるが、冨岡姉弟とその旦那は俺を訪ねて来た客人だったので、俺が問答をすることになった。すると―――

 

 

「………僕を帝鬼軍に――鬼狩りの剣士にして下さい!」

 

 

土下座をしながらそんなことを言ってきた。正史鬼滅世界みたいに姉が惡鬼(おに)に殺された訳でも無いのに、自分から命を危険に晒す世界に飛び込むとか、自殺願望でもあるのか?

 

 

「…………理由は?」

「へ?」

 

 

一般人として生きられるにも拘らず、鬼殺剣士を志すなら何かしらの理由があるのだと思って尋ねてみると、冨岡義勇は間抜けな返事をしてきた。

 

 

「鬼滅組の組員が多く在籍する帝鬼軍には大きく分けて2つの隊員が存在する。1つ目は何代も続く鬼殺剣士の家系の家業系隊員。

2つ目は親族が惡鬼(おに)に殺された為、八つ当たり染みた復讐心で惡鬼(おに)の根絶を望む復讐系隊員。

明治維新後に元帥府直轄の特殊部隊として再編されてからは、正規の帝国軍から転属した生粋の軍人系隊員も新規加入しているが、圧倒的に復讐系隊員が多い。

無論、復讐系隊員もただの復讐者って訳じゃねぇ。自分達と同じ思いを他の者にさせたくないという思いもあるだろう。

だが、生粋の軍人でもない者が、赤の他人の為に命を懸ける鬼殺隊員なんて仕事を続ける理由は、どうしても消すことのできねぇ復讐心があるからだ。

家業系隊員も自覚していないだけで、初代から子々孫々と受け継がれる呪いの様な惡鬼(おに)への復讐心が原動力だろう」

「………」

 

 

一般人としての生活を享受できるのに、殺伐とした世界に踏み出そうとする冨岡義勇を思い止まらせる為、俺は総隊長補佐でありながら帝鬼軍の闇を語る。

 

実際の所、正史鬼滅世界の無惨が言っていた通り、鬼殺剣士は復讐に取りつかれた狂人だと思うしな。復讐するだけなら肉親を殺した惡鬼(おに)だけ殺せばいい。

 

肉親を惡鬼(おに)に殺されたからこの世全ての惡鬼(おに)を根絶するという考え方は、戦争で肉親を殺されたから肉親を殺した国は滅ぶべきだと言って行動に起こすテロリストと似た様なもんだ。

 

ちなみに隊長格連中も俺の言っていることが正論だと思っている様で、反論する気配すらない。

 

 

「鬼殺隊員は警察や普通の軍人よりも命の保証がない。惡鬼(おに)の強さ次第では肉片すら残らないこともある。

普通の感性の持ち主なら、政府公認で国からの様々な援助があったとしても、そんな気の狂った仕事を続けられる訳が無い。

実際の所、正規軍から転属した軍人系隊員の大半は2年以内に元いた部隊への復隊を希望するしな。

悪い言い方をすれば、大半の鬼殺隊員は大小関係なく復讐に囚われた狂人だから、自分の命を顧みずに仕事を続けられる訳だ」

「………」

「お前は姉と一緒に救われた。姉以外に肉親が居ないみたいだが、惡鬼(おに)に喰い殺された訳でも無いだろ?」

「………はい。両親とは死別していますが、その原因は惡鬼(おに)ではなく流行病です」

 

 

一応知っているけど、両親のことについて俺が質問すると冨岡義勇は土下座状態のまま答えた。

 

 

「なら、お前には惡鬼(おに)に対する復讐心がないって訳だ。なら、何の為に命を懸ける?金か?

帝鬼軍は元帥府直轄の特殊部隊ってこともあって、警察や正規軍以上に臣民の為に命を懸けているから、国から支給される給金も高給だ。

1人辺りの最低月給が五拾圓だから、そのことを知れば金の為に命を懸けたがる馬鹿もいるだろう。お前はその手の類か?」

 

 

一応説明しておくと、明治後半から大正初期に掛けての(いち)圓は貨幣価値の変動が割と激しく、平成以降で換算すると5千~1万円に相当する。

 

つまり、鬼滅組の最低月給は25~50万ということだ。この金額は明治から大正にかけての帝国陸軍では中尉以下の将校と同額の給料でもある。

 

尚、オフィシャルファンブックで判明している鬼殺隊の最下級隊士である癸の月給は平成以降の換算で20万円相当――貮拾(にじゅう)圓~四拾圓で、この額は帝国陸海軍では一等曹長~二等軍曹の給料と同額である。

 

 

「給金で鬼狩りになりたいと思った訳じゃありません!」

「じゃあ、復讐でも金でもない鬼狩りになる理由ってのは何だ?」

「……惡鬼(おに)によって生み出される悲しみの連鎖を断ち切りたい。そんな理由では駄目ですか?」

「………駄目だな。お前は色々と考えが甘過ぎる。まず、鬼殺剣士は簡単になれるもんじゃねぇ。

天賦の剣才の持ち主なら1ヶ月で一流の鬼殺剣士になれるだろうが、非才の身では血反吐を吐く程の修練を2~3年行っても運が良くて二流以上並以下、運が悪けりゃ三流以下にしかなれん。

まぁ、三流の鬼殺剣士でも血鬼術っていう妖術みたいなのを使えない雑魚悪鬼(オニ)が相手なら討伐できるだろうがな。

だが、血鬼術を使う異形の惡鬼(おに)が相手となると三流以下の鬼殺剣士じゃ討伐も難しくなる。

はっきり言っちまうと、お前に天賦の剣才が無い。4~5回死ぬ思いをしたら一流になれるかもしれんが、血反吐を吐く程度の努力じゃ並が限界」

 

 

さっきから俺は冨岡義勇に対してずっと言葉責めを行っているが、別に冨岡義勇が嫌いという訳ではない。

 

もし、冨岡家が竈門家の様に日の呼吸を代々受け継いでいる家系で、鬼舞辻無惨に狙われ続ける宿命というなら、自衛の為に呼吸術を教えてもいいだろう。

 

だが、実際は日の呼吸や継国縁壱とは全く無縁。つまり、鬼舞辻無惨や十二鬼月の上弦に狙われ続ける訳ではないんだから呼吸術を教える必要がない。

 

姉共々五体無事で助かったんだから、鬼狩りなんて危険なこととは関わらず普通の生活を生活を送ればいいと俺は思っているんだ。

 

だから、俺は冨岡義勇から鬼狩りになる気力を奪う為、心を抉る辛辣な言葉を続ける。

 

 

「その上、この世で唯一惡鬼(おに)を生み出せる始祖の惡鬼(おに)――鬼舞辻無惨には十二鬼月という直属の12体の部下がいる。

その中でも上弦と呼ばれる6体は、帝鬼軍で超一流の鬼殺剣士である隊長格ですら1対1で戦ったら負ける可能性のある存在だ。

下弦と呼ばれる6体も並以下の鬼殺隊員が相手なら一方的に蹂躙できるだけの実力がある。

もし、お前が鬼殺隊員になったとして、十二鬼月の下弦に遭遇した時の生存率はどのくらいだと思う?十中八九、蹂躙されて殉職するのがオチだ。

そして、お前が殉職したことを唯一の肉親である姉が聞かされた時、姉がどんな思いをするか考えたことがあるか?」

「「「!!?」」」

「身の程を弁えず、惡鬼(おに)の生み出す悲しみの連鎖を断ち切りたいなどという大言壮語。自分の肉親を負の連鎖へと引き込みかねない軽挙妄動。笑止千万!!

命の危機に瀕した時、お前が自分の夢物語を惡鬼(おに)に語り聞かせたとして、惡鬼(おに)が手心を加えてくれるとでも思うか!?

そんな都合の良い事は起こり得ない!それは惡鬼(おに)が人間を自分達の腹を満たす為の家畜としか思っていないからだ!!

人が家畜の意思を汲み取れないのと同じだ!惡鬼(おに)が人間の願いを尊重するなんて幻想は抱くな!!

……………それでもお前が帝鬼軍で鬼殺隊員になりたいと言うなら、この場で今すぐ姉との姉弟の縁を切れ」

「「「「「「「「「「!!?」」」」」」」」」」

 

 

冨岡義勇を鬼殺隊員にしたくない俺が理不尽極まりない条件を口にすると、冨岡義勇と姉夫婦以外に幹部連中も驚きを露わにした。

 

 

「あの、若?それは余りにも理不尽では?」

惡鬼(おに)の生み出す悲しみの連鎖を断ち切ると豪語する以上、自分がその原因となっては本末転倒。

本来なら肉親に手を掛けてでも覚悟を示せ、と言いたい所を絶縁するだけで鬼殺隊員になることを許してやると言ってんだ。

本気で鬼殺隊員を目指すなら、感謝されても恨まれる筋合いはない」

 

 

我ながらエグいことを言っている。爺は微動だにしてないが、一部の幹部連中はドン引きだ。流石にここまで言えば冨岡義勇も諦めるだろう。

 

俺がそんなことを思っていると、ずっと土下座状態だった冨岡義勇が頭を上げ、正座したまま姉夫婦と向き合った。

 

 

「姉さ――蔦子さん、今までお世話になりました」

「義勇?」

「父さんと母さんが死んでから今まで育てて貰った恩を仇で返す形になってしまって、申し訳なく思います」

 

 

俺は冨岡義勇の覚悟を甘く見ていた。まさか、唯一の肉親である姉と絶縁してでも帝鬼軍に――鬼殺隊員になりたいとは思ってもいなかった。

 

実姉に対して他人行儀な喋る方をする冨岡義勇。これじゃあ完全に俺が悪党だ。いや、冨岡義勇を鬼殺隊員にしない為なら悪党でもなるつもりだったが、鬼殺隊員になられた上で悪党扱いとか最悪過ぎる。

 

帝鬼軍ので総隊長補佐として、前言撤回する訳にもいかない。一体どうすれあばばばばば!?

 

俺が顔には出さず焦っていると、俺と爺の座っている上座から一番近い襖が開いた。

 

 

「リクオ、もういいのではないかしら?」

「………婆ちゃん」

 

 

襖の向こう側から現れたのは爺の妻である俺の婆ちゃん。見た目は実年齢より若く、珱姫が30代前半になった様な姿だ。

 

 

「優しいあなたのことです。折角助けた命を二度と惡鬼(おに)と関わらせない為、敢えて酷いことや無理難題を言って遠ざけようとしたのでしょう?」

「それは――」

 

 

婆ちゃんに真意を完全に読まれた俺は、気恥ずかしさもあってどうにか誤魔化そうと口を開こうとしたが、それよりも先に爺が口を開いた。

 

 

「リクオ。この坊主は姉と絶縁してでも自分の覚悟を見せようとした。この手の輩は一度覚悟を決めると絶対に曲がらんぞ。

お前の言う通り、こいつには天賦の剣才はないだろうが、自分の決めたことを絶対曲げねぇド根性の持ち主なら才能なんて壁を越えられるだろうよ。

帝鬼軍の鬼殺隊員になることを認めてやったらどうじゃ?惡鬼(おに)の餌になる程度実力しか持てなかった時は、カタギに戻しゃあ良いだけのこと。

心配だっていうなら5人1組の班を組ませる時、隊長格と同じ班に組ませればいい。呼吸術を教えるのが面倒だって言うんなら、儂が教えてやる」

「…………総隊長が決めたことなら、俺にとやかく言う権利はねぇよ」

 

 

この辺りで納得しておくしかないと、俺は冨岡義勇の鬼殺剣士化の阻止を諦めることにした。そして、冨岡義勇は姉と絶縁することなく、鬼殺隊員見習いとして鬼滅組本家預かりとなり、鬼殺剣士になる為呼吸術の修行をすることになった。

 

 



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第3話:改訂版(2022/04/15)

 

 

【視点:奴良リクオ】

 

 

 

明治39年7月上旬――義勇が鬼滅組本家預かりとなり、奴良家にやって来て早10ヶ月が経った。

 

最初の頃は基礎体力を身に付ける為、走り込みや一日千回の素振りなどを行っていたが、今では20kmの全力疾走+ジョギングと感謝の正拳突きならぬ感謝の素振り三千回ができる様になっている。

 

ちなみに感謝の素振りを導入したのは俺だ。実は爺の奴、竈門炭治郎と同じで人にものを教える才能が皆無。結局、俺が義勇に呼吸術を含む修業をつけることになったんだよ。

 

そうなると、義勇を鬼狩りにしたくない俺が、完遂できるかどうかギリギリの課題を課す様になるのは必然。

 

ギリギリ完遂できない課題を出し続けていたにも拘らず義勇はそれを悉く完遂し、義勇が本家預かりとなってから5ヶ月経った頃から絶対に完遂できない修業を導入し始めたんだ。

 

それが全力疾走+ジョギングや感謝の素振りだ。最初の頃の全力疾走+ジョギングは5kmで感謝の素振りは千回だな。

 

感謝の素振りは剣を手にしている関係上、感謝の正拳突きみたいに合掌することがないが、心の中で合掌をすることが絶対条件である。

 

心の中で合掌しているか否かの判別は意外と簡単。合掌を行った者は明鏡止水を体現しているみたいに、剣を振るっている時と雰囲気がことなるから、武芸に携わる者なら一目瞭然なんだ。

 

あと、念の為言って置くとこの修業は俺もやっている。自分のできないことを他の人にやらせようとは絶対にしない。

 

現時点での俺は全力疾走+ジョギング20kmを終えた後、3時間以内に感謝の正拳突きと素振りを三千回ずつ完遂している。

 

目標は1年以内に正拳突きと素振りを一万回まで増やした上、それを4時間以内に完遂することだ。

 

閑話休題。冒頭でも説明したが、義勇は完遂までに6時間掛かるとはいえ、俺の無茶振りに挫けることなく乗り越え続けた。

 

そして、今では一般的な呼吸術である五行――鬼滅流では陰陽道に因んで虚空型(オボロノカタ)(木)、焔燃型(カグツチノカタ)(火)、土公型(ドコウノカタ)(土)、雷電型(イカヅチノカタ)(金)、水龍型(ミズチノカタ)(水)の5つを五行と呼び、月詠型(ツクヨミノカタ)(陰)と天照型(アマテラスノカタ)(陽)は陰陽と呼ぶ――の内、焔燃型(カグツチノカタ) 一式雷電型(イカヅチノカタ) 一式、水龍型(ミズチノカタ) 二式まで会得している。

 

親父が殉職して以降の帝鬼軍は、新入りの見習いだけでなく隊長格も陰陽五行だけでなく、派生も含めた全ての呼吸術を会得するようになっている。

 

まぁ、呼吸術には得手不得手があるから、隊長格は不得意な呼吸術でも四式まで会得することが必須。それ以外の隊員も不得意な呼吸術二式まで会得することが必須といった感じだ。

 

帝鬼軍は陰陽五行だけでなく繚乱型(リョウランノカタ)氷輪型(ヒョウリンノカタ)宿儺型(スクナノカタ)を極める一歩手前の域まで到達した専門家も揃っているので、各型式剣術の専門家が呼吸術型式を教え合い、それぞれが義勇の指導担当もしている。

 

俺1人でも指導は可能だが、正式な幹部鬼殺隊員である俺には単独での巡回もあるので、各型式剣術の専門家がそれぞれ指導する方針となった。

 

ちなみに俺の担当は天照型(アマテラスノカタ)水龍型(ミズチノカタ)だが、陰陽の呼吸術は義勇が五行と繚乱型(リョウランノカタ)氷輪型(ヒョウリンノカタ)宿儺型(スクナノカタ)の最低限の型式まで修得し終えてから指導することになっている。

 

……さて。義勇の現状について説明し終えた所で、今度は俺の現状について説明しようか。俺は現在、東京府北豊島郡滝野川村に来ている。そう!胡蝶姉妹の出身地だ!!

 

実は胡蝶家の出身地は事前に分かっていたから、冨岡家襲撃事件後に胡蝶家の住所も、義勇の指導担当から外れた日に自分の足で探し回ったりしていた。

 

ぶっちゃけ、自分のことをストーカーみたいだと自己嫌悪した時期もあったが、これも推し救済の為だと割切ることで乗り切ることができた。

 

胡蝶家の住所を把握しているなら、胡蝶家で待ち伏せればいいと思うかもしれないが、冨岡家の様に胡蝶家がピンポイントで狙われるという保証はない。

 

鬼狩りである以上、助ける命は平等でなければない。胡蝶家以外の一般人が狙われないという保証がない以上、胡蝶家だけを特別扱いする訳にはいかない。

 

滝野川村に来た以上は村全体を惡鬼(おに)から守る覚悟がなければ、鬼滅組の次期総大将どころか若頭でいる資格すらない。

 

だから、俺は胡蝶家を中心として村の外周部から螺旋を描く様に胡蝶家へと近付いて行く巡回方法を採ることにした。

 

幸いなことに俺は頭の中で胡蝶家が襲撃されるまでの残り時間がカウントされているので、ギリギリまで他の場所を警戒する余裕が生まれる。

 

ただ村の通り道が螺旋状に作られている訳ではないので、螺旋移動をする場合は忍者や泥棒、義賊の様に足場の悪い民家の屋根の上でも移動できる技術が必須となる。

 

まぁ、その辺りはここ数ヶ月の間に本家の訓練場に家屋の屋根を模した足場を作って、態々訓練したから走るだけでなく屋根の上で戦うこともできるので全く問題はない。

 

そんなことを考えながら螺旋巡回を続けていると、胡蝶家襲撃の10分前に俺の嗅覚が惡鬼(おに)の悪臭を捉えた。

 

俺が惡鬼(おに)のいる所まで一直線に向かうと、ナマズ顔の惡鬼(おに)が、胡蝶家から40m程離れた通り道で四つん這いになって地面の匂いを嗅いでいた。

 

俺が阿朱羅丸を抜刀し、胡蝶家と惡鬼(おに)の間に立ち塞がる様に降り立っても、惡鬼(おに)は四つん這いのまま地面の匂いを嗅ぎ続けている。

 

 

「ぐへ、ぐへへ。この近くだ。この近くに俺好みの若ぇ女がおるでよ」

「………」

 

 

ああ。こいつは沼鬼と同じでタイプの惡鬼(おに)―――若い女のみを捕食対象とする奴か。

 

沼鬼は15か16歳の少女限定だったけど、こいつは12歳以下の幼女や童女を対象としたロリコンなのかもしれない。

 

というか、胡蝶家に辿り着くまで此奴好みの童女や幼女が居なかったっていうのが奇跡だな。こいつからは腐った魚と卵を混ぜ合わせた様な血の臭いはするけど、昨日今日の真新しい血の臭いはしないし。

 

もしくは、この世界の胡蝶姉妹が原作と異なって稀血なのかもしれない。その場合、変態紳士より若い女性限定の稀血マニアということになる。

 

取り敢えず、未だに地面に残っていると思われる胡蝶家の女性の残り香を、クンカクンカしている光景を見せ付けられるのは不愉快極まりないから、さっさと()っちまおう。

 

変態惡鬼(おに)の首――というか首ごと体を抉り斬る為、焔燃型(カグツチノカタ)を使う。

 

 

「コォォォォ………。焔燃型(カグツチノカタ) 十式〝煉獄〟!!」

 

 

焔燃型(カグツチノカタ) 十式〝煉獄〟。鬼殺隊風でいうなら、炎の呼吸 奥義・玖ノ型〝煉獄〟。煉獄杏寿郎が上弦の参・猗窩座に繰り出した炎の呼吸の最後の一撃として有名な技だ。

 

技の分類としては、天神型(イザナギノカタ) 龍の秘剣九式〝九頭龍閃〟と同じ突進術系の剣技で、虚空型(オボロノカタ) 三式〝塵旋風・削ぎ〟の様な粉砕力も兼ね備えた破壊に特化した一撃。

 

閑話休題。突進速度と斬撃速度の噛み合わせが、〝煉獄〟の破壊力を左右する重要な点である為、俺は最高のタイミングで惡鬼(おに)〝煉獄〟を放った。

 

1ヵ月程前に遭遇した十二鬼月落ちの元下弦の肆でも、俺の放った最高の〝煉獄〟は回避できず、足首より上が消し飛んだ程だ。

 

俺自身、下弦以下の惡鬼(おに)に回避も防御させない自信があった。だが、この変態惡鬼(おに)は―――

 

 

「イデェなァ。何すんだ、おんめぇ?」

「………鬼狩りが惡鬼(おに)を斬って何が悪い。害獣は駆除されるのが世の常ってもんだろ?」

 

 

右腕一本しか抉り斬ることができなかった。俺自身、軽口を返していたがそれなりに驚いている。

 

惡鬼(おに)の見た目が攻撃前はただの小太りだったが、今は「るろうに剣心」の参號夷腕坊・猛襲型みたいになっているからな。

 

〝煉獄〟の手応えから察するに、身体性能は参號夷腕坊・猛襲型とほぼ同等。被害を最小限に抑えられた理由も想像はつく。

 

参號夷腕坊・猛襲型との違いは外皮の硬度だろう。元々、惡鬼(おに)という存在は人間よりも体が硬い。正確には外皮が鎧の様な役割を果たしている。

 

阿朱羅丸の硬度は「ONEPIECE」の刀剣で例えれば、黒刀相当で恐竜に踏まれても曲がらない。切れ味に関しても鋼鉄板を容易く斬り裂けるほどに鋭い。

 

そんな阿朱羅丸で繰り出した〝煉獄〟を喰らって腕一本で済んだのは、自由関節による足首回転の緊急回避と衝撃吸収だけでなく、外皮硬度で威力を殺せたお陰だろう。

 

小柄な人間であれば1人分に相当する質量の腕。それを抉り斬った感触は、前世で金属パイプ同士をぶつけ合った衝撃と酷似していた。

 

これだけでこの惡鬼(おに)の外皮硬度の異常性が理解できるだろう。こいつの外皮はアダマンタイトかオリハルコンで出来てるのか?

 

外皮硬度だけなら確実に上弦級。というか、何でこいつは上弦に選ばれてないのかが理解できん。

 

………参號夷腕坊・猛襲型を知らない者がここまでの話を聞けば、この惡鬼(おに)を防御特化と勘違いするだろう。

 

だが、この惡鬼(おに)は防御特化という訳ではないだろう。参號夷腕坊・猛襲型には自由関節機巧から繰り出される回転貫手――〝穿腕撃〟という技があったからな。

 

この惡鬼(おに)も同じ技―――もしかしたら、血鬼術で更に強化した技を使ってくるかもしれない。そう考えると防御寄りの万能型と見るべきだ。

 

……念の為説明しておくと、自由関節というのは全ての関節を縦横自由自在に動かせるというもので、衝撃吸収はゴムやシリコン、ウレタン、ゲルの様な衝撃吸収素材に似た性質を持っていることを意味している。

 

この惡鬼(おに)の場合、衝撃吸収の軟度と惡鬼(おに)特有の外皮硬度という相反する特性を持ち合わせていることになるが、惡鬼(おに)という非常識な存在だからということで無理矢理納得するしかない。

 

ただ硬いだけなら、使い手の技量次第で鈍ら刀でも斬鉄は可能だ。だが、この惡鬼(おに)は硬いだけでなく、ゴムの様な伸縮性と衝撃耐性も備えている。

 

現時点では確認できていないが、参號夷腕坊・猛襲型は自由脱着機巧を備えていた。絡繰人形の関節部を人形操作の要である鋼線だけを残して、脱着できる機巧だ。

 

この惡鬼(おに)が人形ではなく生物である以上、鋼線で関節を脱着できる訳が無い。けれど、この惡鬼(おに)が「ONEPIECE」の主人公の様なゴム人間ならぬゴム惡鬼(おに)だったらどうだ?

 

斬撃を受けた瞬間、上弦の陸の片割である堕姫が首を帯化していた様に、こいつの首が伸びるのだとしたら、それは殆ど自由脱着機巧と変わりないと言えるだろう。

 

外皮硬度はアダマンタイト、もしくはオリハルコン級。身体は外皮だけでなく、筋肉や内臓、骨に至るまで衝撃吸収が可能なゴム体質。

 

自分で仮定して置いて何だが、厄介な相手極まりない。本当、なんでこの惡鬼(おに)は十二鬼月じゃないんだ?

 

そして今更なんだが、俺の過程が正しければ、今俺の目の前に存在している惡鬼(おに)は最強のコラボレーションかも知れない。

 

和月先生と尾田先生の師弟合作キャラ。見た目(キャラデザ)は和月、中身(能力)は尾田。その名はサー=D(3rd)=夷腕坊!!

 

阿朱羅丸の再生阻害&細胞破壊の呪毒で右腕は再生ないが、このゴム惡鬼(おに)が厄介なことには変わりはない。

 

ゴム人間だったらまだ対処のしようはある。緋村剣心が参號夷腕坊・猛襲型を攻略したみたいに、斬撃で限界まで伸びきったゴムを巻き取って捩じ斬ればいい。

 

だが、サー=D(3rd)=夷腕坊はただのゴム惡鬼(おに)ではなく、外皮強度がアダマンタイト、もしくはオリハルコン級のゴム惡鬼(おに)ということもあって、捩じ斬り作戦が通じるとは限らない。

 

では、どうやってサー=D(3rd)=夷腕坊を攻略するべきか?第一条件として焔燃型(カグツチノカタ) 十一式〝煉獄〟と同等以上の破壊力が必要となる。

 

しかし、破壊力だけで速力がなければ、自由関節機巧による緊急回避で避けられるだけでなく、大技を放った隙をついてカウンターを仕掛けられる可能性が高い。

 

まず、相手が感知できない速度での攻撃で思い浮かぶのは、神速移動抜刀術の〝霹靂一閃・神速〟と超神速移動抜刀術である火雷神(ほのいかづちのかみ)縮地を利用した瞬天殺(しゅんてんさつ)だ。

 

しかし、これらの神速移動抜刀術では鋼鉄の様なゴムを断ち切れる保証がない。何故なら神速移動抜刀術は抜刀術で破壊力の要となる踏込を神速移動の為に使っているからだ。

 

もし抜刀術に限定してこのゴム惡鬼(おに)を倒すとしたら、雷の呼吸縮地で一気に間合いを詰め、ゴム惡鬼(おに)の目の前で急停止。

 

その急停止した時の踏込を利用し、超神速抜刀術―――天翔龍閃(あまかけるりゅうのひらめき)を繰り出すくらいのことができないと無理だろう。

 

元々、通常の〝天翔龍閃〟でも一撃の破壊力という点では〝煉獄〟を凌駕しているからな。〝天翔龍閃〟〝煉獄〟より劣っている点は突進力だけだ。

 

真正面からの戦いに拘らず、搦め手も使うとするなら、「烈火の炎」で石島土門が南尾を倒した方法も考えられる。

 

ゴムの様な身体をボンレスハムに見立てて鎖で締め上げ、身体を固めて打撃を有効化させる手段だ。

 

俺は鎖を持ってはいないが、日輪刀ならぬ日輪鋼線を持っている上、模倣技術(スキルスティール)で無禅の弦術・殺取(あやとり)や迅雷会に所属する伊賀忍軍の末裔から蜘蛛忍術という弦術を盗んでいる。

 

俺は継国縁壱と同じ生まれついての痣者(背中に継国縁壱や黒死牟と似た様な形状の痣がある。しかも、握力は最低でも一般人の40倍)で、嚇刀だけでなく日輪鋼線を嚇糸化させる条件が揃っている。

 

サー=D(3rd)=夷腕坊がただのゴム惡鬼(おに)なら締め上げるだけでなく、輪切りすることもできただろ。

 

だが、サー=D(3rd)=夷腕坊はただのゴム惡鬼(おに)ではなく、超硬外皮のゴム惡鬼(おに)。嚇糸でも締め上げられる保障がない。

 

………取り敢えず、立体機動刻み作戦→ボンレスハム作戦→破壊力ゴリ押し作戦の順番で試してみよう。

 

ちなみに立体機動刻み作戦は、「進撃の巨人」でリヴァイ=アッカーマンが女型巨人(アニ=レオンハート)の体を削ぎまくった戦法だ。

 

〝霹靂一閃・神速〟縮地を使って、サー=D(3rd)=夷腕坊を少しずつ刻んで、確実にダメージを与えていく戦法とでも思ってくれ。

 

さて。作戦も決まったことだし、行動に移すか。

 

 

「てめぇの鰻もどきな姿は見るに堪えねぇ。一般人の目につく前に殺してやる」

 

 

弦術は基本的に屋内戦で有利になる戦い方だが、トラウマになり兼ねない容姿を胡蝶一家に見せる訳にもいかん。

 

立体機動刻み作戦でサー=D(3rd)=夷腕坊にダメージを与えながら、ボンレスハム作戦の要である日輪鋼線を気付かれない様に張り巡らせ、サー=D(3rd)=夷腕坊を絡め取って、確実に屋外で仕留めるようにしないとな。



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第4話:超改訂版(2022/04/15)

今回の大改訂で一番力を入れた話です!
是非とも楽しんで頂きたいです!!(^-^)


 

 

 

【視点:胡蝶しのぶ】

 

 

 

明治39年7月某日、深夜。父さんと母さん、姉さんと私の4人は惡鬼(おに)という異形の存在を知ることになった。

 

その日、最初に異変に気付いたのは父さんだった。私は深く寝入っていたから気付かなかったけど、深夜であるにも拘らず外が騒がしかったみたいで、父さんが外の様子を見に行くことになった。

 

この時、母さんも父さんとはほんの僅かな時間差で目を覚ましていて、何かあった時にすぐ逃げられる様に姉さんと私を起こした。

 

そして、念の為に寝間着から外着へと着替え、玄関に繋がっている廊下側の引き戸の近くに3人で固まっていると、家の壁を突き破って何かが部屋に入って来た。

 

 

「み、み、み、見つけたでよぉ~」

 

 

部屋に入って来た何かは、手足が無いにも拘らず力士と同じ位の巨体で、鰻みたいな形の頭と背中から手の様な形をした翼を生やした化物だった。

 

目の前に現れた化物があまりに常識外の存在だったことから、私達は腰を抜かしてしまい、それが罠に引っ掛かった獲物にでも見えたのか、化物は涎を垂らしながら背中の翼の様な手を伸ばしてきた。

 

けど、化物の手はあと僅かで私達に届くという距離で止まった。頭が凄く混乱していたものの、化物から目を離せなかったお陰で化物の手が止まった理由が私にはすぐに分かった。

 

雲に隠れていた月が姿を現したことで、月光が壊れた壁穴から部屋を照らし、化け物を絡め取っている何本も重なった細い糸をはっきりと見ることができたから。

 

 

「このデカブツが!馬鹿力で無駄に暴れやがって!!」

 

 

何処からともなく現れ、化物の頭を踏みつけながらそう言い放つのは、黒い軍服と羽織を身に纏った姉さんと同じ年頃の男の子。その手には糸繰り人形の操者のように細い糸がついていた。

 

男の子が踏みつけていた化物から降りて指を動かすと、糸に絡みと取られた化物は糸繰り人形のように体を動かし、頭を仰け反らせて翼の様な手を背面で縛られた。

 

 

「夷腕坊の次は白鰻もどきか!?背中に翼なんか生やしやがって!しかも、翼を手の代用品にするとか、天罰覿面神父かよ!!?鬱陶しいことこの上ねぇ!!」

 

 

言ってる意味はよく分からないけど、男の子はそう言い終えると、拘束している化物の身体に糸を更に絡ませ、身体に糸が食い込むほど締め上げた。

 

この男の子は何者なんだろう?姉さんと同じ年頃で軍服を着ているのもおかしいけど、廃刀令が施行されているのに2本の刀を腰に差してあるのもおかしい。

 

 

 

【視点:奴良リクオ】

 

 

 

胡蝶一家――最低でも胡蝶姉妹に気付かれる前に決着(けり)をつけたかったのに、この3rd(サー=D)=夷腕坊がいらんことしくさりやがって!!

 

雷電型(イカヅチノカタ) 二式〝霹靂一閃・神速〟を利用した立体機動攻撃(三十二連)で、残った四肢を如何にか斬り落とせたと思ったら、今度は背中から翼なんぞ生やしやがって!

 

てめぇは夷腕坊だろうが!何でエヴァシリーズにジョブチェンジしてんだよ!しかも、飛んだと思ったら、そのまま胡蝶家に突っ込んで家の外壁をぶっ壊すし!!

 

胡蝶家に突入したかと思えば、今度は翼を腕に変化させるとか。モズグスですか!?夷腕坊とエヴァシリーズの次はモズグスですか!?天罰覿面なんですか!!?

 

予想外にも程があるわ!不幸中の幸いは、伊賀弦術〝蜘蛛糸絡〟が間に合って、胡蝶家に手を出されるより早くモスグスウィングと頭を拘束できたことか。

 

他人様の家に土足で踏み入った件も含めて謝罪したいが、それは3rd=夷腕坊を滅殺してからにしよう。

 

俺は心の内で胡蝶一家に謝罪しながら、痣者の特性である急激な体温上昇と星脈世代(ジェネステラ)級の握力で日輪鋼線を握り締め、嚇糸へと変化させる。

 

3rd=夷腕坊もとい参號夷腕モズグス・ゼーレ量産型の体に何重にも絡みついている日輪鋼線は、紅に染まると同時にその体を斬り刻もうとするが、体表から少し喰い込んだだけでそれ以上は鋼線が進まなくなった。

 

3rd=夷腕坊の身体特性か、それとも肉体強化系の血鬼術なのか。参號夷腕モズグス・ゼーレ量産型の体は完全体モズグスの様に体表が岩石の様に変化していた。

 

おいおい。通常時でもアダマンタイトやオリハルコンみたいな硬度なのに、見た目が岩石みたいになったらどんだけ硬いんだよ?

 

日輪鋼線は構成素材が日輪刀と同じではあるものの、形状が糸型ということもあって強度的には刀型より弱い。

 

つまり、嚇糸でも切断できない硬度が相手では、力任せに引っ張っても日輪鋼線が引き千切れる可能性があるということだ。

 

本当、こいつは何で十二鬼月――上弦どころか下弦ですらねぇの?日輪刀より強度の劣る日輪鋼線とはいえ、嚇糸に対抗できる硬度の体を野良惡鬼(おに)が持つとかおかしいだろ。

 

………取り敢えず、こいつを滅殺する為にも面倒極まりない体表を攻略できる手段を考えねぇとな。ついでに上弦の惡鬼(おに)を滅殺する手段を探る為の実験体にでもなって貰うか。

 

まずは完全体モズグス状態の参號夷腕モズグス・ゼーレ量産型に嚇刀でダメージを与えられるかの確認だ。

 

っと、今から行うのは拷問染みた実験だし、他人様の家でやるべきことじゃねぇな。胡蝶家の敷地内から出てから実験を始めよう。

 

俺は口を開くことなく、謝罪の意を込めた会釈を胡蝶母娘3人にすると、参號夷腕モズグス・ゼーレ量産型の頭頂部に生えている丁髷(ちょんまげ)を掴み、そのまま引きずる形で屋外へと向かった。

 

胡蝶家から離れる際、人の頭と同じ大きさの瓦礫を拝借し、胡蝶家から100m程離れた場所で参號夷腕モズグス・ゼーレ量産型を仰向けにした。

 

この時、仰向けにすると同時に胡蝶家で拝借した瓦礫を参號夷腕モズグス・ゼーレ量産型の口に突っ込んでいる。

 

これは深夜帯の住宅密集地で絶叫という名の騒音問題を発生させない為の措置だ。惡鬼(おに)の咬合力なら建物の瓦礫程度なら噛み砕けそうだから、「Ultra Red」に登場した破傀拳の応用で顎関節を外しておく。

 

ちなみに、これは他の惡鬼(おに)で実験済みの確定情報なんだが、惡鬼(おに)の再生能力では外された関節を入れることはできないみたいだ。

 

もしかしたら、惡鬼(おに)の再生能力は生物が持つ自然治癒能力の延長線上にある能力なのかもしれない。

 

例えるなら、蜥蜴などが欠損した手足や尻尾を再生させるのと同じだ。蜥蜴の場合、骨は再生しない訳なんだが……。

 

生物は種族ごとに一生涯で分裂させられる細胞の数が決まっていると聞いたことがある。それが本当なら生物が持つ自然治癒能力は寿命の前借みたいなもんだ。

 

惡鬼(おに)がその細胞分裂の制限から解放された生物だとするなら、蜥蜴でも不可能な骨の再生が可能なことにも納得ができる。

 

恐らく、関節外しが惡鬼(おに)に有効なのも、関節外しが細胞分裂による治癒の適応外だからかもしれない。外れた関節は放置していても勝手に戻らないからな。

 

………閑話休題。本当に最低限の騒音対策をした俺は、腰に差している日輪刀を抜刀すると、その柄を万力の握力で握り締め、その刀身を嚇刀へと変化させる。

 

そして、その切先を参號夷腕モズグス・ゼーレ量産型の体表―――鳩尾に接触させる。

 

俺の日輪刀―――水刀・銀竜は、形状が大太刀型ということもあって、仰向けの的が相手では、刀身が狙っている場所に対して垂直ではなく、斜めになってしまう欠点がある。

 

……あっ。〝龍槌閃・斬〟の落下刺突攻撃なら狙った場所に対して垂直に刀身を入れられるか?

 

俺は深く息を吸い込んで勢いよく跳躍すると、空中で嚇刀状態が維持できている内に柄頭に掌を添え、落下の勢いと同時に突きを繰り出し、切先が狙った場所に触れた瞬間に攻撃の勢いに全体重を乗せ、更に回転を加えた。

 

………どうでもいいことかもしれんが、俺が放った術技は〝龍槌閃・斬〟〝虎穿〟というより〝疾空刀勢〟〝牙突・天墜〟〝虎穿〟の様な気もしてきたが、今はスルーしておこう。

 

 

「鬼滅流――天神型(イザナギノカタ) 龍ノ秘剣一式・改〝龍槌閃・虎穿〟!!」

ッ―――――――!!

 

 

〝虎穿〟で貫通力を高められた〝龍槌閃・斬〟は、狙った場所に寸分違わず繰り出すことができた。

 

だが、〝虎穿〟を組み合わせた〝龍槌閃・斬〟でも参號夷腕モズグス・ゼーレ量産型の鳩尾に半分減り込むだけで、貫通させることはできなかった。

 

イメージ的には「ドラゴンクエスト~ダイの大冒険~」でヒュンケルの〝ブラッディースクライド〟を妨害したクロコダインのような状態だ。

 

嚇刀で貫通力を高めた刺突技でもこの程度のダメージしか与えられないとは、未だ発展途上の体を恨むべきか、それとも参號夷腕モズグス・ゼーレ量産型の硬度に驚嘆すべきなのか。

 

取り敢えず、刺突でのダメージ実験は終えた訳だし、次は斬撃でのダメージ実験を行うとしよう。

 

俺は〝龍槌閃・虎穿〟の時と同じ様に大きく息を吸い込み、嚇刀状態の銀竜を上段で構える。

 

 

「鬼滅流――天神型(イザナギノカタ) 鋼ノ秘剣一式〝破魔・竜王刃〟!!」

ッ―――――――!!

 

 

俺が勢いよく銀竜を振り降ろす、参號夷腕モズグス・ゼーレ量産型を袈裟切る様に、その体へと刃をめり込ませた。

 

斬撃技の中では割と上位の威力を誇る〝破魔・竜王刃〟。だが、その〝破魔・竜王刃〟でも参號夷腕モズグス・ゼーレ量産型を両断することは叶わなかった。

 

俺の日輪刀―――水刀・銀竜は、鬼滅組専属鍛冶師一族の長が()った日輪刀で、普通に斬鉄にも耐えられるんだがな。

 

けど、「ONEPIECE」の刀剣でも使い手次第で、良業物以下の等級でも斬鉄は出来ていた様な気はするし、やっぱり俺の未熟が原因で両断できないのだろうか?

 

ちなみに俺の銀竜は、親父が黒死牟と戦った時に刀身が折れたので、()ち直しされたものだったりする。

 

初代銀竜は見事な青色の刀身だったが、作り直されてから最初に抜刀したのが俺だったからか、二代目銀竜の刀身は光の加減で色が変化する特殊なものだったりする。

 

二代目銀竜の刀身で現在確認できている色は、金、銀、黒、白、灰、紫、赤、青、黄、橙、緑、瑠璃、桃、桜、撫子、藤、桔梗の17色。

 

色と呼吸の組み合わせは、黒=、紫=、緑=、赤=、灰=、黄=、青=、白=、桃=、橙=、銀=、桔梗(青紫)=、桜=、藤=となっていて、金、瑠璃、撫子がどういった呼吸の適正かまでは分かっていない。

 

多分、金、瑠璃、撫子のどれかが(そら)の呼吸の適性色ではあると思うんだが……。けど、色合い的には金が雷電型(イカヅチノカタ)の派生系、瑠璃が水龍型(ミズチノカタ)の派生系、撫子は焔燃型(カグツチノカタ)繚乱型(リョウランノカタ)の派生系になるんだよなぁ。

 

あと、銀竜の刀身の色とか実は説明しても意味がなかったりする。何故なら基本的に嚇刀状態で抜刀していることが多いから、帝鬼軍の中でも本来の色を知っているのは隊長格だけだからだ。

 

……何はともあれ、参號夷腕モズグス・ゼーレ量産型との戦闘で、今後の俺に必要な成長課題を知ることができた。

 

取り敢えず、「ONEPIECE」でいう所の武装色の覇気見聞色の覇気を組み合わせた技術―――万物の呼吸を感じ取り、切断の可否を自由自在にできる技術を身に付けられる様になろう。

 

その技術を身に付ければ、阿朱羅丸にだけ頼ることもなく、銀竜でも参號夷腕モズグス・ゼーレ量産型級の外皮を一刀両断できる様になるだろうからな。

 

今回は嚇刀でも滅することが難しそうだから、さっさと阿朱羅丸で止めを刺そう。止めに使う型式は、全ての式が一撃必殺といえる原典の呼吸術だ。

 

……念の為、生命の危機に瀕した時に発揮される火事場の馬鹿力で逃げられない様、体のど真ん中―――鳩尾を銀竜で貫いて、地面に磔にしておこう。

 

俺はもう一度〝龍槌閃・虎穿〟を使い、参號夷腕モズグス・ゼーレ量産型を地面に磔にする。

 

そして、倭刀術〝朝天刀勢〟を使う時の様に柄頭を踏み台にして空高く跳び上がり、落下すると同時にゴォォォォと息を吸い込み、参號夷腕モズグス・ゼーレ量産型の首目掛けて、阿朱羅丸を振るう。

 

 

「全集中、天照型(アマテラスノカタ) 二式〝碧羅の天〟!!

 

 

参號夷腕モズグス・ゼーレ量産型の首に、阿朱羅丸の刃が触れるか否かといった所で、人型の物体が銃弾並の速さで俺に向かって飛んできた。

 

「ッ!天照型(アマテラスノカタ) 三式〝烈日紅鏡〟!!

 

 

俺は参號夷腕モズグス・ゼーレ量産型に放とうとしていた〝碧羅の天〟を中止し、俺に向かって飛んできた人型のナニかに向かって〝碧羅の天〟からすぐに繋げられる〝烈日紅鏡〟を放った。

 

銃弾並の速さで飛んでくる人型という時点で、鬼狩りならその正体は即座に理解できる。雑魚とは比べられない数の人間を喰らった、それなりに強い惡鬼(おに)だ。

 

ただ速いだけの惡鬼(おに)なら、俺の〝烈日紅鏡〟に反応できずに首が落ちている筈だが、この乱入していた惡鬼(おに)は左腕で〝烈日紅鏡〟の斬撃を防ぎ、残った右腕と両足で俺から距離を取った。

 

 

「斬られた腕が再生しない?何だ、その刀は?」

 

 

手先から肘まで縦裂きされた腕の創傷を不思議そうに見ながら、俺に質問を投げ掛けて来る乱入惡鬼(おに)。その右眼には上弦、左眼には参の文字が刻まれていた。

 

そう。乱入惡鬼(おに)の正体は十二鬼月の上弦の参―――猗窩座だ。

 

予想外な猗窩座の登場に、俺の内心は驚愕と動揺で埋め尽くされそうになったが、本能的に波立つ感情を一瞬の内に鎮め、猗窩座を滅殺することに思考を巡らせ始めた。

 

猗窩座の外皮強度は、阿朱羅丸での斬撃の感触から察するに、通常状態の3rd(サー=D)=夷腕坊と同等か、少し下程度。

 

滅殺できんこともないだろうが、戦いが長引けば猗窩座より階級が上の童磨や黒死牟が援軍に来る可能性がある。

 

そうなれば、朝日が昇るまで持久戦を続け、生き延びることはできるかもしれんが、一般市民への被害が甚大になる可能性が高い。

 

できれば猗窩座を滅殺したいが、無理は禁物。鬼滅装備の情報が漏れるのは良くないが、現時点で知られているのは嚇刀の効果と大して変わらないから特に問題は無い………。

 

…………いや、猗窩座がここに現れた理由が参號夷腕モズグス・ゼーレ量産型を回収する為だとするなら、色々と拙いか?

 

 

「おい、ヒトの話を聞いているのか?」

 

 

猗窩座が何か言っているが、俺はそれを無視し、猗窩座の初動を警戒しながら、思考し続ける。

 

参號夷腕モズグス・ゼーレ量産型の四肢は阿朱羅丸で斬り落としている(というか、塵になるレベルで抉り飛ばしている)から、未来永劫再生することが無い。

 

惡鬼(おに)が欠損した部位を再生できずにいれば、獣並の知能でもなければ疑問に思うもんだろう。

 

………いや、だが継国縁壱と戦ったことがある無惨なら、鬼滅装備の特性も日輪刀の特性と勘違いする可能性があるか?

 

自称:惡鬼(おに)の王である無惨でも、数百年前の継国縁壱の嚇刀で付けられた傷を治癒しきれずにいた。

 

ならば、鬼滅装備を嚇刀と同じものだと勘違いし、自分より格下の惡鬼(おに)は欠損部位を再生できなくてもおかしくない、と結論付ける可能性は十二分にある。

 

……まぁ、鬼滅装備の情報を漏洩する危険性は極力排除したいから、最優先事項は参號夷腕モズグス・ゼーレ量産型の滅殺。余裕があれば猗窩座も滅殺だな。

 

ただ、今いる場所は住宅密集地だ。そんな場所で上弦の惡鬼(おに)と戦闘するとなると、民間人への被害―――身体的な被害だけでなく、住まい等の財産的な被害も考慮しないといけない。

 

帝鬼軍が軍属である以上、大日本帝国臣民に被害を出す等もっての外。参號夷腕モズグス・ゼーレ量産型の滅殺すら無理な場合は、頭無惨なワカメマイケルが勝手に勘違いすることを神に祈るしかない。

 

 

「俺の質問に答えろ!?」

 

 

俺が猗窩座と参號夷腕モズグス・ゼーレ量産型をどうするか思考し続け、猗窩座の質問に対して無視し続けていたせいか、猗窩座はついに近所迷惑な怒鳴り声を挙げ始めた。全く以って近所迷惑な奴だ。

 

 

「………鬼狩りが惡鬼(おに)の質問に答えると思ってるのか?馬鹿は死んでも直らんと聞いたことがあるが、惡鬼(おに)になった者は悪化するみたいだな」

「……お前、死に急ぎたいのか?弱い人間なら問答無用で殺している所だ。しかし、見れば解るぞ。お前、その歳で至高の領域に踏み込んでいるな。

鬼狩りということは、柱か?今まで何人もの柱を殺してきたが、お前ほど練り上げられた剣気を持つ者は見たことが無い。

お前は何の呼吸を使う?先程の剣技からは炎を幻視したが、炎の呼吸の柱か?の鬼狩りと戦うのは約2年振りだぞ!!」

「(2年振り?そういえば、猩炎(しょうえん)さんが戦ったのは猗窩座だったな)ベラベラと五月蠅い惡鬼(おに)だ。

これから死ぬお前が、俺の使う呼吸の詳細を知った所で意味がないだろう。そもそも、俺には惡鬼(おに)に冥土の土産をくれてやる趣味はねぇ」

「つれない男だ。では、お前にとっても利点となる素晴らしい提案をしよう」

「俺にとってお前が出せる最高の利点は、お前がその首を自分から差し出すことだけだ」

「お前も鬼になろう」

「人の話を聞けよ、クソ惡鬼(おに)

 

 

さっき小馬鹿にした対応の腹いせか、人の話を無視して一方的に話を続ける猗窩座。

 

 

「至高の領域に踏み込んでいるとはいえ、お前は人間だ。お前もいずれ年老いて弱くなる。人間である以上、病で死んでしまう可能性もある。

鬼になればそんな心配をする必要もない。お前の素晴らしい剣技も失われることもなく、何百年、何千年と残すことができる」

「……それがどうした。人間だけでなく、普通の生き物にとって老いることも死ぬことも当然のことだ。神ならぬ身では避けようのない自然の摂理だ。

それに俺個人の剣技が失われるとして、何の問題がある?俺という存在は人類史においては砂粒程度の価値しかない。

この世には何千、何万、何億という人間が存在し、今この瞬間にも俺を凌駕する才覚の剣士が産声を上げているかもしれない。

その者が歩みを止めずに剣の道を進み続ければ、いずれは俺の至った場所へと辿り着く。何の心配もする必要は無い」

 

 

実際の所、転生特典がなかったら俺なんて大したことが無かっただろうしな。全集中の呼吸を継承する家系に生まれても、呼吸や剣技に適合した体で生まれるとは限らない。

 

炎の呼吸を代々継承し、鬼殺隊の炎柱を輩出している煉獄家の千寿郎などがいい例だろう。

 

そういう意味では、惡鬼(おに)と戦うことができる一般隊員も、(前世の)俺を凌駕する才覚の持ち主だと断言できる。

 

 

「………お前は一体何を言っている?お前ほどの剣気を放つ強者を上回る者が、今この瞬間に産声を上げている?そんな都合の良い事がそうそう起こり得る訳が無い。

そんな奇妙な楽観視は、気味の悪さと苛立ちで吐き気を覚えるぞ。そんな考えは捨て去れ!鬼になって、俺と共に永遠に鍛錬し続けよう!!」

 

 

猗窩座はそう言い終えると腰を深く落し、徒手格闘の構えを取った。そして―――

 

 

「術式展開、破壊殺・羅針

 

 

足下に六花の紋様を浮かび上がらせ、血鬼術を用いた戦闘体勢へと移行した。

 

 

「下らん戯言を吐き続けるなら、鬼になると言うまで痛め続ける。最悪、殺すこともやむなしだ」

「……人喰いの惡鬼(おに)となって生き長らえるなど、そんな生き恥を晒すくらいなら、人として死んだ方が1000倍マシだ」

 

 

俺は猗窩座にそう告げると、左足を前に出した一般的な抜刀術とは異なる構えを取る。

 

今から放つ技は、雷電型(イカヅチノカタ) 終式〝火雷神〟天神型(イザナギノカタ) 龍ノ秘剣終式〝天翔龍閃〟を組み合わせた火雷纏龍閃(ほのいかづちまといしりゅうのひらめき)だ。

 

まず、〝火雷神〟の超神速移動で間合いを詰め、猗窩座の目前で右足の踏込で急停止する。

 

超神速から急停止することで生まれる制動力をそのまま流用することで、神速抜刀術が超神速抜刀術へと昇華される。

 

そして、超神速抜刀術を放った刹那の瞬間に、左足で更に一歩踏み込むことで超神速抜刀術は、極神速抜刀術へと昇華されるという寸法だ。

 

参號夷腕モズグス・ゼーレ量産型の堅柔一体の体表が相手の場合、〝火雷纏龍閃〟でも10代前半の俺では十全と威力を発揮できないだろうから、首を斬り落とせるか微妙な所だろう。

 

だが、〝烈日紅鏡〟腕を斬り裂けた猗窩座が相手なら、仮に一撃目を避けられたとしても、不可避の二撃目で確実に首を斬り落とせる自信がある。

 

俺は一瞬の内にそう考えながら、足に力を籠め、猗窩座に向かって〝火雷纏龍閃〟を放とうとした。だが、猗窩座は俺が〝火雷纏龍閃〟を放つより早く動き、技を放ってきた。

 

 

破壊殺・空式!

 

 

隻腕の猗窩座は、拳打だけでなく蹴撃でも衝撃波を発生させ、無数の破壊殺・空式を放って来る。これはもはや、ただの破壊殺・空式破壊殺・乱式を組み合わせた破壊殺・乱空式と呼ぶべき技だ。

 

ちなみに通常の破壊殺・空式を他の漫画の技で例えると、「魔法先生ネギま!」に登場する〝居合拳〟で、脚撃で放つ破壊殺・空式は「ONEPIECE」の打撃版六式〝嵐脚〟

 

もしくは、「エア・ギア」に登場する眠りの森(スリーピング・フォレスト)のメンバーである角の王が放っていた空気の砲弾だ。

 

ついでに破壊殺・乱式の説明をしておくと、「ジョジョの奇妙な冒険」第3部以降に登場するオラオラ、無駄無駄、ドラドラ、アリアリラッシュだ。

 

 

天照型(アマテラスノカタ) 九式〝輝輝恩光〟!!

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラッ!!」

「ッ!ヒュゥゥゥゥ―――全集中、水龍型(ミズチノカタ) 十六式……

 

 

ついにオラオラ言い出した猗窩座に対して、俺は「こいつ、転生憑依者だろ」という思いを一瞬だけ頭に過らせながらも、数十発の空気砲に対応できる術技を使用した。

 

 

〝凪〟

 

 

原作「鬼滅の刃」で冨岡義勇が、下弦の伍――累の血鬼術〝刻糸輪転〟を斬り解いた様に、俺は自分の間合いに入った空気砲を全て凪いだ。

 

〝凪〟は防御一辺倒の対血鬼術型式という訳ではなく、間合いに入り込んだものなら惡鬼(おに)であっても斬り刻む攻防一体の型式。

 

空気砲を防いでいる隙をついて攻撃して来ようとしても、猗窩座が俺の間合いに入った時点で空気砲諸共凪ぐことができるので、不意打ちを心配する必要が一切ない。

 

やれるものならやってみろ。そんなことを考えながら空気砲を防いでいると、猗窩座はその間に攻撃を仕掛けてくることなく、達磨状態の参號夷腕モズグス・ゼーレ量産型を回収しようとしていた。

 

戦闘狂である猗窩座の予想外の行動に、俺は思わず目を見開くが、即座に思考を切り替え、右腕だけで〝凪〟を維持したまま、左手で日輪鋼線を操り、参號夷腕モズグス・ゼーレ量産型の周辺に嚇糸の結界を形成する。

 

嚇糸の結界を分かり易く説明すると、十二鬼月・下弦の伍である累の血鬼術 〝殺目篭〟みたいな感じで日輪鋼線を張り巡らせていると思ってくれ。

 

 

「ちっ!!」

 

 

参號夷腕モズグス・ゼーレ量産型を回収しよう近付いていた猗窩座は、本能的に嚇糸の危険性を理解したのか、日輪鋼線に触れる手前で舌打ちしながら、嚇糸の結界から距離を取った。

 

 

「………お前は今まで会ったことが無い系統の鬼狩りだな。糸使いの剣士など、今まで見たこともない」

「人間を圧倒する化物を殺す鬼狩りが真っ当な剣士だとでも思っていたのか?大刀、大太刀、小太刀に脇差。長槍、短槍、薙刀に長巻。戦斧、斧槍。弓矢に銃剣、短銃。徒手に暗器、毒物、爆発物。

万の備えで一使えれば上等だ。惡鬼(おに)を根絶する為、古今東西のあらゆる技術、手段を会得して用いるのは当然のことだろ」

「…………お前の考えは常軌を逸している。俺が今まで会った鬼狩りの中でも異質な存在だ」

「常軌を逸している?馬鹿を言うな。鬼狩りと惡鬼(おに)の戦いは、人間と惡鬼(おに)の種の存亡をかけた戦争だ。

敗けた方が絶滅させられる。死なない為に死ぬ程準備するなんて、誰もがやってることだろ」

「………………」

 

 

若干ではあるがBL●ACHの元護廷十三隊十二番隊長である浦原喜助の明言を少しアレンジした発言を口にすると、猗窩座は唖然としていた。

 

いや、分かるよ。俺も浦原さんのこの明言を見た時、頭の捩子が何本か外れてると思ったからな。

 

けど、実際に命の遣り取りをする立場になったら、浦原さんの思考回路(真面目モード)って、割と普通だと思えるんだよな。

 

 

「十二鬼月の序列三位ともあろう惡鬼(おに)が、どうして大刀よりも強度の低い鋼糸から距離を取った?

十二鬼月の下っ端である下弦でも、首以外の部位なら数秒で再生させることができる。上弦ならば瞬きする間も無く欠損部位を再生させられるだろ?」

「……お前の言う通り、惡鬼(おに)からすれば鋼糸の強度など玩具とさして変わらん。だが、お前が張り巡らせた鋼糸は危険だと、俺の武道家としての勘が告げていたから距離を取ることにした」

 

 

武道家の勘、侮りがたし。惡鬼(おに)なんていう産廃以下の存在になり下がった脳筋狛治程度なら、嚇糸で惡鬼(おに)側のサイコロステーキ先輩にすることもできると思ったんだけどな。

 

 

「それに俺がこの場にやって来てからそれなりの時間が経っているが、そこの惡鬼(おに)は四肢が再生することなく、達磨状態のままだ。斬り裂かれた俺の腕も中々再生しない。

今まで何人もの鬼狩りの柱と戦い、様々な斬撃をこの身に受けてきたが、再生を阻害される様な攻撃は受けたことが無い」

 

 

鬼滅装備の攻撃を受けたことが無い?嘘吐いてんじゃねぇよ!3年前に俺が阿朱羅丸を継承した時点で、阿朱羅観音で量産された鬼滅装備が帝鬼軍での標準装備になってんだよ。

 

2年前、親父達が殉職した現場には、既に息絶えた猩炎さんと白蔵さんの鬼滅装備が抜身状態で転がってたから、2人が鬼滅装備を使ってないなんてことはあり得ない。

 

 

「………いや。そういえば、2年前に殺した炎の鬼狩りが赤い刀身の大太刀以外に、今お前が手にしているものと同じ薄緑の刀身の大刀を持っていたな。

確か、あの時に炎と共にいた水、風、岩の鬼狩りも同じ大刀を持っていた筈だ。そして、その大刀で付けられた傷は上弦の壱でも再生するのに時間を要していた。

今まで相対して来た鬼狩りの日輪刀とは異なる特性の武装だ。そんな武装を持つ者が張り巡らせた鋼糸を警戒しない馬鹿など、武の道を極めんとする者にいる訳が無いだろう」

 

 

いや、お前は馬鹿だから。2年前に鬼滅装備と相対してたのに、阿朱羅丸に腕を斬り裂かれてから、今に至るまで同系である鬼滅装備の存在を思い出せてなかった馬鹿だから。

 

 

「………戦闘狂でお喋りな変人の相手をするのは精神的に疲れる。いい加減、消えてくれないか?この世から未来永劫」

 

 

俺はそう告げると同時に猗窩座との距離を詰め、無傷な右側(・・)に攻撃を仕掛ける。

 

 

「―――ッ!?(何だ!?左足に力が――!!?)ガハッ!!」

 

 

俺は猗窩座との距離を詰める瞬間、羽織の袖に隠していた小刀を猗窩座の左太腿へと投擲しておいたんだ。

 

実はこの投擲した小刀、鬼滅組と帝鬼軍で専属薬師をしている優秀な義兄弟が作った藤の花の毒が塗られていたりする。

 

普通の(・ ・ ・)藤の花から抽出した毒を50倍にまで濃縮したもので、雑魚惡鬼(おに)を即死させられるらしいが、十二鬼月の上弦には人間でいう所の麻痺毒程度の効果しかないだろう、という話だ。

 

まぁ、致死量の700倍の毒で上弦の弐の体細胞を溶かせることを考えると、50倍で麻痺毒ってのは妥当な評価なのかもしれない。

 

しかし、戦闘ではほんの一瞬体勢を崩す程度の麻痺でも命取りとなることがある。俺は猗窩座が吐血しながら体勢を崩した隙をついて攻撃を仕掛ける。

 

 

「ヒュゥゥゥゥ―――全集中、水龍型(ミズチノカタ) 九式〝湍流桧瀑〟!!」

 

 

〝湍流桧瀑〟は斬・突・斬へと瞬時に攻撃を切り替える二段変化技。

 

普通の惡鬼(おに)に使用する場合、一撃目の振り降ろしを囮に、二撃目の平突きで首に刀身を突き刺し、三撃目の横薙ぎで首を刈り取る。

 

だが、猗窩座の様な武芸に秀でた惡鬼(おに)が相手の場合、二撃目の平突きを繰り出した時点で、こちらの狙いをある程度予想し、片足が麻痺した状態でも首を狙わせない様に回避することだろう。

 

ぶっちゃけ、俺は首を狙っている様に見せかけて、回避されることを前提に別の所を狙っている。この攻撃で首を斬れるのが一番だが、この世の中は都合よく物事が進む訳でも無いからな、

 

ちなみに俺は二撃目の平突きを繰り出す時、天照型(アマテラスノカタ) 八式〝飛輪陽炎〟の技術を応用して、間合いを計り難くしている。その結果――――

 

 

「グッ――――!!」

 

 

阿朱羅丸の切先は猗窩座の右眼に突き刺さった。ただ、そのまま右薙ぎで左眼も斬り裂こうと思ったが、猗窩座自身が仰け反ったことと、刺傷があまり深くなかった為、左眼まで奪うことは叶わなかった。

 

普通の刀や日輪刀で惡鬼(おに)の首以外を狙っても、一瞬~数秒の間に完治してしまうから意味がないが、阿朱羅丸や鬼滅装備で付けた傷は簡単には治らないから、割と効果的な攻撃だったりする。

 

更に資格を奪った右側から背後に回り込み、猗窩座の左足に刺突攻撃を仕掛ける。世の中には不思議な技術が多く存在するんだが、その中の1つに天脈気殺(てんみゃくきさつ)ってのがある。

 

この〝天脈気殺〟は、本来徒手空拳の突き技で神経に衝撃を加えることで電気信号を一時的に遮断し、四肢を動かせなくする技術だ。

 

喰らったのが人間でも2~3日で回復することを考えれば、人間を凌駕する惡鬼(おに)であれば瞬時に回復できる小技といえる代物だろう。

 

だが、十二鬼月の上弦であっても容易に再生できない傷を与える阿朱羅丸や鬼滅装備で、物理的に神経を断ち斬れば、惡鬼(おに)に対しても十分有効的な技となる。

 

 

「ヒュゥゥゥゥ―――全集中、水龍型(ミズチノカタ) 八式〝雫波紋突き〟!!」

「ッ――――!」

 

 

これで猗窩座は左腕と左脚が使い物にならなくなり、使い物になる右半身も右眼が奪われたことで、実力を十分に発揮できない状態といえるだろう。

 

 

「貴様ッ!背後から攻撃するなど、剣士として恥ずかしくないのか!?」

「化物を殺す為、か弱い人間があらゆる手段を使うのは当然のことだろ」

 

 

首を斬るだけなら使い物にならなくなった左半身から攻撃を仕掛けるのが普通。だが、それが通じるのは精々十二鬼月の下弦までの話。

 

正史でも鬼殺隊の柱を幾人も返り討ちにしている上弦を、確実に仕留める為には四肢を確実に潰してから首を斬る。

 

そのくらい慎重に行動しなければ、思いもよらない反撃でこちら側が命を落とすことになり兼ねない。

 

しかも、今の猗窩座は右足一本で体を支え、攻撃手段は殆ど右腕のみといえる状態だ。右足で攻撃を仕掛ける場合も、飛び蹴りか右腕で体を支えた逆立ち状態から放つ蹴り技の二択。

 

猗窩座の戦闘力は半減以下といっても過言ではないだろう。まぁ、それでも下弦以上の戦闘力を持っている状態ではあるんだけどな。

 

個人的な予想でしかないが、現時点での猗窩座の戦闘力は下弦の壱以上、上弦の陸以下といった所か?

 

鬼殺隊の戦力で換算すると、柱大盛 (1.5人力)~柱特盛(2人力)で、柱メガ盛(3人力)程の厄介さはないだろう。

 

今の猗窩座相手なら、正史の炎柱・煉獄杏寿郎(20歳)でも、完治不能な傷を負わされることにはならない筈だ。

 

閑話休題。俺は猗窩座の右側へと移動すると、今まで猗窩座に使った型とは異なる呼吸で息を吸い込み、技を繰り出す。

 

 

「フゥゥゥゥ―――全集中、繚乱型(リョウランノカタ) 五式〝仇の芍薬〟!!」

 

 

一息の内に9連撃を放つ、飛天御剣流の〝龍巣閃〟と酷似した乱撃術。俺の放つ〝仇の芍薬〟は下弦の惡鬼(おに)でも対応できない速度だが、戦力低下の猗窩座に通じるか否か?

 

ちなみに現時点での俺が放つ〝仇の芍薬〟を含む連撃技は、速度だけなら飛天御剣流の〝九頭龍閃〟と同じほぼ同時攻撃。

 

〝九頭龍閃〟に至っては、型月の多重次元屈折現象に相当する同時攻撃に匹敵する。ただし、俺自身の体が成長途中ということもあって、攻撃力に関しては発展途上といったところだ。

 

そんな人外染みた速度で放たれた攻撃を防ぐことなど、いくら上弦とはいえ片腕だけでは不可能だと、惡鬼(おに)だけでなく鬼狩りも思うことだろう。

 

だが、猗窩座は惡鬼(おに)である前に武道家であり、更に惡鬼(おに)となってからも100年以上は鍛錬を行っている、鬼滅版アイザック=ネテロといえる様な存在だ。

 

いや、鬼滅版アイザック=ネテロは黒死牟か?猗窩座は鬼滅版生涯現役爺さん――ゼノ=ゾルディックといったところか。

 

兎に角、純粋な戦闘技術だけなら全惡鬼(おに)の中でもNo.2の武闘派実力者ということだ。

 

地球上の全生物の中でも恐らくトップ10に入れるだろう。(世の中には惡鬼(おに)を凌駕する人外染みた人類もいるだろうからな)

 

そんあ武闘派実力者が戦闘力半減以下程度の弱体化だけで一方的にやられる訳もなく、猗窩座は迫りくるほぼ同時9連斬撃を、刃の側面に拳を叩き付けることで全て捌ききった。

 

普通の刀や日輪刀の場合、刃の側面から衝撃を加えられたら、簡単に刀身が折れてしまうんだが、阿朱羅丸の場合は刀身が折れる心配もなく、戦闘続行が可能だ。

 

 

「シィィィィ―――全集中、雷電型(イカヅチノカタ) 四式〝稲魂〟!!」

 

 

〝仇の芍薬〟より連撃数は少ないが、その分初動速度と命中精度が高い神速連撃技を放つ。

 

 

「ッ!術式展開、破壊殺・羅針!!」

 

 

だが、猗窩座は破壊殺・羅針で、自分に迫りくる攻撃の順番を的確に把握し、確実に捌いていく。

 

猗窩座の技量を見せ付けられる度、俺の中での猗窩座の印象が変化する。俺の中での猗窩座は格闘漫画でいう所の剛の拳法家であって、柔の拳法家じゃなかったからな。

 

 

「シュフゥゥゥゥ―――全集中、天神型(イザナギノカタ) 藤ノ秘剣終式〝連鶴〟!!」

 

 

藤の秘剣―――元となった刀藤流の〝巣籠〟、〝花橘〟、〝比翼〟、〝青海波〟を順番に連続で放って行く。

 

連撃を放ち続ける俺とそれを捌き続ける猗窩座。構図的には殆どFate/Zeroの切嗣vs言峰だ。

 

戦闘系漫画の王道なんだろうか?戦いの中で戦闘技術が練磨されるってやつ?普通なら主人公側で起こる筈の現象が、何故か敵側の猗窩座に起こっている。

 

どうしてこうなった?俺は敵の戦力を向上させる意図なんて皆無なのに、どうして猗窩座が成長していく?これが上弦の惡鬼(おに)の可能性とでもいうのか?

 

人類存亡の為にも、これ以上猗窩座を―――上弦の惡鬼(おに)を進化させる訳にはいかん。もっと早く、もっと鋭く、もっと力強い一撃を放つ!!

 

俺は呼吸術の精度を更に上げられる様に意識し、阿朱羅丸の柄を握り締めている両手に更なる力を込める。

 

 

「ゴォォォォ―――全集中!天照型(アマテラスノカタ) 終式〝日ノ神神楽〟!!」

「う、うおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

 

猗窩座が現れてから俺は、 煽る発言はしていても舐めぷなどはせず、他の上弦が介入することを前提に余力が残る範囲で本気の攻撃を仕掛けていた。

 

しかし、今は余力など考慮せずに全力全開で後先考えずに攻撃を行っている。正しく決死の攻撃だ。

 

俺が決死の覚悟で攻撃を仕掛けているのを感じ取ったのか、猗窩座も雄叫びを上げながら攻撃を捌こうとする。

 

〝日ノ神神楽〟1周目は捌かれたが、間髪入れずに2周目に突入し、1周目より剣速が早くなるとほんの僅かな切り傷を付けられる様になった。

 

1周目より2周目。2周目より3周目。3周目より4周目と周回を重ねる毎に剣速を上げていくと、猗窩座は徐々に技を捌ききれなくなり、その体に傷が刻まれていく。

 

そして、24周目の〝日ノ神神楽〟―――〝幻日虹〟から〝炎舞〟に繋ぐ刹那の瞬間、十二鬼月の上弦という稀少な存在を実験体として利用するべきではないか?、という考えが浮かび上がった。

 

そして、超光速の思考速度で猗窩座に止めを刺すか否かの結論を導き出した結果、俺は猗窩座の頸に触れる直前で阿朱羅丸を寸止めし、阿朱羅丸を手放すと同時に猗窩座の目の前で柏手―――所謂猫だましを放った。

 

「暗殺教室」という作品で登場する世界最高の暗殺者―――死神も得意とする暗殺技術の1つ、〝クラップスタナー〟

 

剣気を集中させていた阿朱羅丸に意識が向いていた猗窩座は、ただでさえ〝天脈気殺〟で片手片足を動かせない状態だったのに、〝クラップスタナー〟を喰らったことで神経麻痺を引き起こし、全身を弛緩させ正座をするように崩れ落ちることとなった。

 

取り敢えず、これで〝クラップスタナー〟惡鬼(おに)―――十二鬼月の上弦にも有効なことが証明されたな。

 

だが、〝クラップスタナー〟なんてまだまだ序の口だ。これからが世界初といえるであろう楽しい上弦の惡鬼(おに)を使った実験の始まりだ。

 

ちなみに〝クラップスタナー〟を使ってから、猗窩座が崩れ落ちるまでの数秒の間に、俺は手放した阿朱羅丸を空中で掴んでいたりする。

 

 

「シュフゥゥゥゥ―――――――天神型(イザナギノカタ) 北斗ノ秘拳奥義〝醒鋭孔〟

「ッ!!?」

 

 

俺は阿朱羅丸を納刀すると、自分で新しく編み出した呼吸術で身体強化を行い、猗窩座の龍頷という痛覚神経を剥き出しにする秘孔を突いた。

 

この秘孔を突かれた者はモノと軽く接触しただけで全身に激痛が走る。痛覚耐性や痛覚鈍化している者に有効な秘孔だ。

 

北斗神拳の正統伝承者が〝醒鋭孔〟を義兄に使った時は、手で触れただけで激痛が走り、義兄が絶叫を上げてたけど、鳥の羽とかで擽る様に触れても激痛が走るんだろうか?

 

まぁ、羽じゃなくて髪の毛とか筆とかでもいいんだけど。………そういえば、参號夷腕モズグス・ゼーレ量産型には数少ない夷腕坊要素である丁髷があったな。

 

そんなことを考えながら参號夷腕モズグス・ゼーレ量産型に視線を向けると、日輪刀は嚇刀から通常状態だったが、嚇刀で刺さっていた部分から体組織が崩れたようで、既に完全消滅の一歩手前となっていた。

 

あれは使い物にならんな。近くに鳥の羽でも―――おっ、烏の羽が落ちてるじゃねぇか。丁度いいから、これを使おう。

 

俺は少し離れた場所に落ちている烏の羽を拾い、その羽で擽る様に猗窩座に触れた。すると――――

 

 

グアアアアアァァァァッ!!

 

 

猗窩座は精神的苦痛によって上げる絶叫ではなく、身体的苦痛よって生み出された絶叫を上げた。

 

そうだ。〝クラップスタナー〟で神経麻痺を起してる間に、残ってる右腕と右足も阿朱羅丸で斬り落としておこう。

 

俺は納刀していた阿朱羅丸の柄に手を掛け、抜刀術の構えを取る。そして――――

 

 

「シィィィィ―――雷電型(イカヅチノカタ) 三式〝雷切〟!!」

ッ―――――――!!

 

 

超神速一歩手前の神速抜刀術で二閃の斬撃を放ち、猗窩座の二肢を斬り落とした。当の猗窩座は〝醒鋭孔〟で増大した激痛に言葉にならない絶叫を上げる。

 

 

「お前が何十年、何百年生きてるかは知らんが、今に至るまで何百何千何万もの人間を喰い殺してきたんだろ?

戦争に参戦する兵士でもない者がそれだけの人間を殺せば、人間社会では死刑判決を下されるだろう。

だが、ここでお前があっさり死ぬなんて結末は、お前に殺された者達も納得ができまい。故に俺がお前の犯した罪に対して罰を与える」

「……………………罰、だと?」

「ああ、罰だ。今から夜が明けるまで、俺がお前を拷問する。こう見えて俺は色々と隠し武器も持っているから、今回はそれを拷問道具として使う。

お前の全身に俺の持っている藤の毒が塗られた棒手裏剣を突き刺し、割とお喋りで鬱陶しいその舌を斬り落とす。

眼を抉り出し、鼻と耳を削ぎ落し、皮膚を剥ぐ。胸から腹に掛けて斬り開き、まずは肋骨を1本ずつ切除する。

肋骨を全て切除出来たら、内臓を1つずつ引き摺る出す。

それらの苦痛を耐えきり、太陽の光でその身を灰にした時、お前の犯した罪は許されるんだ」

「……………貴様は狂っている」

「鬼狩りなんてのは基本的に狂人の集まりだ。復讐心に憑りつかれ、人の身で惡鬼(おに)の心を宿した修羅。

そんな狂人を、修羅を生み出しているのは誰だ?お前らだ。お前ら――惡鬼(おに)の人喰いという行為が狂人を、修羅を生み出したんだ。つまり、自業自得という訳だ。恨むなら自分自身を恨むんだな」

 

 

俺は無慈悲に猗窩座へそう告げると、拷問を開始した。そういえば、嚇刀なら惡鬼(おに)が相手なら焼鏝みたいな役割を果たすかもしれないから、途中で試してみよう。

 

――――そして、狂気の拷問開始から数時間後。

 

 

「―――――――――ゥァッ!!」

「凄いな、お前。これだけの拷問をされて自我崩壊を起こさない惡鬼(おに)を見たのは初めてだ。流石、十二鬼月の序列三位といった所か?」

 

 

俺の目の前にいる猗窩座は、耳と鼻、舌を失い、皮膚は所々焼き爛れ、斬り開かれた胸部からは数本の肋骨が切り取られていた。

 

耳、鼻、舌の斬り落としと、胸部の切り開き、肋骨の斬り落としは絶妙な力加減と技術を駆使して、阿朱羅丸で実行した。

 

眼は棒手裏剣を突き刺してから抉り出したが、日輪刀と同じ素材で作られた日輪武装という訳でも無かった為、何度も再生するので途中で抉り出すのを止めた。

 

まぁ、この無事な眼のお陰で自我崩壊を起こしたか否かの判断ができる為、結果的には良かったということにしておこう。

 

ちなみに嚇刀での焼鏝作戦は成功だったりする。嚇刀は触れただけでも惡鬼(おに)にダメージを与えるみたいだ。

 

さて、夜明けまであとどの位かな?残り時間が短ければ、内臓摘出までの作業を早送りでしなければいけない。

 

帝鬼軍の身分証でもある懐中時計を開くと、夜明けまで1時間を切っていた。内臓摘出を苦痛を与えつつ、じっくりするなら肋骨切除を一気に済ませた方がいいな。

 

そんなことを考えながら、見た目的な意味で壊れている猗窩座に視線を戻そうとした瞬間、何処からともなくベベンっという琵琶の音と共に、聞き覚えのある呼吸音が聞こえてきた。

 

 

「ホォォォォ―――月の呼吸 陸ノ型〝常世孤月・無間〟

 

 

縦方向に弧を描く様に放たれた無数の斬撃が迫ってくる。その攻撃に対して俺は〝縮地〟〝常世孤月・無間〟の間合いの外まで逃れた。

 

 

「…………十二鬼月の上弦ってのは、横槍を入れるのが好きな無粋者の集まりの様だな」

「…………よもや、上弦の惡鬼(おに)を弄れる程の技量を持つ鬼狩りが、今の世に現れるとは驚きだ。年の頃は12、3といったところか…?」

 

 

現れたのは上弦の壱―――黒死牟。2年前に親父と戦い、親父が死ぬ原因となった惡鬼(おに)だ。

 

俺は黒死牟の問いに答えることなく、阿朱羅丸を納刀し、抜刀術の構えを取る。

 

 

「シィィィィ……」

「その呼吸音と構え、雷の呼吸か?雷の呼吸の鬼狩りと剣を交えるのは久方―――」

 

 

黒死牟が何かを言い切る前に、俺は〝霹靂一閃・神速〟で間合いを詰め、斬撃を放つ瞬間に呼吸を切り替えて、〝円舞〟を繰り出す。

 

 

「ゴォォォォ―――天照型(アマテラスノカタ) 一式・改〝円舞一閃・神速〟!!」

「なっ!?」

二式〝碧羅の天〟!!」

 

 

〝円舞一閃・神速〟から〝碧羅の天〟に繋いだ後、順番に三式~十二式まで繋げ、終式の〝日ノ神神楽〟と為す。

 

 

「なぜ」

三式〝烈日紅鏡〟!!」

「ナゼ」

四式〝灼骨炎陽〟!!」

「何故」

五式〝陽華突〟!!」

「なぜっ!」

六式〝日暈の龍・頭舞い〟!!」

「ナゼッ!」

七式〝斜陽転身〟!!」

「何故ッ!」

八式〝飛輪陽炎〟!!」

「なぜだっ!?」

九式〝輝輝恩光〟!!」

「ナゼダッ!?」

十式〝火車〟!!」

「何故だッ!?」

十一式〝幻日虹〟!!」

「何故、貴様が日の呼吸を使えるッ!!?」

十二式〝炎舞〟!!」

 

 

天照型(アマテラスノカタ)―――日の呼吸の技を虚哭神去で受ける度、感情を乱し、声を荒げる黒死牟。

 

当然、黒死牟の質問に答えてやる義理も義務も無い俺は、ただ只管天照型(アマテラスノカタ)の技を放ち、十三式〝日ノ神神楽〟を維持することに全集中する。

 

 

日の呼吸に、奴に繋がる痕跡を全て消し去ったはずだッ!日の呼吸に至りかねない黒刀の鬼狩りも優先的に始末してきたッ!

なのに何故、再び私の前に立ち塞がる!私に惨めな思いをさせてそんなに楽しいか、縁壱!!」

 

 

錯乱した黒死牟には俺が継国縁壱に見え始めたのか、俺への二人称が縁壱になってしまった。

 

 

「縁壱?現存する全ての全集中の呼吸の原点である日の呼吸の開祖―――継国縁壱のことか?彼が生きていたのは戦国の世。今から数百年前の話だ。

そんな昔の人間と現代の人間を混同するとは、惡鬼(おに)とはいえ、老化によるボケが起こるということか?お労しい(・ ・ ・ ・)ことだな、上弦の壱」

「亡霊如きが私を憐れむなッ!!月の呼吸 壱ノ型〝闇月・宵の宮〟!!」

 

 

本来の月の呼吸とは異なる出鱈目な呼吸で放たれる技。それに対して、俺は正しい全集中の呼吸で同じ技を同じタイミングで放つ。

 

 

「ホォォォォ―――月詠型(ツクヨミノカタ) 一式〝闇月・宵の宮〟!」

「ガッ!!?」

 

 

血鬼術で強化されているとはいえ、出鱈目な呼吸で放たれる技に、正しい全集中の呼吸で放った技が負ける訳もなく、俺の〝闇月・宵の宮〟が黒死牟の腹に切腹の様な横一文字の傷を付ける。

 

黒死牟は猗窩座の様に痛覚がむき出しの状態になっている訳でも無いけど、武芸者として体に染みついた癖なのか、俺の間合いの外まで離脱し、俺を睨み付けながら、その口を開いた。

 

 

「何故だ。何故、貴様がッ、月の呼吸を使えるッ?月の呼吸を扱えるのは私のみッ。呼吸術の後継者が用意できなかったのに、何故ッ!?」

「………予想は出来ていたが、あんたは月の呼吸の開祖―――継国巌勝なんだな。文献では戦国期の鬼狩り組織での汚点、鬼狩りの柱の恥晒しと記載されていたが、本当に無様極まりないな」

「ぶ、文献に記載されている僅かな文章からッ、我が月の呼吸を今世に蘇らせたとでもいうのかッ!?」

 

 

あっ。こいつ、俺が伝記か何かの文献で月の呼吸を復活させたと勘違いしてるな?まぁ、俺の言い回しから考えると、勘違いしてもおかしくないけど。

 

俺自身は転生特典で全ての呼吸術と剣技を会得しているが、他の帝鬼軍&鬼滅組幹部は呼吸術と剣技の詳細のみが記載された書物を熟読して会得し、他の隊員に型式の継承を行っている。

 

戦国期の奴良家先祖は〝透き通る世界〟にも至っていたみたいで、その〝透き通る世界〟で他の鬼狩りを観察することで、自分の使えない呼吸術に関しても把握でき、呼吸別の書物を残すことができたみたいだ。

 

ちなみに、この呼吸別書物には技を放つ時の腕の角度や剣速、呼吸の深さや浅さなどがかなり詳細に書かれていた。

 

多分、代々日の呼吸ヒノカミ神楽として継承してきた竈門家以上に正確で精密な記載がされていたと思う。

 

 

「文献では月の呼吸の継承が絶望的で、極めた技を途絶えさせてしまうことに怯えている様だったと書かれていた。

ならば、己が編み出した全集中の呼吸を、己の編み出した剣技を継承した者の手で滅殺されるなら本望だろう!今、この時を以って生き恥を晒し続けている無様な生涯に幕を下ろせ!!

ホォォォォ―――月詠型(ツクヨミノカタ) 六式〝常世孤月・無間〟!!」

 

 

動揺して隙を晒しているお労しい黒死牟に、無数の斬撃を縦方向の弧を描く様に放つ。すると、斬撃が直撃する寸前にベベンっという琵琶の音が響いた。

 

そして、〝常世孤月・無間〟の斬撃で発生した土煙が晴れると、黒死牟のいた場所には既に誰も居らず、周囲を見渡すと猗窩座も姿を消していた。

 

クソッ!親父と猩炎さんの仇を討てなかった!!藤の濃毒暗器まで使ったってのに、逃げられるとか不甲斐ないにも程がある!!

 

…………………………取り敢えず、次に上弦と遭遇した時には今回の毒に対して耐性を身に付けているだろうから、そのことを(ぜん)に報告した上で、新しい毒を複数開発して貰わねぇとな。

 

あと、惡鬼(おに)の討伐を終えたけど、今回も冨岡家の時と同じように巻き込んじまった。しかも、家の壁をぶち壊す始末。

 

一応、正式な鬼殺隊員として活動を始めてから給金は貯金してるから、壁の修繕費どころか一軒家を作り直すこともできるけど、胡蝶家にはどういった詫びをするべきか。

 

兎に角、現状のこの家では日常生活も送れないだろうから、胡蝶一家を保護しないとな。

 

尚、参號夷腕モズグス・ゼーレ量産型が胡蝶家に突っ込んでから姿を現さなかった胡蝶父が何をしていたかというと、壁が突き破られた時の衝撃で発生した揺れで体勢を崩し、後頭部を玄関近くの床で強打。ずっと気絶をしていた様だ。



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第5話:改訂版(2022/04/15)

 

 

【視点:奴良リクオ】

 

 

 

キング・クリムゾン!参號夷腕モズグス・ゼーレ量産型を滅殺し、黒死牟と猗窩座に逃げられてから数週間後。

 

どうしてこうなった?冨岡家事件後もそうだったが、どうしてこうなった?

 

本来、鬼滅組本家である奴良家には血縁者以外に帝鬼軍総隊長である爺の妻――婆ちゃんの護衛役を兼任している鬼殺隊員、俺と義兄弟の契りを交わした隊長格、冨岡義勇の様に本家預かりとなった鬼殺隊員見習いが集団生活を送っている。

 

しかし、現在は帝鬼軍&鬼滅組関係者以外の居候もいる。それは参號夷腕モズグス・ゼーレ量産型によって家を半壊させられた胡蝶一家だ。

 

別に胡蝶一家がうちの居候になっていることに不満があって、「どうしてこうなった?」などと思っている訳ではない。

 

家が半壊した原因は、参號夷腕モズグス・ゼーレ量産型を抑えきれなかった俺が原因だからな。代わりの家が用意できるまで鬼滅組本家である奴良家で世話をするのは当然の流れだ。

 

胡蝶しのぶは幼少期から自分の家の庭に生えている草を使って薬師(くすし)の真似事をする娘だった。

 

幼い子供がどうして薬師(くすし)の真似事をしていたのか?それは胡蝶家の家長である胡蝶父の仕事が薬師だったからだ。

 

そして、帝鬼軍と鬼滅組には奴良家の縄張り(シマ)で保護されている専属薬師(くすし)一族の薬師(やくし)家が存在する。

 

ちなみに鬼滅組本拠地 兼 奴良家邸宅である奴良屋敷は牛込区に存在し、薬師(やくし)家の薬師(くすし)屋敷も当然のことながら奴良組の縄張り(シマ)の中心地である牛込区に存在する。

 

あと、帝鬼軍の本拠地と帝鬼軍専用軍事病院も牛込区内―――市ヶ谷地区に存在する。

 

閑話休題。家を半壊させた詫びとして、俺が貯めていた金で牛込区に新しい胡蝶屋敷を建築した上、胡蝶父の転職先として一流の薬師(くすし)である薬師(やくし)家への口利きをした訳だ。

 

無論、帝鬼軍支援組織である鬼滅組と関わっている仕事場でもあるので、胡蝶家には惡鬼(おに)や鬼殺隊員のことを説明している。

 

薬師(くすし)屋敷には惡鬼(おに)の侵入防止の為、藤の花が植えられているが、その藤は薬師(やくし)家が何代も掛けて品種改良を行ったもので、惡鬼(おに)を殺すことに特化した特殊な藤なんだ。

 

イメージとしては「聖闘士星矢」シリーズに登場する魔宮薔薇(デモンローズ)の香気といった所だろうか?人間には害がないけど、惡鬼(おに)が吸い込むと2~3秒で全身の穴という穴から血を噴き出して絶命するそうだ。

 

新しい胡蝶屋敷には普通の藤の花を植えた上、薬師家謹製の濃毒藤で作られた香炉が設置される予定。

 

しかも、現在進行形で濃毒藤の匂袋も携帯して貰っているので、身の安全は十中八九保障されていることも伝えた。

 

ここまでの話には特に問題はない。どうしてこうなった?と言うような要素は皆無といっていいだろう。

 

では、どうして俺が冒頭でそんなことを言いたくなったかというと、それは目の前の光景にある。

 

 

「これが鬼滅流、繚乱型(リョウランノカタ) 八式〝百花繚乱(ひゃっかりょうらん)よ。カナエ、しのぶ」

「すごいです、乙女様!」

「私達にもできるでしょうか?」

 

 

鬼殺の世界―――特に鬼狩りという立場から胡蝶姉妹を遠ざけたいという俺の思惑とは裏腹に、世界の修正力とでもいうのか、実母が胡蝶姉妹に鬼滅流を教えている光景だった。

 

 

「………母さん、何やってんの?」

「あら、リクオ」

「「あら、リクオ」じゃねぇよ。帝鬼軍でも鬼滅組でもない堅気の女児に、何で鬼滅流を教えてんの?」

「ん~、教えてるというか、型式を見せてあげただけなんだけど、駄目だったかしら?」

惡鬼(おに)に身内が殺された訳でも無い堅気に鬼滅流を見せて、見様見真似で鬼狩り紛いな行動を取ったらどうすんだよ。

ただでさえ子供は無茶な行動をし易いんだ。子供特有の正義感と見様見真似の鬼滅流で惡鬼(おに)に挑んで、こいつらが喰われても母さんは胡蝶夫妻に責任取れないでしょ?

無責任な行動は控えてくれ。帝鬼軍の大佐としても黙認できないことだよ」

 

 

俺がやんわりと母さんを嗜めていると、母さんの傍にいた女児――胡蝶しのぶが俺を睨み付けながら怒鳴って来た。

 

 

「ちょっと!あなた、さっきから姉さんと私のこと女児とか子供って言ってるけど、あなただって子供でしょ!あなた、何歳なのよ!?」

「12歳だよ。それがどうかしたか?」

「姉さんと同い年じゃない!私とも3歳しか違わない!」

「俺は9歳から帝鬼軍の鬼殺隊員として惡鬼(おに)と命の遣り取りをしてる。そんじょそこらのガキとは潜って来た修羅場の数が段違いなんだよ。一緒にすんな」

「ッ!なら、私と姉さんも鬼殺隊員になって、その修羅場ってのを潜ってくれば、見下さないって訳!?」

「別に見下してねえよ。直接惡鬼(おに)と接触することの無い人生を歩めるなら、堅気はそうした方がいいって言ってるだけだ」

~~~ッ!それを見下してるって言うのよ!!」

 

 

別に言い合いをする気はないが、しのぶが何故か噛みついてくる。そして、言い合いをする俺達(というか、正論を言う俺に対して、因縁を吹っかけて来るしのぶ)にオロオロする母さんとカナエ。

 

奴良屋敷の中庭で騒いでいる上、ついさっきまで俺と爺を含む隊長格で義勇の成長具合の確認をしていたこともあって、隊長格+義勇が野次馬として集まってくる。

 

 

「はっはっはっ!17年前を思い出すな!しのぶの嬢ちゃんは乙音嬢ちゃんにそっくりじゃねぇか!!」

「………総隊長、私もいい年なので嬢ちゃん呼ばわりは止めて貰えませんか?」

「何言ってんだ。儂にとっちゃあ、何歳になろうが嬢ちゃんなのは変わりねぇよ」

「フッ。確かに、帝鬼軍の部隊長になっても私達にとっては乙音嬢が嬢であるのは変わりないな」

「野麻蔵隊長まで………」

 

 

乙音さんのその逸話は初耳だ。帝鬼軍の鬼殺隊員になる為に親父に噛みついた過去があるのか。俺が知ってる乙音さんは冷静沈着な人だから意外だ。

 

 

「だが、リクオの言う通り、鬼滅流は興味本位で見せて貰ったり、教えて貰うもんじゃねぇ。胡蝶の嬢ちゃん達は乙女ちゃんや乙音嬢ちゃんと違って親御さんが健在だ。

身内が健在で鬼滅流を教わろうってなら、それ相応の覚悟ってもんを見せて貰わねぇといけねぇ。おい、リクオ!」

「何だ、爺?」

「うちで預かってる義勇。あいつを鬼殺隊員見習いにする時、お前が提示した条件を覚えてるか?」

「………ああ。唯一の血縁者である姉が生きてるのに、鬼狩りになりてぇなんてふざけたこと言うなら、姉と絶縁しろって言ったな」

「「!!?」」

 

 

本家預かりである義勇が鬼滅流の鍛錬をしている光景を、この数週間で何度も見ている胡蝶姉妹は驚いた顔をした。

 

 

「で、義勇はその場で姉に今生の別れを告げ、姉弟の縁を絶とうとした」

「実際は婆ちゃんの取りなしで、姉弟の縁を切らずに鬼滅組本家預かりになったけどな。まぁ、義勇の覚悟を見せて貰ったから、そのことに関しては俺も納得してる」

「つまり、胡蝶の嬢ちゃん達がどうしても鬼滅流の型式を見たい、教わりたいって言うんなら義勇が俺達に見せたのと同じくらいの覚悟を見せて貰わねえといけねぇってこった」

「…………それは私達に両親と絶縁する覚悟をしてみせろということでしょうか?」

「もしくはそれと同等の覚悟を見せて貰わねぇと、義勇への不義理になっちまうからな」

「………………まぁ、両親との絶縁以外にも覚悟を示す方法はある」

 

 

俺は胡蝶姉妹の覚悟を知る方法を思いつき、それを口にするとその場の全員が驚いた顔をしていた。

 

 

「おいおい、リクオ。儂が言って置いてなんだが、身内との絶縁以外に覚悟を示す方法なんて、あったか?」

薬師(やくし)家が管理してる軍事病院に、鬼殺隊員生命を絶たれた者を収容する隔離病棟があっただろ?

そこに胡蝶家全員で行き、惡鬼(おに)の危険性を理解した上で鬼殺隊員になることを両親に告げ、了承を得られたのなら家族全員が覚悟を決めてることになるだろうから、いいんじゃねぇか?」

 

 

帝鬼軍専用軍事病院の隔離病棟。そこは惡鬼(おに)との戦いに負け、四肢を欠損しながらも生き延びた鬼殺隊員に行き着く場所。

 

欠損した四肢が1本程度ならまだマシな方で、四肢の全てを失った者や拷問染みた加虐で皮膚を剥がれ、目を抉られ、耳や鼻を食い千切られた者が収容されている。

 

中には女性隊員で男惡鬼(おに)に組み伏せられ、暴行された挙句、精神が病んでしまった者も隔離病棟に収容されている。

 

 

「あー……。確かにあそこを見た上で両親を説得して、了承を得られたなら家族全員が覚悟を見せたことになるとは思うが、10歳前後の子供が見ていい場所じゃねぇだろ?」

「少なくとも俺はアレを見て、自分の信念を曲げないくらいの覚悟を見せて貰わねぇと納得しねぇ」

 

 

俺は母さんと胡蝶姉妹、爺を含むその場の全員に向けてそう告げると、その場を後にした。



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第6話:大改訂版(2021/01/24)

はい、皆さん。こんにちは~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~。

4日前に鬼滅の刃~総大将の軌跡~外伝 BLEACH~天継の雛~を投稿した大筒木朱菜です。(笑)

今回は難産ではあったものの、文字数7000字越え(ルビ込)の作品が出来上がりました。

内容的は胡蝶家後日談・後編です。

そうそう、気付いている人もいると思いますが、術技設定を地味に更新していて、BLEACH~天継の雛~で登場した術技も追加しています。

【追記】
主人公の所属組織設定を変更


あっ、甘露寺さんアンケートに答えて頂いた皆さん、ありがとうございます!

アンケートの結果、甘露寺さんは伊黒さんと同じく鬼滅組の鬼殺任侠になることが決定しました。

そして、甘露寺さんの案件が決まったことで次のアンケートが開始しています。

次のアンケートはBLEACH~天継の雛~の主人公である雛森桃さんが関係したアンケートです。このアンケートにもご協力頂けると作者的には助かります。


 

 

 

【視点:胡蝶カナエ】

 

 

 

私達――胡蝶一家を惡鬼(おに)から救ってくれた帝鬼軍大佐で総隊長補佐をされている奴良リクオ様と、私の妹であるしのぶが口論をしてから数日後。

 

私としのぶの2人だけでなく、父と母も加えた胡蝶家全員で、父の仕事先の上司である薬師(やくし)(ぜん)様に引き連れられて、とある場所に向かっています。

 

帝鬼軍専用軍事病院――その隔離病棟。惡鬼(おに)との戦いに敗れ、鬼殺隊員生命を絶たれた者が行き着く場所。

 

しのぶがリクオ様と口論をした時に、鬼狩りになりたければ相応の覚悟を示さなければ認められないと言い、その覚悟を示す為に行かなければいけなくなった場所。

 

居候をさせて頂いている奴良家を出て数時間後。辿り着いた所は(ぜん)様の屋敷である薬師(やくし)家と同じ様に藤の花に囲まれた、6階建ての洋風建築物だった。

 

 

「ここが軍事病院……。治療院より大きいのですね」

「そりゃあ、治療院に収容するのは鬼滅組の連中だけだからな。鬼滅組より所属人数の多い帝鬼軍の連中を収容する軍事病院ともなれば、デカくて当然だ。

ちなみにこの6階建ては、原隊復帰が可能な隊員を収容する一般病棟で、鬼殺隊員生命だけでなく、社会復帰すら難しくなった奴らを収容する隔離病棟は奥にある3階建ての建物だ」

「3階建て。…………そんなに社会復帰も難しくなる人達がいるんですか?」

「殉職する奴らよりかは少ないけど、それなりにはいる。あと、収容される奴らだけでなく、介護を行う者も一緒に暮らす共同生活空間っていうのも広く作られている理由だ」

 

 

介護する者と介護される者の共同生活空間。治療院を兼ねている薬師屋敷でも一般的な家屋の約6倍の広さなのに、軍事病院の一般病棟は1階部分の広さだけでも、目算で薬師(くすし)屋敷の4倍以上はある。

 

 

「……(ぜん)様。この軍事病院にはどれだけの人が収容されてるんですか?」

「ん?現時点で患者だけなら、一般病棟で400人。隔離病棟は200人って所か?看護する者や介護する者も含めれば総勢で2000人いるかいないかって所だ。

まぁ、俺もここには頻繁に来れる訳でもねぇから、患者数は減ってるかもしれねぇけど」

「それは一体どういう……?」

「……鬼殺隊員ってのは、その殆どが惡鬼(おに)に家族を喰い殺された恨みで鬼狩りになった復讐鬼なんだよ。

そんな奴らが惡鬼(おに)との戦いに負けて四肢を欠損し、介護師に下の世話をされる生活を送るなんて耐えられると思うか?

自分をみじめな存在だと思い込み、介護師の隙を見て自害しようとする奴らが多いんだよ」

「そんなッ……」

 

 

(ぜん)様の話に私としのぶ、母だけでなく、薬師屋敷で薬師として働いている父も顔が青褪めている。

 

 

「……最終確認だ。隔離病棟の患者の状態は10歳前後の子供が見ていいもんじゃねぇ。いや、それ以前に大人でも目を背けるもんだ。それでも見る覚悟があるか?」

「「………お願いします」」

 

 

(ぜん)様の質問に対して、しのぶはリクオ様への反抗心からか、少し迷いながらも返事をし、私も人間が惡鬼(おに)と戦うということがどういうことかを理解する為に返事をした。

 

 

 

【視点:胡蝶しのぶ】

 

 

 

姉さんより2~3歳年上の男の子―――お父さんの上司である薬師(やくし)(ぜん)さんの案内で軍事病院の隔離病棟に入ると、私達家族は入口から一番近い病室へと向かった。

 

向かった部屋は西洋寝台――ベッドが10台も置かれている大部屋で、ベッドと全てが人で埋まっていた。

 

 

「この隔離病棟は1階にこの手の大部屋が15ある。2階も1階と同じ間取りと部屋数だ。3階は全て個室で100室となってる。

まぁ、今の所埋まっているのは、大部屋が18、個室が27だがな。この大部屋の患者は隔離病棟の中でも比較的軽症(・ ・)な部類だ」

 

 

比較的軽傷(・ ・)な部類?(ぜん)さんのその一言に私達家族は絶句した。四肢を欠損している者が行き着く場所と事前に聞かされていたけど、病室にいる全ての患者が想像を超える酷い状態だったからだ。

 

手の平は残っているものの指の全てを失い、失明しているのか目の部分を包帯で覆っている者。両腕の肘から先と片足の足首から先を失っている者。両足の太腿から先と肩から先の腕を一本丸ごと失ている者など、殆どの患者が最低でも2本の四肢を失っていた。

 

多分、一番傷が浅いのは最初に目に入った十指と目を失った人かもしれない。この大部屋だけで入院している患者の約7割が両腕を欠損している状態だ。

 

こんな状態の人達が比較的軽傷なら、重傷なの人はどんな状態なのよ!?

 

 

「……何か勘違いしてるようだが、こいつらの傷自身は十二分に重傷と言える。俺が言っている軽症(・ ・)ってのは、怪我の状態じゃなくて精神状態の話だ」

「精神状態?」

「……お前ら、帝鬼軍で惡鬼(おに)の説明は受けてるよな?」

「……はい。惡鬼(おに)は人間を殺して喰らう外道の化物だと聞かされました」

「一般的な惡鬼(おに)は飢えを満たす為だけに人間を殺して喰らう。実はこの手の惡鬼(おに)はまだマシな方なんだよ。

肉食動物が獲物を狩る様なもんだからな。弱肉強食という自然界では当たり前なことと言える。

けど、惡鬼(おに)の中には飢えを満たす為ではなく、悦楽の為に人間へ害を為そうとする奴もいる。その手の奴は加虐趣味の糞惡鬼(おに)でな」

 

 

(ぜん)さんは話を続けながら大部屋から退室して、別の部屋――2階に向かって廊下を歩き始めた。

 

明らかに私達が後を付いて行くことを前提とした行動な上、私達家族もそれを理解しているので、「何処に行くのか?」などという質問をすることもない。

 

 

「帝鬼軍か鬼滅組から惡鬼(おに)が使う血鬼術について聞いたことはあるか?」

「はい。数多の人を喰らって強くなった惡鬼(おに)が使える妖術の様なものだと聞いています」

「その血鬼術ってのは、使い手である惡鬼(おに)の本質や人間だった頃の特技が反映されるみたいでな。

加虐趣味の糞惡鬼(おに)は、その殆どが似た様な血鬼術を使える様になるんだ」

「………似た様な血鬼術って、どんなものなんですか?」

「高確率で体の自由を奪う麻痺毒の様なもんだが、人間を操り人形みたいにできる惡鬼(おに)も確認できている」

 

 

加虐趣味。麻痺毒。操り人形。これらの単語だけで私は嫌な光景を想像できた。

 

 

「糞惡鬼(おに)がどんなことをするか想像できるみたいだな。言い忘れていたが、この手の糞惡鬼(おに)の麻痺毒は身体の自由を奪うだけで、触覚や痛覚は毛ほども消えないことが多い」

 

 

(ぜん)さんの言っていることを理解した瞬間、全身に怖気が走り、鳥肌が立った。

 

 

「糞惡鬼(おに)は麻痺毒で動けなくなった奴に拷問をする。今向かっている大部屋はその拷問を受けた患者を集めた部屋だ」

 

 

(ぜん)さんがそう言い終えてから3分程で重症患者が集められているという大部屋に辿り着いた。

 

部屋に入ると、大部屋の構造は軽症患者と同じものだったけど、ベッドに寝かされている患者の状態が全く異なっていた。

 

この部屋の患者は全身を包帯で覆われ、身体をベッドに固定する様に拘束。更にその8割には口枷までされていた。

 

 

「これは一体………」

「この部屋の患者はこうでもしてねぇと、ちょっと目を離しただけすぐに自傷行為や自害をしようとすんだよ」

「えっ?」

「糞惡鬼(おに)の拷問で気が狂っちまった奴らが集まってるのさ。言っただろ?1階の奴らは軽症だって。

あいつらは気が狂ってないだけマシなんだよ。まぁ、気が狂って無くても、現状に耐えられなくなって自害しようとする奴もいるけどな。

それにしても運が良いのか悪いのか……、丁度包帯を交換する奴がいる。あいつの包帯の内側を見れば、気を狂わせる拷問がどんなもんか分かるぞ」

 

 

(ぜん)さんが指を差した先には患者以外に数名の看護師と介護師が集まっていた。

 

 

「……この隔離病棟に入ってからずっと思っていたんですが、ここで働く看護師さんや介護師さんは女性だけじゃないんですね」

全集中の呼吸術を会得した奴は、最低でも雑魚惡鬼(おに)と渡り合えるだけの膂力を得るからな。四肢を失っていても、そんな怪力持ちが暴れたら女性職員だけでは押さえきれねぇ。

職員の中には元鬼殺隊員で全集中の呼吸を会得してる奴もいるけど、それも20人だけで残りは家族を惡鬼(おに)に喰い殺された一般人だ。

重症患者を押さえ込むには、1人の患者に対して一般人の場合は最低でも3人の男手が必要なんだよ。

っとこんな話をしてる間に、包帯が取れたぞ」

「えっ?――――ッ!!!?」

 

 

複数の男性介護師に暴れない様に拘束され、女性看護師によって包帯を交換されている患者。その包帯の下に隠されていたのは、思わずその場で吐いてしまう様な悍ましい姿だった。

 

両の目玉はくり抜かれ、鼻と耳がそぎ落とされた上に皮膚の一部を剥ぎ取られていた。

 

気が付くと私と姉さんはその場にへたり込んでいて、お母さんは気を失ってお父さんに支えられていた。

 

 

「あの姿を見て気を失わない処か、失禁すらしないとは肝の据わった姉妹だな。ここの介護師でも初めて重症患者を見た時は、お前らの母親みたいに気を失うか、小便チビってるんだけどな。

中にはビビり過ぎて失禁通り越して脱糞した奴もいる。ちなみに、そいつのあだ名はその日から焼味噌になった」

 

 

(ぜん)さんは私達に気を使ってか、笑い話をし始めたけど、気絶したお母さんだけでなく家族全員がその冗談に笑えなかった。

 

 

「…………くだらねぇ話はさて置き、あの患者は典型的な体の自由を奪う血鬼術を使われた鬼殺隊員――しかも、元班長でな。

担当区域の巡回中に班全員で行方不明になって、それから1ヵ月後に発見されたんだが、生き残っていたのはあの患者だけだったんだよ。

俺は現場を見た訳じゃねぇが、他の班員は殆ど原型を保ってなかったそうだ。唯一生き残っていたことを考えると、糞惡鬼(おに)はあいつの目の前で部下を玩具にしたんだろうな。

傷の状態から分かっているのは左眼を抉られた後に四肢を引き千切られ、それから少し時間を置いて鼻が削ぎ落とされ、皮膚を剥ぎ取られ、最後に残った右眼と耳を奪われたってことだ。

最後まで片目と耳を残している辺りが、加虐趣味の糞惡鬼(おに)の下衆さ加減を物語っていると思えるだろ?」

「「―――――ウッ!!」」

 

 

(ぜん)さんが淡々と語るあの患者に起こったであろう出来事を想像してしまい、今朝食べた朝食が胃から込み上げてきそうになる私と姉さんは、どうにかその場で吐き出すの堪える。

 

この後、私と姉さんの2人だけで隔離病棟の男性禁踏区域とされている3階へと向かうことになった。

 

無論、2人だけというのは案内される側が私と姉さんの2人だけという意味で、(ぜん)さんの指示で案内役として隔離病棟の女性職員がつけられた。

 

男性禁踏区域で見た患者の状態や、患者の身に起こった出来事については正直語りたくもない。ただ、元人間(男性)であった惡鬼(おに)に対して、私は道端の塵程度の感情しか覚えられなくなった。

 

 

 

【視点:奴良リクオ】

 

 

 

胡蝶一家が帝鬼軍専用軍事病院の隔離病棟を訪ねてから数日後。旧鬼滅組で総会が行われていた大部屋に俺と爺、胡蝶家の6人が対面する様に集まっていた。

 

胡蝶家の家長である胡蝶父は、隔離病棟を訪ねた翌日も顔を蒼くしながらも薬師屋敷へと仕事に出ていたが、胡蝶母は2日ほど寝込んでしまい、胡蝶姉妹も4日程部屋に引き篭もっていた。

 

 

「数週間前に噛みついて来た奴と同一人物とは思えない状態だな、胡蝶しのぶ?取り敢えず、隔離病棟を見てきた感想でも聞かせて貰おうか?」

「リクオ」

呼吸術も含めた鬼滅流を教わりたければ、相応の覚悟を見せるべし。俺は胡蝶しのぶだけでなく、胡蝶家全員の覚悟の有無を確認してんだよ。

乙n――山吹隊長に似てるとか、胡蝶しのぶが調子に乗りかねないことを言った糞総隊長は黙ってろ。ってか、堅気を平然と引き込もうとする老害はくたばれ」

「辛辣過ぎじゃろ、リクオ!!」

「脳足りんの総隊長(糞ボケ爺)には相応の対応だ。………で、胡蝶姉妹は隔離病棟の患者を見て、未だに鬼狩りの技術である鬼滅流を見たいなんて妄言を吐くか?」

「……………鬼滅流は鬼狩りの技術であって見世物ではありません。安易に見せて貰おうとした私達が無恥であったと、今は心から恥じています」

「……………鬼狩りの世界があそこまで凄惨で、悍ましい世界だとは思いませんでした。何も知らずに食って掛ったことを心の底から恥じています」

 

 

俺の質問に対して、胡蝶姉妹は畳に手を付け、頭を深々と下げて謝罪してきた。どうやら心の底から鬼狩りの世界の理不尽さ、不条理さ、悍ましさなどを理解できたようだ。

 

 

「どうやら鬼狩りの世界に堅気が深く関わるもんじゃねぇってことを理解して貰えたみたいだな。

まぁ、一度惡鬼(おに)に関わっちまってるから、完全な堅気には戻れねぇだろうけど、鬼殺隊員や鬼殺剣士にはならねぇに越したことは―――」

「私達姉妹は隔離病棟で鬼狩りの世界の恐ろしさを知り、リクオ様が私達の身を案じているが故に厳しい態度で接していることを理解しました」

 

 

俺が胡蝶姉妹を鬼殺隊員や鬼殺剣士にさせない為、話を早々に終えようとすると、話を終える前に胡蝶カナエが割り込む形で話し始めた。

 

この流れ、義勇の時と同じ様な気がするのは気のせいか?気のせいだよな?気のせいだと思いたい。

 

 

「理解した上で敢えて言わせて頂きます。私としのぶは鬼狩りの世界の恐ろしさを知った上で、鬼滅流を学び、帝鬼軍の鬼殺隊員になりたいと思っています」

 

 

………今、胡蝶カナエは何と言った?鬼滅流を学んで、鬼殺隊員になりたいといった様に聞こえたんだが、俺の利き間違いだよな?

 

 

「…………すまん。五感にはそれなりの自信があったんだが、今日は耳の調子が悪いみたいだ。今、鬼滅流を学んで、鬼狩りになりたいなんて戯言が聞こえた気がする」

「はい。リクオ様の耳は正常です。私は姉妹で鬼狩りになりたいと申し上げました」

「ど、どういうことだ!?カナエ!!?」

「姉妹で鬼狩りになりたいって、どういうことなの?しのぶ!?」

 

 

胡蝶夫妻の混乱の仕方から考えるに、鬼狩りになりたいという発言は姉妹の独断のようだ。

 

 

「私達姉妹は惡鬼(おに)という存在を知り、惡鬼(おに)によって不幸にされた人間を知りました。家族を殺されて天涯孤独となった者。復讐を果たせずに心を壊された者。

そんな人達を見て、これから先の未来で同じ思いをする人が大勢現れるかもしれないことを知りました。

私達の様な小娘が鬼狩りになったからといって、全ての惡鬼(おに)を討滅し、全ての人間を救済できる訳ではありません。ですが、鬼狩りが1人でも多ければ、その分救済できる人間が増えます。

それに惡鬼(おに)の中に人間を弄ぶ外道がいることを隔離病棟で理解させられましたが、全ての惡鬼(おに)が外道であるとは思えません。

惡鬼(おに)はその始祖によって変質した元人間だと聞きました。人間の中にも快楽殺人者などの外道もいます。

人間の頃から外道であった惡鬼(おに)が滅殺されることは仕方のないことですが、そうでない惡鬼(おに)は救済されるべきだと思います。

故に私は人間だけでなく惡鬼(おに)も救える鬼狩りになりたいんです」

 

 

……ああ。俺が干渉することで命を救えても、原作キャラの本質は変わらないということか。

 

心優しい胡蝶カナエは、隔離病棟で惡鬼(おに)の外道な所業を知って尚、惡鬼(おに)の救済を―――人間と仲良くなれる惡鬼(おに)も存在すると思える訳だ。

 

 

「……胡蝶しのぶ。お前の姉である胡蝶カナエは、妹であるお前が自分と同じ考え――惡鬼(おに)の救済を願っていると言ってるが、相違ないか?」

「……………」

「………しのぶ?」

「………私は姉さんと違って惡鬼(おに)を救済したいとは思いません。人を弄ぶ外道も、人間を食料としか見ない惡鬼(おに)も、この世から駆逐されて地獄で永遠に苦しみ続ければいいと思ってます」

「しのぶ!?」

「けど、人に害を為さず、人を助ける優しい(おに)がいるのだとしたら、その(おに)を救済できる鬼狩りになりたいです」

 

 

隔離病棟で外道惡鬼(おに)の所業を見て来た影響か、両親と姉が健在でも惡鬼(おに)を受け入れがたい性分になったな。

 

まぁ、それでも原作初登場時みたいに拷問or即滅殺という究極の二択を迫る様な性分にはなっていないみたいだけど。

 

 

「………剣は凶器、剣術は殺人術」

「「…………」」

「どんな綺麗事やお題目を並べてもそれが真実。惡鬼(おに)を滅する鬼滅装備と日輪刀、鬼狩りの技術である鬼滅流も同じだ。

惡鬼(おに)ではなく人間に向けられれば、凶器であり殺人術であることには違いがない。……いや、元とはいえ人間であった惡鬼(おに)を斬っている時点で鬼滅流は殺人術といえる」

「「…………」」

「胡蝶カナエ。お前のいう人間も惡鬼(おに)も救う剣とは活人術。人を―――惡鬼(おに)を斬ったこともない奴の甘い戯言だ」

 

 

どれだけ干渉しても鬼狩りになるべき者は鬼狩りとなる宿命だというのなら、俺の行動は独り善がりで無意味なものなんだろう。

 

ならばせめて、原作キャラや救済できたキャラを原作以上に強くして、生存確率を上げる方向に持って行くのが効率的なのかもしれない。

 

 

「だが、俺は残酷な真実よりもお前の語る甘っちょろい戯言の方が好きかもしれねぇ。願わくば、その戯言がこれからの世の真実となって貰いたいもんだ」

 

 

俺がそう言い終えると、胡蝶カナエと胡蝶しのぶは下げていた頭を同時に上げ、胡蝶カナエは嬉しそうな顔を、胡蝶しのぶは呆けた顔をしていた。

 

 

「お前らが鬼滅流を学ぶ件に関しては許可する」

「「あっ、ありがとうございます!」」

「だが!鬼殺隊員になる云々に関しては保留だ。両親の許可が得られない限り、鬼殺行動は全面禁止!!

勝手な行動を取らせない為に、この鬼滅組本家の敷地外に出る時は見張りをつけさせて貰う。

どうしても鬼狩りになりたければ、鬼滅流の腕を磨いて両親が許可を得られるだけの実力を身に付けろ」

「「はい!!」」

 

 

取り敢えず、胡蝶姉妹の教育係は母さんにでも任せるか。母さんなら水龍型(ミズチノカタ)繚乱型(リョウランノカタ)の2つが使えるし。

 

最低でもどちらか片方のを極めて貰って、もう片方のは使いこなせる域にまで達して貰いますか。

 

その後、可能であれば雷電型(イカヅチノカタ)を乙音さんに、氷輪型(ヒョウリンノカタ)氷麗(つらら)に、他のは俺が使いこなせる域まで教導する方向で話を進めよう。

 

ってか、義勇の時と違って割と簡単に許可したからって、驚いた顔で俺を見てくんじゃねぇよ。糞爺!その顔面にフライングヤクザキックをかますぞ!!

 

 




という訳で、もはや鬼滅原作キャラが鬼狩りに関わることを諦めたリクオでした。(笑)

その代わり、鬼滅キャラを強化する為にスパルタ化します。(笑)

次話はついに伊黒さんイベントです。

多分、原作22巻購入後の更新になると思われるので、更新時期は10月後半かな?

もしくは若干オリジナル風に話を進めて、原作購入後に加筆修正するかも?

前者の場合、9月のメイン執筆はBLEACH~天継の雛~になります。(笑)

まだ、BLEACH~天継の雛~を読んだことのない人は、是非とも読んで見て下さい。
(BLEACH~天継の雛~でもアンケートを実施しているのでご協力お願いいたします)

前書きでも説明しましたが、新アンケートを実施しているので改めてご協力をお願いいたします。


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第7話

はい、皆さん。こんにちは~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~。

恐らく編集操作ミスで7話が消えてしまったみたいなので、再投稿しました。


 

 

 

【視点:奴良リクオ】

 

 

 

明治38年9月某日。義勇が鬼滅流を教わり始めて約1年。胡蝶姉妹が鬼滅流を教わり始めて約1ヵ月半。

 

義勇は水龍型(ミズチノカタ) 一式~五式、繚乱型(リョウランノカタ) 一式~四式、氷輪型(ヒョウリンノカタ) 一式~三式、焔燃型(カグツチノカタ) 一式~三式、雷電型(イカヅチノカタ) 一式~二式、虚空型(オボロノカタ) 一式、土公型(ドコウノカタ) 一式宿儺型(スクナノカタ) 一式ができるようになった。

 

飽く迄、できるようになっただけで、使いこなす域にはまだ遠く、極めるには更に遠い。

 

だが、複数の呼吸術を使えること自身が凄いことなので、単純な実力だけなら現時点で鬼殺隊の(つちのえ)隊士と同等といった所だろう。

 

胡蝶姉妹は全集中の呼吸術を反復練習中だ。帝鬼軍&鬼滅組では平隊員や平組員でも全集中・常中が使えて当たり前。というか、基本的に常中が使えるようになってから型式を教わる形になっている。

 

帝鬼軍&鬼滅組では、全集中の呼吸を教わり始めて常中を会得できるまでの平均期間は約1年。才能のある奴は1ヵ月で常中まで至り、才能のない奴でも2年で常中に至る。

 

ちなみに義勇が常中に至るまでに掛かった期間は8ヵ月。そこそこの才能に恵まれたと思う者もいるだろうが、血反吐を吐く程の努力の賜物だから、勘違いをしないでやってほしい。

 

取り敢えず、帝鬼軍に所属する予定の原作キャラの強化計画は、義勇が複数の呼吸術を扱えることから順調に進んでいることが分かるだろう。

 

強化計画の最終目標は、それぞれの原作キャラが得意とする呼吸術――義勇の場合は水龍型(ミズチノカタ)、胡蝶姉妹の場合は繚乱型(リョウランノカタ)を極めさせ、それ以外の呼吸術を使いこなす域に到達させることだ。

 

念の為言って置くと、「使いこなす」と「極める」は全くの別物である。将棋や囲碁などの棋士の技量で例えると分かり易いかも知れない。

 

初歩である「できる」の最低条件は遊戯の規則を把握し、遊べる状態。「使いこなす」の条件は段位を得ていること~称号争奪(タイトル)戦を勝ち抜き、称号を獲得できる状態。「極める」の条件は永世称号を獲得する(獲得称号を5~10年防衛する)~10の120乗―――無量大数以上の局面を全て把握し、どんな相手でも必勝できる状態。

 

説明だけ聞くと、結構鬼畜な要求をしていると思うかもしれないが、鬼舞辻無惨や十二鬼月――上弦を相手に、無傷とまで言わずとも五体満足で生還する為には、最低でも1つは型式を極める必要がある。

 

と、ここまでは近況報告的な話だ、ここから先は今回の本題に移ろうと思う。今回は元帥府からの命令で八丈島まで行くこととなった。

 

元帥府曰く、八丈島付近で帝国海軍の新高型防護巡洋艦、二番艦・対馬が音信不通となったらしい。

 

しかも、音信不通になったのは対馬だけでなく、伊豆大島や三宅島などの漁師も漁船と共に八丈島付近で消息不明となる事件が多発しているという話だ。

 

そして、そんな八丈島近海の状態に、元帥府は惡鬼(おに)が棲んでいる可能性があると判断し、帝鬼軍に調査及び発見した際は即時殲滅を命じた訳だ。

 

確定情報ではないとは言え、300人以上の帝国軍人が惡鬼(おに)の犠牲になっているかもしれないということで、俺を含む3名の帝鬼軍隊長格が八丈島に派遣されることになった。

 

俺以外のメンバーは氷麗(つらら)猩影(しょうえい)の2人だ。2人はそれぞれが氷輪型(ヒョウリンノカタ)焔燃型(カグツチノカタ)を「極める」一歩手前の「使いこなす」域に達しているので、足手纏いになることは無いと言い切れる。

 

俺達は対馬の姉妹艦である新高で八丈島沖合まで連れて来て貰い、そこからは艦載されている小型艇で八丈島に上陸した。

 

上陸してから第一島民を発見するまでに掛かった時間は、数分―――少なくとも10分以内だっただろう。

 

 

「そこのご婦人、少しいいだろうか!!?」

 

 

発見した第一島民は20代の女性だった。俺が典型的な日本男児(煉獄杏寿郎風)っぽく声を掛けると、凄く驚いた顔をしていた。

 

 

「我々は大日本帝国軍所属の軍人だ!半月前にこの八丈島近海で同海軍所属の軍艦と乗員が消息不明となり、その調査の為にやって来た!!!!?」

 

 

「………本当に軍人さんですか?港に軍艦が停泊したという話は聞いたこともないんですが?」

「我々が乗って来た艦は八丈島沖合に停泊させて貰っている!我々は正規の入港前に上陸することになった情報収集班だ!!!!?」

 

 

俺がそう告げると、島民はあからさまに目が泳ぎ始めた。氷麗と猩影も島民の反応に気付き、表には出していないものの呆れている。

 

島民全員が女型蛇惡鬼(おに)と共生というか、共謀しているのかは分からんが、少なくともこの島民は伊黒一族の関係者なのだろう。

 

 

「わ、私には分かりかねます。ですが、この島の有力者である伊黒本家の方なら何か知っているかもしれません!!?」

「ふむ!では、その伊黒本家の方から話を聞くことはできるだろうか!?」

 

 

「申し訳ありません。私には即答できかねます。……幸いにも私は伊黒分家の人間です。本家に皆様の訪問を伝えて参りますので、その間は私の家でお待ちいただけないでしょうか?」

「なんと!これは運が良い!!お言葉に甘えさせて頂きたい!!!」

 

 

この様な遣り取りを終え、俺達は伊黒分家を自称する島民の家に向かい、その客間で少しの間島民を待つことになった。

 

 

-・-() ・-・・() ・-・-・-() -・-・-() ・--・() -・-・・() ・・--() ・-・() ・-・-・() ・-・--・・() ---・-() ・-・・() (若、さっきの何ですか?)」

 

 

待っている間、軍人らしく重要な会話は、イロハ式和文モールス符号を指の動きで表現して行っている。

 

 

-・-・() -・・() ・-・-・() -・・・() ・-・-・() --・-・・・() ・・・() --・-・() ・-() ・-・--() ・-() ----() ・・・-() ・・・-・・() ・-・-・() --・-・・・() ・-・-・() ・---() -・---() ・-・-・() --・-・・・() ・-・--() ・・-・-() -・() (日本男児らしい帝国軍人を演じてみた)」

--・--() ---() -・・・() -・-・() -・・() ・-・-・() -・・・() ・-・-・() --・-・・・() ・・-・・() ・-() ・・-() --() --・() ・-・-・-() ----() -・---() ・・--() ・-・・・() ・-・・・() -・-・・() ・-() () ・-・-・() ・-・() --・・-() ・・-・・() -・・・() ・・-・・() ・-・・・() -・・-・() ・-() -・・-() ---・-() (あれは日本男児というより、声の大きい変な人だと思います)」

 

 

前言撤回。軍人らしくない会話もイロハ式和文モールス符号を指の動きで表現して行っている。

 

 

---・() ・-・-・() ・-・() ----() ・・-・・() --() --・() ・-・-・-() --・--() ・・--() ・-・・・() ・-・-・() ・-・() -・・・() --・--() ・--() --・-・() ・-() ・-・() (そんなことより、あの女は怪しいな)」

---・() ・・-() ・-・--・・() ---・-() --・-() ・-・-・-() -・・・-() ・-・・・・() ・-・・・() --() ・-() ・-・--・・() ・-() -・・-() --・-・() -・() --・-・() (そうですね、目が泳いでいましたし)」

・-・・・() -・-・() ・・-・・() ・-・・() ・-・・() -・-() ・--・() ・-・--() ・-() -・--・() ・-・・() -・・・() -・-・-() ・-・--() ・-・・・() -・-・・() ・-・-・-() ・--・() --・-・() -・・-() ・・--() -・--() ・-・-・() -・-・() -・・・() ・-・・() ・-・・() -・-() ・--・() ・-・--() ---・() ・・-() ・-・--・・() ---・-() --・-() (惡鬼(おに)と関わってるかはさて置き、対馬の件には関わってそうですね)」

 

 

こんな感じでイロハ式和文モールス符号で会話をすること1時間後。伊黒分家を自称する島民が戻って来た。

 

 

「お待たせして申し訳ありませんでした。本家の方が皆様にお会いし、直接話を伺いたいとのことなので、案内をさせて頂くことになったのですが、よろしいでしょうか?」

「それはこちらとしても願っても無いこと!是非とも案内していただきたい!!」

 

 

俺は島民と接触した時の煉獄杏寿郎風のキャラを演じながら、案内を頼む。そして、案内された場所は―――

 

 

「「「…………」」」

 

 

無駄に広い武家屋敷だった。ぶっちゃけ、本土からかなり離れている八丈島に武家屋敷が存在するのは違和感しかない。

 

 

「…この様な離島に武家屋敷があろうとは!さぞや立派な御仁が住んでおられるのだろう!!」

 

 

一瞬、煉獄杏寿郎キャラが崩れそうになったが、どうにか堪えながら武家屋敷のことを口にすると、島民の方がほんの僅かにビクついたのが見えた。

 

 

「き、客間まで案内も任されておりますので、このままついて来て頂けますでしょうか?」

「うむ!そちらが迷惑と思っていないのならば、是非とも頼む!!」

 

 

島民の言葉に俺が頷き、氷麗と猩影も無言で頷くと、島民は身体を強張らせながら俺達を伊黒本家と言われている武家屋敷の客間へと案内した。

 

そして、俺達が通された三十畳以上ある客間には、中央に座布団が3つだけ用意されていて、島民が―――

 

 

「当主が参りますので、暫しお待ち下さい」

 

 

と言い終えると、俺達が座布団に座るのを見届けてから、客間から去って行った。

 

正直に言おう。原作キャラに起こる出来事を予見できる能力がなくとも、鬼殺の関係者ならこの客間の異様さを察知できると!

 

何で客間に用意されている座布団が3つだけなんだよ?普通に考えて当主が面会するなら、最低で上座に当主の分の座布団が用意されていて、4つはあるべきだろ。

 

俺達を女型蛇惡鬼(おに)の生贄にする気満々じゃねぇか。というか、原作でも海軍の軍人300人以上が犠牲になったのか?

 

流石にそれだけの軍人が犠牲になったら、この世界みたいに調査隊が派遣されて、それが鬼狩りでない以上、更なる犠牲を生んでいたと思うんだが………。

 

だが、鬼殺隊の支援部隊である(カクシ)の情報収集能力でも、離島の漁師が漁船ごと消息不明になった程度の、この時代では割とありふれた情報から惡鬼(おに)の存在を感知するのは難しいだろう。

 

となると、やはり原作でも軍人が300人以上犠牲になったと考えるべきか?箝口令が敷かれようと、情報なんて噂話などで流出してしまうもの。

 

そうした情報から鬼殺隊は惡鬼(おに)の存在を感知し、現時点での炎柱・煉獄慎寿郎を派遣したんだろう。

 

さて、少し話が逸れたな。取り敢えず、女型蛇惡鬼(おに)への供物を捧げる皿の様な役割の客間に、俺達は現在進行形で座布団に座った状態で居る訳なんだが、やはり女型蛇惡鬼(おに)が襲撃して来るとするなら、真上の天井か真下の床下からだろうか?

 

それとも人間が相手と侮り、普通に部屋に入って来るか?まぁ、どこから襲撃して来ようと、全ての型式を極めた俺は迎撃が可能だし、氷麗と猩影も氷輪型(ヒョウリンノカタ)焔燃型(カグツチノカタ)なら不意を突かれることなく、迎撃できるだろう。

 

俺がそんなことを考えながら、当主(笑)と呼ばれる女型蛇惡鬼(おに)が現れるのを待っていると、天井裏から何かが這いずる様な音が聞こえてきた。

 

這いずる音は阿朱羅丸で強化された聴覚でどうにか聞き取れる小さなものだ。人間相手と舐めてかかって来るかと思いきや、女型蛇惡鬼(おに)は割と慎重派の様だ。

 

氷麗と猩影も女型蛇惡鬼(おに)を感知しているが、気付かない振りをして自然体で居る。呼吸術だけでなく武術を極めた者の最低条件は、脱力状態から瞬時に攻撃へと転じること。

 

つまり、現状を自然体でいられる2人は、自分が得意とする型式なら極みの域に踏み込みつつあるという証拠だ。

 

極力音を立てぬ様、天井裏を這いずる女型蛇惡鬼(おに)。その這いずる小さな音が止まった―――俺達の真上に女型蛇惡鬼(おに)が到達した瞬間、俺は即座に銀竜を抜刀し、型式の術技を放った。

 

 

「全集中、天神型(イザナギノカタ) 狼ノ秘剣三式〝牙突・絶空〟!!」

ギャアアアアアアアァァァァァァ!!!

 

 

嚇刀状態の銀竜が突き刺さった女型蛇惡鬼(おに)は天井裏で絶叫しながら暴れ、天井板と共に俺達のいる客間へと落ちてきた。

 

俺としては心臓を狙ったつもりだったんだが、銀竜が突き刺さったのは女型蛇惡鬼(おに)の鳩尾だったみたいだ。

 

そして、落下してきた女型蛇惡鬼(おに)に体勢を整える間も与えず、氷麗と猩影が攻撃を加える。

 

 

焔燃型(カグツチノカタ)  三式〝火柱〟から二式〝昇り炎天〟へ混成接続!」

氷輪型(ヒョウリンノカタ) 二式〝夢氷月天〟!」

ギャアアアアアアアァァァァァァ!!!

 

 

2人の攻撃に女型蛇惡鬼(おに)は両腕と人間でいう所の下腹部から下の胴体を斬り落とされ、所謂達磨状態となる。

 

ちなみに2人は嚇刀を使えないので、首以外を攻撃する時は鬼滅装備で攻撃している。故に女型蛇惡鬼(おに)は欠損箇所を再生できずにいる。

 

 

痛いイタいイタイ!!再生できない?どうして!?どうしてどうして!!?

「達磨にされた程度で喚くな、惡鬼(おに)

 

 

俺は女型蛇惡鬼(おに)そう告げながら、喋るのに支障をきたさない程度に嚇刀で舌を斬り取り、左肺の辺りを突き刺す。

 

 

ギャアアアアアアアァァァァァァ!!!

「喚くなと言ってる。てめぇには聞きたいことがあるんだ。俺の質問にだけ答えろ。それ以外の言葉を紡げば、下腹部から一寸ずつ刻む。分かったら、首を縦に振れ」

 

 

俺が絶叫する女型蛇惡鬼(おに)の顔面に蹴りを入れ、髪を鷲掴んでそう告げると、女型蛇惡鬼(おに)は涙を流しながら首を縦に振った。

 

 

「半月前に帝国海軍の軍艦がこの島に来なかったか?」

き、来ました

「300人以上の乗員がいた筈だ。彼らはどうした?」

わ、私が全員を食べました

「軍艦はどうした?」

ふ、船を動かせる人間を脅して、港の反対側へと移動させました

「どの様に脅した?」

い、一番偉い人間を数人喰らってから、命が惜しければ言うことを聞けと……

「………で、軍艦を移動させた後に全員を喰らったのか?」

………はい

「外道がッ!」

 

 

俺はそう言い放つと銀竜を突き刺したまま、今度は阿朱羅丸で女型蛇惡鬼(おに)の目を横一文字に斬り裂いた。

 

当然というべきか、目を斬り裂かれた女型蛇惡鬼(おに)は4度目の絶叫を上げる。すると、俺達のいる客間に数十人の女が駆け込んで来た。

 

 

「「「蛇神様!!」」」

 

 

どうやら伊黒家の外道女達は女型蛇惡鬼(おに)を蛇神として信仰しているみたいだ。そして、女型蛇惡鬼(おに)の絶叫を聞きつけ、女型蛇惡鬼(おに)を助ける為、客間にやって来たのだろう。

 

俺達3人を取り囲んだ伊黒家の外道女達の手には、対馬の乗員から奪ったと思しき軍刀や銃が握られている。

 

銃を持った女達が前方を半円状に囲み、軍刀を持った女達が後方を半円状に囲んでいる状態だ。

 

 

へ、蛇神様から離れなさい!!

 

 

銃など撃ったこともない女達が手を震わせながら銃口を向けて来る。ってか、取り囲んだ状態で女型蛇惡鬼(おに)から離れろとか、無理難題にも程がある。

 

俺達は人間であって惡鬼(おに)じゃない。故に血鬼術―――特に鳴女の様な稀少な空間操作系血鬼術を使える訳が無い。

 

 

「こんな取り囲まれた状態で、どうやったら離れられるのか、是非とも教えて貰いたいもんだ。それにこいつが神?違うな。こいつは惡鬼(おに)だ。人喰いの化物だ。

神や仏とは正反対の悪しき妖怪の類だ。まともな人間が信仰するようなもんじゃねぇ。もし、素面でこいつを信仰する奴がいるとするなら、そいつは盗賊や野盗なんかの人を食い物にする外道だ」

 

 

俺がそう告げると、その場にいる伊黒家の人間は、全員が顔を蒼くした。

 

 

「それはそうと、取り囲んだ状態で銃は撃たねぇ方がいいぞ。避けられたら標的の後ろにいる人間に当たっちまうからな」

に、人間が銃弾を避けられる訳ない

「一般人なら避けられないだろうな。俺達は一般人とは掛け離れてるから、避ける必要もないが……。

あっ、念の為言って置くと、弾が標的に当たったとしても、貫通したら後ろの人間に当たっちまうぞ。まぁ、これも少し考えれば分かることだが………」

「……脅せば撃てないとでも思っているのかしら?」

「撃ちたきゃ撃てばいい。てめぇらのちっぽけな常識が壊れるだけだ」

 

 

俺がそう告げると、前方半円状の十数人が銃を構え、引き金に指を掛ける。

 

 

「……ヒュゥゥゥゥ―――全集中、水龍型(ミズチノカタ) 十六式……

 

 

そして、銃声と共に銃身から放たれる十数発の銃弾。迫ってくる銃弾に対して、俺が何をしようとしているのかを理解している氷麗と猩影(しょうえい)は、俺の背後へと下がり、後方半円状に展開している軍刀組へと振り返る。

 

 

〝凪〟

 

 

間合いに入ったものなら純粋な物理攻撃どころか、血鬼術すら斬り裂く防御特化の超神速斬撃結界。

 

迫ってくる十数発の銃弾を、文字通り塵になる程に斬り裂けるのは、星脈世代(ジェネステラ)の身体能力を有する俺だからこそだろう。

 

もし、他の奴がやったとしたら銃弾を弾くか、斬り裂いて逸らすのが限界だろう。だがその場合、弾いたり逸らした先にいる者が負傷することになる。

 

ぶっちゃけ、外道一族が負傷して死んだとしても、一切心は痛まんのだが、できれば無傷で確保し、帝国軍に引き渡したい、という思惑が俺にはあった。

 

この後、発砲した銃弾が消失したように見えたであろう外道女共が、呆けている隙に阿朱羅丸を女型蛇惡鬼(おに)の頸にブッ刺した。

 

そして、それと同時に水龍型(ミズチノカタ) 四式〝流流舞い〟の流水の様な歩法で外道女共に近付き、最速の掌底で顎の先端や後頭部を打ち、意識を刈り取っていった。

 

ちなみに、顎や後頭部を打って意識を刈り取る、もしくは一時的に運動神経を麻痺させる技術は、前世で読んだことのある「エア・ギア」というハイスピードストリートアクション漫画に登場していた技術を模倣したもんだ。

 

伊黒一族(外道女共)が女型蛇惡鬼(おに)と共生していることは、原作で知ってたからな。小芭内イベントで敵対する可能性も最初から想定していた。

 

で、人間限定で相手を無力化させるのに最も有効的な技術として思い出したのが、「エア・ギア」で〝時〟と呼ばれる技術だった訳だ。

 

俺の場合、星脈世代(ジェネステラ)の身体能力のせいで、人間相手に使う場合は相当手加減しなければいけないんだが、その力加減さえ覚えれば色々と便利な技術だ。

 

ぶっちゃけ、この〝時〟は近接戦なら上弦の参――猗窩座に有効な技術とすら思っている。この〝時〟には、体の動作の基点に蹴りや平手で繰り出し、動き出しを止める技術も含まれてるからな。

 

閑話休題。俺達を囲んでいる外道女共の半分を俺が無力化し、残りの半分(軍刀持ち)は氷麗と猩影が無力化した。

 

その後、沖合で待機している新高へ連絡役を猩影が務め、俺と氷麗は伊黒一族(外道女共)を拘束。(屋敷内を物色し、縄や紐、帯を利用)

 

女型蛇惡鬼(おに)?あいつは嚇刀と阿朱羅丸が刺さった状態の上から、更に氷麗が鬼滅装備をブッ刺したことで、通常より短い時間で消滅した。

 

新高が港に入港し、海兵が到着すると伊黒本家の武家屋敷は家宅捜索が行われ、対馬の消息不明に関与した物的証拠(乗員の遺品など)を粗方発見し終えると、伊黒一族(外道女共)を捕縛し、本土へと連れて行くことになった。

 

帝国陸海軍で惡鬼(おに)の存在を知らされているのは、基本的に尉官以上の士官である為、表向きには今回の事件を起こしたのは伊黒一族(外道女共)ということになるだろう。

 

ちなみに伊黒本家の地下座敷牢に入れられていた伊黒小芭内は、俺と氷麗、猩影、海兵で惡鬼(おに)の存在を知っている佐官で発見。

 

座敷牢で監禁されていたことから、対馬の件に関与していないと判断され、伊黒小芭内に関しては捕縛ではなく、保護という形で本土まで連れて行くことになった。

 

この世界の伊黒小芭内は運が良かったのか、口を斬り裂かれる前に保護されたので、口元に包帯などは巻かれていなかった。

 

 



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第8話

はい、皆さん。お久しぶりです、こんにちは~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~。

今回も難産で5ヵ月振りの投稿になる大筒木朱菜です。orz

しかも、ルビ込みで今回の総文字数は約4400。orz

今回の話は伊黒小芭内の後日談といった所です。特に深い話でもないので、期待し過ぎないで頂けると助かります。

難産で困ってる間、鬼滅流術技設定を分離させたり、年表の後書きに強さ早見表を書いたりしてみました。
(強さ早見表の鬼殺隊親方様の項目が笑えるかもしれません(笑))

あと、今回の後書きに新アンケートのことを書いておきます。

是非ともあとがきまで読んで見て下さい。


 

 

 

【視点:リクオ】

 

 

 

帝国海軍を巻き込んだ八丈島大量殺人事件――通称:対馬事件から早2ヵ月。

 

惡鬼(おに)の存在を公表できないことから、防護巡洋艦・対馬の乗員は伊黒一族の私利私欲によって殺害されたものとして公表された。

 

犯行に関与した19歳以下の未成年は、一部の例外を除いて集治監に入れられることとなり、20歳以上の成年は犯行が悪質極まりないということもあって、最も軽い刑罰で懲役20年、主犯とされた伊黒本家の者には極刑が下されることになった。

 

未成年組で集治監に入れられなかったのは、事件に関与しようがない乳幼児と事件のことを全く知らなかった童子、座敷地下牢に閉じ込められていた唯一の伊黒本家の人間である伊黒小芭内くらいだ。

 

保護された乳幼児の大半は孤児院へと行くこととなったけど、一部の乳幼児は今回の大捕物に参加した既婚軍人で、子宝に恵まれていない人達の養子として引き取られることとなった。

 

そして、伊黒小芭内がどうなったかというと、帝鬼軍―――というか、鬼滅組で身柄を預かることとなった。

 

帝鬼軍や鬼滅組から身柄を預かるという話を出した訳じゃない。義勇と同じ様に伊黒小芭内と他数名が押し掛けて来たんだ。

 

どうやら保護された中で年長に当たる伊黒小芭内と以下数名の子供達には、事件の詳細が新高の艦長から語られたそうだ。

 

まぁ、両親ともに長期懲役を科されたとなれば、最年長が10代前半であっても、どういった経緯で孤児院に行くことになったのかを話さない訳にはいかなかったのだろう。

 

当然と言うべきなのか、事件の詳細を語るということは、惡鬼(おに)のことを語ることに繋がってしまう訳で、それが伊黒小芭内の押し掛けてきた原因だったりする。

 

押し掛けた理由を簡潔に述べると、「事件に関与していなかったとしても、そんなことは事件の被害者に対して免罪符にもならないので、自分達は鬼狩りという命懸けの職に就くことで罪を償いたい」、といった感じだ。

 

ちなみに押し掛けてきた子供達の中に、原作で伊黒小芭内のことを罵倒したと思しき従姉妹の少女はいなかった。

 

多分、あの従姉妹は本家住まいで事件に関与していて、集治監にでも送られたんだろう。

 

で、鬼滅組本家である奴良組に押し掛けてきた伊黒小芭内を含む良識派伊黒一族年少組は、鬼滅組というか冨岡義勇、胡蝶姉妹と同じく奴良組預かりとなった。

 

元々、原作の伊黒小芭内が得意とする蛇の呼吸水の呼吸から派生した全集中の呼吸術だ。

 

当然というべきなのか、伊黒小芭内は他の呼吸術と比べて水の呼吸の適性率は高い。

 

あっ。ちなみに俺が最近身に付けた特技なんだが、〝透き通る世界〟を使うことで、どの呼吸術と相性のいい肺か見極めることができたりする。

 

この〝透き通る世界〟を使った適性呼吸診断は、帝鬼軍の人員を増やす際に役に立つと思っている。

 

最終的に他の呼吸術もある程度会得させるとは言え、最も威力を発揮させられる呼吸術を真っ先に会得させられる様に采配できるようになるんだからな。

 

というか、伊黒一族は水の呼吸と相性がいい人材ばかりみたいだ。全員が全員、水の呼吸の派生である雪の呼吸花の呼吸と相性のいい肺をしている。

 

押し掛けてきた伊黒年少組は、伊黒小芭内を含めて7人。その内、3人が水の呼吸、2人が花の呼吸、残り2人が雪の呼吸の適性率が高い。

 

本来なら奴良組、雪白一派、桜花組がそれぞれの適性者を預かって育てることになるんだが、婆ちゃんと母さんの鶴の一声で全員奴良組預かりになっちまった。

 

幸いなことに、奴良組には水龍型(ミズチノカタ)の剣士だけでなく、元繚乱隊長であった繚乱型(リョウランノカタ)の剣士と、全ての呼吸術を扱える俺がいるから、それぞれの適性呼吸を問題なく教えられる。

 

叶うことなら、伊黒小芭内を含む良心的な伊黒一族年少組には、義勇や胡蝶姉妹と同じく鬼狩りなんてものに関わって欲しくなかったんだが、今回ばかりは前例の様な無茶振り試験をする訳にもいかない。

 

本人達が外道極まりない一族を恥じ、贖罪として鬼狩りになる覚悟を示している訳だからな。そんな訳で奴良組では良心的伊黒一族(年少組)との共同生活が始まった。

 

当然といえば当然のことなんだが、伊黒年少組が奴良組で暮らすということは、冨岡義勇と伊黒小芭内が共同生活を送るということである。

 

しかも、冨岡義勇が兄弟子で、伊黒小芭内は弟弟子。鬼滅ファンならヤベぇ状況だと思うかもしれない。

 

 

 

――――――――共同生活開始から数日後――――――――

 

 

 

問題など一切発生しなかった。まぁ、普通に考えてこの世界の冨岡義勇と原作世界の冨岡義勇は別人だし、伊黒小芭内も原作世界とは別人だ。

 

この世界の冨岡義勇は姉が死んでいないから、「拙者、不幸でござる」という雰囲気を醸し出すこともない。煉獄杏寿郎や錆兎のような熱血漢でもないが、好印象男子だ。

 

イメージ的には記憶を取り戻した後に炭治郎限定で発揮されていた、さわやか時透無一郎といった所だろうか?

 

爽やか義勇は口下手でも無口でもない上、人にものを教えることに関して天性の才能があるみたいだ。

 

自分が行った修業内容を元に、効率的な修行法―――主に全集中の呼吸術を会得する為、心肺機能を強化する為の鍛錬法を弟妹弟子である胡蝶姉妹や伊黒一族に助言している。

 

俺は全集中の呼吸を無意識にでも使用できる体で生まれ落ちた様なもんだから、心肺機能を強化する鍛錬法なんて、「死ぬ気で有酸素運動しろ。それを繰り返せば、徐々に心肺機能が強くなる」としか言えない。

 

爺も教え方が大雑把で、「兎に角、夜明けから夕暮れまで我武者羅に突っ走り続けろ。最低限の才能があれば、走り続けるだけで1~2年もすれば肺が強くなる」とか言ってたしな。

 

義勇の場合、有酸素運動を行う時に呼吸の律動だけでなく、体の動かし方まで意識して行う様にと、細かく助言を行っている。

 

多分、帝鬼軍現幹部面子でも義勇みたいに丁寧な助言を行える奴は1人も居ないだろう。流石、原作鬼殺隊で歴代最高戦力の水柱に選ばれるだけのことはある。

 

ちなみに型別の呼吸術については、呼吸の緩急等を理解できているから俺でも丁寧に教えられるぞ。

 

まぁ、胡蝶姉妹も伊黒小芭内も、原作鬼殺隊で柱になれるくらいの才能はあるし、あと半年くらい冨岡義勇式有酸素運動をしていたら、全集中の呼吸術を教えられる体質になるだろ。

 

伊黒小芭内以外の伊黒一族に関しては、伊黒小芭内より少し劣りそうだから、体質改善期間は少し長引くかもしれんけど。

 

閑話休題。話の流れを一気に変えることになるが、俺は最近悩んでいることがある。それは現時点での鬼滅流の型式――陰陽五行の派生型を増やすべきかということだ。

 

現状、鬼滅流に存在する型式は俺が編み出した天神型(イザナギノカタ)(そら)の呼吸)と冥神型(イザナミノカタ)黄泉(よみ)の呼吸)、陰陽である天照型(アマテラスノカタ)()の呼吸)と月詠型(ツクヨミノカタ)(つき)の呼吸)。五行である虚空型(オボロノカタ)((かぜ)の呼吸)、焔燃型(カグツチノカタ)(ほのお)の呼吸)、土公型(ドコウノカタ)(いわ)の呼吸)、雷電型(イカヅチノカタ)((かみなり)の呼吸)、水龍型(ミズチノカタ)(みず)の呼吸)。

 

そして、五行から派生した氷輪型(ヒョウリンノカタ)(ゆき)の呼吸)、繚乱型(リョウランノカタ)(はな)の呼吸)、宿儺型(スクナノカタ)(かすみ)の呼吸)の合計で11しか存在しない。

 

伊黒小芭内なんかが代表的な例になるが、水龍型(ミズチノカタ)との相性がいいと言っても、最も相性がいい型式は原作で自身が編み出していた(へび)の呼吸ということになる。

 

会得率の最大値を数値化するとしたら、伊黒小芭内は(へび)の呼吸を120%、水龍型(ミズチノカタ)は110~115%といった所だろう。

 

鍛錬次第で120%の会得率に到達できるかも知れない型式があるのに、それを作ってやらないのは上司として如何なものだろうか?

 

そんな訳で俺が天神型(イザナギノカタ)秘剣としている術技のいくつかを、五行の呼吸術をベースとして使い易く改良し、五行の派生型として生み出そうかと思っている訳だ。

 

例えば、水龍型(ミズチノカタ)の派生として新しく生み出すのは、大蛇型(オロチノカタ)(へび)の呼吸)、常世型(トコヨノカタ)(むし)の呼吸)、水波型(ミヅハノカタ)(あめ)の呼吸)etcetcだな。

 

念の為説明しておくと、水波型(ミヅハノカタ)は「家庭教師ヒットマンREBORN!」の時雨蒼燕流だ。

 

天神型(イザナギノカタ)龍の秘剣としている飛天御剣流も、雷電型(イカヅチノカタ)の派生として、飛天型(ヒテンノカタ)(りゅう)の呼吸)にするのもいいかもしれない。

 

流石にを多く作り過ぎると、全て会得しろとか無茶振り過ぎるだろうから、一般隊員は自分が得意とする以外で、五行は最低でも二式まで会得、陰陽と派生型はどれか1つを最低でも二式まで会得。

 

副官補佐以上の幹部隊員は自分が得意とする以外で、五行は六式まで会得。陰陽と派生型は2つ以上を最低でも三式まで会得、という規則にしよう。

 

どこぞの下駄帽子も「戦いなんて敗けたら死ぬ。死なない為に死ぬ程準備するなんて皆やってること」って言ってたし。

 

俺だけでなく、一般隊員が我流で生み出すであろう型式のことも考えると、全ての型式を完全に会得しろというより優しい規則な筈だから、問題は無いだろう。

 

以前までの規則では、一般隊員が自分の得意とする以外は、陰陽五行と派生型の全てを二式まで会得。

 

隊長と副隊長は自分の得意とする以外は、陰陽五行と派生型の全てを四式まで会得だったからな。

 

隊長と副隊長は会得するの数が増えたが、陰陽と派生型を選択式にしたから、総合的に考えれば鍛錬の負担が格段に軽くなっている筈だ。

 

俺を除いて天照型(アマテラスノカタ)は、隊長格でも呼吸術すら会得できている者がいないからな。

 

あと1ヵ月もせずに年が明け、明治40年を迎える。明治40年に起きる主な出来事は錆兎の鬼殺隊最終選別と不死川家事件だ。

 

不死川家事件は鬼舞辻無惨と接触する可能性があるから論外だが、最終選別への介入は鬼滅流の会得率次第では義勇を連れて行ってもいいかもしれない。

 

所謂、帝鬼軍入りの仮免試験みたいなもんだ。今の義勇の実力を考えれば最終選別が行われる頃には、鬼殺隊でいう所の丙か丁相当の実力にはなっているだろうからな。

 

 




今回の最新話投稿と共に新しいアンケートを作りました。

1つ目は次話の更新内容についてです。

次話の内容を錆兎か実弥か桃の登場回にするかで迷ってます。是非ともご協力お願いします。

あと、鬼滅流術技設定―陰陽五行― と 鬼滅流術技設定―派生型式―の最後にも1つずつアンケートを用意してます。

1つは錆兎の日輪刀の色がどう変化するかのアンケートです。錆兎は性格が煉獄さんに似ているので、炎の呼吸の適性もありそうなので、アンケートを取ることにしました。

もう1つは同じ理由で真菰の日輪刀の色がどう変化するかのアンケートです。良ければ両方ともご協力をお願いします。

それと、活動報告で鬼滅流の型式募集を行おうかと思ってます。詳しくは活動報告を確認してください。


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明治コソコソ話集

前回、鬼滅流術技設定を陰陽五行と派生型で分離させる為、割り込み投稿した所、何故か7話が消滅し、8話が2つ投稿されている状態になっていた。

あれは一体なんだったんだろう?(もしかしたら、キンクリのスタンド攻撃でも受けたかな?)


 

 

明治コソコソ話①

「リクオが生まれた時、産声を上げながら全集中の呼吸を使っていたので、奴良鯉彪・奴良鯉伴・奴良乙女の3人は大変驚いていた(リクオは無意識に使っていた)」

 

明治コソコソ話②

氷麗(つらら)は6歳の頃、リクオが生まれた時から全集中の呼吸を使っていた話を雪麗(せつら)から聞かされて、リクオに嫉妬の感情を抱いていた」

 

明治コソコソ話③

「牛鬼と雪麗(せつら)を除いた鯉彪世代の幹部メンバーは、6歳のリクオにボコボコにされて、心が折れかけたことがある」

 

明治コソコソ話④

「リクオは創作物の剣技を再現するのに普通の日本刀を使って、惡鬼(おに)を練習台にしていたことがある(朝日が昇るまで死ぬに死ねないので、惡鬼(おに)にとってはただの拷問でしかなかった)」

 

明治コソコソ話⑤

「リクオが鬼滅流の型式を1日で全て使えるようになった時、幹部メンバーは鬼滅組の文献に残されていた継国縁壱の生まれ変わりだと思っていた」

 

明治コソコソ話⑥

「リクオ世代の帝鬼軍隊員は、リクオのことを“強いけど、人にものを教えるのが割と下手”と思っている」

 

明治コソコソ話⑦

「黒田安慈と山吹乙音は実は恋仲だったりする(鯉伴と乙女が結婚後に恋仲になるが、誰にもばれていない)」

 

明治コソコソ話⑧

「実は狗神刑部と及川雪麗(せつら)は40代で帝鬼軍を引退したいと思っている。(全盛期と比べて徐々に体が衰えていることに気付いている為)」

 

明治コソコソ話⑨

「栗花落カナヲの実両親は、鬼滅組系列の金貸しに多額の借金がある。(リクオはまだ気付いていない)」

 

明治コソコソ話⑩

「この世界の胡蝶しのぶは、全集中・常中と鬼滅装備の能力を併用すれば、14歳の時点で惡鬼(おに)の頸を断ち斬ることができる」

 

明治コソコソ話⑪

「帝鬼軍軍医である薬師(やくし)(ぜん)は、戦国時代の痣者の死亡理由を、短期間(10年以下)しか全集中・常中を行っていない――――本当の意味で全集中の呼吸に慣れていない体で痣に覚醒した為、反動で死亡したのではないか、と考察している。

(つまり、長期間の全集中・常中で体が全集中の呼吸に慣れていれば、痣に覚醒しても死なないのではないか?と考えている)」

 

明治コソコソ話⑫

「胡蝶家事件から対馬事件の間に、リクオは5体の惡鬼(おに)を――天神型(イザナギノカタ) 北斗ノ秘拳奥義〝残悔積歩拳〟で日陰から日向に強制移動させ、焼き殺したりしている(ちなみに焼き殺された鬼の1体の名前はアミ――)」




前回の後書きでも書きましたが、アンケートを絶賛実施中です。

内容は本編9話の内容を読者に決めてもらうものです。

あと鬼滅流術技設定―陰陽五行― と 鬼滅流術技設定―派生型式―の最後にも1つずつアンケートを用意してます。

1つは錆兎の日輪刀の色がどう変化するか、というものです。

1を選ぶと刀身が青。
2を選ぶと刀身が赤。
3を選ぶと刀身が黄。

となります。
(別に2と3を選んでも水の呼吸が使えなくなるわけではありません。ただ、2の刀身で水の呼吸を使えば、夕焼けに染まった赤い川のようなエフェクト表現になるとでも思って下さい)

もう1つは同じ理由で真菰の日輪刀の色がどう変化するか、というものです。

1を選ぶと刀身が青。
2を選ぶと刀身が黄。
3を選ぶと刀身が桜。

となります。
(こちらも別に2と3を選んだ所で水の呼吸が使えなくなるわけではありません。ただ、3の刀身で水の呼吸を使えば、水流エフェクトに散った桜の花弁のエフェクトが追加される程度に考えて下さい)


良ければ両方ともご協力をお願いします。(ただし、感想にアンケートの答えは書かないでください。必ずアンケート項目の投票で回答をお願いいたします)

それと、活動報告で鬼滅流の型式募集を行ってます。詳しくは活動報告を確認してください。


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第9話

はい、皆さん。お久しぶりです、こんにちは~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~。

今回は割と早めの約1ヵ月振りの投稿になる大筒木朱菜です。

今回はルビ込みで総文字数は約5500。そして、活躍的な意味で義勇メイン、錆兎サブ、リクオ解説な回です(笑)

ちょっと長くなりそうなので、義勇の仮免試験編は前後編に分けて投稿することにしました。

ちなみに、今回の話を執筆する時、8割近くは精霊幻想記のEDを聴きながら執筆してました。

精霊幻想記のED、いいですよね。

今回もあとがきまで付き合って頂けると、嬉しいです。


 

 

 

【視点:奴良リクオ】

 

 

 

明治40年3月某日。義勇が鬼滅流を教わり始めて数えで2年が経った。時系列的には約1ヶ月後に、鱗滝一門の錆兎が参加する鬼殺隊最終選別が行われる頃だ。

 

ちなみに現時点で義勇は、水龍型(ミズチノカタ) 一式~十三式、繚乱型(リョウランノカタ) 一式~六式、氷輪型(ヒョウリンノカタ) 一式~五式、焔燃型(カグツチノカタ) 一式~六式、雷電型(イカヅチノカタ) 一式~四式、虚空型(オボロノカタ) 一式~三式、土公型(ドコウノカタ) 一式~三式、宿儺型(スクナノカタ) 一式~四式ができるようになった。

 

術技精度は鬼殺隊隊士で換算すると水龍型(ミズチノカタ)が丙相当。繚乱型(リョウランノカタ)氷輪型(ヒョウリンノカタ)が丁相当。焔燃型(カグツチノカタ)雷電型(イカヅチノカタ)宿儺型(スクナノカタ)が己相当。虚空型(オボロノカタ)土公型(ドコウノカタ)が庚相当といったところだろうか?

 

取り敢えず、水龍型(ミズチノカタ)に関しては鬼殺隊式水の呼吸より3つも術技を多く使える上、全集中・常中にも至っているから今期最終選別に参加する鬼殺隊士候補生で最強と思しき錆兎より、うちの義勇の方が強いだろう。

 

本来なら正規の帝鬼軍隊員になるまで鬼狩りには参加させない方針なんだが、俺が付き添うことを前提に藤襲山で仮免試験を行うことを爺と隊長格に相談してみるか。

 

…………相談した結果、俺が付き添うなら問題なしということで、藤襲山での帝鬼軍仮入隊試験の実施があっさりと許可された。

 

というか、俺が話を持って行く前から爺が鬼滅組お抱えの刀鍛冶に、義勇の日輪刀を作らせていたことが判明。俺と爺の訓練という名の私闘が発生した。

 

爺は義勇のことを余程気に入っているのか、義勇の日輪刀の柄を奴良組組長が代々継承している水刀・銀竜と同じ形状にしていたくらいだ。

 

まぁ、刀身は一般的な大刀の長さだったけどな。ちなみに義勇が日輪刀を抜刀した時に変化した刀身の色が何色かというと、原作の様な青色では青紫銀(せいしぎん)だった。

 

多分、この色になったのは水の呼吸の青と雪の呼吸の銀、花の呼吸の桜が混ざり合っているからかもしれない。

 

閑話休題。約1ヶ月という時間は、あっという間に過ぎてしまうもので、鬼殺隊最終選別までに義勇ができたことは、少しでも全集中の呼吸の精度を上げる態度だった。

 

会得できていない式を教えたとしても、1ヶ月程度じゃ付け焼刃にしかならんからな。呼吸の精度を上げて、会得済みの型式の反復練習をさせて、術技精度を上げるのが効率的だ。

 

そして、ついに迎えた義勇の帝鬼軍仮入隊試験当日。俺と義勇は鬼殺隊最終選別が行われる藤襲山に、入隊希望者が入山するより1時間程早く裏山から不法侵入した。

 

よくよく考えると、今日の俺は帝鬼軍の軍服ではなく着流しで、義勇の格好も一般的な袴姿だったから、鬼殺隊入隊希望者の振りをして表から入山できたかもしれない。

 

原作でも育手の指導を受けた訳でも無い伊之助が最終選別を受けられていたことから、育手が鬼殺隊に弟子の入隊願書を送付している訳でも無さそうだし、鬼殺隊入隊希望者に混ざっていてもバレなかっただろう。

 

閑話休題。藤の花が咲き乱れている藤襲山の中腹を越え、100mも進まない内に雑魚惡鬼(おに)はあっさりと現れた。

 

某国民的RPG風の出現描写をするなら、雑魚惡鬼(おに)の群れが現れた、といった所だろうか?まさか、一気に5体も現れてくれるとは、大盤振る舞いといった所か?

 

 

「てめぇら、余所に行け!この餓鬼共は俺の獲物だ!!」

「あ゛ぁ゛!?最初に見つけたのは俺だ!!俺の獲物だ!!!」

「何言ってんだ!最初に餓鬼共の匂いに気付いたのは俺だ!!」

「寝言は寝て言え!!餓鬼共の音に最初に気付いたのは俺だ!!」

「雑魚が喚くな!全員失せろ!!」

 

 

で、雑魚悪鬼(オニ)どもは予想通りともいえる喧嘩を始めた。ってか、惡鬼(おに)の中にもかまぼこ隊+αみたいに五感が鋭い奴がいるんだな。そんな個体は初めて会った。

 

 

「義勇。お前が血反吐を吐きながら身に付けたものを俺に見せて見ろ」

 

 

目の前で言い争う雑魚惡鬼(おに)を無視し、俺がそう告げると義勇は無言で自分の日輪刀を抜刀した。そして、全集中の呼吸術でヒュゥゥゥゥと息を吸い込み、雑魚惡鬼(おに)達に向かって駆け出した。

 

 

「……鬼滅流―――全集中、水龍型(ミズチノカタ) 四式〝流流舞い〟

 

 

言い争いをしていた雑魚惡鬼(おに)共は、義勇の〝流流舞い〟で首を簡単に斬り落とされ、間抜け面を晒したまま塵となって消えた。

 

 

「……流麗な〝流流舞い〟だったぞ」

「ありがとうございます」

「だが、今の惡鬼(おに)共は鬼狩りを前に言い争いをする様な三流以下の雑魚惡鬼(おに)だ。

藤襲山の惡鬼(おに)が鬼殺隊に捕獲される雑魚惡鬼(おに)ばかりとはいえ、全てが三流以下とは限らん。油断して足下が掬われないようにしろ」

「はい。勝って兜の緒を締める気持ちを忘れず、今回の試験を乗り切ります」

 

 

義勇はそう言い終えると日輪刀を納刀し、移動を開始する。俺は義勇が命の危機に瀕しない限り手を出す気が無いので、義勇の後ろから付いて行くだけだ。

 

この後、初日だけで義勇は10体の雑魚惡鬼(おに)と遭遇することになるが――――

 

 

「―――全集中、焔燃型(カグツチノカタ) 五式〝紅蓮旋〟

ギャアアアアアアアァァァァァァ!!!

「―――全集中、氷輪型(ヒョウリンノカタ) 二式〝夢氷月天〟

ギャアアアアアアアァァァァァァ!!!

「―――全集中、繚乱型(リョウランノカタ) 四式〝紅花衣〟

ギャアアアアアアアァァァァァァ!!!

「―――全集中、土公型(ドコウノカタ) 三式〝磐裂根裂〟

ギャアアアアアアアァァァァァァ!!!

「―――全集中、虚空型(オボロノカタ) 一式〝影縫〟

ギャアアアアアアアァァァァァァ!!!

「―――全集中、宿儺型(スクナノカタ) 四式〝移流斬り〟

ギャアアアアアアアァァァァァァ!!!

「―――全集中、雷電型(イカヅチノカタ) 二式〝霹靂一閃〟

ギャアアアアアアアァァァァァァ!!!

「―――全集中、焔燃型(カグツチノカタ) 四式〝気炎万象〟

ギャアアアアアアアァァァァァァ!!!

「―――全集中、繚乱型(リョウランノカタ) 六式・改〝渦桃・流流〟

ギャアアアアアアアァァァァァァ!!!

「―――全集中、宿儺型(スクナノカタ) 一式・改〝垂天遠霞・虎穿〟

ギャアアアアアアアァァァァァァ!!!

 

 

義勇は危な気がないどころか、繚乱型(リョウランノカタ)〝渦桃〟水龍型(ミズチノカタ)〝流流舞い〟を組み合わせたり、宿儺型(スクナノカタ)〝垂天遠霞〟天神型(イザナギノカタ)〝虎穿〟を組み合わせたりしていた。

 

まぁ、天神型(イザナギノカタ)の中でも〝虎穿〟は他の呼吸術でも使い易い上、刺突技との相性が抜群なので、突き技を使う時は併用するのは分からんでもないけど。

 

これ、もしかしたら現時点で義勇の技量は鬼殺隊換算で甲隊士相当かもしれん。俺がそんなことを考えていると、目の前の義勇がいきなり駆け出した。

 

さっきまで場所を移動する時に駆け出すことの無かった義勇が、いきなり駆け出したことで少し驚いたが、俺はその理由にすぐ思い至ることができた。

 

恐らく、義勇は鬼殺隊入隊希望者が雑魚惡鬼(おに)に襲われているのにでも気付いたのだろう。だが、1つ腑に落ちないことがある。

 

かまぼこ隊+α程ではないとはいえ、阿朱羅丸のお陰で五感が強化されている俺より早く義勇が感知できたことが謎過ぎる。

 

もしかして、鬼滅流の鍛錬の過程で義勇の五感のどれかが、かまぼこ隊+αの域まで覚醒したとでもいうのか?

 

………まぁ、それはさて置き、義勇と共に現場に到着すると、俺の予想は殆ど当たっていた。違った点は相手が雑魚惡鬼(おに)ではなく異形惡鬼(おに)だったという点だけだ。

 

 

「9…。10…。11…。お前で12人目だ」

「………何の話をしている?」

 

 

狐の仮面をした宍色の髪の少年が、無数の手で巨体を形成している異形惡鬼(おに)の手をいくつか斬り落とし、呼吸を整える為に異形惡鬼(おに)から距離を取った瞬間、異形惡鬼(おに)が何かを語り始めた。

 

 

「俺が今まで喰らったお前の兄弟子、姉弟子の数だ。俺は鱗滝の弟子は例外なく喰い殺すと決めてるんだ。

まぁ、今まで喰った奴らは大して強くも無かったが、お前はそこそこに強いから喰ったら俺の糧になれるかもしれん。誇っていいぞ」

 

 

異形とはいえ、血鬼術も使えず藤襲山にぶち込まれた囚人もどきな雑魚惡鬼(おに)が、随分上から目線で語っている。

 

あと、その程度の煽りでは煽柱や十二煽月にもなれんぞ。その程度の煽りに釣られるのは、感情を制御できない未熟者だけだ。

 

まぁ、俺と義勇の視線の先にいる宍色の髪の少年―――錆兎は、煽り耐性が極低のようで、超喰い付いてるんだけどな。

 

ってか、鱗滝スキーは鱗滝煽り耐性が極低なのがデフォなのかもしれん。青筋立てながら、常中もできん癖に凄くヒュゥゥゥゥ、ヒュゥゥゥゥと呼吸しとる。

 

異形惡鬼(おに)―――手鬼が平成以降の釣師なら、獲物が餌に喰い付き過ぎて、歓喜の「フィッシュ・オォォォォォォォンッッッッ」を絶叫してるかもしれんな。

 

 

「全集中!水の呼吸!!」

 

 

ブチギレ状態の錆兎は深く息を吸うと、手鬼に向かって駆け出し始めた。そして、手鬼が繰り出す無数の手に対して、体を回転させた斬撃を繰り出し次々と斬り裂いて行く。

 

 

拾ノ型!〝生生流転〟!!

 

 

手鬼の繰り出す無数の手を斬り裂きながら間合いを詰め、巨体な手鬼の首を狙う為に跳躍し、複数の手に覆われている首目掛けて最後の斬撃を放つ。

 

普通ならこの斬撃で手鬼の首は斬り落とされ、鱗滝一門の無念は晴らされていたんだろう。だが――――

 

 

「………えっ?」

 

 

錆兎の日輪刀は、首を守っている腕にその刃を喰い込ませることなく、パキンというカッターの刃を折る様な軽やかな音と共に折れてしまった。

 

そして、呆け面を晒している錆兎に対して、手鬼はニヤケ面を晒しながら拳を放とうとする。原作なら錆兎はこの手鬼の拳で頭を潰され死亡する。

 

だが、この世界では錆兎の死の運命は覆された。俺の手ではなく、原作で親友となる筈だった義勇の手によって。俺より早く義勇が動いたんだ。

 

 

「……鬼滅流―――全集中、水龍型(ミズチノカタ) 二式・改〝水車一閃〟!!

 

 

義勇は雷電型(イカヅチノカタ)〝霹靂一閃〟水龍型(ミズチノカタ)〝水車〟を組み合わせた技で、手鬼の拳が錆兎に届くより早く斬り飛ばした。

 

俺は義勇の乱入に意識が向いて、体勢を崩している錆兎を脇に抱える形で回収し、〝縮地〟で手鬼の間合いの外に移動する。

 

 

「……鬼滅流―――全集中、水龍型(ミズチノカタ) 一式・改〝水面一閃・十二連〟!!

 

 

納刀状態ではなく抜刀状態から繰り出す、水龍型(ミズチノカタ)雷電型(イカヅチノカタ)を組み合わせた技――〝水面一閃〟を12連続で使用する義勇。

 

地面だけでなく、周りに生えている木の幹も足場にして高速移動を繰り返し、手鬼の身体を斬り刻んで行く。

 

 

「な、何だ!?お前らは何者だ!!?」

「日輪刀を持ってるんだから、鬼狩りに決まってんだろ」

「リクオ様、俺は見習いです」

「いや、経験が足りないだけで実力的にはお前も十分正規の鬼狩りで通じるからな」

 

 

手鬼の質問に対して俺が律儀に答えると、義勇も律儀に自分の立場を言い直し、俺は義勇に対しての評価を口にした。

 

そんな遣り取りをしている間も手鬼は、こそこそと何かをしているみたいで、地面から不愉快極まりない腐臭が漂ってきた。

 

地面の異常を義勇も感知していたみたいで、俺が銀龍を抜刀し、義勇と背中を合わせる様にして上段の構えを取ると、義勇も上段の構えを取った。

 

そして、地面が少し盛り上がると同時に俺と義勇は、ほんの僅かなズレも無く地面に向かって技を放つ。

 

 

「「……鬼滅流―――全集中、水龍型(ミズチノカタ) 十式〝滝壺〟!!」」

 

 

地面から俺達に迫っていた手鬼の腕は、俺と義勇の〝滝壺〟の衝撃で地面諸共消し飛び、俺達の立っていた場所には深さ数十cm直径数mのクレーターが出来上がった。

 

人間の繰り出す剣撃でクレーターができると思っていなかったのか、手鬼と錆兎は目玉が飛び出しそうな程に目を見開いていた。




明治コソコソ話
「冨岡義勇が焔燃型(カグツチノカタ)を使用した時の炎のエフェクトは青紫銀(せいしぎん)だし、繚乱型(リョウランノカタ)を使った時の花の色も青紫銀(せいしぎん)だったりする」




今回も新しいアンケートは用意してます。
アンケート内容は次話の見せ場である手鬼のとどめを誰が刺すかです。ご協力頂けると嬉しいです。

あと錆兎と真菰の日輪刀の色アンケートも継続して行っています。
錆兎の方は9月末日で締め切るつもりですが、真菰は暫く続けようと思います。

ちなみに錆兎&真菰アンケートを分かり易く記載します。

錆兎の日輪刀の色がどう変化するか?

1を選ぶと刀身が青。
2を選ぶと刀身が赤。
3を選ぶと刀身が黄。

(別に2と3を選んでも水の呼吸が使えなくなるわけではありません。ただ、2の刀身で水の呼吸を使えば、夕焼けに染まった赤い川のようなエフェクト表現になるとでも思って下さい)

真菰の日輪刀の色がどう変化するか?

1を選ぶと刀身が青。
2を選ぶと刀身が黄。
3を選ぶと刀身が桜。

(こちらも別に2と3を選んだ所で水の呼吸が使えなくなるわけではありません。ただ、3の刀身で水の呼吸を使えば、水流エフェクトに散った桜の花弁のエフェクトが追加される程度に考えて下さい)


錆兎アンケートはキャラ設定~鬼滅流術技設定―陰陽五行―で行ってます。
真菰アンケートは鬼滅流術技設定―派生型―~年表&年齢設定&強さ表で行ってます。

あと、活動報告では鬼滅流術技募集も行ってます。興味のある方は是非とも立ち寄って見て下さい。

では、次回もお楽しみに!読んで頂き、ありがとうございました!!



追記

手鬼のとどめに関するアンケートで3つ目が記載ミスで

冨岡義勇&冨岡義勇(強化型)

となっていたので新しくアンケートを作り直しました。

ちなみに3つ目は

錆兎&冨岡義勇(強化型)

が正解です。

紛らわしくして申し訳ありませんでした。

既に投票済みだった4名様分は作り直したアンケートに反映させて頂いてます。


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