仮面ライダーが鎮守府に着任しました。これより艦隊の指揮をとります (reednaoki)
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プロローグ 世界の破壊者と”艦娘”

最近暇すぎたので小説投稿始めます


ちなみに好きな仮面ライダーは龍騎、艦娘は川内です


世界を旅する仮面ライダー(破壊者)

 

「…ん、ここは…?」

 

男が目を覚ますと見覚えの無い場所にいた。恐らくは軍などを管轄しているであろう場所なのは分かるのだが今まで渡り歩いてきた”世界”にはこんな場所、存在していなかった…筈だ。

 

「…?」

 

ふと、海辺の方を見ると小さくしゃがんでいる少女を見つける。見た目からして女子高生くらいかの少女は動かない。

 

何気なしに近づいてみるとこちらの存在に気づいたらしくパタパタと駆け寄ってきた

「大丈夫?海辺に倒れていたので海水があたらない場所まで運んだけど…」

「…ああ。」

 

少女にそう答えると嬉しそうに「よかったぁ」と笑う。それにしてもと思い、少女の腕を掴む。急に掴まれた少女はびっくりした表情をしている

 

「……この痣、どうした。」

ぶっきらぼうにそう言うと少女は答えづらそうに目を伏せる。大体はその反応で予想はつくが男はおもむろに辺りを見回し自販機を見つけその手を出来るだけ優しく引いて向かう

「な、何するのさ」

「簡易な手当の為に水を買う。…痛いんだろ?」

 

優しくは掴んだつもりだが少し表情を曇らせたのを見逃さなかった。その男の言葉に少女は目を見開いた

「わ、悪いよそんな…」

「倒れてたのを助けて貰った礼だ、気にするな」

 

こちらとて傷だらけの少女を見捨てるほど鬼じゃない。それに気になることもある

「…お前、名前は?」

「わ、私?…私は、川内」

「せんだい?」

 

川内…東北にあるのは仙台だからおそらく軽巡洋艦とかの川内と同じ苗字なんだろう。

 

「じゃあここは何処でお前は何者だ?」

 

孤島、という訳でもないだろう。そう思って問いかけたのだが川内は目をぱちぱちと瞬かせる

 

「え、お兄さんここ鎮守府近くにある砂浜だよ?それに私はさっきも言ったけど…軽巡洋艦の川内だよ」

「……は?」

 

…今この少女はなんと言った?自分は”軽巡洋艦”だと言ったのか?

 

「…本当か?」

「ほ、本当だよ!」

 

今まで色んなライダーや化け物を見てきたが見た目が完全に人間の艦なんて聞いた事なんてない

 

「…なるほど、わからん」

「……もしかしてお兄さん、”艦娘”知らないの!?」

少女は驚いた様に声を上げる。男は困ったように表情を曇らせる

「知らん」

「……うぇー、マジかー…」

 

川内も困った様に表情を曇らせた。色んな場所を渡り歩いてきたが艦娘など聞いたことがない

 

「…お兄さん、名前は?」

「俺は―――」

 

そう言えば名前だけ聞いて自己紹介をしていなかった。握っていた腕を離して川内の方へ向き直る

 

「――門矢士、だ」

 

 

こうして、艦これの世界に”世界の破壊者”が降り立った




ブラック鎮守府描写ありますが一応物語的にはホワイトになっていくので心配しないでください!


プロローグだから短めになりましたが次回位から本格的に書いていきたいなぁ


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1話 艦娘と”ブラック鎮守府”

ポケモン勝てません、助けてください←


「…なるほどな。今この世界には”深海棲艦”とやらが居て川内はそれと戦っている…と」

「うん、その認識であってるよ」

 

川内から話を聞けばこの世界は今深海棲艦と呼ばれる化け物が海に巣食っているらしくその驚異から守る為に”艦娘”と呼ばれる存在が生まれたらしい。

 

 

「だがその痣はその戦いで出来たものじゃないだろ。完全に殴られてできる痣だと思うが」

「うっ…ま、まぁね…」

「…大体こういう施設には上官がいる。そいつにやられたのか?」

 

士がそう聞くと川内は俯いてしまった

 

「…世界を守る為に就いた職でその世界を守る為に戦っている奴に暴行か。…これじゃあどっちが化け物か分からないな」

 

上官は指揮を取るだけであって実際に手を出せる訳じゃない。今聞いていてもわかったが戦っているのは艦娘なのだ

 

――言ってしまえば艦娘が居なければ人間は深海棲艦に滅ぼされてしまう世界

 

 

「……気に食わないな」

 

自分も世界の破壊者として存在しているのだからこんな事言える立場じゃないだろう。だが旅してきて色んな”戦場”は見てきたつもりだ

 

だからこそ、気に食わない。自らが戦っている訳じゃないのに大義名分を使って暴行をするような輩は

 

「…士は、優しいね」

「なにがだ。」

「……こんな、兵器みたいな私を手当なんてしてくれる人、居ないから」

濁った目でそう笑う川内。そんな言葉を聞いて門矢士はあるものを取りだす

 

「……俺も似たようなもんだからな」

「…何がさ」

「お前が兵器なら”俺”も兵器だって事だ」

 

取りだしたネオディケイドライバーを見ながらそう呟く。各世界にいる仮面ライダーは人類の驚異となるものから守る為に戦っている。そういう意味で言うならば艦娘と仮面ライダーは似たようなものだ

 

実際に、兵器のように扱う者もいる訳だがこの少女は違う

 

「でもお前は――兵器なんかじゃない。本当に兵器なら俺を助けなかった筈だ」

 

ポンポンと川内の頭を撫でる。どうであれ力の使い方を間違えないこの少女は、兵器などではない。人間の心も持っているからこそ、人類の驚異と戦えるのだ

 

その言葉を川内がどう受け取ったかは士には分からない。でも、俯いてはいるが涙を流していることは分かる

 

士は何かを思案して”鎮守府”の方へ視線を向けた

 

「…その上官の場所まで案内しろ。俺がそいつに”説教”してやる」

「え、だ、ダメだよ!!殺られちゃうよ!?」

 

士の言葉に過剰なまでに反応する川内。しかしこの男は真顔のままこう言ってみせるのだ

 

「安心しろ―――お前が思うほど俺はヤワじゃない」

 

そう言って歩き始めた士を慌てて追いかける川内。

 

 

しかし何故かその後ろ姿は、誰よりもも大きく見えた気がした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ここか?」

「う、うぅ…本当に来ちゃったよ…」

 

提督室の前に着いた士は川内にそれだけ聞いてドアを蹴破った。ぎょっとする少女の横を通り過ぎ唖然とこちらを見つめる男の前に立つ

「お前が提督か?」

「き、貴様…!鎮守府への不法の侵入は大罪だぞ!!」

「知るかそんなこと」

 

男は指をさしながらそんなことを言ってくるが士はあっけんからんと言ってじろりと睨みつける

その目に射抜かれた提督は、ひっと声を漏らした

 

――でも、男は無理矢理にでも笑顔を作る。自分は国を守る為に派遣された提督なのだと言い聞かせるように

 

しかしその笑顔は、直ぐに恐怖へと変わった

 

「ぐふ…っ!?」

 

軍人ですら反応できない速度で繰り出された拳は顔面にめり込み男は吹き飛ばされていく

 

「お前は上官で、立場上偉いのかもしれないが…それでもやっていい事と悪い事くらいあるはずだ」

士は無表情のまま提督に近づいていき男の胸ぐらを掴み立ち上がらせる。男の顔は恐怖で歪みもがいているがビクともしない

 

「艦隊を預かり、そして――艦娘の帰る場所である”ここ”を預かっているお前が…艦娘が帰りたくないと思う場所を作り出している」

 

その言葉を聞いて川内は――目を見開いた。自分があの場所にいた”意味”をこの門矢士という男は気づいていたのだ

 

「そ、れが…どうした…!貴様になんの関係がある…ッ!?」

「お前は俺を助けてくれた艦娘を泣かした――それだけで関係大アリだと思わないか?」

 

士は男の胸ぐらを離し、そして睨みつけた

 

「お前の欲望で―――純粋な心を持った艦娘を汚すんじゃねえよ」

 

そう吐き捨てて、提督の顔面を今度蹴り抜き男は泡を吹き白目を剥いたまま気絶した。

 

「何をして――!?」

 

騒ぎを聞き付けた憲兵が見たものは悠然と立っている門矢士と気絶した提督の姿だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……話を聞いているのか?」

「…」

 

その後古ぼけた食堂で海軍の男たちの取り調べを受けていた。しかし受けている本人は興味なさげに頬杖をつきながら窓の方を見ていた

「貴様…っ!今は取り調べ――!」

「なあ」

「…どうした?」

 

ふと言葉を発した士に1人の海軍の男はもう1人の男の口を黙らせ問い返した

 

「――艦娘は、こんな場所で仕事するもんなのか」

 

その言葉に2人は目を瞬かせる。この男は取り調べの間話を聞きつつ食堂内をずっと観察していたのだ

 

「…ここが異常なだけだ。他の鎮守府では滅多にない」

「そうか」

 

士はそれだけ答え再び窓の方へ視線を向ける

 

「軽巡洋艦から話は聞いた。お前はその軽巡洋艦の為にこのような強行に及んだらしいな」

「それがどうした」

「…普通ならば刑罰がかかってもおかしくないが、今回は上から見逃せと話が来ている」

 

その男の言葉に士は視線を戻す。その目に射抜かれてため息を吐いた

 

「…俺に提督になれって言うのか」

「ご明察。よくわかったな」

「目を見たら大体わかる」

 

次は川内に視線を向ける。その目は不安と期待に揺れている。

士は軽く笑みを浮かべた

 

「受けてやる…その代わりこの鎮守府の改修費は負担しろ」

「その程度でいいのか?」

「話はそこからだ。こんなボロい鎮守府じゃ艦娘達もいたたまれないだろ」

 

士はそう言って立ち上がり川内の方へと向かう。表情をみたら初めてみるほど笑顔が弾けていた

 

「…門矢士、お前は一体何者だ?」

「――」

 

歩く足を止め男に向き直る。そして、決めゼリフを言ってみせた

「―――通りすがりの仮面ライダーだ。覚えておけ」

 

 

 

 




決めゼリフ、入り方下手かな?という訳で説教回と着任回でした

士のヒロインはこりゃ川内ですわ(狙ってたけど)

次回からは鎮守府回です。新しいライダーも呼べたらいいなぁ


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2話 門矢士と”幽霊”と”龍の騎士”と

一番好きな龍騎を出したかった…ゴーストはシンフォギアのあの作品見てハマりました。戦士開墾いいよね


「…という訳だ。今日からこの鎮守府の提督として働かせてもらう」

 

白い軍服を身にまとい挨拶をする士。結構な数の艦娘達が恐る恐るという感じで食堂に全員来たがやはり前提督の事があるのか疑いの目を向けられている

 

…鎮守府ないの艦娘の数が少ないことが、前提督の荒さを物語っているのだからそれも無理はないと思う

 

「……貴殿が提督として着任してくれたことはありがたいが今は生憎出撃できる状態ではない。それは分かってくれ」

「分かっている”長門”。俺も今すぐにはどうこうしようというのはないからな。…後”貴殿”とか”提督”とかで呼ばなくて結構だ。俺の事は士、とでも呼んでくれ」

 

珍しく苦笑いしながら士はそう言って長門の頭をポンポンと軽く撫でる。少し体を強ばらせたがすぐに複雑そうな表情にかわりおずおずと口を開いた

 

「…では士…私の頭を撫でるのをやめてくれ。…その、川内の目が怖い」

 

士が長門の頭を撫でている間顔は笑っているはずなのに目が笑っていない川内を見て萎縮していた。

 

「……すまん」

 

お前たちが子供みたいに見えたから、とは流石の士も言わない。姿は少女でも中身は戦士なのだから子供扱いしたら悪いだろう

 

「ではとりあえず全員ドックに行け。…お前たちは今日から俺の仲間だ、そんな状態じゃ指示なんか出せない」

 

その言葉だけ残して士は提督室に戻った

 

「…だってさ。本部から物資は出てるらしいしドック行こっか」

 

頭を掻きながら川内はそう言って全員をドックに誘導していく。他の艦娘達は互いの顔を見合わせながら少しだが笑顔になる

「…あの提督さん、優しい人ね」

「前の提督の酷さが改めてよくわかりますわ…」

戦艦でこき使われてきた山城と扶桑はそう言ってドックに向かう。前の提督のせいでこの鎮守府の艦娘の数はかなり減らした。

 

次は私たちだろうかと身震いする生活を送って来たこともあって門矢士が提督になってくれて良かったと思う

 

「提督さんの為にも頑張りましょうね、山城」

「……分かってますわ、扶桑お姉様」

 

それに、こんな嬉しそうに笑う姉を久々に見れたのだからそれだけでも意味があると思う。でも…彼女に全ての傷を背負わせてしまった自分は、笑うことなど出来なかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちょうどその頃

 

 

「大丈夫かタケル君?」

「えぇ、まあ…城戸さんは元気そうですね」

 

鎮守府砂浜に先程まで無かった人影が2つあった。タケルと呼ばれた青年は名を天空寺タケルといい仮面ライダーゴーストに変身できる仮面ライダーだ。

城戸さんと呼ばれた青年は名前を城戸真司といい、ジャーナリストとして働く仮面ライダー龍騎の変身者だ

 

「それにしても…何処だろうなここ。気づいたらこんなとこにいたわけだけど」

「俺たちが居た世界じゃないことだけは確かですけど…」

 

そう言って辺りを見回す2人。そして見つけるのは―――やはり鎮守府だ

 

「あそこに行くしかないかー…」

「…俺あんまりああいう場所好きじゃない…」

「好き嫌い言ったら俺も好きじゃないけどさー…それ以外選択肢ないだろ?」

 

顔をしかめるタケルに苦笑いしながら答える真司。たしかにいかにも場違い感がある場所に行くのは抵抗があるとは思うが

 

「まあ俺に任せなって!トークスキルは仕事で鍛えられてるからさ!」

「…スゲー不安です」

「……そんなこと言わないでくれよ。普通に傷つくだろ…」

 

そう言いながらも2人は鎮守府に歩みを進めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…で、ここに来たと」

「……まあ、そんな感じですけど…士さんもこっちに来てるなんて」

 

鎮守府に来たタケルと真司をたまたまドックの帰りだった山城がみつけ2人して提督室に居た

 

「…てか士の提督姿ってなんつーか…似合ってんな」

「これでもスタイルはいい方だと自負している」

「自分で言っちゃうんだ…」

 

自信ありげにそう返す士にタケルは苦笑いを零すのみ。真司はそんな士に慣れているのか普通に笑っていた

 

「で、お前たちはこれからどうするつもりだ」

「……どうします?」

「どうすっかなあ…」

 

真司とタケルは頭を悩ませていた事実を突きつけられ思案を始めるが結局答えは出ず苦い表情をするのみでそれを眺めていた士は呆れたように溜息を吐いた

 

「城戸は馬鹿だと聞いていたがその通りだな。天空寺もこんなバカと一緒になったのは同情してやる」

「サラッとひでーこと言うな!?これでも先輩ライダーだぞ!」

 

大声で喚き散らす大の大人を見て更に溜息を深くする士。そんな時隣に居た川内が苦笑いしながら助け舟を出してくれた

 

「それなら鎮守府で働いてもらったらいいじゃん。雑用ばっかりになっちゃうかもだけど」

「それはいい案だな。天空寺と城戸はそれでもいいか?」

 

一応2人に確認を促してみる。まあ、返ってくる答えなんてある程度予想できるが

 

「まあ行くあてもないし俺はそれでもいいですよ」

「……まあ、そうせざるを得ないよなぁ」

 

二つ返事、とまではいかなかったけれど答えは帰ってきた。ならば取り敢えず士がする事は1つだ

 

「一応上には報告しておく。人手が足りないから派遣してもらう予定だったがナシでいいとも伝えておかないとな」

 

手際よく電話をかける提督を見ながら川内は2人を外へ促す

 

「という訳だから…取り敢えずタケルは戦艦寮に行ってきてくれない?さっき会った山城にこれ渡してきて欲しいんだよね」

「…これって…おにぎりですか?結構量ありますけど…」

「艦娘って結構燃費悪いんだよね。だからその位必要なの」

 

ざっと見ただけで30はある。流石に作りすぎだと思うが…

 

「後同室に扶桑がいるんだけど…丁寧に扱ってあげてね?…前の提督に結構酷い目合わされてるから」

「……分かりました」

 

前の提督については軽くだが話を聞いてはいる。この鎮守府が他の鎮守府より艦娘が少ない理由も前の提督が無理を強いたからだと

 

「あと真司は…ちょっと1名まだドックに入ってない子がいるんだ。名前青葉っていうんだけど」

「え?みんな入ったって聞いたけど…」

「……青葉心閉ざしちゃっててさー…提督も苦労してるんだよ。真司ジャーナリストだったって言ったじゃん?もしかしたら話が合うんじゃないかなって思ってさ…」

 

それを聞いた真司は少し苦い表情を浮かべて頷いた。本当に艦娘をここまで追い詰める程の事をしていたという事実に拳に力が入る

 

「…任せてくれ。俺もできる限り協力したいし悲しんでる人はほっとけないしな!」

「はは…提督からも聞いてたけど真司ってほんとお人好しだね。でも…ありがたいよ。」

「悲しんでる人を助ける…それが俺が仮面ライダーになった理由だからさ」

戦いがないことにこしたことはないけど…そんな使命を背負ってしまった者の痛みは自分が痛いほど分かっている。だから、目の前に悲しんでる人がいるならば力になってあげたいのだ

 

「……頼むよ。青葉の煩い声が響かないとうちの鎮守府が戻ったって言えないし…あのままじゃ…本当に壊れちゃいそうだしね」

 

やはり仲間が傷ついているのは耐えられないのだ。どれだけ騒がしくてもいざその声が止むと寂しいし…悲しい

 

「じゃあ、お願いね…2人共」

 

だから川内は信じて送り出す。彼らならこの鎮守府を、彼女達を救ってくれると信じて――――

 




前提督許せねえよ…(小説を作った奴の発言)

てなわけで次回は青葉回です。真司君の活躍にご期待ください


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3話 少女の悲しみと”城戸真司”という男

コメントなどありがとうございます!励みになりますのでよろしければ評価やコメントなどして頂ければ嬉しいです!


「…よし」

 

川内に言われた通り青葉の部屋の前に到着した真司は気持ちを入れる。その扉を前にするだけでも禍々しいオーラが漂っているが、それでも――と手をかけた

 

「…入るよ」

 

ガチャりとドアを開けてまず目に入るのは散乱した雑誌類。そしてその中にポツンと佇む少女だけ

 

その少女は真司を黙認して、俯いた

 

「……何の用ですか」

 

その少女の声は明らかに暗い。というより――生気がない。そんな声を聞いた真司は少女に近づいていく

 

「…俺は城戸真司。ここで働く事になった…まあ、雑用係になるのかな。これでも前まではジャーナリストとして働いてたんだよ」

 

出来るだけ明るい声音を保ちつつ真司は笑ってみせる。しかし少女はそんなこと関係ないと言うように俯いたままだ。よく見ればその服は所々破れていて…その、目のやり場に困るがここはぐっと我慢する

 

「…そんな格好で居たら風邪ひいちゃうよ」

「……艦娘は、風邪なんてひきません」

「そんなわけないだろ。艦娘だって見た目は人間じゃないか」

「……中身は兵器ですから」

 

全てを否定する言葉。それはまるで全てを否定されて―――というより存在自体を否定されてしまい自分すらも信じれなくなってるようにも思えた

 

「……」

「それに…貴方には分からないでしょう?艦娘の気持ちも…戦うっていう、意味も…」

 

少女は静かにこちらを向いた。その目は黒く淀みきってて生きているかすら怪しい目をしている

 

それでも真司は少し息を吐き少女の前に座る。そんな少女の気持ちは―――誰よりも、痛いほどに分かる

 

「――分かるよ。だって俺も君たちみたいに戦いに身を投じてきたから」

「……え?」

「戦わなきゃ生き残れなかった。―――戦わなきゃ、大切なものは守れなかった」

 

そう言ってポケットからデッキケースを取りだして強く握りしめる。

 

「だけど、守りたかったものはほぼ奪われた。どれだけ抗っても、人が生み出す欲が強すぎて止めれなかった…」

 

人間同士が戦うライダーバトル。願いを叶える為に人と人が行うバトルロイヤルの果てにあるのは――人間の死だ

 

「―――君が兵器だっていうなら俺の方が兵器だよ。結局人間同士の戦いを止めるどころか加速させてしまう要因になったんだから」

「…」

「……でも俺は艦娘が兵器だなんて思わない。君たちは世界の驚異と戦ってるんだろ?だったら褒められて当然じゃないか」

 

ぽんぽんと青葉の頭を撫でて真司は笑ってみせる。本当なら艦娘達に頑張ったねって言ってあげなければいけなかった筈なのだ。自分たちの為に戦ってくれてありがとうと、言ってあげなければいけなかった筈なのだ

 

ふと真司の頬に、少女の手が添えられる。その行動にビックリするがその生気を帯びて少し潤ませながらもしっかりと己を見据える目からは逃げることは出来ない

 

 

「それなら城戸さんだって、兵器じゃないですよ。誰がなんと言おうと…青葉は認めません。だって城戸さんは―――人が傷つくことを悲しめるじゃないですか」

「…え?」

「そう見せないようにしてたのかもしれませんが…表情に出すぎててバレバレですよ」

 

 

少女はそう言って少しはにかむ。初めて見せてくれた少女の表情、そしてその言葉に心が洗われた気がして真司もつられて笑みを浮かべた

 

 

――全く、これじゃあ自分の方が助けられてしまってるではないか

 

 

取り敢えず青葉の笑顔は取り戻せた。あとはその身体の傷を治すだけだろう

 

 

「…じゃ、早く入渠して傷を治そっか。みんな心配してるよ」

「城戸さんが一緒に入ってくれないといやです」

「…はい?」

「……城戸さんが一緒じゃないといやです」

 

今とんでもない言葉が聞こえた気がする。入渠するのを自分と一緒じゃないとって嫌って、それはつまり…

 

 

「ちょ、待って待って。入渠って言わばお風呂に入るようなものでしょ?そこに男の俺が居たらまずいんじゃ…」

「……城戸さんが居ないと、やです」

 

 

 

……目を潤ませながら頼むのは、反則じゃないだろうか

だけどそれをしたら士に何を言われるか分かったもんじゃない。それだけはなんとしてでも避けなければ

 

 

「………だったら外で待つからそれで勘弁して。青葉ちゃんが出てくるまで絶対離れないから」

「………………へたれ」

「な、何か言った?」

「いえ〜?城戸さんは優しいな〜って言っただけですよ…」

 

 

こんな可愛い子からこんな誘いを受けたら一目散に飛びつきそうなのに…城戸真司という男は優しいけれど乙女心は分からない。それを実感した青葉は小さく溜息を吐く。だけど諦めるつもりなどない。この温もりを、手離したくない

 

だから宣言する。自分が守るべき――”大切な人”に向けて

 

 

「――絶対振り向かせてみせますから、覚悟してくださいね城戸さん!」

「お、おう…?」

 

 

 

 

 

 

 




真司君って乙女心分かるんですかね?いや、分からないか…だってスペシャルの時アレだったもんね…


次回は扶桑姉妹回です。こらそこ、不幸姉妹とかいわnギャァァァァ!!?(爆撃)


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4話 覚悟!姉妹を救うために!

久しぶり過ぎて誰もこの小説覚えてない説が浮上してるけど僕は元気です◀

という訳で第5話です。約半年?位時間空いたかな…


「ん?」

 

お盆を渡されて戦艦寮に入って目的地に向かう最中、後方からじーっと見つめられるような視線を感じ振り返ると少女が居た

 

「…それ」

「あ、これ?戦艦寮にこれを持って行ってくれって言われたから持って来たんだよ」

 

優しく微笑みながらそう言ったタケル。それを聞いた少女はぴくりと肩を揺らし恐る恐るという感じでこちらを見ている

 

「君の名前は?」

「……山城」

「山城ちゃんね。見た感じこのおにぎりを食い入るように見てるけどお腹減ってるの?」

 

図星をつかれたのか山城は視線をさ迷わせるが最終的に行き着くのはやはりお盆に乗せられた大量のおにぎりで

 

「食べる?」

「え、いや…そんな勝手なこと…」

「いいよ。俺がいいって言ってるんだから誰も怒らないさ」

 

そう言ってお盆を持ったまま近づき差し出す。山城は本当にいいの…?と言った感じでこちらを見ている

 

「大丈夫だよ。」

 

微笑みを崩さずそう言えば山城はおずおずと1つおにぎりを取り食べ始め、ふるふると震え出す

 

「美味しい?」

「…う、ん…」

 

ぼろぼろと泣きながらおにぎりを頬張る山城を見てタケルは少しだけ胸が痛くなる。こんなになるまで追い詰められているなんて自分たちの為に戦う使命を受けてくれているのにこんな事があって許される訳がない

 

おにぎりを2個ほど食べ終えて山城はタケルに向き直る

 

 

「…ねぇ、貴方の名前は?」

「俺?俺は天空寺タケル!士さんとおんなじ、仮面ライダーだよ」

 

仮面ライダー、という言葉を聞いて山城は何か少し考える素振りをしてまっすぐとタケルの目を見据えた

 

その目は戦いの中で生きてきた、戦士の目ーーーいや、自分がよく知る初めて会った時の”あの人”に似ていて。タケルは少し体を強ばらせる

 

「…提督から話は聞いてるわ。仮面ライダーにも色々なタイプが居るって。…その、タケルはなんで仮面ライダーになったの…?」

 

が、みるみるとしりすぼみになっていく声とまずいことを聞いてしまったのでは、というのが目に見て分かるくらい視線を少しだけ逸らされたのでタケルは少しだけ苦笑いを浮べる。多分、話を聞いたら彼女は聞かなければよかったなんて思うかもしれないけどーー隠し事はしたくない。これから長い事関係が続く可能性があるのならいつかは話さなければならない事なのは間違いない。

 

 

それが今になっただけだと考えてタケルはすうっと深呼吸をし、お盆を近くにあったベンチに置いて問いかけてみた

 

「山城ちゃんはさ…戦わなきゃ生き返れないってなったらどうする?」

「…え…?」

 

その問いかけを聞いた山城は困惑の表情を浮べる。それも仕方ないかと思いながら再び話を始める

 

「俺さ、何回か死んでるんだよね。仮面ライダーになる前にも、なってからも。俺が仮面ライダーになった理由は幼馴染を救う為…ってのもあったけど15の眼魂を集めて自分を生き返らせる為だよ」

 

タケルから告げられた言葉を最初は理解出来なかった山城だったが理解が追いつくに連れてその表情は驚愕に溢れ、そして青ざめていった

 

「まあ、驚くのも無理はないと思う。誰だってこんな話を聞いたそうなるからさ。…だからこの話は言わないようにしてたんだ」

 

それでもタケルは笑みを崩してからゆっくりと山城に近づき彼女の手を優しくだが掴んだ。痛みを堪えるように顔を顰めた彼女を見て自分の予想は間違ってないと確信しそのまま抱き寄せる

 

「……でも、君には言わなきゃいけない気がした。守りたいもの為になら自分の命を投げ捨てようとしている君にはね」

「な、なんで…」

「似てる気がしたんだ。…あの時の”マコト”兄ちゃんに」

 

”深海マコト”ーーー妹を甦らせる為に1度は非常な行為をとったがタケルがその妹の”カノン”を甦らせた事により和解した”仮面ライダースペクター”。

 

「山城ちゃんさ、もしかしなくてもお姉ちゃんいるでしょ。…それが、俺の知ってる兄妹に似てるような気がしたんだ」

 

もしこの場にマコト兄ちゃんが居たならば、山城ちゃんに少しは共感したかもしれない。だって彼女は大切な姉を守る為ならば前の提督を殺めてしまう可能性だってあっただろうから

 

ーーそれで、自分が”解体”される事に繋がると知っていても

 

「…でも自分の命を投げ捨てるような真似は絶対しちゃダメだ。君の命は”君だけの”物じゃない。…そこで隠れてこちらの様子を伺ってる、君のお姉ちゃんの物でもあるんだから」

 

きっとマコト兄ちゃんも自分と同じ事を言ってくれるだろう。今のマコト兄ちゃんには身を案じてくれ、大切にしてくれる家族や”友”が居るから

 

ふと視線を逸らし部屋の扉の隙間からこちらを見ている視線にふわりと笑えば今にも泣きそうなーーー扶桑が出てきた

 

その身体には傷はあるものの山城の傷に比べればまだ軽いもので。しかしそれは、山城が全てを受けてきたというのを知らせるもので

 

「……今は俺達が…いや俺が提督だ。2人は絶対に俺が守ってみせるからーーーーだから命だけは、投げ捨てないでくれ」

 

そう告げれば山城はタケルの胸に顔を埋めてわんわん泣き出し、扶桑もふらふらと近づきタケルを後ろから抱きしめ、消え入りそうな声で問いかける

 

「本当に、守ってくれますか…?」

「守ってみせる…絶対に」

 

タケルはそう力強く言って、笑ってみせる。お人好しだと笑われようともこの姉妹を必ず守り抜く。

 

 

ーーーーそれが本来提督という者の、あるべき姿のはずだから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…でさ、山城ちゃん…泣き止んだんなら離れてくれないかな…その、色々とやばい…」

 

泣き止んで数十分が経つが未だに離れる素振りを見せない山城にタケルは苦笑いを浮かべながら懇願する。冷静になって山城の容姿を見てみればスタイルが良くて…そのふくよかな膨らみがモロに胸板に当たっている

 

「いやよ」

 

しかもこの一点張りだ。やれやれと思っていると後ろに居た扶桑が山城をタケルから引き剥がした

 

「何するんですか扶桑お姉様!」

「タケル提督が嫌がっているでしょう……それに」

 

ふふっと艶やかな笑みを浮かべた扶桑は山城の耳にこう囁いた

 

「…彼は貴女のものじゃないの。だから独り占めはしないで?」

「…なっ、なな…っ!?」

 

聞き取れなかったタケルは首を傾げてその光景を眺めているが「タケル提督はお気になさらなずに」と笑い対する山城はわなわなと震えているので更に困惑するタケル

 

「…た、例え扶桑お姉様が相手でも…負けませんわ…っ!」

「私だって負ける気はないわよ…?」

 

バチバチと姉妹間で火花が飛び散る中、当のタケルは何事も無いように「まあまあ」と声をかけておにぎりが乗ったお盆を再び持ち差し出す

「折角これだけあるし俺も一緒に食べてもいいかな?なんか話してたらお腹空いちゃってさ〜」

 

とへらへらと言うものだから

 

 

「「……はぁ〜」」

「へっ!?だ、ダメだった?」

「……いえ、一緒に食べましょうか…」

「……そうね…一緒に食べましょう…」

 

 

再び視線を交わして立ち上がり部屋へと向かう途中「…かなりの鈍感ですわ」「…確かに、かなりの鈍感ね」と言葉を交わす。普通であれば気づいてもおかしくないシチュエーションだった筈なのに天空寺タケルという男の頭にはおにぎりしか無かったと来た。自分たちはおにぎりに負けたのか…と思うと気が重くなるが、諦めるつもりは無い

 

ーーー戦も恋も、諦めたらそこで終わりだから

 

「「絶対に振り向かせますので、覚悟してくださいね、タケル提督!」」

「え?あ、わかった…でいいのかな…?」

 

 

 

 

 




僕が小説を書くと男キャラの大半が鈍感属性が付くのなんでなん?ま、まあ仮面ライダーの主人公って鈍感の奴が多いし、まあいいか←

久しぶりだから結構楽しかったんで1ヶ月以内には投稿したい(願望)


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第5話 恋と掃除と初任務と

忘れぬうちに投稿しなきゃまたゲームの世界に戻っちまう…という訳で初投稿です←


「…こんなもんか」

 

艦娘と信頼関係が築けた3人の提督は翌日になりすぐ仕事を始めた。というのもこの鎮守府があまりにも手入れがされてないので初仕事が鎮守府内の掃除に決まったのが今朝なのだが

 

「……士って掃除できたんだね」

「失礼だな。掃除くらい出来るに決まってるだろ」

 

提督室を掃除していた門矢士は川内の言葉にそう返しながら次の場所の掃除を進める。確かにあまり自ら率先して掃除することは少ないが仕方が無い場合に限っては自分でやることだってある

「…でも助かったよ。青葉も山城や扶桑も元気になってくれたしさ。……まあ、元気になりすぎってのはあるけど」

「まあな…」

 

青葉は城戸真司と一緒に外掃除すると言って聞かないしあの姉妹に至っては天空寺タケルと一緒に工廠の整理を手伝わせろと圧をかけてくる始末。とりあえず問題だった艦娘達と仲良くなってくれたのは有難いのだが仲良くなり過ぎ、っていうのは否めない。

 

 

「まあいいんじゃないのか?別に困ることでもなんでもないしな」

 

士はそう言いながら川内にお茶の入ったペットボトルを投げ渡す。

 

「……私は困るんだよなぁ」

 

ペットボトルを受け取りながら、川内はそう呟いた。自分はあそこまで積極的に好意を出すことなんて出来ない。特に、その相手がそういうのを嫌いそうだからというのもあるが…怖いのだ。離れてしまった時にその気持ちが暴走してしまうのが

 

 

「……お前なぁ…考えすぎは良くないぞ?」

「へ…?」

 

 

士は少しだけ困惑したように、それでも少しだけ表情を緩ませる。その表情から、川内は目が離せなくなる

 

 

「俺は別に気持ちを全面に押し出されたからって嫌がるなんてことはするつもりは無い。それに俺はこの鎮守府から離れるつもりは無いからな」

「…っ、な…」

「俺をあの二人と一緒にしてもらっては困るな。お前の気持ちは理解してるつもりだ」

 

 

士はそう言ってある程度綺麗になった提督室のソファーに腰掛ける。そしてぽんぽんと隣の空いたスペースを手で叩く

 

 

「少しばかり休憩する。その後食堂の方に行って掃除を済ませるぞ」

「……全く、提督には敵わないなぁ」

 

 

川内は諦めたように頷いてから隣に座り、士の肩にもたれかかる。妹艦を失ってから戦いが怖くなり戦場に出るのは嫌だったけどーーーこの提督の為ならば、またあの戦場に今度は自分の意思で出れるような気がした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「青葉ちゃん大丈夫?寒くない?」

「あ、青葉は大丈夫です!この位の寒さへっ…くしゅ」

「あー…だから言ったのに」

 

 

季節は冬。真司ですら寒いと感じるのにそれより薄着の青葉はもっと寒いだろうに。少し苦笑いしてからおもむろに上着を脱いでから青葉に差し出す

 

「それ、着ていいよ。寒いだろ?」

「えっ!?で、でもそれだと…」

「いいのいいの。青葉ちゃんが隣で笑っててくれたらこんな寒さどうって事ないよ」

 

穢れの全くない笑顔でそんな事をサラッと言うものだから、青葉は少し顔を赤らめて俯いてしまう

 

 

「…城戸さんってほんと、ずるいですよね」

「そうかな?」

 

 

でもそんな貴方だから私は隣に居たいと思ったんですけどね…とは言わない。この気持ちは、ちょっとずつ彼に伝えていきたいから

 

そんな時だった、彼の顔が少し緩んだのは。急なことだったので少し困惑してしまう

 

「青葉ちゃんは可愛いね。表情がすぐころころ変わる所とかさ」

「な、何言ってるんですかっ、そんなに褒めても何も出ませんからねっ!」

まさかの真司からの発言に顔を真っ赤にしてそっぽを向いてしまう。嬉しい筈なのに素直になれないのが悔しいけど急に言われたらテンパるに決まってる

 

 

「別に何も要らないさ。隣で青葉ちゃんが笑っててくれたらね」

「……っ、ほんと、貴方って人は…っ!」

 

 

畳み掛ける様に恥ずかしげも無く言って来るものだからこれは完全に自分の負けだ。惚れた弱みってやつだろう。だって―――素直に喜んでいる自分がいるから

 

 

「……青葉、がんばります」

 

 

城戸真司に聞こえないようにポツリと呟く。今は彼に自分の気持ちを伝えられなくても、いつかは届けてみせる

 

 

――その時は自分らしくスクープとして鎮守府内にばらまいてやろうと誓って

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…こんな感じでいいのかな」

 

 

ところ変わって工廠。天空寺タケルは散らばってしまっている材料等を綺麗に整頓し終わり汗をタオルで拭いていた。見たことない物ばかりで片付けながらどこに置けばいいのか迷ったが山城や扶桑に教えて貰ったお陰で終わりが見えてきていた

 

 

「2人とも大丈夫?疲れてない?」

「大丈夫よ。これくらいなんともないわ」

「提督こそ大丈夫ですか?結構な量ありましたが…」

 

 

扶桑が心配そうにこちらを見てくるが「大丈夫大丈夫!」と答えながら身体を伸ばす。久しぶりの重労働ではあるがこんな事で疲れるわけにはいかない

 

 

「……」

 

 

そんなタケルを見て山城は少しだけ笑みを浮かべる。話す時は大人びていたのにこういう作業をしている時の彼は子供っぽくて、何より頼もしい。それでいて責任感があって自分たちの心配までしてくれるのだからこれで好きになるなという方がおかしいとすら思う。

 

 

それは扶桑も同じだった。真摯に自分たちに関わり同じ仲間として扱われる事がなかったので少しだけこそばゆいが――――それがとても愛おしい

 

 

だから今だけは彼といる時間を心から楽しみたいと思える

 

 

「山城、頑張りましょうね。……タケルさんの為に」

「…分かってますわ。扶桑お姉様」

 

 

扶桑が言いたいことがわかった山城はゆっくりと頷き決意を決める。何があっても彼と共に歩み続ける。

 

 

――――恋敵だろうが姉妹だ。同じ道を歩み続けている”仲間”であり”家族”だからこそ迷いなく頷けるのだ

 

 

全ては天空寺タケル――――いや、ここに来てくれた新しい提督たちの為に

 

 

「戦艦として、仲間として提督たちを支えてみせましょう」

「私たちの誇りとプライドにかけても…必ず」

 

 

だから前を向こう。これから自分たちを待ち受ける戦いが、どれだけ辛く過酷だったとしても”提督”との未来を守る為に――――

 

 

 

 




次回は遅くはなりましたが謹賀新年回です。任してくれ、ネタは浮かんでいるんだ…(フラグ)


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