終わりのラブウォッチ (ルシフェル)
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前編

どうもお久しぶりの方はお久しぶりです
初めましての方は初めましてルシフェルです

今回自分の好きな終わりのセラフというジャンプSQに連載されている漫画の小説を書きました
原作は鏡貴也(代表作、伝説の勇者の伝説など)、漫画は山本ヤマト(代表作、紅など)、コンテ構成は降矢大輔(代表作、紅など)という陣営の構成で個人的にかなり良作だと思いました

そんな中で女の子が可愛かったのでこんな作品を書いちゃいましたw

ちなみに小説版もあるのですがそちらは読んでませんのであしからず

一応連載小説としてますが前中後編の3部構成となっております
もうすべて書き終わっているので明日の6時、明日の18時で終わりです

では書いたのは久しぶりなのでいたらない部分等ありますがよろしくお願いします


弘樹(ひろき)。そっちにいったぞ!」

 

「わかってるっ、よ!」

 

 白夜優一郎に言われた方向に人間みたいだが明らかに人とは違う生物――吸血鬼がいる。

 吸血鬼に弘樹は手持ちの武器、短刀型武器阿須波(あすは)で相手の間合いを計りながら壁際に追い詰める。

 

「この家畜どもがあぁぁぁ!!」

 

 吸血鬼は片腕を落としており、追い詰められているのが最後の反撃とばかりに壁を足で勢いよく蹴り弘樹の方に噛み付こうとしてきた。

 

「しまっ!」

 

 予期していた反撃ではあるが、弘樹は相手のスピードを予測し間違えていた。

 迎撃ではなく、とっさの判断で防御の構えを取ろうとする、が

 

「はい、減点ですね」

 

 建物の屋根からだろうか。

 上から落ちてきた少女、柊シノアは自分の鬼呪装備である四鎌童子を使い先ほどの吸血鬼を体を引き裂き一撃で殺し、綺麗に着地した。

 

「こんな弱い吸血鬼に反撃を許すようではまだまだですよ」

 

「うっ、俺だってこれから強くなるし……」

 

 最初から吸血鬼など興味なく、シノアは弘樹たちを見て何やら評価していたようだ。

 飄々とした感じで話すシノアだが、こんなところで人間たちの見張りをしているやつらは下っ端でしかない。

 

「まあ強くなるまで訓練しかないな」

 

「あなたもですよ。あそこで敵をしとめていたら、弘樹に手をわずらわせることもなかったんですから」

 

「厳しいな、おい……」

 

 そこから二人は軍のことについて話し始める。

 シノアは先ほどから優一郎をからかうように話し込んでいる。

 他の人、ましてや優一郎にはわからないだろうが話しているにはとても嬉しそうだ。

 ――そう、それはどこか女の子のような顔をしていた。

 

 弘樹は二人が話しているのを横目でうかがっているが、それには嫉妬や羨望の目を向けているわけではない。

 むしろ逆の感情があった。

 

(嬉しそうに話すシノアたんきゃわわっ!)

 

 弘樹もなぜか心の中でとても喜んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オッス、オラ藤堂(とうどう)弘樹(ひろき)

 に所属しているただの16歳だぜ!

 ……なんかすまんかった。

 と言ってもいうことないんだよなぁ。

 あ、ありのまま起こった事を話すぜ!

 俺は元の世界?で死んだと思ったらいつの間にか漫画だった『終わりのセラフ』の世界に来ていたんだ。

 な、何を言ってるのか(ry

 ということで俺は死んだらこの世界に転生していたみたいなんだよな。

 ここにいる人たちも名前や姿も変わらない。

 いやー輪廻転生って実際あるんだね。

 よく小説とかでは聞くけど、現実しかも自身で体験しちゃうとは。

 もちろん初めてここに来たときは驚いたよ。

 当時は転生なんて理解も追いつかないときにいきなりヨハネの4騎士に襲われそうになってさ。

 でも俺も運が良いか悪いかわかないけど、そのときたまたま月鬼ノ組吸血鬼殲滅部隊優一郎、要するに漫画の世界にいる白夜優一郎や柊シノアのあの部隊に助けてもらったんだよ。

 もうそれはそれは興奮したね!

 転生したってことを忘れるくらいしたよ。

 『終わりのセラフ』は凄く好きな漫画だったし、何よりそこに出てくる登場人物も大好きだったからね。

 そして何より――

 

「うおおお、シノアたん三葉たん可愛いよぉぉぉ!!」

 

 今日も柊シノアことシノアちゃん(たん)、そして三宮三葉こと三葉ちゃん(たん)がとても可愛かった!

 自室で隣に聞こえないように枕に顔を埋めて叫ぶ。

 まああの転生した日からは色々あったけど、なんだかんだで月鬼ノ組の研究生になってついに先週黒鬼シリーズの短刀型武器阿須波(あすは)をゲット!

ゲットできたのは転生して何かあったのかも、と今だとそう思う。

 元々普通の人間だし、何もなかったら適正試験で即落ちだろう。

 

 さらにラッキーなことにシノアたちの部隊に配属されてもう絶頂(ヘブン)状態。

 間近でシノアちゃんや三葉ちゃんも見れるってだけで嬉しすぎた。

 元々二人の女の子キャラはどっちも好きだったからもうやばい。

 このまま死んでもいいよ!

 一回死んだ身だけどね。

 ただ一つ言っておかなければならないことがある。

 

「やっぱり普段より優と話している時が一番輝いているよなぁ」

 

 そう俺が好きなのは優一郎と絡むシノアちゃん及び三葉ちゃんが可愛いのだ。

 よく『○○は俺の嫁』みたいなのがあるが、俺は優とシノアちゃんか三葉がくっ付くのを見たいのだ。

 今はまだ惚れてるっていうところお互い優には見せてないけど、どっちか結ばれればいいなぁ。

 もちろん個人的にはハーレムでもOKだけど。

 実際関わってみてわかったんだが、優とても良いやつだしな。

 ……まあイケメンすぎてミカエラとか与一にももてもてだけどな。

 そっちの方向に行くことはないと信じたい。

 でもやっぱり――

 

「シノアたんかわ――」

 

「おい、時間だぞ」

 

「うおぉぉぉ!! 」

 

「……弘樹どうした?」

 

「いや何でもないよ、うん」

 

 危ねぇ……どんだけピンポイントなタイミングで来るんだよ。

 いやまあさすが主人公ってことだろうけど、ここでそんな力発揮するなよ。

 

「何でもないようには見えないんだけどな……まあいいや。それより訓練行くぞ。早く、慣れろよ。皆弘樹のこと期待しているんだからな」

 

「おう、早く慣れて助けてもらった恩を返すぜ!」

 

「もうそれは良いって言ってるのに」

 

 不信には思われたが誤魔化せたようだ。

 優の期待に添えるようにしっかりと経験していかないとな。

 前回の戦闘のように足を引っ張らないようにしないと。

 この前の戦闘は自分のための実習。

 あれで三回目でちょっとずつ慣れてきた……と思いたいよなぁ。

 実戦一回目は自分の武器の特徴を見るために室内訓練して二回目は外の空気を知るために外で訓練。

 といっても城壁のすぐそばでだけど。

 そして前回はついに外に出て散策。

 下っ端吸血鬼3人組と遭遇して倒した。

 といっても倒したのは優、士方、シノアちゃんだけど。

 俺も初陣を綺麗に飾ろうとしたけど、さすがにまだまだ経験足らなかった。

 本当黒鬼シリーズ持ちは別格の強さだよ。

 そしてついに今回は4回目。

 どこまで行くんだろうか。

 しばらく優についていくと廊下でばったりシノアちゃんに出会った。

 

「あら、お二人さんお揃いの服で仲良しですね」

 

「それはお前もだろ……」

 

「ははは、柊さんも相変わらずですね」 

 

 普段心の中では『シノアちゃん』と呼んでいるが現実では苗字にさん付けだ。

 さすがに上官且つ部隊の先輩にちゃん付けは難易度が高すぎる!

 

「今日はどこで訓練ですか? 今回は原宿まで行きます? 俺がんばりますよ!」

 

 シノアちゃんの前で緊張を誤魔化すように矢継ぎ早に話す。

 

「今回は――室内で訓練ですよ」

 

「えぇ……室内訓練ですか……」

 

「この前はちょっと実際吸血鬼に遭遇してどこまで動けるか見たかっただけですからねー」

 

 室内で訓練。

 前回みたいな捜索はまた今度。

 ちなみに漫画であった新宿奪還の時みたいなのはなかなかないらしい。

 

「まああんなのがしょっちゅうあってもな」

 

「ん、どうかしたのか?」

 

「いや何でもないよ」

 

 しばらく3人で歩いていると室内訓練場につく。

 そこにはすでに他の仲間が出揃っていた。

 

「遅いっ! 規定時間に集まりなさいよ」

 

「いや規定時間ちょうどだろ」

 

「普通5分前には集まっておかないとダメでしょ!」

 

 自分のツインテールを振り回しながら俺達に怒っているのは三宮三葉ちゃんだ。

 つんけんしているが俺達のために怒ってくれている優しい子である。

 本人は隠しているが三葉ちゃんも優のことが好きである。

 

「そんな学校じゃないんだからよ」

 

「いや一応俺達学生だからね?」

 

 まあ学生とは全然違う生活しちゃってるけど。

 

「はいはい、みっちゃんそんなに怒らない」

 

「いやシノアあんたもだからね!?」

 

 シノアちゃんと三葉ちゃんは喧嘩しているようだが、二人は仲は良い。

 原作談では同世代の女の子は珍しいからとのことでやはり自然と仲良くなるのは必然だろう。

 逆に女の子が珍しいのにシノアちゃんと三葉ちゃんを同じ部隊に入れたのはグレンの優しさだろうか?

 もしかしたらもっと上からの命令かもしれないけど。

 

「ほら、くっついてないで訓練始めるわよ!」

 

 三葉ちゃんはシノアちゃんを体から離すと優一郎含めたここのメンバーに声をかけ、訓練を始めた。

 

 今日の俺の対戦相手は早乙女 与一こと与一君。

 この子も関わってみてわかった原作以上に良い子だった。

 今は二人で訓練――しているふりをしてシノアちゃんと優の対戦そして三葉ちゃんを見ている。

 さっきまで遠距離からの攻撃の対処法を教えてもらっていた。

 

「やっぱり、三葉さん優君たちの対戦を見てるね」

 

「与一も柊さんや三宮さんの気持ち知ってるんだ」

 

「優君かっこいいからね」

 

 そして何より聡いというか、絶対優一郎やシノアちゃんたちの関係知ってるみたいだ。

 弱気なキャラだと思ってたけど、そういうところは機敏なんだろうなぁ。

 さっきの発言でわかるようにシノアちゃんたちの思いわかってるみたいだし。

 

 休憩している三葉ちゃん(先ほどまで士方と対戦していた)は優とシノアの対戦を見ている。

 こっちには目もくれないっていうのはよっぽどあれなのだろうか。

 士方は他の部隊の観戦に目を向けている。

 

「まあ確かに。男気に溢れてるし、ちょっと……いや普通に猪突猛進の馬鹿だからほっとけないキャラだし」

 

「はは、弘樹君もなかなか酷いこと言うね」

 

 ……与一自覚はあるんだね。

 あっ、でも与一が知ってるなら。

 

「そうだ、与一今度手伝ってくれない?」

 

「? なんかわからないけど、いいよ」

 

 よしっ、今度の日曜日に……げへへ。

 

「弘樹君ってやっぱり変態だよね」

 

 何か与一に言われた気がするが今は日曜日のことで頭いっぱいだった。

 

 




もはやテンプレ説明回
世界観ってかこの人物がどんな人物なのか説明するだけの回っていっても過言じゃないよなぁ
主人公はもはや変態なのも仕様
弘樹君はシノアちゃんと三葉ちゃんを応援しているがあくまで優との恋路を応援
自分は裏方で恋には参加しない、ちょっと変わった子
もちろんこの応援は隠しているが、与一はばれているような……
ちなみに終わりのセラフのシノア隊の中では最弱
いくら転生者って言っても年季はまだ短いから仕方ないね

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中編

 

 現在街の商店街。

 軍が管理してできた街の中心部だ。

 そんな中俺と与一はある3人を追跡している。

 士方も誘ったんだが「そんなつまらんことに俺を誘うな」って言われた。

 まあ士方はそんなことに興味ないよなぁ。

 

「いや~青春だね~」

 

「本人は泥沼だと思うけどね」

 

 もちろん優とシノアちゃん、三葉ちゃんの3人だ。

 俺と与一はある作戦を考えた。

 そう、3人デートいちゃいちゃ作戦だ!

 作戦名を言ったら与一に「弘樹君名前酷いね」って言われた。

 おい、どういう意味だそれ。

 名前の通りだが、優とシノアちゃん、三葉ちゃん同時にデートをさせたのだ。

 与一には何とか優を誘ってもらい、俺はシノアちゃんと三葉ちゃんにある女性に服をプレゼントしたいからと誘い出す。

 あとは俺と与一それぞれちょっと用事ができちゃった……といって後は偶然を装い3人を引き合わせる。

 古典的だが簡単な作戦だ。

 あとは3人に任せるままだったんだが、三葉ちゃんが「せっかく会ったんだし、どっか行きましょ」とか言って優を無理やり付き合わせた。 

 完全に作戦成功。

 失敗の可能性もあったが、さすが主人公補正が効いてる。

 

「でも優君も両手に花だから他の人たちも羨ましそうに見てるね」

 

「与一も結構楽しんでね?」

 

 三人は商店街を歩いているのだが、周りから注目されている。

 発展した場所だから人は多いし、二人は美人だからだろう。

 てか男の嫉妬心がヤバイ。

 実際には聞こえてないが、リア充爆発しろとか思ってるんだろうな。

 

「優はデートだと思ってないな、あれ。デートなのにシンプルすぎるだろ」

 

「優君服装とか無頓着だろうしねぇ」

 

 優は上は中に白いシャツを着て紺色のジャケット、下は黒のズボン、シンプルだが洗練されたにジャケパンスタイルだ。

 そもそも与一と会う予定でデートってわけでもなかったし、仕方ないが比較的ラフな格好だ。

 

「でも三葉さんは可愛いじゃない」

 

「ああ、可愛いな。もう彼女のセンスがめちゃくちゃ良いよね」

 

 上には可愛らしい水色のミニワンピースを下は黒のショートパンツを履いている。

 何これ可愛い。

 袖が少し長いのか(わざと?)袖が手にかかってるのがポイント高いね!

 これなら注目されるのはわかる。

 ショートパンツなのはもしものため動きやすいようにだろうな。

 さすが軍人。

 

「でシノアさんはシノアさんで……」

 

「ああ、これも凄く可愛いな!」

 

 シノアは黒のキャミソールに白ブラウスを着て、下は灰色の膝下まであるハーフパンツを履いていた。

 これもチョー可愛い。

 やっぱりいつもの制服とは違い二人とも可愛らしさが2割り増しで可愛かった。

 もちろん制服姿が可愛いのは言うまでもない。

 俺であんなにおしゃれして来た二人だったんだからもし最初から相手が優だとわかってたらどうなってたんだろうな。

 優を誘惑するようなあんな服やこんな服を着てきたのかな!

 やべぇ、エロいぜ!

 

「ぐへへ」

 

「変な妄想してないで追いかけるよ」 

 

 あっ、いつの間にか声に出してたみたい。

 まあ聞いてたのは与一だけだしいいか。

 

 ということで優、シノアちゃん、三葉ちゃんのデートに後ろ2人で電柱や看板に隠れながら追跡中。

 今は昼近いからどこか食事できる探している。

 まあ優はとくにこだわりとかないだろうから完全に二人にまかせっきりだろうなぁ。

 

 そう思ってると二人はフレンチとかイタリアンなどを出していたが、二人の意見が上手く合わないようだった。

 

「優全然役に立ってなねぇ……」

 

「優君もそこで何か食べたいものでも出せば簡単に終わるのにね」

 

 最終的には何でも置いているということでランチバイキングに決定したみたいで、最近できたレストランに入っていった。

 

「よし、俺らも潜入するぞ」

 

「やった、弘樹君のおごりだー」

 

「あれ、いつの間に俺がおごることになってるの!?」

 

 与一曰く付き合ってあげてるんだからそれくらいいいでしょ、とのこと。

 くそ……俺の小遣いが……

 てか先輩なんだからむしろおごってくれよ。

 こうなったら絶対優たちのデートを楽しみからな!

 

「……おい。食事時のハプニング全然起きないぞ」

 

「いや、普通に食事してたら起きるわけないからね?」

 

 なん…だと…?

 お口についたのを拭いてあげるとかないのか!

 

「こうなったらこっちから何かしてやる!」

 

「今から?」

 

「……とりあえず腹ごしらえしてからな」

 

「何も考えてなかったんだね……」

 

 腹を減っては戦はできぬっていうしな。

 ご、誤魔化したわけじゃないぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で食事に考えた作戦1つ目をやろうと思う」

 

「あっ、一応考えてたんだね」

 

 失礼な……これでもちっちゃい脳で考えてるんだよ。

 優たちは商店街の店のショーケースを見て回っている。

 シノアちゃんたちは服を見ているあたり女の子らしい。

 可愛い。

 と、そんなことより。

 

「まずは1つ目は単純に『危ない優さん!』作戦だ」

 

「やっぱり弘樹君の作戦名ってあれだよね……名前からわかるけど作戦は?」

 

「ふっ、まずはジャブ程度の作戦だ。優に何かぶつけるつもりで思いっきりぶつける。すると柊さんや三宮さんは優を抱きつくようにして庇うはず! 完璧!」

 

 ど定番だが確実にシノアちゃんたちが優に抱きつける正統な方法だろう。

 

「……でぶつけるものは?」

 

「与一の矢」

 

「それ僕の正体ばれるよね」

 

 なんかちょっと怒り気味に言われた。

 まあそりゃそうか……

 鬼呪装備だなんて普通に使ったら特定されてばれるもんな。

 

「まあそう思って仕方ないから小石でも投げようと思う」

 

「なんかしょぼいね」

 

「仕方ないだろ! 急な企画だったんだから」

 

 肩は特別良いってわけでもないけど悪いってわけでもないからまあいけると思う。

 

「よし、投げるぞ。ただ投げたらすぐ隠れろよ。ばれる可能性があるからな」

 

 ていう間に与一は物陰に隠れていた。

 仕事が早いな、うん。

 

「そりゃっ!」

 

 俺は適当な小石を優に向かって投げると同時に隠れる。

 それ、シノアちゃん三葉ちゃんいけ!

 

『優さんあぶ』

 

 遠くから聞こえた。

 シノアちゃんの声。

 よし、このままシノアちゃんが押し――

 

『あぶねぇ。くそっ、誰だ。石なんか投げたやつわ』

 

 ――って思ってた時期が俺にもありました。

 

「優君さすが反応いいね」

 

「優の身体能力がアダになったか」

 

 ばれないようにビルとビルの間の路地裏に隠れて作戦失敗を悔やむ。

 なんでこの主人公は運動神経がいいんだよ。

 素直にヒロインに押し倒されろよ!

 

「まあ僕は最初から無理だってわかってたけどね」

 

 えぇ、じゃあ最初から言ってよ。

 与一が言うには数撃ちゃ当たる作戦らしい。

 どういう意味だ!

 俺の作戦はどれも酷いのか!?

 ……まあヒロインが気づくようなものを主人公が気づかないわけないよねぇ。

 

「つ、次で名誉挽回だ。次の作戦!」

 

 

 

 

 

 しばらく警戒されていると思うので追跡しながら間を置く。

 今はショッピングモールにいる。

 お目当てはやはり服だ。

 本当女の子と実感できる場所は貴重だと思う。

 この世界殺伐してるからなぁ。

 優は暇そうだ。

 まあ女性の服選びって男性が暇な時間ベスト3には入るもんな……。

 

「優君暇そうだねー。で、ここでは何するの?」

 

「着替え最中のシノアちゃんか三葉ちゃんのところに優を押し倒そうかなっと」

 

「もう単純になってきたね」

 

「くっ、でもこれほどラッキースケベイベントはないだろ。ということでシノアちゃんか三葉ちゃんが着替えが始まったら且つ優に隙があったら……」

 

 って、あっ。

 

『優に隙なんてあるの(か)?』

 

 さっき、小石を後ろ目でもついてるのか?ってくらい簡単にキャッチしたやつに隙なんてあるはずないじゃん!

 

「……作戦失敗」

 

 こら!

 ぼそっ、いったのかもしれんが聞こえてるぞ!

 まだだ、まだ終わらんよ!

 

「何か手は……!」

 

 そうだ!

 

「ちょっと待ってろよ」

 

 5分後。

 

「ということで店員に扮してきた」

 

「うわぁ」

 

 なんか優に可哀想な目を向けられた。

 酷い、完璧に女性店員に化けたのに。

 

「まあ弘樹君がそれでいいならそれでいいよ」

 

 そう言われなくても実行するつもりだ。

 早速ばれないように、手には大きな荷物を抱えて一応顔を隠しながら近づく。

 もちろん優は近づいているのは気づいているが、自分だとわかってない様子。

 ましてや俺だとはわかってないだろう。

 俺の完璧な変装にな!

 ちゃんと鬘やスカートまで履いた俺に隙などないわ!

 そして油断している後ろから……

 

「あっとごめんなさい」

 

 思いっきり優を押して三葉の着替えている最中に押しこむ。

 よし、これで!

 

『ギャァァァ、この変態っ!』

 

 よし、決まった。

 優は下着姿の三葉ちゃんを見てエッチなハプニングが起きたはず。

 完璧だ!

 俺はまた離れ隠れながら優たちの方を見る。

 

『痛てぇ! ちょっと待て、これは事故なんだって!』

 

『うるさい! いくらもう着替えていたとはいえ、入ってくるとかこの変態!』

 

 あ、あれ?

 優は三葉ちゃんに怒られているみたいだ。

 しかしながら三葉ちゃんはカーテンを前回に開けており、服も着ている。

 

「もう着替えちゃってたみたいだね」

 

「着替えるの早すぎる。女の子なんだからもうちょっとゆっくりでもいいのに……」

 

 あれか、消防隊員とか1分以内で着替えないといけないって聞いたことあるし、ここでもそんな感じなんだろな。

 まあ緊急事態とかもあるだろうし。

 

「って、そんな技術今使わんでええやろ!」

 

「弘樹君ばれちゃうよ。あとなんで関西弁?」

 

 大声を出してしまったのでばれないようにしっかりと服と服との間に隠れた。

 思わず関西弁で突っ込んでしまったが、女の子の下着を見てしまうとかラブコメでここ大一番のイベントなんだぞ。

 この気持ちがわかるか……女装までしたのに……

 

「女装ってやっぱり嫌だったんだね」

 

「くそっ、次こそ次こそ!」

 

 次の作戦だ!!

 相手の行動によって作戦が変わるがな!

 

 

 

 

 

「よし、3人は映画に入ったか。じゃあ次の作戦は……」

 

「次の作戦は?」

 

「……どうしたらいいんだ?」

 

 やべぇ、映画の中とか他のお客さんの邪魔になるからイベント起こしにくいぞ。

 3人が雰囲気が良くなって自然と手を繋いでくれるとかならいけるけど……

 洋画がたぶん恋愛ものだから良い雰囲気にはなるのは確実なんだけど、こっちが行動に起こしにくいのがな。

 

「うーん、まあやってみるだけやってみるか」

 

「じゃあ映画に入らないとね。はい、入園料払ってね」

 

「――今月お小遣い足りるかな?」

 

 心は温まっていくけど、懐は寒くなっていく。

 上手いことを言ってもお金は戻ってこないよな。

 




中編且つデート編の前編
オリ主はアホです
ええ、どっかの主人公たちみたいに頭が切れるような方ではないのです
なので作戦もテンプレばかりでどっかで見たことあるような作戦ばかりなのですよ
てか行き当たりばったりな作戦で普通成功する方が凄いんですよ
そう考えるとある程度成功しているオリ主は凄いのでは?
ってなわけないですよねw

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後編

 

「で結果はあれだけだったね」

 

「うっ、うるさい」

 

 結果的にいうと優たちとシノアちゃん、三葉ちゃんの親密度は上がっただろう。

 というのも優が寝ているときに手を勝手に動かし、シノアちゃんと三葉ちゃんの手の上に置いただけである。

 俺は後ろからで見えなかったからわからないが、二人とも真っ赤になって終始映画を見ていたことだろう。

 もちろん優本人もあずかり知らぬところで。

 

 ただ先ほど粋がっていたのにしょぼい作戦だったので、与一も残念そうな目でこっちを見ている。

 確かに与一一人でも簡単にできるような作戦だったけど、これでもがんばったんだよ!

 確かにちょっと微妙だったけどさぁ。

 

「でも確かに仲良くはなっているかもね」

 

 3人がいるカフェの前のバーガー屋で休憩している3人に目を向けるとシノアちゃんと三葉ちゃんの機嫌が良いのだろう。

 明らかに機嫌が良い三葉ちゃんに、分かりづらいがあの笑顔は嬉しいときの顔をしているシノアちゃんと作戦は上手くいっているのだろう。

 優はそんなことわかってないのはお察しの通りだが。

 

「で次の作戦は……」

 

 と作戦を話す前に優たちの方に目を向けるとカフェの店員がコーヒーを運んでいるのが見えた。

 店員に謝りつつ(ショッピングモールで買っておいた)ボールをシュッと投げて足元に投げる。

 こういうときだけ性能がいいのか、見事タイミングよく店員はボールを踏みバランスを崩しコーヒーが優の足にかかった。

 本当は体当たりが良かったんだが仕方ない。

 慌てて店員はナプキンで拭こうとするが、三葉ちゃんがそれをやんわり断り自分が拭いていた。。

 シノアちゃんは何もないように装っているが、ちょっと顔をしかめている。

 出遅れたんだろうなぁ。

 ここから聞こえないが優は自分で拭くみたいなことを言っているのだろうが、三葉ちゃんは拭いてあげていると言って聞かないのだろう。

 優は照れながら三葉ちゃんが拭き終わるのを待っていた。 

 

「僕ってますますいらなくない?」

 

 若干与一が拗ねてしまった。

 素直に謝り機嫌を直してもらう。

 ここまで来ても一人だと不安なのだ。

 共犯者は欲しい。

 巨大パフェの代償と引き換えに。

 ちょっと俺にも食わせろ。

 

 

 

 

 その後も優たち3人はさまざまな場所を回っていった。

 ちょっとしたパワースポットやのんびりとした公園など。

 パワースポットではお守りだろう、優、シノア、三葉の3人分だけでなく俺らのお守りまで買ってきてくれていた。

 やべぇ、超嬉しい。

 嬉しすぎて飛び出しそうになったが与一に腹を殴られ、沈められた。

 漫画の世界だけかと思ってたけど、あんな簡単に沈むもんだとは思わなかった。

 もちろんだかめちゃくちゃ痛かった。

 

 公園ではバカップルだらけの公園だったので、変に意識していた三葉ちゃんの真っ赤な顔に俺は悶えていた。

 もはや与一にこういったことを隠すといったことは一切忘れている。

 与一の顔はもうなんか悲しい目を向けられていたのをあえて意識しなかった。

 優はこの公園でもシノアたちを意識をしていなかった。

 バカップルにうんざりはしてはいたが、隣の子たちにはそういう目を向けないのは鈍感にもほどがあるだろう。

 極めつけは「俺も欲しいけど、今はミカエラを助けないといけないからな……」という呟きだろう。

 いや優隣にすぐにでも彼女にできそうな二人がいますけど?

 てかそんな発言するから腐女子が沸くんだが……

 隣の二人ももはやそれは知っているから悲観的なことにはなっていないが、こういうのは本当どうにかならないものだろうか。

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなで俺らは優たちばれないように必死に隠れながら付いて行き、さらには時々工作をして優と彼女たちを引っ付けるようなこともした。

 昼前に始まったデートはもう夕方になっており、夕食は家で食べるという話なのでそろそろ頃合いだろう。

 帰り道はどうせ一緒だから帰りもデート気分でいるというわけではない。

 デートはデート、女の子にとってデート終了はそれでいったん区切りなのだ。

 このひと時が終われば明日からまたこの世界の戦う女の子に戻るのだろう。

 まあ恋心は持ったままだろうけどね。

 

『もうこんな時間だし帰ろうか』

 

 やっぱり優は切り出したか。

 確かにこれ以上暗くなっていくと夜道は危ないかもしれない。

 一応女の子だし、そこらへんを考慮したのだろう。

 ……あの二人が変質者にやられるタマではないだろうけどさ。

 むしろ過剰防衛くらいしそうだ。 

 

『優さん今日はありがとうございました』

 

 ここでシノアはなぜか優に対してお礼を言っていた。

 急にだったので優は驚いている。

 

『無理やり私たちに付き合ってくれて嬉しかったですよ』

 

『普段こんなことできなかったからとても嬉しかったんだ。……シノアと仲良くできたしな』

 

『ぼそぼそ声でも聞こえてますよ~。もう三葉ちゃんたら可愛いー』

 

『こら引っ付くなっ!』

 

 シノアちゃんも三葉ちゃんもとても楽しめたようだ。

 半ば無理やり感があるデートで、シノアちゃん、三葉ちゃん、それに優それぞれどんな気持ちでいたかわからないが楽しめたのならこちらとしては本望だ。

 3人という変則的なデートでガチなデートではないかもしれないが、デートは本人たちがまず楽しめなければ成功とは言えない。

 そういう意味では3人という緊張しにくいデートだったのは良かったのかもしれない。

 優はデートだとは思っていないだろうがそれでも今回はOKだろう。

シノアちゃんと三葉ちゃんが仲良くなったのも良かったし、ここまで順調だったのなら俺らの作戦がなくても順調だったのではないだろうか。

 

『まあ俺もこんなゆっくりできた日は久しぶりだったし、楽しかったよ。お前らの普段を見れた貴重な日だったしな』

 

『全く、優さんは無意識でそんなこと言うんですから……』

 

『優らしいけどな』

 

『え? 俺なんか変なこと言ったか?』

 

『「何もありませんよ」』

 

 ……本当羨ましいやつだよな。

 こんな美少女二人に言い寄られて全然意識を向けないんだから。

 いくら俺は優に恋しているシノアちゃんたちが好きだからといって悔しいと気持ちがないわけではない。

 やはり優に恋しているシノアちゃんたちが好きだし、応援はしている。

 がそれとこれとは別の話だ。

 本当鈍感って無意識の罪だよな……

 

「弘樹君も大変だね」

 

「まあこれが俺の本望だからな。苦なんて言ってる場合じゃねぇよ」

 

 そう、俺はこれでも現状に満足している。

 なんだってシノアちゃんや三葉ちゃん、それに優に与一や士方が好きなんだ。

 というよりここの人物全員が好きだ。

 そりゃ吸血鬼などは怖かったりするけど、それでも俺は好きだ。

 だから俺は第二の人生をつづける!

 

「さてそろそろお開きにするか。柊さんたちも帰るだろうし――」

 

「何をお開きにするんですか、弘樹さん?」

 

「……おかしな、すぐ後から柊さんの声が聞こえるなぁ」

 

 おかしい、俺の幻聴かシノアちゃんの声が聞こえる。

 与一の方を見ると彼の目の焦点が合っていない。

 暑くもないのに汗もかいている。

 

「おっと私も忘れちゃ困るよ?」

 

 さらには三葉ちゃんの声まで聞こえてきた。

 俺自身の体温が急激に下がった気がしたのもつかの間、後をゆっくりと振り返り先ほど声をかけてきた二人を見る。

 

「……あっ、柊さんに三葉さん、それに優奇遇だな」

 

「誤魔化さなくてもいいですよ」

 

「ストーカーしてたのはとっっっくに気づいていたからな」

 

 二人の女の子の顔は笑っている。

 だけど俺はこんな笑顔を見たことない。

 良い意味ではなく、悪い意味でだ。

 声も力強く、威圧感も感じる。

 優に至っては二人の覇気、というより殺気に遠くから苦笑いだ。

 

「やだなぁストーカーなんて失礼な。尾行と呼んでくださいよ、ハハハ」

 

 やべぇ、引きつった笑いしかできないや。

 

「ああ、一つ言っときますが、感謝してないわけではないですよ。楽しかったのは事実ですし。でもそれとは別ですよね?」

 

 何がとは言わないが、とりあえず感謝してはくれているようだ。

 単純に嬉しい。

 こういう場面でなければ飛びついて嬉し涙を浮かべていたかもしれない。

 今は別の涙を浮かべそうだ。

 

「……ちなみにいつから気づいてたんですか?」

 

 与一が二人に対して聞いていた。

 俺もそれは気になる。

 結構自身でも徹底していたつもりだから、なおさらだろう。

 

「小石を投げたところからだよ」

 

 ――ほとんど最初の方だった。

 三葉が言うには投げるときにはわかっていたようだ。

 

「さすが分隊長たち! 経験が違う! 優秀ですね!」

 

「お褒めありがとうございます」

 

『で言い残すことは?』

 

『……何もありません』

 

 黄昏時、二人の少年の悲鳴がこだましたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 結果報告:

 優とヒロイン二人の好感度アップ成功

 ヒロインたちと自分親密度アップ

 代償として与一、弘樹両名全治3日

 




後編、デート編の後編終了
ということで全3話完結です

最後は笑いに走りましたが最初から比率のイメージは比率はラブ4(3):コメディ5(6):シリアス1なので基本こんな感じです
最初からオリ主の空回り方を楽しむように作ってましたからね
オチはあれでいいと思いますw
まあヒロインとの親密度がアップしましたしねw
与一は巻き込まれどんまいですね
もちろん原作はかなりシリアスです
世界観がまずかなり世紀末かしてますからねw

吸血鬼「俺(僕)たちは?」
出すタイミング、意味がなかったし仕方ないね
モブ吸血鬼なら前編で即死したけど

しかしシノアちゃんと三葉ちゃんの可愛いです
私服が初めて登場したとき何この天使って思いましたもんw
普段制服だったので新鮮だったていうのもあるでしょうがね
ファッションとか全然わからなかったので、ネット頼りでしたが大丈夫だったかな?

最後までありがとうございました
これで少しでも興味を持ってくれたならばぜひ原作も読んでみてください
原作面白いですからw
また機会があればよろしくお願いします

P.S
(ジャンプSQ連載してた)ロザリオとバンパイア完結しちゃって寂しい


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