ガルパンRTA 大洗の鬼神ルート (なつのヒーロー)
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本編
キャラメイク


初投稿です。

作者はつい最近ガルパンにはまったニワカです。間違ってる描写(キャラや戦車)などもあるかと思いますが、温かい目で見守ってくれると嬉しいです。   


 必須イベント少なめのRPG、じゃないRTAはぁじまぁるよー。タイマーはキャラメイク完了後の最初のムービーからです。

 

 今回挑戦するゲームは、「ガールズ&パンツァー」です。

 アニメを原作としたよくあるキャラゲーですが、普通のキャラゲと違って、とにかく自由度とやりこみ要素が多いのが売りで、男主人公で原作キャラと交流し恋人になったり、女主人公で大洗のキャラと絆を育んだ後に裏切り、廃校に追い込んだりします。後者は心が死ぬのでオススメしませんが。

 わかる人にはガン○レード・マーチみたいなゲームですって言ったら伝わると思います。

 

 キャラメイクは、もちろん大洗女子学園所属、学年はアニメ本編主人公西住みほと同じ二年生にします。名前は入力速度を考慮しつつ、ほもちゃん改め、「本城 紅葉」ちゃんです。

 性別はもちろん女です。当たり前だよなぁ?

 誕生日は、最終決戦である大学選抜以降ならなんでもいいです。  

 次に得意科目と苦手科目を選択します。これは主人公の初期ステータスとその後の成長率に影響するため大切ですね。

 得意科目は体育。体育を選ぶと初期のスタミナの最大値の上昇で通常より5%高くなる非常にありがたい特典が付きます。

 RTA関係なく通常プレイでもかなり恩恵があるので初心者の方は体育を選ぶことを私はオススメします。

 苦手科目は数学。数学の恩恵は軍師プレイなどに必要となりますが今回のルートでいらないというかむしろ低い方が都合が良いステータスなのでこれを選びます。

 次に経歴なのですが、これは一般人を選びます。

 

 『一般人。あなたはごく普通の家庭で生まれ、戦車道と関わりのないごく普通の生活を送ってきた。たいした喜びもなかったが、たいした苦難もなかった。人によってはそれを退屈な人生というが、あなたはどうだろうか。満足していたのか、満たされない日々を送っていたのだろうか』

 

 通常なら戦車道のステータス補正の高い戦車道経験者の方を選ぶと思いますが、今回のルートの場合聖グロリアーナ女学院を倒す必要があります。

 戦車道経験者だと厄介にもマークされ速攻で倒されてしまうため、あえて一般人となり聖グロのマークから外れます。

 容姿はランダムで。これでキャラメイクは完了です。

 

 膨大な分岐のフリーシナリオが売りのこの神ゲーですが、唯一の欠点として最初のキャラメイク直後の糞長ロードです。プレイしてるときは人によってはイライラするかもしれませんが、その間に今回のRTAについて語りたいと思います。

 

 今回のRTAは動画にも書いてある通り、大洗の鬼神ルートのエンディングが目的になります。

 これはプラウダ高校戦までに全勝かつ一定数以上の撃破と、プラウダ高校戦で大活躍することによって通常ルートから分岐に入ります。

 大活躍って具体的になんだって?大活躍は大活躍です。意味がわからない人は辞書で引いてきてください。

 このルートの難易度ですが一定数以上の撃破も難しいっちゃ難しいですけど、それよりプラウダまでに全勝するのが特に難しいかと思います。

 特に聖グロとか聖グロとか聖グロとか。

 そしてプラウダ戦ですが、通常だとプラウダの策に嵌まり包囲される展開になりますが、この包囲を単身で抜け出し戦況を逆転する必要があります。

 具体的にどう逆転するかはその時になって忘れてなければ解説ししようと思ってます。はい。

 …

 ……

 ………あくしろよ(迫真)

 …………

 …………………

 ……はい、ムービーに入りタイマー開始というところで今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 …紅葉さんのことですか。

 

 はい、知ってます。

 

 話せば長いなぁ。もう一年前の話です。

 

 知ってます?エースってのは3つに分けられるそうです。

 

 強さを求める人

 

 プライドに生きる人

 

 戦況を読める人

 

 この3つです。彼女は────確かにエースでした。

 

 

 

 




※一部台詞の修正を行いました



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本編開始~西住みほ転校まで

 

 はい、よーいスタート

 

 キャラメイク完了後から始めていきます。前回チラッと写ったムービーはスキップします。見たい人は買って、どうぞ。

 

 場面が切り替わり、ほもちゃんが自室のベッドで眠っているところから始まります。

 ここで選択肢として、『親が起こしにくる』と『自分で起きる』の二つが出てきます。

 これにより、ほもちゃんが家族と暮らしてるのか寮で独り暮らしなのかが決まります。

 ここは寮で独り暮らしをするために『自分で起きる』を選択します。

 何故寮で暮らすのが良いかというと、まず親がいないため時間を最大限に活用することができます。

 

 今回のシナリオである『大洗編』では、本編主人公の西住殿が転校してくる少し前の時期から始まり、そのためもたもたしてるとあっという間に聖グロとの練習試合がやってきます。

 少しでも勝率を高めるために、ほもちゃんには大分無茶なトレーニングをしてもらう必要があって、家族キャラが存在すると止めに入られてしまうため、RTAの邪魔になってしまいます。

 

 次に西住殿の好感度稼ぎのためです。寮暮らしの場合主人公補正が働いて、西住殿の隣の部屋に住んでいることになります。今回のRTAにおいて彼女の好感度は重要であり、なるべく稼げるチャンスを作る必要があります。

 朝食を食べ終えたら行動選択で無茶なトレーニングに耐えるためにスタミナを鍛えられるランニングを選びます。

 

 無茶なトレーニングに耐えるためにトレーニングをするとかこれもうわかんねぇな。

 

 ランニングのために外に出ようとするとクラスメイトとのイベントが起きます。

 

 「おはよ、本城さん」

 

 このイベントでモブちゃんにどう対応するかによってほもちゃんの基本的な性格が決まります。ここはペコリと頭を下げるを選択。

 

 >紅葉はペコリと頭を下げた

 

 「おはよ」

 「あはは、相変わらず口数が少ないねぇ」

 

 これでほもちゃんは口数が少ないキャラとなり今後はあんまり喋りません。

 口数が少ないとイベントが薄味になってしまいますけどRTAだからね。仕方ないね。

 

 

 >じゃあね、という彼女を背に走り出す。まだ朝が早いため人はほとんど見かけなかった。

 

 今回のランニングは普通に街中を走ってますが、明日からは学園艦中をほもちゃんには走ってもらいます。理由としては戦車を見つけるためです。昔はやってたらしいですが現在の大洗女子学園で戦車道は行われておらず、学園艦のあちこちに戦車が散らばっています。

 この戦車の配置パターンが若干ランダムでアニメ本編と同じ場所に置いてあるとは限りません。なので、ほもちゃんには事前に戦車が置いてある場所をランニングしながら見つけてもらいます。

 

 >紅葉はランニングを終えた。なんだか上手くいった気がする!

 

 スタミナが上がったのを確認したら、次は学園へ登校です。ここでも選択肢が現れ、どのような手段で登校するのか決められます。ここでは走って学校に行くを選択します。

 

 >紅葉はジャージから大洗女子学園の制服に着替えるといつものように走って登校した。

 学園につくと校門に少女が1人立っていることに気づいた。少女は紅葉の顔を確認するとこちらに近づく。紅葉は彼女の顔を確認し、風紀委員の生徒だと思い出す。

 風紀委員の生徒は紅葉に近づき、手帳を渡す。

 

 「あなた昨日生徒手帳を落としたのよ!こんな大切なもの落としちゃ駄目でしょ!」

 

 >そう言われて手帳が自分のかどうか確認をした。

 

 ここはクラス決めの選択肢で、ボタン連打でいいです。デフォルトで西住殿と同じクラスなんで。

 

 >2年A組と自分の名前が書かれている。間違いなく自分の手帳だ。紅葉は頭を下げお礼を言う。軽い注意を受けた後、自分のクラスに向かった。

 

 

 2年A組のクラスに無事つきました。運が悪いとここまで来る途中に運動部に捕まり勧誘を受け、時間をロスしてしまいます。(3連敗)

 クラスに入ったらまず五十鈴華か武部沙織がいるかどうか確認します。今回は運良く2人いましたね。重要なのは西住殿の好感度ですが、あんこうチームの好感度も上げておいて損はないです。あいさつをしましょう。

 

 「おはよ」

 「あ、本城さん。おはよー」

 「おはようございます」

 

 あいさつをしたらすぐにスタミナを回復させるために席について寝ましょう。授業も中間テストで赤点を取らない最低限の成績さえあればいいので手を抜いてスタミナ回復に注ぎます。

 放課後になったらすぐにランニング。

 スタミナが尽きたら学校サボって寝る。

 ここからは西住殿が転校してくるまでずっと同じ行動で特に見せ場も解説もないので倍速します。

 

 (少女倍速中……)

 

 やっと西住殿が転校してきました。

 あれからひたすら走り込んだほもちゃんは成績と引き換えに、厳しいトレーニングに耐えられる体を作りあげることに成功しました。腹筋バキバキですよ。

 やはり得意科目の補正は大きいですね。

 そして西住殿ですが、今の西住殿は精神的に不安定で下手に接するとヤバいぐらい好感度があがり、行動に支障をきたす恐れがあります。

 なのでちょっとずつ丁寧に時に大胆に上げてく必要があります。

 休み時間になったのですぐさま西住殿に接触しましょう。

 

 >紅葉は西住さんにできる限りの笑顔で歓迎の言葉を送った。

 

 「よろしく」

 「え?あ、よ、よろしくお願いします」

 

 >西住さんは戸惑いつつも挨拶を返してくれた。

 

 西住殿の好感度を稼いだところで今回はここまでです。

 ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




感想、お気に入り、評価ありがとうございました。

誤字報告ありがとうございました


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西住みほと友達~生徒会

 

 はい、よーいスタート。今回はイベントを見るのがとても多いです。

 

 前回の続きからやっていきます。転校生ということで皆から質問攻めを受け、あうあうしてる西住殿を今は放置して席につきましょう。下手に助けてあげて好感度上がりすぎるとだめだからねしょうがないね。

 

 好感度は全部で『憎悪、険悪、知り合い、友人、親友、親愛』の6段階にわかれていますが、このゲーム基本的にはよっぽどのことでないと険悪より下になりません。憎悪は意図して好感度を下げる行為を繰り返し続けることでしかお目にかからないでしょう。

 

 西住殿が転校してきて数日経過。ようやく落ち着いてきたので接触していきます。いつもランニングさせてわりと遅めの時間に登校させてるほもちゃんを今回はランニングを中止して西住殿が寮から出てくるタイミングで登校させます。こちらから接触しなければ固定パターンで動いてくれるので楽に覚えられます。

 

 >今日は日課のランニングを中止した。たまにはそんな日もあっても良いだろう。自分の部屋から出ると偶然にも隣の部屋の住人も同じタイミングで出てきた。彼女は数日前転校してきた西住みほさんだ。

 

 「おはよ」

 「え」

 

 >突然話しかけられ驚いたのかすごい勢いでこちらを振り向きながら変な声をあげ、半開きとなった扉に後頭部をぶつけてしまった。

 紅葉は声をかけるタイミングを間違えてしまったと後悔し大丈夫かとたずねる。

 

 「だ、大丈夫です」

 

 >西住さんは恥ずかしいのか顔を赤らめながらぶつけた頭をさすっていた。なんだか気まずい雰囲気となりつつあることを察しどうにか紅葉はこの空気を変えようと行動する。

 

 ここは自己紹介を選択します。ちなみにここの選択肢は制作者がふざけたのかお遊びの選択肢がかなり多いです。例としては『キレキレのダンスを見せつける』とか『校歌を歌いだす』とか『年齢を教えてもらう』とか。ちなみに前者二つを選ぶと引かれます。後者は戸惑いながらも律儀に答えてくれます。

 

 >紅葉は西住さんに自分の名前を教えてないことに気づいた。私の名前は、と自己紹介しようとすると西住さんは

 

 「本城紅葉さん。11月20日生まれ」

 

 >名前はともかく誕生日まで知っていることに驚く紅葉。彼女は照れくさそうに名簿を見て覚えたと言う。すごい記憶力だと感心する。

 

 ここでは『一緒に登校しようと誘う』を選択。まぁ、行く場所同じなのに『1人でさっさと行く』は薄情すぎませんかね。

 

 >西住さんに一緒に登校しようと誘った。彼女は驚きつつも嬉しそうな顔をして了承した。  

 

 ここからほもちゃんと西住殿が仲良さそうに登校する場面が流れます。大洗に来て初めての友達ができて嬉しさのあまりいい笑顔をしてる西住殿がとても印象的です。

 この時点で西住殿の好感度は知り合いから一気に友人までに上がりました。これは西住殿が特殊なだけで他のキャラで同じようなイベントをこなしても友人まで上がりません。

 

 >西住さんと一緒に登校した。彼女はとてもはしゃいでいて途中で電柱に頭をぶつけてた。雑談をしながら紅葉は自分の席についた。

 

 一緒に登校イベントは学園についたら自動で教室の席についてくれるので楽でいいです。通常プレイでは一緒に登校するのがほぼデフォになってました。

 

 昼休みになりました。ここは速攻で教室を出て、食堂を目指しましょう。もたもたしてると友人になった西住殿に声をかけられイベントに巻き込まれます。少し好感度が下がりますが次のイベントでまた上がるので大丈夫です。

 

 西住殿と武部殿と五十鈴殿が教室で会話をしていたら次のイベントのフラグなので混ざりましょう。この時昼は忙しかったことを軽くアピールしつつ謝るのがポイントです。これで下がったぶんは取り戻せます。

 

 少し待つと生徒会のメンバーがやってきます。西住殿が戦車道をやれって強要される場面ですね。ここの生徒会よりその後の目に光を失った西住殿のほうが私は怖かったです。

 西住殿が保健室に行きました。ここは武部殿逹についていきましょう。理由はなんでもいいです。

 ここからはアニメと同じシーンにほもちゃんがいるだけなので次の選択肢までスキップします。

 

 >オリエンテーションが終わった。戦車道…名前だけは聞いたことがあるけどあまり詳細は知らなかったが、なんだかすごそうなのは伝わった。

 

 ここは経歴で変わりますね。

 

 >武部さんと五十鈴さんはすっかりやる気に満ちている。西住さんはあまり乗り気ではないようだ。

 

 「本城さんはどうするの?」

 

 >武部さんが紅葉にどうするのか聞いた。私は……

 

 ここは好感度を現状維持するために『迷ってる』を選択して曖昧な態度でいきます。

 

 家に帰宅するとほもちゃんが机に座って選択科目と向き合ってます。ここは実質選択肢が一択でほぼ強制的に戦車道を選ぶことになります。ガルパンだからね。戦車に関わらないとね。仕方ないね

 

 翌日西住殿に戦車道をやることを伝えると悲しそうな顔をして自分はやらないことをほもちゃんに伝えます。ほもちゃんも少し悲しそうな顔をしてましたね。初めて見ました。

 

 西住殿が戦車道をやらないことを選択したため、生徒会から呼び出しをくらうイベントになりました。ここで彼女達についていくと好感度が高くなりすぎる可能性があるため心を鬼にして同行しないことを選択…

 

 >紅葉は西住さんの怯えてる顔を見た。

 

 は?

 

 >こんな彼女を放っておくことなんて私にはできない

 

 はぁ?

 

 「私も行く」

 

 はぁぁぁ?

 

 あーもう滅茶苦茶だよ。何で選択肢が出てこないんですかね?このゲームはかなりやりこんできましたがいつもこの場合は確実に選択肢が出てきたはずなんですよ。

 

 …起きたことは仕方ありません。ここまでほもちゃんのステータスやタイムは今のところ理想的なので続行はします。大丈夫です。まだ好感度は調整できるのでいくらでもリカバリーは効きます。

 

 初ガバをやらかしたところで今回はここまでにします。ありがとうございました。

 

 

 

 ※

 

 

 

 

 私にとって本城さんは大洗に来て初めての友達だった。

 

 「おはよ」

 

 短くでもはっきりとあいさつをする少女。黒髪のロングポニーテールで背は恐らく170はあるだろう。私は彼女のことは知っていた。事前に名簿を見てクラス全員の名前を覚えていたのと、転校して初めて声をかけてくれたのが彼女だったのでとても印象に残っていた。

 

 

 「あそこのパンいい匂いがするね」

 「美味しいからおすすめ」

 「よく行くの?」

 「普段朝は忙しいから」

 

 本城さんが一緒に登校しようって誘ってくれたから私は朝からとても気分が良かった。大洗に来て女子高生らしいことができたのが嬉しかったから。

 ただちょっと調子にのりすぎて、電柱に頭をぶつけちゃったけど。

 

 「大丈夫?」

 「う、うん。あ、本城さん。この看板のイラストぶさ可愛いよ」

 「ぶさかわ…何?」

 

 

 

 

 

 

 

 「本当に大丈夫?」

 「うん」

 

 生徒会での一件が終わり、みほと紅葉は一緒に下校していた。みほはまだ戦車道をやることに少し不安があったが、沙織や華、それに紅葉と一緒ならなんとかやれそうに思えるぐらいには前向きになれていた。

 

 「さっきは庇ってくれてありがとう」

 「大げさ」

 「大げさなんかじゃないよ。」

 

 みほは紅葉に自分の素直な気持ちを伝えると、彼女は立ち止まってうつむいてしまった。どうしたのかと思い彼女の顔をじっと見つめる。夕日でわかりづらいが紅葉の頬が少し赤くなっていた。

 

 「…もしかして照れてるの?」

 

 ビクッと紅葉の体が震えた。

 

 「『私達は間違ってない。あなた達が西住さんに謝るべきだ』」

 

 みほは紅葉の頬がもっと赤くなっていくのがわかった。

 

 「こんなこと言われたのはじめてなんだよ。とっても嬉しかった」

 「…そう」

 「うん。本城さんのそういうはっきりとした物言いって素敵だと思うよ」

 「ただ口数が少ないだけ」

 

 そう言うと紅葉は顔を反らして逃げるように早歩きで進んでいく。

 彼女自身は、生徒会に向かってあんなこと言ったのは柄じゃないと思っていた。ただ、あそこまで横暴な生徒会が少し気にくわなかったから、思わずあんな言葉が出てしまっていた。

 

 「ね、ねぇ、本城さん」

 「なに」

 「も、紅葉さんって名前で呼んでもいいかな?」

 

 引っ込み思案なみほは勇気を出した。まだ紅葉と出会ってからそんなに経ってないが、みほは紅葉のことを好ましく思っている。寮でも隣人なのだ。これから高校生活、彼女と一緒に過ごす時間は自然と多くなるだろう。

 一緒に買い物したり、どこかへ行ってみたりと友達らしいことをやってみたいしもっと仲良くなりたいと、みほは思っている。

 

 「いいよ」

 

 紅葉はあっさりとそれを了承した。

 

 「私も名前で呼んでいい?」

 「う、うん!もちろん」

 

 みほはそれを了承した。

 

 「みほさん」

 「紅葉さん」 

 

 お互いが向き合って名前を呼び合う。それが何だかおかしくて2人はクスッと笑い合いながら、寮へと向かった。

 




感想、評価、お気に入り、ありがとうございました

誤字報告ありがとうございました。


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戦車道~晩御飯

 

 はい、よーいスタート。

 

 続きからやっていきたいと思います。前回はほもちゃんが生徒会相手に立ち向かってくれたおかげで西住殿の好感度がこちらの想定より少し高い状態になってしまいました。名前呼びイベントも本来のチャートならもう少し後の予定だったんですけどね。まぁ、誤差だよ誤差。高すぎるのは駄目ですがこのぐらいならまだ巻き返しができるので楽観的にいきましょう。

 

 今更ながら、西住殿の好感度がRTAにおいてどのような意味をもつのか説明していきたいと思います。好感度は戦車道での成長率に補正がかかります。ゲーム内では何故補正がかかるのか詳しい描写はされていませんが、恐らく一緒に練習をしてるんでしょ(適当)

 この補正の高さはキャラによって変わりますが、基本的に各学校の隊長キャラが一番高いです。ですから強いキャラを作りたいのなら下手に練習をするより、まず隊長キャラの好感度を上げることをオススメします。ちなみに一番補正が高いのは西住殿です。初心者ばかりの大洗を優勝にまで導ける育成手腕の持ち主なので当たり前だよなぁ?

 次に特殊スキルを取得するためです。好感度が親愛まで上がるとキャラ毎に特殊スキルが手に入ります。西住殿の特殊スキルは試合中に発動するスキルで効果は試合中に一定時間ステータスにバフをかけられる強スキルです。これを手にいれるために好感度は最終的に親愛まで上げていきます。 

 

 >明日から戦車道の授業が始まる。紅葉は戦車道と関わりのない人生を送ってきた。一体どんな授業になるのだろうか想像もつかない。胸の中に不安と期待が入り交じる。後でみほさんにどんなことをやるのかどんな心構えでやればいいのか聞いてみよう。

 

 はいでは今日はもう寝ましょ…

 

 >寝ようとした紅葉の携帯電話から電話が鳴り響く。こんな遅い時間に一体誰なのだろう。

 

 あぁ、もうー。これは独り暮らしのランダムイベントですね。これは定期的に起こるイベントで少し時間をかけるので出来れば起こしたくなかったです。選択肢でかかってきた相手を選べます。ここで家族は絶対に駄目です。家族だとほもちゃんが無理してると声だけでわかるという謎の能力をもっています。なのでここは幼馴染みで。

 

 >電話の相手は幼馴染みだった。彼女とは小学校まで一緒だったがお互い別々の中学に行くことになってからはあまり会ってない。でも、こうして今でも電話を通して会話をするぐらいには仲が良い、と私は思っている。彼女の方はどうかは知らないが。

 

 本来ならここで電話の相手と会話が挟まるのですが、ほもちゃんの性格は無口なので会話を地の文でスキップできます。会話はフルボイスで基本的にスキップできないので、それをスキップできるのが性格無口の最大の利点ですね。

 

 >幼馴染みと久しぶりの会話を楽しんだ紅葉。珍しく憧れの先輩の話やその妹の話を聞かされないことに内心驚きつつも口に出すと色々言われそうなのであえて言わなかった。今度予定が合えば会おうと約束して電話を終えた。

 

 多分そんな日はこないと思いますけどね。

 

  

 >学校へ向かうと風紀委員がいた。一体どうしたのかと聞くとなんでも2年生の1人が不審者と遭遇したらしい。真っ黒なマスクをかぶり長いロープを体に巻きつけ首に双眼鏡をぶら下げたずぶ濡れの女だそうだ。

 

 なにそれ怖い。ていうかこんなイベントしらない。きっと隠しイベント的なものなんでしょう。普通プレイだとこういうのは嬉しいものですが、RTAだと邪魔以外なにものでもないです。どうせほもちゃんには関わりのないことですし無視無視。出会ってもほもちゃんの鍛えた体ならにげられるでしょう。

 

 ようやく戦車道を始められます。といっても倉庫には錆び付いてボロボロになった戦車が1両しかないため、残り最低4両は見つけなければいけません。ここは前に言った大幅な短縮ポイントです。今までのガバの分を取り返しましょう。偶然にもランニング中に戦車を偶然4両見かけたことがあり偶然場所も覚えてることを生徒会に伝えましょう。

 今回は一部アニメと違う場所に置いてあったため見つけだすのがつい先日まで時間をかけてしまって苦労してしまいた。濁ってる水中や崖の隙間がわかりづらくて、しらみ潰しに探すしかないためきついです。

 

 次は戦車を洗車するイベントに入ります。ほもちゃんは西住殿たちと一緒にⅣ号を洗車します。何か知らない内に秋山殿が混ざっていますが、これは仕様です。短縮した場合ほもちゃんが生徒会と会話してる間に秋山殿があんこうメンバーと打ち解けています。

 

 >生徒会の人達と戦車の場所を教えてる間に、みほ達が誰かと会話していた。武部さんがこっちに気づいて手をふり、自己紹介するように言う。少女は恐らく自分達と同じ2年生だろうか、紅葉は初対面の少女に自分の名前を伝えようとするが、少女は怯えてみほさんの背中に隠れてしまった。

 

 は?

 

 「え?」

 「ど、どうしたの?」

 「え、い、いや、その、あれぇ?」

 

 >少女は紅葉の顔をちらちら確認する。紅葉は訳がわからずみほさん達に助けを求めるように顔を向けるが、彼女たちも訳がわからないためどうすることも出来なかった。少女はしばらく顔を確認し続け、申し訳なさそうに謝る。

 

 「す、すみません」

 「う、うん」

 

 >何だか釈然としないが、謝ってきた相手にどうこう言うのは気が引ける。紅葉は特に気にしてないと言い、お互い自己紹介する。彼女は2年生の秋山優花里さんというらしい。

 

 はぁ………(クソデカため息)。…続行します。

 では、洗車を開始します。ここはムービーが流れるだけです。スキップできるのでスキップします。西住殿たちの体操服姿が見たいならアニメを見るか、ゲームを買ってくださいどうぞ。

 強制的に夕方まで洗車し続けて、今日は解散となります。西住殿の好感度が高いので一緒に帰ろうと誘われます。慣れない洗車でほもちゃんもくたくたなので逃げ出すこともできないので、ここはほぼ強制イベントだと思ってください。

 

 秋山殿に連れられて戦車道関係の専門店にやって来ました。ここは数少ない戦車道のステータスを上げられるポイントなので今後積極的に活用していきます。さっそく奥にあるゲームをやりましょう。途中で秋山殿も混ざってきます。大して補正もかかりませんが、断る方が時間がかかるので一緒にプレイしましょう。

 

 >ゲームにすっかりと夢中になってしまった。何だか戦車道がほんの少し上手くなった気がする!また時間があるときにやってみよう。

 みほさん達がそろそろ帰ろうと紅葉を呼びにきた。もうそんなに時間が経ってしまったのか。

 

 「すごい集中力ですね。楽しそうでしたよ」

 

 >五十鈴さんに指摘され思わず紅葉は照れて頭をかく。

 

 この後は西住殿の家で皆でご飯を食べるイベントが入ります。ほもちゃんも独り暮らしなためある程度は料理が作れるため積極的に手伝っていきましょう。それでも武部殿が殆んど作ってしまうのですが。

 

 「あ、あの…」

 

 >料理の手伝いが一区切りすると、秋山さんが話しかけてきた。一体何の用だろうか。

 

 また君かぁ。

 

 「ほ、本城さん。昨日、私達会いませんでしたか?」

 

 知らないよ。

 

 >秋山さんの言葉に首を傾げる。昨日?紅葉は昨日のことを思い出すが、昨日はいつも通り学校へ行って日課のランニングを終えてから下校しただけで、秋山さんと会った記憶はない。その事を伝えると秋山さんは小声で、やっぱり気のせいだったのかな、と呟いたのが聞こえた。

 

 少々見たことのないイベントが挟まれましたが、誤差なので続行します(震え声)

 武部殿が作った肉じゃがをしっかりと噛んで食べスタミナを回復させます。ほもちゃんがもぐもぐと美味しそうに食べてますね。

 

 >ご飯を食べ終え雑談しているとあっという間に時間は過ぎていき、気がつくともう日は落ちていた。名残惜しいがもう武部さん達は帰る時間だろう。私とみほさんは3人を見送る。みほさんは嬉しそうにやっぱり転校してきて良かったと言い階段をスキップしながら上がっていく。紅葉もそろそろ部屋に戻ろうと思いみほさんにおやすみを言う。危うく彼女の部屋にカバンを忘れかけたがみほさんが届けてくれた。

 

 カバンで忘れかけてましたが、ほもちゃんのカバンの中には戦車を見つけるために必要だった道具が入っています。戦車を見つけた今もう必要ないので忘れずにカバンから取り出し棚にしまいましょう。

 棚にしまったところで今回はここまで。ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 ※

 

 

 

 その日、秋山優花里の下校が遅くなってしまったのは単なる偶然だった。戦車道のショップに通っていた秋山はその日は時間を忘れて夢中になってしまったため、気づいたらもう日は落ちかけていた。

 秋山がそこで出会ったのは怪しげな女だった。黒いマスク、長いロープを体に巻きつけ首には双眼鏡をぶら下げたずぶ濡れの女。夕日のせいで顔はよく見えなかったが、どう見ても怪しい人物だった。

 秋山が距離をとろうとして後ろに下がると、不審者は走りだし距離を詰めてきた。秋山は必死に逃げる。目の前の不審者が怖くて仕方がなかった。途中でもう駄目かと思ったがどうにか家まで逃げきれた。

 息を切らしながら帰ってきた秋山を見てただ事じゃないと悟った秋山の両親は一体何があったのか聞き出す。秋山は若干泣き出しかけながらも、あの女のことを両親に伝える。両親はすぐに警察と学校へ連絡してくれた。

 その後、秋山はみほと戦車道の授業をきっかけに友達となり、武部と五十鈴とも知り合う。戦車も生で見られ憧れのみほ達と友達となれ、すっかり昨日のことを忘れかけていた。

 ただ、紅葉と顔を合わせると彼女に何故か恐怖心を抱いた。最初は何故か秋山自身もわからなかったが、紅葉にどことなくあの女の雰囲気があったからだと後に気づいた。

 だが、あのみほ達の友達である紅葉をあの不審者だと思いたくない自分がいた。それに今日少しだけ接してみたが、彼女はいい人だと思う。洗車中も足を滑らせかけた時は助けてくれ、一緒にゲームをプレイして秋山が紅葉に勝ったときは素直に称賛してくれた。だから秋山も紅葉があの不審者とは今はもう思っていなかった。

 不審者もあの日以降、姿を現さなかった。

 

 

 「紅葉さん、カバン忘れているよ」

 「ありがとう」

 「そのカバン重いね。何が入ってるの?」

 「シュノーケルマスクとロープと双眼鏡」

 「な、何に使うの?」

 「トレーニング」




 感想、評価、お気に入りありがとうございました。

 誤字報告ありがとうございました。

 追記

 予想以上に評価されて内心びびってます。私のつたない二次創作を読んでくださりありがとうございました。
 ただ、注意点として1話で書いた通り私はガルパンについ最近嵌まったにわかの中のにわかです。間違ってる描写はできる限りなくしたいですが確実に今後でてくるでしょう。
 また、戦車の知識もほとんどありません。アニメ見てこの戦車はこうなんだくらいの感覚でやってます。
 なので、まぁ、ゲームだしみたいな感覚や作者にわかすぎんだろwwwwみたいな感覚で読んでみてください。
 戦車好きの方々には申し訳ございません。


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登校~練習試合

 

 はい、よーいスタート。

 

 前回からの続きからやっていきましょう。その前に少しこのゲームの仕様について語ります。このゲーム、同じ時間帯に同じコマンドを選んでいるとそれが『日課』として登録させることができ、いちいちコマンドを選ばなくても自動で実行させることができます。そのおかげで楽なのですが、欠点として寝る前にしか解除コマンドを実行させることができないということです。

 ランニングを現在日課としてほもちゃんに登録させてます。これのせいで普段ほもちゃんはわりと遅刻ギリギリな時間帯に登校してます。普段なら別に問題はないのですが、今回は西住殿が冷泉殿と出会うイベントがその時間帯に起きてしまい、通学路が西住殿と同じほもちゃんはこのままだと鉢合わせてしまいます。

 だから、前回の終わりに解除コマンドを実行させる必要があったんですね。

 

 >いつも通りの時間帯に登校しているとみほさんが見慣れない少女に肩を貸しながら登校してるところに鉢合わせた。事情を聞くと少女はふらふらになりながら歩いてたらしく心配に思ったみほさんが肩を貸したとのこと。

 

 ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!!!

 

 はい、実行させるのを忘れてました(半ギレ)。原因としては戦車を探すのに時間をかけすぎたため、道具をしまうのと解除コマンドを実行するのが私のなかでごちゃ混ぜになってしまい、解除したと思い込んでしまったことですね。ここ短縮ポイントですよ。

 起きたことは仕方ありません。前向きにいきましょう。西住殿に任せたままだと時間がかかるのでここはほもちゃんの腕の見せ所です。

 

 >みほさんに自分が少女を背負って登校すると告げる。みほさんは最初は遠慮していたが、このままでは遅刻すると伝えると紅葉に任せた。

 

 「すまない」

 

 >少女のその言葉に気にしなくてもいいと伝える紅葉。日頃鍛えている彼女にとってこれくらい余裕である。

 

 「走るよ」

 「はし、え?」

 

 >なるべく少女に負担をかけないように気をつけつつ走り出す紅葉。成績が悪い紅葉にとって遅刻は死活問題である。みほさんもあわてて紅葉についていった。

 

 普通のステータスで走ると冷泉殿の好感度が下がったり途中でスタミナが無くなって余計に遅くなったりしますが、一定以上体育のステータスが高いため好感度も下げず遅刻もしません。これは通常プレイでも覚えておいて損はないです。

 

 >校門にたどり着くと風紀委員はまだいない。どうやら間に合ったようだ。背負っていた少女を降ろす。彼女は久しぶりに遅刻しなかったとのこと。

 

 「いつか借りは返す」 

 

 >紅葉は少女と別れた後、名前を聞いてなかったことを思い出すがもう少女は何処かに行ってしまった。みほさんに聞いても名前は聞いてないとのこと。またいつか会えるだろうか。

 

 そど子殿がいなかったので誤差になったため続行します。今日はいよいよ練習試合です。勝って経験値を手にいれてやりましょう。

 

 >今日から教官が来るとのこと。武部さんが焦らすなんて大人のテクニックだとかよくわからないことを言っているが紅葉も少しドキドキしていた。

 一体どんなことを教えてくれるのだろう。少し待つと大きな飛行機が学園に向かって飛んでくるのが見えた。飛行機は戦車を空中から降ろしたが途中で赤い高そうな車を吹き飛ばしてしまった。

 あれはたしか学園長が大切にしている車だったはず。修理代がかかりそうと私は思っていたが、その直後戦車が車を踏み潰してしまった。

 紅葉はなんとも言えない気持ちになった。戦車の中から凛々しい女性が現れた。あの人が教官なのだろうか。

 

 彼女は蝶野教官殿です。プロレスラーや年末にビンタをする人ではありません。

 

 >蝶野教官とみほさんは知り合いらしい。西住流とやらは戦車道のなかで由緒ある流派ものだという。

 似たような話をどこかで聞いたことある気がするが思い出せない。

 西住流の話になるとみほさんがうなだれている。あまり触れられたくないのだろう。武部さんが気を使ったのかどうかはわからないが話題を変えて、戦車道をやるとモテるかどうか尋ねていた。教官曰く、モテるというより狙った的を外したことはないとのこと。

 何か質問の答えになってない気がしないでもない。秋山さんが今日はどんなことをするのか質問すると、さっそく練習試合らしい。

 何事も実践、素晴らしい言葉だ。蝶野教官とは上手くやっていけそうだ。

 

 身体能力が高いため若干脳筋思考なほもちゃん。この練習試合はチュートリアルなので適当にやっても勝てます。西住殿のおかげで。

 

 >どうやら戦車には役割というものが何個かあるらしい。車長に操縦手と通信手、あと何かあったが聞きなれない単語だったせいでよく覚えてない。役割をどうしようかと悩んでいるとどこから出したのか武部さんがくじ引きの紙をだした。どれにしようかな。

 

 実はこのくじ引きに関してはランダムではなく固定なため、好きな役割を選ぶことができます。ここは車長を選びましょう。

 理由は絶対にほもちゃんが活躍できないからです。他の役割はこちらの操作次第で活躍できますが車長は絶対に無理です。

 何の知識もないし基本的に無口なほもちゃんには絶望的に向いてません。通信手も今回は活躍しませんが、車長の方がいいです。

 ほもちゃんには無力感を味わってもらいましょう。

 

 >くじ引きの結果車長になってしまった。紅葉は自分がかなり向いてないと思ったが、くじ引きはくじ引き。結果を受け入れよう。

 操縦手は五十鈴さん、通信手は武部さん、装填手がみほさん、砲手が秋山さんになった。イグニッションとやらを入れると動きだした。秋山さんがテンションが急に高くなってびっくりした。

 みほさん曰くパンツァーハイと言うらしい。ランナーハイみたいなものだと勝手に思っておく。

 みほさんの口からシフトレバーだのクラッチだの色々専門用語が飛び出てきて頭が痛くなってきた。

 

 学力が低いためほもちゃんの精神値が少し減りました。

 

 >初めて乗る戦車は意外にも快適だった。勝手に乗り心地が悪いと思っていたがそうでもないらしい。風がちょうど良い具合に吹いていて気持ちいい。

 これは夢中になるわけだ。森を進むと戦車の進行方向に木が生えている。このままではぶつかってしまう。紅葉は五十鈴さんに指示を出す。

 

 「ぶつかる」

 

 >紅葉は指示を出したが五十鈴さんの耳には届かなかった。そのまま進んでしまったため戦車が木にぶつかってしまった。みほさん曰く、足で蹴って方向を合図すると良いらしいが、正直かなりやりづらい。

 五十鈴さんは思いっきり蹴っても良いと言うがそれでもやりづらい。

 

 ここはもうちょい好感度が高ければ五十鈴殿の肩を躊躇わず蹴ることができます。

 

 >紆余曲折あってようやくスタート地点にたどり着いた。蝶野教官の声が聞こえてくる。ルールは全ての車両を動けなくなるするだけ。わかりやすい。実に素敵なルールだと思う。戦車道は礼に始まって、礼に終わる。紅葉は一礼する。

 ようやく始まるんだ、私の戦車道が。

 

 「いよいよ攻撃開始ですね。とりあえず撃ってみます?」

 「え?闇雲に撃っても…」

 「ねぇ、真っ先に生徒会潰さない?教官、女の人だったんだもん」

 

 >潰すとか物騒だなと紅葉は思った。五十鈴さんはまだ言ってるんですか、と呆れていた。

 

 「本城さんが決めてよ。車長なんだから」

 

 >急にこちらにふられて困ったが、自分が車長だったことを思い出す。他に何をすればいいのかわからないため武部さんの案に乗ることにした。

 

 「生徒会を倒そう」

 

 >紅葉が指示を出そうとすると戦車が揺れた。どうやら八九式に撃たれたらしい。紅葉は逃げるために前進を指示する。左斜めからは三突がこちらに向かってやってくる。挟み撃ちされた。

 紅葉は右斜めに逃げるよう指示をだすが五十鈴さんの耳には届かなかった。慌てて右肩を蹴ろうとしたが一瞬躊躇する。ごめん、と謝りながら肩を蹴った。

 迫り来る砲弾から必死に逃げていると前方を確認していたみほさんが危ないと叫んだ。紅葉も確認する。誰かがこんな森の中で授業中なのに眠っていた。少女は走行する戦車に飛び乗った。

 彼女の顔に見覚えがある。今朝の少女だ。

 

 冷泉殿がやってきたところで今回はここまで。ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 




 感想、評価、お気に入り、ありがとうございました。

 誤字報告ありがとうございました


 追記


 本編開始~生徒会 裏を私の勝手な判断ながら西住と友人~生徒会と一緒にまとめました。申し訳ございません。


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練習試合~チーム加入

 
 本編開始~生徒会 裏を私の勝手な判断ながら西住みほと友逹~生徒会と一緒にまとめました。そのせいで少し話数に関してややこしくなってしまいました。申し訳ございません。


 

 はい、よーいスタート。

 

 冷泉殿が飛び乗ってきたところからやってきましょう。

 

 >走ってる戦車に飛び乗ってきた度胸に驚く紅葉。少女は冷泉麻子というらしくなんと武部さんの幼馴染みだという。世間は広いと思っていたがそうでもないのかもしれないと思った紅葉。

 

 チュートリアルとはいえやることないですね。車長の仕事はほもちゃんにはできないですし。イベントを見るだけです。イベントを見ることが目的のゲームでもあるんですが。少し進めると原作通り五十鈴殿が気絶して冷泉殿が操縦手となります。ここは五十鈴殿の心配より冷泉殿の操縦技術をしっかりと目に焼き付けさせましょう。これで少しほもちゃんのステータスが上がります。

 

 >五十鈴さんが気絶した代わりに冷泉さんがⅣ号を運転した。経験者かと思ったが違うらしく、説明書を短い時間の間で読み上げ覚えたとのこと。さすが学年首席と武部さんが言った。橋の上で砲弾を避ける運転技術に紅葉は舌を巻く。本当に素人なのだろうか。実は経験者と言われる方が納得がいく。

 

 「秋山さん、砲塔を回転させて」

 「了解」

 

 >秋山さんが指示に従って動く。指示を出したのは紅葉ではない。みほさんだ。彼女の表情が変わったことに気づく。先程までの柔らかい雰囲気は消え失せ、凛々しさを感じた。

 

 「撃て」

 

 >Ⅳ号から射出された砲弾は凄まじい音をたてた。思わず目を塞ぎそうになったがそれをこらえ、砲弾の行く先を確認する。砲弾は三突に一発で当たった。当てられた三突からは白旗が飛び出る。行動不能となった。みほさんはそれを確認するとすぐ砲弾を担ぎ上げ装填した。

 

 「すごい」

 

 >紅葉の口から思わずそんな言葉が出た。それが他のメンバーと同じで相手戦車を初めて倒した喜びからなのか、その後も率先と冷静に指示を出し続けるみほさんへなのか、私にもよくわからなかった。その後もみほさんの指示のもとに動き続けたⅣ号。相手の自滅もあったりしたがみほさんの指示や冷泉さんの運転技術がなければあっけなく負けていたかもしれない。何にもできずに私の最初の試合はあっという間に終わってしまった。

 

 ここでリザルト画面に入りますが、少ししか経験値が入りません。何にもしてないからね。仕方ないね。それでも冷泉殿の運転技術を見てたおかげで、操縦手のステータスが少し上がりました。

 

 >蝶野教官が初めてにしては上出来、よくやったと誉めてくれた。

 

 通常なら出ませんが、チュートリアルでほとんど活躍しないと出てくる選択肢『納得がいかない』を選択します。

 

 >蝶野教官はああ言っていたが紅葉は納得がいかなかった。たしかに初めてにしては上出来だったかもしれない。だけどそれで終わらせるには今日の自分はとても無様に感じた。少し振り返るだけで自分の反省点はたくさん出てくる。足手まといにはなりたくない。このままでは駄目だ。紅葉はそんな想いを胸に抱いた。紅葉はスキル『決意』を習得した。

 

 はい、出ました。スキル『決意』。これは主人公専用のスキルにしてチュートリアルで上手くいかなかったプレイヤーへの救済処置です。効果は今後試合においてほもちゃんのステータス補正が入る強スキルです。これのためにほもちゃんには活躍させませんでした。

 蝶野教官殿に礼が終わったら西住殿達がお風呂に一緒に行かないかと誘ってきますが、これを適当な理由で断り会長のところへ急いで向かって、訓練がしたいから戦車を使う許可を貰いに行きます。河嶋殿は駄目だと言いますが会長はオーケーと言ってくれます。やったぜ。さっそく戦車に乗って走行訓練をやってきます。ほもちゃんには戦車を動かせるとこまでやってもらいます。今更ですが、ほもちゃんは操縦手として育成してきます。

 

 >説明書を読みながら戦車を動かす。冷泉さんは簡単そうにやっていたが、動かすだけでもかなり難しい。専門用語の羅列が嫌になってくる。それでもめげずに紅葉は戦車を動かす。途中で頭をぶつけたりするハプニングが起きたりした。かなりノロノロだが、何とか走行出来るようにはなった。紅葉は操縦手としてのたしかな一歩を踏み出した!

 

 走行訓練が終わったら急いで戦車を倉庫に片付けて走り出しましょう。この時間帯ならまだ彼女達は帰宅していないはず。目立つ集団なのでその辺の人に聞き込みながら探していきます。少し時間がかかったのでスキップします。

 

 (少女捜索中………)

 

 いました、いました。もうすぐで家に帰宅されそうでした。あっぶねぇ。さっそく会話して仲間にいれてもらいましょう。お願いします、何でもしますから。

 

 >紅葉は彼女達にあいさつをした。彼女達は突然現れた紅葉に少し動揺を見せたが、あいさつを返す。リーダー格の少女が何か用かと紅葉に問う。紅葉はあなた達のチームに入れて欲しいと頭を下げて頼んだ。少女達は困惑したが紅葉の熱意に負け、歓迎した。

 

 成し遂げたぜ。ここは頭を下げればほとんどの確率で断られません。まぁ、前回は断られたんですけど。今後ほもちゃんは彼女達のチームの操縦手としてやってきます。

 

 「ありがとう」

 

 >紅葉は彼女達に感謝の言葉を送った。赤いマフラーの少女が紅葉に手を差し出す。紅葉はその手を握った。彼女達の歓迎を受けた紅葉。彼女達と別れた頃にはすっかりと日がくれていた。

 

 ほもちゃんの精神値が少し減ったところで今回はここまでです。ありがとうございました。

 

 

 

 ※

 

 

 

 練習試合の後、みほ達は大浴場にやってきていた。試合中には疲れは特に感じなかったが、湯に浸かっていると疲れが取れていくのがわかった。紆余曲折あって冷泉さんが仲間になってくれたこともあり、みほは内心上機嫌だった。

 

 「紅葉さんも来れば良かったのに」

 「用事があったんですから、仕方がないですよ」

 

 みほは紅葉のことを思い浮かべる。試合後の彼女は少し様子が変だった。彼女は口数は少ないが、表情はとてもわかりやすい。彼女も当然お風呂に誘ったが先生に呼ばれていると言って断られてしまった。残念に思ったが、五十鈴さんの言う通り用事があったのなら仕方がない。これから武部さんの提案で買い物に行こうとしたとき、グラウンドの方から戦車が動く音が聞こえてきた。

 

 「三突…?」

 

 グラウンドでは何故か三突が走行していた。居残り練習かと思ったが三突の機動に違和感を覚える。明らかに昼間より動けていないのだ。みほは不思議に思ったが、操縦手がただ変わっただけかもしれないと納得させた。

 

 「西住さーん、何してるのー」

 「あ、ごめんなさい」

 

 いつの間にか武部さん達と距離が離れていたためみほは三突を背に走り出した。

 

 

 

 

 「ところで本城さん。好きな歴史は何ぜよ?」

 「……へ、平安時代?」

 

 紅葉の目は誰の目でみてもわかるぐらい泳いでいた。

 

 

 

 

 

 

 




 
 感想、評価、お気に入り、ありがとうございました。

 


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練習~試合開始

  
 今回はキャラの口調が少しおかしいかもしれません。


 

 はい、よーいスタート。

 

 つづきからやってきましょう。前回はほもちゃんをカバさんチームに編入させました。何故カバさんチームなのかというと単純に高火力の戦車だからですね。また、他のチームと違って戦車道の知識があるエルヴィン殿がいるのもありますね。ただ、回転式砲塔ではないため前にしか撃てないという弱点もありますが、そこはプレイヤースキルでカバーするしかありません。

 

 寮についたらまず西住殿にカバさんチームに編入したことを伝えます。当然驚かれますが、きちんと理由を話してあげて納得させましょう。理由としては、冷泉殿がチームに入ったので6人は多すぎるとか、身勝手だと思っているけど操縦手として挑戦してみたいとか、それっぽい選択肢を選んでいけばだいたいの確率で納得してくれます。

 

 >最初は納得がいかない様子だったが、紅葉がみほさんに自分の想いや理由を説明すると、最後には納得してくれた。

 

 はい、これでOKです。他のあんこうメンバーは西住殿経由で伝わるので大丈夫です。帰宅したら練習試合に居残り練習、町中走り回ったのでほもちゃんも疲れているのですぐに寝てしまいます。

 

 >いつの間にか眠っていたらしい。まだまだ鍛えたりないと反省していると、携帯にカエサルさんからメールが届いていた。戦車を塗装するから来てほしいとのこと。メールが届いてからそれなりに時間が経っていた。紅葉は急いで登校する。

 グラウンドにたどり着くと、紅葉達だけじゃなく、みほさん達以外のメンバーが各々好きに塗装していた。戦車についてよくわからないが、金色やピンクに塗装するのは何か違うと思った。カエサルさん達は紅葉に気がつくとこちらに手をふった。紅葉が来るのを待っていてくれたのだ。待たせてごめんと謝る。さっそく塗装をはじめるが、紅葉は何故か赤や黄色、青が用意されていることに違和感を覚えた。後、よくわからない柄の旗もある。何に使うのかと聞くと戦車に旗を立てるとのこと。戦車に旗が立てるものなのかと疑問に思ったが、楽しそうにやっている彼女達を見てるいるとまぁ、いっかと思えた。

 

 ここで塗装のムービーが入りますがスキップします。

 

 >三突の塗装が終わった。塗装してる最中は特に気にならなかったが改めて見るとすごい目立つ戦車になったと思う。色は金色よりは多少、マシかもしれないが旗がある分一番目立つかもしれない。ただ、今の紅葉にはやりとげた達成感の方が強かった。

 

 「かっこいいぜよ」

 「支配者の風格だな」

 「うむ」

 「私はアフリカ軍団仕様の方が良かったんだが」

 

 >彼女達も満足の出来に顔を綻ばせている。紅葉は塗装したばかりの戦車に座って達成感に酔いしれているとエルヴィンさんがタオルをこちらに差し出す。紅葉は戸惑っているとタオルを頬に擦り付けられた。

 

 「気がついてなかったのか。顔が汚れてるぞ」

 

 >エルヴィンさんに言われて慌てて確認する紅葉。携帯のカメラ機能を使ってみてみると顔が黄色く染まっていた。紅葉は彼女に礼を言う。気にするなと言い、彼女は紅葉の隣に座り色々話しかけてくれた。どうやらまだチームに馴染めていない紅葉に気を使ってくれてるようだ。座っている紅葉達に気づいた他のメンバーもこちらに集まってくる。

 彼女達の歴史トークにはついていけなかったが、本当に楽しそうに語っている。私も少しは歴史について学んでみようかな。

 

 ほもちゃんの精神値が少し減りました。それと同時に歴史ステータスがあがりましたね、いりませんが。

 ここから本格的に操縦手として育成させます。授業はもちろん操縦手コマンドを選択。居残り練習はもちろんやります。練習の厳しさを最大より2つ下ぐらいに調整しましょう。今のほもちゃんのスタミナならこれで夜中まで練習できます。ぶっ倒れるギリギリまでやらせるため、普通に睡眠したりするだけじゃ足りないので戦車道以外の授業は寝ましょう。勉強?しなくてもへーきへーき。

 土曜日、日曜日は学校に入れないので戦車は使えません。なので前に行った戦車道のショップに行ってあそこのゲームでステータスをします。金はありますが、そのうち尽きてしまうのでそのうちスタミナ上げと平行してバイトもさせます。

 

 >紅葉は戦車を操縦した。昨日よりは動かせたが冷泉さんの操縦に比べたらまだまだ雲泥の差だ。彼女を目標に練習をつづける。なんだか操縦手として成長した気がする!

 

 >紅葉は居残り練習を始めた。練習中に、昨日の練習試合で戦車を動かしていたおりょうさんやみほさんのアドバイスを元に練習をつづける。気がついたら夜になっていた。なんだか操縦手として成長した気がする!

 

 >紅葉は戦車を操縦した。誤って別のチームの戦車とぶつかってしまった。相手側がケガしてないのが幸いだったが、二度とぶつからないように注意しなくてはいけない。なんだか操縦手としてちょっぴり成長した気がする。

 

 >紅葉は授業を寝て過ごした。なんだか疲れがとれた気がするが同時に成績も落ちた気がする…。

 

 ………はい、基本的にずっとこの繰り返しを今度の日曜日の聖グロとの練習試合直前まで続けます。最低でも相手からジグザグに逃げられるぐらいにはなってほしいですね。可能ならドリフトもできるようになってほしいですが、できなければできないなりにやってやります。特に見所がないため、倍速でスキップしますが、イベントも無視して練習をする単純作業なため暇な視聴者のみなさまのためにぃ、こんなものを用意しましたぁ。どうぞ。

 

 

 

 ※

 

 

 最近紅葉は秋山さんと過ごしている時間が多くなったと思っている。紅葉は戦車道を履修していて操縦手だが、戦車の知識なんてほとんど無いに等しい。かろうじて大洗にある戦車の名前を全部言えるくらいでその他となると全くわからない。さすがにこれはマズイと思った紅葉は誰かに教わることを決めた。その相手が秋山さんだ。彼女の戦車知識はずば抜けていると紅葉は思っている。思い立ったが吉日、紅葉はすぐに秋山さんところへ向かい自分に戦車を教えてほしいと頼み込んだ。

 秋山さんは喜んで紅葉の頼みを受け入れてくれた。戦車について語っている彼女はとても楽しそうに見える。紅葉は彼女の話をメモをとり質問を交えながら聞く。こうしているとまるで授業みたいだ。私は冗談半分で秋山さんのことを先生と呼ぶと恥ずかしそうに顔を赤らめた。

 

 「冗談」

 「冗談でもやめてくださいよぉ」

 

 恥ずかしいじゃないですかと言う彼女にごめんと謝りながら私と秋山先生の授業は遅くまでつづいた。

 

 

 あれから紅葉と秋山さんは少しずつ距離を近づけていった。最初は戦車か戦車道についてしかなかった会話がお互い趣味や個人的な相談なんかも会話するようになった。そして今度の日曜日、前に皆で行った戦車道のショップに遊びに行こうと約束をするまでに至った。紅葉は大洗に来て初めて友達と休日に遊びに出かけることに胸を踊らせている。最後に休日に遊びに出かけたのが中学に幼馴染みと……

 

 「あ」

 

 紅葉は慌てて自分のタンスを確認した。大洗の制服にトレーニング用のジャージが数着、中学の時に幼馴染みが選んでくれてそれ以来着てない私服しかない。その私服もサイズが合わなくてもう着れない。自分の無頓着さに呆れてくる。どうしようかと悩んでいると、携帯に電話がかかってきた。幼馴染みだ。紅葉は慌てて幼馴染みに相談する。幼馴染みは紅葉が相談してくることに驚きつつもいつものように若干上から目線で相談にのってくれる。

 

 「は?中学の時に選んだ服まだ持ってたの?」

 

 バカじゃないのとでも言いたげに、というより実際そう思ってるだろう。彼女は呆れていた。紅葉でもまだ持ってたんだと思ってはいるが、何だかんだ彼女が紅葉にこうやって服を選んでくれたものだ。捨てようにも気が引ける。

 

 「まだ約束まで時間があるんでしょ。買いにいけばいいじゃない」

 「お金がない」

 「何に使ったの」

 「…ゲーム」

 「あなたが?」

 

 幼馴染みが本当に驚いているのが伝わってくる。幼馴染みの知る紅葉は暇さえあればトレーニングをしているような人間で、とてもゲームにお金を使うような人間ではなかった。だが、冗談なんかではなく本当の事を言っているのはわかる。伊達に小学校からの付き合いではない。幼馴染みはため息をついた。

 

 「バイトでもしたら?用事があるから切るわよ」

 「待って、エ」

 

 

 本当に心底呆れた口調で幼馴染みに電話を切られた紅葉。頼みの綱を失った紅葉は、とりあえず彼女の言う通りバイトを探すことにした。なるべくトレーニングになりそうなやつを。

 

 約束の日曜日、紅葉と秋山さんは戦車道のショップにやって来た。結局、服はジャージを選んだ。秋山さんの話を聞きながら見て回る紅葉。最近は少しは自分から会話も振れるようになってきた。普段は奥にあるゲームをやりに来るだけなのであまり見て回ったりはしなかったが、今回は改めてじっくりと見ることにした。服が置いてあることに気づいた。紅葉は濃い緑色のジャケットに目を奪われた。秋山さんはそんな紅葉の視線に気づいた。

 

 「それ買うんですか?」

 「また、今度に」

 

 実に惜しそうにジャケットを眺める紅葉。お金は持ってきてあるが、この服を買うと本当にお小遣いがなくなってしまう。今日はやりたいことがあってこの場所にきたのだ。紅葉は秋山さんを誘って例のゲームに挑戦する。以前秋山さんとスコアで勝負をしたのだが、彼女の方がやりこんでいたため負けてしまった。負けたまま終わるのは嫌いな紅葉は秋山さんに挑戦する。

 

 「勝負」

 「負けませんよ」

 

 紅葉は秋山さんに勝負を挑んだ。紅葉は負けてしまった!

 

 「やりました!」

 「負けた…」

 

 紅葉はあっさりと負けてしまった。一日中このゲームを遊んだとはいえ、相手は長い間このゲームをやりこんでいた猛者である。どうしたら効率よくポイントを稼げるのか十分わかっていた秋山さんの方が勝つのは当然だ。紅葉は悔しそうに顔を歪めるも勝者である秋山さんに称賛を送る。秋山さんは照れながらも誇らしげな様子だった。

 

 「もう夕方ですね」

 

 あれから協力プレイで一緒に遊んだり、昼食にファミレスに行ったりで休日を満喫した二人。元々軽かった財布が更に軽くなってしまった。バイト先は偶然にも見つかっているためそこまで心配はしてはいないが。

 

 「本城さん、今日は本当に楽しかったです」

 「私も」

 「ま、また今度誘ってもいいですか?」

 「秋山さんと一緒ならいつでもどこでも」

 

 紅葉は自分の気持ちを素直に伝える。秋山さんは嬉しそうに体をねじらせていた。

 

 「では、また明日」

 「また明日」

 

 楽しかった休日は本当にあっという間に終わってしまった。今度はちゃんとした私服を着てこられるようにしたいと思う紅葉。バイトを頑張ろうと心に誓う。それにしてもたまたまそれなりに貰えるバイトを見つけられて本当に良かった。着ぐるみのバイトだが、中の人がアクション中にケガをしてしまったとのこと。聞いた話では主人公役らしいのだがアクション中にケガをするとは過激なものなのだろうか。まぁ、聞いたこともないキャラクターではあるがキャラソンやらボイスにテーマパークもあるのだ。そこまで過激なものじゃないだろう。紅葉はこの時そう思っていた。

 

 

 

 ※

 

 

 

 これはキャラエピソードですね。RTAだとまず見ないためこのような形で紹介させていただきました。主人公の性別や学校、経歴でパターンがたくさん変わるので皆さんも是非買ってください。

 

 本編のほうに戻ります。土曜日まで時間は経過しました。ほもちゃんの試合前の最後の練習を見ましょう。

 

 >紅葉は戦車を操縦した。練習の成果が実を結び、ドリフトを使えるようになった!紅葉は操縦手として成長している!

 

 勝ったな(慢心)

 本当にこのタイミングでドリフトを使えるのはかなり大きいです。これは今までのガバを取り返せますよ、多分。

 

 

 

 「冗談?」

 「冗談だったらどれだけ良かったか」

 

 >作戦会議から帰ってきたカエサルさんからとんでもないことを聞いてしまった。思わず飲んでいたスポーツドリンクを落とす程の衝撃を受けた紅葉。

 みほさんが作戦指揮をとるのは問題ない。彼女の凄さは元チームメイトの紅葉は知っている。だがその後の方が問題だ。負けたらあんこう踊りをみほさんがやると?踊るのは別にいい。一度踊ったことがあるが中々にいい準備運動になった。だけど人前で踊るとなるとさすがに抵抗がある。

 それをみほさんにやらせるのはあんまりだ。紅葉は負けられない理由ができた。

 

 負けたらほもちゃんも踊ることになるんですけどね。負けたらリセットなので見ることはできませんが。

 いよいよ聖グロリアーナ女学院戦であり、RTA最初の鬼門です。この学校原作で大洗がまだ一度も勝ったことがないため大洗で戦うと明らかにダージリンが強化されてます。これまで勝利まで後一歩のところまで追い詰めたほもちゃんがどれだけ屍となったことか。

 勝つためにステータス上げはしたので後は天の神様に祈りましょう。

 

 

 「個性的な戦車ですわね」

 

 >紅葉は操縦席から相手の隊長を見ていた。金髪に碧眼の三年生の少女、たしかダージリン、という名前らしい。髪の毛の色や目の色から名前からして外国人なのだろうか。随分と日本語が上手だ。

 やはり相手からしても紅葉達の戦車は個性的な塗装なのだろうか。それとも戦車の種類が個性的なのか。はたまた両方なのか。何にしても煽られているはわかった。このくらいならわりと慣れているので特に気にもしないが。

 私は深呼吸をする。試合が始まるまでのピリピリとした雰囲気はとても良いものだ。自然と気が引き締まる。

 

 「試合開始」

 

 >審判の声が聞こえた。紅葉は戦車を動かし隊列に合わせて走行をはじめた。

 

 試合が始まったところで今回はここまで。ありがとうございました。

 

 

 

 




 感想、評価、お気に入り、ありがとうございました。
 
 誤字修正ありがとうございました。

 区切りが悪かったため追加しました


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聖グロリアーナ女学院戦

 今回はかなり人を選ぶかもしれないうえに、わかりづらいかもしれません。ご注意ください


 はい、よーいスタート。

 

 聖グロリアーナ女学院戦やってきます。

 

 >紅葉達は現在丘で待機していた。みほさん達が囮となって相手を連れてくるまで特にやることはない。最初は皆戦車の中で待っていたのだが、待つのに飽きたらしくトランプやらバレーボールなどをしだした。カエサルさんとエルヴィンさんは戦車から体をだして何か手を組んでいた。ここに待機してからずっと手を組んでいた。疲れないのだろうか。

 紅葉もこれだけ長く待つとは思っておらず少し集中力が切れてきた。持ってきた水筒の水を飲んで少し休む。それからもう少し待つと河嶋先輩の声が耳に届く。

 

 「Aチームが戻ってきたぞ。全員戦車に乗り込め!」

 

 >だんだんと戦車の動く音も耳に届いてきた。紅葉はいつでも戦車を動かせるように準備をしておく。作戦通りⅣ号が戦車を引き連れて戻ってきた。

 

 ここは撃破ポイントです。三突の固定砲塔はたしかに色々とデメリットもありますが、メリットもあります。それは撃てる範囲を操縦手の腕である程度補正できることです。

 

 >左衛門佐さんの撃つときの癖は出来る限り把握してある。紅葉は発射する前に少し戦車の向きをずらした。三突から放たれた砲弾は相手戦車の履帯に当たる。動きが鈍くなったのを見逃すはずもなく、装填してもう一度砲弾を戦車に当てた。

 

 「残り4両」

 

 1両撃破できました。ここはすごい練習しました。動画を参考にしてすごい練習しました。河嶋殿がもっと撃てと命令しますが、これ以上撃っても当てられないので聞いているふりをしながら当てられない位置にまで後退しておきましょう。

 

 《赤い戦車を優先的に狙いなさい》

 

 1両撃破したので相手がこちらを狙ってきました。このままでは避けきれないため、既に撃破されているM3リーを盾に使います。

 少し待てば西住殿がもっとこそこそ作戦を開始してくれるのでそれまで待ちます。

 

 「B、Cチーム私達の後についてきてください。移動します」

 「わかりました」

 「心得た」

 「もっとこそこそ作戦を開始します!」

 

 >みほさんから指示が出た。移動する際河嶋先輩が何やら言っていた気がしたが、皆は無視した。逃げる際もう一度砲弾を放ったが、これは当たらなかった。

 

 牽制だから当てなくてもOKです。運が良ければもう1両撃破できますが、その後すぐにやられる可能性の方が高いためこれで良いです。とっとと逃げましょう。市街地戦になります。ここは原作と同じで旗を使って路地に隠れていましょう。相手がやってくるのを待って撃ちます。撃破です。

 

 「こちらCチーム、2両目撃破」

 

 >旗をカモフラージュにするとは考えもしなかった。エルヴィンさんの作戦に舌を巻く。これで2両撃破。

 

 「残り3両」

 

 《攻撃を受け走行不能。また、あの赤い戦車です!》

 

 

 

 いやー、怖いぐらい順調ですねぇ。これってもしかして、もしかするかもしれませんよ(慢心)

 

 《おやりになるわね。でも、ここまでよ》

 

 ここからダージリンが本気で追い詰めてきます。まともにやりあってはこちらに勝ち目はないため先程と同じように不意討ちを狙っていきます。そのために旗が邪魔なのでここで旗を全部置いていきま────

 

 >砲弾が放たれる音がした。嫌な予感がしたため急いで戦車を移動させる。戦車が揺れるのは動いたからじゃない。砲弾がかすったからだ。

 

 は?

 

 >エルヴィンさんから考える限り最悪な知らせが届いた。後方から2両の戦車がやって来ていた。片方の戦車から人が顔を出す。相手の隊長、ダージリンだ。

 

 「ごきげんよう。赤い戦車」

 

 >チャーチルの砲塔がこちらを向いている。

 

 ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!もうやだあああああ!!!!

 なんでもうこっちに来てるんだよ!西住殿の方に行けやダージリン!逃げます逃げましょう!

 

 >紅葉は入り組んだ路地に逃げる。だが、何故か向こうからこちらの場所がわかるのか砲弾がこちらに飛んでくる。何とか避けているが、時間の問題だ。なんでだ。向こうは空に目でもついているのか。

 

 旗がついてるからバレてんだよ。このままじゃまずいので西住殿に助けをもとめます。

 

 「こちらCチーム、追われている!至急援護を!」

 「Aチーム了解。すぐにそちらに向かいます」

 

 >三突では後方に射撃できないので牽制もできない。全ては操縦手の腕にかかっている。紅葉はかつてないプレッシャーを感じた。どうにかしないと。この状況を打破しなくては。考えれば考えるほどどつぼにはまっていく。頭が痛くなってきた。胃がキリキリする。よく知っているはずの場所なのに何処を走っているのかわからなくなってきた。横の道から戦車が出てきた。Ⅳ号じゃない。相手の戦車だ。

 

 《こんな格言を知ってる?イギリス人は恋愛と戦争では》

 

 >後退して逃げようとするが、チャーチル達が迫ってくる。どうやら逃げられていたのではなく、誘い込まれていたようだ。

 

 《手段を選ばない》

 

 おまえイギリス人じゃなくてバリバリの日本人で横浜生まれだろふざけんな!もうだめだぁ…おしまいだぁ(絶望)

 助けて西住殿!

 

 >戦車が撃破された。私達の三突じゃない。目の前のマチルダがだ。無線が入ってきた。

 

 「Cチーム、すぐに逃げてください」

 「援護感謝する!」

 

 >Ⅳ号が撃破してくれたおかげで助かった。マチルダが出てきた方の道に逃げこむ。みほさん達が囮になってくれているうちに体勢を立て直す。

 さっきまでの逃走のおかげでだいぶ神経をすり減らした。深呼吸をして水を飲む。

 

 「大丈夫か、本城」

 「何とか」

 

 >おりょうさんにはそう言ったが正直かなりきつい。

 

 「しかし何故こちらの位置がバレていたのだろうか」

 「相手が忍者を雇っているかもしれない」

 「イギリスも忍者を雇うのか?」

 「いや旗のせいでしょ」

 「それだ!」

 

 >落ち着いて考えてみればこんなわかりやすい答えはない。旗が塀より高いため相手からこちらの位置がわかってしまっていたのだ。紅葉がそう言うと皆はっとした顔をした。何処かで一度止めて旗を外そうとなった。そのとき、遠くからでも金ぴかに光る生徒会の戦車と鉢合わせた。撃破されたと思っていたが履帯が外れていただけで大丈夫だったらしい。

 

 生徒会メンバーと合流しましたね。生徒会から一緒に来るように言われますがまずは邪魔な旗を外すことのほうを優先しましょう。

 

 >紅葉は急いで戦車から旗を外す。そのときふと閃いた。 

 

 ん?何このイベント。知らない。

 

 >紅葉は生徒会メンバーを引き留める。そして頭を下げて頼みごとをした。

 

 

 「代わりにやられてください」

 

 

 

 ※

 

 

 

 ダージリンは思わぬ苦戦を強いられていた。相手の大洗女子学園は最近戦車道が復活したばかりであり、こう言ってはあれだが初心者の集まりだ。

 戦車も型落ちばかりで、しかも派手な塗装をしている。どんな相手にも全力を尽くすのが彼女達だが、それでも相手を軽く見ていた。

 しかし蓋を開けてみれば、たしかに初心者ばかりであったが、他と違って2両の戦車は良い動きをしていた。

 1つはⅣ号。他の戦車と違って派手な塗装などはしていない。囮をつとめていることもあり、一番技量があるのだろう。撤退の時も先導をしていることもあり、この戦車の車長が指示を出しているに間違いない。

 もう1つは三突。こちらは赤を基調としたふざけた塗装をしている。それに旗をつけていることもあり、とても目立っていた。しかしその三突にダージリンは煮え湯を飲まされているのだ。

 最初の丘の包囲の時、まるでそこを通るのをわかっていたかのように砲弾を放ち、戦車を1両撃破された。こちらが2両で狙ってもかすりはしても直撃を与えられなかった。どうやら優秀な操縦手がいるらしい。

 だが、いくら優秀でもまだまだだ。路地に逃げ込んでもそんな目立つ旗を立てているようでは、こちらに自分から位置を教えているようなものだ。1両を先回りさせて挟み撃ちにする。三突はこちらに誘導されているとも知らず、逃げ続ける。

 あの赤い戦車を撃破まで後一歩のところまで追い詰めたが、今度はⅣ号がそれを阻止した。Ⅳ号の牽制射撃のおかげで三突を見失ってしまったのは残念だが、わざわざ指揮官がこちらに来てくれたのだ。ここで潰さない理由はない。

 Ⅳ号は三突と違って後方へ射撃できる。牽制射撃をしながら逃げているが、行き止まりまで追い込むことができた。トドメをさそうとしたその時、電柱が倒れてきた。

 あの赤い戦車だ。あの戦車が建物の向こうからまたしてもこちらの位置がわかっていたかのように先回りして電柱を撃ち、こちらの射撃を妨害してきたのだ。

 Ⅳ号はその隙に反対側の路地に逃げ込む。三突も逃げ出したが、相変わらず旗のおかげでこちらから位置がわかる。

 

 「どちらを追いますか?」

 「…Ⅳ号の方を追いましょう」

 

 悩ましいが、ここはⅣ号の方を優先させる。三突は旗のおかげで場所を把握できる。相手が旗を下ろす可能性もあるが、そうだったらそもそも旗なんか戦車に立てないだろう。

 逃げるⅣ号を回り込んで追い込む。大通りの方に向かうと先行していた車両が壁際に張り付いていたⅣ号にやられてしまった。

 

 「後、1両」

 

 ダージリンはこんな状況でも最後まで焦らないでいた。どんな状況でも常に冷静に対処してきた。紅茶を一滴たりともこぼさないことも誇りである。

 Ⅳ号がまた路地に逃げ込んだ。その反対側の路地から旗が見えている。なるほど、囮作戦か。良い考えだったかもしれないが、旗が見えているのでは何も意味をなさない。ダージリンはチャーチルの砲塔を動かせ、砲弾を放つ。この近距離ではいくら優れた腕を持っていようと避けることはできない。壁越しに放たれた砲弾は戦車にぶつかり、煙をはいた。

 

 「終わったわね。赤い戦車」

 

 ダージリンはすぐにⅣ号の方を追いかけようとするが、違和感を感じた。煙の向こうから光っているのが見えたのだ。

 

 「こんだけ頑張ったんだから、後は頼んだよー。本城ちゃん」

 「了解」

 

 撃破したのは三突ではない、あの目立つ旗をつけていた38tだ。

 やられた。ダージリンは自らの短絡的思考を悔やんだ。旗がついている戦車を三突と結びつけて行動していたため、別の戦車が旗をつけるという可能性を知らずに排除していたのだ。

 そうなると次に考えなければならないのは、三突は何処にいるのか。ダージリンは直感的に反対側の方を見る。そこには、三突が接近してきていた。

 すぐにチャーチルの砲塔を動かす。三突はドリフトを駆使して、砲塔をチャーチル正面の装甲が薄い箇所に合わせる。

 

 「撃て!」 

 

 チャーチルと三突、二つの戦車の砲塔から砲弾が同じタイミングで放たれる。凄まじい衝撃が車内に伝わり、ダージリンはティーカップを落としてしまった。

 

 『三号突撃砲、チャーチル歩兵戦車走行不能』

 

 ダージリンがそのアナウンスを聞いた時、自分が負けたということを実感するのに少し時間がかかった。

 




 感想、評価、お気に入り、ありがとうございました。

 誤字報告ありがとうございました。


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聖グロリアーナ女学院戦後

 

 はい、よーいスタート。

 

 つづきからやっていきましょう。前回はほもちゃんがドリフトを覚えてくれたおかげで勝てました。

 正直、リセットする気でいたので本当に良かったです。もう二度と聖グロとはやりたくない、マジで。

 

 >戦車が回収されているのをぼんやりと眺めている。よく勝てたものだ。今でもあんまり実感がわかない。一か八かの作戦だったが上手くいってよかった。ただ、今回の作戦はかなりアウトなところもあるし、初見殺しなだけで二度と使えないだろう。

 勝てたのは運が良かった部分の方が大きい。運も実力の内とはいうが個人的にそれはあまり納得がいかない。もっと経験を積み重ねて今度は正面からやりあっても勝てるようになりたい。

 それはそれとして、紅葉は厳しい試合を経験した。相手戦車5両に対し、3両撃破。操縦手として大きな成長を遂げているのを実感している!

 試合に活躍したことにより、大洗の仲間達の信頼を得た気がした!

 紅葉は試合で大活躍をした!人々から《期待のルーキー》と噂されているようだ!

 

 

 はい、ほもちゃんがかなりレベルアップしましたね。聖グロは基本的に負けイベントなので、勝ったため大きな経験値が手に入ります。経験値は撃破した戦車の数や撃破のアシスト、作戦に貢献したかによってなどに応じて割り振られます。

 それに称号も手に入れました。これは聖グロを倒したからですね。本来なら《見込みのある新人》か《まだまだこれから》が手に入ります。

 

 >三突で試合会場までやってきたので、どうやって帰るんだろう。迎えの車か何か出してもらえるのだろうかとぼんやりと考えていると、みほさん達が相手の隊長と喋っていることに気づいた。

 ここからでは何を言っているのか聞こえないのでどんな会話をしているんだろうと思っていると、みほさんが紅葉に気づき、こっちに向かってきた。相手の隊長も連れてきて。

 

 「あなたがあの赤い戦車の操縦手ですわね?」

 「はい」

 

 >こうやって顔を合わせるのは何だか緊張する。撃破された拍子に顔や制服が汚れてしまった紅葉に対しダージリンさんは顔や制服に汚れ一つない。

 

 「あなたお名前は?」

 

 『普通に自己紹介する』

 『まず自分から自己紹介するのが礼儀では?』

 『名乗るほどの者ではありません』

 『キレキレなダンスを見せつける』

 『逸見エリカ』

 『そんなことよりおなかがすいたよ』

 

 また製作者がふざけたのか変な選択肢がでてきます。ここはボタン連打でいいです。

 わざわざ煽って怒らせるメリットもないし、余計に時間がかかるだけなので普通に自己紹介しましょう。

 

 >紅葉は自己紹介をした。ダージリンさんの顔は真剣そのもので、ここでふざけたりでもしたらとんでもないことになるだろう。

 

 「本城紅葉さん、次は負けませんわ」

 

 >ダージリンさんの鋭い視線が紅葉を貫く。紅葉は内心かなりビビりながらも負けじと言葉を返す。

 

 「次も、負けない」

 

 >紅葉の視線はダージリンさんを捉える。みほさんが横でおろおろしているのも見えた。

 

 「それでは、みほさん、紅葉さん。ごきげんよう」

 

 >ダージリンさんと後ろにいた2人の生徒は去っていった。紅葉は彼女達がいなくなったことを確認すると、地面に座り込んだ。

 嫌な汗をかいた。足も生まれたての山羊のように震えている。何か今日はこんなのばかりだ。

 

 「だ、大丈夫ですか?」

 「うん」

 

 >みほさんが心配そうにこっちを見つめている。紅葉は親指を立てて大丈夫だと伝える。

 ……ダージリンさん。次に試合をするとき、はたして自分は彼女に勝てるのだろうか。今度は対策もされるだろうし、今回のようにいかないだろう。

 

 「よし」

 

 >紅葉は立ち上がる。いつまでも弱気のままではいられない。私は宣言したのだ。次も負けないと。ならそれを実現するために、もっと腕を磨かなくては。

 今日の試合の反省点はまとめてある。さっそく今からでも練習がしたい。紅葉はやる気に満ちあふれている。だが、三突は現在修理中だ!

 

 「いやー、お疲れ様2人共!」

 

 >生徒会の人達がやってきた。いつもつかみどころのない会長だが、今は本当に機嫌が良いのがわかるぐらい顔が笑顔だった。

 

 「まさか勝てるとは思わなかったよ。西住ちゃんの指揮も良かったし」

 「あ、ありがとうございます」

 「私の作戦あっての結果だがな」

 「じゃ、約束通り干し芋3日分後で渡すから」

 「……ありがとうございます」

 

 >そういえば負けたらあんこう踊りをみほさんが踊ることになっていたのを思い出す。まぁ、勝ったのでみほさんが踊ることはないだろう。良かったぁ。

 

 「それに本城ちゃん。凄い活躍だったじゃん」

 「どうも」

 「私達の陽動あっての結果だがな」

 「見てた人達みんな本城ちゃん達のこと噂してたよ。《期待のルーキー》って」

 

 >紅葉は褒められて照れる。噂されるのも悪くはない、と感傷に浸っていると、河嶋先輩と小山先輩に囲まれる。

 

 「え?」

 「それでさぁ、本城ちゃん。あんこう踊りって知ってる?」

 「多少は」

 「そっかぁ。それなら丁度良かったよ」

 「あ、あの、どういうことですか?」

 

 >話が見えない紅葉とみほさん。

 

 「試合を見ていた実行委員会の人達がぜひ本城ちゃんにあんこう踊りを踊ってほしいんだって」

 「は?」

 「冗談ではないですよ?」

 「実行委員会からの指名だ。もちろん受けろ本城」

 

 >何の冗談かと思ったがどうやら本気らしい。じわじわと生徒会の人達に詰め寄られる。

 冗談じゃない。何で勝ったのに自分があの踊りを人前で踊らなくてはいけないのだ。

 

 『断固として拒否する』

 『やけくそになりながら承諾する』

 『助けてみほさん!』

 

 ここは承諾するほうにしましょう。断ることもできないことはないですが、ほもちゃんのspeechスキルではどうせ会長殿にやり込められるので(意味が)ないです。

 西住殿に助けを求めるとほもちゃんに同情した西住殿が一緒に踊ってくれますが、会話が増えるので選らばないです。

 

 「わかりました。わーかーりました!」

 

 >どうせ断ってもあの手この手で詰め寄られるのは目に見えている。紅葉はやけくそになりながらも承諾をした。河嶋先輩と小山先輩に両腕を掴まれる形で連れていかれた。

 

 ここでムービーが挟まります。ほもちゃんが一人であんこう踊りをやるのですが、もちろんスキップします。

 

 >紅葉はやけくそになりながらも一人であんこう踊りを踊りきった。仲間達から同情の視線が集まっているのを感じる。

 紅葉のメンタルが鍛えられた!これで多少のことなら冷静さを崩さないだろう!

 一人で踊ったことにより人々から《あんこう踊りを一人で踊った女》と噂されているようだ!

 

 はい。これでほもちゃんのメンタルが少し上がりました。ほもちゃんはメンタルが現在弱いので後々上げていきます。

 今回は少し短いですがここまで。ありがとうございました。

 

 

 

 ※

 

 

 紅葉さんは凄い速さで成長している。彼女はつい先日まで初心者だったのに、ここまで出来るようになるなんて。

 彼女はいつも夜遅くまで居残り練習をしているのを私は知っている。技術でわからないことがあれば、私にも積極的に聞きにくる。彼女に頼られている気がしていて、私も嬉しかった。

 一度彼女に聞いてみた。どうしてそこまでがんばるのかと。

 

 「いくつか目標があるから」

 「目標?」

 「うん」

 

 聞くと彼女には戦車道を履修している幼馴染みがいるらしい。あまり詳しくは聞かなかったが、その幼馴染みを越えることが目標だと彼女は言った。

 

 

 「今度紹介するよ。みほさんともきっと仲良くなれる」

 

 幼馴染みについて語る彼女はいつもより饒舌で本当に仲が良いんだなと思った。何故か少し胸がチクチクした。

 

  

 

 




 評価、お気に入り、感想、ありがとうございました。

 誤字報告ありがとうございました。


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聖グロリアーナ女学院戦後 2

 かくしごとが面白かったので初投稿です。


 

はい、よーいスタート。

 

 前回の続きからイクゾーデッデッデデデデ!(カーン)デデデデ!

 

 >鏡がないからわからないが今の自分はとてもひどい顔をしているのだろう。今紅葉はベンチに座って休んでいる。

 私はあんこう踊りを一人で踊りきってやった。何故か一人だったが。おりょうさんと左衛門佐さんは太鼓を叩いていたので正確には一人じゃないのだけど。

 おかげでメンタルは鍛えられた気がする。今の紅葉なら並大抵のことなら動じないだろう。

 

 メンタルを鍛える意味はあります。今回の試合にはありませんでしたが、メンタルが低いままだとほもちゃんが試合中にミスしたり、発狂しだしたりしてしまいます。最悪、試合中に逃げ出したりしてしまいます。

 メンタルを上げずに、ステータスや仲間との絆を上げたりした方が速くなるとは思いますが、メンタルがくそ雑魚ナメクジだと後半の廃艦のプレッシャーによって、ちょっとしたことで発狂してしまいます(5連敗)

 なので、私は安定をとってほもちゃんのメンタルを鍛えました。

 

 >今は7時まで自由時間だ。やることがないから暇なのでどうしようかと悩んでいるとメールが届いていることに気づく。

 

 『紅葉さん。えっと、お疲れ様です。もしよければ私達と一緒に買い物に行きませんか?気分転換にもなるだろうし。返事待ってます』

 

 >みほさん達からお誘いだ。他にもメールが届いている。

 

 『本城お疲れ様。もし予定がなければ私達と一緒に自由時間を過ごさないか?無理に来いとは言わない。先約があるのならそちらを優先してくれ』

 

 >カエサルさん達からのお誘いだ。さて、どうしようか。

 

 『みほさん達と過ごす』

 『カエサルさん達と過ごす』

 『一人で過ごす』

 

 ここはボタン連打にするとうっかり西住殿達と自由時間を過ごしてしまうので気をつけます。

 理由としては皆さんお分かりでしょうけど、西住殿達と過ごすと自由時間の他に五十鈴殿のイベントも起きてしまいます。何気に会話や移動で長いので回避します。

 カエサル殿達の好感度は戦車道で活躍したり練習しとけば勝手に上がるので無視します。適当な理由で誘いを断りましょう。見たい人は買ってどうぞ。

 

 >なんだかあまり気分が良くない。こんな状態では迷惑をかけてしまうかもしれない。非常に残念だけど、断ろう。

 

 『ごめん。今少し気分が悪いから休んでる』

 

 >メールを送信する。本当に残念だ。少し待つとまたメールが届いた。

 

 『それなら仕方がない、ゆっくりしてくれ』

 

 >カエサルさんの気遣いが身に染みる。

 

 『もしかして風邪ですか?ゆっくりしていてください』

 

 >みほさんの優しさに心が温かくなる。紅葉はメールを確認し終えると集合時間までベンチに座ってることにした。

 上を見上げて雲の形がゆっくり変わっていくのをぼんやり眺めている。あの雲はなんだか三突に似ているかもしれない。

 

 「本城紅葉だな」

 

 >声をかけられたので目線を雲から声のした方向に向ける。ここのところフルネームで呼ばれるのが多いなぁと紅葉は思いながら。

 えっと、たぶんおそらくきっと聖グロリアーナの生徒だろう。制服がそうだし。ただ顔に見覚えがなかった。茶髪にロングヘアで三つ編みの少女だ。

 ダージリンの側にいた2人とはまた違った雰囲気の少女だ。失礼かもしれないが。

 

 「はい。何か用ですか?」

 「……これを受けとれ。聖グロリアーナからだ。西住みほに渡してほしい」

 

 >紅葉は籠を受け取った。

 

 「それと、次は負けないからな!」

 

 >少女は紅葉に人差し指を突きつけて宣言すると、そのまま行ってしまった。突然のことで戸惑っていた紅葉は彼女の名前を聞きそびれてしまった。

 紅葉は追いかけようかと思ったが、体調が悪いのでやめた。また今度会ったらその時に名前を聞いてみよう。

 紅葉は三突に似た雲を見上げた。やっぱりそんなに似てなかった。

 

 一人で過ごすと確定で聖グロの生徒の誰かと遭遇します。今回は当たりですね。ダージリン殿だったり、オレンジペコ殿あたりだと会話が長くなってしまいます。このイベントが終了後自動的に集合場所まで移動します。籠は生徒会に渡しておきましょう。

 

 >時間が経つのはいつもあっという間だ。もう夕日は沈み夜になっていた。紅葉はカエサルさん達と合流していた。彼女達は紅葉の体調を気遣ってくれていた。紅葉はもう大丈夫だとガッツポーズをして示す。

 もう出港ギリギリの時間なのにみほさん達がいない。冷泉さんだけいた。何か映画とかでたまに見るポーズをとっていた。

 紅葉は一人なのかと尋ねる。

 

 「おばあのところに行っていた」

 

 >おばあが誰かは知らないけどどうやら別行動をしていたらしい。風紀委員が少しイライラしている。本当に遅い、大丈夫かな。

 もう少し待つと聞きなれない音が聞こえてくる。何かと思って見ていると、男の人が涙と鼻水を滴しながら何か叫びながら人力車を押してこっちに来ていた。

 不審者かなと思ったけど、人力車にはみほさん達が乗っている。私はとりあえず携帯をしまった。

 とにかく何かトラブルとかに巻き込まれたようではないようだ。紅葉はみほさん達を確認すると自分も艦に乗る。

 階段をかけ上がると一年生チームの子達が申し訳なさそうな顔をしてみほさんを待っていた。

 試合中に逃げ出したことを謝りにきたのだ。次は逃げ出さない、絶対頑張ります、と彼女達の熱意を感じる。

 みほさんは嬉しそうな顔をしている。

 

 「これからは作戦は西住ちゃんに任せるよ」

 

 >横で河嶋先輩が驚いた顔をしている。私はスルーした。小山先輩の手には紅葉が受け取った籠がある。みほさんが見当たらなかったため、とりあえず生徒会の人に渡したのだ。中身は確認してない。

 みほさんは籠を開けて中身を確認する。中には紅茶とメッセージカードが入っていた。

 メッセージカードは英語で書いてあったが、何となくfriendと書いてあるのはわかったけど、何故かFがヲになっている。なんで?

 

 紅葉の学力が低いので特殊なセリフが入りました。

 

 >メッセージカード全部英語で書かれていたため紅葉には全く理解できなかったのでみほさんが要約してくれた。

 要約するとまた公式戦で戦いましょう。次は負けない。と書かれている。後、みほさんにお姉さんがいるらしい。

 紅茶を贈るのは聖グロリアーナにライバルとして認められた証らしい。

 紅葉はもう一枚のメッセージカードの方を見つめていた。

 

 は?もう一枚?

 

 >こっちにはrivalと書かれている。

 

 「……リバル?」

 「ライバルだよ紅葉さん」

 

 >どうやらこの英単語はライバルという意味らしい。私はてっきり川かと思った。

 みほさんはもう一枚のメッセージカードを読むと、それを要約する。

 要約すると、どうやら私はダージリンのライバルになったらしい。次は聖グロリアーナの名にかけて必ず勝つとのこと。

 肩に何かとても重いものがのしかかってくるのを感じる。

 

 

 …………はい。今回はここまでです……

 

 ……ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 




 感想、評価、お気に入り、ありがとうございました。


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サブクエスト

 今回は少し人を選びます。ご注意ください。


 はい、よーいスタート。

 

 前回のつづきからやっていきましょう。えー、前回はダージリンにライバル認定されました。これは非常に珍しいパターンで同時にダージリンにほもちゃんの試合中の動向が完全に研究され、勝つのが非常に難しくなります。

 まぁ、ルート攻略に影響は出ないので大丈夫でしょ(希望的観測)

 今回は久しぶりに学園パートがメインになります。

 

 >何だか体がだるい。昨日の体調不良を引きずっているかもしれない。熱はないみたいだ。

 

 やだもーこんな時に体調不良にならないでよ。休むか休まないかの選択肢が出てきますが、当然休まない一択です。

 

 >今日は生徒会の人達から大事な話があるって聞いている。熱はないみたいだし無理せずやっていこう。紅葉は制服に着替えて登校した。

 登校していると、少し前の方から噂話をしている人達の会話が聞こえてきた。

 

 「最近遊びすぎてお金ないわー。どこかでバイトしなきゃなー。良いとこないかなー」

 「バイトって言ったら知ってる?うちの学校の二年生にちょっと特殊なバイトを紹介してる子がいるんだって」

 「何それヤバくない?」

 「やばいわよ」

 「興味でてきたわ。誰が紹介してくれんの?」

 「さぁ?」

 「はぁ?誰か知らないのになんでそんなこと知ってんのよ」

 「それが噂ってものでしょ」

 

 >ちょっと特殊なバイト…少し興味がわいてきた。個人的に調べてみようかな。

 紅葉は『ちょっと特殊なバイト』の噂を耳にした。

 

 これはサブイベントです。ちなみにさっきの子達は定期的にほもちゃんに噂を提供してくれる名も無きモブです。

 今までやらないのでスルーしてきましたが、これはやります。

 この特殊なバイトはお金とメンタルを上げるのに大変役に立ちます。

 

 「おはよう紅葉さん!」

 

 >後ろからみほさんの声がしてくる。紅葉はあいさつを返した。

 

 「顔色悪いよ」

 

 >みほさんから心配そうに声をかけてきたが、紅葉は大丈夫だとガッツポーズを決める。

 

 実際問題ありません。西住殿と登校したら少し別れてトイレに行きましょう。

 

 >紅葉はトイレに向かった。……少し体調が良くなった気がする!

 

 トイレを使うと何故か体調が良くなります。風邪だろうが、熱だろうがトイレに行けばほもちゃんは回復します。

 

 >身体が軽くなっていく。元の調子に戻ったようだ。紅葉は席に着く。みほさんが少し驚いていた。

 

 授業は戦車道以外スキップで。

 

 >戦車道の時間だ!紅葉はグラウンドに移動した。練習の前に生徒会の人達から発表があった。

 

 「第63回戦車道全国高校生大会の抽選会について今から伝える」

 

 >河嶋先輩の話を聞く。来週の日曜日にその抽選会があり、隊長であるみほさんが大洗を代表して抽選を引くとのこと。みほさんは緊張のあまり固まっていたが、紅葉や武部さん、五十鈴さんが応援すると、覚悟を決める。

 

 「わ、私で良ければ頑張ります!」

 

 >みほさんの姿が紅葉にとってまぶしく見えた。

 

 

 昼休みになりました。先ほど聞いた特殊なバイトを紹介してる子を探しますが、本来なら聞き込みだったり別のサブクエストやったりして大変手間がかかりますが、紹介してるNPCは固定で誰かわかっているので直接会いに行きます。

 

 >紅葉は何となく図書館にやってきた。別に用はない。

 

 図書館の奥に隠れててわかりづらいですが、少し大きいダンボールが置いてあります。そこまで移動しましょう。

 

 >紅葉は図書館の奥に少し大きなダンボールが置いてあることに気づいた。小柄な人なら隠れられそうだ。

 

 ここでダンボールに向かって手拍子を三拍のリズムで鳴らします。

 

 >紅葉は手拍子を鳴らした。するとダンボールから声が聞こえてくる。

 

 「…あんた、本城だろ」

 

 >紅葉は本当にダンボールの中に人がいて驚く。ダンボールの中にいる少女は紅葉の驚きはどうでもよさげに口を開く

 

 「ここまでやってきたってことはバイトが欲しいんだろ。知ってるだろうが、私の紹介するバイトはちょっと特殊でな。それでも構わないんだな?」

 

 >紅葉は少し迷ったが、頷いた。

 

 「じゃ、紹介料五千円。払いな。……何驚いてるんだ。ここまでやって来たのならそれくらい知ってるだろ」

 

 このダンボール少女は、バイトを紹介してくれる代わりに五千円要求してきます。本来なら聞き込みとかで途中で分かるようになってるのですが、直接ここまで来るとその情報は知らないので驚いてます。製作者のちょっとした遊び心ですね。

 五千円は用意してあるので渡します。

 

 >紅葉は五千円が入った封筒を渡した。

 

 「…たしかに。じゃあ何のバイトが欲しい?」

 

 色々ありますがメンタルが一番鍛えられる着ぐるみのバイトを選択します。

 

 「…少し待ってな」

 

 >少女は何処かに電話をかけている。ボソボソと喋っているため声は聞こえてこない。紅葉は少し待った。

 

 「…待たせたな。この紙に書かれている場所に行け」

 

 >少女はダンボールの隙間から紙を紅葉に渡すと、じゃあな、と呟いた。

 紅葉はその場から立ち去る。

 

 通常プレイなら何度かお世話になるかもしれませんが、今回のプレイではダンボール少女は、二度と会いに来ません。

 用は済んだので昼御飯を少し遅くなりましたが食べに行きましょう。

 

 戦車道の練習です。いつも通りやっていきましょう。

 

 >紅葉は練習を開始しようとしたが、誰かがこちらにやってきたようだ。

 

 ん?

 

 「あの、紅葉さ」

 「本城先輩!」

 

 >元気な声が聞こえてくる。彼女はたしか一年生の阪口さんだ。

 

 「何か用?」

 「私に操縦を教えてください!」

 

 >元気な子だ。紅葉の周りにはこういうタイプの人はいなかったので少し戸惑う。彼女の視線からやる気がミシミシと伝わってくる。どうしようか。

 

 断ってもいいですが、二人で練習した方が効率はいいです。わざわざ誘うほどでもないですが、向こうから誘ってきたのであれば教えてあげましょう。

 

 「私もまだまだ初心者だけど、それでもいいなら」

 「ありがとうございます!」

 「一緒に頑張ろう」

 「あいー!」

 

 >紅葉は阪口さんと練習を始める前に、周りを見渡す。みほさんの声が聞こえた気がしたのだが、姿が見えない。

 気のせいだったんだろうか。

 

 あー、多分、西住殿も練習に誘ってきたのでしょう。西住殿はすでに補正が入っているので、一緒に練習するなら他の子との方が効率が良いです。

 

 >紅葉は操縦手としての練習を始めた。阪口さんと一緒に練習をした。後輩に教える最中、自分も基本を見直すことができた。

 紅葉は操縦手としての成長を感じる。

 

 夕方になったら紙に書かれている場所まで行きましょう。

 

 >紙に書かれている場所まで向かった。着いた場所には、到底人がいるとは思えない建物があった。あちこちボロボロでホラー映画に出てきそうだ。ボコミュージアムと書かれている。

 ボコ………?紅葉は記憶を辿るがそんなキャラクター見たことも聞いたことがない。あの包帯に巻かれているシュールな熊がボコなんだろうか。何というか、私の好みではない。好きな人にはきっと刺さるんだろう。あの見た目は。

 紅葉は建物に入り、スタッフルームまで向かう。建物の見た目から想像したとおりほとんど人は見かけなかった。客も灰色の髪の小さな女の子を一人見かけたぐらい。

 紅葉はスタッフに紙を渡すと、上司の人と出会った。どうやら主役の着ぐるみの中の人がアクションの練習中に足を滑らせ骨折してしまったらしく、急いで代理を見つける必要があったらしい。

 もっと手間がかかるものかと思ったがトントン拍子で紅葉の面接は終わった。本当に人がいないみたいだ。ちゃんとお給料出るのかな。

 紅葉はボコがどんなものなのか知らないため、ショーを撮ってあるビデオを見させてもらった。

 ボコと呼ばれる熊が粋がって、ペンギン達に立ち向かいただひたすらボコボコにされている。

 紅葉はよくミュージアムが建つほど人気が出たなと思った。やっぱりハマる人はハマるのだろうか。

 ビデオは勉強用に持ち帰ることになった。

 

 ボコの着ぐるみのバイトは給料はそんなにもらえませんが、その分メンタルがかなり鍛えられ、特殊スキルも手に入ります。とても、うまあじです。

 

 バイトが決まったところで今回はここまで。ありがとうございました。

 

 

 ※

 

 

 彼女はいつも私を気にかけてくれる。彼女はいつも他の人にも気にかけている。

 

 だからふと思ってしまった。私の中では彼女は大切な人でも、彼女にとって私はその他大勢の一人なんじゃないかと。

 

 




 感想、評価、お気に入り、ありがとうございました。

 誤字報告ありがとうございました。

 凄い勢いでお気に入りが増えていてびっくりしました。どうしたのかと思って調べたらなんと日間ランキングにランクインしてました。これも私の二次創作を見てくださる皆様のおかげです。本当にありがとうございました。


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ボコ好きな少女との邂逅

 デルフィンキルRTAを見ていたので初投稿です


 はい、よーいスタート。

 

 前回のつづきからスタートしていきます。といっても土曜日まで特にやることないので暇ですね。ちょっとダイジェストで送らせてもらいます。

 

 >紅葉はランニングを開始する。途中でみほさんとばったり出会った。彼女もランニングが日課らしい。紅葉の方が早い時間に起きて開始していたため、今まで鉢合わせなかったのだ。一緒にランニングをした。

 

 >紅葉は昼食をどうしようかと考えていると武部さんとみほさんが誘ってきてくれた。今日は別に用はなかったのでありがたくご一緒させてもらった。

 会話の最中、私の好物を聞かれたので塩おにぎりと答えた。塩おにぎりは最高だ。手間はたいしてかからないが、奥が深くて、なおかつ美味しい。

 

 >紅葉は操縦手としての練習を始めた。練習中どうすればもっと貢献できるのかチームで会議をした。紅葉も無い知恵絞って考え、色々意見を出した。途中歴史の話に脱線しかけたが、有意義な会議になっただろう。

 紅葉は操縦手として成長した。チームの絆も深まった。

 

 >居残り練習を開始した。今日は私1人だけじゃなく、チームで居残り練習をした。別に内緒にしていたつもりはなかったのだけれど、紅葉が居残り練習をしていたことを知らなかったエルヴィンさんから水臭いぞと怒られてしまった。

 日が沈むまで紅葉はつづけた。終わった頃にはみんなバテバテになってしまった。

 今後紅葉が居残り練習をするとチームメンバーも自動で参加してきます。

 

 >寮に帰宅すると紅葉は持ってかえってきたビデオを視聴した。ボコのショーを研究する。ボコの動きを一挙一動見逃さない。

 変な歌が流れてくる。最初は気にもとめてなかったが何度もビデオを見返すうちにだんだん気になってくるようになってきた。

 紅葉は頭のなかの雑念を振り払うため、ボコの動きをマネし始めた。最初の決めポーズから、ボコボコにされている最中の動きまで全て。

 

 

 >紅葉はランニングを開始した。今日は何だか気分が良い。気がついていたら鼻歌を口ずさんでいた。

 

 「やってやるやってやるふーんふんふんふんふーん」

 

 >みほさんと登校した。彼女はどうやらわざわざ私を待ってくれていたらしい。登校途中に今日は一緒に教室で昼食を済ますことを約束した。どうやら何か作ってきたらしい。

 

 >なんとみほさんが私に塩おにぎりを作ってきてくれた!日頃の感謝だと言っていたが、むしろ私の方が彼女に感謝している。彼女がいなかったら戦車道をやろうともつづけようとも思わなかっただろう。

 紅葉は塩おにぎりを食べた。うん!とても美味しい!毎日食べていたいぐらいだ!

 今度お礼に私の得意料理をご馳走してあげよう。楽しみだ。

 

 >三突の塗装をみんなで塗り直した。前の赤い塗装も目立ってはいたがそれなりに気に入っていたけど、やはりこのままじゃ目立ちすぎて駄目だ。

 

 >戦車が少し故障してしまった。そのせいで居残り練習もできなかった。仕方がないので帰宅しようとするとみほさん達と鉢合わせみんなで帰宅した。

 

 ……何か西住殿のエンカウント多くない?やっぱり生徒会のときのガバが引きずってるのかな。まぁ、今のところ行動に支障は来してないので少し様子見ですね。

 土曜日になったらボコミュージアムに行きます。イクゾー。

 

 >今日はバイトの日だ。紅葉はボコミュージアムに向かう。休日なのにお客さんが来る気配がない。まぁ、ボロボロだしやってないと思われているだろう。

 紅葉はスタッフルームに着くと、さっそくボコの着ぐるみを着た。

 着ぐるみは着ると大変だと聞くが思ったほど動きにくいとかはなかった。なんでもボコは動いたりするのが多いしボコボコにされるから特殊な素材で作ったらしい。そのお金をミュージアムの修繕に使えばいいのに。

 今日は今度のボコのショーの練習がメインの仕事だ。紅葉はビデオで覚えた動きを演じる。もちろんペンギン達にもボコボコにされた。わりと痛い。

 ただ、練習とはいえ何度もボコボコにされて紅葉のメンタルは鍛えられた気がする。

 練習が終わると紅葉はミュージアムの清掃をした。お客さんはほとんど来てないので大して汚れてなかったので暇だったが。

 ただこのミュージアムにも常連客がいるらしい。ボコのぬいぐるみ売店を眺めている少女がその常連客だ。小学生か中学生くらいの子だろうか。前にも見かけたことがある。

 紅葉はその少女のことが少し気にかかった。1人でいるのだ。親は見かけないし友達と一緒に来ているわけでもないようだ。

 清掃も終わり、今日のバイトは終了した。紅葉はバイト代をもらった!

 通路にボコのキーホルダーが落ちていたので拾った。売店の製品かと思ったが、どうやらここでは販売していないグッズみたいだ。落とし物なのでスタッフの人に預けようとしていたら、常連客らしい少女とすれ違う。何かを探している様子だ。紅葉は直感的にこのキーホルダーは彼女のものなんじゃないかと思い、声をかける。

 少女は人見知りする子なのか、紅葉に警戒している様子だ。

 どうすれば彼女の警戒を解くことができるんだろうか。

 

 『おいらボコだぜを記憶を頼りに歌って警戒を解く』

 『ここで働いているバイトだと身分をあかして警戒を解く』

 『ここでボコのなかの人として働いているバイトだと身分をあかして警戒を解く』

  

 今まで通りボタン連打だと失敗するので注意します。一個下の選択肢がこの場合正しいです。

 

 >紅葉は自分のスタッフカード見せて、ここで働いているバイトだと証す。少女はそれを見て警戒を緩めてくれたようだ。

 先ほど拾ったキーホルダーを彼女に見せる。

 

 「あ……私のキーホルダー」

 

 >やっぱり彼女のものみたいだ。紅葉はキーホルダーを彼女に返す。

 

 「もう失くしちゃ駄目だよ」

 「う、うん。……ありがとう、ございます」

 

 >返したキーホルダーを両手に包んで嬉しそうな様子だ。本当にボコが好きみたいだ。こういう子がいるのなら私も頑張れそうだ。紅葉は少女と別れミュージアムを出る。

 

 着ぐるみのバイトは彼女との交流が実質メインなところもあります。好感度を上げなくてもバイトこなしてるだけでイベントは進行していきますので、楽でいいです。

 

 >明日は抽選会だ。楽しみだ。今日はもう寝よう。

 

 抽選会を翌日に控えて今回はここまで。ありがとうございました。

 

 

 

 

 ※

 

 

 

 「……また会えるかな」

 

 キーホルダーを握りしめて呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 感想、評価、お気に入りありがとうございました。

 誤字報告ありがとうございます。

 


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抽選会

 今回は人によっては苦手だったり不快になるかもしれません。


 紅葉とはどうやって知り合ったかって?

 知ってるかもしれないけど私と彼女は幼馴染みなのよ。小学校の低学年の頃からずっと同級生。特に特別なきっかけとかそういうのはなかったわ。

 お互いになんとなく仲良くなったから、なんとなく一緒にいただけ。……特に面白みがないって?そういうものでしょ、幼馴染みに夢見すぎよ。

 それで、私が黒森峰に入学するまではほとんど毎日あの子と過ごしてたわ。

 何やるにしてもいつも2人一緒。よく探検とかいって2人であちこち出かけたものだわ。そうそう一度森の奥まで行って迷子になったこともあったわね。

 紅葉が半泣きになりながらも私がリードして、何とか帰ってこれたけどお互い親に怒られたわ。いつもそうなの、私が紅葉の面倒を見てる。

 …え?『エリカが半泣きになって大変だった』とか言ってたわけ?何嘘ついてるのよあいつ。

 ……とにかく、私と彼女はいつも2人一緒だった、たった1つの例外以外は。

 それが、戦車道。どういうわけか知らないけど頑なに戦車道をやるのを拒んでたわ。戦車道どころか戦車を見るのも嫌がってて、戦車の話題が出ると無言でどこかに立ち去って、もう面倒くさかったわよ、少し。

 私は彼女に戦車道をやらせたかったわ。彼女は1つのことに集中すれば誰よりも上にいくことができる。……結果はあなたもよく知ってるでしょ。

 いくら誘ってもやらないの一点張りだったからそのうち私も誘うのはやめたわ。無理強いはしたくなかったし、嫌々やられてもこっちが迷惑だわ。

 だから、抽選会であいつの口から戦車道を始めたと聞いた時は自分の耳を疑ったわよ。

 

 

 

 ※

 

 

 

 はい、よーいスタート。

 

 つづきからやりましょう。抽選会です。もしほもちゃんが隊長だったらこのイベントも意味があったんですが、隊長は西住殿なので特にやることがないです。

 静かに結果を見てましょう。

 

 >紅葉達、大洗女子学園の生徒は全員揃って全国大会の抽選会にやってきた。

 こういうのは野球しか知らないが、全国大会って予選とかあるものじゃないのかな?前に聖グロと練習試合しかやってないし、急な全国出場に紅葉は少し戸惑う。

 敷居が高そうだしやってる学校が少ないのかな。抽選会はたくさん人が来てるけど、学校単位で見れば少ないのかも知れない。よく知らないけど。

 みほさんが代表となって抽選している。紅葉はトーナメント表を見ていた。中々ユニークな名前の学校が多い。

 聖グロはBC自由学園というところと当たってる。聞いたことがある。何か生徒同士の仲が凄い悪いんだった気がする。

 

 『大洗女子学園、8番』

 

 >みほさんが腕を掲げた。その手には8番と書かれたカードがある。8番、8番……サンダース大学付属高校だ。ここは聞いたことがない。大学付属ってことだしきっと頭の良い人が行くところなんだろう。私には無縁だ。

 私達と当たって喜んでいる生徒達がいる。きっと彼女達がサンダースの子なんだろう。まぁ、無名の高校だしそういう反応も仕方がないんだろうけど、少し失礼なんじゃないだろうか。

 

 「サンダース高…」

 「それって強いの?」

 「優勝候補の1つです」

 「そうなんだ」

 

 >なんと優勝候補らしい。初戦から大変そうだ。何がどう強いのか紅葉は知らないが、紅葉は負けられない。いくら優勝候補とはいえきっと勝てる方法はあるはず。多分きっと。

 今から気持ちで負けちゃ駄目だ。紅葉は気を引き締めた。

 

 

 抽選会が終わったら、カバさんチームの人達と過ごしましょう。あんこうチームに誘われる前に。

 誘われたら黒森峰とのイベントに巻き込まれます。長いし別に成長とか因縁とかほもちゃんには無いので無視無視。

 

 >みほさんに戦車喫茶に誘われた。残念だけど、先に先約があったため断った。なんだかいつも断ってる気がする。

 

 …てか、西住殿エンカウントしすぎだろ。ここ武部殿がいつもは誘ってきてくれたんですけど。まぁ、関係ないですけどね。

 

 >紅葉はカエサルさん達と自由行動を過ごした。なんてことのない時間だけどこういう時間はとても大切だと思う。

 

 「……ん?」

 「どうかしたでござるか、本城?」

 「……ごめん、ちょっと用ができた」

 「え?あ、おい本城!?」

 

 何勝手に行動してるのこいつ。

 

 >紅葉は皆を置いて駆け出した。近くに幼馴染みの姿が見えたからだ。彼女と会うのは実に久しぶりだ。お互いに成長して容姿も少し変わってるが、彼女の姿を間違えるなんて絶対に私にはない。

 やはり彼女だ。私は彼女の名前を口に出す。

 

 「エリカ!」

 

 >淡い色の髪、目付きの悪い顔、少し不機嫌そうな顔、間違いない。私の大切な幼馴染み、逸見エリカだ。

 

 

 ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!!!(地団太を踏む)

 

 

 

 ※

 

 

 

 「…紅葉?あなた何でここにいるのよ」

 「久しぶりに再会した幼馴染みに開口一番で言うのがそれ?」

 

 私はやや呆れ気味になる。少しは嬉しそうな顔をしても良いだろうに。

 

 「悪かったわよ。少し不機嫌だったから」

 「へぇ…」

 

 いつもでしょ、と言おうかと思ったが流石に怒られると思ってやめた。

 

 「抽選会がそこであったでしょ?」

 「えぇ、そうね」

 「私の学校が全国出場するから見に来た。私も出るし」

 

 その言葉を口にすると、エリカの目の色が変わったことに気づいた。一体どうしたのだろうか。

 

 「……ごめんなさい。耳の調子が悪いわ。もう一度言って」

 「だから私が出場するから抽選会に来たんだ」

 「……出場?ちょっと待って、あなた戦車道を始めたの?」

 「うん。私の学校にみほさんって子がいるんだけど、その子に触発されて。エリカ、お前も会ってみなよきっと仲良」

 「その子の名前ってもしかして、西住…みほ?」

 「知ってるんだ」

 「…えぇ、知ってるわよ」

 

 紅葉はエリカがみほさんと知り合いということに驚いた。世界は思ったより狭いなぁ。

 

 

  

 

 ※

 

 

 のんきな顔をしてたわよ、あいつ。私の気持ちもわからないで。

 少なくとも私は彼女と誰よりも仲が良かったって認識でいたわ。多分、向こうもそう思ってたはず。

 なのに、私が何度誘っても頑なに拒否されてきて、諦めていた彼女との戦車道、転校してから間もない仲のはずのみほはなんなくそれを成し遂げた。

 黒森峰から逃げた彼女が、逃げた先で私の夢を奪い取った。

 私がどれだけ悔しかったのかどれだけ屈辱だったか、紅葉は今でも知らないでしょうね。

 口に出さずに心の中に留めることができた私を誉めてあげたいわ。

 …ただ、そのおかげで気づけたのよ。紅葉の後ろに、みほが居たことに。

 彼女、こっちを見て驚いてたわよ。何に驚いたのかは知らないけど、紅葉と私が幼馴染みだってことに驚いてたんじゃないかしら。あの子、そういうことは言わないから。

 彼女を見てわかったわ。あの子もきっとそうなんだって。そのときはまだ自覚してなかったらしいけど。

 私の夢を奪われたんだから、少しやり返してやったわ。…別に暴言とかじゃないわよ。

 

 

 

 ※

 

 

 

 「あの、エリカ?どうかした?」

 「別になんでもないわよ。ところで紅葉、本当に久しぶりね」

 「そうだね。たしか、高校入ってからはお互い電話だけじゃなかったか?」

 「会えて良かったわ」

 「急に素直になるなよ……ってうわっ!?」

 

 エリカが私を抱き締めてきた。

 

 「どうしたのエリカ」

 「別になんとなくよ。よくやってたじゃない」

 「寒いときにね。今は暑いよ」

 「別にいいじゃない」

 

 エリカがこういった行動を自発的に行うのはとても珍しい。何か企んでいるのだろう……ご飯を奢らされるのだろうか。

 まぁ、悪い気はしない。海外ではあいさつ代わりにハグするらしいし、黒森峰ってドイツの影響があるらしいしエリカもその影響を受けてるのかもしれない。

 私は抱き返した。やっぱり暑かった。

 

 「サンダースと当たるらしいじゃない」

 「うん。でも勝ちにいくよ。そのために頑張ってるんだからね」

 「へぇ…まぁ、頑張りなさい。期待はしないけど」

 「厳しいなぁ」

 「客観的事実よ。それと無様な負け方は承知しないわよ。この大会は戦車道のイメージダウンをするような学校は参加しないのが暗黙のルールなのよ。無名校のあなた達は本来参加することもおこがましいの」

 「へぇ、そう」

 

 まぁ、無名校なのは事実だし。負ける前提で言われるのは仕方がないことかもしれない。

 紅葉は少し雑談した後、エリカと別れた。戻るともうすっかり夕方だ。本当に時間が過ぎるのはあっという間だ。

 学園艦の見晴らしが良いところにみほさんが居た。夕日に沈む海を眺めている。そのせいで顔を確認することができなかった。

 

 「紅葉さん」

 

 声をかけようとしたら彼女の方が先に声をかけた。何だろういつもと少し雰囲気が違う。

 みほさんはゆっくりとこちらを向いた。

 

 「試合、勝とうね」

 

 

 

 

 ※

 

 

 紅葉さんが走っていく姿を見かけるのは偶然だった。彼女があんなに焦っている姿を見るのは珍しくて、私はつい追いかけてしまった。

 そこで私は知った。彼女が語っていた幼馴染みがあのエリカさんだっていうことを。

 エリカさん……黒森峰のときの友達だった人。彼女とは色々あったが、友好関係を築けていた。そして私はそれを壊してしまった。

 胸の中に感情が入り交じる。罪悪感と恐怖心、そして何か。

 エリカさんが私を見た。彼女は私にだけ見えるように笑顔を向けて、紅葉さんに抱きついた。

 

 「え?」

 

 思わず口から声が出る。なぜ彼女は急に抱きつくなどという行動に出たのかわからない。

 私は胸が痛くなる。黒森峰のときの件とはまた違った心の痛み。

 痛い痛いよ。

 私はそこから逃げ出すようにその場から離れた。

 わからない。この胸の痛みは何なのか。紅葉さんと出会ってから私はどこか変だ。

 沙織さんから酷い顔をしてるって言われた。鏡を見る。そこには顔面蒼白となった私の姿が写っていた。

 わからない、わからないよ。

 夕日に沈む海を眺めていた。後ろから気配がする。紅葉さんだろう。

 

 「紅葉さん」

 

 私は自分でも何でこんな言葉が出たのかがわからなかったが、驚くほどスラスラとその言葉を口に出す。

 

 「試合、勝とうね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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測定

 

 「……ん?」 

 

 朝のランニングの最中に何か違和感がある。紅葉は後ろを振り向いた。誰もいない。誰かいた気がしたのだけど、気のせいのようだ。

 紅葉はランニングをつづける。誰もすれ違わない。まだ朝早いから当然といえば当然なことだ。

 そのせいで、ちょっとした違和感があると、それがとても気になる。

 まただ、視線を感じる。なのに誰も後ろにはいない。少し不気味だ。

 紅葉の精神値が少し下がった。

 

 「……」

 

 気味が悪くなった紅葉は全力で走り出した。大洗は彼女にとって庭も同然である。曲がり角を曲がって視線から逃れようとした。

 次の曲がり角を曲がって寮に戻ろうとしたとき、誰かが曲がり角から現れた。

 みほさんだ。

 

 「あ、おはよう」

 「う、うん。おはよう」

 

 危うくぶつかりそうなところを何とか避けることができた自分を褒めてやりたい。みほさんは運動着に着替えており、おそらくこれからランニングをするところなんだろう。

  

 「その猫どうしたの?」 

 「……猫?」

 

 紅葉は何のことだろうと首を傾げると、後ろからあの視線を感じる。紅葉は振り向くと、誰もいなかったが、足元に猫がいたことに気づいた。視線の正体はこの猫のようだ。

 どうやら不審者とかではなかったらしい。紅葉は安堵する。

 

 「可愛いね」

 

 みほさんが猫と戯れている。

 

 「猫好きなの?」

 「うん。猫だけじゃなくて犬も好きだよ」

 「へぇ」

 

 視線のことなどすっかり忘れて、紅葉はみほさんと一緒にランニングを再開した後一緒に登校した。何かみほさんがたまにくっついてきたりもしてきたのが、少し気になった。

 

 

 ※

 

 

 はい、よーいスタート。

 

 前回のつづきからやっていきましょう。えー、前回は逸見殿が幼馴染みだということが判明しました。これは以前ほもちゃんにかかってきた電話に、幼馴染みを選択してしまったことが原因です。本来ならそこらへんのNPCが選ばれるのですが、ごくごくわずかな確率でネームドキャラが選ばれる可能性があります。会話が増えるしイベントも増えるしデメリットばかりですが、一応メリットもあります。

 

 

 >戦車道の時間だ。抽選会があった日から少し時間が経つ。みんな次の試合に勝つために必死に練習している。

 特にみほさんが必死な気がする。前よりも積極的に練習の指示を出しているし、作戦会議も、カエサルさんから聞いた話だけど、前の聖グロの時とは違ってかなり発言しているらしい。

 河嶋先輩がその変わりように驚いていたが、私は無視した。

 何にせよいつもより実りのある練習をすることが出来た。

 紅葉は操縦手として、成長を実感できた!

 

 これは嬉しい誤算です。西住殿がやる気を出しています。各キャラには、やる気があって練習や、ランダムイベントで上下します。私は何も関与してないので、ランダムイベントで勝手にやる気を出してくれたんでしょう。

 おそらくこの時期だと、限定品のボコでも手にいれたんじゃないですかね。

 

 >……誰かの視線を感じる。後ろを振り向くが誰もいない。でも確かに誰かに見られた感じがあった。

 

 1つ良いことがあったら、1つ悪いことが起きる気がします。視線の正体は2通り考えられます。1つは、好感度が高すぎてしまったキャラが暴走して、ほもちゃんをストーキングしてしまうことがあります。これは、関係ないでしょう。

 となると、どこかの学校が練習を偵察に来てるんでしょう。大洗は無名校ですが、前回聖グロを倒しているので、たまに偵察する学校が現れます。サンダースだと面倒きわまりないですが、大体の確率でヨーグルト学園だったりワッフル学院で、試合しない学校なので、そうなるよう祈ります。

 

 「今日もよろしく」

 「よろしくお願いします!」

 

 >最近は阪口さんと一緒に練習するのが多くなった。彼女の熱心な姿はとても素晴らしいと思う。

 練習を通して少しずつ仲良くなってきていると思う。彼女の趣味のアニメの話を休憩中に聞いた。アニメは見てないので話についていけなかったが。

 今まで後輩が出来たことがなかったせいもあるのか、彼女と過ごすのは私としてもとても楽しみになっている。

 

 「紅葉さん、ちょっと今大丈夫ですか?」

 

 

 >みほさんだ。休憩中声をかけてくるとは珍しい。どうしたんだろうか。

 私は阪口さんと別れ、みほさんのところに向かう。

 

 「ごめんなさい。休憩中に」

 「いいよ。どうしたの?」

 「実は次の練習の件について……」

 

 >紅葉はみほさんと練習について語り合った。今は休憩中だから後でもいいんじゃないかとも思ったが、みほさんもきっと忙しいのだろう。

 

 「あと、居残り練習についてなんですけど、私達も一緒に参加してもいいですか?」

 

 別に断る理由がないので、了承します。

 

 「もちろん」

 「よかった。それと」

 

 >会話は盛り上がり、気づいたら休憩が終わってあまり休めなかった。みほさんは申し訳無さそうな顔をしていたが、私としても楽しかったから気にしないでほしい。

 居残り練習で、他のチームの人達とやるのは初めてだ。少しワクワクしている。

 

 「一緒にクタクタになるまで頑張ろう」

 

 >私がそう言うと冷泉さんにすごい嫌な顔をされて、少しショックだった。このショックは寝るまでつづきそう……

 

 

 ……うーん。やっぱり西住殿の好感度が少し高い気がします。でも、ほもちゃんの行動の妨害はしてこないし。それに今の時期頃から気持ちも落ち着いて、好感度がすごい上がるとかはないので。バグかな。

 

 

 >今日は何だかみんなそわそわしてる気がする。何かあったっけ。

 武部さんがすごいそわそわしてるので聞いてみた。

 

 「今日って何かあったっけ」

 「えぇ、本城さん忘れたの?今日は寸法を測る日だよ」

 

 >あぁ、たしかそんなことをするって聞いた記憶がある。今日だったか。道理でみんなウエストがー、とか言ってるわけだ。

 

 「いいなぁー。本城さんスレンダーで」

 

 >武部さんが羨ましそうに言う。

 

 「じゃあ、一緒に走ろう」

 「ごめん。それはいいや」

  

 >断られてしまった。このショックは明日まで持ち越すだろう。

 身体を測った。ウエストは前より細くなっていた。バストの成長は中学の時から諦めていた。

 

 今回はここまでです。ありがとうございました。

 

 

 ※

 

 

 ビデオを眺めている。ビデオには大洗女子学園の生徒達の練習風景が撮られていた。彼女はそれを眺めている。彼女は時には早送りにしたりスロー再生したりしている。

 彼女の目には常に1人の少女が写っていた。

 長い黒髪のロングポニーテールの少女。

 何かにとりつかれたかのように、少女は紅葉を観察し続けていた。

 

 「本城紅葉」

 

 少女は彼女の名前を口に出す。もう一度名前を口に出す。噛み締めるように。

 

 まとめてあるレポートに目を通す。そこには彼女が何度も何度も何度も何度もビデオを見て確認したことや報告書で知った彼女のことについて気づいた癖などをまとめてある。

 

 「これだけじゃ足りない。……やはり、直接見に行かなくては」

 

 言葉とは裏腹に実に楽しそうな様子だ。

 

 「本城、紅葉」

 

 ビデオに写っている少女を見ると、あの時のことを思い出す。彼女と少女が初めて顔を合わせたあの時。あれ以来彼女の心に少女の存在が深く刻み込まれた。

 思わず笑みを浮かべる。

 

 「次のサンダースとの試合、楽しみでしかたがないわ」

 

 彼女のことをもっと知ることができるのだから。

 

 紅茶を一口、優雅に飲む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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 誤字報告ありがとうございました

 感想でヤンみほと言われ困惑してます。あくまで私としてはちょっと重い子ぐらいの認識で書いてます


 

 


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試合準備

 はい、よーいスタート。

 

 前回のつづきからやっていきましょう。

 

 「わぁ…!」

 

 >紅葉は貰ったパンツァージャケットを身に付けていた。藍色を基準として、背中には私達のチームのマークであるカバがプリントされている。

 ………うん。気に入った。今鏡を見ればおそらくとてもマヌケな顔をしているだろう。それぐらい頬がゆるんでいる。胸のなかで嬉しさと興奮が入り交じっている。

 あぁ、早くこれを着て試合がしたい。

 

 「すごい顔をしているな、紅葉」

 「そう?」 

 

 >左衛門佐さんが携帯を開いてこっちを写す。そこに移っていた自分は予想通り、他人には見せられない顔をしていた。

 紅葉のやる気は絶好調だ!

 

 

 今、ほもちゃん達は戦車を塗装してます。前回の色を戻すのとは違って、三突にカバのエンブレムを刻んでいますね。ここで、ちょっとしたカバさんチームだけ出来る裏技を使います。

 

 >紅葉は三突にカバのエンブレムを塗装する。左右から見えるようにするだけじゃなく、後ろからでもカバのエンブレムが見えるように塗装する。

 

 他のチームと違ってカバさんチームだと、戦車の後ろ側にカバのマークを塗装すると何故か相手選手が挑発にのってきやすくなります。なんでなんでしょうね。

 とにかく、これで試合への準備は完了しました。

 後は試合に挑むだけです。

 

 

 >紅葉は今日はバイトの日だ。ボコのショーの練習をしつつ、初めて舞台に立つ。人はほとんどいなかったが、あの常連客の少女だけは見にきていた。

 遠くから見てもわかるくらい、期待に満ちた顔をしている。ショーが楽しみなのだろう。

 紅葉は、不安とプレッシャーと恐怖に押し潰されそうになるが、鍛え上げたメンタルにより何とか耐えきる。

 

 「大丈夫…私なら出来る……」

 

 >いよいよ、ショーが始まる。練習通りの振り付けをする。

 

 「おい、今ぶつかっただろ!気をつけろ!」

 「あぁ?」

 

 >ボコは粋がりひたすらにボコボコにされている。紅葉は着ぐるみの中でボコボコにされながら思った。一体自分は何をしているだろうと。

 何故ボコはこんなにも弱いのだろうか。

 何故ボコは負けるとわかっているのにこんなに態度が大きいのか。

 何故ボコはいつも負けるのだろうか。

 何故ひたすらボコボコにされるだけのキャラクターが生まれてきてしまったのか。

 何故あの少女は、ボコがひたすらボコボコにされるだけのショーをあんなに楽しそうに応援しながら見ているのだろうか。

 

 「きたきたきたー!みんなの応援がオイラのパワーになったぜ!ありがとよ」

 

 >みんな(一人)の応援により、立ち上がるボコ。普通のヒーローショーだと、逆転の流れだが、ボコは一味違う。普通に負けた。一体何だったんだこの流れ。

 

 「また負けた……。次は頑張るぞ!」

 

 >ショーが終わった。紅葉は着ぐるみを脱ぎながら思った。

 何だこれ、と。

 今日のバイト代を貰ってスタッフルームから出る。疲れたし飲み物でも買おうかと思ってミュージアムをうろついていると、常連客の少女と鉢合わせた。

 

 「あのときのお姉さん……」

 

 >向こうは私のことを覚えていてくれたらしい。紅葉は少女と少し雑談をした。

 

 「お姉さんも、ボコ好きなの?」

 「え?う、うん。す、すす、好きだよ。いいよね、ボコ」

 「うん!」

 

 >笑顔で答える少女を見るとかなり罪悪感に苛まれる。本当はボコのこと好きでもなんでもないのだが。かといって嫌いでもない。正直あまり興味ない。

 少女が楽しそうにボコのことを語っている。これは、チャンスではないかと、紅葉は思った。

 この少女にボコの良いところを聞けば、今よりもっと良い演技ができるかもしれない。紅葉は聞いてみた。

 

 「ボコのどういう所が好き?」

 「ボコボコにされても、何度でも立ち向かうところ」

 

 >諦めない姿勢が好きということだろうか。たしかに何度も負けるとわかっているのに、それでも諦めないその姿勢は素晴らしいと思う。そういう視点で見ると、ボコはかっこいいかもしれない。

 紅葉はボコについて理解を深めた。

 

 

 「じゃあ、またね」

 「……あの、お姉さん」

 「なに?」

 「また、会える?」

 「もちろん。ここでバイトしてるからね。またおしゃべりしよう」

 「うん!」

 

 

 >時間はあっという間に過ぎていく。この前抽選会に行ったばかりかと思えばもう、試合当日だ。紅葉は試合会場を見る。

 

 「……?どうかしたか」

 「見に来てる人、少ないなと思って」

 

 >前の聖グロリアーナ女学院との練習試合のときはたくさんの人が見に来ていたのに、大洗側の見学者はサンダースの見学者に比べると少ない。サンダース側の見学席は埋まっていてチアガールもいる。

 

 「まぁ、まだ1回戦だし、うちは無名高だからな」

 「うん。……何か寂しいね」

 

 >仕方がないといえば仕方がないのだが、少し寂しさを感じる紅葉。整備を終え待機となった。

 

 「のんきなものね」

 

 >聞いたことがない声がする。声の方向を見ると、サンダースの生徒がきていた。

 試合前の交流を兼ねて食事に誘ってきたらしい。

 何故かわからないが、のんきと言ったとき、私の顔を見て言われた気がする。そんなにのんきな顔をしていただろうか。カエサルに聞いてみる。

 

 「そんなにのんきな顔かな、私」

 「……気の抜けた顔ではあるんじゃないか」

 

 >向こうで会長と喋っている金髪の人がいる。たぶんあの人が相手の隊長なんだろう。秋山さんに、オッドポールがどうたらこうたら言っていたが知り合いなのだろうか。

 紅葉は三突に乗り込んだ。緊張はしてはいるが、前よりはだいぶ落ち着いている。操縦席から相手の戦車を見ると、相手の戦車はこちらより多い。性能もきっと相手の方がいいのだろう。だけど、負けられない。

 

 「説明した通り、相手のフラッグ車を戦闘不能にした方が勝ちです。サンダース付属の戦車は攻守ともに私達より上ですが、落ち着いて戦いましょう。機動性を生かして常に動きつづけ、敵を分散させて三突の前に引きずり込んでください」

 「了解」

 

 試合が始まるといったところで今回はここまでです。ありがとうございました。

 

 

 

 ※

 

 

 また、おしゃべりしよう。たしかにそう言ってくれた。私は顔を緩ませ、ボコのぬいぐるみを締め付けるように抱き締める。

 

 「……楽しみ」

 

 次は一緒にミュージアムを回れたらいいなぁ。

 

 

 




 感想、評価、お気に入りありがとうございました。

 ガルパンで好子さんかわいいですよね


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サンダース大学付属高校戦

 


 あの光景を何度も思い出す。少し前の聖グロリアーナ女学院との練習試合、ダージリンさん達に追い詰められかけたときだ。

 あの時の私はとにかく逃げるのに必死だった。少しでも操縦をミスれば砲弾が直撃するかもしれないという今まで味わったことのないプレッシャー。

 頭は痛くなるし胃はキリキリするし、散々な目にあった。

 Ⅳ号の応援が間に合わなかったら確実に撃破されていただろう。

 マチルダに砲口を向けられて、もう駄目だとおもったあの瞬間。

 

 あの瞬間は、今まで生きてきたなかでも一番楽しかった。

 

 

 

 ※

 

 

 はい、よーいスタート

 

 

 サンダースとの試合やってきます。今ほもちゃんはあんこうチームとともにカメさんチームを守りつつ前進しています。

 ただ、もうすぐウサギさんチームがサンダースに奇襲をかけられてしまいますので、こっそり離れてウサギさんチームを援護しに行きます。

 

 

 「エルヴィンさん。頼みたいことがあるんだけど」

 「どうかしたか?」

 「ほんの少しだけでいいんだ。こっそりウサギさんチームの様子を見に行きたい。阪口さんが少し心配で」

 「本城は阪口と仲が良かったな」

 

 >紅葉は阪口さんとの練習したときのことを思い出す。彼女はやる気があるし、センスもあると思うんだけど、少し心配だ。紅葉も人のことは言えないが、ピンチになると取り乱してしまう。

 きっとそこに親近感が湧いているのだろう。紅葉は阪口さんが心配でたまらない。

 エルヴィンさんは悩んだ表情をしている。紅葉は畳み掛ける。

 

 「今様子を見にいけなかったら、私は2日ぐらいぐっすり眠れない」

 「たいしたことないな、それ」

 

 >エルヴィンさんは仕方がないといったふうに肩をすくめ、帽子を深く被り直す。

 

 「……わかった。西住隊長には後で謝罪しなければならないな」

 「ありがとう」

 

 >紅葉はエルヴィンさんに感謝しながら、三突の進行方向をウサギさんチームがいる方向に切り替える。

 

 説得に成功しました。カバさんチームの好感度はそれなりにありますから、当然の結果といえますが。

 

 『こちら、シャーマン3両発見。これから誘き寄せます』

 

 >ウサギさんチームからの無線が聞こえる。離れたところから隠れて姿を確認しているが、とくに問題はなさそうだ。よかった。これで、安心かと思ったそのとき、森の中からシャーマンが3両やってきているのが確認できた。

 

 「エルヴィンさん、3両発見。あっちの森の中から来ている」

 「なに?」

 

 >双眼鏡を渡して来てる方向とは少しズレた方向を指をさす。エルヴィンさんが確認しているのを確認すると、私は三突を動かした。

 

 ここで双眼鏡を渡して少しズレた方向を示したのはエルヴィン殿に無線で報告されるのを防ぎたかったからです。皆さんご存じの通り、大洗の無線は盗聴されています。

 そのせいでこちらの無線での指示は筒抜けですが、逆に言えば無線での指示による行動しか筒抜けではないので、ほもみじのように無線の指示を無視した勝手な判断の行動は読めません。

 

 >紅葉は三突の向きを相手のシャーマンに砲弾が当てられるように調整する。

 

 「撃って」

 「任せろ」

 

 >左衛門佐さんによって三突から放たれた砲弾は相手のシャーマンに直撃する。直撃するのを確認する前に相手の視界に入らないように場所を移動させる

 

 『え、あ、か、カバさんチームの援護確認しました』

 『こちらカバさんチーム。勝手な判断だがウサギさんチームの様子を見るためについていってた。申し訳ない』

 『こちらあんこうチーム。いえ、大丈夫です。むしろこちらが助かりました。カバさんはそのまま援護をしつつ南東に向かってください』

 『了解』

 

 >よかったと内心胸を撫で下ろす。勝手な行動だったから怒られるんじゃないかと思っていた。

 三突を移動させ、撃つ。もう1両撃破。これで後8両だが、聖グロリアーナ女学院との試合とは違ってこれは殲滅戦ではない。フラッグ車と呼ばれる車両を倒せばいいのだが見当たらない。まぁ、撃破されたら負けだろうし攻撃には参加しないか。

 

 『相手も中々やるわね。まさかもう2両落とされるなんて』

 『一体誰だこっちの戦車を落としたのは。誰か確認したか』

 『カバのエンブレムが書かれた戦車です』

 『アリサよくわかったわね』

 『女の勘です』

 

 >三突の砲弾が放たれる。今度は当てるつもりがないただの牽制だ。ウサギさんチームが無事に合流するまで援護を続ける。こうも続けて撃ちつづけていると流石に居場所がバレた。砲弾がこちらにも向かってくる。

 紅葉は慣れてきた手つきで三突を操縦し、最低限の動きで避ける。後ろから迫ってくるシャーマンに対処できないのが三突の辛いところだ。

 森をもう少しで抜けられるといったとき、前から相手のシャーマンを確認。

 

 『シャーマン前方に確認!挟まれました!』

 『……わかりました。そのまま全力で進んでください。敵戦車と交ざって』

 『わかりました!』

 『了解!』

 

 >前と後ろの挟み撃ち。いつ砲弾が当たるかわからない。紅葉は胸を高鳴らせ操縦しつづける。

 携帯電話が鳴っている。ちょっと今は手が離せないので無視する。

 避けきれない砲弾が装甲を掠め、耳に、例えるなら黒板を爪でひっかいたような不協和音が届く。

 前方のシャーマンを全速力で抜ける。丘を越え、逃げきることに成功した。

 紅葉は、ほっと息をはいた。たまたま様子を見にいっただけなのにこうなるとは思わなかった。

 

 「虫の知らせっと言ったところか」

 「いや、女の勘ってやつだよ」

 「本城とおりょうの携帯が鳴っていたがマナーモードにしてなかったのか」

 「忘れてた」

 「すまん」 

 

 >まさか試合中にメールが届くとは思いもしてなかったのでマナーモードにしてなかった。慌ててマナーモードにしようとすると、メールの送信者の名前を見て目を見開く。みほさんだ。

 

 何でおりょう殿にメールするだけでいいのに、ほもちゃんにも来てるんですかね? 

 まぁ、いいや。このメールは皆さんご存じの通り西住殿が無線を傍受されていることに気づき、それを皆に伝え無線での指示は今後フェイクとなり、メールでのやり取りで指示が伝わります。

 これってルール的に大丈夫なんですかね?まぁ、いいや。

 

 >紅葉は無線が傍受されていることに少し怒りを覚えた。たしかにルールには使ってはいけないというのは無かったがいくらなんでもあんまりだ。それがアリなら今まで頑張って練習をつづけてきた私達がバカみたいじゃないか。

 だから、相手の無線傍受を逆手にとった作戦を知らされたとき、紅葉のやる気は上がっていった。

 

 これはほもちゃんのモラルが善よりだから、怒ってますね。悪よりだったら逆にアリサ殿を称賛してます。ルールの穴をついたのは素晴らしい着眼点だと。

 

 『囲まれた、全車後退!』

 

 >みほさんからの合図が聞こえる。

 

 『38tはc2018r地点に向かってください』

 

 >こっちのフラッグ車の情報が無線で流れる。まぁ、真っ赤な嘘だが。

 味方にだけはわかる嘘の情報に踊らされ、相手戦車2両がのこのことやってきた。

 向こうもこちらに気づいたが、もう遅い。

 

 『ジーザス!』

 「撃てェ!」

 

 >砲弾が直撃する。三突だけでなく、同じく隠れていたウサギさんチームも同じ戦車を狙って撃っていた。

 2両の戦車の攻撃によりズタボロに壊れた戦車を見て、興奮する。

 このまま、もう1両といきたかったが、逃げられてしまった。

 だが、これで3両撃破。後、7両でフラッグ車は迂闊に動かせないので実質6両といったところだろう。しかし、相手のフラッグ車は一体どこにいるのだろうか。

 紅葉はどこにいるのか考えるが、5秒くらいで結論がついた。自分にはわからないだろうと。

 仲間と合流するために、紅葉は三突を動かした。

 

 この後は、アヒルさんチームについていってフラッグ車と遭遇し、そこで撃破する方法が一番タイムが早いのですが、それだとルートに入るための撃破数が足りなくなってしまう可能性があるのでこの方法は使いません。

 なので、ここでは西住殿達と一緒に行動するのがいいでしょう。アヒルさんチームがフラッグ車を見つけるまで余裕があるので私は水分補給をとります。

 

 >あんこうチームの誘導に従いながら進んでいく。相手の戦車の姿は視認できない。無線での誘導のおかげだ。作戦が順調なのは良いことなんだろうけど、こうも順調だと後が少し怖い。良いことの後には嫌なことがやってくる気がする。もちろん良いことのまま終わるときもあるのだけど、たいていは良いことがあったぶん嫌なことは倍ぐらいになって帰ってくる。

 

 「静かさが少し不気味だな」

 「エルヴィンさんもそう思う?」

 「さっきまで砲弾の雨に降られていたから余計にな」

 「嵐の前の静けさかもね」

 「恐ろしいことを言うな」 

 

 >呆れた声で言われてしまった。私としてはこの後何か起こるような予感がしたから言っただけなのだが。

 特に根拠があるわけではない。強いて言うなら女の勘というやつだ。普通の勘と何が違うのかよくわからないけど。

 その勘が的中したのが、おりょうさんに届いたメールのおかげでわかった。

 

 「西住隊長からの指示。アヒルさんチームが0765地点でフラッグ車を発見した。0615地点に向かって待ち伏せぜよ」

 「了解」

 

 >0765地点、たしか竹がいっぱい生えてる場所だ。そんなところにいたのか。たしかにあそこなら見通しも悪いし見つかりにくいだろう。

 アヒルさんチームが撃破されないことを祈りながら、紅葉は三突を移動させる。

 サンダースの戦車と鉢合わせることなく、0765地点にたどり着く。ほどなくして、アヒルさんチームの八九式が機銃に撃たれながらやってきた。

 

 『八九式来ました、突撃します。ただし、カメさんはウサギさんとカバさんで守ってください』

 

 >おそらくアヒルさんチームが焚いた煙幕が晴れると、相手のフラッグ車が姿を表す。

 横からのⅣ号の砲弾を避けるために急停止した。絶好のチャンス。

 このチャンスを逃すわけにはいかない。左衛門佐さんが撃とうとしている。

 

 ここで当ててはいけません。わざと外します。

 

 >紅葉は戦車の向きを調整した。砲弾は相手フラッグ車を掠める結果に終わった。

 もう一度撃つが、紅葉のわずかな調整によってこれも外した。

 次こそはと撃とうとしたが、相手戦車は逃げ出してしまった。

 

 『このタフなシャーマンがやられるわけないわ』

 

 >逃げる戦車を追いかける。まるで鬼ごっこのようだ。もう一度撃つ。

 

 『なにせ、5万両も造られた大ベストセラーよ!丈夫で壊れにくいし、おまけに居住性も高い』

 

 >止まって撃つのと走りながら撃つのでは当たり前だけど難易度が全然違う。なかなか当たりにくい。

 

 『馬鹿でも乗れるくらい操縦が簡単で!馬鹿でも扱えるマニュアル付きよ!』

 

 >Ⅳ号戦車から放たれた砲弾が掠めた。

 

 『ぐぅっ!』

 『お言葉ですが、自慢になってません!』

 『うるさいわよっ!』

 

 >あんこうチームに負けてられない。次こそは当ててやる。だが、掠めるだけの結果に終わった。走行中でも百発百中に当てられるようになるのが今後の課題だ。左衛門佐さんと後で打ち合わせしなくては。

 

 『なんなのよさっきからあのカバは!あいつのせいで3両は落とされるしエンブレムは何か腹立つしあぁもう!』

 

 「ん?」

 

 >前方のフラッグ車から人が出てきた。後ろに向かって何か叫んでいる。

 

 『バーーーーカ!』

 

 >何を言われたのかはわからないが、何だかバカにされた気がする。

 内心少し傷ついていると、みほさんからの指示がきた。このままでは砲弾を無駄に消費するだけなので一時発砲を中止とのこと。

 

 発砲が中止になったらもうすぐ、サンダースの応援が4両やってきます。ここは戦況が有利でも必ず応援は4両です。 

 隊長の人柄が良く出ていますね。

 

 >相手と距離がつまってきている。メールがきた。

 

 「60秒後攻撃を再開、発砲の許可がおりるぜよ」

 

 >上り坂を迂回する形で前進する。もう少しで発砲しようとしたその時、何かものすごい音がした。エルヴィンさんが急いで確認する。

 

 「相手の応援だ。……あれ、4両しかいないぞ」

 「え、4両?」

 「故障か?」

 「トラブルか?」

 「待ち伏せか?」

 

 >3両撃破して、前方に1両。たしか相手の戦車の数は全部で10両だから、後2両いないとおかしい。一体どこにいるのだろうか。さすがの私も引き算はできる。割り算は少し微妙だが。

 

 『きたぁぁっ!よっしゃぁっ!』

 『イェーイ!』

 『百倍返しで反撃よ!』

 

 >応援によって状況は悪化してきた。後ろからは4両の砲撃。前方からは応援によって調子を取り戻したフラッグ車による砲撃、挟み撃ちだ。

  

 「指示がきた、あんこうチームと一緒にフラッグ車を攻撃ぜよ」

 「わかった」

 「この状況は、アラスの戦いに似ている」

 「いや、甲州勝沼の戦いだ」

 「天王寺の戦いだろ」

 「それだ!」

 

 >私は何言ってるの全くわからなかったのでスルーした。みんなそれだ!って言ってるしきっとそれだ!なんだろう。

 アヒルさんチームが被弾したらしい。怪我人はいない。

 

 ここは助けにいこうにも無理なので見捨てるしかありません。もう少ししたら、反撃します。

 

 

 >1両撃破。こちらは残り4両。ただでさえこっちの車両は少ないので1両やられるのはとても痛い。

 先ほどまで明るかった車内の雰囲気が暗くなっているのがよくわかる。

 いや、車内だけじゃない。チーム全体の雰囲気が暗い。

 走っている姿を見ればわかる。動きにキレがなくなっている。

 

 『ほうら見なさい。あんた達なんかアリよ、アリ!あっけなくゾウに踏み潰されることね!』

 

 >状況は少し違うが聖グロリアーナとの練習試合を思い出す。今の私は頭が痛いし、胃はキリキリする。一歩間違えれば負けるこのピンチな状況。集中力が高まっているのがよくわかる。

 紅葉は仲間に声をかける。

 

 「今から後ろの戦車、何とかする」

 「何とかってどうする気だ」

 「まず、後ろに振り向いて1両仕留める。そこから避けながら接近して私の合図で発砲してもう1両撃破」

 「む、無茶苦茶言うなぁ!?」

 「左衛門佐さん、私とあなたならできる。信頼してるよ」

 

 >紅葉はまっすぐ左衛門佐さんの目を見て言う。頭のいい人ならもっと上手く言えるのだろうが、私にはそれができない。ただ、まっすぐこの想いを伝えるだけだ。

 左衛門佐さんも戸惑っていたが、私の想いが通じたのか、覚悟を決めた顔が見える。

 

 「わかった、確実に仕留める」

 

 >フラッグ車はきっとみほさん達がなんとかしてくれるはず。私は三突の向きを後方に向け、砲口を調整する。

 

 「撃てぇ!」

  

 >走りながらの発砲、今度は当てる。1両、撃破だ。

 

 『うっそぉ、あのカバの戦車正気!?』

 『わざわざやられにきたか』

 

 >あんこうチームと同じ前線にいたから、少しは距離がある。その間に装填を任せる。

 

 『あいつらは一体何をやってるんだ!』

 『カメさんチーム、ウサギさんチーム、前方に集中してください』

 『おい、西住、あいつらを止めなくて』

 『カバさんチームなら大丈夫です。それよりもフラッグ車を狙ってください』

 

 >カエサルさんの装填が完了、左端の戦車を狙う。だんだん相手の砲弾を避けきれなくなってきた。

 距離は縮まり、相手ともう少しで接触するこのタイミング。

 

 「撃って!」

 

 >紅葉の合図によって放たれた砲弾は、狙いどおり左端の戦車に当たり、撃破となった。

 紅葉は三突を全速力で加速させ、左端にいた戦車の左を通り抜ける。

 撃破した戦車を盾にして、なんとか撃破されずにすんだ。

 

 『うそでしょ……』

 

 これで、5両撃破です。あとはやられないように気をつけて後方から妨害しつづけていれば、そのうち西住殿がフラッグ車を倒してくれるのでそれを待ちます。

 

 >紅葉は後ろをとることに成功した。あとはみほさんに任せるしかない。ひたすら牽制射撃を繰り返し、撃破されないように走行する。

 ほどなくして、アナウンスが耳に届いた。

 

 『フラッグ車、戦闘不能。大洗学園の勝利!』

 

 >アナウンスを聞いた私は、イスにもたれかかった。撃破されないように気をつけて走行したんだ。ものすごく疲れた。

 

 「やったな、紅葉」

 「そだね」

  

 >私は左衛門佐さんとハイタッチした。 

 

 試合が終わったところで今回はここまでです。ありがとうございました。

 

 

  

 




 感想、評価、お気に入りありがとうございました。


 誤字報告ありがとうございました。


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サンダース大学付属高校後

 はい、よーいスタート。

 

 前回のつづきからやっていきましょう。サンダース戦は不安定要素が少ないのでミスすることなく終えることができました。毎回こうだといいんですけどね。

 

 >三突を動かす。フラッグ車を撃破したみほさん達のところへ向かうためだ。他のみんなはすでにみほさん達の周りに集まっており、彼女達を褒め称えている。

 紅葉も三突を止めて、彼女のところへ向かった。みほさんはこちらに気づくと満面の笑みを浮かべてすごい勢いで抱きついてきた。

 体格は紅葉の方が大きいはずなのに支えきれず、背中から倒れてしまった。ちょっと痛い。

 みほさんもやり過ぎたことを自覚しているのか、慌てた様子で謝ってくれた。その慌てぶりが、なんだか面白くて思わず笑ってしまった。

 

 「一同、礼!」

 「ありがとうございました!」

 

 >他のスポーツなんかとは違って、戦車道は出場する人数が多いから全員で前に出て礼はしない。各戦車の車長が代表として出ている。

 後方でその様子を眺めていると、会場からたくさんの拍手が鳴り響いた。この試合を見て、あの人達は楽しんでくれたのだろうか。

 だったら、ちょっと嬉しいかな。

 それはそれとして、紅葉は今日の試合を振り返った。相手戦車10両に対し、5両撃破。操縦手として、大きな経験を得たことを実感している!

 試合に活躍したことにより、大洗の仲間達の信頼を得た気がした!

 紅葉は試合で大活躍した!人々から《大洗のカバ》と噂されているようだ!

 

 はい、レベルアップこそしませんでしたが、大量の経験値を獲得することができました。

 えー、称号の大洗のカバはお察しかと思いますが、カバさんチームで活躍したから手に入る称号です。他のチームだとカバの部分が変わります。

 さて、次の行動に移ります。このままボケーっと突っ立ってると、そのうち西住殿やケイ殿、それに大洗の仲間に絡まれます。ほもちゃん今回も活躍したからね。

 なのでバレないようにとっとと立ち去りましょう。なお、本来なら追ってくる可能性もあるので全力ダッシュで立ち去る必要があったのですが、今回はたまたま彼女と幼馴染みになれたのでそれを利用します。

 知っての通り逸見殿は、あんこうチームの方達とあまり仲良くありません。なので、逸見殿に喋りかけることで話しかけづらい雰囲気を作り出します。

 

 >紅葉は会場から立ち去る。もう少し試合に勝った雰囲気に酔いしれているのもいいのかもしれないが、さっきの拍手のとき、エリカを見かけた。

 急いで追いかけて勝ったことを自慢してやろう。少し探したが、彼女は目立つのですぐに見つかった。なんたって髪の毛の色が灰色なんだから。

 隣に誰かと一緒にいる。茶髪で厳しそうな人だ。なんとなく、みほさんに似てるかもしれないと思ったが、気のせいかもしれない。髪の毛の色も少し違うし。

 エリカはこっちに気がつくと、隣の人に話しかけてからこちらに1人でやって来た。

 私はエリカに話しかける。

 

 「どう最近?」

 「つい最近あったばかりでしょ」

 「そうだったね。で、どうだったエリカ?今日の試合。私としては無様な試合じゃなかったと思うんだけど」

 「まぁ、無名校のあなた達にしては、頑張った方だったとは思うわよ」

 「厳しいね」

 「これでも甘い評価のつもりよ。全体的にあなた達の練度が低すぎる。そもそもあなたも……」 

 

 >エリカにダメ出しをくらった。紅葉としてもここが駄目だったなと思う部分だけではなく、紅葉が気づかなかったミスした部分を彼女は指摘してくれた。

 キツイ言葉ではあったが、内容自体は正論でとてもためになる。

 彼女のそういうところが私は好きなのだ。

 途中であんこうチームのみんなやカバさんチームの仲間達が紅葉を探しに来ていたが、エリカと楽しく会話していたので邪魔をしては悪いと判断してくれたのか、どこかに行ってしまった。

 

 はい、これでOKです。これで冷泉さんのイベントに巻き込まれないですみます。

 あとは適当に対応しつつ会話を打ち切ってそのまま去りましょう。

 

 「じゃあ、そろそろ行くね。また見にきてよ」

 「えぇ、また見に来るわ。期待はしないけど」

 

 >最後まで厳しい言葉を送られた。まぁ、彼女はいつも他人にも自分にも厳しいし、今回はむしろ優しい方だ。

 エリカが茶髪の人を隊長と呼んでいたのが耳に入る。あの人がエリカがいつも言ってた憧れの先輩か。

 たしかになんとなく、凄そうな雰囲気がある。そんな人がわざわざ試合を見に来ていたなんて、何かあるのだろうか。エリカの付き添いなわけないし、むしろエリカが付き添いの立場なんだろうし。

 考えても答えなんて出てこない。だったら考えるのは無駄だろう。

 紅葉は歩き出した。会場には戻らなかった。なんとなく、1人になりたかったから

 

 

 「ごきげんよう、お一人かしら?」

 

 >声をかけられた。紅葉は相手を見る。忘れもしない。というか、インパクトが強すぎて忘れたくても忘れられない人、聖グロリアーナ女学院の隊長ダージリンさんだ。彼女も見に来てくれたのだろうか。なんとなく嬉しい。

 

 私は嬉しくない。順調だと思った途端にこれですよ。ほもちゃんはダージリン殿に目をつけられてますからね。

 適当に対応してさっさと会話を終わらせます。

 

 「ダージリンさん、えっともしかして応援にきてくれたんですか?」 

 「もちろん。あなたの活躍を見にね」

 「あ、ありがとうございます」

 「ユニークな試合でしたわ。あなたもだけどみほさんの試合は見ていてとても面白い」

 「褒められてるんですよね?」

 「もちろん」

  

 >彼女も隊長で忙しいだろうに、わざわざ応援にきてくれるとは。正直失礼な話だけど変わった人だと思っていたが、それ以上に良い人らしい。

 ダージリンさん、もし私が彼女と一緒の学校だったらもっと仲良くなれたのだろうか。

 

 「では、私はこれで。紅葉さん最後に1つあなたに伝えたいことがあるの」

 「なんですか」

 「勇気とは1分長く恐怖に耐えるということ」

 「は?」

 「あなたにピッタリな言葉よ。それでは、ごきげんよう」

 

 >ダージリンさんはそういって行ってしまった。……良い人なんだろうけど、よくわからない人でもあるな。この人は。

 

 ダージリン殿と別れたところで今回はここまでです。ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 




 感想、評価、お気に入りありがとうございました


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ボコ

 

 はい、よーいスタート。

 

 前回のつづきからやっていくぞー。今回は愛里寿殿のイベントをメインでやってきます。イベントを見るだけなのでとくに語ることもありません。

 

 「暇になっちゃったなぁ」

 

 >ボコミュージアムのベンチでため息をつく。普段ため息なんてつかないのについてしまった。

 今日のバイトが突然休みになった。なんでも骨折した前任者の人が少し前に退院したらしく、今日はその人がボコの中をやるそうだ。

 その話を紅葉はついさっき聞かされた。人手が足りないのは知ってるし仕方がないとは思うけど、できれば早く教えてほしかった。

 そうだと知ってれば今朝、左衛門佐ちゃんの誘いを断らなかったのに。どうやら私は人より間が悪いのかもしれない。何か呪われてるのかな。

 

 「お姉さん、どうかしたの?」

 「あ、愛里寿ちゃん」

 

 >孤独に黄昏る紅葉を見かねたのか、気遣う様子で声をかけてくれた。紅葉は何でもないと手をふり、立ち上がる。

 さすがに、年下の子に心配されるのは紅葉としても気が引ける。彼女は年上の自分よりしっかりしてそうだけど。

 

 「暇なの?」

 「暇なの」

 「……えっと、じゃあ……その……」

 

 >もじもじして、何か言いたげな様子だ。チラチラと、ボコーデットマンションの方を見ている。

 愛里寿ちゃんは大人びてるけどたしかまだ中学生ぐらいの年齢だし、態度が本当にわかりやすい。もともと素直な子なのもあるかもしれないが。

 

 「愛里寿ちゃんさえよければなんだけど、一緒に私と遊んでくれないかな?ちょっと暇になっちゃって」

 「……うん!」

 

 >愛里寿ちゃんが嬉しそうで私も嬉しくなる。それにしてもボコーデットマンション……どこかで聞いたことがあるような名前だ。

 ボコーデットマンションは、最大3人乗りのマシンに座って回るホラーアトラクションだ。

 まぁ、ホラーといっても大したことはない。あちこちにホラーな格好をしたボコを使って、暗い背景で驚かすだけだ。メインターゲットの年齢層が低いのもあって、そこまで本格的なホラーでない。

 正直このボコミュージアムの見た目の方が、よっぽどホラーしてる。夜見かけたら恐怖のあまり逃げ出す自信が私にはある。

 お客さんは、相変わらずいないので待たないで乗ることができた。

 

 「お姉さん、こっちこっち」

 「歩くの早いね」

 

 >シュタタタっと早歩きで先に行く愛里寿ちゃんについていき、アトラクションに乗り込む紅葉。

 隣に座ってる愛里寿ちゃんはワクワクしながら乗ってる。一応ホラーアトラクションなんだけどねこれ。

 そういえばテーマパークで遊ぶのなんていつぐらいだろう。もう覚えてもない。

 ボコーデットマンションは正直アトラクションより、愛里寿ちゃんの反応の方が面白かった。色んな種類のボコが出てくるたびにキャッキャしていてとても可愛らしかった。

 ボコーデットマンションの次はショーを見に来ていた。普段は中の人の方だから、観客として生で見るのはこれが初めてだ。

 紅葉もあれから更にボコについて勉強してきた。愛里寿ちゃんと会話に合わせるためなのはもちろん、個人的に興味がわいてきたのもあったからだ。

 ボコについて欠片ほどの興味も持ち合わせていなかった紅葉だが、愛里寿ちゃんから教わったボコの良いところ、すなわち諦めない精神。何度ボコボコにやられてもそのたびに負けずに立ち上がるその姿勢は確かに格好よかった。

 ショーが始まった。まぁ、内容はいつもの通り。ボコが相手に粋がって絡んで複数人にボコボコにされている。

 ……うわぁ、端から見ると結構容赦なくやられてたんだ。ボコは特殊素材で出来ていて、意外と怪我しにくいから派手なアクションが出来ると聞いていたが、ここまで容赦ないとは思ってもなかった。

 

 「がんばれボコー!がんばれー!」

 

 >愛里寿ちゃんが立ち上がって応援している。表情は至って真剣だった。その顔がこちらに向いた。

 

 「お姉さんも応援しないと!」

 「え?……いや、私はちょっと」

 「応援しないと!」

 

 >どうやら拒否権はないらしい。

 

 「が、がんばれー」

 「ボコー!がんばって!」

 

 >ちょっと恥ずかしくなりながらも、紅葉は応援しだした。ボコは立ち上がっていつものガッツポーズを決める。

 

 「きたきたきたー!みんなの応援がオイラのパワーになったぜ!ありがとなー!」

 

 >そこから先はいつもと同じ展開になるだろうと紅葉は思っていたが、少し違った。なんと、ボコのぐるぐるパンチが相手のペンギンにクリーンヒットしたのだ!

 

 「お」

 

 >普段ボコボコにしている相手から思わぬ反撃をくらい戸惑いを隠せないペンギン達。ボコはその隙を見逃さず、ドロップキックを決めたのだ!

 

 「おぉ!」

 

 >なんと、あのボコが勝ちそうになっている。正直全く予想もしてなかった展開に胸を踊らせる紅葉。相手のペンギンはあと1人。しかも、奇跡的にとはいえ2人を倒したボコにはノリと勢いもあって明らかに分がある。これはもしかしてもしかするかもしれない。

 

 「がんばれー!ボコー!そこだやっちゃえー!」 

 

 >先程の恥ずかしさなんてどこかにふっとんでいて、いつの間にか夢中で応援していた。ボコは残ったペンギンに向かって走りだし、トドメの拳を振りかざした。そして、床に滑って転んだ。

 

 「あぁ惜しかったのにぃ!」

 

 >その後の展開はいつもの通りになった。でもあとちょっとで勝てそうだった。なるほど、ボコもちゃんと成長してるんだ。

 今は、無理でもいつかはあのペンギン達に勝てるようになるのかもしれない。

 

 「面白かったね、あり」

 「……」

 

 >さっきまで立ち上がって応援していた愛里寿ちゃんが、すごいムスーっとした顔をしている。わかりやすく、不機嫌らしい。なんで?

 

 「ど、どうしたの?」

 「お姉さん。ボコはね、負けなきゃいけないの。勝ちそうになるなんて、そんなのボコじゃない」

 「えぇ……。いいじゃん、勝ちそうになっても」

 「良くない!」

 

 >どうやらボコが勝ちそうな展開は愛里寿ちゃんにとって不満らしい。紅葉としては、毎回勝つのは違うと思うけど、たまには勝ちそうになってもいいのではと思ったが、それを口に出すと、お互いにとって良くない結果にしかならないと感じとり口を慎んだ。

 ショーを見終えた2人はアトラクション巡りを再開した。イッツアボコワールドや、スペースボコンテン、どれもどこかで聞いたことがある気しかしないアトラクション名だったが、私は考えないようにした。

 売店で、記念におそろいのボコのキーホルダーを買った。愛里寿ちゃんが大切にする、と少し大袈裟ながらもそう言ってくれて嬉しかった。

 歩き続けて、流石に疲れてきたらしい愛里寿ちゃんをベンチに休ませて紅葉は飲み物を買った。何が好きなのかよくわからなかったが、とりあえずコーラを買った。多分好きでしょ、コーラ。

 飲み物を買い終え彼女のもとへ向かうと、愛里寿ちゃんは歌っていた。ボコのメインテーマだ。

 なんでも、この歌を歌ってると気分が落ち着いて勇気がわいてくるらしい。大事な時や、休憩中にはよく歌って気分を紛らわしたり、自分を鼓舞するのだ。

 これは、もしかしたら使えるのかもしれない。

 紅葉は、『ボコのメインテーマ』を覚えた。

 

 「じゃあ、またね。愛里寿ちゃん」

 「お姉さんまたね。また、一緒に」

 「もちろん」

 

 よし、ボコのメインテーマを覚えました。これは後ほど使います。これを覚えたらもう愛里寿殿にわざわざ会う用がなくなりました。

 このスキルを覚えたらボコの中の前任者が確定で復帰するので、バイトもクビになるのでわざわざ面倒な手続きをしないですむので助かります。

 今回はここまでです。ありがとうございました。

 

 

 ※

 

 

 「じゃあ、またね。愛里寿ちゃん」

 

 その言葉を信じて、今日も私は待ち続ける。それでも、あの日以来お姉さんがボコミュージアムに来ることはなかった。

 手のひらにはあの日買ったボコのキーホルダーがある。強く握りしめてしまったせいで、ボロボロになっていた。

 

 




 感想、評価、お気に入り、ありがとうございました。

 ほもちゃんの大洗の仲間達への友好度ランキング

 1位左衛門佐
 2位西住みほ
 3位エルヴィン


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盗み聞き

 はい、よーいスタート。

 

 前回のつづきからをやっていきたいと思います。

 

 >紅葉は登校する。寝癖で髪が少しハネているのは今の紅葉の感情を表していた。

 バイトがクビになったのだ。クビというよりは、前任者の人の怪我が治って復帰したから、元々代役にすぎなかった紅葉の役目が終わっただけの話にすぎないが。

 なんだかんだいってそれなりに楽しんでやっていたらしく、胸にぽっかりと穴が空いたような虚無感を紅葉にはあった。

 まぁ、終わってしまったことは仕方がない。うじうじしてても何も変わらないのだ。

 戦車道の練習や個人的なトレーニングの時間が増えたと思えばいい。前回は勝てたからといって次もそうとは限らない。

 学校に近づくと、戦車のバルーンが浮かんでいることに気がつく。

 よく見ると、戦車道全国大会の1回戦突破と書かれた垂れ幕もある。

 まだ1回戦しか勝ってないのに随分と派手にやっている。校門に立っている風紀委員の人曰く、生徒会が勝手にやってたことらしい。

 暇なのかな、あの人達。河島先輩は暇そうだけど。

 

 学校についたら、まず一目散に掲示板へ向かって生徒会新聞を見に行きます。そこでほもちゃん達カバさんチームが写真を撮られていて、新聞に載っているかどうかを確認します。

 これは結構重要なことで、大洗の鬼神ルートに入るためには撃破数だけじゃなくて、周りからの名声値も必要になります。

 新聞に載っていると、周りからの評価が高い証です。目安としては、次のアンツィオ戦までには新聞の1面に大きく飾られていたいですね。

 さて、今回はどうでしょう。

 

 >紅葉は掲示板に貼られている生徒会新聞を見た。どこかで聞いたことがあるような見出しが書かれている。

 新聞は、先日のサンダースとの試合についの内容だ。発行が生徒会でインタビューされているのが生徒会なのが少し気になった。

 上の方にフラッグ車を撃破した時のあんこうチームの写真が載っている。下の方に、何時撮られたのかわからない紅葉達、カバさんチームの写真が載っていた。

 

 まぁまぁ良いでしょう。この調子なら余程のことが起きない限り、次のアンツィオ戦には間に合います。

 次の行動に移りましょう。昼休みになったら鍛えぬいた脚力に物を言わせて、戦車が保管されている倉庫に向かいます。

 倉庫に着いたら、Ⅳ号の中で授業をサボっている冷泉殿に見つからないように、階段から二階に上り、Ⅳ号戦車からちょうど死角になる場所に隠れるようにして寝そべりましょう。

 少し待てば、西住殿達がここに集まるので、その会話を盗み聞きします。

 これは、西住殿の好感度を友人から親友に上げるためにフラグ立てのためです。キャラや主人公の経歴によって、色々フラグが違いますが、西住殿の場合はここの会話を聞くことがフラグです。

 本来なら、ここで西住殿達に混ざって一緒に昼食をとり、その流れで聞くのが正攻法ですが、それだとほもちゃんがいるせいで余計にセリフが多くなってしまいます。

 

 >昼休みに紅葉は人気のない戦車が保管されている倉庫にやってきていた。

 掲示板の新聞に写真で載っていたため、何人かの同級生から注目の視線を集めていた。こういった経験は今までなかったため、少し窮屈に感じていた。

 その視線から逃げるため、どうしたものかと考えて思いついたのがこの場所だ。ここなら昼休みにわざわざやって来る人などいないだろう、多分。

 紅葉は2階に上がって、なんとなく寝そべった。ここでとりあえず休憩して、昼からの練習にそなえるのだ。少しうとうとする。

 気がついてたら寝てたらしく、携帯で時間を確認して大体10分くらい寝てたみたいだ。

 紅葉が寝てる間に誰かが、倉庫に入ってきていたようだ。誰かと思ったが、声ですぐに正体が分かった。

 

  「2回戦、この戦車で勝てるのかな」

 

 >チラッと覗き見ると、やはりみほさんだ。声をかけようと思ったが、紅葉が声をかけるまえに、秋山さんが声をかけて、その後続々とあんこうチームの皆が現れた。1人は戦車の中から現れていたが。

 

 「今日は戦車と一緒にお弁当を食べようと思って」

 「教室にも食堂にもいないから、きっとここだと思って」

 「パン買ってきたよ……あれ?本城さんと一緒じゃないの?」

 「ありがとう。紅葉さんは一緒じゃないけどどうしたの?」

 「本城さんも誘おうしたのですけど、どこにも見当たらなくて。てっきり、みほさんと一緒だと思ったのですが」

 「ほら、みぽりん。大体、本城さんと一緒にいるから」  

 「そ、そうかな?」

 

 >そうかな?と思い、ちょっと過去を振り返ってみた紅葉。大体毎日一緒に登校、戦車道の練習、休み時間に昼食、居残り練習に一緒に下校。そうでもない気がする。

 会話の話題に自分が出てきたせいで声がかけづらくなり、そのまま隠れて盗み聞きしてしまってる形になってしまった。

 今の会話の話題は、今朝の掲示板の生徒会新聞についてだ。

 

 「そういえば、掲示板見ました?生徒会新聞の号外」

 「う、うん。すごかったね」

 「そりゃあ、サンダース付属に勝ったんですから」

 

 >会話の途中でみほさんの様子がおかしくなったのを声で察した。

 

 「勝たないと意味がないんだよね」

 「そうですか?楽しかったじゃないですか」

 「うん」

 

 >そこから秋山さん達が戦車道をやっていて楽しかったことを語り出す。どんどん出づらくなってきた。

 偶然にもこの場所から向こうには紅葉の姿は見えないので、見つかることは今のところないが、もし誰かに見つかった時のことを考えると、気まずいどころの話じゃない。

 そして、話はみほさんが戦車から逃げたくなった理由についてに移り変わる。

 どうやら、詳しい状況はよくわからないが当時のみほさんは戦列を離れて、仲間を助けたのだが、フラッグ車の車長だったからそのせいで撃たれて負けたので、十連覇できなかったとのこと。

 

 「私は西住殿の判断は間違ってなかったと思います。前にも言いましたけど、助けにきてもらった戦車の人達は、西住殿に感謝してると思いますよ」

 「秋山さん……ありがとう」

 

 はい、黒森峰の会話を盗み聞きしたのでフラグが立ちましたので、もうここには用はありません。とっとと去りましょう。

 2階の窓を音が立たないように気をつけて開き、そこから飛び降ります。普通なら怪我をしますが、ほもちゃんなら少し怪我するくらいで済みます。

 

 >紅葉は窓をこっそり開けて、そこから飛び降りる。着地のさいに少し足首を捻ってしまった。痛い。

 足首が痛いのを我慢しつつ、紅葉は教室に向かった。

 

 今回はここまでです。ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 感想、評価、お気に入りありがとうございました


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見学

 誉れは浜で死んだので初投稿です。


 はい、よーいスタート。

 

 前回のつづきからやっていきましょう。2階から飛び降りてほもちゃんが足を捻りましたが、これはガバではなく予定通りです。

 ほもちゃんは鍛えてますからね。例え、2階から飛び降りようが3階から飛び降りようが、車に跳ねられ電柱に頭をぶつけようが足首を捻挫する程度で済みます。

 また、めったにありませんが運が悪いと骨折みたいに治るまで数ヶ月かかる怪我になる可能性もありました。そのときは素直にリセットします。試合に出れませんからね。

 何故足首を捻挫させたかというと、2回目の戦車探しをサボるためです。

 前回の戦車探しはランニングの合間だったり、他の仲間達からの評価上げだったり探すことに理由があったのですが、今回は別にありません。

 むしろ、戦車を探すために使う時間を別のことに使う方がよっぽど有意義です。

 

 >練習がしたい。練習がしたい。練習がしたい。練習がしたい。練習がしたい。練習がしたい。練習がしたい。練習がしたい。練習がしたい。練習がしたい。練習がしたくてくしたくてたまらない。

 紅葉は戦車道の授業を見学していた。理由は単純、足を怪我したからだ。ただの捻挫だし、歩くと涙が出そうになるくらい痛いだけだ。少し青くなってるだけだ。

 なのに、みんなに見学しろと言われた。心配なのはわかるけど心配しすぎだ。こんなのスポーツでは日常茶飯事だろう。そもそも私は操縦手で、足はあまり激しく動かさない。

 足の捻挫なんかより、練習を休んでしまって次の試合で足をひっぱってしまうことの方が恐ろしい。私は負けたくないのだ。

 紅葉はなんとか会長に説得を試みたが。

 

 「何かあったら責任とれないしー、それに無茶して次の試合に出れないなんてことになったらそれこそ困るから」

 

 >一蹴されてしまった。しかも反論の余地がない正論でもあった。それでも引き下がろうとしなかった紅葉だったが、結局みほさんや、エルヴィンさんに止められて渋々見学することにした。

 見学は苦痛で仕方がなかった。

 

 ほもちゃんは少しの間、練習を休ませます。多少のステータスは下がりますが、すぐに取り返せるので問題ありません。

 また、見学するさいにあえて駄々をこねましょう。それにより、ほもちゃんが隠れて練習しないか監視する人が出てきます。

 監視する人は、友好度などで変わりますが大体の確率で隊長の西住殿が選ばれます。次点で、友好度が高くなりやすい左衛門佐殿です。

 先ほども言いましたが、戦車探しは他の皆に任せてほもちゃんには別のことをさせます。西住殿の友好度イベントを進めて、親友へとランクアップさせます。

 皆が必死に戦車を探しているのに、自分は休んで女性キャラを攻略する。人間のクズがこのやろう……

 

 >今日も紅葉は見学だった。捻挫はだいぶ良くなったし紅葉としては皆と一緒に戦車を探しに行きたかったが、どこにあるかわからない戦車を探すため、必然として長時間歩くことになる。

 捻挫が酷くなるかもしれないから今日も見学だと言われた。紅葉は練習が出来ないことに気が狂いそうになる。

 そんな紅葉の様子を察したのか、会長がみほさんに私の監視役を頼んだ。みほさんもそれを快く受けた。

 

 前回の盗み聞きで、フラグが立っているのでイベント自体は起きますが、裏技じみた方法で立てたためイベントの会話が少しおかしくなっております。

 西住殿達の会話の最中にほもちゃんがいなかったのに関わらず、まるでほもちゃんがあの場にいたかのように話が進みます。

 親友へのランクアップするイベントは、西住殿のトラウマについてです。

 ぶっちゃけ内容については、秋山殿が西住殿を励ましたときの二番煎じです。選択肢もとにかく励ます、優しさ慈母神の如く励ましていればいいです。そうすれば絆が深まります。

 短いですが今回はここまでです。ありがとうございました。

 

 

 

 ※

 

 

 「みんな心配しすぎだよ。私は大丈夫だって」

 「あはは……」

 

 紅葉は少し不貞腐れた様子だ。まさか監視役を置かれるなんて思いもしなかったからだ。隠れて練習をするつもりもなかったから、もしかしたら自分はあまり信用されてないんじゃないかとすら思っている。

 

 「仕方がないよ。あの時の紅葉さん、正直少し怖かったもん」

 「……本当に?」

 「本当に。鬼気迫るって感じだったよ」

 

 紅葉は全く自覚がなかった。ため息をついて自慢の足を見る。右足首には足首を固定するためのテーピングが施されていた。これはみほがやってくれた。

 

 「この怪我さえなければ、皆と一緒に戦車探しに行けたのに」

 「2階から飛び降りたのに、捻挫ですんだだけで良かったと思うよ」

 「まぁ、たしかに捻挫ですんだだけで良かったのかなぁ」

 

 紅葉は今の会話に少し違和感を感じながらも、それに気がつくことはなかった。

 

 

 ※

 

 あんこうチームの皆とお昼ごはんを食べていた時、風のおかげで2階の窓が開けられたのがわかった。そこには紅葉さんが隠れていて、2階から飛び降りてそのまま教室へ向かっていったのがわかった。

 紅葉さんが何であの時隠れていたのか、何で2階から飛び降りたのか色々と疑問があるけど、それはどうでもいい。

 彼女のことだからきっと何か理由があるにきまっているからだ。

 今までもそうだった。試合中の独断専行も、相手車両撃破につながっていたし、彼女が最後に行動してくれたから、私達もフラッグ車を撃破することに専念できた。

 だから、私は彼女の行動は疑わないし、出来る限りの尊重していきたい。流石に怪我をしているのに練習に参加させるのは反対だったけど。

 

 




 感想、評価、お気に入りありがとうございました


 誤字報告ありがとうございました


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シェアハウス

 

 携帯電話の目覚まし機能のうるさい音が耳に届く。私はこの音を少し煩わしく思いながら、アラームを止めつつ時間を確認した。

 朝の6時だ。いつもならとっくに起きている時間だけど、私は携帯を放り投げもう一眠りする。

 いつも早起きしていたのは、朝のランニングのためだからだ。朝のランニングは、私に健康と眠気覚ましとスタミナを与えてくれていた。

 その朝のランニングが足の捻挫で出来ない以上、こんなに早く起きる必要はない。ていうか、起きる気力がわかない。

 あー、何かついでにやる気もわいてこない。もう夏だし暑いし。それなのに制服は長袖だし。学校行っても授業もわけわかんないし、今やってる数学の因数分解とか難解過ぎて嫌になってくるし。何で分解するんだろう、勝手に分解するなよ、そのままにしといてあげなよ。

 もういいや、休もう。何かダルい気がしないでもなくもないしきっと熱があるに違いないと思いたい。戦車道が出来ないのに学校に行く理由なんてはたしてあるだろうか?いや、ないよね。

 単位とか出席日数とかもうしらなーい。私は寝ると決めたもんね。たまにはこういう日もいいでしょ。

 布団を頭から着る。夢の世界に誘われるのだ。だんだんうとうとしてきて、目蓋が閉じかけたそのとき、携帯電話が鳴りだした。一体誰だろう、こんな朝早くに。

 どうせエリカだろうと予想する。無視して後で小言を言われるのも面倒だし携帯に出たいが、さっき放り投げてしまったから手の届く位置に携帯がない。

 布団から出て取りに行けばいいだけの話なのだけど、それも少し面倒くさい。今の私は布団から一歩も出たくない。

 どうしようと、ゴロゴロしながら考えてると着信音が途切れてしまった。

 誰がかけてきたのかわからないが、少し申し訳ないと思いつつも、また目蓋を閉じる。

 微睡みに落ちかけていると、今度はピンポーンとインターホンが頭に鳴り響く。

 さすがにこれには出なくてはいけないと思い、必死に気力を絞りだして布団から離れて寝ぼけながらもドアへ向かい、ロックを外す。そこには見慣れた人が立っていた。

 

 「あ、おはよう紅葉さ……って、なんでまだパジャマなの!?」

 「……みほさんか。おはよ」

 「うん……じゃなくて、もう登校しないと遅刻するよ。ほら急いで着替えて」

 「え、あちょっと」

 

 みほさんが私の手をつかんで部屋の中に入る。寝ぼけていたせいで、その時のことをあまり覚えていない。

 気づいたら私は、髪を整えられていて制服に着替えさせられていて手をつないで学校に登校していた。

 頭が冴えてきた頃には何かおかしいと思わなくもなかったけど、みほさんが楽しそうにしてたし、別に嫌な気分でもなかったからまぁ、いいかと思うことにした。

 

 

 

 ※

 

 

 はい、よーいスタート。

 

 前回のつづきからやっていきたいと思いますわ。西住殿と親友へランクアップしましたね。本来なら遊びに行くイベントで反応がより仲がいいものに変わったり色々ありますが、残念ながらそのイベントは起こさないので見ることができません。

 ほもちゃんの怪我もそろそろ完治しそうですね。アンツィオ戦まで時間はそれほどありませんが、今までの練習で培ったパラメーターのおかげでそれほど問題はありません。

 現在ほもちゃんは、カバさんチームのシェアハウスで、アンツィオ校の戦車の資料を探すのを手伝ってます。

 置いてある場所は固定なのでとっとと見つけましょう。

 

 >紅葉はイタリア戦車の資料を見つけた。アルファベットで書かれていて文字は読めないし、イタリア戦車とか見たこともないからわからないけど、他に戦車が表紙の本はなかったし多分これだと思う。

 

 「エルヴィンさん、あったよ。多分これであってるよね?」

 「お、それだそれ。でかしたぞ」

 

 >どうやら合ってたみたいだ。よかった、と安堵する紅葉は資料を机に置いておく。歴女ってイタリア戦車にも通じてるんだな。

 次の対戦相手の情報を少しでも知りたい紅葉は、積んである本の中から一番上のものを一冊手に取る。

 表紙を見る。パラパラめくる。本を閉じる。全くわからなかった。

 英語なんてわかるか。

 

 「本城これイタリア語ぜよ」

 「私からしたらどっちも似たようなものだよ」

 

 >どっちもアルファベットを使っていて、ひらがな片仮名漢字じゃない。似たようなものじゃないか。

 

 ほもちゃんが何か馬鹿なことを言ってますが、無視して庭で練習中のカエサル殿の所へ移動させましょう。

 アンツィオ戦の後、残っているのはプラウダに黒森峰、それに大学選抜、かなりの強敵ばかりです。

 ほもちゃんの操縦技術だけでは、この先生き残ることはできません。

 カエサル殿はご存じの通り、装填手です。彼女がどれだけ早く装填できるのかもこの先重要になります。

 なので、彼女の訓練に協力させてもらいましょう。

 自分の運に自信がある人はこの行動はしなくても良いと思いますが、私は安定をとります。

 

 >改めて見てもこのシェアハウス大きいよなぁ、庭も広いなぁ、少し羨ましいなぁ。とぼんやり考えながら庭を歩く紅葉。

 カランカランと一定のリズムで音がなっている。紅葉は音がする方向に迷わず足を運ぶ。

 庭を曲がるとカエサルさんがいた。ちょうど休憩の最中だった。

 

 「お疲れ様、はいこれ」

 

 >紅葉は飲み物を渡した。

 

 「あぁ、ありがとう」

 

 >カエサルさんにスポーツドリンクを渡す。喜んでくれたようだ。

 

 「資料は見つかったのか?」

 「うん。後はみほさんが来るのを待つだけかな」

 

 >カエサルさんと会話をしていると、縁側に置いてあったノートパソコンからピロンと、音がなった。

 反射的に音がした方向へ首を向けてしまった。パソコンにはひな@伊多利という人からのチャットが送られてきていた。他人のプライベートを盗み見る気は更々ないため、紅葉はパソコンから目を背け、カエサルさんが練習に使っている器具に目を向けた。

 古くなった勉強机や、岩のブロックを使って作ったお手製の練習器具だ。地面には無数の練習用の砲弾が無造作に落ちていた。

 カエサルさんは楽しそうにチャットをしているため、邪魔にならないように気をつけながら、紅葉は落ちてる砲弾を拾い、空のビールケースに1つ1つケースに戻しておいた。

 重かったが、鍛えられた紅葉の身体のおかげで、それほど時間をかけずに戻すことができた。

 カエサルさんのチャットが終わったのを確認できた。

 

 「すまないな、本城。片付けを手伝ってもらって」 

 「良いよべつに、同じチームじゃない」

 

 >紅葉は縁側に向かい、カエサルさんの隣に座る。

 

 「怪我はどうなんだ?」

 「もうすっかりよくなったよ。明日からは練習ができる」

 「ならよかった。次の試合も頼りにしてるからな」

 

 >カエサルさんから称賛をもらった。照れるなぁ。

 

 「さっきのチャットの相手、小学校の同級生でな。ずっと戦車道をやってる子で、次の対戦相手でもある」

 「そうなの?」

  

 >紅葉の頭の中にプライドが高くて、少し口が悪い幼馴染みがふと思い浮かんだ。

 カエサルさんは、その幼馴染みについて楽しそうに語っている。

 

 「次の試合、友達が相手だからこそ負けられないんだ私は」

 「わかるよ、それ」

 

 >紅葉はカエサルさんの気持ちがよくわかった。紅葉自身も、あの幼馴染みには負けたくない。彼女のプライドを叩きおってやる勢いで挑むつもりだ。

 カエサルさんの力になりたい。紅葉は強く思った。

 

 「カエサルさんで良ければなんだけど、私も練習に手伝わせてもらえないかな?」

 「え?いや、お前バイトで忙しいんじゃなかったか」

 「少し前に辞めたから今は忙しくないよ」

 

 >お願いっと手を合わせてカエサルさんに頼む紅葉。カエサルさんは少し戸惑っていたが。

 

 「むしろ、こっちこそ助かる」

 

 >快く承諾してくれた。これからは休日には彼女の練習を手伝おう。  

 

 ほもちゃんの幼馴染みが戦車道をやっている場合には、こうなったように、同じ境遇のキャラに共感してこういったイベントが起きるようになります。

 前に言ったメリットはこういうことです。

 

 「ごめんくださーい」

 

 >みほさんの声だ。やっと来たようだ。私は靴を脱ぎ、広間に向かった。この後、イタリア語を読めるカエサルさんのおかげで、資料を日本語訳することができ、私達はそれをコンビニでコピーした。

 

 

 

 今回はここまでです。ありがとうございました。

 

 

  

 




 感想、評価、お気に入りありがとうございました。

 1話のキャラメイクの後書きに遊び屋さんちゃんで作ったほもちゃんを載せました。

 


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模擬戦

 

 「やってやるやってやるやぁってやーるぜー♪」

 

 先日の気だるさが嘘のように足取りが軽い。夏の暑さに嫌気がさす通学路、周りの生徒やすれ違う社会人達はこのジメジメした空気にうんざりしているようだ。

 

 「いーやなあいつをボコボコにー♪」

 

 道行く人々を走って追い抜いていく。暑さなんて今の私にはなんてことのない。

 そんなことより、今日の授業が楽しみで仕方がない。早く三突に乗りたいなぁ。

 

 「喧嘩はうーるもの堂々とー♪」

 「朝から元気だな」

 「左衛門佐ちゃん、おはよ!」

 「おはよう、うるさいくらいに元気だな。こんなに暑いのに」

 

 左衛門佐ちゃんも暑さにやられてるらしく、手をうちわ代わりにして扇いでいた。

 

 「やっと怪我が治ったからね。今日から練習に復帰だから」

 

 完治したことを示すために、右足のつま先でトントンと地面をつつく。痛くない!もう絶好調だ!

 

 「本当に練習が好きなんだな。よくわからん歌を歌うぐらいテンションが高くなってる」

 「よくわからん歌じゃなくて、おいらボコだぜっていう名曲だよ。知らない?」

 「知らん」

 「もったいない」

 

 歌詞は少し物騒だが、歌うと不思議と元気になる曲なのに。これを歌うとボコがボコボコにされる光景が脳裏に浮かんで元気つけられる。

 ボコといえばと、紅葉はカバンの中にある少し前に買った愛里寿ちゃんとのおそろいのキーホルダーを取り出す。結局どこにつければいいのか迷って、どこにもつけずにいた。

 そういえば愛里寿ちゃん元気にしてるかな。予定が合えば会いに行きたい。でもしばらくはカエサルさんの練習の手伝いだったり自主練だったり趣味のマラソンで忙しくなりそうだし、中々難しいかもしれない。

 でもまた遊ぶ約束してるし、準決勝が終わって少し一息ついたら会いに行こう。

 

 

 ※

 

 

 はい、よーいスタート。

 

 前回のつづきからやっていきたいと思います。

 今回からほもちゃんの長い長い休憩が終わりました。ほもちゃんは練習大好き運動大好き、健康優良不良少女なので怪我が治ったことにより一気にやる気があがりました。

 周りとの遅れをとりもどすために、今日から練習の厳しさをまた1段階上げてさしあげましょう。

 今回の練習はP40に見立てたⅣ号を撃破です。アヒルさんチームの妨害もあります。

 同じチームで同じ目標のために戦う仲間同士でありますが、模擬戦なので遠慮せず撃破してやりましょう。

 

 >模擬戦をやることになった。ひさしぶりの操縦だから少し不安ではあるが、きっとなんとかなるだろう。

 あんこうチームの戦車を見る。何故かぴよぴよと塗装されてる。

 

 遠慮せず撃破しますが、試合ではなくあくまでも模擬戦なので難易度はそれなりに楽な方です。私が操作しなくても撃破できますし、なんなら片手で操作してても余裕です。

 アヒルさんチームの妨害は無視しましょう。撃破しても別にメリットはないです。

 カメさんチームとウサギさんチームが仲間です。連携して倒すと友好度が上がりますが、別にいりません。

 唯一注意すべき点として、あんこうチームは丘の傾斜を利用して隠れてきます。ですが、見失っても戦車は瞬間移動しないので、隠れている場所を大まかに予想して、隙を作って背後をとられないようにしましょう。

 背後真横は砲塔を動かせない三突の弱点ですからね。旋回しても間に合わない時は間に合いません。

 では、模擬戦開始です。

 ここではカメさんチームに途中まで先導してもらい、アヒルさんチームの機銃の盾となってもらい、そのままアヒルさんチームとやりあってもらいましょう。

 アヒルさんチームがあんこうチームと散開したら、あんこうチームを全速力で追いかけます。

 あんこうチームはこちらの砲弾から避けるため、傾斜を確定で利用してきます。本当なら傾斜を利用する前にあんこうチームを倒したいのですが、距離がそれなりに離れていて撃っても的確に避けてられるので無理でした。

 

 >あんこうチームのⅣ号が丘を次々と越えては下っていく。傾斜のせいで見通しが悪すぎて追いつくどころか、戦車の姿を目で捉えることが難しい。

 このままでは見失ってしまう。そこで紅葉はみほさんのことを少し考えた。

 もし逃げたとしてその後みほさんはどうするだろうか?彼女のことだ。確実に仕留めるために待ち伏せして死角から接近してきてからの射撃を行ってくるだろう。

 じゃあ次にどこから攻める?正面からくるわけないだろうし、多分背後から攻めてくるはずだ。三突の弱点だしそこを突いてくるに違いない。

 次に考えるのはどこに待ち伏せしているのか。待ち伏せなんだからまず姿を隠せる場所にいるはず。この辺りは木々はあるが、戦車を隠すのは無理。草むらもあるが小さすぎる。三突ならやれるかもしれないだろうが。

 なら傾斜だ。傾斜なら角度的に身を隠せるだろうしここにはいないだろうという盲点をつけることができるかもしれない。彼女のやりそうなことだ。

 丘を登って、戦車を止めて彼女の出方を待つ。するとⅣ号の履帯が地面をこする音が聞こえる。音の方向に急いで旋回させる。

 傾斜からⅣ号が現れた。戦車は向き合う形になった。

 三突から砲弾が放たれる。Ⅳ号が砲弾を発射させる。

 砲弾は交差する形に短い軌道を描いて、互いに目標の戦車に向かって着弾した。

   

 相討ちにならないで倒す方法もあるにはあるのですが、やや面倒くさい上に時間がかかるのでやりませんでした。

 相討ちとなりましたが、ちゃんと撃破判定にはなっており経験値ももらえます。

 模擬戦とはいえ隊長格を撃破したのでそれなりに経験値ももらえます。うん、美味しい!

 模擬戦が終わったところで今回はここまでです。次回はアンツィオ戦をやっていきたいと思います。

 ありがとうございました。

 

 

 ※

 

 

 三突が煙をふいている。被弾したからだ。私は歯を食いしばる。めちゃくちゃ悔しい。なんならここで子供のように地団駄を踏み両手をばたつかせたい気持ちだが、なんとかそれをこらえる。

 傾斜に隠れているそれ自体は合っていた。だけどまさか斜め上から攻めてくるとは思わなかった。てっきり後ろから攻めてくると思ってしまった。

 撃破したとはいえ、相討ちだ。こんなの引き分けだ。勝ってない。私は勝ちたいのだ。

 深呼吸する。頭の中にボコボコにされるボコを思い浮かべる。なんとか落ち着いてきた。

 結果は変えられない。事実として受け入れなくては。今回は引き分けだったが、次こそはみほさんに勝ってやる。

 

 

 

 

 




 感想、評価、お気に入りありがとうございました


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アンツィオ高校戦

 

 はい、よーいスタート

 

 前回のつづきからやっていきたいと思います。今回はアンツィオ戦です。

 アンツィオ戦で気をつけることは、とにかく相手に勢いをつけさせてはいけません。

 ノリと勢いがあり、調子に乗られると手強いというのはこのゲームでも同じで、1両撃破されたと思ったらいつの間にかフラッグ車以外撃破されていたなんてこともあります。

 戦いってのはノリが良いほうが勝つものです。相手がノリに乗る前に、こちらがノリに乗ってやります。

 

 >2回戦の日がやってきた。紅葉は三突にもたれながら試合の時間までジェラートを食べていた。ひんやりしてて甘くて美味しい。次の試合は集中できそうだ。

 カエサルさんが向こうで金髪の人とはしゃいでる。たかちゃん、ひなちゃんとあだ名で呼び合いとても親しげな様子だ。

 口調もいつもより砕けていてキャラが違う。すごい違和感。私以外もそう感じたのか、他のメンバーが面白そうにからかっていた。

 

 「たーかちゃん」

 「カエサルの知られざる一面発見」

 「ひゅーひゅー」

 「な、なんだ。なにがおかしい!」

 

 >からかわれて赤面してうろたえてるカエサルさん。助けてほしそうにこちらを見ている。

 仕方ない。助け船を出してあげるか。

 

 「まぁまぁそのくらいに、もう試合だよ」

 「そ、そうだぞ。ほらみんな準備しろ!」

 「たかちゃんもね」

 「紅葉!」

 

 >後ろでたかちゃんが怒ってる。こわいこわい。私は逃げるように操縦席に向かった。

 

 えぇ、ではアンツィオ戦なんですが、とにかく早く倒すことが重要ですね。相手をノリに乗らせないためでもありますが、時間が少しでもかかると他の仲間達が次々に相手戦車を撃破してしまいます。

 今回は、セモヴェンテ、カルロ・ベローチェ、P40を1両ずつ倒していきたいです。

 1両あたり最低でも20秒で撃破し続けていきます。ほもちゃんならできると思いたいです。

 とりあえず最初の標的はセモヴェンテです。今回は前回みたいに勝手に動かずに西住殿の指示で動いた方が早いです。

 セモヴェンテの車長はカルパッチョ殿というネームドキャラなので撃破の経験値が、とても美味しい美味しい。

 

 >審判の合図で試合が始まった。紅葉は三突で森の中を進み続ける。一応道は整えられていたがそれでもでこぼこしてて、戦車の中がすごい振動してる。

 アヒルさんチームが先行して、この先にある十字路の偵察に向かっていた。

 

 『街道手前に到達しました。偵察を続けます……あ、セモヴェンテ2両、カルロ・ベローチェ3両、もうすでに十字路に配置!』

 『十字路の北側だね』

 

 >もう十字路に到達してるのか。早いな。こっちの戦車より機動力があるのだろうか。

 河嶋先輩が南から突撃を提案した。罠の可能性はアンツィオだからありえないらしい。ひどいなアンツィオの評価。

 

 『紅葉さんはどう思います?』

 「いいんじゃないかな」

 

 >どうでも。まぁ、私はアンツィオのことよく知らないし、アンツィオのことは河嶋先輩の方が詳しいっぽいしそこは任せた方が良さそうだとは思う。

 仮に罠だとしても、罠ごと相手戦車を叩きのめせばいいだけの話だろう。

 

 皆さんご存知の通り、十字路で待ち伏せしてるのはハリボテの偽物です。出来るなら、十字路に最短で突撃してハリボテを立てて無防備の間に撃破できるのなら早くて簡単で助かるのですが、人力では流石に遠すぎて無理でした。tasさんならできるんでしょうけど。

 

 『わかりました。では、十字路へ向かいましょう。ただし、進出ルートは今のまま行きます。ウサギさんチームのみショートカットで先行してもらいます。まだP40の所在もわかりませんから。我々はフィールドを抑えつついきます』

 

 >少し待つと、ウサギさんチームからの連絡がきた。

 

 『街道南側、敵発見。すみません、見られちゃったかも。カルロ・ベローチェ4両、セモヴェンテ2両が陣取っています』

 

 >……おかしくない?2回戦は最大10車両までだし、P40もまだ見つかってないのに、もう11両発見してる。

 

 「数が多くないか?」

 「インチキか?」

 「ひなちゃんはそんなことしない!」

 「落ち着きなよ」

 

 先行したウサギさんチームの報告によって、戦車の数が合わないことがわかりました。それにより、西住殿が十字路に待機しているのはハリボテによる偽物だと看破し、相手の作戦が十字路に誘き寄せつつ機動力で包囲することだと判明します。

 その後、アヒルさんチームが相手戦車を5両発見、ウサギさんチームがセモヴェンテ2両と交戦します。

 

 『敵5両発見しました。F24地点を東に向かっています』

 『こちらウサギさんチーム!A23地点、セモヴェンテ2両発見。今度は本物です。勝手に攻撃してすみません。もう交戦始まってます!』

 『大丈夫。おかげで敵の作戦がわかりました。セモヴェンテとは付かず離れずで交戦してください。西に行動をしたらそれは合流を意味します。全力で阻止してください。あんこう、カメさん、カバさんチームはこのまま直進します。包囲される前にフラッグ車を叩きましょう。当然こちらのフラッグも標的となりますが、逆に囮として上手く敵を引き付けてください。それと、カバさんチーム今回も活躍期待してます。それでは皆さん、健闘と幸運を祈ります』

 

 そろそろほもちゃんの出番です。このまま街道を進めば標的の3両と遭遇します。落ち着いて、ちゃんとやり合えばミスなくできると思いたいです。

 日頃の行いは良いはずなので、神様に祈りが届いているはずです。ここまで来てちょっとしたミスとかで再走は嫌すぎる。

  

 >Ⅳ号の先導のもとに移動し続ける。いつ相手と遭遇してもおかしくないこの状況にワクワクを感じる。

 ただ、最後尾にいるからもし前方に相手戦車を見つけても撃つことができない。撃ったらフラッグ車のカメさんチームに当たる。

 

 「あ」

 「うん?」

 

 >よく見えなかったが、横を戦車が通りすぎた音が聞こえてきた。

 エルヴィンさんが外に頭を出して確認する。

 

 「敵戦車、3両発見!出番だぞ、紅葉」

 「了解」

 

 >戦車を急いで後ろに向け、回転させる。

 

 『あのパーソナルマーク……たかちゃん。75ミリ長砲身は私に任せてください』

 『任せたが、気をつけろよ。噂が本当ならかなり手強いはずだ』

 

 >うーん。思ったよりセモヴェンテと距離が近いな。これじゃあ撃とうとしても向こうの機動力で近づかれて砲身をそらされて避けられるだけだな。 

 せっかくフラッグ車を見つけたんだ。ここで時間を食うわけにはいかない。だったら。

 

 「左衛門佐ちゃん、右斜めの木を撃って」

 「わかった」

 

 >セモヴェンテから一度照準を外し、右斜めにある大きな木を狙い撃つ。砲弾によって根本を抉られた木は葉っぱを撒き散らしながら三突とセモヴェンテの間に倒れ落ちる。

 

 『くっ!』

 

 >突然木が倒れてきたことに驚いたセモヴェンテ側の操縦手はブレーキをかけてくれた。

 

 「装填完了!」

 「撃て!」

 

 >止まっている戦車に外すわけもなく、砲弾はセモヴェンテの真正面に命中した。

 

 『セモヴェンテ1両やられました!』

 『早過ぎる……噂通りか一同、全員フラッグ車の元に集まれ!』

 

 >撃破した感傷に浸る暇なんてない。すぐにフラッグ車を追いかけなくては。

 

 「こちらカバさんチーム、セモヴェンテ撃破した。すぐそちらに向かう」

 『わかりました。なるべく引き付けています』

 

 >主砲の撃ち合う音が聞こえてる方向にすぐに向かう。セモヴェンテとの交戦時間がそんなにかからなかったので、まだすぐ近くにいるはずだ……いた!

 三突の主砲をカルロ・ベローチェに合わせる。あの戦車は車体が軽いからちゃんとウィークポイントに当てないと衝撃を緩和して、立て直してくる。一発で決めてみせる。

 

 「撃てぇ!」

 『うわぁっ!もう来た!?』

 

 >全速力での走行での射撃だったが、みごと当てることが出来た。後はフラッグ車のP40のみ。援軍が来る前に終わらせる。

 逃げようとするP40の前方にⅣ号が通せんぼしてくれた。ありがとうあんこうチーム。

 前にⅣ号、後ろに三突。もう逃げ場はない。三突が最後の射撃を決めた。

 P40は最後の抵抗としてこちらに向かって射撃したがそれもきっちりと避け、フラッグ車は撃破された。

 

 『フラッグ車、P40走行不能!大洗女子学園の勝利!』

 

 >勝った。また勝ったのだ私は。グッと拳を握りしめた。

紅葉はカバさんチーム全員でイエーイとハイタッチをした後、皆のところへ向かった。

 

 

 今回はここまでです。ありがとうございました。

 




 感想、評価、お気に入りありがとうございました

 『だいじなもの』

 ボコのキーホルダー  

 愛里寿ちゃんとボコミュージアムで遊んだときに買ったもの。
 これを買ってから妙にボコがボコボコにされる夢を見ることが多くなった気がするけど……まさかね


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幕間

 

 「去年カチューシャ達が勝ったところに負けるなんて」

 「勝負は時の運と言うでしょ」

 

 準決勝で黒森峰に敗北した後、ダージリンはプラウダ高校にやって来ていた。

 応接室に案内され、紅茶とジャムとお菓子のもてなしを受ける。紅茶にジャムを入れようとすると、それを制止される。

 

 「ちがうの。ジャムは中に入れるんじゃないの。舐めながら紅茶を飲むのよ」

 

 ダージリンは視線を紅茶から対面に座っている少女に移す。

 見た目は小学生とほとんど変わらないが、歳はダージリンと同じで見た目に似合わず誰よりも勝ち気で横暴な性格の人物、プラウダ高校の隊長カチューシャだ。

 ジャムを舐めたからカチューシャの口元にジャムがついている。ついていると指摘しようかと思ったが、指摘するとプライドが高い彼女が怒るのは想像しやすく、自分が何も言わなくても彼女の右腕である少女、ノンナが言うだろうと考えてスルーすることにした。

 

 「ついてますよ」

 「余計なこと言わないで」

 

 ほら。想像通りだった。

 

 「次は準決勝なのに余裕ですわね。練習しなくていいんですの?」

 「燃料がもったいないわ。相手は聞いたこともない弱小校だもの」

 「でも、隊長は家元の娘よ。西住流の」

 

 えっ、と息を飲むカチューシャ。ダージリンはやっぱり知らなかったのかと紅茶を飲みながら思った。

 

 「そんな大事なことを何で先に言わないの!」

 「何度も言ってます」

 「聞いてないわよ」

 「ただし、妹の方だけど」

 「え……なんだ」

 

 ほっ、と息をはくカチューシャ。彼女にとって姉の方は脅威と感じてるが妹の方はそうでもないらしい。

 

 「黒森峰から転校して、無名の学校をここまで引っ張ってきたの」

 「そんなことを言いにわざわざここまで来たの?ダージリン」

 「まさか、それだけじゃないわカチューシャ。あなたは、本城紅葉を知ってる?」

 「誰よそれ」

 

 未知の言語を聞いたような反応を示すカチューシャ。ダージリンはフッと少し挑発的な笑みを浮かべる。

 

 「あら、彼女のことも知らないの。昨年優勝したからといって天狗になってるんじゃないの」

 「言ってくれるじゃない。……で、誰よそいつ」

 

 ダージリンは、写真を1枚取り出すと机の上に裏向きに置いた。

 カチューシャは何故わざわざ裏向きに置いたんだと思ったが、特に言及せず写真を表に向ける。

 写真に写っていたのは1人の少女。長い黒髪のポニーテール、青いパンツァージャケットを着こなし、背中には間抜けな面構えのカバのマークがのんきな面構えのこの少女に非常に似合っていた。

 

 「本城紅葉、大洗女子のエース的な存在で、今ちょっとした噂の人ね。流石だわ」

 「なんでちょっと自慢気なのよあなた」

 

 カチューシャは興味なさげに写真を手に取る。良く言えば平凡、悪く言えば無個性的な顔立ち、強いて特徴を挙げるとすれば、死んだように正気を感じさせない黒目。のほほんとした間抜け面とミスマッチで歪さを感じさせられる。

 それが紅葉に対するカチューシャの第一印象だった。

 

 「特徴のない面構えね。で、こいつが何なの。どこかの流派の娘だったり経験者だったりするの?聞いたこともない名前だけど」

 「いえ、一般家庭出身ね。戦車道を始めたのも今年の4月から」

 「……ダージリン、あなたどうかしたの?そんな素人カチューシャが気にかけるまでもないわ」

 

 カチューシャは完全に興味を失くしたらしく、写真を机の上に戻した。

 ダージリンは写真を大事にしまうと、それから数時間紅茶とお菓子を楽しんだ。

 色々と言葉を交わし終えたダージリンは、そろそろ自分の居場所に帰ろうとして立ち上がろうとした時、カチューシャにこう告げた。

 

 「カチューシャ次の試合勝ちたいのなら、本城紅葉に気を付けなさい。まだ素人だからといって甘く見ていると痛い目を見ることになりますわよ?」

 

 それだけ伝えると、ダージリンは去っていった。

 

 

 

 

 ※

 

 

 これでいい。あれだけ念入りに警告したのだ。これでカチューシャは、本城紅葉のことを気にかけるはずだ。

 私は周りに人がいないことを確認してため息をつく。こんな姿、他の子達には見せられない。

 本当に、本当に本当に本当に本当に本当に残念だ。彼女とは決勝戦で戦いたかった。それが叶うまで後一歩だったのに、負けてしまった。

 私だけじゃない、アッサムやオレンジペコ、他の子達も彼女達との再戦を望んでいた。

 だけど誰よりも彼女との再戦を望んでいたのは自分だと私は自信を持って言える。

 カチューシャが本当に羨ましい。4月のあの日から成長を遂げた彼女と試合できるのだから。

 私は気持ちを何とか切り替える。どれだけ彼女との試合を願っても私達が負けたのは変わらない事実。いつまでも引きずるのは優雅じゃない。みっともないだけだ。

 今は彼女の準決勝を見に行く準備をしなくては。さて、本城紅葉は次の試合どのように切り抜けるんだろうか。

 カチューシャ達プラウダ高校は、昨年の優勝校だ。決勝戦での出来事のせいで、色々と心のない事を言われたりするが実力は確かだ。

 ああするのだろうか、こうするのだろうかと頭の中で彼女が取りそうな行動を色々と想像する。

 それは、アッサムが呼びに来るまでずっと続いていた。

 

 




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ステータス確認

 はい、よーいスタート。

 

 前回のつづきからやっていきます。

 

 >『カバさんチーム、大活躍!』と大きく見出しにされた新聞を読む紅葉。これには先日のアンツィオ戦での私達の活躍が書かれていた。

 嬉しさのあまりにやけてしまう。今日の夕飯はハンバーグじゃなくて、豪華にチーズハンバーグにしようかな。

 紅葉は少し浮かれているようだ。

 

 こいつ少し調子にのってるな。魅力そんなに高くないから友好度補正のないモブ子ちゃんにそのにやけ顔引かれるぞ。

 まぁ、この時期はほもちゃんだけじゃなくて他の仲間達も調子にのってきている頃です。

 初心者集団の自分達が全国大会の準決勝まで勝ち進んでこれたので無理のない話なんですけど。それに、調子にのることが決して悪い訳ではありませんからね。アンツィオを見ればそれは明らか。

 ちなみに大洗の戦力の補強もされました。いえーい。Ⅳ号に長砲身と外観が変わり、新しい戦車のルノーと風紀委員3名のカモさんチームが加わりました。

 次はいよいよ準決勝で相手はプラウダ高校で、前回の優勝校です。まぁ、優勝した経緯が色々と複雑なのですがそれでもかなりの強敵なのには間違いありません。油断せず本気でやらせていただきましょう。

 注意しておくことは、プラウダ戦の舞台は夏のくせに雪が降る極寒の大地です。

 今までとは違って耐寒装備をしておく必要があります。装備しないと手がかじかんで操縦がおぼつかない状態となってしまいますので絶対に忘れないでやっておきます。

 ステータスを開いて装備させましょう。操縦手なので手袋は必須、後はカイロと適当に制服の中に1枚着ておけば良いです。ほもちゃんは馬鹿なので風邪をひかないでしょ多分。

 ステータスを開いているついでにほもちゃんの現在のステータスを一応確認しておきます。

 

 本城 紅葉 

 

 スタミナ 2191/2500

 精神値 92/100

 車長 19

 操縦手 96

 砲手 21

 装填手 58

 通信手 12

 魅力 48

 学力 3

 

 ステータスはスタミナ以外の上限が100なのでそろそろほもちゃんのステ上げ作業も終わりですね。後は試合後で獲得できる経験値で最終決戦までに100までいけます。ここからは以前説明した通り、出来る限りのカエサル殿のステータスを上げることに集中していきます。装填のスピードは現在約3秒くらいでやってくれます。贅沢言えば1.5秒くらいでやってほしいのですが、さすがにそれは無理なので2秒で装填できるのを目標にしていきたいです。

 ちなみに画面が止まっているのは録画ミスとかではなく、ほとんどロスなくここまでやってこれて、今までの最速を狙うためにやり直しした日々や検証に費やした日々を思い出しながらしみじみとほもちゃんのステータスを眺めていました。

 こういうのを専門用語でロスと言います。RTAのテストがあったら98%くらいの確率で問題として出ると思うので覚えておきましょう。

 

 >次はいよいよ準決勝だ。しかも対戦相手は昨年の優勝校で向こうが得意とする舞台ときている。楽しみだ。

 どうやれば攻略できるのだろ。私は三突を塗装しながら考えていると倉庫の入り口辺りから声が聞こえた。

 声がする方をチラッと見ると、1年生チームと生徒会の人達が何やら言い合っていた。

 

 「絶対に勝つぞ。負けたら終わりなんだからな」

 「どうして負けたら駄目なんですか?負けても次があるじゃないですか」

 「相手は昨年の優勝校だし」

 「そうそう胸を借りるつもりで」

 「それでは駄目なんだ!」

 

 >河嶋先輩が何やら少し焦った様子でそう言った。河嶋先輩の大きな声で先ほどまで賑やかだったのが、一気に静かになる。

 私は塗装をつづけた。

 

 

 「勝たなきゃだめなんだよね」

 

 >河嶋先輩だけじゃない。生徒会長もそう言った。何やら生徒会役員達はピリピリした雰囲気でいてやたらと勝つことに執着しているのが気になるけど、正直今はどうでもいい。

 あの人達の考えていることは私にはよくわからない。4月の頃みほさんに半ば脅迫に近い方法で戦車道を履修させたり、戦車道を履修させて間もなく聖グロとの練習試合を取りつけたりとやたら熱心だなと思ったら、生徒会長は試合中に干し芋を食べたりしてあまり勝つ気がないのかなと思ったら勝たなきゃ駄目だと言っている。一体何なんだろうか。どうもああいう掴みどころのない人は少し苦手みたいだ。

 いや、生徒会長だけじゃない。正直生徒会の人達は少し苦手だ。4月の時の第一印象が最悪に近かったせいで、どうにも苦手意識を私は持ってしまっている。

 あれから数ヶ月経つし、戦車道を履修してるから接する機会は結構あった。私としても同じ高校の仲間なんだからこの苦手意識を失くしたいが、無理だった。

 あれこれ塗装中に難しいことを考えていたせいで、顔にペンキがついてしまった。

 制服の袖をまくり、ペンキを腕で拭って塗装をつづける。

 聞き慣れた足音が聞こえる。カエサルちゃんが買い出しから戻ってきたんだろう。彼女達には次の試合で使うカイロなどの調達を頼んである。

 

 「買ってきたぞ」

 「ああ、ありがとう。後で戦車に入れとくからそこら辺に置いといて」

 「わかった」

 

 >一旦塗装を止めて、カエサルちゃんの方に体を向けた。足音が1つしか聞こえなかったのであれ、おかしいなと思った通りそこには彼女1人しかいない。他の歴女の皆はどこにいるのだろうか。

 

 「あれ、他のみんなは?」

 「まだ買い出し中」

 「何か頼んだっけ、他に」

 

 >カエサルちゃんが持ってきたダンボールの中身を見る。そこには頼んだものが全て揃ってあった。他に必要なものがあるのだろうか。

 私の思考は生徒会から次の試合に切り替わっていた。考えてもわからないことを無理に考える必要はない。そんなことより次の試合のことを考えた方が有意義だ。

 

 「あ、そうそうカエサルちゃん。今日の練習なんだけど」

 

 >カエサルちゃんの肩がビクッと動いたが私は気にせず話をつづける。

 

 「そろそろあなたも慣れただろうし、今日の練習はランニングで学園艦1周から2周にしよっか」

 「勘弁してくれ、本当に」

 

 >心底嫌そうな顔をされた。

 

 

 今回はここまでです。ありがとうございました。

 

 

 

 




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