大乱闘スマッシュブラザーズ Stern des Lichts (アヤ・ノア)
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プロローグ

ムービー名は「灯火の星」。
初っ端から原作非参戦キャラがファイターになっております。


 数多の可能性と戦士達が住む、争いの世界。

 今までも多くの危機が襲い掛かって来たのだが、戦士達によって、その全てを乗り越えてきた。

 

「今日こそ決着をつけてやる!」

 フォックスが、ブラスターを構えて言う。

 他の戦士達も、来る敵に備えていた。

 

 そして、空から無数のマスターハンドらしき手と、赤や青、白の翼に包まれた白い光が現れた。

「一人で10体くらい倒せればいけるか……?」

「ここまで来たら、やるしかないでしょう」

 マルスとゼルダが、真剣な表情で戦闘態勢を取る。

 普段はどちらかというと大人しい性格の二人だが、いざという時の行動力は凄まじいのだ。

「僕達なら、きっと勝てる!」

 ピットが、パルテナの神弓を構えながら言う。

 彼の言う通り、この危機も、戦士達は「予定通り」乗り越える事ができる。

 その、はずだった。

 

「!?」

 突然、無数の手がはがれ、青い光に変わる。

 その時、シュルクは未来視(ビジョン)を使った。

 無数の光が戦士達を貫き、ソニックはピカチュウより速いにも関わらず、

 ピカチュウを助けようとしたが間に合わず、そしてソニックも光に貫かれる――

 その未来が、シュルクに見えていた。

「みんな、逃げて!!」

 シュルクは戦士達に警告した。

 だが、その警告が来るよりも早く、戦士達を無数の光が襲った。

 

「くそ! なんだよ、こいつは!」

 リンクは剣と盾で光を防御していく。

 だが、数の多さに対処できず、リンクは光に貫かれた。

「私の攻撃が通用しない!?」

 サムスの射撃攻撃も通用せず、彼女もまた、光に貫かれた。

「はっ!」

「ぬぅん!」

 ゼルダとミュウツーが、バリアを張って光を防ごうとする。

 だが、光はバリアを貫通し、ゼルダとミュウツーを飲み込んだ。

「俺の手に掴まれ、ピカチュウ!」

「ああ、ソニ……うわぁ!?」

 なんだかんだで仲間思いのソニックは、ピカチュウを助けるために手を伸ばした。

「のあぁ!」

 しかし、二人とも間に合わずに光に飲み込まれた。

「そんな光、私には効かないわよ!」

 ベヨネッタは光が当たる直前で蝙蝠に変身し、攻撃を回避した。

「……っ! また来た!?」

 だが、次に来る光には対処できず、ベヨネッタは光の中に消えた。

「行けっ! トルトゥ、フィオーレ、ブレイズ!」

「我輩もこんなところで負けてはいられないのだ!」

 ロートのポケモン、ゼニガメのトルトゥ、フシギソウのフィオーレ、

 リザードンのブレイズと、クッパの攻撃が光を打ち消そうとしている。

 それでも、四人の攻撃は光に通用せず、彼らも光の中に消えていった。

「ぐおっ!?」

 ブルーファルコンに乗ろうとしたファルコンも、光に飲み込まれる。

 

「ふっ」

「お前とまた、こうして戦えるとはな」

 ルカリオとゲッコウガは、光と対峙していた。

 そして、ルカリオが攻撃をしようとすると、ルカリオは光に飲み込まれる。

「ルカリオ! く……残ったのは俺だけか!」

 ゲッコウガは飛び上がって光を回避するが、彼も光の中に消えた。

 

「まずい、光が……きゃあああああ!」

 インクを塗っていたマールは急いでインクの中に潜る。

 しかし、光は容赦なくインクごとマールを貫いた。

「ちっ……!」

「きゃああ!」

「「うわあぁ!」」

 その後も、ファルコが光に貫かれ、バリアを張っていたパルテナが光に貫かれた事で、

 奇跡を失ったピットとブラックピットは墜落し、光に飲み込まれた。

 スネークも、ダンボールごと光に飲み込まれた。

 その後も、空を飛んでいたディディーコングとロゼッタとチコ、

 逃げようとしたソレイユ、リュンヌ、ダック、ハント、りょうも光の中に消えた。

 

「逃げなきゃ! 逃げなきゃ……!」

 カービィは、ワープスターに乗りながら無数の光から逃れていた。

 あれに当たれば、自分もああいう風になってしまうと感じたカービィは、

 どんどんスピードを上げていった。

「うわっ!」

 もう少しで光が当たる……その直前で、カービィは宇宙に避難した。

 

 そして、争いの世界を、眩い光が包み込んだ――

 

 エアシューズの音が、荒野に流れる。

 カチャリ、カチャリと、鎌の音も聞こえてきた。

「ねえ、シャドウ……」

「……これはどういう事だ?」

 そこには、誰もいなかった。

 その場に残っていたのは、黒きハリネズミ・シャドウと、若き死神・ベルだけだった。

「僕以外……誰も生き残っていない……?」

「みんな……どこに行っちゃったの……?」

 シャドウとベルが呆然としていると、空から何かが降ってきた。

「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~!」

 それは、ワープスターにしがみついているカービィだった。

「いったぁ~~~~い!」

 そして、墜落したカービィを、シャドウとベルが見つめる。

「うぅ……くらくらする……。ね、ねえ、な、何が起こったの……?」

「それは私達にも分からないわ。

 でも、分かっているのは、私とシャドウ、そしてあんたがいるっていう事実だけ」

「僕はあんたじゃなくてカービィだよ!」

 ベルに「あんた」と言われて怒るカービィ。

「ごめんごめん、名前で呼ばなきゃダメだったのね」

「……それで、何をすればいいか、だが……。まずは、いなくなった奴を探そう」

「うん!」

「光のカービィに、闇のシャドウに、中立の私。これって結構いいパーティーじゃない?」

 

 幾多の世界の危機を潜り抜けた、争いの世界。

 その世界に、ついに、破滅の時が訪れた。

 今や、その危機を救えるのは、星の戦士と、究極生命体と、死神だけとなっていた。




というわけで始まりました、灯火の星二次創作長編です。
マイペースに投稿しますので、お待ちください。


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第一部:光の世界
1 ~ 病弱メイド・アイシャ


発売前に書いたものなので、原作設定を無視していますが、ご了承ください。


 カービィ、シャドウ、ベルの三人は、身体を失ったファイターを助けるため、立ち上がった。

 ちなみに、カービィ以外の二人が生き残った理由としては、

 シャドウはカオスコントロール、ベルは魂を守る魔法で光線を防いだからだ。

 

「行方不明とはいったけど……なんか、魂が凄く集まってない?」

「魂?」

 ベルは死神であり、魂や生命の気配には敏感だ。

 そんな彼女が、この場の異変に気付かないわけがなかった。

「そうよ。この世界に散らばった魂……これが異変の原因じゃないかと」

「確かに、戦士が魂になったという可能性はある。だが、それを証明できるか?」

 シャドウの言葉に、カービィは「あ!」と思い出したように叫ぶ。

「僕見たんだよ、リン兄やマルっちが光に包まれて消えたところを!」

「やっぱり!」

 もしも、リンクやマルスが光に包まれて魂になっていれば……

 この異変も、その光が原因かもしれない。

 ベルは真剣な表情で、強く鎌を握っていた。

「これはまずいわね……。このままじゃ、この世界が滅茶苦茶になるわ……」

「じゃあ、僕がみんなを助けに行こう!」

「待て。僕を置いていくつもりか?」

「カービィ……私達はどうなるわけ?」

「あ」

 カービィは、シャドウとベルの存在をすっかり忘れていた。

「あー、忘れてたよ。とりあえず、僕とシャド兄とベルベルは、チームでいい?」

「……その言い方は好きではないがな」

「ベルベルじゃなくてベルよ」

 カービィがシャドウとベルにつけたあだ名は、二人には不評なようだった。

 とはいえ、今戦えるのは三人しかいないため、チームを組む羽目になるのだった。

 

「じゃ、チームは決まったし、役割分担を決めましょう。まず、私は魂を探す係」

「僕はみんなを助ける!」

「……そして僕は邪魔な敵を倒す係、か」

「あんた、この中で一番強そうだしね」

 カービィは仲間を助ける役、シャドウは敵を倒す役、ベルは魂を探す役となった。

 今ここに、光と闇と死神のチームが結成された。

 

「さて。まずは、この世界に散らばった魂を探すわ」

「お前にできるのか?」

「私は死神よ? 魂の感知くらい朝飯前なんだから」

 そう言って、ベルは鎌を掲げ、精神を集中した。

「…………ここから10時の方向に、魂があるわ!」

「そこが、僕の目指す最初の場所か」

「よーし、待っててね!」

 カービィはバタバタと走り、シャドウはエアシューズ、

 ベルは魔法で加速してその方向に向かった。

 道中で、サブスペーサーのプリムが襲い掛かってきた。

 サブスペーサーは元々は異界の住人だったため、今回の異変の影響は受けていない。

 このプリムは武器を持たず、パンチとキックのみで攻撃するため、

 三人にとっては相手ではなかった。

 

「まったく、私達に襲い掛かってくるんじゃないわ」

「もう二回も亜空軍が来たのに、懲りないね!」

「この辺に落ちているものは、何もな……ん?」

 シャドウが辺りを探索していると、足元に拳銃が落ちていた。

「これ……銃じゃない! 一体誰のものかしら?」

「うーん、分かんない」

「……ともかく、拾っておいて損はないな」

 そう言って、シャドウは拳銃を持っていった。

「うーん、かさばるだけだと思うんだけどねぇ」

 

 三人が歩いていると、ブーメランプリムがカービィに向けてブーメランを投げてきた。

「ひゃ!」

 カービィはブーメランを回避するが、ブーメランはカービィがいた方に戻ってくる。

「そこだっ!」

 シャドウは狙いを定めて、ブーメランプリムのブーメランを拳銃で撃ち落とす。

「ありがとう、シャド兄!」

「勘違いするな、ブーメランプリムを倒しやすくするためだ」

 ブーメランを落としたプリムの戦闘能力は大きく落ちていた。

 プリムは急いでブーメランを拾おうとするが、

 そこにベルの一閃が入ってブーメランプリムは倒された。

 

「それ、かさばるだけだと思ってたのに、意外に使えるのね。私、こういうの苦手なのよ」

 ベルは銃器のように、複雑な構造の武器を使用するのが苦手だ。

 死神のほとんどが大きな鎌を使うのも理由の一つかもしれないのだが、ベルは手先が不器用だ。

「ま、それは私には使えないから、あんたが持ってなさい」

 そう言って、ベルはシャドウに拳銃を任せ、彼とカービィと共に歩いていった。

「……ん?」

 その時、ガサッ、という音がした。

 とても小さい音だったため、カービィは気付かなかった。

「どうしたの、カー……」

「うわああああああああああああ!!」

 突然、三人の足元で巨大な陥没が発生した。

 僅かに浮遊していたシャドウとベルは影響がなかったが、

 カービィはうっかり地面に足を着けていたため、

 ホバリングする暇もなく遥か下に転落してしまった。

 

「あららー、希望の光が落ちちゃうとはねぇ。

 ったく、タイミングが悪い時にぼんやりなんだから」

「仕方あるまい。あまり行きたくはないが、僕もあいつを探しに行こう」

「よし、レッツゴー!」

 シャドウとベルはカービィを追うため飛び降りた。

 

「これで落ちたのは二回目だよ……」

「大丈夫、カービィ」

「来てやったぞ」

 転んでいるカービィを、ベルが引き上げる。

 高いところから落ちてきたため、ホバリングをしないと脱出はできない。

「私とシャドウを掴んでホバリングできるかしら?」

「うん……やってみる!」

 ベルとシャドウは、カービィの手を掴んだ。

 カービィは大きく息を吸い込んで膨らむと、手を掴んでいた二人が宙に浮かんだ。

 同時に二人を持っているのか、もう片方の手を強くバタバタさせる。

 カービィは一生懸命に二人を運んでいた。

「う、うぅ、重いよぉ……」

「頑張って! もう少しよ!」

「うん……頑張る!」

 そして、10分後、カービィは二人を運んで地上に戻る事に成功した。

 

「あぁ~、疲れた」

 二人を一度に同時に運んだのか、カービィはぺたんと座り込んだ。

「お疲れ様。よく運べたわね。あんたは、しばらく休んでなさい」

「でも、どうやって休むの?」

「私に任せなさい!」

 そう言って、ベルは魔物除けの結界を張った。

「この結界は『死』の気配が強いから、魔物が近づかないわよ」

「中にいる僕達は平気なのか?」

「当たり前でしょっ、ちゃんと調整したから」

 

 三人が休憩を終えて15分後、魂のある方向を目指して歩いていった。

 道中は歩きにくい道だったが、ホバリングや技などを駆使して乗り越えていった。

 そして、しばらく歩いていくと、アイシャが倒れていた。

「ちょ、アイ姉!? 身体がないはずじゃ……」

「それが、抜け殻で見つかったのよね。……ねえ、アイシャ?」

 アイシャの近くには、桃色の髪のメイドらしき女性の魂……スピリッツが浮かんでいた。

 ベルは、じっとその魂を見ていた。

「……」

「どうしたの? ベルベル」

「……」

 カービィの言葉に、ベルは全く反応しない。

 四分後、三人の前に文字が現れた。

 

 フェリシア

 出身世界:戦記の世界

 性別:女性

 カムイに仕えるメイド。フローラの双子の妹。

 うっかり屋な性格で、軍の中で一番、破壊神。

 メイドだが、料理の腕は壊滅的。

 

「これ、なーに?」

「ああ……ここにいる魂の説明よ。出身世界や簡単な説明を見る事ができるわ」

「そうか……」

「凄いでしょ……と言いたいところだけど」

 ベルが自身の能力についてカービィとシャドウに説明すると、

 フェリシアのスピリッツはアイシャに入り込んだ。

 すると、倒れていたアイシャが、むくりと起き上がった。

「アイ……姉?」

「……ス……」

 スピリッツに憑依されたアイシャの目は、赤く染まっていた。

「……ケ……ス……」

「どうやら、この魂がアイシャの抜け殻に憑いたようね。倒して、魂を解放しましょう!」

「うん!」

「ああ」

 ベルの号令により、カービィとシャドウは戦闘態勢を取った。

 

「カオススピア!」

 シャドウが二発のエネルギー弾をアイシャに向けて飛ばし、牽制する。

「バーニング!」

「リーパー!」

 次に、カービィが炎を纏ってアイシャに体当たりをしてダメージを与えた。

 アイシャが怯んだ隙に、ベルは鎌を振って彼女を斬りつけた。

「あまり傷つけたくはないけど……ちゃんと戦うしかないみたいね」

「……ケ、シ、マスワ……」

 アイシャはナイフをカービィとベルに投げつける。

 カービィとベルはいくつかは弾いたが、いくつかは当たってダメージを受けた。

「来なさい」

 ベルは鎌を持っていて、何もしないように見える。

 アイシャはそのままベルに突っ込んでいったが、次の瞬間、アイシャに無数の棘が刺さった。

「グ……!?」

「トラップには気付かなかったみたいね。私の必殺技、ダークマジックよ!

 さあ二人とも、やっちゃいなさい!」

「おっけー!」

 カービィとシャドウはアイシャに突っ込んでいき、体術でアイシャを攻撃していった。

 アイシャは体力がないため、すぐに瀕死状態になった。

「……ウ……」

「とどめを刺すか」

 シャドウがアイシャを倒そうと拳銃を構えた時、ベルが止めに入る。

「待ちなさい、アイシャを殺しちゃダメ。私達は魂を解放するために戦っているのよ。

 だから、それを希望の光に託すために……リーパー!」

 ベルはカービィにとどめを刺してもらうべく、鎌でギリギリまでアイシャの体力を削る。

「カービィ、とどめはあんたがやりなさい!」

「よし、いくぞ! ファイナルカッター!!」

「……」

 カービィが飛び上がってカッターを振り下ろすと、

 アイシャの身体を乗っ取っていたスピリッツが彼女から抜け出した。

 同時に、戦っていたアイシャもばたりと倒れた。

 

「……」

「さっき、抜け殻って言ったよね、ベル姉……。ねえ……アイ姉をどうするの……?」

「このままにしておくわけにはいかないし……一応、こうするしかなさそうね。

 ……ソウルリバース!」

 ベルは、勢いよく鎌をアイシャに突き刺した。

「はあ……。はあ……。あれ、ここは、一体どこですの……?」

 すると、気絶していたアイシャはゆっくりと起き上がった。

 スピリッツに憑依されていた時の記憶は、アイシャには残っていないようだ。

「ね、ねえ……なんでアイ姉が起き上がったの?」

「私が死神の力でアイシャに仮の魂を与えたのよ」

 ベルが小声でカービィに説明した後、アイシャに事情を話す。

「あんたがどうなったのかというと、私達が……正確にはカービィが、

 あんたの身体を乗っ取っていた魂を取り出したのよ」

「どうだ!」

 カービィがえっへんと胸を張る。

 アイシャは「ありがとうございますわ」とカービィにお礼を言った。

「それで……マスターハンド様はどちらに?」

 アイシャは主人のマスターハンドがいない事に気が付き、辺りを見渡す。

 カービィは、アイシャに事情を説明した。

「マスターハンドは、みんなでたくさん光になって襲い掛かってきて、

 生き残ったのは僕とシャド兄とベルベルだけなんだ」

「ええーーーーーー!?」

 現在の生き残りが、自分を除くと三人しかいないという事実にアイシャは驚いた。

「もしかして、ファイターはあなた達以外、全滅したんですの!?」

 アイシャの言葉に、三人は静かに頷く。

 沈黙は、肯定の証だった。

「……はあ、まったく、大変な事態になりましたわね……」

 アイシャは荒廃した争いの世界を見て溜息をついていた。

「……わたしは、いつ休めるんですの……?」

「さあな」

 

 果たして、カービィ、シャドウ、ベル、アイシャは、

 絶望に満ちた争いの世界に、希望の光を灯せるのだろうか。




マスターハンドのメイド・アイシャがパーティイン。
主には会えるのでしょうか。


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2 ~ 異世界の魂

オリジナル展開はまだまだ続きます。


 フェリシアの魂を解放し、アイシャを仲間にしたカービィ、シャドウ、ベルは、

 次の魂を探して荒野を歩いていた。

「シャドウ、そんなの持ち歩いて、かさばったらどうなるの?」

 ベルは、シャドウがまだ拳銃を持ち歩いている事に不満のようだった。

「以前に使った事があるし、手に馴染むしな。

 ソニックは『俺にはそんなおもちゃ、必要ないけどな』と言っていたが」

「しょうがないわねぇ……」

 どうやら、シャドウは以前に銃器を使った事があるらしい。

 ベルは「やれやれ」と言いながら、彼が銃器を使う事を渋々許可した。

「あ、あの、傷ついたらわたしが治しますので、安心してくださいねっ」

 アイシャがキラキラと三人を見つめる。

 それは間接的に「傷ついてください」と言っているようだが、

 もちろんアイシャに自覚はなかった。

「後、お腹空いたらご飯お願いね!」

「はい、分かりましたわ。……あんまり長くは動けませんけど、ゴホッ!」

 アイシャが話した後に咳き込む。

 それは、彼女が病気であるという証拠であった。

「あまり無茶はするなよ。君が倒れたら、どうなるんだ」

「あれ、シャドウさん。どうしてわたしの心配を?」

「放っておけなくなっただけだ」

 シャドウはアイシャを心配するように声をかけた。

 あの時の未練は残っていないはずだが、何故か、放っておけなくなったらしい。

 

「さて、そろそろ魂を探そうかしらね……」

 そう言って、ベルは先頭に立ってスピリッツを探しに行った。

 しばらく歩くと、道が二本に分かれている。

「どっちの道に進んだ方がいい?」

 左の道には魔物がたくさんいて、右の道は不自然に草が茂っている。

 できれば魔物に遭遇せず、スピリッツを回収したいところだ。

「魔物に遭いたくないから、僕は右に行く!」

 カービィは魔物に遭いたくないため、右の道にパタパタ走り出した。

「あ、ちょっと待ってよカービィ!」

「わたし達を置いていかないで~!」

 アイシャ、ベル、シャドウは、カービィを追いかけていった。

 

「……うん。魔物はいないみたいだね」

 先に右の道に行ったカービィは、きょろきょろと辺りを見渡した。

 魔物がいない事を確認したカービィが先に進もうとした、その時。

 

「……え?」

 カービィの目の前に、一匹の毛虫が落ちてきた。

 その後、たくさんの毛虫がやってくる。

「ぎゃーーーーーーっ! 毛虫ーーーーーーっ!!」

 なんと、道には無数の毛虫がひしめきあっていた。

 毛虫が大の苦手であるカービィは思わず叫び出してしまい、固まった。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……追いついたわよ。まったくもう、行動が早すぎ」

「どうしてくれるんだ、カービィ」

 シャドウ、ベル、アイシャも、ようやくカービィに追いついた。

 しかし、カービィは道のど真ん中で青ざめていた。

「どうしました、カービィさん? ……カービィさん?」

 アイシャが心配になって声をかけると、カービィはぶつぶつと早口で何か言っていた。

「毛虫怖い毛虫怖い毛虫怖い毛虫怖い毛虫怖い毛虫怖い毛虫怖い毛虫怖い毛虫怖い毛虫怖い

 毛虫怖い毛虫怖い毛虫怖い毛虫怖い毛虫怖い毛虫怖い毛虫怖い毛虫怖い毛虫怖い」

 カービィは、大量の毛虫に出会った事により、精神にダメージを受けてしまった。

 そのため、このように狂気に陥ってしまったのだ。

「あ~あ……こんなにたくさん毛虫がいたのね。カービィのためにも、これは排除!」

 道には大量の毛虫がいて、これがカービィを発狂させた要因だろう。

 ベルは、大鎌を構えた後、毛虫の群れに一閃して真っ二つにした。

「カービィ、もう大丈夫よ」

 毛虫を全滅させたベルは、怯えているカービィをポンポンと叩いた。

「も、もう、大丈夫、な、の?」

「信じて! ほら、もう毛虫は……って、え?」

 ベルが道を指差すと、長い黒髪の、露出度の高い衣装をした女性のスピリッツを発見した。

 毛虫を一閃したらスピリッツが出てくるとは、

 パックンフラワーがファイターになった時のような衝撃を受けた。

「こ、これってスピリッツ!? ま、待って! 私が見るわ」

 ベルは、いきなり見つけたスピリッツの詳細を三人に見せた。

 

 ティファ・ロックハート

 出身世界:こことは異なる世界

 性別:女性

 アバランチに所属する女性。クラウドとは幼馴染。

 ザンガン流格闘術を使い、腕はなかなかのもの。

 抜群のスタイルとは裏腹に控え目な性格で、料理上手なため、母親のような存在。

 

「……」

 スピリッツとなったティファは、言葉を話さず、こちら側に敵意を見せていた。

 これも、あの光の影響なのだろうか……とベルは唾を呑む。

「……解放するわよ」

「うん!」

「ああ」

「分かりましたわ!」

 カービィ、シャドウ、ベル、アイシャは、

 ティファのスピリッツを解放するために戦いを挑んだ。

 

「……」

「うわあぁぁぁ!」

 ティファはカービィに突っ込んで掌底を三発叩き込む。

 格闘技が得意なだけありその威力はなかなか高い。

「お怪我はありませんか?」

「う、うん。いただきます!」

 アイシャはカービィに薬草で作ったお茶を振る舞った。

 あまり好き嫌いをしないカービィはそのお茶を飲んで、体力を回復した。

「ありがと、アイシャ。楽になったよ」

「どういたしまして」

「行くぞ!」

「やりぃ! 解放するわよ、ナイトメア!」

 シャドウはティファに拳銃を撃って牽制する。

 ベルはその隙に、闇を纏った大鎌を振るってティファを勢いよく斬りつけた。

「そー、れっ!」

 カービィはカッターを呼び出して勢いよく飛び上がった後、

 振り下ろして衝撃波をティファに飛ばす。

 攻撃はクリーンヒットしてティファに大ダメージを与えた。

「ハァッ!」

 シャドウは指を鳴らして時空の歪みをティファにぶつけ、ティファをこちら側に引き寄せる。

「ディバウアー!」

「……」

 ベルはティファを思いっきり切り裂き、同時にティファも水面蹴りを放った。

「あいたたた……でも、今度はそうはいかないわ! ヴォーパルサイズ!」

 ベルはティファの急所を狙って大鎌で斬りつける。

 そして、ティファがよろめいた隙に、炎を纏ったハンマーを構えたカービィが突っ込んだ。

「食らえーっ! 鬼殺し火炎ハンマー!!」

 そして、カービィがハンマーをティファに振り下ろすと、

 ティファのスピリッツは炎に包まれる。

 やがて炎が消えると、ティファのスピリッツは天に昇るのだった。

 

「よし! おーわりっと!」

 ティファのスピリッツを解放して喜ぶカービィ。

 一方で、ベルはちょっと辛そうな顔をしていた。

「どうしたの? ベルベル、元気ないよ?」

「はぁ……異世界のスピリッツもいるのね……」

「シャド兄がいる時点で、ね」

「あ」

「あ」

 ベルは、カービィに言われて、シャドウが異世界の住人である事を思い出した。

 カービィは、意外と鋭いところもあるのだ。

「……ま、まぁ、スピリッツを解放できてよかったわね。さ、次行きましょ、次」

「うん!」

 とりあえず、スピリッツの解放には成功したため、ベル達は次のスピリッツを探すのだった。




次からは本格的な冒険になります。


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3 ~ 灯火の星

これが灯火の星の実質的な本編スタートです。


 さて、ここまでのあらすじといこう。

 

 無数のマスターハンドを従え、新たなる創世を狙うキーラ。

 反抗勢力であるファイター全軍との最終決戦は――

 

 圧倒的な光に包まれて、終焉を迎えた。

 

 かくして“この世界”――争いの世界は、キーラの手に落ちた。

 戦えるファイターは、全滅した。

 他のものは全て身体を失い、“スピリット”と化した。

 

 生き残ったのは、たった三人。

 

 星の戦士と呼ばれる少年(?)、カービィ。

 人の手により生まれた黒き究極生命体、シャドウ・ザ・ヘッジホッグ。

 現世と常世の秩序を守る死神、ベル・クリーブ。

 

 “希望の星”は、混沌の中で、か細く瞬いていた。

 

「ってなわけで、とりあえず魂を使って、情報をいくつか集めておいたわ」

 ベルは、キーラについての情報を、魂を操る力を使って探った。

「私達がキーラ……って呼んでる奴は、ファイターの母体を使ってボディを生成したわ。

 それで、支配下に置いたスピリットの力を使ってボディを操ったの。

 だから、キーラは圧倒的な数と力の軍勢を持つわ。

 私達はこの世界を覆うスピリット達を、キーラの手から解放し、

 力を借りて、ファイターの母体を救うのよ」

「なるほど……そういう事だったのか」

「というわけで、ありがとね、魂さん♪」

 そう言って、ベルは魂を解放した。

 ちなみに、彼女が呼び出した魂は、スピリッツではない事をここで記す。

「さぁ~て、スピリッツをどんどん探すわよ!」

「はい!」

 ベルを先頭に、カービィ、シャドウ、アイシャは、スピリッツを探していた。

 魂の感知が得意なベルは、きょろきょろと辺りを見渡していく。

「う~ん、この辺に魂はあるのかしら? あ!」

「どうした?」

「ベルベル~?」

 突然、ベルが立ち止まり、目をキランと光らせる。

 カービィとシャドウも落ち着いて、彼女の目線の先を見た。

 すると、宙に黒い生き物が浮かび上がっていた。

「スピリッツみっけ!」

「おお、これで三体目だね!」

「よし、説明を見るわ!」

 ベルは、自身の能力を使って、スピリッツについての説明を見た。

 

 ドドロ

 出身世界:とある惑星

 性別:不明

 深緑と黒の身体と、気化した下半身を持つ不気味な原生生物。

 ピクミンを犠牲にしたくなければ、絶対に下半身にはピクミンを近づけさせない事。

 

「このスピリッツは、マリオのボディに入っているようね」

「マリオさんを攻撃するのは気が引けますけど……」

「だーめ! スピリッツを解放するのよ! ね?」

 ベルはやる気満々で大鎌を構える。

 シャドウも冷徹な表情で、戦闘態勢を取った。

「うん!」

 カービィも、満面の笑みを浮かべて、ドドロinマリオと戦う準備をした。

「あぁぁ~もう! 皆さん、本当に好戦的なんですから!」

 アイシャはハラハラしながら、ドドロとの戦いに臨んだ。

 

「カオススピア!」

 シャドウはドドロに混沌の矢を放ち、ドドロの急所を突いて大ダメージを与える。

「ナイトメア!」

「えーいっ!」

 ベルは闇を纏った鎌でドドロを斬りつけて怯ませた後、アイシャがビンタでドドロを攻撃する。

 病人のものとは思えないほど、威力は強烈だった。

「バーニング!」

 カービィは炎を纏った体当たりをドドロにぶちかました。

「その攻撃は、僕には届かない」

 ドドロはシャドウに衝撃波を放ったが、シャドウはワープして攻撃を回避した。

「すご~い、シャド兄!」

「ふっ、これが究極の力だ。さらに……!」

 シャドウはドドロに狙いを定めて拳銃を撃った。

 銃弾は吸い込まれるようにドドロの急所を貫いた。

「シャドウさんは、射撃が得意なのですね」

「流石は究極生命体ね。私もあんたに追いつくんだから!

 ディバウアー! からの~、ダウンリーパー!」

 シャドウの活躍で闘志に火がついたベルはドドロを鎌で引き寄せた後、

 鎌を大きく振り下ろして真っ二つにした。

 何度も攻撃を食らったドドロは逃げようとするが、

 カービィが目を光らせてドドロを追いかける。

「僕からは逃げられないよ~。大人しく捕まれ!」

 そう言って、カービィはドドロに組み付いた。

 そして、ドドロにとどめを刺す準備に入る。

「零距離鬼殺し火炎ハンマー!!」

 カービィは零距離から炎を纏ったハンマーを振り下ろし、ドドロのスピリッツを解放した。

 それと同時に、マリオのボディが消滅した。

 

「わぁい! これで3つ目のスピリッツが解放されたぞ!」

「よかった……もう大丈夫よ」

「僕達の勝ちだな……」

「はい。う、ゴホッ、ゴホッ!」

 天に昇っていくスピリッツを晴れやかな表情で見上げるベルと、

 ぴょんぴょん跳ねて喜ぶカービィ。

 シャドウとアイシャも、この戦いに勝てた事に安心した。

「うぅ……勝てたには勝てたんですが、ちょっと、休ませてくださいませ……」

「ええ、分かったわ。ゆっくり休みましょ」

 身体の弱いアイシャは、少し戦っただけでも疲れてしまうようだ。

 ベルはアイシャのためにも、安全な場所で休む事にした。

 

「お腹空いた……むにゃむにゃ」

「Zzz……」

「Zzz……」

「……」

 

 果たして、カービィ、シャドウ、ベル、アイシャの四人は、

 キーラの手から世界を救えるのだろうか。

 この四人の冒険は、まだ始まったばかりである。




私はこれを執筆する時、ずっと「スピリット」を「スピリッツ」と思っていました。
今更変えるわけにはいかないので、この小説では一貫して「スピリッツ」表記にしています。


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4 ~ 動物の魂を解放せよ!

今回から、解放したスピリッツはあとがきに説明として書かせていただきます。
また、pixiv版と同時進行になるので、予約投稿にしています。


「ふぅ……疲れが取れましたわ」

「よかった」

 敵に見つからない場所で疲れを取った四人は、散らばったスピリッツを探す旅を再会した。

「やはり、人の気配はありませんわね」

「まあ、こんな状況じゃあ、ね」

 現在、キーラの襲撃によって、戦える者は非常に少なくなっている。

 マスターハンドに仕えるメイドのアイシャを助けたばかりではあるが、

 まだ、こちら側の勢力はキーラ側の勢力より遥かに少ない。

 キーラはファイターやスピリッツ、さらにはマスターハンドまでも手駒にしている。

 逆に言えば、彼ら以外の戦力は少なめという事になるため、

 四人はファイターやスピリッツを解放してキーラ側の戦力を減らすという作戦を実行したのだ。

「ふん、所詮は自分だけじゃ何もできない奴ね。

 私が全部解放するから、待ってなさいよキーラ!」

「ああ……相手が光の化身だろうと、僕の究極の力で全て潰してみせる」

 ベルとシャドウは、にやりと口角を上げて、今はいないキーラに宣戦布告をした。

 カービィとアイシャは、呆気に取られていた。

「ベルベル?」

「まったく、シャドウさんったら……」

 ベルとシャドウは、変なところで気が合うのであった。

 

「おっと! イーブイの魂を見つけたわ」

 こうして四人が次のスピリッツを探していると、

 目の前に四足歩行の生き物のスピリッツが浮かんでいた。

 ベルはそれを見逃すわけがなく、三人にこれがイーブイのスピリッツだという事を説明する。

「後、あわはきポケモンのシャワーズ、かみなりポケモンのサンダース、

 ほのおポケモンのブースターがいるわ」

「つまり、僕達と四対四で戦うって事?」

「そうよ。……ほら!」

 ベルがそう言うと、イーブイ、シャワーズ、サンダース、ブースターのスピリッツが、

 ヨッシーのボディに入り込んだ。

 ヨッシー、いや、イーブイズはむくりと起き上がり、四人に襲い掛かった。

「せいっ!」

「やあっ!」

 シャドウは手から混沌の矢を放ってブースターを牽制し、

 ベルは怯んだブースターに鎌を振ってダメージを与える。

「ファイアだよ!」

 カービィはブースターが吐いた炎を吸い込んでファイアをコピーした。

 ブースターとシャワーズは炎に強いため、カービィは体力が低いイーブイを炎の息で攻撃した。

「ブイッ!」

 しかし、イーブイは根性を見せてファイアカービィの炎を耐えた。

「うわ、イブイブ、耐えるの?」

「多分、キーラに操られて強くなってるのよ。

 ただのイーブイやその進化形だと思わないようにしなきゃね。こっちは少数戦力だしね」

「……そうだな」

「油断大敵ですわ」

 イーブイ、シャワーズ、サンダース、ブースターのスピリッツは、

 キーラの支配下にあり、能力が強化されている。

 ベルは真剣な表情で鎌を構え直し、シャドウとアイシャも気を引き締めた。

「どうか、目覚めてください」

 アイシャはイーブイに近づき、包丁を構えてイーブイに突き刺した。

 包丁はリーチが短いが、アイシャの技巧により上手くイーブイに命中し、

 イーブイは戦闘不能になった。

「やりましたわ。……でも、これで倒したなんて……」

「アイ姉! 刃物なら、マルっちやリン兄、僕も使ってるから平気だよ!」

 イーブイを倒し、喜びながらも包丁でとどめを刺したために暗くなるアイシャ。

 そんな彼女を、カービィは元気良く慰めた。

「ありがとうございますわ、カービィさん……」

「えへへ」

 これで残るはシャワーズ、サンダース、ブースターの三匹だけだ。

「ブー、スター!」

「遅い」

 ブースターの体当たりをシャドウはかわし、回し蹴りで反撃し、混沌の力で時間を遅くして連続攻撃をブースターに叩き込んだ。

「サンダーッス!」

「くぅっ!」

 だが、シャドウがいた場所にサンダースが10万ボルトを落としてシャドウに大きなダメージを与えた。

「シャドウさん、治します!」

 アイシャは遠くからシャドウに回復薬を投げ、ダメージを回復する。

「別に、助けられたくは……」

「ダメですわ! 傷ついては困りますもの。回復役がいなかったらどうしますの!?」

「やれやれだな」

 アイシャは優しい性格だが、お節介な部分があり、また意外に考えを譲らない人物だ。

 シャドウは呆れながらも、体術や混沌の力でスピリッツ達を攻撃していった。

「ブイブーイ!」

「ヨシ君の顔でブイブイ鳴くなんて、変わってるね」

 カービィはイーブイズのスピリッツが入ったヨッシー達を見てそう感想を述べる。

「あら、ドドロやフェリシアの時もそうだったわよ?

 あれは身体と中身が違うだけよ、カービィ」

「へーっ、そうなんだー」

 ボディは別のファイターだが、あくまで中身はそのスピリッツである。

 まだ幼いカービィは、それがあまり分からなかったようで、ベルは彼に詳しく説明した。

 だが、説明している間にシャワーズ、サンダース、ブースターが四人に襲いかかってきた。

「油断も隙もないんだから!」

「スキって美味しいの?」

「いや、そういう意味じゃなくて……もう!」

「奴らは正々堂々という言葉を知らないのだろう。ならば、僕も同じ手を使うだけだ」

「手段を選ばないでよ!」

 シャドウは混沌の力でサンダースの背後に回り込み、手刀をサンダースの急所に叩きつけた。

 ベルはシャワーズとブースターの攻撃を鎌で往なしつつ、闇魔法で反撃する。

「バーニング!」

 そして、シャドウが体力を減らしたサンダースを、

 カービィがバーニングでとどめを刺し、サンダースを撃破した。

 

「さあ、後はシャワーズとブースターだけよ!」

「うん! まずは、こうしてっと」

 カービィはファイアの能力を捨て、能力星をブースターにぶつける。

「ベルベル、あの青いのの動きを止めて!」

「分かったわ! ダークマジック!」

「カオスマジック」

 ベルとシャドウがシャワーズの動きを止めた後、

 カービィはシャワーズを吸い込んでウォーターをコピーした。

「よぉーし! ウェーブショット!」

 カービィはブースターに水の塊を放った。

 水属性に弱いブースターは弱い威力の攻撃で大ダメージを受ける。

「この調子でいくよ! なみのり!」

 さらにカービィは波を呼び出してそれに乗り、ブースターに突っ込んで大ダメージを与えた。

「これで終わりだ! かんけつせん!」

「ディバウアー!」

 そして、カービィの水柱がブースター、ベルの鎌がシャワーズにクリーンヒットし、

 ブースターとシャワーズも倒れ、戦闘は終わった。

 残ったヨッシーのボディは全て霧になって消え、

 シャワーズ、サンダース、ブースターの魂はイーブイと一体化して元に戻った。

 

「はあ……まさか四体も来るなんて……」

「イーブイだけだと思ったのに、進化したのが三匹も来たよ。

 ベルベルが言わなかったら、僕達、負けてたよ」

「だって私、死神だもの。あんた達の死の運命をあいつらに押し付けたのよ」

「……」

 死神だという事をアピールするベル。

 そういえば、こいつは死神自慢をしたな……とシャドウは思った。

「スピリッツ、結構解放したわね」

 カービィ達が解放したスピリッツは、フェリシア、ティファ、ドドロ、イーブイの四体だ。

 こんな状況なので、こちらできちんと管理しなければ、

 再びスピリッツはキーラに奪われてしまうだろう。

「で、ベルベル、スピリッツをどうやって守るの?」

「こんな事もあろうかと、これを用意したのよ」

 そう言ってベルが取り出したのは、モンスターボールにそっくりな箱だった。

「これはスピリッツボールよ。解放した魂を入れておくものよ」

「箱なのにボールって言いますの?」

「ダンボールもボールっていうのと同じよ。さ、みんな出なさーい!」

 ベルがそう言うと、フェリシア、ティファ、ドドロ、

 イーブイのスピリッツが四人の目の前に現れた。

『呼びましたか、ベルさん?』

『あなたがベルっていうのね』

『……?』

『ブーイ!』

「呼び出してごめんなさいね。実はかくかくしかじかで……」

 ベルは、スピリッツ達に今回の事情を説明した。

『そんな! カムイ様はどちらに……ああ……』

『クラウドはどこにいるのかしら?』

『……』

『ブイブイ、ブーイ』

 カムイがおらずおろおろするフェリシアと、クラウドに会いたがっているティファ。

 ドドロは無口なままで、イーブイは離れたくないよとベルにすり寄る。

「大丈夫よ、守ってあげるから。さ、スピリッツボールに入りなさい」

 ベルがスピリッツボールを開けると、四体のスピリッツは光になり、箱の中に吸い込まれた。

 その力は、有無を言わさない強力なものであった。

「……凄い力だね、これ……」

「……」

「……さ、さあ、他のスピリッツを探しますわよ!」

「う、うん!」

 四人は気を取り直して、次のスピリッツを探しに歩いて行った。

 群がる雑魚を倒しながらしばらく歩いていくと、白い雲が行く手を塞いでいた。

 雲は分厚く、四人の力では通れそうになかった。

「どうするの、これ。みんなを助けられないよ」

「どうするの、と言いましても……わたしは雲を払えませんし……」

「「う~~~ん……」」

 カービィとアイシャが考え込んでいると、

 ベルは梟のスピリッツがプリンのボディに入り込むのを目撃した。

「あ、待って! スピリッツだわ! こいつを助ければいいかもしれない! 確か、名前は……」

 ベルはスピリッツを解析して三人に情報を見せた。

 このスピリッツの名前はフーコといい、フータの妹に当たる梟だ。

「わ……たし……は……フーコです」

「あれ? ボディのプリン、フーコと声似てない? 気のせいかしら……」

「気のせいだよ」

 フーコの声がボディのプリンと似ているため、ベルは首を傾げた。

 一方で、シャドウはフーコをじっくりと観察し、戦闘力を計っていた。

「このスピリッツにしては、大して強くはなさそうだな。カービィ、お前一人で十分だ」

「え、僕だけ?」

「こんな奴に無理して皆で戦わなくてもいい、という意味だ」

 つまり、歴戦の勇者が、雑魚相手に複数で挑む必要はないのだ。

 カービィは少し狼狽えながらも頷いて、フーコのスピリッツに戦いを挑んだ。

 

「勝ったよ!」

「当然だったな」

 結果は、シャドウの言う通り、あっさりとフーコに勝利した。

 この呆気ない終わり方に、ベルとアイシャは唖然とした。

 カービィがフーコのスピリッツを解放すると、分厚い雲はゆっくりと晴れていった。

「ほら、ね」

「ホントだ! ベルベ……え!?」

 カービィがベルに感謝しようとすると、彼はとんでもないものを目撃する。

 ベル、シャドウ、アイシャも、カービィと同じ方向を向いた。

 四人の目の前にいたのは……台座に縛られた、マリオの姿だった。

 

「マリおじちゃん!?」

 マリオが縛られた台座の下から、次々と灰色のマリオが落ちていく。

「! これは……ボディ!?」

「しっかりして、マリおじちゃん!」

 これが、捕らえたスピリッツを操るために入れる、ボディのようだ。

 カービィはマリオに声をかけるが、マリオは微動だにしない。

「マリおじちゃん!」

 カービィが慌ててマリオを縛っている台座に触れると、

 突然、鎖が砕け散り、台座からマリオが落ちてくる。

「よかった、無事だったんだね! さ、僕と一……」

「近付くな!」

 カービィがマリオに抱きつこうとした瞬間、シャドウがカービィに叫ぶ。

「シャ、シャド兄?」

「……」

 慌ててカービィがマリオから離れると、マリオの目がゆっくりと開いた。

 その目は、血のように赤く染まっていた。

「マリ、おじ、ちゃん……?」

 カービィが呆然としていると、マリオがカービィに襲い掛かった。

「うわぁぁぁぁ!」

 カービィは何とか攻撃をかわすが、

 いきなりマリオが襲い掛かって来た事にカービィは動揺を隠せなかった。

「どうしたの、マリおじちゃん! 僕だよ、カービィだよ!」

「……」

 カービィがマリオに呼びかけるが、彼は反応せずに攻撃を続ける。

 ベルは冷静に、カービィにこう言った。

「……カービィ、よく見なさいよ。マリオの目」

「あ、真っ赤になってる!」

「そうよ。今、マリオは、ボディを生み出す道具としてキーラに操られてるのよ」

「そっか……」

 ベルが、マリオがキーラに操られている事をカービィに説明すると、

 彼はすぐに表情を笑顔に変える。

 そして、カービィはマリオにこう叫んだ。

「じゃあ、僕が戦って助けてあげる! 大丈夫! 今も昔も『殴って』助けるんだから!」

「え、殴って、って……」

「要は戦わなきゃいけないってわけ」

 満面の笑みを浮かべてそう言ったカービィと、若干引いた様子のアイシャ。

 つまり、マリオを倒さなければ彼は正気に戻らない、という事なのだ。

「ま、とりあえず、マリオに勝たなきゃね!」

「あまり、乗り気ではないがな」

 ベルは大鎌、シャドウは拳銃を構えて、マリオと戦う態勢を取った。

「じゃあ、いっくよー!」

「目を覚ましてくださいね、マリオさん」

 カービィとアイシャも、二人に続いて戦闘態勢を取った。




~ベルのスピリッツ名鑑~

イーブイ
出身世界:ゲフリアース
性別:♂♀両方存在するが♀はかなり少ない
第一世代から登場しているしんかポケモン。
ノーマルタイプで、特性はにげあし、てきおうりょく、隠れ特性はきけんよち。
現在、八種類のポケモンに進化する事が確認されている。

フーコ
出身世界:どうぶつの森
性別:女性
博物館の天文台にいる梟の女性。星座は乙女座。
フータとは兄妹。照れ屋な性格。ちなみに、台風の名前ではない。


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5 ~ マリオを救え!

初期ファイター以外で初めて助けるファイターとの戦いです。


 キーラに操られたマリオとの戦いが始まった。

 

「叩き切る!」

「……」

 ベルは前方を鎌で叩き切ってマリオを攻撃する。

 マリオは鎌を受け止めて、キックで反撃する。

「ひゃあ! 何すんのよ」

「マリオさん、どうしましたの!? しっかりなさいませ!」

 アイシャがマリオに皿を投げるが、マリオはそれを緊急回避し、

 アイシャの背後に回り込んで投げ飛ばした。

「きゃあ!」

 勢いよく投げられたアイシャは転倒してしまう。

 手加減も何もない、本気の威力であり、アイシャの事など全く見えていなかった。

「操られてるから何も手加減してないみたいね」

「マリおじちゃん、正気に戻って!」

「倒してでもお前を連れ戻す!」

 カービィは勢いよくマリオを蹴って吹っ飛ばした。

 シャドウは吹っ飛んだマリオに向かってホーミングアタックを繰り出す。

「……」

 マリオはアイシャを思いっきりファイア掌底で攻撃し、アイシャを吹っ飛ばす。

 アイシャは転倒し、動けなくなった。

「マリオさん……わたし達の声、聞こえないのですか?」

キーラ(あいつ)が操ってるんだもの、あんたの声が聞こえるわけないでしょ?

 だから今、こうして戦っているのよ」

「それもそうでしたわね……」

「アップリーパー! ハーベスター! カタストロフィ! メテオブレイカー!」

 ベルは祈りを込めた鎌を振り上げてマリオを空中に浮かせ、

 飛び上がって鎌を連続で回して攻撃した。

 コンボのフィニッシュで鎌を下に振り、マリオを地面に叩きつけた。

「そこだ!」

 シャドウは身動きが取れないマリオに狙いを定め、銃を撃ってダメージを与える。

「……」

「くっ!」

 マリオは隙を突かれたため、反撃でシャドウにファイアボールを放った。

 ファイアボールはシャドウの目の前で爆発し、彼を吹き飛ばすが、すぐにワープで復帰する。

「マリおじちゃん、待ってて! バーニング!」

「……」

 カービィの炎を纏った体当たりを緊急回避でかわすマリオ。

「おっと!」

 しかし、かわした先にはベルが待ち構えていて、彼女の鎌がマリオを一閃した。

 だがマリオも意地を見せてベルを勢いよく投げ飛ばした。

「ひ~。あなた本気なのね」

「だがこの攻撃は避けられまい。カオススピア!」

 シャドウは混沌の力を使ってたくさんの矢を放ち、マリオを串刺しにする。

 その隙にカービィがマリオに突っ込んでパンチとキックの乱舞で攻撃する。

「お願いです! 元に戻ってください、マリオさん! キーラなんかに負けないでください!」

 アイシャは、キーラに操られているマリオに必死で呼びかけた。

 戦わなければならないとは分かっていても、心の中では戦いたくないという気持ちが強く、

 呼びかけてマリオの心を取り戻そうとした。

 だが、いくらアイシャが呼びかけても、マリオが戦いの手を止める気配はなく、

 彼はアイシャにファイアボールを放った。

 

「マリオ、さん……」

「……」

 アイシャは目にうっすら涙を浮かべる。

 マリオはスマッシュブラザーズのリーダー格で、

 どんな時でも仲間と戦い、困難を乗り越えてきた。

 しかし、キーラに操られているとはいえ、仲間を攻撃しているという事実を、

 アイシャは認めたくなかった。

 戦って元に戻したい、でもできるなら戦わずに元に戻したい。

 アイシャはその板挟みになっていた。

「……確かに、マリオは彼女(キーラ)が支配しているわ。

 でも、カービィは戦う前に言ってたわよね? 『殴って』元に戻すって」

「殴って……?」

「そうよ。殴って元に戻せるのはカービィだけ。私達はそれに、参加しているに過ぎない」

「だから、お前が気に病む必要はないという事だ。カオススパーク!」

「ディバウアー!」

「えーいっ!」

 シャドウは指を鳴らし、マリオを時空の歪みに飲み込んだ。

 その後、ベルがマリオを鎌で斬りつけ、カービィがマリオをキックした。

「そうでしたのね。ありがとうございますわ、カービィさん、シャドウさん、ベルさん。

 わたしだけが背負う必要はありませんのね。

 では、わたしは皆さんをサポートいたします! マリオさん、あなたを必ず取り戻しますわ!」

 アイシャは、三人のおかげで肩の荷が下りた。

 そして彼女は、傷ついたカービィ達を薬や紅茶で回復しつつ、皆を応援して士気を高めた。

「……」

 マリオはファイア掌底をカービィにぶちかます。

 しかし、カービィは余裕で攻撃をかわし、ホバリングしてストーンでマリオを攻撃する。

 そして、元に戻すためにカービィはハンマーを構え、力を溜める。

「元に戻って! 鬼殺し……火炎ハンマーーーーーーーーーーーー!!」

 カービィの、炎を纏ったハンマーが、マリオの腹部にクリーンヒットした。

 そして、マリオは吹き飛ばされ、しばらくの間地面を滑っていたが、1分後に動きが止まった。

 

「マリおじちゃん、マリおじちゃん!」

 カービィは、倒れているマリオを必死で揺すった。

「僕の声が聞こえるか?」

「しっかりしなさいよ、マリオ」

「起きてください、マリオさん……」

 シャドウ、ベル、アイシャも、倒れたマリオに声をかけていく。

「……う……」

 しばらくすると意識を取り戻したのか、マリオはゆっくりと起き上がった。

 彼の眼は、いつも通り、青色だった。

「マリおじちゃん! 元に戻ったんだね! やっぱり殴ってよかった~~~!」

 正気に戻ったマリオに飛びかかるカービィ。

 何気に、言った言葉が酷かったのだが。

「本当によかったわね、元に戻って。やっぱり、カービィの言った事は正しかったわ」

 カービィが殴ったおかげで、マリオを正気に戻す事に成功した。

 仲間を取り戻したベルは、ニッコリと笑う。

 しばらくして、シャドウはマリオに話しかける。

「ああ、それと……どうしてお前は、いきなり僕に襲い掛かったんだ」

「シャドウさん、病み上がりですからそうするのはよくないですわ」

 アイシャがシャドウの行動を注意するが、マリオは「いいんだ」と首を横に振る。

 そして、マリオは四人に事情を話した。

「あの光がぶつかって、俺は死にそうになった。

 争いの世界なのに死ぬっておかしいよな。でも、確かにそんな感覚だった。

 気が付くと、俺は真っ白い光の中にいた。光の中には誰もいなかった。

 俺以外には誰もいないはずだった。でも、光の中で、女の声が聞こえてきた。

 『我が名は光の化身キーラ。我が軍に入れ』と。俺は必死で抵抗したが、何もできなくて……」

「大体、事情は分かったわ」

 マリオから事情を聞いたベルは、頷いた後、鎌を持ち上げる。

「要は、あんたを含めたファイターは、みんなキーラに捕まって利用されたんでしょ?」

「多分な」

「私と一緒に、みんなを助けましょう! 操られたのがあんたには屈辱でしょ?」

「……そうだな。俺を利用したキーラが許せないぜ……!」

 マリオはぎゅっと握り拳を作る。

 自分を光に閉じ込め、ボディを作る母体として利用したキーラを許さない、

 という気持ちが、マリオの中に生まれたのだ。

「スマブラメンバーが一人、わたし達の下に戻りましたね。

 この調子で、皆さんをキーラさんの手から解放しましょう!」

「「「「おーーーーーっ!!」」」」

「……」

 

 こうして、カービィ、シャドウ、ベル、アイシャの四人は、

 ミスタービデオゲーム、マリオを解放する事に成功した。

 まだキーラに捕まっている人達は多いが、一人解放できただけでも、良しとしよう。




マリオ参戦!! なお話です。
他所で連載していた部分と、ほんの少しだけ違うところがあります。
見つけられたかな?


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6 ~ 囚われし三人の戦士

原作では三択で誰か一人だけを解放しますが、テンポが悪くなるため全員を一気に助けるという展開に変更しました。


 カービィ達はキーラに操られたマリオを助ける事に成功した。

「よし、これでまずはスマブラメンバーを一人助けたわね」

 スマブラメンバーのリーダー的存在であるマリオを助けたため、四人の士気は上がった。

 まずは、彼がいなければ、スマブラは始まらないと言えるからだ。

「マリオさん、あの、わたし、あなたを元気にするためにマカロンを作ってきましたわ」

「お、美味そうだな」

 アイシャは、マリオにマカロンを渡した。

 初めて見るお菓子に興味を持ったマリオは、マカロンを口に入れた。

 すると、マリオが微妙な表情になった。

「ぐ……なんだ、この、味は……」

「あ、あの、嫌いでしたか?」

「なんというか……なんとも言えない味だ」

「え?」

 どうやら、アイシャが作ったマカロンは、マリオには不評だったようだ。

 改めてアイシャがマカロンを食べてみると、アイシャもなんとも言えない表情になった。

「お前、ちゃんと味見はしたか?」

「しましたけど……何故かこういう味になっちゃうんです。申し訳ありません」

 アイシャは、微妙なお菓子を作った事を謝った。

 彼女が作る紅茶は美味しいのだが、お菓子を作ると微妙な味になってしまうのだ。

 この癖はアイシャも理解しているが、それでも直そうに直せなかった。

「まぁ、そんな事は構わないわ。次の仲間を助けに行きましょう」

「そうだな」

 気を取り直して、五人は次の仲間を助けるために目的地を目指して進んだ。

「それで、次の仲間はどこに捕まっているんだ?」

「うーん……ちょっと待って」

 ベルは額に人差し指と中指を当てて、仲間の「魂」を感知した。

 カービィはそれをわくわくしながら見守っていた。

 シャドウは訝しい表情になるが、アイシャは大丈夫だという様子で見守った。

 

「……いたわ」

 しばらくすると、ベルは三択地点の方をじっと見つめた。

 どうやら、そこに仲間の魂がいるようだ。

「光に縛られし三つの魂が、そこにある」

「それって、どういう事?」

「キーラに捕まった奴が三人いるという意味よ。

 ……早く、彼女(キーラ)の支配を解きましょう」

「うん!」

 ファイター達はキーラに捕まり、母体を生み出す道具となっている。

 このままでは、ファイター達の命が危ない。

 ベルは、真剣な表情で鎌を握り締めた。

 カービィ、シャドウ、アイシャ、マリオも、彼女に続いて仲間を助ける体勢を取った。

 

「あぁ、もう、邪魔だよ邪魔!」

「キーラめ……僕の邪魔をするつもりか!」

「こんな弱い奴までもスピリッツにして操るなんて、どうかしてるぜ」

「この世界の安定のためにも、助けなくちゃね」

「マスターハンド様、待っててくださいね。わたしが必ず助けますから」

 五人は、襲ってくる野良スピリッツを撃破しつつ、

 三人が捕まっている三択地点に行こうとした。

 しかしそこに、五本の足が生えた、土偶のような生物(?)が立っていた。

 キーラに操られたスピリッツだと見抜いたベルは、そのスピリッツを解析した。

「これはハイラル世界にいるガーディアンよ。ガノンを倒すつもりが逆に利用されるなんてね。

 いい? みんな、解放するわよ!」

「うん!」

 ベルの号令で、五人はガーディアンのスピリッツを解放する戦闘体勢に入った。

 

「……」

「スライサー!」

「ミドルキック!」

 シャドウがカオススピアを溜めている間に、ベルとマリオがガーディアンを攻撃していく。

 二人が足止めしている間に、カオススピアは溜め終わったようで、

 シャドウは混沌の矢を連続で放った。

「ぐあぁ!」

 ガーディアンはマリオに狙いを定めて単眼からレーザーを放って攻撃する。

 威力はかなり高く、マリオは吹っ飛ばされる。

「あーん、当たらないよー!」

「当たらないから、こうするまでよ! ダークマジック!」

 ベルはガーディアンがいる場所に魔法陣を設置し、闇の棘でガーディアンの動きを止めようとした。

 ガーディアンは魔法陣をかわそうとするが、

 カービィの援護があってギリギリで踏み、ガーディアンの動きが止まった。

「そらよ! ファイア掌底!」

「メイドビンタ!」

 マリオとアイシャはその隙に掌底とビンタでガーディアンに連続でダメージを与える。

 シャドウは後方から拳銃を連射してガーディアンの体力を削った。

「おのれ……!」

「きゃああっ!」

 ガーディアンはレーザーでシャドウとアイシャに反撃し、大ダメージを与えた。

「うっ、なんて威力ですの。とりあえず、回復いたしますわ」

 アイシャは紅茶を周囲に振り撒き、マリオ、シャドウ、自分の蓄積ダメージを回復する。

「ありがとよ」

「回復量は落ちますけどね」

 この争いの世界では、回復系の特技は回復量が少なくなる。

 それは、そのままの回復力だと戦いが長引くためだからだ。

 そんな事を両手袋は許さないと、このような理《ことわり》にしたのだろう。

「それでも助かったぜ。ファイア掌底!」

 マリオは炎を纏った掌底をガーディアンにぶちかます。

 ガーディアンはレーザーをアイシャに放ったが、

 マリオが前に立ち、スーパーマントで跳ね返し、大ダメージを与えた。

「これでとどめよ! ディバウアー!!」

 そして、ベルが大鎌を一閃すると、ガーディアンのスピリッツは解放され、

 スピリッツボールの中に入った。

 

「はぁ、一時はどうなる事かと思ったよ。でも、ベルベルがいれば安心だね!」

「どんなもんだい!」

 そして、ガーディアンを倒した五人は、仲間が捕まっている三択地点に辿り着いた。

 そこにいたのは、台座に縛られたマルス、シーク、そしてりょうの姿だった。

「マルっち! シー君!」

「りょうさんも……犠牲になっておりますのね」

「まだ死んでないぞ」

 痛々しい姿に、カービィとアイシャが悲しみ、シャドウが突っ込みを入れる。

「皆! 元に戻れ!」

 マリオがマルス、シーク、りょうが捕まっている台座に触れると、

 鎖が砕け散って三人がゆっくりと降りる。

 三人の目は、以前に操られたマリオのように、真っ赤に染まっていた。

「待ってて……君達は必ず、僕が助けるから!」

「利用されるのは屈辱だと知ったからな」

「さ~て、バッサリいくか! なんてね」

 カービィ、シャドウ、ベルと彼らの仲間は三人を助けるべく、戦闘態勢を取った。

 

「カオスマジック!」

 シャドウは指を鳴らしてりょうを混沌の渦に巻き込んでダメージを与える。

「カタストロフィ!」

「……」

「速っ!?」

「僕ほどではないがな」

 ベルの鎌攻撃をかわすシーク。

 だが、そこにマリオがいたのには気付かず、マリオはファイア掌底でシークを攻撃した。

「……」

「うわぁ!」

 マルスはファルシオンでカービィに斬りかかる。

 その刀身は、キーラの呪縛の影響で神々しくも禍々しく染まっていた。

「……」

「ぐああぁぁぁぁ!」

 シークは回し蹴りと飛び蹴りを連続で放つ双蛇でマリオに大ダメージを与えた。

 以前のマリオ同様、全く手加減をしていなかった。

「ナイトメア!」

 ベルはシークに大鎌を投げつけ、戻った勢いでりょうも斬りつける。

「元に戻れ! ファイアボール!」

 そして、マリオのファイアボールがりょうに命中すると、りょうは倒れた。

 

「よし、まずは一人だ!」

「……」

「おっと!」

 りょうが倒されたため、マルスは敵討ちのように斬りかかるが、マリオは攻撃をかわす。

「いくぞ! そこだ!」

 シャドウは拳銃と体術で舞うようにシークを攻撃する。

 シークは仕込針をカービィに投げつけるが、カービィは全て吸い込んで飲み込み、

 ニンジャをコピーした。

「いづなおとし!」

 カービィはマルスに突っ込んでいき、彼を掴むと高く飛び上がって地面に叩きつける。

 シークはアイシャに仕込針を投げるが、

 アイシャは皿やコップをでたらめに投げて攻撃を全て打ち消した。

「怖いです……でも、負けませんわ!」

「ああ……これで終わりだ。スピンキック!」

 シャドウは回し蹴りを繰り出してシークを撃破すると、

 続けてマルスにスピンダッシュで体当たりした。

「いあいぬき!」

 カービィはダッシュしながら素早く駆け抜けて刀でマルスを斬りつける。

 マルスはファルシオンを振りかざして反撃し、カービィは刀でそれを受け止め、

 鍔迫り合いになる。

「はぁああぁぁぁぁぁ!」

「……」

 互いに武器で押し合うニンジャカービィとマルス。

 一方は普通の武器、もう一方は伝説の武器。

 だが、気迫はどちらも負けていなかった。

「マルっち! キーラなんかに負けちゃダメだ! もちろん、僕だって負けない!

 だから……元に……戻れえええええええええ!!」

「……!!」

 最後に勝利したのは、カービィの方だった。

 カービィはマルスのファルシオンを弾くと、そのままマルスに突っ込んでいき、

 彼を刀で突き刺すのであった。




~ベルのスピリッツ名鑑~

ガーディアン
出身世界:ハイラル
性別:不明
ガノンに対抗するため、シーカー族が作った兵器。
しかし、100年前にガノンが復活した際、彼の魔力により乗っ取られてしまった。
現在は無差別に人を襲う存在に成り果てている。


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7 ~ おてんば娘は憎めない

マルス、シーク、りょう(むらびと)が初めてスピリッツと戦います。


「ぅ……」

「……」

「……」

 カービィ達に敗れたマルス、シーク、りょうは、しばらくの間気絶していた。

 キーラに操られ、全力を出していたので、身体にかかった負担が大きかったのだろう。

「起きてよ、マルっち、シー君、りょう君」

 カービィは、倒れているマルス、シーク、りょうをつんつんとつついた。

 それでも、三人は起きる事はなかった。

「……自然に起きるのを待つしかないようね」

「ああ……」

 

 数分後、マルス、シーク、りょうは、ゆっくりと起き上がった。

「……あれ? ここは一体どこなんだい?」

「う~ん……」

「頭がくらくら~」

「あ、やっと起きたんだね。おはよ!」

 カービィは三人に駆け寄り、彼らの顔を覗き込む。

 三人はまだ意識が朦朧としており、カービィの顔がはっきり見えていなかった。

「あれ、おは、よ……ここ、は?」

「みんなしっかりしてよ~。ここは三択地点だよ」

「さん……たく……? う……」

「みんな、これを飲んでください」

 三人は再び意識を手放そうとするが、アイシャが三人に紅茶を飲ませ、

 しばらくすると意識を完全に取り戻した。

「あ、カービィ?」

「よかった~。マルっち、シー君、りょう君が元に戻って!」

 マルス、シーク、りょうが正気に戻った事で喜び、飛びつくカービィ。

「カ、カービィ……」

「あっははは……君って本当に仲間思いだね」

「……」

「よかったね」

 いきなり飛びついてきたのだが、りょうは、満更でもない様子だ。

 シークはそれをクールに受け流し、マルスは微笑みながら二人を見守った。

「それでみんなも、マリオと同じように捕まってたの?」

「マリオと同じ? あ、思い出したよ。ビームが当たった時、僕は光の中に閉じ込められて……」

 マルスは、囚われる前の事情をベル達に話した。

 やはり、マリオと同じく、三人はあのビームが当たってキーラに捕まり、

 彼女に操られてしまったようだ。

「仲間が一気に三人も増えたし、少し休んだら、魂を解放しに行きましょう」

「うん」

 

 八人になったスマブラメンバーは、キーラに囚われたスピリッツを解放するため、

 東に向かって走っていった。

 途中でキーラに操られた野良スピリッツを倒しつつ進んでいくと、

 茶髪の少女が、40体の小型ロボットを従えるようにして立っていた。

「ベル、スピリッツだ」

「いつもの解析タイム、いっきまーす」

 ベルがスピリッツを解析すると、彼女の頭の中にそのスピリッツの情報が入った。

「彼女の名前はトロン・ボーン。

 この世界とは異なる世界……ええと、ロックマン世界のスピリッツみたい。

 空賊ボーン一家の長女で、この小型ロボット『コブン』とか、

 そこにある戦車『グスタフ』とかを作った天才メカニックよ」

「また異世界のスピリッツですのね」

 このスピリッツ、トロン・ボーンは、ロックマン世界のうちの1つから来たスピリッツらしい。

 ティファに続き、また異世界からのスピリッツが来たと、アイシャは少しだけ喜んだ。

「あ、トロンさまー、そこにいるひとが、なにかはこをもってますよー」

「え? あ、ホントだわ! その箱、もしかしてお宝が入ってるの?」

 コブンの言葉で何かに気付いたトロンは、ベルが持っている箱を指差してそう言った。

 ベルはもちろん、首を横に振った。

「この箱は、あんた達が探してる宝箱なんかじゃないわよ」

「なーんだ。でもね、このトロン様はそれだけじゃあ諦めないわよ。

 私が勝ったらそれ、いただくからね! さぁいくわよ、あんた達!」

「「「はーい!!」」」

 トロンはグスタフに乗って戦闘を開始した。

 コブンも、トロンに合わせて戦闘態勢を取った。

「うーん、やっぱり戦うしかないんだね」

「手加減はしない、いくぞ」

「んじゃ、スピリッツボールを取られないためにもさくっといきますか!」

「……なんか、こういう人、苦手ですわ……」

「あまり傷つけたくはないけど、キーラに操られている以上、無理みたいだね」

「とりあえず、やろうかな」

 カービィ、シャドウ、ベル、アイシャ、マルス、りょうは、

 トロン・ボーン&コブンとの戦闘に入った。

 

「はぁぁっ!」

「うわぁー」

 シャドウはコブンに高速で体当たりを繰り出す。

「えいっ!」

「そんな攻撃、当たらないわよ!」

 トロンはカービィのハンマー攻撃をグスタフを上手く操ってかわした。

「えい!」

 りょうはパチンコでよく狙ってコブンを攻撃した。

「まとめていくよ、せいっ!」

「まとまっちゃダメ! バラバラに避けるのよ!」

「「「はーい!」」」

 マルスはファルシオンを振り、まとめてコブンにダメージを与えようとする。

 しかし、コブンはトロンの指示で分散し、

 結果的にマルスはバラバラに攻撃したためコブン側に大した被害にはならなかった。

「今度はこっちからいくわよ!」

「きゃあぁ!」

 トロンはグスタフに乗って体当たりし、ベルを掴んで投げ飛ばす。

「このおっ!」

「離れて!」

 ベルはコブンに大きく鎌を振り回すが、トロンの的確な指示でコブンには当たらなかった。

 しかし、コブンの次の攻撃を、ベルは鎌で防いだ。

「えい! えい! えい!」

「うわっ!」

 アイシャはトロンに皿を投げまくり、トロンにダメージを与える。

 ダメージは微々たるものだったが、

 たくさんの皿が飛んできたため精神的なダメージは与えられたようだ。

「そこだ!」

「「「うわー」」」

 シャドウは目にも留まらぬスピードでコブンに銃を撃った。

 コブンは避けられずにダメージを食らい続ける。

「何やってんのよ、あんた達! ちゃんと前見て戦いなさい!」

「「「はーい、トロンさま!」」」

 トロンはコブンを叱咤激励し、士気を高める。

 先程まで苦しんでいたのとは一変、すぐにコブン達は笑顔になった。

 

「トロちゃん、そのロボット、食べられるの?」

「何よ、トロちゃんって。私はトロン・ボーン。

 これは私が作った40人のコブン。コブンは食事はするけど食べられないわよ」

 カービィに「トロちゃん」と呼ばれたトロンがジト目になる。

「とっ、とにかく! この勝負、私が貰うからね! あんた達、負けるんじゃないわよ!」

「「「はーい!」」」

 コブンはトロンのためにシャドウに突っ込んだ。

 シャドウはそれをワープしてかわし、至近距離から銃を撃って攻撃した。

「うわぁー、トロンさまー」

「いたいですー」

「何やってんのよ! しゃきっとしなさい!」

 コブンがダメージを食らうたびに、トロンが叱咤激励して士気を高める。

 だが、コブンの体力は確実に減ってきていた。

「これでおーわり! ディバウアー!」

「「「うわー!!」」」

 そして、ベルが大鎌をコブンに振り下ろすと、コブン達は戦闘不能になった。

 

「も、もうしわけありません、トロンさま……」

「もう! 私がやるわ!」

 コブンが撤退したため、今度は代わりにトロンがグスタフを駆る。

 トロンはベルをグスタフで掴み、思いっきり投げ飛ばす。

 ベルは転倒から復帰した後、鎌を振りかざしてトロンとグスタフを斬りつける。

(憎めない悪役って、どこにでもいるのかしらね)

「そーれっ!」

 ベルはそう思いながら、鎌で連続斬りを放つ。

 りょうはトロンに突っ込んだ後、オノを振るって攻撃した。

 威力の高い連続攻撃を食らったため、トロンの体力とグスタフの耐久力が僅かになった。

「これで終わりだよ! スマッシュキック!!」

「きゃああああああ!!」

 そして、カービィのスマッシュキックが炸裂し、グスタフが壊れ、トロンも戦闘不能になった。

 

「お、覚えてなさ……」

「逃がさないわよ」

 トロンとコブンが撤退しようとした時、ベルはスピリッツボールを1人と40人に向けた。

 すると、1人と40人のスピリッツが、スピリッツボールの中に吸い込まれた。

「これにて解放完了っと」

「箱に閉じ込めたのに解放なんて皮肉ですわ」

 アイシャがベルに突っ込みを入れた後、

 ベルはスピリッツボールの中にあるトロンのスピリッツを見つめる。

『うぅ~。このトロン様をこんな狭いところに閉じ込めるなんて~』

「ごめんなさいね、キーラに利用されるかもしれないからこの中に入ってて」

 トロンはスピリッツボールの中にいるのが気に食わないようだ。

『でもトロンさま、ここでつぎのさくせんをかんがえるのもいいんじゃないですか?

 ここにはじゃまするひとはいないですし』

『言われてみれば、それもそうね。よーし、じゃあ作戦タイム……の前に、昼食タイムよ。

 今日の昼食はオムライスよ!』

『『『わーい!』』』

「みんな、楽しそうね」

 その様子を、ベルは微笑ましく見守っていたとか。




~ベルのスピリッツ名鑑~

トロン・ボーン
出身世界:こことは異なる世界
性別:女性
空賊ボーン一家の長女。気が強く、負けず嫌い。
40人のコブンや空中戦艦、自身が乗る万能歩行戦車グスタフなどを作った天才メカニック。


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8 ~ レース場には戦士がいっぱい

pixiv版とはタイトルが異なります。
レース場に、まさかこいつがいたなんてねぇ。私も驚きました。


 トロン・ボーンのスピリッツを解放した一行は、

 次のスピリッツを探して、レース場に向かおうとしていた。

「なんでレース場なの?」

「死神の勘が騒いでいるのよ。キーラに捕まったファイターの魂がいるって」

 ベルによれば、レース場にはファイターが捕まっているらしい。

 一人でも多くのファイターを助けるのが当分の目的であるため、

 マリオ達は迷わず彼女についていった。

 

「慎重に行かなければな」

 レース場に行くための場所は、岩がたくさんあり、道を外すと落ちそうだった。

 シャドウの言う通り、一行は足を踏み外さないように、慎重に歩いていった。

「待っててね、僕達が助けるから」

「まったく、何故僕がお前達と共に行動しなきゃいけないんだ」

「お前だけじゃこの危機は乗り越えられないぞ」

「やめてよ、二人とも~!」

 シャドウは単独行動をしたくて愚痴を吐くが、マリオはそれを注意する。

 チームワークに不安が残るこのパーティーを、カービィは何とかまとめたいと思っていた。

 こうして岩の足場を降りてレース場に入ろうとすると、

 ブキを持った蛸が擬人化したような女性のスピリッツがいた。

「あ、これはタコゾネスね。マールと同じ世界にいる『オクタリアン』という種族の突撃兵よ」

「タコゾネスって強いの?」

「そこそこね。四体いるけど私達はたくさんいるし、ほぼ互角になるんじゃない?

 相手は遠距離攻撃をしてくるわ、こっちも遠距離攻撃が得意なシャドウを入れましょ」

「ああ」

 シャドウは、拳銃を取り出してそれをタコゾネスに向ける。

 銃撃戦なら負けない、といった表情をしていた。

「残りの五人はカービィ、私、アイシャ、マリオ、シークでいこうかしら」

「賛成、僕は飛び道具を持っていないからね」

「僕のパチンコも威力は期待できないし」

 マルスとりょうが下がった後、カービィ達はタコゾネスに戦いを挑んだ。

 

「はい、終わり」

 タコゾネスとの戦いに勝利し、ベルは彼女のスピリッツをスピリッツボールの中に収納した。

 こうして、八人はレース場に入る事ができた。

 東に進んでいくと、黒髪を二つに結った、目つきが悪い女性のスピリッツがいた。

「あぁ? なんだオマエらは」

「この人はハン・ジュリ。リュウと同じ世界にいるテコンドー使いの女性よ」

「オマエら、存在自体がうぜえンだよ。失せろ」

 どうやら、このハン・ジュリという女性は、

 トロン・ボーン同様に異世界のスピリッツのようだ。

 ベルがスピリッツの簡単な説明をした後、

 ジュリはその容姿に違わない強烈な言葉をベル達に言った。

 アイシャは震えて縮こまり、ベルの後ろに隠れた。

「怖いですわ。わたし、戦いたくありません」

「ああ、そのツラ、いいねえ。もっとあたしに見せてくれよ」

 このジュリという女性は、アイシャにとっては天敵だった。

 彼女を守るため、ベルは大鎌を持って前に立つ。

「……あんまり、怖がらせちゃよくないわよ? アイシャ、下がってて。

 あんたの相手は、私だからね」

「はい!」

「オマエの全てを、食ってやるよ!」

 ベルは、大鎌を構えてジュリに戦いを挑んだ。

 ジュリも、構えを取って彼女と勝負をした。

 

「私は死神だもの、あんたに負けるわけないでしょ」

 結果は、ベルの勝利で終わった。

 ベルは、ジュリのスピリッツをスピリッツボールの中にしまった。

(レース場に捕まってるファイターといえば、う~ん……)

 マリオは、レース場でキーラに捕らえられたファイターが誰なのかを予想していた。

 レーサーのファイターといえば「彼」しかいないのだが、

 それ以外のファイターもいそうだと考えていた。

 マリオが考え事をしている最中に、一行は乗り物がある場所に辿り着いた。

「これは……ワイルドグース?」

「ワイルドグース?」

「F-ZEROマシンよ。これを運転できるスピリッツは、うーん……この場にはいないわね」

 ワイルドグースを運転できればサーキットを進めそうだが、

 今はそれが可能なスピリッツはいない。

 一行は仕方なく、レース場を後にして、

 ワイルドグースを運転できるスピリッツがいる場所に向かった。

「確か、こっちだったはずよ」

 ベルの案内でカービィ達が北に行くと、双子のドガースのスピリッツがいた。

「これはドガースの進化形、マタドガスね。又ドガスであって、マ『ダ』ドガスじゃないわよ」

「うん」

「後、浮遊しているから地上攻撃は効かないわよ」

 マタドガスは、どくタイプだが特性は「ふゆう」なので、地上の攻撃は効かない。

 特性を無視する特性がなければ、弱点はエスパータイプのみなのだ。

「……ボディがあいつなのが、気に食わないけど」

 そう言って、ベルは大鎌を構え、マタドガスのスピリッツに戦いを挑んだ。

 

「マタドガスのスピリッツ、解放!」

「お~!」

 ベルはマタドガスのスピリッツをスピリッツボールの中に入れる。

 カービィは、ぱちぱちと拍手する。

「私は死神だし、ね?

 で、多分、この先にワイルドグースを運転できるスピリッツがあると思うわ。行きましょ」

「ああ」

 八人が先に進もうとした瞬間、遠くにある何かが光り、地響きが起こった。

「きゃ! なんですの!? あわわわわ……」

 アイシャが驚き、慌てふためくと、

 横にある橋の中央に巨大な結界が現れ、道を塞いでしまった。

「あらまぁ、結界が出ちゃったわね」

 ベルが橋に近付いてその結界に触れると、バチッ! という音と共にベルが手を離した。

「っつ~」

「大丈夫、ベルベル!?」

「平気よ、これくらい。ったく、キーラってば、油断も隙もないんだから」

 キーラから妨害を受け、腹を立てるベル。

「ベルベル、どうして鎌を使わなかったの?」

「あ!」

 カービィの疑問で気が付いたベルは、鎌を取り出して結界に振るった。

 しかし、鎌は結界に弾かれ、傷一つつける事ができなかった。

「駄目みたいね……」

「とりあえず、ワイルドグースを運転できるスピリッツを探すために北に行くぞ」

「ええ」

 鎌で結界を壊せないと分かったベルは、その橋を後にして北に向かうのであった。

 

「いたわ! ワイルドグースを運転できそうなスピリッツが!」

「待って、ベル!」

 ベルがスピリッツを解放するために大鎌を構えようとすると、

 りょうが何かを発見して彼女を止める。

「え? 何なのよ」

「誰かが……捕まっている!」

「え……あ、ホントだわ!」

 台座には、はどうポケモン・ルカリオが光の鎖で縛られていた。

 その下からは、次々とルカリオのボディが生成されている。

 つまり、ルカリオを解放できれば、今後、彼のボディが使われる事はなく、

 また戦力も増えて一石二鳥なのだ。

「そこか」

 シャドウが台座に触れると、鎖が砕け散り、そこからルカリオが下りてきた。

 同時に、マリオ、カービィ、シーク、マルス、りょう、シャドウ、ベル、

 アイシャは不意打ちを受けないように戦闘態勢を取った。

 

「……マイル」

 ルカリオの周囲には、異星人のスピリッツ、埴輪のスピリッツ、

 司祭のスピリッツが浮いていた。

 彼らもまた、キーラに操られた被害者なのだろう。

「……いくぞ」

「うん」

「ええ」

 シャドウ、ベル、マルスがそれぞれ武器を構え、戦闘態勢を取る。

 一触即発の状態で、皆、緊張していた――

 

―ぐきゅるるるる……

「あ、僕、お腹空いたからパス……」

 その緊張を、一人の腹の虫がほぐした。




~ベルのスピリッツ名鑑~

タコゾネス
出身世界:未来の地球
性別:ガール
蛸が進化した種族、オクタリアンの突撃兵。
人と蛸に変化する能力を持っている。

ハン・ジュリ
出身世界:こことは異なる世界
性別:女性
S.I.N.社の工作員で、テコンドー使いの女性。
残忍で享楽的なサディストで、毒蜘蛛を思わせる容姿を持っている。
身長165cm、Dカップ。

バイオ・レックス
出身世界:エフゼロワールド
性別:不明
バイオテクノロジーで蘇った恐竜。年齢は一桁。
ビッグファングに乗るF-ZEROレーサーでもある。
凶暴な性格で、好きな食べ物は肉。

マタドガス
出身世界:ゲフリアース
性別:♂♀両方存在する
ドガースが進化した、どくガスポケモン。
どくタイプで、特性はふゆう。
ゴミから発生するガスを食べて大きくなる。
極稀に、三つ子のマタドガスが見つかる。


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9 ~ はどうポケモン・ルカリオ

ポケモン・オブ・ザ・イヤーで2位に輝いたあのポケモンを解放します。
1位のポケモンは後半に出てくるので、お待ちください。


 キーラに操られたルカリオと、スピリッツとの戦いが始まった。

 

「わっ!」

 ハニワくんがマルスに体当たりしてきた。

 マルスはシールドで攻撃を防ぐ。

「……」

 ルカリオは無言でシークに蹴りかかってくるが、シークは上手く攻撃をかわす。

「そぉーれ!」

 ベルは鎌を振り、衝撃波を飛ばしてルカリオを攻撃する。

 マリオはハニワくんを掴んで投げ飛ばし、その隙にベルがハニワくんのスピリッツを捕まえた。

「捕まえた!」

「よし!」

「そこだ」

 シャドウは狙いを定め、ルカリオに銃を撃つ。

 しかし、ルカリオはシャドウの攻撃を紙一重でかわした。

「何、僕の攻撃が外れた?」

「やめてくれ……マルス様を攻撃したくない……」

 マリクのスピリッツがマルスを攻撃しようとする。

 だが、マリクの意志が強かったのか、マルスに攻撃が届く事はなかった。

「マリク、君は必ず僕達が助けるよ。だから、もう少しだけ待っててね」

「ありがとうございます、マルス様」

 マリクはあくまで操られているだけだ。

 マルスは、なるべく彼を傷つけないように解放しようと行動した。

「ルカリオさん、目を覚ましてくださいませ!」

「グ……!」

 アイシャはルカリオをビンタして彼を正気に戻そうとする。

 大した効果はなかったが、一瞬だけルカリオは動揺した。

「効いてますわ。どんどん攻めましょう」

「うん。それ!」

 マルスはピコを真っ直ぐファルシオンで突く。

「はっけい」

「きゃあ!」

 ルカリオは両手に波導を纏い、両手を突き出してベルを打ち据える。

「あんたの魂は、私が解放するわ!」

 ベルは渾身の力を込めて鎌を振り下ろし、ピコのスピリッツにダメージを与えた。

「おりゃ!」

「はっ!」

「う……」

 マリオのファイアボールと、アイシャのフェイントをかわすマリク。

 キーラの力なのか、司祭でありながら身体能力も高くなっていた。

「マルス様……うわぁぁぁぁ!」

「……マリク……」

 マリクはキーラの呪縛に抗っているようだが、それでも彼の意志よりキーラの呪縛の方が強く、

 意識はあるが身体が勝手に動くような感覚だった。

 マルスはファルシオンを握る手を強め、

 ベルも早く彼を苦しみから解き放ちたいという表情になった。

「悪いのは全部キーラだ、こいつらに罪はねぇ!」

「うん、分かったよ! みんな、助けてあげるからね!」

 罪を憎んで人を憎まず、マリオとカービィは気合を入れ直すのだった。

 

「はぁっ!」

 ピコの攻撃を受けた後、反撃するシャドウ。

 ルカリオはマリオの投げを緊急回避でかわし、シークに素早く近づいて掌底を繰り出す。

「うあぁ!」

「やめろ!」

 マルスはシークを攻撃したルカリオを斬りつける。

「お願いです!」

「目を覚ましてくれ」

 シークは音を立てずにマリクに近付き、手刀で彼を攻撃する。

 アイシャもシークに続いてマリクをビンタした。

「ダウンリーパー!」

「ぐああああああ!」

 そして、ベルが勢いよく鎌を振り下ろすと、ルカリオは断末魔と共にダウンした。

 

「やった! ルカリオを倒したわ!」

 ルカリオの解放に成功し、残っているのはマリクとピコのスピリッツだけとなった。

 彼らはベルを狙って攻撃を仕掛ける。

 しかし、ベルは上手く攻撃をかわし、マリクとピコを同時に鎌で斬りつけた。

「私は、伊達に死神をやってないわよ! あんたの魂、必ず解放するんだから!

 せぇぇいやぁぁぁぁぁぁ!!」

「ぐわぁぁぁぁ!」

「エリス様……どうかご無事で……」

 そして、ベルが渾身の力を込めて大鎌を振り下ろすと、

 マリクとピコのスピリッツは真っ二つになった。

「ベル、捕獲しろ!」

「オーケー!」

 シャドウの合図でベルがスピリッツボールを開けると、

 二人のスピリッツはその中に吸い込まれていった。

 六人は、操られたルカリオとスピリッツとの戦いに勝利したのだ。

 

「ルカリオか……無事だったか?」

「……私は一体何をしていたのだ……」

 ダウンから復帰したルカリオが、シャドウに声をかけられてゆっくりと起きる。

 やはり、彼もキーラに操られていた時の記憶はなかったようだ。

「おい、大丈夫か、ルカリオ」

「目が覚めた~ルカルカ?」

 スマブラ四天王の二人、マリオとカービィがルカリオに近寄る。

 ルカリオは「ああ」と言って頷いた後、お互いに知っている事を話し合った。

 

「ふむ、なるほど。そなた達は散った者達を探しているのか」

「俺達以外、みんな身体を失っているしな……」

 身体を失ったスピリッツは、ボディがなければ触れる事すらできない。

 また、このまま放っておくと完全に消えてしまう。

 なので、なるべく早く、スピリッツを解放し、保護しておきたいとベルは考えた。

「でも、ルカリオは波導を感じ取れるよね?」

 ルカリオは波導を感じ、敵や味方の区別をする事ができる。

 具体的には、青い波導が味方、赤い波導が敵といった具合だ。

 魂を持つ者の波導も感じ取れるのか、りょうはルカリオにそう問う。

「可能だが……精度は弱まっているぞ」

「それでもいいよ。仲間を探せるなら」

「……分かった」

 ルカリオは目を閉じて集中し、仲間の波導を感じ取ろうとしていた。

 しばらくすると、ルカリオの目が青く光った。

「見つかったの?」

「レース場に紫の波導が見える」

「紫?」

 赤と青が混ざった色、紫。

 それが何を意味するかは、りょうはまだ分からなかった。

「でも、レース場はワイルドグースを運転できるスピリッツが必要だよ?」

「あ、それならもういるわ。出てきなさーい!」

 そう言って、ベルはピコのスピリッツを呼んだ。

『なんだ? オレに何か用か?』

「レース場に行って、ワイルドグースを運転してほしいわ。

 ルカリオが仲間を見つけたらしいから」

『お安い御用だぜ!』

「ね?」

 ピコのスピリッツを解放したおかげで、レース場で行ける範囲が広がったようだ。

 

「それじゃあ、レース場に戻るわよ!」

「ああ」

 そうして、ベル一行は囚われの仲間を助けるため、レース場に再び行くのであった。

 しかし、上空では、光の化身がほくそ笑んでいた。

 

「6体のファイターを解放したか……。ふ、早いな。だが、我も手は打ってあるぞ」

 キーラは、どこかに炎の弾を撃ち込むのであった。




~ベルのスピリッツ名鑑~

ピコ
出身世界:エフゼロワールド
性別:男性
ポリポト族の元軍人で、ワイルドグースに乗る。
攻撃的だが冷静な一面も持っており、彼を怒らせると大変な目に遭うらしい。

ハニワくん
出身世界:どうぶつの森
性別:男性
謎の埴輪。言葉の中に「ヒ」を入れる。
道具の貸出や集金など、様々な事を手伝っている。
誕生日は、埴輪なので8月28日。乙女座。

マリク
出身世界:戦記の世界
性別:男性
風の魔法エクスカリバーを使う司祭の青年。
マルスの友人で彼の姉エリスに好意を抱いている。


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10 ~ 再びレース場に

今度こそ、レーサーを解放します。
でも賞金稼ぎや喫茶店の店長をしたりと、彼は結構謎が多いですよね。


 ピコのスピリッツを解放した一行は、再びレース場に戻った。

「確か、ピコはワイルドグースを運転できるな。

 この先にいるファイターのところに連れて行ってくれないか?」

『ああ、それならお安い御用だぜ。とっととワイルドグースに乗りな』

 一行はピコのスピリッツの力を使い、ワイルドグースに乗った。

 

「えっと、確か……」

「波導がこちら側に見えるぞ」

『おし、分かったぜ』

 ピコはワイルドグースを運転しながら、捕まっている仲間がいる場所にマリオ達を案内する。

 途中、ニコ・ファイアのスピリッツに遭遇し、

 一度ワイルドグースを降りた後にベルが一人で挑んで解放した。

「いちいちワイルドグースから降りてからスピリッツを解放するのは面倒だわ。

 シャドウ、あんたは外に出て、スピリッツをその銃で解放して」

「ほう? 僕が伊達に運転も銃撃もしてないからそう言ったのだな?」

「ええ、あんたの究極の力、見せてもらうわよ!」

 激しく動くF-ZEROマシンに乗りながらの銃撃は非常に当てにくく、素人ではまず不可能だ。

 だがシャドウは両方の経験があるため、ベルは彼にスピリッツ解放を頼んだのだ。

「ねえ、シャド兄、大丈夫なの?」

「F-ZEROは速いから酔っちゃうよ~」

「お前達は僕の後ろにいるだけでいい」

 シャドウはカービィとりょうの心配をものともしない正確さで拳銃を撃ち、

 スピリッツを次々と解放していく。

 ワイルドグースはスピードはあまり出ないが頑丈で、激しい敵の攻撃にも耐える事ができる。

 といっても、「F-ZEROマシンにしては」なので、最高速度は400kmを超える。

 マルス達は乗り物酔いしないように気を保っていた。

 ここまで一行が解放したスピリットは、バイクのマッハライダー、

 同じくバイクのモトクロッサー、F-ZEROレーサーのマイティーガゼルとジャック・レビン、

 果ては偵察機のジャイロウィングなど、レース場に相応しいものばかりだった。

「フォッくんの乗り物もスピリッツになるなんて、すご~い」

「まさに何でもありな世界だな……」

「そうですわね……」

 カービィ、マリオ、アイシャは、生物ではないスピリッツもいる事に驚いていた。

 この争いの世界は、彼らの言う通り、「ナンデモアリ」な世界なのだ。

 

「波導が……近い!」

 しばらく運転していると、ルカリオが波導を感じ取って目が光る。

 つまり、もうすぐファイターがいる場所に辿り着くのだ。

「ルカ兄! いるの!?」

「ああ……もう少しで辿り着く……!」

「一気に行きますわよ!」

『ああ!』

 ピコがワイルドグースを全力で運転すると、やがてファイターがいる場所に着いた。

 

「キャプテン・ファルコン……!」

 台座に縛られていたのは、F-ZEROレーサーにしてバウンティハンターの、

 キャプテン・ファルコンだった。

「今、出してあげるからね!」

 そう言ってカービィが台座に触れてファルコンを縛る鎖を砕く。

 ファルコンは、ゆっくりと台座から降りた。

 カービィは今までの経験もあってか、すぐに彼に近付かずに身構える。

「そうですわ、カービィさん。油断大敵です」

「うん」

「キーラサマノタメニ……オマエタチヲ……ケス」

「来るよ!」

 キャプテン・ファルコンとの戦いが始まった。

 

「えいっ!」

 カービィはキックを繰り出してファルコンにギリギリで当てる。

 次にベルはファルコンに鎌を振るが、ファルコンは素早く身をかわした。

「なっ!?」

 ファルコンはルカリオの掌底を受け止めた後、シャドウに裏拳をかまそうとする。

「……見切った!」

 しかし、ギリギリのところでシャドウは見切り、ファルコンの攻撃を回避した。

「ファルコン、目を覚ませ!」

「……」

 マリオはファルコンに呼びかけるが、ファルコンは反応せずマリオに攻撃する。

「キーラに操られている奴はいくら呼びかけても無駄だ」

「それは分かってるけど……でも、ファルコンを傷つけたくないよ……」

「君は本当に優しいんだな。だけど、優しいと甘いは違うものだ。

 ファルコンをキーラの呪縛から解放するために、僕達は戦っているんだ」

「シーくん、ありがとう」

 カービィの迷いを察したのか、シークはカービィに声をかけ、すぐに彼を立ち直らせた。

「待ってろよ、ファルコン。お前は必ず俺が助けるからな!」

 そう言って、マリオはファルコンを投げ飛ばした。

 ベルは、ファルコンが飛んでいった場所に行き、大鎌を振って斬りつけた。

「ボーンラッシュ!」

 ルカリオは骨を棒のように巧みに扱ってファルコンを打ち据える。

 ファルコンはシールドでそれを防御したため、大したダメージにはならなかった。

「うおりゃぁ!」

「えーい!」

 マリオはボディブロー、カービィはバーニングでファルコンにダメージを与える。

 ファルコンはカービィにキックで反撃するが、カービィはそれを上手くかわした。

「ふ、やるじゃないの」

「……?」

 ベルがファルコンを挑発するように笑みを浮かべている。

 ファルコンが少しだけ戸惑っていると、彼の背後にシャドウがワープして現れた。

「はぁぁぁっ!」

「グァァァァァァァ!」

 シャドウが作った無数のカオススピアがファルコンの背を貫き、大ダメージを与えた。

 

「背後ががら空きだったぞ」

「ナニ……!」

 シャドウに背後を取られ、驚愕するファルコン。

 一時的に混乱した彼に、ルカリオ、ベル、マリオは一気に攻撃を仕掛けた。

「キーラなんかに負けるんじゃねぇ!」

「今、私達が解き放ってやる」

「あんたのボディを、これ以上スピリッツが使うのは嫌なのよ!」

「グ、グォ、ォォ……!」

 何度も攻撃を食らい、ファルコンの動きが次第に鈍くなる。

 それを見たカービィは、炎を纏ったハンマーを構えてファルコンに突っ込んでいった。

「今だ! 鬼殺し……火炎ハンマァァァァァァ!!」

「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 そして、カービィの鬼殺し火炎ハンマーがファルコンにクリーンヒットすると、

 彼は大きく吹っ飛ばされ、気絶した。

 

「……う。俺は、何をしていたんだ……」

 正気に戻ったファルコンはゆっくりと起き上がる。

 激しい戦いではあったが、ファルコンはタフなのですぐに体力が全回復した。

「大丈夫か、ファルコン」

「あ、ああ、ちょっと痛いけど平気だぜ」

「あぁ~よかったファルコンが無事で!」

 マリオとカービィがすぐにファルコンに駆け寄る。

 ファルコンは最古参のメンバーなので、彼らとの付き合いがとても長いのだ。

「あのキーラって奴、俺だけでなくお前らも操ったんだってよ」

「ああ……でも、カービィやシャドウ、ベルのおかげで助かったんだぜ」

「賑やかになりましたわね」

「この調子でみんなを助けて、もっと賑やかにしようね!」

 最初はカービィ、シャドウ、ベルだけだったパーティーも、

 次々に仲間が増え、今や10人になっている。

 だが、捕まっているファイターは、まだまだ多い。

 しかも、彼女の力によって、スピリッツを操るための母体が生み出されている……。

 このまま、キーラに好き勝手させるわけにはいかないのだ。

 

「で、もちろん、他のみんなも助けるよな?」

「当然だ! 俺を操ったキーラを許さないし、今も母体を利用されてる奴だっている!

 だから、俺もお前達と一緒に行く!」

「心強いですわ、ファルコンさん」

 ファルコンの頼もしさに、アイシャは少しだけ惹かれていた。

 

「じゃあ、そろそろレース場を出て、次のスピリッツを探しましょう。ピコ、お願いね」

『よし、しっかり掴まってな』

 こうして、一行はレース場に捕まった全ての仲間を救出する事に成功した。




~ベルのスピリッツ名鑑~

ニコ・ファイア
出身世界:すれちがいの世界
性別:男性
すれちがいの世界にある、スロットカーショップの店長。
世界最速のスロットカーレーサー、ニコ・アイスマンの弟。

マッハライダー
出身世界:どこかの世界
性別:不明
四足ギアの戦闘バイクを駆る人物。
故郷が滅亡したため、新天地と生存者を求めて旅立っている。

モトクロッサー
出身世界:どこかの世界
性別:不明
高性能のモトクロッサー。
ターボを使うと強い加速を得る事ができるが、使いすぎるとオーバーヒートを起こす。

マイティーガゼル
出身世界:エフゼロワールド
性別:男性
4年前に大事故で重傷を負い、機械の身体になったF-ZEROレーサー。
ブースト性能が高い、レッドガゼルに乗る。

ジャック・レビン
出身世界:エフゼロワールド
性別:男性
元人気アイドルグループのF-ZEROレーサー。
リュウ・スザクのライバル兼親友である。
たくさんの内部カメラがある、アストロロビンに乗る。

ジャイロウィング
出身世界:スペースワールド
性別:なし
ハッキング機能を備えている偵察機。
空中で停止できるホバリング飛行が行え、敵基地への単独侵入などの隠密任務が得意。


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11 ~ ヨッシーを救え!

ヨッシーの一人称は「ぼく」派? それとも「わたし」派?
私は後者を選んでいます。


 こうして、キャプテン・ファルコンを救出した一行は、渓流で休憩をしていた。

「そういえば、ベルはなんでそんなに大きな鎌を持ってるんだ?」

 ファルコンは、ベルの持っている大鎌を指差す。

 ベルは「当然よ」といった顔でファルコンにこう言った。

「だって、私は死神だもん」

「し、死神!? まさか、ジャック・レビ……」

「いや、死神だけど相手の命を奪ったりはしないわ。

 現世と常世の秩序を守るために死神はいるのよ」

「どういう事だ……?」

 この世界で死んだものは一度、冥界に送られる。

 これは、この争いの世界でも例外ではない。

 死者の魂は天国に行って生まれ変わるまで待つか、

 地獄に堕ちるまで冥界から出る事は通常ない。

 しかし、何かの拍子で魂が現世に漏れてしまう事があり、

 それでは世界の秩序が崩れてしまうため、ベルのような死神がいるというわけだ。

死神(わたしたち)の役目は魂をあるべき場所に送る事。

 スピリッツ達もいずれ、あるべき場所に帰るけど、今はキーラが邪魔してるから無理ね」

 ベルはやや暗い表情で、天を仰いでいた。

 もし、ここで魂を解放すれば、キーラの力によりまた魂が支配されてしまうため、

 スピリッツボールに入れざるを得なかった。

「……ま、とりあえず、私達はスピリッツを解放しに行きましょう」

「……そうだな」

 一行はレース場を後にして、次の目的地を探していった。

 

「ここだな」

 一行が着いた場所は、渓流だった。

 のどかで自然豊かで、一見、平和な場所に見えるのだが、

 ここもキーラの影響でスピリッツ化した者がたくさん散らばっていた。

「うわぁ、ここにもスピリッツがいっぱいあるわね。

 とりあえず、みんなバラバラになって、スピリッツを解放してきてちょうだい」

「え、ベルベルがいないけど大丈夫なの?」

「大丈夫よ、スピリッツを解放したら勝手に私のスピリッツボールに入るから」

「それじゃあ安心だね! ベルベル、いってらっしゃい!」

 ベルの言葉に安心したカービィは、彼女に手を振ってからその場を後にした。

 マリオ、マルス、シーク、りょう、ルカリオ、ファルコン、アイシャも解散して、

 スピリッツの解放に向かった。

 

「さて、私は仲間を探そうかしらね。マルス、シーク、シャドウ、一緒に行くわよ」

「うん」

「もちろんだ」

「……僕一人で十分だが……」

 ベルも、捕まったファイターを助けるために、マルス、シーク、

 シャドウと共に皆と違う場所に向かっていった。

 マルスとシークは快く了承したが、シャドウは不満そうな表情をしていた。

 

「えーい!」

「そーれ!」

 カービィとりょうは、かっぺいとダルニアのスピリッツを解放した。

 ちなみにダルニアは防御力と移動速度が上がる爆走流の道場を経営している、

 所謂「マスタースピリット」なのでスピリッツボールには入らなかった。

「キョーダイよ、オレを助けてくれたお礼に爆走流を教えてやるゴロ!」

「ううん、いいよ」

「僕も遠慮するよ」

 ダルニアは二人にお礼として爆走流を教えてやろうとした。

 カービィとりょうは首を横に振ったが、ダルニアは気にせず豪快に笑った。

「まあ、オレの力が欲しかったらいつでもこの道場に来るゴロ」

「ありがとね~、ダル兄ちゃ~ん!」

「おお~! 兄ちゃんって言われるのはちょっと照れるゴロ~」

 

「えい!」

「はどうだん!」

「ファイアボール!」

「ファルコンパンチ!」

 マリオ、アイシャ、ルカリオ、ファルコンはキュピットのスピリッツを解放し、

 分厚い雲が晴れる。

 四人はこの先の橋を渡ろうとしたが、アイシャが「待ってください」と言って立ち止まる。

「ん、どうした、アイシャ」

「向こうに誰かが捕まっておりますわ。しかも、周囲にはスピリッツがいます……」

「本当だ! ちょっと見てこい、ルカリオ」

「うむ……」

 ルカリオは精神を集中し、捕まっているファイターの特徴を感じ取る。

「……緑色の身体、恐竜のような容姿……」

「知ってるぜ、ヨッシーだ!」

 ルカリオからファイターの特徴を聞いたマリオは、それがヨッシーである事にすぐ気づいた。

「む、そうだったのか」

「俺の相棒がこんな目に遭ってるなんて……当然、助けるぜ!」

 そう言って、マリオはヨッシーがいるところに飛び出していった。

 ファルコン、ルカリオ、アイシャも、彼にハラハラしながら後をついていった。

 

「……」

 ヨッシーの周囲には、エリーヌ、キテルグマ、カッサーのスピリッツも浮いていた。

 彼の目は赤く、虚ろで何も映っていなかった。

 そう、今目の前にいるマリオの姿すらも。

「ヨッシーさん……どうしてこんな事に……」

「周囲の魂もキーラに操られているようだな」

 ルカリオはなおも精神を集中している。

 しかし、ヨッシーが戦闘態勢を取った瞬間、精神集中を解いて構えを取った。

「ゼンブ、ゼンブ、タベマスヨ~!」

「待ってろよヨッシー、今、俺達が助けるぜ!」

「最古参のメンバーとして、負けないぞ!」

「……参る」

 マリオ、ファルコン、ルカリオ、アイシャと、

 ヨッシー、キテルグマ、エリーヌ、カッサーの戦いが始まった。

 

「いくカサー!」

「おっと!」

 カッサーはピーチのボディを操ってマリオに自身を振り回すが、彼には当たらなかった。

 エリーヌの体当たりもマリオは回避する。

「オイシクタベマスヨ」

 ヨッシーはルカリオに舌を伸ばして口の中に入れた後、何度か噛んで吐き出す。

「ううぅ」

「サア、ツギハダレカラタベマショウカ」

「そらよ!」

 ファルコンは大きく腕を振り下ろし、カッサーに拳を当てて吹っ飛ばした。

「はぁっ!」

「ここまでおいで、ですわ」

「? ? ?」

 ルカリオは波導を纏った拳をヨッシーに振り下ろしてダメージを与える。

 アイシャは怯んだヨッシーに不規則な動きで近付き、ヨッシーを混乱させた。

「きゃあ!」

 キテルグマはアイシャに殴りかかってくるも、アイシャはその攻撃をかわした。

「あれに当たると、吹き飛びそうですわ」

「だったら、まずはこいつから解放するぜ!」

 マリオはハンマーを取り出してキテルグマに振り下ろした。

 攻撃はギリギリで命中し、大ダメージを与える。

 ファルコン、ルカリオ、アイシャは相手の動きを観察しながら

 どんな手を取ればいいか考えていた。

「キテル、グマー!」

「うおっ!」

 キテルグマが振り下ろす拳を回避し、裏拳を当てていくファルコン。

「ヨッシー、俺が見えるか!?」

 マリオはカッサーの攻撃をギリギリでかわした後、ヨッシーにミドルキックを放った。

「オヤ~? アナタハタベラレマスカ~?」

「やめろ!」

 ヨッシーは渾身の力を込めてマリオに頭突きしようとする。

 マリオはそれをかわし、反撃でファイアボールを放った。

「グマー!」

「きゃあ!」

 キテルグマはアイシャを殴り、吹っ飛ばす。

 その威力にアイシャは重傷を負ってしまった。

「痛いですわ……」

「だが怪我をしなかった分、前の異変よりはマシだ」

「前の異変……?」

「話は後だ、戦闘に専念しろ!」

「あ、はい!」

 ルカリオに言われたアイシャは、

 敵の攻撃に気を付けながらカッサーやエリーヌを包丁や皿で攻撃した。

「ファルコンキック!」

 ファルコンは高く飛び上がってヨッシーをキックで攻撃する。

 彼が着地した場所にエリーヌはいたが、その攻撃はファルコンには当たらなかった。

「? ? ?」

「それ!」

 混乱するヨッシーをアイシャはビンタで攻撃した。

 ルカリオとアイシャはエリーヌに攻撃を仕掛けるもエリーヌはひょいひょいと身をかわした。

「速いですわね」

「いや、彼女自身の素早さはそんなに速くない。虫と同じで、反応が早いだけだ。

 先の先を読んで攻撃するんだ」

 ファルコンのアドバイスを聞いたアイシャは頷き、

 エリーヌが来そうなところに包丁を振り下ろした。

「要するに回避されなきゃいいんだろ? アイスボール!」

 マリオは氷を纏った球を飛ばし、エリーヌを氷漬けにして動けなくする。

「はっけい!」

 その隙にルカリオはエリーヌを掌底で打ち据える。

 エリーヌは意外にも体力が低く、一撃で倒れた。

「あと少しだ、ファルコンナックル!」

 ファルコンはヨッシーの懐へ潜り込み、アッパーを放った。

 ヨッシーは反撃で卵を投げるが、ファルコンには当たらなかった。

「ファイア掌底!」

 マリオは炎を纏った掌底でキテルグマを倒す。

「とどめだ! はどうだん!!」

「ウアアァァァァァァ!!」

 そして、ルカリオが波導弾を放つと、ヨッシーは勢いよく吹っ飛ばされた。

 この戦闘は、マリオ達の勝利で幕を閉じた。

 

「うぅ~、私はどうしてこんなにボロボロなんでしょう~」

 ヨッシーは、ようやく正気に戻った。

 彼は何度も攻撃を受けていたらしく、身体がボロボロになっていた。

「今、わたしが回復します」

 アイシャは即席で手料理を作ってヨッシーに振る舞った。

「わぁ~! 美味しそうです~。いただきます」

「あ、ヨッシー! それは……」

 ヨッシーは舌を伸ばし、アイシャが作った手料理を食べた。

 ファルコンは止めようとしたが、時既に遅かった。

「もぐ、もぐ、もぐ……。ん~♪」

 ヨッシーは、アイシャの手料理を食べて笑顔になった。

「ヨ、ヨッシー……平気なのか?」

「甘さと酸っぱさと苦みが混ざり合った、とっても絶妙な味です~♪」

「あ、よかった!

 わたし、料理はあまり得意じゃないんですが、喜んでくれてありがとうございます」

 ヨッシーが手料理を食べてくれた事にほっとするアイシャ。

(……ヨッシーは辛い味が苦手なだけで、それ以外には特に好き嫌いしないだけだけどな)

 マリオは、アイシャの微妙な味の手料理をヨッシーが食べた理由を知っていた。

 ヨッシーは、唐辛子などの辛いものや、

 青いウフフちょうなどの不味いもの以外は基本的に何でも食べるのだ。

 

「それじゃあ、俺達はシャドウ、ベル、マルス、シークがやってくるまで待とう」

「シャドウさんとベルさんって誰ですか~?」

「俺達の仲間だよ。キーラに捕まった俺を助けたのもカービィと一緒に行動してるこの二人さ。

 ……シャドウは仲間って言われるのを嫌がると思うけどな」

 

 その頃、ベル一行は……。

「くしゅん!」

「あ、どうしたの、シャドウ? あんたがくしゃみするなんて、珍しいわね」

「いや、誰かが僕の事を言っているかもしれなかったからだ」

 シャドウが、くしゃみをしていた。




~ベルのスピリッツ名鑑~

かっぺい
出身世界:どうぶつの森
性別:男性
方言で喋る河童で、主に船漕ぎをしている。
また、タクシーやバスの運転手をした事もある。
好きなコーヒーはブルーマウンテン。
誕生日は7月12日で、星座は蟹座。

ダルニア
出身世界:ハイラル
性別:男性
岩のように強靭な肉体の種族、ゴロン族の族長。
かつて邪竜ヴァルバジアを封印した英雄の子孫。

キュピット
出身世界:天界
性別:不明
新人の神様である「あなた」をサポートする天使。
基本的にはある家族の行く末を見守るが、矢やアイテムで多少ながら干渉ができる。

ダイブマン
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性型
潜水艦の機能を持つロボット。
水陸両用のホーミングミサイル、ダイブミサイルを武装として持っている。
耳が良いが、乗り物酔いしやすい。
サンゴ礁の海が好きで、パイレーツマンが嫌い。

エリーヌ
出身世界:セブントピア
性別:無し(精神は女性)
粘土世界で暮らす、クレイシアの元パートナー。
色を塗る能力を持った妖精。

キテルグマ
出身世界:ゲフリアース
性別:♂♀両方存在する
ヌイコグマが進化した、ごうわんポケモン。
ノーマル・かくとうタイプで、特性はもふもふ、ぶきよう、隠れ特性はきんちょうかん。
背筋力は1トンを超え、両腕で抱きしめたものを何でも真っ二つにする。
危険なポケモンとして認知されている。

カッサー
出身世界:キノコワールド
性別:♂
キド・アイラック島でピーチの相棒として活躍した傘。
武器として叩くだけでなく、敵を食べたり、海を渡ったりできる。


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12 ~ 一意専心の槍歩兵

原作ではスピリッツとして登場している彼が、ここではファイターになります。
みんなが望んでいたのに参戦しなかった事が悔しかったので、
せめて小説の中ではファイターになってほしい、と思い、書きました。


 シャドウ、ベル、マルス、シークは、一行と別れた後、

 ヨッシーアイランドのエリアでスピリッツを解放しに回っていた。

 カブを売っている猪の老婆カブリバや、マクラノ王国の王子ユメップなど、

 いかにも戦闘に向かない者までスピリッツになっていた。

「なんで、こんなのまでスピリッツになってるのよ」

「りょうやソレイユ、リュンヌがファイターになっている時点でそのツッコミは無駄だと思うよ」

 奇妙なスピリッツばかりではぁ、と溜息をつくベル。

 対照的に、マルスはもう慣れているといった表情をしていた。

「この辺に捕まった仲間はいるのか?」

「いると思うわよ。私は勘を信じるわ!」

「勘って……;」

 ベルの言葉に、シャドウ、マルス、シークは一抹の不安を覚えた。

 

「……あ、いたわ!」

 3分後、ベルは台座に縛られているファイターを見つけた。

 それは、青いバンダナを巻き、片手に赤い房がついた槍を持ったワドルディだった。

「誰だ、こいつは」

「見た事がないね……」

「ワドルディ? でも、ちょっと違うわね」

「新参者か? だが……」

 どうやら、この場にいた四人は、このワドルディの事を知らないようだ。

 とはいえ、放っておくわけにはいかないので、とりあえずシークは後ろに下がり、

 仕込針を台座目掛けて投げると、鎖は砕け散りワドルディは解放された。

「……ケ、ス……」

 ワドルディの目は赤く染まり、槍も禍々しい光に覆われていた。

 さらに、彼の近くにいたあみぐるみヨッシーのスピリッツが、

 ワドルディに付き従うように動いた。

「ケスゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」

 ワドルディは槍を持ってシャドウ達に襲い掛かってきた。

 シャドウは攻撃をかわした後、戦闘態勢を取る。

「来るぞ、油断するな!」

「ええ!」

 

「それ!」

 マルスはワドルディにファルシオンを振って切り裂く。

「やあ!」

 ベルはあみぐるみヨッシーに大きく鎌を振り下ろすが、

 あみぐるみヨッシーは彼女の攻撃を見切る。

「……っ! シャドウ!」

「カオススピア!」

 ベルがシャドウにアイコンタクトをすると、シャドウはワドルディに混沌の矢を放った。

 ワドルディはパラソルを開いて防御しようとしたが、

 パラソルを開く直前で混沌の矢はワドルディに刺さる。

「イタイ! ナニヲスル!」

 ワドルディは槍を振り回してベルを攻撃しようとするが、

 でたらめに振り回したため当たらなかった。

「あんたの事を知りたいから、まずは正気に戻りなさい」

「仕込針」

 ベルとシークは、ワドルディを正気に戻すため、鎌と針でワドルディを攻撃した。

「フォロワースロー!」

「マーベラスコンビネーション!」

 ベルはワドルディを掴んで後ろに投げ、

 マルスが怯んだワドルディをファルシオンで連続斬りする。

「……」

「ウワ!」

 シャドウは無言で威嚇射撃を行い、ワドルディを怯ませる。

 その甲斐があってワドルディはあたふたし、合わせてあみぐるみヨッシーも慌てる。

「ドラゴンキラー!」

「ダウンリーパー!」

 そして、マルスとベルの武器が、あみぐるみヨッシーとワドルディを真っ二つにした。

 あみぐるみヨッシーのスピリッツは、ベルがスピリッツボールの中に入れた。

 

「ばたんきゅ~……」

「なんかそれ、どっかで聞いた事あるわね」

 ワドルディは、どこかで聞いた事があるような台詞を言いながら倒れた。

「おい、そこのお前」

 シャドウが無造作に倒れたワドルディに話す。

「ちょっとシャドウ、それは失礼だと思うよ」

「そうか?」

 シャドウは純粋なため、マルスが注意した事を気に留めていない。

 するとシャドウの声に気づいたワドルディが起き上がった。

「あ、あれ? ここは一体……。大王様……?」

「だ、大王様?」

「うん、ボクに名前をくれた恩人なんだ」

「デデデが……?」

 どうやらこのワドルディは、デデデによって名前を与えられたらしい。

 四人が首を傾げると、ワドルディは笑顔で四人に自己紹介した。

「あ、自己紹介自己紹介。ボクの名前はランス。

 かつてリップルスターで起きた異変を解決したワドルディの……」

「子孫!?」

「従兄弟のお姉さんの友達の甥っ子なんだ」

「なんだ」

 青いバンダナを巻いたワドルディ――ランスと、

 リップルスター異変を解決したワドルディとの繋がりは全くなかったため、がっかりするベル。

「それで、キミ達の名前はなーに?」

「……シャドウ・ザ・ヘッジホッグ」

「ベル・クリーブよ」

「僕はマルスだ、よろしくね」

「シークだ」

「よろしく~!」

 シャドウ、ベル、マルス、シークは改めて、ランスに自己紹介をした。

 ランスは笑顔で、四人の手に一人ずつタッチした。

「それで、キミ達はなんでここにいるの? まあ、そういうボクも、人の事は言えないけど」

「実はね、かくかくしかじかで」

 ベルは、これまでの事情をランスに話した。

 

「ふーん、みんながキーラに捕まっちゃったから助けに行ってるんだね?」

「ええ、そうよ」

「うわぁ~、みんな強そうだねぇ。ねえシャドウ、それ、何?」

 ランスがシャドウの持っている拳銃を差す。

「銃だが?」

「銃? って?」

「お前が持つ必要はないものだ」

「そうなんだ。でもボクにはこの槍と傘があるから、大丈夫だよ」

 ランスはシャドウの銃を欲しがらず、自分の槍と傘を使って戦う事にした。

 あまり高望みはしない、謙虚な性格が見て取れる。

「だからボクも、一緒に連れてって!」

 ランスがぴょんぴょんと飛び跳ねる。

 これは、四人の仲間になりたいというサインだ。

 マルスは微笑みながら彼の仲間入りを承諾する。

「もちろん、いいよ」

「仲間は一人でも多い方がいいからね」

「ふっ、ベルの言う通りだ」

「僕の足手まといになるなよ」

「む~! ボクだってやる時はやるんだから!」

 

 こうして、シャドウ一行に新しい仲間が加わった。

 青いバンダナを巻いたワドルディ、ランスという一意専心の槍歩兵が。




~ベルのスピリッツ名鑑~

カブリバ
出身世界:どうぶつの森
性別:女性
カブ(株と蕪をかけたもの)を売っている猪の老婆。
日曜日の午前中に現れ、カブを売り買いできる。
ちなみに、カブの消費期限は一週間。

ユメップ
出身世界:夢の世界
性別:男性
遠い昔に滅びたというマクラノ王国の王子。
アックームの野望を砕くため、夢世界でマリオ達を助ける。

あみぐるみヨッシー
出身世界:ウールワールド
性別:♂
クラフトアイランドに住んでいるヨッシー。
カメックの魔法でクラフトウールにされた仲間を救うため、冒険する。


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13 ~ お医者さんを探して

Forから最初に復活したファイターが仲間になります。
ここでは彼は、マリオとは別人という設定になっています。


 ランスを仲間に加えたシャドウ一行は、残りのスピリッツを解放しに行こうとしていた。

「あ、シャド兄!」

「お待たせしました~」

 そこに、カービィ、りょう、マリオ、ルカリオ、アイシャ、ファルコン、

 ヨッシーがシャドウ達と合流する。

「あら、そこにいるのはヨッシーね」

「マリオさん達が助けに来てくれました~」

 ヨッシーはキーラに操られたが、マリオ達に助けられた事をシャドウ達に報告した。

「大事な俺の相棒だから頑張って助けたんだぜ」

「マリオさ~ん、相棒だなんて照れますよ~」

「……乗り捨てたりしないわよね?」

「今は、な」

 昔、マリオはヨッシー族を乗り捨てた事があるらしい。

 現在はそんな事はなくなっているが、念のためにベルはマリオにそう言った。

「まあ、これにて仲間は増えた事だし、スピリッツを解放しましょう」

「うん! 頑張るよ!」

 ランスはぶんぶんと槍を振るって気合を溜める。

 もちろん、槍は仲間達に当たらないように、だが。

「やる気満々だね~、ランス」

「そうだよ! ボクは大王様のためならどこへでも行くから!」

「僕も、食べ物のためならどこへでも行くよ!」

 同じミルキーロードの出身者だけあって、カービィとランスは意気投合したようだ。

 その様子を見たアイシャは、ニッコリと微笑んだ。

「二人とも、動機が単純だなぁ。だがそれがいい」

「そうだな。子供らしくていいぜ」

 

 一行はヨッシーアイランドで、キーラにスピリッツ化された者達を次々に解放していった。

 キャプテン★レインボーに変身するニックや、剣法を指南する剣士・鷹丸、

 ニンテンの仲間のアナ、リンクが夢の島で出会ったマリン、スターウルフのパンサーなど……。

「綺麗なスピリッツがいっぱいいますわね~」

「うん! 可愛かったよ!」

 カービィとアイシャがスピリッツに見惚れていると、

 ベルがあるスピリッツを見つけて立ち止まる。

「あれ? どうしたの、ベルベル?」

「ちょっとこれ、見て」

「……」

 ベルが見つけたスピリッツは、緑の全身タイツに身を包んだ、不細工な顔立ちの男だった。

「……これは?」

「チンクル。出身世界はハイラル。自分を妖精だと思い込んでいる男。35歳独身」

 ベルが何とも言えない顔でスピリッツを説明する。

「……醜悪だな」

「不細工だ」

「何これ~」

 シャドウ、シーク、ランスは、全員同じ意見を言った。

 あまり意見が合わない三人だが、この時だけは意見が合っていた。

「……ま、とりあえず、こいつも解放しなくちゃね」

 ベルは大鎌を構え、チンクルに戦闘態勢を取った。

 カービィ、シャドウ、シーク、ランスも、彼女に続いて構えた。

「あ、私も入れてくださ~い!」

 ヨッシーも遅れて、彼らと同じように構えた。

 

「あっけなかったわね」

 チンクルとの戦いは、あっさりと終わった。

 妖精だと思い込んでいるただの独身男に、本物の死神が負けるわけがなかった。

「さて、こういうのも一応スピリッツになるから、入れておくわ」

 ベルはチンクルのスピリッツをスピリッツボールの中に入れる。

 その後、スイッチを感知してシャドウのカオスコントロールでそれがある場所に

 連れて行ってもらい、スイッチを押して青いバリアを消した。

「これでとりあえず、スピリッツはみんな助けたかな?」

 カービィが辺りをきょろきょろと見渡す。

 散らばっているスピリッツはほとんどなく、

 ヨッシーアイランドのエリアはもう終わりかと思われていた。

「待て!」

 その時、ルカリオがヨッシーアイランドにある波導を察知したようで通知する。

「ルカルカ、どうしたの?」

「波導を……感じる……!」

「え、誰の波導!?」

「こっちだ、ついてこい!」

 そう言って、ルカリオは波導を察知した場所に皆を案内していった。

 カービィ、シャドウ、ベル、アイシャ、マリオ、ヨッシー、ファルコン、マルス、シーク、

 りょうは急いで彼についていった。

 

「ま、待って~!」

 ランスも、遅れながらみんなについていった。

 

「フフフフフフ……」

 ルカリオが波導を察知した場所には、マリオの従兄弟・ドクターがいた。

 ドクターは含み笑いをしながら、倒れたプリムの身体をメスで解剖している。

 彼の瞳は、真っ赤に染まっていて、正気なようには見えなかった。

「まだこっちには気付いていないようだが……」

 突撃するか、おびき寄せるか、忍び寄るか……。

 見つからないようにドクターにダメージを与え、有利な状況にする必要があるようだ。

「よし、僕が忍び寄ろう」

「頼むぞ」

 シークはこっそりとドクターに忍び寄り、懐から仕込針を取り出した。

「ギャッ!?」

「……完璧だな」

 ドクターは背後にシークがいる事に気づかないまま、仕込針の攻撃を受けた。

「よし、一気に行くぞ!」

「うん!」

 マリオ、カービィ、シーク、シャドウ、ベル、ランスは、

 その隙にドクターに突っ込んでいった。

「ウ、ウグググ……!」

 怯んだドクターは何もできずに六人の攻撃を一方的に受ける。

 今、ドクターとの戦いが、始まった。

 

「やぁーっ!」

 ベルはドクターに大鎌を振るが、ドクターはシールドで防御する。

 ドクターはカービィのフェイントをかわした後、シークを蹴って攻撃した。

「うわぁ!」

「目ぇ覚ませ、ドクター!」

「ボクの目を見てよ!」

 マリオの拳とランスの槍がドクターに当たるが、致命傷にはならなかった。

「そこだっ!」

 シャドウはドクターの腕に狙いを定め、拳銃でそこを撃った。

 ドクターは腕を押さえて一瞬だけ動きを止め、

 その隙にマリオがファイアボールでドクターを攻撃した。

「大事な従兄弟だからな……俺が助けてやるよ」

「グググ……カイボウシテヤル……」

「ドクター! 駄目だよー!」

 カービィがドクターを止めにかかるが、

 ドクターは歩みを止めずマリオに突っ込んで心臓マッサージをしようとした。

 しかし、その心臓マッサージをマリオはジャストシールドで完全に防いだ。

「セッカクナオソウトオモッタノニ……」

「治すのはお前の方だ」

 シャドウはそう言って、ドクターに拳銃を撃つ。

 ランスも槍を振り回しドクターを攻撃した。

「ボクは助けられたんだ。だから、ボクも助ける!」

「タスケルカ……タスケラレルナラコイ!」

「今、助けるよ! バーニング!」

「ウアーーーーッ!!」

 カービィは全身に炎を纏い、ドクターに体当たりした。

 先程の一斉攻撃が効いたのか、ドクターはその一撃で倒された。

 

「あ、もう終わっちゃったの?」

「ドクターはあまり戦闘は得意じゃないからね」

「わたしが治してあげますわ」

 アイシャは倒れたドクターに傷を癒す術を使い、ドクターを意識不明から回復した。

 

「う~ん……あれ? ここはどこだろう……」

「おはよう、ドクター」

 マリオの声と共に起き上がるドクター。

 ドクターはキーラから解放されており、目は元の色に戻っていた。

「あ、ドクター! 元に戻ったんだね! よかった」

「わ、カービィ君、何するんだよ」

 カービィは正気に戻ったドクターに抱き着く。

「だってぇ~、ドクターはアイシャちゃん以来のヒーラーだもん!」

「そ、そうかい……」

「それにマリおじちゃんの家族だもんね!」

「はは……僕の従兄弟のマリオ君とルイージ君の事かい?

 ルイージ君は、まだいないようだけど」

「実は……」

 マリオは、ドクターにこれまでの事情を話した。

 

「なるほどね。キーラという奴が僕達をこんな目に遭わせたのか」

「当分はキーラに捕まった人達を助けに行く事にしたんだ」

 今の彼らの目的は、キーラに奪われた者の奪還だ。

 ファイターだけでなく、肉体を失った住民、スピリッツも助けなければならない。

 それらを聞いたドクターは、凛々しい表情で頷く。

「じゃあ、僕も一緒に行くよ。

 戦うのは苦手だけど、だからといって逃げるわけにはいかないしね。

 それに、怪我したら僕が治してあげるからさ」

 ドクターは争いを好まない性格だが、いざという時の行動力はかなりのものだ。

 普段はあまり見せない従兄弟の表情を見たマリオも、同じ表情で頷き返した。

 そして、マリオとドクターは互いの手を取った。

 

「一緒に行こう、マリオ君!」

「ああ……ドクター!」




~ベルのスピリッツ名鑑~

ニック
出身世界:ミミン島があるどこか
性別:男性
自由の国マメルカのヒーロー、キャプテン★レインボーの変身前の姿。
時代の流れで落ちぶれてしまった彼は、再び人気者になるため、
ミミン島に向かい、困っている人を助けに行く。

鷹丸
出身世界:江戸
性別:男性
江戸で剣法指南を勤める剣士で、忍術も使える。
ムラサメの噂を聞いた幕府から村雨城に送られる。

アナ
出身世界:アースボーンド
性別:女性
ニンテンの仲間の一人で、雪国出身の少女。
明るく無邪気で、子供っぽい性格。
戦闘ではフライパンと多彩なPSIを使う。

マリン
出身世界:ハイラル
性別:女性
リンクが夢の島で出会った、青い衣の少女。
穏やかな性格だが、ある事をすると……。
リンクが夢の島での冒険を終える時、彼女もまた、悲しい結末を迎える。

パンサー・カルロッソ
出身世界:スペースワールド
性別:男性
スターウルフのメンバーの一人。
美女を見ると口説かずにはいられないほど女好き。
しかし、パイロットとしての腕前は一流。

チンクル
出身世界:ハイラル
性別:男性
自分を妖精だと思い込んでいる35歳の独身男。
緑の全身タイツを着ているのが特徴。
風船で空を飛びながら地図を書いている。


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14 ~ フォックス発見!

お詫びいたします。
昨日は自動投稿ができませんでした。
次回はちゃんと自動投稿しますので、ご安心ください。


 ドクターを仲間に加えた一行は、ヨッシーアイランドを後にし、次の目的地を探していった。

「それにしても、この世界は大変な目に遭ってるんだねぇ」

「最初は戦える奴が僕以外にいなかったしな」

「それを言うならカービィとベルもでしょ」

 最初にキーラの襲撃で生き残ったのは、ワープスターで避難したカービィ、

 カオスコントロールで避難したシャドウ、魂を守る術で避難したベルのみ。

 そこから三人は、スピリッツ化した者達を救いながら、

 キーラの呪縛からファイターを解放している。

「でも、こうして俺達は助けられてるんだ。いいだろ? ドクター」

「ファルコン君、それでもこっち側が少数陣営だという事に変わりないよ」

 とはいえ、相変わらずキーラ軍の方が多い事は、ドクターもちゃんと把握していた。

「まぁ、確かに人数は少ないな」

「でも、僕達は強いよ。数なんかよりも、えーと」

「質だ」

「そうそう、質、質!」

 要するに、有象無象が束になってかかっても、能力が高ければ軽くあしらえる、という意味だ。

「数よりも能力で勝負だ! 待ってろよ、キーラ!」

「ああ! 俺達が必ず、全てを奪還するぜ!」

「おーーーーーーっ!!」

 スマブラ四天王のマリオとカービィは立ち上がり、キーラが浮かぶ天に向かってそう言った。

 二人の勇気に満ち溢れた声質と表情に、一部を除いた全員が勇気づけられた。

 しばらくすると、キーラが嘲笑するかのように空が震えた。

「キーラ……完全に俺達を馬鹿にしているようだな。

 だが、必ずお前を痛い目に遭わせてやるからな」

 ファルコンは握り拳を作り、キーラにそう宣戦布告するのであった。

 

「次はこっちだ」

 シャドウを先頭にして、一行は西に向かって歩いていった。

「おいシャドウ、どうしてそっちに行くんだ?」

「ベルがヨッシーアイランドで青いスイッチを押したからな。

 他にもスイッチがあるだろうと予測したからだ」

「へ~……」

「あ、スイッチ見つけたわよ!」

 ベルが指差した先にあったのは、赤いスイッチだった。

 しかし、赤いスイッチがある場所に行こうとすると、

 ブロンドのポニーテールと白いドレスが特徴の女性と、

 赤い衣を纏い、大きな槍を携えた男が道を塞いでいた。

 それぞれ、パルテナとガノンドロフのボディを元にしているが、姿は異なっていた。

「ハーディン……本当は……私は……」

「ニーナ、何故そんな事を言う……! お前は、我が妻なのだぞ……!」

 悲しげな表情をする女性、ニーナと、衝撃を受けている男、ハーディン。

 ハーディンはニーナを妻と呼んでいて、カービィはハテナマークを浮かべる。

「え、なんで?」

「ニーナ様はグルニアの黒騎士団の団長、カミュ将軍が好きだったんだ。

 だけど、暗黒戦争が終わった後、ニーナ様は祖国復興のためにハーディンと政略結婚した」

 二人のやり取りに疑問を抱くカービィに、マルスは簡潔に理由を説明した。

「……こういうやり取りも生まれるから、戦争というのは悲しいね。だから、僕が助ける」

 マルスはファルシオンを抜き放ち、二人のスピリッツを解放する体勢に入った。

 暗黒戦争で自身にファイアーエムブレムを託した王女は、

 恋慕する騎士がいながら終戦後にオレルアン王弟と結婚し、

 今度はその魂をキーラに利用された。

 だから、マルスは二重の呪縛に苦しむニーナを解き放ちたいのだ。

「よーし! そんなに言うなら、僕もマルスと一緒に戦おう!」

「頑張ろうぜ、相棒!」

「はい、マリオさ~ん!」

 

「馬鹿め!」

「きゃ!」

 ハーディンは槍でアイシャを攻撃する。

 アイシャはハーディンの一瞬の隙を見計らい、ハーディンの攻撃を回避した。

「おら!」

「それ!」

 マリオはハンマーを振り、りょうは傘でニーナを攻撃する。

「殴るのは苦手ですけど……」

 アイシャはニーナにビンタして怯ませる。

 マルスはニーナを斬りたくないため、ハーディンをファルシオンで斬る。

「そ~れ!」

「はっけい!」

「効かぬ!」

 ヨッシーとルカリオの攻撃を、ハーディンは槍で受け流す。

 そしてハーディンはマリオに槍を突き刺そうとするが、

 マリオは緊急回避して彼の背後に回り込みファイアボールで攻撃する。

「ドラゴンキラー!」

「ぐうぅぅぅぅぅっ!」

 ハーディンはマルスのファルシオンの一撃を受け、横に大きく吹っ飛ばされる。

「そ~れっ!」

 その後、ヨッシーがニーナに頭突きをし、ニーナも吹っ飛ばされて戦闘不能になった。

 

「カミュ……ごめんなさい、私は……」

「大丈夫よ、すぐに会わせてあげるから。しばらく大人しくしててね」

 ベルはスピリッツボールを開け、ニーナのスピリッツを中に入れた。

「今度はお姫様のスピリッツか。

 ……そういえば、ピーチやゼルダやデイジーは、どこに行ったんだ?」

「あ、そういえば」

 ファルコンの一言で、マリオは気付く。

 ピーチ、ゼルダ、デイジーは、他にも姫はいるが、争いの世界の代表的な姫だ。

 またデイジーは、最近スマブラ屋敷に入って来たサラサランドの姫でもある。

「ちょっと、調べてみるわ」

 ベルは鎌を地面に刺し、精神を集中して光の世界を探知した。

「溶岩城にピーチが見つかったわ」

「え、ホント!?」

「でも、ゼルダやデイジーの魂は分からない……。

 もしかしたら、別の世界にいるかもしれないわ」

 ベルの探知により、ピーチが溶岩城にいる事が判明した。

 しかし、ここから溶岩城に行くには遠すぎるため、カービィがシャドウにある提案をした。

「シャド兄、テレポートで溶岩城に行けないの?」

「正確にはカオスコントロールだが……もちろん行ける。だが、まだ行く必要はない」

「どうして?」

「……今はこいつと戦って、赤いスイッチを押すのが先だからな」

「あ」

 赤いスイッチの前に立っていたのは、スターフォックスのリーダー、フォックスだった。

 彼もまた、台座に束縛されており、カービィが触れる事で台座から解放された。

 フォックスの両目は、赤く輝いていた。

「キーラサマノジャマヲスルモノハ……オレガ、シマツスル……」

 フォックスは赤いスイッチを守っている。

 どうやら、キーラに操られていても、一人称までは変わらないようだ。

 シャドウとランスはそれぞれ武器を構える。

「よ~し! 頑張るぞ~!」

「邪魔をするというのなら、覚悟するんだな」

「待っててね、フォッくん。僕が必ず助けるから!」

「目の前にいる患者を助けられなくて、何が医者だ」

「死神ベル・クリーブ、ただいま参上! ってね」

 カービィに続いて、マリオ、ドクター、ベルも戦闘態勢を取った。

 今、フォックスとの戦いが、始まった。

 

「それっ!」

 ベルはフォックスに大鎌を投げつける。

 フォックスはリフレクターを使い、飛んできた大鎌を跳ね返す。

 すかさずフォックスはブラスターをドクターに連射するが、

 ドクターはシールドを張って攻撃を防ぐ。

「君の病名は……『ゾンビ病』だね」

「ゾンビ病?」

「病気を生み出してる人の下僕になる病気だよ。元の意識はなく、主の忠実な従者になるのさ。

 これは症状が軽いから強いショックで治るけどね」

「グァッ!」

 そう言って、ドクターはカプセルをフォックスに投げつけて怯ませる。

「そらよ!」

 マリオは、ドクターに続いてフォックスをファイアボールで攻撃する。

 シャドウはホーミングアタックを繰り出した後、一度距離を取って拳銃で頭部を狙って撃つ。

「よく平気でそこを狙えるね、シャド兄」

「頭ならば、すぐに倒れるからだ」

「ウググ……」

 フォックスは頭を押さえて動けなくなる。

「よし、今だ!」

 カービィとランスはフォックスに突っ込み、パンチと槍で連続攻撃した。

「フォックスイリュージョン!」

「うわあぁ!」

「うわぁ!」

 怒ったフォックスは、目にも留まらぬスピードでカービィとランスを切り裂く。

「キーラサマニタテツクナド、ゴンゴドウダン! イマココデ、ケシサッテクレル!」

「ボク達はそのキーラという人からキミを助けるために戦っているんだ!」

「ダマレダマレダマレ! キーラサマコソシコウ! キーラサマコソスベテ!

 スベテヲヒカリニツツンデクレル!!」

「うわーっ!」

 フォックスはランスを腕で振り払う。

 ランスは体力が減ってきて、疲労も溜まっているが、気合で何とか立ち上がった。

「ドウシタ……コノテイドカ?」

「フォックス、キミのキーラへの忠誠心は確かに凄いよ。でも、それは間違ってる」

「ナニ?」

「大王様はボクに名前をつけてくれた。それは、ボクを信頼しているからだ。

 今もボクは、名前をつけた大王様のために頑張ってる。

 忠誠というのは、お互いを信じてこそ生まれるんだ。キミは、キーラに利用されてるんだ!!」

「ダマレェェェッ!!」

「黙らないよ! だって、これがボクにとっての主従関係だもん!」

 ランスは槍を構え直し、フォックスに突っ込んでいった。

 フォックスは両手で槍を押さえ、ランスを再び投げ飛ばす。

 衝撃でランスの槍が飛んでいったが、ランスは諦めずに立ち上がり、

 もう一つの武器である傘を取り出す。

「槍がなくてもこれがある! ボクは絶対に諦めない! カイショウナシになるものか!!」

 そう言って、ランスは傘をドリルのようにフォックスに突き立てた。

「はぁぁぁぁっ!」

「ウォォォォッ!」

 フォックスとランスがぶつかり合う。

 ランスの傘がフォックスの身体に当たったと思えば、

 フォックスの尾がランスに当たったりと目まぐるしい光景になっていた。

 

「す、凄いですわね、ランスさん……」

「誰かのために一生懸命になると、こうなるんだな……」

 アイシャとシークは、その光景を固唾を呑んで見守っていた。

 

 そして数分後、ランスとフォックスの一騎打ちに決着がついた。

 ランスの傘がフォックスを貫き、フォックスはその場に倒れた。

「勝ち、ました……よ、大王、様……」

 ランスも、ダメージがかなり蓄積していたため、フォックスに遅れて倒れた。

 

「お疲れ様、ランス君」

「ひぃ~! しみる~!」

 戦いを終えたランスは、ドクターに怪我を治してもらった。

 ドクターは塗り薬をランスに塗っていく。

 薬が傷に当たってしみたらしく、ランスは痛がっていた。

「悪いけど、治療は手を抜かないよ。患者が死んだら元も子もないからね」

「うぅ~……」

 ランスがドクターの治療を受けている間に、フォックスが起き上がった。

「ん……あれ、俺は何をしていたんだ……」

「フォッ君! お帰り!」

「うわっ!」

 カービィの明るい声にフォックスは驚いてよろめく。

 いきなり殴られた上に、大きな声で呼ばれたからだ。

 フォックスはよろめいた拍子に、後ろにあった赤いスイッチを押してしまった。

 すると、道を塞いでいた岩が砕け散り、赤いバリアも消えた。

「……あ、すまん」

「いいのよ、バリアが消えたみたいだし。

 フォックス、少し休んだら、何が起こったか詳しく聞かせてもらうわよ」

「ああ、分かった」

 

 数分後、フォックスはベル達に事情を話した。

 内容の大半は他のファイターを助けた時のものと同じだったが、

 フォックスはあるものを見ていたらしく、それを皆に話した。

「俺が意識を失う前に最後に見たのは、マスターハンドだった。

 そいつは何か、慌てているみたいだった」

「慌てている?」

「ああ……確か、どこに飛んでいったかな……。うーん……宇宙だったかな?

 とにかく、そいつは何か知ってるっぽいし、宇宙に行けたら話を聞きたいんだが……

 アーウィンを出そうにも何故か出せないし……」

 フォックスはまたもアーウィンを出せなくなったようだ。

 じゃあ後回しだね、とりょうが言う。

「それじゃ、次はどこに行く?」

「……南西にある街で2つの波導を感じる。そこに行くぞ」

 ルカリオは、街で波導を感じたらしい。

 恐らくは、ファイターの波導だろう。

 一行は全員、迷わずルカリオに賛成し、街に行くための準備をした。

 

「準備はできたか?」

「うん!」

「では、街に行くぞ!」

「あ、待ってくれ。ランス君の治療が今終わったところだ」

「置いてかないで~!」




~ベルのスピリッツ名鑑~

ニーナ
出身世界:戦記の世界
性別:女性
アカネイア王国の王女。
暗黒戦争でマルスにファイアーエムブレムを託す。
後にオレルアン王弟ハーディンと政略結婚するが、彼女の心はカミュに傾いており……。


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15 ~ 街の中で

この中に、とんでもなく強いスピリッツがいます。


 ルカリオが感じ取った2つの波導を見つけるため、一行は街に行くための道を進んでいった。

 その道中で、一行はスレチガ諸島に住むコペラを解放し、

 山を抜けるとそこは目的地である街だった。

 北側に噴水があり、塔が立っている中央広場や、道場らしき建物、住宅街などがある。

 街だけあり、スピリッツはたくさん各地に存在している。

「スピリッツをたくさん感じるわ。街は広いから、ペアで行動して、はぐれないようにね。

 スピリッツを解放したら、広場に行くのよ」

「ああ」

 一行はペアを組んで解散し、それぞれスピリッツの解放に行った。

 

 ヨッシーとりょうは、美容師のプードル、カットリーヌと戦っていた。

「ボディはしずえさんですね~」

「犬だからね。えい!」

 りょうはボウリングの玉をカットリーヌに落とすが、カットリーヌはシールドで攻撃を防ぐ。

 ヨッシーは舌を伸ばしてカットリーヌを口に入れた後、彼女を卵に変える。

 その隙に、りょうは木を育てて斧を振り、木を切ってそれをカットリーヌに落とし、

 彼女を吹っ飛ばして戦闘を終えた。

 カットリーヌのスピリッツは、ベルのところに飛んでいった。

「あれ? もう決着がつきましたね~」

「元々戦闘向きじゃないからね、カットリーヌはそんなに強くないよ」

「それじゃあ、私達は広場に行きますね~」

 

 ファルコンとベルは、格闘家のダンと戦っていた。

「やあーっ!」

 ベルはダンの背後に回り込み、大鎌で斬りつける。

「いくぞ、ファルコンキック!」

「断空脚!」

 ファルコンはダンに飛び蹴りを放つも、ダンは華麗な動きでかわし、

 飛び跳ねながら蹴って反撃する。

 ダンは距離を取って挑発し、

 ファルコンは隙を突きダンに膝を当てようとするがギリギリで当たらなかった。

「挑発ばっかりする割に、そこそこ強いのね」

「これがサイキョー流だからな!」

「だが、勝つのは俺達だ! ラウンドキック!」

 ファルコンは回し蹴りでダンを攻撃する。

 ダンが怯んだ後、ファルコンはダンを掴み、後ろに回して後ろ蹴りをする。

 そして、振り向いた後、とどめのファルコンパンチでダンを吹っ飛ばした。

「捕まえた!」

「な、何をする!」

「じたばたしないでね、あんたはこの中に入ってもらうわ」

 ベルはダンのスピリッツをぎゅうぎゅうとスピリッツボールの中にしまった。

「よし、後はみんなのところに戻るだけだな」

「そうね」

 

 地下に行くための階段には、あひるポケモンのコダックがいた。

 フォックスとドクターは、道を通るためにコダックと戦う。

「とりゃあっ!」

 フォックスは力を溜めて蹴りを放ち攻撃する。

 コダックは水を放って反撃するが、

 所詮は未進化ポケモンなのでフォックスとドクターの相手にはならなかった。

 ドクターが心臓マッサージでコダックを倒すと、

 コダックのスピリッツはベルのいるところに飛んでいった。

 フォックスとドクターは、ぽかーんとしながらその光景を見ていた。

「おや、あっさり終わったねぇ」

「うーん、呆気なかったな。まぁ、いっか。とりあえず、みんなのところに行こう」

 

 シークとアイシャは、モニータと戦っていた。

「はっ!」

「ワタクシ、目が回りマス。どこに攻撃を当てればいいのデショウ……ウワ!」

「それ!」

 シークはフェイントをかけモニータを混乱させる。

 混乱したモニータは何をすればいいか分からず、

 アイシャはその隙にモニータに皿を投げつける。

「双魚!」

「ア~~~レ~~~」

 シークがモニータを二回蹴ると、モニータはすぐに意識不明になった。

「……ワタクシ、これでも女子デスよ。暴力、反対、デス……」

「わたしやピーチ姫、ゼルダ姫、サムスさんのような女性が戦っている時点で、

 その言葉は無意味だと思いますけど……」

 アイシャは倒れたモニータに苦笑しながらそう言った。

 勘違いされがちだが、モニータは一応女性である。

 シークが複雑な表情で頷いた後、モニータのスピリッツはベルがいるところに飛んでいった。

「……どうしました、シークさん? 戻りますよ?」

「ああ、そうだったな」

 

 マルスとランスは、ハル・エメリッヒと戦っていた。

「君の世界のアニメ、また見たいなぁ」

「でも、再放送したとしてもボクは出てないよ」

 ハル・エメリッヒは、日本のアニメが好きなため「オタク・コンベンション」、

 略して「オタコン」という通称がある。

 またランスの世界のアニメ、つまりアニメ版星のカービィは、

 この小説同様に多くのパロディや社会風刺がある。

 理由は、原作での「子供でも大人でも楽しめる」コンセプトを再現しているからだ。

 さて、少し脱線してしまったが、戦闘に戻そう。

「スラッシュ!」

「ワドスピア!」

 マルスとランスはオタコンの攻撃をかわし、剣と槍でハルにダメージを与えた。

 続けて二人は追撃しようとするが、ハルはそれを見切り回避する。

「マーベラスコンビネーション!」

 しかし、マルスはすぐさまハルを連続で斬りつけ、意識不明にして解放した。

「……ありがとう。ようやく、自由になれたよ」

「どういたしまして」

 マルスがハルにお礼を言った後、ハルのスピリッツはスピリッツボールに飛んでいった。

 

 ルカリオとシャドウは、ジェフと戦っていた。

 ジェフの近代兵器の弾幕を掻い潜る中、ルカリオはシャドウから強い波導を感じた。

 それは、この戦いを楽しんでいるような波導だった。

「シャドウ……先程から感じるお前の波導は一体……」

「それがどうした? 解放しないのか?」

「……すまん、忘れてくれ」

「……」

 ジェフのペンシルロケットをシャドウはギリギリでかわし、

 ホーミングアタックを繰り出した後、スピンキックで追撃する。

 ルカリオはジェフをりゅうのはどうで攻撃するが、

 ジェフはディフェンスシャワーを使って防ぐ。

「じゃあ、いくよ」

「くっ!」

 ジェフはエアガンを構えてルカリオに撃つ。

 彼の攻撃はギリギリで命中し、ルカリオの体力を減らす。

「銃は僕も持っているぞ」

「わっ!」

 シャドウはそう言って、拳銃でジェフを撃った。

 単純な技だが、銃弾はジェフの頭部目掛けて正確に飛んでいき、大ダメージを与えた。

「うわっ! 何するんだい!」

「そこが、お前の弱点だからだ」

「……じゃあ、ね」

「いくぞ」

 ジェフとシャドウは同時に銃を撃つ。

 銃弾は二人の頬を掠めたが、致命傷にはならなかった。

 ルカリオは二人の攻撃が終わった後、はっけいを繰り出してジェフを吹っ飛ばす。

「いくよ!」

「はっ!」

「ふっ!」

 ジェフはスーパーバズーカを取り出して発射する。

 シャドウとルカリオはジャンプしてスーパーバズーカを回避した。

「うーん、ちょっと隙が大きかったかな? それじゃ、ペンシルロケット20!」

 ジェフはペンシルロケットを20本設置してルカリオに連続で発射する。

 ルカリオはシールドで防ごうとするが、10発食らったところでシールドブレイクが発生し、

 残りの10発を諸に受けてしまい意識不明になる。

「倒れたか。だが、お前ももうもたないだろう。これでとどめだ! カオススピア!」

 シャドウは混沌の力を矢にしてジェフに投射する。

 ジェフの腹部にそれが刺さると、「うっ」という声と共にジェフが倒れ、

 スピリッツがベルのところに飛んでいった。

「まったく、お前が意識を失うとはどういう事だ? ……仕方ない、運んでいこう」

 シャドウはそう言って、倒れたルカリオを担ぎ、広場に戻っていった。

 

 マリオとカービィは、ウィーボと戦っていた。

「おりゃあー!」

「それー!」

「動きが遅すぎマス」

 マリオとカービィの攻撃を見切り、力を溜めるウィーボ。

「させるかよ!」

「うわーっ!」

 マリオはウィーボのスマッシュ攻撃を阻止しようとするが、手が滑って攻撃が当たらない。

 カービィの攻撃も後一歩のところで届かず、

 ウィーボはカービィに最大まで溜めたスマッシュ攻撃を放った。

「う……っ!」

「ワタクシの攻撃が、弾かれマシタ!?」

 なんと、カービィがジャストシールドでウィーボのスマッシュ攻撃を防いだのだ。

「大丈夫……僕は負けないから! ウィーボ、ちょっと待ってて!」

「おう! アイスボール!」

「いっくよー!」

 カービィはマリオが出したアイスボールを吸い込み、アイスをコピーした。

「こちこちといき!」

「ウワー!」

 アイスカービィは口から冷気を吐いてウィーボを凍らせる。

 その隙にマリオは凍ったウィーボを掴み、ジャイアントスイングで投げ飛ばす。

 氷は解けたが、すぐにアイスカービィはウィーボをこちこちといきで凍らせる。

 そしてマリオがファイア掌底を放ち、ウィーボを氷ごと吹っ飛ばして戦闘不能にした。

 

「バタンキュー……」

「……」

 ウィーボはしばらくの間、意識を失ったが、すぐに意識を取り戻して起き上がる。

「お、起きたな」

「アレ……ワタクシは何をしていたのでショウ……」

「ちょっと休んでから話そうね」

 

 数分後、マリオはウィーボにルカリオが見つけた波導についての情報を聞いた。

「ウィーボ、この街でルカリオが2つの波導を見つけたらしいが、それ、知ってるか?」

「2つの波導、デスか? それは、リュンヌサンとソレイユサンだと思いマス。

 確か、ここから西にいまシタ」

 リュンヌ・ラサンテとソレイユ・ラサンテとは、体操を教えている夫妻の事だ。

 あの時、二人は立ち木のポーズでキーラの光線を回避したはずだったが……。

「やっぱ、命中したのかよ……」

「でも大丈夫だよ、ソレ姉とリュン兄は僕達が助けるから。ウィボ君、待っててね」

「分かりまシタ。ワタクシは道場で待っておりマス」

「待ってろよ、ウィーボ!」

 

 こうして、街で見つかったスピリッツを粗方解放した一行は、広場に集合した。

「あら、ルカリオさんが意識不明になっているみたいですわね。わたしが治してあげますわ」

 アイシャは、ジェフとの戦いで意識不明になったルカリオを癒しの力で回復する。

「あの波導はソレイユとリュンヌだって」

「うへぇ、やっぱりこうなったのね。で、どこにいるのかしら?」

「ウィーボの道場から西……つまり、ここから北西にいるんだ。

 あいつらも身体を利用されてると知ったらショックだろうな」

 念のため注釈するが、マリオのこの言葉にはやましい意味は微塵もない。

 スピリッツを入れるコピーボディをキーラが利用するという意味である。

「ソレイユとリュンヌには誰が挑むの?」

「僕だ」

「僕が行くよ」

「私が参ろう」

「ボクもやるよ~!」

「僕だよ」

「俺だ」

「よし、決まりね」

 ソレイユとリュンヌには、シャドウ、マルス、ルカリオ、ランス、ドクター、

 フォックスが挑む事にした。

 

「ここにいるようだな」

 六人は、ソレイユとリュンヌがいる北西に向かっていった。

 台座には、シャドウの言う通り、ソレイユとリュンヌが縛られていた。

「今、助けるからね! それ!」

「ワーオ! キョウモイッショニダイエット!」

「ワーオ! キョウモゲンキニキンニクビ!」

 ソレイユとリュンヌは台座から解放されると、シャドウ、マルス、ルカリオ、ランス、

 ドクター、フォックスに襲いかかってきた。

 シャドウ、マルス、ランス、フォックスは武器を構え、ソレイユとリュンヌを迎え撃った。

 

「いくぞ!」

「頑張るぞー!」




~ベルのスピリッツ名鑑~

コペラ
出身世界:すれちがいの世界
性別:女性
釣りの名所・スレチガ諸島にあるクラブハウスで働く女性。
スレチガ諸島の生物研究家の一人娘。

カットリーヌ
出身世界:どうぶつの森
性別:女性
ビューティーサロン スピーディを営むプードル。
質問に応じてヘアスタイルを変えてくれる。

ダン
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
本名、火引弾(ひびきだん)。サイキョー流を名乗る格闘家。
桃色の道着が特徴で、よく試合中に挑発をする。

コダック
出身世界:ゲフリアース
性別:♂♀両方存在する
カントー地方を中心に広く生息する、あひるポケモン。
みずタイプで、特性はしめりけ、ノーてんき、隠れ特性はすいすい。
時々、自分の意思と関係なく念力が出るため、頭痛で苦しんでいる。

モニータ
出身世界:ニンテンドーランド
性別:女性型
ニンテンドーランドのナビゲートロボット。
モニターと音声合成によってナビゲートし、スリーカウント用の指を持つ。

ハル・エメリッヒ
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
アメリカの軍事兵器開発会社アームズ・テック社の社員。
スネークとは長い付き合いで、その絆は強い。
日本のアニメが好きなため、「オタコン」という愛称がついている。

ジェフ
出身世界:アースボーンド
性別:男性
アンドーナッツ博士の子で、科学者を目指している、眼鏡をかけた少年。
ペンシルロケットなど、奇妙な道具や発明品を駆使して戦う。
内向的で悩みがちだが、知恵と勇気がある。

ウィーボ
出身世界:健康の世界
性別:不明
バランスWiiボードに命が宿り、ナビゲーターになった者。
健康の世界では、バランスWiiボードそのものを「私」と表現する。


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16 ~ ソレイユとリュンヌ

WiiFitトレーナーは、ここでは夫婦という設定になっています。
なので、私はマクトレ否定派です。ごめんなさい。


「とりゃあっ!」

 フォックスはソレイユを蹴り飛ばし、吹っ飛ばす。

「それ!」

 ドクターはリュンヌにカプセルを投げるが、

 リュンヌは緊急回避でドクターの背後に回り込み、投げ飛ばす。

「いたた、僕は身体があまり強くないんだ」

「ケンコウダイイチナノニ、ドウシテソンナコトヲイウンデスカ?

 イシャノフヨウジョウ、コマリマスネ」

 キーラの呪縛の影響で、ソレイユとリュンヌは過剰に健康にこだわるようになっていた。

「過ぎたるは及ばざるがごとし。あまりこだわらない方がいいよ」

 ドクターはソレイユが飛ばしたボールをスーパーシーツで跳ね返す。

「はっ!」

「キャー!」

「そこだ!」

「ウワー!」

 ルカリオは足に波導を纏い、ソレイユを蹴る。

 シャドウはリュンヌの攻撃を紙一重でかわし、スピンキックと拳銃で反撃する。

 さらにシャドウは指を鳴らして空間を歪ませ、ソレイユにダメージを与えた。

「マーベラスコンビネーション!」

 マルスは流れるような剣撃でリュンヌの防御を抜くように攻撃する。

 そこにランスが槍を回して突く技、ぐるぐるスピアで追撃し、リュンヌを吹っ飛ばした。

 ちなみにぐるぐるスピアは、スマブラ屋敷でデデデから教わった技である。

 

「イイウンドウデスネ」

「デモ、キーラサマノカゴヲエタワタシタチハムテキデス」

 ソレイユとリュンヌは、傷つきながらも余裕で立っていた。

 キーラの加護とリュンヌが言っているが、あれが二人を支えているものだろうか。

 

「キーラが力を与えてるの?」

「それなら……ファイアー!」

 フォックスは身体に炎を纏い、リュンヌに体当たりする。

 リュンヌは緊急回避で攻撃をかわし、ダンスのポーズで反撃する。

「うぉあ!」

「ソコデスネ!」

「させない!」

 マルスはリュンヌの攻撃に合わせてファルシオンで反撃した。

 続けて、シャドウは走っているリュンヌの足に拳銃を撃ち、彼の足を止める。

「よし、今だ! ボーンラッ……!?」

 ルカリオは骨を作ってリュンヌを攻撃しようとしたが、

 すぐ傍にバナナの皮があった事を知らず、滑って転倒してしまった。

「……っつ」

「大丈夫、ルカリオ!?」

「ああ、平気だ……っと」

 ルカリオはすぐに立ち上がって構え直す。

 ソレイユとリュンヌは、そんな彼を見てくすくすと笑っていた。

「二人とも、何がおかしい」

「アナタガコロブナンテ」

「メズラシイデスカラ」

「記憶まで利用しているとはな……。だが、これで私に火がついた事を忘れるな。

 いくぞ、しんそく!」

 ルカリオは目にも留まらぬスピードでソレイユに近付き、殴りつける。

「つるぎのまいからのインファイト!」

「ウワァァァァァァ!」

「キャァァァァァァ!」

 さらに、ルカリオは自身の攻撃力を大きく上げる技を使い、

 ソレイユとリュンヌに近付いて二人を巻き込むように捨て身の攻撃をする。

 インファイトは桁外れの威力を誇り、

 つるぎのまいも相まってソレイユとリュンヌに大ダメージを与えた。

 これにより、二人は瀕死の重傷を負い、倒れた。

 

「やった!?」

「……いや」

 しかし、瀕死のソレイユとリュンヌはゆっくりと起き上がる。

 ソレイユとリュンヌの目は、ギラギラと赤く光っていた。

「ま、まだ立てるの!?」

「キーラサマノタメニ……ワタシタチハマケマセン」

「スベテハキーラサマノタメニ」

「……」

 不気味なまでのキーラへの忠誠心に、マルスとルカリオは震えていた。

「ルカリオ、まだいけるかい?」

「……ぐっ!」

「ルカリオ!?」

「インファイトの反動が来たようだ……」

 そう、インファイトは相手に大ダメージを与える代わりに体力を大きく消費し、

 防御が落ちてしまう技なのだ。

「アラ、ルカリオサンハケンコウジャナイデスネ」

「違うよ! 大技の反動が来ただけ! ワドスピアスロー!」

 ランスはソレイユに向けて槍を投げる。

 ソレイユはかわそうとしたが、槍はソレイユが動いたところに命中した。

「ヨクモ……! ダンスノポーズ!」

「うおっ!」

「それ!」

 怒ったソレイユはダンスのポーズでフォックスを攻撃する。

 フォックスはブラスターでソレイユに反撃し、ドクターはリュンヌにカプセルを投げる。

「ドラゴンキラー!」

「キャアアアアアアアアアア!!」

 マルスは気合をファルシオンに込め、ソレイユを斬りつけた。

 この一撃は流石のソレイユも耐え切れず、戦闘不能になった。

 

「ソレイユ!」

 妻が倒れた事で軽いショックを受けるリュンヌ。

 リュンヌはすぐに立ち直り、腹式呼吸で自身の体力を回復する。

「それで全快したつもりか?」

「傷は癒えても痛みは治らない。この辺で降伏しろ」

「ダレガ……コウフクヲ……!」

 フォックスはリュンヌに降伏を迫るが、リュンヌは首を横に振った。

 やれやれ、とフォックスは力を溜める。

「少し、痛い目に遭いたいようだな。これで、どうだ! レッグショット!!」

「ウワアアアアアア!!」

 フォックスは大きく踏み込んで飛び蹴りを放ち、リュンヌを戦闘不能にした。

 

「しばらく大人しくしてもらうぞ」

 シャドウはソレイユとリュンヌを見張っていた。

 二人が万が一暴れた時のために、一人で取り押さえるためだ。

 すると、ソレイユとリュンヌが起き上がった。

 二人はキーラの呪縛が解けており、瞳の色は元に戻っていた。

「ここは一体……?」

「私、どうしてここにいるんでしょうか」

「お前達は悪い夢を見ていたんだ」

 フォックスはソレイユとリュンヌに柔らかい口調でそう言った。

「……悪い、夢、ですか?」

「ああ……話は、広場に戻ってからしよう」

 

 こうして、シャドウ、ルカリオ、ランス、ドクター、フォックス、マルスは、

 ソレイユとリュンヌの救出に成功し、広場に戻った。

 カービィとベルは心配そうな表情をしていたが、無事な全員を見て表情が綻んだ。

「ソレイユとリュンヌは助かったのね」

「うん! ばっちり元に戻ったよ!」

「とても痛かったですが、みんなのおかげで助かりました」

「ありがとうございます」

 ソレイユとリュンヌは、自由にしてくれたファイター達にお礼を言った。

「あの……もしよろしければ、私も一緒に同行させていただきますが、よろしいですか?」

「もちろん、夫の私もご一緒させてもらいます」

「ねえ、ところでキミ達は誰?」

 ランスはソレイユとリュンヌの顔を知らなかった。

 ソレイユは申し訳なさそうに頭を下げた後、一呼吸置いて自己紹介に入った。

「申し遅れました。私はソレイユ・ラサンテと申します」

「私はリュンヌ・ラサンテと申します。妻と共にエクササイズを教えています」

「へ~、ソレイユとリュンヌって夫婦だったんだ。ボクはランス、よろしくね」

「「よろしくお願いします」」

 ランスもラサンテ夫妻に自己紹介をし、お互いに仲間である事を認識した。

 

 カービィ達がしばらく談笑した後、マリオは何かを思い出したようにこう言った。

「そういえば、次の目的地はどこなんだ?」

「次の目的地……か。むぅん!」

 ルカリオは波導を感じ取る姿勢を取り、精神を集中した。

「……渓流に私と同じ波導を感じる」

「私と同じ? という事は、ポケモンか?」

 ルカリオによれば、渓流からポケモンの波導を感じたらしい。

 しかし、街から渓流は遠いため、どうすれば手っ取り早く行けるか考えていたところ、

 シャドウがカオスエメラルドを取り出した。

「そっか! シャド兄のカオスコントロールで!」

「ああ……。皆、僕の近くに来い」

「うん!」

 自分以外の全員が傍に寄った事を確認したシャドウは、カオスエメラルドの力を解放した。

 

「カオス・コントロール!」

 カオスエメラルドの力を使い、時空を操る力、カオスコントロール。

 それにより、全員の姿は一瞬にして街から消えた。




シャドウはやっぱり、銃を使う方がかっこいいです。
なんで最近では使わないんだよ……。


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17 ~ 渓流を渡る

水を渡る際、それぞれのキャラクターごとに反応が違っていたら面白かったなぁ……と思いながら、この小説を書いていました。


 一行はシャドウのカオスコントロールで街を後にし、ルカリオが波導を感じた渓流に着いた。

 この渓流にも、キーラによってスピリッツ化した者達がたくさんいた。

 ここに、ポケモンのファイターが捕まっているらしいが……。

 

「ポケモンって、これ?」

 渓流の入り口では、大きな身体のポケモンが眠っていた。

 大きな、とはいっても、身長はミュウツーより少し大きい程度なのだが、

 体重が460kgもある重量級だ。

「いや、私が見つけたのはこれではない」

「一応、調べておくわ」

 ベルが目の前にいるポケモンを能力で調べる。

「ゴンベが進化した、いねむりポケモンのカビゴンよ。確か、音楽で起こすんだったっけ」

「音楽? じゃあ僕が歌うねー!」

 カービィが歌おうとすると、急いでランスが彼の口を塞いだ。

「むぐむぐ~!」

「カービィには絶対に歌わせないで。間違いなく大惨事が起こるよ」

 ランスが小声で皆に話す。

 実は、カービィはとんでもなく音痴で、その破壊力はぺんぺん草すら生えず、

 異なる世界の某ガキ大将や某桃髪の鳥人に匹敵する。

 その危険性を知っているランスは、カービィに歌わせないようにしたのだ。

「むぐむぐむぐ~!」

「……ランスが押さえている間に、少し乱暴だが、私が戦おう」

 カビゴンはノーマルタイプなので、かくとうタイプの技が使えるルカリオがカビゴンと戦った。

 

「よし、終わったぞ」

 ルカリオは無事にカビゴンを倒した。

 カビゴンは相変わらず、ぐうぐう眠っていた。

「ごめんね~、カビゴン。ちょっと寝てて……いや、こんな時にも寝てるのね」

 ベルはぐうぐう眠っているカビゴンのスピリッツをスピリッツボールの中に入れた。

 ランスは戦闘終了を確認した後、手を放し、カービィはようやく、ランスから解放される。

「な、何したんだよランス」

「だって、カービィが歌ったら大変な事になるから……」

「う~ん、僕の歌ってそんなに危ないの? マイク使ったらすっきりするのに」

(((全然気付いてない……)))

 カービィは、自分が音痴である事を自覚していないのだった。

 

 一行が再び歩いていくと、白銀の色合いのハリネズミがいた。

 そのスピリッツは、シャドウには見覚えがあった。

「こいつは、シルバー・ザ・ヘッジホッグだ」

「知っているのか、シャドウ?」

「ああ、荒廃した未来からやって来たが、イブリース異変を解決した……というより、

 無かった事になったからこいつの未来は荒廃していないだろう」

 シャドウがイブリース異変について説明した。

 メタ発言になるが、ここでは、無かった事になったイブリース異変はソニック、シャドウ、

 シルバーのみ覚えているという設定である。

「よく知ってるな、俺も記憶にだけだがあるぜ。

 でも、今はそんな事はどうでもいい。身体が勝手に動くんだ。何とかしてくれ」

「僕が相手になろう」

「うお、危ねっ!」

 そう言って、シャドウは銃を抜いてシルバーに突き付けた。

 凶器を見たシルバーは驚いて飛び退くが、すぐにシャドウのところに戻った。

「……いいな」

「わ、分かったよ」

 

「これにて一件落着ね」

『ありがとよ』

 ベルは、キーラの呪縛から解放したシルバーのスピリッツをスピリッツボールの中に入れた。

『で、シャドウと俺はここにいるけど、ソニックはどこにいるんだ?』

「魂を感知しているけど……それらしい魂は見つからないわ。

 もしかしたら、この世界にはいないのかも……」

『ちぇ、せっかく三人集まると思ったのに。じゃ、俺は大人しくしてるぜ』

 シルバーは残念がりながら、スピリッツボールの奥深くに入った。

 果たして、ソニックはどこにいるのだろうか。

 一行がそんな話をしながら橋を渡ると、赤いスカーフをつけた橙色の恐竜のスピリッツがいた。

「あ、私にそっくりですね~。ボディも私ですね~」

「これはプレッシー、背中に乗って川を下る恐竜よ。

 あんたとどういう関係があるのかは、まだ分かっていないわ」

 ベルが恐竜のスピリッツについて説明する。

 プレッシーは身体が大きいため、背中に乗る事ができる。

 しかし、スピリッツ化しているため、今はプレッシーには乗れない。

「それでは、プレッシーさんの相手は」

「私達がしますね」

 プレッシーには、ソレイユとリュンヌが挑む事にした。

 

「どうでしたか?」

「健康になりましたか?」

 ソレイユとリュンヌの活躍により、プレッシーはスピリッツボールの中に入った。

「ところでベル君、そんなにスピリッツを入れて大丈夫なのかい?」

「大丈夫よ、いくらでもスピリッツは入るから」

 ベルは、スピリッツボールは某猫型ロボットの某ポケットのように、

 異次元空間になっているので問題はないとドクターに説明した。

 こうして橋を渡り切って奥に進むと、行き止まりになった。

 川は水が激しく流れていて、このまま進むと流されそうだ。

 しかし、渓流の下にある小島には、台座に縛られたポケモンと、宙に浮くスピリッツがいる。

 ここに行くためには泳いでいかないといけないが、川の流れが激しいためにそれができない。

 どうするべきかとベルが考えていると、彼女の前にシャドウが立った。

「飛び込むぞ」

「え、シャドウ、大丈夫なの? あんた、水とか平気?」

「……僕をあいつと一緒にするな」

 シャドウがベルを鋭い目で睨みつける。

 彼は泳げないソニックと同一視されるのを嫌っているようだ。

「分かったわよ。じゃあシャドウ、あんたが最初に飛び込みなさい」

「ああ」

 シャドウは迷わず、激しい流れの川に飛び込んだ。

 そして、高い身体能力を生かし、すいすい川を泳いでいく。

 その速度は、走っている時のソニックと何ら変わりがなかった。

 

「着いたぞ」

 こうして、シャドウは無事に渓流の孤島に着いた。

「大丈夫かな?」

「じゃ、じゃあ、次はボクが行くよ!」

 そう言ってランスは槍を構え、ヘリコプターのように回転させた。

 しばらく空を移動できる技、ワドコプターだ。

「これなら川に落ちないでいけるよ」

 ランスはワドコプターで孤島を目指していく。

 ふらつきながらも、ランスは空を飛び続けていた。

 やがて、体力限界ギリギリのところで、ランスは孤島に着陸した。

「着いたぁ」

「ランスの次は、僕だ! ってうわぁ!」

 カービィもランスに続こうとしたが、足が滑って川に落ちてしまう。

「お~ぼ~れ~る!」

 激しい流れに逆らえず、溺れて流されていくカービィ。

「はぁ、はぁ、疲れた~」

 カービィは何とか孤島に辿り着いたが、体力をかなり消費していた。

 子供には、かなりの疲労だったようだ。

「……よし、次は俺だ」

 マリオはそう言って、川に飛び込んだ。

 自分の体力は良くも悪くも普通なので、疲れないように身体を動かした。

 結果、あまり体力を消耗しないで孤島に辿り着いた。

「では、次は私達ですね!」

「そうですね、ソレイユ!」

 続いて、ソレイユとリュンヌが川に飛び込む。

 二人は伊達にエクササイズをしていないため、スムーズに泳ぐ事に成功した。

 

 ちなみに、その他メンバーの結果は、こうなった。

 流された:ドクター、ベル、ヨッシー、アイシャ、ルカリオ、りょう

 泳いだ:ファルコン、フォックス、マルス、シーク

 

「ふう……着いたぜ」

 最後にファルコンが孤島に着き、一行は全員、目的地に辿り着いた。

「ルカ兄、ここにポケモンがいるの?」

 カービィの質問に頷き肯定するルカリオ。

 その孤島に捕らえられていたのは、水の精霊イスナのスピリッツと……。

「「ピカチュウ!」」

 ねずみポケモン、ピカチュウだった。

 スマブラ四天王の一角であり、第一期からいる最古参のメンバーだ。

 ピカチュウをよく知っているマリオやカービィは、彼の姿を見て目を見開く。

「おい、大丈夫か!」

「ピカピカ! 目を開けて!」

 マリオとカービィは、ピカチュウに声を掛けるも、

 ピカチュウは目を閉じたまま何も反応しない。

 イスナのスピリッツも、うずくまっていた。

「……ちょっと離れて」

 そう言って、りょうは皆を下がらせ、パチンコを取り出して構え、

 ピカチュウの台座に弾を放った。

 すると、ピカチュウを拘束していた光の鎖が砕け、解放された。

 同時に、キーラに操られたイスナとピカチュウが襲いかかってくる。

「待ってろよ、ピカチュウ」

「必ず、僕達が助けるよ!」

 マリオ、カービィ、ファルコン、ヨッシー、フォックス、そしてりょうは、

 ピカチュウとイスナを迎え撃つ体勢に入った。




~ベルのスピリッツ名鑑~

カビゴン
出身世界:ゲフリアース
性別:♂♀両方存在するが♀はかなり少ない
ゴンベが進化した、いねむりポケモン。
ノーマルタイプで、特性はあついしぼう、めんえき、隠れ特性はくいしんぼう。
一日に400kg食べ、カビや毒も無害で消化する強靭な胃袋を持っている。
寝ている時に誰かがお腹に乗っても気にしない。

シルバー・ザ・ヘッジホッグ
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
200年後の未来から来た白銀のハリネズミ。14歳。
正義感が強く、真っ直ぐで、シャドウとはまた違った純粋な性格。
ソニック達より足は遅いが、代わりに超能力を使う事ができる。

プレッシー
出身世界:キノコワールド
性別:♂♀両方存在する
背中に乗って川を下る、橙色の恐竜。
プレッシーは種族名でヨッシー族との関係は不明。


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18 ~ ねずみポケモン・ピカチュウ

パンデミックはポケモン映画にまで影響を与えた、許すまじ!
予定が思い通りに進むまでリセットできる世界になったらなぁ……。


 スマブラ四天王の一角、ピカチュウとの戦いが、始まった。

 

「10マンボルト……」

「うわぁっ!」

 ピカチュウは電撃をマリオに放った。

 聖なる光を纏った電撃が命中すると、マリオの身体を包んで痺れさせる。

 キーラの力により、強化されたのだろう。

「えい!」

 カービィはイスナにパンチするが、イスナは空を飛んで攻撃をかわす。

 イスナはフォックスとファルコンの攻撃もかわした後、りょうの足元を狙って攻撃する。

「わっと!」

 その攻撃が命中したりょうは転んでしまい、ピカチュウの攻撃を許してしまう。

「いたた!」

「危ないですよ」

「やめろ、ピカチュウ」

「グッ!」

 ヨッシーとフォックスはピカチュウを蹴って吹っ飛ばす。

「今だ! ファイア掌底!!」

 マリオはピカチュウに近付き、炎を纏った掌底をピカチュウに当てようとした。

 しかしピカチュウはマリオの攻撃をジャストシールドで完全に防御した。

 

「オマエタチヲコロス……」

 キーラに操られたピカチュウは、マリオ達に殺意を向けていた。

 これは、本来のピカチュウなら絶対にしない事だ。

「ピカチュウ……待ってろよ、絶対に助けてやるぜ」

 マリオは、ぎゅっと握り拳を作った。

 カービィ、フォックス、ファルコン、りょうも、

 ピカチュウをキーラの呪縛から救いたいという意志を持っていた。

 特に、同じスマブラ四天王のマリオとカービィは、その思いをより強めていた。

「目を覚ませ! ピカチュウ!」

「ファルコンキック!」

 マリオとファルコンはピカチュウを蹴ろうとするが、

 イスナが二人の行く手を阻みピカチュウにダメージを与えられなかった。

「アイアンテール」

 ピカチュウは鋼のように硬くした尾をファルコンに振るい、大きく吹っ飛ばす。

 続けてカービィに電気を飛ばしたが、その電気はカービィが吸い込み、スパークをコピーした。

「スパークアロー!」

 スパークカービィは電撃の矢をピカチュウに向けて飛ばす。

 でんきタイプのピカチュウには効果は今一つで、麻痺もしなかったが、

 一瞬だけ怯ませる事ができた。

 おかげで隙ができたため、フォックスとファルコンは一気にピカチュウに突っ込んでいき、

 キックでピカチュウにダメージを与えた。

「グオォォォ!」

「待ってろよ、悪い夢から覚ましてやるからな」

 ピカチュウは他の操られたファイター同様、キーラの悪い夢を見ている。

 しかも、ピカチュウはスマブラ四天王の一角。

 彼を助け出せば、キーラ軍に大打撃を与える事ができるのだ。

「えい!」

「エレキボール」

「うわああ!」

 りょうはパチンコでピカチュウを狙い撃ちする。

 攻撃はギリギリで命中し、ピカチュウにダメージを与えたが、彼がエレキボールで反撃し、

 りょうのパチンコより大きいダメージを与えた。

「スベテハキーラサマノタメニ。アラタナルソウセイノタメニ」

「そんなの、ピカピカが言う事じゃないよ! 思い出して、ピカピカ!」

「そうだ! お前は、世界を滅ぼそうとする奴らの味方はしないだろ!?」

「ウ……グ……グググ……」

 マリオとカービィは、ピカチュウに呼びかける。

 同じスマブラ四天王の二人ならば、効果があると思ったからだ。

 ピカチュウは頭を押さえて蹲り、戦意を喪失した。

「よし、隙あり! アイスボール!」

 マリオはその隙にピカチュウにアイスボールを投げて凍らせる。

 そして流れるようにイスナを投げ、アイスボールで凍らせてとどめを刺した。

「ウオオオオォォォォ!」

「やっぱり駄目か……!」

「うわあぁぁぁぁ!」

 しかし、ピカチュウはすぐに戦意を取り戻し、ヨッシーに突っ込んで投げ飛ばす。

 キーラの力により筋力も強化されたのか、ヨッシーは地面に思い切り叩きつけられた。

「ピカチュウさ~ん、もうそれくらいにしてくださいよ~。ほらほら、平和に平和に~」

「オレヲバカニシテイルノカ……?」

 ヨッシーの言葉が気に障ったらしく、ピカチュウは彼の首を掴んで持ち上げ、

 彼に10万ボルトを放った。

「うわああああああああああ!!」

 ピカチュウはヨッシーに電撃を浴びせた後、アイアンテールで吹っ飛ばした。

 吹っ飛ぶヨッシーの身体をマリオは両手で受け止める。

「……お疲れさん。後は、俺達がやるぜ」

「ありがとうございます……マリオさん」

 マリオは、傷ついたヨッシーをゆっくりと地面に横たわらせた。

 そして、ピカチュウの方に振り向いてこう言った。

「お前は、操り人形なんかじゃない。立派なスマッシュブラザーズだ」

「ニ……ン……ギョ……ウ……」

「分かっているでしょ? 君が、キーラの味方になんかなりたくないって」

「ソ……ンナ、ワケ……ナ、イ……」

 マリオとカービィの説得に、ピカチュウは首を横に振る。

 それでも、二人は諦めずに説得する。

「分かってくれよ、ピカチュウ。俺達はスマブラ四天王なんだ。

 一緒に乱闘して、一緒に生活して、一緒に競い合った仲じゃないか」

「ピカピカ……こんなのって、ないよ……。お願い、ピカピカ、元に戻って……!」

 カービィの目から、一筋の涙がこぼれ落ちる。

 それが地面に雫となって落ちた途端、ピカチュウの中で何かが弾けた。

 

「ウ……グ……グアアァァァァァァァァァ!!」

「! 眩しいっ!!」

「この光は……!!」

 突然、ピカチュウの身体が眩く光り出し、その場にいた全員が目を覆った。

 ヘルメットを被っているファルコンも、その光に耐えられずに両手で顔を隠した。

 その光は、キーラのものとは異なる、優しく温かい光だった。

 そして、その光が消えると、ピカチュウの殺気が消滅した。

 今ここに、ピカチュウとの戦いが終わった。




~ベルのスピリッツ名鑑~

イスナ
出身世界:ヴィストラーダ
性別:女性
カーラ砂漠の小さな泉に棲んでいる水の精霊。
大樹の子と力を合わせオアシスを作る事ができる。


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19 ~ 森の中で

マルスは原作では優しくていい人なのに、どうして二次創作だと性格が歪んじゃうんだろう……?


「……う……」

 しばらく気絶していたピカチュウだったが、数分後に意識を取り戻して起き上がる。

「……大丈夫か?」

「……ピカピカ?」

 マリオとカービィが、倒れているピカチュウの顔を見下ろす。

 ピカチュウの目には霞がかかっていて、二人の姿は、はっきりと見えていない。

「……」

 ピカチュウは瞬きし、視界をはっきりさせる。

「その、声は……マリオに、カービィ、か?」

「! ピカチュウ……目が覚めたんだな?」

「よかった……元に戻ったんだね、ピカピカ」

「ん、ん、ん……そう、だな」

 ピカチュウはよっこいせ、と立ち上がる。

 すると、ピカチュウの身体がぐらりとよろめいた。

「うわっとと」

「危ねっ!」

 倒れそうになるピカチュウを、マリオが慌てて支える。

「……あれ。ここは……森……なのか?」

「気付いたのか? ピカチュウ」

「あ、ああ……」

 ピカチュウは頭をぶんぶん振って落ち着きを取り戻した後、マリオ達に事情を話そうとした。

「ちょっと待ってくれ、みんなを呼んでくる」

「分かった」

 マリオは、他のスマブラメンバーをピカチュウがいるところに集めた。

 それを確認したピカチュウは、改めて、全員に事情を話した。

「俺はあの時、強い光の中に閉じ込められていた。思い通りに身体が動かせず、もどかしかった。だが、カービィが流してくれた涙が、その光に穴を開けてくれた。

 そこから、俺は脱出して、お前達の顔を見た」

 ピカチュウは、他の助かったファイターよりも詳しく内容を覚えていた。

 キーラの光は、ピカチュウにとって眩しかったようだ。

 今回はピカチュウを助けた闇に感謝すべきだろう。

「あんな眩しい光にやられたら目が見えなくなるぜ」

「確かに……」

「……」

 ピカチュウは、やれやれとした様子のシャドウをじっと見ていた。

「僕の顔に何かついているのか?」

「俺を助けようとしたソニックを思い出しちまって……」

 キーラ軍が襲撃したあの日、ソニックは、

 自分より遅いピカチュウを助けるためにスピードを落とし、彼に手を伸ばした。

 しかし、それよりも早く光線はソニックとピカチュウに命中し、

 二匹は光の呪縛を受けてしまった。

 その事が今もピカチュウの中に残っており、

 似た容姿のシャドウに複雑な感情を抱いてしまうのだ。

「……なるほど。だが、僕はあいつではない。思い出す暇があるなら、前を向いていけ。

 それが、僕がお前に言える言葉だ」

「ありがとう……シャドウ……」

「別に、礼を言ったつもりはない」

 

 一行は森を出る途中で、スパイキーを解放した。

 また、その道中で、コーラスメン、ピストン・ホンドー、タップマンも解放していく。

 スピリッツを解放していく途中で、霧が晴れ、緑のスイッチが見えた。

「これは、最後のスイッチかしら?」

「そうっぽいですわね……赤、青と押しましたから、次は緑と相場が決まっておりますわ」

 しかし、緑のスイッチは遠くにあり、ここからは遠くて先に進めない。

 一行はそのスイッチを押すべく、西の方に向かって歩いていった。

「もしかして、ここにスイッチがあるの?」

「ああ、僕の勘によればな」

「……シャドウ、お前ベルの影響を受けてないか?」

 マリオがシャドウを心配しつつ、スイッチがある森の中に入ろうとした。

 しかし、森の入り口には、サングラスをかけ、スカーフを首に巻いたモグラがいた。

「これはモグラ~ニャ! オリマーやケンと同じく、妻子持ちよ。子供は七匹いるんだって!」

 ベルが目の前のスピリッツ、モグラ~ニャについて説明する。

 彼は、ドンキーコングのボディに宿っていた。

「ネクタイがスカーフの代わりなのか?」

「……そうみたいね。こいつは特筆すべき力はない。真っ向勝負だから、私が挑むわ!」

 そう言って、ベルはモグラ~ニャに戦いを挑んだ。

 

「よし、モグラ~ニャのスピリッツを解放したわ」

 モグラ~ニャに勝利したベルは、彼のスピリッツをスピリッツボールの中に入れた。

「箱に入れている時点で、解放とは……」

「キーラに捕まらないように一時的に入れてるのよ。戦いが終わったら、ちゃんと解放するから」

 ベルはピカチュウの指摘を説明で返した。

 すると、ピカチュウが緑のスイッチを発見する。

「おい、見ろ! あれがスイッチだ!」

「ホントだ! でも、スピリッツが邪魔をしてるよ」

 緑のスイッチの前に立ち塞がっていたのは、

 進化前のフシギソウのボディに宿っているフシギバナのスピリッツだった。

「地面を揺らすわけ……あるよな」

「今は、ね」

 フシギバナは赤い瞳を一行に向ける。

 シャドウは、フシギバナと同じ赤い瞳でフシギバナを睨み返した。

「僕が、こいつの相手をしてもいいか?」

「ええ、頼むわよ!」

「いいだろう。究極の力、見せてやろう!」

 シャドウとフシギバナの戦いが始まった。

 

「バナバーナ!」

 フシギバナはシャドウをつるのムチで縛り、タネマシンガンで攻撃する。

 シャドウはダメージを受けながらも、拳銃を撃ってフシギバナに穴を開ける。

 いずれもギリギリの攻防で、当たるか当たらないか、周りはハラハラしていた。

(大丈夫ですわ、わたしは信じています)

 アイシャは、シャドウが戦う姿をじっと見ていた。

 それは、彼に恋慕しているような眼で。

 もちろん、シャドウは全く気にせず、フシギバナと戦っている。

「バナ!」

 フシギバナはねむりごなをシャドウに降らせて眠らせようとするが、

 シャドウはすぐに振り払いフシギバナを蹴り飛ばし距離を取る。

「僕にそんな小細工は通用しない。とどめを刺す! カオスマジック!」

 シャドウは指を鳴らし、フシギバナを混沌の渦に巻き込んで大ダメージを与えた。

 その結果、フシギバナは戦闘不能になり、フシギソウのボディも消失した。

 

「解放完了!」

「これでいいのだ」

 フシギバナを解放した事で、緑のスイッチに行くための道が開けた。

 マリオが緑のスイッチを押すと、最後のバリアが消える音がした。

「よし、これであそこに行けるね!」

「待ちなさい、まだ森のスピリッツは解放されていませんわ」

 目的を果たして森を出ようとすると、アイシャが一行を引き留める。

 ベルが辺りをきょろきょろと見渡していると、確かにあちこちにスピリッツが浮いている。

「これを解放するのか?」

「ええ、そうですわ。ベルさんは、キーラに囚われた魂を解放したいのでしょう?」

「そ、そうだけど……」

「お願いしますわね♪」

 アイシャがベルに満面の笑みを浮かべている。

 だが、その目には、ある強い気持ちが宿っていた。

「……あんたがそう言うなら」

「それに、他のファイターも捕まっている可能性もありますしね」

 

 アイシャの一言で、一行は森の中に入った。

 まず、一行はルキナのボディに宿る、軍帽を被り黒い軍服を着た人物のスピリッツに遭遇する。

「おや、私の道を阻むのかい?」

 その人物の傍には、パルテナのボディに宿る、

 紫の服を着た青紫のグラデーションがかかった長髪の女性が立っている。

 彼女の目は閉じていて、服装には青い炎を思わせる装飾がある。

 ベルは、そのスピリッツの詳細を能力で説明した。

「この人はスペルビア帝国の特別執権官、メレフ・ラハット。

 彼女が契約しているブレイドは、帝国最強のカグツチよ」

「……彼女?」

「あら、メレフはれっきとした女性よ?」

 マリオは、メレフの全身を見ていた。

 確かに、メレフの声は男性的だが、体つきはやはり、女性らしかった。

 女性のルキナのボディに宿っているのも頷ける。

「メレフ様、敵は私が排除いたします」

「少し違うね。正確に言うと『私達』さ」

「メレフ、僕達は君とカグツチを助けたいんだ。だから、ここを通してくれないか」

 マルスはメレフを説得し、戦わずにスピリッツボールに入れさせようとした。

 しかしメレフとカグツチは首を横に振った。

「その質問の答えは、NOだ。何故なら、あの女にここを通すなと言われているからね」

 メレフが言う「あの女」とは、自身の肉体を奪ったキーラの事だろう。

「……キーラに操られているんじゃ、説得は通じなさそうだな」

「やはり、戦うしかないのか?」

「戦うというのであれば、手加減はしないよ。私とカグツチの連携、君達に破れるかな!?」

 そう言って、メレフは二振りの蛇腹剣を取った。

 アイシャ、カービィ、フォックス、マルス、ソレイユ、リュンヌは、

 メレフをキーラから解放するべく、彼女と戦った。

 

「参ります」

「ずぉぉぉぉ!」

 カービィはカグツチが飛ばした炎を吸い込み、ファイアをコピーする。

「火ふきこうげき!」

 ファイアカービィは口から火を吹いてメレフを攻撃する。

「君の炎は熱いね。でも、私のカグツチの炎はもっと熱いよ」

 メレフはカグツチの力を借りて双剣を振り、周囲を焼き尽くす。

「うわあぁぁぁ!」

「熱いですね」

「わたしが何とかしますわ、ティータイム!」

 アイシャは即席で紅茶を振る舞い、ダメージを受けた全員の体力を回復する。

「君は実に献身的だね」

「あ、ありがとうございますわ……」

 メレフに褒められて、アイシャは照れる。

 繰り返すが、メレフはれっきとした女性である。

「シールドブレイカー!」

「それっ!」

「ダンスのポーズ!」

 マルスはファルシオンに力を込めてメレフを突く。

 彼女がマルスの一撃を受けて怯んだ後、ソレイユがバレーボールをメレフにぶつけ、

 リュンヌが英雄のポーズでメレフを吹っ飛ばす。

 メレフはすぐに体勢を整えて双剣を構え直し、奥義の構えを取った。

「参の型でいくぞ、カグツチ! ハァッ! シラヌイ!!!」

 すると、無数の青い焔が現れ、弾幕のように六人を追い詰めていく。

「かわすぞ!」

「うん!」

 六人は何とか、カグツチが放った青い焔を全てかわした。

 青い焔が地面に当たると、そこが焼き尽くされた。

「うわっ……」

「当たったら丸焼きになるところだったな」

「狐の丸焼き……」

 カービィはフォックスを変な目で見る。

「何がおかしい」

「……何でもないよ」

「おっと、油断大敵だよ。燐火!」

 メレフはカービィとフォックスが話している隙に青い焔を放った。

「うわぁ!」

「油断大敵だとあいつが言っただろう」

「ごめんごめん……でも、これで目が覚めたよ。ありがとう、フォッ君! かいてん火ふき!」

 カービィは回転しながらメレフに火を吹く。

「さらにいくぞ、ファイヤー!」

 フォックスは全身に炎を纏い、メレフに体当たりを繰り出す。

「これが俺達の炎だ! メレフ、参ったか!」

 フォックスが自信たっぷりに言う。

 カグツチは目を閉じたままだったが、メレフは、ふふっと微笑んで口を開いた。

「……よくやったね。私達の負けだ」

「メレフ様……」

「心配するな、少し休むだけだ。さあ、私とカグツチの魂を解放してくれないか」

「魂の解放なら、私にお任せ!」

 ベルはスピリッツボールを開け、メレフとカグツチにそれを見せると、

 二人のスピリッツはボディから抜け、スピリッツボールの中に入った。

 同時に、ルキナとパルテナのボディが崩壊する。

 

「……」

 崩壊していくルキナのボディを見て、マルスが憂いの表情を浮かべる。

「……今頃、ルキナはどうしているのかな」

 自分の子孫は今、どうなっているのだろうか。

 キーラの襲撃で戦えるファイターがほぼ全滅し、

 しかも今まで戦ってきたファイターが全員操られている以上、無事ではない事は確実だが、

 彼女がどこにいるのかをマルスは知りたがっていた。

「よし、じゃあ私が探してあげるわ!」

「ありがとう、ベル」

 ベルはそんな彼の期待に応えるべく、魂を感知する術でルキナを探そうとした。

 しかし、笑顔はすぐに苦い表情に変わる。

「……駄目。ルキナの反応がないわ」

「そうか……仕方ないね」

 落胆するマルスの肩に手を置くベル。

「ベル、どうしたんだい?」

「あんたは本当に優しいのね。こんな時でも他人を心配するなんて」

「……彼女が母体を使われて苦しんでいるとなると、つい、同じ気持ちになってしまって……」

「ふふ、あんたは本当にいい人だわ。

 マルス、あんたは腹黒くないし、ナルシストでもないし、脳筋でもないわよね?」

「当たり前さ。僕をそういう風に捉えている人は、本人の前で言うのは悪いけど、

 頭がおかしい人、だと思うな」

 ベルの言葉にマルスはそう返した。

 彼の表情に嘘偽りはなく、ベルは一安心した。

「じゃ、残りのスピリッツを助けよう!」

「ええ!」

 一行は、敵に見つからないように、茂みの中に身を隠しながら森を歩いていく。

 その道中で蜘蛛のスクイッターと森林伐採ロボットのスラッシュマンを解放し、

 森の奥まで進むと、赤いネクタイを付けたゴリラが、台座に縛られていた。

「ドンキー!」

 それは、ジャングルの王者ドンキーコングだった。

 マリオは彼を解放するべく、彼が縛られている台座に触れると、

 自由になったドンキーがマリオ達に襲い掛かって来た。

「ウオオオオオオオオオオオオ!!」

 ドンキーの両目は真っ赤に染まっていて、見境なく目の前の敵を襲う狂戦士と化していた。

 今のドンキーは、操られて本能のままに動いているのだ。

「よし、ちょっと痛いが、覚悟してもらうぞ!」

「私達があなたを助けますよ!」

「私もソレイユの夫として戦います」

「今、助けてあげるね!」

「究極生命体たるこの僕が相手になってやろう」

「さあ、行くわよ!」

 マリオ、カービィ、シャドウ、ベル、ソレイユ、リュンヌは、

 暴れるドンキーを止めるべく彼との戦いに挑んだ。




~ベルのスピリッツ名鑑~

スパイキー
出身世界:未来の地球
性別:不明
ハイカラスクエアで活動する一つ目のウニ。
ダウニーの子分として、ギアパワー専門の仕事を請け負う。

コーラスメン
出身世界:リズムの世界
性別:不明
三人組のコーラス隊。「あなた」は三番目。
白黒の世界にいるため、真っ白い身体をしている。

ピストン・ホンドー
出身世界:地球
性別:男性
武士道を重んじるボクサー。28歳。
本名は「ピストン本田」というらしい。
真面目で礼儀正しい性格をしている。
好きな食べ物は寿司で、大食いチャレンジにも挑戦している。

タップマン
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性型
オートバランサーを搭載した、高速回転ができるロボット。
根回しが良いがお調子者。アイススケートが好き。
頭から独楽を出すため、正月の人気者。

モグラ~ニャ
出身世界:地底世界
性別:♂
サングラスとスカーフが特徴のモグラ。
妻子持ちで、7匹の子供がいる。

フシギバナ
出身世界:ゲフリアース
性別:♂♀両方存在するが♀はかなり少ない
フシギソウが進化した、たねポケモン。
くさ・どくタイプで、特性はしんりょく、隠れ特性はようりょくそ。
花からうっとりする香りが漂い、戦う者の気持ちを宥めてしまう。
希少な雌のフシギバナにはめしべがある。

メレフ・ラハット
出身世界:ゼノワールド・並列世界4
性別:女性
スペルビア帝国の特別執権官。
帝国最強のブレイド、カグツチを連れている。
戦闘ではカグツチと共に、二振りの蛇腹剣を使って戦う。

スクイッター
出身世界:DKアイランド
性別:不明
スニーカーを履いた蜘蛛。
糸を吐いて蜘蛛の巣を作り、足場として登る事ができる。

スラッシュマン
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性型
森林伐採ロボットを戦闘用に改造したもの。
手が早いが、超ワイルド。野菜と果物が好き。
武装のスラッシュクローは近くの敵を衝撃波で攻撃する。


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20 ~ ジャングルの王者

この話で仲間になるのは、二代目ドンキーコングです。


 ジャングルの王者、ドンキーコングとの戦いが始まった。

 

「えい!」

「ふっ!」

 カービィとシャドウが前に出てドンキーを蹴る。

 ドンキーは二人の攻撃をシールドで防ぎ、ダメージには至らなかった。

「せえい!」

 ベルは思いっきり大鎌をドンキーに振り下ろす。

 だが、攻撃は大振りだったため、ドンキーは転がって攻撃を回避した。

「ウオオ!」

「おっと」

 リュンヌはドンキーにフェイントをかけ隙を作る。

 マリオはその隙にファイアボールでドンキーの皮膚に火傷を負わせた。

「アヂ、アヂ、アチチチチ!」

 ドンキーは熱さに悶えてやたらめったらと腕を振り回す。

 この攻撃を食らえば、彼のさらに強化されたパワーのためにひとたまりもないだろう。

「はっ!」

 六人はすぐに飛び上がってドンキーの攻撃をかわす。

 ドンキーは腕を振り回したせいでバランスを崩し、前のめりに倒れた。

 

「ウ……イテエ……」

「カオススピア!」

 シャドウは倒れたドンキーにたくさんの光の矢を放った。

 矢はドンキーの身体に全て命中し、彼の体力を大きく減らした。

「それ、やっ、健康にいいですよ!」

「ヨガができるからといって、腕は伸びませんし、火も吹きませんよ」

 ソレイユは連続してヨガのポーズを繰り出し、ドンキーの攻撃をかわしながら彼を攻撃する。

 ベルは魔法陣を設置してドンキーを足止めし、

 その隙にマリオはドンキーをファイア掌底で吹っ飛ばした。

 吹っ飛んだ先にはカービィがいて、カービィはドンキーを吸い込んでコピーした。

「いっくぞー! ジャイアントパンチ!」

「ウオオオッ」

「うわぁっ!」

 ドンキーをコピーしたカービィは、腕を振り回してドンキーにパンチしようとしたが、

 ドンキーはカービィに軽く触れて吹っ飛ばす。

 カービィは地面に顔を大きく叩きつけられ、大きなダメージを受けてしまった。

 彼の体重が軽いのもそうだったが、

 それ以上にドンキーの腕力がキーラによって強化されているのがその理由だ。

 

「ドン……キー……」

 カービィは、ボロボロになりながらも、ゆっくりと立ち上がった。

 彼の眼は、キッとドンキーを睨みつけている。

「……僕は、君に戻ってきてほしいんだ」

「グルルルル……」

「……君が食べたいものは何?」

 カービィはドンキーに好物を問いただす。

 もし「バナナ」と答えれば、ドンキーの心が残っているという証であるが……。

「アアアァァァァァ……。オマエノ、ニク……」

「……駄目だ!」

 それを知ったカービィの表情が凍り付き、仕方なくドンキーを気絶させようとした。

 しかし、ドンキーの口から洩れた言葉は、その場にあいた全員の表情を変えた。

 

「……タベタク、ナイ……」

「ドンキー!」

 そう、ドンキーはキーラに操られながら、ギリギリで心を保っているのだ。

 とはいえ、本能のまま、こちら側に敵対している事は変わらないため、

 その心を引き出せるかが勝負となる。

「大丈夫だよ、ドンキー。僕達が助けてあげるから。さあ、いくよ、マリおじちゃん!

 シャド兄! ベルベル! ソレ姉! リュン兄!」

「「ああ!」」

「「「ええ!」」」

 カービィの号令で、マリオ、シャドウ、ベル、ソレイユ、リュンヌの士気が一気に上がった。

「お願いね!」

「ああ。カオスマジック」

 シャドウはまず、暴れるドンキーの周囲に混沌の力を張り巡らせる。

「動くなよ。動いたら、こいつがお前を食らう」

「ウググググ……ウオオォォォォ!」

 ドンキーは本能のままにシャドウに襲い掛かった。

 すると、混沌の力がシャドウを守るようにドンキーを包み込み、彼の身体を蝕んでいく。

「動くなと言ったはずだぞ?」

「ウゥゥゥゥ……」

「「アーム&レッグレイズ!」」

 ソレイユとリュンヌがダメージを受け続けるドンキーに

 右手と左足を勢いよく突き出して攻撃する。

 ドンキーは暴れてソレイユとリュンヌをパンチで吹っ飛ばした。

「うわぁぁぁぁぁ!」

「きゃぁぁぁぁぁ!」

「よし、行くぞ! どりゃあああああああ!」

 マリオはドンキーの足を掴み、思いっきりベルに投げ飛ばした。

「いくわよ、アップリーパー!」

 ベルは鎌を強く振り上げ、ドンキーを上に吹っ飛ばす。

 彼が地面に叩きつけられた時、カービィは既に力を最大まで溜めていた。

「お願い……ドンキー、元に戻って! ジャイアント……パンチ!!」

「グオオオオオオオオオオオオオ!」

 そして、カービィが渾身の力を込めたジャイアントパンチを繰り出すと、

 ドンキーは叫び声を上げて倒れ、彼を包んでいた光が消え去った。

 今ここに、操られたドンキーとの戦いが終わった。

 

「……う……」

「ドンキー……起きた?」

「……うお……ぉ……」

 ドンキーは瞬きしながら、ゆっくりと起き上がり、マリオ達の顔を見上げる。

 キーラから解放されたドンキーは、まだ虚ろな表情をしていた。

 もちろん、マリオと戦っていた時の事は、全く覚えていないだろう。

「……ぉ? オレは、何をしていたんだ……?」

「安心しなさい、悪い夢を見ていただけよ。あんたは、何も悪くないわ。

 私達が夢から覚ましてあげたのよ」

「悪い……夢……? う、うおおおおおおおお!!」

 ドンキーはぼんやりとしていたが、しばらくして、大声を上げる。

「きゃ! な、何よ、ドンキー!」

「バナナ! バナナはどこだぁ! バナナバナナ!」

「……撃たれたくなければ大人しくしろ」

「ウホ!」

 周囲にバナナがない事を知り、暴れ回ろうとしたドンキーをシャドウが銃を向けて止める。

 それを見たマリオとカービィは、やっぱりいつものドンキーだな、と思ったのだとか。

 

「ドンキー、戻ってきてくれてよかったな」

「やったね! 凄いね」

「ウホ!」

 マリオとカービィが喜んでいる中で、ドンキーは頭をぽりぽりと掻く。

「んで、オレはどうすればいいんだ?」

「とりあえず、俺達と一緒に行こうぜ。キーラって奴を、ぶっ潰すためにな」

(何気にあなた、物騒な事を言いますね……)

 ソレイユは、ドンキーに手を差し伸べるマリオに苦笑していた。

 それでも、ドンキーはマリオの手をぎゅっと握り締め、満面の笑みを浮かべてこう言った。

 

「……分かったぜ!」

 

 こうして、希望の星に、ドンキーコングという新たな仲間が参戦したのだった。




ドンキーはパワータイプの中では割かし使いやすい方でしょうか。
あくまで、「パワータイプの中では」ですが。


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21 ~ 森のバナナにご用心

ドンキーは頭が良くないという設定です。
Donkeyって俗語で「馬鹿」という意味だし。


 ジャングルの王者、ドンキーコングをキーラから解放した一行。

 だが、ドンキーは不機嫌そうな表情をしていた。

「腹、減った……」

 ドンキーは空腹で腹を押さえていた。

 腹の虫も、彼の中でぐきゅるるると鳴っていた。

「バナナ、食わせろ……。バナナ、バナナ……」

「……バナナ、ねぇ……。森の中になら、あるんじゃないかしら?」

「おお! じゃあ、行かせてくれ!」

「いいわよ。シャドウ、お願いね」

「……そんな目的で、この力を使うのか?」

 シャドウは、バナナを食べたいというだけでカオスコントロールを使うのか、

 と訝しい表情になる。

「だってオレ、腹減ったんだもん! バナナを食いたいんだよぉ!」

「ドンキーコング……お前の気持ちは分かる。

 だが、お前に説明をしていなかったが、

 カオスコントロールは流石の僕でもそう易々と使える力ではない。

 空間を転移するのはかなりのエネルギーを使うから、

 一度使った場合、エネルギーの補給が必要になるぞ」

「……そっか。我儘言ってごめんよ。オレ、自分で森に行ってバナナを食ってくる」

(よかった)

 シャドウに説得されたドンキーは、自分の足で森に行くと決めた。

 流石のドンキーも、物分かりが良かったようでマリオは安心した。

「んじゃ、森までの道、案内してくれよ」

「はーい」

 一行はベルを先頭に、森へ行くための道を歩いていった。

 途中で何度か道に迷ったものの、無事に一行は再び森に辿り着く事ができた。

 

「わ、このちっちゃい生き物は何?」

 森の入り口に入ると、頭に葉っぱが生えた赤い身体の生き物がいた。

 ランスはそれを、じっと見つめている。

「これは、赤ピクミンね。オリマーやアルフが使うピクミンの一匹で、火に強いわ」

「じゃあ、この子達の相手はボクがするね!」

「私もよ!」

 赤ピクミンには、ベル、シーク、りょう、ドクター、ランス、リュンヌが挑んだ。

 

「すばしっこいですね、この赤ピクミン」

「いや、小さいだけなのよね、こいつ」

 赤ピクミンは身体の小ささから、リュンヌとベルの攻撃が当たらない。

 りょうもスコップで攻撃するが、赤ピクミンには当たらない。

「……そこだね!」

 ドクターはカプセルを赤ピクミン目掛けて投げる。

 それが上手く命中すると、赤ピクミンは一撃で倒れた。

「か弱いわね」

「うん、弱かったね……」

 必殺技一発で倒れた赤ピクミンを見て、ドクターとベルは少しだが哀れんだ。

「わわっ! 近付くなぁ!」

 ランスが自分に張り付いた赤ピクミンを振り払うと、その赤ピクミンも地面に落ちて倒れた。

「……あれ、また死んじゃったみたい」

「本当にピクミンってか弱い生き物なのね」

「それを上手く使いこなせるオリマーって、ホントに凄いよね。早く探さなきゃ」

 そのオリマーと出会うのはもう少し先の話である。

 その間に、ベルは三匹目の赤ピクミンを鎌で斬りつけ、

 ランスが槍で周囲を薙ぎ払って残った赤ピクミンを倒した。

 

「赤ピクミンは楽に倒せたようだな」

「腹が減って力が出ない……」

「我慢しろ、今バナナを探してる最中だから」

 お腹を押さえているドンキーをマリオは宥める。

 この様子だと、ドンキーがバナナを見たら暴走するだろうな……とマリオは察した。

「……」

「どうした、ベル」

 ベルは額に指を当てて、精神を集中していた。

 この森の中にいるスピリッツを探すためだ。

「こっちに、スピリッツを見つけた!

 フォックス、ヨッシー、ソレイユ、リュンヌ、ファルコン、一緒に来て!」

「な、なんですか~?」

「あんた達はしばらくそこで待ってて、今、スピリッツを解放してくるから」

「いってらっしゃ~い」

 カービィに見送られ、ベル達はスピリッツがある場所に飛んでいった。

 

「あらよっと! ほいっと!」

 ベルが見つけたスピリッツは、黄色い帽子と服を着用した人型の生き物だった。

 生き物は林檎を玉乗りの玉代わりに乗っており、爆弾を片手に持っている。

「こいつはポピーブラザーズJr.ね。爆弾を投げて攻撃してくるわ」

「爆弾は意外に攻撃範囲が広いからな、気を付けて避けなければならん」

「とりあえず解放しますか!」

 そう言ってベルは、大鎌を構えてポピーブラザーズJr.の解放に臨んだ。

 ヨッシー、フォックス、ファルコン、ソレイユ、リュンヌも、彼女に続いて戦闘態勢を取った。

 

「ばたんきゅ~」

「よし、捕獲完了!」

 数分後、無事にポピーブラザーズJr.のスピリッツはスピリッツボールの中に入った。

「それにしてもベル、どうして急にスピリッツを解放したがったんだ?」

「んー、だって私、死神だし。キーラをぎゃふんと言わせたいもの」

「……」

 ベルはそう言って、ぺろっと舌を出した。

 軽い口調で、しかも笑顔のベルだったが、ファルコンには分かっていた。

 彼女の目が全く笑っていなかった事を……。

「……よし、とりあえずスピリッツを解放しようぜ」

「……ああ」

 

 ベル一行は、チュチュ、カリプソ、テリー、デクリンク、エリーのスピリッツを解放し、

 森に戻ってきた。

 しかし、彼女達が戻ってきた時、ドンキーの顔は青ざめていた。

「ちょ、どうしたんだドンキー!」

「ハ……ラ、ヘッ……タ……バ、ナナ、クワ、セ、ロ……」

 最早、ドンキーの空腹は限界に達していた。

 マリオは、流石にこれには危機感を感じ、急いで彼をバナナがある場所に連れていこうとした。

「おい、バナナがある場所はどこなんだ。このままじゃ、ドンキーが大変な事になっちまう」

「バナナ……バナナ……あ!」

 フォックスは、バナナの匂いを嗅いで、バナナがある方を向いた。

「ドンキー! バナナは俺が向いた方にあ……」

 フォックスがドンキーに報告をした瞬間、ドンキーはその方向に一目散に向かっていった。

 

「ドンキーって、本当にバナナに目がないのね」

「……ああ。追いかけるぞ」

 マリオ達は、ドンキーを追いかけていった。

 

「うおおおおおお! バナナだあああああああ!!」

 ドンキーの目の前には、バナナが広がっていた。

 見渡す限り、全てがバナナ、バナナ、バナナ。

 それは、空腹のドンキーにとっては、まさに天国であった。

「ガツガツ! むしゃむしゃ! ガツガツ! ガツガツ! むしゃむしゃ! ガツガツ!」

 ドンキーは夢中で、空腹の分だけ望むままにバナナを食べ続けていた。

 彼の頭上に、罠が迫っているとも知らずに。

 

「ったく、ドンキーの奴、どこに行っちまった?」

「俺が匂いを辿ってるから、その通りについていけ」

 ピカチュウは苛々しながらドンキーを探していた。

 フォックスの嗅覚を頼りに、ドンキーが飛んでいった場所に進んでいく。

「気をつけろ 甘いバナナと 暗い敵」

 シャドウは、敵に遭遇してもいつでも攻撃できるように、拳銃を抜いていた。

「うわ、シャド兄、こっわ~い」

「僕からは離れるなよ。特に、子供はな」

「う、うん」

 子供とは、カービィ、りょう、ランスの事を指すだろう。

 三人はシャドウに言われた通り、彼の後ろにぴったりついていった。

 

「いたわ!」

 そして数分後、一行はついにドンキーを発見する。

 しかし、彼は光の鎖で縛られていて、それを黄色い球体が爛々と光る赤い瞳で見ていた。

 彼の傍には、小人、少女、ゴリラのスピリッツが浮遊している。

「助けてくれー!」

「シャベルンジャナイヨ……キミハコレカラ、ボクニタベラレルンダカラネ。

 コンナミエミエノワナニヒッカカルナンテ、キミハジツニバカダネェ」

「うぅ……せっかくバナナを食えたのに、こんなのってないぜ……」

 

「……シャドウ、気付かれないように撃って」

「ああ……。そこだ!」

 シャドウは拳銃を構え、ドンキーを縛っている鎖目掛けて撃った。

 銃弾が光の鎖に命中すると、光の鎖は砕け散り、ドンキーは自由になった。

 同時に、マリオ、カービィ、ピカチュウ、シャドウ、

 アイシャを先頭に一行が黄色い球体の前に飛び出す。

「パックマン……お前もキーラに操られてるのか」

「ヘェ、ソレガドウシタノ? キーラサマハボクノゴシュジンサマダヨ?」

 黄色い球体――パックマンはケタケタ笑っている。

 スピリッツはどんよりとした暗い目をマリオ達に向けている。

 彼らもまた、キーラに操られた被害者なのだろう。

「人を罠で誘うなんて……許せませんわ!」

 アイシャは操られたパックマンに対し怒りを露わにしている。

 彼女は懐から包丁を取り出し、彼に向けていた。

「罪を憎んで人を憎まず。お前を縛る鎖は、僕が解き放ってやる」

「あれは罠だったのか! 許さねー!」

「待ってて、パクパク! 僕が助けてあげるから!」

「……ふ、『黄色い伝説』はどんな強さなのか?」

「パックマン、お前をキーラから解放してやる!」

 マリオ、ドンキー、カービィ、ピカチュウ、シャドウ、アイシャは、

 操られたパックマンとスピリッツに戦いを挑んだ。




~ベルのスピリッツ名鑑~

赤ピクミン
出身世界:とある星
性別:不明
オリマーが惑星で出会った「ピクミン」の一種。
その見た目通り、火に強い。力もそこそこある。

ポピーブラザーズJr.
出身世界:ミルキーロード
性別:♂♀両方存在する
ミルキーロードに存在する人型の種族で、服を着て帽子を被る習慣がある。
身軽な動きが特徴で、「ボム」のARTSを持つ。
Jr.期からSr.期に成長すると、ジャンプ力が発達する。

カリプソ
出身世界:DKアイランド
性別:♀
クレムリン軍団の一員である女性クレムリン。
アフロヘアーが特徴的で、クールな性格。
クラブハウス「ワールドカイマン」のオーナー。

チュチュ
出身世界:ミルキーロード
性別:女性
カービィの仲間の一人で、リボンを付けたピンクの軟体生物。
天井に張り付きながら移動する事ができる。

テリー
出身世界:ハイラル
性別:男性
長い鼻とそばかすが特徴的な、片言喋りの商人。
世界各地で、色々なものを売っているとか。

デクリンク
出身世界:タルミナ
性別:男性
デクナッツの仮面をつけたリンク。
元々はスタルキッドの呪いでこうなったらしい。
身体が小さく身軽だが、火が弱点。

エリー
出身世界:DKアイランド
性別:不明
ディクシー達の冒険をサポートしてくれる象。
鼻から水を吸って、水を吐く事ができる。


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22 ~ 黄色い伝説・パックマン

ゲーム&ウォッチを上回る古参キャラがここで参戦します。


 操られたパックマンとスピリッツとの戦いが始まった。

 

「……」

 パックマンは身を守り、相手の出方を伺っている。

 マリオは白いゴリラのラビッツコングに近付いて拳を振り下ろしたが、

 ラビッツコングはマリオの攻撃をかわす。

 カービィは少女が飛ばした光を吸い込み、星形弾にして少女に吐き出した。

「私、今、身体が勝手に動いているんです。本当は戦いたくないのに、どうして……」

「僕は、マルス。君の名前は?」

「サクラです」

 少女は、戦闘に参加していないマルスに自身の名を名乗った。

「じゃあ、サクラ……僕は戦わないけど、君が解放されるのを信じるよ」

「ありがとうございます」

 マルスはマリオ、ドンキー、カービィ、ピカチュウ、シャドウ、

 アイシャが皆を助けると信じ、六人を見守った。

 

「早足ティーですわ」

 アイシャは即席で紅茶を作り、味方全員の素早さを高め攻撃をかわしやすくした。

「うおりゃあ!」

「きゃあぁ!」

「……!」

 ドンキーは敵の群れに突っ込んで両腕を振り回し、薙ぎ払った。

 ラビッツコングは紙一重でドンキーの攻撃をかわしたがそれ以外に命中し、

 マイト軍団は全滅した。

 その後、すぐにラビッツコングはドンキーにパンチで反撃する。

「いでえ!」

「ドンキーに何しやがる!」

「そこだ」

「きゃあ!」

 ピカチュウはラビッツコングを10万ボルトで痺れさせ、シャドウはサクラを拳銃で三回撃った。

 サクラはすぐに傷薬を飲み、自身の体力をある程度回復した。

 

「パックマン、苦しいだろ……今、助けてやる」

「グググ……」

「ファイアボール!」

 マリオはパックマンに火炎弾を投げてダメージと共に火傷を負わせる。

「キーラなんかに負けないで、パクパク!」

 カービィはパックマンの戦意を下げるために、パックマンの心に呼びかける。

 すると、パックマンの動きが一瞬だが鈍った。

「おりゃぁぁぁ!」

 その隙にピカチュウはパックマンに突っ込んでアイアンテールで攻撃した。

「ケシテヤル!」

「おっと! お、軽い軽い」

 マリオはパックマンの至近距離からのパンチを早足ティーのおかげで余裕で回避した。

「ありがとよ、アイシャ」

「どういたしまして! サクラさん、ごめんなさい!」

 アイシャはサクラを包丁で斬りつける。

 シャドウはパックマンに狙いを定め、丸まって体当たりした後、回し蹴りで吹っ飛ばす。

「オレが元祖で本物だ!」

「食らえ!」

「10まんボルト!」

 ドンキーは自身と似た姿のラビッツコングを見て少し不快になり、思い切り彼を殴った。

 パックマンはフルーツターゲットをシャドウに投げるが、

 シャドウは素早いスピードで回避してホーミングアタックで反撃する。

 ピカチュウはサクラの背後から電撃を浴びせてダメージを与えた。

 

「ク……アキラメナイノカ……?」

「当たり前だろ! オレを罠に嵌めた責任は取ってもらうからな!」

 ドンキーは、パックマンがバナナを罠に使った事に憤慨していた。

 パックマン自身の意思ではないとはいえ、好物を卑劣な行動に使われた事を許せないのだ。

「食らいやがれ! ジャイアントパンチ!」

 ドンキーは怒りと渾身の力を込めたパンチをパックマンに繰り出した。

「*オオット*」

 しかし、攻撃がパックマンに届く事はなかった。

 攻撃を外したドンキーは、前のめりに倒れる。

「いってぇ……」

「アア、キミハホントウニバカダネ。ヒトクチデパクットイキタイヨ」

「やめろ!」

「ウオオオォォ!」

 マリオがパックマンを止めようとすると、ラビッツコングが割って入り彼を庇う。

 さらに、カービィのキックもパックマンが光線で止め、逆にカービィを掴んで投げ飛ばす。

「ゴガァァ!」

「うあぁぁぁぁ!」

 ラビッツコングはピカチュウに突っ込んでパンチを繰り出し、ピカチュウを吹っ飛ばした。

 

「パクパク……お願い、元に戻ってよ」

「モトニモドル? ボクハミモココロモキーラサマニササゲタンダヨ?」

「違う! パクパクはそんな事絶対に言わない! ね、僕の手を握って、帰ろう?」

 そう言って、カービィはパックマンに手を出した。

 すると、パックマンは大きく口を開けて、カービィの手に噛みついた。

「うわああああああああああ!! やっぱり……倒さないとダメなの……?」

 説得はやはり通じなかったようだ。

 パックマンを倒さなければ、キーラの呪縛から解き放つ事はできない……。

 カービィは覚悟を決めて、パックマンに近付いて足と左腕で組み付いた。

 その後、カービィは右腕に力を溜めていく。

「グウウゥゥッ!」

「お願い、みんな! 僕がパクパクを元に戻すから、君達はスピリッツを解放して!」

「はい、かしこまりましたわ!」

 アイシャは標的をラビッツコングに変更し、包丁を持ってラビッツコングに突っ込んだ。

 ラビッツコングはアイシャの攻撃をかわすが、彼女は包丁を上に振って切った後、

 ラビッツコングの隙を突いて突き刺し、彼のスピリッツを解放した。

「痛いけど、我慢しな! ジャイアントパンチ!!」

「きゃああああ!!」

 ドンキーは腕を振り回し、サクラに向かって突き出し、彼女をボディ諸共吹っ飛ばした。

 その隙に、ベルがサクラに大鎌を振り下ろし、彼女のスピリッツを解放した。

 

「カービィさん、終わりましたわ! 準備はできてますの!?」

「OK! パクパク、僕の渾身のパンチ、受けろぉぉぉぉぉぉぉ!!」

「ウアアアアアアアアアア!!」

 カービィが力を最大まで溜めた右腕を振り下ろす。

 彼の希望の光が、パックマンを操っている邪悪な光を打ち砕き、

 彼の中からそれが抜け出していく。

 そして、邪悪な光がパックマンから完全に抜けると、パックマンはばたりと倒れた。

 

「……終わった、な」

「そうみたいね……」

 シャドウは、倒れているパックマンを安全な場所に寝かせる。

 ベルは、パックマンが起きるのを見守った。

「……大丈夫、よね」

「問題ない。あいつならすぐに起きるだろ」

 ピカチュウがそう言うと、パックマンが瞬きし、身体を起こしてマリオ達の方を見た。

 彼の眼は、いつも通りの黒に戻っていた。

「……あ、あれ、ここはどこ……?」

「お、起きたか。おはよう、パックマン『先輩』」

「せ、先輩……?」

 マリオに先輩と言われたパックマンは瞬きした。

 それに対し、ベルはパックマンに説明する。

「彼の方がデビューが早いからね。あえて、先輩って言ったんじゃない?」

「ふーん、そうだったノ。あ、お礼を言い忘れるところだったネ。

 みんな、ボクを助けてくれてありがとう」

「はは、それほどでもないよ」

(君、この戦闘に参加しなかっただろ)

 少しだけ照れているマルスに、シークはツッコミを入れた。

「ほう、こいつが黄色い伝説・パックマンか。確か、地球を侵略した事があるらしいな」

「そんなの記憶にないヨ!」

 シャドウは相変わらずの無遠慮な発言でパックマンを怒らせた。

 どうやら、パックマンが地球を侵略した事は、彼は全く覚えていないらしい……。

 

「ま、まぁ、それはいいとして、ボクもキミ達についていっていい?」

「構わん。だが、お前は強いのか? 聊か不安だが」

「伊達に『黄色い伝説』って呼ばれてないからネ! 頼れる奴になれるよう、頑張るヨ!」

 パックマンはどんと腕で身体を叩いた。

 その生き生きとした表情を見たカービィは、うん、と安心したように頷く。

 

「じゃあ、パクパク! 僕達と一緒に行こう!」

「もちろんだヨ!」

 

 こうして、希望の星を担うパーティに、

 年代上では最古参となるファイター、パックマンが加わった。




~ベルのスピリッツ名鑑~

サクラ
出身世界:戦記の世界
性別:女性
白夜王国の第二王女。
内気で大人しい性格だが、芯は強い。
臣下は天馬武者のツバキと侍のカザハナ。
戦闘では味方の傷を癒す回復役として活躍する。
軍の中で一番、癒し系。

マイト
出身世界:争いの世界
性別:なし
亜空軍のマークが頭部になった紙のような魔物。
その見た目通りに弱いが、数が非常に多い。
弱くとも弱いなりに一生懸命である。

ラビッツコング
出身世界:キノコワールド
性別:♂
白い身体が特徴的な凶暴ラビッツ。
赤いネクタイをしており、バナナが大好きと、ドンキーコングと似たような特徴を持つ。


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23 ~ 青きメタルヒーロー

パックマンに続く、他社ファイターの参戦です。
ドクターの性格はマリオとルイージの中間を意識しています。


 パックマンを仲間にした一行は、談笑しながら南西に向かっていった。

「まん丸で何でもパクっと食べるなんて、僕とおんなじだね!」

「そうだネ!」

 カービィとパックマンは、似た者同士という事ですぐに仲が良くなっていた。

 実際に、カービィがパックマンをコピーした時、大して容姿が変わらないのがその証だ。

「……屋敷の食費は、こいつら大食いカルテットのメンバーが大半を占めてるけどな」

 大食いカルテットとは、ヨッシー、カービィ、パックマン、そして瑠璃の事である。

 彼らはスマブラメンバーの中でも、特にたくさん食べるため、

 スマブラ屋敷の食費は大食いカルテットの割合が高いのだ。

「ん? どーしたノ、ファルコン? 何かぶつぶつ言ってるヨ?」

「あ、いいや、なんでもないぞ」

 

 こうして南西に行くと、自然豊かな場所とは正反対の、基地らしき場所の入り口に着いた。

 入り口の赤い光が、強力なスピリッツが眠る事を象徴している。

 しかし、そこに行くための道には、三人のスピリッツが立ち塞がっていた。

 内訳は女性二人、男性一人だ。

「これは……告白する価値がありそうね」

「告白?」

「そうよ。Dr.ストレンジラブ! 私は、あんたが好きよ! だからここを通して!」

 ベルは目の前にいる女性のスピリッツ、Dr.ストレンジラブに告白をした。

「却下」

 しかし、告白に失敗し、ベルはビンタ攻撃を受けてしまう。

「っつー……せっかく告白しようとしたのに」

「戦わなければ通さない」

「やるしかないみたいだネ。いくヨ、カービィ!」

「うん!」

 パックマンとカービィは、Dr.ストレンジラブに戦いを挑んだ。

 

「……この人、女の人が好きなんだネ」

「ストレンジラブ、だからね」

 Dr.ストレンジラブは、男性より女性の方が好きらしい。

 なので、奇妙な愛と呼ばれているのだ。

「次は……ロールちゃんね」

「うう、身体が勝手に動くわ」

 次に遭遇したのは、ディグアウターの少女、ロール・キャスケットだった。

『ロール! あんた、何やってるのよ!』

 すると、スピリッツボールの中からロールと同じ世界のスピリッツ、トロンが飛び出してきた。

「身体が勝手に動いて困ってるの。お願い、助けて」

『仕方ないわね。私が助けてあげるわ』

「と言っても、君は動けないから、僕達が助けるよ」

「トロン、力を貸してくれ」

「いっくよー!」

 ロール・キャスケットの解放に当たるのは、トロンの力を借りたシークと、

 彼(?)と共に助けられたマルスとりょうだった。

 

「ありがとう、みんな……」

「どういたしまして」

 ロールのスピリッツを解放し、マルスとロールはお互いにお礼を言った。

 一行が最後に解放しようとするスピリッツは、スパナを持った少年、リョウだった。

 彼は戦車や歩兵を並べて、一行の前に立ち塞がっていて、聞く耳は持たなそうだ。

「……やる気みたいね。誰が挑む?」

「僕がやる」

 マルスは、リョウの前に立って、ファルシオンを抜刀する構えを取る。

「ごめんね……でも、戦わないと先には進めない事は分かっている。

 リョウ……どちらの戦略が優れているか、勝負だよ!」

 マルスは、普段は温和で謙虚な性格である。

 だが、リョウが操られている以上、戦わなければ先に進めないと感じたマルスは、

 自分からリョウに戦いを挑んだ。

 

「よく頑張ったね、リョウ。でも、この勝負、僕の勝ちだ!」

 最後にマルスがリーダーのリョウを倒した事により、戦闘はマルスの勝利で終わった。

「凄いですわ、マルスさん!」

「慣れているからね。……っつ」

「だ、大丈夫かい? 僕が治してあげるよ」

「た、助かるよ」

 マルスは何度も戦闘しているため、体力は次第に削られていった。

 ドクターは彼に対し、有り合わせの材料から薬を調合してそれをマルスに与えた。

「……ふう、ありがとう、ドクター。さて、もうすぐ基地に着くよ」

 マルスを先頭にして歩くと、ついに基地の入り口に着いた。

「よし、開けるぞ」

 そう言ってマリオが扉を開けようとしたが、扉は固く閉ざされていた。

 従兄弟のドクターが、扉をじっくり調べてみる。

「んっ、開かない」

「鍵穴もないみたいだね。隣には、何かを動かす機械があるみたいだけど」

「どうすれば開くんだ。うーん……誰かに情報を聞くしかないか……ん?」

 ふと、マリオの視界に二体のロボットが入った。

 彼らにヒントを聞けば、扉を開ける方法が分かるかもしれないと思ったマリオは、

 ロボットがいる方に行った。

 ドクター、カービィ、シャドウ、ベルら仲間達も、彼の後を追っていった。

 

「……レプリロイド……レプリロイド……」

 宙に浮いた男が、青い身体と赤い瞳のロボットを守るようにして立っている。

 その男は、悪しき心を持ちながら英霊となった魔術師の風格を漂わせている。

 莫大な黄金を所持する大貴族の当主に見えるかもしれない。

 戦いとなれば、細身の剣と魔法を華麗に操る老執事の如く動くだろう。

「ロックマンに、あれは……」

「イレギュラーと化したレプリロイド、シグマみたいね」

 そう言って、ベルはスピリッツの詳細を一行に説明した。

「堕ちたロボット、というわけか」

「そうね」

「ロックマン君! 僕の声が聞こえるかい?」

「基地に行くための扉が開かないんだ。扉を開ける方法を教えてくれ」

 マリオとドクターは、ロックマンに扉を開けるための方法を教えようとした。

 しかし、ロックマンは聞く耳を持たなかった。

「駄目だね……直接聞くしかないか」

「待て!」

 そう言って、ドクターがロックマンの前に行こうとすると、シャドウがドクターを止めた。

「シャドウ君?」

「こいつはキーラに操られている、近づくな」

「え? どうし……うわっ!」

 突然、ロックマンがドクターに向けてシャドーブレードを投げた。

 ドクターはギリギリでかわすが、ロックマンは殺意を込めた真っ赤な瞳を彼に向けている。

 シグマも、一行に殺意を向けていた。

「……」

「……どうやら、戦わなければならないみたいだな。覚悟を決めて、ロックマンに挑むぞ」

「……うん」

「ボク達が何とかするから、待っててね!」

「負けないからネ!」

「ロッ君、今、僕達が助けるよ!」

「やれやれ……戦うのは苦手なんだけどな。

 でも、シグマ君もロックマン君も、自分の意志じゃないんだよね? だから、僕が助けるよ」

 カービィ、シャドウ、りょう、ランス、ドクター、パックマンは、

 ロックマンとシグマをキーラから解放するため、戦いを挑んだ。

 

「いくよ、ドクタートルネード!」

 ドクターは回転しながらロックマンを攻撃する。

「ウゥゥゥゥ……」

「うわぁぁぁ!」

 シグマは弾丸をりょうに向けて大量に放った。

 それはりょうを容赦なく打ち据え、耐えられなくなったりょうは倒れた。

「りょう君!」

「仇を取るヨ! えーい! うわっ!」

 パックマンはシグマを殴ろうとしたが、シグマは宙に浮いて攻撃をかわす。

 カービィはシグマが飛ばした弾丸を吸い込み、星型弾にしてロックマンに吐き出す。

「コロス……」

「わっと!」

 ランスはロックマンのロックバスターをかわし、槍でロックマンを突いて攻撃する。

「カオススピア!」

「グアアアア!」

 シャドウは混沌の矢を作り出してシグマに放つ。

 その威力は高く、一発でシグマに致命傷を与えるほどだった。

「よし、やったねシャドウ君!」

「……」

「気を抜いちゃダメって事か」

 ドクターはシャドウの様子を見た後、シグマを心臓マッサージで攻撃する。

 すると、シグマは標的をカービィにして五つの電撃弾を作り出した。

「ウケテミヨ」

「まずい!」

「うわあああ!」

 シャドウはそれを阻止するべく拳銃を撃つが、

 弾丸が当たる前にシグマの身体から電撃弾が飛び、

 それがカービィに全て命中するとカービィは麻痺して動けなくなった。

 その後にシャドウが放った弾丸がシグマに命中し、シグマは戦闘不能になったが……。

「う、動けない……!」

「間に合わなかったか……」

「でもめげないデ! ほら、りょうを治すヨ!」

 そう言ってパックマンはフルーツターゲットをりょうに使い、彼の体力を回復させる。

「ありがとう、パックマン」

「それほどでもないヨ、それより今は目の前に敵に集中だヨ」

「うん。いっくよー!」

「それっ!」

 りょうはパチンコでロックマンを狙い撃ちし、ドクターは続けてカプセルを投げる。

 シャドウはロックマンをカオスマジックで束縛した後に近付いて回し蹴りで攻撃する。

 ロックマンはシャドーブレードを投げてランスの身体を切り裂く。

「ワドスピアスロー!」

 ランスは一度距離を取った後、槍を投げてロックマンを攻撃した。

「こんな痺れに、負けてたまるか!」

 カービィは気合で何とか麻痺を解除し、ロックマンに突っ込んで彼を吸い込み、コピーする。

「シャドーブレード!」

 カービィは手から歯車型の刃を出し、ロックマンに向けて投げる。

 刃がロックマンに刺さった後、ランスがロックマンに近づいて刃を抜く。

「イッタァ!」

「血は出なかったが痛みは感じるようだな」

「このゲーム、全年齢対象なんですケド」

「ヨクモヤッタナ、カナラズコロシテヤル!」

「やれるものならやってみろ! みんな、僕がこいつの囮になるよ。君達がロッ君を止めて!」

「ああ」

「分かったよ」

 カービィはロックマンを挑発して彼を引きつけ、残った五人がロックマンを倒す作戦に出た。

 まず、ドクターとパックマンはカプセルとフルーツターゲットで牽制し、

 次にランスは高く飛び上がって槍を地面に突き刺した。

 ロックマンが地面に埋まった時、既にりょうは斧を構えていて、

 りょうは勢いよく斧を振り下ろした。

「グアアア! ウ……グ……」

 既にロックマンの体力は残り僅かで、彼もふらふら状態になっている。

 とどめを刺すなら、今がチャンスだ。

「離れろ」

「うん!」

 シャドウは他の五人を下がらせた後、超スピードでロックマンに接近し、

 カオスエメラルドの力を使ってロックマンを拘束し彼にとどめを刺す準備に入る。

「ハナセ!」

「放すものか。お前を光の呪縛から放すためだ。動くなよ……カオスブラスト!!」

 そして、シャドウが技の名前を叫ぶと、真紅の衝撃波がロックマンを包み込んだ。

 その威力は瀕死のロックマンの意識を奪うのに十分なものであった。

 衝撃波が治まると、ロックマンの身体は光になって弾け飛んだ。

 

「僕の……勝ちだ!」

 そう……この瞬間、キーラに操られたロックマンとシグマとの戦いに、勝利したのだ。




~ベルのスピリッツ名鑑~

Dr.ストレンジラブ
出身世界:こことは異なる世界
性別:女性
元NASAの宇宙工学技術者で、オタコンことハル・エメリッヒの母。
男性より女性が好きなため、「ストレンジラブ」の名がついた。

ロール・キャスケット
出身世界:こことは異なる世界
性別:女性
ロック・ヴォルナットの幼馴染でディグアウター。
元一流ディグアウター、バレルの孫娘。
ディグアウトではオペレーターを務めている。

リョウ
出身世界:地球
性別:男性
レッドスター軍に所属するメカ好きな少年。
かつてマクロランドを救った事がある英雄。
指揮官としての能力はバランスが良く、どんな状況でも戦う事ができる。

シグマ
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性型
イレギュラーハンター第17精鋭部隊の元隊長。
皆から慕われる人格者だったが、ウイルスに感染してイレギュラー化し、
レプリロイドによる征服を目論むようになる。


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24 ~ 基地への潜入

原作ではただ戦うだけなので、そんなのつまらない! と思ってアレンジしました。
この小説ではちょっとシャドウを優遇しています。


「……う……ぅ……」

 ロックマンは、カービィ達の活躍により正気に戻った。

 今、こうして安全な場所で体力が戻るまでゆっくり休んでいるところだ。

「ロックマン君が元気になったら、基地に行くためにはどうすればいいか教えてもらおうか」

「そうだな」

「それに、あの基地の中からスピリッツの気配を感じるしね……」

 ベルは、扉で入り口を塞がれている工場を見てそう言った。

 扉を開けるための方法が分かればいいのに、とりょうが呟くと、

 全快したロックマンが起き上がった。

「あ、起きたんだな、ロックマン」

「あれ……ここはどこ……? ボクは一体……?」

「大丈夫? 痛くなかった?」

 正気に戻ったロックマンに、ランスが優しく声をかける。

「うーん、言われてみれば、ちょっと身体のあちこちが痛いような。

 ……それで、ボクに何か用?」

「基地を塞いでいる扉を開けるための方法が分からないんだ。ロックマン君、分かるかい?」

「あ、じゃあ、ちょっと案内して」

「うん」

 そう言って、ドクターはロックマンを扉と装置がある場所に案内した。

 

「この扉を開けてほしいんだね」

「うん。マリオ君と僕が試したけど、うんともすんとも言わないんだ。

 この装置が怪しいんだけど……」

「……」

 ロックマンは顎に指を置いて、頭を捻った。

 この装置と扉の繋がりはあるのだろうか……そう考えていると、

 スピリッツボールの中からハル・エメリッヒと

 Dr.ストレンジラブのスピリッツが飛び出してきた。

『ハル……この装置、動かせるのでは?』

「あ、オコタンだ!」

『オ・タ・コ・ン。間違えないでくれるかな。……とにかく、やってみるよ。

 誰か、手を貸してくれ』

「私がやりましょうか」

 リュンヌが挙手すると、オタコンは一時的に彼の身体に宿り、器用に機械を操作した。

 すると、扉は音と共にロックが解除され、一行は基地に行けるようになった。

「やりましたね! 扉が開きました!」

「いや、それほどでもありませんよ、ソレイユ」

「……一体、基地にはどんなスピリッツがいるのだろうか。気を引き締めなければ」

 シークは真っ直ぐに基地の入り口を見つめている。

 彼(?)は、始まる前から本番といった様子だ。

「うむ、油断大敵だな。では、基地に入るぞ」

「うん!」

 一行はルカリオを先頭に、スピリッツが囚われている基地の中に入った。

 

「……無機質だな」

「ちょっと怖いよ……」

 基地の中は、冷え切った床や壁が広がっていて、生活感のない無機質な雰囲気だった。

 あまりこういうものとの接触がなかったカービィとりょうは震え、

 ドンキーは訳が分からず頭にハテナマークを浮かべている。

 一方で、機械に慣れているシャドウとロックマンは平然とした顔で歩いていた。

 シークとルカリオは音を立てないように忍び足で歩いている。

「シャ、シャドウ……平気なのか? ここ……」

「僕自身が人工だからな、気にはならない」

「すげえ……」

 ドンキーが感心していると、目の前に文字が書かれているプレートがあった。

 しかし、プレートの前には、亜空軍の一般兵、プリムのスピリッツが立ち塞がっている。

「これは……亜空軍のプリムか」

「第一次亜空軍異変でも第二次亜空軍異変でもたくさんいたわね」

「だが、相手に不足はない。来い!」

 ルカリオは構えを取り、プリムと戦った。

 

「所詮は一般兵だったようだな」

 プリムの数は多かったが、所詮一般兵であるプリムはあっさりと負けて

 スピリッツボールの中に入った。

 そして、ベルはプレートの文字を確認する。

 

 この基地には 五つの鍵があり

 扉に入れるは 女王が治めし島国の言葉なり

 五つの鍵を手にせよ さすれば道は開く

 

「女王が治めし島国の言葉……つまり、英語でパスワードを入れればいいのね」

 プレートの左右の道には、「2」と書かれたバリアが張られてある。

 試しにドンキーが触ると、彼の手に衝撃が走った。

「いってぇ!」

「ロックを解除しないとバリアは消えないわよ。まずは、そこから始めましょう」

「ああ……いててて」

 

 一行はプレートがある場所から真っ直ぐ北に進み、横に広がっている部屋に着く。

 部屋の右側の機械には「1」と書かれてあった。

「このスイッチを押せばいいのですね」

 ソレイユが赤く光ったキーボードを押すと、赤いモニターにこの文章が浮かんだ。

 

 それは二組の音と一つの音でできている

 それは多くの服を着る

 それは切れば涙が出る

 

「あら? これはなんでしょうか」

「この問題に答えないとバリアは解除されないみたいよ。じっくり解きなさい」

「え、ええと……」

 ソレイユはモニターに映った文字を読んでいた。

 二組の音と一つの音というのは分からなかったが、

 「多くの服」と「涙が出る」という文章でソレイユは閃いた。

「あ、分かりました! 答えは玉葱ですね!」

「それを英語にすると?」

「玉葱は英語で……ONIONです!」

 ソレイユがキーボードでそう入力すると、ブン、という音と共にモニターが青く光り、

 さらにファンファーレが鳴って映った文字が大きな○に変わった。

 すると、左側の「1」と書かれたバリアと、

 北にある左右に分かれた道の「1」と書かれたバリアが消えた。

「あ、正解みたいですね!」

「二組の音はOとN、一つの音はIを指すんだネ。

 ま、これは二番目と三番目のヒントがあったから簡単だったネ」

「そーなのかー」

 あまり頭が良くないドンキーコングは、とりあえず納得するのだった。

 

「じゃ、次はこっちを通りましょう」

 一行は、次のスイッチを押すため、「1」のバリアが消えた西の道を通っていった。

 すると、上に「2」と書かれた装置と、2つの大型の機械と2つの小型の機械があった。

「ねえ、どれを調べればいいの?」

「えっと……これですわ」

 アイシャは、一番右にある大型の機械を調べた。

 すると、赤いモニターに白字でこの文章が現れた。

 

 それは母なる音がない

 それは崩す事ができる

 それは乗る事ができる

 

「母なる音がない……つまり、その英語には母音が存在しないわ」

「崩したり乗ったりできるものといえばリズムだな」

「へー、ドンキー知ってるんだ!」

「コンガをやってたからな、それくらい知ってるさ」

「それ『だけ』の間違いでしょ」

「うぐっ」

 ベルに茶化されたドンキーは胸を抑えた後、がっくりと項垂れる。

 アイシャはやれやれと言いながら、キーボードで「RHYTHM」と入力し、

 2のバリアを解除した。

 

「1、2と来たら、次は3だね。3はこっちだよ!」

 一行はロックマンの導きで南東に歩き、「1」のバリアがあった道のうち、左側の道を進んだ。

 だが、機械へ行くための道を、キーラに操られたスピリッツが塞いでいた。

 全員、瞳は赤く染まっていて、説得には応じなさそうだ。

「こりゃ、戦うしかなさそうね。ポリゴンには誰が挑む?」

「ボクがやるよ!」

 ランスは槍を構え、マックのボディに宿ったポリゴンのスピリッツと戦った。

 ポリゴンとマックではあまりにも体格が違うため、マックはデフォルメされていた。

「な、なんかポリゴンがきつそうだね……。でも大丈夫、助けてあげるね!」

 

「よし、勝ったよ!」

 ポリゴンのスピリッツは無事に解放された。

 リトルマックのボディは元に戻った後、無理が祟ってバラバラになってしまった。

「ポリゴンはポリゴンでも、こんなポリゴンにしなくてもよかったぞ」

 マリオはポリゴンのスピリッツにそう突っ込んだ。

 妥当なボディが無かったとはいえ、「ポリゴン」に入るとは……と苦笑した。

「次は……きゃ、爆弾を持ったロボット!? こんなのと戦うなんて……」

「邪魔だ」

 アイシャはボンバーマンのスピリッツを見て驚く。

 しかし、シャドウはアイシャを払いのけ、彼と戦うために戦闘態勢を取った。

「僕がこいつと戦う」

「ちょ、なんでいきなり前に出るんですの!?」

「今はこいつでその爆弾を撃ちたくてな……!」

 シャドウはアイシャの突っ込みを流し、

 こどもリンクのボディに宿ったボンバーマンに拳銃を向けた。

 ちなみに言い忘れたが、ボンバーマンはロックマンの世界のスピリッツである。

「はぁ……機械がたくさんあるからといって、気分が高揚しなくてもよろしいのでは?」

「うむ……確かにシャドウの波導は高ぶっているな」

 アイシャが呆れながらルカリオに愚痴を吐く。

 ルカリオは、シャドウから感じる波導が、ジェフと戦った時のそれと似ていると感じた。

 つまり今、シャドウは「はしゃいでいる」状態になっているのだ。

「50年前に生まれたのに子供っぽいのね」

「シャド兄って、僕より年上なの?」

「シーッ、本人には内緒よ」

 カービィとベルは、今のシャドウを生暖かい目で見守っていた。

 

「これで終わりだ!」

 シャドウの拳銃が火を吹くと、ボンバーマンは光の球となって敗れ、

 彼のスピリッツはスピリッツボールの中に入った。

「……シャドウさん、満足しまして?」

「ああ」

「あまりはしゃぐのは良くありませんわ。普段はこんな態度ではありませんわよ?」

 アイシャは今のシャドウにはぁ、と溜息をついた。

 普段は落ち着いているシャドウがこんなに気分が高ぶるなんて、と呆れている。

 彼女の態度を見たシャドウは、流石にバツが悪いと感じたのか、銃をしまう。

「……こんな姿を見せてしまってすまん。少し自重するべきだったな」

「分かればよろしいですわ」

 ようやくシャドウを落ち着かせたアイシャは、機械を目指し前に進んでいった。

 一行も彼女についていき、しばらくすると、

 アイスクライマーのボディに宿ったデュオンのスピリッツに遭遇した。

 第一次亜空軍異変で遭遇した強敵だが、

 ボディがアイスクライマーなので大幅に弱体化していた。

「デュオン……かなり強かったね」

「だが、こうも落ちぶれてしまうとはな……」

 第一次亜空軍異変に関わっていたルカリオとマルスは、落ちぶれたデュオンを見て呆れていた。

 ピカチュウも、デュオンを冷たい目で見ている。

 デュオンは「そんな目で哀れむな」とアイスクライマーのボディで言っているように見えた。

「だが、手加減はしない。行くぞっ!」

「キーラに操られているからね」

 マルスはファルシオンを抜き、ルカリオは構えを取り、デュオンに戦いを挑んだ。

 

「……終わったみたいだね」

「ああ……」

 デュオンのスピリッツを解放したルカリオとマルスだったが、彼らの表情は空しかった。

 強敵が弱体化しているため、戦った実感が湧かなかったからだ。

 何はともあれ、これで機械に繋がる道を塞ぐスピリッツを全て解放し、

 ようやくバリアを解除できる機械を操作できる。

 ファルコンがキーボードに触れると、モニターにこんな文章が浮かんだ。

 

 それは短くも長くもなる

 それはあなたから離れない

 それは闇の中で消える

 

「ええっと……短くも長くもなるし、離れなくて闇の中で消えるのって……分からないな」

 ファルコンは答えが分からず、頭を捻っている。

 そこで、仲間にヒントを聞こうとした。

「おい、シャドウ、答え分か……シャドウ? ……そうか! 答えは『影』だ!」

 ファルコンがキーボードで「SHADOW」と入力すると、

 モニターが青くなって「○」の文字が現れ、3のバリアが消える音がした。

「まさかお前の名前が正解だったとはな。助かったぜ、シャドウ」

「……別に、礼を言われるような事はしていない」

 ファルコンはシャドウにお礼を言うが、シャドウは素っ気なく返事した。

 アイシャに忠告されたのか、彼はいつものように冷静だった。

 

 一行は3のバリアを解除した後、引き返して今度は右の道へ進む。

 すると、「4」と書かれた機械を塞ぐようにリボルバー・オセロットのスピリッツがいた。

 マリオが彼のスピリッツを解放した後、機械のキーボードを触り、モニターに文字を出す。

 

 それは緑のものは未熟である

 それは決して返せない

 それは一年に一つのみ

 

「一年に一つで決して返せないもの……年齢だな。

 もっとも、この世界ではそんなの気にしなくていいのだが……。

 でも、年齢って英語でなんて言うんだ?」

「……おい、お前、英語も分からないのか?」

「すまんすまん、ちょっとボケただけだ。年齢は英語でこう言うんだろ?」

 そう言って、マリオはキーボードで「AGE」と入力し、4のバリアを解除した。

「なんか、頭が痛くなって来たわ……」

 ベルは頭を押さえながらそう言った。

 彼女はこんな調子で大丈夫なのか、という気持ちでいっぱいであった。

 

 4のバリアを解除した後、一行は南に行って、

 最後のバリア――5のバリアを解除できる機械がある場所に行った。

 この機械の前にはスピリッツがなかったが……。

 

 それは右が増えると銃になる

 それは全ての動物が持つ

 それは落ちれば二度と拾えない

 

「右が増えると銃、か。右は確か、英語でRIGHTだったな。

 つまり、Rがつくと銃になるのか。

 それを踏まえて、落ちれば二度と拾えない、全ての動物が持つものは……」

 この問題は、シャドウが解く事にした。

 シャドウが考えに考え抜いた末、キーボードで「LIFE」と入力すると、

 モニターが青く光って画面に「○」と出た。

「なんでLIFEなの?」

「LIFEにRを入れて並べ替えると、RIFLEとなるわけだ。

 命が落ちれば、二度と拾う事はできない……」

「へ~、勉強になるね~」

「これで全てのバリアは解除された。5のバリアがあった場所に行くか」

「ええ」

 

 こうして、1~5までの全てのバリアを解除し、一行は基地の奥まで進んでいった。

 奥の部屋は非常に広く、床に落ちたサブマシンガンと、

 台座に縛られている男を除いて何もなかった。

 シャドウはそのサブマシンガンを拾い、手に持つ。

「ああ、この銃は手に馴染むな」

「シャドウ、また興奮してるの?」

「さぁな。……それよりあいつを解放しないのか?」

「あいつ? あぁ、この人の事だね! えいっ!」

 そう言って、ランスは男を縛っている光の鎖を槍で貫き、打ち砕いた。

 すると、鎖から解放された男が、赤い瞳を光らせて襲い掛かった。

 その男は、伝説の傭兵で潜入のスペシャリスト、ソリッド・スネークだった。

 さらに、彼と同じように操られたロボット、メタルギアREXが襲い掛かる。

「来たな、スネーク! 俺達が相手をしてやるぜ!」

「待ってくださいねぇ~。私達が助けますから~」

「言っておくが、バウンティハンターの身体能力を舐めるんじゃないぞ」

「大丈夫、ボクは負けないよ!」

「覚悟はよろしいですの!?」

「スネくん、キーラに負けないで!」

 ヨッシー、カービィ、ピカチュウ、ファルコン、ランス、アイシャは、

 操られたスネークとメタルギアREXを救うため、戦いを挑んだ。




~ベルのスピリッツ名鑑~

プリム
出身世界:争いの世界
性別:不明
亜空軍の一般兵で、影虫から生まれた。
個体の力は弱いが、数が多いのが特徴。
ブーメランを使うブーメランプリムや、剣を使うソードプリム、
火器を使うバズーカプリムなどが存在する。

ポリゴン
出身世界:ゲフリアース
性別:不明
シルフカンパニーが人工的に生み出したポケモン。
かつてはシージーポケモンだったが、今はバーチャルポケモン。
ノーマルタイプで、特性はトレース、ダウンロード、隠れ特性はアナライズ。
進化にはアップグレードとあやしいパッチが必要。

ボンバーマン(ロックマン)
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性型
岩盤破壊用にライト博士が造ったロボット。
ハデ好きだが、モノを大事にしない。
ハイパーボムという強力な爆弾を持っている。

デュオン
出身世界:争いの世界
性別:なし
一組の車輪と前後に青と桃色の上半身を持つ機械。
青い上半身の方は剣術が得意で、桃色の上半身の方は腕と頭からレーザー砲を放つ。
誘導弾や、青い方の頭についているブレードでも攻撃してくる。

リボルバー・オセロット
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
本名、アダムスカ。特技は射撃と拷問。
ソ連のアフガン侵攻に参加した際、
敵対するムジャーヒディーンに「シャラシャーシカ」と呼ばれ、恐れられていた。


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25 ~ 伝説の傭兵

Xでの通り名は「伝説の傭兵」、SPでの通り名は「潜入のスペシャリスト」。
正直後者の方がしょぼいので、前者の方がよかったなぁ。
でも、この回が光の世界初のボス戦です。


 伝説の傭兵、スネークとの戦いが始まった。

 

「……」

 スネークは六人の死角となる部分に素早く移動し、身を隠す。

「っくそ、どこに行きやがった?」

「えいっ!」

 ランスはメタルギアREXを槍で突くが、メタルギアREXにはギリギリで当たらなかった。

「スネークはここ……ですの?」

 アイシャはスネーク目掛けて食器を投げつける。

 すると、カコーン、という音と共に、スネークがその姿を現した。

「!」

「見つけましたわ! こちらです!」

「ホント!? じゃあ、行こう!」

 アイシャはスネークの居場所を皆に知らせた。

 ランスは槍をスネークに投げようとするが、

 その前にメタルギアREXがランスに狙いを定め、レールガンを放った。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 レールガンが直撃したランスは吹っ飛ばされ、壁に叩きつけられて意識を失った。

「ばたんきゅー……」

「何をするんですか~!」

 ヨッシーは先程ランスを倒したメタルギアREXの攻撃が届かない

 ギリギリの距離に近付き、蹴り飛ばす。

 ファルコンはスネークを素早く掴んで投げる。

「ランスさん、これを!」

 アイシャはメタルギアREXの射撃を回避し、ランスの口に特徴的な味の桜餅を入れる。

 意識を取り戻したランスは謎の味に驚いて飛び上がる。

「ひ! な、何この味……」

「話は後ですわ、一人と一台を解放しますわよ!」

「う、うん!」

「こいつを受け取れ、カービィ!」

 ピカチュウはカービィにコピーを与えるため電撃を放つ。

 カービィはそれを吸い込んで、スパークをコピーした。

「クッ!」

「お前は操られているんだ、目を覚ませ!」

「そうだ……だから今、解放してやる! ロケット……ずつき!」

 ピカチュウは後ろに下がった後、力を溜めてスネークに突進する。

 ファルコンはロケットずつきがスネークに命中する前に素早く飛び退く。

「グアアアアアアア!」

「よーし、今だ! イナズマおとし!!」

「ウアァァァァァァァァァ!」

 スパークカービィはスネークとメタルギアREXに雷を落とした。

 メタルギアREXの内部は雷でショートし、スネークも感電により意識を手放した。

 

「……あれ? もう終わっちゃった?」

「そうみたいだね」

 スネークとの勝負にあっさりと決着がついてしまったため、カービィはきょとんとしていた。

 ドクターは気絶しているスネークを治している。

 シャドウは顎に手を当てて、考え事をしていた。

(ここにいたのは、本当にキーラに操られたスネークとスピリッツだけなのか?

 スネークがいる部屋に行くためにバリアを解除していったが、通らなかった道があったな……)

「あの、どうしましたか、シャドウさん?」

「どうも引っかかるものがあってな。1・2・3・4・5とバリアを解除していっただろう?」

「そうですね」

「その中に、通らなかった道はあったか?」

 シャドウがソレイユに問いかけると、ソレイユは「あ!」と思い出す。

「確か、それは4のバリアがあった場所ですよね? 通らなかった気がします」

 では、4のバリアを解除するのは無駄だったのか、とシークは考えた。

 その時、スネークの治療を終えたドクターが手を挙げる。

「治療、終わったよ」

「スネーク、大丈夫だった?」

「ああ、特に後遺症は無かったぞ。この医者は腕がいいんだな」

「どういたしまして」

 スネークは自身を治療したドクターの腕を褒め、ドクターは素直に頷いた。

「あの、あなたは……?」

「お前達はまだ俺の事を知らなかったようだな。俺はソリッド・スネーク、傭兵だ」

「僕はりょう」

「ボクはバンダナワドルディのランスだよ」

「私はソレイユ・ラサンテです」

「私はリュンヌ・ラサンテです」

「ボク、パックマンだヨ!」

「僕はドクター、と名乗らせてもらうよ」

「わたしはアイシャ・クルースニクですわ」

「……僕は、シャドウ・ザ・ヘッジホッグだ」

 スネークは顔を合わせた事がなかったアイシャ、シャドウ、ソレイユ、リュンヌ、

 ドクター、パックマン、ランス、りょうに自己紹介をする。

 八人も、改めてスネークに名前を名乗った。

「ラサンテ……という事は、ソレイユとリュンヌはきょうだいか?」

「いえ、夫婦です」

「それは初耳だったな。では、改めてよろしく」

「「「よろしくお願いします」」」

 スネークは一人一人、挨拶と同時に握手をした。

 

「では、そろそろ戻るぞ。ついてこい」

「かしこまりました」

 一行はスネークを先頭にして、基地を後にした。

 流石は潜入のスペシャリストだけあって、スネークは慎重かつ大胆に進んでいる。

 シークとルカリオも、音を立てずに歩いていった。

「みんな、静かにするんだ。残党が眠っているかもしれないからな」

「うん」

 一行はスネークに言われた通り、自分達以外に聞こえないような声で話す事にした。

 残党の気配は感じなかったが、決して油断してはいけないのだ。

 

「……?」

 ふと、スネークは自分達以外の足音を感じ取り、すぐにダンボールに潜って身を隠す。

「ス、スネーク……?」

 マリオが訳が分からず困惑していると、足音は徐々に近づいてくる。

 何かが近づく恐怖に、マリオは脂汗を掻いた。

 そして、マリオは思わず目を閉じてしまった。

 

「……!!」

 しばらくしてマリオが目を開けると、彼と0.1mの距離で、「それ」は立っていた。

 鋼鉄の二本足に、中世ヨーロッパの騎士の兜のような顔。

 足と同じように鋼鉄でできた両腕は太く、背中には二門のミサイル砲がついていた。

 マリオやカービィなどには、「それ」は分かった。

 第一次・第二次亜空軍異変で死闘を繰り広げた、亜空軍の主戦力ロボット――

 

「ガレオム……!!」

 ――ガレオムだった。

 ダンボールの中にいたスネークは危険を察知し、すぐにダンボールを捨てて構えを取った。

「まさか、こいつもいたとはね。……やっぱり、キーラに操られてるの?」

「分からん……だが、この狭い場所で戦うのは危険だ……!」

 一行がガレオムと遭遇した場所は、狭い通路の中だった。

 もしもここでガレオムと戦ったら、勝負にもならなくなる。

「こいつを広い場所に誘い込むぞ!」

 スネークは閃光弾を取り出すと、ガレオムに向けて投げつけた。

 閃光弾は破裂し、ガレオムの目を晦ませる。

 一行はその隙に、プレートがあった場所から北に走っていく。

 ガレオムが光を振り払うまでに全員間に合え、と一行はただただ願った。

 全員が北の広い部屋に入ろうとしたその時、りょうとアイシャが転倒してしまった。

「りょう! アイシャ!」

 ベルはりょうとアイシャに手を伸ばし、二人を北の部屋に引っ張ろうとしたが、

 目晦ましを解除したガレオムがその太い腕で華奢なりょうとアイシャの身体を掴む。

「く……」

「苦しいですわ……!」

 二人の身体はぐん、と宙に浮かんだ。

 りょうとアイシャは必死で抵抗するが、ガレオムの力はどんどん強くなっていく。

 このままでは、二人は握り潰されるか、地面に叩きつけられてしまう。

「……仕方、あるまい」

 シャドウは、スネークがいる場所で拾ったサブマシンガンを構えた。

 スネークは慌ててシャドウの腕を掴む。

「シャドウ! 二人を巻き込むな!」

「そんな事はどうでもいい、二人を解放するためなら僕は手段を問わない!」

 シャドウはスネークの腕を振り払った後、

 サブマシンガンの引き金を引き、ガレオムに乱射した。

 攻撃を受けたガレオムは暴れ出し、

 りょうとアイシャを掴んでいた手を放し、二人は落下してしまった。

 だが、地面に激突する直前でパックマンはりょうとアイシャにビームを放って激突を防いだ。

「危なかったネ、あと少しでキミ達は地面にドカーンだったヨ」

「ぅ……」

「ぁ……」

 りょうとアイシャは、ガレオムに握られたショックで放心していた。

 パックマンはりょうとアイシャを降ろした後、普段と違う凛々しい表情でガレオムの顔を見る。

「ガレオム、よくもボク達の仲間をこんな目に遭わせたな! 許さないゾ!」

「手加減はしないぞ」

「こういうロボットとは何度も戦ったからね。ボクは絶対にこいつに勝つよ」

「ここで逃げれば最大の恥になる」

「ちょっと怖いが……負けないぜ!」

「こんな絶望、私が叩き切ってあげるわ!」

 マリオ、パックマン、ロックマン、スネーク、シャドウ、そしてベルは、

 戦闘態勢を取り、ガレオムと対峙した。

 今ここに、大ボスとの戦いが幕を開けるのだった。

 

「カオススピア!」

 シャドウは手から矢を放ち、ガレオムを射抜く。

 ガレオムは防御の体勢を取り、シャドウの攻撃を防いだ。

「ファイアボール!」

 マリオはガレオムに炎の玉を放つが、ガレオムはギリギリで彼の攻撃をかわす。

 ロックマンはガレオムが回避した方にシャドーブレードを投げてダメージを与えた。

 ガレオムは残るベルとパックマンの攻撃をかわし、背中のミサイルで反撃した。

 ベルとパックマンはシールドでミサイルを防いだ。

「なんてパワーなの、こいつは」

 ガレオムのパワーは強烈で、二人のシールドを大きく削っている。

 ベルは脂汗を掻きながらも鎌を握る手を強める。

「くぅっ!」

 ガレオムはシャドウを鋼鉄の足で踏み潰す。

 シャドウは地面に埋まり、さらにミサイルの追撃を許してしまう。

「こんなロボットなど、粉々にしてやる」

 埋まった状態から解放されたシャドウはサブマシンガンを乱射し、

 ガレオムの装甲に穴を開けた。

 ロックマンは穴が開いたところにロックバスターを連射してダメージを与えた。

 パックマンは遠くからガレオムにフルーツターゲットを投げて安全に攻撃した。

「もう一発、ファイアボール!」

「スライス!」

「「ファイアスライス!!」」

 マリオのファイアボールがベルの大鎌に命中すると大鎌は炎を纏い、そのままベルは一閃する。

 ガレオムは熱により大ダメージを受けた。

「やるな、ベル」

「ええ、私は死神なんだから!」

 マリオとベルがお互いを称え合うと、それがガレオムの怒りを買ったのか、

 ガレオムは二人に両腕を振り下ろした。

「危ない!」

 両腕が当たる直前でスネークは二人を庇い、代わりに大ダメージを受ける。

「ぐっ……!」

「大丈夫、スネーク!?」

「ああ……だが、肩が……うぐっ!」

 スネークは攻撃を受けた左肩を押さえる。

 幸い、出血はしていなかったが、痛みのせいでスネークに力が入らなくなった。

「無理しないで、スネーク! ほら、回復してあげるヨ!」

 パックマンはフルーツターゲットを使ってスネークの痛みを和らげる。

「助かるぞ……はぁっ!」

 スネークは距離を取り、迫撃砲を取り出してガレオムに放った。

 弾はガレオムに命中すると大爆発を起こし、その場を煙が包む。

 スネークは煙に紛れてガレオムの背後に回り込み、C4爆弾を取り付けた。

「何をしたの?」

「それは後のお楽しみだ」

 ガレオムは両足に力を入れた後、四回連続でジャンプした。

 六人は上手く攻撃をかわし、

 スネークはガレオムの動きが一瞬止まったのを見計らいC4爆弾を爆破させた。

「よし! これは結構いったよね?」

 ロックマンが喜ぶと、ガレオムは両腕と両足を畳んで戦車形態に変化した。

「ひえっ!? うわぁぁぁぁぁぁ!」

 そのままガレオムはパックマンに突進し、ロックマンを吹っ飛ばした。

 また、ガレオムの軌道上にいたマリオ、パックマン、スネーク、シャドウ、ベルも、

 かわせずに吹っ飛ばされた。

 

「くそ……」

 ガレオムは再び地面に降りた後、元の形態に戻る。

 皆、戦車形態のダメージが効いたのか、立つ事はできなかった。

「……俺は、死ぬのか……?」

 マリオも立ち上がろうとするが立ち上がれない。

 ガレオムはマリオにゆっくりと近付き、彼にとどめを刺すべく、

 腕を振り下ろした――その時だった。

 

「……諦めるな!」

 スネークが、腹這いの状態から狙撃銃でガレオムを撃ち、一瞬だけだが怯ませる。

「そうか……諦めたらそこで試合終了だからな。スネーク……俺は諦めないぜ!」

 マリオは気合で立ち上がり、激しいガレオムの攻撃を紙一重でかわし、

 ファイアボールや体術で着実にダメージを与える。

 ミサイルはガレオムの懐に潜り込んでかわし、腕を振り下ろす攻撃も緊急回避でかわした。

 ガレオムの攻撃が激しいという事は、残り体力が少なくなっている証だ。

 そのため、勝利の時は確実に近づいている。

 マリオは自分を、そして仲間を信じて、体術やハンマーで攻撃し続けた。

「とどめだ! ファイア掌底!!」

 そして、マリオが炎を纏った掌底をガレオムにぶちかますと、ガレオムはよろめき、

 何度も爆発した後に木っ端微塵になり、その機能を完全に停止した。

 そう……ガレオムとの戦いに、勝利したのだ。

 

「うぅ、ひやひやしましたわ……」

「そうだな、俺もかなり疲れちゃったし、な」

「……こんなに動いたのはいつぶりだろう」

 ガレオムとの戦いで、マリオ達はどっと疲れが出たようだ。

 特に、シャドウは基地でかなり「はしゃいで」いたため、それが顕著であった。

「『いつものシャドウじゃな~い』って言いたい気分になるわ」

「何か言ったか? ベル」

「いいえ、何も? さ、私達の基地での役目はこれでおしまい、さっさと出るわよ」

 一行は、疲れた身体を休めるべく、基地を後にするのであった。

 

 その一方、外では――

「く……う……うあぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 ガレオムを倒した事で、キーラを守るバリアが弱まった。

 彼女は不愉快な様子で身体を震わせている。

「おのれ……我が結界を破るとは……! 許せぬ、スマッシュブラザーズ……!

 新たなる創世の邪魔は、決してさせぬ……!」




~ベルのスピリッツ名鑑~

メタルギアREX
出身世界:こことは異なる世界
性別:なし
アメリカ陸軍とアームズ・テック社が極秘裏に開発していた核搭載二足歩行戦車。
開発者のオタコンことハル・エメリッヒ曰く、
「人も兵器も弱点が無ければ可愛くない」ため、とある弱点を持っている。

ガレオム
出身世界:争いの世界
性別:なし
亜空軍の主戦力で、変形する巨大ロボット。
背中からミサイルを発射し、ジャンプ攻撃や腕攻撃など、多彩な攻撃手段が特徴。
さらには最終兵器も持っている、ガッツ溢れるしつこいロボット。


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26 ~ ほんの少しの休息

スピリッツどころか背景にも出ていないキャラクター達が、サブキャラクターとして登場します。
年齢については、一部捏造もありますのでご注意ください。


 基地でスネークを救出し、さらにキーラ軍のボスの一角、ガレオムを撃破した一行は、

 昼食を買うため、街を目指して歩いた。

 疲労はアイシャが取ったが、空腹までは治まらなかったのだ。

 街へ行くための山道で、一行は身体の色と同じ高貴そうな服を着た紫色の猫の少女に遭遇する。

「「お前は……誰だ?」」

 猫の少女とシャドウは同時にそう言った。

 どうやら同じ世界(猫の少女はその世界の異世界)の住民らしいが、

 二人の面識はあまりないようだ。

「……名を名乗るのならば、まずはお前から名乗れ」

「そうだったな。僕はシャドウ・ザ・ヘッジホッグ」

「ブレイズ・ザ・キャットだ」

 シャドウとその猫、ブレイズはお互いに名を名乗った後、

 しばらくして気まずそうに顔を背ける。

「あまり、面識はないからね……」

「……そうか、シャドウというのか。頼みがある」

「何だ?」

「私の身体が思うように動かない。解放してくれ」

 ブレイズもキーラに操られているようで、思い通りに身体が動かないようだ。

 すると、スピリッツボールの中からシルバーのスピリッツが出てきた。

『そ、そこにいるのはブレイズじゃないか!』

「シルバー……?」

『待ってくれ、俺が助けてやる! なあシャドウ、ちょっと身体を貸してくれないか』

「……分かった」

 シャドウはシルバーのスピリッツをその身に宿し、

 身体の色とリミッター以外はシルバーのそれに変化した。

『待ってろよ、ブレイズ。俺が助けてやる。ブレイズ、本当の自分を取り戻せっ!』

「……不本意だが、いくぞっ」

 シルバーはシャドウの身体を使い、ブレイズを解放するべく彼女と戦った。

 

「助かったぞ、シルバー」

『ああ、ありがとよ、ブレイズ』

 ブレイズを解放したシルバーは、役目を終えてシャドウの身体から抜け、

 スピリッツボールの中に戻る。

 そして、ブレイズのスピリッツもスピリッツボールの中に入った。

「シルバーとブレイズって、仲が良いんだね」

『ま、まあな』

『……』

 りょうがスピリッツボールの中にいるシルバーとブレイズに楽しそうにそう言う。

 二人はしばらく顔を合わせた後、赤面して互いに視線を逸らした。

「本当に仲が良いのかしらね」

 ベルがスピリッツボールの中を覗いている時、後ろにいたヨッシーの腹の虫が鳴った。

「あの~、お腹空いちゃいました~。そろそろ食べ物が欲しいです~」

「はいはい、食べ物ね。分かったわ、街はこっちの方にあるからついてきて」

「分かりました~」

 一行は街へと至る道をどんどん進んでいく。

 カービィやランスなどの子供達は、

 興味のあるものはないかときょろきょろと当たりを見渡していた。

 彼らの様子を見たマリオは苦笑し、シャドウはやれやれと呆れていた。

 

「着いた! って、なんでこいつが邪魔してるんだ」

「街が汚れている……一体誰の仕業だ?」

 無事に街に到着したはいいものの、街の中はインクで塗りたくられていた。

 また、入り口には白いヘルメットを被り、青いスーツを着て、

 片手に爆弾を持った少年が立ち塞がっていた。

 そのスピリッツはトゥーンリンクのボディに宿っており、帽子とタイツの色が白くなっている。

「……ま、まぁ、それはいいとして、このスピリッツの説明をするわ。

 これはボンバーマン、かつてはある小世界にいたボンバー星の正義の戦士よ」

「ある小世界?」

「マリオ、知ってるでしょ? パーティの……」

「あぁ~~~」

 ベルによれば、その小世界は既に滅亡してしまったらしく、

 ボンバーマンは辛うじて生き延びたとか。

「……大人の都合で元いた世界が滅んだ、とても哀れなスピリッツね。

 でも、大丈夫! 私が解放してあげるわ!」

 もう、その世界に戻る事はできない。

 だから、せめてこの世界で、新しい生活を送ってほしい。

 ベルは大鎌を構えて、ボンバーマンのスピリッツを解放する体勢を取った。

 

「大丈夫よ、ボンバーマン。私が守ってあげるわ」

 ボンバーマンのスピリッツを解放し、街に入ったベル達は、

 まず、昼食を買うためにコンビニに入った。

 コンビニの中では弁当や冷凍食品が売ってあり、黒魔道士のクロマや忍者のニンジャ、

 魔物であるサボテンダーやスライムなど、異世界の住民が客として入っていた。

 このコンビニの中は無事なようで、食べ物や飲み物などにはインクがついていない。

「いらっしゃいませ、コンビニエンスストア『ニーエクッス』です」

 そのコンビニの店員は、白魔道士のシロマだった。

 彼女の傍には、万引きを防ぐためにモーグリが宙に浮いている。

「この人達も、キーラに操られているのかい?」

 マルスの質問に対し、ベルは首を横に振った。

「いいえ、大丈夫よ。このコンビニは侵略者の影響を受けないわ。

 だから、安心して昼食を買いなさい」

「うん」

 

 各々がコンビニで購入したメニューはこうなった。

 アイシャ:とんかつ弁当、バームクーヘン

 カービィ:おにぎり20個

 シーク:海苔弁当

 シャドウ:ペロリーメイト1個

 スネーク:鮭おにぎり1個、栄養剤マスカット味

 ソレイユ&リュンヌ:ササミカツ弁当

 ドクター:BLTサンド

 ドンキーコング:バナナパン5個

 パックマン:ビスマルク風エッグサンド10個

 ピカチュウ:ポケモン用の弁当

 ファルコン:唐揚げ弁当

 フォックス:チーズハンバーグ弁当

 ベル:ハンバーグ弁当

 マリオ:キノコパスタ弁当

 マルス:野菜炒め弁当

 ヨッシー:ホットドッグずし20個

 ランス:おくるみパン

 りょう:カレーパン1個、メロンパン1個

 ルカリオ:ポケモン用の弁当

 ロックマン:栄養剤マスカット味1つ

 

 全員、購入した食べ物を受け取り、代金となるスピリッツポイントを支払った。

「ありがとうございました。またのご来店をお待ちしております」

 

 一行は近くのテーブルがある場所に着き、買ったものを早速食べる事にした。

「いただきます!」

 ランスが買ったおくるみパンは、外はかりかり、中はふんわりの

 フランスパンとハーブバター、季節の果物を布でくるんだ弁当だ。

 カービィ、ヨッシー、パックマンは自分で買った昼食をたくさん食べている。

「美味しい~! おくるみパンは絶品だね!」

「素朴な味だからね。この野菜弁当も、僕の口に合うよ」

「……うむ、なかなかの味だ」

 まじめな性格のルカリオは、好き嫌いなく弁当を食べている。

 フォックスとドクターも、黙々と弁当を食べ続けていた。

「村長さんの仕事って大変なの?」

「まあね、でもしずえは泣き言一つ言わずに僕を手伝ってくれるよ。

 僕より年上なのに、偉いなぁ~」

 ちなみに、りょうは12歳、しずえは23歳である。

 そういえば、彼女はどこにいるのだろうか、とベルはこの時思っていた。

 ヨッシーは、ペロリーメイトを食べているシャドウが気になって声をかける。

「あれ~、シャドウさ~ん?」

「僕に何の用だ」

「それだけで十分ですか~? もっと食べたくなかったんですか~?」

「お前が食べ過ぎているだけだ。そもそも僕は食べずとも飲まずとも死にはせん」

 シャドウは自分が不老不死である事をヨッシーに伝えた後、静かにペロリーメイトを食べた。

 こうして、一行は談笑しながら弁当を食べた。

 弁当を食べている時は、ほっとできる時間だ。

 戦ってばかりで疲れている一行を癒せるだろう。

 

「ごちそうさま!」

 こうして、弁当を食べ終わった後、一行は再び、スピリッツの解放に向かうのだった。

 

 その頃、某所では、緑の髪のメイドが暴れ回る左手袋を止めようと説得していた。

「――様、どうか(わたくし)の声をお聞きください」

「グヌヌヌヌ……ドリィ、キサマハ――サマニタテツクノカ……?」

「違います、貴方に戻ってきてほしいのです。こんな事は、もうやめてください……」

「シネェ!」

 左手袋は、ドリィと呼ばれたメイドにいきなり襲い掛かってきた。

 ドリィは杖で攻撃を防いだ後、魔法の矢を左手袋に放つ。

「こんな貴方はもう貴方ではありません」

「ワタシヲ……ウラギルノカ? ドリィ……」

「いいえ、(わたくし)は……」

「モウヨイ、キサマニハシツボウシタ。カエルゾ」

「ひ……きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 そのまま、左手袋とドリィは、姿を消すのだった。




~ベルのスピリッツ名鑑~

ブレイズ・ザ・キャット
出身世界:こことは異なる世界
性別:女性
異世界にあるソルエメラルドを守護する猫の皇女。
落ち着いた物腰で、炎を操る能力を持つ14歳。
ソルエメラルドを7つ集める事により、バーニングブレイズに変身できる。
ちなみに、Dr.エッグマンを「エッグマン」と呼ばない数少ない人物である。

ボンバーマン
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
ボンバー星に住む正義の戦士で、爆弾を操る。
桃太郎や貝獣が存在した小世界に住んでいたが、
小世界が滅亡する際にスネークやシモンが住む世界に避難したという過去を持つ。


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27 ~ シャドウ大活躍?

タイトル通り、シャドウが主役のお話です。
ベルは「ガンガンいこうぜ」的な性格なので、主人公に相応しい……のかな?
フォースにブレイズが出てたらインフィニットとはこんな感じになってただろうなぁ。


 昼食を食べ終わった一行は、スピリッツの解放を再開した。

 街の中には、キーラに操られたスピリッツがうろうろしていた。

 

「冗談は、その胸だけにしなさい!」

 シーダのミラージュマスター、織部つばさや……。

 

「おし、これからどんどん特訓しようぜ!」

 マックをボクサーとして鍛え上げたトレーナー、ドック・ルイス……。

 

「仕留めるぞ」

「きゃあああぁぁぁぁっ!」

 マリオの元恋人で現友人、レディ・ポリーン……。

 

「10まんボルト!」

「サンダーボルト!」

 魔法使いの少女、シャーロット・オーリン……。

 

「フォロースロー!」

「いっきますよ~!」

「ふっ!」

「はっ」

「それ!」

「ファルコン……パンチ!」

 さらには、オイルパニック、TRAILER、うんてんしゅ、腹式呼吸、カイル・ハイド、

 名探偵ピカチュウなどもいた。

 

「次はここね」

「ああ」

 次に一行が向かったビルが建っている場所には、仮面をつけた獣人がいた。

 その獣人は、学園生徒会副会長のように整った容姿をしていた。

 一方で、自由気ままな黒猫の掃除屋のような雰囲気を醸し出している。

 また、その目はトンファーを操る風紀委員長のように鋭かった。

「き、貴様は、シャドウ……!」

「久しぶりだな」

 シャドウは冷笑を浮かべながらその獣人を見る。

 マリオは、視線を動かしながら二人を見ていた。

「誰だ、こいつは?」

「こいつはエッグマンの世界征服に手を貸した獣人、

 チームジャッカルのリーダー、インフィニットよ」

 ベルは、獣人のスピリッツについて皆に簡潔に説明した。

「インフィニットとシャドウに因縁があるのか?」

「……インフィニットになる前の忌々しい記憶だが、

 この黒いハリネズミが俺の心に大きな傷を与えた。

 二度とあいつとは戦いたくなかった。二度とあいつの顔を見たくなかった。

 あれからしばらくして、俺はこの世界にスピリッツとして現れた。

 そう、新たに手に入れたこの光の力を使って、貴様に復讐をするために!」

 インフィニットはシャドウを指差してそう言った。

 どうやら、彼はシャドウのせいで癒しがたい大ダメージを植え付けられてしまったようだ。

 しかし、ベルはそんな事などどうでもいいというように首を横に振る。

「そんな茶番、どうでもいいわ。私、スピリッツを解放するために戦ってるんだもの」

「どうでもいい……だと?」

 目的達成を主とするベルは、

 シャドウとインフィニットの因縁は自分にとって関係ないと言い切った。

 彼女の言葉が少し癪に障ったのか、インフィニットの眉毛がピクリと動く。

「それよりあんた、キーラに操られてるんでしょ?」

「操られてなどいない!」

「……ふん、虚勢を張っちゃって。でも、大きな口を叩けるのも今のうちよ。

 ……頼むわよ、マリオ」

「え、なんで俺に振るんだ」

「このスピリッツを身体に降ろして」

「は? なんでだ?」

 ベルは、スピリッツボールの中からブレイズのスピリッツを出した。

 炎使いであるとはいえ、自分と違う世界、

 しかも女性のスピリッツである事にマリオは疑問を抱いていた。

「分かってないのね、あんた。ブレイズとインフィニットは初対面なのよ。

 せっかく混ざり合ってる世界なのに、会わせないわけないでしょ?」

「た、確かにそりゃそうだけどよ……男に女の魂を降ろすなんて……」

「つべこべ言わずに降ろしなさい!」

「……はいはい」

 マリオは、渋々ながらもブレイズのスピリッツをその身に憑依させた。

 ブレイズのスピリッツを宿したマリオの身長が大きく縮み、シャドウより僅かに低くなった。

『この身体は、だぶだぶの服を着るような感覚だな……』

「ん? 貴様、見慣れない猫だな」

『ブレイズ・ザ・キャットだ。そういうお前は何という』

「……インフィニットだ」

 ブレイズとインフィニットは、初対面だったようでまずは互いに名を名乗る。

 だが、全員ギスギスした雰囲気であった。

「言っておくが、今の俺に勝つ事はできない。

 ゴミが一つ増えたところで、無敵の俺に勝てるはずがない!」

「それはおかしいわね。

 私が調べたところ、あんたのランクはホープ……つまり、レジェンドのポリーンよりも格下よ」

『だが、格下でも強力な技を使う事はある。舐めてかかると痛い目を見るぞ』

「その猫の言う通りだ、死神。俺こそが、最強なのだからな!」

「貴様が最強を名乗るのならば、僕は究極を名乗ろう! 来るがいい!」

 猫の皇女、無限の力を持つ獣人、黒き究極生命体、そして死神のバトルロイヤルが始まった。

 

「クソォォォォォ……。またしても敗れるとは……」

『己の力を過信し、他人を下に見た事。それこそが、お前の敗因だ』

 ブレイズとインフィニットは最後まで互いの名を言わないまま、戦闘を終えた。

「ふう……終わった、な」

 ブレイズのスピリッツが抜けたマリオが一息つく。

 ベルはきょろきょろと辺りを見渡した後、頷いてマリオの方を向き、こう言った。

「そうね、今日はここまでにしましょう」

「ん、連戦が続いたしな。いいぜ」

「じゃ、みんなに連絡をしてくるわ」

 ベル達が皆に連絡をしようとすると、後ろから叫び声が聞こえた。

「だ、誰!?」

「ウアァァァァァァァァァァァァァ!!」

 ベルが叫び声のした方を向くと、触手が生えた橙色の髪をした少女が、

 叫び声を上げながらブキで街を塗っていた。

 彼女の眼は真っ赤に血走っており、見るもの全てを汚いインク色に染め上げようとしていた。

「……マール!」

 その少女は、以前にシャドウが出会った事があったインクリングことマールだった。

 シャドウは拳銃を取り出し、マールに向けて発砲する。

「ウアァァァァァァァァァァァァァ!!」

「ちっ!」

 しかし、マールはシャドウの発砲をかわし、壁をスプラシューターで塗りたくる。

「街中でナワバリバトルってところかしら」

「普段からは想像ができないほど、過激になっているな」

「みんな! マールとナワバリバトルをして勝ちましょう! 挑むのは?」

「もちろん、僕だ」

 シャドウがナワバリバトルに参加しようとすると、彼の目の前にリッター4Kが落ちてきた。

「これは……? そうか、これがナワバリバトルで使う『ブキ』というわけか」

 シャドウはそれがナワバリバトルで使用するものだとすぐに理解し、

 リッター4Kを装備して暴走するマールと向かい合う。

 

「さあ、来るがいい! マール!!」

「ウアァァァァァァァァァァァァァ!!」

 今ここに、一対一の、変則的なナワバリバトルが始まった。

 

「いくぞ……はっ!」

 シャドウはリッター4Kを溜めて、床を直線状に塗り潰した。

 彼のインクは、イメージカラー通りの黒である。

 まだマールは来ていないため、シャドウは塗る事に集中している。

 ちなみにシャドウはインクリングではないが、

 このナワバリバトル中は特別にインクの中に入る能力を持っている。

 これにより、インクを回復しながらシャドウは床や壁を塗っていた。

「この辺は粗方塗り終わったな」

 周辺の塗り終わりを確認したシャドウは、

 インクの中に潜ってまだ塗っていない場所をリッター4Kで塗る。

 すると、マールがスプラシューターを連射しながらシャドウに突っ込んでいった。

「ウアアアアアアアァァァァァァァァァ!」

「くっ!」

 シャドウの目の前に、マールの姿が現れる。

 身体にマールが放ったインクが命中したが、キルになるほど体力は減らなかった。

「確か、サブウェポンはこれだったな」

 シャドウはサブウェポン・トラップでマールを足止めした後、インクに潜って距離を取った。

 マールの姿は、もうシャドウの視界からは消えた。

「このブキは射程が長い、できるだけ距離を置いて使おう」

 シャドウは自分のブキ、リッター4Kの性質を理解して戦う事を心がけた。

 

 ナワバリデュエルが始まって一分が経過した。

 シャドウとマールが塗ったエリアの広さは、ほぼ同じだ。

 若干マールの方が広いが、十分逆転は可能だ。

「ウアアアアアアアアアアア!」

 マールがスプラシューターを乱射しながらシャドウに突っ込んできた。

「ぐっ、うっ、うっ!」

 見境ない乱射により放たれたインクの弾幕がシャドウを襲う。

 シャドウは何発も攻撃を食らってしまうが、

 ギリギリで耐えてからトラップを設置し、すぐに距離を置いた。

「この距離なら……届くか?」

 シャドウがキルを狙い、リッター4Kを発射しようとした時、彼の背後にインクが命中した。

「ぐ……! この僕が背後を取られるとはな……油断したか……」

 その一撃が決め手となり、シャドウは倒れた。

 マールは赤い瞳を爛々と光らせて、スプラシューターを構え直した。

 

「……もう、こんなに塗っているとは!」

 シャドウはリスポーン地点から街を眺めていた。

 気がつくと、既にエリアの半分以上をマールのインクが塗り潰していた。

 残り時間は1分30秒、シャドウは反撃するべくリッター4Kを構え直した。

「ウアアアアアアアアアアアア!!」

 マールはスペシャルウェポン「スーパーチャクチ」を使い、シャドウ目掛けて突っ込んできた。

「ぐうっ!」

 シャドウは直撃せずに済んだが、衝撃波でダメージを食らった。

 それでも体勢を整えたシャドウは、トラップを設置してマールを足止めし、

 彼女の背後に回り最大まで溜めたリッター4Kを撃つ。

「アアアアアアアアアアアアア!!」

 マールは致命傷を負い、リスポーン地点に飛んでいった。

 シャドウは今がチャンスと街を塗り返す。

 リッター4Kは一撃の威力が大きく、一発放つだけでどんどん塗り返していく。

 さらにスペシャルウェポン「アメフラシ」の効果もあって、

 マールの行動を制限してさらにエリアも広がった。

 

 そして、残り時間は5秒となり、シャドウは最後のチャージを放つ体勢に入る。

「これで……最後だ!!」

 そして、シャドウのリッター4Kが炸裂した瞬間、タイムアップを迎え、試合は終了した。

 結果は、もちろん――

 

「僕の勝ちだ!」

 シャドウの勝利で終わった。

 

「……う……ここは……?」

 シャドウがナワバリデュエルに勝利した事で、キーラに操られたマールは正気に戻った。

 マールは何が起こったのか覚えていない様子でぱちぱちと瞬きした。

 街のインクは、すっかり消えて元に戻っている。

「僕がナワバリバトルに勝ったところだ」

「あの、なんで私がここにいるんですか?」

「キーラって奴に操られていたのよ。シャドウが元に戻したから大丈夫」

「え……あや……つ……られ……きゃあああああああああ!」

 自分が操られていた事を知ったマールはショックを受けてシャドウに駆け寄る。

 しかし、マールの方が体格は大きかったため逆にシャドウを潰しかけた。

「……や、やめろ……」

「あ、ごめんなさい」

 マールは慌ててシャドウから離れ、謝る。

「えっと……シャドウ」

「ああ、僕だ。シャドウ・ザ・ヘッジホッグだ」

「また会ったね、シャドウ! マールだよ!

 ……あれ? あなた、どうしてファイターになってるの?」

 マールは、シャドウがこの大乱闘に参戦している事に疑問を抱く。

 すると、シャドウはそれに答えるように黒いファイターパスをマールに見せた。

「これがあるからだ」

「これは?」

「テンポラリーファイターパスというものだ。まぁ、所謂……非公認ファイターの証だな」

 このテンポラリーファイターパスは、

 ファイターでない者もそれと同じ力と権利を得る事ができるものであり、

 最初、マスターハンドは出し渋っていたが、従者の思いに折れてついに取り出したのだ。

「やったぁ! 正式じゃないとはいえ、シャドウと一緒に戦えるなんて嬉しいよ!」

 マールは満面の笑みを浮かべて万歳をした。

 以前に二人きりで話した事があり、その時は緊張しまくっていたが、

 現在はこのように打ち解けているのだ。

「これにて一件落着、だな」

「そうね。じゃ、マール、あんたはこれから私達の仲間になって、この世界を救うのよ」

「世界を救うのか……。ちょっと怖いけど、やってみるよ! みんな、よろしくね!」

「ああ、よろしく!」

 

 こうして、新たなる仲間、インクリングのマールを加えた一行は、

 キーラから解放した街を後にするのだった。

 




織部(おりべ)つばさ
出身世界:地球
性別:女性
蒼井樹(あおいいつき)の幼馴染の少女。
ある事件がきっかけで、樹と共にミラージュマスターに覚醒する。
努力家で、思い立ったら一直線な性格。
パートナーミラージュはマルスの婚約者シーダ。
身長160cm、Fカップ。

ドック・ルイス
出身世界:地球
性別:男性
リトルマックのトレーナーで元ヘビー級ボクサー。
引退後は酒浸りの毎日を送っていたが、マックと出会って禁酒、彼をボクサーとして鍛え上げた。

レディ・ポリーン
出身世界:キノコワールド
性別:女性
マリオの元恋人で、スタイル抜群な美女。
初代ドンキーコングに攫われるが、マリオの手によって助けられる。
だが、ピーチ姫が現れた事でマリオから身を引く。
ちなみに、別れた後はマリオの友人となっており、
恋人の頭の悪さに愛想を尽かして振った女性バンディクーとは大違いだ。

シャーロット・オーリン
出身世界:こことは異なる世界
性別:女性
ジョナサンの幼馴染で、魔法使いの少女。
まだまだ未熟なジョナサンをサポートするため、彼と共に、悪魔城に乗り込む。

オイルパニック
出身世界:平面世界
性別:なし
まずい! 天井のパイプからオイルが漏れ出した!
火事にならないように、漏れ出したオイルをバケツで受け止め、下の人にわたしてください。
でも、バケツはすぐにいっぱいになるし、下の人は動いているしで、もうタイヘン!

TRAILER
出身世界:とある小世界
性別:なし
SPEED TRAXのボーナスステージに登場する車。
トラックのようなボディ形状をしており、パワーがあるが加速が悪く、ステアリングも重い。

うんてんしゅ
出身世界:どうぶつの森
性別:男性
村と街を繋ぐバスの運転手。
実はかっぺいが転職した姿であり、たびたび仕事を変えるが、
人を運ぶ仕事にこだわりがあるようだ。

腹式呼吸
出身世界:地球
性別:なし
胸郭をなるべく動かさずに行う呼吸。
また、声を良く出すために呼吸を工夫する事を、「腹式呼吸」という言葉で示す事もある。
――以上、「うきぺであ」より。

カイル・ハイド
出身世界:地球
性別:男性
215号室に泊まる、元ニューヨーク市警の刑事。
仕事の傍らで、友人のブラッドリーを捜している。
無愛想だが、お節介で落ち込みやすい性格。

名探偵ピカチュウ
出身世界:ゲフリアース
性別:♂
ティムの相棒のピカチュウで探偵帽を被っている。
ある世界のニャース同様、人語を話す事ができる。
好物はコーヒーとお菓子。

インフィニット
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
仮想現実兵器ファントムルビーを使う、仮面をつけた謎の獣人。
元々は「チームジャッカル」のリーダーだった。
ある時、シャドウから屈辱を受けたため、貪欲に力のみを求めるようになった。


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28 ~ 魅惑のふうせんポケモン

プリンは初代スマブラからいる、所謂「ラッキー枠」ですね。
二次創作では料理下手な事が多いプリンですが、
私の二次創作でも例に漏れずプリンは無自覚デスコックです。


 マールを仲間にした一行は、スピリッツを全て解放した街を後にして、

 新しい場所に向かっていった。

 スピリッツを感じ取る事ができるベルを先頭にし、

 スネークの助言で敵に見つからないように歩いていく。

「……ベル、スピリッツはどこにあるんだ?」

「う~ん、今探索中よ。ちょっと待って」

 ベルは死神の能力を使って、スピリッツがたくさんいる場所を探した。

「この魂を感知する能力、鈍らないように使っておかなきゃ」

「魂を感知できねぇ死神はただの死神だ。そうだろ? ベル・クリーブ」

「ええ……そうよ」

 マリオはスピリッツ解放に専念しているベルを、少しだけ気障な言葉で応援した。

「ありがとう、マリオ。あんたはやっぱり、ミスタービデオゲームよ」

 ベルは明るい笑顔でマリオの応援に返した。

 ミスタービデオゲームの言葉は、苛烈なる死神に勇気を与えた。

「わぁ~!」

「かっこいい~!」

 カービィら子供組は、ベルを憧れの目で見ていた。

 

「よし、ガンガンいくわよ!」

「ああ!」

 マリオに勇気づけられたベルは、腕を振って一行をスピリッツがいる場所へと導いていく。

 力の弱い者達は、ベルの姿を見て平伏している。

「これぞ『黒鬼も伏せて通る』、略して『黒伏せベル』よ!」

「あ、あはははは……;」

 そう自慢するベルを見たマールは、苦笑いした。

 

 そして一行が着いた場所は、河川だった。

「うわあ……」

「綺麗だね……」

 キーラ軍が襲撃したとは思えないほど、綺麗な川が流れていた。

 この世界を侵略したキーラも、自然には手を付けなかった事を実感する。

 水が苦手なマールは、自分より体格が小さいシャドウにしがみついていた。

「わ、私、水が苦手なんだ。だから、ここで待ってるね」

「構わん」

 インクリングのマールは、水に落ちると身体が溶けてしまう。

 そのため、この河川エリアでは本来の力を発揮できないと思ったのか、

 シャドウはマールの留守番を許可した。

「いいの? ありがとう、シャドウ。じゃあ、スピリッツの解放お願いね」

「ああ」

 

 一行はマールを安全な場所に留守番させ、河川のスピリッツを解放しに向かった。

「ラビッツめ!」

「大砲よりもこっちの方が妖怪を倒せるんじゃないかい? シノブ君」

 ドンキーコングはラビッツマリオ、ドクターはシノブのスピリッツを解放した。

「えい!」

 ロックマンはロックバスターを連射し、バルーンファイトの主人公を河川に落とした。

 このエリアに魚はいないので、食われる事なくその魂はベルに回収された。

「こいつら、斧で戦うんだったな」

 シークはサジ&マジ&バーツの斧攻撃を華麗にかわし、体術と暗器で彼らを撃破した。

「く……強い! でも、これで終わりだよ!」

「うああぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 マルスは苦戦はしたものの、エース級のスピリッツ、ファイの撃破に成功した。

 その後はヨッシーがヘラクロス、ベルがメタルソニックを解放し、

 キーラに操られたスピリッツの残りは少なくなった。

「後は……んーと、こいつだけか?」

「プリン……だな」

 残っているのは、天才ゴルフ少年・キッドと、ふうせんポケモン・プリンだった。

 シークは正直、何故彼女が第一期の最古参メンバーにいるのかを疑問に思っていたが、

 マスコット的な存在と自分で結論付けた。

「まぁ、キッドはノービス級のスピリッツだし、気軽に戦おうぜ、気軽に」

「あ、ああ……」

 なんだか良く分からないながらも、マリオ、ヨッシー、ピカチュウ、ロックマン、りょう、

 シークはプリンとキッドを解放するために戦いを挑んだ。

 

「ロックバスター!」

 ロックマンはキッドを狙ってロックバスターを放ち攻撃する。

 彼の攻撃が命中した後、ピカチュウはキッドにロケットずつきで体当たりをする。

「えい!」

「あたらないでしゅ」

 りょうのパンチをプリンは転がって華麗にかわす。

「当たりますよ!」

「ウッ!」

 だが、プリンが転がった場所にはヨッシーがいて、

 ヨッシーはプリンに卵を投げてダメージを与えた。

「ガツーンナグーリ!」

 マリオはキッドの攻撃をかわした後、ハンマーを取り出して攻撃する。

 本職は配管工なのでハンマーは器用に使えるのだ。

「「サンダーキック!」」

「キャァァァァ!」

 ピカチュウの10まんボルトを纏ったヨッシーのキックがプリンの体力を削り、

 電撃の追加効果で痺れさせる。

 マリオはキッドを掴んで投げ飛ばして倒し、ベルがキッドのスピリッツを捕まえた。

 

「自分の身体を投げるなんて複雑だな……でも残るはプリン、お前だけだぜ」

「ムムム……」

 劣勢になったプリンは、少し脂汗を掻いていた。

 マリオ達は油断せず、プリンに攻撃を仕掛ける。

「仕込針!」

 シークは両手に仕込んだ鉄製の針をプリンに目掛けて投げつける。

 ナイフに比べて威力で勝るが命中率で劣る。

「ウウ……コレナラバ」

 プリンは反撃でシークをはたこうとするが、

 シークは攻撃をかわし飛び上がって百舌改でプリンを上空から攻撃する。

「これでおしまい! ロックバスター!!」

 そして、チャージしたロックバスターがプリンに命中すると、

 彼女の身体は吹き飛び、川の中に飛び込んだ。

 

「あ、お帰り!」

「ただいまー」

 プリンを解放した一行は、マールがいるところに戻ってきた。

 彼女の傍の川には、プリンが浮かんでいた。

「……どう?」

 カービィ、シャドウ、ベルは、川に浮かんでいるプリンの表情を見る。

 プリンの目は元通り青色で、一行への殺意も見受けられない。

 キーラの光の呪縛は衝撃により解けたようで、

 それほど深くない川だったためプリンは生きていた。

「大丈夫みたいね。とりあえず起こさなきゃ。よいしょ、っと……それ!」

 ベルはプリンを引き上げ、タオルを取り出して彼女の身体を拭く。

 口の中に入っていた水も、ピカチュウが全部吐き出して呼吸を整えた。

 しばらくすると、プリンはぱちくりと瞬きして、やってきた一行を見つめた。

「ここ、どこでしゅか? ぷりん、どうしてこんなところにいるんでしゅか?」

 見知らぬ場所に飛ばされたため、プリンはかなり困惑していた。

「お前は悪い夢を見ていたんだ、でも大丈夫だ」

 ピカチュウがプリンに優しい声でそう言うと、プリンはゆっくりと立ち上がる。

 だが、プリンは笑顔ではなく、むしろがっかりした表情だった。

「助かったのに嬉しくないのか?」

「せっかくぷりんがみんなのためにけーきをつくってきたのに、

 びしょびしょになっちゃったでしゅ……」

 そう言って、プリンはずぶ濡れになった自作料理をマリオ達に見せた。

 彼女が作ってきたのはケーキのようだが、黒焦げで僅かに異臭が漂っていた。

「あー、それはラ……いや、ドンマイだな」

「……何、これ」

「プリンの料理は死ぬほど不味いんだ。

 あのクッパやガノンドロフですら、一口食べて気絶するほどだぞ」

 マールがプリンの作った料理を見てドン引きする。

 ピカチュウは苦い顔かつ小声でマールに説明した。

 つまり、プリンの料理は最終兵器と言えるほど、とてつもなく不味いのである……。

「……食べちゃダメ、だよね」

「あ、ああ……」

 マールはごくりと唾を飲み込んだ。

 食べれば命に係わるプリンの料理、一体どんな味なんだろうとマールは興味を抱いた。

 

「じゃ、ぷりんもいっしょにいくでしゅ!」

「おう、キーラからこの世界を救おうぜ!」

 

 こうしてキーラの呪縛からまた一人、スマブラファイターが解放された。

 その名は、魅惑のふうせんポケモン、プリン――




~ベルのスピリッツ名鑑~

ラビッツマリオ
出身世界:ラビッツワールド
性別:♂
兎のラビッツがマリオの格好(?)をした姿。
メインウェポンはブームショット、サブウェポンはハンマー。
射程は短いが、範囲攻撃が強いのが特徴。

シノブ
出身世界:すれちがいの世界
性別:女性
とある忍に弟子入りしているくノ一。
復活した妖怪を倒すため、秘伝の大砲で戦う。

バルーンファイトの主人公
出身世界:バルーンファイトの世界
性別:不明
2つの風船による浮力と、はばたきによる移動で空中を移動する。
風船が1つ割れると浮力が減り、全て割れると墜落してしまう。
ちなみに、主人公に特定の名前はない。

サジ&マジ&バーツ
出身世界:戦記の世界
性別:男性
オグマに仕える三人の戦士で、斧を武器にする。
茶色い髪をしているのがサジとマジ、青い髪をしているのがバーツである。
ある意味で愛されているらしく、トライアングルアタックも使えるらしい。

ファイ
出身世界:ハイラル
性別:無し(精神は女性)
スカイロフトにある女神の剣に宿る精霊。
知識が豊富で分析力が高く、剣を手にした者をサポートする知恵袋。
また、踊るような身のこなしで戦う事もできる。

ヘラクロス
出身世界:ゲフリアース
性別:♂♀両方存在する
カブトムシの姿をした、1ぽんヅノポケモン。
むし・かくとうタイプで、特性はむしのしらせ、こんじょう、隠れ特性はじしんかじょう。
自慢の角を相手の腹の下にねじ込み、一気に持ち上げぶん投げてしまう力持ち。

メタルソニック
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性型
ソニックに対抗するため、Dr.エッグマンが造ったロボット。
見た目もソニックに似せており、スピードやパワーはオリジナルに勝るとも劣らない。

イモガエル
出身世界:とある惑星
性別:不明
黄色い身体を持つ蛙型の原生生物。
身体がスイートポテトのようなので、イモガエルと名付けられた。
ジャンプ力が高く、攻撃方法は大きく飛び跳ねて押し潰す事。

キッド
出身世界:キノコワールド
性別:男性
プロゴルファーを目指す、赤い帽子の天才少年。
マリオ達も参加するゴルフ大会に参加した。


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29 ~ 二振りの剣

この回に登場するファイターは、pixiv版とは別物になっています。
是非、読み比べてみてください。


 河川に捕まっていたプリンを仲間にした一行は、次の仲間を探すため、河川を後にした。

「プリン……頼むから料理は俺達に振る舞うなよ」

「どうしてでしゅか?」

「俺達を殺すなと言うのと同じだ」

 ピカチュウはプリンに、殺人料理を作らないように注意した。

 しかし、プリンはまだ子供なので「わからないでしゅ」と言った。

「つまり、だ。お前の料理は誰も食いたくねぇって事なんだよ」

「うん、わかったでしゅ!」

(やれやれ……)

 プリンはやっと、ピカチュウの言った事を理解してくれたようだ。

「それで、次はどこに行くんだ? まだスピリッツはあちこちにいるだろ」

 ファルコンは次の目的地をルカリオに聞いた。

 ルカリオは頷くと、目を閉じて精神を集中する。

 ファルコンが固唾を呑んで見守っていると、ルカリオがいきなり目を見開いた。

「どうぶつの森に……魔剣の波導を感じる」

「う~ん、似合わないね」

「うんうん」

 ほのぼのとしたどうぶつの森に、魔剣の波導。

 確かに似合わないな、とりょうは首を傾げ、カービィはうんうんと頷く。

「だが、行ってみるほかはない。行くぞ」

「うん」

 

 一行は緊張しながら、どうぶつの森に行った。

 どうぶつの森の入り口に着いた時、りょうは懐かしそうな表情ではしゃいでいた。

 それもそのはず、りょうはどうぶつの森の現村長なのだから。

「わーい! どうぶつの森だー!」

「……なんだかんだ言ってあんたもまだ子供なのね」

 ベルは無邪気なりょうの姿を見て苦笑いした。

 だが、ルカリオの言った通り、この周辺にはスピリッツがうようよしていた。

 解放するには、戦って勝たなければならない。

「……でも、りょう、はしゃぐのは後にしなさい。

 私達はスピリッツを解放するためにここに来たんだから」

「う、うん」

「さあ、みんな! スピリッツを解放するわよ!」

「おーーーーーっ!!」

 ベルの号令で、一行は一旦解散して、スピリッツの解放をしに行った。

 

「KATANAアタック!」

「当たらん」

 スネークはテディの刀攻撃をかわし麻酔銃を撃ち、テディのスピリッツを解放した。

 

「うおりゃぁ!」

「あ~~~れ~~~」

 ファルコンパンチがDr.クライゴアに命中し、彼のスピリッツは解放された。

 

「わたしのお菓子、召し上がれ!」

「君の病を治してあげるよ、カプセル!」

「いくぜ! ファイアボール!」

「ブラスターは撃つ前に光線が飛ぶ!」

「そもそも、これはバドミントンだが」

「すまないな……だが、これも仕事だからな」

 アイシャはしずえの双子の弟・ケントを、マリオとドクターはアネモとメットールを、

 フォックスとルカリオはクイック&スローを、

 シャドウは霊や思い出が見える少女・不来方夕莉(こずかたゆうり)を解放した。

 

「後は、彼らだけだね」

 残ったスピリッツは、まめつぶ商店を営む双子の兄弟狸、まめきちとつぶきちだった。

 ほとんど見分けがつかないので、一卵性だろう。

「身体が勝手に動いちゃうんだ!」

「だから、ボク達を助けてください! だなも!」

「うん、分かったよ!」

 彼らもまた、キーラに操られており、表情はどこか苦しそうだった。

 もちろん、助けないわけにはいかない。

 まめきちとつぶきちの解放に当たるのは、どうぶつの森の村長りょうと……。

「一緒に頑張ろうね、シャドウ!」

「……その言い方は気に入らんな」

 銃器を持つシャドウと、ブキを持つマールと……。

「俺達がお前らを助けてやる!」

「だから、待っててね! まめつぶ君!」

「安心しろ、じっとしてな」

 第一期からの古参メンバー、マリオ、カービィ、ファルコンだった。

 

「えいっ!」

 マールはスプラシューターを撃って攻撃した。

「う~ん、どっちがどっちだか分からないよ……」

「あっちがまめきちで、こっちがつぶきちだよ」

「だから分からないってば」

「おりゃ!」

 マリオはファイアボールを放ち、マールが攻撃した狸の方に火傷を負わせた。

「あっつーい!」

「あー、まめきち!」

 今の言葉によって、マリオとマールが攻撃したのはまめきちの方だという事が分かった。

 それが分かったマールは、サブウェポンのポイントセンサーを投げ、

 まめきちにマーキングする。

「あなたがつぶきちなら……シャドウ、攻撃だよ!」

「ああ……カオススピア!」

 シャドウは手からエネルギー弾をつぶきち目掛けて放った。

 攻撃はつぶきちに正確に命中し、彼を吹っ飛ばす。

「ファルコン、パ……」

「させません!」

「だなもー!」

「いてて! かなり食らっちまった」

 ファルコンがファルコンパンチを出そうとした時、

 まめきちとつぶきちが彼に体当たりして転倒させた。

 ファルコンパンチの隙は大きかったようで、ファルコンは大きなダメージを受けてしまった。

「いっくよー、ハンマー!」

「痛い! だなも」

 カービィはつぶきち目掛けてハンマーを振り下ろして押し潰す。

「ブレーンバスター!」

「おっとっと!」

「ファルコンダイブ!」

 さらに、つぶきちを掴んで投げ飛ばし、りょうがつぶきちに斧を振り下ろす。

 シャドウも銃を連射してまめきちの身体に穴を開けた。

「後はみんなで一緒に……鬼殺し火炎ハンマー!!」

 そして、カービィが炎を纏ったハンマーを振り下ろし、まめきちとつぶきちを同時に解放した。

 

「ふぅ~、助かりました~」

「助かりました~、だなも」

 正気に戻ったまめきちとつぶきちは、マリオ達にお礼を言ってお辞儀する。

「ああ、どういたしまして」

「ところでまめきち、つぶきち、しずえはどこにいるんだい?」

 りょうは、自分の秘書がどこにいるかをまめきちとつぶきちに聞いた。

 すると、二匹は何か知っていて、首を縦に振る。

「彼女ならあっちにいます!」

「ついてきてください!」

 りょうは、まめきちとつぶきちの後を追って走っていった。

 すると、向こう側に、光の鎖で縛られたシーズーの女性が台座に置かれていた。

「しずえ!」

 それは、りょうの秘書のしずえだった。

 しかし、この場所からでは彼女には届かなかった。

「そっか……彼女はそこにいたんだね」

「どうでしたか?」

「役に立ちましたか?」

「ありがとう、まめきち、つぶきち。助かったよ」

「「どういたしまして!(だなも!)」」

 りょう、まめきち、つぶきちは互いにお礼を言うとそれぞれの場所に戻っていった。

 

「よし、これでどうぶつの森のスピリッツはみんな解放したね。そろそろ帰ろっか」

「待て」

 どうぶつの森にいたスピリッツを解放し、そこを後にしようとすると、ルカリオが止めに入る。

「待て、って……何かいるの? ルカ兄」

「北側に二つの剣の波導を感じる」

「あ、もしかして……仲間かな? ちょっと行ってくるね。マリおじちゃ~ん、ピカピカ~、

 アイシャ~、シャド兄~、ベルベル~、ちょっとついてきて!」

「はーい」

 カービィはマリオ、ピカチュウ、アイシャ、シャドウ、ベルを呼んで、

 彼らと共に北側に向かっていった。

 すると、結った金髪の女剣士と、茶髪の魔剣使いが、光の鎖に縛られ台座に置かれていた。

 女剣士はセイバー(真名:アルトリア)、魔剣使いは「下がる男」柊蓮司(ひいらぎれんじ)だった。

「そんな……アル姉……蓮兄……!」

 カービィは、強い心を持つ二人でもキーラの呪縛に勝てなかった事に愕然とした。

「恐らく、キーラから攻撃を受けた事で心身共に弱まったところに暗示をかけて操ったのだろう」

 シャドウは、セイバーと柊がキーラに操られた理由を推理した。

 しかし、理由がどうであれ、二人を助けなければ状況は劣勢のままになる。

 カービィはセイバーと柊の身体に触れ、二人を縛っている鎖を砕いた。

 セイバーと柊は赤い瞳で六人を睨みつけている。

「……キーラサマノタメニ」

「……コロス」

 セイバーは風を纏った不可視の剣、柊は魔剣の切っ先をマリオ達に向け、虚ろな声で呟いた。

 六人は唾を飲み込んだ後、同じく戦闘態勢を取る。

「待っててね、セイ姉、蓮兄。今、僕達が助けるよ!」

「こんな頼れる奴を捕まえないなんて、死神としてどうかしているわ」

「……邪魔はさせないぞ」

「セイバー、柊、光の呪縛に負けるな」

「悪しき光は必ず打ち破る!」

 マリオ、カービィ、ピカチュウ、ルカリオ、シャドウ、ベルは、

 操られたセイバーと柊を正気に戻すため、彼らに戦いを挑んだ。




~ベルのスピリッツ名鑑~

テディ
出身世界:アースボーンド
性別:男性
ニンテンの仲間の一人で、バレンタインの町出身。
不良少年だが、本当は優しい心の持ち主。
戦闘ではナイフや刀などの刃物を使う。

Dr.クライゴア
出身世界:ダイヤモンドシティがある世界
性別:男性
ダイヤモンドシティに住む天才科学者で、延命スーツのおかげで100年以上生きている。
ワリオバイク、モナのスクーター、ナインボルトのスケボーなどを開発した。
だが、天才科学者の例に漏れずかなりの変人。
ちなみに、ペニーという孫娘がいる。

ケント
出身世界:どうぶつの森
性別:男性
どうぶつの森の会社員で、しずえとは双子の姉弟。

メットール
出身世界:こことは異なる世界
性別:不明
ヘルメットを被った、工事作業用のロボット。
キノコワールドにおける、クリボーのような存在。
ヘルメットの中に隠れている間は攻撃が効かない。

アネモ
出身世界:未来の地球
性別:女性
アタマ用ギア専門店「おかしら堂」の看板娘。
眼鏡をかけたイソギンチャクの少女で、頭には店長のクマノミ、クマノがいる。

クイック&スロー
出身世界:リズムの世界
性別:♂?
リズムの世界でバドミントンをする犬と猫。
犬がクイックで、猫がスローである。
のろのろ遅くなったり、じたばた速くなったりする錠剤ではない。

不来方夕莉(こずかたゆうり)
出身世界:こことは異なる世界
性別:女性
失われたものを探す「影見」を行っている少女。
ある事件をきっかけに、幽霊などの死者や、他人の思い出が見えるようになった。

まめきち&つぶきち
出身世界:どうぶつの森
性別:男性
たぬきちの弟子として働いている双子の兄弟狸。
まめきちが兄で、つぶきちが弟である。
現在は不動産屋になったたぬきちの後を継ぎ、まめつぶ商店の店長になっている。


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30 ~ 異世界の剣士達

アルトリア&柊蓮司参戦! なお話です。
色々とやりたい放題ですが、これがデフォルトです(


 アルトリアと柊蓮司との戦いが始まった。

 

「はっ!」

 ルカリオはアルトリアをはっけいで攻撃するが、アルトリアは彼の攻撃を見切ってかわす。

「うおりゃ!」

 ピカチュウは柊蓮司に電撃を落として痺れたところに突っ込んで吹っ飛ばす。

 そこにベルが大鎌で斬りかかった後、シャドウが拳銃でアルトリアの腹部を撃つ。

「ウグッ……」

「アルトリア、正気に戻れ! アイスボール!」

 マリオはアルトリアにアイスボールを放ち、凍らせる。

 アルトリアは氷を振り払ってマリオを剣で斬りつけた。

「渾身撃!」

「おっと!」

 柊蓮司は魔剣に力を溜め、振り下ろしてベルを切り裂こうとしたが、

 ベルはギリギリのところで彼の攻撃をかわして大鎌で反撃する。

「危ないじゃないの、どうしてくれるのよ」

「……コロス」

「きゃあ!」

 柊蓮司は感情のない声で、もう一度ベルに斬りかかった。

 まともに食らったベルは腕を押さえて苦しむ。

「っつ~、なんという力なの。か弱い私になんて事をするの?」

「カヨワイ……?」

「いや、お前は違うdぐぼはぁぁぁぁぁぁ!!」

 ピカチュウが突っ込みを入れようとすると、ベルが大鎌の柄でピカチュウを殴った。

「あら、ごめんなさい。手が滑っちゃったわ」

(わざとだろ……)

 ピカチュウは言うとまたベルに殴られるため、口には一切出さなかった。

 

「チャバンハドウデモイイ。キル」

 ベルとピカチュウのやり取りに苛々したアルトリアは、聖剣でシャドウに斬りかかる。

 シャドウは飛び上がって攻撃をかわし、サブマシンガンを撃って反撃する。

 弾丸はアルトリアだけでなく柊蓮司にも命中し、彼に浅くはない傷を負わせた。

「「ライトニング・ハンマー!」」

 カービィはハンマーを取り出し、ピカチュウは彼のハンマーに電撃を落とし、

 そのまま雷を纏ったハンマーをアルトリアに振り下ろす。

 攻撃がアルトリアに命中し、大ダメージを与えるとハンマーから電撃が飛び散り、

 アルトリアと柊蓮司の身体を痺れさせる。

「ウググ……ナマイキナ……」

「果たしてそれはどっちかな?」

 シャドウは指を鳴らし、時空の歪みを発生させて柊蓮司を巻き込む。

 その隙にルカリオは柊蓮司に突っ込んで波導を纏った蹴りを浴びせた。

 

「アル姉! 蓮兄! 僕の目、見える? 僕の声、聞こえる?」

 カービィはアルトリアと柊蓮司の戦意を削ぐため、二人に大きな声で呼びかけた。

 しかし、二人は反応するどころか、武器を強く握ってカービィに斬りかかってきた。

「うわあぁぁぁ!」

 カービィは斬られるのを覚悟し、両手を構えて防御し目を閉じた。

 だが、いくら待っても、カービィは傷を負わなかった。

 一体どうなったんだろうとカービィが前を見ると、

 ベルがカービィを庇ってアルトリアと柊蓮司に斬られていた。

「ベルベル……!」

「大丈夫よ、私が守ったから……」

 ベルは苦悶の表情を上げながら項垂れていた。

 カービィは自身を庇ったベルを見て放心している。

 そして、ベルは「ぐふっ」と言った後、ばたりと倒れ、戦闘不能になった。

 

「ヒトリ、タオレタカ」

「キーラサマニササゲルイノチ、イタダク」

「させないぜ! アイアンテール!」

 柊蓮司がベルの胸を魔剣で刺そうとすると、

 ピカチュウが鋼のように固くした尻尾で柊蓮司を打ち据える。

「おりゃっ!」

「えーい!」

 マリオのファイア掌底とカービィのキックがアルトリアを打ち据える。

 アルトリアはシャドウに斬りかかるが、シャドウはかわした後、容赦ない一撃を叩き込んだ。

「僕の邪魔をする気か? 容赦はしない」

「ナマイキナ……」

「それは、どっちの事だ?」

 シャドウは丸くなって目に見えないスピードで柊蓮司に体当たりした。

 柊蓮司は反応できず、吹っ飛ばされる。

「はどうだん」

 ルカリオは吹っ飛んだ柊蓮司に対し、はどうだんで追撃をする。

 アルトリアは距離を取り、ベリサルダに力を溜める。

「まずい、止めるぞ!」

「ジャマハサセナイ。ショットプット!」

「ぐあ!」

風王鉄槌(ストライク・エア)

「うあぁぁぁ!」

 マリオがアルトリアの攻撃を止めようとするが、

 柊蓮司はマリオに大地の力を秘めた弾丸を放ちを怯ませる。

 アルトリアは風の鞘から剣を抜き、マリオを吹っ飛ばす。

 彼女が持つ剣は、キーラの如く禍々しく光り輝いていた。

 そして、アルトリアが大きく剣を振り下ろした瞬間。

 

「マリオはやらせん!」

「……!?」

 ルカリオがアルトリア、柊蓮司、マリオの間に割って入り、アルトリアの攻撃をもろに受ける。

 アルトリアは、この予想外の事態に目を見開いていた。

「ル、ルカリオ!?」

「心配するな……私は死なない……。

 そなた達ならば……異世界の魔剣士を解放できると信じている……」

 そして、そのままルカリオは倒れ、ベルと同じように動かなくなった。

 

「チッ……ナラバ、コンドハコイツダ」

 アルトリアは倒すべき対象を倒せず、舌打ちしてシャドウに斬りかかるも当たらなかった。

 ピカチュウは遠くからアルトリアにエレキボールを放って攻撃する。

「ハァァッ!」

 柊蓮司は魔剣でマリオ達をまとめて薙ぎ払う。

 マリオ達はシールドを張って攻撃を防ぐが、体力は徐々に削られていく。

 こちら側の戦力も、二人減っている。

 このまま不利な状況が続けば、全員アルトリアと柊蓮司に倒されてしまい、

 希望の光が完全に失われる。

 どうにかならないかとカービィがあたふたしていると、彼の身体が淡く光り輝く。

 何事かとカービィが振り向くと、そこではアイシャが祈りを捧げていた。

「マスターハンド様……聞こえますか? わたしですわ……アイシャです」

「グゥ……」

 アルトリアと柊蓮司は、不愉快そうに顔をしかめた。

 その光は、二人が纏う禍々しい光とは違った、温かく優しいものだった。

「アイシャ!」

「お願いです……どうか、あの二人をキーラの呪縛から解放してください……!」

 アイシャが強く祈ると、カービィを取り囲んでいた光が強く輝いた。

 彼女の祈りがマスターハンドに届き、カービィに力を与えたのだ。

「ググググウウウウ……!」

 その眩い光に不快感を感じたアルトリアと柊蓮司は目を塞ぐ。

 今がチャンスと、マリオはカービィに叫ぶ。

「やれっ、カービィ!」

「うん……!」

 カービィは頷くと地面を蹴り、空を飛んでアルトリアと柊蓮司の懐に飛び込む。

 そして、アルトリアと柊蓮司の腹に拳が届くと、手から光が迸り、二人に光が流れ込む。

「グアアアアアアアアアアア!」

「アアアアアアアアアアアア!」

 アルトリアと柊蓮司の絶叫が響き渡る。

 マリオ、カービィ、ピカチュウ、シャドウは必死で目を閉じて耐えた。

 声は小さくなり、やがて尾を引いて消えた。

 

「……やった……!」

「……勝った……!」

 そう……操られた異世界の魔剣士に、マリオ達は勝利したのだ。




これを書いて思い返した時、剣士キャラが多すぎると思いました。
でも、思い浮かばなかったので、こうなりました。


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31 ~ 最後のスマブラ四天王

ここで、スマブラ四天王が全員揃います。
柊蓮司は一応「ゲームが原作のキャラ」ですので、ファイターになれるかな?


「……もう大丈夫だよ、みんな」

 戦いで重傷を負ったマリオ達は、ドクターにより無事、完治した。

 一度にたくさんの人を治したドクターは、ふう、とタオルで汗を拭う。

「みんな、よく頑張ったね。異世界の魔剣士をキーラから救うなんて凄いよ」

「ああ……強かった、な」

 マリオは戦闘能力も精神力も高いアルトリアと柊蓮司が

 ずっと敵に回っていなくてよかった、と安心した。

 しばらくすると、ドクターが最初に治療したアルトリアと柊蓮司が起き上がる。

「……おや? ここは、どこですか?」

「俺達、一体、何をしていたんだ」

「あ、気が付いたんだね」

 カービィはアルトリアと柊蓮司の顔を見上げる。

 彼らの瞳も、今までに助けた仲間と同様に正気に戻っていた。

 何が起こったのか分からない様子の二人に対し、シャドウは今までの事情を話した。

「そういう事だったのか……。不覚です……」

「だがそれ以上に、俺達を操ったあのキーラって野郎を許せねぇ。

 絶対に、俺自身の手で倒してやる」

 アルトリアは少し項垂れるが、

 柊蓮司は自身を洗脳したキーラへの怒りを抑えられず拳を握り締めている。

「……柊蓮司、キーラは一応女性だからね」

「そんなの関係ねぇ! そんなの関係ねぇ! そんなの関係ねぇ! はい、許さん!」

「……まあ、侵略者だからね」

 柊蓮司とランスのやり取りを見たりょうは「やれやれ」といった目をしていた。

 ベルは、無言で精神を集中していた。

 

「それじゃあ、次はどこに行く?」

 ランスが次の行き先を一行に提案すると、

 さっきまで精神を集中していたベルが彼に立候補する。

「ここから南に、マリオ、カービィ、ピカチュウが探してるファイターがいるわ。

 そこに行ってみましょう」

「僕達が探してるファイター?」

 ベルによれば、南にはマリオ、カービィ、ピカチュウと関係があるファイターがいるらしい。

 マリオはそれが誰なのか大体予測はついていた。

「ああ、あいつの事だろう。もちろん、俺は行くぜ」

「僕も!」

「俺もだ」

 当然、マリオ、カービィ、ピカチュウはベルの提案に賛成する。

 彼女は他のメンバーにも一人ずつ声をかけ、

 反対するメンバーが一人もいない事を確認すると先頭に立って山に行こうとした。

「それじゃ、行くわよ!

 ……と言いたいところだけど、あんな遠い場所にどうやって行くのかしら?」

「あんな遠い場所……? 僕の力を忘れたのか?」

「あっ」

 そういえば、シャドウのカオスコントロールがあるんだったとベルは思い出すのだった。

 

「……よし、着いたわ!」

 シャドウのカオスコントロールにより、一行は目的地の山に辿り着いた。

 山の中には、キーラによってスピリッツ化した住民達がたくさんいた。

 まず、一行が出会ったのは、ロックマンと同じ世界にいるスピリッツ、スネークマンだった。

「どこへ逃げてもムダなのだよ!」

「だったら、倒すまでだ!」

 このスネークマンのスピリッツには当然、ロックマンが挑み、勝利した。

 

「うお~、負けてしまった……」

「やったね!」

「今までの自分を『どこへ逃げても無駄』と言うのは、皮肉でしたね」

 アルトリアは、先ほどまでキーラに操られていたスネークマンの言葉を皮肉と捉えた。

 キーラの光がどこへ逃げても当たってしまうという意味に相当するらしい。

「ほへー、アルトリアって頭がいいんだなぁ」

 ドンキーコングがアルトリアに感心していると、アルトリアは「私の推測ですが」と言った。

「さて、次のスピリッツは……」

 アルトリアがスピリッツを解放するために前に出ると、

 そこにはセミロングの金髪にそれなりに露出が高い服を着ている少女のスピリッツがいた。

 彼女はシュルクの幼馴染、フィオルンである。

「シュルクがいないのが残念だったなー。血眼になって心配したというのに」

 柊蓮司はシュルクがまだ仲間になっていない事に残念がって愚痴を吐いた。

 フィオルンも困った顔で「そうだね」と言うが、

 それとは裏腹にナイフがアルトリアと柊蓮司の方を向いていた。

 どうやら、二人を倒そうとしているようだ。

「シュルク、私はあなたが帰ってくる事をずっと信じているわ。だから、みんな、私を助けて!」

「ああ、こんな奴の頼みなんて断るわけにはいかない。いくぜ、アルトリア!」

「参ります!」

 アルトリアと柊蓮司は、キーラに操られたフィオルンに戦いを挑んだ。

 

「これで終わりです! 約束された勝利の剣(エクスカリバー)!!」

 アルトリアの光の剣がフィオルンを包み、彼女をキーラの呪縛から解放した。

「ありがとう……これで、シュルクに会えるわ」

 フィオルンのスピリッツはスピリッツボールの中に吸い込まれていった。

 それを見たベルはニッコリと微笑む。

「よかったわね、フィオルン。早く幼馴染に会えるといいわね」

「はい!」

 スピリッツボールの中にいるフィオルンは、ベルに笑顔でそう返した。

 

 その後、一行は赤毛の商人アンナ、おたすけピッグ(正式名称はチョップス先生)、

 ビッグキューちゃんのスピリッツを解放。

 アンナは必要な物資を一行に届けてくれるお助け役としてサポートする事にした。

「しっかり働いて、あなた達をサポートするわ。あ、もちろんお代はいただくわよ」

「頼りにしているよ、アンナ」

「ありがとね!」

 

 次に一行が遭遇したスピリッツは、桃色の身体に4つの乳房がついた雌牛のポケモン、

 ちちうしポケモンのミルタンクだった。

「別名みんなのトラウマ」

「なんで?」

「誰かさんの使うミルタンクが凄く強いからよ」

 ベルが与太話をした後で、プリンに憑依したミルタンクが転がって襲い掛かった。

 ベルは大鎌で攻撃を受け止めた後、真剣な表情で戦闘態勢を取る。

「魅了されたくなかったら、私を盾にしなさい!」

「うむ、私も戦おう」

 ミルタンクはノーマルタイプなので、かくとうタイプのルカリオも彼女を迎え撃った。

 アルトリアとランスも、武器を取ってミルタンクに戦いを挑む。

 ロイがこの二人の名前を見たら、共に戦った赤緑騎士を思い出すだろう。

「みんなのトラウマ……どれくらい強いんだろうね」

 

「ふう、ノービス級にしては疲れちゃったわ」

 ベル達は何とかミルタンクを撃破し、彼女のスピリッツをスピリッツボールの中に入れる。

 ミルタンクはベルの言う通り、ノービス級にしてはかなり強かったようで、

 戦った四人は汗を掻いていた。

「まったく……女は怖いねぇ」

「ドクターさん、何か言いましたか?」

「あ、いや、何でもないよ」

 

 こうして、山にいるほぼ全てのスピリッツを解放し終えた後、

 一行はベルが探しているファイターを探していった。

「確か、こっちじゃねぇか?」

 勘が鋭い柊蓮司は、先程までミルタンクがいた場所の近くに向かって走る。

 マリオ達も彼の後を追って走っていくと、そこにはファイターが捕まっている台座があった。

 彼の隣には、リセットさんの兄、ラケットさんのスピリッツもいた。

「よし、ビンゴ! あんたが探していたファイターって、こいつか?」

「そうよ」

 台座に縛られていたのは、スマブラ四天王の最後の一人、リンクだった。

 このリンクは今までと違い、右手に剣を持ち、水色の服を着て、帽子は被っていなかった。

 しかし、マリオ、カービィ、ピカチュウは彼の事をよく分かっているようで、

 強い気持ちが湧き出ていた。

「「リンク!」」

「リン兄! 今、助けるよ!」

 カービィは急いで、リンクを拘束していた光の鎖を砕く。

 すると、光の鎖から解放されたリンクがマリオ達に剣を向けて襲ってきた。

「コロス……コロスコロスコロスッ!」

「……っくそ! せっかく一緒に乱闘できると思ったのに、こうなるのかよ!」

「……仲間を意のままに操るとは、許しませんね」

「俺もだ! 卑怯で卑劣な最低野郎なんて、絶対にやっつけてやる!」

 マリオは悪態をつき、アルトリアと柊蓮司は武器を構えて操られたリンクを迎え撃つ。

「だから、キーラは女だってベルが言ってたよ」

「そんなの関係ねぇっての!」

 ランスも柊蓮司に突っ込みを入れつつ槍を構えて彼らと一緒に戦う。

 カービィとピカチュウも構えを取り、最後のスマブラ四天王リンクの解放に挑んだ。

 

「……」

 リンクはブーメランを六人に向けて投げ飛ばす。

 六人はシールドを張り、リンクのブーメラン攻撃を防ぐ。

「せいや!」

「急所突き!」

 柊蓮司は魔剣を操ってでリンクに斬りかかり、ダメージと共に痺れさせる。

 ランスは柊蓮司に続いて槍でリンクを貫いた。

「リン兄、元に戻って! ストーン!」

 カービィは石に変身してリンクを押し潰し、元に戻った後、

 ピカチュウはフェイントをかけて10まんボルトを放った。

「まさか、こいつが弟の身体を使うとは……でも、こいつも解放しないとな!」

 マリオはルイージのボディに宿っているラケットさんを殴り、ダメージを与え怯ませる。

 アルトリアと柊蓮司は怯んだラケットさんを剣で切り裂いて追撃した。

「ググ……ナマイキナ……」

「おっと!」

 リンクは不愉快な表情で立ち上がり、弓を構えて柊蓮司に光属性の矢を放つ。

 光属性が弱点の柊蓮司は飛び上がって攻撃をかわすが、

 壁に跳ね返った矢は正確に柊蓮司に当たり、彼の背中を貫いて一撃で戦闘不能にした。

 

「くそっ、柊蓮司がやられた!」

 柊蓮司が倒された光景を見たピカチュウは舌打ちして

 リンクにでんこうせっかで体当たりするが、リンクは盾でピカチュウの攻撃を防ぐ。

 アルトリアはどうすれば優勢になれるかをじっくり観察していた。

 マリオはリンクの隙を見てファイアボールを連発する。

 そして、ランスの槍がラケットさんの急所を突いて彼のスピリッツを解放した。

「よし、ベル! ラケットさんを助けたよ!」

「やりぃ!」

「……」

 ベルが喜んでいると、リンクがマリオとカービィをブーメランで攻撃する。

 二人が怯んだ隙に、リンクは同時に斬りかかる。

「いたっ!」

「うわぁ! 何するのリン君!」

 カービィはリンクに大声を浴びせるが、リンクは怯まずにもう一度カービィを斬りつける。

 マリオはリンクの攻撃を庇った後、ファイア掌底でリンクを吹っ飛ばす。

「ポンプ!」

「からの、10まんボルト!」

「グアアアアアアアアアアアアアア!」

 吹っ飛んだリンクの傍で待機していたマリオがポンプでリンクの身体を濡らし、

 ピカチュウが濡れたリンクに10まんボルトを放って大ダメージを与えた。

 水に濡れた身体は電気に非常に弱くなったのだ。

「……柊蓮司、死んじゃダメよ」

 ベルが天に祈りを捧げると、意識を失った彼に光の羽が降り注ぐ。

 すると、柊蓮司の閉じていた目が再び開いた。

「ふっかーつ!」

「私が蘇生魔法を使ったわ。もう大丈夫よ、柊」

「ありがとう! よぉーし!」

 ベルの魔法で意識を取り戻した柊蓮司は、魔剣を構え直す。

 リンクは舌打ちしながら、同じようにマスターソードを構え直す。

 カービィは柊蓮司と一緒に戦おうとするが、柊蓮司は「これは一騎打ちだ」と彼を止めた。

「おい、リンク……お前はそんな奴じゃないだろ?

 俺達に剣を向けるような奴じゃないだろ?」

「……」

 柊蓮司はいつもと違う真剣な表情で操られたリンクと向かい合う。

 彼の鋭い一言にも、リンクは反応しなかった。

「お前……いつから分からず屋になったんだ? 敵と味方の区別も分からなくなったのか?」

「……」

「黙ってる、という事は、YESという事だな」

「……」

「じゃ、遠慮なくいかせてもらうぜ!」

 柊蓮司は魔剣を振り抜いてリンクに風の刃を叩きつける。

 その直後、リンクはマスターソードで斬りかかるが、

 柊蓮司は攻撃をかわして腹部にパンチを叩き込む。

「グハァ!」

 柊蓮司は高くジャンプし、魔剣に風を纏わせそれをリンクの胸に向ける。

「これで、とどめだぁぁぁぁぁ!」

 そして、柊蓮司は落下しながらカラドボルグをリンクに突き刺す。

 その直後、大爆発が起こって、リンクにとどめを刺したのだった。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 リンクを倒した柊蓮司が息を切らす。

 マリオ、カービィ、ピカチュウ、アルトリア、ランスが見つめていると、

 正気に戻ったリンクの姿が見えた。

 ボロボロになりながらも息があり、生きている事が証明された。

「……リンク……戻ってきてくれたんだな」

「心配したんだよ、リン兄」

「自由になれて、よかったな」

「ああ……みんな、ありがとう……」

 リンクはゆっくりと、マリオ、カービィ、ピカチュウにそう言った。

「自分の身体なのに、誰かに勝手に動かされているっていうのは、

 そういう感覚だったんだな……」

 リンクは、以前の事件でゼルダが操られていた事を思い出す。

 その時、ゼルダは辛い思いをしていたようで、まさか自分も味わうとはと苦い顔をした。

「……でも、これでスマブラ四天王は全員揃ったんだな?」

「そうだぜ。よかったじゃないか、みんな」

 スマブラメンバーの象徴的存在、スマブラ四天王。

 キーラの襲撃でバラバラになっていたが、今、ここに全員集結したのだ。

 四人の強い絆に、ベルとアイシャは感心し、シャドウも僅かだが羨望の目を向けていた。

 

「俺達は、ずっと一緒だ」

「どんな困難があっても、それを乗り越えてやる」

「一人じゃ難しくても、みんながいれば勝てるよ」

「この絆は、永遠だ」

 もう、二度と離れたくない。

 マリオ、リンク、カービィ、ピカチュウの四人はそんな思いを込めて、

 互いの手を握るのであった。

 

「……ここ、は……」

 所変わって、光の中。

 そこには、青いハリネズミが閉じ込められていた。

 彼の名はソニック・ザ・ヘッジホッグ。

 ピカチュウを守るために彼の手を伸ばしたが、

 間に合わずにキーラの光線を受けてしまい、今はこの世界に縛られている。

「そっか……俺、ピカチュウを助けるために手を伸ばして……光を浴びちまって……。

 身体が思うように動かない……。自由になりたいのにどうしようもならない……」

 右も左も上も下もない世界で、ソニックはなすすべなく光に蹂躙されていた。

 自分はこのまま、キーラの傀儡として身も心も利用されてしまうのだろうか。

 ソニックは目を閉じて、覚悟を決めようとした。

 すると、ソニックの身体に、不気味な無数の触手が巻きついた。

「No!」

 突然、自分以外のものが出てきた事により、ソニックは珍しく慌てるが、

 身体はまともに動かせず、何もできないまま触手はソニックの四肢に絡みつく。

「気持ち……悪い……!」

 触手がソニックを束縛すると、ソニックは体内に黒い力が入り込んでくるような、

 不快な気分になった。

 キーラの光とはまた違う不気味で気持ち悪い感覚にソニックは脂汗を掻く。

 しかし、しばらくするとその感覚は徐々に消え、

 代わりに自分の身体が無くなるような感覚に襲われた。

 まるで、自分がそこにいるのにそこにいないかのようで、

 ソニックはだんだん意識を失っていく。

 

「……シャドウ……」

 ソニックは薄れていく意識の中で、自身とよく似た黒いハリネズミの名を呟いた。




~ベルのスピリッツ名鑑~

スネークマン
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性型
狭い地形を調査するために作られたロボット。
慎重な性格だが、執念深い。蛙に強く蛞蝓(なめくじ)に弱い。

フィオルン
出身世界:ゼノワールド・並列世界3
性別:女性
ダンバンの12歳違いの妹。シュルクとは幼馴染。
明朗快活な性格で、シュルクに好意を抱いている。

アンナ
出身世界:戦記の世界
性別:女性
赤い髪をポニーテールにした商人の女性。
ほとんどの戦記の世界に存在するが、その全てが別人であるらしい。
基本的に歴史には関わらない人物である。
軍の中で一番、へそくりや副業が多い者もいる。

チョップス先生
出身世界:DKアイランド
性別:♂
眼鏡をかけた豚。通称「おたすけピッグ」。
何度もドンキー達が死ぬと、助けてくれる存在。

ビッグキューちゃん
出身世界:ヨッシーアイランド
性別:不明
大型のキューちゃん。島の主もやっているとか。

ミルタンク
出身世界:ゲフリアース
性別:♀のみ存在する
栄養満点のミルクを生み出す、ちちうしポケモン。
ノーマルタイプで、特性はあついしぼう、きもったま、隠れ特性はそうしょく。
ミルタンクのミルクを飲んで育った子供は、健康でたくましい大人になるという。

ラケットさん
出身世界:どうぶつの森
性別:男性
リセットさんの兄で、温厚な性格。星座は牡牛座。
普段はリセット監視センターに住んでいて、どうぶつの森の「現実」を守るために働いている。


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32 ~ 霧の森

Forのレトロ枠がこの回で仲間になります。


 こうして、スマブラ四天王は全員戻ってきた。

 マリオ達は改めて、仲間の大切さを理解した。

「みんなが戻ってきて、本当に良かった。

 マリおじちゃん、リン兄、ピカピカ、ずっと一緒にいようね」

「だが……こんな楽しい光景を、キーラはちゃんと見ているのか?」

「あいつは歯牙にも掛けていないだろうな。自分の都合しか考えない奴はいつもこうなる」

 カービィは素直に喜んでいるが、マリオとピカチュウは神妙な面持ちでそう言った。

 そう、こうしている間にも、キーラに利用されている者はこの世界にたくさんいる。

 仲間が揃ったからといって、のんびりまったりしてはいられないのだ。

「……」

 ルカリオは精神を集中し、捕まったファイターの波導を探知していた。

「……ルカ兄?」

「話しかけるな」

 カービィとシャドウが小声で会話していると、

 精神集中が終わったのか、ルカリオは目を光らせた。

「ここから北西にある霧の森に、複数の波導を探知した」

「霧の森?」

「その名の通り、霧で辺りが見えにくい森ですわ。視界が悪いので、慎重に進む必要があります」

 アイシャは霧の森について簡潔に説明した。

 マスターハンドに仕えている関係で、彼女は色々なところを探索しているのだ。

「へ~、よく知ってるんだねアイシャちゃん」

「この世界の事を色々と覚えておきたいですからね」

「それで、ここから霧の森には何分かかるんだ?」

 ファルコンがアイシャに距離を問うと、アイシャは苦い顔でこう答えた。

「ここからだと、歩いて大体15分くらいですわ」

「15分!? ちょっと遠いな」

「だ、大丈夫ですわ。キーラさんの呪縛からすぐに解放すればいいですし」

「……不安だ……」

 アイシャの慌てている態度に、ファルコンは不安になった。

 しかし、霧の森に行かなければ話は進まない。

 一行は北西にある霧の森を目指し、自らの足で歩みを進めていった。

 もちろん、敵に見つからないように。

「隠密の基本、音は立てるな。そして、視界に入らないように進め」

「ああ……やっぱりスネークがいて助かるぜ」

 そして、スネークのおかげで、この15分の間、一度も敵に見つからずに霧の森に到着した。

 

「ここが霧の森か……」

「ちゃんと右見て左も見なきゃ、迷っちゃうからね」

 霧の森はアイシャの言う通り、薄暗く、霧が立ち込めていた。

 魔力も乱れており、ここではコンパスもあまり役に立たなさそうだ。

 ここに入ったら、迷わないようにしっかりと辺りを見渡す必要がありそうだ。

 その霧の森の入口には、頭に白い花がついた黄色い芋虫、ハナチャンのスピリッツがいた。

「花を踏んだら怒るからな、気を付けろよ」

「分かったわ! さぁ、かかってきなさい!」

 そう言って、ベルは大鎌を振るってハナチャンのスピリッツと一騎打ちした。

 

「ざっとこんなもんよ」

 ベルはノービス級スピリッツ、ハナチャンの解放に成功した。

 カービィは波導についてルカリオに聞く。

「ねえルカ兄、波導ってどこにあるの?」

「ここから西にある」

「西か、分かったよ!」

「待て、霧には気を付けろ」

 カービィはルカリオの案内で、霧に気を付けながら西に向かって歩いていく。

 すると、鎖に縛られた茶色い犬と茶色い鴨がいた。

「ダックハント!」

 犬のハントと鴨のダックだ。

 台座の下からはダックハントの母体が次々と生まれており、

 それがスピリッツに利用されていると理解するとカービィは少し震える。

 しかも、ダックハントがいる西は、リサイクルショップ「R・パーカーズ」の店長、

 アルパカ夫妻のカイゾーとリサが道を塞いでいた。

「……しかも、よりによってこの二頭はエース級。あんた達、勝てるのかしら?」

「勝てるよ! 絶対に勝てる! だから、僕を信じて! ベルベル!」

 自信なさげに言うベルに、カービィは勇気を出してそう言った。

 ベルは「なら、いいわ」と、カービィにカイゾーとリサの解放を任せた。

 

「やったぁ! 勝ったぁ!」

 カービィは少しボロボロになりながらも、カイゾーとリサのスピリッツを解放した。

 これで、ダックハントがいる場所に辿り着く事ができるようになった。

 一行は西に向かって歩いていき、

 マリオはダックハントを縛っている光の鎖に触れてそれを打ち砕く。

「バァーーーウーーー!」

 すると、ダックハントは大方の予想通り、赤い瞳を光らせてマリオ達に襲い掛かってきた。

「待っていろよ、ダック、ハント! 今、俺達がお前らを助ける!」

「僕は、キーラの卑劣な罠には負けない」

「貴方達は縛られる必要なんてありませんよ~!」

 ダックハントの母体をキーラの支配から救い出すため、マリオ、リンク、ヨッシー、シーク、

 アルトリア、ベルはダックハントと戦った。

 

「はっ!」

 シークは仕込針を投げつけて牽制し、ダックハントの様子を伺う。

「バウ!」

「うわぁ~!」

 ダックがヨッシーにフェイントをかけてヨッシーが転んだ隙にハントが噛みついて攻撃する。

「大丈夫か、ヨッシー!」

「はい、私は大丈夫です~」

「アイスボール!」

「そらっ!」

 マリオがアイスボールでダックハントを凍らせ、

 リンクはマスターソードでハントに斬りかかる。

 ヨッシーはダックハントに近付いてキックし、ダックハントを吹っ飛ばした。

「ダークマジック!」

「はあっ!」

 ベルはダックハントが通る道に魔法陣を設置し、魔法陣を踏んだダックハントの動きを止める。

 その隙にアルトリアは風を纏った剣でダックハントを斬りつけ、

 シークが上空から百舌改で追撃する。

「よし、いけた」

「バウバウバウバウバウバウ!」

「うわああぁぁぁぁ!」

「きゃああぁぁぁぁ!」

 ハントは暴れ回って六人に一斉に射撃を行った。

 リンクは盾を上手く使って攻撃を防いだが、

 それが仇となり他の五人に流れ弾が飛んで大ダメージを受けてしまった。

「ああっ、すまない!」

「その分をカバーすればいいだけよ! ド・オヴァ・ラ・ホル・ド・テネブ!」

 ベルは全員を回復する魔法を使い、傷ついた味方全員の体力を回復する。

 シークはダックハントの背後に素早く回り込み、手刀で急所を突いて大ダメージを与える。

「バァウウウウウウ!」

「……ふっ」

「これでとどめよ! アップリーパー!!」

「ワオーーーーーーーーン!!」

 そして、ベルが大鎌を一閃すると、ダックハントは場外に吹っ飛ばされた。

 

「ワォーン……」

 ダックハントはしばらくの間気を失っていたが、数分後に意識を取り戻した。

 すると、何故かダックハントはルカリオに懐いた。

「ワン! ワンワンワン!」

「な、何故私に懐いているのだ」

 ルカリオは理由が分からず、困惑している。

 しかも、誰もハントの言葉が分からないため、ルカリオ含め一行はますます困惑した。

 柊蓮司は頭を掻きながら苦笑してこう言った。

「……まあ、仲間が新しく増えたんだし、言葉が通じなくてもいいんじゃねーの?」

「それもそうだな。意外にこいつら、息ぴったりだしな」

「ばうばうばーう!」

 意外には余計だろ、という風に鳴くハント。

 言葉は通じなかったが、一行にはそれだけで今のハントの機嫌が分かった。

 

「それじゃあ、ダックハントも仲間にしたし、もう一つの波導がある場所に行こう!」

「うむ!」

 

 異色の共演、ダックハント。

 犬と鴨のタッグという意外な参戦であったが、その実力は意外にも高いのだ。




~ベルのスピリッツ名鑑~

ハナチャン
出身世界:キノコワールド
性別:♂♀両方存在する
ハナチャンは種族名。
頭に花をつけ、多くの足に靴を履いた芋虫。
普段は黄色い身体だが、怒ると身体が赤くなる。
芋虫なので、成長すると蝶になる。

カイゾー&リサ
出身世界:どうぶつの森
性別:カイゾーは男性、リサは女性
リサイクルショップ「R・パーカーズ」の店長を勤めるアルパカ夫妻。


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33 ~ 自然王ナチュレ

自然王ナチュレとの戦い。
ちなみにマスタースピリットのキノピコ、マリカDDで初登場→パーティゲームの常連→出番なし→急激に出番が増える→本編参戦、って、ちょっとアレですよね。
比べられがちなワルイージは2020年現在、本編に一切出ていないのに……。


 ダックハントを救出した一行は、霧の森にあるもう一つの波導の在処を探した。

「ばうばう?」

「波導はまだ遠い。じっくりと進むぞ」

「わぉん!」

 一行は辺りを見渡し、霧に気を付けながら霧の森の中を進んでいく。

 視界が悪くなっているので、音を頼りにしながら転ばないようにした。

 しばらく歩くと、南東から音楽が聞こえてきて、ドンキーコングはすぐに身構える。

 一行が音楽が聞こえた場所に行くと、楽器に目がついたような外見のスピリッツがいた。

「ドンキー、どうしたの?」

「こいつはティキ族といって、音楽で動物を催眠状態にして操る奴だ」

「なるほど……要するにキーラみたいな奴なのね」

 操る者を操るなんてなんて皮肉なの、と呟くベル。

「こいつはオレがやっつける、だから下がってろ」

「あいよ!」

 ドンキーはぐるぐると腕を振り、ティキ族のスピリッツと戦った。

 

「よーし、勝ったぜ!」

「大人しくしなさいね」

 ベルがティキ族のスピリッツをスピリッツボールの中に入れる。

 ちなみにベルは、ティキ族をいずれバンドのメンバーにするつもりらしい。

 もちろん、奏でる音楽は無害なものである。

「じゃ、次はどこかしら?」

「わんわん、ばうばう!」

 先に行こうとすると、ダックハントが嗅覚で何かを探知したのか、西の方を向いていた。

 霧が立ち込めていても、犬の嗅覚までは誤魔化せないようだ。

「犬の嗅覚は人間より遥かに上なのよ。流石、やるわね、ハント」

「あぉーん!」

 ハントはベルに撫でられて座り、尻尾を振った。

 

(こんな生意気な動物に懐かれるとはな)

(ちょっと不思議だよね)

 

「わんわん! わんわん! わんわん!」

 一行がハントの後を追って北に走ると、ハントは遺跡の目の前で吠えていた。

「こんなところに遺跡があるなんてな」

「入ってみたいですね~」

「オット、ファイターハオコトワリデスヨ」

 ファルコンとヨッシーが遺跡を見ていると、遺跡の中から誰かが出てきた。

 それは、目が赤く染まっているピンク色のキノコ族の女の子だった。

「ココハスピリッツセンヨウノイセキデス。ナカニハワナヤオタカラガタクサン!

 イマナラキーラサマノオカゲデ、ハジメテナノニナツカシイ、ソンナワナニデアエマス」

 キノピコが遺跡について話すと、アイシャの眉がピクリと動いた。

 彼女の「キーラサマ」という発言に引っかかったようだ。

「あの、キーラ様というのは……」

「キーラサマデスカ? アタラシイセカイヲツクッテクダサリマス」

「……」

 アイシャはこっそりと包丁を抜き、操られたキノピコに向かってこう言った。

「……ちょっと、大人しくしてくれませんか?」

 

「あ、あれ? ここは一体どこでしょうか?」

 アイシャに敗れたキノピコは、キーラの支配から解放されて目が元に戻る。

「ここは霧の森だよ。君は遺跡にずっといたんじゃないの?」

「そ、そうでしたか! ありがとうございました! 申し遅れました、わたしはキノピコです。

 ここの遺跡には色んなお宝があります!

 スピリッツ達の調子次第でどんなお宝が来るのかはお楽しみ! どうですか?」

「あ、ごめんネ。今は遺跡探索はしないヨ。キーラが悪さをしてるからネ」

「そうですか、残念です……。でも、わたしはいつでも待ってます」

 キノピコを救出した事で、スピリッツ達は遺跡探索ができるようになった。

 が、今はそれを利用している余裕はない。

「それでは皆さん、頑張ってくださいね!」

「さようなら~!」

 一行はキノピコがいる遺跡を後にし、霧の森のスピリッツ解放を再開した。

 まず、西に行ってサライムシを解放し、

 次に南に行って出会ったのはレジェンド級スピリッツ、自然王ナチュレだった。

 彼女はアイシャのボディに宿っているが、体格は子供くらいまでに縮んでいた。

「あら、あんたはナチュレ?」

「む? 其方は死神じゃな! ハデスの手先め、覚悟せい!」

 ベルがナチュレに明るく話しかけると、ナチュレはベルにいきなり光を放った。

「きゃああ! な、何するのよ!」

「言われなくとも妾には御見通しじゃ。其方は冥府軍の一員である死神であろう?」

「違うわよ! 私は冥府軍には入ってないわ!」

 ベルは今のナチュレの様子を見て、

 彼女はキーラには完全に支配されていないが理性が奪われていると察した。

 気になったリンクはベルに声をかける。

「おいおい、何がどうなっているんだ?」

「リンク、あのね、ナチュレは今の私を敵だと思っているみたい。

 とりあえず大人しくさせないといけないわ」

「よし、そういう事なら、俺も手伝うぜ!」

 リンクは右手に剣、左手に盾を構え、ベルと共にナチュレを大人しくさせるために戦った。

(あれ? リンクって右利きだったかしら? まぁ、いいわ。一緒に戦いましょう)

 

「どうした? 其方の攻撃は妾には届かんぞ?」

 流石はレジェンド級スピリッツだけあり、

 ナチュレはリンクとベルの攻撃をひょいひょいとかわしていた。

 リンクは歯を食いしばり、何とかナチュレの隙を伺おうとする。

「やっ!」

「ほいっと……?」

「そら!」

 ベルがフェイントをかけ、その隙にリンクがマスターソードでナチュレを斬りつける。

 聖なる光が邪悪なる光を打ち砕き、ナチュレに大きなダメージを与えた。

 かなりのダメージを食らったナチュレは怒りに震えて杖を構えこう叫んだ。

「絶対に許さんぞ虫ケラども! じわじわと嬲り殺しにしてくれる!!」

「うわ……何だ、あの迫力」

「伊達に自然王を名乗っていないわね」

「いつまでも進歩の無いサルどもめ! 滅するがいいわ!!」

 そう言ってナチュレは天から樹がついた巨大な爆弾を召喚する。

 見た事のない爆弾にリンクは目を開く。

「な、なんだこれは?」

「これは初期化爆弾という環境に優しい爆弾じゃ。其方達は決してこの爆弾からは逃れられぬ!

 全てよ、自然に還るがいい!!」

「そうはいかないわ! 早く止めるわよ!」

「おう!」

 リンクとベルは、初期化爆弾が投下される前にナチュレを倒そうと斬りかかる。

 彼女は時間稼ぎのため、自然の力を使い二人の攻撃を防御した。

「自然を汚すものには容赦はせぬ! この大地諸共、自然に還れ!!」

「やなこった!」

「大人しくしなさい!」

 ベルの大鎌がナチュレを一閃し、続けてリンクのマスターソードが一閃する。

「ぬうう……死神と人間如きが、生意気な!」

「それは俺達も同じだ。

 キーラのせいで頭がおかしくなってるお前を、少し大人しくさせるために勝つぜ。

 それに俺は、人間じゃなくてハイリア人だから」

 ナチュレは初期化爆弾の落下速度を速め、無理矢理浄化しようとした。

 しかし、ベルはこれこそがチャンスと睨む。

「ナチュレは焦っているわ、一気に攻めるわよ」

「ああ」

 リンクはブーメランを投げてナチュレを怯ませる。

 ナチュレは焦っていたため、避けられずにダメージを受けてしまう。

 ベルはその間にスマッシュ攻撃を溜め、ナチュレにとどめを刺す準備に入った。

「!?」

「とどめよ! ダウンリーパー!」

「ああああああああああああああ!!」

 そして、ベルの大鎌がアイシャのボディごとナチュレを真っ二つにし、

 彼女のスピリッツを解放するのだった。

 

『……すまなかったな。妾がもう少し落ち着いていれば……』

「いいのよ、もう過ぎた事だし」

 ナチュレは、スピリッツボールの中で先程の出来事をベルに謝っていた。

 彼女はキーラに理性を奪われていた時の事をはっきり覚えている数少ない人物なのだ。

『それにしても、あのキーラという奴、妾を利用するとは愚かしい』

「あんた以外も利用されているわよ。それにしても、役に立つスピリットっているのかしらね?」

『妾はこの冒険で役に立つと自負しておるぞ。何しろ、妾は自然王じゃからな。

 自然に関する障害があれば妾に任せるがよい』

「うふふ、楽しみにしてるわよ!」

 

「ただいまー」

「お帰り。波導の場所が分かったぞ」

 帰ってきたベルとリンクを待っていたのは、二つ目の波導の在処を見つけたルカリオだった。

「ルカリオ、二つ目の波導が見つかったの?」

「ああ。私についてこい」

 一行はルカリオの案内で北西に行ってゼルネアス、一旦東に戻ってヌケニンを解放する。

 ヌケニンは弱点以外の攻撃が通用しないので、マリオがファイアボールで焼き払った。

 行ったり来たりしているので、パックマンはルカリオに疑問の感情を抱く。

「ポケモンのスピリッツを解放してるケド、本当にこの辺に波導は近いノ?」

「ああ……間違いない」

 タルミナのケポラ・ゲボラとアースボーンドのダスターの解放をしながら、

 一行はルカリオが歩いた道を通っていく。

 また、ハントも嗅覚を頼りにルカリオのサポートをしていった。

 そして、一行がしばらく歩いていくと、紫の服を着た少女、力士のような姿の生物、

 そして緑の爬虫類のような姿をしたポケモンの瞳が赤く光っていた。

「ルカリオさん、ビンゴです! 彼はジュカインさんですよ!」

「……やはりそうだったな」

 アイシャはジュカインの事を知っているのか、喜びの声を上げている。

「知ってるノ?」

「は、はい……わたしが最後にテンポラリーファイターパスをあげた人、

 じゃなくてポケモンなんです」

「俺と同じだな」

「私も彼女から貰いましたね」

 アルトリアと柊蓮司がそう呟く。

 このジュカインというポケモンは、非公認だが一応ファイターだ。

 メタ的な事を言うと、某呟きSNSのアンケート結果を採用したものだ。

「ウウウウウ……コロシテヤル、コロシテヤル……」

 キーラに操られたジュカインは、うわごとのように殺意を吐いている。

 このまま放置すれば、生き物が全滅してしまうだろう。

 ジュカインを止めるため、マルスは剣を、フォックスはブラスターを、

 ランスは槍を、ロックマンはロックバスターを構えた。

 アルトリアも、戦闘態勢に入っている。

 すると、プリンがとことこと歩いてフォックス達の前に出た。

「プ、プリンもやるでしゅ!」

「大丈夫なのか? プリン」

「だいじょうぶでしゅ! ジュカインしゃんはかならずプリンがたすけるでしゅ!」

 プリンは自信満々にそう言った。

 フォックスは頷いて、プリンを戦闘に参加させた。

 

「コロシテヤル……コロシテヤル!」

「君達は、僕が助けてあげるよ!」

「これが……ジュカインというポケモンですか」

「非公認とか公認とか言ってる場合じゃない。お前は必ず、俺達が解放する!」

「こわいけど……がんばるでしゅ!」

「ボクは大王様のためにも、絶対に勝つ!」

「……まずは、相手の出方を伺わなくちゃね」

 マルス、フォックス、ランス、ロックマン、プリン、アルトリアと、

 操られたジュカインとスピリッツとの戦いが今、始まろうとしていた。




~ベルのスピリッツ名鑑~

ティキ族
出身世界:DKアイランド
性別:なし
火山の噴火から現れた、楽器に魂が宿った種族。
音楽を奏でて動物を操る能力を持っている。

キノピコ
出身世界:キノコワールド
性別:女性
おさげを付けたキノコ族の女の子。
かつては脇役の中の脇役だったが、ある時期から人間の欲望で急激に出番が増える。
最近ではスーパークラウンを被ってキノピーチに変身できるようになった。

サライムシ
出身世界:とある星
性別:不明
ピクミンを見つけると掴んで攫っていく原生生物。
飛行方法は羽ではなく触角。重いものは持てない。

ナチュレ
出身世界:天空界
性別:女性
自然を司る女神で、自然軍のリーダー。
人間が自然を汚す事に怒りを感じており、初期化爆弾で文明をリセットしようとする。
ちなみに、自然の女神だけあってゴミは15種類に分ける、
エコバッグを持参する、など環境にとても優しい。

ゼルネアス
出身世界:ゲフリアース
性別:不明
カロス地方の伝説のポケモンでせいめいポケモン。
フェアリータイプで、特性はフェアリーオーラ。
永遠の命を分け与えると言われており、樹木の姿で1000年眠り復活する。

ヌケニン
出身世界:ゲフリアース
性別:不明
ツチニンがテッカニンに進化し、
ある条件を満たすといつの間にか手持ちに入っている、ぬけがらポケモン。
むし・ゴーストタイプで、特性はふしぎなまもり。
抜け殻が魂を宿し、背中の隙間から覗き込むと魂を吸われてしまうらしい。

ケポラ・ゲボラ
出身世界:タルミナ
性別:不明
タルミナでリンクを導く謎のフクロウ。
破滅の運命にあるタルミナを救う者を待ち望み、その者であるリンクに「大翼の歌」を授ける。

ダスター
出身世界:アースボーンド
性別:男性
クマトラの家臣で、何も盗まないドロボーの男。
怪我により、左足が不自由になっている。
ロイドやジェフ同様にPSIは使えないが、ドロボーグッズや足技を使って戦う。


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34 ~ 深緑の密林

炎と水の御三家はスマブラSPに参戦してるのに、どうして草の御三家が参戦してないんだろう?
そんなわけで、この小説では「彼」をファイターにしました。
もちろん非公式なのでご了承ください。


 はじまりの森の女の子とマロを引き連れたみつりんポケモン、ジュカイン。

 彼らをキーラの呪縛から解放するため、マルス、フォックス、ランス、ロックマン、

 プリン、アルトリアは戦いを挑んだ。

 

「それっ!」

 アルトリアは突風をマロに向かって放つ。

 攻撃はギリギリで命中し、マロを遠くに吹っ飛ばした。

 はじまりの森の女の子は身を守り、相手の出方を伺っている。

「マーベラスコンビネーション!」

 マルスはマロをファルシオンで連続で斬りつける。

「♪~♪~♪♪~」

「パラソルスイング!」

 プリンはうたうではじまりの森の女の子以外を眠らせ、

 その隙にランスがマロとジュカインにパラソルを振って水しぶきを放つ。

 マロとジュカインは衝撃で目を覚ましたが、かわせなかったため多少のダメージを受ける。

「はぁっ!」

 フォックスはジュカインの足元を狙い蹴り飛ばす。

 重心を崩す一撃によってジュカインの回避力が僅かに下がる。

「いあいぎり!」

「ロックバスター!」

 ロックマンはジュカインのいあいぎりをかわし、

 ロックバスターを放ってはじまりの森の女の子にぶつけて彼女のスピリッツを解放した。

 スピリッツが抜けたドリィの身体は崩壊し、塵となってこの世から消えた。

「いくよっ、乱れ突き!」

 ランスは突きをマロに連続して決め、マロのスピリッツをプリンのボディから解放した。

「ソノテイドカ?」

「くそっ、攻撃が当たらん!」

「僕もだよ」

 ジュカインはマルスとフォックスの攻撃をかわし、タネマシンガンを二人に連射する。

 フォックスはブラスターでジュカインのタネマシンガンを全て撃ち落とすが、

 隙を突かれリーフブレードを食らってしまう。

「くっ、なんて威力だ。これもキーラの力なのか?」

「キーラサマニサカラウモノハ、ミナゴロシダ」

 ジュカインは真っ赤な瞳を六人に向けている。

 殺意を露わにした彼を止めるには、彼を倒すしか方法はない。

 フォックス、マルス、ランス、アルトリアはぎゅっと武器を握り締めた。

「キーラの鎖は、ボクが砕く」

「悪夢は必ず覚ましてあげるよ」

 

「ファーストエア、セカンドエア、サードエア!」

 アルトリアは風を纏い、ジュカインに突っ込んでいく。

 彼女が得意とする魔力放出による強力な突進攻撃だ。

「それーっ!」

 ランスは槍を十字に振ってジュカインを切り裂こうとするが、

 ギリギリでかわされて反撃を受ける。

「マジカルシャイン!」

「ファイアー!」

「グアアァ」

 プリンは弾ける光を放ち、ジュカインの目を眩ませた後におうふくビンタで連続攻撃を行う。

 フォックスはジュカインに向かってファイアフォックスを繰り出し、

 炎に弱いジュカインに大ダメージを与えた。

「ルナスラッシュ!」

「ワドスピアスロー!」

 アルトリアとランスは遠くから衝撃波と槍を飛ばし、ジュカインの身体を切り裂く。

「ジュカインしゃん、もとにもどるでしゅ!」

 プリンはジュカインをはたいて攻撃するも、

 ジュカインはそのままアルトリアに突っ込んでリーフブレードで斬りつける。

「ぐぁぁぁっ!」

 アルトリアが負傷した部位から血が流れる。

 幸い、利き腕ではなかったので戦闘への支障は少なく、

 また、アルトリアの聖剣の鞘には治癒能力があるためすぐに回復した。

 だが、痛みまでは治まらない。

「待ってて、今治すから」

 ランスは大急ぎでアルトリアに駆け寄り、手当の準備に入る。

 ジュカインは容赦なく二人にタネマシンガンを撃つが、

 ロックマンがリーフシールドを張ってジュカインに突っ込みタネマシンガンを払う。

 フォックスはジュカインを投げて浮かせた後、飛び上がって蹴りを連続で繰り出す。

「これで大丈夫だよ」

「ありがとうございます」

 ランスはアルトリアの手当を終えた後、槍でジュカインの脇腹を突く。

「マーベラスコンビネーション!」

 マルスは連続でジュカインをファルシオンで斬りつける。

 ジュカインは攻撃をかわし続けたが、最後の一発がギリギリで命中しジュカインは吹っ飛んだ。

 

「ウゥゥ……オノレ、キーラサマニシタガワナイノカ?」

「キーラは侵略者だ、手を貸すわけがない」

「ボクは仲間を一人でも多く助けて、カービィやシャドウ、ベルのために報いたいんだ。

 もちろん、ボクのご主人様は大王様だけど、仲間として報いるんだよ」

「ナカマ、ダト?」

「そう。スマッシュブラザーズは、ボクを含めてみんな大切な仲間なんだ。

 例え誰かに奪われたとしても、必ず取り戻せる……ボクはそう信じている。

 だから、それを証明するために、今、ボクはキミを取り戻す!」

「ああ……いくぞ! フレイムソード!!」

 ロックマンはソードマンの特殊武装をランスの槍に使い、

 ランスの槍の穂先に炎を纏わせ、炎の力を持つメラーガスピアが完成した。

「今だ、ランス!」

「はぁぁぁぁぁぁっ! メラーガスピア!!」

「グ……オオオオオオオオオオォォォォ!!」

 ランスはそう言って槍を両手で構え、ジュカインを狙い十字架を描くように二度薙ぎ払った。

 ジュカインは慌てて両手の刃で防御するが、

 槍の穂先は希望の炎を帯び、ジュカインに痛手を負わせる。

 そして、炎の槍がジュカインの身体を貫通すると、全員が目を覆うほどの大爆発が起こった。

 

「はぁ、はぁ、はぁっ……!」

 爆発が治まると、ジュカインは瀕死になっていた。

 ランスも息を切らして、思わず槍を落としそうになるが、気を振り絞って何とか立ち上がる。

「これでジュカインは助k……!?」

 ランスがジュカインを助けようとすると、彼の目の前に衝撃的な光景が広がった。

 メラーガスピアの炎が森に広がり、次々と木や草原が燃えていく。

「しまった! ボクのせいで……うぐっ!」

 ランスが消火するために動こうとすると、急に彼の身体が動かなくなった。

 ジュカインを撃破した反動で、ランスに疲労が溜まりすぎたのだ。

「無理しないで! 風よ……」

 ベルは風の魂に語り掛け、その場にいる全員に自身の声を送った。

 

―みんな、水を使って霧の森を消火して!

 

「その声は、ベル!?」

 真っ先に声を上げたのは、ポンプが使えるマリオだった。

 今、霧の森が大変な事になっている……それを知ったマリオは顔面蒼白となり、

 ポンプを取り出して消火活動に入る。

「急いで消火しなきゃ!」

「森がなくなっちゃう!」

 パックマンは消火器、りょうは如雨露を使う。

 しかし、森を覆う火の勢いは止まらず、

 スマブラメンバーの消火活動は文字通り焼け石の水だった。

 そもそも、水を扱えるスマブラメンバーは、現在はこの中には少なかったのが原因だが……。

 

「あ……森が……!」

 そして、霧の森は炎の中に完全に消えてしまった。

 

「そんな……せっかくジュカ兄を助けたのに……」

 仲間を助ける事に成功したが、その代償に霧の森を失ってしまった。

 カービィはその事実に落胆している。

「……カービィ……」

「自分のせいじゃないとはいえ、こんな結果になるなんて、カービィも辛かっただろうに」

 最初の三人、シャドウとベルがカービィの目を見ている。

 彼の目は悲しげで、今にも涙が出そうだった。

 他のスマブラメンバーも霧の森を失った事に落胆するが、

 その時、ベルのスピリッツボールから何かが飛び出してきた。

 

『森を取り戻したいのか?』

「その声は……ナチュちゃん!」

『妾は自然王ナチュレじゃ!』

 それは、霧の森で解放した自然の女神、ナチュレのスピリッツだった。

「ねえナチュちゃん、この森を元に戻して。ナチュちゃんならできるでしょ?」

 カービィはナチュレに必死で森を元に戻すように懇願する。

 ナチュレは「うむ」と頷くと、杖を掲げて呪文を唱えた。

「自然王ナチュレが命ずる! 霧の森よ、今ここに蘇れ!!」

 すると、ナチュレの杖が光り出し、光が失われた霧の森全域を覆った。

 その光は穏やかなものであり、不安定になっていたスマブラメンバーの心を落ち着かせた。

 光の中で、霧の森は時間を巻き戻すかのように元に戻っていき、

 やがて霧の森は完全に元通りになった。

 

「やったぁ! 森が元に戻った!」

「よかったですね!」

「霧もしっかり残っている……流石は自然王だな」

 カービィ達が喜んでいると、彼らの声を聴いたジュカインがむくりと起き上がる。

「……ん? 何が起こったんだ……?」

「あ、ジュカインしゃん、おきたでしゅね。

 あのね、あのね、ジュカインしゃんをみんなでたすけたんでしゅ」

「……?」

「ああ、実はかくかくしかじかでな……」

 プリンは説明が下手なので、代わりにリンクが今までの事情を説明した。

 

「なるほどな。つまり、キーラって奴がオレを操ってこんな目に遭わせやがったのか」

「ん、まぁそういう事になるな」

「ったく、キーラの奴、一体どこに隠れてるんだ? 見つけ出して倒したいってのに」

 ジュカインはキーラの居場所が分からず、不快になって舌打ちする。

 ヨッシーはそんなジュカインの気持ちを感じ取って彼に優しく話す。

「あのぉ~、ジュカインさ~ん」

「なんだ」

「戦ってばかりだといずれ疲れちゃいますよ~。一旦戻って休みましょうよ~」

「なんだと!? オレは今すぐにキーラを……」

「ヨッシーの言う通りだ、お前はさっきまでキーラに操られて戦ったんだろ?」

「……あ、そうだった」

 マリオの一言でジュカインは自身がキーラに操られた事と、

 身体を休めるのも大事だという事を思い出す。

「とりあえず、どこで休む?」

「それならば僕が連れて行ってやろう」

 シャドウは懐からカオスエメラルドを取り出す。

 ふと、ジュカインはカオスエメラルドが気になってシャドウに話しかけた。

「なあ、シャドウ、そのジュエルはなんだ?」

「これはジュエルではなく、

 カオスエメラルドという七つ集めると奇跡を起こすと言われる宝石だ。

 僕はこの力を借りて時空操作やエネルギー生成ができる」

 ジュカインは彼の説明を聞いて「ほへー」と言葉を漏らす。

「要するに、すげー力を持ったアイテムなんだな」

「そういう事だな。……さて、お喋りはここまでだ。そろそろ、全員を呼んでくる時間だ」

「お、おーし、今呼んでくるぜ」

 ジュカインは急いでスマブラメンバー全員に呼びかけ、彼らをシャドウの前に集合させた。

 皆がいるのを確認したシャドウは、カオスエメラルドを天に掲げる。

 

「では、行くぞ。カオス……コントロール!!」

 そして、シャドウが叫ぶとカオスエメラルドは光り輝き、全員の姿は霧の森から消えた。




~ベルのスピリッツ名鑑~

女の子(はじまりの森)
出身世界:はじまりの森
性別:女性
「ぼく」が村で出会った、紫づくめの少女。
見た目は幼いが、古風な言葉で話す。

マロ(引ク押ス)
出身世界:とある小世界
性別:男性?
青いまわしを付けた力士のような姿をした生物。
ヒクオスに閉じ込められた子供を助けるため、ブロックなどを押して仕掛けを解く。


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35 ~ 電力プラントの攻略

原作非参戦キャラに対する疑問に、私なりに答えました。
次は光の世界のダンジョン、電力プラントを攻略します。
ここのパズルはそれなりに面白かったなぁ。


 キーラに操られたジュカインは、シャドウ達の活躍により正気に戻った。

 一度は炎の中に消えた霧の森も、自然王ナチュレの力により元通りになった。

 

「みんな、助けてくれてありがとよ」

「いいんだ。誰かを助けるのに理由なんていらないからな」

 ジュカインは仲間の一人、マリオに感謝した。

 マリオも笑みを浮かべて返すも、すぐに笑みを消してこう言った。

「で、失礼な事を言うが、お前は本当にファイターなのか?」

「それを言うなら僕やランスも同じだが」

 マリオは本来は参戦していないはずのジュカイン、シャドウ、ランス、アルトリア、

 柊蓮司がファイターになっている事に疑問を抱く。

 それは、マールを仲間にした時と同じ光景だった。

「おいおい、オレを疑う気か?」

「ジュカインさんは、非公認ですがファイターですわ」

「そうか、じゃあ、お前はファイターなんだな」

 アイシャの説明を聞いたマリオは素直に納得した。

 念のため、マリオは既に参戦している者を邪魔者扱いしないかジュカインに聞いたが、

 ジュカインは首を横に振ったため安心した。

「願いが叶わなかったからといって、叶った奴を妬むのは頭のおかしい奴さ。

 それにあいつらは『参戦した』んだけど、オレらは『参戦させてもらった』んだ、

 もう少し謙虚にならなきゃな」

「なーに、それ?」

「純粋なお前は覚える必要はないものだぜ」

「うん、分かったよ」

 カービィは裏を感じ取ったのか、深く追求する事をやめた。

 

 霧の森を出た一行は、しばらく休憩した後、次の目的地を探す事にした。

「それで、次はどこに行けばいいの?」

「あ、それなら電力プラントはどうですか?」

「電力プラント?」

「この世界の各地に電気を送っている場所だ。だが、今は電気が止まっているようだ」

 一行の次の目的地は、電力プラントとなった。

 電力プラントの電気が止まっているのは、一体どうしてだろうか。

 カービィが理由を聞くと、ルカリオは顎に手を乗せてこう言った。

「キーラは電気を操る者を掌握している故、事実上電気も操る事ができる。

 また、未確認ではあるが、ファイターもいるという」

(電気……ファイター……ん?)

 ルカリオによれば、電力プラントの中には

 スピリッツ同様にキーラに操られたファイターがいるようだ。

 恐らく電気を操る者だろうと考えたピカチュウは、そのファイターを推測していた。

「電力プラントは私が案内する。ついてこい」

「ああ」

 一行はルカリオの案内で、ファイターがいるという電力プラントの中に入った。

 

「うわぁ~、広いねぇ~」

 カービィは電力プラントの周りを見渡していた。

 床には緑のプレートがあり、あちこちに装置と黄色い生き物、そしてスピリッツがいた。

 中は機械的だったが、以前に探索した基地よりも温かさに溢れていたため

 りょうやカービィなどの子供達は怖がらなかった。

「電気は今や大事なもの。それを勝手に使うとは、いい度胸だな」

 でんきタイプのピカチュウは、電気を自分の思い通りに使おうとするキーラを許せなかった。

「この装置は一体何だろう」

 ある程度歩くと、ピカチュウは円形の装置を見つけた。

 その先には道があるが、穴が開いていて通れない。

 パックマンが調べてみると、それは電気を送るための装置だった。

「ここから電気を送れそうだネ」

「じゃあピカピカ、電気を使って!」

「ああ。10まんボルト!」

 ピカチュウが装置に向かって電撃を放つと、装置に電気が通って赤い床が現れた。

 しかし、電気はすぐになくなり、同時に赤い床も消えてしまった。

「ん、電気が切れたぞ」

「ずっと電気を通し続けなければならないようだな。でも、それだとちょっと効率が悪いよな」

「あぉーん……」

 どうすればいいんだろう、と嘆くダックハント。

 すると、マールは遠くに何かを発見したようで、それがある場所に走っていく。

「これを使えばいいんじゃない?」

 マールは、両手に何かを持って走ってきた。

 それは、黄色い身体をしたナマズだった。

「これ、なんだ?」

「私の世界にある『デンチナマズ』って生き物だよ。町の色んなところに電気を送ってるんだ。

 ……しょっちゅう、攫われてるけどね」

「なんか、ピーチ姫みたいだな」

 マリオはデンチナマズの攫われやすさに苦笑した。

 もっとも、攫われた回数はピーチ姫の方が遥かに上なのだが……。

「じゃ、置くよ!」

 マールがデンチナマズを装置の上に置くと、デンチナマズは光って装置に電気を送った。

 すると、先ほどピカチュウが電撃を放ったように装置が作動し、赤い床が現れた。

「今度は大丈夫みたいだね」

「この調子で、どんどん先に進もう!」

「おう!」

 

 一行は赤い床を渡り、西にあったデンチナマズを取って近くの装置に置き、

 現れた赤い床を渡ると、スピリッツに遭遇した。

 そのスピリッツを見たロックマンは叫び出す。

「ライト博士!」

『おお、ロックではないか。いやはや情けない、こんな身体の中に入れられてしまうとはな』

 彼はロックやロールなどの生みの親、トーマス・ライトという科学者だった。

 ドクターマリオのボディに宿ったライト博士はぽりぽりと頭を掻く。

「ううん、悪いのは博士じゃありません。

 ボク、何度も博士に助けられてますから、今度はボクが助けてあげる番です」

『ありがとう、ロック……』

 

「大丈夫ですよ、博士。今は少し眠っててください」

 ロックマンは無事にライト博士のスピリッツを解放した。

「流石は電力プラント、しょっぱなから科学者のスピリッツと遭遇するとはね」

「そうだね。あ、マル姉、デンチナマズがあるよ!」

「マ、マル姉?」

 マールが装置を確認してみると、そこには確かにデンチナマズがあった。

 しかし、その近くには赤い床があり、さらによく見ると一匹のポケモンが台座に縛られていた。

「外しちゃっていいのかなぁ……?」

 マールは後ろをちらっと見て少し不安になる。

「でも、あそこのポケモンを助けるためなら、後ろに戻らなくてもいい! 外して!」

「わ、分かったよ」

 カービィに言われてマールはデンチナマズを外すと後ろにあった赤い床が引っ込んだ。

「あーあ、見てよカービィ。床が消えちゃったよ」

「ご、ごめん。調べたらすぐに戻すから」

 カービィは先程外したデンチナマズを上の装置に置いた。

 すると、左側の赤い床が作動し、左側に行けるようになった。

 一行がそちらに行くと、ピチューのボディに宿っているアンテナポケモン、

 デデンネのスピリッツと遭遇した。

 しかしノービス級だったので、でんきタイプの技が効果が今一つの

 ピカチュウとジュカインが軽くあしらった。

「デンチナマズの数が足りないね。つまり、有効に使った方がいいみたいだよ」

 電力プラントのデンチナマズの数は限られている。

 頭を使い、上手く進めば、電力プラントは楽に攻略できるのだ。

 

「ファイア掌底!」

 道中でピカチュウのボディに宿ったエレキマンのスピリッツを解放し、

 デンチナマズを手に入れる。

 その後にスージーのスピリッツを解放して元来た道を戻り、

 シャドウの助言で左側の赤い床を作動させていたデンチナマズを取り外す。

「これでデンチナマズは2匹になった。後はファイターがいる道に行くだけだな」

「うんっ。シャド兄、誰が待ってるのかな」

「恐らくは電気に関係のあるポケモンだろうな」

 一行はデンチナマズを置いてもう一度赤い床を作動させた後、

 近くのデンチナマズを外して再び数を2匹に戻す。

「後は、ここにデンチナマズを置いて」

「ここにデンチナマズを置けば、ファイターへの道が開ける」

 カービィとシャドウがそれぞれ1匹ずつデンチナマズを置くと、ファイターがいる道が開いた。

 一体誰が捕まっているんだろうと一行が歩くと、囚われのファイターの正体が判明した。

「ピ……チュ……」

「お前は……ピチュー!」

 それは、ピカチュウの幼き弟、ピチューだった。

 ピカチュウは先程戦ったデデンネのボディが彼である事を思い出し、衝撃と共に怒りが湧く。

「オマエ……ダレデチュカ……?」

「俺だよ、俺! お前の兄のピカチュウだ!」

「アニ……? ピチュハシラナイデチュ……。

 ソレヨリ、オマエラハキーラサマノジャマヲスルキデチュカ……?」

「……ピチュー……」

 ピチューはキーラの力に完全に支配されており、ピカチュウが兄である事は記憶にない。

 今まで通りにピチューを倒さなければ、ピチューは正気に戻らない。

 一瞬躊躇ったピカチュウだったが、ピカチュウは覚悟を決めてピチューに戦いを挑む。

「……分かったぜ、ピチュー。兄として、お前を元に戻してやる。みんな、覚悟はいいか?」

「ああ、分かってるぜ」

「ピチュピチュは、みんなでやれば助かるよ」

「私も、ちょっと怖いけど頑張る」

「君を操る病気は、僕が治してあげるよ」

「かかってきな、ピチュー! オレが相手になってやるぜ!」

 マリオ、カービィ、マール、ドクター、ジュカインも、

 ピカチュウと共に操られたピチューに戦いを挑むのだった。




~ベルのスピリッツ名鑑~

Dr.ライト(トーマス・ライト)
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
ロックやロールなど、数多くのロボットを造った心優しき科学者。
Dr.ワイリーとは大学時代の同級生だったが、ある出来事がきっかけで決裂してしまう。

デデンネ
出身世界:ゲフリアース
性別:♂♀両方存在する
カロス地方のポケモンで、アンテナポケモン。
でんき・フェアリータイプで、特性はほおぶくろ、ものひろい、隠れ特性はプラス。
髭がアンテナの役割をしており、電波を送受信して遠くの仲間と連絡を取り合う。

エレキマン
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性型
発電所の電圧を制御するロボット。使命感が強いが、ひねくれもの。
武装のサンダービームで機械をショートさせる。

スージー
出身世界:ミルキーロード
性別:女性
ハルトマンワークスカンパニーの社長秘書。
負けず嫌いな性格で非常に優秀な人物。
宝物は「H」と書かれた金の髪飾り。


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36 ~ 小さな体に大きなパワー

電力プラントの攻略回です。
タイトル通りのキャラクターを、今回で救出します。


 電力プラントにいたこねずみポケモン、ピチュー。

 彼の母体をキーラから解放するため、ピカチュウ、マリオ、カービィ、マール、ドクター、

 ジュカインはピチューと戦った。

 

「えい!」

 カービィはピチューにハンマーを振り下ろす。

 ピチューは攻撃をかわし、マールにでんじはを放ち麻痺させた。

「……ケスデチュ……」

「わあっ!」

 ピチューはでんきショックをカービィに放つ。

 カービィは攻撃をかわすが、電気は壁に当たってカービィに命中した。

「何しやがるんだピチュー!」

 ピカチュウは無駄だと思いながらもピチューに呼びかけ、彼を止めようとする。

 しかしピチューは何も言わずにピカチュウに突っ込んでいった。

「くそっ!」

 ピカチュウは尻尾を鋼のように硬くして向かってきたピチューに打ち据える。

 はがねタイプの技は効果が今一つなので大したダメージにはならなかったが、

 ピチューを吹っ飛ばす事に成功する。

 しかしピチューはすぐに体勢を整え直し、

 マールの射撃攻撃と突っ込んできたマリオの攻撃をかわす。

「速いっ! 速いよ!」

「ああ、相当なスピードだな。エナジーボール!」

「ビヂュウ!」

 ジュカインは自然から集めた命の力をピチューに向けて放つ。

 実はジュカインは能力的には特攻の方が高いため、目立たないが特殊攻撃が強いのだ。

「ちょっと君の様子を見たいな」

「ピチュピチュ!」

 ドクターはじっくりピチューの様子を確認するが、ピチューはちょこまかと動き回り、

 なかなか動きを捕捉できない。

 カービィの攻撃もピチューは見切っており、10まんボルトでジュカインとマールを攻撃する。

「うぉっ!」

「きゃぁぁぁぁぁ!」

 ジュカインには効果が今一つだったが、マールは大きく吹っ飛ばされる。

「くっそぉー!」

 ピカチュウはロケットずつきをピチューに放ち、ピチューは大きく吹っ飛ばされる。

 その隙にマリオとカービィがハンマーを構えてピチューに飛びかかり殴りつけた。

「エナジーボール!」

 ジュカインはエネルギー弾を周囲に設置してピチューの動きを制限する。

 ピチューはそれをかみなりで全て打ち消し、ピカチュウに突っ込んでいった。

 そして、ピカチュウにしがみついて10まんボルトを放った。

「ぐあああああああ!!」

 ピカチュウにでんきタイプの技は効果が今一つだったが、

 弟が兄を攻撃するという精神的なダメージの方が大きかった。

「ピチュー……なんで……俺を……」

「キーラサマガイインデチュ」

「何言ってんだよ! お前が住んでる世界を壊していいのか!?」

「キーラサマガキメタコトデチュ。オマエハウルサイデチュ!」

 ピチューは至近距離からピカチュウにてんしのキッスをする。

 混乱したピカチュウは自分を攻撃したり無防備になったりと思うような行動を取れなくなった。

「うっ、うぁっ、うわぁぁぁぁっ!」

「ピカチュウ君、落ち着くんだ。深呼吸、深呼吸」

「うぁ……そ、うだ、った……。ふぅ……」

 ピカチュウはドクターの助言で深呼吸をして混乱を解いた。

 

「……気を取り直して、いくぜ、アイアンテール!」

 ピカチュウは尻尾を硬質化させ、ピチューにぶつけて吹っ飛ばす。

「おっと!」

 マリオはピチューの10まんボルトをスーパーマントで跳ね返し、ファイアボールで追撃する。

「えーい!」

「じっとしててもらうよ」

 カービィはストーンに変身して上空からピチューを押し潰す。

 ドクターはピチューに駆け寄って睡眠薬を飲ませ、ピチューを眠らせて無防備にする。

「今だよ、マリオ君、ピカチュウ君!」

「ああ! スマブラ四天王の力、見せてやるぜ!」

「いくぞ、マリオ!」

 スマブラ四天王のマリオとピカチュウが力を溜め、ピチューにとどめを刺す準備に入る。

 一人に炎の力、一匹に電気の力が周囲に満ちる。

「「とどめだ! 1000まんフレア!!」」

 ピカチュウの強烈な電撃とマリオの高熱の炎が混ざり合い、光線となってピチューに直撃する。

 そして、大爆発が起こり、全員が目を覆った。

 

 こうしてピチューとの戦いは、終わった。

「うぅ……あたまがくらくらするでちゅ……」

「大丈夫か、ピチュー?」

 キーラに操られた反動で、ピチューの頭は混乱していた。

 ピカチュウはピチューを負ぶさろうとするが、高さがほとんど変わらないため途中で落としてしまう。

「しょうがねぇな、俺達が運んでやるよ。手伝ってくれ、ドクター」

「分かったよ」

「助かる」

 マリオとドクターがピチューを一緒に担ぐ。

 二人は赤い床を歩いて、長い廊下にピチューをそっと置いた。

 そして、ドクターは傷ついたピチューを治療した。

「……もう大丈夫だよ、ピチュー」

「ふぇ……? ぴちゅはなにをしていたんでちゅか……?」

「ピチュー君、もう助かったんだから気にする必要はないよ」

 ドクターはピチューを傷つけないように助かったという結果だけを話した。

 そして、弟と再会したピカチュウが彼を抱く。

「ぴかにいちゃん……こわかったでちゅ……」

 ピチューが震えながらピカチュウに抱き着く。

 ピカチュウは優しくピチューの頭を撫でた。

「怖かっただろう、ピチュー。でも、これからはずっと一緒だ。決して離れるんじゃないぞ……」

「うん……ぴかにいちゃん……」

 

「なんとも微笑ましい光景だな」

「そうだな」

 ピカチュウとピチューの兄弟愛を、マリオとスネークは温かい目で見守っていた。

 

「ピチューを助けた以上、もうここには用はないな」

 シャドウはピチューがいた場所の道に行けるデンチナマズを外した。

 続いて、廊下を通った先にある赤い床を作動させていたデンチナマズを外した。

「後は必要なところにこのデンチナマズを置くだけだな」

 シャドウは北西側の装置にデンチナマズを置いて装置を作動させ、

 行った先のデンチナマズを外す。

 続いて、横に長い青い床の右側に装置を置くと、スピリッツに繋がる道が開いた。

「ティニ、ティニー!」

「あ、ビクティニだ!」

 そのスピリッツは、イッシュ地方の幻のポケモン、しょうりポケモン・ビクティニだった。

 ガオガエンのボディに宿っているが、体格に合わせて大幅に縮んでいる。

 しかし、ルカリオとジュカインはビクティニを見て少し固まった。

「オレの苦手なタイプなんだよなぁ……」

「私もほのおタイプは苦手だ」

「……」

 スネークはビクティニの背後に回り込み、

 麻酔銃でガオガエンのボディごとビクティニを眠らせた。

 その隙にベルが大鎌を振りかざしてビクティニのスピリッツを解放した。

 

「こことここにデンチナマズを置けば……」

 ベルはデンチナマズを桃色の床の装置に置いて、赤い床を出し、奥まで進んでいく。

 すると、電力供給システムに巨大なデンチナマズのスピリッツが縛り付けられていた。

「あっ、オオデンチナマズだよ!」

「オオデンチナマズ?」

「私が住んでる町に電気を送ってるんだ。よく攫われるんだけどね」

「ピーチ姫には及ばないがな、ははは」

 マールの説明にマリオが苦笑していると、オオデンチナマズが襲い掛かってきた。

「きゃっ! もう、やめてよ!」

 マールは寸でのところで攻撃をかわし、わかばシューターを撃って攻撃する。

 オオデンチナマズの動きは鈍かったので、

 マールは全ての攻撃をかわしてブキで相手を塗った後、パブロを振ってとどめを刺した。

 

「……これで、大丈夫だよね?」

「あっ、電力供給システムが……!」

 オオデンチナマズのスピリッツを解放すると、電力供給システムから電気が送られる。

 それは、電力プラントがキーラの魔の手から解放された証であった。

「今すぐに外に出よう!」

「ああ!」

 一行は、もう用がなくなった電力プラントを後にするのであった。

 

「わあ……!」

 電力プラントを解放したおかげで、各地にあるゲートの赤いランプが点灯し、

 閉じていたゲートが次々と開いていった。

「これでこの世界にまた活気が戻ったな」

「電気がなければガスも水も出ない、イイ時代になったものだぜ」

「いや、火は火打ち石を使えば出るんだが」

「世界が違えば差も出るのですね」

 アルトリアはピカチュウとリンクのやり取りを聞いてそう呟いた。

 とにかく、閉じたゲートが全て開いたため、

 まだ行っていないところがあるかをアルトリアはシャドウに聞いた。

「確かソレイユとリュンヌを解放した街に、まだファイターが残っているそうだ。

 そこはあのゲートで塞がれていたが、今なら救出できるはずだ」

「君の口からそんな言葉が出るなんて珍しい」

「僕も成長するんだぞ……」

 はぁ、と溜息をつくシャドウ。

 何はともあれ、これで街に残っていたファイターを救出できる。

 一行はシャドウのカオスコントロールで街に戻り、

 先程まで通れなかったゲートを通り抜けていった。

 すると、台座に若いボクサーが縛られ、その隣には褐色の肌のボクサーがいた。

 17歳の少年ボクサーリトル・マックと、眠りの妖精の名を冠するボクサー、Mr.サンドマンだ。

「マック!」

「電力プラントにいたピチューに続いて、小さな体に大きなパワー、ってところだな」

 スネークは拳銃を構えてマックを縛っている鎖を撃つ。

 すると、マックとMr.サンドマンは赤い瞳をぎらつかせていきなり襲い掛かってきた。

「ウオオオオオオオオオオオ!」

「来るぞ!」

「ばうばう!」

「お前もやるのか。……行くぞ!」

 スネークとダックハントは、操られたマックとMr.サンドマンと戦った。

 

「はっ!」

 スネークはMr.サンドマンに手刀を放ち怯ませる。

 ダックはリトルマックにフェイントをかけ、ハントがリトルマックに体当たりする。

「グレネード装填、発射!」

 スネークは周りに被害が及ばないようにグレネードランチャーを放つ。

 爆発の衝撃でマックとMr.サンドマンは吹っ飛んでいった。

「ばう!」

「ウオォッ!」

「あぉーん!」

 ハントはマックに近付いて彼の右腕を狙うが、

 マックはハントの攻撃をかわしてジャブを放ちダメージを与える。

 Mr.サンドマンはスネークにストレートを放つが、

 スネークはかわして背後に回り込み麻酔銃を連射して倒した。

 その後、ダックハントがガンマンを召喚し、マックを一斉に射撃して戦闘は終わった。

 

「呆気ない最期だったな」

「わん、わんわんわん……」

 「いや、まだ死んでないし」とハントが鳴くと、マックがゆっくりと起き上がった。

 キーラの呪縛から解放されたため、彼の眼は元の黒に戻っていた。

「ん……オレは一体……」

「正気に戻ったか、マック。お前は悪い夢を見ていたんだ」

「……悪い夢……。そうか、あれは夢だったんだな」

 マックは年相応の少年らしく、素直に納得した。

「ありがとう、みんな」

「あれ……おにいちゃん、だれでちゅか?」

「そうか、『おにいちゃん』か。オレはボクサーのリトル・マックだ」

 ピチューはマックの事を知らないので、マックは彼らに自己紹介をした。

「ぴちゅはぴちゅでちゅ!」

「ボクはランスだよ!」

「オレはジュカインだ」

 ピチュー、ランス、ジュカインなど、彼を見た事がない人物は自身の名前を名乗る。

 一応、スネークとシャドウはアシストフィギュア時代から

 マックを知っていたので、ここでは名前を名乗らなかった。

「……ありがとう、みんな。ところで、話は変わるが、一体何が起こっているんだ?

 世界が荒れ放題になっているが……」

「ああ、実はな……」

 スネークはマックにこれまでの事情を話した。

 

「……というわけだ」

「つまり、この世界が荒れたのはキーラのせいというわけか。

 くそっ、正々堂々と勝負したかったのに……!」

 マックは歯ぎしりを立てて右手を握りしめる。

「失うものがないものは、倫理観もない。それが現実だ」

「シャドウ……」

「だから、僕はそんな奴にこう言おう。自らが犯した罪に一生苦しみ続けるがいい、と」

 シャドウは厳しい事を言うが、これが現実である事はマックにも伝わった。

 マックは頷き、立ち上がって凛々しい表情で一行にこう言った。

「これ以上、あいつが勝負を邪魔しないように、オレも一緒に連れて行ってくれ。

 ……絶対にあいつは許さないが、怒りをぶつけるのはあいつと戦う時だけでいい。

 だから、オレもお前らと一緒に、あいつから全てを取り戻す!」

「分かったぜ、マック。……一緒に、行こう」

「ああ!」

 マックとマリオは共に拳をぶつけ合った。

 こうしてピチューに続きまた一人、キーラの呪縛からファイターを解放した。

 キーラはその様子を空から見上げていて、悔しそうに震えていた。




~ベルのスピリッツ名鑑~

ビクティニ
出身世界:ゲフリアース
性別:不明
イッシュ地方の幻のポケモンでしょうりポケモン。
エスパー・ほのおタイプで特性はしょうりのほし。
ポケモン初の、図鑑番号が御三家よりも前にある幻のポケモン。
ビクティニが無限に生み出すエネルギーを分け与えてもらうと、全身にパワーが溢れ出す。

オオデンチナマズ
出身世界:未来の地球
性別:不明
御年100歳の巨大なナマズ。
インクリング達が暮らすハイカラシティやハイカラスクエアの主な電力源となっている。
しかしその割にはオクタリアンによく攫われる……いや、だからこそよく攫われるのだ。

Mr.サンドマン
出身世界:地球
性別:男性
アメリカ出身、ボクシングの元世界チャンピオン。
繰り出す三連続のアッパーカットは非常に強力。
「眠りの砂の妖精」の名に相応しく、
彼にとって相手を倒す事は「寝かしつける」事であるという。


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37 ~ キノコの谷

正直「彼」だけだと寂しかったので、DLCキャラがここで初めて登場します。
毒キノコ耐性は、流石の大食い組にもないかな?


 電力プラントでピチュー、街でマックを解放した一行は、安全な場所で休憩を取っていた。

 リンクは周りにいた魔物を使って料理を作り、それを一行に振る舞っていた。

「美味いな、この料理」

「リンクから継いだからな」

 今のリンクは利き手や性格こそ異なるものの、記憶や能力は受け継がれている。

 スマブラメンバーはそれを承知した上で、リンクと付き合っているのだ。

「もう少しまともな料理が欲しかったんだが」

「すまないな、魔物を食材に使ってしまって」

「でもこれ、とっても美味しいよ!」

「何杯でも食べられますよ~」

「もっと食べたいヨ!」

 カービィ、ヨッシー、パックマンの大食い組には魔物料理は好評だったようだ。

 リンクは「ははは」と苦笑いしながら、残っている材料を料理に使うのだった。

 

「ごちそうさま」

 リンクの魔物料理を食べ終わった後、食器を洗って片付ける。

 その後、ベルは立ち上がってスピリッツを感知する体勢に入る。

「次も目的地……あっちね」

 ベルは、キノコがたくさん茂っている場所を赤い瞳でじっと見つめていた。

「お、キノコがたくさんあるじゃないか」

「そこに、三体のファイターを確認したわ。動物と宇宙人みたいだけど……行ってみる?」

「当然だ! そいつもキーラに操られてるなら、とっとと助けないとな!」

 マリオは迷わず、ベルの意見に賛成する。

 他のファイター達も頷き、一行の次の目的地はキノコの谷に決まるのだった。

 

「うぉぉ~! キノコがいっぱいある~! これ、全部食えるのか?」

「毒キノコもあるよ?」

 ハリマロン、ライン、ブル、ブリトニーを解放しながら、一行はキノコの谷を探索する。

 マリオは、キノコの谷に生えているたくさんのキノコを見て騒いでいた。

「でも、毒キノコで料理は作りたいな。仮に毒があってもカービィなら平気だろう」

「やだよ、毒キノコ食べたくない!」

 カービィはマリエルという不味い敵を思い出し、毒キノコを食べるのを拒否した。

「いや、冗談だ」

「今のリン兄が言うと冗談に聞こえないよ……」

 

 道中でキーラの呪縛を受けた野良スピリッツが一行に襲いかかるが、

 スマブラ四天王の活躍により皆、退ける事ができた。

「流石はスマブラ四天王、動きに無駄がないな」

「へへっ、ありがとよ!」

「わーい!」

「「ふっ」」

 不敵に笑うリンクとピカチュウ、素直に喜ぶマリオとカービィ。

 性格も多種多様だがその力と絆はとても強いのだ。

 

「見つけたわ!」

 そして、ベルがキノコの上を歩いて行くと、オリマーと熊と鳥が縛られている台座を発見した。

 しかし、台座に行くためのキノコは小さく、とても全員が乗れるものではない。

 どうすればいいかとベルが考えていると、

 スピリッツボールからナチュレのスピリッツが出てきた。

「あ、ナチュちゃん!」

「じゃから妾はナチュレじゃ!

 ……コホン。キノコを成長させる事など、自然王である妾には造作など無い。ゆけい!」

 ナチュレが杖を振ると、小さかったキノコがみるみるうちに大きくなり、

 皆が通れる大きさになった。

 彼女は役目を果たすとすぐにスピリッツボールの中に戻っていった。

「ありがとね、ナチュちゃん!」

 カービィはスピリッツボールのナチュレに笑顔でお礼を言った。

 

「さて、ファイターは誰がいるのかしら?」

「行こう、行こう!」

 一行が大きくなったキノコを渡ると、ファイターが捕まった台座の前に辿り着いた。

 ベルは歯をくいしばった後、光の鎖目掛けて大鎌を振りかざし、光の鎖を切り裂いた。

 鎖から解放されたファイターが赤い瞳をぎらつかせて襲いかかってくる。

 一人はホコタテ星人のオリマー、

 一頭と一羽はかつてドンキー達の世界にいたバンジョーとカズーイだった。

 敵に回ってしまったかつての友を見て、ドンキーは歯を食いしばり握り拳を作る。

「バンジョー、カズーイ……操られていて苦しいだろう。今、オレが助けてやるからな」

「来るわよ!」

「うん!」

「かかってこい!」

 カービィ、ベル、マック、フォックス、スネーク、ドンキーは、

 三人の操られたファイターに戦いを挑むのだった。

 

「おりゃあっ!」

 ドンキーは腕をぶん回すが、オリマー、バンジョー、カズーイは攻撃を楽々と回避する。

 オリマーはピクミン達に指示を出し、六人の動きを制限する。

「きゃ! 何するのよ!」

「キーラサマニサカラウモノハコロス……」

 ベルはまとわりつくピクミンを払いのけ、オリマーを大鎌で切りつける。

 バンジョーはマックに殴りかかるが、マックは攻撃をかわし、ボディブローを叩き込む。

 スネークはオリマーに麻酔銃を撃って眠らせ、無防備にする。

「バンジョー、カズーイ! オレが分からないのか!? 目を覚ませ!」

 ドンキーはバンジョーとカズーイに呼びかけながら連続で殴る。

 だがバンジョーとカズーイは怯まず、ドンキーに突っ込んでいき彼を吹っ飛ばした。

「マケタラキーラサマニケサレルカラ、ボクタチハゼッタイニマケナイ」

「馬鹿な事はやめるんだ!」

「アンタガバカナクセニ……」

 カズーイはマックに爆弾を投げつけ、爆発の衝撃でマックは目が眩んだ。

「くそ! 道具を使うのは卑怯だぞ!」

「やめたげてよお!」

 カービィはハンマーを振り回してバンジョーとカズーイ、オリマーを薙ぎ倒す。

 オリマーは立ち上がって紫ピクミンをカービィに投げる。

「あいたたた、いたたた!」

「……ケシサッテヤル」

「させん」

 スネークはオリマーの背後に回り込んで彼を持ち上げ、地面に叩きつける。

 そこにフォックスがブラスターを連射してオリマーの体力を削った後、

 フォックスがとどめに回し蹴りを放ってオリマーを倒した。

 

「よし、やった!」

「後はバンジョーとカズーイだけだな。待ってろよ、今光の中から出してやるからな」

 バンジョーとカズーイをよく知っているドンキーは一刻も早く彼らを助けたいと思い、

 一頭と一羽に突っ込んでいった。

「援護するよ! ファイナルカッター!」

「はぁぁぁぁっ!」

 カービィはカッターを飛ばしてバンジョーとカズーイを同時に切り裂く。

 フォックスはリフレクターでカズーイの卵爆弾を防御しつつ、

 ブラスターで遠くから安全に攻撃する。

「ドンキー、俺達を信じろ。あの熊と鳥は必ずキーラから取り返せる」

「ああ、分かってるぜフォックス」

 動物同士互いに応援し合うドンキーとフォックス。

 バンジョーとカズーイは赤い瞳でぎろりと一頭と一匹を睨みつけた。

「キサマラ!」

「イキテカエレルトオモワナイデネ!」

「ふっ!」

 ベルは突っ込んできたバンジョーとカズーイの前に魔法陣を設置する。

 バンジョーが魔法陣を踏むと、闇の棘がバンジョーとカズーイを貫いた。

「ギャアアアアアア!」

「どう? 私の闇魔法は。光に堕ちているあんた達には痛いわよ?」

「キ……」

「キッサマァァァァァァァァァ!!」

「よっと!」

 ベルはバンジョーとカズーイの攻撃をかわし、背後に回り込んで大鎌で切り裂く。

「そーれ!」

「ウ……」

「グ……」

 カービィはストーンに変身してバンジョーとカズーイを押し潰す。

 彼らの猛攻により、一頭と一羽の体力は残り僅かになっていた。

 ドンキーはそれを見逃さず、ぐるぐると腕を回して力を溜める。

「バンジョー……カズーイ……オレの目を……見ろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

「ウワアアアアアアアアア!」

「キャアアアアアアアアア!」

 ドンキーの、渾身の力を込めたジャイアントパンチがバンジョーに命中すると、

 爽快な音と共にバンジョーとカズーイは遠くに吹っ飛ばされるのだった。

 

「う、う~ん……」

「ここは、どこ?」

「私は一体何をしていたのだ……」

 戦闘が終わり、オリマー、バンジョー、カズーイはキーラの呪縛から解放され、正気に戻った。

 ドンキーはすぐにバンジョーとカズーイに駆け寄り、彼らの顔にそっと腕を当てた。

「大丈夫だったか? バンジョー、カズーイ」

「ボクは……ちょっと疲れちゃったかな」

「あたいも勝手に身体を動かされてくたくたになっちゃったわ」

「でも、お前達が無事でよかったぜ。本当に……!」

 離れ離れになった旧友との再会に、ドンキーは心から喜んだ。

 そんなドンキー、バンジョー、カズーイの様子を見たオリマーがベルに声をかける。

「あの二頭と一羽は仲が良いのか?」

「ええ、かつては同じ世界にいたのよ。でも、ある事情で離ればなれになっちゃって……。

 だけど、今、ここで再会したのよ」

「互いに忘れていないほど、友情は厚いようだな」

「そうね……友情っていうのは、誰にも切り離せないものだわね……」

 

 戦いを終えてしばらくした後、

 オリマー、バンジョー、カズーイは改めて一行に自己紹介をした。

「私の名前はキャプテン・オリマー、ホコタテ運送で働いているホコタテ星人だ」

「ボクはバンジョー、こっちは相棒の」

「カズーイよ! よろしくねっ♪」

「「「よろしく(お願いします)」」」

 

 こうして、宇宙を旅する一寸の男と、種族と性別の差を超えた一頭と一羽の友情を、

 ファイター達は救ったのだった。




~ベルのスピリッツ名鑑~

ハリマロン
出身世界:ゲフリアース
性別:♂♀両方存在するが♀はかなり少ない
カロス地方の御三家の一匹で、いがぐりポケモン。
くさタイプで、特性はしんりょく、隠れ特性はぼうだん。
普段柔らかい頭のトゲは、力を込めると鋭く尖り、岩をも貫くほど固くなる。

ライン
出身世界:ゼノワールド・並列世界3
性別:男性
シュルクとフィオルンの幼馴染の青年。
明るい性格で、考えるより先に行動するタイプ。
戦闘ではバンカーを使って味方の盾となる。

ブル
出身世界:キノコワールド
性別:♂
アメフト選手のような格好をした亀族。
主にタックルして攻撃する。はっきりいってや~なヤツだぞ。

ブリトニー
出身世界:とある星
性別:女性
コッパイ星を代表する植物学者の女性。
しっかり者で、ちょっと食いしん坊なところも。


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38 ~ 魔弾の射手・ストーム

原作ではアシュリーのスピリッツがいるところに、オリカビを入れました。
理由は、pixiv版で脇役として出ているし、
まともに弓を使うキャラがいそうでいなかったので。


 オリマー、バンジョー、カズーイを解放した一行は、

 キノコの谷でゆっくりと身体を休ませていた。

 バンジョーは、カズーイが採取した安全なキノコを食べていた。

「このキノコ、美味しいでしょ?」

「うん、美味いね。でも、カズーイ、毒は無い?」

「ちゃんと安全なキノコを採ってきたわよ!」

 あたいを疑ってる気? と鳴くカズーイ。

「いや、念のため聞いただけだよ」

「お~い、みんな、俺がキノコを使って料理を作ってやるからちょっと待ってよ~!」

 リンクは既に調理道具を用意していた。

 どうやらキノコを使って料理を作るつもりらしい。

「リンクさん、また料理を作るんですか~?」

「ああ、お前達には特にたくさん作ってやるからな。腹が減ったら戦はできないからな」

「「「は~い!」」」

 ヨッシー、カービィ、パックマンの大食い組と、

 りょう、ランス、ピチューの子供組が喜ぶ顔を見て、リンクも釣られて微笑むのだった。

 

「「「ごちそうさま」」」

 リンクのキノコ料理を食べ終わり、食器を洗って片付けた後、一行はキノコの谷を後にした。

 次に一行が行った場所は、山岳地帯だった。

 ここにもキーラに操られたスピリッツがたくさんいて、一行の行く手を阻んでいた。

 しかし、世界を救うためにも、歩みを止めない。

 

「ケケケケケ……」

「幽霊め、消え失せなさい!」

「ギャアー!」

 ベルはゲンガーを大鎌で切り伏せてスピリッツを解放する。

 

「ファイアボール!」

「カオススピア!」

 マリオとシャドウが飛び道具でみしらぬネコのスピリッツを解放する。

 

「ワドスピアスロー!」

「行けっ、赤ピクミン!」

 ランスが槍、オリマーがピクミンを巧みに操りもんばんさんのスピリッツを解放する。

 

「ドラゴンキラー!」

「くく……良い……良いぞ、実に良い! もっと……もっとだ……!

 この至上の時は、まだ……まだ……」

 マルスのファルシオンがアシュナードを貫き、彼のスピリッツを解放する。

 

「こんなものかな」

 マルスが辺りを見渡してみる。

 山岳地帯に、キーラに操られたスピリッツはほとんどいなくなった。

「ええ、粗方終わったわね……あら?」

「どーしたの、ベルベル?」

「ちょっとあれ、見て」

 ベルは山岳地帯の西側を指差す。

 カービィが彼女の指差した方を向くと、

 そこには弓を持った緑のバタモンが光の鎖で縛られていた。

 アリティア王子と共に戦った弓兵、フェレ公子の乳兄弟の弓兵、

 家族を探している弓を使う村娘と似た色合いだが、纏う雰囲気は彼らより荘厳だった。

「誰だろう? ねえ、聞こえる?」

 カービィが緑のバタモンに声をかけるが、バタモンは全く反応しない。

 それどころか、台座の下からバタモンの身体が次々と生成されていく。

「カービィ、このまま放っておいたらこのバタモンの身体でまたスピリッツが襲ってくるぜ?」

「あ、助けなきゃ! えいっ!」

 カービィが緑のバタモンに触れると、光の鎖は砕け散り、束縛から解放される。

 すると、バタモンは弓に矢を番え、いきなりカービィに向かって矢を放った。

「わっ! 何するんだよ!」

 カービィが驚いてその矢を避けるが、矢は地面に刺さり、しばらくすると光となって消滅した。

「キーラサマニサカラウモノ……コロス……」

 バタモンは弓を構え、今にも一行に射かけんとしていた。

「こいつもキーラに操られてるのか!」

「そうみたいだね」

 マルスは冷静に相手の様子を見ながら、ファルシオンを抜刀する構えに入る。

「ぼ、僕だって……やるんだから!」

 カービィはちょっと震えながらも、バタモンをキーラの呪縛から解放するべく、迎え撃つ。

「守るべきものを守るために、私も戦おう」

「健康第一、参ります!」

「ま、とりあえず、俺がやらねーとな」

「いっくよー、みんな!」

 続いて、ソレイユとオリマーが彼らに続き戦闘態勢を取った。

 柊蓮司も魔剣を抜き、りょうも彼に続いてバタモンと戦う準備をした。

 そしてバタモンが赤い瞳を光らせて襲い掛かった。

 

「えいっ!」

 カービィはバタモンを蹴ろうとするが、バタモンは攻撃をかわし、

 六本の矢を番えて天に向かって射る。

「な、何をしたの?」

「油断するな、攻撃はいつ来るか分からないぜ」

 柊蓮司はバタモンの矢をかわしつつ、魔剣を振って斬りつける。

 オリマーはピクミンをバタモンに投げつけてバタモンの動きを止めていく。

「シネ……」

「うわぁぁぁぁぁ!」

「きゃぁぁぁぁぁ!」

 柊蓮司、カービィ、りょう、マルス、ソレイユの身体に先程バタモンが放った矢が刺さる。

 オリマーは紫ピクミンが守ってくれたためダメージはなかったが、

 代わりにピクミンが全員死んでしまった。

「まったく……三匹のピクミンを一度に倒すとは、どんな原生生物だ?

 いや、そもそも原生生物でもないか」

「オリマー、感心してる場合じゃないよ!」

「そうだな!」

 オリマーは黄ピクミンを投げてバタモンを攻撃し、

 マルスがマーベラスコンビネーションで追撃する。

 ソレイユは飛びかかったが、バタモンには当たらなかった。

「そら!」

 柊蓮司は魔剣から剣圧を発して、バタモンを射程に捉える。

 バタモンはシールドを張って魔法の矢を防いだ。

「元に戻ってよ!」

 カービィはバタモンに突っ込んで彼を掴み、スープレックスで投げ飛ばす。

 即座に柊蓮司が斬りかかるが、バタモンはぎたいで彼の攻撃を防ぐ。

「ねえってば! ねえ! 僕の声が聞こえる!?」

「キーラサマノジャマヲスルキカ」

「うわぁ!!」

 バタモンを正気に戻すべく、カービィはバタモンに呼びかけるが、バタモンは全く反応しない。

 それどころか、バタモンはやぎりのスラッシュでカービィに斬りかかってきた。

 柊蓮司は歯ぎしりを立て魔剣を構え直す。

「キーラに操られている以上、いくら呼びかけても無駄みたいだな。おらぁ!」

 柊蓮司は魔剣に大地の魔力を宿して、バタモンに至近距離から攻撃を仕掛ける。

 それはバタモンに対して絶大な威力を発揮し、彼の体力を大幅に削る事に成功した。

「よっしゃ!」

「これでとどめだ、行けっ!!」

「グアァァァァァァァァァァァァァ!!」

 そして、オリマーが紫ピクミンをぶつけると、バタモンは吹っ飛び、戦闘は終わった。

 

「これで大丈夫だよ」

 ドクターが瀕死になっているバタモンの治療を終わらせると、彼はゆっくりと身体を起こした。

 バタモンの瞳は緑色で、カービィ達と戦っていた時の殺意は見られない。

「ん……ここはどこだ? 僕は何をしていたんだ?」

「実はかくかくしかじかで……」

 バタモンはカービィ達と戦った記憶は無いようだ。

 マルスは分かりやすいようにバタモンに説明する。

 

「なるほど……つまり、光の化身キーラとやらが僕をこんな目に遭わせたんだな」

 バタモンは自分が利用されたと知り、不快な表情になる。

 一行は彼の名前を知らなかったため、カービィはバタモンに名前を聞いてみた。

「ねえ、君は誰なの?」

「僕の名前はストーム。特A級のARTS使いだよ」

「と、特A級!!?」

 特A級――それは、一般的に最強と言われているA級をさらに上回る、

 世界最強のARTS使いの事だ。

 なるための条件は非常に厳しく、このランクのARTS使いは、

 公式にはストームの他にマリオとメタナイトしかいないのだ。

「俺と同じランクのARTS使いがここにいるなんて、信じられないぜ」

「もし敵が来たら、この矢と竜巻で吹き飛ばしてやるさ」

「は、ははは」

「いい仲間が手に入ったわね」

 不敵な笑みを浮かべるストームに、マリオは苦笑する。

 ベルも、心強い仲間が増えた事を喜んだ。

 

「じゃあ、スト君……これから一緒に、キーラから全部取り返そう!」

「……僕にはストームという名前があるがね」

 ストームはカービィに突っ込みを入れつつ、彼が差し出した手を握った。

 こうして、魔弾の射手・ストームが、スマッシュブラザーズの新たな仲間に加わるのだった。




~ベルのスピリッツ名鑑~

ゲンガー
出身世界:ゲフリアース
性別:♂♀両方存在する
ゴーストを通信交換すると進化する、シャドーポケモン。
ゴースト・どくタイプで、特性はかつてはふゆうだったが、今はのろわれボディ。
山で遭難した時に、命を奪いに暗闇から現れる事があるという。

みしらぬネコ
出身世界:どうぶつの森
性別:男性
あなたが汽車の中で出会う変わった猫。
たぬきちの旧友で、好きな言葉は「猫に鰹節」。

もんばんさん
出身世界:どうぶつの森
性別:男性
一日中、村の門を見張っている犬の門番さん。
頼りになる方と、ちょっと頼りない方がいる。

アシュナード
出身世界:戦記の世界
性別:男性
デイン王国の国王で「狂王」と呼ばれている。
18年前に自身以外の王族を虐殺し、国王となった。
力こそ全て、という実力主義者。


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39 ~ タツマイリに住む少年

リュカって結構数奇なキャラでしたよね。
DXで出る予定だったけど紆余曲折あって結局参戦せず、Xでネスと共演、
Forでは一度は脱落したけどDLCで復活……と。


 ストームを助けた一行は、キーラの目が届かない安全な場所でゆっくりと身体を休ませていた。

「なるほど……君が使うのはそういうタイプの武器なんだね」

「そういうタイプとは……銃を知らないのか?」

「ああ、僕の元いた世界には無かったよ」

「シャドウの銃は重たいけどとってもかっこいいよ! 私が初めて見た時はちょっと驚いたよ」

 ストーム、シャドウ、マールは、射撃武器(マールは「ブキ」)を使う者同士、

 という事である意味親近感を抱いた。

「矢にトルネイドの竜巻を纏わせ、矢の速度と威力を上げて……」

「この拳銃と機関銃は僕の手に合ってな、戦いが終わるまでは手放せなくなった」

「私が愛用するブキのわかばシューターは、サポートが得意で、誰もが持ってるんだよ」

 武器(ブキ)関連で三人の話は一気に盛り上がる。

 周りの姿や声がほとんど目に入らないほど、彼らは武器(ブキ)の話題で熱くなっていた。

「よし、試し撃ちするか」

「やるぞー!」

「いくよ」

 そして、ストームが弓、シャドウが拳銃、マールがわかばシューターを構え、

 試し撃ちをしようとしたその時――

 

「やめろーーーーーーーーっ!!」

 柊蓮司の叫び声が聞こえてきて、ストーム達は一斉に彼の方を向いた。

 もちろん、それぞれの武器(ブキ)を構えながら。

「いや、その武器、しまってくれ」

 柊蓮司がツッコミを入れると、三人はすぐに武器(ブキ)をしまうのだった。

 

「こんな笑えない時なのに、笑わせてくれてありがとよ」

 ははは、とドンキーコングが笑っている。

 今はキーラのほとんどに戦力を奪われており、とても笑えるような状況ではない。

 が、ストーム、シャドウ、マールのやり取りはドンキーに笑いを与えてくれたようだ。

「「真面目にやったつもりだが」」

「なんで笑ったのかな?」

 ストーム、シャドウ、マールは呆れていた。

 しかし、笑いによってスマッシュブラザーズの緊張は一気にほぐれた。

「ありがとよ。おかげで、リラックスできたぜ。さ、みんなで仲間を探すぞ」

「……ああ!」

 

 一行は、山岳地帯にいる残ったファイターを解放しに向かった。

 ストームの次に見つけたファイターは、タツマイリに住む金髪の少年、リュカ。

 彼には、ドンキー、バンジョー、カズーイ、シャドウ、アイシャで立ち向かった。

「リュカ、ボク達を信じてね」

 

「はっ!」

 シャドウが拳銃から放った弾丸が、吸い込まれるようにリュカの腹部を撃ち抜く。

「おらぁ!」

「そぉれ!」

「……」

 リュカはバンジョーとカズーイの攻撃をかわし、ドンキーをPKフラッシュで惑わす。

「うおっ! 眩しっ!」

「コレガキーラサマノヒカリダ……マブシイダロウ……」

「ああ、眩しいぜ。だが、それがどうした? オレのパワーは眩しさになんか負けないぜ!

 おりゃぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 ドンキーはジャイアントパンチをリュカに食らわせる。

 しかし、リュカは痛くも痒くもない表情をした。

「なっ!? オレのパンチが効かない!?」

「オマエノチカラハ……ボクニハキカナイ」

「ふざけやがって……うぐっ!?」

 ドンキーが再び殴ろうとすると、彼の身体から力が抜ける感覚がする。

「なんで、力が出ないんだ……!?」

「コノPKフラッシュハ……アイテカラチカラヲウバウノサ」

「何、だと……!?」

 ドンキーはふらつきながらもゆっくり起き上がる。

 しかし、確実に立つ力は減ってきていた。

「ドンキーに何をするんだよ!」

 バンジョーはパンチで攻撃するが、リュカはシールドで攻撃を防ぎ、PKサンダーで反撃する。

 その攻撃をアイシャが代わりに受け、彼女は皿を投げつけてリュカを攻撃した。

「あまり攻撃は得意ではありませんが、リュカさんを助けるためならこれくらい……」

 シャドウは再び、拳銃でリュカを撃つ。

 攻撃を食らったリュカは、PKサンダーでドンキー達を痺れさせた。

「ぐっ……!」

「動けない……」

「コレデ……トドメダ。PKスター……」

 リュカが強力なPSIを発動させようとした時、

 唯一動けるカズーイがリュカの方に飛んでいき、嘴で彼を攻撃した。

 頭をつつかれたリュカは集中力が途切れ、PSIを発動できずに終わる。

「うぐっ!?」

「バンジョーもドンキーも動けないけど、あたいまでは止められなかったみたいね!」

「カズーイ、よくやった!」

 相棒の活躍を褒めるバンジョーに、カズーイはへへへと照れる。

 彼女はすぐに真剣な表情に戻り、再びリュカに突っ込んでいく。

 リュカはPSIで反撃しようとするが、カズーイに頭をつつかれたため上手く発動できなかった。

「これで、とどめよ!」

 そして、カズーイがリュカを掴むと、彼を地面に叩きつけ、戦闘不能にする。

 こうして、リュカとの戦いは、終わるのだった。

 

「……ボクは一体、何をしてたの……?」

 正気に戻ったリュカは、他の助けたファイター同様、

 キーラに操られていた記憶は無くなっていた。

 しかし、傷はしっかり残っており、リュカが操られてドンキー達と戦ったという事実は残った。

「大丈夫でしたか、リュカさん? 今、わたしが治しますわ」

 アイシャは治癒の力を使い、戦いで傷ついたリュカを治療する。

「……身体の痛みが消えてる……キミが治したの?」

「ええ。もう大丈夫ですわよ」

 起き上がったリュカにニッコリと微笑むアイシャ。

「ところで、あなたはどうしてこちらにいらっしゃいましたの?」

「あ、実はネス君と一緒に光から逃げたんだ。

 でも、光だから凄く速くて……ネス君も、ボクも……」

 リュカは落ち込みながらアイシャ達に事情を話す。

 アイシャは「なるほど」と頷いた。

「それで、ネスさんは一体どこにいったんですの?」

「それは覚えてないから分からないよ。だけど」

「確実に無事ではなさそうですわね」

 ネスもキーラに操られた被害者だ。

 今もなお、母体をキーラに利用されている……そう思ったリュカは身体が震え出した。

「でも、大丈夫だよ。ボク達が必ず、みんなを助けてあげるから」

「くよくよしないで! あんたの元気がなかったら、あたいらも元気じゃなくなるわよ!」

 バンジョーとカズーイが落ち込むリュカを元気づける。

 確かにこんな調子では、スマッシュブラザーズを助けるための気力が足りなくなる。

 立ち止まってはいられない、とリュカは立ち上がった。

「ありがとう、熊さん、鳥さん。キミ達のおかげでボク、元気になったよ」

「あ、名前を言い忘れちゃったね。ボクはバンジョーだよ」

「あたいはカズーイよ、よろしくね」

「よろしくお願いします、バンジョーさん、カズーイさん!」

 そう言って、リュカはバンジョーの腕を右手で、カズーイの羽を左手で握った。

 ちなみにバンジョーとカズーイは、後で「呼び捨てでいいんだけど」とリュカに言った。

 こうして、スマッシュブラザーズは、光の鎖からリュカを解き放つのだった。




射撃武器使い組をちょっと暴走させてみました。


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40 ~ ほんわかアシスタント

まさか彼女がファイターになるとは思わなかったなぁ。
まぁ、スマブラには華も必要だし、ね?


「さて、残ったファイターは……」

 ベルは、魂を感知する能力を使って捕まっているファイターを察知した。

 彼女の頭の中に、ファイターの情報が入っていく。

「金髪……女……獣人……釣り竿……」

 ベルはファイターの特徴をぶつぶつと呟く。

 りょうはそれを聞いて、何となくだが捕まっているファイターの正体を推測する。

「もしかして、そのファイターって……」

 

「……はっ!」

 精神集中を終えたベルは意識を取り戻す。

「ベルベル! ファイターが分かったの!?」

「ええ。釣り竿を持った、金髪の女の獣人がここから遠くに捕まっているわ。

 でも、ここからじゃ遠いし、何より山が邪魔しているし……」

 このままでは、ファイターの下に辿り着く事ができない。

 ベル達が困っていると、スピリッツボールの中から

 うんてんしゅのスピリッツが飛び出してきた。

『おめぇら、困ってらが?』

「か、じゃなくてうんてんしゅさん!」

『山が邪魔だら、オラのバスさ是非乗ってくんろ。安心するだ、ゆったりのんびりだべ』

「ありがとう。でも、全員乗れるのかしら?」

「これで空間を広げればいい」

 ベルの疑問に対しては、シャドウがカオスエメラルドを取り出す事で解決した。

 

『んだ、出発進行だ~!』

「きゅうりの糠漬け~!」

 こうして、スマッシュブラザーズはかっぺい、もというんてんしゅが運転するバスに乗り、

 ファイターがいる場所に向かうのだった。

「ちょっとバスが揺れているね」

『だがら、ゆったりのんびりだべ。そごまで心配する必要はねぇ。

 このバスには敵は来ねーがらな』

 カービィ、ランス、リュカなどの子供組は、ワイワイと楽しそうに窓を見ている。

 うんてんしゅは話しかけられながらもしっかりと集中してバスを運転している。

「……」

「相変わらず無口だね、シャドウは」

 マールは、何も喋らないシャドウをじっと見つめている。

 一方、りょうはファイターが誰なのかを想像していた。

(僕が知ってる女の獣人は、彼女しかいないな。

 いや、どうぶつって言った方がいいのかな……? 十中八九彼女しかいないと思うけど……)

 

『ほい、着いたべよ』

「ありがとうございます!」

 こうして、うんてんしゅの力を借りて、

 スマッシュブラザーズはファイターが捕まっている場所に辿り着いた。

「あっ、いたよ~ベルベル!」

「一体、どんなファイターかしら……あっ!」

 一行が奥に進むと、黄色い体色をしたシーズーの女性が光の鎖で束縛されていた。

 ベルが感知した特徴と、全く同じだった。

 その女性は、りょうに見覚えがある人物だった。

 

「しずえ……!」

 そう、彼女はりょうの秘書、しずえだったのだ。

 彼女の穏やかな表情は成りを潜めており、一行を殺意がこもった赤い瞳で睨みつけていた。

「キーラサマニサカラウナラバ、アナタタチヲケシサリマス」

「……まずは鎖から解放するぞ」

 そう言って、リンクはしずえを拘束している光の鎖をマスターソードで切り裂く。

 解放されたしずえは、釣り竿を構えて一行に襲い掛かってきた。

「来るぞ!」

「ええ、行くわよ、みんな!」

「おうっ!」

「待っててね、しずえ……必ず、僕が助けるよ!」

 ベル、りょう、リンク、ファルコン、ドクター、ロックマンは、

 操られたしずえを助けるため、彼女と戦った。

 

「せいっ!」

 リンクはマスターソードを抜き、しずえを斬りつける。

 しずえはりょうにフェイントをかけ、惑わせる。

 その間に、しずえを覆う光がドクターを打ち据えてダメージを与えた。

「あいたたた……やるじゃないか、しずえ君」

「フフフフフ……」

 しずえは傘をロックマンに向けて振り下ろす。

 攻撃はロックマンにギリギリで当たり、ロックマンは軽く仰け反る。

「ファルコンキック!」

 ファルコンは屈んでしずえを炎を纏った蹴りをぶちかます。

 ロックマンはファルコンに続いて溜めたロックバスターを放ち、追撃した。

 

「今のしずえ君の攻撃は見た目以上に強力みたいだ。みんな、気を引き締めていくよ」

「うん……!」

 りょうは気を引き締めて、キーラに操られたしずえに向き直った。

 しずえは赤い瞳で、支援するはずのりょうを睨みつけていた。

 

「ファルコン……パンチ!」

「ブーメラン!」

 ファルコンの渾身の一撃を、しずえはシールドを張り攻撃をシールドブレイクギリギリで防ぐ。

 リンクはしずえにブーメランを投げるが、彼女はシールドを解除し緊急回避でかわす。

「ぐあっ!」

 さらに、彼女を包む光のオーラがリンクとファルコンに反撃した。

「随分強い光ね……でも、私の闇には敵わないわよ!」

「キャアァァァ!」

 ベルはしずえに近づき、大鎌で彼女を一閃した。

「凄いね、ベル」

「まだまだよ!」

 続いてベルは大鎌から闇の双刃を放ち、しずえを包む光のオーラを切り裂いた。

「アア、アアアア」

「! 元に戻るんだ!」

 慌てふためくしずえに、りょうは頭上からボウリングの球を落とした。

 ボウリングの球に潰されたしずえは、しばらく動けなくなった。

「いくわよ!」

 ベルは闇の双刃をしずえに向けて放ち、続いてファルコンがしずえを肘打ちで攻撃する。

 りょうはパチンコで光のオーラが薄い部分を狙って撃つ。

「はいよっ!」

「クッ!」

「そらっ!」

 ベルの大鎌をしずえは上手くかわすが、かわした先にはリンクがいて、

 マスターソードで斬りつけられる。

 しずえは道路標識でリンクに反撃するも、リンクは盾で彼女の攻撃を防いだ。

「……」

「今だ、りょう! 彼女を解放しろ!」

「おっけー! しずえ、僕のところに戻ってこーーーーい!!」

 リンクの掛け声で、りょうは斧を構えてしずえに突っ込んでいった。

 そして、りょうの斧がしずえの光のオーラに命中すると、

 光のオーラは音を立てて砕け散り、しずえも場外に吹っ飛ばされた。

 

「しずえ……無事かなあ……」

 キーラに操られた反動で、しずえはしばらくの間、気を失っていた。

 りょうは倒れたしずえを心配の目で見ている。

 そんな彼を見たリンクは優しくりょうの肩に手を置いた。

「大丈夫だ。もう少ししたら目が覚める」

「そう、だよね。ありがとう、リンク」

 

 数分後、正気に戻ったしずえが目を開けて起き上がった。

 しずえは、きょろきょろと辺りを見渡す。

「あれ? わ、わたしは一体、何をしてたんですか? ……あ、りょうさん!」

「しずえ!」

 秘書の犬と再会したりょうが、喜びからお互いに抱きしめ合う。

「よかったぁ。ずっと離れ離れだと思いましたけど、また会えてとっても嬉しいです」

「それは僕も同じだよ。スマッシュブラザーズの絆は永遠だもんね」

「本当にありがとうございます!

 りょうさん、皆さん、これからもずっと、わたしの傍から離れないでくださいね」

「約束は守るよ、しずえ。だから、泣かないでね」

 涙目になるしずえの頭を、りょうは村長として優しく撫でた。

 人間と獣人、種族の差を超えた絆を、一行はしみじみと感じ取った。

 

 こうして、スマッシュブラザーズは、光の呪縛からしずえを解放し、

 新たな仲間に加えるのだった。




現在、私はあつ森をプレイしています。
しずえさんのリアクションが可愛いです(特に「あ!」)。


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41 ~ 氷山にて

今回は特に書く事はありません。
レトロ枠として初めて、スマブラSPでダックハントと共演した彼らが登場します。


 山岳地帯でリュカ、街でしずえを救出し、スマッシュブラザーズの戦力は徐々に増えていった。

「皆様、ボク達を助けてくれて」

「本当にありがとうございました」

 リュカとしずえはスマブラメンバーにお辞儀する。

 その様子からどちらも穏やかな性格が見て取れる。

「いいんだよ、僕は平和なご飯とお昼寝の時間を取り戻したいだけだから」

 カービィは相変わらず、マイペースな性格だ。

 こんな危険な時でありながら、自分の事を第一に考えているのは

 ある意味肝が据わっていると二人は感心する。

 ふと、ヨッシーはしずえが戦えるかどうか気になって声をかけてみた。

「あの~、しずえさ~ん。失礼ですが~、あなたは本当に戦えますか~?」

「大丈夫です! 秘書として身を護る(すべ)は身に着けてますから!」

 しずえは自信満々にそう答えた。

「……だ、そうだから平気だよ、ヨッシー」

「そうですか~、それなら安心です~。あ、それと~、次はどこに行きましょうか~?」

「そうだな……ここから西に行けば、雪山に行く事ができる。

 そこにはキーラに操られたファイターとスピリッツがいるらしいぞ」

 シャドウは鋭い直感で、西に何かがあると察した。

 しずえは頭に?マークを浮かべている。

「あの、それって本当なんですか? 行ってみないと分からないと思いますが」

「大丈夫だよ! シャド兄を信じて!」

「それに、ずっと立ち止まってるよりは歩いた方がいいだろ?」

「う~ん……。

 でもまぁ、あなたの言いたい事も分かりますし、りょうさんがそう言うなら行きましょうか」

「よし、決定ね! 西に行くわよ!」

 

「なあなあ、そこの赤帽子、聞いてくれないか?」

「赤帽子、って俺の事か?」

 一行が山岳地帯から西に行くと、緑の鰐、紫のカメレオン、

 ゴーグルをつけた蜂が困った顔でマリオに依頼する。

「どうしたんだ、鰐のおっさん」

「う~ん、俺様は『おっさん』じゃなくて、

 ベクター・ザ・クロコダイルって名前なんだけどなぁ、っていうかおっさんって言うなよ」

「自分はエスピオ・ザ・カメレオンと申す」

「ぼく、チャーミー・ビーだよー!」

 鰐、カメレオン、蜂はそれぞれ自分の名を名乗り、

 カオティクス探偵事務所の一員である事を明かす。

 ベクターはマリオに「おっさん」と呼ばれて少し傷ついたようだ(ベクターはまだ20歳)。

「ごめんよ。で、どうしたんだ?」

「見た事がない魔物が現れて、この辺に迷惑をかけているんだ」

「自分もその魔物を討伐したかったのだが、身体が勝手に動いてしまってな……」

「だから、まものをやっつけてほしいんだ!」

 ベクター、エスピオ、チャーミーは、自身が操られている事を一行に話した。

 ランスは頷くと、槍を取り出してカオティクスと魔物――ボコブリンに槍を向ける。

「報酬は……そうだな、俺様達が仲間になるぜ」

「ついでにボコブリンのスピリッツも解放するぞ。さあ、行くぜ、ランス!」

「うん!」

 マリオとランスは、カオティクスとボコブリンに戦いを挑んだ。

 

「サンキュー」

「かたじけない」

「ありがとー!」

 無事にカオティクスとボコブリンを解放し、彼らのスピリッツはスピリッツボールの中に入る。

「これで大丈夫ね。さ、雪山に行くわよ」

「ああ」

 一行が西に向かって歩いていくと、りょうが急に縮こまった。

 しずえが「どうしましたか」と声をかけると、彼は震えながらしずえに話した。

「さ、寒い……動けない……」

 よく見ると、りょうは顔面蒼白になっていた。

 恐らく、寒さにやられてしまったのだろう。

「りょうさん! 今、毛布を出しますから!」

 しずえは毛布を取り出し、りょうの身体にかける。

 しばらくすると、りょうの顔色が良くなった。

「ふう……助かったよ。ありがとう、しずえ」

「いえいえ、これも秘書のお仕事ですから」

「寒いって事は、もうすぐ氷山に着くのね。でも、このままじゃみんな凍えちゃうわ。

 どうにかして、みんなを温める方法はないかしら?」

 しずえの毛布は一人用で、全員を包むのは難しい。

 何とか全員を寒さから守ってやる方法はないのか、と考えていると、

 柊蓮司がスペルカードを取り出した。

「これは?」

「エンデュア・エレメンツという魔法が封じられたカードだぜ。

 これは異世界にある、暑さや寒さから身を守り快適に過ごす事ができる魔法だ」

 ちなみにこの魔法は、異世界から持ち出したものらしい。

「この程度の寒さなら耐えられるだろ? だが問題は、この魔法が全員に効くかどうかだ。

 これ1枚だと、足りないな……」

「なら、僕が助けてやるよ。まずはそれを使いな」

 柊蓮司はストームに言われるがまま、スクロールに書かれた呪文を唱える。

 するとストームはすぐにARTS「トルネイド」を発動し、魔法の効果を大きく広げた。

「そっか、風を使って魔法を全員にかけるのか。やるな、ストーム」

「魔法が使えるのが少ないしね」

 柊蓮司はストームを褒めるが、ストームは素っ気ない態度を取った。

 何はともあれ、これで全員にエンデュア・エレメンツがかかり、

 氷山の寒さに耐えられるようになった。

 

「着いた!」

 一行は、柊蓮司の魔法に守られながら氷山に辿り着いたが、その表情に笑顔は無かった。

 キーラ襲撃の影響で、各地の氷は溶けかけ、黒く染まった氷も見受けられる。

「氷山が汚いな……これがキーラのした事だろうか。いや、もうそれを考える必要はないな」

「そうね。まずは、こいつらを解放しましょう」

 氷山には、キーラに操られ、ファイターのボディに入れられたたくさんのスピリッツがいた。

 スピリッツは一行を見ると、瞳を鋭く光らせて襲い掛かってくる。

「ファイアボール!」

 マリオはゴロ岩マリオやフリーザーなど、キノコワールドのスピリッツを率先して解放する。

「はぁっ!」

 ルカリオは、かくとうタイプに弱いアブソルを手早く数々の格闘技で倒した。

「リーフブレード!」

「そぉ~れ! いっきますよ~!」

「ファルコン……パンチ!」

 ジュカインとヨッシーは、協力してホワイトベアとコンドルのスピリッツを解放。

 ファルコンも炎を纏ったパンチで、ゲッコウガのボディに宿ったメタルギアRAYを解放した。

「きゃぁぁぁぁぁっ!」

「早く、お兄さんに会えるといいね」

 マルスはファルシオンを振るい、ソレイユのボディに宿った速水(はやみ)あかりを解放した。

 

「後は誰が残っているのかしら。えーっと……」

 ベルは、氷山に残っているスピリッツを確認するために氷山を歩いた。

 寒さがベルを襲うが、エンデュア・エレメンツの効果で

 寒さは和らいでいるため楽に歩く事ができた。

 しばらく歩くと、ベルは台座に縛られている青い防寒具を着た少年と

 桃色の防寒具を着た少女を発見した。

「みんなー! ファイターを見つけたわよー!」

「えっ、ホント!?」

 ベルが大声でカービィに報告すると、カービィはすぐにベルがいるところに走っていった。

 彼女が見つけたファイター、それはアイスクライマーのポポとナナだった。

「ポポ、ナナ、久しぶりだな。やっぱ氷山にいたか」

 マリオは久しぶりに出会う登山家に挨拶する。

 だが、アイスクライマーはそれで反応するはずもなく。

「えいっ!」

 しずえが、アイスクライマーを縛っている光の鎖を傘で叩いて壊すと、

 アイスクライマーは赤い瞳を光らせてしずえに襲い掛かってきた。

「ウアァァァァァーッ!」

「キーラサマノテキ、コロス!」

「きゃあぁぁっ!」

「危ないっ、しずえ!」

 りょうは素早くアイスクライマーの前に立ち、

 傘を取り出してアイスクライマーのハンマーからしずえを守る。

「あ、ありがとうございます、りょうさん……」

「話は後で! 来るよ、準備はいい!?」

「ああ!」

 マリオ、カービィ、シャドウ、マルス、シーク、りょうは、

 キーラに操られたアイスクライマーを解放するべく、戦闘態勢を取った。

 

「えいっ!」

「ファイアボール!」

 カービィはアイスクライマーをキックで攻撃し、シャドウはサブマシンガンを乱射する。

 マリオは火の球を投げて牽制し、ルカリオはナナを投げ飛ばす。

「仕込針」

「マーベラス・コンビネーション!」

「グァァァァァ!」

 シークは手に仕込んだ針をポポに投げつけ、マルスは流れるような剣撃でポポを切り裂く。

「コオリツケ」

「ふっ」

 ナナは氷の塊を呼び出し、ハンマーを振るってシャドウに放つが、シャドウはワープでかわす。

 怒ったポポはシャドウに飛びかかるが、シャドウは空間を歪ませて攻撃を受け流す。

「そんな攻撃が、僕に効くとでも思ったか?」

「オノレ……」

「時空の歪みを受けろ! カオスマジック!」

 シャドウは指を鳴らし、時空の歪みを発生させてポポとナナを同時に攻撃し、

 さらには身動きを取れなくする。

「ありがと、シャド兄! そーれっ!」

 カービィはその隙にハンマーを振るってアイスクライマーに大ダメージを与える。

 ハンマーは隙が大きいが、味方のサポートがあれば確実に命中するのだ。

「お前ら……とっとと元に戻りやがれぇぇぇぇ! ガツーンナグーリ!!」

「「グアァァァァァァァァァァァァ!!」」

 そして、マリオはダッシュからハンマーを振り上げ、

 一気にアイスクライマー目掛けて殴りつけた。

 マリオの必殺の一撃が二人に炸裂すると、ダメージが蓄積した二人は場外に吹っ飛んだ。

 こうして、アイスクライマーとの戦いは終わった。




ゴロ岩マリオ
出身世界:キノコワールド
性別:男性
ゴロ岩キノコを取ったマリオが変身した姿。
丸い形の岩になり、ゴロゴロ転がって攻撃する。
ただし、壁などの地形には弱い。

フリーザー
出身世界:キノコワールド
性別:なし
地面を滑走し、突然止まったかと思うと床を凍らせ、滑らせるようにする。
凍ったらやられ放題なので、何としてでも復活すべし。
ちなみに、中には菱形の「コア」が入っており、コア以外の部分は割と脆くなっている。

カオティクス
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
20歳のベクター・ザ・クロコダイル、16歳のエスピオ・ザ・カメレオン、6歳のチャーミー・ビーで構成された探偵事務所。
報酬があれば悪事以外は何でも引き受けてくれる。
ちなみに、所長はベクターである。

ボコブリン
出身世界:ハイラル
性別:♂
長い耳と、頭から生えた角が特徴的な魔物。
棍棒で武装しており、あまり賢くはないが獣を狩って焼く程度の知性はあるようだ。

アブソル
出身世界:ゲフリアース
性別:♂♀両方存在する
白い身体に黒い角を持つ、わざわいポケモン。
あくタイプで、特性はプレッシャー、きょううん、隠れ特性はせいぎのこころ。
非常に敏感で、災厄を察知する能力を持つが、そのせいで人々から災いを呼ぶ者と言われていた。

ホワイトベア
出身世界:氷山がある小世界
性別:♂
サングラスとパンツを着用している白熊。
同じフロア内に長い間留まっていると画面を強制的に揺らして変える。

メタルギアRAY
出身世界:こことは異なる世界
性別:なし
メタルギアREXのデータが拡散した事で、世界中で開発され始めたメタルギアの亜種。
奇襲攻撃を想定した設計の水陸両用型メカ。

コンドル
出身世界:氷山がある小世界
性別:不明
氷山のボーナスステージに登場する鳥。
これに掴まると、ボーナス獲得となる。

速水(はやみ)あかり
出身世界:地球
性別:女性
アメリカン・スクールに通う少女で、ウェーブレースで活躍した速水涼太(はやみりょうた)の妹。
少女らしくパワーとスピードは低いが、テクニック、バランス、ジャンプが高く、
トリックやターンが成功しやすい。


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42 ~ 光の神殿

今回はダンジョンを攻略します。
私は彼の参戦を予知していたのでしょうか……?


「ばたんきゅ~……」

「頭がくらくらするわ……」

 キーラの呪縛から解放されたアイスクライマーは、しばらく目を回して動けなかった。

「大丈夫だった?」

「う~ん、覚えてないや」

 やはり、アイスクライマーは戦っていた時の記憶が無いようだ。

 覚えているのはマリオやカービィ、シャドウなど、アイスクライマーを助けた者だけだ。

「……だろうな。操られている間、その間の記憶は無くなる、という事か」

「あれ? 君達は誰? ロボットとか犬とか、ボクサー……それにトレーナーまで?」

 アイスクライマーがりょう、ソレイユ、リュンヌ、ダックハント、パックマン、

 リトルマック、ロックマンを見て困惑する。

 第四期から入ったりょう達は、アイスクライマーは見た事がないのだ。

「あ、名前を言い忘れちゃったね。僕はどうぶつの森の村長、りょうだよ」

「エクササイズトレーナーの、ソレイユ・ラサンテです」

「夫のリュンヌ・ラサンテです」

「ばうばう、ばうばうばう!」

「あ、この犬はハント、この鴨はダックだヨ。ボクの名前はパックマンだヨ」

「ボクはロックマンです、よろしくお願いします」

「オレはリトル・マックだ」

 五人と一匹と一羽が第五期で初対面となるアイスクライマーに自己紹介する。

 アイスクライマーはお辞儀した後、彼らに自分達の名前を名乗る。

「ボクはアイスクライマーのポポだよ」

「あたしはアイスクライマーのナナよ」

「「よろしくお願いします」」

 アイスクライマーとりょう達が互いに自己紹介した後で、これからの目的を話す。

 

「さて、これからどうしようかしら」

「光の結界をどうにかしたいですわ」

 キーラが張った光の結界のせいで、自由な行き来ができなくなっている。

 この結界は、ファイターだけの力ではどうしようもならない。

「うーん、どこに行けば光の結界を解除できるんでしょうか」

「……あ、思い出したわ! この氷山には確か、光の神殿があったわ。

 そこに行けば、キーラが張った光の結界を解除できるんじゃないかしら」

 光の神殿は、争いの世界にある美しい外観が特徴的な神殿だ。

 ここで育った神官は、強い加護を得られるという。

「光……確かにキーラが狙いそうだな」

「早く行きましょう! キーラ軍に大打撃を与えるんだから!」

 

 一行は光の神殿を目指して氷山を歩いていく。

 ほとんど辛そうな表情をしたが、アイスクライマーは余裕だった。

「あなた達は慣れてるんだね」

「氷山は僕達のホームだもん」

「余裕よ!」

 ポポとナナは笑顔でハンマーを持ち上げる。

 腕力といい、体力といい、子供ながら侮れないな……と思うマールだった。

 しばらく歩くと、氷山にあまり似つかわしくない大きな神殿を見つけた。

 三つの結界が消えたおかげで、道を通れるようになっていた。

「これが光の神殿?」

「スピリッツを探知してみるわ。……うん、ここで合ってる。

 でも……不思議と気分が悪くならないわ」

「え?」

「終わりをもたらす死神は、光でも闇でも破滅をもたらすものには強い。

 つまり、ここは破滅の光に満ち溢れているのよ」

「破滅の光だと?」

 オルテはベルの説明を聞いて少し驚いた。

「そうね……キーラの力と言った方が分かりやすいかしら。光も闇もそれ自体はただの力よ」

 光の神殿が、破滅の光に汚染されている。

 その事実を聞いたアイシャが恐怖する。

「そんな……」

「でも、大丈夫よ。キーラを倒せば元に戻るから。怖がらないで、前を向きましょう」

「……そうですわね!」

 ベルに励まされたアイシャは、勇気を振り絞って光の神殿に入った。

 

「ここが……光の神殿……」

 光の神殿に入った一行は、絶句した。

 神殿の中はボロボロになっていて、倒壊した柱や壁も見受けられる。

「まさか、神聖な神殿がこんな事になるなんて……」

「本当に許せないわね」

 この神殿を崩壊させたのは、キーラだ。

 一行は悲しみ、一部の人物は怒りに震えている。

「おや? どうしたのですか?」

 そんな一行を、ゼルダのボディに宿っている時の巫女、ネールが出迎えた。

「お前はネールじゃないか。あの女はもうお前を狙わないのか?」

「はい、というよりこの身体は私のものではありませんので」

「じゃあ、私が解放してあげるわね」

 そう言って、ベルはネールの魂に手を当て、ゼルダのボディから彼女を解放した。

「戦って無駄に消耗するより、こうやって優しく解放した方がいいわ」

「そうだね、その調子で行こう」

 

 一行は、崩壊した光の神殿を歩きながら、目的のファイターを探していった。

 床は雲が浮かんでおり、ファイター達が乗っても不思議と崩れなかった。

「あっ、ファイターがいたわ!」

 西に歩いていくと、光の鎖で縛られた男の姿があった。

 ヴァンパイアハンターのシモン・ベルモンドだ。

 しかし、クロムのボディに宿っている剣士のスピリッツ、ロンクーが立ち塞がっていた。

「女は嫌いだ」

「エレブの天馬騎士は『男の人は苦手なんです』って言うんだけどね」

「悪いけど、先に行かせてもらうよ」

 マルスはファルシオンを構えて、ロンクーとの戦いに臨んだ。

 

「……なかなかの剣の腕だ」

 ロンクーを倒したマルスは、ふぅ、と汗を拭う。

 マルスは彼の戦い方を見て、赤い服を着た黒髪の剣士を思い出した。

 とはいえ、これでシモンを助ける事ができる。

「はっ!」

 アルトリアは聖剣を振り、シモンを縛っている光の鎖を切り裂いた。

 光の鎖から解放されたシモンは台座から降り、

 聖鞭ヴァンパイアキラーといくつかのサブウェポンを構える。

「キーラサマニサカラウモノ……コロス……」

「シモン・ベルモンド……吸血鬼を倒す者、その力を見せてもらおうか」

「行くわよ、みんな!」

「おうっ!」

「死力を尽くして来るがいい!」

 フォックス、ピカチュウ、オリマー、ロックマン、アルトリア、ベルは一斉に戦闘態勢を取る。

 今ここに、魔を祓う聖鞭持ちし戦士、シモン・ベルモンドとの戦いが始まった。

 

「はっ!」

「ド・ゲイト・デ・テラ・マ・ギ!」

「それ!」

「はぁ!」

 ピカチュウはシモンにロケットずつきをぶつけ、ベルは魔法の矢を放って追撃する。

 アルトリアはシモンに飛びかかり、剣で斬りつける。

 フォックスは後方からブラスターを撃ち牽制した。

「ピクミンよ、こっちだ」

 オリマーはピクミンを上手く誘導し、シモンに的確に当てにいく。

「……」

「ぐぁぁっ!」

 シモンはヴァンパイアキラーをピカチュウに向けて振るう。

 渾身の一撃がピカチュウに命中し、大ダメージを受ける。

「ロックバスター!」

 ロックマンはシモンに向けてロックバスターを放つも、

 シモンはサブウェポンの斧で打ち消した。

「聖なる光と破滅の光は決して相いれない存在。だから、彼を意のままに操れたかもね」

「ベル……」

「さあ、気を引き締めていくわよ!」

「ああ! でんこうせっか!」

 ピカチュウはでんこうせっかでシモンを攻撃し、シモンは斧を投げてロックマンを切り裂く。

 続いてフォックスが炎を纏った体当たりを繰り出すが、

 シモンはギリギリでフォックスの攻撃をかわす。

「くそっ!」

「あんたのカバーは私がやるわ! 闇夜!」

「せいっ!」

 アルトリアは不可視の剣でシモンを斬りつけ、怯んだ隙にベルが闇の力を放つ。

 そのおかげで、ロックマンに攻撃しようとしたシモンに隙を作る事に成功、

 フォックスとピカチュウは同時にシモンを蹴る。

「ありがとう、二人とも! ロックバスター!」

「ウオォォォォッ」

「いけっ!」

 ロックマンはロックバスターを連射し、オリマーは白ピクミンを投げて毒を浴びせた。

 毒に侵されたシモンは蹲って苦しみ出す。

「グググ……ドクガマワル……。ウォォォォッ!」

「きゃぁぁぁっ!」

「うわぁぁぁっ!」

 シモンは暴走して辺りに鞭を振るい続ける。

 サブウェポンもたくさんばら撒いており、全員が避けられずにダメージを受ける。

「シモン……」

 ロックマンは危険を顧みず、シモンに突っ込んでいった。

 そして、彼をスーパーアームで拘束すると、ロックバスターを溜めた。

「今、ボクが助けるからな! ロックバスター!!」

 ロックマンの至近距離からのチャージしたロックバスターがシモンに命中すると、

 大爆発が起こった。

 衝撃波と砂煙が、光の神殿を覆い尽くす。

 数分後、それらが治まり――残ったのは、気絶したシモンと、

 ボロボロになりながらも生き残っているフォックス達となった。

 

「はい、これで大丈夫だよ」

「お怪我はありませんでしたか?」

「……もう平気だ」

 ドクターとアイシャは、戦いで傷ついたシモンを治療していた。

 シモンの目は、元の澄んだ色に戻っていた。

「あ、起きたんですね。よかった、生きてて」

「ヴァンパイアハンターの生命力を舐めるな」

「ばんぱいあはんたー?」

 聞いた事がない言葉に、カービィは首を傾げる。

 シモンはこほん、と咳払いした後、自己紹介する。

「ヴァンパイアハンターというのは、吸血鬼を狩る者の事だ。

 そして私の名はシモン・ベルモンド、代々ドラキュラと戦ってきたベルモンド一族の戦士だ」

「へぇ~、ベルモンド一族って凄いなぁ!」

 カービィはシモンを憧れの目で見ている。

 シモンは「ある意味呪われているがな」と皮肉を込めて苦笑いしながら言った。

「あいつが来たら間違いなく逃げそうね」

 ははは、とベルが笑うと、眩い光が光の神殿を包み、中央の円盤が光った。

 どうやら、シモンを助けたために、装置が作動したようだ。

 

「どうやら、次の場所に行けるようですね」

「それじゃあ、光の神殿に捕まっている、残りのファイターを助けましょう!」

「うん!」

 一行が光に乗ると、別の場所に転移した。




~ベルのスピリッツ名鑑~

ネール
出身世界:ハイラル
性別:女性
ハイラルを創造した知恵の女神ネールと同じ名前を持つ時の巫女。
「時の竪琴」を持っていたが、闇の司祭ベランに肉体を奪われてしまう。

ロンクー
出身世界:戦記の世界
性別:男性
フェリア連合王国の剣士。
ある事件がきっかけで、異性が苦手になっている。
シリーズ恒例の「キルソードを持つ美形剣士」。
軍の中で一番、野菜の皮むきが上手。


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43 ~ その目は何を見る

光の神殿攻略回後編。
シャドウの戦い方は彼らしく、結構、過激にしています。
ここは、原作とはかなり異なる展開となっています。


 光の神殿にある円盤から、次のエリアへ転移した一行。

 まず、一行を襲撃という形で迎えたのは、下級天使アフィニティの群れだった。

 シモンとベルが協力して彼らを倒した後、西に行ってヘラクレスとモリブリンを解放する。

 シャドウが西の円盤を調べると中央が光り、閉ざされた扉が開いた。

「案外あっさりと攻略できるものだな」

「この辺にはまだまだスピリッツはいるから、私は先に解放するわね」

 ベルは残ったスピリッツの解放をするため、一時的に離脱した。

 

「じゃ、俺達はベルが頑張ってスピリッツを解放している間に……」

「ファイターを助けに行かなくちゃね!」

 マリオとカービィは、捕まっている残りのファイターを助けるため、光の神殿を歩いていった。

 

「あっ、いたぞ!」

 倒れた柱や壊れた壁を避けながら進むと、マリオは台座に縛られたファイターを発見した。

 茶色い髪、白い翼、白い服の少年――ピットだ。

 台座の下からは彼のボディが量産されており、カービィはそれを見て怯える。

「ね、ねえ……どうなっちゃうの? ピット君」

「このまま放っておいたらこいつの身体で悪さをするスピリッツが湧き出るだろ。

 だから、俺達でピットを助けるんだ……よ!」

 そう言って、マリオはピットを縛っている光の鎖目掛けてハンマーを振り下ろす。

 すると、光の鎖は小気味よい音を立てて砕け散り、

 同時に自由になったピットが双剣に変えたパルテナの神弓を構えて襲ってくる。

「オマエタチ……キーラサマノテキカ……?」

「……」

 ルカリオはピットから湧き出る波導を察知する。

「真っ赤な波導がこいつを包んでいる」

「えっ、真っ赤って?」

「こいつは説得には応じないという事だ」

 ルカリオはすぐさま戦闘態勢を取る。

 つまり、ピットの母体を支配から救い出すには、彼と戦わなければならないのだ。

「……やるしかないようだね」

「ああ」

「立ち止まるわけにはいかない。いくぞ」

 リンクとマルスが共に剣を構え、シャドウは静かに銃をピットに向ける。

「私も、ベルさんのために頑張りますよぉ~!」

「おぉ~!」

 ヨッシーとカービィも、共にピットを迎え撃つ体勢に入る。

 そして、ピットが突っ込んできたところで、彼との戦いが始まった。

 

「えいっ!」

 カービィは素早くピットをキックで攻撃する。

 シャドウはピットの頭部を拳銃で狙い撃ちし、

 リンクは怯んだピットをマスターソードで斬りつけた。

「いくよ!」

「……」

「うわっ!?」

 マルスはピットにファルシオンで斬りかかろうとしたが、

 ピットが召喚したイカロス兵に阻まれる。

「いきますよぉ~!」

 ヨッシーは尻尾をぶんぶん振り回し、ピットとイカロス兵を薙ぎ払った。

「はっけい!」

「……」

 ルカリオはピットにはっけいを繰り出すが、衛星ガーディアンズで攻撃を防ぐ。

 ヨッシー、シャドウ、マルスは、襲ってきたイカロス兵を卵や武器で追い払った。

「わあっ! 速いですねぇ~!」

「はっ!」

「バレットパンチ」

 ヨッシーはイカロス兵らしからぬ素早さに翻弄されている。

 一方、シャドウとルカリオは動き回るイカロス兵を迅速かつ正確に攻撃していた。

 シャドウは元々素早く、ルカリオが使ったバレットパンチは素早い相手には効果的なのだ。

「ハイジョ!」

「うわぁ~!」

 ピットは豪腕ダッシュアッパーを構え、ヨッシーに突っ込んで渾身の一撃を放ち、

 彼を大きく吹っ飛ばした。

「危ない!」

 カービィはヨッシーを吸い込んで受け止め、軽く吐き出して何とか助ける。

「助かりましたぁ~」

「ヨシくんはじっとしてて。えいっ!」

 カービィは空高く飛んでシャドウを攻撃しようとしたイカロス兵を殴る。

 イカロス兵が墜落したところにマルスのファルシオンが命中し、

 イカロス兵は戦闘不能になった。

 

「コイツラハ、ステゴマニスギナイ」

「ピット……」

 操られたピットは、イカロス兵に対して残酷な事を吐いている。

 こんな事は絶対に言うはずがない、と六人は思っていたが、

 今の彼はキーラに操られている状態なのだ。

 

「せぇーいっ!」

「あぁぁぁぁぁぁぁ……」

うおぉぉぉぉぉぉぉ!

 その頃、ベルは光の神殿にいるスピリッツを一人で解放していた。

 ロボットのウインドマン、呪術師のサーリャ、宝箱に化けたモンスターのミミッ子、

 伝説のポケモンのコバルオン、テラキオン、ビリジオン……。

 いずれも強敵揃いだったが、死神のベルの敵ではなかった。

 

「……ふう」

 スピリッツを解放し終えて、ベルは汗を拭う。

 傷はついていなかったが、鎌を何度も振ったため徐々に疲労が蓄積していた。

「結構疲れちゃうわ。みんなはファイターを助けてるかしら……一旦、戻りましょうか」

 ベルは疲れながらも一行のところに戻っていった。

 

「おりゃっ!」

 リンクはイカロス兵を勇者の弓で撃ち墜落させる。

 空を飛ぶ敵には弓が効果的だとマルスに教わったためだ。

 しかし、イカロス兵は次々と現れ、シャドウ達を数の暴力で蹂躙していく。

「くそっ……数が多すぎる……!」

「ピットに近付けんな……」

 倒しても倒しても、イカロス兵は現れ続ける。

 ピットに近付く事すらままならない。

 それを遠くから見ていたピットは、勝ち誇った笑みを浮かべている。

 このまま物量作戦で負けてしまうのか……と諦めかけていたその時。

 

うおりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!

「!?」

 突然、大鎌が全てのイカロス兵を切り裂き、同時にピットの服を破いて吹っ飛ばす。

 この事態にピットは驚くが、シャドウは大鎌の正体を知っていた。

「ベル、来てくれたのか!」

「ええ、もうスピリッツは解放したわ。だから、今度は私が相手よ! えーっと」

「ピット」

「そうそう、ピット!」

「……エングンカ……!」

 ピットは豪腕ダッシュアッパーを装備し、ベルに突っ込んでいく。

 彼女は大鎌でピットの攻撃をいなし、パルテナの神弓目掛けて大鎌を振り下ろす。

 神器は壊れなかったが、ピットの手から離れる。

「シマッタ! ジンギガ……!」

「神器が無いピットはただの飛べない天族よ。さあ、とどめよ! ダウンリーパー!!」

グアアアアアアアアアアア!!

 そして、ベルが渾身の力を込めて振り下ろすと、ピットは真っ二つに切り裂かれた。

 切り裂かれた彼の身体から光が抜け出ると、ピットは眠りについたかのように倒れた。

 

「……あれ、ここは?」

 ピットは、ゆっくりと身体を起こす。

 彼の瞳は今まで戦ったファイターと同様、元の青色に戻っていた。

「僕は今まで何をしていたんでしょう……」

「元に戻ったんだな、ピット」

「ここは光の神殿よ。あんたはキーラに身体を利用されたのよ」

「……あぁぁぁぁっ! 思い出しました!

 僕の魂が指輪に閉じ込められて、僕の身体が誰かに使われた事を!」

 ピットは、かつて天空界であった事件を思い出す。

 パルテナに憑依した混沌の遣いに三年間も魂を指輪に封じられ、

 自らの身体を利用された事を……。

「これはすぐさま行くしかありません! 今も身体を利用されてる人がいるはずです!

 うぐっ、思うように動けない……」

 すぐさま皆を助けに行こうとしたピットだが、戦った時の傷のせいで身体が動かない。

 ドクターは「無理しないで」と言った後、ピットに塗り薬を塗って傷を癒した。

「ピット君は今、戦ったばかりなんだ。もう少し休んでくれないかな」

「あ、はい」

「元気なのはいいんだけど、ちょっとせっかちかな」

 

 ピットの傷は、ドクターの医療術によって無事完治した。

「もう、元気いっぱいです! 本当にありがとうございました!

 えっと、ドクターさんでしたっけ?」

「うん」

 本名は別にあるのだが、皆にはドクターと呼ばせているため、ピットも彼をドクターと呼んだ。

 そして落ち着いた後、マリオはピットにこれまでの事情を話した。

 

「なるほど……大体分かりました。

 つまり、キーラに支配された世界を救いたいって事なんですね?」

「ああ……だが光の結界が邪魔していて思うように動けないんだ。どうすればいいんだ?」

「それなら僕に任せてください! 皆さん、あれを見てください」

「あれ?」

 ピットは光の神殿にある青い宝石を指差した。

「もしかしたらあれが、光の結界を作っているんじゃないかな、って思うんですよ」

「本当かしら?」

「……まあ、僕の勘にすぎませんが……とりあえず、やれるだけやってみます。えい!」

 ピットはパルテナの神弓を構え、青い宝石目掛けて矢を射る。

 すると、光の神殿にあった青い宝石が砕け散り、外にあった光の結界が消滅した。

「やりました! ビンゴです!」

「おぉ! よくやったな、ピット!」

 ピットの読みは見事に当たり、これで行けるエリアが一気に増えた。

 一行が喜んでいると、どこからか不気味な女の声が聞こえてくる。

『光の神殿にいる、全ての母体を解放したか!』

「その声は……キーラ!」

 声の正体は、元凶であるキーラだった。

 キーラはスマッシュブラザーズが母体を解放した事にかなり怒っていた。

『おのれ……スマッシュブラザーズ如きが、我の邪魔をするとは、小賢しい。

 我が望む新世界が、そんなに憎いか』

「そうだよ! 平和じゃない世界は嫌いだもん!」

「お前の好きにさせるほど、スマッシュブラザーズは甘くないんだぜ」

「俺達にはやるべき事があるんだ」

「世界を平和にするって事をな!」

 マリオ、リンク、カービィ、ピカチュウのスマブラ四天王が声を上げてキーラに反発する。

 キーラはますます怒り狂い、それに応じて光の神殿が震え出す。

「あっ、光の神殿が……!」

『そうまでして我を憎むか。我を嫌うか。ならば……貴様らは罰を受けてもらう!』

「罰……?」

 カービィがきょとんとしていると、光の神殿で突然、地震が発生した。

『光の神殿諸共、消え失せるがよい!!』

 どうやら、キーラは光の神殿を破壊してスマブラメンバーを生き埋めにするつもりのようだ。

 そうはさせないとスマブラメンバーは急いで光の神殿から脱出する。

「みんな、急いでここから出るぞ!」

「ああ!」

「うわっ!」

 カービィとピットが転んでしまうが、マリオとリンクはすぐに彼らの手を掴む。

 足が遅いドクターなども、アルトリアが風でスピードを上げた。

 

 そして……。

 

「あ~あ、光の神殿が……」

 光の神殿は、完全に崩壊してしまった。

 瓦礫と化した神殿を見たアイシャは落胆する。

 そんな彼女の肩に、リンクは優しく手を置いた。

「大丈夫だ、アイシャ。光の神殿は、キーラとの戦いが終わったら必ずみんなで復興させる。

 過ぎた事を悔やんでも仕方ない。今は俺達のやるべき事をやろうぜ」

「……ありがとうございますわ、リンクさん……」

「さ、氷山を降りるぞ」

 リンク達は、こうして氷山を降りていった。




~ベルのスピリッツ名鑑~

アフィニティ
出身世界:こことは異なる世界
性別:不明
光の世界から現れた天使。階級は精霊。
純白の翼を羽ばたかせ、頭上のヘイロウで迷える者の行く道を照らすと言われる。

ヘラクレス
出身世界:神話の世界
性別:男性
自らを英雄「ヘラクレス」と名乗る謎の男。
スパルタで無銭飲食をして投獄されていた。
「わはははは!」が口癖のムードメーカー。

モリブリン
出身世界:ハイラル
性別:♂?
「モリブリン」は種族名。豚のような姿をしたモンスター。
剣や槍で武装している事が多く、見た目に違わずタフである。

ウインドマン
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性型
プロペラとジェットで風速200mの風を起こす事ができる。
料理が上手だが、自転車に乗れない。
エアーマンとはライバル関係にある。

コバルオン
出身世界:ゲフリアース
性別:不明
イッシュの伝説のポケモンで、てっしんポケモン。
はがね・かくとうタイプで特性はせいぎのこころ。
鋼の体と心を持ち、睨みつけるだけで凶暴なポケモンも従わせてしまう。

テラキオン
出身世界:ゲフリアース
性別:不明
イッシュの伝説のポケモンで、がんくつポケモン。
いわ・かくとうタイプで、特性はせいぎのこころ。
巨大な城壁を一撃で突破するほどの突進力を誇る。

ビリジオン
出身世界:ゲフリアース
性別:不明
イッシュの伝説のポケモンで、そうげんポケモン。
くさ・かくとうタイプで、特性はせいぎのこころ。
頭の角は鋭い刃になっており、つむじ風のような動きで敵を翻弄して素早く斬りつける。

サーリャ
出身世界:戦記の世界
性別:女性
ペレジア王国の呪術師の少女。嫉妬深く暗い性格。
ルフレを「運命の相手」と呼び、付け回している。
軍の中で一番、スタイルが良い。

ミミッ子
出身世界:天空界
性別:不明
宝箱に足が生えた姿をしたモンスター。
普段は宝箱に化けているが、近づくと本性を現し、強烈な足技を繰り出してくる。


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44 ~ 溶岩城へ

光の世界における二人目のボスがいるダンジョンに突入します。
ここは、結構書きやすくて楽しかったです。


 光の神殿は崩壊したが、その中からシモンとピットを助ける事に成功した。

「これからどうしよう……」

「まずは、キーラをどうにかしないといけないわ」

 スピリッツやファイターを掌握し、手駒にしている元凶、キーラ。

 だが、今はバリアを張っているせいで、キーラに近付く事ができないでいる。

 ガレオムを撃破した事でバリアは弱まったが、それでもまだ、キーラには近付けない。

「恐らく、ガレオム以外にも大きな敵は何人か存在するわ。

 そいつらを全滅させれば、キーラを守るバリアがなくなるんじゃないかしら」

「そうかもね、ベルベル!」

「それで、ここから近い大きな敵はどこにいる」

「まだ、あそこに行ってなかったでしょ? ピーチが捕まっている……」

「……あそこ……あぁ~~~~~~!」

 あそこ……それはフォックスを探す時にベルがピーチの魂を察知した、溶岩城。

 一行はフォックスを助けるために後回しにしていたが、

 ようやく、溶岩城に行ける時が来たのだ。

「でも、溶岩城っていうと、熱くないですか?

 寒いところから熱いところに行くと、体調を崩しちゃいますよ?」

「大丈夫ですわ、しずえさん。柊さんが魔法で何とかしてくれます」

「いや、そもそも俺、魔法は専門外なんだよなぁ」

 一行は、再び柊蓮司が持ってきたスペルカード、

 エンデュア・エレメンツで溶岩城の気温を和らげる作戦に出た。

 当の柊蓮司は、困っていたのだが……。

 

「これで、熱さは和らぎますね!」

 一行はシャドウのカオスコントロールで氷山を後にし、

 柊蓮司が持ってきたエンデュア・エレメンツのカードで熱さを和らげた。

 そして、溶岩城へ行くための山を歩いていく。

「キング・オブ・ザコの登場よ!」

「おうっ!」

 山の入り口にはキノコから進化した種族、クリボーのスピリッツがいた……が、

 キング・オブ・ザコなのであっさりとマリオに撃破された。

 その次に出会ったスピリッツは、竜の姿をした空の精霊、ヴァルー。

 ホープ級なので少し苦戦したが、マルスとリンクが協力して解放した。

「結構、この山は高いね」

「そうね……溶岩城はあんなに高いところにあるからね」

 ある程度歩くと、途中で道が自然的なものから人工的なものへと変わった。

 溶岩城が近くなっている証だ。

 そこに行くための道を守っているのは、せいれいポケモンのフライゴン、

 カンフー使いの俳優フェイロン、クッパの部下のブンブンだった。

 いずれも百戦錬磨のスマブラメンバーには敵わず、

 あっさりと解放されてスピリッツはスピリッツボールの中に入った。

「ちょろいね!」

「甘いな」

「ちょろ甘ですわ」

 カービィ、シャドウ、アイシャは、スピリッツを解放した後にこの決め台詞を言った。

 そして、一行はついに溶岩城の入り口に立つ。

 ここに、キーラのバリアを守っている大きな敵と、捕まったピーチがいる。

 マリオはぐっと拳を握り締めた。

「ピーチ……」

「分かるわ。よっぽど彼女の事が大事なのね」

「ああ……。キーラの野郎、ピーチをこんな目に遭わせるなんて許さないぜ」

 マリオのキーラに対する怒りは、傍からもはっきりと感じ取れていた。

 アイシャは彼を心配しながらも溶岩城に入ろうとする。

「覚悟はよろしいですか?」

「ああ、できてるぜ……!」

「僕も

「じゃあ、行くわよ!」

 ベルはそう言って、溶岩城の扉を押した。

 ギギィ、という鈍い音と共に、大きな扉が開き、一行は覚悟を決めて溶岩城の中に入った。

 

「うぅ……エンデュア・エレメンツをかけていても溶岩城の中は暑い……」

「そうね……なんという暑さなのかしら……」

 ポポとナナが暑さからへばりかける。

 彼らは寒さには強いものの、暑さには慣れていないのだ。

「だ、大丈夫よ。でも、溶岩に落ちないでね」

「分かってるよ」

 ここから溶岩に落ちれば、即死は避けられない。

 カービィは唾を飲み込みながら、慎重に歩いた。

「ここにもキーラに操られたスピリッツはいるのね」

 溶岩城で最初に遭遇したスピリッツは、クッパ型のロボット、メカクッパだった。

 このスピリッツはカービィが解放し、次に南に進むと、

 ジュスト・ベルモンドのスピリッツを発見した。

 自身の孫という事でシモンは攻撃を躊躇うが、覚悟を決めて何とか彼を解放した。

「ジュスト……祖父を許してくれ」

「もう許しているから安心して。あ、スイッチ発見」

 ベルは、向こう側に赤いスイッチを発見した。

 しかし、床が透明になっているため、無理に進んだら溶岩に落ちそうだ。

 一行は赤いスイッチを後にして、透明な床を作動させるためのスイッチがある場所に向かった。

 

「戦わなければ!」

「最後まで!」

 その途中で、レンスター王子リーフのスピリッツと出会ったマルスは、

 共に剣を交え、勝利した。

 だが、ここに行くための床も、透明になっていた。

「次はこっちだね」

 一行は西に行って、ゲッコウガのボディに宿ったシャドーマンのスピリッツを解放した。

 その後、横の土管を通ってワープし、その先の道にいるツインベロスのスピリッツを解放、

 ちくわブロックを渡っていくと黄色いスイッチを発見した。

「これで!」

 カービィは黄色いスイッチを踏み、黄色いブロックを出した。

 これで、赤いスイッチがある場所に行ける道が開いた。

「10まんボルト!」

 一行はホウオウのスピリッツを解放した後、黄色いブロックを通って赤いスイッチを踏み、

 赤いブロックを出した。

「これで先に進めるわね」

 赤い!ブロックを歩きながら、カメックとグラードンのスピリッツを解放していく。

 しかし、その先の道も、ブロックが透明になっていて進めなかった。

「点線の色からして、次は紫のスイッチね」

 一行は近くの土管に入ってワープし、紫のスイッチがある場所に行った。

 ルキナのボディに宿っているアイシャのスピリッツが道を塞いでいたが、

 ノービス級なので楽々と解放した。

 そして紫のスイッチを踏んで紫のブロックを出し、

 ついに大きな敵とピーチが待つ場所へ行くための二つの道が開かれた。

「まずは、ピーチ姫を解放しましょう」

「ああ。ちょっと遠いが、ピーチは必ず助ける」

 マリオは拳を握り締め、元来た道を戻っていった。

 他のスマブラメンバーも、彼の後を追いかけた。

 

 そして、最後の紫のブロックを歩き終えると、台座に縛られたピーチを発見した。

「ピーチ姫……こんなところにいるなんて……」

「キーラの野郎……よくもピーチを……」

 マリオは歯を食いしばった後、ピーチ目掛けてパンチし、彼女を縛る光の鎖を砕いた。

「……ピーチ」

「ダレナノ……? ソノコエハ……」

 操られたピーチは、マリオの事が分からない。

 だがマリオには、彼女の苦しみが分かっていた。

「ホ、ホントにピーチ姫なの……?」

「ああ、そうだ。だが今はキーラに操られていて、俺達の敵だ。だから助けてやるんだ」

「戦わなきゃいけないの?」

「ちょっと、こわいでしゅ」

 戦いを好まないリュカとプリンは震え出す。

 しかし、ここで立ち止まっては、ピーチを助け出す事はできない。

 リュカとプリンは覚悟を決めてピーチに戦いを挑む体勢に入った。

「……悪いけど、許さないのはキーラだけだからね」

「罪を憎んで人を憎まず」

「仲間は一人でも多い方がいいだろ?」

「今、光の呪縛から、解放してあげましょう!」

 ベルとアルトリアも武器を構え、ドンキーも腕を振る。

 そして、マリオも涙を流しながら、ピーチを救出するために身構えた。

 

「はぁっ!」

 マリオはピーチに近づいて彼女を投げ飛ばし、ドンキーがパンチで追撃する。

「PKフラッシュ!」

「えいっ!」

 リュカはPKフラッシュでピーチを怯ませ、その隙にプリンはピーチをはたいた。

 ピーチはアルトリアの攻撃をかわした後、野菜を引っこ抜いてマリオに投げつけた。

「いてっ!」

「ウフフ……アナタノシニガオガミタイワ……」

 ピーチは邪悪な笑みを浮かべている。

 操られているとはいえ、マリオは信じたくなかった。

「俺は、ピーチを助けるまでは、死なない!」

 マリオはそう言って、ピーチに正拳突きをぶちかます。

 リュカはマリオにライフアップをかけつつ、ぼうっきれやPKファイアーで攻撃する。

 ベルは後方から魔法で牽制しつつ大鎌で攻撃した。

「風よ……!」

 アルトリアは魔力放出により、突っ込みながら斬りかかる。

 ピーチはヒステリックボムで反撃したが、アルトリアはシールドを張って上手く攻撃を防いだ。

 

「アナタタチ、イガイトヤルノネ」

「当たり前です……。貴女を助けるまで、死ぬわけにはいきません……!」

 アルトリアの闘志を見たピーチはにやりと口角を上げ、

 ゴルフクラブを構えてアルトリアに突っ込み、殴った。

 アルトリアは怯みながらもすぐに立ち上がり、風の剣でピーチを斬りつける。

「うおりゃあぁぁぁ!」

 ドンキーコングのジャイアントパンチがピーチに命中し、彼女は場外に吹っ飛ぶ。

 しかし、ピーチは空中浮遊した後、ピーチパラソルを開いて復帰した。

「しぶとい奴め」

「オンナハシブトイノヨ」

「ならば私もしぶとくいかせてもらうわ!」

 ベルは闇を纏った大鎌をピーチに振り下ろす。

 ピーチは緊急回避でかわすが、ベルは高く飛び上がって大鎌を叩きつける。

「PKフリーズ!」

 リュカは落下したピーチをPKフリーズで凍らせ、ドンキーコングは連続してパンチを繰り出す。

「♪~♪♪♪~」

「Zzzzz……」

 プリンはその隙にうたうを発動、ピーチを眠らせる事に成功する。

 マリオは頷くと、自らの手に炎を最大まで溜めた。

「ピーチ……目を覚ませぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 そして、マリオが渾身の力を込めたファイア掌底を放つと、ピーチは場外に吹っ飛ばされた。

 この瞬間、マリオ達の勝利が決まったのだった。

 

「……あらら? 私は一体、何をしてたのかしら?」

 マリオ達の活躍により、ピーチは正気に戻った。

 もう、彼女のボディは二度と生成される事はない。

「大丈夫だったか? ピーチ姫」

「その声は……マリオじゃない……! あぁ……また会えるなんて……!」

 ピーチはマリオの声を聴いて涙を流した。

 マリオも嬉しくて思わずピーチを抱きしめる。

「こんな城に閉じ込められて、怖くなかったか?」

「当たり前でしょ? 私はマリオが助けてくれる事をずっと信じてたんだから」

「ピーチ……! その言葉を待ってたんだ……!」

 操られている間は、ピーチの意識は奥底に封じ込められていた。

 それでも、ピーチはマリオの事を信じていた。

 その事実にマリオはさらに感動する。

「ピーチ……これからも、俺の傍から離れないでくれ……」

「あったり前じゃない……マリオも私から離れないでよ……!」

 マリオとピーチは、再会の喜びからお互いに強く抱き合った。

 

「……よし」

「残るは大きな敵だけね」

 ピーチを助けたため、溶岩城でやるべき事はあと1つ、大きな敵を倒す事だ。

 それを倒し、キーラを守るバリアをさらに弱めようと一行は決意した。

「みんな! 用意はできてるかしら? 溶岩城のボスは目の前にいるんだからね。

 さあ……イッツ、ショータイムよ!」

「「「「おーーーーーーっ!」」」」




~ベルのスピリッツ名鑑~

クリボー
出身世界:キノコワールド
性別:♂♀両方存在する
キノコから進化した種族。
腕はないが、発達した頭脳を持っており、頭突きで攻撃する事ができる。
キノコ王国を裏切り、クッパ軍団についたと言われている。

ヴァルー
出身世界:ハイラル
性別:不明
竜の島に住む、竜の姿をした空の精霊。
リト族にとっては、守り神のような存在である。

フライゴン
出身世界:ゲフリアース
性別:♂♀両方存在する
ビブラーバが進化した、せいれいポケモン。
じめん・ドラゴンタイプで、特性はふゆう。
羽ばたいて砂漠の砂を巻き上げる事で姿を隠す。
その音が歌声のようなので、砂漠の精霊と呼ばれている。

フェイロン
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
香港の映画で活躍する若手俳優。
カンフーの名手で、幼い頃から修行を重ねてきた。

ブンブン
出身世界:キノコワールド
性別:♂
クッパの部下。腕を回しながら突進攻撃をする亀。

メカクッパ
出身世界:キノコワールド
性別:なし
クッパの形をしたロボット。
ゼンマイ仕掛けの簡素な造りになっており、量産をするのが容易になっている。
踏むと一時的に動きが止まって持ち運べるようになる。

ジュスト・ベルモンド
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
シモン・ベルモンドの孫で、18世紀に活躍したヴァンパイアハンター。
ヴェルナンデス家の血も引き、魔力が高い。

リーフ・ファリス・クラウス
出身世界:戦記の世界
性別:男性
キュアンとエスリンの息子で、ノヴァとバルド、両方の血を引く。
両親が戦死した後は、従騎士フィンに育てられる。
ちなみに、母エスリンはシグルドの妹なので、シグルドの息子セリスとは従兄弟。

シャドーマン
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性型
忍者の姿をしたロボット。人を驚かせるのが好き。
変わり身が早いが、考えが浅い。
武装は手裏剣型の飛び道具シャドーブレード。

ツインベロス
出身世界:冥府
性別:不明
2つの頭を持つ、炎を纏った冥府の番犬。
素早い動きと炎のブレスで侵入者を排除していく。

ホウオウ
出身世界:ゲフリアース
性別:不明
ジョウトの伝説のポケモンで、にじいろポケモン。
ほのお・ひこうタイプで、特性はプレッシャー、隠れ特性はさいせいりょく。
七色に輝く翼と身体を持ち、その姿を見た者は永遠の幸せが約束されるという。

カメック
出身世界:キノコワールド
性別:♂♀両方存在するが♀はとても少ない
眼鏡をかけた亀族の魔法使い。杖で魔法を操る。
知識が深いため、クッパの側近を務める事もある。

グラードン
出身世界:ゲフリアース
性別:不明
ホウエンの伝説のポケモンで、たいりくポケモン。
じめんタイプで、特性はひでり。
雨雲を吹き払い光と熱で水を蒸発させる力がある。
カイオーガと激しく戦った……というのはただの神話だとか。

アイシャ
出身世界:霧を歩く世界
性別:女性
火炎蛇の襲撃で生き残った、ミリニア王国の王女。
仲間が灰の体で蘇ったため、その謎を解くために彼らと共に戦う。


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45 ~ 大魔王・ギガクッパ

世界で最も偉大なる悪役との戦いとなります。
やっぱり戦闘メンバーは彼らじゃないとね!

なお、一部非公式なネタがあります。
分かる人は分かるかな?


 ピーチを救出し、残るはキーラのバリアを守る大きな敵のみ。

 一行は拳を握り締め、大きな敵が待つ場所に繋がる道を歩く。

「いよいよ二体目のボスが待つな」

 ガレオム以来のボスが、この溶岩城に待ち受けている。

 倒せば、キーラを守るバリアがさらに弱まる。

「いいか、みんな。この戦いに必ず勝つんだ。俺達スマブラメンバーを信じてくれ」

 マリオはスマッシュブラザーズの代表として、この場にいる皆を応援する。

「私も応援するわ。

 世界を救うためだもの、ここでへこたれるのはスマッシュブラザーズの名が廃れるわ!」

「サンキュー、ピーチ!」

「いいって事よ」

 ピーチはマリオに向けてウィンクした。

 

 そして、一行はボスが待ち受ける場所へ歩いた。

 しかし、そこにルフレのボディに宿る、紫の髪をした闇魔道士が立ち塞がった。

「僕は魔王、人の弱さを知らぬ強く完全なる王」

「あなたが魔王リオンですのね。わたしがお相手いたしますわ!」

 アイシャは戦闘態勢を取り、リオンと戦った。

 

「ありが……とう……」

「はぁ、はぁ……」

 何とか、アイシャはリオンを撃破した。

 魔王というだけあって強大な魔力を持っていたが、

 アイシャはそれに抵抗して打ち勝ったようだ。

「さあ、どこからでもかかってきなさい!」

「おっ、やる気満々だな、アイシャ」

「マスターハンド様を助けるためですもの……!」

 アイシャの主であるマスターハンドは、今もキーラに利用されている。

 彼女はそれが悔しくてたまらず、死に物狂いで戦っているのだ。

「さあ、来なさい! ボスは誰ですの!?」

 アイシャがそう叫ぶと、玉座らしき場所に何者かが落ちてきた。

 “それ”は――鋭い爪と角、赤い鬣と眉毛を生やした亀族の大魔王、クッパだった。

 クッパが四つん這いになると彼を闇のオーラが取り囲み、

 巨大化して瞳は赤くなり、鋭い牙が生えた。

 そう、クッパは今、ギガクッパに変身したのだ。

 

「グガアアアアアアアアアアアア!!」

「……来るぞ!! みんな、身構えろ!!」

 マリオの掛け声と共に、彼とカービィ、アイシャ、ピーチは身構えた。

 

「はぁっ!」

 マリオは炎を纏った掌底をギガクッパにぶつける。

 だが、ギガクッパはそれで怯む事はなく、マリオを爆炎の頭突きで攻撃する。

「ぐあぁぁっ!」

 ギガクッパに変身しているだけあり、

 その威力は普通のクッパとは比べ物にならないほど高かった。

 カービィは空中から回し蹴りで連続攻撃し、アイシャは後方から皿を投げる。

「そぉーれ!」

 ピーチはフライパンを取り出し、ギガクッパに向けて振り下ろす。

 カァン、という快音が鳴った……が、ギガクッパはまだ怯まない様子。

「ちょっと、こいつどれだけ固いの? っきゃぁ!」

「「うわぁ!」」

 ギガクッパは甲羅の中に入って回転し、手近な対象を連続攻撃する。

 甲羅の棘がマリオとカービィに刺さり、二人は浅くない傷を負う。

「みんなげんきになあれ!」

 ピーチは回復呪文を唱え、傷ついたマリオとカービィの体力を回復する。

「サンキュー!」

 マリオはピーチにお礼を言った後、ファイアボールで攻撃し、

 その隙にギガクッパに突っ込んでファイアナグーリで大ダメージを与える。

「えいっ!」

「やぁっ!」

 カービィは短い脚からのキックを放ち、アイシャは包丁をギガクッパに突き刺す。

 ギガクッパは口から炎を吐いたが、マリオはシールドで防御し、

 カービィは空を飛んで回避する。

 

「みんな、今がチャンスだ!」

「いっくよー!」

「参りますわ!」

「うふふっ♪」

 マリオはギガクッパが炎を吐くのをやめた隙に号令をかけ、全員が一斉攻撃をする。

 カービィは飛び蹴りと回し蹴り、アイシャはビンタと包丁、

 ピーチはフライパンとゴルフクラブ、そして最後にマリオがファイア掌底を放った。

 四人の攻撃を受けたギガクッパはついに倒れた。

 

「よし、やったか!?」

 マリオが喜ぶのも束の間、ギガクッパはゆっくりと起き上がる。

 そして、ギガクッパは大声で叫び出し、そこから生じる突風がマリオ達に襲い掛かる。

「ぐぅぅぅ……!」

「凄い風圧……!」

「でも、耐えてください……!」

「ええ、踏ん張るわ……!」

 マリオ、カービィ、ピーチ、アイシャは何とかギガクッパの風圧を踏ん張った。

 

「グガアアアアアアアアアア!!」

「やるじゃねぇか、クッパよぉ……いや、今はギガクッパか」

 マリオとクッパの宿命の対決は、何度も続いた。

 操られていても、二人の目は本気だった。

「キーラに邪魔されるのは本望じゃないとはいえ、本気で戦っているのね」

「うん、マリおじちゃんは本気だよ」

「それなら、私もマリオと一緒に戦うわ。一人じゃないって事を教えてあげるために」

 ピーチはフライパンを構え、共に戦う事を改めて決意した。

 カービィとアイシャも、彼女に続いて構えた。

 

「うおぉぉぉぉぉぉっ!」

「ファイナルカッター!」

 マリオはギガクッパに突っ込んでボディブローを放つ。

 カービィはファイナルカッターで追撃し、

 アイシャはピーチの補助魔法で強化された調理道具を投げまくる。

 ギガクッパは巨大な顎による噛み付き攻撃で前にいたマリオとカービィを攻撃、

 続いてピーチを掴み投げ飛ばした。

「きゃぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「グオオォォォォォォォ!」

 続いてギガクッパは高く飛び上がり、ギガクッパドロップを繰り出す。

「みんな、守れ!」

「はい!」

 マリオの号令で全員がシールドを張ってギガクッパドロップを防ぐが、

 シールドは大きく削られる。

「くそっ、なんて馬鹿力だ……!」

「本当に倒せますの……!?」

 マリオ達が不安になる中、ただ一人、ピーチだけは真っ直ぐに前を見ている。

「何を諦めているのかしら? 最後まであがいてあがいてあがくのよ」

「あがく……そうか! おい、ギガクッパ! 俺達は最後まであがくからな!

 その無様な姿をよく目に焼き付けておけよ!」

「グオオオォォォオオオオオオ!!」

 マリオの挑発に乗ったギガクッパは叫び出し、エリア全土に火の海を放つ。

「「うわああぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」

「「きゃああぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」

 全員が強烈な威力の炎に飲み込まれていく。

 骨まで溶けてしまいそうだったが、四人は何とか持ちこたえた。

「はあ、はあ……みんな、大丈夫か?」

「はい……でも、このままじゃみんな倒れます……」

「そんな時こそ、私に任せて! みんあげんきになあれ!」

 ピーチは再び回復魔法を唱え、全員が負った傷を癒した。

「ここまでギガクッパの攻撃は強くなったんだから、相手の体力はあと僅か。

 さあ、もう一踏ん張りよ!」

「おう!」

「グオオオォォォオオオオオオ!!」

 ギガクッパは再びエリア全土に火の海を放ったが、四人はそれを見切って攻撃をかわす。

 アイシャがビンタしてギガクッパを攻撃した後、カービィは回し蹴りを放つ。

 ピーチはヒステリックボムを爆破させ、マリオがギガクッパに突っ込んでいった。

「これで、とどめだ! ファイア掌底!!」

「グアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 そして、マリオが渾身の力を込めたファイア掌底を放つと、

 ギガクッパは叫び声と共に地に伏せた。

 すると、ギガクッパは見る見るうちに縮小し、次第に元の大きさに戻っていく。

 数分後、変身が解けて元のクッパに戻った。

 

「……うぅ……身体中が痛いのだ……」

 正気に戻ったクッパは、痛みから動けないでいた。

 その表情に、いつものクッパらしさは無い。

「今、ドクターが治してやるからな」

 マリオはクッパを心配している。

 宿敵同士であったが、こんなところで死なれるのはマリオの本意ではないのだ。

 

「これで、よしと。はぁ……こんなに働いてばかりで、くたくたになっちゃうよ」

 クッパを治療し、汗を拭うドクター。

 しかし、何度も治療してばかりいるため、ドクターはうんざりした表情をしていた。

「ごめんよ、ドクター」

「……まあ、それはいいとして、君もキーラに操られた被害者なんだろう?」

「その通りだ。

 我輩の炎をいとも簡単に打ち消したあの光……キーラめ、落とし前は必ずつけてもらうのだ!」

 クッパは悔しさのあまり、強く拳を握り締める。

 大魔王である自身を利用した怒りは大きかった。

「あ、クッパ」

 ふと、ピーチが口を開く。

「何なのだ? ピーチ」

「クッパが王冠を被ったら、私以上にスタイル抜群なお姫様になったりして」

「認MEN! 我輩が女になる事など、認MEN!」

 ピーチがクッパを茶化すように言うと、クッパはムキになって叫んだ。

「……ピーチ、何やってるの? クッパがお姫様? 変なの」

「クッパをからかってるだけだから気にするな」

 ベルはそんなピーチとクッパのやり取りに呆れていた。

 マリオは乾いた笑みを浮かべてベルにそう返した。

 

「くっ……!」

 ギガクッパが撃破された事で、キーラを守るバリアがさらに弱まった。

 彼女はスマブラメンバーがバリアを破ってきたという怒りから身体を震わせている。

「おのれ、スマッシュブラザーズめ……! だが、バリアを破ったくらいでいい気になるな。

 我を簡単に倒せると思ったら大間違いだぞ……!」




~ベルのスピリッツ名鑑~

リオン
出身世界:戦記の世界
性別:男性
グラド帝国の皇子でエイリークとエフラムの友人。
本来は優しい性格だが、ある理由で魔石を利用し、魔王にその身を支配されてしまった。


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46 ~ クール&ビューティーな賞金稼ぎ

宇宙をまたにかける賞金稼ぎ、参戦。
初代で正体が女性だと判明した時の衝撃……。


 ピーチとクッパを救出し、溶岩城を後にした一行は光の結界があった場所に行っていた。

 すると、光の結界は綺麗さっぱりなくなっていた。

「お! 僕の予想通り、光の結界が消えましたね!」

「行ける範囲が広がったな、捕まったファイターも救出できるだろう」

「ですね! では、光の結界がなくなったところで、東に行きましょう!」

 

「ミカヤは俺が守る」

 一行が東に行くと、緑の髪をした盗賊の少年、サザのスピリッツを発見した。

 マリオがサザ目掛けてパンチすると、サザはあっさりと倒され、解放された。

「弱!?」

「弱かったね」

 サザのあまりの弱さに、マリオとマルスはぽかんとする。

 しばらくすると、東を覆っていた霧が晴れ、

 その先にパワードスーツを身に纏った人物が光の鎖に縛られていた。

「あ、ああっ、サム(ねえ)!」

 その人物は、スマッシュブラザーズの古参であるバウンティハンター、サムス・アランだった。

 同じく古参のカービィは、サムスの姿を見て驚く。

「今、助けてあげるよ!」

 そう言って、カービィはパンチでサムスを縛っている光の鎖を砕いた。

 すると、サムスはアームキャノンからアイスミサイルを発射した。

 カービィは空を飛んでかわすが、ミサイルが当たった地面が凍り付く。

「……」

 目はパワードスーツに隠れて見えないが、

 サムスはキーラに操られているとカービィは勘で察した。

「やっぱり、君もキーラに操られてるんだね。今、助けてあげるからね!」

「あ、(ねえ)って言ったから、もしかしてサムスって……」

「そんなの関係ないわ! 早くいくわよ、バンジョー!」

「よぉ~し!」

「覚悟はいいか」

「さあ、行くよ!」

「りょうさんのためにも、頑張ります!」

「さあ、かかってこい!」

 カービィ、シャドウ、バンジョー、カズーイ、マック、りょう、しずえは、

 操られたサムスに戦いを挑んだ。

 

「目を覚まして、サム姉!」

 カービィはサムスの位置ギリギリにハンマーを振り下ろす。

「そこだ!」

 シャドウはサムスの胸を狙って拳銃で撃つ。

 バンジョーとカズーイはサムスに同時に攻撃し、効果的なダメージを与えていく。

「はっ!」

「えい!」

 マックはサムスに拳を振りかざし、ギリギリで攻撃は命中した。

 りょうはその隙に、サムスに斧を振り下ろす。

「……」

「「「「「うわぁぁぁぁぁぁっ!」」」」」

 サムスはチャージショットを放ち、爆発させる。

「ううっ……!」

 しずえは何とか、サムスのチャージショットに抵抗した。

 しかし、他のメンバーは攻撃をまともに食らい、身体のあちこちに傷がついている。

「皆さん、今、助けますよ!」

 しずえは即席で回復料理を作り、全員の傷を癒す。

「それっ、それっ、それ!」

「いくぞ」

 りょうのパチンコとシャドウの拳銃がサムスに命中し、

 マックとバンジョーが同時にボディブローを放つ。

 そして、カズーイがサムスに卵爆弾を投げ、

 爆風でサムスを場外に吹っ飛ばして戦闘は終わった。

 

「ふう……。一時はどうなる事かと思ったわ」

 洗脳から解放されたサムスは、いつも通りの冷静な口調で言った。

「こうなる事は、サムスには分かっていたのか?」

「分かっていたわ。あの光は、まともではなかったから」

 サムスは自分が操られながらも、他の助かったスマブラメンバーと違って落ち着いていた。

 この心強さが、サムスを表すといっても過言ではない。

「そういえばさっき、カービィが『サム姉』って言ってたよね? じゃあこの人は、女?」

「うん、そうだよ!」

「えええええっ! そうだったの!?」

「……バンジョー、声で分からなかったの?」

 カズーイがさらっと毒舌を吐く。

 サムスはそれに動じず、平常心で自己紹介に入る。

「貴方達と出会うのは初めてだったわね。私はバウンティハンターのサムス・アランよ」

「あ、こんにちは。ボクはバンジョーです」

「あたいはカズーイよ」

 バンジョーとカズーイは初めて出会うサムスに自己紹介をした。

 バンジョーはサムスが女性であるためか、少し緊張した様子だった。

「……バンジョー、肩を張りすぎよ」

「ごめんなさい、サムスさん」

「呼び捨てでいいわ。それよりも……。! みんな、待ちなさい!」

 サムスはそう言って、アームキャノンを構えた。

「! サムス、何か来るの?」

「空が震えている……誰かが来る!」

「えっ、どこどこ!?」

 カービィが慌てて空を見上げると、バリアに覆われたキーラが震えていた。

―ほう……? 我に気が付くとは。

「光の化身キーラ……!」

―なかなかの勘の鋭さだ。最古参の名は伊達ではなさそうだ。

「……」

 サムスはアームキャノンを空に向けている。

 ここから撃つのは無駄だと分かっているため、それ以上は動かしていない。

「一体、何をしたいの?」

―我のプレゼントを、受け取るがよい。

 そう言ってキーラが火の玉を呼び出すと、それを遠い南のアローラ島に放った。

 すると、南の方から禍々しい気配が漂うようになった。

「プレゼント……要するにボスだったのね。でも、狼狽えてはいけないわ。

 その時点で、相手の思う壺よ。もう少し準備をしてから、乗り込みましょう」

「はぁーい!」

 

 何はともあれ、バウンティハンターのサムスをキーラの呪縛から解放したスマブラメンバー。

 美しく、そして冷静沈着な彼女は、スマブラメンバーの中でも頼りになるだろう。




~ベルのスピリッツ名鑑~

サザ
出身世界:戦記の世界
性別:男性
「緑風」と呼ばれる盗賊の少年で、ミカヤの義弟。
ミカヤを守りたいと思っているが、彼自身の戦闘能力はそれほど高くない。


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47 ~ 乱闘 その道化の名を呼べ

原作ではゼロスーツサムスを仲間にする場所ですが、
サムスと同一人物なので、DLCキャラクターに変更しました。
少々見苦しい描写がありますので、ご注意ください。


 サムスを仲間にした一行は、しばらくの休憩と準備の後、北の山道に登っていった。

 アースボーンドのダンジョンおとこやがんせきポケモンのイシツブテを退けつつ、

 一行はファイターを解放するため、歩き続ける。

 

「うぬの力、我に示せ!」

「いくよ!」

 ガノンドロフのボディに宿るは、ヴァルム帝国の皇帝ヴァルハルト。

 ランクはエースと手強かったが、マルスは彼との一騎打ちに勝利した。

 

「ここから先には行かせない!」

「行かせてもらうぜ!」

 地のエナジストにして後にロビンの義兄となるガルシアは、ファルコンが解放した。

 

「あたちたち、いまはここをやってるの」

「あちがはやくなるよ!」

「……元々は僕達をサポートしていたのに」

「今はこんな身分なんだな」

 アシストフィギュアから道場の主となった双子のくノ一・カットとアナを、

 シークとシャドウは哀れみながらも解放した。

 

「これは……乗り物か?」

 そしてファントムを解放した時、シャドウは乗り物を発見する。

 それは、多くの人を乗せる事ができる汽車だった。

「シャドウ、運転できるの?」

「車やバイクを運転した事はあるが、汽車はないな。

 だが、僕に運転できない乗り物は無い。……乗れ」

 そう言って、シャドウは汽車の運転席に行く。

 スマブラメンバーが汽車の中に入ると、シャドウは汽車を運転した。

 

「シャド兄、大丈夫? ちょっと揺れてるけど」

「この乗り物は速くないし、地面も不安定だからな。慎重に運転せねばならない」

「よっちゃうでしゅ……」

 シャドウは汽車を運転しているが、ちょっとぎこちないとカービィには感じた。

 プリンなどの他の子供組も、不安定なシャドウの運転に不安になる。

「またスピリッツか」

 すると、シャドウは道中でピカチュウのボディに宿った

 ドン・チュルゲのスピリッツを発見する。

 シャドウは汽車の窓を開け、中から拳銃を撃ってドン・チュルゲを解放した後、運転を続ける。

 だが、途中のレールが縦になっていて、左側のレールは進めそうになかった。

 

「よし、ここまでにしよう」

 シャドウは右側のレールを進み、汽車から降りた。

「あー、ドキドキした。地面ガタガタだったよ。こんなにドキドキしたのは久しぶりかな?」

「そうかもな」

 ふぅふぅと息を切らすカービィ。

 揺れる車内とシャドウのぎこちない運転に、久しぶりにドキドキしたようだ。

「確かに、地面は平らではなかったし、キーラに操られたスピリッツもいた。

 でも、それだけだったでしょ」

「サム姉、慣れてるんだ~」

「私は様々な惑星を渡ってきた、これくらい平気よ」

「じゃ、安心だね!」

 サムスの自信に安心したカービィは、るんるんと山を登っていった。

 その道中、レオタードのような服を着た女性、キャミィのスピリッツが道を塞いでいた。

「嫌な思いをしないように、一太刀で決めるわ」

 ベルが大鎌を振るってキャミィを解放すると、先の霧が晴れていった。

 次の瞬間、火山の熱気が一行を襲った。

「うっ……!」

「なんて熱さだ……!」

「気分が悪くなりそう……!」

 氷山と打って変わって、ここの気温は高すぎて汗が出そうだ。

 防寒着を着ているアイスクライマーの顔からはとっくに汗が出ている。

 しかも、入り口には巨大な岩が立ち塞がっている。

「この岩、どうやって壊そうか……」

「えいっ!」

 カービィはハンマーを取り出し、巨大な岩に振り下ろした。

 岩に罅が入るが、まだ壊れそうにない。

「それっ!」

 もう一度、カービィはハンマーを振り下ろす。

 だが、やはり岩には罅が入るだけだ。

 その後も、何度もハンマーを振り下ろしたが、罅ばかりが入ってなかなか壊れなかった。

「うぅ、疲れちゃった……」

 カービィはハンマーを振り下ろし過ぎて疲れてしまった。

 すると、彼に応えるかのように、

 スピリッツボールの中からボンバーマンのスピリッツが姿を現す。

「あ、しろ君……」

『お疲れ様、よく頑張ったな。後はボクに任せろ』

 ボンバーマンは爆弾を取り出すと、罅が入った岩目掛けて爆弾を投げ、破壊した。

「うわぁ~、凄いね、しろ君」

『どういたしまして』

 役目を終えたボンバーマンは、スピリッツボールの中に戻った。

 こうして、ボンバーマンのおかげで火山に行けるようになった。

 

「やっぱり暑いよぉ……」

「エンデュア・エレメンツ!」

 暑さにへばるアイスクライマーに、ベルはエンデュア・エレメンツの魔法をかける。

「ふう~、ありがとう、ベル」

「使いすぎるといざという時に魔法が使えなくなるわ。時には我慢した方がいいのよ」

 頻繁に呪文を唱えていると魔力が減り、本当に魔法が必要な時に困った事になる。

 魔力を回復する薬はあるにはあるのだが、大半は体力を回復する薬より高いため、

 そうたくさんは持ち歩けないのだ。

「は~い」

「分かったわよ」

 アイスクライマーは素直にベルの言う事を聞き、暑いながらも頑張って火山を歩く事にした。

 

「わしの眠りを妨げる者どもよ、地獄の炎の中で苦しみながら焼け死ぬがよい」

「また、戦う事になるとはね……」

 リドリーのボディに宿るメディウスには、マルスがファルシオンを持って対抗した。

 ランクはホープ級なので、以前と比べてそれほど苦戦せずに倒せた。

 

「ふう、ふう、暑い暑い」

「思わず脱ぎたくなっちゃうよ」

「でも、人前で脱いじゃダメだからね」

 火山の暑さにへばりつつも、一行はスコークス、ダルケル、

 ジェームズ・マクラウドのスピリッツを解放しながら歩いていく。

 火山の火口際に着くと、より一層暑さが強くなり、アイスクライマーは汗をかき続ける。

「何なの、この暑さ?」

「苛々しちゃうわ」

「まあまあ二人とも、落ち着いて……暑いのは僕達も同じだから」

 その暑さに流石のアイスクライマーも苛々する。

 何とかりょうは彼らを宥めるが、このまま暑い場所にずっといては危険だ。

 しかも、西は幻のポケモン・ボルケニオンのスピリッツが立ち塞がっている……が、

 ベルはボルケニオンを見て目を輝かせていた。

「ボルケニオンには雪の女王って呼ばれてる妹がいるんだって。一度、会ってみたいわ~」

「雪の女王って誰だ?」

「まぁいいわ、ボルケニオンのスピリッツを解放して進みましょう」

 ベル、シモン、サムスは武器を構え、ボルケニオンのスピリッツと戦った。

 そして、スピリッツを解放した後、一行が西へ歩いていくと、

 黒髪の少年が光の鎖に縛られていた。

 不老不死の少女から超能力を授かった皇子のように整った顔立ちをしていた。

 軍人の姿をしたネットナビのように、人を率いる才能も併せ持っている。

 高校生らしく、英雄に憧れる金髪の少年のような無邪気さもあるかもしれない。

「ようやく捕まったファイターを見つけたわ。こいつの母体は解放してやらなくちゃね!」

 ベルはそう言って、少年を縛っている光の鎖を大鎌で一閃、少年は光の鎖から解放された。

「……」

 少年の瞳が赤く光ると、背後に悪魔が召喚された。

「これは……ペルソナ!?」

「もし、こんな状況に遭遇したら、必ずこう言うでしょう」

「まさか!」

 マールとしずえが驚いたところで、少年と悪魔が襲い掛かってきた。

「行くぞ、みんな!」

「「「はい!」」」

「参る」

「みんな、見ていてくれ!」

 マリオ、ロックマン、ピット、ルカリオ、ランス、マルスは少年を迎え撃つ体勢に入った。

 

「バラージアイスボール!」

 マリオは少年目掛けて氷の玉を乱射する。

「うおっ!」

「当たらないよ!」

 少年は短剣を振るってマリオに反撃、身体をねじらせてロックマンにフェイントを仕掛ける。

 だが、ロックマンはひらりと身をかわした。

「えいっ!」

「……」

 少年はロックマンの攻撃を飛び上がってかわす。

 その直後にロックマンを短剣で切り裂き、ピットが放った矢を闇魔法で防ぐ。

「はっけい!」

「えいっ!」

 ルカリオは少年目掛けて気を纏った掌底を放ち、ランスが槍で少年を突いて追撃する。

「マーベラスコンビネーション!」

「動かないでね!」

 マルスは少年を流れるような連続攻撃で切り裂く。

 ロックマンはバスターを弱めて威嚇射撃をして少年を怯ませる。

 その隙にマリオは少年に突っ込みパンチし、マルスはドラゴンキラーで少年を斬りつけた。

「ワドスピアスロー!」

 ランスは遠くから槍を投げて攻撃し、ルカリオは少年の懐に近付き投げ飛ばした。

「ファイア掌底!」

「ロックバスター!」

「パルテナの神弓!」

 マリオは少年に炎を纏った掌底を放って攻撃、ピットとロックマンは同時に少年を撃った。

 少年は距離を取って闇魔法で反撃し、銃を撃った。

「うおっ、こいつ銃も撃ってくるのか!」

「何でもできるんだね」

 少年の多芸さに驚くマリオとマルス。

 短剣も、銃も、魔法も使え、動きが素早い……だからこそ助けたいと二人は決意する。

「今、助けてやるからなっ」

 マリオはそう言って少年にファイアボールを放つ。

 ロックマンはフレイムソードで斬りつけ、少年をさらに燃やす。

「闇にはこれが一番効くんですよ! これで、とどめです! デュアルアタック!!」

「ぐああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 そして、ピットがパルテナの神弓を双剣に変え、少年に向けて同時に振り下ろし、

 彼を戦闘不能にし、戦闘を終えた。

 

「……っ!」

 ピットが少年を撃破すると同時に、少年の背後にいた悪魔が消える。

 気を失った少年はばたりと、地面に崩れ落ちる。

「……勝ったんですか?」

「そうみたいだな……」

 倒れている少年を見て、マリオは呟く。

 すると、スピリッツボールの中からサクラのスピリッツが飛び出した。

 サクラは少年の傍にやってきて、祓串を少年の前にかざした。

 すると、少年が負っていた傷は癒え、サクラはスピリッツボールの中に戻った。

 痛みはまだ残っているようなので、少年は痛みを引き摺りながら立ち上がる。

「いたたたた……ここは、どこだ?」

「あ、起きたんだね。あまり無茶しないでね」

「う、ぐっ」

 

 しばらくして、少年の痛みが完治した後、マリオは今までの事情を少年に話した。

「なるほど、そういう事があったのか。それで俺は、こんな火山にいたのか」

「大丈夫だった?」

「ああ、ちょっと痛いが平気だ。……それよりも、名前を名乗っていなかったな。

 俺は雨宮蓮、コードネームはジョーカーだ」

 ジョーカーは自身の本名とコードネームを名乗る。

 一行もジョーカーに改めて自己紹介をした。

「……しかし、お前はナイフも、銃も、闇魔法も使えるんだな。

 お前は公認ファイターなのに、銃も使う僕は非公認ファイターとは、一体どういう事なんだ?」

 シャドウは嫉妬の目をジョーカーに向けていた。

「いや、ナイフも銃も玩具(おもちゃ)だから大丈夫だ。闇魔法はエイハという呪怨属性の魔界魔法だ。

 それに、そんなに嫉妬するな。俺とお前は同じ属性なんだぞ?」

「同じ属性……か。だからこそ、妬むかもな」

「……」

 シークは、シャドウとジョーカーのやり取りを見てちょっぴり不安になっていた。

 こんな調子でキーラを倒して世界を救う事ができるのか、と。

 とはいえ、ジョーカーを助けて仲間が増えたため、その辺は良い成果になった。

 一行は、次の仲間を助けるために火山を下山するのだった。




~ベルのスピリッツ名鑑~

ダンジョンおとこ
出身世界:アースボーンド
性別:男性
ダンジョン職人ブリック・ロードが作った塔とブリック・ロードが科学の力で合体した姿。

イシツブテ
出身世界:ゲフリアース
性別:♂♀両方存在する
主に洞窟に生息する、がんせきポケモン。
いわ・じめんタイプで、特性はいしあたま、がんじょう、隠れ特性はすながくれ。
丸くて持ちやすく、掴んで相手に投げてぶつけるイシツブテ合戦ができる(だが20kgだ)。

ヴァルハルト
出身世界:戦記の世界
性別:男性
ヴァルム帝国の皇帝で、「覇王」と呼ばれている。
厳格な性格で、全てを力で支配しようとしている。
軍の中で一番、菜食主義。

ガルシア
出身世界:ウェイアード
性別:男性
ハイディア村に住む少年。
地のエナジストで、ジャスミンとは兄妹。
ロビン達と敵対する関係だが、本来は優しい性格。

カット&アナ
出身世界:ダイヤモンドシティがある世界
性別:女性
ダイヤモンドシティに住む双子のくノ一。
桃髪が姉のカットで、橙髪が妹のアナである。
まだ幼稚園児だが、戦闘能力はかなりのもの。

ファントム
出身世界:ハイラル
性別:なし
鎧のような姿をした、神の塔の守護者。
とある理由で肉体を失ったゼルダ姫が、このファントムの中に入る事で自由に動かせるようになる。

ドン・チュルゲ
出身世界:サブコン
性別:♂
悪夢のバクダンで良い夢を壊す、サングラスをかけたネズミ。
プライドが高い性格で、自分がただのネズミだとは信じていない。

キャミィ
出身世界:こことは異なる世界
性別:女性
ベガのスペアボディとして生まれた、シャドルーの元隊員。
基本的にクールな性格だが、洗脳されていたのか不安定な部分もある。
身長164cm、Dカップ。

メディウス
出身世界:戦記の世界
性別:男性
竜族の知能退化が始まった際、地竜族の王族で唯一マムクートとなった。
マムクートを迫害する人間に怒りを露わにし、ドルーア帝国を建国して人間を滅ぼそうとする。

スコークス
出身世界:DKアイランド
性別:不明
ドンキーコングやディディーコングをサポートする緑のオウム。
暗い場所を照らしたり口から卵を吐いたりできる。

ダルケル
出身世界:ハイラル
性別:男性
神獣ヴァ・ルーダニアを使役するゴロン族の英傑。
豪放磊落な性格で器が大きい。武器は巨岩砕き。

ジェームズ・マクラウド
出身世界:スペースワールド
性別:男性
スターフォックスの創設者で初代リーダー。
惑星ベノムでピグマの裏切りにより消息を絶った。

ボルケニオン
出身世界:ゲフリアース
性別:不明
カロス地方の幻のポケモンで、スチームポケモン。
ほのお・みずタイプで、特性はちょすい。
水と炎で体内で水蒸気爆発を起こし、衝撃波と水蒸気を背中のアームから噴射する。


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48 ~ 穏やかじゃない冒険

今回は穏やかじゃない(?)あのキャラと、レトロなあのキャラが参戦します。
どうでもいいけど、PXZ2には『彼』を差し置いてヒロインが参戦しています。


「俺を助けてくれてありがとう、みんな」

「どういたしまして」

 ジョーカーを救出した一行は、楽しく会話しながら火山を下山していった。

 アイスクライマーは、もう、こんなに暑いところはもうたくさんだという表情をしていた。

「大変だったな、アイスクライマー」

「だって、僕達は寒いところに住んでるもん」

「火山を歩くのは初めてだったわ。あ~、疲れた」

 ポポとナナは汗をびっしょりとかいていた。

 ジョーカーは彼らを「お疲れ様」と労った。

「さて、次の目的地は……」

 下山しながら、ベルは次の目的地を探していく。

 しばらく歩くと、いかにも近未来的なエリアに辿り着いた。

「あ、ここ見た事あるヨ!」

「知ってるの? パックマン」

「うん! ボクについてきて!」

 一行はパックマンの案内で、そのエリアに入った。

 まず道中でオービュロンのスピリッツを解放する。

「この丸い場所に乗ると、ワープするヨ。ワープ先は全部決まってるヨ」

「それで、この場所にファイターは捕まってます?」

「ちょっと待っててね……」

 ベルはファイターの居場所を察知する体勢に入る。

「いるわ。場所は……あっちね。パックマン、行き方を教えて」

「オッケー!」

 一行はパックマンの導きで、次々とワープ床を乗り継いでいく。

 カービィはわいわいとはしゃぎながら、あちこちを見ていった。

 そしてパックマンの導き通り、着いた場所にはファイターが光の鎖で縛られ、

 サイドステッパー(カニさん)とニッキーのスピリッツが取り巻きになっていた。

「このファイターはMr.ゲーム&ウォッチ、通称ウォッチだネ」

「あら、ご存知なのね」

「ボクと同期だから知ってるヨ。でも、茶番はまたあとで。まずは助けてからネ!」

 パックマンがパンチを繰り出し、ウォッチを縛っている鎖を破壊する。

 鎖から解放されたウォッチは、いきなり一行に襲いかかってきた。

「みんな、来るヨ!」

「……来い!」

 パックマン、シャドウ、ジュカイン、しずえ、オリマー、アイスクライマーは、

 操られたウォッチを迎え撃った。

 

「いあいぎり!」

 ジュカインは素早い斬撃をサイドステッパーとニッキーに放つ。

「えいっ!」

 しずえはサイドステッパーをピコハンで叩き、サイドステッパーのスピリッツを解放した。

「元に戻って!」

 パックマンはウォッチにフルーツターゲットを投げるが、

 ウォッチにはギリギリで当たらなかった。

 しかし、オリマーがピクミンに指示を出し、数の暴力でウォッチに大ダメージを与えた。

「「アイスショット!」」

 アイスクライマーはハンマーから同時に氷の塊を飛ばしてニッキーを攻撃する。

「はっ!」

 シャドウはウォッチに体当たりを繰り出す。

 ウォッチは反撃を繰り出すが、シャドウが空間をずらしてしずえにターゲットを変えた。

「きゃっ、何するんですかシャドウさん!」

「問題はない」

「問題はない、じゃないですよ……うぅぅ……」

 シャドウの無遠慮な発言にしずえが泣きかける。

 アイスクライマーはあららと呆れながらニッキーにハンマーを振り下ろし、

 彼女のスピリッツを解放した。

「むっ、私のピクミンをかわすか」

 オリマーはウォッチがピクミンをかわして驚く。

「だったらオレがカバーする! エナジーボール!」

 ジュカインは口からエネルギー弾を放ち、ウォッチを遠距離から攻撃する。

「シャドウさん、冷たくしないでくださいね」

「……」

 しずえは果物を取り出して食べ、体力を回復する。

 シャドウはウォッチに拳銃を撃って攻撃した。

「えーい!」

「カオススピア!」

 アイスクライマーはウォッチにハンマーを振り、

 怯んだところにシャドウのカオススピアが命中。

「元に戻って、ウォッチ!」

 そして、パックマンが変身して体当たりすると、ウォッチは場外に吹っ飛ばされた。

 今ここに、ウォッチとの戦闘が終わった。

 

「モウシワケアリマセン。ワタシノセイデアナタタチヲキズツケテシマッテ」

 パックマン達の活躍で正気に戻ったウォッチは、ファイター達を攻撃した事を謝る。

「いいんだヨ、ウォッチ。終わりよければ全てよし」

「アリガトウゴザイマス、パックマンサン。オヤ? アナタタチノカオハハジメテミマスネ。

 ワタシハ、ウォッチトモウシマス」

「私はインクリングのマールだよ」

「わたしは、シーズーのしずえと申します」

「私はシモン・ベルモンドだ」

「ボクはバンジョー」

「あたいはカズーイよ」

 ウォッチと第五期のスマブラメンバーは、お互いに自己紹介をした。

「僕はシャドウ・ザ・ヘッジホッグだ」

「ボクはバンダナワドルディ、ランスって呼んでね」

「オレはジュカインだ」

「私はベル・クリーブよ」

「わたしはアイシャ・クルースニクですわ」

「俺は柊蓮司だ。柊って呼ばれる事が多いぜ」

「セイバー、アルトリア・ペンドラゴンと申します」

「ヨロシクオネガイシマス」

 シャドウ、ランス、ジュカイン、柊蓮司、アルトリアも、非公認の身ながら自己紹介をする。

 そしてベルとアイシャも、自己紹介をした。

 

「ソレデハ、イキマショウ」

「そうだネ。みんな、ボクについてきて」

「ハイ」

 一行はワープゾーンを移動しながら、リドリーに宿ったデビル、

 ピチューのボディに宿ったロトムを解放する。

 次に右のワープゾーンに乗り、ドンキーコングJR.、グルッピー、スプラッシュを解放する。

 最後のスプラッシュを解放すると、東の雲が晴れ、山と滝が見えるようになった。

「今度は山を登るみたいね」

「山登りなら僕達に任せて!」

「伊達に氷山、登ってないんだからね!」

 アイスクライマーは火山のへばり具合が嘘のようにやる気満々だった。

 ジョーカーは「ははは」と笑いながら、滝がある山に登る準備をするのだった。

 

 一行は仲間を探すため、滝がある山を登っていく。

「エイハ!」

 ジョーカーは呪怨属性の魔界魔法を操り、

 リップと幼少アルム&セリカのスピリッツを解放する。

「すごいねー、ジョーカー!」

「はは、褒めてくれてありがとう。……おや?」

 山を登っている途中で、ジョーカーは壊れた橋を発見した。

「困ったな……俺のペルソナに橋を直す力はないな」

「それじゃ、私に任せて! 樵三人組《サジマジバーツ》!」

 ベルはスピリッツボールの中からサジ&マジ&バーツのスピリッツを取り出す。

『何をすればいいんだ?』

「壊れた橋を直して。このままじゃ先に進めないの」

『分かったぜ、サジ、バーツ!』

『俺達の底力、見せてやる!』

 サジ&マジ&バーツは、三人で力を合わせて壊れた橋の修理にかかった。

 ノービス級だったが流石は木こり、手早く橋の修理作業が終わった。

「ご苦労様、はい、戻って」

『ありがとなー!』

 橋の修理が終わった後、

 ベルはサジ&マジ&バーツのスピリッツをスピリッツボールの中に戻した。

「さ、行くわよ」

「ああ」

 橋が直ったため、一行は先に進めるようになった。

 ジョーカーとシャドウは前に立ち、とうさんぞう、ウイルスのスピリッツを解放する。

 山は相変わらず高かったが、魔法と食糧で何とかへばらずに登る。

 その道中で、一行はノポン族のリキを発見する。

「あ、キミは誰?」

「リキっていうも」

「……子供?」

「リキは子供じゃないも! これでも結婚して子供が11人いる40歳のノポンだも!」

「……えっ、ボクと同じ!?」

 リキは、こう見えても妻子持ちの地球で言う中年男性である。

 (一応)同じ妻子持ちであるパックマンは、その真実に驚く。

「ご、ごめんなさい」

「初めて見る人は割と間違えるも。それで、リキに何の用だも?」

「今は無いヨ。でも、応援はしてほしいヨ」

「やるも! 頑張れ、頑張れ、だも!」

 リキはカムカムを振って、冒険しているスマブラメンバーを応援した。

 彼の応援に、スマブラメンバーの士気が上がる。

「ありがとう、リキ。元気になれたよ」

「どういたしましてだも! じゃ、いってらっしゃいだも!」

「いってきます」

 

「綺麗な滝だね」

 リキに別れを告げた一行は、滝を見つつ山を登る。

 流れる滝の音が、疲れを癒していく。

「うーん、癒される。リキも応援してくれたし、がんばリーリエましょう!」

「おーーーっ!」

 

 5分後、一行はようやく滝がある山の頂上に辿り着く。

 すると、左目が隠れた紫の長髪の、妖艶な容姿をした女性が黒竜に乗っていた。

「カムイ……ああ、カムイはどこ……?」

 女性はカムイの名前を呟きながら、ふらふらと空を飛んでいた。

「あれもスピリッツみたいね。解析してみましょう」

 そう言って、ベルはそのスピリッツを能力を使って解析した。

「この人は暗夜王国の第一王女、カミラよ」

「うわぁ~、綺麗ですわ」

「でも、この身体は、ちょっと胸がきついわ」

 アイシャは、カミラのスピリッツが宿っているカムイのボディを見て感心する。

 カミラはカムイと体格差が大きいため、やや苦しそうな様子だった。

「そこのあなた、カムイを知らない?」

「知らないぞ」

 カミラはマリオにカムイがどこにいるかを聞いた。

 もちろん、マリオは彼女の行方を知らないため首を横に振る。

「ふうん、知らないのね。

 なら、あなたはどうでもいい……と言いたいところだけど、

 あなた達は今、私と対峙してるんでしょ?」

「そうだな」

「あなた、こういう言葉を知らない? 『悪魔は身内には優しい』。

 でも、『飽くまで』身内だけ。だから……あなた達を殺してあげるわ」

 カミラは駄洒落を言いながら微笑む。

 しかし、その目は笑っておらず、カミラは斧を構えてマリオ達に襲い掛かってきた。

 

「これでとどめだ!」

「いやああああああああっ!」

 マリオ達は何とか、エース級のカミラを撃破する事に成功した。

 ボロボロになったカミラは、ボディのせいでさらに苦しそうな顔をしている。

「私はカムイを見つけられないまま……ここで事切れるの……? ああ、カムイ、カムイ……」

「そんな事はどうでもいい。それよりも……さっさと、カムイから出ていってもらおうかッ!」

 柊蓮司は、カムイのボディに宿ったカミラに、激しい言葉を投げつけた。

 すると、カミラが頭を抱えて蹲った。

「………………う………………あ………………カム…………イ……………………」

 カムイの中から、カミラのスピリッツが抜け出る。

 ベルはそれを逃さないように、鎌を構えて彼女を捕まえる態勢に入る。

「捕まえ……たっ!」

「イヤァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 ベルの鎌がカミラを一閃すると、

 彼女のスピリッツはスピリッツボールの中に吸い込まれていった。

 そして、カミラのスピリッツが抜け出たカムイのボディは、塵となってこの世から消えた。

 

「なんか、色々めんどくさい奴だったな、カミラは」

 柊蓮司はカミラについて簡素な感想を述べた。

「……うーん、でも、カムカムはどこにいるのかな」

 カムイは、あの光を浴びた後、一体どこに消えたのだろうか。

 カービィが彼女を心配していると、突然、

 光の鎖で縛られた金髪碧眼のファイターが姿を現した。

 モナド使いの青年、シュルクだ。

 台座の下からは、シュルクのボディが次々と生成されていく。

「! どうやら、カミラを倒したためにファイターが現れたみたいだな。

 彼の母体を解放すれば、また一つ世界は変わる。みんな、覚悟はいいか?」

「うん!」

「いくぞ……はあっ!」

 シモンがヴァンパイアキラーを振り、光の鎖を切り裂くと、

 シュルクの母体が解放され、彼はモナドを構えて戦闘態勢に入る。

 シモンと共に前に立っているのは、シーク、ファルコン、ルカリオ、ダックハント、マック。

「……シモン、キミモボクトキーラサマニハムカウノカイ?」

「私はお前を解放しただけだ。だが、キーラには刃向かう」

「フン。ソレト、チョットキノドクナンダケド、

 キミタチニハ、ヤクソクシテモラワナキャナラナイコトガアルンダ。

 エターナル・サイレンス……エイエンノチンモク、ヲネ」

「来るぞッ!」

 シモン達は、操られたシュルクを解放するために、彼と戦った。

 

「モナドアーツ『疾』」

 シュルクはモナドアーツを発動し、自身の回避率を上げる。

「「いくぞ!」」

「アタラナイヨ」

 シモンとファルコンはシュルクに渾身の一撃をぶつけるが、

 モナドアーツの効果でひらりとかわす。

「はどうだん」

 ルカリオはシュルクに波導の力を溜めた弾を放つ。

 シュルクはそれもかわそうとするが、はどうだんはシュルクを狙い、攻撃は命中した。

「ヒッチュウワザダト!?」

「ばうわう!」

「くっ!」

 シュルクはダックハントの狙撃をかわした後、モナドでシモンに斬りかかる。

 シークはシュルクの行動に合わせて仕込針を投げ、マックが追撃する。

「はっけい!」

「ばうっ!」

 ルカリオはシュルクの急所にはっけいを当て、ダックハントはシュルクに早撃ちを仕掛ける。

「ファルコンパンチ!」

 そして、ファルコンが炎のパンチをシュルクにぶちかまし、彼を吹っ飛ばして戦闘を終えた。

 

「はぁ、はぁ……僕は一体、何をしていたんだろう……しかも、見慣れない場所だな……」

 シュルクは、自分が違う場所に飛ばされ、しかも母体を利用された事を忘れていた。

「かくしかで捕まったファイターを探している」

 シャドウがシュルクに事情を話すと、シュルクはがっくりと項垂れる。

 そして自分の警告が間に合わなかった、と謝った。

未来視(ビジョン)が間に合わなくて、ホントにごめん」

「いや、間に合っていた。だが、相手の方が一枚上手(うわて)だったようだ」

「シャドウ……」

 シュルクの未来視による危機回避も、「あの時」はキーラの速さの前に通用しなかった。

 フィオルンの事件もあってか、あの時、仲間を守れなかったシュルクの心は傷ついていた。

 

『シュルク、落ち込まないで』

「フィオルン……!」

 そんなシュルクの前に姿を現したのは、フィオルンのスピリッツだった。

『シャドウの言う通り、シュルクの予知は間に合っていた。

 あなたの行動は決して無駄じゃなかった。

 だって、あなたのおかげで、カービィと、シャドウと、ベルを逃がせたじゃない』

「ホントだ!」

 微力ながらもシュルクの行動は希望を繋いでいた。

 どうして気がつかなかったんだ、とシュルクは思い出す。

『自分を責めないで。シュルクが悲しいと、私も悲しくなるよ。だから、ほら! 笑って!』

「……フィオルン……ごめん、ホントにごめん。

 そして、絶望の底から引きずり出してくれて、ありがとう」

 フィオルンの慰めにシュルクは涙を流した。

 そして、シュルクは満面の笑みをフィオルンに浮かべた。

 

『私、シュルクが勝つ事を信じてるからね』

 そう言って、フィオルンはスピリッツボールの中に戻った。

 一段落した後、シャドウは立ち上がる。

「……感動の再会といったところで、そろそろ戻るとしよう」

「そうだね、まだ捕まってるファイターがいるしね。じゃあ、どうやって帰ろうか?」

「……滝を降りるか」

「えー? また潜るのー? カオスなんとかを使えばいいのにー」

 シャドウの「滝を降りる」という提案に、カービィは少しだけ文句を言う。

「何度もカオスコントロールは使えないと言っただろう。それとも、お前だけここに残すか?」

「……分かったよ」

 カービィは渋々滝に飛び込んだ。

 そして、他のメンバーも次々と滝に飛び込み、山を脱出するのだった。




オービュロン
出身世界:ダイヤモンドシティがある世界
性別:男性?
地球侵略(?)にやって来た宇宙人。IQ300。
紀元前1年生まれなので年齢は西暦と同じ。
宇宙船に隕石が落ちる、ロケットに入る、ブラックホールに飲み込まれかける、
見習い魔女に薬の材料にされかかる、など、なかなかのハードラックである。

サイドステッパー
出身世界:キノコワールド
性別:なし
通称カニさん。突き上げると怒って素早くなる蟹。

ニッキー
出身世界:電脳世界
性別:女性
交換日記を趣味としている女性。

デビル
出身世界:どこかの小世界
性別:♂?
デビルワールドの主で、青い身体に赤いパンツ・マント・翼が特徴。
方向を指示して画面をスクロールさせる。

ロトム
出身世界:ゲフリアース
性別:不明
シンオウ地方で発見された、プラズマポケモン。
でんき・ゴーストタイプで、特性はふゆう。
電化製品の中に入って悪戯をし、特殊な機械に入る事で形態も変える事ができる。

ドンキーコングJR.
出身世界:DKアイランド
性別:♂
初代ドンキーコングの息子(ただし、現ドンキーコングの父親かは不明)。
マリオに捕まった父親を助けるため、冒険した。

グルッピー
出身世界:クルクルランド
性別:不明
クルクルランドに隠された金塊を探す謎の生き物。
常に前に進んでおり、棒に掴まって方向を変える。

スプラッシュ
出身世界:どこかの小世界
性別:なし
固体の氷・液体の水・気体の雲に形態を変える事ができる水のセイレイ(精霊)。
絵本の世界に閉じ込められた七姉妹を助けるため、様々な世界を冒険する事になる。

リップ
出身世界:ポップルス
性別:女性
妖精界ポップルスに住む花の妖精(親世代)。
他の妖精よりも魔法の力が弱いため、ステッキの力を借りて魔法を使う。
ポップルスの女王となる運命を背負っている。

アルム&セリカ
出身世界:戦記の世界
性別:アルムは男性、セリカは女性
ソフィア騎士マイセンに育てられたアルムと、ミラを信仰するソフィア王国の王女セリカ。
二人は幼い頃を共に過ごしてきた幼馴染である。

とうさんぞう
出身世界:ヨッシーアイランド
性別:不明
上半身が象で、下半身が卵の生物。
手が描かれた看板を持ち、通せんぼしているが、ヒップドロップでひっくり返る。

ウイルス
出身世界:キノコワールド
性別:なし
赤・青・黄の身体を持っている病原菌。
同じ色のカプセルを繋げると治る、つまり消える。

カミラ
出身世界:戦記の世界
性別:女性
暗夜王国の第一王女。
妖艶な容姿ながらも包容力に溢れる大人の女性で、特に義弟(義妹)のカムイを溺愛している。
しかし、敵に対しては一変し、残酷な性格になる。
戦闘では魔竜に乗り、斧と魔法を使って戦う。
軍の中で一番、お風呂好き。


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49 ~ ラプラスにのって

原作ではここにMiiファイターがいるのですが、この小説では出ません。
代わりに「なんでファイターなんだよ!!」な、あいつが参戦します。


 ウォッチ、シュルクと立て続けにファイターを救出し、

 スマブラメンバーの数はどんどん増えていった。

「さて、次はどこに行きましょうか」

「アローラ島にある“贈り物”を探しましょう」

「……キーラが出した、アレ?」

「そうよ。反対は、無いわね?」

「もっちろん! 行こう、サム姉!」

 

 サムスの提案で、一行はアローラ島がある砂浜に行く事になった。

 砂浜は遠かったが、パックマンエリアを通り、1時間後に何とか辿り着く事ができた。

「ふぅ~、疲れた」

「これくらいで音を上げないで」

「サムスは魔物顔負けの体……何でもないわ」

 涼しい声のサムスにベルが言いかけるが、

 サムスの怒りを買いそうな気がしたので慌てて口を押さえた。

「わぁ~、綺麗だねぇ」

 砂浜は自然が豊かで、たくさんの生き物が住んでいた。

 しかし、キーラ軍の襲撃により、スピリッツがたくさん浮遊している。

「……やるしかないみたいだな」

「ええ、行くわよ!」

 カービィ、シャドウ、ベルは、率先して戦い、キーラに操られたスピリッツを解放する。

 チアガールズ、リト族の少女・メドリ、ドラゴンポケモン・ボーマンダ。

 彼らは最初の生き残りだけあって、他のスマブラメンバーより覇気があった。

「わぁ~! かっこいいでちゅ~!」

「凄いなぁ、三人とも」

「僕達から冒険が始まったんだからね」

「これが、究極の力だ……」

「ふふふ、私は死神なのよ」

 リュカ、りょう、ピチュー、ピットなどの子供達は三人の戦いぶりを見て感心している。

 彼らの姿は、スマブラメンバーを勇気付けていた。

 しばらく進むと、赤い帽子と赤い服の少年が、光の鎖で縛られていた。

「あっ、ロート!」

 少年はポケモントレーナーのロートである。

 そこからは、ゼニガメ、フシギソウ、リザードンのボディが生成されていた。

「待ってて、今僕が助けてあげるよ!」

 りょうがボウリングの玉をロートに向けて投げ、彼を光の鎖から解放する。

 そして、ロートがポケモンを出そうとすると、ベルは闇を纏った手で彼をビンタした。

 

「はーい、これにて救出成功!」

「えっ、成功?」

「ふふっ、これは彼自身に戦う力が無いからこそできるのよ」

 ベルが涼しい顔で言うと、ロートはぱちぱちと瞬きする。

「……なんで俺は、アローラ島にいるんだ?」

「よかった、上手くいったみたい。あんたのポケモンのボディは、もうこれで生成されないわ」

「ボディ……?」

「あ、混乱してるみたいね。便利な言葉、かくしか」

 ベルはこれまでの事情をロートに話した。

 キーラ軍の襲撃で世界が危機に瀕している事、肉体を失ったスピリッツが徘徊している事、

 キーラに捕まった仲間を助けている事。

 これらを全て話すと、彼は納得して頷いた。

「分かったぜ。要はキーラを倒せばいいんだろ」

「そうよ」

「よし! 俺は戦えないが、トルトゥ、フィオーレ、ブレイズが力を貸してやる。

 だから、一緒に俺もついていくぜ!」

「ええ、もちろんよ」

 そう言って、ベルとロートはがしっと握手した。

 今ここに、チャンピオンを目指すポケモントレーナー・ロートが、

 スマブラメンバーの仲間になるのだった。

 

「さて、と。ロートを仲間にしたのはいいけど、贈り物を見つける方法が見つからないわね」

 サムスがふむ、と顎に手を当てて言う。

 ロートはそのための方法を探すべく、あちこちを見渡した。

 すると、ロートは何かを発見し、目を光らせる。

「おっ、あれは……ポケモンだ!」

「ポケモン?」

 ロートはすぐに南西側に走り出す。

「待ってよ、ロート~!」

 カービィ達が彼を追いかけると、アイスクライマーのボディに宿ったのりものポケモン、

 ラプラスのスピリッツがいた。

「ほら、見つけたぜ」

「お、ラプラスだ」

「こいつに乗せてもらえばいいんじゃないか? なんていったって、のりものポケモンだからな」

 ラプラスは背中に人やポケモンを乗せて運ぶのが好きなポケモンだ。

 しかし、今はキーラに操られていて、とてもラプラスの背中に乗れるような雰囲気ではない。

「ま、いつも通り、戦ってゲットするしか」

「ないよな!」

 ラプラスには、ピカチュウ、プリン、ピチュー、ルカリオ、ジュカイン、

 ロートの一人と五匹、いや、一人と八匹が挑戦した。

 

「ラプラス、ゲットだぜ!」

 ロート達は無事にラプラスの解放に成功した。

 これで海の向こうに渡る事ができるようになった。

 一行は砂浜に行きラプラスを呼び出す準備に入る。

「ゆけっ、ラプラス!」

「ラ~~プラ~~♪」

 ロートはベルのスピリッツボールを借りて、中からラプラスを取り出す。

 ラプラスは嬉しそうに歌いながら、スマブラメンバーを乗せようとする。

「……こんなにたくさんは、乗れないよなぁ」

 だが、人数が多すぎるため、何回かに分けて移動する事になった。

 

 ちなみに、内訳はこのようになっている。

 ・1回目

 カービィ、アイシャ、ランス、しずえ、ジュカイン、柊蓮司、プリン、リンク、ピカチュウ、

 スネーク、オリマー、ロックマン、パックマン、リュカ

 

 ・2回目

 ベル、ソレイユ、リュンヌ、りょう、アイスクライマー、ヨッシー、アルトリア、ピット、

 ダックハント、シーク、マール、サムス、ジョーカー、ドクター

 

 ・3回目

 シャドウ、マック、ファルコン、フォックス、マリオ、マルス、クッパ、ストーム、

 ルカリオ、ピーチ、ピチュー、シモン、ドンキーコング、バンジョー&カズーイ

 

「船がなくても、泳げなくても、君を呼んだら旅が始まるのさ~♪」

 アイシャはラプラスの上で「ラプラスにのって」を歌った。

 ピンク玉二人は歌うと危険なので、アイシャは歌わないように言った。

「わぁ~、歌が上手いですねぇ~!」

「ああ、なかなかいい声だな」

 しずえと柊蓮司がアイシャの歌声を評価する。

 ラプラスもそれに合わせて、綺麗な声で歌った。

 海は広く、光が反射して美しい青が映える。

 途中で魚男を解放しながら、のんびりと海を渡る。

 

「海は広いな大きいな~♪」

 爽やかな風が、一行を包み込む。

 ラプラスは、皆を笑顔で目的地まで運んでいった。

 

「着いたぜ、ラプラス。残った奴らも運んでくれよ」

「ラップラー!」

 最初の14人がアローラ島に到着した後、ラプラスはロートの指示で砂浜に戻っていく。

 次にベル組、シャドウ組がラプラスに乗り、全員がアローラ島に到着した。

 

「ご苦労様、ラプラス。戻ってね」

「ラプラ!」

 ベルは全員を運び終えたラプラスをスピリッツボールの中に戻した。

「アローラ島かぁ……。ちょっと日差しが強いけど、自然が豊かだね」

 一行が着いたアローラ島は草や花がたくさんあり、砂浜もきらきらと光っている。

 ここに、サムスが言った「贈り物」がいるという。

 ベル達が歩いていくと、オレンジ色の服を着た幼い兎と、

 蝶ネクタイをつけたチャオと出会った。

「あ、シャドウさん! お久しぶりデス!」

「チャオー」

 この兎とチャオはシャドウの事を知っているようで、彼に笑顔で声を掛ける。

「何かあったの?」

「シャドウさんは、お城の中で迷子になったワタシとチーズを助けてくれた事があるんデス」

「エミーに言われたがな」

 相変わらずシャドウは素直ではなかった。

「で、あんた誰?」

「ワタシはクリーム・ザ・ラビット、こっちは友達のチーズデス」

「チャオチャオー」

 兎とチャオは一行に自己紹介をした。

 シャドウ以外の一行もクリームとチーズに名前をを名乗った。

「よろしくね、クリーム」

「よろしくお願いしマス! ……あっ」

「チャオ?」

 互いに自己紹介を終えた時、クリームとチーズがカービィのところに向かって歩き出す。

「ど、どうしたの、クリームチーズ?」

「か、身体が勝手に動くんデス! 戦いたくないのに! た、助けてくだサイ!」

「あ、いつものバトルだね。よーし、いくぞ!」

 キーラに操られたクリームとチーズは、カービィが解放する事にした。

 

「ありがとうございマス、カービィさん」

「チャオ!」

「どういたしまして、クリームチーズ」

「……それとカービィさん、ワタシの名前はクリームチーズじゃなくて、

 クリーム・ザ・ラビットデス」

 カービィに名前を間違われたクリームは、少し悲しそうに彼に説明した。

「あ、ごめんね、クリーム……と、チーズ」

 カービィがクリームとチーズに謝った後、二人はスピリッツボールの中に入った。

 

「うーん、綺麗な島だなぁ! 初めてなのに、やっぱり懐かしいぜ」

 ロートはアローラ島の感想を素直に言った。

 赤い花に白い斑点模様が描かれ、土管の中に入った奇妙な植物が踊っていた。

 マリオ、ピーチ、ヨッシー、クッパはそれに見覚えがあった……パックンフラワーだ。

「「「「パックンフラワー!」」」」

「ガブ、ガブガブ、ガーブガブ!」

「……何言ってるんだ?」

「分からないわ」

「私にはさっぱり分かりませんね~」

 マリオ、ピーチ、ヨッシーには、パックンフラワーの言葉が分からなかった。

 すると、クッパがパックンフラワーの前に出る。

「クッパ、お前分かるのか?」

「こいつは我輩が作ったようなものだからな、我輩には全てお見通しなのだ」

 実はパックンフラワーはクッパの魔力で凶暴化した植物のため、

 クッパにはパックンフラワーの言葉が分かるのだ。

「ガブ、ガブガブ、ガーブガブ!」

「何々……『俺の踊りについてこい』? ほほう、ダンスには自信があるみたいだな」

「ダンス……?」

 クッパがパックンフラワーの言葉を翻訳する。

 どうやら、パックンフラワーはダンスを得意としているようだ。

「ふむふむ、なるほど……分かったぞ。マリオ、ピーチ、ヨッシーよ!

 こいつはお前達とダンスで対決したいらしいぞ!」

「おっ、ダンスか。久しぶりだな。ピーチ、ヨッシー、一緒にダンス乱闘するか!」

「ええ。ドレスは少し動きづらいけど、

 パックンフラワーのダンスがどれほど上手いか、見せてもらうわよ!」

「私も張り切って、踊りますよ~!」

 マリオ、ピーチ、ヨッシーは構えを取り、クッパとパックンフラワーも遅れて準備する。

 今ここに、異色のダンス乱闘が始まるのだった。

 

「そら、よっ!」

 マリオは基本の動き、アイソレーションでパックンフラワーを翻弄しようとする。

 しかしパックンフラワーは動じず、くねくねと身体を動かしてヨッシーに見せる。

「ガブガブ?」

「見惚れてないでね?」

 ピーチはタップダンスを踊り、ヨッシーも彼女に合わせて踊る。

 会心のダンスがパックンフラワーに響いたのか、パックンフラワーは動けなくなった。

 その隙に、クッパはクッパドロップでパックンフラワーを攻撃した。

 

「パックンフラワーよ、お前のダンスを我輩に見せるがよい!」

 クッパがパックンフラワーを挑発すると、パックンフラワーは渾身のダンスを披露する。

 首を上げたり、捻ったり、葉っぱを動かしたりと大胆なダンスだった。

「むぐぅ! なかなかのダンスであった」

「では、私も踊ります!」

 続いてヨッシーがクリケットとバタフライでパックンフラワーの気力を削る。

「それっ!」

「ガブッ!」

 その隙にピーチはパックンフラワーを投げて転ばせ、フライパンの一撃を与えた。

 パックンフラワーは首を捻り、鞭のようにしならせてマリオを攻撃する。

 マリオはボックスステップを踏んでパックンフラワーに反撃する。

「とどめだ! エンドレスナインティー!!」

 そして、マリオが片手で逆立ちして体を固めて、床を漕いで回転しながら蹴り飛ばす。

 その一撃でパックンフラワーは吹っ飛ばされ、今ここにパックンフラワーとの戦いが終わった。

 

「ガブガブガブ……」

「『オレの負けだ、好きにしろ』と言っているのだ」

 パックンフラワーはそう言って、マリオ達に負けを認めた。

「……うーん、好きにしろって言っても……」

 このまま放っておくわけにはいかないよな、とマリオが呟き、他のメンバーも頷く。

 一方で、ランスは複雑な感情をしていた。

「パックンフラワーって、ダンスしてたけど、ボクみたいに戦えるのかな?」

「ガブガブ!」

「『失礼な! ちゃんと戦えるんだぞ!』」

「あ、それならよかった。それじゃあ、よろしくね、パックンフラワー」

 そう言って、ランスはパックンフラワーと握手した……ランスには指が、

 パックンフラワーには手が無いが。

 

「ガブ! ガーブガブガブ、ガブガブ!」

「『それじゃあ、他のファイターも解放するぞ!』」

「おーーーーーっ!!」

 

 こうして、一輪の大口、パックンフラワーが仲間になるのだった。




死神さん
出身世界:ヨッシーアイランド
性別:不明
骸骨の顔と布の身体を持つお化け。
ヨッシーにとりついて方向感覚をおかしくさせる。

チアガールズ
出身世界:地球
性別:女性
三位一体の応援で団員を盛り上げる、とある応援団のマスコット的存在。
神田葵(かんだあおい)雨宮沙耶花(あめみやさやか)、アンナ・リンドハーストの三人で構成されている。

メドリ
出身世界:ハイラル
性別:女性
空の精霊ヴァルーのお付きであるリト族の少女。
ゾーラ族の賢者の血を引いており、心優しく献身的な性格をしている。

ボーマンダ
出身世界:ゲフリアース
性別:♂♀両方存在する
コモルーが進化した、ドラゴンポケモン。
ドラゴン・ひこうタイプで、特性はいかく、隠れ特性はじしんかじょう。
ついに生えた翼で大空を駆け巡り、嬉しくて火炎を吐いて一面を焼け野原にする。

ラプラス
出身世界:ゲフリアース
性別:♂♀両方存在する
主にカントー地方にいる、のりものポケモン。
みず・こおりタイプで、特性はちょすい、シェルアーマー、隠れ特性はうるおいボディ。
高い知能を持ち、トレーナー以外の人間の言葉を理解できる。
絶滅の危機に追い込まれたり、逆に増えすぎたりと人間のエゴに振り回されている。

魚男
出身世界:ハイラル
性別:男性
島の周りの海でジャンプをしている魚。
万能エサをやると、冒険に必要な情報を教えてくれる。

クリーム・ザ・ラビット&チーズ
出身世界:こことは異なる世界
性別:クリームは女性、チーズは♂
友達のチャオ、チーズを連れた6歳の兎の女の子。
何事にも一生懸命でしっかりした性格。
丁寧な口調で話し、語尾は「デス」「マス」。


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50 ~ 一狩り行こうぜ!

ボスにしてアシストフィギュア、そんな火竜が登場します。
こいつの弱点は、分かりますよね?


 パックンフラワーを仲間にして、

 一行はサムスが言っていた“贈り物”がどこにあるかを探索する。

 アローラ島は意外に広いため、探索に時間がかかった。

 そんな時、ジュカインがパックンフラワーを持ちながら

 ダックハントと共に植物のにおいを辿って歩いている。

「ガブ、ガブガブ」

「わんわん」

「こいつらが贈り物まで案内してくれるらしいぜ」

「やるな、パックンフラワー、ダックハント」

「ガブ!」

「ばう!」

 どうだ! と勝ち誇るパックンフラワーとダックハント。

 彼らの探索能力は、いくつもの冒険をしてきたマリオも眼を見張るほどだった。

 

 一行はパックンフラワーとダックハントに案内してもらい、贈り物がある森丘まで辿り着いた。

 そこには、赤い身体のワイバーンのような姿をした巨大竜、リオレウスがいた。

「うわー、おっきいー」

 カービィはあまりの大きさに天を見上げる。

 他のメンバーも、リオレウスの巨大さに釘付けになっていた。

「これが贈り物なのね」

 一方のサムスは、「贈り物」であるリオレウスを冷静に見ている。

「サム姉?」

「恐らくは、こいつが最後のバリアを守るボスよ」

 サムスがそう言うと、リオレウスは翼を羽ばたかせて森丘の頂へと飛び去った。

「各地にはスピリッツがたくさんいる。解放しながら進むわよ」

「うん!」

 

 自然が豊かな森丘。

 しかし、そこもキーラの侵略に遭っていた。

 一行はリオレウスを狩るべく、スピリッツを解放しながら進む。

「えい!」

「PKサンダー!」

「インファイト!」

 空を飛ぶブロントバートや、胞子を振りかけるあるくキノコ、

 あばれうしポケモンのケンタロスを倒しながら、一行は森丘をキーラの支配から解放する。

「よし、これを押して……」

 リンクが赤いスイッチを押すと近くに橋が現れた。

 その橋を慎重に渡り、今のリンクと同じ世界のゼルダ姫を解放して先に進むと、

 光の鎖に縛られたトゥーンリンクが台座に置かれていた。

「トゥーン!」

 台座からは、次々とトゥーンリンクのボディが生成されている。

 リンクは、歯をくいしばってトゥーンリンクをマスターソードで斬りつけた。

 するとトゥーンリンクが赤い瞳をぎらつかせてリンクに襲いかかってきた。

「俺が相手だ! 来い!」

 リンクはトゥーンリンクに一騎打ちを挑んだ。

 

「せやあーっ!」

「グワアーッ!」

 リンクは何とか、トゥーンリンクとの一騎打ちに勝利し、彼を正気に戻した。

「ボクは一体、何をしていたんだ?」

「トゥーン、お前は悪い夢を見ていたんだ」

「そうだったのか……。皆さん、リンクを傷つけてごめんなさい」

 トゥーンリンクはスマブラメンバーに謝った。

 別人とはいえ、リンクの名を持つ仲間だからだ。

「俺も、仲間のお前と戦ってすまなかった。

 でも、今はみんな、キーラに操られていて、戦わなきゃ元に戻せないんだ。

 ……分かってくれたか?」

「うん、分かったよ! ボクもみんなを助けてあげればいいんだよね?」

「ああ、そうだ」

 トゥーンリンクは理解してくれたようで、リンクは一安心した。

 

「じゃあ、よろしくな! トゥーン!」

「うん! みんな、よろしくね!」

 リンクとトゥーンリンクは互いに握手を交わし、スマブラメンバーの仲間が増えた。

 

 一行は仲間にしたトゥーンリンクと共にランビ、モーリィ、トリッキー、ガブリアス、

 ムッシュ、メリア・エンシェントを解放し、リオレウスが待つ頂へと辿り着いた。

「我輩よりも大きいとは……」

 リオレウスの巨体は、大きなクッパでさえも簡単に見下ろすほどだった。

 普通の人間なら、まずその巨体だけで威圧されるだろう。

 だが、彼を倒せばキーラのバリアが消滅し、キーラに戦いを挑む事ができるのだ。

 ここで逃げ出すわけにはいかない。

「リオレウスは鋭い爪と強靭な(あぎと)、そして強力な火炎のブレスで攻撃してくるわ。

 彼の弱点は尾。何発か当てれば、破壊できるわ」

 ベルがリオレウスの弱点を説明すると、火竜リオレウスが襲い掛かってくる。

 彼を迎え撃つのは、リンク、サムス、ランス、そしてアイシャだった。

「ボクは、大王様のためにも、絶対に負けない!」

「覚悟しなさい、リオレウス」

 

「はぁっ!」

「えいっ!」

 リンクはマスターソードでリオレウスの尾を狙って斬りつける。

 ランスも彼に続き、槍でリオレウスの尾を貫いた。

 アイシャとサムスは後方から攻撃した。

「グオォォォォ!」

 リオレウスは巨大な顎を開き、手近な対象……リンクとランスに噛み付く。

「ぐうぅっ!」

「うわあっ!」

 リンクはハイリアの盾、ランスはパラソルで防御するが、

 威力は凄まじくそれらを貫通してダメージを食らった。

 

「だ、大丈夫ですか!?」

「あ、ああ……つっ、痛い」

 何とか二人は耐えたが、苦しそうな表情をする。

 アイシャは癒しの力を使い二人を癒す。

「あまり無理しないでくださいね。わたしの癒しの力は、弱まっていますから」

「ああ……」

 リンクとランスは再びリオレウスの尾を狙って武器で攻撃する。

「凍りなさい」

 サムスはアイスミサイルを放ち、リオレウスを凍らせて攻撃を防ぐ。

「よし、このまま一気に攻めるぞ!」

 リンクは飛び上がってマスターソードでリオレウスの尾を突き、ランスも槍を投げて追撃する。

 アイシャは包丁を振り回してリオレウスを切り刻み、

 サムスがリオレウスに突っ込んでボムを爆発させる。

 リオレウスの尾に、ヒビが入ってきた。

「……食うのか?」

「まさか! 食べませんわよ! 何にしろ、あと少しでリオレウスの尾を破壊できますわ。

 もう一踏ん張りですわ!」

「ああ!」

 リンクはリオレウスに突っ込み、ヒビが入った場所を突く。

「これで、どうだ!」

 そしてランスが槍を突き刺すと、豪快な音と共にリオレウスの尾は砕け散った。

 

「やった! リオレウスの尻尾を壊せた!」

 リオレウスの尾を破壊し、喜ぶランス。

 しかし、リンクは固い表情を崩さなかった。

「いや、まだリオレウスは倒れていない」

「しかも……」

 リオレウスは唸り声を上げている。

 尾を壊された事で、怒っているようだ。

「グオオオオォォォォ!」

 リオレウスは顎を開き、火炎を吐き出す。

 リンクはその炎をかわすが、余波がランスに飛び火し、ランスは身を灼かれる。

「だが、怒ってるという事は、あと少しでリオレウスを倒せるという事だな。一気にいくぞ!」

「はい!」

 アイシャはリンク、ランス、ピーチを鼓舞し、三人はリオレウスに一斉攻撃を仕掛ける。

 リオレウスは巨大な顎による噛み付きで反撃し、さらに高熱の火を噴く。

 その威力が及ぶ範囲は広く、スピードも上がっている。

「かわせるか!?」

「おっとっと!」

「当たらない」

「負けませんわ!」

 リンク、ランス、サムス、アイシャは緊急回避をし、奇跡的に全ての攻撃をかわした。

「よし! 決めるぞ!」

「ワドスピアスロー!」

「この一撃で!」

 リンクはブーメラン、ランスは槍、アイシャは食器をリオレウスに投げつける。

 サムスはその間に、エネルギー弾を溜めていた。

「それっ!」

 アイシャが皿を投げた時、サムスはリオレウスにとどめを刺す体勢に入った。

 

「一狩り……いかせてもらうわ!」

 サムスがチャージショットを放つと、巨大なエネルギー弾が一直線に放たれ、

 リオレウスを飲み込む。

 エネルギー弾が命中すると、大爆発が起きる。

 そして、大爆発が治まった時、リオレウスは地に伏せた……リンク達の勝利だ。

 

「やったああああああ!!」

「勝ったああああああ!!」

「私達は、勝ったのね」

「やりましたわ、わたし達の勝ちです!」

 四人は、その身体や声で、大いなる喜びを表すのだった。

 

「邪悪な力が……!」

 リオレウスを撃破した事で、森丘から邪悪な気配が消えていく。

 そしてキーラを守るバリアが消滅し、光の階段が現れ、ついにキーラへの道が開いた。

「やった! これでキーラと戦えるね!」

 カービィはようやくキーラと戦えるため喜ぶが、ベルは珍しく冷静にこう言った。

「ちょっとカービィ、早まらないで。この世界にはまだ捕まったファイターが残っているわ」

「……そうだな、僕達がまだ行っていない場所はある。そこを攻略して、改めてキーラに挑もう」

「あっ、言われてみればそうだ! よーし、みんなを助けて、キーラをやっつけよう!」

「決まったな。では……カオス、コントロール!」

 一行は残りのファイターを助けるため、

 シャドウのカオスコントロールで森丘を後にするのだった。




~ベルのスピリッツ名鑑~

ブロントバート
出身世界:ミルキーロード
性別:♂♀両方存在する
ブロントバートは種族名。
丸い身体に四枚の透明な羽を持つ生物で、その透明な羽を羽ばたかせて飛行する。
よく間違われるが、ブロントバー「ド」ではない。

あるくキノコ
出身世界:アースボーンド
性別:なし
ギーグの力で足が生え、自由に歩き回るキノコ。
胞子を撒いて頭にキノコを生やし歩きにくくする。

ケンタロス
出身世界:ゲフリアース
性別:♂のみ存在する
バッファローの姿をした、あばれうしポケモン。
ノーマルタイプで、特性はいかく、いかりのつぼ、隠れ特性はちからずく。
世界の各地にケンタロスに乗って生活してきた歴史がある。

ゼルダ(BoW)
出身世界:ハイラル
性別:女性
100年前に滅びた、ハイラル王国の王女。
明るく好奇心旺盛な性格で、ガノンを封じている。

ランビ
出身世界:DKアイランド
性別:♂
ドンキーコングやディディーコングをサポートしてくれるサイ。
足が速く突進が得意で、角を使って攻撃できる。

モーリィ
出身世界:ミルキーロードの鏡界
性別:♂
サングラスをかけたモグラ。
悪戯好きな性格で、いつもどうやって人を驚かそうか考えている。
ちなみに、ミセス・モーリィとの関係は不明。

トリッキー
出身世界:スペースワールド
性別:♂
惑星サウリアを治めるアソーカ族の王子。
トリケラトプスの姿をしており冒険と悪戯が好き。

ガブリアス
出身世界:ゲフリアース
性別:♂♀両方存在する
ガバイトが進化した、マッハポケモン。
ドラゴン・じめんタイプで、特性はすながくれ、隠れ特性はさめはだ。
ジェット戦闘機に負けないスピードで空を飛ぶ。
雌雄で姿が異なり、雌は背びれの切れ込みがない。

ムッシュ
出身世界:ハイラル
性別:不明
リンクの冒険を手助けする、羽が生えた青い熊。
「空」を象徴する生物であり、大きな尻で邪魔なものを吹き飛ばす事ができる。

メリア・エンシェント
出身世界:ゼノワールド・並列世界3
性別:女性
ハイエンター族の皇主ソレアンの娘。
長命のハイエンター族なので、見た目は少女だが実年齢は88歳。
エーテルと呼ばれる、魔法のような力を操る。

リオレウス
出身世界:こことは異なる世界
性別:♂
ワイバーンの姿をした巨竜で、「空の王」と呼ばれている。
立派な尾と翼を持ち、炎を吐く事ができる。
リオレイアとは(つがい)になっている。


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51 ~ DKアイランド

今回から、光の世界に残った仲間を助けていきます。
寄り道? いいえ、スマッシュブラザーズにとっては大事な仕事です。
ちなみに、スマッシュブラザーズは全員幽霊が見えます。


 リオレウスを撃破し、ついにキーラを守るバリアが消滅した。

 だが、キーラに捕まったファイターはまだこの世界に散らばっている。

 一行は残ったスマブラメンバーを助けるため、ベルを先頭に歩いていった。

「次は……あっ、見つけたわ! こっちね」

 ベルは何かを発見したようで、滝がある山がある方角にいきなり走り出す。

「ベルベル、何見つけたの?」

「仲間よ、仲間の魂よ! キーラがいる方とは逆だけど、仲間は助けなきゃ!

 ほら、ついてらっしゃい!」

「あっち行ったり、こっち行ったりと、忙しいな」

 ベルは、仲間がいるという北東に行き、皆を誘導した。

 あちこちを行き来する忙しさに、柊蓮司はぽつりと呟いた。

 

「久しぶりのDKアイランドだ!」

 こうして、一行はファイターが捕まっている場所、DKアイランドに辿り着いた。

 ドンキーコングは懐かしさから少し熱い声で叫ぶ。

「DKアイランド! とうとう深緑の森の軒先にまで来た。今が戦争中とは残念至極!」

 久々に故郷、DKアイランドに帰ってきたドンキー。

 椰子の木が島を覆い、住むものも木を使って家を建てている。

 昔ながらの生活が、ここには存在するのだ。

 

「聞こえるかしら……?」

 すると、ドンキーの目の前に、帽子を被った老婆の幽霊が姿を現した。

「きゃあああああ! お化けええええ!!」

 しずえは驚いてベルの後ろに隠れる。

 ベルは「何をするの!」と叫んでドンキーの前に立ち、大鎌を構える。

「おいおい、ベル、やめろって! オレのばあさんだぞ!」

「え……あんたのおばあちゃん……?」

 ベルは幽霊の正体をドンキーから聞いた後、すぐに大鎌をしまった。

「そうよ。私はリンクリー、ドンキーちゃんのおばあちゃんだったわ」

 ドンキーコング、ベル、なおも震えるしずえの前で、幽霊は自己紹介をする。

「だった?」

「ディクシーちゃん、ディンキーちゃん、ドンキーちゃん、

 ディディーちゃんが帰ってきてすぐに、私は死んじゃったわ」

 リンクリーはディクシーとディンキーが冒険を終えた後にこの世を去った。

 しかし、その魂は不滅であり、こんな風に幽霊として元気に暮らしていると語った。

「だから、怖がらないでね、若い犬さん」

「でも、やっぱりお化けは怖いです……」

「あらあら……。でも、私がここに現れた理由は、あなた達に伝えたい事があるからなの。

 実は、島のみんなが急にキーラを崇め出して、逆らう子を排除したがるみたい。

 私はモノに触れないから、あなた達に頼みたいの。お願いよ、島のみんなを助けてね」

 そう言うと、リンクリーはスピリッツボールの中に入っていった。

 どうやら、このDKアイランドもキーラの影響を受けているようだ。

 リンクリーがいなくなったため、しずえはようやく落ち着きを取り戻す。

 

「はあ、びっくりしました。島にはお化けもいたんですね」

「……ばあさんが応援してくれた。なら、やるっきゃないだろ」

 祖母の応援に勇気づけられたドンキー。

 彼女のためにも、DKアイランドをキーラの支配から解放しなければならない。

「よし、いくぜ、みんな!」

「はい!」

 ドンキーの鼓舞で、一行はDKアイランドの冒険をするのだった。

 

「ヒャッハーーーーー!!」

「くっ、わたしを殺せるものなら殺してみなさい!」

 アイシャはクレムリン軍団の下っ端、クリッター相手に少し苦戦していた。

 一方のクリッターは、見た事がない人間に興味津々だ。

「はぁっ!」

 アイシャは包丁でクリッターを斬りつけて怯ませ、メイドキックでクリッターを追撃する。

 威力は低いが、何度も攻撃していくうちにクリッターは弱まっていく。

「とどめです!」

 そして、アイシャが包丁でクリッターを突き刺し、クリッターのスピリッツを解放した。

 

「……そういえば、キングクルールさんはどこにいるのでしょうか?」

 消滅したキングクルールのボディがあったところを見て、アイシャは呟く。

 そういえば彼も新参者だったな……と思う。

「さあ、分からないな。でも、ここには多分いないと思うぜ」

「よし、いきましょう!」

 

「キーラ様、キーラ様……」

「じいさん!」

 次に立ち塞がるのは、ドンキーの祖父クランキー。

 彼もキーラの光により彼女を崇拝しているようだ。

「キーラ様、見ていてくだされ。ワシはこいつらをけちょんけちょんにしてやるぞ!」

 クランキーが戦闘態勢を取り、ドンキー達を排除しようとする。

 ジョーカーとシュルクは彼を止めるべく、武器を構えてドンキーの前に立った。

「覚悟はいいか?」

「僕はできてるよ」

 

「……見えた」

 シュルクは未来視を使ってクランキーの行動を予測する。

「ジョーカー、クランキーはこっちに向かって突進してくるよ」

「そうか。スクンダ!」

 ジョーカーは呪文を唱え、突進してくるクランキーの動きを鈍らせる。

「バックスラッシュ!」

 シュルクはその隙に背後に斬りかかり、クランキーにダメージを与えた。

 ジョーカーは距離を置いて銃を撃ち、シュルクはシールドを張ったクランキーを投げ飛ばす。

「いい夢見ろよ」

 隙ができたクランキーに、ジョーカーは針を撃ち込んで眠らせる。

「今、僕が助けるからね。モナドスマッシュ!」

 そしてシュルクがモナドの剣先でクランキーを貫き、彼を場外に吹っ飛ばした。

 ベルはボディから飛び出したクランキーのスピリッツにスピリッツボールを向け、

 彼の魂を吸い込んで回収した。

「回収完了!」

 ベルは、スピリッツボールを閉じてそう言った。

「あんた達の戦いを見てると、前世の事を少しだけ思い出すわ」

 ジョーカーとシュルクを見たベルは、前世の記憶を懐かしんでいた。

 二人が?マークを浮かべると、ベルは「個人的な話よ」と言ってすぐに切り上げた。

 その後、一行はどんどん先に進み、ジンガー、エンガード、ファンキーコング、

 キャンディーコングのスピリッツを解放した。

 

「マスタースピリットなのに、ミーの扱いバッド!」

「私も同感よ」

「ごめんなさい、私達は先を急いでいるのよ」

 

 そして、一行は捕まっているファイターの下に辿り着く事ができた。

 そのファイターは、ドンキーの相棒、チンパンジーのディディーコングだった。

「ディディー、どうしたんだ!」

 ドンキーはディディーに呼びかけるが、ディディーは全く反応しない。

「……どうやら、キーラの呪縛のせいで何も聞こえないみたいだな」

「やっぱり、やるしかないのかよ! やるしか!」

 乱闘以外でディディーと戦うのを、ドンキーは避けていた。

 だが、ここで戦わなければ、ディディーを助ける事はできない。

 ドンキーは覚悟を決めて、光の鎖にジャイアントパンチを放った。

「……」

 光の鎖から解放されたディディーは、真っ赤な瞳をドンキーに向ける。

「待ってろよ、今助けてやるからな!」

「僕も一緒に戦う!」

「やめろ」

 カービィがドンキーと共に戦おうとするが、ドンキーは彼を制止する。

「こいつはオレの永遠の相棒だ。だから、オレ一人で戦わなきゃ意味がない!

 お前達はオレを信じてくれ!」

「……分かったよ」

 カービィは、ドンキーとディディーの戦いから身を引き、彼らを仲間と共に見守る事にした。

 

「いくぞ、ディディー!」

「ウオオオオオオオオオオオオオ!!」

 今、ドンキーとディディーの、一対一の戦いが始まろうとしていた。

 

「ヒカリノチカラヨ……」

 ディディーはまず、光の力を使って自身の分身を7体召喚する。

 本来はディディーが使えない技だが、キーラに操られている間は一時的に使えるようだ。

「おら! おら! おら!」

 ドンキーはハンドスラップでディディーの分身を5体一掃する。

 その後、ドンキーはディディーの分身に突っ込んで転がるが、分身はそれを回避する。

「……と、見せかけて、おりゃ!」

 ドンキーはディディーの分身が回避したところにボディブローをぶち込む。

 ディディーはピーナッツ・ポップガンを撃ってドンキーを遠距離から攻撃する。

「こいつ、オレが飛び道具を持ってないのをいい事に、遠距離から攻撃してきたな!」

「クククク……」

「ディディー、負けるんじゃねぇぞ。そしてキーラ、絶対に許さないからな」

 不敵な笑みを浮かべるディディーを睨むドンキー。

 ドンキーは腕を振って分身を消し去った後、傍にあった樽をディディーに投げつける。

「イテテテテ……」

「よし、今だ!」

 ドンキーは怯んだディディーを掴み、リフティングで持ち上げる。

「いいか、ディディー。大人しくしてるんだぞ」

「ハ、ハナセ! ハナセェッ!」

 暴れ回るディディーを、ドンキーは必死で押さえ込む。

 すぐにドンキーは走り出し、場外に向かって飛び降りる。

「ハナセェェェェッ!」

 そして、ディディーがドンキーを振り落とすと、ドンキーは急いで崖に掴まる。

 その勢いで、ついにディディーは場外に落ちた。

 

「……はあ、はあ、どうだ」

「……」

 戦いに敗れたディディーは気を失っている。

 ドンキーは疲れながらも、ディディーを見下ろしていた。

「……ん、ここ、は……」

 しばらくすると、ディディーがゆっくりと起き上がる。

 その目は、澄んだ色に戻っていた。

「……オイラは、何をしてたんだ……」

「ディディー! 元に戻ったんだな! ああ、本当に良かったぜ」

「うん! オイラは大丈夫だよ!」

「ああ、本当に、お前が無事で良かったぜ……!」

 キーラに操られドンキーに牙を剥いたディディー。

 しかし、ドンキーが戦った事によりディディーはドンキーの相棒という自分を取り戻した。

 ドンキーの勝利に、スピリッツボールからクランキー、リンクリー、

 キャンディーのスピリッツが飛び出してくる。

『よくやったな、ドンキー』

『うふふ、私はドンキーちゃんが勝つ事を信じていたわ』

『ドンキー、見事な勝利、おめでとう!』

「じいさん、ばあさん、キャンディー……!」

 祖父、祖母、ガールフレンドから祝福を受け、ドンキーは頭を掻き、顔を赤らめた。

 スマブラメンバーも(一部を除いて)拍手した。

「えへへ……ありがと、ドンキー。オイラ、身体が動かなくて怖かったんだよ。

 でも、ドンキーの声が聞こえてきて、身体が動くようになって……

 そっちの方に行ったら……ドンキーがいたんだよ。本当にありがとう、ドンキー……!」

「ディディー……オレはもうお前を、二度と離さないからな……!」

 ドンキーとディディーは、涙を流しながらお互いに抱き合った。

 こうして、離れ離れになった二頭は、ようやく再会を果たすのであった。




~ベルのスピリッツ名鑑~

リンクリーコング
出身世界:DKアイランド
性別:♀
クランキーコングの妻で、生前は小学校で教師をしていた。
死後も幽霊になってこの世に留まっており、ドンキーコング達に助言をしてくれる。

クリッター
出身世界:DKアイランド
性別:♂♀両方存在する
クレムリン軍団の下っ端。二足歩行する鰐の姿。
体の色によって行動や攻撃方法が異なり、緑は爪で、青は回転して攻撃する。

クランキーコング
出身世界:DKアイランド
性別:♂
初代ドンキーコングで、現在のドンキーコングの祖父。
昔はポリーンを攫うなど暴れ回っていたが、今は大人しくなり村の長老となった。
妻・リンクリーコングに先立たれてからは、再び一人暮らしになる。

ジンガー
出身世界:DKアイランド
性別:不明
鋭い針が特徴的な、DKアイランドに住む蜂。
踏む事ができないが、間接攻撃で倒せる。

エンガード
出身世界:DKアイランド
性別:不明
ドンキーコングやディディーコングをサポートしてくれるカジキ。
素早く泳げるようになり、体当たりで攻撃できる。

ファンキーコング
出身世界:DKアイランド
性別:♂
ドンキーコングの友人。釣りとサーフィンが好き。
サングラスとバンダナが特徴的。

キャンディーコング
出身世界:DKアイランド
性別:♀
ドンキーコングのガールフレンド。
その艶やかで色っぽい風貌はとても魅力的である。
キャンディー・ミュージックという楽器屋を経営していた事もある。


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52 ~ 雲の上で

今回は空を渡り、ファイターを助けに行きます。
グルメレースも実際にアクションになってたら、面白かったのに。
なんだよ、あのパズルでしかないのは……。


 ドンキーコングとディディーコングが再会し、仲間の数は順調に増えていった。

「次は……こっちに行けばいいわね」

 ベルは誰かのスピリッツを感知し、西へ真っ直ぐに走っていく。

 一行が西に行くと、土管があった。

「みんな、ここの土管を通って。仲間はこの先にいるわ」

「よーし、待っててね!」

 全員が土管の中に入ると、桜色の雲がかかった場所に辿り着いた。

 この雲には魔力があるのか、クッパのような重量級が乗っても消える事はない。

「わーい、ふかふかしていて気持ちいいー!」

「ほんとでしゅー!」

 カービィとプリンが桜色の雲でトランポリンのように跳ねている。

「はしゃぐのはいいけど、まずは仲間を探すのが先」

「あ、そうだったね」

 カービィとプリンは跳ねるのをやめて、すぐにサムス達の傍に行った。

 辺りは雲で覆われており、何も見えないが、マムーのスピリッツは浮いていた。

 サムスがマムーを解放すると雲が晴れ、隠れていたファイターが姿を現した。

 赤い野球帽とバットがトレードマークの少年――最古参メンバーの一人、ネスだ。

 彼の傍には、操られたフライングマンがいる。

「ネス君……!」

 リュカは、親友のネスがこんな姿になった事にショックを受ける。

 しかし、ここで動かなければ、ネスを助ける事はできない。

「第一次亜空軍異変で、ボクはネス君に助けられた。でも、今度はボクが、助ける番だよ!」

 リュカはぼうっきれをネスに振り下ろし、ネスを縛っていた光の鎖を打ち砕く。

 すると、ネスは赤い瞳を光らせてバットを振り回し、リュカに襲いかかった。

「……コロス」

「リュカは私達が守るわ」

「ああ……やられたらまずいからな」

「ネス、必ず僕達が助けるからね」

「ワルイユメハ、ワタシタチガサマシマス」

「大丈夫ですわ、ちょっとだけ待ってください」

 サムス、ピカチュウ、りょう、アイシャ、ウォッチは、リュカを守るように前に立つ。

 リュカは勇気を振り絞り、彼らと共にネスを助けるために、戦った。

 

「……ディフェンスアップ」

 ネスはPSIで障壁を張り自身の防御力を上げる。

 りょうはネスに向けてパチンコを飛ばすも、ネスが張った障壁に阻まれる。

「イケ」

「うわぁぁぁ!」

 ネスの指示でフライングマンがりょうに向けて体当たりしてきた。

 りょうはシールドを張ろうとするが、PKファイアーで妨害され、

 そのままフライングマンに吹っ飛ばされた。

 

「リョウサン!」

「余所見するな!」

「今はこっちに集中するのよ」

 ウォッチがりょうの吹っ飛んだ方を思わず見る。

 ピカチュウはネスに突っ込んで10まんボルトで攻撃し、サムスはネスにミサイルを放つ。

「PKフリーズ」

「当たりません!」

 ネスはアイシャを凍らせようとするが、アイシャは緊急回避で彼のPSIをかわす。

 ウォッチは相手の出方を伺いながら攻撃する。

 リュカはPKフリーズでネスを凍らせ、アイシャはその隙に包丁でネスを斬りつけた。

「落ちなさい」

 サムスはネスを浮かせて蹴り飛ばす。

 ネスは空中で体勢を整え、アイシャにPKファイアーを放った。

「いやああああっ!」

 アイシャはあまりの熱さに悶えるが、何とか気合で耐え切る。

「負けるものですか……! 行きますわよ、ピカチュウさん!」

「ああ!」

 ピカチュウはアイシャの包丁に雷を纏わせ、雷の包丁がネスを切り裂く。

 その衝撃でネスが怯んだため、リュカは急いでネスに突っ込む。

「ネス君……元に……戻ってぇぇぇぇぇ!!」

 リュカは、最大まで溜めたぼうっきれを振り下ろし、

 傍にいたフライングマンとネスを一撃で場外に吹っ飛ばした。

 この瞬間、彼らの勝利が決まるのであった。

 

「……う……うぅ……」

「大丈夫? ネス君……」

 リュカは意識を失ったネスにゆっくりと近づいて呼びかける。

「……その声は……リュカ……?」

「そうだよ。ボクだよ、ネス君。ボクが見える?」

「うん……見えるよ……」

「よかった……!」

 ネスは瞬きした後、リュカの顔を真っ直ぐ見た。

 彼がリュカに気付いてくれて、リュカは安堵の笑みを浮かべる。

「ああ、ネス君が無事で、本当によかった。キミがいなくなって、不安だったんだよ。

 でも、生きてたんだね」

「当たり前さ! 君が助けに来るって信じていたんだよ」

 たとえキーラに捕まっても、親友を信じる心は折れなかった。

 それは、リュカにとっても、他のみんなにとっても嬉しかった。

「ネスもリュカも、嬉しかったんだね。ちょっと泣いちゃうよ」

「あいつらは固い絆で結ばれているからな」

「そしてその絆は、キーラにも破れないのよ。二人ともよく頑張ったわね」

 カービィ、シャドウ、ベルは、二人の固い絆を見て少しだけ感動するのだった。

 

「さて、これからどうしようかな。シャド兄に連れてってもらおうかな?」

 カービィが一歩歩き出すと、突然、

 スピリッツボールの中からホウオウのスピリッツが飛び出してきた。

「ホウオウじゃない。どうしたの?」

 ベルがホウオウに呼びかけると、ホウオウは上空に向かって飛び立った。

 すると、不思議な事に(?)ホウオウの通った道が虹に変わった。

 空に長く美しい虹がかかると、ホウオウはスピリッツボールの中に戻った。

「ありがとう、ホウオウ~!」

 カービィが空に向かって手を振ると、一瞬だけ空が光ったような気がした。

 

 にじいろポケモンの手助けにより、一行はさらに空に上がる事ができた。

 空にはたくさんの孤島が浮かんでおり、大きな星や滝、さらには船も浮かんでいた。

「うわぁ~! 綺麗~!」

「ホントだネ! とっても高いネ!」

「……こんなに高いところに来るのは初めてだ」

 カービィとパックマンは素直に喜ぶが、マックは険しい表情をしていた。

「とりあえず、まずはスピリッツを解放しましょう」

「ああ!」

 一行はキーラに操られたスピリッツを解放するために歩き出した。

 イカロス、オデッセイ号、ペガサス三姉妹、リーバル、スーパースター、チャオ、チキ、

 マロ、ビックリ大好き精霊、そしてヒュードラー。

 空中のスピリッツは、その全てが「空」と関係あるものだった。

 

「これで全部?」

 一行は、空に浮かんでいるスピリッツを全て解放した。

 これでおしまい……というわけがなく、ベルは浮いている星をじっと見ていた。

「まだ残っているわよ」

「あの星?」

「そうよ。あそこにファイターの気配を感じるわ。……みんな、行ってみましょう」

「うん」

 

 ベル達が星に飛び込むと、そこはある試合の会場だった。

 たくさんの食べ物と、奥にある表彰台。

 その会場は、カービィには見覚えがあった。

「もしかして、グルメレース!?」

 そう……ここはグルメレースの会場だったのだ。

 入り口には「最高記録 10個」と書かれてある。

 これを上回る記録になれば何か良い事があるとか。

「はい! グルメレース、僕が参加する!」

 そう言って手を挙げたのは、もちろんカービィ。

 ランスは頷いて、カービィを信じている。

「大丈夫なの?」

「うん! 僕、デデデに一つも食べ物を与えないで勝った事があるんだよ!」

「ええええええええええ!? それは凄い!」

 そこまでに相当な努力をしたけどね……とカービィは呟いた。

 とにかく、グルメレースにはカービィが挑む事になった。

 

「よーし、いくぞ!」

 カービィは上の方に進んで梨を食べ、橋を渡って右に曲がり紅茶を飲む。

 すぐに左に曲がってコーラを飲み、その後にホットドッグを食べる。

 カービィは左に曲がった後にコーンスープを飲み、最初の道を右に曲がってサラダを食べた。

「ケーキがあるけど我慢、我慢」

 カービィは美味しそうなケーキを見るが、珍しくそれを我慢して食パンを食べ、

 すぐ右に曲がって林檎を食べる。

 その後に焼き鳥と七面鳥と鶏肉を連続で食べ、最後に葡萄を食べてゴールした。

―パンパカパーン!

『おめでとうございます、優勝しました!』

「やったぁ!」

 ファンファーレと共に、紙吹雪がカービィを包む。

 どうやら、カービィはグルメレースに優勝したようだ。

『それでは、チャンピオンであるあなたには、この方と戦っていただきます!』

 アナウンスと同時に表彰台の前に現れたのは、台座に縛られたデデデだった。

「大王様!!」

 主との再会に、ランスはとても驚いた。

「ウウウウウ……ミナゴロシ……ミナゴロシダゾイ……」

「デデデ、目を覚まして!」

「大王様! ボクの声が聞こえますか!?」

 カービィとランスはデデデに呼びかけるが、もちろん彼は全く反応しない。

「どうしよう……」

「何を怯えている。こうすればいいのだろう?」

 ストームはそう言うとデデデ目掛けて矢を放った。

 すると、光の鎖は砕け散り、デデデはいきなりカービィにハンマーを振り下ろした。

「……ランス」

「大王様が牙を剥くなんて、ボクには信じられない。でも、戦わなきゃいけないんだよね……?」

 カービィはデデデの攻撃をかわし、構える。

 敵に操られたデデデと何度も戦ったため、カービィに迷いはなかった。

 ランスも迷いながら槍を取り、ストーム、ドクター、ロックマン、

 パックンフラワーも戦闘体勢を取る。

「いくよ、デデデ!」

「ウオオオオオオオオオオ!!」

 そして、カービィとデデデがハンマーを同時に振り下ろし、戦いが始まった。

 

「ボクの目を見てください!」

 ランスはデデデに槍を振るが、デデデは上手く緊急回避でかわす。

 ロックマンはデデデを掴んで投げ飛ばし、パックンフラワーは首を伸ばして追撃する。

「僕達が助けるから!」

「大人しくしろよ」

 ストームはやぎりのスラッシュで素早く切り、

 カービィは上空からストーンを使ってデデデを押し潰した。

「グググ……コウシテヤルゾイ!」

「ガブッ!?」

 デデデはジェットハンマーを勢いよくため、

 思い切りぶちかましてパックンフラワーを戦闘不能にした。

 

「ツギハダレダ……」

 操られたデデデは、ゆっくりとランスに近付く。

 ランスは怯えてカービィの後ろに隠れる。

「大王様は、ボクの事が分からないんですか? ボクですよ、ランスですよ!」

 ランスはデデデに何度も呼びかける。

 それでも、デデデは反応せず、ランス目掛けてハンマーを振り下ろした。

 

「……」

 しかし、そのハンマーがランスに当たる事はなかった。

 何故なら、ストームがデデデに矢を放ち、彼の動きを一瞬だけ止めたからだ。

「ありがとう、ストーム!」

「……別に」

 ランスの感謝に、素っ気ない態度を取るストーム。

 デデデが力を溜めて次の攻撃に備えている中、ドクターはパックンフラワーを治療する。

「ガブガブガブ!」

「? ? ?」

 復活したパックンフラワーは、デデデにフェイントをかけ混乱させる。

 その隙にストームとカービィは一斉に攻撃し、デデデの体力を減らしていく。

「ウオォォォォォ!」

 デデデは渾身の力を込めたハンマーをロックマンに振り下ろす。

 この一撃は避けられないと感じたロックマンは、シールドを張って攻撃を防ごうとする。

 しかし、その強烈な一撃にシールドが耐え切れず、シールドブレイクしてしまう。

「ふらふらする……」

「でも、チャンスはできた! 隙ありだよ!」

「グアアアアアアアアアアア!!」

 そう言って、ランスは槍をくるくると回し、デデデに勢いよく突き刺す。

 槍はデデデの急所を突き、大ダメージを与える。

「今だよ、カービィ!」

「うん! これで、終わりだ! 鬼殺し……火炎ハンマァァァァァァァァ!!」

 カービィは炎を纏ったハンマーを振り回す。

 その一撃がデデデに命中すると、デデデは場外に吹っ飛んでいった。

 

「大王様、勝ちましたよ……!」

 ランスは空を見ながら、笑顔でそう呟いた。

 




~ベルのスピリッツ名鑑~

マムー
出身世界:サブコン
性別:男性
夢の国「サブコン」に住む悪戯好きな蛙。
ドリームマシーンを使って、色々なモンスターを造り出した。

フライングマン
出身世界:アースボーンド
性別:男性
ニンテンやネスを手助けしてくれる、鳥の姿をした「忠実なるしもべ」。
敵と戦ってくれる頼もしい仲間だが、何度もダメージを受けるとやがて力尽きる。

イカロス
出身世界:天空界
性別:男性
パルテナ軍の兵士で、ピットの部下。
メデューサの呪いで石にされており、ハンマーで砕くとピットをサポートする。
だが、攻撃を食らうとすぐに戦線離脱してしまう。

オデッセイ号
出身世界:キノコワールド
性別:なし
マリオが“ちょっと大人向け”のとある冒険で拠点にしている帽子型の空飛ぶ船。
長い間使われていなかったが、原動力となるパワームーンを得て再稼働した。

ペガサス三姉妹
出身世界:戦記の世界
性別:女性
マケドニア白騎士団に所属するペガサスナイト。
緑の髪が長女パオラ、青い髪が次女カチュア、桃色の髪が三女エスト。
トライアングルアタックは強烈な威力を誇る。

リーバル
出身世界:ハイラル
性別:男性
神獣ヴァ・メドーを使役するリト族の英傑。
嫌味な性格だが、弓の腕と飛行能力はリト族随一。

スーパースター
出身世界:キノコワールド
性別:なし
キノコワールドに存在する不思議な星。
マリオなどが手に入れると一定時間無敵になり、敵を体当たりだけで倒せるようになる。

チャオ
出身世界:こことは異なる世界
性別:不明
綺麗な自然環境やチャオガーデンに住む人工生物。
卵生で、主食は木の実。頭の球は感情を表す。
現代ではチャオ用の医薬品も開発されている。

チキ
出身世界:戦記の世界
性別:女性
神竜ナーガの娘。見た目は幼いが、千年以上も生きている。
世界を滅ぼしかねない力のため、長い間眠らされていた。
軍の中で一番、寝起きが悪い。

マロ
出身世界:キノコワールド
性別:男性
白いふかふかの体を持つ、マシュマロの国の王子。
赤ん坊の頃、カエル仙人に拾われ育てられた。
大人しい性格で、メンバーの宥め役。
魔法が得意で、戦闘では天候魔法を使って戦う。

ビックリ大好き精霊
出身世界:キノコワールド
性別:なし
ヨッシーに世界を傾ける力を授けた本の精霊。

ヒュードラー
出身世界:天空界
性別:不明
三つの頭を持つ竜と蛇のようなモンスター。
その頭はそれぞれ別の人格を持っている。


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53 ~ 拳を磨く男達

光の世界でファイター解放の巻。
pixiv版にあった不自然な描写を修正しました。


 キーラに操られたデデデ大王は、カービィ、ランス、ストームとその仲間により解放された。

「ワシとした事が、またもや操られるとは……まったく、面目ないゾイ」

「何度もあったんでしょ? 気にしないで」

「お前がよくてもワシは全然よくないゾイ!」

 デデデはカービィの悪意なき発言に怒っている。

「あはは、ごめんねデデデ。でも、これで仲間はみんな見つかったよね?」

「いいえ」

 ベルは首を横に振った。

 キーラを倒すには、まだ戦力が不十分なのだ。

「う~ん、まだまだ仲間が残っているのかな?」

「ええ。でも、この光の世界に残っている仲間は後二人よ」

「後二人!? やったあああ!」

 この世界に残された仲間が後二人と聞いて、カービィは歓声を上げる。

 他のメンバーも、一部を除いて喜んだ。

「その仲間がどこにいるかは、自分の足で何とかしましょう。

 というか、まずはここを出てからね」

「はーい」

 

 一行はシャドウのカオスコントロールで空を後にして、再び地上に戻った。

 高いところがあまり好きではないマックは、ふう、と一安心する。

「それで、これからどうすればいい」

「とりあえず、地上は粗方探索し終えたし……海を渡りましょう」

「よし、僕に任せて。ベル、スピリッツボールを開けて」

「分かったわ」

「かっぺい、出てきて!」

 りょうが叫ぶと同時に、スピリッツボールの中からかっぺいが飛び出してきた。

 乗る順番と人数は、アローラ島でラプラスに乗った時と同じなので省略する。

 

 かっぺいはボートを運転しながら、一行を目的地へと運んでいく。

 道中では魚やマーメイドのスピリッツがいて、それらをキーラの魔の手から解放しながら進む。

 それ以外に障害はなく、一行は無事に目的地に到着した。

 

「ち、地球!?」

 一行が着いた場所は、なんと地球そっくりだった。

 ユーラシア大陸やアフリカ大陸などの大陸が多くあり、島もたくさんある。

 今、自分達が立っている場所は、中国大陸だ。

 そして中国大陸には、青いチャイナドレスとシニヨンが特徴的な女性が立っていた。

 皆が困惑する中、女性は笑顔でこの世界について説明した。

「ここはワールドツアーという小世界よ。

 この小世界で七人の強者達と勝ち抜き戦をして、七連勝すれば決勝に進出できるの。

 この試合に参加できるのは一人だけ。

 そして最初の相手は私、春麗(チュンリー)。さあ、誰が相手かしら?」

「……俺だ」

「おい、ルカリオ……」

 立候補したのは、ポケモンの中でも格闘に秀でたルカリオだった。

 ピカチュウは、ルカリオの一人称がいつもと違う事に違和感を抱く。

「なんで『俺』って言ってるんだ?」

「武闘家として使っている言葉だからだ。勇者としては『私』、武闘家としては『俺』。

 今はこのワールドツアーで戦う身だからな」

「……ああ、分かったぜ。頼むぞ、ルカリオ」

「来い!」

「望むところよ!」

 

 ルカリオが波導を纏った拳を春麗に振るい、春麗はすらりと伸びた脚でルカリオを蹴る。

 二人は距離を取った後、渾身の一撃を放つ。

「お前、なかなかの美脚だな」

「あなたもいい腕をしているわ」

「だが、勝つのは俺だ! はっけい!」

 ルカリオは掌を突き出し、高密度の波導を発して春麗を打ち据える。

 その一撃は強く、春麗はそれにより倒れた。

 

「よく頑張ったわね。一回戦突破よ!」

「ああ、ありがとう」

 ルカリオと春麗は、互いの健闘を称えて握手した。

 この大会が「スポーツ」である事の証明である。

 

「それじゃ、この飛行機に乗ってね」

「ああ」

 ルカリオ達が飛行機に乗ると、あっという間に南米のブラジルに辿り着いた。

 ブラジルで待っていたのは、ドンキーコングのボディに宿るブランカだった。

 ルカリオは二回戦の相手であるブランカを瞬時に撃破した後、

 飛行機に乗ってロシアに到着した。

 三回戦の相手は、真っ赤なパンツが特徴的なレスラー、ザンギエフだ。

「オレが相手だ!」

「……相手のボディはガオガエンか。俺には不利だが……逃げるわけにもいかないな。いくぞ!」

 ルカリオとザンギエフは互いに構えを取った。

 

「よく頑張ったな! 三回戦突破だ!」

「ありがとう」

 ルカリオとザンギエフは互いに握手した後、別れを告げて次の場所に向かった。

 飛行機に乗って着いた目的地は、超大国アメリカ。

 そこには、シャドルー幹部の一人、マイク・バイソンがいた。

「Don't Stop Me!」

「立ち止まるな、という事か。相手に不足はない!」

 

 ルカリオとマイク・バイソンの戦いが始まる。

「はっ!」

 最初に攻撃を仕掛けたのは、ルカリオ。

 驚異的な速度による一撃――しんそくは、

 攻撃しようとしたバイソンに大きなダメージを与えた。

 ルカリオは常に先制を取り、攻撃を受けながらも相手の体力を削る。

 その後、ルカリオ優位なまま、マイク・バイソンとの戦いは終わった。

 

「流石は波導の勇者……いや、今は武闘家だったかしら。やるじゃない!」

「ルカ兄、すご~い!」

 ベルはルカリオの活躍を見て笑顔になる。

 カービィも、ぱちぱちと拍手していた。

「ここにも仲間が囚われているのだろう? 救出のために俺は戦っているに過ぎない」

 ルカリオは相変わらず冷静だった。

 そしてマイク・バイソンを撃破した後、一行は飛行機に乗ってスペインに辿り着く。

 五回戦の相手は、仮面の戦士バルログ。

 メタナイトのボディに宿っている彼は、爪の代わりに剣でルカリオと戦った。

「こいつ、速いな」

「我が美に酔いしれるがいい……」

 ルカリオはバルログの速さに苦戦する。

 しかし、ここで負けてしまっては、キーラに操られた仲間を助ける事ができない。

 ルカリオは相手の隙を伺いながら、波導の力でバルログを攻撃していった。

「インファイト!!」

「ぬおおぉぉぉぉぉっ!!」

 そして、ルカリオのインファイトがバルログに炸裂し、彼は戦闘不能になった。

 

「……五回戦突破だ。だが、次の相手は私よりも強いぞ……。心してかかるがいい……」

「……無論」

 

 バルログに勝利したルカリオは、仲間と共に飛行機に乗り、タイに到着。

 六回戦の相手は、帝王サガットだった。

「ここまで辿り着いたという事は、かなりの強者という事か」

「お前は……」

「サガットだ。お前に勇気があるなら、見せてみろ。退かぬ、媚びぬ、省みぬ。

 帝王に逃走はないのだ」

 そう言って、サガットは静かに構えを取る。

 ルカリオは彼の波導を感知するが、バルログよりも遥かに強い波導だった。

「……来るがいい!!」

 

「バレットパンチ!」

 ルカリオはまず、バレットパンチで先制攻撃する。

 サガットはルカリオを蹴ろうとするが、ルカリオは上手く彼の攻撃を防御する。

「はどうだん!」

「タイガーショット!」

 ルカリオとサガットは互いに距離を取り、気弾を放って攻撃する。

「タイガーアッパーカット!」

「見切った!」

 ルカリオはサガットの対空技を見切ってかわし、サガットに近付いて投げ飛ばす。

 そして、ルカリオがインファイトを放つと、サガットは倒された。

 

「流石だ。帝王に勝利したか」

 サガットはルカリオの肩に手を置く。

 彼は試合に敗れたのだが、ルカリオの強さを認めてくれたのだ。

 今までのキーラに操られたスピリッツとは、全く異なっていた。

 これは戦いではあるが、スポーツでもあるのだ。

 

 サガットがスピリッツボールの中に入った後、ルカリオは次の対戦相手を待つ。

「……さあ、次の相手は誰だ!?」

 ルカリオが構えを取ると、突然、ワールドツアーを眩い光が包み込む。

 そして光が治まると、ルカリオの目の前には、

 倒れているマントを纏った赤い服の男と、

 男を倒したと思われる赤い鉢巻を巻いた白い道着の男がいた。

「……」

「お、お前は、(リュウ)!?」

 ルカリオが驚いていると、ガノンドロフのボディから

 ベガのスピリッツが抜け出てスピリッツボールの中に入る。

 その後、ベガのスピリッツと入れ替わりで春麗のスピリッツが飛び出してきた。

「七回戦を飛ばして決勝戦に突入したみたいね。決勝戦の相手は、不断の探求者、リュウよ!」

 春麗がそう言うと、ガノンドロフのボディは消滅。

 キーラに操られたリュウは、ゆっくりと構える。

「お前もキーラに操られているのか……。だが、俺は必ず、この大会で優勝する。

 俺の精神力と不屈の心は、決して消えはしない!」

「……」

 ルカリオとリュウが互いに拳を振るう事で、ワールドツアー決勝戦が始まった。

 

「たんだ!」

 ルカリオはリュウを掴み、波導の力で前方に押し出す。

 続いてはっけいでリュウを吹っ飛ばし、距離を取り、はどうだんを放つ。

 リュウは防御を固めて攻撃を防ぎ、波動拳で反撃、蹴りを放ってルカリオを攻撃する。

「はどうげき!」

 ルカリオは波導を纏った拳を力強く放つが、リュウはジャンプでかわし、三連続でパンチする。

 それでもルカリオは攻撃を続け、リュウに反撃の隙を与えない。

 そしてリュウが場外に飛んだ隙にルカリオも場外に飛び、

 リュウを蹴った後、しんそくで復帰する。

 リュウは竜巻旋風脚と昇竜拳で復帰しようとするが、

 かなりの距離があったようで復帰できず、そのまま場外に落下した。

 

「終わった、か」

 ワールドツアーは、ルカリオの優勝で幕を閉じた。

 キーラの呪縛から解放されたリュウは、ゆっくりと目を開ける。

 彼の目に最初に入ったのは、ルカリオの顔だった。

「……ここは……?」

「大丈夫か、リュウ。……いや、俺ももう疲れてしまった。話は外に出てからにしよう」

「そうね。じゃあ、戻りましょう」

「ああ……」

 

 一行がワールドツアーを後にする中、外ではキーラが怒りに震えていた。

「おのれ、おのれおのれおのれ……! 我が駒をこうも容易く解放するとは……!

 スマッシュブラザーズめ、絶対に許さんぞ……! 必ずや討ち取って見せる……!」





出身世界:とある小世界
性別:不明
水中にいる、この小世界の人間よりも大きい魚。
誰かが水の部分に近づくと出現し食べようとする。

マーメイド
出身世界:海と空の世界
性別:女性
貝殻に入っている、桃色の髪の人魚。
スタフィーが触れると元気(ライフ)を全回復してここまでのデータをセーブしてくれる。

春麗(チュンリー)
出身世界:こことは異なる世界
性別:女性
失踪した父を探し、シャドルーを追っている女性刑事。
華麗な足技を得意とし、素早い攻撃が魅力。
身長169cm、Eカップ。

ブランカ
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
アマゾンのジャングルで育った野生児。
外の世界に興味を持ち、ジャングルから出てきた。

ザンギエフ
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
旧ソ連(ロシア)出身のレスラーで、「赤きサイクロン」の異名を持つ。
男気溢れる性格で、誰よりも愛国心が強い。
必殺技は「スクリューパイルドライバー」。

マイク・バイソン
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
ベガに仕えるボクサーの男。
金を目当てにベガに協力しているが、シャドルーの環境には満足している。

バルログ
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
ベガの部下で、白い仮面をつけているナルシスト。
世界征服には興味がなく、強く美しい相手と戦う事を好む。

サガット
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
かつてリュウに敗れ、そのリベンジを狙う男。
戦いの勝敗にこだわらず、強敵と拳で語り合う事を望んでいる。

ベガ
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
秘密結社シャドルーの総帥。サイコパワーを操る。
その強大な力に肉体が耐え切れないため、新たな肉体(器)を探し求めている。
元メンバー含む女性メンバーの服装を見る限り、嗜好はちょっと変わっているらしい?


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54 ~ スペース・トラベル

今回はスマブラメンバーが光の世界にいる最後の仲間を助けます。
しかし、ちょっと問題があるようで……。


 ワールドツアーで優勝し、リュウをキーラから取り戻したルカリオは、

 彼を安全な場所で休ませた。

「もう大丈夫だ、お前の身体はキーラに利用される事はない」

「助けてくれてありがとう、ルカリオ」

 リュウは助けてくれたルカリオにお礼を言った。

 ルカリオとリュウは互いに握手をし、断ち切られた友情が再び結ばれた。

「よかったな、二人とも」

「やったね!」

 この光景に、カービィとフォックスは喜んだ。

 これで、光の世界に残った仲間は、あと一人。

 果たして、それは一体誰なのか。

 一行はかっぺいが漕ぐボートに乗って、ワールドツアーがあった川を後にした。

 

「う~ん、最後は一体誰が捕まっているのかしら」

「さあ、分かりませんわ……。ここを一通り探索しましたのに、まだいるという事は……」

 光の世界で最後に見つかる仲間は、地上にも空にも、海にもいない。

 という事は……とアイシャが感づいた瞬間、白い右手袋がアイシャに飛びかかった。

「きゃーーーーーーーーーーっ!!」

「アイシャ!?」

 突然の襲撃に、アイシャは戸惑ってしまう。

 手袋はアイシャを掴むと、そのまま氷山を越え、空の彼方へと飛び去ってしまった。

 その手袋は、皆、見覚えのあるものだった。

「マスターハンド……!!」

 それは、キーラに率いられて襲ってきた、マスターハンドだった。

「どうしてここに来たのかしら……」

「でも、アイシャが……」

 唖然とするベルだが、仲間の一人がさらわれた事実に変わりはない。

 マスターハンドとアイシャが飛んだ方向は、氷山を越えた先にある空の彼方だ。

 またボディをキーラに利用されては、もうこちらに勝ち目はない。

「追いかけるぞ。氷山は遠いが、頑張れば追いつく」

「氷山なら僕達に任せて!」

「はぐれないでよ!」

「うん!」

 

 一行はルカリオとアイスクライマーを先頭に、氷山に向かって走り出した。

 道は遠かったが、二人と一匹のおかげで今までよりは楽に攻略できた。

 そして、空へ行くための道に辿り着いたが、メタルギアRAYが道を塞いでいた。

「そこをどけ」

「波動拳!」

 スネークとリュウが協力してメタルギアRAYを撃破すると、目の前に宇宙船が見えた。

 これを運転すれば、アイシャがさらわれた場所へ行く事ができる。

「ねえ、これ、誰が運転するの?」

「僕が運転しよう」

「シャド兄、できるの?」

「宇宙生物にも乗った事があるからな。いいか、振り落とされるな」

 シャドウはそう言って、宇宙船に乗り込み、ハンドルを取って運転した。

 そして、宇宙船は宇宙の彼方へと飛んでいった。

 

「うわぁ~! 綺麗な星~!」

「ああ……たくさんの惑星が見えるな……」

 カービィは宇宙船の窓から星をたくさん見ていた。

 宇宙に行った事があるフォックスやカービィは、目を輝かせて外を見ている。

 一方で、シャドウは真剣な表情で宇宙船を運転していた。

 すると、北の方に生命反応を発見した。

「ファイターの気配がいる……。こっちだ」

「うん」

 シャドウは北に向かって宇宙船を運転する。

 すると、台座に縛られた青い雉と、彼を取り巻くように星船マリオとアパロイドが見えた。

 青い雉は、フォックスには見覚えがあった。

「ファルコ!!」

 そう、彼こそがスターフォックスのエースパイロット、ファルコ・ランバルディなのだ。

 フォックスはファルコを助ける事ができず、悔しくて歯を食いしばる。

「くそっ……俺にもっと力があれば……!」

「そんなに自分を責めるな、フォックス。オレも一度捕まった身なんだ。

 だから、自分の手で助け出せばいい!」

 マックは落ち込むフォックスを叱責する。

「ああ、そうだよな……いつまでもじめじめしていちゃダメだよな。

 よし、ファルコ! 今、助けてやるからな!」

 フォックスはブラスターを取り出すと、ファルコを縛っている光の鎖を撃ち抜いた。

 すると、ファルコは赤い瞳を光らせてフォックスに襲い掛かってきた。

「コロシテヤルゼ」

「来るぞ!」

 フォックス、ネス、リュカ、マック、マール、ジュカインは、

 ファルコとスピリッツを解放するべく、戦いに挑んだ。

 

「はっ!」

 フォックスは空を飛んでいる星船マリオに蹴りを放つ。

 攻撃はギリギリで命中し、星船マリオは地面に落ちる。

「PKファイアー!」

 ネスは星船マリオをPKファイアーで燃やし、反撃の隙を与えない。

「お願い、目を覚まして!」

 マールはファルコにわかばシューターを撃つが、ファルコは緊急回避でかわす。

 リュカは、ファルコがかわした方にPKフリーズを放ち、一時的に凍らせた。

「いあいぎり!」

「くそっ、かわされたか!」

 アパロイドはジュカインのいあいぎりとマックの正拳突きをギリギリでかわし、

 ジュカインに反撃しようとしたが、フォックスが庇い代わりにダメージを受けた。

「ファルコ……。仲間と戦うのは苦しいか? 苦しいなら、今すぐ武器を納めるんだ」

「コロシテヤルゼ」

 フォックスはファルコが仲間思いである事を知っており、彼を説得しようとする。

 しかし光の呪縛を受けたファルコは聞く耳を持たず、フォックスに襲いかかった。

「やめろ!」

「……」

 フォックスはファルコの空中からの攻撃を諸に受ける。

 ジュカインは思わず叫びそうになるが、理性でそれを抑える。

「えい!」

「PKフラッシュ!」

「やあ!」

 マールはアパロイドをわかばシューターで撃ち、

 ネスがファルコをPKフラッシュで怯ませた後にリュカがぼうっきれを振り下ろした。

 

「ぐおっ!」

「エナジーボール!」

 アパロイドはマックに光線を放ち、ジュカインはアパロイドをエナジーボールで攻撃する。

 フォックスとファルコは互いに体術をぶつけ合う。

 ネスと星船マリオの攻撃はどちらも当たらず、マールはスプラシューターでファルコを撃った。

「ライフアップ!」

 ネスはフォックスを治癒するが、思うように回復はしなかった。

「ごめんね、フォックス」

「気にするな」

「タネマシンガン!」

 ジュカインは口から種を吐いてアパロイドを撃ち、

 星船マリオはリュカ、マックとアパロイドは互いを攻撃する。

「シールド!」

 リュカは光の壁を作り出し、全員を覆った。

 ファルコは翼でネスを斬りつけるが、光の壁がそれを阻んだ。

「PKファイアー!」

 リュカがアパロイドをPKファイアーで燃やすと、アパロイドは戦闘不能になった。

「おらっ!」

 ファルコはマックのストレートをジャンプでかわし、空中からのファイアバードで反撃する。

 マールはインクを回復した後、スプラッシュボムをファルコに投げる。

 爆発で怯んだ隙に、フォックスはファルコに回し蹴りを放つ。

「リーフブレード!」

 ジュカインのリーフブレードが星船マリオを一閃し、残るはファルコのみとなった。

 

「今だぜ、フォックス!」

「ああ!」

 フォックスは頷くと、ファイアフォックスでファルコに突っ込んでいき、

 すぐに彼に組みついて動きを止める。

「ファルコ、今、悪い夢から覚ましてやるからな! うおぉ!!」

 力を溜めるフォックスを見たファルコは逃げようとするが、

 マールとジュカインの射撃で阻まれる。

「邪魔しないで」

「援護はオレ達がする!」

「ありがとう、マール、ジュカイン。……元に戻れ、ファルコ!!」

「グオオオオオオオオオオオオオ!!」

 そして、フォックスの光り輝く拳がファルコの偽りの光を打ち砕くと、

 眩い光が戦場を包み込んだ。

 光が治まると、ファルコがフォックスの前で倒れていた。

 フォックスはファルコをゆっくりと起こすと、宇宙船の中に運んだ。

 

「……目覚めてくれよ、ファルコ」

「死んじゃ、やだよ」

「ちゃんと、目を開けてね」

 フォックスは、気絶したファルコを見守っていた。

 ネスとリュカも、ファルコを信じ見守った。

 

「……んっ」

 数分後、ファルコはゆっくりと目を開けた。

 その瞳の色は、元の緑色に戻っていた。

 意識を取り戻したファルコを見て、三人はぱあっと顔を明るくする。

「ファルコ! 元に戻ったのか!」

「よかったぁ……!」

「ったりめぇだろ、俺がこんなところでくたばるわけがねぇ」

 ファルコはいつも通りの乱暴な口調で笑った。

 その表情に、黒い部分は全くなかった。

 普段のファルコだと確信したフォックスは笑みを浮かべる。

「でもよ、お前らはどうしてここに来たんだ?」

「俺達は光の世界でキーラに操られた仲間を探していたんだ。

 まさか、お前が最後の一人だったとはな」

 フォックスは手短にファルコに情報を伝えた。

「なるほどな。じゃあ、今すぐにキーラに挑めるだろ?」

「……」

 ファルコが微笑むが、フォックスは首を横に振る。

「ん? どうした、フォックス? 元気ないぞ?」

「それが……仲間の一人がマスターハンドにさらわれてしまったんだ……」

「何!? あの右手袋が仲間をさらうだと? 今日は雨でも降るのか……?」

 仲間がマスターハンドにさらわれた、という情報を聞いてファルコは驚く。

 ファルコは信じられないといった表情をしたが、確かに仲間――アイシャの姿はない。

「その人はアイシャ・クルースニクっていって、マスターハンドのメイドなの。

 主が従者を裏切るなんて」

「あり得ないな。でも、なんでだ……?」

「とにかく、アイシャを探しに行くぞ。光の世界の攻略はもうすぐ終わる」

「必ず、アイシャは連れ戻すわよ」

「ああ……!」

 仲間思いのファルコは、すっくと立ち上がった。

 今ここに、光の世界に散らばった仲間は、全て救出されたのだった……一人除いて。

 

「ついてこい」

 シャドウが運転する宇宙船はファルコがいた橙色の惑星から南に行き、灼熱の惑星に辿り着く。

 その惑星にはトレースのスピリッツがいて、サムスとシモンが協力して解放した。

 次に、東の桃色の惑星に行ってジョディ・サマーのスピリッツを解放し、

 ロックマンとリンクがギャラクシーマンのスピリッツを解放した。

 

「いよいよか……」

 そして、ついに光の階段が見えてきた。

 この先に、この世界の全てを奪ったキーラが待ち受けている。

 しかし、光の階段に行くための道は、ウルフェンのスピリッツが塞いでいた。

 フォックスとファルコは頷くと、ブラスターを構えてウルフェンに戦いを挑んだ。

「「かかってこい!!」」

 

「……ふう」

「やったぜ」

 フォックスとファルコは、ウルフェンのスピリッツを解放し、

 ついに光の階段に繋がる道を開けた。

 桃色の空には、光の化身キーラとマスターハンド、

 そして光に包まれたアイシャが宙に浮いている。

 マリオ、カービィ、シャドウ、ベル、アルトリア、

 柊蓮司はその異様な光景にごくりと唾を呑んだ。

 一行はゆっくり、ゆっくりと、光の階段を登る。

 そして、マリオ、カービィ、シャドウ、アルトリア、柊蓮司、

 ベルの順番に辿り着いたところで、キーラは六人にテレパシーで語り掛けた。

「……まさか我の駒を全て解放するとはな」

 キーラは、光の世界に散らばった仲間を全て救出した事に驚く。

「僕達はみんなを助けるためにここまで来たんだ」

「アイシャを返して倒されるのと、倒されてアイシャを返すのと、どちらか選びなさい」

「月並みで悪いが、どちらも断ると言ったら?」

「じゃあ、私が決めるわよ」

 ベルは虚空から大鎌を取り出し、構える。

 マリオ、カービィ、シャドウ、アルトリア、柊蓮司は、彼女のただならぬ様子に緊張する。

 キーラはそんな六人を嘲笑うかのように言う。

「新たなる創世を受け入れればいいものを……貴様らにはつくづく呆れたよ」

「受け入れるわけねぇだろ! 俺達は、お前から世界を救うために戦っているんだ!」

「貴様が奪ったものは、全て返してもらう」

 柊蓮司は強い意志で、キーラに向かって叫ぶ。

 アルトリアもアイシャを連れ戻すという目でキーラを真っ直ぐに見据えた。

「マスターハンドもこの女も、既に我が手中にある。……それでも、返してほしいのだな?

 いいだろう……我に勝てたらな」

「アイシャ!?」

「マスター!?」

 キーラの身体が眩く光ると、アイシャを包んでいた光が消える。

 そして、アイシャは虚ろな表情で包丁を構え、無言でカービィに斬りかかってきた。

「うわっ!!」

 カービィは何とか攻撃を防ぐが、続けてマスターハンドが襲い掛かる。

「アイシャ! どうしたんだよ!!」

「待て……アイシャは、キーラの光の呪縛で操られているようだ」

「ぐっ……! 卑怯だ……卑怯だ、キーラ!」

「仲間同士で戦う……いい光景だろう?」

 キーラはどこまでも六人を嘲笑っている。

 生物の身体を奪い、スピリットに変え、

 さらにはファイター達を母体を生み出す道具に変えた光の化身キーラ。

 彼女が行ったあまりにも非道な行為に、ついに六人の怒りは爆発した。

「僕の体と心が叫んでいる。――貴様を滅ぼせ、と」

「ここまでてめぇが外道だと、逆にすっきりするぜ」

「……このような者を見るのは久しいですね……」

「これ以上、あんたの好きにはさせないわ。私は死神、世界の秩序を守る者なのよ!」

「俺達は絶対にお前を許さない。全てを奪ったお前を、全てを支配しようとしたお前を!」

「僕達はスピリッツになったみんなや、助けたみんなの思いを背負っているんだ。

 だから、僕達は絶対に、勝つ!!」

 そして、カービィが強く叫ぶと、

 六人は一斉にキーラ、マスターハンド、アイシャに突っ込んだ。

 今、光の化身との決戦が始まろうとしていた。




~ベルのスピリッツ名鑑~

メタルギアRAY
出身世界:こことは異なる世界
性別:なし
リボルバー・オセロットが広めたメタルギアREXのデータを元に生まれたメタルギアの亜種。
沿岸部からの奇襲攻撃を想定した水陸両用型。

星船マリオ
出身世界:キノコワールド
性別:なし
ルーバ達が使っていた星船をマリオのために改造したもの。
地形全体がマリオの顔を模している。

アパロイド
出身世界:スペースワールド
性別:不明
外宇宙から襲来した機械生命体の一族。
昆虫を模した姿をしており、六角形がシンボル。

トレース
出身世界:メトロード
性別:男性?
銀河で最も忌み嫌われている、クリケン族の若きバウンティハンター。
一族の繁栄と自らの名誉のため、アレンビッククラスターにやってきた。

ジョディ・サマー
出身世界:エフゼロワールド
性別:女性
戦闘機パイロットからF-ZEROレーサーになった。
愛機はホワイトキャットで、グリップに優れとても操縦しやすい。
アンディという兄がいるらしいが……?

ギャラクシーマン
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性型
新生ライトナンバーズの一体。宇宙研究所の助手。
武装のブラックホールボムはブラックホールを作り出す爆弾である。

ウルフェン
出身世界:スペースワールド
性別:なし
スターウルフの主力戦闘機。
二対の前進翼を持っており、全体的に赤い装飾が施されている。


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55 ~ 光の化身キーラ

光の化身キーラとの最終決戦が始まります。
彼らはキーラを倒し、この世界に平和を取り戻す事ができるでしょうか。


 キーラと、彼女に操られたマスターハンド、そしてアイシャとの決戦が、始まった。

 

「まずは守りを固めるわよ!」

 ベルは闇の魔力を展開し、六人の防御能力を高める。

 キーラの攻撃は強烈なので、それを防ごうとベルは判断した。

 

「はあっ!」

「効かんな」

 柊蓮司は魔剣をキーラに振るが、キーラは光の壁で彼の攻撃を防ぐ。

 アルトリアは、相手の出方を伺っている。

「うあああああああ!!」

 アイシャは柊蓮司に包丁を振り回す。

 やたらめったら振ったためか柊蓮司に掠って傷を負わせる。

「っつー……」

「おらっ!」

 マリオはキーラにハンマーを鋭く振り下ろす。

「アイシャ、元に戻ってよ!」

「うああああああああああ!!」

 アイシャはカービィの投げをかわし、包丁で反撃する。

「受けてみよ」

「くっ!」

 キーラはシャドウに光の球を無数に飛ばす。

 シャドウは何とか抵抗したが、ダメージはかなり大きかった。

「はあっ!」

「カオススピア!」

 アルトリアはキーラを不可視の剣で斬りつけるが、なかなかダメージを与えられない。

 シャドウは光の矢をマスターハンドに放ち、牽制した後にサブマシンガンで撃ちまくる。

「眩しいか?」

「ああ、でも嫌な眩しさだぜ……!」

 キーラは柊蓮司の攻撃をかわし、あの光のレーザーで反撃する。

 あの時より威力は低かったが、カービィ達を軽く混乱させた。

「せいっ!」

 ベルはキーラの隙を突き、素早く飛び掛かって大鎌を振り降ろす。

 カービィは光の球を吸い込んでマスターハンドに吐き出す。

「当たらないわよ!」

「ふっ! はっ! 食らえ!」

「ド・オヴァ・デ・シー!」

 キーラは光のレーザーでベルに反撃するが、ベルは緊急回避で攻撃をかわす。

 シャドウは拳銃を三連射してマスターハンドを撃ち、

 ベルはシャドウの傷を魔法で癒した。

 

「キーラがこんなに強いなんて……」

 光の化身キーラは非常に強かった。

 桁外れの攻撃力に、こちらの攻撃をほとんど通さない防御力。

 さらに、マスターハンドとアイシャを味方につけていると隙は無かった。

「全てを奪っただけはあるな。それでも、僕は決して諦めはしない。

 お前達は時間稼ぎをしろ、僕が奴らを吹き飛ばす」

 シャドウはカオスエメラルドに力を溜め、大技の準備に入る。

 カービィ達は頷くと、シャドウを守るために攻撃に入る。

「クリーンだよ!」

 カービィはアイシャが振ったモップを吸い込んでクリーンをコピーし、

 箒で地面を掃いて動きやすくする。

 身軽になった柊蓮司とマリオは飛び道具でキーラを牽制する。

 キーラは光の羽をシャドウに飛ばしてくるが、アルトリアが攻撃を受け流す。

「来た」

 しばらくするとシャドウの身体が赤く光り出した。

 大技を発動する準備ができたのだ。

「シャド兄!」

「カオス……ブラスト!!」

 カービィの掛け声を聞いたシャドウは全身から衝撃波を拡散し、

 キーラ、マスターハンド、アイシャを吹き飛ばして大ダメージを与えた。

 その威力は、マスターハンドを消滅させ、キーラを守る光を剥がすほどだった。

 

 衝撃波が治まると、光の球になったキーラは宙に浮かんだ。

「おのれスマッシュブラザーズ……許さんぞ!!」

 キーラは全身から強い光を放ち、再び全身を光の翼で覆った。

 恐らく、追い詰められた彼女は怒りでホンキを出したのだろう。

「みんな、しっかりして!」

「ああ、分かってる!」

 柊蓮司はホンキを出したキーラを魔剣で斬りつける。

 防御力が下がったのか、柊蓮司は手ごたえをしっかり感じた。

 キーラは翼を槍のようにしてマリオ、シャドウ、ベルを貫く。

「ははは……どうだ」

 三人の苦痛に歪む顔を見たキーラは、高らかに笑い声を上げる。

「マリおじちゃん、シャド兄、ベルベル! もう、許さないよ!」

 カービィはクリーンを捨てて能力星をキーラに吐き出し、

 ハンマーを構えてキーラに突っ込んでいく。

 勢いがついたハンマーは、キーラのコアを的確に殴り、さらなるダメージを与える。

「えいっ! やあっ! とおっ!」

 キーラはワープを繰り返しながら、翼を変化させた槍を次々と突き刺す。

 たくさんの予告線を展開し、キーラがコアを一瞬光らせるとそれが無数のレーザーに変わった。

 レーザーはカービィを貫くが、カービィは怯まずキーラに突っ込み、

 短い手足で懸命にキーラを攻撃した。

 

「我を崇めもせず、恐れもしないとは……貴様は本当に、我を楽しませてくれる」

 キーラはカービィを嘲笑うかのように光る。

 カービィは真剣な表情でキーラを睨みつける。

「言ったよね? 僕はみんなの思いを背負って戦っているって。

 だから……絶対に、勝って、世界を元に戻すんだ!!」

 強く叫ぶカービィを見たキーラは一瞬驚くが、しばらくするとワープして光の爆弾を設置する。

「まずい! アレはこちらをまとめて攻撃するものです!」

「うん! 任せて! ずおおぉぉぉぉぉぉぉ!」

 アルトリアは光の爆弾を見てカービィに警告する。

 カービィは頷くと光の爆弾を吸い込み、それをキーラに吐き出していく。

 が、一部の爆弾は処理できず、爆発してダメージを食らった。

「いたたたた……」

「今度はこれを見るがいい」

 そう言うと、キーラは青い光を出し、それらをパックンフラワーとピチューの姿に変える。

「貴様が解放したファイターだ。さあ、食らえ!」

「させないっ……!」

 カービィは体術で光のファイターを攻撃するが、光のファイターの攻撃は激しい。

 ピンチになるカービィだったが、その時、

 光のファイター目掛けて銃弾が二発放たれ、瞬く間に爆発して消えた。

 その銃弾を放ったのは、もちろん、シャドウだ。

「シャド兄!」

「キーラの体力は後僅かだ。決めろ、カービィ!」

「うん!」

 カービィはそう言って、ハンマーに炎を溜める。

 キーラは再びレーザーで反撃するが、カービィは全てかわし、キーラに肉薄する。

「とどめだ! 鬼殺し……火炎ハンマァァァァ!!」

 そして、カービィは炎を纏ったハンマーを、思いっきりキーラにぶちかました。

 それがとどめになったのか、キーラを自らと同じ眩い光が打ち据え、

 やがてキーラ自身を光が包み込み……砕け散る。

 

「この我が、新世界の創り手が、スマッシュブラザーズ如きに、敗れるとは……!」

 その声を最後に、キーラは力尽きる。

 そして、マスターハンドと共に海へ墜落しようとしていた。

 

「……長かったわね」

「ああ……本当に長かったな」

「だが、これでもう、この世界を脅かす者は誰もいなくなるだろう」

「うん……また、美味しいご飯を食べて、たくさんお昼寝ができるね」

「ふふっ……皆さん、よく頑張りました」

「本当にお疲れ様、だぜ」

「……」

 多くの戦士達の体を奪い、支配下に置いたキーラ。

 この争いの世界で最大規模の異変を起こした存在。

 その、キーラとの戦いに勝利した事を喜ぶカービィ、シャドウ、ベル、マリオ、

 アルトリア、柊蓮司だったが、リンクだけは浮かない表情をしていた。

「……どうしたの? キーラに勝ったから、嬉しいんじゃないの?」

「……いや……俺はどうも納得がいかないんだ。

 俺達が助けたファイターは……これで全員だったか?」

「全員? あ……!」

 リンクの言葉により、カービィは気付いた。

 スマブラ四天王ら主要メンバーは助けたが、ゼルダ姫も、

 マリオの双子の弟ルイージも、まだ助かっていなかった。

「どこにいるのかしら! 助……え!?」

 ベルは急いで行動に移ろうとするが、突然、空間に罅が入り、ポロポロと破片が落ちていく。

 その破れた空間の中から、不気味な一つ目と無数のクレイジーハンドが姿を現した。

「何、あれ……!」

「不快な……!」

 カービィは見た事のない敵に唖然とし、シャドウはある敵を思い出し不快な表情になった。

 無数のクレイジーハンドは、マスターハンドに襲い掛かって来た。

「まさか、こいつが隠れていたなんて……」

 "神"であるベルでさえも、その目を見て戦慄する。

 光の化身キーラを破った事で、抑えられていた闇が暴走した。

 キーラが天に帰る前に、彼女が部下にした無数のマスターハンドが

 無数のクレイジーハンドに襲い掛かり、その命を散らす。

 そして、キーラが天に帰った時、破れた空間から無数の不気味な触手が現れる。

「……!」

 シュルクは未来視(ビジョン)を使い、これから来る出来事を予測した。

 あの時のように、また、ファイター達が全滅しないように。

「みんな、逃げて!!」

「え……!?」

 シュルクは皆にその場から避難するように叫んだ。

 カービィなどの子供達は突然の叫び声にあたふたしながらも、その場を立ち去ろうとしていた。

 だが――

 

「な……っ!」

 闇は、争いの世界を飲み込んでいった。

 ファイター達が逃げ出すよりも、早く。

 

「きゃあああああああ!」

「うわあああああああ!」

 そして、瞬く間にこの世界の一部は漆黒に落ち、

 その場にいた全てのファイターは、闇の中に飲み込まれていった。

 

 ファイターとスピリッツを配下に、この世界の掌握を狙う、もう一つの勢力。

 混沌と闇の化身、その名は“ダーズ”――




~次回予告~

キーラを倒したと思いきや、新たな敵・ダーズが襲来し、
スマブラメンバーはバラバラになってしまった。
次の舞台は闇の世界。
果たして、スマブラメンバーは再会できるのだろうか?


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第二部:闇の世界
56 ~ バラバラの仲間達


第二部「闇の世界編」スタートです。
仲間達がバラバラになってしまったので、三つのパートに分かれています。
最初はシャドウ編です。


「……っ。ここ、は……」

 シャドウが意識を取り戻すと、見慣れない場所に立っていた。

 周りには、カービィもベルもいなかった。

 さらに、大半のスマブラメンバーもいない。

 マリオ達も、何が起こったのか分からず、困惑していた。

「思い出したぞ。あの時、キーラを倒したが、謎の敵が現れて僕達は闇に飲み込まれた……」

 シャドウはこれまでの出来事を思い出す。

 光の化身キーラを倒したはいいものの、空間が裂けて

 不気味な一つ目と触手を持つ敵が現れてファイター達は闇の中に落ちていった。

 カービィとベルがいないため、みんな別々の場所に着いたようだ。

「ネス君はいるけどみんなとはぐれちゃったし……」

「俺を助けてくれたルカリオも、いない」

「りょうさん……ううぅぅ、寂しいです……」

 シャドウチームの内訳は、マリオ、ドンキー、リンク、ヨッシー、ネス、ファルコ、

 ピチュー、マルス、リュカ、デデデ、リトルマック、ダックハント、

 リュウ、しずえ、ランス、ストーム、そしてリーダーのシャドウの17人である。

 今は彼らだけで、ここを探索しなければならない。

 

「まずは、ここを出るぞ。ついてこい」

 シャドウは他の16人を率いて、道を歩いていく。

 上に行くための橋は崩れ落ちて進めないため、一行は只管に前に進んでいく。

 まず、彼らが最初に出会ったスピリッツは、シャドウと同じ世界にいるカオスだった。

 ベルがいないため、詳細な説明は分からなかった。

「こいつは初めて見るな」

 シャドウはカオス異変の事を知らない。

 だが、カオスは鋭い目でシャドウを見ている。

「よし、サクッと行きますか!」

「ああ……初めての敵だが、究極の力を見せてやろう!」

 リンクとシャドウはカオスのスピリッツに挑んだ。

 

「なるほど……確かに手ごたえはあったな」

 カオスのスピリッツは、インフィニットと同じホープ級だった。

 シャドウはその手ごたえをしっかりと感じる。

 しばらくすると黒い霧が晴れ、先が見えてくる。

 シャドウ一行が先に進むと、ルカリオのボディに宿る(ゲン)のスピリッツを発見した。

 彼をリュウが解放すると、目の前に不気味に動く左手の姿が見えた。

「あれは、クレイジーハンドか」

 クレイジーハンドに遭遇しながらも、シャドウは至って冷静だった。

「恐らく、こいつもあの目玉に操られているだろう。

 ならば、僕の向かうべき道は一つ。こいつを倒して先に進むだけだ」

 シャドウはクレイジーハンドを倒すべく身構える。

 マリオ、ファルコ、マルス、デデデ、ダックハントも彼と共に戦闘態勢を取った。

 

「アアァァァァァァァァァ!」

「うわっ!」

「これで怖気づくワシじゃないゾイ!」

 クレイジーハンドは爆弾を落としてマルスとデデデを攻撃する。

 デデデはハンマーを振り下ろし、マルスはファルシオンで斬りかかる。

「ばうばう!?」

「おっと!」

 クレイジーハンドは身体をドリル状にしてダックハントとファルコを貫く。

 ファルコはギリギリで攻撃をかわし、リフレクターシュートで反撃する。

「ばう!」

「はっ!」

 ダックハントは見えないガンマンを呼び出してクレイジーハンドを連続で攻撃する。

 シャドウはホーミングアタックを繰り出した後、回し蹴りからの銃撃を放つ。

「食らうゾイ!」

「マーベラスコンビネーション!」

 デデデはゴルドーを投げ、マルスは流れるような剣撃でクレイジーハンドを切り裂く。

 とどめの一発がクレイジーハンドに当たると、クレイジーハンドは気絶した。

「ウィングエッジ!」

「カオスバースト!」

「メガトンハンマー!」

「ばうばうばう!」

「シールドブレイカー!」

 その隙にファルコはウィングエッジ、シャドウはカオスバーストなど、

 それぞれの強力な攻撃でクレイジーハンドに大ダメージを与える。

「とどめだ! ファイア掌底!!」

「グギャアアアアアアアアア!!」

 そして、マリオがとどめにファイア掌底を繰り出しクレイジーハンドを撃破するのだった。

 

「ただ叫ぶだけのクレイジーハンドは、僕の相手ではなかったな」

 敗れたクレイジーハンドは、爆発して消えた。

 大した手ごたえが感じられない事から、このクレイジーハンドは偽物だと推定した。

「こいつを生み出した敵が誰なのか知りたかったが、ベルがいない以上無理だな」

「あぉーん……」

 この世界の事を知っているベルは、謎の敵の襲撃でどこかに散っていった。

 彼女と合流するのは、もう少し先の事になる。

 シャドウ達は脱出の方法を探すため、まずはスピリッツの解放に向かうのだった。

 

 北西の木の道を通った先にいたのは、タコガール&タコボーイのスピリッツ。

 西側にはライコウ&エンテイ&スイクンのスピリッツがいた。

 どちらもエース級だったが、マリオ、リュカ、ネス、ストームが頑張って解放した。

 そのおかげで雲が晴れ、たくさんのスピリッツがいる火山と

 枯れた木がたくさんある場所が見えた。

 一体どんなスピリッツがいるのか……シャドウ一行は歩みを止めなかった。

「ん? こいつは……」

「こわいでちゅ……」

 リザードンのボディに宿るサザンドラを見て、ピチューは身震いした。

 それもそのはず、このポケモンはイッシュ地方における

 「600族」と呼ばれるポケモンだからだ。

「わ、わたしもちょっと怖いです。シャドウさん、何とかしてくれませんか?」

「まったく、世話の焼ける奴だ」

 そう言って、シャドウは拳銃を構えてサザンドラに戦いを挑んだ。

 

「どうだ」

 シャドウは無事にサザンドラの解放に成功した。

「ありがとでちゅ!」

「ありがとうございます」

「……」

 ピチューとしずえはシャドウにお礼を言った。

 それに対しシャドウは相変わらず、無表情だった。

 そして一行が歩いていくと、マルスが目の前のスピリッツに気づく。

「き、君は……!」

 銀の鎧と赤い服を纏った青い髪の少女のスピリッツが宙に浮いていた。

 その少女は、マルスには見覚えがある人物だった。

「シーダ! シーダじゃないか!」

「マルス様! 無事だったのね!」

「ああ、僕はこの通り無事さ」

 彼女はタリス王国の王女で、マルスの婚約者であるシーダだった。

 闇の世界で再会した二人は、じっとお互いの目を見つめている。

 周りの様子が目に入らなくなるくらいほど、二人の愛は強く、そして一途だ。

「おい、マルス。一体どうしたんだ?」

「あ、ごめんね。気が付かなかった。彼女は僕の婚約者でタリスの王女、シーダだよ」

 ようやく気付いたマルスは、シーダについてマリオに簡単に説明する。

「まさか、こんなところで再会するとはね。でも、君と出会えてよかったよ」

「マルス様……それは、私も同じ気持ちよ」

「もう大丈夫だよ、シーダ。僕と一緒にこの世界に帰ろ……え?」

 マルスがシーダの手を握ろうとすると、彼女の身体はすり抜けてしまう。

 そしてシーダのスピリッツは近くにあったルキナのボディに入り込み、

 実体を得てマルスの前に改めて姿を現した。

「シーダ……?」

「いやぁぁぁぁぁっ!」

 すると、ルキナのボディに宿ったシーダがいきなりマルスに斬りかかった。

 マルスはあり得ないといった表情で自分に斬りかかったシーダを見ている。

「シーダ、どうして僕を攻撃したんだ!」

「ち、違うの、マルス様、私の意思じゃないわ」

 ルキナのボディに宿っているシーダが苦しそうな表情で呟く。

 シーダの表情と行動から察するに、彼女の言葉が嘘ではないと見抜くマルス。

「つまり、シーダは操られてるって事?」

「私、操られているんだ……。……マルス様を傷つける事は望んでない。

 マルス様……どうか、私を助けて!」

 シーダはペガサスを呼び出して騎乗した。

 彼女の身体とペガサスには、不気味な闇の鎖が巻き付いていた。

 マルスはファルシオンを抜き、切っ先を闇の鎖に突きつける。

 彼はシーダではなく、彼女を操る鎖を断ち切るために剣を取ったのだ。

「悪い夢は、僕が覚ましてあげるよ。だから……安心して、シーダ」

「はい、マルス様!」

 

「もう大丈夫だよ、シーダ」

 シーダのスピリッツを解放したマルスは、ルキナの身体から抜け出た彼女に触れようとする。

 だが、実体を持たなくなったため、マルスの手はすり抜けてしまった。

「……シャドウ」

「なんだ?」

「カービィとベルと合流するまで、シーダを僕の身体に宿してほしい」

「何、正気か?」

 スピリッツをボディに宿すと、体格と精神がスピリッツのそれに変わる。

 それではマルスではなくなってしまうとシャドウは反対するが、

 マルスは真剣な表情を変えなかった。

「ようやくシーダと再会できたんだ。だから、もう、二度と離れたくない。頼むよ、シャドウ」

『マルス様もそうおっしゃっているわ。そして、私からも頼むわ。

 お願いよ、私もマルス様と一緒に行きたい』

「仕方ないな……」

 シーダのスピリッツも姿を現し、二人は必死でシャドウに頼み込む。

 流石に二人がかりで頼まれてはシャドウも放っておけず、渋々了承するのだった。

 そして、シーダのスピリッツはマルスの身体の中に入り込んだ。

 

「さて、気を取り直して……」

 シャドウ一行はシーダのスピリッツを解放した後、南に向かって真っ直ぐに歩く。

 すると、闇の鎖で縛られた赤と黒の猫ポケモンが沼地の台座の上に立っていた。

 第五期からスマブラメンバーになったヒールポケモン、ガオガエンだ。

 台座からはガオガエンのボディが次々に生成され、ガオガエンは苦しそうな様子だ。

「あああっ! 今、助けますから!」

 しずえはそう言って、ピコハンでガオガエンを縛る闇の鎖を打ち砕く。

 すると、ガオガエンは赤い瞳をぎらつかせてしずえに襲い掛かってきた。

「コロシテヤル!」

「させないゾイ!」

 デデデは襲い掛かるガオガエンに対しハンマーで応戦した。

 ガオガエンはすぐに飛び退くが、一行への殺意は変わらなかった。

「グルルルルルルル……」

「相手が誰であろうと僕は手加減しない。究極の力、見るがいい!」

「頑張ります!」

「かかってくるんだゾイ!」

「邪魔をするなら、この嵐の弓で吹き飛ばす」

 この世界にも、操られたファイターはいた。

 シャドウ、しずえ、デデデ、ストームは、

 操られたガオガエンを正気に戻すべく、戦いを挑んだ。




~ベルのスピリッツ名鑑~

カオス
出身世界:こことは異なる世界
性別:不明
青い液体の身体を持つ、チャオの突然変異体。
高度な知能とずば抜けた能力を持ち、外敵から同族を守護していたが、
ナックルズの祖先と一悶着あって激怒、暴走の挙句ティカルに封印される。

(ゲン)
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
齢70を越える、暗殺拳を駆使する老人。
冷静沈着な性格で、古風で落ち着いた物言いで話す。
数多くの中国拳法を発展・統合させ、独自の流派「喪流」「忌流」を作り出した。

タコガール&タコボーイ
出身世界:未来の地球
性別:ガール、ボーイ
オクタリアン族のガールとボーイ。
記憶を失い、地下鉄の中で倒れていた。
約束の地に向かうため、様々な試練を受ける。

ライコウ
出身世界:ゲフリアース
性別:不明
ジョウトの伝説のポケモンで、いかずちポケモン。
でんきタイプで、特性はプレッシャー、
隠れ特性はかつてはちくでんだったが、今はせいしんりょく。
雷と共に落ちてきたといい、雨雲を背負っているのでどんな時でも雷を出せる。

エンテイ
出身世界:ゲフリアース
性別:不明
ジョウトの伝説のポケモンで、かざんポケモン。
ほのおタイプで、特性はプレッシャー、
隠れ特性はかつてはもらいびだったが、今はいしんりょく。
大地を駆け巡り、新しい火山ができるたびに生まれてくると伝えられる。

スイクン
出身世界:ゲフリアース
性別:不明
ジョウトの伝説のポケモンで、オーロラポケモン。
みずタイプで、特性はプレッシャー、
隠れ特性はかつてはちょすいだったが、今はせいしんりょく。
北風と共に世界中を駆け巡り、汚れた水を清めている。

サザンドラ
出身世界:ゲフリアース
性別:♂♀両方存在する
ジヘッドが進化した、きょうぼうポケモン。
あく・ドラゴンタイプで、特性はふゆう。
両腕の頭には脳が無く、3つの頭で全てを食べ尽くし破壊してしまう。

シーダ
出身世界:戦記の世界
性別:女性
辺境の島国、タリス王国の王女。
マルスの婚約者であり、自身もペガサスナイトとして彼と共に戦う。
性格はマルスと同じく、温厚で穏やか。


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57 ~ 戦闘! ガオガエン

闇の世界で出会ったのは、ヒールポケモン、ガオガエンだった。
シャドウ達はダーズに操られている彼を救う事ができるだろうか。


 操られたガオガエンとの戦いが始まった。

 

「風よ」

 ストームはトルネイドのARTSを応用して、小さな竜巻を作り出す。

「はぁっ!」

「えい、えい、えい!」

 シャドウがホーミングアタックを繰り出し、しずえがピコハンを連続で振って追撃する。

「食らうゾイ!」

「風の矢よ」

「グアアァァァァァ!」

 デデデは力を溜めた後、ゴルドーを投げつける。

 ストームは小さな竜巻を矢に纏わせ、弓から矢を放ちガオガエンを巻き込む。

「ウオオォォォォォォォォ!」

 ガオガエンは両腕を振り回してシャドウとデデデを攻撃した。

 彼だけが使える物理技、DDラリアットだ。

 シャドウとデデデはシールドを張り、何とか攻撃を防ぐ。

「風よ……」

 シャドウは無数の光の矢を作り出し、

 ストームが呼び出した竜巻と共にガオガエンに向けて放つ。

 しずえはガオガエンが通りそうな道にハニワくんを設置する。

 彼女の読みは当たり、ガオガエンはハニワくんを踏んで吹っ飛ぶ。

「マジカ・スターアロー!」

「食らうんだゾイ!」

 ストームは力を溜めた矢を放ち、ガオガエンの防御を貫く。

 デデデはジェット噴射したハンマーを思い切りガオガエンにぶちかました。

「……フレアドライブ」

 ガオガエンが炎のエネルギーを纏って突進する。

 その先にいたのは、デデデとストームだ。

「ぐああぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「ぬおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 攻撃をまともに食らったデデデとストームは、大ダメージを受けて吹っ飛ばされた。

 二人は空中ジャンプを何回か使って復帰するも、その威力の強さを思い知る。

 ガオガエンは攻撃の反動を受けて体力が減少している。

 その隙に、シャドウ、しずえ、ストーム、デデデは一斉にガオガエンを攻撃した。

「半分削ったゾイ!」

「よし!」

「……ヤルナ。フレアドライブ」

「うおぉぉぉぉっ!」

 ガオガエンはデデデの隙を突き、フレアドライブで大ダメージを与えた。

 デデデはその威力に耐え切れず、ついに戦闘不能になった。

「ああっ、デデデさん! 今、治しますからね! ……不味いですけど、我慢してください」

 しずえは倒れたデデデに近付き、目覚しいスピードで

 魚の内臓と果物を発酵させた料理を作り、デデデの口の中に入れる。

 すると、デデデは驚いて戦闘不能から復活した。

「チッ」

 ガオガエンは舌打ちし、闇の力を溜めて攻撃に備える。

 ストームはその間に竜巻を矢に纏わせ、しばらく溜めた後に矢を放った。

 シャドウはガオガエンに飛びかかり、至近距離から銃弾を一発撃つ。

「グアァァァッ!」

「僕の攻撃は体術だけではない」

「クソォッ!」

「えいっ!」

 ガオガエンが悔しそうに顔を歪めると、デデデが勢いよくゴルドーを投げつけた。

 しずえも傘を振って追撃する。

「フレアドライブ」

「やらせないゾイ!」

 ガオガエンはフレアドライブでストームを吹っ飛ばそうとするが、

 デデデが庇い代わりに彼がダメージを受ける。

「ぐぅぅぅぅぅぅぅ……!」

「デデデ、これ以上攻撃を食らうな!」

「いや……皆を守れなければ、大王の名が廃れるんだゾイ……!」

 苦痛に顔を歪めるデデデを心配するストーム。

 デデデは大王としての意地があり、ここで負けるわけにはいかないのだ。

 

「……ココマデオレヲオイツメルトハ、タイシタモノダナ。ナラバ、コレデドウダ……!」

 すると、ガオガエンの周囲でみるみる闇が満ち、さらなる暗黒の世界が出現した。

 どうやら、大技を発動するつもりのようだ。

 その前に彼を倒さなければ、全滅してしまう。

「早く止めるゾイ!」

 デデデはハンマーを振り下ろし、ガオガエンの体力を削っていく。

 ストームは続けてマジカ・スターアローでガオガエンを撃ち、彼の攻撃を阻止した。

「いきます!」

「はぁっ!」

 しずえは道路標識でガオガエンを浮かせ、

 シャドウはカオスエメラルドの力で身体能力を強化して連続打撃を繰り出す。

 彼らの猛攻があって、ガオガエンの体力は残り僅かになった。

「カオス・コントロール!」

 シャドウはカオスエメラルドの力で時空を歪め、ガオガエンの動きを止める。

 その隙にシャドウはホーミングアタックを繰り出し、

 光の矢を大量に生成してガオガエンを包囲する。

 デデデ、ストームも飛び道具でガオガエンを攻撃する。

「とどめだ!」

「!?」

 効果が切れ、ガオガエンはようやく動けるようになる。

 倒されるものかとガオガエンは逃げようとするが、

 周囲には光の矢があり、それらは正確にガオガエンの身体を貫いた。

 そして赤と黄色の大爆発が、戦場全体に起こった。

 

「う……うぅ……」

 倒れたガオガエンは呻き声を上げている。

 しずえがガオガエンの目をよく見ると、彼の目は元の色に戻っていた。

 闇の呪縛から解放されたのだ。

 

「んあ~、よく寝た」

 しばらくして、ガオガエンは両手を伸ばし、気持ちよさそうに起き上がる。

「おはようございます」

「といっても、こんな場所ではそんな事は言えないがな」

 しずえとシャドウはガオガエンを迎える。

 ガオガエンは辺りをきょろきょろと見渡した。

「じゃあ、ここはどこだ?」

「あたりがまっくらでこわいでちゅ……」

 ピチューは辺りが暗いため、怖くなってシャドウに抱きついた。

 シャドウは冷静に、ここがどこなのかを分析する。

「ここは闇の世界のようだな。しかも、ここ一帯が全てではない……」

「俺達はとんでもない場所に飛ばされちまったみたいだな」

 改めて、この闇の世界が危険である事を知ったシャドウ一行であった。

 

「そういえば、君は誰だ? どこかジュカインのような雰囲気だが」

「ジュカイン? あんまりよく分かんねーな。おれはヒールポケモンのガオガエンだ。

 ヒールは悪役レスラーって意味だからな」

 ガオガエンは自身の名前、というか種族名をストームに名乗る。

「なるほど、ポケモンだったのか。僕はストーム」

「シャドウ・ザ・ヘッジホッグだ」

「みんな、よろしくな!」

 ストームとシャドウがまずガオガエンに自己紹介をして、他のメンバーも続けて自己紹介する。

 ガオガエンは「はっはっは」と笑った。

「ところで、ピカチュウやルカリオはどこに行っちまったんだ?」

「かくしか」

 シャドウは、キーラを倒したら闇に飲み込まれて散り散りになった事をガオガエンに話した。

「翼ヤローをぶっ倒したら目玉ヤローが襲ってきたんだな?」

「そうなるな」

「あの目玉ヤロー、戦力にするって言いながらおれを捕まえやがって……」

「その“目玉ヤロー”の名前は?」

「決まってんだろ! ダーズだよ、ダーズ!」

 どうやらスマブラメンバーをバラバラにした敵の名前は、ダーズというそうだ。

 彼もまた、世界を支配するためにファイター達を捕らえてボディを生成し、

 スピリッツを入れて操っているようだ。

「くそっ、目玉ヤローめ……おれの猛火が燃えてるからな!」

 ガオガエンは目玉ヤロー、つまりダーズに利用された事に怒っている。

 シャドウ以外の全員はキーラに利用されていたため、ガオガエンの怒りに共感した。

 

「それじゃあ、俺達と一緒に行こうぜ。目指すはみんなとの合流だ!」

「ああ!」

 マリオとガオガエンは、互いに握手を交わした。

 リングの猛火が今ここに、シャドウ達の仲間に加わったのだった。




リングの猛火を仲間に加えたシャドウ一行。
彼らが次に向かう場所は、聖地である――


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58 ~ 聖地突入

スマブラDLC第6弾はミェンミェンだと……。
確か、彼女は既にスピリットになっていましたよね。
これはもしかすると……いや、考え過ぎか?


 ガオガエンをダーズから解放したシャドウ一行。

 しかし、今の戦力ではダーズに勝つ事は難しい。

 まずは仲間を探し、ダーズに操られたスピリッツを解放して先に進むのだ。

 一行は南西の火山に行き、スピリッツの解放に向かう。

「……熱いな」

「アイシャかドリィがいれば、魔法で何とかなるんだが……」

 闇の世界の火山もやはり熱く、さらに暑さを軽減する手段もないため、

 シャドウとリンクは嘆いた。

 すると、ガオガエンが皆の先頭に立ち、ついてこいとでも言うように腕を振る。

「おれなら熱いのは平気だぜ!」

「そっか、ほのお・あくタイプだからね。頼りにしているよ、ガオガエン」

 

「食らえ!」

「いくぜ!」

 ガオガエンが先頭に立ち、ランドマスター、ロック・ヴォルナット、

 クレイド、ユガと続けて解放していく。

 しばらく進んでいくと、火山に似つかわしくない、水晶で覆われたワープゾーンがあった。

 しかも、ここだけは気温が低くなっている。

 シャドウ達はここでしばらく休んだ後、ワープゾーンに乗って別の場所に転移した。

 

「ここは……」

「聖地……か」

 リンクはこの場所に見覚えがあった。

 大地は三つの三角が並んだような形をしており、その先端には強い光が宿っている。

 これは、リンクがいた世界に存在した「トライフォース」というもので、

 上は力、左下は知恵、右下は勇気を表すのだ。

 だが、上は黒雲に覆われて進めないため、一行はひとまず、南西に行く事にした。

 立ち塞がっていた封印されしものを解放すると、目の前に梟の像が見えた。

 梟の像を調べると目が光り出し、テレパシーで彼らに話しかけてきた。

―我 真実を語る者 そなたの助けとならん

「な、なんだこいつは」

「これはケポラ・ゲボラっていう梟を元にした像だ。俺に色々と教えてくれるんだよな」

「つまり、謎を解いていけば、ここから脱出できるんだな」

 リュウは聖地を一歩一歩歩いていく。

 ここを出るためには、謎を解く事が必要なのだ。

「しかし、ここもやっぱり熱いな」

「ガオガエンがいなかったら、僕達は倒れてたね」

 一行は右から3本目の道に行き、厄災ガノンとムートを解放した後、

 左下の広場のような場所に着く。

 そこは一転してのどかな風景であり、熱さが少しだけ引いてきている。

 広場の中央には赤い火と青い火が灯っており、まるで時計のような形になっている。

「ばうばう、ばばうばう」

「これが何を表すのか梟の像に聞いてみましょう~」

 一行はムート、マジカルバケーションの主人公、どんべ&ひかりを解放し、

 梟の像がある場所に行った。

「12時10分……?」

 ネス、リュカ、リュウは、これが何を表しているのかを考えた。

 しばらくすると、リュカが何かを閃き二人に話す。

「分かった! 広場の赤い火と青い火を12時10分のところに合わせるんだよ!」

「そうか、ありがとうリュカ!」

「えへへ」

 ネスに褒められ、照れて頭を掻くリュカ。

 一行はリュカの言う通り、赤い火を12時の方向、青い火を2時の方向に灯した。

 すると、中央にシークのボディに宿ったスピリッツ、インパが現れた。

 リュウとしずえが彼女を解放すると、左下にあった岩が音を立てて崩れ去る。

「おお、仕掛けが解けたみたいだゾイ! 早速行ってみるゾイ!」

 そう言ってデデデが左下に行くと、闇の鎖に縛られたゼルダ姫と、

 同じく操られたユクシー&エムリット&アグノムがいた。

 しかし、そこにシモンのボディに宿るエルザのスピリッツが立ち塞がっていた。

「女の名前なのに……なんだ、男か」

 マリオがそう呟きながらエルザを解放し、

 一行はゼルダ姫とユクシー&エムリット&アグノムがいる場所に辿り着く。

 敵に操られたゼルダを再び見たリンクは歯を食いしばる。

「なんだよ……こういうのを見るのは、もうたくさんだよ……!」

「リンク……」

 マリオはリンクの姿を見て不安になった。

 ゼルダ姫が操られるのは、これで何度目だろう。

 リンクの心の余裕はかなり減ってきていた。

 だが、戦わなければゼルダ姫を救う事はできない。

 リンクは涙を流しながらも、ゼルダ姫を縛る闇の鎖をマスターソードで斬りつけた。

「……」

「きょううん!」

「きゃううん!」

「きゅううん!」

 ユクシー&エムリット&アグノムは、ゼルダを守るように前に立つ。

 シャドウは落ち着いて一人と三匹の様子を見る。

「こいつは……同時に倒さないと何度も復活し、ゼルダも超能力で回復させる。

 お前達はしばらく耐えろ、僕があいつらを一撃で仕留める」

「分かったぜ」

 シャドウはカオスブラストでユクシー&エムリット&アグノムを瞬殺するらしい。

 ガオガエンは頷いた後、戦闘態勢を取る。

「ユクシーが好きな迷子の女の子もいるらしいぜ」

「こわいけど……ぴちゅもがんばるでちゅ!」

「私も恐竜ですからね~!」

「ゼルダ姫は僕が解放する!」

「目を覚ますんだ、ゼルダ!」

「リンクにこれ以上苦しんでほしくない。だから俺達はお前を、必ず(たす)ける!」

 マリオ、リンク、ヨッシー、ネス、ピチュー、ガオガエンは、

 ゼルダとユクシー&エムリット&アグノムに戦いを挑んだ。

 

「はっ!」

 マリオはファイアボールでゼルダを牽制した。

 ゼルダは魔力を纏った手刀でピチューを斬る。

「うええん、ゼルダおねえちゃん、いたいでちゅ」

「……」

 ピチューは泣くが、ゼルダは当然反応しない。

 エムリットはネスをサイコキネシスで浮かせ、地面に思いっきり叩きつける。

「うわあぁぁぁっ!」

「……」

 ゼルダはユクシー&エムリット&アグノムの加護で受けたダメージを癒していく。

「僕の予想通りだったな」

「きょううん!」

「うあぁぁぁぁっ!」

「あたま、ふらふらしまちゅ……」

「目が回ります~」

 ユクシーは超能力を広範囲に放ち、マリオ達をまとめて攻撃する。

 マリオ、リンク、ネス、ガオガエンは抵抗したが、

 ヨッシーとピチューは衝撃を受けて混乱する。

 

「ゼルダ……また、俺の目が見えなくなったのかよ……」

「目を覚ましてくださ~い!」

「……」

 リンクとヨッシーは同時にゼルダに攻撃する。

 前者の攻撃はギリギリで、後者の攻撃は上手いところに命中した。

 しかし、ゼルダはまたもや加護で傷を癒す。

「シャドウ、まだなのかよ!」

「もう少しで終わる……待っていろ」

「うんっ」

 ユクシーはガオガエンを撹乱し、エムリットは広範囲に念力を放って混乱させ、

 アグノムはガオガエンに体当たりする。

 ヨッシー、リンク、ネスはシャドウの攻撃が来るまでしっかり防御している。

「うわぁぁぁぁぁっ!」

「ピチューさ~ん、危ないで~す!」

 アグノムはピチューをサイコキネシスで攻撃するが、

 次の攻撃で倒されると判断したヨッシーは彼を庇って吹っ飛ばされる。

 背後ではシャドウの身体が赤くなっている――もう少しで、大技が発動するのだ。

「……」

 ゼルダはマリオのファイア掌底をかわす。

 そこに、リンクの斬撃が命中したところでシャドウは構えに入った。

 大技を発動する準備ができたのだ。

 

「カオス……ブラスト!!」

 シャドウの周囲から、真紅の衝撃波が広がる。

 それが命中したユクシー&エムリット&アグノムは場外に吹っ飛ばされ、

 ゼルダを癒す加護も消えた。

 

「よし! やったな、シャドウ!」

「……まだだ」

「ああ、ゼルダを助けるんだったな!」

 ガオガエンは高く飛び上がり、勢いよくゼルダに体当たりする。

 ゼルダはフロルの風でかわし、ガオガエンの背後に回って魔法で攻撃した。

「ぐおぉ!」

「ぴちゅう!」

 ピチューはゼルダに10まんボルトを放って攻撃する。

 リンクは距離を置いてブーメランを投げる。

「PKフラッシュ!」

「……」

 ゼルダの魔法とネスの超能力がぶつかり合い、大爆発を起こす。

 大爆発が治まった時、マリオはハンマー、

 リンクはマスターソードをゼルダに振り下ろそうとしていた。

「ゼルダ……」

「元に……」

「「戻れぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」」

 そして、マリオとリンクの武器がゼルダの脳天目掛けて振り下ろされると、

 彼女は大ダメージを受け、場外に吹っ飛ばされるのであった。




~ベルのスピリッツ名鑑~

ランドマスター
出身世界:スペースワールド
性別:なし
スターフォックスが保有する戦闘車両。
「超高性能回転式地対空戦車」の肩書きを持つ。
アーウィンと同等の火力と頑丈な装甲を装備し、カラーリングは白と青を基調としている。

ロック・ヴォルナット
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
赤子の頃、とある遺跡でディグアウターのバレルに拾われた少年。
成長したロックは、ディグアウターとなって世界を回る事になる。

クレイド
出身世界:メトロード
性別:♂
ブリンスタ深部に生息する爬虫類型の魔物。
全長はおよそ9mで、幼獣から成体になるまでに約60年もの歳月がかかるとされている。

ユガ
出身世界:ロウラル
性別:男性
この世の美しいものを求める、ロウラルの司祭。
他者を絵画に変える能力を持ち、自身も壁画になる事ができる。
ただし、ユガの美意識は普通とはかなり異なる。

封印されしもの
出身世界:ハイラル
性別:不明
太古の昔に封印された「終焉の者」。
ギラヒムはこれを元の姿に戻すため暗躍していた。

厄災ガノン
出身世界:ハイラル
性別:男性
ハイラルを滅ぼすという意志のみが純化したガノンドロフの成れの果て。
100年前に復活し、ハイラル王国を滅ぼした。

ムート
出身世界:ウェイアード
性別:男性
ロビンとジャスミンの息子で、地のエナジスト。
ハイディア戦士の両親を誇りに思っている。
ロック鳥の羽を手に入れるべく旅立つ。

インパ
出身世界:ハイラル
性別:女性
シーカー族の生き残りで、ゼルダの乳母。

エルザ
出身世界:最後の物語の世界
性別:男性
幼い頃に身寄りを失った、騎士を目指す青年。
傭兵として各地を巡っていたが、ルリ島で不思議な出来事に遭遇する。

マジカルバケーションの主人公
出身世界:魔法が発達した小世界
性別:男性、女性
魔法学校ウィル・オ・ウィスプの生徒。
精霊と会話できる、不思議な能力を持っている。
男性は戦士型、女性は魔法型の成長をする。

どんべ&ひかり
出身世界:大昔の日本
性別:どんべは男性、ひかりは女性
犬のりんご、猿のまつのすけ、雉のおはなを連れて鬼ヶ島に鬼退治に向かう少年と少女。
かつて02異変でカービィと出会った事があった。

ユクシー
出身世界:ゲフリアース
性別:不明
シンオウ地方の伝説のポケモンでちしきポケモン。
エスパータイプで、特性はふゆう。
知識の神と呼ばれており、目を合わせた者の記憶を消してしまう力を持つという。

エムリット
出身世界:ゲフリアース
性別:不明
シンオウ地方の伝説のポケモンで、かんじょうポケモン。
エスパータイプで、特性はふゆう。
感情の神と呼ばれており、悲しみの苦しさと喜びの尊さを人々に教えた。

アグノム
出身世界:ゲフリアース
性別:不明
シンオウ地方の伝説のポケモンで、いしポケモン。
エスパータイプで、特性はふゆう。
意思の神と呼ばれており、湖の底で眠り続け、世界のバランスを取っている。


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59 ~ 謎を解け

ゼルダを解放し、聖地を探索するシャドウ一行。
だがそこにも、行方不明になった仲間はいた……。


 ダーズに操られたゼルダは、リンク達の活躍により無事に解放された。

「私を助けてくれて本当にありがとうございました」

 ゼルダはシャドウ達にお礼を言う。

 彼女の手の甲は三角形に光っていた。

「その手……やっぱり知恵のトライフォースだな」

「はい。これは決して悪用されてはならない者。そして、貴方達を導く希望の光です」

「希望の光……」

 つまり、バラバラになったみんながまた集まる、という意味か、とシャドウは理解した。

 離れてしまった「彼」とも会えるかもしれない。

 シャドウはそう思いながら、ゼルダを一行に加えるのだった。

 

「では、知恵のトライフォースを解放いたします」

 ゼルダが手を掲げると、上空に三角形が現れた。

 知恵のトライフォースの解放に成功したのだ。

「あなた達の旅に幸あらんことを」

 ゼルダは天に祈りを捧げ、一行と次の入り口付近に戻っていった。

 

 次に、シャドウ達が行ったのは、一番手前の道。

 ナバールをシーダが説得した後に進むと、一行は霧に包まれた森に入った。

「ようやく熱くなくなりました~」

 火山の熱さから解放されたヨッシーは、ほっと一安心する。

 リンクは方向感覚を頼りに、霧の森を歩いていく。

「みんな、俺についてこい」

「ああ」

 リンクを先頭に一行が進むと、北の突き当たりに梟の像を発見した。

「友を待つ少女の想い 『勇気』に通ず」

 リンクが梟の像に書かれた文字を読んだ後、一行は行き止まりでない方の道に進む。

 おかあさん&まいこちゃんを解放してさらに進み、リンクは梟の像にある文字を読む。

「東、南、そのまま南。見えざる路《みち》がそなたをいざなう」

「つまりこの順番に進めばここを抜けられるんだな」

「ああ」

 一行はまず、ミミッキュのスピリッツを解放する。

 ピカチュウを真似たいだけでなく、ついにピカチュウのボディに宿るようになったミミッキュ。

 ホープ級だったので、いきなりダメージを受けても楽々とガオガエンは解放する事に成功。

 次に、一度道を戻って、梟の像の言う通りに東に進むと、セレビィのスピリッツを発見した。

「オオオォォォォォォォ……」

 本来は温厚なセレビィも、ダーズに操られて凶暴化しているようだ。

 セレビィは植物を身に纏うと、魔導生物のように巨大化した。

「これは……暴走したみたいだね……」

「さぞかし、セレビィ・ゴーレムといったところだろう。みんな、止めるぞ」

「いくぜ!」

「ばう!」

 マルス、リトルマック、ダックハント、リュウ、ガオガエン、ストームは、

 セレビィ・ゴーレムとの戦いに臨んだ。

 

「まずは装甲を剥がすよ!」

「ばう!」

 マルスとダックハントは、セレビィを覆う植物を切り裂いていく。

 蔦はマルスとガオガエンに向かって伸びるが、ガオガエンは防御し、マルスは回避する。

「波動拳!」

「マジカ・スターアロー!」

 リュウは波動拳を放ち、ストームは矢を射るが、植物は堅くなってストームとリュウの攻撃を防いだ。

 セレビィは蔦を伸ばしてガオガエンを縛り上げ、思いっきり地面に叩きつけた。

「ぐあぁぁっ!」

「ガオガエン! このぉっ!」

 リトルマックはジャブとストレートで連続攻撃し、セレビィ・ゴーレムの装甲を剥がす。

「ばうばう!」

 ダックハントも協力して攻撃し、装甲を剥がして防御力を減らしていく。

 セレビィ・ゴーレムは蔦や葉っぱで抵抗する。

「昇竜拳!」

「シールドブレイカー!」

 リュウは飛び上がりながらセレビィ・ゴーレムの装甲を攻撃する。

 マルスはシールドブレイカーで装甲を貫く。

 セレビィ・ゴーレムの装甲はどんどん崩れていく。

アアアアアアアアアアアアア!!

「ぐあぁぁぁぁっ!」

 セレビィは反撃とばかりに腕を大きく振り回し、マルスに大ダメージを与える。

 それでも、リトルマックのストレートが決まり、ついにセレビィ・ゴーレムの装甲は崩れた。

 後はもう、本体のセレビィを狙うだけだ。

「ばうばう!」

「マジカ・スターアロー!」

 ダックハントとストームの射撃が命中し、セレビィに大ダメージを与える。

オオオォォァオァァァァアァ!

 セレビィはリーフストームで反撃するが、リトルマックはしっかり防御して耐える。

「真空……波動拳!!」

 そして、リュウの真空波動拳が決まり、セレビィのスピリッツは解放されるのだった。

 

「ビィィィィィィ……」

「……? 一緒に行くのか?」

 セレビィは操られた事を謝罪するようにシャドウの周りを回り、彼の中に入ろうとする。

 どうやら、セレビィは何かを予知しているようだ。

「僕にはよく分からないが……せっかく解放したのに無下にするのはベルに失礼だしな。

 セレビィ、ついてくるがいい」

「ビィ!」

 セレビィのスピリッツはシャドウの中に入り込む。

 レジェンド級だったが、セレビィ自体は戦いを好まないため、

 シャドウの肉体を操ったりはしなかった。

 

「次はこう行くんだ」

 シャドウ達は東に行った後、次に南に行って、ルイージのボディに宿るミスターLを解放。

 光る道標を頼りにそのまま南に進むと、再び梟の像が見えてきた。

「北、西、北、そのまま北。勇気を持って飛び込め」

「飛び込め……」

 シャドウはふむ、と顎に手を当てる。

 どこかに飛び込める場所があるのではないか、と推理している。

「道標を頼りにした方がよさそうだな」

「ああ」

 タイニーコングを解放した後、シャドウ達は光る場所を道標として、

 北、西、北と、迷わないように行った。

 すると、シャドウが推理した通り、池を発見した。

「勇気を持って飛び込む、か。ついてこい」

 そう言ってシャドウは池の中に飛び込む。

 マリオ達も、彼の後を追って池に飛び込んだ。

 

「ふっ、やはり僕の目星は当たったようだな」

 一行が辿り着いた場所は、霧で覆われた大きな池だった。

 ここに、勇気に繋がる道があるという。

「後は道なりに進めばいいというわけだ」

 シャドウ達は分かれ道を東に進み、霧に気を付けながらも迷う事なく奥に進む。

 すると、闇の鎖に縛られた緑の服と帽子の少年剣士を発見した。

 リンクの真の姿、こどもリンクだ。

「……こどもリンク……」

「お前は下がっていろ、こいつは僕がやる」

 そう言って、シャドウはリンクの前に立つ。

 操られた仲間とリンクを戦わせたくないという、彼なりの気遣いだったが、

 もちろんリンクは気付かない。

「ハァッ!」

 シャドウは混沌の力を使い、こどもリンクを縛っている闇の鎖を打ち砕く。

 解放されたこどもリンクは赤い瞳を光らせ、コキリの剣を構えてシャドウに斬りかかる。

 シャドウはそれをかわし、身構える。

「……オマエタチハ……ミナゴロシダ」

 こどもリンクはサリアとスタルキッドを呼び寄せ、取り巻きとして自身を守るように立たせた。

「そうか……友を待つ少女とは、こいつの事だったのか。……来るぞ!」

「ああ! リンクのためにも、負けないぞ!」

「こどもリンク……どうか、自分を取り戻してください!」

 シャドウ、マリオ、ネス、ゼルダ、ファルコ、デデデは、

 ダーズの呪縛から彼らを解放するべく、戦いに臨んだ。

 

「煌めきの風よ」

 ゼルダは呪文を唱え、シャドウに優しく追い風を吹かせその行動を補助する。

 追い風を受けたシャドウはホーミングアタックでサリアに会心の一撃を与える。

 マリオはスタルキッドに近付いて投げ飛ばした。

「ケケケケケケ!」

 スタルキッドは妖精トレイルに命じて光の弾丸をばら撒いて攻撃する。

 範囲は広かったが、大したダメージではなかった。

 ネスは犬の散歩でサリアを攻撃しようとするが、サリアは楽々と攻撃をかわす。

「おらぁ!」

「ケケケケ!」

「はっ!」

 デデデはスタルキッドにハンマーを振り下ろすが、スタルキッドには当たらなかった。

 ファルコはスタルキッドをブラスターで撃ち抜く。

「うおりゃああああ!」

「ゲェーーッ!!」

 デデデは豪快にハンマーを振り、スタルキッドを一撃で倒した。

 その直後、サリアがオカリナを吹き、デデデとファルコを同時に眠らせる。

「Zzzz……」

「Zzzz……」

「二人とも、しっかりしてください。ディンの炎!」

 ゼルダはデデデとファルコに声をかけるが、ぐうぐう眠っていて反応しない。

 仕方なく渦巻く紅蓮の炎でこどもリンクを攻撃、炎に包んで継続的にダメージを与えた。

「うぅ、熱い……」

「大丈夫です、すぐに楽になりますから」

「アイスボール!」

 マリオは手からアイスボールを放ち、サリアとこどもリンクを攻撃。

 ネスはこどもリンクの攻撃をかわしてバットでサリアを攻撃し、

 シャドウはこどもリンクに拳銃を三連射した。

「これで、終わりだぁぁぁっ!」

「グアアアアアアアアアアア!!」

 最後にマリオのガツーンハンマーが決まり、こどもリンクはサリアと共に吹っ飛んでいった。

 

「うぅぅ……ここは一体……」

 ダーズの呪縛から解放されたこどもリンクの目は、元の青色に戻っていた。

 彼の目に最初に映ったのは、マリオとリンク。

「あ、リンク……それに、マリオも……。ボク、今まで何をしてたんだろう……」

「大丈夫だよ、こどもリンク。君は悪い夢を見ていただけなんだ」

「悪い……夢……」

 ネスは優しく、こどもリンクに言った。

 こどもリンクは頷くとゆっくりと立ち上がる。

「うぐっ!」

「まだ休んだ方がいいな」

「そうだね」

 

 一行はこどもリンクと共に、しばらく安全地帯で休んだ。

「ボクの勇気が、道を開く」

 その後、こどもリンクは手を掲げ、上空に黄色い三角が現れる。

 勇気のトライフォースを解放した事で、マスターソードへの道が開いたのだ。

「やったね! これで先に進めるよ!」

「……」

 これで先に進めると思いきや、シャドウがカオスエメラルドを取り出す。

「……シャドウ?」

「……森の宝、その中に聖痕の剣士への道在り。カオスコントロール!」

 一行は時空転移術で、森の沼地の奥にある宝箱がある場所に着く。

 シャドウが宝箱を開けると、そこには何も入っていなかった。

 しかし、シャドウはじっと睨んでいる。

「な、なんで分かったの?」

「……僕の勘が騒いでいるからな。入るぞ」

「えっ、えぇぇぇ!?」

 一行は戸惑いながらも、宝箱の中に入る。

 すると、森にあった宝箱が開き、そこには闇の鎖に縛られたクロムが立っていた。

「聖痕の剣士……そっか、シャドウは遠くにある梟の像を読み取ったんだな!」

 混沌の力って相当なものなんだな、とリンクが脱帽していると、マルスがポンポンと肩を叩く。

「マルス?」

「僕の子孫が苦しんでいるなら、助けないわけにはいかないだろ?」

「あ……ああ……」

 リンクは戸惑いながらも、クロムを縛る闇の鎖を切り裂く。

 するとクロムは真っ赤な瞳をぎらつかせ、まるで屍王のように斬りかかろうとした。

「危ないっ!」

 マルスはファルシオンで攻撃を受け止める。

「グゥゥゥゥゥ……」

「待っててね、クロム。今、僕が助けるから!」

 今ここに、新旧のファルシオン対決が始まった。

 

「はぁっ! やぁっ!」

「……」

 マルスのファルシオンを、クロムの封剣ファルシオンが軽く受け流す。

「シールドブレイカー!」

 マルスは隙を突いてクロムの防御を貫く。

「エクスプロージョン」

「うぐぅっ!」

 クロムは裂帛の気合を封剣ファルシオンに込めてマルスに斬りつけた。

 気合が爆発してマルスに浅くない傷を負わせる。

「マーベラスコンビネーション!」

「グァァァァァァァ!」

 マルスもマーベラスコンビネーションで反撃し、距離を取って渾身の一撃を放つ。

「とどめだ!!」

「ウアアアアアアアアアアアア!!」

 そして、クロムが怯んだ隙にマルスがとどめの一撃を放ってクロムを撃破するのだった。

 

「……ここは、どこだ……」

 正気に戻ったクロムは、やはり今までの事を全く覚えていなかった。

 マルスは微笑みながらクロムに手を伸ばす。

「もう、君は縛られなくていいんだよ」

「お前は……まさか、マルス……?」

 あの目とあの剣は、間違いなく先祖のマルスだ。

 クロムはマルスに釘付けになっていた。

「ああ、そうさ。僕は君の先祖の、マルスだよ」

 そこに、マルスの中からシーダが現れる。

『私はマルス様の伴侶、シーダよ』

「シーダ……?」

 自分の先祖とその伴侶が現れた事で、クロムの混乱はさらに加速した。

 マルスは「ごめんね」と謝った後、すぐに彼を安全な場所で休ませた。

 

「……というわけで、僕達は散らばった奴らを探しつつ、合流を図っている」

「なるほどな、大体分かった」

 クロムはシャドウから事情を聴いて頷く。

 つまり、自分と同じように操られた仲間を助ければいいんだな、と理解した。

「おっと、自己紹介を忘れていたな。俺はイーリス聖王国の王子、クロムだ」

「よろしくお願いします」

「よろしく」

 第五紀から新たに参戦したクロムは、一行に自己紹介をした。

 

「俺が案内する、ついてこい」

「ああ」

 一行はクロムと共に、リンクの案内で「東、南、そのまま南~」と書かれた銅像の前に戻り、

 今度は、先ほどとは別の道を進む。

 シャドウの足取りが重くなっていたが、一行はまだ気にしていなかった。

 しかし、道中でチャッピーとランディアを解放して東に進んでいくと、

 一行は衝撃的なものを発見した。

 

「……お前は……!」




~ベルのスピリッツ名鑑~

ナバール
出身世界:戦記の世界
性別:男性
「紅の剣士」の異名を持つ傭兵。
サムシアンに雇われていたが、シーダの説得によりマルス軍に入る。
元祖「キルソード持ちの美形剣士」。

おかあさん&まいこちゃん
出身世界:どうぶつの森
性別:女性
どこかの村ではぐれてしまった猫の親子。
一週間以内に村に連れていくと、お礼を言う。

ミミッキュ
出身世界:ゲフリアース
性別:♂♀両方存在する
アローラ地方のポケモンで、ばけのかわポケモン。
ゴースト・フェアリータイプで特性はばけのかわ。
常に布を被って生活しており、正体を見た者は謎の病に苦しむと信じられている。

セレビィ
出身世界:ゲフリアース
性別:不明
ジョウト地方の幻のポケモンで、ときわたりポケモン。
くさ・エスパータイプで、特性はしぜんかいふく。
時間を超えてあちこちを彷徨い、セレビィが姿を現した森は草木が生い茂るという。

ミスターL
出身世界:キノコワールド
性別:男性
ノワール伯爵の秘書、ナスタシアに洗脳されたルイージ。
負けず嫌いで強気な性格になり、一人称も変わっている。
マリオを倒す事にこだわっている。

タイニーコング
出身世界:DKアイランド
性別:♀
金のツインテールが特徴的なゴリラの女の子。
髪を回す事でゆっくりと下りたり、身体を小さくしたりできる。
ディクシーコングの妹らしいが、詳細は不明。

サリア
出身世界:ハイラル
性別:女性
リンクの幼馴染で、コキリ族の少女。
普段は森の聖域の前でオカリナを吹いている。

スタルキッド
出身世界:タルミナ
性別:男性
タルミナの森に住む、音楽が好きな子供の魔物。
森で迷った子供の成れの果てと言われている。
これはムジュラの仮面に操られた姿。

チャッピー
出身世界:とある惑星
性別:不明
チャッピーは種族名。イヌムシ科の原生生物。
昼は寝ているが、触って起こすと襲い掛かる。
これは最も有名なアカチャッピー、和名はベニデメマダラ。
ちなみに、ステーキにすると美味しい。

ランディア
出身世界:ミルキーロード
性別:不明
巨大な火山「デンジャラスディナー」に住んでいる四匹の赤いドラゴン。
普段は合体して四つ首のドラゴンの姿をしている。
マホロア曰く「邪悪なドラゴン」らしいが……。


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60 ~ 絶望の青と希望の黒

ソニック救出回です。
この回は、特に気合を入れて書きました。


 シャドウ一行は聖地でダーズに操られたゼルダ姫、こどもリンク、そしてクロムを解放した。

 今はバラバラになっているため、合流を図らなければならないが、

 手掛かりはなく、仲間の救出に専念した。

 そして、森の奥にいたチャッピーとランディアのスピリッツを解放すると、

 一行は衝撃的なものを発見した。

 

「……お前は……ソニック……!」

 それは、ピカチュウを助けようとして光に飲み込まれた青いハリネズミ、ソニックだった。

 シャドウの足取りが重かったのは、彼の気配を察知していたからだ。

「嘘でしょ、ソニックがこうなるなんて!」

「嘘ではない、これは事実だ。こいつは今、ダーズに自由を奪われている」

 シャドウは鬼気迫る表情で一行に言う。

 彼にとってソニックは気に入らない相手だったが、

 ほとんど操られないソニックがこうなった事には衝撃を隠せなかった。

「どうするんですか、シャドウさん」

「……こうなった以上は、僕が戦う。

 この中でこいつの事を一番知っているのは、他でもない、僕、なのだからな」

 しずえがシャドウを心配していると、シャドウは銃を構え、ソニックを縛る鎖を連続で撃った。

 すると、ソニックは赤い瞳を光らせて、超音速でシャドウに体当たりした。

 シャドウはすぐに攻撃を受け流した後、ソニックの前に立つ。

「……」

「ソニック! お前の自由は、僕が取り戻す!」

 シャドウとソニックの、何度目かも知らない一騎打ちが始まった。

 

「はっ!」

 最初に攻撃を仕掛けたのは、シャドウだった。

 シャドウは地面を駆り、勢いをつけて丸くなり、ホーミングアタックを繰り出す。

 ソニックも鋭いホーミングアタックで反撃する。

「ぐあぁ! だが……!」

 シャドウはサブマシンガンを構え、ソニックに乱射して反撃の隙を与えない。

 その後にシャドウは距離を取り相手の出方を伺う。

「うぐっ、うぅっ、ぐぁっ!」

 ソニックはホーミングアタックでシャドウに近付き体術で連続攻撃した。

 

「ダーズサマノ……シンセカイノ……ジャマハサセナイ……」

「……ソニック。ダーズに君の好きな自由を奪われて、苦しいか?」

「……ダレ……ダ……」

「僕はシャドウ・ザ・ヘッジホッグ。名前は何度も聞いた事はあるだろう?

 究極生命体……分かるか? ……なんで僕がこんな事をしてるんだ……」

 シャドウは、操られているソニックに呼びかける。

 ソニックが愛する自由をダーズに奪われた事が、

 彼にとって苦しいのをシャドウは理解している。

 そのため、本人は乗り気ではなかったが、

 ソニックを説得する事で彼を戦わずに助けようとしているのだ。

「オマエモ……ダーズサマニ……サカラウキカ……。コノセカイカラ……キエサレ!!」

「ソニック!」

 しかし、ソニックの自由な魂も、ダーズの呪縛には逆らえず、

 ソニックはシャドウに超音速で体当たりした。

 シャドウは、混沌の力を使って、何とか体当たりを回避した。

 混沌の力と自身のスピードであってもギリギリと言っていい回避で、

 ソニックのただでさえ速いスピードが、

 闇の力によってさらに速くなったとシャドウは思い知った。

「ちっ……流石に速いな。だが、『アレ』はまだ……使うべきではないようだ」

 シャドウは舌打ちした後、混沌の力を使ってソニックに接近し、連続攻撃を叩き込んだ。

 ソニックは防御していたがシャドウの猛攻が上回り最後の一撃でソニックはダウンした。

 

「よし……!」

「マダダ……」

 ダウンしたソニックはゆっくりと立ち上がる。

 彼に宿る闇の闘志はまだ消えておらず、それどころかさらに燃え上がった。

 ソニックの動きはますます速くなり、シャドウの攻撃を次々にかわしていく。

「くっ……!」

 これがソニックの本気か、とシャドウは感じる。

 ソニックとシャドウの動きは非常に敏捷で、他のメンバーの目には映らなかった。

 今のところ、戦況はシャドウが劣勢になっている。

「カオスブースト!」

「グアアアアアアアアアアア!!」

 シャドウは状況を打破するべく、カオスエメラルドの力を使って他方からの同時攻撃を放つ。

 三回のチャンスで確実、かつ大ダメージを狙える技により、ソニックに大ダメージを与えた。

「……」

「ぐぅぅぅっ!」

 しかし、ソニックもただやられるだけではない。

 ソニックはホーミングアタックで、シャドウの急所を狙い定めた一撃を繰り出す。

 互いに大きなダメージを食らった後、二人はもう一度構え直す。

 

「オマエハ、ホントウハホカノファイターガニクイノダロウ?

 ホカノファイターニフクシュウヲシタイノダロウ?」

「復讐……か。かつては僕もそう思っていたが、今の僕は違う」

 そう言って、シャドウはソニックに発砲をした。

 ソニックはそれをひらりとかわすが、シャドウは熱く冷たい表情をしていた。

「……ナゼ、ミトメナイ。オマエハ、ヒトノオモイヲウケタアマリニ、

 タニンノイバショヲウバッタ、フトドキモノナノダゾ」

「そんな事を言う時点で、お前はソニックではない! 人の思いは底なしとは言う。

 それは時に、絶望を呼び起こすものとなる。

 それでも、人の思いというものは、時に希望を生み出す事がある。

 その希望があるから、今、僕はこの場に立ち、お前と戦っている!」

「ウラギリモノハ、オトナシクシヌガイイ……」

「そんなの、僕が許さない」

 普段は冷静沈着で、感情を表に出さないシャドウ。

 しかし、相手に侮辱されたため、目の前の存在に対し怒りを露わにしている。

 まだ、本気で怒ってはいないようだが……。

 

「オソイッ」

「遅いぞっ」

 ソニックはシャドウの攻撃を避けながら、シャドウに確実にダメージを与えていく。

 何とか隙を突けないかと、シャドウは相手の出方を伺いながら走る。

 しかし、ソニックの動きは自分よりも遥かに速い。

(どうにかして隙を突けないか……)

「うぐぅっ!」

 防戦一方のシャドウに、ソニックの容赦ない一撃が入る。

「そこかっ!」

 シャドウはソニックの背後を取り、拳銃で撃つ。

 効果的な一撃を与える事に成功したシャドウだが、彼の反撃も後半から緩まる。

 対照的にソニックの猛攻はさらなる激しさを見せ、シャドウを追い詰めていく。

 防御するシャドウだが、シールドに罅入り、ついには砕け散り動けなくなる。

「油断したか……ちっ」

 そしてシャドウはソニックの猛攻を食らい、ついにダウンした。

 

「……」

「ソニック……」

 次で決着がつく、第三戦。

 シャドウとソニックは互いに睨み合った後、大地を蹴り、拳による一撃を放つ。

 与えたダメージは、シャドウの方が僅かに大きかった。

「カオスブースト!」

 シャドウはカオスエメラルドの力を使い、さらなるスピードでソニックを連続攻撃する。

「……コロス」

 ソニックは赤い瞳を光らせ、狙いを定める。

「させるものか!」

 攻撃を止めようとするシャドウだが、タッチの差でシャドウに命中した。

 その後も、第三戦はソニック優位で進んでいく。

 シャドウは再びカオスエメラルドの力を使い、他方からの同時攻撃を放つ。

「グゥゥゥゥゥゥ……!」

 ソニックは全ての攻撃を食らってふらつく。

 今がチャンスと、シャドウはソニックに近付く。

「ソニック! これ以上戦っても無駄だ。その手を下げて、戦いをやめろ」

 シャドウはソニックを説得し、戦いを終わらせたいという気持ちでいっぱいだった。

 彼自身、このような一騎打ちは望んでいなかった。

 今は闇の呪縛を受けているが、何度も説得すればいずれ戦いは終わる……。

 シャドウはそう、信じていた。

 

「ウオオオオオオオォォォォォォ!!」

 だが、ソニックは攻撃を緩めない。

 ソニックは容赦なく、シャドウに襲い掛かる。

「……そうか……分かった」

 ソニックが自身の説得に応じないと知ったシャドウは、覚悟を決めてリミッターを外した。

「今、楽にしてやる」

「……!!」

「逃がしはせん。カオスコントロール!」

 ソニックは攻撃が届く範囲から逃れようとするが、

 シャドウがカオスコントロールで動きを封じる。

 その超反応は、まさしく"本気"のシャドウだった。

 シャドウはソニックを取り逃がさないように、彼を強い力で握り締めた。

「ハナセッ! ハナセェッ!!」

「……心配するな、ソニック。自由じゃないのは、辛いだろう……。

 独りぼっちは、寂しいからな……。共に行こう……ソニック……」

 シャドウは、ソニックがいつも見せる意地悪っぽい笑みを皆に見せた。

 まるで、不老不死の自身に訪れる、最期のように。

 

「カオス…………ブラスト!!」

 そして、全てを吹き飛ばす真紅の衝撃波が、ソニックとシャドウを包み込んだ。

 

「あ……ああ……ソニックさん……シャドウさん……どうして……どうして……!」

 衝撃波が治まると、その場には青と黒のハリネズミが倒れ、

 拳銃と、サブマシンガンと、2つのリミッターが落ちていた。

 それを見ていたしずえは、ショックのあまり膝から崩れた。

 ダーズに操られたソニックを解放するためにシャドウがリミッターを外し、

 ソニックと相打ちになったのだ。

 二人が生きているのか死んでいるのか分からないほどの重傷を負っているのは目に見えていた。

「ソニック! シャドウ! しっかりしろ!」

 マリオが倒れているソニックとシャドウに呼びかけるが、

 二人は死体のように何も言わなかった。

「まさか、死んでいるのですか……?」

「で、でも、これをかければ……ヒーリング!」

「ライフアップ!」

 ネスとリュカがソニックとシャドウに回復のPSIをかけるが、二人の傷は癒えない。

「あれ? どうして起きてくれないの?」

「……二人から感じる生命の気配が弱いです。あなた達のPSIでは回復しないでしょう。

 つまり、この二人は……」

「そんな……」

 ゼルダが悲しそうな顔で言う。

 せっかく、ソニックを見つけたというのに。

 せっかく、シャドウが彼を助けたのに。

 こんな、最悪の結果で終わってしまうのだろうか。

 

 その時だった。

 

『ビィ!』

「お、お前は……セレビィ!?」

 悲しみにくれるマリオ達の前に、セレビィのスピリッツが現れる。

 セレビィは「どうにかできるよ」とでも言うように宙に浮いた後、

 ソニックとシャドウに近付き、二人の周りをくるくると回転する。

 すると、倒れているソニックとシャドウの身体が宙に浮き、

 淡い緑の光に包まれてソニックとシャドウの傷が見る見るうちに癒える。

 マリオ達の思いが、今、奇跡を起こしたのだ。

 そして、役目を終えたセレビィはそのままどこかに飛んでいった。

 恐らく、ベルのスピリッツボールの中に入っていったのだろう。

 

「……ここは……」

 シャドウはゆっくりと起き上がって、落ちていた2つのリミッターを装着する。

 彼の隣で、ソニックも目を開けて立ち上がる。

 最初にソニックが見たのは、シャドウの真紅の瞳だった。

「……シャドウ……? シャドウじゃないか! まさか、こんなところで再会するなんて……!」

 満身創痍だったのが嘘のような二人の顔色。

 二人が再会できたのも、まさしく奇跡と言える。

 ソニックは嬉しさのあまり、シャドウの手をぎゅっと握り締める。

「何をする」

「俺、闇の触手が絡みついてから意識がなくなって、自由がなくて苦しかったんだ。

 でも、お前のおかげで自由になれたんだ」

 ダーズから解放してくれたシャドウに、ソニックはただただ感謝する。

 シャドウはふと、ソニックと戦う前に言っていた事を思い出す。

「そうか……僕はお前の自由を取り戻すために戦っていたんだな……。すっかり忘れていた」

 シャドウは純粋なので、ただ一つのみを遂行し、それ以外は全く頭の中になかった。

 それをソニックに指摘されたシャドウは、ふん、と後ろを向いてこう言った。

「まったく、ソニックの奴は相変わらず……」

「相変わらず、なんだ?」

「……お前に言う気はない」

 ソニックとシャドウ以外の一行は、そんな二人を見守っていた。

 こうして、青と黒のハリネズミは感動の再会を果たすのであった。




ちなみに、この回は七夕に投稿しました。

どうか、この小説がハーメルンでもヒットする、という願いが叶いますように。


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61 ~ アドベント・チルドレン

クラウド救出回です。
pixivの方でも書きましたが、この長編のストックは全部書き終えています。


 ダーズに操られたソニックは、シャドウの手により解放された。

 

「この僕が闇からお前を引きずり出すとはな」

「でも、おかげで自由を取り戻せたんだ。Thank you、シャドウ」

「別に、君に感謝された覚えはない」

 相変わらず、シャドウは素っ気ない態度を取った。

 これでようやくソニックとシャドウは再会した。

 後は残っている仲間を助けて、ここから脱出する手段を探せばいいのだ。

 

「ソニック、あまり速く走ったら俺達は置いてけぼりになるからな」

「分かってるって」

 クロムは念のためにソニックに釘を刺し、

 シャドウと共に前に立って一行を率い、霧の森を進んでいった。

 視界は悪かったが、ゼルダの魔法で何とか前が見えるようになった。

 そして10分後、一行が霧の森を抜けると、リンクが北に何かを発見する。

「あれは……マスターソード!?」

「と、言いたいところだけど、とりあえず梟の像を調べないと」

 こどもリンクは南に行き、梟の像の文章を読む。

「勇者の訪れを待つものがある。これってもしかして、ボクとリンクの事?」

「多分な」

 文章を読み終わった後、一行はマスターソードがある場所に行く。

 だが、マスターソードを守るように、闇の鎖に縛られた金髪の青年が立つ。

 異世界の剣士、クラウド・ストライフだ。

「こいつは誰が助ける?」

「オレに任せろ! 久しぶりの出番だからな!」

 ドンキーコングがぶんぶんと腕を振る。

 世界的には無関係の両者だが、ドンキーは久しぶりに戦えるので、かなりやる気満々なのだ。

「おりゃぁぁぁぁっ!」

 ドンキーはジャイアントパンチでクラウドを縛る鎖を打ち砕く。

 すると、瞳が赤く染まったクラウドがバスターソードでドンキーに斬りかかってきた。

「うおっ!」

 意外に身軽な動きで、クラウドの攻撃をかわすドンキー。

 母体をダーズの支配から救い出すため、彼は戦う。

 

「セェイッ!」

 クラウドはバスターソードから衝撃波を飛ばす。

「おらぁ!」

 ドンキーはパンチを繰り出すが、クラウドはドンキーの攻撃を回避する。

 拳と剣がぶつかり合い、二人は距離を取り直す。

「そぉ……らあ!」

 ドンキーはクラウドに突っ込んで転がる。

 クラウドはドンキーの攻撃をその場回避でかわすが次に行ったパンチが命中する。

「……」

「うおっ!」

 クラウドは空中から凶斬りを繰り出し、切り刻む。

 ドンキーは、上にいたクラウドを拳で払い、クラウドのシールドを削っていく。

 シールドブレイク直前でクラウドは右に回避し、空中からバスターソードを叩き込む。

 その隙にクラウドはドンキーの攻撃が届かない場所に移動し、リミットゲージを溜める。

「……」

「うおあぁぁぁっ!」

 リミットブレイク状態になったクラウドはドンキーに突っ込んで切り刻む。

 さらに、怯んだところに凶斬りが入る。

「こいつ、強いぜ! でもよ、オレはもっと強い!」

 そう言ってドンキーはジャイアントパンチをぶちかますが、

 クラウドはドンキーの背後に回り込んで斬りかかる。

「くそっ! もっと攻めないとダメか!」

「……」

 クラウドは距離を取って衝撃波を放ち、再びドンキーを切り刻む。

 その威力は高く、ドンキーは肩を押さえて蹲る。

「……」

 苦しむ顔のドンキーを、クラウドは赤い瞳で睨みつける。

 このままでは、ドンキーは倒されてしまう。

「やめろ、ドンキー!」

「いやだ……オレは……諦めない……! お前を助けるまで……オレは諦めない……!」

「……」

 ドンキーの必死の言葉にも、クラウドは全く反応しない。

「目を覚ましてくれ……クラウド……!」

 ドンキーがクラウドを攻撃しようとすると、

 クラウドがバスターソードによる凶斬りを繰り出す。

 直後の切り返しをドンキーはシールドで防ぎ、クラウドを掴んで投げ飛ばす。

 その後、すぐに突っ込んでドンキーヘッドバットでクラウドを地面に埋め、

 ぐるぐると腕を振る。

「間に合ってくれ!」

 クラウドが抜け出すのが先か、ドンキーが最大まで力を溜めるのが先か。

 全員、固唾を呑んで見守っていた。

 

「クラウドォォォォォォォォォォ!!」

 そして、クラウドがまさに抜け出そうとした直後。

 ドンキーのジャイアントパンチがクラウドに命中、

 クラウドは場外へと吹っ飛ばされるのだった。

 

「……ここは……」

 ドンキーにより、クラウドはダーズの呪縛から解放され、元の青い目に戻った。

「実は、僕達はかくかくしかじか……」

 シャドウは、これまでの事情をクラウドに話した。

 キーラを撃破したが、新たな敵が現れて皆がバラバラになった事を話すと、

 クラウドは理解して頷く。

「……また同じ目に遭うとはな」

「同じ目?」

「一度、元いた世界で操られた事があってな」

 はあ、と溜息をつきながらクラウドは左手で頭を押さえる。

「でも、もう大丈夫だぜ。元気出せよ、クラウド」

「そうですよ~。貴方は何も悪い事はしてなかったでしょ~?」

「二人とも……俺を許してくれるのか……?」

「「もちろんだ(です~)!」」

 マリオとヨッシーが、落ち込むクラウドを元気付ける。

 いつでもどこでも前向きなこの二人に、クラウドは僅かながら笑みを浮かべた。

「……ありがとう……」

 

 その後ろでは、ドンキーがぶつぶつと呟いていた。

「そもそも助けたのはオレなんだけどな……」

 

 マリオ、クラウド、ヨッシーという人気の高い三人が今ここで再会を果たした。

 そして、リンクはゆっくりとマスターソードがある場所に向かって歩く。

「さあ、勇気よ、闇を打ち破れ!」

 リンクがマスターソードを抜くと、マスターソードが輝き、大地を覆う闇を打ち払った。

 その様は、まるで鍵の形をした剣を持った勇者のようだった。




次の話では、日本で最も有名なあのRPGのファイターを救出します。
この話を読んでくれた方なら分かると思いますが、お楽しみに!


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62 ~ 悪魔の子と呼ばれし勇者

更新が遅れてしまい、申し訳ありませんでした。
DQの勇者を助ける回となります。


 シャドウ一行はクラウドを仲間にし、リンクはマスターソードを抜いて闇を払った。

 マスターソードがある道を降りて、来た道とは逆の道に進む。

 そこに立ち塞がるジョーカーを倒すと、何故か狙撃銃を落とした。

「神話世界に、なんで銃が落ちてるのだろうか」

「だが、この銃はまだ使えそうだ」

 クロムが突っ込んだ後、シャドウは狙撃銃を拾う。

 久しぶりに新たな銃を手に入れたため、シャドウは少しだけ興奮していた。

 よく見ると、この道は以前に訪れた広場に繋がっていて、マロンが道を塞いでいる。

「……よし」

 シャドウは早速、手に入れた狙撃銃を構え、狙撃体勢を取る。

 そして、マロンに気付かれないうちに彼女を仕留め、スピリッツを解放した。

「流石シャドウだな!」

 ソニックはシャドウの見事な狙撃に拍手する。

 一行は広場に戻り、梟の像を確認する。

 「04:40」と書かれてあったため、ネスがその通りに火を灯すと、

 広場の中央に闇の鎖に縛られた茶髪の少年が姿を現した。

 最近スマブラメンバーになったばかりの勇者、イレブンだ。

「まさか、この人もダーズの傀儡に……!?」

 こどもリンクは驚いて目を見開く。

 彼は多彩な呪文と剣技を扱い、性格も良いとまさに勇者だった。

 だが、彼もダーズの呪縛には抗えなかったのだ。

 こどもリンクはコキリの剣を振り、イレブンを縛る闇の鎖を切り裂く。

 すると、操られたイレブンの周囲に、水色の髪を逆立たせた盗賊の青年カミュ、

 金髪を三つ編みにした赤い服の少女ベロニカ、

 金のロングヘアーをした緑の服の少女セーニャが姿を現した。

 彼らは、イレブンと共に戦った仲間なのだ。

「来るぞ!」

「うん!」

 こどもリンク、ソニック、ガオガエン、クロム、ストーム、

 ダックハントが同時に身構えたところで、勇者一行との戦いが始まった。

 

「はっ!」

 こどもリンクは相手の様子を伺い、ソニックはイレブンにホーミングアタックを繰り出す。

 ストームはベロニカに矢を射るが、矢は明後日の方向に飛んでいく。

「はあっ!」

「ばう!」

 クロムはまず回復役から倒すため、セーニャに会心の一撃を放つ。

 ハントは狙撃態勢を取り、セーニャの急所を見えないガンマンが撃ち、一撃で倒した。

「よくもセーニャを、メラミ!」

 ベロニカは怒りで火炎弾をダックハントに放つが、シールドで防がれた。

 さらにガオガエンがベロニカに突っ込んで投げ飛ばし、状況はこどもリンク側の優勢になった。

「そーれ!」

「……ザオリク」

 だが、六人の優勢もここまで。

 イレブンはこどもリンクのブーメランをかわした後、ザオリクでセーニャを復活させる。

 ダックハントの攻撃もベロニカには当たらず、

 カミュの短剣による一撃がクロムにギリギリで命中し、大きなダメージを与える。

「くっ、攻撃が……!」

「当たらない!」

 ソニックのホーミングアタックとクロムの剣も、カミュに避けられる。

「おらああああああ!」

「ベギラマ」

 ガオガエンはセーニャに渾身の一撃を放つも、セーニャは上手く防御に成功。

 そして、激しい火炎がクロムを飲み込み、クロムは戦闘不能になった。

 

「マジカ・スター……」

「バギ」

 セーニャは矢を放とうとしたストームを竜巻で切り刻む。

「うおっと、目を覚ませ!」

 カミュの攻撃をソニックは何とかギリギリでかわし、ソニックはイレブンに連続で攻撃する。

「そこかっ!」

「DDラリアット!」

 こどもリンクはカミュの急所をコキリの剣で突いて倒し、

 ガオガエンはDDラリアットをセーニャにギリギリで当てて倒す。

「マジカ・スターアロー!」

 ストームはベロニカに会心の矢を放つ。

 やはりスクルトが阻害していたが、ベロニカには致命的な一発だった。

「ばうばうーっ!」

「きゃあーっ!」

 そして、ダックハントの狙撃がベロニカに命中し、ついにベロニカを倒した。

 

「よし、後はイレブンだけだ!」

「ああ!」

 ハントはフリスビーでイレブンを怯ませ、その隙にソニックがホーミングアタックを放つ。

 さらにガオガエンはイレブンにタックルして怯ませ、こどもリンクの炎の弓矢が命中。

「トルネイドサーティーン!!」

 そして、ストームの最後の切り札でイレブンが竜巻に包まれ、切り刻まれていく。

 竜巻が治まると、そこには倒れているイレブンがいた。

 

「……僕は一体……何をしていたんだ……」

 倒れているイレブンが、青い瞳を一行に向ける。

 彼はダーズの呪縛から完全に解放されたのだ。

「イレブン、お前が気に病む事じゃないから、気にするな。ほら、立てよ」

 戦闘不能から復活したクロムが、イレブンの手を握り、立ち上がらせる。

「ありがとう……。そうだね、もう過ぎた事だし。ところで、君は?」

「俺はクロム、こっちにいるのはこどもリンクだ」

「よろしくね」

「僕は勇者イレブン。よろしく」

 クロム、こどもリンク、イレブンは互いに自己紹介をする。

 同じ剣を使う者だけあって、三人はすぐに打ち解けた。

 その後、クロムはシャドウ一行にイレブンを紹介し、

 イレブンは改めてシャドウ一行の仲間に加わるのだった。




~ベルのスピリッツ名鑑~

ジョーカー
出身世界:戦記の世界
性別:男性
カムイに仕える執事。
冷静沈着な性格で有能だが、カムイ以外には黒い。
軍の中で一番、朝が苦手。

マロン
出身世界:ハイラル
性別:女性
ロンロン牧場の主、タロンの娘。
2回に分けて体力を回復するアイテム、ロンロンミルクを売っている。


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63 ~ 小さな大魔王(候補)

今日、pixivの方でこの長編が完結いたしました。
本当に長く長く連載していた小説でした。
ハーメルンでも、頑張っていきますよ!


 イレブンを仲間にしたシャドウ一行は、聖地から脱出するため、

 トライフォースがある火山に進み、入り口付近から奥に進む。

 しかし、火山には強力なスピリッツがいた。

「うわぁ、メタグロスだ! こいつ、硬いよ!」

 てつあしポケモン、メタグロスのスピリッツはランスが苦戦しながらも解放。

 フレイ&フレイヤのスピリッツはリンクが解放。

 次に、分岐の銅像の文章をリンクが読む。

「『知恵』から登るは修羅の道」

「知恵、という事は、東側ですね」

 一行は東側に進む。

 そこで待っていたスピリッツは、西側以上に強力なスピリッツが多かった。

 エース級のメガミュウツーYには、リトルマックとイレブンが挑んだ。

「そらっ!」

「う……頭が痛い」

 リトルマックはメガミュウツーYに接近し、連続でパンチを叩き込む。

 メガミュウツーYは念力でイレブンを浮かせ、一瞬だけ混乱させる。

 しかしすぐに頭を振って理性を取り戻し、デインを唱えて反撃した。

「サイコキネシス」

「うあぁっ!」

 メガミュウツーYは攻撃しようとしたリトルマックをサイコキネシスで攻撃する。

 イレブンは隙を突いて勇者のつるぎで斬りつける。

 その後、ライデインでメガミュウツーYにとどめを刺し、戦闘は終わった。

 

「ベホイミ!」

 イレブンは傷ついたマックに回復呪文を唱える。

「助かるぜ、イレブン。さて、次の相手は……」

 一行が修羅の道を歩くと、機械化フィオルン、通称メカルンがシャドウ達の前に現れた。

 彼女もまたレジェンド級のスピリッツであるため、シャドウ、デデデ、ファルコ、

 クロムは全力でメカルンに挑み、彼女を解放した。

「オレが相手だ!」

 最後のレジェンド級スピリッツ・アキラにはドンキーが挑む。

 互いにノーガードのぶつかり合いが炸裂し、

 最後はドンキーのジャイアントパンチが決め手になりアキラは倒れた。

 

「エース級にレジェンド級がなんだって?」

 ドンキーは腕をぐっと上げ、力こぶを作る。

 今や彼らの力は、エース級やレジェンド級を大きく上回るようになったのだ。

 

「……お前は、ジュニア……」

「こいつも、ダーズに操られたみたいだな……」

 一行が前に進むと、梟の像付近にあるピラミッドに、

 クッパの子、ジュニアが闇の鎖に縛られていた。

 もしこの場にクッパがいたら、どんな反応をしていただろうか。

 マリオはそう思いながら、闇の鎖をファイアボールで燃やし、ジュニアを解放した。

「コロス! コロス! コロス!」

「……来るぞ!」

「ええ!」

 襲いかかるジュニアに、マリオ、ピチュー、クラウド、イレブン、

 しずえ、ランスは戦いを挑んだ。

 

「……」

 ジュニアはメカクッパを四体召喚し、自らを闇のベールで被う。

 メカクッパはカタカタと動き出し、ランスとピチューを攻撃する。

「闇のベールか……こいつは自然治癒力と防御力を高めるみたいだな」

 シャドウが後方から六人にアドバイスする。

 この闇のベールをどうにかしなければ、

 ジュニアにまともなダメージを与える事はできないのだ。

「ジュニアちゃん、もとにもどるでちゅ!」

「グアアアアアアアアアア!!」

 ピチューはジュニアにしがみつき、10まんボルトで痺れさせる。

 ダメージは少なかったが、ジュニアを取り囲む闇のベールを少し剥がした。

 ジュニアはクッパクラウンからボクシンググローブを出し、しずえを連続で殴る。

「はっ!」

 イレブンはジュニアに会心の一撃を放ち彼の闇のベールを剥がす。

「メカクッパにはこれが効くぞ!」

 マリオは手からアイスボールを乱射し、 メカクッパを全て凍らせる。

 その後にメカクッパを飛ばし、別のメカクッパにぶつけて同時に破壊し、

 全てのメカクッパを破壊した。

「ゲゲゲ!」

「うおっ!」

 メカクッパが全滅した事を知ったジュニアは驚いてマリオに体当たりして攻撃する。

 マリオはそれをかわした後、ファイアボールで闇のベールに穴を開ける。

「狙え!」

「いくぞ、百裂スピア!!」

 ランスはジュニアの闇のベールに開いた穴を槍で穿ち、ついに闇のベールを破壊した。

 

「やりましたよ、皆さん!」

「ああ、一気に攻めるぞ!」

「はい!」

 しずえは道路標識を呼び出してジュニアを打ち上げ、

 クラウドは飛び上がってバスターソードをジュニアに振り下ろす。

 ジュニアは抵抗するが、マリオ達は攻撃の手を緩めない。

「凶斬り」

「かえん斬り」

 クラウドはバスターソードで「凶」という字を書くように斬り、

 さらにイレブンは炎を纏った剣を振る。

 世界の根源を同じくする者同士の斬撃は、ジュニアの体力を確実に減らしていった。

「オノレ、オノレ……!」

「これでとどめだ!」

 ジュニアは徐々に追い詰められ、焦る。

 しかし、これで攻撃の手を止めるスマブラメンバーではない。

 ランスはとどめに槍で十字に薙ぎ払い、ジュニアを倒すのだった。

 

「おかしいな、ここ最近の記憶がないよ。もしみんなが疲れたとしてもぼくは知らないよ」

 マリオ達に倒され、正気に戻ったジュニア。

「大丈夫か? ジュニア」

「うん、ぼくは平気~、わっとと!」

 ジュニアはクッパクラウンに乗りながらも、疲れからかふらついてしまった。

 マリオはジュニアをクッパクラウンごと支える。

「あ、ありがと、マリオ」

「どういたしまして」

 マリオとジュニアは、互いにお礼を言った。

「そういえば、ジュニアという事は誰かの子供か?」

「うん! ぼくのお父さんは、クッパっていうんだ! とっても強くて、かっこいいんだぞ!」

 ジュニアは両手を広げて、クッパの偉大さをシャドウに言う。

 クッパの子供だけあって大胆だが、純粋な性格だ。

「……それで、クッパの子供はお前だけなのか?」

「ううん、他にも子供が七人いるよ。ぼくとは違うお母さんから生まれたけどね」

 ジュニアはシャドウにきょうだいがいる事を話す。

 実はコクッパ七人衆は表向きはクッパの部下だが、

 本当はジュニアの腹違いのきょうだいなのだ。

「話は変わるけど、お父さんがどこにもいないね。どうしてなんだろう?」

「実は……」

 シャドウは、ジュニアにこれまでの事情を話した。

 

「えーっ! みんなとはぐれちゃったんだ!」

「そういう事だ……」

「でも、必ず会う事はできるから、そんなに落ち込む事はないぞ、ジュニア」

 父に会えなくて残念がるジュニア。

 そんな彼の肩に、マリオは優しく手を置いた。

「ありがとう、マリオ! よし、やる気が出たぞ!」

「それで、この後はどうすればいいんだ?」

「ぼくがやるよ。それっ!」

 ジュニアはハンマーを取り出し、

 先の道にあった岩に向かって振り下ろすと、岩が音を立てて崩れた。

「やるな、ジュニア」

「へっへーん! どんなもんだい!」

「おかげで先に進めるようになった。さあ、いくぞ」

「おう!」

 

 こうして、シャドウ一行はダーズの呪縛からまた一人、ファイターを解放するのだった。




~ベルのスピリッツ名鑑~

メタグロス
出身世界:ゲフリアース
性別:不明
メタングが進化した、てつあしポケモン。
はがね・エスパータイプで、特性はクリアボディ、隠れ特性はライトメタル。
サイコパワーだけでなく怪力も自慢で、4本の足で獲物を掴みツメで動きを封じる。

フレイ&フレイヤ
出身世界:巨大な敵を斬りまくる北欧の世界
性別:フレイは男性、フレイヤは女性
アスガルドに住む双子の兄妹で、闘神。

メガミュウツーY
出身世界:ゲフリアース
性別:不明
ミュウツーがメガシンカした姿の一つ。
エスパータイプで、特性はふみん。
身体は小さくなったがパワーは桁外れで、軽く念じるだけで高層ビルも木っ端微塵にする。

機械化フィオルン
出身世界:ゼノワールド・並列世界3
性別:女性
機神兵の襲撃で死んだと思われたフィオルンが、機神メイナスの器として機械化した姿。
メイナスが主人格となっているため、フィオルンの人格は隠れている。

アキラ
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
本名、結城晶(ゆうきあきら)。名門道場・結城武館の跡継ぎ。
最強の格闘家を目指し、日々修行に励んでいる。


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64 ~ 蘇る魔王・ガノンドロフ

闇の世界・シャドウ編もクライマックス。
聖地のボスといえば、やっぱり彼ですよね。


 ジュニアを仲間にしたシャドウ一行は、彼のおかげで通れるようになった道を歩く。

 道を歩くと、巨大なヨッシーのボディに宿ったティラノのスピリッツを発見する。

「ティラノさん、強そうですね~!」

「俺が解放しよう」

 ヨッシーはティラノを見て目を輝かせている。

 そのティラノにはリュウが挑んだ。

 

「昇竜拳!」

 戦いは、リュウが少しダメージを受けたが、苦戦せずに倒す事ができた。

「ティラノさんもリュウさんも、かっこよかったですよ~」

「ありがとう、ヨッシー」

 ヨッシーの拍手で喜ぶリュウ。

 一行は左に進み、次の分岐をさらに左に行き、梯子の上をゆっくりと昇っていく。

 すると、岩山の道が、遺跡の道に変わっていった。

 一行を待ち受けていたスピリッツは、

 リザードンのボディに宿ったフォルティトゥードのスピリッツだった。

「さあ、来い!」

 フォルティトゥードにはリトルマックが挑んだ。

 低重力化により、空中戦が苦手なリトルマックも楽に空中に浮けるようになった。

 それでもフォルティトゥードが吐く炎に苦戦するが、

 何とかリトルマックはフォルティトゥードを解放した。

 道は次第に険しくなっていき、一行の表情も同じように険しくなる。

 セレスのスピリッツには、ドンキーが挑む。

 

「こいつ、固いな」

 セレスは結界を張っているため、ドンキーの力技がなかなか通らない。

 また、セレスの反撃も意外にそこそこ強かった。

「おりゃあ!」

 ドンキーは隙の少ない弱攻撃でセレスを連続攻撃するが、

 彼女は近くにあった食べ物を食べて大幅に体力を回復する。

「ちまちま攻撃してもダメか……なら、とっておきの一発だぜ!」

 ドンキーは両手を組み合わせて振り上げ、勢いをつけてセレスの頭部へと振り下ろす。

 その勢いによってセレスの脳は揺れ、まともな判断が難しくなった。

 その隙にドンキーは腕を回して力を溜める。

 数秒後にセレスは意識を取り戻すが、既に彼女の目の前にドンキーの拳が迫る。

「ジャイアントパンチ!!」

 ドンキーの拳がセレスにクリーンヒットし、セレスは場外に吹っ飛んでいった。

 

「よし、倒したぜ!」

「次の相手は誰だ……?」

 セレスを倒した後、一行は険しい道を歩く。

 そこには、リドリーのボディに宿った風の魔人グフーが待ち構えていた。

「ブフォフォフォフォフォ……」

「こ、怖い!」

 グフーは不気味な笑い声を上げる。

 しずえは彼の容姿と声で怯んでしまうが、何とか立ち直して身構える。

「グフーさん、わ、わたしが相手ですよ!」

「キミ一人じゃ難しいから、ボクも手伝うよ!」

 しずえとランスは、グフーに戦いを挑んだ。

 

「風が強い……!」

 グフーがいる場所では、向かい風が吹き荒れる。

 これにより、グフーの行動力、回避力、抵抗力が大きく上がった。

「喰らうがよい」

「きゃあ!」

 グフーは空を飛んだあと、空中からしずえに雷の弾を放って攻撃する。

 風属性のもう一つの側面、雷も操れるようだ。

 しずえは何とか、シールドで攻撃を防いだ。

「高い場所にいるから攻撃が届かない……。でも、この攻撃なら! 月落とし!」

「ブフォオオオオッ!」

 ランスはジャンプして、落下しながらグフーを攻撃する。

 その一撃が効いて、グフーは地上に落ちていった。

「えいっ!」

 さらに、しずえは落ちていくグフーに釣り竿を引っかけ、

 彼を引き寄せた後にクラッカーで吹っ飛ばす。

「ブフォフォフォフォフォ!」

「うわっ!」

「ひゃぁぁっ!」

 グフーは暴風を起こしてランスとしずえを上空に吹っ飛ばし、地上に落とす。

 ランスがやった事を、そのままやり返したのだ。

「この……! グフーめ! やられたらやり返す、倍返しだ!」

 ランスは槍をくるくると回し、グフーに突っ込んでいった。

 槍がグフーに突き刺さった後、槍ごとグフーを投げ飛ばす。

「風車!」

「グオオオオオオ!!」

 そして、槍を回してグフーに思いっきり突き刺し、グフーを場外に吹っ飛ばして撃破した。

 

「やったね!」

「わたし達、勝ちましたよ!」

 ランスとしずえが勝利のハイタッチをする。

「これで、この道にいる全てのスピリッツは解放したな。残っているのは……」

 シャドウが辺りを見渡すと、一番奥にファイターの影を発見した。

 リンクがその影を見ると、眉をしかめた。

「……本当に解放するのか?」

「リンク、知ってるのか?」

「知ってるも何も、俺の宿敵だからな」

「という事は……」

 一行が重い足取りで歩いていくと、黒衣を纏った赤毛の男が闇の鎖で縛られていた。

 力のトライフォースを奪った魔王ガノンドロフだ。

 宿敵同士であるため、できれば“仲間”にしたくなかったが……。

「あのプライドの高いガノンがまた誰かに利用されて本人は屈辱だそうだからな……仕方ない」

 リンクはマスターソードを抜き、ガノンドロフを縛る闇の鎖を切り裂いた。

 すると、ガノンドロフは闇のオーラを放ち、モリブリンとスタルベビーを召喚した。

「いいか、こいつは俺の宿敵だ。でも、それだけで見捨てていい奴じゃない。

 俺達が今、戦うべき敵は、ダーズだからだ!」

 リンクはそう言って、マスターソードを掲げた。

「今は一時休戦……というわけです!」

「決着は目玉ヤローを倒してからだ!」

 こどもリンク、ゼルダ、ファルコ、ガオガエン、ランスも頷いて、戦闘態勢を取った。

 

「ウオォォォォォォォォォ!!」

 ガノンドロフが叫ぶと同時に、戦闘が始まった。

 

「えいっ、えいっ!」

 こどもリンクはモリブリンに鋭い斬撃を放つ。

 一度は外したものの、もう一度放った事でモリブリンは切り伏せられる。

 同時に、統制を失ったモリブリンが逃げ出す。

「よし、俺達は雑魚を倒すぞ!」

「オッケー! ワドスピアスロー!」

「バードウィップ!」

 ランスが槍を投げ、ファルコが回し蹴りを行う。

 これによりスタルベビーはバラバラになった。

「後は骨も残さず砕くだけだ!」

 ガオガエンがスタルベビーの骨を砕き完全に倒す。

「ガノン、また操られてるのか!?」

 以前もガノンドロフはハオスに操られた事がある。

 ガノンドロフにとってはかなりの打撃だ。

 今回もまた、第三勢力に操られている……ならば、戦って倒す、とリンクは決めた。

「たあっ!」

「グオォォォッ!」

 リンクは気合を込めた斬撃をガノンドロフに放つ。

 闇に属するガノンドロフには絶大な威力だ。

「……」

「うわぁ!」

「うおっ!」

 ガノンドロフは大剣を振り回して薙ぎ払う。

 ランスとガオガエンは攻撃を食らい、浅くはない傷を負う。

「ファイアバード!」

 ファルコはガノンドロフとスタルベビーの攻撃をかわし、ファイアバードで反撃する。

「DDラリアット!」

「グアァァァッ!」

 ガオガエンは両腕を回し、何とかガノンドロフに大ダメージを与える。

 だが、ガノンドロフは闇の力で体力を回復した。

「しぶといなぁ」

「しかも雑魚が多いしな……」

「とりあえず、雑魚から倒そう!」

 こどもリンクはスタルベビーにブーメランを投げて牽制する。

「フレアドライブ!」

 その後、ガオガエンは炎を纏った突進でスタルベビーを全員倒した。

「ガノン、今正気に戻してやるからな!」

 リンクは繰り返し、ガノンドロフを斬りつける。

 ガノンドロフの表情は苦痛に歪んでいる。

「ガノン、あなたはいかなるものにも屈しないはずです。どうか、自分を取り戻してください!」

「グオオオオオオオオオオオオ!!」

 そして、ゼルダが魔力を纏った手刀を放ち、ガノンドロフを切り裂いて倒した。

 

「……また、操られてしまったとはな」

 何とか、リンク達はガノンドロフをダーズの呪縛から解放した。

 ガノンドロフは悔しそうな表情をしている。

「すまないな……気づけなくて」

「いや、そんな事はどうでもいい。勝負はお前の勝ちだ」

「……」

 ガノンドロフは珍しく、素直に負けを認めてくれた。

 リンクとゼルダは複雑な表情になるが、すぐに微笑みを浮かべた。

「……じゃあ、力のトライフォースを返してもらう」

「私達が勝ちましたからね」

「ああ……。力よ!」

 ガノンドロフはそう言って、力のトライフォースを解放した。

「勇気よ!」

「知恵よ!」

「「「今、三つは一つになる!!」」」

 リンクも勇気のトライフォース、ゼルダも知恵のトライフォースを解放する。

 三つの三角が合わさった事で、ついにトライフォースが完成した。

「これが……トライフォースか……!」

 シャドウは完成したトライフォースを見て驚く。

 すると、強烈な地震がシャドウ一行を襲った。

「皆、踏ん張れ!」

 マリオが皆に指示を出し、必死で地震に耐える。

 しばらくして地震が治まると、先ほどまで岩で覆われていた場所の岩が全てなくなり、

 禍々しい漆黒の城が現れた。

 まやかしを打ち破り、魔王の城が出現したのだ。

 

「……ついに魔王のお出まし、か」

 聖地を支配しているのは、ガノンドロフにしてガノンドロフではない、魔王ガノン。

 彼を倒せば、シャドウ達は聖地から脱出できる。

 一行はぐっと拳を握り締め、魔王ガノンを倒す決意を固めた。

「さあ、行こうぜ。シャドウ」

「ああ」

 

 一行は元来た道を戻り、魔王の城へと辿り着いた。

 この中に、魔王ガノンが待ち構えている。

 特別な仕掛けなど全くない、真っ向勝負だ。

 一行が魔王の城に入ると、ガノンドロフが姿を変えた。

 二本の曲がった角、豚のような鼻、二振りの大剣……。

 最早、ガノンドロフの面影などどこにもなかった。

「……こいつは、僕が相手する」

 最初に魔王ガノンの前に出たのは、シャドウ。

 彼は真紅の瞳と銃を鋭く魔王ガノンに向けている。

「お前と共闘するとはな」

「自分同士で戦うなんて、複雑な気分だが……まあ、やるしかない……な」

「知恵のトライフォースの守護者として、私は、必ず魔王に勝ちます」

 リンクはマスターソード、ガノンドロフは大剣を構えている。

 ゼルダも知恵のトライフォースの守護者として、魔王ガノンを迎え撃つ体勢を取った。

 

「……いくぞ!!」

 シャドウ、リンク、ゼルダ、ガノンドロフは、魔王ガノンとの決戦に臨んだ。




~ベルのスピリッツ名鑑~

ティラノ
出身世界:とある小世界
性別:不明
ティラノサウルス。火属性のリバイバー。
強力な顎と鋭い刃を持ち、骨も噛み砕く肉食恐竜。

フォルティトゥード
出身世界:こことは異なる世界
性別:不明
四元徳(カーディナルバーチュズ)の一体で、勇気を司る。
巨大な顔二つの龍の頭を持ち、大地を裂き溶岩を呼び起こす。
しかし、実際にその姿を目にしたものはいない。

セレス
出身世界:パンドラの塔がある世界
性別:女性
エリュシオン王国の村に住む少女。
獣の呪いにより、徐々に身体が「獣」と化すようになっていく。

グフー
出身世界:ハイラル
性別:男性
ハイラルで美しい娘をさらっていった風の魔人。
かつてはピッコル族だったらしいが、今のグフーにその記憶は一切ない。
名前の由来は強く激しく吹く風「颶風(ぐふう)」。


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65 ~ 大魔王・ガノン

闇の世界・シャドウ編はこれで終了です。
聖地のボスであるガノンとの対決になります。


 魔王ガノンとの決戦が、始まった。

 決戦に挑むのは、リンク、ゼルダ、ガノンドロフ、そしてシャドウの四人だ。

 

「弱点は尻尾だ! そこを狙え!」

「ああ、カオススピア・バラージ!」

 シャドウは無数の光の矢を魔王ガノンに放つ。

 突き刺さった部分から爆発が起こり、魔王ガノンに大ダメージを与える。

「行きなさい、ファントム!」

 ゼルダは魔力でファントムを構築する。

 ファントムは魔王ガノンを切り刻んだ後、塵に戻っていった。

「斬岩」

 ガノンドロフは大剣で魔王ガノンを斬りつける。

 大剣は命中率が悪かったが、ファントムの援護で当てる事に成功。

「おりゃあっ!」

 リンクは魔王ガノンの下をくぐり抜け、尻尾目掛けて斬撃を繰り出す。

 魔王ガノンは大ダメージを受けながらも、四人の様子をじっと伺っている。

 

「一体、何をするんだ……?」

「リンク、油断大敵です。相手は強烈な攻撃を仕掛けるのかもしれません」

「ありがとう、ゼルダ」

 ゼルダの言う通り、何が来るのか分からない。

 リンク達は油断せず、魔王ガノンを睨み返した。

 

「カオスブースト! はっ! ふっ! いくぞ!」

 シャドウはカオスエメラルドの力で速度を速め、魔王ガノンに連続で打撃を与える。

 リンクは回転斬りを繰り出し、古代兵装・剣を抜いて魔王ガノンに癒えない傷をつける。

 ゼルダはディンの炎を放って遠距離から攻撃し、ガノンドロフは大剣と拳で攻撃した。

 

「まだ攻撃をしない……か」

「いつ強烈な攻撃が来るかは分かりませんよ」

「ああ、決して油断してはならない」

 一瞬の油断が死を招く。

 シャドウ、リンク、ゼルダ、ガノンドロフは緊張感を持って魔王ガノンと戦う。

「はぁっ!」

 シャドウは狙撃銃を構え、魔王ガノンの尻尾を狙撃する。

 狙撃できる余裕がなくても成功するほど、シャドウは銃の扱いに長けていた。

「半分削ったぞ」

 魔王ガノンの動きが少し鈍る。

 これで、魔王ガノンの体力は半分になったのだ。

「一気に行くぞ!」

「はい!」

 ゼルダは魔法で魔王ガノンの動きを制限し、ガノンドロフは大剣を一閃する。

 そして、リンクは魔王ガノンに突っ込んでマスターソードで連続で斬りつけた。

「グオオオオオオオォォォォォォ!!」

「……!」

 魔王ガノンは腕を交差させて力を溜め、ビームでシャドウとゼルダを薙ぎ払った。

 巨大な岩を一瞬で泥に変えるほどの威力を持つそのビームを、

 シャドウは避ける事ができなかった。

 ゼルダは何とか緊急回避でかわすが、かわした後には、瀕死のシャドウがいた。

「……なんて威力だ……。身体が動かん……」

「大丈夫ですか、シャドウさん! 勇気の女神フロルよ、彼の者の傷を癒したまえ!」

 ゼルダはフロルの力を借りて、瀕死のシャドウの傷を癒した。

 これでシャドウはまた、戦えるようになった。

 

「グオオォォォォォォォ!!」

 攻撃を食らい続け、攻撃的になった魔王ガノンは、その肉体から禍々しい瘴気を発する。

 周囲の空気が不快な湿気を孕み始める。

 今、魔王ガノンの近くにいると、まともに攻撃ができなくなるため、

 シャドウ達は魔王ガノンから一旦離れた。

「グオオオオオオオォォォォォォ!!」

「カオスバースト!」

「力の女神ディンよ、その炎で悪しき者を焼け!」

 魔王ガノンは両腕を交差させ、再び極太ビームを放った。

 シャドウとゼルダはビームをかわし、カオスバーストとディンの炎で反撃する。

「はぁっ!」

「でやっ!」

「ウグォォォォォォォ!」

 リンクとガノンドロフは、剣で魔王ガノンの尻尾を切り裂く。

 宿敵同士の二人だが、剣の腕前は互角だった。

「グオオオオオオオォォォォォォ!!」

「効かんな」

「当たりません!」

 シャドウとゼルダは魔王ガノンのビームをかわす。

 流石に三度目となれば、行動パターンも読める。

「スピンキック」

 シャドウは魔王ガノンの尻尾に拳銃を撃った後、回し蹴りを繰り出して追撃した。

「斬岩」

「ファントム!」

 ガノンドロフとゼルダが呼び出したファントムの斬撃が、魔王ガノンに命中する。

 これにより、魔王ガノンは瀕死に陥り、同時にリンクの身体も光る。

 最後の切り札を発動する事ができるようになった。

「今です、リンク!」

「あいつにとどめを刺せ!」

「ああ!」

 リンクは古代兵装の弓矢を取り出し、弦を引いて魔王ガノンを狙った。

 

「とどめだ、魔王ガノン! 食らえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 リンクが弦を離すと、無数の青い光の矢が魔王ガノンを貫く。

 古代兵装・矢が魔王ガノンの体中に突き刺さると、刺さった部分から爆発が起こる。

 その爆発が魔王ガノンを包み込み、やがて青い大爆発が起こった。

 

 そして――大爆発が治まると、魔王ガノンの肉体は完全に消滅した。

 彼のスピリッツは、そのまま空に飛んでいった。

 リンク、ゼルダ、ガノンドロフ、シャドウは、疲れが溜まったのか、ばたりと倒れた。

 

「お疲れ様、だな」

 意識を失った四人に、クラウドがケアルをかける。

 数分後に四人は意識を取り戻した。

「俺達……勝ったんだな……」

「そのようみたいですね……」

 そう、リンク達は魔王ガノンに勝利したのだ。

 シャドウが立ち上がり、辺りを見渡すと、城からは既に邪悪な気配が消えていた。

「聖地は、闇から完全に解放されたみたいだな……」

 魔王ガノンを倒した事で、闇に包まれた聖地が徐々に光に包まれようとしていた。

 まるで、大きな敵を打ち破った四人の戦士、

 シャドウ、リンク、ゼルダ、ガノンドロフを祝福するかのようだった。

 そして、魔王の城に大きな白い光の渦が出現する。

 

「この光は……!」

「もしかして、聖地から脱出できるのか……!?」

 シャドウが光の渦を覗き込むと、さらに激しく渦巻いた。

 彼はそこに飛び込めば聖地を出られると推測した。

「飛び込むぞ!」

「ああ!」

 リンク達は頷くと、シャドウと共に光の渦の中に飛び込んだ。




~ベルのスピリッツ名鑑~

ガノン(時のオカリナ)
出身世界:ハイラル
性別:男性
ガノンドロフが魔王に変身した姿。
力のトライフォースに支配されており、知能を持たずただ破壊のみを繰り返す。


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66 ~ 左手の従者は魔法を操る

闇の世界・ベル編スタートです。
オリジナルキャラクターが多いので、ご注意ください。


 その頃……。

 

「あ~あ、なんでこんな場所に飛ばされたのかしら」

「仕方がないだろう、想定外だったからな」

 死神の女性、ベルが愚痴を吐きながら歩いていく。

 ベル達もまた、謎の敵が襲撃した事によりカービィやシャドウなど、他のスマブラメンバーとはぐれてしまった。

 今、周りにいるのはリーダーのベルの他に、サムス、フォックス、ファルコン、プリン、

 クッパ、ピーチ、ルカリオ、ディディーコング、トゥーンリンク、オリマー、りょう、

 シュルク、マール、パックンフラワー、ジョーカー、アルトリアの17人だ。

「とにかく、先に行くしかないみたいね」

 四方八方は闇で覆われており、行ける場所は吊り橋のみ。

 もし、足を踏み外せば……そう思うと足がガクガクと震え出す。

 だが、立ち止まってはいつまで経っても前には進めない。

 

「こ、こわいでしゅ……」

 一行は吊り橋を慎重に渡っていく。

 ミシッ、ミシッ、という音が、一行の不安を煽る。

「プリン、僕がいるから大丈夫だよ」

 怖がるプリンを、シュルクは元気づける。

 といっても、プリンの体重は軽いのだが、問題はこの中で最も重いクッパだ。

「我輩が渡れば、吊り橋は落ちてしまうのだ。一体、どうすればよいのだ?」

「あまり気は進まないけどね。ド・テラ・デ・ヴェン!」

 ベルは精神を集中し、クッパにレビテーションの呪文を唱える。

 すると、クッパの身体がゆっくりと宙に浮いた。

「か、身体が軽いのだ!」

「これはレビテーションという、様々なものを宙に浮かせる魔法よ。

 これなら、あんたを安全に向こうに運べるわよ」

 クッパは吊り橋の上を浮きながら通り過ぎる。

 これで、クッパの重さで吊り橋が落ちる事はなくなった。

「ありがとうございます、ベル」

「ええ、どういたしまして」

 アルトリアはベルに笑顔でお礼を言った。

 こうして一行が何とか吊り橋を渡り切ると、魔獣ゴモラのスピリッツに遭遇した。

 向こうは分厚い黒い雲に覆われていて、スピリッツを解放しなければ先に進めないようだ。

 

「これでおしまいっ!」

 ピーチが魔獣ゴモラのスピリッツを解放すると、分厚い雲が晴れ、先に進めるようになった。

「何が待っているのかしら」

 ベル達は大きな裂け目が中央にある、円形のエリアをぐるっと回っていく。

 そのまま先に進もうとすると、クレイジーハンドと虚ろな目のメイドが立ち塞がった。

「おねえさん、だれでしゅか?」

「……ワタクシハクレイジーハンドサマニツカエル、ドリィ・ナハツェーラーデゴザイマス。

 イエ、イマハダーズサマニオツカエスルミデス」

「グオオオオオオオオ」

 メイドは機械的な声で、ドリィと名乗った。

 クレイジーハンドは相変わらず暴れ回っている。

 彼女が言う「ダーズ」こそ、ベル達が相手になる新たな敵だろう。

「クレイジーハンドまで操られるなんて……でも」

 ベルは落ち着いてクレイジーハンドの様子を見る。

 すると、クレイジーハンドが偽物だと分かった。

「こいつは、本物のクレイジーハンドじゃないわ」

「どういう事……?」

「以前にやったマスターハンドと同じ、コピーよ」

 このクレイジーハンドはダーズの手駒に過ぎない。

 だがコピーとはいえ力は本物にも引けを取らない。

 ベルは油断せず、大鎌を構える。

「用意はいいかしら?」

「ええ、できています」

「私もよ」

「やらなきゃ!」

 アルトリア、ピーチ、マールは武器をクレイジーハンドとドリィに向ける。

「しずえが悲しむ顔を見たくないから、僕も頑張る」

「私にも帰るべき場所があるからな」

 りょうとオリマーも戦闘態勢を取った。

「……さあ、戦闘開始よ!!」

 ベル、アルトリア、ピーチ、オリマー、りょう、マールは、

 操られたクレイジーハンドとドリィに戦いを挑んだ。

 

「グオオォォォォォォォ!!」

「なんだ……この震えは……!」

 クレイジーハンドは闇の波動を放ち、ベル以外の全員を恐怖で怯ませる。

 五人は思わず、攻撃の手を止めてしまう。

「ナイトメア!」

 ベルは大鎌を勢いよくクレイジーハンドに投げる。

 すると、ドリィは杖を構えて障壁を作り出した。

 大鎌が障壁に命中すると障壁は砕け散るが、ドリィとクレイジーハンドにダメージはない。

「クレイジーハンドサマハ、ワタクシガオマモリイタシマス」

 操られたドリィは、機械的な声色で話す。

 ベルは額に汗を掻きつつ、戻ってきた大鎌をしっかりと握り締める。

「ネムリナサイ……ラ・ポク・デ・イス!」

「Zzzzzzz……」

 ドリィは杖を回し、呪文を唱えて無味無臭の誘眠性ガスを発生させる。

 ベル以外の全員はドリィの魔力に耐えられず眠る。

 その隙にクレイジーハンドはオリマーに爆弾を落として攻撃する。

「ぐっ!」

 オリマーは衝撃で目を覚ます。

 ドリィは杖から魔法の矢を放って追撃した。

「なかなかやるな……」

「スベテハクレイジーハンドサマノタメニ」

「ならば、まずは君を眠らせるしかないようだ」

 オリマーは攻撃力が高い紫ピクミンを三匹ともドリィに投げつける。

 強力な攻撃を食らったドリィは戦闘不能になった。

 

「後はクレイジーハンドだけね。でやああっ!」

 ベルは炎を纏った大鎌を振り回して攻撃する。

 クレイジーハンドは空を飛び、中指を突き出してりょうに体当たりする。

「うわっ!」

 その衝撃でりょうは目を覚まし、軽く吹っ飛ぶ。

 次に、クレイジーハンドは大量の爆弾を落とすが、

 ベルはそれを全てかわし、背後に回り込んで大鎌で斬りつける。

「グギャァァァァッ!」

「それっ!」

 ベルの一撃で、クレイジーハンドは墜落した。

 りょうはボウリングの玉を落として攻撃する。

「とどめよ! ダウンリーパー!!」

「グアアアアアアアアアアア!!」

 そして、ベルがクレイジーハンドを鎌で刈り取り、クレイジーハンドは爆発四散する。

 戦闘はベル達の勝利に終わるのだった。

 

「……ここは、どこでしょうか。(わたくし)は、一体……」

 戦闘が終わり、気絶していたドリィは目を覚ます。

 ダーズに操られていた記憶は、彼女にはなかった。

「あ、ドリィ、目が覚めたのね。おっはよー」

 ベルはドリィに手を振って声をかける。

「……ベル?」

「あれ? ドリィって、ベルと知り合いなの?」

「話を聞きたいところだけどちょっと休んでからね」

 

 ベル達は安全地帯にドリィを運び、そこで彼女を休ませた後、事情を話す。

「……というわけで、私達はここから脱出する方法を考えているのよ」

「なるほど……そして、申し訳ありませんでした」

 ドリィは操られた事を皆に謝罪する。

「気にしないで、自分の意思じゃなかったでしょ?」

「ガブガブガーブ!」

「『許してやるよ』と言っているのだ」

「あ、ディディーさんに、パックンフラワーさん……。

 (わたくし)を許してくださり、ありがとうございました」

 ディディーとパックンフラワーが落ち込むドリィを元気づけた。

 パックンフラワーの言葉はドリィには分からなかったが、

 クッパに翻訳してもらった事で理解できた。

「ところで、あんたが操られた時に言っていた、ダーズってのは一体どんな奴なの?」

「混沌と闇の化身ダーズ……彼は、目玉に触手がついた不気味な姿をしておりました」

「!」

 ダーズの特徴を聞いて、ベルは思い出した。

 キーラを倒した時に現れた彼こそが、ダーズだと。

「分かったわ! そいつがダーズっていうのね! ……で、ドリィはこれからどうするの?」

「クレイジーハンド様がいない以上、

 貴方達についていくという道しか、今の(わたくし)にはありません」

 つまり、ドリィが仲間になる、という事なのだ。

 もちろん、仲間は多い方が楽に冒険できる。

 ベルは頷くと、ドリィに左腕を伸ばし、彼女の右腕と共に握手した。

「じゃあドリィ、私達と一緒に行きましょう!」

「ええ! (わたくし)の魔法を是非見てくださいね!」

 

 こうして、クレイジーハンドに仕えるメイド、ドリィ・ナハツェーラーが仲間になった。

 彼女の魔法は、この闇の世界でも役立つ事だろう。




~ベルのスピリッツ名鑑~

魔獣ゴモラ
出身世界:こことは異なる世界
性別:不明
魔界の森に生息する、竜の姿をした魔物。
非常に獰猛で縄張り意識が強く、動くものを全て獲物と見なして食べる。


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67 ~ 未来を知る王女

絶望の未来を変えるため。
ベル一行はある女剣士を、仲間にします。


 クレイジーハンドに仕えるメイド、ドリィを仲間にした一行は、広場を後にして東に歩いた。

 古いパイプがたくさんあり、大小様々な歯車も置かれている。

「見て、スピリッツよ!」

 すると、デデデのボディに宿ったクラッコのスピリッツを発見した。

「我輩が相手だ!」

 クラッコのスピリッツにはクッパが挑戦し、デデデ(?)との重量級対決となった。

 護衛のピカチュウがいたが、クッパはあっさりとクラッコの解放に成功した。

「伊達に大魔王と呼ばれてはいないのだ!」

 クラッコを解放すると分厚い雲が晴れる。

 しかし、見えない茶色の雲が邪魔をしていた。

 ベルは精神を集中し、雲で隠れた場所を目星する。

「みんな、私についてらっしゃい」

「うん」

 ベルは落ち着いて雲で覆われた道を通り抜け、それ以外の全員は彼女についていく。

(どんなに隠していようと、死神の目は誤魔化せないのよ)

 死神であるベルは見えないものを見る事ができる。

 それは、探索で大いに役立つ能力だった。

 おかげで無駄に戦闘せずに済み、一行は無事に歯車エリアに着いた。

「なんと! これほどまでに機械が多いとは」

「まさに発条《ぜんまい》仕掛けね……」

(なんだか、緊張するわ……)

(そうだな……)

 ベルとドリィが口を開けながら歩き、ピーチとオリマーは緊張している。

 一方で、アルトリアとサムスは表情一つ変えずに淡々と歯車の上を歩いていた。

「皆、慌てないでくださいね」

「こういう時こそ落ち着くんだ」

「は~い」

 

 一行が歯車の上を歩いていると、東にロキのスピリッツを発見した。

「こいつは俺が相手だ!」

 エース級のロキには、フォックスが挑んだ。

 カードと時空魔術を武器とするロキにフォックスは苦戦するが、

 アイテムに気を取られている隙にダメージを与え続け、何とか彼を解放した。

 ロキを解放すると分厚い雲が晴れ、たくさんの赤い水晶と大きな歯車が見えた。

「雲で覆われて見えないわね。でも、迷わないで」

「うん」

 サムスを先頭に、歯車と霧の中を歩いていく。

 途中でメタナイツ、デンリュウ、オメガリドリーのスピリッツと遭遇、

 それぞれオリマー、ジョーカー、シュルクが解放した。

 オメガリドリーはレジェンド級だったので、シュルクはかなり苦戦したようだ。

「はぁ、はぁ、はぁ……こんなの、何度も相手にしたから、ね……」

 シュルクはふらつきながらも、しっかりモナドを持っている。

 機械相手にはシュルクはそれなりに強いようだ。

 すると、分厚い雲が晴れ、縛られているファイターが見えた。

 クロムの長女で、未来を知る王女・ルキナだ。

「オトウ……サマ……イマ……ドコニ……」

 ルキナは操られながらも、必死で抗っている。

 この場にマルスやクロムがいたら、彼らはどんな反応をしていただろう。

「……彼女が苦しむ姿は見ていられません!」

 そう言って、アルトリアはルキナを縛る黒い鎖を不可視の剣で切り裂いた。

「ウ……ウ……ウアアアアアアアアア!!

 すると、ルキナは両手で頭を押さえた後、裏剣ファルシオンを構えて襲ってきた。

 そして、彼女の周囲にマーク、ウード、シンシアの幻影が現れる。

「今、助けます!」

「せめて痛みを知らずに安らかに死になさい」

「いや、ルキナが死んだらまずいってば!」

 トゥーンリンクとアルトリアは剣、ドリィは杖を構える。

 ジョーカーもペルソナ「アルセーヌ」を召喚した。

「いくぞ、ディディー!」

「おうっ!」

 フォックス、ディディーも身構え、戦闘が始まる。

 

ウアアアアアアアアアアアアア!!

はあああああああああああああ!!

 アルトリアの剣とルキナの剣がぶつかる。

 二人は同時に飛び退き、様子を伺う。

「えいっ!」

「アアァッ!」

 ディディーはルキナの攻撃をギリギリでかわし、

 黒いペガサスに乗っているマークに同じくギリギリでキックを当てる。

「ペガサスが眩しいな……なら、これで!」

 ジョーカーは漆黒の矢を放ちシンシアを攻撃する。

 シンシアはギリギリで抵抗し、ダメージを抑える。

「はぁっ! はぁぁぁぁっ!」

 フォックスはキックとパンチを駆使してウードを追い詰め、スマッシュ攻撃で吹っ飛ばした。

「サンダー」

「うわっ!」

 マークはトゥーンリンクにサンダーを放つ。

 トゥーンリンクが痺れた隙に、マークは槍で追撃。

「エェェェイッ!」

「うわっ!」

 シンシアは光の槍でジョーカーを突き刺す。

 闇属性のアルセーヌには効果が抜群だ。

「ジョーカーに何するんだ!」

「キャァァァァッ!」

 フォックスはブラスターでシンシアが乗っているペガサスを撃ち、

 墜落したシンシアを回し蹴りで吹っ飛ばした。

「ここまでおいで!」

「やっ!」

 ディディーは仕掛けたバナナの皮をルキナに踏ませ、転ばせる。

 その隙にトゥーンリンクはルキナを斬りつけ、ジョーカーはマークをナイフで攻撃する。

「マーベラス・コンビネーション」

「ぐああぁぁぁっ!」

 ルキナはフォックスを流れるように連続で斬る。

 シールドで防御する隙も無く、フォックスはまともに攻撃を食らい重傷を負う。

「ディア!」

 ジョーカーはフォックスに回復魔法を唱えた後、マークをナイフで斬りつける。

「ラ・テラ・マ・ギ・ラ・テラ!」

 ドリィは杖を振り、呪文を詠唱して杖をルキナ達に向ける。

 すると、アルトリア達の目の前に情報が現れた。

 魔法の目で全てを見通す呪文、サーチアイだ。

「ルキナはシールドで防御し、マークは(わたくし)に渾身の一撃を放つでしょう」

「ならば、これです!」

「ウアッ!」

 アルトリアは防御するルキナを掴み、後ろに投げ飛ばす。

 狙いは決まり、ルキナは転倒する。

「あったれ~!」

「それっ!」

 ディディーは転倒したルキナにピーナッツ・ポップガンで追撃する。

 さらにフォックスがファイアフォックスで攻撃。

 トゥーンリンクはマークを勇者の弓で攻撃した。

「ド・ゲイト・デ・テラ・マ・ギ!」

「……」

「きゃあ!」

 ドリィは魔法の矢を放ちマークに重傷を負わせる。

 マークは最後の抵抗とばかりにドリィに渾身の一撃を放った後、倒れた。

「これでとどめです、風王鉄槌(ストライク・エア)!!」

「ウワアアアアアアアアアアアア!!」

 そして、アルトリアが剣を振り抜いて纏っている風をルキナに叩き付け、

 ルキナを場外に吹っ飛ばすのだった。

 

「……はあ、はあ、はあ……あれ、私は一体……」

 ダーズの呪縛から解放され、正気に戻ったルキナは、ぱちぱちと瞬きしていた。

 アルトリアは笑みを浮かべてルキナに手を伸ばす。

「大丈夫でしたか、ルキナ殿?」

「ア、アルトリアさん……うぐっ!」

 ルキナは先程の戦闘で受けた痛みが激しく、まだまともに立てなかった。

「分かりました、貴女が治るまで待ちましょう」

 アルトリアはルキナの痛みが引くまで、彼女を待っている事にした。

 

 しばらくして、ルキナの痛みが完全に引き、彼女はゆっくりと立ち上がった。

「私を助けてくれてありがとうございました」

 ルキナはベル一行にお辞儀し笑顔でお礼を言った。

 だが、この状況を見て、笑顔はすぐに消える。

「それにしても……ここは一体、どこでしょうか。ルフレさんも、お父様もいないなんて……」

 この暗闇の世界に、クロムやルフレはいない。

 ルキナは寂しさから、少し塞ぎ込んでしまう。

「確かに、あんたの仲間がいないのは寂しいわね。でも、私達だって同じ気持ちよ」

「えっ……? どういう事ですか?」

「私達は光の世界で大きな敵を倒したんだけど、触手と目玉の化け物・ダーズが出てきて、

 みんながバラバラになっちゃったの」

 ベルはルキナに簡潔に事情を話す。

 世界に異変を起こしたキーラを倒したと思いきや、

 新たな敵・ダーズが襲来してスマブラメンバーは散り散りになったのだ。

「貴女一人が辛い目に遭う必要はありません。苦しい事は分かち合いましょう」

「はい……」

 ルキナは故郷では非常に辛い目に遭い、相当なストレスが溜まっていた。

 それを知ったアルトリアは、ルキナの負担を少しでも和らげようとした。

「ありがとうございます。私、皆さんと一緒に行きますね!

 お父様やルフレさんを見つけるために……」

 ルキナは立ち上がるとアルトリアの手を握り、アルトリアについていく事を決めた。

 クロムやルフレを見つける事ができる、と信じて。

 

「じゃあ、行きましょう、ルキナ!」

「はい! ベルさん!」

 こうして、未来を知る王女が、死神一行の新たな仲間に加わるのだった。




~ベルのスピリッツ名鑑~

クラッコ
出身世界:ミルキーロード
性別:不明
棘の生えた雲に単眼がついた生物で、雨や雷を操る事ができる。
クラッコJr.という非完全形態が存在する。

ロキ
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
ノアトゥーンでベヨネッタが出会った銀髪の少年。
時空を操る能力を持ち、カードを武器として使う。

メタナイツ
出身世界:ミルキーロード
性別:男性?
メタナイトの配下である機械軍団。
アックスナイト、ジャベリンナイト、トライデントナイト、メイスナイトで構成されている。

デンリュウ
出身世界:ゲフリアース
性別:♂♀両方存在する
モココが進化した、ライトポケモン。
でんきタイプで、特性はせいでんき、隠れ特性はプラス。
尻尾の先が光り輝き、光は遥か遠くまで届き、迷った者の道標となる。

オメガリドリー
出身世界:メトロード
性別:♂
サムスが撃破したメタリドリーが、フェイゾン汚染を受けて誕生したもの。
胸部装甲は物理的パワーによって開放可能。


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68 ~ 突入! ドラキュラ城

ベル達が挑むのは、ドラキュラ城です。
不気味な魔物が現れる、とっても不気味な城です。


 未来を知る王女・ルキナを仲間にしたベル一行は、歯車を歩きながら出口を探していた。

 冷静なサムスと、勘が鋭いベルがいるため、一行は大して迷わずに歯車を抜け出した。

 パックンフラワーがクイックマンを解放した後、一行が出会ったのはサイボーグ忍者。

「俺に生きる実感をくれ……!」

「心の怪盗、見参。その闇の鎖、いただくぞ」

 サイボーグ忍者には、ジョーカーが単独で挑んだ。

 怪盗と忍者の一騎打ちが始まる。

 

「うっ!」

「そうだ、それでいい」

「いい夢を見ろよ」

 サイボーグ忍者は高周波ブレードでジョーカーを切り裂く。

 ジョーカーは反撃でサイボーグ忍者に針を撃ち込み怯んだところに渾身の一撃をぶつける。

 サイボーグ忍者とジョーカーは互いの攻撃を敏捷な動きでかわしながら隙を伺う。

「な、なんなのだ、あの動きは?」

 クッパは二人の動きについていけなかった。

 サイボーグ忍者のブレードとジョーカーのナイフがぶつかり合い、鋭い音が戦場に鳴り響く。

「戦いの基本は、格闘だ」

「しまった! ぐあぁ!」

 だが、サイボーグ忍者はジョーカーが自身を観察している隙に、

 彼の腹部をブレードで斬りつけ、重傷を負わせる。

「とどめだ」

「ジョーカー!」

「心配はいらない。奪えっ、アルセーヌ!」

 重傷を負ったジョーカーは、アルセーヌの特殊能力「逆境の覚悟」を発動。

 自身の能力を一時的に大きく上げ、とどめを刺そうとしたサイボーグ忍者の攻撃をかわす。

「何っ!?」

「エイハ!」

「うああああああああああ!!」

 そして、漆黒の矢をサイボーグ忍者にぶつけ、サイボーグ忍者を倒した。

 

「何とか片付いたな……」

 ジョーカーはナイフと銃を鞘に収め、自身のペルソナのアルセーヌもしまった。

「いたいのとんでけ!」

 ピーチは回復魔法を唱えて、ジョーカーの傷を癒した。

 その後、サイボーグ忍者のスピリッツは、スピリッツボールの中に吸い込まれた。

 

「さて、と。これからどうしようかしらね」

「う~ん……」

 ベル達はダーズの襲撃で、皆とはぐれてしまった。

 どうすれば、元の場所に戻れるのだろうか。

 その答えは、まだ誰も知らなかった。

「おい、見ろ、みんな!」

 フォックスは、紫色の渦巻いている穴を見つけた。

 ベルが覗くと、どこかの空間に繋がっていた。

「あ! もしかして、ダンジョンかしら?」

 ここがどこに繋がっているのかは、分からない。

 子供のプリン、ディディー、りょうは不安になるが、ベルとシュルクは三人を励ました。

「怖くないよ。僕達がついているから」

「そうよ! だから怖気づかないでね!」

「ありがとございましゅ……」

「ありがとう……」

「サンキュー……」

 プリン、ディディー、りょうを励ました後、ベル一行は穴の中に飛び込んだ。

 すると、歯車があった場所とは異なる、中世ヨーロッパを彷彿とされる地に着いた。

 道には、頭のない像や後ろを向いた彫像があり、灯火が暗い場所を仄かに照らしている。

「見て! 城よ、城! 確か、名前はド、ド……」

「ド、ドラキュラ城だぜ」

 ファルコンは何とか知恵を絞って、この城の名前を思い出す。

 ここはシモンとリヒターの故郷の世界にある、吸血鬼・ドラキュラが住まう城なのだ。

「いかにも何か出そうだな」

「怖いなぁ……」

「こわいでしゅ……」

 ベル達は、ゆっくりと道を歩いていく。

 りょうは怖がっていて、プリンも震えている。

 すると、この城に相応しいアンデッドモンスター、リーデット(のスピリッツ)と遭遇した。

「うっ……」

 ルキナは屍兵を思い出し、不快になって思わず吐きそうになる。

 りょうも気分が悪くなるが、プリンは精神を集中していた。

「プリン?」

「へいきでしゅ……プリンはへいきでしゅ……」

 自身を鼓舞しているのだろうか。

 シュルクは、プリンがリーデットに何かの技を使おうとした事を察した。

「マジカルシャイン!!」

「オオォォォォォォォォォォォ」

 プリンがリーデットに強力な光を放つと、リーデットは叫び声を上げて崩れ去った。

 アンデッドには聖なる攻撃が効果的なのだ。

 

「凄いな、プリン」

「プリンはもうよわむしじゃないでしゅ」

 

 リーデットを倒した後、一行は城の中に入る。

 すぐ近くには、触れると周りの様子を元に戻す大きな砂時計がある。

 階段の上には大砲、大砲の下には砲弾があり、螺旋階段には不気味な亡霊がいた。

「まずは、大砲に必要な砲弾を探さなきゃ」

 ベルは階段の下を歩き、銀の砲弾を手に入れた。

「もしかしたら、この砲弾で幽霊を倒せるかもしれませんね」

「そうね」

 ベル達が階段を上がり、大砲に銀の砲弾を入れようとすると、

 ヘルガーのスピリッツが待ち構えていた。

「私が勝てるかどうかは分からないな……」

「じゃ、任せて」

 ヘルガーのスピリッツには、ルカリオの代わりにマールが挑戦した。

 ブキで無事に解放した後、ベルは銀の砲弾を大砲に入れ、幽霊目掛けて発射し、撃退した。

「この幽霊も、ドラキュラの手先かしら?」

「えっと、ドラキュラって?」

「ドラキュラとは、吸血鬼の中でも古い時代から生きる“伯爵”です。

 特に若い女性の血を好み、血を吸った者を自らのしもべに変える事ができます。

 勘違いしがちですが、ドラキュラは吸血鬼の中の一人に過ぎませんよ」

「ひぃぃ!」

 ドリィの説明を聞いたディディーは震え上がった。

 しかも、ドラキュラと何度も戦ってきたシモンは、今は別の場所に飛ばされている。

 不安を隠せないベル一行であったが、アルトリアは真剣な表情で言った。

「ご安心ください。私の血は、魔の者に簡単に汚されはしません」

「さっすが~!」

 普通の人がこれを言うと俗に「死亡フラグ」だが、

 アルトリアは最優のサーヴァントなので「強者の余裕」と言うのが正しい。

 ベルは、年下に見えるそんな少女に感心するのだった。

 

 幽霊を撃退した後、ベル達は螺旋階段を上って二階に上がった。

「ガブ! ガブガブガブ!」

「あ、パックンフラワー、何か見つけたの?」

「ガブガブガーブ!」

 パックンフラワーはぴょんぴょんと跳ねている。

 彼(?)がいるところに向かうと、そこには梯子があった。

 ルカリオは梯子を登り、先にあったレバーを倒すと縦になっていた壁が横になった。

 その後にナイトマンのスピリッツをファルコンが解放し、

 メディウサのスピリッツをりょうが解放した。

 次に、木の階段を上がって銀の砲弾を拾い、階段を下りて左側の螺旋階段を上ると、

 デイジー姫が闇の鎖に縛られていた。

「まあ、大変! デイジーが捕まってるわ!」

 しかし、デイジーがいる場所には幽霊がいる。

 幽霊は銀の砲弾を使わなければ倒せない。

 仕方なく、三階に上がって大砲を使おうとするが、ほねクッパのスピリッツが待ち構えていた。

「な……こいつ、高位のアンデッド!?」

 ベルは、ほねクッパを見て驚く。

 それもそのはず、ほねクッパはジェフやシーダ、ポリーンなどと同様にレジェンド級だからだ。

 気を抜いたらやられる。

「……絶対に勝つのよ。絶対によ!」

 ベル、フォックス、クッパ、シュルク、マール、ジョーカーは真剣な表情で身構えた。

「ぐあっ!」

 ほねクッパはフォックスに引っ掻きを繰り出す。

 マールはわかばシューターでほねクッパを牽制。

「それっ! ……かわされた!?」

 シュルクの攻撃は、ほねクッパにはギリギリで当たらなかった。

「我輩の攻撃も、当たらないのだ!」

 クッパの渾身の一撃も決まらなかった。

「だったらそれを」

「カバーする!」

 シュルクとクッパのミスを、フォックスとジョーカーが上手くカバーした。

「全然運がないな」

「よし、私が運気を上げるわ!」

 ベルが鎌を突き刺すと、周囲に魔力が広がる。

 これにより、ベル達の運気が高まった。

「おらぁっ!」

 フォックスはほねクッパに跳び前蹴りを放った。

 ほねクッパは攻撃をかわすが、かわした場所に一発命中した。

 おかげで、シュルクに攻撃しようとしたほねクッパを妨害する事に成功。

「きゃあ!」

「うわっ」

 しかしマールに渾身の攻撃が届いてしまい、シュルクの攻撃もほねクッパには当たらなかった。

「運がいいのか分からないのか、微妙だな」

「でも、良くはなっているわ。さあ、これでとどめよ! ナイトメア!」

 ベルが大鎌をほねクッパに投げつけると、ほねクッパの身体は真っ二つになる。

 そして、崩れたクッパのボディから、ほねクッパのスピリッツが飛び出した。

 ベルはすぐにそれにスピリッツボールを向け、スピリッツを回収するのだった。

 

「もう大丈夫よ、マール」

「ありがとう、ピーチ」

 ピーチは傷ついたマールに回復魔法を使う。

 ベルは今度こそ三階に上がり、大砲を使って幽霊を撃退した。

 そして、ベルは闇の鎖に縛られたデイジーを、大鎌を使って解放する。

「デイジー! 私が来た!」

「……」

 ベルがデイジーに対しそう叫ぶが、闇に飲まれたデイジーは反応しない。

 仕方ないわね、とベルが溜息をついた後、大鎌を振ってデイジーを斬りつけた。

 すると、彼女の身体に巻き付いた闇の鎖が真っ二つになった。

 同時に、デイジーがベルに襲い掛かってくる。

「みんな! 準備はいいかしら!?」

「ああ!」

「ええ!」

「ガブガーブ!」

 ベル、ファルコン、プリン、ピーチ、りょう、パックンフラワーは、

 ダーズに操られたデイジーと戦った。

 

「……」

 デイジーは闇の力を操り、自身の攻撃力を高めて五体の分身を作り出す。

 りょうはデイジーの動きを観察していた。

「まずい! サンダーを拾って使うみたい!」

「そうはさせないわ!」

「とめましゅ!」

 サンダーが当たると、小さくなって動けなくなる。

 それを阻止するべく、ピーチとプリンはデイジーに突っ込むが分身が邪魔する。

 その隙にデイジーはサンダーを拾い、六人を一気に小さくした。

「きゃっ!」

 小さくなった六人は、攻撃力と防御力、そしてリーチが下がってしまった。

 六人はデイジーと分身の一方的な攻撃を受ける。

 何とかサンダーの効果が切れて攻撃を凌いだ後、

 ファルコンはデイジーの分身をファルコンキックで攻撃する。

「ダークマジック」

 ベルは闇の魔法陣を設置し、踏んだデイジーを縛った後に鎌で一閃した。

「ガブガブ!」

 パックンフラワーはデイジーの分身に鉄球を放ち、デイジーの分身を吹っ飛ばした。

 しかし二体の分身から包囲攻撃を受け、すぐに戦闘不能になってしまった。

「ああ、パックン!」

「……」

 デイジーは驚くピーチに揺らめく炎を放つ。

 その後、分身をりょう、プリン、ファルコンにけしかける。

「ファルコンパンチ!」

「えいっ、えいっ、えいっ!」

「そーれっ!」

 三人は何とか攻撃をかわし、分身を攻撃して消し去った。

 ベルは大鎌で分身を消し、残る分身は一体だけになった。

「……」

 だが、プリンにデイジーが放った炎が迫る。

「危ない! うわああああああああ!!」

 りょうはプリンを庇い、代わりに攻撃を受けた。

 炎の中に包まれたりょうは様々なものが燃える。

 その炎が消えた後、りょうは意識を失った。

 

「よくも、りょうとパックンフラワーを!」

「もう許さないぞ! ファルコン……パンチ!!」

 ファルコンは炎の鳥を纏ったパンチをデイジーの分身に繰り出し、消し去る。

 ベルは大鎌を振るい、闇を飛ばしてデイジーの身体にまとわりつかせる。

「ウ、ウゴケン……!」

「でいじーしゃん、もとにもどるでしゅ!」

「グアアアアアアアアアアア!!」

 プリンはデイジーにマジカルシャインを放つ。

 強烈な光を浴びたデイジーは、闇の力を受けているため大ダメージを受けた。

「……デイジー姫」

 炎を振り払ったピーチは、フライパンを構える。

 それに対し、ファルコン、プリン、ベルは静かに彼女を見守った。

 同じ姫として、最後は彼女が倒すのだから。

「私は……あなたを信じるわ!!」

「ウグアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 ピーチのフライパンがデイジーの脳天に命中すると、彼女は凄まじい叫び声を上げた。

 そして、くるくると回転した後、ばたり、とその場に倒れるのだった。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 ピーチは倒れたデイジーを見て激しく息を切らす。

 危うくフライパンを落としそうだったが、彼女は気合でフライパンをしっかりと持った。

「私達の……勝ちよ!!」

(美味しいところは持っていくのね……)

 そして、ピーチはここに勝利宣言をするのだった。




~ベルのスピリッツ名鑑~

クイックマン
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性型
「自らが光速に近づく」というテーマのもと、Dr.ワイリーが生み出したロボット。
早寝、早起きだが、落ち着きが無い。
武装は光速で飛ぶブーメランを発射する「クイックブーメラン」。

サイボーグ忍者
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
シャドーモセス島でスネークが出会った、全身を強化外骨格で覆っているサイボーグ。
あらゆる物を切断する高周波ブレードを装備し、素早い身のこなしで相手を翻弄する。

リーデット
出身世界:ハイラル
性別:不明
ゾンビを彷彿とさせる不気味なモンスター。
移動速度は非常に遅いが、金縛りの能力を持ち、動けなくなった隙に抱きついて攻撃する。

ヘルガー
出身世界:ゲフリアース
性別:♂♀両方存在する
デルビルが進化した、ダークポケモン。
あく・ほのおタイプで、特性はもらいび、はやおき、隠れ特性はきんちょうかん。
不気味な遠吠えが特徴で、昔の人は地獄からの使いと考え恐れていた。

ナイトマン
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性型
中世ヨーロッパの騎士をモチーフにしたロボット。
騎士道精神を持つが、融通が利かない。
名誉を好み、汚い戦法を嫌う。まさに騎士。
武装は鉄球「ナイトクラッシャー」。

メディウサ
出身世界:こことは異なる世界
性別:女性
髪が蛇になった女性の魔物で、相手を石にする能力を持っている。
とある神界の三姉妹の末娘を原型とする。

ほねクッパ
出身世界:キノコワールド
性別:♂
マグマに落ち、骨だけになってしまったクッパ。
骨なので、ファイアボールが効かない。


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69 ~ 狡猾の死神

リドリー戦です。
サムス・アランは只管クールに書くのが私です。


 ベル達は操られたデイジーに勝利し、彼女をダーズの呪縛から解放した。

 

「光の力よ、彼女を目覚めさせて! おねがいカムバック!」

 ピーチは倒れているデイジーに対し、蘇生魔法「おねがいカムバック」を使った。

 これにより、デイジーは意識を取り戻した。

「う、う~ん……」

「大丈夫? デイジー」

 ピーチはデイジーを安全な場所に移動させた。

 デイジーは戦闘の反動で、頭がくらくらしていた。

「っつー、頭が痛い……。ちーとばかり休ませてくんなまし」

「ええ、それがいいわ」

 

 デイジーはしばらくして、完全に元に戻った。

「あー、ホンマに辛かったわ。

 自分らがおらへんかったら、今頃ウチは道具として使われたかもしれへんなぁ」

「もう大丈夫よ、デイジー。あんたはダーズから解放されたんだから」

「ダーズ?」

「目玉に触手がついた、思い出したくもない敵よ。せっかくキーラを倒したと思ったのに……」

 ベルはデイジーに苦々しい顔でダーズの事を話す。

 デイジーは「キーラ」という人物を知らないようで頭に?マークを浮かべている。

「自分が言った『キーラ』って誰や?」

「キーラは、私達の世界を侵略しに来た光の化身よ。

 最初はカービィやシャドウと一緒にキーラを倒すための戦力を蓄えて、

 その後にキーラを倒したんだけど、みんなバラバラになっちゃってね」

 これまでの事情をベルから聞いたデイジーは、へえー、ほおーと相槌を打つ。

「要するに自分らはみんなを集めた後、ダーズをやっつけるって事やな?」

「ま、そういう事になるわね。そのためには、あんたの力も必要かしら」

「ウチの力かいな? もち、オッケーや! 自分らにしっかりついてくでー!」

 デイジーは元気いっぱいに腕を上げ、ベル達の仲間になる事を告げた。

 今ここに、サラサランドの元気姫が仲間になった。

 

「次は、ここね……」

 ベルは死神&子死神を解放してレバーを倒し、インスパイアド、スカルマン、ミイラ男、

 ワリオをとりあえず解放した後、梯子を使って下まで降りた。

 梯子の下は、水晶がたくさんある洞窟だった。

「なんやここ、めっさ暗いなぁ……」

「ドラキュラ城自体が、暗い場所だけどね」

 デイジーは様子が変わったドラキュラ城に不安になる。

 ベルはきょろきょろと、辺りを見渡している。

「ここに捕まったファイターがいるみたいだけど、一体どこにいるのかしら」

 ファイターを探すため、ベルが先頭に立って歩く。

 だが、ファイターの姿はどこにもなかった。

「あ、スピリッツ!」

 ベルはゾーラ族のスピリッツを発見し、そのスピリッツを解放すると後ろに道ができた。

 道は、橙色の光が明るく照らしていた。

「戻る時に近道になりそうね。覚えましょう」

「うん」

 上には銀の砲弾があったが、幽霊が邪魔をしていて進めない。

 仕方なく一行は先に進み、シュルクのボディに宿ったアレンのスピリッツを解放し、

 先に進んでゼルダのボディに宿ったマリア・ラーネッドのスピリッツを解放する。

「それっ! やあっ!」

 トゥーンリンクは動物や聖獣による攻撃にやや苦戦するが、解放に成功した。

「この子、意外に強かったなぁ」

「魔物使いは魔物こそが友達なのよ。さ、次に行きましょ」

「うん」

 

「はっけい!」

「ファルコンナックル!」

 その後、エース級のナックルジョーをルカリオとファルコンが解放し、銀の砲弾を手に入れる。

「せいや!」

 梯子を下りて左側にある大砲を使い、邪魔な二匹の幽霊を同時に倒した。

 銀の砲弾は貫通するという特性を利用した技だ。

 ルカリオは梯子を下りて銀の砲弾を拾った後、奥の梯子を上って一番上に上がり、

 銀の砲弾を壁に当てて反射し、二匹の幽霊を同時に倒した。

「これで邪魔者はいなくなったわね」

「さあ、梯子を登るぞ」

 邪魔な幽霊を全て倒した後、ベル達は一番奥の階段を上り、梯子を上って地上に行った。

 宝箱を開けておやつを手に入れた後、梯子を下りて洞窟に戻り、

 2つある穴のうち上にある穴に入り、階段を上がって地上に行った。

 そこはたくさんの鉄格子や壊れた鉄格子があった。

 最初に一行が出会ったのは、フランケンシュタイン&のみ男のスピリッツだった。

「よぉ~っし!」

 デイジーがやる気満々に前に立つ。

「こいつらの相手はウチがする。ええか、ベル?」

「ええ、もちろんよ」

「ほな、いくで~!」

 デイジーは満面の笑みを浮かべて、

 フランケンシュタイン&のみ男のスピリッツに戦いを挑んだ。

 

「ウチの大勝利や!」

「やったわね、デイジー!」

 デイジーが勝利ポーズを決めると、洞窟の中に梯子が現れ、

 闇の鎖に縛られたファイターが現れた。

 どうやら、ダーズの力で隠されていたようだ。

 一行はすぐに、ファイターがいる洞窟へと戻る。

 そして、梯子を下りて一番下まで行くと、闇に囚われた紫の翼竜を発見する。

 スペースパイレーツの最高司令官、リドリーだ。

「……リドリー……!」

 サムスの両親を殺した、狡猾の死神。

 宿敵の姿を見たサムスは、リドリーにアームキャノンを向ける。

 その声は、いつもより冷徹だった。

「ウチがやったるでぇ! 覚悟しぃな、リドリー!」

「待ちなさい、デイジー」

 デイジーがリドリーに戦いを挑もうとするが、サムスが彼女の前に立つ。

「こいつは因縁の相手。私が倒す」

「しゃーないなぁ……。今回は自分に譲るで」

 サムスとリドリーは宿敵同士である。

 それを邪魔する事はできないため、デイジーは素直に身を引いた。

 サムスはアームキャノンでリドリーを縛る闇の鎖を破壊する。

 すると、リドリーが赤い目を光らせて襲ってきた。

 

「グギャアアアアアアアアアア!!」

「来なさい、リドリー。……私が、相手よ!」

 サムスとリドリーの一騎打ちが始まった。

 

「そこよ」

 サムスはアームキャノンにエネルギーを溜め、リドリーに発射して吹っ飛ばした。

「グギャオ!」

 リドリーは崖に掴まって復帰した後、サムスに接近して爪で切り裂く。

 パワードスーツがあったが、十分なダメージだ。

 サムスは距離を取った後、ミサイルを放つ。

 リドリーは爆風で吹っ飛ぶも、すぐに崖に捕まって復帰する。

「グギャォォォォォォ!」

「くぅっ!」

 リドリーは口から火炎のブレスを吐く。

 サムスはシールドを張り、リドリーの攻撃を凌ぐ。

「グギャォォォォォォォォ!」

 リドリーは空を飛び、体当たりしてきた。

 サムスはボムで反撃した後、ジャンプでかわすが、リドリーは隙を突いてサムスを掴み投げた。

 その後に再び突っ込むがサムスはかわしてミサイルで反撃する。

「ギャオオオォォォォォォォォ!!」

「……っ!!」

 リドリーブレスが命中したサムスは軽く吹っ飛ぶ。

 サムスはミサイルを撃ってすぐにジャンプして距離を取り、アームキャノンにパワーを溜める。

「しまった!」

 しかし、パワーが半分ほど溜まったところにリドリーが現れ、

 サムスを掴むとグラビングスクラッチで攻撃した。

 サムスは何とかジャンプとスクリューアタックを駆使し、崖に掴まって復帰した。

「グギャォォォォォォォォォ!」

「その攻撃は、見切ったわ」

 着地したサムスにリドリーはもう一度グラビングスクラッチを放つが、

 サムスはリドリーの攻撃を見切り、回避する。

 アームキャノンによる打撃でシールドを削りつつ、ミサイルやボムで反撃する。

 しばらくすると、サムスの身体が光った。

「ゼロレーザー……発射!」

 サムスはチャージ切り札「ゼロレーザー」を発動、

 アームキャノンから極太レーザーを発射した。

「ギャアアアアアアアアアアアアアア!!」

 極太レーザーをまともに浴びたリドリーは凄まじい叫び声を上げる。

「す、凄い……」

 ベルはゼロレーザーを見て、とある普通の魔法使いを思い出した。

 そして、レーザーを発射し終わった後、リドリーは場外まで吹っ飛ばされた。

 

「グゥゥゥゥ……」

 サムスに敗れたリドリーは、仰向けになりながらぐったりしていた。

 彼にはもう、戦う力は残っていなかった。

「とどめよ」

「待って、サムス!」

 サムスはそのままリドリーにとどめを刺そうとするが、ベルが止める。

「何故、私を止める」

「今、あんたが倒す敵はリドリーじゃないでしょ!

 こいつもダーズに操られた被害者なんだから!」

「……そうだったわね」

 ベルの言葉を聞いたサムスは、アームキャノンをしまった。

 これ以上の戦いは、無意味なのだろう。

 

「こいつはとりあえず、安全な場所に運んでおくわ。ファルコン、一緒に運びましょう」

「ああ」

 ファルコンとベルは、倒れたリドリーを安全な場所に運んでいった。

 

「おねがいカムバック!」

 ピーチがおねがいカムバックでリドリーを目覚めさせる。

「……」

「……サムス……リドリー……」

 サムスとリドリーは互いに睨み合っている。

 同じ仕事仲間として、ファルコンはサムスを心配していた。

 リドリーは俗に言う「ヴィラン」なのだが、

 今は共通の敵(ダーズ)がいるためそんな事を気にするわけにはいかないのだ。

「サムスもリドリーも、まだピリピリしてるのか?」

「グゥゥ……」

「……」

「決着はいつでもつける事ができるぞ。だから、今は一時休戦だ。ダーズを倒し、ここを出よう」

「……そうね、無駄な行動はしないわ。仕方ない、リドリーも行きましょう」

「グォォォォォォ……」

 ファルコンは何とかサムスとリドリーを説得する。

 現在の彼らの敵は、闇の化身ダーズだ。

 それぞれの戦いはいつでも行う事ができる。

 リドリーは渋々、ベル一行についていくのだった。




~ベルのスピリッツ名鑑~

死神&子死神
出身世界:天空界
性別:不明
巨大な鎌を持った魔物で、赤い視線に当たると騒いで子死神と共に襲い掛かる。
近づくと鎌を振り下ろして攻撃するので、遠くから飛び道具を使うと楽に倒せる。

インスパイアド
出身世界:こことは異なる世界
性別:不明
天使上位三隊に属し、座天使と呼ばれる。
非常に高位な霊的存在であり、人間が出会う事はまずない。

スカルマン
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性型
Dr.ワイリーが作った、戦うためだけに作られたロボット。
骸骨のような姿通り骨身を惜しまないが、悪趣味。
武装は特殊エネルギーを展開するスカルバリアー。

ミイラ男
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
包帯が巻かれた死体に邪悪な気が宿って誕生したアンデッドモンスター。
二人一組で現れ、挟み撃ちにした後に包帯を飛ばして攻撃する。

ゾーラ族
出身世界:ハイラル
性別:男女両方存在する
ゾーラ族は種族名。
魚のような(えら)(ひれ)を持っており、主に水中で活動する種族。
王政で、国王をトップとした社会となっている。

アレン
出身世界:リュエード
性別:男性
リュエードに住むセプターの青年。
記憶を失い、街で倒れていたところを反抗組織フリーバッツのメンバーに助けられる。
無愛想で寡黙な性格だが、正義感は強い。

ナックルジョー
出身世界:ミルキーロード
性別:♂♀両方存在するが♂が多い
耳が尖った小人の姿をした種族。
種族全員が「ファイター」のARTSを持っている。
優れた筋肉と鋭い感覚、そしてみなぎる闘気を持ちその戦闘能力は非常に高い。

マリア・ラーネッド
出身世界:こことは異なる世界
性別:女性
ベルモンド家の遠縁に当たる少女。
義姉を助けるため悪魔城に乗り込むも、囚われる。
その後は、リヒターに助けられて彼と共にドラキュラと戦う道を選ぶ。
戦闘では動物や四聖獣を呼び出す召喚士タイプ。

フランケンシュタイン&のみ男
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
人造人間のフランケンシュタインと、矮雄(わいゆう)(のみ)を元にしたのみ男のコンビ。
ちなみに、「のみ男」は元々別の名前だった。


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70 ~ ダッシュファイターズ

その名の通り、解放するのはダッシュファイターが中心です。


 ベル一行はリドリーをメンバーに加えた後、仲間を救出するために一度上に上がった。

 三階まで上がり、奥まで行くと、

 城の外に闇の鎖に縛られたケン・マスターズと豪鬼の姿があった。

「グギャォォォォオオォォォォ!」

「こいつらが捕まった仲間やな?」

「ええ、そうよ。リュウの戦友、ケン・マスターズと、彼らの師匠の弟、豪鬼よ。

 まずは……それっ!」

 デイジーとリドリーは、かなりやる気満々だった。

 ベルは鎌を構えると(洒落ではない)、ケンと豪鬼の鎖を一閃した。

「おぉ! 真っ二つ~!」

「ギャォォォオオオォォ!」

 デイジーとリドリーが叫ぶと、ダーズに操られたケンと豪鬼が襲ってきた。

 二人はすぐに、彼らと戦う構えを取る。

「フォースと共に」

「グギャアアアアアァァァァ!」

「『あらんことを!』って言ってるわ」

 今ここに、ストリートファイターと、狡猾の死神と、お転婆姫の戦いが始まった。

 

「ギャォォォッ!」

「ぬうん!」

 豪鬼はリドリーの攻撃を見切ってかわす。

「せいやっ!」

「……波動拳」

「いったぁ!」

 デイジーは野菜を引っこ抜いて、ケンにぶつける。

 ケンは反撃としてデイジーに波動拳を放った。

「ギャォォォォォッ!」

「ふんっ」

「それっ!」

 リドリーはケンのフェイントをギリギリでかわし、デイジーはケンに突っ込んでビンタする。

 豪鬼の拳とリドリーの爪が同時に命中する。

「ギャォォォッ!」

 豪鬼の攻撃をリドリーは軽くかわし、渾身の一撃を放ち吹っ飛ばした。

 しかし、豪鬼はすぐに崖に掴まって復帰する。

「ケン! ウチが目ぇ覚ましてやるでぇ! デイジーボンバー!」

 デイジーはお尻をケンに向け、突っ込んでいく。

 花の爆発が起こり、ケンは軽く吹っ飛んだ。

「ぬうん!」

「うわぁ!」

 豪鬼とケンがデイジーに突っ込んで攻撃する。

 デイジーは豪鬼の攻撃を食らい、シールドを削られてしまう。

「何するんや!」

「……」

 デイジーは怒るが、ケンと豪鬼は何も反応しない。

「わわっと!」

 デイジーはギリギリでケンの攻撃をかわすも、豪鬼の攻撃で大ダメージを受ける。

「あかん、ウチらもうヘバりそうや。

 真剣勝負に水差すようで失礼やけど、ピーチ、助けてくれへんか!?」

「え、え、いいわよ」

 ピーチはデイジーとリドリーに「みんなげんきになあれ」をかけた。

 おかげで減少していた二人の体力は回復した。

「形勢逆転や!」

 デイジーは花の魔力を纏ったビンタを豪鬼にぶちかます。

 その威力は相当なものであり、豪鬼が一撃の下に倒れた。

「ギャオオオオオオオオオオオオ!!」

 そして、リドリーがケンに飛び蹴りを放ち、ケンを場外まで吹っ飛ばした。

 

「回収完了!」

「ケンさん、もう大丈夫ですよ」

 豪鬼のスピリッツはスピリッツボールの中に吸い込まれ、ケンも正気に戻った。

 ケンは、ルキナが持ってきた傷薬で全快した。

「……ん、ん……ここ、は、どこ、だ」

 ようやく、意識を取り戻したケン。

 デイジーやリドリーと戦っていた時の記憶は残っていないようだ。

 ベルはケンにこれまでの事情を(適当に)話した。

「なるほど……つまり、散らばった仲間を探している事になるのか」

「ま、そんな感じね」

 ケンは真面目で素直な性格のため、ベルの適当な話もしっかり理解できた。

 まだ仲間が全員揃っていない以上、下手に動くのは危険だ。

「で、あんたはこれからどうするの?」

「俺も一緒に行こう。リュウが心配だからな」

「あら、仲間思いね~。もちろんいいわよ!」

 そう言って、ベルとケンは互いに握手した。

 

 こうしてケンを仲間にした一行は、一旦右まで戻る。

「とどめなのだ!」

 クッパはヒュー・ボールドウィンを倒し、奥にあった銀の砲弾を手に入れる。

 次に、近くの梯子を登り、四階に行ってディディーがカナンを倒し、銀の砲弾を手に入れる。

「これで砲弾は二つね」

 その後、一行は梯子を使って三階に降りる。

「シールドブレイカー!」

 ルキナはキングクルールのボディに宿ったドーガを倒し、階段で四階に登った。

 しかし、五階に行くための階段には、

 ルフレのボディに宿った死神のスピリッツが立ち塞がっていた。

「さあ、勝負よ!」

 エース級の死神には、もちろん、本物の死神であるベルが挑んだ。

 死神の鎌をギリギリでかわしながら、ベルは死神の解放に成功した。

「伊達に私は死神と呼ばれてないわよっ!」

「さっすが~」

 くるくると鎌を回すベル。

 白い服に軽い性格と、とても死神には見えないベルだったが、実力は本物だった。

 次に、ベルは丸い額縁の下にある暖炉を覗く。

「ここから中に入れそうね」

「そうだね」

 ベルを先頭に一行が暖炉の中に潜っていく。

 そこには、キノコワールドの幽霊・テレサと、彼らを率いるキングテレサがいた。

 テレサとキングテレサにはベルが挑み、勝利した。

「あんたの魔法、ドリィ並に役立つと思うけど。死神として頼むわ。協力してくれない?」

「断る。俺様はテレサのキング。そう簡単に仲間にはならねぇからな」

「あら、残念……じゃあ、大人しくスピリッツボールの中に入ってね」

「……」

 ベルはスピリッツボールをテレサとキングテレサに向け、彼らを中に吸い込ませた。

 まるで、ルイージのオバキュームのように。

「あああ! スポスポスポスポスポスポスポスポスポスポスポスポスポスポスポスポ

 吸い込みやがってぇ~~~~!!」

 キングテレサは断末魔を残し、スピリッツボールの中に入った。

 

「さて、ここにもファイターがいるらしいけど……」

 ベルが能力で近くにいるファイターを感知する。

 すると、ピットと瓜二つだが、全体的に黒系の容姿となっている、

 闇の鎖に縛られたブラックピットを発見した。

 彼の周囲には三体の自然軍の一員、ポックリ、ブレイダー、カーカーがいる。

「ブラピ! キミの身体、これ以上利用されたくないでしょ?」

「……」

 ディディーはブラックピットに呼びかけるが、やはりブラックピットは全く反応しない。

「聞こえないみたいだね。なら……オイラが助けてあげるよ!」

 そう言って、ディディーはピーナッツ・ポップガンを放ち、

 ブラックピットを縛る闇の鎖を砕いた。

 すると、ブラックピットは赤い目を光らせてディディーに襲い掛かってきた。

「危ないっ!」

 不意打ちを受けようとしたディディーを守ったのはトゥーンリンクとジョーカー。

 さらには、りょうとマール、リドリーもいる。

「グオオォォォォォ!」

「みんな……!?」

「困った時はお互い様だよ。……ダーズの被害者はまだまだたくさんいる。

 ボク達が一人でも多く助けないとね!」

「お前に潜む心の闇は、心の怪盗にとっては最高のオタカラだ。是非、いただこう」

「オノレ……」

 ブラックピットは、ディディーを倒そうとしたがそれを阻まれたため、舌打ちする。

 ディディー、トゥーンリンク、りょう、マール、リドリー、

 ジョーカーの六人は真剣な顔で構える。

「オノレ……ミナゴロシダ!!」

 ブラックピットは神弓シルバーリップを双剣に変え、同時に抜いて宣言する。

 ダーズに操られたブラックピットと自然軍の敵との戦いが、始まるのだった。

 

「えいっ!」

 トゥーンリンクはポックリにブーメランを投げる。

 ポックリは攻撃をかわし、ジョーカーにフェイントをかける。

「怪盗にフェイントとは、いい度胸だな」

「あ~ん、当たらないよ~!」

「こっちもだよ!」

 ポックリのフェイントをかわしたジョーカーは、素早くナイフで切りかかり、

 ブラックピットをエイハで攻撃する。

 ディディーとりょうはポックリに突っ込むが、ポックリは身を隠して無敵になった。

「……」

 ブラックピットは神弓シルバーリップから黒い矢を放つが、矢は明後日の方向に飛んでいく。

「うわっ、危ない!」

「グギャォォォォォォォォォォ!!」

 マールはポックリの攻撃をギリギリでかわし、ローラーでポックリを地面に埋めた。

 リドリーはブレイダーをブレスで攻撃した。

「スクンダ!」

 ジョーカーはポックリの攻撃をかわし、スクンダでポックリを弱らせた。

 リドリーの攻撃はポックリにはギリギリで当たらなかった。

 マールはインクの中に潜ってポックリの攻撃をかわし、スプラッシュボムで反撃した。

「……」

「当たらないよ!」

 トゥーンリンクはブラックピットの黒い矢を盾で防ぎ、勇者の弓から矢を射る。

 ディディーはそのまま追撃しようとするが、カーカーとブレイダーに阻まれる。

「痛いじゃないか!!」

 ディディーはピーナッツ・ポップガンでブレイダーを攻撃する。

 りょうはカーカーの攻撃を防ぎ、ボウリングの玉で反撃した。

「……」

「グギャオォォォォォ!」

「ウオッ!!」

 ブラックピットの攻撃は、マールには当たらない。

 さらに、リドリーが渾身の一撃を放ち、ブラックピットを吹っ飛ばした。

「グ……」

 ブラックピットは何とか崖に掴まり、復帰する。

 トゥーンリンクは勇者の弓でブレイダーを撃った。

「えーいっ!」

 りょうはポックリに思いっきり斧を振り下ろす。

 自然軍であるポックリに、効果は抜群だ。

「わっと!」

「エイハ!」

 マールはブレイダーの攻撃をかわし、ジョーカーと共に遠くから射撃。

 これにより、ブレイダーは倒れた。

「やぁっ!」

「それ、それっ!」

 ディディーもポックリを平手打ちで吹っ飛ばし、トゥーンリンクも続けてポックリを倒した。

 そのままの勢いでディディーはブラックピットに突っ込んでいき、彼を掴んで拘束する。

「今だよ、ジョーカー!」

「ああ……。お前のオタカラ、いただくよ!」

「グウッ!」

 ジョーカーはブラックピットの背後に忍び寄り、アルセーヌと共に致命的な一撃を与えた。

 ブラックピットは致命傷を受け、ばたりとその場に倒れるのだった。

 

「……安心しろ。怪盗は命までは取らないからな」

 ジョーカーは倒れているブラックピットを見て、静かにそう呟くのだった。




豪鬼(ごうき)
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
(けん)を極めし者」と名乗り、強者との「死合い」を求める格闘家。
暗殺拳を基本とし、そこに殺意の波動の力を取り入れた独自のスタイルで戦う。
リュウとケンの師匠、剛拳の弟。必殺技は瞬獄殺。

ヒュー・ボールドウィン
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
ネイサン・グレーブズの兄弟子で、かつてドラキュラを封印したモーリスの息子。
モーリスが自分ではなく実力が低いネイサンを鞭の継承者に選んだ事をよく思っていない。

カナン
出身世界:最後の物語の世界
性別:女性
ルリ島の城主である現アルガナン伯爵の姪。
とある理由で叔父に幽閉されており、城の「外」に憧れている。
戦闘では聖なる魔法で味方をサポートする。

ドーガ
出身世界:戦記の世界
性別:男性
アリティア王国の重騎士。
実直な性格で、マルスを守る盾として活躍した。

テレサ
出身世界:キノコワールド
性別:♂♀両方存在する
人を驚かす事が好きな、可愛らしい幽霊。
こちらを向くと恥ずかしがって動けなくなる。

キングテレサ
出身世界:キノコワールド
性別:♂
テレサ達の王で、強大な魔力を有している。
マリオを騙してお化け屋敷に誘い、絵に閉じ込めた張本人ならぬ張本霊。
ルイージに敗れて以降、彼に執着するようになる。
最近はマリオカートやスポーツに出ているとか。


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71 ~ 囚われの師

タイトルの「師」には二つの意味が込められています。
でもベレス、扱いが結構難しいです。最新作キャラだからかな?


 こうして、ダーズに操られたブラックピットは、ジョーカー達により正気に戻った。

「お前らと協力する気はねぇが……仕方ねぇな」

 ブラックピットは文句を言いながら、ベル一行に入って三階に降りる。

 しかし、五階に行くための階段には、

 ルフレのボディに宿った死神のスピリッツが立ち塞がっていた。

「さあ、勝負よ!」

 エース級の死神には、もちろん、本物の死神であるベルが挑んだ。

 死神の鎌をギリギリでかわしながら、ベルは死神の解放に成功した。

「伊達に私は死神と呼ばれてないわよっ!」

「さっすが~」

 くるくると鎌を回すベル。

 白い服に軽い性格と、とても死神には見えないベルだったが、実力は本物だった。

 こうしてベル一行は五階に上がり、レオン・ベルモンドをオリマー、

 お面屋をトゥーンリンクで倒して先に進む。

 階段を降りると、ベルは巨大な歯車と砲弾、そして闇の鎖に縛られた男女のファイターがいた。

「あれは……ルフレさん!?」

「見かけない人ね……」

 銀髪で黒い服を着た男はルフレだが、黒い服を来た長身の女は初めて見る人物だ。

 だが、その先には幽霊がたくさんいる。

「でも、幽霊がたくさんいますね……」

「しかも、歯車が邪魔しているわ。私がどうにかするから、待ってて」

 このまま銀の砲弾を発射すると、歯車に阻まれてしまう。

 まずはこの歯車をどうにかするために、

 ベルは一番上の歯車を歩き、梯子を登ってレバーを倒した。

 すると、下にあった壁の向きが変わった。

「幽霊に触らないように……」

 ベルは幽霊にぶつからないように梯子を下り、一番下の大砲に銀の砲弾を入れ、発射。

 銀の砲弾は壁にぶつかって反射し、上にいた幽霊と、幽霊ごと歯車を攻撃した。

 歯車は意外に脆く、銀の砲弾一発で崩れ落ちた。

 これにより道が変化し、ベル一行は先に進めるようになった。

「やりました! ベルさん!」

「どんなものよ」

 

 一行は壊れた歯車の上を通り、逆側の歯車まで移動した。

 そして、大砲の近くにいた狼男のスピリッツをケンが解放し、

 大砲に銀の砲弾を入れて発射する。

 砲弾は真っ直ぐになった壁にぶつかって跳ね返り、邪魔な幽霊を撃退する事に成功した。

「後はルフレさんと知らない女性を助けるだけですね……」

 ベル一行は梯子を上り、ルフレと女性がいた場所に行く。

「……ごめんなさい、ルフレさん!」

 ルフレと女性を縛る闇の鎖を、ルキナは裏剣ファルシオンで切り裂く。

 案の定、ダーズに操られたルフレと女性がルキナに襲い掛かってきた。

「また、戦うなんて、信じられませんが……。……やるしか、ないようですね」

「そうよ、あんたの仲間なんでしょ? あんた自身が助けなきゃ!」

 ベルも大鎌を抜いて、戦闘態勢を取る。

 彼女の勇気を見たルキナは、勇気づけられる。

「あなた達の母体は、(わたくし)が保護します」

「私だって、やる時はやるんだからね!」

「今度は俺が、仲間を助ける番だ」

 ドリィは杖を持って祈りを捧げている。

 ピーチもフライパンを構え、ケンはファイティングポーズを取っている。

「僕は、すま村の村長なんだ。ここで逃げるわけにはいかない」

「りょうさん……! はい……決めました。ルフレさん、必ず私が助けます!」

 ルキナは真剣な表情で裏剣ファルシオンを向ける。

 闇に操られたルフレに刃を向ける、それはルキナにとって辛い事だった。

 だが、五人の後押しがあって、迷わなかった。

 

「イイネェ、ソノカオ。ダーズサマニミセタイヨ」

「……デモ、ソレモココマデダカラ」

 ダーズに操られたルフレと女性は、剣を構える。

 

「行きますっ!!」

 ルキナ、ベル、ピーチ、ケン、りょう、ドリィは仲間を助けるために戦った。

 

「……」

 ベルは鎌を持って精神を集中する。

「ド・ゲイト・デ・テラ・マ・ギ」

 ルフレと女性は、赤緑騎士のソールとソワレ、

 ペガサスナイトのスミアとティアモが守っている。

 彼らを倒さなければ、ルフレと女性に攻撃は届かない。

 ドリィはソワレに魔力の矢を放って攻撃した。

 ソールは身を守り、相手の出方を伺っている。

「コノオッ!」

「きゃっ!」

 ソワレはドリィに槍で反撃する。

「君の戦術を見せてもらうよ」

 りょうはルフレをじっくりと観察し、何を行動するのかを予測した。

「目を覚ましてね?」

 ピーチはラケットでソワレを攻撃するが、

 ソワレはギリギリで防御して大してダメージを受けなかった。

「たあっ!」

「……」

 ケンはスミアに正拳突きを放つが、スミアは舞うように攻撃をかわす。

「あらよっと」

「……」

「!?」

 ピーチはルフレの攻撃をかわすが、それはフェイントだったようで一時的に混乱する。

 その隙に女性はドリィにデクの実を投げ怯ませた。

 ティアモは槍でベル達を薙ぎ払う。

「ソールさん……恨まないでください!」

 ルキナはソールを裏剣ファルシオンで斬りつける。

「きゃぁっ!」

 ルフレと女性の攻撃がピーチを襲う。

 ピーチはドレスを切られないように慎重に動いた。

「やっ!」

「波動拳!」

 りょうはスミアにパチンコを放って攻撃し、ケンはソールに波動拳を放つ。

「ナイトメア!」

「ウッワ!」

 ベルは思いっきり大鎌をソワレに投げつける。

 ソワレは攻撃を回避するが、ブーメランのように戻ってきた大鎌がソワレを切り裂いた。

 スミアは槍を振り回し、ベル以外の全員を攪乱させる。

「コレデ、トドメヨ」

「させないわ!」

 ティアモがとどめを刺そうとするが、ベルが闇の力を使って痺れさせた。

 能力の反動で、ベルの体力が削られた。

「イクヨ、ソール」

「アア!」

「ぐわぁっ!」

「きゃぁっ!」

 ソールとソワレはドリィとケンに連携を放ち、そこそこのダメージを与える。

「みんなげんきになあれ!」

 ピーチは癒しの光を振り撒いて、全員の体力を回復し状態異常も治す。

「ありがとうございます、ピーチさん」

「うふふ、どういたしまして」

「昇竜拳!」

「ウワアアーーーーーッ!!」

 ケンはソワレを昇竜拳で吹っ飛ばした。

「……」

「うっ!」

 女性はルキナを相性の良い槍で突き刺す。

 ピーチはソールの攻撃をかわし、ビンタで反撃。

「闇の力よ!」

 ベルは闇の力でスミアとティアモを妨害した。

「相手の攻撃は激しいわ。守ってあげる!」

 ピーチは呪文を唱え、味方全員を不可視の壁で包んだ。

 これにより、攻撃で受けるダメージが減少した。

「……クラエ」

「痛っ! ……くない?」

 ルフレはドリィに渾身の一撃を放ったが、魔法結界のおかげでドリィはけろっとした。

「……チッ」

 ルフレは舌打ちして、サンダーソードを構え直す。

 ケンはソールにギリギリで会心の一撃を放った。

 ルキナはスミアの撹乱攻撃で混乱している。

「ド・ゲイト・デ・テラ・マ・ギ」

 ドリィはスミアに魔法の矢を放つ。

 が、ペガサスナイトは魔防が高く、スミアも抵抗したので大したダメージにはならなかった。

 続けて、ティアモがりょうを槍で突き刺し、りょうがボウリングの玉で反撃する。

「闇の力のしもべ達よ! とっととお家に帰りなさい!」

「ウ、ソワ、レ……」

「ソンナ……」

 ベルは鎌を大きく振り、病毒の炎を振り撒いた。

 ルフレ達は炎に触れ、表皮が弱り痛みが増幅する。

 さらに、炎によってソールとスミアが倒された。

「リザイア」

 ルフレはドリィに近付き、闇魔法・リザイアで体力を吸収した。

 スミアとティアモは相手の出方を伺っている。

「ティアモさん……別世界では、お父様と結ばれるといいですね」

 ルキナはティアモをシールドブレイカーで貫く。

 流石のティアモもこれには耐え切れず、倒れた。

 

「後は君達だけだね。いくよ!」

「みんなげんきになあれ!」

 りょうは女性に鋭い一撃を放ち、大ダメージを与える。

 ピーチはみんなげんきになあれで全員を回復。

「流石にこれは耐え切れないでしょ?」

「……」

 ベルは闇の渦を呼び出してスミアを飲み込んだ。

「ルフレさん……私はもう迷いません! マーベラスコンビネーション!」

 ルキナは流れるような連撃でルフレを切り裂く。

 それが決め手となり、ようやくルフレは倒れた。

「昇竜拳!!」

 そして、ケンも昇竜拳で女性を上空に吹っ飛ばす。

 これにより、ベル達は勝利したのだった。

 

「……うーん、まさかまた操られるとはね。ごめんよ、ルキナ。気づけなくて」

「すまない……」

 ルフレと女性は、ダーズに操られた事を謝る。

「ま、いつもの事よ。ところで、あんた誰?」

「ベルさん、失礼ですよ!」

 見ず知らずの人にそんな事を言うのは失礼だ。

 ルキナは「ごめんなさい」と謝った後、改めて女性の名前を聞き出した。

「私はルキナといいます。貴女は?」

「自分はベレス。元いた世界では、士官学校で教師をしていた」

 黒い服の女性はベレスと名乗った。

「つまり(せんせい)って事ね」

「……エル以外にもそう呼ぶ人、いたのね」

 ベレスが言う「エル」とは、アドラステア皇女エーデルガルトの事だ。

 今はこの世界にはいないが、スピリッツとなっている事は言おう。

「よろしく」

「ああ、よろしくね、ベレス」

「あなたの名前は?」

「僕の名はルフレ、自警団では軍師をしていたんだ」

 ルフレもまた、ベレスに名を名乗る。

 異なる世界に生きる者として最初に行うのが、この挨拶である。

「……なるほど。貴方も教え導く者なのか。それは興味深い。是非、貴方を見せてもらいたい」

「君も同じ『師』だろう? もちろんだよ」

 ルフレとベレスは互いに顔を合わせた。

 

「じゃあ、ルフレ、ベレス、行きましょう!

 いなくなった仲間を見つけて、ドラキュラ城から脱出するために!」

「……ああ!」

「……うん!」

 こうして、ベル一行はダーズに操られた師を、二人とも救い出す事に成功したのだった。




~ベルのスピリッツ名鑑~

死神
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
ドラキュラ伯爵の忠実な腹心で、最古参の部下。
寡黙ながらも曇りなき忠誠心を持っており、ドラキュラが復活するのを全力でサポートする。
そしてそのたびに、ヴァンパイアハンターが動く。

レオン・ベルモンド
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
中世ヨーロッパで活躍した、ベルモンド家の騎士。
教会の命を受けて、神と平和を守るために戦う。

お面屋
出身世界:ハイラル
性別:男性
元々はムジュラの仮面を持っていたが、スタルキッドに奪われてしまった。
穏やかな物腰で、常に笑顔を絶やさないが……。

狼男
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
満月の夜に狼に変身する怪物。
高い身体能力を持っており、爪での接近戦を得意とする。


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72 ~ 夜の伯爵、ドラキュラ

ドラキュラ城のボスとの対決です。
次週からは謎の空間編となります。


 ルフレとベレスを仲間にしたベル一行は、ドラキュラ城脱出のために階段を上っていった。

「大きな敵の気配を感知したわ!」

 ベルはドラキュラ城にいるボスの気配を感知した。

 この城に住むボスとはいえば……「彼」だ。

「ドラキュラ伯爵……」

 ヴァンパイアハンターが幾度となく戦ってきた偉大なる吸血鬼・ドラキュラ。

 彼を倒せば、このドラキュラ城から脱出する事ができる、とベルは信じていた。

「ドラキュラは生半可な力では倒すどころか、傷つける事も不可能よ。

 だから、ヴァンパイアハンターの力が必要なの」

 ベルは階段を上りながらドラキュラについて話す。

 しばらく歩くと、シモンのボディに宿ったアルカードのスピリッツを発見した。

「むっ! レジェンド級のスピリッツか……」

 ルカリオはアルカードからただならぬ力を感じる。

「下がっていろ、ここは私が相手する」

「いいわよ」

 そして、ルカリオは皆の前に立ち、アルカードに戦いを挑んだ。

 結果はルカリオが勝利し、スピリッツの解放に成功した。

 すると、ドラキュラ城の玉座の前に、

 闇の鎖に縛られた茶髪の男と、瞳が金色になっている女を発見した。

 この男こそ、代々ドラキュラと戦い続けてきたヴァンパイアハンター、

 リヒター・ベルモンドだ。

 女は異次元の旅人の一人である、「真祖」ミロだ。

「リヒター!」

「ミロ!」

「う……ぐぅぅぅぅっ……」

「ウオォォォォォォォォ……」

 リヒターとミロは苦しそうな表情を浮かべている。

 ミロはダーズの呪縛にかかっていなかったが、

 いつも身に着けている十字架のペンダントが外れており、吸血衝動に侵されていた。

 また、リヒターを助ければ、ドラキュラと戦う力を得る事ができる。

「二人とも、苦しそうだ。今、助ける!」

 そう言って、ベレスは天帝の剣を鞭のようにバラバラにして振り抜いた。

 リヒターを縛る闇の鎖は消え、同時にリヒターとミロが襲い掛かる。

「ウオオオオオオオオオオオオ!!」

「うああああああああああああ!!」

「……ルフレ、来る!」

「ああ。ベレス、共に信じよう!」

 ルフレとベレスは、リヒターとミロを助けるべく、共に剣を抜いて戦闘態勢を取った。

 

「ふっ!」

 ベレスは天帝の剣を鞭状にして振った。

 だが、リヒターは上手くこれをかわし、手斧を投げて反撃した。

「痛い……」

「剣で守らなかったのかい?」

「自分のいた世界に、武器の相性はない」

 ベレスが元いた世界には、剣は斧に強い、などの相性はない。

 ルフレは「へぇ」と感嘆しつつ、相手の動きを観察している。

「ベレス! 攻撃が来るよ!」

「! ……危ない!」

 ルフレとベレスは、ミロの爪攻撃をギリギリでかわした。

 リヒターが隙を突いて鞭を振るが、ベレスは鞭が届かない位置まで移動し、

 魔弓フェイルノートでリヒターを撃つ。

「ギガサンダー!」

 ルフレは魔道書を開き、雷魔法でリヒターとミロをまとめて攻撃した。

 さらに、ルフレはリヒターが近づくのを待ってからエルファイアーで足止めし、

 ベレスが魔斧アイムールを思い切り振りかざしてとどめを刺した。

「十字架が……!」

 すると、リヒターの手からぽろりと十字架が落ち、

 ルフレがそれを拾ってミロの首にかけるとミロは正気に戻った。

 

「……はぁ、一時はどうなる事かと思ったわ」

「どうやら、無事みたいだね」

「あたしがこんなので倒れるわけがないわ」

 えっへんと威張るミロ。

 彼女の身体にはほとんど傷がなかった。

 ベレスに倒されたリヒターはというと、星を出しながら気絶していた。

 しばらくすれば、元に戻るだろうと、ルフレとベレスは彼を見守った。

 

「……んっ、ここは、どこだ」

「お帰り。ここはドラキュラ城だよ」

 ようやくリヒターは正気に戻り、起き上がる。

「ドラキュラ城……そうか、俺は奴の手駒に……」

 リヒターは胸に手を置く。

 どうやら彼は、操られていた時の記憶を僅かながら覚えていたようだ。

 再び操られてしまったために、リヒターは、はぁ、と溜息をついた。

 ベルはリヒターが落ち着いたのを確認して、改めて、彼に事情を話す事にした。

 

「……というわけで、この城を脱出して、みんなと合流するのが目的なのよ」

「なるほど、仲間を探した後に巨悪を倒すのか。ならば、話は速い。俺も同行しよう」

「待って。貴方の名前は?」

「俺の名はリヒター・ベルモンド、ヴァンパイアハンターだ」

 リヒターはベレスに自身の名を名乗る。

「ベルモンド……。強そうな気がする。……自分はベレス・アイスナー。よろしく」

「ああ、よろしくな」

 新参者のベレスも静かにリヒターに名乗り、リヒターはベレスを快く迎えた。

「あっ、あたしも自己紹介するわ。あたしはミロよ」

「ミロ、よろしく」

「……ベレス、彼女からあいつの臭いを感じるぞ。気を付けた方がいい、血を吸われ……」

「ちょっと! あたしはそんな事しないわよ!」

 リヒターは人間に見えるミロを吸血鬼と見破った。

 伊達にヴァンパイアハンターをしていないようだ。

「信じていい?」

「というか信じて」

「分かった」

 

「いよいよだな……」

「どうなるのかしら」

 リヒターとミロを仲間にしたベル一行は、いよいよドラキュラがいる玉座に入る。

 ヴァンパイアハンターの血が騒ぐリヒターに、やや不安そうな表情のミロ。

 ドラキュラは強敵だ、気を抜くわけにはいかない。

「……さあ、入るわよ」

 ベルは覚悟を決めて、大きなドアを開けた。

 

 ドラキュラ城の玉座には、黒いマントを纏い、赤い模様の豪奢な服を着た男が座っていた。

 男は玉座から立ち上がり、マントを翻す。

 この男こそ、ベル達が倒すべき敵――吸血鬼・ドラキュラ伯爵だ。

「現れたな、ドラキュラ」

 リヒターはヴァンパイアキラーを構えている。

 彼とドラキュラは、何度も戦ってきた宿敵だ。

「ドラキュラは単純に力だけで勝てる相手じゃない」

「だから、軍師として、僕も君と一緒に戦うよ」

「ルフレ……」

 どうやら、ルフレもドラキュラとの戦いに協力してくれるようだ。

 頼りになる仲間に、リヒターは笑みを浮かべる。

 

「さあ、来い! ドラキュラ!!」

「私達が相手してやるわ!!」

 ミロ、ベル、リヒター、ルフレは、ドラキュラ伯爵との決戦に望んだ。

 

 ドラキュラは玉座からワープし、四人の前に立つ。

「ファイアー!」

 ルフレは魔道書を開き、炎の玉を放つ。

 ダメージは大きくなかったが、牽制はできた。

「せいっ!」

「おらおらおら!!」

 ベルは大鎌を振り回し、ドラキュラを切り裂く。

 ミロはドラキュラに接近し、爪で連続攻撃した。

 彼女は力を制御しているとはいえ吸血鬼、その身体能力は相当高い。

「いくぞ! リヒター無敵アッパー!」

 リヒターは、ドラキュラに勢いよくアッパーを繰り出す。

 だが、ドラキュラは怯まず、マントを翻すと、蝙蝠の姿に変化してベルとミロに突っ込む。

「「きゃあっ!」」

 ベルとミロは防御が間に合わず、まともに攻撃を食らってしまった。

「次に攻撃を食らったら君達は倒れるかもしれない。ここは一度下がって。僕が引きつけるから」

「あたしに下がっていろっていうの!?」

「そうじゃないよ、君達は前に出てるから結構攻撃を食らってる。

 このままだと、君達は倒れるんだよ」

 ルフレはベルとミロに助言をする。

 確かにこの二人はドラキュラの攻撃を食らってかなりのダメージを受けている。

 回復でもしない限り、無理をすれば待つのは死だ。

 ここは傷が癒えるまで待つのが賢い選択だとルフレは判断したのだが……。

 

「敵に後ろは見せないわ!」

「ダメだよ、ミロ、ベル!」

 ベルとミロはルフレの話を聞かずに、ドラキュラに突っ込んでいく。

 案の定、ドラキュラは火炎弾を放ち、ベルとミロは重傷を負ってしまった。

「きゃあああああ!!」

「でも、私は死神なのよ……!」

「ドラキュラは単純に力だけで勝てる相手じゃない、ってリヒターが言ってたよ。

 逃げるは恥だが役に立つ! 時には引く事も必要なんだよ!」

「……分かったわ」

「あんたの言う事も、信じた方がいいのね」

 ベルとミロはようやく折れて、攻撃が届かない安全な場所に行った。

 ルフレはサンダーソードを構え直し、ドラキュラの隙を突いてサンダーソードで斬りつける。

 リヒターはドラキュラの攻撃が届かない位置に潜り込んでヴァンパイアキラーで攻撃する。

 ドラキュラはワープした後、火炎弾を放つ。

 ルフレとリヒターは緊急回避で背後に回り、ドラキュラの攻撃をかわした。

「ここは身を護るのが正しい」

 ドラキュラは蝙蝠の姿に変化し、突進する。

 ルフレはジャストシールドで攻撃を防ぎ、リヒターは鞭を振ってベルとミロを攻撃から守った。

 ドラキュラはマントを広げ、炎を周囲に回転しながら放つ。

「エルファイア!」

 ルフレは一旦距離を取った後、魔道書から火炎弾を放つ。

 ベルとミロは何とか身体を動かして炎を回避し、

 ルフレとリヒターは落ち着いて攻撃をかわした。

 攻撃が終わった後、ドラキュラは再びワープする。

「次はどこに行くか……」

 ルフレはドラキュラの攻撃を予測しながら歩く。

「……そこか!」

 どうやら、ルフレの予測は的中したようだ。

 サンダーソードがドラキュラの身体を切り裂き、電撃によってさらなるダメージを与える。

「今だ、リヒター!」

「ああ! 食らえっ、ドラキュラ!!」

 リヒターはヴァンパイアキラーを、ドラキュラの頭部に勢いよく叩きつけた。

 その一撃が決まり、ドラキュラは崩れ落ちる。

 

「ふぅ……落ち着いてきたわ」

「あたしも、もう大丈夫よ。もう前に出て大丈夫?」

「ああ、大丈夫さ」

 ちょうど、ベルとミロの傷も癒えたところだ。

 二人はゆっくりと立ち上がり、再び前線に出る。

 すると、ドラキュラは両手を大きく広げ、四人の周囲に邪悪なオーラを放つ。

 ドラキュラは山羊の角、悪魔の翼、ねじれた尾と、筋骨隆々の悪魔のような姿になった。

「変身した!?」

「ああ、ドラキュラは追い詰められるとこんな姿に変身するんだ」

 ルフレは変身したドラキュラを見て、ごくりと唾をのむ。

 自身がかつてそのような姿になり、未来を滅ぼしてしまった事を思い出した。

「ドラキュラは『竜の子』って意味よ! ここからは油断大敵!」

「ぐあぁぁっ!」

 ベルがそう言った瞬間、ドラキュラが爪でリヒターを切り裂いた。

 空を引き裂くその爪は、リヒターの体力を大きく削った。

 ドラキュラは闇の玉を連続して放つ。

「この攻撃は回避しにくい、防御に専念だ!」

「ああ」

 ルフレの指示で、リヒター、ミロ、ベル、そしてルフレはシールドで防御する。

 その後にリヒターは聖水、ベルは大鎌を投げ、ミロはドラキュラの背後に回って爪で引き裂く。

 ドラキュラは力を溜めた後、両手から雷のエネルギー弾を放つ。

「きゃあ!」

「見切った!」

 ミロはまともにダメージを食らうが、リヒターはジャンプしてかわした。

 ドラキュラは連続で爪で攻撃し、ミロ達を追い詰めていく。

「負けないわよ!」

 ミロは反撃として同じく爪でドラキュラを引き裂きベルは大鎌でドラキュラを一閃する。

 ドラキュラはジャンプして間合いを取り、再び雷のエネルギー弾を放つ。

 何とかシールドで防ぐものの、威力は大きくシールドを大きく削られてしまった。

 だが、ドラキュラの体力も残り僅か。

 四人は隙を伺いつつ、ドラキュラに攻撃していく。

「見切った! トロン!」

 ルフレはドラキュラの爪攻撃をかわした後、トロンでドラキュラに大ダメージを与える。

「これでとどめだ! ドラキュラ!!」

 リヒターが勢いよく鞭を一閃すると、ドラキュラは苦しみながら爆発する。

 そして、ドラキュラの身体に十字架が現れ、十字架が消えると同時に、

 ドラキュラもまた消滅するのだった。

 

「か……勝ったわ!」

 ――こうして、深い理由など全くない、ドラキュラ城での戦いは終わった。

 少なくとも、ベルにとっては、だが。

 

 そして、ドラキュラを倒したため、玉座に白い光の渦が現れる。

 ここに飛び込めば、ドラキュラ城を脱出できる。

「さあ、みんな……戻るぞ!」

「ええ! もう、こことはおさらばね。……カービィとシャドウは、無事かしら……?」

 そう言って、ベル達は光の渦の中に飛び込んだ。

 全員が飛び込むと、光の渦は消滅するのだった。




~ベルのスピリッツ名鑑~

アルカード
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
ドラキュラ伯爵と人間の女性の間に生まれた青年。
本名アドリアン・ファーレンハイツ・ツェペシュ。
強靭な肉体を持ち、剣などの様々な武具を扱う。
また、ドラキュラ譲りの高い魔力で様々な魔術や変身能力を使いこなす。

ドラキュラ
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
本名ヴラド・ツェペシュ。享年937歳。
吸血鬼にして、全ての魔物を束ねる魔王。
冥府の番人である死神を始めとした強力な魔物を配下に置いている。


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73 ~ 謎の空間

スマブラにスティーブ参戦だと……。
インディーゲームキャラがたくさん出ていたのはこの伏線だったのか?

なお、ストーリーはカービィ編が始まりました。


 その頃、カービィ達はというと。

 

「どうでもいいけど、ボク達ここまで空気になってない?」

「確かに……こんな場所に来てからね」

 シャドウやベルと同じく、見慣れない場所に飛ばされてしまった。

 ちなみに、今喋っているのは、ここまで出番がなかったバンジョーとカズーイである。

「ごめんごめん、すっかり忘れてた。でも、みんないなくなっちゃったね……」

 今、カービィと一緒にいるスマブラメンバーは、ピカチュウ、シーク、アイスクライマー、

 ウォッチ、ドクター、ロート、ピット、スネーク、ロックマン、パックマン、

 ソレイユ、リュンヌ、シモン、バンジョーとカズーイ、ジュカイン、アイシャ、

 柊蓮司の17+1人だ。

「これからどうしよう……」

 みんなとはぐれてしまい、帰るような道もない。

 カービィが途方に暮れていると、アイシャが彼をひょいっと持ち上げた。

「どうしました、カービィさん? いつもの元気がありませんね」

「わわっ、何するのアイシャちゃん!」

「カービィさんはどんな時も明るく元気なはずです。

 なのに、こんなに落ち込むなんて、カービィさんらしくありませんよ」

 確かに、今のカービィは落ち込んでいる。

 そんなのは彼らしくないだろうと、アイシャが気遣ってくれたのだ。

 カービィは少し迷うが、アイシャの好意に答えないわけにはいかないと、素直に微笑んだ。

「……そうだよね。元気じゃないとね。ありがとう、アイシャちゃん。よーし! 頑張るぞー!」

 ぶんぶんと小さな腕を振るカービィ。

 いつもの彼に戻ったアイシャは、安心して微笑むのだった。

 

「じゃ、脱出方法を考えよう」

「そうだな。……っと、ちょっと待て」

 先に進もうとするとダークリンクのボディに宿ったタートナックのスピリッツがいた。

「傀儡となったスピリッツだな。私が解放しよう」

 タートナックをシモンが解放すると、分厚く覆っていた暗黒の雲が晴れた。

 岩の床が宙に浮いており、奥には町や森があり、罅割れて先に進めないところもある。

 簡単に言えば……「カオス」だ。

「……何、これ」

「どんな場所なんだよ……」

 カービィはあまりのカオスさにぽかんとする。

 アイスクライマー、パックマン、ジュカインも頭に?マークを浮かべていた。

 さらに、罅割れた場所にはクレイジーハンドと鎖で縛られた赤い帽子の男もいた。

 最近スマブラメンバーになったばかりの、テリー・ボガードだ。

「テ、テリくん!」

「彼も被害者になるとはな……」

 同じ異世界の住人であるシモンが冷静に言う。

「た、助けてよ!」

「もちろんそのつもりだ。だが、落ち着け。慌てたら相手の思う壺だ」

「そ、そ、そうだね、シモ兄……」

 シモンに言われたカービィは逸る気持ちを抑えた。

「とはいえ、こんな不思議な空間は、さっさと脱出しなくちゃな」

 カービィ一行が北東に向かって走ると、

 ロックマンのボディに宿るアクセルのスピリッツを発見した。

 ジュカインが楽々解放した後、一行は色とりどりのキューブを見ながら足場を歩いていく。

「綺麗だね」

「そうね」

 アイスクライマーがキューブを見てそう言う。

 しかし、不気味な空間にぽつんとあるキューブが、逆により一層不気味な空間にしていた。

 そして、橋を渡ろうとした一行は、クレイジーハンドと闇の呪縛を受けたテリーと対峙する。

「頼むぞ、ブレイズ」

 ロートは、リザードンのブレイズが入ったモンスターボールを持っている。

 クレイジーハンドとテリーには、ロート、スネーク、ジュカイン、アイシャ、柊蓮司、

 バンジョーとカズーイの四人と一匹と一頭と一羽が挑む。

「強そう……でも、諦めないよ、カズーイ」

「あったりまえよ! あたいとバンジョーの絆はとっても強いのよ!」

「今、助けますわ、テリーさん!」

「おっし! 俺もやるぜ!」

 アイシャは懐から包丁を抜き、柊蓮司は魔剣を構える。

「さあ、いくぞっ!!」

 スネークの掛け声と共に、戦闘が始まった。

 

「それっ!」

「やあっ!」

 バンジョーとカズーイはクレイジーハンドとテリーを同時に攻撃する。

 ジュカインはいあいぎりを放つが、クレイジーハンドとテリーには当たらなかった。

「うわっとと!」

 柊蓮司は躓いてしまい、魔剣が上手く振り下ろせなかった。

「ブレイズ、かえんほうしゃ!」

「リザァァァァァ!」

「こっちですわ!」

 ブレイズはロートの指示で、口から火炎を放つ。

 アイシャは様子を見つつ、味方を援護する。

「そこだ!」

 スネークはアイシャの援護を受け、クレイジーハンドにギリギリで狙撃銃を当てた。

 アイシャはクレイジーハンドとテリーの攻撃をギリギリでかわし、包丁で反撃する。

 

「……バーンナックル」

「危ないですわ!」

「わわっとと!」

 テリーは炎を纏った拳を振り、バンジョーとカズーイに突っ込んでいく。

 アイシャのおかげで、バンジョーとカズーイは何とか攻撃をかわす事に成功した。

「生命の刃!」

「ギャアアアアアアアアアアア!!」

 柊蓮司は生命力を注ぎ込んだ魔剣を何とかクレイジーハンドに当てる。

 その一撃が効いたのか、クレイジーハンドは叫び声を上げる。

「いくわよ!」

 カズーイは口から卵爆弾を放ち、クレイジーハンドに追撃する。

「エナジーボール!」

「ブレイズ、いわくだき!」

「リザァァァァァッ!」

 ジュカインはエネルギー弾を放射状に放ち、

 クレイジーハンドの体力をそこそこ、テリーの体力を少し減らす。

 ブレイズもテリーをいわくだきで殴りつける。

「身支度を! ……きゃぁぁっ!」

 アイシャは手早く身支度を手伝い、味方全員の攻撃へ対する回避率を一時的に向上させる。

 だが、アイシャ本人の回避力が下がったため、クレイジーハンドの攻撃を受けてしまった。

 

「なんて強さだ……」

「俺の攻撃も、なかなか当たらなかったぞ」

 ロートとスネークは、クレイジーハンドとテリーの強さに唖然とした。

 闇の呪縛を受けたとはいえ、この強さなのだから。

「カズーイ……これ、負ける気がしない?」

「馬鹿! 何言ってるのよ! あたいとバンジョーが負けるわけないでしょ!」

 弱気になるバンジョーを叱咤激励するカズーイ。

「そうだよね、カズーイ……うん、負けないぞ!」

 元気を取り戻したバンジョーは、クレイジーハンドに突っ込んでいく。

 ジュカインとテリーは互いの攻撃をかわす。

「これで、どうですの?」

 アイシャはボム兵をクレイジーハンドに投げる。

 ボム兵は大爆発し、テリーにも僅かなダメージを与えた。

「いくぞっ! なぎ払い!」

 柊蓮司は魔剣を薙ぎ払い、クレイジーハンドを切り裂いた。

 その一撃により、クレイジーハンドは倒れ、無防備になった。

「このまま決めるぞ!」

 柊蓮司は魔剣を連続で振ってクレイジーハンドを攻撃する。

「シザークロス!」

 ジュカインはテリーを十字に切り裂いて怯ませる。

 バンジョーとカズーイはクレイジーハンドに突っ込んで連続攻撃した。

「ブレイズ、フレアドライブ!」

「リザァァッ!」

 ブレイズは炎を纏った突進で、クレイジーハンドに大ダメージを与える。

 アイシャは身を守り、相手の出方を伺った。

「はっ!」

 スネークは麻酔銃を取り出し、テリーを撃ち、彼を無力化する事に成功した。

 

「後はクレイジーハンドだけだが……」

 テリーを無力化したため、残る敵はクレイジーハンドのみ。

 だがクレイジーハンドは攻撃の手を緩めない。

「グギャァァァァァァァァァァァ!!」

「ぐわぁぁぁっ!」

「きゃぁぁぁっ!」

 クレイジーハンドは大暴れして、全員に大ダメージを与える。

 六人はダメージが蓄積し、ふらふらしていた。

 だが、これがクレイジーハンドの最後の足掻きなのか、これ以上強力な攻撃はしなくなった。

「このまま一気に決めるぞ!」

「ああ!」

 柊蓮司は魔剣から衝撃波を飛ばし、ブレイズはかえんほうしゃ、

 バンジョーとカズーイはワンダーウィングで攻撃する。

「殺菌消毒ですわ!」

 アイシャは調理器具を大量に取り出し、クレイジーハンドに連続で投げつける。

「ブレイズ、フレアドライブ!」

「ギャアアアアアアアアアアアアアア!!」

 何度も攻撃を食らったクレイジーハンドに、ブレイズがフレアドライブで突っ込んでいった。

 そして、今の一撃でとどめを刺されたクレイジーハンドは爆発四散するのだった。

 

「う、う~ん……ここは、どこだ?」

 ダーズの呪縛から解放されたテリーは、瞬きしながら起き上がる。

 彼の眼は、元の青色に戻っていた。

「ジツハ、カクカクシカジカデス」

 ウォッチは、これまでの事情をテリーに話した。

「ああ、大体分かったぜ。要するに、みんながバラバラになったから、合流したいんだろ?」

「ソウデスネ。

 コノニンズウデハ、チョットココロボソイノデ、アナタモイッショニイキマショウ」

「ああ、そのつもりだ。おっと、自己紹介を忘れてたな。俺はテリー・ボガード、よろしくな!」

「ヨロシクオネガイシマス」

 ウォッチとテリーは、お互いに握手した。

 こうして、伝説の狼、テリー・ボガードが仲間に加わるのであった。




~ベルのスピリッツ名鑑~

タートナック
出身世界:ハイラル
性別:不明
鎧を着て剣と盾で武装したモンスター。
盾によるガードは堅く、剣術や足蹴りなどで攻撃をしてくる。
その剣術はかなりの腕前で、その辺の雑魚とは一線を画する。

アクセル
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性型
いつ、誰が、何のために作り出したのか不明。
自警団に拾われたが仲間がイレギュラーになり、イレギュラーハンターになる事を決意した。


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74 ~ 星を見るもの

明日、スティーブ配信だそうです。
今のうちに実況動画を見て予習でもしておこうかな。


 クレイジーハンドを倒し、テリーを仲間にしたカービィ一行は、

 謎の空間を脱出するために歩いていた。

 テリーはマーシャルアーツの使い手なので、リュウやケンと仲良くなれそうだ。

 ねじり曲がる道を歩くと、パンドーラのスピリッツを発見。

 ドクターがパンドーラを解放すると、分厚い黒い雲が晴れて道が見える。

 そこから西に進んでいくと、ピンクのハリネズミの少女を発見した。

 大きな耳を持つ白い犬のように可愛らしい。

 年齢は、藤林の姓を持つ幼いくノ一と大した違いはないだろう。

 何かと目が行き届かない三姉妹の末っ子のような感じかもしれない。

「あら、あなたは?」

「私はエミー・ローズ。ソニックを知らない?」

「知りませんわ」

 少女は名前を名乗った後、アイシャにソニックの行方を問う。

 だが、当然彼女は行方を知らず、首を横に振る。

「ふーん、そうなんだ。じゃ、あなたについていっていい?」

「え!? いいんですの!?」

 戦わずにエミーが仲間になるのは、驚きだ。

 逆に言えば、エミーにかけられた呪縛が完全ではないという証なのだが。

「か、構いませんわよ、エミーさん。

 一緒についていくならば、きっと、ソニックさんも見つかりますわ」

「よし! 決定ね!」

 エミーはソニックを追いかけるため、自分から仲間になった。

 

『ソニック、どこにいるのかしら。っていうか、ちょっと不思議じゃない?』

 エミーは興味津々そうに謎の空間を歩いていた。

 あくまで同行者なので一緒に戦えないが、アイシャは微笑みながらエミーの手を引いていた。

 床には水色と白のキューブが描かれていて、空中にはたくさんの図形が浮かんでいる。

 さらに先に進むと、4つに分かれた道と、サイケデリックな風景が見えた。

 4つの道には全てスピリッツがいたが、

 カービィ一行は左から二番目のカエル&ヘビのスピリッツに挑んだ。

 スピリッツを解放した後、分厚い雲が晴れ、新たな道が見える。

 一行が歩いていくと、闇の鎖に縛られた緑のドレスの女性と、

 ロックマンとよく似たスピリッツがいた。

 前者はロゼッタとチコ、後者はロックマン.EXEだ。

「ロゼ姉……」

 カービィは苦しそうな表情のロゼッタを見て、同じように悲しい表情になる。

「今、助けるよ!」

『私もやるわ!』

「お待ちください、あなたはスピリッツでしょう? 無茶はなさらない方がいいですわ」

『えー、どうして!? 一緒に戦いたいのに! ほら、ピコハンで……あれ!?』

 エミーが戦おうとすると、アイシャが止める。

 彼女は食い下がり、ピコハンをロゼッタに振り下ろすが、ピコハンはすり抜けた。

「……言ったでしょう? スピリッツは、それだけでは戦う力を持ちませんわよ。

 エミーさんは大人しく下がってください」

『分かったわよ……』

 そう言って、エミーは後方に行った。

「ロゼッタサン、イマ、ワタシタチガタスケマスカラネ!」

「だから、目を覚まして!」

 カービィがハンマーを振り回し、ロゼッタとチコの闇の鎖を砕く。

 赤い瞳を光らせて襲い掛かるロゼッタとチコを、カービィ、アイスクライマー、ウォッチ、

 バンジョーとカズーイ、テリー、柊蓮司が迎え撃つ。

 

「Are you Ready?」

「Let's Party!」

 

「せいっ!」

「やあっ!」

 バンジョーとカズーイはそれぞれロゼッタとロックマン.EXEに体当たりで攻撃する。

「サイコキネシス!」

「うっ!」

 柊蓮司は念動力を操り、ロックマン.EXEを撃つ。

 カービィは落ちていたボム兵を拾って投げた。

「えい! えい! えい!」

「サイコバリア」

 ポポとナナはロゼッタをハンマーで連続で殴る。

 ロゼッタは超能力でバリアを張り、ポポとナナの攻撃を軽減した。

「イキマスヨ!」

 ウォッチは高く飛び上がった後、鍵を持ってロゼッタ目掛けて突き刺した。

「ライジングタックル!」

「……」

 ロゼッタはテリーのタックル攻撃をギリギリでかわし、バンジョーにチコをぶつける。

 続けてロゼッタはチコを操り、テリーに襲わせた。

「うおっ!」

 柊蓮司はロックマン.EXEの攻撃をかわし、魔剣で反撃。

 カービィの短い手足での攻撃は、ロックマン.EXEには当たらなかった。

「「アイスショット!」」

 アイスクライマーはハンマーから氷を出し、ロゼッタを遠距離から攻撃する。

「それっ!」

 バンジョーはすぐにロゼッタを投げようとするが、ロゼッタは緊急回避で回り込む。

「うわぁ!」

「いやぁっ!」

 ロックマン.EXEはカービィ、アイスクライマー、柊蓮司を

 バトルチップ・ワイドソードで切り裂いた。

 テリーはその隙にロックマン.EXEに近付き、素早く投げ飛ばしパワーダンクで追撃した。

「ちこしゅ~と!」

 カービィはロゼッタを吸い込んでコピーし、チコシュートでロゼッタを攻撃した。

「ワイルドアッパー!」

「グリーンハウスデス」

 テリーがアッパーカットでロゼッタを浮かせ、ウォッチがグリーンハウスで追撃する。

 そしてカービィはハンマーにパワーを溜める。

「鬼殺し火炎ハンマー!!」

「ウアアアアアアアアアア!!」

 炎を纏ったハンマーがロゼッタに命中すると、ロゼッタは場外に吹っ飛んでいった。

 同時に、ロックマン.EXEも光となって消え、スピリッツはどこかに飛んでいった。

 

「ここはどこだ? 私は一体、何をしていたんだ」

「ピィィ……」

「あ、ロゼ姉もチコチコも覚えてないんだね」

 ロゼッタとチコは、カービィ達の活躍によりダーズの呪縛から解放され、正気に戻った。

 他のスマブラメンバー同様、ダーズに操られていた時の記憶はなかった。

「でも、ロゼ姉はもう大丈夫だよ」

「あなたの身体は自由になりましたからね」

 もうロゼッタの母体は生成されなくなった。

 ロゼッタは手足を動かす。

 自由になった事を証明する、滑らかな動きだ。

「本当だ、自由になっている。私を助けてくれて、ありがとう」

「ピィ♪」

 ロゼッタとチコはカービィ達にお礼を言う。

 すると、カービィの背後からひょっこりとエミーのスピリッツが出てきた。

『あら、もしかしてあなた、お姫様?』

「あ、ああ、そうだが……」

『すっごい綺麗! 初めて会った気がしない!』

 エミーがロゼッタを見て目をキラキラ光らせる。

 実はこの二人は、かつて国際的なスポーツ大会で出会った事があるのだ。

「ところで、君の名前を教えてくれないか」

『私、エミー・ローズ。ソニックに会うためにしばらく同行しているの』

「私はロゼッタだ。こっちは星の子のチコ」

『よろしくね!』

「ああ、よろしく」

「ピィピィ!」

「……あのー」

 エミーとロゼッタが互いに自己紹介をしたところでカービィが困り顔で手を挙げる。

「どうしたの?」

「僕の事、忘れてない?」

「『あ』」

 

 ――何はともあれ、無事にロゼッタをダーズの魔の手から解放したカービィ一行。

 しかし、この闇の世界での冒険は、まだまだ続く。




~ベルのスピリッツ名鑑~

パンドーラ
出身世界:天空界
性別:女性
災いが詰まった箱を持った最初の女の名を冠する。
火の玉に顔がついた不気味な姿をしていたが、巻き戻しの泉の力で元の肉体を取り戻した。

エミー・ローズ
出身世界:こことは異なる世界
性別:女性
ソニックに片思いしているハリネズミの少女。
活発な性格で正義感が強く、時にとんでもない行動力を見せる事も。
持っているピコハンは、護身用とは思えないほどの威力。
ちなみに12歳で、好物はソフトクリーム。

カエル&ヘビ
出身世界:どこかの小世界
性別:不明
サブレ王国の王子が変身する二匹の動物。

ロックマン.EXE
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性型
小学生の少年、光熱斗(ひかりねっと)のネットナビ。
幼い頃に心臓病で亡くなった熱斗の双子の兄、光彩斗(ひかりさいと)の遺伝子が使われている。
そのため、オペレーターとナビの心が一つになったフルシンクロの成功率が非常に高い。


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75 ~ クイズに答えてちょーだい!

カービィ編です。
クイズについては、いない仲間の事も考慮しました。


 ロゼッタを仲間にしたカービィ一行は、謎の空間を歩き回っていた。

「ついてこい」

 どこが北でどこが南なのか分からないため、超能力が使えるロゼッタが案内役になった。

 一行は一番右の道にいるビンス先生のスピリッツを解放し、ワープポイントへと到達した。

「ここに飛び込めばいいんだね」

「ああ」

 

 ワープポイントに飛び込むと、そこはよく分からない風景が広がっていた。

 宇宙空間が真っ直ぐになっていたり、水晶が地面にたくさんあったりと、とてもカオスだった。

「酔っちゃうよぉ」

「心配するな、私とチコがいる」

「ピピィ」

「ありがとう、ロゼ姉」

 ロゼッタとチコがカービィを元気づける。

 ふと、テリーは三叉路の中央に白い煙を発見した。

「みんな、向こうに白い煙があるぞ」

「なんだなんだ?」

 シモンが白い煙を踏むと、突然、三叉路の先に三体のスピリッツが現れた。

 そして、空間に白い文字で文章が浮かび上がる。

【この中で、空中に浮くことができるスピリットはどれ?】

「え~っと……」

 左には紫ピクミン、上には黄ピクミン、右には羽ピクミンのスピリッツがいた。

 オリマーがいないので最初は迷ったが、空中に浮く、という文章ですぐに答えが分かった。

「こっちだね!」

 カービィ達は右にいる羽ピクミンのスピリッツに挑み、勝利した。

 すると、ピロン、という音が鳴り、カービィ達の前に光の道ができた。

「正解すると光の道ができるようだな」

「よ~し、どんどん答えるぞ~!」

 カービィはやる気満々で光の道を進み、一行も彼の後に続いていく。

 こうやってクイズに正解すれば、謎の空間から脱出できるかもしれない。

 そんな思いを抱きながら、一行は光の道を通り、謎の空間を進んでいった。

 

「OK!!」

 テリーがプーを解放した後、一行は西へ進む。

 すると、先程とは打って変わって草原に辿り着く。

「岩の次は草原みたいね」

「謎だねー。謎だねー」

 子供らしく、アイスクライマーは無邪気に感想を言った。

 ある程度進むと道が左右に分かれていたが、一行は右の道を進み、暗い森に着く。

 そこにある白い煙を踏むと、再び空中に白い文字で文章が浮かび上がる。

【普段は家具を売っているスピリットはどっち?】

 左にはつねきち、右にはマルヒゲ屋店長がいた。

 よく分からないため、アイシャはじっくり考えた。

 しばらくすると、アイシャはピン、と閃く。

「右は玩具を売っておりますわ。というわけで、消去法で左ですわね」

 カービィ達はアイシャを信じ、左のつねきちのスピリッツを解放した。

 すると、正解を表す音と共に、空中に螺旋状に光の道が現れた。

 光の道に乗って天へ昇っていくと、東に闇の鎖で縛られた機械がいた。

「リ、リィリィ!」

 ファミリーコンピュータロボットこと、リィン。

 かつてのエインシャント卿であった彼女は今、ダーズに母体を支配されている。

「くそっ……何故こんな目に……!」

 シークは歯ぎしりを立て、拳を握り締める。

 テリーは鋭い目でリィンを見ていた。

「なんだか苦しそうだよ、リィリィ。助けようよ、テリ兄」

 闇に支配されたリィンは、どこか苦しそうだ。

 このまま放っておくわけにはいかない。

「……ああ、分かっている」

 テリーは拳を突きつけ、リィンを縛る鎖を砕く。

 闇から解放されたリィンは、赤い瞳を光らせ、

 二体のロボットと四体のミニロボットを召喚する。

「来るぞ!」

「リィン、君は必ず、僕達が助ける!」

「さあ、トルトゥ! 今度はお前の出番だぞ!」

「ゼニー!」

 ロートはモンスターボールからゼニガメのトルトゥを呼び出した。

 シーク、テリー、スネーク、パックマン、ロート、リュンヌの六人は、

 ダーズに操られたリィンと戦った。

 

「うおっとと!」

 ミニロボットはテリーにまとわりついて攻撃する。

「テリーさん、怪我してはいけませんわ!」

「サンキュ!」

 アイシャが後方から光を飛ばし、テリーが負った傷を癒した。

 シークとスネークはミニロボットの攻撃をかわし、背後に回り込んで投げ飛ばす。

「……」

「うわっつ!」

 リィンは腕を振り回してテリーを攻撃する。

 テリーはリィンに反撃しようとするが、ロボットがリィンを庇った。

「えいっ!」

 ロボットはパックマンが投げたフルーツターゲットをかわす。

 リュンヌはヨガを駆使してミニロボットを攻撃し、

 シークは背後に忍び寄り手刀でロボットを攻撃した。

「ふんぬぬっ!」

「トルトゥ、みずでっぽう!」

「ゼニー!」

 スネークはミニロボットを格闘技で攻撃し、トルトゥがみずでっぽうでとどめを刺した。

「……」

「ゼニ!」

「ボクはここだヨ!」

 ロボットはトルトゥに鋭い刺突で反撃する。

 パックマンはロボットの攻撃をかわした後、消火栓を設置し行動を制限する。

「見切った!」

 シークはリィンの攻撃を見切り仕込針で反撃した。

 スネークはリィンを狙撃銃で狙撃する。

「いっくヨー!」

 消火栓でミニロボットが押し出されている間に、パックマンはミニロボットを吹っ飛ばす。

「うわあっ!」

 二体のロボットはリュンヌに突っ込んで攻撃する。

 リュンヌは太陽礼拝による光を飛ばし、リィンを勢いよく吹っ飛ばした。

「パワーウェイブ!」

「……いくぞ」

 テリーは地面を殴って衝撃波を飛ばし、ロボットを倒した。

 シークはリィンの背後に回り、鋭い手刀による一撃を放つ。

「トルトゥ、休んでくれ」

 ロートはトルトゥの様子を見て、これ以上の戦闘は危険だと判断。

 彼をボールの中に戻し、次のボールを出す。

「いけっ、フィオーレ!」

 ロートはボールの中からフシギソウのフィオーレを取り出す。

「バーンナックル!」

「ふっ、ふっ」

 テリーは青い炎を纏った拳で、ロボットを吹っ飛ばす。

 リュンヌは腹式呼吸で自分の体力を回復した。

 スネークは格闘技によって、ロボットを砕く。

「テリー、リュンヌ、攻撃が来るぞ」

「おっとと、危ない危ない」

「ありがとうございますっ」

 ロゼッタの助言で、テリーとリュンヌはロボットの攻撃をかわす。

「パワーダンク!」

 テリーは飛びかかってミニロボットをパンチで攻撃し、破壊した。

 リィンはフィオーレにジャイロを飛ばす。

「フィオーレ、つるのムチ!」

「フッシー!」

 フィオーレは蔓を伸ばし、ジャイロを掴み、逆にリィンに向かって飛ばす。

 身動きが取れなくなったリィンに、パックマンが突っ込んでいく。

「とどめだよ!!」

「……!!」

 そして、パックマンのとどめの一撃がリィンに命中し、リィンは吹っ飛ばされた。

 

「……ここは、一体、どこでしょうか。ボクは何をしていたのでしょう」

「あ、元に戻ったんだネ、リィン」

「皆様にご迷惑をおかけして、申し訳ありません」

 シーク達の活躍で、リィンは正気に戻った。

 リィンは人間の姿になった後、謝る。

「過ぎた事は悔やむな。お前はお前だ」

「ありがとうございます、スネークさん」

 第一次亜空軍異変で共に戦ったスネークが、落ち込むリィンを慰める。

 彼女はかつて、エインシャント卿として不本意ながらタブーに仕えていた経緯があるのだ。

「ん? あんた、見た事がない顔だな。誰だ?」

「貴方は新参者でしたね……。ボクの名前はリィン。

 かつてはエインシャント卿だった、マスターロボットです」

 リィンは初めて見るファイターに自己紹介をする。

「ボク? という事は、男か?」

「いえ、ボク自身は自分を女性だと思っています」

「ほ、ほえー」

 ロボット的には無性別ですけどね……と呟く。

「あ、俺も自己紹介を忘れてた。俺はテリー・ボガードだ、よろしくな」

「よろしくお願いいたします」

 テリーとリィンは、互いに自己紹介をした。

 種族は違ったが、すぐに仲良くなれた。

 

「デハ、モドリマショウ」

 リィンが人間からロボットの姿に戻った後、

 カービィ一行は光の道を降りて次の仲間を探しに行った。

 西に行き、白い煙を踏むと、三つのスピリッツが現れて空中に文字が浮かび上がった。

【“ノポン族”のスピリットはどれ?】

 左にはイエロースター、中央にはトラ、右にはナゴのスピリッツがいた。

「ノポンって……何?」

 どんなものなのか分からず、ぽかーんとしているカービィ。

 リィンはしばらく唸った後、手を叩く。

「シュルクサンカラキイタコトガアリマス。

 ノポンゾクトイウノハ、マルクテカワイイシュゾクナンデス」

「ありがとう、リィ(ねえ)。シュルシュルの世界にいるのが正解なんだね」

「ドウイタシマシテ、カービィサン」

 カービィ達は中央にいる、トラのスピリッツと戦った。

 すると、正解を表す音と共に、向こう岸に光の道ができた。

 一行は光の道を通り、歩道橋と道路を通る。

 左側に桜が見える分岐地点には白い煙があり、それを踏むと空中に文字が浮かび上がった。

【“影の世界の王”はどのスピリット?】

 スピリッツは左から、アグニム、ガノンドロフ(トワイライトプリンセス)、

 ザント、ギラヒムだった。

「……分からないな」

「消去法で考えると、アグニムとギラヒムは外れ、

 残っているのは二人だが……ガノンドロフは魔王だから、答えはザントだな」

「ザントだね! ありがとう!」

 今度はロゼッタが答えを出してくれたため、カービィはザントのスピリッツと戦った。

 この問題にも正解し、中央に螺旋状の光の道ができた。

 そして、光の道を通って東に行くと、

 舌をマフラーのように巻いた忍者のような蛙のポケモンが闇の鎖に縛られていた。

 しのびポケモンのゲッコウガだ。

「おい、大丈夫かよ、ゲッコウガ!」

 ジュカインはゲッコウガに声をかけるが、もちろん、反応しなかった。

「この調子で大丈夫なはずがないだろう……。どいてくれないか」

「嫌だ!」

「……そうか。ならば闇の鎖を切れ」

「ああ、分かってるさ!」

 そう言って、ジュカインはゲッコウガを縛っている闇の鎖を切り裂いた。

 すると、ゲッコウガがいきなり襲い掛かってきて、ジュカインを吹っ飛ばした。

「オレが分からないのか!?」

「落ち着け、ジュカイン。彼は操られているんだ」

 何とかジュカインは体勢を整え直すが、ゲッコウガの豹変にジュカインは驚いた。

 ピカチュウは何とかジュカインを落ち着かせる。

「貴様ラニソンナ玩具ハ必要ナイ」

 ゲッコウガはかげぶんしんを使い、自身の分身を大量に作り出した。

「それっ! ……分身!? うわぁ!」

 ピットはゲッコウガに会心の一撃を放つが、それはゲッコウガの分身であった。

 分身に気を取られている隙に、ピットはゲッコウガのみずしゅりけんを受ける。

「リーフブレード!」

「当タラン」

「残念、フェイントなのさ! 今だ、ピカチュウ!」

 ジュカインのリーフブレードも、ゲッコウガには当たらなかった。

 だが、それはフェイントであった。

「いくぞ! 10まんボルト!!」

 ピカチュウが周囲に強烈な電撃を放った。

 でんきタイプに弱いゲッコウガは大ダメージを受け遠くに吹っ飛ばされるが、

 ハイドロポンプで復帰する。

「そこか!」

「タネマシンガン!」

 ピットとジュカインは復帰したゲッコウガを飛び道具で牽制する。

 その隙にピカチュウはでんげきでゲッコウガを痺れさせる。

「いい加減、目を覚ませ!!」

 そして、ジュカインのリーフストームがゲッコウガに命中し、場外に吹っ飛んだ。

 

「……俺とした事が、こんな失態を犯すとはな。皆の者、すまなかった」

「慌てるな。必ず勝機は来る」

 ダーズの呪縛から解放され、正気に戻ったゲッコウガは、

 ピカチュウ、ジュカイン、ピットに謝った。

「まずはここから脱出して、その後の事は後で考えればいい。今は合流が先だ」

「……そうだな」

 

 ゲッコウガを仲間にしたカービィ一行は、彼を先頭にして道を歩いていった。

 忍び歩きで進むゲッコウガを見たカービィは「かっこいい~」と呟いていた。

 そして三又の道にある白い煙を踏むと、空中に文字が浮かび上がった。

【この中で、科学者はどのスピリット?】

 左にはアダム・マルコビッチ、中央にはゴールド・ボーン、右にはDr.アンドルフがいた。

「え~っと……」

 カービィがう~んと唸っていると、ゲッコウガが迷わず右側に目を光らせる。

「コウガ君、分かったの?」

「左は軍人、中央は宇宙盗賊のボス。よって、正解は右のDr.アンドルフだ」

「すっご~い、コウガ兄!」

「ふっ」

 ゲッコウガは粘膜で苦無を作り出し、

 ガノンドロフのボディに宿ったDr.アンドルフに戦いを挑んだ。

 結果は圧勝であり、さらに正解の音が鳴って光の道が出来上がった。

 その光の道は飛行機に続いており、

 飛行機の上には闇の鎖に縛られたファイターとスピリッツの姿まであった。

 ダーズの呪縛を受けたファイターの名は、ウルフ・オドネル――スターウルフのリーダーだ。

 彼の隣には、青い狐の少女、クリスタルもいる。

「だ、大丈夫?」

「……来ないで!!」

 カービィがクリスタルを連れ戻そうとすると、クリスタルは杖を構え、いきなり冷気を放った。

「何するの!」

「身体が勝手に動いちゃうの。私に近付かないで」

「何言ってるの、君は仲間だよ!」

「カービィサン、オチツイテクダサイ。

 ウルフサンモクリスタルサンモ、ダーズニアヤツラレテイルノデス。

 マズハ、ウルフサンノボタイヲカイホウシマショウ」

 そう言って、リィンは腕を振り、ウルフを闇の鎖から解放した。

 ウルフは赤く光る右目で、カービィとリィンを睨みつける。

「グルルルルルルル……」

「お願いよ、助けて!」

「もっちろん! 待っててね、狼おじちゃん、狐お姉ちゃん!」

「……私は狐お姉ちゃんじゃなくて、クリスタルっていう名前があるんだけど」

 カービィとリィンは、ダーズに操られたウルフとクリスタルを解放するため、戦った。

 

「えいっ!」

「グゥゥ……」

 カービィは歩いていたボム兵をウルフに投げる。

 ボム兵の爆発でウルフは吹っ飛ばされ、さらにリィンがジャイロを投げて追撃した。

「あなた達の攻撃は、私には届かないわ」

 クリスタルは超能力によってカービィとリィンの行動を予測した。

 彼女はカービィとリィンの行動を読んで、ウルフに対し傷を癒す魔法を使った。

「カイフクサレマシタカ……」

「じゃあ、クリ姉から先に倒そう!」

 カービィは短い手足でクリスタルに攻撃する。

「凍りなさい」

「グルオォォォォォォォ!」

「うわぁ!」

 クリスタルは杖から冷気を放ち、カービィの足を凍らせて足止めした。

 ウルフの爪が一閃し、ダメージを受ける。

「カービィサン、ボクガタスケマス!」

 リィンはカービィの足元目掛けてビームを放ち、カービィの足を覆っていた氷を解かす。

「ありがとう、リィリィ!」

「きゃっ!」

 カービィはクリスタルに突っ込んでいき、ハンマーで吹っ飛ばした。

 クリスタルはジャンプで復帰し、再び超能力でカービィとリィンの動きを予測する。

「ウルフ、攻撃がこっちに来るわ」

「グルルルルルル」

「かわされた!」

 クリスタルの未来視により、ウルフはあっさりと攻撃をかわした。

「この攻撃も見切……きゃあ!?」

 しかし、クリスタルはリィンの攻撃までは予知できなかった。

 彼女が放ったレーザーが命中すると、クリスタルは場外に吹っ飛ばされた。

 

「よし、やっつけた!」

「ユダンハキンモツデスヨ」

 クリスタルは倒したが、まだウルフが残っている。

 カービィとリィンは警戒しながら、ウルフの出方を伺った。

「あ~ん、当たらないよ~!」

「ウワッ!」

 必死でウルフに攻撃するカービィだが、ウルフは何度も攻撃をかわしている。

 さらに、ウルフフラッシュがリィンに命中し、リィンは浅くない傷を負ってしまう。

 何とか勝つために、カービィはウルフを吸い込んでコピーし、

 一時的にクローブラスターを覚えた。

「くろーぶらすたー!」

 カービィはブラスターを呼び出しウルフに当てる。

 攻撃はギリギリで命中し、ウルフも同じくクローブラスターで反撃する。

 しかし、その反撃もそこまでだ。

「トドメデス!」

「グアアアアアアアアアアアアア!!」

 そして、リィンが勢いよく腕を振り下ろすと、ウルフは勢いよく吹っ飛ばされるのだった。

 

「……これで大丈夫ですわ。ウルフさん、どうかお目覚めください」

 アイシャは超能力でウルフが負った傷を癒した。

 しばらくすると、ウルフは起き上がる。

 ダーズの呪縛によって赤く染まった眼は、元通りになっていた。

「俺は一体、何をしていたんだ……」

「ダーズに操られた時の記憶がないみたいですわね」

「何っ、操られた……だと!?」

 ダーズの呪縛から逃れられなかったウルフが、悔しさのあまり拳を握る。

 ファルコンは彼の感情を、薄々ながら感じ取る。

「くそっ、この俺様が操られるのは、屈辱だ! ファルコン、この屈辱を晴らしてくれ!!」

「……」

「つまり、承諾するんだな。……ダーズめ、必ず俺が倒す! 覚悟するんだな!!」

 ファルコンはウルフの敵討ちを黙って承諾した。

 こうして、スターウルフのリーダー、ウルフ・オドネルが同行するのだった。




~ベルのスピリッツ名鑑~

ビンス先生
出身世界:とある小世界
性別:男性
絵心教室でレッスンをしてくれる先生。
紫の帽子と、白い髭が特徴的。

プー
出身世界:アースボーンド
性別:男性
チョンモ国のランマ宮殿に住む王子。
ムの修行を終えた後、ネス達の仲間になる。
変身能力を持っており、見たものそっくりに姿を変える事ができる。
能力は高いが、好き嫌いが激しいのが玉に瑕。

紫ピクミン
出身世界:とある星
性別:不明
やや横に広い身体が特徴の紫色のピクミン。
力が強く、重いものを軽々と運ぶ事ができる。

黄ピクミン
出身世界:とある星
性別:不明
尖った耳のような部位が特徴の黄色のピクミン。
電気に強く、強烈な電気攻撃を防ぐ事ができる。

羽ピクミン
出身世界:とある星
性別:不明
ミツバチのような羽が生えている桃色のピクミン。
見た目通り、空を飛ぶ能力を持っている。

つねきち
出身世界:どうぶつの森
性別:男性
高級家具店「イナリ家具」の店長で、どこか胡散臭い雰囲気を漂わせている狐。
家具の他にも、名画などの美術品も売っている。
ただし、売っている美術品には偽物もある。

マルヒゲ屋店長
出身世界:地球
性別:男性
本名は丸見豊(まるみゆたか)。町の玩具屋の店長。
カードヒーローにも詳しく、サトル達に色々とアドバイスをしてくれる。

イエロースター
出身世界:キノコワールド
性別:不明
メタコロ病の原因を探しているスターの精。
マリオ達と共にクッパの中に吸い込まれてしまう。

トラ
出身世界:ゼノワールド・並行世界4
性別:男性
ドライバーに憧れるノポン族の少年。
天真爛漫でお馬鹿なところはあるが、メカに強い。

ナゴ
出身世界:ミルキーロード
性別:♂
カービィの仲間で、極めて珍しいオスの三毛猫。
3段ジャンプができる。シロという彼女がいる。

アグニム
出身世界:ハイラル
性別:男性
かつて七賢者が封印した、ガノンの手下。
光の世界と闇の世界を繋げるため、七賢者の末裔を次々に誘拐した。

ガノンドロフ(トワイライトプリンセス)
出身世界:ハイラル
性別:男性
とある時間軸におけるガノンドロフ。
賢者達に処刑されかかるが影の世界に逃げ、恨みをザントに宿し光の世界を侵攻した。

ザント
出身世界:ハイラル
性別:男性
影の世界の王で、影の世界を乗っ取りミドナの姿を変えた張本人。
常に仮面で顔を覆っている。

ギラヒム
出身世界:ハイラル
性別:男性
魔族を率いて悪しき存在を復活させようとした男。
慇懃無礼なナルシストで、自分に陶酔している。
戦闘ではサーベルとナイフを使った、華麗な剣術で相手を翻弄する。

アダム・マルコビッチ
出身世界:メトロード
性別:男性
銀河連邦軍の軍人で、かつてのサムスの上司。
両親を失ったサムスとは家族のような関係。
冷静沈着、厳格な性格だが人柄は良い。

ゴールド・ボーン
出身世界:すれちがいの世界
性別:男性
宇宙盗賊「ゴールド・ボーン団」のボス。
スカル・ボーンやコボーンを率いている。

Dr.アンドルフ
出身世界:スペースワールド
性別:男性
かつてコーネリアを危機に陥れた悪の天才科学者。
ベノムに追放されたが、巨大な軍事基地を作って惑星征服を目論むようになる。

クリスタル
出身世界:スペースワールド
性別:女性
引退したペッピーに代わり、スターフォックスの新メンバーとなった少女。
テレパシー能力によって、経験不足を補っている。
最近はフォックスと恋仲になっているらしい。


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76 ~ 仲間を助けて

カムイ、アイク、メタナイト、ルイージ救出回です。
戦闘シーンはそのキャラクターらしく、かつ、派手にしました。


 リィン、ゲッコウガ、ウルフを解放したカービィ一行は、

 新たな仲間を探すため、一度道を引き返した。

 レイモンド・ブライスを解放した後、東の橋を渡ってロイドを解放し、

 雲の道を渡ると、銀髪赤眼の女性ファイターが闇の鎖に縛られていた。

 さらに、女性ファイターの隣には、レジェンド級スピリッツ、アクアがいた。

「……カムイ……!」

「それに、アクアネェまで……」

 ダーズの魔の手は、王女二人にも及んでいた。

 無差別な攻撃に、柊蓮司は歯ぎしりを立てる。

「ダーズ、俺は絶対にお前を許さねぇ!」

 柊蓮司はそう言って、魔剣でカムイの闇の鎖を叩き切った。

 同時に、ダーズに操られたアクアもカムイと共に襲い掛かってくる。

「みんな! カムイを助けるぞ!!」

「ついでにアクアネェもね!」

「ああ……一人でも多く、できればみんなを助けるぜ……!」

 柊蓮司、カービィ、ピカチュウ、テリー、シモン、ソレイユは、

 ダーズに操られたカムイとアクアに戦いを挑んだ。

 

「ていやぁぁぁっ!」

「どりゃああ!」

 柊蓮司は高く飛び上がり、アクアを一閃する。

 カービィはアクアに会心の一撃を放った。

「10まんボルト!」

「……」

 ピカチュウはアクアに10まんボルトを放つが、アクアはシールドを張って攻撃を防ぐ。

「パワーウェイブ!」

「はぁっ!」

 テリーは地面に拳を叩きつけ、衝撃波を飛ばし、カムイとアクアを同時に攻撃した。

 カムイが剣を槍に変えてシモンに刺そうとするが、その前にシモンの鞭がカムイの肌に掠る。

「……イタイデショ」

「ぐおっ!」

「太陽礼拝! からの、英雄のポーズ!」

 アクアは槍をテリーに突き刺して攻撃する。

 ソレイユはアクアを光で目晦ましし、英雄のポーズで攻撃した。

「えい、えい、えい、えい!」

「美味い!」

 カービィは短い手足で懸命にカムイを殴り、テリーはハンバーガーを食べて体力を回復した。

「すまねぇ、カムイにはどうしても攻撃できない!」

「はっ!」

 柊蓮司はカムイに攻撃できないため、代わりにアクアを斬りつけた。

 ピカチュウはでんげきで追撃し、シモンは聖水でカムイを燃やした。

「♪~♪~♪♪~♪~」

 アクアは人に恋をした水の精霊の歌を歌った。

 その歌声は味方に足を与え、魔法から身を護る。

 しかし恋の結末は自身の消滅――歌の通り、アクアは声と体力を失った。

「……」

 アクアは無言でカムイに目配せする。

 カムイは頷くと、剣を構えて突っ込んでいった。

「やめてよ、カムカム!」

 カービィは叫びながらカムイに会心の一撃を放つが、カムイを止めるには至らなかった。

「おらっ!」

「……」

「ぐあああああああああ!!」

 ピカチュウの中段前蹴りも、アクアには届かない。

 そして、カムイは舞うような剣撃でソレイユ以外を切り刻み、ピカチュウを戦闘不能にした。

 

「くそっ、ピカチュウがやられた!」

 ピカチュウが戦闘不能になったのを見て、柊蓮司は表情を歪ませる。

 アクアは槍で柊蓮司を攻撃するが、攻撃をかわし、魔剣で反撃した。

「カムカム~!」

 カービィはカムイを吸い込んで飲み込み、一時的に彼女の能力をコピーした。

「!」

「せいやっ!」

 カムイカービィのエネルギー弾と、柊蓮司の風の刃がアクアに命中。

 体力が低いアクアは一撃の下に倒れ、そのスピリッツはどこかに飛んでいった。

「よし! 後はカムイだけだ!」

「えーいっ!」

 柊蓮司はカムイに斬りかかり、カービィはハンマーでカムイを殴る。

 テリーはフェイントをかけてカムイを混乱させ、その隙にシモンが聖水でカムイを足止めする。

「それっ!」

 おかげでソレイユの攻撃が命中し、カムイを場外まで吹っ飛ばした。

 だが、カムイは竜に化身し、翔竜翼で復帰した。

「ちっ……復帰しやがったか!」

 ピカチュウは何とか気合で立ち上がり、会心のロケットずつきを放つ。

「カムイ、目ぇ覚ませっ!」

「バーンナックル!」

 柊蓮司は大地を纏った魔剣でカムイを切り裂き、吹っ飛ばす。

 続けてテリーがバーンナックルで追撃し、カムイは次第に追い詰められていく。

「竜ノチカラヨ……! 跳槍突!」

 カムイは自らに眠る竜の力を解放し、高く飛び上がり槍に変えた腕で貫いた。

「うおっと!」

 柊蓮司はギリギリでカムイの攻撃をかわし、サイコキネシスを放って反撃する。

 カムイの動きは徐々に鈍くなっていき、あと少しで吹っ飛ばせそうだ。

「柊、とどめは俺が刺す」

 ピカチュウは柊蓮司の前に立つ。

 それは、これ以上カムイを傷つけさせないという、ピカチュウなりの思いやりだ。

「ピカチュウ……」

「お前はよくやった。手を汚すのは、俺だけでいい。……目を覚ませ、カムイ!」

 そう言ってピカチュウはカムイに抱き着き、至近距離から10まんボルトを放った。

ギャアアアアアアアアアアアア!!

 電撃を受けたカムイは、叫び声を上げる。

 カムイの身体から闇の煙が抜け出て、天に昇る。

 そして、闇の煙が完全に消滅すると、カムイはその場に頽れた。

 

「……よし、もう大丈夫ですわ、カムイさん」

 アイシャは治癒の力により、カムイの心身を完全に癒した。

 柊蓮司は気絶しているカムイを心配している。

 

 しばらくすると、カムイは目を開け、ゆっくりと起き上がる。

 彼女の眼は赤かったが、あの時に見せた邪悪さは全くなかった。

「はっ! ここは一体どこでしょう。私は何をしていたんでしょう」

 カムイはこれまでの出来事を覚えておらず、困惑していた。

 それに対し、柊蓮司は優しく彼女に手を伸ばす。

「大丈夫か? カムイ。立てるか?」

「はい……」

 カムイは柊蓮司の手を取って立ち上がる。

 そして、カムイは柊蓮司の綺麗な目を見つめた。

「私を助けてくれてありがとう」

「お前が困っていたから、放っておけなかったんだ。

 それよりも、早くここから出て、みんなと合流しようぜ」

「ここから出る? どういう事?」

「かくしか」

「把握」

 

 こうしてカムイを仲間にしたカービィ一行は、雲の道を戻って北西に進んだ。

 そして木の道を通り、白い煙を踏んでスピリッツとメッセージをを出す。

【先輩・後輩の関係性なのはどのスピリット?】

 スピリッツは左から三魔官シスターズ、テンタクルズ、レポーター&レスラー、

 ギャング&レディ&ポリスだった。

「左は違うなぁ。他のは分からないよ」

「でも、落ち着いて考えれば分かりますよ。ええと、つまり、正解は……」

 カービィはアイシャの導きで、左から二番目にいるテンタクルズと戦った。

 正解を表す音と共に、今いる位置の上空から右に向かって光の道ができた。

 その光の道を通り、北に向かって歩き、白い煙を踏んでメッセージを出した。

【この中で、クロムの妹はどのスピリット?】

 円を中心に、上下左右に道が伸びている。

 上の道にはエリーゼ、左の道にはエリンシア、右の道にはリズ、下の道にはミストがいた。

「エリーゼさんは暗夜王国出身なので違いますね。

 エリンシアさんもリズさんもミストさんも誰なのか分かりません」

「こんな時にクロ兄がいればなぁ……」

 この場にクロムがいない事を残念がるカービィ。

 そのため、今回も消去法により、テリウス大陸のエリンシアとミストを除外し、

 しずえのボディに宿るリズと戦った。

 そして正解を表す音と共に、今いる位置から左に伸びる光の道ができた。

 光の道を、カービィ一行は辿っていく。

 空中には線路や樹木が浮いていて、

 大きな指輪やパラボラアンテナ、紙飛行機、車も浮いている。

 そして終点で、青い髪の武骨な青年が闇の鎖に縛られているのを発見した。

 グレイル傭兵団の団長、アイクだ。

「アイクさん、わたしの声が聞こえますの?」

「……」

「やはり、聞こえませんか……!」

 案の定、アイクはアイシャの声に反応しなかった。

 アイシャは包丁を抜いて、アイクを縛る闇の鎖を切り裂いた。

「……」

 アイクは無言でアイシャに斬りかかった。

 アイシャはギリギリで攻撃をかわし、アイクを拘束しようとするが、

 女性の腕ではアイクを拘束できなかった。

 さらに、アイクは傭兵団を模した影を召喚し、一斉攻撃を仕掛けようとした。

「危ない、アイシャ!」

「ロックマンさん!」

 そこに、ロックマンのロックバスターが上手くアイクに命中し、アイクは怯んだ。

「……ダレデアロウト、キル」

「アイクは平等だ。でも、今はこの『平等』というのが、悪い方に向いたみたいだね……」

 ロックマンは真剣にロックバスターを構える。

「カズーイ、これってピンチ?」

「まあ、そうね……あたいらの劣勢ね。でも、一頭と一羽でいれば最強なのよ!」

「そうだヨ! 早く助けないとネ!」

「今回は私が相手になりましょう」

 バンジョーとカズーイ、パックマン、ピット、リュンヌも、

 操られたアイクを救うために戦った。

 

「バブルリード!」

 ロックマンは大量の泡を発射してアイクが呼び出した影を攻撃する。

「いくよ、カズーイ!」

「タマゴミサイル!」

 バンジョーは華麗な動きでアイクを翻弄し、カズーイはタマゴミサイルで砲撃する。

 シノンの影はパックマンにフェイントをかけ、セネリオの影はリュンヌをウインドで切り裂く。

「そーれっ!」

 だが直後にパックマンが投げた果物が命中、シノンの影はあっという間に消えた。

 アイシャは素早く身支度し、味方全員の回避率を上げる。

 そのおかげでティアマトの影、ガトリーの影、ワユの影の攻撃は当たらなかった。

「パルテナ様、力を貸してください!」

 ピットはパルテナの力を少しだけ使い、味方全員の士気を上げる。

 これにより、攻撃の威力と命中率が上昇した。

「ありがとうございます、ピット!」

「どういたしまして!」

 リュンヌはピットにお礼を言った後、得意のヨガでワユの影を攻撃する。

 ピットはアイシャの技の効果で、キルロイの影とアイクの攻撃をかわす。

「ダッシュアッパー!」

 ピットは豪腕ダッシュアッパーでアイクを宙に浮かせ、リュンヌが追撃する。

 ロックマンはアイクと影の行動を先読みし、威嚇射撃を行って行動を封じる。

 バンジョーとカズーイも、それぞれキルロイの影とアイクを攻撃。

 アイシャはとどめを刺すために、構える。

「あなた達はわたしがばっちりお掃除しますわ!」

「……!!」

 アイシャが辺り一面に放った炎は、アイクにまとわりつく汚れを根元から断つ。

 炎が消えれば、綺麗さっぱり、何も残らない。

 彼女の攻撃は、まさに勝利を呼ぶものだった。

 

「まさか、この俺があんたらに剣を向けるとはな」

「アイくん、怪我なかった?」

「ああ」

「よかったぁ……」

 その様子からして、アイクは無事だったようだ。

 安心し、胸(?)を撫で下ろすカービィ。

「アイくんはなんにも悪くないからね。悪いのは、あの気持ち悪い目玉だからね」

 すると、無愛想なアイクの表情がさらに固くなる。

「気持ち悪い目玉……だと? そいつが元凶だな。ならば、このラグネルで斬るだけだ」

「おぉ~! アイくん、かっこいい~!」

 かつてアイクは神を倒した事があるため、その態度は自信に満ち溢れていた。

 カービィはそんな彼を見て拍手している。

「……だから、俺も仲間に入れてくれ。

 その気持ち悪い目玉とやらを斬れば、全ては終わる……というわけだな」

「もっちろん! 一緒に行こう、アイくん!」

 

 こうしてアイクを仲間にしたカービィ一行は、道なりに進み、分岐を上に進んだ。

 すると、仮面で顔を隠したバタモン族の剣士、メタナイトが闇の鎖に縛られていた。

「メ、メタナイト!」

「グ……ウウッ……」

 メタナイトはダーズの呪縛に抗っているのか、苦しそうな表情をしている。

「ワ……ワタシト……イッキウチヲ……」

 これ以上メタナイトが苦しむ姿を見たくない。

 そう思ったカービィは、ファイナルカッターでメタナイトの闇の鎖を切り裂いた。

ウオオオオオオオオオオオオオ!!

 すると、メタナイトは剣を放り投げた後、凄い勢いでカービィに襲い掛かってきた。

 カービィは剣を取り、ソードをコピーした後、剣でギャラクシアと鍔迫り合いになる。

「メタナイト! 苦しいでしょ!? 今、僕がこの剣で助けてあげるから!」

「剣ではどちらが上でしょうか……?」

 カムイはカービィとメタナイトの剣戟を、はらはらしながら見守った。

 

「えーいっ!」

 カービィはメタナイトに斬りかかる。

 メタナイトはカービィの攻撃を受け流し反撃する。

 この戦いではダメージを受けてもソードの能力は解除されないため、

 ただ、剣と剣だけがぶつかり合った。

「……」

「わわっと!」

 メタナイトは高速回転しながらカービィに突っ込んでいった。

 シールドで防いだカービィは、メタナイトの隙を突いて斬りつける。

「うりゃりゃりゃりゃ!!」

 メタナイトは距離を取り、ドリルラッシュでカービィに連続で攻撃する。

 その後、メタナイトはマントを使った高速移動を繰り返しながら、

 カービィに近付き目にも留まらぬ連続攻撃を繰り出す。

「は、速いよ!」

 カービィはメタナイトから逃げるが、メタナイトは容赦なく突っ込んでいく。

 ドリルラッシュの最後の一発で吹っ飛ぶが、ホバリングで何とか復帰する。

 メタナイトがスマッシュ攻撃を溜めている間にカービィはひゃくれつぎりで反撃し、

 メタナイトを遠くに吹っ飛ばした。

「よし!」

「……」

 カービィはメタナイトを倒したと思ってガッツポーズをするが、

 メタナイトはシャトルループで復帰する。

 そして、カービィに剣の切っ先を突きつけた。

「そ、そんな!」

「諦めるな、カービィ!! お前には切り札があるだろ!?」

「切り札……そうか!!」

 テリーの激励により、カービィの中にあった潜在能力が一時的に目覚める。

 すると、カービィが持っていた剣が大きくなった。

 チャージ切り札「ウルトラソード」が発動する。

「切り札は、最後の最後まで取っておくから切り札って言うんだ!

 ウルトラ……ソード!!

 カービィは巨大化した剣で、メタナイトを滅多切りにする。

 その威力は絶大で、メタナイトには効果的だった。

「ヨクゾ……ワタシニカッタ……!」

 そしてメタナイトの仮面は砕け散り、カービィと瓜二つの素顔が見える。

 メタナイトはマントですぐに隠し、再び仮面を装着して倒れるのだった。

 

「カービィさん、おめでとうございます!」

「よく頑張ったな、カービィ」

「えへへへへへ……」

 メタナイトとの剣対決に勝利したカービィを、カムイと柊蓮司が褒めたたえる。

 カービィは満面の笑みを浮かべて頭を掻いた。

 しばらくすると、メタナイトは正気に戻り、ゆっくりと起き上がった。

「……私は一体何をしていたのだ。ここは一体……」

「大丈夫だよ、メタナイト。君は悪い夢を見ていただけだから。

 それと、ここはよく分からない空間だよ」

 カービィは彼なりにメタナイトを安心させる。

 そして、カムイはこれまでの事情をメタナイトに落ち着いて話した。

「実は、かくかくしかじか……」

「……そうか、新たな敵が私を操っていたのだな」

「そうですよ、メタナイトさんは悪くありません」

「して、私はその敵を倒せばいい、というわけだな」

 今、彼らが倒すべき敵は、ダーズだ。

 そして、散り散りになった仲間とも再会しなければならない。

 そのためにも、メタナイトは仲間にしよう、とカービィ一行は決めるのだった。

 

「これで仲間は全員かな?」

「しかし……まだ誰か一人いる気がするな」

「あと一人? 誰だろう……」

 カービィがきょろきょろと辺りを見渡すと、西側に見えない光の道を発見した。

「メタナイト! あっちでなんか光ってる!」

「む……光の道か……?」

 メタナイトが目を光らせると、確かに、西側に薄い光の道が見えた。

「でかしたぜ、カービィ」

「ありがとう、ジュカ兄! それじゃあ、レッツゴー!」

 カービィ一行が見えない光の道を通ると、

 そこには、こどもリンクのボディに宿った『リンク』のスピリッツと、

 緑の帽子とオーバーオールを着用したファイター、

 マリオの双子の弟であるルイージが闇の鎖に縛られていた。

「ルイルイ!」

「これが最後の仲間ですわね」

 この周辺に、ルイージ以外の仲間はいなかった。

 アイシャはこれが最後だ、と身構える。

「皆様、覚悟はできまして?」

「ルイルイは僕……いや、僕達が助けるんだ!」

「彼は同じ、スマッシュブラザーズだからな」

「これも任務だ。許せ、ルイージ」

「大切な友達、見捨てるわけにはいかないよ。ナナ、頑張って勝とう!」

「そうね。ポポ、手加減なしでいくわよ!」

 カービィ、シーク、ゲッコウガ、ジュカイン、アイスクライマーも身構え、

 ルイージと『リンク』を迎え撃つ体勢に入った。

 

「消毒しますわ!」

 アイシャは特殊な殺菌剤を取り出し、ルイージと『リンク』に振り撒いた。

 隅の汚れも見落としてはならないという彼女の信念が届く――事はなかった。

 二人は攻撃をかわし、ファイアボールと剣でアイシャに反撃する。

きゃぁぁっ!

うおぁっ!

 ジュカインは反撃しようとするが、ルイージは余裕で回避する。

 そして、ジュカインに回し蹴りを放った。

「やあっ!」

「それっ!」

 ポポとナナは協力してアイスショットを『リンク』に放ち、

 怯ませた後にハンマーで突っ込んでいった。

「「うわぁぁぁぁ!」」

 しかし、『リンク』の連続攻撃が命中。

 さらにはルイージが拾ったボム兵が二人に命中し、アイスクライマーは吹っ飛んでいった。

 

「アイスクライマー!」

「落ち着け、君まで吹っ飛ばされるぞ」

 ロゼッタは吹っ飛んだ方向を見るが、シークはロゼッタを落ち着かせる。

「ああ……そうだったな。集中せねば。はっ!」

「ゆけ、チコ!」

「ピピィ!」

 シークは仕込針で牽制し、ロゼッタがチコシュートで『リンク』を攻撃する。

「ふっ」

「リーフブレード!」

 ゲッコウガは水を両手に纏い、腕を交差させた構えから左右に薙ぐように鋭い攻撃を放った。

 ジュカインもリーフブレードでルイージと『リンク』をまとめて切り裂く。

「……そこか」

「アタラン……!」

「そうはいきませんわ!」

 シークは素早くルイージの背後に回り込み、手刀でルイージの急所を突こうとした。

 ルイージはかわそうとするが、アイシャの妨害が入って攻撃が命中した。

きゃぁぁぁっ!

 それがルイージに触れたのか、ルイージは暴発ルイージロケットで反撃する。

 これによりアイシャは吹っ飛ばされたが、何とか崖に掴まって復帰する。

 だが、ルイージの体力は残り僅かになっていた。

「ゲ、ゲッコウガさん、とどめを……」

「無論」

ウワアアアアアアアア!!

 ゲッコウガは水の苦無を二つ作り出し、振りかぶってルイージを上空に吹っ飛ばす。

 これによりルイージは上空に吹っ飛んでいき、『リンク』も戦意を喪失して降伏した。

 

「うぅ……僕は一体、何をしていたんだ……」

 ゲッコウガが吹っ飛ばした事により、ルイージは正気に戻った。

 彼は辺りをきょろきょろと見渡すと、身震いした。

「って、なんでこんなところにいるんだよ。まあ、今は平気になったけど、さ……」

 見知らぬ場所に飛ばされ、母体まで利用されたルイージは、げんなりとしていた。

「それは私達も同じです。でも、ルイージさんは助かったんですよ」

「起こった事を変えられるのは、神でもない限り不可能だからな」

「そうだ、過去を悔やむより今を考えろ」

 カムイ、アイク、メタナイトは、落ち込むルイージを勇気付けた。

「そうだね、言われてみれば。ところで、兄さんとピーチ姫、クッパはどこに行ったの?」

「あっ! じ、実はね……キーラをやっつけたらバラバラになっちゃったんだ。

 だから、こうしてみんなを探してるの。……言っちゃダメ、だったかな?」

「……」

 カービィは包み隠さず、ルイージに話した。

 すると、ルイージはまた落ち込んでしまった。

 しかし、希望を信じているのか、ルイージはすぐに笑顔に戻った。

「でも、みんなは必ず見つかるんだよね。僕はそれを信じているよ。

 だから、僕も君達と一緒に行くよ!」

「ありがとう、ルイルイ!」

「……どういたしまして!」

 

 こうして、カービィ一行はダーズの手に落ちた

 カムイ、アイク、メタナイト、ルイージを取り戻す事に成功した。

 元の場所に戻るのも、そう長くない時間だろう。




~ベルのスピリッツ名鑑~

レイモンド・ブライス
出身世界:地球
性別:男性
海兵隊出身の元レスキュー隊員。
現在はブルーリッジ市の危機管理局でデスクワークの日々を送っている。

ロイド
出身世界:アースボーンド
性別:男性
ニンテンの仲間の一人で、丸い眼鏡とそばかすが特徴の少年。
気弱な性格だが聡明で、光線銃を使う事ができる。

アクア
出身世界:戦記の世界
性別:女性
白夜王国で育った、暗夜王国の王女。
儚げな印象を持つが、芯は強く肝が据わっている。
戦闘では歌姫として、味方を後方から援護する。
軍の中で一番、寝癖がひどい。

三魔官シスターズ
出身世界:ミルキーロード
性別:女性
赤のフラン・ルージュ、青のフラン・キッス、黄のザン・パルルティザーヌからなる暗黒要塞ジャマハルダの女性幹部。
過酷な環境に置かれていたところをハイネスに拾われ、彼に魔力を授かり覚醒した。

テンタクルズ
出身世界:未来の地球
性別:ガール
毒舌クレイジーラッパーのヒメと、オクタリアンのイイダからなるアイドルグループ。
 ヒメは男勝りな口調の21歳で、イイダはおっとりした口調の18歳。

レポーター&レスラー
出身世界:リズムの世界
性別:レポーターは女性、レスラーは男性
レスラー会見を担当している男女。
プレイヤーはレスラーとなり、リポーターとカメラマンの台詞に合わせてアクションを取る。

ギャング&レディ&ポリス
出身世界:西部の世界
性別:ギャングとポリスは男性、レディは女性
ギャングは悪漢、レディは市民、ポリスは警官。
保安官の「あなた」はギャングだけを狙おう。

エリーゼ
出身世界:戦記の世界
性別:女性
暗夜王国の第二王女。
子供っぽく甘えん坊な性格だが、心優しい人物。
臣下は斧戦士ハロルドと重騎士エルフィ。
戦闘では馬に乗って杖を振り、味方を支援する。
軍の中で一番、家族想い。

エリンシア・リデル・クリミア
出身世界:戦記の世界
性別:女性
クリミア王国の王女。
叔父のレニングが次期国王に決まった時、継承争いを避けるため離宮で育てられた。
家事全般・剣術・馬術が得意で、曾祖母が乗っていたペガサスに乗って戦う。
アイクの影響を受けたとされる「ぶっとばして差し上げましょう!」という名言は有名。

リズ
出身世界:戦記の世界
性別:女性
イーリス聖王国の第二王女。
明朗快活な性格で、人懐っこい少女。
杖による回復魔法が使える他、成長すれば斧なども使えるようになる。
軍の中で一番、よく飛び跳ねている。

ミスト
出身世界:戦記の世界
性別:女性
アイクの妹で、正の気が非常に強い。
グレイル傭兵団の家事全般を担当している。
戦闘では杖で味方を支援する他、成長すれば馬に乗って剣も扱える。

リンク(ゼルダの伝説)
出身世界:ハイラル
性別:男性
リンクがガノンドロフに敗北した時間軸における最後の冒険で活躍した『リンク』。
八つに分裂したトライフォースを完成させ、ガノンを倒し囚われのゼルダ姫を助けた。


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77 ~ 闇を闇から救え

ヴィランズ救出回です。
闇の世界編はクライマックスを迎えます。


 カムイ、アイク、メタナイト、ルイージを救出したカービィ一行は、

 残る仲間を探すために一度、光の道を戻った。

 樹木の上にあった白い煙を踏むと、メッセージと共にスピリッツが現れた。

【カービィが吸い込む事ができないのはどのスピリット?】

 スピリッツはスカーフィ、バグジー、Mr.フロスティ、ワドルドゥ、ウィスピーウッズの五体。

 全員、カービィには見覚えがあった。

「答えはスカーフィとウィスピーウッズだよ!」

「え、それでいいのか?」

 カービィは迷わず、二つの答えを言った。

 テリーは、答えが二つある事にぽかんとしている。

「随分と変わった問題ですが、まぁ、いいでしょう。カービィさん、その二体を倒しますよ」

「おっけー!」

 カービィとカムイは協力してスカーフィを解放し、螺旋状の光の道を生み出した。

 次に、二人はウィスピーウッズを解放し、もう一つの光の道を生み出した。

 そして、光の道を通ると、薄紫色の身体と紫色の尻尾を持つポケモンが闇の鎖に縛られていた。

「あれは、ミュウツーさん!」

 ミュウの遺伝子から生まれた、いでんしポケモン・ミュウツーだ。

 彼の行動に関しては賛否両論だが、放っておいてはボディを利用されてしまう。

 アイシャは覚悟を決めて、ミュウツーを縛る闇の鎖を包丁で切った。

「……」

 ミュウツーは赤い瞳をぎらつかせている。

 ピカチュウ、ゲッコウガ、ジュカインは、ごくりと唾をのむ。

 伝説のポケモンは、強さもオーラも桁違いだ。

「……ボクモタタカイマス」

 リィンも身構え、ミュウツーとの戦いに臨む。

「ミュウツー! お前は簡単に操られる奴じゃないだろ!?」

「むしろ他人を操れますしね」

「任務開始」

「おっしゃ! やってやるぜ!」

「君は必ず、僕達が助けるから!」

 カービィ、ピカチュウ、リィン、ゲッコウガ、ジュカイン、アイシャは、

 ダーズに操られたミュウツーを解放するために戦った。

 

「おらっ!」

 ピカチュウはミュウツーに電撃を放つ。

 ミュウツーは防御障壁を張ってピカチュウの攻撃に抵抗し、ダメージを最小限に留めた。

「セイッ!」

 リィンは大型の光の矢を射出してミュウツーを攻撃した。

 その威力は高く、ミュウツーにも効果的なダメージを与える事ができた。

「リーフブレード!」

「……効カンナ」

 ミュウツーはジュカインのリーフブレードを障壁を使って防ぐ。

「それっ! あれっ、当たらない?」

 カービィの攻撃も、障壁が防いだ。

 ミュウツーは今もなお、意識を障壁に向けている。

 意識を逸らさない限りは障壁を崩せないだろう。

「くっ、攻撃が通じんっ」

「シャドーボール」

 ゲッコウガの攻撃も障壁に阻まれ、逆にシャドーボールで反撃される。

 効果は今一つだったが、ミュウツーの特攻は非常に高く、大きなダメージを受けた。

 

「障壁がある限り、あいつに攻撃は通じない。まずは、あいつが張ってる障壁から破るぞ」

「うん!」

「見切ッタ」

 カービィはミュウツーにフェイントをかけるが、ミュウツーは見切ってかわす。

「10まんボルト!」

 ピカチュウはミュウツーに近付いて強い電撃をミュウツーに放つ。

「ソレッ!」

「ゆくぞ」

 リィンはジャイロを飛ばして攻撃し、ゲッコウガはかげぶんしんで分身を作り出す。

「エナジーボール!」

 ジュカインはエネルギー弾を乱射する。

 だがそれも、ミュウツーの障壁に阻まれる。

 ミュウツーは一瞬目を光らせると、超能力で周りにあるものを浮かせ、カービィ達に放った。

「皆、シールドで防ぐぞ!」

「ああ!」

「こんなの、へっちゃらだい! うわぁ!?」

「ああ……くっ!」

 ピカチュウ、ジュカイン、リィン、アイシャはシールドを張って攻撃を防ぐ。

 カービィとゲッコウガは余裕で受けようとする。

 だが、何故かゲッコウガに当たってしまった。

「な、なんでコウガ兄に当たったの!?」

「ミラクルアイノ効果ダ」

「そうか……!」

 先程、サイコキネシスを放ったミュウツーが、一瞬だけ目を光らせていた。

 これがミラクルアイであり、あくタイプを持つゲッコウガに攻撃が命中した理由なのだ。

 障壁のせいで攻撃が通らず、ミラクルアイの効果でゲッコウガも危険だ。

「まずは障壁を崩さなければな……!」

「ミュウツーサンノイシキヲソラシマショウ」

「うん!」

「いくぞ! うわぁぁっ!」

 リィンはミュウツーにフェイントをかける。

 カービィとジュカインも障壁を崩すべく、互いにフェイントをかけるが、

 ミュウツーはどちらも見切った。

「皆様、頑張ってください!」

 アイシャは応援して味方全員の士気を高め、あらゆる行動の成功率を一時的に向上させた。

「ありがとよ、アイシャ!」

「そこか」

「……グッ」

 ゲッコウガはみずしゅりけんで牽制し、ピカチュウはミュウツーの頭上に雷を落とす。

 さらにゲッコウガの分身がミュウツーに追撃する。

「ソコカ!」

「きゃあ!」

 ミュウツーはアイシャを浮かせ地面に叩きつけた。

 アイシャは慌ててスカートを押さえて体勢を整え直し、皿を投げて反撃する。

 さらに、ゲッコウガとその分身がミュウツーにフェイントをかけて撹乱する。

「そぉーれ!」

「そらっ!」

 カービィはミュウツーを吸い込んでコピーした。

 ピカチュウは会心の一撃をミュウツーに放つ。

「クゥ……サイコキネシス!!」

 ミュウツーは再び目を光らせ、サイコキネシスを広範囲に放った。

 一行はシールドで何とか攻撃を防いだが、大きくよろめいてしまった。

「ナントイウツヨサデショウ」

 ミュウツーは単独で六人を相手に互角の戦いを繰り広げている。

 これが伝説のポケモンか、とリィンは脂汗を掻く。

 だが、負けを認めるわけにはいかない。

 リィンとジュカインはミュウツーを撹乱し、ピカチュウは10まんボルトとかみなりで攻撃する。

「シャドーボール」

「きゃぁっ!」

 アイシャはシャドーボールを受け、吹っ飛ぶが、何とか崖に掴まって復帰した。

「……」

 その時、ミュウツーが無形の衝撃波を放った。

 相対する存在への強い敵意が実体化し、襲う。

「きゃああああああ!」

「……!!」

 負の衝動をまともに受けたゲッコウガとアイシャは場外に吹っ飛ばされてしまった。

 

「アイ姉、コウガ兄……!」

 二人が吹っ飛ばされてショックを受けるカービィ。

「次ハオ前ダ」

「させないよ! しゃどーぼーる!」

「グッ!」

 カービィはコピーしたシャドーボールをミュウツーに向かって放つ。

 エスパータイプのミュウツーに、効果は抜群だ。

「エナジーボール!」

「ロボビーム!」

 ジュカインは自然から集めた命の力、リィンは光線で射撃攻撃を行い、

 ミュウツーの防御を少しずつ崩す。

「グアァァァッ!」

 そこに、ピカチュウの会心の一撃が命中、ミュウツーは一瞬だけ焦りを見せる。

 それにより、強固な障壁が緩んだ。

「今だ、カービィ!」

「おりゃあああぁぁぁぁぁぁっ!!」

 カービィがハンマーを取り出し、その渾身の一撃で防御障壁は砕け散った。

 ピカチュウは即座にカービィの前に立ち、攻撃するふりをして撹乱させる。

 再び障壁を張る暇など、与えるわけにはいかない。

「これで、とどめだ! ロケットずつき!!」

「グウオオオオオオオオオオオオッ!!」

 ピカチュウのロケットずつきが寸分違わずミュウツーを捕らえる。

 その一撃で、ミュウツーは吹っ飛ばされる。

 ミュウツーは攻撃力は高いが、障壁を張っていない時の防御力は低かった。

 彼はきりもみ回転しながら場外へと飛んでいく。

 これにより、カービィ達の勝利は決まった。

 

「……よし、これで大丈夫だ」

 ピカチュウはどこからともなくげんきのかたまりを取り出し、瀕死のミュウツーに与える。

 重傷を負ったゲッコウガとアイシャは、ロゼッタが回復した。

 数分でミュウツーは起き上がり、目を覚ます。

 彼の眼は、元の色に戻っていた。

「私とした事が、お前達にまた牙を剥くとはな。

 少し早い考えだとは思うが、罪を償うために、お前達についていく」

「ちょっと大袈裟ですわね。別に構いませんわ。仲間は数が多い方がいいですもの」

 ミュウツーはスマブラメンバーの中では善でも悪でもない、微妙な立ち位置だ。

 なので、アイシャは大して気に留めない。

「そうか……。では、行ってもいいか?」

「もちろんですわ、ミュウツーさん!」

 アイシャはそう言って、ミュウツーを快く仲間に迎え入れるのだった。

 

 ミュウツーを取り戻したカービィ一行は、スカーフィがいた場所の光の道を通る。

 そこにあった白い煙を踏むと、文章とスピリッツが現れた。

【この中で、ドラキュラ伯爵討伐のため、アルカードと共に戦ったのはどのスピリット?】

 左上にはネイサン・グレーブズ、右上にはドラキュラくん、

 左下にはガブリエル・ベルモンド、右下にはラルフ・C・ベルモンドがいる。

 この問題には当然、シモンが答えた。

「答えは我が先祖、ラルフだ」

 シモンは先祖のラルフ・C・ベルモンドと戦った。

 結果はもちろん正解で、光の道が現れ、それを通ると宙に浮く船に辿り着く。

 そして、その船にいたのは、青紫の肌の女海賊リスキィ・ブーツと、

 左目が血走っている腹が膨らんだ鰐、キングクルールだった。

 さらに、キングクルールは闇の鎖に縛られている。

「あれ? こいつ、どこかで見たような」

「気がしないでもないわ」

 この場にドンキーとディディーはいないが、バンジョーとカズーイはデジャブだ。

「ん? バンジョー、カズーイ、知ってるのか?」

「ううん、知らないよ。でも、何故か戦いたいんだ」

「あたいの中にある何かが騒ぐ~!」

「……そういう事なら、俺も戦うぜ」

 そう言って、柊蓮司は魔剣を構え、キングクルールを縛る闇の鎖を切り裂いた。

 すると、キングクルールと彼に付き従うクレムリン軍団、

 そしてリスキィ・ブーツが襲い掛かってきた。

「よーし! いっくヨー!」

「さあ、かかってこい」

「リュンヌ、健康第一ですよ」

「ソレイユ、共に戦いましょう」

 バンジョー、カズーイ、柊蓮司、パックマン、ソレイユ、リュンヌ、シモンは身構えた。

 

「周りのクレムリン軍団より、キングクルールを優先するんだ」

「OK!」

「そーれっ!」

 バンジョーはクリッターにボディブローを放つ。

 熊だけあって、その威力は強烈だ。

 カズーイもリスキィ・ブーツをつついて攻撃する。

「薙ぎ払え!」

 柊蓮司は魔剣を薙ぎ払い、クラップトラップとリスキィ・ブーツを倒した。

 キングクルールはバンジョーとカズーイにフェイントをかけ、一時的に混乱させる。

「みんな! 頑張ってー!」

「おう! ありがとよ、パックマン!」

 パックマンは味方全員を応援し、士気を高める。

 そのおかげで、柊蓮司はクリッターの攻撃を全てかわし、魔剣で反撃した。

「ナタラージャ・アーサナ!」

 リュンヌはダンスのポーズでキングクルールに大ダメージを与える。

 さらに、シモンの鞭がクリッターにクリーンヒットし、とどめの一撃となった。

「ヴィラバド・アーサナ!」

 ソレイユは英雄のポーズで追撃し、キングクルールを怯ませる。

「せいやっ!」

 柊蓮司は剣を振り抜いてキングクルールを吹っ飛ばした。

 しかし、キングクルールはフライングバックパックで何とか復帰する。

「それ!」

「とどめです! ヴリクシャ・アーサナ!!」

 そこに、パックマンのフルーツターゲットが命中。

 上に吹っ飛んだキングクルールにリュンヌの立ち木のポーズが命中し、

 キングクルールは吹っ飛んでいった。

 

「なんで俺様がこんな目に遭わなければならないのだ!? くぅぅ~、悔しい~!!」

 正気に戻ったキングクルールは、悔しさのあまり地団太する。

「ちょ、ちょっと落ち着いてヨ! そんな事してる場合じゃないヨ!」

 まるで子供のようなキングクルールを、パックマンは何とか落ち着かせる。

 キングクルールは、ふぅ、と息をつく。

「はっ! そ、そうだった。こんな事で解決するわけがなかったのだ。

 コングの野郎どもは、どこだ? まさか、お前らか!?」

「違うって! ボクは熊だよ!」

「あたいは鳥よ!」

 キングクルールにコングファミリーと勘違いされたバンジョーとカズーイが慌てて訂正する。

「むぅ……そうか。それは誤解だった。だが俺様は今、(はらわた)が煮えくり返っているのだ。

 いきなり闇が覆ったと思ったら、俺様の意識が消えちまってよぉ。

 気が付いたら、お前らが目の前にいたのだ。つまり……俺様は操られていたらしい」

「そういう事になるね、クルールー」

「キングクルールだ! 覚えておけ!」

「はーい」

 カービィに名前を間違えられ、訂正を迫るキングクルール。

「とにかく! この屈辱を晴らすためにも、俺様を操った奴をぶっ潰す!

 そのためにも、まずはそいつを探せ!」

「うん、分かったヨ。一緒に行こうネ、キングクルール!」

「今は一時休戦だからな!」

 

 キングクルールを連れた後、一行は光の道を戻って、

 ルイージがいた場所に戻り、東にあった虹色の階段を上がる。

 梯子やゴミでできた道を通り、大きな土管にあった白い煙を踏むと、

 左右にスピリッツが現れ、空中に文章が浮かんだ。

【クッパ軍団の一員はどっちのスピリット?】

 左にはジュゲム&トゲゾー、右にはドドリゲスのスピリッツがいる。

「答えは左だね。僕も相手した事があるよ」

 ルイージはこの二つのスピリッツを見て即答した。

 ジュゲム&トゲゾーを倒して光の道を出す。

「せー、のっ。わわっ!」

 ルイージがジャンプすると、ふわっと浮かぶ。

 元々ジャンプが独特なルイージだが、性格的に驚いてしまうのだ。

 カービィとパックマンは動じずに飛び移り、他のスマブラメンバーも次々と飛び移った。

 そして、光の道を通って北に行くと、紫の光が渦巻いていて、中央は真っ白に光っていた。

「ここが謎の空間の最奥ですわね……」

「……」

 アイシャはその空間を見て絶句するが、カービィは珍しく真剣な表情だ。

 彼は推測している、ここにボスがいる……と。

 カービィが白い光を踏むと、端に六体のスピリッツが現れ、空間に文章が浮かび上がった。

 恐らくこれが、最後の問題なのだろう。

【亜空軍を作り、ファイター達を襲ったのはどのスピリット?】

 スピリッツは上から時計回りに、マスタージャイアント、ダークマター、預言の者、

 タブー、メデューサ、エインシャント卿。

 この問題に、カービィはぴんと閃く。

「みんな、分かるよね?」

 カービィの言葉に、ほとんどのスマブラメンバーが頷く。

「な、何を……?」

「せーの!」

「「「「タブー!!」」」」

 そして、一斉に問題の答えを言った。

 シモン、キングクルール、バンジョー、カズーイ、テリー、ジュカイン、

 アイシャは訳が分からず、ぽかーんとしていた。

「亜空軍? タブー?」

「ボク、聞いた事がないんだけど……」

「あたいもよ」

「話せば長くなるが、世の中には、こんな便利な言葉があるんだぜ。かくしか」

「うん、分かったよ」

 ピカチュウは七人に亜空軍異変を簡潔に話した。

 そして、レジェンド級のスピリッツ・タブーにピカチュウが挑み、何とか勝利する。

 すると、空間の中央が揺れ出した。

「な、なんだ、この揺れは……!」

 一行は揺れに踏ん張って耐え続ける。

 すると、虚空に穴が開き、大きな渦が出来上がる。

 その渦の中に、一行は吸い込まれていく。

うわぁぁぁぁぁ~~~!!

「どこかで見た事ある気がする~~~!!」

 一行はそのまま、穴の中に吸い込まれていった。

 

「いったぁ~い!」

 カービィは勢いよく地面に倒れた。

 テリーやスネークなどは、スタッと着地する。

 そこは、奇妙に曲がった地面以外に何もない、真っ暗な空間の中だった。

 空間の中には、赤と青に白い水玉模様が描かれた特徴的な帽子を被った生き物がいた。

 カービィは、彼の姿に見覚えがあった。

「キミ達、よくボクが作った問題を全部解けたね」

「君は……マルク!」

「そうサ。ボクはマルク、この空間の支配者なのサ」

 この生き物の名前は、マルクというらしい。

 マルクはおどけた調子でカービィ達に言う。

「空間の支配者?」

「あのダーズって奴が、貴様はここにいろ、なんて言うからここに来たのサ。

 でも、な~んにもなかったから、ボクが問題を作っておいたのサ」

 混沌と闇の化身ダーズを「奴」と呼ぶマルクに、アイシャは恐怖で震える。

 このマルクという生物を、本能的に嫌悪している。

「ダ、ダーズを『奴』と呼ぶなんて……!」

「ボクはボクのやりたいままに動いただけサ。だから、『奴』って呼んだのもボクの意思サ」

 どこまでもふざけて、しかも残酷な言葉。

 彼にかける情けは、どこにもなかった。

「おやおや、みんな殺気だってるねぇ。でも、そんな事は関係ないのサ。

 キミ達はみ~んな、ダーズと戦う前にここで終わるのサ!!」

 マルクは虹色の翼を広げて、真の姿を現した。

 次の瞬間、闇を纏った暴風がその場を覆った。

「く、来るよ!!」

「ああ! 俺様の力、たっぷり味わわせてやる!」

「油断大敵だ」

「怖いけど……わたし、頑張りますわよ!」

 カービィ、キングクルール、スネーク、アイシャは身構えて、マルクとの決戦に臨んだ。




~ベルのスピリッツ名鑑~

スカーフィ
出身世界:ミルキーロード
性別:♂♀両方存在する
普段は猫のような愛くるしい顔をしている。
しかし、吸い込もうとすると凶悪な表情になって襲い掛かり、最後は自爆する。

バグジー
出身世界:ミルキーロード
性別:♂
クワガタの姿をした生物で、巨大な角を持ち、近寄った者に強烈なバックドロップをかける。
また、小さな虫を放って遠距離攻撃もできる。

Mr.フロスティ
出身世界:ミルキーロード
性別:♂
繋ぎを着た、二足歩行のアザラシの姿をした生物。
「アイス」や「フリーズ」など、氷を操るARTSを使う事ができる。

ワドルドゥ
出身世界:ミルキーロード
性別:♂♀両方存在する
一つ目と二本の毛が特徴的な生物で、ワドルディとはよく似ているらしい。
使用するARTSは光を鞭のように操る「ビーム」。

ウィスピーウッズ
出身世界:ミルキーロード
性別:不明
巨大な樹木の姿をした生物。
口から空気を吐き、木を揺すると林檎を落としてきたりする。
基本的にはボス戦のチュートリアル担当だが、最近では一筋縄ではいかなくなった。

ネイサン・グレーブズ
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
19世紀に活躍した、ヴァンパイアキラーの青年。
モーリスに引き取られ、彼の下で育った。

ドラキュラくん
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
ドラキュラ伯爵のもう一人の子。
魔王ガラモスに支配された魔界を取り戻すため、妖気弾を武器に冒険の旅に出る。
年齢は10009歳だが、10000年眠っていたため、体的年齢・精神年齢共に子供。

ガブリエル・ベルモンド
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
燈光教団の戦士の一人。
大切なものを失ったために、沈みがちな性格。

ラルフ・クリストファー・ベルモンド
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
15世紀に活躍したヴァンパイアハンター。
復活したドラキュラを倒すため、グラント、サイファ、アルカードと共に戦った。
その功績からベルモンドの名を世に知らしめ、英雄として脚光を浴びる事となる。

リスキィ・ブーツ
出身世界:こことは異なる世界
性別:女性
シャンティの冒険に立ちはだかる女海賊。
青紫の肌をしていて、人とは異なる種族らしい。

ジュゲム&トゲゾー
出身世界:キノコワールド
性別:♂
雲に乗り、ゴーグルを身に着けた亀。
その雲の上からトゲゾーの卵、パイポを投げる。
マリオカートでは主にレーサー達をサポートする。

ドドリゲス
出身世界:サブコン
性別:♂
悪夢を招く事ができる(からす)
マムーに空飛ぶ絨毯を貰い、空を飛び回っている。
飛べなかったが、修行により飛べるようになった。

マスタージャイアント
出身世界:争いの世界
性別:不明
マスターコアがホンキを出した姿。
さけび、すいこみ、手刀を振るい、もちあげ、クロスボムを放ち、つかんで攻撃する。

ダークマター
出身世界:ミルキーロード
性別:不明
「ゴースト」のARTSを持つ、闇の精霊。
他種族同様、善人も悪人も普通に存在するが、一部の地域では警戒されている。

預言の者
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
ノアトゥーンで暗躍する謎の人物。
バルドルを利用し、力を取り戻そうと企んでいる。

タブー
出身世界:争いの世界
性別:不明
亜空軍異変を起こした張本人。
この世界を亜空間に引き込んで支配しようとしたがスマブラメンバーに倒される。

メデューサ
出身世界:天空界
性別:女性
光の女神パルテナと対をなす、闇の女神。
石化などの呪いをかけて人々を苦しめたため、パルテナにより冥府界に追放された。

エインシャント卿
出身世界:争いの世界
性別:男性(と偽っているが、本当は女性)
亜空軍を率いる、緑のローブを纏った謎の存在。
その正体はマスターロボット・リィンであり、タブーに脅され渋々亜空軍に加担している。


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78 ~ マルク

闇の世界・三人目のボス戦です。
実はこいつが初登場した作品はスマブラと関係あったり?


 謎の空間のボス・マルクとの決戦が始まった。

 彼と戦うのは、カービィ、キングクルール、スネーク、アイシャの四人だ。

 

「それっ、それっ!」

 カービィは短い手足を懸命に使い、マルクに連続攻撃する。

「バスタークラップ!」

 キングクルールは両手を思いっきり振り下ろし、爪でマルクを切り裂いた。

 攻撃は荒っぽく当たりにくかったが、何とか命中してダメージを与えた。

 スネークはマルクの隙を突いて手榴弾を投げ、さらに迫撃砲で追撃をする。

「えいっ!」

 アイシャは食器を投げ、微々たるながらマルクの体力を減らす。

「ケケケケケ! 凍り付くのサ!!」

「おっと!」

「ぐおぉぉっ!」

 マルクは両翼から凍てつく弾を放つ。

 カービィとスネークは上手くかわすが、キングクルールはまともに食らって一瞬凍る。

 だが、キングクルールは何とか攻撃を耐えた。

 

「ハンマー!」

 カービィは空中からハンマーを振り回し、キングクルールは腹をぶつけて攻撃する。

 アイシャは飛び回るマルクを包丁で斬りつけ、スネークは近距離からM4カスタムを放った。

 マルクの頬が膨らみ、しばらくすると、エネルギーが極太の光線となって放たれる。

「うわぁ!」

「きゃぁ!」

「むぅっ!」

 カービィ、スネーク、アイシャは攻撃を食らい、死にはしなかったが体力が大幅に減った。

 

「カービィさん、このお茶を!」

「うん!」

 アイシャはカービィに紅茶を振る舞い、彼が負った傷を癒す。

 その後に、アイシャは食器を投げまくり、マルクを牽制してカービィ達をサポートする。

「ストーン!」

「そらよ!」

「受け取った」

 カービィはストーンでマルクを押し潰し、キングクルールは王冠を投げて追撃し、

 スネークが直後に王冠をブーメランのようにキングクルールに返した。

「フフフフフ……これでも食らうのサ!」

 マルクの身体が半分に割れると、カービィ達を吸い込もうとする。

 闇夜の大気が渦を巻き、飲み込まれれば大ダメージを受ける。

「皆様、耐えてください!」

「うん!」

「ふんぬぬぬぬぬぬ……!」

「……」

 カービィ、キングクルール、スネーク、アイシャは踏ん張り、マルクの吸い込みを耐え切る。

 それを見たマルクは、悔しくてたまらなかった。

 

「よくもボクの攻撃をかわしたな。許さないのサ!」

 マルクは怒り、彼の周囲に薄い光の幕のようなものが現れる。

 それは魔力によって発生した光の壁である。

 マルクの防御力が上昇し、さらに闇夜の大気が渦を巻く。

 そしてマルクの周囲に無数の植物の槍が起立し、渦に囚われた哀れな犠牲者を串刺しにする。

「うぐぅぅぅぅぅっ……!」

「飲み込まれたらたまりませんわ……!」

「おりゃぁぁぁぁぁっ!」

 キングクルールは大砲を撃ち出し、攻撃しようとしたマルクを怯ませた。

「ぐっ……! 許さないのサ……!」

「許すも許さないも無い。戦場は残酷な場所だ」

 スネークは麻酔銃を撃って無力化した後、マルクの光の壁を迫撃砲で打ち砕いた。

「なっ! ボクの壁が!」

「ダイナマイトパンチ!!」

「ぐあぁぁっ!」

 キングクルールはボクシンググローブを着け、マルクに全力でストレートを放った。

 大ダメージを受けたマルクが苦痛で震える。

「えい! えい! えーい!」

「覚悟なさい!」

 カービィも短い手足で全力でマルクを殴った。

 アイシャはカービィの傷を癒しつつ、自らもビンタや調理器具でマルクを攻撃する。

 キングクルールはパイレーツキャノンで攻撃し、思いっきり腹をぶつける。

 スネークはライフルで狙撃し、カービィはストーンでマルクを押し潰した。

 マルクは地面の影に潜り、四人を追いかける。

 四人の動きに合わせてマルクも動き、しばらくしてマルクが体当たりする――が、

 四人は直前で見切り、攻撃をかわした。

「このぉっ! なんで当たらないのサ!!」

 マルクは四方にカッターを放って攻撃する。

 だがそれも、カービィ達には当たらなかった。

「焦っていると、攻撃も当たらんぞ」

 劣勢になっているマルクは、かなり焦っていた。

 それとは対照的に、スネークは落ち着いてCQCやスタンナイフで的確に反撃する。

 マルクの動きはかなり鈍くなっている。

「チャンスだ! ダイナマイトパンチ!!」

「ウアアアアアアアアア!!」

 これをチャンスと思ったキングクルールは、再び全力ストレートを放つ。

 マルクは瀕死の重傷になり、カービィはとどめを刺す準備に入る。

「今ですわ! カービィさん!」

「いっくぞー! 鬼殺し……火炎ハンマァァァァァァァァァァァァァ!!」

「ギャアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 そして、カービィの炎を纏ったハンマーが、瀕死のマルクにクリーンヒットする。

 マルクは不気味な叫び声を上げ、翼が砕け散り、身体が四方八方に跳ね返る。

 そして、マルクは思いっきり地面に落ち、動かなくなった後、黒い煙になって消えた。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……僕……勝ったんだね……」

「ああ……。これで……」

「これで……皆さんと……」

「……コングの野郎どもと、決着を……」

 勝利した四人は、かなり息切れしている。

 強大な敵を倒したという達成感よりも、疲労の方が大きかったのだろう。

「みんな、お疲れ様」

「後は私達で治そう」

 アルトリアとロゼッタはそう言って、四人を安全な場所へ運ぶのだった。

 

「……これで大丈夫だ。もう平気だろう」

「ん……?」

 ロゼッタは回復術を唱え、四人を治す。

 最初に起き上がったのは、カービィだった。

「ここは……?」

「もう大丈夫です。貴方達は強大な敵に勝利しましたよ」

「うん……」

 アルトリアに言われ、改めてカービィは、強敵を倒したんだと実感した。

「……? これは……?」

 すると、謎の空間の中央に光が現れる。

 カービィが覗くと、中は大きな渦になっていた。

 ここを通り抜ければ、謎の空間を脱出できる。

 そう確信したカービィ達は、一斉に光の中に飛び込んだ。

 

「おっと!」

 カービィが飛び込んだ先は、不気味な空間だった。

 中央から左右に、三つの道が伸びている。

「ここが……闇の世界……?」

「……ようやく戻って来たか」

「お帰り、カービィ!」

「シャド……兄? ベル……ベル?」

 カービィが見たのは、シャドウとベルの姿だった。

 幻だと思っていたが、二人の表情で、それは幻ではないと確信した。

 次の瞬間、カービィの中で何かが弾け飛ぶ。

うわああん! シャド兄! ベルベル!

 怖かったよ、寂しかったよ!!

 カービィは溜め込んでいた気持ちを吐き出し、泣きながらシャドウに抱きつく。

 シャドウとベルは珍しく、目を開いて驚いている。

「この気持ちをかなり堪えていたんだな……」

「噴き出すのも無理はないわね」

 カービィは気が治まるまで、ただ泣き続けた。

 

 ダーズの襲撃で散った、ピンクの悪魔、混沌を操る黒いハリネズミ、秩序を守る死神。

 この三人が今、再び揃ったのだ。

 

「ただいま!」

「お帰りなさい」

 三人が再び揃ったという事は、バラバラになった仲間も再び揃ったという事。

 リヒターやテリーなど、新たな仲間も、散らばったみんなも改めて自己紹介した。

 道からは、邪悪な気配が漂っていない。

「という事は……これでボス敵は全滅したって事?」

「そういう事になるな」

「これで、私達はあいつに……!」

 カービィ、シャドウ、ベルがそう言った瞬間。

 

「これで、闇は広がる……」

「きゃぁぁぁ!」

 空間が裂け、不気味な目玉が姿を現す。

 目玉は波打っており、カービィとベルはあまりの不気味さに怯えている。

 シャドウは真紅の瞳で、ダーズを睨みつけている。

「余は混沌と闇の化身ダーズ。この世を闇で包む者」

 目玉のみのダーズは、不気味な声を上げている。

「お前が、ダーズだな……!」

 しばらく黙っていたカービィも、ダーズに向かって叫ぶ。

 シャドウとベルも身構えて、ダーズに挑む準備をしたが……。

「待て、二人とも」

「今度は俺達が戦う」

「俺達、スマブラ四天王で戦おうぜ。カービィ」

「マリおじちゃん、リン兄、ピカピカ!」

 マリオ、リンク、ピカチュウが現れ、シャドウとベルにそっと手を添える。

 スマブラ四天王と呼ばれているこの四人、他のスマブラメンバーも一目置く存在だ。

「ただ、流石のスマブラ四天王でも、四人だけでは心許ないでしょう」

「俺も一緒に戦うぜ!」

 アルトリアと柊蓮司も、スマブラ四天王と共に戦う決心をした。

 この二人も心身共に頑健で、容易に屈しない。

 そんな六人を見たダーズは、不気味に笑った。

「フフフ……キーラは案外弱かったな」

「ダーズ……」

「傲慢だな……」

 光の化身を「弱い」と見下すダーズに、マリオとアルトリアは怒りを隠せない。

「だが、余はキーラとは違う。お主らだけで勝てるとでも思ったか?」

「な、なんて奴だ……許さねぇ」

「それは俺だって同じだ。俺達をバラバラにしたんだからな」

「怖いけど、やるしかないよ!」

「ああ、こいつは絶対にぶっ潰してやる」

 どこまでも傲慢なダーズを、六人は許さなかった。

 仲間をバラバラにし、キーラ同様母体を利用した。

 彼を倒さなければ、六人の気が済まなかった。

 

「よかろう。ならば……来るがいい! 全てを闇に包んでくれる!!」

 マリオ、リンク、カービィ、ピカチュウ、アルトリア、柊蓮司は、闇の化身との決戦に挑んだ。




~ベルのスピリッツ名鑑~

マルク
出身世界:ミルキーロード
性別:男性?
ハーフムーンに住むと言われる悪戯好きなピエロ。
太陽と月を喧嘩させ、ノヴァの力を借りてポップスターを征服しようとした。
真の力を解放すると、「マルクソウル」という姿になるらしいが……?


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79 ~ 闇の化身ダーズ

混沌と闇の化身ダーズ戦です。
スマブラ四天王は、闇の化身を倒す事ができるのでしょうか……?


 闇の化身ダーズとの決戦が始まった。

 

「ディフェンスブースタ!」

「魔力放出!」

 柊蓮司は広範囲に防御結界を張り、六人がダーズの攻撃に耐えられるようにする。

 アルトリアは自らの魔力を身体強化に用いて能力を上げる。

「せい! やあっ!」

 リンクは気を込めた剣でダーズを斬り裂く。

 ダーズは一瞬だけ防御が緩み、そこにリンクが連続突きで畳みかける。

「大地拳! ……に見せかけての渾身撃!」

 柊蓮司はダーズに魔力を纏ったパンチを放つ。

 ダーズは触手で打ち消すが、それはフェイントで、柊蓮司は力を込めて強力な攻撃を繰り出す。

「喰らえ、ガツーンハンマー!」

「ロケットずつき!」

 マリオはダーズに向かってダッシュし、ハンマーを振り上げ一気にダーズ目掛けて殴りつける。

 カービィはダーズの触手に短い手足での会心の一撃を放ち、

 ピカチュウはロケットずつきで大ダメージを与える。

「ぐあぁっ!」

 ダーズは弾丸を連射してピカチュウを攻撃する。

 命中した弾丸がピカチュウの身体を蝕む。

「はぁっ!」

 アルトリアは剣をダーズの触手に振り下ろすが、弾かれてしまう。

 一方で、アルトリアもダーズの触手の攻撃を剣で弾き返した。

「食らえ」

「おっと、させないぜ! ショットプット!」

 ダーズは目を光らせ、攻撃しようとするが、柊蓮司が大地の力を込めた弾丸を放って打ち消す。

「せいやっ!」

「どりゃあ!」

 リンクは気合を込めた斬撃でダーズの触手を斬る。

 柊蓮司も魔剣で追撃した。

「えいやーっ!」

「ぐおぉぉっ!」

 カービィは思いっきりハンマーを振り下ろし、ダーズに大ダメージを与える。

「うわっ! うわわわわ!」

 だが、ダーズは触手で空間を引き裂いた。

 空間に巻き込まれたマリオはなすすべなくダーズの猛攻を受ける。

「……なんでしょう、これは……! うぐあぁぁ!」

 ダーズはムカデの尻尾のような姿で動き回り、アルトリアの身体を貫き、内部から破壊する。

 精神力が強いアルトリアでもこの攻撃には恐怖を感じ、思わず口を噤んでしまった。

 そこに容赦ないガトリング攻撃が入り、アルトリアは大ダメージを受けてしまう。

「この攻撃はどうだ?」

「うわあぁぁぁ!」

 ダーズは目を光らせ、地面から激しい勢いの火柱を起こしてファイター達を攻撃する。

 ピカチュウは何とか攻撃をかわしたが、それ以外の五人に命中しダメージを与える。

「くそ、なんて威力だ……!」

「だからといってここで躓くなよ!」

「ああ、分かってる!」

 ダーズの攻撃の凄まじい威力に、ふらつく柊蓮司。

 だが諦めずに立ち上がり、リンクと共にダーズの触手を切り裂く。

「せいやぁぁぁぁぁぁ!」

 マリオは渾身の力を込めてハンマーを振り下ろし、ダーズの触手の一部を打ち砕いた。

 

「ぐぅっ……スマッシュブラザーズよ。この程度で余を追い詰めたとでも?」

「ああ! お前に、この世界を渡しはしない!」

 ピカチュウは10まんボルトをダーズに放つが、ダーズは闇の力を放って攻撃を防ぐ。

 そして、ダーズはピカチュウを指差す。

「ほら……其方はもうすぐ倒れる」

「何……!? むぐっ!!」

 ピカチュウが動こうとすると、急に胸を押さえる。

 カービィはそれに気づかず、ストーンでダーズにダメージを与えた。

「……ピカピカ?」

 ストーンを解いた後、カービィが見たもの。

 それは、倒れているピカチュウの姿だった。

「ピカピカ? どうしたの、ピカピカ?」

 カービィは戦闘中にも関わらず、ピカチュウに駆け寄って声をかける。

 だが、ピカチュウは全く反応しなかった。

 すなわち、それは――戦闘不能という証だ。

 それを知った瞬間、明るいカービィの表情が一変、ダーズに対する怒りへと変わった。

「よくも……ピカピカを!」

「其方も葬ってやろう」

 ダーズは余裕な態度を崩さず、四つの時限爆弾を設置する。

「えい! やあ! とぉぉぉ!」

 カービィは素早く動いて時限爆弾を破壊、その結果被害が及ぶ事はなかった。

 さらに、回し蹴りがダーズの眼球にクリーンヒットする。

 仲間を傷つけられたカービィの動きは、かなりキレが良くなっていた。

「やるな! 霊破斬!」

 そんなカービィを見た柊蓮司は負けじとダーズの魂目掛けて魔剣を叩きつける。

 アルトリアは倒れているピカチュウを見て「これはまずい」と判断し、

 鞘の力を使って全員の傷を癒そうとしている。

「させるか」

「それはこっちのセリフだ! ファイアボール!」

 ダーズが阻止しようとするが、マリオがファイアボールを放って防いだ。

「この鞘で、どうか……」

 アルトリアは鞘の力を解放し、味方全員の体力を回復した。

 戦闘不能になったピカチュウが、目を覚ます。

「ん……俺は……生きているのか?」

「よかった、ピカピカ。目を覚ましたんだね」

 カービィは復活したピカチュウに笑みを浮かべる。

 六人を見たダーズは、怒りで身体を震わせる。

「其方等……許さんぞ!!」

 ダーズは広範囲に闇の衝撃波を放った。

「どうやら、ダーズはホンキのようです……。こちらも全力でいきましょう!」

 アルトリアは剣を構え直し、ダーズに突っ込んで切り裂いた。

「ぬぅん!」

「ぐあぁ!」

 ダーズは空間を切り裂き、そこから触手を四方八方に呼び出す。

 マリオは触手に貫かれ、大ダメージを受ける。

 アルトリアは何とか抵抗したが、僅かな傷を負う。

「でえいっ!」

「どりゃあっ!」

 柊蓮司とカービィのダブル回し蹴りが、ダーズの体力を削っていく。

「その程度か」

「ぐあああ!」

 ダーズはリンクに触手を伸ばし、締め上げる。

 リンクは身体の骨が砕けるような感じがし、叫ぶ。

「ファイア掌底!」

「ぐあぁぁぁぁぁぁ!」

 マリオは炎を纏った掌底をダーズの目玉に放つ。

 目玉は炎に包まれ、ダーズは悶え苦しむ。

「ヒール!」

「食らえ!」

 柊蓮司はマリオに回復魔法を使い、アルトリアはダーズを兜割りで攻撃する。

 直後、ダーズはガトリングでアルトリアに反撃した。

「かみなり!」

「鬼殺し火炎ハンマー!」

 ピカチュウはダーズの真下に立ち、雷を呼んで大ダメージを与える。

 カービィは炎を纏ったハンマーでさらに追撃する。

 ダーズの動きはかなり鈍くなってきていた。

 

「これで決めます。約束された(エクス)……勝利の剣(カリバー)!!

 アルトリアは剣に魔力を込め、振り抜いて巨大な光の魔力をダーズに叩きつけた。

 如何なる者といえど、この魔力を纏った攻撃をかわす事は不可能である。

「ぐぎゃあああああああああああ!!」

 アルトリアの一撃がダーズにクリーンヒットした。

 ダーズは触手をうねらせて悶え苦しみ、その触手もどんどん縮んでいく。

 そして、彼の身体も闇に包まれていき、ついに限界を超えて大爆発した。

 そして、熱を伴う光がダーズを追うように異空間の中に入った。

 

「やっと……ダーズを倒した……」

「でも……あの光は……」




次回は、最終決戦に向けての準備です。
なお、しつこいようですが、二次創作ですので公式とは一切関係ありません。


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80 ~ キーラとダーズの過去

何故キーラが世界を侵略したのか。
何故ダーズが世界を侵略したのか。
何故キーラとダーズは仲が悪いのか。
それを、私なりに考えて出した結果が、これです。


 スマブラ四天王、アルトリア、柊蓮司は、ついに闇の化身ダーズを倒した。

 しかし、世界はまだ元に戻っていなかった。

 光の世界でキーラ、闇の世界でダーズは倒したがあくまで撤退しただけで、

 完全に敗れたわけではないからだ。

 

「……う~む」

「どうしたんだ、リンク?」

 リンクは、一人で腕を組んで考え事をしていた。

 気になったマリオは、彼に声をかけた。

「キーラとダーズって、この世界を侵略しに来たんだよな。その割に、なんで仲が悪いんだ?」

「そこからかよ」

 リンクは、キーラとダーズの行動に疑問を浮かべていた。

 強大な力を持っているにも関わらず、協力しないのはおかしいと思ったのだ。

 それは、現実世界でも同じかもしれないが。

「確かに、どっちも悪い奴なら、一緒に襲ってくるはずだよね」

 カービィもこの事については疑問に思っていた。

 歴代の大ボスが一斉に迫ってくる事はあったが、今回は何故か一体一体を相手にしている。

 どうしてだろうとカービィが考えようとした時。

 

「鋭いな」

「うわっ!?」

「マスターハンド様!?」

「クレイジーハンド様まで!?」

 突然、マスターハンドとクレイジーハンドがマリオ達の目の前に現れた。

 ピカチュウ、アイシャ、ドリィは、二柱の神がいきなり出てきた事に驚く。

 マスターハンドとクレイジーハンドは「すまない」と謝った後、事情を話した。

「キーラとダーズが撤退した事で、私達を支配する彼らの力が弱まった」

「だから、君達の目の前に現れる事ができた」

 どうやら、両手袋を支配している光と闇の力が弱くなったため、

 一時的にこの世界に姿を現す事ができるようになったようだ。

 マスターハンドは早速だが、と口(?)を開く。

「キーラとダーズがこの世界を侵略した理由を調べてみたら、彼らの過去が分かったんだ」

「彼らにはすまないと思うが……ここで話そう」

「いや、君が謝る必要はない。僕にとって、こいつらは“侵略者”だからな」

 シャドウはあくまで、キーラもダーズも、

 この世界の侵略したものである事に変わりはないと言った。

 マスターハンドとクレイジーハンドは頷くように身体を動かす。

 

「いいか、最後までちゃんと聞くんだぞ」

「これは君達の道を決める、重要な話だからな」

 そして、マスターハンドとクレイジーハンドは、

 この話がキーラとダーズに聞こえないように認識阻害結界を張った後、

 光の化身キーラと闇の化身ダーズの過去を話した。

 

 宇宙空間の中で、翼を持つ白い光と触手を持つ黒い生物がいがみ合っていた。

『世界を照らすのは光だと、あれほど言っても分からないのか? ダーズ』

『いや、闇こそが至高だ。キーラ、貴様の光は世界に必要ない』

『ほう……人々が求める光を必要ない、だと?』

『闇がなければ光が生まれないとは言うが、それでも世界に必要なのは、闇なのだ』

 

「キーラとダーズは、私達と同時期に生まれた神だった。

 キーラは光と秩序を、ダーズは闇と混沌を司った」

「だが、キーラとダーズは折り合いが悪く、事あるごとに衝突を繰り返していた」

 全員、マスターハンドとクレイジーハンドの話を真剣に聞いていた。

 キーラとダーズは元から仲が悪かったため、衝突するのも無理はないと感じた。

 

 白い光――キーラと黒い生物――ダーズは、互いに光と闇の優位さを説いた。

『光は確かに束縛という悪しきものがある。過去と答えも、時に絶望を生む。

 だが、秩序と安定という、良き部分はある』

『闇は確かに混沌と謎を象徴するものだ。変化も、時に悪い方に傾く。

 だが、自由と未来という、良き部分はある』

 

「キーラとダーズはどちらが優れているのか、話し合いやそれぞれの行動で決めようとした」

「しかしそれでも、決着がつく事はなかった」

 

『埒が明かん。どうすればよいのだ』

『ならばキーラよ、ここで一つ、勝負をしようではないか』

『……勝負?』

『この世界でどちらがより優れているのかを決める、単純だが明快な勝負だ』

『そうか……それならば、手っ取り早いな。今までのやり方が、実に愚かしい。賛成だ』

『では、戦場を決めよう。……ここだ!』

 キーラとダーズはそう言って、空の彼方へと飛んでいった。

 

「最終手段として、キーラとダーズは、

 どちらがより優れているかという事を証明するために、一つの勝負をする事にした」

「争いの地として選ばれたのは、『この世界』――争いの世界だった。

 その世界で争い、優劣を決める事で、雌雄を決しようという事なのだ」

「しかしその世界には元々、様々な動物、植物、種族が住んでいた。

 だから彼らは、そいつらの肉体を奪い、器に入れ、手駒として使役した」

「それがスピリッツだったのね」

 今まで解析・解放してきたスピリッツの生まれ方を知ったベルは、神妙な面持ちになった。

 スピリッツも、元はこの世界の住民だったのだ。

 

「後はご存じの通り、カービィ、シャドウ、ベル以外の全てのスマブラメンバーは

 キーラとダーズに敗れ、母体をスピリッツを入れる器として使われた」

「これが、今回の異変の真相だ」

 マスターハンドとクレイジーハンドにより、争いの世界で起きた異変の真相が分かった。

 争いの世界の住人は、神々の戦いに否応なく巻き込まれたという事になるのだ。

 

「キーラとダーズは勝負のためなら俺達の都合などお構いなしか」

 全ての真実を知ったマリオが呟く。

「いつもは言い争ってる奴らも、こいつらが来れば手を繋ぐ……のはこの世界だけなのよね」

 ミロも皮肉たっぷりに現在の状況を言った。

 もっとも、彼女の上司は、そんな事が起きたらすぐにやり直せるのだが。

 

「ぐっ……!」

 すると突然、マスターハンドとクレイジーハンドが苦しみ出した。

「ど、どうしたんだ、マスター! クレイジー!」

「キーラとダーズが、目覚めようとしている」

 マスターハンドとクレイジーハンドは途切れ途切れにマリオ達に話した。

 どうやら、撤退したキーラとダーズが力を取り戻しているようで、

 再び彼らに支配されようとしていた。

「私達はここまでのようだ」

「待ってください、マスターハンド様!」

「行かないでください……!」

 アイシャとドリィが止めようとするが、

 マスターハンドとクレイジーハンドは苦しそうに「やめてくれ」と言う。

 二人のメイドは悲しげな表情になった。

「私とクレイジーハンドは信じている」

「だから、もう……」

「「君達が道を決めてくれ」」

 マスターハンドとクレイジーハンドはそう言い残すと、ファイター達の目の前から消滅した。

 

「……分かっているよな、みんな」

「うん」

「ああ」

「ええ」

 リーダー格であるマリオの言葉で、その場にいるファイター全員が頷いた。

 キーラとダーズの過去と野望は全て知った。

 だから、ファイター達が取る道は、もう1つしかなかった。

「よく考えてみると、キーラとダーズ、どちらか片方を倒したら、

 もう片方の野望が達成しちゃうのよね」

「ええ。白夜に付いても暗夜に付いても、真の平和は訪れませんでした。

 つまり、光を選んでも闇を選んでも、未来はない、という証明です」

「キーラもダーズも侵略者である以上、僕達はそいつと戦う使命がある」

「だから、二人ともやっつける!」

 そう――キーラとダーズを両方とも打倒し、争いの世界に真の平和を取り戻すのだ。

 

「いくぞ。光と闇が混ざる道に……!」

 そう言って、ファイター達は、最終決戦の場に飛び込むのだった。




次週からは最終決戦となります。
どうか最後まで、見届けてください。


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第三部:最終決戦
81 ~ 光と闇が混ざる道


ここから最終決戦パートに入ります。
今回はファイターを二人解放します。


 スマブラメンバーが飛び込んだ先は、光と闇が混ざっている場所だった。

 周囲には光に包まれたスピリッツや、闇に包まれたスピリッツが浮いている。

 その中で、キーラとダーズの戦いは激しくなった。

 レーザーが互いの陣営を貫き、戦力を大きく削っていく。

 キーラの方が小さく、ダーズの方が大きいが、それでも戦いは、終わる事がなかった。

 

「待てっ!!」

 マリオ、リンク、カービィ、ピカチュウを先頭に、スマブラメンバーが二人の前に姿を現す。

 彼らに気づいたダーズは、四人の方を向いた。

 キーラもコアを光らせて反応する。

「来たか、スマッシュブラザーズよ」

「どちらを選ぶか……決めるがよい」

 キーラとダーズはお互い、こちらの味方になるように促す。

 だが当然、マリオ達は首を横に振った。

 争いの世界を奪い、自分達を道具のように扱った彼らの味方になるわけがなかった。

 

「俺達は絶対に負けない……お前達を倒すまで!」

「キーラ、ダーズ……絶対に許さないからな」

「この世界の平和は、取り戻すから!」

「首を洗って待ってろよ、キーラ、ダーズ!」

 スマブラ四天王がキーラとダーズにそう宣言した。

 最終決戦が今、始まる。

 

「まずはこっちに行くぞ」

 スマブラメンバーはマリオを先頭に、右に進む。

 そこには光に包まれたテトラのスピリッツがいた。

 光に包まれたという事は、キーラ軍の戦力だろう。

「オイラが戦うよ!」

「大丈夫ですか、ディディーさん? テトラさんはエース級ですよ?」

「だーいじょーぶ! この動きなら、あいつを翻弄できるからさ!」

 自信満々なディディーコングを心配するリュンヌ。

 だがディディーコングの宣言通り、彼はテトラを翻弄してあっさりと勝った。

「これで、回収完了ね」

「久々にそれ、見るね」

 ベルはテトラのスピリッツをスピリッツボールの中にしまう。

 久しぶりに三人揃ったため、カービィは思わず懐かしく感じた。

 その後、バルドルをウルフが解放すると、突然、左の闇が物凄い力で右の光を押した。

 光のスピリッツを解放し、闇の勢いが増したのだ。

「これって、どういう事……?」

「ぐわ?」

「ばう?」

「推測だが……光と闇の勢力を均等に倒していけば、キーラとダーズの下に辿り着けるだろう。

 だが、闇雲に進めば、倒せない可能性が高い。次は左に進み、闇のスピリッツを解放せよ」

「ああ」

 ゲッコウガの推測通りならば、バランス良く解放すればキーラとダーズを倒せるかもしれない。

 一行はゲッコウガに従い、分岐を左に進んでペパー将軍、ゼロ、ロビンを解放した。

 そして、西に進むと、光の鎖に縛られた赤毛の少年、ロイを発見した。

「ロイ……」

「こんなところにいるとはな」

「キュウシュツガオソクナリ、タイヘンモウシワケアリマセン」

 ウォッチはロイに謝り、シェフで彼を縛る鎖を打ち砕いた。

 ロイは赤い瞳をぎらつかせながら襲い掛かる。

 ピカチュウ、ウォッチ、アイク、ブラックピット、ダックハント、パックマンは、

 ロイを解放するべく、彼と戦った。

 

「そーれっ!」

 パックマンは腕を振り上げ、青いモンスターを呼び出してロイを打ち上げる。

 ロイは無言でアイクとピカチュウに斬りかかる。

「世話が焼けるな」

 ブラックピットは衛星ガーディアンズを使い、味方全員の防御力を一時的に上げる。

「ばうばう!」

「アイアンテール!」

 ハントはロイに噛みついて身動きを取れなくし、ピカチュウは硬質化した尻尾を叩きつける。

 ウォッチはロイの行動をじっくりと見ていた。

 アイクはラグネルで、ロイに重い一撃を与える。

 パックマンはロイを連続で殴り、ブラックピットはフェイントをかける。

 ピカチュウとウォッチはロイの攻撃をかわし、それぞれ、でんげきとライオンで反撃する。

「……」

「その攻撃、見切った! 10まんボルト!」

 ピカチュウはロイのマーベラスコンビネーションを見切り、10まんボルトで反撃。

 ダックハットはワイルドガンマンを召喚し、

 ブラックピットは神弓シルバーリップによる射撃攻撃を行う。

「それーっ!」

「……!」

 パックマンのフルーツターゲットと、

 ダックハントが召喚したワイルドガンマンの射撃が命中し、

 ロイは吹っ飛ばされるが、ブレイザーで復帰する。

 さらにダックハントはワイルドガンマンを召喚、自身と共に一斉射撃を行った。

「ウグ……!」

 何度も攻撃を食らったのか、ロイの頭が混乱する。

 今がチャンスだ、とパックマン達は一斉攻撃する。

「ゆけっ、アカベエ!」

「アイアンテール!」

「デンショッカー」

「ファイアアタック!」

「ギャアアアアアアアアア!!」

 パックマンが召喚したアカベエ、ピカチュウの硬質化した尻尾、

 ブラックピットの豪腕デンショッカー、ウォッチの松明による渾身の一撃がロイに炸裂。

 まともに食らったロイは、空の彼方へと飛んでいくのだった。

 

「……あれ、ここはどこだ? 僕は一体、何をしていたんだ?

 ……ん? 君は、もしかしてアイク?」

「ん? そうだが?」

「ああ……本物のアイクなんだね! よかった!」

 アイクの顔を見たロイが一安心する。

「どうやら、元に戻ったようだな」

「仲間がまた増えたネ!」

 彼の眼は元の青色に戻っており、ピカチュウとパックマンは一安心する。

「ところで、どうして君達はここに来たの?」

「実は……」

 ピカチュウがロイに事情を話すと、ロイは納得して頷いた。

「なるほどね。キーラとダーズを倒すために、光と闇のバランスを取っているのか」

「どちらが勝っても俺達の世界は終わる。だから、世界を救うには、両方倒すしかない」

「別にあいつを倒してしまっても構わないよね?」

 ロイは茶目っ気たっぷりに言った。

「ああ……そして、ここにいる仲間も、全員助ける。そのためには、お前の力も必要だ」

「改めてよろしくね、ピカチュウ!」

 ロイは屈んで、ピカチュウの手を握った。

 すると、闇の勢力がさらに強くなった。

「ダーズ側がかなり優勢だな……」

 このまま突き進んでいけば、自然とキーラのみと戦う道に着いてしまう。

 スマブラメンバーの目的は、キーラとダーズを両方打倒する事だ。

 故に、ここから光の勢力を強めなければならない。

 

「次はどこに行けばいいの?」

「こっちだ」

 スマブラメンバーは北に行き、ロイの前にいたマスターハンドと戦った。

 挑んだのは、シャドウ、ヨッシー、ゼルダ、リュカ、ゲッコウガ、イレブンの六人だ。

 シャドウは真っ先に拳銃を三連射する。

「そ~れ!」

 ヨッシーは特殊な卵を投げ、一時的にマスターハンドの特殊能力を封じる。

 ゲッコウガは両手で斬撃を放つが、マスターハンドは彼の攻撃をかわす。

「デイン!」

「PKファイアー!」

「力の女神ディンよ……」

 イレブンは呪文を唱えて指から聖なる電撃を放ち、リュカは火の玉でマスターハンドを燃やす。

 シャドウは回し蹴りで攻撃し、ゼルダはディンの炎を放つ。

 ゲッコウガは高く飛び上がり、足で踏みつけてダメージを与える。

 続けて、ヨッシー、イレブン、リュカも追撃した。

「ゆくぞ」

「メラミ!」

 ゲッコウガのみずしゅりけんがマスターハンドに命中し、粘膜に包まれる。

 イレブンはマスターハンドの急所を狙い、大きな火の玉を放って爆発させる。

「いっきますよ~!」

「ハッ!」

 ヨッシーは空中からバタ足でキックし、マスターハンドを連続で攻撃する。

 シャドウはマスターハンドの背後に回り、素早く手刀で一撃を与える。

 イレブンは勇者のつるぎを振るい、マスターハンドに大ダメージを与えた。

「とどめだ」

 そしてシャドウが距離を取った後、スナイパーライフルでマスターハンドを狙撃。

 マスターハンドは自分がどうなったのか分からないまま、消滅するのだった。

 

「このマスターハンドもフェイクか」

 シャドウ達が相手したマスターハンドも、キーラが作り出した偽物だった。

 本物のマスターハンドに出会うのは、遠い。

 

「光の力を弱めてくれて感謝する」

 すると、ダーズの低い声が聞こえ、シャドウとゲッコウガは身構える。

 だが、この時点でダーズには手を出せない。

「余はさらなる増援を呼ぼう……!」

 ダーズは地響きと共に、この空間に増援となる闇のスピリッツ、クレイジーハンド、

 そして眼鏡をかけた黒髪の女性を呼び出した。

「皆さん、どうしますか~?」

「一度戻るぞ。あの女もまた、スマッシュブラザーズだからな」

「は~い」

 一行は入り口に戻り、今度は左に進んだ。

 ミドナを解放した後に左に進み、リトルバード、ジャンヌ、ルナアーラ、鬼神リンクを解放。

 そして、スマブラメンバーは女性の前に立った。

「今、助けるよ!」

 マルスはファルシオンを抜くと、女性を縛っている闇の鎖を切り裂いた。

 すると、女性――ベヨネッタは華麗な動きで一行に襲い掛かってくる。

 シャドウと目が合ったベヨネッタはこう言った。

「悪いけど、坊やと遊んでる暇はないのよね」

「誰が坊やだ。僕を下に見ているのか?」

「私はダーズ様にお仕えする身なの。ダーズ様は世界を闇に染めてくださるのよ」

「……貴方も、ダーズの呪縛を受けているのね」

 そう言って、サムスはアームキャノンをベヨネッタに向ける。

 彼女は相変わらず、妖艶な笑みを浮かべたままだ。

「ふふっ、そうねぇ。ウズウズしちゃう。闇の鎖がなかったら、もっともっと楽しいのに」

「じゃあ、こっちも全力で行かせてもらうよ」

「……(わたくし)も、手加減はいたしません」

 マルスはファルシオンを抜く体勢に入る。

 テリーは身構え、こどもリンク、ベレス、ドリィもそれぞれ武器を構えている。

 六人を見たベヨネッタは、殺る気満々になった。

 

「二度と歯向かう気が起きないようにしてあげる」

「……来るわよ!」

 

「クラエ」

「させん!」

 クレイジーハンドはミサイルを放とうとする。

 シャドウは後方で狙撃銃を撃ち、クレイジーハンドの攻撃を阻止する。

「ありがとう、シャドウ!」

「せいやっ!」

「バーンナックル!」

「あなた達の行動が見えます」

 マルスはシャドウにお礼を言って、ファルシオンでベヨネッタを斬りつける。

 ベレスは天帝の剣で追撃し、テリーはバーンナックルを放つ。

 サムスとこどもリンクも隙を突いて攻撃。

 ドリィはアナライズの魔法でベヨネッタの行動パターンを読んだ。

「ふっふっふ」

 ベヨネッタは銃を振り上げ、乱射しつつ連続蹴りでベレスを攻撃する。

 テリーは空中からパンチを放ち、ベヨネッタを攻撃する。

 マルスは下段より繰り出す強烈な切り上げと喉元への突き下ろしでベヨネッタを切り裂く。

「ド・ポプル・デ・イグニ・デ・フラゴ」

「アァァァッ!」

「……!」

 ドリィは呪文を詠唱して巨大な炎の玉を創造し、杖を振りかざして投射した。

 炎の玉は空中で爆発し、ベヨネッタに大きな被害を与える。

「やーっ!」

 こどもリンクはブーメランを投げて攻撃する。

「……」

「見切った!」

 ベレスはベヨネッタの攻撃を完全に見切り、すぐさま死に体を魔槍アラドヴァルで貫く。

 その攻撃は不可避であり、その見切りには寸分の狂いもない。

 サムスはミサイルを放ち、爆撃する。

「ベヨネッタは回避に専念しています」

「だったら隙を突いて! でやーっ!」

 ドリィはこどもリンクに助言をする。

 こどもリンクはベヨネッタの渾身の一撃をかわしてコキリの剣で斬りかかる。

「ラ・ポク・デ・イス」

 ベヨネッタは無味無臭の誘眠性ガスにより眠る。

「ありがとう、ドリィ。……はあっ!」

「グウウウウウッ!」

 ベレスは眠ったベヨネッタに勢いよく魔斧アイムールを振り下ろし、大ダメージを与える。

 テリーはベヨネッタをパワードライブで攻撃する。

「凍りつけ」

 サムスはアイスミサイルでベヨネッタの足を凍らせアームキャノンによる打撃で氷ごと砕く。

「……!」

 眠っているベヨネッタに、マルスの渾身の一撃が命中した。

 ベヨネッタは起きるが、一時的に混乱している。

 こどもリンクは距離を取り、炎の弓矢でベヨネッタを攻撃した。

 ベヨネッタの体力は、残り僅かだ。

「導いてみせる!」

 ベレスは魔弓フェイルノートを取り出し、ベヨネッタを狙う。

 弦を引き、矢がベヨネッタの身体を貫くと、ベヨネッタは場外に吹っ飛ばされた。

 そう、六人の勝利が決まったのだった。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……あなた達と戦えて、とっても楽しかったわよ」

 正気に戻ったベヨネッタは、息を切らしながらも戦闘の感想を述べる。

 美しい外見に似合わず、かなりの戦闘狂のようだ。

「で? 坊や達は何の用なの?」

「……」

「やめてください、シャドウさん」

 シャドウは銃口をベヨネッタに向けようとするが、ドリィはシャドウを制止する。

 その後に、ドリィは落ち着いてベヨネッタに事情を話した。

 

「……というわけで、(わたくし)達はキーラとダーズを追い詰めて、倒そうとしているのです」

「ふーん、なるほど……ダーズ? もしかして、あの? ……そう、そういう事だったのね」

「ベ、ベヨネッタさん?」

「一緒に行かせてちょうだい。私を操った責任を、取ってもらうから」

 ベヨネッタはダーズに操られていた時の記憶が残っていたようだ。

 彼女のかすかな怒りを感じ取ったドリィは頷く。

「分かりました。一緒に行きましょう。キーラとダーズは、必ず倒します」

「ええ……お願いね、お嬢ちゃん」

「……はい」

 

 ベヨネッタを解放した事で、少し光が強くなった。

 それでも、戦いはまだ、終わらない。




~ベルのスピリッツ名鑑~

テトラ
出身世界:ハイラル
性別:女性
海に眠るお宝を探し、航海をする海賊団の御頭。
姉御肌で、子分達から厚い信頼を受けている。
テトラ本人も知らなかったが、正体はゼルダ姫。

ペパー将軍
出身世界:スペースワールド
性別:男性
コーネリア防衛軍の最高責任者。
現場での状況判断に優れ、トラブルにも冷静に判断できる。
温厚でクールなナイスミドルだが、やや皮肉屋な面もあり、好感の持てる人格者。

ゼロ
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性型
エックスの先輩で特A級のイレギュラーハンター。
かつては光銃のゼロバスターを使用していたが、現在は光剣のゼットセイバーを使用している。
生真面目な性格で、イレギュラーには容赦がない。
長い金髪を持つため、フォルテに「女みたい」と笑われていた。

ロビン
出身世界:ウェイアード
性別:男性
ハイディア村生まれの地のエナジスト。
明朗快活な性格で剣士としての高い能力を有する。

ミドナ
出身世界:影の世界
性別:女性
仮面を被った謎の少女で、正体は影の世界の王女。
本来は派手な黒衣を着た大人の姿だが、ザントの呪いで子供の姿になっている。
勝気で奔放な性格で、強大な魔力を持っている。

リトルバード
出身世界:メトロード
性別:不明
ボトルシップに出現した謎の小型生物。
毛は細く柔らかいが、足は固く、動きは軽やか。
口は毛に隠れて見えないが、ガバッと開く。

ジャンヌ
出身世界:こことは異なる世界
性別:女性
四丁一組の銃「オール4ワン」を駆使した格闘術「バレットアーツ」を使う、銀髪の女性。
ベヨネッタの行く先々で登場し、幾度となく戦いを挑んでくる。

ルナアーラ
出身世界:ゲフリアース
性別:不明
アローラ地方の伝説のポケモンで、コスモウムが進化したがちりんポケモン。
エスパー・ゴーストタイプで、特性はファントムガード。
太古の時代から人々に崇められ、「月を誘いし獣」と呼ばれていた。

鬼神リンク
出身世界:ハイラル
性別:男性
24番目の仮面、鬼神の仮面を装備したリンク。
非常に高い能力を持つが、ここぞという時にしか使えない。


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82 ~ 狂気の左手

ダークサムスとクレイジーハンド救出回です。


 争いの世界を救うため、光と闇を打ち倒す最終決戦が始まっていた。

 ベヨネッタを解放した一行は、この先にいるクレイジーハンドと戦う準備をしていた。

 

「この先から、ただならぬ気配を感じます」

「ドリィ……」

 クレイジーハンドに仕えるメイド、ドリィはごくりと唾をのんだ。

「ラ・ナチュ・マ・ギ・デ・スカト」

 ドリィは念のため、防御魔法を味方全員にかける。

 相手の攻撃は強力なので、それに備えるためだ。

 そして、六人が一歩踏み出すと、クレイジーハンドが目の前に現れる。

「……来ますよ!」

「アアアアアァァァァァァァァ!!」

 クレイジーハンドは叫び声を上げながら、ゼルダ達に襲い掛かってきた。

 

「やぁっ!」

 ゼルダは力の女神ディンの力を借り、炎を発生させて攻撃する。

 クレイジーハンドはドリルのようにクッパに突っ込んでいった。

「おらぁぁ!」

 クッパは渾身の一撃で反撃するが、クレイジーハンドには当たらなかった。

「くそっ、オレは空が苦手なんだ……」

 リトルマックは、空中に浮くクレイジーハンドが苦手だった。

 その時、ベルがリトルマックの身体に手を触れる。

「力をあげるわ」

「サンキュー! ロングアッパー!」

 リトルマックはベルの魔力により一時的に能力が上がり、

 遠い間合いから突き上げるように拳を放った。

 メタナイトは空を飛び、素早く剣で切り刻んだ。

「オアアアアアアアアア!!」

「どうか、正気に戻ってください……。クレイジーハンド様……!」

 クレイジーハンドは五本の指から青い炎を放った。

 ドリィの防御魔法の効果でダメージは大した事がなかったが、

 主の裏切りはドリィの心に傷をつけた。

「邪魔するんじゃないわよ! ナイトメア!」

 ベルは鎌を勢いよく投げつける。

 クレイジーハンドの指を切り裂いたが、指はすぐに再生しかすり傷に留まった。

「勇気の女神フロルよ、彼の者に勇気を与えたまえ」

 ゼルダはフロルの力を借りてドリィに優しく追い風を吹かせ、その行動を補助する。

 余裕ができたドリィは杖を振り、魔法の矢を飛ばして攻撃した。

「グゥゥ……ドリィヨ、ナゼワタシニサカラウノダ」

「クレイジーハンド様はそのような事は言わない……だから(わたくし)は迷わない!!」

「我輩はここで負けるわけにはいかないのだ!」

「はああぁっ!」

 ドリィは防御するクレイジーハンドに、魔法の矢を乱射して攻撃する。

 クッパは回転しながら突っ込んでいき、リトルマックもロングアッパーで追撃する。

 ベルも大鎌を振り、クレイジーハンドを切り刻む。

 猛攻によりクレイジーハンドは瀕死になっていた。

 

「今ですよ、ドリィさん!」

「クレイジーハンド様、どうか、正気にお戻りください。

 ラ・ナチュ・ド・ステラ・マ・ギ・ド・ヴェン!」

ギャアアアアアアアアアアアアア!!

 追尾する魔力弾を乱射し、クレイジーハンドを連続で打ち据える。

 まともに攻撃を食らい続けたクレイジーハンドは悶絶し、暴れ出す。

 やがてクレイジーハンドは完全に戦意を喪失。

 ドリィ達はこの戦いに、勝利したのだった。

 

「うぐぅぅっ! うあぁぁぁぁぁ!」

 クレイジーハンドはのたうち回っていたが、

 しばらくすると、彼の身体から黒いオーラが消えていく。

 そして、大人しくなったクレイジーハンドは宙に浮き上がり、正気に戻る。

 ドリィは確信した、彼が本物のクレイジーハンドなのだと。

 ベル達は、クレイジーハンドをダーズの支配から解放したのだ。

 正気に戻ったクレイジーハンドはのたうち回り、ようやく、完全に落ち着きを取り戻した。

 

「……私はなんて事をしてしまったんだ……」

「元に戻ったのですね、クレイジーハンド様」

 ドリィは寂しそうな顔で、クレイジーハンドに抱き着いた。

 ファイター達と違い、クレイジーハンドは操られた時の記憶をはっきり覚えているようで、

 クレイジーハンドは彼と戦った六人に謝罪した。

「後はマスターハンドさえ解放すれば、キーラとダーズを倒すための道が開く。

 だが、そのためには、光と闇を均等に……」

「それは分かっております。クレイジーハンド様はもうお休みください。

 後はスマブラメンバーが、道を開きます」

 ドリィはクレイジーハンドにそう誓った。

 クレイジーハンドがテレポートで姿を消すと、光の勢いが増していった。

 

「残るはマスターハンド様ですわね」

「ファイターも解放せねば、な」

 一行は再び開始地点に戻り、左に進み、ミドナを倒した場所から右に進んだ。

 ムムカ、ダークマインドを解放し、分かれ道を右に進み、マグナ、シャノアを解放する。

 すると、偽クレイジーハンドの群れと、黒い身体を持つサムスが宙に浮いていた。

 彼女はフェイゾンから生まれたダークサムスだ。

「ダークサムス! ……不快ね」

 サムスはパワードスーツ越しにダークサムスの姿を見て、不快になる。

「はっ。そりゃそうだろうねぇ。自分と同じ姿の敵がいたら、不快になるさ」

 ダークサムスはサムスを嘲笑する。

 だが、視線をすぐにカービィとストームに向けた。

「でも、今の私はアンタに用はない。そこにいる球体をいたぶりたいよ」

「何ですって」

「ダークサムス……僕とカービィと戦いたいのか?」

「そうさ。こいつらをサムスの前で消してから、サムスに苦しみを与えてやるよ」

 ダークサムスはアームキャノンを二人に向ける。

「なんて事を……」

「サム姉をいじめちゃダメ! 黒サム姉は、僕達がやっつける!!」

「油断大敵、という言葉を教えてやろう」

「相手は天使じゃないけど……私を楽しませてくれるかしらね」

「サア、ミナサン、ヤミヲハライマショウ!!」

「……言っておくけど、バランスは取ってよ」

「キーラとダーズは両方やっつけるんだからね」

 カービィ、ストーム、ウォッチ、ロックマン、ベヨネッタ、トゥーンリンクが身構える。

 次の瞬間、ダークサムスと偽クレイジーハンドの群れが襲い掛かってきた。

 

「汚れな!」

「うわぁ!」

 ダークサムスはフェイゾンエネルギーを物体を破壊する力に変えてカービィに放つ。

 まともに食らったカービィは、体力が大きく減る。

 ストームは十分に距離を取った後、集中力を極限まで高め、必中の矢を放つ。

「ロックバスター!」

「そんなもの!」

 ロックマンはチャージショットを放つが、ダークサムスはフェイゾンを盾に抵抗する。

「やぁっ!」

「えい! それ! うわぁぁっ!」

「グリーンハウス!」

 ベヨネッタがスライディングを繰り出した後、スカボロウフェアで連続攻撃する。

 カービィはパンチとキックで偽クレイジーハンドを攻撃するが、ミサイルで反撃される。

 ウォッチもグリーンハウスで攻撃するが、カービィ同様に反撃を受けた。

「こいつらは近距離から攻撃すると反撃するみたい。だから、飛び道具で攻撃するのよ」

「そっか! じゃあ、これで!」

 トゥーンリンクは勇者の弓に矢を番え、偽クレイジーハンドを貫いた。

 ロックマンはボンバーマンの特殊武装、

 ハイパーボムを投げて周りの偽クレイジーハンドごと爆発に巻き込む。

「固まりなぁ!」

「させるか!」

 ダークサムスはフェイゾンでトゥーンリンクを束縛しようとするが、

 ストームが矢を放って打ち消した。

「うふふ、さようなら」

 ベヨネッタは大事な部分を手で隠した後、スーツを髪に戻し偽クレイジーハンドを切り裂く。

 偽クレイジーハンドは黒い煙になって消滅した。

「鬼殺し……火炎ハンマァァァァァァァ!!」

「ぎゃあああああああああああ!!」

 そして、カービィが炎を纏ったハンマーをダークサムスに振り下ろし、場外に吹っ飛ばした。

 ダークサムスが倒された以上、残った偽クレイジーハンドを倒すのは容易だった。

 こうして、ダークサムスとの戦いは呆気なく終わりを告げるのだった。

 

「……ベルベル、黒サム姉はどうするの? やっぱり、倒しちゃうの?」

 カービィが倒れているダークサムスを見ながらベルに言うと、ベルは首を横に振った。

「倒さないわ。この世界は、誰も死ななくていいやさしい世界よ。

 たとえ、善人でも悪人でも、ね。だから、ダークサムスは戦力として使うわ」

 クッパも、ジュニアも、キングクルールも、ガノンドロフも、リドリーも、ウルフも、

 そして微妙だがミュウツーとワリオも、皆、同じスマッシュブラザーズなのだ。

 ダークサムスを除け者にしていいわけがない。

 ベルはダークサムスを戦力として加えるのだった。

 

「これで、クレイジーハンドは全て敗れたか。ふふ……感謝するぞ、スマッシュブラザーズよ」

 ダークサムスと偽クレイジーハンドを倒した事で、光が闇を打ち消し、ダーズを追い詰めた。

 キーラは今がチャンス、と一際強く光り輝く。

 すると、光に包まれたマスターハンドと、光の鎖で縛られたパルテナが現れた。

「パ、パルテナ様……」

「マスターハンドまでいるぜ……」

 ピットとブラックピットがそう呟く中、ベルは真剣な表情で二人を見ていた。

 カービィもごくりと唾を飲んでいる。

「……こいつが最後の、捕まっているファイターね。

 この戦いももうすぐ終わるわ。それでも、気を抜いちゃダメよ」

「キーラは感謝するなんて言ってたけど、感謝なんてするものか。

 お前も絶対に、僕達がやっつけてやる」

 

 スマッシュブラザーズの長い長い戦いは、もうすぐ、終わりを迎えようとしていた。




~ベルのスピリッツ名鑑~

ムムカ
出身世界:ゼノワールド・並列世界3
性別:男性
ダンバン達の元戦友で、狡猾だが腕の立つ戦士。
爪状の武器を使う。しかし、その正体は……。

ダークマインド
出身世界:鏡の世界
性別:不明だが、男性的
鏡の大迷宮異変を起こした張本人。
願いを叶える力を持った鏡の国の秘宝「ディメンションミラー」を暴走させ、
鏡の国を悪心で溢れさせた。

マグナ
出身世界:天空界
性別:男性
人類最強の剣士で、身の丈ほどの大剣を振るう。
地上で傭兵をしており、粗暴で自己中心的だが、その陰には何か秘密があるようだ。

シャノア
出身世界:こことは異なる世界
性別:女性
ドラキュラに対抗するための組織「エクレシア」に所属する女性。
戦闘では背中の刻印や飛行能力を駆使して戦う。


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83 ~ 創造の右手

ついに全てのファイターを救出します。
この回は私のオリキャラ、ベルが活躍いたします。


 クレイジーハンドとダークサムスをダーズの呪縛から解放し、

 残るはマスターハンドとパルテナのみ。

 スマッシュブラザーズはシャドウのカオスコントロールを使い、

 スタート地点に戻り、右に進んだ。

 一行はセリス、テイルス、ソルガレオ、ヒカリを倒し、

 いよいよマスターハンドとパルテナがいる場所に辿り着く。

 

「パルテナ様……」

 ピットはぎゅっと、パルテナの神弓を握り締める。

 彼女が、敵に操られた最後のファイターなのだ。

「ちっ……」

 ブラックピットは舌打ちし、神弓シルバーリップを構える。

 パルテナの神弓の試作品であるこれは、試作品ながら使いやすい性能を誇る。

「ラ・ナチュ・マ・ギ・デ・スカト」

 マスターハンドとパルテナは魔法攻撃を得意とするため、ドリィはレジスト・ヴィレを使った。

「もしも、マスターハンドが本物ならば、仲間を助ける戦いは、これで終わります」

 目の前にいるマスターハンドは、本物なのか。

 ドリィはぐっと杖を握り締めている。

「ウフフフフ……キーラサマニサカラウモノハ、ミンナケシサッテアゲルワ」

「キーラサマコソ、シコウナノダ」

 パルテナは恐ろしい笑みを浮かべ、マスターハンドの身体は光に包まれている。

 この二柱は強力だが、彼らを解放すれば、ついにスマブラメンバーは全員集結する。

 ピット達は覚悟を決めて、マスターハンドとパルテナに挑もうとしていた。

 

「オマエタチモ、キーラサマニシタガエ!!」

「誰が……従うものか!!」

「ガブガブガーブ!!」

「さあ、みんなをキーラとダーズから助けるわよ!」

「怖いけど、僕は逃げないよ」

「邪魔をするなら容赦はしない」

 そして、ピット、ドクター、クラウド、パックンフラワー、

 そしてベルは、最後のファイターとの戦いに挑んだ。

 

「ガブーッ!」

 マスターハンドはパックンフラワーに狙いを定め、ミサイルを大量に放って攻撃する。

 パックンフラワーはシールドで攻撃を防ぎ、シューリンガンでマスターハンドに反撃する。

「君の動きは……」

「ミキレナイワヨ?」

 ドクターはパルテナの動きを読もうとしたが、パルテナはくすくすと笑った。

「ちょっと、動かないでね!」

「ウフフッ」

 ベルが闇の力を霧状にしてマスターハンドとパルテナを包む。

 だが、パルテナの奇跡によって、闇の霧は全て消えてしまった。

「そ、そんな!」

「諦めるな!」

「ガブガブ!」

 クラウドはバスターソードを振り、衝撃波でマスターハンドを切り裂く。

 パックンフラワーは首を伸ばしてパルテナに噛みついた。

 

「やるじゃないの、クラウド、パックンフラワー」

「ガブ!」

「……」

 どんなもんだい、と胸(?)を張るパックンフラワーと、静かに佇むクラウド。

 だがマスターハンドは容赦なく、ベル達に攻撃を仕掛けてくる。

「危ない!」

 ピットは鏡の盾を使って、レーザーを全て防ぐ。

「操られた女神なぞ、くそくらえだ!」

 ピットは神弓シルバーリップを二刀短剣に変え、素早くパルテナに斬りかかる。

 ベルは大鎌を振り回し、青い炎でマスターハンドを燃やす。

「心臓マッサージ!」

ギャアアアアアアアアア!!

 ドクターはパルテナの胸目掛けて、心臓マッサージを放った。

 パルテナは叫び声を上げて、吹っ飛ばされる。

 だが、テレポートを使ってすぐに復帰した。

「凶斬り」

 クラウドは凶の字を描く斬撃でマスターハンドにダメージを与える。

「オートショウジュン」

「ぐあ、あ、パル、テナ、様」

「バクエン」

 パルテナは杖を振り、ピットに光の弾丸を放つ。

 さらに、怯んだピットに爆炎で追撃した。

うわぁぁぁぁぁぁ!

 そして、ドクターも握り潰されて地面に叩きつけられ、場外に吹っ飛んでいった。

 

「ちっ……」

 ベルは舌打ちして、鎌を持ち上げる。

「パックン!」

「ガブ!?」

「あんたは私の後ろに隠れなさい!」

「ガブガブ!」

 ベルはパックンフラワーを後ろに下がらせる。

 パルテナは杖を構えてパックンフラワーを爆炎で燃やそうとしたが、ベルが闇魔法で打ち消す。

「あんた達を助ければ、キーラとダーズに安心して挑めるのよ!」

 諸悪の根源であるキーラとダーズを倒せば、争いの世界は平和を取り戻す。

 そのためには、全ての仲間を解放するのが必要だ。

 ベルは強い思いを込めて、鎌を振り回してマスターハンドとパルテナを切り裂いた。

「……」

「ワタシタチハトメラレナイワ」

「それはこっちの台詞よ!」

 マスターハンドは無言で攻撃し、パルテナも様々な奇跡を使って翻弄する。

 だがそれも、ベルの鎌と闇魔法が打ち消す。

「俺達も!」

「援護するよ!」

 ピットはパルテナの神弓、ブラックピットは神弓シルバーリップから光の矢を放ち、

 マスターハンドとパルテナを貫く。

「ガブガブガーブ!」

「それ!」

「破晄撃」

 パックンフラワーは至近距離からポイズンブレスを放ち、

 マスターハンドとパルテナを毒に侵す。

 さらに、ドクターとクラウドも遠くからカプセルや衝撃波で攻撃した。

 

「これでとどめよ! ナイトメア!!」

ギャアアアアアアアアアアアアア!!

ウアアアアアアアアアアアアアア!!

 ベルは闇を纏った鎌を勢いよく振り、空間ごとマスターハンドとパルテナを切り裂いた。

 空中から二人が現れ、そして場外に落下する。

 戦場でドゴン、という大きな音が鳴り響き、次の瞬間、周囲の光の力は消滅した。

 マスターハンドとパルテナは、キーラの支配から解放されたのだ。

 

「……これで、終わった……!」

 ベルはそう言うと、疲労からばたりと倒れ、カチャン、と手に持った鎌が落ちた。




~ベルのスピリッツ名鑑~

セリス・バルドス・シアルフィ
出身世界:戦記の世界
性別:男性
シグルドとディアドラの長男。
バルドとヘイムの血を引いており、聖剣ティルフィングを扱う事ができる。
グランベル帝国の圧政からシアルフィを救うため、イザークで解放軍を結成する。

マイルス“テイルス”パウアー
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
2本の尻尾を持った子狐の男の子。8歳。
いじめられていたところをソニックに助けられて以来、彼を慕っている。
かなりのしっかり者で、機械に関する知識が深い。
また、尻尾を回す事で空を飛ぶ事ができる。

ソルガレオ
出身世界:ゲフリアース
性別:不明
アローラ地方の伝説のポケモンで、コスモウムが進化したにちりんポケモン。
エスパー・はがねタイプで、特性はメタルプロテクト。
太古の時代から人々に崇められ、「太陽を喰らいし獣」と呼ばれていた。

ヒカリ
出身世界:ゼノワールド・並列世界4
性別:女性
伝説のブレイド、ホムラのもう1つの姿。
ホムラの中にいたが、レックス達を助けるために目覚めた。
それ以降、レックスやホムラ達と共に楽園を目指す事になる。


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84 ~ ホントの最終決戦へ

セフィロスは、やられる前にやるタイプですかね?
それはさておき、世界の主がこの世界のために戦います。


 ついに、スマッシュブラザーズはキーラとダーズに捕らえられた全てのファイターを救出した。

 マスターハンドとクレイジーハンドも、キーラとダーズの支配から完全に解放された。

 

「みんな、よく私達を解放してくれた」

「私達のコピーも全員倒してくれて、ありがとう」

「正直、また操られるとは思わなかった。また不覚を取ってしまった……すまない」

「いいんだよ、結果オーライでしょ?」

 マスターハンドは二度目の洗脳を受けた事を謝罪するが、カービィは笑みを浮かべて許す。

「ありがとう、スマッシュブラザーズの代表よ」

「このたびは本当に、感謝する」

「え、えへへへへ……」

 二つの手袋はカービィに心を込めて感謝した。

 カービィは嬉しくて照れてしまい、頭を掻いた。

 

「パルテナ様、本当に無事でよかった……!」

「ピット……心配してくれて、ありがとう」

「けっ、女神のフンめ」

 ピットとパルテナは、互いに手を握り締めた。

 ブラックピットは、冷めた目で二人を見ている。

 だが、彼女の事を全く認めていないわけではなく、その証拠に、彼は目を離さなかった。

 

「お帰り、みんな」

 マリオは改めて、スマブラメンバー全員を見返す。

 キーラとダーズに囚われたファイターは、もう、どこにもいなかった。

 後は、彼らを倒せば、この世界は救われる――

 

「とにかく、これでみんなをキーラとダーズの支配から解放できたわ」

「スピリッツも均等に解放できたみたいしね」

 ドクターとベルが空を見上げる。

 光と闇のオーラは、二人の言う通り、均等に広がっていた。

 これでキーラとダーズを倒す事ができる。

 スマッシュブラザーズは歩みを止めず、光と闇が混ざる空間の最も奥に辿り着いた。

 すると、マスターハンドとクレイジーハンドが、交差するように飛んでいく。

 互いに身体をすり合わせ、エネルギーが発生する。

 エネルギーを纏ったマスターハンドとクレイジーハンドは勢いよく空間に体当たりした。

 すると、空間に開いた亀裂が大きく広がり、大きな渦となって姿を現した。

「この先に、キーラとダーズがいる」

「だが、ここから先に行けば、決着がつかない限りこの空間には戻れなくなる」

「……それでも」

「行くのか?」

 マスターハンドとクレイジーハンドが、後戻りはできない、と最終警告をする。

 もし負けてしまえば、争いの世界の未来はない。

 それでも、スマッシュブラザーズ全員の表情に、迷いは一切見られなかった。

「当たり前だ!

 争いの世界を滅茶苦茶にしたキーラとダーズを、そのまま放っておくわけにはいかねぇ!」

「皆を利用したという罪を、その身に受けてもらうために……」

「たとえ何が起こっても、僕達は絶対に諦めない!」

「俺達の未来は俺達で決める……キーラとダーズなんかに、未来を決められてたまるか」

 スマッシュブラザーズを代表して、マリオ、リンク、カービィ、ピカチュウは言う。

 覚悟を決めた四人の目を見て、マスターハンドとクレイジーハンドは頷いた。

 

「私達が道を拓く、君達は先に進め!」

「ああ! 行ってくるぜ!」

「絶対に勝って、帰ってくるからね!」

 スマッシュブラザーズは全員、空間の向こう側に飛び込んでいった。

 

「こうして全力で戦えるとはな」

「ああ、いつぶりなのだろうか」

「この世界が解放される事を、わたしは信じておりますわ」

「前だけ見なさい、背中はお守りいたします」

「ガギャアアアアアアアア!」

「勘違いするなよ、リドリー。私とアンタはあくまで、利害が一致しただけさ」

 その場に残ったのは、マスターハンド、クレイジーハンド、アイシャ、ドリィ、

 リドリー、ダークサムスの六人だった。

 アイシャとドリィは主のため、リドリーとダークサムスは利害の一致のため。

 だが、この世界を救いたいという気持ちは、変わらなかった。

 

「……来たぞ!」

「ええ!」

「スマッシュブラザーズよ、世界はあなた達が救うのです」

「私達もこの戦いに勝つ!」

 亀裂の中から、光と闇のファイターが現れる。

 マスターハンド達は彼らを迎え撃つべく、戦闘態勢に入った。

 

「ゆくぞ!」

「せいやぁっ!」

 マスターハンドが手を叩きつけて、光と闇のファイターを一掃する。

 クレイジーハンドも暴れ回ってキーラとダーズの手下を攻撃した。

「流石ですわ、マスターハンド様!」

「クレイジーハンド様……」

 アイシャとドリィは、この世界の神であるマスターハンドとクレイジーハンドに感心した。

 ただ立っているだけでは従者とは言えないため、アイシャとドリィも主を援護しに入った。

「キーラサマ、キーラサマ、キーラサマ!!」

「させません! ド・ゲイト・デ・テラ・マ・ギ!」

 ドリィは光のファイターに魔法の矢を乱射する。

 まともに食らった光のファイターは次々に光となって消滅した。

 アイシャは闇のファイターに対し、防戦している。

「ゴガアアアアアアアアアアアア!!」

「フェイゾンに飲まれな!」

 リドリーとダークサムスは全力で光と闇のファイターを攻撃した。

 その攻撃は苛烈にして過激、全く容赦がなかった。

「くっ、まだ来るか!」

 しかし、光と闇のファイターが消える気配はない。

 それどころか、周りの力を吸収してさらにパワーアップして襲ってきた。

「ぎゃああああ!」

「危ない!」

 ダークサムスは場外に吹っ飛ぼうとしたが、マスターハンドが彼女を受け止めた。

「アンタ、何するんだい!」

「文句を言っている場合じゃない。君もスマッシュブラザーズの一員なんだ。

 宿敵が消えるのは、困るだろう?」

「……当たり前さ!」

「だったら、私達と協力するんだ」

「分かったよ……」

 今はいがみ合っている場合ではない。

 ダークサムスは渋々ながらも、武器を構え直した。

 

「きゃぁぁぁっ!」

「ゴガアアアアアアアアアアアア!!」

 アイシャに襲ってきた闇のファイターは、リドリーブレスにより燃え尽きた。

 さらに、リドリーは油断した光のファイターに不意打ちをかけて体力を徐々に削り、

 まとめて掴んで動けなくする。

 すぐに相手を倒すよりも、いたぶる方がリドリーは好きなのだ。

 

「皆様……」

 アイシャは、キーラ襲撃の時に逃げてしまった。

 だが、今は逃げずに敵に立ち向かっている。

 全ては謝罪のために、そして、争いの世界に平和を取り戻すために。

「ふふふ、頑張っていますね」

「ドリィさん……」

 そんなアイシャの隣で、ドリィは微笑んでいた。

 彼女のその姿に、感心したからである。

 最早敵味方の区別は無く、皆、一丸となって、キーラとダーズの脅威に立ち向かっていた。

 これこそが、真のスマッシュブラザーズだろう。

 

「私達は必ず、光と闇に勝つ!」

「だから、信じてくれ!」




最終決戦パートも残り僅か。
最後まで、スマッシュブラザーズを見届けてください。


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85 ~ 光と闇を倒せ

ホントの最終決戦パートです。


 マスターハンド、クレイジーハンド、アイシャ、ドリィ、リドリー、

 ダークサムスが光と闇を打ち払いに行っている間、

 スマッシュブラザーズはキーラとダーズの下へ向かっていった。

 雲に覆われた地平線の向こうに太陽が見える。

 あの空の向こうに、全ての元凶であるキーラとダーズが待ち構えているのだ。

 

 一部のスマブラメンバーは、ちらちらと後ろを振り返っていた。

 後ろでは、マスターハンド達が光と闇のファイターに立ち向かっていた。

「大丈夫かなぁ……? マスター、クレイジー……」

「りょうさん、大丈夫です。あの方達なら、光と闇を倒せます。

 わたし達でできる事をやりましょう」

「……ありがとう、しずえ」

 不安になるりょうを、しずえは励ました。

 

「うわっ!?」

「りょうさん、危ない!」

 突然、りょうに向かってボコブリンが飛びかかってくる。

 しずえはりょうを庇い、シールドを張った。

 目の前にはオクタロックやチュチュなど、たくさんの魔物が立ち塞がっている。

「しずえ、ありがとう!」

「りょうさんは先に行ってください。ここは、わたし達が食い止めます」

「……うん」

 リトルマック、ファルコ、ウルフ、しずえ、トゥーンリンク、

 キングクルールが魔物に立ち向かった。

 りょう達は彼らが食い止めている間に、大急ぎで奥に向かっていった。

 

「そらよ!」

「ウルフフラッシュ!」

 ファルコは空中に飛び上がり、炎を纏った体当たりで魔物を一掃する。

 ウルフは体当たりして魔物をまとめて倒した。

「まさかこの俺様がお前と手を組むとはな」

「リドリーとマスターハンドが手を組んだんだ、今は敵味方の区別なんていらないぜ」

「……ああ、そうだな!」

 ファルコとウルフは互いに手を取り合う。

 ライバル同士が結託した瞬間である。

 

「おいおい、俺様を忘れたら困るぜ!」

「それ! えい! そおれっ!」

 キングクルールはファルコとウルフが取りこぼした魔物を倒していった。

 しずえはピコハンや傘を使って、一生懸命に魔物と渡り合っている。

「我らの邪魔はさせん!」

「散れ!」

「そうはいかねぇ!」

 道中、キーラとダーズの妨害が入るが、キングクルールがそれを阻止する。

「とりゃーっ!」

「たあーっ!」

 リトルマックの拳とトゥーンリンクの剣――どちらも「けん」と読む攻撃が、

 魔物を次々に吹っ飛ばしていく。

 それでも魔物は数の暴力で攻めてくるが、六人は攻撃の手を休めない。

「きゃ!」

「危ない!」

 しずえにボコブリンの棍棒が振り下ろされる直前、リトルマックが庇い、反撃する。

「マックさん、ありがとうございます」

「困った時はお互い様だろ?」

「……そうですね。わたしも、守られているだけじゃありません。

 りょうさんのためにも、必ず勝ちます!」

「ああ、その意気だ!」

 マックに応援されたしずえは、全力で魔物に立ち向かっていった。

 彼女としては、本当はウルフに応援してもらいたかったのが本音なのだが……。

 

「キーラとダーズめ……」

「やっつけるでちゅ!」

 スマブラメンバーは魔物と戦っている他のメンバーを信じて、走り出す。

 次の瞬間、冥府軍と自然軍の魔物が一斉に襲ってきた。

「くそっ、敵か!」

「ここは俺達に任せろ! お前達は先に行け!」

「うん!」

 メタナイト、ブラックピット、リュウ、ケン、ピチュー、ゲッコウガ、ストームが身構え、

 他のスマブラメンバーを走らせる。

 ブラックピットとストームが後方から矢を放つ。

 ゲッコウガは隙を突いて背後を取り、音も立てずに冥府軍の敵を仕留めた。

「流石だな、ゲッコウガ」

「静かにしろ」

「……あ、ああ」

 リュウはゲッコウガに言われた通り、音を出さずに相手の出方を図る。

 すると、不気味な音と共にオーンが姿を現した。

「オーンだ! あいつに触ったら即死する!」

「どうすればいい?」

「浄化の力があれば倒せるが……」

 ブラックピットは神弓シルバーリップを引き、光の矢をオーンに放ち、消滅させた。

 しかし、オーンの数は減るどころか増えている。

「どうすればいいんだ」

「僕に任せろ。トルネイド・バリアー!」

 ストームはトルネイドのARTSを使い、七人全員に竜巻のバリアを張った。

「このバリアさえあれば、オーンの影響を受けずに戦う事ができる。

 ただし、このバリアの制限時間は5分だ。それまでに決着をつけろ!」

「ああ!」

 メタナイト達はオーンの群れに突っ込んでいった。

「ぴちゅぅぅ!」

 ピチューはかみなりで広範囲のオーンを一掃する。

「波動拳!」

「昇竜拳!」

「うりゃりゃりゃりゃ!!」

 リュウとケンの格闘技でオーンは消滅する。

 メタナイトは彼らが取りこぼしたオーンをギャラクシアで滅多切りにした。

「いくぜっ!」

「……」

 ブラックピットは神弓シルバーリップを双剣に変えオーンの群れを次々と切り刻む。

 ゲッコウガは静かに、確実にオーンを仕留める。

 

「お前らは早く先に行け!」

「ああ!」

 そんな仲間の勇気を見て、スマブラメンバーは先に進むのだった。

 

 スマブラメンバーはキーラとダーズを追い、空間を只管上へ上へ昇っていった。

 しかし、魔物は彼らの前に立ち塞がっていく。

 

「オレ達が相手だ!」

「まっけないぞ~!」

 魔物に立ち向かうは、ドンキー、ディディー、スネーク、ゼルダ、シーク、アイスクライマー。

 ディディーはピーナッツ・ポップガンを抜いてクリボーやノコノコを倒していく。

「いくぞ!」

「はぁっ!」

 シークが前に出てカキボーにダメージを与え、ゼルダが魔法でとどめを刺す。

 元は一つだったゼルダとシークの息はぴったりだ。

「「トルネードハンマー!」」

 息ぴったりなのはゼルダとシークだけではない。

 氷山を登るアイスクライマーも、だ。

 ポポとナナは二人同時にハンマーを振り回し、周囲にいたカロンが砕け散る。

「そこかっ」

 スネークは後方から冷静に魔物を狙撃する。

 魔物は叫ぶ暇もなく、ばたりと倒れた。

「このまま一気にいくよ!」

「ええ!」

 アイスクライマーは高く飛び上がり、二人同時にハンマーを振り下ろす。

 衝撃波が周囲に広がり、クリボー、ノコノコ、カロン、カキボーは一掃された。

「よし、やったぞ!」

「まだ敵は来ます!」

 ゼルダがそう言うと、ハンマーブロスとファイアブロスの群れが襲い掛かってきた。

 彼らは高くジャンプしながら、ハンマーやファイアボールを投げてくる。

「知恵の女神ネールよ、災厄から我らを守りたまえ」

「えい!」

「ふっ」

 ゼルダはネールの力を借りてバリアを張り、ハンマーとファイアボールを跳ね返す。

 ディディーとシークは遠くから飛び道具で攻撃。

 ドンキーとスネークは体術でハンマーブロスを吹っ飛ばし、

 アイスクライマーは氷の力でファイアブロスが投げたファイアボールを凍らせる。

 さらにアイスクライマーはトルネードハンマーでブロス達をまとめて吹っ飛ばした。

「危ないから下がっていろ」

 スネークは踏むと作動する地雷をブロス達がいる場所に設置する。

 すると、スネークの予測通り、ブロス達は地雷を踏んで場外に吹っ飛んだ。

「これで、終わりだ! ジャイアントパンチ!!」

 そして、ドンキーは渾身の力を込めたパンチをメガブロスにぶちかまし、吹っ飛ばした。

 次の瞬間、周囲から魔物の姿が消えた。

 これが最後の一匹だった事をスネークは改めて確認した。

 

「これで、魔物は全滅した。だが、オレ達はここから先には行けない」

「後は、キミ達が頑張るんだよ……!」

 

「ドンキーやディディーが頑張ってくれた。その思いを無駄にはしない!」

 キーラとダーズを追いかけるスマブラメンバー。

 妨害はなおも激しくなってくるが、歩みを止めるわけにはいかない。

 二柱の攻撃をかわしながら進むスマブラメンバーの前に、

 多数の目玉がついた触手が生えた、小型ダーズを思わせる一つ目の魔物が現れた。

 りょう、デイジー、ダックハント、ロゼッタ、ガオガエン、

 ドクターが魔物の前に立ち塞がり、構える。

「君達は先に行って!」

「ああ!」

 りょう達が食い止めてくれるため、スマブラメンバーは先に行った。

 

「こいつの名は……」

「デイジー君、いけない、それは禁句だよ! あえて言うなら、『土下座君』だよ……うわ!

 Zzzzzzz……」

 土下座君は催眠光線を放ち、ドクター達を一斉に眠らせた。

 その隙にもう一体の土下座君がりょうに破壊光線、ドクターに石化光線を放つ。

「ぐっ、足が動かない……」

 ドクターは足が石になってしまい、動けない。

「ばう!」

「おりゃああああ!」

 ダックハントは土下座君の攻撃をかわすが、直後に催眠光線で眠ってしまい、

 さらにデイジーが無防備になり土下座君の触手攻撃を食らってしまう。

 ガオガエンはラリアットを仕掛けるが、躓いてしまい、土下座君には当たらなかった。

「せぇい、やぁ!」

 デイジーは野菜引っこ抜きでボム兵を抜き、土下座君の群れに投げつける。

 ボム兵の爆発で土下座君はまとめて吹っ飛んだ。

「せいやぁぁぁっ!」

 りょうは岩をも砕くような勢いでパチンコを連射する。

 土下座君の防御も崩して、ダメージを与える。

「当たるか」

「ばうばう!」

 一方、土下座君の攻撃は激しくなるが、ロゼッタとダックハントはかわして反撃する。

「応援ガンバやで!」

「うおーっ!!」

 デイジーは戦っているメンバーに激励を飛ばした。

 彼女の激励により、メンバーの士気は上昇した。

「DDラリアット!」

「えいっ!」

 ガオガエンは両腕を勢いよくぶん回し、土下座君を場外に吹っ飛ばす。

 りょうもガオガエンに続き、傘で土下座君を攻撃。

「何をしている、ドクター!」

「ぴぴぃぴぃ!」

 チコがドクターの周りをくるくる回り、石になっていたドクターの足を元に戻した。

「ああ、ありがとう、ロゼッタ」

「りょう、怪我はないか? ギャラクシーヒール!」

「ばうばーう!」

 ロゼッタはりょうの自然治癒力を活性化させる。

 ダックハントはワイルドガンマンを召喚し、土下座君を狙撃して安全にダメージを与えた。

「石化する……っ!」

「危ない!」

 土下座君がロゼッタ達に狙いを定め、石化光線を放とうとすると、

 ドクターはカプセルを投げて阻止した。

 威力は高くなかったが、土下座君を怯ませた。

「うわっ!」

「何するねん!」

 土下座君は触手から破壊光線を放ち、デイジーとダックハントに大ダメージを与える。

 しかし、スマブラメンバーの猛攻は止まらず、次第に土下座君は追い詰められていく。

「それ!」

 ドクターの心臓マッサージが、土下座君にとって致命的な攻撃となる。

「とどめだ! ハイパーダーククラッシャー!!」

 そして、ガオガエンが腕を振り回し続け、黒い衝撃波が辺りに広がった。

 衝撃波に巻き込まれた土下座君の触手はちぎれ、全て地面に落ち、

 土下座君の本体も黒い霧になって消滅した。

 

「僕達が行けるのは、ここまでだ」

「後は、頼んだよ……!」




「全員参戦」を表現するために、原作とは違い、
スマブラメンバー全員を決戦の場に乗り込ませました。


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86 ~ 天秤は傾かない

今回は残りのメンバーでボスを倒していきます。


「みんな、がんばってましゅね……」

 プリンは後ろを見ながら呟く。

 スマブラメンバーの数も、どんどん減っていった。

 だが、スマブラメンバーは臆しない。

 何故なら、キーラとダーズへ繋がる道を、仲間達が託しているからだ。

「ルカリオしゃん、てきがきたでしゅ!」

「……ああ」

「ウアァァァァァァァァァ」

 プリン達を狙う敵は、多数の屍兵だ。

 戦士や魔道士、ソシアルナイトだけでなく、

 ペガサスナイトやドラゴンナイトの屍兵もいる。

「いけっ、ブレイズ!」

「リザーッ!」

 ロートはモンスターボールの中からリザードンのブレイズを呼び出す。

 ブレイズは口から火炎を吐き、屍兵の群れを焼き払った。

「それっ!」

「……ぬぅん!」

 ルカリオは空を飛んでいるペガサスナイトの屍兵をはどうだんで撃ち、

 パックマンがフルーツターゲットで追撃する。

「やあ!」

「健康になりますよ!」

 ソレイユとリュンヌは協力してヨガのポーズにより屍兵を撃退する。

 プリンはマジカルシャインで屍兵を怯ませ、攻撃するブレイズとルカリオを支援した。

 すると、プリンの攻撃を受けていないペガサスナイトの屍兵が、プリン目掛けて襲い掛かった。

きゃあぁ!

 プリンは吹っ飛んでしまい、場外に落ちかける。

 空を飛んで復帰するが、ペガサスナイトの屍兵は見逃さず、プリンに槍を突き刺そうとする。

「ブレイズ、そらをとぶ!」

「リザァァァ!」

 その直前、ブレイズは空を飛んでプリンを掴み、屍兵の攻撃範囲から逃れた。

 ブレイズはプリンを安全な場所に休ませた。

「後は私達に」

「任せてください!」

 ソレイユとリュンヌの対空攻撃で、ドラゴンナイトの屍兵の体力は削られる。

「フィオーレ、あいつの翼を掴んで引っ張るんだ!」

「フッシー!」

 ロートはブレイズからフシギソウのフィオーレに交代し、

 ドラゴンナイトの屍兵が乗るドラゴンの翼をつるのムチで絡み取る。

「大丈夫か、フィオーレ。私も手伝うぞ」

「フシフーシ!」

 引っ張るのは容易ではなかったが、ルカリオがやってきて共に引っ張り、

 ついにドラゴンナイトの屍兵は墜落する。

 そして、地上に墜落したドラゴンナイトの屍兵は、ルカリオのインファイトによって倒された。

 同時に全ての屍兵が散り散りになって逃げていく。

 どうやら、この屍兵がリーダーだったようだ。

 

「道は作ったぞ」

「みんな、頑張ってくれ……!」

 戦った六人のスマブラメンバーに、疲れがどっと襲い掛かる。

 彼らを見たスマブラメンバーは頷いて、先に進むのだった。

 

「また魔物が来たか!」

 スマブラメンバーの前に、またもや魔物が現れる。

 戦うのは、デデデ、ランス、パックンフラワー、ジュカイン、オリマー、ベヨネッタの六人だ。

「大王様はボクがお守りいたします!」

「おお、頼りになるゾイ、ランス!」

 ランスはデデデの前に立ち、先陣を切って魔物と戦った。

 槍による刺突攻撃と薙ぎ払いが、襲い掛かるワドルドゥやサーキブルを倒す。

「ガブガブー!」

「シザークロス!」

 パックンフラワーはシューリンガンやポイズンブレスで魔物を牽制する。

 そこに、ジュカインの交差する一閃が入った。

 オリマーは三匹のピクミンに的確な指示を出して攻撃させる。

「はっ! それっ!」

 ベヨネッタの華麗なバレットアーツにより、天使の群れは次々と撃ち落とされた。

 オリマーはピクミンを死なせないように、ピクミンを笛で呼んで魔物から離れさせる。

 ランスはデデデにしっかりついていきながら、デデデと共に皆を守っていく。

「これでも喰らうゾイ!」

「それっ!」

 デデデはゴルドーを投げて、ブロントバートやバードンを撃ち落とす。

 墜落したブロントバートやバードンに、ランスの槍が突き刺さり、瀕死になった。

「ガブ!」

「それ!」

 パックンフラワーが首を伸ばしてヘイホーを打ち上げると、

 ベヨネッタのバレットアーツが炸裂した。

「エナジーボール! リーフストーム!」

 ジュカインは距離を取り、エナジーボールを放って体力を削る。

 そして、リーフストームによってこの場にいた全ての魔物を一掃した。

 

「これで、魔物は全滅した……よね?」

「そのようだな……」

 魔物の気配が周囲から消えていく。

 どうやら、後ろにいたスマブラメンバーが、キーラとダーズがよこした魔物を倒したようだ。

 スマブラメンバーの前には、ぶつかり合う光と闇の塊があった。

 よく見ると、光と闇の中にはスマブラメンバーが今まで戦ってきたボスの姿がある。

「あの光は……!」

「お前達よ、我輩に続くのだ!」

「ああ!」

「僕は負けない……!」

 クッパ、ジュニア、マルス、ロイ、アイク、クラウドは光の中に飛び込んだ。

 

 六人が光の中に飛び込むと、恐ろしい容姿をしたクッパの姿がある。

 それは、光の世界で戦ったギガクッパだった。

 あの時、マリオ達が倒したはずだが、キーラの力でこの世界に蘇ったのだ。

 ギガクッパと相見えたクッパは拳を握り締める。

「我輩はキーラにこやつに変えられて、マリオと戦わされていたのか……」

「お父さん……」

 ジュニアが心配そうに父親の顔を見る。

「心配するな、ジュニア。こんな強敵に、我輩は敗れるかもしれない。我輩、一人だけではな!」

「そうだね。みんながいれば、必ず勝てる」

「スピリッツ達も僕達を信じてくれている。その期待に応えなきゃね」

「この世界を守るために、俺は立ち止まらない」

「だから、俺は、俺の道を進む!」

「みんな……」

 マルス、ロイ、アイク、クラウドが剣を掲げる。

 彼らの姿を見たジュニアは、勇気づけられた。

「よぉーし! ぼくも頑張るぞぉー!!」

 ジュニアは満面の笑みを浮かべて、片手を上げた。

 ギガクッパとの戦いが始まる。

 

「おっと!」

「はぁっ!」

「せいっ!」

「やぁっ!」

 ジュニアはギガクッパの腕振り攻撃をかわし、クッパクラウンのフォークで攻撃する。

 マルス、ロイ、アイクは飛び道具がないため、ヒット&アウェイで確実にダメージを与えた。

「破晄撃」

 クラウドはバスターソードを振り、衝撃波でギガクッパを切り刻む。

「グゴアァァァァァァァ!」

「ジュニア!」

「お父さん!」

 ギガクッパは口から炎を吐いてジュニアを攻撃しようとするが、クッパが庇った。

 すると、ギガクッパは大声を出してクッパ、ジュニア、ロイを金縛りにした。

「ぐぅぅっ……!」

「か、身体が動かない……!」

「しかも、凄い攻撃をしそうだよ……」

 そうこうしている間に、ギガクッパが強力な攻撃の準備をしている。

 このままでは、六人が全滅してしまう。

「その前に倒せばいいんだ。クラウドとアイクは力を溜めて待ってて」

「「ああ」」

「グオォォォォォォォォォ!」

 ギガクッパがクラウドとアイクに襲い掛かる。

 マルスはファルシオンを構えたまま、微動だにしない。

「……シールドブレイカー!」

「グオォォ!」

 ギガクッパが爪を振りかざす。

 マルスはギガクッパが攻撃してくる寸前、ギガクッパの防御の薄い部分を狙い、

 ファルシオンでそこを貫く。

 ギガクッパは叫び声を上げて悶える。

「今だよ、アイク、クラウド!」

「ああ、いくぞ!!」

「はあああぁぁぁぁぁっ!!」

 アイクは勢いよくラグネルを叩きつけ、蒼炎でギガクッパを燃やす。

 そして、クラウドが高速で斬り払い、斬り上げ、斬り下ろしの三連撃を行う。

ギャアアアアアアアアアアアアアアアア!!

 ギガクッパは叫び声を上げてのたうち回る。

「これで、とどめだ!」

 クッパが右腕を大きく振り回し、ギガクッパに渾身の一撃を放つ。

 ただのパンチだが、大魔王であるクッパの手にかかればそれすら致命傷となる。

 そして、ギガクッパは白い光となって消滅するのだった。

 

「一度蘇った奴など、恐るるに足らず! ガーッハッハッハッハッハ!!

 クッパはギガクッパが消えた場所を見ながら、大声で笑った。

「流石だね、お父さん!」

「ジュニアよ、ゆく……ぐぅっ!」

 クッパがジュニアを引いてついていこうとすると、疲労から急に動けなくなった。

「お父さん!?」

「我輩はもう限界なのだ。あのまま進めば我輩は死ぬ。お前達! 決して無理はするな!!」

 それは、クッパなりの気遣いであった。

 マルス、ロイ、アイク、クラウドは、クッパ親子と共に帰りを待つのだった。

「みんなを信じて、僕も待つよ」

「ギガクッパは倒したんだからね」

「ああ……」

「大事なのは、仲間だ」

 

「ギガクッパが倒れた……」

「よし、次はこいつだ!」

 クッパ達の活躍で、ギガクッパは倒れ、残る光の数は2つ、闇の数は3つとなった。

 こどもリンク、フォックス、ネス、リュカ、ガノンドロフ、ジョーカーは闇の中に飛び込んだ。

 

「グオオオオオオォォォォォォ!」

 闇の中で待ち受けていたのは、シャドウ達が聖地で戦った魔王ガノンだった。

 再び魔王ガノンと戦う事になったガノンドロフは、ごくりと唾を飲む。

 こどもリンクは勇気を振り絞り、コキリの剣を構えた。

 ガノンドロフも大剣をどこかから取り出す。

「……来いっ!!」

 こどもリンクが叫ぶと共に、魔王ガノンとの再戦が始まった。

 フォックス、ネス、リュカ、ジョーカーも、こどもリンクとガノンに続いた。

 

「グガアアアアァァァァァァァァ!!」

 魔王ガノンは両手に持った大剣を高く掲げて雷を宿し、斬撃と同時に雷弾を放った。

 六人はすぐにシールドを張り、雷を防いだ。

「せいやっ!」

 こどもリンクは魔王ガノンの尻尾目掛けて、コキリの剣で刺突攻撃した。

 魔王ガノンはかわそうとするが、

 こどもリンクはかわした場所に素早く動いて尻尾をコキリの剣で突いた。

 フォックスはブラスターを撃ちつつ、相手の出方を伺っている。

「はぁぁぁっ!」

「PKファイアー!」

 ガノンドロフは魔王ガノンに渾身の一撃を放つが、魔王ガノンには当たらなかった。

 ネスは炎の弾丸を魔王ガノンの尻尾に放ち、尻尾を炎で包み込んで燃やす。

「スクンダ!」

 ジョーカーはペルソナ、アルセーヌの力を借りて魔王ガノンの動きを遅くする。

 これにより、攻撃が当たりやすくなった。

「ありがとう、ジョーカー! えいっ!」

 リュカはぼうっきれを振り、魔王ガノンに会心の一撃を放った。

 こどもリンクは魔王ガノンの尻尾をコキリの剣で斬りつける。

グオオオオオオオオオオオ!!

「カウンター!」

 魔王ガノンはガノンドロフに両手の大剣を振り下ろすが、リュカが張ったバリアで跳ね返す。

 すると魔王ガノンはリュカに向かって突進し、二本の大剣で切り裂こうとした。

「うわあぁ!?」

「危ない!」

 大剣がリュカに当たる寸前、フォックスが庇って斬られた。

 浅くない傷を負ったフォックスの顔が苦痛に歪む。

「フォックスさん、大丈夫!?」

「ぐっ……」

「今、治すよ! ライフアップ!」

 リュカはライフアップを唱えて、フォックスの傷を癒す。

 しかし、彼を完全に癒す事はできなかった。

「駄目だ、回復が上手くできない」

「無理はするな、下がってろ」

「ああ」

 ジョーカーは傷ついたフォックスを見て、

 これ以上の戦闘は危険と判断してフォックスを後ろに下がらせた。

 

「エイハ!」

「どりゃあ!」

 ジョーカーは素早く魔王ガノンの背後に回り、エイハを唱えて自身に注意を向けさせる。

 ガノンドロフは魔王ガノンが振り向いたところに大剣を勢いよく振り下ろす。

「PKフリーズ!」

「せいやぁっ!」

 リュカはPSIで氷を作り出し、魔王ガノンに氷を投げつけた。

 凍り付く事はなかったが隙ができたため、ネスは魔王ガノンの尻尾をバットで殴った。

ゴガアアアアアアアアアア!!

「サイコシールド!」

 魔王ガノンは口からレーザーを放ち、フォックス達を一掃しようとする。

 ネスがサイコシールドを張り、レーザーを防ごうとするが、

 威力は高くサイコシールドは砕け散り、レーザーは貫通してしまう。

「……」

 全員、魔王ガノンの攻撃を食らって瀕死だ。

 このままでは、全滅するのも時間の問題である。

「……俺があいつを倒す」

 すると、瀕死のフォックスがゆっくりと立ち上がり、震える手でブラスターを構えた。

「フォックス! 本気!?」

「ああ……お前らは俺のために頑張ったんだ。今度は、俺がやる番だからな……!」

 手がぶれていて、照準は合わさっていない。

 それでも、フォックスの目は、魔王ガノンに向いている。

「フォックス、やめて!」

ガアアアアアアアアアアアアアアア!!

 魔王ガノンの大剣がフォックスに振り下ろされる。

 当たってしまえば、身体は真っ二つだ。

「とどめだ!!」

 フォックスが放ったブラスターの光線が、魔王ガノンの尻尾目掛けて飛んでいく。

ギャアアアアアアアアアアアア!!

 それが魔王ガノンに命中すると、魔王ガノンは大声を上げて苦しみ出した。

 そして、魔王ガノンは黒い煙に包まれ、爆発四散して消えるのだった。

 

「や……った……」

 フォックスはそう言って、ぺたりと座った。

 勝利への喜びと疲労が、同時に来たのだろう。

「お疲れ様、みんな」

 ジョーカーは魔王ガノンと戦ったメンバーを労う。

 アルセーヌも表情には出さないが喜んでいた。

「は……はは……ははは、はは……」

 ガノンドロフも疲れてしまい、バタン、という音と共に倒れた。

 

「みんな、お疲れ様。後は私達に任せてくださいね。……さあ、ピット、いくわよ!」

「はい、パルテナ様!」

 フォックス達の活躍を見たパルテナは、

 彼らの活躍を無駄にしないためにピットと共に光の中に飛び込んだ。

 ウォッチ、リィン、ヨッシー、バンジョーとカズーイも、二人に続いて光の中に飛び込んだ。

 

ゴガアアアアアアアアアアア!!

 光の中にいたのは、火竜リオレウスだった。

 リオレウスの巨体に、ピットはごくりと唾を飲み込んだ。

「ピット、慌てちゃダメよ。まずは準備するわ」

 パルテナは味方全員を強化する奇跡を使った。

「それっ!」

「とおっ!」

 ピットとバンジョーの会心の一撃が、リオレウスの頭部に炸裂する。

 強化された一撃は、リオレウスの体力を大きく減らした。

「ジャッジ……7!」

 ウォッチはリオレウスに近付き、ハンマーで叩いてジャッジする。

 数字は7であり、チョコレートが落ちてきた。

 直後にリオレウスが咆哮してウォッチにダメージを与えるが、

 チョコレートを食べてすぐに回復した。

「それそれそれ~!」

「オート照準!」

「ロボビーム!」

 ヨッシーがバタ足キックでリオレウスを攻撃している最中に、

 パルテナは距離を取って杖から弾丸を放ち、リオレウスを撃つ。

 リィンも遠距離からレーザーを放って追撃した。

 すると、リオレウスは空を飛び、口から強力な火炎弾を放った。

 火炎弾は地面に命中すると、大爆発が起こる。

 ピットは飛翔の奇跡を使ってかわし、残りの五人もかすり傷で済むが、炎が残ったため歩きにくくなる。

 六人は炎が消えるまで、ジャンプなどで空中を飛び回った。

「ヤァッ」

「ジャイロ!」

 ウォッチは炎が消えたのを見計らい、空中から鍵を刺してリオレウスを攻撃した。

 リィンはリオレウスが飛ぶ方向にジャイロを設置し、上手くリオレウスにジャイロを当てた。

「せいっ!」

 パルテナの神弓から放たれた光の矢がリオレウスに命中すると、リオレウスは気絶した。

「今です!」

「どりゃあっ!」

 パルテナの掛け声で、五人は一斉にリオレウスを攻撃した。

 ヨッシーは卵とキック、ピットはパルテナの神弓、ウォッチは平面道具、リィンは腕。

 パルテナの奇跡がこもっているため、威力は極めて高く、リオレウスを瀕死に追い込んだ。

 

「カズーイ! 今ならいけるよ!」

「ええ!」

「タマゴばきゅーん!」

 カズーイがリオレウスに卵爆弾を放ち、爆発と同時にバンジョーが飛び上がる。

 そして、バンジョーが勢いよく体当たりすると、リオレウスは大声を上げた。

グアアアアアアアアアアア!!

 そのままリオレウスは倒れ、衝撃波が起こる。

 リオレウスは白い光になり、消滅した。

 

「もう大丈夫だよ」

「キーラもダーズも、必ずやっつけるのよ!」

「私達は貴方達の勝利を信じてますよ~」

「だから、僕達を信じてくださいね!」




物語はクライマックスを迎えます。


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87 ~ 戦いの果てに

光と闇の最後のボス戦。
最終決戦メンバーはこの八人と決めていました。


 スマブラメンバーの活躍で、ボスが三体倒れた。

 光と闇の数が合計で奇数になった事で、ぶつかる相手がいないものが出てきた。

 ファルコン、ピーチ、ミュウツー、ロックマン、マール、テリーは闇の中に飛び込んだ。

 

「ハハハハハハハハハ! またボクに挑むのサ? 返り討ちにしてやるのサ!!」

 闇の中で待っていたのは、マルクだった。

 この六人は戦った事がないが、マルクは強者のオーラを漂わせており、

 六人は全員、唾を飲み込んだ。

「みんな、攻撃に気を付けて!」

「ああ!」

 ピーチは魔法で不可視の壁を作り出し、味方全員の防御力を高めた。

「ロックバスター!」

 ロックマンのバスターから、光の弾丸が放たれる。

 マルクは抵抗したため、ダメージは入らなかった。

「それっ、それっ、それっ!」

 ミュウツーはシャドーボールを3つ作り出し、マルクの視界の範囲外に設置した。

 マールはスプラシューターを連射してマルクをとにかく攻撃していく。

「この戦いに、必ず勝つぜ!」

 テリーがマルクを指差してそう言うと、マルクが一瞬だけ萎縮した。

「許さないのサ!!」

「うおっ!」

 しかし、それに怒ったマルクはテリー目掛けて急降下し、

 ファルコンの攻撃をかわしてテリーを吹っ飛ばす。

「いたいのとんでけ!」

 ピーチが手から光を飛ばし、テリーの傷を癒す。

 テリーは空中にジャンプし、マルクを殴る。

「それ!」

「??」

 ロックマンはマルクに爆弾をくっつける。

 マルクは少し困惑しつつも、六人に向かって爆撃しようとするが、

 突然、爆発がマルクを襲った。

「な、何なのサ!」

 実は、これはくっつけて時間が経つと爆発する、クラッシュボムである。

 マルクはそれに反応できず、ダメージを受けた。

「えいっ!」

「……」

ウアアアァァァァァァァ!

 マールがスプラシューターを撃つと同時に、ミュウツーが一斉にシャドーボールを放つ。

 連続攻撃を喰らったマルクは、体力を一気に削られた。

「みんな倒してやるのサ!」

「きゃっ!!」

「うおっ!!」

 マルクは空中から爆弾を落とし、爆発によってマール達を吹っ飛ばす。

「ふんっ!」

 ミュウツーは手を振り下ろし、マルクの空間を真っ二つにする。

 マルクは冷気を放ってファルコンを凍らせ、さらにレーザーを放って攻撃する。

「それっ!」

「とおっ!」

「パワーダンク!」

 ロックマンはマルクにロックバスターを連射する。

 テリーとファルコンの格闘技は、マルクが飛び上がってかわしたため当たらなかった。

「このぉっ……当たれ!」

「みんなげんきになあれ!」

 チャージしたロックバスターがマルクに直撃。

 直後にマルクは爆弾を落として攻撃したが、ピーチが回復魔法を唱えて傷を癒す。

「とどめだ」

ギャアアアアアアアアアア!!

 そして、ミュウツーがマルクの空間を切り裂き、マルクを再び倒したのだった。

 

「これで大丈夫だ」

「みんな、後は頼んだよ……!」

 

「ファルコン達が道を託してくれました。後は私達に任せてください……!」

「ああ! 油断禁物だぜ、セイバー!」

 ガレオムに挑むのは、アルトリア、柊蓮司、クロム、ルキナ、ルフレ、カムイ、ベレスの七人。

 強くなっているだろうと七人は身構えた。

風王鉄槌(ストライク・エア)!」

「薙ぎ払い!」

「残念だったな!」

「マーベラス・コンビネーション!」

「トロン!」

「いきます!」

「……はっ!」

 だが実際のところ、復活したガレオムは、今のアルトリアの前には歯が立たなかった。

 ガレオムは一方的にやられ、いつも落ち着いているアルトリアも、きょとんとしていた。

「……ガレオムは、弱かったですか?」

「いや……単に俺達が強くなっただけじゃね?」

「……そう、ですね」

 

 そして、ドラキュラに挑むのは、シモン、リヒター、サムス、ルイージ、シュルク、ミロの六人。

「みんな、攻撃に気を付けて!」

「1、2、3、4、5、6、7、8……」

 シュルクが号令をかけて、皆の士気を上げる。

 ルイージは準備運動をして、構えを取った。

「バックスラッシュ!」

「せいやぁぁぁ!」

 シュルクは背後に回り、モナドで斬りつける。

 直後にミロが、爪でドラキュラを切り裂いた。

「ふんっ」

 ドラキュラは霧を呼び出し、部屋中に広げる。

 ミロは口を塞いでいたため効果はなかったが、それ以外の四人は霧を吸い込んで混乱した。

 ルイージはすぐにオバキュームで霧を吸い込む。

「ゴホッ、ゴホッ……!」

 リヒターが咳き込みながらヴァンパイアキラーを振るが、

 ドラキュラにはギリギリで当たらなかった。

 シモンの投げた手斧もドラキュラには当たらない。

「そこね」

 サムスはドラキュラがいる方向にミサイルを放つ。

 爆発が起こると共に、霧が消えた。

「ドラキュラが、倒れた……?」

「いえ、まだよ」

 サムスが倒れたドラキュラを見ると、ドラキュラはゆっくりと起き上がり、魔神の姿に変わった。

「変身したか! だが!」

 リヒターはドラキュラに向けて聖水を投げつけ、聖なる炎がドラキュラを包み込む。

 ドラキュラはリヒターに爪を振りかざし反撃した。

「ぐあぁっ!」

ああぁぁぁぁぁぁぁ!

 ミロは暴走しながら、ドラキュラを攻撃する。

 シュルクは相手の出方を見極めながら、モナドでドラキュラを斬りつける。

 ドラキュラの攻撃は激しいが、リヒターは的確にかわして鞭で反撃。

「モナドスマッシュ!」

「チャージショット」

 シュルクはモナドをレーザーのようにしてドラキュラを貫き、

 サムスがチャージショットで追撃する。

 ルイージもオバキュームで吸い込んだドラキュラの炎をエレメントとして放つ。

「これで、とどめだ!!」

 そして、シモンのヴァンパイアキラーがドラキュラの急所にクリーンヒットし、

 ドラキュラは倒れた。

 こうして、全てのボスは再び敗れ去るのだった。

 

「後はキーラとダーズだけだ……」

「絶対に勝って、帰ってくるのよ……」

「たとえ悪い未来が見えたとしても、君達なら絶対に変える事ができるよ」

 

 そして、マリオ、リンク、カービィ、ピカチュウ、

 イレブン、ソニック、シャドウ、ベルの八人は、キーラとダーズの玉座に辿り着いた。

「よくぞここまで来た」

「我が軍を退けるとは……誉めてやろう」

「キーラ……ダーズ……!」

 光と闇の化身、キーラとダーズはゆっくりと玉座を降りて八人に語り出す。

「お前達はまだ分からないのか?」

「我らの望む世界が、どれほど素晴らしいかを」

「なんだと……」

 キーラとダーズは傲慢な態度を崩さない。

 マリオ達はいつキーラとダーズが攻撃を仕掛けてきてもいいように、身構える。

「我は、誇りをもたらす光の未来を紡ぐ者。

 それは人々が秩序立って行動する、災いのない理想の世界。我は眩き光でこの世界を照らす!」

「余は、安らぎをもたらす闇の未来を紡ぐ者。

 それは人々が永遠の安息を得る、争いのない理想の世界。余は暗き闇でこの世界を閉ざす!」

「「さあ、受け入れよ、新たなる創世を!!」」

 キーラとダーズの提案に対し、八人は全員首を横に振った。

「そんなの、お断り! 理由? 簡単だよ。

 君達のせいで、僕のお昼寝タイムとご飯タイムを邪魔されたから!」

「災いも争いもない世界だと?

 お前達が災いや争いを起こしたのに、手のひらを(かえ)すとは……愚かだな」

「僕達は平和を取り戻すためにここに来たんだ。だから、僕達はここで、君達を倒す」

「正義の味方気取りが、戯言を!」

 ダーズは怒りに震えながらイレブンに叫ぶが、イレブンは首を横に振った。

「……正義の味方気取り? 違うよ。勇者は、正義の味方じゃないんだ。

 何故なら、正義は突然逆転するほど不安定で、正義のための戦いはどこにもないからだ」

「この世界は灰色だから、全てを受け入れるのよ。

 光も闇も、強すぎたらこの世界じゃなくなるわ」

 ベルの言う通り、光だけでも、闇だけでも、この世界の均衡を保つ事はできない。

 そもそも、この異変が起きたせいで、争いの世界そのものが終焉へと向かっていたのだ。

「新たなる創世こそ、災いのない世界なのだ! 我が災いを起こさぬように導くというのに……。

 貴様は、災いのない世界を拒むのか!?」

 キーラはベルに自らの理想を問うが、ベルは鋭い目でキーラを睨みつけた。

「災いは様々な事が絡み合ったから起こるものなの。

 それを無視して、あんたの都合だけで世界を思い通りに操るのは間違ってるわ!」

 ベルが守りたいものは、あくまでも世界だ。

 一柱の神の都合で世界をやり直されては、世界に生きるものが困るというのが本音だ。

「こうしてシャドウと一緒に戦ってる夢も、あと少しで覚めるな……。

 それでも、この楽しい夢を見せてくれてThank you!」

「お前らが言ってる新たな創世は、世界を思い通りにしたいだけの、ただの我儘だ」

「そのために俺達を巻き込んで、操って……。覚悟はできているだろうな?」

「キーラもダーズもやっつけて、今の世界を守る!

 光も闇も関係ない! 侵略者は侵略者だ!!」

 そして、マリオ、リンク、ピカチュウ、イレブン、ソニックも、

 最初の攻撃で生き残ったカービィ、シャドウ、ベルの仲間として共に戦う事を決めた。

 最早、八人に見えているのは、キーラとダーズのみだった。

 

「我儘、だと……!? 愚かな被造物め……!」

「どこまでも我らと敵対するか……!」

 マリオに「我儘」と言われたキーラとダーズは、

 新世界の創世を拒否した八人を鋭く睨みつけた。

 だが、八人がそれで怯むはずはなく、表情を引き締めてこう言った。

「するぜ! お前らみたいな我儘野郎に、この世界を渡してたまるかよ!」

「自分の世界のために関係ない奴まで巻き込んだ時点で、お前達は神様失格だ!」

「ああ……俺達にとっての神様は、もっとお茶目で、

 トラブルは起こすけど世界を侵略はしない右手袋と左手袋だけだ」

「どんな困難にも立ち向かう、勇気ある者。それが『勇者』の本当の意味なんだ」

「さあ、これがLast Gameだ。必ず勝って、この世界に帰るぜ」

「私、ベル・クリーブは、死神として、争いの世界の秩序を乱すものを排除する!

 お涙ちょうだいだと思わないでよね!」

「僕は自分が信じた道を行く。そして僕は、その道のゴールに行こうとしている。

 覚悟するんだな、キーラ、ダーズ。貴様らを必ず討ち、ゴールに辿り着いてみせる」

「平和な時間を邪魔する奴は、何度でもやっつける!

 未来なんか欲しくない。今がずっと続いて欲しい! だから……僕達は、絶対に勝つ!!」

 

 光と闇の化身との最終決戦が、始まる。




次回が最終決戦となります。


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88 ~ 命の灯火

キーラとダーズとの最終決戦。
結局のところ、こいつらの目的は「世界征服」ですよね。


 争いの世界を侵略した光の化身キーラと闇の化身ダーズと、

 マリオ、リンク、カービィ、ピカチュウ、

 イレブン、ソニック、シャドウ、ベルの最終決戦が、始まった。

 

「はっ!」

「ぐあぁっ!」

 ソニックは身体を丸めて、キーラにホーミングアタックを繰り出す。

「えいやーっ!」

「……っ」

「ファイアボール!」

 ダーズはカービィの回し蹴りを食らうが、大したダメージにはなっていない。

 マリオはファイアボールを放ってキーラとダーズを攻撃した。

「10まんボルト!」

ぐあああああああ!

「せやっ!」

 ピカチュウはダーズに向かって強烈な電撃を放つ。

 リンクはマスターソードを振って追撃した。

「我が光を受けよ!」

「くっ……!」

 キーラは身体を眩く輝かせマリオの目を晦ませる。

「ぐっ!?」

 しかし、直後にキーラの身体に銃弾が命中し、キーラは癒えない傷を負った。

 その銃弾を撃ったのは――狙撃銃を構えた、シャドウだ。

「……」

「Thank you、シャドウ!」

「相手の回避力は下がった、一気に攻撃しろ!」

「ああ!」

「イオラ!」

「ダークネスアロー!」

 ソニックがホーミングアタックしたところに、ベルとイレブンは同時に呪文を唱え追撃する。

 ダーズは周囲の空間に対して乱雑に断層を発生させ八人を一斉に攻撃する。

「ぐあっ!」

「きゃあっ!」

「うわぁっ!」

 八人は何とか、気合で耐え切った。

 しかし、キーラとダーズの攻撃は強烈で、体力を大幅に減らされてしまう。

「くそっ、状況を打開するしかない!」

「その程度か?」

 ソニックは高くジャンプし、丸くなって突っ込んでいったが、キーラにあっさりと見切られる。

「ふんっ」

「俺の攻撃も当たらない!」

 リンクが気合を込めて放った斬撃も、ダーズには当たらなかった。

「それっ、それっ!」

 カービィは空中で二回、回し蹴りを繰り出す。

 キーラに命中し、そこそこのダメージを与えた。

 ベルは鎌に力を溜めながら、相手の出方を伺っている。

「おらっ!」

「効かんな……」

 ダーズはマリオのポンプを触手でいとも簡単に打ち消す。

 ピカチュウはキーラの攻撃が届かない高さにジャンプし、アイアンテールで攻撃した。

「はぁっ!」

 イレブンはキーラを勇者のつるぎで切り裂く。

 ダーズは触手をリンクに伸ばすが、リンクは盾で防ぎ、ブーメランで反撃した。

「ベホマ!」

 イレブンはリンクの動きが鈍っている事に気づく。

 彼の手から光がリンクに向かって飛ぶと、リンクが負っていた傷が癒えた。

「ありがとう、イレブン」

「どういたしまして。……ソードガード!」

 イレブンはすぐに微笑むがキーラの攻撃に気づくと真剣な表情になり、

 勇者のつるぎでキーラの攻撃を打ち消した。

「おっと! イレブンが真剣なら、私も真剣にならなくっちゃね! ナイトメア!」

ああああああああああ!

 ベルは大鎌をキーラに向かってぶん投げる。

 大鎌はブーメランのような軌道を描き、キーラを二回とも切り裂いた。

「10まんボルト!」

うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!

 ピカチュウも、ダーズに向かって10まんボルトを放ち、ダーズを麻痺させた。

「えーいっ!」

 カービィは麻痺したダーズをハンマーで殴り、リンクは上に向かってダーズを突いた。

 すると、キーラは無数の光の弾丸を飛ばした。

 それは激しい威力だが、同時に美しい軌道も描いていた。

「綺麗……!」

「ベル、見とれるな!」

「はっ! しまっ……きゃぁぁ!」

 光に見とれたベルはうっかり攻撃を食らってしまい吹っ飛ばされる。

「うおっ!」

「No!」

 リンクとソニックも防御が間に合わず、キーラの攻撃を食らってしまった。

 しかし、流れ弾がダーズに命中し、ダーズもまたダメージを受ける。

「なっ、何をする!」

「ダーズ、貴様がぼんやりしているからだろう!」

「キーラは弾をばら撒き過ぎだ!」

 いきなり喧嘩になるキーラとダーズ。

 ヒーローもヴィランも共に手を取り合っているスマッシュブラザーズとは、正反対だ。

「隙ありだぜ!」

「こんな時でもいがみ合うとはな」

「「グアアアアアアアア!!」」

 ソニックとシャドウは隙を突いて同時にホーミングアタックを繰り出す。

 キーラとダーズは対応しきれずに攻撃を食らった。

「やるじゃないか、シャドウ」

「お前もな」

「流石は音速のハリネズミ……と究極生命体!」

「僕はついでか?」

 ベルはソニックとシャドウのコンビネーションを見て拍手した。

「えーいっ!」

「そらっ!」

 カービィは炎を纏いながらダーズに体当たりする。

 マリオはダーズのガトリングをかわし、空中からパンチを放って反撃する。

 ベルは回転しながら大鎌でキーラを切り裂く。

「やるな……」

「これならどうだ?」

 キーラは光の駒、ダーズは闇の駒を召喚して一斉に八人に襲わせる。

「うわっ!」

「なんだよ、こいつ!」

「数が多いよ~~~!」

 一体一体は弱かったが、数が多く一度に相手にする事は難しかった。

「……ここは、僕がやる」

 そう言うとシャドウはどこからかロケットランチャーを取り出す。

 普通の人では持つ事も難しい重量だが、シャドウは片手で軽々と持ち上げた。

「離れろ」

「ああ……」

「食らえ!」

 シャドウはロケットランチャーを放ち、

 砲弾が光と闇の駒に命中すると大爆発が起こり、煙で包まれた。

 そして、大爆発が治まると、光と闇の駒は皆、跡形もなく消滅した。

 

「我の駒が全滅しただと?」

「余の駒も……さては其方の仕業だな?」

 ダーズは不気味な一つ目でシャドウを睨みつける。

 しかしシャドウは怯まず、逆にダーズを睨み返す。

「それがどうした?」

 シャドウが指を鳴らすと、ダーズの周囲の空間が歪む。

「ぐっ!」

「はっ、せやっ!」

「はぁぁっ!」

 ダーズが苦しんでいる隙に、リンクがマスターソードで切り刻む。

 ソニックもホーミングアタックでキーラに大ダメージを与えた。

「でんこうせっか!」

「ふん……何っ!?」

 ピカチュウは素早い動きでキーラに体当たりするがキーラは空を飛んで攻撃を回避する。

 だが、素早く切り返したピカチュウが再びキーラに体当たりし、

 反応できなかったキーラはダメージを受けた。

「ファイア掌底!」

「ベホイミ!」

 マリオはキーラのコアが地上に現れたところにファイア掌底をぶちかます。

 イレブンは体力が残り僅かのソニックに回復魔法を唱えた。

ぐああああああぁぁぁぁぁぁ!

 すると、キーラが光の槍をピカチュウに刺した。

 光の槍は背中まで貫通しており、ピカチュウは苦しみながら倒れた。

「ピカチュウ! ピカチュウ! 目を開けてくれ、ピカチュウ!!」

 ソニックはピカチュウに音速で駆け寄るが、ピカチュウは反応しなかった。

 また、失ってしまうのか……と絶望しかけたその時だった。

 

「嫌だ、壊れるもんか!!」

 なんと、ピカチュウはゆっくりながらも立ち上がり真っ直ぐにソニックの顔を見た。

「ピカチュウ! 自力で復活したのか!?」

「ああ……なんだか知らねぇが、ソニックが呼びかけてくれたら、

 俺の魂が熱くなって……お前が死の淵から引き上げてくれた。そんな気がするんだ」

「ピカチュウ……!」

 ソニックとピカチュウは、互いに抱き合った。

 その光景を見たキーラの中に怒りの感情が湧き、彼女の周りを強烈な光が飛び交う。

「おのれ、ねずみポケモンとハリネズミめ! 何という事を……!!」

 キーラは中央に陣取ると、光の玉がいくつか現れ、周囲に強烈な光の輪を何発も放った。

 光の輪はゆっくりながらも、確実に八人を捉えようとしている。

「みんな、身を守れ!」

「駄目だ……!」

 八人はシールドで攻撃を防ごうとするが、光の輪の攻撃は強烈で、

 シールドに徐々に罅が入っていく。

「くぅぅっ……」

「耐えられない……!」

 そして、八人の張ったシールドが砕け散り、八人に光の輪が一斉に襲い掛かった。

うわああああああああああああああ!!

 攻撃をもろに食らった八人は、場外ギリギリへと吹っ飛ばされた。

 

「な、なんて威力だ……」

 ソニックはボロボロになりながらも、歯を食いしばりながら立ち上がる。

 だが、ソニックは満身創痍状態であり、まともに動ける状態ではない。

「これで終わりだな。キーラも、其方らも……」

 ダーズは無数の触手をうねらせ、身構える。

 どうやら、キーラ諸共、八人にとどめを刺そうとしているようだ。

 もしまともに攻撃を食らえば、八人は倒され、世界はキーラとダーズのものになってしまう。

 八人は立ち上がろうとしたが身体は動かなかった。

 

「……とどめだ!」

「させんっ!」

「ぐあぁっ!!」

 そして、ダーズがとどめを刺そうとすると、シャドウがダーズに拳銃を一発だけ撃った。

 ダーズにダメージを与える事はできなかったが、彼を怯ませたため、攻撃は届かなかった。

「貴様! 許さんぞ!!」

 それどころか、逆に触手がキーラの方に向き、

 キーラに攻撃してしまったため、ダーズはキーラの怒りを買ってしまう。

「消えろ!」

「其方もだ!」

「あれ、またいがみ合ってる……」

 キーラとダーズはいがみ合い、互いを排除するべく攻撃に入っている。

 こうなった時がチャンスである、とイレブンとベルは立ち上がった。

「ギガデイン!!」

「ダウンリーパー!!」

「「ぐああああああああああああ!!」」

 イレブンは呪文を唱えて聖なる特大の雷を落とし闇の存在であるダーズに大ダメージを与えた。

 さらに、ベルの大鎌もキーラの翼を真っ二つにし、彼女を瀕死にまで追い込んだ。

 

「よくも我を追い詰めたな……」

「このままでは終わらんぞ……」

「ま……まだやるの……!?」

 キーラとダーズは致命傷を負い、

 最早戦えない状態なのにも関わらず、まだ諦めずに八人を睨みつけている。

 それに対し、八人もまた、力を使いすぎていた。

 どちらが先に倒れるのか、時間の問題だった。

「くそ……あと一歩のところなのに……!」

 マリオが悔しそうに呟いた、次の瞬間。

 

―あの光と闇の化身を相手に、一歩も引かなかった。

―スマッシュブラザーズよ、よく、頑張った。

「マスター、クレイジー!?」

 突然、八人の脳裏に声が響き渡った。

 その声は、マスターハンドとクレイジーハンドだ。

「終わったのか!?」

―ああ。光と闇は、完全に打ち払えた。

「よかった……!」

「生き残ったのね……!」

 どうやら、光と闇のファイターを全滅させ、光と闇を打ち払う事に成功したようだ。

 カービィとベルは安堵の笑みを浮かべた。

―そして今、スマッシュボールを完成させた。

―それを、今からこちらに送る。

―ファイターよ、私達が作ったスマッシュボールをどうぞ使ってくれ。

―私達の大切な世界を、どうか守つてくれ。

 そう言ってマスターハンドとクレイジーハンドが出したのは、

 光り輝く八つの玉――スマッシュボールだった。

 これを使えば、ファイター達は「最後の切り札」という強力な技を使う事ができる。

 マリオ、リンク、カービィ、ピカチュウ、

 イレブン、ソニック、シャドウ、ベルは目を閉じ、スマッシュボールを受け取った。

 彼らの身体は今、スマッシュボールのように虹色に光り輝いている。

 

「これが、僕達の全力だ! 全部、全部……お前達にぶつけてやる!!」

 八人はキーラとダーズにとどめを刺すべく、最後の切り札を放つ体勢に入る。

 

「お前ら如きの我儘で、この世界を巻き込むな! マリオファイナル!!

 マリオは両手から巨大な炎の塊を放ち、キーラとダーズを同時に包む。

 

「どっちが偉いか勝負するってなら、他のところでしやがれ!!」

 リンクはシーカー族の技術を利用した古代兵装の弓に矢を番え、

 矢を放ってキーラとダーズを貫く。

 

「俺達の未来は、俺達自身で切り開く! ボルテッカー!!

 ピカチュウは放電しながら高速でキーラ目掛けて体当たりする。

 

「みんな、僕に力を貸してくれ。ギガスラッシュ!

 イレブンは勇者達から力を借りて剣を雷で包み、剣を一閃すると強力な雷がダーズを包み込む。

 

「……アディーマ、キーラ、ダーズ。決めてやる!

 ソニックはカオスエメラルドの力でスーパーソニックに変身し、

 超光速でキーラとダーズに連続で体当たりする。

 

「頼んだぜ、シャドウ!」

「ああ。これが……究極の力だ! カオス……コントロール!!

 シャドウはカオスエメラルドの力を解放し、彼のみが使える真のカオスコントロールを発動。

 神であるキーラとダーズの動きを完全に封じる事に成功した。

 

「ベル!」

「あんた達の属性なんて、私には関係ないわ! インサージェンシー!!

 さらに、ベルが闇を纏った大鎌を連続で振り回してキーラとダーズをバラバラに切り刻む。

 鎌には彼女の意志が宿っており、光の化身キーラだけでなく、

 闇の化身ダーズにも、効果的なダメージを与える事ができた。

 

「カービィ! とどめはあんたが刺すのよ!」

「よぉーし! キーラ、ダーズ……お前達の野望は……これで終わりだ!!

 ウルトラ……ソォォォォォォォォォォォォォォォォド!!!

「「グアアアアアアアアアアアアア!!」」

 そして、カービィが高く飛び上がって、巨大な剣を振り下ろし、衝撃波を起こした。

 キーラとダーズはその一撃を受け、大きな叫び声を上げ、苦しみ出す。

 やがて、キーラとダーズは墜落していき、

 彼らが使役していたマスターハンドとクレイジーハンドは消滅する。

 そして……光と闇の化身が海に沈むと、二つの光が大爆発を起こし、争いの世界を包み込んだ。




次回が灯火の星の二次創作の最終回です。
最後まで読んでくださって、本当にありがとうございました。


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エピローグ

灯火の星の二次創作長編はこれでおしまいです。
真エンディングなので、完全なハッピーエンドにしました(現実ではまずありえないけど)。
今まで読んでくださってくれた方々、本当にありがとうございました。


 こうして、最終決戦に終止符が打たれた。

 光の化身キーラと闇の化身ダーズは、スマブラ四天王と、悪魔の子と呼ばれし勇者と、

 青き音速のハリネズミと、黒き究極生命体と、秩序を守る死神の手により敗れ去った。

 そして、美しい夕焼けが八人を照らす中、キーラとダーズはゆっくりと墜落し、

 大きな水しぶきが舞い上がると共に、身体は完全に海に沈んだ。

 

「スピリッツボールが……!」

 キーラとダーズが海に沈むと、ベルが持っていたスピリッツボールがひとりでに開いた。

「魂が……天に昇っていく……」

 開いたスピリッツボールの中から、スピリッツが次々と天に昇っていく。

 解放された無数のスピリッツは螺旋を描き、青と紫が混ざった、美しい光の柱となった。

 それはまるで、戦いを終えたスマブラ四天王、

 イレブン、ソニック、シャドウ、ベルを祝福しているかのようだった。

「すっごい綺麗……!」

「僕は……いや、僕達は……この世界を光と闇の魔の手から解放したのだな……」

「ああ……世界は、元の美しさを取り戻したぜ」

「僕の冒険は、まだ終わっていない。でも、この世界を巡る冒険は、終わった」

「ふー、これで丸く収まったな」

「空が綺麗……安心して走りたくなる空だ」

 共に戦ったメンバーが、空を見上げる。

 色とりどりのスピリッツが、元の世界に次々と帰還していく。

 キーラとダーズと戦った八人と、彼らを支えてくれたスマブラメンバーのおかげで、

 スピリッツは居場所を取り戻したのだ。

 光り輝く太陽が、世界を照らしている。

 それはキーラが持つ邪悪な光ではない。

 全てのものを温かく照らす希望に満ちた光だった。

 

 スマブラメンバーが、キーラとダーズと戦った八人のところにやってくる。

「みんな、ありがとう!」

「この世界を救ってくれたのね!」

 キノコ王国の姫君、ピーチがマリオに真っ先に抱き着く。

「おわっ、やめろってば……」

「私、ずっと信じていたの。マリオが勝って、この世界を救ってくれるって。

 その通りになってくれて、嬉しいわ」

「はは……でも、キーラとダーズに勝ったのは俺だけじゃないんだぜ。

 リンク、カービィ、ピカチュウ、イレブン、ソニック、シャドウ、ベル……。

 頼もしい仲間がいてくれたからこそ、キーラとダーズを倒して世界を救ったんだ」

 そう、キーラとダーズを倒したのは、マリオだけの力ではない。

 スマブラメンバーが協力できたから、この大きな戦いに勝利したのだ。

「よく頑張りましたね、リンク」

「フッ……」

「お帰り~、リンク!」

「やったぁ~!」

「……」

 ゼルダ、シーク、ガノンドロフ、こどもリンク、トゥーンリンクもやって来る。

 彼らは皆、笑顔でリンクを祝福していた。

「みんな……ありがとう……!」

 リンクも、彼らに釣られて笑みを浮かべた。

 異なる世界の出身ではあるが、気持ちは同じだ。

「ピカにいちゃ~ん!」

「ピチュー!」

 ピカチュウの弟のピチューが、ほっぺすりすりで近寄ってくる。

 普段はあまり笑顔を見せないピカチュウだが、弟の前では満面の笑みを浮かべていた。

「やっぱり、このきょうだい、なかよしでしゅ」

「……ああ、そうだな」

「俺は一人っ子だからな、兄弟が羨ましいぜ」

「はっはっは、仲睦まじいなぁ」

「こういう光景は、平和になった証だな」

 プリン、ミュウツー、ロート、ルカリオ、ゲッコウガ、ガオガエン、

 ジュカインも陰で二匹を見守っていた。

 

「カービィ、シャドウ、ベル。三人とも、よく頑張りました」

「お前達、すっげぇ頑張ったってな!」

「……フッ」

「カービィさんの戦いを見守ってましたが、かっこよかったですよ! ね? 大王様」

「そうだゾイ。キーラとダーズにとどめを刺す時のカービィは、かっこよかったゾイ」

 そして、アルトリア、柊蓮司、メタナイト、デデデ、ランスは、

 戦いを終えたカービィ、シャドウ、ベルを祝福した。

 カービィ、シャドウ、ベルは最初の襲撃で生き残った三人のファイターである。

 それだけに、この三人は他のファイターと比べて一際特別な存在だった。

「……そんなわけないだろう。ただ、僕の邪魔をしていただけだ」

「当然でしょ! 私、死神なんだから!」

「美味しいご飯をいっぱい食べて、いっぱいお昼寝するのが、僕の一番の幸せだからね」

 三人の反応は、文字通り三者三様だった。

 それもまた彼らだ、とアルトリア達は笑みを浮かべた。

 

「では、そろそろ帰ろう」

「君達にも戻る場所があるからな」

「本当に、全てが終わったのですね」

「ええ……この空がそれを表しています」

 広がっているのは、澄み切った空。

 マスターハンドとクレイジーハンドは、スマブラ屋敷に帰るための魔法陣を作り出した。

 螺旋の光になったスピリッツが天に昇る中、スマブラメンバーは全員魔法陣に乗り、

 帰るべき場所に帰還するのだった。

 

 そして、スマブラ屋敷では、

 キーラとダーズが起こした異変を解決した記念のパーティーが開かれていた。

 ヨッシー、カービィ、パックマンなど大食い組は出された料理をたくさん食べている。

「あ~、幸せです~」

「……ヨッシー、そのメロン、一口で?」

「はい~! とっても美味しかったです~!」

 マールは、ヨッシーの食べっぷりに驚いていた。

 ドンキーとディディーは夢中でバナナを食べ、

 パックマンは自分と同じ世界にあるマーボーカレーといも大福を食べていた。

 バンジョーとカズーイも、笑顔で食事をした。

「美味しいね、兄さん」

 ルイージは双子の兄マリオと共に、普段はあまり飲まない酒を飲んでいた。

「おっ、ルイージも付き合いが良くなったな」

「へへ……みんなと一緒にいると、断ろうにも断れなくて……」

「でも、あまり無理はするなよ」

「はーい」

 

 そんなマリオとルイージの席の近くでは、ピーチとデイジーが談笑していた。

「なんやかんやで、やっぱりマリオとルイージはめっさ仲が良いんやなぁ」

「うふふ、この二人こそマリオブラザーズなのよ」

 

「これが平和になった証なんだな」

「ぴかにいちゃん、これ、とってもおいしいでちゅ」

「ピチューが食えない分は俺が食ってやるよ」

「ありがとうございまちゅ!」

 ピカチュウとピチューの兄弟は、ワイワイと楽しみながら食事していた。

 

 マルス、ロイ、メタナイト、アイク、シュルク、ルキナ、クラウド、クロム、

 そしてイレブンはみんなで談笑していた。

 ピットとブラックピットが火花を散らす中、パルテナは微笑みながら見守っている。

 パックンフラワーとジュカインは意気投合しながら野菜ジュースを飲み、サラダを食べた。

 リュウ、ケン、テリーの三人は拳を交わす者として酒を飲みながら笑い合い、食事をした。

 フォックスとファルコはウルフに絡まれ、サムスはリドリーとダークサムスを睨んでいた。

 リンクとゼルダは笑いながらロンロンミルクを飲んでおり、

 こどもリンクとトゥーンリンクはリンクが作ったお子様ランチを食べ、

 ガノンドロフは一人で酒を飲んでいた。

 ファルコンはというと……いつも通り、黙々と出された食事を食べていた。

 しずえは砂糖とミルクたっぷりのモカコーヒーを飲みながら、りょうと共に食事をしていた。

 

「やっぱりみんな、仲が良いんだね」

「そうだね」

 剣士達の様子を遠くで見守っていたのは、

 ルフレ、カムイ、ベレス、アイシャ、ドリィ、ミロ、そしてジョーカー。

 ベレス以外は全員オレンジジュースを飲んでいた。

「そういえばあたし、あなたみたいな真っ赤な怪盗が主人公の本に興味があるの」

「真っ赤な……」

「その主人公とパートナーは、いとこ同士なの。読んだ事ないけど、是非、読みたいわ」

「そうだな、俺もその本を読んでみたい」

 ジョーカーは同じ「怪盗」という事で、ミロが言った本に興味を示した。

 ベレスは相変わらず、無口で食事をしているが、肉を食べた瞬間、微妙な表情になった。

「……これ、誰が作った?」

(わたくし)ですが、何か?」

 ドリィがさらりとベレスに言う。

 彼女はメイドだが、お菓子作り以外の料理はお世辞にも得意とは言えないのだ。

 全くの下手ではないのが、救いだが……。

「あ、お口直しにわたしのお菓子は……」

「やめなさい」

 アイシャがお菓子をベレスにあげようとすると、ドリィがお菓子を取り上げる。

 彼女は、アイシャがお菓子を作ると微妙な味になってしまう事を知っているのだ。

「そのお菓子、一口食べていい?」

「構いませんよ」

「いただきます」

 そう言って、ルフレがお菓子を食べると、ベレスと違って特に問題なく完食した。

「大丈夫なの? ルフレ」

「うん、平気さ。……僕の料理は、鋼の味だからね」

 

 一方、どこかのテーブルにある三つの席では、ソニックがチリドッグ、シャドウが栄養剤、

 ベルがカキフライ膳を食べていた。

 今回、ベルは健康を重視して食事を選んだらしい。

「あれ? シャドウ、珍しいわね。ソニックと一緒の席にいるなんて」

「マスターハンドとクレイジーハンドが、こいつと僕を一緒の席にしただけだ」

「何だよ、こいつって!」

 シャドウはソニックに対し憎まれ口を叩いていた。

 でも、とベルがカキフライを食べてから言う。

「闇の世界でソニックを助けたのは誰だったかしら。私は知らないから、よく分からないけど」

「……」

 シャドウは何も言わず、黙々と栄養剤を食べた。

 気になったソニックは、シャドウに声をかける。

「シャドウ、楽しめないのか? せっかく、世界を平和にしたんだぞ?」

「やめなさい、ソニック。それだと逆効果よ」

 ベルが、ささっとソニックの前に手を置く。

「シャドウは、あんたみたいに自分のやりたいようにやっているの。

 だから、シャドウの方から来るまで待ってなさい」

「へいへい……」

 ソニックは用意されていたソーダを飲み、シャドウが話しかけてくるのを待った。

 そして10分後、シャドウはようやく、食事をしているソニックに反応した。

「それで、ソニック。僕に何の用だ?」

「このパーティーを楽しめないのか、って話だ」

「楽しむ、か。騒がしい事は好きではないが……」

 やはり、シャドウは騒がしいものが嫌いらしい。

 ソニックは口を尖らせていたが、ベルは逆に、微笑みを浮かべていた。

「あら、楽しんでないわけじゃないわよ? 楽しめないなら、すぐに出ていったはずでしょ?

 でも、シャドウは今、席にずっと座っている。

 それだけで、パーティーを楽しんでいるんじゃないかと私は思うわ」

 確かに、シャドウは難しい顔をしながらも、席から離れずに栄養剤を食べている。

 言われてみればそうだな、とソニックは思う。

 そして、ベルは小声でソニックにこう言った。

「シャドウはね、ああ見えても繊細なのよ。『繋がり』ってものには弱いの。

 大好きな子のために一生懸命頑張ったり、あんたが一度死んだ時に弱音を吐いたり。

 50年前に生まれたけど、中身はまだまだ子供。内面は……あんた以上にね」

「ベル……」

「もちろん、この事はあいつには内緒よ。あいつのプライドを傷つけちゃうからね」

「……ああ」

 こんな近寄りがたいシャドウにも、意外な一面はあるんだな、と思うソニックだった。

 と、その時、シャドウの耳がピクリと動く。

「……ん? 何か言ったか、ソニック、ベル?」

「さあ? あ、そろそろ時間みたい。私、準備してくるわ!」

「いってらっしゃ~い」

 

 こうして、みんながパーティーを楽しんでいる時。

「みんな、そろそろベルから話があるぞ」

「おっ? なんだ、なんだ?」

 マスターハンドの掛け声により、全員がベルのいる方を向く。

 彼女は、今回の異変の解決において大きな功績を残した英雄の一人だ。

 一体何の話があるのだろうかと、カービィやネスなどの子供組は興味津々だ。

 

「――皆さん、聞いてください」

 ベルは凛々しい表情でメンバーの方を向くと、マスターハンド、クレイジーハンド、

 そしてこの場にいる全てのファイターに演説した。

 

「この最大規模の戦いで、ある1つの事実が証明されました。

 それは、光も闇も善悪はなく、本質は同じという事です。

 光は善、闇は悪と思いますか? 違います。

 あなたは、疲れた時はどうしますか? 疲れが取れるまで休みますよね。

 しかし、それを光が許さなければ?

 あなたは人々の期待に応えるために無理をし、限界を超え、やがて疲れ果てて永遠に休みます。

 それは『引退』『活動休止』という形で、最悪の場合は『死』という形で表れます。

 それを防ぐために、闇という安らぎがあるのです。

 闇も同じです。あなたは、色々な事を色々な手段で表現したいでしょう。

 しかし、それを闇が許さなければ?

 やりたい事ができなくなり、自由がなくなり、やがて多様性が失われます。

 だから、光が照らし、可能性を生むのです。

 光も闇も長所と短所があり、それだけでは成り立たないのです。

 キーラは光を以て、ダーズは闇を以て、新たな世界を創世したいという信念がありました。

 しかし、彼らが望んだ創世は、この世界に生きる人々の未来を閉ざすものでした。

 光に満ちた世界も、闇に覆われた世界も……。

 世界は時間に合わせ、常に変わります。しかし、変わる事は悪い事ではありません。

 確かに時に悪くもなり、時に良くもなります。でも、どちらも同じ、未来に進む事です。

 私達は永遠の存在ではなく、誰かに行動を管理される存在でもありません。

 だからこそ、結末はどうであれ、未来に向けて自分の足で走っています。

 前で戦ってくれた皆さん、後ろから支援してくれた皆さん、

 この世界の未来を守るために頑張ってくれて、本当にありがとうございました。

 ……私は秩序の守り手として願います。

 いつか、全ての人が、自分自身の力で幸せに生きられる世界になりますように……」

 

 ベルが演説を終えると、盛大な拍手が彼女に向けて送られた。

 

 今回の光と闇の化身が起こした異変をきっかけに、外の世界への警戒心がより一層強くなった。

 その一環として、マスターハンドとクレイジーハンドは、この世界を守る結界をより強めた。

 これによって、二度と異世界から悪意をもって侵略する者が来る事は、なくなった。

 亜空軍も、タブーも、キーラも、ダーズも、彼らに匹敵する脅威も、

 もうこの世界にはやってこない。

 「この世界」は、本当の平和を取り戻したのだ。

 

 ちなみにキーラとダーズは、この世界の住民を駒のように酷使したため、

 マスターハンドとクレイジーハンドにより15000年の封印刑に処された。

 刑期は長すぎるかもしれないが、この世界に最大規模の異変を起こしたので、

 スマブラメンバーはほぼ全員「当然」といった表情だった。

 

 色とりどりの、炎の螺旋。

 どこまでも流れる、果てしなく続く光の中、

 戦い交わる全ての人達が、立ち上がり、踏み出して、明日へ進んでいく。

 未来がどんなものかは、誰にも分からない。

 また、誰かが勝手に決めていいものではない。

 

 そう、スマッシュブラザーズの未来は、スマッシュブラザーズ自身が選ぶのだ。

 何故なら、何者にも囚われない自由こそが、スマッシュブラザーズを表すからなのだ――

 

 大乱闘スマッシュブラザーズ

 Stern des Lichts ~ 灯火の星

 

 完




ラストシーンのベルの演説は、この世の中に対する彼女なりの答えとなりました。
ファイターパス第二弾のキャラが全員揃ったら、いずれはこの長編の第二部もやる予定でいます。
いつになるのかは、まぁ、公式の動向次第という事で。

それでは、サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ!

※追記:ソラが参戦した事で、第二部の投稿が決定しました。


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