ガンダムビルドダイバーズ:狙撃屋商売外伝 (ACGUYMAN)
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-序-

初めまして
色んなSNSで
ガンプラバトル系のなり茶的な事があまりにも出来ないもんだから
こんな夢想にして無双じみたネタを投下してみました
実際ガンプラも作ってますが
粗品で良ければどうぞ
ω・`)


 ────────────────────────エリアとしてはそこは過去最近のガンダム作品で例える所の、ガンダムSEEDに登場する地形の北アフリカ地帯だろうか。水の無い砂漠をホバリングで全速力で疾駆の如く逃走しているのは2挺のラケーテンバズを装備したドムトローペンとミサイルコンテナ有するキャタピラ仕様のギガンである。

 対して、逃走する2機を追尾するは"ザムザザー"は、低空飛行しながらエネルギービーム砲であるガムザートフの砲撃を2機に放ちエリアの隅まで追い詰めようとしかけてくる。 

 

「来いや、デカブツがッ!」

 

 ホバリングの状態から反転したドムトローペンは2挺のラケーテンバズの照準をザムザザーに合わせ砲撃しようとし、ガムザートフのビーム砲撃がドムトローペンのラケーテンバズの2挺の内の一つを破壊し、更に残ったもう一方のラケーテンバズの砲撃は出来たものの、本来鈍重な機構のモビルアーマーである筈のザムザザーは器用にも超振動クラッシャーで弾き落とす。

 極最近バージョンアップした上位ミッションとしては明らかに動きがモビルアーマーとしてはかなり機敏すぎるマニューバであり、2機はここまでかと追い詰められかけていた。

 

 しかしながらそれも漸く2機が戦闘エリアの隅まで追い詰められて来た所だった。

 

 突如、1km先から、サンダーボルトと通称されるガンダムの作品に登場するビッグ・ガンの戦艦規模のビーム砲撃がザムザザーに照準の射線を合わせて撃ち放たれる。予め合図を決めていたのだろう。2機はその場を離れ距離を置き、また砂漠の砂を溶かす様なビーム砲撃が土煙をも巻き上がらせる程の衝撃を放っていた。

 

 砲撃をした1km先にビッグ・ガンを設置し待ち構えていたネイビーカラーのザクⅠ・スナイパータイプは、狙撃仕様として作ったメインカメラを稼動させながら次弾のエネルギーの"装填"を待つ。

 

 今のでかすり傷程度だったとしても、ダメージはそう軽くは無い筈、故に"次の一発で決まる"、と3機の"プレイヤー"は察していた。

 が…しかし、

 

 電磁波が唸る音が聞こえてきたかと思えばザムザザーは無傷のまま、エネルギーシールドを表面のみ纏って防ぎきっていた。

 

 『クッソ…"陽電子リフレクター"だと?!』『次弾装填急げ!!こちらで足止めする!』

 

 口惜しい様子のザクⅠ・スナイパータイプのプレイヤー。ギガンは闇雲になったかミサイルコンテナから全弾ミサイルを撃ちながら移動するが、ザムザザーのエネルギーシールドである陽電子リフレクターは当然無効化する様に遮蔽してしまう。

 更にザムザザーは何か察したか、ビッグ・ガンの砲撃を仕掛けてきた方向へ浮遊していく。

 

 

 ─これまでか…3機のプレイヤーは誰もがそう思わざる負えなかった、その瞬間だった。

 

───────『任されましたよ』

 

 とそう通信が来た瞬時に、ザムザザーが陽電子リフレクターの使えない裏面に向けてその直下の地点が、まるで地雷原の如く爆発し、その爆破に紛れ込んだ装甲をも融解する熱量を有する拡散の弾丸がザムザザーを強襲する。

 相当クリティカルな深手を負い、敵機が地上に紛れ込んだと混乱したかの様な挙動を見せるザムザザーは、またもや機体の表面に陽電子リフレクターを纏おうとしたが、その寸前に小さな部位である陽電子リフレクターの発生装置に一部をビームの狙撃が直撃し陽電子リフレクターを使用不能にする。

 

 ─「"スニークジェガン"、目標を狙い撃ちまっす」

 その機体のベースはジェガンエコーズ仕様であり、また超長距離狙撃と索敵能力及びそれらの効率性を重視したステルス性を、

重点的にあまりにも強化する課程で戦略兵器レベルの戦闘能力を獲得した機体であった。

 スニークジェガンと自身が呼んだその機体はやや大型のビームスナイパーライフルをコッキングによるボルトアクションさせた後、ビームの火力を大幅に増大化させるパワードコンデンサーである弾筒を排莢し、重点的に強化したセンサーバイザーは20km以上先からザムザザーに狙いを澄ます。先程ザムザザーに深手を負わせた地雷原を起爆させたのもこのセンサーによる制御された信管による物なのだろう。これらの強襲戦は全く以て惨すぎる程この機体の得意分野であった。

 

 ザムザザーは荒れ狂った様にガムザートフを乱射するが、相手の機体からセンサー範囲外で届くはずも無く、ザムザザーに対して火力と戦闘性能に有無言わさないスニークジェガンの高精度な狙撃がザムザザーの4本脚を撃ち抜く。

 そして終局として6発目の狙撃によって機体の炉心を破壊された事により、

 

 ザムザザーは破壊され、ミッションは完遂されたのだった。────────────────────────

 

──────────「これが約束の分け前だ。」

「どうも…」

 とコンソール映像からマルチプレイミッションのクリア報酬の総数の5割を確認するのは、旧ナチスドイツのSS風の黒コートと黒ヘルメットにゴーグルをつけたといったアバターの身なりをした、スニークジェガンを駆るプレイヤーことケーゴであった。

 

 コンソール越しに報酬を受け取ったケーゴだったが、報酬を余分に与えるややゴツい体格でジオン公国軍の軍服のアバターの身なりの3人組からやや睨むように見下ろされていた。この3人組こそ先程ドムトローペンとギガンとザクⅠスナイパータイプの3機を操縦していたプレイヤーである。

 

 3人組から見て、ゴーグルと目深に被ったヘルメットといったケーゴの容姿から表情はあまり見えておらず、

というか彼自身表情も反応も薄すぎている原因もあるのだろう、報酬に嬉しいのか不満なのか読み取れない事が3人は気に入らなかった。

 

「何ですか?」

 

 と、相手の空気をやや読めていなかったぶっきらぼうな発言が、3人の癪に触れる。

 

 このGBNというソーシャルゲームコンテンツにおいて、所謂プレイ報酬次第で一時的にマルチミッションに参加する流れの傭兵の様なソロプレイヤーはケーゴも例に漏れてはいなかった。

 

 それも彼の場合最近名が売れ始めた事もあり、その有能さのみにおいては信頼性のあるプロの仕事に近いソレである。

 

 だがソレを含め雇った責任を考えても、彼の作戦の伴っていた危険性が3人側としては気に入らなかった。

 

 「そんだけ報酬もらってそのツラは如何なんだ?」

 

 「………別に。これ以上ミーティング無いなら帰って良いですか?」

 

 と、今度は凄く鬱陶しそうな素振りでその場を離れていく。

 

 3人の内1人がケーゴの首を掴んでシメるつもりだったが、もう1人がそれを止め首を振り、

 

 「止しとけ、あいつは所詮何処のフォースにも入れない"ワーストランカー"だ」

 

 と告げられてから、やがてケーゴは自身の機体であるスニークジェガンに操縦しその場を去って行ったのだった。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

──ガンダムベース戸某。

 都内某所に在るそこは、スペース的にはややガンダムベース東京を小さいが機動戦士ガンダムシリーズをテーマにしたコンテンツの施設であり、またガンダムシリーズのプラモデルである"ガンプラ"を用いて世界的に発展し流行している『GBN』と呼ばれる最新ネットワークゲームの施設が存在していた。

 

 そしてそこに、彼もまた居た。

 「…はぁ……」

 それは漸くその電脳仮想空間<ディメンション>からログアウトする頃、夕刻近くになりかけていた。

 やりたい事は出来る限りはやりきっているが、色んな物事にいっぺんに草臥れている。そんな顔つきでヘッドセットバイザーを外して眼鏡をかけ直す。地元の高校の古風な学生服に、没個性的なマッシュヘアーと丸眼鏡。これがログインしたアバターになるとだいぶアーミーな軍服姿というのも、だいぶ様変わりでもまんまでも無いといった風貌である。

 趣味で誘われたガンプラバトルは、最初の頃からミリタリーなサバイバルゲーム感覚で楽しめていた。ガンプラ製作としてもプレイングとしてもやり込み具合もモチベーションも並なら無かった筈だった。

 ところが彼の場合何故だろう…プレイヤーとしての高みを目指そうとすればする程その強さは戦略兵器化していき、戦術レベルの勝利は遠ざかり次第に卑劣なアウトサイダーなプレイヤーに数えられ、いつしか彼もまたクソゲー過ぎてガンプラバトルとして戦うにはあまりにも相手にしたくない『ワーストランカー』という渾名が烙印されるようになってしまった。

 

 そんな心持ちのまま筺体のルームから出る頃、ガンダムベース戸某の喫茶店スペースのスタッフだろうか、顔立ちどこか狡猾そうな顔つきの大人が彼に話しかける。

 「オイ景悟ォ。またシケたツラか?」

──「あ、………カイさん…」

 

 「ま、暑っ苦しいバトルしろとかアドバイスしてェ訳じゃねェんだけどよ、折角趣味で始めたんだから、もっと楽しそうな顔したって良いじゃねぇか?」

 

 「……別に、今まで通りのバトルで僕は充分楽しいですよ。」

 

 とその表情はだいぶ淡白そうな表現しか出来ていない。ガンプラのケースとダイバーギアの入った鞄を大事そうにかかえては居るが、店を避けるように去ろうとする間際であった様子だとカイと呼ばれた店員の男は訊く。

 

 「好きだから始めたんじゃねぇの?ガンプラバトル…」

 尋ねかけられた問いを聞く間も無かったか、或いは聞いていながら答える事が出来なかったか。そのどちらかの何も答えられなかった間だけ残してから、彼はガンダムベースを跡にしていく。

 

─────────『GBN<ガンプラバトルネクサス>オンラインVer.1.78』…

 それはマスダイバーの騒乱、更にELダイバーの事件が発端となった第2次有志連合戦より、2年という月日が流れていた。

 浅倉景悟、そのドメイン名"K5<ケーゴ>"。彼のガンプラバトルはどうも最近冷めきっている。だが後に彼もまたこのGBNから由来が巡る騒乱に巻き込まれることに、彼自身この頃は知る由も無かった…。

 



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-壱-

すげぇ漸くポッと出で思いついたネタ書き殴ります


 ───────────時刻は朝の5:50。

夕焼けの様に浅く薄暗くも紅い空の光が自身の部屋の窓から机に差し込む頃、机を覆う体勢で浅く眠っていた景悟は微睡みから目覚める。回転椅子で体を屈伸させ、その机にはスクラッチ作成のパーツの数々が在る。

 

 特に自身の愛機であるスニークジェガンの主兵装である特製ビームスナイパーライフルは砲身の劣化を極力減らす素材を使ってはいたが、流石にあまり連続で射撃すると流石に砲身限界が次第に少しずつ早くなってくるので、長期の間は保つものの一定期間のリペアは必然としては存在していた。

 

 それでもコッキングギミックに伴う弾筒パーツは安上がりだったが、一応戦闘する毎に一定のメンテナンスもまた必然であった。

 

 模型部にも入らずサバゲーのサークルにも入っている訳でも無く、帰宅部の高校生という身柄上ガンダムベース戸某のGBNの筺体ルームへガンプラバトルをする事はもはやまんま趣味以上の類…の筈だった。

 彼の場合地味そうな手際で戦闘のペースを相手から奪う事には特化していた。

 が、その戦闘スタイルとスキルは僅かプレイヤー歴が2~3年と経たずに戦術レベルの域を超えた腕前に成長し、より戦争じみた戦略規模の戦闘性を開花させていった。というのも、その要因は先ず"家庭環境"からも影響していた。

 

 「飯出来たぞ、景悟~。とっとと起きろ~」

 

 マッシュヘアーの頭を掻いて部屋着のまま部屋から食卓に出てくる景悟を出迎えたのは、パーマじみた長い地毛に長く角張った眼鏡をかけた景悟の父親だった。景悟の父親は目玉焼きをフライパンから器用に、野菜の乗った二つの皿に移し、更にトーストを乗せる。

 

 「おはよ…ってか母さん仕事?」

 「あー、まぁ急ぎだったから飯先に食って出勤したぞー。"女刑事"ってのに休みは無いのかね~」

 「ふーん…。父さんは出版社から何か連絡来てた?」

 「来ちゃいないが書斎にジャマするなよ~?一応こないだ長い原稿書く話来てたからなー」

 「はーい」

 

 要因その1。女刑事、というのはやや景悟の父親なりの古い表現だったが、景悟の母親の仕事は突拍子も無い話、警視庁強襲班に属しており、所謂SATの腕利きスナイパーにして、SF戦争物のサブカル作品の"同性愛"、とまぁ要するにBL組み合わせの恋愛小説を溺愛する詰まる所の腐女子である。

 

 続いて、

 要因その2。景悟の父親に関して出版社から連絡というのも、景悟の父親はSFサブカル系小説で売り出し中の名作家にして、その手のSFサブカル系作品に関しては現代から近未来及びサイバーパンクの類まであまりにも詳しすぎる上での、評論家という名を被るヲタクと呼ばれる人種であった。

 

 要するにそんな2人の意気投合の結果から、

片方からは機動戦士ガンダムシリーズのSF作品の知識を学び、

また片方からは"ピクニック"と称してお世辞にもサバゲーとくくるにはハードすぎる訓練を受けるという、

かなり特殊な英才教育をみっちり仕込まれ、その訓練を受けた経験と才能ぶりはGBNにデビューする頃瞬く間に開花し、いつの間にか数ある大型ルーキーの1人となっていた。

 

 「宿題済ませたらガンダムベース行ってきても良い?」

 

 「GBNか?筺体なら貸したって良いんだぞ?」

 

 「重いから父さんに私物は借りたくない」

 

 と告げ、景悟は塩だけ目玉焼きに大量にかけてから、急いで食べようとする。

 ちなみに景悟はこの時学校が夏期休暇中であり、この時季宿題を早いところ終わらせてから"一応彼なりに"有意義に余暇使いたいらしい。

 

────────「丸半日オンラインのゲーセンでブラブラするのもどうかと思うぞ?

 重くても私物でも良いから遊ぶなら家庭用ゲーム機で非課金で遊びなさぁーい」

 

と忠告する景悟の父親。口うるさいかもしれない、過保護とも呼ばれがちかもしれない。

 だが共通すぎてしまうと呼ばれど、恩恵的に与えられた楽しみと趣味である。家族間の繋がり上大切にもしたい。という意図の答えから

 

「言ったね、父さん」という言葉を返して同意した。

 

───────時間が経過して午前中と少しの時間帯のうちに、景悟は宿題の一日分を終えらせる。景悟的にもゲーヲタ面にも特化した欲求から、やらなきゃならない事と趣味のオンオフ加減はガッツリメリハリが出来てしまっていた。

これも両親から与えられた趣味と英才教育の恩恵とその賜である。

 

 時刻として14:45頃、父親が趣味で買った一台の装置のある家庭用のダイバースペース機器のある部屋へ行き、デバイスであるダイバーギアをセットしようとした…、

と、その時だった。

 

 スマホに着信の振動が鳴り、景悟はメールを見る。

 見たことの無いアドレスとみて何らかの怪しい広告かと思った…。特に最近は自分との対戦プレイやミッションのプレイぶりから観て大分クソゲーじみた戦略を繰り出すもんだから、誹謗中傷及びクレームも来ても可笑しくない。無論それに意図かしてか意図しなくても引っかかり、返り討ちにすることもあった。

だが文面に、『GBN運営より』更に『AVALON』という文字を見て景悟は表情を変える事となり、即座にダイバーベースをセットしバイザーを被れば、GBNのターミナルのオンラインへ急ぐ事となる。

 

────────────青いホログラムの映像を通り抜けて、景悟、基、K5<ケーゴ>はGBNにログインしターミナルに着く。旧ナチス党のSSの様な軍服と目深に被ったヘルメットに紅いレンズのゴーグル。

その姿はほぼアーミーで且つ質素なデザインのアバターである。そんなアバターのケーゴはターミナルを暫し歩いて、飛び交う機体が観覧できる待合スペースまで行くと、GBNでは伝説的に上位フォースランカーことAVALON<アヴァロン>の整ったオリジナル制服を着た二人の男女が待ち構えていた。大体が知らない者は居ない副隊長のカルナとエミリアである。

 

 「お前がアカウント名"K5<ケーゴ>"というプレイヤーらしいな?フォースAVALON<アヴァロン>の副隊長エミリアだ。」

 「宜しくお願いします…。でも何で…」

 

 と、エミリアの軽い自己紹介とケーゴの返事が交わされかけた時、

 「へぇ~。

クソゲーみたいに強いソロプレイヤーって聞いたからどんな奴かって思ったら、案外派手なアバターじゃないんだなァ。

俺はもっと"獄炎のオーガ"みたいな奴かと思ったぜ。」

 

とカルナが呟くが、ゴーグル越しだったとしてもまるで鉄面のようにケーゴは何も表情が無かった。

条件反射的にムッとしたのでは無いかと察したエミリアがカルナの後頭部を一発平手打ちするが、

「良いんですよ。どうせこんな扱いなれてますから。」とケーゴは告げ、

「いや、フォースメンバーとして非礼は詫びる。」というやりとりが交わされ、

「エミリアさんそんな言い方は無いでしょ~?こんなどこの馬の骨か知れないプレイヤーに…」「肩を持つだけの価値はある。生憎お前以上にな。そうだろう?」とエミリアは視線をケーゴに向ける。

 「"事情"は詳しく訊かせていただきます。無論協力も辞さないつもりです」とケーゴは受け答えれば、

 

その後に二人に連れられる様にアヴァロンのフォースネストに向かった。

 

────────西洋あるいは欧米風の城が聳え立つフォースネスト、というかフォースのエリアにアヴァロンのフォースネストは存在した。

 

 3人の機体はドックに着地し、徒歩で城の中にあるフォースリーダーの部屋を目指す。

 

 かつてこのフィールドでは、ガンプラへの思いから生まれし異邦人"ELダイバー"の命運を賭けてアヴァロンとビルドダイバーズ、更にそれらを取り巻く有志連合らと、

ビルドダイバーズに加担するフォースの2大勢力との大混戦が巻き起こった伝説の地であった。

 

 そんな場に出くわしたケーゴは興奮や白熱といった感情は湧き起こっては居なかったが、逆にやや緊張に近い感情と、そんなフォースを介して誘われた"とあるミッション"に正直嫌そうな表情をゴーグル越しに露わにしていた。

 そしてそんなケーゴに対してやや不信感をカルナは抱いており、さらにそんな2人の間に居たエミリアも、正直言って貧乏くじを引かされていた。

 

 やがてフォースリーダーの部屋の前に辿り着けば、エミリアがドアをノックする。

 「あぁ、入りたまえ」

 とフォースアヴァロンのリーダーであるクジョウ・キョウヤの声が響けばドアをカルナが開き、3人は部屋に入る。

 

 するとそこには机の椅子にクジョウ・キョウヤが待ち構えているだけでなく、

 ケーゴ自身のみは全く見慣れない初見であるシアンカラーのSDのガンダイバーの姿をしたアバター、

基、"ゲームマスター"

といった面々が居合わせていた

 

 「キョウヤ。"彼がそう"なのか?」

 「あぁ、腕の立つ"射手"だ。2人共御苦労だった。」

 

 とキョウヤはカルナとエミリアを部屋から外へ下がらせ、部屋はキョウヤとゲームマスターとケーゴの3人だけとなった。

 

 「こうして僕等と相対するのは初めてかな?K5君。よろしく頼むよ。」

 「我々も記録は見ている。安心したまえ。君は至ってバグも規約違反もしていないプレイヤーだ。」

 

 と、2人は告げたが、

 

 「じゃあ何なんですか?

"特例運営推進イベントミッションの指名"って。」

 

 と尚もケーゴは、メールに来ていた内容としてざっくり言わゆる所、

"どこか不明確な運営やフォースを経由した指名"として、

"どこのフォースにも属していないプレイヤー"であるにも関わらず、自身が選ばれた理由を疑る。

 

 「失礼、まずはこれを見たまえケーゴ君」

 と告げたのはゲームマスターであり、彼はコンソール画面を操作すると、部屋のドアから左側面にプロジェクター映像が映り、

 

 そこにはGBNの市街地エリアのフィールドで行われた祭典の様なパレードであった。

 

 「これは?」

 「1年前行われたELダイバーとの交流記念パレードの映像記録だ…。"訳あって"、全ての一般プレイヤーからはこの記録は一部始終削除されている。」

 

 とゲームマスターが告げたその直後だった、

 

 

 

 

 ELダイバーと思われる者達が乗る機体が、フラッシュの様な光の直後の瞬間、粉々に爆四散し、巻き込んだダイバーも被害が及んでいた。

 

 

 

 

 

 「なるほど…そりゃ"流せない"ですよね。"犯人"は解ったんですか?」

 

 と呟くケーゴ。

 

 

 「残念だが、"爆破予告が在った以外"情報は無く、最初は我々運営もただの悪戯だと判断し動けず、キョウヤとアヴァロンに警備を頼む他は無かった。」

 

 と口惜しい様子のゲームマスター。犠牲となったELダイバーの事を考えれば、

 これが記録として公開されればELダイバーやそれを支持するダイバーからの暴動は止められない。

 更にパレードは今年も近日開催される筈である。

 

 「ケーゴ君、君はこの事件を如何見る?ただの爆破テロに見えるかい?」

 

 と尋ねるキョウヤ。ケーゴはやや思案した後、

 

 

 

 「光った直後から爆発まで"タイムラグ"がありました。

多分旧仕様のビームライフルか、

対艦ライフルでも可能な"狙撃"っすね。爆破の線はまず無いような……」

 

 

 

 と言い、キョウヤは驚きながら口元を緩ます。

 

 「そんな事が可能なのか…?」

 

 疑るゲームマスターだったが。

 

 「出来ますよ。こんだけ人が居るなら"観測手"<スポッター>が紛れ込んでいてもおかしくないし。」

 

 とゲームマスターに言い切るケーゴ。

 

 「"クソゲー強キャラプレイヤー"と罵られる噂は

"伊達じゃなかった"みたいだねケーゴ君。

私の人選は間違いじゃなかったようだ。」

 

 と、キョウヤとゲームマスターとの間で察していた可能性が、ケーゴの思案とだいぶ接合した事を察したキョウヤであり、

 

 「貴方にだけは一番言われたく無い。

 

てか本当にこの仕事に巻き込みたい理由が、まだ訊けてない気がするんですけど?」

と堂々と悪態を吐くケーゴ。

 

 「無論これは僕等のミッションだ。

 だが僕等は少し大所帯過ぎてしまってね。そこで僕とゲームマスターで話し合った結果、

 

 "何処のフォースにも属していない"

という意味で人員の都合上小回りの利くソロプレイヤー、

 

 しかも

 "相手のスナイパーと互角以上の実力の戦闘員"

 という事で君が選ばれたのさ。」

 

 とキョウヤにここまで言わされバツが悪そうに、やや頭を抱え考え込んでいたケーゴだったが、

 

 

 「解りましたよ。

請け負えば良いんでしょ?請け負えば。

 

報酬はちゃんと貰いますからね。」

 

と吐くように言い放つケーゴだった。



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-弐-

後書き見ろよ!!(`・ω・´)
大事かもしれん事書くからな!!!


─────時刻にして12:50。

 

"前年通りの"襲撃予告は『14:30』であり、

ざっと1時間半前にフォースアヴァロンの選抜戦闘要員の他にも、フォース第七機甲師団の選抜戦闘要員といった錚々たるメンバーが多数ログインし、ベアッガイフェスのような装飾で行われるELダイバーとの交流祭典パレードに待ち構えていた。

 

 

 加えて"一応"そこに、ベアッガイの被り物を被り賑わうダイバーらとの間の空気にだいぶ飲まれていなさすぎるSS軍服アバターのケーゴもおり、コンソール画面に表示されたルートを辿れば、裏口を通り抜け事務室の様なスタッフルームに行き着く。

 そこにアヴァロンのクジョウ・キョウヤに加え、白い小動物の様なアバターの姿をした第七機甲師団のフォースリーダーことロンメルも居た。

 

 「君か、相手の"犯行"が爆破では無く狙撃と見抜いたスナイパーとは…」とロンメルはケーゴに告げる。やはりどうもケーゴがキョウヤやゲームマスターと出会うよりも前の最初から、キョウヤとゲームマスター、及びおそらくロンメルとの間で相手のやった手口が爆破では無いと検証されており、その上でどういった見解が導き出されるのか、キョウヤとゲームマスターからケーゴは試されていた事が明白となった。

 

 「恐縮っす。ってかホントに手口解ってたんですね?」

 「試すようなマネをしてしまってたらすまない。僕とて君の腕前を知らない訳じゃ無かったんだ」と改めて謝るキョウヤだったが、ケーゴは飄々と、

 「別に、よくある事ですよ。ソレより作戦は?」

と切り返す様に質問を投げかける。

 

 「あぁ…。今回は僕等のフォースに居たツバキという索敵人員が急用で来れなくてね、代わりに君にその"観測者"<スポッター>を探して欲しい。

そして場合によっては君が、"実力行使を以てこれを排除しても構わない"。」

 

 と答えるキョウヤ。狙撃に必要なフィールドの情報収集を行う"観測者"を探す役目も一任するが、加えて要は探り当てた観測者を狙撃しても構わない、という返答だった。

 

 「了解です。僕の配置の座標教えてもらえますか?」と、作戦概要諸々のブリーフィングが行われる事となった──────────────────────────────

 

 

 ─────────────────────時刻、13:55頃。

 「配置完了ですエミリアさん…。」

 

 とカルナの操縦するインパルスガンダムランシエが、賑わうパレードの側面の隅の位置という指示された場所に取り付きながら、メインカメラ越しに、パレードの列を挟んでから斜め後部の位置の向こう側の遠くへ向かうケーゴのスニークジェガンを不満げに見ていた。

 「どうかしたか?」コンソール画面越しにエミリアがカルナに尋ねる。

 「いや…どうして隊長はあんなポッと出のルーキーなんて誘う気になったのかなって」

 「不満か?」

 「ま、納得出来ねーっていうか、戦闘記録は見たけど、どうも戦いの運び方が"仕込み"か"八百長試合"みたいに出来過ぎてるていうか…」

 

 「お前、あのバインダー型の装備が何だか解るか?」とエミリアは尋ね、カルナは、

 「"アレ"尖り過ぎてますけど、幾ら遠くから目視しなくちゃならないからって目立ちすぎじゃ…」と飾りであるという理由を言いかけたが、

 

 「私は奴が対MA戦のミッションであの"装備"が展開され起動した直後、広範囲の一定距離内において、"敵味方関係なく周囲のレーダーや大方のセンサーに強烈なジャミングの様な障害"が起きた記録映像を見ている。機体を操縦していない肉眼認識映像では見えていたがな…」

 とエミリアは答えかけた。

 

 案の定ケーゴのスニークジェガンは配置完了したかに思えた直後、凡ゆるレーダーから反応が消失しており。

 

 「"デスサイズのハイパージャマー"…?!…。だからプレイヤーにもNPDにも気づかれずに地雷源を?」

 

 「或いはおそらくその発展型と見るのが妥当だろうな。ミラージュコロイドの様な光学迷彩ではない分扱いは難しいが、

いずれにせよ通常の攻撃面を特化させた機体に対しては"アビオニクス殺し"の兵器といっても過言ではない筈だ…。

 

 …『一定条件での不可視性』と

『射程距離』と『索敵範囲』の強化された

ビームスナイパーライフルとエコーズ仕様特有のバイザー、更に卑劣な策に扱う武装を用いて、

 

より計算的に効率性を重視した挙げ句、"狡猾"<スニーク>に相手の対象を狩る…。

 

ソロの対戦で戦うなら、私は先ず相手にしない。相手は間違い無く、正面から堂々と近接戦闘は仕掛けないからな…。」

 

 と、カルナはよりケーゴのプレイの残忍性を認識したところでやや言葉を失ってから、

 

 「無駄話はここまでだ。ミッションに集中しろ。」

 「…了解です…。」

 と、2人の一時的な会話が終わる。──────────────────────────────

 

 ───────────────時刻、14:13頃。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 エミリアの察し通りハイパージャマーに近いステルスシステムの外付けパーツ『スペクトルジャムバインダー』を展開し起動後、レンガの建造物の高所、その最上階の内部から腹這いになるケーゴのスニークジェガン。情報によれば前年のパレードでは爆発物の様な痕跡は無く、遙か離れた遠方付近に、洞窟のようなフィールド地形に隠す様に陽電子砲に近い超長距離射程ビームの砲台パーツが確認されていた。

 

 狙いを言い当てたケーゴの発言通り、"結果として"、狙撃のフィールド状況を指示し指揮する為の"観測手"がパレードに紛れ込んでいる可能性をキョウヤは察し、その上でこの作戦にケーゴを緊急の臨時戦闘要員としてスカウトしたのは解った。

 

 

 ケーゴはスニークジェガンの強化されたアビオニクス

『ハイパーレーダーセンサー』を起動し、

 

 周囲の磁場を解析しながら、ある可能性を考えていた。

 というのもキョウヤから話された内容としては、何故"射手"の設置機材が事件の暫く後から見つかったか?である。

 ゲームマスターが悪戯と侮っていたとはいえ、プレイヤーの使用の反応とその履歴が解る筈、と察していたのである。

 

 そこでケーゴは仮説する。

 これがもし本来"観測手"と"射手"のツーマンセルによる狙撃ではなく、"射手"は遠隔制御故プレイヤーが制御している反応はなく、そしてその遠隔制御によって"観測手"はより効率の良い狙撃環境状況で犯行に及んでいた単独なら?…と。

 

 与えられた憶測の可能性ではあるが、遠隔制御の反応を探知機能で探る事が出来るならEWACジェガン並の索敵能力を持つ自分のガンプラしかない。導く最善の結論として、ケーゴはハイパーレーダーセンサーのコンソールを開き、磁場解析を行いながら索敵を開始し始める。

 

 そして大凡経過してから14:21頃…

 

 「…カルナさん、エミリアさん。座標転送します……!!!」と告げ、パレードの行列を挟んで向かい側の、行列部分のより後部に強行偵察型のザクⅡを確認する。

 がしかし、反応の影響を無効の索敵能力も察していたか、相手のザクⅡ強行偵察型の高精度メインカメラの照準からロックされたアラートがケーゴの操作スペースに鳴り響き、

 

 

 

 

 

 「あぁ…面倒くさい…もう"狙い撃ちまっす"」

 

 

 

 

 

 とこちらも強化ビームスナイパーライフルである『プラグマテックスニークライフル』の高出力ビームを放ち、パレードの末尾で相手のザクⅡ強行偵察型は飛び出したと同時に、携行していた手持ちのミサイルランチャーを撃ったところでビームがメイン照準装置に直撃され、さながら、パレードにサプライズである花火のように、"双方の閃光"が瞬く。

 

 

──────────────────────「ぶっ壊れたわー」と尚も棒読み口調で、バイザーの稼動を解除してから側面を振り向けば、御自慢装備のスペクトルジャムバインダーは片方破壊されているのを確認してから、

 

 「仕留めたのかよ?!」

 「知らねーです」

 

 とカルナの問いに、余程装備を破壊されて不満だったか、ぶっきらぼうな返事を返すケーゴ。だが二人のやり取りを聴きつつ、最初にザクⅡ強行偵察型の残骸、3kmはあろう距離からソレも針の穴を通すかのようにザクⅡ強行偵察型の頭部メインカメラを綺麗に空洞にする様に撃ち抜いているのを目撃したのはエミリアだった。

 

 「信頼に値する腕前じゃないか。ウチのフォースに欲しいくらいにな。」

 

 「あーそーですか。"買収"するなら"上納ポイント"とか分け前倍額とか貰いますが何か?あともう一つ、お二人に頼みたい事が…」

 

 と悪態のような言葉を呟いてから、なんと副次的に解析したデータから"遠隔操作で稼動する射手"の座標情報を送り、漸くカルナもその腕を察した。

 

 「なんか…すまないな。何というか、正直ここまで凄ェ奴とは思わなかったというか」と詫びるカルナと、溜息が出てくるエミリア。

 

 そんな中ケーゴは堂々と「毎度の扱いだから慣れてますよ。ミーティングしたら帰って良いですか?」と空気が物凄いズレた発言をかますのだった。

 

───────────時刻15:10。パレード後の現場にて。

 

 「ありがとうK5君。運営グループとして君の協力に感謝する。」

 厳かな返事を返すゲームマスター。草臥れたので早く帰りたいかのような表情をするケーゴは、物凄く鬱屈として嫌そうな表情をゴーグル越しに見せており、

 

 「取り敢えずポイント貰えたなら何でも良いというか…」

 

 と呟くケーゴ。良い加減報酬ポイント貰ったもうすぐ疲れたので良い加減ログアウトしたいが、そんな心持ちがゴーグル越しである為伝わらないのかゲームマスターは大分"硬い"握手を返す。

 

 

 加えて…第七機甲師団もフォースリーダー共々居合わせていた為、そのフォースリーダーである軍服を着た白いフェレットの様なアバターが、

 「見事な狙撃の腕だったね。情報収集も申し分ない。是非ウチのフォースに入隊しないかね?」と問いかけてくる。

 

 「こんな腕前でソロプレイヤーというのももったいない話でありますからなァ〜」

 「機体のベースも狙撃が戦法というのも中々渋いチョイス!我々好みですぞ!」

 筋骨隆々のジオン公国軍服姿のフォースメンバー共々ケーゴに迫る。

 

 ケーゴは正直、"ジム系紛れ込んだら絶対浮くから、あんたらのフォースだけは絶対無理"

 とでも言いたげな表情をしてから、「か…考えさせて下さい。」と有耶無耶なセリフを答えてしまう。

 

 「ハハハ…そんな強張らなくても良いんだよ?ケーゴ君。これで君も"ワーストランカー"という汚名から、晴れて抜け出せるのだからね。」

 

 

 アヴァロンのクジョウ・キョウヤは色々困惑しているケーゴを少しでもフォローするかの様な言葉をかけるが、ちなみにケーゴは、何か嫌な予感の様な言葉と認識する。

 

 「如何…いう意味でしょうか?」

 

 「君は、ELダイバーと我々の様なダイバーの友好を守ったじゃないか。

 無論公にこの事件の概要は表沙汰にはならないが、僕から名のあるフォースに君の様な有能なソロプレイヤーがいる事を吹聴しようじゃないか。

 なぁに心配は要らない。これからは一般ダイバーの冷たい目に晒されず、自分のやりたいチームのミッションに入りたい放題なのだから。

 もう君はワーストランカーじゃない、

 GBNを救った英雄<ヒーロー>なのだから。」

 

 

 「ちょ、ちょっ、キョウヤさん?」

 

 

と、キョウヤはコンソールを開いてから、

 

 「じゃあ皆!解散!!!」

 

 と告げてケーゴの周りから一斉にログアウトしていく。

 

───────ケーゴの受難は、まだ始まったばかりである。




どうも=皆さん
ACGUYMAN<あっがいまん>です

第1話を書き込んでから書くネタが出てこず放置の様な状態の間にありがたい御感想をいただいたわけですが、


その内容に、

「夜行向けのスナイパーですか?」
「機体名がスニークジェガンなのに、"スニーク"してない」

という御意見がありまして、
こんな心の叫びを発狂しました、


やめろぉおォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!

ネタバレしたくないんやァアアアアアアああアアア~~~~~~!!!!



という時もありましたが、

今回は敢えてそんなヘタレ根性ヘシ折る事をガンギまりました。


解説シーン?知るかボケェェエ!!!

という事でK5<ケーゴ>の機体のメカ解説やるよ!!




機体名/スニークジェガン

装備/
プラグマテックスニークライフル
:原型の概念を重視したままブラッシュアップしつつ、狙撃に必要最低限の実用性を追求し、その過程で更に強化した果てに辿り着いた強化型ビームスナイパーライフルの主兵装火器。
対艦レーザー仕様並の融解による貫通能力を有した光速超長距離ビーム狙撃が出来、発射速度と射程圏を落とさないまま貫通威力の強化に成功。
弾筒弾倉型排莢式コンデンサーをエネルギーとする光速ビーム狙撃を可能とし、コッキングによるボルトアクションで排莢するギミック構造となっている。
従来の実弾ライフルと同程度の発砲の光こそあるものの、肉眼での反応は極端に難しいビーム弾を高精度に発射する事が出来、また今回も細かい一点集中の直線的な攻撃範囲だが原型を超えた融解貫通能力にも特化し、従来仕様の装甲板であればVPS装甲までなら撃ち抜く事も可能。射程距離においては最高出力で約32kmである。

ナパームマグナム
:RX-78型のスーパーナパームを参考に作った中折式リボルバー型MS用ハンドガン。
フェイルセーフティ装備であると同時にMSレベルの機体の装甲板を焼く事を想定として可能にした仕様の装備だが、6発毎に弾倉交換の必要がある。

ヒートダガーナイフ
:コンロイ機に装備されてあった仕様の物を改良した汎用ダガーナイフ型装備。
主に戦闘フィールドに高性能爆薬トラップを仕掛ける突貫作業にも用い、
リーチはかなり短い装備では在るが、フェイルセーフティを含む近接格闘戦における取り回しには特化しており、
刃先がヒートサーベルと同様の仕様へ改良した為、機体同士の近接戦闘とその貫通威力のみにおいてはヒートサーベルに匹敵する。

カスタムビーンズファイアナッツ
:従来のファイアナッツの火力を広範囲に強化させるとともに改良した仕様の高性能爆薬装備。
発破の瞬間に爆炎に紛れて対装甲ヒートベアリング弾が拡散する構造になっており、無論従来通り投擲にも用いる事は出来るが、
更に自動信管機能と遠隔信管機能を新たに付け加えた為、
制御された信管による爆撃が可能である故、トラップにも使用可能である。

ボックス型MRビームサーベル
:リーチと出力の調節を可能としたボックスタイプのビームサーベル。
取り回しの良い近接格闘戦型熱光学兵器であり、マニピュレーターを塞がず使える装備でもある。
過剰な延長こそ出来ないが戦況に応じて出力調整により任意にリーチを操作する事が可能。
それ故リーチを汎用的且つ変則的に取り回すといった応用技も出来る。

グラップクローシールド
:対物理攻撃を重点的に想定とする上、
耐ビームコーティング処理も為されている故従来の機銃並のビーム迄なら辛うじて防ぐ事が可能な他、
ビームサーベルから受ける斬撃に対しても一定の耐性を有する。
更にフェイルセーフティ装備として拳の様に撲る攻撃手段から、
グラップクローを展開した後、攻撃対象のMSをフレームも装甲諸共握り潰すと言った荒技も可能とする汎用複合兵装でもある。

機能/
ハイパーレーダーセンサー
:従来のエコーズ仕様のジェガンが搭載する高精度なレーダー及びセンサーといった機能を、重点的に強化したシステム。
主に稼動時はバイザーの展開により作動し、高精度狙撃に必要な情報の取得と把握に特化する形へ作る過程によって、
戦闘フィールドの凡ゆる効果情報を解析する事も可能にした他、
従来以上に強化されたハイパージャマーやミラージュコロイド、加えてGN粒子やミノフスキー粒子による全てのジャミングやステルス効果さえ解析し補足する事が出来る。
有効範囲は従来のエコーズ仕様型ジェガンの大凡1.78倍に匹敵し、
副次的な能力としてある程度まではEWACジェガンに近いレベルでの偵察機能と索敵能力をも獲得する。

スペクトルジャムバインダー
┗スモークディスチャージャー
:バックパックの2基のバインダーを象る高性能ステルスシールド兵装。
兵器としてはレドームの様な装置に匹敵し、
EWACジェガンやアイザック、00に登場する機体としてはガンダムサダルスードといった機体をベースとして索敵能力に強化させた機体を除いた場合のみ、
凡ゆる機体の全アビオニクス感知機能を任意に遮蔽出来る特殊な干渉電磁波を発生させるジャミングステルスシールド。
その為光学迷彩でこそ無いがハイパージャマーに近く、無制限にレーダーやセンサーに映らない状態で活動する事が出来、
また加えて万が一メインカメラに目視された場合、特殊粒子と煙幕による緊急回避も可能である。

バーサクEXAMシステム
:認識し得る近距離レーダー圏内の機体の機動システムに反応し、半自動的に迎撃するリミッター解除モード。
自動制御レベルを一定まで上げる事により、ダイバーの操作と遅延0秒未満での反応速度での迎撃行動が可能。
レベルの段階によっては近距離のみのレーダー圏内に入った凡ゆる死角の同時攻撃をも回避し、
サイコミュ系列のオールレンジ兵器の重複的な射撃攻撃でさえ全て弾き落とすことも出来る。
しかし、自動制御の段階レベル高くなるに連れ、
また稼働時間が長くなる程ダイバーに読み込まれる動体視力の酷使する他、
自動制御状態との操作を間の比率の高低差を行ったり来たりする程更に機体制御が疲労で困難を極める。
その為ガンプラである機体自体には意思はないが、本人曰く"マシンに喰われかねない機能"と呼ぶ。

備考/
コンロイ機を含むジェガンエコーズ仕様をベースに、対MS部隊殲滅汎用特殊強襲戦を想定として幾つかの特殊兵装を搭載することにより改良を重ねた末、
その戦闘ぶりがあまりにも異質かつ異形じみてしまった機体。
改良前からの強襲戦を想定とした超高精度狙撃能力に特化した機能と偵察能力及びステルス性能を保有していながら、極一部特殊なフェイルセーフティ装備も強化し、
より戦争じみた特殊強襲戦仕様に特化した機体となる。
超長距離狙撃と貫通能力のみに特化した強化型ビームスナイパーライフルの他、
遠隔信管や熱に反応する自動信管を用いた改良型ファイアナッツによるトラップ戦法や、
鉄血系のナノラミネート装甲の対抗手段としての物理兵装も多数装備しており、
またレーダーには映らずより高精度な索敵能力に特化したアドバンテージと特性から、隠密行動を可能にした
哨戒機としてのアシストにも一役買っているが、
単機での戦闘となると相手の反応されないまま戦局の優劣を一気に奪い制圧する戦法に扱う事が出来てしまう。
その為やはり正々堂々とは、お世辞にも果てしなく言い難い卑劣な戦い方に向いた機体でもあり、
そういった理由からチーム戦では味方機としては優秀であり目立つ様な派手なプレイは無い(というか見えない)が、
一度相手にすると二度と戦いたくない性根の腐ったクソゲー機体と呼ばれる事も多々在る。


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-参-

なんか…準ジュブナイルなのだろうか
準ジュブナイルってそもそも何?感



─────────────

 「解体結果、出ます。」

 告げるのは運営ダイバー。周囲に警備型ガードフレームが配備され、運営ダイバーとゲームマスターがモニター越し見張り、幾数もの隔壁に封鎖された部屋で"対象"が特殊な硬直させるブロックシステムに拘束されるその最中、解体されたザクⅡの強行偵察型の中からそれは原形を見せる。

 触手らしき部位が生えた"紫の眼玉"の様な塊。それはここ最近確認されて来た結論であった。

 「これがそうなのか?」

 「はい。数件確認されて来た"類"と同様の存在かと思われます。」

 運営ダイバーは解体されたその"中身"を解析した結果をゲームマスター伝える。

 稀な例だったが、ELダイバーを狙って襲撃を仕掛ける謎の異質たる存在。それらが如何も一部の例としてELダイバーを"捕食"する様に寄生し、一般ダイバーに不正レベルのバグによる破壊行為を行なっている例も既に確認されていた。

 

 遠隔操作で稼動していたビーム砲台は当然無人だったが、問題なのはこの存在が、そこまで高性能な能力を持った存在故により厄介であるという事態だった。

 

 何処から来て、何の為にELダイバーを襲うのが不明瞭であり、それ故危険性も孕んでいるこの異変に、ゲームマスターは困惑を隠せなかった。

 

 「如何しますか?"カツラギ"GM…」

 「被験データを収集した後、速やかに処分だ。」

 "ELダイバーを捕食し乗っ取る獰猛に攻撃的な存在"。その得体の知れない危険性に対して、言い知れない警戒をせざるおえないゲームマスターだった。

 

──────────────

一方その頃…

 

 「…はァ。」とケーゴは溜息を吐きながら、アジアンサーバーのエスタニアエリアで限定ミッションの参加チケットの安売りなんかが売り出されている市場の様な通りを歩いていた。

 

 ELダイバーの交流記念祭典のパレードの事件から早数日。

 あの戦況で、相手の遠隔制御の通信波を解析出来た、といった感じで運良く機転は利いたのはまぁ良かっただろう。

 報酬ポイントとコインが集まった分、スペクトルジャムバインダ一基破損して暫くリペア状態になったとしてもお釣りが来る。

 が、しかし名が凄く微妙なマニアック加減の経路で、知れ渡り始めるという可能性に対してだいぶ怖気付かずにはいられなかった。

 

 元々フォースに入って色々他人とやり取りするのは、ケーゴ自身そこまで得意では無くだいぶ面倒臭かった為、今までソロプレイの戦闘の感覚にのめり込みつつ、サバイバルミッションか混合チームの対戦ミッション等でほんの極稀にチームプレイをしては戦闘の手口からワーストランカーと罵られるのが普通だった。

 

 特にロンメル本人から連絡が来る事は無かったが、そんな自分を他の第七機甲師団のフォースメンバーから、是非狙撃手ポジションで入隊しないかというメールがややしつこく、そんな知らせに対して一層フォースの誘いは当面無理と言い切りたい自分がいた。

 

 今日は取り敢えず何もやっかいな勧誘メールが来てないから、問題なくログイン出来た訳だしリペア時間中にチケット探しで時間潰ししよう。修繕出来るしポイントは稼げるし問題無いはず。

 と思っていたその直後…、

 

 「おう?その渋めのアバターは…噂に聞いた大型ルーキーファイターかァア〜?!」

 

 側面からかけられた声に振り向くケーゴ。その視線の先には、黄色い拳法道着を着てその下は灰色狼の様な獣人アバターのプレイヤーだった。

 アジアンサーバーの中でもここエスタニアエリアで名を連ねる有名フォース『虎武龍』のフォースリーダー、異名にしてトライファングこと"タイガーウルフ"。

 趣味上、暑苦しい近接戦闘型のガンプラ使いというケーゴの天敵に匹敵するであろう相手である。というかケーゴとしてはこの人型を象る毛玉動物みたいな相手に対して、ゴーグル越しに凄く嫌そうな表情をしてから、

 「…人違いです。」という言葉を言い放つのだった。

 

 「オイオイそんな反応はないだろう?…折角見込みがありそうなメンツだって聞いたもんだから、この俺が直々にスカウトしようと思ってたのによ。」

 「お断りです。てか何処情報ですか?」

 「何も知らねーのか?アヴァロンのクジョウ・キョウヤだよ。」

 

 どうも吹聴はガチだったらしい事を察するケーゴ。今思えばELダイバーとの衝突が原因で、そこそこプレイが楽しいGBNが無くなるという事態は避けたかったから請け負った仕事だったが、安定的なソロプレイを続けたかった自分としてはこんなハイリスクが出るとは思わなかった。というかフォースリーダーという人種はみんなこんな連中しかいないのか。

 ケーゴ的に、フォースが練度の高い戦闘要員を増やしたい気持ちはまぁ百歩譲って認めるが、数多のフォースが袋叩きの様に勧誘しに来て、度々言い訳を考えやり取りをして断るのも良い加減面倒極まる。

 

 「あの…でも僕浮くと思いますよ?」と、あんたらのフォースってガッツリぶつかり合う近接格闘戦主体でしたよね?的な質問を尋ねるケーゴだったが、

 

 「細けぇ事ァ気にすんなよ〜、丁度遠距離戦闘員が欲しかったんだからよ。悪くねー話だと思うぜ?」

 警告するケーゴの言葉にも構わず肩をバシバシ叩きながら勧誘しようとするタイガーウルフ。

 

 こういう相手に限って、ケーゴからして見ればいざ自身の姑息過ぎた戦闘ぶりを相対した瞬間、相手は失望し見限り、挙げ句失った関係性が数知れない経験が大半だった。故にケーゴは再度、

 「向いてないと思いますよ?きっと貴方のフォースは…」

 と警告を言い放ちかけた。

 

 がその後だった。

 

───「とか何とか言いつつ、フェイルセーフティもガッツリじゃないかい?」

 と2人の背後から声が聞こえびっくりした様な表情をアバターのゴーグル越しに表すケーゴ。

 

 振り向いた先にいたのはやはり自分よりも大人なプレイヤー。

薄紫の髪にこれまた獣の様な耳と中東風の服を纏うその人型のアバターであり、顔つきは人間のソレではあるが、

 

 ケーゴは逆にこれはこれで怪しむ。というか、何故スニークジェガンには一応、有事に備えた重点的な近接戦闘用装備がある事がバラされているのかますます不信感をいだく。

 

 「"シャフリ"手前ェ!何でまた俺の勧誘の邪魔を…。ってか何なんだ?

"ふぇいるせーふてぃ"って。」

 

 「狙撃が躱されるか近づかれた際の近接戦闘用装備だよ。まぁ君のガンプラの様にド正面からぶつかるしか能の無い装備とはまた違うけどね。」

 

 「誰っすか?」

 

 とイマイチ顔と名前が一致しない為かクエスチョンマークの様なイントネーションでタイガーウルフと中東衣服の男に尋ねるケーゴ。

 

 「フォース"シームルグ"の"シャフリヤール"だよ。初めましてかな?ロンメルさんとクジョウ・キョウヤから話は聞いてるよ。

 僕らの間では結構有名人だからね、君の事は。僕も市場に立ち寄ったんだが、こんな"マンウィズ紛い"のフォースにだけは入らない事を勧めるね〜」

 

 と軽めに自己紹介をする中東衣服のアバターの男、

ことシャフリヤール。

 って、そういえばパレードの事件でのブリーフィングで、装備データを2人のフォースリーダーに掲示した、と気づくケーゴは、

 "こいつもか"とどうでも良いはずの噂に引っかかってやって来た連中と察する。

 

 「あのう…お2人共失礼ながら、まぁ色々こちらも誤魔化す気はないのですが僕が"ワーストランカー"って呼ばれてたの知ってます?」

 

 とケーゴは忠告したつもりだったが、2人のみだけが睨み合う空間になっており、

 

 「関係あるかシャフリィ!、手前だけに邪魔されてたまるかよ!」

 「あぁそうかい。いいかね〜ケーゴ君、折角汚名が無くなったにも関わらずこんな男のフォースになったら今度は脳筋バカになってしまうよォォ!?」

 

 と如何でも良い言い争いになって来る。

 こんな時自分の機体がリペアから完全回復していれば逃げ出せるのだが…。

 

 とコンソールのアラームが鳴り、案の定、

 スニークジェガンの修復が完了という通知が流れて来る。極めてずばり好機と確認したケーゴは機体を喚び出し、スペクトルジャムバインダーを展開すれば、バーニアを全速力で推進させてから逃走を始めるのだった。

 

 

 

────────────────────────二十と数分後経過した後の事。

 

 

 ケーゴのスニークジェガンはアジアンサーバー内の移動する為の内部用長距離移動ゲートを闇雲に潜り、その果てに山岳地帯を見つけそこに着陸した。そして更にバイザーを下げてハイパーレーダーセンサーを起動させれば、もう周辺にあんな猛者共がやって来てないか確認する。ダイバーの反応は微かに存在するが機体の反応は無い。

 

 もしあの二人が追ってくる内、仮に1機が索敵能力強化型ガンプラだったとしても、肉眼認識情報でもメインカメラによる目視でもなく且つ機体のレーダーを頼りに追跡している限り、発見はされない。状況上、スペクトルジャムバインダーによる効果でどうにか避ける事が出来ていると確証はしていた。

 

 と安堵したところでハイパーレーダーセンサーによる解析情報がフィールドの"薄い霧の様な雨天状況"を読み取る。ケーゴは雨宿りと小休止がてら、操作によりスペクトルジャムバインダーを展開させた状態でスニークジェガンを片膝で座る姿勢にさせ、機体の外に出てから外見の装備の点検をしようとする。

 

 点検をしながらしとしとと小雨が降る中、ケーゴはそこでやや視線機体から隣に移した所、近くに厳ついまでに大きな鳥居と、和風の造りとまるで仁王が立って居そうな巨大な神社をそこに見つける。

 ケーゴはこれを見ながらルーキー故にGBN自体に関わる浅い知識を考えれば、確かこういうフォースネストにおっかない鬼人のアバターをしたプレイヤーが居たなぁ、と察しながら呆けていた…。

 

 と、その直後の瞬間。右肩側の背中と頭に何かがあたり、条件反射的に視線を変えたケーゴの眼前に、

大柄の筋肉質な体格に仁王の様な格好、更に頭には三本角の"鬼人"の様なアバターの男が立っていた。

 そして鬼人のアバターの男は、スニークジェガンのライフルを見てからケーゴに言い放つ。

 

 

 「おう、お前のガンプラ、良いモノ持ってんじゃねぇか。喰い足りないなら"ちょい"と遊んでいけよ?」────────────────────────





ACGUYMANです

今回の後書きではどうでも良くてどうでも良くなさそうな事を自白します…。


弐と参の
設定と本文の一部
スニークジェガンのステルス機能に関しての解説シーンと解説文
(と敵ガンプラ)
後から編集しましたッ!!

だってチートすぐると思ったやもん!!(血涙

あとから読みなおしたら多分わかると思います
申し訳ありませんでするた

もうならべく後から編集とかいうマネはやらない様にします
ごめんなさい

という訳でウワサの鬼人ダイバーとケーゴとの対決の肆の回お待ち下さい。


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-肆-

 

────────────

 どうしてこうなった?いやガチで、と言いたげな表情をアバターのゴーグル越しで露わにしていたケーゴはそのまま"人違いです"の一言で立ち去りたかった。

 が、アバターの身長差と体格さ故だろうか、とにかくその威圧感がそうさせてくれなかった。ガンプラを用いない限りガチの殴り合いはまず無いとは思っていたが、何故だろう絶対暴力沙汰的な範囲でややこしい事になり得る可能性を察せざるおえなかった。

 "嫌ァ〜、てか絶対帰りたい"

 そんな心境のケーゴである。

 

 戦闘狂のガンプラバトル魔で確かこの手口のプレイヤーは確かに居た様な気はした…、

ケーゴ自身名前は覚えてないが。

 

 「兄ちゃァん!探したよー。次の連戦ミッション…」

 と、その時。眼前の三本角の鬼人アバターを呼ぶ弟のプレイヤーだろうか。青い和服と太った体格の一本角の背が低めの鬼人ダイバーがもう1人駆けつける。

 "チャンスである"。逃走するならこの機会以外無い。スペクトルジャムバインダーを展開したスニークジェガンの全速力で現場から離れれば…。

 と、走り出そうとしたケーゴだったが、三本角の鬼人アバターが何かに気づいたのかケーゴのアバターである軍服の襟元を鷲掴みにし、ややケーゴは気が遠のく。

 

 

 更に「あァ!兄ちゃん。ソイツだよこの前から話してた"スナイパー"の奴!!!」

 

と、挙げ句に"例の噂"を聞いていた一本角の鬼人アバターが御指名するかの如くケーゴを指差して叫ぶ。

 

 「すみません。人違いかもしれないので帰りたいのですが…」と後付けの様に兎に角言い訳して逃げようとするケーゴだったが、三本角の鬼人は、

 「ほう?ドージ、ホントにそんな味気のある奴がよりによって俺達の縄張りに来てたのか?」とまるで聞いてない上会話はドージと呼ばれる一本角との間で成り立つ。

 話の軸はほぼケーゴが断る方向性からバトルの方へ全く変わる様子がなく、獰猛な肉食動物がこちらを狙うかのような目つきが度々三本角からケーゴに向かい、

 「知らばっくれたってダメなんだからな!!

 お前はもうこの"獄炎のオーガ"って呼ばれる兄ちゃんの獲物なんだからな!」という断りたいこっちの意向などガン無視の宣告を放たれる。

 

 「いや、知らばっくれるも何も僕は貴方方の事ドメイン名以外何にも知らない人からバトル強要されてるのですが…」と苦しい中ケーゴは断るきっかけを言いたい様子だったが…、

 

 オーガと呼ばれる三本角の鬼人から、

 「………言いてぇ事はよくわかった。"小難しい事は要らねぇ"からとっととお前ェのバトルを味合わせろや!!」

 

 とバトルの申請画面がコンソールに表示される。

 

 あぁやはり確か、自分よりも一世代前位にプレイヤー歴があるダイバーにそんな奴が居たなぁ…

 的な表情をアバターのゴーグル越しに浮かばせるケーゴは、こういう連中にはちょっとお灸を据えてやるのが調度良い、と判断し、申請画面に同意のキーを押して。

 

 「はッ!意外に肝なら座っていたらしいな。だがこの距離じゃお前ェの機体の位置は…」

 

 とスナイパーの位置が見え見えかに思えた矢先、ケーゴが機体に搭乗した瞬間スニークジェガンは、スペクトルジャムバインダーの基部からスモークディスチャージャーを竜巻の如く噴き出し、レーダーからその身を消失させ。

 

 「クッソっ……!!チャフまで混ざってるなんて…!、兄ちゃん…?!!」

 

 ドージに呼ばれたオーガはガンダムGP羅刹に搭乗。メインカメラからの目視を頼りに探しながら、

 「手を出すなよ?ドージ…。あいつは俺の獲物だ。」

 と告げ、GNドライヴの推進力にしてホバリングしながら移動を開始する。

 幸いにもこのフィールドの激しくなってくる霧雨と濃霧で光は拡散している為ビームの収束精度は落ちる筈。その上先程の煙幕とレーダー撹乱が在れど、10km以上もそう遠くまでは離れられないのもオーガは見抜いていた。

 この気候でこちらのビームも拡散されてしまうが、居場所を燻り出せば後は羅刹金砕棒で叩き潰せる筈だった。

 

 オーガのGP羅刹は肩のバインダーから展開したGNアイズブラスター計8門からビームを拡散メガ粒子砲代わりに発砲しながら移動を開始する。

 

 やがて半数ヵ所近くの分のみ、山岳地帯のエリアに向けてGNアイズブラスターを撃ち尽くす頃、

 霧雨が止み始め、雨雲が次第に晴れていく。夜空の様な光景になっていく時、この場でビームの狙撃が来れば、流石に厄介と思ったのか、オーガは近くの大木の樹海にGP羅刹を着陸させる。

 

 

───────────が、その瞬間。

 オーガの駆るGP羅刹の足下からアラーム音のような音が聞こえた直後、突如地面が仕掛けられた爆雷によって崩壊する。破裂と共にベアリング弾の様な物がGP羅刹の足底にあたるが、その程度ではGP羅刹自体にはダメージは無かった。

 問題なのはそこでなかった。

 問題なのは、先程まで降り注いでいた激しい霧雨と濃霧によって泥濘んだGP羅刹の足場が泥濘んでいた為であり、高性能爆薬によって土砂崩れの様に崩壊したのである。

 

 加えてそこに、

 「──────…はい狙い撃ちまーす」

 と、スニークジェガンのライフルによるビームの狙撃が盾にしていた木々を貫通し、オーガのGP羅刹の右肩のGNドライヴを難なく破壊したのである。

 

 GP羅刹は立ち上がろうとするにも、スニークジェガンの高精密な狙撃が一定時間間隔を置いて続く。というか自身の機体の重みと、さっきの爆発で泥濘んだ土砂崩れにより立ち上がれない。

 GNドライヴの推進力で浮こうにも回避が困難であり的になりうる可能性が高い。

 狙撃して来た位置は逆算出来たが…1km以上は先である。

 

 「──こいつ…、雨が止むまでこれを狙って…。」

 

 「───まぁ、奴さん近づいた何とかなるとか言ってたけどさ、出来るもんならやってみろっつの。」

 

 

 

 

 "やってくれたな"。と相手の戦況の読みと運び方に慄くオーガは、相手は山の高所から大胆にも堂々と狙撃を仕掛けてくる相手に胸中で騒つき、

 

 

 

 

 「───スカした野郎だとは聞いていたが、俺を嵌めやがるとはな。随分と味なマネしてくれる"珍味"じゃねぇか…。」と操縦スペース越しに呟く。

 

 

 確かに狙撃には、狙撃を行うための凡ゆる環境の情報を把握する必要があり、"気候"や"湿度"も例に漏れない。

 当然その機能もあのガンプラの"レーダー"や"センサー"に搭載し、あの改造された鉢金バイザーにもその機能が備わっているのである。

 

 

 

 

 漸く転ぶ様に移動したGP羅刹。途端今度はまた2発目の爆雷が爆発し地盤が更に崩れ、

 その上更に左肩のGNドライヴをスニークジェガンがビームの狙撃で破壊する。

 

 

 残るGNドライヴは背部の1基のみ。

 

流石に左右にあるドライヴと違って背面にある為潰し辛かったか、ケーゴはGP羅刹の関節部を狙って狙撃を繰り出そうとした。

 

 ここまで来れば相手の機体の出力は落ちると考えていたか、ケーゴの戦況の運び方は整っていたかに見えていた。

 

 

 

 

───────────が、しかしケーゴ自身、誤算はそこでは無かった。

 

 

 

途端に羅刹金砕棒を立ち上がるGP羅刹は背部から2振りのGNオーガソード弐式を抜刀。両方のバインダーを途端にパージし、

 

更に何を血迷ったかGP羅刹は紅い光を纏い浮遊し始める。

 

 

──「『鬼トランザム』ッ…!!」──

 

 

 瞬発的な野生の感だろうか、ケーゴは相手が切った"切り札"に戦慄を覚え、即座にビームの狙撃を撃ち放とうとした。

 が、バインダーをパージし軽量化した上に鬼トランザムを発動したGP羅刹はこれを難無く回避。

 

 その後もケーゴの高精密なスニークジェガンの狙撃を難無く回避、翻弄する様に高速移動をしながら、逆算で把握したスニークジェガンの位置に辿り着き、

 その上スニークジェガンのバックパックに在ったスペクトルジャムバインダー2基を2振りのGNオーガソード弐式で切断。

 離れライフルで撃ち抜こうとする寸前にプラグマテックスニークライフルもGNオーガソード弐式で破壊する。

 

 レーダーに漸く位置が捕捉され、ライフルを失うスニークジェガン。

 

 形勢の逆転が決まるか?

 

 エリアの凄まじい様を観ていたドージの心境はやや安堵に近い…。

 

 残す時間も僅かだった。

 

 「まぁ、"中々如何して"味のあるバトルだったが、ここまで…」

 

 「シールドリミッター解除…」

 

 

 振り向きと同時に振り下ろされるGP羅刹の2振りのGNオーガソード弐式だったが、瞬発的にグラップクローに変形したスニークジェガンのシールドとボックスタイプビームサーベルが受太刀し、片方のGNオーガソード弐式をスニークジェガンのグラップクローが握り潰すが、もう片方のGNオーガソード弐式の出力を上げた斬撃が、ボックスタイプビームサーベル基部を右腕部ごと斬り裂く。

 

 瞬発的にオーガはスニークジェガンにもトランザムが備わっていたのかと察したが、バイザーが引き上げられその隙間の元来のメインカメラが紅く発光している事から、

 "EXAMシステム"の一種と勘付き、

 

 「まだそんな"切り札"があったかよ。」

 

 「ダメですか?」

 

 漸く回復した通信の最中そんなやり取りが交わされた後、オーガのGP羅刹は左手から右手にGNオーガソード弐式を持ち換え、ケーゴのスニークジェガンはグラップクローを構える。

 

 「上等だぜ、来なァ!!」

 

 トランザム状態のGP羅刹はGNオーガソード弐式から炎の様なGN粒子のエネルギーの斬撃を撃ち込んで来る。だがその瞬間紙一重で躱したスニークジェガンはGP羅刹の背後を獲り、残るGNドライヴの最後の1基をグラップクローで掴む。

 その後接続が断ち切られるかに思えたが、残存粒子を纏っていたGP羅刹の炎を纏いしGNオーガソード弐式の斬撃が瞬発的にスニークジェガンの胸部ユニットに喰い込んでくる。

 

 そしてコックピットまで喰い込む寸前の瞬間、スニークジェガンが右のホルスターからリボルバー型ハンドガンの装備を引き抜き、

 

 「──乱れ撃つ。」

 

 GP羅刹の胸部を乱射するそれは、ビーム弾というより、

 RX-78型のスーパーナパームに酷似していた。

 

 「よくもまぁ…まだそんな装備が在ったたぁな…」

 

《battle ended》

《 draw 》

 

────────────────

 「どーしよう……」

 

スペクトルジャムバインダーが今回は2基と

ライフル、右腕部破損。

 

ターミナルのハンガースペースにて

ボロボロのスニークジェガンとGP羅刹を見上げていたオーガとケーゴがそこに居た。

 

毎度最近になってきて全くリペアのコストが馬鹿にならない始末のケーゴであり、

 

データ的に修繕はver1.78だったとしてもオリジナル装備が多かった為、ほぼ5、6日費やすだろうと判断出来た。

 「ハハハァッ!何シケたツラしてんじゃねぇよォ~。ここまで味のあるバトルをしやがる相手はそうそう居ないぜ?名前は確か…」

「そりゃどうも。K5です。面倒臭いんでケーゴとお気軽に呼んで下さい。」

 

 戦闘狂として暑苦しい相手ではある。おかげで機体もボロカスやられる一方であった。それは例えどんなに作戦を考慮したとしても同じ結果だろう。だがまぁ別にそんなに悪そうな相手でも無い事も解っていた。それ故、また一緒に戦う機会を作ってくれ、でなきゃ俺のフォースに来いと呼ばれてしまったケーゴは、敢えてオーガのフォース『百鬼』に入らない代わりに半ば強制的にフレンド登録を申し込まされこれに同意しまうのだった。

 

 「んで?てかなんで僕の事知ってたんですか?」

 と、ワーストランカーという噂で呼ばれていたか、それともパレードの事件の英雄という噂かどうか尋ねる。

 「あぁ、ドージが言ってた話か。何か…イカサマみてーな戦い方していた筈のダイバーが、ELダイバーのパレードのテロから現場にいた全てのダイバーを守ったっつー話って聞いたな。闇市場のエリアじゃけっこー噂だってな。まぁ実際は薄味のイカサマどころか濃厚珍味の筋金入りだったんだから問題ねーだろ~?」

 

 と、オーガから答えを聞き、尚更頭が痛くなるケーゴ。全部の逸話が複雑に絡み合っているわけでまぁ間違っちゃいないんだが、大分不味くも良くない噂がこんがらがってだいぶダメな方向に転がりつつある。

 

 ぶっちゃけチームプレイで誤解を受けやすかったケーゴとしては、GBNという趣味はソロプレイでひっそり楽しみたい派であり、その為にほんの極稀に誘われたフォースの勧誘も断り、そのプレイスタイルでどんな悪い噂で悪口を言われ嫌われ者や卑怯者の汚名を被る事になろうとも、

 

 "不正ツール使ってないんだから良いでしょ?"

 

 と堂々公言出来るプレイヤーでありたいと望んだ。

 

 だが現実問題、勝手に名が売れ始めるこの始末。そしてそこからのクレームもまた逆に怖い。ケーゴはそう考え始めるのも時間は長くかからず、

 

 「オーガさん、今さっきまでバトル…」

 とこれ以上噂が拡散しないように念の為警告しようとしたが…、

 

 「あぁ?ウチらのフォースにも言ってやるぜ?お前は文句ナシの珍味を味合わせてくれるダイバーだってな!!」

 

 あぁ、この人には何一つ逆らう様な話は出来そうに無い、と判断するのもそう長い時間はかからなかった。

 



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