FAIRY TAIL もう一人の滅竜魔導士「氷竜」 (タイキック新)
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始まり
ナツともう一人のドラゴンスレイヤー(氷竜)の物語


初投稿でのんびりやっていきます気になったら読んでいってね


 ここは港町ハルジオン。

 

 魔法よりも漁業が盛んなこの街の駅にて、

 

「あの、お客様方.大丈夫ですか?」

 

 駅員が、グロッキーになっている二人に声をかける。

 

「あい!いつものことなので」

 

 二人の前に座っていた青い猫、ハッピーが駅員にそう伝えた。

 

「無理!もう二度と列車には乗らん.うぷっ」

 

「同じく…つーか喋るのすらしんどい…おえっ」

 

 桃色の、ツンツン頭をした青年、ナツと、青髪の、ストレートヘアをした青年、リートが、顔色を悪くさせながら答える。

 

「情報が確かならこの街に火竜(サラマンダー)がいるハズだよ、二人とも行こ」

 

 ハッピーが、そう言って列車を降りるが、二人は全く動こうとせず……

「「ちょ…ちょっと休ませて」」と言う

 

「あっ」

 

 その間に、列車が二人を乗せたまま、ハッピーのみをおいて発車してしまう。

 

 

「「た~す~け~て~」」

 

 

「発車しちゃった」

 

 

 場所が変わって同時刻

 

「え──!!ここって魔法屋一軒しかないの?」

 

「ええ、元々魔法よりも漁業が盛んな街ですから」

 

 金髪の、ロングヘアーの女の子、ルーシィが、魔法屋があまりにも少ない為、驚いて聞いたが、店員に魔法屋がここしかないと言われて「無駄足だったかぁ」と呟いている。

 

「あたしは(ゲート)の鍵の強力なやつを探しているの」

 

「門か珍しいねぇ」

 そう言ってルーシィは店の中を散策すると

「あっ!」

 

白い子犬(ホワイトドギー)!」

 

 と言って銀色の鍵を見つけた

 

「そんなの全然強力じゃないよ」

 

「いいのいいの♪捜してたんだぁー」

 

 そう言ってルーシィは、嬉しそうに鍵の値段を訪ねる。

 

「お・い・く・ら・か・し・ら?」

「2万J(ジュエル)

 

 ルーシィは、チラリと、自分の胸を見せてもう一度訪ねる。

 

「本当はおいくらかしら?素敵なおじ様 」

 

 ……

 

「1000J(ジュエル)しかまけてくれなかったー」

 

「あたしの色気は1000J(ジュエル)かぁ!!」

 

 ルーシィがそう言って暴れていると、キャーキャーと言っている女性の群れを見つけ、興味を持って近付いてみると、近くの女性たちが

 

「この街に有名な魔導士様が来てるんですって!」「火竜(サラマンダー)様よぉ!」

 

 と、口々に叫んでいる。

 

 

火竜(サラマンダー)!?店じゃ買えない火の魔法を操るっていう.この街に居るの!?カッコいいのかしら?」

 

 ルーシィは、女性陣の中に混ざっていく.

 

 

 

「列車には二回も乗っちまうし」

 

「ナツもリートも乗り物弱いもんね」

 

「ハラは減ったしなぁ」

 

「オイラたちお金無いもんねぇ」

 

「なぁ、ハッピー、リート。火竜(サラマンダー)ってのはイグニールの事だよな?」

 

「うん、火の竜なんてイグニールしか思い当たらないもんね」

 

「いや……オレはこんな街中に、イグニールのおじさんがいるとは思えないけど」

 

「なにぃ!リートは、イグニールやフランドーラを、見つけたくねぇのかよ!」

 

「いや、見つけたいかどうかの話しじゃなくてだな」

 

 ナツ、リート、ハッピーが話しながら歩いていると、

 

 

「キャー!火竜(サラマンダー)様ぁ!」と女性たちの声が聞こえてくる。

 

 

「ホラ!噂をすれば!」

「うっそぉ」

 

 ナツとハッピーは、リートを置いて、女性たちの中を掻き分けながら進んでいく

 

「イグニール!イグニール!…誰だオマエ」

「はぁ…やっぱり」

 

 いつの間にか、ナツの隣に来ていたリートも、呆れた表情になっている。

 

火竜(サラマンダー)と言えばわかるかな?」

 

 紫の髪をした男が答えるが、ナツは、ため息をつきながらハッピーとリートと共に去って行こうとする。

 

「あんた達!火竜(サラマンダー)様に失礼でしょ!」

 

 と言われ、ナツとリートは首根っこを捕まれ、男の前につれていかれた。

 

「まぁまぁ、彼らも悪気があったわけじゃないんだ許してあげたまえ。これは僕のサインだ友達に自慢するといい」

 

 男は、二枚の色紙をナツとリートに渡す。

 

 

「「いらん」」

 

 

 二人は、女性たちに蹴り飛ばされた。

 

「君たちの歓迎には感謝するけど、僕はこの先の港に用があるので失礼するよ。夜は船上でパーティーをするからみんな参加してくれたまえ」

 

 と男は紫色の炎に乗り去っていく

「なんだアイツ?」「さぁ?」

 

「ほんと、いけすかないわよね」

 

 ナツとリートとハッピーに、ルーシィが近付いて話しかける。

 

「さっきはありがとね」

 

 

 ……

 

あんふぁいいひほがぶぁ(あんた いい人だな)」「うんうん」

 

「遠慮なしかよ.ありがとな飯おごってもらって」

 

「う……うん、ナツとリートとハッピー…だっけ?わかったからゆっくり食べなって、何かとんできてるし」

 

 ナツたちは、ルーシィから先ほどの男が使っていた魔法、魅了(チャーム)についての説明、ナツたちが割り込んだことでそれが解けたことについて説明した。

 

「なるほど、つまりあんたは魔導士で魅了(チャーム)のことを知ってたから解くことが出来たって訳か」

 

 リートは冷静に分析するが、ナツとハッピーは食事に夢中で聞いてない。

 

「うん、まだギルドには入ってないんだけどね。あっギルドっていうのはね魔導士たちの集まる組合で、仕事や情報を仲介してくれる所なの。

 でもね、でもね。ギルドってのは世界中にあって、やっぱり人気があるギルドはそれなりに入るのが厳しいらしいのね。あたしの入りたいところはね、すっごい魔導士が集まるところでね!」

 

 ルーシィが興奮して話していると、リートは苦笑いを、ナツとハッピーは呆れた顔してルーシィを見ていた。

 

「そういえば、あんた達、誰かを探しているみたいだったけど」

 

「あい、イグニール」

 

火竜(サラマンダー)がこの街にいるって聞いたから来たけど別人だったな」

 

火竜(サラマンダー)って見た目じゃなかったんだね」

 

「だからあり得ねぇって」

 

「見た目が火竜って人間としてどうなのよ」

 

「イグニールは人間じゃねぇよ、本物のドラゴンだ」

 

 

 

「街中にそんなのいるハズないでしょ!」

 

「「ハッ!」」

 

「今気付いたって顔すんなー!!!」

 

「何で散々言った俺は否定して、初めてあったやつの指摘で気づくんだよ!」

 

 ルーシィはそろそろ行くね。と言い料金を置いて立ち去ろうとするが

 

 

「ご馳走さまでした!」「した!」

 

 

 ナツとハッピーは、土下座をしながら叫ぶ。

 

「きゃー、やめてぇ!」

 

「恥ずかしいからやめろ!」

 

 リートは一人だけ、いまだに冷静だった。

 

「いいのよ、あたしも助けてもらったしおあいこでしょ?」

 

「あまり助けたつもりがないところが何とも」「あい、歯がゆいです」

 

「その意見には同意するけど」

 

「そうだ!!」

 

 ナツは、リートから先ほどの色紙を奪い取り、自分の色紙と合わせて

 

「これやるよ!」

 

 とルーシィに差し出す

 

「いらんわっ!!」「そりゃそうだ!」

 

 ルーシィとリートから突っ込まれた。

 

 ……

 

 ナツ達と別れたルーシィは公園で週刊紙を読んでいた、

 

「まーたフェアリーテイルが問題起こしたの?今度は何?デボン盗賊一家を壊滅するも民家7件壊滅?アハハハーやり過ぎー」

 

 ルーシィは、笑いながら、雑誌の記事を読んでいた。

 

「ってか、どうしたらフェアリーテイルに入れるんだろ?やっぱり強い魔法覚えないとダメかなぁ?」

 

「へぇー、君フェアリーテイルに入りたいんだ」

 

 ルーシーの後ろから先ほどの魅了の男が顔を出す。

 

「サ、火竜(サラマンダー)!」

 

「いやぁー、探したよ。君のような美しい子を是非パーティーに招待したくてね」

 

「行くわけないでしょ!アンタみたいなえげつない男のパーティーなんて!」

 

「あんなのはただのセレモニーさ、僕はパーティーの間セレブな気持ちでいたいだけさ」

 

「有名な魔導士とは思えないおバカさんね」

 

 ルーシーが去ろうとすると

 

 

「君、フェアリーテイルに入りたいんだろ?フェアリーテイルの火竜(サラマンダー)氷竜(セルシウス)って聞いたことないかな?」

 

 ルーシィが立ち止まって答える

 

「ある!あんたフェアリーテイルの魔導士だったの!?」

 

「そうだよ。なんならマスターに話を通してあげよう」

 

「素敵なパーティーになりそうね」

 

 現金なルーシィだった。

 

 

 

 そして夜、ナツ達は

 

「食った食ったー」「あい」「食いすぎだろ」

 

 港を歩いていた。

 

「そういや火竜(サラマンダー)が船上パーティーをするってあの船かなぁ」「さぁ?」「うっぷ」

 

「想像しただけで酔うなよ」

 

「キャー、あの有名な火竜(サラマンダー)様のパーティーですって私も行きたかったなぁ」

 

「サラマンダー?」

 

「知らないの?あの有名なフェアリーテイルの火竜様だってぇ」

 

 ナツとリートは、隣で騒いでいる女性達を横目に、聞き耳をたてる。

 

「フェアリー」「テイル?」

 

「うっぷ…気持ちわりぃー」

 

「だから、想像しただけで酔うなよ」

 

 その頃のパーティー船

 

「ルーシィか、良い名前だね」

 

 ルーシィはパーティー船内の一部屋で、火竜(サラマンダー)と二人きりでいた。

 

「まずは、乾杯といこう」

 

 火竜がワインを注ぎ、ルーシィに飲ませようとする

 

「これはなんのつもり?睡眠薬よね」

 

 ルーシィが、魔法で粒状になったワインをはらい、敵意を向ける。

 

「よくわかったね」

 

「勘違いしないで。あたしはフェアリーテイルには入りたいけど、あんたの女になるつもりはないわ」

 

「しょうがないなぁ、大人しく寝ていれば痛い目にあわずにすんだのに」

 

 ルーシィの後ろから、屈強な男達が現れる。

 

「流石火竜(サラマンダー)さん、こりゃ久々の上玉だなぁ」

 

「何!?あんた達!?」

 

 ルーシィは逃げようとするが、腕を捕まれて身動きがとれずにいた。

 

「ようこそ我が奴隷船へ、ボスコに着くまで大人しくしてな」

 

「ボスコ!?ちょっと!フェアリーテイルは?!」

 

「言っただろ?奴隷船と。初めから商品にするつもりで君を連れ込んだんだ、諦めなよ」

 

 火竜(サラマンダー)は、ルーシィの懐に手を入れ鍵を奪う

 

「ふーん(ゲート)の鍵、星霊魔導士か」

 

 そう言って火竜は、鍵を海へ投げ捨てる。

 

「これが!フェアリーテイルの魔導士か!!」

 

 ルーシィが怒りをあらわにしていると、天井が崩れ一人の男が降ってきた。

 

「ナツ!?」

 

「…やっぱ無理、気持ちわりぃ」

 

「え──カッコワル!」

 

 ナツは船酔いで、グロッキー状態だった

 

 

「ルーシィ!何してるのー?」「俺、飛び降りなくてよかった」

 

 空からは、ハッピーがリートを抱えて飛んできていた。

 

「ハッピー!リート!ってかハッピー!羽なんて生えてたっけ?」

 

「ハッピー、俺を海に落としてくれ」「M?」「違う!!」

 

 ハッピーは、リートを海に落とし、ルーシィを抱えて空に飛ぶ

 

「逃げよ」

 

「ちょっと、ナツはどうすんの?」

 

「ただでさえ二人は無理なのに、無理してナツとリートを抱えてきたから、これ以上はキツイ」

 

「逃がすかぁ!」

 

 火竜(サラマンダー)が攻撃するもハッピーは簡単に避ける。

 

「ルーシィ聞いて」「何よ!こんな時に!」

 

「変身解けた」

 

 ハッピーの羽が消え、ルーシィとハッピーは海へと落ちる。

 

「くそ猫──!」

 ドバン!!

 

 海に落ちたルーシィとハッピーを抱えて、リートが浮上する。

 

「俺が落ちた意味ねぇじゃん!」「あい」

 

「ルーシィ!ほれ、大事な鍵なんだろ? 」

 

 リートは、投げ捨てられた鍵を海に潜って探していた。「ありがとう!」

 

 ルーシィはお礼を言って、鍵を構えた。

 

「開け!宝瓶宮の扉!アクエリアス!」

 

 鍵から星霊が飛び出す。

 

「「すげぇ──!!!」」

 

「アクエリアス!船を岸まで押し戻して!」

 

「ちっ」

 

「今、ちって言ったかしらー!」

 

「どうでもいいわ」

 

「うるさい小娘だ。一つ言っておく、次に鍵を落としたら、コロス」

 

「ごめんなさい」

 

「オラァ!」

 

 アクエリアスは、水を操り、船を動かす……ルーシィ達を巻き込みながら……

 

「あたしまで一緒に流さないでよぉ!!」

 

 船と一緒に、リートとハッピーとルーシィは、岸まで流される。

 

「揺れが…止まった」

 

 ナツはようやく元気になり、火竜を睨み付ける。

 

 

「あんた!何考えてんのよ!普通あたしまで流す!?」

 

「不覚、船まで一緒に流してしまった」

 

「あたしを狙ったんかぁ!」

 

「何でこんな目に」「あい」

 

 

「ハッピー、ルーシィをまかせた」

 

 リートは、フラつきながらも船内へ入っていった。

 

「あ、待って!」

 

 ルーシィも、ハッピーと一緒に、船内へ入っていく

 

「ナツゥ無事かぁ?」

 

 リートは心配してる素振りなく、そんなことを言いながらナツのとなりへ移動する。

 

「ナツ!リート!」

 

 ルーシィとハッピーも追い付き、ナツとリートが火竜(サラマンダー)を睨み付けている姿に少しだけ恐怖を感じた

 

「おい、さっさとつまみ出せ」

 

 火竜(サラマンダー)がそう言うと、男達が動き出そうとする。

 

「いけない!ここは私が!」

 

 

「大丈夫、言い忘れてたけど、ナツもリートも魔導士だから」「はぁ!?」

 

 男共が二人に襲いかかるが

 

「お前がフェアリーテイルの魔導士か?」

 

「それがどうしたぁ?」

 

「てめぇが火竜(サラマンダー)ならフェアリーテイルの氷竜(セルシウス)は知ってるよなぁ?」

 

「あぁ俺の親友さ!二人でフェアリーテイルの双竜なんて呼ばれていてなぁまぁ今は相方はいねぇがな!」

 

「よぉくツラ見せろ、俺はフェアリーテイルのナツだ、おめぇなんか見たことねぇぞ」

「同じくフェアリーテイルのリートだ、俺もギルドで見た記憶がねぇぞ」

 

 ナツは男を殴り飛ばし、リートは別の男を蹴り飛ばし、そう言って火竜を睨み付ける

 

「なっ!」

 

 そしてナツの右肩と、リートの左首筋から、ギルドマークが現れた。

 

 

「ナツとリートがフェアリーテイルの魔導士!?」

 

 ルーシィが驚き、そして火竜(サラマンダー)の部下が

「あの紋章、本物だぜ、ボラさん」と口に出し

 

「バカ!その名で呼ぶんじゃねぇ!」とボラは怒鳴る。

 

「ボラ、どっかで聞いたと思ったら昔巨人の鼻(タイタンノーズ)のギルドから魔法で盗みを繰り返して追放されたクズじゃねぇか」

 

「おめぇが悪党だろうが、善人だろうが関係ねぇ」

 

「まぁ、そうだな」

 

 

「「フェアリーテイルを語るのは許さねぇ!!」」

 

 

「ごちゃごちゃウルセェ ガキ共!」

 

 ボラが炎で攻撃する

 

「ナツ!リート!」

 

 ルーシィが飛び込もうとするのを、ハッピーが止める

 

「ナツに炎は効かないし、リートはあれくらいじゃ、やられないよ」

 

 炎の中から、二人の影が見える。

 

「不味い、お前本当に火の魔導士か?こんな不味い火は初めてだ」

 

「こんな炎食うのなんかやめとけナツ、ハラ下すぞ」

 

「「はぁ!?」」

 

 ルーシィとボラは、驚いた表情で二人を見る。

 

 ナツは、炎を食べ、リートは、自分の周りの炎を凍らせていたからだ

 

「ご馳走さまでした」

 

「あーあーほとんど食っちまった」

 

「ななな、なんだコイツ等は───!!」

 

「こんな魔法見たことない!」

 

「ボラさん!コイツら見たことあるぞ!片方は桜色の髪に鱗みてぇなマフラー!もう一人は青色の髪に首まで隠れる白いコート!間違いねぇ!コイツらが!」

 

「合わせろ!ナツ!」

「おう!」

 

 ナツとリートは、目一杯空気を吸い込む

 

 

「本物の…双竜!!!」

 

 

「火竜の」「氷竜の」

 

 

「「咆哮!!!」」

 

 

 二人は強力なブレスを放ち船内を崩壊させる。

 

「よーく覚えておけ!」

「これが!フェアリーテイルの」

 

「「魔導士だ!!」」

 

 ナツが手に火を纏い、リートが手に氷を纏い、二人でボラを殴り付ける

 

「火を食べたり、火や氷で殴ったりこれホントに魔法なの?」

 

「元々は竜迎撃用の魔法だからね」

 

滅竜魔法(ドラゴンスレイヤー) ナツはイグニールから、リートはフランドーラって竜から教わったんだ」

 

「竜が竜退治の魔法教えるのってのも変な話ね」

 

「ハハハ、やっぱりそう思うよな」

 

 リートが戻ってきてルーシィの返答に答えるが、ハッピーだけは驚いた表情をしている

 

「「疑問に思ってなかったの(ね)(かよ)……」」

 

「ってか、ナツのやつ」

 

「滅竜魔法

 すごい、すごいけど」

 

「「やりすぎ(だぁ)(よぉ)──ー!!!」」

 

「港がメチャクチャ」

 

「あい」

 

「あいじゃねぇ!!またマスターに怒られんじゃねぇか!!」

 

「この騒ぎは何事かね!!」

 

「ゲッ!軍隊!?」

 

「やべっ逃げんぞ」

「あい」

 

「ほとんどお前のせいじゃねぇか!!」

 

 ナツとハッピーは走りだし、リートはルーシィの手を引っ張る。

 

「なんでアタシまで──!!」

 

「だってフェアリーテイルに入りてぇんだろ?」

 

 

「「来いよ!」」

 

 

 ナツとリートは笑いながらルーシィを見て言った

 

「うん!!!」




不定期ですがこんな感じで主の体力が持つ限りがんばります


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バルカン討伐編
バルカン討伐 前編


前後編に分けて書きます。面白いとコメントされることを願いつつ!!


「わぁ!大きいね!」

 

 建物を見上げて、ルーシィが言う。

 

 

「「ようこそ!フェアリーテイルへ!!」」

 

 

 リートとハッピーが歓迎の言葉を声にし、ナツも笑ってルーシィを歓迎する。

 

「「ただいまー!!」」

 

「ただー」

 

 ナツとリート、ハッピーはルーシィを連れて、ギルドに入っていく。

 

「ナツ、リート、ハッピー、お帰りなさい」

 

 ギルドに入ると白いロングヘアーの女性、ミラジェーンが笑って出迎える。

 

 その他にもギルドのメンバーが、

 

「おう!おかえり!」「また派手にやったなぁ」

 

 と、口々にナツ達を出迎える。

 

「ハッハッハー!ナツ!リート!また派手にやらかしたなぁハルジオンの件もう新聞に載って…」

 

 

「テメー!!火竜(サラマンダー)の情報嘘じゃねぇか!」

 

 

 ナツが、ギルドのメンバーの一人にケリを入れ、ギルドは大乱闘状態になる。

 

 ミラだけは、

 

「あらあら、ナツが帰ってくるとさっそくギルドが壊れそうね」

 

 と笑っていた。

 

「ミラ、ただいま 帰って来てさっそくだけど特製かき氷作ってくれ」

 

「はーい」

 

 リートも平然としている。

 

「すごい、あたしホントにフェアリーテイルに来たんだ…」

 

 ルーシィは、感激で立ち尽くしていた。

 

「ナツとリートが帰ってきたってぇ!」

 

「シャクシャク……おう ただいまグレイ、とりあえず服着ろ」

 

「いつの間に!?」

 

「オォウ!ナツ!勝負せいやぁ!」

 

「服着てから来いよ」

 

「これだから品のない男ドモは、嫌だわ」

 

「酒樽一つをまるごと使って呑んでる奴に言われたくねぇ」

 

 半裸でナツにケンカを売る男、グレイと、酒樽まるごと一つ呑む女性のカナ、この二人もフェアリーテイルのメンバーである。

 

「昼間っからピーピーギャーギャーと、漢なら拳で語れ!」

 

「結局ケンカじゃん」

 

 ガタイのいい男、エルフマンにも、リートはかき氷を頬張りながらツッコむ。

 

「「邪魔だ!!」」

 

「そして玉砕」

 

 エルフマンは、ナツとグレイの二人に一瞬で吹き飛ばされた。

 

「騒々しいな」

 

「あっ!彼氏にしたい魔導士上位ランカーのロキ!」

 

 ルーシィが反応した直後、

 

「混ざってくるねぇ~ 」

 

「頑張ってぇ 」

 

(はい消えたー!)

 

「ロキは普段からよくナンパしてるからな、女が近くにいても不思議じゃねぇよ」

 

「なによこれ、まともな人が一人も居ないじゃない」

 

「俺はまともだろ!?」

 

「あら、新入りさん?」

 

 ミラがルーシィに声をかける。

 

「ミラジェーン!キャー、本物!」

 

 ルーシィは歓喜の声をあげているが、

 

「あれ、止めなくていいんですか?」

 

 と、素に戻り質問する。

 

「ま、いつものことだしな」

 

「そうね、放っておけばいいのよ、それに.」

 

 ガン!!

 

 

 ミラの頭に、酒瓶がぶつかる。

 

「それに楽しいでしょ?」

 

(怖いですぅー)

 

 ミラは、頭から血を流す。

 

「ハハハ、ミラ大丈ぶっ!!!」

 

 リートの後頭部に机がぶつかり、リートは食べかけだったかき氷に顔を強制的に埋めることになる。

 

「……おい…誰だ今机ぶん投げたやつ!ぶっ飛ばしてやる!!」

 

(リートまで!?)

 

 ついにリートも、ケンカに参加し始めた。

 

「あー、うるさい 落ち着いて酒も呑めやしないじゃないの」

 

「あんた等いい加減に」

 

 カナがカードを取り出すと、

 

「アッタマきた!」

「ヌォォォォ!!」

「困った奴等だ」

「上等だコラ!!」

「かかって来い!!」

 

 グレイ、エルフマン、ロキ、リート、ナツと魔法を使おうとしはじめる。

 

「あらあら、これは困ったわね」

 

 ミラが言っていると

 

「そこまでじゃ!やめんかバカたれ!!」

 

「デカ───!!!」

 

 突如巨大な人影が現れた。

 

 すると、全員の動きがとまり

 

「あら、居たんですかマスター」

 

 とミラがマスターを見上げながらそう言った。

 

「マスター!?」

 

「ダァーッハッハハ みんなしてビビりやがって!この勝負は俺の勝ぴっ!?」

 

 ナツが、マスターにより踏み潰された。

 

「むっ新入りかね?」

 

 マスターは、ルーシィを見下ろす。

 

「は、はいぃぃ」

 

 ルーシィは怯えながらも返事をすると、マスターの背丈がどんどんと小さくなる。

 

 

「えぇぇぇぇ!?」

 

 

「よろしくネ」

 この男が、フェアリーテイルの3代目マスター、マカロフ・ドレアーである。

 

「とぅっ!」

 

 マカロフが二階の手摺に飛び乗り、紙の束をちらつかせる。

 

「まーたやってくれたのぅ貴様ら、見よ評議会から送られてきたこの文書の量を」

 

「うわっすげぇ量」

 

 リートが唖然とする。

 

「まずグレイ!」

 

「んあ?」

 

「密輸組織を検挙したまではいいが…………その後街を素っ裸でふらつき、挙げ句の果てに干してある下着を盗んで逃走」

 

「いや、だって裸じゃマズイだろ………」

 

「まず裸になるなっつってんだよ」

 

「エルフマン! 貴様は要人護衛の任務中に要人に暴行」

 

「男は学歴よって言うからつい……」

 

「ついってなんだ、ついって」

 

「カナ・アルベローナ、経費と偽って某酒場で呑むこと大樽15個、しかも請求先が評議会」

 

「バレたか……」

 

「なんでバレないと思った」

 

「ロキ、評議院レイジ老師の孫娘に手を出す。某タレント事務所から賠償請求がきておる」

 

「また、えらいところに手ぇ出したなオイ」

 

「さっきから色々と言っておるがリートも他人事ではないぞ」

 

「オレ?」

 

「ナツそしてリート……、デボン盗賊一家を壊滅させるも民家を7件も壊滅。

 

 チューリィ村の歴史ある時計台を半壊。フリージアの教会の一部を火事に。ルピナス城一部損壊。ナズナ渓谷観測所崩壊により機能停止。ハルジオンの港半壊」

 

「それ、やったのナツじゃねぇか!!オレはむしろ止めてた側だわ!!」

 

「気にするなよリート」

「あい、失敗は誰にでもあるよ」

 

「復活早ぇよナツ、んでもって誤解されるから慰めんな!」

 

(雑誌に載ってたのってほとんどナツとリートだったのね…)

 

「アルザック、レビィ、クロフ、リーダス、ウォーレン、ビスカ……etc……」

 

「貴様等ぁ、ワシは評議院に怒られてばかりじゃぞぉ」

 

 マカロフが体を震わせて言うが

 

「だが、評議院などクソくらえじゃ」

 

 マカロフは文書の束を魔法で燃やすと、ナツに向かって放り投げ、ナツは口でキャッチする。

 

 

「よいか、理を超える力はすべて理の中より生まれる。魔法は奇跡の力なんかではない。我々の内にある〝気〟の流れと自然界に流れる〝気〟の波長があわさりはじめて具現化されるのじゃ。それは精神力と集中力を使う。いや、己が魂すべてを注ぎ込む事が魔法なのじゃ。上から覗いている目ン玉気にしてたら魔導は進めん。評議院のバカ共を怖れるな」

 

 

「自分の信じた道を進めェい!!!! それが妖精の尻尾の魔導士じゃ!!!!!!」

 

 マカロフが発した言葉にギルドの全員が雄叫びを上げる

 ルーシィはその光景に感動した。

 

「ここでいいのね?」

「はい!お願いします!」

 

 ルーシィは右手の甲を差し出し、ミラにギルドの紋章を入れてもらい、嬉しそうにナツとリートに話しかける。

 

「ナツー、リートー、見てー!フェアリーテイルのマーク入れてもらっちゃったー」

 

「おー、似合ってるぞ!」

 

「よかったな、ルイージ」

 

「ルーシィよ!!」

 

ナツは、おもむろに椅子から立ち上がり掲示板に向かう。

 

「?ナツどこ行くんだ?」

 

「仕事、金ねぇしな」

 

「あっ、じゃあ俺も何か探そう」

 

 ナツとリートが掲示板の前に立つと、一人の少年の声が聞こえてくる。

 

「父ちゃんまだ帰ってこないの?」

 

「くどいぞロメオ、貴様も魔導士の息子なら親父を信じて大人しく家で待っておれ」

 

「だって、3日で戻るって言ったのに、もう一週間も帰って来ないんだよ。探しに行ってくれよ!!心配なんだ!!」

 

「冗談じゃない!!貴様の親父は魔導士じゃろ!!自分のケツもふけねェ魔導士なんぞこのギルドにはおらんのじゃあ!!帰ってミルクでも飲んでおれい!!」

 

 

「バカ───!!!」

 

「おふっ!」

 

 ロメオが、マカロフの顔を殴り駆け出して出ていったところを、ナツとリートはじっと見つめ、ルーシィはミラに厳しいのねと呟いていた。

 

「マスターも本当は心配してるのよ」

 

 ミラがそう言って食器を片付けていると、

 

 

 ズガン!!

 

 

 掲示板を壊したナツが、ギルドから出ていった。

 

「あーあー、ナツのやつ…こりゃあちょっとやべぇな」

 

 リートが掲示板から離れる

 

「ミラ、悪いけどオレもナツと行ってくるわ」

 

 そう言って小走りで、ナツとハッピーを追いかけていった。

 

「どうしちゃったの?ナツ?急に…リートも追っかけて行っちゃうし」

 

「二人とも、マカオを助ける気なんでしょうね。ナツもリートもロメオ君と同じだから」

 

「二人のお父さんも出ていったきり帰ってこないのよ。お父さんって言っても育ての親なんだけどね」

 

 

「しかもドラゴン」

 

 

 ガタン!!

 

 ルーシィが驚いた拍子に椅子から落ちた。

 

「ドラゴン!?あの二人ってドラゴンに育てられたの!?」

 

「そんなの信じられるわけ!」

 

「ね」

 

「小さい時二人は同じ場所で2頭のドラゴンに拾われて、言葉や文化、魔法を教えてもらったんだって」

 

「でもある日2人の前からドラゴンはいなくなったのマフラーとコートを残して」

 

「そっか、それがイグニール達、でもナツの親はイグニールって名前は聞いたけどリートの親もドラゴンだったんだ…」

 

「ええ、フランドーラって名前なんですって素敵な名前よね」

 

「じゃあ二人は兄弟ってこと?」

 

「いいえ、でも兄弟のように仲はいいわよ。ナツもリートもいつかイグニールとフランドーラに会えるのを楽しみにしてるの、そーゆーところが可愛いのよね」

 

 ミラが嬉しそうに話す。

 

「なんか、リートがお兄さんで、ナツが弟みたいですね」

 

「あっそれは私も思ったわ」

 

 微笑ましそうに、二人は会話をしていた。

 

「私たちはフェアリーテイルの魔導士たちはみんな何かを抱えてる、傷や 痛みや 苦しみを…私も……」

 

「えっ?」

 

「ううん、なんでもない」

 ミラがにっこりと笑って返した。

 

 ……

 

 そして現在、馬車の中……

 

「でね!!あたし今度ミラさんの家に遊びに行くことになったの~♪」

 

「下着とか盗んじゃ駄目だよ」

 

「盗むかー!!」

 

「「「ってかなんでルーシィがいるんだ?」」」

 

 ナツとリートは乗り物酔いになりながら、ハッピーは座り込んで聞いた。

 

「何よ、何か文句あるの?」

 

「あい、それはもう色々と」

 

「せっかくだからフェアリーテイルの役立つ仕事をしたいなぁ~なんて」

 

(株をあげたいんだ絶対そうだ)

 

(ツッコむ気力すらねぇ)

 

「それにしても二人ともホントに乗り物ダメなのね、なんか色々かわいそう」

 

「マカオさん探すの終わったら住む家見つけないとなぁ」

 

「オイラとナツん家住んでいいよ」

 

「本気で言ってたらヒゲ抜くわよネコちゃん」

 

 ガタン

 

 いきなり馬車が止まると、ナツとリートは勢いよく立ち上がる。

 

「止まった!!!」「着いたか!!!」

 

「す、すいませんこれ以上は馬車では進めません」

 

 外は物凄い吹雪に見舞われていた。

 

「まぁこの吹雪じゃ、仕方ねぇか」

 

「何これ!?いくら山とはいえ今は夏季でしょ!こんな吹雪おかしいわ!」

 

 三人と一匹は、馬車を降り、歩いて山を登り始めた。

 

「さ、寒!!」

 

「そんな薄着してっからだよ」

 

「風邪引くぞ?」

 

「あんた達もにたようなもんでしょ!?」

 

「俺は元々寒さには強いし、何よりコートもあるから、なんなら使うか?」

 

「うん、貸して」

「ひ…ひひ開け…時計座の扉ホロロギウム」

 

「おお!」

 

「時計だ!!」

 

「なんで時計?」

 

 すると、ルーシィはホロロギウムの中に入り込む

 

「「あたし、ここにいる」ともうしております」

 

 ルーシィの言葉を、ホロロギウムが代弁し始めた。

 

「何しにきたんだよ」

 

「ホントに」

 

「「何しにきたと言えばマカオさんはこんなところに何しにきたのよ」ともうしております」

 

「知らねぇでついてきたのかよ」

 

「大丈夫か?本当に」

 

「?」

 

 ルーシィはまだ理解していなかった。

 

「「凶悪モンスターバルカンの討伐だよ」」

 

「!!」

 

「「あたし帰りたい」ともうしております」

 

「はいどうぞともうしております」「あい」

 

「帰ったらコートはミラに渡しておいてくれ、とも もうしております」

 

 しばらくナツ達は、マカオを呼び続けながら歩いていた。

 

「マカオー!!どこだー!!!」

 

「バルカンにやられちまったのかー!!」

 

「縁起でもねぇこと言うな」

 

 すると、雪山の天辺から人影のようなものが飛び降り、ナツ達の頭上から殴り付けてくる。

 

「バルカンだ!!」

 

「こいつが…」

 

「人間の女だ 」

 

「はっ?」

 

 

「ウホホー!!」

 

 

 ホロロギウムを担ぎ上げ、バルカンは去っていく。

 

「しゃべれんのか」

 

「色々と突っ込むところあったけど一番はそこか!?」

 

 

「「ってか助けなさいよぉ───!!」ともうしております」

 

バルカンに担がれたルーシィは、そのまま連れていかれた。




やっぱり今さらだけどリートにもネコをつけるべきか...となると設定がややこしく...その内考えます!!(ヤケクソ)


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バルカン討伐 後編

誰をヒロインにするべきか、リートのネコはどこで出すか、模索しながらひたすら打ち込む、そして不定期の利点って投稿日決める必要がないところだと思うんですよ。はい


「「なんでこんなことに…なってるわけぇ!!なんかあの猿テンション高いし!!」と申されましても」

 

 現在、ルーシィはホロロギウムの中に入りながらその周りをぐるぐるとまわっているバルカンに怯えていた

 

「ここってあの猿の住家かしら、てかナツとリートはどうしちゃったのよぉ」

 

「女」

 

「ひぃ!」

 

 バルカンがルーシィを見つめていると、

 

 ポンッ

 

 ホロロギウムが消え、ルーシィだけが残ってしまった。

 

「ちょっと!ホロロギウム!消えないでよ!!」

 

「時間です、ごきげんよう」

 

「延長よ!延長!!ねぇ!!」

 

 ルーシィは叫ぶが、ホロロギウムは出てこなかった。

 

 そこへ、山道を登って来たナツとリートがやって来た。

 

「やっと追い付いた!」「意外とハードな道のりだったな!」

 

 ツルッ

 

「あっ!」

「ナツ!?」

「ぶへぇ!」

 

 ナツが足を滑らせ、氷の壁に激突する。

 

「大丈夫か?」

 

「あぁ、オイ!!猿!!マカオはどこだ!!!」

 

「とりあえず立てよ」

 

「ウホッ?」

 

 ナツが立ち上がり、話を続ける。

 

「言葉わかるんだろ?マカオだよ、人間の男だ!どこに隠した!!」

 

「決めつけるのはえぇよ!!」

 

「ウホホ」

 

バルカンはナツの言葉を理解したように、手招きする。

 

「オッ!通じた!」

 

「え?マジで?」

 

 ナツが、バルカンに近づき山に空いた穴から顔を出す。

 

「どこだ!!?」

 

 

 ドン!!

 

 ナツが後ろから押され、山の頂上から落ちていく。

 

「ナツ──ー!!」

 

「やっぱりかぁ!あの馬鹿ぁ!」

 

 リートは叫ぶが、山から落ちていくナツにはもう聞こえていない。

 

「男……いらん、オデ……女好き」

 

「完全に変態だなコイツ」

 

「やだ!ちょっと死んでないわよね!ナツ!」

 

「大丈夫だよ、あの程度でくたばるやつならとっくの昔に俺が心をへし折る位ボコボコにしてるって」

 

「意外と黒いわよね、アンタも」

 

「お前も……いらん!オデ……女だけ欲しい!」

 

「へーへー男で悪かったな、お詫びに少しだけ本気でやってやるよ」

 

 リートはそう言うと、近くにあった岩に着いた氷を剥がし、バリバリと食べ始める。

 

「ごちそうさん」

 

「さて、どこからでも来いよ!」

 

「女、女ってこのエロ猿!あたしだってやるんだからね!」

 

 そう言ってルーシィは金色の鍵からホロロギウムとは別の、違う星霊を呼びだした。

 

「開け!金牛宮の扉!タウロス!」

 

「MO──ー!!!」

 

「牛?」

 

「牛だ、でもちょっと強そうだな」

 

「あたしの星霊の中で一番パワーがあるタウロスが相手よ!エロザル!!」

 

 しかし筋肉質な牛のタウロスは、ルーシィの胸をみて

 

「ルーシィさん、相変わらずいい乳してますなぁMOーステキです」

 

と変態発言

 

「そうだ、コイツもエロかった」

 

「変態増やしてどうすんだよ」

 

 リートは完全に呆れ、やる気をなくしていた。

 

「ウホッ オデの女とるな!」

 

「オレの女?」

 

「いつ、誰がお前の女になったんだよ」

 

「それはMO聞き捨てなりませんなぁ!」

 

「そうよタウロス!あいつをやっちゃって!」

 

「オレの女ではなくオレの乳と言ってもらいたい」

 

「言ってもらいたくないわよ!」

 

「なんでコイツを呼んだんだよ!!」

 

「タウロス!!」

「MO!!準備OK!」

 

 ボゴッ!

 

 タウロスはバルカンに殴られて一撃で沈められた

 

「弱っ!!」

 

「キャ──ー!タウロス──!」

 

「はぁ、やっぱりオレがやるか、どうやら他のバルカンより少しだけ強そうだしな」

 

「え!?他のバルカンよりって他にもいたの!?」

 

「ん?あぁ10匹程、全員潰してきたけど」

 

「えぇ!?」

 

「ウホォ!」

 

 そんな話をしている内に、バルカンはリートに強烈なパンチを顔面に当てる。

 

「リート!」

 

「あぁ、大丈夫 大丈夫、心配要らねぇよ」

 

 すると、リートの顔に氷のマスクが出来上がっており、バルカンは殴った手を抑え悶絶していた。

 

「氷竜の剛壁、氷の膜を何重にもはって防御する技だ、勿論オレ自身の意思で割ることも可能」

 

 そのままリートのマスクは割れて、地面へ落ちていく。

 

「すごい」

 

 ルーシィは驚きのあまり、言葉を発することがほとんど出来なかった

 

「ウホォ!」

 

 バルカンが本気になり、全力でリートに突進を仕掛けるが、

 リートは右手に先程の盾のように何重にも氷を張り、巨大な拳を作る。

 

「氷竜の剛拳!!」

 

 巨大な氷の拳を受けたバルカンは、壁に激突し気を失ってしまう。

 

「あらら、もう終わりか?案外あっけなかったな」

 

「ってかあんたが強すぎるのよ」

 

 リートとルーシィが会話をしていると、

 

「よぉーくーも落としてくれたなぁって、もう終わってる!?」

 

「ナツ!よかった!」

 

「おせぇぞナツ、とっくに終わったよ」

 

「リート!お前!一人でやったのか!?ズリィぞ!!オレもやりたかったのに!」

 

「お前来る途中でさんざん暴れたじゃねぇか!」

 

「ってかナツ、どうやって登ってきたの?」

 

「ハッピーのおかげさ、ありがとな」

 

「どーいたしまして」

 

「そういや置いてきちまってたな」

 

「ひどいよリート」

 

「ナツも同罪だろ」

 

 全員が集合したところに、先程吹き飛ばしたバルカンの体が光りだし一人の男性の姿になる。

 

「「マカオ!?」」

 

「猿がマカオになった──!!」

 

「バルカンに接収(テイクオーバー)されてたんだ!」

 

接収(テイクオーバー)?」

 

「あい、体を乗っ取る魔法だよ」

 

 バルカンがマカオに戻ったところで、後ろの壁が崩れマカオが頂上から崩れ落ちそうになる。

 

「あ──!!」

 

 ナツは飛び出しマカオの足を掴むが、体は外に出されておりハッピーが慌ててナツを捕まえる。

 

「二人は無理だよー!羽も消えそう!」

 

「んっ!」「おわっと!」

 

 ハッピーをルーシィとリートが、つかみ支える

 

「重い…魔力もほとんど残ってないから力が入らない」

 

「頑張れルーシィ!流石にこの人数はオレ一人じゃ無理だぞ!」

 

 ルーシィとリートも落ちそうになったとき、

 

 ガシッ!

 

「MO大丈夫ですぞ」

 

「「「牛──!!」」」

 

 タウロスが目を覚まし落ちそうになっている全員を引き上げた。

 

接収(テイクオーバー)されるまえに相当激しく戦ったみたいだね」

「ひどい傷だわ」

「意識はあるのか?!」

「マカオ!しっかりしろ!」

 

「脇腹の傷が深すぎる持ってきた応急処置セットじゃどうにもできない」

 

「…ナツ!脇腹に炎を!ルーシィとハッピーはマカオを抑えておいてくれ!」

 

「えっ?」

 

「オッシャー!」

 

「あいさぁー!」

 

 ルーシィ以外は瞬時に理解したようで、ナツはマカオの脇腹に炎を当て傷を塞いでいく。

 

「ぐぁぁぁ!」

 

「我慢しろよ!マカオ!」

 

「ロメオが待ってんだ!死なせてたまるか!」

 

 治療をしていると、マカオの意識が戻る。

 

「はぁはぁっ情けねぇ、19匹は倒せたんだ…20匹目に接収(テイクオーバー)されちまって」

 

(あんなのを19匹も…そんな仕事を一人で)

 

「ちくしょう、これじゃあロメオに会わす顔がねぇ」

 

「わかったから喋るな!ナツ!傷はふさいだか?!」

 

「今終わった!」

 

「よし!」リートはマカオの脇腹に氷を作り冷やす

 

(すごいなぁやっぱり…かなわないなぁ)

 

 ルーシィはそう思いながらハコベ山をあとにした。

 

 ナツ達は、回復したマカオを連れてロメオの元に向かった。

 

 マカオと再開したロメオは涙を流す

 

「父ちゃん、ごめん…オレ」

 

「心配かけたな…スマネェ」

 

「今度クソガキ共に絡まれたら言ってやれ、テメェの親父は怪物を19匹も倒せんのかってな」

 

 そんな風景を見たナツ達は自分の家に戻る

 

「ナツ兄ー!リート兄ー!ハッピー!ありがとぉー!

 それと、ルーシィ姉もありがとぉ!!!」




今キリいいなそろそろ新キャラ出すかどうか...


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エバルーのメイド編
DAY BREAK (オリキャラ登場)


さぁ!出番だ!オリキャラ2号!
今回は一気に進めるのでかなり長めです



 ここはマグノリアのとある家

 

「いいとこみつかったなぁ!」

 

 金髪の少女ルーシィは、お風呂に入りながらのんびりとしていた。

 

「7万Jの家賃にしては間取りもいいし収納スペースも多いし、真っ白な壁!ちょっとレトロな暖炉に!(いろり)までついてる!そして何より一番ステキなのは!」

 

 ルーシィがお風呂からあがりバスタオル姿で部屋の扉を開けると、

 

「よぉ!」

「あたしの部屋ー!!?」

 

 ナツとハッピーがいつの間にか部屋に侵入しており散らかしていた。

 

「なんであんた達がいるのよ!!」

 

 ゴシャッ!!

 

「「まわっ!?」」

 

 回し蹴りを、ナツとハッピーに全力でかますルーシィ

 

「だってミラから家が決まったって聞いたから…」

 

「聞いたら何!!?勝手に入ってきていいわけ!!?」

 

 荒れているルーシィを横目に、ナツとハッピーは自由に部屋を見てまわっていた。そこに、

 

 

 ピンポーン!

 

「?」

「はーい」

 

 インターホンの音が、聞こえルーシィがバスタオル姿のまま玄関にでる。

 

「よっ!ルーシィ!新しい家が決まったんだって?」

 

 リートと、リートの肩に乗った薄い茶色の毛をしたネコがルーシィの家にやって来た。

 

「リート!…とそのネコちゃんは?」

 

 リートの肩から飛び降りたネコは、丁寧にお辞儀をして挨拶をした。

 

「はじめまして、ルーシィ様、(わたくし)リートと一緒に住んでいるラリカと申しますわ」

 

「まぁ、ナツとハッピーで言うところのハッピーみたいな立ち位置のやつだよ、怒ると超恐ぇけど…」

 

「まぁ、(わたくし)をハッピーと同じ扱いだなんでリートったら、全身の皮を剥がされ天日干しにされたいのかしら?」

 

「発想が恐いんだけど!このネコちゃん!」

 

 ルーシィが、すかさずツッコム

 

「とりあえずあがっていいか?」

 

「あぁ、うん!ごめんねいつまでも外に出してると悪いもんね、上がって上がって」

 

 そう言って、リートとラリカはルーシィの家に上がり込んだ。

 

「それはそうと、ルーシィはなんでバスタオル姿?」

 

「へっ?キャーー!」

 

 自分がバスタオル姿であることを忘れていたルーシィは、慌てて着替えにいく。

 

 リートとラリカは家に上がったその足で、ルーシィの部屋に入ると

 

「おっ!?リート!ラリカ!」

「ラリカ~おはよう~」

 

「なんだ、ナツとハッピーも来ていたのか」

「ナツ、ハッピー、おはようございますですわ」

 

「コイツら不法侵入よ」

 

 着替えを終わらせたルーシィが、リートの後ろに立って話した。

 

「はぁっ!?」

 

「まぁ、レディの部屋に無断で上がり込むなんて、タコ殴りにされ川に溺れさせたあと水死体として扱われても文句言えませんわよ」

 

「だから、発想が恐ぇって…」

 

 ナツとハッピーはラリカの発言を想像して、体を震わせる。

 

「そういえば、あたし初めて会ったけどラリカちゃんは今までどこにいたの?」

 

「ん?あぁミラの家に泊まってたんだよ。コイツ、ミラと仲がいいからな」

 

「ミラにはお世話になりましたわ。楽しいお話しも聞けましたし、勿論ルーシィ様のことも伺っていますわよ」

 

「様なんてつけなくていいわよルーシィって呼んで」

 

「では、私もラリカでお願いしますわ♪ルーシィ」

 

 にっこりと微笑みながら二人は話す

 

「それにしても」

 

 ルーシィが、ナツとハッピーを睨み付ける。

 

「不法侵入のあんた達は、モラルの欠如もほんといいとこだわ」

 

「おい、そりゃあキズつくぞ…」

 

「自業自得だ馬鹿」

 

「いい部屋だねー」

 

「爪を磨ぐな!猫科動物!」

 

 ハッピーが、部屋の壁でガリガリと爪を磨いでいると

 

「まぁ、ハッピーったらレディの部屋で爪を磨ぐなんてミンチにされる覚悟はおありでして?」

 

 笑っているラリカの後ろに般若が見え、ハッピーは爪を磨ぐのを即座にやめた。

 

「あい!すいませんでしたぁ!」

 

「ん?なんだこれ?」

 

 ナツは、机の上にある紙の束を見つけ読み始めた。

 

「!?ダメ──!!」

 

 それを見たルーシィが、ナツから紙の束を奪い取り恥ずかしそうに抱える。

 

「なんだよソレ?」

 

「なんでもいいでしょ!ってかもう帰ってよ!」

 

「やだよ遊びにきたんだし」

 

「超勝手!!」

 

 

 ……

 

 

「まだ、引っ越したばかりで家具も揃ってないのよ遊ぶものなんか何もないんだから紅茶飲んだら帰ってよね」

 

 ルーシィは、ふてくされたようにそう言うと

 

「残忍なやつだな」

「あい」

 

「紅茶貰っておいて残忍って.」

 

「全く品のない人達ですわね」

 

 ナツ達は、まだ居座る気でいた。

 

「あっ!そうだ!」

 

「ルーシィの持ってる鍵の奴ら全部見せてくれよ!」

 

「あっ、ソレはオレもちょっと見てみたい」

 

「嫌よ、すごく魔力を消耗するじゃない、ソレに鍵の奴らじゃなくて星霊よ」

 

「ルーシィは何人の星霊と契約してるの?」

 

「6体、星霊は1体2体って数えるのよ。こっちの銀色の鍵がお店で売ってるやつ

 

『時計座のホロロギウム

 

 南十字座のクルックス

 

 琴座のリラ』

 

 そしてこっちの金色の鍵が、王道十二門っていう門を開ける超レアな鍵

『金牛宮のタウロス

 

 宝瓶宮のアクエリアス

 

 巨蟹宮のキャンサー』」

 

「巨蟹宮!?蟹か!」「カニー!」

 

 カニと聞いて、ナツとハッピーのテンションは上がる。

 

「どこに食いついてんだお前らは」

 

(わたくし)星霊魔導士と言うものを初めて見ましたわ」

 

「そういえばラリカには、一回も見せたことなかったわね、あっ!そーいえばハルジオンで買った子犬座のニコラ契約するのまだだったわ、せっかくラリカもいるし星霊魔導士が星霊と契約するところ特別に見せて上げる」

 

 

「「「「おぉ!!」」」」

 

 

 星霊魔導士の契約と聞いて、4人は興奮する。

 

「血判とか押すのかな?」

 

「痛そうだなケツ」

 

「…なんで尻?」

 

「まぁレディの前でお尻だなんて、お下品ですわよナツ、リート、コンクリートに生き埋めにされる覚悟はおありでして?」

 

「悪かったから恐ろしいこと言うのやめてくれ」

 

 ルーシィは、鍵を取り出し準備する。

 

「血判とかはいらないのよ見てて」

 

「開け!子犬座の扉 ニコラ!!」

 

 そして、光が現れ白いドリルのような鼻をした小さな星霊、ニコラが現れた。

 

 

「プーン!」

 

 

「「「ど…ドンマイ」」」

 

「あら、かわいらしい♪でも失敗ですの?」

 

「失敗じゃないわよー!!」

 

「あぁん、かわいいー♪」

 

 ルーシィは、ニコラを抱き上げて頬擦りする。

 

「そ、そうか?」

 

「かわいい…のか?」

 

「かわいくありませんの?」

 

「オレにはよくわからん」

 

 ニコラは女性からは人気がある…らしい…

 

「ニコラはあまり魔力を使わないし、愛玩星霊として人気なのよ」

 

「ナツ〜、リ~ト~、人間のエゴが見えるよ〜」

 

「うむ」

「いや、うむじゃねぇよ」

 

「じゃあ契約に移るわよ」

 

「ププーン」

 

 ルーシィは、メモ帳を取り出して契約を始めた。

 

「月曜は?」

「プゥーゥン」

 

 ニコラは、首を横にふる。

 

「火曜」

「プン」

 

 ニコラは、首を縦にふる。

 

 そこから水曜、木曜、と同じ事を繰り返し聞いていく

 

「地味だな」

 

「あい」

 

「確かにまぁ、思ってたのとは違った」

 

「意外ですわね」

 

 4人は、ただただソレを見ているしかなかった。

 

「はい!契約完了!」

 

 どうやら、契約が終了したらしい。

 

「これで終わりか?ずいぶんと簡単なんだな」

 

「確かに見た目はそうだけど大切なことなのよ。星霊魔導士は契約、即ち約束ごとを重要視するの。だから私は絶対約束だけは破らないってね」

 

「へぇー」

 

「そうだ!名前決めてあげないと」

 

「ニコラじゃありませんの?」

 

「それは総称よ」

 

「!おいで、プルー!」

 

「「「「プルー?」」」」

 

「なんか語感がかわいいでしょ♪ねっプルー」

 

「プーン」

 

 ハッピーはプルーを見ながら、

 

「プルーは子犬座なのにワンワン鳴かないんだね変なのー」と言い出した。

 

「ソレ言い出したら、お前やラリカもニャーニャー鳴かねぇだろ」

 

「リート、ハッピーと同じ扱いはやめてくださいまし、全身の穴に針を射し込みそのままギロチンの刑にしますわよ?」

 

「…すんません……」

 

 プルーがルーシィの手から離れると、何かを伝えようとするのを見てナツが反応する

 

「プルー!!お前!いいやつだなぁ!」

 

「今のを見て何が伝わった?!!」

 

 ナツはルーシィを見つめる

 

「な、何よ?」

 

「お前、変な奴だけど頼れるしいい奴だ」

 

 リートは、ソレを見ながら思った。

 

(お前ほど変な奴はいねぇよ)

 

「よし決めた!ここにいるオレたちでチームを組もう!!」

 

「へぇー珍しくいい案出すじゃん」

 

「チーム?」

 

「あい!ギルドメンバーはみんな仲間だけど特に仲のいい人同士が集まってチームを結成するんだよ!一人じゃ難しい依頼もチームでやれば楽になれるしね!」

 

「つまり一番頼れる人達で組む、助け合いの関係ですわね」

 

「良いわねそれ!面白そう!!」

 

 ルーシィもそれなりにノリ気のようだ

 

「まぁ、オレも異論はねぇし賛成かな」

 

「おおおし!決定だー!」

 

「契約成立ね!」

 

「よろしくなお前ら」

 

 チームが結成し、ナツは早速、リートも誘う予定だった依頼を持ってきたと依頼書を机に置いた。

 

「シロツメの町かぁ.聞いたことあるようなないような…」

 

「うそっ!?エバルー公爵って人の屋敷から本をとってくるだけで20万J(ジュエル)!!?」

 

「なっ?オイシー仕事だろ?」

 

 その依頼を聞いてリートが反応する。

 

「ん?オイ待て、その依頼ってたしか…」

 

 依頼書には

 

 

 *注意 とにかく女好きで変態!ただいま金髪のメイドさん募集中!

 

 

 と、書かれていた。

 

「ルーシィ金髪だもんな!」

 

「だね!メイドの格好で忍び込んでもらおうよ!」

 

「それが狙いだったか」

 

「クズですわね」

 

 ナツとハッピーは嬉しそうに話しリートは頭を抱え、ラリカはゴミを見るような目でナツとハッピーを見ていた。

 

 

「ハメられた──!!!」

 

 

「星霊魔導士は契約を大事にしてるのかぁ」

 

「騙すなんてサイテー!!メイドなんていやよー!」

 

「少しは練習しとけよ、ホレ、ハッピーにご主人様って言ってみろ」

 

 

「ネコにはいやぁぁ!!リート!助けてぇ!」

 

 

「諦めろ、オレにはどうにもできん」

 

「サイテーですわね」

 

 現在の状況に、ラリカだけはドン引きしていた。

 

 ……

 

 行きの馬車にて…

 

「乗り心地はどうですか?御主人様方」

 

 

 

「「冥土が見える…」」

 

 

 

 その頃ギルドにて

 

「あれ?エバルー屋敷の一冊20万J(ジュエル)の仕事……誰かにとられちゃった?」

 

「ええ……ナツがルーシィとリート達を誘って行くってラリカもついていっちゃったわ」

 

 ミラは少しだけ残念そうに言う。

 

「あ~あ……迷ってたのになぁ……」

 

 レビィは、がっかりしながらギルドボードを見て、ミラは食器を片付けながらレビィと話す。

 

「レビィ……行かなくてよかったかもしれんぞい」

 

「あ!マスター」

 

「その仕事……ちとめんどうな事になってきた……たった今依頼主から連絡があってのう」

 

「キャンセルですか?」

 

 ミラはマカロフに聞くが、マカロフは首を横に振る。

 

「いや……報酬を200万J(ジュエル)につり上げる……だそうじゃ」

 

 

「10倍!?」

 

 

「本一冊で200万だと!?」

 

 

 報酬の金額が10倍に跳ね上がったことに、ギルドの全員は驚きを隠せないでいた。

 

「な、なぜ急にそんな……」

 

 ギルドで騒いでいる中、グレイだけはニヤリと笑っていた。

 

「面白そうな事になってきたな」

 

 ……

 

 場所は戻って馬車の中

 

「言ってみればずいぶんと簡単な仕事よねー」

 

「あれ?嫌がってた割には結構ノリ気?」

 

「今回のメインで動いてもらうのはルーシィですからやる気があることはいいことですわ」

 

「トーゼン!なんたってあたしの初仕事だからね!!ビシッと決めるわよ!要は屋敷に潜入して本を一冊持ってくればいいだけでしょ?」

 

「スケベオヤジの屋敷にね」

 

「そう、スケベオヤジ」

 

「こう見えて色気には結構自信があるのよ」

 

「ネコにはちょっと判断できないです」

 

「ハッピー、こういうときは嘘でもステキですぐらい言ってごらんなさいな」

 

 

(なんかすごく馬鹿にされてる気がする.)

 

 

「いっとくけどこの仕事、あんた等やる事ないんだから報酬の取り分は6・1・1・1・1だからね」

 

「ルーシィ1でいいの?」

 

「まぁお優しい♪」

 

 ハッピーとラリカは、ルーシィの取り分を1だと決めつけて会話を進めようとする

 

「あたしが6よ!!」

 

 ナツとリートがグロッキー状態で話しかける。

 

「ちょ…ちょっと待て…オレたちもやることが…ある…」

 

「おそらく…だけどな…」

 

「何よ?」

 

「捕まったら…」

「助けて…」

「やる…」

 

 リート、ナツと交互に話す。

 

「そんなミスしません」

 

「つーか…助けて」

 

「あんたの助けてはhelpの意味だったんかい!」

 

 ナツはそろそろ限界のようだ。

 

「魚釣りでもね、餌は無駄になることが多いんだよ」

 

「あたしは餌かい!!」

 

 

 ……

 

『シロツメの街』

 

「着いた!!」

 

「馬車には二度と乗らん」

 

「同じく」

 

「いつも言ってるよね」

 

「というか、まだ乗り物克服できてなかったのですのねお二人とも」

 

 ナツ達は、依頼人の家に向かうため、街を歩いていた。

 

「とりあえずハラ減ったな、メシにしよメシ」

 

「その前に、ホテルかどっかで荷物置かねぇと」

 

「あたしお腹空いてないんだけど、あんた達は自分の火と氷食べれば?」

 

「とんでもねぇこと言うなルーシィは」

 

「全くだ」

 

「え?」

 

「お前は自分のプルーや牛食うのか?」

 

「食べないわよ!」

 

「それと同じなんだよ、オレやナツは自分で作った魔法は食べられない」

 

 リートは、ルーシィに説明する。

 

「そ…そう?」

 

「よーするに自分の作り出したのは食べれないってことね、めんどくさー」

 

「そうだ!あたしちょっとこの街見てくる、食事は4人でどーぞ」

 

 そう言うと、ルーシィは街へと消えていく

 

「なんだよ、みんなで食ったほうが楽しいのに」

 

「まぁいいさ、ルーシィにも色々とあるんだろ?とりあえずどこか探そうぜ」

 

 

 ……

 

 

 ガツガツガツガツ!

 

 ナツ、リート、ハッピー、ラリカは4人で食事をしていた

 

「脂っこいのはルーシィのにとっておこうか!」

 

「ルーシィ脂っこいの好きそうだもんね」

 

「なんで脂っこいのだけなんだよ」

 

「そうですわよ、それに女性が脂っこいのが好きなんてほとんどあり得ませんわよ」

 

「そうよ、あたしがいつ脂っこいの好きになったのよ」

 

 

「おう!ルー……シィ?」

 

「遅かった……な?」

 

 背後から声がしてナツとリートが振り返ると、メイド姿のルーシィが立っていた

 

「結局あたしってなに着ても似合っちゃうのよね、お食事はおすみですか?御主人様方、まだでしたらゆっくり召し上がって下さいね♪うふっ」

 

 ノリ気なルーシィ

 

「どーしよぉ~!冗談で言ったのに本気にしてるよ~!!メイド作戦……!!」

 

「今さら冗談とは言えねえしな……こ、これでいくか」

 

「んなこったろうと思ったよ全く……」

 

「それにのせられるルーシィもなかなかですわね」

 

「聞こえてますが!!?」

 

 

 ……

 

 

 食事を終えた一同は、依頼主の館に来て依頼主と会っていた。

 

「ようこそ、よくお越し下さいました。私が依頼主のカービィ・メロンです」

 

「メロン!」

「うまそうな名前だな!」

 

「ナツ、失礼だぞ」

 

「そうよ!」

 

「アハハハ、よく言われるんですよ。それにしてもまさかあの有名なフェアリーテイルの魔導士さんに受けてもらえるとは……」

 

「そうか?こんなうめぇ仕事がよく残ってたと思うけどな」

 

「仕事の内容の割には、金額が金額なだけに何かあると皆考えてたんだよ」

 

「ナツとリートは火竜(サラマンダー)氷竜(セルシウス)って呼ばれているんだよ」

 

 ハッピーは、ナツとリートの紹介をすると、メロンが反応する。

 

「おお!!あなた方があのフェアリーテイルの双竜でしたか!」

 

「知ってるんですか?」

 

「ええ、ソレはもう、お二方は有名人ですからね」

 

「なんか照れくさいな」

「カカカ!」

 

「ええっとそちらの方は?」

 

「あたしもフェアリーテイルの魔導士です!!」

 

 ジーっとカービィはルーシィを見ると

 

「その服装は趣味か何かで?」

 

「あたし、帰りたくなってきた」

 

「だから着替えろって言ったんだ」

 

 話を戻そうと仕事の話をしましょう、とカービィは言い出す

 

「おっしゃ!」

「あい」

「そうだな」

「ですわね」

 

「私の依頼したいことはただ1つ。エバルー侯爵の持つ本、『日の出(デイ・ブレイク)』の破棄または焼失です」

 

「焼失?だったら家ごと燃やせばすぐ片付くな」

 

「あい」

 

「んなことしたらまた軍隊が来ちまってマスターが評議院から大目玉だぞ、下手すりゃお前も牢獄行きだし」

 

「なんでこんなにうちのチームはアホばっかりなんでしょう」

 

「けど、なんで本を廃棄するんですか?しかも報酬にそんな大金まで使って」

 

「んな事どうでもいーじゃねぇか、20万だぞ、20万」

 

「いいえ?成功報酬は200万Jお支払しますが?」

 

「はぁっ!?」

「200万!?」

「えぇ!?」

「マジか!」

「あい──!?」

 

 リート、ラリカ、ルーシィ、ナツ、ハッピーは驚愕した

 

「おや? 値上がったのを知らずにおいででしたか」

 

「聞いてねぇよ!」

 

「200万を5等分すると…うおぉぉぉっ!計算できん!」

 

「簡単です!オイラが50万!ナツが50万!リートが50万!ラリカが50万!残りはルーシィです!」

 

「頭いいな!ハッピー!」

 

「「残ら(ねぇ)(ないわ)よ!?」」

 

「やはり馬鹿ですわねあなた方!(わたくし)が100万に決まっているでしょう!」

 

「「(オレ)(あたし)らの取り分減ってる(じゃねぇか)(じゃないの)!」」

 

「まぁまぁ、皆さん落ち着いて」

 

「いや!この状況で跳ね上がった金額聞いて落ち着けるかぁ!」

 

「でも、なんで…急にそんな…200万に…?」

 

「それだけ、どうしても、あの本を破棄したいのです。私は、あの本の存在が許せない…」

 

 カービィはどこか悔いるように吐き捨てる。そして、ナツの頭が燃えて立ち上がり、

 

「燃えてきたぁぁぁ!」

 

 とリートとルーシィを引っ張って出ていき、ハッピーとラリカも追いかけていった。

 

 そうしてリート達を見送るカービィの目は、険しいものだった。

 

 

 ……

 

 

『エバルー公爵邸』

 

「すいませーん!メイド募集のチラシを見て来ましたー!誰か居ませんか〜!」

 

 ルーシィを一人門の前に立たせると、残り全員は近くの木に隠れて見張っていた。

 

「ルーシィー頑張れよー」

「ファイトですわよー」

「頑張れ〜」

「……不安」

 

 ナツ、ラリカ、ハッピー、リートはそれぞれルーシィを見て危険がないか見張っていた。

 

「?何か聞こえる」

 

「何かって?」

 

 リートが反応した次の瞬間、ルーシィの足元から何かが飛び出した。

 

 それはゴリラのようなメイドだった。

 

「あなた、メイド募集の広告を読んで来たの?」

 

「は、はい!」

 

 ルーシィが震えながら言うと

 

「ご主人様!募集広告を見て来たそうですが!?」

 

 メイドが大きな声でそう叫んだ。

 すると今度は、地面から変な髭の男エバルー公爵が飛び出してきた。

 

「なんで地面から出てこれんの?前世モグラなの?」

 

「もぐらなら西洋では土竜って書くからナツやリートと同じだね」

 

「嬉しくねぇ」

 

「ボヨヨーン!我輩を呼んだかね?」

 

(き、来たー!)

 

「ふむ、どれどれ~」

 

 エバルーはルーシィを観察するように見る

 

(と、鳥肌が……!頑張れ、私!)

 

 ルーシィが我慢していると、突然エバルーが後ろを向き、ため息をつく

 

「いらん、帰れブス」

 

「ブ…!?」

 

「我輩の様な偉〜〜〜〜〜い男には……」

 

 その言葉を合図に、また地面から穴を作り人が出てきた。

 

「彼女たちの様な美しい娘しか似合わないのだよ」

 

 現れた女性は、お世辞にも美しいとは言えないモンスター級のブサイクが勢揃いしてエバルーに引っ付いていた。

 

 

 

(((((え────!?)))))

 

 

 

 ……

 

「しくしく」

 

「使えねぇなぁ」

 

「違うのよ!!あのエバルーってやつの美的感覚がおかしかったのよ!!」

 

「言い訳だ」

 

「いや、でも流石にあれはエバルーって奴の方がおかしいって」

 

「そうですわね、私だったらあのエバルーって男の皮をひんむいて内蔵をくりぬき、火炙りにして豚男の丸焼きを作ってましたわ」

 

「だから発想が恐ぇって」

 

「リート~!ラリカ~!」

 

 ルーシィはリートに抱きついて泣く、

 

「どぅえきてるぅ~」

 

「できてないし巻き舌風に言うな」

 

「とにかく!こうなったからには作戦Tに変更だ!」

 

「作戦T?」

 

「突撃のTー」

 

「それは作戦とは言わねぇ」

 

「あの親父絶対許さん!」

 

 ルーシィは先程の事もあり怒り浸透中だ。

 

 一同は屋上から侵入することにした。

 

 ルーシィはさっさと私服に着替え、ハッピーとラリカで往復してもらい3人を運び、屋上に降りる

 

「なんでこんなコソコソとしなきゃいけねぇんだよ、正面突破でぶっ飛ばせばいいのによー」

 

「当たり前でしょ!あたし達が今やってるのは泥棒と変わらないんだから」

 

「突撃して軍が動くよりは断然こっちの方がマシだしな」

 

 ナツはふてくされているが、リートとルーシィは突撃を許可しなかった。

 

「ルーシィだって絶対許さんとか言ってたのによー」

 

「ええっ!許さないわよ!だから本を燃やすついでにあいつの靴を隠してやるのよ!」

 

「うわっ、小っさ!」

 

「今時子供でもやらねぇぞ、そんなイジメ」

 

「まぁいいや、とにかく潜入するぞ」

 

「おう」

「あい」

「うん」

「はいですわ」

 

 5人はエバルーの屋敷へ潜入していく




前編長め後編が短くなりがちだ、そのうち半々ぐらいで分けられるようになると思いますが...


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DEAR KABY

ただいま、ラリカにどんなお仕置き方法をいわせるかと
リートの技名とどんな技にしようか、を悩んでおります


じゅううう...ガチャ

 

ナツが窓の一部を溶かし、鍵を開ける。

 

「こうやってやらせると、ナツの炎って便利だよなぁ」

 

「俺はこんなやり方気に入らねぇけどな」

 

5人は屋敷に入り込んだ。

 

「ここは…物置かしら?」

 

「みたいですわね」

 

「ナツー、リートー、見てみてー」

 

「おっ、似合ってんぞハッピー」

 

「それはいいけどあまり騒ぐなよ、特にナツとハッピー」

 

ハッピーが、ドクロの仮面を被って楽しんでいる。

 

ルーシィとリート、ラリカは一つずつ部屋の扉を開け、中を確認していく。

 

「なぁこうやって一つづつ確認していくのかぁ?」

 

「トーゼン」

 

「本当は別れる方が効率的だけど、潜入がバレてるかどうか分からない以上は、単独で行動するわけにもいかないし...目離したらなにするか分からないやつもいるしな...」

 

「誰か取っ捕まえて本の場所聞いた方が早くね?」

 

「見つからないように任務を遂行するのよ。忍者みたいでかっこいいでしょ?」

 

「に、忍者かぁ」

 

「...単純な人ですわね」

 

 

「...やべっ侵入バレた」

 

「えっ?」

 

リートがそう言うと、地面が盛上がり、メイド軍団が飛び出してきた。

 

「メイド!?ってかリートなんでわかったの!?」

 

「音」

 

「リートは耳がいいんですわよ」

 

「ハイジョ シマス」

 

「うぉぉぉ!」

 

ナツが慌ててマフラーで顔を隠す。

 

「ナツ!んなことやってる場合じゃねぇ!やるぞ!」

 

「忍者ぁ!!」

「オラァ!」

 

炎と氷を、足に纏ったナツとリートは、メイド達を蹴り飛ばす。

 

「まだ見つかるわけにはいかんで御座(ござ)るよ、ニンニン」

 

「メイドが出てきた時点で見つかってるっての」

 

「ってか普通に騒がしいわよあんた達」

 

「とにかく!ここにいるとまた誰か来ますわ、適当な部屋にでも隠れませんと!」

 

「そうね!」

 

「来るなら来いでござる」

 

「いいから隠れるぞ」

 

 

バタン!

 

 

「ふぅ危なかったぁ」

 

「ってかアウトだろ」

 

ナツ達が入った場所には、本がたくさん置いてあった。

 

「うおっ!なんだココ!本ばっか!」

 

「あいっ!」

 

「ここに日の出(デイ・ブレイク)もありそうだな」

 

「これだけあれば、どこかにはあるんじゃありませんの?」

 

リート達は本を探し始める。

 

「エバルー公爵って頭悪そうな顔してるわりには蔵書家なのね」

 

「人は見かけによらねぇもんだな」

 

「うほっ!エロいの見っけ!」

 

「魚図鑑だー!」

 

「なんだこれ?字ばっかだな」

 

「ナツゥ普通はそうだよ」

 

「おめぇら真面目に探せよ!」

 

「あら?きれいな本、金色のブックカバーですわ、デイ...ブレイク...」

 

「えっ?」

 

日の出(デイ・ブレイク)は、意外とあっさり見つかった。

 

「はやーー!ってかこんな簡単に見つかっていいの?」

 

「さて、燃やすか♪」

 

「そうだな、ナツ頼んだ」

 

「ちょっ、ちょっと待って!」

 

「どうした?」

 

「これ!ケム・ザレオンの本じゃない!魔導士でありながら小説家だった人よ!」

 

 

「「「「へぇー」」」」

 

 

ルーシィ以外は、興味が無さそうにしていた。

 

「あたし、大ファンなの!作品全部読んだと思ってたけど、これって未発表作ってこと!?」 

 

「いいから、早く燃やそうぜ」

 

「そうだな、誰か来てからじゃ遅いし」

 

「だ、ダメよ!これは文化遺産よ!燃やすなんてとんでもない!」

 

「仕事放棄だ」

「ですわね」

 

「うぐっ、大ファンだって言ってんでしょ!!」

 

「今度は逆ギレか」

 

「じゃ、じゃあ燃やしたってことにしといてよ・・・これはあたしが貰うからぁ」

 

「駄目だ、嘘はよくない」

 

「そんなぁー」

 

ルーシィが涙目になっていると

 

「なるほどなるほど~」

 

エバルーの声がどこからか聞こえる。

 

「...下だ!」

 

リートがそう叫ぶと、エバルーが床下から飛びだしてくる。

 

「貴様らの狙いは『日の出(デイ・ブレイク)』だったのか」

 

「ほらー、もたもたしてっから来ちまったじゃねぇか」

 

「ご、ごめん...」

 

「つーか、この屋敷の床ってどうなってんの?もしくはやっぱり、あいつの前世もぐらなの?」

 

「確かにもぐらみたいな体型してますわ」

 

「体型かよ!」

 

「フン!魔導士共が何を躍起になって探しているかと思えば...」

 

そこでエバルーは、ルーシィが持っている本を見る。

 

「そんなくだらん本だったとはな!」

 

「え?」

 

「人が書いた本を下らん呼ばわりとは、あんまり感心しねぇな」

 

「黙れ!我輩の偉さも知らん若造が!」

 

くだらん本と聞いたルーシィは、

「じゃあ、この本貰ってもいいかしら?」

と言うが

 

「嫌だね、我輩の物は我輩の物」

 

「ケチ」

「黙れブス」

 

「燃やしちまえばソレまでだろ?ナツ!」

 

「おうっ!」

 

「ダメ!絶対ダメ!」

 

それでもルーシィは、本を手放そうとしない。

 

「ルーシィ!!」

「仕事だぞ!!」

 

「じゃあ、せめて読ませて!」

 

 

「「「「ココで!?」」」」

 

 

「気に食わん!エラーい我輩の本に手を出すとは...!バニッシュブラザーズ!!」

 

エバルーがそう叫ぶと、書庫の隠し扉が開いてそこから2人の男が現れた。

 

「やっと仕事か」

 

「仕事もしねぇで金だけも貰ってたらママにしかられちまうぜ」

 

1人はバンダナをした背の高い男。

もう1人は顔に『上』『下』『左』『右』の文字が書かれていて、大きなフライパンのような物を持っている男だった。

 

「グッドアフタヌーン」

 

「こんなガキ共がフェアリーテイルの魔導士かい?ママも驚くぜ」

 

「傭兵ギルド、『南の狼』、ですわね」

 

「こんな奴ら雇ってたのか」

 

リートとナツは、男達、バニッシュブラザーズを睨む。

 

「ボヨヨヨヨ・・・『南の狼』は常に空腹なのだ!覚悟しろよ?」

 

エバルーが得意げに笑った。

 

「これは!」

 

そこで、急に本を読んでいたルーシィが立ち上がり、ナツ達に叫んだ。

 

「ナツ、リート!少し時間を頂戴。この本にはなにか秘密があるみたいなの・・・!」

 

「秘密?いいけど時間って、オイ!どこ行くんだよ!」

 

「どこかで読ませて!」

 

「マジかあいつ」

 

ルーシィは部屋を出ていき、どこかで本を読むことにした。

 

「しゃーねぇ、どの道あのパニックブラザーズって奴らとは戦うことになりそうだし、ナツ!ちょっと付き合え!」

 

「おう!」

 

 

 

「「パニックブラザーズじゃない!!バニッシュブラザーズだ!!!」」

 

 

 

(秘密だと?我輩は気付かなかったが、財宝の地図でも隠されているのか?)

 

エバルーはそう思案すると、床下に沈み込んでゆく。その最中、バニッシュブラザーズに命令した。

 

「娘は我輩が捕らえる。小僧共を消しておけ!」

 

「やれやれ、身勝手な依頼主だ」

「全くだ」

 

「ここは俺たちでやる。ハッピーとラリカはルーシィを頼んだ」

 

リートは、ハッピーとラリカに指示を出す。

 

「あいさー!!」

 

「お二人ともお気をつけてですわ!」

 

「「おう!」」

 

「カモン!火と氷の魔導士!」

 

「ん?なんで俺らが火と氷を使うって知ってんだ?」

 

「貴様らだろう?メイドどもを倒した輩は、メイドの服の一部が焦げ、一部には氷がついていた」

 

「よく見てんなぁ、お前らもエバルーって奴と同じ趣味か?」

 

「「違う!」」

 

「どうでもいい、俺たちの魔法知っても立ち向かってくるってことは覚悟はできてるんだろ?」

 

「そうだな」

 

「黒コゲと」

 

「永久冷凍される覚悟がな」

 

「残念ながら火の魔導士は私の最も得意とする相手、そしてそれを利用すれば氷の魔導士の討伐もたやすい」

 

「「ふーん」」

 

「どうやらフェアリーテイルのメンバーは自分達が最強か何かと勘違いしてるようだ」

 

「しかし、所詮は魔導士、我々傭兵には敵うまい」

 

「どうでもいいからさっさとかかってこい、こっちはルーシィを追いかけてった豚まんじゅうも捕まえねぇといけねぇんだからよ」

 

「ブハッ!」

 

ハッピーとラリカに追わせたとしても、リートは内心不安だったため、口調がどんどんと荒くなる。

そして、豚まんじゅうと聞いたナツが吹き出す。

 

「兄ちゃんコイツら完全になめてるよ」

 

「焦るな、相手が火の魔導士と氷の魔導士ならどのみちイージーな仕事だ」

 

バニッシュブラザーズが地面を蹴り一瞬で二人の前に移動した

 

「なに!?グボォァ!」

 

「ちっ!」

 

ゴン!

 

「ぐはぁ!」

 

ナツはフライパンのような武器に、吹き飛ばされるが、

リートは、ソレを右腕に張った氷で防ぎつつ、高身長の弟を殴り飛ばし、ナツの飛ばされた廊下に飛び出す。

 

「兄ちゃん、あの青髪結構やるぜ」

 

「ああ、そのようだな」

 

「ナツ!無事か?」

 

「あぁ、イッテー畜生!」

 

「ったく油断しすぎだ」

 

廊下に吹き飛ばされたナツも怪我はなく、すぐに起き上がる。

 

そこへバニッシュブラザーズが廊下に出て来て、即座に対峙する。

 

「貴様らは魔導士の弱点を知っているか?」

 

「乗り物に弱いことか!?」

 

「それは魔導士とは関係ぇねぇだろ」

 

「魔導士の弱点それは肉体」

 

「肉」

「体?」

 

そう言うと、バニッシュブラザーズは再び二人に攻撃をするが、二人はそれを難なくかわす。

 

「魔法とは、精神力を鍛錬せねば身に付かぬもの」

 

「結果、魔法を得るには肉体の鍛錬は不足する」

 

「力説してるとこ悪いけどな、俺らに攻撃をかわされ続けてる時点で説得力皆無だぞ?」

 

「くそっ!なぜ当たらん!」

 

魔導士の弱点を聞いてる間にも、ナツとリートは余裕そうに攻撃をかわす。

 

「なるほど、貴様らのスピードは認めてやる」

 

「兄ちゃん、あの技をやろうあれなら避けられねぇ」

 

「?」

 

「合体技だ!」

「OK」

 

「!?」

 

「俺たちがなぜバニッシュブラザーズと呼ばれているか教えてやる」「消える、そして消すからだ」

 

バニッシュブラザーズの弟が、兄のフライパンに乗り飛び上がる。

 

「ゆくぞ!天地消滅殺法!」

 

二人は飛び上がった弟を見上げている。

 

「天を向いたら 地にいる!」

 

「ぐっ!」

 

バッコーン!

 

リートが、フライパンで横に吹き飛ばされた。

 

「リート!」

 

「地を向いたら 天にいる!」

 

「ふぼっ!」

 

ナツが、降ってきた弟に押し潰される。

 

「これぞバニッシュブラザーズ合体技

『天地消滅殺法』」

 

「これをくらって生きていたものは...」

 

ガラガラガラ

 

「生きていたものは...なんだよ?」

 

「あっぶねぇー、ナイス リート!」

 

ナツもリートも平然としていた。

 

リートは自分の脇腹と、ナツの頭に、氷で膜を張って防御していた。

 

「氷竜の剛壁」

 

「バカな!」

「コイツら本当に魔導士か!?」

 

「お前らのコンビネーションはよくわかった」

 

「今度はこっちのコンビネーションを見せてやる」

 

ナツとリートは同時に飛び出す

 

「火竜の鉄拳!」

「氷竜の硬拳!」

 

炎と氷を纏った拳が、バニッシュブラザーズを襲う。

 

「ぐはぁっ!」

「ぐぅぅっ!」

 

バニッシュブラザーズの二人はなんとか耐えるも、ナツとリートは攻め続けていた。

 

「火竜の劍角!」

 

「兄ちゃん!」

 

「焦るな!落ち着いて見ればかわせないことは...なっ!?」

 

バニッシュブラザーズの足下に、半径2M程の円形の氷の床が出来上がっていた。

 

「氷竜の陣円」

 

足元をとられたバニッシュブラザーズに、ナツの攻撃が決まる。

 

「「ぐはぁ!」」

 

まとめて吹き飛ばされた兄弟は、壁に激突するが、なんとか立ち上がる。

 

「意外とタフだなあいつら」

 

「ならこれでぶっ飛べ!」

 

ナツは大きく空気を吸い込みブレスを吐く。

 

「火竜の咆哮!」

 

「!!来た!火の魔法!」

「終わった」

 

そう言うと兄の方は、フライパンをひるがえしナツの炎を吸収する

 

「対火の魔導士・・・兼 必殺技!」

 

火の玉料理(フレイムクッキング)!!!!」

 

「!?」

 

「私の平鍋は全ての炎を吸収し、噴き出す!」

 

ナツの炎がナツとリートに迫る。

 

「妖精の丸焼きだぁ!」

 

「炎の魔力が強いほど自分の身を滅ぼす」

 

しかし燃え上がる炎から、2つの人影が飛び出す。

 

ナツとリートだ、ナツは元々火が効かず、リートは一瞬で自分の周りの炎を凍らせた為無傷だった。

 

「何!!!?」

「火が効かねぇ!?」

 

「聞こえなかったか?」

「いや、聞こえてただろ?」

ナツが弟の顔をつかみ、リートが兄の顔をつかむ。

 

 

「「ぶっ飛べ!!」」

 

 

「火竜の翼撃!」

「氷竜の凍柱!」

 

ナツは炎で相手を凪ぎ払い、

 

リートは掌から氷を作り、それを柱のように壁まで伸ばして激突させる。

 

「よしっ!」

 

「やったな!」

 

ナツとリートはハイタッチをする。

 

「さーてルーシィを探しに行くか」

 

「そうだな、ハッピーとラリカに任せたとはいえ心配だ 」

 

 

・・・

 

『地下水道』

 

パラパラパラパラ

 

ルーシィは、風読みの眼鏡を使い、通常の何倍ものスピードで本を読んでいた。

 

「ふぅーっ ま、まさかこんな秘密があったなんて...この本は燃やせないわ」

 

「すぐにカービィさんに届けないと」

 

「ボヨヨヨヨ...まさか貴様も風読みの眼鏡を持ち歩いているとは、主もなかなかの読書家よのぅ」

 

ルーシィが立ち上がると、後ろの壁からエバルーの手が出てきてルーシィの腕を捕まえる。

 

「痛っ!」

 

「さぁ言え!何を見つけた!その本の秘密とは一体なんだ!」

 

「アンタなんかサイテーよ...文学の敵だわ...」

 

「文学の敵だと!?我輩のような偉~~~くて教養のある人間に対して...」

 

「変なメイド連れてる奴が教養ねぇ」

 

「我輩の金髪メイドを愚弄するでないわ!さぁ言えどんな秘密だ!言わんとこの腕をへし折るぞ!」

 

「ベェーー」

 

ルーシィは抵抗する

 

「調子に乗るな小娘がぁ!その本は我輩の物!すなわち秘密も我輩の物なのじゃぁ!」

 

ボキッ!

 

ルーシィの腕を折ろうとしたエバルーの腕に、ハッピーが蹴りを入れる。

 

「ハッピー!ナイス!かっこいい!」

 

くるくるくる...ドボン

 

そのままハッピーは下水の中へ、

 

「ルーシィ!大丈夫ですの!」

 

「ラリカ!」

 

「おのれ!なんなのだこの猫どもは!」

 

「バッビィべぶる」

 

「ハッピーです、といってますわよ」

 

「てか、あんた上がってきなさいよ」

 

「びぶ...びぼびいべぶる」(水きもちいいです)

 

「下水ですわよ?」

 

「形勢逆転ね、この本を渡すって言うなら見逃してあげてもいいわよ」

 

「ボヨヨヨヨ、たかが猫が2匹増えたぐらいで我輩の魔法!土潜(ダイバー)は破れんぞ!」

 

「それ、魔法でしたのね」

 

「この本に書いてあったわ。内容はエバルーが主人公の冒険小説。内容は酷いものだったの」

 

「吾輩が主人公なのは素晴らしいことだ。しかし内容はクソだ。ケム・ザレオンのくせにこんな駄作を書きおって。けしからんわ!!」

 

「あんた、無理やり書かせといて何でそんな偉そうなわけ!?」

 

「偉そう?吾輩は偉いのじゃ!書かぬという方が悪いに決まっておる!」

 

「あんたがケム・ザレオンを独房に入れてた間、彼はどんな想いでいたか分かる!?」

 

「そんなもの、吾輩の偉さに気づいたに決まっておる!」

 

「違う!自分のプライドとの戦いだった!書かなければ家族の身が危ない!でもあんたみたいな大馬鹿を主人公にした物語を書くなんて作家としての誇りが許さない!」 

 

「貴様、なぜそこまで詳しく知っておる」

 

「この本に全部書いてあるわ」

 

 エバルーは、自分の予想以上に事を深く知っているルーシィに対して、疑問を投げかける。

するとルーシィは、日の出(デイ・ブレイク)を前に突き出し言った。

 

「彼は最後の力を振り絞ってこの本に魔法をかけた」

 

「ケム・ザレオンが残したかったのはあんたへの言葉じゃない。本当の秘密は別にあるんだから!」

 

「なに!?」

 

「本当ですの?」

 

「ええい、なんとしてでも聞き出してやる!我輩の魔法が1つだけだと思うなよ!」

 

そう言うとエバルーも金の鍵を構えた。

 

「え!?」

 

「まさか、ルーシィと同じ魔法ですの?」

 

「開け!処女宮の扉・・・バルゴ!」

 

鍵から光が溢れると、エバルーの隣に現れたのはあのゴリラメイド、バルゴだった。 

 

「お呼びでしょうか?ご主人様」

 

「この方、星霊でしたのね」

 

「ボヨヨヨ!さぁバルゴ、こいつらを・・・ん?」

 

「「あっ!?」」

 

そこに居る者達は、バルゴの方を見て驚愕した。

 

なぜならバルゴの肩には

 

 

「ナツ!リート!」

 

「あっルーシィ見つけた」

 

ナツとリートが張り付いていた。

 

「な、なぜ貴様らが・・・?」

 

「あんた達、どうやって・・・?」

 

「このメイドが動き出したからしがみついてたんだよ」

「俺はナツに掴まれてほとんど巻き込まれて」

 

「あんた達まさか星霊界を通って来たの!?」

 

「なんだと!あり得ん!」

 

星霊界。星霊達が普段居る此処とは別の世界

 

ナツとリートはそこを通って来たのだ

 

「いや、あり得んって言われても、現にこうしてここにいるわけだし...」

 

ナツとリートは足場に降りる。

 

「とにかく!この本はあんたには渡さない!てゆーかあんたに持つ資格なし!」

 

「開け!巨蟹宮の扉!キャンサー!」

 

「蟹きたー!!」

「すげぇ!蟹だぁ!」

 

「なんでそんなにテンションが上がってんだよ...」

 

「ジュルッ」

 

「ラリカ!?」

 

キャンサーの登場により、ナツとハッピーはテンションが上がり、ラリカは口元からよだれが垂れている。

 

「はっ!私ったら、はしたない」

 

「絶対語尾に『~カニ』ってつけるよ!間違いないよね!オイラ知ってるよ!お約束って言うんだこういうの!」

 

「マジか!やっぱり語尾はカニなのか!」

 

「集中したいの、黙らないと肉球つねるわよ」

 

「おめぇも黙らねぇと永久冷凍すんぞ」

 

騒がしいハッピーとナツに、ルーシィとリートがツッコむ。

 

「...ルーシィ今日はどんな髪型にするエビ?」

 

「空気読んでくれる!?」

 

「「「「エビーーー!?」」」」

 

全員が語尾に驚愕する。

 

「戦闘よ!あの髭オヤジをやっつけて!」

 

「OKエビ」

 

「ルーシィ、オイラまさにストレートと思ったらフックを食らった感じだよ~、うん!もう帰らせていいよ」

 

「ハッピーちょっと黙ってろ」

 

「あのゴリラメイドは俺とナツで何とかする!ルーシィ達はエバルーを頼んだ!」

 

「わかった!」

 

「バルゴ!早く邪魔物を一掃しろ!」

 

「させるか!ナツ!合わせるぞ!」

 

「おう!」

 

「火竜の」「氷竜の」

「鉄拳!」「硬拳!」

 

ナツとリートはバルゴの真上まで飛び上がり、殴り付けて地面に叩きつけた。

 

その内にルーシィは持っていたムチで、エバルーを捕まえる。

 

「これでもう、地面に逃げられないでしょ!」

 

そのままルーシィはキャンサーに向かってエバルーを放り投げ、キャンサーもハサミを使い、エバルーの毛をカットする。

 

「ボギョォ!」

 

「お客様こんな感じでいかがでしょう」

 

つるつるになったエバルーを見て

 

「ある意味恐ろしい技だな...」

 

と、リートは呆然としていた。

カービィ邸に着いたルーシィは、本をカービィに渡す。

それを見たカービィは激昂した。

 

「な、これは一体どういうことです・・・!依頼は本の破棄、または焼却だったはずです!」

 

「そうですね。破棄するのは簡単です。カービィさんにもできます」

 

「な、なら私がこの本を処分します!こんな本、見たくもない!」

 

「どうしてカービィさんがその本の存在が許せないのか分かりました。父の誇りを守るため――あなたはケム・ザレオンの息子ですね」

 

「なるほど」

 

「マジか・・・」

 

リートは少しだけ納得した顔をして、ナツは唖然としていた。

 

ルーシィは話を続ける。

 

「この本を読んだことは?」

 

「いえ、父から聞いただけで、読んだことは・・・しかし読むまでもありません。父も言っていた駄作だ、と」

 

「つまんねぇから燃やすって!あんまりじゃねぇのか!父ちゃんが書いた本だろ!お!?」

 

「落ち着け、ナツ」

 

リートがナツを落ち着かせる。

 

「カービィさん、ケム・ザレオンはその本を消滅させることを本当に望んでいるのですか?」

 

「そのはずです!父はこの本を書いたことを恥じていた」

 

問いに答えたカービィは、父ケム・ザレオンとの回想を話し始める。

 

31年前のこと、エバルーからの脅迫によってデイ・ブレイクを書かされていたケム・ザレオンが3年振りに家に帰って来た。

 

家に帰るなり挨拶もなしにロープで腕を縛ると

 

「私はもう終わりだ。二度と本は書かん」

 

と言って利き手の右腕を斧で切り落としたそうだ。

 

そのまま病院に送られ、入院となったケム・ザレオンを若かりし頃のカービィは責め立てた。

 

その後すぐケム・ザレオンは自害した。

 

カービィはその後長らく、ケム・ザレオンを憎み続けていた。

 

「しかし、私の中の憎しみはいつしか後悔に変わりました・・・。私があんな事を言わなければ父は自殺しなかったんじゃないかと・・・」

 

言い終えるとカービィは懐からマッチ箱を取り出した。そして、マッチに火をつける。

 

「待って!」

 

「!?」

 

すると、マッチの火が凍りついた。

 

リートがマッチを凍らせていたのだ。

 

「すいません、でも、うちの仲間がその本に何か秘密があるって持ち帰って来たぐらいなんです。あと少しだけ待ってみてもらえませんか...」

 

すると、日の出(デイ・ブレイク)から眩しい光が溢れてきた。その光と共に本が開かれ、中から無数の文字が飛び出す。

 

「え!?」

 

「なんだ!?」

 

「文字が浮かんだ・・・!?」

 

ルーシィを除いた全員が、その光景を呆然と見る。

 

ルーシィが再び口を開いた。

 

「ケム・ザレオン・・・いえ、本名はゼクア・メロン 彼はこの本に魔法をかけたんです」

 

「ゼクア・メロン・・・そうか、ペンネームであるケム・ザレオンは本名のアナグラムでしたのね!」

 

ラリカが反応する。

 

「魔法・・・?」

 

カービィが呆然と呟く。

 

するとタイトルである『日の出(デイ・ブレイク)』の文字が浮かび、並び替えられる。

そして本当のタイトルとしてカービィの前に現れた。

 

DEAR(ディア)...KABY(カービィ)!?」

 

「彼のかけた魔法は、文字が入れ替わる文字魔法の一種。もちろん、タイトルだけでなく中身もです」

 

ルーシィがそう言うと、飛び出していた文字達が次々と並び替えられる。

 

並び替えられた文字で語られる文は、カービィに向けられた文だった。

 

「すげぇ...」

 

「あぁ...」

 

ナツとリートは感動する。

 

「彼が作家を辞めた理由・・・それは最低な本を書いてしまった他に最高の本を書いてしまったことかもしれません」

 

ルーシィは続けた。

 

日の出(デイ・ブレイク)』から溢れた文字は次々と本に戻っていく。

 

「それがケム・ザレオンが本当に残したかった本です」

 

「父さん・・・私は貴方を・・・理解できてなかったようだ」

 

カービィはポロポロと涙を流す。それはやっと父親に対して流すことができた涙だった。

 

「いいお父さんですね」

 

「はい、父は・・・最高の父親でした」

 

父を抱きしめるかのようにカービィは、『日の出(デイ・ブレイク)』改めて、『DEAR KABY(ディア カービィ)』を抱き締める。

 

カービィは涙を拭き、ルーシィ達に身体を向ける。

 

「皆さん、ありがとう。やはりこの本は燃やせませんね」

 

「そっか・・・じゃあ、俺達は帰るわ」

「だな!」

「あいさー!」

「ですわね!」

 

「えっ!?」

 

ナツはそう言うと、カービィに背を向け、出口に向かう。リートとハッピーとラリカもそれに続く。

 

カービィとルーシィは、戸惑うことしか出来なかった。

 

「ちょ、ちょっと待って下さい・・・報酬をーー」

 

「だって、依頼は『本の廃棄』ですよね?」

 

リートがそこまで言うとカービィは、はっ と気づいた。

 

「俺達廃棄してないしな!」

「そういうことです」

 

「し、しかし・・・」

 

「いいんだよ!目的を達成してないのに報酬なんて貰ったら、じっちゃんに怒られちまう」

 

ナツ達の慈愛に、またも涙が溢れそうになるカービィ

 

「ありがとう・・・ありがとう、妖精の尻尾」

 

「どういたしまして」

 

リート達は、カービィに手を振りながら屋敷を後にした。ルーシィも慌てて後を追いかける。

 

帰り道の途中、ルーシィが少し機嫌が悪かった。

 

「もう、どうすんのよ!200万が全部チャラになっちゃうなんて!」

 

「だって、嘘ついてもらうのは嫌だしなぁ」

 

「あい!」

 

「達成してないのに報酬を貰うのは詐欺師と変わらねぇよ」

 

「あら、リート 今なかなかいいこと言いましたわよ」

 

「うぅ・・・はぁ、分かったわよ」

 

ルーシィは降参と言わんばかりに両手を上にあげる。

 

「今頃、自分の本当の家で読んでるだろうな」

 

「え? 本当の家って?」

 

ナツの会話に疑問が生じたルーシィは聞く。

 

「あいつらの匂いと家の匂いが違ったんだ」

 

「な、なにそれー!?」

 

「んじゃあ大金持ちじゃなかったって事か」

 

「あの小説家、すげぇ魔道士だな」

 

「あい、30年間も魔法が消えてないなんて相当な魔力だよ」 

 

「昔は魔導士ギルドに所属していたんだって。そこで体験した冒険を小説にしてるの。はぁ、憧れちゃうな〜」

 

ルーシィはうっとりとした表情で、空を見上げる。

 

「ああ、やっぱりな」

 

「え?やっぱりって?」

 

「あのルーシィの部屋にあった紙の束、ルーシィが書いた小説じゃねぇか?」

 

「あら?そうでしたの?」

 

「えぇ!?」

 

図星だったのか顔が真っ赤になる。

 

「うぅ〜他の人には言わないでよ!」

 

「なんでだ?小説書くのは凄いことじゃねぇか、もっと胸を張っていいことだと思うけど」

 

「まだ、下手くそだし・・・読まれたら恥ずかしいでしょ!」

 

「誰も読まないよ~」

 

「それはそれでちょっぴり悲しい!!」




いくつかリートの新技を出したけど技名つけるのムツカシーィ!


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鉄の森(アイゼンヴァルト)編
呪歌(ララバイ)


きてしまった...あの容赦のない女剣士が...
それでは本編です。


妖精の尻尾(フェアリー テイル)ギルド内』

 

「うーん...魔法の腕輪探しに呪われた杖の魔法解除...占星術で恋占い希望!?火山の悪魔退治!?」

 

ルーシィは掲示板の前で唸っていた

 

「へぇー、依頼って色々あるんですねー」

 

「シャクシャク...気に入った仕事があればミラに言えばいいよ、今はマスターが定例会でいないからな」

 

フェアリーテイルの特製かき氷を食べながら、リートがルーシィにそう伝える

 

「定例会?」

 

「地方のマスター達が集まって定期報告をするのよ」

 

ミラがルーシィに定例会について話す

 

「へぇー、ギルド同士の繋がりがあるなんて知らなかった。」

 

「これをおろそかにしてるとな...」

 

「黒い奴らがくるぞぉぉぉ!」

 

「ひぃぃぃ!」

ナツがルーシィを後ろから驚かし、その状況をリート達は呆れた顔で見ていた。

 

「ひぃぃぃ!だってよ!うひゃひゃひゃ!」

 

「ビビりなルーシィ!略してビリィーだね!」

 

「あらあら、レディを驚かせるなんて紳士のすることじゃありませんわよ」

 

「もぉ!脅かさないで!そしてハッピーも変な略称つけるな!」

 

「なにしてんだか...」

 

「でもね、黒い奴らって実際にいるのよ」

 

「あぁ、闇ギルドっつってな、あいつら法律無視するからたまったもんじゃねぇんだ」

 

「へぇー、あんたもいつかスカウトされそうね」

 

ルーシィがナツを見ながら言うがらナツは気にも止めていなかった。

 

「つーか早く仕事選べよ」

 

「前はオイラ達が勝手に決めちゃったもんね」

 

「冗談!リートやラリカはともかく、あんた達とは解消に決まってるでしょ!」

 

「何で?」

「あい?」

 

「当たり前だろ...」

「当然ですわね、あ、ミラ お紅茶のおかわり頂けます?」

 

その状況にリートは呆れ、ラリカは紅茶を楽しんでいる

 

「だって、リートやラリカは知らなかったからまだよしとして、あんた達金髪なら誰でもよかったんでしょ?」

 

「何言ってんだ?その通りだ!」

 

「否定しろよそこは!」

 

「でも、ルーシィを選んだんだ!いい奴だから!」

 

「こういうところはストレートだなこいつ」

 

そこにパンツ一枚のグレイと、サングラスをかけたロキがやって来た。

 

「なーに無理に決めることはねぇさ、聞いたぜ大活躍だってなきっとイヤって程誘いが来る」

 

「ルーシィ、僕と一緒に愛のチームを作らないかい?今夜二人で」

 

「イヤっ」

 

「...イヤって程ってそういう意味じゃなくね?」

 

グレイとロキもリート達の会話に混ざり、話しを進める。

 

「南の狼二人にゴリラ女を倒したんだろ?すげーや実際」

 

「それ、リートとナツですわよ?」

 

「てめぇかこの野郎!!」

 

「文句あっかぁおお!?」

 

「リート!お前からも何か言ってやれ!」

 

「オレに振るなよ...」

 

ナツとグレイはケンカを始め、その間にロキはルーシィへのナンパを続けていた。

 

「君ってホントに綺麗だよね、サングラスじゃなかったら目が潰れちゃってたなハハハ」

 

「潰してさしあげますわよ?」

 

「ハハハ...冗談だよ...冗談...」

 

ロキは、容赦なく目潰しを実行しかねないとラリカに対して怯えてしまう。

 

「!?ルーシィ!君は星霊魔導士なのかい!?なんたる運命のイタズラ!すまない!僕たちはここまでのようだ!」

 

ロキは慌ててルーシィから離れ、ギルドの出入り口へと走って出ていった。

 

「何か始まってましたの?」

 

「何も始まってないわよ!」

 

「ロキは星霊魔導士が苦手なのよ」

 

「私は、女の子がらみだと思いますわ」

 

そんな事を言ってると、ロキがギルドの出入り口から、慌てて帰って来た。

 

「ナツ!グレイ!まずいぞ!」

 

「「あ?」」

 

「エルザが帰って来た!!」

 

 

 

「「はぁぁ!!?」」

 

 

 

ズシィン!ズシィン!

 

「なにこれ!?何の音!?」

 

「エルザの足音ですわよ?」

 

「そんな恐怖感を植え付けるような言い方しなくても...」

 

そして、ギルドに巨大なモンスターの角らしきものを持った赤髪のロングヘアーの、鎧を着た女性がギルドに入ってきた。

 

「今戻った、マスターはおられるか?」

 

「お帰り!!マスターは定例会よ」

 

「そうか...」

 

「エルザさん...その...バカデカイのは...なんですかい?」

 

「これか?討伐した魔物の角に地元の者が飾りを施してくれてな、綺麗だったので土産にしようと思ってな、迷惑だったか?」

 

(絶対迷惑だ...)

 

リートは、かき氷を食べながらそんな事を思うが、口に出してツッコむことはしなかった。

 

「それよりお前達、また問題ばかり起こしているようだな、マスターは許しても私は許さんぞ」

 

「な、なんなの?この人?...」

 

「あい、エルザです」

 

「とっても強いんですのよ」

 

ハッピーとラリカが、エルザについてルーシィに説明する。

 

「カナ、なんという格好で飲んでいる

ビジター躍りなら外でやれ

ワカバ、吸い殻が落ちているぞ

ナブ、相変わらず依頼板の前にいるだけか?仕事をしろ仕事を...

 

まったく世話が焼ける、今日のところはなにも言わずにおいてやろう」

 

「いや、結構言ったぞ?今」

 

エルザは自分にツッコミが入った事に気が付き、声がした方へと振り向く。

 

「ん?リートか」

 

「おう!お帰りエルザ、特製かき氷...食うか?」

 

「お紅茶もありますわよ」

 

「ああ、ラリカも、ただいま ありがたいがすまない、今はそれどころではないからな、また今度頂くとしよう」

 

「そうか」

「仕方ありませんわね」

 

「リートとラリカはエルザに対しても変わらないわね」

 

「リートはエルザと昔戦って勝った過去があるからね♪怯える事もないのよ」

 

ミラからそんな台詞を聞いて、ルーシィが驚愕した。

 

「えっ!?リートってあの強そうな人に勝ったの!?」

 

「ん?あぁ、って言っても昔の話しだしエルザも当然強くなってるからな今戦ったらどうなるかは分からねぇけど」

 

「いや、今でも私よりリートの方が強いと思うぞ、それよりリート、ナツとグレイはいるか?」

 

「?ん」

 

リートは、ナツとグレイが喧嘩していた方向を、スプーンで指す。

 

「や...やぁエルザ...俺達今日も仲良し...よく..やっ...やってるぜぃ...」

 

「あいっ」

 

ガタガタと震えながら、ナツとグレイは肩を組み冷や汗を垂らしながらエルザに話す。

 

「ナツがハッピーみたいになった!?」

 

「ブッくっくっくっ」

 

リートはナツ達と別方向を向き、肩を震わせて笑いを必死にこらえている。

 

「そうか、親友なら時には喧嘩することもあるだろう、しかし私はそうやって仲良くしているところを見るのが好きだぞ」

 

「いや...いつも言ってるけど...親友って訳じゃ...」

 

「あいっ」

 

「こんなナツみたことないわ!!!」

 

「ブッ!!」

 

リートは笑いを堪えるのが限界だったのか、その光景を見て噴き出してしまう。

 

「ナツもグレイもエルザが怖いのよ」

 

「えぇーっ!」

 

 

「ナツは昔エルザに喧嘩を挑んでボコボコに」

 

「あのナツがぁ!?」

 

「うん、そしてグレイは裸で歩いてるところを捕まってボコボコに」

 

「自業自得だろ...」

 

「ロキはエルザを口説いて半殺しに」

 

「ロキに至っては情状酌量の余地はありませんわ」

 

「フフッ」

 

ミラは笑って話していたが、ルーシィにとっては余程驚愕の事実だったのか表情にでていた。

 

「二人とも仲が良さそうでよかった、実はナツ、リート、グレイに頼みがある」

 

「?」

 

「仕事先で少々厄介な話しを耳にしてな、本来ならマスターの指示を仰ぐところだか早期解決が望ましいと私が判断した。三人とも力を貸してくれるな?」

 

 

「「「!?」」」

 

 

エルザの発言に、ギルド内がざわつきはじめる。

 

「シャクシャク...オレはいいよ、エルザには色々と恩もあるし何より面白そうだし」

 

「出発は明日だ、用意しておけ、詳しくは移動中に話す」

 

「いやっ!」

 

「行くなんて言ったかよ!?」

 

「...エルザとリートとナツとグレイ...今まで想像したことなかったけど...これってフェアリーテイル最強チームかも...」

 

「...んなバカな...」

 

・・・

 

「無理だ...こいつと一緒ってだけでもウゼェのに!エルザが一緒なんて!!」

 

「こんなチームあり得ねぇ!つーか行きたくねぇ!」

 

「じゃあやめるか?オレはいいけど、もし行かなかったらナツもグレイもエルザに何されるだろうな」

 

「脅すのかよ!!」

 

現在一番使える脅し文句を持っているのは、リートだった。

 

 

・・・

 

『魔導士ギルド、鉄の森(アイゼンヴァルド)

 

「...カゲヤマはまだ戻らねぇのか?」

 

鎌を持った一人の男、エリゴールが部下に聞く。

 

「アレの封印を解くのはかんたんじゃねぇ、仕方ねぇよ」

 

それに別の男が答えた。

 

「モタモタしてんじゃねぇよ、今が好機なんだぜ、ジジイ共が定例会をしている今が...」

 

 

・・・

 

「なんでエルザみてーなバケモンがオレらの力を借りてぇんだよ!」

 

「知るかよ!つーか助けならオレとリートで十分なんだよ」

 

「じゃあお前一人で行けよ!!オレは行きたくねぇ!!」

 

「じゃあ来るなよ!!後でエルザに殺されちまえ!!」

 

エルザが来ていない駅のホームで、ナツとグレイはずっと喧嘩を続けていた。

 

「「迷惑だから(やめなさい)(やめろ)!」」

 

「ってかなんでルーシィもいるんだ?」

 

「ミラさんに頼まれたのよ」

 

 

【確かにあの4人が組んだら素敵だと思うけど、仲がギクシャクしてるところが不安なのよね、特にナツとグレイが、

リートだけじゃ大変だと思うし...ルーシィついていってリートと仲を取り持ってあげてくれる?】

 

「だって」

 

ガシッ!

 

「え?なに!?」

 

リートがルーシィの肩を掴んで泣いていた

 

「ルーシィ~ミラ~ありがとう~俺1人じゃとてもとても」

 

リートは、涙を流しながらルーシィに礼を言う。

 

「う、うん とりあえずあんたが今まで苦労してたのは今分かったわ…」

 

「一緒にいきたかったんだ」

「ですわね」

 

ハッピーとラリカはルーシィが同行したかったと推察する一方で

 

「てめぇ、なんで布団なんか持ち歩いてんだよ」

 

「寝るために決まってんだろアホかお前」

 

「「…めんどくさっ…」」

 

 

・・・

 

「冗談じゃねぇ!なんでこんな面子と出掛けなきゃならねぇんだ、胃が痛くなってきた…」

 

「諦めろぉグレイ」

 

「つーかなんでルーシィがいるんだ?」

 

「お前一連の会話聞いてなかったの!?」

 

そして、ようやくエルザが大量の荷物を持って、リート達の下にやって来た。

 

「すまない、待たせたか?」

 

「荷物、多!!」

 

「そんなに持ってくもんあるかよ!」

 

「ん?君は昨日妖精の尻尾(フェアリー テイル)にいたな」

 

「新人のルーシィだよ、今回の依頼に同行してくれるんだとさ」

 

「ルーシィです、よろしくお願いします」

 

「私はエルザだ、よろしくな そうかギルドの連中が騒いでいたのは君のことか、傭兵ゴリラを倒したとか、なんとも頼もしいな」

 

「色々混ざってるし、多分それやったのオレとナツのことだぞ」

 

「今回は色々と危険な橋を渡るだろうが、その活躍ぶりなら平気そうだな」

 

「ねぇ、それ多分オレとナツだって言ってんじゃん、俺の話し無視?ねぇ」

 

エルザ達が話していると、ナツはグレイとの喧嘩をやめ、真剣な表情でエルザに話しかける。

 

「何の用事か知らねぇけど、今回は条件付きでついていってやる」

 

「条件?」

 

「あっ、このバカまさか」

 

「バ!バカ! エルザ!俺はエルザの為なら無償で働くぜ」

 

「そこまでいくともう奴隷だな」

 

「落ちるとこまで落ちましたわねグレイ」

 

「ナツ、言ってみろ」

 

ナツは真面目な顔をして、条件を言いはなった。

 

「帰ったら俺と勝負しろ、もうあの時とは違うんだ」

 

「やっぱりか...」

 

「!!」

 

「オ、オイ!はやまるな!死にてぇのか!!」

 

「確かにお前は成長した。私はいささか自信が無いがいいだろう勝負してやる」

 

「自信がねぇだと!?本気で来いよな!」

 

「わかっている、だがお前は強いと、そう言いたかっただけだ」

 

「グレイ、お前も勝負するか?」

 

グレイは首を全力で横にふり、勝負を断った。

 

「リートはどうだ?私は個人的にはリートとも久しぶりに手合わせしたいが」

 

「オレ?まぁいいけど帰ってからじゃなくてもいいよ、その内にな」

 

「フッ、リートらしいな」

 

「おしっ!!!燃えてきたぁ!!!」

 

ナツの顔が燃え上がり、やる気が出ていることが見てわかる。

 

 

シューーッ!ガタンガタン

 

 

「はぁ、はぁ」

「うっぷ...」

 

「情けねぇなお前らよぉ」

 

「毎度のことだけどつらそうね」

 

ナツとリートは、いつも通り、乗り物にダウンしていた。

 

「まったくしょうがない、ナツ、私のとなりに来い」

 

「あい」

 

ナツがフラフラと、エルザの隣に行くと

 

「グボォァ!」...

 

エルザが、ナツの腹を殴って気絶させた。

 

「…」

 

リートの顔がさらに青くなり、ナツはグレイに別の席に移される。

 

「次はリートだ、私のとなりに来い」

 

「いや、俺は大丈…「来い」…あい」

 

ドスのきいた声で呼ばれたリートに、逆らう術はもはやない。

 

「グハァァ!」...

 

リートは腹を殴られたナツと違い、首筋に手刀をくらわされたことにより気絶させられた。

 

「少しは楽になるだろう」

 

誰も何も言えず、ただ黙っていることしかできなかった。

 

「そ、そういえばあたし妖精の尻尾(フェアリー テイル)でナツとリート以外の魔法見たことないかも、エルザさんはどんな魔法を使うんですか?」

 

「エルザでいい」

 

「エルザの魔法はキレイだよ血がいっぱいでるんだ、相手の」

 

「それはキレイなの?...」

 

「たいした事はない、私はグレイやリートの魔法の方が綺麗だと思うぞ」

 

「そうか?」

 

そういってグレイは右手の拳を左掌に添えて魔力を込める。すると氷で出来たフェアリーテイルのマークが造形された。

 

「わぁっ!」

 

「氷の魔法さ」

 

「氷ってアンタ似合わないわね」

 

「ほっとけっての」

 

グレイが、少しだけふてくされる。

 

「ん?でも、氷ってことはリートの魔法と何が違うの?」

 

ルーシィの素朴な疑問に、エルザが答えた。

 

「私も聞いたことがあるが、リート曰く(いわく)魔力で作り出すものそのものが違うらしい」

 

「魔力で作り出すもの?」

 

「あぁ、グレイは魔力で氷そのものを作るが、リートの場合は何でも凍らせられるほどの冷気を出しているとのことだそうだ」

 

「それって、何が違うの?」

 

そこに、リートの魔法をよく知るラリカが、会話に混ざる。

 

「グレイのように氷そのものを作ると、氷を作り出すスピードは早くなりますし繊細な魔力操作も形を作る為以外は、あまり必要ありませんわ

しかしリートのような場合ですと、グレイより氷の創造が難しいうえに繊細な魔力コントロールが必要となりますの

その代わり、グレイよりも強力で割れにくい氷を作り出すことが出来るんですのよ

まぁリートの場合は氷を作る事になれてますので、グレイとの創造スピードはあまり変わりませんわ」

 

「へぇー、じゃあリートはいつも何から氷を作っているの?」

 

「そいつは普段、大気中に混ざった水分を一気にかき集めて氷を作っているらしいぞ、凍らせられる物がない場合は自分に氷を纏わせることしかできないらしいがな」

 

「へぇー」

 

ルーシィは、エルザの膝の上でいまだに気を失っているリートの方を見やる。

 

「火と氷でナツとグレイは仲が悪いのにリートはナツと仲いいのね」

 

「そうなのか?」

 

「ど、どうでもいいだろ?そんな事よりもそろそろ本題に入ろうぜエルザお前ほどのやつが俺達に力を借りたいなんて、一体何事なんだ」

 

グレイが話題を変え、今回の本題をエルザから聞こうとする。

 

「そうだな、話しておこう」

 

「先の仕事の帰りだ、オニバスで魔導士が集まる酒場へよったときに少々気になる連中がいてな」

 

 

・・・

 

『オニバス酒場』

 

【コラァ酒遅せぇんだよさっさと持ってこいよぉ!ったくモタモタしやがって!!】

 

エルザの席の近くで血の気の荒い連中が、機嫌悪そうに酒を飲んでいた。

 

【ビアード、そうカッカすんなよ】

 

【これがイラつかずにいられるかってんだ!!せっかく『呪歌(ララバイ)』の隠し場所を見つけたのにあの封印だ!んだよアレはよぉ!!!まったく解けやしねぇ!!!】

 

エルザは、耳をすませながら連中の会話を聞き続ける。

 

【バカ!声がでけぇよ】

 

【くそぉ!】

 

【あの魔法の封印は人数がいれば解けるってもんじゃないよ、後は僕がやるから皆はギルドに戻っているといいよ】

 

 

・・・

 

 

時は戻り『列車の中』

 

「ララバイ?」

 

「子守唄...強力な魔法か何かかしら?」

 

「わからない、しかし封印という話しを聞くとかなり強力な魔法と思われる...」

 

「話が見えてこねぇな...得たいの知れねぇ魔法の封印を解こうとしている...だがそれだけだ、何かの依頼って事も考えられる」

 

「そうだ、私も初めはそう思って気にかけていなかった...エリゴールと言う名を思い出すまではな」

 

「エリゴール...魔導士ギルドの鉄の森(アイゼンヴァルド)にいたエース、《死神》エリゴールですわね、暗殺系の依頼ばかりを行い続けた魔導士」

 

「死神!?」

 

「あぁ、本来暗殺依頼は評議会の以降で禁止されているが、奴は金を選んだ...結果6年前にギルド連盟を追放...現在は闇ギルドのカテゴリーに分類されている」

 

「闇ギルドぉ!?」

 

ルーシィは身の危険を感じたのか、冷や汗が止まらなかった。

 

「ルーシィ汁出てるよ」

 

「ハッピー、汗ですわよ」

 

列車を降りたエルザ達は、駅のホームを歩きだした。

 

「なるほどねぇ」

 

「ちょっと待って!追放って、処罰はされなかったの!?」

 

「されたさ当時アイゼンヴァルドのマスターは逮捕されギルドは解散命令を出された」

 

「けれど闇ギルドというのはそんな命令を無視して活動を続ける方達が多いんですのよ」

 

ますます、ルーシィにとっては同行したくなくなる話に、どんどんと弱気になっていく。

 

「…帰ろっかな」

 

「でた」

 

ルーシィは、一気にやる気をなくした。

 

「不覚だった、あの時エリゴールの名前に気がついていれば...全員血祭りにあげてやったものを…」

 

過去の事を思いだし、エルザが殺気立つ。

 

「だな、その場にいた連中だけならエルザ一人で何とかなったかもしれねぇが、ギルド一つまるごと相手になるとな」

 

グレイの言葉に、エルザは頷いた。

 

「奴らはララバイという魔法を手にいれ何かをたくらんでいる、私はこの事を看過することはできないと判断した」

 

鉄の森(アイゼンヴァルド)に乗り込むぞ」

 

「面白そうだな」

 

「来なきゃよかった...」

 

「ルーシィ、汁...」

 

「汗よ!」

 

「まったくこのお二人は血の気の多い事...」

 

駅から出たエルザ達は、街中を歩いているとラリカはある事に気がつく。

 

「あら?そういえばナツとリートはどこですの?」

 

 

 

 

「「「「あっ!...」」」」

 

 

 

 

・・・

 

『列車内』

 

「ふぅーっふぅーっ」

 

「ぐぉぉぉっ...」

 

ナツとリートはダウンしている、そこに一人の男が話しかける

 

「お兄さん達、ここ空いてる?」

 

二人は乗り物酔いが激しく、返事ができない。

 

「あらら辛そうだね、そのマークは妖精の尻尾(フェアリー テイル)...正規ギルドかぁ羨ましいなぁ」

 

男は返事をしてこない二人に関係なく、一人で勝手に話を続けていた。

 

 

・・・

 

 

「なんということだ!話に夢中でナツとリートを置いてきてしまった!私の過失だ!とりあえず私を殴ってくれ!!」

 

「...相変わらず変な性格してますわね、エルザったら」

 

「そういう訳だ!列車を止めてくれ!仲間のためだ!」

 

「どういう訳でしょうか?…」

 

エルザは身勝手な理由で、駅員を困らせる。

 

妖精の尻尾(フェアリー テイル)でまともな人ってリート以外にいないの?」

 

「おい!オレはまともだろ!?」

 

「その台詞は、レディの前で服を脱いでいる方がいう台詞ではありませんわよ、神経抜きして冷凍マグロのごとく市場に出荷いたしますわよ?」

 

「やめてくれ!」

 

「仲間のためだと言っているだろう!なぜ分かってくれない!」

 

「なんで分かってくれると思ったのよ」

 

「無茶苦茶言わんでください!降りそこねたお客様2人の為に列車を止められるわけないでしょう!」

 

 

 

ガシャン

 

 

 

 

「「ガシャン?」」

 

 

音がした方へと振り向くと、ラリカが緊急停止用のレバーをおろしていた。

 

「これでよろしいんですの?」

 

「よくやった!ラリカ!」

 

「なにしてんのぉぉぉ!?」




とりあえずここまでです。文章力と漢字とイメージ力をもっと上げねば...
誤字報告や感想、おまちしておりますガラスハートの主の為傷つきやすいため暴言などはご遠慮願いますけど...


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双竜VS影

はい!という訳で前回はアンケート初挑戦とリートの魔力について説明しました...グレイと同じやり方だと滅竜魔導士って言うより造形魔導士じゃね?とか書いてて思った為ちょっと設定を凝らせてみました。
では、本編どうぞ



「ナツとリートを追うぞ!すまないがこの荷物をホテルまで頼む」

 

「いや、誰?アンタ」

 

エルザは近くにいたカップルに荷物を押し付ける

「もうめちゃくちゃ...」

 

「だな」

 

「グレイ...服は?」

 

 

・・・

 

列車の中ではナツとリートの二人がいまだに黒髪を後ろで束ねた男、カゲヤマに話しかけられている

 

「フェアリーテイルって言えばさぁ、ミラジェーン有名だよねぇたまに雑誌に載ってるし綺麗だよねぇ」

 

「あとさぁ名前知らないけど新しく入った女の子が可愛いんだって知ってる?」

 

「正規ギルドはかわいい子も多いのかぁ少し分けてよ♪なーんて、なっ!!」

 

ゴスッ!

 

リートとナツは頭を座席におさえつけられる

 

「シカトは嫌だなぁ、闇ギルド差別だよ?」

 

「「あぁ!?」」

 

「なに...すんだ...てめぇ」

「喧嘩...なら...かうぞ...」

 

「なに?よく聞こえないよ。フェアリーテイルってずいぶん目立ってるそうじゃないか正規ギルドだからってハバきかせててムカツクんだよね」

 

「うちらが妖精の尻尾(フェアリー テイル)のこと何て呼んでるか知ってる?ハエだよハエ」

 

「てめっ」

 

「上等だっ」

 

ガタン!

 

「「うっぷ...」」

 

「ヒャハハ!なんだよてめぇらその魔法!弱そうだな!」

 

「魔法ってのは、こう使うんだよ!」

 

カゲヤマの足元から黒い影が伸び二人を殴る

 

「うごっ」

 

「がぁっ」

 

「くっそっ...」

 

「ふぅーっふぅーっ...」

 

列車の揺れで二人は実力を出しきれなかった

 

しかし列車はいきなり止まりナツ達は復活する

 

「なんだよ!急停車か!?」

「やっと」

 

「止まった」

 

「あ?」

 

リートの足元に三つ目のドクロ頭をした棒のような物が転がってくる

 

「見たな!?」

 

「うるせぇぞ」

 

「さっきはよくもやってくれたな」

 

 

「「お返しだぁ!」」

 

 

ナツとリートはカゲヤマを殴り飛ばした

 

 

「「ハエ(パンチ)(殴り)」」

 

「てめぇらぁ...」

 

《先程の急停車は誤認によるものと判明いたしました。間もなく発車します》

 

「やべっ...」

 

「マズイ...」

 

「ナツ、逃げるぞ!」

 

「ああ!」

 

ナツとリートは鞄を持ち出す

 

「逃がすかぁ!!!てめぇらぁ!!鉄の森(アイゼンヴァルド)に手ぇ出したんだ!ただですむと思うなよ!!!」

 

「上等だ!!いつでもかかってこい!」

 

「こっちもてめぇの顔覚えたぞ!!さんざん妖精の尻尾(フェアリー テイル)をバカにしやがって」

 

「次は外で勝負してやる」

 

「やべっ動き出した!」

 

リートは慌ててナツの服を掴んで列車の窓から放り投げ自分も飛び出した

 

「あぁぁぁぁ!!!」

 

「わりぃナツ!着地は自分で何とかしろ!!」

 

「鬼か!」

 

そこに魔導四輪車に乗ったエルザ達がやって来た

 

「何でお前ら窓から飛び出してくるんだよ!」

 

 

「「うごっ」」

 

ナツは魔導四輪の上にいたグレイとぶつかりリートはその少し上を通過して着地する

 

ズザザァーッ!

 

「ナツ!リート!無事だったか!!!」

 

「痛てぇー!何しやがるナツてめぇ!」

 

「今のショックで記憶無くした、誰だオメェ、くせぇ」

 

「んな訳あるか!」

 

ナツ達の元に全員やって来た

 

「ナツ~リート~ごめんねぇ」

 

「ハッピー!エルザ!ルーシィ!ラリカ!ひでぇぞ!俺らを置いていくなよ!」

 

「まったくだぞ!」

 

「おい、ずいぶんと都合のいい記憶喪失だな」

 

「すまない」

「ごめん」

「申し訳ありませんわ」

 

「無事でなによりだ、よかった」

 

ゴン!

 

「「硬!」」

 

二人はエルザに抱き寄せられるも鎧を着ているため頭をぶつけた

 

「無事なもんか!」

 

「そうだぞ!列車で変な奴に絡まれたんだからな!」

 

「なんつったっけ?」

 

「確か...アイゼンヴァルドとか言ってたような...」

 

 

 

「バカモノォ!!」

 

 

 

エルザがナツとリートを殴り飛ばす

 

「「ごぁっ!」」

 

鉄の森(アイゼンヴァルド)は私たちの追っているものだ」

 

「んなこと初めて聞いたぞ」

 

「なぜ私の話を聞いていない!!」

 

「お前が俺達を気絶させたからだろ!?」

 

エルザは魔導四輪に乗り込んだ

 

「先程の列車をすぐに追うぞ!どんな特徴をしていた?」

 

「特徴っつってもあんまり無かったぞ、なんか三つ目のドクロっぽい笛を持ってた」

 

「なんだそりゃ、趣味悪ぃ奴だな」

 

「三つ目...ドクロ...」

 

「どうしましたの?ルーシィ」

 

「ううん...まさかね.....あんなの作り話よ....でも、もしその笛が呪歌だとしたら...ララバイ...眠り...死...」

 

「その笛がララバイだ!!!呪歌(ララバイ)...死の魔法!」

 

「何!?」

「呪歌?」

 

「あたしも本でしか読んだことないけど、禁止されてる魔法の一つに呪殺ってあるでしょ?」

 

「確か...対象者を呪い死を与えるって言われている黒魔法」

 

呪歌(ララバイ)はもっと恐ろしいの」

 

 

・・・

 

『クヌギ駅』

 

「客も運転手も全部降ろせぇこの列車は鉄の森(アイゼンヴァルド)が頂く」

 

ワァァァ!!

 

駅中の人達が逃げ出す

 

「この列車で戻ると聞いて待ちわびたぞ、カゲヤマ」

 

「何とか封印は解きましたよ、これです」

 

カゲヤマが鎌を持つ男エリゴールにララバイを渡す

 

「ホゥ、これがララバイか」

 

〈ウォォォ!〉

 

「流石カゲちゃん!」

 

「これで計画は完璧になった訳だな」

 

「この笛は元々呪殺のための道具に過ぎなかった、しかし偉大なる黒魔導士ぜレフによりさらなる魔笛に変化した」

 

「まったく恐ろしい物を作ったものだ、この笛を聴いた者すべてを呪殺する集団呪殺魔法...呪歌(ララバイ)

 

「始めよう...作戦開始だ」

 

 

・・・

 

エルザは魔導四輪を全力でとばす

 

「集団呪殺魔法だと!?そんなものがエリゴールの手に渡ったら...おのれ!奴らの目的はなんだ!」

 

クヌギ駅の周辺まで来たところで駅が騒がしいことに気付く

 

「あいつら!列車を乗っ取ったの!?」

 

 

・・・

 

 

「ハエだぁ?」

 

「さっきまで列車に乗ってましてね、まったくふざけた奴らっすよ」

 

エリゴールはカゲヤマの耳を切り裂いた

 

「いぎぃぃぃ!!」

 

「オイ、まさか感づかれてねぇだろうな」

 

「ハエなんかに感ずかれたところでこの計画は止められねぇでしょう!!!」

 

「当たり前だ、ハエ共が、飛び回っちゃいけねぇ森もあるんだぜ」

 

 

・・・

 

ギャリリリリ!

 

エルザは全速力で魔導四輪を走らせる

 

「エルザ飛ばしすぎだぞ!SEプラグが膨張してんじゃねぇか」

 

「あの笛が吹かれれば大勢の人が死ぬ、音色を聴いただけでも死人がでるんだぞ」

 

「わかってるけど、奴らの目的もわからねぇ上に一戦交える可能性もある!いざって時にお前の魔力が無くなったら話しになんねぇぞ」

 

「構わん、いよいよとなれば棒切れでも持って戦うし、お前達がいるからな」

 

 

「なんかルーシィに言うことあった気がするけど、忘れた」

 

「忘れたって、気になるじゃないの」

 

車内でハッピーとルーシィが会話をしてラリカがナツとリートを介抱していた

 

「気持ちワル...」

「いっそ降ろして...」

 

「まったく、しっかりしてくださいまし!」

 

「うーんルーシィ...変...魚...美味しい...ルーシィ...変...」

 

「変って 」

 

 

・・・

『オシバナ駅』

 

「ただいま列車の事故により入る事ができません内部の安全が確認できるまで封鎖させていただきます」

 

「行くぞ!」

 

「でも、封鎖って」

 

「エルザにはそんなの関係ないんだよ」

 

「ですわね」

 

 

「「うっぷ」」

 

「人酔いしてんじゃねぇよ」

 

エルザは駅員に話しかける

 

「駅内の様子は?」

 

「な、なんだね君うごぉ!」

 

エルザは質問した駅員に頭突きをすると別の駅員にも同じ事を繰り返していく

 

「即答できる人しかいらないって事ね...」

 

「だんだん分かってきたろ?...」

 

ルーシィはナツをグレイはリートを背負いながらエルザの行動を見守って...いる?

 

「ってかコレ(ナツを背負う役)ってあたしの役!?」

 

「しゃーねぇだろ、俺だってリートを背負ってんだから、諦めろ」

 

「軍の小隊が入り込んでまだ戻って来ていないらしい、おそらく戦闘があったと思う、中へ行くぞ!」

 

エルザ達は駅内に入り込む

 

そこには軍の小隊と思われる人が数人倒れていた

 

「全滅ですわね」

 

「相手は一つのギルド、すなわち魔導士、軍の小隊ではやはり相手にならんか」

 

エルザ達はホームへと走る

 

「!!!」

 

「やはり来たな、フェアリーテイル」

 

そこには大量の魔導士が待ち構えていた

 

「貴様がエリゴールだな」

 

「あれ?あの鎧の姉ちゃん」

 

「なるほど、気づかれたのお前のせいじゃん」

 

 

 

「ナツ!リート!起きて!仕事よ!!」

 

「無理だよ!列車→魔導四輪→ルーシィもしくはグレイの3コンボだ!」

 

「「(あたし)(俺は)乗り物かよ!」」

 

 

 

「ハエがぁ!お前らのせいで!」

 

 

「ん?」

「この声...」

 

「貴様らの目的は何だ?返答次第ではただでは済まんぞ」

 

「遊びてぇんだよ仕事もねぇし暇なんでよぉ」

 

エリゴールが浮かび上がった

 

「浮いた!?」

 

「風の魔法だっ!」

 

「さて、問題だ...駅には何がある?」

 

「駅...スピーカーか...」

 

「リート!」

「復活した!」

 

「スピーカーだと!?まさか!!!呪歌(ララバイ)を放送するつもりか!!!!」

 

「正解、やるじゃねぇかw」

 

「この駅周辺には何百何千もの人間が集まっている、いや...音量をあげたら町中にメロディが響くかもな」

 

「大量の無差別殺人だと!」

 

「これは粛清だ権利を奪われた者の存在を知らずに権利を掲げて生活してる者共へのな」

 

「この不公平な世の中を知らずに生きるのは罪だよって死神が粛清を与える」

 

「死と言う名の罰をな」

 

「残念だったな!ハエ共!闇の時代を見ることなく死んじまうとは!」

 

カゲヤマがルーシィ達に影を伸ばして攻撃しようとする

 

「やっぱりお前かぁ!!!」

 

ナツとリートは手に纏った炎と氷で影を切った

 

「双竜復活!」

 

「今度は地上戦だな」

 

「たっぷり仕返ししてやるよ」

 

《かかったな妖精の尻尾(フェアリー テイル)、多少の修正はあったがこれで当初の予定通り、笛の音を聞かさねぇといけねぇ奴がいる...必ず殺さねぇといけねぇ奴がな》




アンケート投票有難うございます。今のところリートVSエルザかルーシィをリートの家に招待の二つが半々で別れております。鉄の森編はまだ終わってないのでまだまだアンケートの投票おまちしております。


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エルザとリートのタッグ

あまり物語の内容をいじりたくないためにほとんど原作と同じで書いてますけど...あれ?大丈夫これ?ちゃんと面白い?もう原作見たからって読まれなくならないよね?...心配になってきた。
では、本編です


『駅のホーム』

 

ナツ達と鉄の森(アイゼンヴァルド)のメンバーは、お互いに対峙していた。

 

「くるなら来なさいよ!こっちはフェアリーテイルの最強チームよ!覚悟しなさい!」

 

「まーだそんな事を言ってんのかよ...」

 

ルーシィはナツ達より後ろに下がり、強気に叫んでいた。

 

「後は任せたぞ、俺は笛を吹きに行く。身の程知らずなハエどもに鉄の森(アイゼンヴァルド)の闇の力を思い知らせてやれ」

 

そういうとエリゴールは、ホームの窓を割り去っていく。

 

「逃げるのか!エリゴール!!」

 

「くそっ向こうのブロックかよ!」

 

「ナツ!グレイ!お前らはエリゴールを追え!奴が呪歌(ララバイ)をこの駅で使う気ならなんとしても止める必要がある!ここは俺とエルザで何とかする!」

 

リートがナツとグレイに指示をだした。

 

「何を言っている!リートもナツ達の方へ...」

 

「無理すんなよエルザ、いつものお前ならともかく魔導四輪で魔力があまり残ってないお前じゃ倒すことはできても、ルーシィ達を守りながら戦うのはキツイハズだろ?俺ら3人の内1人はここに残った方が確実だ」

 

エルザは少しだけ考えてから答えた。

 

「...わかった...ナツ!グレイ!エリゴールを追え!二人で力を合わせれば必ず勝てる!」

 

「「むむっ...」」

 

 

 

「「聞いているのか!!!」」

 

 

 

「「も...もちろん!」」

 

ナツとグレイは、エリゴールを走って追いかけていった。

 

「最強チーム解散...」

 

「二人逃げたぞ」

 

「エリゴールさんを追う気か」

 

「任せな」

 

鉄の森(アイゼンヴァルド)のメンバー、レイユールが指先からテープのようなものを伸ばして後を追う。

 

「こっちも!青髪も許せねぇがあのサクラ頭も許さねぇ!先にあいつを仕留めて、その次はてめぇだ青髪!!」

 

「てめぇじゃ無理だ、ナツには勝てねぇよ」

 

「っち!」

 

カゲヤマも影に潜って、ナツ達を追いかけて行った。

 

「あらあらレイユールもカゲも好戦的だのぅあんなの放っておいてお姉ちゃん達と遊んだ方が楽しいだろうに」

 

「作戦の為だよお前よりずぅっと偉い」

 

 

「こいつらを片付けたら私たちもすぐに後を追うぞ」

 

「あぁ」

 

エルザとリートは戦闘体制に入った。

 

「女2人とガキ1人猫2匹で何ができるってんだ」

 

「ガキはともかく女は殺すには惜しいぜ」

 

「ガキは拷問して女共は取っ捕まえて売ってやろう」

 

「待て待て、妖精の脱衣ショー見てからだ」

 

「下劣な」「まったく品のないゴミですこと」

 

「ラリカ、お前も口悪くなってんぞ...」

 

「かわいすぎるのも困り者よね」

「ルーシィー帰ってきてー」

 

エルザの手に、一本の剣が現れた。

 

「これ以上妖精の尻尾(フェアリー テイル)を侮辱してみろ貴様らの明日は約束できんぞ」

 

「悪いけどこっちも時間がねぇんだ、一瞬で片付けるぞ」

 

「剣が出てきた!!魔法剣!?」

 

「珍しくもねぇ!こっちにも魔法剣士はゾロゾロといるぜ!その鎧ひん剥いてやる!」

 

エルザは地面を蹴り敵陣に突っ込んで行くと、剣を一降りしただけで3人4人と敵が斬られ凪ぎ払われていく。

 

「相変わらずすげぇなエルザの奴」

 

「くそがっ!遠距離魔法でもくらえっ」

 

そういって敵が魔法を放つが、リートがそれを許さなかった。

 

 

「氷竜の咆哮!!!」

 

 

「ぐぁぁ!」

 

リートの咆哮を受けた敵達は、体の至るところを氷付けにされ吹き飛ばされた。

 

「リート!助かった!」

 

エルザはその間にも剣から槍へ、槍から双剣へと、換装しながら戦う。

 

そしてリートも、氷を纏いながら敵を倒していく。

 

「この女何て速さで換装するんだ!」

 

「こっちのガキもただもんじゃねぇぞ!」

 

「換装?」

 

「魔法剣はルーシィの星霊と似てて、別空間にストックしてる武器を呼び出す原理なんだ」

 

「その武器を持ち変える事を、換装と言いますのよ」

 

「へぇー凄いなぁ」

 

「あら、エルザの凄いところはここからですわよ」

 

「え?」

 

 

 

「エルザ?」

 

 

 

「っち、まだこんなにいるのかよ」

 

「面倒だ、一掃する」

 

エルザの鎧が剥がれて、別の鎧に変化していく。

 

「うひょぉぉ!なんか鎧が剥がれていくぞ」

 

「!!!」

 

「魔法剣士は通常武器を換装しながら戦う、だけどエルザは自分の能力を高める魔法の鎧にも換装しながら戦うんだ」

 

「それがエルザの魔法『騎士』(ザ・ナイト)ですわ」

 

エルザは4つの羽が生えた鎧に換装し、後ろに円形に剣を浮かばせる。

 

「舞え!剣たち!」

 

 

 

「サークルソード!!!」

 

 

 

「ぐわぁぁ!」

「ぐっはぁ!」

 

「アブねぇ!って俺も巻き込むなよ!!!」

 

リートにも攻撃が当たりそうになり、とっさにしゃがみ込んで剣をかわす。

 

「こんのヤロォ!俺様が相手じゃぁ!」

 

「間違いない!こいつらはフェアリーテイルの最強の女と双竜の片割れ!」

 

妖精女王(ティターニア)のエルザと氷竜(セルシウス)のリートだ!」

 

エルザは殴りかかってきたビアードを切り裂き、そのままリートの方に飛ばし、リートは裏拳でビアードを壁に激突させる。

 

「すごぉーい二人とも!ちょっとホレそう」

 

エルザとリートの活躍により、鉄の森(アイゼンヴァルド)のメンバーが一掃されるが、1人だけ取り逃がしてしまう。

 

「エリゴールのところに向かうかもしれんリート、ルーシィ追うんだ」

 

「おう」

「えーっ!あたしが!?」

 

「頼む!!」

 

ドスの聴いた声で、ルーシィをエルザが睨む。

 

「はいぃぃ!」

 

「...」

 

リートは少しだけエルザを見るが、そのままルーシィ、ハッピー、ラリカと共に逃げた1人を追うことになった。

 

「ふぅ《やはりリートの言った通り魔導四輪を飛ばしすぎたのが堪えたな、ナツ...グレイ...リート...ルーシィ後は頼んだぞ...ハッピーとラリカも》」

 

 

 

・・・

 

 

 

「二人で力を合わせればだぁ?リートならともかくコイツとなんて冗談じゃねぇ」

 

「リート以外で火と水じゃ一つにはなんねーしな!無理!」

 

ナツとグレイは、喧嘩しながらエリゴールを追いかけていた。

 

「だいたい!エルザもリートも勝手すぎるんだよ何でもかんでも決めつけやがって」

 

「「エリゴールなんか俺1人で十分だってーの」」

 

「「マネすんな!」」

 

走り続けていると、道が二手に分かれていた。

 

「どっちだ?」

 

「二手に分かれりゃいいだろーが」

 

「いいかナツ相手は危ねぇ魔法をぶっ放そうとしてるバカ野郎だ、見つけたら叩き潰せ」

 

「それだけじゃねぇだろ?妖精の尻尾(フェアリー テイル)に喧嘩を売ってきた大バカ野郎だ見つけたら黒コゲにしてやる」

 

 

 

 

「...死ぬんじゃねぇぞ...」

 

 

 

「なんか言ったか?」

 

「なんでもねぇーよ」

 

グレイとナツは二手に分かれ、エリゴールを探すことにした。

 

 

グレイ視点...

 

 

「チィ、呪殺の音色なんて流されたらたまったもんじゃねぇぞ!...流す?」

 

「そうか!呪歌(ララバイ)を流すつもりならエリゴールは拡声装置のある部屋にいるはず!」

 

グレイは放送室の扉を、蹴破り入っていく。

 

「なぜいねぇ、放送するならここしかねぇハズだ」

 

すると上からテープのようなものがグレイを襲うが、グレイはそれをかわす。

 

「お前、感がよすぎるよ。この計画にはジャマだ」

 

「やっぱり裏があるってことか、仕事もしねぇで何やってんだか...」




書いててたまに敵キャラの名前を忘れている...レイユールとかいつまでも覚えてられるかぁ!!
ってな訳でアンケート期間をもう少し伸ばしたいのでここまでです


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エリゴールに追い付け

この物語を書いてる上で色々とリートの技の案が浮かんできたのでメモアプリでメモっていると気づけば物凄いことに...そのうち出せたら...いや、意地でもだします
ってな訳でリート頑張って技を連発してくれ!
心のなかでリートが「鬼かてめぇ!」って叫んでる...
あと、レイユールの武器を《テープのようなもの》から《ロープ》に変えます...だってテープのようなものっていちいち打つのめんどくさいし...


『地方ギルドマスター連盟定例会会場』

 

「マカロフちゃん!アンタのところの魔導士ちゃんは元気があっていいわぁ!聞いたわよぉ、どっかの権力者コテンパンにしちゃったとかぁ」

 

青い天馬(ブルーペガサス)のマスター、ボブ(♂)がマカロフに話しかける。

 

「おおっ!新入りのルーシィじゃ!あいつはいいぞぉ!特に乳がいい!!」

 

「でも、やっぱりあたしはリートちゃんがいいわぁ。可愛いんだものぉ、ねぇマカロフちゃん、リートちゃんをウチにくれなぁい?」

 

「駄目じゃ駄目じゃ!誰であろうと儂のかわいいガキ共は1人もやらんぞぉ!うひゃひゃひゃ!!」

 

そこに四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)のマスター、ゴールドマインが話しかけてきた。

 

「しかしマカロフ、おめぇのところは元気があるのはいいが、ちぃとやり過ぎなんじゃないかい?

 

評議員の中には、いつかフェアリーテイルが街を一つ潰すんじゃねぇかって懸念してる奴もいるらしいぞ」

 

「潰されてみたいのぉ、ルーシィのおっぱいでぇ!」

 

「もう、駄目よ。自分のとこの魔導士ちゃんに手を出したら」

 

そこにマカロフ宛に、一通の手紙が届いた。

 

「マカロフ様、ミラジェーン様からお手紙が届いております」

 

「ん?」

 

《マスター定例会ご苦労様です♪》

 

手紙を開くと、ミラの立体映像が小さく浮かび上がる。

 

「どうじゃ!こやつがウチの看板娘じゃ!めんこいじゃろぉ?」

 

《実はマスターが留守の間にとても素敵な事がありました♪》

 

「ほぅ」

 

《エルザとリートと、ナツとグレイがチームを組んだんです、あとハッピーとルーシィとラリカも》

 

 

「!!!」

 

《ね?素敵でしょ?私が思うにコレって妖精の尻尾(フェアリー テイル)の最強チームだと思うんです。一応報告しておこうと思ってお手紙しました♪それでは》

 

手紙が消えると同時に、マカロフは倒れてしまう。

 

(な、なんてことじゃあっ!!!本当に町一つ潰しかねん!!!定例会は今日終わるし明日には帰れるが、それまで何事も起こらんでくれぇ!!頼む!!!!)

 

 

 

・・・

 

 

『オシバナ駅』

 

ざわざわ

 

駅の周辺は、野次馬でいっぱいになっていた。

 

そこに、駅の中からエルザが出てきて、駅員から拡声器を奪い駅の周辺の野次馬に伝えた。

 

 

「命が惜しい者は今すぐこの場を離れろ!駅は邪悪なる魔導士共に占拠されている!そしてその魔導士はここにいる全ての人間を殺せるだけの魔法を放とうとしている!できるだけ遠くに避難するんだ!」

 

 

駅は一斉に混乱状態になった。

 

「君!何でそんなパニックになるようなことを!」

 

「大勢死なれるよりはマシだろう、それに今言ったことは全て事実だ勿論私たちは全力でそれを阻止するつもりだが万が一もあり得る。君達も避難した方がいい」

 

(呪歌(ララバイ)、その音色を聴いたものを死に至らす禁断の魔法、エリゴールはそれを使い大量殺人をもくろんでいる。しかし、これだけ人がいなければ呪歌(ララバイ)を使う意味があるまい...さて、奴はどう動く?)

 

「!?これは!」

 

 

・・・

 

 

『放送室』

 

「計画の邪魔をする奴は全て殺す」

 

「計画もクソもねぇだろ、呪歌(ララバイ)を放送するならこの場所からしか出来ねぇ、その呪歌(ララバイ)を持ったエリゴールがいないんじゃ何のために駅を占拠したかわかんねぇぞ」

 

バッ!

 

レイユールが、ロープで放送室内を凪ぎ払う。

 

「おっと!」

 

(放送機器を躊躇なく壊しやがった、やはりララバイを放送する気がねぇぞコイツら)

 

レイユールのロープがまっすぐにグレイに迫るが、グレイは氷の壁で攻撃を防ぐ

 

「氷?へぇ、ならてめぇがフェアリーテイルの氷竜(セルシウス)か?」

 

「そいつは俺じゃねぇよ、てめぇらの目的は何だ?」

 

「...そろそろエリゴールさんの魔風壁が発動する頃だな」

 

「魔風壁?」

 

「てめぇらをここから出さねぇ為の風のバリアさ」

 

「なに!?」

 

 

・・・

 

 

「こんなことが...駅が風に囲まれている!?」

 

魔風壁に気がついたエルザの元に、エリゴールが現れた。

 

「ん?なんでハエが一匹外に...そうか、野次馬どもを逃がしたのはてめぇか女王様よぉ!」

 

「エリゴール!貴様がこれを!?」

 

「てめぇとは一度戦ってみたかったが、残念だ。今は時間がねぇもんでな、中でじっとしてな」

 

「ぐっ!」

 

エリゴールの風にエルザは吹き飛ばされ、駅の中まで押し戻されてしまった。

 

「ちぃ、エリゴール!...あうっ」

 

エルザは外に出ようとするも、魔風壁に弾かれてしまう。

 

「やめておけ、この魔風壁は外からの一方通行、中から出ようとすれば切り刻まれる」

 

「これは一体なんのまねだ!」

 

「鳥籠ならぬハエ籠ってところか、ちとデケェがな」

 

「てめぇらのせいで時間を無駄にしちまった。俺はこれで失礼させてもらうよ」

 

エリゴールはどこかへと飛びさっていく。

 

「一体どうなっている...この駅が標的じゃないというのか!?」

 

 

・・・

 

 

バゴォ!

 

グレイがレイユールを蹴り飛ばし、壁に穴を開けた。

 

「ややこしい話しは嫌ぇなんだ何がどうなってやがる!!」

 

「計画に想定外のハエが飛んできた、だから閉じ込めただけの話だ、この駅を占拠した本来の目的はこの先のクローバー駅との交通を遮断するためだ」

 

「くそっ!呪歌(ララバイ)はそっちか!」

 

「あの街に何があるかよく考えてみな!」

 

レイユールはロープを伸ばし、グレイの肩や腰を切りつける。

 

「クローバー、あの町は...じーさん共が定例会をしている!!本当の狙いはギルドマスターか!?」

 

「なにも知らねぇジジイ相手に笛を聴かせるなんて造作もねぇ!もう誰も止められねぇ今まで虐げてきた報復を受けるのだ!全てきえてなくなるぞぉ!」

 

「!!!?」

 

グレイはレイユールの顔を掴み、凍らせた。

 

「止めてやるよ、俺達の親に手ぇ出そうって言うんだ、闇ギルドよりも恐ろしいギルドがあることを教えてやる」

 

 

・・・

 

 

『駅内ホーム』

 

「知らねぇよ魔風壁の解除なんて俺たちができるわけねぇだろ」

 

「...」

 

エルザは鉄の森(アイゼンヴァルド)の1人に、魔風壁の解除をさせようとしていたが、解ける人間が見つからずに焦っていた。

 

「エルザーー!」

 

「グレイか!?ナツはどうした!」

 

「はぐれた!ってかそれどころじゃねぇ」

 

「あぁ、今計画をコイツらから聞いた。しかし今この駅には魔風壁が...そうか!」

 

「?」

 

「コイツらの中にカゲと言われていた奴がいた!呪歌(ララバイ)の封印を解いた奴なら魔風壁を解けるかもしれん!」

 

「なるほど!解除魔導士(ディスペラー)か!」

 

「探すぞ!カゲを捕らえるんだ!」

 

エルザとグレイはカゲを取り抑える為に、走り去っていった。

 

「...いるんだろ?カラッカ」

 

壁から、エルザ達との戦闘から離脱した男が現れる。

 

「すまねぇ」

 

「聞いてただろ?カゲが狙われている」

 

「お、俺は助太刀なんてできねぇぞ!」

 

「もっと簡単な事だ」

 

 

・・・

 

ルーシィとリート、ハッピーとラリカは、いまだに逃げた1人を探していた

 

「...完全に見失ったな」

「あい」

 

「ねぇ、いったんエルザのところに戻らない?」

 

「「!?」」

 

ハッピーとラリカは、驚いた顔でルーシィを見る。

 

「な、何よ?」

 

「エルザは追えって言いましたのよ?」

 

「すごいなぁ...ルーシィは...エルザの頼みを無視するのかぁ、あのエルザをねぇ...オイラあんなことされるルーシィはみたくないよ」

 

「あたしなにされちゃう訳!?」

 

「大丈夫、事情を話せば分かってくれるって、何もされねぇよ」

 

リートがルーシィの肩を叩いてなだめる。

 

「あら、でもあのエルザですわよ?もしかしたらってこともあるかもしれませんわ」

 

「...」

 

「否定してよ!」

 

 

・・・

 

「エリゴーール!!どこに隠れてんだ!コラァァァ!」

 

ナツは一つ一つ壁を蹴破りながら、エリゴールを探していた。

 

その近くで、影に隠れたカゲヤマが、ナツを見張っていた。

 

(あいつは扉ってもんを知らねぇのか...しかしエリゴールさんはもうここにはいねぇよ、しかしこのまま放っておくのも)

 

「僕の気がおさまらないんでね!」

 

「うごぉ!」

 

影から出てきたカゲヤマが、ナツの頭に蹴りを入れる。

 

「またおまえかぁ!」

 

「君の魔法はだいたい分かった。体に炎を付加することで破壊力を上げる珍しい魔法だね」

 

「ぬぉぉぉ!メチャクチャ殴りてぇけどそれどころじゃねぇ!エリゴールはどこだ!」

 

「さぁてどこかな?僕に勝ったら教えてあげるよ」

 

カゲヤマが影を伸ばすが、ナツはそれを軽々とかわす。

 

「おっ!殴った後に教えてくれんのか?一石二鳥じゃねぇか、燃えてきたぞ」

 

「ちぃ、すばしっこい」

 

「しかし!八つ影(オロチシャドウ)はかわせまい!逃げてもどこまでも追いかけていくぞ!」

 

影が八つの蛇の形に変わり、ナツめがけて襲いかかる。

 

「おらぁ!」

 

ボン!ボン!

 

炎を纏ったナツの拳が、影を殴り一つ一つ消していく。

 

「バカな!?全部けしやがった!」

 

「だりゃあっ!!」

 

ナツの拳が、カゲヤマの顔に決まった。

 

(なんだこの拳...魔導士の拳じゃねぇ)

 

バッ!ガシッ!

 

ナツはそのままカゲヤマを捕まえ、壁に放り投げ咆哮を放つ。

 

(バ...化け物め!)

 

 

 

ドゴォォォン!!!

 

 

 

「何!?」

 

「こりゃあ、ナツだなとりあえず行ってみるか」

 

 

 

「近いぞ!向こうだ!」

 

「こりゃあナツに間違いねぇな」

 

 

ルーシィとリート、エルザとグレイは、それぞれ違う場所から、爆発音が聞こえた方へと向かって走り出す。

 

「かっかっか!俺の勝ちだな!約束通りエリゴールの場所を言えよ」

 

「バカめエリゴールさんはもうこの駅にはいねぇよ」

 

「は?」

 

「ナツー!それ以上はいい!ソイツが必要なんだ!」

 

「!?なんだ?なんだ?」

 

グレイとエルザが、ナツの元にたどり着いた。

 

「でかした!くそ炎!」

 

エルザはそのままカゲヤマを壁に押しあて、剣を突きつける。

 

「四の五の言わずに魔風壁を解いてもらおう、貴様がNOと言う度に傷が一つ増えることになる」

 

「うっ...わ...わかっ...ぐはっ!」

 

カゲヤマが急に倒れ、その背中には短剣が刺さっていた。

 

「カゲ!!」

 

 

...《簡単な仕事だよ、カゲを殺せ》

 

カゲヤマの後ろの壁からは、逃げたはずの敵が震えて立っていた。カゲヤマを突き刺した張本人だ。

 

「くそっ!唯一の突破口が!ちくしょぉぉぉ!」

 

「カゲ!しっかりしろ!」

 

「仲間じゃ...ねぇのかよ...」

 

 

「ヒッ...ヒィィィ!」

 

カゲヤマを突き刺した男は、壁の中に逃げようとする。

 

 

 

「同じギルドの...仲間じゃねぇのかよ!!!」

 

 

 

ナツが壁を殴ると、男も一緒に吹き飛ばされて出てきた。

 

「カゲ!しっかりしないか!」

 

「駄目だエルザ!もう意識がねぇ」

 

「死なすわけにはいかん!やってもらう!」

 

「こんな状態じゃ!魔法は使えねぇぞ!」

 

「やってもらわねばならないんだ!」

 

「コレがお前らのギルドなのか!!!」

 

 

 

「お...お邪魔だったかしら?...」

 

「よくわかんねぇが、とりあえず話しを聞こう」

 

リートがナツ達の元に走り寄る

 

 

・・・

 

 

「ギルドマスターのいるクローバーの街...近いな...老いぼれどもめ待っていやがれ、死の粛清を与えてやる!」

 

 

・・・

 

 

「エリゴールの狙いは定例会なの!?」

 

「あぁ、けどこの風を何とかしねぇと駅の外には出られねぇ」

 

「...くそ野郎が...誰の親に手ぇだそうとしてんのか、はっきり教えてやる」

 

リートは、自分がキレそうになっているのを必死に抑える。

 

「こんなもん突き破ってやる!」

 

ナツは障壁に攻撃をするが、すぐに弾き返されてしまう。

 

「グレイやリートの魔法でこの風を凍らせる事は出来ないの?!」

 

「出来たらとっくにやってる」

 

「俺もだ、こんなもんに冷気なんか混ぜたら、切れる上に凍らせちまう今より強い障壁になっちまうし、氷を作ろうにもこの風じゃ大気中の水分をかき集められねぇ...」

 

「そんな...」

 

「くそっ!どうすれば...」

 

エルザ達が困惑する中、ナツは閃いたという顔をしてルーシィにつめよる。

 

「そうだ!星霊!」

 

「え?」

 

「エバルーの屋敷で星霊を使って移動できただろ!あれを使って」

 

「そうか!その手が!」

 

「いや、普通は星霊界に入ると死んじゃうし、人間が星霊界に行くのは重大な契約違反になっちゃうのよ。あのときはエバルーの鍵だったからよかったけど」

 

「ややこしいな、いいから早くやれよ」

 

「できないって言ってるでしょ!」

 

「エバルーの...鍵...あーーっ!」

 

「うおっ!?なんだよハッピー、いきなり大声出して」

 

「ルーシィ!オイラ思い出したよ!」

 

「何が?」

 

「ホラ!来るときに言ってたでしょ!」

 

「あー、あのアタシが変とかどうとか言ってた」

 

ハッピーが風呂敷から、あるものを取り出した。

 

「これ」

 

「それは!」

 

「バルゴの鍵!?」

 

「ダメじゃない勝手に持ってきたら」

 

「違うよ、バルゴ本人がルーシィへって」

 

「えっ?」

 

 

「なんの話だ?」

 

「そんな話しは後にしろよ!」

 

「バルゴ...あのゴリラメイドか!」

 

「あいつかよ...」

 

「ゴリラメイドですの?」

 

「エバルーが逮捕されたから契約が解除されたんだって、それで今度はルーシィと契約したいって」

 

ルーシィは少しだけ困った顔をする。

 

「あれが...きたのね...」

 

「嬉しい申し出だけど今は脱出法方を考えないと」

 

「でも」

 

「うるさい!!猫は黙ってニャーニャー鳴いてなさい」

 

ルーシィがハッピーの頬をつねる。

 

「怖ぇぞルーシィ」

 

「あら?あれじゃあまだ易しい方ですわよ?」

 

「こっちにもっと怖ぇ奴がいた...」

 

「でも、バルゴは地面に潜れるし、地中を使って出られるかなって思ったんだ」

 

「なに!?」

「本当か!」

 

「そういえば...確かにエバルーの屋敷でどこからともなく潜ったり出てきたりしてたな」

 

「やるじゃないハッピー♪もぉ!どうしてもっと早く言わないのよぉ♪」

 

「ルーシィがつねったから」

 

ルーシィは早速バルゴを呼び出す。

 

「開け!処女宮の扉!バルゴ!」

 

鍵から現れた星霊はメイドゴリラ...ではなく、ピンクの髪をした細身の少女だった。

 

「お呼びでしょうか?ご主人様」

 

「え!?」

 

「...いや、誰だよ...」

 

「痩せたな!」

 

「別人じゃね!?」

 

「メイドですけどゴリラじゃありませんわね」

 

「あのときはご迷惑をおかけしました」

 

「あんた、その格好...」

 

「私はご主人様の忠実なる星霊、ご主人様の望む姿にて仕事をさせていただきます」

 

「最初っからこれならあまり抵抗なかったんだけどなぁ...」

 

「前の方が強そうだったぞ?」

 

「では、以前の姿に...」

 

「余計なこと言わんでいい!」

 

リートがナツの頭を殴り、バルゴの変身をとめる。

 

「へぇー可愛らしいじゃねぇの」

 

「ルーシィ...やはり流石だ」

 

「時間がないの!契約は後回しでいい?!」

 

「かしこまりましたご主人様」

 

「ってかご主人様はやめてよ!」

 

バルゴはルーシィの持っているムチを見て

 

「...では女王様と」

 

「却下!」

 

「では、姫と」

 

 

「そんなとこかしらね」

 

「いいのか、それで...」

 

「つーか急げよ!」

 

「では!いきます!」

 

バルゴは地中に潜り、人が入れるだけの穴を掘る。

 

「いいぞ!ルーシィ!」

 

「硬っ!」

 

エルザはルーシィを抱き寄せて、自分の鎧にぶつける。

 

「おしっ!あの穴を通っていくぞ!ってなにしてんだナツ?」

 

ナツはカゲヤマを背負って、穴に向かう。

 

「コイツに俺と戦った後に死なれちゃ後味悪いからな」

 

「フッ いくぞ!」

 

「うぉぉぉ!出られたぁ!」

 

「急げ!」

 

「姫!下着が見えそうです!」

 

バルゴはルーシィのスカートを抑えるが、自分のスカートはめくれあがる。

 

「自分の抑えれば?...」

 

「無理だ...今から追いかけても...エリゴールさんに追い付けるはずがねぇ...」

 

「!?ナツとハッピーはどうした?」

 

「リートとラリカもいねぇぞ」

 

 

・・・

 

 

「あの街だ」

 

エリゴールは空を飛びクローバーの街に向かっていたが

 

 

 

「「うぉぉぉ!」」

 

 

 

「これが」

 

「ハッピーと」

「ラリカの」

 

 

「「MaXスピードだ!」」

 

 

「ぐぅおお!」

 

ナツとリートが追い付き、二人同時に蹴りを入れる。

 

「オイラもう、魔力切れ」

 

「私もですわ」

 

「ありがとな」

 

「おかげでエリゴールに、追い付けた」

 

ナツはハッピーを、リートはラリカをキャッチする。

 

「キ、貴様ら...なぜこんなところに...」

 

「てめぇを倒すためだよ」

 

「そよ風野郎が」




次でエリゴール戦に持ち込みます、いやぁ何気に長いわこの話し、今後も長編シリーズはこうやって少しづつ投稿していきますのでよろしくお願いします。


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合体技(ユニゾンレイド)

そろそろ、リートを単独で戦わせようかなって思ってましたけど、まだだ、まだ早いってか、アンケート見た感じでもオリジナルの話しとかで初単独戦でよくね?って思ったので今回も2対1です


ガタガタガタガタ

 

「これ!あたし達が使っていた魔導四輪じゃないわよね」

 

鉄の森(アイゼンヴァルド)の周到さには頭が下がる、ご丁寧に壊していきやがった」

 

「弁償かぁ」

 

エルザ達は、始めに乗っていたのとは違う魔導四輪にてエリゴールを追いかけていた。

 

「けっ!それで他の車盗んでいたら世話ないよね」

 

「借りただけよ!エルザが言うには」

 

 

 

「…なぜ僕をつれていく?」

 

 

 

カゲヤマはバツが悪そうに訪ねた。

 

「しょうがないじゃない、町にはお医者さんが居なかったんだから、クローバーの町に連れてってあげるのよ」

 

「そうじゃない!何で僕を助けたのかって聞いてるんだ!敵だぞ!」

 

「死にてぇなら殺してやろうか?」

 

グレイが、魔導四輪から外を眺めながらそう答える。

 

「生き死にだけが決着の全てじゃねぇだろ…もう少し 前を向いて生きろよ、お前ら全員さ」

 

 

ガタン!

 

 

「キャ!」

 

ムギュウ

 

魔導四輪が大きく揺れ、それにバランスを崩したルーシィのお尻がカゲヤマの顔を押し付ける。

 

「エルザ!!」

 

「はぁ、はぁ…すまない、大丈夫だ」

 

(目がかすむ…流石に魔力を消耗しすぎたか…)

 

「デケェケツしてんじゃねぇよ」

 

「セクハラよ!!!グレイ!コイツ殺して!!」

 

「オレの名言チャラにするんじゃねぇ」

 

(ナツ、リート…エリゴールを止めていてくれ、奴を止められなければこの辺りのマスターは全滅する…)

 

 

・・・

 

 

「こい、物騒な笛ごと燃やしてやる」

 

「もう逃がさねぇ今度こそ氷付けにして飾ってやるよ」

 

ナツとリートは臨戦態勢に入った。

 

「リート!ここは俺にやらせろよ!」

 

「そういうなよ、今回ばかりはコイツにはオレもぶん殴らねぇと気が収まらねぇんだ、今度ミラに頼んで炎の料理一品一回だけタダで食べられるように頼んでやるからよ」

 

ナツは1人で戦おうとするが、リートも譲れない気持ちでいたのかナツと軽い口論になる。

 

(魔風壁は…カゲヤマ共はどうしたんだ…あと少しでジジイ共のいる場所に着くというのに…)

 

(本当に邪魔なハエ共だぜ!)

 

「「!?」」

 

エリゴールは、魔力を込めた突風を二人にぶつけた。

 

「消えろ」

 

「痛って」

「くそっ」

 

ナツとリートの体を、風の刃が切り刻んでいく。

 

「やばっ!」

 

「ナツ!」

 

バランスを崩したナツが、橋から落ちてしまった。

 

「ナツ!性質を変えろ!」

 

「!?んがぁぁぁ!」

 

リートの合図で炎の性質を変えたナツが、橋を炎で掴みそのまま橋の上まで戻ってきた。

 

「ふぅ、危ねー」

 

「最近油断しすぎだぞおまえ」

 

エリゴールは、性質を変えた炎に理解できずに困惑する。

 

「な…何だ今のは」

 

「お前に説明する道理はない」

 

「裸じゃ寒みぃだろ?暖めてやるよ」

 

ナツが足元を爆発させ、エリゴールの懐に突っ込み腹を殴り付ける。

 

(速い!)

 

「火竜の鉤爪!」

 

ナツは足に纏った炎で蹴りを放つが、それをエリゴールはかわし攻撃を仕掛けようとする。

 

「調子にのってんじゃねぇぞハエがぁぁ!」

 

「オレもいるのを忘れてんじゃねぇよ」

 

「!?」

 

「氷竜の凍剣!」

 

手刀の形をしたリートの手が氷で纏われ、鋭利な刃物となりエリゴールの背中を切りつける。

 

「ぐはぁ!」

 

エリゴールは、リートの一撃を受けすぐに上空に飛び上がる。

 

「うざってぇ!」

 

 

暴風波(ストームブリンガー)!!」

 

 

巨大な竜巻がリートとナツを襲うが、

 

「何!?」

 

ドーム状になった氷の塊が、ナツとリートを守っていた。

 

「氷竜の健円…からの」

 

ドームが割れると同時に、ナツとリートは空気を吸い込む。

 

「火竜の」「氷竜の」

 

 

 

「「咆哮!!!」」

 

 

 

二人のブレスがエリゴールに迫るが、エリゴールはアッサリとそれをかわす。

 

「くそっ!」

 

「フラフラ飛びやがって!ずりぃぞ!降りてこい!」

 

「いや、降りてこいって言われて素直に従うやつじゃねぇだろ…」

 

エリゴールは、空中で一度体制を立て直す。

 

「貴様らの力少々侮っていたようだ…ここからは全力でいこう…お互いにな」

 

エリゴールはそう言って真剣な表情になると、ナツとリートも臨戦態勢に入る。

 

「燃えてきたぞ」

「凍らせてやる」

 

 

暴風衣(ストームメイル)

 

 

エリゴールが、小さな竜巻を纏いだした。

 

「おお!」

「何だ?」

 

「いくぞ」

 

エリゴールが蹴りを入るため、上空から二人に向かってくるが、二人はそれを余裕でかわす。

 

「火竜の…鉄拳!」

 

ブバァッ!

 

ナツの纏っていた炎が、エリゴールに当たる直前に書き消された。

 

「あれ?」

 

 

「ナツの炎をかき消した!?」

 

「くそっ!」

 

バスッ!シュウゥゥ

 

もう一度、ナツは拳に炎を纏って殴りかかるが、やはりエリゴールに当たる前に炎を欠き消されてしまう。

 

「やはり炎を纏ってなければこの程度か、話しにならんな」

 

「だったら氷ならどうだ?」

 

「氷竜の硬拳!」

 

ガシッ!

 

「なっ!?」

 

氷を纏ったリートのパンチを、エリゴールはアッサリと受け止める。

 

「無駄だ、例え炎じゃなくても暴風衣(ストームメイル)は常に外に向かって風が流れている。

わかるか?人は向かい風には逆らえねぇんだ、物理攻撃の威力すらも殺すオレのストームメイルは誰にも破れねぇ」

 

 

エリゴールは、さらに纏っている風を強めた。

 

「すげぇ風だ!」

 

「これじゃあ台風だぞ!」

 

「これでは流石に近づけまい」

 

「死ねぇぇ!」

 

エリゴールは二人に向けて鎌鼬(かまいたち)を繰り出す。

 

「ちっ!」

「おっと!」

 

「はぁぁ!」

 

エリゴールの攻撃をかわす二人だが、攻撃ができなくかわし続けるしかなかった。

 

「ぬらあぁぁ!」

 

「無理だ!ナツ!」

 

ナツは爆発を利用し、エリゴールに突っ込もうとするがエリゴールの放つ風が強すぎて、簡単に吹き飛ばされる。

 

「くそっ!炎どころかオレが近づけねぇ!」

 

「だから言っただろ!」

 

そして先程まで気を失っていたハッピーとラリカが、強風で目を覚ます。

 

「くらえ!全てを切り刻む風翔魔法!翠緑迅(エメラ・バラム)

 

翠緑迅(エメラ・バラム)だって!?」

 

「そんなのをくらったらバラバラになりますわよ!」

 

「死ね!ハエ共!」

 

エリゴールが翠緑迅(エメラ・バラム)を発すると、戦っていた橋が切り刻まれボロボロになっていく。

 

「ナツー!」

「リートー!」

 

翠緑迅が消えて、橋の上では煙が充満していた。

 

「若ぇ魔導士にしてはなかなかだったぞ、安心しろ…すぐにジジイ共もそっちに送ってやる…呪歌(ララバイ)の音色でな」

 

「何が…呪歌(ララバイ)だ…」

 

「ふざけんじゃねぇぞ…」

 

煙が晴れ、ナツとリートはボロボロになりながらも何とか立っていた。

 

「!?」

 

「ナツ!」

「リート!」

 

翠緑迅(エメラ・バラム)を食らう直前、リートは本来より薄いが、氷の壁を張り威力を弱めナツとその身を守っていた。

 

「じっちゃんの首が欲しいなら正々堂々と戦え!」

 

「戦う覚悟のねぇやつが人の命をもてあそんでんじゃねぇよ!」

 

「なんてしぶてぇガキ共だ!」

 

ナツはエリゴールに突っ込むが、やはり吹き飛ばされてしまう。

 

(どうする?このままやってもラチがあかねぇ…)

 

「ちくしょぉぉぉ!」

 

ナツは感情が高ぶり、さらに火力を上げる。

 

「何で近づけねぇんだ!納得いかねぇ!」

 

(何だ?エリゴールの風が妙な方向へ流れている...)

 

「それにしても不気味な魔法だな感情がそのまま魔法に現れてるようだ...」

 

風の流れがおかしいことに気付いたリート、ハッピーもそれに気付いたようで、リートに声をかける。

 

「リート!」

 

「!?ハッピー!やっぱりか!?」

 

「うん!」

 

「なんの話をしてますの!?」

 

その間も、ナツは怒りで火力を増していく。

 

「…感情の魔法…確か古代の魔法にそんなのが…しかしこんな若造に使えるわけが」

 

すると。、エリゴールの風の鎧がゆっくりと消えていく。

 

「ハッピー!ナツをイラつかせられるか?」

 

「あい!ナツー!!!」

 

「!」

 

 

「無理…ナツじゃ勝てないよリートに任せよ」

 

 

「んだとコラァァァ!!!」

 

ハッピーの言葉にキレたナツの火力が、最高長に上った。

 

「でかしたハッピー!」

 

「オレの風が!流されて!」

 

(下で暖められた空気は上昇気流となる、つまり風は気温の低い方、上へと流れる!)

 

「これでもうお前を守る風はなくなった」

 

「これ程の魔法!まさか!いたのか滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)が!」

 

「ナツ!」

 

「リート!」

 

「右手の炎と左手の炎を合わせて…」

 

「右手と左手の冷気を合わせて…」

 

「これでも食ってろ!」

 

「凍てつけ!」

 

 

合体技(ユニゾンレイド)

 

 

 

氷火煌炎乱(ひょうかこうえんらん)!!

 

 

 

ナツの技(火竜の煌炎)と、同じ要領で相手を凍らせる技(氷竜の凍乱)によりエリゴールは倒された。

 

「おっしゃ!」

 

「やりましたわ!」

 

「どうだ!ハッピー!!」

 

「あい!流石双竜です」

 

「お前さっき何て言った」

 

「猫の記憶力はショボいので」

 

「自分で言っててむなしくならねぇか?それ」

 

「全くですわ」

 

「オレじゃコイツに勝てねぇから『エルザ』がどうとか言ってただろ!」

 

「猫よりひでぇじゃねぇかコイツは」

 

「ある意味ここまでくると凄さを感じますわね」

 

ナツの台詞に、その場の全員があきれていた。

 

「でも、ナツは勝ったよ」

 

「リート込みですけどね」

 

「余計なこと言うなよラリカ」

 

「つーか何で最後攻撃が当たったんだろ?」

 

「ナツがすごいからです」

 

「そうか?かっかっか!」

 

ナツは、機嫌がよさそうに笑っていた。

 

「…単純…」

 

「ですわね…」




はい!とりあえず鉄の森編あと1話で終わります
アンケートもあと少しですので答えてくれた人も答えてくれなかった人も楽しみにしててください(前半のコメントで察しがいい人は分かると思いますけど...)
始めてだすリートの技でしかもいきなりユニゾンレイドとかおかしいだろ!って言われるかもですが...迫力が欲しかったという主のワガママとイメージ力の足りなさが原因ですので優しく見守って下さいまし


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最強チーム

アンケートありがとうございました今回でアンケートは終了となります。
次はオリジナルの物語ですが、あくまでもオリジナルなのでそこまで長くないと思ってほしいですね...主の脳がオーバーヒートします...


「ナツーー!!リートーー!!」

 

「お!」

 

「遅かったな、もう終わったぞ」

 

「あい」

 

「ですわ」

 

エルザ達が、ナツとリートと合流し、エルザは魔導四輪からふらつきながら降りてくる。

 

「エルザ、大丈夫?」

 

「あぁ...気にするな」

 

「ってかその魔導四輪オレたちが乗ってきたのと違くねぇか?」

 

「借りたんだ」

 

「まさかまた一般人を脅し「借りたんだ」...」

 

エルザは、あくまでも借りたと言い張った。

 

「まさか!エリゴールさんが負けたのか!」

 

カゲヤマは、エリゴールが倒れてることに気付き驚きの表情を見せる。

 

「さすがだな」

 

「こんなの相手に苦戦しやがって妖精の尻尾(フェアリー テイル)の格が下がるぜ」

 

「苦戦?どこがだよ!圧勝だぜ!」

 

「それこそどこがだよ、オレ達ボロボロだぞ...」

 

ナツは余裕と言い張るが、実際はやはりボロボロになっていた為、リートがそれを否定していた。

 

「お前裸にマフラーって変態みてーだぞ、リートもコートがボロボロになってるし」

 

「お前に言われたらおしまいだ」

 

「うん、それはオレも同感...それにコートは、またミラに頼んで直してもらわねぇと...」

 

「リート!?」

 

ナツとグレイは、また喧嘩を始めようとしていた。

 

「ルーシィ服かしてくれ」

 

「何であたしなのよ!」

 

「せめてオレから借りろよ」

 

「何はともあれ見事だお前達。これでマスター達は守られた」

 

エルザ達がひと安心していると…

 

 

ブロロロロロ!

 

 

カゲヤマが魔導四輪を動かし、呪歌(ララバイ)を拾って逃げ出した。

 

「油断したなハエ共!呪歌(ララバイ)はここだぁ!ざまぁみろ!」

 

「あんのやろぉ!」

 

「なんなのよ!助けて上げたのに!」

 

「追うぞ!」

 

エルザ達は急いで、カゲヤマの後を追いかけた。

 

・・・

 

 

『クローバーの街の定例会場』

 

「はぁ...はぁ...(よし、定例会はまだ終わってない)」

 

魔導四輪を運転していたカゲヤマは、既に定例会の会場近くまでやって来ていた。

 

しかし

 

 

ぽん

 

ビクゥ!

 

カゲヤマの肩に誰かが手を置き、それに振りかえると妖精の尻尾(フェアリー テイル)のマスター・マカロフが笑っていた。

 

「ふひゃひゃひゃひゃ!、ごほっごほっ!」

 

「いかんいかんこんな事しとる場合じゃなかった急いであの4人の行き先を調べねば...本当に町が一つ消えかねん、お前さんも早よう病院に帰れ」

 

(マ、マカロフ...コイツは妖精の尻尾(フェアリー テイル)のマスターだ...つくづくハエに縁がある1日だな)

 

「あ、あの...一曲聴いていきませんか?病院は楽器を禁止されてまして」

 

カゲヤマは懐から呪歌を取り出し、マカロフに見せた。

 

「気持ち悪い笛じゃのう」

 

「見た目はともかくいい音が出るんですよ」

 

「急いどるんじゃ、一曲だけじゃぞ」

 

マカロフは、呪歌(ララバイ)を吹くことを許可し、カゲヤマはそれを聞いて勝ちを確信する。

 

(勝った!)

 

「よぉく聞いてくださいね」

 

カゲヤマは、持っていた呪歌(ララバイ)を口に近付け、今にも吹こうとしていた。

 

 

 

・・・

 

 

 

「いた!」

 

「じっちゃん!」

 

「マスター!」

 

「やべぇ!」

 

エルザ達がマカロフの近くに行こうとすると、

 

「しぃー、今いいところなんだから見てなさい」

 

マスターボブがエルザ達を止める。

 

「てかあんた達可愛いわね」

 

マスター・ボブに標的とされたナツとグレイが、悪寒を感じて身を震わせる。

 

「なに!?この人?」

 

 

「ゲッ!マスターボブ...さん...」

 

 

青い天馬(ブルーペガサス)のマスター!」

 

「あら、エルザちゃんにリートちゃん久しぶりねぇ、エルザちゃんは大きくなって、リートちゃんは相変わらず可愛いわね~食べちゃいたいくらい」

 

マスターボブが一瞬でリートに近づき、そのままリートに頬擦りし、リートは悲鳴を上げる。

 

 

 

「ぎゃぁぁぁぁ!」

 

 

 

・・・

 

 

「どうした?早くせんか」

 

マカロフにせかされるカゲヤマ、しかしいまだに呪歌(ララバイ)を吹かずにいた。

 

 

・・・

 

 

「いけない!」

 

「黙って見てな面白ぇとこなんだからよ」

 

エルザ達がカゲヤマを止めようと再度動き出そうとしたが、今度は四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)のマスター ゴールドマインが木陰から様子を見ており、エルザ達をひき止める。

 

 

・・・

 

 

「さぁ」

 

(吹けば...吹けばいいだけだ!それで全てが変わる!)

 

「なにも変わらんよ」

 

「えっ?」

 

マカロフの言葉に、カゲヤマは意表を突かれて呆気にとられる。

 

「弱い人間はいつまでたっても弱いまま。

しかし弱さの全てが悪ではない。元々人間なんて弱い生き物じゃ。1人じゃ不安だからギルドがある、仲間が居る。

強く生きる為に寄り添いあって歩いていく。不器用な者は人より多くの壁にぶち当たるし、遠回りするやもしれん。

しかし、明日を信じて踏み出せばおのずと力が湧いて来る、強く生きようと笑っていける、

そんな笛に頼らずともな」

 

「流石だ...全てお見通しって訳か...」

 

カゲヤマは、呪歌(ララバイ)を落として頭を下げた。

 

「参りました...」

 

カゲヤマが呪歌を手放すと同時に、エルザ達がマカロフの元に駆け寄った。

 

「「マスター!」」

 

「じっちゃん!」

 

「ジーさん!」

 

「ぬぉぉ!なぜ4人がここに!?」

 

「さすがです!今の言葉、胸が熱くなりました!」

 

「硬ッ!」

 

「ハハハ...」

 

エルザはマカロフを抱き寄せ、自分の着ている鎧に推しあてそれを見たリートは苦笑いをしていた。

 

そのつぎは、ナツはマカロフの頭をペシペシと叩く

 

「じっちゃんすげぇな!」

 

「そう思うならペシペシせんでくれい」

 

「やめてあげなさいな...これでもマスターですわよ」

 

「これでも!?」

 

「一件落着だな」

 

ナツ違が喜んでいると、

 

 

 

「カカカ、どいつもこいつも根性のねぇ魔導士共だ、もう我慢できん!ワシが自ら喰ってやる」

 

 

 

呪歌(ララバイ)から声が聞こえ、その瞬間、呪歌から煙が上がる。

 

「笛がしゃべった!?」

 

「あの煙!形になってくよ!」

 

呪歌(ララバイ)から吹き出した煙が、巨大な化け物になる。

 

「貴様らの魂をな!」

 

 

 

「「「「「か、怪物ーー!!!」」」」」

 

 

 

想定外の事態に、その場の全員が驚いた。

 

「な、なんだ!?こんなのはしらないぞ...」

 

「あらら…大変」

 

「こいつぁゼレフ書の悪魔だ!」

 

ギルドマスターたちは、その化け物がなんなのかを知っているようで、慌てていた。

 

腹が減ってたまらん!貴様らの魂を喰わせてもらうぞ」

 

「なにぃー!魂って食えるのか!?」

 

「色々とつっこみたいけどそこかよ!」

 

「一体…どうなってるの? なんで化け物が笛から…?」

 

ルーシィは震えながら、化け物を見上げる。

 

「あれはゼレフ書の悪魔だ。あの怪物自体が魔法なんだよ、つまり生きた魔法ってことだ」

 

怪物の正体を知るゴールドマインが、その怪物について説明をした。

 

「生きた魔法…」

 

「ゼレフってあの大昔のか!?」

 

「そんなものが何で今さら‥‥」

 

「黒魔導士ゼレフ。魔法界の歴史上最も凶悪だった魔導士…何百年も前の負の遺産がこんな時代に姿を表すなんてね」

 

「さぁて、どいつの魂からいただこうかな…」

 

「決めたぞ!全員だ!」

 

怪物は、呪歌(ララバイ)の音色を出そうと魔方陣を展開した。

 

「ひぃぃぃ!」

 

バッ!

 

その危険性を察知したナツ、リート、エルザ、グレイは、それぞれ一斉に飛び出す。

 

エルザは羽が4つに生えた天輪の鎧に換装し、怪物の足を切り裂く。

 

「鎧の換装!?」

 

「ぐはぁ!」

 

その下では、ナツが魔力を込めて技を放とうとしていた。

 

「ふっ飛べ!」

 

「火竜の鉄拳!」

 

ナツは地面から飛び上がり、怪物の顔を殴り飛ばす。

 

「なんて威力のパンチじゃ!」

 

「というか本当に魔導士か?アイツ」

 

「!!!」

 

「こしゃくな!」

 

化け物は光の玉をいくつか放つが、ナツはそれを軽々とよける。

 

「いかん!こっちにくるぞ!」

 

「アイスメイク!シールド!」

 

「氷の造形魔導士か!しかし間に合わんぞ!」

 

怪物の放った攻撃が定例会の参加者に迫ってくるが、グレイの作った盾がギリギリで光の玉を防いだ。

 

「速い!あの一瞬でこれ程の造形魔法を!?」

 

定例会の参加者達は、グレイの造形魔法に驚愕する。

 

「造形魔法?」

 

「魔力に形を与える魔法だよ、そして形を奪う魔法でもある」

 

ルーシィはハッピーの説明を聞いて、奪うという言葉にゾッとした。

 

「何を関係ない人を巻き込もうとしてんだ!」

 

「氷竜の剛拳!」

 

リートは、怪物の後ろから背中を殴り付ける。

 

「ぐぅぅっ!」

 

「あやつも造形魔導士か!」

 

「いや、しかし何か違うぞ!氷を纏っておる!」

 

「鬱陶しいぞ!てめぇらぁ!」

 

怪物は、呪歌(ララバイ)の音色を出そうと魔法を発動したが…

 

 

ぷひゅ~

 

 

「は?」

 

気の抜けるような音とともに、怪物から煙が上がった。

 

「そりゃあ、あれだけめちゃくちゃにされてたら穴も空くし音もでねぇだろ...」

 

リートは、あきれて怪物を見上げる。

 

「ふざけるなぁ!」

 

 

「にしても結構タフじゃねぇか、ならこれでどうだ!」

 

リートは魔物の前に飛び上がると、(てのひら)を合わせて巨大な剣をつくった。

 

それに続くようにエルザが飛び出し、黒く羽の生えた黒羽の鎧に換装する。

 

「黒羽の鎧!一撃の破壊力を増加させる魔法の鎧だ!」

 

そして、ナツももう一度飛び上がり、今度は怪物の頭に掴まる。

 

「うっぷ...ちょっと酔う」

 

そこに、グレイが怪物の下から攻撃を放つ。

 

「アイスメイク!ランス!」

 

グレイが放った無数の槍が、怪物の体制を崩した。

 

「なんて威力!」

 

「今だ!」

 

 

 

滅竜奥義

 

「氷刀飛燕斬!」

 

 

 

リートは氷でつくった巨大な剣を縦に振り下ろし、斬擊を怪物に向けて放つ。

 

怪物に当たった斬擊は怪物の体を切り、さらに切れた部分から鋭い氷が飛び出す。

 

「ぐはぁ!」

 

「火竜の咆哮!」

 

「はあぁっ!」

 

ナツとエルザも怪物に攻撃し、ついに怪物を倒した。

 

「バ、バカな...」

 

「見事!」

 

マカロフの一言を最後に怪物は後ろに倒れて、定例会場の上に倒れこむ。

 

「ゼレフの悪魔がこうもあっさり...」

 

「こりゃあたまげたわい」

 

「すごい...これが...フェアリーテイル最強チーム」

 

「どうじゃ!すごいじゃろぉぉぉ!」

 

「すごーい!超カッコイイ!!」

 

マカロフとルーシィは、リート達の強さに興奮する。

 

「いやぁ、経緯はよく分からねぇがフェアリーテイルには借りが出来ちまったなぁ」

 

「なんの!なんの!ふひゃひゃひゃひゃ...ひゃ...は...!!」

 

マカロフは他のマスター達の後ろを見ると、ゆっくりと下がっていく。

 

「ん?」

 

「あっ...」

 

「!!!」

 

 

 

「定例会場が粉々じゃぁぁぁ!」

 

 

 

「捕まえろ!」

 

各ギルドのマスター達が、リート達を捕まえようとするがフェアリーテイルのメンバー全員逃げはじめていた。

 

「おし!まかせとけ!」

 

「お前は捕まる側だろうが!」

 

定例会の参加者側についていたナツだったが、リートはナツを殴り首根っこを掴み引きずってく。

 

「マスター申し訳ありません」

 

エルザはマカロフに逃げながら謝罪し、

 

「いーのいーの、どうせもう呼ばれないでしょ?」

 

と言いながらマカロフも逃げ帰った。




アンケートの結果を発表します!
次回作はリートVSエルザとなりました!
アンケートに回答してくださった方々ありがとうございました。そして選ばれなかったと言う人も、今回のアンケートで選ばれなかったからといって絶対に作品にしないと言うことはあり得ませんので今後も楽しんで読んでいってください


目次 感想へのリンク しおりを挟む


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アニオリ1
村とキノコとモンスター


アニオリスピンオフで投稿した作品をこちらにも投稿します。



リート達が呪歌を倒してから約2日、現在リート達はマグノリアに歩いて帰ろうとしていた。

 

しかし、

 

リート達は熟練のハンターですら、一度迷ったら出られないと言われる蜘蛛の巣谷(くものすだに)に迷い混んでいた。

 

「あー!!もう!!ちょっとハッピーあんたまた迷ったでしょ!!歩いても歩いてもマグノリアの街に着かないじゃないの!!この方向音痴ねこ!!!」

 

「またって失礼しちゃうな、こないだは迷わなかったよ。今回が初めてなんだ」

 

「どの道、お前の言うとおりに歩いて来て迷ってんだから一緒じゃねぇか…」

 

はぁ~

 

歩き疲れたナツ達は、同時にため息をつく。

 

「腹減ったなぁ~」

 

「言うな、余計腹減るだろーが」

 

「減ったもんは減ったんだよ、あぁ?」

 

「だから減った減った言うんじゃねぇ!!!」

 

 

「お止めなさいな、ナツ、グレイ、余計な体力の消耗ですわよ」

 

ぐぅ~

 

「……」

 

「お前も腹減ってんじゃねぇか」

 

「お黙りなさい」

 

 

「確かに…減ったのぉ~」

 

リート達と共にマグノリアへ帰ろうとしていたマカロフも、腹ペコのようだった。

 

「「だからぁー!!」」

 

「よせ」

 

ぐぅ~

 

争っている二人を、エルザが止めようとするが、その前にエルザの腹が鳴る。

 

「「「「「……」」」」」

 

「今ぐぅ~って鳴ったぞ、ぐぅ~って」

 

「鳴ってない、空耳だ」

 

「言い訳が苦しすぎるぞエルザ」

 

 

 

「あーーっ!」

 

リート達がエルザに意識を向けていると、ハッピーが崖下を見て、目を輝かせながら騒ぎ始めた。

 

「?どうしたハッピー」

 

「何騒いでんだよ」

 

「ナツ!あれ見て!!」

 

「?」

 

ハッピーが指差す方を見ると、そこには羽の生えた魚が何匹も飛んでいた。

 

アイ キャン フラーイ

 

ユー キャン フラーイ

 

「なんつー鳴き声の魚だ…」

 

「なんか気持ち悪いですわ」

 

 

「幻の珍味!!羽魚(はねさかな)だ!!あれ滅茶苦茶美味しいんだ」

 

「美味しいって…食ったことあんのか?ハッピー」

 

「ありません」

 

「ねぇのかよ!!」

 

 

 

「幻の珍味…」

 

「羽魚…」

 

「旨そうだな!!」

 

「とりあえず、食えるってんなら取っ捕まえて食ってみるか」

 

「でかしたハッピー…よく見つけたのぉ」

 

全員あまりにも腹が減っていたのか、マカロフに至っては涙さえ流して腹を鳴らせていた。

 

「皆お腹空きすぎです…」

 

ぐぅ~

 

ツッコミを入れるルーシィだが、そのルーシィの腹もなっていた。

 

「お前もな」

 

「あい…」

 

 

 

「釣竿なら用意しておきましたわ!」

 

ラリカは、即席の簡易釣竿を作って用意していた。

 

「手際良すぎねぇ!?」

 

「よーし!釣るぞー!!」

 

それからしばらく…

 

リート達は釣糸を垂らしてジッと待ち続けているが、一向に釣れる気配がなかった。

 

「くっそー、こいつら釣れそうで釣れねぇなぁ」

 

「オイラ頑張るぞぉ!!」

 

「なんかあんまり美味しそうに見えないんだけど」

 

「黙って釣れ、この際食えればいい」

 

「もはや味とか気にしてられねぇんだな…」

 

「私もさすがにお腹が空いてますの、少しでも足しになるならもう何でもいいですわ」

 

 

「羽魚食べたいぞぉ!!美味しいぞぉ!!幻の珍味だぞぉ!!」

 

………

 

「飽きてきました」

 

1番気合いの入っていたハッピーが、1番最初に釣りをやめた。

 

「意志よわ!!」

 

「さっきの気合いはどこ行った…」

 

「だって全然釣れないんだもん」

 

「お腹空いてるんでしょ?だったら頑張ろうよ、諦めないで、ね?」

 

ルーシィは、ハッピーを励まそうと言葉をかける。

 

「ルーシィのいじわるぅ~!!」

 

「えーー!!?励ましたんですけどぉ!!!」

 

 

 

結局、羽魚は二匹だけしか釣れなかった。

 

「難しいのねぇ」

 

「結局二匹だけか」

 

ボゥ!

 

ナツは一瞬で、二匹の羽魚を焼き上げた。

 

「ハッピーとラリカ食えよ」

 

「でも、オイラとラリカだけじゃ」

 

「そうですわよ」

 

ナツの好意をハッピーとラリカは断ろうとするが、グレイやリート達が二人に薦める。

 

「そんなのちょびっとずつ別けて食ったら余計腹が減るわ」

 

「人の好意は素直に受け取っておけって、な?」

 

「遠慮するな、食え食え」

 

 

「そう?」

 

「では、ありがたく頂きますわ」

 

ハッピーとラリカは、嬉しそうに羽魚にかぶりつく。

 

ぐぅ~ぐぅ~ぐぅ~ぐぅ~ぐぅ~

 

ハッピー達の後ろでは全員腹を鳴らせて、羽魚を食べるところを見ていた。

 

はむはむはむ

 

「こんな魚を美味しそうに食べられるなんて、あんた達本当に幸せね…」

 

「「マズゥ!!!」」

 

「「不味いんかい!!!」」

 

結局、羽魚釣りは諦め、全員はまたマグノリアの街に向け歩きだした。

 

「それにしても…」

 

「腹が…」

 

「減ったのぉ」

 

すると、リート達の歩く行き先に1つの村が見えてきた。

 

「お?」

 

「村だ」

 

「家だ!」

 

「だったら食べ物があるかも!!」

 

「食いもんだぁーー!!!」

 

ナツ達は、全速力で村へと入って行った。

 

リート一人を残して…

 

「はぁ…」

 

そして、街の中心まで走ったナツ達は、あることに気がつく。

 

「誰もいねぇぞ」

 

「なんか、静かな村ね」

 

「昼寝でもしてんじゃねぇのか?」

 

「村中の人達が一斉になんてありえませんわよ」

 

「おーい!!誰かいねぇかぁ?」

 

「お腹減り減りですぅ!!誰か食べ物をくださーい!!」

 

「そこの猫、露骨すぎだから」

 

「けど、この村に人がいねぇのは間違いないみてぇだぜ?」

 

歩いてナツ達に追い付いたリートは、辺りを見渡しながらそう言った。

 

「人の声どころか、物音1つ、さっきから聞こえてこねぇ、不気味なくらい静かすぎるからな」

 

「村中酔っ払って寝とるんじゃないかのぉ?」

 

「それは妖精の尻尾(フェアリーテイル)だけですわ」

 

「ハハーッ!そうとも言うのぉ!!」

 

「いびき1つ聞こえてこねぇんだ、それもあり得ねぇな」

 

「ええーい面倒くせぇ!!力ずくでも何か食ってやる!!」

 

「おい、そりゃちょっとした強盗だろ」

 

「って、おまえもその気だろーが!!」

 

ナツとグレイは、小走りで建物に向かっていく。

 

「どっちもどっちじゃねぇか…」

 

1つの建物にたどり着いたナツとグレイは、ゆっくりとドアを開いた。

 

「ん?」

 

そこには、まだ冷めきっていないスープと、焼き上がったパンが机の上においてあった。

 

「やっぱ誰もいねぇな」

 

「とにかく食い物だ」

 

ナツは、机の上に置かれたパンに手を伸ばす。

 

「よっしゃ!まだ食える。いっただきまー」

 

「待て」

 

「んあ?」

 

ナツがパンを口に運ぼうとした時、エルザがそれを止めた。

 

「なんだよ?」

 

「様子がおかしい」

 

「あぁ、乾燥しきってないパンに、まだ温かいスープ…ついさっきまで誰かがここで食事しようとしていた感じだ。この家に住んでたやつは何処に行った?」

 

「知るかよ、とりあえず食おうぜハッピー!」

 

「あい!」

 

ナツがもう一度、パンを食べようとする。

 

「待て!!」

 

「は、はい!」

 

 

しかし、エルザが睨み付けて止めたことで、ナツも食べようとするのをやめた。

 

「先に村の様子を調べる必要がある」

 

「まぁ、そうだな、現状だと村の状態が怪しすぎる。下手に村の物に触らねぇ方がいいかもしれねぇ」

 

「そういうことだ、今まで我慢してたんだ。もう少し我慢」

 

ぐぅ~

 

エルザの腹が鳴ったことですべてが台無しになる。

 

「お前もちょっとは腹の虫を鳴らすのやめてくれ…」

 

「エルザ、お腹鳴りすぎ…」

 

「説得力ゼロじゃな」

 

「ナツ達はキノコか何かを探してこい、村の食べ物にはさわるな!その間に私とリートとマスターは村の中を調べる」

 

ナツは、食べ物にさわるのをやめて外に向かう。

 

「あ~ぁ、わかったよ。行くぞハッピー」

 

「あい!」

 

(なぜキノコ?)

 

そして、ナツ、グレイ、ルーシィ、ハッピーは村の近くの森の中にキノコ採集にきた。

 

「せっかく旨そうな食い物があったのによぉ、キノコなんかじゃ腹膨れねぇよ」

 

ナツ達は足下にキノコが生えていることに気付く。

 

「お?」

 

「キノコだ」

 

「あったー!旨そぉ~!!」

 

(なぜキノコ?)

 

「オイラ知ってるよ」

 

「なに?」

 

ハッピーが何かを知ってるようで、話し出す。

 

「ナツが笑い茸みたいな毒キノコを食べちゃうんだ。お約束なんだ」

 

至ってどうでもいい情報だった…

 

「何言ってんだハッピー、さすがにそんなベタな事…ふぃねぇよ(しねぇよ)

 

とナツは、明らかな毒キノコっぽいキノコを食べながら話す。

 

その頃リート達は、村の様子を調べ続けていた。

 

「大丈夫か?ラリカ」

 

「さすがにお腹が空きすぎて、動けませんわ…リートちょっと頭に乗せてくださいまし」

 

「ん」

 

ラリカを抱えたリートは、そのまま自分の頭の上に優しくのせる。

 

ガチャ

 

そして、リートが先程とは違う家の扉を開くと、やはり食事をしようとしていたのか、食べ物が置かれた机のみが視界に入った。

 

(ここも同じか…)

 

ジュルリ

 

「ん?」

 

リートの頭の上から、ラリカがヨダレを垂らしており、リートの頭にかかっていた。

 

「うぉぉぉい!!?ヨダレ!!頭!!!」

 

「ハッ!…し…失礼いたしましたわ」

 

「…ったく…ん?」

 

よく見ると、部屋の奥に木箱が置かれており、その中から魔道具がいくつか見えていた。

 

「魔道具?」

 

ジュルリ

 

「だからヨダレ!!!」

 

場所は戻ってナツ達キノコ採集チームは、なんだかんだと文句をいいながらも、かなりの量のキノコを集めて食べていた。

 

「たかがキノコでも、こんだけ食えば腹が膨れそうだな」

 

「これは、フリなんだ」

 

ムシャムシャ

 

「いいから早く採れ」

 

「ア…アハハハ…」

 

「ん!?んぐぐぐぐ!!」

 

「ナツ!?大丈夫?!!」

 

キノコを食べていたナツが突然苦しみだし、ルーシィが心配する。

 

「ホラ、キター!!」

 

その様子を、ハッピーはワクワクしながら見ていた。

 

ポン!

 

「ビックリしたぁ!」

 

「こっちもビックリー!!」

 

ナツが苦しまなくなったかと思うと、突然ナツの頭からキノコが生えてきた。

 

「笑い茸じゃないのか…はぁ~」

 

笑い茸と思っていたハッピーは、異常な程がっかりする。

 

「落ち込むとこなの?」

 

「なーに騒いでんだよ?」

 

ルーシィ達の騒ぎを気にしてきたグレイだが、グレイもナツと同じく頭からキノコが生えていた。

 

「二人とも…頭、頭」

 

「ん?」

 

ナツとグレイが顔を見合わせると、お互いの頭にキノコが生えていることに気がつく。

 

「「ぶぅあっはっはっはっ!!」」

 

「なんだテメーそのキノコ!!」

 

「テメーこそ!!ふざけたキノコ乗っけやがって」

 

二人はお互いに、頭を生えたキノコを指差しバカにする。

 

「なんで自分の心配はしなーい?」

 

「おい、タレ目、今笑いやがったな?」

 

「テメーもアホ面でニヤついたろーがよぉ」

 

お互いにバカにしあってた二人が、いつものごとく喧嘩し始めた。

 

「んだとコラァ!!」

 

「やんのか!!あぁ!!?」

 

「頭にキノコ付けて喧嘩しなーい!!」

 

 

そして、あらかた村を調べ尽くしたリート達は一度村の中心で合流する。

 

「どうでした?」

 

「やはり誰もおらん」

 

「こっちもだ、どこもかしこも、突然人が消えたように…誰もいなくなってる」

 

「そうか…それはそうと、なぜお前の顔はそんなに濡れている?」

 

エルザは、リートの顔を見て不思議そうに問う。

 

「ラリカのヨダレでベタベタになったから顔を洗ってた…」

 

「そ…そうか…ん?」

 

エルザは、リートの足下にある村の地面にできた一本の線が気になった。

 

「この線は…なんだ?」

 

その線は、地面の石の隙間を真っ直ぐに続いて伸びていた。

 

「単なる石の隙間じゃありませんね」

 

「あぁ、どー見ても明らかに意図的に掘られてんな」

 

 

 

「はぁ、はぁ」

 

「はぁ…ふぅ…」

 

ナツとグレイは、あの後も、ずっと喧嘩を続けていた。

 

「ちょっとーバカっぽすぎるよぉ」

 

「ルーシィ!!特大の見っけたよ!!」

 

「ホント!?でもそれ何か怪しくない?」

 

「どれどれぇ?おぉ~デケェ」

 

「これ一個で2日はもちそうだな」

 

ハッピーの持っているキノコに、ナツとグレイは大喜びだった。

 

「あんた達は頭のキノコどうにかしたら?」

 

パクっ

 

ハッピーは、なんの躊躇いもなくキノコにかぶりついた。

 

「ちょっとハッピー!!ダメじゃない!!毒かもしれないのよ!!ぺっしなさいぺっ」

 

「でも美味しいよ?」

 

「!?んぐぅぅぅ!!」

 

キノコを食べたハッピーは、苦しみだした。

 

「「「!?」」」

 

ポン!

 

「きゃああああぁ!!!」

 

ついに、ハッピーの頭からもキノコが生えてしまった。

 

「結局…どれ食ってもこーなんじゃねぇか?」

 

「村の連中、どーやって食ってたんだ?」

 

「そりゃあ、みんなこーだろうよ!」

 

「村の名前はきっと、キノコ村だな!!」

 

「「アッハッハッハ!」」

 

「……」

 

ハッピーは、自分の頭に生えたキノコをジッと見る。

 

「2度目は寒いよぉ!!」

 

「そー言うもんだいじゃないでしょ!!?」

 

「ちょっと待って!」

 

ルーシィはナツの頭を見て、驚く。

 

「あんたのキノコ、成長してない!?」

 

「!?」

 

「ずるいよぉナツばっかり美味しいとこ~!!」

 

 

 

そして、村の地面に変な線を見つけたエルザ達は、色々と線をたどって調べていた。

 

「ここには別の線が…」

 

「う~む」

 

「明らかに意図的なのは間違いねぇな」

 

「早く調べて何か食べ物を探しましょうですわ…」

 

「腹減ってんのはわかるけど、そればっかだな…」

 

ぐぎゃあぁぁぁ…

 

村のどこかから、不気味な鳴き声が聞こえてきた。

 

「なんだ」

 

村のどこかから聞こえる鳴き声は、ナツ達の耳にも届いていた。

 

「なんだ?」

 

スポン

 

鳴き声が聞こえると同時に、ナツ達の頭についたキノコもきれいにとれた。

 

「あー!キノコ消えたぁ!」

 

「ハッピー…あんただけ付いてるわよ」

 

「うえーーー!?」

 

「リート!エルザ!じっちゃん!!」

 

ナツ達は、急いで村へと戻っていった。

 

 

そして、村の中で線を調べていたリート達の足下が光だす。

 

「ん?」

 

 

「リート!!」

 

ナツ達もリート達と合流し、地面が光っている事に気付く。

 

そして、地面が光った後、周りの建物も光り、さらには歪んで見えるようになってきた。

 

「なんだこりゃ」

 

「どど…どーゆーこと!?」

 

「オイラ、家が動くのなんて初めて見たよ」

 

「リート…これ、何かマズくありませんこと?」

 

「あぁ…お前ら、気をつけろよ!!」

 

「これは…」

 

「やるぜ、じぃさん」

 

グレイは、魔力を込め始める。

 

「待てぇい!」

 

「な…なんでだよ!?」

 

「高いところへ上るんじゃ、確かめたいことがある」

 

マカロフは高いところへと走り出す。

 

「みんな来い、離れるなよ!」

 

それに続いて、全員がマカロフを追いかけていった。

 

そして、崖の上に登ったマカロフ達が見たのは、村が蛇のような巨大なモンスターへと変わっていく光景だった。

 

ぐぎゃああぁ!

 

がぁぁぁ!

 

「うっひゃぁぁ!訳わかんねぇぞこれぇ」

 

 

「なんとなく予想はしてたが…やっぱりあの線は、魔法陣」

 

「「「え!?」」」

 

リートは、先程の線を魔法陣と見破っていた。

 

「あぁ…お前が見つけたあのいくつもの線は、魔法陣の一部じゃ。そしてこの魔法陣は、かつて禁止された封印魔法アライブを発動させる為のものじゃ」

 

「アライブ?」

 

「あれを見ぃ」

 

マカロフは、モンスターを指差して説明する。

 

「一目瞭然、本来生命のない物を生物化して動かす魔法じゃ。村の連中は、その禁断の魔法を発動させ、逆に化け物達の餌食になった」

 

「でも、どーしてそんな危ないことを…」

 

「多分だけどよ、ここは…」

 

「闇ギルドの村だ」

 

リートが言い出すよりも早く、エルザが闇ギルドの村と言い出した。

 

「何!?」

 

「この村の中で魔道具をいくつも見つけた。当然、表の世界では禁止されてるような魔道具ばっかりな…」

 

「私もだ、いずれも、まともな魔法の物ではなかった」

 

「闇ギルドの事じゃ、どーせよからぬ企みでもして、そのせいで自滅したんじゃろう」

 

「じゃが!!これぞ不幸中の幸い」

 

マカロフの言葉がよくわかっていないリートは、首を傾げる。

 

「不幸中の…幸い?」

 

「やつらは生き物じゃと言うたハズじゃ…大抵の生き物は…」

 

「…まさか?……(嫌な予感)」

 

リートはマカロフの言いたいことを察して、顔色を悪くする。

 

「食える!!」

 

「やっぱりかぁ!!!」

 

ぐぅ~!!

 

リートとルーシィ以外は、完全にやる気だった。

 

「っしゃ~!!食うかぁ!!」

 

「わーい!!ご飯の時間だぁ!!」

 

「この際、味がどーのなんて言ってられねぇな!!」

 

「マジで!?やるの!?本気か!?」

 

 

「ふっ!」

 

真っ先に飛び出したのは、まさかのエルザだった。

 

「アイツが1番やる気かよ!!?」

 

「エルザそんなに腹空きーー!!?」

 

それに続いて、ナツ、グレイ、ハッピーも後に続いて崖から降りていった。

 

「ほら、リート!!あなたもやるんですわよ!!」

 

「いや、マジで!?あれ食うの!?」

 

「もう我慢の限界ですわ!!」

 

「お前、羽魚食ったじゃん!!」

 

「足りるわけありませんわ!!!」

 

「いやぁぁぁ!!!」

 

リートもラリカに連れて行かれて、崖から降りていった。

 

「ちょっ…ちょっとぉ!!」

 

「ワシの分も頼んだぞぉ!!」

 

ナツ、リート、グレイ、エルザはそれぞれモンスターの前に降り立つ。

 

「おい、テメェら、オレを誰だか知ってるか?妖精の尻尾1の炎の料理人だぁ!!!」

 

ナツは、拳に炎を纏ってモンスターの首を殴り付ける。

 

「火竜の鉄拳!!」

 

ドゴォ!!

 

ぐぎゃああぁ!!

 

「まずは、よーく火を通してぇ」

 

「そしてぇ」

 

ナツはこれでもかとモンスターを殴り付けた後、崖を崩してモンスターを下敷きにする。

 

「蓋をして蒸す、しばし待つ」

 

 

そして、リートもラリカに半強制で戦わさせられていた。

 

「ほらリート、やっておしまいなさいな!やらないと後で拷問器具の実験台にいたしますわよ!!」

 

「わかった!わかったよ!やりゃいいんだろ!!やりゃあ」

 

ぐぅ~

 

「ブフッ、やっぱりあなたもお腹すいてるじゃありませんの」

 

「うっせぇ…」

 

リートはモンスターの前に立つと、手を手刀の形に変えて氷を纏う。

 

「このまま凍らせたら、さすがにオレは食えねぇからな…やりたくねぇが刺身でいくか」

 

スパパパパパ!

 

 

「氷竜の陣円!!」

 

リートはモンスターをスライスして地面に氷を張り皿を模し、一枚ずつ空中から落としていく。

 

「よっと、こんなもんかな」

 

「さすがですわ!」

 

 

そして、グレイも、モンスター調理にとりかかる。

 

「いきなりデザートってのもなんだが、まぁしょーがねぇ」

 

モンスターは、グレイの姿を見つけて襲いかかろうとする。

 

「アイス・メイク…魚網(フィッシュネット)!!」

 

モンスターの攻撃がグレイに届く前に、グレイの攻撃でモンスターが氷付けにされた。

 

「シャーベット完成!頂きます」

 

 

ハッピーは、椅子の形をしたモンスターと格闘していた。

 

「あい!あい!羽魚と椅子と、どっちがマズいか微妙だけど!」

 

 

でぇりゃあ!

 

「うわぁ!」

 

椅子の攻撃をかわしたハッピーは、椅子の上に乗ってしまい、降りることができなくなってしまった。

 

そして、エルザもモンスターと戦おうとしていた。

 

「エルザ!」

 

ルーシィはエルザの下にやってくると、少し心配そうにエルザに声をかける。

 

「下がっていろ、調理の時間だ」

 

「ちょ…調理って」

 

「換装!!」

 

エルザは鎧から、エプロン姿へと換装し、両手に巨大な出刃包丁、その周りにも巨大な包丁など調理器具を浮かべて構えていた。

 

そして、一瞬でモンスターと細切れにして、一口サイズまで切り裂いた。

 

「げっ!?」

 

「一本の長さは約5cm、幅は4㎜各に刻むのがコツだ」

 

「そんなこだわりまで!?っていうかエルザ…その格好…」

 

崖の上では、マカロフが腹を空かせて待っていた。

 

「腹が減ったのぉまだかのぉ?」

 

 

 

そして、それぞれ調理が終わり、モンスターの味見をし始める。

 

ナツも

 

「いっただきまーす!」

 

リートとラリカも

 

「リート、お先に食べていいですわよ?」

 

「あからさまな毒味役宣言!!?」

 

「分かったよ…」

 

ムシャッ

 

リートはスライスされたモノを食べると、動かなくなり黙ってしまった。

 

「リート?」

 

「……」

 

「もう!いったいどうしたって言うんですの?」

 

ラリカもスライスされたモノを取り自分で直接食べてみた。

 

エルザとルーシィも

 

「ルーシィ、先に食べてみろ」

 

「嫌です!!!」

 

「仕方ないな」

 

エルザは細切れになったモンスターの一部を取り、ルーシィに手渡す。

 

「それ違うでしょ!なんで先にアタシに食べさせようとする!!?」

 

「では…」

 

エルザは、モンスターの一部を黙って食べた。

 

カリっ

 

「ど…どんな味?」

 

ルーシィが興味を示して訪ねるとエルザは黙ってもう一本取り、ルーシィに渡す。

 

「うえっ…じゃ…じゃあ……」

 

ルーシィはエルザから渡されたモノを受けとると、恐る恐る食べてみる。

 

 

グレイも

 

「さてと、食ってみるかな」

 

グレイは凍らせたらモノを取って、食べてみた

 

 

 

 

 

 

「「「「マズゥゥゥゥ!!!!!」」」」

 

 

 

 

 

「ん?」

 

ナツ達は、マカロフの下に急いで戻った。

 

「なんだあれ!!じっちゃんあんなの食えねぇぞ!!」

 

「不味いにも程があるぞ!!」

 

「だから食ったこともないやつを食うのは嫌だったんだよ!!!」

 

「あんな物!食べ物とは認めませんわ!!!」

 

「あぁ、食べられたモノじゃないな」

 

「アタシに食べさせてから言わないで下さい!!!」

 

 

 

「うわぁーーー!!」

 

ズテェン!

 

「?」

 

ハッピーは、椅子と共に岩にぶつかり、ようやく止まることが出来た。

 

「あうぅ…」

 

「何してますの?ハッピー」

 

そして、ハッピーの頭についてたキノコもきれいに取れた。

 

「あ!」

 

「おまえ、キノコ取れたぞぉ!」

 

「そんな事より、どーして誰も止めてくれなかったんだよ!!ヒドイよナツ!!どーしてぇ!!?」

 

「はぁ?」

 

「遊んでたんじゃねぇのか?」

 

「つーかなんで椅子と遊んでたんだ?」

 

 

「はぁぁぁぁぁ…」

 

 

 

「しかし、まいったな、こう不味くてはいくら空腹でも」

 

「元々化け物食おうってんだからなぁ」

 

「普通食おうとはしねぇわな」

 

「んあーくそぉ、食えねぇって分かったら本気で腹減ってきたぁ」

 

(最悪だ…友情も仲間もへったくれも無いもんだよ)

 

ハッピーがショックを受けていると、また後ろから先程の化け物が現れる。

 

「うわぁー!!」

 

「危ない!!」

 

ナツは、ハッピーを守ろうとモンスターに殴りかかる。

 

「ナツぅ!!」

 

気が付けば、先程のモンスターが復活し、リート達を囲んでいた。

 

「不味いやつらめぇ」

 

「腹の立つ」

 

「食えもしねぇし、ウザってぇし…」

 

「まとめてぶっ飛ばしてやる!!火竜の翼激!!!」

 

ナツが攻撃を始めると、それに続いて、リート、グレイ、エルザもモンスターを攻撃していく。

 

「氷竜の硬拳!!!」

 

「アイスウォール!!!」

 

「はぁぁぁ!!!」

 

「アタシも!!」

 

ルーシィは、鍵から星霊を呼び出した。

 

「開け!金牛宮の扉!!タウロス!!!」

 

「MOOOO!!!」

 

「相変わらずナイスバディですなぁ」

 

「あーい、あとよろしく」

 

そしてナツ達は、モンスターを攻撃して、バラバラにしていくのだが、

 

「きりがねぇぜ」

 

モンスターは何度倒しても復活してきた。

 

すると、今度は地響きが起こった。

 

「こ…今度は何?」

 

すると、モンスターのいる地面がまた光だし、魔法陣が発動した。

 

「魔法陣!?」

 

「なんだこれ!!?」

 

「嫌な予感その2!!」

 

「もう、いい加減にしてほしいですわぁ!!!」

 

「うわぁー綺麗!」

 

ハッピーだけ、何故か喜んでいた。

 

「そーじゃないでしょ!!あんたのツボってさっきからどーなってんのよぉ!!」

 

「これは…」

 

魔法陣が発動すると、モンスターが、地面に呑み込まれていく。

 

「!?逃げろ!!」

 

エルザの掛け声も全員が反応する頃には、モンスターと一緒に地面に呑み込まれ始めた後だった。

 

「「「「「うわぁぁぁぁ!!」」」」」

 

 

 

 

その後、リート達はまたマグノリアへと歩いて帰っていた。

 

「あぁー腹減ったー…まじで」

 

「オイラもう歩けないよぉ」

 

「だから、自慢げに羽を使うな羽を」

 

「…何かワケわかんない」

 

「とにかく早く帰りたいですわ…」

 

 

 

先頭で歩く五人の後ろで、マカロフとリートとエルザが話しをしていた。

 

「マスター」

 

「あーん?」

 

「先程の説明では納得がいきません」

 

「オレもだ、できればちゃんとした説明が欲しいんだけどマスター」

 

「?」

 

実は、ナツ達が地面に呑まれた後、魔法陣は自然消滅し、ナツや、それに村に住んでいたと思われる闇ギルドの連中も外に放り出されていたのだ。

 

「お前ら、何やってたんだよ?」

 

闇ギルドの一人が説明を始める。

 

「魔法陣を作ったが、化け物が現れて…みんな…奴等にテイクオーバーされちまって」

 

「では、お前達は…あの化け物の中に?」

 

「ゲェ…アタシちょっと食べちゃったぁ…」

 

「よそ者のあんた達が入って、魔法陣が刺激されて動いたんだ」

 

 

「もう、あの魔法陣が動くことはない!!」

 

マカロフが全てを見透かしたように、そう言うと全員が驚いた表情をする。

 

「なんでだよじっちゃん」

 

「細かい事はどーでもよろしい!とにかく、テイクオーバーが解けただけでも、ありがたいと思うことじゃ、これに懲り二度と妙な真似をせんと誓うなら、評議会への報告は無しにしてやる。どーじゃ?!!」

 

闇ギルドの一人が代表で返事をする。

 

「あんなおっかねぇ目に合うのはもうごめんだ!!すみません」

 

「二度としません」

 

「んにっ!」

 

そして、時は戻り、エルザとリートがマカロフに続けて話す。

 

「化け物がやられ、魔法陣のスイッチが入り、全てを消去しようとした」

 

「でも、マスターは…あの一瞬で化け物達を消し闇ギルドのテイクオーバーを解いて、魔法陣そのものを消滅させた…違うか?マスター」

 

「はっての~?はぁ、それにしても…」

 

「「「「腹減ったーーー!!!!」」」」




こっちでも投稿してたら意味ないのではと思ったそこのあなた!

大丈夫、ちゃんと意味あり気でやってるので問題ないのです。


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オリジナル物語
リートVSエルザ


今回はアンケート結果のオリジナルストーリーを書かせてもらいます。白熱した勝負をさせたいですが主のイメージ力でどこまで書けるか...しかもちゃっかり前回リートに滅竜奥義を撃たせちまったし...ま!いいか!とにかく頑張ります!
(あくまでもオリジナルのストーリーですので本編とは別世界の話しと思ってください)


妖精の尻尾(フェアリー テイル)ギルド内』

 

「う~ん...」

 

今日もルーシィは、依頼板の前で依頼書を見て唸っていた。

 

「よぉ!ルーシィ、今日も仕事か?」

 

そこにやって来たリートが、ルーシィの後ろから声をかける。

 

「リート!うん、また家賃を払うの分のお金が底をつきそうだからまた仕事を探さないとね、あ!リートも一緒にどう?」

 

「ありがたい話だけど、悪いな今日は予定があるんだ」

 

リートがルーシィの仕事の誘いを断ると、ルーシィが首をかしげる。

 

「なんの予定?」

 

「あぁ...それはな...」

 

 

「リート!今日は勝負の日だぞ!オレと勝負しろ!」

 

 

二人が話しをしているところに、いきなりナツが二人の後ろからリートに勝負を挑んできた。

 

「ナツ!?リートに勝負を挑むなんて今までしなかったのに...何で突然...」

 

「あー、実はな...」

 

説明しようとするリートの側に、ハッピーとラリカがやって来て代わりに説明してくれた。

 

「ナツはリートに、月に一回だけ勝負を挑むのを許されてるのですわよ」

 

「あい!そしてその日が今日なんだ!」

 

「へぇー、でもなんで月に一回だけなの?」

 

その返答に、リートは困った顔をしながら経緯を話す。

 

「昔ナツがしつこく勝負を仕掛けてくるもんだから、3日間1日100本勝負をやってやったんだよ...

もしも一回でも勝てたらお前の勝負はいつでも受けてやる、その代わり負けたらオレに勝負を挑むのは月に一回だけにしろって言ってな」

 

100本勝負と聞いたルーシィは、驚いた表情でナツとリートの二人の顔を交互に見る。

 

「100本って!それでナツは一度も勝てなかったの!?」

 

「えぇボコボコにされてましたわ」

 

「あい!後半は、ナツは魔力切れでリートに近づくこともできなかったんだよ」

 

ルーシィは、そのまま驚いた表情で話を聞いていた。

 

「オレは負けてねぇ!」

 

「負けたから月一回になってんだろ?ほらさっさといくぞ」

 

リートがナツを引っ張り川原へとつれていくと、フェアリーテイルのメンバーもぞろぞろとついていく。

 

「え?なに!?なに!?」

 

「ナツとリートの戦いは月に一回だけだから毎月お祭り騒ぎなのよ」

 

困惑するルーシィの為に、ミラが笑顔で話した。

 

「えぇー!...じゃ、じゃあアタシも着いていこうかな?」

 

「ルーシィ仕事は?」

 

「そんなの、いいの♪いいの♪」

 

ルーシィも皆と同様に、楽しそうについていく。

 

 

・・・

 

 

 

『川原』

 

ザワザワ

 

「二人とも頑張れよぉー!」

 

「いい試合しろよー!」

 

「くたばれくそ炎!」

 

「誰だ!今くたばれって言った奴!」

 

声援に混じった野次を聞いて、ナツが挑発にのっかる。

 

そして、準備運動を終えたリートがナツと向かい合い構えをとる。

 

「よし、やるぞナツ!」

 

「おう!」

 

勝負開始と同時に、ナツは足に炎を纏い爆発させリートに飛びかかるが…

 

 

ゴン!

 

 

「ぐぼぉっ!」

 

正面からやってくるナツに、リートが一発の拳骨でナツを沈めた。

 

「終~了~」

 

ハッピーがそういうと、試合は一瞬で終わった。

 

「なんだよ、相変わらず情けねぇなナツ」

 

「ざまぁみろ!!」

 

「あ、あっさりナツを倒しちゃった...」

 

「それがリートですわ」

 

リートは、地面に埋まって痙攣しているナツを見て呆れていた。

 

「ったく、相変わらずワンパターンな攻撃しやがって...もっと頭を使った勝負をしろよな」

 

 

「だったら私とやるか?リート」

 

 

「!?」

 

声のした方に全員が振り返ると、妖精の尻尾(フェアリー テイル)の全員が驚く、声の主はまさかのエルザだったからだ。

 

「エルザか...いいぜ、呪歌(ララバイ)の時での約束もあるしな」

 

リートとエルザの勝負と聞いて、川原がもう一度ざわつき始める。

 

「すげぇぞ!エルザとリートの勝負だ!」

 

「どっちが勝つと思う?」

 

「過去の事もあるしやっぱりリートだろ?」

 

「いや、エルザも強くなってるしわかんねぇぞ」

 

「「(オイラ)(私)リートにかけます(わ)」」

 

ハッピーとラリカは、どちらの心配もせずに賭けをやっていた。

 

「何でかけてんのよ!!」

 

リートは、エルザの対面に向かい合いストレッチを始めた。

 

「何年ぶりだ?エルザとの試合は」

 

「あぁ、前回は私が負けたが、今回は勝たせてもらうぞ」

 

準備ができたエルザは、天輪の鎧に換装する。

 

「天輪の鎧か...だったらオレも本気でいくぞ、ラリカ!コート頼むわ」

 

「はーいですわ」

 

リートは、コートを脱ぎラリカに投げ渡して構えをとった。

 

「いくぞ!」

 

「来い!」

 

勝負が始まると、エルザはリートに向かって飛び出した。

 

「天輪トリニティソード!」

 

両手に持った剣で、三角形を描くように切り裂きリートに向かって攻撃する。

 

「あっぶね、いきなりなんつーエグい技を出しやがんだよ」

 

リートは、それをかわすとエルザに掌を向けて攻撃を仕掛ける。

 

「氷竜の凍柱!」

 

リートの掌から伸びた氷は、エルザにぶつかりエルザ自身はリートから離されていく。

 

「ぐっ!…はあぁっ!」

 

自身にぶつけられた氷を途中で切り裂いたエルザは、リートに向かって再び突っ込んでいく。

 

「換装!」

 

「今度は黒羽の鎧か!」

 

攻撃力の高い黒羽の鎧に換装したエルザは、リートの前までくるとおもいっきり刀を振り下ろした。

 

「黒羽・月閃!」

 

振り下ろされた剣と、リートの間から煙が上がる。

 

しかし、リートは氷の剣を手に作りエルザの攻撃を防いでいた。

 

「ぐっ...氷竜の...凍剣」

 

リートがエルザの剣を弾くと、二人は一度距離をとりお互いを見る。

 

「やるな、流石だリート」

 

「お前、やっぱり前回より強くなってんな、一瞬も気が抜けねぇじゃねぇか」

 

「おぉー!」

 

「すごい戦い、アタシなんかじゃついていけない...」

 

二人の戦いを見ていたルーシィが、そっと呟いた。

 

戦いの振動でナツが目を覚ましたが、状況をまだ把握していない。

 

「あれ?なんでリートの奴エルザと戦ってんだ?おい!リート!オレとの戦いはどうした!」

 

「ナツぅ、とっくに終わったよ~」

 

「なにぃ!」

 

結果を聞いたナツは、驚いた顔でハッピーを見た。

 

「よしっ今度はこっちからいくぞ!エルザ!」

 

「いいだろう!来い!リート!」

 

リートは、掌から巨大な氷の柱を作ると、今度は伸ばすのではなくエルザに向かって放つ。

 

「氷竜の柱弾!3連射!」

 

リートが放った三本の柱が、エルザに向かって襲いかかるがエルザはそれを難なくかわす。

 

「換装!」

 

「今度は飛翔の鎧かよ!」

 

エルザの速度が一気に上がり、リートの近くにくるとリートを切り刻んだ。

 

「飛翔・ソニッククロウ!」

 

「ぐぁっ!」

 

リートは斬擊を受けるが、すぐに立ち上がり自分の周りに円形の氷の床を張る。

 

「氷竜の陣円!」

 

「なに!?」

 

氷に足を取られて、エルザは足を滑らせ体制を崩す。

 

「くっ!換装!」

 

エルザは、また天輪の鎧に換装すると剣を自分の周りで円状に回転させた。

 

「天輪・サークルソード!」

 

「あっぶ!」

 

リートはギリギリでそれをかわすと、距離をとりながら前方のみに穴を開けたドーム状の氷を作り出す。

 

「氷竜の建円!」

 

そして全力で空気を吸い込む。

 

「氷竜の...咆哮!」

 

「くっ!換装!」

 

前以外全てを氷で塞がれたドームの中では、エルザには防御以外の選択肢はなく、金剛の鎧に換装し巨大な盾を前につきだす。

 

ゴォォォ!

 

リートのブレスがエルザに当たるが、エルザは金剛の鎧で防ぎきり、盾をを退けると目の前にはリートが巨大な拳を作り迫ってきていた。

 

「移動範囲が前しかなく、前方から攻撃が来たら防ぐしかないもんな」

 

「なっ!」

 

「氷竜の剛拳!」

 

リートはエルザを殴り飛ばす。

エルザも体制を立て直し、地に足をつけると、その瞬間、また氷のドームが作り出された。

 

「もういっちょ!」

 

「何度もくらわん!」

 

先程と同じ戦法と思ったエルザが前に飛び出すが、今度のドームは前もふさがりエルザは戸惑う。

 

「なに!?」

 

「攻撃が前から来るとは限らねぇぞ」

 

リートは、巨大な氷の塊をドームの上に落とす。

 

「氷竜の弾落」

 

氷の塊が、ドームの上からエルザに向けて落とされる。

 

 

ドォォン!...

 

 

「はぁ、はぁ、流石に魔力を使いすぎたな…もうほとんど魔力が残ってねぇ...」

 

魔力を消耗しすぎたリートは、苦しそうに肩で息をする。

 

「どうなった!」

 

「エルザは無事か!?」

 

「やりすぎだぞ!リート!」

 

川原がざわついたと思ったら、氷に縦に切れ目が入り、氷が切れたと思うと、エルザがフラフラと出てきた。

 

「やっぱりエルザも十分化け物だな...」

 

「私もほとんど魔力が残ってない...次で最後にしよう」

 

「同感だ...」

 

「換装!」

 

最後にエルザは巨人の鎧に換装し、槍を構える。

 

(滅竜奥義... 氷刀飛燕斬)

 

リートも、手を合わせて巨大な刀を作り、いつでも斬擊を飛ばせるように準備する。

 

「いくぞ!」

 

「あぁ!」

 

エルザとリートは、同時に飛び出して、エルザは槍を全力で投げリートは刀をふる。

 

「おぉぉぉぉ!」

 

「はぁぁぁぁ!」

 

二人の斬擊と槍がぶつかり大爆発が起こった。

 

きゃぁぁぁ!

 

うわぁぁぁ!

 

川原から、フェアリーテイルのメンバーの悲鳴が上がり煙が立ちあがる。

 

...煙が晴れるとエルザもリートも傷だらけで立っていた。

 

「...フッ、降参だ...」

 

戦意のなくなったエルザは、バタリとうつ伏せに倒れた。

 

「はぁ...はぁ...勝った...」

 

 

 

うぉぉぉ!!!

 

 

 

こうして、エルザとリートの試合は、リートの勝利で終わった。

 

 

・・・

 

その後、戦いで傷ついた二人は、ギルドのベッドに運び込まれた。

 

「あー、身体中がいてぇ...エルザのやつ本気でやりすぎだろ...」

 

「あんたも人の事言えないでしょ」

 

「全くですわヒヤヒヤしましたわよ」

 

「やっぱりリートは強いね。オイラ興奮しちゃったよ」

 

「すげぇなリート!あのエルザに勝つなんて」

 

「リート!やっぱりもう一回オレと勝負しろぉ!」

 

「私も本気で戦って負けたんだ、悔いはないさ」

 

ベッドの上で隣同士になっているエルザとリートを、ナツ達が囲んで騒いでいた。

 

 

「もう、しばらくはこんな戦いしたくねぇ...」

 




以上でリートVSエルザの戦いは終了となります
どうやってもエルザと戦わせるきっかけが浮かばずナツには物語の犠牲者になってもらいました。
ナツ!すまん!また本編で活躍させるから許して!
今回出なかったアンケートの別話もそのうち投稿しようかな?と思ってます詳しいことはまた前文で報告いたしますのでよろしくお願いいたします
...また別のアンケートもやろっと


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ガルナ島編
ナツVSエルザ


今さらながらリートのコートは成長したら大きさ合わなくね?とか思い始めました...
今さら変えられねぇしリートの成長に合わせて大きくなるって設定にしよう!うん!そうしよう!
やはりコートは無理があったか...



『魔法評議会会場ERA』

 

鉄の森(アイゼンヴァルド)が潰れたところで根本的な問題は何も解決しないのだよ」

 

「闇ギルドは星の数ほどいる」

 

「では、一掃作戦を実行すべきだ」

 

「どうやって?」

 

評議員の上官メンバーが話し合う

 

「今回のようにまたゼレフの魔法を持ち出されたらたまらんぞ」

 

「そもそもこれ程の魔法がなぜこうも簡単に持ち出されたのじゃ」

 

「責任問題は管理側にまで及びそうじゃな」

 

「それにしてもあれだけ けむたがってたフェアリーテイルに今回だけは助けられたみてーだな」

 

「たった5~6人でギルドを1つ潰しちゃうんだもん凄いわね」

 

評議員の中でも若い男女2人が妖精の尻尾(フェアリー テイル)を評価する

 

「ぐっ...」

 

「認めたくないのも分かるがこれは事実さ

 

もしも呪歌(ララバイ)を使われギルドマスターが殺されていたら事態は最悪だった、この中の何人かは首が飛ぶだろうな

 

素直に労いの言葉でもかけてやるんだな」

 

魔法評議員のなかでも最も若い顔にイレズミの入った男、ジークレインはそう言った

 

 

・・・

 

 

『ルーシィの家』

 

ルーシィは母親宛に手紙を書いていた

 

「ふぅー、ハラハラドキドキの冒険もいいけどやっぱり自分家は落ち着くなぁ」

 

ルーシィが体をのばすと後ろから声がした

 

「これで、家賃7万は確かに安いなぁ」

 

「?」

 

「いいとこ見つかったなルーシィ」

 

「不法侵入!しかも人ん家で服脱ぐな!」

 

「ぐほぉ!」

 

ルーシィは不法侵入者のグレイに蹴りを入れる

 

「ちょっと待て誤解だ、脱いでから来たんだ」

 

「帰れ!」

 

「例のアレ今日だぞ、忘れてんじゃねぇかと思って来てやったのによぉ」

 

「アレ?」

 

「出発前にナツがいってただろ?ナツとエルザが戦うんだ」

 

 

・・・

 

 

『街の広場』

 

「ちょっと!二人とも本気なの!?」

 

「お、ルーシィだ」

 

「遅かったですわね」

 

「本気も本気!本気でやらねば漢ではない!」

 

「エルザは女の子よ」

 

「女とは思えねぇ強さだけどな...」

 

ルーシィは慌てているが他のメンバーはさほど気にしていないようだった

 

「だって...最強チームの二人が激突したら...」

 

「最強チーム?なんだそりゃ」

 

グレイは意味がわからないという顔でルーシィを見る

 

「あんたとナツ、リートとエルザじゃないっ!トップ4でしょ?」

 

「はぁ?下らねぇ誰がそんな事を言ったんだよ」

 

「あっ...それ言ったのは...」

 

リートが答えようとするが

 

 

「しくしくしく...」

 

 

「あ‥‥ミラちゃんだったんだ‥‥」

 

「遅かったか...」

 

「まぁ!レディを泣かすなんて!グレイ、標本に全裸で張り付けて町中で公開処刑される覚悟はありまして?」

 

「ごめん!ミラちゃん!俺が悪かった!」

 

「基本毎日裸の奴が何を慌ててんだか...」

 

グレイは慌ててミラをなだめる

 

「確かにナツやグレイの漢気は認めるが、『最強』と言われると黙っておけねぇな、妖精の尻尾(フェアリー テイル)にはまだまだ強者が大勢いるんだ。俺とか」

 

「そこで自分を出さなきゃカッコイイ台詞だったんだけどなぁ...」

 

「最強の女はエルザで間違いないんだけどね」

 

「最強の『男』となるとミストガンやラクサスもいるし、リートは確かにそいつらと同類だけど...あのおやじも外すわけにはいかねぇしな」

 

「人じゃねぇみたいな言い方すんな」

 

フェアリーテイルの最強各のメンバーを次々と言われていく

 

「しくしく...私はただナツとグレイとリートとエルザが一番相性がいいと思ったのよ」

 

「仲が悪いのが心配だからルーシィも連れてったんだろ?...あーもう、わかったからもう泣くな、な?」

 

「うん」

 

リートはミラの頭を撫でてなだめる

 

「あれ?これって...」

 

「どぅえきてるぅですわね」

 

「ハッピーのがうつってんぞラリカ...」

 

「なんにせよ、面白い戦いにはなりそうだな」

 

「そうか?俺の予想じゃエルザの圧勝だが」

 

ナツとエルザは対峙している

 

「こうしてお前と魔法をぶつけ合うのも何年ぶりかな」

 

「あの時はガキだった!!!今日こそお前に勝つ!」

 

ナツはエルザに挑発していたがエルザの表情は常に笑っていた

 

「リートはどっちが勝つと思いますの?」

 

「ん?そうだな、確かにナツは強くなったけど、それはエルザも同じだ、ナツが技や兵法を上手く利用すれば勝ち目はあるだろうけど...猪突猛進のバカだからそれは無理だろうし、エルザの勝ちだろうな」

 

「兵法?」

 

「簡単に言えば地の理を上手く利用するってことだよ」

 

「へぇー」

 

 

「私も本気でいかせてもらうぞ、全てをぶつけてこい!」

 

エルザは赤い炎のような柄をした鎧『炎帝の鎧』に換装する

 

「炎帝の鎧!耐火能力の鎧だ!」

 

「これじゃあナツの炎が半減されちまう!」

 

「エルザ!そりゃあ本気すぎだぜ!」

 

ハッピーは黙って試合を見つめているとカナのところへ向かう

 

「やっぱりエルザに賭けてもいい?」

 

「なんて愛の無いネコなの!?」

 

「いや!突っ込むとこそこか!?」

 

ナツとエルザの先頭準備が完了すると周りは静寂した

 

「...始めいっ!」

 

マカロフの合図と共にナツが飛び出し炎を纏った手でエルザを引っ掻きにいく

 

「だりゃ!」

 

エルザはナツの攻撃をかわし刀を横にふるがナツも頭を下げ刀をかわしそのまま蹴りあげる

 

「おらぁ!」

 

エルザは重心を後ろにそらせるともう一度刀をふる

 

ナツがバク転で避けるが腕を蹴られバランスを崩す

 

ボッ!

 

バランスを崩した状態でもナツはエルザを見てブレスを吐く

 

「あちち!」

 

「コラ!ナツ!てめぇ!」

 

「すごい!」

 

「なっ、いい勝負してるだろ?」

 

「今のところ互角だな」

 

「どこが」

 

ルーシィ、エルフマン、リートはナツ達の戦いを評価するがグレイは不満そうにする

 

ナツの拳とエルザの剣がぶつかり合いそうになるその時

 

 

パァン!

 

 

手を叩く音が聞こえると全員が音のした方へ振り向く

 

「そこまでだ全員その場を動くな私は評議員の使者である」

 

蛙のような人間?が話を始めた

 

「評議員!?」

 

「使者だって!?」

 

「なんでこんなところに!?」

 

「あのビジュアルはスルーなのな...」

 

「先日の鉄の森(アイゼンヴァルド) テロ事件において器物損害罪及び11件の罪の容疑で『エルザ・スカーレット』を逮捕する」

 

 

 

 

「「「「え?」」」」

 

 

 

 

「なんだとぉーーー!」

 




最近コメントでリートのイメージがつかないwと感想をいただき分かりずらい設定にしてしまったなとちょっと後悔しております。申し訳ないw
基本は皆様のご想像にお任せしてますw
主の個人的なイメージはわかる人なら分かると思いますが「なろう小説」に出てくる『治癒魔法の間違った使い方』の主人公ウサトの髪を全体的に少しだけ伸ばした感じかな?って思ってますw
...挿絵の募集とかできねぇかな...(人任せ...)
ちなみに本文の兵法は宮本武蔵が佐々木小次郎を倒すのに背後の日の出を利用して目をくらませて倒したのがいい例ですね


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ミストガンとラクサス

そういえば、リートの名字考えてなかった...どうしよう...今から考えればなんとかなる!本文にも出せる!
まずは、一日中何も考えず食べていられるように甘いものを準備だ!(考える気なし)
では、本編です


妖精の尻尾(フェアリー テイル)ギルド』

 

「...」

 

エルザの逮捕によりギルド内は静寂に包まれていた‥‥一人を除いて

 

「出せー!ここから出せー!」

 

「ナツ、うるさいわよ、出したら暴れるでしょ?」

 

ナツはトカゲの姿にされコップに閉じ込められていた

 

「暴れねぇよ!つーか元に戻せ!」

 

「そうしたらナツは助けに行く!!って言うでしょ?」

 

「行かねぇよ!誰がエルザなんか!」

 

ナツはコップの中で暴れ続ける

 

「今回ばかりは相手が評議員じゃ手の打ちようがねぇ」

 

「...」

 

「どうしたの?リート」

 

「ん?いや、ちょっとな...」

 

リートはほとんど何も言わずただ椅子に座っていた

 

「出せー!俺は一言言ってやるんだ!評議員だか何だか知らねぇが間違ってんのはあっちだろ!」

 

「白いもんでも評議員が黒って言えば黒になるんだ俺らの言い分なんか聞かねぇよ」

 

「しかしなぁ、今まで散々やってきた事が、何で今回に限って」

 

「あぁ、理解に苦しむね」

 

「絶対に何か裏があるわ」

 

ルーシィは何か裏があると考えていた

 

 

・・・

 

 

『魔法評議会フィオーレ支部 魔法裁判場』

 

「!」

 

エルザが裁判所にむかって歩いているとジークレインが待っていた

 

「ジークレイン!」

 

「久しぶりだなエルザ」

 

エルザは身構えた

 

「そう身構えるな、思念体だ裁判前にお前に会いに来たのは他でもない、『あの事』はジジイどもには言う

な...お互いの為にな

 

では、裁判所で待っているぞ評議員としてな」

 

ジークレインの思念体が消える

 

「あんた...すごい人と知り合いなんだな...」

 

「...悪だ」

 

そういうとエルザは裁判所の扉を開き入っていく

 

「これより魔法裁判を開始する」

 

「被告人エルザ・スカーレットを証言台へ」

 

エルザが証言台に立つと魔法裁判が始まった

 

 

・・・

 

 

再び『妖精の尻尾(フェアリー テイル)ギルド』

 

「やっぱり放って置けない証言をしに行きましょ!」

 

「落ち着けよルーシィ、それに今さら向かったところで判決には間に合わねぇよ」

 

「リートの言うとおりじゃ大人しく判決を待っておれ」

 

「マスターもリートも何でそんなに平然としてられるのよ!」

 

ルーシィはマカロフとリートが焦ってないことに怒りを感じる

 

「出せー!俺を出せー!」

 

「本当に出してもよいのか?ナツ」

 

「お前、出たら後悔するだろ?」

 

「...」

 

ナツはいきなり大人しくなった

 

「どうしたナツ、急に元気がなくなったな」

 

「まぁ当然か」

 

「カァッ!」

 

マカロフがナツに魔法を当てるとトカゲの姿から元に戻りマカオが出てくる

 

「マカオ!?」

 

「すまねぇナツには借りがあってな、ナツに見せかけるために自分でとかげに変身したんだ」

 

「やっぱり...」

 

「じゃあ本物のナツは!?」

 

「まさかエルザを追って...!!!」

 

「あいつじゃ評議員すら殴りかねねぇぞ!」

 

「全員黙っておれ」

 

「まぁ、大人しく結果を待ってろって事だよ...」

 

マカロフとリートが場を納めた

 

 

・・・

 

 

『裁判所内』

 

「被告人エルザ・スカーレットよ先日の鉄の森(アイゼンヴァルド)によるテロ事件において」

 

「主はオシバナ駅一部損害、リュシカ峡谷鉄橋破壊 クローバーの洋館全壊これらの破壊行為の容疑にかけられている」

 

「目撃者の証言によると犯人は鎧を着た女魔導師であり...」

 

裁判を続けているといきなり

 

 

 

ドォォォン!

 

 

 

爆発音が聞こえ、ナツがエルザの格好を真似しながら入ってきた

 

「俺がエルザだぁ!捕まえられるものなら捕まえてみやがれ!なんの罪か言ってみろ!それはギルドマスターの命より重てぇ罪なんだろうな!あ?」

 

「ふぅ...二人を牢へ」

 

「申し訳ありません...」

 

「エルザ!こんな奴に!謝る事はねぇ!あっいや!俺がエルザだ!」

 

 

・・・

 

 

『牢の中』

 

ナツとエルザは一緒に投獄されていた

 

「お前には呆れて言葉もない、これはただの儀式だったんだ」

 

「儀式!?」

 

「魔法界全体の秩序を守るため評議会としても取り締まる姿勢を見せておくための形だけの逮捕だ」

 

「なんだそりゃ、意味がわかんねぇ」

 

「つまり有罪にはなるが罰は受けないお前が暴れなければ今日中にでも帰れたんだ」

 

「えーーーっ!」

 

「全く...」

 

「すまねぇ」

 

ナツは気が抜けたように肩を落とす

 

「だが、嬉しかったぞ、フフッw」

 

ガン!

 

「痛ぇ!」

 

エルザは自分の鎧にナツを抱き寄せた

 

その牢を一人の男ジークレインが見ていた

 

「なるほどフェアリーテイルにいたのか、ナツ・ドラグニル、ということは、やはりリート・イクシーズも」

 

 

・・・

 

 

数日後『妖精の尻尾(フェアリー テイル)ギルド』

 

「やっぱりシャバの空気はうめぇ!自由って素晴らしい!」

 

ナツは走り回って暴れていた

 

「あのバカ...」

 

「もう少し入ってればよかったのに」

 

ルーシィもリートも呆れてナツを見ていた

 

「そういえば、リートは形式だけの逮捕って気付いてたんだよね?」

 

「まぁな、罪状なだけにエルザを逮捕なんていまさらすぎるし、俺も皆には秘密にしてたが似たような事はあったしな」

 

「そうか!蛙の使いだけにすぐ帰る」

 

「流石、氷の魔導士、半端なく寒ぃ」

 

「その理屈だと、俺も寒いギャグを言ってることになるんだが...」

 

グレイの寒いギャグにエルフマンとリートが反応する

 

「...で?エルザとの漢の勝負はどうなったんだよナツ」

 

「漢?」

 

「そうだ!忘れてた!エルザこの前の続きだ!」

 

ナツの表情が変わりエルザに勝負を挑む

 

「よせ、疲れているんだ」

 

エルザは断るがナツは容赦なくエルザに突っ込んでいく

 

「いくぞぉ!」

 

「やれやれ」

 

 

ドゴォォン!

 

 

 

エルザはハンマーを換装し、ナツを殴り飛ばした

 

「仕方ない、始めようか」

 

「「終~了~(ですわ)」」

 

「理不尽すぎる...」

 

「「ギャハハハ!だせーぞ!ナツ!」」

 

「やっぱりエルザは強えぇ!」

 

ギルドは一気に騒がしくなった

 

「?どうしましたかマスター?」

 

「いや、眠い...」

 

マカロフが眠いと言うとギルドのメンバーが次々と寝ていく

 

「...」

 

マカロフとリートは眠気に襲われるがまだ起きていた

 

 

 

つか つか つか

 

 

 

ギルド内を歩く音がひとつ、顔まで全身を布で隠した男ミストガンである

 

 

ビッ

 

ミストガンはリクエストボードから依頼をひとつ取ると

マカロフの前に置く

 

 

「...行ってくる」

 

「うむ」

 

「ミストガン、眠りの魔法を解いてから行けよ」

 

リートがミストガンに言うと

 

「伍、四、参、弐、壱」

 

ミストガンはそういいながら霧に消えていった

 

パチ!パチパチ

 

「ぐぅーぐぅー」

 

ナツ以外は全員目を覚ました

 

「この感じはミストガンか!」

 

「あんにゃろぉ!!」

 

「相変わらずすげぇ眠りの魔法だ」

 

「ミストガン?」

 

「フェアリーテイルの最強男候補の一人だよ」

 

ルーシィの疑問にロキが答えた

 

「どういう訳か誰にも姿を見られたくないらしく仕事をするときはいつもこうやって全員を眠らせちまうのさ」

 

「だからマスター以外誰も顔を知らねぇ」

 

「いんや、俺とリートも知ってるぞ」

 

2階から声がすると全員がそちらを振り向く

 

「ラクサス!!」

 

「いたのか!珍しいな!」

 

「もう一人の最強候補だ」

 

「ミストガンはシャイなんだあんまり詮索してやるな」

 

「あれは、シャイなのか?」

 

リートはラクサスの台詞に疑問を持つ

 

「ラクサス!俺と勝負しろぉ!」

 

ナツは目を覚ましてラクサスに勝負を挑んだ

 

「お前はさっきエルザに吹っ飛ばされたばっかだろうが」

 

リートがナツにツッコむ

 

「そうそう、エルザごときに勝てねぇようじゃ俺には勝てねぇよ」

 

「それはどういう意味だ」

 

ラクサスの挑発にエルザはのっかる

 

「なんならリートお前が勝負するか?」

 

「パス、お前の戦い方は相手にするのめんどくさいから嫌だ」

 

「へっwとにかく俺が最強って訳だ」

 

「降りてこいこの野郎!」

 

「お前が上がってこい」

 

「上等だ!」

 

ナツは2階に向かって走り出すが

 

「2階には上がってはならん、まだな」

 

マカロフが巨大な手でナツを潰した

 

「ぬぐぅ」

 

「ははっw怒られてやんの」

 

「ラクサスもやめんか」

 

マカロフが二人の喧嘩をとめた

 

「フェアリーテイルの最強の座は誰にも渡さねぇよ、ミストガンにもリートにもエルザにも、あのオヤジにもな」

 

「俺が最強だ!!」

 

 

・・・

 

 

「さっきマスターが言ってた2階に上がっちゃいけないってどういう事ですか?」

 

「まだ、ルーシィには早い話だけどね」

 

「2階のリクエストボードには1階とは比べ物にならない位難しい仕事が貼ってあるんだよ、いわゆるS級クエスト」

 

リートが話しに入って説明した

 

「一瞬の判断ミスが命取りになるのよその分報酬もいいけど、S級の仕事はマスターに認められている人しか受けられないの資格があるのはエルザ、リート、ラクサス、ミストガンを含めてまだ6人しかいないのよ」

 

「つってもS級なんて目指すもんじゃねぇよ、命がいくつあっても足りねぇだろうし報酬額が見合ってんのか、わかんなくなってくるし」

 

 

・・・

 

 

ルーシィは帰り道を歩いていた

 

「ラクサスもミストガンも聞いたことある名前だったなぁ」

 

「やっぱりフェアリーテイルってすごいギルドよね大体の力関係もわかってきたし」

 

ルーシィはナツとグレイと自分の力が同じくらいと考えていた

 

「明日もがんばろぉー!」

 

ルーシィが家について扉をあけると

 

「お帰り!」

 

「おかー」

 

「きゃぁぁぁ!」

 

ナツがルーシィの部屋で腹筋をしてハッピーはダンベルを持ち上げていた

 

「汗くさい!自分家で筋トレしなさいよ!」

 

「エルザやラクサス、リートに勝つにはもっと力をつけないとな」

 

「あいさー」

 

「誰か助けてぇ!」

 

「俺、決めたんだ」

 

「?」

 

「S級クエストいくぞ、ルーシィ」

 

ハッピーがクエストの依頼書を引っ張り出す

 

 

「えーーーー!」

 

 




書きながら考えました!リートのフルネームは
『リート・イクシーズ』にします!
あれ?エクシードみたいになった...まぁいいか!偶然です!偶然!


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悪魔の島

今回リートはエルザと同行させる予定ですので、申し訳ないですがナツ達より到着が遅くなるため話が進行したところから始まります


妖精の尻尾(フェアリー テイル)ギルド』

 

ざわざわ...

 

「ただいまー」

 

「ただいま帰りましたわ」

 

リートとラリカは仕事を終えて戻ってきた

 

「リート!ちょうどよかったお前も来い!」

 

「え?」

 

エルザはリートの服を掴みそのままギルドを出ようとしたが

 

「ちょちょっ、ちょっと待てよ!何だよいきなり!」

 

「どうかしましたの?」

 

リートはそれを振りほどく

 

「話はあとだ!いいからついて来い!」

 

「嫌だよ、何があったか知らねぇけどいきなりついて来いなんて言われて、はい分かりましたってなるわけねぇだろ」

 

説明されるまで断固として動こうとしないリートにミラが説明する

 

「ナツとハッピー、あとルーシィがS級クエストに行っちゃったのよ」

 

「なんだと!?」

 

「あの3人がですの!?」

 

「ラクサスはハッピーがクエストの依頼書を持ってくのをみたらしいんだけど引き留めなくって、しかも仕事があるからって連れ戻しに行ってくれないし...今はグレイが連れ戻しに行ったけど戻って来ないのよ...」

 

「!?」

 

 

 

ダン!!

 

 

 

リートは壁を思いっきり殴ったあとラクサスに詰めより胸ぐらを掴んだ

 

「どういう事だ...ラクサス...」

 

「どうもこうも、俺には泥棒ネコが紙切れくわえていったようにしか見えなかったんだよ」

 

 

 

「ふざけんな!!そんな理屈が通用すると思ってんのか!!!」

 

 

 

「理屈も何もそう見えたもんは仕方ねぇだろ?」

 

 

 

 

「てめぇ!!仲間を見殺しにするつもりか!!!」

 

リートの怒りがラクサスに向けられる

 

「はっw仲間だ?俺が引き継いだ暁には妖精の尻尾(フェアリー テイル)に雑魚は要らねぇ、帰ってこなかったらそれまでだwそれともあれか?ナツとコンビだもんなお前は、心配か?なんにしろ、少しだけ妖精の尻尾(フェアリー テイル)から抜けるのが早まるだけだろ?死という形になってな」

 

「てっめぇ!!!」

 

「やめろリート!」

 

「喧嘩している場合かよ」

 

ギルドのメンバーがリートを抑える

 

「っち、エルザ、あいつらの行った場所は分かってるのか?」

 

「あぁ、悪魔の島ガルナ島だ」

 

「分かった...ラリカ、すまねぇけどお前もついてきてくれ」「え、ええ...」

 

ラクサスの胸ぐらから手をはなしたリートはエルザとラリカと共にナツ達を追いかけに行こうとギルドの出入り口へ向かう

 

「ラクサス」

 

「あん?」

 

「てめぇの言い分はよく分かったし今は口出しする気はねぇ、だがな」

 

 

「もし、今のてめぇがマスターを引き継ぎ妖精の尻尾(フェアリーテイル)の仲間を切り捨てていくクズギルドにするようなことがあったら...」

 

 

 

 

「てめぇを蹴落としてでも、俺がマスターの座を奪ってやるから覚悟しておけ」

 

 

 

 

 

リートはドスのきいた声でラクサスにそう言うとエルザと共に出ていった

 

「リートの奴、珍しくマジでキレてたな...」

 

「あぁ本気でビビったぜ...」

 

 

・・・

 

 

『列車内』

 

先程威勢を放っていたリートは列車に酔っていた

 

「...うっぷ」

 

「さっきの威勢はどこにいきましたのかしら...」

 

「無理を言ってやるなリートは元々乗り物に弱いんだからな」

 

 

・・・

 

 

『港町ハルジオン』

 

「ハルジオンからどうやってガルナ島に行きますの?」

「ここは泳いで...」

 

「とりあえずガルナ島に送ってもらえる船乗りを探すぞ」

 

「エルザに賛成ですわ」

 

「泳いだっていいじゃねぇか...」

 

「よし、あの船乗りから借りるぞ」

 

((嫌な予感...))

 

エルザは船乗りに話しかけた

 

「すまないが船を貸してくれないか」

 

「は?誰だあんt..ぐえぇっ!」

 

エルザは船乗りを殴り気絶させた

 

「嫌な予感」

 

「的中ですわね」

 

「よし!いくぞお前達、船にのれ」

 

「はいですわ」

 

「えぇーっ...」

 

エルザ達は船を漕ぎ島へと向かった

 

 

・・・

 

 

『ガルナ島』

 

「さて、どうする?エルザ」

 

「とりあえず3手に別れてナツ達を探すぞ」

 

「分かりましたわ」

 

エルザ、リート、ラリカの三人は別々にナツ達を探し始めた

 

 

 

「探すっつってもこの広い島を探すのは結構骨だ

ぞ...」

 

リートがナツ達を探していると

 

 

 

ザバァァッ!

 

 

 

いきなり大きな水の音が聞こえた

 

「!?...あっちか!」

 

リートは水の音がした方に走り出した

 

 

 

『海岸』

 

リートが走って海岸につくと

 

「ルーシィ!見つけた!」

 

ルーシィを見つけたリートが走りよっていくと

 

「ちゅー!!!」

 

「なんだ?ってネズミ!?デカ!」

 

「あぁぁぁ!」

 

「ヤバッ!」

 

リートはルーシィとネズミの間に割って入り込みネズミを切り裂く

 

「氷竜の凍剣」

 

「チュウウウウ~!!!」

 

「!!!」

 

「リート!」

 

「...」

 

「‥‥さん」

 

(そうだった!あたし達ギルドの掟やぶって勝手にS級クエストに来ちゃったんだ...)

 

リートはうつむいたままルーシィに向かって何も言わずに近ずいた

 

「?...?」

 

ルーシィは混乱していたがいきなり頭の天辺に激痛が走る

 

「いったぁぁぁ!」

 

リートはルーシィに拳骨をして話し始めた

 

「俺がここにいる理由は、言わなくてもわかるよな」

 

「あ...いや...その...連れ戻しに...ですよね」

 

正座をさせられたルーシィは震えながら話す

 

「よかったー!!ルーシィ無事だったぁ?」

 

ハッピーの目には正座をさせられたルーシィとそれを仁王立ちで見下しているリートが映った

 

「!?」

 

「...」

 

ピュー

 

ハッピーは全力で森の中へと逃げるがリートは追いかけなかった何故なら...

 

「そっちからは...」

 

ゴン!

 

大きな音がしたと思ったらおそらくリートと同じように水の音を聞いて駆けつけたと思われる人影...

 

ハッピーの尻尾を掴んだエルザとその近くを飛びながらラリカがやってきた

 

「足音が聞こえてたし、エルザが来てる...」

 

「もう遅いわよ!」

 

「ナツはどこだ」

 

「ちょっと聞いて!...」

 

「勝手に来ちゃったのは謝るけど今この島は大変なことになってるの!!」

 

「...」

 

エルザもリートも何も言わない

 

「氷付けの悪魔を復活させようとする奴がいたり!村の人たちはそいつ等の魔力で苦しめられていたりとにかく大変なの!」

 

「あたし達...この島を救ってあげたいんだ...」

 

「俺が知ったことじゃない」

 

「私も興味がないな」

 

「二人共!」

 

リートとエルザは聞く耳をもたずラリカだけはルーシィの言葉に心を動かされていた

 

「じゃあ、せめて最後まで仕事を...」

 

 

シャキィン

 

 

ルーシィに向かってリートは凍剣を、エルザは換装した剣を向けた

 

「仕事?受理もされず勝手に来て皆を心配させておいて仕事もへったくれもねぇだろ」

 

「貴様等はマスターを裏切った、ただですむと思うなよ」

 

ルーシィは涙目になる

 

(こ、怖い...)

 

 

・・・

 

 

翌朝

 

エルザとリートとラリカはルーシィとハッピーを縛り座らせて残りの二人が来るのを待っていた

 

「エルザ!リート!ラリカも!」

 

テントの中に入ってきたグレイが二人を見て驚く

 

「大体の事情はルーシィから聞いた」

 

「お前はナツ達を止める側だっただろ?」

 

「ナ...ナツは?」

 

「俺達が聞きてぇよ」

 

ナツの居場所がわからずエルザはルーシィに問いかけた

「ルーシィ、ナツはどこだ?」

 

「わからない、村で零帝の手下と戦ってたはずだけどそいつ等は片付けられてたのにナツはいなかったの、それでねとりあえずグレイのところに連れてけって言われて」

 

「よくこの場所がわかったな村の資材置き場だときいたぞ」

 

「ハッピーとラリカに空から探させた」

 

「あい...縛られたまま...」

 

「つまりナツはこの場所が分からずフラフラしているわけだな」

 

「リート、ナツを探しに行くぞ見つけ次第全員を連れてギルドに戻る」

 

「分かった」

 

エルザとリートは立ち上がって出入り口へ向かった

 

しかしグレイはエルザ達の前に立ちふさがる

 

「何言ってんだよお前ら!事情を聞いたならこの島で何が起こってるか知ってるだろ!」

 

「だから何だよ」

 

「私たちの知ったことではない」

 

「!!‥‥‥」

 

 

『遺跡前』

 

 

「さーて、やるか」

 

ナツが何かをするつもりのようだ

 

 

『資材置き場』

 

 

「私達はギルドの掟を破った者達を連れ戻しにきた残るはナツ一人それ以外の事に一切興味がない」

 

エルザはそう言い捨てた

 

「この島の人達の姿を見たんじゃねぇのかよ」

 

「見たさ」

 

「それがなんだ?」

 

「それを放っておけと言うのかよ!」

 

グレイはエルザ達を説得しようとする

 

「依頼書は各ギルドに発行されてるだろ?正式に受理されたギルドの魔導士に任せるのが筋なはずだ」

 

「リートの言うとおりだ」

 

「見損なったぞ‥‥‥エルザ、リート」

 

「あ?」

 

「なんだと?」

 

グレイはエルザ達に歯向かった

 

「グレイ!エルザ様とリート様に何て事を!!」

 

「様?」

 

「ハッピー本当に反省してますの?」

 

エルザとリートは少しだけキレる

 

「てめぇ今なんつった...」

 

「お前までギルドの掟を破るつもりか」

 

エルザはグレイに剣を向け、リートは殺気を放つ

 

「ただではすまさんぞ」

 

「覚悟あるんだろうな?」

 

 

ガシッ

 

 

「「!?」」

 

グレイはエルザの剣を掴んだ

 

「勝手にしやがれこれは俺が選んだ道だ、やらなきゃならねぇことなんだ」

 

剣を離したグレイは出入り口へ向かう

 

「最後までいかせてもらう、斬りたきゃ斬れよ」

 

「...」

 

リートとエルザは何も言わない

 

「...はぁ…エルザ、とりあえずこの依頼を受けよう」

 

リートはそう言った

 

「「「リート!」」」

 

ルーシィとハッピー、ラリカは嬉しそうな顔をする

 

「お前までそんなことを!」

 

エルザはリートに怒鳴る

 

「このままじゃ話が進まねぇだろ、グレイまであの調子だし...放っておいたら余計に面倒くさくなる」

 

「...」

 

エルザは大人しくなるが顔が影に隠れて見えていなく怒ってるようにみえた

 

「エルザ~!おおおお落ち着いて~」

 

「グレイは昔の友達にやられて気が立ってるんだよ」

 

「仕方ありませんわね」

 

ギロッ

 

エルザがルーシィ達を睨み付ける

 

「エルザ~!!」

 

「「リート!!助けてぇ!!」」

 

ぱさり

 

ルーシィとハッピーの紐が切られた

「行くぞ」

 

「エルザ...」

 

「リートの言うとおり話しにならんまずは仕事を片付ける」

 

「フッw」

 

「「エルザ!」」

 

「勘違いするなよ、罰は受けてもらうぞ」

 

「「あい」」

 

「まっ、当然だな」

 

「ですわね」

 

 

 

・・・

 

 

『遺跡内』

 

「情けない...残ったのはお前だけか」

 

零帝を名乗る男リオンが犬の顔をした男トビーにそう言った

 

「おぉーん」

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)め、なかなかやるな」

 

「俺が自爆ったのは内緒の方向で...」

 

「...」

 

「これではデリオラの復活も危ういでございますな」

 

「いたのかザルティ」

 

仮面と毛皮を被った老人ザルティが出てくる

 

「今宵月の魔力は全て注がれデリオラが復活する、しかしムーンドリップの儀式を邪魔されてしまえばデリオラは氷の中です」

 

リオンは問題ないと自信のある顔をした

 

「下らん、俺が最初から出ればよかっただけだ」

 

「おぉーん、面目ない」

 

「相手は火竜(サラマンダー)氷竜(セルシウス)妖精女王(ティターニア)ですぞ」

 

ザルティは情報をリオンに伝えた

 

「相変わらず情報が早いな、だが俺には勝てんウルをも越える氷の刃にはな」

 

「それはそれは頼もしい限りですな、では私めも久しぶりに参戦しますかな」

 

ザルティが、そう言ったとたん

 

 

ズゴォォ!

 

 

遺跡が傾いた

 

「何だ!?」

 

「早速やってくれましたな」

 

穴の空いた床から下をみるとそこにはナツがいた

 

「普段知らねぇうちに壊れてることはよくあるけど...壊そうと思ってやると結構大変なんだな」

 

「なんのつもりだ?」

 

「建物曲がったろ?これで月の光は地下の悪魔に当たんねーぞ」

 




今回はここまでです。リートを強キャラにしたのにS級ではないのはおかしいってことですのでエルザと一緒にガルナ島に向かってもらおうって事にしました。
ガルナ島にナツ達と向かう事を想像してくださった方申し訳ないですw次回は戦闘シーンをなるべくいれていきたいと思ってます


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絶対氷結(アイスドシェル)

グレイの過去を書こうとも考えましたがやはりこの物語はリートが主役なので今回はスルーします。
グレイの過去を知らない、もしくは、もう一度読みたかったという方は是非とも漫画の方でお願い致します
(この作品読んでてグレイの過去知らないって人はさすがにいない...のか?..)


『遺跡内』

 

「何て事をしやがる」

 

零帝リオンはナツを睨み付ける

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)め‥‥」

 

「ダメだ何が起こったのか全然わかんね」

 

「この遺跡を傾かせたようですな、遺跡の支柱を半分破壊し傾かせた事で月の光をデリオラまで届かせない作戦でしょう」

 

「見かけによらずキレ者でございますな」

 

「ごちゃごちゃうるせぇよ!!」

 

ナツは足に炎を纏い爆発させ飛び上がった

 

「かぁぁぁ!」

 

 

ゴキィン!

 

 

ナツはそのままリオンに頭突きを放つがリオンは氷となり崩れた、偽物である

 

「こっちだ」

 

リオンは氷で造った鳥をナツに放つ

 

「空中じゃ避けれまい」

 

しかしナツは小さくブレスを吐き床にぶつかりリオンの攻撃をかわした

 

「残念!避けれるぞ」

 

ナツは足から炎を出しブレイクダンスの要領で振り回す

 

「くっ!こんなデタラメな魔法が...」

 

リオンはナツの炎を飛び上がり回避した

 

「空中じゃあ避けられないんじゃなかったか?」

 

「!!!」

 

「火竜の咆哮!」

 

ナツがリオンに向かってブレスを放つが

 

ミシッミシッ ガラララ

 

「おおっ!?」

 

床が崩れてナツが落ちていった

 

「おやおや運がよかったようですな零帝様」

 

「何をした、ザルティ」

 

「はて...」

 

「とぼけるな、床が抜けたのは貴様の魔法だろう」

 

リオンはザルティにつめよった

 

「さすが零帝様お見通しでしたか」

 

「俺があんな炎をくらったくらいで死ぬと?」

 

 

ピキピキ

 

 

リオンの周りを氷が張り部屋一面が氷でいっぱいになる

 

「出ていけ、こいつは俺一人で片付ける。俺はデリオラを倒せる唯一の魔導師零帝リオンだ!こんな小僧を消せんようでは名がすたる」

 

「おやおや」

 

「デリオラを倒す?」

 

 

・・・

 

 

「それがあいつの目的なの!?」

 

リート、エルザ、ルーシィ、ハッピー、ラリカは遺跡に向かって走りながらグレイからリオンの目的を聞いていた

 

 

・・・

 

 

「もう半分倒されてるようなもんだろーがわざわざ氷から出して、あいつと戦いてーのか?」

 

「変わったやつだなおまえ」

 

ナツはリオンの目的を変わった事と言いはなった

 

「全てはウルを越えるため、夢の続きを見るためだ!!」

 

リオンの氷で造られた鳥がナツに襲いかかるがナツはかわし続ける

 

「だったらウルと直接戦えばいいんじゃねぇーの?」

 

「聞いてないのか?ウルは既に死んでいる、グレイのせいでな!」

 

氷の鳥がナツにぶつかるがナツは左腕を盾に防いでいた

「過去に何があったか知らねぇが今おまえがやろうとしている事で迷惑している奴がたくさんいるんだ。」

 

「いい加減目を覚ましてもらうぞ熱ーーいお灸でな」

 

 

・・・

 

 

「リオンは昔からウルを越える事だけを目標にしてきただからそのウルがいなくなった今ウルの倒せなかったデリオラを倒すことでウルを越えようとしている」

 

グレイはリオンについて話していた

 

「そっか...死んだ人を越えるためにはその方法しか」

 

「いや、あいつは知らないんだ‥‥確かにウルは俺たちの前からいなくなっただけど‥ウルはまだ生きている」

 

 

 

「「「えぇー!」」」

 

 

 

「いなくなったけど生きてる?どういう事だ?」

 

リートはグレイに尋ねた

 

「10年前だウルはデリオラを倒すためにアイスドシェルって魔法を使い自分の身を氷に変えデリオラを封印した、つまりあの氷はウルそのものなんだ」

 

グレイの話を聞いてる内に遺跡が見えるところまできた

 

リート達は遺跡の異変に気付く

 

「遺跡が...傾いてる?」

 

「「どうなって(んだ)(るんですの)ー!!」」

 

「ナツだな」

 

「だろうな、ムーンドリップの事を聞いて思ったがあいつにしちゃ考えたな...もしくは偶然か...」

 

「私は後者だと思いますわ...」

 

ガサガサ

 

「!?待て!誰かいる!」

 

「見つけたぞ妖精の尻尾(フェアリー テイル)...」

 

草むらからいくつか何人か鎧の兵士が出てきた

 

「行け」

 

「!」

 

「ここは私に任せろ」

 

エルザはグレイにそう言った

 

「リオンとの決着をつけてこい」

 

グレイは小さく頷き遺跡へと走り出す

 

「リート!」

 

「ん?」

 

「グレイを頼んだ」

 

「決着つけるのはあいつなんだろ?」

 

「見届ける、もしくはグレイが危険になったらお前が助けてやってほしい」

 

「...へいへい...あくまで保険ってわけね...少しはグレイも信用してやれよ」

 

リートはグレイを追いかけて走り出した

 

「信用してないわけではないさ...お前達全員な」

 

 

・・・

 

 

『遺跡内』

 

グォォォ!バキィン!

 

ナツとリオンの戦いは白熱していた、すると氷の壁が外から割られグレイとリートがやってきた

 

「グレイ!...と...リート!?」

 

「ようナツ、てめぇ俺の拳骨くらう覚悟はできてんだろうな...」

 

ナツは顔を青くする

 

「いや、今はそれどころじゃ!」

 

「分かってる、仕事を片付けるのが先だ」

 

ナツはホッと胸を撫で下ろす

 

「ナツ‥‥こいつとのケジメは俺につけさせてくれ」

 

グレイはナツにリオンの相手を譲れと言うがナツは反発した

 

「てめぇ!!一回負けてんじゃねぇか!!!」

 

「次はねぇからよこれで決着だ」

 

「たいした自信だな」

 

「10年前、ウルが死んだのは俺のせいだ、だが仲間を傷つけ村を傷つけあの氷を溶かそうとしているお前だけは許さねぇ」

 

「共に罰を受けるんだリオン」

 

グレイは右手の平を上に左手の平を下に向け腕を前に出しクロスさせる

 

「そ...その構えは!!!?」

 

「「?」」

 

リオンはグレイのやろうとしていることを瞬時に理解したが二人はいまだに分からずにいた

 

 

 

絶対氷結(アイスドシェル)!?」

 

 

 

「アイスドシェル?」

 

「それって確か...」

 

「き‥‥貴様!血迷ったか!」

 

「今すぐ島の人たちを元に戻せ、そして仲間を連れて出ていけこれはお前に与える最後のチャンスだ」

 

グレイはリオンを睨み付ける

 

「なるほど、その魔法は脅しか‥‥くだらん」

 

 

ブワァッ!

 

 

グレイが魔力を放出する

 

「くっ!」

 

「ぬおおっ!」

 

「...」

 

「本気だ」

 

「コイツ!」

 

「この先何年経とうが俺のせいでウルが死んだという事実は変わらねぇ...どこかで責任をとらなきゃいけなかったんだ」

 

「それをここにした。死ぬ覚悟はできてる」

 

ギリッ...

 

「死ぬ覚悟?...」

 

リートは歯を食い縛り怒る

 

「答えろリオン!!!共に死ぬか!!生きるかだ!!!」

 

リオンはそれでも笑った

 

「やれよ、お前に死ぬ勇気はない」

 

「...残念だ」

 

「これで終わりだ!アイスド!」

 

「どアホォ!」

 

ナツがグレイが絶対氷結(アイスドシェル)を使う前に殴り飛ばした

 

「ナイスだ...ナツ...」

 

リートはその光景を見てナツを誉める

 

「勝手に出てきて責任だなんだうるせぇよ!人の獲物とるんじゃねぇ!」

 

「え...えもの!?」

 

「考え方は戦闘バカ丸出しだけど...」

 

「俺にケジメをつけさせてくれって言ったじゃねぇか!」

 

「はい了解しましたって俺が言ったかよ」

 

グレイはナツに怒った

 

「あいつとの決着は俺がつけなきゃならねぇんだよ!!死ぬ覚悟だってできてたんだ!!!」

 

ゴス!

 

リートがグレイを殴る

 

「!?リート!」

 

「てめぇ...死ぬことを俺達が許すとでも思ってんのか?」

 

ナツもその言葉に同乗する

 

「死ぬことが恩返しかよ あ? 逃げてんじゃねぇぞコラ」

 

ゴゴゴゴッ

 

そんな話をしていたら傾いていた遺跡が元に戻った

 

「は?」

 

「傾いてた遺跡が...戻った?...」

 

「ど...どーなってんだ!?」

 

「お取り込み中失礼」

 

ザルティがリオンの元へやってきた

 

「ほっほっほ、そろそろ夕日が出そうでしたので元に戻させてもらいましたぞ」

 

「あいつの仕業って訳か」

 

「俺があれだけ苦労して傾けたのに...どうやって元に戻した!?」

 

ナツがザルティに聞くがザルティは答えない

 

「ほっほっほ」

 

「どうやって戻したー!!!?」

 

「さて、ムーンドリップの儀式を始めに行きますかな」

 

ザルティは儀式をしに去っていく

 

「シカトされてんぞナツ」

 

「上等じゃねぇか!!ナマハゲがぁ!!!」

 

ナツはザルティを追いかけた

 

「ナツ!」

 

「俺はあいつを100万回ぶっ飛ばす!!こっちはお前らに任せるぞ!!!」

 

「俺は基本よっぽどじゃねぇと手は出さねぇよ...」

 

「負けたままじゃ名折れだろ?オメーのじゃねぇぞ!」

 

「分かってる」

 

「「妖精の尻尾(フェアリーテイル)のだ!」」

 

「フッw」

 

ナツはそのまま走り去っていった

 

「騒がしい連中だ」

 

リオンはグレイに向き合う

 

「お前、さっき俺が絶対氷結(アイスドシェル)を使おうとした時本気でくらう気だったのか?」

 

「あぁ、だが助かる...そう気づいたからやれと言った」

 

「助かる?」

 

「例え俺が閉じ込められようとも俺には仲間がいるそしてここはムーンドリップで絶対氷結(アイスドシェル)を溶かせる島だ」

 

「なるほど...もし、グレイが絶対氷結(アイスドシェル)ってのを使ったとしても犬死にで終わったわけだ」

 

「迂闊だった...これで絶対氷結(アイスドシェル)は無力だな」

 

「それでもこの俺との決着を望むと?お前は俺には勝てな...」

 

「もうやめようデリオラは諦めるんだ」

 

「脅しの次は説得か?」

 

グレイは話を続ける

 

「リオン...よく聞いてくれウルは氷となって今も生きてるんだ」

 

「グレイ...」

 

「リオンだからもうこんなことは」

 

 

 

グサッ

 

 

 

「!?」

 

リオンは剣でグレイの腹を突き刺していた

 

「知ってるさそんな下らんこと...あれは最早ウルではない、ただの氷クズさ」

 

グレイは倒れこんだ

 

「お...お前...知ってたのか...」

 

「だからどうした、つまらんことばかり言いやがって、死ね」

 

リオンはグレイに剣を向け突き刺そうとするが

 

ガキン!

 

間にリートが割って入りリオンの剣を受け止めた

 

「ったくホントに俺が出ることになるとは思ってなかったぞ」

 

「ヒュー...ヒュー...リート...コイツは俺に」

 

「黙って寝てろグレイ、さっきから死ぬ覚悟だなんだって言いやがってここで死ぬことは俺が許さねぇ」

 

「貴様、邪魔をするのか」

 

「うっせぇぞクズ白髪てめぇの理想なんざ知ったことじゃねぇがな...俺の家族をここまでやったんだ、地獄を見る覚悟はできてんだろうな?」

 

「いいだろうグレイの前に貴様を殺してやる」

 




リオンとの戦いはリートにお任せです
グレイと共同も考えましたがグレイのプライドがあるためそれはさしてくれないなと思い結果グレイは死にかけ、リートは手助け、リオンと戦うって発想になりました


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氷の竜対氷の造形

閲覧者の方々、お気に入り登録者の方々、評価してくださってる方々、いつもありがとうございます。毎回主はマイページから小説情報を見てやる気をみなぎらせております。
そして今言わないと忘れそうなのでここで書かせてもらいますw
コメントなども楽しみにしておりますので今後ともFAIRY TAILの氷竜をよろしくお願いいたします


「ほーっほっほっほ!」

 

「待ちやがれこの野郎!どうやって戻したんだー!!」

 

ナツはザルティを追いかけていた

 

ばっ!

 

ザルティが腕をあげるとナツの真上の天井が崩れ落ちてきた

 

「こんなもん...効くかぁ!」

 

ナツは足に炎を纏わせ瓦礫を蹴った

 

くいっ

 

ザルティが手を動かすと落ちてきた瓦礫が天井に戻り崩れる前の状態に戻った

 

「え?」

 

「ご覧の通りこうやって遺跡を元に戻したのです」

 

「な...なんだこの魔法」

 

失われた魔法(ロストマジック)の一種でありますな、

 

その強力さと副作用の深刻さにより歴史より抹消された魔法

 

あなたの滅竜魔法もしかり」

 

そう言い残すとザルティは姿を消した

 

「消えた!?どこ行ったー!ちくしょー!!」

 

 

・・・

 

 

「俺を殺すか...やれるもんならやってみろよ、言っとくが俺に氷は効かねぇぞ」

 

リートはリオンに殺気を放つ

 

「フン、この零帝の氷魔法を他の奴等と一緒にしないでほしいな俺の氷はひと味違う!」

 

リオンは氷で造った鳥をリート向けて放つ

 

リートは鳥をかわした

 

「えらく自信があるじゃねぇか、なら一応てめぇの攻撃は通用するものと考えて動かさせてもらうぜ」

 

リートはリオンに向かい手のひらを出して氷の柱を伸ばす

 

「氷竜の凍柱」

 

リオンはリートの氷をかわしてさらに追撃する

 

「アイスメイク・スノードラゴン!」

 

巨大な氷のドラゴンがリートを襲う

 

「くらうか!」

 

リートは体に氷を纏わせドラゴンの攻撃から身を守った

 

「氷竜の弾落」

 

リートは氷の岩をドラゴンの上に落としドラゴンを押し潰した

 

「なにっ!?」

 

そこからリオンに向かってブレスを放つ

 

「氷竜の咆哮!」

 

「ぐぁぁぁ!」

 

リオンは吹き飛ばされ壁に激突する

 

「てめぇ、ホントにグレイに勝ったのか?グレイならこんな攻撃通用しねぇぞ」

 

「俺が...グレイより劣ってると言いたいのか...」

 

「他にどんな風に聞こえんだよ」

 

「貴様ぁ!!」

 

「アイスメイク・イーグル!・エイプ・スノードラゴン!」

 

リオンは一気に三体の氷の動物を造り上げてリートに向かって襲わせる

 

ズガァァン!

 

リートに襲いかかった場所からは砂煙があがる

 

「無駄な魔力は使わせんでほしいな、俺はこの後デリオラとの一戦を控えているんでな」

 

 

ガリガリ

 

 

「この程度の力じゃデリオラって奴にも勝てねぇんじゃねぇか?」

 

「なっ!」

 

砂煙が消えるとリートが先ほどの攻撃で崩れたリオンの氷を食べていた

 

「ふぅーっ、ごちそうさん」

 

「だ、だが!どうあがいたところでデリオラは間もなく復活する!もう誰にも止められんぞ!」

 

「ふん、ナツをなめんじゃねぇぞ」

 

 

・・・

 

 

『デリオラの氷前』

 

「...いよいよか」

 

ザルティがデリオラを見ながら呟く

 

「見つけたぞ...」

 

「!?」

 

「とりあえず燃えとけ!」

 

ナツはザルティに突撃するがザルティは難なくかわす

 

「ほっほー愉快な売り言葉ですな、しかしなぜここがお分かりに?」

 

「俺は鼻がいいんだ!ちなみにお前からは女の香水の匂いがする!」

 

「私はねぇどうしてもデリオラを復活させねばなりませんのですよ」

 

「やめとけやめとけ、もう無理だ」

 

ナツはデリオラの復活は無理だと否定した

 

「おや?何故に無理と?」

 

「グレイとリートがあいつをぶっ飛ばす俺がお前を100万回ぶっ飛ばす、それで終わりだ」

 

「そうでしょうかねぇ」

 

ザルティはデリオラの氷を見上げた

 

「?」

 

「!!?光!?誰かが上で儀式をやってんのか!!?」

 

遺跡の屋上では犬顔の男トビーが儀式を行っていた

 

「おぉーん」

 

「たった一人ではムーンドリップの効果は弱いですが実は既に十分な量の月の光が集まっております。

 

後はきっかけさえ与えてあげれば...ホラ」

 

デリオラの氷が天辺から溶け始めた

 

「うお!?大変だ!デリオラの氷が溶け始めた!!」

 

「くそ!!しくじった!!上にいるやつ何とかしねぇと!!」

 

しかしザルティがナツの行き先を邪魔をした

 

「私を追ってきたのは失敗でしたな火竜(サラマンダー)君」

 

「くそっ!んがぁぁぁー!!!」

 

ナツは炎を纏った拳でザルティに殴りかかった

 

「よいのですかな?こんなところで火の魔法などデリオラの解氷を促進させますぞ」

 

ナツは気にせず攻撃を続ける

 

「火の魔法で溶けたらオメェらも苦労しねぇだろ?

 

はえーとこお前をぶっ倒して上のやつをガツンとやれば済む」

 

「戦場での頭の回転の早さと柔軟さには驚かされますなぁ」

 

 

・・・

 

 

「また遺跡が震え始めやがった」

 

「ムーンドリップの儀式が始まったのだデリオラの氷が溶け始めている」

 

リオンはリートにそう言った

 

(っち、ナツの奴...あいつは拳骨2倍だ...)

 

 

・・・

 

 

ぶるるっ

 

「うおっ!なんだ!?急に寒気が...」

 

ナツは戦いながらも寒気を感じた

 

 

・・・

 

 

「どうやらここまでのようだな、おまえ達には止められなかった」

 

「リート...すまねぇ、ここから先は俺がやる...」

 

グレイはリートの肩に手を置き変わってほしいと言った

 

「てめぇは寝てろっつったろ?グレイ、すぐに死のうとしや...」

 

「もう、死ぬ気はねぇよ」

 

「...わかった...なら最後まで見届けさせてもらうぞ」

 

リートは後ろに下がった

 

「今さら貴様に何ができるグレイ

 

俺はこの時をずっと待っていた 10年間仲間を集め知識を集め俺はようやくこの島の事を知った

 

月の光を集める島ガルナ」

 

リオンが造った氷の鳥が勢いよくグレイの足元から飛び出す

 

「俺達はブラーゴからデリオラを運び出した、それが3年前だ」

 

グレイは自分の魔力で造った氷の膜をはりリオンの氷を消し去る

 

「こんな下らねぇことを3年もやっていたのか」

 

「くだらんだと?」

 

「10年間もギルドで道楽してたやつがよく言えたものだな!」

 

リオンは氷の塊をグレイの頭上へ落とした

 

「俺は...ウルの言葉を信じただけさ」

 

「!」

 

過去にグレイはウルに自分より強い魔導士は山ほどいると教えられてきていた

 

「確かにすげぇ魔導士はたくさんいた...そこにいるリートもその一人だ」

 

「俺?」

 

「信じられなかったよ...」

 

 

・・・

 

 

グレイはフェアリーテイルに入った当時の事を思い出す

 

『無駄じゃろうな、アイスドシェルは術者の意志の魔法第三者のいかなる魔法をもってしてもその氷は溶かすことはできん』

 

マカロフは小さなグレイに残酷とも思われる事を言った

 

『そんな!だってここにはスゲェ魔導士が沢山いるじゃないか!』

 

グレイはくいさがりマカロフに氷を何とかできないか頼んでいた

 

『一つだけ手がないこともないが‥‥いや、ダメじゃそれはできん、氷を溶かすとはそのウルとやらを殺すことに等しいのじゃぞ』

 

 

・・・

 

 

「今思えばあの時じーさんが言おうとしていたのはムーンドリップの事だったんだろうな」

 

(へぇー、マスターはムーンドリップの事を知ってたのか...)

 

「まさかそのウルを殺すような事を兄弟子がやっていたと思うとがっかりだよ」

 

「なんとでも言うがいい俺はこの日の為に生きてきた」

 

「師が死んだ今残された弟子はなにをもって師を越えられるかよく考えてみろ!師が唯一倒せなかったデリオラを倒すことで俺は師を越える!」

 

リオンがグレイに攻撃するがグレイはそれをかわし氷の刀でリオンを切り裂く

 

「その向上心は立派なものだがお前は途中で道を間違えてるのに気づいていねぇ」

 

「なにも見えてねぇやつがウルに勝つだと!!!100年はえぇよ、出直してこい!!!!」

 

リオンは氷となって割れていた

 

(偽物?)

 

「アイスメイク...」

 

グレイの後ろからリオンの声が聞こえる

 

「スノータイガー!!!」

 

氷の虎がグレイに迫る

 

「アイスメイク・プリズン」

 

ガシャン!

 

グレイの作り出した檻により虎は身動きがとれなくなる

 

「くだらん!そんな檻ぶち壊して...」

 

ガシャン!ガシャン!

 

「!!!」

 

リオンの虎は檻を壊そうとするがびくともしない

 

するとグレイが檻から降りて両手に魔力を込める

 

「片手での造形はバランスが悪い、だから肝心なときに力が出せねぇ」

 

グレイが氷のバズーカでリオンに攻撃した

 

 

 

「アイスキャノン!!!」

 

 

 

「ぐわぁぁぁ!」

 

 

「ウルの教えだろ」

 

「グ...グレ...イ...ごあっ!」

 

リオンは血を吹いて倒れた

 

「ふぅー...」

 

 

 

ゴチン!

 

 

 

リートはグレイに近づき拳骨かました

 

「いってぇぇぇ!」

 

「無茶しすぎだ...バカ、さっさと止血しろ」

 

「何で今殴ったんだよ!」

 

「自分で考えてみろ...けどまぁ」

 

「?」

 

 

 

「ナイスファイトだったぜ...グレイ」

 

 

 

リートはグレイを誉めた

 

「!」

 

「ったく、言わせんなホラさっさと行く...」

 

 

 

 

 

 

グオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

「なんだ!」

 

「うるせぇ!!」

 

「この声...忘れようがねぇ...」

 

「グレイ?」

 

「デリオラが復活しやがった...」

 

「ナツ...拳骨10倍確定...」

 




リートとリオンの戦いを最後までやろうか考えましたがやっぱり最後はグレイに決めさせたかったので急遽リオンVSグレイに変えました。まぁ展開的にリオンに勝ち目はなかったから仕方ない...
次回の見所はリートがナツにする拳骨は何倍までなるかです...あれ?そこじゃない?


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デリオラ

そろそろあれです...リートにもライバル的な存在が欲しいなーって思い始めておりまするが、全然案が出てないのが今一番の問題...


オオオオオオオオ!!!!!!

 

 

「来たぁ!!ついに来たぁ!!!」

 

 

ザルティはデリオラの復活を喜んだ

 

 

・・・

 

 

「何!?今の音!?」

 

「ルーシィのお腹の音かも!」

 

「まぁルーシィ、そんなにお腹が空いてましたの?」

 

「本気で言ってるとは思えないけどムカツク」

 

遺跡の中にまで来ていたエルザ達も流石に今の声は聞こえたようだ

 

「例のデリオラとか言う魔物か...」

 

「そんな!まさか、復活しちゃった訳!?」

 

「待って!あの光見覚えがあるよ!!」

 

ハッピーはムーンドリップの光を見つけた

 

 

 

 

 

オオオオオオオオ!!!!!!!!

 

 

 

「また...」

 

「ルーシィなにか食べたら」

 

「私キャットフードなら持ってますわよ」

 

「あんた達ってキャットフード食べるの?...」

 

「デリオラの声がするがムーンドリップの儀式は続行されている...まだ完全に復活していないと言うことか」

 

「行くぞ」

 

エルザは頂上に向かって走り出した

 

「デリオラは下ですわよ」

 

「儀式を叩けばまだ阻止できる、急げ!!」

 

 

・・・

 

 

『遺跡地下』

 

ナツはザルティと戦闘中だった

 

「くっそー!!モタモタしてらんねぇ!!一気に行く

ぞ!!!」

 

「!!」

 

ゴン!

 

「ごっ...」

 

ナツの目の前から水晶が飛んできてナツの頭にぶつかった

 

「こちらもそうさせてもらいますぞ火竜(サラマンダー)君」

 

ザルティは水晶を生きた生物のように操る

 

「上等」

 

ナツが自分に向かってきた水晶を叩き割ったが

 

すっ

 

砕けた水晶はもとの形に戻りナツの懐に入り攻撃する

 

「うおおっ!...また直った!!!」

 

「私は物体の時を操れます、すなわち水晶を壊れる前の時間に戻したのです」

 

「時!?ありえねぇ!!」

 

「時のアークは失われた魔法(ロストマジック)の一種ですからね」

 

「次は水晶の時を未来へと進めてみましょう」

 

飛ばしていた水晶のスピードが上がった

 

「え!?」

 

ズガガガガガガ!

 

「うがぁぁぁ!!」

 

ナツの体に無数の衝撃がはしった

 

「だっ!!」

 

ナツがまた水晶を叩き割ったが

 

「無駄ですぞ」

 

やはり水晶は元の形に戻りナツの頭上にぶつかる

 

「んごっ」

 

「くそっ!!」

 

ナツはもう一度水晶に殴りかかるが

 

ピタッ

 

「とまった!?」

 

「それはもう...時を止めることもできますぞ」

 

「‥‥それ、人間には効かねぇみてーだな」

 

ナツは水晶を見て言った

 

「おやおや、よいところに目をつける、正確には生物には効きません。

 

だからこそウルであるあの氷は時間を動かせないのです」

 

「ハッキリ言ってお前らよく分かんねーよ」

 

「?」

 

「コイツを復活させてリオンがそれを倒す。リオンってのはそれでいいかもしれねぇが...他の仲間にはなんの特があるんだ?」

 

「さぁねぇ...私めは最近仲間になったばかりなので」

 

「じゃあお前でいいよ、本当の目的は何だ?」

 

ザルティは笑いだした

 

「いやはや敵いませんなぁ...零帝様、いいえあんな小僧ごときにデリオラはまず倒せませぬ」

 

「それじゃあオメーが倒すのか?」

 

「とんでもございません、ただ我が物にしたい...例え不死身の怪物であろうとも操る術は存在するのです。

 

あれ程の力を我が物にできたらさぞ楽しそうではありませぬか」

 

ナツが冷めた顔をした

 

「なーんだくだらねぇな...オレはてっきり‥‥こう燃えるような目的があって‥‥そんで」

 

「ほっほっほ、あなたにはわかりますまい、力が必要な時はいずれ必ずくるのです」

 

「そん時は自分と仲間を信じるフェアリーテイルの仲間をな」

 

「うぬぼれは身を滅ぼしますぞ天井よ時を加速し朽ちよ」

 

ザルティが魔法で天井を崩した

 

「どいつもこいつも下らねぇ理由で島を荒らしやがって!!もうガマンならねぇんだよ!!!」

 

ナツはザルティに突っ込む

 

「その荒ぶる炎は我が時のアークをとらえられますかな」

 

ザルティは崩した天井の残骸をナツに向けて放つ

 

「アークだかポークだか知らねぇが...この島から出ていけ!!!」

 

ブバァ!!

 

ナツは炎で残骸を凪ぎ払ったその衝撃で煙が上がりザルティの視界をふさぐ

 

「ぬぅぅぅ!!」

 

煙が晴れるとナツがザルティの前から消えていた

 

「いない!!!」

 

「そういや俺も時を操れるんだ」

 

「!?」

 

ナツは壁を駆け上がり天井を走りザルティの上から落ちてくる

 

「未来だ」

 

「一秒後にお前をぶっ飛ばす!!」

 

「火竜の鉄拳!!!」

 

ナツはザルティを殴り飛ばした

 

 

 

「きゃぁぁぁわわぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

・・・

 

 

『遺跡頂上』

 

「おぉーん...」

 

エルザはトビーを切りつけていた

 

「やった!ムーンドリップが止まった!!」

 

「ってかコイツ一人でやってたんだ...」

 

「簡易的な儀式ですのね」

 

トビーは起き上がりキレた

 

「もう遅ぇんだよ!!分かれよ!!儀式は終わったんだよ!!!!」

 

「!!」

 

 

オオオオオオオオ!!!!!!!!

 

 

デリオラが完全復活した

 

(...ウル...)

 

グレイとリートはナツの元にたどり着きグレイは溶けた氷を見つめウルを思い出していた

 

「グレイ、リートいたのか!!!!」

 

「ナツ!!」

 

「てめぇ、人の信用裏切りやがって...後で覚えてろよ」

 

「なんの話だよ!!!」

 

「とにかく!!こうなったらやるしかねぇ、あいつをぶっ飛ばす」

 

「お前らには...無理だ...あいつは俺が...ウルを越えるために...俺が...」

 

リオンが這ってナツ達の元にやってきた

 

「オメーの方が無理だよ、引っ込んでろ」

 

「まだ、戦おうってのかテメェ」

 

「やっと会えたな‥‥デリオラ」

 

 

 

「無視かコラ」

 

 

 

「あのウルが...唯一勝てなかった怪物...今...俺がこの手で...倒す...」

 

リオンが立ち上がりデリオラと戦おうとする

 

ビシッ!

 

「!?」

 

グレイがリオンに手刀をした

 

ドサッ

 

「もういいよリオン...後は俺に任せろデリオラは俺が倒す!!」

 

グレイはアイスドシェルの構えをとった

 

「よせ!グレイ!!また同じことの繰り返しだぞ!!!」

 

「これしかねぇんだ奴を倒すには...これしか...」

 

ザッ!!

 

ナツとリートがグレイの前に立った

 

「テメェ何回命を無駄にする気だ」

 

「アイツとは俺が戦う」

 

「どけっ!!!邪魔だよ!!!」

 

グレイはナツとリートをどかそうとするが二人は動かない

 

「死んでほしくねぇからあの時止めたのに俺の声は届かなかったのか」

 

「お前が死ぬことを俺は許さねぇって言ったろ、それはナツも一緒なんだよ」

 

「ナツ‥‥リート‥‥」

 

「ナツ...今回は俺に譲れ」

 

リートはナツにそう言った

 

「ふざけんな!!コイツは俺が倒...」

 

「頼む...」

 

「!?」

 

「分かった」

 

ナツは引き下がった

 

「ナツ!!お前、リートを見殺しにする気か!!!」

 

「大丈夫だ、リートは頼むって言ったんだ」

 

ナツの言葉にグレイとリオンは困惑した

 

「は?」

 

「アイツが今まで戦いを譲れと頼んだ時、負けたことがねぇ」

 

ナツがその話をしている間にリートは戦闘体制に入る

 

「さっきの氷対決はグレイにとられて不完全燃焼だったからな思いっきり暴れさせてもらうぞ」

 

 

 

ガアアアアア!!!!!

 

 

 

デリオラはリートに殴りかかった

 

ズガァァン!!

 

「リート!!!」

 

「ぐっ!!」

 

リートはデリオラの拳を持ち上げた

 

「なん...だと...」

 

「あのデリオラの攻撃を...防いだ!!?」

 

「やっぱりリートはスゲェな、くっそー戦いてぇなぁ」

 

「おらぁ!!」

 

リートがデリオラの拳を放り投げ飛び上がる

 

「氷竜の柱弾!!!」

 

リートは手のひらからデリオラの顔と同じ大きさの氷の柱を作りデリオラに向かって放つ

 

 

ズガァァン!!

 

 

「...スゲェ」

 

「あの...デリオラと...張り合ってる...だと...」

 

グレイとリオンは驚愕した

 

「やっぱこの程度じゃダメだな」

 

リートは地上に降りていくが

 

 

ガアアアアア!!!!!

 

 

デリオラはリートに裏拳をした

 

「ぐぉぉぉっ!!」

 

リートは壁に叩きつけられた

 

「くっそっまだだ!!」

 

リートは血だらけになりながらも立ち上がり巨大な拳を造った

 

「氷竜の剛拳!!」

 

リートはデリオラの足を殴りバランスを崩させた

 

「からの...氷竜の鉤爪!!」

 

リートはまた飛び上がるとデリオラの頭の上から蹴り落とす

 

 

グオオオオオオオオオオ!!!!!

 

 

「っち、やっぱり狭い遺跡内じゃ戦いかたも限られてくるか...」

 

デリオラはリートを殴る

 

「がはぁっ!!」

 

リートはなんとか倒れずに踏ん張る

 

「はぁ...はぁ...」

 

デリオラはブレスの体制をとる

 

「...ブレスか...ならこっちも」

 

リートは空気を吸い込む

 

 

 

「氷竜の...咆哮!!!」

 

 

 

ブレスどうしがぶつかり相殺する

 

「!?」

 

デリオラの顔が心なしか驚いた顔をしたように見えた

 

相殺されたブレスの影からリートが飛び出した

 

「右手の冷気と左手の冷気を合わせて」

 

「凍てつけ!!!」

 

 

「氷竜の凍乱!!!」

 

 

デリオラが一瞬で体の半分を凍らされたがすぐに氷は割られた

 

「リートの氷が割られた!?」

 

ナツがデリオラのパワーに驚く

 

「いや、想定内だ」

 

リートは手のひらを合わせて巨大な剣を作り出して準備していた

 

「滅竜奥義応用版...」

 

 

 

「氷刀斬!!!」

 

 

 

リートは作った剣でデリオラを切る

 

 

 

ガアアアアア!!!!!

 

 

 

デリオラの切られた部分が凍りつくが

 

「!!?」

 

デリオラは自分の体が切られても気にせずリートに膝蹴りをした

 

「ぐぁぁぁ!!」

 

巨大な膝を全身で受けたリートは後ろの壁に吹き飛ばされる

 

「リート!!!」

 

「やっぱりリートでも勝てねぇのか...」

 

「当然だ...奴を倒せるのは俺しかいない...」

 

リートが吹き飛ばされるのを見てグレイとリオンはリートが敗北したと思い込む

 

「皆ー!!」

 

「ナツ!グレイ!リート!」

 

エルザ達はナツ達と合流した

 

「お前ら!!」

 

「グレイ、状況を説明しろ!!」

 

エルザはグレイに問い詰めた

 

「デリオラが復活して今、リートが戦ってたが...」

 

「でも、リートがいないよ?」

 

「まさか!!」

 

「勝手に負けたことにすんな!!!」

 

リートはエルザ達の後ろにある瓦礫から血だらけで出てくる

 

「リート!!あんたボロボロじゃないの!!!」

 

「まだ、終わってねぇぞ!!!」

 

リートはデリオラに向かって走り出した

 

 

「氷竜の剛拳!!!」

 

 

リートはデリオラの腹を殴り一度距離をとった

 

「俺のありったけの魔力だ!!!落ちろぉぉぉ!!!」

 

 

 

 

 

「氷竜の弾落!!!」

 

 

 

 

 

デリオラの頭に巨大に作った氷の塊を落とした

 

 

 

ガアアアアア!!!!

 

 

 

「クッソッタレェェェ!!!!!」

 

ガアア...アァ...

 

デリオラはついに力尽きて倒れた

 

「はぁはぁ...やった...」

 

「やった!!凄いリート!!!」

 

「スゲェ!リート!!」

 

「まさか...あのデリオラを倒したのか...」

 

「ホントにやりやがった...」

 

「流石だ」

 

「リートが勝ちましたわ!」

 

「あい!」

 

「はぁはぁ...今回は...アイツが弱っててくれて助かった...」

 

リートの言葉にグレイは疑問を持つ

 

「どういうことだ?リート」

 

「...10年も氷の中にいてあんな化け物が弱ってないハズねぇだろ...お前らの師匠が凍らせて弱らせておいてくれたおかげだよ」

 

グレイとリオンは涙を流した

 

「かなわん...俺にはウルを越えられない...」

 

「ありがとうございます...師匠...」

 

《ウルの氷は溶けて水になっちゃってそして海へと流れていく

 

それでもウルは生きているんだグレイはそう言ってた、あたしもそんな気がするな

 

海になったウルは二人の弟子を見守るのもう喧嘩しないでねってね》

 

 




今回はここまでです、次でガルナ島は終われるかな?
最近リアルがちょっと忙しくなってきましたがまだまだ投稿していきますので応援お願いします

デリオラが原作で誰とも戦わなかったしコレはもったいない!!と思ってリートに倒して貰いましたってかガルナ島でのリートの出番が少なすぎた...


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月の破壊

今回でガルナ島編は終わりです。なんか途中から書いたのに長くなった...あれ?今後もこれだけかかると思うと大変じゃね?


「いあーーー 終わった終わったー!!!」

 

「あいさーーー!!!」

 

デリオラを倒したことにより全員が安堵していた

 

「本当...一時はどうなるかと思ったよすごいよねウルさんって」

 

「これで俺達もS級クエスト達成だぁ!!!」

 

「やったー!!もしかしてあたし達2階へ行けるかな!!!」

 

「ハハッ」

 

「呑気ですわねあなた達」

 

その様子をエルザとリートは黙って見ていた事に3人と1匹が気付いて冷や汗をかきはじめる

 

「そうだ!!!お仕置きが待ってたんだ!!!」

 

「その前にやる事があるだろう今回の目的を忘れていないかおまえ達」

 

「こいつらを連れ戻すことか?」

 

「それは、私とおまえの目的だリート...」

 

「はぁ...今回の仕事の本当の目的は悪魔にされた村の人々を救う事だS級クエストはまだ終わっていない」

 

「え!?」

 

「なるほど...そりゃあデリオラを倒してはいそれまでって訳にはいかねぇな」

 

リートも座っていた所から立ち上がる

 

「で...でもデリオラは死んじゃったし‥‥村の呪いだってこれで」

 

「いや、あの呪いとかいう現象はデリオラの影響ではない。

 

ムーンドリップの膨大な魔力が人々に害を及ぼしたのだデリオラが崩壊したからといって事態が改善する訳がなかろう」

 

そう、デリオラはリートに倒された後、体が砂のようになり崩れていたのだ

 

「確かに、デリオラから出ていた魔力で影響があったならともかく、ムーンドリップの影響なら全く呪いと関係がなくなってくるからな」

 

「納得ですわ」

 

「そ...そんなぁ~」

 

ルーシィは肩を落として残念そうに言った

 

「んじゃとっとと治してやるかーーー!!!」

 

「あいさー!!!」

 

ナツとハッピーはやる気のようだが

 

「どうやってだよ...あっ」

 

グレイはリオンを見る

 

「俺は知らんぞ」

 

「なんだとぉ!!」

 

「とぉ!!」

 

「3年前、この島に来たとき村が存在するのは知っていたしかし、俺達は村の人々には干渉しなかった...奴等から会いに来ることも一度もなかったしな」

 

「3年間一度も?」

 

「そういえば遺跡から毎日ムーンドリップの光が落ちてきていたのに、ここを調べないのはおかしな話よね」

 

「ムーンドリップによる人体への影響にも多少疑問が残る」

 

「あっ、それは俺もだ」

 

「どういうことだ?リート」

 

エルザはリートに訪ねる

 

「こいつらは3年間この島でムーンドリップの儀式をやって同じ光を浴びてたんだぞ、おかしいと思わねぇか?」

 

「?」

 

「どういうこと?」

 

エルザは理解したようで

 

「そうか!!!3年間もこの島にいたとしたら少なからずコイツ達にも影響はあるハズ!!!」

 

「「「「!!!」」」」

 

「そういうこった」

 

リオンは顔を背ける

 

「気を付けな、奴等は何かを隠してる。ま、ここからはギルドの仕事だろ...」

 

「そうはいかねぇお前らは村をぶっ...」

 

むぎゅ

 

エルザがナツの顎の下から頬をつまみ喋れなくする

 

「お前...どんな止めかただよ...」

 

「奴にも奴なりの正義があった過去を難じる必要はもうない...行くぞ」

 

エルザ達は遺跡の出口に向かった

 

「リオン」

 

「なんだ」

 

「お前もどこかのギルドに入れよ仲間がいてライバルがいてきっと新しい目標が見つかる」

 

「く‥‥くだらん‥さっさと行け」

 

・・・

 

 

『村の資材置き場』

 

「あれ?皆がいない...」

 

ルーシィが村の人たちが居なくなっている事に気付いた

「ここに皆いたのか?」

 

「そのはずだったんだけど...いねぇな」

 

「おーい」

 

「誰かいませんかですわー?」

 

「とりあえず傷薬と包帯もらっとくぞ」

 

盗人(ぬすっと)かお前は...」

 

リート達が村の人たちを探しているところに遠くの方から村の住民が1人走りながらやってきた

 

「皆さん!!!戻りましたか!!!!大変なんです!!!!」

 

「?」

 

「とにかく村まで一緒に来て下さい!!!!」

 

 

・・・

 

 

『ガルナ島の村』

 

「な...なにこれ」

 

「昨日村はボロボロになっちゃったのに」

 

村は完全に壊される前に戻っていた

 

「元に戻ってる...どうなってんだこりゃ!!まるで時間が戻ったみてーだ!!!」

 

ナツが一件の家を叩きながら確認する

 

「お前が叩くとまた壊すんじゃねぇか?」

 

「うん、せっかく直ったんだからナツはさわらない方がいいと思う」

 

「時間?」

 

ナツは頭のすみにザルティを思い出す

 

「まさかな...いや改心したとか...まぁいいか!」

 

「あい」

 

「いいのかよ」

 

「そーだ!!!あたし達の荷物!!!」

 

ルーシィが走り出すと墓の前に座り込む村の村長を見つける、すると村長はルーシィを睨み付けた

 

「村を元に戻してくれたのはあなた方ですかな?それについては感謝します...ですが!!!魔導士どの、一体いつになったら月を壊してくださるのですかな!!!ほがぁーーーー!!!」

 

「ひぇーっ」

 

「ずいぶんと荒っぽい爺さんだなぁ」

 

リート達もその様子を見ていた

 

「月を壊すことは容易い」

 

「オイ...とんでもないことしれっと言ってるぞ」

 

「あい」

 

「ボケたんじゃねぇか?」

 

「聞こえますわよリート」

 

ゴン!シュウゥゥゥゥ

 

リートはエルザに殴られ、たんこぶをつくるがエルザは気にせず話を続けた

 

「しかし、その前に確認したいことがある皆を集めて来てくれないか‥‥リート」

 

「俺かよ!!」

 

「さっきの事を根に持ってるんですわね...」

 

リートは仕方なく村の皆を集めた

 

 

‥‥‥

 

 

「整理しておこう君達は紫の月が出てからそのような姿になった、間違いないか?」

 

エルザは村の人達に状況を確認する

 

「ほがぁ‥‥正確にはあの月が出てる間だけこのような姿に」

 

「話をまとめるとそれは、3年前からということになる」

 

「確かに‥それくらいたつかも」

 

「ああ」

 

「しかし3年間毎日この島ではムーンドリップが行われていた」

 

エルザは村の人たちの前を歩きまわる

 

「遺跡には毎日のように光が見えてたはず」

 

 

 

「きゃあ!!」

 

 

 

 

エルザはルーシィの作った落とし穴に落ちた

 

「お...落とし穴まで復活してたのか...」

 

「きゃ...きゃあって言ったぞ...」

 

「か‥‥かわいいな」

 

「誰だあんなアホな物を作ったのは」

 

「さぁ?」

 

「あたしのせいじゃない!!!あたしのせいじゃない!!!」

 

落とし穴からエルザが這い上がってきた

 

「つまりこの島で一番怪しい場所ではないか」

 

「うわぁ...何事もなかったかのようだぞ」

 

「たくましいな...」

 

「あまりイジってあげないで...」

 

「なぜ調査をしなかったのだ?」

 

村の人達が騒ぎ出す

 

「本当の事を話してくれないか?」

 

村長は村を代表して話し始めた

 

「それが...儂らにもよくわからんのです、正直あの遺跡には何度も行こうとしましたが何度やっても遺跡に近づけんのです」

 

「!?」

 

「遺跡に向かっても気がつけば門の前に来てしまうのです」

 

「どーいうこと?」

 

「俺達は中に入れたぞフツーに」

 

村の人たちは更に騒ぎ出した

 

「こんな話信じてもらえないでしょうが本当なんです!!」

 

「たどり着いた村人は1人もいねぇ!!!」

 

「やはりか」

 

「え?」

 

エルザは納得した顔をする

 

その様子を少し離れた木の上からザルティが覗いていた

 

「さすが妖精女王もうこのカラクリに気がつくとはねぇ」

 

エルザは巨人の鎧に換装する

 

 

 

「ナツ...ついてこい、これから月を破壊する」

 

 

 

「おおっ!!!」

 

「「「えぇーー!!」」」

 

「やっぱりボケたのか?エルザは...」

 

ゴン!!シュウゥゥゥゥ

 

「リートも懲りませんわね...」

 

 

‥‥

 

 

「今からあの月を破壊するそして皆を元に戻そう」

 

エルザとナツは見張り台にあがった

 

村の住民は今か今かと待ちわびていた

 

「目の前で見られるのか‥‥月が壊れるのを」

 

「おお‥やっともとの姿に戻れるんだぁ」

 

ナツは準備をしながらエルザに問う

 

「エルザ、月を壊すならあの遺跡の方がいいんじゃね?ここより高いし」

 

「十分だそれに遺跡へは村人は近づけんからな」

 

「月を壊すってさすがのエルザでも‥‥無理‥だよな」

 

「何をするつもりだろ」

 

「ドキドキするね」

 

「私もですわ」

「俺も...いろんな意味で」

 

エルザは一歩前に踏み出すと槍を換装した

 

「この鎧は巨人の鎧、投擲力を上げる効果を持つ」

 

「そしてこの槍は闇を退けし破邪の槍」

 

「それをぶん投げて月を壊すのか!!!うおぉ!!!スゲェ!!!」

 

(((いやいや‥無理だから)))

 

「しかしそれだけではあそこまでは届かんだろう、だからお前の火力でブーストさせたい」

 

「?」

 

「石突きを思いっきり殴るんだ。巨人の鎧の投擲力とお前の火力で月を破壊する」

 

「おし!!分かった!!!」

 

「いくぞ」

 

「二人とも何であんなにノリノリなんだよ」

 

「まさか本当に月が壊れたりしないよね」

 

「いや、今の作戦でも無理があるって」

 

エルザは槍を構える

 

「ナツ!!!」

 

「おおう!!!」

 

エルザの投擲と同時にナツは石突きを思いっきり殴った

 

「そらぁ!!!」

 

 

 

 

「届けぇぇぇ!!!!!」

 

 

 

 

 

槍はまっすぐ月へと向かっていく

 

ピキィ

 

槍が当たったと思われる場所から月にヒビがはいる

 

「「「うそだぁ!!!!」」」

 

パキィン!

 

すると割れたのは月ではなくその下にある巨大な膜だった

 

「これは!!!」

 

「割れたのは月じゃない...空が‥割れた?」

 

「どうなってんだ、こりゃあ」

 

「この島は邪気の膜でおおわれていたんだ」

 

エルザが説明をする

 

「膜?」

 

「ムーンドリップによって発生した排気ガスだと思えばいい、それが結晶化して空に膜を張っていたその為月は紫色に見えてたというわけだ」

 

そして膜が割れたことにより村人達の体が光出す

 

「わぁぁ」

 

「邪気の膜は破れこの島は本来の輝きを取り戻す」

 

村の人達はようやく人間の姿に戻れると思っていたが

 

「あれ?」

 

村の人達は悪魔の姿のまま光は消え失せてしまった

 

「元に戻らねぇのか?」

 

「そんな...」

 

「いや、これで元通りなんだ」

 

「あ、そういうことか」

 

エルザの言葉でリートは理解した

 

「邪気の膜は彼らの姿ではなく記憶を冒していたんだ」

 

「記憶?」

 

「夜になると悪魔になってしまうという間違った記憶だ」

 

「ま...ま...まさか...」

 

「そう、彼らは元々悪魔だったのだ」

 

「「「えぇぇぇー!!!」」」

 

「やっと謎が解けたわけか」

 

「マ...マジ?」

 

「う、うむ...まだちょいと混乱してますが」

 

「彼らは人間に変身する力を持っていたその人間に変身した自分を本来の姿と思い込んでしまう、それがムーンドリップによる記憶障害」

 

「でも、リオン達はなんで平気だったの?」

 

ルーシィの疑問にリートが答えた

 

「アイツ等は悪魔じゃなくて人間だからな記憶障害は悪魔にだけしかきかねぇんだろ」

 

「あの遺跡に近づけないのも村の人達が悪魔だからだ聖なる光を蓄えたあの遺跡に闇の者は近づけない」

 

そこに1人の男がやってきた

 

「流石だ、君達に任せて良かった魔導士さんありがとう」

 

「幽霊!!?」

 

「あいーーー!!?」

 

「船乗りのおっさんか!?」

 

「ボ...ボボ...」

 

「え?だって...ええ!?」

 

その場の全員が驚愕した

 

「胸を刺されたぐらいじゃ悪魔は死なねぇだろうがよハッハッハww」

 

「あんた...船の上から消えたんじゃ」

 

するとボボは羽を生やして飛び上がった

 

「あのときは本当の事を言えなくてすまなかった俺は1人だけ記憶が戻り自分達を人間だと思い込んでる村の皆が怖くてこの島を離れてたんだ」

 

「ボ...ボボーーー!!!!」

 

村長はボボの元へ空を飛び抱きつく

 

そして村の人達も羽を生やしボボが生きていたことに喜んだ

 

「悪魔の島か...」

 

「でもよこうやって見ると悪魔って言うより天使みてーだな」

 

「確かになw」

 

「今夜は宴じゃ~!!悪魔の宴じゃ~!!」

 

「響きがこえぇな...」

 

その様子を木の上から見ていたザルティは水晶でジークレインに様子を見せていた

 

「ご覧になりました?」

 

「ああ、しかし思いの他やるようだな妖精の尻尾(フェアリーテイル)、俺達の邪魔にならなければいいが」

 

するとザルティが仮面を取り、1人の女、ウルティアに姿を変えた

 

「そうね」

 




今回はここまでです、次回はガルナ島から帰るところから書いていきます...帰ってないのに1シリーズ終わりでも良かったのかな...まぁいいか!


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戦争 序章(オリキャラ登場)

今回からファントム編に入らせてもらいます、また長くなりそう...まぁ気合いを入れて頑張るのみ!!


『ガルナ島』

 

 

「なんと!!報酬は受け取れないと?」

 

「あぁ、気持ちだけで結構だ感謝する」

 

「まぁ、正式に受理された依頼じゃないですから ハハッ」

 

ガルナ島の人達は驚いていた

 

「ほがっ...しかし...」

 

「まぁ、あのバカ達にたまたま助けられたと思って下さい」

 

「ほがぁ、それでも我々が救われたことに変わりはありませんこれはギルドの報酬ではなく友人へのお礼という形で受け取ってもらえませぬかの?」

 

「そう言われるとなぁ」

 

「断りづらいですわね」

 

 

オオオオ

 

 

「おおお!!!」

 

「700万J!!!」

 

ナツとグレイは嬉しそうな顔をする

 

「どうする?エルザ」

 

「確かに拒みづらいが、これを受け取ってしまうとギルドの理念に反する追加報酬の鍵だけありがたくいただくとしよう」

 

「賛成」

 

「ですわ!」

 

「「いらねー!」」

 

「いるいるー!!」

 

ナツとグレイは残念がるがルーシィは鍵を欲しがった

「ではせめて、ハルジオンまでお送りしますよ」

 

「いや、船なら用意している」

 

ボボが送ると言った矢先エルザはそれも断った

 

「俺達が乗ってきたあの小舟か?」

 

「でも、全員は無理ですわよ」

 

「心配ない、新しい船を借りてきた」

 

 

「またかよ...」

 

 

・・・

 

 

『海辺』

 

「借りてきた船って...」

 

「海賊船かよ...」

 

「まさか強奪したの!?さすが!!」

 

エルザはさっさと荷物を運ぶ

 

「イヤよ!!!こんなの乗りたくない!!!!」

 

ルーシィは全力で嫌がる

 

「泳ぐなら付き合うぞ♪」

 

「無理!!!」

 

「俺も泳いだ方がマシ...」

 

「汚れるから駄目ですわよお二人とも」

 

「「チッ...」」

 

ナツとリートは諦めて船に乗り妖精の尻尾(フェアリーテイル)のメンバーを乗せた船は出発した

 

「みなさん!!!!ありがとうございます!!!!」

 

「また悪魔のフリフリダンスを踊りましょー」

 

「仕事頑張れよー」

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)最高!!」

 

「いつでも遊びにこいよー!」

 

ガルナ島の住民は船を見送った

 

「元気でねー!!!」

 

その様子を島の高いところからリオンとその仲間達が見ていた

 

「行っちまったな」

 

「な、泣いてなんかないもんね」

 

「てか、なぜ泣く...」

 

「いいんですの?せっかく分かり合えた愛弟子...すなわち愛」

 

「いいんだ」

 

リオンは空を見上げた

 

「なぁ ギルドって楽しいか?」

 

 

・・・

 

 

『マグノリアの街』

 

「帰って来たぞー!!!」

 

「来たぞー!!!」

 

ナツ達はマグノリアの街に帰って来た

 

「しっかしあれだけ苦労して報酬は鍵一個か」

 

「せっかくのS級クエストなのにね」

 

「仕方ねぇだろ、正式な依頼じゃなかったんだから」

 

「そうそう文句言わないの♪」

 

ルーシィは鍵を手に入れて嬉しそうにする

 

「得したのルーシィだけじゃないかー」

 

「売ろうよそれ」

 

「なんてこと言うのかしらこのドラネコ!!」

 

「前にも言ったけど金色の鍵、黄道十二門の鍵は世界にたった12個しかなくてめちゃくちゃレアなんだからね」

 

「そういや、そんな事言ってたな...で?今回手にいれたのは何の鍵なんだ?」

 

「人馬宮のサジタリウス♪」

 

「「「人馬!?」」」

 

リートとグレイとナツはそれに反応し人馬の想像をした

 

 

グレイは人のからだに馬の頭が繋がったイメージを

 

「違うと思う...」

 

 

リートは人面の馬のイメージを

 

「それだと、人面馬よ...」

 

 

ナツは花の頭にタコの足が生えたようなイメージを

 

「馬でも人でもないよそれ...」

 

 

そしてナツ達が話しているとエルザが話題を変え話しかけてくる

 

「さて、早速だがギルドに戻ってお前達の処分を決定する」

 

「うお!!!」

 

「忘れかけてた!!!」

 

「忘れないで下さいまし...」

 

「私は今回の件については概ね海容してもいいと思ってる。だが判断を下すのはマスターだ、私はもちろんリートとラリカにも弁護させるつもりはない、それなりの罰は覚悟しておけ」

 

「大丈夫だ、俺も破門でさえなければどうこう言うつもりはないよ」

 

「エルザはともかくリートは分かりませんわよ、ナツ達のことでラクサスと大喧嘩しそうになったのですから」

 

「え!!?」

「なにぃ!!」

「ラクサスとリートが喧嘩!!?」

 

ルーシィとナツとグレイは驚いた表情でリートを見る

 

「そうだな、ラクサスはお前達を見殺しにしていたかもしれなかったところをリートは助けに来たんだ感謝するんだぞお前達」

 

「リート...」

 

「嬉しいじゃねぇか」

 

「んなんじゃねぇよ...単にラクサスが気に入らなかった、それだけだ」

 

「ずりぃぞリート!!ラクサスと戦うなら俺とも戦え!!それかラクサスと戦わせろ!!」

 

 

「お前にいたってはラクサスほどじゃねぇけど単にムカつくな」

 

「けど、罰って何になるのかしら?」

 

ルーシィは与えられる罰について考える

 

「まさか!アレをやらされるんじゃ!!」

 

「ちょっと待て!!アレだけはもう二度とやりたくねぇ!!!」

 

「アレですわね」

 

「アレって何!!?」

 

ハッピーとグレイがショックをうけるなかナツだけは能天気にしていた

 

「気にすんな、じっちゃんならよくやったって誉めてくれるさ」

 

「すこぶるポジティブね」

 

「いや、アレはほぼ確定だろう、ふふw腕がなるな」

 

「うわっ...エルザのやつアレと決めつけてしかも参加する気だ」

 

エルザは楽しそうにし、リートはその状態のエルザを見て若干引いた

 

それを聞くとナツの顔色がみるみる変わっていく

 

「いやだぁーーー!!!!アレだけはいやだぁーーー!!!!」

 

「諦めろナツ、ほぼ確定だそうだからな」

 

「だからアレって何ー!!!?」

 

リートはナツの首根っこを掴み引きずりながらギルドに向かい、ルーシィはアレが分からずに困惑しグレイとハッピーは魂が抜けたような顔をし歩き出す

 

 

ザワザワヒソヒソ

 

 

「?」

 

マグノリアの人たちがナツ達を見て何か話している

 

「なんですの?いったい」

 

「ギルドの様子がおかしい...」

 

「ん?」

 

「これは...」

 

「なに...これ...」

 

そこにはフェアリーテイルのギルドがいくつかの巨大な鉄の塊に串刺しにされていた

 

「俺達のギルドが!!!!!!」

 

「どこのどいつだ...クソ...」

 

「ファントム...」

 

「「「「!?」」」」

 

ナツ達の元にミラがやってくる

 

「くやしいけど...やられちゃったの...」

 

 

・・・

 

 

『フェアリーテイル地下1階』

 

「お、エルザとリートとラリカが帰って来たぞ」

 

「ナツ達も一緒だ」

 

フェアリーテイルのメンバーはギルドの地下にほぼ全員集まっていた

 

「見たかよあのギルドの姿!!」

 

「ファントムめちくしょう!!」

 

「今度は俺達から仕掛けにいってやろうぜ!!!」

 

「落ち着けよ相手はあのファントムだぞ」

 

それぞれがギルドの惨状を見て悔しがっていた

 

「よっ!おかえり」

 

だがマスターであるマカロフはいつも通りだった

 

「ただいま戻りましたマスター」

 

「...ただいま...」

 

「じっちゃん!!!酒なんか飲んでる場合じゃねぇだろ!!!」

 

「おーそうじゃったお前達!!勝手にS級クエストなんぞに行きおってからにー!!」

 

 

 

 

「は?」

 

 

 

 

 

どうやらマカロフにとってギルドの惨状よりナツ達がS級クエストに行ったことの方が重要なようだ

 

「罰じゃ!!今から罰を実行する!!」

 

「それどころじゃねーだろ!!!」

 

ナツは抵抗したがそれでも罰は実行された

 

「めっ!めっ!めっ!めっ!」

 

「!!!」「痛て」「あぎゅ」「きゃっ」

 

ナツ、グレイ、ハッピーは頭をチョップされルーシィはお尻を叩かれたそれをミラが叱る

 

「マスター、ダメでしょ」

 

「マスター!!!今がどんな事態か分かってるんですか!!!」

 

「ギルドがあんな状態にされて何で平然としてられるんだよ!!!!」

 

エルザとリートはギルドの惨状のことが頭から離れない

「まぁまぁ落ち着きなさいよ、騒ぐほどのことでもなかろうに」

 

「な!?」

 

「ファントムだぁ?あんなバカタレ共にはコレが限界じゃ誰もいねぇギルドを狙って何が楽しいのやら」

 

マカロフが酒を飲みながら話した

 

「誰もいない?」

 

「どういうことですの?」

 

「襲われたのは夜中らしいの」

 

「では、怪我人が出なかったのが不幸中の幸いというわけか」

 

「不意打ちしかできんような奴に目くじらたてる事はねぇ放っておけ」

 

ダン!!!

 

ナツはテーブルを叩いて反発する

 

「納得いかねぇよ!!!俺はアイツ等を潰さなきゃ気がすまねぇ!!!!」

 

「ナツゥ!!いい加減にせんかぁ!!」

 

スパァン

 

「ってか何でアタシのお尻?」

 

マカロフはまたルーシィのお尻を叩く

 

「マスター、怒りますよ」

 

「つーか、ちょっと待て...漏れそうじゃ」

 

マカロフはトイレに行った

 

「なんで平気なんだよじっちゃん...」

 

ミラはナツをおさえる

 

「ナツ...悔しいのはマスターも一緒なのよだけどギルド間の武力抗争は評議会で禁止されてるの」

 

「先に手を出したのはアッチじゃねぇかよ!!!」

 

「そういう問題じゃないのよ」

 

エルザ達は納得せざるを得なかった

 

「マスターのお考えであるならば...」

 

「...くそっ」

 

 

・・・

 

 

夜になりルーシィはプルーと帰り道を歩いていた

 

「なーんか大変な事になっちゃったなぁ」

 

「プーン」

 

「お仕置き免れたのは良かったけどね、ファントムって言ったら妖精の尻尾(フェアリーテイル)と仲が悪いって有名だもんね」

 

「あたし本当はどっちに入ろうか迷ったんだよねだけど今は妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入ってよかったと思ってる。だって妖精の尻尾は...」

 

ルーシィはそのまま玄関を開けると

 

「おかえり」

 

「おかー」

 

「いい部屋だな」

 

ムスッ「よぉ」

 

「ごめんルーシィ...俺じゃこいつら止めれなかった...」

 

「申し訳ありませんわ」

 

ナツ、グレイ、エルザ、リート、ハッピー、ラリカがルーシィの部屋でくつろいでた

 

「サイコーー!!!!って多いっての!!!」

 

ガコン!

 

「ぐっ」

 

ルーシィはナツに向かって鞄を投げた

 

「ファントムの件だが奴等がこの街まで来たと言うことは我々の住所も調べられてるかも知れないんだ」

 

「え?」

 

「まさかとは思うが一人の時を狙ってくるかも知れねぇだろ?だからしばらくは皆でいた方が安全だってミラが」

 

「その意見に一理あるから俺もラリカも止めるに止めれなくて...」

 

「本当に申し訳ありませんわ」

 

ルーシィの表情が少し変わった

 

「そ...そうなの?」

 

「今日は皆お泊まり会やってるよ」

 

「お前も年頃の娘だしな、ナツとグレイだけをここに泊まらせるのは私としても気が引ける、だからこういう事には信頼があるリートも引き連れて同席することにした」

 

「俺ん家にいきなり駆け込んできて、説明なく首根っこ掴んで引きずって来やがったんだよ、エルザのやつ...」

 

「私はいきなりの事にリートを追いかけるしかできませんでしたわ」

 

「ってかナツとグレイは泊まるの確定なんだ...」

 

「気晴らしにな!!!」

 

ナツはいまだに機嫌が悪いようだったがルーシィの家に来て少しだけ機嫌が直ってきていた

 

「プーン」

 

「おお!プルー!!なんだその食いもん!!!俺にもくれ!!」

 

「人?から飯たかろうとするなよ、なんか食いてぇなら俺が材料買ってきて作ってやっから」

 

「リートが家以外で料理するなんてレアですわね」

 

「俺はもう寝っからよぉ騒ぐなよ」

 

「エルザ見てーエロい下着見つけた」

 

「す‥‥スゴいな‥‥こんなのをつけるのか‥」

 

「清々しいほど人ん家をエンジョイしてるわね」

 

するとエルザはナツ達を見て

 

「それにしてもお前達‥‥汗くさいな同じ部屋で寝るんだ風呂くらい入れ」

 

「風呂入る前に引きずって来たのはどこのどいつだコラ」

 

「やだよ、めんどくせー」

 

「俺は眠みぃんだよ」

 

「ナツとグレイは不潔ですわ」

 

エルザはナツとグレイの肩に手をまわし間にリートをいれて自分に近付ける

 

「仕方ないな‥‥昔みたいに一緒に入ってやってもいいが」

 

「却下!」

 

リートは全力で断りナツとグレイは冷や汗をかく

「あんたらどんな関係よ!!!」

 

 

‥‥

 

 

風呂から上がって着替えたルーシィはファントムについて訪ねる

 

「ねぇ、例のファントムって何で急に襲ってきたのかなぁ?」

 

「さぁな、今まで小競り合いはあったがこんな直接的な攻撃ははじめての事だ」

 

「俺は何かしらの裏があるんじゃねぇかってにらんでるんだけどな」

 

「じっちゃんもビビってねぇでガツンとやってやればいいんだ」

 

「ジーさんはビビってる訳じゃねぇだろあれでも一応聖十大魔道の一人だぞ」

 

「聖十大魔道?」

 

「魔法評議会議長が定めた大陸で最も優れた魔導士10人につけられた称号だ」

 

「へぇーすごぉい!!」

 

「ファントムのマスター・ジョゼもその一人なんだよ」

 

「ビビってんだよ!!ファントムって数が多いしさ!!」

 

「だから違うっていってんだろマスターもミラちゃんもギルド同士が争えばどうなるか分かっているから戦いを避けているんだ魔法界全体の秩序の為にな」

 

「そんなにすごいの?ファントムって」

 

「確かに数は多いが実力だけなら俺達の方があると思う...一部を除いてだがな」

 

「いや、私は実力は均衡していると見ている」

 

「なぜだ?」

 

リートはエルザに訪ねた

 

「マスター・マカロフと互角の魔力を持つと言われている聖十大魔道の一人マスター・ジョゼ、そして、向こうでのS級魔導士にあたるエレメント4の存在、

 

それだけならまだしも最近ファントムに入った男...ここ数ヵ月でマスター・ジョゼの右腕とまで言われるようになった奴がいる」

 

 

 

「成る程そいつらの存在があるから実力が均衡していると見てるわけか」

 

 

 

「ああ、エレメント4と中でも一番厄介とされている今回の襲撃の犯人と思われる鉄竜のガジル、

 

鉄の滅竜魔導士と、そして名前はまだ知らないがマスター・ジョゼの右腕となった男はたった一人で闇ギルドを一つ崩壊させられるだけの実力を持つと言われている」

 

 

 

「滅竜魔導士!!?闇ギルドを一人で崩壊!!?」

 

 

 

ルーシィはその話を聞いて驚愕している

 

「どんなに小さくてもギルドである以上それなりの実力者が一人か二人はいるはず...それを潰す程となると、確かに面倒だな」

 

「滅竜魔導士ってナツとリート以外にもいるんだ...」

 

「まぁ、そりゃあいるだろ」

 

「鉄の滅竜魔導士ってことは、鉄とか食べちゃうわけ?そいつ」

 

 

・・・

 

 

『ファントムギルド』

 

 

ガリガリボリボリ

 

ファントムのギルド内で鉄を食べる男が一人

 

そこに別の男が話しかけてきた

 

「ガジル~聞いたぜぇ~フェアリーテイルに攻撃仕掛けたんだって!?うはぁ!!スゲェw」

 

「ヒャッハァ今頃アイツ等スゲェブルーだろうなザマァみろってんだ!!!」

 

「ごっ!」

 

話しかけてた男は鉄を食べていた男ガジルに殴り飛ばされた

 

ガジルの腕は鉄の棒に変形しており殴り飛ばされた男の後ろの壁にはヒビが入っていた

 

「あらら」

 

「プッw」

 

「飯食ってるときは話しかけんなっていつも言ってんだろーがよぉクズが」

 

ガジルは立ち上がり鉄になっていた腕を元に戻す

 

「妖精のケツがなんだってんだ強ぇのは俺達の方だろうがよ」

 

そこにマスター・ジョゼとその後ろからもう一つの影がガジルの元に歩いてきた

 

「火種はまかれた見事ですよガジルさん」

 

「あめぇよマスター、アレくらいじゃクズ共は動かねぇだからもう一つプレゼントを置いてきたぜ」

 

「相変わらずセコイやりかただなマスターは、堂々と正面切って妖精共を叩き潰せば早ぇだろ」

 

マスター・ジョゼの後ろの男が話しかけた

 

「それをしては面白くないんでね、それにあまりギルド同士の抗争で明らかに私たちから仕掛けたと評議会に知られると後が面倒なのですよ、

 

あなたは強い敵を求めるあまりにやりすぎなのがタマに傷ですがね...この前もギルドを一つ崩壊させて闇ギルドだから良かったものを」

 

 

「へっ、あそこは強い奴がいなくてムシャクシャしたからなギルド一つ潰す位しねぇと気が収まらなかったんだよ

 

妖精の尻尾には強いやつはいるんだろうな?」

 

「さぁ?あなたのおめがねに叶う相手は探してみないと」

 

「へへっ楽しみだ」

 

 

・・・

 

 

翌日

 

『マグノリア南口公園』

 

ザワザワ

 

マグノリアの住民は朝から何かを見て騒いでいた

 

「通してくれギルドの者だ」

 

エルザ達は人を掻き分けて公園の真ん中にある大きな木に向かっていくと

 

「!!」

 

「うっ...」

 

「ヤロォ...」

 

大樹の中央にはレビィ、ジェット、ドロイがボロボロにされて貼り付けられていた

 

「レビィちゃん!!」

 

「ジェット!!!ドロイ!!!」

 

ギリッ

 

「ファントム...」

 

ナツとリートとエルザは歯を食い縛りその様子を見ている

 

そこにマカロフもやってきた

 

「マスター...」

 

「...ボロ酒場までなら我慢できたんだがな...ガキの血を見て黙ってる親はいねぇんだよ...」

 

バキッ!

 

マカロフは自分の持ってる杖を握りつぶした

 

「戦争じゃ」

 




はい、今回はここまでです。チラッとオリキャラを出してみました、今回は敵キャラですねもうそれなりに設定は考えてあるので後はストーリーにどう組み込むか...色々と試行錯誤してるので楽しみにしててください


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アニオリ2
オレがオマエでオマエがオレで


これ書いてて思ったのですが、原作ではガルナ島から帰ってきたら、ギルドはすでにファントムにボロボロにされていたのに、こっちでは問題なく帰ってきてるよなぁ…と、というわけでIFストーリーとして読んでいただきたいです。


ガルナ島から、ナツ、ルーシィ、ハッピー、グレイを連れて帰ってきたリートとエルザとラリカは、ギルドの門を開けた。

 

「ただいまぁ」

 

「ただいま戻りましたわ」

 

リートとラリカは、肩を落とすナツ達を他所に、いつも通りの挨拶をする。

 

「マスター!マスターは居られるか!!」

 

エルザは、早速指示を仰ごうとマカロフを探す。

 

「お帰りなさい、島はどうだった?ちょっとは海で泳げたりした?」

 

帰ってきたリート達を、ミラが出迎える。

 

「いや、それどころじゃなかったんだけどな…」

 

「ちょっとミラさーん…空気呼んで空気」

 

エルザは、未だマカロフを探している。

 

「マスターは!!?」

 

「評議会のなんたら会合とかなんたらがあるとかで、昨日から出掛けてるぜ」

 

マカオがそう説明すると、ナツ達はホッと息をつく。

 

「ってか…なんたらばっかりでさっぱり分かんねぇぞマカオ」

 

「しょうがねぇーだろ!思い出せねぇんだから」

 

 

「とにかく!今ん所セーフ!!」

 

「よしっ!じーさんが帰ってくるまで、アレはねーな」

 

「よかったよ~オイラ達まだしばらく地獄を見なくてすむよ~」

 

ナツ、グレイ、ハッピーはマカロフが居なくて安心する。

 

「だからアレってなんなのよー!!あー気になる!!あー怖い!!実態が分からないだけに尚更怖いー!!」

 

ルーシィは、とことんアレに怯えていた。

 

「アレねぇ…やるとしても随分久々だな」

 

「最後にやったのは、初めてナツが喧嘩で建物を崩壊させたとき以来だった気がしますわ」

 

「あー、あったあった!マスターが今後の為にも本来よりきつめのお仕置きを、とか何とか言って実行したんだっけか」

 

リートとラリカが昔の事を思い出していると、ナツの顔色がまた悪くなる。

 

「おい止めろ!じっちゃんが帰って来るまで安心してたのに、思い出しちまったじゃねぇか!!」

 

「自業自得ですわよ、私達に当たらないで下さいまし」

 

「そーだぞぉ、マスターが帰ってくるまでに腹括っとけよ」

 

「静かにしていろ!!」

 

「「「「ひぃぃぃ!」」」」

 

リートとラリカ以外は、エルザの睨みに怯えていた。

 

「マスターはいつ戻られるんだ?!」

 

「うーん、多分そろそろだと思うけど」

 

エルザは、ナツ達の方へと振り返り今後について話し始めた。

 

「マスターが帰ってきたらすぐに判断を仰ぐ、S級クエストに手を出した罪は罪!心の準備をしておけ」

 

「「「ひぃぃぃ!」」」

 

「だからどーいう心の準備をすればいいのよぉ!!!」

 

「じゃ、オレはかき氷でも食べて待つとしますかね」

 

「私はハーブティーが飲みたい気分ですわ」

 

「呑気すぎるでしょアンタ達!!!」

 

「仕事から帰ったら必ずかき氷!このルーティーンだけは絶対に譲れねぇ!そもそも、お前らを連れて帰る前にかき氷一回食いそこねてんだ!意地でもオレはかき氷を食う!第一オレは罰を受ける側じゃねぇ」

 

「どんだけ食い意地張ってんのよ!!?」

 

「私はアレをされるあなた達を見ながら優雅にハーブティーを楽しみたいだけですわ」

 

「ドS過ぎる!!?だからアレってなんなのよぉーーー!!!」

 

「フフッ、すぐに用意するわね」

 

ミラが、カウンターからかき氷機とお茶っ葉を取り出し準備を始めた。

 

「はい、お待たせ♪」

 

「おぉー、いっただきまーす!」

 

シャクシャク

 

「ありがたくいただきますわ、ミラ」

 

 

「それにしてもよぉ、ナツとグレイはともかく、ルーシィちゃんがあんな目にあっちゃうのかぁ、気の毒になぁ」

 

一緒に話を聞いていたワカバが、ルーシィを哀れみの目で見る。

 

「気の毒って…?」

 

「ワカバてめぇ!!ともかくってなんだともかくって!!」

 

「そうだ、しかもナツと一緒にするんじゃねぇ!!!」

 

ナツとグレイの二人は、ワカバを巻き込んで喧嘩する。

 

「アレをされるってのに結構元気じゃねぇか」

 

「ちょっとつまらないですわね。ナツ、グレイ、もっと暗い顔してお待ちなさいな、その方がハーブティーもより美味しくなる気がしますわ」

 

「「ふざけんな!!」」

 

「漢には責任の取り方ってもんがある、見せてもらうぜ、テメェらの漢をな」

 

「ずるいよぉオイラは何でそのともかくってのに入ってないんだよぉ」

 

エルフマンやハッピー達も、最早言いたい放題だ。

 

「だから、あんな目って何ーー!!?」

 

 

 

 

その後マカロフを待っているのが暇になったのか、ナツがリクエストボードの前に行くと、見たこともない奇妙な依頼書に目がとまった。

 

「お?何か変な依頼書があるぞ」

 

「あ?んだ?」

 

「ホントだ、なんだこれ?」

 

グレイとリートもその依頼書に目が止まり、無意識に気にかけてしまう。

 

そこへ、ナンパから戻ってきたロキがナツ達の下へやってくる。

 

「あぁ、ナツおかえり」

 

「おうロキ!えっと…この文字の」

 

「なに?」

 

ナツ達が気になったのか、ルーシィもやって来た。

 

「!?ルーシィも帰ってたのかーー!!?」

 

「当たり前でしょ?ナツ達と一緒に行ってたんだから、何でそこまでビビるの?」

 

「い…いや、じゃあ!」

 

ロキがルーシィから逃げようとしていると、こちらに向かってくるエルザと衝突した。

 

「おまえ達、今はそれどころではないだろう」

 

「オマエとぶつかったロキもそれどころじゃなさそうだぞ?」

 

ナツは、不用意に依頼書の文を声に出して読み始めた。

 

「この文字の意味を解いて下さい。解けたら50万J差し上げます」

 

「50万Jですって!?リートこれは解くしかありませんわよ!!!」

 

「おまえ露骨すぎだ…」

 

「文字の意味を解け?珍しい依頼だな」

 

リートが解いて欲しいと書いてある文字を見ると、それは古代文字の一種で書かれていた。

 

「これ、古代文字じゃねぇか、こんなの誰が読めんだよ」

 

「私は無理ですわよ!」

 

「胸張って威張るな…」

 

「でも、隣に現代語訳があるよ?」

 

「ですけど、そのまま読んでもさっぱりですわ」

 

エルザ以外は、依頼書に興味心身だった。

 

「だから、止めろと言っている」

 

「おぉー!でも、こっちは読めるぞ…ナニナニ?」

 

ナツは、現代語訳を口に出して読み出した。

 

「ウゴテル ラスチ ボロカニア…だぁー!全然わかんねぇー!!」

 

ビカァ!

 

「ん?」

 

不用意に依頼書を読んだ、ナツの体が光出した。

 

そして、それは近くにいたリート達も巻き込んでいく。

 

光が収まると、いきなりグレイが寒がり出した。

 

「さ…寒い…」

 

「あ?氷使いが何で寒いんだよ」

 

「ううぅ…ナニコレ?体の中が異常に寒いぃ」

 

次に動き出したのは、ルーシィだった。

 

「!?なんか、重てぇ…なんか胸の辺りが非常に重てぇ!!こ…腰にくるぅ」

 

「どーしたルーシィ?声のトーンがやけに低いぞ」

 

「?そんな事な…えぇーーー!!!」

 

グレイが隣にいるルーシィを見て、大声で驚き始めた。

 

「!アレ?何で倒れてたんだっけ?」

 

グレイが騒いでいるとロキが目を覚まして立ち上がるが、そちらもどうも様子がおかしい。

 

「フッ、ていうか僕はなんで立ってるんだ?」

 

ナツの口調もいつもと変わっており、ナツがふとルーシィの方を見るといきなり怯えて逃げ出した。

 

「うわぁー!」

 

「おいナツ、何でオレの顔見て逃げ…はっ?なんだこの声?」

 

ルーシィが、自分の声に違和感を感じる。

 

「なんかいつもとパターンが違うな」

 

 

「何を慌てていますの?」

 

「「「「!?」」」」

 

全員が驚いた表情で声がした方へ振り向くと、お嬢様口調になっていたリートが話していた。

 

「お…おいリートどうした?オマエ…オカマみてぇに」

 

「誰がオカマだコラ」

 

「「「「!?」」」」

 

また別の方から声が聞こえそちらを振り向くと、ラリカがマカオを睨み付けていた。

 

「ラリカ?」

 

「は?…」

 

ラリカが自分の体を見て、急激に顔色を悪くさせる。

 

「な…な…ななななんじゃこりゃあぁぁぁ!!!!」

 

「肉球!?茶色の毛!?オレの体に見たことねぇもんがある!!?ナニコレこわっ!!!」

 

 

「一体何を騒いでいる!」

 

「?」

 

リート達が騒いでいるのを見ていたマカオ達だったが、振り返るとそこには、キリッと姿勢を正したハッピーが立っていた。

 

「わぁー、ナツ見て見て…アレ?ナツは?」

 

エルザがナツを探していると、ロキが返事をした。

 

「あぁ?何だよ?つーか視界暗ぇ~」

 

「オイラの胸に格好いいおっぱいが2つついてるよ。ほら」

 

エルザが、自分の胸を寄せてロキに見せる。

 

おーーー!

 

「な!?やめんかー!!」

 

ゴチーーン!

 

「あんまり痛くないよ?」

 

ハッピーが、エルザに向かってキックするが、即座に鎧姿になったエルザにダメージはなかった。

 

「何だこのネコ型体型は…というか、これはネコそのモノだ…私は換装した覚えなんかないぞ」

 

 

「これ何がどーなってんの!?何かとっても寒いぃ!!それにどーしてここに私のそっくりさんが居るのよぉ!!」

 

「つーか何でオレはネコになってんだ!!?そんな魔法は覚えてねぇよ!!?」

 

「なんだか私も寒くなってきましたわ…というか、目線がやけに高くなりましたわね」

 

「鈍感すぎじゃね!?」

 

「まだ気付かんのか!私たちの心と体が、入れ替わっている!!!」

 

「「「「「「えぇーーーー!!?」」」」」」

 

「どーいうことだハッピー!!」

 

ロキ(ナツ)が目線をハッピー(エルザ)の位置まで合わせて話しかける。

 

「私はエルザだ!!」

 

「あぁ?」

 

「ハッピーはオイラだよぉ!ロキひどいよぉ」

 

エルザ(ハッピー)が、自分を主張する。

 

「あぁーうるさい」

 

「ってことは…」

 

ハッピー(エルザ)が、誰と誰が入れ替わったかを説明する。

 

「ナツとロキ、リートとラリカ、グレイとルーシィ、そしてあろうことか、私とハッピーが入れ替わったのだ!!」

 

えーーーー!!!!

 

「何であろうことかなんだよぉ」

 

「古代ウンペラー語の言語魔法…チェンジリングが発動したんじゃ」

 

そこへ、ようやく帰ってきたマカロフがリート達の下へやってくる。

 

「マスター!」

 

「じっちゃん!」

 

「あの依頼書が原因じゃ。ある呪文を読み上げると、その周囲に居た人々の人格が入れ替わってしまう。これぞ、チェンジリングじゃ」

 

「チェンジリング!?」

 

ルーシィ(グレイ)は、ロキ(ナツ)の肩に手を置く。

 

「オマエ、ナツなんだよな?」

 

「ああ」

 

「テメェ!!何てことしやがった!!!」

 

「知るか!!依頼書ちょっと読んでみただけだろーが!!!」

 

「つーか目の前暗ぇんだよ」

 

「サングラス取れや!!!」

 

「止めんかルーシィ…いや、グレイ…この呪文で入れ替わるのは人格だけではない」

 

ラリカ(リート)が、真っ先に察した顔をした。

 

「人格だけじゃないって…まさか…」

 

「そう、魔法も入れ替わるのじゃ」

 

はぁーーー!?

 

そして、その頃ナツと入れ替わっていると気がついてないロキは、外を歩き回っていた。

 

「はぁ…はぁ…暑い、まるで腹の中にマグマがあるみたいだ」

 

そして、女性を見かけたナツ(ロキ)は、即座にナンパを始める。

 

「やぁ!その内どっかでディナーでも一緒にどーだい?」

 

「「キャー!!!」」

 

ナツ(ロキ)の顔を見た女性達は、悲鳴を上げて逃げ出した。

 

「?」

 

気づけば、ナツ(ロキ)の口からは、ヨダレのように炎が出ていた。

 

「だぁー!ぎゃぁぁぁ!!!何だコレはーー!!!」

 

そして、場所は戻り妖精の尻尾ギルドで、マカロフから最後の説明を受けていた。

 

「最後にもう1つ、チェンジリングは発動してから30分以内に呪文を解除しないと…未来永劫元に戻る事はない…という言い伝えがある」

 

!?

 

「なななな…あれから、何分たった!!?」

 

ミラは、時間を淡々と答える。

 

「16分、あと14分ね」

 

「半分過ぎてんじゃねぇか!!」

 

「じっちゃん!元に戻す魔法は!!?」

 

「うーん、何せ古代魔法じゃからのぅ…そんな昔の事はワシはよぅ…知らん!!」

 

「「「「「「あぁーーーー…」」」」」」

 

「S級クエスト破りのお仕置きを楽しみにしてたんじゃがのぅ、コレではどーにもならんわい!!ま、精々頑張ることじゃ」

 

リート達入れ替わり組は、ボーゼンとするしかなかった。

 

「何てこった!!えーいこうなったら!!!」

 

ルーシィ(グレイ)が着ている服に手をかけて、服をぬごうとする。

 

「いやーー!!ちょっと、それだけは止めて!!!」

 

「レディが人前で脱ぐんじゃありませんわよ!!!」

 

グレイ(ルーシィ)とリート(ラリカ)が必死にルーシィ(グレイ)を押さえる。

 

「そうか、中身はグレイだから、脱ぎ癖もそのまんまなんだね」

 

「もう、オレとしてはそれどころじゃねぇよ…下手すりゃ一生このままラリカとして生きていかなきゃなんねぇのかも知れねぇのに…」

 

ラリカ(リート)の顔色は、とことん悪くなっていた。

 

「あ!そうか!」

 

「ハッピー!?何を!?」

 

ハッピー(エルザ)は、エルザ(ハッピー)が何か行動を起こそうとしていることに気付き、止めようとする。

 

「面白そうだな、やってみようっと」

 

「うわー!!や…止めろ!」

 

「換装!換装!オイラも換装!うわーい!!」

 

エルザ(ハッピー)がいきなり換装をし始め、ツインテールのスク水姿に釣り竿を持つという、ツッコミ所満載の姿に換装する。

 

「どじゃーん!!」

 

その姿に、男ども数人が興奮する。

 

「「「おぉー!これはこれで」」」

 

「いや、何でいきなりあんな姿に換装してんだよアイツ…」

 

「やめんかーーー!!!」

 

ゴン!!

 

「あ…」

 

ハッピー(エルザ)が殴ろうとすると、今度はエルザ(ハッピー)の無意識に出された肘に顔面をぶつけてしまう。

 

「なんということだ…S級魔導士としてのプライドがぁ」

 

「じゃあ、どうしてあの水着を買いましたの?」

 

「もうあの水着見せた時点でプライドもへったくれもねぇな…」

 

「あれぇ?おかしいなぁ、格好いい鎧にするつもりだったのに」

 

「分かった!確かに魔法も入れかわっちまうが、中途半端になっちまうんだ!!」

 

「おいロキ…じゃなかった。中の奴」

 

「中の奴とか言うな!!何だよ?」

 

「オマエの魔法はどーなってんだ?」

 

ワカバにそう聞かれたロキ(ナツ)は、渋い顔で答える。

 

「わ…わかんねぇ…なんも感じねぇし何もおきねぇ…つーか何かモヤモヤしてるだけだ」

 

「あ?」

 

「何だこのムズムズする感じはーーー!!!」

 

ギルドで騒いでいると、慌ててナツ(ロキ)が走って戻ってきた。

 

「誰かーー!なんとかしてくれーー!!!」

 

「何だその炎」

 

「つーかヨダレだな」

 

「下品ですわね」

 

そう言うリート(ラリカ)の口からは冷気がだだ漏れしていた。

 

「お前も人の事言えねぇぞ」

 

「止まらないんですのよ!!!」

 

「確かに、すごく中途半端ね」

 

ハッピー(エルザ)は、翼を出して空中を飛んでみていた。

 

「おぉー成る程、空を飛ぶとはこういう感じか…ナドト感心してる場合ではない!!!もう時間がないぞ!!!」

 

「一体どーしたら…はぁ」

 

ため息を吐くグレイ(ルーシィ)の口からは、氷が垂れ流されていた。

 

「グレイ…じゃなかった。ルーシィ、口から氷が…」

 

「!?キモい!もうやだぁ…」

 

 

 

「ルーちゃん!私に任せて!」

 

「!」

 

慌ただしくなったギルドに、仕事から帰ってきたレビィが声をかける。

 

「レビィちゃん!」

 

「レビィ…」

 

 

「オレたちチームシャドウギアが戻ってきたからには、必ず元に戻してやるぜ!!」

 

「あぁ!という訳で」

 

「「頼むぜレビィ」」

 

ジェットとドロイは一歩後ろに下がり、レビィを先頭にだす。

 

「お前らはなにもしねぇのかよ」

 

「「こーいうのはレビィの専門だ」」

 

「胸張って言うことか!!!」

 

 

「ありがとう!レビィちゃん」

 

「ルーちゃんの為だもん!頑張る」

 

そして、レビィは小声でグレイ(ルーシィ)に耳打ちする。

 

「ルーちゃんの書いた小説、絶対読者第一号になりたいから」

 

「んで!どーすんだ!?」

 

レビィは依頼書を見て、解読を始める。

 

「私、古代文字にちょっと詳しいから、だからまずは、その依頼書の文字を調べてみる」

 

「時間がねぇ!間に合うのか?」

 

「とにかく!この場はレビィに任せよう!」

 

魚を加えたハッピー(エルザ)がそう言うが、加えている魚のせいで、頭に入ってこない。

 

「!?…なぜ私が魚を……」

 

「おいしいよ?」

 

レビィは風読みの眼鏡で、依頼書の文字に関連している書物を次々と読みあさっていく。

 

「あと、10分くらいしかないぞ!!」

 

「というか、レビィはその文字を読んでも平気ですの?」

 

リート(ラリカ)が、ふと思った事を聞いてみる。

 

「こーゆー古代の魔法はそのまま読み上げなければ大丈夫なの」

 

「時間がねぇ~!あぁー!モヤモヤするぅ、もうずっとこのままだったらやべぇぞぉ!!」

 

「元凶が言ってくれんじゃねぇか、え?ナツ」

 

ラリカ(リート)は、ロキ(ナツ)を睨み付けながら指をゴキゴキと鳴らす。

 

「お…おおお落ち着けよラリカ!!」

 

「オレはリートだ!!!」

 

「でも、オイラは気に入ってるよ、もっといい鎧にかんS「だからやめんか!!」」

 

もう一度換装をしようとするエルザ(ハッピー)を、ハッピー(エルザ)が止める。

 

そして、レビィは読んでいた本をパタリと閉じた。

 

「どう?レビィちゃん」

 

「何かわかったか!?」

 

「うん…わかんない」

 

「「「「「えぇーーーー!!!」」」」」

 

入れ替わった全員が、ショックで声を上げる。

 

「そうか…私はこれから先…妙な羽の生えた猫として生きていくのか…」

 

「オレは今後空を飛ぶしかできないのか…はぁ」

 

ハッピー(エルザ)とラリカ(リート)は、絶望に打ちひしがれていた。

 

「オイラは妙じゃないよぉ!」

 

「私は空を飛ぶ意外にもちゃんと出来ることはありますわよ!!」

 

「…えーーい!!!」

 

またも、ルーシィ(グレイ)が服を脱ぎ出そうとし始め、グレイ(ルーシィ)が必死に止める。

 

「だからやめてよぉ!!!」

 

 

「だぁー!!モヤモヤするぅ!!」

 

「僕はもう二度とデート出来ないのか…」

 

 

「ちょっ…落ち着いて!もっともっと考えるから!!」

 

レビィは、必死に解決法を探す。

 

「マカオ!!時間は!?」

 

「あと8分…そろそろ腹括った方がいいかもな」

 

「ジョーダンじゃねぇ!!意地でも元に戻ってやる!!」

 

レビィの後ろでは、ドロイとジェットが応援団の格好で必死に応援する。

 

「「フレー!フレー!レ・ビ・ィ!」」

 

「アイツらただの応援要員かよ」

 

「テメェら!!それがレビィの邪魔になってオレたちが元に戻らなかったらぶっ飛ばすからな!!!」

 

ラリカ(リート)は、かなり焦っているのか、どんどんと言葉使いが荒くなる。

 

しかし、何も出来ないリート達は、ただ黙ってレビィの解読が終わるのを待つしか出来なかった。

 

「もし、ずっとこのままだったらどーする?」

 

ふと、ルーシィ(グレイ)は、思った事をみんなに聞いてみた。

 

「あぁ?どーって、何が?」

 

「この先、この状態のまま仕事に行く気かよ?」

 

「そりぁ、元に戻らなかったらそーするしかねぇだろ」

 

「それはマズイよな…やっぱり…」

 

ラリカ(リート)も、同じ事を考えていたらしく、もし元に戻らなかったらどーなっているか想像する。

 

「あ…」

 

グレイ(ルーシィ)が声を出し、皆の注目を集める。

 

「どーした?グレイ…ではなくルーシィ」

 

「これ大変よ!だって今のアタシ達、皆魔法まで入れ替わって中途半端になっているでしょ?そんなんで仕事に行って上手くいきっこないもん!」

 

「ってことは…」

 

「今の…」

 

「私達は…」

 

「まぁ…間違いなく…」

 

「「「「「「妖精の尻尾最弱のチーム!!?」」」」」」

 

「かっこわる」

 

ロキ(ナツ)とハッピー(エルザ)は、ようやく事の重大さを理解し、先ほど以上に焦りを感じる。

 

「ヤバイ!!!確かにそう言われれば、かなりヤバイ!!!」

 

「なぜ今までそんな単純な事に気づかなかったのだぁ!!やはりネコになってしまったせいかぁ…」

 

「でも、オレはとっくに気づいてたぞ?」

 

「ハッピーと私の知能は違いますのよ!当然ですわ」

 

「ひどいよぉ!リート…じゃなくてラリカも入れ替わってからのエルザもいちいちトゲがあるよぉ!」

 

エルザ(ハッピー)は、飛び上がりハッピー(エルザ)の上にのしかかる。

 

「うわぁー!!」

 

「今何しようとしたんだ?エルザ…じゃなくてハッピー」

 

「ひどいこと言われたから…オイラこんなとこ出てってやるぅって飛んでいこうとしたんだ…そしたら羽がなくて、羽がなくて転んじゃったんだ」

 

「わ…私が悪かったから…どいて…く…れ……」

 

エルザ(ハッピー)の重さに耐えきれなくなったハッピー(エルザ)が、耐えきれずに白目を向いてしまう。

 

「わかった!!!」

 

レビィが叫ぶと、入れ替わり組の全員がレビィへと視線が向く。

 

「「「「「おぉーー!!」」」」」

 

「おっしゃ!魔法が解けるんだな!!」

 

「どーすれば解けるんだ?」

 

「この古代文字はね、ここに永遠の入れ替わりをもって幸せをもたらすって意味なの」

 

「やったー!レビィちゃんすご!」

 

「ここに…永遠の入れ替わりをもって幸せをもたらす」

 

「なぁ…今のオレにはそれが不吉な言葉にしか聞こえねぇんだが…オレの思い過ごしだよな?…な?」

 

「そんで!?」

 

「つまり!この魔法で入れ替わった人達が永遠に幸せに暮らせますって意味なの!!はぁ~解けてよかった~」

 

レビィの言った意味を理解した者達は、ショックを受ける。

 

「「ちょっと待てぇ!!!」」

 

「それじゃオレたちに一生このままでいろって意味じゃねぇか!!!」

 

「肝心の戻し方が分かってねぇじゃねぇか!!!何やってんだオメェは!!!」

 

「あ、ホントだ!!どーしよー」

 

「無自覚でしたの!!?」

 

「レビィちゃん、魔法が解けなきゃダメなのよ。きっと何か方法があるはずよ。裏の意味とか…そーいうやつ、そっちを重点的に調べてみて」

 

グレイ(ルーシィ)のアドバイスで、レビィはやる気を更に出す。

 

「うん!頑張る!」

 

そして、レビィはまた解読を始め、その後ろでは先程同様に、ジェットコースターとドロイが応援し始めた。

 

「「フレー!フレー!レ・ビ・ィ」」

 

「あの応援チームかえってウザくねぇか?」

 

「オレもそう思う…スポーツとかならともかく、解読に応援は絶対に邪魔だろ」

 

「暑苦しいですわね」

 

「いや、気合いが入っていいと思うぞ!オレも参加してぇぐらいだ」

 

「「「えぇ~」」」

 

応援団に呆れていたワカバ、リート、ラリカと、逆に賛成派のエルフマンに、ワカバ達は少し引いていた。

 

「ちがう…こうじゃない…こうしたら、余計分かんなくなった。これじゃあ言葉になってない、うーん」

 

そうこうしてる間にも、時間はどんどんと過ぎていく。

 

「あと3分」

 

「いやぁぁぁ!!!」

 

「魚なのか…これから、朝も、昼も、夜も…魚なのか!!猫じゃらしを見ると嬉しくなってしまったりするのか!!」

 

ハッピー(エルザ)は、そう言って肩を落とす。

 

そこに、エルザ(ハッピー)が仲直りをしようとやって来た。

 

「エルザ、さっきはごめんね。オイラが悪かったよ」

 

「ハッピー…おまえ!」

 

「喧嘩なんかしてる場合じゃないもんね。仲直りしよ」

 

「そうだな、私も悪かった」

 

「あい!これ仲直りの印だよ」

 

エルザ(ハッピー)は、生の魚を取り出して手渡した。

 

「サカナー!って…」

 

「うわぁぁぁ!!!」

 

ハッピー(エルザ)は、泣きながら翼で飛んでいった。

 

「空気を読みなさいよぉ!!!」

 

「「レビィ!!まだか!!?」」

 

「こりゃマジでヤベェ!一分切ったー!!」

 

「テメェ、何かさっきから楽しんでねぇか?!!あぁん?」

 

「こっちは必死なんだぞコノヤロウ!!」

 

ロキ(ナツ)とラリカ(リート)の二人が、カウントダウンをするマカオに逆ギレする。

 

「そ…そんな事ないって…」

 

 

「もうちょっと、なんとなく分かりそうな気はしてきてるんだけど…」

 

いつの間にか、レビィの後ろの応援団にエルフマンが加わり、2人から3人へとなっていた。

 

「頑張れ!頑張れ!レビィ!くぅ~燃えるぅ!!」

 

「アイツ似合いすぎだ…」

 

「暑苦しさも3割増しくらいになってますわよ…」

 

 

「おや?まーだやっとるのか?」

 

ギルドの奥にいたマカロフが、様子を見に戻ってきた。

 

「マスター!!何とかできねぇか!!?このままじゃ一生オレたち入れ替わったままだぞ!!」

 

「!」

 

マカロフは、何か思い出したような顔をする。

 

「何か思い出したか!?」

 

「そー言われてもねぇ」

 

「はっ倒していいですの!?この人はっ倒していいですの!?」

 

「落ち着けラリカ、マスターをはっ倒しても何も解決しねぇから…」

 

「どれだけ正確かは知らねぇけど、多分あと40秒!!」

 

「ヤバイ!!このままネコとして過ごすのは絶対に嫌だ!!!」

 

「リートも何気に失礼ですわね!!?」

 

「やぁ!1つ思い出したぞ!!」

 

何かを思い出したマカロフを、入れ替わり組が囲む。

 

「何だマスター!!」

 

「この魔法を解くときは、確か一組ずつだったハズじゃ。一辺に全員を戻すのは無理だったハズじゃ」

 

「何でそれをもっと早く思い出してくれなかったぁぁぁ!!!」

 

「忘れとったもんはしょーがないじゃろ」

 

「あと30秒…ぐらい」

 

そして、誰が最初に戻るかで争いが始まった。

 

「どのペアが最初だ!!」

 

まず、ナツとロキのペアが名乗り出る。

 

「とーぜんオレとロキだ!!なぁロキ?」

 

「そうだ」

 

次にグレイとルーシィが、

 

「そーは行かないわ!!最初はアタシ達よ」

 

次にリートとラリカが、

 

「バカ野郎!!初めはオレたちに決まってんじゃねぇか!!」

 

そして、エルザとハッピーも、

 

「待て!!私がずっとこのままだと、妖精の尻尾はどーなる!!最初は私とハッピーが」

 

「オイラはどっちでもいいよぉ」

 

「オレたちが!!」

 

「いーや!!オレたちだ!!」

 

「私たちだって言ってんでしょ!!」

 

「私たちだ!!」

 

 

「…醜い…」

 

「人間追い詰められると怖いのねぇ」

 

ナツ達のいい争いを見ている、ワカバとミラがそっと呟いた。

 

「15秒切ったよぉ~」

 

「あぁー!!分かったぁ!!」

 

そこでようやく、レビィが解読し終える。

 

「12、11」

 

「レビィちゃん!!」

 

「こー言うことなの!!つまり、説明するとね」

 

「説明はいい!!とにかく急いでやってくれ!!時間がねぇんだ!!」

 

「9、8」

 

「「オラァ!!」」

 

カウントダウンにイラついたロキ(ナツ)と、ラリカ(リート)は、マカオをド突いた。

 

「ぐぼぁ!!」

 

「レビィ!!早く!!」

 

「分かった!いくわよ?」

 

そして、レビィは呪文を唱えた。

 

「アルボロヤ テツラ ルビコウ!! アルボロヤ テツラ ルビコウ!! アルボロヤ テツラ ルビコウ!! アルボロヤ テツラ ルビコウ!!」

 

レビィが呪文を唱えると、依頼書が光りだしギルド全体を包む。

 

光が収まると、ルーシィは自分の体を確認する。

 

「あ!元にもどった!!」

 

「オレもだ!!」

 

隣にいたグレイも、自分の身体に戻れてホッとする。

 

「やれやれ…」

 

そういうグレイの口からは、氷が落ちていた。

 

「!」

 

「元に戻っても出んのかよ」

 

「レビィちゃん!ありがとう!」

 

「やったー!!」

 

ルーシィは、レビィに抱きついて解読した方法を聞く。

 

「どーやったの?教えて」

 

「言葉そのものには意味がなかったの、逆さ読みをやってみたんだ。古代は文字が少なかったから、色んな意味を伝えたい時に、反対から読むと別の効力を発揮するようにしてたの。だから、呪文を逆さから読んでみたら魔法が解けたの」

 

「そっかーホントありがとね」

 

「助かったぜ、レビィ」

 

「ルーちゃんの為だもん!へへっ」

 

そして、喜んでいたルーシィとグレイ以外はというと…

 

「「と…解けて(ねぇ)(ない)!!」」

 

「「えぇーーー!!!」」

 

「私もだ!!ネコのままだぞ!!」

 

「オイラはどっちでもいいけどねぇ」

 

「おい!戻ってないぞ!!どーすんだこれ!!?」

 

「元に戻ってませんわぁぁ!!」

 

 

「わずかの差だなぁ、残り3組は制限時間に間に合わなかったって事だ」

 

「そそそそんなぁ!!どどどどーすりゃいいんだよぉ!!」

 

「オレたち一生このままなのか!!?」

 

「レビィ、もっかいやってくれ!!」

 

レビィは依頼書を見て、顔を青ざめさせていく。

 

「あれ?何か微妙に間違えちゃった…かも」

 

えぇ~~~~!!

 

「じゃあオレたちはずっとこのまま!?」

 

「悪夢だ!!悪夢以外の何者でもない!!」

 

「オイラはどっちでもいーけどねぇ~」

 

「まぁまぁ、他にも何か方法があるじゃろ」

 

マカロフ?と思い全員がふりかえると、喋っていたのはなんとミラだった。

 

「ん?」

 

「なんだか…私背が縮んでない!?」

 

マカロフの体で周章てているミラ…どうやらミラとマカロフが入れ替わったようだ。

 

「えぇー!?まさかミラさん!!?」

 

「じーさんとミラが入れ替わってんぞ!!?」

 

 

「なんというこのナイスバディ!!ウハハハハ!!」

 

ミラ(マカロフ)は、みらと入れ替われて大喜びだが、マカロフ(ミラ)はそうでもないようだ。

 

「いやぁぁ!!それだけはいや!!」

 

「もしや…」

 

ハッピー(エルザ)は、ギルド全体を見渡した。すると、予想通りにエルフマンとカナ、ドロイとジェットも入れ替わっていた。

 

「漢は諦めが肝心…あ?なんだこの酒クセェ体は」

 

「!?ちょっ!何よこれ!!何でアタシがエルフマン!!?うーっ何か急に酔いが覚めてきた」

 

「おい、ドロイ…!?」

 

「あ?何だよ?ジェット…!?」

 

「「オレたち入れ替わってんぞぉ!!」」

 

「おまえ達は入れ替わってもさして問題ないじゃろ…それにしても、これはまた夢のようなナイスバディ!!」

 

ミラ(マカロフ)が、ミラの体でグラビアの体制を真似する。

 

「いやぁぁ!!レビィなんとかしてぇ!!」

 

もはや入れ替わった者だらけで、ぎるどはメチャクチャになっていた。

 

「もう、私の手にはおえないです…」

 

その後、どーにかして元に戻れたかどうかは、誰にもわからないってことで

 

「「元にもどせぇ!!」」

 

「投げっぱなしで終わりかい!!」




明日か明後日ぐらいにガルナ島編後にこの話を入れます。


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幽鬼の支配者(ファントムロード)編
戦争 開始


今回はオリキャラもでたことですし少しずつ話に組み込んでいくようにします。また、イメージしにくいキャラになること間違いなし!!...なったらアカンやん...


『マグノリア病院』

 

「レビィちゃん...ジェット...ドロイ...」

 

レビィ、ジェット、ドロイの3人はベッドに寝かされていまだに目が覚めずそれをルーシィは見守ることしかできない。

 

「ヒドイ事するんだなぁ...ファントムって」

 

ルーシィは、ボロボロになったレビィを見て、レビィ達と面白おかしく話していた過去を思い返す。

 

 

 

【「聞いたよルーちゃん!!!小説書いてるんだって?」

 

何気なくギルドで座っていたルーシィに、レビィは唐突に話しかけた。

 

「うわぁ‥‥もう広まってるのかぁ」

 

「私はレビィ!ルーちゃんと同じ17歳!!こっちはジェットとドロイ同じチームなの」

 

レビィは、ルーシィにジェットとドロイを紹介する。

 

「ども...」

 

「かわいい」

 

「私書くのは全然だけど本読むのは大好きなの!!よかったら今度読ませてくれない?」

 

「そんな…まだ人に見せられるようなものじゃ」

 

ルーシィが恥ずかしがっていると、それを聞いたジェットとドロイが話に混ざる。

 

「なーに言ってんの、物書きなんて人に見られてナンボじゃねぇの」

 

「よく言うだろ?作家ってのは他人に尻の穴見せるようなものだって」

 

「うっ」

 

その台詞を聞いて、ルーシィは咄嗟に自分のお尻を手で隠す。

 

「恥ずかしがってたら始まらないもんね」

 

「見せて見せて!!ね!お願い!!」

 

「ま...まだ途中なんだぁ...」

 

「じゃあ完成したら読者1号になっていい?」

 

レビィの圧しに、ルーシィは思わず頷いてしまう。

 

「う...うん」

 

「約束♪わーい!!」】

 

 

 

「許せないよあいつら」

 

その事を思い出していたルーシィは、涙目になりながら呟いた。

 

 

・・・

 

 

『ファントムロードギルド内』

 

「だっはー!!!最高だぜ!!!」

 

「妖精のケツはボロボロだってよ!!!」

 

ファントムの魔導士達は、妖精の尻尾に喧嘩を売ったことを喜び、どんちゃん騒ぎを繰り返していた。

 

「ガジルの奴そのうえ3人もやったらしいぜ」

 

「ヒュー」

 

「そういや、マスターがガジル達に、奴には手を出すなとか言ってたけど奴って誰だ?」

 

「さぁ」

 

「どうでもいいさ、惨めな妖精共に乾杯だ!!!」

 

「今頃羽をすりあわせて震えてるぜ」

 

ファントムのメンバーが騒いでいるなか、1人の男が仕事をしに出入り口へと向かう。

 

「いけね、こんな時間だ」

 

「女かよ」

 

「まぁまぁいい女だ、依頼人だけどな、脅したら報酬2倍にしてくれてよぉ」

 

「オレなら3倍までいけるね」

 

「言ってろタコ」

 

そして仕事に行くため、男はドアを開けて出て行った。

 

ギィ~...ドン!!

 

「!!!」

 

扉の向こうから大きな音がしたと同時に、出ていったはずのファントムの一人が吹っ飛んでくる。

その顔には、殴られた跡と蹴られた跡の2つ跡がついていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「フェアリーテイルじゃああっ!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

ファントムのギルドにフェアリーテイルのほぼ全員がやってきており、先程の男はナツとリートが吹き飛ばしていたものだった。

 

「なっ!!!」

 

ナツは、先走ってファントムのメンバー達の中に突っ込んでいく。

 

「おおおおっ!!!!らぁっ!!!!」

 

ナツの炎で、ファントムのメンバーが一気に凪ぎ払われる。

 

「誰でもいい!!!!かかってこいやぁ!!!」

 

それに対して怒ったファントムのメンバーも、次々に妖精の尻尾に向かって攻撃を仕掛けにいく。

 

「調子に乗るんじゃねぇぞコラぁ!!!!」

 

「やっちまえぇ!!!!」

 

「上等だ!!!!何人でもかかってこいよ!!!!全員生かして帰さねぇからよぉ!!!!!!」

 

当然今回の事に怒りを感じていたリートも、氷を纏わせた両腕で相手を殴り倒していく。

 

それに続いて、フェアリーテイルメンバーも戦闘に参加していった。

 

 

 

オオオオオオオオ!!!!!!

 

 

 

「マスター・マカロフを狙え!!!」

 

ファントムのメンバーが束になり、マカロフに攻撃をしようとするが…

 

 

 

「かあぁぁぁぁ!!!!」

 

 

 

ズドン!!!

 

 

マカロフは巨大化し、掌だけで襲ってきた奴を叩き潰す。

 

 

バキバキ

 

 

「ぐぼぉぁぁ!!」

 

「ば...化け物...」

 

 

 

「貴様等はその化け物のガキに手ェ出したんだ人間の法律でテメェを守れると夢々思うなよ」

 

 

 

あまりの恐怖に、潰されてる一人が涙目になっていた。

 

「ひ...ひぎっ...」

 

「つ...強ぇ」

 

「兵隊どもも半端じゃねぇ!!!」

 

「こいつらメチャクチャだよ!!!」

 

妖精の尻尾に圧倒されるファントムの連中は、徐々に後退していく。

 

「ジョゼーーーー!!!!!!出てこんかぁ!!!!!!」

 

「どこだ!!ガジルとエレメント4、ジョゼの右腕はどこにいる!!!」

 

その様子を柱の上から見る二つの影、

一人はエレメント4の男ガジル

そしてもう一人、黒のバンダナとグローブ、そして靴を着けた金髪の男バンク・ガイアスタ

 

この男が、過去に闇ギルドを一人で潰したと言われるマスター・ジョゼの右腕だ。

 

「アレが妖精女王のエルザ...そして氷竜のリートか...ギルダーツ、ラクサス、ミストガンは参加せずか...なめやがって」

 

「だが、ここまでうちのマスターの思惑通りに事が動くとはな...まぁオレにとってはどうでもいいが」

 

「で?バンクさんよ、オメェのおめがねに叶う相手は見つかったかい?」

 

「ああ、今回はちょっとばかし期待できそうだ...

さっきからオレ達に気付いてずぅっと殺気を当ててきている奴がいる」

 

「氷竜だろ?」

 

「へっ、アイツはオレがもらうぜ」

 

するとバンクは柱から飛び降り、リートに向かって周りの仲間を吹き飛ばしながら突っ込んでいく。

 

「ぐわぁ!!」

 

「バンクさん!!!オレらまで巻き込んでるぞ!!!」

 

「知るか!!テメェの身はテメェで守れ!!」

 

もうスピードのまま、バンクはリートのすぐ近くまで接近し、リートもそれに気づいていた。

 

 

「!!」

 

 

ドン!!

 

バンクはリートに強烈なパンチを放つが、リートはそれを同じパンチをぶつけて防ぐ。

 

 

 

 

「テメェがジョゼの右腕ってやつか...」

 

 

 

 

「バンクだ...よろしくやろうぜ氷竜さんよ♪」

 

 

 

ガジルはその様子を見るだけで、自分は今だ動こうとしなかった。

 

「っち...バンクの野郎、勝手に飛び出していきやがって...まぁいい、せいぜい暴れまわれクズ共が...」

 

 

・・・

 

 

『マグノリア街』

 

ルーシィは、レビィ達の見舞い後、病院から帰り道を歩いていた

 

「はぁ、みんなアタシ置いていっちゃうんだもんなぁ」

 

ポツポツ

 

「やだ、天気雨?」

 

雨が強まるなか、その奥から1人の女性がルーシィの前にやってくる。

 

「しんしん...と...そうジュビアは雨女、しんしんと...」

 

ルーシィの目の前に現れた女、ジュビアはルーシィに話しかける。

 

「あなたは何女?」

 

唐突なジュビアの質問に、ルーシィの頭の中ではクエスチョンマークが浮かぶ。

 

「はぁ?」

 

「あの...誰ですか?」

 

「楽しかったわごきげんよう」

 

そういうと、ジュビアは傘を広げて立ち去ろうとした。

 

「え!!?なんなの!!?」

 

「ノンノンノン ノンノンノン ノンノンノンノンノンノンノン」

 

そんな声が聞こえると、ジュビアの足元の地面が盛り上がり細長い男性 ソルが現れた。

 

「3・3・7のNO(ノン)でボンジュール」

 

「ムッシュ・ソル」

 

「ジュビア様駄目ですなぁ、仕事放棄は、私の眼鏡がささやいておりますぞ、そのマドモアゼルこそが愛しのシプルだとねぇ~」

 

「あら、この娘だったの?」

 

そう言うとジュビアは、もう一度ルーシィの方へ向きなおした。

 

「え?」

 

「申し遅れました、私の名はソル ムッシュ・ソルとお呼びください、

偉大なるファントムロードよりお迎えに上がりました」

 

「ジュビアはエレメント4の一人にして雨女」

 

ルーシィは、二人がファントムのエレメント4と知り警戒する。

 

「ファントム!?あ...あんた達がレビィちゃん達を!!!」

 

ルーシィが腰の鍵に手をかけたその時、

 

「!!」

 

人一人を包めるほどの大きさの水の塊が、ルーシィを包む

 

「ノンノンノン、3つのノンで誤解を解きたい

ギルドを壊したのもレビィ様を襲ったのも全てガジル様、

まぁ我々のギルドの総意であることには変わりありませんがね」

 

「ぷはぁっ、何これ!!!」

 

「ジュビアの水流拘束(ウォーターロック)は決して破られない」

 

「あぶっ」

 

ゴポォ

 

ルーシィが水から顔を出したのもつかの間、また水の塊がまたルーシィを包みこむ。

 

ゴボゴボッ...

 

しだいにルーシィの意識がなくなり、ルーシィは気を失って大人しくなる。

 

「ん~~~~トレビア~ン」

 

「大丈夫、ジュビアはあなたを殺さない、あなたを連れて帰ることが任務だから...

 

 

ルーシィ・ハートフィリア様」

 




新キャラ、バンク名前からして力技得意って感じにしようとしたらこの名前になっちゃいましたw今さら訂正効かねぇしこれでやるしかねぇ!!


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撤退

今回はバンクの魔法についてとバンクVSリートを少し書きます


『ファントムロードギルド』

 

「ぬあぁぁぁっ!!!!漢漢!!漢!!!漢なら...漢だぁぁぁ!!!!」

 

エルフマンが叫びながらファントムの一人をボコボコに殴り飛ばす

 

「うわぁ!!」

 

「何言ってんだアイツ!!!」

 

「なんだあの手は!!?」

 

ファントム一味はエルフマンの腕を見て驚愕している

 

「テイクオーバーだ!!あの大男、腕に魔物をテイクオーバーさせてやがる!!!」

 

「そ...そんな魔法あんのかよ...」

 

 

 

「エルフマン!!!倒した魔物の力を腕に吸収させていく...ビーストアームのエルフマンだ!!!!」

 

 

 

その騒ぎの中マカロフは1人最上階に向かう

 

「エルザ!!!ここはお前達に任せる」

 

「マスター!!」

 

「ジョゼはおそらく最上階ワシが息の根を止めてくる」

 

そう言うとマカロフは最上階へと走り出す

 

「へへっ一番厄介な相手が消えたところで俺も一暴れしようかね」

 

マカロフが去っていくのを見たガジルはバンクのように柱から飛び降り戦闘に参加する

 

「はぁぁぁ!!」

 

ナブとウォーレンがファントム一味と共に鉄の腕で頭を殴られる

 

「ナブ!!ウォーレン!!」

 

「なんだアイツ自分の仲間までやりやがった」

 

「来いい!!!クズ共!!!鉄の滅竜魔導士ガジル様が相手だ!!!」

 

 

‥‥

 

 

「お?ガジルの野郎もおっぱじめやがったな」

 

バンクがガジルの方を向いた瞬間リートはバンクとの距離を詰め拳を構えていた

 

「よそ見してんじゃ...ねぇ!!!」

 

 

ブゥン!!!

 

 

バンクの顔面にパンチを放ったリートだがバンクはバク転でそれをかわしリートの拳は空をきった

 

「ハッ!!そんな突きは目をつぶってたって避けれんだよ!!」

 

ツルっ

 

「なっ!!?」

 

「氷竜の陣円」

 

バンクの足元に氷を張りそのままもう一度リートは距離を詰めた

 

「氷竜の硬拳!!!」

 

「ぐあっ」

 

バンクは顔面を殴られそのまま後ろの壁へと吹っ飛んだ

ドカン!!がらがらがら...

 

「マジかよ...バンクさんがぶっ飛ばされるところなんて俺、初めて見たぞ」

 

「お...俺もだ...あの青髪やべぇぞ」

 

 

 

「やるな、リートのやつ」

 

「さすがだ」

 

ガラガラガラ

 

「ハハッやっぱお前おもしれぇな!!もっとやろうぜ!!!」

 

「ナツをさらに面倒くさくしたような性格だなあの野郎」

 

「お前の魔法も披露してもらったし、今度は俺が魔法を披露してやるよ♪」

 

するとバンクがつけていたバンダナ、グローブ、靴が赤色に変化する

 

「なんだ...イメチェンか?」

 

「フッw」

 

バンクがリートに向かって走りだし強烈なパンチを放つと

 

 

ボン!!!

 

 

「!!?」

 

バンクの拳が爆発しその勢いで今度はリートが後ろの壁に吹き飛んだ

 

「リート!!!」

 

思わず近くにいたエルザがリートに叫ぶ

 

 

「俺の魔法、拳闘士(ファイター)...込める魔力によって属性の付与(エンチャント)と身体能力をアップすることができる魔法だ...

 

ちなみにバンダナを利用するとこんなこともできるぞ」

 

バンクが魔力を込めると今度はグローブが緑色に変わる

 

 

 

 

「風乱拳」

 

 

 

正拳突きの構えからバンクは拳をリートのいた壁に突き出すと拳の先からいくつもの風の塊がリートを襲う

 

ズガガガ!!

 

「どうだ?スゲェだろ、さぁ!!お前ももっと本気で来いよ!!!」

 

リートは身体中に氷の膜を張りバンクの攻撃を防いでいた

 

「こんな攻撃...他の奴ならくらわねぇぞ!!!」

 

風の連激から抜け出したリートは氷の柱を作り投げ飛ばす

 

「おぉぉらぁ!!!」

 

「ハッ!!サイコーだなオマエ!!!!」

 

バンクはまた赤いグローブに変えると氷の柱を殴り爆発で粉々にする

 

「さぁもっとやろうぜ」

 

「上等だ...二度と喧嘩ができねぇ身体にしてやる」

 

 

‥‥

 

 

「漢はぁー!!!クズでも漢だぁー!!!!」

 

エルフマンがガジルに殴りかかるがガジルは鉄に変えた腕で攻撃を防いだ

 

「ギヒッ」

 

そのままガジルは右、左とパンチを繰り出すがエルフマンはそれをかわし最後のまわし蹴りも受け止めた

 

「ほぅ、なかなかやる」

 

「漢は強く生きるべし」

 

「じゃあこんなのはどうだ?」

 

ガジルの足からいくつもの鉄が生えて仲間を巻き込みながら攻撃する

 

「うげぇ」

 

「がふっ」

 

エルフマンはギリギリでかわすがガジルから頭に強烈なパンチをもらう

 

「ぐほぉ」

 

すると倒れそうになるエルフマンを踏み台にしナツがガジルに殴りかかる

 

 

 

「ガジルーーーー!!!!」

 

 

 

ナツに殴られたガジルはそのまま後方へと吹っ飛んだ

 

「おい、ガジルのやつまで...」

 

「あの二人がぶっ飛ばされるのなんて初めて見たぞ」

 

 

 

「俺がフェアリーテイルのもう一人の滅竜魔導士だぁ!!!!」

 

 

 

「エルフマン!!!コイツ俺に寄越せ!!」

 

「貴様!!漢と漢の勝負を...」

 

「ふっwそれが本気か?火竜」

 

「安心しろよただの挨拶だ...竜の喧嘩の前のな」

 

ゴゴゴゴ

 

乱闘をしているとギルド全体が震えだす

 

「な、何だ!?」

 

「地震か!!?」

 

「うちのマスターも今回ばかりはぶちギレてんだこれくらいなって当たり前だ」

 

「ハッハー!!そいつはスゲェ!!!是非とも手合わせ願いたいもんだ!!!」

 

しかし、地震が起こって数分のうちにマカロフが最上階から降ってくる

 

「マ....マスター...」

 

「あ‥‥あうっ...ワシの魔力が...」

 

「マスター!!!」

 

マカロフに意識が向いたリートにバンクは容赦なく攻撃する

 

「おいおい、こんな時によそ見ってのはないんじゃないか?」

 

「しまっ..」

 

ドカァン!!!

 

バンクは今まで以上の爆発をリートにぶつけてリートは壁に吹き飛ばされピクリとも動かなくなる

 

「リートー!!!」

 

ラリカはリートに近づくがリートは目を覚まさない

 

「リート!!!くっ撤退だ!!!」

 

エルザはマカロフをかつぎ撤退を命ずる

 

「ちぇっ...もうお楽しみはおしまいかよ」

 

「ってことは任務達成か?案外早かったな」

 

ガジルとバンクは引き下がった

 

そして、その近くにエレメント4でマカロフを倒した張本人アリアがやってきた

 

 

「悲しい...」

 

「アリアか」

 

「相変わらず不気味なヤローだ、よくあのジジイをやれたな」

 

「全てはマスター・ジョゼの作戦...素晴らしい!!!」

 

アリアは泣き出した

 

「にしても面白かったなぁ氷竜の奴また戦ってみてぇ」

 

「勝ったってのにまだ戦う気かよ」

 

「ああ、アイツはまだ本気じゃなかったみたいだからな」

 

そんな話をガジル達がしている中リートは意識を取り戻す

 

 

(...やべっ...少しとんでた...クソッ俺は...負けたのか)

 

 

「で?ルーシィとやらは捕まえたのか?」

 

「本部に幽閉している」

 

ピクッ

 

リートとナツが反応した

 

「ガジルー!!!」

 

「いずれ決着をつけようぜ火竜」

 

ガジル、バンク、アリアは消えていった

 

それと同時にリートが起き上がる

 

「リート!!無事でしたのね!!!」

 

「ああ、すまんラリカ、一緒に来てくれ」

 

「え?...ええ」

 

 

「ナツ!!!聞こえたろ!!!」

 

 

「ああ!!!」

 

ナツはファントムの一人を捕まえて引っ張っていく

 

「ナツ!!!どうするの!!?」

 

ハッピーがそれを追いかけ、リートとラリカもついていく

 

「ルーシィが捕まった...今から助けにいくぞ」

 

「え!?」

 

フェアリーテイルのメンバーはそれどころではなく撤退にせんねんする

 

「レビィ達の仇をとるんだ!!!こんなところで退けるかよ!!!」

 

グレイがまだ戦おうとするがエルザが震えながらもそれを止めた

 

 

 

「頼む...」

 

 

 

「エルザ...」

 

「今は退くしかないんだマスターが抜けた穴は大きすぎる」

 

 

・・・

 

 

「言えよ ルーシィはどこだ」

 

「し、知らねぇよ誰だよそいつ!!」

 

ゴオオオ

 

「アチチチチ!!」

 

「言えよ」

 

「これ以上仲間を傷つけられたらテメェを灰にしちまいそうなんだ」

 

「俺だって相当キテる...最悪テメェ...死ぬかも知れねぇぞ」

 

ナツとリートがドスのきいた声でファントムの一人を脅す

 

「本当に知らねぇ!!けど俺達の本部ならこの先の丘にある!!!そこかも!!!!」

 

リート達は急いでファントムの本部に向かった

 




今回はここまでです。次回はルーシィの救出からにするつもりです。バンクとリートの対決はいかがでしたでしょうか?ファントム編で次もまた戦わせようか考えてるので楽しみにしててください


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ジュピター

今回は忙しいなか時間を見つけてちょくちょく書いたので結構かかりましたw
今後は漫画の展開だけじゃなくアニメでの展開ももっと増やしていこうかなと考えておりまする...余計に時間かかりそうだな...


『ファントムロードギルド本部』

 

 

「ん...え?え?何これ...ここドコォ!!!」

 

ルーシィが目を覚まし自分が見知らぬ場所にいることに気がつく

 

するとドアの向こうから一人の人影が現れた

 

「お目覚めですかな、ルーシィ・ハートフィリア様」

 

「誰!!?」

 

ドアが開きファントムロードのマスター・ジョゼが入ってきた

 

「私はファントムロードのギルドマスター ジョゼと申します」

 

「ファントム!!?」

 

 

(そうだ...あたしエレメント4に捕まって...)

 

 

「このような不潔な牢と拘束具、大変失礼だとは思いましたが今はまだ捕虜の身であられる

 

理解の程をお願いしたい」

 

「何が捕虜よ!!よくもレビィちゃん達を!!!」

 

「あなたの態度次第では最高の客人としてもてなす用意もできてるんですよ」

 

「何それ...」

 

ルーシィの足の上を虫が這う

 

「ひゃあ!!」

 

「ね?こんな牢屋は嫌でしょう大人しくしていればスイートルームに移してさしあげますからね」

 

「何でアタシ達を襲うのよ」

 

「アタシ達?...ああ、フェアリーテイルのことですか」

 

ジョゼはにたりと笑って答えた

 

 

「ついでですよついで、私たちの目的はある人物を手に入れることでしたがその人物がたまたまフェアリーテイルにいたからついでに潰してしまおうとね」

 

「ある人物?」

 

ジョゼはルーシィに近寄りながら答える

 

「あのハートフィリア家のお嬢さんとは思えない鈍さですねぇ...

 

あなたの事に決まっているでしょうハートフィリア財閥令嬢のルーシィ様」

 

ルーシィの顔が赤くなる

 

「な...何でそれを知ってんの?」

 

「あなた、ギルド内では自分の身分を隠していたそうですねぇ

 

この国を代表する資産家の令嬢がなぜ、安く危険な仕事をしているかは知りませんがね」

 

「誘拐...ってこと?」

 

ルーシィが身構えたがジョゼは否定する

 

「いえいえ、滅相もございません、あなたを連れてくるように依頼したのは他ならぬあなたの父上なのですから」

 

ルーシィは驚愕し肩を震わす

 

「そんな...ウソ...なんであの人が」

 

「それはもちろんかわいい娘が家出したら普通探すでしょう」

 

 

 

「しない!!!あの人はそんな事気にする人じゃない!!!」

 

 

 

「あたし帰らないから!!!あんな家には絶対に!!!」

 

「おやおや困ったお嬢さんだ」

 

「今すぐあたしを解放して」

 

「それはできません」

 

するとルーシィの顔色が少し赤くなる

 

「ってかトイレ行きたいんだけど」

 

「これはまたずいぶんと古典的な手を使いますねぇ」

 

「いや、マジで...助けて~~」

 

「どうぞ」

 

ジョゼはボコボコにへこんだバケツを用意した

 

「ホホホホ古典的ゆえに対処法も多いのですよ」

 

しかしルーシィはそのままバケツの上に立ち下着を下ろそうとする

 

「バケツかぁ」

 

「ってするんかい!!!」

 

「なんてはしたないお嬢様でしょう...しかし私はジェントルメン」

 

ジョゼが後ろを振り返ったその時

 

 

 

「えい!」

 

 

「ネパァーーーー!!!!」

 

 

ルーシィがジョゼの股関を蹴りあげジョゼはそのまま悶絶した

 

「古典的な手もまだまだ捨てたもんじゃないわね、今度小説で使おーっと、それじゃお大事に♪」

 

ルーシィはジョゼが入ってきた扉とは反対の扉を開け脱出しようとするが

 

 

 

「ウソ...」

 

 

 

ルーシィのいた牢獄は高層タワーのような構造になっており扉の向こうはフェンスも何もなく飛び降りたらまず助からないほどの高さにあった

 

「残念だったねぇ...ここは空の牢獄...よくもやってくれましたね」

 

ジョゼはなんとか立ち上がりルーシィに向かって歩いてくる

 

「うっ...」

 

ルーシィは後ろに下がろうとするが一歩でも下がると落ちてしまうところまで来ていた

 

「さぁ、こっちへ来なさいファントムの怖さを教えてやるためにお仕置きですよ」

 

しかしルーシィは後ろを向いたままタワーから飛び降りる

 

「な!」

 

 

(声が...聞こえたんだ...絶対にいる!!!)

 

 

「ナツーーー!!!リートーーー!!!」

 

 

 

「「ルーシィー!!!」」

 

 

 

 

ナツとリートはハッピーとラリカに運んでもらい低空飛行でルーシィの近くまで来ていた

 

「どうなってるのー!!ルーシィが降ってきた!!」

 

「ラリカ!!俺を全力で投げろ!!!」

 

「えー!」

 

「早く!!!」

 

「もう!どうなっても知りませんわよ!!!」

 

ラリカはリートを全力で前に投げ飛ばす

 

 

ガシッ

 

 

リートはルーシィをキャッチしてそのまま前に飛んでいく

 

「ヤバッ壁が...」

 

リートはそのまま振り返ると

 

「ナツ!!!」

 

「「「?」」」

 

 

「へいパス!!!!」

 

 

 

「「「なにー!!!」」」

 

 

 

リートはナツに向かってルーシィを放り投げた

 

ドカン!!!

 

リートは壁に激突しナツはハッピーが止めたおかげで壁に激突せずにすんだ

 

「痛てぇ...」

 

 

 

「「「無茶すんな!!!」」」

 

 

 

「やっぱり...いると思った」

 

ナツはルーシィを拘束していた縄を引きちぎる

 

「大丈夫か?」

 

「うん...なんとか」

 

「よしっなら一旦ギルドに戻るぞ」

 

「はぁ?ここが本部だろ!!!だったら」

 

ナツはリートの提案を反対しハッピーとラリカはリートに賛成する

 

「エルザは撤退っていってたよ」

 

「ビビってんだよ!!!俺はこんな奴らちっとも怖くねぇ!!!」

 

「マスターだって重症ですし、リートも一度負けてるんですのよ!!!」

 

「ちょっとはオブラートに包めねぇのかオマエは...」

 

「じっちゃんやリートの仇もとるんだよ!!!」

 

「死んだみたいに言うんじゃねぇ!!!」

 

「とにかく、今の戦力だけじゃ絶対に勝てねぇ、ここは一旦ギルドにもどって作戦を考えるべきだ」

 

「そうだよ!!無理だよ!!」

 

「なんだと!!」

 

 

 

「...ごめん」

 

 

 

ルーシィは泣きながら謝る

 

「「「?」」」

 

「全部...アタシのせいなんだ...それでもアタシ...ギルドにいたいよ‥‥フェアリーテイルが大好き‥‥」

 

「オ...オイどうした!?なんの事だ!!?」

 

「ルーシィ?」

 

「一体何がありましたの?」

 

「ぐすっ...えっぐ...えっ...えっ」

 

そこへリートがルーシィの頭を撫でてなだめる

 

「ルーシィ...一体何があったか知らねぇけど、今回の一件をお前のせいだなんて誰も思わねぇし疑いもしねぇ、

 

お前がフェアリーテイルを裏切らないことなんて皆もう知ってる...

 

だから自分のせいだなんて言うな、それでも自分のせいだと思うなら俺たちと一緒に戦ってくれればいい、

 

お前のできることをやってくれればそれでいい、な?」

 

「そ、そうだぞ!!お前はフェアリーテイルにいればいいんだよ!!いていいんだよ!!」

 

「...ナツ...戻るぞ」

 

「お、おう...」

 

リート達はルーシィを連れてギルドに戻った

 

その頃牢獄ではジョゼがルーシィが飛び降りたショックでまた悶絶していた

 

「やってくれたなぁ小娘...オイ...」

 

 

・・・

 

 

『マグノリア東の森の木の家』

 

マカロフはそこへ運ばれ人間嫌いの治癒魔導士ポーリュシカに治療を受けていた

 

パチィン

 

ポーリュシカがマカロフの頬をたたく

 

「ちょ...ちょっと!!」

 

「マスターに..いや、怪我人になんて事するんですか!!!」

 

「年甲斐もなくムチャをするからこんなことになるんだ、まったくバカな男だねぇ」

 

「あんた達もいつまでいるんだい!!とっとと帰りな!!!」

 

ポーリュシカがアルザックとビスカにそう言うが2人は看病すると言い張る

 

「しかし、マスターの容体が」

 

「看病させて下さい」

 

「帰りな、辛気くさい顔は病人にとって一番の毒だよ

 

これは風の系譜魔法、枯渇(ドレイン)

 

対象者の魔力を流出させてしまう恐ろしい魔法だ、流出した魔力は空中を漂いやがて消える」

 

「漂っているマカロフの魔力を集められたら回復も早いんだけどね

 

もう遅いねこいつは長引くよ」

 

その言葉にビスカとアルザックは落ち込んだ

 

「そうですか...」

 

「皆に伝えておきます...」

 

「あんたらまだ居たのかい!!」

 

「ええっ!!聞いてくれみたいな空気じゃなかった!?」

 

「とっとと帰りな!!!人間臭くてたまらん!!!」

 

「「失礼しましたー!!」」

 

ビスカとアルザックが去っていき家にはマカロフとポーリュシカだけが残った

 

「昔から世話のかかる男ね

 

魔導士にとって魔力は生命の源に等しい...魔力が強大な者ほどドレインは苦痛を伴う...あんた頑張らないとこのまま死ぬこともあるんだよ...

 

本当にバカなんだから」

 

 

・・・

 

 

『フェアリーテイルギルド』

 

そこでは先程の戦闘で怪我をしたもの達が治療を受けていた

 

「痛て」

 

「ちくしょう!!」

 

「あいつらの本部はここだ」

 

「南西の高台から遠距離魔法で攻撃すれば」

 

「今度は爆弾魔水晶(ラクリマ)大量に持っていくぞ!!」

 

そんな声が飛び交うなかルーシィは1人寂しそうにしていた

 

「どーした?まだ不安か?」

 

ルーシィにグレイは声をかける

 

「ううん‥‥‥そういうのじゃないんだ‥‥‥なんか‥‥ごめん」

 

「でもオイラ驚いたな、ルーシィ何でお金持ちなのを隠してたの?」

 

ナツやハッピー達もルーシィの元に集まってくる

 

「隠してた訳じゃないんだけど、家出中だからね...あまり話す気にもなれなくて」

 

「一年間家出した娘に感心もなかったくせに...急に連れ戻そうとするんだもんな...パパがあたしを連れ戻すためにこんなことをしたんだ...最低だよ」

 

「でも、元を正せばアタシが家出したせいなんだよね、アタシの身勝手な行動でまさか皆にこんなに迷惑をかけちゃうなんて...

 

本当にごめんねアタシが家に戻ればすむ話なんだよね」

 

「んなわけねぇだろ」

 

「!」

 

リートが治療を終えてルーシィの元へやってきた

 

「お前はここにいたい...フェアリーテイルにいたいって言ったよな?」

 

「うん」

 

「ならいればいい、ここがお前の帰る場所でお前を迎えてくれる場所だ...

 

お前はフェアリーテイルのルーシィなんだ、居たくないところに行くより居たいところに居た方がよっぽどお前のためになる」

 

「俺も同じだぜルーシィ♪」

 

ナツもリートに同意した

 

ルーシィは涙目になる

 

「お、おい泣くなよ...」

 

「だって...」

 

「リート!!レディを泣かせるなんて!!!顔の皮を剥いで塩酸を頭から被せた上で街中でつるし上げますわよ!!!」

 

「マジで怖ぇからやめてくれ!!!」

 

その光景をロキは遠くから黙って見ていた

 

そしてカナはカードを使いミストガンの居場所を探り

ミラはラクサスと通信用ラクリマで通話していた

 

「ダメ!!!ミストガンの居場所はわからない」

 

「そう...残念ね」

 

「ルーシィが目的だとすると奴らはまた攻めてくるよ...怪我人も多いし...ちょっとまずいわね」

 

「マスターは重症、ミストガンの行方もわからない頼れるのは貴方しかいないのよ...ラクサス」

 

「あ?俺には関係のねぇ話だ勝手にやっててちょうだいよ」

 

「フェアリーテイルのピンチなのよ」

 

「知らねぇなジジイの勝手に始めた喧嘩を何で俺達がケツを拭かなきゃならねぇんだ」

 

「ルーシィが狙われているのよ」

 

「ルーシィ?ああ、あの乳のデケェ新人か、俺の女になるなら助けてやってもいいと伝えとけ、

 

それとジジイはさっさと引退して俺にマスターの座を寄越せとな」

 

その台詞にカナが怒りを表す

 

「あんたって人は」

 

「おいおい、それが人にものを頼む態度かよとりあえず脱いでみたらどうだ?俺は色気にはよわ...」

 

 

バリン!!

 

 

ミラが怒りのあまりに通信用ラクリマを破壊する

 

「信じられない...本当にこんな人がフェアリーテイルの一員なの?」

 

「リートがラクサスに言っても無駄だって言ってた理由がよくわかったよ...」

 

「こうなったら次は私も戦う!!!」

 

「何言ってんのよ!!!」

 

「だって私がいたのにルーシィは拐われちゃって」

 

「駄目よ今のあんたじゃ足手まといになる...

 

 

例え元S級魔導士のあんたでもね」

 

 

ズウゥン、ズウゥン

 

いきなりギルド内が揺れ始める

 

「何だ!!?」

 

「外だーーー!!!」

 

フェアリーテイルのメンバーが全員外に出ると

 

「な...何だあれは...」

 

ファントムのギルドが6本の足を生やして歩きながらフェアリーテイルに近づいてくるのが見えた

 

「ギルドが歩いて...」

 

「ファントムか!?」

 

「想定外だ...こんな方法で攻めてくるとは...」

 

「どうする...」

 

「あいつら...何をする気だ...」

 

 

『ファントムギルド内』

 

「魔導集束砲ジュピター用意」

 

ギルドの中にはジョゼが立っており、その下の部屋から巨大な大砲が姿を表す

 

 

「消せ」

 

 

『フェアリーテイルギルド前』

 

「全員伏せろぉぉぉ!!!」

 

エルザが前に飛び出した

 

「エルザ!!!どうする気だ!!!」

 

エルザは換装した

 

「金剛の鎧!!?まさか!!受け止める気か!!!」

 

そこにリートがエルザの後ろに立ちエルザの鎧にさらに氷を張る

 

「俺とお前でなんとか踏ん張るぞ!!エルザ!!!」

 

「助かる!!!」

 

ファントムはフェアリーテイルのギルドに向かって容赦なくジュピターを発射した

 

「エルザー!!!」

 

「リート!!!」

 

 

「ぐあぁぁぁ!!」

 

「くっそ...がぁぁぁ!!!」

 

 

エルザの鎧は氷と一緒に砕けエルザとリートは吹き飛ばされた

 

「エルザ!!!リート!!!」

 

「スゲェ...あれを止めちまった、助かった...」

 

「けどよぉ」

 

エルザは重症になりリートもエルザほどでは無いとはいえそれなりのダメージをおった

 

「はぁ はぁ」

「うぅ...」

 

そしてファントムのギルドからスピーカーにてジョゼの声が聞こえてくる

 

「マカロフ、エルザ、そしてリートも戦闘不能...もう貴様らに凱歌はあがらねぇ」

 

 

 

「ルーシィハートフィリアを渡せ!!!今すぐにだ!!!」

 

 




今回はここまでです。
なんとかジュピターまで書けた...次はどこまで書こうかな...


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破壊

最近お気に入り登録者が増えたと喜んでいたらまさかの1人減るという現象が起こり何気にショックを受けています...しかーし!!ここで折れたら自分が廃る為、粉骨砕身がんばります!!!


「ルーシィ・ハートフィリアを渡せ!!!今すぐにだ!!!」

 

 

マスタージョゼの怒りがスピーカー越しに伝わる

 

「勝手に人を戦闘不能にするんじゃねぇよ...俺はまだピンピンしてるぜ」

 

リートが立ち上がった

 

「ふざけるな!!!」

 

「仲間を差し出すギルドがどこにある!!!」

 

「ルーシィは仲間なんだ!!!」

 

フェアリーテイルのメンバーが口々に叫ぶがジョゼは

 

 

「渡せ」

 

 

その一言しか言わなかった

 

「...あたし」

 

 

 

 

「仲間を売るぐらいなら死んだ方がマシだ!!!!!」

 

 

 

 

「俺達の答えは何があっても変わらねぇ!!!!お前達をぶっ潰してやる!!!!」

 

 

 

 

「俺達が仲間を売る気がねぇ以上お前らを叩き潰して、マスターやルーシィ、レビィ達の前で土下座させて今回の一件はそれでシメェだ!!!!」

 

 

 

 

エルザとナツとリートの言葉にルーシィは涙する

 

「ほぅ...ならばさらに特大のジュピターをくらわせてやる!!!!装填までの15分恐怖の中であがけ!!!!」

 

その台詞をきいたフェアリーテイルの者は恐怖で震える

 

「ジュピター...また撃つのか...」

 

そしてエルザは力尽き地に伏せた

 

「エルザ!!!」

 

グレイがエルザに近づき身体を支えた

 

「クソッ...」

 

(エルザとリートの二人がかりで一発防ぐのがやっとなんだぞ...)

 

その時ファントムのギルドの中から大量の兵士が飛び出してきた

 

「な!?兵が出やがった!!!」

 

「ジュピターを撃つんじゃねぇのかよ!!!」

 

「地獄を見ろフェアリーテイル貴様らに残された選択肢は2つだけだ...我が兵に殺されるか、ジュピターで死ぬかだ」

 

ジョゼの怒りは頂点に達していた

 

「あり得ねぇ!!!仲間ごとジュピターで撃つ気か!!!」

 

「ハ...ハッタリだ撃つハズねぇ」

 

「いや、あれはジョゼの魔法、幽兵(シェイド)

 

アイツは撃つよあれは人間じゃなくてジョゼの作り出した幽鬼兵士だから」

 

「なに!?」

 

カナがジョゼの魔法について説明したところでより一層ジュピターの発射は確実と思わされた

 

「ジュピターをなんとかしないとね」

 

「俺がぶっ壊してくる」

 

「ナツ...」

 

「15分だろ?やってやる ハッピー!!」

 

「あいさー!!」

 

そう言うとナツはハッピーに運ばれジュピターの砲台まで飛んでいった

 

「エルフマン!!!俺達も乗り込むぞ!!!」

 

「おう!!!」

 

「リートはどうしますの?」

 

「さっきのジュピターの防御で魔力を使っちまっている以上無駄にはできねぇ

 

ラリカの魔法も必要になってくるかもしれねぇし、

 

俺とラリカでグレイとエルフマンと一緒のルートで行くぞ!!

 

ジュピターの破壊はナツに任せるアイツにはデリオラの時の汚名返上してもらう」

 

「わかりましたわ」

 

 

 

(おそらく...またあいつとも戦うことになるだろうからな)

 

 

 

リートはラリカを肩に乗せグレイ達を追ってファントムのギルドに向かった

 

「こっちは私とロキで守りをかためる!!!いいね!!!」

 

「ああ」

 

カナとロキがシェイドの守りに徹底する配置に着いた

 

その光景をルーシィは黙って見つめているとミラがルーシィの手を引っ張る

 

「ルーシィ!!!こっちに来て」

 

「!」

 

「隠れ家があるの、戦いが終わるまでそこにいましょ!!!」

 

「待って!!!アタシも皆と一緒に戦う!!!アタシのせいでこうなったんだから!!!」

 

ルーシィはミラの手を振りほどくとミラは静かにルーシィの方に振り向いた

 

「違うわよルーシィ、誰もそんなことを思ってないの、

 

 

やられた仲間の為、ギルドの為、そしてあなたを守る為、

 

この戦いには皆誇りを持っているのよ」

 

「だから言うことを聞いてね」

 

ミラはルーシィに睡眠魔法をかけた

 

「!...zzz」

 

「リーダス!!!ルーシィを隠れ家まで!!!」

 

「ウィ」

 

リーダスは自分の身体に馬車の絵を描きそれを実体化させてミラからルーシィを預かり馬車に乗って隠れ家に連れていく

 

「お願いね」

 

(私は...今の私には戦う力は無いけれど、仲間は必ず守ってみせる!!!)

 

ミラはルーシィに変身し戦場へと向かった

 

(ジュピターまであと14分...ナツお願い)

 

 

・・・

 

 

『ジュピター砲台上』

 

ガン!!ゴン!!ガン!!

 

「くはぁー!!!びくともしねぇ!!!」

 

ナツがジュピターを壊そうと必死に殴り続けるが一向に壊れる気配がない

 

「やっぱり内部から壊さなきゃダメじゃないかな?」

 

「おし!!!行くぞ!!!」

 

ナツとハッピーはジュピターの銃口から中へ入り込んだ

 

「うががががががが...ぬおっ!!」

 

ナツ達がジュピターの中に入り込むとそこには特大のラクリマが設置されていた

 

「な...なんだコリャ」

 

「魔力を集めるラクリマみたいだね...こんなに大きいラクリマ初めて見た」

 

「魔導集束砲は弾丸の変わりに圧縮した魔力を放出する兵器なんだ」

 

「よくわかんねぇけどここを壊せばいいんだな」

 

ナツがラクリマに近づこうとするが

 

 

 

 

「そうはさせない」

 

 

 

 

ラクリマの近くに一つの影がみえた

 

「見張り!!?」

 

「どうでもいいさ!!!じゃまする奴は消すだけだ!!!」

 

「させないよ...」

 

「時間がねぇんだ!!!どいてろや!!!」

 

ナツは腕に炎を纏って影に殴りかかるが

 

「ぐぼっ!!」

 

ナツは自分の顔を殴り地面に落ちる

 

「ナツ!!!なにやってんの!!?」

 

「いや、体が勝手に」

 

「邪魔は君の方だよ」

 

そこにはエレメント4の最後の1人の兎兎丸が立っていた

 

 

・・・

 

 

『フェアリーテイルギルド前』

 

オオオオ!!!

 

フェアリーテイルの魔導士とシェイドとの戦いは白熱していた

 

マックスが後ろから攻撃をされかけるがカナがカードを投げ飛ばしシェイドを倒しマックスを守る

 

「すまねぇカナ」

 

「気を引き締めなさいマックス!!!ギルドはなんとしても守るよ!!!」

 

「こいつらは仲間をやられる悲しみもギルドを壊される悔しさも持ってない!!!

 

そんな奴らにギルドはとらせないよ!!!」

 

 

 

次のジュピターまであと9分

 

 

・・・

 

 

『ジュピター内部』

 

「どけ!!!俺はその大砲をぶっ壊すんだ!!!」

 

「あのラクリマを壊せばジュピターは撃てないはずだよ!!!」

 

「そうはさせない...と言ったろ?」

 

「時間がねぇんだ!!!モタモタ喋ってんじゃねぇ!!!」

 

ナツが腕に炎を纏い兎兎丸に殴りかかろうとするが先程と同じくナツは自分の顔を殴る

 

「おおおお!!?」

 

「ナツ!!」

 

「痛ってぇまたかよ何だコレ!!」

 

「ナツ!!!こんなの相手にしてる場合じゃないよ!!!早くジュピターを壊さなきゃ!!!」

 

ハッピーが焦ってナツに説得しようとするがナツは聞いていない

 

「このやろぉ!!」

 

「ナツってば!!!」

 

兎兎丸はまたナツの腕に纏われた炎をコントロールしそのままナツを回転させた

 

「うおおおっ!!?」

 

回転で隙ができたナツに兎兎丸は膝蹴りを入れ吹っ飛ばす

 

「ぐぁ」

 

「私は火のエレメントを操りし兎兎丸...すべての炎は私によって制限される」

 

「なんだとぉ!!!」

 

「敵であろうと自然であろうと全ての炎は私のものだ!!!」

 

「俺の炎は俺のもんだ!!!」

 

「ナツ!!そんなことはどうでもいいから、まずはコレ壊そうよ!!!」

 

ハッピーの焦りは徐々に増していく

 

「相性が悪かったね、火の魔導士くん」

 

ラクリマがエネルギーをチャージしはじめた

 

ジュピター発射まであと5分

 

「ジュピターが動き出したー!!!」

 

「青い炎(ブルーファイア)!!!」

 

兎兎丸は青い炎をナツにぶつけた

 

「んがっ」

 

 

モシャモシャばくばく

 

ナツはぶつけられた炎を食べ尽くす

 

「うほっ冷てぇ!!!こんな火は初めて食った」

 

「成る程君が噂の炎の滅竜魔導士だったのか...

 

もう一方の氷の滅竜魔導士ではなくてよかったよ、相性の悪さはお互い様というわけだ」

 

「はぁ?」

 

「お互いに炎が効かないのだからね」

 

「勝手に決めるなよ、まだくらってもねぇだろ...

 

それにリートじゃなくてよかったって言葉も気に入らねぇな」

 

「私に炎は当たらない、そして氷の滅竜魔導士くんは君より強いとの噂だからね」

 

「なんだとぉ!!...」

 

「!」

 

ナツは何かを閃く

 

「ならこんな魔法ならどうだ?」

 

ナツは空気を吸い込む

 

「火竜の...」

 

「どんな魔法でも炎である限り私は制御できる 効かんぞ!!!」

 

(わかっているぞ、口から炎を吐き出す魔法だ)

 

兎兎丸は両手を前にだし炎をコントロールする体制にはいった

 

 

 

「唾!!!」

 

 

 

べちゃ

 

「!!」

 

兎兎丸の顔にナツの唾がかかった

 

「あっはっはっはっw!!!」

 

「ナツ!!!ヤバイよ!!!ジュピターが発射しちゃう!!!」

 

「おのれ!!騙したな!!!橙の炎(オレンジファイア)!!!」

 

「火の魔法は俺の食いもんだ!!今度はなに味かなっ」

 

ブオオオッ

 

 

「臭!!」

 

 

「ウオオオっ鼻がもげるぅ!!」

 

ナツは床を転げ回る

 

「はっはっはっ糞の臭いの炎さ」

 

「下品な奴だなテメェ」

 

「先にやったのは君だろ!!」

 

 

ジュピター発射まで2分30秒

 

 

「あったまきたぞ!!!」

 

「ナツ!!!もういいって!!!落ち着いてよー!!!」

 

「黙ってろ!!!!」

 

ナツは素手で兎兎丸に殴りかかる

 

「魔法は諦めて素手か?ならば刀を持つ私の方が有利」

 

兎兎丸は腰につけた刀を抜きナツに切りかかる

 

ナツは兎兎丸の攻撃を避け続けもう一度腕に炎を纏わせ殴ろうとする

 

「学習能力のない人だね」

 

「がっ!!」

 

「!!」

 

ナツの炎の範囲が広がり兎兎丸を巻き込む

 

「へへっ」

 

(こいつ、私に届く距離まで炎の範囲をデカくした)

 

ゴオオオ!!

 

ラクリマにエネルギーがどんどんと溜まっていく

 

 

ジュピター発射まで残り1分13秒

 

 

「ナツー!!!」

 

「ぬおおっ!!」

 

ナツは纏った炎の火力を最大限まであげる

 

「同じ手は二度とくわんぞ」

 

兎兎丸がナツの炎をコントロールしようとするが

 

「なんだあの炎は...動かんぞ」

 

「ぬおおおおおおっ!!!!」

 

(まさか、制御返しだと!戦いの最中に会得したというのか!!?)

 

 

ジュピター発射まで残り32秒

 

 

「俺の炎だ!!!勝手に動かすな!!!!」

 

ナツが最大限の炎を放ち兎兎丸がそれを避けた

 

「はっはーー!!当たらなければ意味はあるまい!!!」

 

ジュピター発射まで残り10秒

 

「ハナっからお前なんて狙ってねぇよ!!!!」

 

ナツの炎はラクリマに直撃してラクリマは完全に破壊された

 

「な!!!」

 

「わぁ!!!」

 

ガラガラガラ

 

 

(考えてみたら、アイツを倒すか制御を克服しなきゃここを壊すのは無理だったんだ、

 

冷静さを欠いていたのはオイラの方か)

 

 

ジュピターが壊れたことにより外のフェアリーテイルのメンバーが喜ぶ

 

「見ろ!!」

 

「砲台が崩れていく!!!」

 

「やったぞ!!!」

 

「流石ね」

 

ジュピターの破壊にリート達も気づいた

 

「ナツ達がやったようですわよ!!」

 

「デリオラの汚名返上できたじゃねぇか...上出来だぜナツ」

 

 

・・・

 

 

「次はお前達を潰す番だファントム!!!!」

 

(おいおい、マスター...話が違くないか!!?フェアリーテイルにはまだこんなヤバい奴がいたなんてさぁ!!!)

 




書いてて気づいた...ラリカのお仕置き発言が思い浮かばない!!!誰かヘルプです!!!
という訳で何かいい案があったら是非コメントで教えて下さい、おそらく即採用して使える場面でジャンジャン使います!!!、自分、そういう人間なので...キャラ設定間違えたなぁ...ちくしょう


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ファントムMK2(マーク2)

今回はちょっと短いですけど許してくださいませ...まぁ確実に話は進んでいるから優しい皆さんなら許してくれる...と嬉しいな...


『フェアリーテイルギルド前』

 

「ジュピターが壊れたぞ!!!」

 

「よっしゃー!!!」

 

「はっはー!!ナツをなめんなよ!!!」

 

ジュピターが壊れ好機とみたカナは他の者達に指示をだす

 

「これで恐れるものはなくなった!!!敵を殲滅しろ

ぉ!!!」

 

 

『ファントムギルド内』

 

 

「マスタージョゼ...ジュピターが内部から」

 

「クソガキどもが...」

 

 

・・・

 

 

『ジュピター動力室』

 

「もうお前の魔法は見切ったぞ」

 

「くっ」

 

ナツが形勢逆転したその時ファントムギルドそのものがまた動き出した

 

「何だ?」

 

「まさか、アレをやる気か!!?ここは水平維持の機能がない部屋なんだぞ!!!」

 

「水平?」

 

ガタッ

 

「ぬおっ」

 

ナツ達のいる部屋が傾きだす

 

外から見た光景はファントムギルドがまた動き出しておりフェアリーテイルのメンバーが騒然としだす

 

「立ち上がった!!?」

 

「今度は何をするつもりだ!!?」

 

するとファントムギルドは形を変え、人型へと変形する

 

 

「終わったな、これぞ我がギルド最強兵器」

 

「超魔導巨人ファントムMK2」

 

すると巨人はフェアリーテイルのギルドに向かって歩きだしてくる

 

「向かってきた!!?」

 

「まさか...ギルドを踏み潰すつもりか!!!」

 

動揺するフェアリーテイルのメンバーにカナは指示をだす

 

「目の前の敵に集中しろ!!あの巨人はナツが必ず止めてくれる!!!」

 

「でも、ナツは乗り物が...」

 

 

「...あ」

 

 

・・・

 

 

予想通りナツは巨人が動いたことにより乗り物酔いしていた

 

「おお...お...おっぷ...」

 

「どうしたんだ?こいつ」

 

「コレ...うごいてねぇ...か?」

 

「そうか!!コイツ乗り物に弱いのか!!!」

 

「しめた!!逆転のチャンス!!!」

 

兎兎丸は7つの炎を作り出した

 

「いくら炎が効かんといってもその状態でくらったらどうなるかな!!

 

我が最強魔法!!七色の炎(レインボーファイア)!!!」

 

「おお!?」

 

「くらえ!!!」

 

兎兎丸が魔法を放とうと両腕を前に出したその時

 

 

ピキィ

 

「え?」

 

兎兎丸の両腕が凍りつきそのまま全身に広がる

 

「何よコレェ!!!」

 

氷の球体となった兎兎丸をモンスターの腕が掴み遠くへ放り投げた

 

「あああああ!!!」

 

「!!!」

 

ナツが兎兎丸のいた方を見るとグレイ、グレイに肩をかしてもらうリート、ラリカ、エルフマンがいた

 

「ナツもリートも情けねぇなぁ」

 

「男なら乗り物なんぞ逆に酔わせてやれぃ」

 

「ムチャ言うな...おえっ」

 

「もう、リートったら、しっかりしてくださいまし」

 

「おおっ...格好よすぎだぜ!!!リート以外...うっぷ」

 

「これはジュピターの残骸か?グッジョブじゃねぇか」

 

「あい」

 

「しかし何で急に傾いたり動き出したりしたんだい?」

 

「さぁな...おかげでこっちはいい迷惑だ...はぁはぁ」

 

すると、巨人が止まり中の揺れも収まった

 

「止まったー!!」

 

「復活!!」

 

揺れが収まったことでナツとリートは元気を取り戻した

 

「オイラ外の様子を見てくるよ」

 

「お待ちなさいハッピー、私も行きますわ」

 

ハッピーとラリカは外に飛び出し様子を確認しにいった

 

 

・・・

 

 

外では巨人が何かを書き始めていた

 

「な...何だ?あれは」

 

「文字?」

 

巨人が書き始めた物を理解してカナは驚愕する

 

「魔方陣だ!!!この建物事態が魔導士だというのかい!!?」

 

 

「「「「「「なにぃ!!!!」」」」」」

 

 

巨人は魔方陣を書き続ける

 

「この魔方陣は...煉獄砕破(アビスブレイク)!!?禁忌魔法の一つじゃない...」

 

「このサイズはマズイ!!カルディア大聖堂辺りまで暗黒の波動で消滅するぞ!!!」

 

ハッピーとラリカは巨人の内部に戻る

 

「大変だ!!!」

 

「ギルドが巨人になって魔法を唱えていますわ!!!」

 

「ウソつけ!!!」

 

「ほんとだよー!!!」

 

「カルディア大聖堂まで吹き飛ばす魔法らしいですわ!!!」

 

「街の半分じゃねぇか!!!」

 

「もし、本当なら...」

 

4人は焦り始める

 

 

 

「止めるぞー!!!」

 

「手分けしてこの動くギルドの動力源を探すんだ!!!」

 

「急げ!!!」

 

「次から次へととんでもねぇことしてからにぃ!!!」

 

 

 

ナツ達はそれぞれ別の道へと別れハッピーはナツにラリカはリートについていった

 

 

・・・

 

 

「どーすんだよアレ!!!」

 

「ナツ達を信じるしかねぇだろ!!!」

 

外でフェアリーテイルのメンバーが騒いでいるなかカナがルーシィに変身したミラと話をしている

 

「ミラ...あの魔法が発動するまでどれくらいかかる?」

 

「おそらく10分ってとこかしら、なんとか動力源を壊せないかな」

 

「中にいる連中も同じ事を考えてるだろうね」

 

「ナツ以外にもいるの?」

 

「うん...リートとグレイとエルフマン」

 

エルフマンの名前をきいたミラが動揺する

 

「エルフマン!!?何で!!?」

 

「何でって事もないでしょ...あいつだって...」

 

「無理よ!!エルフマンは戦えないのカナだって知ってるでしょ!!!」

 

「戦えるわよカチコミの時だって活躍してたしね」

 

「そんな...兵隊相手ならともかく、向こうの幹部との戦いになったら今のエルフマンじゃ...」

 

「ねぇミラ...あんな事があってあんたもエルフマンも深く傷ついたけどさ、アイツはアイツで前へ進もうと努力してるんだよ」

 

その言葉を聞いてミラも覚悟を決めた

 

(エルフマン...私も...前に...)

 

ミラは窓を開けてルーシィの姿のまま巨人のもとへかけていく

 

「ミラ!!」

 

「あなた達の狙いは私でしょ!!!今すぐにギルドへの攻撃をやめて!!!!」

 

(これで少しは時間を稼げる...)

 

しかしジョゼの台詞が絶望へと変える

 

「消えろ...偽物が」

 

「!!」

 

「初めからわかってるんですよ、そこにルーシィがいないことは、狙われている人間を前線に置いておく訳がないとね」

 

(私は...なんて無力なんだろう...)

 

ミラは涙を流した

 

ミラの元へカナがやって来て肩に手を置く

 

「大丈夫...エルフマンは戦える」

 

 

・・・

 

 

その頃エルフマンは巨人の内部を走り回っていた

 

「ぬおおおおっ!!!!漢エルフマン!!!フェアリーテイルはこの命に変えても守って見せる!!!!

 

...それにしてもなんて部屋じゃい!!!」

 

エルフマンが走っていると足元の地面が盛り上がる

 

「む?」

 

ぬぽん

 

地面からエレメント4のムッシュ・ソルが現れた

 

「サリュ(やぁ)」

 

 

・・・

 

 

時間が経つにつれ徐々に魔方陣が出来上がっていく

 

「なぁ、そろそろ逃げた方がいいんじゃないか?」

 

「あの魔方陣完成しそうだぞ...」

 

「ギルドを置いてか」

 

「あ...いや...」

 

「あのなかで戦っているやつらもいる信じるんだよ」

 

そして、巨人がいきなり動き出してミラを捕まえる

 

「きゃっ!!」

 

「ミラ!!!」

 

「ミラちゃん!!!」

 

「我々を欺こうとは気に入らん小娘だ潰してしまえ」

 

「ミラーーー!!!」

 

「早くあの巨人を止めるんだよ!!!ナツ!!!!リート!!!!グレイ!!!!エルフマン!!!!」

 

 

・・・

 

 

その頃、リートとラリカも巨人を止める為に走り回っていた

 

「くっそ!!この巨人はどうやって止めればいいんだよ!!!」

 

「文句をいう前に動力源を探しますわよ!!!」

 

「わかってんよ!!!」

 

するとリートの上から声がした

 

 

 

 

「見つけたぁ!!!氷竜ーーー!!!」

 

 

 

 

「!!」

 

「きゃっ!!」

 

ラリカはリートに投げられて少し離れたところへ飛ばされる

 

ドゴォン!!

 

巨大な爆発とともに1人の影がリートに踵落としをきめて、煙が上がった

 

「リートー!!!」

 

煙が晴れるとバンクの踵落としを両腕に氷を纏わせて防御するリートの姿があった

 

 

 

「ぐっ...やっぱり居やがったか...テメェ」

 

 

 

「ああ、さっきのジュピターを防いだところ見せてもらったぜ、

やっぱりお前はスゲェやつだ!!

 

あのエルザって奴も中々だったが俺はやっぱりお前と戦いたくてなぁ、

 

ここに乗り込んでくると思って残ってて正解だったぜ!!」

 

「どうせ戦うことになるとは思ってたけどまさかこんなに早くとは...な!!」

 

リートはバンクの足を弾き氷を纏わせた腕で殴ろうとするがバンクはかわして距離をとった

 

「ラリカ!!!お前は動力源を探してくれ!!コイツとの決着は俺がつける!!!」

 

「でも...」

 

「頼む!!!」

 

「...わかりましたわ...リート!!」

 

「?」

 

「絶対...勝ってくださいまし!!」

 

「了解w」

 

ラリカは翼を広げ飛んでいった

 

「さぁ、リベンジマッチだ」

 

「ヘッw今度こそお前の本気を見せてもらうぜ」

 




さぁ、バンクとリートのリベンジ戦始まります!!オリジナル戦闘なのでどこまで上手いこと書けるか...不安...


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リベンジ

今回はリートの戦闘を区切りながら書いていくつもりです。なるべく長くしていきたいので...


ラリカと別行動となったリートはバンクと対峙している

 

「さぁ、楽しもうぜこの戦いをよ!!」

 

「こっちは時間がねぇんだ、魔力も消費してる以上あまり戦いを長引かせるわけにはいかねぇ、

 

手っ取り早くカタをつけさせてもらうぞ」

 

リートは両腕の氷を張り直す

 

「こい...」

 

「ハッ、上等だぁ!!」

 

バンクがリートに突っ込んでパンチを繰り出すがリートはそれをかわす

 

「もう、爆発はくらわねぇよ!!」

 

そのままリートはカウンターでバンクを殴り飛ばす

 

「ぐほぉ」

 

さらに吹き飛ばされたバンクを追いかけ巨大な氷を拳につけた状態でリートはバンクを上から殴りつける

 

「氷竜の剛拳!!!」

 

ドゴォン!!

 

しかし拳をどけるとそこにバンクの姿はなかった

 

「!」

 

「こっちだ」

 

リートの後ろに回り込んだバンクのグローブや靴、バンダナは黄色になっておりバンクの体から電気が走っていた

 

ドカ!!

 

「ぐあぁっ!!」

 

リートは殴り飛ばされると同時に背中に強力な電撃が走る

 

「爆発の次は電気か...」

 

体制をたてなおしたリートはバンクのいた方を向くがバンクは既にそこにはいない

 

「どうした?この程度じゃねぇだろ?」

 

「ぐっ...」

 

目の前に現れたバンクに驚愕しながらも背を剃らせリートはバンクの回し蹴りをギリギリでかわす

 

「たりめぇだ!!!」

 

そのまま後ろの地面に手をついたリートは床に氷を張る

 

「氷竜の陣円」

 

「俺だって何度も同じ手はくらわねぇぞ」

 

高速で動いたバンクは後ろに下がってリートに電撃を飛ばす

 

「おらぁっ!!!」

 

「そんな極端な攻撃が...効くか!!!」

 

リートは電撃を殴り落とす

 

「やっぱり規格外だなお前」

 

「お前に言われたくねぇ!!!」

 

 

(にしてもあの速さは厄介だ...なんとかしねぇと...しかもまだ奴の属性を全て見た訳じゃねぇし...あーー!!めんどくせぇ!!!)

 

 

バンクはリートの考えてることはお構いなしに攻撃を仕掛ける

 

「雷(いかづち)!!!」

 

リートの真上から雷が落ちてくる

 

「考え事とは余裕じゃねぇか...なっ!!?」

 

雷の落ちたところには氷のドームが作られていた

 

ドームが割れて中から無傷のリートが出てくる

 

「考えねぇと手の打ちようがねぇんだよ」

 

「はっはー!!今のを防ぐってかぁ!!!楽しくなってきたじゃねぇか!!!」

 

バンクが高速でリートに突っ込んでいく

 

「氷竜の健円」

 

リートはもう一度氷のドームで自分を守る

 

「そんな氷!!一瞬で粉々にしてやる!!!」

 

バンクはグローブを赤色に変え氷を思いっきり殴り爆発させる

 

すると正面の氷が割れたと思ったら目の前から巨大な氷の拳が現れる

 

「んなっ...ぐぼあっ!!」

 

「よしっ」

 

バンクはリートの拳をかわせずに殴り飛ばされる

 

 

「氷のドームを殴ったことで一瞬だが隙ができるし割れた場所によりお前の位置も特定しやすい...

 

俺の氷を壊す度に赤色の装備にしてるって事は一番攻撃力があるのは赤い装備...スピードがあるのが黄色ってところだろ、

 

ならお前がドームを壊すとしたら赤い装備に変えるしかない、

 

そうなれば意表をついた攻撃は避けようがない訳だ」

 

 

バンクは即座に起き上がる

 

「スゲェなあの攻防でそこまでわかったのか!!」

 

「くそっ今のを受けてピンピンしてやがる...」

 

「さぁ、もっとやろうぜ!!」

 

「...やっぱり面倒な奴だなお前」

 

 

・・・

 

 

一方エルフマンもムッシュ・ソルと戦うために臨戦態勢になっていた

 

「私の名はソル、ムッシュ・ソルとお呼び下さい」

 

「ちょうどいいこの巨人の止め方を吐かせてやる」

 

「フン」

 

エルフマンは腕をテイクオーバーさせ黒い腕に変えた

 

「ビーストアーム黒牛」

 

「おや?片腕だけでよいので?あの噂は本当だったのですかな?」

 

「む」

 

「あなたの事は知っていますよ...いや、もっともフェアリーテイルの魔導士の情報は全て頭の中にあるのですよ」

 

「ごちゃごちゃうるさいんじゃい!!」

 

エルフマンはソルに殴りかかるが簡単に避けられる

 

「あなた...妹様がいたでしょう」

 

「!!」

 

「砂の舞(サーブルダンス)」

 

ソルは魔法で砂を巻き上げてエルフマンに目を眩ませた

 

「どこだ!!?」

 

「岩の協奏曲(ロッシュコンセルト)」

 

ソルは複数の岩をエルフマンにぶつける

 

「ぐあああっ!!!」

 

エルフマンは耐えきれず地面に膝をついた

 

「あなたは昔全身テイクオーバーに失敗し暴走を起こした...

 

妹様はそれを止めるために命を落としてしまった、違いますか?」

 

「あなたはその時のトラウマで全身テイクオーバーが使えなくなった」

 

 

「ビーストアーム!!鉄牛!!」

 

エルフマンは鉄の腕に変化させソルに拳をふるうがソルは地面に潜り攻撃をかわす

 

にゅぽ

 

地面から抜け出してきたソルがエルフマンの腕に絡み付く

 

「気持ちの悪いやつめ!!!」

 

「ノンノンノン3つのNOでお話になりません」

 

エルフマンがソルを腕から剥がそうとする

 

「離れんか!!!ムッチュ・ソル!!!」

 

「ムッシュにございます」

 

ソルが離れたかと思うとエルフマンの頭に蹴りを入れる

 

「がはっ」

 

さらにソルはエルフマンの顔を蹴りそのまま吹き飛ばした

 

「もう終わり(フィナーレ)ですかな?」

 

(コイツ...見かけによらず強ぇ...やるしかねぇ)

 

エルフマンは立ち上がり全身テイクオーバーをしようとするが頭の中でリサーナがちらつきトラウマを呼び起こしてしまいどうしたもテイクオーバーができなかった

 

 

「ん~できない事はやるもんではありませんなぁ、今のであなたの魔力は大幅ダウンしてしまったようですぞ」

 

「そうれ(ヴォワラ)」

 

「ぐああっ」

 

ソルがエルフマンの腹を蹴る

 

「ん~紳士たるものとどめは最大の魔法でさしてあげましょう」

 

「石膏の奏鳴曲(ブラトールソナート)」

 

石膏でできた腕がエルフマンを吹き飛ばした

 

エルフマンは壁に衝突しその壁は崩れ落ち外の様子が見える

 

「な...何だアレは」

 

エルフマンの見た光景は巨人の手に捕まって締め上げられているミラの姿だった

 

「エ...エルフマン...」

 

「ねぇちゃん!!!!」

 

「ほう、姉上ということはあの方がかつて魔人と恐れられたミラジェーン様ですかな?彼女には我々を欺いた罰を受けてもらいます時期に潰されるでしょう」

 

「なんだよコレ...ねぇちゃんを放せえっ!!!」

 

ガッ

 

ソルはエルフマンの頭を踏む

 

その光景を見てミラは涙を流す

 

「やめて!!!私はどうなってもいいから!!!エルフマンだけは!!!」

 

「また繰り返すのかね?妹様を失った次は姉上を目の前で失うとは」

 

「エルフマン!!!逃げて!!!お願い!!!」

 

「何でだよ...もうねぇちゃんの涙は見ねぇって誓ったのに

 

何で泣いてんだよ!!!」

 

ドカァン!!!

 

「!!」

 

エルフマンのいた部屋の隣から爆発が起こったと思ったらミラのいるところにいつの間にかボロボロになったリートが居てミラをつかんでいた巨人の手を破壊し助け出していた

 

「...リー...ト?...」

 

「ミラ...無事か?」

 

「うん...」

 

リートはミラを抱きしめる

 

「よかった...」

 

ミラは顔を赤くして戸惑った

 

「え?え?ちょっ...リート!!?」

 

「エルフマン!!!ミラはもう無事だ!!!存分にやれ!!!」

 

「リート!!?何を言ってるの!!エルフマンを助けてあげて!!!」

 

「大丈夫だ...エルフマンを信じてやれ」

 

「でも...」

 

エルフマンはミラが助かったことに安堵する

 

「リート...すまない」

 

エルフマンは残った力で立ち上がり全身テイクオーバーをしようとする

 

「エルフマン!!!駄目よ!!!あなたは片腕しか使えないじゃない!!!」

 

「そうそうw」

 

「俺が弱かったばかりにリサーナは死んだ...」

 

「それは違うわ!!!」

 

「あんな思いは二度としたくねぇ!!!」

 

「俺はねぇちゃんを守れる強い漢になりたいんだ!!!」

 

エルフマンは全身テイクオーバーをした

 

「お...おやっ?これは...」

 

 

 

 

 

「全身テイクオーバー!!!獣王の魂(ビーストソウル)!!!」

 

 

 

 

 

エルフマンはそのままソルに襲いかかる

 

「ノンノンノン ノンノンノン!!!! ノン!!!」

 

ドゴォォッ

 

 

 

 

「ノオーーーーン!!!」

 

 

 

 

エルフマンがソルを殴り飛ばしソルは完全に意識を失う

エルフマンVSムッシュ・ソル...勝者エルフマン

 




今回はここまでです
そろそろヒロイン確定させたかったのとちょうどいいシーンだったのでヒロインをミラにしよう!他作品でもあまりヒロインにされてない...気がするし...ってことでこうなりました
次回はリートがミラを助ける少し前、どうやってバンクとの戦いを抜け出してきたのか、そこから話を始めるつもりですので気になる人は次回の更新を楽しみにしててください


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第2ラウンド

今回は前回のミラ救出前に少し遡ります
リート目線のお話としますのでほぼリートがメインです


ミラ救出数分前

 

リートとバンクの戦いは続いていた

 

(くそっコイツ戦いが長引くにつれて少しずつ速くなってやがる...)

 

「どうしたぁ!!氷竜さんよぉ!!!まだまだ戦いはこれからだぜぇ!!!」

 

バンクは連激をリートに叩き込みリートはなんとか防ぎつつ隙を見つけてカウンターを打つ

 

「このっ!!」

 

ゴン!!!

 

「ぐあぁっ」

 

リートのカウンターがバンクの顔に入りバンクは吹き飛ばされ床に転がる

 

「そのまま寝てろ!!!」

 

足に氷を纏わせたリートはバンクの頭上から踵落としをいれようとするがバンクはギリギリでかわした

 

リートが攻撃した床は半径3M程のクレーターが出来上がりひびが入っていた

 

「ちっ」

 

「あっぶねぇ!!なかなかえぐい奴だな」

 

「うっさい!!いい加減黙ってやられてろ!!!」

 

「何気にひどくねぇか!!?」

 

バンクは起き上がるとリートに向かって飛び蹴りをするがリートにかわされ片足を掴まれ放り投げられる

 

「この!!!」

 

「うおっ!!?」

 

リートはバンクに手のひらを向け氷の柱を作りそのまま勢いをつけて伸ばす

 

「氷竜の凍柱!!!」

 

「がぁぁっ!!!」

 

柱にぶつかったバンクはそのまま壁に激突した

 

氷の柱は割れて壁と柱の間にいたバンクはボロボロになりながらも降りてきた

 

「なんで俺の敵ってこんなタフな奴ばっかりなんだよ」

 

「へっ、まだまだぁ!!!」

 

バンクの装備が黄色に変わる

 

(!!くそっ...さっさとドームを)

 

リートが氷のドームを張ろうと構えるが既に遅く目の前までバンクはやってきていた

 

「おらっ!!」

 

いつの間にか装備を赤色にしていたバンクは全力の爆発でリートを殴る

 

「ぐぅぅぅっ」

 

リートが壁に激突してもバンクは装備を緑に変え追い討ちを続ける

 

「まだ終わってねぇぞ!!!前回とは違う、

 

本気の

風乱拳だ!!!」

 

壁に激突したリートに無数の風の塊が飛んでくる

 

そして、連激が終わるとそこにはボロボロになったリートが立っていた

 

「やっぱりお前との戦いは楽しくてしょうがねぇ」

 

「俺は楽しくねぇ」

 

「けど、まだ足りねぇな...お前がもっと本気になれば更に楽しくなると思うんだがな」

 

「あ?」

 

するとバンクは何かを閃いたような顔をする

 

「こういう奴のキレるパターンは大体同じだ...

 

例えばテメェのところのギルドに白髪の髪の長い女がいただろ?」

 

「ミラがなんだってんだよ」

 

「あの女ルーシィって女に変身して俺達を騙そうとしたもんだからよ、うちのマスターがキレちまってなぁ

 

さっきからの戦闘でちらちらと見えてよぉ今どんな状態かハッキリわかったぜ」

 

バンクはリートの後ろにある窓を指差す

 

「...ミラ!!!?」

 

リートは急いでミラの元へ行くために窓を壊そうとするが

 

「おっと、俺とのお楽しみがまだ途中だぜ」

 

バンクがリートの前にたち行き先をふさぐ

 

「どけよ」

 

リートはドスのきいた声でバンクに話す

 

「やだね、こういう時よく使う台詞があるだろ?

 

ここを通りたければ俺を倒していけってやつだ...

 

!!」

 

バンクの目の前からリートが一瞬で消えたと思った瞬間リートの膝蹴りがバンクの顔に思いっきり決まった

 

「ぐあっ!!!」

 

「お前を倒さないと通れないならお前ごと使って道を作ってやる」

 

リートは吹き飛ばされていくバンクに向かって巨大な氷の柱を投げる

 

「氷竜の柱弾」

 

「ぐうおおおおっ!!!」

 

バンクにぶつかった氷の柱はそのまま壁を破り外に飛んでいった

 

 

(ミラ!!ミラ!!ミラ!!!)

 

 

巨人に握りつぶされそうになるミラを急いでリートは救出した

 

「...リー...ト?...」

 

「ミラ...無事か?」

 

「うん...」

 

リートはミラを抱きしめる

 

「よかった...」

 

 

(本当に...)

 

 

ミラは顔を赤くして戸惑う

 

「え?え?ちょっ...リート!!?」

 

そして、リートが視線を変えるとエルフマンが倒れていた

 

 

(エルフマンのやつ、まだトラウマを引きずってるのか...

 

更にミラの危機を見ちまったから余計にってとこか...

 

けどなエルフマン、お前ももう過去を乗り越えなきゃいけねぇんだ!!

 

全力出さないと倒せない相手なんだぞ!!)

 

 

「エルフマン!!!ミラはもう無事だ!!!存分にやれ!!!」

 

「リート!!?何を言ってるの!!エルフマンを助けてあげて!!!」

 

「大丈夫だ...エルフマンを信じてやれ」

 

「でも...」

 

その言葉を聞いたエルフマンが全身テイクオーバーしソルに勝利する

 

そしてエルフマンはそのままミラの元へ向かってくる

 

「エルフマン...私の声、聞こえてる?」

 

「あなた...まさかまた理性を失くして」

 

リートは警戒してミラを後ろに下げるがエルフマンの目を見て警戒を解く

 

「おまえ...」

 

エルフマンはミラに近づくとミラを抱きしめた

 

「ごめんな ねぇちゃん、こんな姿二度と見たくなかっただろ?

 

コイツを上手く操れなかったせいでリサーナは...」

 

「あなた...理性が...」

 

「でも、コレしかねぇと思ったんだ...ねぇちゃんやフェアリーテイルを守るには俺が強くなるしか」

 

気がつくとミラの震えは止まり笑顔に変わっていた

 

「リサーナはあなたのせいで死んだんじゃないのよ、

 

あの時だってあなたは必死に私たちを守ろうとして」

 

エルフマンはテイクオーバーを解いた

 

「守れなかったんだ...リサーナは死んじまった」

 

「私は生きてるわ...

 

二人で決めたじゃない、あの子の分まで生きようって」

 

「ねぇちゃあぁぁん...

 

無事でよかったぁぅぁぁぁっぅぁ」

 

エルフマンが泣き出す

 

「もう、あなたが泣いてどうするの!!」

 

「ありがとうね...エルフマン」

 

ミラが笑顔でリートの方を向く

 

「リートもありがとう...あと、さっきの事は...」

 

ミラが顔を赤くしながらリートに話しかけるがリートも顔が赤くなっていた

 

「あ...いや...まぁ、うん、この一件が終わったら話すよ」

 

ミラがまた笑顔に戻った

 

「フフっw楽しみにしてるわね♪」

 

「ねぇちゃん...リート...まさか」

 

エルフマンは絶望したような顔で二人を見る

 

「まぁその話しは後だ」

 

「うん...!」

 

ミラが一瞬驚いた顔をするとリートとエルフマンが反応する

 

「ミラ?」

 

「ど...どうした!?ねぇちゃん!!!」

 

「魔方陣を書く速度が遅くなってるわ...」

 

「ええっ!?」

 

「本当か!!?」

 

「なぜかしら...!!リート!!エルフマン!!残ってるエレメント4は何人!!?」

 

「えーっと...」

 

「あのヒョロなが男を合わせたらあと二人だな」

 

「やっぱり...この巨人の動力源は4つの元素(エレメント)!!

 

エレメント4を全員倒せばこの魔法は阻止できるわ!!!」

 

「本当か!!?」

 

「なら、さっさとエレメント4を...

 

っち、まだくたばってなかったかアイツは...」

 

「え?」

 

「リート...どうしたの?」

 

リートの視線の先にはバンクが全力疾走で向かってきていた

 

「アレは!!?」

 

「アイツはリートに一度勝ったジョゼの右腕!!!」

 

「お前ら、先に行け!!

 

エレメント4はナツやグレイ、エルフマンに任せる!!!

 

俺は全力であいつを食い止めてやる」

 

「でも、リート!!一度負けたんじゃ...」

 

「次は負けねぇよ」

 

「わかった...」

 

「ねぇちゃん!!?」

 

ミラは巨人の方へ走り出しエルフマンもそれについていく

 

「ラリカが今動力源を探している!!!探して教えてやってくれ!!!」

 

「わかったわ!!」

 

「ミラ!!」

 

「?」

 

「これが終わったら本音を伝える...覚悟しておけ」

 

ミラの顔はまた赤くなった

 

 

「...うん」

 

「ねぇちゃん...」

 

エルフマンは涙目でミラを見るがミラは気にせず走り出した

 

「さて...」

 

もう既にバンクはリートの目の前までやってきていた

 

「ハッ!!おらぁっ!!!」

 

「ぐっ」

 

バンクのパンチをリートは防御した

 

「おいおい...俺を差し置いて女とイチャイチャってか?嫉妬しちまうじゃねぇか」

 

「テメェ本当にタフだ...な!」

 

「うおっ!!」

 

リートはバンクの懐に入り込み投げ技で巨人の中へと戻す

 

リートが巨人の中へと戻るとバンクが立ち上がりリートを待ち構えていた

 

「さぁ、第2ラウンドといこうか!!!」

 

「上等だよ...こっちももう全身全霊、本気の本気でやってやる...

 

俺のとっておきを見せてやるよ」

 

「まだ、技があるのか!!?滾ってきた!!!」

 

「うぜぇ...」

 




書いてて思ったこと
(リート爆発しろリート爆発しろリート爆発しろリート爆発しろリート爆発しろ)
この台詞一色でした


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とっておきからの決着

今回でバンクとリートの戦いに決着をつけます結構頑張ったんじゃね?うん、主頑張った


「さぁ!!見せてくれよお前のとっておきをよ」

 

バンクは構えをとりリートにとっておきを出すように要求する

 

「俺がどのタイミングで使おうが自由だろうが...

テメェに指図される筋合いはねぇよ」

 

「へっ、じゃあ無理やりにでも使わせてやるよ!!!」

 

バンクは赤い装備のまま拳を前につきだす

 

「炎拳!!!」

 

バンクの拳の先から炎が放出されリートを襲う

 

「くっそ...」

 

リートは炎を凍らせようとするが火力が高すぎるため簡単には凍らない

 

「どうした!!?早くとっておきを使わねぇと燃えカスになっちまうぜ!!!」

 

「じゃあ、その前にテメェをブッ飛ばすだけだ!!!」

 

リートが前に出てバンクの懐に入ろうとする

 

「おっと」

 

ゴン!!

 

「!」

 

バンクの膝がリートの顎に当たりリートは不意をつかれる

 

「ハッハー!!そう何度も懐に入られてたまるかってんだ」

 

「ぐっ...」

 

リートはバク転で体制を立て直し両手の平を合わせる

 

「滅竜奥義...」

 

「お?」

 

巨大な剣を作ったリートはそのまま斬激をバンクに向かって飛ばす

 

「氷刀飛燕斬!!!」

 

バンクは斬激を紙一重でかわし後ろに飛んでいった斬激は壁に当たり巨大な切れ目を作り切れ目を凍らせた

 

「ははっ!!スゲェ!!!」

 

バンクがリートの方を向いたときにはリートは目の前に来ていた

 

「氷竜の凍剣!!!」

 

バンクの体に斜めに切れ目が入る

 

「ぐぁぁっ!!!」

 

バンクは膝をつき倒れ込みそうになるが

 

「ふっ」

 

「!!」

 

バンクはニヤリと笑うと装備を茶色に変える。

 

バンクはそのまま床を殴ると、リートの斜め下からリートに向かって岩の柱が飛び出しリートの腹に入る

 

「ぐおっ!!」

 

 

「岩柱」

 

腹部にダメージを受けたリートは、後ろに吹き飛んだ

 

「どうだ?俺の魔法は...まだ属性があるんだぜ、おもしれぇだろ?」

 

バンクとリートは立ち上がり対峙する

 

「いや、まだ属性はあると踏んでいた...いつ使ってくるかはわからなかったがな...」

 

「察しのいいやつだなぁ、でもまぁ、そろそろテメェのとっておきを見てみたいもんだな。さっきの斬撃じゃねぇんだろ?」

 

 

「...よくわかってんじゃねぇか、いいぜそろそろ使い時だ...

 

よく見ておけよ、これはナツやラリカ達も一度も見せたことがねぇ技だ...俺の魔力の消耗が激しすぎてすぐに倒れるから滅多に使わねぇが...」

 

リートは右手の掌をゆっくりと開くと小さな冷気の塊ができていた

 

「目に見えるほどの冷気...たしかにスゲェがさっきまでの技の方が面白そうだったぞ」

 

「まぁ、黙ってみてろよ」

 

リートは右手で作った冷気の塊を床に落とすと

 

 

「!!」

 

 

一瞬で青色に床が変色し、リートとバンクのいる空間に冷たい強風が吹き始める

 

「俺のもうひとつの滅竜奥義だ…

俺、もしくは俺が許可した者の身体能力と魔法の攻撃力を何倍にもする...

 

『氷陣闘戦場』

 

いつもの攻撃がパワーアップしてる分魔力の消費も激しいがな」

 

「ってことは、お前はさっきの数段強くなったってことか!!!いいねぇ!!!最初から使っていればよかったのによぉ!!!」

 

「この状態で戦えるのはせいぜい10分...それまでにけりをつける!!!」

 

リートはバンクに突っ込んでいく

 

(はえぇ!!)

 

「氷竜の硬拳!!!」

 

「ぐおおおっ!!!」

 

バンクは腹にダメージを受けて後ろの壁に吹き飛びめり込んだ

 

「ハハッ!!さっきと威力が桁違ぇじゃねぇか!!!」

 

バンクはめり込んだ壁から這い出てリートに向かって突っ込んでいく

 

「氷竜の...」

 

「!」

 

しかし、リートは空気を吸い込み次の攻撃の準備をしていた

 

「咆哮!!!」

 

「ぐああぁっ!!!!」

 

リートがブレスをはくとバンクはまた吹き飛びブレスが当たった場所は一ミリの隙間もない氷の世界が広がっていた

 

「やるじゃねぇか!!!おもしれぇ!!!俺は今、過去最高に滾ってるぜ!!!」

 

バンクは体についた氷を割りリートの前に立ちバンダナの色を黄色に変える

 

「はぁ...はぁ...くっそ...やっぱりきついか...」

 

「あん?とっておきってのを使ってからもうバテたのかよ」

 

「だから魔力の消費が激しいっつってんだろ」

 

リートには疲れが見え、肩で息をしていた

 

「俺はアドレナリンが出まくっててなぁ楽しくてしょうがねぇ」

 

「バケモンかよ...クソが」

 

「ハッハー!!!」

 

バンクは高速で動きリートの後ろをとるが

 

ゴン!!!

 

「!」

 

リートの裏拳がバンクに決まる

 

「ぐうぅっ」

 

「吹き飛べ」

 

リートは裏拳を振り切りバンクを吹っ飛ばした

 

「ぐおおっ」

 

「氷竜の弾落」

 

リートはバンクが吹き飛んだ真上に巨大な氷の塊を落とした

 

氷が割れて中から血だらけになったバンクが出てくる

 

「んだよ、いい技持ってるじゃねぇか」

 

「まだ...立てるのかよ」

 

「へっ俺はまだまだ戦え...あり?」

 

バンクは無意識の内に倒れ込む、血を流しすぎていたのだ

 

「どうやらテメェも限界みたいだな...」

 

「らしいな、あーあ、楽しい時間はすぐに終わっちまう」

 

「次で最後だ...」

 

「ああ、終わらせるぜ!!!」

 

リートは氷を右腕に纏い

 

バンクは装備を赤色に変える

 

 

 

「はああぁぁ!!!」

 

 

 

「おらぁぁぁ!!!」

 

 

 

 

ドカァァン!!!

 

リートとバンクの拳がぶつかり大爆発がおこる

 

「ぐっ...くっ...」

 

「ぎっ...」

 

リートとバンクは拳を押し合う

 

「これで...終わりだぁ!!!!」

 

「なっ!!?」

 

リートとバンクの拳のぶつけ合いはリートが勝利しバンクの腹にリートのパンチが決まった

 

「ぐあああっ!!!!!!」

 

バンクは壁にぶつかりそのまま気を失った

 

「はぁ...はぁ...終わった...」

 

 

リートVSバンク

 

勝者リート

 

 

「ダメだ...もう魔力がすっからかんだ...」

 

滅竜奥義を解いたリートはその場に座り込む

 

「しばらくは動けねぇ...ナツ...グレイ...エルフマン...あと頼むぞ...この戦争...絶対に勝つんだ」

 

 

・・・

 

 

ナツはハッピーと一緒に通路を走っていた

 

「いいこと思い付いたぞハッピー」

 

「なぁに!?」

 

「ジョゼをやっつけちまえばこの戦いは終わるんじゃねぇのか?」

 

「何てこと言ってんだよ!!!ジョゼはうちのマスターと互角の魔力を持っているんだよ!!!ナツなんか勝てるわけないじゃない!!!」

 

「でも、じっちゃんがいねー今誰がジョゼを倒すんだよ」

 

ハッピーはその台詞にショックを受ける

 

「ナツのバカー考えないようにしてたのに思い出しちゃったじゃないかぁ!!!」

 

「そうだよ...マスターもエルザもいない、リートも完全じゃない...この戦い、どうやっても最後にはジョゼが」

 

ナツはハッピーの頭を優しく撫でる

 

「俺がいるだろ」

 

 

「...あい」

 

(なんでだろ?マスターやリート達の方が魔力が高いのにナツには皆が期待しちゃうなにかがあるんだ)

 

すると目の前にエレメント4の一人アリアが現れる

 

「悲しい...炎の翼は朽ちて落ちて行く...ああ..そこに残るのは竜の屍」

 

「あ?」

 

「ナツ!!こいつエレメント4だよ!!!」

 

「我が名はアリア...エレメント4の頂点なり、竜狩りに推参いたしました」

 




バンクの技に出た炎拳...最初火拳にしてやろうかなって思ったんですけど...いやいや、麦わら帽子の海賊の兄貴じゃねぇんだから...ってことでやめました!!よかったんだよね?これでよかったんだよね?もう自分がわからねぇよ...


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しんしんと

今回はグレイとジュビアの戦いにラリカを混ぜてみましたどうしても書いてみたい部分があるので


ポツポツポツ...

 

「ん?」

 

「あら?」

 

「雨?」

 

「いつの間に降ってきたのでしょう?」

 

ラリカはグレイと合流し共に動力源を探して屋上に出てきていた

 

「しんしんと...」

 

「「!!」」

 

グレイとラリカの前にエレメント4の一人ジュビアが現れる

 

「そう...ジュビアはエレメント4の一人にして雨女...しんしんと」

 

「エレメント4...」

 

「グレイ...気をつけて下さいまし...」

 

ジュビアの登場にグレイとラリカは警戒する

 

「まさか2つのエレメントが倒されるとは思わなかったわ、しかしジュビアとアリアは甘くみない事ね」

 

「悪ぃけど、女だろうが子供だろうが仲間を傷つけるやつは容赦しねぇつもりだからよぉ」

 

「私としてはレディに手を出すのはあまり感心しませんのですけど仲間のためなら仕方ありませんわね」

 

ジュビアの顔は赤くなる

 

「そう...私の負けだわ...ごきげんよう」

 

「オイオイオイ!!!なんじゃそりゃ!!!」

 

 

「なんなんですの?一体...」

 

ジュビアは後ろを振り返り胸を抑える

 

(はぁ...ジュビア、どうしちゃったのかしら...この胸のドキドキは)

 

「待てコラ!!!この巨人を止めやがれ!!!」

 

グレイがジュビアに迫る

 

(私のものにしたい...ジュビア...もう止まらない!!!)

 

 

「ウォーターロック!!!」

 

「ごぽっ」

 

「グレイ!!!」

 

グレイはジュビアにより水の球体に閉じ込められた

 

「うっ...ぐっ」

 

その反動でグレイはガルナ島でリオンにつけられた腹の傷が開き血が吹き出す

 

「まぁ!!!怪我をしていらしたなんて!!!どうしましょう!!!はやく解かなきゃ!!!」

 

「ぬうぅぅ...あああっ!!!」

 

グレイは水の球体を凍らせた自力で脱出した

 

「グレイ!!!無事ですの!!?」

 

「ああ、やってくれたなァコノヤロウ」

 

グレイは服を脱ぎ始める

 

「痛て...」

 

(なぜ服を脱ぎますの?)

 

 

(わ...わわ私...心の準備が...)

 

服を脱いだグレイはそのまま攻撃を仕掛ける

 

「アイスメイク・ランス!!!」

 

グレイの作った氷の槍はジュビアの体を突き抜けるが

 

「え?」

 

ジュビアの体には無数の穴が空いているがジュビア本人にダメージはなかった

 

「どうなってますの!!?グレイの攻撃は確かに当たっていますのに!!?」

 

「ジュビアの体は水でできているの...しんしんと」

 

「水だぁ!!?」

 

「そんなのどうやって倒せばいいんですの!!?」

 

(今のは攻撃...そう...彼は敵...ジュビアはくじけない...これが戦争)

 

「さよなら!!小さな恋の花!!!水流斬破(ウォータースライサー)!!!」

 

ジュビアは刃物のような切れ味をした水をグレイに飛ばす

 

「何言ってんだ!!!コイツ!!!」

 

「危ないですわ!!!」

 

「ぐうぉあ!!!」

 

グレイはジュビアの水を掠りながらもなんとかよけ、ラリカは空を飛んで水をかわし、グレイから離れた

 

 

 

「アイスメイク・戦斧(バトルアックス)!!!」

 

 

 

グレイは氷で作った斧でジュビアを切りつけるがジュビアには通用しない

 

「チッ」

 

「あなたはジュビアには勝てない...今ならまだ助けてあげられる」

 

「助けるってどういうことですの?」

 

「ルーシィをつれてきて頂戴、そうしたら私がマスターに話して退いてもらうわ」

 

ジュビアは説得しようとするがグレイもラリカも聞く耳を持たない

 

「オイ、ふざけたこと言ってんじゃねぇぞ」

 

「今さら何をおかしなことを...」

 

「もう互いに退けねぇとこまできてんだろうが」

 

「ルーシィは仲間ですのよ」

 

「命に変えても渡さねぇぞ」

 

ジュビアはショックを受け傘を落とした

 

(命に変えても...命に...変えても...恋...恋敵!!!)

 

「グスン...キィイイイ!!!!」

 

ジュビアが泣き出したと思ったら急に怒りだした

 

「あちっ」

 

「あつい!!!グレイ!!!何とかして下さいまし!!!」

 

降り続く雨が熱湯に変わる

 

「ジュビアは許さない!!!ルーシィを決して許さない!!!」

 

「何でルーシィにキレてんだよ」

 

(...もしかしてこの方)

 

「...それよりも熱いですわぁぁぁ!!!」

 

「シエラ!!!」

 

ジュビアが熱湯に変身しグレイに襲いかかる

 

「チッ...アイスメイ..ぐっ」

 

グレイは氷の造形をしようとするもジュビアの攻撃が先に決まりひるまされる

 

「速ぇ!!!俺の造形魔法が追い付かねぇ!!!」

 

ジュビアはそのままもう一度グレイに向かってつっこんでいく

 

「ぬぉ!!」

 

グレイはギリギリで攻撃をかわした

 

「時間を稼がねぇと...」

 

グレイは近くにあった窓に飛び込み下の階へ落ちる

 

そのままジュビアが追いかけてくるのを理解していたグレイは真上に氷の盾をはる

 

しかしジュビアの熱湯により盾はすぐに溶ける

 

「ゲッ!!!マジかよ!!」

 

氷を溶かした水の一部がジュビアの顔に変わる

 

「ジュビアのジェラシーは煮えたぎっているの!!!」

 

「なんじゃそりゃ!!!」

 

そのままグレイはジュビアの熱湯体当たりを正面から受ける

 

「ぐああぁっ!!!」

 

「あつっ...皮膚が焼けて...」

 

ジュビアはそのままグレイを水で飲み込み屋上に一緒に飛び出してくる

 

「グレイ!!!!」

 

外にいたラリカはグレイが推されていることに気がつき心配になる

 

「んのやろぉ!!!一ヶ所でもいいから凍らせちまえば」

 

水から弾き飛ばされたグレイは右手を水に突っ込み空中から落ちながら水を凍らせていく

 

「凍りつけぇ!!!」

 

グレイが屋上の床に落ちたときにはジュビアの水は凍りついていた

 

「そんな...ジュビアの熱湯が凍りつくなんて...」

 

「へっ」

 

「しかも...」

 

ジュビアの胸をグレイが揉んでいた

 

「ああああっ!!!!違っ...これは」

 

「グレイ!!!敵とはいえレディになんてハレンチな事を!!!ピーをピーしてピーーーにしますわよ!!!!」

 

「待てラリカ!!!わざとじゃねぇ!!!ってかもう後半お前の言ってることが理解できねぇよ!!!!」

 

「と...とにかくスマン!!!」

 

グレイはあわててジュビアから手を離しその反動で氷が消えた

 

(氷から解放した!?なぜ!!?優しすぎる!!!)

 

(何か盛大な勘違いがおこっている気がしますわ...)

 

「し...仕切り直しだ!!!」

 

「ダメよ...」

 

「!?」

 

「ジュビアにはあなたを傷つけることは出来ない...」

 

「は?傷つけられねぇって...

 

勝ち目はねぇって認めちまうのか?」

 

「グレイ...そういう意味じゃないと思いますわよ」

 

「じゃあどういう意味だよ」

 

ジュビアは俯いて説明する

 

「ジュビアはルーシィより強い、ジュビアならあなたを守ってあげられる」

 

「守る?何で俺を」

 

「そ...それは...あの...」

 

「...」

 

「あ...あなたの事が...す...す...」

 

どんどんと雨が強まる

 

「てか雨強くなってねぇか?」

 

「聞いてあげなさいなグレイ...」

 

(ジュビア、じれったい!!!)

 

「まったく、鬱陶しい雨だなぁ」

 

「だから聞いてあげなさいって言ってますでしょグレイ」

 

鬱陶しいという言葉を聞きジュビアはショックを受けた

 

(この人も...今までと同じ...)

 

「同じなのねー!!!」

 

「うおっ!!!何だ!!?」

 

「グレイがあの方のお話しを聞かないから怒ったんではないんですの!!?」

 

ジュビアはまた熱湯に変わる

 

「来るなら来やがれ!!!」

 

(ジュビア...もう恋なんていらない!!!)

 

ジュビアはまた体を熱湯にしてグレイを飲み込む

 

「グボボォッ!!!」

 

「また凍らせて...」

 

グレイがもう一度熱湯を凍らせようとするが

 

「!!!さっきよりも高温なのか!!?」

 

熱湯は凍らずグレイは流される

 

「ぐあああっ!!!」

 

(いらない...)

 

ジュビアは過去に雨女だったことにより苛めを受けたり恋人にフラれた記憶がよみがえる

 

(ジュビアは雨女...ジュビアはエレメント4ファントムの魔導士!!!)

 

グレイは水から放り出された

 

「ぐあっ」

 

グレイに向かってジュビアはまた突進してくる

 

「シエラー!!!」

 

「負けられねぇんだよ!!!ファントムなんかによぉ!!!」

 

グレイは力ずくでジュビアの水を凍らせていく

 

「ぬあああっ!!!」

 

グレイの力業に降っている雨までもが凍りついていく

 

「雨までも氷に!!?なんて魔力!!?」

 

「氷欠泉(アイスゲイザー)!!!」

 

グレイは地面から大量の氷を間欠泉のように噴き出させた

 

「ああああ!!!」

 

グレイの氷が割れジュビアが落ちてくる

 

「ジュビアは...負けた!?」

 

「どーよ、熱は冷めたかい?」

 

「...終わりましたの?」

 

 

グレイVSジュビア

 

勝者グレイ

 

 

決着がついた事により雨が晴れる

 

「あれ?...雨が...やんでる...」

 

「お!やっと晴れたか」

 

「もう、びしょ濡れですわよホントに」

 

(これが...青空...きれい)

 

「で?まだやんのかい?」

 

キュピーン!

 

キュー...ぱた

 

アビスブレイク発動まであと3分残るエレメント4はあと一人

 




今回はここまでです
たまにギャグ路線に入り察しのよろしすぎるラリカさんマジパネぇっす


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開眼

そろそろリートの見せ場もまた考えないと...あんなにボロボロにしておいて戦えってのも酷な話だと思うけど


フェアリーテイルギルド前、巨人はいまだに魔方陣を書き続けていた

 

「もう、10分なんてとっくに過ぎているのにまだ魔法は発動してない」

 

「心臓に悪すぎるぜぇ!!!いつ終わるんだよ!!!」

 

「ねぇ、あの巨人の動き...遅くなってない?」

 

外で戦っている者たちが巨人の動きが遅くなっている事に気づき始めた

 

「中にいるナツ達が必死に食い止めてるんだよきっと、祈るしかないね」

 

 

・・・

 

 

ジュビアとの戦闘を終えたグレイ達の元にミラとエルフマンが駆け寄ってきた

 

「グレーイ!!!」

 

「エルフマン!?」

 

「あら?なぜミラもここに居ますの?」

 

「何か幸せそうな顔してぶっ倒れてるがコイツが3人目のエレメント4か!?」

 

「...いろいろとありましたのよ」

 

エレメント4を3人倒した事により希望が見えた

 

「あと一人倒せばアビスブレイクを止められるわ」

 

「どういう事ですの?」

 

「この魔法や巨人はエレメント4が動力だったんだ」

 

「まだ間に合う!!!いけるわ!!!」

 

 

・・・

 

 

巨人の中ではナツとアリアが戦っていたが現在ナツは一方的に推されていた

 

「はぁはぁ」

 

「よくぞここまで立っていられる、たいしたものだ」

 

「くそっ」

 

ナツは腕に炎を纏いアリアに向かっていく

 

「しかし、我が空域の前には手も足も出まい」

 

アリアが手を前に繰り出すと見えない攻撃がナツを襲う

 

「ぐっ」

 

ナツは後ろに飛ばされ背中から床に転がされた

 

(何だコイツ...こんな一方的にやられるナツは初めて見るぞ...)

 

ハッピーはナツとアリアの戦闘を後ろの柱に隠れて見守っていた

 

(見えない魔法...どうすればいいんだ)

 

ナツは転がりを利用して立ち上がる

 

「まだ立つか火竜」

 

「倒れるわけにはいかねぇだろ...俺はフェアリーテイルの魔導士なんだ...」

 

「燃えてきたぞコノヤロウ!!!!」

 

「ナツ...」

 

ハッピーは心配そうにナツを見る

 

「空域・絶」

 

アリアが手のひらをナツに向けると見えない連激がナツを襲う

 

「ぐああああああっ!!!!」

 

(強すぎる...コレがエレメント4最強の男)

 

「ちくしょう!!!」

 

「上には上がいるのです若き竜よ、

 

あなたがもし氷竜と一緒に戦っていたら結果も変わっていたかも知れませんがね」

 

「火竜の咆哮!!!!」

 

ナツがアリアに向かってブレスを吐くが攻撃が当たる寸前でアリアの姿が視界から消えた

 

「ど...どこだ」

 

「終わりだ火竜...あなたにマカロフと同じ苦しみを与えてやろう」

 

ナツの後ろにアリアが現れる

 

「空域・滅 その魔力は空になる」

 

「やばっ...」

 

ナツの魔力が徐々に減らされていく

 

「ナツーーー!!!」

 

「う...あ...がっ」

 

ナツが魔力を減らされていくなかアリアの顔に蹴りが入れられた

 

「!!!」

 

ナツは空域から解放され後ろを振り返るとそこには

 

 

 

 

「エルザ!!!」

 

 

 

 

ボロボロになったエルザが立っていた

 

「ほぅ」

 

「おい、動いて大丈夫なのかよ」

 

ナツの心配を余所にエルザの殺気がヒシヒシと伝わる

 

「こいつがマスターを...」

 

ぞくっ

 

「悲しいな、火竜だけでなく妖精女王の首まで私にくれるとは」

 

「私たちの親に手を出したのはこの男だな」

 

エルザの殺気が徐々に強くなる

 

「エルザ...」

 

「ふふふ、さすがにエルザが相手となるとこの私も本気を出さなければなりませんな」

 

アリアは目隠しを外した

 

 

・・・

 

 

「目!?」

 

ラリカとグレイとエルフマンが走りながらミラにアリアの情報を聞いていた

 

「なぜアリアは目を閉じていますの?」

 

「アリアは普段目を閉じることで強大すぎる自分の魔力を抑えてるらしいの」

 

「なんじゃそりゃ!!!」

 

「なら、是が非でも目を開かせる前に倒さないといけませんわね」

 

「そう、もしもアリアの目が開いたら私たちの勝機はなくなるかもしれない」

 

 

・・・

 

 

ミラ達の願いも虚しくアリアは開眼してしまっていた

 

「来い...エルザ」

 

「死の空域・零 発動この空域は全ての命を喰い尽くす」

 

「命を喰う魔法だと...」

 

 

 

 

 

「なぜそこまで簡単に人の命を奪えるんだ!!!!貴様等は!!!!」

 

 

 

 

 

エルザが本気になり剣を換装しアリアに突っ込んでいく

 

「あなたにこの空域が耐えられるかな?」

 

アリアはエルザに向かって空域を使い攻撃するが

 

 

ズババババ

 

 

「バカな!!空域を切り裂いて...」

 

エルザはアリアの攻撃を全て剣で切り裂きながらアリアの元に走りそのまま天輪の鎧に換装する

 

「ちょっ...まっ」

 

 

 

 

「天輪・繚乱の剣(ブルーメンブラット)!!!」

 

 

 

 

 

エルザはすれ違い様に、無数の剣でアリアを連続で切り裂いた

 

「がふぉ!!」

 

「!!!」

 

「マスターがお前ごときにやられるはずがない今すぐ己の武勇伝から抹消しておけ」

 

 

・・・

 

 

巨人が書いていた魔方陣が光だした

 

「全員ふせろぉぉぉ!!!」

 

「伏せて何とかなる魔法じゃねぇよ!!!」

 

外で戦っていたもの達が騒ぎだした

 

すると

 

ガラガラガラ

 

巨人の体がくずれはじめる

 

ズズゥゥゥン

 

巨人が完全に崩れ原型をなくしたとき外で戦っていたもの達が歓喜をあげた

 

「やったんだね...みんな」

 

 

・・・

 

 

巨人が崩れた事により中でも揺れが起こっていた

 

「おおっ」

 

くらっ

 

エルザは体力を使いきり倒れる

 

「エルザ!!!」

 

ナツはそれにいち早く気づきエルザを抱える

 

巨人が崩れた影響は中にいた者全員が気付いた

 

「何だ!?」

 

「ナツのヤツがやったのか!!?」

 

「どうなりましたの!?」

 

「止まったのよ!!アビスブレイクは消滅したんだわ!!!」

 

 

‥‥‥

 

 

揺れはリート達のところにもとどいていた

 

「なんだ...この揺れ...」

 

「あーどうやら俺達のところのエレメント4が全滅したみてぇだな」

 

バンクは目を覚ましたようでリートの言葉に反応した

 

「!!ッテメェもう起きて...」

 

リートはもう一度戦うのを警戒し立ち上がる

 

「もう戦う気はねぇよ...俺の負けだ」

 

「...信じていいんだな?」

 

「ああ、俺は勝負にはケチをつけねぇ、俺の流儀だ」

 

「そうか」

 

リートはバンクを信じて座り直した

 

「なぁ、一つ聞いていいか?」

 

リートはバンクに話しかける

 

「なんだよ?俺とまた戦いたくなったのか?」

 

「んなんじゃねぇよ...お前...なんでファントムに入ったんだ?」

 

「...」

 

「答える気は...ねぇか」

 

「いや、お前になら話せる」

 

バンクはファントムに入った経緯を話し始めた

 

「俺は小さい田舎の育ちだった...魔法すら珍しいくらいのな」

 

「けど、俺はどうしても魔法が使いたくて必死で覚えた...

 

その時はただ魔法が使ってみたくて覚えられるならどんな魔法でもよかった」

 

「そして、気がつけばこのファイターをつかえるようになっていた、

 

初めはグローブとか無しで使ってたから生傷が堪えなくてな...

 

それでも俺はこれで魔導士になれたってただそれだけを喜んだんだ...

 

だが村の奴らの目からは物騒だ、気持ち悪いだの言葉ばかりが聞こえた...」

 

 

「ちょっと待て、お前の魔法ってその装備あっての物じゃねぇのか?」

 

「...話しの腰折るんじゃねぇよ...

 

まぁ俺の装備は俺の魔法で傷つかないように魔法に態勢のあるモンスターの革を剥いで作ったいわゆる防具だ

 

その気になりゃあ素手でも爆発をおこせる、バンダナは魔力をより正確にコントロールするための装備だ」

 

「へぇー」

 

「はぁ...話を戻すぞ」

 

「村で嫌われた俺はついには両親にも捨てられ路頭を何年もさまよった...

 

そこで出会ったのがうちのマスターってわけだ、

 

あの人にファントムロードを教えてもらい恩返しするためにできる限りの事をやって

 

数ヵ月であの人の右腕と呼ばれるようになった...だけどあの人は俺たちを只の駒としか思ってない、

 

それでも俺はあの人の為になるならと必死で命令をこなしてきた...

 

まぁ元々戦いが好きなのはギルドに入って強いやつとやりあってると楽しくなってきたからだが」

 

「...」

 

「けど今回で俺はお前に負けたしこれであの人からも捨てられるだろう...

 

まぁ、あとのことはその内考えればいいが」

 

リートはバンクの身の上話を最後まで聞いていた

 

「あーぁこんなつまんねぇ話しをしてもしょうがねぇのに何してんだかな俺は」

 

「なぁ...」

 

「あ?」

 

「もし、お前が本当にいくところが無かったらよ」

 

「?」

 

 

 

 

 

「フェアリーテイルにこいよ」

 

 

 

 

「はぁ!!?おまっ...意味分かって言ってんのか!!?俺は敵だぞ!!!しかも今起きている戦争の相手」

 

「かんけぇねぇよお前達がルーシィにやったことは確かに許せねぇがそれはお前のところのマスターの指示だろ?

 

なら、コレが終わってからでもお前なら十分罪を償えると俺は思ってる」

 

「お前...」

 

バンクと話をしているといきなりスピーカーから声が聞こえる

 

《フェアリーテイルの皆さん我々はルーシィを捕獲しました、一つ目の目的は達成されたのです》

 

「ジョゼ...んのやろう」

 

《きゃあぁぁ!!!!》

 

スピーカーからルーシィの悲鳴が聞こえた

 

《聞こえたでしょ?我々に残された目的はあと一つ...貴様等の皆殺しだクソガキども》

 

その言葉を吐いた後スピーカーからの声は消えた

 

「あいつ...もうがまんならねぇ!!!」

 

リートは立ち上がり走り出す

 

「おい!!!」

 

「?なんだよ」

 

「マスターは強えぞ...お前じゃ勝てねぇ」

 

「確かにな...俺なら勝てねぇ」

 

 

 

 

「けど、俺達なら勝てる」

 

 

 

 

リートはそういうと去っていった

 

「俺達...か...フッw悪くねぇな...フェアリーテイル」

 




今回はここまでです、バンクのベタでしたけど身の上話と魔法の説明をしたくてちょっと加えてみましたいかがでしたでしょうか?
さぁそろそろガジルの出番ですガジルくん頑張ってナツにボコられてくれたまえ


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炎VS鉄

こうやって書いていると早くエドラスとか大魔導演舞編とか書きたくなってくる...ファントム終わらせて...楽園の塔終わらせて...バトルオブフェアリーテイル終わらせて...他にもいろいろとやって...先がなっげぇ...


「エルザー!!?」

 

グレイ達がエルザがいる部屋にたどり着き、ナツは先にガジルの元へと行っていた

 

「何でこんなところに」

 

そして、アリアが倒れていることに気がつく

 

 

 

「エルザ...まさか、その怪我で戦いましたの?」

 

「お前達にこんな情けない姿を見られるとは...私もまだまだだな」

 

そんな話をしていると全員に寒気が走る

 

「な...なんだ今の感じは!!?」

 

「ぬおおっ!!!漢にあるまじき寒気が!!!」

 

「なに...コレ...」

 

「嫌な空気ですわ...」

 

「いやいや、見事でしたよ皆さん」

 

グレイ達の元にジョゼが拍手をしながらやって来た

 

「まさかここまで楽しめるとは正直思っていませんでした」

 

 

 

「「「「「マスター・ジョゼ!!!!」」」」」

 

 

 

「さて、楽しませて頂いたお礼をしませんとねぇ...たっぷりと」

 

 

(こいつが...ファントムのマスター)

 

(なんて邪悪な魔力なの...向かい合ってるだけで吐き気がする)

 

ジョゼが腕に亡霊のような魔力を纏う

 

 

 

 

「よけろぉ!!!!」

 

 

 

 

エルザがそう叫んだ時にはもう遅くジョゼは雷のように魔力を放ちグレイとエルフマンに攻撃した

 

「がはっ」

 

「ぐああっ!!!」

 

「グレイ!!!エルフマン!!!」

 

更にジョゼは魔力で凪ぎ払い周りを吹き飛ばす

 

「きゃあああっ!!!」

 

「ぐっ!!」

 

ミラとラリカは吹き飛ばされエルザは耐えるのに必死になる

 

ジョゼが攻撃した衝撃で煙が上がる

 

煙が消えるとグレイとエルフマンは攻撃に耐えきれず倒れておりミラとラリカを受け止めているリートの姿があった

 

 

 

 

「リート!!!」

 

「無事でしたのね!!!」

 

「ぐっ...リー...ト...」

 

「ここで登場とは...漢じゃねぇか...」

 

「リート...」

 

ミラはリートに抱きつきラリカ達もリートが無事だったことに喜ぶ

 

 

「ほう、あなたがここにいると言うことはバンクもやられたと言うわけですか...

 

まったく、使えない愚図だ。アイツはもう私の右腕から外しておかなければなりませんね」

 

 

「ミラ、抱きついてくれるのは嬉しいけど...いてぇ...」

 

「どぅえきてるぅですわ」

 

「この状況でもそれ言うのか!!?」

 

リートがミラとラリカを床に下ろしジョゼに向き合う

 

「こうやって会うのは初めてだな...ジョゼ」

 

「ええ、しかしあなたも妖精...クズである以上会おうが会えなかろうが皆殺しの一人に変わりはありません」

 

リートがエルザに声をかける

 

「エルザ...まだ戦えるか?」

 

「...当然だ」

 

「よしっ、グレイとエルフマンは...流石に厳しそうだな」

 

「バカ言ってんじゃねぇよ...俺も戦えるぜ」

 

「俺もだ...漢ー!!!」

 

エルザとグレイとエルフマンが立ち上がり戦意をみせる

 

「フッw上出来だ、なら手を貸してくれ俺達でアイツを倒すぞ」

 

 

「「「おう!!」」」

 

 

・・・

 

 

ルーシィはガジルに拘束されナイフ投げの的とされていた

 

「あっぶねー今のは当たっちまうかと思ったぜw」

 

「ガ...ガジル...もうやめとけよ...本当に当たっちまうぞ」

 

「あ?だって暇なんだもんよ」

 

ガジルは手の上にナイフを作り出す

 

「次はどの辺にしよっかな~」

 

「よせって...」

 

ファントムの見張りの一人がガジルを止めに近づくが

 

ドゴォ

 

「エポォ!!」

 

ガジルの頭突きによって地面に叩きつけられる

 

 

「うるせぇよ」

 

「この女がどこのお嬢だろうが俺にとっては尻尾のクズ野郎だ死んじまってもどうってことねぇ」

 

「ったく くだんねぇなこの女が金持ちって知っただけで尻尾の奴らも必死だぜ」

 

 

 

「...クス」

 

 

 

追い込まれている状態でもルーシィはガジルを相手に笑って見せた

 

「んー?なんか言ったか?女」

 

「アンタ達って本当にバカね可哀想で涙が出てくるって言ったのよ」

 

「へぇーこの状況で去勢がはれるとはたいしたタマだ」

 

「アンタたちなんか少しも怖くないし」

 

ルーシィは震えながら答えた

 

「あたしが死んだら困るのはアンタ達よ...

 

フェアリーテイルは決してアンタたちを許さない...そういうギルドだから」

 

「世界で一番恐ろしいギルドの影に毎日怯える事になるわ一生ね」

 

「そいつは面白そうだな、ちと試してみるか」

 

ガジルは持っていたナイフをルーシィに向かって投げた

「ギヒッ」

 

「ガジル!!!何を!!!!」

 

「当たるー!!!!」

 

 

・・・

 

 

その頃リート達もジョゼと戦っていた

 

「氷竜の...咆哮!!!」

 

「フン」

 

リートのブレスはジョゼに魔力をぶつけられ相殺された

 

「なに!?」

 

「くっ」

 

エルザは黒羽の鎧に換装し切りかかるがジョゼはなんなくかわす

 

ガシっ

 

「!!」

 

エルザの足を掴んだジョゼはそのままエルザを放り投げる

 

「アイスメイク・ハンマー!!!」

 

グレイがジョゼの上から巨大な氷のハンマーを落とすがそれもかわされジョゼの魔力をぶつけられる

 

「ぐああっ!!!」

 

「全身テイクオーバー!!!ビーストソウル!!!」

 

エルフマンが殴りかかるがジョゼは受け流しそのままエルフマンの腕をつかみ地面に叩きつけた

 

「ぐはぁっ」

 

「所詮クズどもはこの程度か...

 

それにしてもエルザ...そしてリート...貴様等はジュピターをまともに食らったはず...なぜ立っていられる」

 

 

「はぁはぁ...てめぇを倒すまでは倒れられねぇからな」

 

「仲間が私の心を強くする愛する者たちのためならこの体などいらぬわ」

 

(すげェこと言ったなコイツ...)

 

「強くて気丈で美しい...なんて殺しがいのある二人でしょう」

 

「それに俺達がお前を倒せば後はナツがガジルを倒してくれる...俺達はそれを信じるだけさ」

 

「甘いですねガジルがそう簡単にやられるはずが無いでしょう」

 

「甘ぇのはテメェだよジョゼ」

 

グレイがジョゼの台詞に言い返す

 

「なんだと?」

 

そして、リートが続けて言った

 

「フッwナツを...なめんなよ」

 

 

・・・

 

 

「やべぇ!!!」

 

「当たるー!!!」

 

ガジルのナイフがルーシィに当たりかけたその時

 

 

ドゴォン

 

ナツが下の階から頭突きで床に穴を開け飛び上がってきた

 

「ん~~...がああっ!!!」

 

「やはりな...匂いで気付いていたぜ」

 

「ナツ...」

 

ルーシィは泣きながらナツの登場に喜んだ

 

ナツはそのままガジルに向かっていく

 

「!!」

 

 

ドゴォ

 

 

ナツがガジルを殴り飛ばした

 

「うぎゃ」

 

「ぐああっ...」

 

ガジルは後ろにいた者達と一緒に倒れこむ

 

「大丈夫だった?ルーシィ」

 

「ハッピー!!」

 

ルーシィの拘束をハッピーが外した

 

「どけっ」

 

ガジルがファントムの見張りをどけていると

 

「!」

 

ナツがガジルの目の前まで来ておりアッパーをくらわす

 

「あんなナツ...見たことない...」

 

「おいらもだよ

 

今のナツは、強いよ」

 

ガジルはアッパーで吹き飛ばされた威力を利用して天井まで飛び足場として蹴りナツに突撃する

 

「鉄竜棍!!!」

 

ガジルは鉄の棒と変形させた腕でナツを殴ろうとするがナツはかわした

 

「オラァ!!!」

 

「火竜の鉤爪!!!」

 

ナツはガジルの頭に蹴りを入れる

 

そのまま地面に足をつけガジルの腕を掴み投げようとするが

 

「ギヒッ」

 

「!!」

 

「鉄竜剣!!!」

 

ガジルの棒だった腕が剣に変わりナツの体に傷をつける

 

「痛っ」

 

あまりに突然だったことにナツはガジルの腕を放した

 

そのままガジルはナツの顔に蹴りを入れる

 

「ナツ!!!」

 

ナツは後ろに下がりながらも体制を立て直した

 

「やっと決着がつけれるな火竜」

 

「燃えてきたぞ...鉄屑やろう」

 

(お互いが自らの体を竜の体質へと変換させる滅竜魔導士...竜迎撃用の魔法で人間同士が戦うかってこと?)

 

(どうなっちゃうのよ...)

 

ピキピキ...

 

ガジルの腕に鉄の鱗ができる

 

「竜の鱗!!?」

 

ガジルはナツに向かって突撃し、ナツに殴りかかりナツはそれを腕で防御する

 

 

ボキッ

 

 

「ぐあああっ!!!」

 

ナツの腕から鈍い音がした

 

「折れっ...」

 

「あの鱗は鋼鉄でできてるんだ」

 

「ギヒッ」

 

ガジルはそのまま横に蹴りを入れるがナツはしゃがんでかわす

 

ブオオッ

 

ガジルの蹴りで周りの瓦礫が吹き飛ぶ

 

(嘘でしょ...コレが蹴りの風圧!!?)

 

「鋼鉄の鱗が攻撃力を倍加させてるんだ」

 

「どぉらぁ!!!」

 

ナツがガジルの顔面を殴るが

 

「ぐあああっ!!」

 

ガジルにダメージはなくナツが悲鳴をあげる

 

「がぁ」

 

ガジルの頭突きがナツに決まる

 

ナツは起き上がりすぐに距離をとった

 

「火竜の」

 

「鉄竜の」

 

お互いにブレスの構えをとる

 

「アイツもブレスを撃てるのかぁ!!!」

 

 

 

「「咆哮!!!」」

 

 

お互いのブレスがぶつかり爆発が起こる

 

煙が晴れるとボロボロになったナツの姿が見えた

 

「お互いの竜の性質の違いが出ちまったなぁ火竜」

 

「たとえ炎が相手を焼き尽くすブレスだとしても鋼鉄には傷一つつけられん

 

逆に鉄の刃のブレスは貴様の体を切り刻む」

 

「あ?」

 

バキィ

 

ガジルの頭の一部が割れる

 

「うっ」

 

「俺の炎もただの炎じゃねぇしテメェなんかよりリートの方がよっぽど強かったテメェ程度なんてことねぇ」

 

「火竜の炎は全てを破壊する」

 

「本気で来ねぇと砕け散るぞ鉄竜のガジル探り合いはもう十分だ」

 

「え?」

 

「探り合いって」

 

 

 

「お互い本気じゃなかったんすかぁ!!!」

 

「コイツら化けもんだぁ!!」

 

「この空に竜は三頭も要らねぇ火竜のナツ...テメェを堕としてその次は氷竜のリートも俺が堕としてやる」

 

「お前じゃ無理だね」

 

「あ?」

 

「お前は俺が倒すからな」

 

「...上等だ...やってみろよ」

 




今回はここまでです
ってか原作のジョゼの技少なすぎる...技ないから戦わせずれェし...コイツもっと雑魚キャラか技豊富やったらやり易かったのに


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紅蓮と氷河

やっと書けた...リアルが忙しいし、読みたい作品も色々とあった為少し遅くなりましたがようやく投稿できますしかし、これでもまだファントム編が終わらんて...なっげぇよさすがにw


『フェアリーテイルギルド前』

 

 

ジョゼの作り出した兵隊がフェアリーテイルの魔導士達を圧倒しており、ギルドが壊されかけていた

 

「私達のギルドに何すんのよぉ!!!!」

 

「崩れるー!!!」

 

「やめろぉ!!!」

 

 

 

「ちくしょおーーー!!!」

 

 

 

 

・・・

 

 

ナツとガジルの戦いもいまだに続いていた

 

「だらぁ!!!」

 

「うおらぁ!!!」

 

ナツもガジルもお互いラッシュを叩き込み続けている

 

ナツの一撃がガジルの顔に決まりガジルが吹き飛ばされ

 

そのままナツはガジルの倒れたところに踵落としを入れる

 

すんでのところでかわしたガジルはナツの顔を殴る

 

「ぐあっ」

 

一瞬怯んだナツだが体制を立て直すとまたガジルの顔にパンチを入れる

 

「す...すごい...」

 

「おい...あのガジルとどつきあってるぞ」

 

「信じらんねぇ」

 

ナツもガジルもかなり息が上がっていた

 

「はぁはぁ」

 

「ゼェーハァー」

 

するとガジルはいきなり鉄の床を剥ぎ食べ始めた

 

「やっぱり...鉄を食べるんだ」

 

「ずりぃぞ!!!自分だけ!!!」

 

鉄を食べ終わったガジルは腕を鉄の槍に変え連激を入れる

 

 

「鉄竜槍・鬼薪!!!!」

 

 

「ぐおぁぁぁ!!!」

 

「何アイツ!!?さっきまでフラフラだったのに!!!」

 

「滅竜魔導士は自分と同じ属性の物を食べることによって体力を回復させたりパワーアップできるんだ」

 

「だったらナツも炎を...!!」

 

ルーシィは周りに火がないことに気がつく

 

その間にもナツはガジルにボコボコにされていく

 

「火、火、火の星霊なんていたかしら!!!」

 

ルーシィは懐を探るが鍵が見つからない

 

(鍵...無くしちゃったんだ...)

 

「手元にあるのは新しく手に入れたサジタリウスのみ、これにかけるしかない」

 

「開け!!!人馬宮の扉!!!サジタリウス!!!」

 

「はい!!もしもし!!」

 

ルーシィがサジタリウスを呼ぶと馬の着ぐるみを着て弓矢を持つ男性が現れた

 

「そうきたか!!!」

 

「馬の被り物!!!」

 

ルーシィは呼び出してすぐ本題に入る

 

「細かい説明は後!!!あんた火出せる!!?」

 

「いえ、それがしは弓の名手であるからしてもしもし」

 

結果は見事にダメだった

 

「ルーシィ!!!危ねぇから下がってろ」

 

ナツはガジルとの戦いに巻き込まないようにルーシィを下げさせる

 

「あい」(あたしってば役にたたなすぎる!!!(T-T))

 

ナツは足から爆発を起こしその反動でガジルに体当たりする

 

「どらぁ!!」

 

「で?」

 

しかしガジルにダメージはなかった

 

「腹が減ってちゃ力が出ねぇか?...

 

だったら鉄を食いな!!!」

 

ガジルはナツの足を掴みそのまま振り回し壁に擦り付ける

 

「ぐあああっ!!!!」

 

「もうテメェには用はねぇ」

 

「消えろクズが!!!」

 

ガジルはナツを放り投げた

 

ナツは穴の空いた壁に飛んで行き落ちるギリギリで止まった

 

「よっしゃ!!」

 

「さすがガジルだぜ!!!」

 

 

「そんな...」

 

「ナツが負けるとこなんて...やだ...」

 

 

「見ろよお前達が守ろうとしている物を」

 

かすれる意識のなかナツが外にあるギルドを見ると

 

 

 

 

「フェアリーテイルがあああっ!!!!」

 

 

 

 

フェアリーテイルのギルドが潰される光景が目に入った

しかしナツは崩壊するギルドを見ても諦めずに立ち上がる

 

「ハァーハァーハァー」

 

「た...立ち上がった...」

 

「嘘だろ...」

 

ナツはガジルの元までフラつきながらも近付いていく

 

 

(もういいよナツ...あたしが...こいつらに捕まれば)

 

 

ルーシィが諦めかけたときハッピーがルーシィの足に手を当てる

 

「ナツはまだ諦めてないよ」

 

 

「ギルドは崩れた...てめぇらは負けたんだよ」

 

ガジルはナツを後ろに放り投げる

 

「ぐはぁ」

 

「でも...あたし...これ以上」

 

壁に激突したナツだが倒れることはなく耐えていた

 

「いい加減沈めよ火竜!!!!」

 

ガッゴスガッ

 

ガジルはナツの腹に膝蹴りを何発も入れる

 

「俺は手加減って言葉を知らねぇからよぉ、ホントに殺しちゃうよギヒヒ」

 

 

「ジュピターの破壊、エレメント4との激闘、魔力を使い過ぎたんだ..

 

炎さえ食べればナツは負けたりしないんだー!!!!」

 

ハッピーが泣きながら叫ぶとサジタリウスの目の色が変わった

 

「成る程...少々誤解があったようでございますからしてもしもし」

 

サジタリウスが弓を構える

 

「ルーシィ嬢は『あんた火出せる?』ともうされましたのでそれがしは『いいえ』と答えました」

 

「?」

 

「しかし、今重要なのは火を出すことではなく《火》そのものというわけですな」

 

 

「とどめだ火竜!!!」

 

ガジルは腕を剣に変えてナツに迫る

 

「やめろーーー!!!」

 

ハッピーが叫ぶとともにサジタリウスの矢がナツとガジルの間を通りすぎとなりにあった機械に命中し機械を発火させた

 

「火!!!」

 

「機材を爆破させて炎を!!?」

 

「おっしゃー!!」

 

ナツは勢いよく火に食らいつく

 

そして、サジタリウスは更に矢を放ちとなりにあった機材も次々に発火させていった

 

ナツはその火も次々に食べていく

 

「なんだあの馬みてーなのは」

 

「射抜きかた一つで貫通させることも粉砕させることも機材を発火させることも可能ですからしてもしもし」

 

「すごい!!弓の天才なのねサジタリウス!!!」

 

ナツは全ての炎を食べ終える

 

「ごちそー様、ありがとなルーシィ」

 

「うん!!!」

 

「火を食ったくれーでいい気になるなよ!!!!これで対等だと言うことを忘れんな!!!」

 

ガジルがナツに攻撃を仕掛けようと突っ込む

 

ギロッ

 

「!!」

 

ナツがガジルを睨んだ瞬間ナツのアッパーがガジルに決まる

 

「ぐああっ!!」

 

「これでパワー全開だぁ!!」

 

「レビィ、ジェット、ドロイ、じっちゃん、ルーシィ、仲間達、そしてフェアリーテイル」

 

「んぎぃ」

 

「鉄竜の咆哮!!!」

 

ガジルはほぼ0距離でブレスを放つ

 

しかしナツはガジルのブレスを両手を突きだして弾き返した

 

「は...跳ね返し...」

 

 

 

 

「どれだけのものを傷つければ気が済むんだお前らは!!!!!」

 

 

 

 

「バ...バカな!!!この俺が...こんなクズなんかに...」

 

「今までの借りを全部返してやる!!!フェアリーテイルに手を出したのが間違いだったな!!!!」

 

ナツは全力の炎を拳に纏いふりかぶった

 

「俺は...最強の...」

 

 

 

 

 

「紅蓮火竜拳!!!!!」

 

 

 

 

 

ガジルが全てを言い終わる前にナツがラッシュを放った

 

ズガガガガ!!!!

 

「あぁああぁあ!!!!!」

 

ナツの技の反動でファントムギルドに外からでも分かるほどの爆発が何度も起こる

 

それに耐えきれずファントムのギルドは崩壊した

 

「これで、おあいこな」

 

 

ナツVSガジル

 

勝者ナツ

 

ギルドが崩壊しルーシィはハッピーに抱えられて飛び出す

 

「ナツ!!!」

 

「さすがにもう動けねぇや」

 

ナツは倒れて立ち上がろうとすらしなかった

 

「もう、ホントに...やり過ぎなんだから...」

 

「あい♪」

 

(でも、ちょっとかっこよかったよ)

 

 

・・・

 

 

ファントムギルドの上が崩壊し残った下の部屋では未だにリート達とジョゼが戦っていた

 

あまりのジョゼの強さにグレイ、エルフマン、ミラ、ラリカは気を失っており残っていたのはエルザとリートだけになっていた

 

「ククよく暴れまわる竜だ」

 

「はぁはぁ」

 

「ぜぇ...はぁ...」

 

「だから、ナツをなめんなっつったろ」

 

「ナツは私と同等かそれ以上の戦闘力をもっている...計算に入れてなかったお前のミスだ」

 

「フン謙遜はよしたまえ、氷竜に妖精女王」

 

「君達の魔力は素晴らしい、現にこの私と戦い、ここまで持ちこたえたのは君達が初めてだ」

 

「妖精女王はジュピターのダメージが、氷竜はジュピターと更にバンクとの戦いでのダメージがなければもう少しいい勝負をしていた可能性もある」

 

ジョゼはリートとエルザにそれぞれ腕を向ける

 

「そんな強大な魔導士がねぇ」

 

「マカロフのギルドに他にもいたとあっては気に食わんのですよ!!!」

 

ジョゼはリートとエルザにそれぞれ魔力を放ちぶつける

 

 

「「ぐああっ」」

 

 

二人は壁にぶつけられた

 

「なぜ私がマカロフを殺さなかったかおわかりです?」

 

ジョゼは話しを続けながらも攻撃しリートとエルザはかわし続ける

 

「絶望 絶望を与えるためです」

 

「目が覚めたとき愛するギルドと愛する仲間が全滅していたらどうでしょう...くっくっく、悲しむでしょうねぇ」

 

「あの男には絶望と悲しみを与えてから殺す!!!!ただでは殺さん!!!

 

苦しんで苦しんで苦しませてから殺すのだぁ!!!!」

 

「下劣な」

 

「クソヤロウが」

 

「ファントムロードはずっと一番だった...この国で一番の魔力と一番の人材と一番の金があった.....

 

だがここ数年でフェアリーテイルは急激に力をつけてきた」

 

「エルザやラクサス、ミストガンやギルダーツの名は我が町にまで届き双竜の噂は国中に広がった」

 

「いつしかファントムロードとフェアリーテイルは国を代表する2つのギルドになった、

 

気に入らんのだよ元々クソみてーによわっちいギルドだったクセにぃ」

 

「この戦争はそんな下らん妬みが引き起こしたと言うのか?」

 

「テメェの妬みで一体どれだけの奴が犠牲になったと思ってやがる」

 

リートとエルザは反撃にでるがジョゼには全く当たらない

 

「妬み?違うな我々はものの優劣をハッキリさせたいのだよ」

 

「そんな...」

 

「そんな下らねぇ理由で!!!」

 

エルザとリートはジョゼの魔法により拘束された

 

「うっ」

 

「くそっ」

 

「前々から気に入らんギルドだったが戦争の引き金は些細なことだった」

 

「ハートフィリア財閥のお嬢様を連れ戻してくれという依頼さ」

 

「ぐっ...」(ルーシィ!?)

 

「この国有数の資産家の娘がフェアリーテイルに居るだと!!?

 

貴様等はどこまで大きくなれば気が済むんだ!!!」

 

ジョゼはリートとエルザの拘束を強める

 

「ハートフィリアの金をキサマらが自由に使えたとしたら、間違いなく我々より強大な力を手に入れる!!!

 

それだけは許しておけんのだぁ!!!!」

 

リートとエルザは拘束を強められても笑って答えた

 

「どっちが上か下かで騒いでること事態バカらしいが...」

 

「貴様等の情報収集力のなさ...にも...呆れるな」

 

「なんだと?」

 

「ルーシィは家出して来てんだよ...家の金なんか使えるわけねぇだろ」

 

「家賃7万の家に住み...私たちと同じ...ように仕事をして...」

 

「共に戦い、共に笑い、共に泣く」

 

「同じギルドの魔導士なんだよ」

 

「戦争の引き金だぁ?ハートフィリア家の娘だぁ?そんなの関係ねぇ、子供は親を選べねぇんだ」

 

 

 

「テメェにルーシィの何が分かる!!!!テメェの理論でルーシィを語るんじゃねぇよ!!!!」

 

 

 

「これから知っていくさ、ただで父親に引き渡すわけなかろう

 

金がなくなるまで飼い続けてやる、ハートフィリアの全財産は私の手に渡るのだ」

 

「おのれぇ!!!!」

 

「ふざけんなぁ!!!!」

 

リートとエルザは拘束を力ずくで破ろうとする

 

「力まん方がいい、余計に苦しむぞ」

 

ジョゼは拘束を限界まで締め上げた

 

「ぐああっ!!!」

 

エルザは意識を失うがリートはまだ拘束に抵抗していた

 

「ぐっくっ...こんなもん...あいつの痛みに比べりゃ軽いもんだ...」

 

「な!!?なんだと!!?」

 

「テメェがどれだけ強かろうと俺は絶対に諦めねぇ!!!」

 

 

 

 

 

「このやろうがぁぁ!!!」

 

 

 

 

リートは力ずくで拘束を振りほどきジョゼは動揺してエルザの拘束までも解いてしまった

 

「...リー...ト...」

 

「エルザ...休んでろ...後は俺がやる」

 

リートはジョゼを睨み付ける

 

「なめるなぁ!!!」

 

ジョゼは魔力の塊をリートに放つがリートはそれをかわしジョゼのふところに入った

 

「もう、テメェの声は聞きたくねぇんだ」

 

「そんな!!?バカな!!?」

 

「いい加減寝てろ!!!」

 

リートが拳を構えるが氷を纏っていない

 

「ハハハやはり貴様もう魔力が残っていないじゃないか」

 

「よくみろタコ」

 

「!!?」

 

ジョゼは余裕で耐えきれると判断したのか笑みをこぼすがエルザはいつもと違う拳に気がついていた

 

「違う...あれは...冷気の渦!!?リートの右腕から冷気の渦が見える!!!」

 

リートは氷ではなく冷気そのものを腕の周りに纏わせ拳を構えていた

 

 

「俺の残りの全魔力だ!!!しっかり受けとれ!!!!」

 

「しまっ...」

 

 

 

 

 

 

「氷河螺旋拳!!!!!」

 

 

 

 

 

 

「ぐあああっ!!!!」

 

ジョゼは体を回転させながら壁に吹き飛ばされ壁にぶつかったとたん壁と一緒に氷付けにされる

 

 

「もう、立つ力も残ってねぇ...」

 

リートはうつ伏せに倒れた

 

「リート!!!ぐっ...」

 

エルザも立ち上がろうとするができなかった

 

(終わってくれよ...こっちは全身全霊でやったんだからよ)

 

しかし

 

バリン!!

 

ジョゼを張り付けていた氷が割れ中からジョゼが出てきた

 

「今のは危なかったぞ...さすが氷竜と言ったところか」

 

「そんな...」

 

「くそっ...」

 

エルザとリートの顔は絶望に変わる

 

「たっぷりと礼をさせてもらうぞ!!!!氷竜!!!!」

 

ジョゼは強大な魔力の塊をリートに向けて放つ

 

「リートー!!!!」

 

 

 

(動け!!!動いてくれ!!!頼む!!!)

 

 

 

リートは残りの力で動こうとするが指一本動かなかった

 

 

 

 

「ちくしょおおおお!!!!!」

 

 

 

リートにジョゼの攻撃が当たる瞬間放出されていたジョゼの魔力が掻き消された

 

「!!」

 

「魔法が!!!誰だ!!!」

 

「いくつもの血が流れた...

 

子供の血じゃ、できの悪い親のせいで子は痛み涙を流した互いにな...もう十分じゃ」

 

 

 

 

「終わらせねばならん!!!」

 

 

 

 

 

奥から現れたのはマカロフだった

 

「マスター...」

 

「カッコいいじゃんか、マスター...」

 




今回はここまでです
こないだアクセス数の多い話数を調べてみたら何と28話の『とっておきからの決着』がトップ3に成り上がってました!!やっぱりバトルの決着を見るのがみんな好きなんだねぇwあんたもスキねぇシャッチョサン!!!って心のなかで思って文字にしてみたり


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妖精の法律(フェアリーロウ)

ファントム編そろそろ終われるかな?アンケートも沢山答えていただけて誠にありがたい限りです
活動報告にも返信が来たのでお礼を言いたい限りですが...返信の仕方が分からねぇ!!しょうがないここで言おう...細かい話しはここでは書けないので...ありがとうございます!!!!


マカロフの登場によりその場の空気が一気に変わる

 

そしてグレイ達も目を覚ました

 

「なんだ...?この暖かいような...懐かしいような魔力は」

 

「全員この場を離れよ」

 

マカロフはその一言だけをいい放った

 

「マスター!!?」

 

「何でここに!!?」

 

「言われた通りにするんだ」

 

エルザは全員を誘導する

 

「行こう...立てるか?」

 

「でもよぉ!!」

 

「ミラとラリカはリートを頼む」

 

「え...ええ」「分かりましたわ...」

 

ミラとラリカはリートのもとへ近付いた

 

「リート?生きてますの?」

 

「勝手に殺すんじゃねぇよ...ちゃんと生きてらぁ」

 

「リート、一人で立てそう?」

 

「すまねぇけど指先一つ今は動かせねぇんだ...手を貸してくれ」

 

ミラはリートの腕を首にまわし体を支えながら立ち上がりラリカもそれを手伝いその場を離れた

 

「あなたが出てきた以上ザコにもう用はありません。しかし後で必ず殺してあげますよ」

 

ジョゼはマカロフを前に余裕の表情でいた

 

「私たちがいたのではマスターの邪魔になる全てをマスターに任せよう」

 

ジョゼとマカロフを残して全員が外に向かって走り出した

 

「こうして直接会うのは6年振りですねその間にフェアリーテイルがここまで大きくなっていようとは」

 

「もう潰れちゃいましたがねw」

 

「ギルドは形などではない人と人との和じゃ」

 

マカロフは人差し指を後ろに魔方陣を書き始める

 

「しかし嬉しいですねぇ聖十大魔導同士がこうして優劣をつけあえるなんて」

 

マカロフは魔方陣を書き終える

 

「すべてのガキ共に感謝する、よくやった」

 

 

 

 

 

「フェアリーテイルであるとこを誇れ!!!!!」

 

 

 

 

 

外ではマカロフが魔方陣を描き終えたと共に地震が起こった

 

そしてジョゼの肩をマカロフの指先から出た光が撃ち抜く

 

しかし、ジョゼもなにもせずやられる訳もなくマカロフの肩を切り裂いた

 

ジョゼは体制を立て直し魔法を放つ

 

 

「デッドウェイブ!!!」

 

 

マカロフは両手の指先を合わせ魔法を掻き消した

 

「はああああっ!!!」

 

 

‥‥

 

 

外ではジョゼとマカロフの勝負の影響で地震が大きくなる

 

「うおおっ!!?」「ナツ!!」

 

「大丈夫!!?」「なんだろ?今の」

 

「こんな魔力はじっちゃんしかいねぇ」

 

 

‥‥

 

 

「大したもんじゃその若さでその魔力、聖十の称号を持つだけのことはある」

 

「その魔力を正しい事に使いさらに若い世代の儀表となっておれば魔法界の発展へと繋がっていたであろう」

 

「説教...ですかな?」

 

「フェアリーテイルの審判のしきたりにより貴様に3つ数えるまでの猶予を与える」

 

マカロフが徐々に体を大きくする

 

 

 

 

「ひざまずけ」

 

 

 

 

「は?」

 

 

「一つ」

 

 

マカロフがカウントダウンを始めた

 

「ははっ何を言い出すかと思えばひざまずけだぁ?」

 

 

「二つ」

 

 

「王国一のギルドが貴様に屈しろだと!!?冗談じゃないっ!!!私は貴様と互角に戦える!!!

 

いや、非情になれる分私の方が強い!!!」

 

 

「三つ」

 

 

「ひざまずくのは貴様等の方だ!!!!

 

消えろ!!!!塵となって歴史上から消滅しろ!!!!フェアリィィテイルゥゥゥ!!!!」

 

 

「そこまで」

 

 

マカロフは両手の平を合わせた

 

 

 

 

「妖精の法律(フェアリーロウ)発動」

 

 

 

 

フェアリーロウの発動により光が出る

 

「なんだ?この光は」

 

光が出た事によりシェイドが次々と消えていく

 

「シェイドが!!?」「次々と消えていく!!?」

 

「俺達はなんともない...」

 

「フェアリーロウだ」

 

「フェアリーロウ?」

 

「聞いたことある...たしか、聖なる光をもって闇を討つ...術者が敵と認識したものだけを攻撃する伝説の一つに数えられるほどの超魔法...」

 

光が収まるとシェイドは全滅しジョゼも白い灰と化していた

 

「二度とフェアリーテイルに近づくな」

 

「ここまで派手にやらかしちゃあ評議院も黙っておらんじゃろ

 

これからはひとまずテメェの身を心配することだ...お互いにな」

 

マカロフがうしろを振り返り出ていこうとする

 

しかしその背後からアリアが現れた

 

(あの時と同じ!!!スキだらけ!!!もらった!!!!)

 

しかし

 

「あぐぁ」

 

マカロフはアリアを殴る

 

「もう終わったんじゃギルド同士のケジメはつけた

 

これ以上を望むならそれは掃滅、跡形もなく消すぞ」

 

アリアは倒れて動かなくなった

 

「ジョゼを連れて帰れ...今すぐにな」

 

 

・・・

 

 

外ではマカロフの勝利が伝わった

 

「勝ったーー!!!」「ファントムに勝ったぞぉ!!!」

 

ハッピーとルーシィもみんなと合流した

 

「ん?ナツはどうした?」

 

「あい、用事があるからって」

 

「用事?」「なんじゃいそりゃあ」

 

「大したことじゃないのです」

 

「大したことじゃないのなら引きずってこればよかったですのに」

 

「...なんでだよ」

 

 

・・・

 

 

ナツとガジルは二人だけになっていた

 

「よぉ、聞こえるかガジル」

 

ナツはガジルに話しかける

 

「...」

 

「ま...まぁいいや、声だすのもしんどいから手短に聞くぞ...」

 

「おまえ...滅竜魔法どこで覚えた?」

 

「...」

 

「オイ!!同じ魔法使えるやつにリート以外でやっと会えたんだ!!そんくれー教えてくれても!!!」

 

「...うるせぇ」

 

「んだとぉ!!」

 

 

 

「メタリカーナ...」

 

 

 

「!」

 

「鋼鉄のドラゴン...メタリカーナだ」

 

「やっぱりドラゴンに教えてもらったのか!!!」

 

「!!?おまえもか」

 

「そいつ今どうしてる?」

 

ナツは這いずりながらガジルに近づく

 

「さぁな」

 

 

「そ・い・つ・い・ま!!!ど・う・し・て・る!!!?」

 

 

ナツはガジルに頭突きをしながら同じ質問を繰り返す

 

「知らねぇって言ってんだろーが!!!!クズが!!!!」

 

「あたた...」「いてぇ...」

 

「テメェなんかと話してると脳ミソが灰になっちまいそうだ」

 

「なんだとぉ!!!」

 

「消えたんだよ」

 

「メタリカーナはある日突然俺の前から消えた、何も言い残さずな」

 

「!!!」

 

「おい、それは7年前の7月7日じゃねぇだろうな」

 

「!!!」

 

「お前メタリカーナの居場所知ってんのか?」

 

「バカ言え、俺が探してるのはイグニール!!!炎のドラゴンだ、んでもってリートは氷のドラゴン フランドーラを探してる」

 

「あいつもか」

 

「7年前の777年...7月7日...3頭のドラゴンが消えた?」

 

「何で7ばっかり並んでんだよ」

 

「知るか...まぁ俺にはどうでもいいことだ」

 

ガジルは立ち上がり歩こうとするがその場で立ち止まる

 

「行くなら早く行けよ」

 

「ここは俺達のギルドだ!!!!テメェが出てけ!!!!」

 

ナツも立ち上がりその場を去ろうとする

 

「イグニールかフランドーラの事何か分かったら教えてくれよ」

 

「何で俺が!!!テメェなめてんのか!!!!」

 

「同じ滅竜魔導士じゃねぇか」

 

「次に会ったらぶっ殺す!!!首を洗って待ってな!!!!」

 

「ぶっそうな奴だなぁこれでおあいこだから仲直りしてやろーと思ったのに」

 

「ぶっそうはどっちだ テメェ!!!!ギルドをこんなにしやがって!!!!」

 

「お前らだって俺達のギルドをめちゃめちゃにしたじゃねーか!!!あ!!!やっぱ仲直りやめた!!!」

 

 

・・・

 

 

フェアリーテイルのほぼ全員が崩壊したギルドの前に集まっていた

 

「こりゃあまた...派手にやられたのう」

 

ルーシィはマカロフに近付いて話しかける

 

「あの...マスター...」

 

「んー?お前もずいぶん大変な目にあったのう」

 

ルーシィは気まずそうにうつむく

 

「そんな顔しないのルーちゃん」

 

ルーシィの元に今回の被害にあったレビィ、ジェット、ドロイ、リーダスがやってくる

 

「みんなで力を合わせた大勝利なんだよ」

 

「ギルドは壊れちゃったけどな」

 

「そんなのまた建てればいいんだよ」

 

「うぃ」

 

「レビィちゃん...ジェット...ドロイ...リーダス」

 

「心配かけてごめんねルーちゃん」

 

「違う...それはあたしの...」

 

ルーシィは目に涙を浮かべる

 

「話は聞いたけど誰もルーちゃんのせいだなんて思ってないんだよ」

 

「俺...役にたたなくて...あの..あの..ごめん」

 

ルーシィは涙目になりながら首を横にふる

 

「ルーシィ...楽しいことも悲しいことも、全てとはいかないがある程度は共有できる。それがギルドじゃ」

 

 

「一人の幸せはみんなの幸せ。一人の怒りはみんなの怒り。そして一人の悲しみはみんなの悲しみ。自責の念にかられる必要は無い。君にはみんなの心が届いてるはずじゃ。顔を上げなさい」

 

 

そう言ってルーシィに微笑む。

 

 

「君は妖精の尻尾の一員なんだから」

 

 

その言葉にルーシィは大声で泣いた。

 

みんなもそれを見て、漸く安心できた表情をした。

 

(それにしても、ちと派手にやり過ぎたかのう...こりゃあ評議院も相当お怒りに...いや、下手したら禁固刑...!!?)

 

マカロフもいきなり大声で泣き始めた

 

「どうしてマスターも泣いていますの?」

 

「おおかた今後評議院に課せられる後始末のことでも頭をよぎったんだろ...」

 

 

 

「...慰めの言葉も出ませんわ」

 

 

 




今回はここまで、そしてファントム編も終わりとさせていただきます
アンケートの結果リートとミラのデート回を次回投稿することになりました
沢山の投票有難うございました
意外と本編はよって方もいて主も驚きですw本編を楽しみにしててくれるのは有難い限りですねぇしかし投票に従わないとアンケートの意味が無くなってしまうため本編希望の方もその他を選んでくれた方も申し訳ない
今後も色々と試行錯誤しながら書いていきますので応援よろしくお願いします


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オリジナル物語2
デート(オリジナル戦闘あり)


今回はアンケート結果に出たリートとミラのデート回を投稿します
フェアリーテイルでデートって言ったらなんだろうって考えてたらちょっと、書き始めるのが遅くなりましたw許してくださいな

(今回の話はファントム戦後のギルドが完璧に直っているという設定で書きますので了承の程お願いします)


『フェアリーテイルギルド』

 

「お祭り?」

 

リートはマカロフから話を聞いていた

 

「おぉーそうじゃ、実はちょっと特殊な依頼でな、その祭りをやる街の市長が儂らのギルドの双竜の大ファンらしくてのぉ

ナツかリートのどちらかを必ず連れてきて是非祭りの警備をしてほしいとの強い要望があってな」

 

「で、俺って訳か...まぁナツがこんなイベントに参加なんてしたら」

 

「器物損害...建物破壊の祭りはメチャクチャ...」

 

「あげくの果てには軍隊も出動してマスターの責任...」

 

 

「それだけはなんとしても阻止するんじゃぁぁぁ!!!!」

 

 

マカロフは我を忘れて取り乱す

 

「落ち着けよマスター!!だから俺に頼んだんだろ?」

 

「そうじゃ、とにかく頼んだぞリート!!市長が言うにはリートと他にも誰か連れていく事の許可は降りとるから誰か誘って何もないなら無いで祭りを楽しんできたらよい」

 

「分かった、じゃあそうさせてもらうよ」

 

「...ところで...その祭りって何の祭りなんだ?」

 

リートは祭りについてマカロフに問う

 

「んー?確かー...研究員が作った娯楽用のラクリマの試験をするとか何とか言っとったのぉ」

 

「...大丈夫かよそれ、爆発とか起こらねぇよな」

 

「ま、なるようになるじゃろ、その為の警備じゃからな」

 

「...一気に不安になってきた」

 

 

・・・

 

 

『リートの家』

 

「ってなわけで誰か誘おうと思うんだけど...お前はどうだ?ラリカ」

 

リートは家でラリカを祭りに誘っていた

 

「私は構いませんわ...って...ちょっと待って下さいまし、そのお祭りっていつですの?」

 

「ん?3日後だけど?」

 

ラリカは顎に手を当てて考える

 

「申し訳ありませんけど私はパスさせてもらいますわ」

 

「え?でもさっきは構わないって...」

 

「レディには色々とありますのよ♪それより私よりもっと相応しい相手がリートにはいるじゃありませんの」

 

「へ?誰だよ」

 

「ミラですわよせっかくお付き合いをしているのにリートったらミラに振り回されてばかりなんですからこれを期に少しはこのデートで成長してみなさいな」

 

リートの顔が一気に赤くなる

 

「デ...デートって...お前...」

 

「ほら、そうと決まれば早速誘ってきなさいな!!この時間ならミラはまだギルドにいるはずですわよ♪」

 

ラリカはリートの背中を推してギルドに向かう

 

(...面白いことになりそうですわね)

 

 

・・・

 

 

『フェアリーテイルギルド』

 

「お祭り?」

 

ミラはギルドのテーブルに乗ってる食器を片付けながらラリカの話を聞いていた

 

「ええ、リートったらせっかくこんないいイベントがありますのにミラじゃなくて私を誘おうとしてましたのよ。確かに私も行きたいですけれど、あいにく予定がありまして...ってことでお二人で行ってみてはどうですの?」

 

「すまん、ミラ...でも、やっぱ俺から誘うとか妙に恥ずかしくて」

 

「フフwいいわよ別に、じゃあマスターにはその日は予定があるって言っておかなくちゃね♪」

 

ミラは嬉しそうにマカロフの元へかけていった

 

「さぁここまでお膳立てをしたのですから男を見せなさいなリート!!」

 

「ぐっ...はぁ...わかったよ」

 

 

・・・

 

 

3日後の夜

 

リートとミラは二人きりで護衛も兼ねてだが屋台を周り祭りを楽しんでいた

 

ミラは祭りに合うように赤い浴衣を来て歩いていた

 

「これ美味しい!!」

 

「ハハッそりゃよかった」

 

ミラとリートは食べ歩きをしていた

 

そしてそれより少し後ろから4つ...いや、正確には6つの影が二人を見ていた

 

「なーんでこんなにコソコソと二人を見てんだよ?」

 

「わかっていませんわねナツ、二人の空間に私達が入っても邪魔になるだけですわよ」

 

「そうよナツ、こういうときは影からそっと見守るものなのよ...そして小説のネタになる展開をじっと待つのよ」

 

「小説についてはルーシィだけだよ」

 

「しっかしこう人が多いなら少しは堂々としてても気付かれねぇんじゃねぇか?」

 

「貴様はまず服を着てから言わんかグレイ」

 

リート達の後ろから

ナツ、ルーシィ、ラリカ、グレイ、ハッピー、エルザが隠れて付いてきていた

 

「ったくリートもひでぇよなぁ...祭りなら俺達も誘ってくれればよかったのによ」

 

「そう言うな、リートも誘わなかった訳があるのだろう、あまり詮索してやるものではないぞ」

 

「そうだよナツ、でも...せっかく来たんだからおいら達も楽しんでいいよね?」

 

「よしっハッピー!!あそこの屋台見に行ってみようぜ!!」

 

「あい!!」

 

ナツとハッピーは屋台巡りを始めた

 

「ってかあの二人当初の目的忘れてるし...」

 

「ったくあのバカは...しょうがねぇ俺たちだけでリートとミラちゃんの後をつけようぜ」

 

「そうね...ってエルザは?」

 

ルーシィとグレイがエルザを探すと

 

「それとそれ、あとこれもくれ」

 

エルザも屋台で注文してちゃっかり祭りを楽しんでいた

 

「あんたも楽しんでんじゃないのよ!!!」

 

‥‥‥

 

そしてリートとミラも娯楽用とされるラクリマの装置を発表前に少しだけ見に来ていた

 

「これが今回使われるラクリマか」

 

「意外と大きいわね」

 

「これはこれはフェアリーテイルのお二方、今回はこんな遠い町まで足を運んで頂きありがとうございます」

 

リートとミラの元へ市長がやって来て話しかける

 

「どうですか?お祭りは楽しんでいただけておりますかな?」

 

「えぇ、それはもう、彼女も楽しんでますよ」

 

「ありがとうございます♪」

 

「いえいえ、楽しんで頂けたなら何よりです、それよりも...お二方はフェアリーテイルのリートさんとミラジェーンさんで間違いありませんよね?」

 

「え?えぇまぁ」

 

「やはり!!氷竜さんと雑誌で人気のミラジェーンさんにお会いできるなんて光栄です!!

私、フェアリーテイルの双竜の大ファンでしてねぇ、妻もミラジェーンさんのファンなんですよ!!よかったら握手だけでもお願いできませんか?」

 

「ええ...それくらいなら...いいよな?ミラ」

 

「えぇ、いいわよ♪」

 

リートとミラは市長と握手をかわした

 

「いやぁ嬉しいなぁwやっぱり本物は違うなぁ」

 

「ハハハ...」

 

リートは苦笑いをしながら市長を見ていた

 

「ラクリマの試験までまだ少しだけ時間がありますからまだまだ祭りを楽しんでいってください」

 

「そうさせてもらいますよ、行くかミラ」

 

「ええ、市長さんお邪魔しました」

 

リートとミラは祭りの屋台があった方へ戻っていく

 

 

「...お前たち...準備の方は順調だろうな」

 

「はい、時間内には完璧に整えられるかと」

 

「よし、このラクリマで私の夢が叶うんだ気を抜くんじゃないぞ」

 

「はい」

 

市長達はリートが去ったあと怪しげな会話をしていた

 

 

・・・

 

その頃ナツ達はリートを見失っていた

 

「くそっリート達を完全に見失ったな」

 

「全く、見失うとは何事だ!!」

 

「あんた達が屋台に目移りしている間に見失ったんでしょーが!!!」

 

 

・・・

 

 

「リート、この後どうする?」

 

「ん?まぁ警備も兼ねてるからなぁ祭りの外には行けねぇし...食べ物も食べたから次は射的とかやっていくか?」

 

「いいわね♪面白そう」

 

リートとミラは射的をしに行く

 

「いらっしゃい!!なんだい兄ちゃんかわいい彼女を連れてデートかい?」

 

「ハハハ、えぇまぁそんなところです」

 

「フフw」

 

リートは屋台の親父にからかわれ照れ臭そうに答える

 

「かぁーっこんな美人と付き合ってるなんてやるねぇ!!じゃあ是非とも彼女のプレゼントをゲットしていきな!!」

 

「だって、リートw」

 

「最初からそのつもりだよ...ミラ、どれが欲しい?」

 

「うーん...じゃあ、あれ!」

 

ミラが指を指した場所には少し高そうなネックレスが置いてあった

 

「おっ!!お嬢ちゃん見る目あるねぇ あれはうちの目玉だよ、んじゃ彼氏君は要望通りにあれを取らねぇとな」

 

「目玉って...絶対難しいやつだろそれ...」

 

リートは銃を構えてネックレスを狙い弾を撃つ

 

ポンッ

 

弾はネックレスに当たったがびくともしない

 

「...マジか」

 

「あらあら大変そうね あれは」

 

「ガハハハ!!そう簡単にはとれねぇよ!!ホラまだ弾も残ってんだから諦めんなよ」

 

リートはもう一度狙いを定める

 

(ちょっとずるいけど許してくれよ、おっちゃん)

 

リートは銃に魔力を込め弾を撃つと同時に銃口に貯めた冷気を軽く破裂させ弾の威力を上げた

 

ボンッ

 

弾はネックレスにぶつかりネックレスと一緒に台の下に落ちる

 

「う...うそぉ」

 

「うっし」

 

「ねぇ、リート...」

 

「ミラ、悪いがその話は後で...ついでにごめん」

 

リート達は景品を貰いその場を離れた

 

「もう、魔力を使うなんて屋台の人がかわいそうでしょ」

 

「悪かったって...でもああでもしねぇと取れそうになかったんだよ」

 

「今回だけよ」

 

「わかってるよ」

 

ミラはリートが射的場で行ったことを許し祭りの続きを楽しむことにした

 

・・・

 

楽しい時間とはあっと言う間に過ぎるものでラクリマの試験まであと少しという時間まで迫ってきていた

 

「そろそろラクリマの試験を見に行くか」

 

「そうねどんな事が起こるのかしら」

 

「そりゃあ行ってみりゃ分かるだろ」

 

 

・・・

 

 

リート達が会場に来ると同時にスピーカーから放送がかかる

 

〈皆様大変お待たせいたしました、これより娯楽用ラクリマの起動試験を始めたいと思います〉

 

 

おおぉぉぉぉ!!!!

 

 

「いよいよだな」

 

「楽しみね」

 

まず始めに3人程の人が出て来てラクリマを起動する

 

するとリート達の周りに立体映像の魚が現れる

 

「すごぉい」

 

「へぇーおもしれぇな」

 

その後も次々とラクリマの試験は成功し

とうとう最後の一つになる

 

〈さぁいよいよ最後の一つとなりました皆様最後までお楽しみください〉

 

「とうとう最後だな」

 

「沢山見せてもらったけど面白かったわね」

 

「あぁ」

 

リート達が最後の一つのラクリマを待っていると

 

ガシッ

 

「なんだ!?」

 

「リート!!?」

 

正面から出てきた魔導士が作った魔力の腕にリートは捕まえられた

 

「ンフフフフw噂の氷竜さんがここまでバカだとは意外でしたよ」

 

「テメェは...」

 

「市長!!」

 

腕に捕まったリート達の前に市長が現れた

 

「一体どういうつもり?」

 

ミラは市長を睨み付けながら話しかける

 

「簡単なことです

 

このラクリマは実はまだ未完成でしてね最後の仕上げをこの氷竜さんに手伝っていただこうという算段ですよ」

 

「未完成?仕上げ?それをこんな状況で俺が手伝うと思うか?」

 

「あなたの意思など必要ありません、必要なのはあなたの魔力のみですから」

 

「魔力?」

 

「このラクリマは娯楽用ではなく魔力吸収装置となっていましてねそれを更に改良し吸収した魔力を別の肉体に与え同じ魔法を使えるようにできる優れものなんですよ」

 

「そんな物で何をするつもりだ」

 

「フッw評議院を全滅させ私が魔法界を仕切るそれが私の夢でしてねこれを期に夢を叶えようかと」

 

リートは力を込めて腕からの脱出を謀るが

 

「無駄ですよこの街でもかなりの実力者30人分の魔力を込めた魔法です、そう簡単には抜け出せませんよ」

 

そう言うと市長はラクリマを起動させリートの魔力を吸いとり自分の体に流し込んでいく

 

「ぐああっ!!!」

 

「リート!!」

 

「フハハハ!!素晴らしい!!これがフェアリーテイルの氷竜の力!!この調子で次は火竜の魔力も吸いとる計画を練りましょうか」

 

「リートを放して!!」

 

ミラが市長に攻撃しようと迫るが

 

バッ

 

市長の手の平から氷の塊が放たれミラに直撃する

 

「ミラ!!」

 

「安心しなさい殺してはいませんよあなたの次はミラジェーンからも魔力を吸いとる予定ですからね」

 

「ぐっ...くそっ...がぁぁぁ!!!」

 

「だから無駄だと言ってるでしょう」

 

 

 

ズバン!!!

 

 

いきなりリートを捕まえていた魔力の腕が切り落とされる

 

「なんだ!?」

 

「無事か!!?リート!!」

 

解放されたリートが頭をあげると目の前には天輪の鎧に換装したエルザが立っていた

 

「エルザ!!」

 

「っち、まさか妖精女王がいるとは...お前達!!妖精女王を片付けろ!!」

 

市長の掛け声で大量の魔導士が姿を現す

 

「くそっ数だけは無駄に揃えやがって」

 

 

 

「俺達もいるぞ!!」

 

 

どこからか声がしたと思った次の瞬間魔導士達の後ろから爆発が起こる

 

「火竜の鉄拳!!!」

 

「アイスメイク・ランス!!!」

 

 

ナツとグレイも戦いに参戦した

 

「お前ら!!」

 

その間に吹き飛ばされたミラにルーシィとハッピー、ラリカが近寄る

 

「ミラさん!!大丈夫ですか?」

 

「えぇ、ありがとう」

 

 

「貴様らぁ次から次へとぞろぞろと...」

 

市長の怒りが少しずつたまっていく

 

「すまねぇお前ら...けど、市長は俺がやる...雑魚どもを任せていいか」

 

「...分かった」

 

エルザはナツ達と他の魔導士を片付けに向かった

 

「よぉ市長さんよさっきはずいぶんとなめたマネしてくれたな、たっぷりと仕返ししてやるから覚悟しろよ」

 

「フンw今さらあなたが出てなんになると言うのですかもうあなたの魔力を半分近く吸いとらせてもらったのですよ」

 

「関係ねぇ...魔力が半分残ってりゃテメェを倒すには十分だ」

 

リートは腕に氷を纏い臨戦態勢になる

 

「ルーシィ!!!ハッピー!!!ラリカ!!!ミラを連れてここから離れてろ!!!」

 

「分かった!!」

 

ルーシィ達がその場を去っていく

 

「さぁやろうか」

 

「今さらあなたごときに遅れはとりませんよ」

 

 

・・・

 

エルザはナツ達と合流した

 

「ナツ!!グレイ!!」

 

「エルザ!!!」

 

「いいのかよ、あっちに手を貸さなくて」

 

「あぁ、リートが一人で決着をつけるそうだ。とにかく私たちもこいつらをさっさと片付けるぞ!!」

 

「「おう!!」」

 

 

・・・

 

リートも戦いを始めた

 

「氷竜の硬拳!!!」

 

「くらいませんよ!!」

 

リートと同じ方法で氷を纏った市長はリートのパンチに合わせて拳を繰り出し拳のぶつかり合いとなる

 

「さっき手に入れた魔法の割にはずいぶんと使いこなしてくれるじゃねぇか」

 

「技の方法は自然と頭に入ってくるのですよ、だからこんな攻撃も可能です」

 

市長は両手の平を合わせて巨大な刀を作る

 

「まさか!!?」

 

 

 

「氷刀飛燕斬」

 

 

 

市長は斬激をリートに向けて飛ばした

 

「ぐっ」

 

リートは紙一重で斬激をかわした

 

「まさか氷刀飛燕斬まで使ってくるとはな」

 

「フハハハ!!!素晴らしい!!素晴らしい力ですよ!!!」

 

「どうしたもんかな」

 

 

・・・

 

 

ルーシィ達はミラの手当てをしていた

 

「よしっこれで大丈夫だと思う」

 

「ありがとうルーシィ、でもどうして皆がここにいるの?」

 

「そ...それは」

 

「そんな事はいいじゃありませんの、とにかく今はリート達が勝つのを信じて待つべきですわよ」

 

「あ、話をそらした」

 

「あい」

 

 

・・・

 

 

リートの戦闘は少しずつだがリートが推しはじめてきた

 

「ぐっ...くそ...なぜだ...なぜこの私がおされている」

 

「テメェは俺の魔法をまだ完璧に操れてねぇんだよ、一日やそこらで使いこなされてたまるかってんだ」

 

「ならもっとだ!!もっと貴様から魔力を吸いとってやる!!」

 

市長がラクリマを起動させたがリートはラクリマからの攻撃をかわした

 

「どうやら動く標的からは魔力を吸いとるのは困難になるようだな」

 

「くそっ」

 

リートはラクリマからの攻撃をかわしながら市長の懐に入った

 

「!!!」

 

「諦めろ」

 

「氷河螺旋拳!!!」

 

市長の腹を殴ったリートはラクリマ目掛けて市長を吹き飛ばす

 

「ああぁぁぁ!!!!」

 

市長の体はラクリマを貫通し空高く吹き飛んでいった

 

「リート!!!」

 

「どうやらそっちも終わったようだな」

 

「あぁ、にしてもお前ら何でこんなところに?」

 

「た、たまたまだ」

 

「お...おう!!そうだぜ、たまたまだ」

 

「まぁいいか...お陰で助かったし」

 

 

・・・

 

 

戦いが終わってリートとミラは少しの間だけ二人きりになっていた

 

「ミラ、悪かったな...こんなことになっちまって...」

 

「いいのよ、今回の事はリートは全く悪くないもの」

 

「ねぇそれよりも、射的でとったネックレス着けてくれない?」

 

「え?あ、あぁいいよ」

 

リートはミラにネックレスを着けようと首に手をまわした次の瞬間

 

リートの唇に柔らかい感触が

 

「フフw今回はこれで許してあげる♪次はまた別の所にも連れて行ってね」

 

ミラは走ってナツ達の元へかけていった

 

「...」

 

そこへ街の被害を確認してきたエルザが戻ってくる

 

「街の一般市民の被害がなくてよかった...建物はいくつか崩壊してたが...どうした?リート...顔が赤いぞ」

 

「いや、多分俺は一生ミラには勝てねぇんだろうなぁって...」

 

「?何の話だ?」

 

一方マカロフのもとには今回の件で出た建物の被害請求の山ができていた

 

 

 

「なぜじゃぁぁぁぁ!!!!!!」

 

 




オリジナルの物語は今回はここまでとさせてもらいます
お気に入り登録者100人を突破いたしました!!
これも皆さんのお陰です、ありがとうございました!!
次回からまた本編に戻っていくのでこれからもよろしくお願いします


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星霊王編
ルーシィの決意


更新遅くなりました
全ての作品の開行作業をしており書く暇がなくてw
しかしその作業も終わったのでまた新作をどんどんと出していく予定です


ファントムとの戦いが終わって一週間

 

リート達はギルドを新しく建て直そうと動き回っていた

 

「重てぇ~」

 

ナツは大量の木材を一気に運ぼうと背負っていた

 

「そりゃ重てぇだろ、そんだけ持ってりゃ」

 

「一度にそんなに持つからだよ バカじゃねーの」

 

リートとグレイはナツを見て呆れていた

 

「ははっ!!おめぇらは軟弱だからそれが限界なんだろぉーなァ」

 

「ア?俺がその気になればテメェの倍はいけるっての!!!」

 

グレイはそう言うとナツ以上の大量の木材を抱える

 

「お...おう...どうよ」

 

「張り合ってどうすんだよ...んで?お前それ持ったはいいけど運べんのか?」

 

「たりめぇ...って...ぐほぉ!!!」

 

グレイは持っていた木材を抱えきれずに潰れる

 

「バカでぇ」

 

「なっさけねぇーなっ!!!

 

見たかハッピー今のw」

 

「あい」

 

「...」

 

ナツ達が話をしていると土木作業着に換装したエルザとラリカがやってくる

 

「おい、お前達 遊んでる暇があったらさっさと運ばんか」

 

「そうですわよ、一刻も早くギルドを修復致しませんと」

 

「気合い入ってるなァお前ら

 

エルザだけじゃなくてラリカまで作業着に着変えてんじゃねぇか」

 

「何事もまずは形からですわ」

 

 

 

「マスターも気合い入ってるわよ♪」

 

ミラも飲み物を持ってリート達の所にやってくる

 

「おっ、ミラ」

 

「リート、お疲れ様♪はいお茶」

 

「サンキュ」

 

「あの二人、急にいつも以上に仲良くなったな」

 

「どぅえきてるぅ」

 

ナツとハッピーはリートとミラを見てコソコソと話していた

 

「あら?お二人とも知らないんですの?あの二人、数日程前に正式にお付き合いを始めましたわよ」

 

ラリカの言葉にナツ達だけでなくエルザや周りにいた者達も驚く

 

「なにぃーーー!!!?」

 

「ラリカ!!本当かそれは!!!」

 

「え?...ええ...というかどうして皆ご存知ないんですの?」

 

「だからエルフマンのテンションが低かったのか...」

 

いつの間にかグレイも復活しており肩を落とすエルフマンを見ていた

 

 

「リート!!ミラさん!!付き合ってるって本当!!?」

 

「ねぇねぇ!!告白ってどっちからしたの?やっぱりリートから?」

 

「なんだ?なんだ?いきなりどうした?お前ら」

 

「あらあらw」

 

リートとミラは女性陣から囲まれ告白の経緯を聞かれ

 

リートだけは更に男性陣から殺気を向けられる

 

「なんだ?何かすげぇ殺気を感じる...」

 

リートは冷や汗をかいているとミラは持っていたハンカチでリートの額の汗を拭く

 

「大丈夫?リート」

 

 

「「「キャーーーー!!!!」」」

 

「「「っち!!!!」」」

 

「カオスですわ...」

 

リート達は話をするついでに休憩をとる

 

「んあー、腹へったァ」

 

「そろそろ飯にするか」

 

グレイ達の前を水が通りすぎたと思ったらグレイの手元に弁当箱が置かれていた

 

「弁当?」

 

グレイが蓋を開けるとグレイの顔を作ったキャラ弁が顔を出す

 

「おー、旨そうじゃねぇか」

 

「...なぁ、何か汁みたいなのが垂れてるように見えるのはオレだけか?」

 

「奇遇だなリート...オレにもそう見える」

 

「こんな得体の知れねぇもん食えねぇよ」

 

近くに隠れて見ていたジュビアは泣いて残念がる

 

(早起きして作ったのに...)

 

弁当を見て感想を言っているリート達の元へエルザがやってくる

 

「お前達!!誰が休憩していいと言った!!!」

 

「? なんだそれは?キャラ弁か?」

 

エルザはグレイの持っていた弁当にフォークを刺して食べる

 

「遠慮なしか...」

 

「旨いなこれ」

 

「ホントか!!オレにもくれ!!」

 

エルザとナツは弁当を食べ尽くした

 

(ジュビア悲しい!!)

 

 

「にしても、ギルドの修復なのに...なんか前よりでかくね?」

 

「マスターがね、ついでに改装しちゃおうって...これが完成図よ」

 

ミラは一枚の紙をリート達に見せる

 

(分からん...)

 

「誰だよこんな下手な絵を描いたやつw」

 

グレイが絵を見て笑っていると

 

「しくしく...」

 

ミラが泣き出す

 

「あ、ミラちゃんだったんだ...」

 

「「「また泣かせた」」」

 

「グレイ、お前...またか...」

 

「グレイ...最近レディに対しての対応がなっていませんわね、私のお気に入り拷問器具で指導して差し上げますわよ?」

 

 

「拷問器具でどうやって指導すんだよ...」

 

 

「ごめんミラちゃん!!俺が悪かったって!!」

 

 

「ったく...」

 

リート達の元にルーシィの鍵を持ったロキがやってくる

 

「ナツ、リート、グレイ」

 

 

「「ロキ!!」」

 

 

「どうした?フラフラだぞお前」

 

 

「これルーシィに渡しといてくれるかな?」

 

 

「鍵?」

 

 

「ルーシィのだ」

 

 

ロキの顔色はかなり悪くなっていた

 

「お前...その顔!!!しばらく見ねぇと思ったらずっとコレ探してたのか!!?」

 

「いや...ははは...つらいねフェミニストは」

 

 

「一言くらい言えよ、手伝ってやるのに」

 

 

「そ...それより...ルーシィはどうしてるかな?」

 

 

「多分家だ」

 

 

「そっか」

 

 

ナツはルーシィの家に向かって歩きだす

 

「たまには遊びに行くかぁ!!!」

 

「あい!!!」

 

「だな...ちょっと心配だしな」

 

「まぁ、様子ぐらい見に行くか」

 

グレイとリートとハッピーもナツについていこうとする

 

「ロキ、お前ルーシィん家初めてだろ?」

 

「いや、僕は行かないよ

 

知ってるだろ?星霊魔導士には嫌な思い出が」

 

ナツの誘いをロキは断った

 

「そっかルーシィはルーシィなのにな」

 

「無理強いすることもねぇだろ、俺達で行くぞ」

 

ルーシィの家に行こうとしていたナツ達をエルザとラリカが追いかける

 

「貴様等!!!どこに行くつもりだぁ!!!働けぇ!!!」

 

「リートもですわよ!!!働きなさいな!!!」

 

「やべぇ」

 

「逃げるぞw」

 

 

・・・

 

『ルーシィの家』

 

「ルーシィ元気かぁ!!!!」

 

「元気かぁ」

 

ナツ達は勢いよく部屋のドアを開ける

 

「そろそろこいつにノックぐらい教えといた方がいいのかもしれねぇ」

 

「私は手遅れだと思いますわよ」

 

リート達がルーシィの部屋に入るがそこにルーシィの姿はない

 

「いねぇな」

 

「風呂か!!?お約束の展開が待ってそうで申し訳ないが」

 

グレイは勢いよく風呂場を覗くと既にナツが風呂場に入って確認していた

 

「いねぇ」

 

「風呂のチェックはぇぇよ!!!」

 

「出掛けてるようだな」

 

「ルーシィどこ~」

 

バサバサ

 

「うわっ!!」

 

「何をしてますのハッピー」

 

ハッピーが開けた物入れから大量の紙が落ちてくる

 

「何だこれぁ」

 

「手紙か?」

 

「〈ママ...あたしついに憧れのフェアリーテイルに入る事ができたの〉」

 

「人の手紙を勝手に読むものじゃありませんわよナツ」

 

ルーシィが書いた手紙は全て母親宛の手紙だった

 

「これ、全部母親宛の手紙だ」

 

「何で送ってねぇんだ?」

 

「家出中だからに決まってんだろ」

 

そしてエルザは一人ルーシィの部屋にある机の上を見ていた

 

「どうした?エルザ」

 

「ルーシィの書き置きだ〈家に帰る〉だそうだ」

 

「「「「なにぃぃぃ!!!!」」」」

 

 

・・・

 

 

『ハートフィリア邸』

 

ルーシィは電車を降りて徒歩でハートフィリア邸に帰って来た

 

ルーシィを見たメイドは驚き表情を変える

 

 

 

 

 

 

 

「お...おおおお嬢様ーーーっ!!!!」

 

 

 

 

 

 

「なんじゃと!!?」

 

「お嬢様だ」

 

「お嬢様がお帰りになられたぞー!!!」

 

豪邸の庭から沢山の人がルーシィの帰宅を聞いて飛び出してきた

 

「ただいま皆」 (みんな...変わらないな)

 

 

「お嬢様 旦那様が本宅の書斎に来るようにと」

 

 

(家出した娘が帰って来たのに「部屋で待ってるから来なさい」か...あの人も変わらないな)

 

ルーシィはそのまま書斎に向かおうとするがメイドがそれを止める

 

「お嬢様、旦那様にお会いするのにそんな御古物じゃいけませんよ」

 

「そんな、いいのに...」

 

ルーシィはメイドに連れていかれドレス姿に着替え書斎のドアを開ける

 

「失礼します お父様」

 

「よく帰って来たな ルーシィ」

 

書斎の中ではルーシィの父親ジュード・ハートフィリアが立っていた

 

「何も告げずに家を出て申し訳ありませんでした それについては深く反省しております」

 

ルーシィは頭を下げる

 

「賢明な判断だ あのままお前があのギルドにいたのなら私はあのギルドを金と権威の力をもって潰さねばならないところだった」

 

「...」

 

「やっと大人になったなルーシィ身勝手な行動が周りにどれだけの迷惑をかけるのかいい教訓になっただろう」

 

ジュードは何も言わないルーシィに一方的に話しかける

 

「お前と彼らでは住む世界が違うのだ。お前も今回のことでよくわかっただろう。...今回お前を呼び戻したのは縁談が決まったからだ。ジュレネール家御曹司サワルー公爵だ。前からお前に興味があると言っていただろう」

 

 

 

「言ってましたね」

 

 

 

ルーシィはそう返す

 

「ジュレネール家との婚姻によりハートフィリア鉄道は南方進出の地盤を築ける。これは我々の未来にとって意味のある結婚となるのだ。

 

そしてお前には男子を産んでもらわねばならん。ハートフィリアの後継をな」

 

ジュードはルーシィを物のように扱う目でそう言い放った

 

「話は以上だ。部屋に戻りなさい」

 

 

 

 

「お父様……勘違いしないでください」

 

 

 

「!!!」

 

 

ジュードはルーシィからの言葉に驚きを隠せずにいた

 

 

「私が戻ってきたのは自分の決意をお伝えする為です。確かに何も告げず家を出たのは間違ってました。それは逃げ出したのと変わらないのですから...

 

だから今回はきちんと自分の気持ちを伝えて、家を出ます!」

 

 

 

「ルーシィ…?」

 

 

 

「あたしはあたしの道を進む!!! 結婚なんて勝手に決めないで!!!そして妖精の尻尾には二度と手を出さないで!!!」

 

そう宣言すると、ルーシィは着ていたドレスを引き裂いた。

 

 

 

「今度!妖精の尻尾に手を出したら、あたしが...

 

ギルド全員があなたを敵とみなすから!!!!」

 

 

 

「あんな事しなければもう少しきちんと話し合えたかもしれない...

でも、もう遅い。あなたはあたしの仲間を傷つけすぎた。あたしに必要なものは、お金でも綺麗な洋服でもない...あたしという人格を認めてくれる場所!」

 

 

ルーシィは力強い目でジュードを見る。

 

 

「妖精の尻尾はもう一つの家族...ここよりずっとあたたかい家族なの...わずかの間だけどママと過ごしたこの家を離れる事はとても辛いし、スペットさんやみんなと別れるのもとてもつらいけど...」

 

ルーシィへ優しい目で次の言葉を口にした。

 

 

「でも...もしもママがまだ生きていたら...あなたの好きな事をやりなさいって言ってくれると思うの...」

 

 

ジュードはその姿に亡き妻、ルーシィの母親、レイラの面影を見る

 

 

「ル、ルーシィ...」

 

 

 

「さよなら パパ」

 

ルーシィはそう言って書斎を出ていった

 

 

・・・

 

 

『ルーシィの母レイラの墓前』

 

ルーシィは一人お墓の前でいると後ろから声がする

 

 

 

 

「「「「「ルーシィ!!!!」」」」」

 

 

 

リート達が追いかけてようやくルーシィに追い付いた

 

「えーーーーーーっ!!!?」

 

慌てふためくリート達にルーシィはコレまでのことを全て説明した

 

「母親の墓参りぃ!!?」

 

「そ♪」

 

「え?ルーシィのお母さんって...」

 

「ハッピー、ここは黙っておくものですわよ」

 

 

「みんな心配かけてごめんね」

 

「気にするな早合点した私たちにも非がある」

 

「ハッピーなんかずっと泣いてたぞ」

 

「な...泣いてないよ!!!」

 

「ラリカもな♪」

 

「リート、私帰ったら昨日届いた新作の拷問器具を試してみたかったんですの...付き合ってくれますわよね?」

 

ラリカの笑顔の後ろには般若が見える

 

リートの顔色が青くなった

 

「それにしてもデケェ街だな」

 

「あ、ううんここは庭だよ

 

あの山の向こうまでがアタシん家」

 

ルーシィ以外の全員の目が点になる

 

「あれ?どーしたの皆」

 

 

 

「お嬢様キター」

 

「さりげ自慢キター」

 

 

ラリカはルーシィの手を固く握る

 

 

「ルーシィ、私ルーシィの事が更に好きになりましたわ...これからも仲良くしましょう」

 

ハッピーは敬礼してエルザとリートの方を向く

 

「エルザ隊長!!!リート副隊長!!!ナツとグレイとラリカまでもがやられました!!!一言お願いします!!!」

 

 

 

「空が...青いな...」

 

 

「今は夕暮れですよ...隊長殿...」

 

 

 

 

「隊長と副隊長も故障したぞー!!!」

 




今回はここまでです、更新が遅れて申し訳ない、しかしなんとか時間を見つけて更新するつもりです


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引退

星霊王編...やらなくてもよかったかな?と思う今日この頃ですが、まぁやっちゃったものはしょうがないしこのままやっちゃえ!!気にしたら負けだ!!

ってなわけでまだしばらくバトルシーンは出せないかも...


『魔法評議会裁判所』

 

 

 

ファントムとの件によりマスターであるマカロフが裁判に立たされているのだが...

 

 

 

「ぐがぁぁぁ ぐごぉぉぉ...ふごっ」

 

 

 

 

 

「あの...マカロフさん...」

 

 

 

「!? はい!!なんでしょう!!」

 

 

 

「裁判中なのですが...まさか寝てたりしてませんよね?」

 

 

 

「滅相もない!!!ふぉほほほ!!!」

 

 

 

マカロフは慌てた表情でごまかした

 

 

 

その行動に評議院のメンバーは頭を抱える者、鼻で笑う者、怒りで飛びかかりそうになっている者など様々なものがいた

 

 

 

 

 

‥‥

 

 

 

 

 

裁判は終わりマカロフは廊下で評議院の一人ヤジマと話をしていた

 

「ファントムロードの解散...ジョゼの聖十の称号剥奪...そこまでは予想通りじゃ」

 

「しかしワシらフェアリーテイルが〈無罪〉とは思いきった判決じゃのう」

 

 

「感謝せぇよマー坊、ワスも弁護スたけぇねぇ」

 

「恩にきるわいヤン坊 ギルドが直ったら一度遊びに来なさいよ、ラーメン奢っちゃる」

 

「妖精ラーメン チャースー12枚のせで頼むわい」

 

マカロフは渋った顔をする

 

「12枚は多すぎじゃろォ」

 

「今回の件もギルド間抗争禁ス条約違反第4条から」

 

 

 

「わーーったわい!!!20枚でも30枚でものせてやる!!!」

 

「チャースーは12枚じゃ」

 

「まぁ...本当助かったわい」

 

「もう無茶するなマー坊」

 

「ん?」

 

「最近のフェアリーテイルの狼藉ぶりは目に余る...とっとと引退せんと身がもたねぇよ」

 

 

・・・

 

 

『フェアリーテイルギルド』

 

「今日から仕事の受注を再開するわよー仮説の受付カウンターだけどガンガン仕事やろーね!!!」

 

ミラの説明が終わるとフェアリーテイルのメンバーが駆け寄ってきた

 

「うおおおっ!!!仕事だ仕事ー!!!」

 

その様子をルーシィとリートはカウンターの椅子に座りながら見ていた

 

「なにアレェ普段はお酒呑んでダラダラしているだけなのにぃ」

 

「あはは」

 

「シャクシャク...まぁいいじゃねぇか、皆も改装作業で色々とうっぷん溜まってたんだろ」

 

かき氷を食べるリートにミラは話しかける

 

「リートは仕事受けないの?」

 

「今のところ一人で行く気はねぇかなぁ指名があればやるけどな」

 

「そういやロキはいないのかなぁ」

 

「あーあ...ルーシィもとうとうロキの魔の手にかかっちゃったのね」

 

「マジでか」

 

「違います!!!」

 

「なんか...鍵見つけてくれたみたいで...一言お礼したいなって...」

 

 

「あーその件か」

 

「見かけたら伝えておくわ、それより鍵落として星霊に怒られなかった?」

 

ルーシィは苦い顔をしてその時の状況を思い出す

 

「怒られるなんて騒ぎじゃなかったですよ...思い出しただけでおしりが痛く」

 

「あらら」

 

ルーシィが尻を抑えて話しているとラリカとナツ、グレイ、ハッピーがやってくる

 

「リート、何のお話をしてますの?ってルーシィ...どうかしましたの?」

 

「星霊にこっぴどくやられました、めでたしめでたしって話しだ」

 

「めでたくないわよ!!!」

 

 

「冷やしてやろうか?」

 

「さりげないセクハラよそれ」

 

 

「ルーシィ赤いお尻見せてー」

 

「堂々としたセクハラよそれ!!!」

 

 

「もっとヒリヒリさせたらどんな顔するかなルーシィ」

 

「鬼か!!!オマエは!!!」

 

 

そんな話しをしていた直後ナツの頭に机が飛んでくる

 

 

「もう一ぺん言ってみろ!!!!」

 

机が飛んできた方に目をやるとエルザがラクサスに怒鳴っていた

 

「エルザ?」

 

「この際だハッキリ言ってやるよ 弱ぇやつはこのギルドに必要ねぇ」

 

「貴様...」

 

「ファントムごときになめられやがって、恥ずかしくて外も歩けねぇよ」

 

「S級のラクサス」

 

「あんにゃろう、帰ってくるなり好き放題言いやがって」

 

「...」

 

そしてラクサスはレビィ達に指を差す

 

「オメーだよオメー」

 

「元はと言えぁオメーらがガジルにやられたんだって?つーかオメーら名前知らねぇや誰だよ?」

 

「情けねぇなぁオイィ!!」

 

レビィ達は悔しいが何も言い返せなかった

 

「ひどい事を!!」

 

 

ピキィン!!!

 

 

いきなり人を除いたカウンターの周りが氷付けにされる

 

「何!!?」

 

ルーシィが横を見るとリートが全身から冷気を放っていた

 

ガタッ

 

リートが椅子から立ち上がりラクサスの方へ歩み寄る

 

「なんだ、リートかよ」

 

「ラクサス...テメェいい加減にしろよ」

 

「何がだ?俺は本当の事を言っただけだぜ?」

 

「何がファントムになめられて恥ずかしくて外も歩けねぇだ、戦争に参加すらしてねぇ奴が好き放題言ってんじゃねぇぞ」

 

「仕方ねぇだろ?こっちは仕事だったんだ、だいいち何で俺達があのジジイのケツを拭いてやらなきゃいけねぇんだ」

 

「逃げたんだろ?」

 

「あ?」

 

「仕事を言い訳に戦争に参加しなかった...つまりお前はファントムが怖くて逃げたんだろ?

だったら戦う意思を見せたレビィ達の方がオマエなんかよりよっぽど強いぜ」

 

「なんだと?」

 

ラクサスが雷を全身から出して立ち上がる

 

「フン、図星つかれてキレたか?」

 

「へっ、そういやテメェ、俺が今のままマスターを引き継いだら蹴落としてでもお前がマスターになるって言ってたな?なんなら今決着をつけようぜ」

 

「上等だ表にでやがれ。ボコボコにしてやるからよ」

 

 

 

「やめなさい二人とも!!!」

 

ミラは怒鳴って二人を止める

 

「もう全部終わったのよ 誰のせいとかそういう話しだって初めからないの戦争に参加しなかったラクサスもお咎めなし...マスターはそう言ってるのよ」

 

「そりゃそうだろ俺には関係ねぇことだ ま、俺がいなけりゃこんな不様な目にはあわなかったがな」

 

リートはまた冷気を放出する

 

しかしリートではなくナツが殴りかかる

 

「ラクサス!!!テメェ!!!」

 

しかしラクサスはナツの攻撃を軽々とかわす

 

「ナツ、今のテメェじゃラクサスには勝てねぇよ」

 

「んだとォ!!!」

 

「俺がギルドを継いだら弱ぇ者は全て削除する!!そして歯向かう奴も全てだ!!!」

 

ラクサスはリートを指差す

 

「リート、お前は絶対に削除してやるよ」

 

「...こっちから願い下げだ」

 

 

 

「最強のギルドをつくる!!!誰にもなめられねぇ史上最強のギルドだ!!!!」

 

 

 

ラクサスは笑いながら去っていった

 

「くっ...」

 

リートは凍らせた物を全て元にもどした

 

「継ぐって何をぶっとんだこといってんのよ」

 

「それがそうでもないんですのよ」

 

ルーシィは椅子に座り直しラリカの話を聞く

 

「ラクサスはマスターの実の孫だから次のマスターになる可能性も高いんですわ」

 

「えーーーーーーっ!!!」

 

「...でもアタシは嫌だな..仲間の事をあんな風に思ってる人がマスターになるなんて」

 

ミラも会話に参加する

 

「だからマスターもなかなか引退できないんじゃって噂なのよ」

 

「あの人がまともになるのを待ってるってこと?」

 

「あくまで噂ですわ...でも、どうせならリートがマスターになるなら私は面白そうだから推薦いたしますわよ」

 

リートはカウンターに戻ってきた

 

「そんな柄じゃねぇよ俺は、ラクサス以外がマスターになるなら喜んで俺はそいつを推すね」

 

「あら、もったいないw私はリートがマスターでも良いわよ♪」

 

「ミラまで...」

 

リートは困った顔をする

 

「あんのヤロォ」

 

ナツはラクサスが去った方を睨み付けていた

 

「もういい、あいつに関わると疲れる」

 

エルザは諦めた顔をして話を変える

 

「それよりどうだろう仕事にでもいかないか?」

 

「え?」

 

「もちろんリートとグレイ、ルーシィも一緒だ」

 

「え!!?」

 

「はい!!?」

 

「俺もか?」

 

「アイゼンヴァルドの件から常に一緒にいる気がするしな、この際チームを組まないか?」

 

「私たち5人...ハッピーとラリカを入れれば7人か」

 

「わぁ♪」

 

ルーシィとハッピー、ラリカは嬉しそうな顔をしてナツとグレイは少し嫌そうな顔をする

 

「このメンバーか...嫌な予感しかしねぇのは俺だけかな...」

 

フェアリーテイルの最強チームの正式決定にギルド内が騒ぎだす

 

「フェアリーテイル最強チーム正式決定だぁー!!!」

 

「いいぞー!!」

 

「てかルーシィ最強か?」

 

「俺はアクエリアス出されたら勝てる気がしねぇ」

 

「確かに」

 

ナツとグレイはにらみ合う

 

「「こいつと...」」

 

「不満か?」

 

「「いえ嬉しいです」」

 

(俺は不満だ...)

 

リートはそう思うが口には出さない

 

「早速仕事だ!!!ルピナス城下町で暗躍している魔法教団を叩く」

 

「行くぞ!!!」

 

「「「おおおっ!!!」」」

 

 

・・・

 

 

夜マカロフは改装途中のギルドの上で酒を呑んでいた

 

ぐびぐび

 

「ぷはぁーっ」

 

「...引退...か」

 

「ギルドも新しくなる...ならばマスターも次の世代へ...」

 

「ラクサス...あやつは心に大きな問題がある」

 

「ギルダーツは無理だしのう」

 

「ミストガン...ディス・コミュニケーションの見本みたいなやつじゃ...」

 

「だとすると...まだ若いがリート...もしくはエルザ...」

 

マカロフが考え事をしてるとしたからミラが声をかける

 

「マスターこんなとこにいたんですか~」

 

「ん?」

 

「またやっちゃったみたいです~」

 

「は?」

 

ミラはマカロフに向けて一枚の紙を見せた

 

「リート達が仕事先で街を半壊させちゃったみたい」

 

マカロフは絶望の顔をする

 

「評議院から早々に始末書の提出を求められてますよ~...あれ?マスター、どうしました?」

 

 

「引退なんかしてられるかぁ!!!!」




今回はここまでです

ラクサスとリート...どうしても仲良くさせれない...とりあえずバトル・オブ・フェアリーテイル終わらせるまではこの調子になりそう...


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ロキ

星霊王編はあまり戦いもないのでフレデリックとヤンデリカはとばさせてもらいます...ってかそこまで影響ないと思うし...

今回のリート君はそこそこキャラ崩壊してます


ある日リート達はデボン盗賊退治の依頼で仕事に来ていた

 

「やったね!!!一丁あがりぃ!!!」

 

「MOォォォ!!!素敵です!!!ルーシィさぁーん!!!」

 

「歯応えのねぇ奴等だな」

 

「弱ぇくせに賊なんかやってんじゃねぇよ」

 

ルーシィ、ナツ、グレイは下っ派を倒し終えた所だった

 

 

「俺らにこんなことしてタダですむと思うなよ...デボン様が黙ってねぇぞ」

 

ボロボロになった盗賊の下っ派がそう言うとハッピーとラリカが近くまでやってくる

 

「そいつとっくにつぶれてるよ」

 

「今リートとエルザがこちらに戻って来てるところですわ」

 

 

「え!!?」

 

リートとエルザが階段を下りてナツ達と合流する

 

「こっちも片付いた」

 

「今回は楽な仕事だったな」(壊しても誰も文句言わねぇ場所だし...)

 

 

「さっすがリートとエルザ!!」

 

ルーシィは二人にサムズアップをする

 

「ひ...ひぃ!!」

 

下っ派の一人が逃げ出そうとするが

 

「逃がさん!!!」

 

エルザが飛び蹴りをして抑える

 

「まだ仕置きが足りんようだな」

 

飛び蹴りをした下っ派の尻を踏みつけながらエルザは見下す

 

「うーっわ...」

 

「ああああ...エルザさぁん~自分にもお仕置きしてくださいいいい!!!」

 

「...えーっ...」

 

リートはエルザの行動とタウロスの台詞にドン引きする

 

「強制閉門えーいっ」

 

ルーシィは無理やりタウロスを鍵に戻した

 

 

・・・

 

 

リート達はデボン盗賊団を捕まえ、基地だった場所から出てきた

 

「思ったより早く仕事が片付いたな」

 

「仕事をしているときよりもここに来るまでの方がよっぽど大変だった気がしますわ」

 

「うおおおっ!!!暴れたりねぇ!!!」

 

「十分暴れたじゃねーかテメー」

 

「頼むから暴れて帰り道でなにかを壊すのだけはやめてくれよ」

 

「ルーシィ見てーこの宝石」

 

「だーっ!!!勝手に持ってきちゃダメでしょ」

 

 

「宿はあと1日とってあるしなのんびりした村だ一泊して帰ろう」

 

「何言ってんだ、早く帰って次の仕事行こーぜ!!!」

 

ナツ達の近くに人影が現れる

 

「ん?あそこにいるのは...」

 

「ロキじゃねぇか?」

 

近くにいた人影はロキだった

 

「あれ?」

 

ロキもナツ達に気付いたようで歩いていた足を止めた

 

「偶然だなぁ」

 

「仕事先でお前と遭遇するなんて珍しいこともあるんだな」

 

「お前もこの辺で仕事か?」

 

リート、グレイ、ナツはロキに近寄っていく

 

「みんなも?」

 

ロキの元へルーシィも近づいていく

 

「あ、ちょうどよかった!!!この前は鍵...」

 

「ルーシィ!!?じゃ仕事の途中だから」

 

ロキは逃げるようにその場を去っていった

 

「何よアレェ」

 

「相当嫌がられてんなぁ」

 

「お前あいつに実は何かしてんじゃねぇのか?」

 

「何もしてない~」

 

 

 

・・・

 

 

『鳳仙花村』

 

 

リート達はとっていた宿で一泊することになっていた

 

「始めんぞー!!!」

 

「ぞーっ!!!」

 

リート達は風呂上がりに浴衣姿になってくつろいでいるといきなりナツが枕を持って騒ぎ始める

 

「...何を?」

 

「どうしましたの?ナツ」

 

「なんだよ やかましいなぁ俺は眠いんだよ」

 

リートとラリカは部屋に置いてあったお茶とお菓子をつまんでいてグレイは寝ようとしていた

 

「オイ見ろよ!!!旅館だぞ旅館!!!」

 

「んなもん見りゃ分かるよ」

 

「旅館の夜っつったら枕殴りだろーが!!!」

 

「それを言うなら枕投げですわよ」

 

「んだよ枕殴りって...物騒な」

 

騒いでいるナツ達の元に大量の枕を持ったエルザとその後ろからルーシィもやって来た

 

「フフっ質のいい枕は全て私が押さえた、貴様等に勝ち目は無いぞ」

 

「質って...」

 

「俺はエルザとリートに勝ーーつ!!!」

 

ナツはエルザとリートの方へそれぞれ枕を投げつける

 

「あまい!!」

 

「あらよっ」

 

しかしナツの投げた枕は二人に簡単にかわされた

 

「やれやれ...ぐべぼっ!!!」

 

エルザの後ろにいたグレイがナツの枕の餌食となる

 

「ナツ!!!テメぇ!!!」

 

グレイは起き上がりナツに向かって枕を投げ始める

 

「上等だナツ!!!喧嘩じゃなくても俺の方が強ぇってとこ見せてやるよ!!!」

 

リートもなかなかノリ気だった

 

次第に枕投げがお遊びとは言えないレベルの威力になってきていた

 

しかしルーシィはそれに気がついていない

 

「よーしアタシも混ざろうかな♪」

 

ばふぉ!!!

 

「!」

 

ルーシィは4人が投げた枕に直撃しそのまま外へ吹き飛ばされる

 

「ナツ!!!てめっ魔法使うとか反則だろ!!!テメェがその気なら俺だってやってやるからな!!!」

 

「上等だ!!!かかってこーい!!!」

 

 

「やっぱ止めとこうかな...死んじゃう」

 

「ルーシィ大丈夫ですの?」

 

 

・・・

 

 

ルーシィはラリカとプルーと一緒に旅館の外を散歩していた

 

「あいつら本当に人間なのかしら」

 

「私とハッピーは猫ですわよ」

 

「プーン」

 

「プルーも犬だしね」

 

「ププーン」

 

「オイラ本当は人間なんだプーン」

 

「へぇー...!!!ええぇっ!!?」

 

(え?ルーシィったら分かっていませんの?)

 

ルーシィは驚愕しラリカは即座に理解しあきれていた

 

「人間!!?ってかあんた喋れるの!!?」

 

「あい」

 

(あい?)

 

(素が出てますわね...)

 

「ププッwオイラは聖なる石を持つ勇者の使いプーン」

 

「はいはい、もういいからしょーもない事してないで出てきなさい」

 

近くの物陰から隠れていたハッピーが出てきた

 

「ちぇー、ルーシィの頭の悪さなら一週間は騙し通せると思ったのに」

 

「ずいぶんありがたい計算ね...」

 

「ハッピー、一週間は無理ですわよ...せいぜい3日ですわ」

 

「3日は騙せる計算だったんかい!!!」

 

ハッピーはルーシィの近くに来て尋ねる

 

「ねぇどこ行くのルーシィ、ラリカ」

 

「あんな奴等と枕投げしてたら身がもたないし散歩」

 

「私もルーシィと一緒ですわ」

 

するとルーシィに見知らぬ男二人が話しかけてきた

 

「ハ~イお嬢さん」

 

「!」

 

「浴衣似合うじゃん、観光?」

 

「オレたちオシバナから来てんだけっどサ

どう?一緒に呑みにいかない?ファンキーにサ」

 

「悪いけどツレいるから」

 

ルーシィはさらりとナンパをスルーしようとした

 

しかしナンパしている二人組の男も手を引かず話しかけ続ける

 

「え~ちょっとくらい

いいじゃんいいじゃん?」

 

「ツレってそこの猫と...」

 

男達はプルーを見て一瞬だけ呆ける

 

「ま...まぁファンキーなツレも一緒でいいからサ」

 

「行こうじゃん」

 

男達はルーシィの手を引っ張る

 

「強引だなぁーハッピー、ラリカ、何とかしてよぉ」

 

ルーシィはハッピー達に話しかけるが

 

「にゃー...ぷくくw」

 

ハッピーは猫の鳴き声をだしラリカはいつの間にかいなくなっていた

 

「にゃーってアンタ!!!しかもラリカいないし!!!」

 

「ちょっとアンタ達いい加減に...」

 

ルーシィが手を振りほどこうとすると異変に気が付く

 

(!?体が動かない)

 

「遊ぼうじゃんオレたちと」

 

「ファンキーな夜にしようぜ」

 

(こいつら魔導士!!?ヤバ...)

 

ゴン!!!

 

次の瞬間ナンパ男の一人が殴りつけられる

 

「え?」

 

「な...なんだてめ...」

 

ガッ

 

もう一人のナンパ男は喋り終える前に蹴りを入れられた

ルーシィはとっさに頭を低くしていた為無事だった

 

「おおっ」

「ププッ」

 

ハッピーとプルーはその光景を見て興奮する

 

「ケガはない?」

 

「ロキ!!」

 

ナンパ男達を倒したのはロキであった

 

「ごめんなさい」

 

「何が!!?」

 

ロキは近くの竹藪に体を隠す

 

「ルーシィー大丈夫でしたかですわ」

 

ロキが来た方向からラリカが飛んできた

 

「ラリカ!!?アンタがロキを連れてきてくれたの?」

 

「本当はリート達のところに呼びに行こうとしてましたのですけどロキと途中で遭遇しまして、事情を説明して来てもらいましたわ」

 

ロキは男達の元へ歩み寄る

 

「こいつらは女性をくいものにしているゴロツキの魔導士で僕はこいつらを捕まえる仕事の最中だったんだ」

 

「へぇー」

 

「それでこの辺りを歩いていましたのね」

 

「それじゃ!僕はこいつらを届けなきゃいけないから失礼するよ」

 

「あのさ」

 

立ち去ろうとするロキをルーシィは呼び止める

 

「助けてくれてありがとう あと...鍵も見つけてくれて...」

 

「いや...気にしないで」

 

「ねぇ...よかったら少し付き合ってよ」

 

「え?」

 

ロキはその台詞に動揺しハッピーとプルーは興奮する

 

「こ...ここ...この展開は!!!」

「ププ!!!」

 

「違うから」

 

「男ってのはどうしてこんなのばっかりなのでしょう」

 

 

・・・

 

 

『酒処 超特急』

 

 

「...」

 

「...」

 

ルーシィ達は呑み屋にて一緒にいたがロキはルーシィとの席を3つ程離して座っていた

 

「ねぇ...そんなに離れなくても...」

 

「ご...ごめん」

 

「前から聞きたかったんだけど...あんた星霊魔導士に何された訳?」

 

「...」

 

ロキは何も喋ろうとしない

その行動にルーシィは少しイラつく

 

「言いたくないなら別にいいけどさぁ一応アタシはアタシなんだよねー」

 

「うん...わかってるよ」

 

「はぁ...まぁいいわちょっと聞きたかっただけだし」

 

ルーシィは席を立つ

 

「助けてくれてありがと あんたモテるのもちょっとわかったよ」

 

「それじゃアタシそろそろ」

 

ルーシィが店を出ようとするとロキはルーシィの手を掴む

 

「待って」

 

そしてロキはそのままルーシィを抱き締める

 

「!!!」

 

「ルーシィ...」

 

「は...はい!!?」

 

「僕の命はあとわずかなんだ...」

 

 

 

「え!!?」

 

 

 




自分の作品に低評価がついてしまうとどうしてもショックはうけるものですねぇ...

しかし諦めませんよ!!それでも主は書き続けてやります!!

豆腐メンタルなめるなよぉ!!!


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獅子宮のレオ

最近戦闘シーンを書いてない為番外編として新作で氷竜戦闘という作品を書いてみました

簡単説明したらリートがフェアリーテイルの誰かやオリキャラと戦うただそれだけのお話しです

興味がある方は読んでみてください主のプロフィールから読みにいけます


「僕の命は...あとわずかなんだ」

 

「...どういうこと?」

 

ロキの手から離れたルーシィはロキが発した言葉の意味を尋ねる

 

「...ククッ」

 

「?」

 

「アハハハハハ」

 

しかしロキは答えるわけでもなくいきなり笑いだした

 

「ひっかかったね、これは女の子を口説く手口さ」

 

「!」

 

ルーシィの体が震えはじめる

 

「泣き落としの一つでね..どう?結構びっくりしたでしょ?」

 

 

 

 

パァァン!!!

 

 

 

 

ロキの頬がルーシィに叩かれ赤く染まる

 

「あたし...あたしそういう冗談キライ!!!」

 

「いくよ!!ハッピー ラリカ プルー」

 

「あぎゅ」

 

「ププ」

 

「ふぇ?」

 

ルーシィは寝ていたラリカを脇で抱えてハッピーとプルーの尻尾を掴んで店を出ていった

 

その様子を見るロキは心なしか寂しそうな顔をしていた

 

(何をやってるんだ僕は...感情に流されるんじゃない...ルーシィを巻き込むな)

 

(僕はもう...)

 

 

・・・

 

 

『翌日...フェアリーテイルギルド』

 

朝からナツとグレイは傷だらけの状態で睨みあっていた

 

その様子をエルフマンとミラが遠くから見て話し合っていた

 

「なんだありゃ」

 

「仕事先で枕投げしててケガしたんだって♪」

 

「どうやったら枕投げであんな大ケガを...」

 

「魔法使ったらああなった」

 

リートとラリカが手前のカウンターで会話に混ざる

 

「というかあのケガの約5割はリート、4割はエルザにつけられた傷らしいですわよ」

 

「お前らどんだけ暴れたんだよ」

 

「おい俺が5割は言い過ぎだろ、俺がやった分はあいつらに4割づつ...だったと...思う」

 

「どっちにしてもリートが一番ケガを負わせたのね」

 

リート達が話している間にもナツ達は喧嘩を続けている

 

「だいたいテメーは何で枕投げでムキになってんだよ」

 

「俺はいつでも全力なんだよ」

 

「そのワリには負けてんじゃねーか」

 

「はぁ?負けたのはオメーだろ!!!」

 

 

 

「枕投げで勝ち負けなんてありましたの?」

 

「...しらね」

 

 

「「ルーシィ!!!勝ったのは俺だよな」」

 

リート達の近くに座っていたルーシィにナツとグレイは話しかける

 

「うるさい」

 

「「ご...ごめんなさい」」

 

「おお!!エルザとリート以外にあの二人を止められる奴が」

 

「やるな ルーシィ!!」

 

ルーシィはイライラしている為か強気な態度になっていた

 

そこへハッピーとラリカがルーシィに話しかける

 

「ルーシィずっと機嫌悪いね」

 

「やはり昨日何かありましたの?」

 

「そう?フツーだけど」

 

話しかけてきたハッピーとラリカにもルーシィはつんとした態度で対応する

 

「オイラのいたずら、まだ怒ってる?」

 

「ちーがーう!!あたしってそんなに器の小さい人?」

 

ルーシィはため息をついた

 

「ごめん...なんか色々考え事があって」

 

「オイラ相談のるよ」

 

「私もですわ」

 

「うん、いいの...ありがとう」

 

するとルーシィ達の近くから女性の声が複数聞こえてきた

 

「ねぇロキ来てる?」

 

「ロキは?」

 

「ひどいわロキってば」

 

「なによアンタ達」

 

「アンタこそ」

 

 

 

「何アレ」

 

「町の女の子達だよ みんな自称ロキの彼女みたいだね」

 

「すごい人ですわね...」

 

女の子の対応にミラが困り果てリートはその下でもみくちゃにされていた

 

「昨日の夜突然別れようって」

 

「キィー!!!悔しいけど私もよ」

 

「私も」

 

「アタイも」

 

 

 

「...んなこといいから...どいてくれ...」

 

 

 

「何で急にこんなこと言い出すのよ!!!」

 

「もしかして本命が!!?」

 

「誰?このギルドにいるの!!?」

 

「さぁ...いや...」

 

「ルーシィ助けてぇ~」

 

ミラがたまらずルーシィに助けを求め、その瞬間女の子達の視線が全員ルーシィの方へ向く

 

「何あの女~」

 

「まさか…ロキの本命って」

 

ルーシィは即座にその場所から逃げ出した

 

「もぉ~めんどくさい事ふらないでよミラさ~ん」

 

 

 

・・・

 

 

 

『ルーシィの家』

 

「…という訳なのクル爺」

 

ルーシィはハッピーとラリカと一緒に事のあらましを星霊クルックスを呼び出して話していた

 

「ほマ」

 

「あたし…ついカーッとなっちゃって手をあげちゃったけど…なんかだんだん冗談じゃなかったような気がしてきて…」

 

「ほマ」

 

「クル爺の力で過去にロキと関係のあった星霊魔導士調べられない?」

 

「ほマ」

 

「… … … ぐー ぐー ぐぅー」

 

クルックスがしばらく何も喋らないと思ったらいきなり寝息をたてだした

 

「寝てるよルーシィ!!!」

 

「私が叩き起こして差し上げますわ(怒)」

 

「大丈夫…検索中だから」

 

「うそだ!!!」

 

「絶対寝てますわよ!!!」

 

「クル爺は星霊学のスペシャリストなのよ星霊界と人間界をつなぐ門の情報は全て持っているの」

 

 

 

 

「ディアーーーオ!!!!!」

 

 

 

 

クルックスの目が開いたと思った瞬間いきなり大声で叫びだし驚いたハッピーとラリカはルーシィの後ろに隠れた

 

「何かわかった?」

 

ルーシィが問いかけるとクルックスは答えられるだけの問いに答えた

 

過去にロキはカレン・リリカというブルーペガサスのギルドにいた星霊魔導士と関係があったこと

 

カレン・リリカは何年か前に亡くなっていた事

 

しかし教えてくれたのはそこまでだった

 

 

 

「ねぇ、そのカレンとロキがどう関係しているの?」

 

「ほマ これ以上は申し上げられません」

 

「ちょっと!!」

 

するとクルックスはまた寝息をたて始めた

 

「あ、そう言いつつも検索してる」

 

「意外と聞き分けのよろしい星霊なのですわね」

 

「いや…寝てるわね」

 

「え!!!?」

 

「ややこしいですわ!!!」

 

ルーシィはクルックスから聞いた話を頭のなかでまとめ上げる

 

「カレンとロキ...」

 

「あれ?なんだろうこの違和感」

 

 

 

「大変だルーシィ!!!」

 

「ひぃ」

 

いきなりグレイがルーシィの部屋に入ってきた

 

「ロキがフェアリーテイルを出ていっちまった!!!!」

 

「え!?」

 

「な…なんで!?」

 

「知らねぇよ!!今皆で探してんだ!!」

 

「あいつ…ここんトコ様子がおかしかったからな」

 

「まさか…」

 

ルーシィは部屋を飛び出した

 

「オイ!!ルーシィ!!どこ探しに行く気だ!!!」

 

 

・・・

 

 

「…」

 

ロキはとある場所で一人でいた

 

ザッ

 

「!」

 

「みんな探してるよ」

 

ロキの後ろから声が聞こえロキが振り返ると一人ロキとは違う人物がたっている

 

「ルーシィ!!!」

 

「カレンのお墓でしょ?ここって」

 

「星霊魔導士カレン…あなたの所有者よね」

 

 

 

 

 

 

「星霊ロキ……ううん本当の名は

 

獅子宮のレオ」

 

 




今回はここまでにします

最近、新キャラの案がまた頭に浮かんできたけど登場させられる場面今のところなくね!?

ってなわけで新キャラ登場はまだ先になりそうです( TДT)


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星霊王

今回で星霊王編終われそうです

全く戦闘させることが出来ないシリーズでしたけど次は楽園の塔編に入れるしまた戦闘シーンを入れていけると思います…と言うことは氷竜戦闘の続きを書くことはまたなくなりそうだな…


ルーシィがロキと話していた頃リートもロキを必死に探していた

 

「くそっロキの奴…どこに行ったんだよ」

 

(しゃーねぇ、とりあえず他のやつらと一旦合流して…)

 

リートがそう考えたとき後ろからグレイの声が聞こえた

 

「リートー!!!」

 

「グレイ!?どうだ?見つかったか?」

 

「いや、ダメだった

けどルーシィに知らせたら何か知ってるような顔で走って行っちまったんだ、お前の耳や鼻でなんとかルーシィの行った道がわからねぇかと思ってな」

 

リートは少し考えた後返答した

 

「わかった、ルーシィの行った方向だけでもわかるか?俺はその方角を探してみる」

 

リートはグレイからルーシィの向かった方角を聞き走り出した

 

「グレイは他の場所を探してくれ!!一緒に行って無駄足になったら洒落にならねぇ!!」

 

「わかった!!頼んだぞリート!!」

 

 

・・・

 

 

ロキがルーシィに自分の過去を話し倒れルーシィにささえられ星霊王が現れた直後、リートもカレンの墓に到着し倒れているロキとそれを抱き抱えるルーシィを見つけた

 

「ロ…!!?」

 

リートは星霊王の姿を見つけ物陰に隠れた

 

(なんだアレ!!?)

 

 

 

「古き友

人間との名訳において我ら…鍵を持つ者ヲ殺める事を禁ズル」

 

「直接ではないにせよ間接にこれを行ったレオ

貴様は星霊界に帰ることを禁ズル」

 

 

 

(ロキが星霊!!?)

 

リートが星霊王の言った言葉に驚愕する

 

 

 

「ちょっと!!!そりゃ あんまりでしょ!!!」

 

「よ…よさないかルーシィ!!!」

 

ルーシィは星霊王にたてついた

 

 

 

(あいつ度胸あるなぁ…)

 

 

 

「古き友よ その法だけは変えられぬ」

 

「3年も苦しんだのよ!!!」

 

「仲間の為に!!!アリエスの為に仕方なかった事じゃないの!!!」

 

ルーシィは星霊王に意見し続けているのを少し離れたところでリートは黙って見ていた

 

「余も古き友の願いには胸を痛めるが…」

 

「古い友達なんかじゃない!!!今目の前にいる友達の事言ってんのよ!!!!」

 

「ちゃんと聞きなさい!!!!ヒゲオヤジ!!!!」

 

 

 

(ヒゲってあいつ…)

 

 

 

「これは不幸な事故でしょ!!!ロキになんの罪があるって言うのよ!!!!無罪以外は認めないんだからねっ!!!!」

 

ルーシィは魔力を解放し始める

 

「もういいルーシィ!!!僕は誰かに許してもらいたいんじゃない!!!」

 

「罪を償いたいんだ!!!このまま消えていきたいんだ!!!!」

 

「そんなのダメーーー!!!!」

 

 

 

(やべっ…)

 

 

 

リートも慌ててルーシィ達のもとに飛び出そうとした瞬間

 

「む」

 

「!!?」

 

ルーシィは大量の星霊を一気に呼び出した

 

「罪なんかじゃない!!!!仲間を思う気持ちは罪なんかじゃない!!!!」

 

(星霊が…これほど同時に……)

 

しかしルーシィの魔力がいつまでも持つはずはなく召喚した星霊もすぐに消えルーシィはうつ伏せに倒れそうになる

 

「ルーシィ!!!」

 

バッ!!

 

「リート!!?」

 

リートが倒れそうになるルーシィの下に入り込み背中でささえた

 

「ようロキ、ルーシィ、大丈夫か?」

 

「うん…ありがとう…」

 

ルーシィはリートの肩に担がれながら星霊王に叫び続ける

 

「あたしの星霊も同じ気持ち」

 

「アンタも星霊ならロキやアリエスの気持ちがわかるでしょ!!!!」

 

星霊王は少しだけ黙りこみ喋り出す

 

「古き友にそこまで言われては 間違っているのは法かもしれぬな」

 

「同胞アリエスの為に罪をおかしたレオ

そのレオを救おうとする古き友その美しき絆に免じこの件を『例外』とし

レオ…貴様に星霊界への帰還を許可スル」

 

「いいトコあるじゃないヒゲオヤジ♪」

 

「だからヒゲって…」

 

「冤罪だ星の導きに感謝せよ」

 

そういい終えると星霊王は消えていく

 

「待ってください……僕は」

 

ロキは涙を流し星霊王を見つめる

 

消えていく星霊王は消えるまでの間に言葉を言い残す

 

「それでもまだ罪を償いたいと願うならば

その友の力となって生きることを命ずる」

 

「それだけの価値がある友であろう命をかけて守るがよい」

 

「だってさ」

 

ルーシィは嬉しそうな顔でロキに振り返る

 

「よくわかんねぇけど…よかったんじゃねぇか?」

 

その台詞を聞いたロキは泣きながら星霊界へと帰っていく

 

(これで僕の罪が消えた訳じゃないけど…君には前へ歩き出す勇気を貰った)

 

「ありがとう そしてよろしく今度は僕が君の力になるよ」

 

「こちらこそ」

 

ロキは鍵に戻りルーシィはその鍵を握りしめる

 

「…終わったな」

 

「うん」

 

リートは頭を掻きながらルーシィに話しかけた

 

「まぁなんだ…とりあえず今までの事を色々と聞いてもいいか?」

 

「それよりも先に家に帰りたーい」

 

「(怒)…はぁ…まぁいいか…後でちゃんと事情と経緯を教えろよ」

 

「わかってるって♪」

 

リートはルーシィを背負いルーシィの家に帰っていった

 

その後リートはルーシィからロキの過去でアリエスという星霊がカレンと言う名の星霊魔導士に苛められていた事、

そしてロキがそれをやめさせるために人間界にとどまりカレンに星霊を召喚出来ないようにしそのせいでカレンを死なせてしまったことを聞いた

 

「そっか…そんな事が…」

 

「うん、あとはリートも知ってる通りかな」

 

「でも、よかったんじゃねぇか?お前の下にいるならロキも安心だろ」

 

リートは笑顔でルーシィを見る

 

「だといいけどね、とにかく今はロキが星霊界に帰れてホントによかった」

 

「だな」

 




今回はここまでです

お気に入り200人突破しました!!!皆さん有り難うございます!!!

やっと星霊王編終われました。
次のシリーズからまたバトルも書けていけると思いますので楽しみにしててください


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楽園の塔編1
アカネビーチ(オリキャラ登場)


今回から楽園の塔に入れます!!いやぁここまでが既に長かった…

そして今回また考えてたのとは違うオリキャラが現れます!!!設定考えてたらなかなかのチートキャラになっちゃったよ…どうしよう


『フェアリーテイルギルド』

 

 

「星霊だぁ!!?」

 

「んーまぁそーゆーこと」

 

星霊王の一件から翌日ロキはルーシィやリート以外のメンバーに自分の正体を明かした

 

ナツはロキが星霊と聞かされロキをじろじろと見る

 

「しかし気がつかんかったなぁ」

 

「ホントですわ」

 

「ちょっと待て!!!おまえ牛でも馬でもねーじゃねーか」

 

「ナツの知ってるバルゴだって人の姿だろ?」

 

「いや、あいつはゴリラにもなれるんだぞ」

 

「アレをゴリラと呼べるかは微妙なとこだぞ」

 

ナツの言葉にリートは思わずツッコむ

 

「そういえばそうだね」

 

「いや、認めんなよ」

 

「ロキは獅子宮の星霊よ」

 

「「獅子ーーー!!!」」

 

獅子宮というルーシィからの言葉にナツとハッピーは驚いた

 

「獅子ってアレ!?大人になった猫!!!」

 

「そうだね」

 

「「違う!!!」」

 

「そうですわよハッピー、獅子とは突然変異で巨大化した猫の事ですわよ」

 

「「それも違う!!!」」

 

ハッピーとラリカのボケにルーシィとリートがツッコんだ

 

「つーかお前今まで通りで大丈夫なのか?」

 

ロキの現状をグレイは心配し聞いてみた

 

「これからはそうはいかないね。ルーシィが所有者になってくれたからね

ルーシィのピンチにさっそうと現れるさしずめ白馬の王子様役ってとこかな」

 

「そういう訳で二人の今後について話し合おうか」

 

ロキがルーシィを抱き上げて去ろうとする

 

「こらこら!!下ろしなさい」

 

「つーかどういう訳だ」

 

「いいなぁオレも星霊欲しいなぁ」

 

ナツは椅子にすわって呟いた

 

「お前が星霊使うってなんか似合わねぇな」

 

「ナツー、どんな星霊がいいの?」

 

「そりゃドラゴンだろ!!せっかく滅竜魔法覚えたのに本物の竜と戦えねーのは甲斐がねぇってもんだ」

 

ナツはシャドーボクシングをしながらそういった

 

「ナツ、野蛮ですわよ」

 

「星霊は力比べの為に呼び出すものじゃないの!!」

 

「まぁナツらしいっちゃらしいが」

 

「そうそう、星霊は愛を語るために…」

 

ロキはルーシィに顔を近づける

 

「あんたももう帰りなさい」

 

ルーシィはロキの鍵を取り出す

 

「ちょっと待って」

 

ゴソゴソ

 

「はい」

 

ロキはポケットからチケットのようなものを取り出してルーシィ達に渡した

 

「何コレ?」

 

「もう人間界に長居することもないからね

ガールフレンド達を誘って行こうと思ってたリゾートホテルのチケットさ」

 

「君たちには色々と世話になったし、これ…あげるから行っといでよ」

 

「海!!!」

 

「マジか!!?」

 

「おおおっ!!!」

 

「こんな高ぇホテル泊まったことねぇ!!!」

 

「エルザにもさっき渡しておいた楽しんでおいで」

 

そう言ってロキは星霊界へ帰って行った

 

「わーい!!」

 

「ありがとうですわロキ!!!」

 

そこへリゾートへ行く準備を済ませたエルザがやって来た

 

「きさまら何をモタモタしている置いていかれたいのか」

 

…大量の荷物を持って

 

「「「気ぃはええよ!!!」」」

 

 

・・・

 

 

『アカネビーチ』

 

(ってなわけで

遊びに来ちゃいましたアカネビーチ)

 

リート達は水着に着替えて海で遊んでいた

 

「見ろよこの水!!!めっちゃ透明だぞ!!!」

 

「うおおっ!!!スゲェ!!!」

 

「グレイ、海パンはこーよ」

 

「どこで脱ぎ落としてきた変態」

 

………

 

その後ルーシィ達はスイカ割りを楽しんでいた

 

「右右、もっと左だって」

 

「上上」

 

「上ってなんだ」

 

「そこっ!!!」

 

「よーしっ」

「えいっ」

 

ポコッ

 

ルーシィが棒を振り下ろしたその下にはガタイのいい男性の頭が

 

「ごめんなさーい!!!」

 

「ギャハハハハw」

 

「ひでーやつ…」

 

……

 

その後海で楽しんだリート達は日も暮れはじめホテルの各部屋に戻っていた

 

エルザもまた水着姿のままベランダでくつろぎながら眠っていた

 

【エルザ…この世界に自由などない】

 

ばっ!!

 

「……夢?」

 

エルザは飛び起き夢ということを確認したその時エルザは大量の汗をかいていた

 

「いつの間にか眠ってしまったのか」

 

エルザは部屋の中へ戻り鎧姿に換装する

 

「やはり鎧の方が落ち着く フフw私という女はつくづく仕方がないな」

 

エルザが鎧に換装した直後エルザの部屋の扉が開きルーシィが入ってくる

 

「エルザー!!!」

 

「地下にカジノがあるんだって!!ねぇ行ってみない?」

 

「賭け事はあまり好きではないのだがな」

 

「ナツやグレイやリート達はもう遊んでるよ」

 

「やれやれ」

 

そう言いつつも少し嬉しそうなエルザは鎧からドレス姿に換装した

 

「こんな感じか?」

 

「ラフな格好でいいのに~」

(確かに鎧はどうかと思うけど)

 

「フフ…やるからには遊び倒さねばカジノに失礼だろう」

 

「はいはい!行くよー」

 

ルーシィは先にカジノに向かった

 

(たまにはいいじゃないか…自分に優しい日があっても)

 

 

・・・

 

 

『カジノ』

 

「ふぅ~~~!!ふぅふぅふぅ!!!」

 

「お…お客様困ります!!」

 

ナツはルーレットに息を吹き掛けてディーラーを困らせていた

 

「だって17に入ってたぞオレは見たんだ!!!」

 

「あい」

 

「そんなこと言われましても………」

 

「17に入ってたのにカタンってずれたんだって!!何だよコレ!!」

 

「そんな事あるわけないでしょ~」

 

ナツが騒いでいるところより少し離れたところでグレイとリートがスロットで遊んでいた

 

「はっはー!!しょうがねぇなアイツは」

 

(他人のフリ他人のフリ…)

 

グレイはナツを見て笑い

リートは冷や汗をかきながらもくもくとスロットを回し続ける

 

「にしても…おめぇ何でそんなにコインが増えてんだよ…」

 

「すごいですわリート!!!もうコレだけで生活出来ますわよ!!!」

 

リートの周りに大量のコインが入ったケースが山のように積まれラリカはそれを見て大喜びしている

 

「いや、スロットが揃うときに小さな音が聞こえてそれに合わせて打ってたらこんなになって…」

 

「隠れた才能だな…」

 

「はぁ…私今とても幸せですわ♪」

 

そんな話をしているとグレイの後ろから人影が現れる

 

「グレイ様」

 

「ん?」

 

グレイは声のした方を振り向くとそこにはドレス姿のジュビアが立っていた

 

「ジュビア来ちゃいました」

 

「ぶほぉ!!?」

 

 

「お…おお…おまえは…」

 

「あ!!あなたファントムの!!!」

 

「…誰?」

 

 

……

 

 

「見たんだって!!オレの目はごまかせねーぞ!!!」

 

ナツはまだディーラーにクレームをしていた

 

すると近くの席からナツに声をかける者が現れた

 

「ボーイ 大人の遊び場はダンディにたしなむものだぜ」

 

ナツに声をかけた男は全身かくかくのいわゆるポリゴンのような体の男だった

 

「か……」

 

「「カクカク!!?」」

 

「ボーイ一ついいことを教えてやるぜ

男には2つの道しかねぇのサ

ダンディに生きるか

 

 

止まって死ぬかだゼ」

 

ポリゴン男は椅子から飛び上がりナツの口の中に銃口を突っ込む

 

「銃だぁぁ!!!」

 

「ひぃ!!!」

 

銃を見た客はすぐに逃げ出した

 

「な...なにするんだー!!」

 

「が…がんがごいぐ」〈な…なんだこいつ〉

 

 

……

 

グレイとリートはスロットをやめてカウンターにてジュビアと話しをしていた

 

「聞いたよファントムは解散したんだって?」

 

「はい」

 

「へぇー」(ってことはやっぱりあいつも…)

 

「じゃあジュビア様は今フリーの魔導士ってことになるんですわね」

 

「はい、ジュビアは今フリーの魔導士になりました」

 

そう言ってジュビアはこれ見よがしに胸元のフェアリーテイルのマークが入ったネックレスを強調する

 

「うわぁ‥‥それでフェアリーテイルに入りてぇっての?」

 

「ジュビア入りたい」

 

「しっかしあんなことの後だからなぁオレは構わねーがマスターが何て言うか」

 

「ジュビア何でもします」

 

「んなこと言っても」

 

グレイが困っているとリートがグレイに向かって

 

「いいんじゃねぇか?俺は別に問題ないと思うぞ」

 

と言った

 

「いや、リートがそう言ってもよぉ」

 

「マスターは過去の事をとやかく言うような人じゃねぇよそれはお前もよく知ってるだろ?」

 

「リート…」

 

「ま、いずれにせよ帰ってからマスターに直に聞けばわかることだ、急ぐことじゃねぇよ」

 

「そうだな」

 

すると3人の後ろから新しい人影が2つ現れる

 

バチィン!!

 

「あひぃ」

 

人影の一つがジュビアをはたき飛ばす

 

「な!!?」

 

「なんですの!!?」

 

「ジュビア!!!」

 

 

 

「何だテメェら」

 

「いきなり何しやがる」

 

グレイとリートはジュビアをはたき飛ばした人物とそのとなりにいる人物を睨み付ける

 

「グレイ・フルバスターと」

 

「リート・イクシーズですね」

 

ジュビアをはたき飛ばした巨漢の男と紫色のロングヘアーをした女性がグレイとリートに話しかける

 

そして先程のポリゴン男がナツに聞く質問とタイミングが合わさる

 

「「「エルザ(お姉様)はどこにいる?」」」

「だゼ」

 

 

……

 

一方エルザとルーシィはポーカーを楽しんでいた

 

「すごーいエルザ!!」

 

エルザは連戦連勝中だった

 

「ふふ…今日はついてるな」

 

 

するとエルザ達の反対テーブルにいるディーラーがチェンジする

 

「ディーラーチェンジだ」

 

「あ…ちょっと」

 

 

「今なら誰が相手でも負ける気がせんぞ」

 

「だね」

 

 

絶好調のエルザにディーラーが話しかけた

 

「だったら特別なゲームを楽しまないか?賭ける物はコインじゃない」

 

そう言ってカードをきり終えたディーラーは五枚のカードをテーブルに出す

 

そこにはD・E・A・T・Hのアルファベットが並べられた

 

「命 賭けて遊ぼ」

 

エルザはふとディーラーの顔を見た

 

「エルザ姉さん」

 

エルザのからだが震え出す

 

「ショウ…」

 




今回はここまでです

新キャラの名前とチート魔法は次の話でしっかりと出す予定です

そして次回はあのキャラも復活します…ってか分かりやすすぎるか…

復活のB…あ、いややっぱり何でもないです、ごめんなさい


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楽園の塔

最近コメントをあまりもらえず少し凹んでる自分がおります

リートよ!!!コメントを貰えるほどもっと面白い展開にしてくれ!!!

…結局話し作るの俺やん…


「ショウ…」

 

「久しぶりだね 姉さん」

 

「え? え?」

 

ルーシィは二人を交互に見る

 

エルザは悲しそうな顔でショウを見ていた

 

「無事・・だったのか?」

 

「無事?」

 

「あ……いや…」

 

 

……

 

その頃リート、ラリカ、グレイも巨漢の男と紫髪の女と睨みあっていた

 

「エルザはどこだ?」

 

「あ?」

 

「テメェらがエルザに何の用だ」

 

 

「あなた達には関係のないことです」

 

「どこだ?」

 

 

「誰なんだテメェら」

 

するといきなりジュビアが水の姿から人型に戻りながらグレイの前、リートの横に立ちグレイを後ろに下げる

 

「お前…」

 

「ジュビア様大丈夫ですの?」

 

「グレイ様には指一本触れさせないジュビアが相手します」

 

「ジュビア」

 

「グレイ様 エルザさんの下へ……危険が迫っています」

 

「ラリカ、お前も行ってくれ」

 

すると相手の男と女の頭の中に着信が入る

 

「ん?」

 

「着信…ですね」

 

「もう見つかっただと?ほう…そうか」

 

「わかりました」

 

「じゃ…片付けていいんだな?」

 

「了解しました」

 

すると部屋の中が一気に暗くなる

 

「何だ!!?」

 

 

「闇の系譜魔法 闇刹那(やみせつな)」

 

 

ガッ!!ゴッ!!

 

「グレイ!!ジュビア!!」

 

リートが悲鳴が聞こえたほうへ意識を向けた瞬間耳元から声がする

 

「すみませんがこの子は頂いていきます」

 

 

「きゃっ!!」

 

「ラリカ!!!」

 

「何をしますの!!」

 

リートから少し離れたところからラリカの声が聞こえる

 

「逃がすか!!!」

 

リートは氷の塊を作り音のしたほうへ放つ

 

「…空気網(エアネット)」

 

グニン

 

何かの音がしたと思った瞬間リートの方へ敵に向けて放ったハズの氷の塊が飛んでくる

 

ドカン!!

 

「リートー!!!」

 

「騒がしいですね、申し訳ありませんけど少し眠っていてください」

 

「むぐっ」

 

女はラリカの口に何かを入れその瞬間ラリカは意識を失った

 

 

……

 

 

「が…がんが!?こんごわ!!!」〈な…なんだ!?こんどは!!!〉

 

ナツも口に銃を突っ込まれたまま部屋の明かりが消えて戸惑っていた

そしてハッピーもナツを見失う

 

「ナツー!!どこー!!」

 

 

「グッナイボーイ」

 

ダン!!!

 

「ナツーー!!!」

 

 

……

 

 

「何コレ!?」

 

「何がおきた!!?」

 

少しずつエルザ達の周りが明るくなってくる

 

「光が戻ってきた」

 

エルザがショウのいたカウンターに目を向けるとショウはその場から離れていた

 

「ショウ!?」

 

「こっちだよ姉さん」

 

エルザ達の後ろから声がした

 

エルザとルーシィが振り返った瞬間ショウがカードを床にばらまいたところだった

 

「ええ!?」

 

ショウがばらまいたトランプをよく見ると中に人が入っていた

 

「なんだコレは!!」

「誰か助けてー」

 

「人がカードの中に!!?」

 

 

「不思議?俺も魔法が使えるようになったんだよ」

 

 

「魔法!?お前一体…」

 

 

「ククク…」

 

 

「みゃあ」

 

 

ルーシィの後ろから声が聞こえたとたんルーシィの後ろからロープが出てきてルーシィを締め上げる

 

「きゃあ!!」

 

「ルーシィ!!」

 

「うっ」

 

 

「みゃあ元気最強?」

 

いつの間にか先程のカウンターに猫耳の少女が座っており締め上げたルーシィを隣に引っ張ってきた

 

「ミリアーナ!?お前も魔法を!?」

 

 

「久しぶり~エルちゃん」

 

ミリアーナはエルザに手をふる

 

「何をしている!?ルーシィは仲間だ!!!」

 

 

「みゃあ?仲間?」

 

「僕たちだって仲間だったでしょ?姉さん」

 

 

(仲間……だった?)

 

 

「う…ああ…」

 

エルザの体の震えが徐々に大きくなる

 

「姉さんが俺達を裏切るまではね」

 

 

「そうエルザをいじめてやるなショウ ダンディな男は感情を抑えるもんだぜ」

 

「そ…その声はウォーリー?」

 

なにもなかった空間からナツを撃った男ウォーリーが現れた

 

「すっかり色っぽくなっちまいやがってヨ」

 

「まぁ気づかねぇのも無理はねぇ狂犬ウォーリーと呼ばれてたあの頃にくらべてオレもまるくなったしな」

 

 

「お前も魔法を」

 

 

「驚くことはない」

 

「そうですよエルザお姉様、コツさえつかめば誰でも簡単に魔法が使えます」

 

またなにもなかったハズの空間からグレイを襲った男が現れ

ラリカを連れ去った女が床を波のように動かしその上に立ちながら移動してきた

 

「シモン!?エレナ!?」

 

ドサッ

 

「うっ」

 

ルーシィは縛られたままうつ伏せに倒れる

 

「エルザこいつらなんなの!?姉さんてどういう事!?」

 

「本当の弟と妹ではない

かつての仲間達だ」

 

「仲間って………エルザは幼い頃からフェアリーテイルにいたんでしょ!!」

 

「それ以前…ということだ」

 

エルザは震えながらも話しを続ける

 

「お前達がなぜここに…ルーシィを解放してくれ」

 

 

「あなたを連れ戻しにですよエルザお姉様」

 

「みゃあ」

 

「帰ろう 姉さん」

 

「言うこと聞いてくれねぇとヨォ」

 

ガチャ

 

「ひぃ」

 

ウォーリーはルーシィに向かって銃を向けた

 

「よ…よせ!!頼む!!やめてくれ!!」

 

するとルーシィに向けていたウォーリーの手が消えてエルザの後ろからいきなり現れエルザに発砲する

 

バフ

 

「あ…」

 

「エルザーー!!!」

 

「睡眠弾だゼ」

 

「相変わらず手際がいいですねウォーリー兄様」

 

エルザが眠ったところをシモンが抱える

 

「目標確保 帰還しよう」

 

「ちょっと!!!エルザをどこに連れてくのよ!!!返しなさいよ!!!」

 

ルーシィは這ってでもエルザを追いかけようとする

 

「みゃあ」

 

ピッ

 

しかしミリアーナがルーシィに向かって指を指して動かすとルーシィを縛っていたロープがよりきつく締め上げられる

 

「うぐっ…あああっ」

 

 

「後5分くらいで死んじゃうよ~きみぃ~」

 

「そういや君にプレゼントだゼ」

 

「あ、私もですミリアーナお姉様」

 

ウォーリーはハッピーをエレナはラリカをミリアーナに手渡す

 

「みゃあ!!ネコネコ~もらっていいの?」

 

「フフw勿論ですよその為に捕まえたんですから」

 

ミリアーナはハッピーとラリカを大事そうに抱えた

 

ハッピーとラリカは眠ったままだ

 

「姉さん帰って来てくれるんだね」

 

「楽園の塔へ…きっとジェラールも喜ぶよ」

 

ショウは目に涙を浮かべ喜んだ

 

(楽園の塔…完成していたのか…)

 

エルザは掠れていく意識のなかショウ達の会話を聞いていた

 

 

………

 

 

ショウ達が立ち去った後ルーシィは締め上げられるロープをほどこうともがいていた

 

そして、何とか鍵を手に取るすることまで出来たルーシィは星霊を呼ぼうとする

 

「ひ…開…巨蟹宮の…扉!!!」

 

しかし星霊は出てこなかった

 

「あ…あれ?」

 

「キャンサー!!!タウロス!!!ロキ!!!出てきて!!!」

 

しかし星霊は出てこずルーシィは徐々にロープで締め上げられていく

 

「う…あ…」

 

(どんどんきつく…)

 

ルーシィが締め上げられている時カジノの出入り口から誰かの声が聞こえた

 

「おーおー派手にぶっ壊れてんなぁ誰の仕業だこりゃ?」

 

「あ…あんたは…」

 

カジノの出入り口から現れたのはジョゼの元右腕と呼ばれた男バンクだった

 

「あれ?お前妖精んとこの……ルイージ?」

 

「ルーシィよ!!!」

 

「そうそうそれだ、ってことはあれかコレはお前らがやったのか」

 

「そんな事はいいから…とにかく…この縄を切って…もう…かなりきつい…」

 

「おう、いいぜ任せときなw」

 

バンクはルーシィの下に行くと容易くロープを引きちぎった

 

「あ…ありがとう…助かったわ」

 

「おう、それよりどうなってんだコレ?他には妖精のやつらは居ねぇのか?」

 

「そうだ!!!皆を探さないと!!!」

 

ルーシィはバンクを置いてリート達を探し始める

 

「ナツー!!!リートー!!!グレーイ!!!」

 

「忙しねぇ奴だなぁあいつ…」

 

ルーシィはグレイを見つけたがグレイの胸には鉄パイプが突き刺さっていた

 

「グレイ…そんな…嘘でしょ!!!ねぇ!!!ちょっと!!!」

 

ルーシィがグレイを起こそうと抱き抱えるとグレイの体は粉々に砕けた

 

「きゃあああ!!!」

 

「安心してくださいグレイ様はジュビアの中にいました」

 

「あんたは!!!」

 

ルーシィの近くからジュビアが起き上がり水の体からグレイを出した

 

「ぐはっゲホッゲホッ」

 

「な…中…アハハハ」

 

「あなたではなく私の中です」

 

「う…うん…そうね」

 

グレイは服を脱ぎながら状況を説明する

 

「突然暗闇になったからな身代わり作って様子見ようと思ったんだが」

 

「敵にばれないようにジュビアがウォーターロックでグレイ様をお守りしたのです♪」

 

「余計なことしやがって!逃がしちまったじゃねぇか」

 

「ガーン」

 

「それより、ナツとリートとエルザは?」

 

グレイはルーシィに聞くが

 

「ナツとリートはわかんないエルザは」

 

ドカァン!!!

 

グレイ達の近くから何かを破壊するような音が聞こえそちらを向くとリートが氷を叩き割って出てきていた

 

「あーくっそ!!シクった!!あのアマ!!!オレの氷を跳ね返した上に氷に何か仕込みやがったな!!!」

 

「リート!!!」

 

するとリートに向かって突進する影が

 

「!!?」

 

「久しぶりだなぁ!!!氷竜ゥゥゥ!!!」

 

バンクは思いっきりリートに殴りかかる

 

リートもそれに気が付きバンクの拳を同じく拳をぶつけて相殺する

 

「何でテメェがここにいるんだよ!!!」

 

「あ?成り行きだ成り行き♪」

 

バンクの存在に気付いたジュビアも驚く

 

「バンク君!!?」

 

「おう、ジュビア!!元気そうだなオイw」

 

そして別のところからも大きな音が聞こえる

 

ドゴォォン!!!

 

音の方からはナツが炎を吹き出して起き上がっていた

 

「痛ぇーーー!!!」

 

「ナツ!!!」

 

「ぶはぁ、普通口の中に鉛玉なんかぶち込むかヨ!!?ア!?下手すりゃ大怪我だぞ!!!」

 

「普通の人間なら完全にアウトなんだけどね…」

 

「あんの四角野郎ォォ!!!」

 

「逃がすかコラァァァ!!!!」

 

ナツは勢いよく走り出した

 

「追うぞ!!」

 

「バンク!!テメェもこい!!!」

 

「あ?」

 

グレイとリートはナツを追いかける

 

「追うって言ってもどこにいるのか」

 

「あいつの鼻の良さは獣以上だ!!!」

 

 

 

「うおおおおっ!!!!」

 

 

……

 

 

『楽園の塔』

 

「ジェラール様エルザの捕獲に成功したとの知らせが

こちらに向かっているようです」

 

ジェラールと呼ばれた男はニヤケだす

 

「しかし…なぜ今さらあの裏切り者を?」

 

クスッ

 

「貴方ほどの魔力があれば始末するのは容易かったはずだ」

 

「それじゃあダメだ」

 

「?」

 

「この世界は面白くない」

 

「はぁ…?」

 

「しかし楽園の塔が完成した今これ以上生かしておくと面倒な事になりかねん」

 

「時は来たのだ」

 

「オレの理想の為に生け贄となれ

エルザ・スカーレット」

 




今回はここまでです

すいません新キャラは名前(エレナ)と魔法を少し出すことしか出来ませんでした後々詳しく書いていくつもりなので許してください

そしてバンク君お帰り!!!ちなみにバンクがホテルにいた理由はフリー魔導士になってからファントムの頃のつてで護衛の依頼をやって来ていたという設定にしてあります


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Rシステム

先日やたらアクセス数が多いなぁ…なんでやろ?と思い
色々と調べてみた結果、二次創作日間ランキング13位に入っていました

ほぉー、13位か…13位!!?

もっと底辺争いしてる作品だとばかり思ってた…


『魔法評議会会場ERA』

 

ERAでは評議院のメンバーが集まり緊急会議を行っていた

 

「Rシステムがまだ残っているだと!!?そんなバカな!!!」

 

「8年前…黒魔術を信仰する魔法教団が莫大な資金を投じて建設する予定だったRシステム」

 

「7つの塔だったか?あれは全部評議会が押さえ今では跡形もないハズ」

 

「8つ目の塔があったんよカ=エルムの近海にのう」

 

「まさか…既に完成してるわけではなかろうな」

 

「残念やけど」

 

「完成…してるのね」

 

「しかしRシステムが今ごろになって」

 

「楽園の塔」

 

評議院のメンバーが話しているときジークレインが会話に混ざり出した

 

「Rシステムじゃねぇ楽園の塔…だろ」

 

 

・・・

 

 

一方ナツ達は船に乗り海に出ていた

 

「どこだよここはよぉ!!!」

 

「ジュビア達迷ってしまったんでしょうか?」

 

「ねぇ、ナツ、リート本当にこっちであってるの?」

 

ルーシィがナツとリートに聞くが二人は船酔いでそれどころじゃなかった

 

「お…おお…おお…」

 

「うっぷ…おおおお…」

 

「だっはっはっはっ!!!wwお前らだっせぇ!!w」

 

船酔いしているナツとリートを見てほとんど全員が呆れた顔をし、バンクだけが大爆笑していた

 

「オメーらの鼻を頼りに来たんだぞ!!!しっかりしやがれ!!!」

 

「グレイ様の期待を裏切るなんて信じられません」

 

「くっそ!!俺たちがのされている間にエルザとハッピーとラリカがつれてかれたなんてよ!!!」

 

「まったく…情けねぇ話しだ」

 

「本当ですね、エルザさん程の魔導士がやられてしまうなんて……」

 

ジュビアの台詞を聞いたとたんグレイがジュビアを睨み付ける

 

「やられてねぇよ エルザの事知りもしねぇくせに」

 

グレイに睨まれたジュビアは怯える

 

「ご…ごめんなさい…」

 

「グレイ!!落ち着いて!!!」

 

「そうだぜぇ、焦ったところで現状は変わらねぇからな、今できることを考えるべきだぞ」

 

「ちっ」

 

グレイが船の上に座り直した

 

「あいつら…エルザの昔の仲間って言ってた」

 

「あたし達だってエルザの事全然わかってないよ…」

 

そして、話題を変えようとふとルーシィはバンクを見る

 

「ん?なんだ?なんか用か?」

 

「いや、あんたって性格に似合わず意外と冷静な事を言うのね」

 

「あん?まぁこういうのは昔戦い方を教えてくれた師匠が似たような事を言ってたんだよ」

 

「へぇあんた師匠とかいたんだ…」

 

バンクの顔色が少しだけ青くなる

 

「どんな師匠だったの?」

 

「……言えねぇ…」

 

「え?」

 

そんな話しをしていると遠くで塔が見えてきた

 

「あ」

 

「塔だ」

 

「あれが…楽園の塔…」

 

 

・・・

 

 

ナツ達が楽園の塔の向かっていたときエルザは一足先に楽園の塔に連れていかれていた

 

「本当に……完成していたのか」

 

「あれから8年も経つからねオレたちが完成させたんだよ」

 

「歩け」

 

シモンがエルザの背中を押す

 

「8年か…変わったなお前らも」

 

その言葉にエルザはどことなく悲しそうな顔をする

 

 

……

 

 

『地下牢獄』

 

「儀式は明日の正午…それまで大人しくしていてくださいエルザ姉様」

 

エルザは牢獄で腕を縛られて吊るされる体制になっていた

 

(儀式!? Rシステムを作動させるのか)

 

牢獄にはショウだけが残りその他の者は出ていった

 

「しょうがないよね裏切った姉さんが悪いんだ、ジェラールは怒っている」

 

「儀式の生け贄は姉さんに決まったんだよ」

 

ショウが一方的に話しかけるのをエルザは黙って聞いていた

 

「もう姉さんには会えなくなるね、でも全ては楽園の為」

 

エルザは少しだけ震えていた

 

「震えてるの?生け贄になるのが怖い?それともここがあの場所だから?」

 

エルザは昔の事を思い出していた

 

楽園の塔を作るために奴隷のように扱われていたこと

 

ショウが脱走を立案しジェラールが庇おうとしたがエルザが犠牲に懲罰房へつれていかれたことを

 

「あのときはごめんよ姉さん…立案者は俺だった」

 

「でも、怖くて言い出せなかった…本当…ズルいよね……」

 

「そんな事はもういい

それよりもお前達はRシステムで人を甦らせる事の危険性を理解しているのか?」

 

「へぇRシステムが何なのか知ってたのか意外だね」

 

エルザがRシステムについて話し始める

 

「リバイブシステム

一人の生け贄の代わりに一人の死者を甦らせる

人道を外れた禁忌の魔法」

 

エルザの説明を聞いてショウは少しだけ否定する

 

「魔法に元々人道なんてないよ全ての魔法はヒューマニズムを衰退させる」

 

「黒魔術的な思想だな、まるで奴等と同じだ」

 

「奴等はRシステムをただの反魂の術

生き返りの魔法 としか認識してなかったんだよ

だけどジェラールは違う」

 

「その先の楽園へとオレたちを導いてくれる」

 

「楽園?」

 

ショウはエルザに顔を近付ける

 

「ジェラールがあの方を復活させるとき世界は生まれ変わるんだよ

オレたちは支配者となる」

 

 

 

「自由を奪った奴等の残党に…俺達を裏切った姉さんの仲間達に…何も知らずにのうのうと生きてる愚民どもに…評議院の能無しどもに…」

 

「全てのものに恐怖と悲しみを与えてやろう!!!!

そして全てのものの自由を奪ってやる!!!!

オレたちが世界の支配者となるのだぁぁぁぁ!!!!」

 

 

ゴッ!!

 

「ガッ」

 

エルザはショウの顎を蹴りあげる

 

ショウは気を失い倒れる

 

エルザは縛られた紐を噛みきり鎧に換装する

 

「何をすれば人はここまで変われる!!?」

 

「ジェラール……貴様のせいか……」

 




今回はここまでです
今回少しだけ話しに出したバンクの師匠ですがかなり後に重要な役割を果たさせてやろうと考えてます

まぁつってもまだ全然出す気はないですけど…


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衛星魔法陣(サテライトスクエア)

大変長らくお待たせいたしました

コラボストーリーに付きっきりだった為本編を少しだけ離れておりましたことをお許し下さい

しかし、こちとらそれも完成して小説もフリーの現実でもフリー(独身彼女無し)となりました!!あ、後者の方は元からフリー(独身彼女無し)です( TДT)


ハッピーはとある部屋で目を覚ます

 

その部屋はネコグッズで溢れていた

 

「ネコーー!!!ネコだらけーー!!!!」

 

「うーん…うるさいですわよハッピー…」

 

隣で眠っていたラリカもハッピーの声で目を覚ました

 

「って…どこですのここは!!!」

 

「オイラも知らないよー!!」

 

「ナツー!!」

 

「リートー!!」

 

ハッピーとラリカはナツとリートを探すため大声を出した

 

「みゃあ」

 

「「!!!」」

 

するといきなり二匹の目の前にミリアーナが現れる

 

「元気最強?」

 

ミリアーナは首をかしげて二匹に尋ねた

 

「元気…最強?」

 

「この方は何を言ってますの?」

 

「みゃあー!!喋るネコネコだぁー!!」

 

ミリアーナはいきなりテンションを上げた

 

「ミリア…もっとダンディになりな」

 

ミリアーナの後ろから2つの影が見えた

 

「「(お前)(あなた)は!!?」」

 

「ネコが喋るんじゃねぇ喋るからネコなんだぜ」

 

「そっかー!!」

 

「いや、意味がわかりませんウォーリー兄様…」

 

ミリアーナの後ろから現れたのはウォーリーとエレナの二人だった

 

「ここはどこですの!!」

 

「ナツはどうしたんだー!!」

 

「あなた、リートにもしもの事があったらただじゃおきませんわよ!!」

 

ハッピーとラリカはウォーリーとエレナに警戒しながら話しかける

 

「ヘイ キャーッツ

ボーイは今頃アスファルトに口づけしてるぜ」

 

「あの男も今頃ペシャンコになってますよ

 

例え無事でも私の麻痺毒で指先ひとつ動かせず言葉も発することも出来ずにただ死を待つだけになってますよ」

 

ハッピーとラリカはその言葉に一瞬驚くが

 

「ナツが、あれくらいでやられるもんか」

 

「リートもですわよ」

 

ハッピーとラリカは二人を信用していた

 

そこにシモンが勢いよく扉を開けてやってきた

 

「ウォーリー!!エレナ!!ミリアーナ!!エルザが脱走した!!!」

 

エルザという名前にハッピーとラリカは反応する

 

「エルザ!!?」

 

「ここにいますの!!?」

 

脱走したと言われているのにミリアーナ達はやけに落ち着いていた

 

「脱走ー懐かしい響きーw」

 

「シモン ダンディになれよこの塔から逃げられるわけないぜ」

 

「おそらく逃げてはいないでしょう…」

 

エレナの言葉にシモンが肯定する

 

「あぁ…逃げねぇだろうな…ジェラールを狙ってくるぜ」

 

「はぁ…そんなことだろうと思いましたよ」

 

エレナは部屋の出口に向かう

 

「私、先に行ってます」

 

そう言うとエレナは部屋を後にした

 

それを追うようにシモン達も出ていく

 

「俺達も行くぞ!!来い!!」

 

「みゃあ!!」

 

「全く女ってのはいつの時代も面倒だぜ」

 

部屋にハッピーとラリカだけが取り残された

 

「一体…何が起こってるんだ?」

 

「…さぁ?」

 

 

……

 

 

「あははははっ」

 

エルザの脱走に気がついたジェラールは笑っていた

 

「ジェラール様?」

 

「ふふふ、やはりエルザはいい女だ。実に面白い」

 

「俺が勝つか エルザが勝つか

楽しもう 生と死……そして過去と未来を紡ぐ楽園のゲームを」

 

「し…しかし…評議院の動きも気になりますな」

 

 

・・・

 

 

『ERA(エラ)』

 

評議院のメンバーはRシステムについて話し合っている

 

「Rシステムは人間の生と死の法則を無視した極めて危険な思想が生み出した許されざる魔法」

 

「占拠しているのが何者だろうと敵とみなすべきだ!!!」

 

「ただちに軍を派遣するのじゃ!!!」

 

「…鳩どもめ」

 

評議院が騒ぎ立てるなかジークが一言そう言った

 

「!?」

 

「ジーク貴様!!」

 

評議院から反感をかうなかジークは話しを続ける

 

「オレから言わせれば軍の派遣程度ハト派を呼ばざるを得ないと言ったんだ」

 

「あれは危険すぎる」

 

「あんたらは何もわかっていない!!楽園の塔を今すぐ消すなら方法は一つだろ!!」

 

 

 

 

「衛星魔法陣(サテライトスクエア)からのエーテリオン!!!」

 

 

その一言を聞いて評議院は驚愕する

 

「な!!?」

 

「超絶時空破壊魔法だと!!?」

 

「被害予測は出来ているのか!!?力加減で一国をも消せる魔法だぞ!!!」

 

「エーテリオンは我々の最終兵器じゃ!!!Rシステムより危険な魔法なんじゃぞ!!!」

 

「ふぅ…」

 

ジークの説得はまだ続く

 

「しかしサテライトスクエアならば この地上全ての物を標的にできる

そしてあの巨大な建造物を消すにはエーテリオンしかない」

 

「賛成…ですわ」

 

ウルティアは手を上げる

 

「ウルティア!!!貴様まで」

 

「我々は全部で9名 あと3名の賛成票があればエーテリオンを撃てる!!」

 

「時間がないんだぞ!!!Rシステムは絶対に使わせちゃいけねぇ!!!」

 

 

・・・

 

 

『楽園の塔内部』

 

エルザは楽園の塔で雑魚を蹴散らしながらジェラールを探し回っていた

 

「うわぁぁ!!」

 

「エルザだぁぁ!!」

 

エルザは雑魚の一人に剣を突き付け質問する

 

「ジェラールはどこだ!?」

 

 

・・・

 

 

一方リート達も楽園の塔の外にまでやってきていた

 

「見張りの数が多いな」

 

「気にする事ぁねぇ!!突破だ!!」

 

「おっし!!賛成!!」

 

グレイが見張りの位置を調べているなかナツとバンクは力ずくで突破しようとする

 

「ダメだ」

 

リートとルーシィが二人を止める

 

「そうよ、エルザとハッピー、ラリカまで捕まってる

ヘタな事したらエルザ達が危険になるのよ」

 

「エルザは大丈夫だと思うが…ハッピーとラリカには戦う術がねぇ…ここはなるべく気付かれずに行動するべきだ」

 

「しかも塔らしきものはずっと先の方だここでバレたら分がわるいな」

 

すると後ろの海からジュビアが現れる

 

「ジュビアは水中から塔の地下への抜け道を見つけました」

 

「マジか!!」

 

「でかした!!」

 

「さすがジュビアだな」

 

リート、グレイ、バンクはジュビアを褒めた

 

「ほめられました

あなたではなくジュビアが…です」

 

ジュビアはルーシィにそう言うと顔を近づける

 

「はいはい…」

 

「水中を10分程進みますが息は平気でしょうか?」

 

ジュビアはナツ達にそう聞く

 

「10分でいいのか?」

 

「10分くれぇなんともねーよ」

 

「だな」

 

「なんなら20分は余裕だぞ♪」

 

「無理に決まってるでしょ!!!」

 

ルーシィ以外は10分は余裕で潜れるらしい

 

するとジュビアは水の玉らしきものを人数分作り出す

 

「これを被ってください酸素を水で閉じ込めてあるので水中でも息ができます」

 

「へぇー便利なもんだな」

 

「いいなコレ♪」

 

「ほぉー、つーかお前誰だ?」

 

ナツ達は水の玉を頭につける

 

 

……

 

 

『楽園の塔地下』

 

ナツ達は水中から現れた

 

「便利ねコレ

マヌケだけど」

 

「あぁ、色々と役にたちそうだ」

 

リート達は水の玉を頭から外す

 

「ルーシィさんだけちょっと小さめに作ったのに

よく息が続きましたね」

 

「オイオイ!!!」

 

「どんだけ嫌われてんだよお前!!ダッハッハッハww」

 

ジュビアとルーシィのコントじみた会話にバンクは大爆笑する

 

「お前ら静かにしろ…敵に見つかったら元も子もねぇだろ」

 

「うっ…ごめんなさい…」

 

グレイは辺りを見回す

 

「ここがあの塔の地下か?」

 

「エルザとハッピーとラリカがこのどこかに」

 

すると上から無数の人影が見えた

 

「何だ貴様らはぁーー!!!」

 

その中の一人が大声で叫ぶ

 

「やばっ」

 

「見つかったな♪」

 

「ここまで来たらやるしかねぇだろ」

 

「あぁ」

 

「はい!!」

 

ナツは炎を纏い敵がいる足場を壊した

 

「何だ貴様らはだと!?」

 

「上等くれた相手も知らねぇのかヨ!!!」

 

 

 

「うわぁ」

 

「ぬぁっ」

 

 

 

「フェアリーテイルだバカ野郎!!!」

 

「おぉー!!アイツ、俺より先に突っ込んでいくとはなかなかやるなぁw」

 

ナツの行動をバンクは称賛する

 

「んなこといってる場合じゃねぇぞ」

 

リートも敵に攻撃した

 

「氷竜の弾落」

 

「うわぁぁ!!」

 

「ぎゃぁぁ!!」

 

それに続くようにバンクも突っ込む

 

「風乱拳!!!」

 

「あああ!!!」

 

まだ攻撃をされていない敵がルーシィに切りかかる

 

「ひぇ」

 

ルーシィはそれをギリギリでかわし鍵を取り出す

 

「開け!!!巨蟹宮の扉!!!」

 

「キャンサー!!!」

 

ルーシィの召喚によりキャンサーが飛び出し敵の頭の毛を刈る

 

「久しぶりエビ」

 

 

「おぉーーー!!!何だアレ!!なぁ何だアレ!!!」

 

「うるせぇなお前は!!戦えよ!!!」

 

リートの背中を力強く平手で叩き続けるバンクにリートはツッコんだ

 

そしてジュビアも数人の敵に切りかかられるがジュビアの体は水の為効果は全くなかった

 

ザパァ

 

「え?」

 

「何だこいつ!!?」

 

「水流斬破(ウォータースライサー)!!」

 

ジュビアは水で敵を切りつけた

 

そしてグレイも残っている足場を使い動き回る

 

ガッ

 

「ぐっ」

 

「ごっ」

 

グレイは足場から跳ぶと追いかけてきた敵を空中で踏みつける

 

「アイスメイク・ハンマー!!!」

 

さらにグレイはその上から巨大な氷のハンマーを落とした

 

「ぎゃあ!!」

 

「がほぉ!!」

 

「ぐあぁっ!!」

 

その後敵を全員倒すまでリート達は暴れ続けた

 

敵を殲滅したリート達の部屋の天井から扉が開きハシゴが降りてくる

 

「何か扉が開いたぞ」

 

「上へ来いってか?」

 

「どうせ侵入する予定だったんだ…行くぞお前ら」

 

 

……

 

 

「ジェラール様!!一体何を!!?」

 

「侵入者を引き入れるなんて!!」

 

ジェラールの部下はジェラールにそう言う

 

しかしジェラールは気にしていない

 

「言っただろ?これはゲームだと

奴等はゲームをクリアしただけのことだ」

 

「面白くなってきやがった

ハハハ」

 

「しかし儀式を早めなくてはいずれ評議院に感づかれますぞ」

 

「ヴィダルダスまだそんなことを心配しているのか?」

 

「止められやしない

評議院のカスどもにはな」

 

 




今回はここまでです

ちなみにコラボの詳しい情報は主の活動報告に上げてあるため是非見ていってください


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特別コラボストーリー
時空を越えて運命の出会い!?


今回から少しの間HIRO HIROさんとのコラボ作品

FAIRY TAIL 大地の滅竜魔導士達の大冒険とのコラボ企画をさせていただきますこちらでは活動報告でも説明したように

主の作品を大地の竜で、HIRO HIROさんの作品を氷竜で投稿することになってますので皆様少しの間ですがお付き合いください


コラボストーリー

 

無事ゼロも撃破 ウェンディもギルドに入って俺達は平和を感じながらパンケーキを食べていた。

因みにイアはあんな大怪我になってもめげずにヤーンメイクを極めてんだからヤバいな………

そんな平和が続けばいいのに…………………

そんなフラグを立ててしまった事に気づいた。

 

「ランデスー!!!」

やらかした。するとミラが慌てて走ってきたのだ。俺って仕事という名の悪魔に取り憑かれてるのかもしれない………

 

「緊急指名手配書よ!イアと一緒に向かって!!!」

まただよ。アルバンテスじゃないよな?

 

「依頼人はツリバナの街の市長さんからよ………依頼は盗賊退治だって!」

えぇ………今ナツ達はウェンディ達と妖精の尻尾(フェアリーテイル)としての初仕事で行ってる為行く宛が俺達しかいないんだと言う事だ。

 

パスしてぇ……そんな事考えてると

 

「ミラ!そのクエスト受けるわ!!!」

全く懲りねぇ天敵(イア)が依頼書を俺から取り上げた。

 

「今までの指名手配書にろくな事なかっただろ……………」

怪盗から宝を守ったり その元怪盗から宝守ったり………てか全部宝関係だったな。てか盗賊退治って宝が関係ありそうなんだが

 

「ほら!行くわよ!!!」

こいつ耳ないんじゃないの?

急に俺達の緊急指名手配書が増えた気がする。どう見てもファンタジアのせいだろう……

 

そもそも俺はぐうたらと自堕落な生活過ごしてるニートなんだけど、しかも最近自分が自分じゃない気がする……そんな事考えながら俺はズルズルと引っ張られて行った……………………………

 

ツリバナの街

結局地獄のような電車の旅を満喫して俺達は今市長さんに会っていた。

 

「緊急の指名手配書にも関わらずわざわざマグノリアから遥々と来て下さりありがとうございます」

市長は深々とお辞儀をする。

 

「いえいえ!それより一応改めてクエストの内容を説明してもらえませんか?」

イアは俺には見せない笑顔で話していた。これが女の闇か…………

 

「えぇ……これは去年くらいになるんですが…………………………」

あ これ長くなるやつだ。適当に流しとこ

まぁ市長が30分近く長々と話していた。

もうオズモンなんてぐっすり寝ていた。

 

去年からツリバナの街の外れにある もう今は使われていない教会があるんだがそこに盗賊が住み着いたらしい

盗賊に喧嘩を売るのも危険だと思い 何もしてこなければ相手にしなくていいと市長が決めたそうだ。連中も何もしてこなかったのだが 遂に一昨日この街の銀行 博物館を同時に襲撃したらしい

 

金は100万J 博物館は色々と歴史的価値があるものを奪われたとの事 それを取り戻すのと含めた盗賊退治ってのが今回のクエストだ。

 

評議員にも頼ろうと思ったが六魔の件で殆どの部隊が忙しくて数日は迎えない事らしい

待てばいいのにと思ったがこういう輩は一度味をしめると永遠をやるタチの悪い奴らだと俺達は知っている。

 

「報酬は……100万Jの半分50万Jでどうでしょうか?」

まぁまぁの大金なのか?ガルナ島よりも報酬的には少ないが…………

 

「勿論!やらせていただきます!!!」

どうやら俺の意見は受け入れてもらえないらしい。

 

そんな訳で例の教会に来たんだが………

 

「これさ、かなり多くね?」

俺は少し青ざめる。見た感じ200人近くいるんだが……因みに今は教会の窓から見てる。

 

「しんどそうだねぇー」

オズモンは呑気そうに俺のフードから状況を確認していた。

「余裕よ」

イアのその何処から来る自信がおかしいと思う。

そんで俺達はデカい扉の前に立つ こんな大勢と戦うのはいつぶりだろうか………………

 

「そもそも俺は平和主義者こんな殴り合いをしてたって争いは減らな………痛い!痛い!腕をつねるなよ おい!聞こえてんのか!?止めろって!」

無言でイアは俺の腕をつねる。うわぁ……これ腫れたじゃん最悪だ。

仕方ない……俺は扉を叩いて

 

「ちわーす!ウー○ーイーツでーす……何か違うな」

 

「何言ってんのよ!!!」

イアにツッコミを入れられた俺は扉を破壊して教会に転がる。

教会にいた盗賊達は俺をまじまじと見つめていた。

 

「……………どうもA○azonです」

俺がそんなジョークを言った瞬間

 

「殺せ!」「生かして返さねぇぞクソガキ!!!」「半殺しじゃボケ!!!」

盗賊は一斉に襲いかかってきた。

 

「ギィヤァァァァ!!!」

変な奇声を出しながら俺は必死に逃げていた。

 

「槍《ランス》!!!」

イアは槍で盗賊を刺していた。

盗賊はただの剣、弓、棍棒で攻撃する原始人みてぇな攻撃方法だった為避けやすかった。

 

「散々追い掛け回しやがって頭にきた!!!砂竜の鉄拳!!!」

砂を纏った高速の拳で盗賊数名を吹っ飛ばした。

「っち!たった2人だ!数で押し切れ!!!マランス様が【あの杖の魔法】さえ発動すればこちらの勝ちだ!」

1人そんな事を言っていた男がいた。

あの杖?気になるな……

辺りを魔法で蹂躙しながら俺はそんな事を言っていた男に近づいて

 

「おい…おめぇらのボスは何処だ」

男の頭を掴んでやった。

 

「マランス様の事なら教えん!!!」

男はそう言い笑っていた。狂ってるなコイツ……俺はそんな男を地面に叩きつける。

 

「グギャァァァ………」

男はそんな声を出して気絶した。

そんな時奥の部屋から紫色の光がさしていた。

 

怪しいな……そんな事を考えていたらイアが大砲(キャノン)で敵を薙ぎ払っていた。

ようやく辺りに盗賊の数は減ってきたな………今なら行けるな。

 

「イア!奥に行くぞ!!!何かヤバそうな事してる奴が居るってよ!」

 

「分かったわ!!!」

俺がそういうとイアは頷いて先に向かった。

アイツ人の話は聞くけど待ってはくれないよな…………

俺もすぐにイアの後を追うのだった………………

 

????

かなり暗くて松明で少し明かりしか見えない部屋に着いた俺達は目の前の男を見ていた。

その男は黒いフードを被って顔は暗いせいでもあって見えない

男の手には紫色に輝く杖があった。

 

「てめぇがこの盗賊のボスま……何とか!覚悟しろ!!!」

 

「いや、いい加減人の名前1回で覚えた方がいいと思うよー」

オズモンは俺を見て呆れていた。

人名前なんぞ一々覚えてたまるか

 

「ふん……私こそがマランス・アルファルニヤ 」

おぉ長い名前だな。めんどいのでマランスでいいや

 

「アンタを倒してこの盗賊団は終わりよ!!!」

イアは構える。

 

「盗賊………いや 違うな我々は国を支配する団

新滅団だ」

何か厨二病みてぇだな。国を支配するとか1人で秘密基地でも作ってろ

 

「それよりその杖だよー」

オズモンは紫色に輝く杖を指さしていた。

 

「さっさと倒して終いよ!!!」

イアが槍を造ってマランスはそれを華麗に避ける。

 

「野蛮な連中め」

盗賊が1番野蛮だろうが

 

「岩竜の咆哮!!!」

俺はマランスの背後から咆哮を放つ

マランスは杖で攻撃を防ぐ たまげたなぁ滅竜魔法を杖程度で防ぐとは

 

「もう貴様等とは遊んでられないのだよ。次元魔法の力を見よ」

マランスは杖を俺達に向ける。杖は更に紫色に輝き始める。

 

「イア!オズモン!コイツはヤバい!!!一旦離れ………………………………………」

俺がそう言おうとした瞬間突然声が出なくなる………何故だと考えた時には遅く 俺達は歪んだ光に吸い込まれるように消えた。

 

????

俺は何が起きたのか状況確認する為目を薄らと開く

「アァァァァァァ!?」

気がつくと俺達は空にいた。アレ?何で空飛んでだ……………いや 違うコレは

 

「死ぬって!落下死は嫌だァァァ!!!」

かなりの速度で落下していた。

 

「オズモン!!!アレ!?オズモンー!!!オズモンさぁぁぁん!!!」

フードを揺らしたりしてみるがオズモンは反応しなかった。

 

そして俺は悟った。

これが死か………………

そうして俺は地面に落下した。

 

「痛ってぇぇぇ!!!」顔が地面に埋もれた俺は必死に抜け出そうとする。

酸欠になる前にようやく抜け出した俺は辺りを確認する。

 

「………ここ何処?」

少なくとも教会では無い教会にこんな山は無かった。

状況が理解出来ないでいると足音がした。それもかなり近くで

イアか?

俺は足音がここに来ると予想した。

まぁ俺の予想は的中して茂みから誰かが現れた。

 

「この辺で音がしたよな?」

 

「私も聞こえましたわ」

 

「気のせいじゃねぇのかぁ?」

 

目の前には男2人と……オズモンのようなネコ1匹がいた。

 

「「ん?」」

俺と目の前にいた俺と同じくらいの歳の少年は俺と同じように首を傾げて

 

「「誰?」」

また同じ言葉を同時に言った……………………

 




主の作品…リートとランデスが出会うまでが短すぎた…

言ってても始まらん!!このまま突っ切ってやる!!

主の作品は まったくの別話となってますので気になる方はそちらも是非ご覧下さい

前置きだけでかなりの長文…HIRO HIROさん…ご苦労様です


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異世界には氷竜がいるようです

コラボストーリー第2話です

またもや中々の長文です
やっべぇよ向こうの主の作品がちゃっちく見えちゃうよ



今目の前には青髪のストレートヘアの青年とオズモンと背の高さは同じくらいのネコにストレートヘアの奴よりも背の小さい男が立っていた。

 

「………どちら様ですか」

思わず普段使わない敬語になった。

よく見ると青髪のストレートヘアの奴は左の首筋、オズモンと同じようなネコは背中にギルドマークが付いていた。

それも妖精の尻尾(フェアリーテイル)のやつだった……………

 

「お前……そのマーク…………」

俺は青年をまじまじと見つめる。

 

「お前こそ……何で俺らのギルドマークを付けるんだ?」

青年も俺の首にあるギルドマークを見たらしく俺と同じような顔で見ていた。

 

「そうですわ!何故貴方達は妖精の尻尾(フェアリーテイル)のマークを…………」

オズモンのメス………シャルルとはまた違うネコが喋った。

もうシャァベッタァァァァァァァ!!!って反応しないからな…………

 

「僕達からしたら君達も同じ状況なんだけどねー…………………」

オズモンは飛びながら言っていた。

 

「うぉ!あの青猫と同じ見てぇだな!!!」

何か小柄のが…………青年が言っていた。ん?青猫………………?世界で俺は青くて飛べるネコなんぞ1匹しかいないが…………

 

「それってハッピー?」

俺が言う前にイアが先に尋ねた。

すると青髪の青年はたいそう驚いて

 

「お前等ハッピーを知ってるのか!?」

 

「いや、知ってるのも何も同じギルドメンバーだろナツにグレイ ルーシィ エルザ……………」

俺は一通りのメンバーの名前をあげるがどうもこの青年達は見たことない そもそもこんなネコも会っていない

 

「逆にナツ達は知ってるのにお前達なんかギルドで見た事ねぇよ」

凄い……会話にならないぞ…………

 

「ハッピー達は知ってるのに互いは認識がない…………ねぇランデス……これって………あの杖のせいなのかしら…………」

イアは推理し始めた。

まぁコイツはほっとことりあえずお前呼ばわりするのもされるのもアレだしな。

 

「………と、とりあえず自己紹介な!俺はランデス!ニート魔導士で夢は自堕落マスターになる事!!!こっちは相棒のオズモン!!!」

 

「ぴかっちゅー(棒読み)」

 

「お?なんだそれ?何かの真似か?」

 

「…ラリカ、知ってるか?」

 

「さぁ?」

 

もしかしてポケ○ン知らないのか?ジョークも通じないとは………ー

 

「ま……まぁいいか……俺はリート……こっちはラリカ そんでコイツはバンク」

「宜しくですわ」

 

「お前強そうだな……1回戦って見ようぜ!!!」

リード?ラリー?銀行?個性的だな……………

後銀行めっちゃ戦闘狂だな

 

「ランデスー多分……いや 絶対失礼な事考えてたでしょ………………」

オズモンは俺の顔を見て苦笑いをしていた。

 

「い……いや……そ……そんなわ……訳ね……えじゃん!」

 

「そう言う所は挙動不審ね………あっ!私はイア宜しくね!!!」

とまぁ自己紹介は終わったんが肝心な所だよ。

 

「ここは何処なんだ?」

リートに聞いてみると

 

「ここはマグノリアから少し離れた山の奥にある平原なんだけど……何でランデス達はこんな所にいるんだよ?」

 

「えっとな……………どこからどう説明すればいいんだ?」

俺が頭を抱えているとイアがため息をついて

 

「ホントしょうがないわね……私がこのポンコツの代わりに説明するわ」

っち!ポンコツ呼ばわりはひでぇな!!!

 

そんでイアは全て説明した。

依頼の内容も教会にいる盗賊退治だった事

謎の杖の輝きによってここにいる事や俺の黒歴史…………おいコラアホ!!!

 

「お前マジでざけんなてめぇ!何話やがったこの野郎!!!」

俺はイアの肩を揺らす。最悪な事にイアが何を言ったのかよく聞き取れなかったが俺の感がとんでもない事をイアが言った気がしたのだ。

 

「ハハハッ何も言ってないわよー」

クソ!オズモンみてぇな口調になりやがって!!!

隣ではリートが口を抑えて笑っていてラリカもまた肩を震わせていてバンクに至っては大声で笑ってやがる………………

 

「絶対に許さんぞ、虫けら共!じわじわとなぶり殺しにしてくれる!!!」

あの戦闘力530000のアイツのセリフを言い俺は魔力を解き放った……………

 

「わっ!!!ランデス冗談!冗談よ!!!」

イアは流石に笑い事じゃない事に気づいた。

 

「遅せぇよ!!!ふっざけやがって!!!」

俺はキレて拳に土を纏う

 

「土竜の鉄拳!!!」

イアの足元を狙うつもりだったのだがそんな俺の拳を拳で受け止めた男がいた。

リートだった。彼の拳には氷が纏われていた。しかもコレは…………

 

「………驚いた。リート……お前も滅竜魔導士(同類)だったなんて……」

 

「あぁ俺もだ。見た感じお前は土の滅竜魔法か?」

そんなリートとの言葉に俺は少し微笑して

 

「少し違うな。そんでお前は氷の滅竜魔法…………」

こうやって滅竜魔法同士で戦うのはコブラ以来だな

 

「違うのか?まぁ1度交えた拳だ最後までやろうぜ」

しまったな 感情的になり過ぎて己の首を絞める羽目になった。

 

「まぁ俺から仕掛けたししょうがねぇよな………本気でやるか」

俺は木を足に纏う

 

「いざ勝負!!!」

 

「来い!!!こっちも全力で相手してやるよ!!!」

俺とリートは地を蹴り激突するのだった……………

 

「不意打ち土竜の鉤爪!!!」

俺は足に土を纏いリートの脳天に向けて蹴る。

 

「氷竜の凍柱!!!」

リートは頭上にいる俺を見て 手のひらから氷の柱が出てきた。

 

「うおっ!」

俺は咄嗟に押し迫ってくる氷の柱を蹴る。氷の柱はまぁまぁ固く砕いたは砕いたのだが俺は平原を転がる羽目になった。

 

「……冷たいな」

グレイレベル………それ以上か……………どうしてさ滅竜魔法同士(俺と同類)には苦戦するんだ。

毒吐くやつもいるし雷吐くやつ鉄を吐くやつ今度は氷を吐くやつとか……………

 

そんな事考えてるとリートがいつの間にか距離を詰めてきた。

リートは冷気を片腕に集めて氷で腕を大きくした。

 

「氷竜の剛拳!!!」

 

「無茶苦茶じゃねぇか!?」

…………だがこの原理って……よくよく考えてみると

 

「木竜の大槌《ウッドハンマー》!!!」

俺は腕を大木にしてその大きな氷の腕を止める。まさか似たような原理だったとは……………

平原に咲く草花は冷気により凍りつく 互いは一旦距離を置く

 

「やるじゃねぇか……しかもランデスお前……2種類の滅竜魔法を使うとはな……………………」

リートはそう言う。

 

「エッヘン!」

俺は威張るがそんな余裕はないのだ。

リートの氷の滅竜魔法はかなり冷たい 手がかじかんで上手く戦えないのだ。まぁ俺らしく戦えばいいか……………

 

「岩竜の………………」

俺は息を深く吸う リートも息を吸って

 

「氷竜の………………」

 

「「咆哮!!!」」

岩と共に衝撃波を放つ俺

冷気と共に衝撃波を放つリート

その2つが今平原に激突する。

冷気は更に辺りの花を凍らせ俺の岩が草花を粉砕する。咆哮は岩が凍って砕けてどっちも互角だった。

まさかの攻撃力の高い岩竜の咆哮と互角とは…………

そして遠くにいたイア達は

 

「凄いわね…………」

 

「ハハッ!!!アイツ面白ぇな!!!」

イアとバンクはそう呟いていた。

 

「リートは今まで修羅場をくぐり抜けてきたんですのよ。これくらい当然ですわ」

ラリカはそうリートを見つめながらオズモンと会話をしていた。

 

「………ランデスもまぁーかなりの修羅場はくぐり抜けてきたのかもしれないよーあー見えて強いんだ」

 

「さっき不意打ちとかしていらしゃいましたわよ!?」

俺は不意打ちが成功すれば大抵のやつは勝てる理論だ。

 

そして互いの咆哮は打ち消しされて、平原に凍てついてる岩の塊が存在していた。

そこから大きな穴が出来て俺はその穴から出る。

俺は両手に砂を纏い高速で移動してリートの腹を殴る。

 

「砂竜の鉄拳!!!」「氷竜の剛壁!!!」

リートは咄嗟にさっきのように両腕に氷の膜を張ってガードされた。

強い……シャレにならないくらいに…………

そしてリートはガードした俺の懐に手のひらを広げて

「氷竜の柱弾!!!」

短い氷の柱が俺の懐に5発連続で命中した。流石俺ではゼロ距離の技はガード出来なかった。

 

「痛って!!!!」

俺は大きく吹き飛ばされて地面を転がる。

 

「ランデス!!!」

イアが遠くで大声で呼ぶ声がした。全く……イアも俺を舐めすぎてはないか?

俺は咄嗟に手に地面を付けて

 

「大地支配《グランドコントロール》!!!」

俺は平原の地面を歪ませて操る。

 

「凄ぇな……」

リートはそう驚きながら冷気を手で纏い手刀の構えをする。

 

「氷竜の凍剣!!!!」

そして俺が地面を歪ませて波を創り出したのだがそれを切りつけて破壊した。

 

「大波!!!」

俺はまるで海の巨大な波を彷彿とさせる地面の波を放つ

 

「氷竜の壁岩!!!」

リートは氷の壁を造って波にのまれる………………………何でだろうコレで勝った気がしない………いや、流石に窒息死する前に助けるが……

そんな事を考えていたらあの大きな波が一瞬で凍りついた。

 

「本当にやべぇな!!!!」

もう何でも可能だろ!?

そして凍った波からバキバキとリートが土を払いながら現れた。

 

「やるな。ランデス」

 

「まぁな………まぁ全然効いてなさそうだな……………」

 

「お前こそそんな事言ってる割には余裕そうじゃねぇか」

無理やりつくってんだよ…………

 

「コレで決めるぞ」

リートはそう言い構える。

 

「……分かった」

一か八か滅竜奥義にかける。

 

「「滅竜奥義」」

 

「氷刀飛燕斬!!!」

リートは氷の刃を作り構えをとる。

 

「零乃型 松蔭!!!」

俺は正拳突きの構えをする。

そして今互いの技がぶつかり合う瞬間だった。

 

「ようやく見つけた」

リートの後ろ…奥にある森の方からそんな声が聞こえた。

 

「リート!!!危ねぇ!!!」

俺がそう叫んだ時だった。

俺の脇腹に強烈な痛みが走る。

 

「ゴガァ…………ゴホッ!ゴホォ……オェ……」

俺は滅竜奥義を中断され倒れる。

 

「ランデス!?グハァ……」

リートも何者かの魔法によって滅竜奥義を中断されたのを見た。

 

「ランデス!!!!」「リート!!!!」

イア達が駆け寄ってくるが俺達の周りには黒いフードを被った集団が現れる。

 

「…ハァ……ハァ…………お前等……………何なんだよ………クソ………」

俺は滅竜奥義失敗の影響で魔力は空に等しかった。

 

「コイツ等を連れていく………あの邪魔な連中は消しておけ」

俺の目の前にいる背の高いフード男は俺の周りを囲っているフード軍団に命令する。

 

「「「「「了解」」」」」

そう言い黒フード野郎共が俺を掴む。

コイツ等……目的は俺とリートなのか?今日は災難だな……突然意味分からねぇ場所に来て意味分からない集団に捕まるとかな。

……………………しょうがない

俺は覚悟を覚悟を決める。腕に砂を纏う……そして俺は黒フードの連中の隙をついて……………

 

「邪魔だぁぁぁ!!!」

俺は全力で走った脇腹に激痛が走るがそれで黒フードの連中から離れてまだ黒フードの奴らの数が少ないリートの方に駆け寄る。

 

「捕らえろ!!!強硬手段でも構わない!!!」

さっきの司令塔らしき人物が声を荒げて黒フードの連中に命令していた。

まぁ時既に遅し俺はリートを持ち上げる。

 

「お、おい!ランデスお前どうする気だ!?」

リートはかなり驚いている。

 

「こうやるんだよぉぉぉ!!!」

俺はリートをそのままイアの方に投げた。

 

「イアァァァ!!!任せた!!!」

俺が怒鳴った瞬間俺の背中に炎が命中した。

 

「グ……………ちくしょう…………………………」

俺は意識を失ったのだった……………………………

 

イアサイド

突然現れた黒いフードを被った集団に襲われたランデス達に加勢しようとする私達に黒フードの集団は襲ってきたけどランデスがスキをついてリートをこちら側に投げてきたの

咄嗟に

 

(ネット)!!!」

糸の網を造ってリートをキャッチしたわ。

だがランデスは魔法をくらって地面に倒れる。

 

「リート!!!大丈夫ですの!?」

ラリカは網にかかっているリートに駆け寄る。

 

「くっ……平気だ……」

リートはそう言ったので私は理解する。

 

「皆逃げるわよ!!!」

私は皆に伝えた。

 

「イアー!?ランデスはどうするのー!?」

オズモンはたいそう驚いていた。ラリカも驚いて声も出なかった。

バンクは黒フードの連中を殴っていて聞いていなかった。

 

「おい イア!ランデスはお前の相方なんだろ!?」

リートも文句があるようだが私は

 

「リート……何でランデスが貴方を投げたと思う?………………………多分連中は滅竜魔導士を狙ってる。それに気づいたランデスはリートだけでもって思いで投げたのよ!今ここで抵抗して貴方が連れてかれたりしたらどうなるのよ!!!分かったなら引きづっていくから…………」

そう言うとリートは納得したらしく何も言わない

 

「けどイア ランデスはあのままだと敵に何されるか分からないですわよ」

ラリカは少し心配そうに倒れていたランデスを見ていた。

 

「…………大丈夫よ。アイツは....根拠はないけど……………」

 

「本当に大丈夫ですの!?」

 

「とにかく逃げるわよ!!!」

そう言って私は(ウィング)で空を飛び網をそのまま引きずる。

ラリカはオズモンと同じように翼を生やして私の隣にいて、オズモンも嬉しそうに暴れているバンクを掴んで空を飛ぶ

そうして私達は平原から離れた………………

 

「クソ!!!大地の竜しか捕獲出来なかったか…………まぁいい いずれ奴らは来るのだ……………その時捕獲すればいい」

司令塔の男はランデスを掴み森へと姿を消したのだった…………………

 




第2話終了です

ランデス達のキャラ作るのって結構難しかった
向こうのは…アレです…技と名前が一緒のもはや別キャラのような気がしてきました…


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2つの新滅団

コラボ第3話です
いやぁ面白くなってきたぁ!!!


「う………うん?…………………………」

ゆっくりと俺は目を開く 咄嗟に動こうとするが

両腕は動かない………

 

「………ってうわっ!なんじゃこりゃ!!!」

よく周りを確認すると俺は十字架にかけられていた。今の俺は両腕 両足が縛られている。更に足元付近に変な魔法陣がある事なんだが…………

こんな程度魔法で破壊出来るだろうと俺は岩を纏おうとするが……

「ま……魔法が……魔法が使えねぇ!?」

改めて両腕を確かめると手首には黒いリストバンドみたいなのが巻かれていた。

変な魔道具だな………

 

すると奥の方からカツンカツンと杖をつく音が二重に聞こえる。

そして音が聞こえなくなった時には白髪の爺さんとあの…………マラカス?がいた。

 

「ふむこれが【貴様と同じ別次元から来た滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)】」

白髪の爺さんは俺を見て言った。爺さんの左手には緑に光る杖を持っていた。

 

「そうだとも我が同志よ。彼は別次元の妖精の尻尾に所属している 最強魔導士の一人だ」

さっきから何を言ってるんだ?別次元って?

 

「褒めてもなにもでないぞ」

俺はマラカスの顔を見て睨む

 

「…………フッ」

マラカスは俺を見て一瞬笑った。

完全に舐めてやがるな………

 

「とても強そうには見えないがな………まぁあの氷竜と渡り合える実力本物なのかもしれぬな」

白髪の爺さんは俺の事をじろりと見ていた。

 

「褒めたと思ったらディスるのか…………」

俺は縄を自力で解こうと体を揺らすがかなりキツく縛られている為ビクともしない

 

「どうだ?魔法が使えない気分は」

マラカスは俺を杖でつつく ウザイ…めっちゃウザイ……………

恐らく縄と一緒に括りつけてあるこの魔道具の原因だろう。

 

「それでは氷竜よりも先に大地の竜で確かめてみるとするか」

白髪の爺さんは緑に輝く杖を俺の首元に近づける。

 

「……何してんだよてめぇ………何だよこの爺さん」

俺は爺さんを睨む。

 

「確かに、こりゃ紹介遅れた。私は新たなる国を創設する者ファガナルと申す」

また厨二病かよ。国作りたいなら秘密基地でも作ってろって本当に言いたいもんだな。

 

「さてと自己紹介も済ました事だし…始めるか…………」

ファガナルは俺の目の前で杖を掲げる。

 

「では貴様の魔力を奪うとする」

 

「……嫌に決まってるだろ」

そもそも俺の魔力を奪ったところで何が出来るというのか

 

「貴様………自分の魔力がどんな力を秘めているか理解していないのか?」

俺の魔力の力?

 

「知らねぇよ………」

俺がそう言うとファガナルは笑い

 

「まぁ魔力提供してくれる礼だ。聞かしてやろう」

………魔力提供は許可してないがな。

そうして俺は聞かされた。コイツらの計画を……………………

 

イア、リートサイド

 

無事ランデスのおかげで私達は森をぬけた先にあった 村の宿に何とか身を潜めていた。

 

「はぁ……………」

私がため息をつく

未だにこの状況を把握出来ていないのに追い討ちをかけるように敵の襲撃 ランデスが身を呈して拉致られる………………敵の正体も分からない為探しようもない

詰みという状況なのかしら………………

そうベットに横たわっていると部屋のドアをノックする音がした。

時刻は23:00オズモンとラリカは既に寝た事は確認済み

つまり………

 

「どうぞー」

私がそう言うとドアは開いてリートとバンクがやって来た。

 

「よっ!邪魔するぜ♪」

 

「悪いな、こんな夜分遅くに」

 

リートとバンクは近くにあった椅子に腰をおろした。

 

「なぁイア お前に話しておく事があるんだ」

リート達は風呂上がりなのかサッパリしていた。

 

「話しておく事?」

 

「それはな………俺達を襲った相手についてだ」

リートはとんでもない事を言った。

 

「敵について知ってるの!?」

 

「あぁ あの時バンクが黒フードの連中数人と戦っていたのは把握してるだろ?」

 

「えぇ勿論よ」

バンクはグローブみたいな武器の色で属性が変わる変わった戦い方だった。

 

「その時よ これ拾ったんだけどよ、これが俺達の受けてた依頼と関係があったんだよな」

そうしてバンクはポケットから十字架のキーホルダーを取り出す。

 

「変なキーホルダーね………」

 

「そう そのキーホルダーが 今回俺達が壊滅してやるつもりの盗賊団【新滅団】だ」

その団名に聞き覚えがあった。そう私達の依頼で倒す盗賊団名だ。

 

「新滅団ですって!?」

思わず素っ頓狂な声を出してしまう

 

「何だ知ってるんじゃねぇか」

 

「いや……ちょっと待ってくれるかしら……………」

どういう事なの?もう全てがおかしい………………改めて思うけど妖精の尻尾(フェアリーテイル)にリート達なんていないけど彼らからしたら私達を見た事ないって言ってるし………………

とにかく疑問に思いながら私はリート達と初めて会った時に話した内容よりも詳しく改めて話した。

緊急指名手配書の事 その内容が盗賊退治の事 団名が同じという事 ボスのらしき人物の紫色に輝く杖の事 あの時めんどくさくて省いた事全て話した。

 

「ホント謎だよな。お前らってw」

バンクは私の話を聞いて笑っていた。私からしたら貴方達が謎だけどね……………

リートは少し黙った後に何か思い出した顔をした。

 

「紫色の杖の話で思い出したんだが俺達が受けたクエストの情報にな……緑色に輝く杖ってのがあったんだが」

 

「緑色は見てないわね…………」

何故情報がコレだけ違うだろうか……確かにアレは紫色に輝く杖だった筈……結局数分間の静寂の末

 

「とりあえず明日早くランデスを助けよう。新滅団の基地は知っている………けど教会じゃないくてかなり昔に潰れた酒場なんだよな」

そこも違うのね…………まぁとりあえずランデスを助けないと!!!

 

「早くランデスと戦ってみてぇしさっさと行こうぜ!!!」

 

「はぁ……そればっかだなお前は」

 

唯一この日学習した事はバンク………かなりの戦闘狂ってのがよく分かったわ………………………

 

ランデスサイド

マラカス共の計画を聞いた俺は最高にキレていた。

 

「………このクズ野郎共!!!……………正気じゃねぇな!!!」

俺は必死に縄を解こうとする。

コイツ等は許せない……!!!

 

「………さてと全て話した。では開始する【新たなる世界……国を創設】しようじゃないか」

そうして紫色の杖と緑色の杖は輝きを増す………

 

「絶てぇ許さねぇからなぁぁぁ!!!!」

そして俺の視界は白く染まった………………………………………

 

次の日

イア、リートサイド

 

朝早く起きて朝飯を済まそうと私とオズモンは宿の食堂に向かっていた。

どうやら宿には一部屋に新聞が律儀に内容を写したものが玄関前に置かれてあって内容を確認している。

「この日付も私達が見た昨日の日付と違うわね……」

 

「本当に不思議だねぇー」

オズモンは眠そうに欠伸をする。

新聞を読みながら私は食堂の席に座る。

「朝食と言ったらナポリタン一択よね♪」

鼻歌交じりで私は食べていた。オズモンは風呂敷から魚を取り出して食べている。

すると

 

「よっ、 イア オズモンよく寝れたか?」

私の隣にリート達が現れて座る。

 

「僕はぐっすりー」

オズモンは呑気すぎるわ…………

 

「まぁよく寝れたか聞かれたら違うわね」

 

「それはそうですわよ。大切なお仲間が敵に拉致されたのですわよリート」

ラリカはオズモンの隣に座った。

 

「確かにラリカの言う通りだな。悪ぃ」

リートは私に頭を下げる。

 

「気にしてないわ。寧ろ私達を気遣ったつもりだったんでしょ?ありがとう!」

 

「それより早くその盗賊を倒しに行こうぜ!」

 

バンクは昨日から同じような事しか言っていない気がするんだけど……………

 

「えぇ!ほらリート達も早く食べて!ランデスを助けましょ!!!」

私はそう言って完食したナポリタンの皿にフォークを置いた。

 

「あぁ。そうするか……」

リートとバンクはそう言いながら注文している時オズモンが

 

「ランデスはちゃんと何か食べてるのかなぁ?」

自分の手元にある魚を眺めながらそう呟く

……捕虜…人質みたいな立場にいるランデスだけど…………何かしらは食べているのかもしれないけど………

すると昔の思い出を思い出した。

 

「ねぇ…オズモン覚えてる?ランデスは前遭難した時の話」

その話をするとオズモンも思い出したらしく

 

「うんー!結構前にだよねークエスト先でランデスが崖から落下して1週間くらい遭難しかけたんだよねー確かランデスかなりキレていたけど雑草と岩を食って生存していたんだよねー」

オズモンが笑いながら思い出していた。

 

「それ……笑い事ではないと思いますわよ……………」

ラリカは唖然としていた。というかそれを笑顔で話すオズモンに引いているかもしれないわね…………

 

ランデスサイド

「………ちくしょうが………ハァ…………ハァ」

俺は今息が出来ないほどの苦痛を味わっていた。

2つの杖は輝いた瞬間俺から急激に魔力が低下しているのだ。コレは木竜の吸収と同じ類のやつだな……………クソ……しんどい

 

「まだ魔力が吸えるとは………さすがとしか言いようがないな」

ファガナルはニヤケながら杖で俺をつつく

 

「まぁ今回はこれくらいでいいだろう……杖に限界がくる」

マラカスはそう言って紫に輝く杖の先端をさすっていた。

つまりこの2つの杖には魔力を吸う力があって限界があるって事か………俺より不便だな………

そんな事を考えていたらファガナルが手を2回程叩くと扉から黒フードの2人が現れて十字架の周りを動き出して魔法陣を展開しだした。

ホント変な宗教団体なんじゃないかと思えてきた。

すると魔法陣は4つに分裂して俺の周りを激しく回転しだして……………4つの魔法陣から黒い光のようなものが飛び出して俺を覆った。

まさに牢屋のようだ そもそも俺はこの状況で抵抗出来ないんだがな

 

「明日……明後日には終わらせよう」

 

「いや、もしかしたら今日かもしれぬぞ」

ファガナルはそう牢屋のようなものをカンカンと叩いて去った。

そしてまた一人になった所で気がついた。

 

「飯は!?」




そうだよ、ランデスはこういうキャラなんだ…やっぱり向こうとはキャラが違うんだ!!


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ランデス救出作戦

コラボストーリー第4話です

ここからか!!ここから敵を倒してくれるのか!!!


イア、リートサイド

朝食を済ました私達は宿を出てリートの案内の元その潰れた酒場に向かっていた。

試しに宿の厨房にいたお婆さんに聞いてみたらかなり昔にあったらしくこの街が設立する前にあった小さな村の酒場でこの街が出来る前に闇ギルドと正規ギルドの激突により村は滅んだとの事(妖精の尻尾(フェアリーテイル)ではないけど)焼け野原と化した村周辺を評議会の連中が滅んだ村に木々を植えてそれが今の森にしたらしい

 

「そもそも酒場にアジトがある程大きいのかしら?」

 

「多分かなり古いし地下とか改造してあるんだろ」

因みに先頭からリート ラリカ 私 オズモン バンクの順番で進んでいた。

必死になって逃げた時には気づかなかったがこの森は歩くとなるとかなり時間がかかる

 

「リート これ道本当にあってるの?」

私は雲行きが怪しくなってきた。

 

「……あぁ大丈夫だ。複数の匂いとランデスの匂いがこの先に続いてる」

リートはそんな事を言うとふと疑問に思った。

 

「リート。そもそもランデスの匂いって何ですの?」

ラリカがそう私と同じ事を尋ねていた。

リートは少し考えて こう答えた。

 

「ギルドの匂いと花の香りだな」

ふーん……アイツから花の香りなんてした事ない気がするけど………まぁ滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)の嗅覚だとそんな匂いがするのだろう。

 

後ろではオズモンとバンクが会話をしていた。

 

「そんで?その後ランデスはどうしたんだ?」

 

「その後ねー ランデスが腹減ったから帰るとか言う理不尽な理由で放置して帰ったんだよー」

 

「ダッハッハッ!!面白ぇ!」

バンクは腹を抱えて笑っていた。いつの話してんのよ……………

 

「オズモンそれいつの話?」

私は試しに聞いてみたら オズモンが驚いたような顔をして

 

「イア覚えてないのー!?ほら……ランデスが闇ギルドと関わりたくないのに凄く絡まれていた時期の話だよー」

それかなり昔の話ね………………

 

「ん?何だその話?」「興味ありますわ」

リートもラリカも興味があるみたいだった。

 

「まぁ例の酒場の場所に着くまで余裕はありそうだし話すわね……………………………」

私はそう言って過去に起きた事件『ランデス暴走事件』を話す事にした……………………

 

アレはナツがギルドに入った頃の話でランデスは今はニートのような自堕落な生活をしているけど昔はそんな感じじゃなく普通にクエストを私と一緒にこなしていた…………

けど何の運命なんだか今でも分からないけど…………

その頃のランデスは闇ギルドとかなり出会って戦う事が多かったの。私も巻き込まれたけど私とランデスが組めば闇ギルドの雑魚程度は倒せていたのよね………

そんなある日にナツがクエストに行ってから2日経っても帰ってこなくてギルド総出で探すことになったのよ。そしたら闇ギルド黒き太陽(セイブルソレイユ)ってのがランデス狙いで丁度今のランデスのようにナツを拉致ったの。

黒き太陽(セイブルソレイユ)の連中は私達と何回か戦った事があって目の敵にされていたのよ。

その話を連中から聞いたランデスは怒り狂ってマスターよりも…………ギルドの皆よりも先にとある街の魔道具店を乗っ取った黒き太陽(セイブルソレイユ)の所にたった1人で向かったの。

その時ランデスが言ったセリフがこちら

 

『てめぇら!!!俺の仲間《家族》に手を出しやがって!!!ぶっ殺してやる!!!二度と妖精の尻尾《フェアリーテイル》に手を出すんじゃねェ!!!!』

その一言を言ったランデスは総勢50人の闇ギルドの連中を同時に相手をして暴走したの。

その時ランデスは甘いものを定期的に食べないと魔法が暴走するという変わった体質で怒りで糖分が低下して暴走 街中を植物まみれにしてたった1人で制圧したの その後はマスターによって無理矢理止められたのよ。

拉致られていて近くで見たナツは

『アレは恐ろしいぞ…………あんなランデスとは戦いたくねぇエルザの次に…………』

そう震えながら言う程だった。

 

「……………今は毎日甘いもの食べてるけどいつ暴走するか分からないの。今思うと今回…………本当に心配なのランデスは1日甘いものを食べてないと思うわけ」

そう私が説明すると

 

「また暴走されたら止められないかもしれねぇって事か」

リートが納得した顔をしていた。

 

「どれだけ甘党なんですの……………」

ラリカは呆れていた。そりゃそうでしょうね。甘いもの食べないだけで魔法暴走とか…………

 

「そんで?暴走したランデスは強えのか?」

バンクは興味津々らしい かなり目を輝かせていた。そんな目で見られても……………

 

「ヤバいわよ。マスターでも少しかかる程でエルザが斬っても斬っても生えてくる植物に苦戦する程よ」

そう説明した。正直私も止めようとしたけど暴走してるランデスは魔法を一切寄せ付けなかった。今のアイツの実力じゃ戦争よ戦争 複数のギルド全勢力で止める勢いじゃないと止められないわよ…………………………

 

「成る程…エルザとの相性があるとはいえ、それでもエルザが苦戦するとなるとなかなかだな」

 

「そんなに強ぇのか!!!くぅーっますます戦いたくなってきたぁ!!!おい!!アイツが暴走して暴れてたら俺はアイツと戦うぞ!!!」

 

「…コイツはここに埋めて置いていこう」

 

「…賛成…」

 

「…ですわ…」

 

そんな危険人物《ランデス》は今

 

「甘い………も……の…………………腹..へった…………………じ…………ぬ…………………洒落に………なら…ねぇ……………」

 

「コイツずっとこれしか言ってねぇな………」

俺を見張る片方の男は呟く

 

「……せめて捕虜…人質みてぇな立場だし死なしたら駄目なんじゃねぇか?」

片方の男は俺を囲ってる檻を叩く 金属の鈍い音が広がる。

 

「なぁに死にかけの方がよく魔力を吸えるんだとよ。ほっとけほっとけ」

まずいな精神的に弱らせる気だなあのクソ爺さん

 

「喉乾い…た………み……みず…………………」

 

「ハハハッ! 一生嘆いてな!!!」

「最早奴隷見てぇだな!」

好き勝手いいやがって…………………

 

「クソが……クソが………クソッタレがァァァァァァァァ!!!!」

俺は必死に暴れだした。

流石の俺の行動に監視してる男共は驚いて

 

「ヒッ!」「何なんだコイツ!?」

思わず引き下がる程だった。

俺は必死にこの十字架と魔道具をとり払おうと体を揺らす。

 

「へっ平気に決まってら!その魔道具は頑丈で壊れねぇんだ。やれるんもんなら………は?…お…おい…………」

ガン..ガン……ガン....ボキボキガン…ビキビキ…ボキ……十字架は木製の為か少しづつ割れる音がする。手首にある魔道具はバキバキと音を立てる。

まずいと判断した男は焦った顔をして

 

「すぐにボスに連絡しろ!コイツはヤバ…………………………」

隣の男に話しかけた瞬間牢屋から緑の輝きが放たれ 周りに衝撃波が走る。

 

「「うぁぁぁぁ!!!」」

監視していた男達は大きく吹き飛ばされ壁に激突する。

 

「食い物……………甘いもの……………」

俺はそう呟き壊れた魔道具を取り払う。そして牢屋の鉄格子を掴んで曲げる。

 

「ば….けものめ..……………」

男は小さな声でそんな事を言って気絶する。

誰になんと言われようとも関係ねぇ

 

「あのジジイ共は許さねぇからなぁぁぁ!!!!」

憎悪に満ちた俺は体から植物を解き放った………………

 

イア、リートサイド

ある程度森の中を進んでやっとあの平原に着いた。

 

「後少しで酒場に着く筈だ…………」

リートから一筋の汗が流れる。

オズモンからはかなり汗が流れていた。いや なんでそんなに垂れてんのよ。

 

「皆そろそろ戦闘準備しましょ」

 

「あぁそうだな」「へっようやくか!」

リートも周りを確認してバンクはグローブを填めて構える。

そんな時だった。

ゴゴゴ……………突如大きな揺れがする。

 

「なっ……何!?」

大きな揺れにより森の木々の数本は折れる。

地割れが起きてまさに天変地異だった。

 

「地震か!?」

リートがラリカとオズモンを抱きしめて守る。

そして私達は愕然とする。突如森の中に大きな花が咲いた。それは大きな向日葵だった。

私は見覚えがあった。昔に見たあの日の光景……………

 

「アレは………ランデスの……………魔法よ!?」

 

「嘘だろ!?さっき話していた暴走って奴か!?」

 

「アレがランデスの本気か……面白ぇな!!!」

 

「何言ってますの!?状況を理解しなさいなバカンク!!!」

一人覗いてかなり混乱していた。

あんな暴走あの時よりもかなり酷いわ。

 

「とにかくあそこに向かおうぜ。丁度あの辺が奴らのアジトの筈だ」

リートは落ち着いて揺れてる地面を出歩く

 

「分かったわ」

そうして私達はデカい向日葵に向かって歩んで行くのだった………………

 

ランデスサイド

 

「スーパーヘッドアタック!!!」

 

「グハァァァ…………」

俺は一人の黒フードの男を頭突きで倒す。

 

「捕虜とは言え弱ってる筈だ!やれ!!!」

あの時の司令塔の役目の男が仕切っていた。

この狭い道ぎゅうぎゅうに黒フードの連中がいる為 全員倒さないと行けなさそうだ。問題ない……

 

「上等だ。全員……全員ぶっ飛ばしやるよぉ!!!」

俺は地面に手を付けて壁から薔薇を解き放つ

 

「近づけない……………クソ!炎の魔法で焼き払え!」

そう司令塔は大きな火の球を薔薇に向けて放つ

 

「まとめて蹴散らしてやる 向日葵《サンフラワー》!!!」

俺はそう言って薔薇を1箇所に集めて大きな向日葵を咲かせる。

炎は向日葵に命中するが巨大な茎の前では無力で壁は燃える。

 

「……撤退………撤退だぁぁぁぁ!!!」

司令塔の男は愕然として後ろに下がる。好き勝手やったアイツは逃がさない

 

「散々やってくれやがって……発射」

そうして俺は大きく伸びて天井を突き抜けた向日葵を操作して下に向ける。向日葵は中心に白い光を集める。

 

「消えろ」

そして俺は特大の光線を黒いフードの連中に浴びせた。

 

「ギャァァァァ!!!」「助け………………」「マランス様助けて………………………」

一瞬として黒焦げになった連中を見て哀れに思う。まぁ黒フード被ってたしお似合いかもしれないな。

 

「…………後はあのクソ爺さん共だ」

俺は無我夢中で走った。アイツ等とは長い時間やってくれた為嫌でも匂いは覚えていた。

匂いは段々近くなってくる。そして曲がり角を曲がって大きな部屋にジジイ共はいる…………………

 

「ウォォォォォォォォ!!!」

俺は曲がり角を勢いよく曲がった瞬間

突如目の前に青い髪の毛が目の前に見えた。

ん?何だ……………そう考えた頃には俺の頭と青い髪のは激突した。

 

「グギャ!?」「痛ってぇ!?」

俺は変な声を出して仰向けになった。青髪の男は頭を抱えて転がっていた。

 

「リート!?大丈夫ですの!?」

「リートいきなりどうし………………ってランデス!?」

いつも聞いている声 そうか来たのか態々な………

 

「お……おぅ………イア、リート」

俺は何とか立とうとするが

 

「グッ!!!」

そう右腕を抑える。痛いというか何かが解き放たれる感覚だ。今俺は暴走状態をギリギリ意識を保ってる状態だった事を普通に忘れていた。

 

「やっぱり暴走してるのね………ほら アンタのデカい向日葵見て向かったらこうなんだから………まぁほら林檎 森で一応拾っといたから」

そう言ってイアは俺の林檎を投げる。

すぐさま俺は林檎をキャッチして食らいついた。

 

「うめっ……うめぇ……………じぬがど思っだァァァァ!」

林檎を食った途端凄い涙が溢れてきた。

 

「ランデス………何も食ってなかったの?…………………可哀想に………………………」

流石の今の俺を見たイアはかなりドン引きしていた。

 

「ランデスー魚いるー?」

そうオズモンは俺の嫌いな魚を取り出す。

 

「あぁぐ………いだい………くれ」

オズモンが魚を俺の手に置いた瞬間俺は一瞬で飲み込んだ。

 

「ランデスが……魚を丸呑みですって!?」

 

「え?驚くとこそこですの?」

 

「何回でも見られんなwww」

イアは驚愕していてラリカはそれにツッコミ俺の食い方がおかしかったのかバンクは腹抱えて笑っていた。

ホントに死ぬかと思ったのに……コイツ等…………

そんな時リートが頭を抱えて俺の前に立った。

 

「ランデス…………あの時はありがとな」

そう笑顔で俺に手を差し伸べる。まぁ本能が勝手にやったしな。

そんなリートの手を俺は握って

 

「やってやろうぜ……………大地と氷の最強タッグをな!!!」

負けじと笑顔で言ってやった。




今回はここまでです

ちなみに余談ですが最近ずぅーっと人気投票やってますが流石リート君ダントツトップですなぁ

あ、ちなみに主は個人的にバンクとか好きです…一番票少ないやんけ…


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真実とやるべき事

コラボも残すところあと少し…らしいです!!気付かない内に進んでたんだなぁ


こうして無事リート達と合流出来た俺

そして目の前の大きな扉この先にマランスとファガナルがいる。そう思うと無性に殴りたくなってきた。

「まぁあの扉に入ると決戦だ………その前にお前等に言っておくことがあるんだ………………………」

俺は真剣な表情で言うと

 

「アンタが真剣な顔するとコッチが凄い緊張するから止めて頂戴」

イアが俺の顔を見てドン引きする。人が真面目な話をするのに酷い奴だな………………

 

「俺が拉致られて目覚めたら……………………」

俺は十字架の事 マランス、ファガナルの事 杖の事を話した。

 

「なぁランデス、滅竜魔導士《ドラゴンスレイヤー》の魔力は何故特別なんだ?」

リートが尋ねる。はぁ……………

俺はため息をついてリートの方を向く

 

「ココからが本題な。アイツ等の目的は……………………………【2つの世界を1つにして新しい世界を創る】それが目的だ」

皆理解していない顔をしていた。

 

「ランデス、それはどういう事ですの?」

「ランデスーさっきまで飢えてたせいでおかしくなったー?それとも俗に言う厨二病?」

何故俺が真面目に話しているのにこんなにも馬鹿にされるのか謎すぎる。

 

「俺だって最初は驚いたぞ……けど今回はそんなふざけてる場合じゃねぇんだよ………………………………」

俺はあの時聞かされた奴らの話を思い浮かべていた。

 

「世界を創る?国から大きく進化したじゃあないか」

俺は鼻で笑う。

 

「国はその世界を創った後に設立するたった1つの国の事だ」

 

「貴様も既に疑問に思ってるのだろ?氷竜達の事を」

俺は答えなかった。確かに急に空から落ちたと思ったら会ったことない妖精の尻尾《フェアリーテイル》のマーク付けた氷の滅竜魔導士とネコと戦闘狂に出会ったりとにかく謎すぎた。

 

「それはな ココは貴様の世界じゃない氷竜の世界だからだ」

マランスはそう真顔で言った。リートの世界?

 

「まぁ氷竜の次元とも言うのか…………」

意味の分からねぇ………リートの次元?

 

「まだ分からないのか?ようはココはランデス・グリアン、イア・ナムリエ、オズモンが存在しない世界だ」

 

「俺達が居ない世界!?」

 

「まぁ私も存在しない世界とでも言っておこう。代わりにこの者ファガナルがいるがな」

ファガナルはニヤリと笑い

 

「お前等の代わりに妖精の尻尾(フェアリーテイル)には氷竜がいる。逆に言えばリートの代わりにお前がいる。つまりランデスとリートの世界ってのが存在するのじゃ。そして互いは決して会う事はない」

俺がいる世界にリートは居ない……リートの世界に俺は居ない……………………………

 

「だが俺とリートは出会った!けして会う事はないのに!!!」

俺はファガナルを睨む。ファガナルは愉快そうに俺を見ている。

 

「それを可能にしたのがこの2本の杖じゃ これらには【次元魔法】という変わった魔法が使える」

聞いた事無い魔法だ…………

 

「この魔法は発動者を違う次元に送る事が出来る魔法…………しかし発動条件は極めて難しい それは同じ次元魔法を発動し、発動した同士が同じ事を願う事により発動する。貴様等は運悪く私の魔法発動条件を満たした瞬間襲いかかってきた。そして私が願ったのは新たな世界の創造そして私はこの氷竜リートがいる世界にきた。同じく魔法を発動し同じ事を願ったファガナルの元にな」

運悪くか………………

 

「次元というのは無限大にある…………貴様がいる次元、氷竜がいる次元、違う次元にいる貴様……………もっと違う次元にいる氷竜…………どれも全てが違う時間も場所も全てがな」

 

「そして滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)の魔力は次元と次元を繋ぎ合わせる事が出来る。その魔力により世界を創造する………………それが我々の目的」

そんな奴らの計画を聞いた俺は1つ尋ねる。

 

「そしたら俺の世界にいる皆とリートの世界の皆はどうなるんだ…………………」

 

「そんなもの………………………」

マランスは一呼吸して

 

「全て死んで消えるに決まってるだろう」

と静かに告げた………………………………

 

その事をリート達に告げる。

皆黙ってなにも言わなかったが

 

「つまり俺はランデスであってランデスは俺って事か?」

リートはそう呟く

 

「多分そういう解釈だと思うな」

 

「ホントおかしな話だよな………俺とランデス性格も好みも全然違ぇのに…………………」

 

「俺は不真面目………逆にリートは真面目……俺とは戦い方のスタイルも違う……………………」

 

「「けど」」

 

「「誰よりも仲間を大切にするという思いは同じ」」

俺とリートはハモった。

 

「例えどんな次元でも」

 

「どんな世界でも」

 

「「俺達は」」

 

「「同じ妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士だ!!!」」

まるで互いが何を言うか理解しているかのように話す。

 

「イア、オズモン」

 

「バンク、ラリカ」

俺はイアとオズモンの名をリートはバンクとラリカの名を呼ぶ

 

「俺は世界がどうなっても関係ねぇ……けど甘いものと仲間の為なら何だって敵に回してやる。そしてリートの世界も救う」

 

「絶対世界を救う。そしてランデス達の世界の妖精の尻尾(フェアリーテイル)も救う コイツらは絶対にぶっ飛ばしてやる」

 

「ランデスらしいわね………さてとやりますか!」

「もっちろーんやるよー」

 

「へっ!面白くなってきたじゃねぇか!!!」

「分かってますわ」

そして俺達は片手を出して

 

「世界を……」「仲間を……」「「守るぞ!!!」」

 

「「「「「オー!!!」」」」」

俺とリートの掛け声で皆一斉に声を出す。

そして俺は目の前の扉を蹴破った。

 

「まさか魔法を使えないのに脱出するとな……」

「そして氷竜も態々来てくれた」

目の前には大量の黒フードの軍団 紫の杖を持った男 緑の杖を持つ男が立っていた。

 

「俺の馬鹿力舐めたのが悪いんだろ。さてとお前等ぶっ飛ばすとするか」

 

「俺達の大事な家族に手ぇ出したんだ、覚悟はできてんだろ?」

 

「さぁ決戦だ」

 

「計画は止まられない………必ずな。やれ!!!」

ファガナルが怒鳴った瞬間 黒フードの連中は雄叫びをあげ襲いかかってくる。

そして今2つの次元の出会うはずのなかった魔導士のタッグチームが世界を救う誰も知らない戦いが始まった……………………………

 

「ラリカ、俺から離れんなよ」

「もちろんですわ」

リートはラリカを肩に乗せて敵に殴りかかる

 

「ヤーンメイク………(ウルフ)!!!」

イアは糸で大型の狼を造って蹂躙する。

 

「オラァ!爆拳!!!」

そのイアの後ろではバンクがグローブみたいな装備を赤色にして殴る。殴られた黒フードは爆発して大きく吹き飛ばされた。

すげぇな見た事ないあんな戦闘スタイル……………

オズモンは俺のフードから俺の背後から近づく敵をギザギザの鱗の魚でビンタしていた。

 

「氷竜の鉤爪!!!」

リートが目の前の敵の頭を蹴りつける。

 

「氷竜を捕らえろ!!!ファガナル様の杖で魔力を奪うのだ!!!」

そう言ってリートの背後から魔法剣で攻撃してくる所を

 

「オラァ!木竜の鉄拳!!!」

木々を纏い俺はリートを飛び越えて黒フードの連中を殴る。

 

「大地の竜もだ!!!」

そうして連中は俺の腕を魔法で拘束するが

 

「氷竜の弾落!!!」

リートは俺の腕を魔法で拘束した奴の頭上で大きな氷の塊を落とす。

 

「グギャァァァ!!!」

そんな悲鳴が聞こえて魔法は解除された、

 

「くっ……近づけん!!!」

 

「凄いですわね!リートとランデス、息ぴったりじゃないですの!」

 

「会ってから2日しか経ってないのにねぇー」

ラリカとオズモンは驚いていた。理由は今なら分かる気がする。

 

「俺がリートでリートが俺だからだろうな」

 

「あぁランデスと俺の魔法は似たようなやつもあるからな 息も自然と合うんだろうな」

 

「んじゃリート。早く片付けようぜ」

俺がそう言うと

 

「奇遇だな。俺も同じ事を思ってたw」

そうリートは言って深く息を吸う。俺も同じように息を吸って……………

 

「土竜の……」「氷竜の……」

 

「「咆哮!!!」」

土と氷の衝撃波が同時に放たれそれは混ざり破壊力を増して黒フードの連中を蹂躙した。

 

「ギャァァァァ!!!」「こんなのに勝てる訳がねぇ…………」「化け物軍団………………」

そんな声が聞こえて残りは…………

 

「後は私達だけと言う事か……………」

そうファガナルとマランスだけだった。

バンクの周りはボロボロにフードが破けたりしている連中が転がっていてイアの周りには糸で拘束されている連中がいた。

 

「とっととお縄につきな」

俺はそう言って構える。

その瞬間マランスは笑った。ファガナルもそれにつられて笑う。

 

「正直氷竜の魔力も欲しかったが…………計画に必要な魔力はランデス・グリアンによって半分以上は行けている………そして今この場にいる我々の下僕共……………命を捧げよ」

ファガナルはそう言って杖を掲げる。杖から放たれる光は黒フードの連中を包むかのように輝き次々連中は消える。

 

「なっ……………」

 

「まさか!?アンタ等正気!?」

イアは驚いていた。一瞬理解出来なかったが……コイツ等………部下の命を魔力に変えてやがる!!!

 

「仲間を犠牲にするだと…ふざけんじゃねぇぞ…お前等それでも人間かよ!!!」

 

「強ぇやつは好きだけどよ…テメェらのやり方は気に入らねぇな」

 

リートとバンクはファガナルを睨む。

 

「フン……我々の世界で人間など要らん………人間がいなければ魔導士はいない…つまり魔法も消える」

つまり魔法で邪魔する者が消えるって事か………

 

「けど貴方達は人間じゃない!!!」

イアがそう言った瞬間

 

「我々が人間?………いや、違う我々は神だよ」

そう言って紫に輝く光、緑に輝く光は合わさり俺達を照らした。この感じはまずい!!!

 

「お前等!後ろに逃げ………………………………」

その瞬間俺の視界はグニャンと曲がって暗闇に落ちた…………………………………




いいですねぇ、ナツ達が戦ってないのにこれだけ話が進むってのもHIRO HIROさんの才能なんだねぇ


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セカイノオワリ?

コラボ終了まで今回と合わせて残りあと2話となりました中々の長文でしたな


「…………ん?………」

俺はそこで目を覚ました。

さっきまで黒い壁で覆われた部屋にいた筈なんだが…………なんか俺は今神秘的な部屋にいた。

上を見上げると小さな青い球体………宇宙だ。それも沢山の………

 

「えーーー!?」

指で数えようにも多すぎて無理だった………足元には小さな赤、黄、緑等の様々な輝きを放つ球体があった。

変な空間に困惑するが改めて周りを見るとイア達が倒れていた。

 

「……くっ……ここは何処だ?」

するとリートも目を覚ました。今のところ起きたのはリートだけだった。

 

「分かんねぇ………」

そして俺の後ろにいたオズモンを起こそうと揺らすがオズモンは岩のように動かなかった。

 

「ぐぬぬぬ…………何だ…コレ…………..」

必死になって押すがビクともしない。

 

「クソ………ラリカもだ………どういう事だ?」

リートもラリカを持ち上げようとするがオズモンと同じような感じだった。

咄嗟に視界にイアが見えた為イアに駆け寄るが

 

「イアまで…………」「バンク………」

イアは目を開いたまま動かなかった。バンクもまるで何かに抵抗していたかのような形で動かなくなっていた。

 

「やはり滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)はこの空間にいても何ともないと言うのか…………」

前から声がした。そこには杖を持ってこっちに向かってきているファガナルがいた。

 

「完全なる世界まで残り1時間………その前に立ち塞がるゴミを掃除するとするか」

マランスもファガナルの後ろから現れる。

 

「この空間?」

リートは首を傾げる。確かにこの変な神秘的空間は一体なんだと言うのだ。

そんなリートの発言にファガナルが笑って言った。

 

「この空間は我々が創った世界 大地の竜の世界と氷竜の世界を混ぜて創った第3の世界だ」

また意味わからねぇ事を…………

 

「まぁ簡単に言えばココは我々の求めていた世界だ。そしてこの空間では普通の人間…魔導士でも抵抗出来ずに動き………時と言う方が正しいかもな…………どんな事をしてもその者等は動かないのだよ」

なるへそ……アイツらの持ってる杖で創った世界だからアイツらの時?は止まらない そして俺らの魔力は特殊だと言っていたから効果を受けないのだろうか……………

 

「コレがお前等が求めていた世界?随分とまぁ……変だな」

俺は思わずそう言う。

 

「なぁにコレから出来ていくのさ魔法のない世界…………魔導士が居ない世界を」

魔法がない世界……さっきも言っていたな。

 

「お前等は神になるとか言ってたがお前等は神なんぞなれる訳ねぇだろ………寝言は寝て言いやがれ」

リートはそう言ってファガナル達を睨む。

「その強がれる理由が理解出来ないな………この世界では我々が神だ。法律(ルール)だ。貴様等は最早要らぬ存在とっとと失せてもらおうか」

俺はそんなマランスの発言に

 

「自己中だなぁ…………己が法律?俺等はそんなに縛られねぇぞ。そんで、俺とリートは最後の希望って事らしいし………………早く【カミサマ】を倒すとするか リート!!!」

そうニヤリと笑ってやった。

リートは少し黙った後俺と同じようにニヤリと笑い

 

「勿論だ!」

そう言って構える。

ファガナルとマランスは驚いた顔をして

 

「死にたいらしいな」「神の逆鱗に触れし者………滅してくれる」

そう言って2つの世界の命運がかかった戦いが始まった………………………

 

先手必勝 俺は地面を蹴りマランスに襲いかかる

 

「魂よ。我が元に」

そう呟いたマランスは自分の腹付近に黒い球体を造った。

そこから黒い腕が現れ俺の拳を掴む

 

「何だコイツ」

そう言いながら俺は突き出した拳を引く 黒い腕は引っ張られ出てきたのは顔の無い俺より少し背が高めの化け物だった。

咄嗟に俺は膝を勢いよく突き出して化け物の顔面にくらわせてやった。

黒い化け物は形を少しづつ崩れながら消えた。

 

「ランデス……お前って凄ぇ躊躇なくやるよな」

リートはそんな俺を見てドン引きしていた。

 

「考えてるより先に膝が『コイツ蹴りたいー(裏声)』で言ったからな しょうがない」

まぁリートはあの時戦った時に確信したけど俺と違って(まぁ俺も偶には頭使っているが)脳筋ではなく冷静なキャラ感があるもんな。

 

「で……この不気味なキモイ野郎は何なんだコノヤロウ」

俺はマランスから離れる。

 

「私の魔法による俗に言うゾンビの類だ。どの場所にも魂ってのが存在する。私はそれを固めて怨念のような塊を造りだす死者(デッドパーソン)の魔法さ」

ゾンビか……面倒だな。

 

「ほら……もっと怨念を出してやろう」

そうして沢山のゾンビみてぇなのにが空中から降りてやって来た。

めっちゃウザイ………どう攻略するか……今回は脳筋理論で勝てるか?

 

「よーし、奴等を細切れにしてやる(例のあのネズミの声)」

 

「なんでお前ってたまに声変わんだよ……」

俺は岩を纏って近くのゾンビを細切れにしてやろうと思ったが

 

「待てランデス……ココは俺に任せろ」

そう言ってリートは深く息を吸って

 

「氷竜の咆哮!!!」

そう言ってリートは氷と衝撃波を回転して周りに放つ

リートが放つ咆哮はゾンビ達を凍らせる。

 

「すげぇ!!!コレなら行ける!!!」

そう期待した瞬間突然咆哮は物理的法則を無視したかのように直角90度になってこっちに飛んできた。

 

「ギャァァァァ!!!」

俺は咄嗟に砂塵壁でガードするが凍った砂は衝撃波によって砕けた。まぁそれくらい予測していた為ギリギリ避けられた。

 

「危ねぇ……………」

 

「悪ぃランデス………今のはアイツの魔法か?」

リートはファガナルを睨んでいた。ファガナルは少し残念そうな顔をしていた。アイツ、アレで俺がやられると思ったのか……舐められてんな。

 

「多分な……まぁ予想つくわな。反射だろ」

そう言うと

 

「正解だ。我の魔法は反射(レフレクスィオーン)と言うものだ」

ご親切に…………まぁあの時の咆哮よりも威力が上がってると言う事は反射時に威力を増幅している感じだな。

 

「んじゃ…………拳ではどうなるもんだろうな!!!」

俺は砂を足に纏い高速でファガナルに向かって殴ろうとするが

 

「させぬわ」

ゾンビが大量に現れて正に肉壁そのものと化して防がれる。面倒くせぇ!!!

俺は再び距離をとる。

 

「あのゾンビ共の全体を凍らせれる咆哮が使えないとなると……氷竜の凍乱ってのがあるんだが………魔力消費が激しくて連発は無理だ……………」

リートは悔しそうにゾンビの大軍を見ていた。

そこで俺はある考えを思いついた。

 

「リート……今はマランスを倒すのに集中しようぜ………………俺があのゾンビの大軍を【一撃で倒して】道を開くからその隙にマランスに向けて火力のある魔法を叩き込んでくれ」

そう俺が提案するとリートは少し黙った後に

 

「……………任せるぞ」「あぁ任せろ!」

そうして俺は構える。

「弐乃型の構え………………………滅竜奥義…………」

俺は足に力を込めてゾンビの大群目掛けて走る。

 

「弐乃型……青柳(アオヤギ)!!!」

俺は地面を強く蹴ってゾンビの大軍の中心な飛び込んで地面を強く叩く

地面は歪み強い衝撃波を放った。ゾンビの大軍足から崩れていく……………

 

「リートォォォ!!!」

俺は大声で青髪の青年の名を呼んだ。

 

「任せろ!」

リートは俺の背中を飛び越えてマランスに接近する。

マランスは驚いたがすぐに魔法であのゾンビを召喚しようとするがリートの方が早かった。

 

「遅せぇよ。氷河螺旋拳!!!」

リートは腕の周りに螺旋状の冷気を纏ってマランスの腹を殴った。黒い服は凍りつきマランスは大きく回転しながら吹き飛ばされた。

 

「グハァァァ………………」

 

「マランス!?」

咄嗟にファガナルは大きく吹き飛ばされたマランスを見る。その瞬間を待っていたぜ!俺はファガナルに近づく

 

「貴様!!!」

ファガナルは俺に気づいてあの杖で俺に攻撃するが俺は杖を飛び越えて構える。

 

「ゼロ距離なら反射出来るかな!もう1回滅竜奥義!向日葵の輝き(サンフラワーブライトネス)!!!」

俺は拳1点に力を込めてファガナルの顔に光線を当てた。

しかしファガナルは顔に魔法陣を展開し反射しようとしていた。

「グヌヌヌ…………くっ……………この程度の魔法…………跳ね返してくれるわ!」

 

「この程度?滅竜奥義だぞ………反射出来る訳ねぇだろうが!!!」

その瞬間魔法陣は破壊されファガナルの頬を焼いた。

 

「ガァァァァ…………熱い……熱いィィィ……………ギザマァァァァァ!!!」

ファガナルが適当に杖を振り回す。1発殴って終わりだな…………大した事ねぇ癖にイキリやがって…………

 

「で!カミサマ達もう終わりだな。世界を創るとか言う程デカい夢あるのに実力はちいせぇな!」

そう転がってるファガナルとマランスを俺は見下す。

ファガナルは俺を今にも殺しそうな顔をしていた。あー怖い怖い

 

「もうお前等に勝ち目はねぇだろ………無駄な抵抗は止めろ」

リートもそう言うがマランスはニヤリと笑う。

 

「こんなあっさり我々が負けるとでもお思いか?見せてやろう杖の最後の力をファガナル………やるぞ」

そうマランスは立ち上がる。ファガナルも睨みながら立ち上がる。

 

「許さぬ……許さぬ…許さぬ..許さぬ!!!今ココに【神が生まれた事】を後悔させてやろうぞ!!!」

そう言ってファガナルは杖をマランスの元に近づきマランスの持ってる杖と重ねる。

 

「「本来重なるつもり無し者だけが可能とする。次元合体……今此処に表れし者は………世界を導く神である。祝え………………此処に今!神が現れる」」

 

神神うるせぇな………そして杖は輝いてファガナルとマランスを包むかのように消えた……………

自滅技か?そう思った瞬間目の前がぐにゃりと曲がる。そしてそのぐにゃりとしたものは渦巻きを巻く………

 

「いつもこういうパターンは最悪の道辿るんだよな何でだろ?」

俺は汗を少しかいて呟く

 

「………お前くらいだろ。この空気がヤバい状況でそう言う事言えるのは」

リートも汗をかいていた。

その瞬間渦巻きは消え失せた。その渦巻きがあった所には1人の人型の化け物がいた。

 

顔はあるにはあるのだが目が沢山ある………手は4つもあり……胸元には紫と緑の杖についてあった宝石みたいなのが埋められていた。

 

「神とは言えねぇだろ!?」

どう見ても醜いモンスターじゃねぇか!

 

「魔力がさっきと格段と違ぇ……舐めてたら死ぬぞ」

そうリートが言うと化け物は口らしき所から言葉を発した。

「ЩЫЩЬбЧЧбТСПСПЧΑΔьюэъΖъ」

やべぇ!キリル文字で会話し始めた!

何言ってんだこいつ!!!

 

「会話は通じねぇって事か……………ラストバトルだ。リートやろうぜ!」

そう言うとリートはヤレヤレと首を振って構える。

 

「ああ、これで終わらせてやる」

今ココに2人の滅竜魔導士と神を名乗る者の頂上決戦が始まった……………………………




今回はここまでです、予定が変わらなければ次がラストとなります


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滅竜魔導士のキセキ

さぁコラボも今回で最終です、メインイベントですよメインイベントw読まないと後悔する…かも?

最後の方はコラボしていただいた方からのコメントも入っています

では本編です


今目の前にいるキリル文字で話す自称カミサマとの決戦が始まった。

 

「アイツ等見た感じ合体したのか………そんな魔法見た事ねぇな」

 

「多分渋谷の女子高生100名にコイツ神に見えますかってアンケート調査したら100名全員『エモい』って答えるだろうな…………」

 

「ランデス、俺たまにお前の言ってることが理解できねぇんだけど……」

 

リートは俺を変な目で見ていた。

あんな黒と赤が混ざった色の奴を俺の予報する神なんかじゃないんだよな………………まるでさっきのゾンビ……………………!!!

俺はその時気づいた。コイツ…………自分に魔法かけやがった!!!

 

「リート!コイツはゾン……………………」

俺がリートにその事を教えてやろうとしたが既に化け物は地面を蹴って俺の脇腹を殴ってきた。

咄嗟に岩を纏ってガードするが勢いよく俺は飛ばされた。

 

「うっ………………」

 

「ランデス!!!」

俺は何とか一回転して衝撃を受け流した。

化け物の腕を見ると殴った腕から血が垂れていた。

 

「コイツ………限界を超える一撃を出せるのかよ!?」

普通人間……生命体は痛みというものが存在している。生命体は本能で死ぬ程の苦痛の痛みは出来るだけ回避しようとする為そんな事は不可能

 

まぁ簡単に説明すると

1 自分が他者に向けて殴る。

2 殴った時に痛みが走る。(自分も相手も)

3 その時殴った反動で自分の腕がボロボロで使えなくさせない為勝手に調節された一撃と化している。

 

それが奴の場合限界(リミッター)と言うべきものを超えて反動のダメージを受けながら殴っているのだ。

まぁ【人間】なら不可能に近い けど奴が言う【神】なら可能なのだろか……………

 

更に奴は腕から出血している所から黒い魔力がまとわりついて数秒したら傷は消えていた。

マランスの魔法の怨念とやらか…………つまり奴は高い自己回復能力を手にしている訳か………

 

「ったく………面倒なこった!!!」

俺は砂を両腕に纏い高速で移動し化け物の足元を狙う。

 

「砂竜の翼撃!!!」

アキレス腱を狙って体制を崩そうとするが

 

「ΖьюΖьΖюΔюъюΖьΔПΔьΖ」

化け物は地面を強く蹴り地面を割る。割れた結晶のようなものが俺の進行を妨げる。

視界が悪くなって砂で結晶を振り払うが、化け物は俺の頭を掴んでいた。

 

「コイツ!!!」

俺はゼロ距離の咆哮を放とうとするが化け物は回転して地面に叩きつけようとしてきた。流石に致命傷になりそうだ。

全力で殴ろうとした時 リートが氷を纏って化け物の顔面を殴った。

回転で逆方向で殴った為かなり効いたのだろう。化け物は呻き声を出して俺から手を離し地面を転がる。

 

「サンキューリート…………下手したら死ぬぜこりゃ」

俺はリートに忠告する。

 

「見たら分かるくらいにな…………」

すると化け物は速攻で立ち上がる。既にリートに殴られた跡は怨念によって無くなっていた。

うーむ………攻撃してもかなり早い回復をする為何とかそれと………そしてもう1つは…………

 

「土竜の咆哮!!!」

試しにわざと地面の方に向けて咆哮を放ち化け物に命中させようとさせるが化け物は右手で咆哮を受け止め、それを左手で跳ね返してきた。

 

「やっぱりな!!!」

跳ね返ってくる咆哮を俺はリートの腕掴んで高速で移動して避ける。

 

「お…おい!!!ランデス お前何すんだ!!!」

リートは俺を怒鳴る。まぁそりゃそうだわな

 

「悪ぃ..…まぁマランスの魔法が使えるならファガナルの反射も使えるか試したが……………やっぱ使えるよな」

つまり俺が何を言いたい事かと言うと

 

「つまりブレスからの凍らせる事が出来ねぇって事か」

流石リート俺の言いたい事を理解してくれた。

 

「リートのさっきの氷河螺旋拳って技でやるしかねぇんだよな……しかしあの化け物が簡単に懐に入らせる訳ねぇだろうし…………………」

そんな事を考えていると化け物は1歩1歩と足を進めてくる。圧倒的な強者感が溢れ出てきやがって…………

 

「ランデス、お前の考えには賛成だ。けどな時間と隙がねぇ…………無茶かもしれねぇけど何とか出来るか?」

リートは俺の顔を真剣に見ていた。

俺はニヤリと笑い

 

「囮って訳か…………まぁそうでもしないと倒せねぇからな。やってやるよ」

俺はそう言って足に砂を纏って高速で移動する。化け物も俺の動きに反応して思いっきり地面を蹴って飛んできた。

化け物は俺のスピードに着いてきていた。すると、化け物の手から黒い球が大量に放たれる。

怨念の塊か………最早弾幕ゲーだ。

多少強引だが俺らしい戦い方に持ち込んでやる。

俺は足を相手の方に向けて大量の砂を撒き散らす。化け物は目があるのか知らないが一時的に俺を見失う。その隙に俺は化け物の背後に回る。

 

「オラ!」

俺は化け物にかかと落としをくらわせる。

化け物は体をガクンと揺れるが、すぐに俺の足を掴んで投げられる。

 

「普通かかと落としくらって平気な奴いるか?化け物が…………って化け物だったわ」

そう言うと化け物は俺の発言に反応した。

 

「юСЩэЧэ●ΑЧэЧбЧΑЬ!!!」

何言ってんだろうか コイツの声聞いていると日本語忘れそうだな。そんな事を考えていたら油断して化け物に両腕を掴まれた。

ピンチに見えるこの状況しかし!!!俺ならこうする。

 

「…………よーく掴んでおけよ。1つ教えてやるよ………俺は岩の滅竜魔導士でもあるから頭は世界一硬ぇんだよ!!!頭蓋に叩き込んでやる!!!」

俺はそう言って全力の頭突きをする。鈍い音を立てて化け物は俺を離してふらつく

脳震盪を起こしたな。脳震盪は確か意識障害とか起こす。めっちゃ硬い俺の頭(岩を纏ってる為)だからこそ出来る技だ。化け物は呻きながら倒れ込む 今がチャンスだ。

 

「リート!!!今だ!!!」

俺はリートの名を呼ぶ その俺の声にリートは

 

「ああ!!!任せろ!!!」

そう頼りがいがある声を出して化け物に突っ込んでいく

 

「コレで終いだ!!!氷河螺旋拳!!!」

再び腕の周りに螺旋状の冷気を纏って化け物を殴り付ける。

 

「ЩЬСэбЬ●Щ⇡ЩΑЧ●СэСээЩэСэю…………」

大きな図体の化け物の筈だがリートの一撃に大きく吹き飛ばされ全身が凍りついた。

静かになった空間に呆然としながらもやっと安心出来た。

 

「………勝った…のか?」

リートは倒れ込んだ。俺も膝を着く

遠くで化け物が転がって動いていなかった。

流石に意識障害を起こしながらあんな一撃くらって立てる訳がねぇ………

さてと………この神秘的な空間からどう出るからだが……………………

ずっとイア達は動かないままだった。

 

「ったく…倒したは倒したけど……………どうすればいいんだ?」

俺は頭を抱える。マランス達曰くこの空間……次元は魔法発動者(マランス、ファガナルの事)とその魔力の素材を持つ者(俺とリートの滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー))だけが動けるとの事倒した所でこの次元から出れる訳では無いと言う事だ。そんな事を考えながら俺はブツブツと呟いていると

 

「なぁ……その杖の魔法で元の世界に戻ればいいだけだと思うんだが」

リートがそんな天才的な考えを出したのだ。

 

「リート…………お前天才って言われた事ない?」

そんな事思いつかなかったわ……俺がまじまじとリートを見つめている。リートは困惑した表情で俺にこう言った。

 

「いや、すぐ思いつくだろ」

こう言うのマウントとるって言うのか?まぁその空間を出るにはそれしかないのだろう………

問題はその杖がどこにあるのかなんだが…………

マランスとファガナルはあの杖使って合体したから…………あの化け物の胸元にあった2つの宝石が杖のあの宝石だったなあんな化け物の近くに寄りたくないんだが………………やれやれ仕方ないか………

俺は凍って転がっている化け物の方に視線を向けた。のだが、そこには転がっていた化け物の姿はいなかった。

 

「リート!!!気をつけ…………………」

そうリートに言おうとした時には俺は強く地面に叩きつけられていた。

 

「ガハッ!!」

俺の横から何かが掴んでいた。反対にはリートも同じ事になっていた。

マランスとファガナルの合体カミサマ化け物が俺達の頭を地面に叩きつけていたのだ。

 

「こ……の野郎……リートのあれく…..らっても動けるの…かよ……………」

 

「俺の全力をぶつけた筈だ...………例え立てたとしても早すぎる…………回復速度がやべぇ……………」

互いに頭から血を流していた。血は地面にぽたぽたと垂れていく

どんどん化け物は無言で力を強めていた。まずい……………石頭の俺でもヤバいって分かるくらいに 俺は足に力を込める。

 

「クソ……タレが………………とっとと…………潔く倒れやがれよ!!!」

俺は足から砂を纏い、ブーストさせて無理矢理抜け出す。化け物は俺を掴んだまま離さないがリートがその緩くなった隙に抜け出した。

 

「氷竜の凍乱!!!」

リートは両手に冷気を纏って同時に振り下げる。化け物は見事に背中から凍っていくが

 

「эбЬЧЩЧЩ!!!」

俺を投げ飛ばして背中の凍った部分を叩いて破壊して侵食を抑えたのだ。俺は砂で投げられた衝撃を促して何とか上手く着陸した。

 

「しぶといな。コノヤロウ」

俺がそう呟くとリートもよってきた。リートの頭から流れてる血が青髪を少しだけ赤色に染めていた。

 

「ちくしょう…凍らせても アイツあんなやり方で凍らるのを止められるとさすがにやりようがねぇ…………………」

リートは悔しそうに化け物を見ていた。化け物はさっき凍った背中を砕いた影響で立てなくなっていたがすぐに立ち上がるだろう。

ダメージ与えても速攻で回復………凍らせる隙も見せねぇ………見せて凍らせても無理矢理突破される…………………

そこで俺はめっちゃ脳筋のような考えを思いついた。

 

「リート………一か八かの大勝負に出ないか?」

俺はニヤリと笑う。リートは不思議そうに俺を見つめている。

 

「…………何する気だ?」

 

「…………俺はリート、リートは俺なら出来る筈だよな……ダメージが回復されるならそれを上回る技で対抗………合体には合体だ!…………合体魔法《ユニゾンレイド》やろうぜ!!!」

俺が言うとリートは少し黙った後 微笑して

 

「ランデス………お前、結構ぶっ飛んでんなw」

俺は指さして言った。

 

「おいおい……それは頭がぶっ飛んでるって意味か?それとも考えがぶっ飛んでるって事か?」

 

「両方だ」

 

「オイィィ!!!」

そんな漫才みたいな事をしながら俺達が笑っているとようやく化け物は立ち上がった。

 

「ハハッ……そんじゃやろうぜリート ちゃんと合わせろよ?」

 

「分かってる。ランデスこそ大丈夫なんだろうな?」

 

「Of course!」

俺は英語で言ってやった。化け物はしびれを切らして地面を蹴り迫ってきた。

 

「コレが大地の………」「コレが氷の……」

「「合体魔法だ!!!」」

俺とリートは同時に走る。右に俺 左にはリート

俺の右手には岩を纏い、リートの左腕には氷が纏われていた。

 

「「ユニゾンレイド…………」」

「эЫьΖъСю●⇡СюΖэЬЩ!!!!」

化け物が俺達の頭を掴もうとする。だが俺達の方が早かった。

俺が化け物の左腕を殴って化け物の腕を砕けさせて、リートが化け物の右腕を殴って凍らせて破壊させた。腕が無くなった化け物は少し驚いた顔をして下がろうとする。

その隙に俺達はコンボを決めていく

 

リートが足で化け物の体勢を崩し、俺が化け物を掴んで後ろに叩きつける。そして俺とリートは化け物を同時に投げ飛ばす。

 

「「合乃型」」

そう言って俺とリートはスピードを上げる。投げ飛ばした化け物よりも速く走る。

化け物は投げ飛ばされながらも両腕を再生させて体勢を整えようとする。

 

「「コレが俺達の全力だぁぁぁぁ!!!」」

そう言って同時に化け物の胸元の宝石を殴る。

 

「ЬюэюэСэюэСэСэьэС⇡юэюэюэюэюю⇡Ζ⇡●ЧЫ!?」

 

「「氷山拳一閃!!!!!」」

俺達の閃光の一撃は化け物の宝石を掴み体を貫通させる。

化け物はとても前に人間だったとは思いたくない絶叫の声が空間に響き体をボロボロにさせて消えた。

恐らく無理矢理魔法を解除させた為 2人の体が粉々に砕けたのだろう………..哀れな奴め

 

散っていった化け物を見てようやくホッとした。すると俺とリートは同時に倒れた。

そして互いが化け物を殴った手には杖が握られていた。

 

「今度こそ勝ったな…………俺達2人の勝ちだ…………」

リートはそう言った。互いに魔力を使い切って動けなくなっている。

 

「あぁ………………コレで元の世界に……………」

そう呟いた時俺は言葉を失う。この世界から出る………その後には俺達はリート達の世界に存在しないもう1人のリート………元の世界に帰らなくてはならない…………つまりリートとの別れと言う事だ。

俺が急に黙ったので察したのかリートは何とか立ち上がって

 

「早くランデスも元の世界に帰らねぇとそっちのナツ達が心配するぜ…………………大丈夫。俺はお前…お前は俺なんだろ?」

リートがそう言って決戦前のように再び俺に手を差し伸べる。俺はその手を精一杯の力で掴んで言った。

 

「分かってる!」

それから数分 2人の滅竜魔導士の笑い声は続いた。

 

そしてようやく互いに魔力が回復した為 杖に魔力を注いでいた。

 

「イアはラリカと気が合いそうだったな。別れの挨拶が出来ねぇのはちょっと可哀想だが…………」

リートは言っていた。気が合う……ラリカが………あのドS 社畜女と?

 

「造形魔法で拷問器具を造るような奴だけどな」

俺は顔を青くする。アイツ棘付きの鉄球とか普通に造って攻撃するし、敵と認識したら容赦ないし………………

 

「そういうとこがだよ……………」

リートも俺と同じ位に顔を青くしていた。えぇ……………ラリカもドSなん?

「互いに苦労するんだな………それにバンクは1度戦いを見たけど面白そうな魔法だったな」

 

「バンクからお前と戦いてぇって何回も耳にタコ出来るくらい聞いたぞ」

うん 怖い 本人の前でさっきの発言したら即バトルだったな………………

すると互いに杖が輝き出した。つまり魔力は溜まっていよいよ別れの時が来たのか………………

 

「コレで本当に最後だな……………」

 

「あぁ……ランデス…俺はお前の事一生忘れねぇよ」

 

「言ったな!俺は死ぬ直前まで忘れねぇぞ!!!」

 

「ちょっと俺より下じゃねぇか!!」

そんな会話をした後

 

「使い方は分かってるよな?」

リートが俺の顔を見て言った。この魔法の発動条件は………発動者同士が同じ事を思う事……………

 

「分かってる………んじゃなリート…………ラリカとバンクに宜しくな」

俺の体は紫に輝きだす。リートも緑色に輝きだした。

 

「そっちこそな。イアとオズモンに宜しく言っておいてくれ」

そして俺は今更ある事を思い出した。イアから聞いた話だとリートと俺達との時間が違うらしく俺達の世界よりも前らしい もし俺と同じ道を辿るならと思い

俺はリートにこう言った。

 

「リート!!!お前はその内色んな事が起きると思う!!!その時は仲間を信じろ!自分の魔法を信じろ!!!この言葉忘れるんじゃねぇぞ!!!もう1人の俺!!!!」

そして視界は白く染まる瞬間リートが手を振って

 

「おう!!!ありがとよ!!!もう1人の俺!!!!」

その声が聞こえた瞬間視界は白く染まった……………………

 

古びた教会

 

「…………………成功したのか」

俺は静かに目を開く そこはあの教会で周りには倒した盗賊共と倒れているイアとオズモン

しかし

 

「マランスは居ないか……………」

やはりあの時ファガナルと共に消えたのか…………

そして割れている窓から空を見るとまだ青空は広がっていた。流石に1日経っても盗賊共が目を覚ましていないと言う事は時間があんまり経っていない……もしくはこっち時間そのものが動いていないと言うのか………………………

そんな事を考えているとイアが目を覚ました。

 

「……ぅ……ん………!!!ランデス!!!リート!!!」

起きた瞬間めっちゃうるさいイアの声に耳を塞ぐ

 

「……あ……れ?教会?酒場にいたんじゃ…………アレ?」

イアは頭を抱えていた。あの時の戦いはイアは見ていなかったのか 時が止まってると言う解釈だったしそうなのかもしれない

 

「ランデス……リート達は?」

ようやく落ちついたイアは静かに俺に尋ねる。

 

「帰ったよ……元の世界に……俺達もな……………」 そう言うと「そう…………」残念そうにイアは呟いた。オズモンはまだ寝ていた。

 

「クエストは達成したし………報告してあの無能評議員共に任せて今日は宿屋に泊まって帰ろうぜ………お前が知らない戦いの話してやるよ」

俺がそう言うとイアは笑顔になって

 

「うん!!!」

そう無邪気な笑顔で言ったのだった………………………

 

おまけ

 

どうも!大地竜の大冒険の作者HIRO HIROです!今回のコラボストーリーいかかでしたか!!!

僕的にはもうちょい改善すべき点とうがありました…………

リート達のキャラ崩壊に心掛けましたが………やっぱり難しい!

逆にタイキックさんはランデス達のキャラがちゃんとイメージ出来るんで凄い才能だと思います!

投稿が遅れて申し訳なかったです…………今7000文字近くで結構戦闘シーンに力を入れたくて………コレマジの話自分がコラボストーリーやる前にタイキックさん全ての話終わらせて送ってくれたんですよね………………それに僕が1話1話と終わる度にタイキックさん待ってくれたんですよね………ホントこの場でお礼を申し上げます!!!

 

で今回のコラボの経緯なんですが………なんと!タイキックさんがTwitterのDMでお誘いしてくれたんです!!!何から何まで全てタイキックさんのおかけですありがとうございまする!!!

でコラボストーリーが投稿されるまでに色んな事話したんですよね…………その話の後半でも言ったラリカとイアが気が合うんじゃないかと言う話はその時DMで出たんですよね………w

最後にここまで見てくれた人達………タイキックさん………

今回はありがとうございました!!!!!

タイキックさんの方では楽園の塔編2!

僕の方ではエドラス編を宜しくです!




コラボストーリーは以上で終了となります。

HIRO HIROさんこちらこそコラボをありがとう!!

ちなみに主は作品かいてる間にリートのドラゴンフォースのイメージがほぼ完成しちゃいましたw

こりゃあエレナの魔法の説明と一緒に楽園の塔の間に書かねぇと

次回からまた楽園の塔編 2として再開いたしますお待ちしていただいてた読者の方申し訳ないっす


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楽園の塔編2
ジェラール


皆様大変長らくお待たせ致しました本日より楽園の塔編再開いたします。

色々と設定は定まってきている為時間さえあれば順調に書ける……はずです……

あ、ちなみにコラボしてるときも説明しましたがリートのドラゴンフォースのイメージはほぼ完成してますw


「四角ー!!!!どこだーーー!!!!」

 

ナツ達は地下から塔内に入り込んでいた

 

「ちょっと!!!ここは敵の本陣なんだから大声出さないの!!!」

 

「むがっ」

 

ルーシィは慌ててナツの口をおさえる

 

「いや、敵もいい加減気づいてるだろう」

 

「あぁ、下であれだけハデにやったんだ今さらこそこそしても仕方ねぇ」

 

リートとグレイはナツが大声を出しても気にすることはなかった

 

「それにこの扉、誰かがここから開けたものじゃありませんよ」

 

「ああ、こりゃ遠隔操作で動かされたみてぇだな」

 

ジュビアとバンクは自分達の入ってきた扉を見ながら言った

 

「俺たち完全に気付かれてんな」

 

「だったら扉を開く意味が余計にわかんないじゃない」

 

ルーシィはバンク達にむかってそう言った

 

そして会話を聞いていたグレイとリートは考える

 

「挑発してんのか?」

 

「さぁな、今のところは何とも言えねぇ」

 

「それより…」

 

リートとグレイはルーシィの服装が変わっていることに気がついた

 

「おまえ…なんだその服」

 

ルーシィは派手なドレス姿になっていた

 

「星霊界の服!濡れたままの服着てんのも気持ち悪いし、さっきついでにキャンサーに頼んだの」

 

「あ…そう…」

 

「水になれるジュビアは置いといてアンタらよく濡れたままの服着てられるわね」

 

ルーシィは呆れていた

 

「こうすりゃすぐ乾く」

 

「便利だぞナツは」

 

グレイとリートはナツに炎を纏ってもらいその近くで服を乾かしていた

 

「こんな近くに乾燥機が!!!」

 

「ホントに便利だなコイツ!!一家に1台欲しいくらいだなw」

 

いつの間にかバンクも混じって服を乾かしていた

 

「いたぞ!!侵入者だ!!!」

 

遠くの影から敵が数人やってくる

 

「懲りねぇやつらだな」

 

ナツが構えたその時、敵は後ろから何者かによって攻撃を受けた

 

「ぐほぉ」

 

「がはっ」

 

「ふぉ」

 

 

「なんだ?」

 

そこに現れたのは敵を一掃したエルザだった

 

「エルザ!!!」

 

「よかった!!!無事だったんだね!!!」

 

「カッコいい…」

 

「うおっ、スッゲ」

 

 

「!!!」

 

「お…おまえ達が何故ここに…」

 

エルザは驚いた表情でリート達を見る

 

「なぜもくそもねぇんだよ!!なめられたままひっこんでたらフェアリーテイルの名折れだろ!!あんの四角だけは許しておけねー!!」

 

ナツは怒りの表情で答える

 

そしてエルザはジュビアとバンクの存在に気がついた

 

エルザに見られたジュビアは少しだけ怯えていたがバンクはいつもと変わらない

 

「どもw」

 

「あの……ジュビアは……その」

 

 

 

 

「帰れ」

 

 

 

「!!?」

 

ここはおまえ達の来る場所ではない

 

エルザは寂しげな表情でそう言った

 

「わりぃけどよエルザ、そういう訳にもいかねぇんだ」

 

リートはエルザに口を挟んだ

 

「ハッピーとラリカが捕まっちまってる以上簡単に帰るわけにはいかねぇ」

 

「ハッピーとラリカが?…まさか、ミリアーナ」

 

「そいつはどこだ!!!」

 

ナツはエルザに詰め寄る

 

「さ…さあな…」

 

「よし!!!わかった!!!」

 

そう言ってナツは別の部屋に向かおうとする

 

「何がわかったんだよ!!!」

 

グレイは思わずツッコんだ

 

「ハッピーが待ってるってことだ!!!!」

 

そう言ったナツは既に走り出していた

 

「待ってろよハッピー!!!」

 

「待てよナツ!!俺も行く!!!」

 

リートもナツを追いかけて走って行った

 

「ナツさん!!!リートさん!!!」

 

「オ…オイ…ナツ……リート…」

 

ジュビアとエルザは二人に声をかけるがもはや二人の耳には届いていなかった

 

「あーあ、行っちまったな」

 

「あいつら、また勝手に」

 

「あたし達も二人を追いかけよ!!!」

 

 

「ダメだ 帰れ」

 

バンク、グレイ、ルーシィ、ジュビアの四人がナツとリートを追いかけようとするのをエルザは抑止した

 

「エルザ!!!」

 

「ミリアーナは無類の愛猫家だハッピーとラリカに危害を加えるとは思えん」

 

「ナツとリート、ハッピーとラリカは私が責任を持って連れ帰る

おまえ達はすぐにここを離れろ」

 

その言葉にルーシィは強く反発する

 

「そんなのできるわけない!!!エルザも一緒じゃなきゃイヤだよ!!!」

 

「これは私の問題だおまえ達を巻き込みたくない」

 

エルザは振り返らず前だけを見て答える

 

「もう十分巻き込まれてんだよ、あの二人を見ただろ」

 

「エルザ、この塔は何?ジェラールって誰なの?」

 

ルーシィが質問してもエルザは何も喋らない

 

「言いたくないんならいいけどさ…あいつらはエルザの昔の仲間って言ってたよね

でもあたし達は今の仲間」

 

「どんな時でもエルザの味方なんだよ」

 

「か…帰れ…」

 

エルザは震えながらようやく言葉を発した

 

「らしくねーなエルザさんよぉ

いつもみてーに四の五の言わずついてこいって言えばいいじゃんヨ」

 

「俺たちだって力を貸すおまえにだってたまに怖ぇと思う時があってもいいじゃねーか」

 

グレイがそう言ってエルザの顔を見るとエルザの左目からは涙が出ていた

 

「う」

 

グレイはエルザが泣いていると思ってなかった為自分が泣かせたと思い少しだけ罪悪感を感じた

 

「この戦い…勝とうが負けようが私は表の世界から姿を消すことになる」

 

 

「え!?」

 

「どういうこった!!?」

 

 

「これは抗うことのできない未来…だから……だから私が存在している内にすべてを話しておこう」

 

エルザは全てをルーシィ達に聞かせ始める

 

「この塔の名は『楽園の塔』別名『Rシステム』10年以上前だ黒魔術を信仰する魔法教団が死者を蘇らす魔法の塔を建設しようとしていた」

 

「死者を蘇らす!?」

 

「政府も魔法評議会も非公認の建設だった為各地からさらってきた人々を奴隷としてこの塔の建設にあたらせた」

 

「幼かった私もここで働かされていた1人だったのだ」

 

「え…」

「……」

 

ルーシィとグレイは驚愕する

 

それからエルザは過去の話しをより正確に語っていった

 

ジェラールとその時知り合ったこと

懲罰房で片目を失ったがジェラールが助けようとしてくれたこと

 

しかしジェラールが自分の変わりに捕まったこと

 

それによりエルザと他の奴隷達が反乱を起こしたこと

 

「……私たちは自由の為、ジェラールを救うために立ち上がった」

 

「あの頃のジェラールはみんなのリーダーで正義感が強くて…私の憧れだった」

 

「しかし……ある時を境にジェラールは別人のように変わってしまった…もし、人を悪と呼べるなら私はジェラールをそう呼ぶだろう」

 

 




今回はここまでです、基本過去の話しはわかる範囲でまとめて省略するため短くなってしまいます、そこら辺はちょっと申し訳ないですねぇはい


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あと1人

大変遅くなりました!!
しかし今回はちゃんとした理由があります!!!

なろう小説の無職転生という作品が面白すぎたんです!!

アレを読むな、なんて!!最早拷問ですよ!!!

リート(怒)

ドカッ!!(作者を殴る音)

「ぶべらぁ!!!」


『魔法評議会場ERA』

 

会場内ではいまだにジークレインがエーテリオンを撃ち込めと説得を続けていた

 

「楽園の塔をこの世から完全に消し去るために……Rシステムをジェラールに使わせないために!!!

今、我々がとれる行動はサテライトスクエアからのエーテリオン攻撃しかないんだぞ!!!」

 

「しかし…」

 

「うむ」

 

ジークレインの言葉にウルティアが続いた

 

「Rシステムは歴史には記録されてはならない禁忌の魔法

この意味おわかりですよね皆さん」

 

しかしまだ賛成してない評議員のメンバーは簡単に首を縦に降ろうとしない

 

「エーテリオンによる攻撃は全てを無に返す、例え民間人がいたとしてもだ

あの塔にいるものは全滅するのだぞ」

 

その言葉を聞いてもジークレインは動じずに言った

 

「それが魔法界の秩序を守る為なら 払わねばならない代償なんだ」

 

それを聞いて残りの評議員メンバーは1人を除き全員が賛成した

 

「あと1人だ」

 

 

・・・

 

『楽園の塔内部』

 

「あと1人…か」

 

「は?何か言いましたか?ジェラール様」

 

ジェラールの言葉の意味を理解していなかったヴィダルダスはジェラールに聞き返す

 

「いや、こっちの事だ…

ゲームオーバーまであと1人…くくく……」

 

 

……

 

 

グレイ達はエルザから過去の話しを一通り聞いたところだった

 

「ちょっと待てよエルザ…話しの中に出てきたぜレフって…」

 

 

「ああ、魔法界の歴史上 最凶最悪と言われた黒魔導士」

 

 

「確かララバイから出てきた怪物もぜレフ書の悪魔って言ってたよね」

 

 

「それだけじゃない…おそらく あのデリオラもぜレフ書の悪魔の一体だ」

 

「!!!」

 

デリオラと言う言葉にグレイが反応した

 

「ゼレフとは、アレほどの恐ろしい魔物を造り出すことができるほどの魔力を持っていた」

 

「ジェラールはそのゼレフを復活させようとしてるって事ですか」

 

ジュビアは冷や汗をたらしながらエルザに聞く

 

「ほぉ、そりゃまたずいぶんと壮大な計画だな」

 

バンクは少しだけ嬉しそうにしていた

 

 

「動機はわからんがな……ショウ…かつての仲間の話ではゼレフ復活の暁には楽園にて支配者になれるとかどうとか」

 

「そういえば そのかつての仲間達の事って どうしても府に落ちないんだけど…あいつらはエルザを裏切り者って言ってたけど、裏切ったのはジェラールじゃないの?」

 

ルーシィはエルザに問いかけた

 

「私が楽園の塔を追い出された後、ジェラールに何かを吹き込まれたんだろうな」

 

「しかし私は8年も彼等を放置した

裏切った事に変わりはない」

 

「でも、それはジェラールに仲間の命を脅されてたから近づけなかったんじゃない!!

それなのに あいつら…」

 

ルーシィは強く否定するがエルザは顔色を変えずに話しを続ける

 

「もういいんだルーシィ

私がジェラールを倒せば全てが終わる」

 

 

エルザのその一言を聞いたグレイは疑問を浮かべる

 

(本当にそうなのか?)

 

〈この戦い…勝とうが負けようが私は表の世界から姿を消すことになる〉

 

(あの言葉が妙にひっかかる)

 

 

ザッ

 

 

話しをしていたエルザ達の後ろから足音が聞こえた

 

「その話…ど…どういうことだよ?」

 

振り返るとそこにはショウの姿があった

 

「ショウ…」

 

ショウはエルザに怒りをぶつける

 

「そんな与太話で仲間の同情を引くつもりなのか!!!

ふざけるな!!!真実は全然違う!!!」

 

「8年前 姉さんはオレたちの船に爆弾を仕掛けて一人で逃げたんじゃないか!!!

ジェラールが姉さんの裏切りに気付かなかったら全員爆発で死んでいたんだぞ!!!」

 

「ジェラールは言った!!!これが魔法を正しい形で習得出来なかった者の末路だと!!!

姉さんは魔法の力に酔ってしまってオレたちのような過去を全て捨て去ろうとしてるんだと!!!」

 

 

 

「ジェラールが言った?」

 

「お前、自分の目で見て確かめた訳じゃねぇのか…バカだな」

 

「あなたの知ってるエルザはそんな事をする人だったのかな?」

 

ショウの言葉にグレイ、ルーシィ、バンクの三人が口をはさんだ

 

「お…おまえ達に何がわかる!!!

オレたちの事を何も知らないくせに!!!」

 

「オレにはジェラールの言葉だけが救いだったんだ!!!!

だから!!!8年もかけてこの塔を完成させた!!!ジェラールの為に!!!」

 

「その全てが…嘘だって?…正しいのが姉さんで間違っているのはジェラールだと言うのか!!!」

 

 

 

「そうだ」

 

 

「「「!!!」」」

 

ショウの後ろから更に新しく人影が現れた

 

「シモン!!?」

 

「てめ…」

 

「待ってくださいグレイ様!!」

 

グレイがシモンに襲いかかろうとするのをジュビアが止めた

 

「あの方はあの時グレイ様が身代わりと知ってて攻撃したんですよ

暗闇の術者が辺りを見えていない訳がないんです」

 

「何!!?」

 

「ジュビアがここに来たのはその真意を確かめる為でもあったんです」

 

 

「さすがは噂に名高いファントムのエレメント4」

 

シモンはジュビアを評価する

 

「誰も殺す気はなかった

ショウ達の目を欺く為に気絶させるつもりだったが氷ならもっと派手に死体を演出できると思ったんだ」

 

「オレたちの目を欺くだと!?」

 

ショウは驚愕した顔つきでシモンを見た

 

「じゃあ、あの紫髪の女も!!」

 

「いや、エレナは違う…あいつはエルザの事も気に入っていたがそれと同じくらいジェラールの事も気に入っていたからな、過去の事もある以上簡単にはジェラールの事を疑ったりしないだろう」

 

グレイの予想にシモンは淡々と否定した

 

「お前もウォーリーもミリアーナもエレナも

みんなジェラールに騙されているんだ」

 

「機が熟すまで……オレも騙されているフリをしていた」

 

 

「シモン…おまえ…」

 

「オレは初めからエルザを信じてる」

 

シモンは頬を指で掻き照れながら話す

 

「8年間ずっとな」

 

そう言うとシモンはエルザに笑いかけた

 

エルザは片目に涙を溜めてシモンを抱き締める

 

「会えて嬉しいよエルザ…心から」

 

「シモン…」

 

その様子を見ていたショウは膝をつき悔やみきった顔をする

 

「なんで…みんなそこまで姉さんを信じられる…何で…」

 

「何でオレは…姉さんを信じられなかったんだ」

 

 

 

「クソォォォォッ!!!!!」

 

 

 

「うわぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

 

 

「何が真実なんだ!!?オレは何を信じればいいんだ!!!!」

 

 

 

すっ

 

泣いているショウにエルザが近づきしゃがみ込んだ

 

「今すぐに全てを受け入れるのは難しいだろう。だがこれだけは言わせてくれ」

 

「私は8年間おまえ達の事を忘れたことは一度もない」

 

「何も出来なかった……私は…とても弱くて……すまなかった…」

 

「だが今ならできる、そうだろ?」

 

シモンの言葉にエルザはうなずいた

 

「ずっとこの時を待っていたんだ強大な魔導士がここに集うこの時を」

 

 

「強大な魔導士?…あたしもかしら?」

 

ルーシィは少しだけ不安そうな顔で聞き返した

 

「ジェラールと戦うんだ

オレたちの力を合わせて」

 

「まずは火竜と氷竜とウォーリー達が激突するのを防がねば」

 

「おそらくほぼ確実にエレナとは戦うことになるだろう、エレナとの戦闘も避けたいところだがこればかりは何とも言えん」

 

「ジェラールと戦うにはあの男達の力が絶対に必要なのだ火竜のナツと氷竜のリート」

 

 

………

 

 

エルザ達を置いて先に進んだナツとリートはいまだにハッピーとラリカを探していた

 

「ハッピー!!!どこだー!!!」

 

「ラリカー!!!聞こえたら返事してくれー!!!」

 

二匹を探していると二人はとある部屋を見つけた

 

「ん?」

 

「どうした?」

 

「なんだこの部屋は」

 

そこは猫のグッズで一杯になっている部屋だった

 

「猫だらけだ」

 

「ここにあいつらも居るのか?」

 

ナツとリートは部屋に入りハッピー達を探す

 

「お?」

 

カポッ

 

ナツは猫の被り物を見つけると自分で被りはじめた

 

「アハハっなんかいいなコレー!!」

 

「何してんだよお前は…」

 

「ホレ、もう一個あったからリートも被れよw」

 

カポッ

 

「おまっ…何してくれんだこの野郎(怒)」

 

リートとナツは猫の被り物を外そうとする

 

グググッ

 

「……」

 

「あれ?……ぬけねー」

 

「テメェ…後で覚えてろよ(怒)」

 

「ごめんなさい!!!」

 

「しかし参ったなこりゃ」

 

「まぁ面白えからいいじゃねぇか」

 

「この塔から出るまでにとれなかったら拳骨地獄だからな…」

 

「大丈夫だって!!いつかとれるからよ!!」

 

ナツは焦りながらリートを説得する

 

そんな事をしている二人の後ろには人影が見えた

 




今回はここまでです

すいません、次からはまた作品に専念します…はい、申し訳ありません( TДT)


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キャットファイト

もうすぐでお気に入り300人突破!!!

いやー嬉しいですねぇwまだ全然話しは進んでないですけどねw


「うひひ……ハッピーとラリカ驚くだろーなコレ

ついでにエルザも驚かしてやっかな」

 

「とれねぇってのに呑気だなお前は」

 

ナツとリートは猫の被り物を被ったままハッピー達を探していた

 

「待てよ…ルーシィの方がリアクション面白そうだな」

 

「そう言う問題じゃねぇだろ…」

 

するとナツ達の後ろからいきなり音がした

 

ガチン

 

「ジ・エンドだゼ ボーイズ」

 

音に気付いたリートが後ろを振り返るとウォーリーが拳銃でナツを狙っていた

 

「!!!」

 

 

……

 

「くそっ!!!ウォーリーもミリアも、エレナまで通信を遮断してやがる!!!これじゃどこに居るのか分からねぇ!!!」

 

フェアリーテイルのメンバーも含めた全員を引き連れてシモンはナツ達の元に向かいつつウォーリー達に通信をしようと試みていたが誰1人出ようとはしなかった

 

「通信?」

 

「思念伝達魔法ですね」

 

「みてぇだな、便利な魔法もってんじゃねぇかあいつ」

 

ルーシィ達がシモンと一緒に走っているなかショウの足取りが少しだけおぼつかなくなっていた

 

「大丈夫か?ショウ」

 

エルザはそれに気が付きショウに声をかける

 

「うん…姉さんがいてくれるから」

 

その言葉を聞いてエルザは少しだけ微笑んだ

 

「なぁ……あいつ……本当に信用してもいいのか?

確かに俺たちを殺そうとしなかったのは認めるが

あの時ナツとルーシィ、下手すりゃリートも死んでもおかしくねぇ状況だった」

 

グレイはいまだにシモンを信用できずにいた

 

「言い訳をするつもりはないあの程度で死んでしまうような魔導士ならば到底ジェラールとは戦えない」

 

「聞いてやがったか」

 

「それにオレには確信があった

ナツとリートは死なない」

 

「あの…あたしは?」

 

「お前、俺が来なけりゃ絞め殺されてたもんなw」

 

「笑いながら言うな!!」

 

バンクは爆笑しながらルーシィを見ていた

 

「…おまえ達はナツとリートの本当の力に気付いてないんだ…ナツとリートに真のドラゴンの力が宿る時、邪悪は滅び行く」

 

 

……

 

 

時間は少しだけ前のリートがウォーリーに気がつく前まで戻る

 

「へっくし!」

 

「うわっ口の回りがふけねぇ!!気持ち悪ぃ」

 

「自業自得だバカ」

 

「くそっやっぱとった方がいいかな…ってかとれねー」

 

「何してんだお前は……!!!」

 

ウォーリーの姿を見つけ慌てて隣にいたナツの服をつかんでリートは自分の方へと引き寄せる

 

「うおっ!!?」

 

 

ダキュン!!

 

ウォーリーの放った弾がナツのすぐ横を通る

 

「っぶねぇ…」

 

「ちっ、この俺が外すとは…ダンディじゃねぇな」

 

「だが次は当てるゼ」

 

ウォーリーはもう一度拳銃を構える

 

「四角!!!」

 

「なんだあのカクカク!!?」

 

リートとナツはウォーリーの方を見る

 

「今度こそ ジ・エンドだゼ」

 

 

「ダメーー!!!」

 

弾を撃とうとするウォーリーを横からミリアーナが止めた

 

「何をするんだミリアーナ!!!」

 

「ネコネコいじめちゃダメなのー」

 

「ネコじゃねぇゼ!!!見りゃわかんだろ!!!」

 

リートとナツは顔を見合わせてもう一度ウォーリー達の方を向く

 

 

 

 

「「……にゃー」」

 

 

 

 

 

「ホラー!!」

 

「テメェらっ!!!」

 

「あん時はよくもやってくれたなァ!!!!四角野郎ーー!!!」

 

ナツはいきなり怒りだした

 

「お前、あのカクカクにやられたのかよ」

 

「やられてねぇ!!!」

 

リートとナツが話している内にウォーリーが動き出す

 

「どけミリア!!!奴は敵だゼ!!!」

 

ドン

 

「みゃあ!!」

 

ウォーリーはミリアーナを押し退けてナツ達に突っ込む

 

「くらえポリゴンアタック!!!」

 

ウォーリーの体が分裂し二人に襲いかかる

 

ズドドドド

 

「おっと!!」

 

「あらよっ」

 

ナツもリートもウォーリーの攻撃を軽々とかわしていった

 

「ネコバリアー!!うははw」

 

ナツは猫のぬいぐるみを防御に使いだす

 

「完全に遊んでんなアイツ…」

 

リートも攻撃をかわし続けながらナツを見ていた

 

「敵?ネコネコなのに?」

 

ミリアーナはいまだに訳がわからないという顔で戦闘を見ていた

 

「だからネコじゃねーって言ってんだろ!!!中に人が入ってんだゼ」

 

「みゃっ!!?」

 

ミリアーナはようやく理解した顔をした

 

「ネコファイア!!」

 

「だっせー技名だな!!…おっと」

 

リートとナツは氷と炎をそれぞれ腕に纏って攻撃する

 

「チィ…さすがはジェラールが気を付けろと言うだけのボーイ達

ミリア!!!援護してくれ!!!」

 

「みゃあ!!人なのにネコネコのフリするなんて元気最悪ーーー!!!」

 

「「お前はどーなのよ?」」

 

「ネ拘束チューブ!!!」

 

ミリアーナが二本のロープを出しそれぞれナツとリートに一本ずつ絡み付ける

 

「ぬおっ!!?」

 

「なんだこれ?」

 

「よくやったゼ ミリアーナ!!!」

 

ウォーリーがチャンスとばかしにナツ達に攻撃を仕掛ける

 

「ウォーリー!!!うそネコやっつけちゃってー!!!」

 

「秒間32フレームアターック!!!」

 

ナツとリートに向かって無数のブロックがとんでくる

 

「ぐおおっ」

 

「ごああっ」

 

「くそっ!!油断した!!」

 

「なんだコレ!!?急に魔法が使えなくなった!!!」

 

ナツとリートは腕に絡まったロープを見る

 

「こいつのせいか!!」

 

「さっさと取らねぇと!!」

 

二人はロープを引きちぎろうとするが今度は足にロープが絡まりバランスを崩す

 

「うわっ」

 

「おおっ」

 

更に上から二人に向かってウォーリーが降ってきて二人を地面に叩きつける

 

「「うぎゃっ」」

 

そして最後には二人はそれぞれミリアーナのロープで体を縛り付けられる

 

「どうやらここまでのようだな火竜と氷竜」

 

「んぎぎっ」

「ほどけねぇ…」

 

「プリレンダリングポリゴンショットでもくらいやがれ」

 

ウォーリーは二人に銃を向けた

 

「ウォーリー!!!はやくやっつけて!!!」

 

「やべーぞ!!!魔法の力がねぇとアレくらったら……」

 

「1発でアウトじゃねぇか!!」

 

ナツとリートは焦りはじめた

 

「おっと…ダンディなキメゼリフを忘れていたゼ」

 

「お前の運命は俺と出会ったときに終わっ〈バッコーン!!〉べぱっ!!?」

 

ウォーリーがキメゼリフを言ってる途中でハッピーとラリカが猫のぬいぐるみを持って飛んできてウォーリーを叩いた

 

「ハッピー!!」

 

「ラリカ!!」

 

「ナツー!!無事で良かったー!!!ってか何その被り物」

 

「リートまで何をふざけていますの?」

 

「好き好んで被った訳じゃねぇよ!!!」

 

 

「ネコネコが飛んでる!!!」

 

「コイツら!!!オレのキメゼリフをよくも!!!」

 

ダキュン ダキュン

 

ウォーリーはハッピーとラリカに向かって銃を撃ちはじめた

 

「うわっ!!」

 

「きゃっ!!」

 

 

「ダメーー!!!ネコネコをいじめないで!!!」

 

ミリアーナがウォーリーを止める

 

「ネコは飛ばねぇ!!!喋ってもいいが飛んじゃいけねぇ!!!」

 

「ハッピー!!!ラリカ!!!コレほどいてくれ!!!」

 

「あいさー!!」

 

「了解ですわ!!」

 

ハッピーとラリカはそれぞれナツとリートのところに寄ってロープをほどこうとする

 

「させるか!!!」

 

「だからダメなのー!!!」

 

「ネコじゃねぇ!!!あのうそネコをやるんだゼ!!!」

 

ウォーリーはミリアーナに攻撃を止められて思うように動けない

 

「急いでくれお前ら!!」

 

「なかなかほどけないんだよー!!」

 

「もういっそ胴体を切り落とした方が早いですわよ?」

 

「死ぬわ!!!」

 

「くそっこうなったらアレをやるしかねぇ!!」

 

ナツは座ってミリアーナの方を向いた

 

「アレ?」

 

「必殺!!!苦しんでるネコ!!!」

 

「にゃあああ…」

 

ナツは苦しんでいる演技でミリアーナの方を見続けた

 

「そんなのが通用するわけ…」

 

「あ……」

 

パサリ

 

ミリアーナがかわいそうなものを見る目でナツとリートのロープをほどいた

 

「うそぉ!!!」

 

「こんなのでほどけるなんて…あの方はアホですわね」

 

「おっし!!!」

 

「とにかくほどけたなら十分だ!!!」

 

 

「何してんだミリアーナ!!!」

 

「だってネコネコが……」

 

ミリアーナは涙を流しながら言い訳をする

 

「いけーナツー!!」

 

「やってしまいなさいなリート!!」

 

 

 

「火竜の翼撃!!!!」

 

「氷竜の硬拳!!!!」

 

 

 

「イエーース!!!」

 

「みゃあああ!!!」

 

ナツとリートの攻撃で二人は気を失った

 

「ふいーーっ!!四角へのリベンジ完了したぞー!!」

 

「お二人ともいつまでそれを被ってますの?」

 

「とれねぇんだよ」

 

「とれるならとってくれ」

 

「首を切り落としたら取れるんじゃありませんの?」

 

「だから死ぬわ!!!」

 

 

………

 

 

ジェラールは状況を把握しつつチェスの駒を動かしていた

 

「ショウとシモンは裏切った…ウォーリーとミリアーナは火竜と氷竜が撃墜…と」

 

「やはりゲームはこうでないとな

一方的な展開ほど退屈なゲームはない」

 

「ジェラール様はやくエルザを捕らえ『儀』を行いましょう、もう遊んでる場合じゃありませんぞ」

 

「ならばお前が行くか?ヴィダルダス」

 

ヴィダルダスは嬉しそうににやける

 

「よろしいので?」

 

「次は…こちらのターンだろ?」

 

そう言ってジェラールは4つの駒をチェスの板の上に置いた

 

「フン!!」

 

ヴィダルダスが力を入れると先程とは全くの別人に変わる

 

「暗殺ギルド髑髏会 特別遊撃部隊 三羽鴉(トリニティレイヴン)」

 

「おまえ達の出番だ」

 

するとヴィダルダスの横にあと二人、梟の頭をした男と着物を着た女性が現れる

 

ヴィダルダス・タカ

 

梟(フクロウ)

 

斑鳩(イカルガ)

 

この三人が三羽鴉である

 

「ジェラール兄様」

 

さらに後方から別の人の声が聞こえた

 

「エレナか」

 

「すいません兄様、侵入者を許してしまいました」

 

「あぁ、すでに伝わっている」

「お前も三羽鴉と共にやつらを打ち倒して来い」

 

「この人たちと…ですか…」

 

エレナは少し嫌そうな顔で三羽鴉を見た

 

「ゴートゥ ヘーーール!!!!地獄だ!!!最高で最低の地獄を見せてやるぜーーーー!!!!」

 

「ホーホホゥ」

 

「散りゆくは愛と命のさだめかな

今宵は祭りどす」

 

「……はぁ、わかりました。ジェラール兄様が行けというなら従います」

 

 




今回はここまでです

けれどこうやって投稿するとなぜがお気に入り登録者が減ってしばらくすると別の人がお気に入り登録をしてくれるんですよねぇ…なぜ登録を解除されるんだ!!!


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ゲーム開始

またお気に入り減っちゃったよ…どうしよう…一体どうすれば……リートやラリカをキャラ崩壊でもさせてみるか

リ・ラ((怒))


「ハッピー!!もっと強く引っ張ってくれ!!!」

 

「もう力いっぱいやってるよ!!!」

 

ナツはハッピーに手を貸してもらいながらなんとか猫の被り物を取ろうと奮闘していた

 

「ぬおおおっ!!!もげるぅぅ…」

 

「うううぅ」

 

グググッ…スポーン!!!

 

「とれたー!!!」

 

ナツが被っていた猫の頭が後方へ飛んで行く

 

その先には意識を取り戻したウォーリーがいた

 

「ううっ…」

 

すぽっ

 

「ぬっ」

 

猫の被り物はそのままウォーリーの頭にジャストフィット

 

「あははっ!!今度は四角にはまった!!」

 

「あのマスクのかぶり口はどうなってるんだろう」

 

そこに同じく猫のマスクを外したリートもやって来た

 

「あー、ようやくとれた…」

 

「全く…何であんなマスクひとつにここまで手を焼かないといけませんの」

 

「文句はナツに言ってくれ」

 

「お、リートもマスクとれたのか」

 

「あぁ、なんとかな」

 

 

 

「まだ勝負はついてねぇぜ火竜と氷竜」

 

ウォーリーはフラつきながらマスクを外し立ち上がる

 

「ぐっ」

 

しかしダメージが大きい為にすぐに膝をつく

 

「もうカリも返したし エルザもハッピーもラリカも無事ってんならこれ以上やる意味はこっちにはねーんだけどな」

 

「俺は元々お前にカリなんてねーしな、ラリカ達が無事ならそれでいい」

 

ナツもリートももうウォーリーと戦う気はなかった

 

「オレたちは楽園へ行くんだ…ジェラールの言う真の自由 人々を支配できる自由へ」

 

「別におまえ達が何を企もうと構わねぇけどオレたちを巻き込まないでくれりゃそれでいい」

 

リートがウォーリーにそう言っているといきなり壁や天井にいくつもの口が出てきた

 

「なんだこれ?」

 

「ナツー!!気持ち悪い!!」

 

「口!?そこら中に」

 

「リート!!今すぐにこの気持ち悪い口を消してくださいまし!!」

 

「落ち着けよ…」

 

すると壁や天井から出てきた口がいきなり喋りはじめた

 

『ようこそみなさん楽園の塔へ』

 

「ジェラール!?」

 

口から聞こえた声はどうやらジェラールの声らしくウォーリーが反応した

 

 

……

 

グレイ達のところにも同じく口が出てきており全員困惑していた

 

「何だこの口は!?」

 

「しゃ…しゃべりましたよ!!!」

 

「うげっ気持ち悪ぃ」

 

「ジェラールだ 塔全体に聞こえるように話している」

 

「塔全体にこの口が…」

 

 

『俺はジェラール この塔の支配者だ

互いの駒は揃った。そろそろ始めようじゃないか』

 

『楽園ゲームを』

 

エルザはジェラールの声を黙って聞いておりショウは下を見つめて震えていた

 

 

……

 

 

ナツ達もジェラールの声をしっかり聞いていた

 

「ゲームだぁ?」

 

「意味がわかんねぇ」

 

「ジェラール…何だこれは……」

 

 

『ルールは簡単だ』

 

『俺はエルザを生け贄としぜレフ復活の儀を行いたい

すなわち楽園への扉が開けばオレの勝ち

 

もしそれを阻止できればそちらの勝ち』

 

『ただ…それだけでは面白くないのでな、こちらは4人の戦士を配置する。そこを突破できなければオレにはたどり着けん

つまりは4対9のバトルロワイヤル』

 

 

ルールを聞いたシモンは疑問を浮かべる

 

「4人の戦士?1人はエレナだとしても残る3人は何者だ?」

 

ジェラールのルール説明はまだ終わっていなかった

 

『最後に一つ特別ルールの説明をしておこう』

 

『評議院がサテライトスクエアでここを攻撃してくる可能性がある

全てを消滅させる究極の破壊魔法エーテリオンだ』

 

 

 

「「「「!!!」」」」」

 

 

 

 

……

 

 

それはヴィダルダス達も初耳だったようで

 

「聞いてねぇぞジェラールてめぇ!!!そんなもんくらったら全員 地獄行きじゃねーか!!!」

 

「ヴィダルダスはん臆したのどすか?クス」

 

「なら、あなた1人だけでも先に地獄に落ちてください」

 

イカルガとエレナはヴィダルダスにそう言うとヴィダルダスから意外な言葉が返って来た

 

「逆さ!!!逆!!!リバース!!!

最高にハイだ!!!こんな危ねぇ仕事を待ってたんだぜーーーーーっ!!!!」

 

(この人のこういうところが嫌なんですよね…)

 

ヴィダルダスの台詞を聞きエレナはため息をこぼす

 

「残り時間は不明、しかしエーテリオンの落ちる時 それは全員の死勝者なきゲームオーバーを意味する」

 

 

……

 

 

今の会話を全て放送で聞いていたルーシィの顔がどんどんと青ざめていく

 

「そ…そんな…何考えてんのよジェラールって奴……自分まで死ぬかもしれない中でゲームなんて…」

 

「エーテリオンだと?評議院が?あ…ありえん!!!…だって…」

 

ばふっ

 

エルザは背後にいたショウによりカードの中に閉じ込められる

 

「!!!」

 

「エルザ!!!」

 

「ショウ!!!お前何を!!!」

 

 

『さぁ、楽しもう』

 

その言葉を残し壁にできていた口が消えた

 

「姉さんは誰にも指一本触れさせない ジェラールはこの俺が倒す!!!」

 

「オ…オイ!!!ショウ!!!」

 

ショウはカードにしたエルザを持ったまま走りだした

 

「よせ!!1人じゃ無理だ!!!」

 

シモンの言葉を聞かずにショウは走り去っていった

 

「くそっ!!!オレはショウを追う!!!おまえ達はナツとリートを探してくれ!!!」

 

シモンはショウを追いかけていった

 

「だーー!!!どいつもコイツも!!!」

 

「ジュビアとグレイ様は向こうへバンク君はあっち、ルーシィはあっちね」

 

「そうすると俺…来た道戻ってんぞ…」

 

「ちょっと!!!一番弱っちいの1人にする気!!?」

 

 

……

 

 

一方のナツ達も動き出そうとしていた

 

「何が何だかわからねーがジェラールって奴倒せばこのケンカ終わりか

おし!!燃えてきたぞ!!」

 

「やっぱり一番上にいるのかな?」

 

「まてお前ら、とりあえず一旦グレイ達と合流しねーと」

 

「そうですわよ、しっかりとこちらも作戦を立てないといけませんわ」

 

「な……なんだよジェラール…エーテリオンってよう…そんなのくらったら皆死んじまうんだゼ」

 

ナツとリートは何も言わずにウォーリーを見ていた

 

「俺たちは真の自由が欲しいだけなのに……」

 

そう呟くウォーリーにナツとリートが笑って話しかけた

 

「どんな自由か知らねーけどフェアリーテイルも自由で面白ぇぞ」

 

「あぁ、自由気ままないい奴らばっかりだ」

 

 

「……」

 

 

「ハッピー!!ゲームには裏技ってのがあるよな」

 

「あい」

 

ハッピーはナツと一緒に窓から飛び出し外からてっぺんを目指す

 

「ちょっと!!ナツ!!ハッピー!!待ちなさいな!!!」

 

「くそっ!!あのバカまた勝手に動き回りやがって」

 

「どうしますの?リート」

 

「とりあえず俺たちはさっき言った通りグレイ達と合流するぞ」

 

「了解ですわ」

 

ラリカがリートの肩に乗るとリートは出入り口から飛び出していった

 

 

 

「火竜 氷竜…」

 

「いい…マフラーと…コート…だゼ…」

 

そう言い残しウォーリーはまた倒れた

 

 

……

 

 

ナツとハッピーが外からてっぺんを目指していると遠くの方から何かが向かって来ているのが見えた

 

キィィィン

 

「?何か来る」

 

「ホーホウ!!」

 

ドゴオオオ

 

「ごはっ」

 

遠くから飛んで来たのは三羽鴉の一人、梟だった

 

梟の体当たりによりナツは建物の中に押し戻される

 

ショウを追いかけていたシモンの目の前にナツが入った来た

 

「火竜!!!」

 

「大丈夫か!?」

 

シモンは慌ててナツに駆け寄る

 

「誰だおまえ?アッチも」

 

そうしている内に梟も建物の中に入ってきた

 

梟はナツに指を指してキメゼリフを吐く

 

「ルール違反は許さない正義(ジャスティス)戦士 梟参上!!!ホホ」

 

「とりだーーーーっ!!!」

 

「とりが正義とか言ってんぞオイ!!!」

 

梟を見たシモンがいきなり目の色を変える

 

「こ…こいつは!!?」

 

「マズイ!!!こっちに来い!!!」

 

シモンはナツの手を引っ張り梟から離れる

 

「!?」

 

「ナツ!!こいつ…あの四角の仲間だよ!!!」

 

「今はおまえ達の味方だ!!!」

 

「あいつには関わっちゃいけねぇ!!!」

 

シモンは構えをとり魔法を発動した

 

「闇刹那!!!!」

 

シモンの魔法により辺り一面は真っ暗闇になる

 

「!」

 

「ぬああ!!!真っ暗だ!!!」

 

「やっぱりこいつは」

 

ガシッ

 

「?」

 

「今の内だ!!!」

 

シモンはナツの腕を掴みその場から逃げようとする

 

しかし

 

「ホホゥ」

 

「!!!!」

 

梟はいつの間にかシモンのすぐ近くまで来ていた

 

「正義の梟は闇をも見破る」

 

梟はシモンの頭を掴み拳を構える

 

「……!!!!」

 

 

 

 

「ジャスティス ホーホホウ!!!!!」

 

 

 

 

「が…がはっ!!」

 

腹を殴られ吹き飛ばされたシモンは血反吐を吐いて倒れる

 

その様子を見ていたナツも目の色が変わった

 

「ホホ」

 

くりん

 

梟はとぼけた顔で首を横にひねった

 

 

「こ…これ程とは……暗殺ギルド 髑髏会!!!!」

 

「暗殺ギルド!!?」

 

「闇ギルドの一つだ

まともな仕事がなく行きついた先が暗殺依頼に特化した最悪のギルド」

 

「中でも三羽鴉と呼ばれている三人組はカブリア戦争で西側の将校全員を暗殺した伝説の部隊」

 

「こいつがその一人…一羽?だっての!!?」

 

「ホホウ 悪を滅ぼしたのみよ」

 

「奴らは殺しのプロだ!!!戦っちゃいけねぇ!!!!」

 

梟とナツはそれぞれ臨戦態勢に入る

 

「火竜……そして氷竜……貴様らの悪名は我がギルドにも届いているぞ!!!正義戦士が今日も悪をほうむる!!!!」

 

「ギルドってのはオレたちの夢や信念の集まる場所だ

くだんねえ仕事してんじゃねーよ」




ほんはいはほほまへべす

(今回はここまでです)

へ?ひゃべりははがほはひい?

(え?喋り方がおかしい?)

ひやー、ほっはのおりひゃらのいっふぃひとひほひにぼおぼおにはへまひてふはふひゃべへはいひょうはいへひへ

(いやー、どっかのオリキャラの一匹と1人にボコボコにされまして喋れない状態になりまして)

へなはへへひーほほはひはほひゃはほうはいははひのほうほうべ

(てなわけでリートとラリカのキャラ崩壊はなしの方向で)


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ジュビアとルーシィ

今回の題名キャットファイトにしようかと思ってたんですが、前に出してしまったし…ってことで急遽変更しました


ナツは梟と対峙し今にも戦闘が起ころうとしていた

 

「よせ!!火竜(サラマンダー)暗殺ギルドなんかに関わっちゃいけねぇ!!!」

 

シモンは必死にナツに呼び掛ける

 

「こいつ…人殺しを仕事にしてんのか?」

 

「そんな仕事がある事自体が気に入らねぇな

依頼者がいるってのも気に入らねぇ

ギルドとか言ってんのも気に入らねぇ」

 

「気に入らねぇからぶっ潰す!!!かかってこいや鳥ーーーーー!!!!」

 

「ホホウ 若いな火竜(サラマンダー)この世には生かしておけぬ悪がいる」

 

梟は背中に背負ったロケットを噴射させる

 

「貴様もその一人死ぬがいい」

 

 

 

「ジェットホーホホウ!!!!」

 

ロケットの勢いを利用し梟はナツに体当たりする

 

「ナツ!!!」

 

「火力なら……負けてねぇぞ!!!」

 

「おらぁ!!!」

 

ナツは体をひねり梟を後方へ投げ飛ばす

 

しかし梟は体制を立て直すとナツの足を掴み天上近くまで飛び上がる

 

「うおっ」

 

そしてそのままナツを地面に向かって投げつけた

 

ドゴッ

 

「んがっ」

 

「いってぇ」

 

地面に叩きつけられたナツだがすぐさま起き上がる

 

「ホホウ なかなか頑丈な男だ

これは久しくやりがいのある仕事だな ホホ」

 

三羽鴉(トリニティレイブン)…噂以上だ……こんなのが三人もいるのか…」

 

シモンは梟の強さに圧倒され怯えていた

 

 

……

 

 

「情けねぇなシモン ゲームは始まったばかりだぞ」

 

ジェラールは戦っている人物のそれぞれの特長を模したチェスの駒をさわりながら状況を把握していた

 

「次は梟VS……ナツ・ドラグニル

うーむ……ナツとリート・イクシーズにはここまで来てもらいてぇんだがな…ナツには少し分が悪いか…」

 

 

……

 

そしてルーシィとジュビアはナツとリートを探していた

 

「ナツーー!!!リートーー!!!」

 

「ナツさーん!!!リートさーん!!!」

 

 

「あの二人耳いいからけっこう遠くにいても聞こえてそうなんだけどね」

 

「ガジルくんと一緒ね だったら鼻もいいはずよ」

 

「くん付け?」

 

「ジュビアは何でルーシィさんと二人でナツさんとリートさんを探しているのかしら」

 

「スルーですか」

 

ルーシィはため息をこぼす

 

「しょうがないじゃないの」

 

それは少し前のことルーシィ達はグレイと分かれて行動することになっていた

 

 

【オレはやっぱりエルザが気になる あのショウってのとでけーのを追う

ナツとリート探しは三人に任せるわ】

 

 

「いつの間にかバンクくんも居なくなってるし…グレイ様の頼みなら仕方ないけど、恋敵と二人にするなんて どんな修羅場を期待してるの?」

 

「あたし 全力で無関係なんだけど…な…仲良くしましょ」

 

するとどこかから何かの大きな音が聞こえてきた

 

ギャイイイイン!!!!

 

「!!!」

 

ギャギャギャギャギュイイイイン!!!!

 

「な…何この騒音!!?」

 

「ってかうるさっ!!!」

 

ルーシィは耐えきれず耳をふさいだ

 

「ジュビアは上手だと思うわ」

 

「本当…ズレてるわねアンタ」

 

するとルーシィ達の元にギターを引き髪を振り回しながらヴィダルダスがやってきた

 

「ヘイ!!!!ヤー!!!!」

 

「ファッキンガーーール!!!!」

 

「地獄のライブだデストロイ アーーーウッ!!!!」

 

 

「うわっ髪ながっ!!!」

 

「ジェラールの言ってた3人の戦士?」

 

 

「暗殺ギルド髑髏(ドクロ)会!!!」

 

「オイ!!!スカルだぜ!!!イカした名前だろ」

 

三羽鴉(トリニティレイブン)の一羽

ヴィダルダス・タカとはオレの事よ!!!!」

 

ヴィダルダスは髪をなびかせルーシィ達に攻撃を仕掛ける

 

「ロックユー!!!!」

 

ヴィダルダスの髪が伸びルーシィ達に襲いかかる

 

「ひぃ」

 

バキッ

 

「やあ」

 

ルーシィは襲いかかる髪をかわし続けた

 

そして体が水のジュビアには物理攻撃が効くはずもない

 

「!」

 

「おもしれぇボディしてんなァ オイ!!!キャハハハハ!!!!」

 

「ジュビアの体は水で出来ている しんしんと」

 

「がんばれジュビア!!!あたしムリ!!!」

 

ルーシィは近くの物陰に隠れた

 

「ジュビアにはいかなる攻撃も効かない」

 

水流拘束(ウォーターロック)!!!!」

 

「ロック!!?おまえもROCKか!!?」

 

ゴボバボバボボバボ

 

ジュビアの攻撃によりヴィダルダスは水の球体に閉じ込められた

 

「口ほどにもない」

 

「さすが元エレメント4 敵にしたら怖い」

 

しかし

 

ジャバァ

 

「!!!」

 

ザババババ

 

ヴィダルダスの髪が水を吸収する

 

「なっ…」

 

「ふっ」

 

ふわさっ

 

「ジュビアの水流拘束(ウォーターロック)が…消えた!!?」

 

「そしてキモい!!!」

 

ルーシィは鳥肌をたてる

 

「寝癖には水洗いがいいんだぜ

朝シャンはよくねぇ髪をいためる」

 

「貴様…どうやって水流拘束(ウォーターロック)を…」

 

「オレの髪は液体を吸収する

油やアルコールはごめんだぜ?髪が傷んじまう」

 

「水が…効かない?」

 

「そんな…」

 

 

「それにしてもいい女だな二人とも へへっ」

 

ヴィダルダスが二人を見てにやける

 

「でたよ!!いつもの!!」

 

「な…なんの事?」

 

「かわいいのもトラブルのもとって事」

 

ヴィダルダスは二人に交互に指を指し始める

 

「ど・ち・ら・に・し・よ・う・か・なっ…じ・ご・く・の・あ・く・ま・の…い・う・と・お・…り!!!」

 

ヴィダルダスが指を指して止めた先にはジュビアがいた

 

「!!!」

 

「決めたぜ!!!お前が今日のサキュバスだ!!!」

 

「サキュバス?」

 

「ロック オブ サキュバス!!!!ヘイ!!!ヤーーー!!!!」

 

ヴィダルダスがギターを引き始めるとジュビアが苦しみだした

 

「ああ…あ

な…なに!?この音!?」

 

「ジュビア!!!どうしたの!!?」

 

「イヤ!!!やめて!!!入ってこないで!!!!」

 

「あああ ああああ!!!!」

 

……

 

ジェラールがチェスの駒をまた一つ動かす

 

「水女はここまでだな そして同時に…」

 

 

……

 

 

「ジュビア!!!」

 

 

「トリコになりな」

 

ジュビアの悲鳴がやむと姿が先程と変わり別人のようになった

 

「地獄 地獄 地獄ゥ!!!!最高で最低の地獄を見せてやるよメスブタがぁ!!!」

 

 

「ジュビア……?

え……? どうなってんの」

 

ルーシィは状況を理解できずに困惑していた

 

……

 

 

「星霊使いもアウトだ」

 

 

……

 

 

「ヒャハハハハ!!!!!地獄に連れてってやんよーーー!!!!メスブタがぁぁ!!!!」

 

ジュビアは発狂するような声でルーシィに言い放った

 

「な…何よコレぇ…ジュビア…しっかりしてよ」

 

 

「サキュバスのトリコになった女はオレの命令しかきかねぇ」

 

「まさか…そのギターの音でジュビアが…あれ?なんであたしは大丈夫なのかしら」

 

ルーシィが疑問に思ったことをヴィダルダスが説明をする

 

「ヒヒッいいトコに気がつくねぇ」

 

「二人ともトリコにしちまったらゲームの面白味がねぇ!!!」

 

「俺が見てぇのは女同士のキャットファイトよ!!!!『服が破れてポロリもあるよ』ってやつさ!!!!」

 

 

「最低ね」

 

ルーシィの表情は呆れていた

 

「最低こそ最高の賛辞だぜーー!!!!イヤーーー!!!!」

 

ルーシィがヴィダルダスと話していると操られてるジュビアがルーシィに攻撃をし始める

 

「ロックを知らないネンネは死んどきなーーー!!!!」

 

「うわっ」

 

ジュビアの今の攻撃は物理的なダメージはないがルーシィの服はずぶ濡れになった

 

「せっかく着替えたのに!!!」

 

ザブ

 

「!!!」

 

ルーシィの足元にたまった大量の水からジュビアが飛び出してきた

 

「どこから食いちぎってやろうかね!!!」

 

「ちょっとジュビア!!!本気!!?」

 

ジュビアがルーシィの服を掴み引き裂いた

 

「その無駄にでけぇチチだな!!!」

 

ビリィィィ

 

「ひぃぃぃっ!!!」

 

「ヒャーーッホウ!!!!コレだよコレー!!!!」

 

「な…なにすんのよ!!!!」

 

ルーシィは頭に巻いていた布をさらしのように巻いて胸部を隠す

 

「ヤッ ハァ!!!!」

 

ゴン!!!

 

「いっ!!」

 

ジュビアの頭突きによりルーシィは体制を崩した

 

「あんた妖精の尻尾(フェアリー テイル)に入りたいんでしょ!!!だったら仲間に攻撃なんて…」

 

 

ゴパァ!!

 

 

「やべばっ」

 

ルーシィが話し終える前にジュビアは体を水に変えルーシィの体を包み込む

 

そしてジュビアは体を元に戻しながらルーシィの髪を掴み放り投げる

 

「きゃあ」

 

「ううっ…」

 

 

「ヘイ!!!ヤー!!!(ヘアー)!!!!シビれるぜ!!!ヒャハハハハ!!!!」

 

 

水流烈鞭(ウォーターカーネ)!!!!」

 

ジュビアが腕を水の鞭に変えてルーシィを叩く

 

「ちょっ…!!!痛ーい!!!」

 

「これ…ロックって言うかドS!!!!」

 

「変態ドM女!!!ジュビアの中で砕け散りな!!!」

 

「なによそれー!!!」

 

ジュビアはもう一度体を水に変化させルーシィを巻き込む

 

(ダメだ!!!完全に操られてる)

 

(どうしよう!!!ジュビアとなんてまともに戦って勝てるわけないし)

 

ルーシィが考えているとどこからかジュビアの声が聞こえる

 

 

〈ルーシィさん〉

 

 

「!!!」

 

「キャハハハハッ苦しめ苦しめぇ!!!」

 

ジュビア本体が操られて喋っている為ルーシィは今の声が操られていないジュビアの本心だと確信する

 

〈こんなのはジュビアじゃないです!!!〉

 

 

(ジュビアの声!?)

 

(そうか!!!ここがジュビアの中だから)

 

 

〈ジュビアは仲間をキズつけたくない……仲間…なんておこがましいかしら…〉

 

〈確かにあなたは恋敵だけど…〉

 

(違うけど…)

 

〈ジュビアは妖精の尻尾(フェアリー テイル)が大好きになりました〉

 

〈仲間想いで…楽しくて…あたたかくて……雨が降っててもギルドの中はお日様が出てるみたい〉

 

(ジュビア…)

 

〈せっかくみなさんと仲良くなれそうだったのに…〉

 

〈ジュビアはやっぱり不幸を呼ぶ女〉

 

ジュビアの本心は泣いていた

 

(涙…)

 

 

「ジュビアちゃん!!!そろそろトドメさしちゃって!!!!」

 

ヴィダルダスが操られたジュビアに命令する

 

それと同時にルーシィが水の中から放り出された

 

「いぎぃぃぃっ!!!」

 

しかしルーシィは即座に立ち上がり戦う覚悟を決めた

 

「仲間の為に涙を流せる人を妖精の尻尾(フェアリー テイル)が拒むハズがない!!!」

 

気がつくと操られているジュビアの目から涙がこぼれていた

 

〈ルーシィさん……〉

 

「胸はっていいわよ!!!あんたのおかげでいいコト思いついちゃった!!!」

 

ルーシィはジュビアに指差しそう叫んだ

 

「くだんねぇな!!!!とっととイカせてあやりなジュビアちゃんよぉ!!!!」

 

水流激鋸(ウォータージグソー)でバラバラになりなァ!!!!」

 

ジュビアの体の周りに刃を水で作り出し回転しながらルーシィに突撃する

 

〈ルーシィさんよけてぇ!!!!〉

 

しかしルーシィは避けるどころかジュビアの体に鍵を持った右腕を突っ込む

 

「開け!!!宝瓶宮の扉!!!!アクエリアス!!!!」

 

ルーシィはジュビアの体を利用しアクエリアスを呼び出した

 

 

「!!!」

 

「ジュビアの体を使って星霊を!!?」

 

「水があれば最強の星霊アクエリアスが呼べる!!!あんたのおかげよジュビア!!!」

 

「やかましいわ小娘どもがぁ!!!!」

 

アクエリアスが水を操ったことによりルーシィ、ジュビア、ヴィダルダスの三人は波にのみこまれる

 

しかし

 

「効かんなぁ!!!!オレの髪は水を吸収すると言っただろーがヨ!!!!」

 

ヴィダルダスが自分の髪で水を吸収し始めた

 

「ジュビア!!!!」

 

「ルーシィ!!!!」

 

二人は波にのまれながらも必死に手を繋ぎ合わせる

 

 

……

 

 

パキッ

 

「なに!?」

 

ジェラールがヴィダルダスとして扱っていたチェスの駒にヒビが入った

 

「この魔力は…」

 

「あんな小僧どもが…魔力融合!?」

 

 

……

 

 

ヴィダルダスは髪で水を吸収し続けるが限界も近くなってくる

 

「ぬぉ ちょっとまて!!!な…なんだこの水は!!?」

 

「オ…オイ!!!要領を越え…」

 

 

「「はぁぁぁぁ!!!!」」

 

 

 

合体魔法(ユニゾンレイド)だと!!?」

 

ついにヴィダルダスの髪の毛に限界が訪れ全ての髪が抜け落ちヴィダルダスは波にのまれた

 

「スパーキング!!!」

 

その悲鳴とともにヴィダルダスは床に叩きつけられる

 

頭の毛が全て抜け落ちた状態で

 

「やった!!!!」

 

「ジュビア元に戻れた!!!!」

 

ルーシィと元の姿に戻ったジュビアが喜び抱き合った

 

 

「つーかとんでもないトコから呼び出すんじゃないよ」

 

「「!!!」」

 

一人残ったアクエリアスがルーシィを睨み付ける

 

「しまいにゃトイレの水から呼び出す気じゃねぇだろうな?殺すぞテメェ」

 

「ご…ごめんなさい…」

 

「素で怖い…」

 

 

「まだだぜ……」

 

「「!!!」」

 

ルーシィ達が振り返るとヴィダルダスがふらつきながら立ち上がっていた

 

「まだオレにはこのギターがある!!!!もう一度操ってやるぜジュビアちゃぁん!!!」

 

「こいつまだ!!」

 

「もう二度と操られたりなんかしません!!!」

 

ルーシィとジュビアは構えをとる

 

「ヒャッハァァァ!!!!」

 

ヴィダルダスがギターを引こうとしたその時

 

 

 

ガッ

 

「!!!」

 

 

 

 

 

「どっ………けぇぇぇぇ!!!!!」

 

 

 

 

 

ドカァン!!!

 

ルーシィ達の元に戻ってきたリートがヴィダルダスの頭を床に叩きつけた

 

「リート!!!」

 

「リートさん!!!」

 

二人は嬉しそうにリートと肩に乗ってるラリカを見た

 

 

 

「邪魔!!!!」




今回はここまでです

最近ようやくルビのふりかたを覚えて、ただいま全力で過去の話を修正中ですw

あれだな…ここを見て「今さら!!?」って思う人絶対一人はいるんだろうなぁ


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キャプチャー

お気に入り登録者数300人を突破しました!!!

これも日頃から読んでくれている読者の皆様のおかげです!!!ありがとうございます!!!

これからもまだまだ書いていくつもりなので応援よろしくお願いいたしやすm(__)m


「これから2週間 彼と旅行だ

絶対呼ぶなよ。いいな」

 

「はい」

 

「おまえも早く男つくれ、ま…ムリか」

 

アクエリアスがルーシィにそう言うとそのまま星霊界へ帰って行った

 

「ほっといてよ!!!」

 

「ルーシィさん恋は大切よ」

 

「いや、そういう問題なのか?」

 

「大丈夫ですわよルーシィ、男なんてルーシィのその無駄に大きなお胸で誘惑すれば、頑張れば男の一人や二人くらいは釣れますわよ」

 

 

「男なめんな!!!」

 

 

 

「とにかく……」

 

ルーシィは倒れているヴィダルダスに目を向ける

 

「美味しいところはリートに持っていかれちゃったけど、あたし達が一人やっつけたのよ。ジェラールの思い通りになんかならないわよ」

 

「俺はただ邪魔だったやつを退けただけだし、倒したのはお前ら二人でだよ」

 

「というかなんですの?あの趣味の悪そうな人は」

 

「いいえ…倒したのはリートさんとルーシィさんですよ」

 

「じゃあ、3人で…ね♪」

 

ルーシィは笑いながらジュビアに話しかける

 

「ねぇ、ジュビア…あの時ルーシィって叫んだよね

あたしも仲良くなれた気がして嬉しかった」

 

「さん付けなんかしなくていいよ

あたし達もう仲間じゃない♪」

 

その言葉を聞いてジュビアの目から涙がこぼれる

 

「あれ…ジュビア…目から雨が降ってきました」

 

「あははっ!!面白い表現ね」

 

「フッw」

 

「よかったですわねwジュビア様」

 

そして、リートは真面目な顔をしてルーシィに話しかける

 

「さてと、楽しんでるとこ水を差すようで悪いけど今の状況を教えてくれねぇか?お前ら以外の奴らはどこに行った?」

 

「うん、実はね…」

 

ルーシィはリート達と別れた後の事を詳しく説明した

 

「そうか…ならとりあえずはショウって奴を追えばバンクはともかくグレイと合流はできるんだな」

 

「うん、そのはずよ」

 

「わかった…俺とラリカはそいつらのところに向かうことにする。二人は十分やってくれたし 後は任せて休んでてくれ」

 

リートはラリカと一緒にグレイの向かった方向へ走り出した

 

そして残った二人は一気に体の力が抜け落ちる

 

「はぁ…それにしても、ものすごい脱力感なんだけど」

 

「ジュビアもですよ」

 

 

……

 

 

合体魔法(ユニゾンレイド)だと?」

 

ジェラールはルーシィとジュビアが合体魔法(ユニゾンレイド)を使ったことに驚いていた

 

「ある僧は合体魔法(ユニゾンレイド)の修得の為に生涯を費やしたが

修得までは至らなかったなんて話もあったのにな……」

 

「偶然とはいえやってくれるじゃねーか小娘といえど流石はエルザの仲間といったところか ククッ」

 

「……こちらも もう一歩駒を進めよう」

 

 

……

 

 

『ERA』

 

「楽園の塔へのエーテリオン攻撃

 

賛成票4 反対票5

 

以上によりエーテリオンの使用は見送りと議決します」

 

 

「待て!!!アンタ達はこの状況を本当に理解しているのか!!?」

 

エーテリオン攻撃反対の意見にジークレインは抗議を続ける

 

「見苦しいぞジークもう十分に議論した平和的な解決の道もあるんじゃ」

 

「平和だと?今こうしてくだらねぇ事に時間を費やしている一方で歴史は動こうとしている!!!ジェラールは死者を蘇らせようとしてるんだぞ!!!!」

 

ジークレインが発言をしても他の評議院は発言を聞き入れようとはしない

 

「そうは言ってもRシステムが本当に作動しているかどうかもわからんのが現状だろう。攻撃など早すぎる」

 

「アンタたちは感じねぇのか?」

 

「あふれでる『負』の魔力 奴が蘇らせようとしてる者の恐ろしさを」

 

評議院の数人は目の色を変えた

 

「なんじゃと?」

 

「ジーク それは一体…」

 

 

 

 

「黒魔導士ゼレフ」

 

 

 

 

ゼレフの名が出た瞬間 評議院のほぼ全員が恐怖に満ちた顔をする

 

「き…貴様…今…なんと…」

 

「それよりなぜ そんなことが分かるんだジーク!!」

 

ジークレインは坦々と答えた

 

「いらぬ疑いをかけられたくなかったから黙っていたが……オレはジェラールという人物を知っている奴のしようとしていることも」

 

評議院がザワつきだす

 

「ジーク…全てを話せ」

 

 

……

 

 

そしてナツと梟の戦いもより過激になってきていた

 

ガッ

 

梟はナツに飛び蹴りをするがナツは片腕でそれを防いだ

 

しかし反動でナツは後ろにのけぞることになる

 

ナツはバク転で体制を変えながら足に炎を纏う

 

「火竜の…鉤爪!!!」

 

ナツの蹴りが梟の顔に命中した

 

それにより梟はナツから一旦距離をとる

 

「ホウ」

 

「フン」

 

「ナツと互角!!?あの梟やるよ」

 

「く…」

 

「そろそろ貴様に正義の鉄槌を下してやろう」

 

梟は飛行するために背負っていたロケットを点火する

 

「ミサイルホーホホウ!!!!」

 

点火されたロケットがナツに向かって発射された

 

「!!!」

 

ナツは背中を反らせミサイルを避けた

 

しかしミサイルの追尾機能でかわされてもナツを追い続ける

 

「うわっ」

 

「ホウ!!!」

 

カシャ

 

「!」

 

ガシッ

 

「!!!」

 

ミサイルからアームが飛び出してナツを捕まえそのまま加速する

 

「ぬおおおおおっ」

 

ミサイルはナツを掴んだまま天井を飛び回る

 

「ホーホホウ」

 

「くだらない技だが恐ろしい」

 

そしてミサイルに捕まったナツの顔色がどんどん悪くなる

 

「ま…まさか…」

 

それを見ていたハッピーも状況を理解して顔色が変わる

 

「お…おお…うっぷ…」

 

「貴様の弱点は分かっているぞ火竜(サラマンダー)

 

「マズイ!!!あれは乗り物だ!!!!」

 

ハッピーはいきなり叫びだした

 

「!?」

 

「ナツとリートは乗り物に極端に弱いんだ!!!」

 

「なんだと!?」

 

シモンは驚きの顔でハッピーを見る

 

「弱った相手を確実に仕留める!!!これぞハンティング!!!」

 

ミサイルは弱ったナツをようやくアームから離しナツはそのまま床に向かって落下する

 

「今だ!!!」

 

それと同時にいきなり梟がナツに向かって走り出した

 

「キャプチャーホーホホウ!!!!」

 

そう言って梟は大きく口を開けてナツを丸呑みにし始めた

 

「なっ!!?」

 

「ちょっ…オイ…」

 

ごくん

 

「何するんだオマエーーーー!!!!!」

 

 

「私は補食した者の魔力を消化する」

 

 

「ナツを返せーーー!!!!」

 

ハッピーは梟に飛びかかろうとするが

 

「ファイアホーホホウ!!!!」

 

梟がハッピーに向かって拳をつきだすと炎が飛び出しハッピーを襲う

 

「ぎゃっ」

 

「オイ!!!大丈夫か!!?

まさか消化って…火竜(サラマンダー)の魔力を取り込んだのか!!?」

 

「ホホゥ」

 

 

……

 

 

『ERA』

 

「賛成票8 反対票1

楽園の塔へのエーテリオン攻撃を認可します」

 

先程の状況と変わり評議院のメンバーはヤジマを残し全員がエーテリオンの攻撃を許可した

 

「ヤジマさん…納得いかないかもしれんが、ゼレフを蘇らす訳にはいかないのは分かりますよネ?」

 

ジークレインがヤジマにそういうとヤジマは大人しく背を向けた

 

「ワスはもう知らんよ……責任はちゃんととれるんだろーね?」

 

「もちろん…全ての責任は俺が……」

 

するとヤジマはジークレインに目を見開き睨み付けた

 

「ワスが言ってるのは命の責任だ!!!!これから失われる命を背負って生きるんだぞ!!!!()ーク!!!!」

 

「答えは じきに出ますよ」

 

 

……

 

 

楽園の塔のてっぺんではジェラールが戦況の把握をしている

 

「強力な駒を失っちまったなぁエルザ…」

 

「さぁ…どうする?時間がないぞ…間もなく光が落ちてくる」




この前リア友が氷竜を読んでて(リア友は主が氷竜を書いてることは知りません)面白いって主に進めて来ましたけど…主に言われても…普通に困りましたw

ちなみにリア友が勝手にオリキャラのCVをイメージしてたらしく

リート 櫻井 孝宏さん

ラリカ 阿澄 佳奈さん

バンク 松岡 禎丞さん

エレナ 戸松 遥さん

らしいです…バンクとエレナ…絶対SAOから持ってきとるやん…


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炎を凍らせろ!!

結構続きますわぁ楽園の塔シリーズ…あと斑鳩戦とエレナ戦とジェラール戦が残ってますし…うわぁ過去1長いですやん……あ、梟戦は今回で終わらせますよ


グレイはシモン達を探し走り回っていた

 

「くそっ!!!どこに行きやがった!!!あのショウっての見つけたらぶん殴ってやる!!!」

 

そしてグレイが通路を抜けるとシモンと梟、そして梟にやられ倒れているハッピーを見つけた

 

「グレイ!?」

 

シモンは少し怯えた表情でグレイを見つける

 

「何やってんだオマエ!!!ショウってのを追ってたんじゃねぇのか!!?」

 

グレイがシモンに怒鳴り散らす

 

「足止めをくらってんだ」

 

「早くエルザを見つけねぇとヤベェだろ!!!ジェラールはエルザを生け贄にするとか言ってんだぞ!!!」

 

「はっきり言って本気のエルザに勝てるやつなんてリートぐれぇしか思い浮かばねーが……あんなカードにされたエルザは無防備すぎる!!!」

 

「ショウに全てを放す時期をあやまった…まさかあんな暴走をするとは」

 

「グレイ…ナツがあいつに食べられちゃったんだ…」

 

梟の攻撃で弱りきったハッピーがグレイに状況を説明した

 

「何だと?」

 

ガン!!

 

グレイが壁を殴り付ける

 

「テメェがそんなんでどうすんだョ!!!!クソ炎!!!」

 

ゴロゴロ

 

梟の腹から音がする

 

「消化が始まったぞあと10分もすれば火竜(サラマンダー)の体は溶けてなくなる

そうすればやつの魔法は完全に私のものになる」

 

グレイは魔法を放とうと構える

 

「俺が片づけてやる!!!下がってろ!!!」

 

「アイスメイク・ランス!!!!」

 

グレイが氷の槍を放つと同時に梟もブレスで攻撃する

 

「火竜の咆哮!!!!」

 

 

「!!?」

 

「奴は火竜(サラマンダー)の魔力を吸収しているんだ!!!」

 

グレイの造った槍は梟の炎のブレスにより溶かされブレスはグレイに直撃する

 

「ぐあぁぁぁ!!!!」

 

「ホーホホウ!!炎の中では氷は使えまい」

 

 

 

 

「氷の魔法をなめんな」

 

 

 

「!!?」

 

グレイの後ろから声が聞こえたとたん炎のブレスは凍りつきグレイはブレスから解放される

 

「がはぁっ…はぁ はぁ」

 

「よぉグレイ…無事か?」

 

「リート!!?」

 

炎を凍らせたのはグレイに追いついたリートだった

 

「ハッピー、大丈夫ですの?」

 

「ラリカ~(ToT)」

 

ラリカは倒れているハッピーの安否を確かめていた

 

「ホホゥ、貴様が噂に聞く氷竜(セルシウス)だな、炎を凍らせるとは凄まじい!!貴様もキャプチャーしてやる!!!」

 

そういうと梟はナツを捕まえていたミサイルを自分の下に戻すとリートに向けて発射する

 

「ミサイルホーホホウ!!!!」

 

「おっと」

 

リートはミサイルをギリギリでかわすがミサイルから出てきた腕に捕まる

 

「お?」

 

「リートそれは乗り物だよ!!!それでナツもやられたんだ!!!」

 

ハッピーの叫びをリートはしっかりと聞いていた

 

「なるほど…あいつはこれにやられたのか…」

 

ぐん!!

 

リートは足の踏ん張りを利かせミサイルに連れていかれないように地面に足を固定する

 

「なんだと!!?」

 

ピキピキッ

 

次第にミサイルは凍りつき10秒もすれば完全に氷の塊と化していた

 

「俺を持ち上げようとしてると分かれば後の対処は簡単だ…ってかナツは?」

 

「あいつに食べられちゃったんだ」

 

「はぁ!?」

 

 

「くっ…ならば、直接キャプチャーするまで!!!」

 

梟はリートに向かって走りだし口を大きく開ける

 

「キャプチャーホーホホウ!!!!」

 

リートは梟を見て腰を落とし梟の懐へ潜り込む

 

「!!?」

 

「気持ち悪ぃんだよテメェェェ!!!!」

 

リートは肘に氷を纏いそのまま梟の腹へ肘うちをする

 

「グホォウ」

 

梟はそのまま壁に吹き飛んだ

 

「すげぇ…」

 

「これ程とは…」

 

グレイとシモンは驚愕の顔でリートを見ていた

 

「さて、ナツを食ったんならしっかりと吐き出してもらわねぇとな」

 

リートが梟の吹き飛んでいった壁に向かって歩きだすと

 

「火竜の咆哮!!!!」

 

砂煙の中からまたもやブレスがとんでくる

 

「リート!!!」

 

「ホホゥ!!!貴様も火竜(サラマンダー)の仲間ならこの炎がいかなるものか知っているだろう!!!そう何度も凍らせられんぞぉ!!!」

 

「こんな温い炎がナツの炎だぁ?」

 

ピキィン

 

リートに向けられたブレスはやはり一瞬で凍りついた

 

「笑わせんな、あいつの炎はこんなもんじゃねぇぞ」

 

「くそっ!!ならば先に貴様の仲間を倒してやる!!!」

 

梟はグレイに向かって拳を突き出す

 

「ファイアホーホホウ!!!!」

 

梟の拳から炎が飛び出すと炎はグレイを襲った

 

「しまった!!」

 

「ぐあぁぁぁ!!」

 

「グレイ!!!」

 

グレイは炎に巻き込まれた

 

「くそっ!!今助けて」

 

「来るな!!!」

 

「!!?」

 

リートの助けをグレイは拒んだ

 

(俺だってこのくらいの炎、凍らせれるようにならなきゃなんねぇ…オレが足を引っ張る訳にはいかねぇんだ!!!)

 

「おおおおおぉ!!!!」

 

グレイが炎の中でありったけの魔力を込める

 

ガキィン!!!

 

「!!!」

 

「グレイまで炎を凍らせただと!!?」

 

「やるじゃねぇかグレイ」

 

「リートの言うとおりだったな…こんなのはナツの炎じゃねぇ、笑わせんなニセモノ野郎が」

 

「ホッホウ!!!貴様も炎を凍らせられるなら無理に氷竜(セルシウス)をキャプチャーで狙う必要はなくなった!!!貴様をキャプチャーしてその力で氷竜(セルシウス)を倒してやる!!!」

 

梟はグレイに向かって走りだし口を開けてグレイを狙った

 

「マズイ!!!」

 

「グレイよけてぇ!!!!」

 

ドガッ

 

「!!?」

 

梟の顎を間に割り込んだリートが膝蹴りで蹴りあげる

 

「オレを忘れてんじゃねぇぞ」

 

「こんなところでモタモタしてる場合じゃねぇんだ!!!」

 

「うおおおおおっ!!!」

 

グレイは右手の先と左肘に氷の刃を造る

 

「ホッホボォ」

 

梟も体制を立て直しグレイを殴ろうとするが

 

ツルっ

 

「!!?」

 

「氷竜の陣円」

 

グレイの後ろに下がっていたリートが造った氷の床により梟は足元を取られまた体制を崩した

 

「どけ!!!!」

 

「氷刃・七連舞!!!!」

 

グレイは腕に造った氷の刃で梟を切りつけた

 

「ホボホォォォ!!!!」

 

グレイの一撃で梟はナツを吐き出して吹き飛んだ

 

「エルザは妖精の尻尾(フェアリーテイル)にいなきゃいけねぇんだ…涙を流さない為に」

 

「言うじゃねぇかw」

 

グレイの言葉を聞いてリートは少しだけ笑った

 

「はぁ はぁ」

 

(グレイ・フルバスター、リート・イクシーズ…オレが集めた情報より遥かに強い…)

 

「くっ…早くエルザを、み…見つけねぇと…」

 

「無理すんな、今は少しでも戦えるように体力を回復しろ」

 

フラフラになるグレイをリートは支えていた

 

(いや、仲間(エルザ)への想いが彼らの魔力を高めているのか)

 

「ナツ!!起きて」

 

「目がぐるぐる」

 

「全く…しっかりして下さいまし!!」

 

ハッピーとラリカはナツを起こそうとしていた

 

(いいギルドに入ったな…エルザ)




今回はここまでです。

おかしいな…楽園の塔編終盤のはずなのにまだ終わらない…主が思うに評議員のところが一番時間取られてる原因のような気がします……


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斑鳩

やっべぇ…過去1更新が遅れちゃったよぉ

今日の更新で皆さん許してくれるかな?許してくれたら嬉しいなぁ


「あと25分…か おまえともお別れだなジークレイン」

 

ジェラールはチェスの駒を動かしながらそう呟いた

 

 

……

 

その頃ショウはエルザのカードを胸ポケットに入れたままジェラールの元に向かっていた

 

「ジェラール……くそっ!!くそぉっ!!!」

 

「よくもオレ達を騙して……姉さんをキズつけて」

 

ショウはジェラールに騙されたことに怒りを感じていた

 

「ショウ!!いいから落ち着くんだ!!!私をここから出せ!!!」

 

「大丈夫だよ、姉さんはオレが守る絶対に」

 

「ショウ!!!」

 

 

ベン ベケベケベケ

 

ショウがジェラールの元へ向かう途中、どこからか音が聞こえてくる

 

「!!」

 

音に気付いたショウが音のする方を見ると一人の女性が現れた

 

「うちは斑鳩と申しますぅ

よしなに」

 

ショウの目の前に現れたのは三羽鴉(トリニティレイヴン)の一人の斑鳩だった

 

「どけよ 何だこのふざけた奴は」

 

ショウは斑鳩を睨み付ける

 

「あらぁ…無粋な方やわぁ~」

 

「てめぇなんかに用はねぇ!!!」

 

ショウは持っていたカードを斑鳩に向けて投げる

 

しかし斑鳩はカードを全て、持っていた長刀で切り落とした

 

「バカな..」

 

「うちに斬れないものはありません」

 

ズバァ!!

 

斑鳩が言葉を発した直後ショウの胸が切り裂かれた

 

「がはぁ!!!え…あがっ…」

 

「い…いつの間に…」

 

ドサッ

 

ショウが倒れると同時に内ポケットに入っていたエルザのカードが出てくる

 

「ショウ!!!」

 

 

「姉さん…」

 

「あらぁそんな所におりましたん?エルザはん」

 

「今すぐ私をここから出せ!!!お前の勝てる相手じゃない!!!」

 

エルザは必死でカードから出ようとする

 

「安心して……そのカードはプロテクトしてある…外から絶対にキズつけることは出来ないんだ」

 

「へぇ」

 

斑鳩はそれを聞いて刀をを構えた

 

「ショウ!!!私を出せ!!!奴の剣ただ者じゃない!!!!」

 

「大丈夫…信じて」

 

シュバッ!!!

 

斑鳩が抜刀で斬撃を飛ばすとエルザのカードに命中した

 

しかしエルザのカードは斬れていなかった

 

「ホラ…!!!」

 

しかしカードはプロテクトのおかげで切れなかった訳ではなく中にいるエルザが刀で斬撃を防いだ為切れていなかった

 

「カードの中を…空間を越えて斬ったぁ!!?」

 

ビュッ オオオオオ

 

斑鳩はその後もエルザに向けて斬撃を飛ばし続ける

 

エルザもそれを次々と防いでいく

 

カッ ガキィン キィン

 

「くっ」

 

「姉さん!!!」

 

エルザと斑鳩の攻防が続いているとエルザがカードの中から飛び出してきた

 

「え!!?」

 

「貴様のおかげで空間に歪みができた

そこを斬り開かせてもらった」

 

(空間を越える剣もすごいけど…あの一瞬でそれを利用した姉さんはやっぱ流石だ…

見事すぎて言葉が見つからない)

 

「貴様に用はない消えろ」

 

「クスッ」

 

斑鳩が笑うとエルザの鎧と剣にヒビが入り粉々に砕けた

 

「くあっ」

 

「挨拶がわりどす

あれ?もしかして見えてませんでした?」

 

エルザの鎧が砕けたことによりエルザとショウは驚愕の顔をする

 

(どんな速さの剣なんだよ…姉さんにも見えてなかった?)

 

「見つめるは~♪霧の向こうの~♪物の怪か~♪」

 

「ジェラールはんを探すあまり

今…自分が見えない剣閃の中にいることに気付いてない」

 

エルザは斑鳩と対峙する

 

「そうそうその眼」

 

(姉さんも本気になった)

 

「うちは路傍の人ではありませんよ」

 

「そのようだな」

 

エルザは天輪の鎧に換装する

 

「敵だ」

 

「参ります」

 

 

「ちょっと待ってください」

 

「!!!」

 

斑鳩の後方から声がした

 

「なんですの?エレナはん、今ええとこですのに」

 

「あなたはバカですか?生贄になるエルザお姉様を殺したらゼレフが復活できないじゃないですか」

 

「あら?けんどジェラールはんは生かして捕らえろとは言ってなかったはずですえ」

 

「生かしてなかったら生贄とは言いません」

 

エレナは斑鳩に強く反発した

 

「エレナ…」

 

エルザは悲しそうな瞳でエレナを見つめる

 

「エレナ!!!お前はジェラールに騙されているんだ!!!」

 

ショウはキズをおった体で必死にエレナを説得しようと試みる

 

「たとえ騙されていたとしても今さらジェラール兄様を裏切ったりする気はありませんよショウ兄様」

 

「クスッ エレナはんはジェラールはんにご執心どすなぁ」

 

「あなた達は嫌いですけどね」

 

「あらぁそれは残念ですなぁ」

 

「とにかく」

 

エレナはエルザの方を向く

 

「あなたを生贄にするという目的が一致している限り私がエルザお姉様につくことはありえません」

 

「つまりお前も敵ってことだなエレナ」

 

エルザは剣を構えた

 

「はい、申し訳ありませんが時間もないので2対1で戦わせてもらいます」

 

「うちはどちらでも構いませんよ」

 

エルザ対エレナと斑鳩の戦闘が始まろうとした時

 

エルザの後方から高速で何かが飛び出してくる

 

「!!!」

 

高速で動く何かはエレナに衝突しエレナはガードするも勢いよく吹き飛んでいった

 

「面白そうなことになってんじゃねぇか、俺も混ぜてくれよw」

 

エレナを吹き飛ばしたのはバンクだった

 

「お前は!!?」

 

「あらぁ、また一人無粋な方が現れましたなぁ」

 

「へっ無粋で結構、俺はただ強い奴と戦いたいだけだからな

ってな訳でさっきぶっ飛ばしたアイツの相手はオレがさせてもらうぜ妖精女王(ティターニア)

 

そう言ってバンクは装備の色を黄色に変えるとエレナの吹き飛んで行った方へ向かっていった

 

「お、おい!!」

 

エルザがとっさに声を掛けるも既にバンクの姿は見えなくなっていた

 

「なんかよぉ分かりまへんけど、これで元通りやなぁ」

 

(エレナ達の様子は気になるが、今は目の前のコイツを片付ける!!)

 

「あぁ」

 

エルザと斑鳩はお互いに臨戦態勢に入った

 

「参ります」

 

先に攻撃を仕掛けたのは斑鳩だった

 

ガキィン

 

エルザは斑鳩の剣を防ぎつづける

 

キィン ガキィン

 

攻防の中で飛び上がったエルザは斑鳩に攻撃をしかける

 

「天輪・循環の剣(サークルソード)

 

エルザはいくつもの刀を円形に回転させ斑鳩に向かって放つ

 

「無月流」

 

バキバキバキ

 

「夜叉閃空」

 

斑鳩が刀をふるとエルザの剣が全てへし折られた

 

「!!!剣が全部…」

 

「くっ」

 

斑鳩の攻撃は終わらず剣をへし折った威力の剣圧でエルザの鎧が破壊された

 

「かはっ」

 

「姉さん!!」

 

斑鳩の勢いは止まらず次は炎の斬撃をエルザに飛ばした

 

「無月流・迦屡羅炎(かるらえん)

 

「換装!!!炎帝の鎧!!!」

 

炎に態勢がある炎帝の鎧に換装したエルザは斑鳩の攻撃を防御したがそのまま壁まで吹き飛んだ

 

「耐火能力の鎧どすか?よくあの一瞬で換装できたものどす」

 

がらがら

 

「…うあっ」

 

耐火の能力がある炎帝の鎧も斑鳩の先ほどの攻撃で粉々に砕けた

 

「殿方の前でそんな格好では身もしまらないでしょう

どうです?そろそろ最強の鎧を纏ってみたら」

 

「バ…バケモノめ」

 

ショウはエルザと斑鳩の攻防を目の当たりにし体が震えていた

 

「この姿を見て立っていた者はいない

後悔するがいい

煉極の鎧 換装!!!」

 

エルザが煉極の鎧に換装したと同時に斑鳩はエルザに攻撃をすると煉極の鎧さえも粉々に砕けちった

 

(勝てない…姉さんじゃ勝てない…)

 

「それが最強の鎧どすか?」

 

エルザは攻撃に耐えきれずにうつ伏せに倒れた

 

「おわかりになったでしょう?どんな鎧を纏おうがうちの剣には勝てませんよ」

 

「はぁ…はぁ……」

 

「あきらめなさい」

 

しかしエルザは絶対に諦めずフラフラの状態になりながらも立ち上がる

 

そしてまたエルザは換装した

 

しかし今度は鎧ではなかった赤いズボンに上はサラシと装束の姿となり両手には二本の刀を持っていた

 

「!」

 

(なんだ、あの鎧…装束は)

 

「何のマネどす?その装束からは何の魔力も感じない

ただの布きれどす」

 

「ただの布きれ!!?」

 

「あれだけの剣閃を見せてあげたのに

うちもなめられたものどす」

 

斑鳩は挑発されたと思い怒りで表情が少しだけ変わる

 

「姉さん!!!どうしたんだよ!!!まだ強い鎧はたくさんあるんだろ!!!姉さんはもっと強いんだろ!!!」

 

「私は強くなどない」

 

(強くなんか…目の前で大勢の仲間が死んだ…大切な人達を守れなかった……そして……)

 

(私はいつも泣いていたんだ…強く…より強く自分を見せようと

自分の心を鎧に閉じこめ泣いていた)

 

「弱いからいつも鎧を纏っていた。ずっと脱げなかったんだ」

 

「たとえ相手が裸だろうと、うちは斬りますよ」

 

斑鳩はエルザに斬りかかろうと構える

 

「鎧は私を守ってくれると信じていた、だがそれは違った」

 

「人と人との心が届く隙間を私は鎧でせき止めていたんだ」

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)が教えてくれた

人と人との距離はこんなにも近く温かいものなのだと」

 

 

「覚悟ぉ!!!!」

 

斑鳩がエルザに斬りかかる

 

「もう迷いはない!!!!私の全てを強さに変えて討つ!!!!」

 

「これで終わりどす!!!」

 

カッカッカッ

 

斑鳩はエルザに向かって走り出していた

 

「姉さん!!」

 

ズバン!!

 

エルザと斑鳩はお互いに刀を振るった

 

「………くっ」

 

ブシュッ

 

エルザの肩が切られる

 

「勝負あり…ごぷっ」

 

斑鳩が気を緩めた瞬間斑鳩の体から血が吹き出した

 

「そ…そんな…」

 

「はぁ…はぁ…はぁ」

 

斑鳩の体力は尽き倒れた

 

「み…見事どす…」

 

「うちが…負ける…なんて…ギルドに…入って以来…初めてどす……しかしあなたもジェラールはんも負けどすわ」

 

「!!」

 

「落ちてゆく~正義の光は~皆殺し~」

 

「プッ…ひどい詩」

 

斑鳩はそのまま力尽きた

 

「15分!?エーテリオンの事か!!?」

 

「ショウ ケガは平気か?」

 

「う…うんなんとか」

 

ショウはボロボロの体でなんとか立ち上がる

 

「今すぐシモン達や私の仲間達を連れてここから離れるんだ」

 

「で…でも…」

 

「私の言うことが聞けるなショウ」

 

エルザはショウに微笑んだ

 

「うん…姉さんは?」

 

「決着をつけてくる」




さて、後はエレナ戦とジェラール戦のみだ

正直今回の戦いは斑鳩対バンクにしても面白いかなって考えたりもしたんですけど今後の展開が物凄く変わってくるので悩んだ結果エルザ対斑鳩になりました。


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エレナの本音

今回はエレナ戦、つまりオリジナルの戦闘です。これを1話で終わらせて残るはジェラール戦!!!

そろそろ出ますよ!!!ドラゴンフォース!!!


エルザが斑鳩と対戦していた頃エレナとバンクも今まさに戦おうとしていた

 

「女性を殴り飛ばすなんて男の風上にも置けない人ですね」

 

「あ?別に俺は何て言われても構わねぇけどよ、お前は強い!!…そう思って妖精女王(ティターニア)に取られたくなくてな、殴り飛ばしてあの二人から離れるのが手っ取り早かったからそうしただけだ」

 

「それに俺は強い奴なら老若男女区別しねぇよ」

 

バンクはそう言い終えると戦いの構えをとった

 

「そうですか…なら…」

 

構えをとっているバンクの頭上からいきなり黒い影が降ってきた

 

「!!!」

 

ズドォォォン!!!

 

バンクの頭上に巨大な岩が落ちてバンクに直撃した

 

「私も、遠慮はいらないということでいいんですね?」

 

ズガァァァン!!!

 

バンクの上から落ちてきた岩は勢いよく粉々に粉砕され中から無傷のバンクが出てきた

 

「あぁ、もちろんだw」

 

バンクは赤い装備を黄色に変えて即差にその場から消えて見せた

 

「速いですね……でも」

 

バンクがエレナの後ろに回り込もうとした瞬間何かに絡まり身動きがとれなくなる

 

空気罠(エアトラップ)

 

「ぐっ…」

 

「私に近づくのは判断を誤ったとしか言えませんね」

 

エレナはバンクの方を向き石でできたナイフを作り出す

 

「造形魔導士か…けどよ…二種類以上の造形魔法なんて聞いたことねぇぞ…」

 

「半分正解です、あなたなら別に教えてあげても構いませんかね…私は空間(・・)の造形魔導士です」

 

バンクは目を見開いた

 

「空間だぁ!!?」

 

「うるさいですね…まぁ簡単に言えば私の視界に入る全ての物が造形魔法の対象になるんですよ。つまり戦う場所や持っている物によって私の技は多彩になります」

 

「なっ…」

 

バンクは冷や汗をたらす

 

「どうしました?今さら怖じ気づいたんですか?」

 

しかしバンクの表情は笑っていた

 

「いや、そんなに強い奴とは思ってなくてな…むしろラッキーだぜ!!!」

 

バンクは装備を緑に変えると周りの空気を操りエレナの罠から抜け出した

 

「なるほど、ここに来るだけあって大した威力の魔法ですね」

 

罠から抜け出したバンクは即座に黄色の装備に変化させ部屋中を走り回る

 

「…犬ですかあなたは」

 

「誰が犬だ!!!」

 

「はぁ鬱陶しいのには変わりありませんね」

 

そう言うとエレナは懐から試験管のような容器を数本取り出した

 

「?」

 

「面倒なのであなたをこれで捕らえます」

 

エレナが容器を開けると中から液体が出てくる

 

「視界に入りました、これで…」

 

エレナが手を前に出すとバンクの足元に水溜まりが広がった

 

バシャッ

 

「!!」

 

バンクが水溜まりを踏んだ瞬間またバンクの動きが止まった

 

「んだこれ…」

 

「強い衝撃を与えると接着力が増す特殊な液体です。これであなたの行き先に水溜まりを造形したんですよ」

 

「ははっ、やるなお前w」

 

バンクは赤い装備に変えて地面を殴り爆発を利用し水溜まりを蒸発させた

 

水を蒸発させたバンクはその場から炎をエレナに向かって放つ

 

「炎拳!!!」

 

エレナは懐から出した試験管の先ほどとは違う容器を開け床に手をついた

 

「水壁」

 

バンクの炎を水の壁で防いだエレナはそのまま水の壁を造形し直す

 

「津波」

 

「ゲッ!!!」

 

バンクは襲いかかってくる津波を見て慌ててその場から離れた

 

次にバンクが現れた先ではエレナが既に石で造った弓矢でバンクを狙っていた

 

「…マジかよw」

 

「石弓」

 

ドスッ

 

「うっ」

 

エレナの放った弓矢がバンクの左肩を貫いた

 

「片腕しか使えないあなたに、もう勝ち目はありませんね…このまま引き下がることをオススメしますよ」

 

「くっ…くくくっ」

 

エレナの言葉を聞いたとたんバンクは笑い出した

 

「何がおかしいんですか」

 

エレナの表情は一気に変わりバンクを睨み付ける

 

「いや、お前って人を殺したりできねぇ

いい奴なんだなって」

 

「は?」

 

「本当は妖精女王をゼレフ復活の生け贄ってのに捧げるのも嫌なんだろ?」

 

「……」

 

エレナは何も喋らなくなりそれでもバンクは話しを続けた

 

「本当は誰も殺したくなんてないし、生け贄も捧げたくなんかない…違うか?」

 

「……まれ」

 

「その証拠に、さっきからオレを殺すチャンスは何度もあったはずだが決定打を与えられていない最初の一撃から抜けた瞬間から違和感を感じていた。だがこれで確信が得れた、お前に人は殺せねぇ」

 

「だまれ!!!」

 

怒ったエレナは石の大砲を造った

 

「石砲!!!!」

 

大砲がバンクに向かって発射されたときバンクは装備を赤色に変えて石の弾を殴り爆発を起こした

 

「エルザ姉様が私たちを裏切った!!!そうジェラール兄様から聞いたときは絶望しかなかった!!!それでもジェラール兄様は私たちを見捨てなかった!!!私はそれを信じるしかできないのよ!!!」

 

爆発でバンクの周りには煙が舞っておりその中からバンクの声が聞こえた

 

「…どいつもコイツも…自分じゃない別の誰かの言葉を鵜呑みにしやがって」

 

「何かいいましたか?」

 

「んーや別に、お前の魔法、どうやら俺の出す炎とかはコントロールできねぇんだなって思ってよ」

 

「えぇ正確には別の人の魔力が通っていたら私には造形することも操ることもできません」

 

「あっそ、なら自分の技を心置きなく出せるなw安心したぜ」

 

「安心?あなたは私を怒らせたんですよ、そんな余裕あるはずないでしょう」

 

エレナは今度は石の大砲と空気の大砲をそれぞれランダムで造形した

 

「ミックス砲!!!」

 

無数の大砲がバンクに向かって弾を出すがバンクはそれを全てかわし続ける

 

「そんな…」

 

「お前は信じるものを間違ってるぜ

ジェラールって奴の言葉だけを信用してそれ以外の奴に耳を傾けようとしない、そんな奴が間違った考えを直せるわけがねぇ」

 

「じゃあどうしろって言うんですか!!!私にはもうジェラール兄様しか頼れる人がいないんです!!!」

 

エレナは気付いたら砲撃をやめておりバンクに向かって叫んでいた

 

「仲間がいるんだろ?」

 

バンクはエレナの目の前まで来ておりエレナの顔の横スレスレに拳をつき出す

 

ドゴォン

 

エレナの後ろにある壁に拳の跡がついた

 

「頼れる存在だから…助け合える存在だから仲間っていうんじゃねぇのか?」

 

エレナの頭の中にはシモン、ショウ、ミリアーナ、ウォーリーの顔が浮かんでいた

 

「それでも助けを求めたければ俺のところに来い、オレがお前の全部を守ってやるよw」

 

そう言われたエレナはバンクの胸に顔を埋めて泣き叫んだ

 

「あぁぁ…うわぁぁぁぁ!!!!」

 

バンクは拳を引っ込め黙ってエレナを泣かせ続けた

 

「ホントは…大好きなエルザ姉様を生け贄になんてしたくなかった!!!

それでも!!!ジェラール兄様の言い付けだと自分に言い聞かせてきた!!!

けど、けど、こんなことはもうしたくない!!!

人を殺したりなんてしたくない!!!

大好きな兄様や姉様達と過ごせるなら自由なんていらない!!!」

 

「そうか…」

 

バンクはエレナが泣き止むまで何もせず、ただただエレナを黙って見つめていた

 

 

(にしても……)

 

(戦いに関しては消化不足だったな…)

 

そんなことだけを思って




バンク君…最後の言葉がなかったら最高だったのに…やっぱり戦闘狂か…

そしてようやく出せましたエレナの魔法!!!引っ張り過ぎたなぁ…絶対…


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運命(デスティニー)

過去一長い章になってます楽園の塔編…正直ここまで長くなるとは思ってなかったなぁ


楽園の塔内でリートとシモンがジェラールの元へ向かっているときリートに背負われたナツが目を覚ました

 

「!」

 

「うおっ!!」

 

「目が覚めたかナツ」

 

「やっと起きたか」

 

目を覚ましたばかりのナツは辺りを見回す

 

「あれ?確かオレ変な乗り物に乗せられて…」

 

「おおぉぉ…おぷぅ」

 

「ちょっと待て!!思い出すな!!そして酔うな!!!」

 

リートに背負われてたナツが梟にやられた事を思いだして酔いはじめた

 

「あの後おまえは梟に食われてグレイとリートに助けられたんだ」

 

「グレイに!!?」

 

「俺は何もしてねぇ」

 

「しかし、グレイも相当のダメージを負っちまってな、あの猫2匹に塔からつれだしてもらってる」

 

リートから降りたナツはいきなり頭を抱えはじめた

 

「だぁーっ!!!ありえねぇ!!!オレが負けてグレイが勝っただとーーーっ!!!?」

 

「いいじゃねぇか別に」

 

「あぁ、それに負けた訳じゃねーだろ、食われたんだ」

 

「このネタで1ヶ月はいじられんぞ!!!あいつねちっこいからなぁ」

 

「オイオイ」

 

「お前も十分ねちっこいぞ」

 

ナツは後ろを振り返りさっきいた場所まで戻ろうとする

 

「こうしちゃいられねぇ!!!リベンジだ!!!あの梟ともう一回戦ってくる!!!今度は片手だな!!!それくらいハンデがなきゃ…」

 

「落ち着けナツ」

 

リートはナツのマフラーを引っ張りナツを止める

 

「ぐえっ」

 

「今はそんなことしてる場合じゃねぇ」

 

「あぁそういうことだ」

 

大人しくなったナツはシモンを見る

 

「つーかアンタ誰だっけ?」

 

「今さらかよ」

 

「シモンだエルザの昔の仲間だよ」

 

 

「ぐっ」

 

シモンの体に痛みが走りたまらず片ひざをつく

 

「お…おい、大丈夫か?」

 

「オマエ、ケガしてんのか!?」

 

「オ…オレの事はいい

よく聞けナツ、リート…」

 

「さっきウォーリーとミリアから通信があった

倒れているルーシィとジュビア、そして三羽鴉の一人を見つけたとな」

 

「さっきお前が独り言のように言ってたのは通信か…」

 

「事情を知らねぇアイツらは戸惑っていたがルーシィ達を塔の外へ連れ出して貰った」

 

「そして、エレナからも通信が入りバンクと一緒に塔の外に出るように指示をしておいた」

 

「最後にショウの通信で三羽鴉が全滅したことを知った」

 

「オレ何もしてねぇ!!!」

 

「別にいーじゃねぇか」

 

ショックでナツの表情が変わった

 

「残る敵はジェラール一人そこはエルザが向かっているアイツは全ての決着を一人でつけようとしてるんだ」

 

「あの二人には8年にわたる因縁がある戦わなければならない運命なのかもしれない」

 

「だが…ジェラールは強大すぎる…」

 

 

「頼む エルザを 助けてくれ」

 

シモンはナツとリートに頼んだ

 

「やなこった」

 

「そーだな、アイツが行ったんなら俺たちは大人しく待ってればいいだろ」

 

「!!?」

 

しかし二人はシモンの頼みをあっさりと断った

 

 

………

 

 

『ジェラールのいる部屋』

 

「やれやれ、ゲームはもう終わりか」

 

ジェラールはチェスの駒をほぼ全て倒していた

 

「人の命で遊ぶのがそんなに楽しいか?」

 

部屋の奥からエルザが入って来た

 

「楽しいねぇ

生と死こそが全ての感情が集約される万物の根源

逆に言えば命ほどつまらなく虚しいものもない」

 

「久しぶりだなエルザ」

 

「ジェラール」

 

「その気になればいつでも逃げ出せたハズだが?」

 

「私はかつての仲間達を解放する」

 

エルザの言葉にジェラールは笑い続ける

 

「かまわんよもう必要ない

楽園の塔は完成した」

 

「あと10分足らずで破壊されるとしてもか?」

 

「エーテリオンの事か?」

 

ジェラールはあと少しでエーテリオンが落ちるというのに余裕の表情を崩さない

 

「その余裕やはりハッタリだったか」

 

「いや、エーテリオンは落ちるよ」

 

ジェラールは被っていたフードを脱ぐ

 

そしてエルザも刀をかまえた

 

「それを聞いて安心した!!!!10分!!!貴様をここに足止めしておけば全ての決着がつく!!!!」

 

「いや、オマエはゼレフの生け贄となり死んでいく

もう決まっているそれが運命(デスティニー)だ」

 

 

………

 

 

シモンの頼みを断ったナツとリートはその場から動いていなかった

 

「貴様等…仲間を…エルザを助けないと言うのか…」

 

「別に助ける助けないとかそういう話しじゃねぇよ」

 

「エルザの敵はエルザが決着をつければいい

オレたちが口をはさむ問題じゃねぇな」

 

 

 

 

「エルザではジェラールに勝てない!!!!!」

 

 

 

「あいつをバカにすんなよコノヤロウ!!!!!」

 

シモンとナツが怒鳴り合う

 

「違う!!!力や魔力の話しじゃねぇんだよ!!!!」

 

シモンはナツの胸ぐらを掴んだ

 

「エルザは…アイツは未だにジェラールを救おうとしてるんだ!!!!」

 

「オレにはわかる!!!あいつにジェラールを憎む事などできないから!!!!」

 

シモンは掴んでいたナツの胸ぐらを離した

 

「ジェラールは狡猾(こうかつ)な男だエルザのそういう感情をも利用してくる」

 

「状況は更に悪い…評議院がここにエーテリオンを落とそうとしてるのは知っているな

もちろんそんなもの落とされたら塔の中の人間は全滅だ」

 

「ショウの話しではあと15分…いや、もうあと10分か」

 

エーテリオン投下の話を聞いたナツとリートの顔色が変わる

 

「何!!?」

 

「ちょっと待て!!!聞いてねぇぞそんな事!!!」

 

 

「エルザは全員を逃がせと言って一人で向かった」

 

「エルザの事はよく知っているだろ?まさかとは思うが…エーテリオンを利用してジェラールを道連れに死ぬ気かもしれん」

 

「……」

 

「なんでそれを先に」

 

ナツとリートは歯を食い縛る

 

「エルザは?」

 

「エルザはどこにいるんだぁ!!!!」

 

 

………

 

エルザとジェラールは互いに構えたまま話しを続けていた

 

「あと7分だ

あと7分でエーテリオンはここに落ちる

この7分を楽しもうエルザ」

 

「今の私に怖れるものは無い

たとえエーテリオンが落ちようと貴様を道連れにできれば本望」

 

 

「行くぞ!!!」

 

先に動いたのはジェラールだった

 

ジェラールは幽霊のようにも見える無数の魔力をエルザに向かって放つ

 

エルザはそれを容易くかわし、かわしながら魔力を切り落としていく

 

しかしジェラールの手は休むことなくエルザに向かって衝撃波を放ちエルザを塔の外へと吹き飛ばした

 

エルザは崩れた壁の瓦礫を伝って塔の中へ飛びうつる

 

「せっかく建てた塔を自分の手で壊しては世話がないな」

 

エルザは塔に戻ってくると同時にジェラールに刀を振る

 

ジェラールもエルザの攻撃を難なくかわしていた

 

「柱の一本や二本ただの飾りにすぎんよ」

 

 

「その飾りを造るためにショウ達は8年もお前を信じていたんだ!!!!」

 

「いちいち言葉のあげ足をとるなよ

重要なのはRシステムその為の8年なんだよ」

 

「そしてそれは完成したのだ!!!!」

 

ジェラールの掌から造られた魔力はエルザに向かって放たれ直撃する

 

グゴゴゴゴ ギュムムムム

 

ジェラールの作り出した魔力がエルザを飲み込もうとしていた

 

しかし

 

「!!!」

 

ズバン!!!

 

エルザは刀で魔力を斬り裂き魔力を霧散させた

 

そのままジェラールに向かってエルザは斬りかかる

 

ザン

 

「ぐぁぁっ」

 

(これが…あのエルザだと!!?)

 

体を斬られ体制を崩したジェラールの上にエルザが馬乗りになり首もとに刀を突きつける

 

「くっ」

 

「お前の本当の目的はなんだ?」

 

エルザがジェラールを睨み付けながら聞く

 

「本当はRシステムなど完成していないのだろ?」

 

「!!!」

 

ジェラールの表情が変わってもエルザは気にせず話を続ける

 

「私とて8年間何もしてなかった訳ではない

Rシステムについて調べていた」

 

「確かに構造や原理は当時の設計図通りで間違っていない。しかしRシステムの完成には肝心なものが足りていない」

 

刀を突きつけらているジェラールだが顔が笑いはじめた

 

「……言ったハズだ…生け贄はおまえだと……」

 

 

「それ以前の問題さ

足りてないものとは

魔力」

 

「この大がかりな魔法を発動させるには27億イデアもの魔力が必要になる

これは大陸中の魔導士を集めてもやっと足りるかどうかというほどの魔力」

 

「人間個人ではもちろんこの塔にもそれほどの魔力を蓄積できるハズなどないのだ」

 

ジェラールは黙ってエルザの話を聞き続ける

 

「そのうえおまえは評議院の攻撃を知っていながら逃げようともしない。おまえは何を考えているんだ」

 

 

 

「…エーテリオンまであと3分だ」

 

 

「ジェラール!!!お前の理想(ゆめ)はとっくに終わっているんだ!!!!このまま死ぬのがお前の望みかぁ!!!!!」

 

エルザはジェラールの腕を掴みその手に力を込める

 

「うっ…ぐっ…」

 

グッ ギシ

 

「ならば共に行くのみだ!!!!!私はこの手を最後の瞬間まで放さんぞ!!!!!」

 

「あ…あぁ…それも悪くない」

 

「オレの体はゼレフの亡霊にとりつかれた何も言うことをきかない…ゼレフの肉体を蘇らすための人形なんだ」

 

「とり憑かれた?」

 

ジェラールの言葉をエルザが聞き返した

 

「オレはオレを救えなかった…仲間も誰も救えるものがいなかった」

 

「楽園など…自由などどこにもなかったんだよ」

 

「全ては始まる前に終わっていたんだ」

 

 

……

 

 

『楽園の塔の外』

 

塔の上にはエーテリオン発射の為の巨大な魔方陣が現れた

 

「オ…オイオイ本気でエーテリオンを落とす気なのかよ評議院は」

 

「ジェラール兄様…エルザ姉様…シモン兄様…」

 

エレナは心配そうな顔で塔を見つめる

 

「ナツ…リート…エルザ…」

 

「早く脱出してくださいまし…」

 

ハッピーとラリカも3人を心配していた

 

 

……

 

エーテリオン投下が近づき塔全体が揺れるなかジェラールとエルザは未だに逃げようとせずにいた

 

「Rシステムなど完成するハズがないとわかっていた」

 

「しかし…ゼレフの亡霊はオレを止めさせなかった」

 

「もう止まれないんだよ、オレは壊れた機関車なんだ」

 

「エルザ…お前の勝ちだ、オレを殺してくれ」

 

「その為に来たんだろ?」

 

エルザは掴んでいたジェラールの腕と持っていた刀を手放しジェラールの上から退いた

 

「私が手を下すまでもないこの地鳴り すでにサテライトスクエアが上空に展開されている」

 

「終わりだ…お前も私もな」

 

「不器用なやつだな」

 

ジェラールは起き上がり座ったままエルザに体を向ける

 

「これは自分の弱さに負けたオレの罪さ

理想と現実のあまりの差にオレの心がついていけなかった」

 

 

「自分の中の弱さや足りないものを埋めてくれるのが仲間と言う存在ではないのか?」

 

エルザはジェラールに微笑みかけた

 

「エルザ…」

 

「私もお前を救えなかった罪を償おう」

 

「オレは…救われたよ」

 

エルザとジェラールはお互いに抱きしめる

 

その瞬間エーテリオンが投下された

 

エーテリオン投下により空が明るく光る

 

「この光…間に合わなかったか」

 

ナツとリートも空が光っていることに気がついた

 

「くそっ!!!もう10分たったのかよ!!!!」

 

「「エルザ!!!」」

 




ごめんなさい、今回でジェラールとリート達が戦うところまでいけるかな?って思ってましたけど…やっぱり無理!!間が長いわ!!!ってことで戦闘は次回です


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一人の人間

いやぁ前々から思ってましたけど感想ってやっぱりありがたいですね特に指摘してもらえるとどこを訂正するべきかよくわかって、ぶっちゃけスゲェ助かります

リート「でもお前が訂正しねぇと意味ねぇぞ」

主「……」


それでは本編です!!!


楽園の塔にエーテリオンが投下される

 

「終わった…」

 

塔の中にいたシモンがそう呟くと同時に、エーテリオンが投下され、エーテリオンの光で楽園の塔の姿が隠れ外の小舟に避難していたグレイ達は、衝撃で小舟から放り出される

 

「エーテリオン…」

 

 

「プハッ…なんつー威力だ…」

 

それぞれが海から浮かび上がり、エーテリオンの投下を目の当たりにする

 

即座にジュビアが、空気を貯めた水の球体で全員を守る

 

「ナツぅ…エルザぁ…リートぉ」

 

 

「死んでませんわよね?…リート…」

 

全ての衝撃が収まり煙が晴れていく

 

 

 

………

 

 

エーテリオンが投下されたが、中にいたエルザ達は無事だった

 

「え?…生きてる?」

 

 

「くくっ…」

 

エルザが自分が生きていたことに混乱している中、ジェラールはクスクスと笑いだした

 

「ジェラール?」

 

 

 

「あははははははははぁ!!!!!」

 

 

……

 

 

グレイ達が居る外から見た楽園の塔は、煙が少しずつ消えてきていた

 

「な…何…あれ」

 

 

「外壁が崩れて…中から水晶?」

 

エーテリオンの衝撃で上がっていた煙がはれ、楽園の塔があった場所には、巨大な水晶がそびえ立っていた

 

「ねぇ…無事だよね?ナツもリートもエルザも…シモンって人も」

 

ルーシィ達は心配そうに楽園の塔を見つめていた

 

……

 

 

楽園の塔の中では、ナツもリートも無事に生きていた

 

「いってぇ……」

 

 

「…生きてんのか?…オレたち…」

 

 

「何がどうなってやがる」

 

そして、シモンもしっかりと生き残っていた

 

「エーテリオンは落ちた……な…なぜオレは生きている?」

 

 

……

 

 

ジェラールが笑いだし、エルザは未だ困惑していた

 

「ついに!!ついにこの時が来たのだぁ!!!!!」

 

 

「おまえ…」

 

 

困惑しているエルザに向かって、ジェラールが話しかける

 

「くくく、驚いたかエルザ」

 

「これが楽園の塔の真の姿、巨大な魔水晶(ラクリマ)なのだ」

 

「そして、評議院のエーテリオンにより27億イデアの魔力を吸収することに成功した!!!!

ここにRシステムが完成したのだぁ!!!!!」

 

 

……

 

『ERA』

 

「目標健在!!!い…いえ!!!何だアレは…」

 

 

「巨大な魔水晶!!!」

 

「魔水晶がエーテリオンの魔力を吸収したぁ!!!!」

 

評議院が騒ぎだし始めた頃、少し離れたところでヤジマは、ジークレインに詰め寄っていた

 

()ーク!!!これは一体どういうことかね!!」

 

 

……

 

 

「だ…騙したのか……」

 

エルザがジェラールを睨み付けていると、エルザの後方から声が聞こえた

 

「かわいかったぞ、エルザ」

 

エルザが振り返ると、そこにはERAにいるはずのジークレインの姿があった

 

「え!?」

 

 

「ジェラールも本来の力を出せなかったんだよ。本気でヤバかったから騙すしかなかった」

 

 

「ジークレイン!!?」

 

「な…なぜ貴様がここに!!?」

 

ジークレインが、エルザ達の元へと歩み寄る

 

「初めて会った時の事を思い出すよ。エルザ…マカロフと共に始末書を提出しに来た時か」

 

「ジェラールと間違えて俺に襲いかかってきた。

まぁ…同じ顔だし無理もないか……」

 

「双子と聞いてやっと納得してくれたよな。

しかしお前は敵意剥き出しにしていたな」

 

 

「当たり前だ!!!貴様は兄のくせにジェラールのやろうとしていることを黙認していた!!!それどころか私を監視していた!!!!」

 

エルザはジークレインに怒鳴り付ける

 

「そうだな…そこはオレのミスだった。

あの時は[ジェラールを、必ず見つけ出して殺す]とか言っておくべきだった」

 

「しかし、せっかく評議院に入れたのにお前に出会ってしまったのが一番の計算ミスだな」

 

 

「とっさの言い訳ほど苦しいものはないよな」

 

 

ジークレインとジェラールは親しげに話す

 

「やはり…おまえ達は結託していたのだな……」

 

 

………

 

 

その頃ERAでは、ヤジマに詰め寄られていたジークレインの姿が、いきなりヤジマの目の前から消えた

 

「き…消えた……()ークが消えた…」

 

 

………

 

「結託?それは少し違うぞエルザ」

 

ジークレインが、エルザの言葉を否定した

 

「オレたちは1人の人間だ。最初からな」

 

そういうとジークレインは、ジェラールの体に吸い寄せられるかのように、姿を消した

 

 

「そ…そんな…まさか…」

 

「思念体!!!?」

 

 

「そう…ジークはオレ自身だよ」

 

 

「バカな!!!ならば、エーテリオンを落としたのも自分自身!!!その為に評議院に潜り込んだと!!?」

 

 

 

「仮初めの自由は楽しかったかエルザ、全てはゼレフを復活させるためのシナリオだった」

 

 

「貴様は一体どれだけのものを欺いて生きているんだぁ!!!!!」

 

ジェラールは全身に魔力を込める

 

「フフ…力が…魔力が戻ってきたぞ」

 

 

………

 

 

外から見ていたショウ達は、巨大な水晶の塔を見て呟いた

 

「Rシステムだ」

 

 

「何!?」

 

 

「私達が作っていたRシステムの完成体です」

 

 

「間違いねぇのか?」

 

 

「あぁ…オレたちが見間違えるはずかねぇんだゼ」

 

 

「作動してる」

 

 

「作動って!!?まさかゼレフが復活するの!!?」

 

 

ルーシィがショウ達に向かって叫ぶ

 

「わかりません…私たちも実際に見るのは初めてですから…」

 

 

………

 

 

塔内ではエルザがジェラールに立ち向かっていたが、先程とはうって変わってエルザがジェラールに圧倒されていた

 

「くあぁっ!!」

 

エルザはジェラールの魔法で吹き飛ばされる

 

「さっきまでの威勢はどうした?斑鳩との戦いで魔力を使い果たしていたか?」

 

エルザは体制を立て直すと、太刀を換装しジェラールに斬りかかる

 

「ジェラァァァァァル!!!!!」

 

ジェラールはエルザの攻撃をかわし続ける

 

「今頃、評議院は完全に機能を停止している、ウルティアには感謝しなければな」

 

「あいつは、よくやってくれた…楽園にて全ての人々が一つになれるのなら、死をも恐れぬと」

 

「まったく、バカな女である事に感謝せねばな」

 

 

「貴様が利用してきた者達全てに、呪い殺されるがいい!!!!」

 

エルザが攻撃を続けていると、背中に痛みが走った

 

「!」

 

痛みが走った瞬間、蛇の模様がエルザの腕を締め付ける

 

「な…何だこれは!!?」

 

 

拘束の蛇(バウンドスネーク)、さっき抱き合った時につけておいたものだ」

 

そして、蛇の模様はやがてエルザの全身を締め付けた

 

「うっ…あっ…体が…動かん!!!」

 

エルザは持っていた武器を落とし体を固定される

 

「Rシステム作動の為の魔力は手に入った、あとは生け贄があればゼレフは復活する」

 

「もう おまえと遊んでる場合じゃないんだよエルザ」

 

「この27億イデアの魔力を蓄積した魔水晶にお前の体を融合する」

 

「そして、お前の体は分解されゼレフの体へと再構築されるのだ」

 

エルザはジェラールに押され、後ろにあった魔水晶(ラクリマ)に体が飲み込まれ始めた

 

「がぁぅあ」

 

 

「お前の事は愛していたよエルザ」

 

ズズズズ…

 

エルザの体はどんどんと飲み込まれていく

 

「くそっ!!くそぉ!!!」

 

 

「偉大なるゼレフよ!!今ここに!!!この女の肉体を捧げる!!!!」

 

 

「ジェラール…ジェラーールゥゥ!!!!」

 

 

ガシッ

 

「おっと」

 

「あぶねぇ」

 

エルザが飲み込まれるギリギリのところでナツとリートがエルザを引っ張り出した

 

「エルザはフェアリーテイルの魔導士だ渡さねーぞ」

 

 

「……」

 

ナツは笑いながらそういうが、リートは黙ってジェラールを睨み付けていた

 

「ナツ、リート…」

 

 

「なーにしてんだよ、早く帰って仕事行かねーと、今月の家賃払えねーぞ」

 

 

「それ、一番困るのルーシィじゃねぇか?」

 

 

ナツとリートは、エルザを床に寝かせて話す

 

「ス…スマン…体が……動かなくて…」

 

 

「「ほーう…」」

 

 

すると二人はエルザの体をくすぐり出した

 

「普段ヒデェめにあってるからな!!!こ~れでもくらえ!!!」

 

 

「俺にも普段威張り散らしてんだ、これくらいはやらせろ!!」

 

 

「アハハハ!!やめ…やめろお前達!!」

 

「ナツ…リート…今すぐここを離れるんだ」

 

 

「やだね、オマエが無理なら代わりにオレがやってやっからさ」

 

 

「俺もだ……それに、あいつにはちょっと聞きたいことがある…」

 

ナツもリートも、エルザの指示を無視した

 

 

「よせ…相手が悪い…おまえ達はアイツを知らなさすぎる」

 

 

「知らなきゃ勝てねぇもんなのか?」

 

 

「そうでもねぇだろ」

 

 

「頼む…言うことを聞いてくれ」

 

 

そっと、エルザの左目から涙が溢れた

 

それを見たナツはエルザを抱えた

 

「よっ」

 

 

「な…何を」

 

 

「エルザ…オレもリートも、オマエを全然知らねぇ」

 

 

「え?」

 

 

「けど勝てる!!!!」

 

ボスッ!!

 

ナツはいきなりエルザの腹を殴った

 

それにより、エルザの意識がなくなった

 

「ったく…もうちょっとマシな寝かせ方はねぇのかオマエは」

 

 

「噂以上の傍若無人ぶりだな、身動きできねー仲間を痛め付けて満足か?」

 

 

「エルザが…泣いていた」

 

 

「普段弱音なんか絶対に吐かねーコイツがだ…」

 

ナツとリートの拳に力が入る

 

「弱音をはいて声を震わせていた」

 

 

「オレたちは、そんなエルザなんか見たくねーんだよ」

 

 

「あぁ…エルザは強くて凶暴でいいじゃねーか」

 

 

 

 

 

「「目が覚めた時いつものエルザでいてほしいからオレ達が戦うんだ!!!!」」

 

 

 

 

 

ついに、二人の滅竜魔導士がジェラールとぶつかる




次回、やっとナツとリートがジェラールと戦います、いやぁ長かったねぇ、書いてる内に何回そろそろ戦えるかな?と思ったことか、でも全然戦わず気がついたら楽園の塔書き始めて2ヶ月以上たってるし…まぁ書かなかった主も悪いんですけど


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告白

文章作るってやっぱり難しいですねぇ、現在過去作から少しずつ訂正してますけど…いやぁ、これがまた大変w
前文とかは、うっかりネタバレしてしまっても読みづらくするためにわざと改行を少なく、
句読点も少なめにやってるので訂正してないですけど…それでもまぁ大変でwなんとか頑張ってる主であります。


「面白い、見せてもらおうか

ドラゴンの魔導士の力を」

 

ジェラールが話し終えると、ナツが、リートよりも先に、腕に炎を纏って飛び出す。

 

「ナツ!!!」

 

 

「うおおおおおぉ!!!!!」

 

ナツが、ジェラールに向かって拳を振るうが、ジェラールは、紙一重で攻撃をかわす。

 

しかし、ナツは拳をふった勢いを利用し、空中で体をひねり、ジェラールの顔に蹴りをヒットさせる。

 

 

ゴボォ!!!

 

「!!?」

 

ジェラールが、ナツの攻撃をくらう所を見て、リートは驚いた表情をする。

 

 

ナツはその勢いのまま、ジェラールの、腹、顔、アッパー、と殴り続けた。

 

連激を浴びせ続けるナツ、だが、ジェラールはナツの攻撃を、ただ受け続けている。

 

「…おかしい……エルザに圧倒してたはずのアイツが、今さらナツの攻撃に、手も足も出せねぇ訳がねぇ…」

 

そうリートが呟くが、それでも、ナツが優勢な状況に変わりはなかった。

 

「!!?まさか!!!あの野郎!!ダメージを受けてねぇんじゃ?!!」

 

リートは、ナツ達の所に、勢いよく駆け出す。

 

「どけ!!ナツ!!」

 

 

「!?」

 

ナツが、振り返った時には、リートはすぐ後ろに来ており、ナツの頭を抑え飛び上がり、ジェラールの頭上から、足に氷を纏わせて、蹴りを入れる。

 

「氷竜の鉤爪!!!」

 

 

「ぐっ…」

 

 

「からの、氷竜の硬拳!!!」

 

ジェラールは、リートの攻撃で、後方へ吹き飛ぶ。

 

ジェラールが倒れても気にも止めず、リートは、更に攻撃を仕掛ける。

 

「潰れろ!!氷竜の柱弾!!!!」

 

特大サイズで作られた氷の柱を、リートは、ジェラールに向かって、放つ

 

(どうだ…)

 

しかし、氷の柱が崩れると、中から服だけ破れた無傷のジェラールが、現れた。

 

「それが、おまえ達の本気か?」

 

 

「ぐっ……」

 

「やっぱり、微塵も堪えてねぇな…」

 

ナツもリートも、攻撃を与えてもダメージがまるでないことに、悔しそうに表情を変える。

 

「この手で消滅させちまう前に一度、滅竜魔導士の破壊力を味わってみたかったんだが…」

 

「この程度なら恐れるに足らんな」

 

 

「なんだとぉー!!!」

 

ナツの掛け声で、リートも、ナツと同時に、ジェラールに向かって飛び出す。

 

「よくも儀式の邪魔をしてくれたな、オレの天体魔法のチリにしてやるぞ」

 

流星(ミーティア)!!!!」

 

ジェラールは、光のオーラに包まれ、その瞬間、ジェラールは、光速で飛び回り始めた。

 

「早ぇ!!」

 

 

「くそっ…目で追いきれねぇ」

 

ナツもリートも、翻弄される中、ジェラールは、ナツの後ろに回り込み、肘打ちを入れる。

 

「ぐわぁ!!」

 

「ナツ!!!」

 

リートが、ナツの居る方向を向くと、既にジェラールは、その場から消え、リートの腹を殴っていた。

 

「かはっ」

 

ズガガガガガ

 

 

「がぁっ!!」

 

「ごぉっ!!」

 

ナツもリートも、ジェラールの動きについていけず、殴られ続ける。

 

「このっ!!」

 

「おらぁ!!」

 

二人は、ジェラールに向かって、パンチを繰り出すが、ジェラールは、難なくかわす。

 

(こういう時は、目で追っていたらダメだ…)

 

リートは、目を閉じて、視覚以外の全ての感覚を、研ぎ澄ませる。

 

ナツも、同じ事を考え、二人とも目を閉じていた。

 

「集中しろ…敵は何も消えた訳じゃねぇ…必ず攻撃は当たる…」

 

ナツとリートが、目を開き、同じところにパンチを放つ。

 

「「そこだ!!!」」

 

しかし、二人のパンチは空をきり、ジェラールは、更にスピードをあげた。

 

「まだ速くなるのか!!?」

 

(これじゃあ、もう氷陣闘戦場を使っても、ついていけねぇぞ…)

 

 

「おまえ達の攻撃など、二度と当たらんよ」

 

ズガガガガガ!!

 

「「ぐわぁぁぁぁ!!!!」」

 

二人は、ジェラールの攻撃で、地面に倒れる。

 

「とどめだ。お前達に本当の破壊魔法を見せてやろう」

 

ジェラールは、空高く飛び上がった。

 

「七つの星に裁かれよ」

 

 

 

七星剣(グランシャリオ)!!!!!」

 

 

 

ナツとリートの上から、無数の光が降り注ぐ。

 

ズドドドドド!!!

 

全ての光が、降り注ぎ終わると、ボロボロのナツと、同じく、ボロボロになったリートが倒れていた。

 

空中から、降りてきたジェラールが、二人の姿を確認する。

 

「隕石にも相当する破壊力を持った魔法なんだがな…よく体が残ったもんだ」

 

 

「ちょっと待てよ…まだ……死んでねぇぞ…コラ…」

 

 

「!?」

 

ジェラールが振り返ると、リートが立ち上がっていた。

 

「まだ立てるのか」

 

 

「はぁ…はぁ…当たり前だ……ごほっ…」

 

リートは、ジェラールを睨み付けるが、立っているのでやっとの状況であった

 

「大したものだ、体が残っただけでも相当だと言うのに、立ち上がるとはな」

 

 

「はぁ…はぁ…一つ…聞かせろ……」

 

「なんだ」

 

「てめぇ、ーーー、じゃねぇよな?」

 

 

「?誰だそいつは」

 

リートが、ジェラールに言った名前に、ジェラールは聞き覚えがなかった。

 

 

「いや…いい…だったら人違いだ…」

 

 

「そうか…ならば、貴様は、もう倒れていろ!!!!」

 

「流星!!!」

 

ジェラールは、光のオーラを纏い、リートの腹に体当たりする。

 

「ごほっ…」

 

バタッ

 

リートは、ジェラールの攻撃により、倒れた。

 

「タフな男だ…それにしても少しハデにやり過ぎたか、これ以上Rシステムにダメージを与えるのはマズイな……魔力が漏洩し始めている」

 

「急がねば」

 

ジェラールは、倒れているエルザを見る。

 

「なぁ、エルザ」

 

そして、ジェラールが、エルザに近づこうとすると、小さな石が足元に当たる

 

「!」

 

石が、飛んできた方を見ると、ナツが残ったわずかな力で、石を投げていた。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

 

そして、ナツの投げた石が、ジェラールの胸に当たる。

 

「へへ…当たったぞ…攻撃…」

 

ナツは、残りの体力で立ち上がろうとする。

 

「この塔…つーか水晶?壊されちゃマズイって訳か…」

 

「運が悪かったな!!!!」

 

ナツは、炎を拳に纏い、床を殴って魔水晶を壊す。

 

「よせ!!!」

 

 

「どうしたよ?テメェ、ずいぶんと必死に止めるじゃねぇか……」

 

ジェラールが、視点を変えると、リートも立ち上がって、足に氷を纏い、魔水晶の床を踏みつけて、壊していた。

 

「やめろ!!!!」

 

 

「あいにくだったな」

 

「壊すのは得意なんだ、フェアリーテイルの魔導士は」

 

ナツとリートは、二人並んで肩を合わせる。

 

「燃えてきたぞ、今までで最高にだ」

 

「まだ、テメェを片付けるだけの魔力は残ってるぞ」

 

 

「きさまらぁ~~~~」

 

ジェラールは、立ち上がった、ナツと、リートを、睨み付ける。

 

「一瞬で終わらせてやる。立ち上がったことを後悔しながら地獄へ行け」

 

 

「上等だ。やってみろよ」

 

「しぶとさには自信があるんだ。やれるモンならやってみやがれ」

 

ジェラールは、無数の光線を、二人に向けて撃つ。

 

サッ

 

バッ

 

二人は、攻撃が当たる前に、それぞれかわしていく。

 

「おっと」

 

「よっ」

 

「来いやぁ!!!」

 

「どうした!!当ててみろよ!!」

 

二人が、光線を、かわし続けて、背中合わせになった瞬間、ジェラールは、特大の光の球体を、ナツと、リートに、ぶつける

 

「ぐぎぎぎっ…」

 

「こっ…のっ…」

 

ズガガガガガ

 

二人は、光の球体を受け止めていた。

 

そして、戦闘の音により、気絶していたエルザが、目を覚ました。

 

「「だぁっ!!!!」」

 

二人は、光の球体を、自力で欠き消した

 

 

「ぜぇ…はぁ…どうしたよ?…塔が壊れるのが心配で本気でねぇのか?」

 

 

「はぁ…はぁ…全然効かねぇなぁ」

 

 

「いつまでも調子にのってんじゃねぇぞ!!!ガキ共が!!!!」

 

ジェラールが、二人に衝撃波を放つと、勢いよく、二人は吹き飛ばされる。

 

「ぐっ…」

 

「がっ…」

 

「ナツ!!リート!!」

 

ナツとリートは、途中で体制を立て直し、床に向かって攻撃する。

 

「火竜の…」

 

「氷竜の…」

 

「煌炎!!!」

 

「凍柱!!!」

 

ドゴォォォン!!!!

 

「あいつら…塔を…」

 

エルザも、意識がハッキリして、状況を理解し始めてきていた。

 

塔を壊し続ける二人を見て、ジェラールの怒りは、どんどんと溜まっていく。

 

「オレが……8年もかけて築き上げてきたものを……貴様等ぁ…!!!」

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ…」

 

「ゲホッゲホ…」

 

ナツもリートも、もはや、気力だけで立っている状態だった。

 

(ナツ…リート…お前達……立っているのもやっとじゃないか)

 

エルザは心配そうに、二人を見ていた。

 

 

「許さんぞぉ!!!!」

 

ジェラールは、腕を上に上げて、頭の上でクロスさせる。

 

その瞬間、ジェラールの魔力が、一気に膨れ上がった。

 

ドッ!!

 

「うわっ」

 

「ぐっ…」

 

「くっ…」

 

 

「なんだ、この魔力は…気持ち悪ィ…」

 

「明らかに…ヤバイ技がくる…」

 

 

「無限の闇に落ちろ!!!!ドラゴンの魔導士!!!!」

 

 

エルザは、ジェラールの放つ魔法に、危険を感じたのか、ナツとリートの前に立って、壁になろうとする。

 

「貴様に私が殺せるか!!!?」

 

 

「「!!!」」

 

 

「ゼレフ復活に必要な肉体なのだろう!!!?」

 

 

「あぁ、おおよその条件は、聖十大魔導にも匹敵する、魔導士の体が必要だ」

 

「しかし、今となっては、別にお前でなくてもよい」

 

 

「!!」

 

「三人そろって、砕け散れ!!!!」

 

ジェラールは、攻撃をやめようとせず、頭上に黒い球体ができ、だんだんと大きくなっていく。

 

「どけ!!!エルザ!!!」

 

「そこから離れろ!!!」

 

ナツとリートは、必死に、エルザに呼び掛ける。

 

「お前達は何も心配するな、私が守ってやる。」

 

 

「「やめろぉぉぉぉ!!!!!」」

 

 

 

 

「天体魔法!!!暗黒の楽園(アルテアリス)!!!!」

 

 

 

ジェラールは、腕を振り下ろすと、頭上にあった黒い球体が、エルザに向かって放たれる。

 

ドパパパパパ!!!!

 

「「エルザァァァァァ!!!!!」」

 

暗黒の楽園の攻撃が収まり、黒い球体が消えると、そこには、ボロボロのシモンが立っていた。

 

「シモン…」

 

 

「エル…ザ…」

 

ドサッ

 

「シモーーン!!!」

 

シモンは、力尽き、倒れてしまった。

 

「まだウロウロしてやがったのか、虫ケラが」

 

 

「「………」」

 

エルザは、シモンに駆け寄り、ナツとリートは、放心状態になっていた。

 

「何でお前が!!!逃げなかったのか…シモン!!!」

 

 

「よ…よかっ…た…いつか…お…お前の…役に…立ちたかっ…ゲホッガファ」

 

 

「わかった!!いいからもう喋るな!!!」

 

 

「おまえは…いつも……優しくて……やさしくて……」

 

 

「シモン…」

 

 

(大好き…だった…)

 

そして、シモンは、エルザの腕の中で、命を落とした。

 

「イヤァァァァァ!!!!」

 

 

「アハハハハ!!!くだらん!!!実にくだらんよ!!!そういうのを無駄死にって言うんだぜ!!!」

 

ナツは、足元にあった魔水晶の欠片を、2つ拾い上げ、1つを、リートに投げ渡す。

 

パシッ

 

リートも、何も言わずに受け取り、二人して魔水晶を食べ始めた。

 

バキッ

 

 

「大局は変わらん!!!どの道 誰も生きて、この塔から出られんのだからなぁ!!!!!」

 

 

 

 

「うるせぇぇぇ!!!!」

 

「だまれぇぇぇ!!!!」

 

 

ナツとリートは、笑っていたジェラールを、殴り飛ばした。

 

ガコォ

 

「ごはぁ」

 

バキッ

ゴリッ

 

ムシャムシャ

 

「おまえ達…何を…」

 

エルザは、ナツ達の方を見て話しかけ、ジェラールも、慌てて起き上がり、ナツとリートを見る。

 

(コイツら…!!!エーテリオンを食ってやがる!!!)

 

「「おおおおおぉ!!!」」




ようやく出せましたドラゴンフォース…細かい詳細は次回でお願いします。…ってかそうしないと書き疲れて主の頭が爆発しちゃいますわw


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ドラゴンフォース

ついに、ドラゴンフォースに覚醒させることができました!!!
長かった…物凄く長かった…色々とリートのドラゴンフォースの姿を、出してはボツにし、出してはボツにし、の繰り返しでした。そしてようやく今回の形に落ち着いたので、皆さんも気に入ってくれると嬉しいですw


オオオオォォォォ!!!!

 

ナツは、魔水晶を食べたことにより、暴走しかけていた。

 

しかし、リートは逆に、冷静に、ジェラールを睨み付けており、リートの周りに漂う冷気だけが、荒々しく感じた。

 

ナツの顔中に血管が浮き上がり、炎の荒さが更に増す。

 

リートも,少し力をいれると、冷気が激しく逆巻き、リートを覆っているようにも見えた。

 

(エーテリオンを…)

 

 

(喰っただと!!?)

 

 

「アァァァァァァ!!!!」

 

ナツが床を殴ると、床が砕け、衝撃がジェラールにも伝わる。

 

「ハァァァ!!!!」

 

リートが魔力を練ると、冷気の渦がリートを囲い、リートの姿を隠したと思った瞬間に、霧散する。

 

そして、現れたリートの姿は、

白髪で青い瞳

 

袖の中から手の甲にかけては、青い、煙を型どった模様が、浮かび上がっていた。

 

そして、変化する前より、勢いよく、冷気がリートの周りで逆巻きを上げている。

 

(エーテリオンのパワーを制御しているだと!!?)

 

リートの隣にいるナツも、立ち上がるが、ナツは、苦しそうに悲鳴を上げていた。

 

「ごはぁ!!!」

 

 

「何てバカな事を!!!エーテルナノには炎と氷以外の属性も融合されているんだぞ!!!!」

 

 

エルザは、二人を見て叫ぶ。

 

 

「つっても、俺は苦しくとも何ともねぇぞ?」

 

 

「それは、お前の体がおかしいだけだ!!!」

 

リートは、エルザの言葉に肩を落とす。

 

「ひっ…ひどくねぇか…それ」

 

 

(強力な魔力を、炎の代わりに喰えば、パワーアップするとでも思ったか!!?…)

 

(しかし、可能性はあった…現に今、リート・イクシーズは、それによりパワーアップした…)

 

(だが、ナツ・ドラグニル、貴様のパワーアップは不完全のようだな、自分が犯した行為で、自滅をもたらした)

 

 

 

アァァァァァァ!!!!

 

 

「ナツ!!!」

 

ナツが、悶え苦しんでいると、ナツから溢れだしていた炎が、ドラゴンの形に見えた。

 

(ドラゴン…)

 

そして、ナツに続けて、リートも、先程まで逆巻きに上がっていた冷気が、リートの後ろで、ドラゴンの形を作り出す。

 

 

(なに!!?)

 

ナツ達の後ろにあった、ドラゴンの影が消えると、二人の目の周りには、鱗が浮かび上がっていた。

 

 

(エーテリオンを完全に取り込んだだと…)

 

ナツとリートは、ジェラールを睨み付けた。

 

そして、ナツが飛び出し、ジェラールの顔に膝蹴りを入れた。

 

「お前がいるから!!!」

 

 

「ぐほぉ」

 

すかさずリートも、ジェラールの後ろに回り込み、背中を蹴り、空中にジェラールを蹴りあげた。

 

「がはぁ」

 

ジェラールがいる、空を見上げた二人は飛び上がり、床まで殴り落とした。

 

「エルザは涙を流すんだぁぁぁ!!!!」

 

ズガガガガガ

 

ジェラールの殴り付けられた床は、突き抜け、1つ、また1つと、ジェラールは下層に落とされ続けていく。

 

「オレ達は、約束したんだ」

 

「あぁ…」

 

ナツとリートの頭の中で、シモンの顔が思い浮かぶ。

 

 

【ナツ、リート、エルザを頼む】

 

 

「「約束したんだ!!!!」」

 

 

「こざかしい!!!」

 

 

流星(ミーティア)!!!」

 

「この速さにはついてこれまい!!!」

 

ジェラールは、流星を使い、塔の上へと飛び上がる。

 

 

バッ!!!

 

しかし、リートが、現在いるジェラールの位置より上に、手を向けて、巨大な氷の膜を張る。

 

ドカン!!!

 

「がはぁっ」

 

ジェラールは、氷の膜にぶつかり、一瞬だけだが、動きが止まった。

 

その瞬間に、ナツとリートは、空中で方向転換し、落ちてくる落石を利用して、ジェラールに向かって、飛び上がる。

 

ドゴォ!!

 

ナツとリートのパンチが、ジェラールの腹にしっかりと決まった。

 

「ぐはぁっ」

 

その衝撃で、リートが張っていた氷が割れ、また、塔の天辺に、ジェラールが吹き飛ばされてくる。

 

「バ…バカな!!!」

 

「オレは負けられない!!!自由の国を作るのだ!!!」

 

空中で、体制を立て直したジェラールは、両端にある魔水晶を利用して、壁ジャンプで、更に上空に飛び上がる。

 

「てめぇの理想郷1つの為に!!!!何人の人間が犠牲になったと思ってやがる!!!そんなもの、オレは認めねぇぞ!!!!」

 

 

「貴様らに認められようが、そうでなかろうが、関係ない!!!痛みと恐怖の中で、ゼレフは、オレに囁いた。」

 

「真の自由が欲しいかと呟いた!!!!」

 

「そうさ…ゼレフは、オレにしか感じる事ができない!!!」

 

「オレは選ばれし者だ!!!!オレがゼレフと共に、真の自由国家を作るのだ!!!」

 

 

「それは、人の自由を奪って作るものなのかぁぁぁ!!!!」

 

 

ナツとリートは、床にいる状態から、ジェラールを見上げていた。

 

「世界を変えようとする意思だけが、歴史を動かすことができる。貴様等には何故それがわからんのだぁ!!!」

 

ジェラールは、空中で、魔方陣を描く。

 

 

煉獄砕破(アビスブレイク)!!!?塔ごと消滅させるつもりか!!!」

 

魔方陣を見たエルザが、どの魔法を発動させる気なのかに、いち早く気づいた。

 

「また8年…いや…今度は5年で完成させてみせる……ゼレフ…待っていろ」

 

ジェラールが、煉獄砕破を発動しようとした瞬間、魔方陣が凍りつき、霧散する。

 

「バカな!!?」

 

ジェラールが、下を見ると、リートが、ジェラールに向けて手を伸ばしていた。

 

「させるわけねぇだろ」

 

魔方陣が消えると同時に、ナツとリートが、飛びあがる。

 

「お前は、自由になんかなれねぇ!!!」

 

 

「亡霊に縛られたままのやつが、自由になんかなれるわけねぇだろ!!!」

 

自分の元に、近づいてくるナツとリートを見たジェラールの瞳には、二匹のドラゴンが映っていた。

 

 

 

「「自分を解放しろォォォ ジェラァァァァァル!!!!」」

 

 

 

ナツもリートも、拳に力を入れて、ジェラールを殴り落とした。

 

ドゴォォォン!!!!

 

ジェラールが、殴り落とされた衝撃により、楽園の塔は崩壊寸前まできていた。

 

エルザは、ナツとリートを、じっと見つめていた。

 

(これが…ナツとリートの真の力…これが…滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)!!!)

 




はい、という事で、リートのドラゴンフォース覚醒しました。
ちなみに、ナツと違って、リートが苦しまなかった理由とかは、しっかり考えてあるので、何故?と言われても、今は答えることができませんのでご了承下さい。

それと、ちょっと先の話ですが、バトル・オブ・フェアリーテイル編では、リート達の力関係の修繕も兼ねて、前半はかなり物語を変更する予定です。


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崩壊

最近、意欲が湧かず、投稿が遅れてしまいました!!どうもすいませーん!!
こうしている内にリートとバンクの新技を思いついちゃったりしてる主ですが、まだまだ登場は先になります。まぁ…頑張って出しますよ…はい…


二人が、ジェラールを倒したことにより、楽園の塔の崩壊が、始まっていた。

 

そして、ナツとリートの姿が、元に戻ってゆく。

 

(あのジェラールを、倒した……

私の…8年にわたる戦いは、終わったんだ。)

 

(これで…みんなに本当の自由が…)

 

エルザが、ナツ達を黙って見つめていると、ナツは、意識を失う。

 

「ナツ!!」

 

ナツの元へ駆け寄るエルザ、しかし、倒れ込むナツを、隣にいたリートが支えていた。

 

「リート…」

 

「…終わったぜ……エルザ…」

 

「まったく…スゴいやつだよ、お前達は」

 

 

ゴゴゴゴ

 

そうしている間にも、楽園の塔の崩壊は、続いていた。

 

 

 

………

 

外で、様子を見ていた、ルーシィ達も、塔の崩壊に気付いていた。

 

「塔が…!!!」

 

「何アレ!!?」

 

 

「まさか…エーテリオンが暴走してるのか!!?」

 

「暴走!!?」

 

暴走という言葉を聞いて、外にいる全員が、慌てふためく。

 

「元々、あれだけの大魔力を、一ヶ所に留めとく事自体が不安定なんだ…」

 

 

「行き場のなくした魔力の渦が…はじけて大爆発を起こす…」

 

「ちょっ……こんな所にいたらオレ達まで」

 

「中にいる姉さん達は!!?」

 

「そんな……いや…いやぁぁぁぁ!!!!」

 

エレナが、我慢しきれずに、塔に向かおうとする。

 

 

「待て!!どうする気だ!!」

 

エレナの行動に気が付いたバンクが、慌ててエレナの腕を掴む。

 

「放してください!!中にエルザ姉様が!!シモン兄様が!!ジェラール兄様がいるんです!!」

 

バンクはエレナの腕を引き、自分のもとへ寄せて、エレナの肩を抑える。

 

「今行ったところでどうしようも出来ねぇ!!下手をしたらお前まで巻き込まれんぞ!!!」

 

「でも!!姉様が…兄様達が…」

 

「まずは、オレ達が助かることを考えろ、アイツらを信じてやれ…」

 

エレナは、バンクの言葉を聞くと、大人しくなった。

 

しかし、グレイの表情は、険しいものだった。

 

「けどよ、誰が助かるとか助からねぇとか以前の話だ…このままじゃ、オレたちを含めて…全滅だ」

 

 

………

 

 

エルザとリートは、気を失ったナツを抱えて、塔からの脱出を謀っていた。

 

「お前は平気なのか?リート」

 

「…たりめぇだ…ナツよりは頑丈なつもりだぜ…」

 

リートはエルザに、笑顔でそう言ったが、エルザは、リートが無理をしていることを察していた。

 

その為、ナツを二人で担いで、運ぶ判断をしたのだ。

 

二人は、ナツを抱えて外に向かう。

 

「シモン…」

 

去り際に、エルザはシモンの死体を見て、悔やむ表情になる。

 

「すまなかったな…お前の友達を守れなくて…」

 

エルザの表情に気が付いたリートが、悲しげに、言葉を発する。

 

「いや、お前達のせいではないさ…これは、シモンの意思だ。」

 

そう言って、二人は走り出した。

 

塔から脱出しようと走っていると、急に、リートが抱えていたはずの方の力が抜け、エルザは転んでしまう。

 

「うあっ」

 

ズテェン

 

バッ

 

「リート!!」

 

エルザは即座に起き上がり、リートを見ると、少し距離を置いたところで、リートが、倒れていた。

 

「くそっ、やはり体に限界がきていたのか!!」

 

エルザが、周りを見渡すと、魔力の力により、魔水晶が変形し始めていた。

 

(器…魔水晶をも変形させるほどの魔力か……想像以上の破壊を秘めているようだな…)

 

(これでは、外に出ても爆発に巻き込まれてしまう…)

 

「くそっ!!ここまでか!!!」

 

エルザは、ナツとリートを見て、立ち上がった。

 

(いや…諦めるものか…今度は私がお前達を救う番だ…ナツ…リート…)

 

(しかし、防ぐ事も脱出も不可能…どうする…)

 

エルザは、辺りを見回す。

 

「!」

 

エルザは、魔水晶を見て、ジェラールの言っていたことを思い出した。

 

【この27億イデアの魔力を蓄積した魔水晶に、お前の体を融合する!!そして、お前の体は分解され、ゼレフの体へと再構築されるのだ!!!】

 

 

(融合!!?)

 

エルザは、魔水晶の前で、立ち止まった。

 

(私とエーテリオンが融合できれば…この魔力を私が操り暴発を止められるか!!?)

 

エルザが、魔水晶に手を伸ばす。

 

(これにかけるしかない!!!)

 

ズプッ

 

「あぐっ」

 

エルザの右手が、魔水晶に呑まれる。

 

エルザの声が聞こえた、ナツとリートは、目を覚ます。

 

「うう…」

 

(よしっ…魔水晶はまだ私を受け付けている!!!)

 

「「エルザ…」」

 

 

「ナツ!!?リート!!?」

 

二人がエルザを見たときには、エルザは魔水晶の中に、引きずり込まれ始めていた。

 

「何…してんだよ…お前は…」

 

 

「おまえ…体が水晶に…」

 

 

「エーテリオンを止めるにはこれしかない」

 

 

「エーテリオンを止める?」

 

ナツは、意味がわからず、辺りを見回して、楽園の塔が崩壊していることに気が付く。

 

「ふざけんな!!そんなことしたら、お前の体が!!!」

 

リートは、必死に、エルザを止めようとする。

 

「じきに この塔はエーテリオンの暴走により大爆発を起こす」

 

「しかし、私がエーテリオンと融合して抑える事ができれば」

 

 

「そんなことしたらどうなるか!!!お前だってわかるだろ!!!!」

 

リートが、エルザを止めようとするが、エルザと魔水晶の融合は止まらない。

 

「うあっ!!」

 

「「エルザ!!」」

 

ナツとリートは、エルザに駆け寄る。

 

「何も心配しなくていい必ず止めて見せる。」

 

 

「よせーー!!!」

 

 

「やめろエルザ!!!」

 

 

「二人とも…私は、フェアリーテイルなしでは生きていけない、仲間のいない世界など、考えることもできない」

 

「私にとってお前達は、それほどに大きな存在なのだ」

 

 

「エルザ…」

 

「お前…」

 

 

「私が皆を救えるなら、何も迷うことはない…この体など…くれてやる」

 

エルザは、完全に、魔水晶の中に入り込んだ。

 

「エルザ!!!」

 

「バカ野郎!!!さっさと出てこい!!!」

 

 

「二人とも…皆の事は頼んだぞ」

 

「私はいつもお前達のそばにいるから」

 

 

「エルザーーーー!!!!!」

 

 

………

 

楽園の塔が、光に包まれる。

 

「爆発したぁ!!!」

 

「きゃぁぁぁ!!!」

 

 

「いや、違うぞ…エーテリオンが空へ!!!空中へ流れている!!!」

 

外で様子を見ていた全員が、魔水晶が、空へ流れていくのを見ていた。

 

「ちょっと待ってください!!!まだ姉様達が出てきていません!!!」

 

エレナが飛び出そうとした瞬間、魔水晶は、完全に空へと消えた。

 

「消えた…」

 

「エーテリオンが空中に…」

 

「た…助かった…のか?」

 

「い…や…いやぁぁぁ!!!!」

 

 

……

 

 

(……ここは!!?)

 

エルザは、何もない…真っ白な空間で、目を覚ました。

 

(エーテリオンの中!?…いや、違う…もっとあたたかくて…)

 

ふと、エルザが、漂う空間で下を見ると、とある映像が映し出されていた。

 

(そうか…)

 

エルザが見た光景、それは、エルザ自信の、葬儀たあった。

 

 

《エルザ・スカーレットここに眠る》

 

自分の、墓石を見たエルザは、寂し気な表情をする。

 

(私は…死んだのか…)

 

エルザの墓石の前では、フェアリーテイルのメンバー、ほぼ全員が整列し、その先頭には、マカロフが立っていた。

 

『彼女…エルザ・スカーレットは……神に愛され、神を愛し…そして我々、友人を愛しておった…』

 

『その心は、悠久なる空より広く

その剣は、愛する者の為に気高く煌めき

妖精のごとく舞うその姿は、山紫水明にも勝る美しさだった』

 

『愛は人を強くする。そしてまた、人を弱くするのも愛である。』

 

『ワシは…彼女を本当の家族のように…』

 

ズズッ…

 

マカロフは、墓石の前で、静かに泣いていた。

 

(マスター…)

 

「……彼女が…安らかなる事を祈る…」

 

ザッザッザ

 

エルザの葬儀に、評議院が、集団で現れた。

 

『魔法評議会は満場一致で、空位二席の一つを、永久的にこの者に授与することを設定した。』

 

『エルザ・スカーレットに聖十大魔導の称号を与える』

 

 

 

 

『ふざけんなぁ!!!!』

 

 

 

葬儀に参加していた全員が、声のした方を振り向くと、ナツがこちらを、睨み付けていた。

 

『なんなんだよ、みんなしてよぉ!!!!!』

 

 

(ナツ…)

 

ナツは、エルザの墓石に乗ると、供えていた花を、蹴り飛ばす。

 

『こんな物!!!』

 

 

『よさんかぁ!!!ナツゥ!!!!』

 

 

『ナツ…やめて…』

 

 

『てめぇ』

 

 

『エルザは死んでねぇ!!!!』

 

『死ぬわけねぇだろぉぉぉぉ!!!!!』

 

ナツが暴れていると、葬儀の参列者から、一人が飛び出した。

 

ドゴン!!

 

『ぐあっ』

 

 

『いい加減にしろよ、ナツ』

 

参列者から飛び出したのは、リートだった。

 

リートは、飛び出した勢いのまま、ナツを殴った。

 

『何すんだコノヤロウ…』

 

リートは、殴り飛ばされて座り込むナツに近づくと、胸ぐらを掴み、持ち上げた。

 

『いつまでもガキみてぇな事を言ってんじゃねぇぞ…エルザは、俺達の目の前で消えた…現実をちゃんと見やがれ!!!』

 

 

『消えたら人は死ぬのかよ?あ?違うだろ!!エルザは、どっかで絶対に生きてる』

 

 

『じゃあ、今この場にエルザを連れてきてみろよ!!!それすらも出来ねぇような奴が、下手な希望を持たせようとするんじゃねぇ!!!』

 

 

『なんだとコノヤロウ!!!』

 

ドカァ!!

 

『ぐっ…テメェ!!!』

 

ナツが、リートの顔を殴り、喧嘩は更に勢いを増す。

 

『お願い…二人ともやめて…』

 

ルーシィは、涙を流しながら、首を横に振る。

 

『現実を見なさいよぉぉぉ!!!!』

 

リートもナツも、フェアリーテイルの男達に、抑え込まれる。

 

『放せぇぇぇ!!!!エルザは生きてんだぁ!!!!』

 

 

『まだ言う気かテメェは!!!』

 

 

『やめろ!!ナツ!!リート!!』

 

 

エルザは、現在の光景を、上空から見て涙を流していた。

 

(私は…皆の未来の為に……なのに…これが、みんなの未来…残された者達の未来……頼む…もう泣かないでくれ…私は、こんな未来が見たかったのではない…私はただ…みんなの笑顔の為に…)

 

(やめてくれ……私は…こんなの……)

 

 

……

 

 

次にエルザが目を覚ましたときは、また違う場所だった。

 

「!!」

 

「ここは…」

 

バシャバシャ

 

「「「エルザーー!!!」」」

 

 

「!」

 

エルザが、声のした方を振り向くと、ルーシィ達が、走り寄って来るのが見えた。

 

「よかったぁ!!!無事だった!!!」

 

「どんだけ心配したと思ってんだよ!!」

 

「姉さーーん!!!!」

 

「よかった…エルザ姉様…ううっ…」

 

「どうやら、なんとかなったみてぇだな」

 

 

「ど…どうなっているんだ?生きているのか?私は…」

 

 

「当たり前だ…」

 

「!」

 

エルザが、ルーシィ達と反対の方向を見ると、ナツが、エルザを抱き抱え、その隣には、リートが立っていた。

 

「お前達が…私を?」

 

「でも…どうやっ……」

 

(あの魔力の渦の中から、私を見つけたと…?な…なんと言う男達なんだ…)

 

バシャァ

 

「!」

 

ナツが、エルザを抱えたまま膝をつく。

 

「同じだ…」

 

 

「え?」

 

 

「オレたちだって同じなんだ」

 

 

「エルザ…」

 

 

「?」

 

ナツの言葉に続けるように、リートがエルザに話す。

 

「お前、言ったよな?フェアリーテイル無しでは生きていけない、仲間のいない世界など、考える事もできないって…」

 

 

「あ…あぁ…」

 

 

「それは俺も同意する、確かに、仲間のいねぇ世界なんか、考えたくもねぇ」

 

「けどな、エルザ…その中には、当然お前も含まれてんだよ。お前が自分から消えようとしたら、俺もナツも、必ずお前を見つけ出す。絶対に諦めたりなんかしねぇからな」

 

エルザは、肩を震わせていた。

 

「二度と…こんな事するな…」

 

ナツからも、鼻をすする音が聞こえていた。

 

「ナツ…」

 

 

 

「するな!!!!!」

 

 

「うん…二人とも…ありがとう」

 

(そうだ…仲間の為に死ぬのではない…仲間の為に生きるのだ)

 

(それが、幸せな未来につながる事だから)

 

ルーシィ達が駆け寄った時に、エルザが振り返ると、エルザの両目から、涙が出ていた。




よしっ、もうすぐ楽園の塔が終わるな、あと少しだ…うん…あと少し…


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魔法の加護

今回は、かなり短いですが、重要な話しをさせる為あまり分かりづらくならない為に短めにしております。

あと、もうすぐ新キャラ出します…


「んがぁぁぁ ごぉぉぉぉ」

 

楽園の塔の一件から3日後、ナツは未だに、ベットで眠っていた。

 

それを、グレイ、ルーシィ、ハッピー、ラリカ、エルザが、同じ部屋で様子を見ていた。

 

「大丈夫かコイツ」

 

 

「さすがに3日間も寝っぱなしってのはね」

 

 

「ナツ!!ルーシィがメイドのコスプレで歌って踊って皆引いてるよ」

 

 

「私、それはそれで見てみたいですわ」

 

 

「いやよ、それに、そんなんで反応されて起きてもらってもヤだけど…」

 

 

「ぷっ」

 

ナツは、目を閉じたまま笑った。

 

 

「寝ながら笑うな!!!」

 

 

「もうしばらく休ませてやろう、仕方ない状況だったとはいえ()を食べたに等しい。」

 

 

「エーテリオンを食ったんだっけか?だんだんコイツも化け物染みてきたな」

 

グレイは、不貞腐れたような顔をし、椅子に座り直した。

 

「そういや、ナツと一緒にエーテリオンを食ったはずのリートはどうしたんだよ?アイツ、翌日には起き上がってたけどよ」

 

「リートなら、ビーチの方に行ってますわよ?なんか、楽園の塔で出した力を引き出したい…とか何とか言ってましたわ」

 

エルザは、手を額にあてる。

 

「あいつ…また無茶を…」

 

 

……

 

 

リートは、ビーチの近くの林の中で、ガーゼや、包帯を着けたままで、修行していた。

 

「ふぅぅぅ…」

 

修行していたリートの周りは、木や地面が、凍り漬けにされていた。

 

(違う…こんなんじゃねぇ、あの時出せた力は…)

 

リートは、張っていた氷を全て割り、周りを元の状態に戻す。

 

(どうすれば、あの時のような力が引き出せる?…どうすれば…やっぱ、エーテリオンを食うしかねぇのか?…いや、それじゃあ意味がねぇ、エーテリオン無しで、あの時と同じとはいかなくても、せめて、アレに近い力を自力で引き出せるようにならねぇと……)

 

 

……

 

 

「アイツも、十分化け物だな…」

 

 

「まったく…二人揃って、説教できる立場か?」

 

 

エルザが、ルーシィ達の方に体を向けて、改まって謝罪する。

 

「今回の件では、皆にも迷惑をかけたな……本当に、なんと言えばいいか…その…」

 

 

「もう…そのセリフ何回言ってるのよォ」

 

その後エルザは、バンクとジュビアが、いなくなっていることに気が付く。

 

「そういえば、あのエレメント4の娘と、ジョゼの元右腕の男は?」

 

 

「あぁ ジュビアか、もう帰っちまったよ。フェアリーテイルに一刻も早く入りてぇから、マスターに頼みに行くんだって」

 

 

「バンクは、残ってる宿泊日数分ホテルに泊まるって駄々こねてたけど、ジュビアに引きずられて一緒に連れていかれちゃってたわよ。」

 

 

「そうか、聞けば、あの二人には世話になったようだし、私からマスターに稟請してもよかったのだがな」

 

 

「つーか、リートもそうだがよ、エルザ…お前は寝てなくていいんかよ?」

 

 

「ん…見かけほど大したケガではない。エーテリオンの渦の中では、体は組織レベルで分解されたはずなのだがな」

 

 

「分解って…本当に奇跡の生還だったんだな」

 

 

(正直、何が起こったかはよく分からない…だが…今は生きてることを喜びたいな)

 

 

「なにはともあれ、さすがエルザとリートだな、勝手に毒食ってくたばってるマヌケとはエライ違いだ。」

 

 

 

 

「今なんつったァ!!!!グレーイ!!!!」

 

 

グレイの一言で、ナツが飛び起きた。

 

「起きたー!!!」

 

 

ガチャ

 

ナツが起きたタイミングで、リートがホテルに戻ってきた。

 

「お、目ぇ覚めたかナツ」

 

 

「あら、リート、おかえりなさいですわ」

 

 

「ん、ただいま」

 

 

ナツは、起き上がり、グレイを睨み続けていた。

 

「ステキな食生活デスネって言ったんだよ、バーカ」

 

 

「?なんの話だ?」

 

リートは、話しの意味を理解しておらず、ルーシィに話しを聞く。

 

「気にしなくていいわよ、いつもの喧嘩だから」

 

 

「ふーん」

 

 

「そういえばリート、お前、修行していたそうだが、なにかしら成果はあったのか?」

 

エルザが、リートに聞くと、リートは、首を横にふって答えた。

 

「いや、ダメだ…あの時に近い力でも、なんとか引き出そうとしてみたけど、できても精々、いつもパワーアップに使ってる技までだ。」

 

 

「そうか、まぁ本来ドラゴンスレイヤーがあの力を引き出すのは、現状、不可能に近い。できなくて当然というほどなんだ、無理に引き出す必要もないだろう。」

 

 

「オレとしては、あと少し、何かきっかけがあれば、なれなくもないと思うんだけどなぁ…」

 

 

「あまり、無理をしないで下さいまし、リート…」

 

ラリカは、心配そうにリートを見ていた。

 

「大丈夫だよラリカ、別に無理してるわけじゃねぇからさ」

 

リートは、ラリカの頭を撫でて、笑いかける。

 

 

 

「だいたいなぁ…」

 

ナツとグレイは未だに喧嘩していた。

 

 

「あいつら、まだやってんのか…」

 

 

「オマエ、フクロウのエサになってなかったか?

食う方か?食われる方か?どっちだよ食物連鎖野郎」

 

 

「うぬぬぬぬ…」

 

 

「お、珍しくナツが()されてる」

 

 

「くかー」

 

ナツは、またベッドに倒れると、そのまま眠り始めた。

 

「寝たー!!!」

 

 

「絡む気が無いなら起きんじゃねぇ!!!」

 

 

「あはははっ!!」

 

 

……

 

 

ここは、とある場所。周りは火山で囲まれていた。

 

そこで、一つの白い光が、飛び回っていた。

 

 

「何をしに来た?グランディーネ」

 

 

「久しぶりね」

 

 

「ここへ来る事、干渉する事を禁じたハズだ。今すぐ立ち去れグランディーネ」

 

 

「近くに、アナタとフランドーラを感じたものだからね」

 

 

「あの子達…本当に無茶ばかりするのね。誰に似たのかしら?クスクス」

 

「フランドーラの子供であるあの子は、魔法の加護があるらしいからいいとしても、アナタの子は、今回は運がよかったみたいだけど、そう何度も続かない…あの子、死ぬかもね」

 

 

「出ていけ」

 

 

「いずれあの子達も、ウェンディと会うことになると思うけど、今度は仲良くしてほしいわね」

 

 

「出ていけ!!!!人間に干渉するな!!!!」

 

 

 

 

「このイグニールを怒らせたいのかぁ!!!!」

 

 

火山の奥からは、赤い竜…イグニールが姿を現した。

 

 

「そうね、何を心配したトコで私達にできる事は何一つない…あとは、人間の力を信じるしかないものね。」

 

「ゼレフは……いいわ、もうよしましょう。

竜王祭で会えるのを楽しみにしているわ、イグニール」

 

そういうと、グランディーネは姿を消した。

 

 

………

 

「騒がしい奴等だな、アイツ等は…」

 

さらに場所は変わり、ここは氷の山が周りを囲っていた。

 

「まぁいい、イグニールが声を荒げる事は今に始まった事じゃない。」

 

(リート…とうとう、ドラゴンフォースに目覚めたか…いつか、こうなるだろうと予測はしていたが、しかし、これであの魔法の加護が、役割を果たし始める…)

 

 

(メイビスとの約束をした時に付けた…あの魔法が…)

 




この前、リア友にリートの好きな滅竜奥義の話しになり、聞いてみたところ「あの、あれ…NARUTOの螺旋丸てきなアレ…」と言ってました。

氷河螺旋拳は奥義かどうかは微妙やし、螺旋丸的なアレって言うなよ!似てるけど…と心のなかでスッゲェ叫んでましたw


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別れ

長かった楽園の塔編もついに終わります。

次回からバトル・オブ・フェアリーテイル編に入るわけですが、以前に話した通り、リート達の力関係を、ハッキリさせるため、前半はかなり内容を変えるつもりです。

ぶっちゃけリートメインの話しになります。


アカネビーチの砂浜にて、エルザは、ショウ達と話し合っていた。

 

「あ…あのよ……すまなかったゼ、エルザ」

 

「ごめんなさい、エルちゃん」

 

 

「私の方こそ、8年も何もできなかった、本当にすまない」

 

 

エルザは、ショウ、ミリアーナ、ウォーリー、エレナの4人に謝罪するが、ショウは、エルザをフォローした。

 

「姉さんはジェラールに脅されてたんだ。オレたちを守るために、近づけなかったんじゃないか」

 

 

「今となっては、そんな言い訳もむなしいな…もっと早くに何とかしていればシモンは…」

 

 

「シモンは真の男だゼ!!だって…だってよう…エルザを守りたかったんだ。あいつはずっと…」

 

「ウォーリー!!!」

 

 

「あいつの気持ちはよくわかるし…残された者の気持ちも今はよくわかる。だけど私達は進まねばならない。シモンの残してくれた未来を」

 

エルザの言葉に、エレナ以外の3人は賛同した。

 

「とても悲しい事だけど、シモンはずっと私たちの中にいるんだね」

 

 

そしてようやく、一番後ろで俯いて何も話そうとしなかったエレナが、エルザに話しかける。

 

「…エルザ……姉様…」

 

 

「エレナ…」

 

 

「ごめんなさい…私が、もっと早くにジェラール兄様を止めていれば、シモン兄様は…」

 

泣きそうな顔をしたエレナを、エルザは、そっと抱きしめる。

 

「お前のせいなんかじゃない、お前も一人の被害者だったんだ。辛い思いをさせてすまなかったな」

 

 

「エルザ…姉様…あぁ…あああぁ…うわぁぁぁぁ!!」

 

 

エレナが泣き終わるまで、エルザは優しく抱きしめ続けた。

 

 

 

 

「こほん、お見苦しい所を見せてしまい申し訳ありませんでした。」

 

泣き止んだエレナは、エルザに謝る。

 

「気にするな、それに、可愛かったぞエレナ」

 

エルザが可愛いと発言したとたん、エレナの顔は、どんどんと赤くなる。

 

「あの、それからですけど…」

 

 

「どうした?まだなにかあるのか?」

 

 

「あの…バンダナの男は…まだ…ここにいますか?」

 

エレナは質問しながら、更に顔が赤くなっていく。

 

 

「おや、これはもしかして」

 

ミリアーナは察したようで、後ろでニヤニヤとしていた。

 

 

「あぁ…バンクなら、正式にウチのギルドに入るからって、ジュビアにフェアリーテイルにつれていかれたぞ」

 

 

「そ…そうですか」

 

エレナは、バンクが居ないと聞いて、肩をガックリと落とした。

 

 

「それはそうとお前達、これからどうするつもりだ?」

 

「いく宛はあるのか?と言うことでしょうか?」

 

「そうだ、もしもいく宛がないというならフェアリーテイルに来ればいい。お前たちなら大歓迎だ。」

 

 

「!!」

 

「フェアリーテイル!!?」

 

「みゃあ!!私達が!!?」

 

 

「でも、いいんですか?こんなに大勢で」

 

 

エレナの疑問に、エルザは笑って答えた。

 

 

「あぁ、お前たちの求めていた自由とは違うかも知れんが、十分に自由なギルドだ。きっと楽しいぞ」

 

 

「そういや、火竜と氷竜もそんな事言ってたゼ!!!」

 

「元気最強のギルドだぁ!!!」

 

 

「それに、お前たちともずっと一緒に居たいしな」

 

「エレナもバンクに会いたいのだろう?ならば同じギルドに入ってしまえばいいさ」

 

エレナの顔が、また赤くなっていく。

 

「わ.わわわわたしの事はいいんですよ!!!もう」

 

 

「くすっ、さぁ戻ろう。ナツ達にも、お前たちをきちんと紹介せねばな」

 

エルザたちが、ホテルに向かって歩きだそうとしたとき

 

『つよくなったなエルザ…』

 

どこからか声が、エルザにだけ聞こえた気がした。

 

(!!!ジェラール!!?)

 

しかし、エルザが振り返っても、誰の姿も見えなかった。

 

(そんな訳ないか…)

 

 

 

その後、エルザたちはホテルに戻り、リート達にミリアーナたちを紹介し、夜遅くまで騒いでいた。

 

そして、ルーシィが部屋で日記を書いていると、突然エルザが、慌てて入ってきた。

 

「ルーシィ!!!」

 

 

「!!」

 

 

「ショウ達を見なかったか?」

 

 

「見てないケド…」

 

 

「同じホテルに泊まっていたハズなんだが、どこにも居ないんだ」

 

 

「あたし達明日チェックアウトだから、一緒にギルド行こー、って言ってたのにね」

 

 

「もしかして!!!」

 

ルーシィは、勢いよく、椅子から立ち上がった。

 

 

「何も言わずに出ていっちゃったの!?」

 

エルザは、ため息を一度だけ吐いた。

 

 

「そうか」

 

 

そして、何かを察したのか、エルザは、ルーシィの部屋を出ていった。

 

「ナツ、リート、グレイに花火の用意と伝えてくれ」

 

 

「え!?ちょっ…何!?花火って!!!」

 

 

………

 

 

エルザが、ルーシィの部屋で話していた頃、リート達も、自分の部屋でくつろいでいた。

 

「あー食った食ったー!!」

 

「食い過ぎなんだよオメーは」

 

「オイラも、もう動けないよぉ」

 

「だらしないですわねお二人共」

 

ナツ、グレイ、ハッピー、ラリカはベッドの上で当たり前のように会話をしていた。

 

「いや、ちょっと待てお前ら」

 

 

「?」

 

 

「どーしたの?リート」

 

 

「何か問題でもありましたの?」

 

 

「問題だらけだろ!!なんで同室のラリカはともかく、ナツやグレイ、ハッピーまでここにいるんだよ!!」

 

 

「かてー事いうなよリート」

 

「いいじゃねぇか、大勢の方が面白ぇぞ?」

 

「あい」

 

 

「だからって、なんで俺の部屋なんだよ」

 

 

「「「そっちの方が面白そうだったから」」」

 

 

「見事にハモってんじゃねぇ!!!」

 

 

「まぁまぁ、いいじゃありませんのリート、せっかくこんなにいい場所に来られたのですから、あんな事もあった後なんですし、何事も楽しむべきですわよ」

 

 

「はぁ~、ルーシィの気持ちが今になってわかるよ。全く」

 

 

「リート!!!いる?」

 

リートの部屋に、ルーシィがやって来た。

 

「お?噂をすればってやつだな」

 

 

「ナツ!?グレイ!?ちょうどよかった!!あんた達にも用があったのよ!!」

 

 

「?どうしたルーシィ?とりあえず落ち着け?」

 

 

「それどころじゃなーい!!」

 

 

ルーシィは、事の経緯と、エルザからの伝言を、3人に伝えた。

 

「なるほど…そういうことか」

 

3人は、何かを理解したように、外に出ていく。

 

「え!?え!?ちょっ、ちょっと待ってよー!!」

 

 

………

 

 

アカネビーチの砂浜にて

 

「お、いたな」

 

リート達が歩いていくと、そこでは、ちょうどエルザが、4人に別れの掟を、伝えようとしているところだった。

 

「1つ!!!フェアリーテイルの不利益になる情報は生涯他言してはならない!!!」

 

 

「これって…」

 

 

「フェアリーテイルを抜ける者には、3つの掟を伝えなければならない。代々から伝わっている伝統だよ。」

 

「俺たちは、あの4人を仲間として認めた。認めたからには、フェアリーテイルのメンバーが抜ける時と同じ対応をしてやるべきだ。」

 

リートとルーシィが、エルザの後ろで話していた。

 

 

「二つ!!!過去の依頼者に濫りに接触し、個人的な利益を生んではならない!!!」

 

 

「ギルドの不利益になる情報なんて持ってねぇゼ」

 

「まぁ、ギルドに入ってすらありませんからね」

 

「依頼者ってなに?」

 

「姉さん…」

 

エルザは、掟を伝えながら、涙を流す。

 

「三つ!!!」

 

「例え道は違えど、強く…力の限り生きなければならない!!!!

決して自らの命を小さなものとして見てはならない!!!!」

 

「愛した友の事を生涯忘れてはならない!!!!!」

 

エルザが掟を伝え終わる頃には、ショウ達も涙を流していた。

 

「フェアリーテイル式壮行会!!!! 始めぇ!!!!」

 

エルザの号令と共に、リート達は、花火を打ち上げる。

 

「おまえらー!!!また会おーなーっ!!!」

 

ナツが、口から打ち上げた花火を初めとし、次々と新しい花火が打ち上がっていく。

 

「心に咲けよ!!!光の華!!!!」

 

 

「氷もあるんだぜ」

 

「ちょっと数が多いのは勘弁な」

 

グレイとリートが同時に、空に、氷の花火を打ち上げる。

 

「じゃあ、あたしは星霊バージョン」

 

夜空には、火、氷、光の花火が、それぞれ打ち上がった。

 

「私だって本当は、お前たちとずっと一緒にいたいと思っている」

 

「だが…それがお前たちの足枷になるのなら……この旅立ちを私は祝福したい。」

 

 

「逆だよぉぉエルちゃぁん」

 

「私たちが一緒だと、エルザ姉様に辛いことばかり思い出させてしまうんです。だから、だから」

 

 

「どこにいようと、お前たちの事を忘れはしない。」

 

「そして、辛い思いでは、明日への糧となり私たちを強くする」

 

「誰もがそうだ、人間には、そうできる力がある」

 

「強く歩け、私も強く歩き続ける。」

 

「この日を忘れなければまた会える」

 

 

 

「元気でな」

 

 




終わらせました楽園の塔!!!

ついでにアンケートも終わらせます。

アンケート実施したまま放置してしまってたのは言わずもがなですな。
たくさんの投票ありがとうございました。


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オリキャラ設定
オリキャラ紹介


コメントでオリキャラの紹介を薦められたので、ここらで一度やっておきます。
つっても、メモアプリに書いてあることを、ほぼコピーして、少しだけ書き加えて、はいおしまいなので、すぐ終わりましたけど…


オリキャラ設定

 

 

 

リート・イクシーズ 氷の滅竜魔導士

 

好きな物 ミラ手作りフェアリーテイル特製かき氷

 

嫌いな物 乗り物全般

 

 

青髪のストレートヘアで、白いコートをいつも着ている。

 

 

 

主人公で、主にナツとコンビを組んでいる。

 

 

 

S級魔導士で、実力はエルザ以上ラクサス未満?

 

 

 

 

 

 

 

フランドーラ 氷の竜

 

 

 

リートに滅竜魔法を教え、その他にも、とある魔法をかけている。詳しいことはまだ明かすことができない。

 

 

 

 

 

 

 

ラリカ

 

好きな物 拷問器具、紅茶

 

嫌いな物 犬、辛い食べ物

 

 

茶色の猫 怒ると怖い、お嬢様口調で、お仕置きの発想力がエグい

 

 

 

昔、見た映画に影響されて、口調がお嬢様のようになった。

 

独学で覚えた為に、使い方が、たまにおかしいときがある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バンク・ガイアスタ

 

好きな物 強い人との戦い

 

嫌いな物 爬虫類

 

 

バンダナとグローブと靴を、自分の魔法に耐えれるように、頑丈に作ってある。

 

 

 

喧嘩好きの元ファントムロードNO2

 

 

 

一人で闇ギルドを潰せるだけの実力を持つ

 

 

 

 

 

 

 

エレナ・ヴァイオレット

 

好きな物 昔の仲間(エルザ等)、甘い物

 

嫌いな物 虫 

 

 

紫のロングヘアの女性

 

 

 

過去のエルザと共に、Rシステムを一緒に作らされていた。

 

 

 

昔からの仲間は主に、◯◯姉様 ◯◯兄様と、呼んでいる。

 

 

 

 

 

 

 

魔法一覧

 

 

 

リート→氷の滅竜魔法

 

 

 

主な技

 

 

 

氷竜の咆哮

 

 

 

《当たったら身体のいたる部分を凍らせて相手を吹き飛ばす》

 

 

 

氷竜の硬拳

 

 

 

《氷を腕に纏って殴りつける》

 

 

 

氷竜の剛拳

 

 

 

《氷の膜を何重にも張り腕を大きくし殴りつける》

 

 

 

氷竜の柱弾

 

 

 

《掌から氷の柱を作り出し相手に向かって放つ、5発まで連射可能》

 

 

 

氷竜の凍柱

 

 

 

《掌から氷の柱を作り出し勢いよく伸ばして相手にぶつける》

 

 

 

氷竜の弾落

 

 

 

《相手の真上に巨大な氷の塊を作りそのまま落とす》

 

 

 

氷竜の陣円

 

 

 

《相手の足元に円形の氷の張る込める魔力の量によって半径が広くなる》

 

 

 

氷竜の凍剣

 

 

 

《手刀の形をした手に刀のように氷を張る、相手を切断可能》

 

 

 

氷竜の健円

 

《ドーム形の氷で相手を囲む、一部分を開けることも可能》

 

 

 

氷竜の凍乱

 

 

 

《火竜の煌炎と同じ要領で右手と左手の冷気を合わせて相手を凍らせる。他の技より消費する魔力量は多い為連発不可》

 

 

 

氷竜の鉤爪

 

 

 

《足に氷を纏わせ蹴りを入れる》

 

 

 

氷河螺旋拳

 

 

 

《腕の周りに螺旋状の冷気を纏い殴り付けて相手を回転させながら吹き飛ばす殴られた箇所は凍りつく

 

壁にぶつければ壁も一緒に凍らせて張り付けにできる》

 

 

 

滅竜奥義1

 

 

 

氷刀飛燕斬

 

 

 

《両手をあわせて巨大な氷の刀を作って真空切り、当たった相手の体は切れるうえに切れた部分が凍りつく》

 

 

 

滅竜奥義2

 

 

 

氷陣闘戦場

 

 

 

《自分や相手の周りを吹雪のような状態にし、自分の技の威力を倍増させる。凍らせる物がない場合の対応策でも使えるが、その場合は、元々の技の威力をだすのに使う魔力量は数倍増し》

 

 

 

滅竜奥義応用版

 

 

 

氷刀斬

 

 

 

《氷刀飛燕斬ではなくそのまま切りつけるパターン》

 

 

 

 

 

 

 

バンク→拳闘士

 

 

 

爆拳

 

 

 

属性は火の為装備は赤色に変化

 

《殴ると爆発する》

 

 

 

炎拳

 

 

 

属性は火の為装備は赤色に変化

 

《拳を突き出し炎を放出する》

 

 

 

風拳

 

 

 

属性は風の為装備は緑色に変化

 

《相手を殴りつけると防御されていても吹き飛ばす事ができる》

 

 

 

風乱拳

 

 

 

属性は風の為装備は緑色に変化

 

《拳を突き出し無数の風の塊を勢いよく相手にぶつける遠距離技》

 

 

 

雷拳

 

 

 

属性は雷の為装備は黄色に変化

 

《殴った相手に電気がはしる》

 

 

 

雷(いかづち)

 

 

 

属性は電の為装備は黄色に変化

 

《相手の真上から落雷を落とす》

 

 

 

不知火(しらぬい)

 

 

 

属性は火の為装備は赤色に変化

 

《足元を爆発させ一直線に突進し相手の腹部に拳を入れる、攻撃力は一番高いがかわされやすい》

 

 

 

岩柱

 

 

 

属性は土の為装備は茶色に変化

 

《地面を殴り付けて相手の足元から柱を伸ばしぶつける》

 

 

 

変化する属性により効果が変わる

 

 

 

火 攻撃力アップ

 

 

 

風 殴るごとに相手の動きを遅くする(一時的)

 

 

 

雷 スピードアップ

 

 

 

土 防御力アップ

 

 

 

 

 

 

 

エレナ→空間の造形魔導士

 

 

 

 

 

空気網

 

 

 

《空気で網を造形して攻撃を跳ね返す》

 

 

 

空気罠

 

 

 

《空気で罠を張り、掛かった相手の動きを止める》

 

 

 

水壁

 

 

 

《水で壁を作り出し攻撃を防ぐ》

 

 

 

津波

 

 

 

《津波を起こし、相手を巻き込む》

 

 

 

石弓

 

 

 

《石で弓と矢を作り出し、相手を射抜く》

 

 

 

石砲 空気砲 ミックス砲

 

 

 

《石や、空気などで大砲を作り出し、相手に攻撃する。2種類以上で作るとミックス砲となる》

 

 

 

 

 

エレナの技は、今後出てきたら、他にも出す予定ですが、今はこれだけです。

 




今のところ説明できるのはこれくらいかと思います。

他に「ここの説明は?」とか何かありましたら、コメントで教えていただけると助かります。


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Battle Of FAIRY TAIL 編
新しいギルドと仲間


今回から書きたい部分だけ書いて、内容を変えていきますので、よろしくです!!


マグノリアの街

 

リート達は、旅行からギルドへと帰って来た。

 

「これは…」

 

「うわぁ」

 

「驚いたな…」

 

「おぉっ!!」

 

「こりゃあ、すげぇや」

 

「すげー!!!」

 

「素敵ですわ!!」

 

リート達が帰ってくると、そこには、新しく改装れたフェアリーテイルのギルドが建設されていた。

 

「完成したのか!!?新しいフェアリーテイル!!!」

 

 

「つーか…でかっ」

 

「おう」

 

5人と2匹は、ギルドの門に足を踏み入れる。

 

「よぅ、お帰りィ」

 

「ビックリしただろ?これが俺達の新しいギルドだぜ」

 

ギルドの仲間達が、リート達を迎え入れた。

 

ポカーン( ゚□゚)

 

ナツだけは、なぜか呆けた顔をしている。

 

「なんだよナツ、言葉も出ねぇか?」

 

 

「だっ…だってよう、前と全然違うじゃねーか」

 

 

「まぁ、改装っつってたし、違いはあるだろ。けど、ここまで変わるとは思ってなかったなぁ」

 

リートも、物珍しそうに辺りを見回していた。

 

「オープンカフェもあんのかよ」

 

 

「入り口にはグッズショップまで!!?」

 

 

「いらっしゃい、つーかオマエらか、おかえり~」

 

グッズショップで売り子をやっていたマックスが、リート達に話しかける。

 

「というか、マックスが売り子をやっているんですわね」

 

リート達は、売店に近より商品を次々と見ていく。

 

「フェアリーテイル特性Tシャツに、リストバンド、マグカップにタオル、オリジナル魔水晶も取り扱ってるよ」

 

「よくまぁ、これだけの商品を取り揃えたもんだ」

 

そして、マックスは後ろの棚から、とある商品を手に取り、リート達に見せた。

 

「中でも一番人気は、この魔導士フィギュア

一体3000J」

 

 

「いつの間にこんな商売を……」

 

「いろんな方のフィギュアがありますのね…ナツ、グレイ、マスター、リート、エルザ、リート、ルーシィ、エルザ、リート…」

 

「ちょっと待て…なんで俺やエルザが複数体いるんだよ」

 

「リートやエルザは人気が高いからな、何種類か作ってあるんだよ」

 

よく見ると、リートのフィギュアは、座ってかき氷を食べる姿、ラリカを肩に乗せている姿、腕に氷を纏っている姿など、様々な種類があった。

 

「そもそも、俺のフィギュアなんて一体誰がそんなに買うんだよ?」

 

「リートのフィギュアは、主に特定の一人が大量に買っていってくれるからな」

 

「誰だよそれ?」

 

「……ミラちゃん…」

 

「え?」

 

リートは少しだけ、驚いた顔をする。

 

 

「あんたら帰ってたのかい?早く中に入りなよ」

 

ショップの向こうで、カナがリート達を見つけて、ギルドの中へと促す。

 

そして、リート達は、ギルドの中へと入って行った。

 

「おぉ!!!」

 

中は、前回のギルドよりも広く、綺麗に改装されていた。

 

「わぁーキレぇー」

 

「うん…素晴らしいじゃないか」

 

「私、気に入りましたわ」

 

皆が喜んでいる中、ナツだけは、あまり良い表情をしていなかった。

 

「どーしたよナツ」

 

「前と違う」

 

「いいじゃありませんの、東洋のことわざには、住めば都ってことわざもあるらしいですし、時期に慣れますわよ」

 

「そうそう、住めば都、慣れれば故郷だ。その内気にならなくなるって」

 

ムスッとし続けるナツに、リートとラリカが説得をしていた。

 

 

「ハ~イ、フェアリーテイルへようこそ~」

 

ギルドの中で、ウエイトレスが、リート達を迎え入れる。

 

「ウエイトレスの服が変わってる」

 

「かわいくていいじゃないか」

 

「マスターの趣味かしら…」

 

「多分…」

 

「ほぼ間違いありませんわね…」

 

「違ってる」

 

 

「新しいギルドはそれだけじゃないよ」

 

カナは、更にギルドの奥へと案内をする。

 

「なんと、酒場の奥にはプールが!!!」

 

「地下には遊技場!!」

 

「そして一番変わったのは2階!!誰でも2階へ上がっていいことになったのよ!」

 

「もちろん、S級クエストに行くにはS級魔導士の同行が条件だけどね」

 

 

「へぇー、ずいぶんと変わったもんだなぁ」

 

 

「帰って来たかバカタレ共」

 

ナツ達の後ろから、マカロフが、二人の新メンバーを連れてやって来た。

 

「お」

 

 

「新メンバーのジュビアと、バンクじゃ」

 

「よろしくお願いします」

 

「よろしく!!にしし」

 

 

「ははっ!!本当に入っちまうとはな!!!」

 

「ジュビア、バンク…アカネでは世話になったな」

 

「こっちこそ、よろしく頼む」

 

リート達は、二人を快く迎え入れた。

 

「およ?知り合いか!?」

 

 

「皆さんのお陰です!!ジュビアはがんばります!!」

 

 

「ここは良いとこだな!!気に入ったぜフェアリーテイル」

 

 

「よろしくね」

 

 

マカロフは、エルザとリートに耳打ちをする。

 

「ならば知っとると思うが、こやつらは元々ファントムの」

 

「ええ…心配には及びません。今は仲間です。」

 

「俺たちもそれぐらいは弁えますよ。」

 

「ほーかほーか、ま…仲良く頼むわい」

 

「それなら、あと一人のメンバーも紹介しとこうかの」

 

マカロフは少し離れた所の椅子に顔を向ける。

 

「ホレ!!挨拶せんか」

 

ガジガジガジ

 

「他にもいるの!?」

 

マカロフが声をかけた相手は、椅子から立ち上がり、リート達の方へやってくる。

 

「え!?」

 

「オ…オイ!!嘘だろ!!?」

 

 

 

 

 

「「「「ガジル!!!?」」」」

 

 

 

 

リートを除いた全員が、ガジルの登場に驚く。

 

「なんでコイツが!!!」

 

「マスター!!こりゃあ一体どういう事だよ!!!」

 

「ジュビアとバンクはともかく、コイツはギルドを破壊した張本人だ」

 

 

「そうか、あいつがガジルか…初めて会ったなぁ」

 

「何を呑気なこと言ってますのリート!!状況を理解してますの!!?」

 

リートは、冷静にガジルを見ていた。

 

「落ち着けよ、何もここで一戦交える訳でもねぇだろうし、マスターはもう一人のメンバーって言ったんだ。マスターが認めたからには、俺は何も言うつもりはねぇよ」

 

 

「それは、そうかもしれんが…」

 

エルザは、リートの言葉を聞いて、発言を濁す。

 

「まぁまぁ、あん時はこやつもジョゼの命令で仕方なくやった事じゃ。昨日の敵は今日の友ってゆーじゃろーが」

 

「冗談じゃねぇ!!!こんな奴と仕事できるかぁ」

 

ナツは、ガジルに喧嘩を売る。

 

「安心しろ、馴れ合うつもりはねぇ」

 

カチーン

 

「オレは仕事がほしいだけだ。別にどのギルドでもよかった…まさか一番ムカツクギルドで働く事になるとはうんざりだぜ」

 

「んだとぉ!!?」

 

 

「道を間違えた若者を正しき道に導くのも、また老兵の役目…彼も根は良い奴なんじゃよ…と信じたい」

 

「願望かよ…」

 

 

「マスターの判断なら従いますが、しばらくは奴を監視していた方がいいと思いますよ。」

 

「はい」

 

「まぁそれで皆が納得するならいいんじゃねぇか?」

 

 

「なんか居心地悪ィなぁ…新しいギルドは~」

 

「いーから座りなさいって、そろそろメインイベントよ」

 

カナがナツ達を椅子に座らせると、ギルド全体の明かりが落ちた。

 

「なんだ?」

 

「見て、あんなところにステージが」

 

ステージのカーテンが開くと、そこにはミラが、ギターを持って演奏の準備をしていた。

 

「ミラ!!?」

 

 

「待ってたぞー!!ミラー!!」

 

「ミラちゃーん!!!」

 

 

「相変わらずすごい人気ですわね」

 

演奏の準備ができたミラは、歌い始める。

 

「♪あなたの居ない机をなでて…影をおとす今日も一人…星空見上げ~祈りをかけて~あなたは同じ今 空の下~♪涙こらえ震える時も 闇にくじけそうな時でも~♪忘れないで~帰る場所が~帰る場所が~あるから~♪待ってる人~が~いるから~♪」

 

 

「いい歌ぁ」

 

「仕事に出る魔導士への歌よ」

 

 

「リート…ミラったら歌ってる途中、ずっとあなたの方を見てましたわよ…」

 

「またどこかに一緒に出掛けるか……」

 

ミラが歌い終わると、会場は大盛り上がりだった。

 

「ミラちゃーーーん!!!」

 

「最高ーー!!!」

 

 

 

「フン」

 

ガジルはふて腐れた顔で、隣に座っていたナツの足を踏んづけた。

 

「いてぇ!!!」

 

「ギヒッ」

 

「何すんだテメェ!!!わざと足踏んだろぉ!!!」

 

「あん?」

 

ナツとガジルが、喧嘩を始めた。

 

「止めなくてよろしいんですの?」

 

「ほっとけよ、どーせいつもの事だろ?」

 

リート達は、ナツ達の喧嘩を、止めようともしない。

 

そこに、一人のウエイトレスが、かき氷を持ってきた。

 

「はい、フェアリーテイル特性かき氷。お待たせ」

 

「きたきた♪」

 

「ホントにリートは、それが好きですわよねぇ」

 

「おうっ、これ食わねぇと帰って来たって感じがしねぇからな!!ほんとはミラに作って貰ったやつを食いたかったけど、歌ってるなら仕方ねぇし」

 

そう言ってリートがかき氷を食べようとすると…

 

「うるせぇ!!ミラちゃんの歌の最中だろうがよ!!!」

 

ジョッキが3つ程投げ飛ばされてきて、ナツとガジルと、リートにぶつかる。

 

「おごっ」

 

「うごっ」

 

「ギッ」

 

ぐしゃ

 

「あっ…」

 

リートが、ジョッキにぶつかった反動で手に持っていたかき氷に顔を埋めた。

 

プルプル

 

「これは…マズイですわね…」

 

ラリカは危険を感じ、その場から飛び立つ。

 

「物投げたの誰だコラァ!!!!」

 

ナツは怒り任せに、テーブルをひっくり返し、テーブルが正面にいたリートの顔にぶつかる。

 

「ぐぼっ」

 

 

「ひぃぃぃ!!!」

 

リートと同じ椅子に座っていたルーシィとジュビアも巻き込まれるが、ジュビアは水で全く効かず、ルーシィはそそくさと離れていった。

 

「あっ…」

 

「ナツゥ……テメェ…覚悟できてんだろうなぁ…」

 

「ちょっ…ちょっと待てよリート…オレだけのせいじゃねぇって…」

 

「やかましい!!!男のクセに見苦しい言い訳してんじゃねぇぞコラァ!!!!」

 

「なんだ!!?喧嘩か!!?オレも混ぜろよ!!!」

 

遠くで座っていたバンクも、リート達の元にやってくる。

 

「テメェは関係ねぇだろ!!!」

 

ゴン!!

 

「おごぉ!!」

 

リートに殴られ、バンクは吹き飛ぶが、すぐさま起き上がる。

 

「へへっ…やっぱ喧嘩はこうじゃねぇとなぁ!!オラァ!!!」

 

「だからって、なんで俺の所に向かってくるんだよ!!!」

 

「楽しいからに決まってるじゃねぇか!!!」

 

 

「テメェら暴れるんじゃねぇよ!!!」

 

グレイも席から立ち上がると、隣にいたエルザに肩がぶつかり、エルザは、食べていたはずのショートケーキを、床に落としてしまった。

 

「私の…いちごケーキ……」

 

ナツ達が騒ぎ始めた事により、ギルド全体が大乱闘状態へと変わっていく。

 

「てめぇら!!!漢なら姉ちゃんの歌聞きやがれっ!!!」

 

「やかましい!!!!」

 

エルザも、エルフマンを蹴り飛ばし、喧嘩に参加する。

 

「バラードなんか歌ってる場合じゃないわね」

 

「ロックでいくわよぉ!!!」

 

ミラもノリノリで、ロックを引き始めた。

 

「これじゃあ、いつもとぜんぜん変わらないじゃない」

 

「でも…こーゆー方がフェアリーテイルだよね」

 

 

しかし、マカロフだけは肩を震わせていた。

 

「な…なぜあと一日我慢できんのじゃ…クソガキ共…」

 

「明日は取材で、記者が来る日なのにぃぃぃ!!!」

 

 

「取材!!?」

 

「やめんかバカタレども!!!片付けぇーい!!!」

 

「巨大化するなよマスター!!!」

 

 

「ショップやウエイトレスやステージはその為でしたのね…」




とりあえずは、あとは、取材を書いて、その後内容変更かな?そこまでは原作通りに進みますよぉ


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取材

今回は週ソラの取材の話しです。

俺も有名人になってみてぇなコノヤロウ…


ある日、リートは朝早くからラリカに起こされていた。

 

「ほら、リート!!急ぎませんと!!」

 

「ふぁ~っ…慌てたってギルドは逃げたりしねぇよ」

 

「ギルドは逃げなくても記者が逃げてしまいますわ!!!」

 

そう、この日は週刊ソーサラー、通称 週ソラがフェアリーテイルに取材の為に訪れる日であった。

 

週刊誌に載れるかもと、朝からラリカは、オーダーメイドのドレスを着て、命一杯めかし込んでいたのだ。

 

しかし、リートはというと

 

(正直、どーでもいい…取材っつったって、どうせまた悪評が広まるとしか思えねぇし、オレ一人じゃ絶対抑えきれねぇだろうし…今日ばかりは休んじゃダメかな?)

 

あまりノリ気ではなかった。

 

(そもそも、週ソラに載った建物の崩壊情報…ナツが壊した建物までオレも同罪にされてんだから、良い印象なんてあるわけねぇのによ……)

 

リートは朝の支度をしながら、ぶつぶつと文句を言っていた。

 

「何をぶつぶつ言ってますの?支度ができたなら早く行きますわよ!!」

 

「へいへい」

 

そしてリートとラリカは家を出て、ギルドに向かって行った。

 

 

………

 

 

わいわい

ガヤガヤ

 

リート達がギルドに着くと、いつも通りに皆が騒ぎあっていた。

 

「うーん…」

 

「お?リートじゃねぇか、どうしたんだ?難しい顔してよ?」

 

「何か悩み事ですか?」

 

グレイとジュビアが、少し離れたところからリートに話しかける。

 

「いや、悩みとかじゃなくて、取材が来るってのに、ここは相変わらずだなって思ってよ」

 

「あん?そりゃそうだろ、いつもと違ったらそれこそ気持ち悪いぜ」

 

そんな話しをしていると、正面出入り口から、聞きなれない声が聞こえてきた。

 

「ohーー!!!ティターーニア!!!」

 

それは、週ソラの記者であるジェイソンが、興奮しながらエルザに取材を行っていた。

 

リートは、その光景を見ながらため息を吐く。

 

「なぁ…グレイ…ジュビア……」

 

「ん?」

 

「どうかしましたか?」

 

 

「オレ…帰っていいかな?」

 

「いきなりどうしたんだよ!!?」

 

 

リートは、ため息をつきながらも、別の席に移動した。

 

「…とりあえず、特性かき氷一つ」

 

「はーい」

 

リートは、暗い顔でかき氷を注文し、大人しくしていることにした。

 

「あいつ、どうしたんだろうな?」

 

「なにか取材に嫌な思い出でもあったんでしょうか?」

 

そうこうしてる間にも、ジェイソンは取材を続けており、常にギルドではcoolcoolと騒いでいた。

 

そして、かき氷を待っているリートの元に、バンクが近寄ってきた。

 

「よっ!!氷竜!!」

 

「んだよバンクか…なにか用か?」

 

「んーにゃ、別に用はねぇけどよ、何か今日のオメェ暗ぇなって思ってな、声かけちゃマズかったか?」

 

「いや、別に構わねぇ、ちょうど良いや、ちょっとつきあえ」

 

リートとバンクが話していると、ジェイソンがリート達を見つけて走ってきた。

 

「セルシゥーーーース!!!オレが一番会いたかったまどぅびどぅひばぁ!!!」

 

 

「ゲッ…」

 

 

「しかーーも!!!隣にいるのは元ファントムロードのナンバートゥゥゥゥ!!!バーーーンク!!!ヤッベ、これはマジでしびれる!!cooooool!!!!」

 

「お?俺か?」

 

 

「あ…握手してください!!!」

 

ジェイソンは、二人に握手を求める。

 

 

「おう!!にしし」

 

「……あぁ」

 

バンクもリートも、握手に答えた。

 

 

「cooooool!!最高だぜ!!!リートとバーンク!!!」

 

「いくつか質問いいですか?!!!」

 

 

「お?いいぜ」

 

「スマン、俺はパスだ」

 

 

リートは、取材を断ろうとするが

 

「んだよぉ、せっかくなんだからやろうぜぇ、氷竜♪」

 

「お…おい…」

 

バンクが、無理やりリートを巻き込んだ。

 

「リート!!君はあのミラジェーンと付き合ってるって噂だが本当かい!!?」

 

(やっぱりきたか…その質問…)

 

「まぁ…イエスだ」

 

「cool!!これは特大のスキャンダルだぜ!!cooooool!!」

 

 

(あんまり、人に言いふらしたりするのも好きじゃねぇんだけど…)

 

 

「バンク!!どうして君はそんなに戦うのが好きなんだい?」

 

「お?ちょっと違うぞ?俺が好きなのは強ぇ奴と戦うことだ。誰でも良い訳じゃねぇ、あと、どうしてかって質問に答えるとしたら、楽しいからだな♪」

 

「cooool!!最高の答えだぜバーンク!!!」

 

そして、リート達が質問に答えていると…

 

「だぁーーらぁーーー!!!」

 

ナツが暴れながら登場した。

 

「記者ってのはどいつだぁーーー!!!!」

 

 

「ゲッ…(更に面倒なことになる予感)」

 

 

「ナツ!!!!火竜のナツ!!!!氷竜と同じくらい会いたかったまひどぅばクォール!!!!」

 

「ナツ!!あまり余計なことはするなよ!!?」

 

リートは、ナツが何かをやらかす前に一声かけるが

 

「やいやい!!!いっつもオレの事悪く書きやがって!!!!」

 

「YES!!!」

 

「オレが何か壊したとか、壊したとか、壊したとか!!!!」

 

「cool!!cool!!cool!!」

 

(完全に聞いてねぇ……)

 

しかし、ナツが怒っているのもお構い無しで、ジェイソンは興奮していた。

 

「ヤッベ、超カッケェ!!!!」

 

「あ…握手してください!!!!」

 

ジェイソンは握手を求め、ナツに手を差し出すと

 

「うっせぇ!!!!」

 

バコォン!!

 

「殴るな!!!!」

 

ナツは、ジェイソンを殴り飛ばし、その光景を見ていたリートも、思わずツッコむ。

 

「ヤッベ!!!カッコよすぎ さすがヒーロー!!!」

 

「『こんなcoolな握手は初めて』と」

 

 

「プロですわね…」

 

ルーシィが取材をしてもらおうと、必死になっていた。

 

「あの…記者さん?アタシに質問とか…」

 

 

「エルフマンだ!!!!cool!!!」

 

しかしジェイソンは、ルーシィよりもエルフマンの方へ向かって行った。

 

「あぁん……」

 

「ルーシィ…」

 

「ラリカぁ…」

 

 

「ファイトですわ!!」

 

「慰めになってなーい!!」

 

(あいつ、なんでそんなに取材してもらいてぇんだ?)

 

その後もジェイソンの取材は続いていくが、やはりルーシィは、全くかまってもらえない。

 

(無惨だな…)

 

そして、ルーシィは、ステージの裏に入って行った。

 

「ルーシィったら、必死ですわね」

 

しばらくしてルーシィが、バニーガールの姿でステージに現れる。

 

「みんな~注目~あたし歌いまーす!!!!」

 

 

「そこまでするか…」

 

すると、部屋がいきなり暗くなり、ルーシィの後ろのカーテンが開く。

 

「何!?何!?」

 

 

「ミラちゃんだぁ!!!」

 

「ミラちゃーん!!!」

 

 

 

「ルーシィのやつ、一瞬でミラに注目全部持っていかれたな♪」

 

「まぁ、グラビアやってるくらいだしな」

 

カーテンが開くとそこにいたのは、ミラではなく白いスーツで決めたガジルがギターを持って座っていた。

 

「ガジルーー!!!」

 

「えぇーーっ!!!」

 

ミラに何かあったと感じたリートは、即座にその場から動き出していた。

 

「あれ、ガジルだよな?氷竜?…っていねぇ!?」

 

バンクが、リートの方を見たときには、リートは既にステージ裏へミラを探しに行っていた。

 

 

 

 

「ミラ!!!!」

 

リートがミラを探し出したときにはミラは、ガジルの鉄で壁に抑えつけられていた。

 

「んー!!んむー!!」

 

 

リートは、ミラを抑えつけている鉄を凍らせて、粉々にする。

 

「無事か!?ミラ!!!」

 

「う…うん、ありがとうリート」

 

リートは、ミラの顔や体に傷がないか、顔や肩を触りながら調べる。

 

「はぁ~…よかったぁ~」

 

「もぅ、心配しすぎよ、私は大丈夫だから」

 

ミラが大丈夫と言っているが、リートは当然、ガジルがしたことを許せるわけもなく…

 

「ちょっと待ってろよ、ミラ」

 

「あんまり酷いことしちゃダメよ?リート、同じギルドの仲間なんだから」

 

「分かってるよ」

 

リートはミラの頭を撫でると、ステージに向かっていく。

 

 

「シャバドゥビ♪シャバドゥバァ~♪」

 

ゴン!!

 

ガジルが気持ちよく歌っていると、裏から出てきたリートに、おもいっきり殴られる。

 

「何しやがる!!」

 

「何しやがる?それは、こっちの台詞だボケ…テメェ、誰の女に手ぇ出したと思ってやがんだコラ」

 

「あぁん?」

 

「覚悟できてんだろうなコノヤロウ!!!!」

 

その後、リートが暴走し、ガジルがボロボロにされたのは言うまでもなく、ジェイソンがcoolcoolと言いながら写真を撮り、週ソラに載せられ、フェアリーテイルの悪評が広まったのは、それはまた別の話し。

 

 

「結局、悪評の原因を作ったのはリートでしたわね…」




では、リート君、今回の悪評の原因を作った弁明をどうぞ


リ「…ごめん……」

はい、ストレートに謝るだけで弁明できないリート君でした。


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師匠(オリキャラ登場)

今回からしばらくは、原作から少しだけ離れます。

まぁ最終的には原作ルートに戻すつもりです。

なのでしばらくは、オリジナルルートを、お楽しみください。


『FAIRY TAILギルド』

 

「うーん…あたし一人で行けそうな仕事あるかなぁ?」

 

ルーシィは、掲示板の前で悩んでいた。

 

「一人?ナツやグレイ達と一緒に行かねーのか?」

 

隣で依頼書を見ていたナヴが、ルーシィに話しかける。

 

「それがね~…」

 

グレイは、ジュビアの面倒を見ることになり、エルザは鎧の不具合に不満があり、クレームを入れに行っていた。

 

「ナツがいるだろ?」

 

「はぁー…見てあれ」

 

ルーシィがナツに指差すと、ナツは呆けた顔して、完全にやる気をなくしてしまっていた。

 

「ナツ!!ホラ…火だよ。食べて」

 

「食欲ねぇ…」

 

 

「どーしちまったんだナツ!!」

 

「今ごろになって、エーテリオンを食べちゃった副作用でも出てるのかしら?」

 

「ありゃあ当分仕事は無理そうだな…」

 

「じゃあ、リートは?アイツなら」

 

「ナヴ忘れたの?リートとバンクなら……」

 

 

………

 

 

数日前のギルド、リートは、掲示板の前で仕事を探していた。

 

「そろそろ、また仕事してかねぇとなぁ…」

 

「今回もナツ達を連れていきますの?」

 

「なるべくそうするつもりだけど…アイツ等に負担かけそうな仕事しか、今のところ無さそうなんだよなぁ」

 

リートとラリカが話していると、突然ギルドの出入り口用のドアが開かれる。

 

バタン

 

「邪魔するよ」

 

そこには黒く長い髪をした、半袖シャツ一枚の女性が、立っていた。

 

そして、女性にミラが話しかける。

 

「あの、ウチに何かご用ですか?依頼ならまずは評議院を通して、依頼書を発行してもらわないと…」

 

 

「あぁ、すまないね、別に依頼者って訳じゃないんだ。ちょっと人を探しててね」

 

 

「人を?」

 

 

すると女性は、目の色を変えて一人の人物を睨み付ける。

 

睨み付けられたことに気付かずに、その場から逃げようとする影が一つ…

 

ヒュッ

 

「!?」

 

ミラの目の前から女性が消え、次に現れたのは、逃げようとしていた男の真後ろだった。

 

ガシッ

 

「ぅぇっ!!?」

 

 

 

 

「今まで、どこほっつき歩いてやがった!!!このバカ弟子がぁぁぁ!!!!!」

 

 

 

 

ズガァァン!!!

 

「ごばぁっ!!」

 

 

「えぇーーーー!?」

 

女性は、逃げようとしていた男、バンクの頭を掴み、床に全力で叩きつける。

 

ピクピク…

 

 

 

「フン!!」

 

 

「なんの騒ぎじゃ」

 

大きな音と聞きなれない声が聞こえたからか、すぐさまマカロフがやって来た。

 

「お?マカロフ?アンタ、マカロフか!!」

 

「お主…まさか、アクナか?」

 

 

「そうだよ!!久しぶりだなぁ!!!2年ぶり…くらいかい?」

 

 

「まぁ、それぐらいかのぉ」

 

バンクを床に叩きつけた女、アクナとマカロフは、親しげに話し合っていた。

 

「知り合いですか?マスター」

 

エルザは、マカロフにアクナの事を聞こうと、話しかける。

 

「ん?そうか、ガキ共が知らんのは当然か…」

 

するとマカロフはアクナを見て、エルザ達に紹介する。

 

「こやつはアクナ・グレンシャー、《聖十大魔導士にならない女性》と言われておる。」

 

「なれない、ではなく、ならないですか?」

 

「うむ、こやつは昔から、聖十の称号授与を断り続けておるからのぉ、実力だけなら下手をしたらワシ以上にあるかもしれん。」

 

それを聞いたギルドメンバー全員が、驚愕した。

 

「えぇーーーっ!!!」

 

「じいさんより強ぇって、マジかよ!!?」

 

「うそぉー!!」

 

 

「アタシは聖十とかいう下らねぇ肩書きに興味が無いだけだ、実力はマカロフが大袈裟に言ってるだけだな」

 

 

「しかし、アクナよ…お主一体、何しにここへ来たんじゃ?」

 

 

「あ?あー、ちょっとウチのバカ弟子を引き取りにね」

 

 

「バカ弟子?」

 

アクナは、先ほど床に叩きつけられ、顔を床に埋め込まれてるバンクに指を指した。

 

「んーー!!んむーーー!!んんんーーーー!!!!」

 

 

「アイツ…よく生きてんなぁ…」

 

 

バンクが必死で顔を抜こうとしていると、アクナがバンクの腰を片手で掴み、勢いよく引き抜く。

 

ズボッ

 

「ぶわっ」

 

 

「よう、バンク…アンタ、アタシに何か言うことあるんじゃないかい?」

 

「……お久しぶりです師匠…」

 

 

「リート!!あのバンクが敬語を使ってますわ!!私びっくり!!」

 

「わかるけど、今言うところはそこじゃねぇだろ…」

 

 

「違うよなぁ、バンクよぉ…アタシが聞きたいのはそんな言葉じゃねぇんだよ、わかるだろ?なぁ」

 

アクナは、バンクをぐるぐると振り回し始めた。

 

「修行中に逃げてすいませんっしたぁ ししょおぉーーーーー!!!!」

 

「わかってんなら最初からそう言えや!!!こんのボケェ!!!!」

 

ズガァァン!!!

 

壁に投げつけられたバンクは、瓦礫に埋もれた。

 

「怖っ!!!」

 

アクナとバンクのやり取りに、ギルドメンバーの全員が引いていた。

 

「ぐっ…ってか、なんで師匠はここがわかったんですか?…」

 

瓦礫から這い出てきたバンクが、アクナに聞くと、アクナは当然、とでも言いたげに返答した。

 

「アホか、アタシが動けばお前なんかすぐに見つけられんだよ」

 

「それよりも、村に捨てられて路頭に迷ってたお前が弟子にしてくれって言ってたから、了承してやったのに、逃げ出すとは…恩を仇で返しやがってコノヤロウ」

 

ガシッギリギリギリ

 

アクナがバンクの顔を握り、アイアンクローでバンクにダメージを与える。

 

「師匠…痛ぇっす…」

 

 

「つー訳だ、悪いけどマカロフ、コイツしばらく借りてくよ」

 

「まぁ、お主の事なら大丈夫じゃと思うが、この日にはバンクも居てもらわんとこまるから、帰るようにしてくれぃ」

 

マカロフは懐に入れていた一枚のチラシを、アクナに渡した。

 

アクナはそれを受けとると、ニヤリと笑う。

 

「あぁ、わかった、任せときな」

 

アクナが帰ろうとする前に、リートの方を見て近寄ってくる。

 

「?」

 

「アンタ…面白ぇな…」

 

「は?」

 

「決めた、アンタも付いてきな」

 

「はぁぁぁぁ!!!?」

 

「え!?マジで!?氷竜もくんの!?師匠!!!それなら俺は喜んでついていきます!!!」

 

「黙ってろボケ」

 

ゴスッ

 

「おごっ」

 

アクナに腹を殴られて気絶したバンクは、アクナに担がれる。

 

「マカロフ!!こいつも借りてくけどいいよな?」

 

 

「構わん、好きにせぇい!!!」

 

「俺の了承は!?」

 

「そんな事知らねぇ、いいから付いてきな、さもないと」

 

アクナは空いた片腕で、パキパキと音を鳴らし、リートを脅す。

 

「ぐっ…わかったよ……」

 

リートは渋々立ち上がり、アクナについていこうとする。

 

「リート…」

 

ミラは心配そうに、リートを見つめている。

 

「大丈夫だよ、ミラ…ギルドを頼むわ」

 

「うん、頑張ってねリート」

 

 

「私はついていきますわよリート!!!」

 

「オレに言うなよ…」

 

「構わねぇぞ、ネコ一匹くらい好きにしな」

 

ラリカも、リートについていくことになった。

 

「ちょーーっとまてよ!!!」

 

三人が出ていこうとするとナツが割り込んで入ってきた。

 

「帰る前にオレと戦え!!」

 

「なんでそうなる…」

 

アクナは、じっとナツを観察すると、

 

「嫌だ、雑魚」

 

そう言って去っていこうとする。

 

(うぅーわっ、辛辣…)

 

「んだとコラァァァ!!!」

 

キレたナツがアクナに殴りかかる。

 

ゴン!!

 

しかし、アクナに片手で殴り落とされる。

 

「…一撃……」

 

「オイ、行くぞ」

 

「あい…」

 

アクナは、そのまま出ていった。

 

「ナツゥ大丈夫~?」

 

「……あい…」




はい、今回は新キャラ登場しました。

ほんとはこの設定はもっと後に出す予定だったんですが、急遽こういう形に…まぁさほど影響も無いので問題なしです!!!

アクナの魔法は…出せたら出します。


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アクナVSリート

今回はオリキャラ同士の対決です。

まぁあくまで修行に入る前の組手なのでそこまで長くはないですが、アクナの実力を書いておきたいのでやっておきますw


「うわっ…」

 

「意外とちゃんとした家に住んでますのね、あの方…」

 

リート達がアクナにつれてこられた場所、それは、森の中にたたずむ、立派なログハウスだった。

 

「オイ、何してんだ!!さっさと入りな」

 

 

「は、はい!!」

 

リートとラリカは、慌ててログハウスの中へと、入って行った。

 

「すげぇな…これなら4~5人は余裕で暮らせるぞ…」

 

「ギルドに入って稼いでるわけでもなさそうですのに、こんな家を造るお金なんて何処に…」

 

「お前ら何言ってんだ?この家は材料からなにまで、全て手作りだぞ?」

 

バンクが当然とでも言いたげに、リート達にさらりと言った。

 

「は?この家を、二人で?」

 

「いや、実質ほぼ一人で…」

 

バンクの顔は、アクナの方を見ていた。

 

「恐ろしい方ですわね」

 

 

「お前ら、さっさと準備して表に出な!!いつまでも寛いでんじゃねぇ!!」

 

「はい!!師匠!!」

 

 

「バンクのやつ…あの人の前だと人格変わるんだな」

 

 

「ネコ!!お前は、修行はしねぇが一緒に来てもらうよ!!」

 

「は、はいですわ!!」

 

準備ができた3人と一匹は、アクナを先頭にログハウスから出ていった。

 

 

 

………

 

 

「さてと、出て来て早速、修行に入るわけだが…アンタ」

 

アクナが、リートに指を指す。

 

「アンタ、名前は?」

 

 

「あ、リートです。」

 

 

「そうか、リート、まずはアンタの実力が見たい。魔法ありでいいから、アタシと軽く組手しな」

 

「わ…わかりました」

 

そういうとリートは、アクナから距離をとり、構えた。

 

「いつでもいいよ、来な」

 

「じゃあ、遠慮なく!!」

 

リートは勢いよく飛び出し、拳に氷を纏い、アクナに向かって突き出す。

 

「氷竜の硬拳!!」

 

アクナは、リートの拳に手を添えると、そのまま自分の腕を突き出し、リートの腕を伝って攻撃を受け流す。

 

「!?」

 

リートは、勢いを止めることが出来ず、アクナが出した手がそのまま掌底となり、リートの顎にヒットした。

 

「がっ…」

 

 

(この程度…か…)

 

アクナが呆れて肩を落とす。

 

しかし、リートもこのままで終わるわけにはいかず、飛びかけた意識を無理やり引き戻し、倒れることなくアクナに攻撃を仕掛ける。

 

(お?)

 

リートは、倒れかけた体制から、片腕を地面につけ、腰をひねり、そのままアクナに向かって、氷を纏った足で回し蹴りを仕掛ける。

 

しかし、アクナはリートの足に手を乗せるとそのまま飛び上がり、空中から、リートの顔に蹴りを入れる。

 

「ぐあっ!!」

 

 

「悪くはないけど…まだ甘い」

 

 

「くそっ!!これならどうだ!!!」

 

リートは吹き飛ばされたまま、全力のブレスをアクナに向かって放つ。

 

アクナは直立したまま、足を半歩前に出し、体を半身にし、ブレスを最小限の動きで避けた。

 

 

シュウゥゥゥ

 

「マジかよ…」

 

「終わりかい?なら、こっちから行くよ!!!」

 

アクナは、一瞬でリートの目の前に現れ、拳を突き出す。

 

「!?」

 

ギリギリで、リートは体を横にし、アクナの拳をかわす。

 

ズォォォ!!!

 

「嘘だろ…拳圧だけで…」

 

リートの後ろには、地面が抉れた跡が果てしなく続いていた。

 

「殺す気かよ…」

 

「アタシの攻撃に耐えられないなら、それまでの男だったと思って、人生を諦めな」

 

 

「ふざけんな!!!」

 

リートは全力で、アクナの攻撃をかわし続ける。

 

しかし、アクナの攻撃は、どれも桁違いの威力であり、拳を突き出せば地面が抉れ、回し蹴りをすれば木々が薙ぎ倒され、挙げ句の果てには、未だに魔法を使ってないと言う。

 

「はぁ、はぁ…勝てるか!!!」

 

 

「だらしねぇ、まぁいい、次はバンクだ。さっさと交代しな」

 

「お、おう」

 

リートはバンクと交代しようと、ラリカとバンクが見学していた岩を見ると…

 

「いねぇし!!!」

 

「バンクなら、今さっき全力で逃げていきましたわよ?」

 

「いや、止めろよ」

 

「魔法を使ってまで、しかも、あんなに必死な形相されればひき止められませんわ」

 

「よっぽど怖ぇんだな、アクナさんの事…」

 

 

「まぁ心配いらねぇ、すぐに見つかるから問題ねぇだろ」

 

アクナはそういうと、静かに耳をすませる。

 

「……見つけた」

 

「は?」

 

そう言うと、アクナは一瞬で姿を消し、200m程離れたところで爆発でも起きたかのような音が聞こえてきた。

 

「テメェ!!!アタシから逃げられると思ってんのかコラァァァ!!!!!」

 

 

ドカーーン!!!!

 

「アンギャァァァ!!!!!」

 

 

 

「アイツ…死んだな…」

 

「学習能力0ですわね…」




バンク君……修行中はズタボロ確定です。
リート君はやられないように頑張りましょう。
ってか頑張らせます。


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修行開始

今回は、主な修行内容と、アクナの魔法の紹介をします。結構簡潔にまとめたつもりですけど、わかるかな?…


「さて!!これから本格的に修行に入る!!収穫祭には間に合わせるからそのつもりで励めよ」

 

アクナは、リートとバンクの前に立ち、指揮をとりはじめる。

 

「あー、ギルドでマスターに貰ったチラシ…アレ、収穫祭のチラシだったのか」

 

「そういえばもう少しでしたわね」

 

 

「そうだ、収穫祭までは今日を含めても5日しかねぇ、だから急がないといけねぇ」

 

「つー訳で、バンク、テメェが逃げてそれを追いかける時間すら惜しいんだ。だから面倒事を起こすな、いいな」

 

「……はい師匠…」

 

 

(コイツ…また逃げる気だったな)

 

(分かりやすいですわ)

 

アクナは、先程逃げてボコボコにしたバンクに、一睨みすると、話しを修行の話題に戻す。

 

「さて、今回の修行で、お前達には3つの段階に分けた修行を行ってもらう」

 

 

「3つの段階?」

 

「時間がないのでしたら、まとめて行った方が早いのではなくて?」

 

 

「それだと、逆に効率が悪くなる。覚えられる事も時間が足りなくて覚えられなくなっちまう」

 

「出来る事を一つづつ確実にこなす、それすら出来ねぇやつが誰かに戦いを挑もうなんて、100年早いよ」

 

そう言うとアクナは人差し指をたてて、内容を説明する。

 

「まず第一段階は、攻撃を受け流す修行だ」

 

「受け流す…ですか…」

 

「そうだ、かわす事ができれば十分と言うやつもいるが、動きに無駄がある分、体力の消耗が激しくなっちまう、消耗戦なんかになっちまったら、その時点でほぼ負けが決まると思いな」

 

「だからこそ、相手の攻撃を受け流し、体力の消耗を抑える修行が必要だ。今のお前達は特にな」

 

「相手の攻撃をギリギリまで引き付けて、最小限の動きで流す、これが出来れば、まず消耗戦に持ち込まれても勝機はある。カウンターにも持っていきやすい」

 

次に、アクナは中指を立てて、二つ目の修行内容を話す。

 

「二つ目は、受け流された時の攻撃を瞬時に切り替える修行だ。これは、慣らしていくしかないが、一つめの修行の出来により、使い勝手も変わってくる。」

 

そして、アクナは薬指を立てて3を指で表す。

 

「最後はこの二つをある程度習得した状態で、もう一度アタシと組手をしてもらう。アタシに一撃でも当てることができれば合格だ」

 

「了解」

 

「わかりました」

 

リートとバンクは、アクナの説明を了承する。

 

「とりあえずは、まずお前達二人で攻防を分けて組手しな、いいか、ギリギリまで引き付けて、受け流すんだよ」

 

リートとバンクの組手と聞いて、リートは嫌そうな顔を、バンクは楽しそうな顔をして、アクナの話しを聞いていた。

 

「バンク…どうしてリートとの戦いは嬉しそうなんですの?」

 

「俺が好きなのは戦いや喧嘩だからな、師匠とだと一方的なリンチになる…主に俺が殺られる側で…」

 

「「納得…」」

 

 

「お前ら、無駄話しはいいからさっさとやれ」

 

「「は、はい!!」」

 

リートとバンクは一定の距離をとり、構える。

 

「まずはリートが守り、バンクが攻めだ、分かったら始めろ」

 

「「はい!!」」

 

そして、二人の修行が始まった。

 

「そこのネコ」

 

「私ですの?」

 

「あぁ、お前は家に戻って食い物と飲み物を持ってこい」

 

「構いませんけど、いい加減そのネコネコと呼ぶのは止めて下さいまし、私には、ラリカという大切な友達がくれた、大切な名前がございますの」

 

「あぁ、そいつは悪かったね、だったらラリカ、さっさと持ってこい」

 

「わかりましたわよ、まったく……」

 

ラリカは、(エーラ)でログハウスまで飛んで戻って行った。

 

 

………

 

 

「バスケットに入ってましたからすぐに分かりましたけれど…結構重いですわね…」

 

ラリカは、パンや飲み物の入ったバスケットカゴを持って、リート達の修行場所まで戻っているところだった。

 

「ふぅ…ちょっと休憩ですわ」

 

ラリカが、木陰で休んでいたその時

 

「ウホッ」

 

 

 

「へっ?…」

 

 

「クイモノ…ウホォォォ!!!!」

 

 

バルカンがバスケットの食べ物を狙って、ラリカの所にやって来ていた。

 

「バ…ババババルカンーーー!!!?」

 

 

ラリカは慌てて、バスケットの食料を守ろうと、(エーラ)で飛び立とうとするが

 

ガシッ

 

「うっ…」

 

「ウホッ♪」

 

バルカンにアッサリと捕まり、逃げられなくなってしまう。

 

「ぐっ…くっ…リー……ト…」

 

「クイモノ♪」

 

ラリカが、意識を失いかけたその時

 

「テメェ!!!誰の相棒に手ぇ出してんだコノヤロー!!!!」

 

リートと、バンクが勢いよく飛び出し、バルカンを殴り飛ばす。

 

「ウボォォォ!!?」

 

 

 

「ラリカ!!!無事か!!?」

 

「リート…ありがとうございますわ…」

 

 

「どうやら無事みてぇだな♪」

 

「間に合ったみたいでよかったよ」

 

ラリカの周りに、リート、バンク、アクナの三人が集まって来てくる。

 

「皆さん、申し訳ありませんわ」

 

「気にしなくていい、ラリカが無事ならそれでいいさ」

 

「そうだな、たまにはこういうこともあるってもんだ」

 

「すまなかったねラリカ、これはアタシの失態だ、だからアタシの手で片付けてやるよ」

 

 

「ウホォォォ!!!!!」

 

バルカンは殴られた事に腹をたてたのか、怒り浸透中であった。

 

「安心しな、バルカン、アタシが一瞬で苦しまずにあの世に送ってやる」

 

アクナはそう言うと、足元にあった石ころを拾い上げる。

 

「トレース」

 

アクナがそう言って、バルカンに石を投げると、バルカンの目の前で石は大爆発を起こした。

 

ドカーーン!!!

 

「何だよ…あれ」

 

「あれが、アクナさんの魔法ですの?」

 

アクナが振り返り、リート達に説明する。

 

「そういや、お前らは知らなかったんだっけか、アタシの魔法は『トレース』写しだ、手に持ったものに一時的に武器と同じ性能を写す事が出来るんだよ」

 

「素手だけでも十分化け物染みてるのに…」

 

「余計に凶悪になりましたわね…」

 

「俺が逃げる理由わかったろ?」

 

 

「さぁ、今ので無駄にした時間を取り戻すよ!!!お前ら!!!さっさと修行を再開しな!!!」

 

「「「はい…」」」

 

 

アクナは、爆発で焼けたバルカンをじっと見る。

 

「今日の晩飯だな」

 

 

(((え!?食べるの!?)))




さて、修行本格的に始めましょう。


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覚醒

次回から本編に戻ります。今回は収穫祭前日、つまり修行の最終段階です!!アクナとリートの再戦を書きましたのでどうぞご覧下さい。最後には、リートのあの変身が見れますよ。


リート達が修行に出てから4日がたち、街は収穫祭の準備で大騒ぎだった。

 

「街は収穫祭ムード一色じゃのう」

 

 

「そうですねー」

 

マカロフとミラも、収穫祭の準備の為買い出しに出掛けていた。

 

「みんなもファンタジアの準備で忙しいって」

 

「アレは我が妖精の尻尾が大陸に誇れるパレードじゃからな」

 

「リートとバンクも、今日明日には帰ってくるじゃろうし」

 

「フフッ、楽しみね」

 

「リートが帰ってくることがか?」

 

「ええ、もちろん♪」

 

「青春しとるのぉ」

 

「ラクサスも参加すればいいのにね」

 

「奴の話しはよせやい」

 

「レビィから聞いたんだけど、街には帰ってきてるらしいですよ」

 

 

「何じゃと!!?」

 

マカロフは、少しだけ暗い顔をする。

 

「……」

 

「どうしました?マスター」

 

「よりにもよってこんな時期に…」

 

 

………

 

 

リート達の修行も、終わりを迎えようとしていた。

 

「さてと、明日は帰らないといけないことを考えると、残された猶予は今日1日しかねぇ、わかってるな?お前ら」

 

「「はい」」

 

「よし、これから最後の修行に入る。やる事は初日に説明した通りアタシとの組手だ。」

 

バンクの顔色が、みるみると悪くなる。

 

(これは…)

 

(おそらく…)

 

リートとラリカは、バンクの顔色が変わっていくのに、気がついた。

 

「そして、お前達もそれなりに実力がついた以上…アタシも少しだけ(・・・・)本気で戦う」

 

ヒュッ

 

((やっぱり…))

 

バンクが、いつものように逃げ出した。

 

「まぁちょうどいい、初めはバンクからだ。このまま修行の最終段階を始めるよ」

 

アクナは、座っていた丸太を持ち上げると、肩に担ぎ上げ、バンクが逃げていった方へと向ける。

 

「修行開始の合図だコラァァァ!!!!」

 

ドカーーン!!!

 

アクナの持った丸太はバズーカへと変わり、バンクのいる方角へ弾を発射させた。

 

「うぎゃぁぁぁ!!!」

 

そしてアクナは、丸太を放り投げると、バンクを追いかけて、森の中へ入っていく。

 

 

「この光景にも、もう慣れましたわね」

 

「本来、慣れちゃいけねぇと思うんだよなぁ俺は」

 

 

 

その後、大きな爆発音が何度か続き、ボロボロになったバンクと、肩にかすり傷をおったアクナが帰って来た。

 

「ギリギリ、及第点ってとこだな」

 

「……死ぬかと思った…」

 

 

「次はリートだ、準備はできてるな?」

 

「いつでもいけますよ」

 

リートはアクナと、一定の距離をとり構える。

 

「いつでもいいぞ、来な」

 

それを合図に、ラリカはリートから離れ、リートは前に飛び出す。

 

「氷竜の硬拳!!!」

 

(あの時と同じか…)

 

アクナは、初日でリートに行ったカウンターを、もう一度使う。

 

片腕をリートの腕に当て、軌道を剃らせ、受け流しながら掌底の構えに入った。

 

「ぐっ…」

 

しかし、リートも何度も同じ手を食らうはずもなく、空いた片腕をアクナの腕に添え、支えにすると、そのまま体を捻らせ裏拳を仕掛ける。

 

「ほぅ」

 

「これでどうだ!!!」

 

アクナは、裏拳を仕掛けてきたリートの腕を掴むと、勢いよく放り投げる。

 

「いぃっ!!?」

 

「ははっ!!なかなかいい動きをするようになったじゃないか!!」

 

 

「そりゃどうもっ!!!」

 

リートは空中で、掌から氷の柱を作り出すと、アクナに向かって5発放った。

 

「氷竜の柱弾!!5連射!!!」

 

アクナは、足元にある木の枝を蹴りあげ、手元に持ってくると、銃に変換し5発の氷の柱を全て撃ち抜き粉々にした。

 

「トレース」

 

ドン!!ドン!!ドン!!ドン!!ドン!!

 

「ははっ…やっぱスゲーや、あの人は…」

 

リートが地面に着地すると、アクナが目の前まで迫ってきていた。

 

「!!?」

 

「気を抜いたら終わりだと思いな!!!」

 

アクナのパンチを、リートは全力で防御する。

 

ズガン!!!

 

「くっ…ぐっ…」

 

「リート、この戦いの間に言っておきたいことがある」

 

「…なんですか?…この戦いの間じゃないといけませんかね?」

 

「あぁ…よく聞いときな」

 

リートとアクナは、体制を変えることなく、話しを始める。

 

「この数日、アンタを見ていて分かったことがある。」

 

「わかったこと?」

 

「アンタは、始めから全力を出せず、徐々にエンジンがかかるタイプ、いわゆるスロースターター(・・・・・・・・)だ。」

 

「…それが、何か?」

 

「実力が近くて、戦いが嫌でも長続きしてしまう場合なら、アンタみたいなスロースターターでも特に問題はない、けどな、アタシみたいな格上と戦う時だとそうも言ってられない、あるんじゃないか?そんな危険な目にあったことが」

 

リートは、楽園の塔でジェラールと戦った時の事を思い出す。

 

「その顔、やっぱりあるみたいだね」

 

アクナは拳を引き、パンチやキックを連続で仕掛ける。

 

リートも、それを紙一重でかわし続けていた。

 

「確かに、そんな経験はあります。けど、あの時はエーテリオンを食べて一時的に得た力で乗り越えました。」

 

 

 

「その力は、今引き出せるのかい?」

 

「…いえ、残念ながら…」

 

「だろうね、だからアタシは別の方法でそれを無理やり解決させた」

 

「別の方法?」

 

リートはアクナから離れ、いつでも攻撃に対応出来るように構えをとり続ける。

 

「そう、なんでアタシはここ数日の修行を、組手ばかりにしたと思う?」

 

「それは…組手をする必要があったからじゃ」

 

「確かに組手は必要ではある。けどね、受け流すだけなら、一撃ずつ交互にやっても型としては覚えていくもんだ」

 

「じゃあなんで?…」

 

「察しの悪いやつだなぁ、アンタの本気を体に叩き込んで無理やり覚えさせて、始めから全力を出せるようにする為に決まってんだろーが」

 

リートは、呆気にとられた顔をする。

 

「そんな無理やりな理由で…」

 

「それしか方法はなかったんだから仕方ないだろ?」

 

「だが、アタシの考えは間違っていなかった。じゃないとアタシと話しをしながら戦うなんて、数日前のアンタじゃ絶対にできなかったからね」

 

「まぁ、確かに…恐らく話そうとした瞬間、殺されてるでしょうね」

 

「あぁ、後はアンタがこの戦いでどこまで実力を発揮出来るか、ただそれだけなんだよ!!」

 

アクナは、リートに向かって突っ込んでいく。

 

「!!?」

 

リートはアクナの動きに反応し、突きを放つが、拳は空を切った。

 

「甘い!!」

 

「足元がお留守だ!!」

 

アクナは、リートの突きをしゃがんでかわすと、足を払い、リートの体制を崩す。

 

「ぐっ…」

 

リートは体制を戻そうとするが、その前にアクナに、空高く蹴りあげられた。

 

「がっ!!」

 

アクナの連撃は止まらず、空中に打ち上げられているリートの真上まで、飛び上がってきた。

 

「!!?」

 

「ほら、追加だ」

 

アクナは踵落としで、リートを地面に向かって突き落とすと、自分も落下していく。

 

ドゴン!!

 

「かはっ…」

 

バッ!!

 

地面に打ち付けられたリートに向かって、アクナは飛び上がる前に拾っていた砂を、リートに向かって投げた。

 

「まさか!!?」

 

「トレースだ!!死なねぇように頑張りな!!」

 

アクナの投げた砂が、一つ、また一つと爆発を起こし爆発の連鎖が起こる。

 

ドカン!!ドン!!ドン!!ドカーーン!!!

 

アクナが地面に降りた時には、ボロボロになったリートがふらつきながら立っていた。

 

「どうした?フラフラじゃねぇか」

 

「アレだけの事をして、どうした?ってよく聞けますね…」

 

「フン、減らず口をたたく余裕はまだあるみたいだね」

 

「ここからは、オレも出し惜しみなく戦います」

 

「あぁ、アタシと戦ってんだ当然だな」

 

リートは、掌の上で冷気の塊を作る。

 

「滅竜奥義…」

 

「……」

 

掌に出来た冷気の塊を、地面に落とす。

 

 

「氷陣闘戦場!!!」

 

 

アクナとリートの周りは、真っ青な氷の世界へと変わった。

 

「ほぅ…アンタの最終兵器ってところかい」

 

「えぇ、今のオレに出来る最高の強化魔法です」

 

「面白ぇ、いつでもかかってきな」

 

リートは、勢いよくアクナに向かって飛び出す。

 

(スピードは上々…だな)

 

リートの拳を、アクナは片手で止めると、肘を折り曲げリート顎をめがけて攻撃しようとする。

 

リートも空いている手で、アクナの肘を止め、そのまま懐に入り込み、アクナを放り投げる。

 

「らぁ!!!」

 

(反応も悪くない)

 

空中にいるアクナに向かって、リートはブレスを放った。

 

「氷竜の咆哮!!!!」

 

アクナは両腕で顔を守るようにガードする。

 

(攻撃もなかなか…だが…)

 

 

「はぁはぁ…はぁ……」

 

リートの息は上がって疲れが見えていた。

 

(体力の消耗が激しいのが難点…ってところか)

 

アクナは地面に着地すると、余裕の表情でリートに向かって叫ぶ。

 

「どうした!!アタシはまだ、アンタの攻撃で傷一つおっちゃいないよ!!!」

 

「くそっ…ここまでしてもまだダメなのかよ…」

 

「その魔法は、まだ完全には使いこなせてないみたいだね」

 

「元々攻撃が強化される分、魔力や体力の消耗が激しくなる技ですからね」

 

「なるほど、諸刃の剣ってやつか…」

 

「えぇ、なので即効で終わらせます。」

 

「アタシ相手じゃ無理だね」

 

「……」

 

リートは、アクナの真上に氷の塊を作り出す。

 

「氷竜の弾落」

 

「!!?」

 

アクナは、上から降ってくる氷の塊を拳で砕く。

 

当然、リートも攻撃が通用しないのを分かっていた為、リートはアクナが氷を砕いてる間に距離をつめる。

 

「もらった!!」

 

「気ぃ抜いてんじゃねぇぞコラ」

 

「!!?」

 

アクナは砕いた氷の破片を空中で取ると、ナイフへとトレースする。

 

「トレース」

 

そのままリートの肩を目掛けて、ナイフを投げた。

 

ドスッ!!

 

「がぁぁっ」

 

リートは攻撃をする前に肩をナイフで貫かれ、攻撃の軌道がずれる。

 

さらに、体力の限界でリートの視界がボヤけ始めた。

 

(やべっ…もう限界かよ……)

 

そして、アクナのパンチを顔に受け、リートは吹き飛んでいった。

 

「終わりだな…」

 

リートはピクリとも動かない。

 

(こいつの敗因は、決着を急いでしまったってところか…まぁ、バンクのバカと戦った時より力を入れてやってる分、アイツよりは強くなってるのは間違いなさそうだな)

 

アクナがリートを拾って戻ろうとした瞬間

 

グオォォォ!!

 

「!!?」

 

リートの周りに冷気の渦が巻き上がり、リートがふらつきながら立ち上がる。

 

「お前…なんだよその髪の色(・・・)は…」

 

リートの髪は白くなっていた。

 

(この感じ…楽園の塔で戦ったときに似ている…けど、あの時ほどの力は…出てねぇか…)

 

アクナは、リートから一度離れ構える。

 

「これほどの魔力を感じたのは随分と久しぶりだね」

 

(こいつの体の中で一体何が起こっている…)

 

リートはアクナに体を向けると、全身全霊で最後の一撃を撃とうと、アクナに向かって殴りかかる。

 

「らぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

「!!?」

 

ドゴォォォォン!!!!!

 

 

シュウゥゥゥ

 

 

リートの全身全霊のパンチはアクナが両腕で受け止め、防御していた。

 

「ぐっ…」

 

ドサッ

 

リートは意識を失い、うつ伏せに倒れそうになるのを、アクナが支えて、リートをおぶる。

 

「コイツ…フッ、合格だよ上出来だ」

 

アクナはリートをおぶったまま、ラリカとバンクが待っているところまで戻っていく。

 

(まさか、アタシが本当に(・・・)一瞬マジで防御にまわることになるとはね、コイツは…いつか覚醒する)

 

リートをおぶっているアクナの掌は、ボロボロになっていた。




今回もう一度出たリートのドラゴンフォース、ちゃんと設定を考えたうえで出してますからね!!あまり突っ込まないで下さいね!!じゃないと主泣いちゃうよ!!

バンクVSアクナはオリジナルの話しのアンケート募集にでも出そうと考えてますw


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ミスコンテスト

今回から本編ルートに戻ります!!
さぁバトルを始めましょう。


「うーん…はっ!!」

 

リートは、布団の上で目を覚ました。

 

「お?目ぇ覚めたか、氷竜(セルシウス)

 

「リート~!!心配しましたわ~!!」

 

リートの横には、包帯まみれのバンクと、ラリカが座っていた。

 

「ここは…」

 

 

「師匠の家だよ、オマエ最後の組手が終わって、師匠におぶられて帰ってきたんだぞ」

 

「戻ってきたら、血だらけで生きてるかすらも怪しいぐらいでしたから、本当に死んじゃうんじゃないかと思って…私、不安で不安で」

 

 

 

 

「だから、死なせたりなんかしてねぇっつったろ」

 

部屋の扉が開き、アクナがリートの様子を見にやって来た。

 

「アクナさん…」

 

「元気そうだな、とりあえず肩の包帯を取り替えるよ、起き上がれるか?」

 

「えぇ、何とか」

 

リートが起き上がると、アクナは慣れた手つきで包帯を取り替える。

 

「傷もだいぶ塞がってきたみたいだし、これなら大丈夫だね、少し休憩したらアンタらは収穫祭に向かいな」

 

「ありがとうございます」

 

「気にすることはねぇ、アタシも、修行で滅茶苦茶になった外をある程度片付けたら、向かうつもりだからな」

 

「え?師匠も来るんっすか?」

 

「文句あんのかコラ」

 

「ありません!!!」

 

「分かったらさっさと街に向かいな、アンタらの帰りを待ってる奴等がいるんだからな」

 

アクナは部屋を出ていこうとする。

 

「アクナさん」

 

「あん?」

 

「…ありがとうございました」

 

「おう」

 

「あぁ、それからなリート」

 

「?」

 

「修行は合格だ。自信をもって帰りな」

 

「…はい!!」

 

アクナは、部屋を出ていった。

 

「さて、私も帰る用意をしてきますわ」

 

「オレも用意しますかね…じゃあ、氷竜!!また後でな」

 

「おう、あっ、それと…バンク!!」

 

「お?」

 

「俺の事、氷竜じゃなくてリートって呼べ」

 

「?何かよくわかんねぇけど分かった」

 

クスッ

 

(自分の事を名前で呼ぶように強要するなんて、少しはバンクの事を気に入ったのかも知れませんわね)

 

 

 

 

………

 

場所は変わりマグノリアの街、街では朝から収穫祭が始まり大賑わいだった。

 

「おおう……おう……祭りだぁ…」

 

「あい!!」

 

フラフラのナツと、元気なハッピーは屋台巡りをしていた。

 

「食えるもん片っ端から食うぞぉ……!!!」

 

「食うぞー!!!」

 

 

「まだ調子悪そうね…大丈夫かしら」

 

ルーシィ、グレイ、ジュビアは、ナツの様子を見ていた。

 

「放っときゃいいんだ」

 

「もしかして、リートもあぁなってるんじゃないかしら?」

 

「いや、それはねぇと思うぞ」

 

「どうして?」

 

「アイツ、エーテリオン食った次の日にはピンピンしてたじゃねぇか」

 

「…確かに」

 

 

「それにしても、スゴいんですね」

 

ジュビアは辺りを見回して、楽しそうにしていた。

 

 

「この街にこんなに人がいたなんてねー」

 

「ファンタジアを見る為に他の街からも人が集まってるからな」

 

「大パレード!!アタシも見たーい!!」

 

「本当はおまえ参加する側なんだぞ?」

 

「マスターは、参加しないにしても、名目上は居ないといけないから、リートさん達に今日帰るように言ってたんでしたっけ?」

 

「あぁ、バンクはそうだけどよ、リートは絶対参加しねぇといけねぇからな」

 

「参加と言えば…そろそろミス・フェアリーテイルコンテスト始まっちゃうー!!」

 

ルーシィは慌てて、コンテスト会場である、ギルドに向かった。

 

「ジュビア、ルーシィには負けられません」

 

ジュビアから、異常な気合いが感じられた。

 

「お前も出るのか…」

 

 

………

 

 

「マグノリアの皆さん!!及び近隣の街の皆さん!!!」

 

「お待たせしました!!!!我が妖精の尻尾(フェアリーテイル)の妖精達による美の競演!!!!ミス・フェアリーテイルコンテスト開催でーーーす!!!!」

 

ワアアアアァ!!!!

 

いよいよ、ミス・フェアリーテイルコンテストが始まる。

 

「司会はこの俺!!砂の魔導士マックスが務めます!!!」

 

マックスは、盛大に会場を盛り上げる。

 

「あいつ…売り子やったり色々大変だな」

 

「つーかお前興味ねーだろコレ」

 

グレイは、隣で食べ物を食べているナツに話しかける。

 

もしゃもしゃ

 

「エントリーNo1!!異次元の胃袋を持つエキゾチックビューティ!!!カナ・アルベローナ!!!」

 

舞台裏からカナが登場する。

 

オオオォ

 

「さぁ、魔法を使ったアピールタイムだ!!」

 

カナはカードを取り出すと空中にばらまく。

 

「おーっと、カードがカナの姿を隠して…水着に着替えたー!!!」

 

オオオォ!!!

 

「50万…いいえ、酒代は頂いたわ」

 

水着の姿になったカナは、かなりの歓声を受けた。

 

「水着!!?…ズルい」

 

「なるほど…その手があったか」

 

舞台裏からルーシィとエルザが、他の選手を見ていた。

 

「って!!!エルザも出るの!!?」

 

「ふふっ、勝負とつくと、つい燃えてしまうのだ」

 

 

 

「エントリーNo2!!新加入ながらその実力はS級!!雨もしたたるいい女、ジュビア・ロクサー!!!」

 

わーわーわー

 

ジュビアは、体を水に変える。

 

「おぉ!!体が水になった!!」

 

「すげぇ!!」

 

水から元の姿に戻ったジュビアは、カナと同じく水着に着替えて現れる。

 

「オオオ!!水着が似合う演出を作り出したぁ!!」

 

「グレイ様、見てますか!!!」

 

次に現れたのはミラだ。

 

「エントリーNo3!!ギルドが誇る看板娘!!!彼氏持ちでも関係なし!!その美貌に大陸中が酔いしれた!!ミラジェーン!!!」

 

「待ってましたー!!」

 

「優勝候補ー!!」

 

「彼氏が羨ましいぞチクショー!!」

 

 

「私、変身魔法が得意なんで変身しまーす」

 

ミラは顔に手をかざすと、ミラの顔が別人に変わる。

 

「顔だけハッピー」

 

 

 

「えーーーーーっ!!!?」

 

 

ミラのアピールは、あまり評価はよろしくなさそうだ。

 

「顔だけリート!!」

 

 

「顔だけガジルくん」

 

ミラのアピールも終わり、次にエルザの番がやってくる。

 

「エントリーNo4!!最強の名の下に剛と美を兼ね備えた魔導士!!妖精女王のエルザ・スカーレット!!!」

 

「キターー!!」

 

「かっこいいー!!」

 

 

「私のとっておきの換装を見せてやろう」

 

そういうと、エルザは換装をし始める。

 

「とーーーっ!!」

 

エルザが換装を終えると、ゴスロリ姿になっていた。

 

「ゴスロリ!!?」

 

 

「フフッ決まった」

 

そして、次々と順番が回っていき、ようやくルーシィの番が回ってくる。

 

「エントリーNo7!!我らがギルドのスーパールーキー!!その輝きは星霊の導きか…」

 

「あたしだ」

 

ルーシィは舞台裏から出ようとする。

 

「ルーシィ・ハー…」

 

「だぁーー!!ラストネームは言っちゃダメー!!」

 

 

「何だ?」

 

「可愛いなあの子」

 

 

「あはは…アタシ、星霊と一緒にチアダンスします」

 

ルーシィが上着を脱ぐと、後ろから一人の女性が現れる。

 

「エントリーNo8」

 

「ちょっ…まだアタシのアピールタイムが…」

 

ルーシィの言葉を無視し、女性は自己紹介を続ける。

 

「妖精とは、私の事…美とは私の事…そう、全ては私の事」

 

「優勝はこの私!!エバーグリーンで決定~ハ~イ、くだらないコンテストはここで終了で~す」

 

 

「エバーグリーン!!」

 

「帰ってたのか!!?」

 

 

ルーシィは、エバに突っかかる。

 

「邪魔しないでよ!!アタシ…生活がかかってるんだからね!!」

 

「ルーシィ!!そいつの目を見るな!!!」

 

グレイの叫びも既に遅く、エバはルーシィの方を向く。

 

「何?このガキ」

 

エバが眼鏡を外すと、ルーシィが石化した。

 

「なんだ!!?祭りの演出か!!?」

 

観客が慌て出す。

 

「マズイぞ!!町民の皆は早く逃げて!!」

 

マックスは町民に逃げるように指示をだす。

 

「何をするエバーグリーン!!祭りを台無しにするつもりか!!」

 

マカロフが観客席から、エバに向かって叫ぶ。

 

「祭りには余興がつきものでしょ?」

 

エバが後ろのカーテンを燃やすと、カーテンがなくなり、舞台裏に控えていた女性達が既に石化されていた。

 

「なっ!!?」

 

「姉ちゃん!!!」

 

「エルザまで!!?」

 

「バカタレが!!今すぐ元に戻さんか!!!」

 

マカロフが舞台に向かおうとすると、舞台上に雷が落ちる。

 

「!!?」

 

「よう、妖精の尻尾のヤロウども」

 

「祭りはこれからだぜ」

 

雷が落ちたところから、ラクサスと雷神衆が現れた。

 

「ラクサス!!」

 

「フリードにビックスローも!!?」

 

 

「遊ぼうぜ、ジジィ」

 

「バカな事はよさんか!!こっちはファンタジアの準備も残っとるんじゃ、今すぐ皆を元に戻せ」

 

マカロフは、ラクサスの説得を試みる。

 

「ファンタジアは夜だよな?さぁて、何人が生き残れるかねぇ…」

 

ラクサスは、ルーシィの上から雷を落とす。

 

「よせぇ!!!」

 

ゴォォン!!!

 

雷の軌道はルーシィから外れ、ルーシィの真横に落ちた。

 

「この女達は人質に頂く」

 

「ルールを破れば一人ずつ砕いていくぞ。言っただろ?余興と」

 

マカロフの怒りが、どんどんと溜まっていく。

 

「冗談ですむ遊びとそうはいかぬものがあるぞラクサス」

 

「もちろんオレは本気だよ」

 

雷神衆も一歩前に出てくる。

 

「ここらで妖精の尻尾最強は誰なのかをハッキリさせようじゃないか」

 

「つー遊びだよ」

 

「ルールは簡単!!最後に残った者が勝者」

 

「バトル・オブ・フェアリーテイル!!」

 

ガコォーーーン!!!

 

観客席で、机が上に吹き飛ぶ。

 

「いいんじゃねぇーの?分かりやすくて、燃えてきたぞ」

 

机を吹き飛ばしたのは、完全復活したナツだった。

 

「ナツ!!」

 

 

………

 

 

リート達は、出発の準備を整え、マグノリアに帰ろうとしていた。

 

「よしっ帰るか!!」

 

「準備万端ですわね」

 

「祭かぁ…楽しみだな!!」

 

リート達を見送ろうと、アクナがログハウスの前にいた。

 

「お前ら、わかってると思うが…まっすぐ帰れよ?」

 

「子供ですか俺等は…」

 

「アタシから見たらただのガキ同然だ」

 

「そりゃ、すいませんね…」

 

そして、3人は帰り道を歩き始める。

 

「リート、帰りは列車ですわよ?」

 

「えっ?…マジで?……」

 

リートの顔色がどんどんと青ざめていった。

 

「オメーまだ乗り物克服できねぇのか」

 

「うるせぇ…乗り物なんて、俺が全て抹消させてやる」

 

「物騒な事を言ってないで、さっさと帰りますわよ!!」

 

 

「いやだぁぁぁ!!!」

 

 

「次あいつ等を鍛える時は、リートの乗り物克服も考えとくかね…」

 

アクナはそう言って、ログハウスの中へ入っていった。




リート達をどの辺りで合流させるかただいま考え中です…まぁどっかでは確実に合流できるでしょう!!


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術式

こんかいの件ミラが石化してますが、こんなところをリートが見てたらぶちギレ間違いなしだったなぁと思ってます。まぁとうぜんですわな


「ナツ…オレはお前のそういうノリのいいとこは嫌いじゃねぇ」

 

 

「ナツ」

 

「祭りだろ?じっちゃん」

 

「行くぞ!!!」

 

ナツは、ラクサスに向かって飛び出した。

 

「オメェ…昔ラクサスにどれだけひどくやられたか、覚えてねーのかよ!!!」

 

 

「ガキの頃の話しだ!!!」

 

「去年くれぇの話しだよ」

 

「去年はガキだったんだ!!!」

 

 

「…だが…そういう芸のねぇトコは好きじゃねぇ」

 

ラクサスにナツが殴りかかる。

 

「落ち着けよナツ」

 

ビカカカカッ!!!

 

ナツに雷が直撃した。

 

「ぴぎゃああああぁ!!」

 

 

「ナツ!!」

 

「ほれみろ!!」

 

ドサッ

 

「せっかく復活したのに」

 

 

「このコ達を元に戻したければ私たちを倒してごらんなさい」

 

「オレたちは4人、そっちは100人近くいる。うわぁ!!こっちの方が不利だぜ ぎゃははははっ!!」

 

エバとビックスローは、自信満々に話す。

 

「制限時間は3時間ね。それまでに私たちを倒せないと、このコたち…砂になっちゃうから」

 

 

 

「何!?」

 

「本気かよ!!?」

 

「そ…そこまでやること…」

 

 

「ラクサス…」

 

ラクサスはルールの説明を続ける。

 

「バトルフィールドはこの街全体、オレ達を見つけたらバトル開始だ」

 

 

「ふざけおってぇ!!!」

 

マカロフが、巨大化の魔法を使う。

 

「だから、慌てんなって…祭りの余興さ楽しもうぜ」

 

ラクサスが指先を光らせ、他のメンバーは目をくらませた。

 

「バトル・オブ・フェアリーテイル開始だ!!!!」

 

光が消えると同時に、ラクサスと雷神衆の姿も消えてしまった。

 

「消えた!!!」

 

「この街で鬼ごっこをやろうってのかラクサス!!!」

 

「あんのバカタレめぇっ!!!」

 

 

「クソオオオッ!!!姉ちゃんたちを助けねぇと!!!」

 

「あいつらぁぁぁ!!!」

 

エルフマンを先頭に、フェアリーテイルのメンバーは、次々と外へ飛び出していく。

 

「ラクサスを捕まえろぉ!!!!」

 

「つーかぶっ潰してやるァ!!!!」

 

「舐めやがってええっ!!!!」

 

オオオオオオオォ!!!!

 

 

「ワシが…ワシが止めてやるわ!!!!くそガキがっ!!!!」

 

 

ゴチーーン!!

 

「!!!」

 

マカロフがギルドから飛び出そうとした時、マカロフのみがギルドの門の前で、見えない何かにぶつかった。

 

「何やってんだ、じーさん!!!」

 

「なんじゃコレは!!?進めん!!!見えない壁じゃ!!!」

 

マカロフが押しても、体は前に進まない。

 

「こんな時にどーしちまったんだよ、見えない壁なんかどこにもねーだろ」

 

「ぬおおっ!!」

 

グレイがマカロフの顔を掴み、外側から引っ張ってみる。

 

「んごおぉっ!!」

 

しかし、マカロフは外に出ることができなかった。

 

「どーなってんだ!!?」

 

「本当にマスターにだけ見えない壁が!!?」

 

すると、空中に文字が浮かび上がってきた。

 

「空中に文字が!!?」

 

「これは…フリードの術式か!!?」

 

「術式!?」

 

「結界の一種じゃ」

 

「踏み込んだ者を罠にはめる設置魔法…おそらくこのギルドを囲むようにローグ文字の術式が書かれておる!!!」

 

「術式に踏み込んだ者はルールを与えられる。それを守らねば出ることはできん」

 

「見よ」

 

マカロフとグレイが、浮かんでいる文字を見ると

 

『ルール』

80歳を越える者と石像の出入りを禁止する

 

そうローグ文字で書かれていた。

 

「なんだよ!!この言ったもん勝ちみてーな魔法は!!!」

 

 

「術式を書くには時間がかかる…ゆえにクイックな戦闘には向いておらんが罠としては絶大な威力を発揮する」

 

「こんな魔法のせいで、ここからじーさんだけ出られねぇってか!?壊せねぇのかよ!?じーさんでも」

 

「術式のルールは絶対じゃ!!!【年齢制限】【物質制限】の二重の術式とは…フリードめ……いつの間にこんな強力な…」

 

「初めからじーさんは参加させる気がねぇって事か…周到だな」

 

「こうなった以上オレたちがやるしかねぇな」

 

グレイが、外へと向かって走り出す。

 

「グレイ!!!」

 

 

「アンタの孫だろうが容赦はしねぇ、ラクサスをやる!!!!」

 

グレイは、マカロフを残して出ていってしまった。

 

「くっ…」

 

(ラクサス…何を考えておる!!?あんなバカタレだが強さは本物じゃ…ラクサスに勝てる者などおるのか……?)

 

(リートなら…しかし今は居らん…今日中とはいえ、いつ戻るかもわからんし…エルザならもしかしたら…しかし、この状態では……)

 

ガタッ

 

ほとんどの人が出ていったギルドの中で、物音が聞こえた。

 

「誰じゃ!!」

 

 

「ウ…ウィ」

 

物陰から現れたのは、リーダスだった。

 

「リーダスか」

 

「ご…ごめ…オレ…ラクサス怖くて……」

 

「よい、それより東の森のポーリュシカの場所はわかるな?」

 

「ウィ」

 

「石化を治す薬があるかもしれん、行ってこれるか?」

 

「ウィ!!!そーゆー仕事なら!!!」

 

マカロフとリーダスが話していると、もう一人の声がいきなり聞こえる。

 

「ごぁーーーーっ!!!!」

 

「あれ!?ラクサスはどこだ!!?つーか誰もいねぇ!!!」

 

先程ラクサスにやられたナツが、目を覚ました。

 

「じっちゃん!!!何だこれ!!?」

 

(ナツが本気になれば…もしかして……)

 

マカロフは、ナツに賭ける事にした。

 

「祭りは始まった!!!!ラクサスはこの街の中におる!!!!倒してこんかい!!!!」

 

 

「おっしゃあぁぁっ!!!!」

 

「まってろォラクサスゥゥゥ!!!」

 

ナツが出入り口に向かって走り出す。

 

 

 

 

ゴチーーン!!!!

 

 

 

「!!!」

 

ズリズリズリ………

 

ナツは、術式にぶつかり、外に出ることが出来なかった。

 

「なにコレ?」

 

「「「えええっ!!!?」」」

 

 

 

………

 

「うううううぅ…おえっ」

 

リート達は、マグノリアに向かう列車の中にいた。

 

「だらしないですわよリート」

 

「ふぅ…ふぅ……うっせぇ……」

 

「ギャハハハ!!!お前弱!!!」

 

「テメェ…これから降りたら覚えとけよ……うっぷ…」

 

「乗り物なんて……乗り物なんて……」

 

 

………

 

 

「さてと、アタシもそろそろマグノリアに向かうとしますかね」

 

リート達が出発してからしばらく、アクナもマグノリアに向かう。

 

「さーて、収穫祭ではどんな物が見れるのか…アタシもちょっと楽しみになってきたよ」

 

 

………

 

 

「いたかアルザック!!!」

 

「こっちにはいない!!!そっちは!?」

 

「手がかりなしだ!!!」

 

外でラクサスを探していた、アルザック、ジェット、ドロイが合流する。

 

「くそォ…あいつ等…よくもビスカを…」

 

「許さねぇ!!!ラクサス!!!」

 

アルザックは、近くにある物に八つ当たりをする。

 

「おい…落ち着けよアルザック!!!」

 

「落ち着いてられるかよ!!!3時間以内にラクサスを倒さねぇと!!!」

 

ジジジッ

 

アルザック達の周りに、術式が展開された。

 

「何だ!!?」

 

「術式!!?」

 

「しまった!!!」

 

「街の中にも術式のトラップが張り巡らされてんのかよ!!!」

 

「こりゃ最初にフリードをやった方がいいな」

 

3人は術式のルールを確認する。

 

 

 

『ルール』

この中で一番強い魔導士のみ術式の外へと出ることを許可する。

 

 

「え?どーゆう事だ?」

 

「オレたちで潰し合え…と?」

 

ジェットとドロイが、騒ぎ立てる。

 

「んな事できるわけねぇだろ!!!クソォ!!!」

 

「ひきょーだぞ!!!フリード!!!」

 

 

「ごめん」

 

アルザックが二人に謝り、睨み付ける。

 

「僕はビスカを助けたい。こんなトコでじっとしてる訳にはいかない」

 

 

 

………

 

 

「どーなってんじゃあ ナツ!!!お前80歳か!!?石像か!!?」

 

「知るか!!!なんで出れねーんだよ!!!」

 

ナツが術式に苦戦していると、術式から新たな文字が浮かび上がってくる。

 

「バトル・オブ・フェアリーテイル途中経過速報?」

 

「ん?」

 

『ジェットVSドロイVSアルザック…』

 

「な…なんじゃコレは!!?」

 

「なんでコイツらが戦ってんだ?」

 

『勝者、アルザック』

 

『ジェットとドロイ戦闘不能』

 

『妖精の尻尾

残り人数81』

 

 

 

………

 

「妖精の共食いにどこまで耐えられるかな?ジジィ」




因みに、マグノリアに向かう組、リート達は列車→徒歩ですが、アクナは最初から最後まで走って向かいます。
設定上、アクナは列車より早く動けます…人間じゃねぇな……


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雷神衆

最近更新ペースは上がってるけど、合計文字数が減っているという怪奇現象が起こっています…なぜでしょう……マジレスするとオレが書いてねぇだけじゃねぇか…


「フンフフフーン~♪…ん?」

 

 

 

「なんか妖精の尻尾でトラブルがあったらしいぜ」

 

「どーなってんだ!?そこら中で喧嘩してやがる」

 

街の住民は妖精の尻尾の抗争に戸惑っていた。

 

 

 

「妖精の尻尾で…喧嘩?」

 

 

「喧嘩なんてもんじゃないよ!!!さっきもそっちで本気でやりあってたんだから」

 

「大パレードのファンタジアは大丈夫なのかねぇ?」

 

 

「ほぉ、アイツらの修行中に何かあったのかねぇ?…」

 

 

「ん…おおい、アンタ!!そっちは危ねぇぞ!!」

 

「今そっちの方向にあるギルド、妖精の尻尾のメンバーが、そこら中で喧嘩してんだ!!ギルドの近くなんて行くと巻き込まれかねねぇぞ!!」

 

町民は、妖精の尻尾のギルドに向かう一人の女性に声をかけた。

 

「ご忠告どうも」

 

街の人の会話を聞いた女性は、とりあえず妖精の尻尾のギルドに向かって歩いて行った。

 

 

 

『妖精の尻尾ギルド』

 

街中では次々とフェアリーテイルの仲間同士の争いが始まり、門前の術式に結果が表示されてゆく。

 

【マックスVSウォーレン 勝者ウォーレン】

 

【クロフVSニギー 相討ちにより両者戦闘不能】

 

【ワンVSジョイ 勝者ワン】

 

【ミキィ4人抜き】

 

【マカオVSワカバ 戦闘開始】

 

 

「よせ!!!やめんかガキども!!!」

 

マカロフは、次々と戦闘が起こっていることを必死で止めようとする。

 

「街中に罠が張り巡らされているんだ…それにかかったみんなが戦いを強制されて…これがラクサスの言っていた、バトル・オブ・フェアリーテイル」

 

 

「くぅぅ~っ!!!オレも混ざりてぇ!!!何だよこの見えねぇ壁はよぉ!!!」

 

ナツが、術式から何とかして出ようとする。

 

「まざってどうする気じゃバカタレ!!!」

 

「最強決定トーナメントだろ これ!!!」

 

「どこがトーナメントじゃ」

 

「仲間同士で潰し合うなど…」

 

「ただの喧嘩だろ?いつもの事じゃねーか」

 

マカロフが深刻な顔をする中、ナツは気にしてないような素振りだった。

 

「これのどこがいつも通りじゃ!!!」

 

「仲間の命がかかっておる!!!!皆必死じゃ!!!!」

 

「正常な思考で事態を把握できておらん!!!!」

 

「このままでは、石にされた者達が砂になってしまい二度と元には戻らん……」

 

 

「いくらラクサスでもそんな事はしねーよ」

 

「ムカツク奴だけど同じギルドの仲間だ。ハッタリに決まってんだろ?」

 

ナツは、笑いながらそう言った。

 

「これはただの喧嘩祭り~…つーか何で出れねんだ!!!」

 

「80歳越えてたのか…オレ」

 

「そんな訳ないと思うけど…」

 

 

(ナツ…お前はあのラクサスを仲間だと言うのか?そこまでやらないと信じられるのか…?)

 

(ワシは…)

 

ビビッ

 

術式に途中結果が表示された。

 

【残り時間2:18

残り人数42人】

 

(42人!!?仲間同士の潰し合いで…もう人数が半分以下に…)

 

 

………

 

 

その頃リーダスが、ポーリュシカの家へ向かおうと、街から出ようとしていた。

 

「東の森 東の森…この街を抜けて…」

 

ゴチーン

 

しかし、リーダスが街を出る瞬間、術式の壁にぶつかってしまう。

 

「え?」

 

「まさか、この街全体に術式がはってあるのか!!!?」

 

リーダスが術式に足止めをされた時、どこからか声が聞こえてきた。

 

「オレの掟に背くことは許さん」

 

「!」

 

リーダスが後ろを振り返ると、文字が一定の場所に集まりはじめていた。

 

「な…何だ?文字が…」

 

文字が集まると、フリードが現れる。

 

「フリード!!!」

 

「ラクサスは言ったはずだ。バトルフィールドは、この街全体…」

 

「魔導士なら戦え 力を見せろ」

 

「それが…掟だ」

 

 

 

………

 

 

一方グレイも、ビックスローとの戦闘を始めようとしていた。

 

「お!!グレイ発見ー!!」

「グレーだー」

「グレーだー」

 

「ビックスロー」

 

「よォ遊ぼーぜぇ」

 

 

………

 

 

そして、雷神衆の最後の一人である、エバーグリーンはエルフマンと戦闘に入ろうとしていた。

 

「ラクサス!!!どこにいる!!?」

 

「!!」

 

「エバーグリーン!!!」

 

 

「貴様ぁ!!!漢なら人質などとるなっ!!!姉ちゃん達を元に戻しやがれぇぇぇ!!!!」

 

エルフマンは、エバーグリーンを殴ろうと突き進む。

 

「私…女なんだけど」

 

そういいながらエバは、メガネを外し、エルフマンを石像に変えようとする。

 

「くっ」

 

とっさにエルフマンは下を向き、エバーグリーンに殴り飛ばされ、後ろの花屋に吹き飛んだ。

 

バチィ!!

 

「私、お花って好きよ…だって似合うでしょ?私に…」

 

エルフマンは全身をテイクオーバーさせて、目隠しをしながら立ち上がる。

 

「あなたも名前だけならかわいいのに」

 

「姉ちゃん達を元に戻せ」

 

「目隠ししたまま私に勝てるとでも?」

 

エルフマンは、エバーグリーンに殴りかかった。

 

「うおおっ!!!」

 

しかし、エバーグリーンに簡単に攻撃をかわされる。

 

「成る程…獣の嗅覚って事?」

 

「でも残念、あなたは既に妖精の鱗粉の中…」

 

「妖精爆弾 グレムリン!!!!」

 

エルフマンの周りに舞っていた鱗粉が、爆発した。

 

「ぐああっ!!!」

 

ズドォ

 

エルフマンは、爆発に耐えきれずに倒れた。

 

「私、石像も好きよ。どんなに醜い獣でも、石像となれば美しいと評価される事もある」

 

「さぁ、私を見つめなさい 美しいものに身を委ねるように…」

 

 

………

 

ジジッ

 

術式に、エバーグリーンとエルフマンの勝負の決着が表示された。

 

「まさか…エルフマンがやられるなんて…」

 

「ぬぅぅっ…グレイはビックスローと戦ってやがる…オレも混ざりてぇ…」

 

術式の残り人数の表示が42人から41人へと変わった。

 

(ラクサス…)

 

ザッ…

 

「マカロフ?」

 

「!!?」

 

門の前には、気がついたらアクナがやって来ていた。

 

「なーにやってんだい?アンタら」

 

「……アクナ…」

 

「リートを連れてったおばさんだぁ!!!?」

 

「なんでここにぃぃぃ!!?」

 

「?」

 

………

 

 

リート達もちょうど列車を降り、街に徒歩で向かっていた。

 

「二度と列車なんて乗らねぇ」

 

「いつも言ってますけど、それは無理ですわよ?」

 

「もう、お前が慣れろよ」

 

 

「ちくしょぉぉ…」




ついに、アクナがマグノリアに到着です。

ってかリート達より出発は後なのに、到着先ってやっぱり速すぎたかな?…まぁいいか


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特別参加

さぁ、そろそろリート達も街に到着します。戦いはここからですな


「かはぁっ!!」

 

リーダスが、フリードとの戦闘に敗れた。

 

「バトル・オブ・フェアリーテイル…残り40人」

 

 

『妖精の尻尾ギルド』

 

「おぬし…なぜここに?」

 

マカロフはアクナを見てそう聞くと、アクナは、ため息を吐いて答える。

 

「なんでって…アタシも収穫祭を楽しもうと思ってね、そう思ってこの街に来たら、街中でアンタのとこのガキどもが本気でやりあってるって聞いたから様子を見に来たんだよ」

 

 

「ばっちゃん!!リートは!!?リートはまだ来ねぇのか!!?」

 

ナツはアクナにそう聞くと、アクナはナツを睨み付ける。

 

「誰がばっちゃんだボケが、けど…リートとバンクならアタシより先に出発させたんだ…まっすぐこっちに向かってるならそろそろ着く頃だろ」

 

「リート達が先にこっちに向かったのに、どーしておばさんの方が先に着いたの?」

 

「あん?フツー本気で走って向かえば、列車より早く着くに決まってんじゃねーか」

 

アクナは、ハッピーの質問にも淡々と答えた。

 

「フツーあり得ないよそれ」

 

 

「おい、マカロフ…状況を詳しく簡潔に教えな」

 

「う…うむ……」

 

 

「詳しく簡潔に説明したら矛盾しちゃうよ」

 

アクナの言葉に、ハッピーがツッコミを入れる。

 

ジジッ

 

「!!!」

 

術式に、また新たに情報が公開される。

 

「リーダスがやられた!!!」

 

「くう…やるなァフリード!!!」

 

 

「のんきな事言ってる場合じゃないよ!!!リーダスは石化を治す薬を取ってきてくれるハズだったんだ!!!」

 

「治す事ねーよ、どうせハッタリだから」

 

 

 

「ハッタリだと思ってんのか?ナツ」

 

ナツ達の後ろから声が聞こえ、ナツ、マカロフ、ハッピーの三人が振り返る。

 

「「「ラクサス!!!」」」

 

「思念体…ってとこか…」

 

アクナは冷静にラクサスを思念体だと見破る。

 

「つーか何でオメーがココにいんだよナツ」

 

 

「うっせぇ!!!出れねぇんだ!!!」

 

「ラクサス…貴様……」

 

 

「仲間…いや、アンタはガキって言い方してたよな、ガキ同士の潰し合いは見るに耐えられんだろ?」

 

「あ~あ…ナツもエルザも参加できねぇんじゃ雷神衆に勝てる兵はもう残ってねぇよなぁ」

 

ラクサスは、薄ら笑いの表情を一変させ、マカロフに問う。

 

「降参するか?」

 

「くっ……」

 

 

 

「まだグレイがいるよ!!!ナツと同じくらい強いんだ!!!雷神衆になんか負けるもんか!!!」

 

ハッピーがそう叫ぶと、ラクサスは鼻で笑う。

 

そしてナツも、グレイが自分と同じくらい強いという言葉が、気に入らなかったらしい。

 

「オレと同じだぁ!?アイツが?」

 

「だってそーじゃん」

 

 

「ククッあんな小僧に期待してんのかヨ」

 

 

「グレイをみくびるなよラクサス…」

 

 

………

 

 

服屋の中で、グレイとビックスローは戦闘を行っていた。

 

「ヒャッホー!!」

 

ビックスローの下段蹴りを、グレイは飛び上がってかわした。

 

「いきなっ!!!ベイビー!!!」

 

ベイビーと呼ばれた人形は、グレイに向かってレーザーを放つ。

 

グレイはそれをかわし続ける。

 

「ラインフォーメーション!!!」

 

その掛け声を合図に、5体で飛び回っていた人形は、縦に積み重なり、縦形のレーザーを放った。

 

「くっ」

 

グレイは、マネキンの頭を台に、ギリギリでレーザーをかわす。

 

「年下のくせにやるなァグレイ!!!次はビクトリーフォーメーションだ!!!」

 

「……どうした!!?ベイビー!!?」

 

しかし、人形の気配が消えていることに、ビックスローは気が付き、後ろを振り返ると、5体の人形は凍り付けにされていた。

 

「いつの間に!!?」

 

ドゴォッ!!

 

「いぎぃぃ!!!」

 

ビックスローの不意を突き、グレイはビックスロー本体に膝蹴りを食らわせた。

 

ビックスローが倒れ、グレイは攻撃を続けて撃つ。

 

「アイスメイク…ハンマー!!!」

 

 

「エックスフォーメーション!!!」

 

グレイの造った氷のハンマーをビックスローはマネキンを使い、防ぎきった。

 

「何!?」

 

 

「オレのセイズ魔法【人形憑(ひとつき)】は、魂を人形に憑依させる魔法、人形は氷づけにされても、魂は無理…別の人形に憑依させることが出来る」

 

「テメーがリートじゃなくて心底安心したぜオレァ」

 

 

「なんだと?」

 

 

「アイツなら魂ごと凍らせるなんて荒業をやりかねねぇからなぁヒャハハハハ!!!」

 

ビックスローのグレイを小バカにする態度に、グレイの怒りが上昇する。

 

「だったらテメェ本体を凍らせてやるァ!!!!」

 

「やれるもんならやってみなー」

 

ビックスローは人形を盾に、服屋から走り去っていった。

 

「うひゃひゃひゃひゃー!!!」

 

「てめっ…逃げる気か」

 

グレイも、慌ててビックスローを追いかけた。

 

「うほほー」

 

「待ちやがれ!!!」

 

ビックスローはそのまま路地裏に入り込み、グレイもそれに続いて路地裏に入り込んだ。

 

グレイが一瞬ビックスローを見失う。

 

「ココだよグレイ」

 

グレイが上を見上げると、建物の間に足を広げて体を支えているビックスローの姿があった。

 

「てめぇ、一体何がしてぇんだ」

 

「言っただろ?遊びたいんだヨ オレもベイビーたちもな」

 

ジジッ…

 

「!!!」

 

グレイの周りに術式が展開された。

 

「罠か!!!」

 

 

術式には

【この中にいる者は戦闘終了まで魔法の使用を禁ずる】

と書いてあった。

 

「こういう時に遠隔操作系の魔導士は有利だね」

 

すると、マネキンがレーザーをグレイに向かって放ってきた。

 

ドカン!!

 

「ぐああっ」

 

マネキンはレーザーを連射し、グレイは攻撃を受け続けた。

 

「あああっ!!!」

 

「ひゃははは!!残念残念!!!さすがのグレイも魔法が使えないんじゃね」

 

グレイがいた場所は、レーザーで砂煙が上がっていた。

 

ガッガッガッ

 

「!!!」

 

砂煙からグレイが壁を伝って、ビックスローのところまで飛び上がる。

 

「バカな!!!」

 

「うおおおおっ!!!」

 

ガン!!!

 

グレイは、残った体力でビックスローを殴る。

 

そして、二人とも地面に叩きつけられた。

 

「こいつ、ベイビーの攻撃をあれほどくらって…」

 

ビックスローは即座に起き上がるが、グレイは完全に意識を失っていた。

 

「なーんだ、もう終わってんじゃねーか」

 

グレイVSビックスロー

 

勝者 ビックスロー

 

 

 

………

 

 

【グレイ戦闘不能 勝者ビックスロー】

 

ナツ達のいる場所でも、ビックスローの勝利が伝わる。

 

「ふはははっ!!!だから言ったじゃねーか!!!」

 

「嘘だっ!!!絶対汚い手を使ったんだよ!!!」

 

「あとは、誰が雷神衆に勝てるんだ?ククッ」

 

ラクサスは余裕の笑みを浮かべる。

 

「ガジルだ!!!」

 

「残念~!!奴は参加してねぇみてーだぜ」

 

 

「オレがいるだろーが!!!」

 

ナツが、ラクサスに啖呵を切る。

 

「ここから出れねーんじゃどうしようもねーだろ ナツ」

 

 

「分かった…もうよい…」

 

マカロフが口を開いた。

 

「こうさn「アタシがやってやるよ」!!?」

 

マカロフの言葉を遮り、アクナが口を開いた。

 

「あ?誰だテメーは」

 

「アタシが誰だろうと関係ねーだろ、その雷神衆とかいうクソどもをアタシが片付けてやるっつってんだよ」

 

ラクサスはアクナの提案を却下する。

 

「ダメだな、ババア…テメーは妖精の尻尾のメンバーじゃねーだろ」

 

「あそこの石像になってる女達の変わりに出てやるって言ってんだ、それともなにか?アタシが出るのがそんなに怖いか?あ?」

 

「なんだと?」

 

ラクサスはアクナを睨み付ける。

 

「フン、まぁいいだろ。ババア一人増えたぐれーで雷神衆に勝てるとは思えねーからな、特別参加を認めてやる…しかし、参加する以上はテメーも妖精の尻尾のやつらと同じ扱いをさせてもらうぜ」

 

「フン!!好きにしな」

 

「ハッ、女の石像が崩れるまで、あと一時間半だ。それまで精々くたばんねーように気を付けな」

 

「一時間半後、テメーの意識があるといいなクソヤロウ」

 

「ちっ…生意気なババアだ」

 

ラクサスはそう言うと、思念体は消えてしまった。

 

「…アクナ……おぬし…」

 

「つー訳だ…お前ら、雷神衆とかの特徴を教えな、アタシが全員シメてやる」

 

ハッピーがアクナに雷神衆の特徴を伝えていると、

 

ガジガジガジ

 

「「「「?」」」」

 

カウンターの裏から鉄の食器を食べていたガジルが顔を出した。

 

「ガジルー!!?」

 

「もしや…おぬしも行ってくれるのか!!?」

 

「あの野郎には仮もある、まぁ…任せな」

 

「「おおっ!!」」

 

「ほぉ…」

 

ガジルが門から出ようとすると、

 

ゴチーン!!

 

ガジルも術式にぶつかり、出られなかった。

 

「「「えぇーーーっ!!?」」」

 

「おまえもかーーーっ!!!」

 

「な…何だこれはーーー!!!」

 

 

「っち…使えねーなぁ」

 

アクナはガジルを睨み付けた。

 

「オレは悪くねーだろ!!!」

 

「めんどくせぇなぁ…悪いけど、アタシは先に行かせてもらうよ」

 

アクナは、街へと繰り出して行った。

 

そして、アクナが参加した頃…残りのメンバー表示も、気がつけばあと二人になっていた。

 

「残り二人じゃと…アクナはカウントされてないとすると…」

 

マカロフはナツとガジルを見る。

 

「こいつらだけかぁ!!」

 

「オイラは頭数に入ってなかったのかーーー!!!」

 

「仕方ねぇエルザを復活させるか…あーあ、せっかくエルザを見返すチャンスだったのに」

 

ナツはエルザの石像へと向かう。

 

「ちょっ…ちょっと待たんかい!!お前…どーやって…!!?」

 

マカロフがナツに聞くと、ナツは振り返って答える。

 

「燃やしたら溶けんじゃね?石の部分とか」

 

 

「やめーーーい!!!」

 

「やってみなきゃわかんねーだろ?」

 

「わかるわい!!!エルザを殺す気か!!!」

 

ゴォォォ!!!

 

ナツはエルザを炙り始めた。

 

「よせ!!!火で擦るでない!!!」

 

「つーかテメ…手つきがエロいぞ…」

 

ナツが火でエルザの石像に触っていると、エルザの頭にヒビが入った。

 

ぐもーーーっ!!!

 

「しまったーー!!!割れたー!!!ノリだノリ!!!ハッピー!!!」

 

「あいさー!!!」

 

「バカヤロウ!!!そんなんでくっつくか!!?オレの鉄をお前の炎で溶かして溶接するんだ!!!」

 

 

 

「貴様らーーー!!!」

 

エルザの頭のヒビが、徐々に広がっていく。

 

ピキピキッ

 

「ごめんなさい!!!ごめんなさい!!!ごめんなさい!!!ごめんなさい!!!」

 

ナツが謝り続けていると、石が割れ、エルザが元に戻った。

 

「熱い…おまえかナツ」

 

「何をするかぁーーー!!!」

 

 

エルザはナツを殴り飛ばし、何故かガジルも巻き込まれて吹き飛んでいった。

 

「ぐほぉ!!」

 

「ギヒャ」

 

「エルザが復活したー!!!」

 

「エルザ…しかしなぜ…」

 

「それが私にも…もしかしたらこの右目のおかげかも知れませんが」

 

エルザは手を右目にかざす。

 

(そうか!!義眼が目から受ける魔法の効果を半減したのか!!!)

 

(アクナとエルザが戦いに参加するなら!!!いける、反撃の時じゃ!!!)

 

「エルザ、今の状況分かる?」

 

「ああ…全て耳に入っていた」

 

エルザは、術式の文字を確認した。

 

【残り3人】

 

術式には、そう書いてあった。

 

「私が復活したことで残りの人数も律儀に変わったという訳か…凝ったことを」

 

「この他にももう一人、リートを連れていったおばさんが参加してるよ」

 

ビッ

 

そして、術式の文字が、3人から6人へと変わった。

 

「増えた」

 

「誰だ!!?」

 

ナツは石像を確認するが、誰も復活していない

 

「まさか!!!あやつらも帰って来たのか!!!」

 

「あやつら?」

 

「リート達だ!!!」

 

 

………

 

 

「なんか…騒がしくねぇか?」

 

「あぁ…こりゃ何かあったな」

 

「私、嫌な予感がしますわ」

 

………

 

 

「けどよ、アイツらが帰ってきたとしたら6じゃなくて5になるんじゃねーか?」

 

ナツの疑問にエルザが答えた。

 

「もう一人いるだろ」

 

「もう一人?」

 

「どうやら、あの男も参加を決めたか」

 

妖精の尻尾の最強候補が二人帰って来た。

 

リートと…ミストガン




グレイでは不可能だった魂凍り付け、リートは出来るのでしょうか?一応聞いてみましょう。

どうですか?できますか?

リ「………余裕」(やったことねぇから分かんねぇよ…)

はい、間が気になるところですが、本人曰く出来るそうです。疑わしいですけどw


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悪魔

今回はアクナが戦います。誰と戦うかは…まぁあの人です。


『マグノリア中心部 カルディア大聖堂』

 

現在、ラクサスはそこにいた。

 

「エルザ復活に、リートとミストガン参戦…オレを含めて妖精の尻尾トップ4が揃った訳だ」

 

「やはり祭りはこうでなきゃな」

 

 

………

 

 

その頃リート達は、街の様子がおかしいことに気がついていた。

 

「リート!!!アレを見てくださいまし!!!」

 

「?…!!? リーダス!!!」

 

「お?」

 

ラリカが指を指した方向には、リーダスがボロボロになって倒れていた。

 

リートは、慌ててリーダスの元へ駆け寄る。

 

「おい!!しっかりしろ!!!何があった!!?」

 

「オレたちの時みてぇに、別のギルドの奴等が戦争でも仕掛けて来たんじゃねぇか?」

 

「十分あり得ますわね」

 

 

「どこのどいつだ…そのクソギルドは…」

 

リートの表情から、明らかに怒っていることが伝わってくる。

 

「ウィ…違う……リート…」

 

リーダスが目を覚まし、リートに話しかける。

 

「リーダス!!!良かった、まだ意識があったか」

 

「一体誰にやられましたの?」

 

 

「フリードだ…」

 

「「!!?」」

 

「フリード?誰だそれ?」

 

バンク以外は、この名前に聞き覚えがあるはずだった。

 

「フリード…妖精の尻尾のメンバーの一人ですわ……」

 

「つー事は、あれか?仲間割れか?」

 

「いや、フリードはこんなことを自分の意思でやったりするような奴じゃねぇ」

 

「えぇ…フリードにそんな事を指示できる人……恐らくは」

 

 

 

 

「ラクサス…」

 

 

リートは拳を固く握る。

 

 

「ウィ…リート…今この街では……ラクサスが始めたバトル・オブ・フェアリーテイルが行われてる」

 

「バトル・オブ・フェアリーテイル?」

 

「おぉ!!!なんだそれ!!!面白そうだな!!!」

 

「そんな事言ってる場合じゃありませんわよ」

 

 

「収穫祭の…ミスコンに出ていた女性達が、エバーグリーンに石像にされて……時間がくれば、砂に変わって戻れなくなるって聞いて…それを止めるために…皆必死で」

 

 

「石化だと!!?」

 

「でも、街中はフリードの術式だらけで、罠にかかった人は、無理やり戦わさせられて…」

 

 

「そんな…横暴過ぎますわ」

 

リートは静かに…リーダスに一つだけ確認する。

 

「リーダス…石像に変えられた奴の中に…ミラはいるのか?」

 

「……ウィ」

 

リーダスがそっと頷くと、リートが本気でキレた。

 

「ラクサス…あの野郎…オレがぶっ飛ばしてやる!!!」

 

リートはラクサスを探しに、街へと走り出して行ってしまった。

 

「おい!!リート!!?こいつはどーすんだよ!!!」

 

バンクは、リーダスを指差しリートに訪ねる。

 

「ラリカ、任せた!!!バンクは雷神衆を探してぶちのめしてこい!!!」

 

 

「雷神衆って言われてもオレ見たことねぇんだけど!!?」

 

「街で暴れて調子にのってるバカ3人が雷神衆だ!!!」

 

「わかるか!!!」

 

「リート…ちょっとアクナさんに似てきましたわね」

 

 

 

………

 

 

一方アクナも、雷神衆を探して街を走り回っていた。

 

「くっそぉ…もうちょっとあの青猫に詳しい特徴を聞いておくんだった、メガネの女と、緑のロングヘアーの男と、舌にギルドマークの入った男ですぐに分かると思ったんだけどねぇ」

 

町中を走り回るアクナの目の前に、エルザが同じく雷神衆を探して走っている姿が目に入った。

 

「お?アンタ石化は解けたのかい?」

 

「あなたは…確か、バンクの師匠の…」

 

「アクナだ、まぁよろしく頼むわ」

 

「そうだちょうどいい、アンタ、雷神衆知ってるだろ?誰でもいいから特徴を詳しく教えな」

 

「雷神衆の…ですか?」

 

エルザとアクナが走りながら話していると、いきなり無数の矢が飛んでくる。

 

エルザとアクナの二人は、それを軽々とかわし、攻撃が飛んできた家の屋根上を見上げる。

 

「何でアンタが石から元に戻ってる訳?それに、そこのおばさん誰よ?まぁいいんだけど、いたぶる楽しみが増えるから」

 

 

「エバーグリーン」

 

「こいつも雷神衆の一人かい?」

 

「はい、石化の元凶もアイツです」

 

 

「ホント ムカツク、何が妖精女王よ」

 

「私が世界で一番…妖精なの!!!」

 

 

「くっだらねぇな、おいアンタ…名前は?」

 

アクナは、エルザに名前を訪ねる。

 

「エ…エルザですが」

 

「そうかい、エルザ、アンタはアイツと戦わずに体力を温存しな、アンタは戦力としてかなり使えそうだ」

 

アクナは一歩前に出て、戦闘の構えをとる。

 

「だからさっきから何なのよ、おばさん…アンタに興味ないんだけど」

 

「テメェらのボスから聞いてねぇのか?この喧嘩に特別参加する事になったゲストだよ」

 

「!?」

 

「へぇーアンタが?じゃあアンタを先に消してあげるわ」

 

エバーグリーンは屋根から飛び上がり、くるりと一回転すると、アクナとエルザの周りに鱗粉が散らばる。

 

「あ?」

 

「粉?」

 

 

「妖精爆弾グレムリン!!!!」

 

エルザは、爆発から無傷で、煙から横に飛び出してきた。

 

「アクナさん!!!」

 

「心配すんな、こんなもん砂埃つけられただけだ、かすり傷にもなりゃしねぇ」

 

爆発したその場から一歩も動かず、アクナは煙を払いのける。

 

「やるじゃない、おばさん」

 

「弱ぇじゃねぇか、厚化粧のガキ」

 

「なんですってぇ」

 

アクナの言葉に、エバーグリーンはイラつき始める。

 

「で?今ので終わりかい?なら次はこっちから行くよ」

 

アクナは地面を蹴り、一気にエバーグリーンとの距離を積める。

 

「は?」

 

「おらっ」

 

どごっ

 

アクナに腹を殴られたエバーグリーンは、勢いよく後方へと吹き飛んでいく。

 

「ひゃぁぁぁぁ!!!!」

 

そして、アクナは近くにあった棒を拾い、魔法を使う。

 

「トレース」

 

アクナは棒を薙刀に変え、エバーグリーンを追いかけて行った。

 

「すごい…あれほどまでに圧倒的とは」

 

エルザも、アクナの実力に驚きながら後を追いかける。

 

「くっ…こうなったら」

 

エバーグリーンは、メガネを外し、アクナの方を見た。

 

「石像にしてあげる!!!」

 

「?」

 

アクナの体が徐々に石化し始める。

 

「いかん!!!」

 

エルザは、慌ててアクナを助けようとするが、

 

「ふん!!」

 

アクナが石化し始めていた腕を振り、無理やり腕についている石を割り石化を解いた。

 

「!?」

 

「うそぉ!!?」

 

「チンケな技使ってんじゃねぇよカス」

 

アクナはエバーグリーンに近づき、薙刀を一振りする。

 

スパン!!!

 

「いやぁぁぁ!!!」

 

「お…恐ろしい人だな…あの人は」

 

エバーグリーンのすぐ近くにあった貯水タンクを切り落としたアクナは、更にエバーグリーンを追い詰める。

 

「っち…次は当てる」

 

 

「怖!!!」

 

アクナの顔が戦いが進むにつれ、どんどんと鬼のような表情へと変わっていく。

 

「おらっもっと躍りなガキ」

 

アクナはエバーグリーンに向けて薙刀を振り回し、エバは、ギリギリでそれを避け続ける。

 

「いやぁぁ!!ひゃあ!!きゃぁぁ!!」

 

「そらそらそらそら!!」

 

「若干、アクナさんが楽しそうにしている気がするのは気のせいか?」

 

 

追い詰められたエバーグリーンは、反撃に出る。

 

「いい加減にしな!!!妖精機銃レブラホーン!!!」

 

ヤケになったエバーグリーンは、無数の光の針をアクナに向けて放つ。

 

「だからチンケな技使うんじゃねぇって…言ってんだろーがぁ!!!」

 

アクナは薙刀一振りで、レブラホーンを全て吹き飛ばした。

 

「あ…」

 

「いやぁぁぁ!!!」

 

レブラホーンを吹き飛ばしたものの、周りにあった民家も勢いよく吹き飛ばしてしまう。

 

その衝撃で、エバーグリーンも吹き飛ばされていった。

 

「しまった…やり過ぎた…」

 

「っと…それよりも」

 

ヒュン…ドス!!

 

アクナは、薙刀を吹き飛んでいくエバーグリーンに向かって放り投げ、襟と壁の間に突き刺して固定する。

 

「さて…」

 

アクナは地面に敷いてある大理石を砕き、トレースで銃に変え、エバーグリーンに向ける。

 

「ひっ…」

 

 

「5つ数えるまで待ってやる、それまでに石像を元に戻して生き長らえるか、最後まで足掻いて死ぬか…好きな方を選びな」

 

エバーグリーンは既に涙目になっていた。

 

 

「あ…悪魔…」

 

ズドン!!!

 

「ひゃぁぁぁ!!!」

 

「アタシはアクナだ、名前間違えてんじゃねぇぞコラ」

 

 

(おそらく、名前を間違えた訳ではないと思うのだが…)

 

アクナ達に追い付いたエルザも、黙って二人を見ていた。

 

「じゃあ、数えるぞぉ、ひとーつ」

 

 

「ちょっ…ちょっと待ちなさい!!私を殺したら石像は元に戻らないわよ!!」

 

 

「ふたーつ」

 

「それに、私の石化眼にはもう一つの力があるのよ!!!」

 

 

「みぃーっつ」

 

 

「遠隔操作、私は今すぐ石化している女どもを粉々にすることもできる!!アンタは石化を解きたいんでしょ!!?なら私を殺すのはマズイはず!!」

 

ズドン!!

 

エバーグリーンの顔の横の壁に風穴が空く。

 

「うるせぇ奴だなぁ、石化を解く、イエスかノーで答えな、それ以外は認めねぇ」

 

「ちょっ…ちょちょちょっとまって」

 

「よーっつ」

 

 

「分かった!!解きます!!!解きますからぁ!!!撃たないでぇぇ!!!」

 

ズドン!!ズドン!!ズドン!!ズドン!!

 

エバーグリーンの周りの壁に風穴が4つ空いた。

 

「きゅぅぅぅ…」

 

「最初からそう言えばよかったんだよ、脅しの仕方も知らねぇガキのくせして、調子にのるからだ」

 

「ほ…ホントに恐ろしい人だ…」

 

アクナは、笑顔でエルザの方を見る。

 

「ふっ、終わったよ」

 

アクナVSエバーグリーン

 

勝者 アクナ

 

 

………

 

 

パリィン

 

石化していた女性達が元に戻った。

 

「おおっ!!」

 

 

「あれ?何これ?」

 

「ジュビアどうしたのでしょう」

 

「私たち…」

 

「んん?」

 

 

「元に戻ったー!!!」

 

 

 

術式に文字が表示された。

 

【ゲストVSエバーグリーン

勝者ゲスト】

 

エバーグリーンの敗北を見て、マカロフはガッツポーズをしてみせた。

 

(アクナか、さすが聖十の称号に匹敵する力を持つ奴じゃな!!)

 

(人質は解放された、さぁどうするラクサス)

 

 

………

 

 

「……クソが」




アクナ…やっぱり戦わせるとしたら相手にトラウマを植え込むぐらいやるかな?って思って書いてみました。

いかがでしたでしょうか、主としてはアクナの性格的に悪くない戦い方をさせたかな?って思ってますw


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神鳴殿

さて、今回は長めに進めましょう。残りの戦いもありますし、ってなわけで!!長編ですが、本編へどうぞ!!!


「なんでエバがあんなババァごときにやられんだよ!!ア?いつからそんなに弱くなったエバァ!!!!」

 

雷神衆の一人であるエバーグリーンが敗北したことにより、ラクサスはかなり苛立っていた。

 

「相手が強すぎるんだ。オレかビックスローが行くべきだった。」

 

ラクサスの元へ、フリードが戻ってきた。

 

「なぜ戻ってきたフリード」

 

「ゲームセットだからな、人質が解放されたらマスターはもう動かない」

 

キッ!!

 

「!!」

 

ズギャァ!!!

 

ラクサスは、フリードを睨み付けフリードの至近距離で稲妻を走らせる。

 

「ラクサス…」

 

「終わってねぇよ」

 

「ついてこれねぇなら消えろ、オレの妖精の尻尾には必要ねぇ」

 

 

………

 

 

「バトル・オブ・フェアリーテイル!?」

 

「ラクサスがそんな事を?」

 

石から元に戻った女性達は、事情をマカロフ達から全て聞いた。

 

「…が、それももう終わりじゃ。お前たちが石から戻ればラクサスのくだらん遊びにつき合う事もあるまい」

 

 

「でも、フリードの罠にかかって傷ついた皆は……」

 

「そうよ!!ラクサスをこらしめないと示しがつかないわ!!!」

 

女性陣には、怒る者、悲しむ者と居り、様々な意見が飛び交う。

 

「わーっとるわい後でワシが最大級の仕置きをする。ラクサスめ…今回ばかりは、ただではすまさんぞ」

 

 

「ちょっと待ってくれ」

 

ナツが納得がいかないような顔で、マカロフにストップをかける。

 

「確かにアレだ…仲間同士 無理矢理戦わなきゃならねーって状況はどうかと思ったが…妖精の尻尾最強を決めるっていうラクサスの意見には賛成するしかねえだろ」

 

ナツが、頷きながらそう言った。

 

「いや…そうでもないけど」

 

 

「まぁ、あまりラクサスを怒らねーでくれって事だ。じっちゃん」

 

ナツが、マカロフに笑いかけた。

 

(ナツ…おまえという奴わ~)

 

「つー訳で」

 

「今から第2回 バトル・オブ・フェアリーテイル開始だぁー!!!全員かかってこいやー!!!」

 

「「「はいぃ!!!?」」」

 

ナツが、女性陣と戦おうとしている。

 

「やめーい!!!」

 

 

「だってオレたち何もしてねーじゃん!!!ホラ!!!バトルしよーぜ!!!」

 

シャドーボクシングを始めるナツに、女性陣の数人は引いていた。

 

「やめてよ、アンタが言うと冗談に聞こえないから」

 

「どうしてもってんなら相手にならなくもないよ」

 

「カナ、のらないの」

 

 

女性と戦おうとするナツに、ハッピーが注意する。

 

「ナツ、女のコ相手にバトルとかはないと思うよ」

 

 

「女とか男とか関係ねーし」

 

 

「うわっすげームカツク顔」

 

 

「ホラ 行くぞルーシィ!!」

 

「いやぁぁ!!」

 

ナツがルーシィを追いかけ、ルーシィはギルド内を逃げ回る。

 

あはははっ!!

 

 

「どーしたの?ガジルくん」

 

「別に」

 

ナツ達の行動を近くで見ていたガジルに、ジュビアが話しかける。

 

「楽しいギルドだよね。バンクくんも気に入ってたし」

 

「イカれてるぜ」

 

ビビッ

 

ギルドの門に張られた術式が、変化し始めた。

 

「あれ?何かしら」

 

「ん?」

 

ビーッ!!!ビーッ!!!ビーッ!!!ビーッ!!!

 

ギルド内で警報が鳴り響く。

 

「何だ!?」

 

「術式の情報ボードがギルド中に!!?」

 

警報ボードから、ラクサスの声が聞こえる。

 

『聞こえるかジジィ、そしてギルドの奴等よ』

 

 

「ラクサス」

 

 

『ルールが一つ消えちまったからな、今から新しいルールを追加する』

 

『バトル・オブ・フェアリーテイルを続行する為に、オレは神鳴殿を起動させた』

 

「神鳴殿じゃと!!?」

 

『残り1時間10分 さぁ…オレたちに勝てるかな?それともリタイアするか?マスター』

 

『はははははっ!!!』

 

そうして、情報ボードは消えてしまった。

 

「何を考えておるラクサス!!!!関係ない者たちまで巻き込むつもりかっ!!!!」

 

ズキッ

 

「んぐっ」

 

マカロフはラクサスに対して、怒りを向けている時、胸に痛みを感じる。

 

がくっ

 

マカロフは、痛みに耐えきれず膝をついた。

 

「じっちゃん!!!」

 

「どうしたの!?」

 

 

「大変!!いつものお薬!!」

 

ミラが、ギルドの奥へと薬を取りに行く。

 

「こんな時に…」

 

「マスター、しっかりして下さい!!」

 

 

「神鳴殿って何だよ!!?」

 

「ううっ…」

 

ナツが神鳴殿について、マカロフに訪ねるが、マカロフの容態はそれどころではなかった。

 

「じっちゃん!!!」

 

 

「大変…!!!みんな……外が!!!」

 

ミラが慌てた様子で、ナツ達の元へ戻ってきた。

 

ミラに呼ばれて、室内にいた全員が屋上に飛び出し、外を確認しに行った。

 

屋上に出ると、外の空中に雷を纏った無数の黒い球体が、巨大な円を描くように浮かんでいた。

 

「なんだあれ?」

 

「雷の魔水晶?」

 

「あんなものが…」

 

 

 

「街中に浮かんでる」

 

「一つ一つの魔水晶にものすごい魔力の雷が帯電している…まさか、神鳴殿って…」

 

「雷の宮殿とか、そういう意味?」

 

「この街をそれに見立てて…」

 

「てか、アレが放電したらどうなっちゃう訳?」

 

「街中に無数の落雷が……」

 

「そんな事はさせないわ!!!スナイパーライフル換装!!!」

 

神鳴殿を止めようと、ビスカが動いた。

 

ドウ!!!

 

ビスカは、神鳴殿の一つをライフルで撃ち粉々に砕いた。

 

「やった!!!」

 

「やるじゃないビスカ」

 

ビキッ

 

ビカァ!!!

 

 

「キャア!!!」

 

「ビスカ!!!」

 

魔水晶を撃ち落としたビスカの体に電撃が走る。

 

電撃の光で周りが一瞬見えなくなり、光が収まると、氷で包まれたビスカの姿があった。

 

バリン

 

氷が割れると、無傷のビスカが出てきた。

 

「……生きてる?…」

 

「氷…て事は!!!」

 

「リート!!!」

 

 

 

神鳴殿に気が付き、建物の上に上っていたリートは、ギルドの方へ向かって手を伸ばしていた。

 

「っ……あぶねぇ、あと一歩遅かったらビスカの奴、黒焦げだったぞ…無茶しやがって」

 

「にしても…ラクサスの野郎、関係ない人まで巻き込むつもりか……いい加減オレも頭にきてんだ、本気で叩き潰してやる」

 

リートは、神鳴殿を見ながらそう呟いた。

 

リートの存在に気がついた女性陣達は、神鳴殿について話し合う。

 

「さっきは、リートのおかげで助かったみたいだけど…そう何度もリート一人に頼っていられないね、これじゃあ迂闊に手が出せない…」

 

「けど、今のって一体…」

 

「生体リンク魔法…」

 

ルーシィが今の現象について考えていると、カナが答える。

 

「あの魔水晶は攻撃してきた者と自分のダメージを連結させる魔法がかけられている…つまり、攻撃を与えればそのダメージがそのまま自分に返ってくるしくみよ」

 

「そんな!!?」

 

 

「このままじゃ街の人まで、ラクサスをやるしかない!!行くよ!!!」

 

「あたし…できるだけ街の人を避難させてみる!!」

 

カナが、先陣を切って動く。

 

「雷神衆もまだ二人いる!!気をつけるんだよ!!!」

 

 

「何考えてるんだあの野郎!!」

 

ナツは、屋上から身を出し、術式から出ようとする。

 

「やりすぎだろ!?そんなにマスターになりたきゃじっちゃんと戦ってみろよ!!!いい加減にしろよラクサス!!!!」

 

 

………

 

 

「ふはははっ!!!!どうだジジィ!!!次の人質は街の人間全てだ!!!!」

 

「ここまでやる事は…」

 

ラクサスと共にいたフリードも、さすがにやりすぎと感じたのか、ラクサスに意見する。

 

「ここまで?オレの限界はオレが決める」

 

「これァ潰し合いだぁ!!!!どちらかが全滅するまで戦いは終わらねぇ!!!!」

 

 

 

………

 

ぐぐぐっ

 

ナツが、術式を力ずくで解こうとするが、ビクともしない。

 

「ナツ…落ち着いて」

 

レビィが、ナツに声をかける。

 

「落ち着いてられっかよ!!!くそっこんなトコにも見えない壁がっ!!」

 

「いいから上がってきて、術式でしょ?文字魔法の一種だから、私なんとかできるかもしれない」

 

その言葉を聞いた、ナツとガジルが反応した。

 

「「本当かレビィ!!?」」

 

「私、あなたたちならラクサスを止められるって信じてるから」

 

レビィ達は、下に降りて、術式の解読を始めた。

 

「う~ん…ローグ文字の配列情報を文字マテリアルに分解して……ルール構築に使う単語をピックアップ、L・O・S・Uさらに それをギール文法に変換」

 

レビィが術式の解除を試みているのを、ガジルが黙って見ていた。

 

「すげぇなお前…何言ってるかまったくわからねぇ」

 

「違う!!!LとSはブラフだわ!!!アルスがキーコードよ!!」

 

「そ…そうか」

 

「大丈夫、私がアンタ達をここから出してあげる」

 

「オレは別に…」

 

 

「お願い」

 

「ラクサスを止めて」

 

 

ガコォン!!

 

ナツが術式に、頭突きを入れる。

 

「ヨユー」

 

 

 

………

 

 

『カルディア大聖堂』

 

(神鳴殿…そこまでやるのか…?ラクサス)

 

「何をしているフリード…ビックスローはまだ妖精狩りを続けているぞ」

 

「ジジィの希望、リートはオレがやる」

 

「エルザとミストガンもだ」

 

「おまえはカナとファントムの二人をやれ。どっちもオレの妖精の尻尾にはいらねぇ、殺してもいい」

 

 

「殺す!!?今は敵でも同じギルドの…」

 

 

「オレの命令が聞けねぇのかぁ!!!!!」

 

ラクサスの怒号に、フリードは覚悟を決める。

 

「ここまでやってしまった以上どの道戻れる道はない」

 

「オレはアンタについていくよ。例えそこが地獄だとしても」

 

「任務を遂行しよう。本気で殺る、後悔するなよ」

 

「それでいい、暗黒のフリードよ…お前の本当の力、今こそ見せてやれ」

 

 

………

 

 

エバーグリーンを倒した後、アクナと別行動になったエルザは、エバーグリーンからラクサスの居所を聞き出し、探していた。

 

「エバーグリーンの話では、この建物にラクサスがいると…アクナさんは残りの雷神衆を倒すと言って何処かに行ってしまったが…」

 

エルザは、建物のドアを勢いよく開けた。

 

「ラクサス!!!!」

 

かぽーん

 

「エ…エルザちゃん!!?」

 

「何でここに!!?」

 

「ここは男湯だぞ!!」

 

 

 

「だ…騙されたのか……」

 

 

………

 

 

女性陣もギルドから出て、ラクサスを探している。

 

ルーシィはハッピーと共に、街の人をどうにかしようとしていた。

 

「何でギルドの拡声器使えないんだろ」

 

「【バトル・オブ・フェアリーテイル中はマスター以外使用禁止】って術式があったのよ。本当…ありえない芸の細かさね。てか上着着てくるんだった…さむっ」

 

「とにかく神鳴殿から街の人を避難させなきゃ」

 

「その事だけど、オイラはやめておいた方がいいと思うな」

 

「何でよ」

 

「今、この街は収穫祭でマグノリア以外の人々も集まってすごくごった返してるんだよ」

 

「パニックは危険だよ。必要の無いケガ人が大勢出るし」

 

「でもそれじゃあ……」

 

「どうしよう」

 

 

 

「ねー」

 

「どうしよっか」

 

「ねー」

 

 

「!」

 

ルーシィのすぐそばに、ビックスローの操る人形3体が現れ、ルーシィに魔力の弾を撃ち出し、襲いかかる。

 

「ルーシィ!!危ない!!!」

 

「きゃわっ」

 

ギリギリでハッピーが、ルーシィを助けた。

 

ハッピーは、ルーシィを抱え空中に飛び出した。

 

「な…なにコレぇ」

 

「ビックスローだ!!」

 

ハッピーが建物の上に着地すると、隣の建物からビックスローが現れた。

 

「よぉ…アンタが噂の新人かい?」

 

 

「噂って何よ!!!すっごい嫌な予感するんですけど」

 

 

「コスプレ好き女王様だろ?」

 

 

「どんだけ尾ヒレついてんのよ!!!」

 

 

「それナニ?チアガール?」

 

「チアだー」

 

「チアだ」

 

 

「こ…これは…」

 

「ヘイ ベイビーやっちまいな」

 

ビックスローの掛け声と共に、人形がルーシィを襲う。

 

ズドドドド!!

 

「わっ」

 

「ぎゃっ」

 

 

「悪いねぇ、入ったばっかなのに優しくしてやれなくてさぁ、でも今は こーゆーゲームの最中だから」

 

 

「あんた達!!あんな事までして、マスターが許すとでも思ってんの!?」

 

 

「マスターの許しなんかいらないよ。このゲームが終わる頃にはラクサスがマスターだし」

 

人形はルーシィに攻撃を続け、ルーシィはそれを回避し続ける。

 

「あの飛んでるのが邪魔ね」

 

ルーシィは鍵を取り出し、星霊を呼び出した。

 

「開け人馬宮の扉!!!サジタリウス!!!」

 

「お呼びでありますかもしもし」

 

 

「おおっ!!星霊魔法!!?つーか星霊にもコスプレかよ!!!」

 

 

「違うからっ!!」

 

ルーシィは、飛び回る人形を指差す。

 

「狙いは飛び回ってる奴OK?」

 

「了解であるからしてもしもし!!!」

 

サジタリウスは弓を構え、人形を撃ち抜いた。

 

「やった!!」

 

 

「おぉベイビー!!氷づけの次は粉々かよ!!」

 

人形は、次々と粉々になっていく。

 

「NOーーー!!!ベイビーーー!!!」

 

 

「…なんつって」

 

ズドッ!!

 

「!!!」

 

サジタリウスが、レーザーに撃ち抜かれる。

 

「サジタリウス!!!」

 

 

「もしもし……?」

 

「しばらく休憩が必要であります…から」

 

サジタリウスが、星霊界へ強制的に帰って行った。

 

「そんな!!!」

 

建物の下から、新たな人形が浮かび上がってくる。

 

「いくら人形を壊しても《魂》を操るオレにはまったく関係ねーし」

 

「だねー」

 

 

「魂!?」

 

「ビックスローは魂を人形に憑かせる魔法を使うんだ」

 

 

パシッ

 

「あっ」

 

人形の内の一体が、ルーシィから鍵を奪い取った。

 

「この下ホビーショップ人形の宝庫よ」

 

 

「アタシの鍵!!!」

 

ルーシィとハッピーの周りを、人形が飛び回り、隙を見て体当たりを仕掛けてくる。

 

「いっ」

 

「んぎゃ」

 

ステーン

 

「きゃあ」

 

ルーシィは足をとられ、転んでしまう。

 

「もう後には引けねぇんだ。悪ィな、コスプレ嬢ちゃん」

 

「ラクサスの為にその魂を捧げろ!!!」

 

「バリオンフォーメーション」

 

人形が集まり輪を作り、その中心から特大のレーザーを、ルーシィに向かって撃ち込む。

 

「てぇい!!!」

 

 

「なに…これ…」

 

 

「やめろーーー!!!」

 

するとルーシィの近くに二つの影が現れ、一人はルーシィを抱えてレーザーから離れ、もう一人はレーザーの前に立ち塞がる。

 

「へっ、炎拳!!!」

 

ドゴォン!!!

 

「ギリギリセーフってか?」

 

「助かったよ、バンク」

 

「おうよ、ってかお前誰だっけ?」

 

二人の影は横並びになる。

 

「何でだろうね、僕だけが君の意思に関係なく自由に扉を通れるみたいだ」

 

「これは、人と星霊との壁なんて僕たちの愛の前では砕け散るという事なのかな」

 

 

「おぉ…すげぇなコイツ…言ってることが何一つわかんねぇ」

 

 

「愛って……何バカな事言ってんのよ」

 

 

「お…おまえは…ロキ!!!」

 

「バンクー!!!」

 

 

「約束を果たす時が来たようだね」

 

「よう、バカ面 オレ達も混ぜてくれよ♪」




さぁ、満を持してバンク登場です。次はビックスロー戦ですがロキと一緒に戦わせるべきかいなか…流れ次第でどうなるか決めましょう。


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獅子の光と拳闘士の炎

毎回作品を投稿する度思うことがあります。この物語を投稿して5分ほどで、必ず誰かがしおりを付けてくださってます。ありがたい話しですねぇ、一体どなたなのかは主には調べる方法はありませんが感謝です。

もちろん、そんな事は関係なくいつだろうとこの作品を読んでくださってる皆さんには、いつも主は感謝してますよwこれからもよろしくお願いしますね。


「ロキ!!!おまえロキじゃねーか!!そっちの奴は、新しく入った新入りか?」

 

ビックスローが、二人を見て話しかける。

 

「おう!!最近入ったバンクってんだ。ヨロシク!!にしし」

 

 

「にしても、ロキ お前やっぱり星霊だったのかぁ くーっ、そんな気がしてたんだよなぁ」

 

「黙っててやったのにオレに牙を向くのか」

 

 

「オレは無視なのね……」

 

 

「気づいていた?」

 

ルーシィが、ビックスローの言葉に反応する。

 

「あいつは人の魂を見る事ができるんだ」

 

 

「お前ら二人も、バトル・オブ・フェアリーテイルに参加か?あ?」

 

ビックスローが、ロキとバンクに聞いた。

 

「おう、参加するぜ。だって楽しそうじゃねーか」

 

 

「僕はその辺の事情にはあまり興味ないけどね」

 

ロキは、スーツの衿を糺しながら話を続ける。

 

「僕の所有者(オーナー)、ルーシィを傷つける事だけは何があろうと許さない」

 

 

「思い出した!!お前、ルーシィの星霊のチャラ男か!!!」

 

バンクがロキを指差す。

 

「今はその話しは関係ないし、僕はチャラ男じゃないよ…」

 

「ま、それもそうか」

 

 

「許さないって、オイオイお前オレに勝てたことねーじゃん。オレはいつも手ぇ抜いてケンカしてやってんのになぁ」

 

ビックスローが笑いだす。

 

「昔みてーにいじめてやるぜ、そこの野郎と一緒になぁ」

 

「行きなベイビー!!!」

 

「「「オォーーー!!」」」

 

人形がバンク達に襲いかかる。

 

「さてと、やりますかねぇ」

 

「ルーシィ下がってて」

 

バンクとロキが前に出る。

 

「何言ってんの!!」

 

バシン!!

 

ルーシィが鞭を取り出した。

 

「星霊は盾じゃないの!!一緒に戦うのがあたしのスタイル」

 

 

ロキとルーシィが見つめ合う。

 

「「でぇきてぇるぅ」」

 

 

「できてない!!!」

 

人形が、弾を打ち出した。

 

ズドドドド

 

「うおっ!!」

 

「バンク!!まずは人形をなんとかするよ!!道ができたらルーシィはビックスローを!!」

 

「おうっ!!」

 

「OK!!いくよハッピー!!」

 

「あい!!」

 

バンクとロキが、人形に攻撃をする。

 

王の光(レグルス)よ我に力を」

 

「楽しませてもらうぜ」

 

ロキの腕が光り、バンクはグローブを赤色に変える。

 

ドッ

 

ドカン

 

「わぁ」

 

「すげぇ!!!光をまとった獅子だ」

 

 

「無~駄だってぇ!!!魂に攻撃は効かない!!!いくら壊されても新しい人形に憑けるからなァ」

 

「いきなニューベイビー」

 

 

「そうか、けどよ…新しい人形ってのにとり憑くっつってもまとめてぶち壊しゃあ少しは隙も出来るだろ?」

 

バンクはグローブを黄色に変えた。

 

(いかづち)!!!」

 

5体の人形の上から同時に雷が落ち、一瞬で人形を破壊する。

 

「チャンス!!」

 

ルーシィがハッピーと共に、ビックスローに向かって飛び出す。

 

「行け!!ルーシィ!!」

 

「頼んだよ!!」

 

ルーシィがビックスローに向かって、勢いよく鞭をふった。

 

「これで観念しなさーい!!!」

 

 

「くっ」

 

バチィン

 

ルーシィの鞭を、ビックスローはギリギリで回避する。

 

「おおっ怖ーな女王様」

 

「違うって言ってんでしょ!!」

 

バンクとロキも、人形と戦い続けながらルーシィ達の戦闘を観察していた。

 

「ちっ、意外と動けるんだなアイツ…」

 

「ビックスロー本体はそう力を持っていない!!!がんばれ!!!」

 

「ほぉ、じゃあオレらは、ルーシィがアイツ仕留めるまで力があるこの人形を破壊し続ければいいわけだな」

 

 

「何だとコノヤロウ!!」

 

バチィ

 

「あふっ」

 

ルーシィはビックスローに隙ができたところに、すかさず鞭で叩いて攻撃する。

 

「ちくしょォ!!!こーなったらアレをやるしかねぇか」

 

ビックスローは自分の顔を隠していた面を取り、素顔をさらす。

 

造形眼(フィギュアアイズ)

 

 

「三人共!!!目を見ちゃダメだ!!!」

 

ハッピーは、そう言って自分の目を塞ぐ。

 

「え?」

 

ハッピーに続き、ルーシィ、ロキ、バンクも目を瞑る。

 

「雷神衆は皆、眼にセカンドの魔法を持っているんだ!!」

 

「おぉ!!?何だそれ!!せこいな!!!」

 

「ビックスローの眼を見たら人形化して、魂を操られちゃうんだ」

 

「何!?」

 

「危なー」

 

「目をつぶったな」

 

ルーシィ達に、人形が襲いかかってくる。

 

「!?お前ら!!かわせ!!!」

 

 

「え?」

 

ズドドドド

 

「きゃあ!!」

 

「ぐぁっ!!」

 

バンクが、ルーシィとロキに指示を出すが、二人が反応する前に人形の攻撃が入った。

 

「三人とも目を開けちゃダメだ!!!」

 

ハッピーも攻撃を受けながら、目を開けないように耐え続ける。

 

 

「くっ」

 

バンクは目を瞑ったまま、人形の攻撃をかわす。

 

「へぇー、お前やるじゃねーか」

 

「はっ、この程度の攻撃なら師匠の攻撃かわすより軽いぜ」

 

 

「いいねぇ!!けどなぁ、この人形憑(ひとつき)と造形眼のコンボに勝てるやつなんかいねぇぇぇんだヨ!!!」

 

(くっ…このままだと、オレはともかくアイツらがやられちまう…)

 

バンクは、人形の攻撃に耐え続けているロキに近づいた。

 

「ロキっつったっけ?一瞬でいい。お前、あの人形野郎の意識をオレから離す事は出来るか?」

 

「一瞬でいいなら…なんとかなるかもしれない」

 

「おしっ、ならオレが合図したらやってくれ…頼むぜ」

 

「……分かった」

 

バンクは、装備を黄色に変え、ビックスローの周りを建物を利用し、光速で飛び回る。

 

「何だ!?くそっベイビー達!!まずはあのバンダナ野郎を片付けなぁ!!!」

 

 

 

「今だ!!!」

 

バンクの合図とともに、ロキは全身に魔力を込める。

 

「王の光は満ちた」

 

 

「妙なマネをされる前にやっちまいな!!バリオンフォーメーション!!!」

 

 

「獅子光耀!!!」

 

ロキから発せられた光がビックスローの目をくらます。

 

「何!!?目くらまし!!?」

 

 

 

「上出来だぜ、ロキさんよぉ」

 

バンクは100m程離れた場所に飛び移り、ビックスローに狙いを定めていた。

 

「くらいな、対リート用のオレの新技…不知火(しらぬい)!!!」

 

 

バンクは、足元を爆発させ加速し、勢いよくビックスローの腹を殴り爆発を起こす。

 

ドガァァン!!

 

「ぐぁぁぁっ!!!」

 

バンクに殴られたビックスローは、建物に向かって吹き飛び、建物を2つ貫通し地面に落下して、気を失っていた。

 

 

「やった!!!」

 

「あい!!!」

 

 

「サンキューな♪」

 

「僕も助かったよ、それにしてもすごい技だね」

 

「あぁ、ゼロ距離で撃ってたら、確実にオレの拳が相手の体を貫通する技だからな、距離とらねぇと危なくて使えねぇ」

 

「ルーシィもありがとう」

 

「ううん、アタシの方こそ」

 

ロキと、ルーシィが見つめ合う

 

 

「「でぇきてぇるぅ」」

 

 

「巻き舌風に言わないの」




戦いってこうやって書いてると文字数少なくなって終わっちゃうんですよねぇ…主の文章力の問題か?


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ドラゴン解放

遅くなりました、続編が完成しました。まだフリード戦が残ってますので、ラクサスとの戦闘はもう少し先ですね…やっべ…これやっべ……


「あ…あれ?体が…」

 

ズルッ

 

ビックスローとの戦いの後、ルーシィは壁に体を預けると座り込んでしまった。

 

「王道12門を二体も使ったからね」

 

「それ以外にも、あの野郎と戦ってボロボロなんだ、今立ててるのが不思議だぞ?」

 

ハッピーとバンクが、ルーシィの元へとやって来た。

 

「にしても、あれ…どうするよ?」

 

「あれ?」

 

バンクが指を指した方には術式が表れており、【この中で一番強い者だけが出る事ができる】と表示されていた。

 

「いつの間に…」

 

「どーする?オレとオマエで戦うか?」

 

「いやよ!!さっきのは仕方なかったとしても、仲間同士で争うなんて絶対にしない!!!」

 

その言葉を聞いたバンクは、壁にもたれ掛かり座り込む。

 

「だったら、リート辺りが術式を使ってる奴をぶっ倒すのを待つしかねぇな…術式が消えるまで、オレは寝かせてもらうぜ。オマエも休める内にしっかり休んでおけよ、どーせ今戦いに参加しても足手まといにしかならねぇからよ」

 

ルーシィは、少しだけ寂しそうな顔をするが、バンクの言うとおりにする。

 

「うん…悔しいけど、魔力の残っていない今のアタシじゃ皆の力になれない…せめてこの術式が消えるまでは休ませてもらうわ」

 

 

「そう言う事なら、僕も星霊界に帰らせてもらうね。ルーシィ、僕はいつでも助けに来るから」

 

ロキは、ルーシィが奪われた鍵を拾いソレを渡した。

 

「うん、ありがと」

 

ロキはにこりと笑って、星霊界へと帰って行った。

 

「そーいえば…ねぇバンク、アンタさっきリートの事を名前で呼んでなかった?いつもは氷竜って…」

 

 

「ガァーーーッグゥーーー……グルルル…」

 

ルーシィがバンクを見ると、バンクは既に眠ってしまっていた。

 

「ってホントに寝てるし!!しかも早!!」

 

「犬みたいなイビキだね…」

 

 

……

 

 

リートは魔水晶を何とかしようと、街を走り回り何かないかと辺りを見回していた。

 

「くそっ…やっぱラクサスを倒すべきか…いやこの場合だとフリードの方が先か?…」

 

すると曲がり角から誰かが現れ、リートが即座に止まろうとする。

 

ゴス!!

 

「ぶっ!!?」

 

リートが止まろうとしたとたん、ぶつかりそうになった誰かに、顔面を殴り飛ばされた。

 

「っつーーー」

 

 

「あ?なんだ、リートかい」

 

 

「ブッ!!!ア…アクナさん!!?」

 

リートが顔を抑えていた手を退けると、目の前にアクナが立っていた。

 

「なんでここに?」

 

 

「それはこっちの台詞だ。テメェこんなとこでなにボケッとしてやがんだ」

 

 

「いや、俺はあの魔水晶を何とかしようと思って…」

 

 

「ほぉ、で?何か策はあるのかい?」

 

 

「いえ、今のところは」

 

 

「っち、使えねぇ」

 

 

「ひっでぇ言われよう…」

 

そして、リートとアクナの周りで術式が展開される。

 

「「は?」」

 

それは、妖精の尻尾のメンバーを強制的に戦わせようとしてフリードが張った術式だった。

 

「これって…まさか…」

 

「あん?どー見ても術式だな」

 

「最悪だ!!!」

 

リートが、この世の終わりのような顔をする。

 

「つーか何でアクナさんと戦う事になるんだよ!!!この人妖精の尻尾のメンバーじゃねぇじゃん!!!」

 

ゴン!!

 

「いてぇ!!!」

 

アクナは、騒ぐリートを拳骨で大人しくさせる。

 

「ギャーギャーわめくんじゃねぇ、アタシはこのバトルの間だけ参加することになったんだよ。その間はアタシも妖精の尻尾の魔導士の一人って訳だ」

 

 

「なんでそんなことに…」

 

 

「あのラクサスってのが気に入らなかったから」

 

 

「意外とアバウトな理由ですね!!!」

 

 

「とにかく、アタシもさっさとここを出ねぇといけねぇ、この術式をぶち壊せるか試させてもらうよ」

 

「ぶち壊すって…」

 

アクナは術式の前に立つと、全力で術式を殴る。

 

「ふん!!」

 

ドゴォォン!!!シュウウウゥ

 

「っち」

 

アクナのパンチでも、術式が壊れることはなかった。

 

「いや…普通、物理的に壊そうとします?戦闘をさせる為に張ってる術式がちょっとやそっとで壊れる訳がないじゃないですか」

 

「やってみねぇとわかんねぇだろ」

 

 

「相変わらずこの人無茶苦茶…」

 

「つー事は、後はアンタをぶっ潰すしかねぇ訳だが、どうするんだい?」

 

アクナはリートの方を振り返り、戦闘の体制に入る。

 

「こんなとこでまでアナタと戦うのは嫌ですよ…こーなったら、誰かにフリードを倒してもらうしかないですね」

 

「仕方ねぇ、今はそれしかねぇか」

 

アクナは、近くの壁にもたれ掛かった。

 

「ホント…なんでこんなことに」

 

 

………

 

 

『妖精の尻尾ギルド』

 

出入り口の術式に途中報告が表示された。

 

【バトル・オブ・フェアリーテイル途中結果

ビックスローVSルーシィVSバンク

ビックスロー敗退、ルーシィVSバンク両者行動停止中】

 

【リートVSゲスト両者行動停止中】

 

「おっ、バンクの野郎、一人倒したのか、ギヒッやるじゃねぇか」

 

「ルーシィも強ぇぞきっと、リートもあのばっちゃんと一緒にいるみてぇだな」

 

「強ぇって、ウソだろ?だってバニーだぞ?」

 

 

「さすがルーちゃん!!私も負けてられない!!!」

 

レビィは、術式の解読に専念する。

 

「あとは、ここさえ解ければ…」

 

 

「バニーは強えんだよ!」

 

「そんな話聞いたことねぇヨ」

 

 

 

「術式を書き換えて…」

 

 

「おまえ、ウサギと亀の競争の話知らねーのか?」

 

「ウサギ負けてんだろそれっ!!」

 

 

 

「だけどここが最難関………」

 

 

「最初の一回はな、この後何百回競争してもウサギの連勝だ」

 

「な…なるほど教訓を活かして……」

 

 

 

「それだっ!!!」

 

 

「「!!!」」

 

レビィは、ナツとガジルを指差す。

 

「そうだよ!!2つの文法を違う速度で解読していくんだ!!一周して同期した文字の整数をギール文法に変換してさらにローグ言語化」

 

レビィは、次々と文字を本に書いてゆく。

 

「解けたっ!!!」

 

「「おおっ」」

 

 

「待ってて術式を書き換えてくる」

 

「準備はいい?バトル・オブ・フェアリーテイル参戦だよ」

 

 

ナツもガジルも、既に準備は万全だった。

 

「おう!!!」

 

「ひと暴れしてやんよ」

 

 

………

 

 

「!エルフマン!」

 

石化から解放され街へと出ていたミラは、エバーグリーンに負けて倒れているエルフマンを見つけた。

 

「ね…ねぇちゃん…」

 

ミラは、エルフマンの元へ駆け寄った。

 

「ひどいケガ…」

 

 

「よ…よかった……元に…戻れ…たん……だ…」

 

 

「ごめんねエルフマン、ごめんね」

 

 

「何で…姉ちゃんが謝る…の?」

 

 

「私…ファントムの時も…今回も……何もできなくて…それで……」

 

 

「何も…しなくていいんだよ……姉ちゃんは……」

 

「このくだらねぇケンカが終わったら、笑顔で皆を迎えてくれればいい」

 

 

「うっ…うえ…ひっ」

 

ミラの目からは、涙が流れていた。

 

「頼むよ姉ちゃん…泣かないで、そんな顔をしたら、オレも…リートも悲しむから」

 

 

…………

 

 

「ジュビア…神鳴殿発動まであとどれくらい?」

 

「30分くらいだと思います」

 

「もぉっ!!!何がバトル・オブ・フェアリーテイルよ!!!自分は隠れて何もしてないじゃないのラクサス!!!」

 

「どこにいるんでしょうね」

 

 

「ラクサスは魔力を溜めている。本気でマスターと戦うつもりなんだ。その為に力を今溜めている」

 

「フリード!!!」

 

カナとジュビアの目の前に、フリードが現れた。

 

「この人が術式の…!!?」

 

 

『おまえはカナとファントムの二人をやれ殺してもいい』

 

フリードの頭の中で、ラクサスに言われた台詞が流れる。

 

すっ

 

フリードは、カナ達に背中を向け、離れていく。

 

「あ」

 

「逃げるつもり!?」

 

カナ達は、フリードを追いかける。

 

「待ちなさい!!!」

 

ピタッ

 

「!!」

 

フリードが立ち止まると、カナ達の足下が光りだす。

 

「術式!!?」

 

術式は、カナとジュビアを囲み展開された。

 

「しまった!!!」

 

「罠!!?」

 

【ルール

どちらかが戦闘不能になるまでこの術式から出る事を禁ずる】

 

術式は、他のメンバーがかかったものと同じく、強制的に争わせるために書かれたルールと同じ事が書かれていた。

 

「どちらかが、戦闘不能?」

 

 

「勝った方と相手してやる。さぁ始めろ」

 

 

「卑怯よフリード!!!!一対一がいいならこんな事しなくても私が相手になるよ!!!!ここから出しなさい!!!!」

 

「こうやって仲間同士争う事に…」

 

「それとも何かしら?二人同時に戦うのが怖い訳!?女二人にビビッちゃって情けないわねフリードォォ!!!」

 

フリードは、カナの挑発に淡々と答えた。

 

「オレ自身の殺生人数を極力減らしたいだけなんだがな」

 

「なんだと てめぇっ!!!」

 

「こうなった以上、仕方ないですね」

 

ジュビアは、自分の体を水に変える。

 

「ジュビア…アンタ…」

 

「フリードさん、本当にどちらかが倒れれば潔く戦ってくれますか?」

 

 

「オレはルールを絶対に破らない」

 

フリードの一言で、ジュビアは覚悟を決めた。

 

「よかった」

 

「本気なのジュビア!!こんな所でやりあっても奴の思うツボ…」

 

ザッ

 

ジュビアが水になり、カナの方向へ突進する。

 

「ちょっ」

 

ザァァァ

 

「!!!」

 

しかし、ジュビアはカナと戦うわけでなく、カナを通り越し、壁を伝って上昇していく。

 

「え?」

 

 

「どんなに高く上昇しようが術式からは出られんよ」

 

フリードの言葉を無視し、ジュビアは更に高く上って行く。

 

「誰かを傷つけるくらいなら、仲間を傷つけるくらいなら」

 

ジュビアが目指すその先には、神鳴殿の為の魔水晶がある。

 

「魔水晶に向かっ…まさか!!?」

 

「やめなさい!!!それに攻撃しちゃダメ!!!」

 

 

「ジュビアは道でいい!!!!」

 

そう言うとジュビアは、魔水晶を一つ破壊してしまった。

 

「ジュビア…」

 

バチバチバチバチ!!!

 

「うあああっ!!!!」

 

神鳴殿で瀕死になったジュビアが、地面に落下する。

 

「アンタ!!!」

 

カナは、慌ててジュビアへと駆け寄る。

 

それと同時に、術式も解除された。

 

「こ…これで……術式は…と…解けました」

 

「なに考えてんのアンタ!!!」

 

「ジュビアは早…く……認めてほしい…」

 

「妖精の尻尾の仲間だ…って みんなが大好き……」

 

 

ジュビアの目から涙が流れる。

 

「とっくに仲間よ!!!!認めるも何もとっくに仲間なの!!!!アンタは立派な妖精の尻尾の魔導士なのよ!!!!」

 

「嬉し…」

 

ガクッ

 

ジュビアの意識がなくなり、カナが泣き叫ぶ。

 

「ジュビアーーー!!!!」

 

 

(なんだコイツは…自分が生き残ることより……仲間を生かす道を……)

 

 

「フリィィドォォォ!!!!!」




とりあえず、ナツ達が解放されると同時にリート達が術式に捕まりました。

バンクの場合、小動物が同じ小動物のいる小屋に入れられたような感覚なのでしょうが、

リートの場合、小動物が猛獣のいる小屋に入れられたような感覚なのでしょうね。

リート…ラクサスと戦う前に死ぬんじゃね?


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サタンソウル

今回はフリード戦に入りましょう。決着はまだつかないですよ?


術式から解放されたナツは、高い建物に登り、上からラクサスを探していた。

 

「くそ!!人が多すぎる。ラクサスの臭いが見つからねぇ、どーりでリートもいつまでもラクサスと戦わずにいたわけだ」

 

『いい?ナツ、ガジル、街中にはまだフリードの術式が点在してる。アンタ達がひっかかったら元も子もないんだからここを出たら別行動ね』

 

レビィがギルドを出る二人にそう告げていた為、ナツもガジルも、単独で行動していた。

 

そして、ガジルも木の上に上りラクサスを探している。

 

「へっ火竜にもいずれ雪辱を果たさなきゃならねぇが、まずはあの増長した雷兄さんを潰す。ずいぶんとやってくれたからなぁ」

 

「問題はねぇよな?マスターイワン」

 

ガジルの肩に、人型の小さな紙が漂っていた。

 

《今は仲間だと信頼を得る事が重要だ。気づかれるな、妖精の尻尾の一員として行動しろ。妖精の尻尾に罰を与えるのはまだ先だ》

 

「ギヒッ了解」

 

 

 

………

 

 

「で?リート、アタシらはいつまで此処にいればいいんだい?」

 

「オレに聞かないで下さいよ、誰かにフリードを倒してもらうしかないのに、こんなところじゃ周りの状況も把握できないんですよ?オレが分かるわけないじゃないですか」

 

「アタシは待つのが嫌いなんだ。ちょっとテメェ一発でいいから殴らせな」

 

「何処のガキ大将ですか……」

 

術式に捕まったアクナは、かなり苛立っていた。

 

 

「そもそも、アンタ…あの魔水晶を何とかするって言ってたがどうする気だい?」

 

「それを今考えてるんですよ。オレの仲間がアレを狙撃で撃ち落としてましたけど、それのせいでダメージを受けそうになったんですから下手に手を出すわけにはいきませんし…」

 

「受けそうになった?」

 

「ギリギリでオレがそいつの体に氷を張って凌ぎました。けど、あんなのはそう何回もできません」

 

「ほう」

 

(どうする?…いっそオレが全てぶち壊すか?仮にそれをしたとして、オレの体が耐えられる確証はない…なら凍らせて機能を停止させる?持つのか?オレの魔力で、魔力が無くなって氷が割れたら再起するかもしれねぇ)

 

リートが一人で考え込む姿を見て、アクナはため息をつく。

 

「アンタ…下らねぇこと考えてねぇか?」

 

「下らないこと?」

 

「何の為のギルドだ?テメェ一人でどうにもできねぇなら、仲間の手を借りな、仲間がどうにもできねぇならテメェがそいつに手を貸しな、例えそれが命をかける事になっても、それが仲間ってもんだろ」

 

 

「……」

 

 

「テメェがうだうだして考えがまとまらねぇなら仲間から知恵を借りるのは当然の事だ。今だけは、アタシも妖精の尻尾の一人だ。必要なら力を貸してやる」

 

「アクナさん…」

 

 

「この術式が解けたら、まずは仲間を一発ぶん殴ってでも無理やり起こせ、そして脳が破裂するほど考えさせてやれ、使えねぇ案ならもう一発ぶん殴れ」

 

「…全部台無しです……」

 

しかし、リートは今の言葉で考えを改めた。

 

「なら、まずはウォーレンを探すべきか…アイツがこの街に居てくれてると助かるんだが…」

 

 

「ったく、世話のかかる弟子だ」

 

そう言うアクナの顔は、少しだけ笑っていた。

 

 

………

 

 

「姉ちゃん、もういいよ。一人で歩けるって…」

 

「私…何もできないから……せめてこれくらいは……」

 

ミラは、傷だらけのエルフマンを運び歩いていた。

 

すると、ミラ達の上にある橋が崩れ、カナが傷だらけになって落ちてきた。

 

ドッ ガラガラガラ

 

「ああああぁぁぁ!!!!」

 

 

「カナ!!!」

 

「え?」

 

 

「ぐううぅ」

 

カナは、胸を抑え苦しんでいた。

 

 

「しぶとい、さすがギルドの古株と言ったところか」

 

カナが落ちてきた橋の上から、フリードが姿を現す。

 

「フリード!!くそ!!!こんな時に」

 

 

「はぁ、はぁ、取り消しなさい…」

 

カナは、苦しみながらも立ち上がる。

 

「ジュビアをファントムの女と言った事を取り消しなさい!!!!」

 

バキバキバキバキ!!

 

「うっ…あぎっ」

 

カナの体から異常な音が聞こえ、先ほど同様に苦しみだした。

 

「ばはっ」

 

 

「カナ!!」

 

「何が起きたんだ!!?」

 

「カッ…アッ……」

 

ドサッ

 

カナは、意識を失い倒れてしまった。

 

「カナーーー!!!」

 

「ちくしょぉ」

 

エルフマンは坂を上り、フリードのいる橋まで這い上がってくる。

 

「次の相手はお前かエルフマン……と言ってもお前はエバに負けている。ゲームへの復帰権はない」

 

「うるせぇ!!!」

 

 

「いい加減にしなさいフリード!!!私たち仲間じゃない!!!」

 

 

「かつては、しかしその構造を入れ換えようとしているこのゲーム内では、その概念は砕け散る」

 

「ラクサスの敵はオレの敵だ」

 

シュバ シュバ シュバ シュババ

 

フリードは、走り向かってくるエルフマンの胸に、剣で文字を書き込む。

 

「これは!!?」

 

 

「一度敗れた駒がゲームへ復帰する事は禁ずる。その掟を破りし者は死よりつらい拷問を受けよ」

 

 

「闇の文字(エクリテュール)『痛み』」

 

 

エルフマンの体に、徐々に痛みが走り出す。

 

「ぐぅ…な…なんだ?体中がギシギシと」

 

「その文字は現実となり、おまえの感覚となる」

 

「ぐ…が……」

 

エルフマンが苦しみ始めた。

 

「そんな…」

 

 

「うがぁぁぁぁ!!!!!」

 

「エルフマン!!」

 

 

エルフマンが苦しんでいるのにも関係なく、フリードは更に追い討ちをかける。

 

「闇の文字『恐怖』!!!」

 

「ぐぁぁぁ!!!!」

 

 

「やめてフリード!!!エルフマンはもう戦えないの!!!」

 

ミラの必死な訴えも、フリードの耳にはとどかない。

 

「闇の文字『苦しみ』!!!」

 

 

「お願いフリード!!!何でもするからもう助けて!!!」

 

 

「闇の文字『痛み』『痛み』『痛み』『痛み』『痛み』『痛み』!!!」

 

エルフマンの体が、悲鳴をあげていた。

 

ゴキゴキバキゴキガキゴキバキ

 

「ぐがぁぁぁがふぁっごぁぁ」

 

「いやぁぁぁ!!!!」

 

死にかけのエルフマンにフリードが、とどめを指そうとする。

 

「闇の文字…」

 

 

「やめてぇーーーっ!!!!」

 

 

「『死滅』」

 

 

(死……!!?)

 

ぞわっ

 

「!!?」

 

フリードがエルフマンにとどめを指す前に、フリードは背後に寒気を感じ、攻撃をやめた。

 

「な…何だこの魔力は!!?」

 

 

「あ…あああ……」

 

「ミラジェーン!?」

 

ブチッ

 

ミラの中で、何かが切れた。

 

「あああああああああぁ!!!!!」

 

ミラの叫びと同時に、ミラが放出した魔力で、爆風が起こる。

 

「くっ」

 

爆風が収まると、テイクオーバーしたミラの姿があった。

 

ドッ!!

 

ミラが地面を一蹴りすると、フリードの下まで一気に近づいてくる。

 

「くっ!!!闇の文字『翼』!!!」

 

フリードは剣で自分の体に文字を刻むと、背中に翼が生え、ミラから距離をとる。

 

ドカァ

 

そして、フリードが先ほどいた場所は、ミラの攻撃で破壊された。

 

ミラが、フリードを逃がすハズはなく、自分も翼を生やし、フリードに空を飛んで接近する。

 

ドン!!

 

「ぐはぁ」

 

ミラが、フリードを殴り飛ばした。

 

「うっ」

 

ピタッ

 

フリードは、殴り飛ばされ、即座に体制を立て直した。

 

 

(こ…これが魔人ミラジェーンのテイクオーバー【サタンソウル】!!!!)

 

 

「消す」




アクナさん、かなり苛立ってます。リートは生きて術式から出ることはできるのか?…着目する所違うか…

因みにラクサス戦では、少しこうしたら面白くなるんじゃね?って案が浮かんでますので、それもお楽しみに


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やさしさ

この前、シャーマンキングのアニメ化のリメイクの告知を見てパッと閃きました。

(シャーマンキングと戦国BASARAのクロスオーバーとか面白そうじゃね?いつか書いてみたい…つーか読みたい)と

しかし、読むならともかく今新しい作品を書くと絶対に氷竜が続かなくなるわ、やるなら氷竜完結させてからだなと思っています……完結する頃にはこの案忘れてそう…



ズドォ

 

「ぐほぁっ」

 

空中で戦闘中のフリードとミラ、フリードは腹にミラの蹴りを受け、吹き飛んでいった。

 

「くっ」

 

地面ギリギリで体制を立て直したフリードは、ミラから距離をとるために全力で飛行する。

 

ミラはフリードを追いかけ、フリードとミラの距離は少しずつ縮まって行く。

 

「禁じ手だか仕方あるまい、魔には魔をもって制す」

 

フリードは、自分の体に文字を書き込む。

 

「闇の文字…暗黒!!!」

 

闇の文字で、魔人と化したフリードは迫ってくるミラに拳を放つ。

 

ミラも、拳を放ちフリードとミラの拳がぶつかり合う。

 

フリードとミラの攻防は、激しくなり徐々に空へと上がっていく。

 

がしっ

 

ブワァァッ!!

 

ミラの尻尾を掴んだフリードは、下の川に向かってミラを投げ飛ばす。

 

「つあぁっ!!!」

 

ドパァ!!

 

ザザザザ…

 

ミラを川に投げ飛ばしたフリード、しかしミラが飛び込んだ川に異変が表れる。

 

ミラが飛び込んだ部分を中心に、川の水が渦を巻きはじめる。

 

そして、川の中からミラが現れ、両腕に川の水を纏っていた。

 

(川の水を纏って…!!? どれだけの魔力なんだ!!?)

 

ザゴォ!!

 

川の水を纏ったミラは、フリードに向かって纏った水を全て放出する。

 

「ぐはぁ!!」

 

川の水で怯んだフリードに、ミラは頭突きで吹き飛ばす。

 

「ごぁぁっ!!」

 

ミラは両手を重ね魔力の塊を作り出し、一気にフリードに向かって撃つ。

 

 

 

ドッ!!!

 

 

オオオオオォ!!!

 

 

ミラが放った魔力の塊は、フリードに直撃すると、大爆発を起こし遠くにいたエルザやリート達も気がついた。

 

「ミラ?」

 

 

 

「何だ?あの爆発は」

 

「まさか…ミラ?」

 

 

 

ドサッ

 

ミラの攻撃で、闇の文字の魔法が解けたフリードは元の姿に戻り、地面に落下した。

 

タッ

 

ミラもフリードの落下を確認すると、地上へと降りる。

 

「ひっ…」

 

バッ!!

 

ミラが、フリードに襲いかかる。

 

ガッ ドッ

 

フリードの首を掴み、地面に押さえつけると、ミラは拳を握って振り下ろした。

 

(か…勝てる訳がない!!これが魔人の力!!!こ…殺される!!!!)

 

ピタッ

 

「!!?」

 

フリードの顔に拳がぶつかる寸前、ミラは拳を止めた。

 

 

すううぅ

 

「……え?」

 

ミラは悲しげな顔で、フリードにトドメをささずにテイクオーバーを解いた。

 

「こんな戦い…むなしいわね」

 

「勝者の驕りかミラジェーン……とどめをさせ」

 

フリードは恐怖に怯えながらも、ミラにとどめをさすように促す。

 

「私たちは仲間よ…同じギルドの仲間……」

 

「一緒に笑って、一緒に騒いで……一緒に歩いて」

 

 

「う…うるさい!!!俺の仲間はラクサス一人だ!!!!」

 

 

「一人じゃないでしょ?あなたはとっくに気づいてるわ」

 

「一人の人物に依存する事の全てを悪とは思わないけど、あなたの周りにはたくさんの人がいる。人と人はいつでも繋がっている」

 

ミラは、優しくフリードの手を掴んだ。

 

「ほら、手を伸ばせばこんな近くに…一人が寂しいと感じた時、人はやさしくなれるの」

 

「あなたは、それに気づいてる」

 

ポロポロ

 

気がついたら、フリードの目からは涙が溢れていた。

 

「うぐっ…ううっ…」

 

「こんな事……したくなかっ…た……んだ」

 

 

「うん…わかってるよ」

 

「来年こそは一緒に収穫祭を楽しもっ」

 

ミラがフリードに笑いかけていた時、カナとエルフマン達も意識を取り戻し、ミラの元へと来ていた。

 

「かなわないねぇ」

 

「うん…えっぐ」

 

【フリードVSミラジェーン 共に戦意喪失】

 

 

 

………

 

 

フリードが戦意喪失したことにより、リート達を囲んでいた術式が解かれた。

 

「お?ようやく出られるのか」

 

「はぁ、生きた心地がしなかった……」

 

 

「リート、テメェはさっき言ってたように魔水晶を何とかするんだろ?」

 

 

「はい…その為に、まずはウォーレンを探してみます」

 

 

「アタシも手を貸してやる。今はフェアリーテイルの魔導士である以上何かしらの動きは見せてやるよ」

 

 

「助かります。じゃあ他のメンバーを起こしてあげてください。おそらく、今考えている作戦を実行するには人手がいります」

 

 

「任せな、全員ぶん殴って目ぇ覚まさせてやる」

 

 

「……やさしくしてあげて下さい」

 

 

 

…………

 

 

ルーシィ達の術式も解除され、ルーシィ達は自由に動けるようになる。

 

(術式が解けた!!誰かがフリードを倒してくれたんだ!!けど…)

 

ハッピーが後ろを振り返ると、ルーシィもバンクも眠ってしまっていた。

 

(二人とも、ビックスローとの戦いで疲れてるし、そっとしておいた方がいいよね?)

 

「ガァーーゴォォォー」

 

「すぅ すぅ」

 

 

「このイビキの中でも、ルーシィ全然起きない…」

 

 

バトル・オブ・フェアリーテイル

 

残るはラクサスただ一人!!!

 

 

………

 

 

「神鳴殿、街中を襲う雷の魔水晶、雷神の裁き、もう時間がない。残り10分…本気なのかしら?ラクサスは」

 

「でも なんとかなるよね。こっちにはリートとエルザとナツ、ガジルもいるし、そうだ!ミストガンもいるんだっけ」

 

レビィが呟いていると、ギルドに入ってくる人影が一つ。

 

カツーン カツーン

 

「こんな時に誰かしら」

 

 

 

「マカロフはどこ?」

 

ギルドに現れたのは、ポーリュシカであった。

 

「ポーリュシカさん!?」

 

「どこかって聞いてんだよ」

 

「お…奥の医務室です」

 

「フン」

 

ポーリュシカは、スタスタと医務室に向かって歩いていく。

 

「あ…あのっ!!ちょっと今は……」

 

「知ってるよ!だから来たんだ」

 

「え?」

 

ポーリュシカは、医務室に入りマカロフの顔を覗く。

 

「もしかして治療しに来てくれたんですかっ!!」

 

レビィの台詞を無視し、ポーリュシカはマカロフを見たまま呟く。

 

「ラクサスをつれてきなさい」

 

「え?」

 

「祖父の危篤も知らずに遊び回ってるあの子をつれてきなさい」

 

「き…危篤って…そんな大袈裟な……」

 

「いいからお願い、この人は…もう長くない」

 

「!!!」

 

 

………

 

 

神鳴殿発動まで後6分

 

「降参する気はねぇってか…相変わらずの頑固ジジィめ」

 

カルディア大聖堂で一人待つラクサスの元に、人が現れる。

 

「来たか」

 

「ミストガン」

 

 

「まさか お前がこのゲームに参加するとは思ってもいなかったぜ」

 

ラクサスは、にやけ顔でミストガンを見る。

 

「今すぐ神鳴殿を解除すれば、まだ余興の範疇でおさまる可能性もある」

 

 

「おめでたいねぇ」

 

「知ってんだろ?妖精の尻尾最強は誰か…オレか おまえか リートか噂されてる事は」

 

 

「興味はないが、私はギルダーツを推薦しよう」

 

 

「アイツはダメだ帰ってこねぇ、同じくエルザもいい線いってるが まだ弱い」

 

「エルザが弱い?とんだ節穴だなお前の目は」

 

 

「オレはお前を認めてんだよミストガン、今 この妖精の尻尾最強の座はオレかおまえか、後から来るだろうリートかのどれかなんだ」

 

 

 

「そんな事にしか目がいかんとは……おめでたいのはどっちだ」

 

 

「俺たちだけでも白黒つけようぜ、リートなら残った方が叩き潰せばいい」

 

「私はリートと戦うつもりはない」

 

「だったら俺がお前を倒してリートを叩き潰すだけだ」

 

 

「ミストガン…いや、アナザー「!!!」」

 

ギャウ!!!

 

ラクサスの言葉を聞き終える前に、ミストガンは背中の杖を一本取り出し魔法を放つ。

 

それと同時に、ラクサスも雷を放ち、魔法同士のぶつかり合いで爆発が起こった。

 

ゴォォォ!!

 

ズオオォ!!

 

二人の魔法のぶつかり合いの衝撃により、教会が大きく揺れた。

 

「教会!!?」

 

「カルディア大聖堂か!?」

 

ナツとエルザが反応し、カルディア大聖堂へと急ぐ。

 

 

 

爆発がおさまると、ラクサスもミストガンも無傷でその場に立っていた。

 

「その事をどこで知った」

 

 

「さぁね…オレに勝てたら教えてやろうか?」

 

ミストガンが、杖を前に出す。

 

「後悔するぞラクサス、お前は未だかつて見たことのない魔法を見ることになる」

 

 

「来い…格の違いを見せてやる」




ミストガンとラクサスをようやく戦わせることができました。こっからですよ熱い展開は!!


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多重魔法陣

今回はほとんど原作と一緒です。まぁこういう事もありますわな…面白味なくてすんません!!


オオオォォォ

 

ミストガンとラクサスが対峙する中、静かに風だけが吹いていた。

 

先に動き出したのは、ミストガンだった。

 

すっ

 

カン!!

 

ミストガンが、背中に背負っていた杖を床に立てると、二本目、三本目と合計五本の杖を床に刺した。

 

「摩天楼」

 

キュイィィ

 

「!!!」

 

ラクサスの立っていた床が光だし、徐々に変形して行く。

 

次の瞬間、大爆発が起こり、教会は一瞬で崩壊した。

 

ドザァ!!!

 

「何!!?バカな!!教会を…」

 

崩れた教会から、光の柱が立ち上り、ラクサスを巻き込む。

 

「うおおっ」

 

ラクサスが上を見上げると、空間に切れ目が入りだす。

 

「!!!」

 

そして、切れ目から見たこともない巨大な竜が現れた。

 

「なんだこの魔法は!!!?」

 

がぁぁぁぁぁ!!!!!

 

「うおおおおおぉ!!!!」

 

ばちぃぃん!!!

 

「!!!」

 

巨大な竜にラクサスが襲われる瞬間、次元が裂け、魔法が解けてしまった。

 

「はははははははっ!!!!!くっだらねぇなぁ!!!!」

 

「こんな幻覚でオレをどうにかできると思ったか!?ミストガン!!!」

 

ラクサスは幻覚で作られた空間を力ずくで脱出してきた。

 

「さすがだな、だが気付くのが一瞬遅かった」

 

ラクサスの真上には、5つの魔方陣が出来上がっていた。

 

「おまえは既に私の術の中」

 

 

「眠れ!!五重魔法陣 御神楽!!!!」

 

ミストガンが杖を向けると、魔方陣が発動する。

 

「気付いてねぇのはどっちだ?」

 

ミストガンの足下が光りだす。

 

「!!!」

 

ミストガンの足下からは雷が、ラクサスの頭上からは光がお互いを攻撃する。

 

ズギャァァァ!!!

 

「ぐああっ!!!」

 

ドォォン!!!

 

「うおおっ!!!」

 

ミストガンとラクサスは共に、お互いの攻撃をくらう。

 

ミストガンが右手をラクサスの方へ向けると、ラクサスの足下の床が、ラクサスを捕らえようと動く。

 

ラクサスはそれを察すると、光速で動きその場から一瞬で離れる。

 

「抜けた!!?」

 

ラクサスの勢いは止まらず、壁を伝い空中にいるミストガンに雷をぶつけた。

 

「はァ!!!」

 

雷をぶつけられたミストガンは霧へと変わり、ラクサスの目の前に現れる。

 

「チッやるじゃねーか」

 

 

ばん!!!

 

「「ラクサス!!!」」

 

ラクサスの居場所に感づいたナツとエルザが、教会にやって来た。

 

「!!!」

 

 

「エルザ!!!」

 

「ナツ!!!出られたのか」

 

 

ナツとエルザがラクサスに視線を向けると、その場にいたミストガンにも、自然に目を奪われる。

 

「誰だアイツ」

 

「ミストガンか…?」

 

 

「くっ」

 

ミストガンが、咄嗟に顔を覆っていた布で素顔を隠す。

 

「スキあり!!」

 

ラクサスの雷が、ミストガンの顔に直撃する。

 

「ぐはっ」

 

ラクサスの攻撃により、ミストガンの顔を覆っていた布が取れ、素顔があらわになる。

 

「え?」

 

「………」

 

その顔は、ナツもエルザもよく知った顔だった。

 

「ジェラール…」

 

 

「おまえ…」

 

 

「生きて…」

 

 

「お?知ってる顔だったのか?」

 

ミストガンとジェラールの顔が全く一緒の為、ナツもエルザも動揺を隠せずにいた。

 

「ど…どうなってんだ!!?ミストガンがジェラール!!?」

 

 

「エルザ…あなたにだけは見られたくなかった」

 

「え?」

 

「私はジェラールではない、その人物は知っているが私ではない」

 

「………」

 

「すまない、後は任せる」

 

そう言うと、ミストガンはその場から消えていなくなった。

 

「オイ!!!」

 

「だーっややこしいっ!!後回しだ!!!ラクサス勝負しに来たぞ!!!エルザいいよな?オレがやる!!!」

 

ナツが声をかけるが、エルザからの返事はなかった。

 

「エルザ!!!!!」

 

ビキィ!!

 

「ぐはぁぁぁっ!!!」

 

放心状態のエルザに、ラクサスが攻撃を仕掛ける。

 

「似合わねぇツラしてんじゃねぇよ。ホラ!!来な」

 

 

「くっ」

 

ラクサスの攻撃に直撃したエルザは、床に倒れる。

 

 

 

「ラクサスーっ!!!」

 

「オレが相手するって言ってんだろ!!!!このやろぉ!!!」

 

 

「ん?いたのかナツ」

 

ナツの存在は、ラクサスの眼中にはないようだ。

 

カチーン

 

「オレと勝負しろやぁ!!!ラクサス!!!!」

 

ナツが拳に炎を纏い、ラクサスに殴りかかる。

 

「ナツ…」

 

 

「テメェのバカ一直線も、いい加減煩わしいんだよ」

 

「失せろザコがっ!!!!」

 

ラクサスはナツに雷を放つが、ナツは地面を蹴り飛び上がり、雷を回避する。

 

「火竜の鉤爪!!!!」

 

ガッ

 

ナツは飛び上がった反動で、空中で体を反転させラクサスに蹴りを入れるが、ラクサスは片手でそれを防ぎ、ナツを弾き飛ばす。

 

「うおっ!!」

 

ダッ

 

ナツが床に着地すると同時に、ラクサスがナツの顔を蹴りあげる。

 

バキッ

 

「んがっ」

 

体制を崩したナツの腕をラクサスが掴み、自分の元へ引き寄せる。

 

「逃がさねぇぞコラ」

 

ガッゴッバキッドガッ

 

ラクサスは、躊躇なくナツの顔を殴り続ける。

 

ガシッ

 

「逃げるかよっ」

 

ナツは、捕まれていた腕を掴み返し、ラクサスの顔を殴りだす。

 

「てっぺんとるチャンスだろ!!!!」

 

 

「チッ」

 

ぐっ

 

ラクサスが握っている腕に力を込めると、またナツの顔を殴りだす。

 

「おおおっ」

 

ナツも反撃し、殴り合いの応酬が続く。

 

「フン」

 

ぐいっ

 

ズテェン

 

「うおっ」

 

ラクサスは掴んでいたナツの腕を引っ張り、ナツの体制を崩す。

 

「らぁっ!!!」

 

ナツは、転ばされた体制からラクサスの足を払おうとするが、ラクサスは容易くそれをかわす。

 

グシャ!!

 

「ごぺっ」

 

足払いをかわしたラクサスは、床に着地すると同時に、ナツの顔を踏みつける。

 

にっ

 

ズオォォッ!!

 

ラクサスが下から上に向かってアッパーで、ナツを凪ぎ払う。

 

「うおおっ」

 

ザザザッ

 

ドスッ

 

「おごっ」

 

ナツの後ろからエルザが飛び出し、ラクサスに攻撃を仕掛ける。

 

(ミストガンの事はひとまず忘れなければ、今はラクサスだ)

 

エルザは、黒羽の鎧でラクサスに斬りかかる。

 

ラクサスは、エルザの攻撃を軽々とかわした。

 

「エルザ!!!」

 

 

「あの空に浮いているものは何だ、ラクサス!!」

 

「神鳴殿、聞いたことあるだろ?」

 

 

「まさか街に攻撃するつもりか!!」

 

「ハハハッ!!!新しいルールさ。オレも本当は心が痛むよ ククク…」

 

 

「貴様!!!!」

 

エルザがラクサスの顔を目掛けて蹴りを入れるが、ラクサスは、片手でエルザの蹴りを受け止めた。

 

「あと2分だ」

 

「ナツ!!全て破壊するんだ!!!」

 

 

「壊せねーんだよ!!てか、違うな……壊したらこっちがやられちまうんだよ」

 

「生態リンク魔法!!?まさかリートがここに来ていない理由は…」

 

「おそらく、あの馬鹿真面目のリートだ。どうにかして停めようとしてるんだろうな。だが、アレは誰にも手出しできない魔水晶」

 

 

「卑劣な!!!」

 

ラクサスはエルザの足を振り払うと同時に、雷を起こす。

 

「フン!!」

 

「ぐっ」

 

雷をくらい、距離をとったエルザは黒羽の鎧から別の鎧へと換装していた。

 

「雷帝の鎧!!?」

 

 

「フン そんなものでオレの雷を防ぎきれるとでも?」

 

 

「なにラクサスとやる気マンマンになってやがる!!!こいつはオレがやるんだ」

 

そう言うナツを、エルザは黙って見る。

 

「信じていいんだな?」

 

「へ?」

 

エルザは、教会の出入り口を目指して走り出す。

 

「オ…オイ!!どこ行くんだよ」

 

「まさか おまえ、神鳴殿を止めに……」

 

 

「ハハハッ!!!無駄だぁ!!!一つ壊すだけでも生死に関わる!!!今、この空には300個の魔水晶が浮いているんだぞ!!!もう時間もない!!!!」

 

 

「全て同時に破壊する。リートもおそらくそうするだろう」

 

 

「不可能だ!!!!できたとしても確実に死ぬ!!!!」

 

「だが街は助かる」

 

エルザは死を恐れずに、魔水晶を壊す事をいい放った。

 

「ラクサスを止めておけナツ!!!!」

 

 

「てめっ…ゲームのルールを壊す気か……」

 

「こっちも信じていいんだな?エルザ」

 

エルザは黙って頷いた。

 

「可能か不可能かじゃねぇぞ!!!!お前の無事をだぞ!!!!」

 

 

(おまえとリートに救われた命だ。粗末にする気はない)

 

 

「くそっ」

 

ラクサスは、慌ててエルザを追いかけようとする。

 

「火竜の」

 

「咆哮!!!!!」

 

「ぬっ」

 

しかし、ナツのブレスで、ラクサスは足止めをされる。

 

「オレは おまえを倒す」

 

「このガキが」

 

 

 

………

 

 

(ウォーレン…どこだ?頼む、この街にいてくれよ)

 

リートは街を駆け回りながら、ウォーレンを探していた。

 

「………見つけた!!」

 

倒れていたウォーレンの元へ駆け寄ったリートは、ウォーレンを抱え起こす。

 

「ウォーレン!!しっかりしろ!!」

 

 

「うっ………リート……」

 

「無理をさせるようで悪ぃけど、手を貸してくれ。今はお前の力が必要だ」

 

リートはウォーレンの意識がはっきりしてきたのを確認すると、事情を説明する。

 

(あとは、他の奴らには悪いけど、命をかけてもらわねぇと…これが失敗したら、オレたちだけじゃなくて……この街の人全員が、全滅する!!)

 

 




実は主、reality(リアリティー)もしくはIRIAM(イリアム)というliveアプリをとっておりまして、最近もですがそこに出没するときがあります。
realityやIRIAMをダウンロードすれば主に会えるかも!?

リ「誰もアンタに興味ねぇだろ?」

主「貴様、言ってはならぬことを…貴様とバンクのBL小説を書いて投稿するぞ?」

リ「……ごめん、それだけは止めて…いやマジで」


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300の魔水晶

とりあえず神鳴殿終わらせます。そこまではやっとかないと


「このマグノリアの地を守る為に…剣たちよ、私に力を貸してくれ」

 

エルザは魔水晶を壊す為に天輪の鎧へと換装し、大量の剣を空中に浮かせていた。

 

 

………

 

 

「どらぁ!!」

 

ナツとラクサスの戦いは、先程より更に激しくなっていた。

 

「テメェにだってわかるだろ ナツ!!!今このギルドがどれだけふぬけた状況か!!!」

 

「オレはこのギルドを変える!!!その為にマスターにならなきゃいけねぇんだよ!!!」

 

ラクサスは戦いながら、神鳴殿発動までの時間を確認する。

 

【神鳴殿発動まで、あと1分30秒】

 

「何してやがんだジジィは!!!!街がどうなってもかまわねぇのかよ!!!!」

 

 

 

「そんなにあせんなよラクサス」

 

「!」

 

「どうせ何も起きねぇから」

 

ナツは、ラクサスを見ながらニヤリと笑った。

 

「何だと?」

 

 

「街を壊したっておまえには何の得もねぇ、今さら引くに引けなくて焦ってんだろ?」

 

「大丈夫さ、エルザやリートが止めてくれる」

 

 

 

「意地を通すのも楽じゃねぇよな!!!!ラクサス!!!!」

 

 

「テメェが知ったような口を……!!!!」

 

 

 

………

 

 

「198…はぁ はぁ 199……」

 

エルザは、300の魔水晶を一人で壊す為、剣の換装を続けていた。

 

「同時に破壊するには…まだ……」

 

「くっ…」

 

エルザも残りの魔力が少なくなり、耐えきれずに膝をついてしまう。

 

「もはや魔力ももたんか……時間もない…どうする……」

 

「はぁはぁはぁ……」

 

しかし、エルザは諦めずに換装を続ける。

 

「あと100…はぁ…あと100本の剣がなければ同時には……」

 

 

「ったく、リートといいアンタといい、どうしてそう仲間を頼ろうとしねぇんだか」

 

「!!!」

 

エルザの後ろから、アクナがやって来ていた。

 

「アクナ…さん?」

 

「50本でいい」

 

「え?」

 

「アタシが100個の魔水晶をぶち壊してやるよ。アンタは50本の剣で魔水晶をぶち壊しな」

 

「しかし!!!それでは残りの神鳴殿が…」

 

 

《おい!!!みんな聞こえるか!!?一大事だ!!!!空を見ろ!!!》

 

エルザとアクナの頭の中で、いきなり声が聞こえた。

 

「!!!」

 

「あん?なんだこれ?」

 

「ウォーレン!?」

 

「念話か…」

 

 

「ウォーレンっつーと……」

 

アクナがニヤリと笑う。

 

「成る程、リートが探してた奴かい」

 

 

《くたばってる奴は起きろ!!!》

 

 

 

 

「ウォーレン?」

 

「空って?」

 

「なんだありゃ」

 

街中で倒れていたギルドのメンバーも、ウォーレンの念話で次々と目を覚ます。

 

 

「んあ?」

 

そしてずっと眠っていたバンクも、目を覚ます。

 

 

《喧嘩してる奴はとりあえず中止だ!!!よく聞けお前ら!!!》

 

《あの空に浮かんでいる物をありったけの魔力で破壊するんだ!!!!あれはこの街を襲うラクサスの魔法だ!!時間がねぇ!!!一つ残らず全員でやるんだ!!!》

 

 

「ウォーレン おまえなぜ神鳴殿の事を」

 

《エルザか?どうやら石化は解けたみてぇだな》

 

ウォーレンの念話から、リートの声が聞こえてくる。

 

「リート…そうかお前が」

 

《あぁ、悪いがお前ら全員手を貸してくれ。下手をしたら命に関わるが、今はこれしか手がねぇんだ》

 

 

「おい、エルザが無事って事は他の娘たちは…」

 

「レビィは!!?」

 

 

 

「みんな無事よ安心しなさい」

 

「ビスカもちゃんと解けてるわ」

 

 

《ミラ…》

 

「リート……ごめんね、私ギルドを守れなかった」

 

ミラは、悲しそうな声でリートに話す。

 

《いや、おまえは十分やってくれたさ。ありがとな》

 

 

()()()()()()()()()()()()!()!()!()!()》》

 

「騒がしいことこの上ねぇな」

 

今のやり取りを聞いたアクナは、完全に呆れていた。

 

《すまねぇオレのテレパシーはギルドまで届かねぇ。とにかく、これが聞こえてる奴だけでいい!!あの空に浮かんでいるものを…》

 

 

《ウォーレン、テメェ……オレに何したか忘れたのかよ》

 

《マックス!!!》

 

マックスはウォーレンに、戦いで敗れていた。

 

《あん時はすまなかったよ…だって女の子助けるのに必死で……》

 

マックスの台詞を筆頭に、次々に他の者たちも、倒した相手に喧嘩を売る。

 

《オウ!!そうだ!!!聞こえるかアルザック!!!》

《テメェもだニギー!!ちくしょう!!!》

《さすがにトノは許せねぇぞ!!!》

 

 

 

 

《テメェらいい加減にしろよ……》

 

ゾクッ

 

ウォーレンの念話を通じてリートが全員に話す。

 

ウォーレンは、リートの怒りを感じとり寒気を感じていた。

 

《誰が誰にやられたとか今は関係ねぇ、そもそも負けたのはテメェらのただの実力不足だろうが。悔しかったら実力をつけてこい。喧嘩に負けたから勝った奴にイチャモンつけるとか、ガキみてぇなことしてんじゃねぇぞ。文句がある奴はこの一件が終わったらまとめてオレが相手してやるから全員でかかってこい》

 

《………………》

 

リートの言葉に誰一人、ぐうの音も出せずにいた。

 

《はっ…アタシの弟子だけあって言うじゃねぇか》

 

《アクナさん、あなたにもお願いできますか?》

 

《任せな》

 

すぅぅぅぅ

 

アクナは大きく息を吸い込む

 

「?」

 

近くにいたエルザは、なぜアクナが息を吸い込んでいるか分からずにいた。

 

《バァァァァァンク!!!!!聞こえてんなら返事しなぁ!!!!!》

 

 

ビリビリビリ…

 

あまりの大声に、エルザも含めた全員が耳を塞いでいた。

 

《デケェ声…》

 

 

《な…何か用でしょうか?……師匠……》

 

《アンタ、自分の場所から見える50個を担当しな、リート、アンタは10個でいい。その代わりこれが終わったらラクサスのクソガキを叩き潰してこい!!!!》

 

 

《うっす!!!》

 

《わかりました》

 

 

《とにかく、全員頼むぜ!!!》

 

全員が神鳴殿へと照準を向けた。

 

 

《決着はアレ壊した後だー!!》

 

《ビジターそこ動くなよぉ!!!》

 

《マカオ!!テメェにゃ無理だ寝てな》

 

《んだとワカバ!!!ジジィのくせにはしゃぎすぎなんだヨ!!!》

 

 

「ルーシィ、一個任すぜ、オレはこの場から計50個ぶち壊してやる」

 

「うん、行くよハッピー!!」

 

「本気?痛いよルーシィ」

 

「痛くてもやるの!!」

 

 

 

 

「いくぞ……」

 

アクナは魔水晶まで飛び上がると、100体に分身した。

 

《なんだあのバァさん…魔法か!?》

 

《いや、ありゃ……》

 

《ただ高速で動いて100体に見せているだけだな……》

 

ウォーレン達は驚いていたが、リートとバンクは冷静にアクナを分析していた。

 

《北の50個は私がやる!!!皆は他の箇所を全部撃破!!!》

 

《テメェら一つも残すなよ!!!》

 

 

リートは魔水晶を凍らせ破壊、バンクは岩柱を魔水晶の下から生やし破壊、アクナは分身体でそれぞれ魔水晶を殴り破壊、他の物もそれぞれ一つづつ魔水晶を破壊する。

 

ドォォォン!!!!

 

そして、魔水晶を壊した音に街の人達もそれぞれ反応する。

 

「何だ!?」

 

「花火か?」

 

「妖精の尻尾も年々やることがハデになってきたな」

 

 

 

「やった……か」

 

ビリビリビリビリ!!!!!

 

 

「「「「ぐわぁぁぁぁ!!!!!」」」」

 

魔水晶を壊したことにより、全員がダメージを受けた。

 

 

………

 

【神鳴殿機能停止】

 

神鳴殿が消えたことに、ラクサスは驚いていた。

 

それを見たナツは、笑ってラクサスに話す。

 

「言っただろ?何も起こらねぇって」

 

 

………

 

《みんな…無事か?》

 

 

《ケホッ…アタシはね》

 

アクナは少しだけ煤がついていた程度だったが、それ以外の者は、全員魔水晶により倒れていた。

 

《相変わらずの化け物ぶりで…師匠……》

 

《まったく…おまえ達はなんという無茶を》

 

《けど……生きてる…》

 

《あぁ…そうだな》

 

「よしっ」

 

リートは立ち上がって走り出した。

 

《お前ら、ありがとな。あとは任せろ》

 

 

 

………

 

 

「ギルドを変える必要がどこにある。みんな同じ輪の中にいるんだぞ」

 

「その輪の中に入ろうとしねぇ奴がどうやってマスターになるんだ!?ラクサス」

 

 

 

 

「おおおおおおぉ!!!!!!」

 

ラクサスは、魔力を一気に解放する。

 

「!!!」

 

「支配だ」




アクナさん、毎度のごとく化け物ぶりを発揮してますねぇ、このスタイルは変わらんなこれ……

さぁあとはリートをラクサスの元へ向かわせるだけ


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クワトロドラゴン

この作品でサブタイトルを毎回一言二言で決めてますけど、書いてて(あれ?これ前回もやったよな?)ってなることが最近増えてます。ちょっとヤバイかも?…


バチバチバチバチ!!!

 

「いい加減にしろよラクサス、妖精の尻尾は もうお前のものにはならねぇ」

 

「なるさ…そう、駆け引きなど初めから不要だった」

 

 

 

「全てをこの力に任せればよかったのだ!!!!圧倒的なこの力こそが、オレのアイデンティティーなのだからなぁ!!!!」

 

 

「そいつをへし折ってやれば、諦めがつくんだなラクサス!!!!」

 

ナツが、ラクサスに殴りかかろうと前に飛び出す。

 

「火竜の鉄拳!!!!」

 

ドゴォン!!!

 

にやっ

 

「!!!」

 

ナツの渾身の一撃だったが、ラクサスにダメージはない。

 

「まずは貴様だ…くくくっ」

 

「かかってこい妖精の尻尾!!!!オレが全てをのみ込んでやる!!!!」

 

 

ドギャ!!

 

ラクサスの雷で、ナツは勢いよく吹き飛ばされた。

 

「ぐはっ…ああああぁ!!!!」

 

「フハハハッ!!!!」

 

ラクサスはナツの顔に膝蹴りを入れ、追い討ちをかける。

 

ナツに反撃を許さぬように、ラクサスの攻撃はおさまらない。

 

ナツは蹴り飛ばされた勢いで、壁に足をつけ体制を立て直すと、目の前でラクサスが雷を纏い構えていた。

 

ドギャ!!

 

「ぐああっ!!」

 

電撃に直撃したナツは、地面に倒れる。

 

はーっはーっ…

 

「つ…強ぇな、やっぱり」

 

ラクサスは、拳を天に掲げていた。

 

「鳴り響くは招来の轟き…」

 

 

「やべぇ…体が」

 

 

「天より落ちて灰塵と化せ」

 

 

「くそっ…」

 

ナツは大きな攻撃がくるのをわかっていながらも、体が動かず、立ち上がることが出来ない。

 

 

「レイジングボルト!!!!」

 

ドォォォォン!!!!

 

ナツの頭上に、特大の落雷が落ちる。

 

オオオオォ…

 

「フフッ…フハハハハハハハッ!!!!」

 

「ナツぅこのギルド最強は誰だ?」

 

 

ナツの声は聞こえず、ラクサスだけがその場に立っていた。

 

「ハハハハハッ!!!粉々になったら答えられねーか!!!」

 

 

 

 

「仲間……じゃなかったのか?」

 

 

「!」

 

ラクサスの後ろから声が聞こえ、ラクサスは声のした方に振り返る。

 

「それを消して喜んでるとァどうかしてるぜ」

 

「ア?」

 

ラクサスが振り向くと、そこにはナツを片手に持ったガジルがいた。

 

「まぁ消えてねぇがな、コイツを消すのはオレの役目だからよぉ」

 

 

「ガジル…」

 

どすっ

 

「んがっ」

 

ガジルは、ナツを床に落とす。

 

「また獲物が一匹…ククク」

 

「消えろ消えろぉ!!!オレの前に立つ者は全て消えるがいい!!」

 

 

 

 

 

「消えねぇよ」

 

「!」

 

ガジルの後方からもう一人、リートが現れた。

 

「誰も消さねーし消させもしねーよ。オレが全部止めてやる」

 

 

「来たか…リート」

 

 

「よォ しばらく会わねぇ内にずいぶんと物騒な(ツラ)になったじゃねぇか、ラクサス」

 

 

 

「ラクサスはオレがやる……おまえらひっこんでろ……」

 

ナツは、残った力でなんとか立ち上がる。

 

「そういう訳にもいかねーんだよナツ」

 

 

「コイツには個人的な借りがあるんだヨ」

 

「だが、ヤツの強さは本物のバケモンだ。マカロフの血を引いてるだけの事はある」

 

「気に入らねぇが、やるしかねぇだろ」

 

 

「共闘だ」

 

「!!!」

 

ガジルの案を聞いて、ナツの表情が変わる。

 

 

「じょっ……冗談じゃねぇ!!!ラクサスはオレが倒すんだ!!つーかオマエとなんか組めるかよ!!!仮に組むとしてもリートとオレの二人でだ!!!」

 

「いいんじゃねぇか?」

 

ガジルの提案を、リートは賛成する。

 

「オイ!!リート!!!」

 

 

「しょーがねぇだろ?この三人の中で誰も戦いをゆずる気がねぇんじゃ、オレだってラクサスを倒すつもりだし」

 

 

「ってことだ、それによく見ろ あれがテメェらのしってるラクサスか?」

 

ナツは、ラクサスの顔を改めて見ると、ラクサスはとても正常とは思えないような顔で3人を見ていた。

 

「ハハハッ 消えろ 消えろ」

 

「…………」

 

 

「あれはギルドの敵だ!!!!ギルドを守る為にここで止めなきゃならねぇ!!!!」

 

「他の奴等は神鳴殿の反撃で全員動けねぇ、今ここで奴をくい止めねぇとどうなるか分かってんのか!?」

 

 

ガジルの説得に、リートとナツが間を開けてからガジルを見やる。

 

「お前がギルドを守る?」

 

「元を知ってる分、お前が言うとなんだかなぁ」

 

 

「守ろうが壊そうがオレの勝手だろーが!!!」

 

ナツはニヤリと笑う。

 

「この空に竜は三頭もいらねぇんじゃなかったか?」

 

「え?オマエそんな事言ってたの?」

 

「いらねぇな、だが こうも雷がうるせぇと空も飛べねぇ」

 

 

「まぁいいや…とにかく、共闘するならさっさやるぞ!!少なくともオレは、共闘してる間はお前らのサポートに回るつもりだ。死ぬ気で奴に勝ってこい」

 

「今回だけだからな」

 

「当たり前だ!!テメェとはいずれ決着をつける!!」

 

 

「行くぞ!!!」

 

 

「「オウ!!!」」

 

ナツとガジルが前に飛び出し、リートはその間に魔力を込める。

 

ズガガガガ!!

 

 

ナツとガジルは絶え間なく、ラクサスの身体にラッシュを叩き込む。

 

すっ

 

ガッ!

 

「っち…」

 

ラクサスが腕を動かし反撃に出ようものなら、リートはそれを氷で止め、ラクサスの動きを制限する。

 

ガッ!!

 

「ぐあっ」

 

しかし、ラクサスも氷の合間を縫って、ナツとガジルを蹴り飛ばす。

 

「ブレスだ!!!」

 

ガジルの意図を理解したのか、ナツは後ろを振り返りブレスの構えをとる。

 

「火竜の…」

 

ドン!!

 

ガジルはナツの背中に肘を当て、ラクサスに狙いをつけた。

 

「追加だ!!」

 

リートもガジルの意図を理解し、氷の柱をナツに向けて飛ばす。

 

「咆哮!!!」

 

氷の柱に至近距離でブレスを撃ったナツは、ガジルと共にラクサスの方へ飛び、ガジルは反動を利用して、鉄に変えた腕をラクサスに向けて放つ。

 

「鉄竜棍!!!」

 

ラクサスは、ガジルの攻撃をジャンプでかわす。

 

「フン、テメェらにもう用はねぇんだよ。今のオレの目的はリートだけだ」

 

ズガガガガ

 

ラクサスは空中から、下にいるガジルに向けて球状にした雷を大量に撃ち込む。

 

「ぐぁぁぁっ!!」

 

 

「うおおおおっ!!」

 

「!」

 

雄叫びのような声にラクサスが反応し、振り向くとナツが壁を垂直に走って上ってきていた。

 

「アイツはもうちょっとマシな動きはできねぇのかよ!!」

 

リートは、慌ててナツの援護にまわる。

 

リートは壁に足場を作り、ナツがそれを利用し、ラクサスの真上に飛び上がる。

 

「火竜の…鉤爪!!!」

 

ナツの蹴りで、ラクサスは床へと落ちて行く。

 

下からは、ガジルが鉄の槍を構えていた。

 

「鉄竜槍…鬼薪!!!!」

 

ズガガガガ

 

「火竜の…」

 

「鉄竜の…」

 

 

「いけ…お前ら」

 

 

「「咆哮!!!!!」」

 

ゴオオオォン!!!!

 

ナツとガジルのブレスが、ラクサスに直撃する。

 

ブレスによる爆発で煙が舞い、ラクサスの姿が煙に隠れる。

 

ザッ

 

「「「!!」」」

 

 

「三人…いや、直接的な攻撃をしてねぇリートを除くと二人か…二人合わせてこの程度か?」

 

 

煙の中から、ラクサスが出てきた。

 

滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)が聞いて呆れる」

 

 

「ほぼダメージ無しかよ…」

 

 

「バカな!!いくらコイツが強ぇからって、竜迎撃用の魔法をこれだけくらって……ありえねぇ!!!」

 

「そいつは簡単な事さ、ジジィがうるせぇからずっと隠して来たんだがな…特別に見せてやろう」

 

ラクサスの口をよく見ると、徐々にキバが生えてきていた。

 

「ま…まさか」

 

「ウソだろ……」

 

「……まさかとは思ってたが…やっぱりか」

 

ラクサスは腕に竜の鱗の模様が現し、それと同時に息を吸い込む。

 

「雷竜の…」

 

 

「オマエも滅竜魔導士だったのか!!!?ラクサス!!!」

 

 

「咆哮!!!!」

 

ラクサスのブレスが、3人に向かって行く。

 

(くっ…間に合わねぇ!!!)

 

リートは氷の壁を作ろうとするが、動き出した時にはブレスは至近距離まで迫ってきていた。

 

「「ぐぁぁぁっ!!!!!」」

 

ドゴオオォ!!!!

 

ブレスが消えると、ナツとガジルは倒れ込み、リートは顔を防ぐように防御して、何とか立っている状態だった。

 

「あ…うぁ…」

 

「くううっ…」

 

「…っつ……」

 

 

「まだ…生きてんのかヨ」

 

 

リートは、ラクサスを睨み付ける。

 

「テメェにオレが殺せるかよ」

 

「ぐううっ…」

 

「リート……」

 

 

倒れているナツとガジルの前に出て、リートはラクサスと睨み合う。

 

「ここからはオレがやる。異論は認めねぇからな」

 

「ようやくその気になったかヨ、リート」

 

「あぁ、テメェが望んだ戦いだ。こっから先は、例え家族でも、マスターの孫でも容赦しねぇぞ」

 

「来いよ、ここから先は、もう邪魔する奴はいねぇ…オレたちだけの戦いだ」

 

ラクサスとリートは、お互いに構えをとった。

 

「消してやる」

 

「ぶっ飛ばす」




次回はリートとラクサスをタイマンで戦わせますよ!!まだラクサス戦は続きます!!


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S級滅竜魔導士

さぁ、ここからは少しオリジナル展開です。皆さんもお付き合い下さい。


「消してやる」

 

「ぶっ飛ばす」

 

バッ!!

 

リートは前に飛び出し、ラクサスに迫る。

 

「雷竜の…」

 

ラクサスはそれを待ち受けていたかのように、両腕を合わせてリートの真上から拳を叩きつける。

 

(あぎと)ォ!!!」

 

ドゴォォン!!

 

 

 

「リート!!!」

 

リートに攻撃が直撃すると、ナツがリートの名前を叫ぶ。

 

「ふっ…」

 

ガッ

 

「!」

 

リートはラクサスの攻撃を頭に氷を張ることで防ぎきり、叩きつけられた低い位置のまま身体を捻らせ、ラクサスの足を引っかけ体制を崩させる。

 

「潰れろ!!」

 

起き上がったリートは、倒れたラクサスの腹を拳に氷を纏わせて全力で殴り付ける。

 

ドゴォォン!!

 

「がはぁぁっ!!」

 

「…ぐっ…調子にのってんじゃねーぞぉ!!!!」

 

ラクサスは殴り付けられた拳を片手で掴み後方へと投げ飛ばす。

 

ズザザザーッ

 

リートが空中で体制を立て直し床に着地すると、ラクサスはいつの間にかリートの後ろに回り込んでいた。

 

「オオオオォ!!!」

 

「オラァ!!!」

 

ラクサスの拳と、リートの回し蹴りがぶつかり合い、衝撃波が周りを襲う。

 

「すげぇ…リートのやつ、あの状態のラクサスと同等に張り合ってる…」

 

「ギヒッ…氷竜(セルシウス)のヤロォ、やるじゃねぇか」

 

 

グググッ

 

「グッ…」

 

「ラクサス…今のテメェじゃオレには勝てねぇよ、もう諦めろ」

 

「ふざけんなぁ!!!」

 

ラクサスは、ぶつけ合っている拳に力を入れる。

 

「……」

 

ふっ

 

「!!?」

 

リートはぶつけ合っていた足の力をわざと抜いて、ラクサスの体制を前に崩させると、ラクサスの腹に掌を添えた。

 

「氷竜の凍柱」

 

腹に添えていた掌から、氷の柱が飛び出し、ラクサスを壁まで吹き飛ばす。

 

「ぐおおおおっ!!!!」

 

ドカァァン!!

 

「わかったろ?今のオマエがオレとタイマンで戦ったら勝ち目はねぇんだよ」

 

ラクサスは、煙の中からブレスを撃とうと構えていた。

 

「雷竜の…」

 

「ちっ…氷竜の…」

 

リートも、即座にブレスの体制に入った。

 

「「咆哮!!!!」」

 

お互いのブレスがぶつかり合い、大爆発が起こる。

 

ゴオオオオォ!!!!

 

ナツとガジルは、爆風で吹き飛ばされそうになる。

 

「うおおっ!!?」

 

「ぐっ…なんて戦いをしやがるんだ。あの二人」

 

 

ブレスを打ち消されたラクサスは、かなり苛立っていた。

 

「くそっ!!」

 

 

「…滑稽だな」

 

 

「なんだと?」

 

リートに滑稽と言われたラクサスは、リートを睨み付けた。

 

「今のオマエは、自分の力を過信しすぎている…自分が妖精の尻尾で最強だと思い込むほどにな。だから、自分より強くなったオレに苛立ちを感じるんだろ?」

 

「そんなオマエを滑稽だと言ってんだよ」

 

 

「……なよ…」

 

 

「あ?」

 

 

「調子にのるなよォォォォ!!!!リートォォォォ!!!!!」

 

ラクサスは雷の槍を作り、リートに向かって放り投げる。

 

「雷竜方天戟!!!」

 

 

「テメェこそオレを舐めてんじゃねぇよ!!!」

 

リートは片足で槍を受け止める。

 

「なに!!?」

 

ズザザザーーーッ

 

「ぐっ…くっ……」

 

「だあぁぁぁりゃぁぁぁ!!!」

 

バチィィン!!!

 

リートが槍を踏み潰すと、雷の槍は霧散し消えてしまった。

 

「はぁはぁ…っどうしたよラクサス…これで終わりか?」

 

「くそっ!!」

 

「なら次はオレの番だ!!!」

 

リートは前に飛び出すと、ラクサスの顔を思いっきり殴り付ける。

 

「氷竜の硬拳!!!」

 

ドガッ!!

 

「ガッ…」

 

ラクサスは体制を崩し、後ろにのけ反るが、リートがラクサスの腕を掴み、背負い投げの要領で投げ飛ばした。

 

「らぁぁ!!」

 

ブォン!!

 

空中に投げ飛ばされたラクサスだが、ラクサスは片手をリートに向けて雷を飛ばす。

 

「フン!!!」

 

「甘ぇんだよ!!!ラクサス!!!」

 

リートは前方に氷の盾を創り、ラクサスの雷を受け流した。

 

バッ!!

 

攻撃を受け流した後、リートはラクサスの頭上まで飛び上がる。

 

「氷竜の鉤爪!!!」

 

足に氷を纏わせたリートは、ラクサスを蹴り落とす。

 

「ぐっ…」

 

 

「終わりにしてやるよ!!!…氷竜の……」

 

地面に叩きつけられたラクサスに向かって、リートは拳に何重にも氷を纏わせ落ちていく。

 

「剛拳!!!!」

 

ドォォォン!!!!

 

氷を消して、リートはその場から距離をとる。

 

「どうだ…結構効いたろ」

 

 

「クククッ…クハハハハ!!!」

 

氷の拳をくらったラクサスは、仰向けのまま笑い始めた。

 

「何がおかしいんだよ?」

 

 

「クククッ…リート、認めてやるよ。オマエはオレよりも強ぇ…」

 

 

「誰が誰より強ぇとかはオレには興味ねぇよ」

 

ラクサスは、のそりと立ち上がる。

 

「だが、それは今の間だけの話しだ。この勝負はオレが勝つ」

 

「テメェ…なにする気だ?」

 

ゴソゴソ

 

ラクサスはポケットから一つの魔水晶を取り出した。

 

「まさか、ジジィとの戦いで使うつもりだった物を今使うことになるとはな」

 

「それは?…」

 

ラクサスはニヤリと笑うと、リートの前に魔水晶を突き出す。

 

「この魔水晶には神鳴殿300個分よりも大量の雷の魔力が込められてる。これをオレが食べたら…説明しなくてもわかるんじゃねぇか?」

 

 

「まさか!!?」

 

ラクサスが口元に魔水晶を持っていく。

 

「くっ…させるか!!!」

 

「ちょっと遅ぇんだよ」

 

ガリッ

 

バチバチバチバチ!!!

 

ラクサスが魔水晶を食べると、身体中から先ほど以上の雷が放出される。

 

「ぐっ…」

 

「ハハハハッ!!!!リートぉ!!!惜しかったなぁ!!!オマエの負けだぁ!!!」

 

バチィ!!

 

「!」

 

ラクサスは一瞬で、その場から消え、リートの目の前に現れた。

 

「フン!!!」

 

ラクサスはリートの顔を目掛けて殴りかかり、リートはそれを何とか防御する。

 

ボキィッ

 

「がっ……!!?」

 

 

 

「ぐっ…リート……」

 

「氷竜のやつ…片腕を折られやがった」

 

 

 

リートは慌ててラクサスから距離をとる。

 

「これで片腕は使い物にならねぇな」

 

 

「へっ、テメェを倒すのに、腕一本使えなくなったところで、どーってことねぇよ」

 

リートの足元から雷が飛び出してくる。

 

(!!…ノーモーションでこの位置から雷を!!?)

 

バチバチバチバチ

 

「ぐあぁぁぁ!!!」

 

バタン

 

リートは雷に直撃し、倒れる。

 

「ぐっ…くそっ…」

 

 

「どーってことねぇなら遠慮はいらねぇよなぁ?立てよ、第2ラウンドと行こうぜ」

 

力を振り絞って立ち上がったリートは、何とかラクサスの方を見る。

 

「へっ…後悔すんなよ?ラクサス」




自分が強くなると、敵まで強くなっちゃう…ありきたりだったかな?


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心の内側

今回でラクサス戦終わらせます!!所々原作としっかり変えてますよ


ラクサスの攻撃で片腕を折られたリートは、とにかくいつでも動ける体制でラクサスの攻撃に備えていた。

 

「……」

 

「さっきの威勢はどうしたよ?リート」

 

「あんな魔水晶に頼ってるオマエを見て呆れてんだよ。あんなもんに頼るテメェなんかにはオレは絶対に負けねぇからな」

 

(とは言っても、既に体力も魔力もあまり残っていねぇ…なんとか早急に決着をつけねぇと)

 

リートは目がかすれる中、何とかラクサスを睨み付ける。

 

「ハハハハッ!!そうこねぇとなぁ!!さぁ!!かかってこいよリート」

 

「言われなくとも!!」

 

リートは足元に冷気を貯めて爆発を起こし、勢いよくラクサスに向かって飛び出す。

 

「オラァ!!」

 

ラクサスの顔を目掛けて飛び膝蹴りを仕掛けるが、ラクサスは身体をのけ反らせてギリギリでかわす。

 

「ちっ…」

 

ぐるん!!

 

飛び膝蹴りの体制から空中で、身体を捻ったリートは、今度は回し蹴りを仕掛けた。

 

ブン!!

 

しかし、それもラクサスはしゃがんで楽々とかわした。

 

「さっきよりもキレがなくなってんじゃねーかぁ!!!リートォォ!!!」

 

「うるせぇ!!まだこっからだろうが!!!」

 

リートは真下にいるラクサスに向けて、ブレスを放つ。

 

「氷竜の咆哮!!!!」

 

ドォォン!!!

 

……ブワァッ!!

 

「!」

 

ガシッ

 

煙でラクサスの姿が隠れたと思った瞬間、煙の中からラクサスの腕が伸び、リートの顔を掴んできた。

 

「どうした!!この程度かよ!!」

 

バチバチバチバチ!!!

 

「ぐあぁぁぁっ!!!」

 

パッ…

 

雷を浴びせられダメージを受けたリートの顔をラクサスは離した。

 

床にリートの足がつく瞬間に、ラクサスの蹴りがリートの腹に入った。

 

ドガァッ!!

 

 

「ごぉっ!!」

 

ズザァァーッ

 

 

「リート!!」

 

「氷竜!!」

 

ナツとガジルは、リートがやられる姿を見てかなり焦りだしていた。

 

「くそっ!!」

 

「やるぞ!!火竜(サラマンダー)!!」

 

ナツとガジルが立ち上がろうとするが、後ろからリートの声が聞こえる。

 

「お前らはまだ手ぇ出すなぁ!!!」

 

「「!!」」

 

「はぁー……はぁー」

 

リートは立ち上がり、ラクサスを方を見ていた。

 

「まだ生きてんのかよ」

 

 

「はぁっ…はぁっ…すぅぅぅーっ…はぁぁぁっ」

 

リートは深く深呼吸をすると、片手を上に上げる。

 

「?」

 

「滅竜奥義…」

 

リートは片手で、巨大な剣を作り出した。

 

「氷刀飛燕斬!!!」

 

ぐらっ

 

「!!」

 

片腕を振り下ろし斬激を飛ばすリートだったが、体制を崩し斬激はラクサスの横を通過してしまった。

 

(くそっ…やっぱ片手じゃ安定しねぇか……)

 

 

「はっ!!何をするかと思えば、でき損ないの滅竜奥義とは笑わせるじゃねーか」

 

(くそっ…これ以上は…もう)

 

 

「いい加減くたばれよ、リート」

 

「オマエらもエルザもミストガンも、ジジィもギルドの奴らもマグノリアの住人も……」

 

「全て消えされぇぇぇ!!!!」

 

ラクサスは、両手に膨大な魔力を込める。

 

 

「なんだ…このバカげた魔力は」

 

「この感じ……じっちゃんの…」

 

「この魔法…まさか!!!」

 

術者が敵と認識したもの全てが標的、マスターマカロフの超絶審判魔法

 

 

 

妖精の法律(フエアリーロウ)!!!!

 

 

ごぉぉぉぉ!!!

 

ラクサスの腕に、更に魔力が集まって行く。

 

「妖精の法律…マスタージョゼを一撃で倒したあの…」

 

「よせ…ラクサス」

 

「何とかして止めねぇと…」

 

ズキッ

 

「ぐっ…」

 

リートはラクサスを止める為動こうとするが、身体の痛みで、また膝をついてしまう。

 

 

「反則だろ!!!敵と認識した者全てが攻撃対象なんてよぉ……」

 

 

「うおおおおっ!!!」

 

そうしている間にも、ラクサスはどんどんと魔力を上げる。

 

「ラクサス!!!」

 

 

タッタッタッ

 

バン!!

 

「やめてーーっラクサス!!!!」

 

ラクサスが魔力を込めていると、教会にレビィが飛び込んできた。

 

「レビィ!!!」

 

「ぐっ…こんな時に…」

 

「バカが…何しに来た……」

 

 

 

「マスターが……あんたのおじいちゃんが……危篤なの!!!」

 

 

「「……」」

 

レビィの言葉で、一瞬だけラクサスは魔力を込めるのをやめた。

 

「だからお願いっ!!!もうやめてっ!!!!マスターに会ってあげてぇっ!!!!」

 

 

「き…危篤?……じっちゃんが……」

 

「マスターが……?」

 

 

「「死ぬ…?」」

 

 

「ラクサスゥゥゥ!!!!」

 

レビィはラクサスに呼び掛けるが、ラクサスから返ってきた言葉は予想に反したものだった。

 

「丁度いいじゃねぇか、これでこのオレがマスターになれる可能性が再び浮上したわけだ」

 

 

 

「ヤロウ…」

 

「………」

 

ギリッ

 

 

「ふははははっ!!!!!消えろ妖精の尻尾!!!!」

 

ラクサスは再度、妖精の法律を発動させようとする。

 

「オレが一から築き上げる!!!!誰にも負けない!!!!皆が恐れ(おのの)く最強のギルドをなぁ!!!!」

 

 

「そんな……」

 

 

「おまえは…」

「テメェは…」

 

「「なんでそんなに……」」

 

ナツとリートは怒りの表情でラクサスを睨み付ける。

 

 

「妖精の法律!!!!発動!!!!」

 

ラクサスが手を合わせると、マグノリア全体が光に包まれた。

 

カッ!!!

 

ズアアアアッ!!!!

 

光が収まり、ラクサスの息は上がっていた。

 

「はぁ…はぁ…オレは……ジジィを越えた」

 

ゲホッ ゲホッ

 

ゴホッ ゴホッ

 

「!」

 

ラクサスが顔を上げると、妖精の法律でダメージを受けた者は誰一人いなかった。

 

「そんなバカな…」

 

「なぜだ!!!?なぜ誰もやられてねぇ!!!」

 

 

 

「おまえ、無事か?」

 

ガジルは、レビィの安否を確認する。

 

「うん…平気…ナツとリートは?」

 

「オレは大丈夫だ…ナツは…生きてるからいい」

 

 

 

「どうなってやがる!!!!あれだけの魔力をくらって平気なわけねぇだろ!!!」

 

 

 

「ギルドのメンバーも町の人も皆無事だ」

 

教会の出入り口から、ボロボロのフリードがやって来た。

 

「フリード!!?」

 

 

「誰一人としてやられてはいない」

 

 

「そんなハズはねぇ!!!!妖精の法律は完璧だった!!!!」

 

 

「それがお前の心だ…ラクサス」

 

「おまえがマスターから受け継いでいるものは、力や魔力だけじゃない」

 

「仲間を想うその心」

 

「妖精の法律は術者が敵と認識した者にしか効果がない…言ってる意味がわかるよな?ラクサス」

 

すると、レビィがはっとした顔をする。

 

「心の内側を魔法に見抜かれた…」

 

 

「魔法に嘘はつけないなラクサス」

 

「これがお前の本音と言うことだ」

 

 

「……違う!!!!」

 

フリードの言葉を、ラクサスは全力で否定する。

 

「オレの邪魔をするやつは全て敵だ!!!敵なんだ!!!!」

 

 

「もうやめるんだラクサス…マスターの所に行ってやれ」

 

「ジジィなんかどうなってもいいんだよ!!!!オレはオレだ!!!!ジジィの孫じゃねぇ!!!!ラクサスだ!!!!ラクサスだぁーーーっ!!!!」

 

 

 

「みんな知ってる」

 

「あぁそうだ」

 

ナツとリートが立ち上がる

 

「思い上がってんじゃねぇぞラクサス」

 

 

「じっちゃんの孫がそんなに偉ぇのか?そんなに違うのか?」

 

 

「血の繋がりごときで吼えてんじゃねぇ!!!!」

 

「ギルドこそがオレたちの家族なんだ!!!!いつまで名前に囚われてやがるバカヤロウ!!!!!」

 

 

「テメェらに何がわかる」

 

ラクサスは歯を食い縛り、二人を睨み付ける。

 

「何でも分かってなきゃ仲間じゃねぇのか」

 

「わからねぇから仲間なんだよ、だからこそ助け合うんだよ」

 

 

「知らねぇから互いに手を伸ばすんだろぉ!!!!ラクサスゥゥゥゥ!!!!」

 

「くだらねぇプライド捨てて今すぐ手を伸ばしやがれぇぇぇ!!!!」

 

 

 

「黙れぇぇぇぇ!!!!」

 

ナツとリートがラクサスに殴りかかり、ラクサスも拳を握る。

 

「オォォォォ!!!!!」

 

「今すぐオレの前から消えろぉォォ!!!!」

 

ラクサスの拳をリートが受け止め、軌道を反らせる。

 

「!」

 

ドゴォォン!!!

 

「ぐああっ!!!」

 

リートは反らせた拳を伝って、ナツは振りかざした勢いのまま、二人同時にラクサスを殴り飛ばす。

 

「このくたばり損ない共がぁぁぁ!!!!」

 

体制を立て直したラクサスは、今まで以上の特大の雷の槍を構える。

 

「跡形もなく消してやる!!!」

 

 

 

「よせラクサス!!!今の二人にそんな魔法を使ったら!!!」

 

 

「ナツ!!!即興だ!!!合わせろ!!!!」

 

「オォ!!!!」

 

リートとナツは背中合わせになり、ナツは右掌を、リートは左掌を突き出し、ラクサスに向ける。

 

 

「雷竜方天戟!!!」

 

「殺す気かぁ!!!」

 

 

「ナツ!!こうなったら後には引けねぇ!!!あれは気合いで耐えきれ!!!」

 

「オオオオォ!!!」

 

カクン

 

「「!!?」」

 

ラクサスの投げた槍は、二人に当たる前に軌道を変えた。

 

その先にはガジルが、腕を鉄に変えて立っていた。

 

「うおおおっ…がぁぁっ!!」

 

「ガジル…」

 

「鉄?…まさか自ら避雷針に……」

 

「行け」

 

 

リートとナツは、突き出した腕に魔力を込める。

 

「おのれぇぇっ!!!」

 

 

「今だ!!!」

 

ナツとリートの掌から炎と冷気が放出された。

 

合体魔法

 

 

 

氷炎 竜激波!!!!

 

 

 

ズオオオオオォ!!!!

 

炎と冷気の合わさった二人の技が、ラクサスを飲み込む。

 

「グオアアアアアアァ!!!!」

 

 

技が消えると、そこにはラクサスが倒れている姿があった。

 

(ラクサスが……負けた)

 

「「オオオオォォォォォ!!!!!」」




氷炎 竜激波のイメージは、二人ファイ●ルフラッシュ的な?イメージですはい


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アイツのやり方

今回の一件でミラが頑張ってくれたので、リートからご褒美を…と意見があったので只今考えていますが、何にしようか結構悩んでますw

遊園地?ゲーセン?…そもそもあの世界にあったっけ?

水族館?…魚知らねぇし…

祭り?…は前にやったし

海?プール?…祭り含めて夏ばっかじゃん

ってな感じになってますw やっべ、決まんねぇ

いっそミラの買い物に荷物持ちとして行かせてやろうかな?


ざわざわ

 

バトル・オブ・フェアリーテイルから1日が経ち、街では未だに収穫祭が続いていた。

 

「ファンタジアは明日の夜に延期だってよ」

 

「何があったんだ?」

 

「昨日はギルドの奴らが騒がしかったからな」

 

「噂じゃマスターの容態がよくねぇらしいぞ」

 

「オイオイ、まさかあのじーさん引退しちまうんじゃ……」

 

「次のマスターはどうすんだよ」

 

「そこまではわからねぇけど、普通に考えればラクサスじゃねーのか?」

 

街でギルドの事を話している町人たちが感慨深そうに話す。

 

「あの暴れん坊がマスターねぇ」

 

「なんか感慨深いのがあるな」

 

「あいつがガキだった頃から知ってんもんな」

 

「うちらも歳をとったってことだ」

 

「「「ははは!!」」」

 

 

………

 

 

『妖精の尻尾ギルド』

 

「ポーリュシカさんのおかげで一命はとりとめたそうだ安心してくれ、マスターは無事だ。今はリートに様子を見て貰っている。目が覚めたら知らせてくれるそうだ」

 

オォォォォ!!!

 

エルザからマカロフが無事と聞いて、ギルドの中では歓声が上がる。

 

「よかったぁ!!一時はどうなるかと思ったケド」

 

「あのじーさんがそう簡単にくたばる訳ねーんだ」

 

 

「しかし、マスターもお歳だ。これ以上心労を重ねればまたお体を悪くする。皆もその事を忘れるな」

 

エルザは全員に、軽く注意する。

 

「こんな状況で本当にファンタジアやるつもりなのか!?」

 

「マスターの意向だし…こんな状況だから…って考え方もあるわよ」

 

 

「ジュビアもファンタジア楽しみです」

 

「あんたは参加する側よ」

 

ファンタジアを見ることを楽しみにしていたジュビアに、カナからの参加発言に驚きを隠せずにいる。

 

「ええ!?」

 

「だってジュビア入ったばかりだし」

 

 

「ケガ人多いからね、まともに動ける人は全員参加だって」

 

「仕方ありませんわ、本来とは大きく予定も狂ったんですもの」

 

ハッピーとラリカが説明する。

 

「じゃあ、あたしも!?」

 

 

「バンクも参加ですわよ?」

 

「そういえば、バンクは?」

 

ラリカが、ギルドの出入り口の方を指差す。

 

「あそこでアクナさんにお説教されてますわ」

 

 

 

「オイコラ、バンク…テメェバトル中に寝てたそうだな」

 

「いや、術式に捕まってたので少しでも体力温存にと…」

 

 

たんこぶを作り正座させられるバンクの前で、アクナは仁王立ちでバンクを見下ろしていた。

 

「だからって寝てるやつがあるかボケが、術式が解けてすぐに動かねぇと体力温存もクソもねぇだろうが」

 

「はい…すんません師匠……」

 

 

「邪魔しない方が良さそうね…」

 

ルーシィが二人のやり取りを見て、少しだけ引いていた。

 

「それに見ろよ、あんなの参加できねーだろ」

 

「!!」

 

グレイが差した方には、ナツとガジルが包帯だらけになって、ベンチに座っていた。

 

「…だね」

 

 

「ふぁがふんごが!!あげがあんがぐぐ!!」

 

 

口まで包帯を巻かれたナツが、何かを叫んでいる。

 

「なに言ってるかわかんないし」

 

 

「無理だね参加できる訳ねーだろクズが」

 

「おがえがべおごおご」

 

「それは関係ねーだろ」

 

なぜかガジルだけ、ナツとの会話が成立していた。

 

「何で通じてるのかしら…」

 

 

「でもまぁこれで…ギルド内のごたごたも、一旦片付いた訳だ」

 

ザッ

 

そして、ギルドで盛り上がっている中で、入り口から一人の影が現れた。

 

「おまえ!!」

 

 

………

 

 

『ギルド奥医務室』

 

「……」

 

リートはマカロフの寝ているベッドの横に椅子を置いて、マカロフが目を覚ますのを待っていた。

 

「…リート…」

 

「!!マスター!!!」

 

ガタッ!!

 

マカロフが目を覚ました事により、リートは慌ててマカロフに近づく。

 

「ラクサスは…どうなった?」

 

「オレたちに負けて…今は大人しくしています…」

 

「そうか……」

 

「すまんかったのぉ、リート…オマエさんらが修行から帰って来て早々にこんな事件に巻き込んでしまって」

 

「いえ、マスターもいわば被害者ですし、終わったことをとやかく言うつもりはありません」

 

「そうか」

 

「けど、一つだけオレからの頼みを聞いてもらえませんか?」

 

「なんじゃ?」

 

 

………

 

 

「ラクサス!!?」

 

ギルドに現れたのは、今回の事件の首謀者であるラクサスだった。

 

「ジジィは?」

 

 

「てめぇ……どの面下げてマスターに会いに来やがった」

 

「そーだそーだ!!」

 

ラクサスが現れた事により、ギルドが更に騒がしくなる。

 

「そーとー嫌われましたわね、ラクサスったら」

 

「あれだけの事をしたんだもん、仕方ないわよ」

 

 

「よさないか、オマエたち」

 

エルザが、メンバーの暴動を抑える。

 

「奥の医務室だ」

 

「オイ!!エルザ!!!」

 

ラクサスは、黙って医務室に向かう。

 

「んがぁー!!!ふぁぐあぐー!!!」

 

ナツが、ラクサスの前で立ち止まる。

 

「ナツ」

 

 

「ぎがんでぃあぐばあごんがふぁごぁ!!!」

 

 

ナツは、ラクサスに指を指して何かを伝えようとする。

 

「フゥーフゥーフゥー」

 

 

「三対一でこんなんじゃ話しにならねぇ、次こそはぜってー負けねぇいつかもう一度勝負しろラクサス!!!だとよ」

 

ガジルが、ナツの台詞を通訳する。

 

「だから、どうしてアナタにはナツの言ってる事がわかりますの?」

 

「次こそは負けない…って勝ったんでしょ?一応」

 

「オレもアレを勝ちとは言いたくねぇ」

 

「あいつはバケモンだ。ファントム戦に参加してたらと思うとゾッとするぜ……」

 

カツ カツ

 

ラクサスはナツに返事することなく、ナツの横を通りすぎる。

 

「ふぁぐあぐ!!!」

 

スッ

 

ラクサスの返事はなかったが、黙って振り返らずにナツに向けて手を降って医務室へと向かっていった。

 

 

「さぁ みんな、ファンタジアの準備をするぞ」

 

「オイ!!いいのかよ!!ラクサスを行かせちまって」

 

「大丈夫よきっと」

 

「ってかミラちゃん!!何でケガしてんだよ!?誰にやられたの!?」

 

「それ、リートにもさっき聞かれたわ」

 

「ミラとできてますものねぇ」

 

「「「ちくしょう!!」」」

 

「ナツ…おまえラクサスよりひでーケガってどーゆー事よ」

 

「んがごがー!!」

 

「こんなの何ともねーよだとよ」

 

「ナツー血ィ!!血ィ出てる!!」

 

 

………

 

カツ カツ カツ……

 

ラクサスが医務室に着き、ドアを開けようとすると中からマカロフとリートの会話が聞こえ、手を止めた。

 

「頼みとはなんじゃリート……」

 

「ラクサスの…今回の事件の罰を…無くしてくれとはいいません、けど…少しでも軽くしてやることはできませんか?」

 

 

ピクッ

 

マカロフと、外から聞いていたラクサスの体がリートの言葉に反応する。

 

「お前…何を言ってるか分かっておるのか?」

 

「はい…あいつがやったことは、本来決して許してはいけない事とは十分わかっているつもりです……」

 

「ならばなぜ?」

 

「でも、アイツはアイツなりにギルドの事を考えた上で今回の暴動を起こしたということも分かるつもりなんです。やり方は確かに間違っていました…けどギルドを想っての行動ってことだけは譲歩する余地にはなりませんか?」

 

マカロフは、黙って下を向きしばらく黙り込むと、もう一度リートの方を向く。

 

「リート…すまんが……!!?」

 

リートはマカロフに対して、片手と頭を床に付けていた。いわゆる土下座の体制である。

 

「お願いします。罰を軽くすることができないならオレがアイツの分を半分一緒に罰を受けます」

 

「なぜそこまでラクサスをかばう?お前に何の得がある?」

 

「得とか損とか考えたことはありません…ただ……」

 

「ただ?」

 

「アイツもオレの家族だから……間違ったなら家族であるオレ達がまた正してやらねぇと…それが…家族ってもんだから…だからどうか……」

 

マカロフは、リートの言葉を聞いて黙り込む。

 

「マスター…」

 

 

ガチャ

 

「もういい」

 

扉の奥から、ラクサスが入ってきた。

 

「ラクサス…」

 

「これ以上、オレに恥をかかせんな」

 

「……」

 

ラクサスは、リートよりも前に出る。

 

マカロフが、リートからラクサスの方へと視線を変える。

 

「おまえは…自分が何をしたかわかっているのか」

 

しかし、ラクサスはマカロフとは違う場所を向いていた。

 

「ワシの目を見ろ」

 

その言葉で、ラクサスの視線がマカロフの方へと変わる。

 

「ギルドというのはな、仲間の集まる場所であり、仕事の仲介所であり、身寄りのねぇガキにとっては家でもある。そこのリートのようにな」

 

「おまえのものではない」

 

「ギルドは一人一人の信頼と義によって形となり、そしてそれはいかなるものより強固で堅固な絆となってきた」

 

「おまえは義に反し仲間の命を脅かした。これは決して許される事ではない」

 

 

「わかってる……オレは…このギルドをもっと強く…しようと……」

 

ラクサスは、自分の拳を見つめて力を入れる。

 

 

そして、マカロフがベッドから降り、ラクサスの前に立つ。

 

「まったく…不器用なやつじゃの…もう少し肩の力を抜かんかい」

 

「そうすれば今まで見えなかったものが見えてくる。聞こえなかった言葉が聞こえてくる」

 

「人生はもっと楽しいぞ」

 

マカロフは、ラクサスに笑いかける。

 

「ワシはな…おまえの成長を見るのが生きがいだった。力などいらん賢くなくてもいい……何より元気である それだけで十分だった」

 

「……ラクサス…おまえを破門とする」

 

「マスター!!」

 

バッ!!

 

マカロフの判断に意見しようとするリートだったが、ラクサスがそれを手で止める。

 

「おまえ…」

 

マカロフは後ろを向いていた。

 

「いいんだ…世話になったな」

 

そう言って、ラクサスは医務室のドアを開ける。

 

「じーじ」

 

「!!」

 

「体には気をつけてな」

 

 

「出でいげ」

 

マカロフは振り返らずにそう言ったが、リートには、マカロフが泣いているのを感覚で分かっていた。

 

 

バタン…カツ カツ カツ

 

「待てよラクサス!!!」

 

ラクサスが去ろうとしているのを、リートが声をかけて止める。

 

「必ず戻ってこい!!何年、何十年かかったって構わねぇ!!誰が何と言おうとどれだけオマエが腐っていようと、オマエはオレ達の大事な家族だ」

 

ラクサスは、振り向かずにリートに手を降る。

 

「約束したからな!!!」




ラリカ…かなり久々に出した気がする…

それよりも!!ミラへのご褒美、何かいい案があればぜひコメントで教えて下さい。皆さん是非ともお願いしまぁす!!


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幻想曲(ファンタジア)

毎回スマホを使いラクサスって文字を打つわけですが、変換表示にレクサスって出るのやめてほしい…一文字目違うじゃねぇか!!って打ち間違える度に思うんですよねぇ


ラクサスは雷神衆の3人に、自分が破門になったことを告げた。

 

「冗談じゃないわよっ!!!何でアナタだけ破門なの!!?」

 

「オレたちだって罪は同じじゃねーのかよ!?」

 

 

「ジジィが決めたことだ」

 

 

「だったら私だってやめてやるわよ!!!」

 

「オレだっておまえがいなきゃよう」

 

ラクサスの破門について、エバーグリーンとビックスローの二人はもう抗議するが、フリードだけは、黙って下を向いていた。

 

「めんどくせぇ奴等だな『じゃあな』の一言も言えねーのか?」

 

そしてようやく今まで口を開かなかったフリードが、ラクサスに訪ねる。

 

「何で…一人で全ての責任をとろうとする」

 

「そんなんじゃねーよ。おまえらと違ってオレにはこのギルドに何の未練もねぇからな」

 

 

「私達がマスターに頼んでみるわ!!」

 

「きっとナツやリート、グレイだって反対してくれる!!!あいつら何だかんだ言っておまえの事……」

 

「ラクサス…」

 

 

ラクサスは雷神衆に背を向けて、歩きだしながら手を降った。

 

「元気でな」

 

 

 

「ラクサス!!!」

 

「ふざけんなよっ!!!雷神衆はどーなるんだよっ!!!」

 

「……また会えるよな…ラクサス」

 

 

 

それから数時間後、収穫祭の目玉である幻想曲のパレードが始まった。

 

パレードを率いるのは、妖精の尻尾のメンバーが、ほぼ全員で率いて大盛り上がりだった。

 

ラクサスは街に生えていた木の裏から、アクナやミストガン等は、観客に混じってパレードを観覧していた。

 

「ミスFTに出てた女のコ達だっ!!」

 

「かわいー!!」

 

「いいぞー!!!」

 

「まさに妖精だぁ!!!」

 

パレード用の乗り物の上で、ルーシィ、レビィ、ビスカ達が踊っている。

 

それの後にも、続々と様々な乗り物が観客の中を通過し、パレードは更に盛り上がる。

 

「エルフマンよ!!」

 

「すげぇ迫力!!!」

 

エルフマンは、テイクオーバーで体の大きな怪物を表現する。

 

そして、エルフマンの足元から一輪の大きな薔薇の花が現れ、薔薇の中からミラが出てきた。

 

「ミラちゃんだー!!」

 

「待ってましたー!!」

 

ミラはテイクオーバーで、エルフマンよりも圧倒的に大きなトカゲに変身し、観客を驚かせていた。

 

 

その後ろからは、グレイとジュビアが、氷の城を乗せた乗り物と一緒に現れる。

 

「何あれ!?氷のお城!!!」

 

「キレ~水が吹き出してる」

 

そして、ジュビアが水を操り、グレイがその水を凍らせてFAIRY TAILの文字を城の上に浮かび上がらせる。

 

そして、その後次はエルザが、いくつもの刀を操っていた。

 

「妖精女王が来たぞっ!!!剣が舞ってる!!」

 

「うわぁ!!」

 

「オレの嫁になってくれ!!!」

 

 

エルザは換装すると、日本の剣を持ってソードダンスを披露する。

 

オオオオオオォ

 

 

 

ボゴォ ヒュオオォ

 

エルザの後ろからは、炎と冷気を灯した台と一緒にナツとリートが現れ、その回りではハッピーとラリカが飛び回っていた。

 

スウウゥッ

 

ボウボゥボゥ!!

 

ヒュッヒュッヒュ

 

ナツとリートはそれぞれFAIRY TAILの文字を空中で一文字ずつ交互に浮かび上がらせる。

 

「すげぇ!!炎と氷の文字だ!!」

 

「さすが双竜!!」

 

「息ピッタリね!!」

 

するとナツとリートが作った文字を、バンクが拳から風の塊を放ち、一文字ずつ消していった。

 

バンクによって撃ち抜かれた文字が結晶となり、観客の上からゆっくりと舞い落ちてくる。

 

「すげぇぞ!!」

 

「キレ~」

 

「幻想的~」

 

 

最後にマスターであるマカロフが、乗り物に乗って登場する。

 

「マスターだ!!」

 

「マスターが出てきたぞ!!」

 

マカロフは乗り物の上で、猫耳の帽子を被り、ピエロのような服を着て、両腕をヒラヒラとふりながら踊っていた。

 

「なんか妙にファンシーだ」

 

「似合ってねぇ!!」

 

「そのコミカルな動きやてめくれ」

 

 

ラクサスはそれをずっと見ており、過去の事を思い出していた。

 

【じーじ!!今回は参加しないの!?ファンタジア】

 

【おまえの晴れ舞台じゃ客席で見させてもらうよ】

 

【じーじのトコ見つけられるかなぁ?】

 

【ワシの事などどうでもよいわ】

 

【じゃあさ、オレ…パレードの最中こうやるから】

 

小さい頃のラクサスは、右手を上に上げ、人差し指と親指を立てる。

 

【何じゃそりゃ】

 

【メッセージ!!じーじのトコ見つけられなくてもオレはいつもじーじを見てるって証】

 

【ラクサス…】

 

マカロフは涙ぐんでいた。

 

【見ててな!!じーじ】

 

 

ラクサスは昔の回想を終えると背を向けて立ち去ろうとする。

 

しかし、振り返ると、マカロフや妖精の尻尾の全員が、右手を上に上げ、人差し指と親指を立ててポーズをとっていた。

 

「じーじ…」

 

ラクサスは、その光景に涙を流す。

 

(たとえ姿が見えなくとも、たとえ遠く離れていようと…ワシはいつでもおまえを見てる…おまえをずっと……見守っている)

 

「あぁ、ありがとな」

 

 

………

 

『闇ギルド大鴉の尻尾本拠地』

 

「カラスゥ~おまえはなぜにそんなに美しい」

 

一匹の鴉に向かって、1人の男が歩み寄っていく。

 

「あ?そりゃあ嫌われモンだからってよぉ?」

 

「よしよしぃ」

 

カァーカァー!!

 

男は飛び立とうとする鴉を捕まえ、紙に変えてしまった。

 

「美しいものは儚い命だ。ぶはは」

 

「なぁ、ガジルちゃん」

 

「………」

 

男の後ろには、ガジルが壁に寄りかかって立っていた。

 

「ラクサスが滅竜魔導士だなんて聞いてなかったぞ」

 

「ぷふぅ…ぶわぁっははは!!」

 

男はガジルの言葉を聞いた後、いきなり笑いだした。

 

「あれはニセモノ、ニセモノちゃんよぉ」

 

男の名はイワン、大鴉の尻尾のマスター・イワンだ。

 

そして、ラクサスの父でもあった。

 

「ニセモノ?」

 

「アイツは小せぇ頃から体が弱くてなぁ、不憫に思えたオレはラクサスの体に魔水晶を埋め込んだ」

 

「滅竜魔法を使える魔水晶だと!!?」

 

「めんずらしいだろぉ?」

 

「奴は破門されここに来るだろう。丁度いい」

 

「あの魔水晶は金になるって最近知ったんだよぉ、それも信じられねぇほどの金になぁ」

 

「と…取り出す気なのか?そんな事したらラクサスは……」

 

「ぶはははっ!!!!元々あのガキには過ぎた力よ。パパがスッキリ元の子に戻してあげちゃうよぉ」

 

「今は金だ…お金ちゃんよぉ」

 

「妖精の尻尾と抗争するだけの金がいるんだょ」

 

イワンは、ガジルの耳元で声色を変えて話す。

 

「おまえはもう少し潜入を続けろぉ、いいか?スパイだとバレてもこの場所だけは吐くんじゃねぇぞ」

 

ガジルもそれに笑って答える。

 

「ギヒッそんなヘマはしねぇよ」

 

 

………

 

『妖精の尻尾ギルド』

 

ガジルは、妖精の尻尾に戻ってきていた。

 

下ではファンタジアの打ち上げで、全員が大はしゃぎしているのを、ガジルは上からただ眺めているだけだった。

 

「ガジル」

 

「!」

 

マカロフが、ガジルに声をかける。

 

「ファンタジアの打ち上げには参加せんのか?」

 

「ガラじゃないんでね」

 

「そうか」

 

マカロフは、ファンタジアで着ていた服を脱ぎ始める。

 

「ふぃー、収穫祭も無事終了か。明日からは街の修復も手伝わんとな、やれやれ」

 

「マスター」

 

ガジルがマカロフに近寄り、一枚の小さな紙を手渡す。

 

「マスターイワンの…アンタの息子の居場所を突き止めた」

 

「よくやってくれた、スマンな……危険な仕事を任せて」

 

「オレが二重スパイだってのはバレてねぇ、それよりヤツはラクサスの魔水晶を狙っている」

 

「居場所さえ分かればどうとでもなる。奴の好きにはさせん」

 




今日は一気に2つ投稿します。本編とオリジナルです。
因みにオリジナルの話をやるので、ルーシィの親父さんは別ルートで進行中ってことで跳ばすことにしました。
………なんかすんません


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オリジナル物語3
新春サブスペシャル


皆様、明けましておめでとうございます。

せっかく年が明けたのにオリジナルの話しも無しってのは主的になんか嫌だったので、即興ですがオリジナルの話しを作ってみました。即興なので、面白味の保証はしかねますw

そして、最近また遅れてしまっていますが、しっかりと新話も執筆してますので出来上がり次第投稿します!!だから安心してください!!


「リート、明けましておめでとうですわ」

 

「は?なんだそれ?」

 

リートは年明けに、ラリカから新年の挨拶を言われるが、それを知らないため呆けた顔をしていた。

 

「東洋のごく一部の国では、年が明けるとこのような挨拶をするらしいですわよ」

 

「へぇー」

 

「ほら、私も挨拶したのですから、リートも挨拶をしてくださいまし」

 

「お、おう、えーっと…明けまして…おめでとう……だっけか?」

 

「よろしい、さて、挨拶もすんだ事ですし、早くギルドに行きますわよ」

 

「へいへい」

(どこからこーゆー知識を得てくるんだかなぁコイツは…)

 

リートとラリカは、足早にギルドへと向かって行った。

 

 

………

 

リートとラリカがギルドに着くと早速、ルーシィが挨拶をしてくれる。

 

「あっ、リート、ラリカおはよう」

 

「おう、おはようさん」

 

「ルーシィ、明けましておめでとうございますわ」

 

「?なにそれ?」

 

「あー、東洋の年越しを祝う挨拶なんだと、今日1日ラリカは、この挨拶をして回るらしいぞ」

 

「へぇー、物知りねラリカって」

 

「いえ、私はまだまだお勉強中の身ですわよ」

 

「はは、エライわねラリカって、じゃあアタシも、明けましておめでとう」

 

「はいですわ」

 

その後リート達は、ナツ、グレイ、エルザ、ハッピーと合流し、仕事を探してリクエストボードに集まっていた。

 

「なぁリート、なんかいい仕事あったか?」

 

「いいや、グレイとエルザは?」

 

「こっちもだ。あまりよさそうな仕事はねぇな」

 

「こちらもだ、やはり年明けは皆、家族で静かに過ごしたいのだろう」

 

 

 

「ねぇー皆~こっちに面白そうな仕事があったわよ」

 

ルーシィがそう言って一枚の依頼書を持ってきた。

 

「?なになに…食べると願いが叶うと言われる、年が明けてから3日間の間にしか咲かない魔法の花を摘んで来てほしい?」

 

「願いが叶うってロマンチック~」

 

「ほう、面白そうだな」

 

 

「うさんくせぇなー」

 

「聞いたことねぇぞそんな花の事なんて」

 

「オレもだ」

 

「オイラもー」

 

 

「全く、うちの男性連中は、ロマンがありませんわね」

 

 

「「「ほっとけ」」」

 

ルーシィとエルザとラリカは乗り気だが、他の男性陣はその話しを疑っていた。

 

「まぁ、他にいい依頼もないし、これで行くか」

 

そう言ってリートは、ミラに依頼書を出しに行く。

 

「ミラ、悪いけど、この仕事行ってくるから手続きよろしく頼む」

 

「えぇ、いいわよ♪あ、そうだリート、あなたの家の鍵を貸してくれない?」

 

「?いいけど、どうしたんだよいきなり」

 

「せっかくの年明けだし、貴方の部屋の片付けをしようかな?って思って、もしかして…ダメだった?」

 

「いや、むしろ助かる」

 

リートは、自分の家の鍵を取り出して、ミラに渡した。

 

「ありがと♪じゃ、仕事行ってらっしゃい」

 

「おう、行ってきます」

 

 

………

 

 

「依頼書に書いてあった花はこの辺りか…」

 

花を探しに山へと来たエルザは、辺りを見回す。

 

「今のところ、それっぽい花はありませんわね」

 

「そうだな」

 

「やっぱりガセだったんじゃねぇか?」

 

「そんなはずありませんわ!!!絶対に願いが叶う花は存在しますわ!!!」

 

「…何でそんなに必死なんだよ…」

 

「確か、ルーシィが依頼書に書いてある説明を元に花の絵を描いてくれたはずだよ」

 

「うん、一応想像でだけど…こんな感じだと思う」

 

ハッピーに言われ、ルーシィが紙を取り出し、全員に見せて確認する。

 

「とりあえず、もうちょっと探してみようぜ、ここでじっとしてても仕方ねぇ」

 

リート達は、更に山奥へと入って行った。

 

「腹減ったなー」

 

「あい」

 

「我慢してくださいまし」

 

山奥へと進んだリート達は、少し離れたところに人影がいるのを見つける。

 

「誰かいる」

 

「え!?こんな山奥に!?」

 

「オイラ達みたいに花を探している別のギルドかもよ」

 

「とにかく、皆いつ戦闘になってもいいように、警戒しておけ」

 

リート達は、敵かもしれない4人の人影に、警戒しながらも近づいて行く。

 

「あ?誰だオメェらは」

 

「俺達の邪魔しようってのか?」

 

「いい度胸だ」

 

「フン」

 

向こうもリート達に気が付き、挑発をしてきた。

 

「あん?テメェらこそ誰だよ」

 

「喧嘩なら買うぞコラ」

 

グレイとナツは、相手の挑発にあっさりとかかった。

 

「なんで会って早々喧嘩なんだよ…」

 

「やめんか貴様ら!!!」

 

「「あい!!!」」

 

エルザの喝でナツとグレイが大人しくなった。

 

「相変わらずね…エルザは」

 

「あい!!」

 

「それがエルザですわ」

 

 

「ってかお前らは一体誰で、何の目的でこんなところにいるんだ?」

 

リートが率先して4人に話しかける。

 

「へっへっへ俺達は新設魔導士トレジャーギルド、蛇の口(スネークマウス)の者だ」

 

「この山にお宝になる花が咲いているという情報を聞いて独占しに来たんだよ」

 

「見たところお前らも目的は同じようだが、残念だったな。この森に咲いている花は全て俺達がいただく」

 

「フン」

 

その話しを聞いて、ラリカが口を挟む。

 

「頂くも何も、あなた方もまだ見つけてないのではありませんの?」

 

「言ってやるな…」

 

 

「それよりもそっちの女二人、結構いい女じゃねぇか」

 

「確かに、おいテメェら、女を置いてとっとと帰りな」

 

「それとも、ここで俺達にボコボコにされるか?」

 

「フン」

 

 

 

「「「「は?」」」」

 

「あらら…」

 

ナツ、リート、グレイ、エルザは、今の言葉で完全にキレた。

 

「今なんつった?」

 

「オレたちの仲間を見捨てて帰れってか?」

 

「ボコボコにされるのはどっちだろうな」

 

「貴様ら、覚悟はいいな」

 

 

「「「「へ?」」」」

 

 

 

「火竜の鉄拳!!!」

 

「氷竜の咆哮!!!」

 

「アイスメイク・ランス!!!」

 

「換装!!天輪ペンタグラムソード!!!」

 

ズドーーン!!!

 

 

「「「「ぎゃぁぁぁ!!!!」」」」

 

蛇の口の4人はナツ達に、あっさりとやられてしまった。

 

「アタシの出番なし!!?」

 

 

………

 

 

その後、花探しを再開したリート達は、しばらく山の中を歩き回っていた。

 

「あ、皆~あったよ~!!!」

 

「ホントか!!?」

 

「すげぇじゃねぇかルーシィ!!!」

 

「流石だな」

 

「やったじゃねぇか」

 

「すごいよぉルーシィ!!!」

 

「私にも見せてくださいまし!!!」

 

ルーシィの周りで花を探していた皆が、ルーシィの元へと集まってくる。

 

しかし、ルーシィが持っていた花はというと…

 

「「「「「ちっさ!!!」」」」」

 

「あははは…これしか見つからなかった…」

 

 

「はぁ~これっぽっちかぁ」

 

「まぁ見つかっただけ儲けもんだよ、最初の時なんてあるかどうかすらあやしかったくらいなんだからよ」

 

「確かにな」

 

「しかし、帰るまでの時間を考えるとここらがタイムリミットだろう、依頼書の規定量に達していない以上任務は失敗だ。この花は記念として持って帰るとしよう」

 

「そうだな、じゃ、ルーシィ…お前持って帰れよ」

 

リートにそう言われルーシィは、一瞬驚いた表情を見せる。

 

「え?いいの?」

 

「当たり前だろ、その花を見つけたのはルーシィだ。だからそれを持って帰る権利もルーシィにある。な?皆」

 

「そうだぞルーシィ、遠慮なく貰っとけよ」

 

「オイラ達別に必要ないもんね」

 

「だな」

 

「私は残念ですけど仕方ありませんわ、また来年リートを使って探してみますわ」

 

「自分で探せよ!!!」

 

「アハハ、じゃあこの花はアタシが貰うね…どうしたの?エルザ」

 

ルーシィがふとエルザを見ると、エルザはショックを受けたような顔をしていた。

 

「い…いや、何でもない!!そうだな、その花はルーシィが持って帰るべきだ!!うんうん」

 

((((欲しかったんだ…))))

 

それを見てルーシィが微笑むと、花を7等分に千切って全員に配った。

 

「はい」

 

「い…いいのか?」

 

「私達まで貰ってしまうと効力が失くなってしまうかも知れませんわよ?」

 

「いいのよ、その時はその時だし、せっかく皆で探したんだもん。喜びも分かち合わないとね」

 

「そうか、ありがとなルーシィ」

 

「サンキューな」

 

「ありがたく貰っておくよ」

 

「オイラ、大事にしまっておくよ」

 

「いや、食べなさいよ」

 

その後リート達は、花を持って帰り道を歩いて行く。

 

「そういや、エルザは何であんなに花を欲しがってたんだ?」

 

「い…いや…その…それは…だな」

 

「結婚ではありませんの?」

 

「!?」

 

ラリカがそう言うと、エルザが驚いた表情でラリカを見る。

 

「結婚?」

 

「最近、エルザが結婚関係の雑誌を読んでいるのをよく見かけますのよ」

 

そんな話しを聞いているエルザの顔は、みるみると赤くなってくる。

 

「ダハハハ!!!エルザが結婚ってありえねぇー!!!」

 

「「「!!?」」」

 

ナツが、エルザが結婚したがっているかもと聞き大爆笑する。

 

リート達は恐る恐るエルザを見ると、先程とは別の意味でエルザが赤くなっているのが見て分かるほどになっていた。

 

「笑っちゃ悪いよナツゥ」

 

「だってよぉあのエルザが結婚って考えられねぇー!!!」

 

 

 

 

ドゴン!!!!

 

 

「ごばぁ!!?」

 

ナツは、怒り狂ったエルザの拳骨一撃でノックアウトされる。

 

「今のはお前が悪い」

 

 

………

 

 

「ただいまぁ」

 

「ただいまですわ」

 

依頼を終えたリートとラリカは自分達の家に帰って来た。

 

「あ、リート、ラリカ、お帰りなさい」

 

「ミラ!!?」

 

「こんな時間まで掃除をしててくれましたの!!?」

 

部屋中ピカピカになったことと、遅くまでミラがリート達の家に居たことに、二人は驚きを隠せなかった。

 

「フフッそうよ綺麗になったでしょ?」

 

「あぁ、正直助かるよ、ありがとな」

 

「ありがとうございますわミラ」

 

「じゃあ、何かご褒美をもらわないとね」

 

ミラは、少しだけ不適に笑いリートを見る。

 

「えーっと…俺達(・・)に出来ることなら、可能な限り善処するぞ…」

 

「私、ミラの家でエルフマンとお話ししてきますわ」

 

「逃げるのかラリカ!!?」

 

「リート…ファイトですわ」

 

「裏切り者ぉ!!!!」

 

そう言ってラリカは家から出ていってしまった。

 

ミラは不適な笑みをさせながらリートに近寄ってくる。

 

「ミ…ミラ?俺も出来る事と出来ない事ってのがあってだな?その前にちょっと落ち着け?な?」

 

壁まで追い詰められたリートに、ミラが勢いよく抱きつく。

 

「?…?」

 

「もう、リートが嫌がるようなことなんてしないわよ。ご褒美って言うのは、今日の残りの時間を二人っきりで過ごしたいだけ」

 

「へ?それだけ?」

 

「なんだと思ったの?」

 

「…いえ……ただの勘違いなので気にしないで下さい」

 

そして、リートとミラは二人っきりで、新年の残りの時間を過ごしていった。

 

(こんな日も、悪くないな)




意外と文字数が多かった…まぁええか、こんなもんだ。文字数が多くて困る事はない!!


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オリジナル物語4
オリジナル撮影会


今回の2つめのミラにご褒美回です。そんなに長くないですけど、まぁ楽しんで読んでくれると嬉しいです。


収穫祭が終わってから数日が経ったある日の事、リートはミラに話しがあるといって呼び出していた。

 

「話しって何?リート」

 

「いや、ちょっとな…カナからこの前の騒動でお前がかなり頑張ってくれたって聞いてよ、何かご褒美でもやってあげろって事になって、何をしてやればいいか分かんなくなっちまってな、実際に聞いた方が早いって思って聞きに来たってわけだ」

 

「そうなの?ふふっそう言う事ならいい話しがあるの、今度つきあってくれる?」

 

「?分かった」

 

 

………

 

それから数日後の2月の14日、ミラから呼び出しを受けたリートは、とある場所でミラを待っていた。

 

「……いや、どこだよここ」

 

リートが建物の前でミラを待っていると、少し離れたところからミラが走り寄って来た。

 

「お待たせ、遅くなってゴメンね?」

 

「いや、全然待ってねぇよ。大丈夫だ、それよりつきあって欲しい事って何だ?」

 

「実はね、私今日週ソラの撮影があるの」

 

「ほぉ…それで?」

 

「リートもやってみない?」

 

「は?」

 

リートは呆けた顔でミラを見る。

 

「あ、もしかしてお前を撮る方「リートは私と一緒に撮られる側よ?」……マジでか…」

 

リートの顔が、どんどんと青くなる。

 

「さぁ!もう現場の人たちにも話しは通してあるし、行きましょリート!」

 

ミラは笑いながらリートの手を引いて、撮影の現場に連れていく。

 

(やっぱやめときゃよかったかも…)

 

 

 

………

 

 

撮影現場にやって来たリートとミラは、ジェイソンに迎え入れられる。

 

「cooool!!cooool!!cooooool!!!ミラ!!君はなんて最高なんだ!!あの氷竜のリートにもう一度会わせてくれるなんて!!!今日は特別サービスで君の撮りたい写真も撮ってあげるぜcooooool!!!」

 

 

「ふふっありがと♪ジェイソンさん」

 

「取材の時のやつかよ…」

 

リートは苦い顔で、ジェイソンを見ていた。

 

「さぁ!!今日はバレンタインだ!!熱い二人を撮らせてくれよcooooool!!!」

 

「熱いのか冷たいのかハッキリしろよ」

 

それからリートとミラは、共にエプロン姿に着替えさせられ、撮影場の厨房に立たされていた。

 

「何で厨房?」

 

「さっきも言ったが今日はバレンタイン!!二人でcoolにチョコレートを作ってもらうぜ!!今回のテーマはチョコレートを作るcoolな二人だからね!!」

 

「あら、楽しそうね♪じゃあリート、早速始めましょ」

 

「お…おう」

 

リートとミラは共に材料を用意し、バレンタイン用のチョコの制作を始める。

 

「とりあえず、まずはこの板チョコを細かく刻んでいくか」

 

「私も手伝うわよ」

 

「ん、じゃあ湯煎の準備しておいてくれ」

 

「はーい」

 

二人は料理が出来るためか、作業は滞りなく順調に進んでいく。

 

それを見ているジェイソンも、coolcoolと叫びながら写真を撮っていた。

 

「湯煎の準備できたわよ」

 

「サンキュ、じゃあこのボウルごと鍋に…」

 

 

「ちょーーーっと待ってくれお二人さん!!」

 

リート達の作業に、ジェイソンは待ったをかける。

 

「…なんだよ?オレらは言われた通りにチョコ作ってるぞ?」

 

「確かにそうだ!!けどこれじゃあ足りない!!足りないんだ!!!」

 

「とりあえず…暑苦しいから寄るな変人」

 

 

「今の君たちは付き合っているんだろう?ならば愛!!愛のある二人を読者は期待してくれているんだ!!その期待に答えないといけないぜ!!!」

 

ジェイソンは、リートとミラに熱く語っていた。

 

「いや、そうは言われてもな…」

 

「確かにそうね」

 

「ミラさん!!?」

 

ミラはリートの腕を掴み、自分の腰に回すとチョコレート作りを再開する。

 

「こんな感じ?」

 

「さすがミラジェーン!!わかってるね!!Cooooool!!!」

 

「いや、これむしろ効率悪くなってんじゃ」

 

チュ

 

ミラはリートの顔に腕を回し自分の顔に近づけると、リートの頬に口付けをして大人しくさせる。

 

「これじゃあ不満?」

 

「イエ フマンハナイデス」

 

「いいね!!最高だぜ!!cooooool!!!」

 

その後チョコレート作りは、ほとんどミラが作り、リートはミラの腰にずっと手を回してついていく事しかできなかった。

 

(やっぱり効率悪ぃ…)

 

 

………

 

 

撮影は昼まで続き、チョコレートの完成と同時に、リートとミラはジェイソンから解放された。

 

「今日はサンキュー二人とも!!雑誌に載るのを楽しみにしていてくれcooooool!!!」

 

「お疲れ様でした」

 

「おまえ、coolの使い方それであってんの?」

 

「じゃ!!僕は今日の写真の編集があるからこれで!!」

 

そう言ってジェイソンは、遠くの方へ走り去って行ってしまった。

 

「忙しねぇなアイツ」

 

「ふふふっ、じゃあ私達も行きましょうか」

 

「行くってどこに?」

 

「今日は私に付き合ってくれるんでしょ?まだまだ時間はあるんだから。思いっきり楽しめる所に行かなきゃ」

 

「そっか、わかった。こうなりゃとことん付き合ってやるよ」

 

先を急ぐミラに、リートはついて行こうとする。

 

「あ、そうだ。忘れる前に…ハイこれ」

 

ミラは、ポケットから袋を一つ取り出してリートに渡す。

 

「これは…チョコ?でもさっきの撮影で作ったやつとは梱包の仕方が違うな」

 

「それは、リートの為に最初から最後まで私が手作りしたチョコよ」

 

リートの顔が徐々に赤くなる。

 

「あ、ありがとう…けどこれ…結構恥ずかしいな」

 

「ねぇリート」

 

「ん?」

 

「せっかくだから、ここで食べて感想を聞かせて」

 

「え?まぁミラが作ったチョコだし、別に構わねぇけど」

 

リートは袋からチョコレートを一つ取り出すと、自分の口に放り込む。

 

「うん、うまい」

 

「ほんと?」

 

ミラは、少しだけ不安そうに訪ねた。

 

その顔を見たリートは少しイタズラをしてやろうと、もう一つチョコレートを取り出して自分の口に咥える。

 

「ミラ」

 

「え?…んむ!?」

 

リートはミラの顎に手を添えて、自分の口とミラの口を合わせてチョコレートを口移しで食べさせた。

 

「どうだ?うまいだろ?」

 

ミラは顔を下に向けたまま話すが、それでも耳まで赤くなっていたのは一目瞭然だった。

 

「……わかんない」

 

「そうか?」

 

「もう、たまにリートって意地悪よね」

 

「えー…おまえも似たようなことやってんじゃん…」

 

そして、ようやくミラが顔を上げる。

 

「もう!!チョコレートはもういいから、早く行きましょ!!」

 

ミラは、リートの手を引っ張って走り出した。

 

「おまえが感想求めてきたのに…」

 

 

それから数日後、リートとミラの写真が週ソラに載りギルドのメンバーに笑われたり、殺気を向けられたり、その時の状況を聴かれたりなど大変になったのは言うまでもなかった。

 

「ダッハッハ!!!リートのエプロン姿似合わねぇぇ!!」

 

「笑っちゃ悪いよぉナツゥ…ブフッ」

 

「いやぁ、リート、よく似合ってるぜ…ブッフフッ」

 

 

「ナツ、ハッピー、グレイ、そう笑ってやるな、似合ってるじゃないかリート」

 

「そうよ、それにミラさんと二人で料理なんて、新婚みたいで憧れちゃうなぁ」

 

「あら、なかなか素敵ですわよ」

 

 

 

「ミラちゃんと料理…新婚だと…」

 

「アイツはゆるさん…」

 

「どこか埋めれそうな場所は」

 

 

「何?この惨状…」

 

「ダッハッハッハ!!!なぁリート!!この写真!!今度師匠に見せていいか?!!」

 

「いい訳あるかぁ!!!」

 

「あらあら、リートも大変ね」




これでよかったのか疑問だが…まぁやるだけのことはやったし…主的にまぁ満足です。
次回は一気に六魔に入る予定です!!


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六魔将軍(オラシオンセイス)編1
バラム同盟


お待たせしました。本日から六魔将軍編に入ります。なんとかここら辺で評価バーの色を戻さねぇと…できれば赤色まで…


ここは、とある街のとあるレストラン。リート達はそこで、レストランのウェイターとシェフの仕事を行っていた。

 

「いらっしゃいませー♪ご注文はお決まりですか?」

 

にっこぉ

 

ルーシィは、満面の笑みでオーダーを受けている。

 

「蒼天ミートソースとホーリーソーダが欲しいポヨ」

 

「オレは獣人カレー」

 

 

「デザートも一緒にいかがですか?」

 

 

「じゃあ……このルビーパフェをもらうポヨ」

 

「同じので」

 

 

「かしこまりましたー」

 

 

「こっちも注文頼むよ~」

 

 

「はいは~い」

 

ルーシィは、次々とオーダーを受けていく。

 

「って何やってんのよあたしはっ!!!」

 

いきなりルーシィは、床に注文表を叩きつけた。

 

「ルーシィ、これも仕事のうちだぞ」

 

「そうですわよ、口よりも手を動かしなさいな」

 

ナツとラリカが、料理を運びながらルーシィを説得する。

 

「こんなの全然魔導士の仕事じゃないじゃないっ!!!」

 

 

「このレストランのシェフが魔法料理を作ってんだよ」

 

「んだ、オレ達も手伝ってやってんのに」

 

もしゃもしゃ

 

そう言いながらもナツは、運んでいる料理を食べていた。

 

「客の料理食うなー!!!」

 

「たまにはウェイターの格好もいいもんだぜ」

 

そう言いながらも、グレイはパンツ一枚の姿になっていた。

 

「服着てから言って!!!」

 

「誰の家賃の為にやってんだ?」

 

グレイがルーシィに詰め寄ると、ルーシィは罰の悪そうな顔をする。

 

「あうっ…ごめんなさい」

 

「グレイ、とにかく服を着なさいな、あと、レディに半裸で詰め寄るものではありませんわよ」

 

 

「それに見ろ」

 

「!!」

 

グレイとルーシィの視線の先では、エルザがノリノリでオーダーを受けていた。

 

「注文を聞こうか」

 

エルザはテーブルに片足を乗せ、胸と足を強調するような姿でオーダーを受ける。

 

「エルザ、はしたないですわよ」

 

「む?そんなつもりはなかったんだが」

 

「あんなにノリノリの奴もいる」

 

「うっ…」

 

 

「だいいち、そんなにウェイターが嫌なら裏でシェフの仕事に変えてもらえばいいじゃねぇか」

 

「嫌よ、だって…」

 

ルーシィが調理場の方を向くと、奥からリートと他のシェフの声が聞こえてきた。

 

「ほらほらリートくん、注文がたまっとるぞ」

 

「いや、来て早々に厨房つれてこられて店のメニューの名前しかわからねぇ料理作れってのが無理な話でしょ!!!仕事内容ウェイターの仕事だったじゃん!!!蒼天ミートソース!!?獣人カレー!!?ナニソレ!!?オレ知らねぇよ!!!」

 

「ウェイターは人手が十分(ズうぶん)になったからねぇ、今は調理場の人手が欲スいところなのよ、あっ作り方ならそこにレシピ(レスピ)が載っとるから見てつくるとええよ」

 

「このくそ忙しい状況で見てる余裕ねぇし!!!レシピ云々の前に材料だけでもわかりそうな料理名にして!!!」

 

「ほらほら、そんな事スとる間にも、またオーダーが入ったよ、次はルビーパフェだそうよ」

 

「何!!?器にルビーでも乗せて出せばいいの!!?頼むからせめてレシピ見て覚える時間ちょうだい!!!」

 

「はっはっは、面白(おもスろ)い事を言うね君は、全部のレスピなんか見てたら日が暮れるよ」

 

「どんだけメニューあんだよここ!!!!」

 

「あっほら、また追加だよリートくん」

 

「ファッ●●●●(ピーーー)!!!!」

 

 

 

「あの状況に、アタシ巻き込まれたくない」

 

「確かに…」

 

 

それから仕事は夜まで続き、リート達はようやく解放された。

 

「いやーお疲れ様。スっかし最近の若い子は働きモンだねぇ、またいつでも来なさいよ」

 

元評議員の一人のヤジマが、リート達に礼を言う。

 

「はい、今日は勉強になりました」

 

エルザは、店の制服のままヤジマに礼を言う。

 

「気に入ってるんだ その服」

 

グレイとリートは完全に疲れきっており、ナツは食べ過ぎで腹が膨れていた。

 

「ミラちゃんの気持ちが少しはわかったよ」

 

 

「大丈夫ですの?リート」

 

「無理、頭パンクする…今日一日で、休憩なしのノンストップで料理を作りながらメニューを無理やり全部頭に叩き込んでるから、どれが普段作ってる料理かすらわかんなくなってきた」

 

「これは…典型的にダメな時のリートですわね」

 

リートの顔色は、かなり青くなっていた。

 

「ふぅ~食った食った」

 

「あんた店のモン食べ過ぎ!!!」

 

 

「ところでヤジマさん、評議会の方はどうなりました?」

 

「ん~ワスはもう引退スたからねぇ」

 

 

「「評議会!!?」」

 

評議会という言葉に、ナツとグレイが驚きの声をあげる。

 

「お前ら知らずに一緒にいたのかよ」

 

「ヤジマさんは元評議員の一人よ」

 

 

「ズーク…いやズラールだったかの?」

 

「ジェラールです」

 

「なんですの?その桂でも被ってそうなお名前は…」

 

「そう!そのズラールとウルティアの裏切りで大変な失態(スったい)をスたからねぇ、今は新生魔法評議会(スンセイまほうひょうぎかい)を各方面に根回ススとるみたいよ」

 

「君たちにも本当に迷惑をかけたね申ス訳ない」

 

ヤジマは少しだけ暗い顔色で、リート達に謝る。

 

「いえ…ヤジマさんは最後までエーテリオン投下に反対されていたと聞きました。行動を恥じて引退など……」

 

「ワスには政治は向かんよ、やはり……料理人の方が楽スいわい」

 

「ところで、ナツくん、グレイくん」

 

「「!!」」

 

ヤジマに名前を呼ばれただけで、ナツとグレイは体をビクつかせる。

 

「これから評議院は新しくなる。ワスはもういない妖精の尻尾を弁護スる者はいなくなる」

 

「その事をよーく考えて行動スなさい」

 

「「行動スます」」

 

ナツとグレイがヤジマから注意を受けたところで、リート達は帰り道を歩きだす。

 

「それじゃ、マー坊によろスくな」

 

 

「今日はありがとうございました」

 

 

エルザ達を見送ったヤジマは、黙って夜空を見上げる。

 

(ウルティアか…今はどこにおるのかのぅ……)

 

 

 

………

 

 

次の日、妖精の尻尾のギルドでは、見馴れない表が書き出されていた。

 

「なんですか?コレ」

 

ルーシィは、不思議に思ってミラに訪ねる。

 

「闇ギルドの組織図を書いてみたの」

 

「どうしてまた?」

 

「近頃動きが活性化してるみたいだからね。ギルド同士の連携を強固にしないといけないのよ」

 

表を見上げると、主に三つのギルドが大きく括られ、それを中心に他のギルド名が上げられていた。

 

「この大きいくくりは何だよ?」

 

 

「バラム同盟だよ」

 

カウンターでかき氷を食べていたリートとラリカが、表のところへとやってくる。

 

「バラム同盟?」

 

「あ、ジュビア知ってます。闇ギルド最大勢力 バラム同盟」

 

「バラム同盟ってのは、3つのギルドから構成されている闇の最大勢力、それぞれがいくつかの直属ギルドを持ってて闇の世界を動かしてんだ」

 

「そう、いわゆる闇ギルドの心臓部にあたるギルドたちですわ」

 

そして、表に書かれているギルドには、見知った名前のギルドもちらほらと書かれていた。

 

「あ!!鉄の森って!!」

 

「そうだ、あのエリゴールがいたギルド」

 

「あれは六魔将軍(オラシオンセイス)ってギルドの傘下だったのか」

 

 

「雷神衆が倒した屍人の魂もそうだ」

 

「ジュビアやガジルくんやバンクくんもファントム時代に幾つか潰したギルドが全部六魔将軍の傘下でしたー」

 

「笑顔で言うな」

 

「うわ~っ怒ってなきゃいいけど」

 

ルーシィが、引き気味で話しを聞いていた。

 

「気にする事はねぇさ、こいつら…噂じゃたった6人しかいねーらしい」

 

「どんだけ小せぇギルドだよって」

 

 

「バカな事言ってんじゃねぇよ」

 

楽観的に見ているメンバーに、リートは口を挟む。

 

「たった6人で最大勢力の一つを担ってんだ、そいつらの一人一人がどれ程の実力者かって、ちょっと考えれば分かんだろ」

 

「「うっ…」」

 

 

 

「その六魔将軍だがな、ワシらが討つ事になった」

 

「「「「!!」」」」

 

マカロフが会話に混ざり、予想だにしていなかった発言で全員は驚いた。

 

「あ!お帰りなさい、マスター」

 

「違うでしょ!!」

 

ミラ以外は…

 

ざわざわ

 

「マスター、一体どういう事ですか?」

 

エルザの質問に、マカロフが淡々と答え始めた。

 

「先日の定例会で、何やら六魔将軍が動きを見せていることが議題に上がった。無視はできんという事になり、どこかのギルドが奴等をたたく事になったのじゃ」

 

「またビンボーくじ引いたなじーさん」

 

「妖精の尻尾がその役目を?」

 

 

「いや……今回ばかりは敵が強大すぎる。ワシらだけで戦をしては後々バラム同盟にここだけが狙われる事になる」

 

「まぁ、当然そうなるだろうな」

 

「ただでさえ六魔将軍の傘下のギルドばかり潰していますのに、本体をたたこうと言うんですから、まず確実にここが狙われますわね」

 

 

「そこでじゃ、我々は連合を組むことになった」

 

「「「「連合!!?」」」」

 

「そりゃまたずいぶんと大きく出たな」

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル) 青い天馬(ブルーペガサス) 蛇姫の鱗(ラミアスケイル) 化猫の宿(ケットシェルター) 4つのギルドが各々メンバーを選出し力を合わせて奴等を討つ」

 

連合を組むという話しを聞き、ギルドがよりいっそうざわつき出す。

 

「なんだよそりゃ」

 

「オレたちだけで十分だろっ!!!ってかオレ一人で十分だ!!!」

 

「おまえは一連の話し聞いてなかったの?」

 

「ナツ…マスターは後々の事を考えて言ってるんですのよ」

 

「てか…ちょっと待ってよ…相手はたった6人なんでしょ?何者なのよそいつら…」

 

 

………

 

 

ここは、とある森の近くにある崖の上。

 

「聞こえるぞ、光の崩れ落ちる…音が」

 

「気が早ぇなコブラ、まぁ速ぇ事はいい事だ」

 

コブラと呼ばれた男は、後ろを振り返り話しかけてきた男の方を向く。

 

「ここに、例の魔法が隠されているんだぜ、レーサー」

 

コブラ、そしてレーサー、二人の男たちの他にも4人の人影が現れる。

 

「暗黒をもたらし全ての光を崩す魔法…ですな」

 

「ニルヴァーナ」

 

ぐーぐー

 

リーダー格の男が、コブラやレーサーよりも一歩前にでた。

 

「伝説の魔法が…ついに、我々の手に」

 

「そんなに期待してもいいモンなのかい?ニルヴァーナって魔法は」

 

一人の男が、杖を森の方へ指す。

 

「見よ」

 

「大地が死に始めている、ニルヴァーナが近くにあるというだけでな」




何気にリートの暴言を軽くスルーしてるヤジマさん…すごくね?


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連合軍(オリキャラ登場)

悩みました…悩んで悩んで…結局オリキャラを出すことにしました。最近新章に入る度にオリキャラ出してる気がする…最後に新キャラ出さなかったの星霊王編て…戦ってすらなかった。


マカロフが決めた通り、連合軍を組む事になった妖精の尻尾一行は、馬車で連合軍が集結する為に用意された場所へと向かっていた。

 

「なんでこんな作戦にあたしが参加する事になったのー!!? アレェ?」

 

馬車にはルーシィ、ナツ、グレイ、エルザ、リート、ハッピー、ラリカの計5人と2匹が乗っていた。

 

「オレだってめんどくせぇーんだ。ぶーぶーゆーな」

 

「マスターの人選だ。私たちはその期待に応えるべきじゃないのか?」

 

グレイとエルザが、ルーシィに説得するが、ルーシィも納得がいってないようだった。

 

「でも バトルならガジルやバンク、ジュビアだっているじゃない」

 

 

「3人とも別の仕事が入っちゃったからね」

 

「仕方ありませんわ」

 

 

「てか…まだ着かねー……の…か…?」

 

「オレら…そろ…そ…ろ……限界…だぞ…」

 

ナツとリートは、相変わらずの乗り物酔いでダウンしていた。

 

「けっきょく、いつものメンバーなのよね」

 

「その方がいいだろう?今日は他のギルドとの合同作戦、まずは同ギルド内の連携がとれている事が大切だ」

 

「見えてきたよ」

 

「集合場所だ」

 

リート達は目的地に到着すると、馬車を降り建物の中に入る。

 

「趣味悪いところね」

 

青い天馬(ブルーペガサス)のマスターボブの別荘だそうだ」

 

「ゲッ…」

 

「あいつか…」

 

リートの顔色が、徐々に悪くなる。

 

「あの人苦手なんだよなー」

 

「なぜか気に入られてましたものね、リートは」

 

 

「ま…まだ着かねぇのか……」

 

「着いてるよ、ナツ」

 

パッ

 

「?」

 

リート達の目の前で、三人の男にスポットライトが当たる。

 

「妖精の尻尾のみなさん、お待ちしておりました」

 

「我ら青い天馬より選出されしトライメンズ」

 

 

「白夜のヒビキ」

 

「聖夜のイヴ」

 

「空夜のレン」

 

スポットライトに当たっていた男たちは、それぞれ決めポーズをしながら名乗りだした。

 

「か…かっこいい……」

 

ルーシィは青い天馬の三人を見た後、妖精の尻尾の男達をもう一度見てみる。

 

「しまった!!服着るの忘れた!!!」

 

「うっぷ…」

 

「マスターボブ…ダメだ、思い出しただけで悪寒が…」

 

 

「こっちはダメだぁ」

 

ヒビキ、イヴ、レンの三人は、エルザとルーシィに近寄りナンパを始める。

 

「噂に違わぬ美しさ」

 

「はじめまして妖精女王(ティターニア)

 

「さぁ…こちらへ」

 

エルザとルーシィの二人は、三人にソファーへと案内される。

 

「おしぼりをどうぞ」

 

「水割りでいいのかな?」

 

 

「いや…」

 

ヒビキとイヴは、エルザの近くに座り、レンはルーシィをソファーに座らせようとする。

 

「さぁ…おまえも座れよ。つーかおまえかわいすぎるだろ」

 

「うわぁ…」

 

 

イラッ

 

「なんなんだコイツらは……」

 

ヒビキ、レン、イヴの三人の行動に、グレイはかなりイラついていた。

 

 

「今回はよろしく頼む、皆で力を合わせて「かわいいっ!!!」」

 

エルザの挨拶を、イヴが遮った。

 

「その表情が素敵だよ。僕、ずっと憧れてたんだぁ」

 

「……」

 

ルーシィには、レンがドリンクを差し出す。

 

「べ…別におまえの為に作ったんじゃないからな」

 

「ツンデレ!!!!」

 

最後にヒビキが指揮をとり、二人に優しく話しかける。

 

「さぁ、長旅でお疲れでしょう。今夜は僕たちと」

 

「「「フォーエバー」」」

 

 

エルザとルーシィは、完全に呆気にとられていた。

 

その様子を少し離れた場所から、リートとラリカが見学しながらヒソヒソと会話している。

 

「なぁ、ラリカ」

 

「なんですの?」

 

「オレたち遊びに来た訳じゃないよな?」

 

「えぇ…一応は、そのはずですわよ」

 

「じゃあ、あれは何をしてんだ?」

 

「…さぁ?」

 

 

「君たち、その辺にしておきたまえ」

 

ナンパを続ける三人に、ストップがかかり、全員が声のした方を向く。

 

「な…何!?この甘い声!!?」

 

「一夜様!!」

 

「ゲッ…」

 

「一夜?」

 

リートとエルザの顔色が、少しずつあおくなっていく。

 

「どうしましたの?リート」

 

「いや、ちょっとな…」

 

 

「久しぶりだね、エルザさん」

 

「ま…まさかお前が参加してるとは……」

 

一夜と呼ばれた男は、中央の階段を降りてエルザの元へやって来た。

 

「会いたかったよマイハニー、あなたの為の一夜でぇす」

 

エルザは、全身に寒気を感じる。

 

「マイハニー!!?」

 

「!!!」

 

「「「一夜様の彼女さんでしたか…それは大変失礼を」」」

 

 

「全力で否定する」

 

「エルザ…」

 

ラリカが、エルザの肩に乗り話しかける。

 

「?」

 

「趣味悪いですわよ」

 

「だから違うと言ってるだろう!!」

 

 

一夜は、エルザからヒビキ達へ視線を変え、指示を出す。

 

「片付けろ!!!遊びに来たんじゃないぞ!!!」

 

「「「ヘイ!!!アニキ!!!」」」

 

ヒビキ達三人は、そそくさとテーブルやソファーを片付ける。

 

「あれ?さっき一夜様って言ってなかった?」

 

「一貫してないんだね」

 

一夜は、妖精の尻尾のメンバーを見る。

 

「君たちの事は聞いてるよ。エルザさんにルーシィさん、ラリカさん、あとリート君とその他」

 

「その他!!?」

 

驚く他のメンバーをよそに、リートはゆっくりと一夜に歩み寄る。

 

「相変わらずですね…一夜さん…」

 

「ふむ…リート君、久しぶりだね」

 

くんくんくんくん

 

一夜はリートに近寄り、しきりに匂いを嗅いでいたが、リートは嫌そうな顔で拒絶する。

 

「気持ち悪いんでやめてください」

 

「相変わらずなかなかのイケメンの香り(パルファム)がするね君は、それでどうかなリート君、そろそろウチに来る気になってくれたかな?マスターは今か今かと楽しみにしているよ」

 

「「「「「!!?」」」」」

 

「それはどーいうことだリート!!!」

 

「冗談だよな!!!」

 

「リートまさか!!!妖精の尻尾をやめる気なの!!?」

 

「そんな事しないよねリート!!!」

 

「おまえ、勝手に抜けたら承知しねぇぞ!!!」

 

(わたくし)、妖精の尻尾を抜けるなんて嫌ですわよ!!!」

 

 

一夜の言葉に、妖精の尻尾全員がリートに詰め寄り、リートはそれを否定した。

 

「心配しなくてもギルドを抜けたりなんかしねーよ…一夜さん、いつも言ってますけど妖精の尻尾はオレの家で、家族なんです。家族は2つや3つも要りませんし、ましてや変更なんてあり得ません。マスターボブさんにもそう伝えておいてください」

 

「そうか、それは残念。けど入りたくなったらいつでも言ってくれたまえよ」

 

「入らねぇっつってんでしょうに…」

 

「むっ」

 

一夜が次に目をつけたのは、ルーシィだった。

 

くんくんくんくん

 

「いい香り(パルファム)だ」

 

「キモいんですけど……」

 

「スマン…私もこいつは苦手なんだ。すごい魔導士ではあるんだが」

 

「わかる、すげーわかる」

 

エルザの言葉に、リートはこくこくとうなずき続ける。

 

「青い天馬のクソイケメンども、あまりうちの姫様方にちょっかい出さねーでくれねーか?」

 

グレイが、ルーシィ達を後ろに下げて前に出る。

 

「あ、帰っていいよ。男は」

 

「「「お疲れ様っしたー」」」

 

「オイオイ!!!」

 

「こんな色モンよこしやがって、やる気あんのかよ」

 

グレイの言葉で、青い天馬のイヴとレンが反応する。

 

「ためしてみるか?」

 

「僕たちは強いよ」

 

 

「ケンカか!!!まぜてくれー!!!」

 

「やめろ、話しがよけいややこしくなる」

 

ナツがケンカに混ざろうとするのを、リートが止める。

 

「やめないか、おまえたち!!」

 

エルザがケンカになる前に止めようとすると、後ろから一夜がエルザの匂いをかぎ始める。

 

くんくんくん

 

「エルザさん、相変わらず素敵な香りだね」

 

ぞぞぞッ…

 

「近寄るなっ!!!!」

 

バキッ

 

「メェーーン!!」

 

あまりの気持ち悪さに、ついにエルザは一夜に手を出してしまう。

 

「なんでお前が一番に手ぇ出してんだよ…」

 

一夜は、そのまま出入り口の扉まで飛ばされる。

 

ガシッ

 

すると出入り口に立っていた男が、吹き飛んできた一夜を片手で止め、そのまま一夜の顔を凍らせる。

 

「こりゃあ随分ご丁寧なあいさつだな、貴様等は蛇姫の鱗 (ラミアスケイル)上等か?」

 

「リオン!!?」

 

出入り口に立っていた男は、過去に妖精の尻尾が戦ったリオンであった。

 

「グレイ!!?」

 

 

「あっ、あいつ確か…」

 

くいっくいっ

 

「?」

 

リートの肩が軽く揺れ、横を見るといつの間にかラリカがリートの肩に乗っていた。

 

「誰ですの?」

 

「グレイの兄弟子らしいぞ」

 

「へぇ~」

 

「おまえ……ギルドに入ったのか…」

 

 

「フン」

 

リオンは、持っていた一夜をグレイ達に向かって投げ返す。

 

「メェーーン!!」

 

「!!!」

 

リートは慌ててルーシィ達の前に出て、一夜を弾き返す。

 

「すいません!!一夜さん!!」

 

バシッ

 

「イケッ」

 

「リオン、テメェ何しやがる!!」

 

グレイが、一夜を投げ飛ばされたことに怒り、リオンに突っかかる。

 

「先にやったのはそっちだろ?」

 

「まぁ、否定はしねぇけど…」

 

そして、一夜を雑に扱われた事で青い天馬の三人は喧嘩腰になる。

 

「つーかうちの大将に何しやがる!!」

 

「ひどいや!!」

 

「男は全員帰ってくれないかな?」

 

 

「あらっ…女性もいますのよ」

 

また新しい声が聞こえたと思ったら、いきなり床に敷いてある絨毯が動き出した。

 

「人形撃 絨毯人形(カーペットドール)!!!!」

 

「あたしぃ!!?」

 

絨毯は他の者には目もくれず、ルーシィだけを狙いだした。

 

「てか…この魔法」

 

絨毯の陰から、一人の女性が現れた。

 

「うふふ、私を忘れたとは言わせませんわ。そして過去の私は忘れてちょうだい」

 

「どっちよ!!!」

 

「私は愛の為に生まれ変わったの」

 

絨毯から現れた女性は、過去にルーシィが戦ったシェリーという女だった。

 

そしてシェリーが現れた後は、それぞれが別々で険悪なムードになり始めていた。

 

一夜とエルザ

 

「もっと…もっと私にあなたの香りを!!!」

 

「く…来るな!!!斬るぞ!!!」

 

 

グレイとリオン

 

「リオン…」

 

「グレイ」

 

ナツ

 

「かかってこいやー!!!」

 

 

ルーシィとシェリー

 

「あなたは愛せない」

 

「アタシも嫌いよ!!!」

 

 

青い天馬の三人

 

ゴゴゴゴゴ

 

 

そしてリートとラリカ

 

「なんでこうなった…」

 

「私は知りませんわ」

 

 

それぞれが今にもケンカを起こしそうになったとたん、出入り口からもう一人、体格のいい男の影が現れた。

 

「やめい!!!!」

 

出入り口から現れた男は、現聖十魔道士の称号を持つ男のジュラであった。

 

「ワシらは連合を組み、六魔将軍を倒すのだ。仲間内で争っている場合か」

 

「ジュラさん…」

 

リオンがジュラの名前を呼ぶと、全員が反応しだした。

 

「ジュラ!!?」

 

 

「コイツがあの」

 

「ラミアのエース…岩鉄のジュラ」

 

 

「誰?」

 

「聖十大魔道の一人だよ!!!」

 

 

「あたしでも聞いたことある名前だ…」

 

「妖精は5人、ペガサスは4人でしたね。私たちは3人で十分ですわ」

 

「むうぅ~」

 

 

ジュラの登場により、周りはジュラに釘付けになる。

 

「ジュラさん!!」

 

「あら、懐かしい方ですわね」

 

リートは、嬉しそうにジュラの元へと駆け寄る。

 

「おぉ、リート殿とラリカ殿か、久しいな」

 

「ジュラさんこそ、お変わり無いようで」

 

「ジュラ様、お久しぶりですわ」

 

リートとジュラが親しげに話すのを、他の者は意外そうな顔で見ていた。

 

「リート、知っているのか?」

 

「ん?あぁ、ジュラさんとは2 3度仕事で一緒になったことがあってな、色々と助けてもらったことがあるんだよ」

 

「私もたまたまその時に居合わせた事があるから顔見知りですのよ」

 

リートがジュラの事を話していると、ジュラも会話に混ざりだす。

 

「いやいや、助けられたのはこちらの方だ、あの時はリート殿のおかげで助かった、今この場で礼を言わせてくれ」

 

「礼なんて止めてくださいよ。持ちつ持たれずですよ。同じ正規ギルドなんですから、助け合わないと」

 

「変わらんなリート殿は…いや、実力は以前と比べ物にならんくなったと見るべきか?」

 

ジュラは、リートの体つきをじっと見る。

 

「はははっ…ちょっとの間でしたけど、アクナさんって人にメチャクチャしごかれまして…」

 

「ほう…アクナ殿に、それは期待できそうだ」

 

「知ってるんですか?」

 

「うむ、あの人は聖十の中でも有名人と化しておるから、自然と耳に入るのだ」

 

「あー……」

 

「聖十の称号を断り続けてますものね、あの方」

 

 

「積もる話しもあるが今回の目的は違うことなのでな、世間話しもこれくらいにしようではないか」

 

「えぇ、そうですね」

 

ジュラは、視線をリートから全員へと変える。

 

「これで3つのギルドが揃った。残るは化猫の宿の連中のみだ」

 

「化猫の宿からは二人だけと聞いてまぁす」

 

一夜が化猫の宿の情報を話すと、数人が反応する。

 

「二人だと!!?こんな危ねー作戦にたった二人だけを寄越すってのか!!?」

 

「ちょ……ちょっと……どんだけヤバイ奴等が来るのよぉ~~」

 

たったったっ

 

そして、また出入り口から一人の人が走って入ってくる。

 

ズテェーン

 

「きゃあっ」

 

出入り口から入ってきた青いロングヘアーの少女が、勢いよく転んでしまう。

 

「あらら~、大丈夫?ウェンディ」

 

その後ろから茶髪のショートヘアーの少女が転んだ少女、ウェンディの手をとり起き上がらせる。

 

「痛ぁ…うん、平気だよ。ごめんねマーラ」

 

「アタシは気にしてないよ!!ホラッ皆見てるよ、挨拶挨拶♪」

 

青い髪の少女ウェンディと、茶髪の少女マーラが、二人で横並びに立って、挨拶をする。

 

「あ…あの…遅れてごめんなさい。化猫の宿から来ましたウェンディです…よろしくお願いします!!」

 

「同じく!!マーラです!!皆!!よろしくね!!」

 

 

やって来た二人の少女に、全員が驚いた。

 

「「子供!?」」

 

「「女!!?」」

 

「「ウェンディ?」」




今回も出した新キャラ…増えてるなぁ…確実に増えてる…エドラスでも既にオリキャラ考えてるのに、主覚えてられるかなぁ…?まぁ出したからには、全力で物語に組み込んでやろう!!時には開き直りも大事だよね!!うん!!


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14対6

今回はちょっと、リートをナツたちの方へつけるか、ジュラたちへつけるか少し悩みましたwまぁどちらにしても今回で終わりとかはないんでどちらでもいいんですけど


キョロキョロ

 

ウェンディは辺りをキョロキョロと見渡していると、マーラから声がかけられた。

 

「ウェンディ、そんなに周りを見てたらみっともないよ」

 

「え?そうかな?」

 

「そうだよ~そんないかにも私弱いですって感じ出してると真っ先に敵に狙われちゃうよ~」

 

「はぅぅ…もう、恐いこと言わないでよマーラ」

 

「はははっ、ごめんごめん、いやぁ~相変わらずウェンディはからかいがいがあるなぁ~もう可愛くて可愛くて」

 

マーラは、ウェンディを見てニヤニヤと笑っていた。

 

仲良さそうに二人は話していたが、他のメンバーは驚いた顔で二人を見ていた。

 

「「女!!?」」

 

「「子供!!?」」

 

「ウェンディ……」

 

「……」

 

 

「あ…あれ?私たちってもしかして歓迎されてない……?」

 

マーラが不安そうな顔をしだすと同時に、ジュラが先導して話し始めた。

 

「これで全てのギルドが揃った」

 

「話し進めるのかよっ!!!」

 

 

ジュラは話しを続けようとするが、中には不満があるものもいるようで

 

「この大がかりな討伐作戦に、こんなお子様2人をよこすなんて……化猫の宿はどういうおつもりですの」

 

シェリーが不満そうにしていると、ウェンディでもマーラでもない、別の声が聞こえてくる。

 

「あら、二人じゃないわよ。ケバいお姉さん」

 

 

「シャルル!!?」

 

「え!!?ウソ!!?ついてきちゃったの!!?」

 

シャルルと呼ばれたのは、ハッピーやラリカと同じで喋る猫、しかし二匹と違うのは、毛の色が白いというところだ。

 

「当然よ、あなたたち二人じゃ不安でしょうがないもの」

 

「「「ネコ!!!」」」

 

シャルルの登場により、数人は驚いた表情で見ていた。

 

そしてハッピーも、別の意味で驚いていた。

 

 

キュピーン!!

 

ハッピーの目はハートに変わっている。いわゆる恋というやつだ。

 

ジー

 

ハッピーは、顔を赤くさせながらシャルルを見つめるが、シャルルにその気は無さそうで完全に無視をする。

 

「アハハ…相変わらず信用ないな~」

 

シャルルの言葉を聞いて、マーラは苦笑いしかできなかった。

 

「別に…信用してないわけじゃないわよ…」

 

シャルルが、小声で呟くが二人には聞こえていなかった。

 

 

「ねぇルーシィ、あのコにオイラの魚あげてきて」

 

「きっかけは自分でつくらなきゃダメよ」

 

 

ウェンディは、おどおどとしながらも何とか喋ろうとする。

 

「あ…あの……私…戦闘は全然できませんけど……みなさんの役に立つサポート魔法いっぱい使えます。だから仲間外れにしないでください~」

 

ウェンディが泣きそうになると、すかさずマーラがフォローに入り、話しを続ける。

 

「大丈夫だよウェンディ、みんな優しそうだよ。ね?みなさ~ん!!この娘の魔法きっと役に立ちますよ~!!アタシも何度も助けられてるし、あ、因みにアタシはそこまで大した威力は無いけどちゃんとした戦闘の魔法使えま~す」

 

「そんなんだからなめられるの!あんた達は」

 

シャルルは何故か、ウェンディだけでなくマーラにまで怒っていた。

 

「うえぇぇ!!?アタシも!!?」

 

 

 

他の者が困惑するなか、エルザが率先して話しかける。

 

「すまんな、少々驚いたがそんなつもりは毛頭ない。よろしく頼む、ウェンディ、マーラ」

 

エルザを見たウェンディとマーラは、目を輝かせている。

 

「うわわ……エルザさんだ……本物だよ。シャルル、マーラ」

 

「ほんとだ!!凄く綺麗な人だね」

 

「思ってたよりいい女ね」

 

 

「オ…オイラのこと知ってる?ネコマンダーのハッピー!!」

 

プイッ

 

シャルルは、ハッピーから話しかけられても無視を続ける。

 

「てれてる…かわいい~」

 

「相手にされてないようにも見えるけど」

 

「というかネコマンダーってなんですの?」

 

 

当然、青い天馬の三人は二人に声をかけないわけもなく。

 

「あの娘ら、将来美人になるぞ」

 

「今でも十分かわいいよ」

 

「さ…お嬢さん方、こちらへ……」

 

 

「えっ…あの……」

 

「え?なに?」

 

 

一夜は、ウェンディを見て違和感を感じていた。

 

「あの青い髪の娘、なんという香りだ。ただ者ではないな」

 

「気づいたか一夜殿」

 

ウェンディに違和感を感じていたのは、一夜だけでなく、ジュラも同じように感じていた。

 

「あれは、ワシらとは何か違う魔力だ………エルザ殿とリート殿も気づいているようだが」

 

「さ…さすが」

 

(ウェンディ…どっかで聞いたような…それにあの魔力…どちらかというとオレ達に似たような…)

 

リートは、ウェンディを見て考え込む。

 

(まぁ、敵って訳じゃないし、今考えてもしょうがねぇか。考えすぎかもしれねーし)

 

 

「ウェンディ……」

 

「どうしたナツ」

 

ナツも違和感を感じたのか、ウェンディをずっと見て考え込んでいた。

 

それに気づいたグレイが、ナツに話しかける。

 

「どこかで聞いたことあるような、ないような……」

 

「う~む…思い出してくれねーか?」

 

 

「知るか!!!」

 

 

「なんだオマエもかナツ」

 

ナツとグレイの会話を聞いていたリートがナツの元へとやってくる。

 

「!リートもか?」

 

「あぁ、けどどこで聞いたのか、いつ聞いたのかも思い出せねぇ、その内わかるんじゃねーか?」

 

「…まぁ、それもそうか」

 

それでも、ウェンディが気になるナツは、じっとウェンディを見ている。

 

すると、ウェンディもそれに気がついたのか、ナツと目が合う。

 

ニコッ

 

二人の目が合うと、ウェンディはナツに向かって笑いかけていた。

 

「あ~ウェンディ、あの人と意志疎通してるみたいだね~なんだか妬けちゃうな~」

 

「え!?そんなんじゃないよ」

 

「アハハ、照れなくてもいいじゃ~ん」

 

「照れてないってば!!もう」

 

 

「さて……全員揃ったようなので、私の方から作戦の説明をしよう」

 

一夜は、皆の注目を自分へと向ける。

 

「…とその前にトイレの香りを」

 

「オイ!!そこには香りってつけるなって」

 

 

「お下品な方ですわね」

 

「まぁ、おかしな人ってのは否定しねーけど…」

 

一夜がトイレから戻ってきて、ようやく作戦が伝えられる。

 

「ここから北へ行くとワース樹海が広がっている。古代人たちはその樹海に、ある強大な魔法を封印した」

 

 

「その名は ニルヴァーナ」

 

ニルヴァーナという名の魔法に、ピンとくる者はいないようだった。

 

「?」

 

「ニルヴァーナ?」

 

 

「聞かぬ魔法だ」

 

「ジュラ様は?」

 

「いや……知らんな」

 

 

青い天馬は多少の情報はあるらしく、ニルヴァーナについて軽く語る。

 

「古代人たちが封印するほどの破壊魔法という事だけはわかっているが」

 

「どんな魔法かはわかってないんだ」

 

「六魔将軍が樹海に集結したのはきっと、ニルヴァーナを手に入れるためなんだ」

 

 

「我々はそれを阻止する為、六魔将軍を討つ!!!」

 

 

「こっちは14人、敵は6人、だけど侮っちゃいけない。この6人がまたとんでもなく強いんだ」

 

ヒビキが魔法で、六魔将軍の顔が映った映像を出す。

 

 

「毒蛇を使う魔導士 コブラ

その名からしてスピード系の魔法を使うと思われる レーサー

天眼の ホットアイ

心を覗けるという女 エンジェル

この男は情報は少ないのだが ミッドナイトと呼ばれている

そして、奴等の司令塔 ブレイン」

 

「それぞれがたった一人でギルドの一つくらいは潰せるほどの魔力を持つ。我々は数的有利を利用するんだ」

 

 

「わ~お、ギルド一つ分だって、スゴいねぇウェンディ、シャルル」

 

「はわわ…なんだか恐くなってきちゃった」

 

「大したことないわよ」

 

 

「つまり、闇ギルドを一人で落とせるといわれた事がある程の実力者のバンクが6人いるって考えればいいわけですわね」

 

「いいわけねぇだろ…アイツが6人とかそれこそ収集つかなくなるぞ……」

 

 

作戦の説明中に、ルーシィが小さく手を上げる。

 

「あ…あの……あたしは頭数に入れないでほしいんだけど……」

 

「私も戦うのは苦手です」

 

ルーシィの近くにいたウェンディも、似たようなことを口にする。

 

「ウェンディ!!弱音はかないの!!」

 

 

「安心したまえ、我々の作戦は戦闘だけにあらず、奴等の拠点を見つけてくれればいい」

 

「拠点?」

 

「一人ずつ倒して終わりじゃないんですか~?」

 

 

「今はまだ奴等を補足していないが、樹海には奴等の仮説拠点があると推測される」

 

「もし可能なら奴等全員をその拠点に集めてほしい」

 

 

「どうやって」

 

「殴ってに決まってんだろ」

 

「結局戦うんじゃない」

 

「集めてどうするのだ?」

 

エルザの質問を聞いた青い天馬のメンバーは、真の目的を話した。

 

「我がギルドが大陸に誇る天馬 クリスティーナで拠点もろとも葬り去る」

 

 

「おおっ!!」

 

「魔導爆撃艇!?」

 

 

「てか…人間相手にそこまでやる?」

 

「そういう相手なのだ。よいか…戦闘になっても決して一人で戦ってはいかん、敵一人に対して必ず二人以上でやるんだ」

 

ルーシィはジュラの忠告を聞き、顔色を青ざめさせていくのがわかった。

 

「おしっ!!燃えてきたぞ」

 

「6人まとめてオレが相手してやるァー!!!!」

 

ナツはそう言いながら、勢いよく樹海に向かって飛び出していった。

 

「ナツ!!!」

 

「作戦聞いてねーだろ!!」

 

ナツに続いて、エルザ、グレイ、ルーシィ、ラリカもナツを追いかける。

 

「仕方ない行くぞ」

 

「うぇ~」

 

「ったくあのバカは」

 

「そういえば、いつの間にリートもいなくなったんですの?」

 

「アイツもかよ!!!」

 

妖精の尻尾が出ていった後、他のギルドのメンバーも次々と後を追いかける。

 

「妖精の尻尾には負けられんな、行くぞシェリー!!」

 

「はい!!!」

 

「リオン!!!シェリー!!!」

 

 

「オレたちも行くぞ!!!」

 

「うん!!」

 

「エンジェルかぁ」

 

 

「あわわわ…」

 

「ほら、アタシたちも行こっ♪ウェンディ」

 

「大丈夫、オイラがついてるよ」

 

「ウェンディ!!マーラ!!行くわよっ!!!」

 

「わっ わっ」

 

「ちょっ…引っ張らないでよシャルル~」

 

「あ!!待ってよ~」

 

妖精の尻尾、人魚の鱗、青い天馬、化猫の宿+ハッピーの順番で次々と樹海に走って行き、残ったのはジュラと一夜の二人だけとなってしまう。

 

「やれやれ」

 

「メェーン」

 

「何はともあれ作戦開始だ。我々も行くとしよう」

 

「その前にジュラさん」

 

建物の外へ行こうとするジュラを、何故か一夜が引き留める。

 

「かの聖十大魔道の一人と聞いていますが、その実力はマスターマカロフにも匹敵するので?」

 

 

「滅相もない聖十の称号は評議会が決めるものワシなどは末席、同じ称号を持っていてもマスターマカロフと比べたら天と地程の差があるよ」

 

 

「ほう、それを聞いて安心しました。マカロフと同じ強さだったらどうしようかと思いまして」

 

一夜の言葉が意味がわからないと言った顔で見ていたジュラの鼻に、何かの臭いが伝わってくる。

 

「!うっ」

 

気がつくと二人の周りには煙のようなものが充満しており、ジュラの体は思うように動かせなくなっていた。

 

「な…何だこの臭いは!!?」

 

 

「相手の戦意を消失させる魔法の香り……だってさ」

 

「一夜殿!!!これは一体!!!?」

 

ドスッ

 

「ぐほっ」

 

戦意を消失させられたジュラの腹に、一夜はナイフを突き刺した。

 

ぽんっ

 

「ふぅー」

 

「戻ったー」

 

一夜の体は、2体の小さな人形のような体へと変化した。

 

「………」

 

 

「一夜って奴エロい事しか考えてないよ」

 

「考えてないね、ダメな大人だね」

 

 

「はいはい、文句言わない」

 

「「ピーリ ピーリ」」

 

「!」

 

一夜が変化したと同時に、潜んでいたエンジェルが現れた。

 

「こ…これは」

 

「あー……あのキタナイ男ねぇ……コピーさせてもらったゾ、おかけでアナタたちの作戦は全部わかったゾ」

 

「なっ…」

 

「は~い、じゃあそろそろ止めを指してしまえ、ジェミニ」

 

「わかった~」

 

「わかった~」

 

ジェミニはもう一度一夜に変身すると、ジュラに向けてナイフを振り下ろす。

 

「まずは二人、しとめたゾ」

 

ガキン!!

 

「!」

 

ジュラにナイフを突き刺そうとしたジェミニの前に、リートが入り込み、氷の剣でナイフを防いでいた。

 

「間一髪…いや、襲われてる時点でアウトか…」

 

「オマエ!!?そいつの仲間の!!?飛び出して行ったんじゃ!!?」

 

「まさか姿形をコピーできるなんてな、オレも全然気づかなかったよ、けどな、トイレで襲った一夜さんの口はふさいでおくべきだったな、あの人がトイレに行った後からトイレから弱りきった一夜さんの声が聞こえてたんだよ」

 

「成る程…同じ人間が二人もいて違和感を感じたのか」

 

「リート…殿」

 

「ジュラさん、すいません、助けるのが遅れてしまって、後はオレがやります」

 

リートは、ジェミニとエンジェルに向かって構えをとる。

 

「こいつ~一夜って奴の記憶にあった~」

 

「あったね~リートって言う強いやつだよ~」

 

「そうか、オマエが氷竜(セルシウス)か」

 

「だったらなんだよ」

 

「残念だけど時間切れだから私は行かせてもらうゾ」

 

エンジェルが踵を返すと、リートは地面を蹴りエンジェルに攻撃しようとする。

 

「行かせるわけねぇだろ!!!」

 

もわ~

 

「!!?くさっ!!!」

 

「一夜って奴の脇の香りらしいよ」

 

ジェミニが一夜に変身し、強烈な臭いをリートに嗅がせるとその場から消えてしまう。

 

「うっ…待ちやがれ……」

 

「邪魔はさせないゾ光の子たち邪魔する子は天使が裁くゾ」

 

そういい残して、エンジェルは消えてしまった。

 

「ぐっ……一夜さん…なんつー物持ってきてんだよ…」

 




悲報 リート一夜の脇の臭いに敗れる

あれ?悲報じゃなくて朗報かな?


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天空の巫女

今の内に報告します。100話記念に少し長めのオリジナル物語を投稿する予定なので、また本編が一旦止まります。

本編を早く読みたいって方には申し訳ないですが、もう書き始めてますし、勝手に決めてしまった身勝手な主を暖かい目で見て許してくれると助かります。

まぁ、まだオリジナルの方も完結はしてないですが…何とかしますので


「見えてきた!!!樹海だ!!!」

 

ナツを筆頭に、連合メンバーは樹海へと向かって走っていた。

 

「待てよナツ」

 

「やーだねーーっ」

 

「一人で先走るんじゃない」

 

ゾロゾロと樹海に向けて走る中、ルーシィは後方を少し遅れながら走っていた。

 

「ちょっと…みんな…足…速すぎ……」

 

「大丈夫ですの?ルーシィ」

 

「うん、でもちょっとしんどいかも」

 

 

疲れきったルーシィを、青い天馬の三人が放っておくわけもなく走りながら声をかける。

 

「お姫様だっこしようか?」

 

「僕は手を繋いであげる」

 

「オレから離れんじゃねぇーよ」

 

 

「うざい!!!」

 

 

それよりさらに後ろから、ウェンディ、マーラ、シャルル、ハッピーと揃ってついてきていた。

 

「ウェンディ!!マーラ!!もたもたしない!!!」

 

「だってぇ~」

 

「待ってシャルル…手を引っ張ってくれるのはいいけど、この体制走りずらい」

 

「オイラも頑張るからね!!」

 

 

ゴオオオッ

 

「!!」

 

「なに?」

 

走っているナツ達の上空に巨大な影が現れ、全員がその影に注目し始めた。

 

ピタッ

 

「おわっ!!急に止まるんじゃねぇ!!」

 

ナツが走るのを止め立ち止まると、当然後ろから追いかけてきていたグレイと衝突してしまう。

 

「おおおっ!!!」

 

巨大な影の正体は、ペガサスを模した、巨大な空飛ぶ戦艦クリスティーナだ。

 

「魔導爆撃艇クリスティーナ!!!!」

 

「すげぇ!!!」

 

「あれが噂の…天馬!!!」

 

ボン ボボン!!

 

しかしクリスティーナは、内部からいきなり爆発し、徐々に高度下げて行く。

 

「え!?」

 

「そんな…」

 

「クリスティーナが…」

 

「落とされたぁ!!!!」

 

 

「これは…かなりマズイのではありませんの?」

 

墜落したクリスティーナの中から、6人の人影が現れた。

 

「誰か出てくる…」

 

 

「ひえぇー」

 

ウェンディは恐がって、近くの岩の裏に隠れてしまった。

 

「ウェンディ!!」

 

「大丈夫だよ、ウェンディ…シャルル…二人だけは、必ずアタシが守るからね」

 

 

クリスティーナの中から出てきたのは、六魔将軍のメンバー全員だ。

 

「「「「「「六魔将軍!!!」」」」」」

 

 

 

「うじどもが 群がりおって」

 

 

「君たちの考えはお見通しだゾ」

 

「ジュラと一夜もやっつけたぞ、リートは時間がなくて倒しきれなかったけど、今もそれなりに苦しんでるぞ」

 

「どーだ」

 

エンジェル、ジェミニの言葉を聞き、連合軍の何人かは動揺を隠せずにあらわにしてしまう。

 

「何!!?」

 

「バカな!!!」

 

「ウソ!!リートと戦って無傷なんて…」

 

 

 

「動揺しているな?聞こえるぞ」

 

「仕事は速ぇ方がいい、それにはアンタら…邪魔なんだよ」

 

「お金は人を強くするデスネ。いい事を教えましょう、世の中は金が全…「オマエは黙ってろホットアイ」」

 

コブラ、レーサー、ホットアイと喋り出す中、ミッドナイト一人だけが浮かぶ絨毯の上で眠っていた。

 

「なんか、眠ってる人いるんですけど……」

 

「まさか、そっちから現れるとはな」

 

 

「「探す手間が省けたぜーー!!!」」

 

ナツとグレイが、同時に攻撃を仕掛けようと飛び出した。

 

「お二人とも!!少なくともリートまでもが手傷を追わされてるんですのよ!!もうちょっと慎重になりなさいな!!!」

 

「関係ねー!!」

 

「あぁ、それにアイツが簡単にくたばるかよ!!!」

 

ラリカの注意を無視し、二人は攻撃の体制に入る。

 

「やれ」

 

ブレインが、一言そういうとレーサーが飛び出し、高速でナツとグレイの間に入る。

 

「モォタァ!」

 

ギュルルル!!

 

ガッ ゴッ

 

「ぐあぁ」

 

「うああっ」

 

空中で上下反転した状態で、レーサーは高速回転を行い、ナツとグレイを殴り飛ばした。

 

 

「「ナツ!!!グレイ!!!」」

 

ルーシィが二人の安否を確かめようと叫ぶと、もう一人同じ声がルーシィの隣から聞こえた。

 

「ん?」

 

「え?」

 

気がつけばルーシィが一人増えており、片方のルーシィが鞭を取り出し、もう一方のルーシィを鞭で叩く。

 

「ばーか」

 

「な…なにコレぇ!!? あたしが、え?ええ!!?」

 

 

「ちっ」

 

連合軍側が不利な状況になり、リオンとシェリーが戦いに参加しようとするが、それを阻止するべくホットアイが動き出す。

 

「愛などなくとも金さえあれば!!!!デスネ」

 

ホットアイの魔法により、地面が波のように変形し、リオンとシェリーの足場を不安定にさせる。

 

「きゃああ!!」

 

「何だ!!?地面が!!」

 

 

 

青い天馬の三人も、レーサーから攻撃されていた。

 

「ぐっ…」

 

「がぁ…」

 

「かはぁっ…」

 

 

「舞え!!!剣たちよ!!!」

 

天輪の鎧に換装したエルザが、コブラに剣を放ち攻撃を仕掛ける。

 

しかし、コブラはコレを軽々とかわした。

 

 

 

「くっそぉ!!!」

 

レーサーの攻撃で倒れていたナツが起き上がった。

 

ナツが見た方向には、ミッドナイトが眠っている。

 

「おまえ何寝てんだコノヤロウ!!!」

 

ナツはブレスの構えをとり、ミッドナイトに向けて炎を吹き出した。

 

「起きろーっ!!!」

 

ボゴォォォォ

 

ミッドナイトに炎が当たる、誰もがそう思っていたが、結果は全く違う形となった。

 

ぐにゃん

 

「!!!」

 

炎がミッドナイトにぶつかる直前で曲がり、ミッドナイトにナツのブレスが当たることはなかった。

 

「よせよ、ミッドナイトは起こすと怖ぇ」

 

いつの間にか、ナツの後ろにレーサーが回り込んで構えをとっていた。

 

ボッ

 

「んがぁ」

 

レーサーはナツの背中を殴り、ナツは勢いよく吹き飛ばされてしまった。

 

 

「アイスメイク…」

 

グレイも氷の造形で攻撃しようとするが…

 

パキィ

 

「なっ!!?」

 

ジェミニがグレイに変身し、グレイに氷で攻撃してグレイの攻撃を防いだ。

 

エルザ以外の連合軍のメンバーはほとんどがやられてしまい、残るのは、エルザ、ラリカ、ウェンディ、マーラ、シャルル、ハッピーだけとなってしまった。

 

「コレは…ちょっとマズイね…」

 

(せめて…ウェンディとシャルルだけでも守らないと…)

 

マーラは、気を引き閉めて、敵からの攻撃に備える。

 

(って、それよりもエルザさんの援護が先か…)

 

マーラは光の玉を掌に作り出し、それをエルザの真上に投げる。

 

「流星花火!!」

 

エルザの真上に上がった光の玉が無数に分裂し、六魔の上に降り注ぐ。

 

「聞こえてんだよ」

 

六魔達は、軽々と真上から落ちてくる光の攻撃をかわした。

 

「ウソ!!?」

 

「速さが足りねぇなぁ、もっと速くなってから戦いに挑むべきだった」

 

マーラはレーサーに蹴り飛ばされ、気を失ってしまった。

 

「きゃあぁ!!!」

 

「「マーラ!!」」

 

マーラを蹴り飛ばし、レーサーはそのままエルザに攻撃を仕掛けに行く。

 

ボッ

 

レーサーの攻撃をかわしたエルザは、即座に飛翔の鎧に切り替え、二人を相手に戦闘を続ける。

 

「ほぅ、これがエルザ・スカーレットか」

 

善戦をしていたと思われたエルザだったが、徐々にコブラとレーサーに圧されだしてきた。

 

「聞こえるんだよ、その動き」

 

「!!!」

 

カプッ

 

コブラと共にいた蛇が、エルザの腕に噛みつくと、エルザの顔色が悪くなっていく。

 

「そいつの毒はすぐには死なねぇ……苦しみながら息絶えるがいい…」

 

「あ…あ…」

 

エルザは、体に力が入らずついに倒れてしまった。

 

「ううっ…」

 

「強ぇ…」

 

 

「ゴミどもめ、まとめて消え去るがよい」

 

ブレインが持っていた杖に魔力を込めると、地震が起こり始めた。

 

「なんですの…この魔力……」

 

「大気が震えてる」

 

 

常闇回旋曲(ダークロンド)

 

ブレインが魔法を放とうとした瞬間、一人の少女に気がつき、攻撃をやめた。

 

「どうしたブレイン!!」

 

「なぜ攻撃を止める!!?」

 

 

 

「……ウェンディ」

 

 

ブレインに名前を云われたウェンディだが、ウェンディは状況を理解できていなかった。

 

「え? え?」

 

 

「どうしたブレイン」

 

「知り合いか?」

 

「間違いない、天空の巫女」

 

「!」

 

天空の巫女という名前に、六魔の顔色がかわった。

 

「これはいいものを拾った」

 

ブレインは杖から闇の魔力を出して、ウェンディを捕まえる。

 

「こい」

 

 

「きゃあ」

 

「ウェンディ!!!」

 

 

「レディになんて事をしますの!!!」

 

シャルルが、連れ去られていくウェンディに向かって、必死に手を伸ばす。

 

「シャルルー!!!」

 

 

「何しやがる…この」

 

ナツが起き上がろうとするが、

 

「金に…上下の隔て無し!!!」

 

ホットアイの魔法でまたも地面を歪められ、ナツ達は起き上がることができなかった。

 

 

「シャルルー!!!」

 

「ウェンディー!!!」

 

「うっ…」

 

マーラが目を覚ますと、ウェンディが連れ去られていく瞬間で、マーラも焦りを見せる。

 

「っ!!?ウェンディ!!!!」

 

 

「マーラー!!!!」

 

ガシッ

 

「あ」

 

「あれ?」

 

ウェンディが手を掴みとるが、掴みとったのはシャルルではなく、ハッピーの手をとってしまい、ウェンディと一緒にハッピーもブレインの魔法の中に消えてしまった。

 

「ナツー!!!!」

 

「ハッピーー!!!!」

 

「「ウェンディーー!!!!」」

 

 

「うぬらにもう用はない、消えよ」

 

ウェンディを捕まえたブレインは、ナツ達にトドメを刺そうと魔法を放つ。

 

「ふせろぉーー!!!」

 

(リート…!!!)

 

 

 

 

 

「ジュラさん!!お願いします!!!」

 

「うむ!!」

 

ダン!!

 

ナツ達にブレインの魔法が襲いかかる瞬間、ジュラとリートが現れる。

 

「岩鉄壁!!!!」

 

ジュラはホットアイが変形させた地面から、岩の柱をいくつも作り出し、ブレインの攻撃を防ぐ。

 

ズガガガガガ

 

「ぐっ…」

 

(数が多すぎる…防ぎきれん)

 

「ふっ」

 

ピキィン!!

 

ジュラの作り出した岩にヒビが入ると、リートはそれを氷で補強する。

 

ドゴォン!!

 

「すまん、リート殿助かった」

 

「いえ、ジュラさんじゃなければ今の防御は間に合っていませんでした。お互い様ですよ」

 

 

「ジュラ様!!!」

 

「リート!!!」

 

 

「すごいや!!」

 

「ありがとう、助かったよ」

 

 

「あいつらは!!?」

 

ナツが慌てて六魔のいた方向に目を向けるが六魔将軍全員、既にその場から消えてしまっていた。

 

「いねぇ!!!」

 

 

「ウェンディ…」

 

「ごめん…ごめんね…ウェンディ……アタシが守るなんて言っておきながら」

 

 

「完全にやられた」

 

「あいつら強すぎるよ」

 

 

「ジュラさん…無事でよかったよ」

 

「いや、危ういところだった」

 

リオンと話しているジュラの腹からは、血がにじみ出していた。

 

「リートーー!!!」

 

 

「?」

 

リートが振り返ると、ラリカが今にも泣きそうな顔で、リートの下へ駆け寄ってきた。

 

「無事でよかったですわーー!!」

 

がばっ

 

「うおっ!!?」

 

胸に飛び付いてくるラリカを、リートは軽く後ろに下がりながら受け止める。

 

「悪ぃ、心配かけた」

 

「全くですわよ!!こんどやったらお仕置きしますわよ」

 

「えぇー…オレが悪いの?」

 

 

リート達が合流したことで、自分達の状況を確認することとなった。

 

「ジュラさん、傷大丈夫ですか?」

 

「うむ、今は一夜殿の《痛み止めの香り》で一時的に抑えられているが」

 

「六魔将軍め我々が到着した途端に逃げ出すとは、さては恐れをなしたな」

 

格好つけているが、一夜の体はボロボロだ。

 

「あんたボロボロじゃねーか!!」

 

「しかし、リート殿はそういう訳にはいかんくてな」

 

ジュラの言葉に、グレイ達がリートに問い詰める。

 

「おまえもやられたのか?」

 

「見た感じ、どこもケガはしてなさそうですわよ?」

 

「外傷は問題ねぇ…けど今は鼻をやられて麻痺してる」

 

「鼻?」

 

「……激臭嗅がされた…」

 

「みっともないですわよ」

 

「うっせぇ!!」

 

 

「皆さんにも、私の痛み止めの香りを」

 

一夜が、試験管から煙を出して、メンバーの痛みをやわらげる。

 

「いい匂い」

 

「痛みが…やわらいでいく……」

 

「「「さすが先生!!!」」」

 

「また呼び方変わった……」

 

しかし、鼻をやられたリートには当然効果はない。

 

「ってかなにしてんだ?」

 

リートは一夜の試験管を見ると同時に、グレイの後ろへと身を潜めていた。

 

「いや、ちょっと今はあの人の魔法はオレにとってはトラウマなんだよ」

 

「一体、何をされましたの?」

 

「だから激臭嗅がされたんだって」

 

「おまえが怯えるほどって…ちょっと気になるな」

 

滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)には天敵なんだぞアレ…」

 

 

「あいつら~っ…ウェンディとハッピーを…」

 

「どこだーーー!!!」

 

グイッ

 

「ぐえっ」

 

ナツが走り出すが、マフラーを誰かが掴みナツを引き留める。

 

ぱたぱた

 

ナツを引き留めたのは、羽を生やしたシャルルだった。

 

「羽!?」

 

「猫が飛んでる」

 

 

「これは(エーラ)っていう魔法、ま…驚くのも無理ないですけど」

 

「ハッピーやラリカと被ってる」

 

「何ですって!!!」

 

ナツの言葉にシャルルは怒るが、ラリカも翼を生やしてリートの肩から飛び上がった。

 

「ホントですわよ、ホラ私にも翼が生えてるでしょう?」

 

「むむむっ…まぁいいわ……マーラもいつまで泣いてるの!!」

 

「ふぇぇっ…?」

 

ウェンディを守れなかった事で、ショックを受けていたマーラにシャルルが渇を入れる。

 

「とにかく、ウェンディとオスネコの事は心配ですけど、やみくもに突っ込んでも勝てる相手じゃないってわかったでしょ」

 

 

「シャルル殿の言う通りだ。敵は予想以上に強い」

 

 

「それに…」

 

くいっ

 

「!!!」

 

シャルルが、首を向けた方には、苦しんでいるエルザの姿があった。

 

「エルザ!!!しっかりして!!!」

 

「!!?エルザ!!!どうしたんだ!!!」

 

リートが慌てて、エルザに駆け寄る。

 

「敵の蛇に噛まれたんですのよ」

 

「!!?毒か!!」

 

「う…うあ…」

 

「そんな……痛み止めの香りが効かないなんて」

 

 

「エルザ!!!」

 

 

「ルーシィ、すまんベルトを借りる」

 

エルザがルーシィのベルトに手を掛けると、ベルトを剥ぎ取った。

 

「きゃあぁ!!」

 

「な…なにしてんのよ」

 

ぐっぐっ

 

エルザは、剥ぎ取ったベルトを自分の腕に巻き、血の流れを止める。

 

「このままでは戦えん」

 

エルザが換装した剣を一本投げ、片腕を横に差し出す。

 

「斬り落とせ」

 

「「「「!!!」」」」

 

「バカな事言ってんじゃねぇよ!!!」

 

 

全員が動揺する中、リオンが前に出て剣を拾う。

 

「わかった、オレがやろう」

 

「リオンてめぇ!!!」

 

「やれ」

 

リオンは剣を振り上げる。

 

「よせ!!!」

 

「今この女に死んでもらう訳にはいかん」

 

 

「やめてくださいまし!!!他にも方法があるかも…」

 

「いや、あるかどうかわかんねぇ方法より、確実に生かす方を選ぶべきかもしれねぇ」

 

ラリカの言葉を、リートが遮る。

 

「リート!!!」

 

「じゃあ、黙って死なせろっていうのか」

 

「そう言うわけではありませんけど……」

 

「やるんだ!!!早く!!!」

 

リオンは勢いよく、エルザの腕に剣を振り下ろす。

 

ガチィ

 

しかし、リオンの剣をグレイが氷で止めた。

 

「貴様は、この女の命より腕が大事というのか?」

 

「他に方法があるかもしれねぇだろ、短絡的に考えんなよ」

 

「あ…」

 

ドサッ

 

こうしている間にも、エルザに毒がまわり、またエルザは倒れてしまう。

 

「エルザ!!!」

 

ピキィン

 

「!!」

 

エルザの腕を、リートが凍らせた。

 

「応急処置だ。血の流れを止めただけだから長くは持たねぇ、だからさっさと他の方法を考えろ。何も考えがないなら最悪の場合、オレがエルザの腕を斬り落とすからな」

 

一連の騒動を見ていたマーラが、ボソッと一言呟いた。

 

「ウェンディなら…」

 

「ウェンディ…あの青髪の子か」

 

 

「えぇ、ウェンディなら助けられるわ」

 

「あの子は……そういう魔法が使えるの…」

 

「今さら仲間同士で争ってる場合じゃないでしょ?力を合わせてウェンディを救うの、ついでにオスネコも」

 

 

 

「あの娘が解毒魔法を?」

 

「すごいなぁ」

 

 

「あ、いや…解毒だけじゃないの」

 

「どういうことだ?」

 

「解毒だけじゃなくて、解熱や痛み止め、キズの治癒もできるの」

 

「治癒って失われた魔法じゃなくて?」

 

「まさか……天空の巫女ってのに関係あるの?」

 

 

「あの娘は天空の滅竜魔導士なの…」

 

「天竜のウェンディ」

 

 

「ドラゴンスレイヤー!!?」

 

「あの違和感の正体はこれか」

 

 

「詳しい話しは後!!ってゆーかこれ以上話すことはないけど」

 

「皆、お願い…ウェンディを……アタシの友達を助けて下さい…」

 

涙を流しながら、マーラは全員に頭を下げる。

 

それを見たリートは、マーラにゆっくりと近寄っていく。

 

ガクガク…

 

マーラは、足を震わせながらも頭を下げ続けた。

 

ポン

 

リートがマーラの頭に手を置いて、優しく話す。

 

「!!」

 

「任せろ、絶対に助け出す」

 

それを聞いて、マーラは再び泣き出してしまった。

 

「ありがとう…ありがとう」

 

それを見て、全員の気が引き締まる。

 

「こんなかわいい娘に頼まれたら断るわけにはいかないね」

 

「エルザを助けるためにも、どのみち助けなきゃならねぇ」

 

「ウェンディちゃんとマーラちゃんの為にも」

 

「エルザの為にも」

 

「ハッピーもね」

 

 

「おしっ!!!」

 

「行くぞぉ!!!」

 

 

「「「「「「「「おおおぉ!!!!」」」」」」」」




遅くなりました。今現在オリジナル優先してますので、今はかなり遅いペースになってしまってますが、しばらくは皆さんに待っていて頂けたらと思ってます。

因みにマーラの魔法は、花火魔法という、魔力で様々な花火を作り出せるっていう魔法設定になってます。


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闇ギルド傘下

※これは注意書きです

先日Twitterでも載せましたが、個人メールに変なメールをする人がいるようです。

あからさまに怪しすぎるので普通に引っ掛からないとは思いますが、皆さんは引っ掛からないように注意してください。


六魔将軍はウェンディとハッピーを、とある荒れ果てた土地の洞窟に連れてきていた。

 

「ここはかつて古代人の都があった。この洞窟は村の神事の際に巫女が籠り神託を得たという」

 

ブレインは、ウェンディとハッピーを無造作に放り投げる。

 

「きゃっ!!」

 

「ぎゃわ」

 

 

「乱暴するな!!!女の子なんだぞ!!!」

 

ぎゅむ

 

「もびゅ」

 

ブレインに向かって強気に叫ぶハッピーだったが、片手で顔を捕まれて、あっさりとダウンしてしまった。

 

「ハッピー!!!」

 

「きゅぅぅ…」

 

 

ブレインが連れてきたという事で、ウェンディは他の六魔将軍のメンバーからも注目を集めていた。

 

「ブレイン、この女は何なんだ?」

 

「ニルヴァーナに関係してんのか?」

 

「そんな風には見えないゾ」

 

「そうか!!!売ってお金に!!!」

 

 

「こやつは天空魔法…治癒魔法の使い手だ」

 

ブレインが治癒魔法と言ったとたん、全員の目の色が変わった。

 

「治癒魔法だと!!?」

 

「失われた魔法」

 

「これはお金の匂いがしマスネ」

 

「こんな小娘が…!!!まさか!!!」

 

コブラが何かを察したのか、反応を見せる。

 

ブレインもコブラが言いたいことを察して、話しを続ける。

 

「その通り、奴を復活させる」

 

 

「わ…私……!!!悪い人たちに手は貸しません!!!」

 

ウェンディは必死に抵抗の意思を見せるが、ブレインは余裕の表情をしていた。

 

「貸すさ…必ず…」

 

「うぬは必ず、奴を復活させる」

 

そしてブレインは、視線をウェンディからレーサーへと変えて指示を出す。

 

「レーサー、奴をここへ連れてこい」

 

「遠いなぁ、さすがのオレも一時間はかかるぜ」

 

「かまわん」

 

 

コブラは、誰を復活させようとしてるのかを知っているのか、笑みがこぼれる。

 

「なるほど、あいつがいればニルヴァーナも見つかったも同然」

 

レーサーが外へと出ていき、残った者にはブレインから指示を受ける。

 

「コブラ、ホットアイ、エンジェル、貴様らは引き続きニルヴァーナを探せ」

 

 

六魔全員は復活させる者が誰か理解しているようだ。

 

「でも、あの人が復活すればそんな必要はないと思うゾ」

 

「万が一ということもある私とミッドナイトはここに残ろう」

 

「ミッドは動く気がないみたいデスネ」

 

コブラは渋々といった表情で立ち上がり、エンジェル、ホットアイも、それに続いて動き出そうとする。

 

「しゃあねぇ、行ってくるか」

 

「ねぇ、競争しない?先にニルヴァーナを見つけた人が…」

 

「100万J!!!のったァ!!!デスネ」

 

「高いゾ」

 

 

六魔の話しを黙って聞いていたウェンディの心には、不安が溜まってゆく。

 

「一体どんな魔法なの…?ニルヴァーナって……」

 

 

ウェンディの声が聞こえたのか、ブレインがふとニルヴァーナを簡潔に説明した。

 

「ニルヴァーナ…光と闇が入れ替わる魔法だ」

 

 

 

………

 

 

一方リートたちはそれぞれ、3人一組に別れて樹海の中を行動していた。

 

「ちょっといいか?」

 

「? 何?」

 

リートは、マーラとラリカと共に行動していた。

 

「天空の滅竜魔導士ってやっぱり…空気とか食べるのか?」

 

「うん、ウェンディは空気を食べて魔力を回復したりできるよ」

 

「うまいのかな?」

 

「さぁ?アタシは滅竜魔導士じゃないし、よくわかんない」

 

「ふーん」

 

「酸素とは違いますのね」

 

「ウェンディは、今回の作戦に参加したのには理由があるの」

 

「理由?」

 

マーラは、こくりと頷いて話し続ける。

 

「ウェンディは、ナツさんとリートさん…あなた達二人に会えると思ってこの作戦に志願したの……」

 

「オレとナツに?なんでまた」

 

「ほら、ナツさんとリートさんってウェンディと同じ滅竜魔導士じゃない、だから色々と話しを聞けると思ったらしくて」

 

「話しって何を……?」

 

「ドラゴンの親について…」

 

「!!」

 

リートの目が見開かれる。

 

「ドラゴンの…親……」

 

「うん…あのコは7年前にドラゴンの親、滅竜魔法を教えてくれた、天竜グランディーネとはぐれたらしいの」

 

「グランディーネ…か…」

 

「もしかしたら、あなた達のどちらかが何かを知ってるんじゃないかって思ったのかもしれないの」

 

リートは、少しばかり考え込んでしまう。

 

「フランドーラにイグニールのおじさん、ナツから聞いた話だとガジルの親のメタリカーナもっつってたな…そしてグランディーネ…全ての竜が7年前に姿を消している…か……」

 

「何ですの!!アレは!!」

 

ラリカの叫び声で、リートは我に戻った。

 

「何これ…木が……」

 

「真っ黒ですわね……」

 

「うん…なんか気持ち悪い」

 

 

ラリカとマーラが黒い木にたじろいでいると、リート達の周りからワラワラと人が集まってくる。

 

「ヒャッハー!!ニルヴァーナの影響だぜぇ」

 

「大したもんだよな、ニルヴァーナって、あまりにスゲェもんで大地が死んでるらしいもんな」

 

 

リートは、マーラとラリカを後ろに下げて臨戦態勢に入る。

 

「誰だテメェ等」

 

 

「ヒャッハー!!六魔将軍傘下の赤い悪魔(レッドデビル)を知らねぇのかぁ?」

 

「テメェの乏しい知識がよく分かるな」

 

 

「敵って6人だけじゃありませんでしたのね…」

 

「これは、いくらなんでも危ないんじゃ…?」

 

マーラとラリカが体を震わせて、怯えているのがわかった。

 

「二人とも、そこから動くなよ」

 

リートの指示で、ラリカは真剣な顔つきになる。

 

「分かりましたわ…」

 

「え?え?」

 

「そこから動かれると、何かあっても守りきれるとは保証できねぇからな」

 

リートは腕に氷を張った。

 

「けど、丁度よかったぜ、テメェらぶっ飛ばせば六魔の居場所を聞き出せるんだからな、探す手間が省けてラッキーだ」

 

「……」

 

マーラは、頬を二回叩いて気合いを入れる。

 

「アタシも戦う」

 

「!」

 

「ウェンディを助けるためにも、アタシがみんなの足を引っ張るわけにはいかないもの」

 

ふっ

 

リートは、口元を緩ませて軽く笑うと、マーラに指示を出す。

 

「わかった。なら手伝ってもらうぜ、相手は雑魚とはいえ数は異様にいる、最後まで守るつもりだがもしもの時は自分で何とかしてもらう、ラリカはオレの肩に乗れ、何がなんでも守り通してやる」

 

「分かりましたわ」

 

「……はい!!!」

 

 

「ヒャッハー!!舐めやがって、オレたち赤い悪魔(レッドデビル)を相手に生きてられると思うなよ」

 

「オレたちの怖さを思い知らせてやる」

 

 

 

そして、他のグループも同じように、六魔将軍の傘下の闇ギルドとぶつかることとなる。

 

 

 

………

 

 

「重てぇ……これじゃスピードが出ねぇぜ」

 

時同じく、レーサーは巨大な棺桶を持って拠点に戻ってきていた。

 

「主より速い男など存在せぬわ」

 

ズシィン

 

あまりにも巨大な棺桶を前にして、ウェンディが怯える。

 

「ひっ…」

 

「棺桶!!?」

 

棺桶にはいくつものチェーンで頑丈に守られており、ブレインは一つ一つチェーンを外していく。

 

「ウェンディ、おまえにはこの男を治してもらう」

 

 

「わ…私……そんなの絶対に治しません!!!」

 

「そーだ!!そーだ!!」

 

 

「いや、おまえは治す…治さねばならんのだ」

 

チェーンを全て取り外し、開かれた棺桶の中には、ハッピーもよく知る男の姿があった。

 

「!!!」

 

「この男はジェラール、かつて評議院に潜入していた。つまり、ニルヴァーナの場所を知る者」

 

「ジェラールって…え?え!?」

 

 

「ジェラール…」

 

ウェンディも、ジェラールの事を知っているようだった。

 

「知り合いなの!?」

 

 

「エーテルナノを浴びてこのような姿になってしまったのだ。元に戻せるのは、うぬだけだ…恩人……なのだろう?」

 

 

………

 

 

「おおおぉ!!!」

 

リート達は、闇ギルドを相手に戦い続けている。

 

「吹き飛べ!!」

 

リートは氷の柱を投げ飛ばし、敵を倒す。

 

「このぉ!!」

 

「リートさん!!伏せて!!」

 

「!」

 

リートは、肩に乗っているラリカの頭をおさえてしゃがみ込む。

 

 

「スパーク花火!!」

 

マーラが掌に光の玉を作り出し、その玉が四方八方へと分裂しながら飛び散り、敵にダメージを与える。

 

「おらぁ!!」

 

「きゃっ!!」

 

マーラの後ろから敵が剣を振り上げ、今にも襲いかかろうとしていた。

 

ドヒュン!!

 

「がっ…」

 

しかし、リートがそれを、指先で作った氷の礫をマーラを襲おうとしている相手の眉間に撃ち込み倒す事に成功する。

 

「あ…ありがとう…」

 

「どうってことねぇよ、それよりもまだ敵は残ってる。油断するな」

 

「はい!!」

 

 

………

 

 

「ジェラールって、あのジェラール?」

 

「ハッピー知ってるの?」

 

ハッピーは声を荒げて話す。

 

「知ってるも何も!!コイツはエルザを殺そうとしたし!!評議院を使ってエーテリオンを落としたんだ!!」

 

ハッピーがジェラールを恨めしそうに睨むのと対象に、ウェンディの表情はどんどんと寂しげに見えてくる。

 

「そうみたいだね……」

 

「生きてたのかコイツ~!!」

 

 

「この男は亡霊にとりつかれた亡霊………哀れな理想論者 しかし、うぬにとっては恩人だ」

 

 

「ダメだよ!!!絶対 こんなやつ復活させちゃダメだ!!!」

 

ウェンディは、ジェラールを治すべきなのか悩んでいた。

 

「ウェンディ!!!!」

 

 

「早くこの男を復活させぬか」

 

ブレインがナイフを取り出すと、ためらいなくジェラールの片腕に突き刺した。

 

ザッ!!

 

「!!!!」

 

「やめてぇーーーーっ!!!!」

 

ゴッ

 

「あうっ」

 

ブレインは、持っている杖でウェンディを殴り飛ばした。

 

「治せ うぬなら簡単だろう」

 

ウェンディが迷い続けるなか、ハッピーは必死にウェンディに説得する。

 

「ジェラールは悪い奴なんだよ!!!ニルヴァーナだって奪われちゃうよ!!!」

 

 

「………それでも私……この人に助けられた」

 

ポロポロ

 

気がつけばウェンディの目からは、涙がこぼれ落ちていた。

 

「大好きだった…」

 

 

「なんか……悪いことをしたのは噂で聞いたけど私は信じない」

 

「何言ってんだ現にオイラたちは…」

 

 

「きっと誰かに操られていたのよ!!!ジェラールがあんな事するはずない!!!」

 

ウェンディは、顔を上げてブレインを見る。

 

「お願いです!!少し考える時間を下さい!!!」

 

「ウェンディ!!!」

 

その言葉を聞いて、ブレインはニヤリと笑った。

 

「よかろう…5分だ」

 

 

(ナツ~まずいよ……早く来てよ~…)




そろそろ100話いってしまうが、まだオリジナル物語完結してねぇーーー!!!ちょっと焦ってる自分が…


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恩人の復活

六魔将軍編はまだまだ序盤なのに、気がついたらここまで来るのにあと2ヶ月もしない内に一年…更新ペースの遅さがよく分かってしまう悲しい現実……


「はぁ…はぁ…ぜぇー…はぁ」

 

リートとマーラは、赤い悪魔のギルドとの戦いを終えたところだった。

 

「お疲れ、よく頑張ったな」

 

「はい!!って言いたいところだけど…なんでリートさんは平然としてるの?アタシより動き回ってたよね?」

 

「こんな雑魚ギルド相手にするより、バンク1人を相手にしてた時の方がよっぽどキツかったからな、この程度なら大した事はねーよ」

 

「えぇー…それはそれで、ちょっと引くんですけど…」

 

リートは掌に氷を作ると、マーラに投げ渡す。

 

「ほら、こんなのしかねーけど冷やして体を休ませとけ、コイツらから情報を得て、まだ動き続けることになるだろうからな」

 

「あ…ありがとう」

 

マーラは受け取った氷を額に当てて、気持ち良さそうな顔をしていた。

 

「さてと…」

 

リートが倒した敵から情報を得ようと、振り返る。

 

「あなた方、命が惜しくばさっさと六魔将軍の居場所を吐きなさいな」

 

リートよりも先に、ラリカが敵の額にに爪を立て、情報を聞き出そうとしていた。

 

(えぇー…何アレ…)

 

(ラ…ラリカちゃん怖い…)

 

 

「ヒ…ヒャッ…ハー……教える分けねーだろクソ猫が…」

 

「あら、そうですの?吐いてしまえば楽でしたのに」

 

ザシュ

 

「ギャアアァ!!」

 

ラリカは、額に当てていた爪を振り下ろした。

 

(容赦ねー)

 

「アワワワワワ」

 

 

「さて、お次は…と」

 

ラリカは別の敵にも、同じ事を行い始めた。

 

 

「情報収集はラリカに任せてりゃよさそうだな」

 

「う…うん……というか、今のラリカちゃんに関わるのが怖い…」

 

数分後、ラリカが敵の情報を得て、リート達に報告する。

 

「西の廃村?」

 

「えぇ、六魔将軍はそこにいるって情報は手に入れることができましたわ、ウェンディ様を連れていった目的までは聞くことができませんでしたけど、情報としては十分ではなくて?」

 

「西の廃村って確か古代人の村があるって聞いたような」

 

「なるほど、村ってことは拠点にするには十分な設備はあるって訳か」

 

リートは立ち上がって、動き出せる準備をする。

 

「とりあえず、その西の廃村ってところに向かうとするか、奴等がそこに居るなら、ウェンディとハッピーも十中八九そこに連れられてるだろうしな」

 

「ウェンディ……大丈夫かな」

 

マーラが、また不安そうな顔をして俯いてしまうと、リートがマーラの頭を撫でて落ち着ける。

 

「大丈夫だ、それに言っただろ?必ず助け出すって、だから心配すんな」

 

「うん!!」

 

「そうと決まれば、さっさと奴等の拠点に向かわねーとな、二人とも準備はいいか?」

 

リートの問いかけに、マーラとラリカは笑顔で答える。

 

「私はいつでも行けますわよ」

 

「アタシも準備できてるよ!!」

 

「よしっ!!じゃあいくか」

 

リート達が西の廃村についた頃、グレイがレーサーと戦闘している光景が目に入る。

 

「グレイ!!」

 

「リート!!?」

 

「また、余計なのが増えやがったか」

 

レーサーは、リート達目掛けて攻撃にかかる。

 

「!!?」

 

バッ!!

 

レーサーにギリギリで反応できたリートは、マーラ達の盾になり攻撃を受ける。

 

「ぐぁぁぁ!!」

 

「「リート(さん)!!!」」

 

「くっ…」

 

がしっ

 

「へっ?」

 

リートは、マーラの服を掴み、ラリカを抱かせながら崖下の廃村目掛けて投げ飛ばそうと構える。

 

「させるかよ」

 

「アイスメイク・ランス!!!」

 

「!!?」

 

リートを止めようとしたレーサーだったが、グレイの攻撃に反応し、避ける方を優先した。

 

「おまえの相手はオレだ!!」

 

「ナイス!!グレイ!!」

 

リートは、マーラを掴んでいる腕に力を込める。

 

「リリリリリートさん!!?ななな何を!!?」

 

「なんとなく分かりましたけれど、ちょっと待ってはくれませんの!!?」

 

「説明してる余裕はねぇ!!」

 

ブォン!!

 

「行ってこーーーい!!!」

 

「「キャアアアァァァァァ!!!!」」

 

 

リートは全力投球で、マーラとラリカを下に投げ飛ばした。

 

「よしっ」

 

「無茶苦茶するなオマエは!!」

 

 

「グレイ、あいつ等が救出に成功するまで、コイツの相手は二人でやるぞ」

 

「……分かったよ、やってやる!!」

 

 

「オマエ等じゃオレの走りは止められねぇよ」

 

 

………

 

下に投げ飛ばされた二人は、何とか着地に成功していた。

 

「死ぬがどおぼっだよぉ~」

 

「リート コロス ゼッタイ」

 

(ラリカちゃん…精神が崩壊してる……)

 

「とにかく、二人を探しませんと」

 

「あ、あれ!!」

 

マーラが指差した方向には、ナツとシャルルが洞窟へと入っていくのが見えた。

 

「追いかけますわよ!!」

 

「うん!!」

 

 

 

洞窟に入ったナツ達が見た光景は、信じられない光景だった。

 

「な…何だ……コレ……」

 

「そんな……」

 

 

「ナツ~」

 

洞窟の中では、ウェンディ、ハッピー、ブレインともう一人、ジェラールが復活して立ち上がっていた。

 

「うぅ…ごめんなさい……ごめんなさい…私……」

 

ウェンディは、ジェラールを復活させた罪悪感で、涙を溢していた。

 

「ウェンディー!!シャルルー!!」

 

「ナツ!!ハッピー!!無事ですの!!?」

 

そこへ、マーラとラリカも合流する。

 

 

「ジェラール………」

 

「「!!?」」

 

「ジェラールって…あのジェラールですの!!?」

 

「ジェラール…ウェンディが恩人って言ってた人……」

 

 

「ごめん……なさ…うぇっ うぇっ」

 

「この人は私の……恩人…なの」

 

ウェンディは、泣きながら謝罪を続ける。

 

「ウェンディ!!あんた治癒の魔法を使ったの!!?」

 

「え!!?そんなことしたらウェンディは!!」

 

ふらっ

 

ウェンディは力尽きたのか、倒れてしまった。

 

「「ウェンディ!!」」

 

マーラとシャルルは、慌ててウェンディに駆け寄った。

 

 

「なんで……オマエがこんな所に……」

 

ナツは拳に炎を纏い、ジェラールに殴りかかる。

 

「ジェラァァァルゥゥゥ!!!!!」

 

ボッ!!

 

しかし、ジェラールが魔力を掌から放出することで、ナツは一瞬で吹き飛ばされた。

 

「うあああっ!!!」

 

「ナツ!!!」

 

 

「相変わらず凄まじい魔力だな。ジェラール」

 

ジェラールはブレインの方を振り返ると、洞窟の床を崩し、ブレインを下へと落としてしまった。

 

「なにっ!!!?」

 

「ぐおああぁっ」

 

つかつかつかつか

 

ジェラールはそのまま一言も発することなく、洞窟の外へと出ていってしまった。

 

ガラガラガラ

 

「ジェラール!!!」

 

ナツは瓦礫の中から起き上がって、辺りを見渡す。

 

「どこだ!!!」

 

「行っちゃったよ…」

 

「あんにゃろぉーー!!!」

 

「ちょっと、アイツが何なのか知らないけどね、今はウェンディを連れて帰る事の方が重要でしょ」

 

シャルルの言葉で、ナツはジェラールを追うことをやめて踏みとどまる。

 

「エルザを助けたいんでしょ!!!」

 

 

「……わかってんよ!!!…あいつ」

 

「いくぞ!!!ハッピー!!!」

 

「あいさ!!!」

 

「マーラは、私が連れて飛びますわ」

 

「うん!!お願いね、ラリカちゃん」

 

ハッピーはナツを、シャルルはウェンディを、ラリカはマーラを連れて外に飛び出した。

 

ガラガラ

 

洞窟の下層へ落とされたブレインは、少しだが動揺していた。

 

「………計算外だ…いや、拘束具を外した私のミスか……しかし、以前の奴は私にここまでの敵対心を持っていなかったハズ」

 

「眠ってる状態でニルヴァーナの話しを聞いていたとでもいうのか?……」

 

ブレインの中で、一つの考えが浮かぶ。

 

「ジェラールめ!!!!まさかニルヴァーナを独占する気か!!!!」

 

「させぬ!!!!あれは我々のモノ!!!!誰にも渡すものか!!!!」

 

ブレインは、上を向いて大声で叫び出した。

 

「コブラ!!!!聞こえるかっ!!!!ジェラールが逃げた!!!!奴を追え!!!!奴の行く先に…ニルヴァーナがある!!!!」

 

 

コブラに、ブレインの声はしっかりと届いていた。

 

「OK聞こえたよ、ついでにジェラールの足音もな」

 

 




リート&グレイVSレーサーにしてしまったけど…この後考えたら間違いなくリートお荷物だよね…どないしましょ……


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デッドGP(グランプリ)

先日から予告していた通り、ここで一旦話しを区切ってオリジナル物語を挟みます。オリジナルを読みたがってる方はそのまま楽しんで!!
本編を読みたい方は本編を楽しみにしながらオリジナルを是非とも楽しんでください!!


ガン!!

 

「くっ」

 

グレイ&リートVSレーサーの勝負は続いており、2対1で戦ってるハズなのに、二人の攻撃はレーサーに全くあたらず追い詰められていた。

 

グレイが吹き飛ばされ大樹に背中をぶつけ怯んだ瞬間に、レーサーの蹴りがグレイに向かって飛んで来る。

 

ズドォォン!!

 

ばっ!!

 

レーサーの蹴りをギリギリでかわしたグレイ、そしてレーサーの上からリートが拳を構えて落ちてくる。

 

シュッ

 

ドゴォォン!!

 

「ちっ」

 

リートの攻撃も余裕でかわすレーサー。周りの木を伝って高速で移動する。

 

「速ぇな…くそっめんどくせー」

 

「野郎…」

 

 

「オレのコードネームはレーサー」

 

「誰よりも速く何よりも速く、ただ走る」

 

「ん?」

 

レーサーが上を見上げると、ナツ達がハッピー達に連れられて空を飛んでいるのが目に入った。

 

「!!!」

 

「助け出したか!!!」

 

「よしっ!!!これでエルザが助かる!!!」

 

 

「バカな!!!中にはブレインがいたハズだろ!?どうやって!!?」

 

「くそっ!!行かせるか!!!」

 

レーサーが木の枝を利用し、ナツ達の下まで飛び上がった。

 

「ナツ!!!よけろォ!!!」

 

ガッ!!

 

「!!?」

 

「させるわけねぇだろ」

 

ナツ達に攻撃が当たる前に、リートが一気に飛び上がり、レーサーとの間に割り込み攻撃を防御する。

 

バキッ!!

 

「ぐあっ!!」

 

防御で攻撃を止めると同時に、リートの蹴りがレーサーに当たり、レーサーはそのまま地面に墜落する。

 

「リート!!」

 

「リートさん!!」

 

 

「行け!!!」

 

ハッピー、シャルル、ラリカの三匹はそのままエルザのいる場所に向かって飛んでいった。

 

「オマエら揃いも揃ってオレの走りを止めやがったな」

 

リートは地面に着地し、ニヤリと笑った。

 

「テメェの動きに対応しきれねぇなら、動きを先読みしてそれに合わせるだけだ。

 

テメェがスピードにどれだけ自信があるかは知らねぇがな、止めてやるさ何度だって」

 

グレイもリートの横に並び、レーサーを睨み付ける。

 

「氷はな、命の時だって止められる」

 

「そしてオマエは永久に追い付けねぇ」

 

「「妖精(ようせい)尻尾(しっぽ)でも眺めてな」」

 

 

………

 

 

「ごめんナツ、オイラもう魔力切れ…」

 

「私も…」

 

「申し訳ありませんけど、私もそろそろ限界ですわ」

 

 

「「へ?」」

 

ハッピー達の翼が消えると、ナツ、ウェンディ、マーラの三人は地面に真っ逆さまに落ちていく。

 

 

「「ああぁぁぁぁ~」」

 

ズドォォン!!

 

「いってー」

 

「もーーっ!!今日は高いところから放り投げられるわ落とされるわで踏んだり蹴ったりだよ~!!」

 

「とにかく、走ってエルザ達の所に向かうぞ」

 

ナツは、ウェンディとハッピーを担いで立ち上がる。

 

「うん、そうだね」

 

マーラも、ラリカとシャルルを抱き上げて、ナツと共に動き出す。

 

「にしても……ジェラール……あの野郎……何でこんな所にいやがるんだ」

 

「ナツさんはジェラールさんを知っているの?」

 

「あぁ、アイツは……」

 

『ナツくん、マーラちゃん、聞こえるかい?』

 

ナツとマーラが、いきなり聞こえてきた第3者の声に驚き辺りを見渡すが誰も見当たらない。

 

「その声は…」

 

「確か…青い天馬の……」

 

『ヒビキだ。よかった……誰も繋がらないからあせってたんだ』

 

「繋がる?」

 

「どこだ!!」

 

『静かに!!敵の中に恐ろしく耳がいい奴がいる。僕たちの会話はつつぬけている可能性もある。だから君たちの頭に直接語りかけているんだ』

 

『ウェンディちゃんは?』

 

「ここにいる」

 

「まだ意識は戻ってないけどね」

 

『よかった!!さすがだよ』

 

『これからこの場所までの地図を君たちの頭にアップロードする。急いで戻ってきてくれ』

 

「アップロードって?」

 

ナツとマーラの頭の中に、ヒビキが地図を送り込む。

 

「おおっ!!?何だ!!何だ!!」

 

「すごーい!!エルザさん達の場所が簡単にわかる!!」

 

ナツとマーラは、地図で示された場所へ走って向かいだす。

 

『急いで、二人とも』

 

 

そして、エルザの下では、ルーシィとヒビキがエルザを看病しながらウェンディの到着を待っていた。

 

「どうやったの?」

 

「僕の魔法 古文書(アーカイブ)は情報圧縮の魔法なんだ。情報を圧縮する事で人から人へと口より早く情報を伝えられる」

 

ルーシィは、ヒビキの魔法を興味深そうに聞いていた。

 

「聞いたこともない魔法…」

 

「情報を魔力でデータ化するっていう発想自体が最近のものだからね」

 

「でもよかった!ウェンディも無事で」

 

ルーシィはホッと一息つくと、エルザに声をかけて励ましの言葉をかける。

 

「もう少しだからねエルザ、がんばって!!」

 

「ナツとマーラが戻ってくるまではアタシが守るから絶対!!」

 

 

 

………

 

 

「テメェらはこのオレを2回も止めた………このままじゃオレの名がすたる」

 

レーサーが走りを止められたことにショックを受けたと思ったリートは、レーサーに挑発をする。

 

「じゃあ、これ以上名前が廃らねぇ内に降参するか?今ならオマエが止められる姿を見たのはオレとグレイだけだぜ?」

 

「そんな訳にはいかねーだろ」

 

レーサーは、高速で二人の後ろに回り込む。

 

「その気になればあんな小僧と小娘に追い付くことくれぇ造作もねぇが、てめぇらは殺さねぇと気がすまねぇ」

 

(いつの間に!!)

 

グレイが後ろを振り返ると、レーサーは既に視界から消えて、また、もと居た位置に高速で戻っていた。

 

「じゃあ、戦いは続行でいいんだな?」

 

リートは、レーサーを睨み付けて構えをとる。

 

「あぁ、てめぇらを殺した後でも十分に追い付ける」

 

「デッドGP開幕!!!!」

 

レーサーが片手を振り上げてそのまま下ろすと、どこからかエンジン音のような音が聞こえてくる。

 

ブオォン

 

オォン

 

ブオオォン

 

 

「……おい…ちょっと待て……この音ってまさか…」

 

リートの顔色が、少しずつ青くなってくる。

 

ブオオォ!!!

 

「な!!!」

 

「やっぱりかぁぁぁ!!!!!」

 

森の中から大量のバイクが、グレイとリートに向かって突進してくる。

 

「うわっ!!」

 

「だぁぁっ!!」

 

グレイとリートは、必死にバイクをかわしていた。

 

「地獄のモーターショー」

 

 

「魔導二輪が大量に!!!」

 

「地獄だ!!この状況での乗り物は確かに地獄だ!!」

 

リートは青い顔色で、バイクをかわす。

 

「しっかりしやがれリート!!」

 

「うっせぇ!!てめぇも一度乗り物に酔えばオレの気持ちもわからぁ!!!」

 

 

「踊れ!!!」

 

バキッ

 

ゴッ

 

「がはっ!!」

 

「がっ!!」

 

レーサーが出てきたバイクに乗り、グレイとリートに後輪をぶつけて攻撃する。

 

「乗れんのかよ」

 

「乗り物出すとか卑怯だろ!!」

 

グイ

 

「!!?」

 

グレイは、バイクに無理やり乗り込み、後ろにリートを乗せる。

 

「ちょっ…おま……おえっ」

 

「アイツをぶっ倒すまで我慢しろ!!乗り物酔いしてるリートでも居ないよりマシだ!!」

 

「ひでっ……うっぷ…」

 

「ご丁寧にSEプラグまでついてやがる」

 

カチャ

 

「!!?おい!!」

 

グレイがSEプラグをつけたのは、リートの腕だった。

 

「おま……オレは燃料タンク…か……」

 

「今だけだ!!頼むぜリート!!!」

 

「行くぞオラァ!!!!」

 

グレイはエンジンを全開にして、レーサーを追いかける。

 

 

「面白い…オレとレースで勝負しようと?」

 

「ルールはねぇから覚悟しとけや!!」

 

「ルール……は…安全…低速運転だ……ゆらすなボケ…うえぇっ」

 

グレイ&リートと、レーサーのバイクでの攻防は続き、森を走り続けていると、目の前にリオンとシェリーが現れた。

 

「リオン!!!」

 

「グレイ!!?」

 

「いいところに!!」

 

グレイはリートからSEプラグを外して、リートをバイクから下ろした。

 

「はぁ…はぁ…止まった……」

 

「サンキューリート!!次はリオン!!乗れ!!」

 

「何だと!?」

 

「いいから乗れよ!!!」

 

「何をやってるんだオマエは」

 

リオンは文句を言いながらも、グレイのバイクに乗り込む。

 

「リオン様!!!」

 

「はぁ…はぁグレイ!!!」

 

リートの叫び声はグレイの耳に届き、チラッとだが、リートの方へグレイは視線を向けた。

 

「叩きのめしてこい!!!」

 

「あぁ!!任せろ!!!」




今回のリートの役割り……燃料タンク………以上!!!


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100話記念物語
100話突入長編物語


気がつけば100話という大台に突入!!

いや~ありがたいですねぇ。これも皆さんが読んでくださってくれるおかげで主のやる気が失わずにすんだ結果ですな!!もうすぐこの氷竜を書き始めて一年が経とうとしていますが、これからも応援よろしくお願いします!!

ゆっくりですが、確実に完結へと書いていくつもりですので、見捨てずに居てくれると嬉しいです!!!


ここはマグノリアより少し離れた国シャルエラ、その国に一際目立つ屋敷の中で一人の少女が勉強をしていた。

 

「はぁー…」

 

少女の名はアマネ、金髪の肩まで伸びた髪で、青い瞳が特徴の17歳の女の子だ。

 

(毎日毎日…勉強 勉強 勉強 勉強……もう嫌になるわホントに)

 

アマネの両親はかなり位の高い貴族であり、親の言いつけもあり毎日勉強を強いられていた。

 

(いっそこんなとこ飛び出してやりたい…)

 

そう考えていたアマネの部屋に、ドアをノックする音が聞こえた。

 

「どうぞ」

 

ガチャ

 

「失礼しますお嬢様、お嬢様の様子を見てくるように旦那様から伺い参りました次第でございます。お勉強の程はいかほどで?」

 

入ってきたのは白髪で少し年老いた風格だが、ピシッとした燕尾服で、立たずまいのしっかりした執事であった。名はエウスという。

 

「心配しなくてもしっかりとやってるわよ、せっかくだからお父様に量が多すぎよって伝えておいてくれる?」

 

「お嬢様ならその程度出来て当然と判断の上、旦那様は課題を出したのだと思われますよ」

 

執事はアマネに対して満面の笑みを浮かべて答える。

 

「はぁー…どうせそう言うと思ったわ。はいはい、しっかり終わらせてますよーっと」

 

アマネは、山のような量の課題をエウスに差し出す。

 

「それでは、これはこちらで承らせて戴きます」

 

エウスは次々と課題を懐へ入れていく

 

「毎回思うけど、アナタの服どうなってるの?」

 

「執事ですので、このくらいは出来て当然ですよ」

 

「答えになってないわよ」

 

「では、課題も回収したところで私はこれで失礼致します」

 

エウスが課題を懐へ詰め終えると、さっさと部屋から出ていってしまった。

 

(私も普通の女の子のように友達と遊んだりしてみたいのに……)

 

アマネは部屋の窓から外を見ていると、ふと窓の真横まで伸びている大樹に目が止まる。

 

(もしかして、この窓からあの木に飛び移れば、ここから出られるかも…)

 

しかし、ここは屋敷の3階、飛び移るのに失敗してしまうと大怪我してしまう恐れもあった。

 

(けど、これしか方法が無いものね)

 

アマネはクローゼットから服を取り出し、そそくさと着替えを始める。

 

(よしっ、これなら貴族ってばれないでしょ)

 

アマネはヘアゴムで髪を縛り、ノースリーブの白のワンピース姿になり窓に足をかける。

 

ごくっ…

 

「い…いくわよ…」

 

バッ!!

 

アマネは、勢いよく窓から大樹に向かって飛び出した。

 

バサバサバサ

 

(やった!!)

 

何とか大樹に飛び移れたアマネは、カーテンを結んで用意していたロープでスルスルと地面に下り、屋敷からの脱出に成功する。

 

(やったわ!!これで私は自由の身よ!!ザマーミロ!!)

 

アマネはそのまま屋敷の外へ走り去ってしまった。

 

………

 

数時間後

 

「これは…」

 

エウスがアマネの部屋に入ると、アマネの姿はなく、窓から風だけが静かに入ってきていた。

 

「すぐに旦那様へ報告しろ!!アマネお嬢様をなんとしても連れ戻すんだ!!!」

 

エウスがメイドや他の使いの者にそう言い事態が変わってくる。

 

「…何て事だ………アマネお嬢様は命を狙われているというのに」

 

 

………

 

 

アマネが屋敷から逃げ出した同時刻、同じ国にて、リートとラリカは仕事を終わらせてのんびりと街の観光を楽しんでいるところだった。

 

「たまにはのんびり観光するのも悪くないな」

 

「いつもはナツ達に振り回されてますものね」

 

「これで帰りが乗り物じゃなければ最高なんだが」

 

「諦めなさいなリート、徒歩でマグノリアに帰ったら数日掛かりますわよ」

 

「オレは別にそれでも…」

 

「私が、嫌ですわ」

 

「……そうですか…」

 

「それより、この街は拷問器具などは売っていませんの?」

 

「オマエ、また拷問コレクション増やす気か…」

 

「今の私のマイブームはファラリスの牡牛ですわ。いつか手に入れてみせますわよ」

 

「オマエが気に入るほどだから、ヤバイって事だけは分かった。つーか拷問器具なんか普通にどこだろうと売ってる店がおかしい」

 

リートとラリカが観光していると、建物の陰から声が聞こえてくる。

 

「いや!!離してよ!!」

 

「いいじゃねぇかよ、オレたちとちょっとだけ遊ぼうぜって言ってるだけだぜ」

 

 

「ん?」

 

リートは声のした方へと歩み寄る。

 

「リート?」

 

 

 

「心配しなくても朝には帰してやるからよ」

 

「何も恐いことなんてねぇからよ」

 

リートが建物の陰を覗くと、アマネがガタイのいい三人の男達に囲まれていた。

 

「いやよ!!なんでアンタたちみたいなのと朝まで一緒にいなきゃいけないのよ!!化け物みたいな顔の集まりのくせに!!そんなんだからどうせ女の子に嫌われまくってるんでしょこの変態三人集!!!」

 

 

「うわっ…スゲェ辛辣」

 

リートがドン引きしていると、男の一人がキレだした。

 

「このアマ!!女だからって調子にのってんじゃねーぞ!!!」

 

「きゃっ」

 

男が拳をアマネの顔に向けて突き出そうとすると、リートが二人の間に入って男の拳を片手で止める。

 

「そこまでにしとけよ、女だぞ」

 

「あぁ!!!んだテメェは!!!」

 

「オレが誰だっていいじゃねぇか、それより女を殴ろうってのは感心しねーし、無理やり連れてこうとしてるのも見過ごせねーな」

 

「テメェには関係ねーだろーが!!!」

 

「うわっ…何だよその本にでも載ってそうなクサイ台詞…ってかこの状況がそもそもありきたりか、ルーシィが喜びそうだ」

 

「グダグダとうるせぇんだよ!!!テメェも邪魔するなら大人しくボコられてろ!!!」

 

男は仲間の2人と一緒に、リートに向かって殴りかかる。

 

「危ない!!」

 

アマネが慌てて声を上げると、後ろからラリカがやって来てアマネに話しかける。

 

「大丈夫ですわよ」

 

「え?」

 

リートは殴りかかってきた男の二人の拳を掴み、合気を利用し前方へと投げ飛ばす。

 

「うおっ!!」

 

「なっ!!?」

 

投げ飛ばされた男たちは、そのまま地面に顔をこすりつけ倒れ込む。

 

「テメェ!!!」

 

そして、三人目の男がリートの顔を目掛けて殴りかかるとリートは重心を下げて男の懐に入り込んだ。

 

「はっ!!?」

 

「ちょっと寝てろ」

 

ドスッ

 

リートは男の鳩尾を殴って男を倒した。

 

「ぐうぅっ」

 

「くそっ」

 

そして、先ほど投げ飛ばした男たちが起き上がると、リートは二人の頭を掴み力を込める。

 

「オマエらもだ」

 

ドガァッ

 

二人の頭を地面に叩きつけると、ゆっくりと立ち上がる。

 

「ふぅ」

 

 

「スゴい…」

 

「言ったとおりになりましたでしょ?」

 

「ってか…ネコが喋った!!?」

 

「今さらですの!!?」

 

リートが立ち上がると、鳩尾を殴られ倒れていた男が、リートの後ろに立っていた。

 

「ぐふっ…このクソガキ…」

 

(こりねぇなコイツ)

 

リートが振り返り迎撃しようとすると、男の股間をアマネが蹴り上げる。

 

「はうぅっ!!?」

 

「!!?」

 

ドサッ…ピクピク

 

股間を蹴られ、男は完全に白目を向いていた。

 

「どうよ、私もやるでしょ?」

 

「ハ…ハハハ…」

 

男の痛みをわかるリートには、苦笑いするしか出来なかった。

 

「度胸ありますわね、アナタ」

 

「当然!!」

 

アマネは胸を張り、どや顔でリートとラリカにVサインをする。

 

「そんなことより、ねぇアナタ、私のボディーガードにならない?」

 

「は?」

 

アマネがいきなりリートにそう言うと、リートとラリカは呆けた顔でアマネの事をみる。

 

「だーかーらー、ボディーガードよボディーガード」

 

「いや、ずいぶんと急な話しだけど、なんでまた」

 

「私を、この国から出る手伝いをしてほしいの」




長編なのでしばらく続きます。

そして今一番の問題は……これまだ完結してねぇ!!!

ちょっと迷走しかけてます(T∀T)


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ボディーガード

オリジナルの2話目です。
メモアプリに書いてたからあまりわかんなかったけど、意外と文字数少ないなぁ…


「私を、この国から出る手伝いをしてほしいの」

 

「この国から出たいって、なんでまた」

 

リートが呆れた顔でアマネに聞くと、アマネは一気に不機嫌そうな顔へと変貌する。

 

「私、実は家出してきたの」

 

「家出?」

 

「ルーシィみたいですわね」

 

「ルーシィ?誰それ」

 

「オレたちの仲間だ」

 

「私たちは魔導士ギルド妖精の尻尾の一員ですのよ」

 

アマネはリートたちの言っている意味が分からないのか、呆けた顔をして聞いていた。

 

「魔導士ギルド?なにそれ?どういう集まり?」

 

「へ?」

 

「オマエ、ギルドを知らねぇのか?」

 

リートの疑問に、アマネは当然とでも言いたげに胸を張る。

 

「知らないわ、そもそもこの国はあまり魔法は流通してないの、だから使える人が時々いるかいないか位でしか知られてないのよ」

 

 

「まぁ、魔法があまり知られていないのは知ってたが、魔導士ギルドまで知らねぇとは思ってなかったな」

 

「ちょっと意外ですわね」

 

アマネは話しがそれていることに気がつき、パンパンと手を二回叩く。

 

「で、話しを戻すけど、どうなの?私のボディーガードになってくれる?」

 

「ボディーガードっつったってそう何回も襲われる事はねーと思うんだが…」

 

「そんなの分かんないじゃない、それに…アンタがボディーガードをしてくんなきゃここで服を破いて悲鳴を上げてアンタに襲われたと叫び続ける」

 

「なんてやつだ…」

 

そんなことを言われたら、リートの残っている選択肢は一つしかなく

 

「はぁーわかった、ボディーガードでも何でもやってやりますよ」

 

ボディーガードを引き受けたリートに対し、アマネの表情はパッと明るくなる。

 

「ホントに?!!」

 

「あぁ」

 

「言質とったからね、後でやっぱりやめるとか言っても遅いから」

 

「分かった分かったよ」

 

(やった!!)

 

アマネは後ろを振り向き小さくガッツポーズをとると、改めてリートの方に振り返る。

 

「じゃあ、これからヨロシク!!」

 

「はいはい」

 

チョンチョン

 

「?」

 

リートは足下をラリカが突ついているのに気がつき、ラリカの方をみる。

 

「いいんですの?そんな簡単に了承してしまって」

 

「じゃあオレに変態にでもなれと?」

 

「そういうわけじゃありませんけれど」

 

「まぁ、しばらく付き合ってやれば飽きるだろ」

 

「…だといいですわね」

 

「じゃあそうと決まればさっさと行きましょう!!」

 

アマネは、リートの手を引いて歩き出す。

 

「はいはい、どこへでもお供しますよお嬢様」

 

リートの言葉にアマネはムッとし、リートの顔に指を差す。

 

「お嬢様はやめて、私、その呼ばれ方嫌いなの」

 

「は、はぁ…じゃあなんと呼べば?」

 

「私はアマネよ。人には名前があるんだから、ちゃんと名前で呼んでくれないと」

 

「そ…そうか…それはすまん…じゃあアマネ」

 

アマネは指を下ろすと、ニコリとリートに笑いかけた。

 

「うん、よろしい。じゃあ私も名前で呼ばないとね。アナタたちの名前は?」

 

「お…オレはリート」

 

「私はラリカと申しますわ」

 

「リートにラリカね、うん!!覚えたわ」

 

「じゃあ、行きましょ♪リート、ラリカ」

 

その後三人は街の観光を楽しみ、気がつけば夕方になっていた。

 

「あー、楽しかったー!!」

 

「そりゃよかったね…」

 

「こっちは連れ回され続けてクタクタですわ」

 

アマネとは相対的に、リートとラリカは疲れきりベンチに座り込んでいた。

 

「だらしないわねぇ、それでも私のボディーガード?」

 

「無理強いした挙げ句に貶してくるのやめてくれない?」

 

「じゃあ、最後はアナタたちの家に行きましょうか」

 

「「はぁ!!?」」

 

「言ったでしょ?この国を出るって。私、今家出中なんだから行く宛も帰る場所もないの、だからアナタたちの家に泊めて♪」

 

「マジで?…」

 

「うん、マジで」

 

「いや、さすがにそれはマズイので大人しく自分の家に帰りましょうとかになったりは………?」

 

「ふーん……」

 

アマネはワンピースから少しだけ肌を見せると、大きく息を吸い込む。

 

「きゃあぁぁぁ!!!誰か助けてぇぇぇ!!!痴漢よぉぉぉ!!!!!」

 

「◎△$♪×¥●&%#?!」

 

リートは頭にラリカを乗せ、脇にアマネを抱えて、その場から慌てて離れていく。

 

「おまえぇぇぇぇ!!!!何してくれてんだァァァ!!!!!」

 

「じゃ、このままアナタの家までヨロシク♪」

 

「ふざけんなぁぁぁ!!!!」

 

「色々とカオスですわね」

 

 

………

 

 

その後リートは、アマネとラリカを抱えたまま船に乗り込み、マグノリアへと向かうことになる。

 

「うっぷ…やっぱ乗り物ダメだ……下ろして…今すぐ……下ろして……」

 

「どうしたの?リートは」

 

「リートは昔から乗り物全般がダメですのよ」

 

「ふーん…変なの」

 

………

 

 

マグノリアに到着したリート達は、真っ先に妖精の尻尾のギルドへと向かっていた。

 

「ねぇ、これから行く…その……フェアリー…テイル?ってどんなところなの?」

 

「んー、いいところだよ。ただ個性的な奴は多いけど」

 

「ほとんど変人ですわ」

 

「成る程、アナタたちみたいなのが沢山いるって事ね」

 

「「ケンカうって(る?)(ますの?)」」

 

「アハハ!!冗談よ冗談」

 

リートたちがギルドに向かう道中も、マグノリアの街はアマネには新鮮だったのか、常に目を輝かせていた。

 

「うわぁースゴーイ!!あっ、あそこも面白そう!!アレも、あ、コレも!!」

 

「元気だなぁ」

 

「スゴい体力ですわね」

 

「仕方ないじゃない。私にとってはどんな物でも新鮮に感じるんだもん、全部見て回るのに1日じゃ足りないわ」

 

アマネを連れてなんとか妖精の尻尾にたどり着いた二人は、ようやくの思いで一息つく。

 

「ただいま…」

 

「ただいま戻りましたわ…」

 

リートとラリカの帰宅を、妖精の尻尾のメンバーは快く出迎える。

 

「お?帰ってきたかリート」

 

「お帰り~」

 

「おせぇぞリート!!」

 

「リート~聞いてよーまたナツがねー」

 

いつものリートと同じメンバーも、数人見当たらないが、今いる人達は出迎えてくれる。

 

「あ、お帰りなさい。リート」

 

ミラは嬉しそうにリートに駆け寄っていくが、その途中で足がピタリと止まる。

 

「おう、ミラ、ただいま…ってどうした?スゲェ笑顔だけど目が笑ってねーぞ?」

 

「リート…後ろの女の人は誰?」

 

リートの後ろにはアマネが居り、リートは慌てて説明しようとするが、ふとアマネのイタズラ心に火がついてしまった。

 

「あら、私が誰かって?私はこの人の彼女よ♪ね?ダーリン」

 

「うおおおぉい!!!?ちょっ!!今そんな事言ったら」

 

リートの彼女であるミラ、そんな彼女だからか、アマネの台詞を聞いてから、顔はどんどんと豹変していく。

 

「それはホントウ?ねぇ、リート?」

 

「ウソウソ!!コイツが冗談言ってるだけだって!!」

 

「ヒドイわダーリンったら、今日だって私とデートしてくれたじゃない」

 

「リート?」

 

「紛らわしい言い方すんじゃねーよ!!!ってかラリカからも何か言ってくれ」

 

「皆様聞いてくださいます?今回の仕事の報酬で私は拷問器具を新調することにいたしましたのよ」

 

「今その話し必要!!?」

 

リートは顔を青くして、ミラの方に振り向く。

 

ニコッ

 

ミラは満面の笑みで、リートを見ている。

 

(こんなに恐怖を感じる笑顔は初めてだ………)

 

笑顔からのサタンソウルに変身したミラは、リートに歩み寄る。

 

「おおおおおおちつけ、決してオマエが考えてるような事にはなってないから」

 

「あんなことや、こんなことだってしたクセに~♪」

 

「頼むからちょっと黙っててくんない!!?」

 

アマネがボソッと呟いた台詞は、当然ミラにも聞こえていた。

 

「言い訳は後で聞くわね♪」

 

「ちょっ…マジで?ねぇ、ちょっと…イヤ…ホントに………ぎゃあぁぁぁぁ!!!!!」




わんぱくお嬢様のアマネ、こんな娘が身近にいると人として何かを失いそう…


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執事来訪

記念作品3話目です!!………まだ投稿できる…うん、大丈夫


「成る程、つまり家出してきたと言うわけか」

 

ギルドでの一騒動後、ボロボロになったリートはミラやエルザ達にアマネについて説明した。

 

「そう、わかってくれたか?」

 

「もう、そーゆうことなら早く言ってくれればよかったのに」

 

「オレの記憶が正しければ、発言する暇なくオマエにボコられた気がするんだが…」

 

そして、リートがボロボロになる元凶となったアマネは、ナツ達と談笑していた。

 

「オレはナツだ、ヨロシクな」

 

「オレはグレイ、結構かわいいコじゃねーか」

 

「オイラ、ハッピー」

 

「ナツとグレイとハッピーね、覚えたわ。私はアマネ、よろしくね。あと、グレイはナンパするなら服を着てからすることね」

 

「おわっ!!いつの間に!!?」

 

「ダッセー」

 

「おいコラ、今なんつったクソ炎」

 

「ウゼェっつったんだよヒエヒエ野郎」

 

「「あぁ?」」

 

「やめなさいアンタたち、あ、アタシはルーシィ、よろしくね」

 

「アナタが私と同じ家出少女のルーシィね?よろしく、家出少女どうし仲良くしましょ」

 

 

 

「けど、これからどうするの?あの娘をずっとここに居させるわけにもいかないんでしょ?」

 

ミラがリートに訪ねると、リートも同じ事を考えていたのか、ミラの問いに答える。

 

「それなんだがな、しばらくはアマネを女子寮に住まわせてやってもらえないかと思ってよ、宿泊費はオレが出すから何とかならねーかな?」

 

 

「ダメよ」

 

リートが振り返ると、アマネがリートの元へやって来た。

 

「アナタは私のボディーガードでしょ?だったら常に一緒にいないと、だから女子寮はダメ」

 

「じゃあどーすんだよ」

 

「最初から言ってるじゃない、リートの家に泊めてって」

 

「あれマジな話しかよ!!?」

 

「ねぇ、リート」

 

「はっ!!?」

 

リートが慌ててミラを見ると、またもミラは笑顔でリートを見ていた。

 

「どーゆうこと?」

 

「私がリートの家に泊まるのよ。因みにこれはホントの事だから」

 

「そう…なら私もリートの家に泊めてもらうわね」

 

「はい!!?」

 

ミラのいきなりの発言に、リートも動揺していた。

 

「いいでしょ?何か問題あるの?」

 

「………アリマセン……」

 

「ちょっと待てよ姉ちゃん!!!オレらの家はどーすんだよ!!!」

 

エルフマンが慌てて引き留めようとするが、ミラはお構い無しに話しを進める。

 

「ごめんねエルフマン、しばらく私帰れないから」

 

「そんなー…」

 

それからしばらく、アマネとミラが、リートの家に泊まることになり、気がつけばリートの安らげる場所はなくなってしまっていた。

 

気がつけば一週間が過ぎ、リートは妖精の尻尾のギルド内で、ナツ達に心配されるほどやつれてしまっていた。

 

「どうした?リート顔色悪いぞ」

 

「ヒドイ顔になってるよ」

 

 

「しょーがねーだろ、アマネはボディーガードだって言ってはオレを連れ回すし、帰ってきたらミラに容赦なく家事の手伝いを強要されるし、しかもスゲー細かいし…」

 

「大変そうねー、パッと見は両手に華で世の中の男どもが羨ましがりそうなのに」

 

「案外本気でしんどそうだな…」

 

 

「変われるもんなら誰か変わってくれ」

 

「そういえば、その間はラリカはどうしてるんだ?オマエの家なんだからラリカも一緒なんだろう?」

 

「巻き込まれないように、オレが帰ってきて標的にされるまで基本は外に出ないか、自室の窓から出入りしてる。今日は珍しくアマネに完全に標的にされて、今一緒に出掛けてる」

 

「ラリカらしいと言えばらしいが…」

 

「完全に逃げてるわね…」

 

 

「失礼致します」

 

リート達が話しをしていると、ギルドの出入り口から聞きなれていない声が聞こえてきた。

 

「こちらにアマネお嬢様はいらっしゃいますでしょうか?」

 

全員が出入り口を見ると、そこにはエウスが立っていた。

 

「失礼ですがアナタは?」

 

ミラが客人と分かったとたんエウスに話しかけ、エウスも淡々と質問に答えた。

 

「これは失礼、名乗りもせず用件を聞いたのはいささか無礼でございました。私はエウス、アマネ・シルエーザお嬢様の執事をしております」

 

 

「シルエーザですって!!?」

 

アマネのフルネームを聞いたルーシィは、驚いた表情で叫ぶ。

 

「知ってんのか?ルーシィ」

 

「うん、シルエーザって言ったらものすごく品のある貴族で有名なの、アタシも小さい頃にしか会ったことないけど…」

 

「ルーシィ?…おぉ、これはこれはハートフィリア家のルーシィお嬢様ではありませんかな?」

 

「え?アタシの事知ってるんですか?」

 

エウスは、笑顔でルーシィに話す。

 

「勿論です、以前パーティーでお見掛けしたことがありますので、私は執事という立場なのでお話しすることはありませんでしたが、旦那様とアナタ様のお父様がお話ししていた所はよく印象に残っております。当然、お父様の近くにいらしたアナタ様のお顔も忘れるはずがありませんよ」

 

「それ、アタシが5~6歳位の頃の話しなのによく覚えてるわね…」

 

「執事ですので」

 

「理由になってないんですけど」

 

「それより…」

 

エウスがギルドの中を見渡すが、アマネの姿がどこにも映ってなかった。

 

「アマネお嬢様はどちらに?このギルドにいらっしゃると伺っておりますが」

 

「アマネなら今、出掛けてますよ、そろそろ戻ってくるんじゃないですかね」

 

リートがエウスの問いに答えると、エウスの顔色は一気に悪くなる。

 

「なんということだ…アマネお嬢様が危険だ……今すぐ私が迎えに行かなければ」

 

エウスが慌ててギルドから出ようとすると、リートがエウスの腕を掴んで引き留めた。

 

「まぁ落ち着いて下さい、心配しなくてもアマネなら大丈夫ですよ」

 

するとエウスは、キッとリートを睨み付ける。

 

「貴様にアマネお嬢様の何がわかる!!アマネお嬢様はな!!!命を…」

 

「たっだいまぁー!!はぁー楽しかったー」

 

「私はもう、ヘトヘトですわ」

 

エウスが飛び出そうとしたちょうどその時、アマネとラリカがギルドに戻ってきた。

 

「おう、お帰り遅かったな」

 

「色々と回ってましたのよ」

 

「色々ってのも気になるが、何で今日はオレじゃなくてラリカを連れてったんだ?」

 

「そりゃあ今日に限ってはリートはダメですわよ」

 

ラリカの言葉に、リートの頭の中ではクエスチョンマークが飛び交っていた。

 

「なんで?」

 

「なんでって…今日行った場所はランジェ」

 

「わぁぁぁぁ!!!それを言っちゃダメーー!!!」

 

ラリカのとんでも発言をする前に、アマネがラリカの口を慌てて塞いだ。

 

「ムグッムグッムグ」

 

「ラン…何だって?」

 

「アハハハ…ナンデモナイ ナンデモ」

 

「ラリカちゃ~ん、ちょっと配慮が足りないんじゃないかなぁ?」

 

「も…もうじわげございまぜんわ…」

 

ラリカの両頬をキュっと抑えるアマネ、ラリカも流石に悪いと思ったのか、ギリギリ聞き取れる程度の発音で謝罪をした。

 

「アマネお嬢様…」

 

「!」

 

アマネは声のした方へと振り返ると、エウスが泣きそうな顔で立っていた。

 

「やっぱり来たのね…エウス……」

 

「はい、エウスでございます。アマネお嬢様…さぁ、帰りましょう。旦那様も心配しておられますよ」

 

「イヤよ」

 

アマネはエウスを睨み付けて、自分の意見をハッキリと告げた。

 

「私、帰らないわよ。あんな家になんて」

 

「お嬢様…」

 

「あの人が私の心配?あり得ないわ、あの人は私をただの家系の為の道具としか見ていない…それが分からない程、私はバカじゃないわ」

 

「そんな事は」

 

「そんな事は無いと…そう言いきれるの?」

 

アマネの発言に、エウスはただ黙って聞くしかなかった。

 

(同じだ…)

 

アマネの言葉を聞いたルーシィは、自分の胸を何かが締め付けるような感覚に襲われる。

 

(あの娘はアタシと同じだ…ただ…アタシには仲間がいてくれた……アマネとアタシの違いは、多分そこだけなんだ…)

 

「そんな人のいる場所になんて私は帰りたくない」

 

「それに」

 

アマネはリートの腕を引っ張り自分の下へ寄せると、そのまま腕を組む。

 

「私には強力なボディーガードがいるの、だから心配してくれなくて結構よ」

 

エウスはリートの顔を見て、一瞬だがこわばった顔になる。

 

「ほぅ、貴様がお嬢様のボディーガード…」

 

「まぁ、成り行きですが…」

 

「いいだろう」

 

エウスは胸ポケットから白の手袋を取り出し、両手にはめる。

 

「お嬢様のボディーガードに相応しいかどうか私が試してやろう」

 

「ちょっとエウス!!そんな事しなくても私は彼の戦いを直に見てるのよ!!!必要ないじゃない!!!」

 

「いえ、お嬢様、これは重要な事なのです。いくら彼が強かったとしても、私に勝てなければボディーガードの意味がありません。それならば、私が貴方のボディーガードも兼ねればいいだけの話しとなりますので」

 

「それは…そうかもしれないけど……」

 

「ならば、審判はワシがつとめてやろう」

 

「マスター!!」

 

マカロフは、ユルい顔をしながらリートたちの下へやってきた。

 

「よっ!面白そうな事になっとるのぉ」

 

「面白そうってアンタ…」

 

「マスター、この状況を楽しんでますわね」

 

「えぇじゃないか、ほれリート、さっさと表に出て準備せんか」

 

「これはこれは、かの有名なマスター・マカロフ様に審判を努めていただけるとは、しごく光栄でございます」

 

エウスはマカロフに対して、頭を下げる。

 

「まぁそう堅くならんと、こんなに面白そうな余興もあまりないからのぉ。楽しくいこうじゃないか」

 

「とうとう余興っつっちゃったよこの人は…」

 

リートとエウスは、マカロフに戦える場所へと連れていかれた。




早く完結させないと…あれ?もしかしてオレ、スランプ?


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執事の実力

書き貯め無くなっちった。(ゝω・´★)

ちゃんとした敵すらまだ出てきてないという悲しき現実!!!


「ここら辺でいいじゃろう」

 

マカロフが連れてきた場所は、マグノリアの広場だった。

 

リートは広場の辺りを見渡し、不安そうな顔つきになっていた。

 

「マスター、ここら辺って言うけど…ここから見える場所に建物があるんだけど、壊れたりしませんかね?これ」

 

「それは、オマエ次第じゃ」

 

「まさかの人任せ!!?」

 

「冗談じゃ、安心せい ホントにマズイ時はワシが止めてやる」

 

「今の冗談は心臓に悪いんですが…」

 

リートとエウスは広場の中央に立ち、お互いに向かい合う。

 

「準備はいいか小僧」

 

「いいですけど…あんたオレにだけ口悪いけど、何かオレに恨みでもあるんですか?」

 

「アマネお嬢様に気に入られている事が私にとっては気に食わん」

 

「何か理不尽…」

 

リートは両手に氷を纏い構えをとり、臨戦態勢に入った。

 

「リートー!!がんばれー!!」

 

「負けたら承知いたしませんわよ!!」

 

妖精の尻尾のメンバーも、リートとエウスの戦いの邪魔にならない位置から観戦していた。

 

「執事のおっちゃんもがんばれよー」

 

「いい勝負期待してるぞー」

 

 

「…ずいぶんと賑やかなギルドですね」

 

エウスの言葉を聞いて、リートはニヤリと笑った。

 

「あぁ、いいギルドだろ?」

 

「えぇ、まったく」

 

 

「両者共に準備はよいな?…では、始めぇい!!」

 

マカロフの掛け声と共に、リートは距離を詰めようと、一気に前に飛び出す。

 

フッ

 

「!!」

 

しかし、リートが前に飛び出したときには、視界からエウスの姿は消えていた。

 

「反応が遅い」

 

「!!?」

 

ヒュン

 

エウスは、リートの後ろに回り込み手に持っていた細剣を振り下ろしていた。

 

リートはギリギリで剣をかわし、脚に氷を纏いエウスの顔目掛けて蹴りを放つ。

 

ガキィン!!

 

リートの蹴りがヒットする前に、エウスが剣でガードしていた。

 

「ほぅ、瞬発力は上々と言ったところですかな」

 

「つーか、その剣はどっから出したんだよ…アンタさっきまで何も持ってなかったじゃん」

 

「執事ですので」

 

「アンタそれ言えば説明してることになってると思ってないか?」

 

オオオォ!!!

 

二人の攻防に歓声が上がった。

 

「さて、続けるぞ小僧」

 

「小僧って…」

 

エウスはまたその場から高速で動き、リートの視界から消える。

 

リートから少し距離の離れた場所から現れたエウスは、剣を鞘に戻し腰に装備した状態になり、懐からある物を取り出す。

 

「ナイフと…フォーク?」

 

ヒュ

 

エウスはナイフとフォークを5本ずつ取り出すと、リートを囲むように放り投げる。

 

(何する気だ?)

 

「曲がりなさい」

 

エウスの放り投げたナイフとフォークが、中心にいるリートに向かって軌道を変える。

 

「いぃ!!?」

 

ガキキキィン!!

 

リートは慌てて自分の体に氷を纏うことで、防御に成功する。

 

「っぶね」

 

「すぅぅぅ…」

 

「!!?」

 

防御を解いたリートの懐にエウスが入り込み、掌をリートの腹に添えて息を吸い込んでいた。

 

「はっ!!」

 

ズドン!!

 

「がはぁ!!」

 

エウスの掌から衝撃波がリートの体を貫き、リートを勢いよく吹き飛ばした。

 

ズザザァァァ

 

リートは倒れることなく地面に手足をつけ、踏ん張りを効かせる。

 

「どうした?逃げてばかりか小僧」

 

「言ってくれるじゃねぇか…なら次はオレの番だ!!」

 

リートは地面を蹴り、エウスに向かって突進する。

 

「バカの一つ覚えのようなことをしますね」

 

バッ!!

 

ピキィン!!

 

「!!」

 

リートはエウスの足下の地面を凍らせ、動きを制限する。

 

「これは!!?」

 

「氷竜の陣円」

 

ぐるん

 

「!!?」

 

一気に距離を詰めたリートは、脚に氷を纏い、空中で回転して踵落としを仕掛ける。

 

ドカァン!!

 

グググッ

 

エウスは両手をクロスし、リートの踵落としを、頭上で受け止めた。

 

「なかなか…どうしてこれは」

 

「ふっ」

 

リートは踵落としに使った足に力を入れ、エウスの腕を台にして、エウスの斜め後ろに飛び上がる。

 

「氷竜の…」

 

リートの掌に、氷の柱が出来上がる。

 

「柱弾!!!」

 

ドゴォ!!

 

「かはぁぁっ!!」

 

氷の柱を背中にぶつけられたエウスは、なすすべなく吹き飛ばされる。

 

壁まで吹き飛んだエウスの場所は、煙で隠れてしまっていた。

 

「どうだ、結構効いたろ?」

 

コツコツコツコツ

 

煙の中からエウスが、頭から血を流しながら歩いて出てくる。

 

「えぇ、今のはかなりの攻撃でした…昔の私なら如何様(いかよう)にでも出来たと思われますが……いやはや、歳には勝てないもんですな」

 

「ヘッ…クソッ今の受けて平然としてやがる…」

 

「さぁ、まだまだ続けますよ」

 

今度はエウスがリートに向かって飛び出し、細剣をリートの胸目掛けて突きを放つ。

 

パシッ

 

「ぐっ…」

 

リートは、白羽取りで突きを受け止めエウスの攻撃を止める。

 

「なるほど…受け止めましたか」

 

「へっ…このくらいなら……なんとかな」

 

エウスとリートが、お互いにニヤリと笑うと、エウスは剣を離し体を捻ってリートに裏拳を仕掛ける。

 

「!!?」

 

ヒュン!!

 

リートはしゃがんで裏拳をかわし、エウスの拳は空を切った。

 

「なろっ!!」

 

立ち上がると同時に、リートは、エウスの顔を目掛けて拳を突きだすが、エウスに片手でアッサリと止められてしまった。

 

グイッ

 

「!!」

 

エウスがリートの手を軽く捻りながら下に下げると、リートは関節を決められ、膝まずいてしまう。

 

「くっ…」(立てねぇ…)

 

「終わりですかな?」

 

「まだっ……だ!!」

 

リートは、しゃがんだ状態からエウスの足を刈り体制を崩させた。

 

「なっ!!」

 

ガバッ

 

「くらいやがれ!!!」

 

体制を崩したエウスにリートは全力のパンチをおみまいし、エウスを後方へと吹き飛ばした。

 

ドカァァン!!

 

「はぁ…はぁ……」

 

ガラガラガラ

 

エウスは建物にぶつかり、崩れた建物がエウスの体を隠している。

 

ガラガラ

 

しかし、瓦礫から出てきたエウスは、血だらけだがケロっとした顔で歩み寄ってきた。

 

「へへっ…アレだけやってまだ平然とできんのかよ…」

 

リートは、勝ち目がないと思い少しだけ笑ってしまう。

 

「まぁ、そろそろいいでしょう」

 

エウスは臨戦態勢を解いて、肩の力を抜いた。

 

「は?そろそろいいって…何が?」

 

「認めてあげますよ、あなたはアマネお嬢様のボディーガードになるための素質を十分に持っている…私の負けです」

 

「………え?」

 

「それまで!!勝者リート・イクシーズ!!!」

 

ワアァァァァ!!!

 

「やりましたわね!!リート!!」

 

リートの下に、アマネ、ラリカ、ミラが走って近づいてくる。

 

「お疲れ様リート」

 

「あのエウスに勝つなんて、やっぱり私の目に狂いはなかったわ!!」

 

 

「あ…あぁ…」

 

「どうかしましたの?」

 

(なんか…府に落ちねぇっていうか…なんと言うか…)

 

「いや、なんでもねぇ」

 

 

「お嬢様」

 

エウスはアマネの下に来て頭を下げる。

 

「申し訳ありません。執事ともあろうものが、お見苦しいところをお見せしてしまいました」

 

「構わないわよ、あ、でもこれで今すぐ家に帰るって話しはなしよ?」

 

「ええ、承知しております」

 

エウスが了承したことに、アマネは呆気にとられた顔をする。

 

「あら、意外とあっさり手を引くのね」

 

「敗者は勝者に口出しができませんので」

 

「そう…そういうところは融通が効くのね」

 

「当然でございます。そして、リート」

 

リートはエウスに名前を呼ばれたことに、少しだけ驚いた。

 

「なんですか?」

 

「貴様と少しだけ話がしたい、数分でいいから時間を寄越しなさい」

 

「あ…あぁ、それは構いませんけど……」

 

「よろしい、それから…マカロフ様」

 

エウスは、マカロフにも声をかける。

 

「?なにか用かのぉ」

 

「マカロフ様にも少しだけお時間をいただきたいのですがよろしいでしょうか?」

 

エウスの真剣な顔に、おもわずマカロフも、真剣な顔つきになる。

 

「わかった…」

 

リートとマカロフは、エウスに連れられ人気のない裏道で話しをする事になった。

 

「この辺りなら誰もいないだろう」

 

「で?なんですか?話って」

 

「あぁ、リート貴様がアマネお嬢様のボディーガードとなった以上、アマネお嬢様の現状について教えておこうと思ってな」

 

「アマネの現状?」

 

「アマネお嬢様は…婚約者に……いや正確には我が国の王子に、命を狙われている」

 

「「!」」




さてと、そろそろ敵をちゃんと出すために本気を出しましょうか( ̄^ ̄)


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婚約者か暗殺者か

夜勤明けて寝て起きて、40分で書き上げて投稿!!!

あ、絶対にアカンやつや……体がとかじゃなくて本文が……


時は少し戻り、シャルエラ王国の王の城では、シャルエラ王国の王子であるジルクが国の騎士を使いアマネを捜索していた。

 

「アマネは見つかったのかい?」

 

ジルクの質問に、騎士団長は震えながら答える。

 

「いえ、未だ見つかっておりません」

 

「見つかっておりませんじゃねぇんだよ!!!」

 

ジルクは、手に持っていたグラスを騎士団長に投げつける。

 

「いいか!!!アマネはボクの妻になる女だぞ!!!草の根分けてでも意地でも見つけ出せ!!!今日中にだ!!!」

 

「し……しかし、手がかりひとつない状況では…既に何人かの部下も別の国へと派遣し捜索範囲を広げております。これ以上の捜索手段はないかと……」

 

「なら、この国に残っている騎士全員を世界中に派遣しろ!!!そんな事もできねぇのか、この無能が!!!」

 

「しかし……それではこの国の警備が…」

 

「警備なんか知ったことか!!!アマネが見つかってない状況で言い訳ばかりしてるんじゃねぇ!!!」

 

「いいか!!!お父様が他国へ行っている今は、お父様が戻ってくるまでの1ヶ月間は、ここはボクの城でボクが主なんだ!!!ボクの言うことが絶対なんだ!!!」

 

「それに!!!」

 

ジルクは、窓際に座っている男に指を差す。

 

「金で雇ったアイツがいれば、ここは絶対安全だ!!!ボクは絶対に安全なんだ!!!」

 

「王子は無事かも知れませんが…国民は…国民たちはどうなるのですか!!!」

 

「国民?知ったことか…死のうが生き残ろうがボクの知ったことじゃない。王あっての国だろうが」

 

騎士団長は、拳を強く握り歯を食い縛る。

 

 

「それでは…国民に死ねと……申すのですか…」

 

「別に死ねと言ってる訳じゃない、ただ…ボクの言うとおりにできないカスは殺すかもしれないけどな」

 

「このっ…」

 

ドスッ

 

「!!」

 

騎士団長が前に出ようとすると背中を、触手のようにウネウネと動いている鋭く尖った(きん)が騎士団長を貫いていた。

 

「がはぁっ…」

 

 

「やめときな、王子様に手ぇ出そうとするのは、死刑は免れねぇぜ?」

 

窓際に座っていた男は、立ち上がり倒れている騎士団長のもとへ歩み寄る。

 

「安心しな、急所は外してあるからよぉ。死刑になったかもしれねぇところを、助けたんだ。少しは感謝しろよ?騎士団長殿」

 

「ぐふぅ…き……貴様…」

 

「よ…よくやったぞゴルス!!後で褒美をやるからな」

 

「くっくっくっ…ハハハハハハハハ!!!!!いいねぇ…その苦しんでる顔、最高だぜあんた」

 

ゴルスと呼ばれた男は、騎士団長の耳まで顔を近付け小声で話す。

 

「あんまりオレたち(・・)の商売相手にちょっかい掛けねぇでくれや、オレたちも仕事にならねぇと商売にならねぇんだからよぉ」

 

ゴルスは立ち上がり、ジルクの方へと視線を変える。

 

「王子様よぉ、騎士団長殿は快く捜索してくれるそうだぜぇ」

 

「そうか、ならさっさと行け!!!アマネを見つけるまで戻ってくるんじゃないぞ!!!」

 

 

「ぐっ…グフッ」

 

騎士団長は腹を抑えて立ち上がり、そのままフラフラと王室を出ていった。

 

「さすがだなゴルス、おまえを雇って正解だったよ」

 

「いえいえ、コレも仕事なんでねぇ。それより報酬は(カネ)ではなく(きん)でお願いしますよぉ?」

 

「わかっている、まったく高い用心棒だ」

 

 

………

 

 

「どういうことですか?アマネが命を狙われているって言うのは」

 

「しかも国の王子と婚約しているとはのぉ…」

 

「いえ、正確に言えばあちら側から一方的に迫られているだけなのです」

 

エウスは、肩を落として話しを続ける。

 

「以前、アマネお嬢様がジルク王子に求婚を迫られた事がありますが、アマネお嬢様はジルク王子の身勝手な行動に苛立ちを覚え、その場で振ってしまわれたのです」

 

「まぁ、あの性格じゃあな」

 

「しかし、それと命を狙われるのと何の関係があるのじゃ?」

 

エウスは、険しい顔になっていた。

 

「アマネお嬢様は、産まれた当時…病弱でおられました…医者からは、10歳まで生きられれば奇跡だろうとさえ言われるほどに……」

 

「10歳……」

 

「それは…あまりにも残酷じゃのぅ」

 

「はい…それを不敏に思った奥様…アマネお嬢様のお母様は、とある魔法でアマネお嬢様をお助けしたのです」

 

「とある魔法?」

 

「自分の命と引き換えに、相手の寿命を引き伸ばすという……禁断の魔法だ…」

 

「「!!」」

 

「そしてその魔法を使用した奥様は、宝石へと姿を変え、アマネお嬢様の体に取り込まれたのでございます」

 

「じゃあ…アマネの体には」

 

「宝石となった母親が眠っておる…ということか」

 

「はい、それだけならアマネお嬢様の命が狙われる心配はあまりありませんでしたが…その宝石には、特殊な力が宿るといわれているのです」

 

「特殊な力?」

 

「宝石は大量のエネルギーを含んでおり、エーテリオンですら簡単に動かせるほどの魔力が宿ると…」

 

「なるほど…王子はそれを狙っているというわけか」

 

「以前、私だけで王子とお会いした際には、『アマネとボクを結婚させるか、体の中の宝石を引き抜かれるか好きな方を選んでおけとアマネに伝えておけ』と宣言されてしまい途方にくれておりました」

 

リートは、真剣な顔で一つだけ訪ねる。

 

「アマネの体の中の宝石を引き抜かれると…アマネ自身は……どうなるんですか?」

 

「おそらく…死んでしまわれるだろう…」

 

「そんな…」

 

「じゃから命を狙われておる…か……しかし、王子はそんなものを手に入れて何をするつもりなのじゃ」

 

「それは、私にもわかりません…しかし、アマネお嬢様は例えもう一度王子から求婚を受けたとしても…」

 

「絶対に了承しないでしょうね…アイツの性格上」

 

「あぁ…だからこそ、アマネお嬢様には屋敷に居てもらう必要があった……あそこなら確実にお嬢様をお守りできるだけの厳重な警備を整えていたというのに…」

 

「とうの本人が逃げ出したんじゃ、意味ないのぅ」

 

「だから」

 

エウスはリートの肩を掴み必死な顔でリートに頼み込む。

 

「外にいる間はボディーガードの貴様がアマネお嬢様を絶対に守り通すと約束してくれ……頼む」

 

「わかりました…そういうことなら……」

 

マカロフが、顎に手を当てて考える。

 

「しかし、思ったより事態は深刻じゃのぅ、アマネには数日以内に一度家に帰ってもらった方がいいじゃろう」

 

「ですね…」

 

「それは、私がアマネお嬢様に説得してみましょう」

 

「わかりました」

 

「そうと決まれば、話しは終わりじゃ。みんなのところへ戻るぞい」

 

マカロフは、リートとエウスを連れてギルドへと戻っていく。

 

「あ、お帰りなさい3人共」

 

「お帰り~遅かったわね~」

 

「今ちょうどさっきの戦いの話しで盛り上がってましたのよ」

 

ミラたちがマカロフ達をギルドへ引き入れると、ギルド内はさらにざわつき出す。

 

「おい、執事のおっちゃん!!次はオレと勝負してくれ!!」

 

ナツは、エウスに戦いを挑もうとする。

 

「やめとけ、おまえじゃ2秒でノックアウトだよ」

 

「あぁぁん?2秒でオレが負けるわけねーだろこのタレ目野郎」

 

「じゃあ今からオレと勝負してみるかこのツリ目野郎」

 

「やめんか!!」

 

「「あい!!」」

 

グレイとナツの喧嘩を、エルザが一喝で終結させた。

 

「すまない、あんなことを言っているが根はいいやつらなんだ。悪い気をしないでくれ」

 

エルザがエウスに話しかけると、エウスは笑顔で答える。

 

「いえいえ、大変賑やかで楽しいギルドではありませんか、羨ましい限りでございます」

 

「そうか…それはそうと、あなたは……執事…ということでいいのだろうか?」

 

「ええ…確かに執事でございますが」

 

「実はだな…私も一度……お嬢様というのをやってみたくて…だな……だから…その……」

 

エルザが何を言おうとしてるのかをエウスが察し、エルザよりも先に発言する。

 

「では、少しの間ですが、あなた様のお世話もさせていただいてもよろしいでしょうか?お嬢様」

 

それを聞いたエルザの表情は、パッと明るくなる。

 

「う…うむ!!では、よろしく頼む」

 

「はい、かしこまりました」

 

 

「すっかり人気者ね~エウスったら」

 

エウスから少し離れて座っているアマネは、エルザ達の様子を見ながらお菓子をつまんでいた。

 

「オマエも混ざってきたらどうだ?」

 

リートがアマネにそういうが、アマネは首を横にふる。

 

「いいわよ別に、アタシは自由になりたいんだもの、お嬢様はもうたくさん」

 

「私は結構憧れるんだけどなぁ」

 

ミラは少しだけ頬を染めながら、自分がお嬢様になっている姿を想像する。

 

「私が朝眠っていると、執事のリートが耳元で囁いて起こしてくれたりなんかして」

 

「何でオレが執事で、更にオマエを起こすのに耳元で囁いてんだよ…」

 

「あら、いいですわね、そしてリートが朝食に目玉焼きとサラダとフレンチトーストを運んで来てくれるのですわね」

 

ラリカもノリノリで話しにのっかる。

 

「オレが執事なのは決定事項なの?…」

 

「仕方ないじゃない、この場にお嬢様なんてアマネしかいないんだから、憧れもするし、妄想だってするわよ」

 

ミラ達の席に座っていたルーシィが、一言呟く。

 

「アハハ…アタシも一応お嬢様なんだけど……」




この物語の終わりが見えないっす!!


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金の男

やっと、敵キャラを本格的に出せそうで少しだけ安心ですw

察しのいい人ならそろそろゴルスの魔法、分かっている人もいるのでは?察しよくなくてもわかる…のかな……?


「それではお嬢様、私は先にシャルエラ王国へと向かわせていただきます」

 

エウスはアマネに頭を下げると、アマネも不満そうな顔で返事をする。

 

「ええ……」

 

「明後日です。それまでには必ず帰ってきていただくのでそのつもりでお願い致します」

 

「……わかってるわよ」

 

アマネは、エウスとリートとマカロフの三人になんとか説得され、明後日までという条件で、国へ帰る約束をしていたのだ。

 

「では、リート、お嬢様を頼んだぞ」

 

「ええ、必ず家に帰します」

 

「ならばいい」

 

エウスは視線をギルドのメンバー全員に向けると、再度深く一礼をする。

 

「それでは皆様、お世話になりました。くれぐれもアマネお嬢様をよろしくお願いいたします」

 

エウスの挨拶を、皆は快く返してくれる。

 

「世話になったのはこちらの方だ、ありがとう」

 

「また遊びに来てくれよ」

 

「次は戦ってくれよな」

 

「楽しかったわよ」

 

ミラがエウスに包みを渡す。

 

「これ、よかったらお土産♪シャルエラに帰ったら食べて下さい」

 

「おぉ、これは申し訳ない。ありがたく頂戴させていただきます」

 

エウスは、笑顔で港へと歩いて行った。

 

「はぁ~…明後日かぁ…ヤだなぁ」

 

アマネは深くため息をついて、肩を落とす。

 

「くよくよしても仕方ねーだろ?諦めろぉ」

 

「…そうね!!なら今日と明日で一生分遊んでやるわ!!!」

 

「え!?」(嫌な予感…)

 

ガシッ

 

「ちょっ…今からか!!?」

 

「当然よ!!付き合ってくれるでしょ?」

 

「お…oh」

 

アマネは、リートの手を引いて外へと出ていった。

 

「……行ってしまいましたわね」

 

「ラリカは追いかけなくていいの?」

 

ルーシィが訪ねると、ラリカは首を横にふる。

 

 

「どうせいつもの事ですわよ、私はいつも通り巻き込まれないようにするだけですわ」

 

「じゃあ、私と一緒に帰る?」

 

「ということは…ミラは今日も私達の家に泊まるのですわね」

 

「ええ、もちろん♪」

 

「わかりましたわ」

 

ミラも、仕事を切り上げて帰る準備をする。

 

「ミラちゃんもすっかりリートの家に居着いちまったなぁ」

 

「けど、そのわりにエルフマンはやけに大人しいわよね?」

 

ルーシィがエルフマンの顔を覗き込むと、エルフマンは平然とした顔で答える。

 

「ん?あぁ、姉ちゃんなら向こうに泊るっつっても定期的に家には帰ってきてくれんだよ、それにあんな状況ならリートも姉ちゃんに手を出せねぇだろうからな」

 

「そうか、ミラも決してエルフマンの事をないがしろにしているわけではないのだな」

 

「とーぜんだ!なんたってオレの姉ちゃんなんだからな」

 

「まぁ、それならそれで、安心したわ」

 

 

 

それから2日後、ついにアマネがシャルエラに帰るときがやって来た。

 

エウスは屋敷でアマネの帰りを待ちながら、執事の仕事をこなしていた。

 

「エウスよ、ホントに今日アマネは帰ってくるのだな?」

 

「ご安心下さい旦那様、アマネお嬢様は必ず帰って参ります」

 

「そうか、オマエが言うなら信用しよう、まったく…あのワガママ娘が」

 

(相変わらず、アマネお嬢様の前では素直になれないお人だ)

 

エウスはクスリと笑い、アマネの父親を見る。

 

「とにかく、私はこの後仕事で屋敷を開ける、後の事は任せたぞ」

 

「はい、かしこまりました」

 

アマネの父親は、部屋を後にし、仕事の為出掛けていった。

 

「さて、ではアマネお嬢様がお帰りになる前に残りの作業を終わらせてしまいましょうか」

 

それからしばらく、エウスと使用人達が屋敷の掃除や料理などをしていると、屋敷の表から女性の使用人の悲鳴が聞こえてくる。

 

「キャアァァァァ!!!!」

 

「!!?」

 

タッタッタッタ

 

「何事ですか!!!」

 

慌ててエウス達が外に出ると、そこにはゴルスの姿があり、屋敷の使用人が一人倒れており、女性の使用人が腰を抜かせていた。

 

「おーおー、こりゃまたゾロゾロとわいて出てきやがって、ゴキブリか?テメェらはよぉ」

 

「どちら様で?アマネお嬢様にも旦那様にも貴方のような野蛮なお知り合いはいらっしゃらないと記憶しておりますが」

 

「ハッハッハ!!野蛮ねぇ、あー違ぇねぇ、確かにテメェらから見たオレぁ野蛮かもなぁ」

 

「けどなぁ、今ぁそんな事ぁどーでもいいんだよぉ」

 

「アマネお嬢様ってのを差し出しな、ここの家主の娘だろ?わざわざ情報を得て律儀に来てやったんだぜぇ?」

 

エウスは白の手袋をはめて、臨戦態勢になる。

 

「あの二人を連れて中に隠れていなさい。彼の相手は私がします」

 

「は…はい」

 

エウスの後ろにいた使用人が倒れている使用人と女性を連れて屋敷の中へと入っていく。

 

「お?あんだよ、差し出す気はねぇってか?」

 

「当然でございます。そして……この屋敷に無断で乗り込んできた以上それ相応の覚悟はあるんだろうな?」

 

エウスの目付きは鋭くなり、口調も少しだけ変わる。

 

「あー、やめといた方がいいと思うぜ?わりとマジでよぉ」

 

エウス姿は一瞬でゴルスの視界から消え、細剣を手にした状態でゴルスの後ろから現れる。

 

「終わりです」

 

パキィン

 

「!!?」

 

エウスが振り下ろした剣がゴルスの首筋に当たるが、いとも簡単にへし折れてしまった。

 

「そんな!!」

 

「あーぁ、だぁから言ったのによぉ」

 

ゴルスは回し蹴りで、エウスの脇腹を蹴り、吹き飛ばす。

 

「ごはぁ」

 

「その程度の強度の剣じゃあ、オレには傷ひとつつけられねぇよ」

 

「くっ…」

 

エウスは、高速でゴルスの周りを動き周りながら、打撃技で応戦しようとする。

 

「痒いじゃねぇかぁ何がしてぇんだよ」

 

「ばかな!!私の攻撃が効いてないだと!!?」

 

「攻撃ぃ?これがかぁ?ハッ!!バカ言ってんじゃねぇぞぉ、攻撃ってのはな、相手にダメージを与えて初めて攻撃って言うことができんだよぉ、テメェのはただ撫でてんのと変わんねぇじゃねぇか」

 

ゴルスが指先に金の塊を作り出すと、エウスの左肩を目掛けて勢いよく打ち出す。

 

ドン!!

 

「がはぁっ!!」

 

「こーゆーのを攻撃ってんだ、よく覚えとけぇ」

 

 

ゴルスはエウスの顎を蹴り上げ、そのまま回し蹴りでエウスを吹き飛ばした。

 

大木まで吹き飛ばされたエウスの体は既にボロボロでいつ死んでもおかしくない状況にまで追い詰められていた。

 

「がはぁっ…ごほっごほっ」

 

「っち、これだけ執事を追い込んでもお嬢様ってのが出てこねぇところを考えると、こりゃここには居ねぇなぁ、はぁーあ、せっかくお嬢様を見つけて仕事をひとつ片付けられると思ったんだがなぁ」

 

ゴソゴソ

 

ゴルスは、ポケットから小さめの魔水晶を取り出すと、魔水晶が光りだす。

 

「あー、こちらゴルス、王子様よぉ、ここにはアマネお嬢様は居ねぇみてーだぜぇ」

 

『そうか、ならば屋敷の者から情報を得てきてくれ、なんなら見せしめに1人殺しても構わない、何としてもアマネの情報を持ち帰るんだ。勿論報酬の(きん)ははずんでやる』

 

「へいへい~」

 

魔水晶をポケットにしまったゴルスは、苦虫を潰したような顔になる。

 

「まったく、人使いの荒い王子だ…おい!!お前らぁ!!」

 

「「「はい!ここに」」」

 

ゴルスの後ろに、三人の男達が現れる。

 

「ったく、相変わらず何処からでも現れるなテメェらはよぉ、忍者かってのぉ」

 

「「「ゴルス様がお呼びすればどんな場所からでも駆けつけてご覧にいれます」」」

 

「ったく…見事にハモりやがって、まぁいい、お前ら…さっきの話しは聞いていたなぁ?」

 

「もちろんです」

 

「我々も情報を得てこいと申されるので?」

 

「よくわかってんじゃねーかぁ、ならさっさと行って屋敷の中の連中を拷問でも何でもしてアマネお嬢様の居場所を聞き出してこーぃ、なるべく王子の機嫌が損なわねー内に戻るから早くやってこいよぉ」

 

「「「はっ!」」」

 

三人は屋敷へと入っていき、ゴルスだけがエウスのいる場所に残った。

 

「さてとぉ、テメェにはオレが尋問してやるよぉ、感謝しなぁ」

 

「ごふっ…やめろ……殺す……なら…私だけだ……中の者た…ちは……関係ない……」

 

「それを決めるのはオレたちだぁ、テメェじゃねぇ」

 

(お嬢様………今来ては行けません…頼む…お嬢様が帰ってくる前に早く去っていってくれ)




エウスピンチ、アマネ…今帰ったら間違いなく巻き込まれますな、まぁ主次第ですが


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帰宅

とりあえず、ゴルスの魔法の正体を明かしましょう…多分見た人は、やっぱりなと思うことでしょう!!

まぁそう思われてもいいか


「何よ……コレ」

 

アマネがリートとラリカを連れて屋敷に帰ってくると、屋敷はボロボロになり表には使用人が数人倒れていた。

 

「これは…ただ事じゃねぇな」

 

「間違いなく何者かの襲撃がありましたわね」

 

 

「何があったの!!!誰か意識がある人はいないの?!!!」

 

「うっ……アマネ……お嬢様…」

 

倒れていた使用人の1人が意識を戻し、声を発する。

 

「!!」

 

アマネは急いで使用人の下へ駆けつけ、抱きかかえる。

 

「どうしたの!!?ここで一体何があったの!!!」

 

「王子の…手先の………者です…そいつらが屋敷を…」

 

「エウスは!!?エウスなら対処出来たでしょう!!!」

 

「エウス様は…戦闘でやられてしまい……」

 

「「「!!!」」」

 

エウスがやられたという情報に、三人は驚きを隠せずにいた。

 

「あのおっさんがやられただと!!?」

 

「ウソ…よね?…エウスが…エウスがやられるなんて!!!」

 

 

 

「嘘じゃねぇぞぉ」

 

「「「!!!」」」

 

リート達の近くの大木の天辺から声が聞こえ、そちらに目を向けると、ゴルスがボロボロのエウスを掴みながらたっていた。

 

「エウス!!!」

 

ブォン

 

ゴルスはエウスを放り投げると、エウスは地面に叩きつけられる。

 

アマネは急いでエウスの下へ走っていく。

 

「テメェ…何者だ?」

 

リートがゴルスを睨み付けるが、ゴルスは面倒くさそうに答える。

 

「ったく…またその質問かよぉ、もういい加減名乗るのも面倒くせぇんだよぉ、第一オレの目的はアマネお嬢様だ、アンタだろぉ?そこの金髪ぅ」

 

エウスを抱き上げて涙を流すアマネにゴルスが視線を向けると、アマネはキッとゴルスを睨み付ける。

 

「何で…どうしてエウス達がこんな目にあわないといけないのよ!!!」

 

「はぁ~…アンタのせいだよぉお嬢様ぁ」

 

「私…の?」

 

「アンタが王子の求婚を断ったせいで、王子がご立腹なんだよぉ挙げ句の果てには国外へ逃亡と来たもんだ王子のヤロォ…オレらを使って血眼で探してたんだぜぇ」

 

「ぐすっ…知らないわよ、第一なんで私があの人と結婚しないといけないのよ」

 

「お~言うねぇ、けどそれはもうどーでもいいんだよぉとりあえず王子の下に一緒に来てもらうぜぇ結婚しようがしなかろうが関係ねぇ、連れて行くのがオレの仕事なんでなぁ」

 

ゴルスは大木から飛び降りて、地面に着地するとアマネにむかって歩み寄る。

 

バッ!!

 

「あぁん?」

 

アマネとゴルスの間に、リートが割り込んだ。

 

「リート…」

 

「どっかに隠れてろ…こいつはヤバい」

 

コクッ

 

頷いたアマネは、エウスを背負ってその場を離れる。

 

「あんだよぉ、まだ居たのかテメェ~」

 

「ラリカ…」

 

リートは肩に乗っているラリカを呼ぶ。

 

「なんですの?」

 

「ギルドに戻って助っ人を呼んできてくれ…誰でもいい、なるべく早く」

 

「わかりましたわ」

 

ラリカは翼を生やして空に飛んでいった。

 

「あ?ネコが飛んでる?」

 

「余所見してんじゃねぇぞコラ」

 

「あん?」

 

リートは一瞬でゴルスと距離を詰めると、ゴルスの顔を、氷を纏った手で思いっきり殴り付ける。

 

ドゴォ!!

 

「ぐっ…」

 

ゴルスを殴ったリートの手に、痺れを感じる。

 

「硬ぇ…どんな体の作りしてんだよ」

 

「クッ…クックックックッ」

 

リートに吹き飛ばされ、仰向けになって倒れているゴルスが、いきなり笑いだす。

 

「ハァーッハッハッハッハ!!!いいじゃねぇかぁオマエ!!オレがぶっ飛ばされるなんて何年ぶりだぁ!!!」

 

ゴルスが起き上がりリートを見ているが、その顔には傷1つついていなかった。

 

「あの執事より面白そうだなぁテメェ」

 

「ぐっ…」

 

バッ!!

 

リートは腕の痛みを耐えて、ゴルスに向かって走り出す。

 

「くらいやがれ!!」

 

リートがもう一度拳を構えて殴りかかる。

 

しかし、ゴルスはニヤリと笑ったまま動こうとしなかった。

 

ドスッ

 

「うっ…」

 

リートの拳がゴルスの顔に当たる前に、ゴルスの足下から生えた金の触手がリートの腹に突き刺さっていた。

 

「ワンパターンな攻撃してんじゃねぇぞぉ、もっと本気でこいよぉ」

 

触手はリートを遠くへ投げ飛ばし、リートは地面を転がる。

 

「はぁ…はぁ…」

 

リートは腹に氷を張って、触手による出血は免れたが、それなりのダメージをおってしまった。

 

「あんだよぉ、もう終わりか?」

 

リートは掌から氷の柱を伸ばしてゴルスにぶつけようとする。

 

「氷竜の凍柱!!!」

 

ズオォォ!!

 

「ヘッ」

 

ゴルスは金の触手を三本まで生やすと、ドリルのような形に1つにまとめ氷の柱にぶつける、すると氷の柱は金の触手に貫かれ、粉々になる。

 

「なっ!!?」

 

ゴルスは片手をリートに向けると、そこから巨大な金の塊を作り出し、リートに向けて放出する。

 

「金剛弾」

 

ドン!!!

 

「!!?」

 

リートは飛び上がって金の塊を回避すると、リート真上にゴルスが大きく息を吸いながら、構えて待っていた。

 

「金竜の…」

 

「まさか!!?」

 

「咆哮!!!」

 

空中で身動きの取れないリートは、ゴルスのブレスに直撃してしまう。

 

ドゴォン!!

 

「がはっ」

 

「生きてるかぁ?生きてるならもっと楽しもうぜぇ」

 

フラフラとリートが立ち上がるのを待っていたゴルスは、ニヤニヤと笑っていた。

 

「テメェ……滅竜魔導士だったのか……」

 

「あぁ?おう、そうだぜぇテメェと同類だなぁ」

 

「一緒にするなよ」

 

リートが、氷を腕に纏って構えをとる。

 

「ハハッそうだなぁ、確かに同じじゃねぇなぁ…オレの方が強ぇもんなぁ」

 

「じゃあ、ここからはシンプルに殴り合いといこうかぁ」

 

ゴルスも腕に金を纏う。

 

「さぁ、やろうぜぇ」

 

「はぁ…はぁ…」

 

二人は同時に飛び出して、拳を突き出す。

 

「はあぁぁぁ!!!」

 

「おらぁぁぁ!!!」

 

ドゴォォン!!!

 

2人の拳がぶつかり合い、大爆発が起こる。

 

その後も二人は殴り合いを続けるが、徐々にリートが圧され始めていた。

 

ガッ ゴッ ドゴォ

 

「がっ…」

 

「オラオラどーしたぁ!!」

 

ドゴォン!!

 

体力のなくなったリートは、ついにゴルスに殴り飛ばされる。

 

「ごほっ…がはっ」

 

「はぁはぁ、まだ生きてんのかぁテメェはぁ」

 

ゴルスの身体に金がまとわりつき徐々に全身へと広がっていく。

 

「ここまでやった褒美だぁ、面白ぇもん見せてやるよぉ」

 

「おも…しれぇもん…だと?」

 

 

 

「モード竜人(ドラゴニュート)




モード竜人…雷炎竜とかが出るよりも先に敵キャラでモード変化出しちゃった……


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金色の竜人

ゴルス…強くしすぎた?いや、まだなんとかなる…


「モード竜人」

 

「!!」

 

ゴルスの身体にまとわりつく金が、手足、頭、背中へと移動する。

 

 

「ハアァァ」

 

変身を終えたゴルスの、頭には角、背中にはドラゴンの翼、手足にはドラゴンの爪を型どるように、金を纏っていた。

 

「待たせたなぁ」

 

変身したゴルスの姿は、まさに竜人と呼ぶにふさわしい格好と言えるだろう。

 

「バケモノめ……」

 

「クックックッ…バケモンか……あー違ぇねぇ、オレはバケモンだ」

 

ゴルスが次の言葉を発するときには、リートの目の前まで迫ってきていた。

 

「そのバケモンに、今からテメェはやられんだよぉ」

 

「!!」 (早っ!!?)

 

ドゴォッ

 

リートは顔面を殴られ、吹き飛んでしまう。

 

「がはぁっ…ぐっ」

 

ゴルスは、リートが必死に起き上がろうとしているところに、頭を踏みつけて抑え込む。

 

「なんだよぉ、もぉしめぇかぁ?情けねぇぞぉ」

 

ゴルスは指先を伸ばし腕を振り上げ、リートの心臓を狙う。

 

「死ね」

 

 

「やめて!!!」

 

ピタッ

 

ゴルスが腕を止めて、声がした方を向くと、アマネが表に1人で出てきていた。

 

「ア…マネ……」

 

「もういいでしょう、アンタたちの狙いはアタシ…アタシがアンタについていけばリート達を殺す必要は無いはずよ」

 

ゴルスは、変身を解いてアマネの方に身体を向けるとアマネのもとまで歩み寄る。

 

「あぁ、テメェが大人しくついてきてくれんなら何も問題ねぇぞぉ」

 

「やめ…おまっ……」

 

リートは立ち上がろうとするが足に力が入らず起き上がることができずにいた。

 

「やめときなぁ、せっかくお嬢様が身を呈して守ってくれた命。無駄にする気かぁ?」

 

「リート…」

 

「アマ…ネ……」

 

「あなたはクビよ」

 

「!」

 

アマネの発言に驚いたリートは顔をあげたまま固まってしまった。

 

「当たり前でしょ?アタシのボディーガードがアタシを守りきれなかったんだもの、クビにするしかないじゃない」

 

「タッハッハ!!そりゃそうだなぁ!!」

 

「だから…あなたはクビ……もう自由なの、妖精の尻尾(フェアリー テイル)に帰るなり、ここから逃げ出すなり好きにするといいわ…だから……もうアタシとはこれっきり」

 

「ふざっ…けんな……そんなもん…認めねぇぞ!!」

 

「主の言うことが聞けないの?!!!」

 

「お願い…もう……立たないで」

 

アマネの目からは、涙がこぼれていた。

 

「じゃあね、もう……二度と会うことも無いわ」

 

「楽しかった……」

 

(サヨナラ…ありがとう)

 

アマネは涙を拭いて、ゴルスを睨み付けると一言呟く。

 

「行きましょ」

 

「おぉ~ ま、懸命な判断だなぁ」

 

ゴルスはアマネを連れて去ってしまった。

 

「アマネ…アマネーーー!!!」

 

「くそっ…くそっ……」

 

リートは悔しがった後に、意識を手放してしまう。

 

 

 

 

「~きろ…起きろ…おいこら、起きろ」

 

「!!?」

 

バッ!!

 

「お?起きた」

 

「よっ!!」

 

次にリートが起きた時には、アマネとゴルスの姿は消え、バンクとアクナがリートの側でしゃがんでいた。

 

「アクナ…さん?それに…バンク…」

 

 

「あれ?オレはおまけか何かなのか?」

 

「アンタ、こんなとこで何寝てんだい」

 

「それは…そうだ!!!アマネは!!?アイツは何処に!!?」

 

「落ち着け」

 

ゴン!!

 

「ぐぼぉ!!?」

 

「何があったのか知らねぇし、アタシらがオマエを見つけたときはオマエ1人だけだった。他に人の気配はなかったよ」

 

「ってかアマネって誰だ?」

 

バンクがアマネの事を訪ねると、リートはゆっくりと答える。

 

「そうか…オマエ、仕事中でいなかったんだっけか…アマネは、妖精の尻尾(オレたち)の仲間だよ」

 

「お!?また仲間ができたのか!!」

 

そして、リートは何かを思い出したかのようにアクナとバンクを見る。

 

「ってか、何で二人はここに?」

 

「あ?アタシはここの近くの鉱山に用があってな、そこにしかねぇ鉱石がどうしても必要だったから取りに来たんだよ」

 

 

「オレは仕事帰りに捕まったぜ!!」

 

「捕まっといて威張るなボケ」

 

ドゴッ

 

「おごっ!!」

 

アクナに殴られたバンクが、涙目でアクナを見る。

 

「あん?何か文句でもあんのかバカ弟子」

 

「…なんでもないっす」

 

「ハハハッ…」

 

 

「ま、こいつは単なる荷物持ちで捕まえただけだ」

 

バンクは、一気に暗い顔になる。

 

「オレは虫か何かで?」

 

「バカ言うなよ、お前は虫より使えるぞ」

 

アクナは、最高の笑顔でバンクを見ていた。

 

「せめて人に格上げできませんかね!!?」

 

「んなことより…リート、テメェ誰かに負けたんじゃねーだろーな?」

 

アクナは、リートを思いっきり睨み付ける。

 

「うっ……すいません」

 

「え!?オマエ負けたのか!!?どんなやつだよ!!オレにも戦わせてくれよ!!」

 

ドン!!

 

「おごぉ!!!」

 

空気の読めないバンクは、当然アクナに殴られる。

 

「………はぁ、どんな敵だ?」

 

「……(きん)滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)です」

 

「特徴を教えろってんだよ、どんな戦い方してるのかとそいつの厄介な所を教えろ」

 

リートは口をつぐむと、もう一度口を開いて話しだす。

 

「異常な程の防御力がありました。オレの攻撃受けてヘラヘラしてましたからね」

 

「ほぅ…」

 

 

「リート~!!!」

 

ラリカが、ナツ、ガジル、エルザ、ルーシィを連れて戻ってきた。

 

「リート!!無事か!!」

 

「かなりヤバい相手って聞いたけど大丈夫なの!?」

 

「オマエまさか負けたのか!!?」

 

 

「負けた前提かよ…まぁ確かに負けたんだが…」

 

ナツ達とも合流して、今後どうするかを話し合う事になった。

 

「とにかく、早く助けに行かねーと!!」

 

ぐいっ

 

「ぐわっ」

 

「まー落ち着け」

 

リートが走り出そうとするのを、アクナが衿を掴んで引き止める。

 

「なにすんですか!!」

 

「オマエ、同じやつに無作為に戦いを挑んで今度は勝てるのか?」

 

「うっ…」

 

 

「無理だろうな」

 

「無理ね」

 

「フン、無理だな」

 

「勝てねぇだろうな」

 

「無理だと思うぜ」

 

「無理ですわね」

 

 

「テメェら揃いも揃って!!!」

 

全員が、リートは勝てないと思っていたようだ。

 

「はぁ…まぁ時間もねーのは、間違いねぇからなちょっとした対策ぐらいは考えてやる」

 

「対策って?」

 

アクナは、リートを引き連れてナツ達から少しだけ離れる。

 

「テメェ、ちょっとアタシに殴りかかってきな」

 

「は?何でまた」

 

「いいからさっさとしろ」

 

リートは、訳もわからず氷を腕に纏う。

 

「よくわかんないですけど、どーなっても知りませんよ」

 

「お前ごときがアタシに勝てるか」

 

「わかってますけど、何かムカつく…」

 

リートは地面を蹴り、アクナに殴りかかる。

 

「オラァ!!」

 

ドカァ!!

 

シュウゥゥゥ

 

リートがアクナを殴った瞬間爆発で煙が上がり、煙が晴れるとアクナがリートの拳を片手で受け止めていた。

 

「流石アクナさんだな」

 

「すごい」

 

「いつも通りですわね」

 

「やっぱ、師匠こえぇー…」

 

「やっぱりばっちゃん強ぇな!!」

 

「ウソだろ…」

 

リートとアクナの攻防に、一同はそれぞれ驚いていた。

 

 

「やっぱ無理か…」

 

「よしっ…大体わかった」

 

アクナがリートの拳を離して、腕を下ろす。

 

「は?わかったって何が?」

 

「今のおまえの力だよ」

 

「そんなもん知ってどーするんですか?」

 

「お前の力をアタシが再現するためだ」

 

「再現?」

 

「よく見てろ、今のテメェの全力で大木を殴るとこうなる」

 

アクナが近くの大木を殴ると、殴った部分は破裂し、周りにヒビが入っていた。

 

「まぁ、力技ですし…そうなるでしょうね」

 

「んで、次は少しだけやり方を変える」

 

アクナがもう一本の大木を殴ると、今度は拳1つ分の穴が空き、周りにはヒビが入っておらず、弾丸で貫いたようになっていた。

 

「なんで…そんなに違いが…?」

 

「余計な力を抜いただけだ」

 

「余計な力?」

 

「あぁ、肩や肘などに無駄に力を溜め込めすぎてんだ、だからお前の攻撃は破壊力が増して貫通力が落ちるんだ。それだと防御力の高ぇやつを相手にすると攻撃が通らねぇ、砕くんじゃねぇ、貫け」

 

「砕くんじゃなくて…貫く…」

 

アクナはナツ達にも、目を向けて話しかける。

 

「アタシと似た戦い方をするやつなら、同じ事ができるはずだ、修行で身に付けている時間はねぇ、だからぶっつけ本番でやりとげな」

 

 

アクナの言葉と同時に、エルザ達も出発の準備をする。

 

「よしっ、では行こうか」

 

 

 

「ならば、私も行きましょう」

 

屋敷からエウスが出てくる。

 

「エウスさん…」

 

「私でも多少の力にはなるはずだ、それに今回は足を引っ張った私の責任でもある…頼む、お嬢様救出を手伝わせてくれ」

 

「わかりました、お願いします」

 

エルザがエウスとリートのやり取りを見て、うっすらと笑う。

 

「行くぞ!!!」

 

「「「「「「「おぉー!!!!」」」」」」」




このやり方でゴルス戦を何とか…できる…のか……?修行の暇すら無いのに…


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選択

ちょっと遅れました。まぁゆっくりですが確実に終わりに進めますから飽きないで読み続けてくれると嬉しいです。


「やぁ、久しぶりだねアマネ」

 

アマネはゴルスに城まで連れて行かれると、地下牢に監禁されていた。

 

そこへ、現国王子のジルクがやって来たのだ。

 

「どうだい?この牢獄の居心地は」

 

「良い訳ないでしょ、頭おかしいんじゃないの?」

 

「クックックッ…」

 

アマネの返答を聞いたジルクは、少しだけイラついた。

 

そして、ジルクの護衛としてついてきていたゴルスが笑いをこらえ、その部下3名がゴルスの笑いを必死におさえようとしていた。

 

「まぁ、居心地が悪いのは当然だね。どうしてもここから出たいなら僕と結婚する事を誓えばいいよ。そしたら今すぐにでも出してあげ…「アンタと結婚するくらいなら今すぐこの場で舌を噛んで死んでやるわよ」!!!」

 

「ダッハッハ!!気の強ぇ姉ちゃんだ!!おもしれぇ!!」

 

 

「ちょっ…ゴルスさん…」

 

「あまり王子を怒らせるのは得策ではないかと…」

 

「それがし達も巻き込まれかねませんぞ」

 

既にゴルスの部下の3人の顔色は、真っ青になっていた。

 

「あぁ~悪ぃ悪ぃ」

 

「っち…まぁいい、だったら君の身体の中にある宝石をいただくまでだ。すぐに準備をさせるから、大人しく待ってるといいさ」

 

 

「なに?本人の許可なく女性の身体をまさぐろうっての?この変態」

 

 

「ぐっ…」

 

 

「ブッ…クックック」

 

ゴルスに反省している様子はなく、またも笑いだしそうになり、それを見た3人が、またアタフタと慌てる。

 

「フン!!強がってられるのも今のうちさ!!覚悟しておくんだね!!!」

 

ジルクはきびすを返し、牢獄を出ていき、ゴルス達もそれについていった。

 

「じゃ~な~強気なお嬢様ぁ」

 

「ゴルスさん、いつか刺されますよ?」

 

「オレを刺せる強者が居るなら、是非とも会わせて欲しいもんだなぁ」

 

「確かに…」

 

「一本とられましたな」

 

 

 

バタン

 

 

 

「ふぅー…」

 

アマネは一息ついて、壁にもたれ掛かると、天井を見上げてエウスとリートのボロボロの姿を思い出す。

 

(大丈夫かなぁ?あの二人は…)

 

アマネは膝を抱え込み、そこに顔を埋める。

 

 

 

(会いたいなぁ…ぐすっ…)

 

 

 

 

「いいか!!アマネを絶対に牢から出すな!!アイツが一歩でも牢から出たら、お前達全員死刑だからな!!!」

 

ジルクは大声で、城の者にそう言いながら玉座の間にむかう。

 

「お~お~血気盛んな王子だこと」

 

「お前達もだ!!ゴルス!!フェイズ!!ナアル!!ウェイブ!!」

 

「我々もですか!!?」

 

「そんな!!私達は連れてきたのですからそれでチャラでは!!?」

 

「納得いきませぬ!!」

 

ゴルス以外の三人は動揺して、ジルクに死刑を止めるように訴える。

 

「落ち着けぇお前らぁ」

 

 

 

「ゴルスさん…」

 

「ボス…」

 

「しかし!!ゴルス殿!!」

 

「要はあのお嬢様を牢から出さなきゃ良いだけだろぉ?簡単じゃねぇかぁ、邪魔しそうなやつを先に消しておけばいいだけだろぉ?」

 

 

「フン、わかってるじゃないかゴルス」

 

ゴルスは、フッと笑うとそのまま外へと出ていく。

 

「んじゃ、オレらは別行動するぜぇ」

 

 

「わかってるだろうね!!お前達が外に行ってる間にアマネが逃げても…」

 

 

「死刑だろぉ?分かってるってぇのぉ」

 

ゴルスが外に出ると、三人が話しかける。

 

「ボス、これからどうするんですか?」

 

「それがし達は何を?」

 

「決まってんだろぉ、邪魔なやつを消しに行くんだよぉ」

 

「邪魔なやつとは、ゴルスさんと戦った青髪の奴の事ですか?」

 

「おぉー、まずそいつで間違いねぇだろーなぁ、明らかにこっちに向かってきてやがるぜぇ、あのバカ王子がそれに気付いたら慌てふためいて話しになんねぇだろぉから、さっさと片付けんぞぉ」

 

「では、我々はそいつらを…」

 

「あぁ、消せぇ」

 

「「「はっ!!」」」

 

ゴルスの一声で、三人は消え去った。

 

「さてとぉ…アイツも仲間を引き連れて来てるようだしなぁ、アイツらとどこまで渡り合えるかねぇ」

 

 

 

 

 

………

 

 

 

 

 

「さてと、そろそろ動くぞ」

 

全員で城に向かうリート達、その途中で言ったアクナの言葉に全員が反応する。

 

「そろそろ動くって…何がですか?」

 

「相手の連中だ、向こうだってバカじゃねぇ、そろそろ敵の1人や2人出てきてもおかしくねぇってんだよ」

 

「なるほど、いつ戦闘になってもいいようにしとけってことですね」

 

「そういうことだ…っち、言ってる間におでましだ。全員気を張りな」

 

 

ズドドドド!!

 

リート達の足下に何かが当たり、小さな爆発が連続して起こる。

 

 

 

「なんだ!!?」

 

「きゃあ!!」

 

「これは…」

 

「弾…丸…?」

 

リート達の足下に撃ち込まれた弾丸、それによる衝撃で二人ずつ分断される。

 

 

アクナとルーシィ

 

リート&ラリカとナツ&ハッピー

 

ガジルとバンク

 

エルザとエウス

 

「っち…みごとに分けられちまったな」

 

「テメェら!!各自目の前の敵に専念しろ!!!撃破した奴らから城に向かえ!!!」

 

 

 

「「「「「「了解!!!」」」」」」

 

 

 

アクナとルーシィの前には、フェイズが

 

 

リートとナツの前には、ゴルスが

 

 

ガジルとバンクの前には、ナアルが

 

 

エルザとエウスの前には、ウェイブが

 

 

それぞれ1人ずつ立ちふさがっていた。

 

 

 

アクナ達と対峙しているフェイズが、少しだけ残念そうな顔をする。

 

「我の相手は女性二人か…あまり気乗りしないのだがな」

 

「安心しなぁ、こっちもそれなりの戦闘経験を積んでんだ。そう簡単にはやられねぇから全力で来な」

 

「アタシとしては、手加減してほしいんですけど…」

 

 

 

「よぉ、数時間ぶりかぁ?またオレに叩き潰されに来たのかぁ?氷竜よぉ」

 

「今度は負けねぇよ、オレが勝つ」

 

「へへっ、オレも混ぜろよリート、ブスブスの薫製にしてやんぜ」

 

「ナツゥ、前にも言ったけど薫製は煙でできるんだよ」

 

「今ツッコむところではありませんわよ」

 

 

 

ガジルとバンクと戦おうとしているナアルは、手鏡を使い髪を整えていた。

 

「うーん、なかなか髪のセットが決まらない」

 

「なぁオイ、バンク…」

 

「お?なんだ?」

 

「あのヤロォ、オレたちを無視してるよな?」

 

「おぉ、してんな」

 

「ぶっとばしていいか?」

 

「まぁ、待てよ…オレがやる」

 

ナアルは髪のセットに使っていた櫛を、二人に向けて、哀れみの表情で見る。

 

「君たちは野蛮で美しくない、そして私は美しい」

 

「「ブッ殺す!!」」

 

 

 

 

 

エルザとエウスと対峙しているウェイブは、非常に落ち着いた様子で二人を観察する。

 

「なかなかの強者と見た。それがしはウェイブ、よろしくたのみ申す」

 

「ほぅ、私達二人を相手に良い度胸だ、貴様の武器は腰にある刀一本だけか?」

 

「直に分かる、今はこの戦いを楽しみましょうぞ」

 

「アマネお嬢様が危険な時、のんびり戦ってなどいられません、どこの侍か知りませんが、5分でけりをつけさせていただきましょう」

 

「できるものならやってみるがよかろう。お主らではそれがしに傷1つつけることはできぬ」




ゴルスの部下の三人…特徴出そうとおかしな口調にし過ぎた気がする……でもまぁ他に案ないしこれで行くか


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2対1

やっと戦いです。しかし、敵を倒して、アマネ救出?世の中そんなに甘くない。絶対に簡単には終わらせません!!


リート達が戦いを始める頃、城ではアマネの宝石を取り出す準備により、30人程の魔導士が集められ、魔方陣を描き、着々と準備が進んでいた。

 

「オイ、アマネは大人しく牢に入っているんだろうね?」

 

「はい、あれから一言も発せずに牢の中で静かにしております」

 

「ならいいんだ、それにしても、ゴルス達は何処に行ったんだ…まったく、自由奔放なやつらだ」

 

 

………

 

 

エルザとエウスの二人は、ウェイブと戦いながら焦りを感じていた。

 

(くっ…早くせんとアマネが死んでしまうかもしれないというのに…ここまで足止めされるとは…)

 

ウェイブの魔法は、刀のみの換装、言葉にするとエルザの下位互換に聞こえるが、実際はウェイブの換装する刀がそれぞれ別の能力を持っており、エルザとエウスはそれに苦戦していた。

 

「エルザ様、何か手はありませんか?早くしませんとお嬢様の命が…」

 

「あぁ、分かっている、しかし…こうも攻撃が当たらんとなると中々に厄介だ」

 

 

「厄介なのはそれがしの方だ。あれほど斬激を放っているのに未だに生き延びているとは、お主らはそれがしの予想をはるかに越えている」

 

ウェイブが刀を換装し、左手に一本装備する。

 

「影刀 修羅」

 

ヒュッ

 

ウェイブはエルザとの間合いを一気に詰め、修羅という刀を抜き、エルザの首をめがけて刀をふる。

 

「くっ!!」

 

エルザも修羅と自分の首の間に刀を入れ込み、防御の構えをとる。

 

「無駄だ」

 

フッ

 

「!!?」

 

エルザの刀をすり抜け、ウェイブはエルザの首を切ろうとする。

 

「お主は…今死んだ」

 

キィン!!

 

「!!」

 

エルザの真後ろにエウスが立っており、細剣でエルザの首が薄皮一枚切られたと同時にウェイブの剣をガードする。

 

「終わらせません、この方は死なせません」

 

エルザはウェイブの刀が止まると同時に、エルザも換装を行う。

 

「妖刀 紅桜!!」

 

「はぁ!!!」

 

「!!」

 

紅桜でウェイブの腹を横に切り裂こうとしたエルザだが、ギリギリのところでウェイブに避けられる。

 

ブォン!!

 

「くっ…外したか」

 

「急いでいるというのに、面倒な…」

 

 

「それがしを相手によく戦っているものだ…しかし、勝つのはそれがしだ」

 

ウェイブは修羅をしまいこみ、新たな二本の刀を換装する。

 

「香刀 演舞」

「白刀 映斬」

 

エルザの次はエウスにと、ウェイブは標的を変えて斬りかかる。

 

「甘い!!」

 

ガキィィン!!

 

演舞を振るうウェイブだが、エウスはそれをあっさりと防ぐ。

 

ふわぁぁ~

 

「うっ…」

 

演舞から何かの匂いが漂い、エウスはその匂いをアッサリと嗅いでしまう。

 

「これは…」

 

「麻痺毒…しばらくは身体が動かなかろう」

 

「貴様!!!」

 

エルザがウェイブの後ろから斬りかかるが、ウェイブはしゃがんでそれをかわす。

 

視線をエルザへと向け、映斬をエルザに向けて振るう。

 

エルザは、またもガードの構えをとるが、映斬の斬劇は刀同士がぶつかると同時に消える。

 

「なっ!!?」

 

ヒュッ スパッ!!

 

「ガッ…」

 

そして、斬激が消え、エルザの気が抜けた一瞬の隙に、先程と同じ軌道でウェイブが映斬をふると、今度は斬激は消えずに、エルザの身体を切りつけた。

 

「影刀 香刀 白刀 それぞれに特殊な能力が備わった刀…お主らでは捌ききれぬであろう」

 

「影刀…刀身を消すことができ、香刀は、麻痺毒香りを出し、白刀は、偽物の斬激を見せることができる…といったところか…」

 

「正解だ、よくわかったな」

 

エルザは、袴の裾を破き、腹に巻き付けて止血しながら刀の能力を当てて見せた。

 

「原理がわかったところで、破られなければ意味はないがな」

 

「ならば、可能な限りは力ずくで打ち消すのみです」

 

「!!」

 

ヒュッ!!

 

ウェイブの後ろから、立ち上がって待ち構えていたエウスが、剣をふるがウェイブはそれをかわす。

 

「今のはかなりあせったぞ、そして香刀の能力を受けてまだ動けるとは…さすがに驚いた」

 

「…執事ですので」

 

「エウスさん!!」

 

エウスの隣にエルザが並び、二人でウェイブに剣を向ける。

 

「同時に行きますよエルザ様、少しでも剣の軌道がぶれると一瞬でやられかねませんが、可能でございますかな?」

 

「もちろんだ。いつでもいけるさ」

 

ウェイブも新たに刀を換装する。

 

「断刀 王牙 この刀でお主らに敗北を教えよう」

 

 

「行きます!!」

 

「あぁ!!」

 

「来い…」

 

 

………

 

 

一方、アクナとルーシィが戦っている男、フェイズも換装の魔法を使い、換装しているのは、銃とそれに使う為の弾を換装していた。

 

「くっ…この女…強い!!」

 

フェイズは銃を換装しながら必死に戦うが、アクナにはほとんど通用していなかった。

 

「オラァ!!どーした!!こんなもんかテメェは!!!」

 

「あたし…いる意味あるのかしら?」

 

ガシャン

 

「残像弾」

 

ドン!!

 

フェイズの射った弾がアクナに命中する。

 

「こんなショボイ攻撃がアタシに効くか」

 

アクナはフェイズと距離を詰め、フェイズの顔に拳を突き出す。

 

ふぁぁぁ

 

「なに!!?」

 

しかし、アクナが殴ったフェイズの身体は一瞬で消えてなくなり少し離れた場所からアクナをライフルで狙うフェイズの姿があった。

 

「死ね」

 

「危ない!!」

 

ルーシィは慌てて鍵を取り出して、星霊を呼び出す。

 

「開け!!人馬宮の扉!!サジタリウス!!」

 

ルーシィの鍵からサジタリウスが出てくると、ルーシィに向かって敬礼をする。

 

「お呼びでありますかな?もしもし」

 

「アイツの弾を相殺してちょうだい!!」

 

「了解でありますからして、もしもし」

 

サジタリウスが弓を構えると同時にフェイズがアクナに発砲する。

 

その瞬間、サジタリウスも矢を放ち、フェイズの弾を相殺した。

 

「なっ!!?」

 

「へぇ、やるじゃねぇか」

 

 

「サジタリウス!!次は本体よ!!」

 

「了解でありますからして、もしもし」

 

サジタリウスは、今度はフェイズに向けて矢を構える。

 

「ちっ…換装」

 

フェイズは銃を換装し、ガトリングガンを取り出すと、サジタリウスの方へと向ける。

 

「特殊弾!!連射!!」

 

「それがしも連射はできますからして、もしもし」

 

ズガガガガガガガ

 

フェイズとサジタリウスの弾と弓のぶつかり合いは、始めの数秒はお互いに拮抗していたが、撃ち込むスピードに違いが現れたのか、サジタリウスが数で圧し負ける。

 

ズドン

 

「サジタリウス!!」

 

サジタリウスに向かって放たれた弾を、アクナが代わりに受けてしまう。

 

「アクナ…さん?」

 

「無事かい?アンタら」

 

「助けていただき、感謝しますからして…」

 

「う…うん…でもアクナさんはアイツの弾を…」

 

「はっ!!こんなもん、屁でもねぇよ」

 

ドクン

 

「!!」

 

突如、アクナは弾を撃ち込まれた場所に異変を感じ取った。

 

「特殊弾…効果はコントロールだ…」

 

「て…テメェ…」

 

アクナの身体は勝手に動きだし、ルーシィ達を襲いはじめた。

 

ズドン!!

 

「きゃあぁ!!!」

 

アクナはルーシィを狙って殴りかかるが、ルーシィはギリギリで横に飛んで回避する。

 

「あ…がっ…」

 

「サジタリウス!!」

 

しかし、アクナの突きは、サジタリウスの身体を突き抜けていた。

 

「これは…少しばかり、休憩が必要でありますからして…もしもし…」

 

サジタリウスは光の粒子となり、星霊界へと帰っていった。

 

「ハハハハ!!!これは我も想像してなかった展開!!!さぁやれ!!アクナよ!!その女も捻り潰せ!!」

 

「……」

 

アクナは黙ったまま、フェイズの指示に従い、ルーシィに殴りかかる。

 

「ひゃあぁ!!」

 

ドゴォン

 

「きゃあぁ!!」

 

「……」

 

「アクナさん!!目を覚まして!!!」

 

しかし、アクナが返事をすることはなかった。

 

「ど…どうしよう……」




ルーシィ大ピンチ…やり過ぎたかも…


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美しい者

今回はナアル戦と、ゴルス戦です…つまりはメイン戦!!まぁそんなすぐに終わらないんですけど…


「らぁ!!」

 

「このっ!!」

 

ドゴォン!!

 

バンクは、赤くしたグローブで

 

ガジルは、鉄に変えた腕で

 

それぞれナアルに向かって殴りかかる。

 

「う~ん、10点だね」

 

二人の攻撃をかわして、後ろに回り込んだナアルが点数をつけながら髪を櫛でセットする。

 

「そんな攻撃が私に通用するわけないじゃないか、君たちはあまりにも野蛮すぎる。攻撃というのはもっと優雅にするものだよ」

 

「ヤロォ」

 

「舐めやがって」

 

 

「さて、そろそろ私も君たちの命を刈り取らせてもらおうかな」

 

「「あ?」」

 

ナアルが右手を横に出すと、大鎌が現れる。

 

「なっ!!」

 

「おーっ、すげぇな」

 

「私達ゴルスさんの手下は全員換装を得意とする魔導士さ!それぞれ武器を換装する。そして私はこの大鎌を換装するって訳なんだよ」

 

「自分の魔法をべらべらと話すって事は、相当自信があるみてぇだな」

 

バンクの言葉を聞いて、ナアルはニヤリと笑う。

 

「当然さ、それだけ私達は強くて美しいからね」

 

「ナルシスト野郎が」

 

「だけどよガジル、こいつが強ぇのも事実だぜ?」

 

「フン、そんな事はわかってんだよ。だからこそオレたち二人で戦ってんだろ」

 

 

「話し合いは終わったかい?」

 

「「!!」」

 

バンクとガジルが二人で言い争っていると、二人の間にナアルが現れ、バンクは鎌の柄の部分で殴り飛ばされ、ガジルはナアルに蹴り飛ばされる。

 

「んにゃろ、風乱拳!!」

 

ヒュンヒュンヒュン

 

バンクの技を、ナアルはその場から一歩も動かずに、鎌で軌道を反らせて全て回避する。

 

「はっ!…マジかよ…」

 

ヒュッ!!

 

「!!」

 

ナアルはバンクとの距離を一瞬で詰め、大鎌を振り下ろす。

 

「ちっ」

 

バッ!!

 

バンクが後ろに逃げるがギリギリかわしきれず、肩を少しだけ斬られてしまう。

 

「遅いよ」

 

ドゴッ

 

「ごほっ!!」

 

バンクはナアルに腹を蹴られ、そのまま地面を転がる。

 

「鉄竜剣!!」

 

ガジルが腕を剣に変えて、ナアルに斬りかかる。

 

「おっと」

 

ガキィィン!!

 

ナアルが、大鎌の持ち手でガジルの剣をガードすると、そのまま大鎌を引き、ガジルの首の後ろから斬りつけ、首を撥ね飛ばそうとする。

 

「ほら、1人片付いた」

 

ガキィン!!

 

「!!」

 

ガジルの首を斬り落としたと確信していたナアルだったが…ガジルは首の後ろを鉄に変え、鎌を防いでいた。

 

「成る程、ゴルスさんと同じで全身を変化させられる…という訳かい」

 

「へへっ…そーいうことだ」

 

「そして、オレにばっかり注意してていいのか?」

 

バッ!!

 

「!!」

 

ナアルが振り返ると懐にバンクが入り込み、構えをとっていた。

 

「さっきのお返しだ!!この野郎!!!」

 

バンクはナアルの腰を思いっきり蹴り、爆発で吹き飛ばす。

 

ズザァァァ

 

「うっ…」

 

 

「どーよ?結構効いたろ?」

 

「ったく…いつまでも寝てると思ったらようやく反撃しやがって」

 

「お?あぶねぇ所を助けたんだから、礼の1つくらいあってもいいんじゃねぇの?」

 

「バーカ、あんなもん危なくも何ともねーよ」

 

「「あぁ?」」

 

二人が喧嘩を始めようとすると、ナアルが立ち上がり、二人を睨み付ける。

 

「君たち…私の美しい身体に傷をつけるなんて、私にやられる覚悟はできてるんだろうね?」

 

ナアルは新しく、さっきとは違う大鎌を換装する。

 

「この大鎌は特注品でね、どんなに硬い物でも切り裂く事ができる。当然、鉄でもね」

 

 

「おい、やられる覚悟だってよ」

 

「フン、そんなもんあるわけねーだろ」

 

「だな、あるのは」

 

「「テメェをブッ倒す覚悟だけだ!!」」

 

 

 

………

 

 

「どーしたあ?あの時みてぇに正面から突っ込んでこねぇのかぁ?」

 

ゴルスは余裕そうにリート達を挑発する。

 

(ここで奴の言うとおりに突っ込んで行っても前回と同じだ…ここは慎重にいかねーと)

 

「オラァ!!!」

 

リートが考え込んでいる内に、ナツがゴルスに向かって飛び出す。

 

「待てナツ!!!ばか正直に殴っても意味が…」

 

「火竜の…」

 

「鉄拳!!!」

 

ドゴォォン!!!

 

「んだよぉ…こんなもんかぁ?」

 

ゴルスはナツの攻撃を真正面から受け止め、アゴを蹴りあげ、回し蹴りで吹き飛ばす。

 

ゴッ

 

「ウゴッ」

 

ドカッ!!

 

「ぐぼぉ!!」

 

 

「ナツ!!」

 

 

「おいおい、氷竜よぉ、こんなやつばっかりかぁ?お前が連れてきたメンツはよぉ、だとしたらガッカリだぜぇ?」

 

「安心しろよ、その程度でやられるようなやつは、オレの仲間にはいねーよ」

 

 

「ん~~がぁぁぁ!!!」

 

蹴り飛ばされ倒れていたナツは、勢いよく立ち上がる。

 

リートはナツの下に行き、ナツの耳元で話しかける。

 

「ナツ、アクナさんのアドバイスを思い出せ、あの戦い方でやつを倒すぞ」

 

「ばっちゃんのアドバイス?」

 

「あぁ、砕くんじゃなくて、貫けってやつだ!!」

 

リートも前に出て、拳を突き出すと、ゴルスもそれに合わせて拳をぶつける。

 

「はぁぁ、何がしてぇのか知らねぇが、その程度じゃ前回の二の舞だぜぇ」

 

「わかってんよ、だから二人がかりなんだよ」

 

リートが空中に跳ね、ナツに合図をかける。

 

「行け!!ナツ!!」

 

「おぉぉぉ!!!火竜の…剣角!!!」

 

ドォォン

 

ナツの突進は、ゴルスの腹に直撃したがゴルスにダメージはなく、アッサリと止められる。

 

「あぁぁん?痛くも痒くもねぇぞぉ?」

 

「いってぇ~…硬すぎるぞこの野郎!!」

 

「っち、失敗か…」

 

リートは即座にナツと共に距離をとり、構え直す。

 

 

「ナツ…次はオレが行く、フォロー頼むぞ」

 

「任せろ」

 

 

「次はねぇぜぇ」

 

「「!!」」

 

二人が動くより前に、ゴルスが攻撃を仕掛ける。

 

「金竜の…咆哮ぉ!!!」

 

ゴルスのブレスは、金のつぶてが混じっており、二人に物理的なダメージも与える。

 

「「ぐわぁぁぁ!!!」」

 

 

「どぉしたよぉ?もう終わりかぁ?」

 

ブワァッ

 

「!!」

 

土煙からリートが飛び出し、ゴルスの腹を狙って拳を構える。

 

「氷河…」

 

「螺旋拳!!!」

 

「ぐおおおぉ!!?」

 

ゴルスは身体を回転させながら、後方へと吹き飛んでいく。

 

「やった!!」

 

「いや、この程度じゃ終わらねぇ」

 

ズザザァァァ…

 

ゴルスは足を地面につけて回転を止め、踏ん張りで持ち直す。

 

シュゥゥゥ…

 

「ふうぅぅぅ…今のは効いたぜぇ」

 

 

「もう一回吹き飛べ!!!」

 

リートは、今度は氷を纏った拳でゴルスの顔を殴る。

 

「はっ!さっきの技じゃなきゃオレの体で耐えられ…」

 

ドスゥゥッ

 

「!!」

 

「…貫け」

 

リートのパンチはゴルスに通用し、ゴルスはまたも吹き飛ばされ、仰向けで倒れ込む。

 

「よしっ…」

 

「やるな、リート!!」

 

「あぁ、しかし…貫く拳か…思ったより難しいぞ」

 

 

「クックックッ…カッハッハッハッハァ!!!!何年ぶりだぁオレがダメージを受けるなんてよぉ!!!」

 

ゴルスは口から垂れた血を拭いとると、笑いながらナツとリートを見る。

 

「楽しくなってきたじゃねぇかぁ、さぁ続きをしようぜぇ」

 

「ぶっとばしてやる」

 

「燃えてきたぞ」




ナアルを書いててふと思いました。

あれ?こいつゴクウブラックと一緒じゃね?…

口調が美しい…
武器が大鎌…
ナルシスト…

やっば…特徴一致し過ぎる……わざとじゃないですよ!!いや、マジで…

人間0計画とか考えてないですからね

わからない人はドラゴンボール超を観たらわかります。


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1受けたら1000で返す

すいません、かなりお待たせしてしまいました。

もう一方の作品と平行してやっていこうと思ってたのに、FAIRY TAILの方の更新を疎かにしてしまうとは…しかし、時間を掛けてでも完結まで書くつもりですので、これからもよろしくお願いします。


ズドォン!!

 

「きゃあ!!」

 

アクナが自我を失い、ルーシィに攻撃を仕掛け続け、ルーシィは必死に逃げ回る。

 

「ハッハッハ!!凄い!凄いぞアクナよ!!我は今、最強の駒を手に入れた!!!」

 

「…」

 

「アクナさん!!お願い、目を覚まして!!!」

 

 

「無駄だ、そいつに貴様の声が届くことはない、止めたければ、我かアクナを倒すことだな」

 

「アンタ!自分で戦おうと思わない訳?!!サイテーね!!」

 

ルーシィがフェイズにそう言うと、フェイズは真顔でルーシィに反発する。

 

「星霊使いが知った風な口を言うな、我は貴様とは違うのだ」

 

「そうね、確かにアンタはアタシとは違う、

 

アタシは星霊を駒だなんて思ったことは一度もない!!!」

 

ルーシィは、鍵から星霊を召喚した。

 

「開け!獅子宮の扉!レオ!」

 

「王子様登場、お呼びかな?ルーシィ」

 

鍵からロキが現れ、ルーシィは即座に指示を出す。

 

「アクナさんを止めながらあの男を倒すわよ!出来る?」

 

「これは、かなり厳しいね、でも、ルーシィの為なら何でもやってあげるよ!」

 

ロキは、アクナに向かって飛び出していく。

 

「アクナさん、すまないけど、少しだけ僕に付き合ってもらうよ」

 

ロキは拳を光らせて、アクナに攻撃をしようとする。

 

「…」

 

アクナはロキの攻撃をかわすと回し蹴りを、ロキの腰めがけて打つ。

 

「ぐはぁっ」

 

ズドォン!!

 

「ロキ!!」

 

 

「まったく、デタラメな力だ。だが、それでこそ駒の価値は上がると言うもの」

 

「…」

 

アクナはそのままルーシィに、向かって走り出す。

 

「ひぃ!」

 

ガッ!

 

「うっ!」

 

ルーシィの首を抑え、アクナは壁に向かって走り続ける。

 

「かはっ…アクナ…さん」

 

「…」

 

ガラガラ

 

先程蹴り飛ばされたロキが、瓦礫から出てくると、ロキの目にルーシィが襲われている光景が映った。

 

「!ルーシィ!!!」

 

ズドォン!

 

アクナはルーシィを掴んだまま壁にぶつかり、壁は崩れ落ち、煙が上がる。

 

「ルーシィ!!!!」

 

「ハハハハ!!いいぞ!アクナ!最高だ!!そのまま星霊の方も倒してしまえ!!」

 

「くっ」

 

ロキはフェイズに向かって飛び出し、攻撃の構えをとる。

 

獅子王の輝き(レグルスインパクト)!!」

 

「おっと」

 

ズドン!

 

「ぐっ」

 

フェイズはロキの攻撃が決まる寸前に、ロキの肩を目掛けて弾丸を撃ち込む。

 

「我も攻撃の手段があることを忘れていないか?」

 

(くそっ、早くこいつを倒さないとルーシィが…)

 

「その肩では戦えなかろう、今楽にしてやろう」

 

フェイズがライフルを構え、ロキに銃口を向ける。

 

「心配するな、貴様の主人もすぐに楽にしてやろう」

 

 

「お断りよ!!」

 

「!!」

 

フェイズとロキの真上からルーシィが、降ってきた。

 

「えーい!!」

 

バシン!!

 

ルーシィは腰に着けていた鞭を、フェイズに向けて振るが、ギリギリでフェイズにかわされる。

 

「ルーシィ!!?」

 

「ロキ!!大丈夫?!!」

 

「え?…あぁ、ルーシィの方こそ」

 

「アタシは大丈夫!」

 

「そ…そうかい?それならいいんだけど」

 

 

「くっ…アクナの奴め、何を取り逃がしている」

 

フェイズは、ライフルをルーシィに向けて弾を撃つ。

 

「ルーシィ!!」

 

 

 

 

「トレース」

 

 

ズドン!

 

 

「なっ!!?」

 

フェイズが撃った弾丸が、ルーシィ達の後方から飛んできた弾丸とぶつかり相殺される。

 

「バカな!!」

 

「無事かい?ルーシィ」

 

「うん」

 

ルーシィたちの後ろから出てきたのは、先程までルーシィを襲っていたアクナだった。

 

「なぜ!!貴様が我の邪魔をする!!?貴様は我の弾をくらって操られていたハズ!!!」

 

「あ?あんなもん、とっくに解いて正気に戻ってるに決まってんだろボケが」

 

「そんなハズはない!!貴様の身体に弾が入り込んでいる限り、洗脳が解けることなどあり得ないんだぞ!!」

 

アクナはニヤリと笑い、自分がどうやって洗脳を解いたかを説明する。

 

「あぁ、確かにくらってすぐは身体が言うこと聞かなかったさ、でもな、アタシが全力で抵抗すりゃすぐにそんなもん解くことが出来るんだよ。元々完全に洗脳しきれてもなかったようだしな」

 

「なんだと…あの弾の洗脳に抵抗できたというのか…」

 

「完全にアタシが洗脳されてたらそこの二人はとっくに肉塊になってるよ、アタシが手加減して戦ってた証拠だ」

 

「いつからだ…」

 

「あん?」

 

「いつから洗脳を解いていた?」

 

アクナは頭を掻きながらルーシィ達を見ると、一言

 

「アイツらと戦ってる頃にはもう解けてたよ」

 

「フッ、所詮特殊弾を使っても心の内側までは操れんと言うわけか」

 

「だが!!」

 

フェイズは、銃口をアクナに向けて戦闘の意思を見せる。

 

 

「これで終わった訳ではない!!我はゴルスさんについていくと決めたときから命を捨てる覚悟を決めてきたのだ!!ただ黙ってやられずに、せめて一子報いてやるぞ!!」

 

「いい度胸だ、そういう奴は、嫌いじゃねぇ…けどな」

 

アクナは、指をゴキゴキと鳴らしながらフェイズに歩み寄る。

 

「アタシは1で受けたら1000で返す主義なんだ。死んでも恨むんじゃねぇぞ」

 

「フン、そう簡単にやられんと言ったろう」

 

 

アクナは地面を蹴り、一瞬でフェイズの目の前に現れた。

 

「ぐっ…」

 

フェイズはライフルの引き金を引こうとするが、アクナに銃口を握られ顎を蹴りあげられる。

 

「おせぇ」

 

「ぐぼぁ!!」

 

ガシッ

 

「!」

 

「まだ気ぃ失うには早ぇぞコラ」

 

ドッガッゴスッ

 

フェイズの胸ぐらを掴んだアクナが、空いている片腕でフェイズの顔を殴り続ける。

 

「がっ…がはっ」

 

「フン」

 

ブォン!

 

フェイズを真上に放り投げたアクナは、隣の崩れた瓦礫の中から木の柱を取り出しフェイズに向ける。

 

「トレース」

 

「換…装」

 

フェイズはわずかに残った意識の中、小さな銃を換装し、アクナに弾を撃つ。

 

「あ?」

 

アクナの右足に弾が当たると、アクナの足から血が流れる。

 

「へへっ…一子…報いた…ぞ…」

 

「大したもんだよ、アンタは、じゃあな」

 

しかし、アクナは足を撃たれても体勢を崩すことはなく、バズーカにトレースした柱から弾を撃ち出した。

 

ズドォン!

 

 

ドサッ

 

バズーカにやられたフェイズが、意識を失った状態で空中から落ちてくる。

 

戦いが終わると同時に、ルーシィとロキの二人がアクナに駆け寄る。

 

「アクナさん!!大丈夫!!?」

 

「?あぁ、心配しなくても大丈夫だ、しかし、参ったね、こりゃあ傷の手当てに少しだけかかりそうだ」

 

「流石、あの二人の師匠ですね」

 

「アイツら相手にならもっと本気でやってもよかったんだけどね」

 

((あれで本気じゃなかったって…))

 

「とにかく、敵も倒したし、僕は一旦星霊界に帰るよ、また何かあったらいつでも呼んでね。ルーシィ」

 

「うん、ありがとう」

 

ロキはそう言うと、星霊界へと帰って行った。

 

「さてと、とりあえずは応急処置だ、その後で城に乗り込むよ」

 

「はい!」

 

 

………

 

 

一方城では、アマネの宝石を取り出す準備が完成しようとしていた。

 

「ジルク様、直に準備が整います」

 

「そうか、ご苦労様」

 

(もうすぐだ…もうすぐあの力を動かすことが出来る)

 

「クックックック」




とりあえずこちらで宣伝させてもらいます。

最近、シャーマンキングのクロスオーバー作品『シャーマンキング BASARAを宿す者』を書き始めましたので、興味がある方は是非ともそちらも読んでみてください。

二つの作品を書くため、以前より更新ペースは遅くなってしまう可能性がありますがご了承お願いします。


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剣士として

今回はエルザが主役です。さぁ、少しずつですが戦いは終わってきてますよ。


「断刀 王牙、この刀は世界中の様々な鉱物を組み合わせて作られた、世界一硬いと言われる刀だ」

 

「成る程、シンプルだが強い、それが貴様の切り札と言うわけか」

 

「そうだ、この刀でお主らを葬ってやる」

 

ヒュッ

 

エウスがウェイブとの距離を詰め、掌底を腹にくらわせる。

 

「お断りします」

 

ドスン!

 

シュウゥゥゥ

 

「!?」

 

ウェイブはエウスの攻撃を刀で防ぎ、耐えきっていた。

 

「その程度か?」

 

ヒュッ

 

「うっ!」

 

エウスにウェイブが横一閃に刀を振り、胴体を斬ろうとしたところを、エウスはギリギリで身体を後退させて回避する。

 

「エウスさん!!」

 

エウスは一度距離をとると、懐からナイフとフォークを取り出し、ウェイブの周りに放り投げる。

 

「曲がりなさい!!」

 

ナイフとフォークが一斉にウェイブに向かって軌道を変えて向かっていく。

 

「くだらぬ」

 

ガキィン

 

ウェイブが刀を一振りすると、ナイフとフォークはウェイブにあたることなく、勢いを無くして、地面に落ちた。

 

「エルザ様!!今です!!同時に!!」

 

エウスの合図で、二人は同時に前に出ながら、剣をウェイブに向けて振り続ける。

 

「はあぁぁぁ!!!」

 

「おぉぉぉぉ!!!」

 

ガキィ、キィン、キィン、キィン

 

「流石だ」

 

ウェイブは、二人の連激を刀一本で防ぎきっていた。

 

「だが」

 

ユラァ~

 

「「!?」」

 

二人の攻撃の隙間を抜け、ウェイブは歩みで二人の間をすり抜ける。

 

「その程度では、それがしを倒すことは不可能」

 

チン

 

スパァン!!

 

「「ぐあぁっ!!」」

 

ウェイブが刀を鞘に納めると同時に、二人の身体が切り裂かれ血が吹き出す。

 

(この男…この戦いの間に私とエルザ様を越える実力をつけたと言うのか…)

 

(申し訳ありません…アマネ…お嬢…様……)

 

ドサッ

 

「フン、やはり、それがしに勝つことは不可能」

 

はぁ…はぁ…

 

「!?」

 

ウェイブが振り返ると、そこには満身創痍で立っているのがやっとのエルザの姿があった。

 

「私は…こんなところで倒れるわけにはいかん、信じてくれた仲間の為にも」

 

「まだ動けるというのか…お主のどこに、それほどの体力が…」

 

(おそらく…刀を振れるのはあと一回…それ以上は…私の身体がもたないだろう…)

 

エルザは刀と腰を低く下ろし、構えをとる。

 

「大した女だ、今にも死にそうなその身体で、それほどの気迫を見せるとは…ならば剣士として、それがしもそれ相応の戦いをさせてもらおう」

 

ウェイブは上段の構えで、エルザを迎え撃つことにした。

 

「それがしの最強の技にてお主を倒させてもらう」

 

「私は負けない、例えどれだけ強い敵であっても…」

 

エルザは、ウェイブに向かって飛び出した。

 

「負ける訳にはいかん!!!!」

 

「それはそれがしとて同じ事!!!」

 

エルザは足を止めることなく、ウェイブに向かって突き進み、ウェイブもそれを待ち構える。

 

「「はあぁぁぁぁぁ!!!!!」」

 

ズバァン!!

 

 

エルザとウェイブがぶつかった時、エルザは左斬上で刀を振り切り、ウェイブは上段から刀を振り下ろしていた。

 

「…」

 

「…」

 

ガクッ

 

少しの沈黙が続いた後、エルザは膝をついてしまった。

 

ニヤッ

 

「お主の…勝ちだ…」

 

ウェイブが笑い、そう言うと身体から血を吹き出して仰向けに倒れた。

 

「これ程の戦いは…いつぶりだろうか…一人の剣士として…ここまで戦いを楽しんだのは…負けたのに、妙に清々しい気分だ…」

 

エルザはゆっくりと、倒れているウェイブに歩み寄る。

 

「お前は、なぜゴルスという男に従っていた」

 

「…なぜだろうか、あの御方の部下としてついた時は、あの方の剣となり、暴走を止める鞘にもなりたい…そう思っていた…」

 

「…しかし、この戦いで敗北した今、その願いも叶うことはなかろう…」

 

「そんな事はないだろう」

 

「!」

 

ウェイブは驚いた顔でエルザを見ると、エルザは笑っていた。

 

「お前は従う相手を間違えただけだ、次は正しい者の剣として役にたてばいい」

 

「フッ…それが出来れば、それがしも苦労は」

 

「ギルドに入ればいい」

 

「!!?」

 

「いつか、どこかのギルドに入り、自分の守りたい者を自分で見つければいい、きっと楽しいぞ」

 

「ギルド…か」

 

(それも…悪くないかも知れぬな)

 

「お主に…ひとつだけ頼みたいことがある…聞いてくれぬか?」

 

「なんだ?」

 

ウェイブは持っていた王牙を、エルザに差し出した。

 

「この刀を…受け取ってほしい」

 

「しかし、それはお前の」

 

「もう一度、やり直すのだ…」

 

「!」

 

「お主の言うとおり、もう一度初めからやり直してみようと思う…その為には、それがしの、今一番の愛刀であるこの刀を、持っていては意味がない、だから…今のゴルス殿との繋がりを裁ち切るためにも、それがしを倒したお主に受け取って貰いたい…王牙もそれが本望だろう」

 

エルザは少しだけ目を瞑り考えると、ウェイブの差し出した王牙を受け取った。

 

「わかった、この刀は、私が預かろう」

 

「王牙を頼んだ…エルザ殿」

 

ウェイブはそう言って意識を手放した。

 

「次に会った時は、いい好敵手として戦いたいものだな」

 

エルザは、そう言い残し、エウスの下へと歩いて行く。

 

「エウスさん!」

 

「うっ…ううっ…」

 

(よかった…まだ息はある)

 

エルザはエウスを担いで、傷の手当てが出来る場所を探しに行った。

 

(すまない、私達が動けるようになるまでの少しの間は頼んだぞ。ナツ、リート)

 

 

………

 

「…」

 

アマネは、窓の外から見える景色を、寂しげにただ黙って見つめていた。

 

(無事よね?リート…エウス)

 

バタン!

 

カツカツカツ

 

「アマネ、儀式の準備ができたよ。さぁ、一緒に来るんだ。それとも、今からでも結婚式に変えるかい?」

 

アマネの部屋にずかずかと入ってきたジルクが、アマネの手をとろうと腕を伸ばす。

 

パシン

 

「!?」

 

「触らないで、何でアタシがアンタの言うことなんか聞かなきゃいけないのよ、結婚も、この部屋から出るのも絶対に嫌」

 

「クックックッ相変わらず気の強い小娘だなぁ、しかし、こうなると困った。やはりアマネに言うことを聞かせるには、あの執事か青髪の男のどちらかの死体を持ってくるしかないか」

 

「!?待って!」

 

アマネの顔色は一瞬で変わり、椅子から立ち上がってジルクに叫ぶ。

 

「仕方ない、ゴルスに行かせてどちらかの首を取ってきて貰うとしよう」

 

「待ってって言ってるでしょ!!」

 

ジルクは、薄ら笑いを浮かべてアマネを見る。

 

「おや?どうしたのかな?アマネ」

 

「わかったわよ…この部屋から一緒に出るから…リートにも、エウスにも…そしてフェアリーテイルのみんなにも手を出すのだけはやめて」

 

「それは君の態度次第さ、さぁ行こうか」

 

アマネは黙ってジルクについていった。

 

(誰か…助けて)

 

 

………

 

「くっそー、アイツ硬過ぎるぞリート」

 

「オレに言うなよ、それに、対策ならアクナさんに教えてもらったろ?」

 

ナツとリートの二人は、未だにゴルスを相手に苦戦を強いられていた。

 

「さっきからやってっけどオレもオマエもほとんど上手くいってねーじゃねぇか!!10回に1回くらいしか成功してねーぞ!!」

 

「わかってんよそんな事は!!けど、これしか手がねーんだ、踏ん張れナツ」

 

 

「作戦会議は終わったかぁ?なら、オレもそろそろ本気でやってもいいんだよなぁ?」

 

ゴルスは、身体に黄金を纏い始めた。

 

「あの時のリベンジだ…気合い入れるぞ!!ナツ!!」

 

「なんかよくわかんねーけど、燃えてきたぞ」

 

 

「さぁ、今度こそ殺してやるよぉ氷竜…」

 

「モード竜人(ドラゴニュート)

 

 

ゴルスは金を身体に纏い、変身を終えると、鋭い目付きで二人を見る。

 

「かはぁぁ~」

 

 

「行くぞ!!」

 

「おう!!」




エルザにオリジナル武器を与えてみました。

これが今後使わせられる話しを作れるのだろうか…主に…まぁ、最悪の場合、今後の別のオリジナル物語の時に出してもいいかもしれない。

ウェイブも、もしかしたらどこかで登場させるかも?


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バンクVSガジル

題名通りの展開です…書いておいてなんだけど、共闘はダメだわ、この二人


「おらぁ!!」

 

ブォン!

 

ガジルが腕を鉄に変えて、ナアルに殴りかかるが、ナアルはそれをアッサリと避けた。

 

バッ

 

「!」

 

攻撃をかわしたナアルは、ガジルの背後からバンクが現れたのに気がついた。

 

ガシッ

 

「おおっ!?」

 

「しゃあ!オラァ!!」

 

バンクはガジルの頭に片手をのせて、空中に飛び上がり蹴りを放つ。

 

ブン!!

 

ナアルはそれも身体を捻らせてかわすと、大鎌をバンクの腕を狙って振る。

 

 

「っぶね!」

 

「うおおっ!?」

 

「残念、外れたか」

 

バンクは慌ててガジルの頭から手を離し、ガジルもそれと同時にしゃがみ込んで鎌をかわした。

 

「テメェ何しやがる!!」

 

「悪ぃ悪ぃ、ちょうどいいところにお前の頭があったからつい、な!」

 

「な!じゃねぇよ!!」

 

 

「まったく、君たちはコンビネーションの一つも、美しくできないのかい?見るに耐えないな」

 

「おい、言われてるぞ?ガジル」

 

「ばぁーか、ありゃテメェの事だ」

 

「君たちと言っただろう。耳まで薄汚れているようだね」

 

ナアルは、大鎌を大きく横一閃に振った。

 

「大鎌鼬」

 

ガジルたちの身体の3つ分はあろうかと思えるほどの、巨大な鎌鼬がガジルたちに向かって飛んでいく。

 

「ハッ!!そんなもん防ぎきってやる」

 

ガジルが両腕を鉄に変えて、防御の構えをとる。

 

「フッ」

 

「!」

 

ナアルの笑みに素早く気づいたバンクが、ガジルの足を引っかけて転倒させる。

 

「うおっ!?」

 

ズテーン!

 

「おっ?悪ぃ!」

 

「コノヤロー…」

 

 

「私を無視しないでもらいたいね」

 

ナアルが、バンクに向かって斬りかかろうとする。

 

「心配すんな無視はしてねーよ」

 

バンクは装備を赤く変えて、拳を突きだそうと前に出る。

 

「爆け「鉄竜棍!!」ぐえぇっ!!?」

 

「!?」

 

バンクの後ろから、ガジルが鉄を伸ばし、バンクを背中を殴って巻き込みながら、ナアルに攻撃を当てようとする。

 

「うおおおっ!!?」

 

「なんて無茶苦茶なコンビネーションだ!」

 

ナアルが飛び上がって突撃してくるバンクをかわし、空中でガジルに向けて鎌鼬を飛ばす。

 

「くっ…」

 

ドゴォォ!

 

そして、バンクはそのまま吹き飛び、前方の建物に衝突し、崩れ落ちた建物の下敷きになってしまった。

 

「ん~がぁぁぁ!!!ガジル!!オマエいきなり何しやがる!!」

 

鎌鼬が地面に当たり、土煙が上がっていたが、ガジルが土煙を払って、笑いながらバンクを見やる。

 

「ギヒッ、あぁ悪かった。あまりにも小ぃせぇから気づかなかったんだよ」

 

「ちぇんめぇ~」

 

「あの威力で吹き飛ばされて無傷とは、美しくないものも、時には驚異を発するということか」

 

 

ナアルは大鎌を構えて、ガジルに向かって突撃する。

 

「だいたいテメェは、ファントムの頃から自分勝手過ぎんだよ!」

 

バンクは拳から、風の塊をガジルに向けて飛ばす。

 

「うぐっ…」

 

ナアルの背中に、バンクの飛ばした風の塊が当たり、ガジルに向かって飛んでいく。

 

「そりゃ、テメェもだろ!!」

 

ガジルは鉄竜棍で腕を伸ばし、風の塊を粉砕しようとする。

 

そして、その間にいたナアルは当然巻き込まれ、

 

「ちょっ!?ちょっ…まっ…」

 

ドゴォ

 

「うごぉ!!」

 

 

「炎拳!!」

 

「鉄竜の咆哮!!」

 

ドゴォン!!

 

「ぐわぁぁぁ!!」

 

ナアルは炎とブレスの板挟みで、大ダメージを受けた。

 

「くそっ…私の美しい顔に傷を…」

 

 

「そもそも、勝手に孤立して、一匹狼気取りかテメェ!!」

 

「そー言うテメェは簡単に他人を信用しすぎなんだよ!!」

 

「一人でバカみてぇに孤立してくような奴よりはマシだろ!!」

 

バンクとガジルの喧嘩は、徐々にヒートアップして行く。

 

「この私を…無視するなぁ!!!」

 

 

「やかましい!!」

 

「ごはぁ」

 

襲いかかってきたナアルを、バンクはガジルに向けて爆発の蹴りで吹き飛ばす。

 

「引っ込んでろ!!」

 

「があぁっ」

 

目の前に吹き飛んできたナアルを、ガジルは横に殴り飛ばす。

 

 

 

「「オラァ!!」」

 

ナアルとの戦いを完全に忘れ、二人は喧嘩を続ける。

 

「ちょうどいいじゃねぇか、ここでテメェの師匠ってのにどれだけ鍛えられたか、オレが確認してやるよ」

 

「確認する前にくたばるんじゃねーぞ?このイカれ鉄人ド変人」

 

ブチン

 

「んだとこの変態戦闘狂がぁ!!」

 

ガジルが、マジギレを起こし、本気でバンクに殴りかかる。

 

「んだとコラァ!!」

 

二人の拳がぶつかると、一気に大爆発が起こった。

 

「ううっ…この私を無視して仲間割れとは…まったく、どれだけ美しくない連中だ」

 

「しかし、これは好奇、あの二人は放置しておいてもどちらか一方は、勝手にやられてくれる。残った方もおそらくボロボロ、本来は私の主義に反するのだが…この際仕方がないか」

 

ナアルは、二人の戦いが終わるのを待とうと考えていると、ガジルが吹き飛んできた。

 

「!?」

 

ズゴォォン

 

「っつー…」

 

「ヤロォ…本気で殴り飛ばしやがって」

 

バッ

 

「「!」」

 

バンクが拳を構えて、ガジルに向かって突っ込んできた。

 

「くたばれ!!ポンコツメカ!!」

 

「誰がくたばるか!!あと、オレはポンコツでもメカでもねぇ!!!」

 

「どっちも鉄だろーが!!!」

 

ドゴォン!!

 

バンクは拳をガジルに向けて突き出すが、ガジルがギリギリでバンクの攻撃をかわす。

 

「ぐぼおぁぁ!!」

 

「あ…」

 

ガジルの変わりにナアルが攻撃を受け、腹に強烈な一撃をくらってしまった。

 

「まぁ、敵だし…」

 

「スキありぃ!!」

 

ズドォン!

 

「おごぉ!」

 

ガジルがバンクの後ろに回り込み、バンクの背中に鉄の蹴りをおみまいする。

 

「ぐっ…くっ…この野郎…よくもやりやがったな」

 

「油断してるテメェが悪いんだよ」

 

ニヤリ

 

「じゃあ、次に油断したのはテメェだな」

 

「あ?」

 

ガジルの足下から、岩の柱が飛び出した。

 

「岩柱」

 

ドゴォ

 

「ぐおぉっ!!」

 

ガジルは、岩の柱に吹き飛ばされ、バンクから離れていく。

 

「逃がすかぁ!!」

 

バンクもそれを追いかけて、その場から離れていった。

 

「くそっ…周りを巻き込んでの戦闘など…美しくない…」

 

「このまま放っておいたら、また、私まで巻き込まれかねないな…王子はともかく、ゴルスさんの邪魔をする訳には…まったく!何て思い通りに動かない奴たちだ」

 

ナアルも、ボロボロの身体で立ち上がり、二人を追いかけて行った。

 

 

 

「おおおぉらぁぁぁ!!!」

 

「このぉぉぉ!!!」

 

二人は移動しながら喧嘩を続け、街はどんどんと崩れていく。

 

「王子にこんな状況がバレたらゴルスさんに迷惑がかかる…それだけは…」

 

ナアルは、二人に向けて鎌鼬を放った。

 

「三日月鎌鼬!!」

 

先程より少し大きめの鎌鼬が、バンクとガジルに向かって飛ばすが、二人はこんなことを気にも止めず戦いを続ける。

 

「二人揃って地獄に落ちるがいいよ!!」

 

「!」

 

ガシッ

 

「うおっ!?」

 

鎌鼬に気づいたバンクは、殴りかかってきたガジルの腕を取り、鎌鼬に向かって投げ飛ばす。

 

「ハッハッハー!!お前の負けだぞガジルゥ!!!」

 

「こんなところで…」

 

ガジルは白羽取りで鎌鼬を掴み、鎌鼬をバンクに向けて放り投げる。

 

「うそぉん!!!」

 

「そんなバカな!!!」

 

 

 

「くたばってたまるかぁ!!!」

 

 

「ちぃ!!」

 

バンクが装備を赤に変えて、鎌鼬を殴り粉々にする。

 

「はっ!その程度効かねぇよな」

 

「たりめぇだバーカ!」

 

 

「くそぉ、これならどうだ!!!」

 

ナアルは次は大鎌で半月を描き、鎌鼬を飛ばす。

 

「半月鎌鼬!!!」

 

 

「「このヤロォ!!」」

 

二人の攻撃がぶつかると同時に、鎌鼬が割って入り込み、二人の拳で粉々に粉砕された。

 

「そんな…バカな…今のは私の攻撃の中でもかなり強力な魔法…それがあんな簡単に打ち消されるなんて」

 

 

「さっきから外野から邪魔が入るな」

 

「あぁ、けど、この程度で根をあげんのか?」

 

「ハッ!冗談」

 

二人は、また、戦いを再開した。

 

「こっ…のっ…いい加減にしろよ…」

 

ナアルの肩がフルフルと震えだし、怒りがこみ上げてくる。

 

「私を無視したあげく…ゴルスさんに迷惑をかけるなぁぁぁ!!!」

 

 

「満月鎌鼬ぃ!!!」

 

完全に怒ったナアルは、全身全霊全力の鎌鼬を二人に向けて放った。

 

「んなこと、知るかぁぁぁ!!!」

 

「テメェらがフェアリーテイルに喧嘩を売ったんだろーがぁ!!!」

 

ガジルが両腕を、合わせて頭上に上げ、巨大な剣を作り、鎌鼬に向けて振り下ろす。

 

「滅竜奥義!!剛魔鉄人剣!!!」

 

鎌鼬は、ガジルの滅竜奥義により粉砕された。

 

「そん…な…」

 

「邪魔だぁ!!!」

 

「不知火!!!」

 

ドゴォォォン!!

 

ナアルは、バンクの攻撃により遥か彼方へと吹き飛んで行った。

 

「さて、続きをやるぞ、ガジル」

 

「上等だ」

 

「「おおおぉぉぉぉぉ!!!」」

 

バッコーーン!!!

 

爆発音のような音が聞こえたと思った頃には、二人は地面に倒れており、間にはアクナが拳を握って立っており、その後ろではルーシィが震えてその状況を見ていた。

 

「こんな時に何をやってんだ、バカどもが」

 

 

「あ…がっ…」

 

「す…すんません…」

 

 

(やっぱりこの人こわっ!!)




街を壊すガジルとバンク、それを止めようとするナアル…どっちが悪党かわからんなっとる…


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儀式開始

オリジナル終わりまで、あとどれくらいかかるのでしょうか…主にも全くわかりません。


「さぁアマネ、儀式を始めようか」

 

「…」

 

城内では、アマネが椅子に座らされ、手足を拘束されていた。

 

「こんな拘束しなくても、どうせ逃げないわよ」

 

「どうだかね、君が逃げないと保証できるものが無い限り、こうするしかないのさ」

 

「…やるんなら、さっさとやれば?」

 

「そうだね。そこまで言うなら、さっさと始めようか」

 

魔導師がアマネの椅子の周りを囲い、魔法を唱え始める。

 

バチバチバチバチ

 

「ああぁぁぁぁ!!!」

 

アマネの身体には、言葉にできないほど強烈な痛みが走った。

 

「おい、この儀式はどれくらい時間がかかるんだい?」

 

「およそ10分ほどかと」

 

「10分か、いいだろう。それまで待つとしようか」

 

 

「やめろー!!」

 

「「「「!?」」」」

 

突如現れたハッピーとラリカが魔導師に攻撃して詠唱の邪魔をし始めた。

 

「…ハッピー…ラリカ…」

 

「アマネ!!無事ですの!!?」

 

「もう大丈夫!!オイラ達が助けに来たからね!!」

 

「くっ…あの二匹をさっさと捕らえろぉ!!」

 

ジルクが血相を変えて、部下に指示を出す。

 

「邪魔をしやがって…容赦はしないぞ…」

 

 

………

 

 

「で?喧嘩の原因は?」

 

「「このバカが」」

 

ゴン!!

 

「どっちもバカだろーが」

 

「せめて、説明させろよ!!!」

 

二人の頭に拳骨が落ち、大きめのたんこぶが、出来上がる。

 

「まぁ、今はそんな事どーでもいい」

 

「聞いてきたのは師匠だと思うんですけど…」

 

 

「まぁ、今はそんな事どーでもいい」

 

「2回言った!?意地でも話題を変える気だ」

 

「とにかく、テメェらは無駄に暴れた罰として、先に城に乗り込んで暴れてこい、城内で誰かに負けたらアタシが止めを刺してやるから安心しろ」

 

「「安心できるかぁ!!!」」

 

(理不尽極まりないわね…)

 

「つーか師匠が行けばいいじゃないですか!!オレはこいつとの喧嘩が残ってますけど、師匠の戦いは終わってるんでしょう?!!」

 

「アタシは夜じゃねぇとやる気にならねぇんだ。血がたりねぇ、黙って従えこのカス」

 

「吸血鬼かテメェは!!」

 

ガジルのツッコミを無視しつつ、アクナの目付きがだんだんと鋭くなってくる。

 

「いいからさっさと行ってこい。返事は、はいかyesか了解だけだ」

 

「そん」ドゴッ!

 

「なん」ゴスッ!

 

「くどい、行け」

 

「「あい…」」

 

二人は渋々喧嘩を止めて、城に向かった。

 

残ったルーシィがアクナを見て問いかける。

 

「どうしてあの二人だけに行かせたんですか?アクナさんも処置は終わってますし、てっきり一緒に行くと思ってたんですけど」

 

「こっから先はアイツらの問題だ。アタシの出る幕は終わってるからね」

 

「いつまでも誰かに頼っていたら強くなんて死んでもなれない。アタシはアイツらが強くなるためのきっかけを作っているだけさ」

 

「アクナさん…」

 

「本来なら、迷わずアンタも城に乗り込ませるところなんだけどねぇ」

 

アクナは目を光らせて、楽しそうにルーシィを見やる。

 

「それは…ちょっと、ご遠慮したいかなー…なんて…」

 

 

………

 

一方リートとナツは、ゴルスとの戦いを未だ続けていた。

 

ゴルスのモード変化により、先程まで拮抗していた戦いが、少しずつだがゴルスが優勢になってきているのを二人は感じていた。

 

「はぁ…はぁ…」

 

「ぜぇ…はぁ…」

 

(どーする…このままじゃ、時間がたつごとに状況が降りになる一方だ…何か策を考えねぇと)

 

「どぉしたぁ?早くしねぇとお嬢様の宝石抜き取られちまうぜぇ?」

 

「くっそ~急いでるってのに」

 

「落ちつけナツ、アマネならまだ少しの間は大丈夫だ」

 

「あ?何でだよ?」

 

「ラリカとハッピーを戦闘に紛れて先に行かせた。アイツらなら多少の時間稼ぎはしてくれるはずだ」

 

リートの言葉を聞いて少しだけ安心したのか、ナツは落ち着きを取り戻す。

 

「へへっ、そー言うことなら、こいつを倒すのに専念すればいいわけだな」

 

「あぁ、なんとかオレたちがこいつを倒せば敵はいなくなる」

 

ナツとリートが構えた瞬間、二人の間に、高速移動をしたゴルスが現れる。

 

「それが出来りゃぁ苦労はねぇんじゃねぇのかぁ?」

 

ガシッ

 

「「!」」

 

ズドォン!!

 

二人は頭を捕まれ、地面に叩きつけられた。

 

「がはっ」

 

「ぐぼぁっ」

 

「おらぁ…まだまだぁ」

 

ゴルスは二人を空中に放り投げると、大きく息を吸い込む。

 

「金竜の咆哮ぉ!!」

 

「「ぐぉぉぉぉ!!!」」

 

ゴルスのブレスに直撃した二人は、そのまま吹き飛んでいく。

 

「逃がさねぇぜぇ」

 

ゴルスは金の翼を作りだし、翼を羽ばたかせながら空を飛び、二人を追いかけて行った。

 

ヒュゥゥゥ

 

「くそっ…バカみてぇな力業で推してきやがって」

 

「んにゃろぉ!!」

 

ナツとリートは空中で反転し、ゴルスの方へと顔を向けると、息を大きく吸い込んだ。

 

「火竜の」

 

「氷竜の」

 

「「咆哮!!!」」

 

「あぁ?」

 

ブレスに気づいたゴルスは、腕に金の刀を作りまっすぐに振り下ろす。

 

「金竜刀」

 

スパァン!!

 

「!?」

 

「やろぉ…ブレスをぶったぎりやがった」

 

二人は地面に着地すると、攻撃の体勢に入る。

 

「火竜の煌炎!!」

 

ナツが炎の球を投げ飛ばし、ゴルスに向かって飛んでいく。

 

「くらうかよぉ」

 

ゴルスは、炎の球に手を添えると、そのまま回転して軌道を変え、ナツたちに向けて投げ返す。

 

「んな!?」

 

「!退いてろナツ!!」

 

リートはナツの前に立ち、氷を纏った腕で炎の球を殴り、消し飛ばした。

 

「悪ぃリート、助かった」

 

「油断すんな、奴を倒すまでは」

 

 

「そー言うオマエもだぜぇ」

 

「!」

 

リートが炎の球を消し飛ばした事により、煙が上がっていたが、その中からゴルスが現れ、金を纏った拳でリートを殴り飛ばす。

 

「リート!!」

 

「がっ…」

 

「次はテメェだぁ」

 

「!」

 

ドゴォ!

 

「ぐぼぉ!!」

 

ゴルスが、ナツの腹を蹴り、ナツはリートと同じ方向へと飛んでいった。

 

ズザザァァー

 

「ここは…」

 

リートが飛ばされた場所は、向かうはずだった城のすぐ近くだった。

 

「ちょうどいい、奴と戦いながら、上手く行けばアマネを救出できるかもしれねぇ」

 

あぁぁぁぁ

 

「?」

 

リートは声の聞こえた方向を見ると、ちょうど目の前にナツが吹き飛ばされてきていた。

 

「なっ!?」

 

ドン!ゴロゴロゴロゴロ

 

二人は、ぶつかった衝撃で後ろに転がる。

 

「っててて…おい、大丈夫かナツ」

 

「っつ~、あのヤロォ!!絶~対に灰にしてやる!!」

 

「やれるもんならやってみなぁ」

 

ゴルスが二人の下に到着すると、余裕の笑みで二人を見ていた。

 

「そろそろ本気で来いよぉ、今のままじゃ退屈すぎてアクビがでるぜぇ」

 

「言ってくれるじゃねーか、行くぞ!!ナツ!!」

 

「おう!!」

 

ナツは火竜の煌炎を、リートは火竜の煌炎と同じ原理で冷気を作り出す氷竜の凍乱を使い、炎の球と冷気の球を同時にゴルスに向けて投げ飛ばす。

 

「「氷火 煌炎乱!!!」」

 

「おぉ?」

 

ズドォーーン!!

 

「やったか!!」

 

「おい、それフラグだぞ…」

 

 

「ハッハッハ、いい技使うじゃねぇかぁ」

 

爆発で起こった煙が消えると、少しだけだが傷をおったゴルスが姿を現した。

 

「ほら見ろ、お前があんなフラグ立てっから全然やられてねぇじゃねーか」

 

「オレのせいかよ!!」

 

「なら、これならどーだ!!全力の火竜の咆哮だ!!!」

 

ナツはブレスをゴルスに向かって撃ち、ゴルスはそれを防御せずにただ黙って受けた。

 

「この程度でやられるわけねぇだろぉがぁ」

 

「なら追加だ!!」

 

「!」

 

「氷竜の咆哮!!」

 

リートのブレスでナツの炎と一緒に、ゴルスの身体を凍らせた。

 

「よしっ!!」

 

バリィン

 

「「!!」」

 

「ただ凍らせただけの攻撃になんの意味があるんだぁ?」

 

ピキィ

 

「!」

 

余裕をかましていたゴルスだったが、いきなり身体に纏っていた金の鎧にヒビが入った。

 

「なんだ!!」

 

「…まさか!ヒートショックか!!」

 

「ヒートショック?ってなんだよ」

 

ナツの頭にはクエスチョンマークが浮かんでおり、リートがため息をついて説明する。

 

「ヒートショックってのは、温めた金属やガラスを一気に冷やすことによって割れる現象の事だ。本来、奴ほどの硬い金ならあり得ねぇと思ってたが…オマエの火力とオレの冷気が思ってた以上に強かったんだろうな」

 

「なーるほど」

 

納得したような言葉を発するナツだが、全く理解をしていない顔をしていた。

 

「分からねぇなら初めから聞くんじゃねぇ」

 

 

「クックックッ…成る程、ヒートショックかぁ…オレも予想してなかったぜぇ」

 

ゴルスは新しく金を纏い、鎧を再生させた。

 

「面白ぇことするじゃねぇかぁ、ほら、まだまだ楽しませろよぉ」

 

ヒュッ

 

「!」

 

ドゴォン!

 

「ごぉっ」

 

リートは一瞬の隙を付き、ゴルスの顔を殴ると、城に向けて殴り飛ばした。

 

「このまま城に突っ込めーー!!!」

 

ドゴォォン!

 

「おっしゃー!!」

 

「追うぞ!!ナツ!!」

 

「おう!!」




やっぱり一筋縄ではいかないゴルス戦、ぶっちゃけるとゴルスはまだ強くなる予定があります…倒せるのかな?


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儀式完了

かなり、物語も進んでようやく終盤です。あと一息!


「そこの猫二匹を捕らえろ!!さっさとしないか!!」

 

城内では、ラリカとハッピーが翼で飛び回り、王国兵達を翻弄させていた。

 

「ラリカ!!オイラが囮になるから、アマネを連れて逃げて!!」

 

「了解ですわ!!アマネ、立てますの?」

 

「う…うん…でも、ハッピーは?」

 

「大丈夫ですわよ、今はあなたが逃げ出せることの方が先決ですわ」

 

ラリカ達が窓から逃げようとすると、城の下の階で大きな音と共に、激しい揺れが起こった。

 

「な…なんだ!!」

 

 

 

「…クックックックッ、オレを城内に吹き飛ばし、戦うついでにお嬢様を救おうってかぁ?随分と都合のいい考えじゃねぇかぁ」

 

儀式を行っていた下の部屋は、ゴルスが吹き飛ばされた場所だった。

 

 

 

「きゃっ!!」

 

「うわわわっ!?」

 

「な…なんですの!?」

 

あまりにも激しい揺れに、ラリカ達は飛び上がることができずに立ち止まってしまう。

 

揺れがおさまり、ハッピー達が顔を上げると、王国兵達がハッピー達を取り囲んでいた。

 

「まったく、無駄な時間をとらせてくれたね、そいつらを縛り上げろ」

 

「ハッ!」

 

王国兵が、ハッピーとラリカをロープで縛り上げた。

 

「やめて!!その子達に乱暴しないで!!」

 

「心配するな、そいつら二匹には最もいい特等席で、宝石が僕の物になるところを見せてあげるだけさ」

 

「やめろー!!オマエ!!それ以上アマネに手を出したら承知しないぞ!!」

 

「今すぐこの紐をほどきなさいな!!」

 

「やかましい猫達だ、おい、さっさと続きを始めろ」

 

魔導師が、また規定の位置に戻ると、王国兵の一人がアマネの髪を掴み、中心へと連れていった。

 

「痛い!!」

 

「アマネ!!」

 

「レディの髪なんですのよ!!もっと優しくしなさいな!!」

 

「やれ」

 

魔導師達の詠唱が始まり、またもアマネが苦しみ出す。

 

 

「ああぁぁぁぁ!!!」

 

「「アマネー!!!」」

 

タイムリミットまで、あと10分

 

 

………

 

 

ドカァーーン!!

 

ゴルスが居る部屋の扉をナツとリートの二人が蹴破り、勢いよく入ってくる。

 

「着いた!!」

 

「アイツはどこだ!!!」

 

 

「よぉ、遅かったなぁ」

 

ゴルスは、城内にある、金箔などを食べて待ち構えていた。

 

「厄介だな…ここには奴が食べられる金があるのかよ」

 

「ずりぃぞ!!オレも火を食いてぇ!!」

 

「知るかよぉ、欲しけりゃテメェで探せぇ」

 

ゴルスは食べていた金を手放すと、ゆっくり立ち上がる。

 

「ふぅー、ごっつぉーさんっとぉ」

 

「さぁてぇ」

 

ゴルスは片手を二人に向け、巨大な金の塊を放つ。

 

「金剛弾」

 

「「!」」

 

二人は金の塊がぶつかる前に飛び退いて、攻撃をかわした。

 

「やっぱり体力が回復してやがるな」

 

「どっかに火があればオレも食えるのに」

 

「城内…火…そうだ!!」

 

リートはゴルスの背後にまわって、ゴルスをなぐり飛ばす。

 

「ぐふぅっ」

 

「よっしゃぁ!!」

 

「ナツ!!このまま戦い続けながら城内を周るぞ!!」

 

「どー言うことだよ」

 

「調理場を探す」

 

 

ガラガラガラ

 

「調理場だぁ?…成る程、そーいうことかぁ」

 

倒れていたゴルスが起き上がり、リートの目的を理解する。

 

「いいぜぇ、好きに探しなぁ、ただし、オレとの戦いを続けながらできたらの話しだがなぁ」

 

「やってやる、絶対にオマエを倒してアマネを救いだしてみせる」

 

「へへっ、燃えてきたぞ」

 

ナツは足に炎を溜めて、突進する。

 

「火竜の剣角ぅ!!!」

 

「ぐううっ…」

 

ズザザァァー

 

ゴルスは突進してきたナツを受け止め、外に放り投げる。

 

「まずは一人脱落だぁ」

 

「まだだ!!」

 

「!」

 

ゴルスが視線を変えると、ナツの足に、氷の鎖が繋がっていた。

 

「一本釣りぃぃ!!」

 

「もうちょっとマシな技名にしとけぇ」

 

「ほっとけ!!」

 

リートがナツを引っ張り、城内に戻そうとすると、ナツはその勢いを利用し、向きを変えて縛られていない足に炎を纏った。

 

「火竜の…鉤爪!!」

 

「おっとぉ」

 

ゴルスはナツの攻撃をかわし、金を纏った腕でなぐり飛ばす。

 

「飛んでけぇ」

 

ドゴォ!

 

「ぐぼぁ」

 

ナツは、壁まで飛ばされるが、それを見てチャンスと思ったリートが、殴り飛ばされるナツを受け止めて走り出した。

 

「!」

 

「走れ!ナツ!」

 

「おう!!」

 

「チィ、そのまま調理場を探そうってかぁ?簡単にさせるわけねぇだろぉがよぉ」

 

ゴルスも二人の後を追いかけて走っていった。

 

 

………

 

 

「なぁ、ガジル」

 

「あ?」

 

「城内に入ったはいいけどよ、ここどこよ?」

 

「オレに聞くなよ!!」

 

バンクとガジルが城内に潜入するところまでは成功していたが、二人は道に迷っているところだった。

 

「オマエの鼻でなんとかアマネってやつ見つけらんねーの?」

 

「アマネってやつと会ったことがねぇのに匂いなんかわかるわけねーだろ、けど、さっきから火竜と氷竜の匂いならしているぜ」

 

「お?じゃあアイツらと合流できれば何とかなるのか?」

 

「行ってみるか」

 

「だな」

 

 

 

………

 

 

「ナツ!!そこだ!!」

 

「おっしゃぁー!!」

 

ドカァーーン!!

 

ナツが扉を壊した場所は、二人の目的地でもあった調理場だった。

 

「見つけた!!」

 

「残念、ちぃっとばかし間に合わなかったなぁ」

 

「「!」」

 

ナツとリートに向かって金の触手が二人を貫こうと襲いかかってくる。

 

ガシィ!

 

「ぐっ…」

 

「ぬおおっ!?」

 

二人の腹に触手が突き刺さる瞬間、二人は、なんとか両手で防ぎ、致命傷を避けることができた。

 

「あ…あぶねぇ」

 

「ギリギリアウトだったなぁ、さすがのオレもちょっと焦ったぜぇ」

 

「そのまま焦って手元狂わせてくれれば、楽に炎と氷を補充させてもらえたんだがな」

 

「残念、オレもそれなりに依頼をこなしてんだ、そう簡単には失敗しねぇよぉ」

 

「みてぇだ…な!!」

 

リートは触手を払いのけて、ゴルスに突っ込んでいく。

 

「おぉ?なんだ氷探しはしねぇのかぁ?」

 

「テメェをここから遠ざけるの優先だ!!」

 

「判断としては悪くねぇなぁ」

 

リートとゴルスが戦いだし、リートはナツに視線を向ける。

 

「オレがこいつを止めてる間にオマエはさっさと火を食っちまえ!!」

 

「お…おう!わかった!」

 

「させるかよぉ」

 

ゴルスはリートの胸ぐらを掴み、片手でナツへと向かって放り投げた。

 

「!?」

 

ドコォン!!

 

「あぶねぇあぶねぇ、けど、オレをあまり嘗めるんじゃねぇぞぉ」

 

「げほっげほっ、ナツ…あそこのコンロに火が着いたとしてこの距離から炎を食うこと、出来るか?」

 

「お…おぉ、なんとか出来ると思うぞ」

 

「じゃあ…たんと食えよ!!!」

 

リートは掌から氷の礫をコンロに向けて放った。

 

ドコン!!

 

氷の礫がコンロを貫き、コンロが爆発して火が出てきた。

 

「火!」

 

「なに!?」

 

「さぁ、腹一杯食え」

 

ナツは、その場から一気に炎を吸って食べ始めた。

 

「もがもがもぐ」

 

「っちぃ、面倒な事しやがってぇ」

 

ゴルスがナツに襲いかかろうとすると、リートがそれを阻止しようと立ちふさがる。

 

「させるかよ!!」

 

「邪魔だなぁオイ」

 

ゴルスは大きく息を吸い込み、ブレスの構えをとる。

 

「金竜のぉ」

 

「!氷竜の!」

 

 

「「咆哮!!!!」」

 

二人のブレスが同時にぶつかり、大爆発が起こり、リートのみが吹き飛ばされる。

 

「ぐっ…」

 

 

「うおおっ!」

 

 

ズドォォン!

 

「チィ、無駄に時間をとらせやがってぇ」

 

「ごちそーさま」

 

「!?」

 

ゴルスがナツに視線を向けると、ナツは爆発で起きた炎を食べ尽くしていた。

 

「食ったら力が沸いてきた」

 

「力が沸いてきただとぉ?じゃあどれ程強くなってんのか見せてもらおうじゃねぇかぁ」

 

ゴルスは、金の塊をナツに向けて放った。

 

「ほらぁ、見せてみろぉ、金剛弾」

 

ズドン!!

 

ナツは、自分に向かってきた金の塊を両手で受け止めた。

 

「ふんぬぅぅぅ」

 

「!」

 

「こんのぉぉ…オラァ!!」

 

ナツは、金の塊をゴルスに向けて投げ返した。

 

「ほぉ~」

 

ゴルスは金を真上に蹴り上げ、金は天井を突き抜けて飛んでいった。

 

「確かに強くなってるみてぇだなぁ、なら、次は肉弾戦といこうかぁ」

 

ゴルスはナツのもとに一瞬で近づき、拳を構える。

 

「!?」

 

「ほらぁ、防いでみろぉ」

 

ドゴォ

 

「ぐぼぁ」

 

ゴルスの拳は、ナツの腹に入り、ナツがよろめいてる間に、今度は回し蹴りがナツの顔に決まる。

 

「ぶほぉぁっ」

 

「ほらぁ、どぉしたぁ?」

 

壁に吹き飛んだナツに追い討ちをかけようとゴルスが飛び出すと、先程ブレスで吹き飛んだリートが二人の間に入り込む。

 

「!」

 

「こんのぉ!」

 

ズドン!

 

リートはゴルスの頭を思いっきり殴り、床に叩きつける。

 

「無事か!ナツ!」

 

「おう」

 

ナツも立ち上がり、二人はゴルスに視線を変えて構えをとる。

 

(どーいうことだぁ?なぜ氷竜のやつも力が戻ってやがる?)

 

ゴルスは辺りを見渡すと、冷凍室の扉に穴が空いていた。

 

「成る程ぉ、テメェがさっきぶっ飛んだ場所は運良く冷凍室だったって訳かぁ」

 

「あぁ、おかげで、氷も冷気もたっぷりと堪能させてもらったぜ」

 

ゴルスは、頭を掻いてため息をこぼす。

 

「めんどくせぇなぁ、まぁいい、過ぎたことをとやかく言うつもりはねぇ、どのみちテメェら二人をぶっ潰す事に変わりはねぇからなぁ」

 

「やってみろよ、さっきまでのオレたちとは違うぜ」

 

ナツとリートの二人は同時に飛び出し、ゴルスに向かって拳を突き出す。

 

「「おおおぉらぁ!!!」」

 

ガシィッ

 

「「!」」

 

「そんな単純な攻撃が今さら入るわけねぇだろぉ」

 

ゴルスは二人を真上に投げ飛ばす。

 

「くっ…」

 

リートは氷の柱を作りだし、空中でゴルスに向かって伸ばした。

 

「氷竜の凍柱!!!」

 

「くらわねぇっつってんだろぉ」

 

ゴルスは金の触手で氷の柱を貫き、リートの腹に触手を突き刺す。

 

「リート!!」

 

リートは氷を腹に纏い、なんとか防いでいたが、勢いは止まらず天井を貫いていく。

 

ズドン!ズドン!ズドン!

 

「リート!!!」

 

 

 

 

「あぁぁぁぁ!!!」

 

「アマネ!!」

 

リート達が戦っている中、アマネの身体から宝石がほとんど見えている状態になっており、儀式が終わりに近づいていることがわかった。

 

「ジルク王子、儀式は間もなく終了いたします。あとはあなた様の手でも宝石を引き抜けるかと」

 

「そうか、わかった」

 

ジルクはアマネの下に歩みより、宝石に手を伸ばす。

 

「「やめろぉー!!!」」

 

ズドォォン!

 

その瞬間、儀式をしていた部屋の真下からリートが、金の触手を防ぎながら飛び出してきた。

 

「「リート!!」」

 

「っぶはぁ!!ヤロォえげつねぇ事しやがって!!」

 

リートが床に着地すると同時に、ナツも下から飛び上がってきた。

 

「無事か!リート!!」

 

「ナツ!!」

 

「ナツゥ!!」

 

二人が現れたことで、ハッピーとラリカは喜びで涙を流す。

 

「随分と上まで押し上げられちまったな」

 

「どこだここ?」

 

ナツが辺りを見渡すと、ある光景が目に入った。

 

「!?」

 

「リート…」

 

「?どーしたよナツ」

 

リートがナツのみている方向を見ると、アマネが倒れている所を発見した。

 

「!?アマネ!!!」

 

二人は慌ててアマネに駆け寄るが、アマネは息をしていなかった。

 

「死んでる…」

 

「ウソ…だろ…」

 

「ごめん…ナツゥ」

 

「リート…アマネが…アマネが…」

 

ハッピーとラリカが二人に謝ると、二人はアマネをかついで、急いで二匹に駆け寄った。

 

「儀式は?…」

 

「止められませんでしたわ…ごめんなさいですわ」

 

 

「いててて…なんなんだ一体」

 

二人の逆方向から声が聞こ、振り向くとジルクが宝石を持って起き上がっていた。

 

「王子!」

 

「無事ですか!王子!」

 

王国兵がジルクの周りに、集まる。

 

「その紋章…妖精の尻尾か…少し遅かったね!儀式は今終わったのさ!!!」

 

二人は顔をうつぶかせて黙っていた。

 

「見たまえ!!この宝石を!!この美しさを!!これこそボクにふさわしい!!アハハハハハハハ!!!」

 

「…まれ……」

 

「君たちもそう思うだろう?えぇ?」

 

「「だまれぇぇぇ!!!」」

 

ドゴォォン!

 

ナツとリートは、怒りに任せてジルクを殴り飛ばした。

 

「お前らは…絶対に許さねぇ!!!」

 

「ぶっ潰してやる!!!」




儀式が完了し、次回辺りで、宝石の使い道を露にする予定です!ここからまたすげぇの出します。


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モード竜

こっから一気に進みます!


「「ぶっ潰してやる!!!」」

 

「ラリカ!ハッピー!アマネを連れてここから離れろ!!」

 

「え?でも…」

 

「さっさとしろぉ!!!」

 

「あい!」

 

「わかりましたわ!」

 

ナツとリートの怒りの叫びに、王国兵が怯んでいると、城の下からゴルスが飛び上がってくる。

 

「おぉーおぉー、随分とお怒りじゃねぇかぁ火竜に氷竜ぅ」

 

「ゴルスさんだ!」

 

「ゴルスさんが来てくれたぞ!」

 

ゴルスが現れたことで、王国兵は一斉に声を上げて喜びだす。

 

「ゴ…ゴルス!なんなんだ!こいつらは!」

 

「おぉー王子様、随分とイカス面になったじゃねぇかぁ、あの二人にでもやられたのかぁ?安心しなぁオレがアイツらを片付けてやるからよぉ」

 

「お前がやるのは構わないが、こいつらは僕の顔を殴ったんだ、必ず死刑にする。だから、僕もコイツらを討つのを手伝ってやろう」

 

ゴルスは意味がわからないといった顔でジルクに視線を移す。

 

「まぁ、何してくれんのかしんねぇけど、足引っ張るのだけはやめてくれよぉ王子様よぉ」

 

「安心しろ、貴様の足を引っ張るつもりはない」

 

ゴルスは王国兵に指示をだし、隣の部屋の扉を開けさせる。

 

「!?」

 

「これは!」

 

王国兵が開けた部屋には、部屋一面に大量の(きん)が用意されていた。

 

「全てお前にやろう、好きに使えゴルス」

 

「クククッいいのかぁ?そんな大盤振る舞いしちまってよぉ」

 

「構わない、そして僕は転移魔法を使って地下にある例の物を動かしてくる。僕の野望を叶えるために奴を動かすから、そいつらの足止めは頼んだよ」

 

ジルクが転移魔法陣に乗ると、その場から消えてしまった。

 

「くそっ!」

 

「待ちやがれ!!」

 

ナツとリートがジルクを追いかけようとするが、目の前にゴルスが立ちふさがる。

 

「おっとぉ、悪いがここから先は通行止めだぁ、王国兵共ぉ、さっさとここから逃げなぁ巻き込まれたくなけりゃあなぁ」

 

ゴルスの指示で王国兵は、一人残らず部屋から出ていってしまった。

 

「さぁてぇ」

 

「どけぇ!!!」

 

「邪魔すんなぁ!!!」

 

ナツとリートが、同時にゴルスを殴り飛ばした。

 

「そう焦んなよぉ、今から面白ぇもん見せてやっからぁ」

 

ゴルスは金の部屋に入ると床に手を付き、部屋中の金を纏い始める。

 

「モード竜人(ドラゴニュート)から進化、モード(ドラゴン)

 

 

「ドラゴン…だと……」

 

ゴルスが部屋中の金を纏い終えた時、その姿はまさしく金色のドラゴンそのものだった。

 

「さぁ、やろうぜぇお二人さん」

 

 

「デケェ…」

 

「ナツ、さっきまでの奴と同じと思わない方がいいみたいだぜ」

 

「関係ねぇよ、要は灰にすりゃどれも同じだろ」

 

 

「威勢はいいが、それだけじゃ勝てねぇぜぇ」

 

 

 

ズドォォン!

 

 

「!なんだ!」

 

リート達が外を見ると、そこにはもう一匹今度は白いドラゴンが現れていた。

 

「なんで、こんなところにドラゴンが!!!」

 

「ドロマ・アニム、王子の秘密兵器だぁ」

 

「兵器!!?ってことは偽物」

 

「あぁ、だがあれを動かすにはかなりの魔力を消耗する、それこそエーテリオンと同等かそれ以上の魔力をなぁ」

 

「エーテリオン以上の魔力…まさか!!」

 

リートはドロマ・アニムの動力源が何か、すぐに察した。

 

「アマネの宝石をあれに!!」

 

「よくわかったなぁ、正解だぁ」

 

その答えを聞いた二人は、怒りで肩を震わせる。

 

「そんな…」

 

「そんな事のために…」

 

 

「あ?」

 

「あんな下らねぇもんを動かす為に、アマネは死んだっていうのかぁ!!!!」

 

「ふざけんなぁ!!!!」

 

ズドォォン!

 

ナツとリートは、渾身の一撃をゴルスの身体にくらわせる。

 

しかし、ゴルスにダメージが与えられているようには見えなかった。

 

「痒いじゃねぇかよぉ」

 

「な!?」

 

「うそだろ!」

 

ゴルスは尻尾を降り、二人を凪ぎ払う。

 

「「ぐわあぁぁぁ!!!」」

 

ズドォォン

 

 

 

………

 

 

「さて、やつらを一掃するとしようか」

 

ドロマ・アニムを動かしたジルクは、レーザーを撃てるように操作する。

 

「死ね」

 

 

「鉄竜根!!」

 

ドゴォ!

 

「不知火!」

 

ズゴォォ!

 

レーザーを撃とうとしていた時に、いきなり衝撃がはしった。

 

「な…何だ!!」

 

「火竜と氷竜を探してたら、こんなやつが表で暴れてるなんてな」

 

「予想外だけど面白ぇじゃねぇか、出て来て正解だったな」

 

ジルクの近くには、ガジルとバンクが立っていた。

 

「貴様らぁぁぁ」

 

 

「来いよデカブツ、オレたちが相手してやる」

 

「ヘヘッ簡単にやれると思うなよ」

 

 

………

 

 

アマネの遺体を外に連れ出したハッピー達は、安全な場所にアマネを寝かせていた。

 

「アマネ…」

 

「ごめんなさいですわ…私達が助けると言っておきながら…情けなくて、顔向けが出来ませんわ」

 

 

「ハッピー?ラリカ?」

 

ハッピー達の下に、エルザがやって来ていた。

 

「「エルザ!」」

 

「オマエ達、なぜこんなところに?リートとナツは?」

 

エルザが二人に近づくと、アマネの遺体に気が付く。

 

「!?…まさか…儀式とやらは」

 

「終わってしまいましたわ…今、城でナツとリートの二人が戦ってますの…」

 

「そうか、ならば私も行こう」

 

「無茶だよ!エルザもボロボロじゃないか!」

 

「問題ない、それに、アマネは私とも仲良くしてくれた大事な仲間だ。それを死なせてしまった上に、黙って決着を待っているなんて私にはできん!」

 

「オマエ達はアマネを最後まで守ってやるんだ、この戦いが終わった後に一人きりなんてあまりにも残酷だからな」

 

そう言い残して、エルザは城へと走っていった。

 

「「エルザ!」」

 

 

………

 

 

「おらぁ、どうしたぁ?さっきまでの威勢は何処にいったんだぁ?」

 

ゴルスが竜へと変化したことにより、先程以上にリート達とゴルスとの力の差が広がってしまう。

 

「はぁ…はぁ…」

 

「はぁ…ぜぇ…」

 

しかし、二人も諦めずに何度も挑みかかる。

 

「このぉ!」

 

「火竜の翼激!」

 

リートは氷を拳に纏い殴り付け、ナツは火竜の翼激で攻撃しようと試みる。

 

「あめぇんだよぉ」

 

「!」

 

ゴルスは左手で二人を凪ぎ払うと、あまりの風圧に二人は吹き飛んでしまう。

 

「退屈だが、そろそろ終わらせるかぁ」

 

そう言うと、ゴルスの周りに金の塊が無数に現れた。

 

「死ねぇ」

 

「金剛連弾」

 

ズドドドド!

 

 

「「ぐわあぁぁぁ!」」

 

 

………

 

 

「鉄竜剣!」

 

「風乱拳!」

 

ズドドドド!

 

ガジルとバンクも連激を仕掛け、なんとかドロマ・アニムを倒そうと奮闘する。

 

「小賢しいぞ雑魚がぁ!!!」

 

ジルクはドロマ・アニムを動かし、片手で二人の居る場所を叩き潰す。

 

ズドォン

 

「このボクに逆らうからだ」

 

 

「まだ終わってねぇぞ」

 

「!」

 

ジルクが後ろを振り返ると、装備を黄色に変えたバンクがガジルをかついで後ろに回り込んでいた。

 

「いけ!ガジル!」

 

「鉄竜の咆哮!!」

 

ズゴォォォォ!!

 

「ぐおおおぉ!!」

 

ズズゥン

 

ガジルのブレスで、体勢を崩したドロマ・アニムが横転した。

 

「ざまぁみろ!」

 

「よっしゃ!」

 

 

「まだだぁ!!」

 

ジルクはドロマ・アニムを操作して起き上がらせると、二人を睨み付ける。

 

「この程度では終わらないぞォォ!!」

 

 

………

 

 

ゴルスの攻撃により上がっていた煙が徐々に晴れ、そこにはナツとリートがうつ伏せに倒れていた。

 

「残念だったなぁ、だがここまでだぁ、まぁよく頑張ったんじゃねぇかぁ?」

 

「まだ…だ…」

 

「あん?」

 

ゴルスが下を見ると、ナツがボロボロになって立ち上がっていた。

 

「まだ、負けてねぇぞ…コラ」

 

「ほぉ、相変わらずの威勢のよさだなぁ、だが氷竜の方はノックアウトのようだぜぇ」

 

「!リート!!」

 

ナツの掛け声にも、リートは反応せず倒れてしまっていた。

 

「さぁてぇ、どうするぅ?このままやるかぁ?どのみちテメェ一人じゃぁオレには勝てねぇぜぇ」

 

「やってやろうじゃねぇか!オレ一人でも戦ってやる!」

 

ズゴォォォォ!!

 

「「!!」」

 

二人が居る場所とは違う場所から大きな音が聞こえ、ナツとゴルスが視線を変えると、リートが倒れている場所から冷気の渦が坂巻を上げて吹き出していた。

 

「なんだぁ?」

 

「リート?」

 

リートはゆっくりと立ち上がり、冷気が消えると、そこには白髪になり、腕に青い模様の入ったリートの姿があった。

 

「はぁ…はぁ…すうぅぅぅ…はぁぁぁ…」

 

リートは深く深呼吸をすると、ゴルスを睨み付ける。

 

「随分と姿が変わったじゃねぇかぁ、氷竜よぉ」

 

「オマエを…倒す」




アースランド版のドロマ・アニム始動しました。

あと、ドラゴンフォースも追加です!


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最後まで

この戦いもここで終わりとなります。

ゴルス戦…あまりにも長かった…


「オレを倒すだぁ?クックックッ随分と大きく出たじゃねぇかぁ氷竜ぅ。髪の色が変わっただけでオレに勝てると思ってんじゃねぇだろぉなぁ?」

 

「勝てる」

 

 

そう言って、リートは一瞬でゴルスとの距離を詰める。

 

「な!?」

 

「螺旋拳」

 

ズドン!

 

「ぐおおぉっ!?」

 

ゴルスの胸に、強烈な一撃を叩き込んだリートはそのままゴルスを吹き飛ばす。

 

「スゲェ…あの巨体を一撃で…」

 

「ふうぅぅぅ」

 

 

「があぁぁぁ!!」

 

城の壁まで吹き飛ばされたゴルスもすぐに立ち上がる。

 

「ハハハハハァ!!楽しいじゃねぇかぁ!!なぁ、氷竜ぅ!!」

 

「ナツ!!」

 

「お、おう!!」

 

ナツは足に炎を溜めて、突進する。

 

「火竜の剣角!!」

 

にぃっ

 

ナツの攻撃を、ゴルスは笑いながら両手を前に出し、突進するナツの動きを止める。

 

フッ

 

「!?」

 

すると、ゴルスの目の前にリートが現れ、ゴルスの顔を蹴り飛ばす。

 

「くらえ!!」

 

ドゴォ!

 

「ぐぉぁぁぁ!!」

 

リートの蹴りで、体勢を崩したゴルスはナツを抑えていた腕の力を緩めてしまい、ナツの攻撃がゴルスの胸に直撃した。

 

「ごはぁ」

 

 

「おっしゃぁ!!」

 

「気を抜くんじゃねぇ!奴の強さはこれまで嫌ってほどあじわってきただろ!」

 

リートの指摘通り、ゴルスは体勢を立て直し、イラつき始めていた。

 

「調子にのってんじゃねぇぞ、カス共がぁ!!」

 

ゴルスは、ブレスを二人に向かって吐き出す。

 

「デケェ…」

 

「さっきまでのブレスの3倍はあるぞ…」

 

ゴルスが放ったブレスが、二人の目の前まで迫ってきていた。

 

「火竜の」

 

「氷竜の」

 

「「咆哮!!」」

 

ズゴォォ!!

 

二人が放ったブレスと、ゴルスが放ったブレスがぶつかり合い、技のぶつかり合いが続く。

 

 

「やるじゃねぇかぁ!けど、これならどうだぁ!!」

 

ゴルスは、放っているブレスの威力を上げた。

 

「な!?」

 

「ウソだろ!?」

 

ゴルスのブレスが、二人のブレスを打ち消し、そのまま二人をのみこんだ。

 

「「ぐあぁぁぁ!!!」」

 

 

………

 

 

「ぐおおおぉっ!」

 

ガジルとバンクも二人でジルクが操るドロマ・アニムと戦いを繰り広げていた。

 

ガジルはドロマ・アニムの凪ぎ払い攻撃により、吹き飛ばされる。

 

「ヤロォ!」

 

バンクが装備を黄色に変えて、光速で動き回る。

 

 

「甘いよ!そんなんじゃこのドロマアニムはやられない!」

 

ドロマ・アニムの尻尾からミサイルが飛び出し、バンクに向かってきた。

 

「オレだってそんなもんじゃやられねぇよ!」

 

バンクは一瞬でその場から移動し、ミサイルをかわすと、ドロマアニムの目の前に現れ、炎を放出した。

 

「炎拳!!」

 

ゴオォォォ!!

 

炎が消えると、無傷のドロマ・アニムが姿を現す。

 

「!」

 

ガシィッ

 

「ぐっ」

 

ドロマ・アニムに捕まったバンクはギリギリと締め付けられていく。

 

「バンク!!」

 

「フハハハハ!誰もこのボクに逆らえない!ボクこそが最強なんだ!!」

 

「ぐあぁぁぁ!」

 

「くそっ!ソイツを離しやがれ!!」

 

ガジルは腕を剣に変えて、バンクを握っている腕に斬りかかる。

 

「鉄竜剣!!」

 

ガキィン!!

 

「なんだと!!」

 

ガジルのふった剣はドロマ・アニムに通用せず、切り落とすことができなかった。

 

「オレの鉄竜剣が、硬さで負けた!!?」

 

ドロマ・アニムが尻尾を振り回し、ガジルは尻尾にあっけなく凪ぎ払われてしまう。

 

「雑魚が、大人しくコイツが握りつぶされるところを黙って見ているといいさ」

 

ギリギリ

 

「がふっ」

 

「バンク!!」

 

バッ!

 

スパァン!

 

バンクが握りつぶされる瞬間、草陰から、エルザが飛び出し、バンクを握っていたドロマ・アニムの片腕を切り落とした。

 

ドサッ

 

「がはっがはっ」

 

「バカな!ドロマ・アニムの腕を!?誰だ貴様!」

 

「私はエルザ・スカーレット、妖精の尻尾の魔導士だ」

 

「エルザだと?…!その刀は!!」

 

ジルクはエルザの持っている刀に見覚えがあり、目を見開く。

 

「断刀 王牙、貴様が雇っていた者の一人から譲り受けた刀だ。さすが世界一硬いといわれる刀だけはある、貴様の腕をアッサリと切り落とせたのだからな」

 

「嘗めるな妖精ごときがぁ!!!」

 

ジルクは頭に血が上り、ドロマ・アニムで暴れまわる。

 

「バンク!ガジル!」

 

「!」

 

「私が奴の注意を引く、オマエ達はその間に奴の中から宝石を取り出すんだ!」

 

バンクとガジルが顔を見合わせると、ニヤリと笑ってエルザに答える。

 

「おう!」

 

「任せろ!」

 

三人は同時に別方向へと動き、エルザは正面、ガジルは右側、バンクは左側へと即座に移動する。

 

「何をするつもりか知らないが、貴様らみたいな虫には殺虫剤を撒くだけだ!!」

 

ドロマ・アニムから先程同様にミサイルが発射されそうになった所を、バンクが先手をうってとめにかかる。

 

「残念!ちょっと遅ぇんだよ!雷!!」

 

ドロマ・アニムの頭上から落ちた雷で、ドロマ・アニムが電気を体に溜め込んでしまい、機械の操作ができなくなる。

 

「なんだ!思うように動かん!」

 

「鉄竜根!」

 

ズドン!

 

「うおっ!?」

 

ガジルの攻撃で体勢を崩したドロマ・アニムの前にエルザが刀を振り上げて迫ってきていた。

 

「くらえ!」

 

キィン!

 

しかし、エルザの剣ですら、核となる操縦席の装甲を切り裂くことはできなかった。

 

「くっ…やはり、ここは異常に硬いな」

 

「ハ…ハハハハ!!惜しかったね!だけどその剣で斬れないならもう諦めるといいさ!」

 

「まだだぁ!!」

 

エルザがその場から退くと、後ろにバンクとガジルの二人が構えていた。

 

「準備はいいか?ガジル!」

 

「あたりまえだ!さっさとやれ!」

 

「んじゃあ行ってこい!」

 

バンクはガジルの腕を掴み、真上に放り投げる。

 

放り投げられたガジルは、足をドリル状に変えて高速回転しながらドロマ・アニムに突っ込む。

 

「滅竜奥義!剛魔鉄螺旋!」

 

ズガガガガ!

 

「「いっけぇ!」」

 

「おおおおぉぉ!!!」

 

ガジルの身体は遂にドロマ・アニムを貫通し、片手にジルクを、もう片手には動力源として使われていた宝石を掴んでいた。

 

「よっしゃあ!」

 

エルザとバンクの二人は、慌ててガジルのもとまで駆け寄った。

 

「やったじゃねぇか!」

 

「よくやったぞ、ガジル」

 

「ギヒッ 余裕だよ、こんなもん」

 

 

………

 

 

一方、ゴルスのブレスに巻き込まれた二人は、ボロボロになった身体でなんとか立ち上がっていた。

 

「はぁ…はぁ…」

 

「がふっ…はぁ…はぁ」

 

「ここまでよく戦って来たが、もうテメェらの体力も限界みてぇだなぁ」

 

「まだ…だ…」

 

「まだオレたちは生きてる…生きてるなら、最後の最後まで何度だって立ち上がってやる」

 

「ハッ、どこまでも威勢だけはいっちょまえじゃねぇかぁ」

 

リートが呼吸を整え、ナツに話しかける。

 

「ナツ、こうなったら奴の装甲を剥がすことだけ考えるぞ、ヒートショック狙いでいくから、あの技で攻めてくれ」

 

「はぁ…はぁ…わかった」

 

ナツは大きく息を吸い込み、全力でブレスを放った。

 

「火竜の…咆哮!!!」

 

「今さらそんなブレスが通用するわけねぇだろぉ」

 

ゴルスはブレスを身体に受けながら、大きく息を吸い込む。

 

「金竜のぉ「氷竜の咆哮!!」!?」

 

ゴルスがブレスを撃つ寸前に、リート先にブレスを撃ち、ゴルスは間一髪でリートのブレスを飛び上がってかわした。

 

「あぶねぇあぶねぇ、またヒートショック狙いだとはなぁ、だがぁ、同じ手は二度と通用しねぇぞぉ」

 

「それはどうかな?」

 

「!」

 

ゴルスの真上に、巨大に氷の塊を作り出したリートは、そのままゴルスの頭上にまっすぐに落とした。

 

「氷竜の弾落!!」

 

ズズゥン!

 

「ぐうぅっ…」

 

ゴルスは両手で氷を支え、隙だらけになった所を、すかさずリートがもう一度ブレスを放った。

 

「まだその身体に熱は残ってんだろ!氷竜の咆哮!!」

 

ビキビキビキビキ

 

リートのブレスにより、ゴルスの身体にひびが入った。

 

「いけ!ナツ!」

 

「おう!火竜の剣角ぅ!」

 

ひびが入ったゴルスの身体では、もはやナツの突進を防ぐことはできず、ナツの身体は竜化したゴルスの身体を貫いた。

 

それにより、竜の身体は砕けちり、ゴルス本体が空中に現れた。

 

「これで終わりだ」

 

リートは両手を合わせ巨大な剣を作り出し、ナツは空中で向きを変えて両手に炎を纏う。

 

「「滅竜奥義!!」」

 

「紅蓮爆炎刃!!!」

 

「氷刀飛燕斬!!!」

 

ナツとリートの滅竜奥義がゴルスを間に入れた状態でぶつかり合い、大爆発を起こした。

 

「ぐわあぁぁぁ!こ…こんな…やつ…らに……」

 

遂に、ゴルスは倒れ、ナツとリートは勝利を納めた。

 

「「おおおおおぉ!!」」




ゴルスさん、今までありがとう。

強くしすぎてごめんよ…普通に戦いを終わらせるのしんどかった…わりと後悔してるかも


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アマネ

アマネを生き返らせるか死亡したままにするか悩んでて遅くなりましたが結果両方書くことにしました。とりあえずまずは生存ルートからです。


「はぁ…はぁ…終わった…」

 

リートはボロボロの状態でドラゴンフォースを解いて、倒れているゴルスに歩み寄る。

 

「!おい!リート!あぶねぇぞ!」

 

「大丈夫だよ、もう…コイツに戦う力は残ってねぇだろ」

 

リートはゴルスの下に行くと、ゴルスに話しかける。

 

「よぉ、気分はどうだ?」

 

ゆっくりと目を開き、ゴルスが喋り出す。

 

「正直…オレがテメェらに負けるとは思ってなかったぜぇ…ゲホッゴホッ」

 

「まぁ…そりゃそうだろうな、あれだけ自信ありげにオレたちを挑発してたんだし」

 

「だが…」

 

「?」

 

「負けたってのに、ここまで清々しい気分になったのは初めてだぁ」

 

「そうか」

 

「一つ聞かせろぉ」

 

「何だよ」

 

「さっきのテメェがやっていたあの変身…あれはテメェの意思でやったのかぁ?」

 

リートは軽く黙り混むと、重い口をゆっくりと開いた。

 

「いや、あれはオレの意思ではまだ自由に変身できる次元じゃねぇ…師匠との修行の時も一度だけなれたが、あくまで無意識だし、キッカケすら掴めていねぇ」

 

「クックックッ…そうか…そんな中途半端な変身に負けるようじゃぁオレもまだまだだったってことかぁ」

 

ゴルスはそれだけ聞くと満足したのか、リートから顔をそむける。

 

「なら、さっさと行けぇ、オレはもう…立つ気力すら残ってねぇんだぁ、こんなとこにいつまでもつっ立ってんじゃねぇぞぉ」

 

「わかってる」

 

リートは振り返り、城の外を目指した。

 

「行くぞ、ナツ…アマネの所に行ってやらねぇと」

 

「お…おう」

 

 

………

 

 

「アマネ…目を覚まして下さいまし…ほら、宝石も取り戻したんですのよ?貴女はコレがあればまだ生きられるのでしょう?」

 

アマネの遺体には、ハッピー、ラリカ、エルザ、バンク、ガジルと集まっていた。

 

「ねぇ、どーして返事をしてくれませんの?…アマネ…アマネぇ…」

 

ラリカの持っている宝石は、かなり黒ずんでおり、光がほとんど感じられなかった。

 

ザッザッザッ

 

そこへ、戦いを終えたリートとナツもやって来た。

 

「リートぉぉ…」

 

「ナツぅ…」

 

ラリカとハッピーは悲しみに耐えきれず、リートとナツに抱きついて涙を流す。

 

「わかってる…辛かったな、ラリカ」

 

「ハッピー…」

 

リートはラリカを抱えたまま、木にもたれているアマネの所に行くと、アマネと同じ視点になるようにしゃがみ、頭に手を置いて話しかける。

 

「悪かったな、オレたちが間に合わなかったばっかりに…オマエの人生を終わらせちまった…ほんと…ボディーガード失格だよ。オマエにクビにされた理由が、今ならよくわかる」

 

ぐすっ…

 

「すまない…すまない…アマネ…」

 

全員が悲しみにくれる中、もう一人誰かが近づいてくる足音が聞こえた。

 

カランカラン

 

「アマネ…お嬢様…」

 

「エウスさん…」

 

やって来たのは、意識を取り戻したエウスだった。

 

「冗談だろう?…小僧…そのアマネお嬢様は偽物なのだろう?…本物のお嬢様は、まだどこかで生きておるのだろう?」

 

エウスは肩を震わせながらリートの両肩に手を置き、涙ながらに訴える。

 

「…すいません……オレが不甲斐なかったばかりに…」

 

ぐっ…

 

エウスが拳を強く握り、歯を喰い縛り堪えていた。

 

「いや、今回は私にも非がある。すまなかった…」

 

そこへ遅れてだが、アクナとルーシィもやって来て、今回戦いに参加した全員が揃った。

 

「…手遅れか」

 

「そんな…」

 

リートがエウスの顔を見ると、ポタポタと涙がこぼれていたのが分かった。

 

全員が悲しみにくれていると、突如ラリカの持っていた宝石が光だす。

 

「!?なんですの!」

 

宝石の光が徐々に輝きを増し、辺り一面が真っ白に染まると、白い世界でリートとラリカ以外の人が見えなくなってしまった。

 

「何だよ…これ…ナツ!ハッピー!ルーシィ!アクナさん!」

 

「エルザー!バンクー!ガジルー!エウス様ー!皆どこにいますのー!」

 

『ここは私が作り出した世界です』

 

気が付くと二人の目の前には、アマネによく似た金髪の女性が立っていた。

 

「あんたは?」

 

『ごめんなさい、いきなりこんな所に連れてきてしまって、本来はきちんと挨拶すべきなんでしょうけど、生憎顔を合わせてお話しするにはこの方法しかなくて』

 

「いえ、それはいいんですけど、あなたは?」

 

『エウスにも本来は顔を見せておくべきだったんでしょうけど、そういうわけにもいかなくて』

 

「すいません、オレの声聞こえてます?あんたは誰かってさっきから聞いてるんですけど」

 

『え?ああ!ごめんなさい、私ったらつい自分の事ばかり』

 

「な…なんなんだ?この人」

 

「また、おかしな人が現れましたわね…」

 

『まぁ、私の事なんかどうでもいいのよ』

 

「さんざん焦らしたあげく結局答えねぇのかよ!」

 

『そんなことより』

 

女性はニヤニヤと笑いながら、リートのことを見ていた。

 

「な…何でしょう?」

 

『ううん、さすが、あの子が目を付けた人だなぁって思ってね』

 

「?」

 

『あの子の事、よろしくね♪まだ死んでないはずだから』

 

「はい?」

 

その言葉を最後に、女性は消えてしまい、リートも元の世界に戻ってきていた。

 

「さっきのは…」

 

 

 

「アマネ…お嬢様…申し訳ありません」

 

視線を戻すと、エウスがアマネを抱きしめ泣いている様子が目に入った。

 

「やっぱり…夢?」

 

「私もそう思いますけど…全く同じ夢を見るなんてあり得ますの?」

 

二人がそう考えていると、ラリカの持っていた宝石が先程は白く輝いていたのが、今度は七色に輝きだす。

 

「!」

 

「な…なに!?」

 

「!?なんだ!」

 

「なにがどうしたの!?」

 

「この光は!?」

 

「おぉ?」

 

「まぶしっ」

 

 

「!ラリカ!そいつをアマネの身体に押し当てろ!」

 

リートは、何かを察してラリカに指示をだす。

 

「え?え?」

 

「早く!光が消える前に!」

 

「わっ分かりましたわ!」

 

ラリカが慌ててアマネの胸に宝石を添えると、宝石はアマネの胸の中へと消えていった。

 

「これは…」

 

宝石がアマネの胸の中に入ると、暫くの沈黙が続いた後、ゆっくりとアマネが目を覚ます。

 

「うっ…うぅん…苦しぃ…」

 

「「「「「「「「!?」」」」」」」」

 

アマネが目を覚ますと、真っ先にエウスが抱きついている事に気がつき、顔を真っ赤にする。

 

「何抱きついてるのよ!変態!」

 

バチィン!

 

「ぐほぉ!?」

 

 

「エウスさん!?」

 

ひっぱたいたのがエウスだと気がついていなかったのか、アマネは意識をはっきりとさせると驚いた顔でエウスを見やる。

 

「え?あ!エウス!?ごめん、てっきりどこかの変態が抱きついてきてたのかと」

 

「だとしても、もの凄いビンタだったが」

 

「「アマネー!」」

「おわぁ!」

 

ラリカとハッピーは嬉しさのあまり、アマネに飛び付いた。

 

「いったた…ごめんね、心配かけて」

 

 

それから、王国に帰って来た国王により、ジルクは残りの生涯を全て地下牢で過ごすこととなり、ゴルスは評議会に捕まった事が報告された。

 

そして数日後、全てが終わりリート達がいつも通り妖精の尻尾で過ごしているとミラが入り口からリート達の下へ駆け寄ってくる。

 

「リート、皆、珍しいお客さんが来てるわよ♪」

 

 

「客?オレたちに?」

 

「誰だろう」

 

「何だ何だ?」

 

「どーしたの?」

 

皆がミラの方に注目していると、後ろからアマネの姿が現れた。

 

「やっほ!皆、久しぶり」

 

 

「「アマネ!」」

 

「おぉー!久しぶりだなぁ!!」

 

「ハハ、今回もまた家出か?」

 

グレイが笑いながら問うと、アマネは首を横に振り答える。

 

「ううん、今回はちゃんと許可を貰ってるよ。エウスも一緒に来てるし」

 

「皆様お久しぶりでございます」

 

「おっさん!」

 

「元気そうで何よりですエウスさん」

 

「えぇ、エルザ様達もお元気そうで」

 

「ってことは今回は別の用か?何かの依頼?」

 

リートが、問いかけると、アマネは笑いながら否定する。

 

「違うわよ、お父様がお世話になった方々にしっかりとお礼がしたいが自分は忙しくて手が離せないから、変わりに行ってきてくれって言われたのよ」

 

「フッ、無事に仲直り出来たみたいだな」

 

「うん、今まで私は、お父様が私の事を嫌ってるって思ってたけど、あの戦いの後しっかりと話し合う機会があってね、今に至るって訳」

 

「そっか、良かったな」

 

「うん!あ、それと今回私が来たのにはもう一つ理由があってね」

 

アマネは軽い足取りでリートの隣に行くと、リートの頬に唇をつける。

 

「「「「「「「「!?」」」」」」」」

 

「ミラから貴方をいつか奪ってやるって宣言しに来たのもあるので、よろしくね♪」

 

「お…おおおおおおまえ!な…ななな何を!」

 

「リート…」

 

「ハッ!」

 

リートが慌ててミラを見ると、ミラの後ろから般若のような顔が見えたような気がした。

 

「小僧…貴様」

 

 

「エウス様も怒ってますわね」

 

「まぁ、お嬢様命だもんね~あの人は」

 

「…あばよっ!!」

 

リートは身の危険をいち早く感じとり、妖精の尻尾の出入り口から走り去る。

 

「リート!!待ちなさい!!」

 

「小僧!生きて帰れると思うなよ!」

 

「お?何だ?リートと喧嘩か?オレも混ぜろぉ!!」

 

ミラとエウスと…なぜかバンクが、リートを追いかけて行き、リートが必死で逃げ回る。

 

「ふっざけんなぁぁぁ!!!」




とりあえずオリジナル完結です。

次回は死亡ルート書きますのでよろしくです。

そして、せっかくなのでどちらのルートがよかったかアンケートも久しぶりに取ってみようかとも考えてます。


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アマネ(死亡ルート)

アマネの死亡ルートです。前半は生存ルートと同じですが赤文字から変えてあります。


「はぁ…はぁ…終わった…」

 

リートはボロボロの状態でドラゴンフォースを解いて、倒れているゴルスに歩み寄る。

 

「!おい!リート!あぶねぇぞ!」

 

「大丈夫だよ、もう…コイツに戦う力は残ってねぇだろ」

 

リートはゴルスの下に行くと、ゴルスに話しかける。

 

「よぉ、気分はどうだ?」

 

ゆっくりと目を開き、ゴルスが喋り出す。

 

「正直…オレがテメェらに負けるとは思ってなかったぜぇ…ゲホッゴホッ」

 

「まぁ…そりゃそうだろうな、あれだけ自信ありげにオレたちを挑発してたんだし」

 

「だが…」

 

「?」

 

「負けたってのに、ここまで清々しい気分になったのは初めてだぁ」

 

「そうか」

 

「一つ聞かせろぉ」

 

「何だよ」

 

「さっきのテメェがやっていたあの変身…あれはテメェの意思でやったのかぁ?」

 

リートは軽く黙り混むと、重い口をゆっくりと開いた。

 

「いや、あれはオレの意思ではまだ自由に変身できる次元じゃねぇ…師匠との修行の時も一度だけなれたが、あくまで無意識だし、キッカケすら掴めていねぇ」

 

「クックックッ…そうか…そんな中途半端な変身に負けるようじゃぁオレもまだまだだったってことかぁ」

 

ゴルスはそれだけ聞くと満足したのか、リートから顔をそむける。

 

「なら、さっさと行けぇ、オレはもう…立つ気力すら残ってねぇんだぁ、こんなとこにいつまでもつっ立ってんじゃねぇぞぉ」

 

「わかってる」

 

リートは振り返り、城の外を目指した。

 

「行くぞ、ナツ…アマネの所に行ってやらねぇと」

 

「お…おう」

 

 

………

 

 

「アマネ…目を覚まして下さいまし…ほら、宝石も取り戻したんですのよ?貴女はコレがあればまだ生きられるのでしょう?」

 

アマネの遺体には、ハッピー、ラリカ、エルザ、バンク、ガジルと集まっていた。

 

「ねぇ、どーして返事をしてくれませんの?…アマネ…アマネぇ…」

 

ラリカの持っている宝石は、かなり黒ずんでおり、光がほとんど感じられなかった。

 

ザッザッザッ

 

そこへ、戦いを終えたリートとナツもやって来た。

 

「リートぉぉ…」

 

「ナツぅ…」

 

ラリカとハッピーは悲しみに耐えきれず、リートとナツに抱きついて涙を流す。

 

「わかってる…辛かったな、ラリカ」

 

「ハッピー…」

 

リートはラリカを抱えたまま、木にもたれているアマネの所に行くと、アマネと同じ視点になるようにしゃがみ、頭に手を置いて話しかける。

 

「悪かったな、オレたちが間に合わなかったばっかりに…オマエの人生を終わらせちまった…ほんと…ボディーガード失格だよ。オマエにクビにされた理由が、今ならよくわかる」

 

ぐすっ…

 

「すまない…すまない…アマネ…」

 

全員が悲しみにくれる中、もう一人誰かが近づいてくる足音が聞こえた。

 

カランカラン

 

「アマネ…お嬢様…」

 

「エウスさん…」

 

やって来たのは、意識を取り戻したエウスだった。

 

「冗談だろう?…小僧…そのアマネお嬢様は偽物なのだろう?…本物のお嬢様は、まだどこかで生きておるのだろう?」

 

エウスは肩を震わせながらリートの両肩に手を置き、涙ながらに訴える。

 

「…すいません……オレが不甲斐なかったばかりに…」

 

ぐっ…

 

エウスが拳を強く握り、歯を喰い縛り堪えていた。

 

「いや、今回は私にも非がある。すまなかった…」

 

そこへ遅れてだが、アクナとルーシィもやって来て、今回戦いに参加した全員が揃った。

 

「…手遅れか」

 

「そんな…」

 

リートがエウスの顔を見ると、ポタポタと涙がこぼれていたのが分かった。

 

『ごめんね…』

 

「「「「「「「!?」」」」」」」

 

どこからかアマネの声が聞こえ、全員がアマネに視線を変えるが、アマネは死んだままの状態だった。

 

「宝石から…聞こえましたわ」

 

「なに!?」

 

ラリカの持っている宝石が微かに輝きを放ち、アマネの声が宝石から聞こえてきていた。

 

『ごめんね…皆を悲しませる事にしちゃって』

 

「アマネ…」

 

「アマネ…お嬢様…」

 

『私は死んじゃったんだよね?でも、後悔はしてないよ』

 

「嘘つくなよ…お前は自由になりたかったんじゃなかったのかよ!」

 

『私は充分自由だったよ、リートやラリカ…妖精の尻尾のみんなのお蔭でね』

 

「たった数日の自由がお前にとって…それで充分だって言うのかよ!」

 

『うん、充分だったよ。貴方達が居てくれたから』

 

「私はまだまだ貴女と沢山お話ししたかったんですのよアマネ!それなのに、貴女はそれで満足だって言うんですの?そんなの…そんなのって…あんまりですわ」

 

『…ねぇ、ラリカ』

 

アマネの言葉を聞いて涙を流すラリカに、アマネの声はゆっくりとラリカに話しかける。

 

『確かに、私たちの付き合いは短かったかもしれない。けどね、それでも、私は貴女たちと過ごせて本当によかったと思ってる。だから、泣かないで、ね?』

 

「ぐすっ…ぐすっ」

 

そして、次にアマネはルーシィに話しかける。

 

『ルーシィ、ありがとう、同じ境遇の私に、とても親身になって話を聞いてくれた。私にはそれが嬉しかった』

 

「そんな、そんな話しでいいならいくらでも聞いてあげるから…だからそんな別れを感じさせる事を言わないでよ!」

 

その次はハッピーに

 

『ハッピー、貴方は名前の通り、今回の事が終わったら皆を幸せにしてあげて。お願い』

 

「オイラ…何も出来ないよ、アマネも妖精の尻尾の一員だもん。アマネが消えた後も幸せになんて…オイラには出来ないよ」

 

そして、次はアクナ、ガジル、バンクに向けて

 

『そっちの三人は会ったことなかったね。でもリートたちと一緒に戦ってくれてありがとう』

 

「一つ聞かせな、アンタはこのまま消えてもホントにいいんだね?」

 

『うん、これ以上皆に迷惑をかけるわけにはいかないから』

 

「そうか、ならアタシはもう何も言わねぇ」

 

次はエルザに

 

『エルザ、貴女は率先して皆を守る最高にカッコいい女性だった。いつまでもそのままのエルザでいてね』

 

「…あぁ」

 

その次はナツに

 

『ナツ、貴方の仲間を大切にするその気持ち、忘れないでね。貴方はそれができる素敵な人だから』

 

「…おう」

 

その後は、エウスに

 

『エウス、あなたには小さい時から迷惑ばっかりかけてたね、もう私に迷惑をかけられる事はないだろうから次はお父様の事をお願いね』

 

「そんな…私にはあなた様がいないと何もできません」

 

『最後に、リート、貴方には一番感謝している。これは心からの本心よ』

 

「…」

 

『もし、あの街中で貴方と出会えてなかったら、今頃私は後悔の中で死んでいたと思うわ。だから…ホントに感謝してる』

 

「オレは…」

 

『自信を持ちなさい!リート!貴方は私が生涯で見てきた中でも最高のボディーガードだった。だから次は私じゃない本当に愛するギルドの人達を貴方の手で守ってあげて』

 

「…ありがとう」

 

宝石の光はどんどんと消えていき、アマネとの最後が近づいていた。

 

『もう、行かないと、じゃあね皆。楽しかった』

 

その言葉を最後に光は消え、宝石は崩れてしまった。

 

ぐすっぐすっ

 

「うっ…ひっぐ…」

 

「くっ…」

 

皆が悲しみにくれ、アマネの声は完全に聞こえなくなった。

 

その後アマネの墓を作り、リート達は、アマネの父親を連れて墓参りに来ていた。

 

「わがままでお転婆な娘でしたが私にとってはかけがえのない大切な娘でした。その娘がこうして安らかに眠ることが出来たのは妖精の尻尾の方々のお蔭です。本当にありがとうございました」

 

「いえ、オレたちもアイツから沢山の元気をいただきました。礼を言うのはオレたちの方です」

 

「そう言ってくれると、死んだ娘もうかばれる事でしょう。また、いつでも娘のいるこの墓に来てあげてください」

 

「ええ、是非」

 

リート達は墓を後にし、ギルドに帰ろうとしていた。

 

「でも、やっぱり寂しいわね。こんな終わりかたなんて」

 

「そうでもないさ」

 

「え?」

 

ルーシィの言葉をリートは優しく否定する。

 

「アマネの親父さんが言ってたろ?安らかに眠ってたって。それはアイツは本当に後悔しなくて眠れたってことだよ」

 

「…うん、きっとそうだよね」

 

「あぁ。だからアイツの分までオレたちが生きていようぜ」

 

「…うん!」

 

ルーシィが元気を取り戻した事でナツやエルザ達も笑ってルーシィを見やっていた。

 

「よし!帰ろう!オレたちのギルドに!」




これでホントに100話記念作品の完結です!これだけで20話を使うと言うまさかの結果に…長すぎた…

話は変わりますが誰かオリジナルの魔法とかありませんかね?ぶっちゃけ魔法はネタ切れでも新しいキャラは考えているというおかしな事になりかなり困っています。

誰か助けてぇ~


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六魔将軍(オラシオンセイス)編2
師匠の教え


オリジナル物語を書き終えておきながら、また新しいオリジナル物語を書くというおかしな行動を最近やり始めてしまっています…何か読みたい内容あります?

あったら書き溜めして、その内投稿をすると思います。

因みに現在はリートがS級になったときの話をちょっとずつ書いてます。(現在執筆中)


「ウェンディは!?」

 

「安心しろ!!ナツが助けた!!」

 

グレイはリオンをバイクの後ろに乗せ、全力でレーサーを追いかける。

 

「それよりアイツやってくんねーかな、運転しながらじゃ魔法を上手く使えねぇ、リートは乗り物に弱ぇから魔法どころじゃなかったしよ」

 

リオンがニヤリと笑うと、バイクから両手を離す。

 

「ほう、そういう事ならよく見ておけ、オレが造形魔法の手本を見せてやろう」

 

「一言余計だ」

 

リオンは、左の掌に右の拳を乗せて魔力を込める。

 

「アイス メイク」

 

「!」

 

「オマエ…両手で魔法を」

 

師匠(ウル)の教えだろ」

 

 

大鷲(イーグル)!!」

 

リオンが作った氷の大鷲が、レーサーのバイクを襲う。

 

「何!?」

 

レーサーのバイクは破壊され、そこからレーサーは自分の足で高速で動き回る。

 

「遊びは終わりだ」

 

ズドォォン!

 

レーサーの体当たりにより、二人の乗ったバイクも破壊され、二人はバイクから飛び降りる。

 

 

「…アイツらなら大丈夫そうだな」

 

リートはグレイたちの戦いを少し見た後、きびすを返して逆方向へと向かう。

 

「ちょっと!!どこに行くんですの!?」

 

「あのレーサーって奴ならあの二人で充分対処できるハズだ。オレはオレのやるべき事をやる」

 

シェリーがリートを呼び止めるも、リートは自分のやるべき事とやらの為に森の中へと姿を消してしまった。

 

「大丈夫って…まだほとんど戦ってもいませんのに…どーしてそんな事がわかるんですのよ」

 

 

 

「アイスメイク 大猿(エイプ)!!!」

 

大槌兵(ハンマー)!!!」

 

グレイとリオンの攻撃を、レーサーは軽々とかわす。

 

「当たらねぇ!!!」

 

「落ち着け!!4時の方向だ!!!集中すればとらえられん相手ではない!!!」

 

「集中か…よしっ」

 

バサッ バサッ

 

「行くぞ!!!リオン!!!」

 

「オレの合図で撃て!!!全力でな」

 

二人は上裸になり、造形の構えをとる。

 

(なぜ服を脱ぐ……!!?)

 

 

(なぜ服をお脱ぎに……)

 

 

「今だ!!正面50M先!!!!」

 

「見切ったぁ!!!!」

 

リオンの掛け声を合図に、二人は同時にレーサーに攻撃を仕掛ける。

 

氷欠泉(アイスゲイザー)!!!」

 

白竜(スノードラゴン)!!!」

 

二人はレーサーに全力で攻撃を仕掛けるが、レーサーは自身のスピードをアップさせて攻撃をかわす。

 

「な!!!」

 

「更にスピードをあげた!!!」

 

「こっちだ」

 

バキッ

 

「がっ」

 

「ぐっ」

 

リオンとグレイの後ろに回り込んだレーサーは、二人を殴り飛ばす。

 

 

(強い…これが六魔将軍…本当に、二人で勝つことができますの?)

 

「テメェらの攻撃なんぞ一生かかっても当たらんよ。オレの速さには誰も追い付けん」

 

「さて…そろそろ止めをさして、青髪の男を殺し、女を連れ戻しに行くか」

 

「くっ」

 

「耳を貸せグレイ」

 

「!?」

 

リオンがいきなりグレイに話しかけたことにより、グレイがリオンの顔を見る。

 

「奴の弱点を見つけた」

 

 

グレイがリオンに近寄り、リオンは耳打ちでグレイに作戦を伝える。

 

ごにょごにょ

 

「何だと!?」

 

「そー言うことだ、お前は必要ない」

 

「!!」

 

リオンはグレイを氷付けにしてしまい、氷の柱を空高く上げる。

 

「!!!」

 

「リオン様!!」

 

「リオン…テメッ」

 

「そこで見ていろ」

 

 

「仲間割れだと?」

 

「勘違いしないでほしいな、こいつとは仲間ではない。たまたま同じ師の下にいた。それだけだ」

 

 

「しかし、リオン様…」

 

リオンの判断に意見を唱えようとしたシェリーだったが、リオンは聞く耳を持とうとしない。

 

「つべこべ言うなっ!!!今回の手柄は蛇姫の鱗が頂く、行くぞシェリー」

 

「はっ…はい!!!」

 

 

「やれやれ」

 

「そういう思い上がりが勝機を逃すのだ!!!まぁ、元々テメェらに勝機なんぞねぇがな!!!!」

 

レーサーは、リオンとシェリーに攻撃を仕掛けようと動き出す。

 

木人形(ウッドドール)!!!」

 

シェリーは周りの木を人形に変えて、レーサーに襲いかかるが、レーサーはアッサリとかわし、シェリーに攻撃する。

 

「遅いわ!!!」

 

「あっ!!」

 

 

「こっちだ!!!」

 

シェリーに気が向いてる間に、リオンがレーサーと反対方向へと走り出す。

 

「遅い遅い!!!!」

 

レーサーがリオンに追い付いた瞬間、リオンが氷で造形する。

 

「貴様の弱点はその攻撃力のなさ、どんなにスピードがあろうが決め手にかける」

 

「アイス メイク 針鼠(ヘッジホッグ)

 

「何!!?」

 

リオンは背中に大量の氷柱を造形し、レーサーの背後からの攻撃に対抗しようとする。

 

「どうした?自慢のスピードでここまで来てみろ」

 

そう言ってリオンは、またもレーサーに背を向けて走り出す。

 

「甘いなぁ、ギアチェンジ レッドゾーン」

 

レーサーのスピードは先程以上の速さに変わり、一瞬でリオンに追い付く。

 

「何!!?」

 

ドコォン!!

 

「グハァ!!」

 

レーサーは最高速でリオンの腹に拳をぶつけ、リオンを吹き飛ばす。

 

「格下相手に最初から本気でやると思ったか?」

 

リオンは吹き飛ばされながらも、立ち上がり、それでもレーサーから逃げ続ける。

 

「どこへ行く気だ!!」

 

しかし、最高速を出せるようになったレーサーは、同じ行動を許しはしない。

 

「ぐはぁ」

 

一瞬でリオンの背中を蹴り、リオンを殴り続ける。

 

「最初の威勢はどうしたぁ!!」

 

ボコボコに殴られ続けたリオンは、岩に背中をつけ、その喉元に、レーサーがナイフを突きつける。

 

「テメェはオレに決め手にかけると言ったな?だがそんなものは小型のナイフ一本あればいい」

「オレのスピードがあれば、テメェが魔法を使うよりも先にその喉をかっ切れる」

 

「若ぇ内は成長するのも悪くねぇが、相手がよくなかった。オレは六魔将軍だ」

 

「六つの魔

六つの祈り(オラシオン)

決して崩れねぇ六つの柱だ」

 

「その柱を揺らす者には、死 あるのみ」

 

レーサーが喉元に当てたナイフに力を込めると、リオンはゆっくりと呟く

 

「やは…り…」

 

「?」

 

「遠くの鳥がもの凄い速さで飛んでいるのを見て……貴様の魔法の正体が…わかった気がした」

 

「!」

 

「貴様の魔法は自分自身の速度を上げる魔法じゃない、相手の……いや、正確には一定範囲内の体感速度を下げる魔法」

 

レーサーは、徐々に焦りを見せ始める。

 

「つまりはオレが遅くされていただけ、そしてこの魔法が一定範囲にしか効果がない以上、その範囲外から貴様を見たとき、貴様のスピードは奪われる」

 

その言葉と同時に、氷の柱の上で凍らされていたグレイを囲っていた氷が割れ、中から氷の弓を構えたグレイが現れた。

 

「な…この為に、奴からオレを遠ざけて…」

 

 

「成る程、よーく見えるぜ」

 

 

「しかし、あれほどの距離!!!当たるはずがない!!!」

 

「当てる」

 

「何かをなし得ようと、強い想いを持っている時の妖精の尻尾は…最強なんだ」

 

「オオオオオオォ!!!」

 

グレイは氷の弓を引き、レーサーに向けて矢を放った。

 

ズドン!!!

 

矢は一直線にレーサーに向かって進み、レーサーの胸に直撃した。

 

(オレの祈り…それは…誰よりも速く…)

 

「ぐあああああぁ!!!」

 

グレイの矢に貫かれたレーサーは地面に倒れ、動かなくなっていた。

 

そして、ボロボロになったグレイが、リオン達の下へとやってくる。

 

「やったなリオン」

 

「こんなのがまだ5人もいるのか」

 

「もぉ…本当に仲間割れしたのかと思いましたわ」

 

「さすがオレの兄弟子だ」

 

「フン」

 

 

「そーいや、リートはどこに行ったんだ?」

 

「あの方なら、二人ならあの六魔に勝てるハズだから自分のやるべき事をやるって言って、どこかに行ってしまいましたわよ」

 

「そうか、アイツにはとっくにオレ達が勝つってお見通しだったわけか」

 

グレイは、一息つくとリオンに手を伸ばす。

 

「立てるか?」

 

「バカにするな」

 

 

 

「まだだー!!!!」

 

グレイ達が気を抜いた瞬間、レーサーが再び立ち上がった。

 

「六魔将軍の名に懸けて!!!!ただの敗北は許されねぇんだよ!!!」

 

 

レーサーが上着を脱ぎ捨てると、そこには大量の魔水晶が巻き付けられていた。

 

「爆弾の魔水晶!!?まさか!!」

 

レーサーは、迷うことなく三人に向かって走り出す。

 

「一人一殺!!!」

 

ばっ!!

 

グレイが膝をつき、かわすことが出来ない絶体絶命の状況になったとき、リオンがレーサーに飛び付いて、崖へと一緒に転落していく。

 

「リオン!!!」

 

「リオン様!!!」

 

 

「全く世話のかかる弟…」

 

ドゴォォォン!!!!

 

「リオーーーン!!!!」




まぁ、ここは原作とほぼ同じですね、前文でも話した通り、読みたいオリジナルの話しあれば遠慮なく言ってくださいね?

マジで書くと思うんで


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黒い光

なんか、Twitterでこの方が読みやすくなるって言ってる意見があったやり方を実際にやってみました。どうでしょう?これで読みやすくなってくれるならありがたいですが


 ガサガサッ

 

 リートは回復してきた鼻を頼りに、エルザ達の下へと急いで向かっていた。

 

(ようやく少しずつだけど匂いが分かるようになってきたな。とりあえず、ウェンディがエルザの場所についていてくれると助かるんだが……何にしても、一度オレも戻ってみねぇとわかんねぇ、急がねぇとな)

 

 

 …………

 

 

「そこにいるのはわかっている。出てこい」

 

 ジュラが森の中でニルヴァーナの捜索をしていると、人の気配に気がつき、そちらに向けて話しかける。

 

 すると、ジュラの周りの地面が波打ち出し始めた。

 

「!!!」

 

「さすが聖十の魔導師」

 

 

「せい!!」

 

 森の木の陰からホットアイが姿を現し、そこに向けてジュラは岩の柱を複数伸ばしてぶつけようとする。

 

 びちゃ

 

 しかし、ホットアイに柱は当たることなく、目の前で液体のようになり、地面に落ちてしまう。

 

「私は土を柔らかくする魔法、そしてアナタは土を硬くする魔法、さて、強いのはどっちデスカ」

 

「無論、魔法の優劣にあらず、強い理念を持つ者が勝つ」

 

「違いますネ、勝つのはいつの時代も金持ちデスネ」

 

 

 …………

 

 

 ガサガサ

 

 エルザを見守るルーシィ達の下に、ウェンディを担いだナツ達がたどり着いた。

 

「着いたー!!!」

 

「凄ーい!!ホントに頭の中に浮かんだ地図の通りに進んだらたどり着いた!!」

 

「ナツ!!!」

 

 

「どーなってんだ!?急に頭の中にここまでの地図が」

 

 

「それより早くウェンディちゃんを」

 

 レンが急かすようにナツに言うと、ナツはウェンディの肩を揺さぶり始める。

 

「起きろウェンディ!!頼む、エルザを助けてくれー!!!」

 

「落ち着いてナツ!!」

 

「あんまりウェンディに乱暴しないで!!」

 

 肩を揺さぶられていたウェンディは、ゆっくりと目を開け、目の前のナツに怯えてしまう。

 

「ひっ!」

「ごめんなさい……私……」

 

 すっかり怯えてしまったウェンディに、マーラはゆっくりと歩み寄り、ウェンディを優しく抱きしめる。

 

「!」

 

「大丈夫……大丈夫だよ……ウェンディ……何も怖くないよ」

 

 

「うん……うん」

 

 ウェンディが落ち着いてきたところに、ナツがウェンディの目の前で頭を下げる。

 

「今はそんな事どうでもいい!!エルザが毒蛇にやられたんだ!!!助けてくれ!!頼む!!!」

 

「毒?」

 

「うん……ウェンディ、体力を使わせるようで悪いけど、お願いできる?治せるのはウェンディしかいないの」

 

「六魔将軍と戦うには、エルザさんの力が必要なんだ」

 

「お願い……エルザを助けて」

 

 

「もちろんです!!はいっ!!やります!!!がんばりマス」

 

 ウェンディの了承で、その場にいた全員の表情が明るくなった。

 

「よかった~」

 

「いつまでのんびりしてるのよ、だらしない」

 

「ハッピー、しっかりなさいな」

 

 ハッピー、シャルル、ラリカの三匹もホッと一息をつく。

 

「でも、治すにはエルザさんの腕に付いた氷を外さないと……毒の進行を遅らせることは出来てますけど、このままだと治癒魔法も遮断されちゃいます。この氷……普通の氷じゃないですよね」

 

「これ……リートが着けた氷……」

 

「次はリートを連れてこないといけねぇのかよ!!」

 

「リート!!ここに来て邪魔をするんですのね!これが終わったらお仕置きですわ!!!」

 

 

「お前ら言いたい放題だな」

 

 バリン!

 

 エルザの腕に着いていた氷が剥がれ、森の中からリートが現れた。

 

「リート!!」

 

「これでいいか?ウェンディ……悪いな、オレの氷が邪魔しちまって」

 

「はい!これで治癒できます!!」

 

 

 ウェンディはエルザに治癒魔法をかけ、治療を始めた。

 

「リート、グレイと戦ってた六魔将軍はどーなったんだ?ってかグレイは一緒じゃねーのか?」

 

「アイツはグレイに任せてきた、大丈夫、アイツらなら六魔将軍にも充分勝てるハズだ」

 

「大丈夫なんですか?グレイさんもずいぶんとボロボロだったような気がしたんですけど」

 

 マーラが心配そうにリートに訪ねる。

 

「あのくらいでくたばるほど柔な奴はうちのギルドにはいねぇさ」

「それよりもウェンディ、治療にはもう少しかかりそうなのか?」

 

「はい、確実に治せるハズですけど、まだ少しだけかかります。ごめんなさい」

 

「ちょっとアンタ!!あんまりウェンディに無理させるんじゃないわよ!!」

 

 

「まぁまぁ、落ち着いてよシャルル」

 

「マーラは楽観的過ぎるのよ!!」

 

「ヒドイ!?」

 

 

「あー、すまねぇそういうつもりで言ったんじゃねぇんだ、時間がかかるようならオレは一足先にニルヴァーナや六魔の奴を探しに行くべきかと思ってな、気分を害したなら謝るよ」

 

「いえ、大丈夫です。でも、リートさんは一人で行くつもりなんですか?」

 

「あぁ、そのつもりだけど」

 

「大丈夫なんですか?……その……相手はとてつもなく強いのに一人でなんて……」

 

「心配ねーよ」

 

「え?」

 

 ウェンディが不安そうにしていると、ナツが声をかける。

 

「そーよ!リートはとても強いから!心配する必要なんてないわよ」

 

「でも……」

 

「じゃあ、アタシがリートさんと一緒に行くよ。それなら問題ないでしょ?」

 

 マーラが率先して、リートとの同行を宣言する。

 

「オレは構わねぇよ、人手は多いに越したことはねぇしな」

 

「なら決まりだね!よろしく、リートさん!」

 

「あぁ、こっちこそよろしく頼む」

 

 マーラは嬉しそうに、リートに向けて手を差し出す。

 

「?」

 

「もぉーわかってないなー、こーいう時はこーするんだよ」

 

 マーラは空いた手でリートの手を掴み、半ば強引にハイタッチをする。

 

 パァン

 

「じゃあ、行くか」

 

「うん!皆!ウェンディをよろしくね!」

 

 二人は一緒に、森の中へと消えていった。

 

「マーラ……大丈夫かなぁ」

 

「大丈夫!リートがついてるもの」

 

 不安そうにマーラの消えていった森の中を見つめるウェンディに、ルーシィは元気付けようと話しかける。

 

「それより!!ウェンディ、エルザの治療を頼む!!」

 

「は……はいっ!」

 

 

 …………

 

 

「で?リートさんは、これからどこに向かうの?」

 

「……ニルヴァーナ」

 

 リートの発言に、マーラは驚きを隠せずにいた。

 

「え!?リートさんニルヴァーナの場所が分かるの!?」

 

「いや、まったくわかんねぇよ」

 

「うぇ!?」

 

「けど、さっきの集落に行けば手がかりの一つでもあるかと思ってな、それを確認するために今向かってんだよ」

 

「そっか!……でもあそこにはもう六魔将軍は誰もいないと思うよ?」

 

「いなくたっていいさ、ニルヴァーナを先に見つけてぶち壊すか、向こうに見つけられる前に六魔の奴ら全員を叩けばいいだけだからな、オレが今やろうとしてることは前者だ。ニルヴァーナってのがどんなのかはわからねぇがオレ一人でもぶち壊せる可能性があるなら、それに賭けるだけだ」

 

「ニルヴァーナの手がかりがあるかどうかも怪しいですわよ」

 

 リートの頭の上から声が聞こえたと思い、リートが、ふと頭の上を見ると、そこにはラリカが乗っていた。

 

「ラリカ!?いつの間に……」

 

「え?ずっとリートさんの頭の上に居ましたけど……気づかなかったの?」

 

「いつものこと過ぎて、こいつが頭に乗ってもわかんなくなってきた」

 

「ここは私の特等席ですので!当然ですわ」

 

「オレは乗り物か!!」

 

「アハハハ……」

 

 リートとラリカの会話を聞いて、苦笑いを浮かべるマーラ、そして、ラリカがいきなり真面目な顔になり二人に話す。

 

「それよりも、先程の件、おそらくあそこにあるのは棺だけだと思いますわ」

 

「それって……ジェラールって人が入っていた、あの?」

 

「!」

 

 リートは足を止めると、マーラに向かって歩み寄り、マーラの肩を強く掴む。

 

 ガシッ

 

「うぇ!?」

 

「ジェラールってどーいうことだ!?アイツ……ここに居るのか!」

 

「い……痛いですリートさん」

 

 リートは正気になると、慌ててマーラの肩から手を離す。

 

「つっ……すまねぇ」

 

「ナツさんもいきなりジェラールって人に襲いかかってたけど……何があったんですか?」

 

「……ちょっとな……どーしても許せない出来事があったんだ」

 

「許せないこと?」

 

 リートは楽園の塔であった出来事を、マーラに話した。

 

「……そんなことが……」

 

「だから、オレ達はジェラールにあまりいい印象はねぇんだよ」

 

「アタシがウェンディから聞いていた人とは全然違う……そんな印象があるね」

 

「アイツがウェンディにどんなことをしてやったのかは知らねぇが、今のジェラールがあの時のジェラールのままだったとしたら、オレはアイツを許すことはないと思う」

 

「エルザとジェラールを会わせる訳にはいかねぇ……絶対に」

 

 

 …………

 

 

「終わりました」

 

 ウェンディの治療の甲斐あって、多少時間は掛かってしまったが、エルザの体から毒を除去することに成功した。

 

「エルザさんの体から毒は消えました」

 

「「「で!?」」」

 

 ナツ、ルーシィ、ハッピーの三人がエルザの顔色を確認すると、エルザの顔色は元に戻っていた。

 

「ん」

 

「「「おっしゃー!!!」」」

 

「ルーシィ!!ハイタッチだ!!」

 

「よかった~!!」

 

 パン

 

「シャルル~」

 

「一回だけよ」

 

 パン

 

 ナツとルーシィ、ハッピーとシャルルでそれぞれ歓びのハイタッチをかわすと、ナツはウェンディにも手を向ける。

 

「ウェンディ」

 

「!」

 

 パン

 

「ありがとな」

 

「しばらくは目を覚まさないかもですけど、もう大丈夫ですよ」

 

 

「凄いね……本当に顔色がよくなってる、これが天空魔法」

 

 青い天馬のヒビキが、おそらく顔色を確認しただけなのだろうが、エルザに顔を近づけ、あと数センチのところまで顔を近づけていた。

 

「近すぎ!!」

 

 その後、シャルルは真剣な顔でその場にいた全員に話す。

 

「いいこと?これ以上ウェンディに天空魔法を使わせないでちょうだい。見ての通り、この魔法はウェンディの魔力をたくさん使う」

 

「私の事はいいの、それより私……」

 

 

「後はエルザさんが目覚めたら反撃の時だね」

 

 

「うん!!打倒、六魔将軍!!」

 

「お──っ!!ニルヴァーナは渡さないぞぉ!!!」

 

 全員が気合いを入れ直した瞬間、遠くから黒い光の柱が現れた。

 

「あれは……ニルヴァーナなのか!!」

 

「まさか、六魔将軍に先を越された!!?」

 

「あの光……ジェラールがいる!!」

 

 そう言ってナツは、光の方へと走り出す。

 

「ジェラール!!?ナツ!!!ジェラールってどーいうこと!!?」

 

「私のせいだ……私の……」

 

 

 

「会わせる訳にはいかねぇんだ、エルザには!!!アイツはオレが……潰す!!!」




リート達、今回の戦う相手もう決まってるんですよねぇ…問題はそこまでの流れにどうやって持っていくか…


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光と闇

今この作品のオリジナルがいくつか候補があるんですけどどれを優先しようかちょこっと悩んでるんですよねぇ、まぁ、投稿するとしても早くてもエドラス終わらせてからって考えてるんですけどねw


「なんだ!!?あの光は!!」

 

 リート達が見ていた方角には、黒い光の柱が上がっていた。

 

「もしかして……あれがニルヴァーナかも!!」

 

「なに!!?」

 

「誰かが見つけたっていうことかもしれませんわね……連合軍か……はたまた、六魔将軍か……」

 

 ラリカがそう呟いたことで、リートは焦り始める。

 

「もし、六魔の誰かが見つけてたらシャレになんねぇぞ!!急いで向かわねぇと!!」

 

 リートが、急いで光のある方角に走り出す。

 

「あっ!待ってよ~!!おいてかないで~」

 

 マーラも、急いでリート達を追いかけていった。

 

 リート達が走っていると、少しばかりリートは異変を感じ取っていた。

 

(なんだ?……あの黒い木から何か溢れてニルヴァーナの方に吸いとられている……?)

 

(とにかく!!行ってみねぇと始まらねぇか)

 

 

 

 …………

 

 

「リオーーン返事しやがれ!!リオーーン!!」

 

 グレイはレーサーを倒した後、自爆しようとしたレーサーと共に崖から落ちていったリオンを必死に探していた。

 

「くそっ……なにがどーなってんだ」

 

 そして、グレイの後ろには、グレイを睨み付けるシェリーの姿があった。

 

(リオン様は誰のせいで……)

 

(……こいつか)

 

 

 …………

 

 

「あれは、一体……」

 

「ニルヴァーナ……デスネ」

 

 ジュラとホットアイが戦っている場所からも光の柱が見え、二人の視線は光へと向いていた。

 

「!」

 

 

「安心てくださいネ、まだ本体は起動してない」

 

 

「どーいうことだ」

 

 

「あれは封印が解かれただけ、しかし、お金のニオイがプンプンするデスネ……んふふふ」

 

 ジュラは今現在、自分がどう動くべきかを必死に考える。

 

(こんな奴と戦っている場合ではないか……いや、しかし……任務は六魔将軍の討伐!!戦うかニルヴァーナを止めるか……)

 

 

「金……金……これで私たちは金持ちに……」

 

「!」

 

 先程まで優々と喋っていたホットアイがいきなり苦しみだし、ジュラもその光景に困惑する。

 

「お……おお……お……おおおおおおおぉ!!」

 

「な……何だ今度は!?」

 

 

 …………

 

 

「いたぞ!!妖精の尻尾と化猫の宿だ!!」

 

「よくもレーサーさんを!!」

 

 リート達が急いでいるところに、まだ倒されていない闇ギルドの残党が襲いかかってきた。

 

「えぇ!?まだこんなに敵がいたの!?」

 

「っち……このクソ忙しいときに」

 

 

「レーサー直属ギルドの鉄の処女(アイアンメイデン)の力を思い知らせてやる!!」

 

 

「あら、なかなかセンスあるネーミングですわね。あのギルドの名付け親はネーミングセンスだけは称賛に値しますわよ」

 

「拷問器具の名前に嬉しそうに反応してんじゃねぇよ!!!」

 

「二人とも呑気に話してるけど来るよ!!?」

 

 リートはラリカを頭にのせて、マーラと共に敵の攻撃を後ろに跳ねてかわした。

 

「あっぶな!?」

 

「なろ……氷竜の硬拳!!」

 

「花火砲!!」

 

 リートとマーラは体制を立て直すと、リートは拳に氷を纏い攻撃、マーラは両手を前に出し、バスケットボールサイズの光の玉を造り、勢いよく敵に向けて放つと、光の玉は相手にぶつかった瞬間に爆発した。

 

 

「「うぎゃぁぁぁ!!!」」

 

「怯むんじゃねぇ!!相手は二人だ!!数で圧しきれぇ!!」

 

 うおおおおぉ!!

 

 

「氷竜の……咆哮!!」

 

 うわぁぁぁ!!!

 

 うおおおおぉ!!!

 

 リートのブレスにより、かなりの人数がダメージを受けて吹き飛ばされたハズだが、それでも吹き飛ばされた敵の後ろから、また新しい敵が現れ、リート達に向かって攻めてくる。

 

「ダメージを無視して突っ込んで来る!?」

 

「敵に回すと厄介なタイプの奴らだな」

 

「どうしますのリート」

 

「片っ端から片付けていくしかねーだろ」

 

 リートとマーラは横並びになり、敵に向けて構えをとる。

 

「今だ!!!」

 

 敵の一人が指示をだすと、リート達の周りの木の上から隠れていた敵が現れ、催眠魔法をかける。

 

「うっ……」

 

「眠気が……」

 

「マーラ!!?ラリカ!!?」

 

 二人は寝てしまい、そのまま意識を失った。

 

「今だ!!全員で襲いかかれ!!!」

 

 敵が一斉に、リートに向かって襲いかかる。

 

「くそっ……意外と厄介だな」

 

 リートは懐にラリカを入れ、脇にマーラを抱え込み、敵と戦いながら距離をとり始める。

 

「くっ……」

 

 気がつけばリートが逃げた先は、崖になっており、下には川が流れていた。

 

「追い詰めたぞ!!大人しく殺されるか、最後まで無駄な足掻きをするか好きな方を選べ!!」

 

「じゃあ、最後まで足掻くっつーことで」

 

 ピキィン!

 

「氷竜の凍剣!!」

 

 リートは空いた手に氷の剣を造ると自分の目の前の崖を切り裂いて自分はそのまま川へと落ちていった。

 

「なに!!?」

 

「んじゃな」

 

 

 ザバァァン!!!

 

 リート達が川に落ちるのを、ただ何もせずに見ているしかなかった鉄の処女のメンバーは、一瞬だけ呆気にとられた後、すぐに我にかえる。

 

「はっ!さ……探せ!アイツらはまだ生きているハズだ!!川を辿って探せば必ず見つかる!!絶対に見つけ出せ!!」

 

 

 

 

 ザバァァ

 

「げほっげほっ……っ……はぁ、はぁ」

 

 リートはマーラとラリカを抱えながら川から上がると、近くの森に身を潜める。

 

「くそっ……まさかニルヴァーナからここまで離されるなんて……まださっきの奴らはオレ達を探しているだろうし……二人が起きるまでは迂闊に動けねぇな」

 

 

 …………

 

 

「ナツくんを追うんだ」

 

 ナツが飛び出して行った後、取り残されたルーシィ達は、ナツを追いかけようとしていた。

 

「ナツ……ジェラールとか言ってなかった?」

 

「説明は後!とにかく今はナツを」

 

「あ────!!!」

 

 シャルルがいきなり大声を上げ、全員が慌ててシャルルの方をみやる。

 

「エルザがいない!!」

 

「あ……ああ……」

 

 ウェンディが動揺し始め、他の者達は焦り始める。

 

「なんなのよあの女!!ウェンディに一言の礼も無しに!!!」

 

「エルザ……もしかしてジェラールって名前聞いて……」

 

 

「どうしよう……私のせいだ……私がジェラールを治したせいで……ニルヴァーナが見つかっちゃって、エルザさんやナツさんや……」

 

 ドォン!!

 

「!」

 

 動揺しているウェンディに向けて、ヒビキは衝撃波で吹き飛ばす。

 

「ちょっ!」

 

「あんたいきなり何すんのよ!!!」

 

 

 …………

 

 

「おおおおぉ!!!金!金!金!」

 

 ジュラと戦っていたホットアイも未だに苦しんでおり、ジュラはその様子を見て戸惑い続けていた。

 

「な……なんだと言うのだ」

 

「金ー!!!!……などいりませんデス」

 

「え?」

 

「ワタシ生き別れた弟の為に必死デシタ。お金があれば見つけ出せると思ってましたデス。しかし……それは過ちだと気がついてしまったデスネ」

 

「さぁ、争う事はもう止めにするデスヨ。世の中は愛に満ちています!!おぉ!!愛!!!なんと甘美で慈悲に溢れる言葉でしょう。この世に愛がある限り、不可能はないのデス!!」

 

 ホットアイは先程とは別人のように愛を連呼し始め、ジュラはもはや言葉も出せずにただ黙って見ていた。

 

「さぁ!!共にかつての私の仲間の暴挙を止めましょう!!彼等に愛の素晴らしさを教えるのデス!!!」

 

「えー……と……」

 

 

 …………

 

 

「驚かしてごめんね、でも気絶させただけだから」

 

 ヒビキはウェンディを背負って、ナツが向かって行った方向を目指して走っていた。

 

「どうして!?てか何で走ってるの!!?」

 

「ナツくんとエルザさんを追うんだよ。僕たちも光に向かおう」

 

「納得できないわね、確かにウェンディは、すぐ ぐずるけどそんな荒っぽいやり方」

 

「そうだよ」

 

 

「……仕方なかったんだよ」

 

 ヒビキは、暗い顔で話しを続ける。

 

「本当の事を言うと……僕はニルヴァーナという魔法を知っている。ただその性質上誰にも言えなかった。この魔法は意識してしまうと危険だからなんだ。だから、一夜さんもレンもイヴも知らない、僕だけがマスターから聞かされている」

 

「どういう事?」

 

「これはとても恐ろしい魔法なんだ。光と闇を入れ替える……それがニルヴァーナ」

 

「光と……」

 

「闇を……」

 

「入れ替える!!?」

 

「しかし、それは最終段階、まず封印が解かれると黒い光が上がる。まさにあの光だ」

 

「黒い光は手始めに光と闇の挾間にいる者を逆の属性にする。強烈な負の感情を持った光の者は、闇に落ちる」

 

「それじゃあウェンディを気絶させたのは!!」

 

「自責の念は負の感情だからね。あのままじゃウェンディちゃんは闇に落ちていたかもしれない」

 

 話しを聞いていたルーシィは、とっさにある疑問を抱く。

 

「ちょっと待って!!それじゃあ怒りは!!?ナツもヤバイの!!?」

 

「何とも言えない……その怒りが誰かの為ならそれは負の感情とも言い切れないし」

 

「どうしよう……意味がわからない」

 

「あんたバカでしょ」

 

 頭を抱えて理解できずにいたハッピーに、シャルルは簡潔に説明した。

 

「つまりニルヴァーナの封印が解かれた時、正義と悪とで心が動いている者が性格が変わっちゃうって事でしょ」

 

「それが僕がこの魔法の事を黙っていた理由、人間は物事の善悪を意識し始めると思いもよらない負の感情を生む」

 

「あの人さえいなければ、辛い思いは誰のせい?何で自分ばかり……それらすべてがニルヴァーナによってジャッジされるんだ」

 

「そのニルヴァーナが完全に起動したら、アタシたち皆悪人になっちゃうの?」

 

「でもさ……それって逆に言うと闇ギルドの奴らはいい人になっちゃうって事でしょ?」

 

「そういうことも可能だと思う。ただニルヴァーナの恐ろしさはそれを意図的にコントロールできる点なんだ」

 

「そんな!!」

 

「例えばギルドに対してニルヴァーナが使われた場合、仲間同士の躊躇なき殺し合い、他ギルドとの理由なき戦争……そんなことが簡単に起こせる」

 

「一刻も早く止めなければ、光のギルドは全滅するんだ」




ってなわけで、またアンケートでも取ります。とりあえず見てみたい物語を投票で教えてもらえると嬉しいデスネ


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ペアルック?

ここだけの話し、ぶっちゃけ今までアンケートで選ばれなかったオリジナルの話し途中まで書いてるんですよねぇ…完結はさせてないけど……

その内選ばれなかった話しだけでまたアンケートしようかな……?

よくよく考えたらオリジナルばっかり書いとるな主は、本編が中々進んでないような気がするが、いいのだろうか?


「うぅーん…はっ!」

 

 マーラが目を覚ましたときには、日が沈みかけており、隣ではラリカが眠っていた。

 

「よう、目ぇ覚めたか」

 

「リートさん?…はっ!そういえば私!敵に眠らされて!!」

 

「あぁ、あの後オレ達は敵から逃げながら川に落ちちまってな、何度か見つかっては倒して移動してって繰り返しながら二人が目を覚ますのを待ってたってところだ」

 

「そうだったんだ…ごめんなさい!!私がついて来たばかりに足を引っ張っちゃって」

 

「気にするな、お前が悪い訳じゃない、今回の事態は想定外だったことだ。オレも気にしてねぇよ」

 

「でも…私のせいだし…」

 

 リートはゆっくりとマーラに歩み寄ると、マーラの頭に優しく手を置く。

 

「失敗をしねぇ機械みたいな人間なんてこの世にいねぇんだ。大事なのはどうやって失敗した分を取り戻すか…だろ?」

 

 マーラの表情は明るくなり、元気よく頷いた。

 

「うん!」

 

「さて、後はラリカが目を覚ますのを待つだけだが…」

 

 リート達が川沿いでラリカが目を覚ますのを待っていると、川の近くの滝から音が聞こえる。

 

「きゃああああぁ!!!!」

 

「!?」

 

「え!?何!!?」

 

 ドッパァン!!!

 

 リート達は音がした方へと急いで向かうと、ルーシィとナツが、気を失ったまま川上から流れてきていた。

 

「ナツ!!?」

 

「ルーシィさん!!?」

 

 リートとマーラは、慌てて川から二人を引き上げる。

 

「何で二人は滝の上から落ちてきたんだろう」

 

「わかんねぇけど、何かしらの戦いはあったんだろうな…ルーシィの身体はどう見てもボロボロだ」

 

 

「それは私が説明します」

 

 ルーシィの鍵からバルゴが突然現れ、二人は目を丸くする。

 

「うおっ!バルゴ!?」

 

「え!?誰この人!」

 

「ナツ様と姫は、六魔将軍との戦いを先程の滝の上で行い、勝利したものの、イカダごと落ちてしまったのです」

 

 バルゴの話しを聞いたリートは、即座に状況を理解し、頭を整理する。

 

「あぁ~、成る程…要するにイカダにナツが乗っていて、六魔との戦いを終えたルーシィがそれを助けようとしたところをドボンってところか」

 

「流石ですね」

 

「え?何でさっきの説明でナツさんがイカダに乗っていたとか分かるの……?」

 

「で?これからどうするんだ?コイツらをここにずっと居させるわけにもいかねぇし、ルーシィなんてボロボロだし」

 

「そこは大丈夫です。こちらに星霊界のお召し物が4着とラリカ様用のサイズが1着ございます」

 

 バルゴは手元に服を用意すると、マーラに1着、リートに1着手渡した。

 

「わぁー、素敵な服…でも何でペアルック?」

 

「確かに…」

 

「ペアルックの方が喜ばれるかと思いまして」

 

「別に喜ばねぇよ」

 

「お仕置きですか?!!」

 

「そーゆーのはルーシィの担当だろうが!!」

 

「どちらにせよ、服は着替えた方がよろしいかと思います、お二方はご自分の服を、私はナツ様と姫、そして、ラリカ様の着替えを済ませてしまいますので」

 

 バルゴはそそくさと、ルーシィ、ナツ、ラリカの順番に着替えを済ませ、更には治療まで済ませていく。

 

「はぁ~、まぁせっかく気を使ってくれたんだ。オレたちも着替えようぜ」

 

「う…うん…そうだね」

 

 リートとマーラは、木の影に隠れて着替えを済ませた。

 

「ホントにペアルック…」

 

「こーゆーのをありがた迷惑って言うんだろうな」

 

「お二人ともよくお似合いです」

 

 バルゴはそういって、リートたちの脱いだ服を拝借した。

 

「お…おい」

 

「ご安心ください、後程きちんと綺麗に洗ってお返しいたしますので」

 

「そうか、ならいいか」

 

「え?私はあまりよくないんだけど…この戦い終わったら化猫の宿まで返しに来てくれるんだよね?ねぇ」

 

「それは了承しかねます」

 

「そこは了承してほしいんだけど!!?」

 

「お仕置きですね!!」

 

「初対面の私にまでふらないでよ!!」

 

 そうして話している間に、ルーシィが目を覚まして起き上がる。

 

「ん?…痛た…あれ?治療、てか何!?この服」

 

「お?起きた」

 

「リート!!?」

 

「星霊界のお召し物でございます」

 

「バルゴまで!!?」

 

「ここどこだ?」

 

 ナツも目を覚まして起き上がる。

 

「因みに姫のカラーはナツ様と、リート様はマーラ様とラリカ様とお揃いとなっております」

 

「いらんお世話!!!」

 

「ジェラール!!!あの光はどこだ!!?」

 

「うーん…うるさいですわよ」

 

 ナツの声に反応し、ラリカもようやく目を覚ます。

 

「やっと起きたか」

 

 ボオオォ!

 

 ナツが辺りを見渡すと、先程まで黒色だった光の柱は白色に変わっていた。

 

「近いわ…てか、色変わってない?」

 

「お前らが気を失ってる間に変色しやがったんだよ」

 

「ぐぐぐ…はぁ」

 

 ナツはしばらく歯を食い縛った後、肩の力を脱いてルーシィの方を見る。

 

「危なかった、ありがとな」

 

「な…何よいきなり」

 

「「でぇきてるぅ(ですわ)」」

 

「どこでハッピーのマネなんか覚えたの?」

 

「そういや、リートは何でこんな所にいるんだ?」

 

「色々とあったんだよ…お前らこそハッピーはどうした?エルザも置いてきたのかよ?」

 

「みんなはぐれちゃったのよ」

 

「ちょっと待って!もしかしてウェンディも!?ウェンディは一人なの!?」

 

 マーラは慌ててルーシィに詰め寄ると、ルーシィはゆっくりとマーラをなだめる。

 

「だ…大丈夫、ウェンディはシャルルがついてるから、一人じゃないから」

 

「そう…よかったぁ」

 

 ウェンディがひとまず無事だと分かり、マーラはその場に座り込んだ。

 

「まぁ、とりあえず全員が目を覚ましたことだし、これからやることは決まったな」

 

「あぁ、オレたちだけでもあの光へ行く」

 

「姫、私はこれで失礼します」

 

 バルゴは、ルーシィの意思と関係なく、星霊界へと帰っていった。

 

「あっ!!バルゴ!!!って…」

 

 ルーシィは、バルゴが本人の意思で門をくぐり抜けてきたことに疑問を感じた。

 

(今…自分自身の魔力で門をくぐってきてた…もしかしてアタシ、今の魔力0!!?)

 

 ガサガサッ

 

「ひっ!?」

 

「え?何?」

 

「何か来ますわよ」

 

 リート達が音のした方へと振り向くと、木陰からフラフラとシェリーが現れた。

 

「シェリー!!」

 

「よかった!!無事だったんだね」

 

「お前…グレイ達が六魔と戦っているときに近くにいた…」

 

「おまえ…確かガルナ島の」

 

「おまえ一人どんだけ遡ってんだよ」

 

 

「見つけた…妖精の尻尾の魔導士…」

 

「?」

 

 シェリーは周りの木を魔法で操り、臨戦態勢に入る。

 

「くくくっ」

 

 シェリーの魔法がリート達に襲いかかる瞬間、シェリーの後ろからグレイが羽交い締めにする。

 

「バカヤロウがっ!!!!」

 

「グレイ!!」

 

「無事かお前ら!!!」

 

 グレイは地面にシェリーを押さえ付け、シェリーは抜け出そうと必死に暴れる。

 

「放せ!!クソッ!!まだ生きていたのか!!!!リオン様の仇!!!!」

 

「こいつ…あの光の後おかしくなっちまってよ」

 

「おまえも、さっきまでおかしかったじゃねーか!!!」

 

「は?」

 

「ナツ、あれは偽物よ」

 

「許さない!!!リオン様の仇!!!!」

 

 

 リートとマーラは、状況を理解できずにただ立ち尽くしていた。

 

「なんなの?…一体…」

 

「知らん」

 

「リオン様がやられたということですの?」

 

「グレイは生きてるのにか?」

 

「私がわかるわけないじゃありませんの」

 

 

「誰の仇だって?」

 

 シェリーが暴れていると、川沿いからまた一人、リート達の下へとやって来た。

 

「!」

 

「オレを勝手に殺すんじゃない」

 

 川沿いからやって来たのは、自爆に巻き込まれたと思っていたリオンだった。

 

「リオン様…」

 

「しぶてぇんだコイツは」

 

「貴様ら程じゃない」

 

「なんだとぉ!!?」

 

「そこ噛みつくとこ?」

 

「ラリカ、オレってしぶといかな?」

 

「ゴキブリ以上ゾンビ未満じゃありませんの?」

 

「ラリカちゃんの例えって、人じゃないんだね…」

 

 

「よかっ…た…」

 

 シェリーは涙を流して、そのまま意識を手放した。

 

 ブシャア!

 

 気を失ったシェリーの身体から何か気の塊のようなものが抜きでて、空へと飛んでいった。

 

「何だあれ?」

 

「やっぱり何かにとりつかれていたか」

 

「これが…ニルヴァーナ…」

 

 

「さて…とにかく、いつまでもここでじっとしてても始まらねぇ、そろそろ光の柱に行くか」

 

 リート達が動き出そうとした瞬間、地響きが起こり、地面から巨大な触手のようなものが現れた。

 

「何だ!!?」

 

「そこら中の地面から!!」

 

 ニルヴァーナが本格的に動きだし、タコのような形になり、その中心の建物にはブレインが乗っていた。

 

「ついに…ついに手に入れたぞォ!!!!光を崩す最終兵器、超反転魔法ニルヴァーナ!!!!」

 

「正規ギルド最大の武器である結束や信頼は、今…この時をもって無力となる!!!!!」

 

 

 うおおおおっ!!!

 

 ナツ達は触手を辿って、中心の建物へとよじ登っていた。

 

「てか、お前ら、なんでそれぞれペアルック?」

 

「今それどころじゃねぇだろ!!」

 

「あまり弄らないで!!」

 

「知らないわよ!!!」

 

「気がつけば私も着替えさせられてますわね」

 

「これを伝って本体に殴り込みだ!!!」

 

 ナツ達が触手をよじ登っていると、ニルヴァーナが動き出す。

 

 ズシィンズシィン

 

「「うっぷ」」

 

「何してんだ、ナツ!!リート!!」

 

「ちょっと!!しっかりしなさいよ!!!」

 

「二人とも大丈夫~?!!」

 

 

「こ…これ…動いてる……」

 

「乗り物じゃねぇのか…?」

 

「動いてるけど乗り物じゃねぇ!!!そう思い込め!!!」

 

「「キモチワリィ…」」

 

「こ…これ…タコの足だから!!!あんた達、生き物の上なら平気でしょ!!」

 

 ナツとリートが乗り物酔いであることを理解できていないマーラは一人戸惑っていた。

 

「え?…え?」

 

「タコは森にいねぇし…」

 

「そもそもこんなデカイタコとかいねぇし…」

 

「妙なとここだわらない!!!」

 

「はぁ…仕方ありませんわね」

 

 ラリカは、翼でリートを持ち上げて空を飛ぶ。

 

「お?」

 

「これで酔いも治りますでしょ?」

 

「流石相棒」

 

 リートはラリカに連れられて、触手から離れて空を飛んだ。

 

「お…おお…お」

 

 しかし、ハッピーがいないナツは、酔いで力が抜けてズルズルと落ちていく。

 

「ナツ!!!」

 

「バカ!!力を抜くんじゃねぇ!!」

 

「ナツさん!!?」

 

「ラリカ!!ナツも一緒に持って飛ぶんだ!!」

 

「無茶言わないで下さいまし!!!」

 

 ズルッ

 

 ついにナツは触手から落ちてしまう。

 

 あああああぁぁぁ

 

「ナツー!!!」

 

 キィィィン!!

 

 地面に落ちていくナツを、ハッピーが空中で見事キャッチする。

 

「ハッピー!!」

 

「「はぁ」」

 

「よかった!」

 

 

「かっこよ過ぎるぜ…ヒーロー」

 

「どう?ナツ、オイラと風になるのは気持ちいいでしょ?」

 

「ああ、最高だ!!!」

 

「ナツとリートはそのまま上に行け!!オレ達はそこにある穴から入ってみる」

 

 グレイは近くの穴を指差してそう言うと、穴に向かって進みだす。

 

「「おう!!」」

 

「あいさー!!!」

 

「いきますわよ!!!」

 

 




マーラは今回物語はともかく主としては充分に役にたってくれてます。

そう、戦いまでの時間稼ぎとして!!!


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最初の標的

とりあえずリートを戦いに参加させますが…違う…リートと戦わせたいのはコイツじゃないんだ…


「ついにやったな!!ブレイン!!!ニルヴァーナを手に入れたぞ!!!」

 

ニルヴァーナを動かしたことで、ニルヴァーナの頂上にいたコブラが喜び声を上げる。

 

「すげぇ、これが古代人の遺産…キュベリオスすげぇぞこりゃ」

 

 

「見よコブラ、眼下に広がるこの世界を」

 

ブレインに言われて、ニルヴァーナから地上を見下ろすコブラ。そしてブレインはコブラの隣に立ち話し続けた。

 

「古代人の都市、それこそがニルヴァーナの正体」

 

「この王の間において、我が意志により、思いのままに動く都市だ」

 

「動くって、どっかに向かってんのか?コイツは」

 

ブレインは、ニヤリと笑い地上を見下ろす。

 

「ここからでは狙えんからな あのギルドは」

 

「最初の標的か」

 

「光崩しの始まりの地とでも言っておこうか」

 

ブレインはニルヴァーナを操作し、ニルヴァーナは動き出す。

 

「進め!!古代都市よ!!!我が闇を光へと変えて!!!!」

 

 

 

「させるかぁぁぁ!!!!」

 

「オレが止めてやるぁぁぁ!!!」

 

ブレインの行動を阻止しようと、リートとナツの二人が攻撃を仕掛ける。

 

「うぬらは…」

 

ボゴォ!!

 

ナツはブレイン達にブレスを吹き付けるが、二人はブレスをかわした。

 

そして、ナツのブレスの直線上にリートが現れ、同じくブレスをぶつけて爆発を起こし、ブレイン達を巻き込もうとする。

 

「くっ、コブラ!!やつらをここで暴れさせるな!!!」

 

「おう!!!キュベリオス!!!」

 

ブレインの指示で、コブラはリートとナツの攻撃を避けながら相棒の蛇に指示を出し二人に攻撃する。

 

「がっ」

 

「ぐっ」

 

「うわ!!」

 

「きゃっ!!」

 

二人は空中で吹き飛ばされ、ナツは視線をキュベリオスを向け炎を放とうとする。

 

「んなもの全部オレが燃やして…」

 

ナツが炎を放とうとした瞬間、コブラがキュベリオスを足場に、ナツ達のいる空中まで跳ね上がりナツを殴り飛ばす。

 

ガッ

 

「うわー」

 

「くらえ!」

 

リートがコブラの後ろに回り込み、パンチを打つが、コブラは体を反転させて、リートの拳を掴み腹に蹴りを入れる。

 

「ぐあっ」

 

「聴こえてんだよ」

 

「くっそー…!」

 

二人がコブラを見ると、キュベリオスから羽が生え、その背中にコブラが立っていた。

 

「ぬあっ!?」

 

「蛇が飛んでるよー!!!」

 

「ラリカよ…蛇に羽なんか生えてたっけ?」

 

「生えてるわけありませんわ」

 

 

「テメェら、オレの聴こえた話しじゃ乗り物に弱いと言われてなかったか?」

 

コブラが二人に聞くと、二人はいきなり怒りだした。

 

「ハッピーは乗り物じゃねぇ!!!」

 

「ラリカは、れっきとしたオレの相棒だ!!乗り物とか言うな!!」

 

「そうだー!!」

 

「レディを乗り物扱いするなんて!!内蔵をくりぬいて丸焼きにしますわよ!!」

 

 

「成る程、だから常に空を飛んでいるという訳か、ニルヴァーナに立つことはできないから」

 

「どけよ!!!」

 

「オレたちはこのデカブツを止めねぇといけねぇんだ!!邪魔すんじゃねぇよ!!」

 

 

「やれるモンならやってみやがれ、ブレインには近づけさせねぇ」

 

ナツとリートは、同時にニルヴァーナの上にいるブレインを見下ろす。

 

「あいつが動かしてんのか」

 

「なら話しは早ぇ」

 

リートは、真っ先にブレインの下へと向かう。

 

しかし、それをコブラが素直に行かせるわけもなく、リートの前にふさがった。

 

「オレを無視してブレインを優先して倒せば解決か?聴こえてんだよ。させるわけねぇだろ」

 

「ちっ…」

 

「軌道を…読まれましたわ」

 

「え?」

 

「チャンスだ!!ハッピー!!!」

 

「あいさー!!!」

 

ナツとハッピーの二人も、コブラの横を振り切りブレインに向かおうとする。

 

「それも聴こえてんだよ」

 

キュベリオスがナツとハッピーを尻尾で、はたいてブレインに向かっていた二人を止めた。

 

リートとナツの二人は、コブラを睨み付けた。

 

「そうだ、それでいい。遊ぼうぜ」

 

「くそー邪魔だなあいつ」

 

「チームワークならオイラたちだって負けないよ」

 

「けど、何にしてもアイツを倒さねぇと、ニルヴァーナを動かしてるあのガングロには近付けねぇな」

 

「先に倒すしかありませんのね」

 

「そうなるな」

 

「くくく、全部聴こえてるぜ、やれるモンならやってみな」

 

「コブラ、やつらを始末しろ」

 

「あいよ!!!キュベリオスのエサにちょうどいいぜ!!!」

 

「私をエサにしようとはいい度胸ですわ、やっておしまいなさいな!!!リート!!!」

 

「うん…だと思ったわ…」

 

キュベリオスがリートに向かってくると、リートは大口を開けたキュベリオスを、ひらりとかわした。

 

「おっと」

 

キュベリオスがリートに夢中になっていると思ったナツが、コブラに向けて攻撃を仕掛ける。

 

「火竜の…」

 

「鉄拳!!!」

 

ひゅるん

 

しかし、ナツの攻撃はかわされ、キュベリオスの尻尾に、また叩かれる。

 

「ぐぼぉ」

 

「氷竜の…」

 

「鉤爪!!!」

 

ガシッ

 

「!」

 

「無駄だ」

 

リートの蹴りをコブラが片手で受け止め、ナツのいる方角へ投げ飛ばす。

 

「うおっ!!?」

 

「ぐぼっ!!」

 

「言っただろ?テメェらの攻撃は聴こえている。オレに攻撃は当たらねぇ」

 

「落ちろぉ!!!」

 

コブラの掛け声で、キュベリオスが二人をはたき落とした。

 

「「ぐあああぁ!!!」」

 

二人は、ニルヴァーナに真っ逆さまに落ちていく。

 

「ハッピー!!!」「ラリカ!!!」

 

「わかってる!!!」「お任せなさい!!!」

 

二人は地面スレスレで、何とか持ちこたえ、超低空飛行で地面から浮いていた。

 

二人が息をつこうとした瞬間、後ろからキュベリオスが二人を食べようと襲いかかる。

 

「わっ!」「きゃっ!」

 

「うおっ!」「あっぶ!」

 

ハッピーとラリカは、二手に別れてニルヴァーナ内を飛び回る。

 

「どうしますの?リート、このままじゃじり貧ですわよ」

 

「あぁ、確実に奴の不意をついて攻撃できれば勝機はあると思うんだけどなぁ」

 

コブラとキュベリオスは、ナツ達を追って行き、リートとラリカは物陰に隠れて作戦を練る。

 

「どーすっかな…こっちの攻撃が読まれてるんじゃ不意打ちは状況的にかなり厳しいだろうし」

 

「敵は今、ナツとハッピーを追っているのですから、そこに後ろからドカン!って言うのはどーですの?」

 

「そんなアッサリとやられてくれる敵には思えねぇけど…」

 

「何もしないまま、ナツ達がやられるのを待つよりかは、よろしいんじゃなくて?」

 

リートは腕を組んで悩み、決断する。

 

「うーん…まぁそれしかねぇか」

 

「決まりですわね。私を蛇のエサにしようとしたのですから、十字架に張り付けて、手足に杭を打ち込み苦しんで後悔する様をハーブティーを頂きながら思う存分鑑賞してやりますわ」

 

「妬みまくってんなぁ…」

 

リート達が空へと戻ると、未だコブラがナツを探しているところを発見する。

 

「いた」

 

「まだ早いですわね」

 

リート達は、そのままコブラの監視を続ける。

 

そして、コブラが見る先には、物陰に潜み、コブラを待ち構えるナツとハッピーの姿があった。

 

「何やってんだ…アイツ」

 

「あの壁を破壊した瞬間に攻撃しようとしてるんですわね…意外といけるかもしれませんわよ?」

 

しかし、そんな手がコブラに通用するハズもなく、キュベリオスが尻尾でナツの隠れている壁を破壊すると煙に紛れて見えなくなる。

 

「行くなら今だな、ラリカ頼んだ」

 

「了解ですわ!」

 

 

 

「そこだ!」

 

ナツは、壁が破壊されたのを確認すると、物陰から飛び出しコブラに攻撃しようとする。

 

「あれ?」

 

しかし、そこにコブラの姿はなく、ナツの背後からコブラが現れて蹴りを入れた。

 

「聴こえてるぜ」

 

「んぎゃ!!」

 

 

「オラぁ!!」

 

コブラの、真上からリートが拳を構えて殴りかかる。

 

「テメェらの作戦は全部聴こえてんだよ」

 

ブォン

 

「!」

 

「くらいな!」

 

ズガァ

 

コブラはリートの拳をかわすと、リートを蹴り飛ばした。

 

「ぐあぁ!」

 

 

………

 

 

ニルヴァーナの都市内に入り込んだ、グレイとルーシィとマーラも、その内部に驚いていた。

 

「なんだここは?」

 

「不思議なところ…」

 

「街みたいね」

 

 

「その通りデスネ、幻想都市ニルヴァーナ」

 

「「「!!!」」」

 

この場にいる三人以外の声が聴こえ、声がした方へと振り返ると、そこにはジュラとホットアイの二人がいた。

 

「そなたたちもここにいたとは、心強い」

 

「リオンとこのオッサン!!」

 

「…と六魔将軍!!?」

 

「えええぇ!!!?」

 

 

ホットアイがいることで三人は警戒するが、ジュラがそれを止める。

 

「案ずるな、彼は味方になったのだ」

 

「世の中愛デスネ」

 

 

「うそぉ!!?」

 

「あのオッサン悟りの魔法でも使えんのか!!!?」

 

「ジュラさんスッゴーイ!!」

 

 

「ここはかつて古代人ニルビット族が住んでいた都市デス」

 

ホットアイが、過去にこの場所で何があったかを話し始める。

 

「今からおよそ400年前、世界中でたくさんの戦争がありました。中立を守っていたニルビット族はそんな世界を嘆き、世界のバランスをとる為の魔法を作り出したのです」

 

「光と闇をも入れ替える超魔法、その魔法は平和の国ニルヴァーナの名がつけられましたデスネ」

 

「皮肉なモンだな。平和の名を持つニルヴァーナが今…邪悪な目的の為に使われようとしてるなんてよォ」

 

「うん…これじゃあニルヴァーナを作った人が報われないよね」

 

「でも…最初から光を闇にする要素をつけなきゃいい魔法だったのにね」

 

「仕方あるまい…古代人もそこまで計算していなかったのかもしれん。強い魔法には強い副作用があるものだしな」

 

「とにかく、これが動いてしまった事は大変な事デス。一刻も早く止めなければなりませんデスネ」

 

「当たり前だ」

 

「うん!!」

 

「よーしっ頑張らなくっちゃ!!」

 

グレイとルーシィとマーラは、気合いを入れ直した。

 

「ブレインは中央の『王の間』からこの都市を動かしているのでしょう。その間ブレインは魔法を使えません。たたくチャンスデス」

 

「動かすって、どこかに向かってんのか?」

 

「おそらくは…しかし、私は目的地を知りませんデス」

 

 

「そうさ、父上の考えはボクしかしらない」

 

 

「「「「!!!」」」」

 

全員が慌てて振り向くと、建物の上に目を覚まして戦いに来たミッドナイトの姿があった。

 

「ミッドナイト!!!」

 

 

「六魔将軍か!!!」

 

「ずっと眠ってた人だ!!!」

 

「なんでこんなところに?!!」

 

 

「ホットアイ、父上を裏切ったのかい?」

 

「違いマスネ!!ブレインは間違っていると気がついたのデス!!!」

 

「父上が間違ってる…だと?」

 

ミッドナイトは建物から飛び降り、ホットアイを睨み付ける。

 

「父上って…何だよそれ…」

 

「親子で闇ギルドな訳ェ?」

 

「変わってるねェ」

 

 

「人々の心は魔法でねじ曲げるモノではないのデス。弱き心も、私たちは強く育てられるのデスヨ」

 

カッ!!

 

「「「「!!」」」」

 

ホットアイが喋り終えたと同時に、ミッドナイトが片手を大きく振ると、周りの建物が斬れて、一瞬で崩壊する。

 

建物が崩れ瓦礫に埋もれてしまったと思われたグレイ達だったが、間一髪で地面の穴に落ちて回避していた。

 

「な…何が起きたんだ?」

 

「ひえー」

 

「いたたた…また落ちた…」

 

「ホットアイ殿が地面を陥没させ我々を助けてくれたのだ」

 

 

「あなた方は王の間に行って下さいデス!!!」

 

ホットアイが、穴の上からグレイ達に大声で指示をだす。

 

「六魔同士の力は互角!!!ミッドナイトは私に任せて下さいデス!!!」

 

ズアァァ!!!

 

ホットアイが地面を柔くし、ミッドナイトに魔法を放ち視界を遮る。

 

「君がボクと勝負を?」

 

 

「六魔将軍同士で潰し合いだと?」

 

「何かスゴい展開になってきたわね」

 

「さすがにこれは、私も予想外…」

 

「ホットアイ殿…」

 

 

「さぁ!!!早く行くデスネ!!!」

 

ホットアイは、ニコリと笑ってジュラ達の方を振り向く。

 

「そして、私の本当の名は『リチャード』デス」

 

「真の名を敵に明かすとは…本当におちたんだね、ホットアイ」




何かラリカの「◯◯して◯◯にしますわよ!!」って台詞、久々に言わせた気がする…

因みにコブラとアクナを戦わせたとしたらどうなるだろうって考えたんですよ。で、出た答えが

アクナ「分かってても反応できない速度を出して叩き潰す」

という結果になりました。

まぁアクナさんなら余裕デスネ


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毒竜

今回は投稿速かったんじゃね?うん!いい感じだ。


「オラァ!!!」

 

「このヤロォ!!!」

 

ナツとリートは未だコブラと戦い続けていたが、状況は芳しくなかった。

 

ナツの拳もアッサリと避けられ、更にリートも隙を見つけて攻撃しようとするが、それも簡単にコブラは回避してしまう。

 

「くそー!!、なんで当たらねぇんだ!!!」

 

「動きを読む魔法にしても、性能よすぎだろ」

 

 

「いや…聴く魔法さ。心の声が聴こえるから動きがわかる」

 

「聴く魔法…だと?」

 

コブラの魔法を確認する為に、ナツは頭の中で何かを考える。

 

「ぷっ…く…くそっ!!以外に面白ぇギャグじゃねーか。うははっ」

 

ナツが頭の中で考えたギャグに、コブラは笑いだした。

 

「どうやら本当みてーだぞ」

 

「オマエ、心の中で何言ったの?」

 

「スッゴい気になる」

 

「絶対に試し方おかしいですわよ」

 

「後で教えてやるよ。しかし、やっかいだな」

 

ナツ達が悩んでいると、ハッピーが閃いた顔でナツに話しかける。

 

「オイラにいい考えがあるよ」

 

 

「右に行くって考えながら左に攻撃」

 

コブラはハッピーの思考を一瞬で読み取り、口頭する。

 

「「!!?」」

 

「アッサリとバレてますわね」

 

「ダメじゃん」

 

 

「無駄だ、その思考のプロセスを聴けるんだぜ、テメェらに勝ち目はねぇ」

 

「くぅーーーっ」

 

「どーすっかな」

 

ナツもリートもそれぞれ、色々と考えるが全てコブラに筒抜けだった。

 

「おっ、色々考えてるな?3つ4つ…悪くねぇ作戦もあるが、筒抜けだ」

 

 

「ズリィぞテメェ!!!」

 

「こうなったら正面から行くしかねぇ!!!」

 

「あいさーっ!!」

 

ナツとハッピーは考えることをやめて、正面からコブラに突っ込んで行った。

 

「おい!ナツ!!」

 

ナツはリートの言葉を聞かずに、コブラに殴りかかる。

 

「右フック、左キック」

 

やはり、コブラに単純な攻撃は当たらず、軽々とナツの攻撃をかわす。

 

「返しの右ストレート」

 

ちっ

 

「!」

 

ナツの右ストレートをかわしたハズのコブラだったが、頬にナツの拳が掠れ、表情が変わる。

 

次の瞬間、ついにナツの左フックがコブラにクリーンヒットする。

 

「いぎぃ!!!」

 

 

「!!?」

 

「ナツの攻撃が当たりましたわ!!?」

 

ナツの攻撃が当たりだし、リートは何が起きたのかを考える。

 

「まさか…アイツ…何も考えてねぇ?」

 

「…ナツらしいと言えばナツらしい作戦ですわね」

 

「なるほどな、聴くことが出来なければ、普段相手にしている敵と変わらねぇって訳か」

 

リートは更に考え、今度は自分にできるやり方を模索する。

 

(考えねぇってのはさすがにオレにはできねぇ…ならどうする?…)

 

そして、リートはある作戦を思い付く。

 

「よしっ!これで行ける!これなら奴に聞かれてても関係ねぇ!行くぞラリカ!」

 

「わかりましたわ」

 

リートの指示で、ラリカも動き出した。

 

「どけ!ナツ!!」

 

コブラもリートの作戦が聞こえていたのか、動揺し始める。

 

「ちょっ…ちょっと待て…それは…」

 

(右フック 左フック 右後ろ回し蹴り 胸ぐらを掴んでヘッドバッド ブレスで吹き飛ばして 追いかけて殴り落としてキャッチ、ナツに向けて投げて攻撃)

 

リートが殴りかかるまでの一瞬で一通りのパターンを頭の中で考える。

 

「うっ!」

 

「オラァ!」

 

リートの行動パターンに一瞬戸惑ったコブラは、反応が遅れてしまい、 リートの攻撃はコブラの顔にクリーンヒットした。

 

そして、リートは頭に思い浮かんだ通りに攻撃し、ナツに向けてコブラを放り投げた。

 

「ナツ!!!」

 

「おう!!!おらぁ!!!」

 

そして、ナツはリートの掛け声に合わせ、右ストレートをコブラの顔に思い切り入れた。

 

「ぐほぉ」

 

「よしっ!」

 

「おっしゃぁ!!」

 

コブラは口に着いた血を拭い、リート達を睨みつける。

 

「っち…やりにくい奴らだ、片方は何も考えずに攻撃し、もう一方はあり得ねぇぐらい先を考えて動きやがる…」

 

「リートの心の声は聴こえてるみたいですけど、何をいたしましたの?」

 

ラリカが疑問に思ったことをリートに聞くと、リートはニヤリと笑って答えた。

 

「簡単だ、一手二手先を聴かれるなら五手六手先を考えて後は素早くその通りに動くだけだ。何手も先ならいくら聴かれようが要は記憶力の問題になってくるからな、好都合なことに、オレはとあるレストランで嫌ってほどレシピを無理やり覚えさせられて相当記憶力を鍛えられてんだ。後十手は先を考えられるぜ」

 

「ヤジマ様のレストランでの仕事がこんなところで役立つとは…」

 

「おう…オレもビックリだ」

 

 

「スゲーなリート…」

 

「オイラだったら絶対頭こんがらがっちゃうよ」

 

 

「無駄話はこれぐらいにして、やるぞ!!ナツ!!」

 

「お…おう!!」

 

二人は、一気にコブラに近づいて殴りかかる。

 

バシィ

 

「「!?」」

 

しかし、二人の拳はコブラによって捕まれ、動きが止まった。

 

「こんなやつらは初めてだ。なるほどな…小細工じゃどうにもならんか」

 

ぶしゅ

 

「うわっ!」

 

「痛ぇ!!」

 

ナツとリートの拳を掴むコブラの掌から紫の煙が上がり、リートとナツの二人は驚いて手を離した。

 

リートは氷を纏い攻撃していた為、拳に何も影響は無かったが、素手で殴っていたナツは、片腕をおさえて痛がり始める。

 

「ナツ!!どうした!!」

 

「手が痛ぇ」

 

「何!!?」

 

リートとナツがコブラの腕を見ると、コブラの腕は紫色の鱗で覆われていた。

 

「毒竜のコブラ、本気で行くぞ」

 

 

「こいつ!!」

 

「まさか!!まだいましたの!!?」

 

「滅竜魔導士!!?」

 

 

「かーーーっ!!!」

 

コブラは、奇声を発しながら二人に襲いかかる。

 

二人は、コブラの攻撃を間一髪で回避した。

 

コブラは、自分の真上によけたナツに蹴りをくらわせる。

 

「ぐほっ!」

 

ジュウゥゥ

 

「ぐあああぁ!!」

 

顔を蹴られたナツは、またもコブラが触れた場所で痛がりだす。

 

「毒か!!」

 

「毒竜の一撃は全てを腐敗させ滅ぼす!!」

 

リートの目の前に移動したコブラは次はリートに攻撃を仕掛けた。

 

「ぐっ」

 

リートは氷を纏った腕で、コブラの攻撃を必死にいなし続ける。

 

「ハツ!やるじゃねぇか」

 

「攻撃をいなす修行は死ぬほどやってきたんでね!」

 

「リート!!これ、アナタはともかく、私にはかなりきついですわ!!」

 

「我慢しろ!!今だけだ!!」

 

「ムリムリムリムリ!!ひゃぁぁ!!今、頬の毛を掠りましたわ!!!」

 

「当たってないならよし!!」

 

「ちょっとぉぉぉ!!!」

 

 

「やるじゃねぇか、ならこれでどうだ」

 

コブラが、大きく息を吸い込む。

 

「マズイ!!かわせラリカ!!!」

 

「ふぇ?」

 

「毒竜の咆哮!!!」

 

ドゴォォォ!!!

 

「うっ…」

 

「げほっ」

 

 

「リート!!!」

 

「ラリカァ!!!」

 

ブワァ

 

コブラのブレスから脱出した二人は、コブラを見下ろしていた。

 

「くそっ…また形勢が逆転しちまってる」

 

ぐらっ

 

「!?」

 

リートがコブラを睨み付けていると、リートを運んでいたラリカのバランスがいきなり崩れ出した。

 

「ラリカ!!どうした!!?」

 

「先程の毒を…吸い込みすぎてしまったようですわ…上手く飛べませんの…」

 

「何!!?」

 

「というか、リートの身体から冷気も出ていて寒いんですのよ…何とか抑えて下さいます…?」

 

「オレ、身体から冷気なんて今出してねぇぞ!!?」

 

ラリカがバランスを崩した瞬間を、コブラは見逃さず追撃を仕掛ける。

 

「落ちろ!!」

 

コブラは踵落としをリートに仕掛け、リートは何とか両腕で防御するが、その振動でラリカがニルヴァーナへ向かって真っ逆さまに落ちて行った。

 

あぁぁぁぁ!!!

 

「リートォォ!!!」

 

「ラリカァァ!!!」

 

ナツ達の叫びもむなしく、リートとラリカはニルヴァーナへ落ちてしまった。

 

「まずは一人だ」

 

「このやろう…」

 

 

 

リート達が落ちて行った先には、運良くウェンディとシャルルがグレイ達を探して走っていた。

 

「早く、この事をみんなに知らせなくちゃ!!」

 

「急ぐわよ!!ウェンディ!!」

 

あああぁぁぁぁ

 

「え?」

 

ウェンディが上を向くと、リートがウェンディの真上から真っ逆さまに落ちてくる。

 

「ちょっと!!なんなのよぉぉぉ!!」

 

ズズゥゥン

 

「いってーってここ…また乗り物の上…うっぷ」

 

「申し訳ありませんわ…」

 

「いったた…ってリートさん!!!ラリカちゃん!!!」

 

「ちょっと、いったい何があったのよ!!」

 

ウェンディとシャルルがリート達に駆け寄るが、リートは乗り物酔いで説明どころではなかった。

 

「ごめっ…今…説明…は…おえっ」

 

「え?どうしたんですか?リートさん」

 

「はぁ、はぁ…リートは乗り物酔いをしやすいんですのよ」

 

「乗り物酔い?そうか、それなら」

 

ウェンディは、リートの身体に両手を触れて魔力を込める。

 

「トロイア」

 

パァァァ

 

「…!?」

 

ウェンディが魔法をかけると、リートの乗り物酔いが一瞬で収まった。

 

「な…治った!!!念願の乗り物を克服した!!?ありがとう!!ウェンディ!!」

 

「い…いえ、乗り物酔いを一時的に抑えただけで、完全に治った訳ではないんですけど…」

 

それを聞いたリートのテンションは一気に下がった。

 

「そ…そうか…克服したわけじゃねぇのか…」

 

「そんな事はいいから、早く状況を説明しなさい!!!」

 

「あ、あぁ…そうだな…それはそうだが…ウェンディ、すまねぇけどラリカの毒を抜いてやることは出来ねぇか?」

 

「え?」

 

リートの発言に、シャルルは怒り心頭であった。

 

「ちょっと!!アンタ話し聞いてたの!!?ウェンディは治癒魔法を使うと体力が!!」

 

「いいの、シャルル…私は大丈夫だから」

 

「ウェンディ!!」

 

ウェンディは、ラリカの身体から毒を抜き取り、ラリカは落ち着いたのか眠ってしまった。

 

「これでもう大丈夫ですよ」

 

「ありがとう!!ウェンディ!!ホントに助かった」

 

「い…いえ!これが私に出来ることですから」

 

「もういいでしょ?そろそろ状況を説明してくれる?」

 

シャルルの言葉に急かされ、リートは事情を説明した。

 

「そうですか…そんなことが…」

 

「あぁ、だからここからはオレ一人で王の間って所に居やがったあのガングロを叩き潰しに行く、ウェンディ…ラリカを診つつグレイ達と合流を頼めるか?」

 

「は…はい!!わかりました!!」

 

「よしっ…行くか」




リート、実は毒効かないんですねぇ。ドラゴンフォースの時といい、都合のいい身体してます。

今後かなり後にこの事情を話すつもりですが、まだまだ先延ばしです。


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叫び

最近、お気に入りがあまり増えないし、評価も上がらないし、ちょっとモチベーションが下がりつつあります。

まぁでも、ここで止めると、今読んでくれてる人に申し訳ないんでしっかりと書き続けるつもりですのでご安心を


「まず一人」

 

「このやろう」

 

ナツは、拳に炎を纏ってコブラに殴りかかる。

 

だが、コブラにナツの攻撃が当たることはなく、コブラはナツの拳をかわして反撃に出る。

 

ドガッ

 

「ぐっ」

 

ボギッ

 

「がっ」

 

バゴォ

 

「ぐおおっ」

 

ナツの顔に蹴り、殴り、といれた後、全力でナツを蹴り飛ばすコブラ。それをナツは一撃もかわせず全てくらってしまう。

 

「キュベリオス!!」

 

コブラの掛け声で、キュベリオスが毒霧を吐き、それを見たナツとハッピーは焦りだす。

 

「毒の霧だ!!!」

 

「うおおっ!!?」

 

毒霧が自分達に来るだろうと警戒したナツ達だったが、予想に反し、毒霧はコブラの口元へと吸い寄せられていく。

 

「お?」

 

ガブゴブドグ

 

「ど…毒を食べてるのかなぁ」

 

「か…体に悪そうだな」

 

 

「プハァ」

 

毒を食い終えたコブラは、再度大きく息を吸い込む。

 

「毒竜の」

 

 

「マズイ!!!」

 

「もう一度ブレスを撃つ気だ!!!」

 

 

「咆哮!!!!」

 

ナツ達の回避は間に合わず、ハッピーが動くよりも先に、コブラのブレスが炸裂した。

 

「ぐあああぁ!!!」

 

「くっ」

 

がくん!

 

「!」

 

「ハッピー!!」

 

ナツがハッピーを見ると、ハッピーもかなりのダメージを受けてしまっていた。

 

「ごめん、オイラもラリカと同じで…体がうまく…動かなくて…」

 

「気にすんなっ!!!オレもだから!!!」

 

「気にしよーよそこは!!」

 

 

「毒竜のブレスはウイルスを体に染み込ませる。そして、徐々に体の自由とその命を奪う」

 

「うぐぐっ」

 

「このブレスをくらった瞬間、テメェらの敗北は決まって…!!!」

 

「火竜の翼激!!!」

 

コブラが話し終える前に、ナツは苦し紛れに火竜の翼激を放つが、コブラはそれも回避した。

 

「てめぇの動きは聴こえてる」

 

「くそぉー」

 

「しかし、オレの毒をくらってまだこれ程動けるとは、氷竜といい、旧世代の滅竜魔導士にしてはやるじゃねぇか」

 

「旧世代だァ?」

 

「オレは自らの体内に竜の魔水晶を埋め込む事によって竜殺しの力を手に入れた新時代の滅竜魔導士」

 

「ラクサスと同じだ!!!こいつ…本物の滅竜魔導士じゃないよ!!」

 

「本物?もともと竜のみが修得しているという滅竜魔法を人間が修得する(すべ)はねぇ、オレから言わせりゃてめぇと氷竜の方があやしいぜ。この世界に竜なんていねぇんだからな」

 

コブラの言葉に、ナツは強く反発する。

 

「イグニールもフランドーラもいるっての!!!」

 

「いねぇよ!!!!竜は絶滅したんだぁ!!!!」

 

コブラは、キュベリオスと共にナツに襲いかかる。

 

毒竜双牙(どくりゅうそうが)!!!」

 

「ぐあぁぁ!!!」

 

コブラの攻撃はナツにクリーンヒットし、ナツは勢いよく吹き飛ばされる。

 

「体が…動かねぇ!!!」

 

「毒が全身にまわったんだ。そのまま死ねぇ」

 

「ナツーーー!!!」

 

ハッピーもほとんど動かない体で、何とか持ちこたえる。

 

「ハッピーオレを落とせ!!!」

 

「え?」

 

「!」

 

「何…言ってんのナツ…さっき…体…動かないって…」

 

「だからこそ…これで決める」

 

コブラは、ナツの思考を聴く。

 

(フルパワーの火竜の咆哮!?バカめ!!てめぇの考えは聴こえているぜ!!!)

 

「ハッピー!!!今だ!!!」

 

「あい!!!」

 

パッ

 

ナツの指示通りに、ハッピーはコブラの真上に来るとナツを掴んでいた手を離す。

 

(無心で攻撃される方がやっかいだった…)

 

「終わったな」

 

ギュウウウゥン

 

「火竜の…」

 

ナツはコブラに向かって落下しながら、大きく息を吸い込む。

 

(無駄だ!!!聴こえてるぜ!!!狙いは拡散、どこに避けても当てる気か)

 

「だが後頭部までは届かねぇ!!!」

 

コブラは、キュベリオスから飛び上がり、ナツの後ろに回り込む。

 

「その頭を砕いてやる」

 

「ナツーーー!!!!」

 

「くっそォォォォ」

 

オォォォォォォ!!!!!

 

ナツの叫びが徐々に大きくなり、コブラは耳にダメージを与え始めた。

 

 

ガアアアアアァァァァァァ!!!!!

 

 

ナツの声は、ニルヴァーナにいる全員の耳に届いていた。

 

「何だこの音は!!?」

 

「怪獣!!?」

 

「うるさーい!!」

 

「ムォ!!」

 

 

 

 

「ナツさん!?」

 

「うるさいわね」

 

「この叫び…イグニールのおじさんみてーだ」

 

「何事ですの!?」

 

「あ、起きた」

 

 

 

「耳がぁぁぁ!!!!ぎゃあぁぁぁ!!!!」

 

ナツの叫びで、コブラは耳を押さえながら地面に墜落していった。

 

「あ?」

 

ズドォン

 

ニルヴァーナに墜落したとき、コブラは意識を失っていた。

 

ぱしっ

 

一緒に落ちそうになっていたナツは、ハッピーにキャッチされ墜落せずにすんだ。

 

「スゴい叫びだったね」

 

「お…おう…耳が良すぎるのも考えモンだな…作戦どーり」

 

アハハハ…

 

「偶然のくせに」

 

その様子を見ていたブレインは、額に汗をかいていた。

 

「バカな…叫びだけでコブラを倒したというのか…何者なのだ…あの男は…」

 

 

ガクッ

 

「!!!」

 

ナツを抱えて飛んでいたハッピーだったが、体力の限界でゆっくりとニルヴァーナへと落ちていく。

 

「なんか…オイラ…体の調子が…」

 

「ハッピー!!!」

 

フラフラ

 

「アイツの毒か…オレも体が…」

 

ドスッ

 

「うわっ」

 

「わっ」

 

ズシン ズシン

 

「うっぷ」

 

ニルヴァーナの動く揺れにより、ナツは乗り物酔いで力が入らずに、立ち上がれなくなる。

 

ユラッ

 

「!」

 

ナツに近づく一人の人影、それにナツが目を向けると、先程まで倒れていたコブラが起き上がっていた。

 

「はぁ…はぁ…六魔の誇りにかけて…てめぇを倒す…」

 

「死ねぇ…」

 

コブラはナツに近づくと、右手を上げてナツを貫こうと構える。

 

「く…くそっ…体が…」

 

 

「旧世代の滅竜魔導士がぁぁぁ!!!」

 

バシュッ

 

「!」

 

コブラがナツに襲いかかる瞬間、コブラの右肩に穴が空き、コブラの後方には、ブレインが杖を向けて立っていた。

 

「もういいコブラ」

 

「ブレイン…何を…」

 

「うぬはよくやった。ゆっくり休め」

 

しかし、その言葉はブレインの本音ではなく、コブラの耳にはしっかりと本音が聴こえていた。

 

(正規ギルドに敗れる六魔などいらぬわ。クズめ!!!!)

 

「くそォ…くそォ…」

 

(オレは…たった一人の友の声を聴きたいだけだった……キュベリオス)

 

どさっ

 

コブラは、涙を流しながら倒れた。

 

「おまえ…仲間じゃねぇのかよ」

 

「仲間などこの先いくらでも増やせる。ニルヴァーナの力でな」

 

ブレインがそう言うと、ナツはブレインを睨み付ける。

 

「そんなのは仲間って言わねぇだろ、操り人形だ」

 

「そう噛みつくな、私はうぬの力を気に入ったのだよ。言ってる意味が分かるかね?」

 

「うぐっ…ううっ」

 

「うぬを私の最初の操り人形にしてやろう」

 

 

………

 

 

ホットアイことリチャードと、ミッドナイトの戦いは続いており、リチャードがミッドナイトを追い込んでいた。

 

「このボクが…まける?」

 

「強い信念を持つ者が勝つジュラはそう言ってましたデス」

 

「いやだ…負けたくない…負けたら父上に捨てられる…負けたくない!!!」

 

ミッドナイトはリチャードから逃げ、建物の陰に逃げ込む。

 

「逃げても無駄デスヨ。私の天眼は全てを見通せマス!!!」

 

リチャードは辺りを見渡し、天眼を使ってミッドナイトを探しだす。

 

「観えタ!!!」

 

「リキッドグラウンド!!!」

 

リチャードが攻撃した場所から、ミッドナイトが吹き飛ばされてきた。

 

「うわああぁ!!!」

 

「六魔将軍は今日で終わるのデス」

 

 

 

………

 

 

「いたぞ!!!」

 

グレイ達は、ナツを見つけるが、そこはちょうどナツがブレインに連れていかれる直前だった。

 

「ナツさん!!!」

 

「ナツ!!!どーしちゃったの!!?」

 

 

「これ…乗り物だから…」

 

グレイ達の近くで倒れていたハッピーが説明する。

 

「ネコ殿も無事か」

 

「ネコ殿!?」

 

 

「みんなぁ…ナツを助けて…つれていかれちゃう」

 

 

「六魔も半数を失い地に落ちた。これより新たな六魔を作るためこの男を頂く」

 

グレイ達は、苦虫を噛み潰したような顔でナツを見る。

 

「いつかくると思ってたけど、本当に闇ギルドにスカウトされっとはな」

 

「ある意味才能だね…」

 

「ナツはあんた達の思い通りになんかならないんだからね!!!」

 

 

「ニルヴァーナがこやつの心を闇に染め、私の手足となるのだ」

 

「なるか!!」

 

ガブッ

 

ナツは、ブレインの手に噛みつき、必死に抵抗する。

 

「くっ!まだそんな力が」

 

ドガン

 

ブレインは、ナツを地面に叩きつけて大人しくさせる。

 

「ぐほっ」

 

「う…うぷっ…うぼぼ…」

 

 

「体調が悪そうだな」

 

「アイツもリートも、乗り物に極端に弱ぇんだ」

 

「何?リート殿もか」

 

「早く…こいつ…倒して…これ止めて…くれ…」

 

グレイ、ルーシィ、マーラは臨戦態勢に入った。

 

「おまえの為じゃねぇけど、やってやるよ」

 

「うん」

 

「もう少しだけ我慢してねナツさん」

 

 

「止める?ニルヴァーナを?出来るものか、この都市は間も無く第一の目的地、化猫の宿に到着する」

 

「「「「「!」」」」」

 

「ウェンディとマーラとシャルルのギルドだ…何で?」

 

「ちょっと…待ってよ…化猫の宿のみんなは関係ないでしょ……狙うなら私を狙いなさいよ!!!!」

 

マーラは光の玉を作り出すと、ブレインに向かって無数に撃ち出す。

 

「ミサイル花火!!!」

 

「雑魚が、常闇回旋曲(ダークロンド)

 

ブレインは、マーラの攻撃を自分の魔法をぶつけて打ち消した。

 

「そんな!!!」

 

「消えろ」

 

マーラに向かって、ブレインの攻撃が襲いかかる。

 

「ムン!!」

 

間一髪の所で、ジュラが岩鉄壁で防いでマーラを庇っていた。

 

「あ…ありがとう…」

 

「なぁに、気にすることはない」

 

 

「ちっ…クズが調子に乗りおって」

 

ヒュン

 

ブレインが気を抜いた瞬間、建物の陰から人影が現れ、ブレインの脇腹を蹴り飛ばす。

 

「ぐはぁ!!」

 

ズドォン

 

「何だ!!?」

 

「どうしたの!?」

 

グレイ達が現れた人影を見ると、そこにはリートが立っていた。

 

「リート!!!」

 

「リートさん!!!」

 

「リート殿」

 

「おまえ…乗り物に弱いんじゃ…」

 

「話しは後だ、コイツの相手はオレがする」

 

ガラガラ

 

建物の瓦礫から出てきたブレインは、リートを睨み付ける。

 

「おい、クソヤロウ、化猫の宿に何の恨みがありやがる?」

 

ブレインはリートの質問を聴いて、笑い出す。

 

「ククク、超反転魔法は一瞬にして、光のギルドを闇に染める。楽しみだ…地獄が見れるぞ」

 

「いいから、目的を言いやがれっつってんだよ」

 

リートは、体中から冷気を出して怒りを露にする。

 

ゾクッ

 

グレイとルーシィ、そしてマーラの三人はリートの怒りに寒気を感じた。

 

「うぬのような雑魚に語る言葉はない!!!!我は光と闇の審判なり!!!ひれ伏せぇっ!!!!」

 

「リート殿、ワシも戦おう」

 

ジュラが一歩前に出てそう言うが、リートはそれを止める。

 

「いえ、ジュラさんはもしもの為に体力の温存をお願いします……このクズヤロウは、オレが叩き潰します」

 

リートが構えをとり、ブレインを睨み付ける。

 

「こいよ、テメェのような奴にはキッツーいお灸をすえてやる」

 

「調子に乗るなよ、コブラにも勝てなかった雑魚が」




やっと、戦わせたかった奴とリートをぶつけることができました。

ブレイン、原作では技少なかったし、ちょっとオリジナル技も出していこうかな?


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双鏡

今回はブレインの技を1つ追加と、リートの新技を出してみます。今後使うかは状況次第ということでw


「ウジどもが、消え失せろ」

 

ブレインがそういい終えると同時に、リートが前に飛び出し殴りかかる。

 

「消えてたまるか!!!氷竜の硬拳!!!」

 

リートの拳がブレインの顔に当たる瞬間、ブレインの杖から魔力の塊が放出される。

 

常闇追複曲(ダークカノン)

 

ズドン!!

 

「ぐはっ!!」

 

リートは自分と同等サイズの魔力の塊をぶつけられ、後ろに吹き飛んでしまう。

 

「リート!!!」

 

「ちょっと!!大丈夫なの!!?」

 

「リートさん!!」

 

三人がリートの下に駆け寄るのを、ジュラが引き留める。

 

「待て」

 

「どけよおっさん!!」

 

「リート殿は一人で奴を倒すと言ったのだ。信じて待とうではないか」

 

 

「ありがとうございます。ジュラさん」

 

ガラガラ

 

瓦礫の中に埋もれていたリートが立ち上がり、ブレインへ向かって歩き出す。

 

「ほう、生きていたか、ウジ虫にしては頑丈だな」

 

「テメェをぶっ倒すまでは、オレも倒れるわけにはいかねぇんだよ」

 

「ならば永遠に私になぶられ続けるがよい」

 

ブレインは、杖をリートに向ける。

 

常闇回旋曲(ダークロンド)

 

 

「あの魔法は!!」

 

杖から放たれたブレインの魔法は、リートを覆うように狙いだす。

 

「氷竜の建円!!」

 

リートは氷のドームで自分を覆い、ブレインの魔法を防ぐ。

 

「かかったな!!常闇奇想曲(ダークカプリチオ)!!」

 

ブレインは常闇回旋曲の魔法を防がれた途端、今度は魔法を一直線に放出する。

 

ズガッ!!ガリガリガリガリ

 

「リートの氷が削られていく!?」

 

「リートさん!!危ない!!」

 

「やべぇ!!」

 

「いや、リート殿もそれくらいわかっておるだろう」

 

「「「え?」」」

 

 

「常闇奇想曲は貫通性の魔法!!防ぎきることなどできんぞ!!」

 

バリン!

 

リートの張った氷のドームが割れた瞬間、もう1つ氷の壁が現れた。

 

「無駄だ!!!そんな壁貫いてくれる!!」

 

「別に防ぎきるのが目的じゃねぇよ」

 

「何!?」

 

氷の壁が壊される前に、リートはブレインの後ろに新しく氷の壁を作り出すと、目の前にある氷の壁に入り込む。

 

「リートが氷の壁に入っちゃった!!」

 

「えぇぇぇ!!?」

 

「アイツ…何する気だ」

 

そして、次にリートが現れたのは、ブレインの後ろに作り出した氷の中からであった。

 

「氷竜の双鏡」

 

ズドォン!!

 

「ぐはぁ!!」

 

ブレインの後ろから現れたリートは、ブレインの背中を全力で殴った。

 

「ぐっ…うぬは…一体どうやってこの距離を…」

 

「氷竜の双鏡は、氷の鏡を作り、そこに写った別の氷の鏡との間を行き来することができる魔法だ。移動してる間にとんでもねぇほどのGがかかるが、今のオレになら問題なく使用できる」

 

 

ブレインは、リートの攻撃で立ち上がることができなかった。

 

「ふぅ」

 

「やりやがった!!!こいつ六魔将軍のボスだろ!?」

 

「あたし達勝っちゃった!!!」

 

「やったー!!!リートさんが勝った!!!」

 

「やはり、アクナ殿の修行は伊達ではなかったと言うことか」

 

グレイ達がリートの下に駆け寄ると、リートは真剣な顔でジュラと目を合わせる。

 

「ジュラさん…それよりも」

 

「うむ、分かっておる」

 

リートとジュラは、まだ意識があるブレインの下に行くと、ブレインに問う。

 

「さぁ、化猫の宿を狙う理由を教えてもらおうか」

 

「さもなくば、ただではおかんぞ」

 

 

「ねぇ…これ…止めればいいんじゃない?」

 

「オレの為にも…是非…」

 

ナツは、完全にニルヴァーナに酔っていて、ほとんどまともに喋れていない。

 

 

「ま…まさか…この私が敗れるとは…ミッドナイトよ…後を頼む…六つの祈りが消えるとき…あの方が…」

 

「「あの方?」」

 

ガクッ

 

それを最後に、ブレインは意識を手放した。

 

「ちょっと…気になりますね…」

 

「あぁ、ミッドナイトという男が敗れたら、あの方と呼ばれる者が現れるということなのだろうか…」

 

「コイツの顔の線が一本、今消えたように見えましたけど…もしかしてそれと関係が?」

 

「それも分かっておらん、本当にこやつらは分からないことが多すぎる」

 

「…ですね」

 

 

「みなさーん!!大変ですー!!この都市、私たちのギルドに向かっているかもしれません!!!!」

 

 

戦いが終わった所で、ウェンディとシャルルとラリカが走ってきた。

 

「ウェンディ!!」

 

「らしいが、もう大丈夫だ」

 

「え?」

 

ウェンディが足下を見ると、ブレインが倒れていた。

 

「ひゃっ!!」

 

「アハハ、ウェンディもう大丈夫だよ。リートさんがニルヴァーナを動かしていた敵を倒してくれたから」

 

「蛇使いも向こうで倒れてるし」

 

「じゃあ」

 

ウェンディは、嬉しそうな顔でマーラの顔を見る。

 

「うん、この都市もきっと時期に止まるよ」

 

「リート!!どんどんと先に行き過ぎですわ!!追いかけるのが大変でしたわよ!!」

 

「ハハッ、悪い悪い」

 

皆が安堵しているなか、シャルルは不満げな顔で悩んでいた。

 

「気に入らないわね、結局、化猫の宿を狙う理由がわからないの?」

 

「まぁ、深ぇ意味はねぇんじゃねーのか?」

 

「多少気になることはあるが、これで終わるのだ」

 

 

「お…終わってねぇよ…早く…これ……止め…うっぷ」

 

「ナツさん!!!まさか毒に…」

 

「いや…たぶんあれは毒よりも乗り物の方がダメージがデカいと思うが…」

 

「デカブツが言ってたな、制御してるのは王の間だとか」

 

「多分最初にラリカに抱えられて蛇使いの奴と戦った場所だと思うぜ、あの場所にそこのガングロもいたからな」

 

リートは、王の間を見上げながらそう言った。

 

「あそこか!!」

 

「あそこに行けばニルヴァーナを止められるんだ」

 

 

………

 

 

リチャードとミッドナイトの戦いは、リチャードが圧倒的に優勢に立っていた。

 

「ボクは…夢を見る」

 

ミッドナイトは、そう言いながらフラフラと立ち上がる。

 

「君も…夢を見る…真夜中に」

 

ゴシャ!

 

「ぐはぁっ!!」

 

いきなりリチャードの体はボロボロになり、リチャードがミッドナイトを見ると、先程まで傷だらけだったミッドナイトの傷は全て消えていた。

 

「ボクに魔法は当たらない」

 

(ミッドナイトの…傷が…ない!!?)

 

「ボクは父上をも越える最強の魔導士なんだ」

 

リチャードはボロボロになり、もはや立っていられなかった。

 

(私の祈り…弟よ…もう一度…おまえの顔を……見たかった…)

 

ズシィィン

 

そして、リチャードが倒れたことにより、ブレインの顔の線が、また1つ消えた。

 

「5つ目の祈りが消えた…ミッドナイトよ……うぬはけして消えるな……」

 

(それが私の祈りだ……)

 

そして、リート達が王の間についたが、全員は戸惑っていた。

 

「どうなってやがる」

 

「何これ…」

 

「うそ…」

 

「む」

 

 

全員は王の間に行けばニルヴァーナを止められると思っていたのだが、現実はそう甘くはなかった。

 

「何一つそれらしきものがねーじゃねぇか!!!」

 

「ど…どうやって止めればいいの?」

 

「くそっブレインを倒せば止められると思ってたけど…」

 

「甘かった…止め方がわからないなんて」

 

「いっそ壊すか?」

 

「どうやって都市1つを壊すんですのよ」

 

そして、ウェンディはナツの治療に手こずっていた。

 

「どうしよう…?解毒の魔法をかけたのにナツさんが」

 

「ナツは乗り物に弱いんだよ」

 

「情けないわね」

 

「まぁまぁ、シャルル…人間苦手な物の1つや2つあるよ」

 

「乗り物酔い?だったらリートさんにも効果はあったし、治せるかも」

 

ウェンディは、ナツにトロイアをかける。

 

「トロイア」

 

パアァァァ

 

「!おお!?」

 

「おおおおお!!!平気だ!!平気だぞ!!!」

 

「お?なんだ、ナツも乗り物酔い治してもらったのか」

 

「よかったです。ナツさんにも効き目があって」

 

「スゲーなウェンディ!!その魔法教えてくれ!!!」

 

「天空魔法だし無理ですよ」

 

ナツは、大喜びでルーシィの肩を掴む。

 

「これ…乗り物って実感ねーのがアレだな、よし!!ルーシィ、船とか列車の星霊呼んでくれ」

 

 

「そんなのいないわよ!!!てか今それどころじゃないの!!空気読んでくれる?」

 

「ナツ、それどころじゃねーぞ」

 

「あ?」

 

リートの真剣な顔に、ナツも冷静になる。

 

「止め方がわからねーんだ。見て分かるように、ここには何もねぇ」

 

「止めるとかどうとか言う前に、もっと不自然な事に誰も気づかない訳?」

 

シャルルは、腕を組んで全員に話しかける。

 

「操縦席はない、王の間に誰もいない、ブレインは倒れた。なのに何でコイツはまだ動いてるのかってことよ」

 

「あぁ、それはオレも気になってた。けど、あまり考えたくはなかったが…」

 

リートも、シャルルの疑問に気付いて気になっていたらしい。

 

「まさか!!」

 

「多分…自動操縦だろうな。下手をしたらニルヴァーナ発射準備まで出来てる可能性もある」

 

ウェンディとマーラは、今にも泣きそうな表情になる。

 

「私たちの…ギルドが…」

 

「もう…止められないの?……」

 

 

「大丈夫、ギルドはやらせねぇ、この礼をさせてくれ」

 

「絶対に止める方法があるハズだ。すぐに見つけて止めてやるよ」

 

ナツとリートは、泣きそうな二人を元気付ける。

 

「「必ず止めてやる」」




氷竜の双鏡…ぶっちゃけ、今日思いついて、今日この話しを書いたのでほとんど即興ですw


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リアルの友達に「おまえの作品、誤字とか少ないな」って言われたけど…

いやいや、普通に誤字脱字してるし…何回も自分で読み返して気付いたら修正して、たまに誤字報告とかもくれるから確認して処理してるからそう感じるだけじゃねぇの?

って心の中で止めておくつもりが、普通に口に出して喋っちゃいましたw


「止めるっていってもどうやって止めればいいか分かんないんだよ」

 

「壊すとか」

 

「またそーゆー考え!?」

 

「こんなデケーのをどーやってだよ」

 

「いやでも、壊すぐらいしねーとこれ止まる気配ねーぞ」

 

「だからってそんな考えには普通至りませんわよ。ナツに毒されましたの?」

 

ナツ達は、どうやってニルヴァーナを止めるか考える。

 

「やはり、ブレインに聞くのが早そうだな」

 

「仮にも敵に対して、そんなにアッサリと話してくれますかね?」

 

皆が悩む中、ウェンディは一人の人物を思い浮かべる。

 

「もしかしてジェラールなら……」

 

しかし、この場にいるナツ達にジェラールの名前を出すと、またジェラールに襲いかかってしまうかもしれない。そう考えたウェンディは一人で行動しようとする。

 

「なんか言った?」

 

ルーシィの問いかけにも、ウェンディはどことなく素っ気ない返事をしてしまう。

 

「ううん、何でもない」

 

そしてウェンディは、1人別の道を走り出す。

 

「私…ちょっと心当たりあるから探してきます」

 

「おい!!!」

 

「ウェンディ、待ちなさい!!!」

 

「待ってウェンディ~アタシも行くよー!!」

 

ウェンディの背中を、シャルルとマーラが二人で追いかけていった。

 

「どうしたんだろ」

 

「うむ」

 

その後、残ったメンバー全員の頭に念話が入る。

 

『皆さん聞こえますか?私デス、ホットアイデス』

 

「!!リチャード殿!?無事なのか!?」

 

「念話!?大勢に」

 

「「誰だ!!」」

 

『残念ながら無事ではありませんデス。ミッドナイトにはやはりかなわなかった。みなさんの力を合わせてミッドナイトを倒して下さい。奴を倒せばニルヴァーナへの魔力供給が止まり…この都市は停止するハズ』

 

「生体リンク魔法で動いてやがったのか」

 

「こんなに大きなモノをよくもまぁ」

 

『奴は王の間の真下にいマス…気をつけて下さい、奴はとても…とても強いデス』

 

 

「リチャード殿」

 

「リチャード?」

 

リートはジュラがホットアイの事をリチャードと呼ぶことに対して、少しだけ何かが引っ掛かった。

 

「この真下!!?」

 

「おしっ!!!希望が見えてきたぞ!!!」

 

リチャードと言う名前に引っ掛かったのはリートのみのようで、他のメンバーは全く気にしている気配はなかった。

 

「行くぞ!!!」

 

ナツ達は、リチャードの言葉を信じて王の間の真下に向かう。

 

『六つの祈りは残り1つとなりマシタ。必ず勝って…』

 

「ニルヴァーナを止めるのデスヨ」

 

しかし、実際に念話を飛ばしていたのは、リチャードではなくブレインであった。

 

(くくくっ…ただではやられんぞ…ただではな…)

 

王の間の真下に向かう途中、リートはジュラに気になったことを訪ねていた。

 

「ジュラさん」

 

「ん?」

 

「ジュラさんが言ってたリチャードって名前と、さっきの念話のホットアイって…同一人物なんですよね?」

 

「あぁ、六魔将軍はそれぞれ仮の名で呼びあっているそうでな。ホットアイ殿の真の名がリチャードと言うらしい…それがどうかしたのか?」

 

「何かおかしくありません?」

 

「おかしい?」

 

リートの言葉に、ジュラは首をかしげる。

 

そうしている間に、ナツ達は王の間の真下の部屋に近づいて行く。

 

「あそこか!!」

 

 

「だって、わざわざ本当の名前を教えたのに、オレたちへの念話の第一声が、『リチャードです』じゃなくて『ホットアイです』って言ったんですよ?普通、本名を教えたならそっちの名前を使いませんか?わざわざ本名を知ってる奴に仮名で名乗る必要ありますか?」

 

「確かに…!いかん!!ナツ殿!!その扉を開けてはならん!!!」

 

ジュラが、リートの言葉から真実に気がつき、扉を開けようとするナツを止めるが、ジュラの言葉が届く頃には、ナツは扉を開けてしまっていた。

 

「出てこい!!居眠りヤロー!!!」

 

カッ

 

扉の奥から、光が溢れる。

 

「罠だ!!!」

 

ドゴォォン!!!

 

ガラガラガラガラ

 

王の間の真下では、大爆発が起こったが、ナツ達は間一髪の所で助かっていた。

 

「ううっ…痛ぇ」

 

「生きてんのか?…オレたち」

 

「あい…」

 

「さすがに今のは焦りましたわ…」

 

「焦っただけで済んだならよかったじゃねぇか」

 

「どうなってるの?アタシたち、あんな大爆発をくらって…」

 

ルーシィが体を起き上がらせると、頭上の岩柱に頭をぶつけた。

 

ゴツン

 

「痛」

 

「オレたち、埋まっちまって」

 

「違う…」

 

リートは岩柱から顔を出し外を見やると、顔色を変えていく。

 

「ジュラさん!」

 

リートの視線の先には、ボロボロになったジュラが体を張ってリート達を守っていた。

 

「ジュラ様!!」

 

「おっさん!!」

 

「ジュラ!!」

 

「あたし達を…守って…」

 

「おっちゃーーーん!!!!」

 

 

「ハァ ハァ…元気がいいな若い者は」

 

ふらっ

 

「無事で…よかっ…たっ…」

 

ジュラはそのまま力尽き倒れてしまった。

 

「ジュラさん!!しっかりして下さい!!」

 

「おっさん!!」

 

「しっかりしてー!!」

 

「ジュラ様!!死んではいけませんわ!!」

 

「ジュラーー!!!」

 

 

その頃、ウェンディ達は、ジェラールを探し続けていた。

 

「やっぱり化猫の宿に向かってる」

 

ウェンディはシャルルに運んでもらい、空から状況を詮索していた。

 

「ウェンディ…悪いけどこれ以上は飛べないわ」

 

シャルルも相当疲れているらしく、ゆっくりと高度を落としていった。

 

「うん!!ごめんねシャルル、下にマーラもいるし歩いて探そうジェラールを」

 

「あんた鼻いいもんね」

 

シャルルは、フラフラと地面に降りていく。

 

「あ?ウェンディ、シャルル、上から見てどうだった?」

 

地面に降りてきたウェンディの下に、マーラが駆け寄り、二人に話しかける。

 

「やっぱり、この都市は私たちのギルドに向かってるみたい」

 

「そっか…嘘であってくれればよかったんだけど、そんなに甘くないか…ジェラールの方は見つかった?」

 

「ううん、それもダメ」

 

「残念」

 

「でも、あのジェラールは、私の知ってるジェラールとは少し違うニオイがする」

 

「ニオイ?…ウェンディってそんな特殊なフェチあったっけ?」

 

マーラは、ウェンディから少しだけ離れて距離をとった。

 

「そんな特殊な性癖はないよ!!」

 

「ほんと?よかった~」

 

「と…とにかくジェラールを探すのよ、そいつなら止められるかも知れないんでしょ?」

 

「うん!!」

 

「わかった!!」

 

三人は、自らの足で走りだし、ジェラールを探し初めた。

 

(無事でいてね、ジェラール。あなたは私のこと忘れちゃったみたいだけど…私はあなたの事を忘れた日なんて、1日だってないんだよ)

 

 




アンケートとるの早すぎた…ぶっちゃけ、エドラス終わってからにしようとしてるけど、それって…あとどれだけかかることやら…


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目的

いつか、音竜のハーフィさんを越えたい…そう思って書き始めたこの作品ですが、やはり現実はそう甘くはないですな…SNSで売名する気はありませんし…

あの人を越えるには、まだまだ道のりは長そう


ナツ達が爆発に巻き込まれている頃、ニルヴァーナの都市内にいたエルザとジェラールは、その爆発の音に気がついていた。

 

エルザと行動を共にしていたジェラールは、記憶を失い、過去の事をほとんど覚えていない状態であった。

 

「今の爆発は…」

 

「王の間の方だ」

 

爆発に興味を示したエルザ達の下に、一人の男性が歩み寄る。

 

「父上も人が悪い、ボクの楽しみを奪ってしまうんだからね」

 

「「!」」

 

エルザジェラールが振り返ると、そこにはミッドナイトが立っていた。

 

「もう君たちが最後のエモノだ。楽しませて欲しいな」

 

ジェラールはミッドナイトを敵と認識し、エルザよりも一歩前に出る。

 

「下がっていてくれエルザ」

 

「ジェラール…」

 

 

しかし、ジェラールはミッドナイトに一撃も当てることが出来ずにボロボロにされてしまう。

 

「記憶と一緒に魔法の使い方まで忘れちゃったのかな?ジェラールくん」

 

(あのジェラールがこうも あっさり…)

 

「ううっ…くっ」

 

「ふぅん、まだ生きてるの?」

 

ミッドナイトは、ジェラールを見下ろしながら話しを続ける。

 

「ボクはね…君のもっと怯えた顔が見たいんだ」

 

ミッドナイトが話しているが、そんなことはお構いなしに、エルザがミッドナイトに斬りかかる。

 

カクン

 

「!」

 

「もうメインディッシュの時間かい?エルザ・スカーレット」

 

しかし、エルザの剣の軌道が変わり、ミッドナイトに剣が当たることはなかった。

 

(剣閃が曲がった!!?)

 

「エルザ離れろ!!そいつはマズい!!!」

 

ジェラールの指示をエルザは無視し、新たにもう一本の剣を換装してもう一度ミッドナイトに斬りかかる。

 

「くっ」

 

カクン

 

(また!!?)

 

「フン」

 

ミッドナイトが手を前に出すと、エルザは後方へ吹き飛ばされる。

 

エルザは足の踏ん張りを利かせ、倒れることはなかったが、いきなりエルザの鎧がエルザ自身を締め上げ始めた。

 

「何!?」

 

メキメキメキ

 

「ぐあぁぁ!!」

 

 

「くっ…はぁ!!」

 

エルザは自分を締め上げる鎧を換装で解き、天輪の鎧に換装し直す。

 

「なるほど、そういう魔法か」

 

 

「そう…ボクの屈折(リフレクター)は、全ての物をねじ曲げて歪ませる」

 

「魔法を跳ね返す事もできるし、光の屈折を利用して幻だって作れるんだ」

 

 

「なんという魔法だ…」

 

「行くぞ」

 

ミッドナイトの魔法を聞いても、エルザは攻撃を続ける。

 

「聞こえてなかったのかい?ボクに魔法は当たらないんだよ?」

 

 

 

そして、爆発によりダメージを受けたジュラを、皆が心配そうに声をかける。

 

「どうしよう…ひどいケガ」

 

「死ぬんじゃねぇぞ、オッサン!!!」

 

「罠…でしたのね…」

 

 

「……ちくしょうが」

 

ナツとリートの二人は歯を喰い縛り、怒りを露にする。

 

「やれやれ、ブレインめ…最後の力を振り絞って、たった1人しかしとめられんとは」

 

リート達意外の声が聞こえ、全員が辺りを見渡す。

 

「あそこ!」

 

ハッピーが声がした方向を指差すと、そこには一本の杖が浮いていた。

 

「情けない…六魔の恥さらしめ」

 

「え?」

 

ルーシィは、あり得ない状況に目を丸くしながら杖を見る。

 

「まぁ…ミッドナイトがいるかぎり我等に敗北はないが、貴様等くらいは私が片付けておこうか」

 

 

「杖が…喋ったーーー!!!?」

 

「あれは、ブレインの持ってた杖だ」

 

「どーなってんのよー!!?」

 

「オイ、棒っ切れ」

 

 

「?」

 

リートはドスのきいた声で、杖に話しかける。

 

「ブレインがどうのっつってたな?さっきの爆発はあのガングロの仕業かコラ」

 

「そうだ、貴様等はまんまと罠にハマったというわけだ」

 

リートはそれを聞いて、拳を固く握る。

 

(ちくしょう…しとめきれてなかったオレの責任か…)

 

がしっ

 

「!?」

 

杖が攻撃を開始するかと思われた時、ナツが杖を掴み、地面に何度も叩きつけ始めた。

 

「オラオラオラオラ」

 

ボコボコボコボコボコ

 

「ぐぽぽぽぽぽっ」

 

「!!!!」

 

「このデケェ街を止めろ!!棒切れ!!!」

 

「ちょっと!!何者かもわかんないのよ」

 

 

杖は、叩きつけられた後だが、自分の事を名乗ろうとする。

 

「私は七人目の六魔将軍、貴様等を片付ける為に眠りから覚め…」

 

「とォ~め~ろ~よ~!!!」

 

杖が喋り終える前に、ナツがまた地面に叩きつけ始めた。

 

「ぐぽぽぽぽぽっ」

 

 

「六魔将軍なのに、七人目?」

 

「てか、杖が喋ってることはもういいのか?」

 

「ツッコむポイントが難しいね」

 

「難しいというか多いというか…」

 

「めんどくさい生体ですわね」

 

 

 

「ぬぇい」

 

スポン

 

「!!」

 

杖はナツの手からすり抜けて、ナツから距離をとる。

 

「あ、逃げた」

 

「せっかくのチャンスだったのに何をしてますのナツ!!」

 

 

「凶暴な小僧め、そろそろ奴等のギルドが見えてくる、早めにゴミを始末しとかんとな」

 

 

「それって、化猫の宿?」

 

ルーシィの問いかけに、杖は笑いながら答える。

 

「その通り、まずはそこを潰さんことには始まらん」

 

 

その頃、エルザは必死にミッドナイトに攻撃を当てようと技を出し続けている。

 

「舞え!!剣たちよ!!!」

 

エルザが換装した無数の剣が、ミッドナイトに向かって突っ込んで行く。

 

しかし、全ての剣がミッドナイトに当たる前に軌道を変えてミッドナイトから反れていく。

 

「数打てば当たると思った?」

 

そして、軌道を変えた剣は全て、エルザに向きを変えて戻ってきた。

 

「!!」

 

「言ったろ?跳ね返す事もできるって」

 

ガキガキキィンキン

 

エルザは両手に持っている剣で、全ての剣を叩き落とす。

 

「フフ」

 

エルザが剣を叩き落としている間に、ミッドナイトはエルザの天輪の鎧を魔法で操作し始めた。

 

「くっ」

 

天輪の鎧は、ゆっくりとエルザの身体を締め上げる。

 

バキバキバキ

 

「ぐはぁっ」

 

 

「もっと、もっと苦しそうな顔をしてくれよ」

 

 

「その顔が最高なんだ」

 

エルザを見ながら笑っているミッドナイトに、エルザは何とか動く片腕で、剣をミッドナイトに向かって投げつけた。

 

「つあっ!」

 

さっ

 

ミッドナイトは、投げつけられた剣を軽々とかわす。

 

「さすがだね」

 

「スパイラル ペイン」

 

ズガガガガガ!!

 

「うわあああああぁ!!」

 

ミッドナイトはエルザのいる場所に巨大な竜巻を起こして、エルザを巻き込む。

 

そして、竜巻が消える頃には、ボロボロになったエルザが地面に倒れていた。

 

「そんな」

 

 

「もう終わり?」

 

「強い…」

 

ジェラールはボロボロの身体で立ち上がろうとするが、思うように立ち上がれない。

 

「まだ死なないでよエルザ、化猫の宿につくまでは遊ばせて欲しいな」

 

「化猫の宿?」

 

「僕たちの最初の目的地さ」

 

「なぜ…そこを狙う」

 

ジェラールの問いかけに、ミッドナイトは笑いながら話した。

 

「その昔、戦争を止める為にニルヴァーナを作った一族がいた。ニルビット族」

 

「しかし、彼等の想像以上にニルヴァーナは危険な魔法だった。だから自分達の作った魔法を自らの手で封印した。悪用されるのを恐れ、彼等は何十年、何百年も封印を見守り続けた」

 

「そのニルビット族の末裔のみで形成されたギルドこそが化猫の宿さ」

 

そして、ナツ達も杖から同じ情報を話され、驚愕していた。

 

「奴等は再びニルヴァーナを封じる力を持っている。だから滅ぼさねばならん」

 

 

「この素晴らしい世界を再び眠らすなんて惜しいだろ?この力があれば世界を混沌へといざなえるのに」

 

「そしてこれは見せしめでもある。中立を好んだニルビット族に戦争をさせる。ニルヴァーナの力で奴等の心を闇に染め殺し合いをさせてやるんだ!!!!ゾクゾクするだろう!!!?」

 

「下劣な…」

 

ジェラールの言葉に一瞬だが、ミッドナイトは笑いを止める。

 

「正しいことを言うフリはやめなよジェラール」

 

「君こそが闇の塊なんだよ。汚くて禍々しい邪悪な男さ」

 

 

「ち…違う」

 

「違わないよ」

 

力のないジェラールの返事を、ミッドナイトは強くけった。

 

「君は子供達を強制的に働かせ、仲間を殺し、エルザまでも殺そうとした。君が不幸にした人間の数はどれだけいると思う?君に怯え、恐怖し涙を流した人間がどれだけいると思う?」

 

ジェラールは身体を震わせ、罪悪感にとらわれる。

 

「こっちに来なよジェラール、君なら新たな六魔にふさわしい」

 

ゆらっ

 

ミッドナイトがジェラールに話しかけている間に、エルザはゆっくりと立ち上がった。

 

「私は…ジェラールの中の光を知っている」

 

立ち上がったエルザは、紫色の衣 悠遠の衣に換装した。

 

(エルザ…)

 

 

「へぇ、まだ立てるのか噂通りだねエルザ…壊しがいがある」

 

 

「貴様等の下らん目的は私が止めてやる…必ずな!!!!」




つい先日、友人からオリジナルの話にでてた敵キャラとかもう出さんの?って聞かれましたが

えぇ…ゴルスとかまた出すの?滅茶苦茶になるやろうしなぁ…って思ってましたが、ふと、番外編としてリート達と戦う前のゴルスの話なら書いても面白いんじゃね?って思ったんですが、皆さんはどうでしょう?読んでみたいですか?

読んでみたいって方がいれば物語が終わる度に1~2話ずつでも書いてもいいかな?って思ってます。

そして、緊急連絡!ついに、リートの絵を描いていただけました!そんなに都合よくいかないだろうとずっと思ってましたが、まさか描いて頂けるとは
気になる方は目次に絵を載せましたのでそちらで是非ともご覧下さい


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弱点

ここで一つ言わせてください。リートが稀に敵に対して言う、「なろ」って台詞ですが、この野郎→こんにゃろ→んにゃろ→んなろ→なろ と言う風に、もとの意味はこの野郎って意味となってます…皆さん分かってくれてましたよね…?


「おいでエルザ、君の本気を見せてくれ」

 

ミッドナイトに挑発されるエルザだが、まだ動く気配はなかった。

 

「…といっても、ボクに攻撃は当たらないけどね」

 

(そうだ…奴の屈折は、いかなる攻撃も曲げてしまう)

 

ジェラールは心の中で、なかば諦め掛けていた。

 

そして、エルザがミッドナイトに攻撃するために、地面を蹴って、ミッドナイトの目の前に迫る。

 

「!!!」

 

(速い!!!)

 

「いくら素早く動けても、ボクの屈折(リフレクター)は破れないよ」

 

エルザは右手に持った薙刀を全力で横一閃に振るう。

 

カクン

 

しかし、薙刀の軌道も変えられ、ミッドナイトに当たることはない。

 

「ホラ」

 

その瞬間、エルザは空いた左手でミッドナイトの胸に掌底を打ち込む。

 

ドッ

 

ゴォォン!!

 

エルザの掌底により吹き飛ばされたミッドナイトは、訳もわからず目を丸くしていた。

 

「なに」

 

「貴様の魔法には二つの弱点がある」

 

(二つの弱点…だと……?こんなわずかな時間の中で…)

 

エルザは、ミッドナイトの弱点を淡々と話し始めた。

 

「一つ目は、魔法や武具を曲げることは出来ても、人間の体は曲げることができないという事だ。もしも可能ならば、私の鎧ではなく体をねらった方が早い」

 

「フン」

 

立ち上がったミッドナイトは、エルザの衣を鎧同様に操り、エルザを締め上げる。

 

「そうだとしても、本気を出せば衣服で君を絞め殺せるんだよ」

 

みしみしみしみし

 

「二つ目はこれだ」

 

キィィィン

 

「!!!」

 

ミッドナイトの真上に何本もの剣を換装させたエルザは、ミッドナイトに向けて降り注がせる。

 

ズガガガガガ

 

「なっ!?ぐはぁァ!!!」

 

 

「私の鎧をねじ曲げてる間、貴様は剣をよけてかわした」

 

「!!!」

 

「なぜ剣の軌道を曲げてかわさなかったのか、つまりは曲げられる空間は常に一ヶ所ということだ。自分の周囲か、敵の周囲のどちらか一ヶ所だけ、私に魔法をかけてる間は、自分の周囲に屈折を展開できない」

 

「ぬぅ」

 

ミッドナイトはエルザの攻撃により、苦痛の表情を浮かべていた。

 

そして、エルザの洞察力に、ジェラールも目を見開き驚いていた。

 

(なんという洞察力…)

 

「そして、この悠遠の衣は、伸縮自在の鎧。その魔法は効かん」

 

エルザは締め上げる衣を、力ずくで引き剥がす。

 

「ん?この鎧を含めると、弱点は3つだな」

 

弱点を突かれ、形勢逆転されたミッドナイトは、地面に膝をつき、崩れ落ちた。

 

「くそォ…あと少しだったのに…」

 

 

「勝負はついた」

 

しかし、ミッドナイトの目はまだ諦めていなかった。

 

「あと少し早く死んでたら…恐怖を見ずにすんだのにね」

 

ゴォーン ゴォーン

 

エルザ達の耳に、鐘の音が聞こえる。それは午前0時、ちょうど真夜中を示す合図だった。

 

「真夜中にボクの歪みは極限状態になるんだ!!!」

 

立ち上がったミッドナイトは、みるみると巨大化してゆく。

 

「なんだ!!?」

 

あああああああぁぁぁ!!!

 

 

巨大化し終えたミッドナイトの姿は、エルザの三倍はあるかと思えるほどの大きさにまでなっていた。

 

「ハハハハハハハッ!!!」

 

「もう、どうなっても知らないよ」

 

ミッドナイトは右手に魔力を込めて、エルザに殴りかかる。

 

「うるァ!!!!!」

 

ミッドナイトがエルザに攻撃した瞬間、右手に込めた魔力が大爆発を起こした。

 

ドゴォォン!!!!!!

 

爆発により、地面が大きく揺れ、エルザとジェラールは体制を崩してしまった。

 

「あう」

 

「ぐあっ」

 

ヒュッ

 

そして、体制を崩した二人に、ミッドナイトが掌から伸ばした触手が二人の腹を貫いた。

 

ズサッ

 

「ジェラール!!!!」

 

ズッ

 

「ぐはっ」

 

 

「おっと、簡単には死なないでよ。ここからが楽しいんだ」

 

 

「エルザーーー!!!!」

 

「ああ…がふっ」

 

 

「ハハハハハハハハハ!!!!!」

 

 

 

 

ザン!!!

 

 

ミッドナイトが高笑いを上げ、絶体絶命と思われた次の瞬間には、エルザが薙刀でミッドナイトを斬っていた。

 

そして、ミッドナイトの姿、エルザやジェラールの腹に空いた穴は、全て元に戻っていた。

 

「は?」

 

「!!?」

 

ミッドナイトとジェラールは、状況を未だに理解できておらず、困惑している。

 

(な…何が起きたんだ!?オレは確か体を貫かれて…エルザ……)

 

「ボ…ボクの幻覚が効かない…のか…」

 

(幻覚!!?あれが!!)

 

「残念だが目から受ける魔法は、私には効かない」

 

そういうエルザの目は、左目を閉じ、義眼である右目だけで、ミッドナイトの事を見ていた。

 

「そ…そんな…ボクは最強なん…だ……父上をも越える…最強の…六魔…誰にも負けない最強の…魔導士」

 

 

「人の苦しみを笑えるようでは、その高みへはまだまだ遠いな」

 

エルザの言葉を聞きながら、ミッドナイトはゆっくりと倒れていく。

 

(ううっ…ボクの祈り……ただ眠りたかっただけなんだ…静かな所で…)

 

「誰にも負けたくなければ、まずは己の弱さを知ることだ。そして常に…優しくあれ」

 

 

 

エルザの勝利が確定し、六魔が全て倒された。

 

 

「このっ」

 

ヒョイ

 

ゴキィン

 

「んがっ!!」

 

その頃のナツ達は、ブレインの持っていた杖が大暴れし、なんとか押さえようと奮闘していた。

 

「ナツ!」

 

バコォ

 

「ぐはぁ!」

 

ナツが吹き飛ばされたことに、一瞬意識をそらしたグレイを、杖が先端で殴り飛ばす。

 

「ナツ!!グレイ!!」

 

「何やってんだアイツら…」

 

ナツとグレイに意識が向いているルーシィは、スカートの中に肌寒さを感じる。

 

「!?」

 

「ほぅ」

 

「きゃああぁ!!!」

 

ルーシィが振り返ると、ブレインの杖がルーシィのスカートの中を覗いていた。

 

「変態!!!」

 

ルーシィは杖に攻撃するが、杖はアッサリとかわす。

 

「んな短いスカート履いてんだからもっと警戒しろよ…」

 

「小娘の下着など、見ても萎えるわ」

 

「ヒドイ!!」

 

「じゃあ何で覗いた…?」

 

「というかリートも戦いなさいな!!」

 

 

「こいつ」

 

「棒切れのくせに」

 

「やらしい奴」

 

 

「む」

 

ナツ達を小馬鹿にしながら戦っていると、ブレインの杖は顔色を変えた。

 

「六魔が…全滅!!?」

 

杖の慌てふためき様に、リート達もただ事では無いことを察する。

 

「いかん!!!いかんぞ!!!!」

 

「何だ?」

 

「一体何事ですの?」

 

「あの方が…来る!!!!」

 

「あの方?」

 

「あわわわ」

 

「何だってんだよ」

 

杖は、自分が慌てている理由を怯えながらも話し始めた。

 

「ブレインにはもう一つの人格がある…知識を好み、(ブレイン)のコードネームを持つ表の顔と破壊を好み(ゼロ)のコードネームを持つ裏の顔」

 

「ゼロ?」

 

「あまりにも凶悪で強大な魔力の為、ブレイン自身が、その存在を6つの鍵で封じた…」

 

「それが六魔将軍!?」

 

「六魔って…そーゆーことかよ」

 

「生体リンク魔法により、六つの魔が崩れるとき…(ゼロ)の人格は再び蘇る」

 

説明を終えると同時に、杖の背後から異様な寒気を感じる。

 

ゾワッ

 

杖が振り返った先には、一人の人間の影が現れた。

 

「お…おかえりなさい!!!!マスター・ゼロ!!!!」

 

「マスター?」

 

リートが視線を変えると、異常なほどの殺気がリートに向かって飛んでくる。

 

「!!」

 

「リート?」

 

(何だよ…これ…震えが…止まらねぇ…)

 

「ずいぶん面白ぇ事になってるなクロドア、あのミッドナイトまでやられたのか?」

 

「はっ!!!も…申し訳ありません!!!!」

 

「それにしても、久しいなぁこの感じ。この肉体、この声、この魔力、全てが懐かしい」

 

「後はオレがやる、下がってろクロドア」

 

「ははーっ!!」

 

クロドアと呼ばれたブレインの杖は、地面に頭をつけたまま後ろに引き下がる。

 

全員が、ゼロの不気味な魔力に警戒を強める。

 

「小僧ども、ずいぶんとウチのギルドを食い散らかしてくれたなぁ、マスターとしてオレがケジメをとらしてもらうぜ」

 

「こいつが…ゼロ!!?」

 

「燃えてきたろ?ナツ」

 

「こんな気持ち悪ぃ魔力初めてだ」

 

(落ち着け…今ここで、今までの全てを奴にぶつければ…きっと…)

 

「そうだな、まずはこの体を痛め付けてくれた小僧から消してやる」

 

リートは自分に殺気を向けられたのを確信し、先制攻撃を仕掛ける。

 

「氷竜の咆哮!!!」

 

ズドォォン!!

 

「やった!!」

 

ブワァ!!

 

「!!」

 

リートのブレスはゼロに直撃したハズだが、ゼロにダメージはなく、土煙の中から高速でリートに向かって突っ込んできた。

 

「くだらねぇんだよ!!!」

 

ゼロがリートの目の前まで迫って来ると、リートの顔面を殴り飛ばす。

 

ドゴォ!!

 

「リート!!」

 

「ぐっ…くっ…」

 

リートはゆっくりと立ち上がり、頭から血を流した状態で、ゼロと対峙する。

 

「リート!!」

 

「お前もうボロボロじゃねーか!!!」

 

「はぁ…はぁ…うるせぇ…お前ら……手ぇ…出すなよ?」

 

「ほう、オレの一撃を受けて立ち上がったか、面白ぇ…おい小僧、テメェ六魔将軍に入る気はねぇか?テメェなら新生六魔将軍になるのに必要な強さを持ってるぜ?テメェが六魔になるってんならテメェだけは生かしておいてやるぜ?」

 

リートは額の血を袖で拭いとると、ゼロを睨み付ける。

 

「ふざけんな、妖精の尻尾は、オレの家族で、オレの家だ。家族は2つや3つもいらねぇし、ましてや変更なんてあり得ねぇ…そして…」

 

「そんな家族を傷つけるようなクソギルドは、死んでもお断りだ」

 

ゼロはニヤリと笑ってリートを見る。

 

「そうか、なら消してやるよ、跡形もなくな!!」

 

「それもお断りだボケ!!!」

 

リートは目の前に氷の鏡を造り、その中に入り込む。

 

 

「氷竜の双鏡!!!」

 

リートはゼロの後ろから現れ、ゼロに殴りかかる。

 

ガシッ

 

「!?」

 

「そんなカスみてぇな技でオレを倒せると思ったら大間違いだぜ」

 

ゼロは、リートの顔を鷲掴みにしギリギリと力を込める。

 

「がぁっ…あっ…」

 

「リートー!!!!」

 

常闇追複曲(ダークカノン)

 

ドゴォォン!!

 

リートはゼロ距離で撃たれた常闇追複曲により、意識を失ってしまう。

 

ブォン

 

意識を失ったリートをジュラが倒れている場所目掛けて、ゼロは放り投げる。

 

ズザァァ

 

「二人まとめて消してやる」

 

 

ゼロが、リートとジュラに攻撃しようとしていることに驚いたグレイは、リート達の前に立つ。

 

「動けねぇ相手に攻撃すんのかよテメェは!!!!」

 

「動けるかどうかは大した問題じゃない、形あるものを壊すのが面白ぇんだろうが!!!!」

 

ゼロは、なんの躊躇いもなく、リート達に向けて技を放った。

 

(シールド)!!!」

 

グレイが、攻撃が直撃する前に、氷の盾で技を防ぐが、徐々にグレイの氷が割られていく。

 

「オレの盾が!!?こんな簡単に…」

 

最終的に、グレイの氷はアッサリと割られ、グレイはゼロの魔法で吹き飛ばされる。

 

「ぐあああっ!!!」

 

 

ゴオオオッ

 

グレイが吹き飛ばされたと同じタイミングで、ナツがゼロの懐に入り拳に炎を纏い構えていた。

 

しかし、ナツが拳を腹に繰り出すと、ゼロは体を回転させて拳をかわし、その流れでナツを裏拳で吹き飛ばす。

 

「そんな…」

 

ルーシィ、ラリカ、ハッピーは、恐怖で足が動かずただ震えていた。

 

(体が…動かない…怖い)

 

すっ

 

ゼロがルーシィ達目掛けて掌を上に上げると、ルーシィの足元からゼロの魔法が飛び出してくる。

 

「「きゃあああっ!!!」」

 

「わあああっ!!!」

 

 

 

そして、リート達全員は意識を失ってしまった。

 

「さ…さすがマスター・ゼロ!!!!お見事!!!!あの厄介なガキどもをこうもアッサリと」

 

「まだ死んでねぇな」

 

「へ?」

 

「まだ死んでねぇよなァガキどもォ!!!!だって形があるじゃねぇーか!!!!」

 

その後も、ゼロはリート達をボコボコにし始めた。

 

「ガハハハハハッ!!!!!」

 

 




以前アクナがミッドナイトと戦ったらどうなるのか?ってコメントでありましたが

今回書いてて、よくよく考えたら、人体を曲げられないなら、アクナは魔法を使わず体術のみで戦ったら普通に圧勝じゃね?幻覚とかも気合いで解きそうだし、そもそも体術が化け物並みだし…って思ってしまったんですよねぇ、わりかしそれでいけるんじゃね?


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ニルヴァーナ発射

もうすぐ六魔将軍編も終わりかぁ…毎回長い長いって言ってるけど…結局主の書いてるペースの問題なんだよなぁ…まぁこれが終わったらずっと書きたかった話しの1つのエドラス編に入れるし、気合い入れてがんばります!


「マスター・ゼロ 化猫の宿が見えて参りましたぞ」

 

「ふぅん」

 

ナツ達との一戦を終えたゼロは、クロドアと共に王の間から化猫の宿を見下ろしていた。

 

「ニルヴァーナを封印した一族のギルドです。あそこさえ潰せれば再び封印されるのを防げますぞ」

 

「くだらねぇな」

 

「え?」

 

ゼロの言葉を聞き返したクロドアは、次の瞬間には自分の身体を握られ、へし折られてしまった。

 

「くだらねぇんだよ!!!!」

 

「がっ…な…何を!?マスター・ゼロ!!!」

 

そして、地面に落ちたクロドアの頭を、ゼロは躊躇なく踏み潰す。

 

「おごはぁっ!」

 

「オレはただ破壊してぇんだよ!!!!何もかも全てなぁ!!!!」

 

「これが最初の一撃!!!!理由などない!!!!そこに形があるから無くすまで!!!!」

 

「ニルヴァーナ発射だぁぁぁ!!!!」

 

 

 

ニルヴァーナ発射数分前、戦いを終えたエルザとジェラールの下に、ウェンディ達が合流する。

 

「ジェラール!!!」

 

「エルザさんも無事だったんだね!!」

 

 

「ウェンディ、マーラ無事だったか、よかった」

 

「うん、明らかにアタシ達よりエルザさんの方がボロボロなのに、心配してくれるって…ある意味ですごいよね…」

 

「君は…!?」

 

ジェラールは、ウェンディの事に見覚えがなかった。

 

「!?」(やっぱり…私の事…)

 

ショックを受けるウェンディに、エルザはジェラールの事を説明する。

 

「ジェラールは記憶が混乱している。私の事も君の事も覚えていないらしい」

 

「オレの知り合い…だったのか?」

 

「え?」(記憶…そっか…それで)

 

「もしかしてアンタ!!ニルヴァーナの止め方まで忘れてるんじゃないでしょうね!!!」

 

「もはや、自律崩壊魔法陣も効かない…これ以上打つ手がないんだ。すまない」

 

「そんな…」

 

「ちょっと待ってよ、アタシ達のギルドはどうなっちゃうの…?」

 

「冗談じゃないわよ!!!!私たちのギルドは、もう…すぐそこにあるのよ!!!!」

 

シャルルが必死な顔で訴えていると、エルザたちの場所でいきなり地鳴りを感じ出す。

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

「何だ?」

 

エルザ達が視線を変えると、ニルヴァーナを化猫の宿に撃ち込もうとしている光景が目に入った。

 

「まさか、ニルヴァーナを撃つ気か!!!」

 

「「やめてぇーーー!!!!」」

 

ウェンディとマーラの叫びも虚しく、ニルヴァーナのレーザーは化猫の宿に向けて放たれた。

 

しかし、ギリギリの所でレーザーはギルドのギリギリ上を通過する。

 

「何!?」

 

レーザーが反れた理由、それは、ニルヴァーナの足の一本に、真上から何かの魔法が当てられ軌道が変わっていたからであった。

 

「ニルヴァーナの足が…何事だ!!?」

 

エルザ達が空を見上げると、ニルヴァーナに攻撃をした物の正体がわかった。

 

「あれは、魔導爆撃艇 天馬(クリスティーナ)!!!!」

 

クリスティーナを発見したエルザ達の頭に、よく知った声が聞こえ始める。

 

 

『聞こえるかい!?誰か…無事なら返事をしてくれ!!!!』

 

「ヒビキか?」

 

『エルザさん?ウェンディちゃんとマーラちゃんも無事みたいだね、よかった』

 

『私も一応無事だぞ』

 

ヒビキの念話から一夜の声も聞こえ、生存が確認できた。

 

『先輩!よかった』

 

「あ、そーいや一夜さんもいたんだっけ…ずっと忘れてた…」

 

「ほっときなさい、あんなの」

 

『君たち!私の身を案じてくれないのかね?』

 

「今はそんな事どうでもいい、ヒビキ、クリスティーナは確か撃墜されたハズだが、どーなっている?」

 

一夜のツッコミは、エルザによって完全にスルーされる。

 

『メ…メェーン…』

 

『壊れた翼を、リオンくんの魔法で補い、シェリーさんの人形撃とレンの空気魔法で浮かしているんだ』

 

ヒビキの説明では簡単そうに聞こえるが、実際はリオンやシェリー達は、残ったギリギリの魔力で浮かせているため、かなり辛そうにしていた。

 

『さっきの一撃はイヴの雪魔法さ』

 

「クリスティーナの本来持ってる魔導弾と融合させたんだよ、だけど足の一本すら壊せないや…それに…今ので…もう、魔力が…」

 

魔力が尽きたイヴは、その場で倒れてしまった。

 

『聞いての通り、ボクたちはすでに、魔力の限界だ。もう船からの攻撃は出来ない』

 

クリスティーナを動かしていた連合軍も魔力が尽き始め、ゆっくりとクリスティーナは墜落していく。

 

「クリスティーナが!!!」

 

「落ちるわ!!!」

 

『僕たちの事はいい!!最後にこれだけ聞いてくれ!!!時間がかかったけど、ようやく古文書(アーカイブ)の中からみつけたんだ!!!』

 

『ニルヴァーナを止める方法を!!!!』

 

ヒビキは自分の魔力が尽きる前に、急いで説明する。

 

『ニルヴァーナの足のようなものが6本あるだろう?その足、実は大地から魔力を吸収しているパイプのようになっているんだ。その魔力供給を制御する魔水晶が各足の付け根付近にある。その6つを同時に破壊することでニルヴァーナの全機能が停止する。一つではダメだ!!他の魔水晶が破損部分を修復してしまう』

 

「同時にだと!?どうやって!!?」

 

『僕がタイミングを計ってあげたいけど、もう……念話がもちそうにない』

 

ヒビキの念話が、徐々に掠れ始めていた。

 

「ヒビキさん!!!」

 

「ヒビキ!!!」

 

『君たちの頭にタイミングをアップロードした。君たちならきっと出来る。信じてるよ』

 

エルザやウェンディ達の頭の中に、ニルヴァーナ破壊までの時間が表示された。

 

「20分!?」

 

『次のニルヴァーナが装填完了する直前だよ』

 

『無駄なことを』

 

「「「!」」」

 

ヒビキの念話から連合軍とは違う、別の者の声が聞こえる。

 

「誰だ!!?」

 

「この声…」

 

「ブレインって奴だ!!」

 

「僕の念話をジャックしたのか!!!」

 

念話をジャックしたゼロは、構わずに話し続ける。

 

『オレはゼロ…六魔将軍のマスターゼロだ』

 

「六魔将軍のマスターだと!!?」

 

『まずは誉めてやろう。まさか、ブレインと同じ古文書を使える者がいたとはな…』

 

『聞くがいい光の魔導士よ!!!オレはこれより、全てのものを破壊する!!!!手始めに仲間を4人破壊した。滅竜魔導士2人と、氷の造形魔導士、星霊魔導士…それと猫2匹もか』

 

「リートさん達が!!?」

 

「嘘よそんなの!!!」

 

『テメェらは、魔水晶を同時に破壊するとか言ったなァ?オレは今、その6つの内のどれか一つの前にいる!!ワハハハ!!!!オレがいる限り同時に壊すことは不可能だ!!!!』

 

ブチッ!

 

ゼロは高笑いをしながら、念話を強引に切断した。

 

『ゼロとの念話が切れた…』

 

(ゼロに当たる確率は1/6しかもエルザ以外では勝負にならんと見た方がいいか…)

 

「待って!!」

 

ジェラールがゼロとの戦いについて考えていると、シャルルはあることに気がつく。

 

「6人も居ない…魔水晶を壊せる魔導士が6人もいないわ!!!」

 

「わ…私…破壊の魔法は使えません…ごめんなさい」

 

ウェンディはバツの悪そうな顔で話す。

 

(正直…アタシも残った魔力だと魔水晶を壊せるかどうかも怪しいけど…アタシまで戦力不足になるわけにはいかない…)

 

マーラも、ほとんど魔力が残っていなかった。

 

「こっちは3人だ!!!他に動ける者はいないのか!!!」

 

『私がいるではないか…縛られてるが』

 

エルザ達が魔水晶破壊に動ける者を探していると、一夜が名乗り出る。

 

『これで4人…』

 

「あと、2人でいい!!!誰か返事しろー!!?」

 

そして、墜落した天馬の中で、リオンはグレイに念話で話しかけていた。

 

「グレイ…立ち上がれ…お前は誇り高きウルの弟子だ…こんな奴等に負けるんじゃない…」

 

そして、シェリーも…

 

「私…ルーシィなんて大嫌い…ちょっとかわいいからって調子にのっちゃってさ…バカでドジで弱っちいくせに…いつも…いつも一生懸命になっちゃってさ……死んだら…嫌いになれませんわ……後味悪いから返事しなさいよ」

 

マーラも…

 

「リートさんは、約束してくれた…ニルヴァーナを止めて、アタシ達のギルドを助けてくれるって……アタシは…最後までその言葉を信じたい…あの人なら…ううん、きっとあの人にしか出来ないから」

 

 

エルザ、ウェンディ、シャルルも

 

「ナツさん…」

 

「オスネコ…チャネコ…」

 

(ナツ…リート…)

 

『ナツくん…リートくん…僕たちの声が』

 

 

 

 

「……聞こえてる」

 

 

バキッ!!

 

ゼロにやられたナツ達は、ボロボロの身体で何とか起き上がっていた。

 

「ぜぇ…はぁ…」

 

「はぁ……はぁ…」

 

「ガフッ…はぁはぁ…」

 

「6個の魔水晶を…同時に…壊す」

 

「運が良いやつは…ついでにゼロも殴れる…でしょ?」

 

「ここまでやられた仮は……キチンと…返さねぇとな」

 

「あと、18分…急がないと、シャルルのギルドを守るんだ」

 

「ウェンディとマーラも…ですわよ」

 

『もうすぐ…念話が切れる…頭の中に僕が送った地図がある…各魔水晶に番号をつけた…全員バラけるように…』

 

「「1だ!!!」」

 

ナツとリートは、同時に番号を言う。

 

「「!?」」

 

同じ番号を言った二人は、驚いてお互いの顔を見る。

 

「バラけろと言われたばかりですのに、まったく…」

 

「ナツ!!1にはオレが行く!!お前は2番にしろよ!!」

 

「やなこった!!それならお前が2番に行けよリート!!」

 

「なんでオレが2番なんだよ!!いいじゃねぇか!!別に2番でも」

 

「ぜーーったいに嫌だ!!」

 

『やめんか!!!』

 

ビクゥ!

 

エルザの一喝で、二人は大人しくなった。

 

『そんなに言うなら二人で行けばいいだろう!!どのみち2人は余るんだ!!時間がないのだから早くしないか!!』

 

「「あい!」」

 

そして、ナツとリートが1番を選んだ後に続いて、グレイ、ルーシィ、一夜がそれぞれ番号を言う。

 

「2」

 

「3に行く!!…ゼロがいませんように…」

 

「私は4に行こう。ここから1番近いと香りが教えている」

 

「教えているのは地図だ」

 

『そんなマジでツッコまなくても…』

 

「私は5に行く」

 

「では、オレは…」

 

バッ!

 

ジェラールが会話に入ろうとしたところを、エルザが止める。

 

「お前は6だ」

 

 

「他に誰かいんのか!!」

 

「今の誰だ!!!」

 

 

「ナツもリートも、まだお前の事情をしらん…敵だと思っている。声を出すな」

 

エルザは小声でジェラールに忠告する。

 

「おいっ!!」

 

プツッ

 

先ほどの声の正体を知る前に、念話が切れてしまう。

 

「念話が切れた…」

 

「ヒビキも限界だったんだ…」

 

「とにかく…ちゃんと6人…いや、8人もいるんだ…行こう!!ゼロに当たったら各自撃破、皆持ち場があるから加勢は出来ないよ、ナツとリートは必ず時間には、どちらかがゼロを倒しきれていないとしても、魔水晶破壊に専念すること!!」

 

「ヘッ、いつになくリーダーシップ感出してるじゃねぇかハッピー、格好いいぜ」

 

「こんな時だけでも、オイラも役にたたないとね」

 

「フッ…行くぞ!!」

 

「「「「おぉ!!」」」」




その内、アニメのオリジナルの話しとか出していきたいと思います…エドラスやって…アンケートのオリジナル書いて…いくつか本編進めてからやるべきか…それとも、エドラス編前まででもアニメのオリジナルの話しを書いて載せていくか…ちょっと悩んでます。


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ゼロ

お待たせいたしました。ゼロ戦リベンジです。


【1番魔水晶】

 

フラフラの状態のナツとリートは、1番魔水晶前にたどり着くと、そこにはゼロが待ち構えていた。

 

「フン、まだ生きてやがったのか」

 

「「はぁ…はぁ…」」

 

「何しに来た?クソガキ共」

 

にやり

 

二人は笑ってゼロをみる。

 

「ん?」

 

「壊れんのはオレたちか、お前か」

 

「どっちだろうな」

 

 

 

 

「おそらく、ゼロは1にいる」

 

エルザ達も、それぞれ自分の持ち場に行く準備をしながら、ゼロの居場所について話していた。

 

「!?」

 

「ナツさん達のトコだ!!」

 

「だからあの二人、1番に行きたがってたんだね」

 

「アイツらは鼻がいい。分かってて1を選んだハズだ」

 

「だったら加勢にいこうよ!!みんなで戦えば」

 

ウェンディの言葉を、エルザは笑って止める。

 

「二人を甘くみるな、あの二人になら全てを任せて大丈夫だ」

 

「ナ…ツ…」

 

ナツの名前を聞いたジェラールの様子が、変わり出す。

 

「私たちも持ち場に行くぞ!!私は5、ジェラールは6だ!!」

 

「…」

 

「? ジェラール?」

 

ジェラールの様子がおかしいことに気がついたエルザは、声をかける。

 

「…いや、何でもない」

 

「ナツ…ドラグニル…」

 

 

 

 

「だあぁぁらぁぁぁ!!!」

 

そして、既にナツとリートは、ゼロに戦いを挑んでいた。

 

ナツの右フックを、ゼロは一歩後ろに下がって軽々とかわした。

 

しかし、ナツの攻撃も止まっておらず、殴りかかった体制から身体をひねり、空中で回転し、ゼロの顔に後ろ回し蹴りを仕掛ける。

 

ゼロは、今度は体制を低くしてかわすと、頭上からリートが踵落としで、迫ってきていた。

 

ズドン!

 

ゼロが真横に動いて、ナツ達から距離をとると、ナツとリートは同時にブレスをゼロにぶつける。

 

ドゴォン!!

 

「ほう、さっきよりは動きがいいな」

 

「「!!」」

 

爆発の煙が晴れると、片手で二人のブレスを止めているゼロの姿があった。

 

「常闇奇想曲」

 

ゼロは、左右それぞれの手から、レーザービームを二人に向けて撃ち出した。

 

ばっ!

 

二人は同時にそれをかわすが、ゼロはまだ攻撃を続けていた。

 

「ブレインのものと一緒にするなよ」

 

後ろの壁にめり込んだレーザービームが、ゼロがコントロールすることによって、自在に動きまわっていた。

 

次にはナツの足元からレーザーが現れ、リートがとっさにナツの服を引っ張って回避させる。

 

ズド!

 

「がっ!」

 

しかし、リートの背中にもう一方のレーザーが当たり、リートはダメージを受けてしまう。

 

「リート!!」

 

「ははっ!」

 

ゼロは、左右それぞれの手を動かして、レーザーを操る。

 

「クハッ!」

 

「ぐうぅっ」

 

 

「クハハハハ!!壊れんのはどっちかって?てめぇらに決まってんだろーがぁ!!!」

 

 

「火竜の…」「氷竜の…」

 

「鉄拳!!!!」「凍剣!!!!」

 

ズザザザァ!!

 

「んぎぃぃぃ」

 

「があぁぁぁっ…」

 

シュウゥゥ…

 

二人はそれぞれ、向かってくるレーザーに対して攻撃し、ナツは拳でレーザーを欠き消し、リートは氷の剣でレーザーを切り裂いた。

 

「ハァ ハァ ハァ ハァ」

 

「フー フー」

 

「貫通性の魔法を止めるとは、面白い」

 

ドン!!

 

「!!!」

 

ゼロが次の攻撃を仕掛けようとした瞬間、ゼロよりも更に後方からナツに向かって魔法をぶつけられた。

 

「ナツ!!!」

 

「誰だ!?」

 

ゼロが後ろを振り返ると、そこには記憶を失ったはずのジェラールが立っていた。

 

「ジェラール…!?」

 

「ヤロォ…」

 

「貴様…記憶が戻ったのか」

 

「あぁ…」

 

ゼロの問いかけに、ジェラールはニヤリとわらって答えた。

 

「くぅ~~っ…」

 

「ジェラァァァァァル!!!!」

 

「テメェェ!!!何のつもりだァァァ!!!!」

 

ナツとリートの二人はジェラールに殴りかかろうと、走り出す。

 

スッ

 

 

ボゴォ ドン

 

ジェラールは左右の手から、それぞれ炎と冷気を二人にぶつける。

 

「「オレに(炎)(冷気)は、通用しねぇぞ!!」」

 

「知ってるさ、思い出したんだ」

 

ジェラールの鋭かった目付きが、優しい目付きへと変わる。

 

「ナツ、そしてリートという希望をな」

 

「何!?」

 

「炎の滅竜魔導士と氷の滅竜魔導士、その魔力は炎と冷気の力でそれぞれ増幅する」

 

「貴様…完全に記憶が戻ってないな」

 

「言った通り、【ナツ】と【リート】を思い出しただけだ。ニルヴァーナを止める立ち位置は変わらんぞ、ゼロ」

 

「記憶だと?」

 

「何だよ…記憶って…」

 

ジェラールは、ゼロからナツ達に視点を変えると、真実を打ち明ける。

 

「オレにはこの地で目覚める以前の記憶がない。最低のクズだった事はわかったが自覚が無いんだ。どうやら君たちやエルザをひどく傷つけたらしい。だが今は、ウェンディたちのギルドを守りたい。ニルヴァーナを止めたい…君たちの力になりたいんだ」

 

バッ!

 

「ふっざけんなぁ!!!!!」

 

真っ先に手を出したのはナツだった。どうしても、ジェラールの言葉に納得がいかなかったのだろう。

 

「あの事を忘れたって言うのか!!!!何味方のフリしてんだテメェ!!!!」

 

「ジェラール…オレもナツと同じ意見だ。あの時の事を忘れました。今は許してくださいで、ハイそーですかとはいかねぇぞ」

 

リートもジェラールを睨み付け、怒りを表す。

 

「頼む二人とも…今は炎と冷気を受け取ってくれ」

 

ナツは、ジェラールの言葉に耳を傾けようとせず、ジェラールの胸ぐらを掴み上げる。

 

「オレは忘れねぇ!!!!オレたちは忘れねぇ!!!!エルザの涙を…お前が泣かしたんだ!!!!」

 

「やれやれ、内輪もめなら他のところでやってくれねーかな」

 

ジェラール達の言い争いを見ていたゼロは、いつまでも待っていてくれるハズもなく、ナツ達に向けて魔法を放つ。

 

「うっとおしぃんだよ!!」

 

「しまっ…避けろ!!!ナツ!!!!」

 

ゼロの攻撃に、反応が遅れたリートは、慌ててナツに回避の指示を出すが、間に合いそうにはなかった。

 

ドゴォン!!!

 

「ナツーーー!!!」

 

ゼロの魔法は、ナツ達のところで爆発し、煙が晴れると、そこには身体をはって、ナツを守るジェラールの姿があった。

 

「ほう」

 

「ジェ…ラー……ル」

 

「ぐうぅっ…」

 

ドサッ

 

「ジェラール!!」

 

「おまえ!!」

 

リートは急いでジェラールの下に駆け寄り、ジェラールの安否を確認する。

 

「おい!しっかりしろ!!」

 

「オレをやるのはいつでもできる…もう……こんなにボロボロなんだ」

 

ジェラールは両手に、それぞれ金色の炎と銀色の冷気を出して、二人に差し出した。

 

「今は…やつを倒す力を…」

 

「金色の…炎…」

 

「銀色の…冷気…?」

 

 

 

【6番魔水晶】

 

ここには、本来ジェラールが来る予定だったが、ウェンディとマーラ、そしてシャルルが魔水晶を壊す準備をしていた。

 

「準備はいい?ウェンディ」

 

「うん、マーラも力を貸してね」

 

「もちろんだよ!任せて」

 

「ホントにできるの?二人とも」

 

シャルルが心配そうに訪ねると、二人は真剣な顔で答えた。

 

「出来るか出来ないかじゃなくて、やらなきゃいけないんだよ」

 

「これは、私たちがやらなきゃいけない事なんだ」

 

ウェンディ達は、数分前の事を思い出していた。

 

 

『どーしたの?ジェラール、具合悪いの?』

 

『いや、ウェンディ、君は確か治癒の魔法を使えたな?ゼロと戦う事になるナツとリートの魔力を回復出来るか?』

 

ジェラールがウェンディにそう訪ねると、ウェンディは申し訳なさそうな顔をする。

 

『それが…』

 

『何バカな事言ってんの!!!今日だけで何回治癒魔法を使ったと思ってるのよ!!!』

 

『まぁまぁ、シャルル…落ち着いて…ね?』

 

『お黙りなさい!!!』

 

『なんか今日のシャルル、アタシにだけ当たり強くない!?』

 

『とにかく、これ以上は無理!!!もともとこの子は…』

 

『そうか…ならば二人の回復はオレがやろう』

 

『『え?』』

 

二人は驚いた顔で、ジェラールの顔をみる。

 

『思い出したんだ、ナツ、リートという男達の底知れぬ力…希望の力を』

 

『君たちは変わりに6番魔水晶に向かってくれ』

 

『…わかった』

 

マーラは少しだけ考えると、覚悟を決めた顔で返事をした。

 

『でも、私…』

 

しかし、ウェンディはまだ返事ができずにいた。

 

『君にならできる。滅竜魔法は本来ドラゴンと戦うための魔法、圧倒的な攻撃魔法なんだ。空気…いや、空…【天】を喰え。君にもドラゴンの力が眠っている』

 

『そうだよ、ウェンディ、ウェンディはいつだってやればできるんだよ。アタシはそう信じてる』

 

『マーラ…』

 

『それに、もし失敗してもアタシが何とかするから!いつだってそうだったでしょ?アタシが出来ないことはウェンディが…ウェンディが出来ない事をアタシが、それでもダメなら二人で力を合わせて解決してきた。今回もそれと一緒♪ね?』

 

マーラが、ウェンディに優しく微笑むと、ウェンディも笑って返事をする。

 

『…うん!』

 

そして、時は戻り6番魔水晶

 

「ドラゴンの力…私の中の」

 

「アタシもそろそろ魔力を練らないと…」(思っていたよりも大きいなぁ…これは、魔力を残しておいて正解だったかも)

 

「自分のギルドを守る為なんだ!!!お願いグランディーネ!!!力を貸して!!!!」

 




氷竜のアニオリを書いて新作として投稿しましたが、新作として出すと読みずらくなるとコメントをいただきましたので、今後アニオリを書いたら、先に向こうで投稿して、その後こちらにも同じ作品を載せようと思います。

ただ、こちらに投稿すると、章の間に入れることになり探しずらくなると思うので、アニオリの方に先に投稿、しばらくしてからこちらの章の間に投稿という形でやっていきますので、アニオリを少しでも早く読みたい方はあらすじにリンクを載せておりますのでそちらからお読みください。


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咎の炎 罪の冷気

そろそろ六魔将軍も終わりですなぁ…たまに自分の作品を読み返してみて思うことが一つ…全然話し進んでねぇな!!


「これは、咎の炎…そして、罪の冷気…」

 

ジェラールは左右の掌に、金色の炎と銀色の冷気を出して、ナツとリートに差し出す。

 

「許しなんていらない、今は君たちに力を与えたい…オレは君たちを信じてる」

 

「エルザが信じる男達を、オレは信じる」

 

その言葉を聞いた二人は、ナツはジェラールの右手を、リートは左手を握り、それぞれ炎と冷気を受け取った。

 

ガフガフガフ

 

「頼んだぞ」

 

 

 

「「ごちそー様」」

 

「確かに受け取ったぞ、ジェラール」

 

「お前が信じたオレたち双竜の力を見せてやる」

 

 

「咎の炎…そして、罪の冷気か、それを喰っちまったら貴様らも同罪か」

 

ゼロは、未だ余裕の表情で二人を見ていた。

 

「罪には慣れてんだ。妖精の尻尾の魔導士は」

 

「それを受け入れる覚悟もある」

 

「本当の罪は…眼をそらす事」

 

ナツは、足に力を込める。

 

「誰も信じられなくなる事だぁ!!!!」

 

ナツの全力の火竜の剣角が、ゼロに炸裂する。

 

「ぐはぁ!!」

 

がっ

 

ゼロに体当たりしたナツは、そのままゼロの服を掴んで後ろに放り投げる。

 

ドガッ

 

更にゼロの真上から、リートが氷の柱をゼロに向けて放つ。

 

ズドォォン!

 

 

ズガガガガ!

 

「!」

 

ゼロにぶつけた氷の柱が削られる音が聞こえ、ナツとリートは即座に身構える。

 

ズガン!

 

氷の柱から、ゼロのレーザーが二人に向かって一直線に迫ってくる。

 

バシン!

 

二人は同時にレーザーを弾き飛ばし、割れた氷の柱の中からキズだらけになりながら表情を歪ませたゼロが姿を表す。

 

そして、ナツからは金色の炎が、リートからは銀色の冷気が身体から溢れだし、リートは白髪に、更に腕に煙の模様が浮かび上がる。

 

「こ…この光…ドラゴンフォース!!!?」

 

ナツとリートは、自分の身体をジッと見る。

 

「この力…エーテリオンを喰った時と似てる…」

 

「これだ…オレが何回もなろうとしてなれなかった力……あの時と同じ力…」

 

「スゲェ、自分の力が2倍にも3倍にもなったみてぇだ」

 

(この力を身体で覚えろ…今完璧に自分のモノにしろ)

 

リートは目を瞑り、今の感覚を取り込もうとする。

 

「目ぇ瞑ってる余裕なんかねぇぞ小僧ぉぉぉ!!!」

 

ゼロは、一切の躊躇いもなくリートに向かって襲いかかる。

 

(カウンター?…いや、アイツが止める)

 

直感で後の展開を予想したリートは、まだ動かずに黙って立っていた。

 

すると、ゼロのパンチをリートとゼロの間に割って入ったナツが止め、そのままゼロの顎にアッパーをくらわせる。

 

「ぐううっ…」

 

ガシッ!

 

「!」

 

「調子にのるんじゃねぇぇぇ!!!」

 

ゼロがアッパーで突き上げられたナツの拳を掴むと、空中で振り回し、ナツを後方へ投げつける。

 

ズガァン!!

 

なった投げ飛ばしたゼロは、身体の向きを変え、リートの顔を掴もうと手を伸ばす。

 

カッ!

 

ゼロに捕まれる瞬間、リートは瞑っていた目を開き、片手でゼロの腕を弾き、鳩尾に強烈な肘打ちを決める。

 

「がはぁっ!」

 

肘打ちに怯んだゼロを、リートは回し蹴りで蹴り飛ばす。

 

「火竜の…」

 

「!?」

 

吹き飛ばされるゼロの後ろでは、ナツが拳を構えて待ち構えていた。

 

「鉄拳!!!」

 

ドゴォ!!

 

ナツの攻撃が、見事にゼロの顔にクリーンヒットし、ゼロはまた別方向に殴り飛ばされる。

 

ズザザザァァ

 

ゼロが足を踏ん張らせて、体制を立て直すと、ナツとリートの二人が迫ってきていた。

 

「くっそがぁぁぁ!!!」

 

「ダークグラビティ!!!」

 

ゼロは、迫ってくる二人を、魔法へ床に叩きつけた。

 

すると、二人の足元の床が抜け、まっ逆さまに落ちていった。

 

「「ぐああああぁ!!!」」

 

 

 

その頃、他のメンバーも続々と持ち場の魔水晶に到着していく。

 

そして、ルーシィも自分の持ち場に向かうが、あまりにもフラフラで、ハッピーとラリカが心配してついてきてくれていた。

 

「ルーシィ大丈夫?」

 

「もう立ってすらいられてないじゃありませんの」

 

二人が心配そうにしていると、今にも消えそうな声でルーシィは喋る。

 

「見栄とかはってる場合じゃないのに…「できない」って言えなかった…もう、魔力がまったくないの」

 

気がつけば、ルーシィの目から涙が出ていた。

 

「それでも、ウェンディとマーラのギルドを守りたい。うつむいていたくない…だからアタシは、最後まであきらめない」

 

『時にはその想いが力になるんだよ』

 

ルーシィ達の後ろから声が聞こえ振り返ると、そこには星霊のジェミニがやって来ていた。

 

『『君の想いは僕たちを動かした』』

 

「ジェミニ!!?」

 

ピーリ ピーリ

 

ジェミニは、ルーシィの姿に変身する。

 

「僕たちが君の意思になる。5分後にここを壊せばいいんだね?」

 

 

 

「あ…あぶねぇ」

 

ゼロの魔法でまっ逆さまに落ちた二人は、何とかギリギリニルヴァーナから落ちずにすんでいた。

 

上を見上げると、ゼロが二人のもとまで迫ってきているのがわかった。

 

「ぐっ…」

 

二人が立ち上がると、ゼロはレーザーを鞭のように振り回し攻撃を仕掛ける。

 

それをかわした二人は、横並びになるとリートは自分の手を握り、ナツを投げ飛ばす体制に入る。

 

「乗れ!!」

 

「!」

 

リートの手の上に乗ったナツは、そのままリートにゼロに向けて投げ飛ばしてもらう。

 

「いって……こぉぉぉい!!!」

 

「火竜の…剣角ぅぅぅ!!!」

 

ズドォォン!

 

「がはぁっ!」

 

ナツの火竜の剣角が決まり、ゼロにダメージを与えたが、ゼロは空中で体制を変え、ナツに魔力の弾をぶつける。

 

ドン!

 

「がっ…」

 

「フン!」

 

ゼロがもう一度レーザーを鞭のように操りナツに攻撃しようとすると、レーザーが一瞬で凍りつき粉々に砕け散った。

 

「!!?」

 

ゼロが下を見るとゼロの方に掌を向けて睨み付けているリートの姿があった。

 

「ちっ」

 

ナツとゼロが同時に下に降りると、ナツ、リート、そして、ゼロの三人が同時に拳をぶつけ合う。

 

タイムリミットまで残り3分、魔水晶を壊そうと全員が魔力を込め始めた。

 

グレイや、エルザが、

 

「あと3分」

 

 

「ナツ…リート…」

 

一夜や、ウェンディ達が、

 

「つ…着いたぁ~!!見せてやるぞ、我が力の香りを」

 

 

「力を…もっと天の力を」

 

(花火の玉をイメージ…特大サイズの玉に魔力を全力で注ぎ続けて維持…)

 

 

 

ナツとリートは、徐々にゼロに圧され始めていた。

 

ドガッ!

 

ゼロのパンチで二人は吹き飛ばされ、ついに床に倒れてしまった。

 

「オレは六魔将軍のマスターゼロ、どこか一ギルドのたかが兵隊とは格が違う」

 

「う…ぐっ…」

 

「ガフッ…」

 

「テメェらごときゴミが二人で相手できる訳がねーだろうが」

 

「ハァハァー…ハァ…ハァ…」

 

「ぜぇ…ハァ…ぜぇ…」

 

二人はボロボロの身体で、ゆっくりと立ち上がる。

 

「二人じゃ…ねぇ……」

 

 

「ん?」

 

 

「伝わって…くるんだ」

 

「みんなの声…」

 

「みんなの気持ち…」

 

「オレら二人だけの力じゃねぇ…」

 

「みんなの想いが…オレたち二人を支えて」

 

「オレたちを!!」

 

「今ここに!!」

 

「立たせている!!!」

 

 

二人は立ち上がると、身体中から魔力を放出させる。

 

「「仲間の力が、オレたちの体中をめぐっているんだ!!!!」」

 

 

「粉々にするには惜しい男達だがもうよい、楽しかったよ」

 

ゼロが腕をゆっくりと上下に回し、魔法の構えをとる。

 

「貴様らに最高の無をくれてやろう。我が最大魔法をな」

 

それを見た二人は、全力で対抗しようと魔力を込める。

 

「「滅竜奥義!!!!」」

 

 

「ジェネシス・ゼロ!!!!」

 

「紅蓮爆炎刃!!!!」「氷刀飛燕斬!!!!」

 

 

 

「おおおおおおぉぉぉ!!!!」「あああああああぁぁぁ!!!!」

 

「消えよ、無の彼方へ」

 

 




今回、罪の冷気を名付けた理由ですが…他に思い付かなかったんです!許してつかぁーさい!


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タイムリミット

とりあえず、決着…かな


「時間だ!!!皆頼むぜ!!!」

 

魔水晶を壊す時間になり、それぞれ準備をしていた者達が動き出す。

 

グレイ、ルーシィ、一夜、エルザ、マーラ、ウェンディが攻撃を始める。

 

ルーシィ(ジェミニ)は、タウロスを召喚し

 

「開け!!金牛宮の扉…タウロス!!!」

 

一夜は、香りの魔法で筋肉を増強させ

 

「ぬおおおおっ!力の香り全開~!!!!」

 

エルザは、黒羽の鎧に換装し

 

「ナツ…リート」

 

マーラは特大サイズの花火を作り、前方に放り投げ

 

「行くよ!!ウェンディ、八尺玉!!!!」

 

ウェンディは、花火を巻き込みながらブレスを放つ

 

「天竜の咆哮…」

 

 

そして、ゼロとの戦いも最終局面へと入り、ナツ達の滅竜奥義と、ゼロの最強の魔法が放たれた。

 

「「うおおおおおっ!!!!!」」

 

 

「我が前にて歴史は終わり、無の創世記が幕を開ける…」

 

「ジェネシス・ゼロ!!!」

 

「開け、鬼哭の門」

 

ゼロの周りから無数の人影を模した魔力が飛び出し、ナツ達を襲う。

 

「無の旅人よ!!!!その者の魂を!!記憶を!!!存在を喰い尽くせ!!!!」

 

「消えろ!!!ゼロの名の下に!!!」

 

ナツ達は、ゼロの魔法に呑み込まれてしまった。

 

ニヤリ

 

ゼロは勝利を確信し、笑みをこぼすが、二人は完全に呑み込まれたわけではなかった。

 

ごぉぉぉぉ

 

 

ピキピキピキ

 

「!!」

 

ゼロの魔法の中から、金色の炎と銀色の冷気がゼロの魔法を燃やし、あるいは凍らせていた。

 

「何!?」

 

 

「「おおおおおおぉぉ!!!」」

 

「炎と冷気が…」

 

「「らああああああっ!!!」」

 

「オレの魔法を燃やし、凍らせているだと!?」

 

魔法を燃やすナツとリートは、ゼロの目には二頭のドラゴンが迫ってきているようにも見えた。

 

(ドラゴンを倒すために…ドラゴンと同じ力を身につけた魔導士…これが本物の…滅竜魔導士)

 

ナツとリートは同時にゼロの顔を殴り、上に殴り飛ばす。

 

「全魔力解放!!!滅竜奥義 不知火型」

 

「紅蓮鳳凰劍!!!!」

 

ナツは、全身に炎を纏い、全力でゼロの腹にぶつかる。

 

「ぐあああぁっ!!!」

 

「あああああぁ!!!!」

 

ナツは、ゼロに体当たりしたまま、どんどんと天井を突き抜けていく。

 

「あいつ!!あの軌道じゃ魔水晶の横を通りすぎるぞ!!?」

 

焦ったリートは、掌に魔力を込め始めた。

 

「氷竜の凍槍!!!」

 

普段作っている氷の柱とは少し違い、先端を尖らせた槍の型の氷をリートは自分の上にあるであろう魔水晶目掛けて投げ飛ばす。

 

「いっ……けぇぇぇぇ!!!!」

 

ブォン!!!

 

ズガン!ズガン!ズガン!

 

リートの投げた槍も、どんどんと天井を突き抜けて魔水晶に向かって突き進む。

 

ズドォォン!!!

 

ナツの攻撃は、魔水晶のある部屋までゼロを巻き込みながら天井にぶつかりようやく止まった。

 

それと同時に、リートの投げた槍も魔水晶にぶつかり、無事破壊することに成功した。

 

他の者達も魔水晶を壊し、無事に6つの魔水晶を破壊することに成功した。

 

そして、魔水晶を破壊されたニルヴァーナは、ついに崩壊したのだった。

 

(やはり…想像以上の男達だった…)

 

タッタッタッ

 

ナツがいる場所に、リートが天井の穴を伝って登ってくる。

 

「よっ…と」

 

「よう、リート」

 

「ようじゃねぇ…ったく、魔水晶の場所くらい把握しとけよな、オレが攻撃しなけりゃ作戦失敗してたぞ」

 

「でも、お前が居たからアイツを倒すことに専念できたんだぞ?にしし」

 

ナツは、笑ってリートの顔を見る。

 

ふらっ

 

「!」

 

いきなりナツが、気の抜けたように倒れそうになり、リートがそれを支える。

 

「ナツ!!」

 

ジェラールも慌てて二人の下に駆け寄ると、それと同時にニルヴァーナの崩壊が始まる。

 

「ここはマズイな…早く外に出るぞ」

 

「あぁ!」

 

リートはナツを担いで、ジェラールと共に外に向かう。

 

他の者達も、次々と外に向けての脱出を目指す。

 

真っ先にニルヴァーナから飛び出してきたのは、グレイだった。

 

「うおっ!危ねっ」

 

グレイが振り返ると、その後も次々と魔水晶破壊に行っていた面子が外に飛び出してくる。

 

「みんな無事か!?」

 

ルーシィとハッピーとラリカが、

 

「ぷはぁ」

 

「あぎゅっ」

 

「き…危機一髪でしたわ」

 

エルザと、そして一夜も

 

「エルザさ~ん、よかったぁ」

 

「な…なんだその体は!?」

 

ジュラ、ウェンディ、マーラ、シャルルも、

 

「ナツさんは!?ジェラールもいない!!」

 

「リートさんもいないよ!?」

 

 

「アイツら何してやがんだ」

 

(ナツ…リート…ジェラール…何をしている)

 

そうして、グレイ達が残った者を待っていると、ルーシィの目の前の土がいきなり盛り上がる。

 

「ひぃ!?」

 

ズザァァァ

 

土が落ち全員が視線を向けると、そこにはリチャードに担がれた、ナツ、リート、ジェラールの姿があった。

 

「愛は仲間を救う…デスネ」

 

「んあ?」

 

「うえっ、土入った…ぺっぺっ、気持ち悪」

 

 

「ナツさん!!」

 

「リートさん!!」

 

ウェンディとマーラは、嬉しそうにナツ達に駆け寄る。

 

「六魔将軍が…何で!!?」

 

「色々とあってな…大丈夫、味方だ」

 

そして、ウェンディとマーラは、勢いよくナツとリートに飛び付く。

 

「ナツさん!!!!」「リートさん!!!!」

 

「うおっ」「おっと」

 

「本当に…約束守ってくれた」

 

「信じてよかったよ…」

 

 

「「ありがとう!!ギルドを守ってくれて!!!」」

 

ナツとリートは、二人に笑いかける。

 

「みんなの力があったからだ」

 

「勿論、二人の力もな」

 

「今度は元気よくハイタッチだ!!」

 

「はい!」

 

パァァン!

 

ナツとウェンディが、喜びのハイタッチをかわす。

 

「リートさん!!あたし達もやろ!!」

 

「おう!!」

 

パァァン!

 

それに続いて、リートとマーラもハイタッチをかわした。

 

その後、全員の無事を確認し、リート達はようやく一息ついていた。

 

「全員無事で何よりだね」

 

「みんな…本当によくやった」

 

「これにて作戦完了ですな」

 

 

「で…アレは誰なんだ?」

 

グレイが、ジェラールを見ながら誰の知り合いかを確認する。

 

「天馬のホストか?」

 

「どことなくリートに似てるね…あんな人いたっけ?」

 

「ジェラールだよ…アイツは…」

 

「何!!?」

 

「あの人が!!?」

 

ジェラールの顔を知らなかったグレイとルーシィが、驚愕する。

 

「あぁ、だが私たちの知っているジェラールではない」

 

「記憶を失ってるらしいの」

 

ウェンディの説明を聞くグレイ達だが、元々敵だったこともあり、警戒が解けた訳ではなかった。

 

「いや…そーいわれてもよぅ……」

 

「大丈夫だよ。ジェラールはホントはいい人だから」

 

エルザはジェラールの下に行き、ジェラールに話しかける。

 

「とりあえず、力を貸してくれたことには感謝せねば」

 

「エルザ…いや…感謝されるようなことは何も」

 

「これからどうするつもりだ?」

 

「わからない」

 

記憶をなくしてしまったジェラール、それは今後どうしていくのかも分からなくさせてしまっていた。

 

「そうだな…私とお前との答えも簡単には出そうにない」

 

「怖いんだ…記憶が戻るのが…」

 

自分の記憶が戻ることに怯えるジェラールに、エルザは、優しく微笑む。

 

「私がついている」

 

「…」

 

「例え再び憎しみ合うことになろうが、今のおまえは放っておけない…私は」

 

ゴチィン!

 

「メェーン!!」

 

エルザとジェラールが話していると、いきなり一夜の叫びが聞こえてくる。

 

「どうした!!オッサン!!」

 

「何やってんですか?一夜さん」

 

「トイレの香りをと思ったら…何かにぶつかったぁ~」

 

一夜は見えない壁にぶつかっており、リート達が足下を見ると、そこには文字が刻まれていた。

 

「何これ!?」

 

「何事ですの!?」

 

「何か地面に文字が!!」

 

「こ…これは!」

 

「術式!!?」

 

気がつけば、リート達を取り囲むように地面には術式が刻まれていた。

 

「いつの間に!!?」

 

「閉じ込められた!!?」

 

「誰だコラァ!!!」

 

「くそっ!」(六魔将軍を倒した後だからって、油断していた…いつもならこれだけバカデカイ術式の気配くらい感じ取れるはずなのに)

 

ザッザッザッ

 

困惑しているリート達の下に、森の外から何人もの人影がこちらに向かってくる。

 

「な…なんなの!?」

 

「!ウェンディ、シャルル、アタシの後ろに下がって…」

 

森の外から来た者達の中から一人が一歩前に出て、話し始める。

 

「手荒な事をするつもりはありません。しばらくの間そこを動かないでいただきたいのです」

 

「私は、新生評議院第四強行検束部隊隊長ラハールと申します」

 

「我々は法と正義を守るために生まれ変わった。いかなる悪も決してゆるさない」




もうすぐで、エドラス編!書きたかった話しの1つなので何気にワクワクしてますw


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光を信じる者の奇跡

評価0つけられたけど…結構辛いなぁ…どうやって評価上げればいいかわからなくなってきた…


「私は、新生評議院のラハールと申します」

 

ナツ達の前に現れた評議員、それにはナツ達もただ戸惑うことしかできなかった。

 

「おいら達、何も悪いことはしてないよ!!!」

 

「お…おう」

 

「そこはハッキリ言えよ…」

 

評議院の目的は、ナツ達を捕らえるため…という訳ではなかった。

 

「存じております。我々の目的は六魔将軍の捕縛、そこにいるコードネーム、ホットアイをこちらに渡してください」

 

「!!」

 

リチャードをとらえに来た評議員に、ジュラは激しく抗議しようとする。

 

「ま…待ってくれ!!」

 

しかし、リチャードはジュラの抗議を止めた。

 

「いいのデスネ ジュラ」

 

「リチャード殿…」

 

「善意に目覚めても過去の悪行は消えませんデス。私は一からやり直したい」

 

「…」

 

ジュラが考えた結果、リチャードを評議院に引き渡すことを決めた。

 

「ならばワシが代わりに弟を探そう」

 

「本当デスカ!!?」

 

「弟の名を教えてくれ」

 

「名はウォーリー…ウォーリー・ブキャナン」

 

その名前に、エルザが異様に反応した。

 

「ウォーリー!!?」

 

「どっかで聞いたようなぁ~」

 

「アタシも」

 

「オレもだ」

 

「カクカク…」

 

リートが一言呟くと、妖精の尻尾のメンバー全員がウォーリーの顔を思い出した。

 

「「「「「あいつか!!!」」」」」

 

 

「その男なら知っている」

 

エルザがそう言うと、ジュラとリチャードが表情を変えてエルザを見やる。

 

「何と!!?」

 

「!!!」

 

「私の友だ。今は元気に大陸中を旅している」

 

それを聞いて嬉しかったのであろうリチャードは、涙をながしはじめる。

 

グズッグスッ

 

「これが…光を信じる者だけに与えられた奇跡というものデスカ…ありがとう……ありがとう!!」

 

そして、リチャードは大人しく評議院に連行されていった。

 

「なんか、かわいそうだね」

 

「あい」

 

「しかたねぇさ」

 

「あぁ、アイツが言っていた通り過去の悪行は消すことが出来ない、けど、やり直すチャンスはいくらでもあるさ」

 

 

「もうよいだろ!!術式を解いてくれ!!漏らすぞ!!!」

 

一夜は、そろそろ限界らしい。

 

「やーめーてー!!!」

 

「一夜さん…ここで漏らしたらいろんな尊厳失くしそうだな…」

 

「手遅れだと思いますわ」

 

「尊厳どうこうの前に、普通に女の子の前で漏らさないでほしいんですけど!!?」

 

ルーシィとマーラは漏らされるのを全力で嫌がり、リートとラリカは哀れみの目で一夜を見ていた。

 

「いえ、私たちの本当の目的は六魔将軍ごときではありません」

 

「え?」

 

評議院の本当の目的が六魔将軍を捕らえることだとばかり思っていたリート達は、ラハールの意外な言葉に驚愕する。

 

「評議院への潜入、破壊、エーテリオンの投下…もっととんでもない大悪党がそこにいるでしょう」

 

ラハールは、ゆっくりと指先をジェラールに向ける。

 

「貴様だジェラール!!!来い!!!!抵抗する場合は抹殺の許可もおりている!!!!」

 

「なっ!!?」

 

「ちょっと待てよ!!!」

 

「そんな…!!!」

 

「その男は危険だ。二度とこの世界に放ってはいけない…絶対にだ!!!」

 

ラハールの意志は強く、ジェラールを捕縛するつもりだ。

 

ラハールの部下がジェラールに手錠を嵌め、連行しようとする。

 

「ジェラール・フェルナンデス…連邦反逆罪で貴様を逮捕する!!!!」

 

「待ってください!!!」

 

ウェンディが、ラハールに必死に説得を行う。

 

「ジェラールは記憶を失っているんです!!!何も覚えてないんですよ!!!」

 

しかし、ラハールにそんな説得は通用しない。

 

「刑法第13条により、それは認められません」

 

ジェラールが自分の手の届く場所まで来た事を確認したラハールは、部下に向かって指示を出す。

 

「もう、術式を解いていいぞ」

 

「で…でも」

 

「いいんだ、抵抗する気はない」

 

必死に止めようとするウェンディを、ジェラールは抑止した。

 

「君の事は最後まで思い出せなかった…本当にすまない、ウェンディ」

 

「ウェンディは、あなたに助けられたことがあるらしいの」

 

マーラがそう説明すると、ジェラールは一瞬驚いた顔をし、すぐにもとの表情に戻る。

 

「そうか、オレは君たちにどれだけの迷惑をかけたか知らないが、誰かを助けたことがあったのは嬉しい事だ」

 

ジェラールは、ウェンディからエルザに視点を変える。

 

「エルザ」

 

「……」

 

「色々とありがとう」

 

エルザは、心の中で葛藤していた。

 

(止めなければ…私が止めなければ…ジェラールが行ってしまう…せっかく悪い夢から目覚めたジェラールを……もう一度暗闇の中へなど行かせるものか!!!!)

 

ラハールとジェラールは、すれ違い様に言葉をかわす。

 

「他に言うことはないか?」

 

「あぁ」

 

「死刑か無期懲役はほぼ確定だ。二度と誰かと会うことはできんぞ」

 

ジェラールは、そのまま連行用の魔導四輪に向かって歩いて行く。

 

(行かせるものか!!!)

 

エルザが、ジェラールを引き留めようと覚悟を決めたその時

 

「行かせるかぁ!!!!」

 

ナツが、評議員を相手に暴れだした。

 

「ナツ!!!」

 

「相手は評議員よ!!!」

 

「そんな事したら貴方まで捕まりますわよ!!」

 

ラハールの部下達が、一斉にナツを押さえようとする。

 

「そいつは仲間だ!!!!連れて帰るんだぁ!!!!」

 

「ナツさん…」

 

「よ…よせ」

 

 

「と…取り押さえなさい!!!!」

 

ラハールの指示で、残りの部下もナツに襲いかかる。

 

ドン!

 

「ぐほっ」

 

しかし、そこをグレイとリートが評議員をぶっ飛ばして止める。

 

「行け!!ナツ!!」

 

「ナツ!!!テメェが決めた事だ!!しっかりとテメェでケジメつけろよ!!!」

 

「グレイ!!リート!!」

 

「こーなったらナツは止まんねぇからな!!」

 

「あぁ、それにオレは他にも納得できねぇ事がある!!」

 

「オレもだ!!」

 

リートは襲いかかってくる評議員を、投げ飛ばしながら睨み付ける。

 

「自分たちは今さら来てニルヴァーナ阻止に我関せずだったくせに、オレたちと一緒にニルヴァーナを止めたジェラールに対して扱いが気に入らねぇんだよ!!」

 

「そうだ!!労いの言葉1つもかけてやらねぇのか!!!」

 

リートとグレイの言葉により、ジュラや一夜、マーラ達も立ち上がる。

 

「リート殿達の言葉には一理ある。その者を逮捕するのは不当だ!!!」

 

「くやしいけど、その人がいなくなるとエルザさんが悲しむ!!」

 

「アタシも、ジェラールって人が居なくなってウェンディが悲しむ姿は見たくない!!」

 

「もう!どーなっても知らないわよ!!」

 

「あい!」

 

「こーなったらヤケですわ!!」

 

「お願い!!!ジェラールを連れていかないで!!!」

 

 

「来い!!!!ジェラール!!!!お前はエルザから離れちゃいけねぇ!!!ずっと側にいるんだ!!!!エルザの為に!!!!だから来い!!!!オレたちがついてる!!!仲間だろ!!!!」

 

ラハールも癇癪を起こし、部下に新しい指示をだす。

 

「全員捕らえろぉぉぉぉ!!!!公務執行妨害及び、逃亡幇助だぁぁ!!!!」

 

「ジェラールーーー!!!!」

 

 

 

「もういい!!!!そこまでだ!!!!」

 

エルザの一喝で、その場の全員が固まった。

 

「騒がしてすまない…責任は全て私がとる…」

 

「ジェラールを……連れて…いけ……」

 

 

「エルザ!!!」

 

「座っていろ!!!」

 

「あい!」

 

評議員がジェラールの連行を再開すると、ジェラールが一度だけ立ち止まりエルザに振り返る。

 

「そうだ…おまえの髪の色だった」

 

「!」

 

「さよなら…エルザ」

 

その後評議員にジェラールを引き渡した後、全員は黙って座り込んでしまっていた。

 

「エルザ…どこ行ったんだろ…」

 

「そっとしといてあげなさいな、ハッピー」

 

「うん…しばらく一人にしてあげよ」

 

「…あい」

 

とある岩場にて、エルザは過去の事を思い出していた。

 

『ジェラール・フェルナンデス』

 

『うわー、覚えづれぇ』

 

『そーいうお前も、ウォーリー・ブキャナンって、忘れそうだよ』

 

『エルザ、おまえは?』

 

幼い頃のジェラールとウォーリーは、エルザにフルネームを聞いていた。

 

『私はエルザ…ただのエルザだよ』

 

『それはさみしいなぁ』

 

ジェラールは、ふと、エルザの髪をさわる。

 

『ちょ…何よぉ』

 

『綺麗な緋色…そうだ!スカーレットにしよう!』

 

『しようって、オマエそんなの勝手に』

 

『エルザ…スカーレット…』

 

勝手に名字を決められたエルザだが、その顔は満更でもなさそうだった。

 

『おまえの髪の色だ。これなら絶対に忘れない』

 

 

「……ジェラール…」

 

 

「うぅっ…うわぁぁ…ああああぁ」

 

ああーーーーぁ!!!

 

この日…エルザは泣いた。今まで溜め込んだ全てを吐き出すように…思いっきり泣いていた。

 

 

そして次の日、リート達連合軍は、化猫の宿に招待されボロボロになった服を着替えていた。

 

「わぁ!!かわいい!!」

 

「よく似合ってますわよ、ルーシィ」

 

「ありがと、アンタもね。ラリカ」

 

「私の方がかわいいですわ」

 

民族衣装に着替えたルーシィとラリカはお互いに服を誉め合い、シェリーが対抗心を燃やす。

 

「ここは集落全部がギルドになってるんだよ!」

 

「織物の生産も盛んなんですよ」

 

マーラとウェンディが、ルーシィ達にそう説明する。

 

「ニルビット族に伝わる織り方なの?」

 

「さぁ?どーなんだろ」

 

「今思えば…そういう事……なのかな?」

 

「あなた達、ギルド全体がニルビット族の末裔って知らなかったんですわね」

 

「アハハー、アタシはウェンディに誘われてこのギルドに入ったから、順番でいうと一番後輩に当たるからねぇ」

 

「私も、皆より後から入ったので」

 

 

ルーシィは、黙って壁にもたれ掛かっているエルザを心配して、元気になってもらおうと声をかける。

 

「エルザも着てみない?かわいいよ」

 

「ああ…そうだな」

 

 

「ところでお二人共、化猫の宿はいつからギルド連盟に加入してましたの?」

 

ウェンディとマーラに、シェリーがギルドについて訪ねる。

 

「私…失礼ながらこの作戦が始まるまでギルドの名を聞いたことがありませんでしたわ」

 

「あ、そういえばアタシも」

 

 

「そうなんですか?」

 

「うわぁ~、やっぱりウチのギルドって本当に無名なんだねぇ」

 

 

話し込んでいる女性群達を、シャルルが迎えに来た。

 

「どーでもいいけど、みんな待ってるわよ」

 

 

女性群が外に出ると、化猫の宿のメンバー全員と連合軍の男達が着替えてまっていた。

 

そして、全員が集まったことを確認した化猫の宿のマスター、ローバウルが代表して話し始める。

 

「妖精の尻尾 青い天馬 蛇姫の鱗、そしてウェンディ、シャルル、マーラ…よくぞ六魔将軍を倒しニルヴァーナを止めてくれた。地方ギルド連盟を代表して、このローバウルが礼をいう」

 

「ありがとう、なぶらありがとう」

 

ローバウルの礼を聞き、一夜が真っ先に反応する。

 

「どういたしまして!!!!マスターローバウル!!!六魔将軍との激闘に次ぐ激闘!!!!楽な戦いではありませんでしたがっ!!!!仲間との絆が我々を勝利に導いたのです!!!!」

 

「「「さすが先生!!」」」

 

「ちゃっかり美味しいとこ持っていきやがって…」

 

「ってか、アイツ誰かと戦ってたっけ?」

 

やけにテンションの高い一夜に、グレイとルーシィが文句を呟く。

 

そして、蛇姫の鱗のメンバーもようやくホッと一息つくことができた。

 

「終わりましたのね」

 

「おまえ達もよく頑張ったな」

 

「ジュラさん」

 

妖精の尻尾も

 

「お疲れ様でしたわ、リート」

 

「オメェもな」

 

「この流れは宴だろぉ!!!」

 

「あいさー!!!」

 

「宴かぁ」

 

「脱がないの!!!」

 

いつの間にか服を脱ぐグレイにツッコむルーシィ、しかも今回はそのとなりにいるリオンも服を脱いでいた。

 

「フフッ」

 

「あんたも!!」

 

 

「あっ、それ!一夜が♪」

 

「「「一夜が♪」」」

 

「活躍♪」

 

「「「活躍♪」」」

 

「それ、ワッショイ!」

 

「「「ワッショイ!」」」

 

「ワッショイ!ワッショイ!」

 

「「「ワッショイ!ワッショイ!」」」

 

青い天馬が躍りだし、ナツ達もノリにノって踊り出す。

 

「「「「ワッショイ!ワッショイ!ワッショイ!」」」」

 

「リートも踊らねぇか?」

 

「楽しいよぉ?」

 

「おう、その躍りがダサくなくなったら踊ってもいいぞ」

 

「品がありませんわ」

 

「さぁ!化猫の宿の皆さんもご一緒にぃ!?」

 

「「「ワッショイ!ワッショイ!」」」

 

「ワ…」

 

一夜が化猫の宿のメンバーを躍りに誘うが、誰一人としてノッてこなかった。

 

 

そして、先程まで黙っていたローバウルが、再び話し始める。

 

「皆さん…ニルビット族の事を隠していて本当に申し訳ない」

 

ローバウルが深く頭をさげるが、それを気にしている者は誰もいなかった。

 

「そんな事で空気こわすのー?」

 

「全然気にしてねーのにな」

 

 

「マスター、私も気にしてませんよ」

 

「そうだよおじいちゃん!みんな気にも止めていないよ?」

 

 

「皆さん、ワシがこれからする話をよく聞いてくだされ…まず始めに、ワシらはニルビット族の末裔などではない」

 

「ニルビット族そのもの…400年前、ニルヴァーナを創ったのは…このワシじゃ」




へこたれてる場合じゃねぇ!評価0つけられたなら次は評価10つけてもらえるように、更に努力だ!


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400年

すいません、かなり遅くなりました。

…リアルの方で色々とあったんです…えぇ…色々と


「400年前、ニルヴァーナを作ったのはこのワシじゃ」

 

「!?」

 

「うそ…」

 

「400年前!?」

 

ローバウルの衝撃の話しに、全員の考えが一瞬だけ止まってしまった。

 

400年前という長い年月、そしてニルヴァーナを作った張本人が目の前に居ると言うのだ。驚くなという方が無理な話しだろう。

 

「400年前、世界中に広がった戦争を止めようと、善悪反転の魔法、ニルヴァーナを作った。ニルヴァーナはわしらの国となり、平和の象徴として一時代を築いた」

 

ここまでの話しでは、特にニルヴァーナは悪い魔法という認識を持たせない、むしろ平和のために無くてはならないとさえ考えさせられる魔法だ。しかし、現実はそう甘くはない。

 

「しかし、強大な力には必ず反する力が生まれる。闇を光に変えた分だけ、ニルヴァーナはその闇を纏っていた」

 

つまり、ニルヴァーナは光を闇に変えることが出来たというわけでなく、闇そのものをニルヴァーナが吸い取り光だけが残り、吸いとった闇をニルヴァーナそのものが溜め込んでしまっていたという考え方が正しいだろう。

バケツに水を入れ続けているように、いつかは限界が来て溢れだしてしまう。

 

「バランスをとっていたのだ。人間の人格を無限に変えることは出来なかった。闇に対して光が生まれ、光に対して必ず闇が生まれる」

 

「そういえば確かに」

 

グレイはシェリーとリチャードの二人の変化を思い出し、今の話を理解する。

 

「人々から失われた闇は、我々ニルビット族にまとわりついた」

 

「そんな…」

 

「でも…それって…」

 

「地獄じゃ、わしらは共に殺し合い、そして全滅した」

 

そして、ローバウルから、信じられない一言が飛びだした。

 

「生き残ったのはワシ一人だけじゃ」

 

次々と明かされる衝撃の事実に、ウェンディとマーラの表情は少しずつだが険しくなって行く。自分達のいるギルドの話しなのだから当然だ。

 

「いや、今となってはその表現も少し違うな、我が肉体はとうの昔に滅び、今となっては思念体に近い存在。ワシはその罪を償う為…また、力なき亡霊の代わりにニルヴァーナを破壊できるものが現れるまで400年見守ってきた」

 

「今、ようやく役目が終わった」

 

そういうローバウルの顔は、肩の荷が下りたかのような、清々しい笑顔をしていた。

 

「そ…そんな話し…」

 

「訊きたくないよ…」

 

そして、化猫の宿のメンバーがウェンディ、マーラ、シャルルを残して一人ずつ消えて行く。全てローバウルが作り出した魔法だったのだ。

 

「何これ!!マグナ!!ペペル!!」

 

「ユーダおじちゃん!!マキナお姉ちゃん!!」

 

「あんた達!!」

 

「どーなってるんだ!?人が消えていく!!」

 

「お願い!!待って!!……消えないでよ!!!」

 

「イヤよ!!!みんな…!!!消えちゃいや!!!」

 

「騙していてすまなかったな、ウェンディ…マーラ…ギルドのメンバーは皆…ワシが作った幻じゃ」

 

「何だとォ!!?」

 

「幻って…冗談じゃねぇぞ、どれだけの魔力がいると思ってんだよ…」

 

幻と訊いた連合軍のメンバーも、ウェンディとマーラ同様に驚いていた。人間の…しかもギルド一つを作り出せる程の人数を幻で作り出していたのだから当然驚きもするだろう。

 

「人格をもつ幻だと!!?」

 

「何という魔力なのだ!!」

 

 

「ワシは、ニルヴァーナを見守る為にこの廃村に一人で住んでいた。7年前、一人の少年がワシのところに来た。その少年のあまりにまっすぐな目にワシはつい承諾してしまった。そして、その2年後にウェンディが親に捨てられ路頭に迷っていたマーラを連れてきた。ワシはウェンディが決して一人になることがなるようにギルドに入れることを許可した」

 

「一人でいようと決めてたのにな」

 

「ウェンディの為に作られたギルド…」

 

「そんな話し聞きたくない!!!バスクもナオキも消えないで!!!」

 

「イヤだ…イヤだよぉ…お願いだから…アタシとウェンディを残して消えないでよぉ……皆がいたから…アタシは笑顔でいられたのに…」

 

「ウェンディ、マーラ、シャルル…もうおまえ達に偽りの仲間はいらない」

 

ローバウルは、ゆっくりとナツ達に向けて指を指してにこりと笑った。

 

「本当の仲間がいるではないか」

 

「おまえ達の未来は始まったばかりだ」

 

そして、ついにローバウルの姿も消え始めてきた。

 

「マスター!!!」「おじいちゃん!!!」

 

二人は慌ててローバウルの体を掴もうと手を伸ばすが、手が届くと同時にローバウルの姿は光となって消えてしまった。

 

(皆さん本当にありがとう、ウェンディとマーラ…そしてシャルルを頼みます)

 

 

 

「「マスターーーー!!!!」」

 

うわあああぁ!!!!

 

 

二人は、残された悲しみで大声で泣いた。残される者の気持ちが分かる二人には辛い話しだろう。

 

そして、泣いている二人の肩をエルザが優しく手を当てる。

 

「愛する者との別れの辛さは、仲間が埋めてくれる」

 

「来い、妖精の尻尾へ」

 

 

そして、ウェンディ、マーラ、シャルルの三人は妖精の尻尾へと加入することが決まった。

 

 

その後、港で各ギルドはそれぞれ帰ることとなった。

 

「さてと、じゃあ帰るか!」

 

リートは荷物を持って、皆が集まっている場所へと行く。

 

「おせぇぞリート」

 

「悪い、ちょっと支度に手間取ってな」

 

「丁度みんなで別れの挨拶をしていたところだ。お前も最後くらい顔を会わせておくといい」

 

「私は疲れたからここで待っていますわ」

 

「あぁそうするよ」

 

リートはまず、青い天馬の所へと向かった。

 

「今回はお疲れさまでした。一夜さん」

 

「うむ、リート君もまた会おう、次に会うときは我々のギルドに入ってくれると信じているよ」

 

「いや、信じないでください、妖精の尻尾がある限りあり得ませんから…」

 

「また会おうリート君」

 

「今回は君達が一番活躍したけど、次は僕たちが一番活躍するからね」

 

「いつから競いあったんだよ…まぁ、次に会えるのを楽しみにしておくよ」

 

「リート殿」

 

「!」

 

青い天馬と話しているリートの下に、ジュラがやって来た。

 

「ジュラさん!今回もありがとうございました」

 

「ハハハ、ワシは何も出来とらんよ、お主らの方がよっぽど成果をあげていたではないか」

 

「いえそんな、でも、あなたがいたからオレは安心して戦えたんです」

 

「その言葉はありがたく受け取っておこう、次はアクナ殿にも是非会ってみたいものだ」

 

リートはアクナの顔を思い浮かべるが、どうやってもロクなことにならないだろうと思った。

 

「いやぁ…あまりオススメはしませんよ…下手したら会った瞬間に拳が飛んで来かねませんから」

 

「ハッハッハ!!元気があるのは良いことではないか!!ますます会ってみたくなったというものだ」

 

「えぇー…まぁ、一応話しておきますね」

 

「あぁ、是非ともそうしてくれ」

 

(ずいぶんと物好きになったなぁこの人も…)

 

そして、帰りが船と聞いたリートとナツは、顔色を悪くしていた。

 

「なぁ…歩いて帰らねぇ?」

 

「ダメだ、一体何日かかると思っている。船の方が圧倒的に速い」

 

「いや…まぁそうだけどよぉ…」

 

「乗り物かぁ…」

 

「だったら二人ともウェンディのトロイアをかけてもらったら?」

 

マーラの提案に、二人の顔に血色が戻る。

 

「そうか!その手があった!!」

 

「もう乗り物に困る事ねぇんだ!!!」

 

「調子いいですわねお二人共…」

 

「あはは、じゃあウェンディ、可哀想だからトロイアかけてあげて」

 

「うん!」

 

そして、リート達は船に乗り込み意気揚々とギルドへと向かっていた。

 

「あぁ、船って潮風が気持ちがいいんだな」

 

「まったくだ、今までじゃあ絶対に味わえなかった感覚だな」

 

船に揺られても乗り物酔いにならないリートとナツは、二人して感極まって喜んでいた。

 

「乗り物っていいもんだなーオイーー!!」

 

「最高じゃねぇか!!」

 

「あ、そろそろトロイアが切れますよ」

 

「「おぶぅ…」」

 

トロイアの効果が切れると同時に、リートとナツのいつもの乗り物酔いが再発した。

 

「や…やべぇ…吐く…」

 

「も…もう一度…かけ…て」

 

「連続すると効果がうすれちゃうんですよ」

 

「二人とも残念だね、まぁあと一時間くらいで着くらしいからそれまで頑張って!」

 

「あと…」

 

「いちじ…かん…?」

 

「放っとけよ、そんな奴ら」

 

「あははははっ」

 

 

「本当にウェンディも、マーラも、シャルルも妖精の尻尾に来るんだね」

 

「うん!よろしくね、ハッピー」

 

「私は、二人が行くっていうからついてきただけよ」

 

「ツンデレですの?」

 

「違うわよ!!」

 

「楽しみです!!妖精の尻尾!!」

 

「そーいえばルーシィ、また新しい星霊を仲間にしたそうですわね」

 

「うん!六魔将軍のエンジェルってやつが持っていた星霊なんだけどね、アリエスとジェミニとスコーピオンが仲間になってくれたんだぁ」

 

「私、是非会ってみたいですわ」

 

「ははっ、機会があればね」

 

その後、リート達はウェンディ達を連れて、無事にギルドに到着し、ウェンディ達の事をきちんと紹介した。

 

「……というわけで、ウェンディとマーラとシャルルを妖精の尻尾へ招待した」

 

「異論はねぇな?つーか言わせねぇ」

 

「変な圧力かけるんじゃありませんわよ」

 

「よろしくお願いしまーす!!」

 

「よろしくお願いします」

 

オオオオオォォ!!!

 

ウェンディ達は、妖精の尻尾に快く受け入れられてホッと一安心できた。ずっと受け入れてもらえるかという不安が心のどこかあったのだ。

 

 

「つーかミラ!!かき氷作ってくれ」

 

「私にはお紅茶プリーズですわ」

 

「帰って来て早々にそれかい!!!」

 

「それよりも、オレの仕事中に闇ギルドと一戦交えたそうじゃねぇか!!何で誘ってくれなかったんだよ!!」

 

バンクはよほどついて行きたかったのか、半ばキレ気味に、今回の作戦に出ていったルーシィにつっかかる。

 

「遊びに行く友達かあんたは!!」

 

「くっそー!あの仕事もうちょい先伸ばしにしとくんだった!!」

 

「もう終わったんだからいいじゃない…」

 

「あー!ムシャクシャするなぁ~!リート!!ちょっとオレと喧嘩しろ!!」

 

バンクは、遠慮なしにかき氷を頬張るリートに飛びかかった。

 

「断る!!」

 

ドガァ!!

 

「へばぁ!!?」

 

かき氷タイムを邪魔されたくないリートは、一撃でバンクを殴り飛ばした。

 

「オレの数少ない楽しみを邪魔すんじゃねぇ」

 

(目がマジなんですけど…)

 

「リート、エルザ」

 

かき氷を食べるリートと、その近くで立っていたエルザにマカロフが声をかける。

 

「「マスター」」

 

「よくやった。これでこの辺りもしばらくは平和になるわい。もちろん、ウェンディとマーラとシャルルの三人も歓迎しよう」

 

「ありがとうございます。マスター」

 

新しい仲間が入ったことでギルドはお祭り騒ぎとなる。

 

がやがや

ワイワイ

 

「シャルルはたぶんハッピーやラリカと同じだろうけど、ウェンディとマーラはどんな魔法を使うの?」

 

ふと、ミラはウェンディ達にそんな質問をすると、ハッピー達と同じ扱いがよほど気に入らなかったのか、シャルルが怒りだす。

 

「本物のミラジェーンだよ、シャルル、マーラ」

 

「うわぁー、生ミラさんだ!!」

 

「ちょっと!!オスネコ達と同じ扱い!!?」

 

「あ、アタシは花火魔法を使うよ、よろしくね」

 

オオオオォォ

 

「あの…私は、天空魔法を使います。天空の滅竜魔導士です」

 

!!!

 

滅竜魔導士と言って静まり返った状況を見て、ウェンディは今の発言に後悔する。気を許しすぎてしまったのかと思ってしまったのだ。

 

「あ…」(信じてもらえないか…)

 

 

オオオオオォォ!!!

 

「スゲェ!!」

 

「ドラゴンスレイヤーだ!!!」

 

「リートやナツと同じか!!!」

 

「ガジルもいるし、このギルドに4人も滅竜魔導士が!!!」

 

「珍しい魔法なのにな!!」

 

受け入れてもらえたウェンディの表情は、また明るくなった。

 

「よかったねウェンディ」

 

「うん!」

 

 

 

ギルド内でざわつく中焦りを感じている者が一人だけいた。

 

「うっ…」

 

「お?どうした?ガジル」

 

リートに吹っ飛ばされて起き上がって来たバンクに声をかけられるが、ガジルはそれを軽く流す。

 

「何でもねぇよ、戦闘狂が」

 

「んだとコラァ!!」

 

「ネ…ネコ」

 

(同じ滅竜魔導士なのに…なぜオレだけネコがいねぇ…なぜなんだ)

 

ガジルは、自分がネコを連れていないことに不安を抱えながらトボトボと歩いていった。

 

「…んだ?アイツ、どーしちまったんだ?」

 

 

「今日は宴じゃーー!!ウェンディとマーラ、そしてシャルルの歓迎会じゃー!!!」

 

ワーーー!!!

 

「楽しいとこだね、マーラ、シャルル」

 

「うん!アタシこーいうの大好きだよ」

 

「私は別に」




どーしても小説の書き方が上手くなってないような…基本的な会話以外は○○が××したみたいな書き方になってしまう…もっと三人称の小説読むべきだなこりゃ


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ギルダーツ

遅くなりました。

というかいつになったらエドラスに突入できるのか、意外とかかるもんですねぇ…主のペース次第か…


ウェンディ達がギルドに加入して数日、ようやくウェンディ達もギルドに慣れ始め余裕ができてきていた。

 

「どお?このギルドにも慣れてきた?」

 

「はい!」「うん!」

 

「女子寮があるのは気に入ったわ」

 

「そういえば、ルーシィさんは何で寮じゃないんですか?」

 

「すごく綺麗な所なのにね」

 

ウェンディとマーラが、ふと疑問に思ったことをルーシィに聞くと、ルーシィは肩を落として答える。

 

「女子寮の存在最近知ったのよ…ってか寮の家賃で10万Jよね……入ってたら払えなかったわ今頃」

 

「あらら…」

 

「た…大変そうですね」

 

そうこう話していると、ギルドに大慌てでメンバーの一人が入ってきた。

 

「大変だーー!!」

 

ゴーンゴーン

 

「なに!?」

 

「鐘の音?」

 

「何かのイベント!?ここはいつでもお祭り騒ぎなんだね」

 

「なに呑気な事を言ってるのよあんたは!!」

 

鐘の意味を知らない者達は、不安がったりしてるものがチラホラといたが、知ってる者達は逆に嬉しそうに反応する。

 

ナツとハッピーも

 

「この鳴らしかたは!!!」

 

「あい!」

 

グレイやエルフマン達も

 

「おぉ!!」

 

「まさか!!」

 

そして、リートも鐘の音をしっかりと聞いていた。

 

シャクシャク

 

「お?帰ってきたのか?あの人」

 

「今回はかなり長かったですわね」

 

 

 

「ギルダーツが帰ってきたぁ!!!」

 

「あいさー!!」

 

 

 

「ギルダーツ?」

 

「誰なの?その人」

 

頭にクエスチョンマークを浮かべるウェンディとマーラにルーシィが、少しだが説明する。

 

「アタシも会ったことないんだけど、妖精の尻尾最強の魔導士なんだって」

 

「うわぁ」

 

「へぇー、エルザさんよりも強いのかな?」

 

その反応に、近くにいたエルザ本人が答えた。

 

「私なんか足元にも及ばないさ、今少しでもギルダーツに勝てる可能性を見出だせるものがいるとすれば、おそらくリートか、その辺りだろう」

 

「勝てる可能性って…え!?リートでも勝てないってこと!?」

 

ルーシィは驚いた顔でリートの方へと振り返ると、リートはかき氷を食べながら過去の事を思い出しながら喋る。

 

「うーん、何回か戦ってもらったことはあるけど、勝てたことは一回もねぇなぁ…あ、一度だけその場から動かせるところまではいったことあるぞ」

 

「それって…すごいの?」

 

「ギルダーツはそれだけ強いんですのよ」

 

「そ…そんなに…?」

 

「おう、ナツ相手だったら多分片手だけで押さえ込まれるぞ」

 

「うそぉ!?…ってどうでもいいけど、この騒ぎようはなに!?」

 

「お祭りみたいだね、マーラ、シャルル」

 

「みんな嬉しそう!」

 

「ホント、騒がしいギルドね」

 

ギルダーツが帰ってきたというだけで、ギルドは大盛り上がりだ。

 

「みんなが騒ぐのも無理ないわ」

 

「!ミラさん」

 

「3年ぶりだもん帰ってくるの」

 

「3年も!?何してたんですか」

 

「…仕事だよ」

 

「仕事?」

 

「ただの仕事じゃないのよ、S級クエストの上にSS級クエストがあるんだけど、その更に上に10年クエストって言われる仕事があるの」

 

「10年クエストって…」

 

ルーシィの顔色が、どんどんと蒼白になっていく。

 

「10年間、誰も達成できなかったクエスト…だから10年クエストって言うんだ。シンプルで分かりやすいだろ?」

 

「けど、ギルダーツはその更に上の100年クエストに行ってたのよ」

 

「100年クエストって…100年間誰も達成できなかったって事ですか?」

 

その頃、外では町民達がギルダーツが帰ってきたことにより、大急ぎで家の中へ避難し始める。

 

「ギルダーツが帰ってきたぞぉ!!」

 

『マグノリアをギルダーツシフトへ変えます。皆さん速やかに所定の位置へ!!繰り返します』

 

スピーカーから町民に警告が出され続け、町民はとにかく慌てて走り回っていた。

 

「それにしても騒ぎすぎじゃないかしら」

 

「ギルダーツシフトって何ぃ!?」

 

「何か面白そうなことが起きる予感!!」

 

「外に出てみれば分かるわよ」

 

ルーシィ達が外を見ると、建物が移動しギルドまで一直線に伸びた道が出来上がる。

 

「う…うそ!?街が…割れたーーー!!?」

 

「うっひょぉぉぉ!!!スゲェ!!なんだアレ!!」

 

街の異様な光景に、ルーシィ達は驚き、バンクはものすごく興奮していた。

 

「あのおっさん、こーでもしねぇと人ん家に穴開けかねねぇからなぁ」

 

「どーいうこと!?」

 

「ギルダーツは触れたものを粉々にする魔法を使うんだけど、ボーッとしてると民家も突き破って歩いてきちゃうの」

 

「どんだけバカなの!?」

 

「それだけのためにわざわざ街を改造したんだ…」

 

「すごいね」

 

「ホント…スゴいバカ」

 

そして、外を見ているナツ達の視界に、人影が映った。

 

「来たーーー!!」

 

ガシャッガシャッ

 

一直線の道を歩いてギルドの中に入ってきた男、この男こそ妖精の尻尾で一番強いと言われている男、ギルダーツだ。

 

「ふぅ」

 

「ギルダーツ!!オレと勝負しろぉ!!!」

 

「いきなりだなオマエは」

 

ギルダーツは、ギルドの中をキョロキョロと伺う。

 

「おかえりなさい」

 

「む」

 

ギルダーツは、出迎えに出てきたミラを見て問いかける。

 

「お嬢さん、確かこの辺りに妖精の尻尾ってギルドがあったハズなんだが」

 

「ここよ、それに私ミラジェーン」

 

「ミラ?」

 

そういうとギルダーツは目を見開き、表情が一気に変わる。

 

「ずいぶん変わったなぁオマエ!!!つーかギルド新しくなったのかよ!!!」

 

「表にでかでかとマークあったし、しかもギルダーツシフトでギルドに一直線だったんだから普通分かるだろ…」

 

「お?リートか、久しぶりだなぁオイ」

 

「あぁ、あんたも相変わらずだな」

 

「ガッハッハ!!相変わらずかき氷ばっか食ってんのかオマエ、肉を食え肉を」

 

「ほっとけ!!」

 

「ギルダーツ!!!」

 

リートと話しをするギルダーツの下に、ナツが走ってやってくる。

 

「おおっ!!ナツか!!オマエも久しぶりだなぁ」

 

「オレと勝負しろって言ってんだろー!!!」

 

バチィ

 

「また今度な」

 

「ごばっ!!」

 

殴りかかってくるナツを片手でいなして天井に叩きつけるギルダーツは、やはりというべきか強さはまったく衰えた様子はなかった。

 

「や…やっぱ…超強ぇや!!」

 

「おぉーー!!スッゲ!!オレとも戦ってくんねぇかな!!」

 

ナツが吹き飛ばされたのを見て興奮したバンクが、ギルダーツに勝負を挑む。

 

「お?生きのいい新人じゃねぇか、威勢は一人前だな」

 

「一人前は威勢だけじゃねぇぞ!!」

 

フッ

 

「!?」

 

ギルダーツを殴ろうとしたバンクだったが、バンクの視界から一瞬でギルダーツが消えたと思った瞬間、額に激痛が走り、気がつけばバンクはリートの隣に吹き飛ばされていた。

 

「オマエもまだまだだな」

 

「くぅーっ…今何された?」

 

「デコピン一発でぶっ飛ばされてたぞオマエ」

 

「マジで!?あのおっさん超強ぇじゃねぇか」

 

自分がデコピンたった一発で吹き飛ばされた事を知ったバンクは、より興奮していた。

 

「はいはい、とりあえずオマエは後で誰かにでも相手してもらえ」

 

「じゃあオマエで!!」

 

「却下だボケ!!」

 

「仲いいなお前ら」

 

「どこが!!?」

 

 

「いやぁ、さっきの奴といい見ねぇ顔もあるし…ホントに変わったなぁ」

 

「ギルダーツ」

 

帰ってきたギルダーツに、マカロフが声をかける。

 

「おおっ!!マスター!!!久しぶりぃ!!!」

 

「仕事の方は?」

 

「がっはっはっは!!」

 

ひとしきり笑い終えると、ギルダーツは一言だけ

 

「ダメだ。オレじゃ無理だわ」

 

!!?

 

ギルダーツのクエスト失敗の話しを聞いて、ギルド全体がざわつく。

 

「うそだろ!!」

 

「あのギルダーツが…クエスト失敗!!?」

 

「そうか…主でも無理か」

 

「スマネぇ、名を汚しちまったな」

 

ギルダーツは、マカロフに申し訳なさそうに言うと、マカロフは特に怒った様子もなく淡々と答える。

 

「いや、無事に帰ってきただけでよいわ。ワシが知る限り、このクエストから帰ってきたのは主が初めてじゃ」

 

「オレは休みてぇから帰るわ、ひ~疲れた疲れた」

 

帰り際にギルダーツは、ナツとリートの二人に声をかける。

 

「ナツぅ、リートぉ後でオレん家に来い」

 

「!」「?」

 

「土産だぞ~がははっ」

 

「んじゃ、失礼」

 

そう言ってギルダーツは壁を破壊し、家に向かって歩いていった。

 

「ギルダーツ!!扉から出てけよ!!!」

 

「あのおっさんいい年こいて扉って概念ねぇのか…」

 

呆気にとられるルーシィにエルザが一言

 

「100年クエストはまだ早い、止めておけ」

 

「あっれー?わくわくしてるように見えましたぁ!?」

 

「へへへっ、土産って何かなぁ楽しみ…だっ!!!」

 

ナツもギルダーツ同様、壁を壊してギルドから出ていった。

 

「オマエも壁を壊すなよ!!!」

 

そして、ナツが出ていった後ラリカはリートにこの後の事を問う。

 

「リートはどうしますの?」

 

「…ミラ、かき氷おかわり」

 

「無視ですの!?」

 

(土産…ねぇ…)




ギルダーツVSアクナとかちょっとやらせてみたかったり…まぁそれはいずれってことで


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黒い龍

今回が終わればエドラス編に突入できます!!やっとだ!!やっと書き始めの頃から考えてた設定がかけるぞぉ!!!


ギルダーツが家に帰ってからしばらく、ナツ、リート、ハッピー、ラリカはギルダーツの家に向かっていた。

 

「みやげって、外国の珍しい炎とかかなぁ」

 

「なんだろうね」

 

「ギルダーツがみやげ事態持って帰ってくるのなんて珍しいのに、オレとナツにってのが余計に気になるな」

 

「深く考えすぎじゃありませんの?」

 

「かもな」

 

そうして、話しながら歩く4人は、気がつけばギルダーツの家に到着していた。

 

「よぉ」

 

「おじゃましまーす」

 

「おっす」

 

「おじゃまいたしますわ」

 

 

「来たかお前ら」

 

早速ギルダーツはお土産の話しを切り出すかと思われたが、違った。

 

「ナツ、あれからリサーナとはうまくやってんのか?」

 

「はぁ?」

 

「リートはどーなんだ?少しはいい娘と会う機会とかあったのか?」

 

「呼んでおいていきなりだなオイ」

 

「何だよ、リートは誰とも何もなかったのか?」

 

「リートならミラと正式にお付き合いを始めましたわよ」

 

「なに!?本当かそれは!!!」

 

ギルダーツは色恋の話で一気にテンションが高くなる。

 

「女子かあんたは…」

 

「どこまでいったんだよオメェら」

 

「人の色恋聞いて楽しいか?あんた」

 

「照れんなよぉ、で?ナツの方はリサーナとどうなんだよ」

 

ギルダーツがリサーナの名前を出すと、その場の空気が悪くなったような気がした。

 

「ギルダーツ…あのな……リサーナは…」

 

「リサーナは死んだよ。2年前に」

 

リートが説明する前に、ナツがハッキリとリサーナの死をギルダーツに言った。

 

「………マジかよ」

 

「そっか…それでミラのやつ…うおお……すまねぇ」

 

「そんな話なら帰んぞ」

 

「待てよナツ」

 

リートがナツを止めようとすると、ギルダーツが口を開く。

 

「ナツ…リート…仕事先で、ドラゴンに会った」

 

「「!!!」」

 

二人はドラゴンに会ったと言う話を聞いて、顔色を変える。

 

「お前らの探してる赤いやつでも青いやつでもねぇと思うがな、黒いドラゴンだ」

 

「ど…どこで…」

 

「霊峰ゾニア…おかげで仕事は失敗しちまったよチクショウ」

 

ダッ!!

 

「待てナツ!!」

 

ナツは急いでゾニアに向かおうとし、それをリートが引き止める。

 

「行ってどーする?」

 

「決まってんだろ!!イグニールとフランドーラの居場所を聞くんだ!!!」

 

ギルダーツの問いかけに、ナツは必死に答えた。

 

「もういねぇよ、あの黒竜は、大陸…あるいは世界中を飛び回っている」

 

「それでも、何か手がかりがあるかも知れねぇ!!!!」

 

「落ち着け!!今ここで慌ててもしょうがねぇだろ!!」

 

「オマエはフランドーラに会えるかもしれねぇチャンスを、ミスミス手放すってのかよ!!!」

 

「誰もそんな事言ってねぇだろ!!!!けど、今まで何度情報に踊らされてきたか少しは考えろっつってんだよ!!!!」

 

「ナツ、リート…これを見ろ」

 

ギルダーツが羽織っていたローブを脱ぐと、そこにはボロボロになったギルダーツの身体があった。妖精の尻尾最強のギルダーツがボロボロになっていたのだ。

 

これには、ナツやリート、ハッピーとラリカも驚いていた。

 

「ほとんど一瞬の出来事だった…左腕と左足、内蔵もやられた」

 

「イグニールとフランドーラって奴らはどうか知らねぇが、あの黒いのは間違いなく人類の敵だ。そして…人間には勝てない」

 

「そ…それを倒すのが滅竜魔導士だろ」

 

「…無理だ…」

 

「!!」

 

ナツの意見を、リートが否定する。

 

「滅竜魔法はあくまでドラゴンに有効打を与える手段の一つってだけだ…ドラゴンを一瞬で消し飛ばせる強力な魔法ってわけじゃねぇ…」

 

「それでも!!勝ち目は」

 

「あると思うか?ギルダーツが一瞬でやられたって言ったんだぞ…つまり最低でもギルダーツ以上に戦えるようにならねぇと、攻撃すらもまともに出来ずに消し飛ばされちまう…今のオレとオマエにそれだけの力があるとでも?」

 

「ぐっ…」

 

「今回ばかりはやめとけ…せめて人間のオレたちとまともに話してくれる竜じゃねぇとフランドーラやイグニールのおじさんに会う前にオレたちが殺されちまう」

 

「…くそっ!!」

 

「ナツ!!」

 

「すまねぇギルダーツ…オレももう行くわ」

 

ナツは、リートの言葉に意を唱える事が出来ずに走り去っていってしまい、リートも外へと出ていってしまった。

 

「ハッピー、ラリカ」

 

「「!」」

 

「オマエ達が二人を支えてやれ」

 

「アレは人間じゃ勝てねぇが、竜なら勝てるかも知れねぇ」

 

「ナツとリートなら…きっと」

 

 

 

ギルダーツの話しを聞いて外へ出ていったリートは、街の中を一人歩き、路地裏へと入って行った。

 

「…」

 

ダン!!!

 

「くそっ…せっかくの手がかりが…」

 

ナツに説得して止めてたとはいえ、リートも本心ではゾニアに行き情報を手に入れたいと思っていた。そして、行き場所のない怒りを壁を殴って落ち着かせる。

 

(けど…今の実力で、もしギルダーツをあんな風にしたドラゴンに会ったりなんかしたら…)

 

(チクショウ…)

 

 




キリが悪くなりそうなので、今回はここまでです。

短くてすいませぇぇん!!!


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エドラス編
マグノリア消滅


報告です…S級試験のオリジナル書き終えちゃいました!…エドラス進めろやと思った方…何かすいません…オリジナル書くのが楽しかったんです…


にゃー、にゃー、にゃー

 

「違う!コイツも違う!!」

 

ガジルは、その日マグノリアで猫を捕まえては離してを繰り返していた。

 

そして、なぜか疲れきった顔で街中をフラついていた。

 

火竜(サラマンダー)氷竜(セルシウス)、新入りのガキにさえネコがいて…なぜ同じ滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)のオレにはネコがいねぇ…」

 

その頃同時刻、ギルドではルーシィがウェンディからドラゴンの親について話しを聞いていた。

 

「777年7月7日?」

 

「私やリートさん、ナツさんに滅竜魔法を教えたドラゴンは同じ日にいなくなってるんです」

 

「そういえば前にナツがガジルの竜も同じ日に姿を消したって言ってたかも」

 

「どういう事なの?」

 

「遠足の日だったのかしら?」

 

「ルーシィさんってたまに変なこと言いますよね?」

 

「ウ~ェ~ン~ディ~~!!」

 

バッ

 

「ひゃあ!!」

 

ルーシィと話しているウェンディに、マーラが後ろから抱き付いた。

 

「なになに?何の話し?」

 

「火竜イグニール、氷竜フランドーラ、鉄竜メタリカーナ、天竜グランディーネ、皆どこにいるんだろうって話しだよ」

 

「あ~ウェンディ達の親のドラゴンの話かぁ、そーゆー話しならリートさんもナツさんも今ギルドに居るし聞いてみる?」

 

マーラは柱にもたれ掛かって寝ているナツと、バンクにかき氷を取られて追いかけ回しているリートに視線を向けた。

 

「聞いても二人も分からないよ、今は情報を集めるしかないかな」

 

「大変だねぇ」

 

 

「シャルル~!!」

 

そうして、ルーシィ達が話しをしていると、ハッピーが魚にリボンを結んでシャルルの下へとやって来た。

 

「これ、オイラがとった魚なんだ。シャルルにあげようと思って」

 

「いらないわよ。私…魚嫌いなの」

 

「…そっか、じゃあ何が好き?オイラ今度「うるさい!!」」

 

「…」

 

ハッピーの好意が気に入らなかったのか、シャルルはハッピーに怒鳴りだす。

 

「私につきまとわないで」

 

「ちょっとシャルル!」

 

「今のはシャルルが悪いと思うよ!」

 

「何もあんな言い方しなくても、ねぇハッピー」

 

ハッピーは暗い顔をしてしまった。

 

「シャルル!ちょっとひどいんじゃないの!?」

 

「待ちなってシャルル!ハッピーに謝りなよ!」

 

 

(何が幸せよ…何も知らないくせに…)

 

ハッピーは、それでもシャルルを追いかけた。

 

「あ!待ってシャルル~!」

 

「なんかシャルルって、ハッピーに対して妙に冷たくない?」

 

「どうしたんだろ…」

 

「ハッピーも、よくめげないよね」

 

「恋をすると男性でも女性でも強くなるモノなのですわよ」

 

怒鳴り声を聞いたラリカが、ルーシィ達の下にやって来た。

 

「ラリカ」

 

「恋というのは諦めないものが勝ち取れるモノですのよ」

 

「って言ってるけど、ラリカは恋したことないんじゃないの?」

 

「お黙りなさい!!」

 

キシャー!!

 

それから数時間、外では雨が降り始め、それでもギルドに戻ってこないシャルルを探しにウェンディが走り回っていた。

 

「シャルルー!やっと見つけたっ!!!」

 

「ウェンディ…あんた、傘もささずに風邪引くわよ」

 

「シャルルもでしょ……シャルル、私たちギルドに入ったばかりなんだから、もっと皆と仲良くしなきゃダメだと思うの」

 

ウェンディの言葉を、シャルルは否定する。

 

「必要ないわよ。あんたとマーラがいれば私はいいの」

 

「もぉっ!!またそーゆー事ばっかり」

 

ザアアァァ

 

「!」

 

雨が降り続くなか、ウェンディ達のいる場所から誰かが歩いてくるのが見えた。

 

「誰?」

 

ウェンディの前にいるのは、妖精の尻尾のS級魔導士のミストガンだった。

 

「ウェンディ…」

 

「え…?その声」

 

ミストガンの声は、ウェンディ達にも聞き覚えがある声だった。

 

「まさか、君がこのギルドに来るとは」

 

ミストガンが顔に巻いていた布を取ると、ジェラールの顔が現れた。

 

「!!!ジェラール!!?」

 

「ど…どういう事!!?あんた確か捕まって…」

 

「それは、私とは別の人物だ」

 

「そんな!!!」

 

「どう見たってアンタジェラールじゃない!!!」

 

「私は妖精の尻尾のミストガン…7年前は、この世界の事をよく知らず、君にはジェラールと名乗ってしまった」

 

「え?…まさか…」

 

ウェンディは過去に助けてもらった人物が、捕まったジェラールではなく、ミストガンだったのだと理解する。

 

「あ…あぁ…」

 

「あなたが…7年前の…あの時のジェラール…」

 

「ずっと…会いたかったんだよ」

 

ウェンディは、恩人に会えてよほどうれしかったのだろう涙を流していた。

 

「会いに行けなくてすまなかった…だが、今は再会を喜ぶ時間はない」

 

「え?」

 

「今すぐこの街を離れるんだ」

 

「!!?」

 

ウェンディに忠告をした瞬間、ミストガンは地面に膝をついてしまい、ウェンディにはミストガンがひどく弱ってるように見えた。

 

「ジェラール!!!」

 

「私の任務は失敗した大きくなりすぎたアニマは…もはや私一人の力では抑えられない」

 

 

 

「間も無くこの街は消滅する」

 

 

「!?」

 

ミストガンの言っている事が、ウェンディには唐突すぎて理解できなかった。

 

「ど…どういう事?全然意味分からない」

 

「終わるんだ。消滅は既に確定している。せめて…君だけでも…」

 

「妖精の尻尾は!!?ギルドのみんなはどうなるの!!?」

 

「全員…死ぬということだ」

 

その頃、ギルドではルーシィ達が雨が止まないかと外を見ていた。

 

「雨、止まないなぁー」

 

「ね」

 

「ジュビアのせいじゃないと思う」

 

「誰もそんな事言ってねーよ」

 

「ジュビアはファントムにいた頃は毎日のように雨降らせてたもんな!オレは雨嫌いじゃねぇぞ?」

 

「お前が雨好きかどうかなんてどーでもいいわ」

 

「止まないならそれはそれで他にやれることを探せばいいですわよ」

 

「くかー」

 

「つーかいつまで寝てんだよナツ」

 

「顔に落書きしちまおーぜ」

 

ルーシィ、カナ、ジュビア、グレイ、バンク、リート、ラリカ、ナツ、エルフマンとその場にいた者達は集まって喋っていた。

 

 

 

バシャバシャ!!

 

ウェンディは、急いでギルドへと引き返す。

 

「ウェンディ!!!」

 

「みんなに知らせなきゃ!!!」

 

「行ってはいけない!!!君だけでも街を出るんだ!!」

 

「私だけなんてありえない…私はもう、妖精の尻尾の一員なんだから!!!」

 

 

そしてギルドでは、雨でやることもないメンバーが、思い思いに過ごしていた。

 

「暇だなぁ」

 

「ですわねぇ」

 

「リート暇なのか!!?じゃあ喧嘩しよう喧嘩!!楽しいぜぇ~」

 

「それを楽しく感じるのはお前かナツくらいだバカ」

 

「ちぇ~っ、いいじゃねぇかよぉ~」

 

「リ~トさん!!」

 

「?」

 

リートとバンクの下に、マーラがやって来てリートに話しかける。

 

「おうマーラか、どうした?何か用か?」

 

「うん!今度の土曜日ってリートさん空いてる?仕事にいきたいんだけどアタシまだ一人は不安で…いつもならウェンディを誘うんだけど、たまにはリートさんとかもどうかな?って思って」

 

「土曜日か…わかった。その日なら空けておくよ」

 

「ほんと!?やったー!もちろんラリカちゃんも一緒にだよ」

 

「あら、私も連れてってくださるんですの?ありがとうございますわ」

 

「お?なんだ仕事か?オレも行っていいか?」

 

マーラとリートの約束に、バンクも入ろうとする。

 

「?なんだ、おまえも来んのか」

 

「おう、たまには複数人で仕事すんのも面白そうだ」

 

「うん!いいよ!大勢の方が楽しそうだしね」

 

「マーラのお誘いですし、マーラのやりたいようにやればいいですわよ」

 

「ラリカちゃんやっさしー!!」

 

「お前は無駄に暴れるのだけはやめろよ?」

 

「保証しかねる!」

 

「おいマーラ、今からでも遅くねぇからコイツ連れてくのやめようぜ」

 

「アハハハ…」

 

「リート」

 

「?ミラ」

 

次の仕事の話しをしていると、ミラも、リートの下に来て話しかける。

 

「ちょっと教会に行ってくるわね」

 

「!…そっか…もうそんな時期か」

 

「うん、しばらくギルドを空けるけど、何かあったらよろしくね」

 

「わかった。エルフマンも行くんだろ?一緒とはいえ気を付けろよ?」

 

「うん、ありがとう」

 

そして、ミラはエルフマンを呼んで教会に向かう準備をする。

 

「エルフマン、行くわよ」

 

エルフマンはというと、ジェットとドロイに仕事について説教をしているところだった。

 

「姉ちゃんからも言ってやってくれ、コイツらこの前仕事でヘマしやがってよぉ。先にのびちまって、結局レビィ一人で仕事を片付けたんだとよ」

 

「ううっ…耳が痛ぇ」

 

「情けねぇ」

 

「ジェットもドロイも頑張ってるわよ」

 

「「ミラちゃ~ん」」

 

「それなりに」

 

「「ひでぇ!!」」

 

 

「ねぇリートさん、ミラさんとエルフマンさんは教会に何をしに行くの?」

 

マーラは、二人が教会に何をしに行くのか気になっていた。

 

「リサーナの墓参りだよ」

 

「リサーナ?」

 

「アイツらにはもう一人妹がいてな、リサーナってんだ」

 

「へぇーっでも墓参りってもしかして…」

 

「あぁ…2年前の仕事で事故にあってな…そのまま亡くなっちまったんだ」

 

「そっか…それは悲しいね…」

 

「確かにな…それでも、アイツらは今はリサーナの死を乗り越えて前を向いている。今はそれでいいじゃねぇか」

 

「…うん!そうだね!」

 

マーラは元気を取り戻し、仕事の話しに戻る。

 

「ねぇねぇ、リートさんとバンクさんはどんな仕事がしたい?」

 

「暴れられるやつ!」

 

「…は却下だアホ」

 

「アハハハ!!」

 

 

「おいリート、ちっとぉ」

 

「?」

 

リートが振り返ると、エルザとマカロフがリートを呼んでいた。

 

「わりぃ、その話し後でもいいか?」

 

「うん!大丈夫だよ」

 

「心配すんな!オレが最高の仕事を見つけてやるから安心してマスターの所に行ってこいよ」

 

「…ラリカ……任せた」

 

「任されましたわ」

 

「そんなに信用ないのオレ!?」

 

リートは、ラリカに一任するとマカロフの下へと向かう。

 

「例の100年クエストの件なんじゃがな、いろいろ検討したんじゃがな、やっぱり他へまわそうと思う。異論はないか?」

 

「妥当だと思います」

 

「まぁ、ギルダーツで無理となるとここに依頼書を置き続けるわけにもいきませんしね」

 

そして、外ではウェンディが危険を知らせにギルドに走って戻ろうとしていた。

 

そして、ウェンディが空を見上げると、空に大きな穴が開いていた。

 

「みんなー!!!大変なの!!!空が!!」

 

その瞬間、ギルドが空へと吸い込まれ始めた。

 

「!!?」

 

「何コレ!!みんな!!!」

 

ウェンディがギルドに近付こうとするが、何かに吹き飛ばされてしまう。

 

「きゃっ!!!」

 

そして、空はギルドを始め、マグノリアの建物や人を全て呑み込んでしまった。

 

辺り一面には何も残っておらず、ただ白い空間が広がり続けており、ウェンディだけが取り残された。

 

「ギルドが…消えた…街も…全部…」

 

「そんな…」

 

ウェンディは立ち上がり、辺りを見渡す。

 

「一体…何が起きたの!!!誰かいないの!!?」

 

「誰か…あれ?…何で私だけここにいるの?…街もギルドもみんな消えちゃったのに…なんで私だけ…」

 

ボコッ

 

「ひっ!」

 

ウェンディの近くで、白い地面がいきなり盛り上がった。

 

ボフッ

 

「な…何だぁ?」

 

「ナツさん!!!」

 

地面から現れたのは、ナツだった。

 

ボコッ

 

「「!?」」

 

ボフッ

 

「ブハッ!何だってんだよクソッ!!」

 

「リートさん!!」

 

そして、その近くでリートも地面から現れる。

 

「あれ?ここどこだ?」

 

「おかしいな?さっきまでギルドにいたハズなんだが…?」

 

(私以外にも残ってた…)

 

「何も…覚えてないんですか?」

 

「寝てたからな」

 

「覚えてはいるけど、いきなり視界がおかしくなったと思ったら何かここにいたって感じだしな」

 

「ここ…ギルドですよ…」

 

「「は?」」

 

「突然空に穴が開いて…ギルドも街も、みんな吸い込まれちゃったんです」

 

「「?」」

 

二人は、ウェンディの言ってることが全く理解できていなかった。

 

「本当なんです!!!残ったのは私たちだけみたいなんですよ!!!」

 

「ウェンディ…どっかに頭ぶつけたか?エライこっちゃー」

 

「ポーリュシカさんのところに連れてくか?」

 

「ちがーう!!」

 

「もしかして!!滅竜魔導士だけが残された!!!」

 

「そうよ」

 

ウェンディが察すると同時に、シャルルが戻ってきた。

 

「シャルル!!よかった、無事だったんだね」

 

「まあね」

 

「滅竜魔導士の持つ特殊な魔力が幸いしたようね、よかったわあなた達だけでも無事で」

 

「無事?」

 

「そりゃ聞き捨てならねぇなぁ!!他のみんなはどーでも………ってホントに消えちまったのか!!?」

 

「ん?でもちょっと待てよ?…シャルルが居るってことは…ラリカもその辺に」

 

リートは、地面をあさってラリカを探した。

 

「あっ…いたわ…つーかのびてる」

 

リートは、片手でラリカを引っ張りあげた。

 

「はっ!何ですの!?一体何が起こりましたの!?」

 

「街のみんなは消えたわ。正確にはアニマに吸い込まれた…」

 

シャルルは、事の説明をリート達にし始めた。

 

「アニマ?」

 

「さっきの空の穴よ。あれは向こう側の世界エドラスへの門」

 

「エドラス?」

 

「おまえ!!!さっきから何言ってんだよ!!!みんなはどこだよ!!!!」

 

ナツは、シャルルに突っ掛かる。

 

「ねぇ、シャルル…何か知ってるの?そういえば、何でシャルルやラリカは無事だったの?」

 

「ナ~ツ~!!」

 

シャルルが説明する前に、ハッピーがギルドに戻ってきた。

 

「ハッピー!!」

 

「ハッピーも無事だったようですわね」

 

「私は、向こう側の世界…エドラスから来たの」

 

「「「「「「え?」」」」」」

 

「そこのオスネコとチャネコもね」

 

「「!?」」

 

「ど…どういう事?」

 

「この街が消えたのは…私と、オスネコ…そしてチャネコのせいって事よ」




とりあえず、オリジナルS級試験では意外なキャラが活躍するとだけ報告しときます!


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条件

遅くなりましたが、続きかけました。

では、どうぞ


「こことは別の世界エドラス、そこでは今魔法が失われ始めている」

 

「魔法が失われる?」

 

シャルルの言葉をあまり理解できていないのか、ウェンディ達は首をかしげる。

 

「こっちの世界と違って、エドラスでは魔法は有限、使い続ければいずれ世界からなくなるのよ」

 

「魔法が有限って…じゃあ元となる魔力はどこから補充するんだ?有限だとしたら電力発電のように別の物質からでも作らない限り、その世界で魔力を補充する方法なんてないだろ」

 

リートの質問に、シャルルは答える。

 

「枯渇してきた魔力を救うために、エドラスの王は別世界…つまりはこの世界から魔力を吸収する魔法を開発した。それが超亜空間魔法アニマ…さっきの空に開いた穴よ。6年前に始まったその計画は、この世界の至るところにアニマを展開したけど、思うような成果はあげられなかった。何者かがアニマを閉じて回っていたの」

 

「だけど、今回のアニマは巨大すぎた。誰にも防ぐ術などなくギルドは吸収された」

 

「何で妖精の尻尾を狙ったんだよ」

 

「いったでしょ?エドラスの魔力とするためよ」

 

「ちょっと待て…それって…」

 

「妖精の尻尾には強大な魔導士がたくさんいる!!!だから狙われたって事!!?」

 

「そうよ」

 

「おいシャルル…吸収されたみんなは、今どーなっている?」

 

「わからないわ…少なくとも、人としてではなく別の何かに変えられている可能性が高いわ」

 

「ずいぶんと勝手なやつらだなァ!!オイ!!!みんなを返せコノヤロウ!!!」

 

ナツが怒りに任せて、空に向かってどなり散らす。

 

そして、ハッピーとラリカが不安そうな顔をしていた。

 

「そ…それが…オイラとラリカとシャルルのせい……なの?」

 

「間接的にね」

 

「……」

 

「私たちは、ある別の使命を与えられて、この世界に送り込まれたのよ」

 

ハッピー達の使命の内容はともかく、それはあり得ないとウェンディ達は否定する。

 

「そんなハズない!!アンタ…卵から生まれたのよ!!!この世界で!!!」

 

「ラリカもだ…オレが拾った卵から生まれてんだぜ?」

 

「ハッピーもだ!!!オレが見つけたんだ!!!」

 

「そうね、先に言っておくけど私はエドラスに行ったことがないわ…ウェンディが言うとおりこの世界で生まれ、この世界で育った。でも私たちにはエドラスの知識や自分の使命がすりこまれている…生まれたときから全部知ってるハズなのよ…」

 

「なのになんでアンタたちは何も知らないの!!?」

 

シャルルは怒りに震えながら、ハッピーとラリカを指差す。

 

「オイラ…」

 

「知りませんわよ、そんな事…故郷がそんな場所って事すら今知ったばかりですのに……」

 

シャルルは、またハッピー達に背を向ける。

 

「とにかくそういう事、私たちがエドラスの者である以上今回の件は私たちのせい」

 

「さっき、別の使命って言わなかった?シャルル」

 

「それは言えない」

 

ウェンディの問いかけにも、シャルルは全てを話そうとはしなかった。

 

「教えてシャルル、オイラ自分が何者か知りたいんだ」

 

「言えないって言ってんでしょ!!!それくらい自分で思い出しなさいよ!!!」

 

「…使命なんてどうでもいいですわ」

 

「なんですって!!!」

 

ラリカの一言に、シャルルは反発する。

 

「だって、私はそんな事のために妖精の尻尾に居るわけではありませんもの。私は好きでギルドにいるんですわ。使命だなんだで振り回されるつもりは毛頭ありませんわ」

 

「あんたは自分の事が分からないからそんな事が言えるのよ!!!」

 

「わかっていれば何かが変わりましたの?リート達に会えなくなりましたの?この世界で一人寂しく死んでいったりしましたの?変わらないですわよね?例え知っていたとしても…あなたとハッピーがその証拠ですわ。あなたは色々と知っている。でも、ハッピーや私は何も知らない…それでも私達はリートやナツに、あなたはウェンディに会えている。それは確かな事ではなくて?」

 

「それは…」

 

「私はリートに会えた。私にとってはそれで充分ですもの、そこから自分が何者でどんな使命を与えられていたかなんて知ろうとも思いませんわよ」

 

「……」

 

ラリカの話しに、シャルルは黙り混んでしまった。

 

「んじゃ、話もまとまった事だし、いっちょ行くか!?エドラスってとこ」

 

「まとまってねぇよ…」

 

「アンタ、まったく理解してないでしょ!!!」

 

ナツは話の内容をまるで理解できていないのか、エドラスに行くことだけを考えていた。

 

ぐるるるる~

 

「ナツ……オイラ…不安でお腹空いてきた」

 

「そりゃ元気の証だろ」

 

「リート…」

 

「わかってる」(強がってはいるものの、ラリカだって不安なんだろ…使命だなんだっていっても、自分には今さっきまで分からないことだったんだしな……)

 

先程使命を完全に否定していたラリカだったが、それでも心のどこかには不安があるようだった。

 

「エドラスにみんながいるんだろ?だったら助けに行かなきゃな」

 

「どうなの?シャルル」

 

「おそらく…いるとは思う。けど助けられるか分からない…そもそも私たちがエドラスから帰ってこれるのかどうかさえ」

 

シャルルの不安そうな声に、ナツが返事を返す。

 

「まぁ…仲間がいねぇんじゃこっちの世界に未練はねぇけどなイグニールとフランドーラの事以外は」

 

「オレもだ。フランドーラには悪いけどオレの中で一番優先するのは仲間の事だからな。向こうで仲間を見つけて問題を解決してから帰ってくる方法を探しても遅くはねぇ」

 

「私も」

 

みんなの決意は固く、シャルルはぐっと歯を食い縛る。

 

「みんなを助けられるんだよね?オイラ達」

 

「当たり前ですわ、私達が諦めなければ必ず助けられますわ」

 

「……私だって、まがりなりにも妖精の尻尾の一員な訳だし、母国の責任でこうなった疚しさもある訳だし…連れてってあげないこともないけど…いくつか約束して」

 

そう言ったシャルルは、次々と条件を出していく。

 

「私がエドラスに帰るということは、使命を放棄するという事。向こうで王国の者に見つかる訳にはいかない、全員変装をすること」

 

「変装の格好はなんでもいいのか?」

 

「最悪、私たちとバレなければなんでもいいわ」

 

「了解」

 

「そしてチャネコは興味なさそうだから大丈夫だと思うけど、オスネコは私たちの使命について詮索しないこと」

 

「あい」

 

「3つ目…私も情報以外エドラスについて何も知らない。ナビゲートは出来ないわよ」

 

「わかった」

 

「了解」

 

「そして最後…私とオスネコ…そしてチャネコがあなた達を裏切るような事があったら、ためらわず殺しなさい」

 

「「「!?」」」

 

「オイラそんな事しないよ?」

 

「私もですわ」

 

「いい?」

 

ぐぎゅるるるるる

 

「てか、腹うるさい!!」

 

最後の条件の返事を聞く前に、シャルルはウェンディの背を掴んで飛び上がった。

 

「行くわよ!!!オスネコとチャネコも、ナツとリートをつかんで!!!」

 

「飛んで行くの!?」

 

「私たちの翼は…エドラスに帰る為の翼なのよ!!」

 

放心しているハッピーとラリカに、二人は声をかける。

 

「行こうぜハッピー、ラリカ!!」

 

「お前らの里に!!」

 

コクッ

 

ハッピーとラリカは、それぞれ二人を掴んで飛び上がった。

 

「二人とも魔力を解放しなさい!!!」

 

「あい!!」「はいですわ!!」

 

ズドン!!!

 

シャルル達の空を飛ぶスピードが、MAXスピードになる。

 

「うほぉぉぉ!!」「きゃぁぁぁ!!!」「ぐっ……」

 

 

「アニマの残紺からエドラスに入れるわ!!!私たちの翼で突き抜けるの!!!」

 

 

「今よ!!!」

 

キュアァァン!!




今、アースランドのバンクをエドラスで出そうかどうか悩んでおります。

出したとしても役割ほしいしなぁ、どーしようかな


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使えない魔法

アニメ見ながら書いてみました。結構大変ですねこれ、いや、シャーマンキングの時でもやってたからわかってたことか…


リートたちが、アニマを突っ切り飛び出すと、そこには今まで見てきた世界とは全く別の世界が広がっていた。

 

見たこともない鳥が空を飛んでいたり、見たこともない植物、更には小島や川が空に浮かんでいた。

 

「おぉ…」

 

「ここが…エドラス」

 

「オイラのルーツ…」

 

「島が浮いてますね」

 

「あぁ」

 

ハッピーと共に空を飛ぶナツが、辺り一面を見渡す。

 

「これがお前の故郷か、ハッピー」

 

「これがエドラス…」

 

「本当に…」

 

「別世界ですわね」

 

「不思議な木や植物がたくさん」

 

「スッゲー!見ろよハッピー!あれ」

 

ナツたちは、空に浮かぶ川を見ていた。

 

「川が空を流れてんぞぉ!!どーなってんだ?」

 

「不思議な世界だな…オレたちの世界じゃ到底考えられねぇぞ」

 

舞い上がるナツたちに、シャルルは注意をして気を引き締める。

 

「ちょっとアンタたち、気持ちは分かるけど観光に来たんじゃないんだから、そんなにはしゃがないの」

 

「あ…あはは…そうだね」

 

「わりぃわりぃ」

 

「す…すまん」

 

その時、ハッピー、シャルル、ラリカの羽が消え、リート達は、下へまっ逆さまに落ちていく。

 

「「「「「「ああああああああぁぁぁ!!!」」」」」」

 

下には運良く巨大なキノコのような植物がクッションとなり、リート達はケガをすることなく地面に落ちることができた。

 

「び…ビックリしたぁ」

 

「急に翼が…」

 

「どーなってるの?」

 

「危うく転落死するところでしたわ」

 

「言ったでしょ?こっちじゃ魔法は自由に使えないって」

 

ウェンディとリートは、試しに魔力を込めようとしてみる。

 

「あれ?ホントだ。何か変な感じがする」

 

「オレの冷気もでねぇ…なかなか厄介な世界だなエドラスってのは」

 

「さーて!!みんなを探しに行くかぁ!!」

 

ナツは話を全く聞いておらず、目先の目的のみを考えていた。

 

そして、森の中を歩くリート達は、とりあえずどこに向かっているのかもわからないまま無作為に歩き続けていた。

 

「ナツぅ、探すってどこに行けばいいのさ?」

 

「任せろ!!んなもん匂いを嗅ぎゃぁ」

 

スンスン

 

ナツはその場で立ち止まり、辺りの匂いを嗅ぎ始める。

 

「あれ?」

 

「できたら最初からオレがやってんよ。ここに来てから嗅いだことねぇ匂いばっかりで探しようがねぇんだ」

 

ウェンディが、自分の指先を軽く舐める。

 

「ホントだ。空気の味も少し違いますね」

 

「わかるのか?」

 

「はい!天空の滅竜魔導士ですから」

 

「ってことは、火も違う味なのか?」

 

ナツがシャルルに聞くが、シャルルがそんな事をわかるハズもないわけで

 

「私に聞かないでちょうだい」

 

「因みに私もそんな事知りませんわ」

 

ラリカは、リートの顔を見てハッキリと言った。

 

「いや、別に聞いてねぇよ?」

 

「オイラもうお腹空いたよぉ~」

 

「お弁当持ってくればよかったね」

 

「緊張感無さすぎぃ!!」

 

そして、ウェンディは、ふと疑問に思った事をナツとリートに聞いてみた。

 

「それで、どこに向かって歩いてるんですか?」

 

「さぁ?とりあえず歩いてりゃその内何とかなんだろ」

 

ナツの言葉にリートは呆れてため息をこぼす。

 

「はぁ~っんなこったろうと思ったよ」

 

「なんの解決にもなってませんわよ」

 

そして、リートが今現在しようとしていることをウェンディに話す。

 

「とりあえず、身を隠せる服を探さねぇといけねぇからな、街か何かあればと思って探してるんだよ。街なら変装した後にでも、仲間の情報を聞くことも出来るだろ?」

 

「他に方法もないし、仕方ないわね」

 

シャルルも、妥協案としてだが、リートの案に賛成した。

 

ぐぅ~

 

「ちょっとアンタ」

 

シャルルがハッピーに対して腹の虫を注意しようとすると、ハッピーではなく、ナツの腹の音だった。

 

「だはっ、今のはオレだ」

 

「それにしても、誰もいませんねぇ」

 

「森ばっかりだし」

 

「それでも、変装しておかないと」

 

「誰に見つかるかわかりませんものね」

 

「と言っても、どーすれば」

 

「街まであとどのくらいかかるか、わかんねぇしなぁ」

 

そうしていると、ナツの目があるものに止まった。

 

「お?」

 

 

 

………

 

 

「ちょっと…」

 

「ナツ、これはないと思うよ」

 

「これは…いくらなんでも…」

 

「センスのカケラもありませんわ…」

 

「はは…」

 

ナツの案、それは森の中にあった草木を纏わせて自分の体を隠すという案だった。

 

「ナハハハハ!」

 

「こーゆーの変装じゃなくて擬態っていうんだよ!!」

 

「いいじゃねぇか!要は誰にも見つかんなきゃいいんだろ?気にすんなっつーの」

 

「まぁ…それはそうだけどよ…」

 

「ここまで酷いとは思ってませんでしたわ…私もうお嫁にいけませんわ」

 

「なんか…恥ずかしい」

 

「センスは悪いけど、アイデアとしてはいいわね」

 

「「え!?」」

 

「…いいんだ……」

 

ナツのアイデアは、シャルルにのみ意外と好評?であった。

 

「ふ~なんか暑い~、この葉っぱ蒸れるよぉ」

 

「我慢しなさい」

 

「そうですわよ、私だって我慢してますのに」

 

「あ…あい」

 

森を抜けると、そこは先程見た空に浮かぶ川の目の前だった。

 

「さっきの変な川だ」

 

「川が空を流れてるなんて」

 

「そーだ!!オイラお腹空いてたんだ!!」

 

「何で川見て思い出したの?」

 

「きっとあの川には美味しい魚がいるんだろうなぁ」

 

「あ…そーゆーことね…」

 

「あ、見て!あそこ」

 

ウェンディが指を指した方向には、1人の男性が釣りをしていた。

 

「エドラスの人間…みてぇだな」

 

「パッと見普通ですわね」

 

「よかったー私たちと同じみたいで」

 

「どんなの想像してたの?ってかよりによって釣りしてるし!いいなぁ…」

 

「そー言えばナツさんは?」

 

「え?」

 

ウェンディはナツがいないことに気がつくと、リートがいきなり慌て始めた。

 

「まさか!!?」

 

ガサガサ

 

「よぉっ!」

 

「?…!?」

 

釣り人の後ろからナツが現れて声をかける。…よりにもよって草で体を隠した姿のまま…

 

「ちょっといいか?」

 

「ひぃぃぃぃ!!!」

 

 

 

「やっぱり…」

 

「ナツさん…」

 

「何やってんのよ!!」

 

「あのお方もかわいそうに…」

 

「あれじゃびびるよね」

 

 

 

「妖精の尻尾ってギルドの奴ら探してんだぁ、どっかで見なかったか?」

 

「ぎぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

釣り人はあまりの恐ろしさに、一目散に逃げ出した。

 

「あぁ!オイ!!待てって!…んだよぉ、ちょっと話し聞こうとしただけじゃねぇかぁ」

 

ゴン!!

 

「ごっ!!?」

 

ナツの下に真っ先に来たリートが、ナツにげんこつをくらわせる。

 

「そんな姿の奴がいきなり目の前に現れたら、誰だって逃げるに決まってんだろ!!バカかお前は!!その上、こんな格好で妖精の尻尾なんて聞いたらこの格好の意味ねぇじゃねーか!!!」

 

「はぁ~…ようやく人を見つけられましたのに…せめて街の行き方だけでも聞いておきたかったですわね」

 

「そんじゃあ!!どーやってみんなの居場所調べんだよ!!」

 

「もし、今の男が王国に通報したら…」

 

「この擬態も意味ないよね」

 

シャルルたちは草木を脱ぎ捨て、また森の中を歩き始めた。

 

「とにかく、急いでみんなを探さないと」

 

「はぁ~やっと涼しくなった。ってかさっきの人、釣竿くらい忘れてってくれればよかったのにぃ」

 

「この状況でも釣りをする気?」

 

「なぁ、オレ何かしたのか?」

 

ナツは、先程の件を全く悪いと思っていなかったようだ。

 

「それより、何か変な音しませんでした?」

 

「おぉー!また釣り人か!!おっしゃー!今度こそ!!」

 

「ちょっとは学習しろバカ!!」

 

木と木を繋ぐ蔦の上を歩くリート達は、下の水面を見ると魚?とおぼしき顔が水面から浮かんでいた。

 

「あ!魚だよ!ホラ」

 

「おー、ホントだ。今度はまともなヤツっぽいな」

 

「よーし!!あれを捕まえてメシにでも」

 

ザバーーン!!

 

「………は?」

 

水から勢いよく飛び出した魚は、あまりにも巨大で、10メートルはある大きさだった。

 

「「「「「デカーーーー!!!」」」」」

 

「ふぇぇぇ…」

 

「あいさー!」

 

「デカすぎよ!!」

 

「強そうなやつじゃねぇか!!燃えてきたぞ」

 

「こんな時に何言ってんだよ!!」

 

「少しは危機感を持ってくださいまし!!」

 

「でもナツさん!早く先にいかないと!!」

 

ウェンディの忠告を、ナツは無視して拳を構える。

 

「3秒あったら充分だ!!」

 

そして、ナツはその場から魚に向かって殴りかかる。

 

「火竜の鉄拳!!!」

 

ポヨン

 

ナツがいつも通りに魚を殴るが、当然拳に炎を纏えるわけもなく、いつもと違う弱いパンチとなってしまった。

 

「あれ?」

 

バシッ

 

そして、ナツは魚のヒレで一発で叩き落とされた。

 

「「ナツ(さん)!!」」

 

「あれ?火がでねぇぞ」

 

「おっ前ホンットに学習しねぇな!!!!」

 

「ここでは魔法を使えないってさんざん説明されましたでしょ!!」

 

「ってことは、あれか」

 

「逃げるのよーーー!!」

 

リート達は、全速力でその場から逃げ出した。

 

魚も、それを追いかけてくる。

 

「まだ追いかけてくる!!」

 

「つーか魚なら陸上にくんなよ!!!」

 

「ぬあー!!魔法が使えねぇとこの先厄介だぞぉ!!」

 

「今さら気付きましたの!!?」

 

「それよりも、こんな騒ぎを起こしちゃったら…いくら森でもマズイんじゃないですか!!?」

 

「確かにそうだけど、こんな状況になってから言われても困るんだが!!?」

 

「そんなの、あのデカナマズに聞けっつーの!!!」

 

ナツ達の走った先には、崖が見えてきていた。

 

「うお!?マジか」

 

「行き止まりですよ!!」

 

「このままじゃ!!」

 

「ハッピー!!飛んでくれー!!」

 

「魔法使えないんだってばー!!」

 

「「「「「「うわぁぁぁ!!………は?」」」」」」

 

デカナマズは勢いをつけすぎて、ナツ達を通り越し、そのまま崖下に落ちていってしまった。

 

「くそーっ、魔法使えねぇだけでこれか」

 

「皆さん大丈夫ですか?」

 

「…なんとかな……」

 

「お腹は空いてるけど、まだ命はあるよ」

 

「ここまでの事があった後なのに、それを言える度胸はさすがですわね…」

 

かなり苛立っていたシャルルは、ナツに忠告をする。

 

「アンタ…いい加減にしなさいよ」

 

「ん?」

 

「変装もしてないのにこれ以上騒ぎを起こさないで!!」

 

「シャルル…」

 

「お…オレのせいなのか?」

 

「まぁ、全部とは言わねぇけど大半はお前が原因だな」

 

「王国の連中が、私たちの存在に気づいたら、何をするかわからないのよ。そーなったら皆を救出するどころか、私たちだってどーなるかわからないんだから!!」

 

「そ…そっか…なんかよくわかんねぇけど、オレが悪いんだなぁ…」

 

ナツは、ようやく自分が悪いと自覚したようだ。

 

「お?珍しくしょげてる」

 

「そこで何でよくわかんないのよぉ!!」

 

「シャルル、言い過ぎだよ?」

 

「いいじゃありませんの、このくらい言った方がナツにはいい薬ですわ」

 

「でも、ナツさんだって悪気があった訳じゃないんだから」

 

「悪気があったら、なおたちが悪ーーい!!」

 

その後、ナツたちはまた森の中を歩きだした。

 

「人生色々だよ、ナツ」

 

「ハッピー、それ慰めになってねぇ、つーかこうゆう時に腹鳴らすんじゃねぇよ」

 

「「あ!」」

 

「「「「ん?」」」」

 

リート達が飢えを見ると、エドラスの住民が、木の蔦の上を歩いているのを見つけて目があった。

 

「あっ………」「………」

 

「また見られた」

 

「ど…どーしよぉ」

 

「…とりあえず話しかけてみるか?」

 

リートが話しかけようとした時、リートよりも先にハッピーがエドラスの住民に話しかけた。

 

「えーっと…オイラ達は道に迷っただけの旅のモノです」

 

「ど…どうかお許し下さいませ!!」

 

「「は?」」

 

ハッピーが話しかけると、エドラスの住民は地面に頭をつけて謝りだした。

 

「エクシード様、どうか命だけはご勘弁を」

 

「?」

 

「誰のことだろう?」

 

「イクシーズならリートだよね?聞き間違えた?」

 

「オレか?オレなのか?」

 

「あのよぉ!」

 

頭を下げる二人に、ナツが話しかける。

 

「あのよぉ!ちょっと聞きたいことがあんだけどぉ!!オレたちの仲間がこのエドラスに…」

 

「「ヒイィィィィ!!!」」

 

「「おーたーすーけー!!」」

 

二人は、怖がりながら走って逃げていってしまった。

 

「な…なんだったんだ?」

 

「さっきの人たち、シャルルとラリカとハッピーを見て怯えてたようなぁ…」

 

「ほれーっ、オレのせいじゃねーじゃん」

 

「オイラそんなに怖い顔してたかなぁ?」

 

「トラウマ植え付ける才能ならダントツでラリカなんだけどなぁ」

 

「リート、帰ったら実験台確定ですわよ」

 

「そーゆーとこだぞ!!」

 

ぐにゅ

 

「?」

 

また、ナツがなにかをやったようで、歩いていた足下のキノコが動き始めた。

 

「おい…今度は何した?ナツ…」

 

「わ…わかんねぇ…」

 

「やな予感がします」

 

ボヨーーン

 

リート達の足下のキノコが一気に膨れ上がり、リートたちは空中へ打ち上げられた。

 

そして、近くの巨大なキノコに跳ね上げられ、またその近くの巨大なキノコに跳ね上げられ、4~5回ほど繰り返されると、ナツたちは建物の中に落ちていった。

 

「うえっほ…」

 

「また落ちた…」

 

「全くもう」

 

建物の中は、倉庫のように物がたくさん置かれていた。

 

「なんだここ?」

 

「どこかの倉庫みたいだね」

 

「はぁ、今さらどれだけ役に立つかわからないけど、とにかくここで変装用の服を拝借しましょ」

 

「それしかねぇか」

 

倉庫の中で、服を見つけるのは意外と早かった。

 

「おぉー!おもしれー服がたくさんあんぞ!!」

 

「服があって助かったな」

 

「ナツさん、リートさん、こっち向かないでくださいね」

 

全員が着替えを終えて、倉庫を出てくる。

 

シャルルとラリカはターバンで頭を隠し、ハッピーは鉄のメットを被り、ナツはフードで、リートはニット帽で頭を隠し、ウェンディはヘアピンで髪型をツインテールに変えて、それぞれ倉庫にあった着替えを終えて出てきた。

 

「お!ぉぉぉぉ!!」

 

「?どーしたナツ」

 

「どーかしましたか?」

 

「妖精の尻尾だ!!」

 

「は!?」

 

ナツの視線の先を見ると、確かに妖精の尻尾のマークが入った看板があった。

 

「何か形が変わってるけど妖精の尻尾だ!!間違いねぇ!!」

 

ナツが先頭を走りだし、その後ろからリート達が後を追いかける。

 

エドラスにあった妖精の尻尾は、巨大な木の枝?のような物で出来た建物になっていた。

 

中に入ると、妖精の尻尾のメンバーが中で騒いでいた。

 

「みんな無事だぁ!!」

 

「あっけなく見つかりましたね」

 

「ホントだな…てっきりシャルルの言ってたように別の物質に変えられているものと思ってたけど」

 

「でも、ずいぶんギルドの雰囲気違うね」

 

「そうですわね…少しおかしくありません?」

 

「こまけぇこと気にすんなよ」

 

「いや、気にしろよそこは…」

 

ナツ達が喜ぶなか、シャルルがストップをかける。

 

「ちょっと待って、様子がおかしいわ」

 

ハッピーがリクエストボードを見ると、そこにはいつもと違う雰囲気のメンバーが何人かいた。

 

「あれ、リクエストボードだよね?」

 

「なんもおかしくねーじゃん」

 

話をしているナツたちは、とりあえず近くにあった机の下に身を隠した。

 

「つか、なんでこそこそしなくちゃなんねーんだよ」

 

「よーく見て」

 

リクエストボードの前には、ジュビアが立っていた。

 

「ジュビア、これから仕事に行くから」

 

「気を付けてな」

 

そして、仕事に行こうとするジュビアを呼び止める男が1人

 

「ま…まってよジュビアちゃん!!」

 

 

 

「なっ!?」

 

「は!?」

 

 

ジュビアを呼び止めた男は、いつもと違い何枚着込んでるんだとツッコミたくなるような姿のグレイだった。

 

「オレも一緒に行きてぇーなー…なんて」

 

「暑苦しい、何枚着てんの?服、もっと薄着になってから声かけて」

 

「ひ…冷え性なんだよぉ」

 

 

「グレイのやつベタベタしすぎなんだよ」

 

「恋する男ってのは、熱心なもんだねぇ」

 

 

「う…うそ……」

 

(なんじゃこりゃぁぁぁ!!!)

 

いつもと違う風景に、ナツがツッコんでしまう。

 

そして、辺りを見渡すと、バンクが読書をしていたり

 

「君たち!騒がしいですよ!読書に集中できないじゃありませんか!これからは知識も必要だというのに全くもう」

 

「バンクのやつ、また本ばかり読んでるよ」

 

「あの本この前も読んでなかったか?そんなに面白いのか?」

 

「いや、何か小難しいことばかり書いてあって全く意味がわかんなかったぞ」

 

(バンク!!?)

 

 

ジェットとドロイが、エルフマンに説教をしていたり、

 

「なっさけねぇなエルフマン」

 

「また仕事失敗かよ」

 

「恥ずかしいっす」

 

「おい見ろよ、ギルド最強候補のジェットとドロイが、またエルフマンに説教してるよ」

 

「程々にな」

 

 

「仕事仕事ーー!!」

 

その後ろをいつもリクエストボードの前に立っているだけで仕事をしなかったナヴが、仕事と叫びながら走り出していたり。

 

「ナヴは働き過ぎたろ」

 

「だよなぁ」

 

その他にも、カナが酒を飲まずにドレス姿で大人しくなっていたり、ビスカとアルザックがイチャイチャしていたり、ウォーレンが細くなり口調も荒くなっていたりと、とにかくいつもの知っているメンバーとどこかが違っていた。

 

「ど…どーなってんだこりゃ」

 

「わ…わかんねぇ…」

 

「みんなおかしくなっちゃったの!?」

 

「私、変な夢でも見てるのでしょうか?」

 

 

 

「おい、誰だテメーら」

 

「「「「「!?」」」」」

 

机の下に隠れていたナツたちに声をかける女性の姿、それと同時にギルドのメンバー全員の視線がナツ達へと向いた。

 

「うそっ!?」

 

「えぇーっ!」

 

「まさか!?」

 

「なんで!?」

 

「うそですわよね!?」

 

ナツたちに声をかけた女性は、なんとルーシィだった。

 

「ここで隠れて何こそこそしてやがる」

 

「「ルーシィーーー!!!!?」」

 

「さんーーー!!?」

 

「あー…うえっ…あぅ…」

 

「これは一体…」

 

「もう何がなんだか…」

 

 

「んーー?」




という訳で、エドラスのバンクは読書家の知性キャラとしました。まぁ、反対的な性格となれば、こーなるかなとはずっと思ってましたし…


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ギルド落とし

続き書けました!今回はエドラスのリートを出しておきます。


「おい、誰だテメーらここで隠れて何こそこそしてやがる」

 

ルーシィは、ナツたちを睨み付けながら話し掛ける。

 

「ど…どうしちまったんだよ皆」

 

「エドラスに来た影響…なのか?」

 

「ルーシィさんが、怖い」

 

ギラッ

 

「んー?ナツ?」

 

ルーシィは、鋭い目付きでナツを見ている。

 

「ぐっ…」

 

ゴクッ

 

「よく見たらナツじゃねぇーかお前ぇ!!」

 

「ぐぼぉ!!?」

 

先程の緊張感は何だったのか、ルーシィがいきなりナツに抱きつきだした。

 

「えーーー!!?」

 

それと同時に、ギルド内の緊張も解けて全員の顔つきが緩くなった。

 

「ナツだって?」

 

「どーしたんだよその服」

 

「ナツ…今まで、どこ行ってたんだよ…心配かけやがって」

 

ナツはルーシィに抱きつかれながら、呆けた顔をしていた。

 

「……ルー…シィ?」

 

 

 

「処刑だーー!!!」

 

「ぎぃやぁぁぁ!!!」

 

ルーシィはナツの肩に乗り、ナツのこめかみに拳を押し付ける。

 

「でたー!!」

 

「ルーシィの48の拷問技の一つ!!グリグリクラッシュ!!」

 

 

 

「ナニソレ…」

 

「あれが拷問だなんて…生ぬるいにも程がありますわ」

 

「いや、そこはどーでもいいから…」

 

 

「あまりいじめてはかわいそうですわよ?」

 

エドラスのカナがルーシィにそう言っているのを見て、リート達は目を丸くする。

 

「いつものカナじゃねぇよな」

 

「とてもカナとは思えない」

 

「訳がわかりませんわ。どーなってますの?」

 

グレイも、ナツの帰還に安堵していた。

 

「とにかく無事でよかった。ねージュビアちゃーん」

 

「うるさい」

 

 

「これ…全部エドラスの影響なの?何から何まで全部逆になってるよ」

 

「だとしか思えねぇよな」

 

 

 

「ナツー!!お帰りなさーい!!」

 

ギルドの奥のカウンターからは、いつも通りのミラが手を振っていた。

 

「アイツは、いつも通りなんだな」

 

「確かに、いつものミラだ」

 

「ある意味つまんないね」

 

「意外とどこか変化してるかも知れませんわよ」

 

「ところでー」

 

「「「「「?」」」」」

 

ワカバとマカオの二人の視線は、リートとウェンディ達に向いていた。

 

「そこの方達と猫達は誰です?」

 

「…ネコ?」

 

「「ネコ!!?」」

 

ネコという言葉に、ギルド全体がざわつきだした。

 

「ネコがいますよぉ!!!」

 

ネコーーー!!!!?

 

「なんですの?私がネコであることに文句ありまして?」

 

 

「どーいうこった!!」

 

「こんなところに何でエクシードが!!」

 

 

「あ、やっぱりエクシードなんだな、オレたちの聞き違いじゃなかったのか」

 

ギルドの皆は、怯えた目でラリカ達を見る。

 

「な…なんだよぉ」

 

「なんですのよ?私は何もしてませんわよ?」

 

 

「どーなってんだよコレ」

 

ルーシィもナツをいじめる手を止めて、ハッピー達を見ていた。

 

「つーか…なんでこっちの連中はエクシードって聞くとビビんだよ。エクシードってなんなんだ?」

 

「ふぅぁ~っ」

 

いきなりハッピーは、頭のメットを脱いで気を緩める。

 

「ふぃーっ暑かった暑かった」

 

「ホントそっくり」

 

「?」

 

メットを脱いだハッピーの下に、ミラが歩み寄ってきた。

 

「あなた達ってエクシードみたいね」

 

「「いや…みたいと申しますか…」」

 

「そのものじゃないか?」

 

「姉ちゃんの言うとおりだよ。エクシードにそっくりなだけだよ」

 

ミラが歩み寄ったことで、エルフマンも気を緩めていた。

 

それにより、他のメンバーも徐々に気を許し始めた。

 

「それもそうね」

 

「どー見てもネコそのものだけどなぁ?」

 

 

「コラ!脱がないの」

 

「だってこれ蒸れるんだよぉ」

 

「少しくらい我慢しなさいよ」

 

そして、一段落ついた所でナツの尋問が始まった。

 

ギラリ

 

「あ…ああっ…」

 

(ルーシィさんが怖い…)

 

(ホンットに別人だなこりゃ)

 

「さー、言えよ。散々心配かけやがってどこで何してたんだよ」

 

「何って言われても…なぁ?」

 

ナツは、若干の救いを求めた目でリートの顔を見るが、リートは分かっている上でナツから目を背けた。

 

フイッ

 

「!!?」

 

(すまん…なんかこのルーシィにあんまり関わりたくない)

 

「薄情者ーー!!!」

 

「つーか!!お前は誰なんだよ!!さっきからナツと妙な視線交わしやがって!!」

 

ルーシィの矛先は、唐突にリートへと向けられた。

 

「結局オレに矛先向くの!!?」

 

「何言ってんだよルーシィ?リートの顔を忘れたのか?」

 

「…リート?」

 

「あー、もしかして帽子でわかんねぇのか?」

 

リートは被っていた帽子を取り、頭を上げる。

 

「ほれ、オレだよオレ」

 

「あ……あぁっ…あっ…」

 

「「「?」」」

 

リートの顔を見たルーシィは、どんどんと顔色を悪くさせていく。

 

「どーした?…って他の皆まで!?」

 

よく見るとルーシィ以外にも驚愕の顔でリートを見ている者達がいた。

 

「ギ……ギギギ…ギルド落としだ…」

 

「「はぁ?」」

 

ギルド落としのリートだぁぁぁ!!!!

 

「何その物騒なネーミング!!?」

 

ギルドのメンバー全員が、一斉にリートから距離をとった。

 

「ギルド落とし…って何だよ」

 

「ナツ!!お前なんて奴を連れて来てんだよ!!!」

 

「そいつは、数々のギルドを潰してギルド落としという異名がつけられているあまりにも危険な奴ですよ!!!」

 

「さっきのエクシードの件といい、ついにここまで来やがったか!!」

 

「…訳がわからん」

 

「ちょ、ちょっと待てよ!!リートはオレたちの仲間だろ?」

 

ナツが必死に弁明しようとするが、誰も聞こうとはしない。

 

「仲間だ!!?そいつはギルドを潰し回ったあげく、アタシらのギルドまで散々狙ってきたやつだぞ!!そんなやつが仲間な訳がねーだろ!!」

 

「何でオレがギルド潰したあげくに自分のギルドまで潰さなきゃなんねーんだよ…」

 

「と…とにかくこいつを縛り上げろ!!」

 

「はぁーーーー!!?」

 

リートはギルド全員に縄で縛り上げられ、その場に座らされた。

 

「なんなんだよぉ…」

 

「よしっとりあえずはコレでいいな、さてと…」

 

ゴチン!

 

「ぐもぉぁ!!」

 

「テメー散々心配かけさせたあげく、ギルド落としまで連れてくるとはどーいう了見だコラー!!」

 

ルーシィはナツの上にまた乗っかり、今度は肘でこめかみを押し付ける。

 

 

「でたー!!」

 

「今度はグリグリ肘クラッシュ!!」

 

「肘になっただけじゃん…」

 

その後もルーシィは、とにかくナツに技をかけまくっていた。

 

「技の35!えげつないぞ固め!!」

 

「ぐぼぉ!!」

 

「技の28!もうやめてロック!!」

 

「だはぁぁあ!!」

 

(ルーシィさんが怖い…)

 

「拷問のなんたるかをわかっていませんわね、命を落とすかいなかのギリギリを攻めてこその拷問ですのに」

 

「お前のこだわりなんか知らんわ」

 

ナツは、ルーシィの技から抜け出すと逃げるように走り出した。

 

「逃げんなナツ!!どこに隠れたぁ!!」

 

「次の仕事ー!!」

 

「うっさいよくそナヴ!!」

 

仕事の為に走り回るナヴに対して、機械のメンテをしていたレビィがどなり散らす。

 

「んだとコラァ、くそとは何だレビィ」

 

「見りゃわかんでしょ!!今微妙なメンテやってんのよ!!ガタガタ騒いでると、集中できないじゃないでしょーが!!」

 

「出て来いナツー!!新技かけてやっからさぁ!!」

 

「うるさいよこのクソルーシィー!!」

 

「なんだとコラァ!!」

 

レビィとルーシィの二人が、喧嘩し始めた。

 

「メンテ中だって言ってんでしょーが、この怪力ゴリラ女」

 

「だったらさっさとやれよ、このひょろひょろメカニックが」

 

その喧嘩を、マカオとワカバの二人が止める。

 

「まぁまぁ、二人とも落ち着いて」

 

「よろしく頼みますよレビィさん。あなたのその技術がなければ、このギルドは」

 

レビィはどや顔でルーシィの顔を見ると、ルーシィは不満そうに引き下がる。

 

「っち、まぁ早いとこ頼むわ」

 

「分かればよろしい」

 

そして、ウェンディがあることに気がついた。

 

「あれ?そー言えばエルザさんがいませんね」

 

「あれ?ホントだ」

 

「ってか、アンタはいつまで縛られたままなのよ」

 

「しょーがねーだろ、ほどけねーうえに今ほどいたりしたらまた大騒ぎになりそうだし、今は大人しく縛られたままの方がよさそうなんだもんよ」

 

「冗談じゃねぇ…」

 

「ねぇねぇ、こっちではエルザってどんな感じなのかな?」

 

ナツとハッピーは、リートの真後ろにある机の下に隠れてヒソヒソと話していた。

 

「そりゃオメー、やっぱ逆だろうよ」

 

「逆ってぇと、泣き虫で常に泣いてるとか?」

 

「いやいや、きっとこんな感じだろ」

 

ナツがエドラスのエルザをイメージする。

 

『バカモノー!!お前は何度言ったらわかるんだってーの!!』

 

『ごめんなさい!ごめんなさい!もう二度と、ナツ様の足は引っ張りません!!』

 

それはナツに説教をされて平謝りするエルザの姿だった。

 

『ナッハッハッハ!!わかればいいんだ!!わかれば!!』

 

『尊敬してます!!先輩!!』

 

「とか?」

 

「それ、単にナツの願望だよね?」

 

「んだとぉ?じゃあハッピー、お前はどーなんだよ」

 

「オイラはこー思うよ、きっと」

 

ハッピーがエドラスのエルザをイメージして、説明し始める。

 

ハッピーの想像するエルザは、モンスターと対峙しているところから始まった。

 

『ハッピー様!!この場は私にお任せを!!』

 

『おぅ、頼んだぞぉ』

 

『ハッピー様、この私が必ずお守りします!!』

 

『おぉ~心強いぞぉ、行けぇ我が(しもべ)エルザよ』

 

『ははーっ!!』

 

「とか?」

 

「いやいや、お前の願望の方がひどくねぇか?」

 

「二人ともエルザのことを何もわかっていませんわね」

 

ラリカも、エドラスのエルザを想像し始めた。

 

『ラリカ様!!どうかこの(わたくし)めに、きつめのお仕置きをぉ』

 

ラリカは鞭を持って、座り込むエルザを見下ろしていた。

 

『いい心掛けですわね、ではお望み通りお仕置きをしてあげますわよ!!この○○○(ピーー)がーー!!』

 

バシィン!!

 

『ああっ!もっと!もっと私めにお仕置きを、ラリカ様~』

 

「とか?」

 

「「最悪だーー!!」」

 

 

「子供に見せられない展開想像すんのやめろ…」

 

「私はこう思います!!」

 

そして、ウェンディまでもが、エドラスのエルザを想像した。

 

『ウェンディの為に腕によりをかけて作った。さぁ、遠慮なく食べろ』

 

それはエルザがウェンディの為に、山のようにケーキを作っているところだった。

 

『あはーっ!ありがとうございます!いただきます』

 

『フフっ、食べ過ぎて虫歯になるなよ?』

 

「とか!」

 

「「「「そーきたか!!」」」」

 

「揃いも揃って、つまんないこと妄想してんじゃないわよ」

 

「アハハハハ…」

 

シャルルのツッコミに、ウェンディが苦笑いするしか出来なかった。

 

「でも、逆の感じのエルザさんって」

 

「実際のとこ、どーなんだろう?」

 

「ナツみーっけ!!」

 

ガシッ

 

「!おいこら」

 

ナツは再びルーシィに見つかり、腕を捕まれてしまった。

 

「よーっし!新技かけっぞぉ」

 

「やめろって、いい加減にしねーといくらルーシィでも「へぇーっ、やろうってのか?上等だよ」!?」

 

ドガァ!!

 

「オラァ!!」

 

「グハァ!!」

 

ドゴォ!

 

「オラァ!!」

 

「グモーーッ!!」

 

ルーシィに反抗しようとしたナツだったが、その気になったルーシィに殴る蹴るの応酬をうけ、手も足も出せずにいた。

 

ドサッ

 

「つ…強い…」

 

「こわっ!こっちのルーシィこわっ!」

 

「ナツぅ、大丈夫?」

 

「大丈夫…じゃねぇ…」

 

「根性足りねーんだよお前は」

 

ナツが反抗したことを、ギルドのメンバーは少しだけだが驚いていた。

 

「ナツさんがルーシィさんに口答えなさるなんて」

 

「珍しいこともあんだな」

 

「つか、アホだろ」

 

ルーシィはナツの胸ぐらを掴み上げて、ナツを睨み付ける。

 

「さぁ言え、どこで何してやがった!ギルド落としを連れてきた理由もしっかりとな」

 

「だから…そのギルド落としってのなんかやってねぇって……」

 

「だから…それが…ハッピー…リート…助けてぇ」

 

ナツは、もう一度リート達に助けを求める。

 

「さっきからこの仮面が蒸れて力が出ません」

 

「縛られたままのオレにどうしろと?」

 

「薄情者!!」

 

 

「ルーシィ、またナツをいじめてダメじゃない」

 

「!?……」

 

ギルドの入り口から1人の女性が現れて、リート達は驚愕した。

 

「ちぇーっ、わぁーったよ」

 

 

「うそ…だろ…」

 

「そんな…」

 

 

「お、戻ったのか」

 

「お帰りなさい、リサーナ」

 

「ただいま、ミラ姉、エルフ兄ちゃん」

 

 

「り…リサーナ」

 

「?」

 

「…見つけた……」

 

ズドドドドド!

 

「ひっ!?」

 

「「リサーナーーー!!!」」

 

ナツとハッピーは涙を流して、リサーナに抱きつこうと飛びかかる。

 

「こぉーらぁ!!!」

 

「「ぐぼぉ!!」」

 

しかし、リサーナに飛びかかる前に、ルーシィの回し蹴りが二人を止めた。

 

「お前、いつからそんな獣みてぇになったんだぁ?あぁん?!!」

 

「ううっ…だってぇ…リサーナが生きて…そこに」

 

「何言ってんだお前」

 

涙を流すナツに、グレイが優しく話し掛ける。

 

「いいから座ろうぜ、久々に語り合おうぜ、友達だろ?」

 

「ううぅっ…服脱げよグレイ…」

 

「お前らホントに仲いいよなぁ、いつもベタベタしてさぁ」

 

「ルーシィは、レビィと喧嘩しすぎなんだよぉ」

 

 

「な…何でリサーナがここにいますの?」

 

「ミラさんの妹の…確か亡くなったハズだよね」

 

「あぁ…2年前に…確かに死んだって聞いた…ミラの目の前で…」

 

「皆が逆になってるわけじゃないって事ね」

 

「え?」

 

シャルルは、自分のたてた推測をリート達に話す。

 

「ミラはあの通り、全然変わってないわ。リートも今まで呼ばれたことのない異名で呼ばれてたし、十中八九間違いないと思ってた。そして、決定的なのはアレ」

 

シャルルが指を指す方向には、とある女性がいた。

 

「あの娘、少しお前に似てねぇ?ウェンディ」

 

「そーぉ?」

 

「雰囲気とか近いよなぁ」

 

そこには大人びた身長で、胸もそだったウェンディの姿があった。

 

「私ぃ!!?」

 

「逆…じゃなくて、違うのよ…」

 

「そ…それって」

 

「そうよ、この人たちは…私たちの探してる皆じゃないわ」

 

「「「「「……」」」」」

 

「別人…エドラスに、最初からいる人たちよ。ありえない話しじゃないわパラレルワールドのようなものよ。エドラスには独自の文化や歴史があり、妖精の尻尾が存在する可能性だって」

 

「そんな…」

 

「じゃあ、オレたちの世界の皆はどこにいるんだよ!!?」

 

「知らないわよぉ、それをこれから見つけるんでしょぉ?」

 

シャルルは、ハッピーとラリカの腕を取り出入り口に向かって走り出した。

 

「これ以上ここにいるのも面倒ね、行くわよ!!」

 

「行くって!!どこに行くつもりだよ?!!」

 

「王都よ。吸収されたギルドの手がかりは、王都にあるハズ」

 

 

ドン!

 

「「「わぁ!!」」」

 

「妖精狩りにギルド落としだぁ!!!あの二人が来たぞぉ!!!」

 

「!?」

 

ギルド内が騒がしくなり、全員が慌て出す。

 

「ちょっと待て!!妖精狩りはともかく、ギルド落としはここにいるんだぞ!!なんでギルド落としが二人もいるんだよ!!」

 

ルーシィがリートを指差して言うが、そんなことを知ってる人はいるハズもなかった。

 

「オレが知るかよ!!とにかく、急がねぇとマズイぞ!!!」

 

「そこのネコ!!どこに行く気だ?!!外はマズイ!!」

 

「王国の方達、また私達を追って」

 

「えらいことですよー!!」

 

 

「王国…」

 

「オイラ達…妖精の尻尾の敵なの?」

 

レビィが急いで、メンテをしていた機械を動かし始める。

 

「リアクター添加準備、座標設定、誤差修正まで5 4 3 2 1」

 

「転送魔方陣はまだなの!?レビィ!!」

 

「今やってるよ!!クソルーシィ!!」

 

「遅いって!!妖精狩りにギルド落としがくるんだぞ!!」

 

「だからわかってるって!!」

 

「ギルド落としって…」

 

「この世界の…オレ…」

 

転送魔法の準備で、ギルド内が揺れ始める。

 

「な…何!!?」

 

「早くしろよレビィ!!」

 

「うるさい!!転送まであと2分!!」

 

「大気が…震えてる…」

 

 

そして、外では羽の生えたモンスターに乗った二人の影が、妖精の尻尾を見下ろしていた。

 

「見つけたぞ…」

 

「隊長、僕が行きます」

 

モンスターから飛び降りた1人の影が、槍を構えて落ちていく。

 

「くるぞぉ!!!」

 

「王国が妖精の尻尾を狙ってる?何の為に?」

 

「そんなの決まってるじゃない」

 

「え?」

 

ウェンディの疑問に、エドラスのウェンディが答えた。

 

「王の命令で全ての魔導士ギルドは廃止され、抵抗したギルドもギルド落としを筆頭に潰されてきた。残ったのはただ一つ…ここだけだから」

 

「え?」

 

「知らないでナツについてきたの?つまり私たちは、闇ギルドなのよ」

 

「「「「「「!?」」」」」」

 

「よしっ!転送魔方陣、展開!!」

 

「うおおおっ!!?」

 

「今度はなんだぁ!!?」

 

「体がぁ!!」

 

「浮かんでますわぁ!!!」

 

「皆、何かに捕まれ!!!」

 

「ゆ…揺れてるぞ!!」

 

「「ウップ…」」

 

レビィが機械を操作すると、ギルドは地中に潜り、その場から消えてしまった。

 

それと同時に、槍を構えて落ちてきた人影が地面を攻撃する。

 

ズドォォン!!

 

シュウゥゥゥ…

 

「っち」

 

「転送だと?」

 

「ん~転送魔法か、あんなに魔力を無駄遣いする魔法を使うとは、まったく困ったものだな闇ギルドってのは」

 

 

 

先程の二人とは違い、森の中から新たに1人、ピンク色の鎧を着た人物が現れた。

 

「シュガー・ボーイ、いたのか」

 

「ん~ホンット、逃げ足の早い妖精だね」

 

「すいません隊長、取り逃がしてしまいました」

 

槍を背中にしまい込み、モンスターに乗った女性に謝る男、リートだ。

 

「ん~、惜しかったねぇリート、ギルド落としの名が泣いているぞ?」

 

「テメェは黙ってろクソシュガー」

 

「おおっ、怖い怖い」

 

「ハエみたいに飛び回って、目障りなやつらだ。まぁいい、リートとりあえずお前は今後も引き続き任務を全うしろ」

 

「はい」

 

「けど、やつらも転送できる回数は残り少ない、落とせる日は時間の問題っしょ?」

 

「当たり前だ、ギルド落としの名にかけて…やつらはオレが必ず叩き潰す」

 

「頼もしいねぇ~、それより例の巨大アニマ作戦、成功したらしいよ?んで、魔戦部隊長は全員、王都に戻れってさ」

 

「アースランドの妖精の尻尾を滅ぼしたのか!?」

 

「さすが国王様だ。僕やシュガーと違って天才だ」

 

「正確には吸収した。うちの王やることがデカいねぇ」

 

「当たり前だ、国王様ならコレくらいこなして当然のお方だぞ」

 

「吸収されたアースランドの魔導士はどうなった?」

 

「王都さ、巨大な魔水晶になっているよ」

 

「素晴らしい、それならエドラスの魔力はしばらく安泰だろうな」

 

 

………

 

 

一方転送した妖精の尻尾のギルドは、もといた場所からかけ離れた砂漠のような場所に現れた。

 

「野郎共、引っ越し完了だ」

 

「無事転送できたみたいだな」

 

転送は完了したものの、ギルドの中は滅茶苦茶になっていた。

 

「あぁー!!」

 

「どうした!!バンク」

 

「本が!!せっかく読んでいた本が!!…ぐちゃぐちゃに…」

 

「本くらい後でいくらでも買えばいいだろ!!」

 

エドラスのバンクは、ショックで肩を落としていた。

 

「引っ越し?」

 

「ギルドごと移動したのかよ…」

 

「すごい…」

 

ギルドの中は滅茶苦茶になっていたが、怪我をした者は1人もいなかった。

 

「テメェ、何もたもたしてんだよ。危なかっただろ」

 

「うっさい!!たまには自分でやってみろ」

 

「大体何でこんなにゆれんだよ!!」

 

「テメェが太ったからだろ!!」

 

「んだとコラァ!!」

 

ルーシィとレビィの喧嘩は、徐々にヒートアップする。

 

「くっ…何だったんだ?さっきのやつは」

 

ナツが立ち上がると、ミラが説明してくれた。

 

「どーしたの?ナツ、久しぶりで忘れちゃった?」

 

「あれは、王都魔戦部隊の隊長と唯一の副隊長、エルザ・ナイトウォーカーと、リート・ジフレクト…またの名を妖精狩りのエルザと、ギルド落としのリート」

 

「「「「「「!」」」」」」

 

「…なんだと…」

 

「エルザとリートが…敵!?」

 

 




縛られたままのリートでちょっと真面目な雰囲気似合わねー!こんな状況でシリアスな展開は絶対持ち込めねぇな…因みにラリカの妄想は別に主がそーいう展開が好きだからとかじゃないです。

単に拷問好きのラリカならこう考えるだろうなと思っただけです。


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王都へ

皆さん助けてください、主は今あることで困ってます。詳細は活動報告に載せましたが、是非とも助けてほしいですorz


エドラスの魔戦部隊から何とか逃げ切ったリート達は、自分がエドラスとは違う世界から来たという事と、自分やナツがアースランドでの妖精の尻尾のメンバーである事、そして、ここに来た目的などをエドラスの妖精の尻尾に話していた。

 

「つーと、なにか?お前らはアースランドとかいうもう一つの世界から」

 

「仲間を救うためにエドラスに来たってのか?」

 

「そうだ」

 

「そっちの世界にも妖精の尻尾があって、そっちじゃエルザとリートが味方だって?」

 

「ざっくり言うとね」

 

エドラスの妖精の尻尾にある程度事情は話したが、それでも半信半疑に聞かれているようだった。

 

「どうにも信じがたい話しですけど」

 

「うーん、でも確かに、現にここにリートがいるし、このナツはオレたちが知っているナツじゃねーしな」

 

「似てるのは顔だけよね」

 

「言えてる」

 

ハハハハハ!!

 

どうやら、エドラスの皆には信じてもらえたらしい。

そして、ずっと縛られてたリートもようやく縄をほどいてもらえた。

 

「悪いな、ほどいて貰っちまって」

 

「ううん、こっちこそごめんね。悪い人じゃないのにこんなことしちゃって」

 

「いや、事情が事情だからな、別に謝ることじゃないさ」

 

そして、エドラスのウェンディが、アースランドの自分の姿に驚いていた。

 

「この娘が、そっちの世界の私!!?」

 

「あ、どうも」

 

「ぷっ、小っちゃくなったなぁウェンディ」

 

「つー訳で、王都への行き方を教えてほしいんだ」

 

「頼む」

 

「私たちの仲間がこの世界の王に吸収されちゃったんです。早く助けにいかないと皆が魔力に…形のないものになっちゃう!!」

 

ざわざわ

 

「ちっちゃい私には悪いけどさ、止めといた方が身の為よ」

 

エドラスのウェンディが、アースランドのウェンディ達に忠告する。

 

「え?」

 

「エドラスの王に歯向かった者の命はないわ…それほど、強大な王国なの」

 

ウェンディに続いて、バンクが現エドラスの状況を説明する。

 

「この世界じゃ魔力は有限、限りあるものなのです。言い換えればいずれ無くなってしまうもの…それを危惧したエドラス王は魔法を独占しようと考えました。結果、全ての魔導士ギルドに解散命令が出され、初めはどのギルドも抵抗しましたが、王国の魔戦部隊に敵わず、ほとんどのギルドはやむなく解散せざるをえなくなりました。残るギルドも後はこの妖精の尻尾のみ、そして、僕たちも抵抗した結果多くの犠牲者を出してしまいました」

 

「ちくしょう…」

 

ギルドのメンバー達は、暗い顔で悔しがっていた。

 

「逃げるのが精一杯なんだよぉ」

 

「だから近づかねぇ方がいい。元の世界とやらに戻りな」

 

「悪いが、それを聞いても、はいわかりましたって言う訳にはいかねーんだ」

 

「頼む、道を教えてくれ」

 

リートとナツは散々忠告されても、諦める気はなかった。

 

「オレは仲間を助けるんだ。絶対にな」

 

 

その頃、王国の城ではエルザとシュガー・ボーイ、そしてその後ろにリートがついて歩いていた。

 

そして、エルザとシュガー・ボーイの隣にはもう1人の人物が、

 

「スッゲーよー!!スゲーよ!!見たかエルザ?あのデケェ魔水晶」

 

この男、王国軍第三魔戦部隊隊長のヒューズだ。

第四魔戦部隊隊長のシュガー・ボーイ、第三魔戦部隊隊長のヒューズ、第二魔戦部隊隊長のエルザが揃った。

 

「来るとき見たよヒューズ、綺麗なもんだな」

 

「あれは何万ものアースランドの人間の魔力なんだぜ」

 

「バカヒューズが、それくらい隊長が知らねぇわけねーだろーが、正確には魔導士の約百人分とその他大勢の生命ってその足りねぇ脳みそにねじ込んどけ」

 

「あー!リート!お前、今の台詞スッゲームカつくぞ!!」

 

「あ?やんのかよ?いいぜ、この場でテメェを八つ裂きにしてやるよ」

 

「やめろお前達」

 

リートは背中の槍から手を離し、エルザに頭を下げる。

 

「はい、出すぎた真似をしてしまい申し訳ありません。隊長」

 

「ちぇ~っせっかくオレのスッゲー魔法を見せてやろうと思ったのによ」

 

「やめておけ、それにお前ではリートには勝てんぞ」

 

「そんなのやってみなきゃわかんねーじゃんよ!!」

 

「ん~そのくらいにしておきたまえ、ヒューズ、リートが陛下とエルザ以外に下手に出ないことは今に始まったことじゃないだろ?」

 

「エルザしゃん、そしてリートしゃん妖精の尻尾はまだやれんのでしゅかな?」

 

4人の下に現れた小柄な老人が、エルザとリートの二人に話しかける。

 

「バイロ」

 

「っち、嫌味かクソジジイ」

 

「ぐしゅしゅしゅ、妖精狩りとギルド落としの名が廃りましゅなぁ」

 

「テメェ、オレだけならまだしも…隊長まで愚弄しやがって」

 

「やめろと言っているだろリート、第二魔戦部隊の副隊長なら少しはその喧嘩っぱやい性格をどうにかしろ」

 

「しかし…いえ、申し訳ありませんでした」

 

リートが引き下がると、バイロが話を続ける。

 

「残るギルドはもはや妖精の尻尾のみ、確かに一番逃げ足の早いギルドでしゅがね、陛下はそろそろ結果を求めておいでだ」

 

その言葉に、シュガーとヒューズが間に入る。

 

「そう慌てんな、女神と騎士(ナイト)が妖精を狩りつくす日は近い」

 

「そうだよ、エルザの剣はスゲーっつーかスッゲェんだよ」

 

「…テメェに言われずとも、陛下と隊長の為にも近いうちに必ず妖精を落としてやるよ」

 

「ぐしゅしゅしゅ」

 

「その不気味な笑いを止めろ、バイロ」

 

「!!」

 

バイロの後ろからまた、新たに1人の人物が現れた。第1魔戦部隊隊長、パンサーリリーだ。

 

「パンサー・リリー」

 

「なんだ、やっぱりテメェも来たのかよクソネコ」

 

「うるせぇのは好きじゃねぇ、ヒューズお前もだ」

 

「オレもかヨ、てめ…自分が一番スッゲェとか思ってんべ、ぜってー」

 

「そりゃテメェなんかよりはスゲェだろうよ、バカヒューズが」

 

「あぁー!リート!!お前また副隊長の癖に隊長のオレをバカにしたべ!!」

 

「勘違いすんな、第一だろうが第三だろうが、未来永劫、オレが従うのはオレに剣を教えてくれたエルザ隊長と、この国の王である陛下だけだ。あとのやつは隊長だろうがなんだろうがオレより下だ。バカにするのも当然だろーが」

 

また喧嘩しそうになる二人を見て、エルザはため息を吐く。

 

「はぁ」

 

「ん~君もなかなか大変だねエルザ」

 

「実力は確かなんだがな、どうにもこの性格はいまだに治りそうにない」

 

「リート、お前も少しは口を閉じろ」

 

リリーの注意に、リートは苛立ちリリーを睨み付ける。

 

「あ?テメェ誰に向かって指図してんだ。全身の毛むしりとるぞ、脳筋ネコが」

 

「ん~機嫌悪いねリリー」

 

「フン」

 

リリーはそのまま、エルザ達の間を抜けて歩いていった。

 

「最近の軍備強化が不満らしいな」

 

「軍人なら喜ぶべきところなのになぁ」

 

「関係ねぇ、あの野郎オレに敵意を向けるとはいい度胸だ。いつか第一魔戦部隊隊長の座を引きずり下ろしてエルザ隊長と入れ換えてやる」

 

「ん~君はホントにエルザLOVEだねぇリート」

 

「別に愛してるとかじゃねぇ、ただ隊長に剣を教わった時から忠誠を誓い、いつか隊長を最強にして差し上げたい…そう思ってるだけだ。他意はねぇ」

 

「しかし…陛下はなぜ今更軍備強化をなさったのかオレにはよくわからねぇ、陛下の判断である以上喜んで引き受けるが」

 

「確かに、我が国はほぼ世界を統一した。これ以上軍備を強化する理由が見当たらないのも事実…」

 

「ん~まだ反抗勢力が少しは残ってるからじゃねーのか」

 

「そんなクズ共は、オレとエルザ隊長がやっちまえば十分だろ」

 

「わかんねっ!!!スッゲェ難しい話ししてるだろ!?全然わかんね!!」

 

「なら、わざわざオレたちの会話に混ざってくんなバカヒューズ」

 

そして、妖精の尻尾から王都への道を教えてもらったリート達は、歩いて王都に向かっていた。

 

ウゲロ ウゲロ

 

「よーしっ、動くなよぉ」

 

ナツは砂漠にいた蛙のような小さい生き物を捕まえようとしていた。

 

「どりゃー!!」

 

スカッ

 

ウゲロー

 

ナツが蛙を捕まえようとし、蛙はそれから逃げ続け、その光景がずっと続いていた。

 

「何やってんのよアンタ…」

 

「まぁ…ナツだし…」

 

「いつも通りと言えばいつも通りですわね…」

 

「王都まではまだまだかかるのかなぁ」

 

「さっき出発したばかりじゃない」

 

「5日は歩くって言ってたよね」

 

シャルルは、少し疲れた顔をしていた。

 

「なんか、翼の調子も悪いし、歩いていくしかないわね」

 

「まぁ魔法が使えねぇんじゃ仕方ねーよな」

 

「オイラ達、ホントに魔法使えなくなっちゃったの?」

 

「さぁ?どーでしょう」

 

「わからない、先が思いやられるわ」

 

 

「ハッピー手伝ってくれ、見たことねー蛙だぞコレ、ルーシィへのお土産にしようぜー」

 

「オイラ喜ばないと思うよ」

 

ナツが必死に蛙を捕まえようとしていると、巨大な何かにぶつかった。

 

ボヨン

 

「んがっ!!?」

 

そこには、ナツが捕まえようとしていたのよりも遥かに巨大な蛙がいた。

 

「どわーーー!!!」

 

「デカーーー!!!」

 

「いや、蛙かコレ!!?」

 

「なんで建物並みに巨大な蛙がいるんですのよぉぉぉ!!!」

 

ウゲロー!!!

 

「ナツ!!襲い掛かってくるよー!!」

 

「よーしっ」

 

ナツは拳を構えて、魔力を込めようとする。

 

「オイ!!?」

 

「火竜の…あっ…」

 

ナツは、魔法を使えないことを思い出した。

 

「忘れてたぁ!!魔法は使えねーんだぁ!!」

 

「お前ホンットに頼むから学習してくれ!!!」

 

「何回このやり取り見るんですのよぉ!!!」

 

ナツ達は、必死に蛙から走って逃げていた。

 

ウェンディとリートが何とか魔法を使おうと試みるが、やはり魔法は使えなかった。

 

「やっぱり、私の魔法も使えません!!」

 

「同じく!!無理!!」

 

「くっ…こーなったら!!」

 

ナツは蛙に向かって振り返ると、拳を握って殴りかかる。

 

「魔法なんて使えなくてもやってやらぁ!!」

 

ボヨン

 

ナツの拳は、蛙の腹にアッサリと跳ね返され、それと同時にナツ本人も吹き飛ばされる。

 

「どあーーー!!」

 

空中に飛んだナツを、蛙が捕まえようとしていた。

 

「「「「「あああぁぁぁ!!?」」」」」

 

「どぉぉぉりゃぁぁぁ!!!」

 

バチィィィン!!!

 

ウゲローーー!!!

 

蛙の後ろから、魔法の鞭を持ったルーシィが現れ、蛙の体に思いっきり鞭を叩きつけた。

 

「怖いルーシィ!!」

 

「怖いルーシィさん!!」

 

「いちいち怖いとかつけんなっ!!」

 

蛙はルーシィの一撃が効いたのか、そそくさと逃げていってしまった。

 

「フン、大したことないやつだな」

 

「でも、なんでアンタが?」

 

「…」

 

ルーシィは照れくさそうに顔を背けると、ナツと目が合い顔色を赤くさせた。

 

「し…心配してる訳じゃねーからな」

 

「なんにしても助かった。サンキュールーシィ」

 

「何だかんだ言っても、やっぱルーシィだなぁお前」

 

ナツは、ルーシィの肩に手をおいて笑っていた。

 

「どんなまとめ方だよ!!」

 

「そーゆーツッコミとか」

 

「お前の中のルーシィってツッコミだけなの……?」

 

ナツとハッピーの二人は、ヒソヒソと二人だけで話し始めた。

 

「ルーシィにこんな怖いルーシィ見せたいね」

 

「どんな顔すんだろーなぁ本物は」

 

「アタシは偽物かい!!」

 

ズドォ!!

 

ルーシィは、ナツとハッピーの顔面に蹴りを入れる。

 

「「ぐぼぉ!!」」

 

蹴りをいれた後、ルーシィの技のオンパレードが始まった。

 

「技の12ボキバキブリッジ!!おらぁ!おーらぁ!!」

 

「やっぱり怖い…」

 

「あんまり怖い怖い言わねー方がいいかもな」

 

「コレが5日も続くのかしら…先が思いやられるわ。まったくもう」

 

 




怖いルーシィさんの全ての技のレパートリーに少しだけ興味があるんですよねぇ…そして、全部ナツにくらっていただきたいw


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魔道具

今回は、エドラスのあの人が出ます。さて、誰でしょうねぇ


エドラスのルーシィに大蛙から助けてもらったリート達は、そのままルーシィと共に近くの街へと向かって歩いていた。

 

「そっかー、エクシードと思われて…それで通報されてやつらが嗅ぎ付けたってのか」

 

「エルザとリートが敵だなんて、まだ信じられないよ」

 

「いやぁ、エルザもリートも、怖いのはどっちも同じだけどな」

 

「本人を前によく言いますわねナツ…」

 

「怖いのが嫌なら怒らせんなよ」

 

「アタシ達からすれば、エルザとリートと仲良くやってる方が信じられないよ」

 

「不思議ですねぇ」

 

ルーシィは、エドラスのエルザとリートについて語った。

 

「あいつらを恐れない魔導士なんていない。顔を見たときは死ぬ時だ。それに、リートは凶悪な性格でエルザ以上にヤバイとまで言われている。魔戦部隊の副隊長にいるのが不思議なくらいだ」

 

「え?オレってこっちの世界じゃ、そんなにヤバイの?」

 

「正直、お前がこっちのリートと性格が違ってホッとしてるよ」

 

「まぁ、どの世界だろうがオレにはオレの考えがあるからな」

 

ナツは、とことん嫌そうな顔をする。

 

「ぜってぇ会いたくねー、ただでさえ怖ぇのに」

 

「でも、もし王国と戦うとしたら、十中八九戦うことになると思いますわよ?」

 

「その時は、リートに任せればいいと思います」

 

ハッピーは、躊躇わずリートに頼ろうとする。

 

「人任せかオイ」

 

「ほら、着いたよ。見えるか?」

 

ルーシィが指差す方向には、少し小さいがルーエンの街が広がっていた。

 

「おぉー!!街だぞハッピー」

 

「何日も歩くの大変だったねぇ」

 

「私もう疲れましたわ」

 

「オレの頭の上に乗っておいていう台詞じゃねぇだろ」

 

「なんか丸いですね」

 

ウェンディの言うとおり、街の建物は丸みをおびた形をしたものが多かった。

 

「さぁ、急ぎましょ」

 

「あの、来てくれて助かりました」

 

「ん、着いてきな魔法の武器も持たずにこの先旅を続けるのは無理だからな」

 

「魔法の武器か、こっちの世界の武器となるとちょっと興味あるな」

 

「ありがとよ、怖いルーシィ」

 

「怖いルーシィ」

 

「喧嘩売ってんのかコラァァ!!!」

 

ナツ達はそのままルーエンの街に入り、街中を歩いていた。

 

「ちょっと前までは、魔法は普通に売買されてたんだ。けど、王国のギルド狩りがあって今は魔法の売買は禁止されてる。それどころか、所持してるだけでも罪になるんだ」

 

「つーか、所持してるだけでも罪って」

 

「元から使える人はどうなるんですか?」

 

ルーシィは、少し驚いた顔をする。

 

「え?どうって、魔法を手放せばいいだけだろ?つーか、魔法を元から使える人って、なんだよそれ」

 

「「「!」」」

 

「どうやらこっちの世界じゃ、魔法は物みたいな感じらしいわね」

 

「物?」

 

「魔力が有限ということは、私たちのように体に魔力を持つ人はいないってことよ。魔力を持つのは魔水晶などの物質、それを武器や生活用品に組み合わせることで魔法の道具を作る。その総称を魔法と括ってるようね」

 

「持つことも手放すことも出来るって訳ですのね」

 

「こっちの魔法って、魔法の道具使うだけなのか?」

 

「さぁ?」

 

「体内に魔力を宿せないとすると、そうするしかねぇんだろうな」

 

そうして話をしていると、ルーシィがとある建物の前で立ち止まる。

 

「着いたよ。この地下に魔法の闇市がある。旅をするなら必要だからね」

 

闇市という言葉に、ウェンディが少しだけすくんでしまっていた。

 

「闇市…」

 

「しょーがねぇ、こっちのルールにのっとって魔法使うか」

 

「そうだな、無い物ねだりするより、あるもので対応した方が効率いいしな」

 

「あい」

 

「順応…早いわね…」

 

「ウチはいつでもこんなものですわ」

 

7人が地下に入ると、古風な感じの店があり、その中には様々な魔道具が売られていた。

 

「うわーっなんか怪しい物がいっぱい並んでる」

 

「っていうかこの店、なんかカビ臭いわね」

 

「お前らせめて声に出すなよ…」

 

ハッピーとシャルルの言葉に、リートは呆れながらも注意する。

 

「うおっほほほほぉ、そりゃなんてったって歴史深い骨董品が多いですからなぁ、カビとか傷とか臭いとかは、いわゆる味というやつですよ。お客さん」

 

店主が笑いながら答える様を見るところ、どうやら怒ってはいないようだ。

 

「味なんて、どーでもいいんだよ。大事なのは使えるかどうか、結構パチモンも多いから買うときはよく点検しな」

 

「よぉ親父、炎系の魔法は?」

 

「うぉっほほぉ、それでしたら最高の物がありますよ」

 

店主は、とある魔道具をナツに見せた。

 

 

「こちらなんかいかがでしょう、エドラス魔法、封炎剣、ここをこうやって」

 

店主が封炎剣をいじると、先端から炎が出された。

 

「ほら!すごいでしょう!!」

 

「松明みてぇだな」

 

「ショボい炎だけど、ないよりはマシか」

 

「お客様お目が高い!!」

 

「店主、氷の魔法はあるか?」

 

リートも店主に聞くと、店主は今度はリートに別の魔道具を紹介する。

 

「それでしたら!こちら、氷零砲!ここをこうすると」

 

店主が取り出した魔道具の先端から掌サイズの氷の塊が現れ、後ろのレバーを押すと作られた氷が発射された。

 

ポンッ

 

「ほら!どーですか?」

 

「さっきの火の魔道具とあまり大差ねぇな…まぁ、これで何とかするか」

 

「ありがとうございます!」

 

「私はこれがいいです」

 

ウェンディが持ってきたのは、円柱型の魔道具だった。

 

「どこがいいの?」

 

「小さくてかわいいじゃない」

 

「あのねぇ、そーゆー基準で選んじゃダメでしょう」

 

店主は、ウェンディに商品の説明をする。

 

「これは、空列砲といいましてなぁ、外見はただのかわいい小箱ですが、ここをこうして少し開ければ」

 

フワァ

 

ウェンディの周りに、緩やかな風が流れた。

 

「わぁー!風の魔法だぁ。なんかロマンチック」

 

「お客様お目が高い!」

 

「よぉーし、この3つをくれ」

 

「はぁーい!ありがとうございますぅ!3つで三万になりますが、おおまけにまけて、二万七千でどぉでしょう?」

 

「あぁん、高ぇなぁ」

 

「なにぶん品物も少なくて貴重なので」

 

ここで、ルーシィがあることに気がついた。

 

「つうか、大事な事忘れてたけど、お前ら金は?」

 

「あ…」

 

リートは、すっかり忘れていたのか、変な声をあげていた。

 

「ナッハハハ!!そんなんリートが持ってるに決まってるじゃねーか!!」

 

「あるにはあるけど…ここってジュエルって使えるのか?」

 

「ジュエル?なんだそれ?」

 

リートが財布を取り出して確認したが、やはりアースランドのお金が使えるわけがなかった。

 

「やっぱりなぁ…じゃあオレたち1文無しだ」

 

「そんな!!私が1文無しだなんて!!!」

 

ラリカは、この世の終わりというかのような顔でショックを受けていた。

 

「いや、そんな絶望的な顔しなくても…」

 

「くっ…帰りにエドラスの拷問器具を一つくらい買っていこうという私の完璧な計画が」

 

「オレは今、心から1文無しでよかったと本気で思ってる」

 

「そうか、ならルーシィ!払っといてくれ」

 

「えっ!」

 

「お前には遠慮という言葉はないのか…」

 

しかし、ルーシィは顔を赤くさせ、まんざらでも無さそうな顔をしていた。

 

(こうして高圧的に言われるのも悪くないかな)

 

「?どーしたルーシィ」

 

「!…まぁいい!!ここはアタシが奢ってやるよ」

 

すると、店主は慌てた顔で顔を横に振った。

 

「いえいえ!ルーシィ様からお金を貰うわけにはいきません!以前ガサ入れされた時、助けてもらいましたからなぁ」

 

「まぁ、あれしきの事、どーってことねぇけどな」

 

「とにかく、これは私からのプレゼントという事で…」

 

「ダメですよ!」

 

「「「「「「「!?」」」」」」」

 

声がした方を全員が振り向くと、お店の裏から、特にウェンディとシャルルの見知った相手がそこにいた。

 

「「マーラ!!?」」

 

「?はい、確かに私はマーラですけど…どこかでお会いしましたっけ?」

 

どうやらエドラスの世界のマーラらしく、マーラはウェンディ達の顔を見てもピンと来ていないようだった。

 

「そんなことより!店長!」

 

「は、はい!」

 

マーラは、店主に詰めよりだした。

 

「助けてもらった恩人だからというのはわかりますが、タダで店の商品をプレゼントできるほど、うちの店に余裕はありません!せめて割引にするべきです!」

 

「し…しかしだなマーラ…ルーシィ様は…」

 

「わかってますよそれくらい!けど、ただでさえ魔法が禁止されて商品もろくに売れない毎月赤字続きのこの有り様で、人様に商品を渡せるほどの余裕はうちにはないでしょう!だから、せめて半額までです!それ以上は私が許しません!」

 

マーラは、ルーシィ達に頭をさげた。

 

「という訳で、申し訳ありませんが、今回は割引という形で勘弁してもらえないでしょうか」

 

困惑するリート達の後ろで、ナツとハッピーがこそこそと話していた。

 

「オイラ達の世界のマーラよりしっかりしてるね」

 

「金勘定とか口うるさそうだしなぁ」

 

「何か?」

 

マーラは口元は笑顔で、目付きは鋭くしてナツ達を睨み付ける。

 

「「いえ!なんでもありません!」」

 

「ま…まぁ、元々こっちは支払うつもりだったし、割引だけでもありがたいってもんだ。ちゃんと支払わせてもらうよ」

 

ルーシィは財布からお金を取り出して、マーラに支払った。

 

「はい!毎度ありがとうございます!」

 

リート達は店から出て、外で話しをしている。

 

「マーラは怖かったけど、アッチのルーシィと違って、怖いルーシィは頼りになるね」

 

「だーかーら、怖いをつけるなって」

 

「しかも、ここらじゃ結構顔って感じだもんなぁ」

 

「いやぁ、ホントに助かったぜ」

 

「ホントに助かりました」

 

「ところでさぁ」

 

「「「?」」」

 

「アッチのルーシィってやつに興味があるんだけど」

 

リート達は、アースランドのルーシィの話しをするべく近くのオープンカフェでエドラスのルーシィにアースランドのルーシィの事を話していた。

 

「あっはははははっ!!!あーっはははははっ!!アタシが小説書いてんの?ひーっ!!そんでお嬢様で、鍵の魔法を使ってぇ、あーっはははははっ!!!」

 

ルーシィは、アースランドの自分の話しに大爆笑して聞いていた。

 

「やかましいところはそっくりだな」

 

「やかましい言うな!!」

 

「さっき買ったコレ、どう使うんだっけ?」

 

ウェンディが、先程買った魔道具をいじりだすと、ルーシィが声を張る。

 

「バカ!!人前で魔法を見せるな、今現在、魔法は世界中で禁止されてるって言っただろ。それとリート、お前は王国軍に自分がいる以上余計な混乱させないためになるべく顔は隠しておけよ」

 

「あうっ…ごめんなさい」

 

「ん?そーだな、そうするか」

 

リートはギルドで脱いだ帽子をもう一度被って、頭と目元を見えづらくした。

 

「でも、元々魔法は生活の一部だったんでしょ?」

 

「そーいえばそんなことも言ってましたわね」

 

「そうだよ。王国の奴ら、アタシ達から文化を一つ奪ったんだ」

 

「なんのために?」

 

「自分たちだけで独占する為だよ」

 

「んじゃあ、王国の奴らぶっ倒せば、また世界に魔法が戻ってくるかもな!!」

 

「それが、簡単にできればいいんだけどな」

 

「な…何バカな事言ってんだよ!!王国軍となんか戦えるわけねーだろ!!」

 

ルーシィは、ナツ達の言葉を強く否定した。

 

「だったら、なんでついてきたんだ?」

 

「それは…王都までの道を教えてやろうと…戦うつもりなんかなかったんだ…」

 

「でも、心のどこかでは期待していた…違うか?」

 

「!」

 

リートの言葉に、ルーシィは驚く。

 

「じゃないとこんなところまでついてきてくれねぇよ。期待していなかったら放っておけばよかったんだからな」

 

「そ…それは…」

 

「そっか!ありがとな」

 

ナツがルーシィにお礼を言うと、ルーシィの顔はまた赤くなる。

 

「居たぞ!!街の出入り口を封鎖しろ!!」

 

ルーシィ達を見つけた王国軍が、武器を構えてナツ達に迫ってきた。

 

「王国軍!!」

 

「妖精の尻尾の魔導士だな?そこを動くなぁ!!」

 

 

「もうバレたの!!?」

 

「よーしっ、早速さっき手にいれた魔法でぇ!!」

 

ナツが腰から魔道具を取り出して、王国軍の兵士に向けて構える。

 

「よせっ!!」

 

「行くぞぉ!!!ファイヤー!!!」

 

ナツが放った炎は、凄まじい勢いで兵士を覆いつくす。

 

「ヌハハハハハ!!…あぁ?」

 

しかし、炎が収まると、兵士達は魔道具でシールドを張って炎を防いでいた。

 

「盾!!?」

 

「んなのアリかよ!!!」

 

「んにゃろ!!もう一回!!」

 

ナツが魔道具でもう一度炎を出そうとするが、

 

シュポッ

 

「は?」

 

魔道具はガス欠してしまっていた。

 

「魔力は有限って言ったろ!!全部の魔法に使用回数が決まってるんだ!!」

 

「一回かよコレェ!!」

 

「出力を考えれば100回くらい使えたんだよ!!」

 

「…成る程、なら」

 

リートも懐から魔道具を取り出して、巨大な氷の塊を作り出す。

 

「お前もかよ!!」

 

「大丈夫、わかったうえでだ」

 

リートが前方に氷の塊を放って兵士の視界を一瞬だけ塞ぐことに成功した。

 

「今のうちに逃げるぞ!!」

 

「はい!っ…あっ」

 

パカッ

 

逃げようとしたリート達だったが、ウェンディが不用意に開けた魔道具が竜巻を起こして、リート達は吹き飛ばされた。

 

ああああぁぁぁぁ!!

 

「何したウェンディー!!」

 

「ごめんなさーーい!!」

 

「目が回るぅぅぅ!!!」

 

リート達は風に飛ばされ、遠くの建物の中に落ちた。

 

「あの先だ!!なんとしても捕らえろ!!」

 

「はっ!!」

 

 

リート達は運良く建物の中に落ちた為、王国軍から逃れることに成功した。

 

「け…結果…オーライ……」

 

「どこがだ!!!」

 

ルーシィが、扉の穴から兵士の動きを見ていた。

 

「何とか撒けたけど、このままじゃ街を出られないよ」

 

「不便だなぁ、こっちの魔法」

 

「オレたちが使い慣れてねぇってのもあったからだろうな」

 

「ですね…」

 

「この先不安ですわね…」

 

「どーしよー」

 

「別の出入り口ない?」

 

「難しいなぁ」

 

 

「いたぞぉ!!妖精の尻尾だ!!」

 

ギクッ!!

 

リート達が一瞬戸惑うが、兵士の声はまったく別の場所から聞こえてきた。

 

「放してよぉ!!」

 

そして、聞き覚えのある声がリート達の耳に届く。

 

「あれ?」

 

「この声って…」

 

「こっちに来い!!」

 

リート達が扉から外を覗くと、そこにはアースランドのルーシィが王国軍の兵士に捕まっていた。

 

「確かにルーシィだけど、なんなの一体!!」

 

「「ルーシィ!!?」」

 

「アタシー!!?」

 

「なんでルーシィがここに!!?」

 

「ど…どーゆうこと!!?」

 

「何がどーなってますの!!?」

 

「痛いってばぁ!!もう」

 

捕まってるルーシィを見て、ナツが飛び出した。

 

「助けねぇと!!」

 

「オイ!!」

 

そして、兵士に捕まったルーシィは、鍵を取り出した。

 

「開け!!天蠍宮の扉!!」

 

「まてルーシィ!!ここでは魔法は!!」

 

リートがルーシィに声をかけようとした時、ルーシィの鍵から星霊のスコーピオンが現れた。

 

「スコーピオン!!」

 

「ウィーアー」

 

 

「「「!!!」」」

 

「サンドバスター!!!」

 

スコーピオンが砂の竜巻を前方に放ち、兵士達は吹き飛ばされた。

 

「魔法!!?」

 

「なんで!!?」

 

「どーなってんだ!!」

 

「こ…これは…」

 

 

「オレっち、これからアクエリアスとデートなんで、んじゃ」

 

そう言って、スコーピオンは星霊界へと戻って行った。

 

「ルーシィ…」

 

「!」

 

ルーシィは、ナツに気がついて走り出した。

 

「みんな…会いたかったー!!うわーい!!」

 

「何がどーなってるんだ…」

 

「なんでルーシィの魔法だけ?」

 

そして、ルーシィはナツ達の後ろからもう一人の自分が現れたことに気がついた。

 

「アタシーーーーー!!!!?」




今後は、ルーシィも二人になったことですし、エドルーシィ、アースルーシィで分けようと思います。まぁ、エドラスの間だけだから頑張ろう…うん


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二人のルーシィ

皆さん明けましておめでとうございます。コレを言うのも2度目ですな、今回はオリジナル書こうか悩んだんですけど、さっさとエドラス編終わらせないといけないし、ここんところ忙しくて投稿できなかったので、泣く泣くオリジナルを書かずに本編を進めることにいたしました。その代わり、今後もちゃんとオリジナルを投稿しますので、応援よろしくお願いいたします。


「ま…まさか、こいつがアースランドの…」

 

「これが…エドラスの…あたし…?」

 

エドルーシィとアースルーシィの二人は、驚いた顔で見合わせていた。

 

「居たぞ!あそこだ」

 

そこへ、王国軍の兵士達がルーシィ達を捕まえようとやって来た。

 

「話しは後回しにしましょ!!」

 

「このままじゃ捕まっちゃうよ!!」

 

「急いで逃げますわよ!!」

 

「あんた達がいるなら逃げる必要ないじゃない」

 

アースルーシィが自信満々の表情で、兵士達の方を向いた。

 

「ナツ!リート!早くやっつけて!!」

 

「どーやって?」

 

「あんた達の魔法で、決まってんでしょ?」

 

「あのな、ルーシィ…オレたち今魔法が使えねぇんだよ」

 

「…は!?」

 

「つーか!お前はなんで使えるんだ!?」

 

ナツが当然の疑問を、ルーシィに問いかける。

 

「知らないわよ!!」

 

 

「ルーシィ、お願い!!」

 

「あいつらをやっつけて!!」

 

「ルーシィさんしか魔法つかえないんです!!」

 

「今一番頼れるのはあなたですのよ!!」

 

 

ハッピー達に頼られたルーシィが、少しだけ調子にノリ始めた。

 

「…もしかして、今のアタシって最強?」

 

「「いいから早くやれ!!」」

 

ルーシィは鍵を取り出して魔法を使い、王国兵に立ち向かう。

 

「開け!!白羊宮の扉!!アリエス!!」

 

鍵から羊を連想させる格好をした。女性の星霊が現れた。

 

「あ…あの…がんばります。すみません」

 

「何で謝ったの?」

 

「気の弱そうな星霊ですこと」

 

 

そして、ルーシィの魔法を見たエドラスの者達は驚いていた。

 

「な…何だこれは!!」

 

「人が現れた!!」

 

「魔法か!!?」

 

「こんな魔法見たことないぞ!!」

 

 

「アリエス、あいつら倒せる?」

 

「は…はい、やってみます!!」

 

アリエスは、掌からピンク色の雲を作り、敵に向けて投げた。

 

「ウールボム!!」

 

 

「うわぁぁぁ」

 

「優しぃ」

 

「癒されるぅ」

 

雲に当たった兵士達は、とろけた顔をしていた。

 

「あ…あれ?効いてるんでしょうか…?すみませぇん」

 

「効いてる!効いてる!続けて攻撃よ!!」

 

アースルーシィの指示で、アリエスは攻撃を続けた。

 

「ウールショット!!」

 

今度は、先程より小さめの雲を連発して兵士達にぶつけた。

 

「やられとるのにぃ」

 

「気持ちいい~」

 

 

「みんな!!今の内よ!!」

 

「こんな感じでよかったんでしょうか?すみませぇん」

 

ナツ達は、兵士が来た方角と逆方向に逃げていく。

 

「モコモコサイコー!!」

 

「ナーイス、ルーシィ!!」

 

「攻撃っぽくはなかったけど、助かったぜ」

 

「あー、アタシも気持ちいいかもぉ」

 

「…これが、アースランドの魔法…」

 

リート達は、無事に兵士達から逃げ切り、現在は森の中で今後の作戦を考えていた。

 

「ここまで逃げてくれば大丈夫よね?」

 

「しっかしお前、どーやってエドラスに来たんだ?」

 

「てっきりお前も魔水晶になってると思ってたんだけどなぁ」

 

「心配してたんですよ」

 

「ホロロギウムとミストガンが助けてくれたのよ」

 

アースルーシィは、ここに来た経緯をリート達に話した。

アニマに吸い込まれそうになったところを、ホロロギウムに助けられ、その後ミストガンと顔を合わせ変な薬を飲まされ、そのままエドラスに直接飛ばされた、と言うことらしい。

 

「…で、誰か知り合いがいないかって、ずっと探してたのよ」

 

「ミストガンさん、どうしてエドラスの事を知ってたんでしょう」

 

「アイツはオレがギルドに入った頃からよくわかんねぇ奴だったからなぁ、同じS級になれば何か話してくれるかもって思ってたけど、それもダメだったし」

 

「アイツは何者なんだ…」

 

「何にも言ってなかったわね」

 

「ルーシィ」

 

「?」

 

ラリカは、先程ナツがしていた質問をもう一度アースルーシィに問いてみた。

 

「どーしてルーシィはこちらで魔法が使えますの?私達は魔法が使えないせいで、ものすごく苦労してましたのよ」

 

「うーん…」

 

アースルーシィは、少し考えると、目を輝かせ始めた。

 

「もしかしてアタシ!!伝説の勇者的な!!?」

 

「「ないな」」

 

「…ぐすっ…いじけるわよ」

 

「正直、わかんないわよ…ナツとリートの二人が魔法を使えないんじゃ、不利な戦いになるわね」

 

「テメェら、本気で王国とやりあうつもりなのか?」

 

エドルーシィがそう訪ねると、ナツ達が答えた。

 

「当然!」

 

「仲間の為だからね」

 

「大人しく仲間を返してくれるってんならなにもしねぇけど、抵抗するってんならこっちも容赦はしねぇつもりだよ」

 

「本当にコレ、あたし?」

 

「魔法も使えねぇのに、王国と…」

 

「ちょっと!あたしは使えるっての!!!」

 

アースルーシィは、どや顔で立ち上がった。

 

「ここは、現!妖精の尻尾最強のあたしに任せなさい!!燃えてきたわよぉ!!」

 

ナツ達は、少しばかりの不安を残してアースルーシィに頼ることにした。

 

「情けねぇが」

 

「頼るしかないわね」

 

「あい」

 

「こんな情けねぇ状況、アクナさんにはぜってぇ見せられねぇな…」

 

「下手すれば殺されますものねぇ」

 

「頑張れ!ルーシィさん!!」

 

エドルーシィは、その様子をただ黙って見ていた。

 

(不思議なやつらだ…こいつらならもしかして、本当に世界を変えちまいそうな…そんな気がするなんて)

 

その後、ナツ達は森を抜け、とあるホテルの一部屋を借りていた。

 

「ホテルの人から地図借りてきたぞ」

 

リートが机に地図を広げた。

 

「アースランドの地形とあまり変わらないね」

 

「エドラスの妖精の尻尾はここ、ルーシィと出会ったのがルーエンの街、そしてここが私たちのいるシッカの街、私たちが目指している王都はここ」

 

シャルルが一つ一つ、地図を指差して説明していく。

 

「まだまだ遠いなぁ」

 

「今のペースで行くと、あと5日くらいかかるんじゃねぇか?」

 

「しかも、王国軍に見つからないように気を付けなければいけないですし、到着までどれくらいかかるか」

 

「全て見積もっても、最短で一週間はかかると思った方がいいですわね」

 

 

「おい!見ろよ!!」

 

「「「「「「?」」」」」」

 

風呂場から、エドルーシィがバスタオル一枚でナツ達の所にやって来た。

 

「アイツとアタシら体まで全く同じだよ」

 

「きゃーー!!そんな格好で出ていくなーー!!」

 

「エドルーシィさん!!ナツさんとリートさんがいるんですよ!!?」

 

「別にアタシは構わないんだけどね」

 

「構うわ!!!」

 

アースルーシィとは違い、エドルーシィはバスタオル姿でも堂々としていた。

 

「恥じらいはないの?お前」

 

「レディ何ですから慎みを持つべきですわよ」

 

「あーあー、わかったわかった」

 

 

「賑やかだねダブルーシィ」

 

「それ、上手いこと言ってるつもりなの?」

 

ナツは、二人のルーシィをじっと見ていた。

 

「んー」

 

「なんだぁナツ、見たいのかぁ?」

 

「やめてぇ!!」

 

「ぷっ…」

 

ルーシィ二人がやり取りをしていると、ナツがいきなり吹き出した。

 

「?何がおかしいんだよナツ」

 

「そうか!アタシよりエドルーシィの方がスタイルがいいとか、そーいうボケかましたいのね!!」

 

「自分同士で、一緒に風呂入るなよ」

 

「「…言われてみれば」」

 

ウェンディも、エドルーシィとアースルーシィの二人を見比べていた。

 

「ホントに見分けがつかないほど瓜二つですね」

 

「まさか、ケツの形まで一緒とはなぁ」

 

エドルーシィは、自分の尻を触りながらそういった。

 

「やめてよぉ!!」

 

「双子以上だな」

 

「まぁ、同一人物ですし当然と言えば当然ですわね」

 

「おっ!鏡の物真似芸できるじゃねーか!!」

 

「「やらんわ!!」」

 

「ハハ…息もピッタリ」

 

「悲しいわね」

 

「っていうかジェミニが出てきたみたい」

 

ハッピーが、ジェミニという星霊を頭に浮かべた。

 

「ほぉー、確かに」

 

「そういや、そーだな」

 

「ジェミニ?」

 

エドルーシィは、ジェミニが何かをわかっていなかった。

 

「アタシが契約している星霊よ!他の人そっくりに変身できるの」

 

ルーシィは、ジェミニの鍵を取り出して呼び出した。

 

「開け!双子宮の扉!!ジェミニ!!」

 

すると、ジェミニはルーシィの姿で鍵から現れた。

 

「ジャーン!!ジェミニ登場!!」

 

「おおっ」

 

「ダブルーシィじゃなくて、トリプルーシィね」

 

リートが、現れたジェミニに声をかけた。

 

「よう、六魔以来だなジェミニ」

 

「あっ、リート!その節はごめんね」

 

「気にするな、あの時は敵同士だったんだ。仕方ねぇさ」

 

リートとジェミニのやり取りを見たエドルーシィが、アースルーシィに問いかける。

 

「何かあったのか?」

 

「つい最近に、色々とね」

 

「ふーん」

 

「スゲー!!コレだけで宴会芸のクイズに使えるぞ!!」

 

「それ、面白いんですの?」

 

「クイズ!本物は誰だ!!」

 

「…やんのね……」

 

ハッピーがいきなり司会を始め、トリプルーシィは水着姿になっていた。

 

「アタシがルーシィよ!!」

 

「アタシがルーシィよ!」

 

「アタシがルーシィよ~!!!」

 

 

「さぁ!本物は誰でしょうか!!」

 

「「「これは芸じゃなぁい!!!」」」

 

 

「息ピッタリじゃねぇか…」

 

「悲しいわね、っていうか早く服着たら?」

 

「!?忘れてたぁ!!!」

 

そして、着替えたルーシィ二人を見てナツが呟く。

 

「二人に戻ったけど、やっぱ見分けつけにくいなぁ」

 

「せめて、なにか違いがあると助かるんだけどなぁ」

 

「リートの第一印象を答えさせればいいですわ」

 

「?なんで?」

 

ラリカの発言に、リート達が首をかしげた。

 

「エドラスのルーシィなら、リートの第一印象は怖いや恐ろしいという発想になると思いますの」

 

「仮にそれをやったとして、やる度に、オレの心は抉られていきそうなんだけど…」

 

「体にダメージがなければ大丈夫ですわよ」

 

「ひでぇ!!!」

 

「でもよぉ、いちいち聞かねぇといけねぇのってなんかめんどくさくねぇか?」

 

「それに、リートさんがかわいそうですよ…」

 

ラリカの提案に、ナツとウェンディは、否定的だった。

 

「ちっ…心を抉られるリートの顔を見て楽しみたかったですのに」

 

「お前絶対それが目的だったろ!!!」

 

「他に何かねぇのか?」

 

「確か、髪型をいじってくれる星霊もいるんだよな?」

 

エドルーシィが、アースルーシィに訪ねると、アースルーシィが鍵を取り出した。

 

「うん!カニ座の星霊、頼んでみようか?」

 

アースルーシィはキャンサーを呼び出した。

 

「お久しぶりです!エビ」

 

「カニ座の星霊なのに、エビぃ?」

 

「やっぱりそこにツッコムかぁ、さすがアタシ」

 

キャンサーは、エドルーシィの髪をカットし、短髪に整えた。

 

「こんな感じでいかがでしょうか?エビ」

 

「うん、コレでややこしいのは解決だな」

 

「でも、よかったんですの?」

 

ラリカは、若干不安そうな顔でエドルーシィに尋ねた。

 

「?何が?」

 

「髪の毛をそんなに短くしてしまったことに対してですわよ」

 

「アースランドでは、髪の毛を大切にする習慣でもあるのか?」

 

「習慣というより、レディは大体自分の髪を大切にしますわよ」

 

「レディねぇ、こんな世界じゃ、男だ女だって考えるのもバカらしくなってくるよ…生きるのに必死だからな」

 

エドルーシィのくらい顔を、リート達は黙って見ていた。

 

「でも、こっちのギルドの皆は楽しそうだったよ」

 

「そりゃそうさ、無理にでも笑ってねぇと、心なんて簡単に折れちまう、それにこんな世界でも、アタシ達を必要としてくれる人がいる。だから例え闇に落ちようと、アタシ達はギルドであり続けるんだ」

 

エドルーシィの決意を聞いたナツとリートの二人は、笑っていた。

 

「けど、それだけじゃダメなんだよな」

 

「え?」

 

「いや、なんでもねぇよ」

 

 

 

翌朝、ホテルでアースルーシィが大声で騒いでいた。

 

「信じらんなーい!!!なによコレぇ!!!」

 

「ふぁ~っ、何だよ朝から」

 

「朝っぱらからテンション高ぇなぁ」

 

「騒がしいですわよルーシィ」

 

「どーしたの?」

 

「エドラスのアタシが逃げちゃったのよ!!!」

 

「?逃げた?」

 

エドラスの置き手紙を、アースルーシィがウェンディに渡して代わりに読ませた。

 

「王都には3日歩けばつく、アタシはギルドに戻るよ。じゃあね、幸運を」

 

「手伝ってくれるんじゃなかったの!!?んもー!!どういう神経してんのかしら!!」

 

「オメーと一緒だろ…」

 

「うるさい!!」

 

ルーシィがイラついているのを、ウェンディがなだめる。

 

「仕方ないですよ。初めから戦うつもりはないって言ってましたし」

 

「だなぁ」

 

「まぁ、ここまで手伝ってくれただけでもありがたいと思うべきなんじゃねぇか?」

 

「アタシは許せない!!同じアタシとして、許せないの!!!」

 

「うーん、お前が怒ってるポイントがいまいちよくわからん」

 

「なんでよ!!!」

 

「まぁ、いいじゃねぇか」

 

「よくない!!!ムキーーー!!!」




何気にリートの心を抉ろうとするラリカ、その内ホントに心を抉る行為を実行しそう…


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ファイアボール

続きかけました!

そういえば皆さんはお年玉もらいました?主は……あげる側でした…めっちゃお金が空を飛んでいきました( ;∀;)


「ん~ふふふふ~♪」

 

エドルーシィがいなくなり、怒り心頭していたアースルーシィは、いつの間にか機嫌がよくなっていた。

 

「もう機嫌治ってる」

 

「本屋さんで珍しい本を見つけて、嬉しいだろうね」

 

「まぁ、ずっと怒っていられるよりはよっぽどいいし、コレはコレでよかったんじゃねぇか」

 

「何の本を買ったんだ?ルーシィ」

 

ナツの質問に、ルーシィは嬉しそうに答えた。

 

「こっちの世界の歴史書♪あんた達も、この世界について知りたいでしょ?」

 

「そうだな、今いる世界の知識があれば、何かと役に立つかも知れねぇし、理解しておく価値はあるかも知れねぇ」

 

「オレは別に」

 

リートとは逆に、ナツは全く興味を持っていなかった。

 

「お前は、興味ねぇだろうな」

 

「歴史書が物語ってるわ!!この世界は面白い!!」

 

「いや、オレは知識は必要っつったけど、別に面白味を求めてるわけじゃ…」

 

「例えば、エクシードっていう一族について書いてあるんだけどぉ」

 

「聞いてねぇし…」

 

「私も聞きました、とても恐れられている一族って聞いて」

 

「興味ねぇって」

 

そうして、話しているリート達の真上に、巨大な影が現れた。

 

「何!?」

 

リート達が上を見上げると、そこには王国軍の飛行船が浮いていた。

 

「あれは!」

 

「飛行船!!?」

 

「王国軍だわ!!」

 

「隠れて!!」

 

ウェンディが、リート達の背中を押して建物の陰に隠れさせる。

 

物陰に隠れたリート達は、下で飛行船が下りてくるのを待っている兵士達の会話を耳にする。

 

「あの巨大魔水晶の魔力抽出が、いよいよ明後日なんだってよ」

 

「それでオレたちにも、警備の仕事がまわってきたのか」

 

「乗り遅れたら、正規のイベントに間に合わねぇぞぉ」

 

 

「巨大魔水晶って…」

 

「マグノリアのみんなの事だ…」

 

「やべぇな、このままじゃ魔力抽出される日時に間に合わねぇぞ…」

 

「魔力抽出が始まったら、もう二度と元の姿には戻せないわよ」

 

「そうなったらもう…」

 

「…あの船奪うか」

 

「「「!!!?」」」

 

ナツの発言に、リート達は驚いてナツの顔を見る。

 

「奪う!!?あの飛行船を!!?」

 

「普通そこまでしないでしょ!!せめて忍び込むとか」

 

「隠れんのヤダし」

 

「いや…それよりも、お前が乗り物に乗ることを提案したことにオレは驚いてんだけど…」

 

「ふふふふふふ、ウェンディのトロイアがあれば乗り物など」

 

ナツの案を聞いて、ラリカが呆れた顔をする。

 

「ナツ…あなたまだ学習いたしませんの?」

 

「?」

 

「私たち、魔法使えませんよ」

 

「!…この案は却下しよう」

 

「オイ!」

 

「いや、ナツの案でいこう…」

 

「「「「!!?」」」」

 

ナツだけでなく、まさかのリートまで乗り物案を賛成した。

 

「リート、あんたいいの?下手したらいつもみたいになっちゃうわよ」

 

「こんな時に、乗り物がどうのなんて言ってられねぇし、こーでもしねぇと間に合わねぇ…オレとナツがちょっと我慢すればみんなを助けられるなら、オレは迷わねぇよ。最悪、誰か一人でも忍び込めれば、後はどーとでもなる」

 

「うっ…」

 

「そう…ならアタシも賛成よ!!そーでもしないと間に合わないしね」

 

「なら、オイラにいい考えがあるよ」

 

「「「「?」」」」

 

ハッピーは、思い付いた作戦を、リート達に話した。

 

「…え?マジで?それ、一番リスクあるのオレなんだけど…」

 

「意外といい案かもしれないわね」

 

「うん、それでいこう」

 

「意外とやる気!?」

 

「リートさん!お願いします!!」

 

「ここであなたの出番が回ってきたのですのよ!!」

 

「頼む!リート!」

 

「ぐっ………」

 

リートは皆からの眼差しに、ひとつ返事で答えるしかなかった。

 

「わかった…ただし、もし失敗するようなことがあれば強行突破だ。いいな」

 

リートは被っていた帽子を脱ぎ、王国軍の前に現れる。

 

「よぉ、お前達」

 

「!?リ…リリリリート副隊長!!?」

 

ハッピーの考えた作戦はこうだ、まずリートがエドリートのフリをして、王国軍兵の視線を集めて意識をそらせ、なるべく自分に意識を集中させる。その間にナツ達が飛行船に乗り込み、飛行船を奪取、最後にリートが乗り込み王都へと飛び立とうという作戦だった。

 

「こんなところでいかがなされたのですか!!?それに、エルザ隊長と一緒にいたのでは…」

 

兵士は、リートの顔にやたらと怯えた目を向けていた。

 

(仲間にまで怯えられてんのかよ…この世界のオレって)

 

「あ…あぁ、ちょっと色々とあってな、今ははぐれちまってんだ。それよりもお前らも王都に向かうんだろ?オレも一緒に乗せてってくれねぇか?」

 

「?副隊長、どうかなされたのですか?いつもと若干様子が違うような」

 

(ヤバイ…ばれたか!!?)

 

「そんな事はねぇだろ?いつも通りだよオレは」

 

「そうですか?いつもの副隊長は、罵倒や暴言の嵐で我々に指示を出すではありませんか、今の副隊長は妙に言葉使いに優しみを感じると言いますか…なんというか…その…違和感を感じます」

 

(言葉にはしてねぇけど何となくわかるぞ!!気味が悪いってか畜生!!…やべぇ…ちょっと手が出そう…)

 

リートは拳を固く握るが、それを兵士達に見られないように必死に隠す。

 

「ま…まぁ、そんな事はいいじゃねぇか、オレだってそんな日もあるって」

 

「?」

 

(言い訳が苦しいか…?)

 

「あなた…本当に副隊長ですか?」

 

「ぐっ…」

 

リートが返答に困っていた時、兵士の後ろから声が聞こえた。

 

「オイ!!貴様ら何をしている!!!」

 

「ヤバッ」

 

「見つかったわよ!!」

 

 

「!?何事だ!!」

 

「あー、結局こうなるんじゃねぇか!!!」

 

リートが開き直り、兵士を殴り倒した。

 

「ぐはぁ」

 

「副隊長!!?」

 

「悪いな、オレはお前らの知ってる副隊長じゃねぇんだ…よっ!」

 

リートが暴れると同時に、ルーシィ達も魔法を使い始めた。

 

「開け!!獅子宮の扉!!!ロキ!!」

 

ルーシィがロキを呼び出そうとしたら、そこに現れたのはバルゴだった。

 

「あれーーー!?」

 

「申し訳ございません、姫」

 

「バルゴだ」

 

「ちょっと、どーいう事!!?」

 

「お兄ちゃんはデート中ですので、今は召喚できません」

 

「お…お兄ちゃん!!?」

 

「はい、以前そのように呼んでほしいとレオ様より」

 

「バッカじゃないのアイツ!!!」

 

「おい!今ふざけてる余裕なんかねぇぞ!!」

 

リートは兵士を凪ぎ払いながら、ルーシィにツッコミをいれる。

 

「ふざけてないわよ!!」

 

「どうしよう!?アタシの計算じゃ、ロキなら全員やっつけられるかもって……」

 

「姫…僭越ながら、私も本気を出せば…踊ったりもできます」

 

「帰れ!!!」

 

「アイツ、ルーシィだ!!捕まえろ!!」

 

「リート副隊長も様子がおかしい!!心苦しいが副隊長もとらえるんだ!!」

 

ぶっちゃけ、今戦力になってるのはアクナの戦いかたを真似て素手で戦っているリートだけだった。

 

「ぐっ…」

 

(これ…結構キツイぞ…あの人いつもこんな戦い方で魔法使うやつを圧倒してたのかよ…)

 

しかし、それでもリートも圧倒しているわけではなく、徐々に王国軍の兵士に詰め寄られていた。

 

「ルーシィ!!アクエリアス!!」

 

「ここ…水ないし」

 

「タウロスはどうですの!?」

 

「今は無理…どーしよー」

 

ナツとウェンディは、先程魔力を補充した魔道具を取り出して構えた。

 

「やるしかねぇな、こっちのルールで」

 

「使い方はもうバッチリです!!」

 

「いくぞ!!」

 

「はい!!」

 

ドゴォーン!!

 

「「あーれぇー!!」」

 

ナツとウェンディの二人は、兵士達に一瞬で吹き飛ばされた。

 

「ナツとウェンディが全然ダメですわ!!」

 

「ルーシィよりはましだけど!!」

 

「ごめんなさーい!!」

 

そうこうしてる間に、飛行船が飛び立とうとしていた。

 

「まずい!!飛行船が!!」

 

「あれに乗らなきゃ間に合わないのに…」

 

「くそっ…くそぉぉぉぉ!!!」

 

 

ヴォン ヴロロロロロロ

 

飛行船が飛び立たった後、少し離れた場所からエンジン音が聞こえ、リートや兵士達の動きが止まった。

 

「…なんだ?」

 

ズガガガガ!!!

 

「うわぁぁぁ!!!」

 

兵士達のいる場所に、いきなり魔導四輪が突っ込んできた。

 

「魔導四輪!!?」

 

「妖精の尻尾の紋章が入っていますわ!!」

 

 

そして、魔導四輪に乗ったゴーグルを着けた人物がナツ達に話しかける。

 

「ルーシィから聞いてきた、乗りな」

 

「「「「「「おぉっ!!」」」」」」

 

ナツ達は、急いで魔導四輪に乗り込んだ。

 

GO FIRE(ゴー ファイア)!!!」

 

「「おうっぷ」」

 

魔導四輪が動き出すと同時に、いつも通り二人は乗り物酔いしだした。

 

ブロロロ

 

「助かったわ」

 

「ありがとうございます」

 

「「おおおぉ…ぉぉ……」」

 

「王都に行くんだろ?あんなオンボロ船より、こっちの方が速ぇぜ」

 

「へっ、妖精の尻尾最速の男…」

 

男はゴーグルを外してルーシィ達は、その顔を見て驚いた。

 

「ファイアボールのナツとは、オレの事だぜ」

 

「「「「「ナツーーー!!!?」」」」」

 

「…な…つ……?」

 

「オ…オレ……?」

 

 

「ナツ…こっちの、エドラスのナツ?」

 

「ルーシィがいってた通り、そっくりだな…で?アレがそっちのオレかよ?情けねぇ」

 

「うっぶ…」

 

「こっちのナツさんは、乗り物が苦手なんです」

 

「そっちの男はどうしたよ?まさかそいつも乗り物酔いか?」

 

エドナツが、リートに視線を向けて問う。

 

「リートさんも乗り物苦手ですから」

 

「リート!?…そうか…こいつがルーシィが言ってた別世界のリート…」

 

「全く、それでもオレとギルド落としって言われた男かよ?こっちではオレは、ファイアボールって通り名の運び専門魔導士なんだぜ」

 

ハッピーは、魔導四輪を見てとある事に気がついた。

 

「この魔導四輪、SEプラグついてないよ」

 

「SEプラグ?」

 

「セルフエナジープラグ、運転手の魔力を燃料に変換する装置よ」

 

「そっか、こっちでは人が魔力を持ってないからSEプラグは必要ないんだ」

 

「完全に魔法のみで走ってるってこと?」

 

「何よ、車に関してはアースランドよりめちゃくちゃ進んでるじゃない」

 

「…」

 

キキィィィ!!!

 

エドナツは、いきなり急ブレーキをかけて車を止めた。

 

「「きゃぁぁぁ!!!」」

 

「ちょっと、何よ急に!!」

 

「そうとも言えねぇな」

 

「え?」

 

「魔力が有限である以上、燃料となる魔力もまた有限…今じゃ手に入れるのも困難…だから、オレが連れてってやるのもここまでだ。降りろ」

 

「「「!?」」」

 

「これ以上走ったら、ギルドに戻れなくなるんだ。あいつら、また勝手に場所を移動したからなぁ」

 

「「うぉぉぉぉ!!」」

 

いつの間にか、アースナツとリートが車から降りていた。

 

「生き返ったぁ!!」

 

「やっぱ外の空気は最高だぁ!!」

 

 

「もう一人のオレとギルド落としは、物わかりがいいじゃねぇか」

 

「さっ!降りた降りたぁ!!」

 

エドナツは、ルーシィ達を強制的に車から降ろした。

 

「王国とやりあうのは勝手だけどよぉ、オレ達を巻き込まねぇでくれよ。今回はルーシィの…お前じゃねぇぞ、オレの知ってるルーシィの頼みだから仕方なく手を貸してやった。だが面倒はごめんだ。オレは…ただ走り続けてぇ」

 

「オイ!」

 

「?」

 

アースナツが、エドナツに絡みだした。

 

「お前も降りろ!!」

 

「!?バッ…テメェ何しやがる!!」

 

アースナツはエドナツを車から引きずり降ろした。

 

「同じオレとして、一言言わせてもらうぞ」

 

「よせっ!やめろ!オレを降ろすなぁ!!」

 

エドナツは異常に嫌がっている。

 

「なんであんなに嫌がってんだ?アイツ」

 

「さぁ?」

 

 

 

エドナツを降ろしたアースナツは、エドナツに詰め寄った。

 

「お前…なんで乗り物に強ぇ?」

 

「「そんなことかい!!」」

 

「ひぐぅ!!」

 

「「「?」」」

 

エドナツは、いきなり体を震わせた。

 

「ご…ご…ごめんなさい……僕にも…わかりません」

 

「「「「!?」」」」




今のところエドラスで、リート、バンク、マーラと出しましたけど、あと誰を出そうかなエレナとか、なんだったらオリジナルの話しに出したキャラとかもいいかも


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たどり着いた王都

今回は、ちょっとオリジナル展開に持っていくつもりです!とりあえずやってみよー


「ごめんなさい……僕にも…わかりません」

 

「「「「「!?」」」」」

 

乗り物から降りたエドラスのナツの態度が豹変し、アースランドのもの達は困惑していた。

 

「はい?」

 

「お前…本当にさっきのオレ?」

 

エドナツは、怯えながら返答した。

 

「はいぃ!よく言われます!!車に乗ると性格変わるって!!」

 

「こっちが本当のエドナツだぁぁ!!」

 

「ひいぃぃ、大きな声出さないで…怖いよぅ…」

 

「うーわっ…めっちゃ臆病だなこっちのナツは…」

 

エドナツは、すっかり怯えきってしまっていた。

 

「ああぁぁぁ…ぁ…ぁ…」

 

「鏡の物真似芸でもする?」

 

ニヤニヤと笑いながら、ルーシィはアースナツに話した。

 

「ごめんなさい!ごめんなさい!でも、僕には無理ですぅぅ」

 

「はぁ?」

 

「ルーシィさんの頼みだから、ここまで来ただけなんですぅぅ」

 

「別に謝らんでも…」

 

「いえいえ、無理しなくていいですよ」

 

ウェンディがエドナツをなだめると、エドナツの表情が少しだけ明るくなった。

 

「こんなの居ても、役に立ちそうもないしね」

 

「本当ですわ」

 

「シャルル!!」

 

「ラリカまで」

 

 

「もしかして、ウェンディさんですか?」

 

「は…はい」

 

「うわーっ、ちっちゃくて可愛い」

 

エドナツが、ウェンディに笑いかけていると、周りを見て話し出した。

 

「そっちがアースランドの僕さん?」

 

「どこにさん付けしてんだよ」

 

そして、ハッピーが自分達をエドナツに紹介し始めた。

 

「オイラはハッピー、こっちがシャルルで、その奥にいるのがラリカだよ」

 

「フン!」

 

「まぁ、よろしくですわ」

 

「アタシは、もう知ってると思うけど…」

 

ルーシィが笑いながらエドナツに挨拶しようとすると、エドナツは車の陰に隠れてしまった。

 

「ひぃぃぃ!!ごめんなさい!なんでもしますぅ!!」

 

「あぁ…」

 

「因みにオレは…」

 

「ひぃぃぃ!!ごめんなさい!ごめんなさい!お願いだから殺さないでぇぇ!!」

 

「ルーシィより怯えられてんの妙に傷つくんだけど!!?」

 

「どーゆー意味よ!!」

 

エドナツは、ルーシィとリートに対しては完全に警戒してしまっていた。

 

「お前らさぁ、もっとオレに優しくしてやれよ」

 

「オレ何にもしてねぇんだけど!!」

 

「こっちのルーシィさんは…皆さんをここに運ぶだけでいいって…だから僕…」

 

リートが今いる場所から少し遠くの景色を見ると、いつの間にか王都が見えてる場所までやって来ていた。

 

「あれは…まさか!!」

 

「これって」

 

「もしかして、王都!!?」

 

「大きいぃ」

 

「なんだよぉ!着いてんならそー言えよぉ♪」

 

アースナツがエドナツの肩を組むと、エドナツはまた怯え出した。

 

「うわぁぁ!!ごめんなさい!」

 

「ああぁ…」

 

「締まらねぇなオイ…」

 

アースナツは、エドナツから王都へと視線を変える。

 

「いいぞ!こんなに速く着くとは思わなかった」

 

「あのどこかに、魔水晶に変えられた皆が…」

 

「けど、ここからは今まで異常に兵士の数が増えるハズだ。より警戒して行かねぇとな」

 

「さっさと行くわよ」

 

「あ、ちょっとシャルル」

 

シャルルを筆頭に、エドナツ以外の全員が王都へと向けて歩き出した。

 

「じゃ!ありがとなぁ」

 

「アタシによろしく!」

 

「ここまで連れてきてくれてサンキューな!」

 

 

「あ…あの…」

 

「「ん?」」

 

エドナツの声に、ナツとリートの足が止まる。

 

「ほ…本当に…王国と…戦うの?」

 

 

「どーかな?オレたちは仲間を救えればそれでいいんだけど」

 

「あぁ、けどタダで帰してくれねぇようなら…」

 

「「もう、やるしかねぇだろ?」」

 

「お…王国軍になんて…勝てるわけないよ…」

 

エドナツはそう言うが、リート達の目は諦めていなかった。

 

「へへっ」

 

「大丈夫だよ」

 

そして二人は、王都に走っていった。

 

そして、王都…

 

王都は、今まで見てきた街と比べ明らかに賑わっており、祭りでもやっているのかと思うほど住民達の笑顔に溢れていた。

 

「なにこれ」

 

「意外ですね。独裁国家の統治下っていうから」

 

「てっきりもっとくたびれた街をイメージしてたんだけどな」

 

「街の中にもアッサリ入れたしなぁ」

 

「ルーエンやシッカと全然違う、遊園地みたい」

 

「魔力を奪ってこの王都に集中させている。国民の人気を得るためにこんな娯楽都市にしたんだわ」

 

「他の街から見たら、確かに独裁国家とも言えるかも知れませんわね」

 

「呆れた王様ね」

 

そして、街を歩いていると一際目立つ人混みがウェンディの目に飛び込んだ。

 

「?なんか向こうの方が騒がしいですね」

 

「パレードとかやってんのかしら?」

 

「こんな真っ昼間からか?」

 

「ちょっと見に行ってくるかぁ!」

 

「あいさー!」

 

ナツとハッピーが、楽しそうに人混みに向かって走っていった。

 

「あんた達!遊びに来たんじゃないのよー!!」

 

それでもナツ達の足は止まらず、ナツは人混みを掻き分けていく。

 

「何だ何だ?」

 

「待ってよナツ」

 

「すげぇ人混みだな、ウェンディ、オレの手しっかり握ってろよ?」

 

「は…はい!」

 

「も~…!」

 

ナツがあるものを見つけて、足を止めると後ろにいたルーシィがぶつかった。

 

「ちょっとぉ、急に立ち止まらないでよぉ」

 

「リートさん?どーしたんですか?」

 

同じくリートも立ち止まって、前方を見上げていた。

 

そして、ルーシィ達も前を見ると、そこには巨大な魔水晶が飾られている。

 

「!」

 

そして、それを囲うように王国軍の兵士が警備していた。

 

「ラ…魔水晶?」

 

「まさか…これが…」

 

「マグノリアの皆…」

 

「しかも一部分よ…切り取られた跡があるわ」

 

「え?コレで全部じゃないの?」

 

「オイ…ちょっと待てよ…切り取った?魔水晶を?」

 

リートの声のトーンが下がっており、殺気だった声にウェンディが気がついた。

 

「リートさん?」

 

「ってことは…オレたちの仲間を傷つけたっていうのか?…平気であいつらの命を奪おうとしたってのか?」

 

リートが一歩前に踏み出そうとするのを、ウェンディが必死に手を握って止めた。

 

「落ち着いてくださいリートさん!まだそうと決まったわけじゃありません!」

 

そして、魔水晶の近くにこの国の王が現れ、演説をしだした。

 

「エドラスの子らよ…わが神聖なるエドラス国は、アニマにより10年分の魔力を生み出した」

 

「生み出しただ?あ?奪ったの間違いじゃねぇのかふざけやがって、誰の家族に手ぇ出したのか思い知らせてやる」

 

リートは、足にさらに力を入れる。

 

「リートさん!」

 

 

「共に歌い、共に笑い、この喜びを分かち合おう」

 

ワアァァァァァ!!!

 

「エドラスの民にはこの魔力を共有する権利があり、また…エドラスの民のみが未来へと続く神聖なる民族!!我が国からは決して魔力を奪えない!!!そして、我は更なる魔力を手に入れると約束しよう!!!」

 

国王は持っていた杖の先端を、魔水晶に突き刺した。

 

「これしきの魔力がゴミに思える程のなァ!!!!」

 

ブチィ!!

 

崩れる魔水晶の破片を見て、ナツとリートの二人がキレた。

 

「フーッ!!フーッ!!」

 

「ぐっ…くっ…」

 

ナツも歩みだし始めたのを見て、ルーシィはあわててナツを抱き締めて引き止めた。

 

そして、ウェンディも必死にリートの手を組んで止める。

 

「我慢して…リートも!」

 

「できねぇ」

 

「無理だ」

 

「お願いします、リートさんもナツさんも、今は堪えてください」

 

「お前らはアレが何か分かってんだろ」

 

「あれは、あの魔水晶は!」

 

「お願い!…みんな…同じ気持ちだから…ね?二人とも」

 

ルーシィの説得に、無理やり心を落ち着かせる二人。その間も、国王の高笑いは王都中に轟いていた。

 

そして、国王の演説が終わったその日の夕暮れ時、リート達はホテルの一室を借りて部屋に集まっていた。

 

「……」

 

みんな黙ってはいるが、心の中では不安、悲しみ、怒りに満ち溢れていた。

 

「やっぱり我慢できねぇ、オレは城に乗り込むぞ!!」

 

ナツがホテルから出ようとするのを、シャルルが引きとめる。

 

「もう少し待ってちょうだい」

 

「なんでだよ!!」

 

「ちゃんと作戦を立てなきゃ、皆は元に戻せないわよ」

 

「知ったことか」

 

「!」

 

リートも、すでに怒りを押さえ込めきれなくなってきていた。

 

「あんなのを見せられて、いつまで黙ってろっていうんだ…とっくに我慢の限界はきてる」

 

「今出ていっても魔法も使えないあんた達じゃあ王国軍の兵士に捕まるのがオチよ、少しは冷静になりなさい」

 

二人はシャルルの正論に黙り混むしかなかった。

 

「みんな…あんな水晶にされちゃって…どうやって元に戻せばいいんだろ」

 

「王に直接聞くしかないわね」

 

「教えてくれるわけないよ!!」

 

「拷問で答えてくれるなら私がやりますわよ?」

 

「よし、それでいこう」

 

「できるわけないじゃないですか!!」

 

「そうか!」

 

ルーシィが何かを閃いた。

 

「王様は、みんなを元に戻す方法を知ってるの?」

 

「おそらく」

 

「イケるかもしれない、もしも王様に近づく事ができたら」

 

「本当か!!?」

 

「どういうことですか?」

 

「ジェミニよ!ジェミニは、触れた人に変身できるんだけどその間、その人の考えてる事までわかるの」

 

「つまり王様に変身できれば、みんなを戻す方法がわかるかも!!」

 

「「おぉー」」

 

しかし、問題はここからだった。

 

「ただし、変身できるのは5分間だけ、それと変身できるストックは二人までで、その後新しい人に変身しちゃうと、古い方から消えていっちゃうんだけど…問題は、どーやって王様に近づくか…だね」

 

「さすがに、護衛が多過ぎて簡単には…」

 

「王に近づく方法はあるわ」

 

シャルルは、一枚の手書きの地図を見せながらそう言った。

 

「「「「「「!?」」」」」」

 

「元々は城から外へと脱出用の通路だったんだけど…街外れの坑道から城の地下へと繋がってるはず」

 

「すごい!なんで知ってるの?」

 

「情報よ、断片的に浮かんでくるの。エドラスに来てから少しずつ地理の情報が追加されるようになったわ」

 

シャルルの活躍ぶりを見ていたハッピーとラリカは、肩を落とす。

 

「オイラは全然だよ」

 

「私もですわ…」

 

「とにかく、そこから城に潜入できれば何とかなるかも」

 

「おーしっ!!!みんなを元に戻すぞ!!!」

 

「はい!」

 

「あいさー!」

 

「待って」

 

気合いを入れ直したナツ達を、またもシャルルが止めた。

 

「今度はなんだよぉ!!!!」

 

「出発は夜よ。今は少しでも休みましょ」

 

「…体力の温存もかねてるってことか」

 

そして夜、王都の民が寝静まった頃、リート達が動き出した。

 

「公道の入り口は、この先もうすぐよ」

 

街の少し離れた場所までやって来たリート達、そこは今は使われていない坑道の入り口だった。

 

「ここ?」

 

「えぇ、間違いない」

 

「よぉーし」

 

ナツが坑道に足を踏み入れようとするが、それをまたシャルルが止めた。

 

「待って」

 

「またかよ!!」

 

「はやる気持ちはわかるけど、落ち着いて。明かりがなければ進めないわ」

 

「確かにな、何か灯りになるものを探さねぇと」

 

「そんなもん!オレに任せろ!!」

 

ナツがいつものように拳に炎を纏おうとするが、当然炎は出なかった。

 

「あっ…」

 

「ほら忘れてる。今の私たち魔法が使えないのよ」

 

「…くそっ!」

 

「魔法を使えるのがルーシィだけじゃ、やっぱりちょっと頼りないね」

 

「悪かったわね頼りなくて」

 

「あ、ごめん聞こえちゃった?」

 

ルーシィはあるものを持っていた。

 

「ルーシィさん、それは?」

 

「んふっふっふっふっふっ、松明よ!!あそこから持ってきちゃった」

 

ルーシィは、近くの建物から火のついていない松明を持ってきていた。

 

「布を巻いて、油を染み込ませてきたから後は火をつければ大丈夫」

 

「さすがルーシィですわね、で?肝心の火はどこにありますの?」

 

「…それは……」

 

「…ないのね」

 

そして、結局火をつけるためにナツ達は木の板と枝を持ってきて火おこしで着火させる事となった。

 

「なんでオレがこんなことしなきゃなんねぇんだよ」

 

「ほんとだよ。まったく…」

 

「仕方ないでしょ、無くなってわかる魔法のありがたみってとこよねぇ」

 

ナツ、リートの二人は、火おこしを必死にやっている。

 

「こんなやり方で火を着けてたんだから、昔の人は偉かったんだね」

 

「みんな苦労してましたのねぇ」

 

パキッ

 

「あっ…んはーっ!全然ダメだぁ」

 

チリチリチリチリ

 

「…あっ!着いた!」

 

ナツは失敗していたが、地道にやっていたリートの火おこしが何とか成功した。

 

「やったー!」

 

「すごいですリートさん!」

 

「ナイスリート!」

 

「やるな、リート!!」

 

「っていうか、何であんたは出来てないの?」

 

「いいだろぉ、こっち出たんだからぁ」

 

リートの着けた火で、見事松明に灯りを灯すことができた。

 

「やりましたぁ!」

 

「あー疲れたぁ」

 

灯りの着いた松明を受け取ったナツは、ジッと松明の火を見つめていた。

 

「どーしたの?」

 

「あむっ」

 

「!?」

 

いきなりナツが、松明の炎を食べたのだ。

 

「あ、そうか火を食べたらひょっとして」

 

「そんな簡単にいくか?」

 

「魔法、いけそう?」

 

ルーシィの問いに、ナツは曖昧に答える。

 

「ここんとこが熱くなってきた」

 

ナツは、自分の腹を指差して答える。

 

「それ魔法の感じ!?」

 

「感じ…かもしれねぇーぞ!!」

 

「そんな簡単なもんなの?」

 

「いいかもいいかも!いってみよー!!復活の狼煙!!火竜の鉄拳!!」

 

「おう!イッケーーー!!!」

 

しかし、ナツの拳から炎が出ることはない。

 

「…はぁ、ダメかぁ」

 

「そーゆーの悪あがきっていうのよ」

 

「こっちの火食ったら魔法が使えると思ったんだよ!!」

 

ガサッ

 

「?」

 

リートは、近くの林から音が聞こえて気になった。

 

「?リートどこにいくんですの?」

 

「んー?ちょっとトイレだ。先に行っててくれ、後で追い付く」

 

「わかった。絶対に追い付いてきてね!!」

 

「おー」

 

リートは一人、林の中に入って行き、ナツ達は坑道の中へと入っていった。

 

「……さてと、出てこいよ。誰か知らねぇけどオレたちの事を見てるんだろ?」

 

リートが声をかけると、木の影から一人の人物が現れる。

 

「!お前は…」

 

「よう、アースランドのオレ…」

 

「すげぇな、ホントにオレと同じ顔だ…」

 

現れたのはエドラスのリートだった。

 

「何でテメェがこんなとこに居やがる」

 

「あ?オレがどこに居ようがテメェには関係ねーだろ」

 

エドリートは異常な程の殺気を、アースリートにぶつけた。

 

「ぐっ…」(スゲー殺気だ…)

 

「さて、隊長の命令だ。大人しくオレについてきな…アースランドのオレ…下手な気は起こさねぇ方がいいぞ、例え別世界の自分でも、オレは容赦しねぇからな」

 

エドリートは背中に携えた槍を抜き、構えをとった。

 

「嫌だと言ったら?」

 

「今ここで半殺しにしてでも引きずって行ってやるよ」

 

「へっ、やってみろ」




アースリート対エドリート、現状エドリートの方が圧倒的に強いです。まぁ魔法使えないアースリート相手じゃ当然ですわな


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捕縛

続きかけました!まぁそこまで長くない自覚はあります…すんません!


リートを残して先に坑道の中に入ったナツ達は、ただまっすぐに続く道をひたすら歩いていた。

 

「ずいぶん使われてない感じね」

 

「この先!照らして」

 

シャルルの合図で、松明を持っていたウェンディが目の前の道を照らす。

 

そこは、岩や木の板などで明らかに人工的に封鎖された後があった。

 

「ここよ」

 

ルーシィは壁を軽くノックし、分厚さを確かめる。

 

「かなりの厚さよ。しかも魔法でコーティングされてるし」

 

「これじゃ進めねぇぞ」

 

「でも間違いないわ、この先に脱出経路があるはずなのよ」

 

「となると、この壁をなんとかいたしませんと」

 

「壊すしかないよね」

 

「方法はあるわ。こんな時こそアタシの出番よ!!」

 

ルーシィは、鍵を取り出してタウロスを呼んだ。

 

「開け!!金牛宮の扉!!!!タウロス!!!!」

 

「Moooooo!!!」

 

「そうか!タウロスなら!!」

 

「タウロスは、アタシの星霊の中で一番のパワーの持ち主だもの。絶対この壁壊せるはずよ!!!」

 

「そりゃMoルーシィさんの頼みとあらば!!!」

 

タウロスは自信満々に答えた。

 

「おもいっきり、やっちゃって!!」

 

「やっちゃいます!!」

 

タウロスは壁に近づき、何発ものパンチをぶつけた。

 

ズガン!!

 

「MO!!!」

 

ズガン!!

 

「MO!!!」

 

ズガン!!

 

「MOOOO!!!」

 

 

「うおぉぉ!!!スゲー!!!」

 

「いやぁ、それほどです」

 

「どうしてルーシィがどや顔していますの?」

 

「アタシのタウロスだからよ!!!」

 

タウロスのおかげで、分厚い壁は破られ新たに道ができていた。

 

「見て!!」

 

「通路があった!?」

 

「シャルルの情報、間違ってなかったね!!」

 

「あなた中々やりますわね」

 

「ざっとこんなもんです、ルーシィさん」

 

「ありがと、タウロス」

 

「MO!?それだけですか?」

 

タウロスは驚いた顔で、ルーシィの顔を見た。

 

「?何が?」

 

「感謝の印に、是非とMO~…」

 

タウロスが何かをいい終える前に、ルーシィに強制閉門され星霊界へと帰っていった。

 

「そのエロい目はやめてってば」

 

「ちゃんと城の地下に繋がっていればいいけど」

 

不安そうなシャルルを、ウェンディが励ます。

 

「情報は正しかったんだもの、この先だってきっと」

 

「…うん……」

 

シャルルとは別に、ハッピーとラリカも暗い顔をしていた。

 

「?どうした?ハッピー、ラリカ」

 

「ねぇ、何でオイラとラリカには情報ってのがないんだろう」

 

「同じエドラスの猫で、同じ何かの使命を与えられてアースランドに来たんでしょ?」

 

「私は使命についてはそこまで深く考えてはいませんわ…でも、何の役にも立てていないのが…今は…それが悔しくてたまりませんの……」

 

「その話はしない約束でしょ。私にもわからないわあんた達みたいなケースは」

 

「とにかく奥に進んでみよ」

 

「はい」

 

「うん」

 

ナツ達は、また出来た道を歩き出した。

 

「それにしてもリートのやつ遅ぇなぁ」

 

「ここまで一本道だったからきっと追い付いてくるわよ」

 

「ですね」

 

 

一方、外にいたリートは、エドリートに一方的に攻めあぐねていた

 

ブォン!!

 

「くっ…」

 

アースリートのパンチを軽々とかわしたエドリート、そのまま槍の後ろでアースリートの腹を殴り、怯んだところを蹴り飛ばした。

 

「ぐぁぁ!!」

 

ズザァァ

 

「…つまらねぇな、コレが別世界のオレかよ。情けなくて涙が出んぜ」

 

「がはっ、ごほっ」

 

「いい加減諦めたらどうだ?あいにくオレも、いつまでもお前に構ってやれるほど暇じゃねぇんだ。さっさと隊長のもとに行かねぇといけねぇってのに」

 

「ふざっ…けんな…まだオレは…やられてねぇぞ……」

 

アースリートが立ち上がると、エドリートは額に手をあて呆れ果てる。

 

「はぁ~、もういいよ。テメェは意識を刈り取らねえと言うことを聞きそうにねぇからな、特別にオレの魔法でその意識刈り取ってやるよ」

 

エドリートは、槍の持ち手に着いたダイヤルを回した。

 

カチカチ

 

伸蒼(しんそう)

 

「!?」

 

エドリートがその場からまっすぐにアースリートに向けて槍を突き出すと、槍の先端がアースリートに向かって伸びてくる。

 

(槍が、伸びっ…)

 

「ぐっ…」

 

アースリートは、体を半身にし、ギリギリで突きを回避した。

 

カチカチカチ

 

「!?」

 

鬼蒼(きそう)

 

ブワァ!!

 

エドリートがダイヤルを回し、今度は無数の刺がアースリートに向かって伸びてくる。

 

グサッグサッグサッ

 

「ぐぁぁぁ!!!」

 

とっさにガードの体制になったアースリートの腕に槍から伸びた刺が突き刺さる。

 

「ぐっ…はぁ、はぁ」

 

アースリートがエドリートのいた方向を見ると、そこにはもうエドリートの姿はなかった。

 

カチカチ

 

「寝てろ」

 

「!」

 

アースリートが真上を見ると、そこには槍を構えたエドリートが空中で構えていた。

 

重蒼(じゅうそう)

 

ズドォォン!!!

 

パラパラパラパラ

 

アースリートの真上から槍を一気に重くして落ちてきたエドリートは、アースリートの真上に乗っていた。

 

「フン!やっとくたばりやがったか」

 

エドリートに踏まれているアースリートは、ピクリとも動く気配はなかった。

 

「さてと、オレもそろそろ隊長のもとへ向かうか」

 

エドリートはアースリートの襟を掴むと、そのままズルズルとアースリートを引きずって坑道に入っていった。

 

エドリートがトンネルに入った頃、ナツ達は坑道の更に奥に進んでいるところだった。

 

「今にも崩れそうだな」

 

「ふ…不吉なこと言わないでよぉ」

 

「でも、本当に古い坑道ですね」

 

「お化けとかいるかなぁ」

 

「いたらいたで、それも嫌ですわよ」

 

ザッ

 

「!」

 

いきなりナツが立ち止まり、壁を見つめていた。

 

「ど…どうしたのナツ!?なんかあった!!?」

 

「…ちょっとコレ持ってろ」

 

ナツは、持っていた松明をルーシィに手渡した。

 

「何!?何!?何!?何よぉ!!?」

 

「動くなよぉ…」

 

「ウホッ!!ウホホホホホッ、ここはオレ様の縄張りだぁ!!」

 

何をするかと思えば、ナツは松明の灯りで影絵をして遊び始めた。

 

「遊んでる場合かぁ!!!」

 

…ルーシィの怒りは最もだ。こんな時に遊ぶナツが明らかに悪いと、誰が見てもそう思った。

 

その後も、シャルルの指示でナツ達はどんどんと先に進んでいった。

 

「次は…こっち…あそこを左よ」

 

すると、一際目立つ広い空間へとたどり着いた。

 

「なんか広いところに出たわね」

 

「どうやら、ここから城の地下へと繋がってそうね」

 

「どういう原理かわからないけど、シャルルがいて助かったわ」

 

「私にもわからないわよ。次々と情報が浮かんでくるの」

 

「ありがとうシャルル」

 

「礼を言うならみんなを助けてからにして、ここからが大変なのよ。気づかれずに王の寝室に行き、気づかれずに脱出するの。兵隊に見つかったら、今の私たちに勝ち目はない」

 

「いざってときは、アタシの魔法があるんだけどねぇ~」

 

「あんまり期待できねぇけどな」

 

「何いってるのよ!!この作戦だってアタシのジェミニあってこそなのよ!!!」

 

「ハイハイ、にしてもリートのやついくらなんでも遅すぎねぇか?」

 

「そー言えばそうね、そんなに長いトイレなのかしら?」

 

「私、少し心配になってきましたわ…ちょっともどって…」

 

ヒュン!

 

ベチャッ

 

「ひゃっ!」

 

いきなりルーシィの後ろからトリモチのようなものがルーシィの体目掛けて飛んできた。

 

「ルーシィ!!?」

 

「ルーシィさん!!?」

 

「な…なに…コレ」

 

トリモチようなものはそれだけでなく、ナツとウェンディの方にも飛んできた。

 

「きゃぁぁぁ!!」

 

「んむぐぅぅ!!」

 

「くっ…動けない…」

 

ガシャガシャガシャガシャ

 

ナツ達が縛られた瞬間、王国軍の兵士達がナツ達を取り囲んだ。

 

「兵隊!!?」

 

「どういう事ですの!?」

 

「なんでこんな坑道にこれだけの!!」

 

「どーして見つかったんだ?」

 

 

「コイツらがアースランドの魔導士か」

 

「「「「「「!」」」」」」

 

兵隊達の後ろから現れたのは、エドラスのエルザだった。

 

「エルザ!!」

 

「…ナツ・ドラギウニ ルーシィ・アシュレイとは本当に別人なのか?」

 

「間違いありませんよ。隊長」

 

「「「「「!?」」」」」

 

ナツ達がやって来た道から、エドリートがアースリートを引きずってやって来た。

 

「リート」

 

「その証拠に、ほら、もう一人の僕もここにいますから」

 

ドサッ

 

「「「「「リート(さん)!!!!」」」」」

 

エルザの前に放り出されたアースリートは、ボロボロになっていた。

 

「ほう、確かに貴様と同じ顔だなリート、まさかお前のこんなにボロボロな姿を見ることになるとは思っていなかったぞ」

 

「大人しくついて来ていたらここまでしたりしなかったんですけどね」

 

ざわざわ

 

アースリートとエドリートの顔を見た兵士達は、静かに騒いでいた。

 

「本当に副隊長と瓜二つだ…」

 

「一見見分けがつかねぇもんな」

 

 

「ちょっとアンタ!!!よくもリートを!!!」

 

ルーシィは、涙目でエドリートを睨み付ける。

 

「あ?何だやんのか?オレは女だろうと容赦なく殺すぜ?」

 

エドリートは、ルーシィに殺気を飛ばす。

 

「うっ…」(本気で怒ったときのリートと同じだ…怖い…)

 

「まぁ待て、こいつらをどうするかは陛下がお決めになることだ。勝手な行動をするな」

 

「おっと、それもそうでした。申し訳ありません」

 

「まぁいいだろう。オイ!コイツらを連れていけ」

 

「「ハッ!」」

 

兵士達は縛られたナツ達と、ボロボロのリートを連れていく。

 

「あうっ!…エルザ!話しを聞いて!!ねぇ!!」

 

ルーシィの必死な訴えも、エルザは聞く耳を持たなかった。

 

「ウェンディ!!」

 

「ナツ!!ルーシィ!!」

 

「リート!!」

 

ハッピー達がナツ達を追いかけようとするが、その前にエルザが入り込んできた。

 

「エクシード」

 

「「「!?」」」

 

そして、その場にいたエルザとリートを含む王国軍全員が膝をついてハッピー達に頭を下げた。

 

「お帰りなさいませエクシード」

 

それを見ていたルーシィ達は驚愕していた。

 

「どういう事よ?…一体……」

 

「うっ…ラリ…カ…」

 

目を覚ましたアースリートが、うっすらとその光景を見ていた。

 

「ハッピー?ラリカ?シャルル?…あなた達一体…」

 

「侵入者の連行、ご苦労様でした」




エドリート圧倒的!魔法使えないアースリートじゃあこうなりますわ


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猫の住む街

ちょっと遅くなりました。まぁ書けたので問題なし…ですよね…?


王国軍に捕まったナツ達は、それぞれ城の牢に閉じ込められてしまった。

 

ドカッ!

 

「うわっ!」

 

ナツとウェンディは、同じ牢獄に、アースリートとルーシィはそれぞれ単独で牢獄に閉じ込められた。

 

「ここで大人しくしてろ」

 

「…オレたちをどうするつもりだ」

 

エドリートに牢に押し込まれたアースリートは、エドリートを睨み付ける。

 

「さぁな、オレは隊長の命令でお前をここに連れてきただけだ。お前以外の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)の二人はどうなるかおおよそ検討はつくが、お前だけはどうなるのかオレにもわからん…竜鎖砲には二人も居れば充分なんだとよ」

 

「…竜鎖砲?…何だそれは」

 

「あ?何でオレがテメェに話さねぇとなんねぇんだよ。どうせテメェは殺されるんだ。黙って残りの人生を謳歌してろ」(オレも詳しく知らねぇしな)

 

ガチャン

 

牢の扉が閉まり、エドリートはそのまま去っていった。

 

「竜鎖砲…竜……ドラゴン…?……だめだ、さっぱりわかんねぇ」

 

アースリートが竜鎖砲について考えていると、一人の男がアースリートの牢にやって来た。

 

「うはっ!スッゲ!本当に瓜二つじゃん!!」

 

やって来たのは、王国軍の隊長の一人、ヒューズだった。

 

「?誰だテメェは」

 

「スッゲー、声もまったくおんなじだな!あははっ!!面白ぇー!!」

 

(よくわかんねぇ奴だな…それよりもちょうどいい、コイツに聞きたいことがある)

 

「オイ」

 

「あん?」

 

アースリートの呼び声に、ヒューズがニヤけ顔を止める。

 

「ナツとルーシィ、ウェンディにシャルル、そしてハッピーとラリカは無事なんだろうな」

 

「何だお前もそれかよ」

 

「お前も?」

 

「お前の仲間のピンク頭も同じ事を聞いてきたからな」

 

(ナツの事か…ってことは一応無事って解釈でいいんだな)

 

「他のみんなはどこだ」

 

「ウェンディって娘ならピンク頭と一緒の牢だぜ、けどルーシィって女は」

 

リートは、殺気を開放させる。

 

「ルーシィに何しやがったテメェら!!!」

 

「おおっ、ハハッ、スッゲー怖ぇ、うちのリートと同じだな。安心しろよルーシィって女も無事だぜ、今はな」

 

「今は?」

 

「あの女には用はねーからな、処刑されんじゃね?」

 

「…んだと?」

 

リートは、先程より更に殺気を強めた。

 

「あいつらにかすり傷一つでもつけてみろ…その瞬間、テメェらを生かしてかえさねぇからな」

 

「何言ってんのお前?今の状況分かってる?お前らの方がスッゲー危ねぇ状況なんだぜ?」

 

「関係ねぇ…」

 

「ま、何でもいいけどな、で…エクシード達なら任務を完遂したってことで、母国にお連れしたよ。今頃褒美でももらっていいもん食ってんじゃね?」

 

「…そうか」

 

(ならやることは決まったな…ここからの脱出、ナツ、ウェンディ、ルーシィを見つけて一緒に牢から抜けて国王に魔水晶の戻しかたを聞き出す!ラリカ達との合流はその後でもできる。ラリカ達の任務ってのもなんであろうと関係ねぇしな)

 

ヒューズは、アースリートが思ったほど騒がないからか、意外そうな顔をしていた。

 

「スッゲー落ち着いてるなお前、仲間達と捕まったあげく、一人は処刑されそーだってのに」

 

「どうやってここから出て、テメェらをぶちのめしてやろうか考えてたもんでな」

 

「ハハッ、おもしれーじゃん、せいぜい頑張れよ」

 

ヒューズはそう言い残すと、牢から去っていった。

 

「さて、どーするかな…」

 

一方、ハッピー達エクシードは、巨大なベッドの上で三匹揃って寝かされていた。

 

「ん…あれ…ここは?」

 

ハッピーが目を覚まし、シャルルとラリカの体をゆする。

 

「二人とも、起きて!」

 

「ん…んぅオスネコ」

 

「んっ…ここは?」

 

二人も目を覚まし、辺りを見渡した。

 

「私たち…どうなったの?」

 

「オイラ達、眠らされちゃって」

 

「リート…リートは無事ですの!?」

 

ラリカは、ボロボロになったリートを思い出して慌てふためく。

 

「落ち着いてラリカ!!」

 

ハッピーが、慌てるラリカを落ち着かせた。

 

「ふぅ…ふぅ…ありがとうございますわハッピー…少し落ち着きましたわ」

 

「ここ何処だろう?」

 

「ん…」

 

シャルルは暗い顔で、連れてこられる前の状況を思い出していた。

 

「シャルル?」

 

「私の情報が…罠だった…」

 

「違うよ!!オイラ達はたまたま見つかったんだ!!シャルルのせいじゃないよ!!!」

 

「そうですわよ!!じゃないとあんなに都合のいい状況に説明がつきませんもの」

 

 

「…誓ったのに、私はウェンディを守るって誓ったのに」

 

ガチャ、ギィ~

 

「「「!」」」

 

三人の居たベッドの目の前の扉が開いた。

 

「お前達がアースランドでの任務を完遂した者たちか?キラニャン」

 

部屋に入ってきたのは、一夜?とそっくりなネコであった。

 

「一夜!?」

 

「ウム、いい香り(パルファム)だ」

 

「え?ネコ?」

 

一夜そっくりなネコは、三人に近づく。

 

「何を驚く?同じエクシードではないか」

 

そして、その後ろから、また新たにもう一匹ネコが入ってきた。

 

「ニチヤさん、彼等は初めてエドラスに来たんですよ。きっとエクシードを見るのも初めてなんでしょう」

 

ずいぶんと首の長いクロネコが片腕を上下に振りながら一夜そっくりなネコ、ニチヤに話しかける。

 

「おぉーそうであったか」

 

ニチヤとクロネコは、ハッピー達に自己紹介をしだした。

 

「私は、エクスタリアの近衛師団長を務めるニチヤだ」

 

「ぼきゅはナディ、エクスタリアの国務大臣ですよ。任務お疲れ様」

 

「任務?」

 

ハッピーとラリカは、訳もわからず首をかしげる。

 

「早速であるが、女王様がお待ちである。ついてまいれ」

 

「女王様だって!?」

 

「女王!なんという良い響きですの」

 

「シャルル、ラリカ、行こう。ここはひとまず様子を見るんだ」

 

「了解ですわ」

 

「オイラが絶対守るからね!!」

 

「フフッ、ならしっかりと守ってくださいまし、騎士(ナイト)様」

 

そして、ハッピー達はニチヤ達の後ろをついて歩いていく。

 

「それでは、こちらへ」

 

「一体何がどーなって」

 

そして、城の外に連れ出されたハッピー達は、外の光景に驚愕する。

 

それは、どこを見てもネコ、ネコ、ネコばかりの街であったのだ。

 

そして、ネコ…いや、ハッピー達と同じエクシード達はその街で楽しそうに過ごしていたのだ。

 

あるところでは魚を売るエクシードと、それを買うエクシードが

 

「さぁ!さぁ!新鮮取れたての魚だよぉ!!」

 

「それとそれ、それからそっちのもおくれ」

 

「あいよー!あんたんところは子沢山だからなぁ、おまけにコイツも持っていきな」

 

「あらぁ、いつもすまないねぇ」

 

「まいどー!!」

 

またあるところでは騒ぎ立てて話しているエクシード達が、

 

「ほんとだって!!こないだ地上にネタ集めに行った時に見たんだって」

 

「見たって何をだ?」

 

「だから芋虫だよ!!こんなにデッケェ」

 

「うーそつけやい!!いっつもそんなデッカイ芋虫に会うはずねぇべよ」

 

そしてまたあるところでは、年老いたエクシードが子供達にエクシードについて教えていたり

 

「つまり、人間の王でさえ、エクシードによって管理されており…」

 

その街中を、ハッピー達はニチヤに連れられて歩いていく。

 

「猫の国だ…」

 

「私たちと同じ…ですわね…」

 

そして、ハッピー達に気づいたエクシード達は視線を向ける。

 

「お?あれが噂の」

 

「アースランドの任務を完遂した」

 

「スゲー!よっ!ヒーロー!」

 

「見ろよ、あの二匹スゲー美人」

 

ハッピー達も、その光景に戸惑うばかりであった。

 

「ネコばっかりだ…」

 

ハッピーのその言葉を、ナディが否定する。

 

「ぼきゅたちはネコじゃない、エクシードさ、人間の上に立ち、人間を導くエクシードだよ」

 

「エクシード…」

 

「そしてここは、エクシードの王国、エクスタリア」

 

そして、女王のいる城へと到着したハッピー達は、城の中を歩いていた。

 

その間も、ナディとニチヤは人間について語っている。

 

「人間は酷く愚かで劣等主だからね、僕たちがキチンと管理してあげないと」

 

「その上、酷い香り(パルファム)だ」

 

「パルファムとは、香りの事だ…ニャン」

 

「女王様はここで人間の管理をしているんだ」

 

「女王様は素敵な香り(パルファム)さ」

 

(正直…香りなんてどうでもいいですわ)

 

「勝手に増えると厄介だからねぇ、女王様がいらない人間を決めて殺しちゃうんだ」

 

「!…なんでそんなことを」

 

「失われつつある魔力を正常化するためだと、女王様はおっしゃった。女王様はこの世界の人間だけでなく、アースランドの人間も管理しておられる」

 

「!…」(アースランドの皆さんまで…)

 

「人間の死を決めてるの?」

 

「女王様には、その権限がある。なぜならあの方は神なのだからニャン!!」

 

その言葉を聞いたラリカは、少しばかり苛立ちを覚える。

 

(人の死を決められる?気に入りませんわね。そんなの…ふざけていますわ)

 

「私たちの任務って…何?」

 

今まで黙っていたシャルルが、ようやく口を開いた。

 

「私には、産まれた時から任務が刷り込まれていた。女王の…人間管理によって選ばれた…滅竜魔導士…ウェンディの抹殺」

 

「「!!?」」

 

「ど…どういう事ですの!!?」

 

「抹殺って!!?」

 

「黙ってて」

 

任務の内容を知らなかったハッピーとラリカは、あわてふためいた。

 

「ウェンディの抹殺ってどういう事だよ!!!」

 

「!!!…ちょっと待ってくださいまし…もしかしてその任務って……まさか…私達にも…?」

 

「!」

 

「アンタ達…知らなくて幸せだったわね」

 

震えるハッピーとラリカを見て、シャルルは今まで黙っていた任務を話した。

 

「ナツを…オイラが…」

 

「リートを…」

 

「「抹殺する任務に!!!?」」

 

「オイラが…ナツを」

 

「はっ…あぁぁぁ…」

 

任務の内容を知った二匹は、動揺を隠せずにいた。

 

「落ち着きなさいアンタ達!!私たちは、任務を遂行していないし、遂行するつもりもなかった!!!なのにどうして完遂したことになってるわけ!!?」

 

ナディとニチヤは呆けた顔で、シャルルの顔を見る。

 

「記憶障害か?」

 

「仕方ありませんよ、上書きによる副作用は未知数なのですから」

 

 

「答えなさい!!!」

 

「ぼきゅが説明するよ」

 

ナディが、真実をシャルル達に語った。

 

「女王様の人間管理に従い、6年前100人のエクシードをアースランドに送ったんだ。卵からかえると、滅竜魔導士を捜索し抹殺するように情報を持たせてね。しかし、状況が変わったんだ。人間の作り出したアニマが、別の可能性を導き出したからね。アースランドの人間を殺すのではなく、魔力として利用するというものなんだ。なかでも滅竜魔導士は別格の魔力になるみたいだよ。なので、急遽君たちの任務を変更したんだ」

 

「滅竜魔導士を、連行せよとね」

 

すべての説明を聞いたハッピー、ラリカ、シャルルの三人は絶望に打ちひしがられる。

 

「やはり、遠隔での命令上書きではうまく伝わらなかったようですねぇ」

 

「しかし、結果オーライ!お前達は滅竜魔導士を連れてきたのだからなニャン。魔力化、すなわちマジカライズは人間どもに任せてある。そういうのは人間どもの方が得意だからな」

 

「ち…違う……私は……自分の意思で…エドラスに」

 

「ううん、命令を実行しただけだよ」

 

「みんなを助けるために…坑道へ……」

 

「気づいてなかったのかい?ぼきゅ達が誘導したんだよ」

 

「私は…ウェンディが……大好きだから…守りたいって…」

 

「それは、一種の錯覚だね。命令が抹殺から連行に、すなわち殺してはいけないという」

 

「うそだぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「お前達の行動は全て、私たちの命令による「お黙りなさい!!!」!!?」

 

ニチヤの言葉を遮り、ハッピーとラリカは涙を流してニチヤとナディの二人を睨み付ける。

 

「オイラ達は操り人形じゃないぞぉ!!!!」

 

「ぐすっ…ううっ…」

 

「オイラたちは…」「私たちは…」

 

「「妖精の尻尾の魔導士だぁぁぁぁぁ!!!」」

 

「ハッピー…ラリカァ」

 




このときのハッピーはオレの中でもかなりかっこよかった印象があります。どんな姿でも体を張って誰かを守ろうとする男の姿はかっこよく見えます。


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あなたは飛べる

遅くなってしまったぁぁぁ!!

べべべ別にサボってた訳じゃ、なななないですよ!ネタが浮かばなかっただけですよ。…あっ、どっちもダメじゃん…


「……」

 

地下で捕まっていたリートが、今後の動きについて考えていると、リートのいる牢に一人の足音が聞こえてきた。

 

カツカツカツ

 

「?」

 

「気分はどうだ?リート」

 

「…エルザ……」

 

リートの牢にやって来たのは、エドラスのエルザであり、リートは自分のもとにやって来たエルザを見ていた。

 

「何のようだ?」

 

「お前を勧誘しに来た」

 

「は?」

 

予想外の言葉に、リートは一瞬考えを止めた。

 

「貴様、私の部隊に来る気はないか?」

 

「…お前、何たくらんでんだ?」

 

「たくらむ?フフフ、ずいぶんと人聞きの悪い事を言うな、私は何もたくらんでなどいない」

 

「嘘つくんじゃねぇよ、仮にも王国に敵対しようとしたやつを勧誘だなんて、普通ありえねぇぞ」

 

「私はお前を…いや、エドラスのお前を気に入っているんだ」

 

「意味がわからねぇ、エドラスのオレを気に入ってるからってオレを勧誘する理由にはならねぇだろ」

 

「本来ならな、だが、こちらのリートは欠点があってな、喧嘩っ早い性格がどうにも治らん、しかしアースランドの貴様なら、その心配はないと思ったからこうして勧誘に来たというわけだ」

 

 

リートはニヤリと笑い、エルザの方に視線を戻す。

 

「せっかくの申し出だが、遠慮させてもらう。オレは妖精の尻尾のリートだ。例え世界が違えど、家族に手を出そうとしている所に入るつもりは微塵もねぇ」

 

「そうか、なら貴様とその仲間達は処刑する他ないな」

 

ギン!

 

ブワァ!

 

「!」

 

「アイツらにかすり傷一つでもつけたりしたら…オレは…お前ら王国軍を滅ぼすぞ」

 

リートの殺気にあてられ、後ずさったエルザだが、体制を戻して話しを続けた。

 

「まぁ、そう殺気立つな、なにも今すぐに処刑しようなんて思っていないさ。特にお前以外の滅竜魔導士の二人はな…」

 

「…ナツとウェンディに何をするつもりだ…」

 

「あの二人からは、竜鎖砲の為の魔力をいただく、その後の処遇はまだ決まっていない」

 

「さっきも聞いたが、竜鎖砲ってのは一体なんだ?テメェらはそれを動かして何をするつもりだ?」

 

「これは、軍上層部しか知らない極秘事項だ。これ以上は教えるわけにはいかんな、代わりに貴様らを連れてきたエクシードの本当の任務内容を教えてやろう」

 

「…興味ねぇよ」

 

「冥土の土産だ。聞いていけ」

 

エルザはリートをまっすぐに見つめて、ハッピー達の本当の任務内容を話した。

 

「………」

 

「フッ、ショックで声も出せんか。貴様は竜鎖砲の魔力回収に使われないが、滅竜魔導士である以上、他の使い道を言い渡されるだろう。それまでここで大人しくしていることだな。ハハハハハ!!!」

 

そう言って、エルザはリートのいる牢屋から立ち去って行った。

 

「…ハッピーや…ラリカが?…」

 

 

「オイラたちは…」「私たちは…」

 

 

「「妖精の尻尾の魔導士だぁぁぁぁぁ!!!」」

 

操り人形のような扱いに怒りを覚えたハッピーとラリカの叫びに、ニチヤとナディは呆然としていた。

 

「メン…」

 

「ニチヤさん…これは…」

 

ハッピーは、シャルルの腕をとりラリカと共に後ろを振り返り走り出した。

 

「行こう!!シャルル!!ラリカ!!」

 

「え?」

 

「ほら、ぼさっとしてないで走りますわよ!!」

 

「オイラ達でみんなを助けるんだ!!!」

 

「絶対助けるんだ!!!!!」

 

ハッピー達が走り去っていくのを、唖然として見ていたナディ達がようやく我に返ると、既にハッピー達との距離はかなりひらいていた。

 

「こ…これは…」

 

「堕天…」

 

「アースランドの汚れに毒されてしまったエクシードは堕天となる…」

 

「オオオオオオー!!メェーーーン!!!堕天が三人逃走!!!近衛騎士団!!!出撃ー!!!」

 

ニチヤの呼び声で、剣を持った屈強な体格をしたエクシード達が、ハッピー達に襲いかかる。

 

ヒュン!

 

「わっ!」

 

ヒュン!

 

「ひっ!」

 

ハッピーやラリカ達は、剣をかわしながら街へと逃げてきた。

 

「どいてどいてー!!!」

 

「ハイ、失礼しますわよー!!」

 

 

「うわっ!!何だ!!?」

 

「あいつら確か」

 

 

「待て待てぇ!!メェーン!!!」

 

逃げるハッピー達を、近衛騎士団は必死に追いかけてくる。

 

「あーもう!!しつこいですわね!!」

 

「あれに隠れよう!!」

 

ハッピーが指差す方には、藁の積まれた荷車が置いてあり、その藁の中にハッピー達は潜り込んだ。

 

イェァァァァ!!

 

「ぜぇ…はぁ…」

 

荷車を通過する屈強なネコ達、そして、その後ろから息を切らしてニチヤが追いかけてきたが、荷車の前でニチヤは転んで倒れてしまった。

 

「メェ~ン…ひぃ…疲れてなど…いない……私はまだ若い!…女王様の期待に応えねばぁ…」

 

ガタン

 

「ぐわぁ!」

 

ハッピー達を乗せた荷車は、ニチヤの上を乗り越えて坂を下っていく。

 

「「「うわぁぁぁ!!!」」」

 

荷車は徐々にスピードを上げて、気がつけばハッピー達が吹き飛ばされてしまいそうなほどのもうスピードにまでなっていた。

 

「あっ!」

 

シャルルは、暴れる荷車から手を離してしまい。荷車から落ちそうになってしまう。

 

「「シャルル!!」」

 

「ハッピー!!ラリカァ!!」

 

ガシッ!

 

何とかハッピーの手が飛ばされるシャルルの手を掴むことに成功した。

 

その瞬間

 

ガタン!

 

「「「はい?」」」

 

荷車は石に乗り上げて大きな振動を起こすと、今度はラリカが荷車から落ちてしまう。

 

「「ラリカー!!」」

 

「イヤァァァァ!!!」

 

ゴロゴロゴロゴロ

 

ラリカは、地面を転がって崖から落ちてしまった。

 

ズテーーン!!

 

「うううっ…イタタタタ…」

 

ラリカは何とか無事に生還し、立ち上がり自分の現状を確かめた。

 

「まったく…大変な目にあいましたわ」

 

ラリカは落ちた島から下を見下ろすと、そこには先程ハッピー達が乗っていた荷車と、その近くにハッピー達が倒れている姿が見えた。

 

「!ハッピー!!シャルル!!」

 

慌てて島から降りようとするラリカだが、自分が魔法を使えないことを思い出して踏みとどまる。

 

「おやおや、これは珍しい、お客人ですかな?」

 

「!?」

 

ラリカの後ろから声が聞こえ、振り返るとそこには、姿勢を正した。茶色く細身で長身のネコが立っていた。

 

「あの…あなたは?」

 

 

「メェーン!!私をひいて行った荷車!!この辺か?」

 

「!」

 

先程落ちた崖の上からは、ニチヤ達がハッピー達を探していた。

 

「くっ…」(いつまでもここにいるわけにはいきませんわ…)

 

ラリカがボロボロの体で、歩きだそうとすると、長身のネコがラリカの体を支えた。

 

「?」

 

「あなたは、堕天…と呼ばれていた方々の一人ですね?私はあなたを捕まえようだなんて思ってませんよ。でも、その傷では動くのも辛いでしょう?なので私の家に来なさい。大したものはありませんが、治療ぐらいならできますよ」

 

「…は…はいですわ」

 

ラリカは、長身のネコに案内されそのネコの家へとついていった。

 

「あら、お帰り!あなた…ってあら?」

 

家に入ると、黒い毛のネコが料理を作っていた。

 

「あらやだ…浮気?あなた妻の目の前で堂々と浮気だなんて、なかなか肝が座ってるじゃないのエウス」

 

「落ち着きなさいアマネ、私は今まで君以外と付き合った事など一度もありませんから安心しなさい。あと、名前で呼ぶのはやめてくれないか、君が私の名前を呼んだときは本気の時だ…」

 

「あらそう?でも、何でその子ボロボロなの?もしかしてあなたがやったの?…ごめんねぇ!この人が大変な迷惑を!!お詫びにこの人を一発ぶったたくなり、足蹴にするなり何なら今日の晩御飯に混ぜてくれてもいいわよ!!大丈夫!私も一緒に食べるから」

 

「話が進まないから、君はご飯を作って待っててくれないかな!?事情は後で説明するから!!」

 

(な…なんなんですの?この方々は…)

 

そして、ラリカはその家で治療を受け、休ませてもらっていた。

 

「あ…ありがとうございますわ」

 

「いやいや、こんなに可愛い子をボロボロのままどこかに行かせるのはこちらがやるせないのでね、まぁゆっくりしていくといいですよ」

 

「そうよ~あなたの家だと思って気楽に過ごしてね?」

 

気がつけば、先程の黒いネコのアマネもラリカ達の部屋にやって来ていた。

 

「君、お昼御飯は?」

 

「ハッ!」

 

「ハッって言った!?今、ハッって言った!?」

 

「大丈夫よ~今ちょうど出来たところよ。だからあなた達を呼びに来たの」

 

「…ならいいんですが…」

 

「さっ!あなたもいらっしゃい♪ご飯は大勢で食べた方が美味しいんだから」

 

「そうですね、何をするにもひとまず腹ごしらえです。うちの妻の手料理を是非食べていって下さい。味は保証しますよ」

 

「保証以上の結果を出して見せるわ!!」

 

「決意表明はいいけどどうするつもりだい?…」

 

「あなたにいつもより美味しいと言わせて見せるわ!!」

 

「ほう、ならいつもとは違う味付けなのかな?」

 

「いつも通りよ!!」

 

グッドサインで満面の笑みを、アマネはエウスに向けていた。

 

「じゃあ無理なのでは!!?」

 

「プッ…フフフ」

 

二人のやり取りが面白く、肩の力が抜けたのか、ラリカは笑いをこらえず吹き出した。

 

「あら?あなたやったわ!この子笑ってくれたわ!!」

 

「そうだね、さっきまで今にも泣きそうな顔をしていたから少し心配していたので、少し安心しました」

 

「…私、そんな顔をしていましたの?」

 

「えぇ、でも今はもう大丈夫、さぁ!ご飯にしましょう。早くしないとせっかくの料理が冷めてしまいますよ」

 

「冷めたらその分、あなたが全部食べてね」

 

「温め直すだけでよくないかな!?」

 

三人は、食事をしながらこれまでの事について話していた。

 

「そうか…人間の友達が人間の王国に捕まったと…」

 

「それが、自分達の意思とは無関係に強制でやらされていたと言うのは…確かに許せないわね」

 

「……」

 

「ほーらっ、またくらい顔をしてるわよ」

 

「!…も…申し訳ありませんわ」

 

ラリカは無理矢理にだが、笑顔をつくる。

 

「うん!やっぱりあなたは笑顔の方が素敵よ」

 

「そうですね、今は辛いこともあるかもしれない。けど、君はその分幸せになる権利がある。だから、どんなに辛くても決して諦めないで下さい。きっと報われますから私たちのように」

 

「…はいですわ!」

 

「あら?あなた、ナンパ?まさかこの子にナンパ?」

 

「私の名言をチャラにしないでくれないかな?」

 

食事を終えて、一息ついていたラリカに、エウスは自分達の辛かったことを語りかけた。

 

「私たちもね、あったんですよ。とても辛いことが…」

 

「え?」

 

「女王の命令でね、自分の子供を卵の時にアースランドへと送りつけられました。一度も顔すら見られなかった…」

 

「そんな…」

 

「私と妻、そして、近くに住んでいる夫妻の方達は強く女王に反発しましてね。しかし、それが仇となり追放され、今はここに住んでいるというわけなのですよ」

 

「じゃあ、もしかすると…そのお子さんはもう…」

 

「あ、いえ、ちゃんと生きていると分かりましたよ」

 

ガタン!

 

あっけらかんと答えるエウスに、ラリカは座っていた椅子から転げ落ちてしまった。

 

「ううっ…じゃあ、何でそんな寂しげに話すんですのよ」

 

「辛いことには変わりなかったですからね。一度は、死ぬことも考えたものです。しかし、私は妻のあの元気に救われた。今を生きようと子供に会えるのを信じて生きてやろうと思えたのです」

 

「会えるといいですわね」

 

「…会えましたよ」

 

「え?」

 

「ん?あぁいえ、何でもありません」

 

「はぁ…」

 

「はぁ~疲れたわぁ」

 

家事を一段落つけたアマネが、ラリカ達のもとへやってくると、エウスの隣に座り話しに加わった。

 

「あら?ずいぶん顔色がよくなったわねあなた。これならもう大丈夫かもね」

 

「?…大丈夫?」

 

「あなた、ずっと不安だったんでしょ?エドラスに来てからずっと」

 

「!」

 

「でも、今こうやって落ち着いてみて、心も穏やかになった。だから不安も和らげることができたのね」

 

「…」

 

「いつまでもしょげてちゃダメよ!あなたは強いもの、だから飛んで行きなさい。友達の所に」

 

「ええ、あなたは飛べる。自信を持ちなさい」

 

二人に背中を押されたラリカは、何かが吹っ切れたように心を入れ換えた。

 

「そうですわね。いつまでも不安になっててもしょうがないですものね」

 

「お二人とも、ありがとうございましたわ。私はもう大丈夫ですわ」

 

「そうですか、ならば行きなさい。君の枷はもうとっくに外れているハズだ」

 

ラリカは家を飛び出すと、島から飛び降りた。

 

(エドラスに来てから魔法が使えなくなったのは、私に不安があったから、でも大丈夫、今の私なら…飛べる!)

 

ラリカは翼を出すことに成功し、空を飛ぶ事ができた。

 

(ありがとうございましたわ。お二方)

 

 

「……行ってしまいましたね…」

 

「…そうね……ぐすっ」

 

「よく、自分が母親だと言わずに我慢しましたね。アマネ」

 

「だって…そんなことをしたら、今度は私たちがあの子の枷になっちゃうから」

 

「…大きくなっていましたね…私たちの子は」

 

「えぇ…ホント」




オリキャラのエウスとアマネ、エクシードにして出してみました。全然違うキャラになっちゃったなぁ


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シャゴットの娘

とりあえず、書けるところまで書いたので投稿します!少しでも早く投稿できるように頑張らねぇと


空を飛ぶきっかけをくれたエクシード夫婦の二人に感謝しながら、王都へと向かうラリカの後ろから、ラリカを呼ぶ声が聞こえ、ラリカは思わず振り向いた。

 

「ラリカ~!!」

 

「?…ハッピー!!シャルル!!無事でしたのね!!」

 

「うん、ラリカも無事みたいでよかったわ」

 

「お二方、魔法を…ということはあなた達も原因が…」

 

「うん、私たちは、このエドラスで唯一魔力を持つもの、魔法が使えなかったのは心が不安定だったからってことに気づけたのよ」

 

「あい!おじさん達のお陰でね!」

 

「おじさん?…まぁ、いい人達に救われたみたいでよかったですわ」

 

「話しは終わりよ、今はウェンディ達を助ける為に急ぎましょ」

 

「あい!」「了解ですわ!」

 

三人は、肩を並べて全速力で王都へと飛んでいく。

 

その頃の王都では、国王を交えた魔戦部隊の隊長達が会議を行っていた。

 

「ぐしゅしゅしゅ、やはり言い伝え通り、アースランドの魔導士は、みな体内に魔力を持っていることがわかりましたぞ」

 

「ん~、まるでエクシードのようだなぁ」

 

「しかし、その魔力の量はエクシードの比になりません」

 

バイロの言葉に、全員が耳を傾けていた。

 

「では、あのルーシィという娘も、体内に魔力を持っているの?」

 

「でしゅなぁ」

 

「だったら、殺すのはスッゲー惜しいだろ」

 

「それはならん!!」

 

ヒューズの言葉を、アッサリと却下する国王、そして今度は国王に全員が耳を傾ける。

 

「エクシードのクイーンシャゴットより、抹殺せよとの命令が出ている」

 

「クイーンの命令ですか?」

 

「ん~、我々は、エクシードには逆らえん」

 

「んあー!!スッゲーもったいねぇよチクショー!!」

 

「それに、我々の技術力では、人体から魔力を抽出するのは、まだ不可能」

 

「では、滅竜魔導士の二人はどうする?」

 

「あれは人であり、人ではありません。実験が成功すれば半永久的の魔力が手に入るでしょう」

 

「おおっ!スッゲー!」

 

「スッゲーですね!」

 

「いいぞバイロ、すぐに始めろ」

 

「はっ!」

 

「万が一に備え、アースランドの魔水晶の魔力抽出も早々にやれ」

 

「わかりましゅた」

 

「一つよろしいですか?陛下」

 

これまでずっと黙っていたエルザが、国王に口を開いた。

 

「なんだエルザ」

 

「アースランドのリートはいかがいたしましょう。今のところ、クイーンシャゴットからも決定的な命令は下っておりませんが」

 

「やつは、この世界のリートと同じと考えると、まだ使い道はある。抹殺はせんが、それ以外は貴様に任せよう」

 

「ありがとうございます」

 

そして会議は終了し、会議室から隊長たちが出てきた。

 

「!隊長!!」

 

エドリートが、エドエルザに嬉しそうに駆け寄ってきた。

 

「会議、お疲れ様です。こちら、喉が乾かれているかと思い水をお持ちしました」

 

「ああ、すまんな」

 

エドエルザはエドリートから、水の入ったコップを受けとると、一気に飲み干した。

 

「なぁ、リート、オレ達の分はないのかよぉ」

 

「あるわけねぇだろクソヒューズ、欲しけりゃ自分で川からでも汲んでこい。なんでテメェらごときの為にオレが水を用意しなきゃならねぇんだ」

 

「うわっ!ヒッデー!スッゲーひでぇなお前」

 

「言ってろボケナス」

 

「ん~、いつにも増して、毒舌がキレてるねリート、そんなにアースランドの自分が弱かったのが気に入らなかったのかい?」

 

「さぁな、けど何かムカつくんだよあの野郎が」

 

「そんなことはどうでもいい、行くぞリート」

 

エルザは、興味の無さそうに前を歩いていった。

 

「?あの、隊長…行くって…どこにですか?妖精どもを狩りにでも行くんですか?」

 

「アースランドのルーシィのところだ」

 

 

「ハッピーとラリカ…そしてシャルルは、エクシードっていわれる種族だったんだ…この世界において、天使のような存在。その女王シャゴットが神、神の言葉は絶対で、人間を管理するのが仕事…その口が死を宣告すれば、その人間は死ななければならない……バッカバカしい!!どんだけ理不尽な掟よ」

 

牢屋の中で、この世界について考えているルーシィのもとに、エドラスのエルザとリートがやって来た。

 

「ほう、よく調べているな、この世界の事を」

 

「うちのバカヒューズよりよっぽど頭がキレますね。この女」

 

「!エルザ!!リート!!みんなは無事なの?」

 

「あぁ、全員無事だ」

 

エルザが無事と伝えると、ルーシィはホッと息をつく。

 

「はぁ…よかったぁ」

 

「テメェ、状況わかってんのか?今はお前が一番危険だってのに、仲間の心配してる余裕なんかねぇだろ」

 

「うん、そうだね…顔も、声も、アタシの知ってる二人と一緒だから、つい…気が緩んじゃって」

 

「アースランドの私とリート…か」

 

「リートは知ってるかもだけど、二人ともアタシ達の世界じゃ妖精の尻尾の一員なのよ」

 

「何!?」

 

「オレはともかく…隊長まで…?」

 

「リートもエルザも、強くて、かっこよくて、ちょっと怖いけど皆からすごく頼られてて…でもね、リートは皆のためになるならとても優しくなれるし、とっても可愛い恋人もいるし、エルザも甘いものが好きだったり、可愛い服が好きだったりスッゴく女の子っぽいの!!」

 

ルーシィは、とても嬉しそうに自分の世界の二人の事を話す。

 

「リート」

 

「はい」

 

「?きゃあ!!」

 

エルザの指示で、リートがルーシィの髪を掴んで牢の外に連れ出した。

 

「んあ…あ…くっ…」

 

「もう喋るな、悪いが私はお前の知ってるエルザじゃない」

 

「オレもだ、あんな雑魚と一緒にするんじゃねぇよ。このアマが」

 

ドサッ!

 

「きゃあ!!」

 

城の窓際に無造作に投げ捨てられたルーシィは、二人を見上げる。

 

「お願い!!力を貸して!!アタシは仲間を助けたいだけなの!!あなた達は確かに別の人かもしれない、でも、根の部分は同じ気がするんだ!!!あなた達は、人の不幸を笑える人間じゃな…「黙れ!!!」」

 

「ひやぁ!!」

 

エルザの叫びと共に、リートが槍をルーシィの手枷に引っかけ、窓の外に宙吊りにする。

 

「口うるさい女だ。そんなに死に急ぎてぇのか…ア"?」

 

「ちょ…ちょっとぉ」

 

「お前はここで死ぬんだ」

 

「エルザもリートも、無抵抗な人にそんなことはしない!!!!二人とも優しいんだ!!!そんな事するもんか!!!!」

 

ルーシィの必死な抵抗を、二人は鼻で笑った。

 

「フフッおめでたいやつだな。私は人の不幸など大好物だ。妖精狩りの異名通り、妖精の尻尾の魔導士を何人も殺し、ここにいるリートも、ギルド落としの異名通りに何人も殺させてきた」

 

「隊長が望むなら、オレは人殺しだろうとなんだろうと平気でやるぜ?それが、オレの望みだから」

 

 

「くうぅっ…」

 

ルーシィは、ショックで涙を浮かべる。

 

「エルザの顔で…リートの声で…二人の姿で…そんな事言うな!!」

 

「じゃあなルーシィ…やれ、リート」

 

「はい…あばよ」

 

ぐわっ!

 

リートは何の躊躇いもなく、ルーシィを城から落とした。

 

「きゃぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

 

「ルーシィ!!!」

 

城から落ちるルーシィの耳に、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

「ハッピー!!ラリカ!!シャルル!!」

 

それは、魔法で空を飛ぶハッピー達だった。

 

「エクシード?」

 

「なぜこんなところに…」

 

それを、城の中から見ていた二人が驚いていた。

 

 

「もう大丈夫だよ!!!オイラが助けに来たから!!!!」

 

ドカッ

 

「ふぎゅっ!!」

 

落ちるルーシィを助けようとしたハッピーだが、勢いをつけすぎて壁に衝突し、ルーシィはラリカとシャルルにキャッチしてもらい助かった。

 

「ありがとぉ」

 

「急いで飛んできたらあなたが城から落ちてるんですもの、ビックリしましたわ」

 

「あれ?あんた達、羽」

 

「心の問題だったみたい」

 

そこへ、先程壁にぶつかったハッピーが戻ってきた。

 

「えへへ、久しぶりで勢いつけすぎちゃった」

 

三人はそのままルーシィをつかんだまま、エルザとリートのいるところまで飛んできた。

 

「…これは……いったい…」

 

「…なぜ…エクシードが、その女を…」

 

「その女は、女王様の命令で、抹殺せよと」

 

 

「命令撤回よ」

 

「お待ち下さい、いくらエクシードでも、女王様の命令を覆す権限はないはずです。なぜあなた方がそんなことを…」

 

リートの疑問に、シャルルが答える。

 

「頭が高いぞ、人間」

 

「「!」」

 

「私を誰と心得る。私は、クイーンシャゴットの娘、エクスタリアの王女…シャルルであるぞ」

 

「「「「「!!?」」」」」

 

エルザとリートの二人は、急いでシャルルの前で膝をついた。

 

「「はっ!申し訳ありません!!」」

 

そして、隣にいたハッピー達は呆気にとられた顔をしていた。

 

「ウェン…三人の滅竜魔導士はどこ?」

 

「西塔の地下にふたり、その一つ上の階にもう一人」

 

「今すぐ解放しなさい」

 

シャルルの言葉に、二人は困惑する。

 

「それだけは、私とこの部下の権限では何ともなりません」

 

「いいからやりなさい!!!」

 

「ならば、僕がやります!!なので、どうか」

 

リートが動こうとした瞬間、城の奥から第一軍隊長のパンサー・リリーが走ってきた。

 

「エルザ!!リート!!その三人のエクシードは堕天だ!!!エクスタリアを追放された者どもだ!!!」

 

「!!何!!?」

 

 

「何あいつ!!?アンタの仲間!!?」

 

「違うと思う!!あんなゴツいやつ、エクシードにいなかったよ!!!」

 

「逃げるわよ!!」

 

シャルルは、ルーシィ達にそういうと、急いで逃げ出した。

 

「逃げるんですの!?」

 

「ちょっとアンタ、姫じゃないの!!?」

 

 

そのまま逃げ出した四人を、怒りの目で見るエルザとリート

 

「ぐうぅっ…おのれぇ」

 

「やろぉ…隊長を愚弄しやがって」




さて、続きを書こう…あ~疲れる。オリジナル書いてる方がよっぽど早く進むわ


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イクシーズVSジフレクト

どうも!ようやく本格的に戦わせられます。リートVSリート、ここはしっかりと書いていかねば


「ありがとう、三人とも」

 

ハッピー達に危ないところを助けてもらったルーシィは礼を言うが、言われたハッピー達の表情は暗かった。

 

「怒ってないの?」

 

「え?何を?」

 

「ルーシィ達が捕まったのは私達のせいですし…正直、恨まれてるとさえ思っていましたわ……」

 

シャルルとラリカの言葉を聞いたルーシィは、笑って答える。

 

「でも、こうして助けてくれたじゃない。ね?ハッピー」

 

「ごめんね、ルーシィ」

 

ハッピーも、罪悪感をずっと感じていたのだろう。ルーシィに謝っていた。

 

「だーかーらー、全然怒ってないってば…それよりアンタ、女王様の娘って方が驚きなんだけど」

 

「私もですわ。というか、なぜ黙っていたんですの?」

 

「オイラも知らなかった」

 

 

「ハッタリに決まってるじゃない」

 

「「「!?」」」

 

「騙されましたわ!!キィー悔しいですわ!!」

 

「別にラリカを騙そうとしたわけじゃないわよ…」

 

シャルルとラリカのやり取りを見ていたハッピーが、微笑みながら二人を見る。

 

「その顔何よハッピー」

 

「何かありましたの?」

 

「ううん、いつものシャルルとラリカだなって思って」

 

(あれ?今、ラリカ、ハッピーって…)

 

「うるさいわね。それより、早くウェンディとナツとリートを助けに行くわよ」

 

「そっか」

 

ルーシィは、何かを察して笑っていた。

 

「どこへ?」

 

「西の塔よ。その地下に三人が閉じ込められているって…なに笑ってんのよルーシィ!!」

 

「あ、別にぃ」

 

そうしている内に、ルーシィ達の視線の先に西の塔が見えてきた。

 

「あれじゃない?西の塔って」

 

ヒューーー

 

西の塔の近くまでやって来たハッピー達の後ろから、エクシードの近衛騎士団が追いかけてきていた。

 

「見つけたぞ!!堕天共!!!」

 

 

「うわぁぁ!!ネコがいっぱい!!!」

 

「空中はマズイわ!!地上に降りましょう!!!」

 

「シャルルちょっと待ったですわ!!!」

 

「地上にも敵が!!!」

 

前門の虎、後門の狼の如く、空中にはエクシード、地上では王国兵と、シャルル達に安全な場所などなかった。

 

「ルーシィ!!星霊魔法は?」

 

ルーシィは、手についたトリモチのような手枷をシャルルに見せる。

 

「このベトベトが魔法を封じてるみたいなの」

 

そして、城から国王がその光景を見ていた。

 

「これは一体何事だ」

 

「堕天を追って、エクステリアの近衛師団が攻めてきたようです!!」

 

 

 

 

「コードETD!!!発動せよ!!!!」

 

国王の命令で、兵士達が動き出す。

兵士達は、コードETDを理解しているようで、即座に持ち場についていった。

 

その様子に、隊長達は驚いていた。

 

「コードETD!!?」

 

「こんな時に!!?」

 

しかし、王国兵の準備は着々と進んで行く。

 

城の塀から、いくつものライトのような装置が空にいるエクシード達に向けられて行く。

 

「国家領土保安最終防衛作戦…発動か」

 

王国兵が、エクシードの近衛騎士団に意識を向けている内にシャルル達は建物の陰に身を潜めた。

 

「今のうちに、建物の中へ入るのよ!!」

 

「コードETDー!!発動!!」

 

1人の兵士が掛け声を出すと同時に、城壁に設置された機械からレーザーのような光が発射される。

そして、その光はエクシードの近衛騎士団に直撃した。

 

ぐわぁぁぁ!!

 

「何のマネであるか!!人間どもぉ!!!」

 

エクシード達が混乱しているうちに、シャルル達は城内へと入っていった。

 

「しまった!!堕天と囚人が!!西塔に向かうぞ!!やつらはそこにいくつもりだ!!」

 

エルザは、シャルル達の動きを見逃さず、何人かの兵士を連れてシャルル達を追いかける。

 

「リート!!お前も来い!!」

 

「もちろんです!!!」

 

エルザの背中を、リートもおいかけていった。

 

その頃、リートが閉じ込められている牢屋に異変があった。

 

「兵士の言ってた場所はこの辺か?」

 

「とにかく、この辺りをくまなく探すんだ。どこかにナツ達もいるハズだ」

 

 

「…この声……」

 

タッタッタッタ

 

リートの牢屋に、誰かが近づいてくる足音が聞こえた。

それにリートも気付いており、意識を牢屋の外に向ける。

 

「いた!!リート!!」

 

「?…グレイ?……は!?グレイ!!?」

 

リートの目の前にいたのは、なんとアースランドの…リートのよく知るグレイの姿があった。

 

「おまえ…どーして?…ってかどうやってここに?」

 

「細かい説明はあとだ」

 

「いたか!!?グレイ」

 

そして、その後ろからアースランドのエルザもやって来て、リートはさらに混乱する。

 

「エルザ?は?何で?」

 

「んな事いいから、とりあえずこれを飲め」

 

グレイは、掌に乗せた何かをリートの口に突っ込んだ。

 

「むぐっ…ゲホッゲホッ、何すんだよ!!」

 

「どうだ?魔法は使えそうか?」

 

「は?魔法って…ここじゃ使え…?!!」

 

リートは身体の異変に気がつき、自分の手を見つめた。

 

「魔力が…溢れてくる…」

 

「無事、リートも魔法を使えそうだな」

 

「グレイ、お前…オレに何を飲ませたんだ?」

 

リートはグレイを見てそう聞くと、グレイはポケットから丸薬の入った小瓶を取り出した。

 

「こいつだよ。エクスボールっつってな、どーやらこの世界で魔法を使えるようにする薬らしい。ガジルからもらったんだ」

 

「ガジル?アイツも来てんのか…ってか何でアイツがそんなもん持ってんだよ」

 

「ガジルはミストガンからエクスボールを貰ったとか言っていたな」

 

「ミストガン?」

 

「あぁ、そんなことより、お前も魔法を使えるようになったんだ。さっさとそんなところで抜け出して、ナツ達の救出に向かうぞ」

 

グレイは力付くで、檻をこじ開けようとするがビクともしない。

 

「…どいてろ」

 

「は?」

 

ピキィィン!!バキィィ!!

 

「うおっ!!?」

 

リートは檻を凍らせて粉々に砕くと、ゆっくりとその場から出てきた。

 

「へへっ、完全復活みてぇだな」

 

「あぁ、お前らのおかげだ。ありがとよ」

 

「お前達何を呑気に話している!!行くぞ!!」

 

エルザは、すでにナツ達を探そうと走り出していた。

 

「色々と聞きたいことはあるけど、とりあえず後回しだ」

 

「おう!!」

 

一方、肝心のナツ達は、既に別の場所へと移され、魔力を吸い取られている途中だった。

 

「ぐわぁぁぁ!!!」

 

「ナツさん!!!」

 

「ぐしゅしゅしゅ…やはり滅竜魔導士の魔力はしゅばらしい、これで竜鎖砲も使えるようになり、永遠の魔力を手に入れられる」

 

 

ナツ達のいた牢屋に到着したリート達だったが、ナツ達が居ないことを理解し、慌てて走り出していた。

 

「くそっ!!ちょっと遅かったか!!」

 

「とにかく、ナツ達を探そう!!」

 

「そーいや、ハッピー達はどこにいるんだ!!?」

 

「アイツらは別行動中だ!!大丈夫、無事だよ!!」

 

「そうか、なら急いでナツとウェンディを探すとしよう!!」

 

ドゴォォン!!

 

「「「!!!」」」

 

リート達の所まで聞こえた爆発音に、三人の表情は一気に険しくなった。

 

「マズイ!!」

 

「あぁ、城内で爆発音ってなると、誰かが戦ってる可能性が高い」

 

「今一番可能性がある人物…」

 

「ラリカ達だ」

 

 

 

そして、リート達の予想通り、ラリカ達はエドラスのエルザとリートに追い詰められていた。

 

「うっ…」

 

「「「ハッピー!!!」」」

 

既にボロボロの4人、そして、ボロボロのハッピーに槍を向けるリート

 

「お前らの悪運も、ここに尽きたな」

 

「手間かけさせんじゃねぇよ…ゴミが」

 

「くうぅっ…ウェンディを返して!!!」

 

「誰か…」

 

ペタッペタッ

 

「「!!」」

 

「はぁ…はぁ…」

 

エドラスのエルザとリートがシャルル達に槍を向けると、ハッピーが死にそうになりながらもシャルル達の前に立ち、二人を睨み付ける。

 

「シャルルと…ラリカは…やらせない!!…やらせないぞ!!!」

 

「ハッピー…」

 

「もう、限界ですのに…」

 

エドラスのエルザは槍を振り上げ、ハッピーに向ける。

 

「ふっ、ならばお前からだ!!!」

 

「「ダメェェェ!!!」」

 

エルザの槍が振り下ろされる瞬間、エルザ達の部隊の後方が凍りついた。

 

「なんだ!!!」

 

「てめぇら何してやがる!!!」

 

エドラスのエルザ(ここから、ナイトウォーカー)と、エドラスのリート(ここから、ジフレクト)は身構えて後方を確認する。

 

「何とか間に合ったか」

 

「おいこら、テメェら!!そいつらを、うちのギルドの者と知っててやってんのか」

 

「ギルドの仲間に手を出した者を、私達は決して許さない!!!」

 

 

「どうして、アンタ達が!!!」

 

「…ううぅ…リートぉ…」

 

 

「テメェら全員、オレたちの敵って事になるからよぉ…妖精の尻尾のなぁ!!!」

 

「リート!!グレイ!!エルザ!!」

 

「な…なんだ?…エルザさんが…もう一人」

 

「それに、あれはアースランドのリートさん…」

 

「あっちは、グレイ・ソルージュか!!」

 

「違う、アースランドの者どもだ!!」

 

「へぇ…あそこから出たってのか」

 

ルーシィ達は嬉しそうに、アースランドの仲間を見る。

 

「エルザ!!グレイ!!リート!!」

 

「よう、遅くなった」

 

リート(ここからは、イクシーズ)がラリカ達に歩みよろうとすると、ジフレクトが槍で道をふさぐ。

 

「待てよ。テメェ、オレにやられておいて、よくノコノコと檻から出てこれたもんだな?またボコボコにされてぇのか?あん?」

 

「…」

 

「?」

 

グン!

 

「!?」

 

イクシーズは、ジフレクトの槍を片手で引っ張ると、ジフレクトの重心が崩れ、その瞬間、顎にアッパーをくらわせた。

 

ドゴォ!!

 

「そーいや、そうだったな。テメェには借りがあったんだった」

 

天井に頭をめり込まされたジフレクトだが、すぐに天井から頭を抜いて、何食わぬ顔で地面に降りてきた。

 

コキッコキッ

 

「へぇ、前よりは強くなってるみてぇだな」

 

「少し黙ってろ」

 

イクシーズは、ゆっくりとラリカ達の前に歩み寄る。

 

「悪い、遅くなった」

 

イクシーズはラリカに微笑んでみせた。

 

「いえ…その…」

 

しかし、ラリカは罪悪感で押し潰されそうになっており、どうしても返事ができなかった。

 

「?どうした?」

 

「怒って…いませんの?」

 

「怒る?何に?」

 

「その…私達が裏切ったことに対して…」

 

「裏切る?いつ?誰が裏切られたんだ?」

 

イクシーズは、首をかしげて考えている。

そしてその姿を見たラリカは呆気にとられてしまっていた。

 

「誰も裏切ってなんかいねぇさ、今までもこれからも、オレは、妖精の尻尾を…家族を信じてるぜ」

 

リートは、ラリカの頭に手を置いて優しく撫でる。

 

「ううっ…うわぁぁ…あぁぁぁぁぁ!!!」

 

今までずっと我慢していたラリカが、ついに泣き出してしまった。

 

「テメェら!!魔水晶にされた仲間はどこにいるんだ!!!アァ!!」

 

グレイが地面を凍りつかせ、王国兵に攻撃を仕掛ける。

 

ぐわぁぁぁ!!

 

シュッ

 

グレイの攻撃を受ける兵士達の陰から、ナイトウォーカーが飛び出し、グレイに槍を向ける。

 

ガキィン!!

 

そこを、間一髪のところで、スカーレットがナイトウォーカーの槍を剣で受け止めた。

 

今度はナイトウォーカーの後ろからジフレクトが現れ、グレイに槍を向ける。

 

「死ね」

 

キィン!!

 

そして、今度はイクシーズがジフレクトの槍を氷を纏った拳で受け止めていた。

 

「やらせねぇよ」

 

 

 

「このやろぉ!!テメェらただじゃおかねぇからなぁ!!」

 

グレイ達が戦っている場所まで、ナツの声が聞こえてきた。

 

「ナツの声!!!」

 

「近くにいるのか!!!」

 

「きっとこの先に!!」

 

「ウェンディもいるはずよ!!」

 

 

「グレイ!!先に行け!!」

 

「ここは、オレたちが何とかする!!」

 

「あぁ!!」

 

グレイは、ルーシィの手枷を外し、ナツ達のいる場所へと走っていった。

スカーレットとイクシーズは、共にナイトウォーカーとジフレクトとのつばぜり合いを続けていた。

 

「まさか、リートだけではなく、私まで自分に邪魔されるとはな」

 

「妙な気分だな」

 

「私はエドラス王国魔戦部隊隊長、エルザ・ナイトウォーカー」

 

「私はエルザ・スカーレット、妖精の尻尾の魔導士だ」

 

 

「テメェともう一度こうやってやりあうとはな、今度は殺すぜ」

 

「誰が死ぬか、オレはお前を倒して、仲間達と共にアースランドに帰るんだ」

 

「隊長も名乗ったことだし、オレも名乗らせてもらうとしよう。オレはエドラス王国魔戦部隊副隊長リート・ジフレクト」

 

「リート・イクシーズ、エルザ・スカーレットと同じ、妖精の尻尾の魔導士だ」

 

 

「アースランドの私がどれ程のものか」

 

「魔法を使えるようになったテメェがどれだけ強くなったか」

 

「「見せてもらおう」」

 

 




さぁ、魔法も使えるようになったし、これでまともに戦わせられる


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エルザとリート

すいません。ちょっと…?いや、かなり短いです


「アースランドの私がどれ程のものか」

 

「魔法を使えるようになったテメェがどう変わったのか」

 

「「見せてもらおう」」

 

スカーレットとイクシーズは構えをとり、相手の攻撃に備える。

 

「行くぞ!!リート!!」

 

「はい!!隊長!!!」

 

 

ナイトウォーカーとジフレクトは、鎗を構えナイトウォーカーは高速で突進し、ジフレクトは鎗を伸ばして攻撃する。

 

音速の鎗(シルファリオン)!!!」

 

「伸蒼!!!」

 

二人の攻撃がぶつかる前に、スカーレットは横に回避し、イクシーズは身体を半身にして鎗をかわした。

 

「速い!!」

 

「けど、追える!!」

 

イクシーズはジフレクトの鎗を握り、自分のもとへと引っ張ろうとする。

 

「甘い!!」

 

ジフレクトは、鎗についたダイヤルを回した。

 

「重蒼!!」

 

ズン

 

「!!」

 

鎗が重くなり、一瞬の隙が出来たイクシーズに、ナイトウォーカーが迫ってくる。

 

「飛翔の鎧!!!」

 

ガキィン!!

 

「鎧が変化した途端…速度が上がった!!?」

 

イクシーズに近付くナイトウォーカーを、スカーレットが妨げる。

 

「ナイス、エルザ」

 

ピキィン!!

 

イクシーズは、握っている鎗と地面を凍らせて張り付ける。

 

「!?」

 

そして、鎗の上に乗りそのままジフレクトのもとまで走り出し、イクシーズはジフレクトの目の前まで行くと、氷を纏った足で顎を蹴り上げる。

 

「ごっ…」

 

「らぁぁ!!」

 

さらに、体制を崩したジフレクトにイクシーズは回し蹴りで顔面を蹴り飛ばした。

 

ドゴォォン!!

 

「まさか!!?リート(ジフレクト)がおされているだと!!!」

 

「よそ見をしている暇はないぞ!!!」

 

スカーレットとナイトウォーカーも、高速で動き回り戦いながらリートの戦闘を見ていた。

 

「くっ…」

 

キィィィン

 

ナイトウォーカーの鎗が変化し、スカーレットに矛先が向けられた。

 

真空の鎗(メルフォース)!!!」

 

「!!」

 

ドム!!

 

ナイトウォーカーは巨大な空気の塊を、スカーレットに向けて撃つ。

 

「くっ!!」

 

ズガガガガ!!

 

空気の塊をぶつけられたスカーレットは、後方へ吹き飛ばされいくつもの壁を突き抜ける。

 

「換装!?いや、武器の形を変化させているのか!!」

 

「リート(ジフレクト)!!」

 

 

ブワァ!!

 

「!!」

 

煙の中からジフレクトが現れ、片手でイクシーズの顔面を掴み、もう一方の手で自分の鎗を掴みとりダイヤルを回す。

 

「熱蒼」

 

「あつっ!」

 

ブォン!!!

 

イクシーズは鎗の熱に耐えきれず手を離してしまい、ジフレクトにスカーレットがいる場所まで投げ飛ばされてしまう。

 

ザザァー!!!

 

「隊長!!!」

 

ブォン!!

 

バシッ

 

ジフレクトは空中にいるナイトウォーカーに、自分の鎗を投げて渡し、ナイトウォーカーはジフレクトに自分の鎗を投げ渡して入れ換える。

 

「熱弾蒼!!」

 

今度は熱気の塊を、ナイトウォーカーは二人に向けて撃ち出した。

 

「任せろ!!」

 

イクシーズはスカーレットより前に出て、氷の壁で空気の塊を防ぎきる。

 

「すまんリート(イクシーズ)、助かった」

 

「無事ならよし」

 

イクシーズが氷の壁を解くと、目の前にジフレクトが迫ってきていた。

 

「「!!」」

 

爆発の鎗(エクスプロージョン)!!!」

 

ドゴォォン!!!

 

ジフレクトの攻撃で爆発の煙が上がり、辺りは煙で包まれ、その間にジフレクトとナイトウォーカーが自分の鎗を入れ換える。

 

「まだやつらはやられていない、気を引き締めろ」

 

「もちろんです」

 

煙が晴れるとスカーレットは炎帝の鎧に換装し、イクシーズは腕に氷を纏い防御していた。

 

「鎧と剣を同時に変化させる魔法なのか」

 

「やはり、隊長と戦いかたが似ていますね」

 

 

「エドラスの私は、武器の形状を変えるだけのようだな」

 

「身体能力向上してるところからして、おめぇと何ら変わらねぇじゃねぇか」

 

「エドラスのリートは、鎗その物の性質を変化させているのか」

 

「みてぇだな、厄介なのはアイツらがそれを連携して使ってくる所だ」

 

「あぁ、ここは私達も可能な限り連携していくぞ」

 

スカーレットの言葉に、イクシーズは目を丸くする。

 

「?何だ?」

 

「いや、オレお前と連携とったことねぇんだけど…」

 

「なら、この場で連携をとるだけだ」

 

「お前…結構メチャクチャな事言ってる自覚ある?ぶっつけ本番でなんてまともに動けるかどうか…」

 

「お前が合わせろ」

 

「もうやだこの人!!!」

 

そうして、話し込んでいる二人に、ジフレクトとナイトウォーカーが迫ってくる。

 

「仲間割れか?」

 

「だったらその隙に倒させてもらうとしよう」

 

ブォン!!

 

ナイトウォーカー達は鎗で凪ぎ払うが、イクシーズとスカーレットの二人はしゃがんでそれを回避する。

 

「氷竜の凍柱!!」

 

イクシーズは両手を突き出し、ジフレクトとナイトウォーカーに向けて氷の柱をぶつける。

 

「「ぐっ…」」

 

「飛翔・音速の爪(ソニッククロウ)!!」

 

氷の柱で視界を塞がれた二人に、スカーレットが追撃する。

 

「「かはぁ!!」」

 

そして、空中で体制を崩す二人を囲うように、前方を開けた氷のドームをイクシーズが作り出す。

 

「氷竜の建円からの…氷竜の」

 

「明星・光粒子の剣(フォトンスライサー)!!!」

 

「咆哮!!!」

 

ドームに向けて、イクシーズとスカーレットは、それぞれ遠距離攻撃を放ち、ドーム内で二人の攻撃が混ざり合い爆発をおこした。

 

ドゴォォン!!!

 

「ふっ、私達の連携も悪くないな」

 

「何でできてんだ?…」

 

爆発の煙が晴れ、煙の中からはガードの体制をとったナイトウォーカーとジフレクトの姿があった。

 

「隊長、ご無事ですか?」

 

「あぁ、やつらの連携も、中々あなどれんな」

 

「えぇ、まさかここまでとは」

 

「どうしますか?」

 

「いつも通りで行く、貴様もまだ戦えるだろう?」

 

「もちろんです」

 

ジフレクトの返事を聞いたナイトウォーカーが、ニヤリと笑って前を向く。

 

「ならば、行くぞ!!」

 

「はい!!」




もう少しオリジナルの展開にしていきたいなぁ…何とか頑張ってみます。


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永遠の魔力

遅くなりました。とりあえず続きはしっかり書いてちゃんと投稿していきますよぉ


「広場にあった魔水晶!!?」

 

「あぁそうだ。あれがちょうどオレとエルザだったらしい」

 

「うっそぉ!!?」

 

「二人分なのに、ずいぶんと規模が大きいですのね」

 

ナツ達を救出に向かうグレイは、ルーシィ達に今までの経緯を走りながら説明していた。

 

「でも、どうやって元に戻ったの?」

 

「ガジルが来たんだ」

 

「えええ!!!?」

 

「そっか…ガジルも滅竜魔導士だから、ナツたちみたいにアニマが効かなかったんだ」

 

 

「こっちに吸収されずにアースランドに残されたって事?」

 

「そして、ミストガンがガジルを送り込んだ」

 

「あいつ、何で自分はコッチに来ないわけ?」

 

「ミストガンもS級魔導士ですし、それなりに考えがあって動いているのですわよきっと」

 

「こっちの世界じゃ滅竜魔法はいろんな役割を果たすらしくてな、魔水晶にされたみんなを元に戻すこともできるんだよ」

 

「本当!!?」

 

「でしたら、早くその方法でみんなを元に戻さないとですわね」

 

「オイラ…みんなの魔水晶どこにあるか知ってるよ!!!」

 

ハッピーの言葉に、グレイは思わず足を止める。

 

「マジか!?ハッピー!!」

 

「あい!!」

 

「ガジルが今、その巨大魔水晶を探すって町中で暴れてる。ガジルを魔水晶のところまでつれていけるか?」

 

「ガジルなら、みんなの魔水晶を元に戻せるんだね」

 

「正確にはナツとリート、あとウェンディでも可能なハズだが…方法を知らねぇと思う」

 

「わかった!!オイラがガジルをあそこに連れてく!!」

 

ハッピーは、翼で城の窓から外に向けて飛び去る。

 

「ちょっと!!大丈夫なのハッピー」

 

ルーシィは不安そうにしていたが、シャルルとラリカは、ハッピーの事を信じていた。

 

「大丈夫よ」

 

「えぇ、ここに来てからのハッピーは、とても逞しくなってますわ。だから大丈夫」

 

「オレたちも早くナツとウェンディを見つけるぞ!!」

 

グレイ達は、ハッピーを見送り、また急いで足を動かす。

 

そして、階段を下りた先に、大きな扉が見えてくる。

 

「見て!!扉があるわ!!!」

 

「あそこか!!」

 

ガッ!!

 

グレイが扉を蹴破ると、中でナツとウェンディが魔力を吸収され倒れていた。

そして、既に魔力の抽出は終わったのか、バイロの姿はどこにもなかった。

 

「ナツ!!!ウェンディ!!!」

 

ルーシィ達は、倒れているナツ達に急いで駆け寄った。

 

「大丈夫か!!?しっかりしろ!!!ウェンディ!!!」

 

「ナツ!!しっかりして!!」

 

「二人とも意識がねぇ」

 

「ごめんね…ごめんねウェンディ」

 

グレイは、ズボンのポケットに入れていたエクスボールの入った小瓶を取り出して蓋を開ける。

 

「とりあえずエクスボールを飲ませるんだ!!コラナツ!!口開けろ!!」

 

「なにそれ?」

 

「オレたちはガジルからもらったんだが、お前はミストガンから貰ってねーのか?この世界で魔法を使えるようにする薬だそうだ」

 

ルーシィは、エドラスに来る前にミストガンからエクスボールを飲まされた事を思い出していた。

 

「そういえば何か飲まされたかも」

 

「リートもこれを飲んだからな」

 

「だから、リートは魔法を使えてたのね」

 

グレイは、強引にナツにエクスボールを飲ませる。

 

「ゲホッゲホッ」

 

エクスボールを飲んだナツは、意識を取り戻す。

 

「ナツ!!」

 

「おしっ、次はウェンディだ」

 

グレイは、すぐにウェンディにも同じように薬を飲ませる。

 

「ぶはぁー」

 

一通り咳き込んでから呼吸をあらげているナツに、ルーシィは声をかける。

 

「大丈夫?ナツ」

 

ゴッ!!

 

「!!」

 

「止めねぇと」

 

「止める?」

 

地面を殴り、目付きを鋭くさせるナツ、それをルーシィは心配そうに見ていた。

 

「んがぁーーーー!!!」

 

「!!?」

 

「ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

興奮気味のナツが、ルーシィ達をスルーしてそのまま部屋から出ていった。

 

「ナツ!!」

 

「おいテメェ!!」

 

そして、ウェンディもエクスボールを飲んで意識を取り戻した。

 

「ゴホッエホッ」

 

「ウェンディ!!」

 

「大丈夫か?」

 

ルーシィ達は、目を覚ましたウェンディに駆け寄る。

 

「シャルル…みんな…大変なの……ギルドのみんなが…王国軍は…エクスタリアを破壊するために、巨大魔水晶を激突させるつもりなの」

 

「「「「!!」」」」

 

「私たち妖精の尻尾の仲間を…爆弾代わりに使うつもりなんだ!!!」

 

そして、エクスタリアを知らないグレイに、ルーシィは、エドラスに来てから覚えたエクスタリアについてのことを説明する。

 

「エドラスには、空に浮いてる浮遊島があるの、みんなもいくつか見たでしょ?あれは、エクスタリアの魔力で浮いてるらしいわ。世界の魔力のバランスをとってるって、本に書いてあった」

 

「魔水晶にされた仲間も、その島の上にいるのか?」

 

「エクスタリアのすぐ近くにね」

 

「私も見たから、間違いありませんわ」

 

シャルルは、暗い顔で説明をする。

 

「今、私たちがいる王都上空に、エクスタリアと、魔水晶が浮いているのよ」

 

「その浮遊島に、滅竜魔法を当てることで加速させ、エクスタリアに激突させるのが、王国軍の狙いなんです」

 

「そんなことをして、一体どーなりますの?」

 

「エクスタリアの魔力と、妖精の尻尾の魔力がぶつかることで、弾けて融合し、永遠の魔力がこの国に降り注ぐって…」

 

「そんなことしたら、ギルドのみんなは!!!」

 

「消えちまう!!」

 

タッタッタッタッ

 

部屋の外から足音が聞こえ、グレイ達は即座に警戒する。

 

「誰か来やがった」

 

「敵?」

 

タッタッタッタッ

 

足音がどんどんと近づくにつれ、グレイ達は構えをとり臨戦態勢に入った。

 

「来るぞ!!」

 

「!」

 

 

 

「イヤァァァァァァ!!!!」

 

しかし、現れたのは先程走って部屋の外に飛び出していったナツで、グレイ達は、一気に気が抜ける。

 

「ナツかよ!!!」

 

ナツは、ものすごく怯えた表情で、騒いでいる。

 

「エルザとリートが二人いた!!何だよあれ!!ただでさえ、この世界にリートが二人もいて恐ろしいってのに、エルザまで増えるとか!!怪獣大決戦か!!?この世の終わりか!!!?」

 

「あ?」

 

ふと、ナツが横を見ると、グレイが呆れた顔をしてナツの事を見ていた。

 

「グレイじゃねぇか!!」

 

「締まらねぇし、落ち着きねぇし、ホントウゼェなお前」

 

「アースランドの、アタシ達の知ってるグレイよ」

 

「何!?」

 

「色々あってこっちにいるんだ。エルザとガジルもな」

 

「ハッピーは、魔水晶を止めに行ったわ」

 

「あれ?ホントだ!!グレイさんがいる!!」

 

どうやら、ウェンディもアースランドのグレイがいることに気がついてなかったようで、驚いていた。

 

「はぁぁぁぁぁ…」

 

「?今気がついたの?」

 

「うん」

 

グレイは、ショックでどんどんと暗くなっていく。

 

「おや?地下だから日が当たんねぇのかなぁ…自分の影が…薄く見えるぜぇ…」

 

「拗ねちゃった」

 

「もともと、あなたはそんなものじゃありませんの?」

 

「せめて慰めの言葉にしてくれ…」

 

ショックを受けるグレイを他所に、ナツは話しを進めていく。

 

「もしかして、お前らがオレたちを助けてくれたのか?ルーシィも無事だったんだなぁ!!」

 

「アタシの事も今気づいたんだ…」

 

「はっ!私ってば、一番最初に言わなきゃいけないことをぉぉ!!あ、ありがとうございます!!」

 

ウェンディは、助けてもらったお礼を言いつつ、ペコペコとグレイに頭を下げる。

 

「はっ…気にすんな」

 

「声…小さいですわね」

 

グレイに礼を言った後、ウェンディはシャルルの顔を見る。

 

「やっぱり、シャルルも私たちを助けに来てくれた」

 

ギュッ

 

ウェンディは、嬉しそうにシャルルを抱きしめた。

 

「ありがとう」

 

「……」

 

「どーでもいいけど服着ろよ。グレイ」

 

「うおっ!いつの間に!!」

 

「最初からだけどね」

 

「それでこそグレイですわ」

 

そして、ナツ達の準備が整ったところで、全員動き出す。

 

「おしっ!準備完了!王様見つけて、魔水晶ぶつけんの止めるぞ!!」

 

「「おう!」」

 

グレイとルーシィが先頭で走り出すと、ナツは慌てて二人を止める。

 

「待て!!そっちは怪獣が4匹もいる!!こっちだ!!」

 

「エルザとリートの二人は、放っておいて大丈夫?」

 

「あの二人だぞ」

 

「相手もだけどね」

 

「魔法が使えるようになったリートなら、あんなのケチョンケチョンですわ」

 

「だから、相手もだって…」

 

ナツ達が走っていくのを、ウェンディは黙って見送ると、ナツ達とは別納ルートに視線を向ける。

 

「シャルル、私たちはエクスタリアに向かおう」

 

「!?な、何で!!」

 

「王国軍の攻撃があることを伝えて、避難させないと!!」

 

「私たちは、その攻撃を止めるんでしょ!!」

 

「もちろん止めるよ!!絶対にやらせない!!それは、ナツさん達を信じてるから。でも!!王国軍は、他にどんな兵器を持っているかわからない!!万が一に備えて、危険を知らせなきゃ、私たちにはそれができるんだから!!!」

 

しかし、シャルルはどーしてもエクスタリアに戻りたくなかった。

 

「戻りたくない!!私、エクシードなんてどーなったっていいの」

 

「…人間とか、エクシードとかじゃないんだよ」

 

「…」

 

その頃、エルザ達もまた、激しい戦いを繰り広げていた。

 

「オラァァ!!」

 

ブォン!!

 

ジフレクトは、イクシーズに向けて鎗を凪ぎ払うように振るうが、イクシーズは背中を反らせて紙一重で回避する。

 

そのままイクシーズは、バク転の要領で後ろに飛び、片足に氷を纏ってジフレクトの顎を蹴りあげる。

 

ゴッ!!

 

「ぐっ…」

 

「氷竜の弾落」

 

蹴りあげたジフレクトの真上に、巨大な氷の塊を作ったイクシーズは、そのままジフレクトに向けて氷を落とす。

 

ズオオオオォ

 

「っち…一蒼!!!」

 

ジフレクトは、鎗を上に向けて全力の突きで氷を粉々に砕いた。

そして、砕けた氷の影からナイトウォーカーが現れイクシーズに向けて鎗を向ける。

 

「!!」

 

バッ

 

ガキィィン!!

 

イクシーズに鎗が届く前に、スカーレットが間に入り、剣でナイトウォーカーの鎗を防ぎ、つばぜり合いとなった。

 

「「エルザ(隊長)!!」」

 

「「ぜぁぁぁぁ!!!!」」

 

ガキィン!!キィン!!

 

二人は、剣と鎗をぶつけ合い、その衝撃で辺りの壁や床に切れ目ができる。

 

「あっぶね…」

 

「よそ見してんじゃねぇ!!」

 

「!」

 

イクシーズが、自分の近くについた切れ目に視線を向けた瞬間、ジフレクトが鎗を構えて迫ってきた。

 

ギリギリギリ

 

「!!?」

 

イクシーズが、ジフレクトの鎗に視線を向けると、ジフレクトの鎗は持ち手が捻れて異常な音を出していた。

 

(これは…マズッ!!)

 

「螺旋蒼!!!」

 

グワァァ!!!

 

ジフレクトが勢いよく突きだした鎗を、イクシーズはギリギリで半身になってかわす。

 

「甘い!!」

 

「!!」(捻れを戻す反動で…体が!!)

 

鎗の捻れを勢いよく戻しながら突きだした為、イクシーズはねじれに体を巻き込まれ後方に吹き飛ばされる。

 

「ぐぅぅ…」

 

吹き飛ばされたイクシーズは、空中で体制を何とか立て直す。

 

「まだだぁ!!」

 

ツルッ

 

「!?」

 

追撃を試みるジフレクトだったが、気がついた時には、自分の足場が凍っており、足を一瞬だがもつれさせてしまった。

 

「氷竜の陣円」

 

「こんな、小手先だけの…くだらねぇ足止めで…」

 

「氷竜の…柱弾!!!」

 

「!!」

 

イクシーズは、足をとられたジフレクトに向けて、氷の柱を投げつける。

 

ズドォォン!!

 

ズザァァ!!

 

何とか床に着地したイクシーズは、氷の柱をぶちこんだ、ジフレクトの立っていた場所を見る。

 

「…」

 

「リート(イクシーズ)!!上だ!!」

 

「!!」

 

ナイトウォーカーと戦い続けているスカーレットの呼ぶ声に反応したイクシーズは、自分の真上を見上げる。

 

すると、そこにはジフレクトが鎗を構えてイクシーズを狙っていた。

 

「伸蒼!!」

 

「っち!!」

 

イクシーズは伸びてくる鎗を真横に飛んでかわし、ジフレクトのいる場所を見る。

 

そして、ナイトウォーカーと戦っていたスカーレットが、イクシーズの所に戻ってきた。

 

「どうだ?やつは」

 

「あぁ…やっぱ強ぇな…生半可な攻撃じゃ全く通用しねぇしかも自分と同じ顔だ…やりずらいったらねぇ」

 

「だろうな、どの世界においても、お前を相手にするのは骨が折れそうだ」

 

「オレを厄介者みたいに言うのやめてくんない?」

 

そして、ジフレクト側も、ナイトウォーカーと肩を合わせてイクシーズ達を睨んでいた。

 

「リート(ジフレクト)無事か?」

 

「えぇ、しかし、流石別世界のオレ…やはり一筋縄では行きそうにないです」

 

「そうか、どうやらこちらも同じみたいだ」

 

「流石、別世界のとはいえ、隊長…なだけはありますね」

 

「どうしますか?」

 

「ここは、相手を入れ換えるぞ…できるな?」

 

ナイトウォーカーの提案に、ジフレクトはニヤリと笑う。

 

「もちろんです。任せてください。見た目と戦い方は隊長とほとんど同じとはいえ、所詮は別世界の人間…あなたでは無い限りやることは同じ…ぶっ殺します」

 

「フッ、ならば行くぞ!!」

 

「はい!!」

 

二人は勢いよく、スカーレット達に向かって飛び出していった。

 

そして同時刻ウェンディは、シャルルの説得を続けていた。

 

「同じ生きるものとして、出来ることがあると思うの」

 

(エクシードなんて…)

 

シャルルは、重たい顔を上げてウェンディをみつめる。

 

「私はずっとそばにいるからね。怖くないよ。ね?」

 

「…わかったわ」




螺旋蒼は鎗をねじって、突き出すと同時にねじれをもどし周りを巻き込む。

螺旋拳は冷気の渦を腕に纏って拳を突き出す。

名前は似てても原理は違いますね。


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魔水晶へ

ようやくそれぞれ相手が見つかってきました。そして、リート達の戦いもどんどん書いていきます。


グレイ達がナツとウェンディを救出した頃、ハッピーは外で暴れているらしいガジルの下へと急いで飛んでいた。

そして、ハッピーは暴れてるガジルを発見し、近くまで飛んでいく。

 

「ガジルーーー!!!」

 

「!ネコ!!無事だったか!!」

 

「オイラが魔水晶に変えられているみんなのところへ案内するよ」

 

ハッピーはガジルの背を掴み、一気に上空へと飛び上がる。

 

「おい、コラ…掴むんじゃねぇ!!」

 

「ねぇ、どーやって魔水晶を元に戻したの?」

 

ハッピーの質問に対して、ガジルはニヤリと笑う。

 

「ギヒッ、滅竜魔法で砕いてやったんだ」

 

「え!?それホントにあってるの?」

 

「ミストガンに言われた通りにやったんだ!!文句あんのかコラ!!!」

 

「ってか、ミストガンは来てないの?」

 

「知るか!!!」

 

そうこうしている内に、ハッピーは巨大魔水晶のところにまでたどり着いた。

 

「デ…デカ…」

 

「想像以上にデカいね」

 

遠目から見ていたので、今までハッキリしたサイズは分かっていなかったのだが、近くに来るとガジル達の身長の何十倍もあるサイズの魔水晶に、二人は驚愕する。

 

「ったく、世話のかかるギルドだぜ」

 

ぐぅぅぅ

 

ガジルの腹の音で、少しだけ気が抜ける。

 

「…帰ったら腹いっぱい鉄食わせろよ!!」

 

「頑張れガジル!!」

 

ガジルが、魔水晶に攻撃しようとしたその時、

 

ドゴォォン!!

 

「ぬぁぁ!!?」「わぁぁ!!」

 

空から大太刀で、ガジル達を攻撃する者がいた。

 

「誰だコラァ!!」

 

そこには、王国軍第一魔戦部隊隊長のパンサー・リリーが空に浮かんで二人を見下ろしていた。

 

「こいつは!!」

 

リリーの背中には翼が生えており、どう見ても筋肉質なエクシードの姿をしていた。

 

「王国軍第一魔戦部隊隊長…パンサー・リリー、この魔水晶は、今作戦において最重要拠点、やらせんぞ!!!」

 

リリーは大太刀を振りかざして、ガジルに襲いかかる。

 

「羽!?まさか、こいつエクシード!!?」

 

「下がってろ、ネコ」

 

ガジルは、腕を剣に変えて、空を飛んでいるリリーに向けて突き出す。

 

「鉄竜剣!!!」

 

しかし、ガジルの剣をリリーは軽々とかわし、大太刀を更に巨大化させて振り上げる。

 

「バスター!!マアーム!!!」

 

「ハァ!!!」

 

「!」

 

ズガガガガ!!!

 

リリーは、巨大化させた太刀をガジルのいた場所に向けて振り下ろし島の一部を切り落とした。

 

「なんだぁ…このバカデカい剣はぁ…」

 

太刀を振り下ろした風圧で吹き飛ばされるハッピー、そして、リリーの攻撃を、ガジルは横に飛んで回避していた。

 

「こいつ…」

 

 

「貴様に、このオレが倒せるか?」

 

その頃ナツ達は、国王を探して城内を走り回っていた。

 

「王様ってのはどこにいるんだ」

 

「そりゃ王様ってぐれーだから、偉そうな所に居るんだろうよ」

 

「偉そうな所ってどこだよ!!!」

 

「知らねぇよ、城なんて初めて入ったんだオメーもだろ!!!」

 

ナツとグレイの二人が、また喧嘩をはじめる。

 

「やれやれ…」

 

「こんな時まで何してますのかしら…」

 

「牢獄が高いところにあったり、中庭の形が複雑すぎたり…混線トリック型要塞のようで、どこか違う…城の構造概念まで、アースランドと違うんじゃ検討もつかないわ」

 

「?何言ってんだ?ルーシィ」

 

「要は広ぇ建築物だってことだろ?」

 

「そう」

 

「もしかしたら城内に遊園地とかあったりするかもしれませんわよ」

 

「だとしても、こんな調子じゃ驚きそうもないわ」

 

そして、ナツ達がその後も走り回ってたどり着いた先は…

 

「「!?」」

 

「「おぉぉぉぉぉ!!?」」

 

ナツとグレイは、前方を見上げて固まっている。

 

「何よぉ?」

 

「どーしましたの?」

 

後ろから後を追いかけてきたルーシィ達も、ナツ達と同じ方向に視線を向けた。

 

「え?」

 

「あら」

 

「えぇぇぇぇ!!!?」

 

視線の先には、先程話していた通り、遊園地があった。

 

「本当に遊園地ぃぃぃ!!?」

 

「ルーシィ、遊園地があっても驚かないんじゃありませんでしたの?」

 

「本当にあるなんて思ってなかったわよ!!!」

 

 

「オイ…ここの王様大丈夫か?…ウハッウハハハッ」

 

王様が大丈夫かどうかと訊いているナツの顔は、ものすごく嬉しそうだった。

 

「そのツラ見てると、スゲー気が合いそうだぞ」

 

「胸踊らせてますわね~」

 

コツコツコツコツ

 

ナツ達は園内へと入り、辺りを見渡しながらゆっくりと歩いていた。

 

♪~ ~

 

「「「「!?」」」」

 

ナツ達の近くにあったメリーゴーランドが、いきなり動きだし、全員がそちらに視線を向ける。

 

「ん~楽しいねぇ~はーっはっはー!!」

 

メリーゴーランドに一人の男が乗っており、そのままゆっくりと回っていた。

 

その男は、王国魔戦部隊の隊長の一人であるシュガー・ボーイだった。

 

シュガー・ボーイに視線を向けていたナツ達の後ろから、巨大な船の模型が迫ってくる。

 

ゴゴゴゴゴ

 

「「「「!?」」」」

 

慌てて模型を避けるナツ達は、船の上に、シュガーとは違う別の男が立っている事に気づく。

 

その男は、最後の魔戦部隊隊長、ヒューズであった。

 

「このスッゲー魔力がさぁ、この世界からもうすぐなくなっちゃうんだ。アンタらにその気持ち…分かる?」

 

「ん~オレ達は永遠の魔力を手に入れる。例え、どんな手を使ってもね」

 

「こっちは必死なんだよ」

 

ヒューズは、懐からタクトを取り出し構える。

 

「誰にも邪魔は、させねぇ!!」

 

その頃、エルザ達の勝負も先程以上に激しさを増していた。

 

ガキィン!!

 

「くぅぅぅ…」

 

「どーした?別の世界の隊長ならもっと頑張れよ」

 

ジフレクトの鎗を、スカーレットは必死で剣を使って防ぎ続けていた。

 

バッ!

 

「!」

 

「そらっ!」

 

ジフレクトは器用に鎗を使いこなし、スカーレットの剣を上に弾き胴体をがら空きにすると、そのままスカーレットの腹を蹴り飛ばす。

 

「カハァッ!!」

 

カチカチカチ

 

ジフレクトは、鎗についたダイヤルを回して構えをとる。

 

「熱弾蒼!!」

 

バッ!

 

ズドォン!!

 

ジフレクトがスカーレットに向けて熱の塊を撃ち込んだ。

 

 

「エルザ(スカーレット)!!」

 

「ハァァァッ!!」

 

ヒュン!!

 

スカーレットが圧されて思わず視線を変えたイクシーズに向けて、ナイトウォーカーが鎗をイクシーズの腹目掛けて突きだした。

 

しかし、イクシーズは突きだされた鎗を寸手の所で掴み大きく息を吸い込み、顔をナイトウォーカーに向ける。

 

「氷竜の咆哮!!!」

 

グォォォッ!!

 

ナイトウォーカーは、ブレスをぶつけられたまま後方へと飛ばされる。

 

「ぐっ!!」

 

封印の鎗(ルーン・セイブ)!!!」

 

ズパン!!

 

「はぁ!?」

 

ナイトウォーカーは、後方へ飛ばされながらも、鎗の形を変形させて、ブレスを切り裂いた。

 

「オレのブレスを、ぶったぎりやがった…」

 

音速の鎗(シルファリオン)!!」

 

「!!」

 

ナイトウォーカーは高速で動き、イクシーズに向かって行く。

 

「それはもう見切った!!!」

 

イクシーズは、片手を手刀の形に変えて氷を張る。

 

「氷竜の凍剣!!!」

 

ガキィン!!

 

「!!」

 

自分の後ろに回り込み、鎗で突き刺そうとしてくるナイトウォーカーに、イクシーズは氷の剣で防ぎきる。

 

「なるほど、さすがはアースランドのリートだ。実力はあるな、ますますお前が私の隊に欲しくなる」

 

「お断りだ。オレは妖精の尻尾のリート・イクシーズだ。それ以外の居場所はオレには必要ねぇ」

 

「フッ、強情な所もそっくりだとはな」

 

そして、ジフレクトも、先程蹴り飛ばしたスカーレットの居るであろう瓦礫に向けて鎗を構える。

 

「とどめだ!!伸蒼!!!」

 

ジフレクトの鎗は、瓦礫に向かってまっすぐと伸びて行き、瓦礫の中に突き刺さる。

 

「ッチ…」

 

瓦礫の煙が晴れると、そこにはスカーレットが剣でジフレクトの鎗をいなしていた。

 

「上手くかわしやがったか、さすがだな」

 

「お前は、私たちの知るリート程の実力は無いようだ」

 

「ア"?んだとコラ」

 

「私の知っているリートは、私なんかよりもずぅっと強い。この程度の私と張り合っているようでは、貴様はあそこにいるリートには絶対に勝てんと言ったんだ」

 

スカーレットが一通り言い終わると、ジフレクトの肩はフルフルと小刻みに震えていた。

 

「言いてぇことはそれだけか?」

 

「もういい…隊長と同じ顔だから手加減してやってたが、知ったことか…ここからは確実に仕留めてやる」

 

ジフレクトは鎗を元に戻すと、勢いよくスカーレットに向かって飛び出し、鎗を突き出す。

 

「コロスコロスコロスコロスコロス」

 

「ぐっ…」(怒りで理性を失ったのか)

 

「オラオラオラオラオラオラ!!!」

 

ジフレクトは、連続してスカーレットに突きを放つ。

 

キィンキンキンキィン!!

 

「ぐっ…くっ…」

 

スカーレットは必死でジフレクトの連続突きを防ぎ、一度距離をとる。

 

(パワーとスピードが上がったか…だが、その分攻撃が単調になっている…奴の弱点をつくならそこか)

 

スカーレットは、剣を構えてジフレクトを待ち受ける。

 

「死ねぇぇぇ!!!」

 

ジフレクトは、地面を強く蹴り、スカーレットに向けて飛び出した。

 

「…こっ…こだぁぁぁ!!!」

 

スカーレットは剣を振り、ジフレクトを切り裂いた…

 

ブォン!!!

 

「!!」

 

と、思われたのもつかの間、ジフレクトはギリギリでしゃがんでスカーレットの剣を避けていたのだ。

 

「こいつ!!」(まさか、キレたフリで単調になった攻撃をするフリをして誘い出したのか!!)

 

「へっ、死ね!!」

 

 

「させるかぁぁ!!!」

 

その光景を見ていたイクシーズが、突きを放つナイトウォーカーの攻撃をかわして、そのまま腕を掴みジフレクトに向けて背負い投げで投げ飛ばす。

 

「なに!?」

 

ドン!!

 

「!!隊長!!?」

 

ズザザザザー

 

ナイトウォーカーを受け止めたジフレクトは、そのままスカーレットとの距離をとらされる。

 

「すまんリート(ジフレクト)不覚をとった」

 

「いいえ、無事ならよかったです。隊長」

 

 

「エルザ(スカーレット)!!!合わせろ!!!」

 

イクシーズが、スカーレットの下に向かいながら声をかけると、スカーレットはイクシーズの言いたいことを察して巨人の鎧と鎗を換装し、構えをとる。

 

「行けるぞ!!リート(イクシーズ)!!!」

 

「「!!」」

 

「よしっ…氷竜の…」

 

イクシーズは大きく息を吸い込みナイトウォーカー達に狙いを定める。

 

「いっけぇぇぇ!!!」

 

「咆哮!!!」

 

スカーレットの投げた鎗と、イクシーズのブレスが合わさり、ナイトウォーカー達に向かって飛んでいく。

 

ズドォォォン!!!!

 

タッ

 

スカーレットの隣に並んだイクシーズは、エルザに拳を差し出す。

 

「うっし…やったな」

 

「あぁ」

 

スカーレットも拳を差し出して、二人は拳を軽く合わせた。




やったか!?…一応ここフラグ立てとこっと


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エルザの作戦

皆さんお久しぶりです。

五回ほど考えを修正を行い久しぶりの投稿に…過去最低記録更新…なんかすいません


「やったな」

 

「あぁ」

 

コツ

 

イクシーズとスカーレットが拳を軽く合わせたと同時に、土煙が上がっている場所から二人に向けて鎗が伸びてくる。

 

ズオォッ

 

「「!!」」

 

ガシッ

 

鎗に気づいたイクシーズが、慌てて鎗をつかみ取りそのまま後ろに押し込まれた。

 

「リート(イクシーズ)!!」

 

「くっ…」

 

ぶおおっ!!

 

「!!」

 

爆発の鎗(エクスプロージョン)!!!」

 

土煙からナイトウォーカーが鎗を構えたまま飛び出し、イクシーズに意識を向けているスカーレットに迫る。

 

「くぅぅっ…」

 

ボゴォォン!!!

 

即座に炎帝の鎧に換装したスカーレットは、ナイトウォーカーの鎗を防いだ。

 

重力の鎗(グラビティ・コア)!!!」

 

ズン!!

 

「なっ!!?」

 

スカーレットは受け止めた鎗に重さを感じとると、即座にナイトウォーカーから距離をとる。

 

「あの程度で私たちを倒せると思われていたとは、心外だな」

 

「そうか、それはすまなかった」

 

スカーレットは構え直して、ナイトウォーカーを睨み付ける。

 

「では、続きといこうか」

 

「あぁ」

 

 

「ぐぅぅ…」

 

鎗を掴んだまま後方へと押し流されるイクシーズは、鎗を手放し床に着地すると、片手に氷を纏い地面を蹴って勢いよくジフレクトのいるであろう場所に飛び出す。

 

「氷竜の…」

 

「硬け…!!」

 

イクシーズが殴ろうとした場所には、ジフレクトの姿はなく、鎗のみが残されたままになっていた。

 

「いな…「ここだボケ」!!!」

 

ジフレクトの声がした方へと振り向こうとしたイクシーズだが、それよりも前にジフレクトがイクシーズの脇腹を回し蹴りで蹴り飛ばす。

 

「ぐはぁっ!!」

 

「あまいあまい、あの程度でやられるほど柔な鍛え方はしてねぇんだよ。オレと隊長を侮ったな」

 

「ッチ、あのままやられてくれてたらよかったんだけどな」

 

「…お前も何気に口悪いんだな」

 

「テメェに言われたくねぇよ!!!」

 

ジフレクトは、壁に突き刺した自分の鎗を引き抜き、イクシーズに視線を向けた。

 

「まだまだ、勝負はここからだ」

 

 

そして同時刻、魔戦部隊隊長のヒューズとシュガーは、ナツ達の前に立ちふさがっていた。

 

「ん~牢に戻るか、ここで死ぬか」

 

「シュガー・ボーイ、やつらに選択権はいらねぇ」

 

「んだとコラ」

 

「ドラゴンの魔力の抽出は終わった」

 

ヒューズはタクトを構え、魔法を使おうとする。

 

「コードETDが成功すれば、滅竜魔導士はもう用済み。魔力の価値を知らねぇ地上人は、ここで死んでもらう!!!」

 

 

 

キィン!ガキィン!

 

ナツ達が戦闘を始めた頃、リート達の戦う場所では、武器や氷のぶつかる音が響き渡っていた。

 

「っち」

 

「くっ」

 

「うっ」

 

「はぁ!!」

 

現在は、スカーレットとジフレクト、そしてナイトウォーカーとイクシーズがそれぞれ戦っていた。

 

タッタッタッタッ!!

 

そして、そこに近づいてくる一人の足音に、四人は同時に気がつき、意識を足音のする方向へと向ける。

 

「はっはっはっ…ほ…報告します!!!…ってエルザ隊長とリート副隊長が二人!!?」

 

やって来たのは王国兵の一人であり、やけに慌てた様子であったが、エルザとリートが二人いることに驚いている様子から、2番隊の兵ではないことだけがわかる。

 

「戦闘中だ!!後にしろ!!」

 

「テメェも巻き込まれてぇか雑魚!!!」

 

「ひっ…い…いえ!これは陛下からの伝達であります!!」

 

ナイトウォーカーとジフレクトの威圧に圧されながらも、必死で耐えた兵士の言葉に、二人は耳を傾ける。

 

「陛下から…だと…?」

 

「トラブルか!!?」

 

「「もらった!!!」」

 

ドン!!

 

「「ぐはぁっ!!」」

 

スカーレットとイクシーズが、二人の隙を付いて攻撃すると、二人はそのまま壁に激突してしまう。

 

ガラガラ

 

「っち…クソが…こんな時に…オイ!!さっさと要件を説明しやがれ!!!陛下のお言葉なら話だけなら訊いてやる!!!」

 

ジフレクトは、兵士を睨み付けながら要件を問いただした。

 

「は…はい!!ココ様が竜鎖砲の鍵を陛下から奪い取り逃走!!!即刻、ココ様を捕らえ、鍵を奪還せよとの事です!!」

 

足を震わせながらも、必死に要件を伝えた兵士は、その場にいる理由もなくなり、一目散にその場から逃げ出していった。

 

「ココが…」

 

「…あのクソガキィ!!陛下の邪魔をするだけじゃなく、竜鎖砲の鍵を持って逃走だとぉ!!」

 

ジフレクトは、額に青筋を浮かべて槍を固く握った。

 

「リート(イクシーズ)!!聞こえたか!!?」

 

「あぁ、勿論だ」

 

兵士の言葉は、当然スカーレット達の耳にも入っていた。

 

(竜鎖砲…未だに、使用目的がわからねぇが、鍵があり、それを奪われたと言うことは、反逆をしようとしているやつがいるってことだ。そいつと手を組めば…うまく行けば、皆を元に戻せるかもしれねぇ)

 

(おそらく、エルザ(スカーレット)も同じ事を考えてるだろう…なら、どうやってそいつと接触するかだが…ナツ達を見つけ出して一緒に探す方が得策か)

 

イクシーズが、スカーレットの顔を見ると、スカーレットも同じ事を考えていたのか、イクシーズに目配せをしていた。

 

コクッ

 

コクッ

 

二人は同時に頷き、合図をおくった。

 

「あのやろぉ…こーなったら、さっさとコイツらをぶち殺して、あのガキを取っ捕まえて陛下の前に付き出してやる」

 

「リート(ジフレクト)!!聞いての通りだ!!私たちには時間がない!!早急に決着をつけるぞ!!!」

 

「はい!!」

 

二人は同時に前に飛び出し、鎗を同時に突き出した。

 

そして、スカーレット達はそれをいなしながら後手に回り部屋中を動き回る。

 

「リート(イクシーズ)…私に考えがある」

 

不意に、すれ違い様にスカーレットの言葉を訊いたイクシーズは、スカーレットと会話のやり取りを行う。

 

「考え?…それは、どのくらいの成功率だ?」

 

「おそらく、五分五分だ。だが、成功すればナツ達とも合流でき、うまく行けばそのまま竜鎖砲とやらも停められるかもしれん」

 

「…作戦は?」

 

スカーレットの考えを訊く事にしたイクシーズは、戦いながらスカーレットの案に耳を傾ける。

 

「ーーーー」

 

「??!!!」

 

そして、すれ違い様にスカーレットの作戦をイクシーズは全て聞き取った。

 

「…おい、ちょっと待て、その作戦…一番リスクがでかいのオレになるんじゃ」

 

「他に作戦を考えてる暇もない!いくぞ!!!」

 

「ちょっと待てぇぇぇ!!!」

 

イクシーズの言葉を無視し、スカーレットは高速で後ろに下がりイクシーズと背中をつけて向きを入れ換えると、ナイトウォーカーの鎗をスカーレットが、ジフレクトの鎗をイクシーズが受け止めるかたちとなった。

 

「なんのつもりだ」

 

「貴様の相手は、やはり私ではなくてはならんと思っただけだ!!」

 

スカーレットは飛翔の鎧に換装すると、ナイトウォーカーの隙を付き高速で動き、ナイトウォーカーの服を剥ぎ取った。攻撃ではない動きに呆気にとられたのか、ナイトウォーカーはアッサリと着ていた服を剥ぎ取られる。

 

「なっ!」

 

「隊長!!?」

 

「あーもう!!こーなったらとことん乗ってやるよ!!!」

 

スカーレットは、剥ぎ取った服をストレージにしまいこみ、そのまま走って部屋から出ていった。

 

「なっ!?」

 

「逃げた!!?」

 

スカーレットを追いかけようとする二人の前に、イクシーズが立ちふさがる。

 

「お前らの相手はオレだ。つーか、そっちのエルザは服を着ろよ…」

 

「フン!私は既に女を捨てた。この程度で恥ずかしがるようなことはない」

 

「うちのエルザは、まだ女までは捨ててねぇってのに…」

 

「安心してください」

 

ジフレクトが腰から、衣服を取り出し、高速でナイトウォーカーに服を着せた。

 

「…な…なんつー早業…」

 

「もしもの為に用意しといて正解でした」

 

「どんな想定してんだ…」

 

「いくぞ!!!」

 

「死ね!!!もう一人のオレ!!!」

 

二人は、同時にイクシーズに鎗を向けて飛びかかった。

 

「さーてと…とことんやってやらぁ!!!」

 




本来は、違うやり方でスカーレットはナイトウォーカーの鎧を手に入れたんだろうなぁって思いつつ、こんなやり取りしか思い浮かばなかったです。

ちょっとはナイトウォーカーに羞恥心をもたせてもよかったか?

因みに作戦は、スカーレットがナツ達を見つけ出し竜鎖砲を停めるまで、イクシーズ一人でナイトウォーカー達の足止めをするという作戦です。


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竜鎖砲

皆さんお久しぶりです。
とりあえず、久しぶりに続き書きました。


「アイツ マジ ユルサン」

 

スカーレットの作戦のせいで、ジフレクトとナイトウォーカーを、二人同時に相手をするイクシーズは、死に物狂いで戦い続けていた。

 

「はぁぁぁ!!」

 

「死ねぇぇ!!!」

 

二人がイクシーズに向けて鎗を突き出すのを、イクシーズは必死でいなし続ける。

 

「あっぶな!!」

 

「「っち」」

 

「舌打ち!?」

 

鎗をかわしたイクシーズだが、休んでる暇等なく、ジフレクトとナイトウォーカーの攻撃がイクシーズを襲う。

 

「爆発の鎗!!」

 

「一蒼!!」

 

ズドォォン!!!

 

二人の攻撃により、イクシーズの居た場所は土煙で何も見えなくなった。

 

「氷竜の…」

 

「「!!」」

 

二人が上を見上げると、イクシーズは飛び上がって攻撃を回避しており、攻撃の構えをとっていた。

 

「弾落!!」

 

二人の上から、巨大な氷の塊を落とすイクシーズ、だが、二人もそんなに安易にやられたりはしない。

 

「音速の鎗!!」

 

ギュン!!

 

(あめぇな)

 

バッ!

 

ナイトウォーカーは音速で、ジフレクトは後ろに飛んで氷の塊をかわした。

 

カチカチカチ

 

ジフレクトは、鎗についたダイヤルを回して構えをとった。

 

そして、ナイトウォーカーはイクシーズの後ろに回り込み、イクシーズの背中を蹴り飛ばす。

 

ドカッ!

 

「ぐっ…」

 

「熱弾蒼!!!」

 

背中を蹴り飛ばされたイクシーズの目の前に、ジフレクトが飛ばした熱の空気の塊が飛んでくる。

 

(マズッ)

 

ドゴォォン!!!

 

ズザァァァ

 

煙から出てきたイクシーズは、ボロボロの姿だったが、何とか無事だった。

 

「はぁはぁ…」

 

イクシーズは額の血を拭い、二人を睨み付ける。

 

(ちくしょう…やっぱり向こうに分があるな…ただでさえ、エドラスのオレと力が拮抗してるってのに、そこにエドラスのエルザまで加わってんだから…シャレになんねぇ、このままじゃジリ貧だぞ)

 

イクシーズはユラリと立ち上がり、拳に氷を張り直した。

 

(さっさとしてくれよエルザ…この作戦、そう長くは持たねぇぞ)

 

イクシーズは拳を握り、二人に向かって突っ込んでいった。 

 

 

 

 

「カギはどうした!!?起きろコラァ!!この顎野郎!!!」

 

「おいおい…オレが何持ってるか見えねぇか?」

 

イクシーズが戦っていた頃、ナツはヒューズを、グレイはシュガーボーイを倒して、ナツがシュガーボーイをたたき起こそうとしていた。

そして、竜鎖砲のカギはグレイによって破壊され、氷で新しい鍵を作り、現在はグレイの手に渡っていた。

 

「ま、とにかく大丈夫だ。少し事情が変わったがな。ルーシィは?」

 

「お?あーそうだ!挟まってる」

 

「…なんだそりゃ」

 

「それよりナツ!!このカギは使える!!仲間を…みんなを助けられるぞ!!」

 

「何!?」

 

グレイが自身の持っている鍵について王国がしようとしていることの説明をナツにし始めた。

 

「本来、奴らの狙いは竜鎖砲をワイヤーにして、エクスタリアにぶつけることだった。だが、滅竜魔法の濃縮された竜鎖砲を直接魔水晶にぶつければ…みんなを元に戻せる!!!」

 

「おぉーー!!!よくわかんねぇがそーゆーコトか!!!」

 

グレイの説明を全く理解していないナツだが、大丈夫なのだろうか?

 

「竜鎖砲はこの先だそうだ」

 

「よぉぅし、いくか!!」

 

二人は次に、竜鎖砲のある部屋に向かうことを決めた。

 

「だがひとつ、問題がある」

 

「?」

 

「その部屋に入る方法がねぇ…」

 

グレイが悩んでいるのを、ナツはあっけらかんと答えた。

 

「そんなの突き破ればいいだろ?魔法使えるようになったんだしよ」

 

「そうもいかねぇ、何でも…対魔専用魔水晶で作られていて頑丈に出来ているらしい」

 

「やってみなきゃわかんねぇだろ」

 

「まずは作戦だろ」

 

ガシャッガシャッガシャッ

 

「「?」」

 

二人の元にやってくる影、それは

 

「はぁ…はぁ…こんなところにいたのか」

 

「エルザ!」

 

「いや、待て!…コイツは…エドラスの!!」

 

エルザと合流できたと思い喜ぶナツを、やって来たエルザの服装に感づいたグレイが止める。

 

「ふっ」

 

「くそっ…てことは、おそらくリートも」

 

「オレ達のエルザとリートが…負けたのか!!」

 

ドカッ!

 

 

 

それから少しだけ時間が流れ、現在エルザはナツとグレイを引きずりながら竜鎖砲のある部屋の前にまでやって来ていた。

 

「ご無事でしたか!ナイトウォーカー隊長!ジフレクト副隊長と一緒ではないので?」

 

「どこが無事なもんか!ナイトウォーカー隊長がボロボロなんだぞ!ジフレクト副隊長もおそらく」

 

「そのお怪我は一体…どうなされたのですか?」

 

エルザを心配した兵士達が、エルザの元に駆け寄ってくる。

 

「大したことはない」

 

「その者達は…?」

 

「竜鎖砲の鍵だ」

 

「か…カギ?」

 

困惑する兵士をよそに、エルザは話しを続ける。

 

「陛下は中か?」

 

「はっ!どうぞ」

 

兵士が、エルザの前で門を開けると、エルザは堂々と門をくぐって部屋に入っていった。

 

「すべての準備は整った…永遠の魔力は、目の前に」

 

部屋に入ってきたエルザに、国王は話しかける。

 

「エルザ、カギを持ってきたというのは真か?」

 

「破壊されたようですが、ご安心を」

 

エルザは縛って引きずってきていたグレイを、目の前に放り投げる。

 

「ぐぅっ!」

 

「コイツが鍵を作れます」

 

「くそっ」

 

「こやつは?」

 

「アースランドの魔導士です。滅竜魔導士の仲間ですよ」

 

「まさか広場の魔水晶が消えたのと関係が」

 

「その通りです」

 

「まぁよい!!さっさと竜鎖砲を起動させろ」

 

エルザはナツの首元に剣を突きつけて、グレイに命令する。

 

「立て氷の魔導士、妙なマネはするなよ。竜鎖砲を起動させるんだ」

 

フラフラとしながらも、グレイは竜鎖砲本体に視線を向ける。

 

「こいつが…竜鎖砲」

 

(想像してたのとはずいぶんちげぇみてぇだが…どうやらエライ大仕掛けのようだな)

 

「早くしないか」

 

(チャンスは一度だ…)

 

グレイは氷の鍵を一瞬で作り出した。

 

その光景に、エドラスの者達が声をあげる。

 

「おぉぉ…」

 

「ったく、見せ物じゃねぇっての」

 

グレイは氷で作り出した鍵を、竜鎖砲の鍵穴に差し込んだ。

 

(起動したら素早く照準を変えて、竜鎖砲を魔水晶に直接ぶちこむ。そうすれば、オレ達の仲間を救える!!)

 

「よし!!いいぞ」

 

グレイは竜鎖砲の照準を変えるため、そのための装置を起動準備が整うまでに必死で探している。

 

(照準はどうやって変える!!?どこだ!!?)

 

「撃てーい!!!」

 

「…ここまでだ」

 

「ナツ!!!!」

「おう!!!!」

 

竜鎖砲が撃たれる直前に、エルザがナツの縄を切り、呼び掛けた。

 

「火竜の翼撃!!!!」

 

縄から放たれたナツが、王国兵士を相手に暴れまわる。

 

「ぐわぁぁぁ!!」

 

「うわぁぁ!!!」

 

「これは一体…!?」

 

ガシッ!

 

「!?」

 

「発射中止だーーっ!!!」

 

エルザが国王を捕らえると、その首元に剣を押し当てた。

 

「エルザ…貴様!!何のマネだエルザ!!!」

 

すると、エルザが換装し、スカーレットの服装に…鎧姿へと変わった。

 

「私はエルザ・スカーレット。アースランドのエルザだ」

 

「悪ぃ危なかった。機転を利かせてくれて助かった」

 

「かっかっかっ!!!これぞ作戦D!!騙し討ちのDだ!!!」

 

エルザは、国王を人質に兵士に指示を出す。

 

「照準を魔水晶に合わせろ」

「言う事を聞くな!!!今すぐ撃て!!!」

 

国王が人質になったことにより、兵士達は困惑していた。

 

「ひきょーだぞテメェら!!!人質をとるなんて!!!」

 

 

「それがどーした」

 

「オレ達は仲間の為なら何だってするからよぉ」

 

「早くしないか」

 

 

「くそぉ…」

 

どうするのが正しいかわからず困惑する兵士達だったが、とうとう、兵士の一人が声を上げた。

 

「やれ!!陛下が危ない!!!」

 

「ワシなどよい!!!撃て、エクシードを滅ぼす為に!!!」

 

国王は声をあげるが、兵士達は着々と照準を変える準備をすすめる。

 

「照準変更!!巨大魔水晶に!!!」

「バカモノがっ!!!永遠の魔力をフイにする気か!!!」

 

ドガァァン!!!

 

!?

 

竜鎖砲の照準を合わせた瞬間、天井が突き破れ、上から傷だらけのイクシーズが落ちてきた。

 

「「「リート!!!」」」

 

「っつー…あれ?ナツ、グレイ、エルザ」

 

「何をしている!!!もう少し奴らを足止め出来なかったのか!!!よりにもよってこんなところまで引き連れて!!!」

 

「テメーが勝手に作戦決めて、オレの了承も得ずに突っ込んで行ったんだろーが!!!むしろここまで耐えたことの方がスゲーとかねぇの!!?」

 

スカーレットとイクシーズが言い争っている内に、ナイトウォーカーとジフレクトが飛び込んできた。

 

「スカーレットーー!!!」

 

「イクシーーーズーー!!!」

 

「ゲッ!!もう来た」

 

ナイトウォーカーはスカーレットに、ジフレクトはイクシーズに向け鎗を向けて突撃し、二人は剣と氷で防御する。

 

「ナイトウォーカー!!ジフレクト!!」

 

「お前らしつけぇーー!!!」




あまり言えることもなし!でも、書くのを諦めた訳ではないんです。


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皆で止める

久々なので肩慣らし程度に、アニメの終わりのところまでですが書きました。いい加減エドラスを終わらせて、温めに温め続けたオリジナル作品出さないと…


「陛下の拘束が解けた!!」

 

「今だ!!照準を元に戻せ!!!」

 

「マズイ!!!」

 

ナツ達が作戦を決行し、国王を人質に取るまでは成功したのだが、ナイトウォーカーとジフレクトの乱入により、作戦は失敗してしまう。

 

「ナイトウォーカー…こんなときに」

 

「まだ終わってないぞ!!スカーレット!!!」

 

「くそっ!よりによってここに来ちまった」

 

「どうやら運はオレたちに味方しているようだな」

 

「撃てぇぇぇい!!!ハッハッハッハッハ!!!」

 

拘束から解放された国王が指示をだすと、竜鎖砲は魔水晶に向けて発射された。

 

グオオオォォ!!!

 

ズドォン!!!

 

「うおっ!?何だ!!?」

 

竜鎖砲が魔水晶に突き刺さるのを、魔水晶の上で戦っていたガジル達も気づく

 

「フン、竜鎖砲が接続された」

 

「チッ!間に合わなかったか」

 

ハッピーは、翼で魔水晶の周りを確認する。

 

「うわぁ何だこれーって!デカイの刺さってるよ!!」

 

その間にも、竜鎖砲は魔水晶にどんどんと深く突き刺さっていく。

 

「うわぁ…た、大変だ」

 

 

「接続完了!!」

 

「エクスタリアにぶつけろぉ!!!」

 

国王の指示で竜鎖砲が動く。

 

「「やめろぉぉぉ!!!」」

 

ズドォン!!

 

「!?」

 

竜鎖砲が動き出した瞬間、また新たに城を破壊して侵入する者が現れた。

 

「みんなー!」

 

ドスン!

 

侵入してきたのは、巨大なレギオンという空を飛べる生物だったのだが、そこから何故かルーシィの声が聞こえる。

 

「みんな!乗って!!」

 

「ルーシィ!?」

 

「どこだ!!?」

 

「また変なのが来た…」

 

「お前、こんな姿になっちまって」

 

「ごちゃごちゃ言ってないで早く乗って!!」

 

レギオンの頭から視覚で隠れていたルーシィが顔を出す。

 

「私もいますわよ!!」

 

そして、その後ろにはラリカも乗っていた。

 

「レギオンだ」

 

「何でこんなところに…」

 

いきなり現れたレギオンに、王国兵達も困惑する。

 

「なぜ、あの小娘がレギオンを」

 

「私のレギオンです」

 

そう言ったのは、ルーシィと同じレギオンに乗っていた、王国魔戦部隊のココだった。

 

「ココ」

 

ナツ達はレギオンに乗ると、レギオンは空に浮かび上がる。

 

「コイツで止められんのか?」

 

「わかんない、でも行かなきゃ!!」

 

「やれることは全部やりますわよ!!」

 

「おう!」

 

ワー!!ワー!!

 

ビュン!

 

「「「!?」」」

 

王国兵達が騒ぐ中ジフレクトだけが、勢いよく地面を蹴りあげレギオンより高く飛び上がる。

 

「クソガキィィィ!!!」

 

ヒュン!

 

ガシィ!

 

ジフレクトは裏切り者であるココを狙って鎗を向けたが、ジフレクトが攻撃する前に、イクシーズがレギオンから飛び上がり空中で鎗をつかんで攻撃を止める。

 

「氷竜の…」

 

イクシーズは、足に氷を纏う。

 

「鉤爪ぇ!!!」

 

ドゴォ!!

 

「がはぁっ!!」

 

ガラガラ

 

イクシーズは、ジフレクトを地面へと蹴り落とすと、即座にレギオンの背中に戻った。

 

そして、レギオンは空へと飛んでいった。

 

「スカーレットォ」

 

ナイトウォーカーは、ただ黙ってその光景を目にする。

 

バサッ!

 

ヒィィィ…

 

ナイトウォーカーは自分の鎗で髪を切り落とす。

 

「いつまで寝てるつもりだリート!!奴らを追うぞ!!!」

 

ガラガラ

 

瓦礫から出て立ち上がったジフレクトも、鋭い眼光を向けてナイトウォーカーの指示を受ける。

 

「はい、もちろんです」

 

「第二魔戦部隊レギオン隊!!全軍出撃だ!!!隊長の足を引っ張るんじゃねぇぞ!!!」

 

『はい!』

 

「ワシも行こう、ドロマアニムを用意せい」

 

ザワザワ

 

国王が言ったドロマアニムという言葉に、兵士達はざわつきだす。

 

「あ…あれは禁式です。王国継承第23条で固く使用を禁じられ…」

 

「用意せい!!!」

 

レギオンに乗ったナツ達は、急いで魔水晶の元へと向かう。

 

「うおぉぉぉ!!!急げぇぇ!!!」

 




か…肩慣らしですよ?なので、こんなに短いんです


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王子

よしっ、かーけたっと


「急げぇぇ!!!ぶつけるわけには、いかねぇんだ!!!」

 

レギオンに乗って魔水晶に向かうナツ達

 

ギャオオオ!!!

ズドォン!

 

なんとか、魔水晶がエクスタリアにぶつかる前に、レギオンが間に入り込み体当たりすることには成功したが、それでも魔水晶が止まる気配はない。

 

「頑張ってレギピョン!!!」

 

「ダメだ、全然止まる気配がねぇ!!!」

 

「私たちも、魔力を解放するんだ!!」

 

「こいつだけは止めねぇと!!」

 

「お願い…止まってぇー!!!」

 

レギオンに乗っていたナツ達も、魔水晶を止めようと体をぶつける。

 

「うおぉぉぉ!!!とまれぇぇ!!!」

 

「ナツーー!!!」

 

魔水晶にいたハッピーも、ナツ達のもとへやってくる。

 

「…オイラ…あのさぁ…」

 

今回の一件から、まだ顔を会わせられていなかったハッピーはナツになんて言葉をかければ良いか言葉につまる。

 

「あぁ?手伝えよ、相棒」

 

「…アイサーー!!!」

 

ナツが怒ってなどいなかった事に安堵したハッピーは、ナツ達と一緒に魔水晶を押し返すのを手伝う。

 

「ラリカァ!!!頼む!!!」

 

「大声出さなくても聞こえてますわよ!!!」

 

そして、ラリカもリートの声に答え、一緒に魔水晶を押し始めた。

 

しかし、それでも魔水晶は止まらない。

 

「ダメだ、ぶつかるぞ!!!」

 

「諦めんな!!!ここで一人でも欠けたら、それこそ終わりだぞ!!!」

 

「うおぉぉぉぉぉぉ!!!まだだ、諦めんなハッピー!!!」

 

「アイサーー!!!」

 

もはや、エクスタリアとほぼ接触してる状態の魔水晶だが、ナツ達の踏ん張りでなんとか持ちこたえている状態だ。

 

タッ

 

「ガジル!」

 

そこへ、先程までリリーと戦っていたガジルも魔水晶押しに加わる。

 

「なぜ私たちのように、みんなを魔水晶から元に戻さんのだ!!早くしないか!!」

 

「黒猫が邪魔すんだよ!!!」

 

「どちらにしろ、今からじゃ時間がかかりすぎる」

 

「止めるしかない、ってか絶対止めるんだからぁ!!」

 

「意地でも止めんぞラリカ!!ここで倒れてもいいから全て出しきれ!!」

 

「言われるまでも…ありませんわよ!!!」

 

 

「ココ!?なぜお前まで!!」

 

魔水晶の上にいたリリーが下を覗くと、そこにはナツ達と共に魔水晶を止めるココの姿があることに気がつく。

 

「リリー!私、気づいちゃったんだ、永遠の魔力なんていらない。永遠の笑顔がいいんだ」

 

「なんてバカな事を!!!早く逃げろココ!!!この島は、何があっても止まらないんだ!!!」

 

「そんなこと…誰が決めたよ…」

 

「止めてやる…体が砕けようが、魂だけで止めてやる!!!」

 

「魂だけでは無理ですわよ!!?」

 

「弱音吐くな!!!」

 

「鬼ぃ!!」

 

それでも、少しずつだが、魔水晶のぶつかる衝撃でエクスタリアの外壁が崩壊し始める。

 

「うおぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

「…潰されそう」

 

「ギィッギッぐぉぉっ」

 

「踏ん張れぇ!!」

 

「ぐっ…オオオオォォォォ!!!」

 

「何としても止めるんだ!!!」

 

キィィィン!!

 

ドン!!

 

「くぅぅっ」

 

魔水晶を止めるナツ達の元へ、シャルルが飛んで助けに来てくれた。

 

「「シャルル!!」」

 

「私は諦めない、妖精の尻尾も、エクスタリアも…両方守って見せるんだからぁ!!!」

 

 

ウオォォォォ

 

「!?」

 

そして、そこに、エクシードのナディがやって来て一緒に魔水晶を押し返そうとする。

 

「アンタ」

 

「ボキュも守りたいんだよ…きっと…みんなも」

 

ワアァァァ!!!

 

「これは、どーゆーことだ!!?」

 

「あの光は」

 

そして、エクスタリアから、ウェンディを筆頭に次々とエクシード達が魔水晶に向かって飛んでくる。

 

「ウェンディさん!シャルルさん!さっきはごめんなさい!」

 

「皆!今はこれを何とかしよう」

 

ウワァァァ!!!

 

次々に魔水晶を止めに来るエクシード達、この瞬間、エクシード達の心が一つになった。

 

「うっ…」

 

そして、魔水晶に向かう女王のシャゴット、彼女は翼が片方しかなく飛びかたがぎこちなかったが、とうとう体を支えられず墜落してゆく。

 

「女王様!!」

 

ガシッ

 

「!?」

 

そこを受け止めたのは、先程までナツ達を見ていたリリーだった。

 

「リリー!」

 

「女王様…嘘をつくのに、疲れたのかい?」

 

「…ごめんなさい。私」

 

「…オレもさ…」

 

「!」

 

「どんなに憎もうとしても、エクスタリアはオレの国なんだ」

 

そういうリリーの目からは涙がこぼれていた。

 

「リリー…」

 

「けど、もう無理だ。これだけのエクシードが束になってもこいつは止まらねぇ…皆すまねぇ!!!オレのせいだぁ!!!オレなら止められた…人間達を、止められたんだぁ!!!」

 

「思いは…きっと届くわ!!!」

 

 

「とぉまぁれぇぇぇ!!!」

 

それでも、ナツ達とエクシード達は絶対に諦めない。

 

アイサーーー!!!!

 

ズドォォン!

 

そしてついに、魔水晶を押し返すことに成功した。

 

「魔水晶が押し返されていく」

 

すると突然、魔水晶が光だし、突風がみんなを吹き飛ばす

 

「何!?」

 

そして、光が収まった頃、全員は魔水晶のあった場所に視線を移す。

 

「シャルル…」

 

「あれを見て」

 

「これは…」

 

そこには、魔水晶はもうなく、残った岩や竜鎖砲も光の粒子となって消えていく。

 

「魔水晶が…消えた」

 

「竜鎖砲の鎖も…どうなったの?」

 

 

 

「アースランドに帰ったのだ」

 

 

皆が困惑する中、白いレギオンとそれに乗ったミストガンがやって来た。

 

「ミストガン!」

 

「おせぇよ…ったく」

 

「すべてをもとに戻すだけの巨大なアニマの残痕を探し、遅くなったことを詫びよう。そしてみんなの力がなかったら間に合わなかった。感謝する」

 

「ってことは…」

 

「やりましたわね!!!」

 

「魔水晶はもう一度アニマを通り、アースランドで元の姿に戻る。全て終わったのだ」

 

その言葉を聞いた全員が、その場で安堵した。

 

「やったのか!!」

「オレたち、エクスタリアを守れたのか!!」

 

ウオオオオォォォ!!!

 

「リリー、君に助けられた命だ。君の故郷を守れてよかった」

 

ミストガンは顔を覆っていた布を取り、リリーの顔を見る。

 

「えぇ、ありがとうございます…王子」

 

「王子が帰ってきたよぉ」

 

 

「「王子!?」」

 

「あらビックリ」

 

 

 

「何が終わったって?クソ猫」

 

「!」

 

ドスッ!!

 

「ぐぁぁぁぁ!!!」

 

皆が安堵していた一瞬の隙をつき、リリーの後ろにジフレクトが現れ、リリーの背中を鎗で貫く。

 

「黒猫ぉ!!!」

 

「「「「!!」」」」

 

「リリーーー!!!」

 

ズブッ!

タッ

 

鎗を引き抜いたジフレクトは、リリーの背中を蹴り、王国兵達が乗るレギオンに飛び乗り、そこにはナイトウォーカーも乗っていた。

 

「まだだ!!!まだ終わらんぞぉ!!!」

 




多少の違いはやっぱりほしいっすよねぇ、ッてなわけで本来撃ち抜かれるリリーはジフレクトに貫かれてもらいました


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ドロマ・アニム

書けたので、即投稿!誤字とかあれば教えてもらえると助かります


「へっ!裏切り者が、ザマァねぇな」

 

「所詮は堕天、元エクシードだ。王に救われた恩を忘れ、刃を向けるとはな」

 

「!?向こうのエルザとリート!」

 

ナイトウォーカーとジフレクトは、落ちていくリリーを見下ろしていた。

 

「ぐっ…ジフレクト…」

 

「うわーんリリー!」

 

「あの野郎、よくも!」

 

 

「スカーレットォ!!!」

 

「イクシーズ!!!」

 

 

「ナイトウォーカー…」

 

「いくぞ、ラリカ」

 

「はいですわ」

 

「まて、エルザ、リート」

 

ナイトウォーカーとジフレクトは、スカーレットとイクシーズに目をやり、二人がそれに反応したが、そこをミストガンが止める。

 

「エドラス王国の王子である私に、刃を向けるつもりか!エルザ・ナイトウォーカー!リート・ジフレクト!」

 

「王子!?」

 

「聞き違いじゃなかったんだな」

 

 

「フハハハハハ!王子だと?笑わせるでないわ!!ワシは貴様を息子などとは思っておらん。七年も行方を眩ませておいて、よくおめおめと戻ってこれたものだ」

 

「王様の声だ」

 

「え!?どこにいるの?」

 

「貴様がアースランドでアニマをふさいで回っていたのは知っておるぞ。売国奴め!お前は自分の国を売ったのだ」

 

「この声…どこから」

 

「まるで地の底から聞こえてくるみたい」

 

「オイ!姿を現せ!!」

 

「そーだそーだ!!」

 

「あなたのアニマ計画は失敗したんだ。もう戦う意味などないだろう」

 

「意味?戦う意味だと?」

 

城のあった場所が光輝き、全員の視線がそこに向かう。

 

「何だ?この音…いや、これは!?」

 

「魔力で大気が震えてるんだ!!」

 

「これは戦いではない、王に仇なす者への報復、一方的な殲滅」

 

城の手前から。巨大な玉子に似た兵器が現れる。そしてそこからは国王の声が聞こえてきた。

 

「何あれ!」

 

「魔導兵器か!?」

 

「ワシの前に立ちはだかる気なら例え貴様でも消してくれる!!!跡形もなくなぁ!!!」

 

「父上…」

 

「父ではない、ワシはエドラスの王である!そうだ、貴様をここで始末すれば、アースランドでアニマを塞ぐものはいなくなる。また巨大な魔水晶を作り上げ、エクシードを融合させることなど納戸でもできるではないか」

 

そして、玉子の形をした兵器が開き姿を変えると、その姿はまるでドラゴンのような形をしていた。

 

「フハハハハハ!!!王の力に不可能はない!!!」

 

「王の力は…絶対なのだぁぁ!!!!」

 

「おぉ…間違いない…あれは、あれは」

 

「ドロマ・アニム…」

 

エクシード達は、ドロマアニムの存在を知っているようだった。

 

「ドロマ・アニム…こっちの言葉で竜騎士の意味…ドラゴンの強化装甲だと!!?」

 

「ドラゴン…」

 

「言われてみれば、そんな形」

 

「強化装甲?」

 

「強化装甲ってなに?」

 

ナツ達は強化装甲を知らなかったがそれをココが説明する。

 

「対魔戦用魔水晶ウィザードキャンセラーが、外部からの魔法を全部無効化させちゃう搭乗型の甲冑!!王様があの中で、ドロマ・アニムを操縦してるんだよぅ!!」

 

国王がドロマ・アニム越しに、兵達に指示を出す。

 

「我が兵達よ、エクシード達をとらえよ!!」

 

『ハッ!』

 

「まずい!!逃げるんだ!!」

 

ミストガンがエクシード達に逃げるように指示し、エクシード達は急いで逃げ出す。

 

「逃がすなテメェら!!」

 

「マジカライズキャノン、充填完了」

 

「照射!!」

 

兵達はレーザーを撃ち出し、エクシードに当てると、エクシードは次々と魔水晶に変えられていく。

 

「追えー!!」

 

『おぉー!!!』

 

イクシーズ達がレギオンに乗ると、スカーレットが即座に指示を出す。

 

「王国軍からエクシードを護るんだ!!ナイトウォーカー達を追撃する!!」

 

「そうだね!…あっ、そういえばアンタ達、このレギオン乗ってても酔わないけど、乗り物酔いに効くトロイアでもかけてもらったの?」

 

「「なぬ!?」」

 

ルーシィの言葉に、ナツとイクシーズは二人してドン引きする。

 

「こ…こいつだって仲間みたいなもんだろ?乗り物扱いすっか普通…引くわー」

 

「お前はもうちょっと生き物の扱いを学んだ方がいいと思うぞ…わりとマジで」

 

「そ…そうね…ごめんなさい、ってかこのやり取りすごい久しぶりな感じ」

 

「無駄話はともかく、あのデカブツはどーする」

 

「「無駄とか言うな!!!」」

 

「今話す事ではありませんわよ…」

 

「相手にするだけ無駄だよぉ、魔法が効かないんだから」

 

「かわしながら行くしかない!!今のエクシードは無防備だ。オレたちが守らないと」

 

「よォーし行くぞ!!」

 

ナツの指示で、レギオンも動き出した。

 

「かわしながら?守る?プハハハハハ!!!人間は一人として逃がさん!!全員この場でチリにしてくれる!!!」

 

ドロマ・アニムは、口から特大のレーザーをナツ達に向かって打ち出した。

 

「「「うっ!」」」

 

ズドォォン!!

 

そこへ、ミストガンが魔法でドロマ・アニムのレーザーを防いで見せた。

 

「ミストガン!」

 

「ミストガン?それがアースランドでの貴様の名前か?ジェラール」

 

「ぐっ…エルザ!!今の内に行け!!」

 

「しかし…」

 

「行くんだ!!」

 

ミストガンは、魔法を唱え反撃を試みる。

 

「3重魔法陣…境水!!!」

 

ミストガンは、ドロマ・アニムのレーザーを弾き返した。

 

「なに?跳ね返した?」

 

ズドォォン!!

 

「やったか?」

 

「すごい、これがミストガン!?」

 

「クフフフフ…チクチクするわぁ!!」

 

しかし、その反撃はドロマ・アニムには全く効いていなかった。

 

「傷一つねぇぞ!!」

 

「あの攻撃でもダメなのかよ」

 

「そう!これがウィザードキャンセラーの力!!魔導士ごときがどうあがこうと、いかなる攻撃も効かん!!!」

 

ズォォォ!!!

 

ドロマ・アニムはもう一度レーザーを撃ち出し、今度はミストガンに直撃する。

 

「うわぁぁぁぁ!!!」

 

ミストガンは、そのまま地面へと落下していった。

 

「ミストガン!!」

 

「ウワーッハッハッハッハ!!!貴様には地を這う姿が似合っておるぞ!そのまま地上で野垂れ死ぬがよいわぁ!!!」

 

「やろぉ…」

 

その間にも、エクシード達はどんどんと魔水晶に変えられていく。

 

「くそっ!アイスメイク…」

 

ぐわん!

 

「うわぁっ!!」

 

グレイが魔法を使おうとするが、レーザーをよけるレギオンに揺られ真艫に魔法を使えない。

 

「くそっ!こりゃキツいな」

 

「ナツやリートじゃなくても酔いそう…」

 

「おぉ、美しいぞ!エクシードを一人残らず魔水晶にするのだぁ!!!」

 

「くそぉ!あれをかわしながら戦うのは無理だ!!!」

 

「レギピョン頑張って!!」

 

「でも、どーすればいいの?」

 

ルーシィがそう聞くと、ハッピーが答える。

 

「ルーシィが囮になればいいと思います!」

 

「鬼ぃ!!」

 

「猫です」

 

「ほらほら、話の腰を折らないの」

 

ズドォン!

 

レーザーを撃ち続けるドロマ・アニム、そこに頭上から攻撃するものが

 

ズゴォン!

 

「ぬぉぉお!?」

 

頭上からの攻撃の次は、ドロマ・アニムの腹にも衝撃が、

 

「誰だ!魔法が効かんハズのドロマ・アニムに攻撃を加えてる者は!!」

 

「天竜の…」

 

そして、さらに一撃、ウェンディがドロマ・アニムの上に飛び上がり大きく息を吸い込む。

 

「咆哮!!!」

 

 

「貴様らはぁ!!!」

 

ドロマ・アニムに立ち向かう者、それはナツとガジルとウェンディの三人だった。

 

「やるじゃねぇか、ウェンディ」

 

「いいえ、二人の攻撃の方がダメージとしては有効です」

 

「野郎…よくもオレの猫を」

 

「そうか…貴様らか!!」

 

 

「ナツ!!」

 

「ウェンディ!!」

 

「ガジル!!」

 

「行け、猫達を護るんだ」

 

「リートは行きませんの?」

 

レギオンに乗るリートは、頬を掻きながら気まずそうに答える。

 

「…出遅れた」

 

「アララ…」

 

そして、そこへ落ちてくる人影が一つ

 

「オォォォォ!!!」

 

「!あれは…」

 

「エドラスのリート!!!」

 

ジフレクトが鎗を構えて、ナツ達の所に落ちてくる。

 

「まずい!このままじゃエドラスのリートまで加わって一方的に不利に…」

 

ヒュン!

 

「!」

 

ガシィッ!

 

レギオンから飛び出したイクシーズが、ジフレクトを止め浮かんでいる島に向かって殴り飛ばす。

 

「氷竜の硬拳!!!」

 

「ガァァァッ!!」

 

「コイツはオレがやる!!お前ら!後は頼む!!」

 

「リート!!」

 

 

 

「そっちは任せた」

 

「でも、あんなの相手に三人で大丈夫なの?それにリートも」

 

「なぁに、問題ねぇさ。相手はドラゴン…倒せるのはアイツらだけさ」

 

「あぁ、そして、この世界のリートを倒せるのも、私たちの世界のリートしかいない。ここはナツやリート達に任せるとしよう」




な…なんとか日付が変わる前にでけた…


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氷竜VS魔鎗

ここからは、リートの戦いが決着するまで全部オリジナルでいきます!


ズドォン!!

 

イクシードに殴り飛ばされ、浮遊島に叩きつけられたジフレクトは、ゆっくりと起き上がり口元の血を拭う。

 

「くそがっ、とことん邪魔しやがって」

 

そこへ、イクシーズも島へと降りたってきた。

 

「よう、ジフレクト、お前も王国軍も諦めの悪い奴らだな。いい加減諦めたらどうだ?この喧嘩はもうオレ達の勝ちだぜ?」

 

「ふざけんじゃねぇよ。隊長も言ってただろうが、まだ終わってねぇって。隊長が諦めねぇなら、オレも止まるわけにはいかねぇんだよ」

 

「じゃあオレも止めなきゃならねぇ、お前が止まらねぇと次々に仲間達が危険にさらされるからな」

 

「やれるものならやってみやがれ」

 

「「………」」

 

ビュン!

 

ドゴォン!!

 

二人は同時に動きだし、氷を纏った拳と鎗をぶつけ合い相殺する。

 

ドン!

 

「「!」」

 

二人は爆風で弾き飛ばされ、後ろの岩に激突する。

 

「ぐっ…」

 

「氷竜の咆哮!!!」

 

「!」

 

ジフレクトが体勢を立て直す前に、イクシーズがブレスでジフレクトを狙う。

 

ダン!

 

ジフレクトは地面を強く蹴り、一気に真上に飛び上がる。

 

「っぶねぇ」

 

「滅竜奥義…」

 

その瞬間を狙っていたイクシーズは、両手を合わせ巨大な刀を作り、ジフレクトに視点をあわせる。

 

「氷刀飛燕斬!」

 

イクシーズは、空中にいるジフレクトに向けて斬激を放つ。

 

「っちぃ!!次から次へと、めんどくせぇなぁ!!!」

 

ジフレクトは、鎗を高々に上げてダイヤルを回す。

 

「極炎蒼!!!」

 

ジフレクトが鎗を斬激に向けると、切先から黒い炎が渦巻きながら斬激に向かって放射される。

 

ズオォォォォ!!!

 

「なっ!?」

 

「地獄の炎でも味わいやがれ!!!」

 

ジフレクトの炎が斬激を飲み込むと、そのままイクシーズに向かって突っ込んでくる。

 

「氷竜の建円!!」

 

イクシーズは氷のドームで身を守る。

 

「氷ごときで、この炎を防ぎきれる訳ねぇだろ!!!」

 

ゴォォォ!!!

 

ジフレクトの炎は勢いを止まることを知らず、どんどんとイクシーズの氷が溶け出してくる。

 

 

「何て威力してやがんだ…短時間でオレの氷を溶かしやがった」

 

バリン!

 

とうとうイクシーズの氷が割られ、イクシーズ本人も炎にのまれてしまう。

 

「ぐわぁぁぁ!!!」

 

タッ

 

「ざまぁねぇな…だが、今のはオレの最大級の攻撃…テメェも世界は違えどオレと同じリートだったってことか」

 

「何終わった感じだしてやがんだ」

 

「!?」

 

「はぁ…はぁ…」

 

炎から、ボロボロになったイクシーズが現れ、ジフレクトは驚きで一瞬固まってしまう。

 

「まさか、あの炎を受けてたってるってのか!!?」

 

「はぁ…はぁ…っ…勝負は…ここからだろ」

 

イクシーズは掌に冷気の塊を作り出す。

 

「滅竜奥義…」

 

イクシーズは軽く息を吐き出すと、冷気の塊を下に落とす。

 

「氷陣討戦場」

 

辺り一帯が青い冷気で包まれ、イクシーズの身体能力が一気に跳ね上がった。

 

「なんだ…何をしやがったテメェ」

 

「…すぐにわかる」

 

「いいだろう、何をする気か知らねぇが、このオレがテメェよりも強ぇって証明してやる!!!」

 

ジフレクトはダイヤルを回し、高速で動き出した。

 

「瞬蒼!!」

 

バッ!

 

(もらった!)

 

ジフレクトはイクシーズの後ろに現れて鎗を構え、イクシーズに向けて突き出す。

 

フッ…ガシッ!

 

「なっ!」

 

しかし突き出した鎗はイクシーズの肩を逸れ、イクシーズの反対の手で掴み取られる。

 

「っちぃ!重蒼!!!」

 

そう言ったジフレクトの鎗は一気に重くなったが、イクシーズはピクリともしない。

 

「嘘だろ…」

 

「はぁ!」

 

イクシーズは、そのまま鎗ごとジフレクトを手前に投げ落とす。

 

ドゴォ!!

 

「ぐぉぁぁ!」

 

「諦めろ…お前はもうオレには勝てねぇ」

 

「ふざけんなぁぁ!!!」

 

ジフレクトは地面で回転し、イクシーズの足を引っ掻ける。

 

「!?」

 

ドサッ

 

ジフレクトはそのまま反動で起き上がると、イクシーズに鎗を構える。

 

「熱弾蒼!!!」

 

「っち!」

 

イクシーズも慌てて掌を向けて、可能な限り冷気をジフレクトの作った空気の塊にぶつける。

 

ドン!

 

「ぐおぉぉ!?」

 

「くうぅっ…」

 

空中にいたジフレクトは吹き飛ばされたが、地面に倒れていたイクシーズは地面を踏ん張りに利かせなんとか反動に耐えきった。

 

「っつ…くたばれ!!」

 

ジフレクトは、自身の鎗をイクシーズに向けて投げ飛ばす。

 

「うっ!」

 

ガスッ!

 

危機を感じたイクシーズは体を反転させて、鎗をかわす

そのままイクシーズは起き上がり、ジフレクトに向けて飛び上がった。

 

「空中で、鎗もなけりゃあ、お前はタダの人間だろ!!!」

 

「じゃあ、さっさと元の魔戦部隊へと戻らさせてもらおう」

 

ニヤリと笑ったジフレクトに、イクシーズは何かを察する。

 

キリキリキリ

 

「なんの音…!?」

 

ジフレクトの手をよく見ると、自身の鎗とジフレクトの腕が細い糸で繋がっていることに気がつき、慌てて振り返る。

 

「おせぇ!」

 

グイッ!

 

ジフレクトが糸を引っ張った瞬間、イクシーズの背中に向けてジフレクトの鎗が突き刺さった。

 

ドスッ!

 

「ぐぁぁぁ!!!」

 

「ハハハ!オレの勝ちだ!!!」

 

グイッグイッ!

 

「あぁ…っがぁぁ…」

 

ジフレクトが糸を引く度に、イクシーズの背中へと鎗は深く食い込んでいく。

 

「ぐっ…なめんじゃ…」

 

ゴン!!

 

「ねぇ!!!」

 

「ぐぼぁ!!!」

 

イクシーズはジフレクトを蹴り飛ばし、その場で反転しジフレクトに背中を向けると、吹き飛ばされた勢いで、ジフレクトの持っていた糸が勢いよく引っ張られ、その反動で鎗が背中から抜ける。

 

「ぐっ…はぁはぁ…」

 

ガラガラ

 

「っち…タフな野郎だ」




一気に滅竜奥義2つも使わせてしまった…まぁ、まだここから少し伸ばしてみますよ


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滅竜奥義・改

とりあえず、勝負は一気に終わらせます!


ザッザッザッ

 

二人は同時に歩み寄り、攻撃の範囲に同時に入る。

 

ヒュン!!

 

先に攻撃したのはジフレクトの方だった。

ジフレクトは鎗をイクシーズの腹目掛けて突き出す。

 

イクシーズはそれをかわして拳を構える。

 

「氷竜の…」

 

「螺旋蒼」

 

「!」

 

ジフレクトの突き出していた鎗はすでに捻れており、キリキリと音を立てていた。

 

「っち…硬拳!!」

 

「ハッ!」

 

ドゴォ!!

 

ギュルルル!!

 

イクシーズはジフレクトの顔を殴り、ジフレクトは鎗を回転させイクシーズを巻き込む。

 

ガシッ!

 

「またかよ…」

 

イクシーズは鎗を掴み回転を止める。

 

「熱蒼」

 

シュゥゥゥゥ

 

「させるかよ!」

 

ピキィン!

 

熱を発する鎗を一瞬で凍らせたイクシーズは、ジフレクトに掌を向けた。

 

「氷竜の凍柱!!!」

 

ズドォン!

 

「ぐおぉぉぉ!!」

 

「と、氷竜の弾落!!!」

 

ドォォン!!

 

氷の柱でジフレクトを吹き飛ばしたイクシーズ、そこに巨大な氷を落としてジフレクトを下敷きにする。

 

「…滅竜奥義解除」

 

氷陣討戦場を解除したイクシーズは、その場で膝をつく。

 

「はぁ…はぁ…長期戦は…やっぱ無理だな…」

 

スパァン!!…ズズゥン

 

先ほど落とした氷の塊が真っ二つに切られ、中からジフレクトが這い上がってきた。

 

「…倒れててくれねぇよな…やっぱり」

 

ズキッ

 

「ぐっ…」

 

イクシーズは、先ほど刺された背中に痛みを感じる。

 

「くそっ…まだ…倒れる訳には…いかねぇんだよ」

 

そして、ジフレクトも先ほどの攻撃にノーダメージというわけにはいかず、すでにボロボロだった。

 

「くそがっ、ここまでやられるとは…へへっ、こりゃ隊長にどやされっかな」

 

「だが」

 

ジフレクトは、ダイヤルを回して高く飛び上がる。

 

「テメェはここで狩る」

 

「!?」

 

「重蒼!!!」

 

ズドォォン!!

 

「がぁぁぁ!!!」

 

イクシーズの真上に飛び上がったジフレクトは、そのままイクシーズの腹目掛けて落ちてきた。

 

そして、その衝撃についに耐えられなくなった浮遊島がゆっくりと落ち始めた。

 

「!島が!!」

 

「…お…おち…る」

 

ガラガラ

 

イクシーズはゆっくりと立ち上がった。

 

「っち!まだくたばらねぇのかよ!!!」

 

ダン!

 

二人は同時に飛び出し、イクシーズは拳に氷を纏い、ジフレクトは鎗を構え、二人一気に突き出した。

 

ズガガガガ

 

もはや二人はガードなどせず、ただ攻撃のみを繰り返していた。

 

「はぁぁぁぁ!!!!」

 

「ぜぇぁぁぁぁぁ!!!!」

 

イクシーズとジフレクトの戦いは崩れ行く島を足場にし、戦い続けていた。

 

「氷河螺旋拳!!!」「螺旋蒼!!!」

 

螺旋状の冷気を纏ったパンチと、捻られて突きだされる鎗が激しくぶつかり合う。

 

ズドォォン!!!

 

「ぐっ…」

 

「がっ…」

 

ドン!!!

 

「「!!!」」

 

爆風により、二人は同時に後方へと吹き飛ばされた。

 

ズザァァァ

 

二人は島に足をつけて踏ん張りを効かせると、もう一度お互いに向かって勢いよく走り出す。

 

「「いい加減…」」

 

「「倒れやがれぇぇぇ!!!(死にやがれぇぇぇ!!!)」」

 

ジフレクトは鎗をイクシーズに向けて突き出し、イクシーズも氷を纏った拳を前に打ち出す。

 

ドヒュン!!

 

二人の攻撃は、互いに頬を掠めただけだった。

 

しかし、攻撃はまだ終わらず、ジフレクトはイクシーズ目掛けて体当たりをする。

 

ドン!

 

「!」

 

ぐらっ

 

イクシーズの体制が崩れたと思ったジフレクトは、即座に追撃しようと出していた鎗を引き戻す。

 

グイッ

 

「!?」

 

しかし、引き戻そうとしていた槍は、イクシーズが片手で握って押さえていた。

 

「フン!!!」

 

「なっ!!?」

 

槍を掴んで体制を無理やり引き戻したイクシーズが、ジフレクトに頭突きを入れた。

 

「ぐううっ…」

 

ガッ

 

「!」

 

イクシーズは間髪入れずにジフレクトの胸ぐらを掴むと、背負い投げでジフレクトを投げ飛ばした。

 

「氷竜の柱弾!!!」

 

投げ飛ばされ空中にいるジフレクトに向けて、イクシーズは氷の柱を投げ飛ばす。

 

「一蒼!!!」

 

ジフレクトは空中で体制を変えて、氷の柱がぶつかる瞬間に柱の中心目掛けて、全力で槍で突いた。

 

ズガァァン!!

 

氷の柱はボロボロに砕け、ジフレクトは足場に着地したと同時に、イクシーズの真上に飛び上がる。

 

「!!」

 

「重蒼!!」

 

バッ!

 

イクシーズは、降ってきたジフレクトをギリギリで回避した。

 

ズドォォン!!!

 

槍を重くさせて降ってきたジフレクトは、島を一撃で破壊する。

 

「!」(足場が…)

 

「空中なら逃げ場はねぇぞ!!!」

 

ジフレクトは鎗を構えてイクシーズに向ける。しかし、ジフレクトの鎗で突いても届かない距離までイクシーズは離れていた。

 

「お互い様だろ」

 

(むしろ好都合だ…)

 

イクシーズは、アクナとの修行の時から考えていた技があった。

 

 

 

時は修行時代まで遡る。

 

「オラァ!!!」

 

実践的な組手を指示されたバンクとリートの二人は、アクナの指導のもと戦い続けていた。

 

バッ!

 

「!」

 

左手でバンクの拳を受け流したリートはそのままバンクの顔を殴り飛ばした。

 

「オラァ!!!」

 

「ぐおおっ!!?」

 

殴り飛ばされるバンクに視線を向けながら、リートは両手に魔力を込める。

 

「とどめだ!!くたばれバンク!!!」

 

「お前ってそんなにオレの事が嫌いなの!!?ってちょっと待て!!!魔力込めすぎだろ!!!」

 

リートは両手を合わせて巨大な刀を作り出し構えをとった。

 

「滅竜奥義!!!」

 

「ガチなやつじゃん!!!?」

 

「氷刀飛燕斬!!!」

 

「ぐうぅぅぅ…意地でも…くらうかぁぁぁ!!!」

 

バンクは空中で体をひねり、斬激をなんとか回避する。

 

ズォォォ!!

 

「「!!」」

 

そして、バンクのかわした斬激は座っていたアクナの方へと飛んでいく。

 

「アクナさん!!!」

 

「危ないですわよ!!!」

 

「ん?」

 

アクナは、軽く斬激に右手を添えていなすと、斬激は軌道を変えてアクナの後方へと飛んでいった。

 

ズォォォン

 

「うおっ…さすが師匠…スッゲ」

 

「すみません!!アクナさん!!」

 

「大丈夫ですの?」

 

アクナは斬激を弾いた手を、握ったり開いたりを繰り返していた。

 

「あの…アクナさん?」

 

「気にすんな、それよりもリート、今の技」

 

「?氷刀飛燕斬の事ですか?」

 

「名前なんざどーでもいい、さっきの氷の刀は片手で作れねぇのか?」

 

アクナの質問に、リートは呆けた顔をする。

 

「片手で…ですか?」

 

「あぁ、今の斬激は威力は悪くなかったが、攻撃範囲が極端すぎる。つまりかわされやすいって事だ。そうなると反撃される可能性さえあるだろ。そんな状況で両手が塞がってましたじゃ話しになんねぇんだよ」

 

「まぁ…確かに」

 

「今さっきもオレに避けられたばっかだしな!」

 

胸を張って言うバンクに対して、リートは思わず睨み付ける。

 

「だから、最低でも片手で撃てるようになったら少しはマシになると思ってな…もしくは両手で刀を一本ずつ作って同時に斬激を飛ばして範囲を広くし、威力の底上げも謀るかだけど…」

 

「確かにそういう手も考えたことがないわけではないです。けど、あの刀って結構重いんですよ。片手じゃバランスを崩して更に当たらなくなりかねないです」

 

「はぁ~要はテメェの体幹不足じゃねぇか…」

 

「アハハ…」

 

アクナの呆れた声に、リートは苦笑いするしかなかった。

 

「わかった。なら今後は今のやり方も頭の隅にでも入れながら戦いな、あくまで作戦の一つってだけだから無理にやる必要はねぇ…その代わり両手使うならタイミングを完璧に見極めな、わかったらさっさと組み手を再開しろ」

 

「はい」

 

「師匠…オレ、あれに当たったらさすがに死にかねねぇっす…」

 

「テメェは当たらねぇように努力しろ、あと、当たっても根性で耐えろ。安心しろその程度でくたばる鍛え方はしてねぇから」

 

「オレへの指示雑ぅぅぅ!!!?」

 

そして時は戻り

イクシーズは両手に一つずつ、巨大な刀を作り出した。

 

「滅竜奥義・改」

 

「その技はもう…!?」(二本!?)

 

(今までは、バランスがとれなくなるから命中率が下がり使えなかった技だが、空中のバランスを無視した状態なら…いける!!!)

 

「何をする気か知らねぇが!!!オレがテメェごときに負けるかぁぁぁ!!!!」

 

ジフレクトは、鎗を全力で突き出し、黒い炎を撃ち出した。

 

「極炎蒼!!!!!」

 

「氷刀十字斬!!!!!」

 

イクシーズは十字になった斬激をジフレクトに向けて放った。

 

巨大な炎と、巨大な斬激がぶつかり合う。

 

ズドォォォォォォン!!!!

 

ブワァ

 

「なっ!?」

 

激しいぶつかり合いにより出来た煙の中から、イクシーズの作った斬激のみが、ジフレクトに向けて飛んできた。

 

ズバァァン!!!

 

「ぐわぁぁぁ!!!!」

 

(ちく…しょうが……)

 

イクシーズの攻撃がジフレクトにヒットし、勝負が決するが、イクシーズも限界だった。

 

(やべっ…魔力が…もう……)

 

二人はそのまま地面に向かって落ちていった。




まぁ、同じキャラに勝つなら今以上に強くならないとよくて相討ちとかなんで、新技出しときました。


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ナディのSOS

全然進まなかった…


「…トさん…ートさん!!リートさん!!」

 

「…うっ…」

 

「あ、よかった。目を覚ましたんですね」

 

リートは、ゆっくりと目を覚ますと、目の前にはナツ、ガジル、ウェンディの三人がいた。

 

「ウェンディ…ナツ…ガジル…」

 

「ボロボロだなリート」

 

「テメェもだろ」

 

「私たち全員ですよ…」

 

「どーでもいいけどよ、さっきから見えるアレはなんだ?」

リートの視線の先には、光が空へと向かってユラユラと流れていくのが見てわかった。

 

「さぁな、オレ達もそれを確認しに行くところだ」

 

「確認って…誰にだ?」

 

「この世界のガジルさんは新聞記者らしいんです。なので何か分かるかと」

 

「なるほど」

 

そう聞いたリートは立ち上がり動き出す。

 

「そうと決まればさっさと行くか」

 

「「「おう!(はい!)」」」

 

そこから王都へと戻ってきた四人は、街の人達の慌てように驚いていた。

 

「なんだ…こりゃ」

 

「これは一体…」

 

街から逃げ惑う人の一人を捕まえて、ナツは事情を訊くことにした。

 

「おい!何があった!?」

 

「離せ!今街中で魔導具が次々に使えなくなってるんだ!早く逃げないと!!」

 

「魔導具が使えなくなっただけで、何で逃げる必要があるんだよ」

 

「今まで使えていた魔力がなくなってるんだ!こんなもの天災が起こる予兆に決まってるだろ!!」

 

「なるほどな」

 

「?どう言うことだよリート」

 

いまだに街中のパニックの原因を理解できていなかったナツ達に、リートは説明を行う。

 

「オレ達アースランドの奴らからしたら、魔力がなくなったとなっても、元々体内にあるものだ。そこまで気にするほどでもねぇが、エドラスの人達からしたら今まで当たり前に使っていた物がいきなりなくなる。しかも、国中でだ。まぁ何かしら起こる予兆と考えるやつがいてもおかしくねぇわな…ここまでなってるのは異常だけどな」

 

「つまり、津波が来る前の大きな地震や土砂崩れになる前の豪雨とかと同じ現象と、この世界の人達は思っているってわけですね」

 

「まぁ、そーゆーことだ」

 

 

「き…君たち!!!」

 

 

「「「「?」」」」

 

リート達が振り返ると、そこにはエクシードのニチヤと共にいたナディが立っていた。

 

「お前…」

 

「ぼきゅ達を…ううん、王子を…助けてほしいんだ!!!」

 

 

そして現在、ナツ達はとある建物のとある部屋で、クローゼットを漁っていた。主にナツとガジルが

 

「いいんでしょうか…勝手にこんなことしちゃって」

 

「いいんだよ、今は緊急事態ってやつだ」

 

「どーせ他の奴らはそれどころじゃねぇしな」

 

「止めるべきなのかなぁ…これって」

 

「お!いい物はっけーん!」

 

ナツは黒いマントを見つけ、自分のを含めた4枚を広げる。

 

「これ使えそうじゃねぇか」

 

「もうなんでもいいから早くしてくれ…こんな賊みたいなことできればしたくねぇんだからよ」

 

「んだよリート、つれねぇなぁ」

 

「何とでも言えってんだ」

 

そして、マントを羽織ったナツ達は、人目のつかないように外に出てくる。

 

「さてと、あとは国王のやつを連れてくるだけだが」

 

「オレがとってきてやんよ!」

 

「物みたいに言うなよ…」

 

ノリノリのナツが、大急ぎで国王の居た場所に走っていった。

 

「大丈夫なんでしょうかホントに、下手をしたら余計に街の皆さんを混乱させるかもしれないのに」

 

火竜(サラマンダー)の案しかでなかったんだから仕方ねぇ」

 

「不安要素しか見当たらない…」

 

そして、ナツが気を失った国王を引きずって戻ってきた。

 

「おーい!連れてきたぞぉ!」

 

「「はやっ!!」」

 

「へへっ、さーてと最後の一暴れといこうか」




きりわるいなぁ…まぁいいか、次書いていこう


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大魔王とその仲間

とりあえず続きをどうぞ、少しはオリジナルにできたかと思ってます。


「さてと、準備できたぞ」

 

国王を縄で縛り上げたナツは、建物の屋根から下りてくる。

 

「それにしても、まさかこの事件の犯人がミストガンさんだったなんて」

 

「自分を国から魔法を奪った悪役にして、あの黒猫に自分を倒させてヒーローにして新しい国王にとはねぇ…あいつらしいやり方だ」

 

リートは頭をかきながら苦い顔をする。

 

「あいつらしいが…自分を犠牲にするのは昔から変わらねぇな、もう少し妖精の尻尾の奴らを信じてみろってのに」

 

「でも、悪いことじゃなくて安心しました。やっぱり…私を助けてくれたあのときのままで」

 

「何話してんだ?」

 

「気にすんな、それよりもお前ら準備は出来てるか?」

 

リートが三人に問いかけると、ナツ達はリートを見ながら答えた。

 

「おう!」

「ギヒっ」

「いつでもいけます!」

 

「よしっ!景気付けだ。全力で空に向けてブレスだ!遠慮なくぶっぱなせ!」

 

リートの合図で、四人同時に空気を吸い込んだ。

 

「火竜の」

「氷竜の」

「鉄竜の」

「天竜の」

 

 

 

「「「「咆哮!!!!」」」」

 

 

 

ワァー!!キャー!!

 

「何だ!?」

 

「一体何事!?」

 

街から逃げていた人達も足を止め、視線は一気にリート達へと向いた。

 

「何事だ!!」

 

そこへ、市民の避難を優先させていた王国兵達も駆け寄ってきた。

 

「おほっ!きたきた」

 

「あいつらは殴っても構わねぇんだろ?」

 

「あぁ、ただし最小限でだ。気を失わせる程度までなら構わねぇ、あと、一般人は巻き込むなよ」

 

「わかりました」

 

「やりづれぇなぁ、まとめて一気にやっちまおうぜ」

 

「お前…人の話し聞いてた?お前の案をのむ代わりにオレの条件は聞けっつったろ」

 

「ギヒッなんだよ弱音か?火竜」

 

「あ"!!」

 

ガジルの挑発に、ナツはあっさり引っ掛かる。

 

「オレならその条件でもこの場の全員ぶっ倒せるぜ」

 

「じゃあオレはオメェよりも早く全員倒せる」

 

「あぁ!?じゃあ勝負するか?どっちが多く兵隊どもを倒せるか」

 

「上等だ!ぜってー負けねぇ!」

 

「はわわわ…」

 

「はぁ…」

 

ナツとガジルの喧嘩を、ウェンディはアワアワと動揺しながら、リートはため息をついて黙って見ていた。

 

「警戒しろ!何者か知らんが!我々は武器を持っていない!数で推しきるんだ!」

 

はっ!!

 

「リート!合図だ!!」

 

「へいへい…こりゃあこいつら二人で片付くな」

 

リートは片手を上に上げて、スタートと同時に振り下ろす。

 

「始め」

 

ダン!

 

「「おおぉぉぉぉぉぉ!!!」」

 

ズドォン!!

 

ワーー!!!キャーー!!!

 

「ナツさん!!!ガジルさん!!!少し落ち着いて下さい!!」

 

「大丈夫だよウェンディ」

 

「え?」

 

「よく見てみな、アイツらただ暴れまわってるように見せて、一般人は巻き込まないように近くの兵隊には魔法なしで倒してやがる」

 

ウェンディがよく見ると、確かに一般市民の近くで戦っている兵士にはナツもガジルも魔法を使わず圧倒していた。

 

「ほ…ホントだ」

 

「となると、オレたちのやることはアイツらの逸れた魔法があれば一般人に当たらないように、かつバレないようにフォローするだけ…できるか?」

 

「は…はい!頑張ります」

 

それから、ナツ達が兵隊全員を倒すまで時間はかからなかった。

 

「火竜、お前何人倒した?」

 

「5人だ。そーゆーお前はどうなんだよ」

 

「…ギヒっ7人だ」

 

「だぁぁぁ!!!負けたぁ!!!」

 

頭を抱えて悔しがるナツと、ニヤリと笑いながら嬉しそうにするガジルを、ウェンディとリートは黙って見ていた。

 

「誰が何人倒したとか、どうでもいいじゃねぇか」

 

「あはは…」

 

ピクッ

 

あきれてナツ達を見ていたリートが、何かに反応した。

 

「来たな…ナツ!準備しろ!」

 

「お?もう来たのか」

 

リートの合図で、ナツは建物の壁をよじ登る。

 

そして、リートも地面から飛び上がり、ナツの横に立った。

 

「何だ!?」

 

「今度は何をする気だアイツら」

 

兵隊達がやられ、動揺していた市民の不安は、より大きくなる。

 

「ナッハッハッハッハ!!!我が名は大魔王ドラグニル!!!この世界の魔力は、オレ様がいただいたぁ!!!」

 

「貴様らの王は、オレ様が仕留めたぁ!!!」

 

それと同時に、王の姿を体で隠していたリートがその場をズレて、縛られた王の姿を民衆に見せる。

 

「特別命だけは助けてやったがなぁヌハハハハ!!!」

 

「うーわっ、悪どいセリフ」

 

そして、エドラスの妖精の尻尾のメンバー達も街の様子を見にやって来た。

 

「何やってるんですか!アースランドのぼくさん!!」

 

 

「陛下!!」

 

「王様が」

 

「なんてひどいことを」

 

縛り上げられた王を見た市民達は、不安気に声をあげる。

 

「レッドフォックス!!!マーベル!!!イクシーズ!!!我が下僕達よ、街を破壊せよ!!」

 

分かりました(誰が下僕だ)

 

「き…器用に喋るなリート…」

 

リートはあきれながら下に降りた。

 

街の建物を、ガジルとリートが一つづつ破壊する。

 

「ギッヒヒヒ」

 

「はぁ~」

 

 

「なんだアイツら!!」

 

「街が…」

 

「おい、あの青い髪の男、王国兵にいなかったか!?」

 

「悪いが、そりゃ人違いだ…ぜ!」

 

リートは建物を一瞬で凍らせて粉々に粉砕した。

 

ウェンディも必死に手を貸そうと、少年に向かって大声で驚かそうとする。

 

「ガオー!!!」

 

「…」

 

ギロリ!!

 

ウェンディに全くびびらない少年だったが、その後ろでガジルが極悪そうな顔で睨みをきかせる。

 

「●△♪!$△♪×¥&%#?!うぇへぇぇぇ!!!」

 

ガジルの睨みを怖がった少年は、真っ青な顔で逃げ出した。

 

それを知らないウェンディは、何気にショックを受けた。

 

(ごめんなさい)

 

 

「よさないか!!ナツ!!」

 

それを城から見ていたミストガンも、なんとか止めようとするが、

 

「もっと街を破壊するんだぁ下僕ども!!!」

 

「ナツ、帰ったら覚えとけよ」

 

 

「アイツらが…アイツらがエドラスの魔力を奪ったのか!!」

「ゆるせねぇ、魔力を返せ!!」

 

「嫌だね、俺様に逆らう者は全員」

 

ナツは空に向けて炎を吐き出した。

 

「なんだアレ!!」

 

「さっきのはアイツの仕業だったのか!!」

 

「バ…化け物!!?」

 

 

「よせ!!!ナツゥ!!!!」

 

「あん?」

 

ミストガンの聲が、ようやくナツの耳に届いた。

 

ざわざわ

 

「今の、誰だ」

 

「あそこだ!!城にいるぞ!!」

 

そして、その声は当然市民達にも聞こえていた。

 

「オレ様は大魔王ドラグニルだ」

 

「しつけぇ~…」

 

「バカな真似はよせ!王は倒れた。これ以上王都に攻撃など…」

 

ゴォォォ!!

 

「ファイヤー!!!」

 

ナツは、ミストガンの言うことを聞かず、市民に向けて火を吹いた。

 

「あっぶ!」

 

だが、そこはリートが何とか冷気でフォローし、怪我人が出ることはなかった。

 

「よせっ!!!」

 

「ニヒッ、お前にオレ様が泊められるかなぁ?エドラスの王子さんよぉ?」

 

「王子!?」

 

「王子だって!」

 

 

「来いよ、来ねぇとこの街を跡形もなく消してやる」

 

「ナツ、そこを動くな!!!」

 

「ナツではない。大魔王ドラグニルだ」

 

「もういいってそのセリフ…」

 

ミストガンは城から走ってナツのもとへと向かう。

 

(ナツ…お前がしようとしていることもわかっている…だが、この状況を収集できるわけがない)

 

「眠れ!!」

 

ミストガンは杖を使い魔法を撃とうとするが、魔法は不発してしまう。

 

(魔力がアニマに!?)

 

「どーした!魔力がねぇと怖ぇか!!!」

 

「ちっ…」

 

「そーだよなぁ、魔法は…力だ!!!」

 

ナツは、自分が立っていた場所を破壊した。

 

「やめろぉ!!!」

 

 

「ナツさんやり過ぎですよぉ!!」

 

「いや、これでいいんだ」

 

「あぁ」

 

ウェンディがナツを止めようとするが、それをガジルとリートが止めた。

 

「これで強大な魔力を持つ悪に、魔力を持たない英雄が立ち向かう構図になるんだ」

 

「そして、その悪に勝ってこそ、英雄は人々の信頼を得られるんだからな」

 

 




意外と長いなぁ、あと2、いや3話下手したらするかも…


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英雄

思ったよりかかった…


「もうよせナツ、私は英雄には馴れないし、お前も倒れたふりなど、この群集には通じんぞ」

 

「ニヒッ…勝負だ!!」

 

ミストガンの忠告を訊く気がないナツは、そのままミストガンに殴りかかる。

 

 

「ぐおっ!」

 

「王子!」

「なんて狂暴な奴なんだ」

 

 

 

「ぐっ…茶番だ!こんな事で民を一つになど…できるものか!!」

 

ミストガンは立ち上がり、ナツに殴りかかるが、ナツはその拳をアッサリと受け止めた。

 

「本気で来いよ」

 

「ぬおおっ!!」

 

ドガァ

 

ミストガンはナツに受け止められた拳の軌道を変えて、その勢いでナツの顔に回し蹴りを入れる。

 

「おぉー!」

「いいぞ王子ー!」

「やっつけてー!」

 

「ぐっぐっぐっ…はぁ!ギャラリーもノッて来たぞ!!」

 

「バカ者!ヤラセなんだから、今ので倒れておけ!」

 

「嫌なこった!!!」

 

ナツの右ストレートがミストガンの腹にクリーンヒットし、ミストガンはダメージを受ける。

 

「くうぅ…」

 

ミストガンもナツと接近していたことを利用し、そのままナツの顔を殴る。

 

「ぐわっ!」

 

「ふん!」

 

ナツのアッパーを、ミストガンは腕を掴んで受け止める。

 

ワー!ワー!

 

「これはオレ流の、妖精の尻尾式壮行会だ」

 

「!」

 

ナツは、ミストガンにのみ聞こえるように小さな声で話す。

 

「妖精の尻尾を抜ける者には、3つの掟を伝えなきゃならねぇ」

 

ナツとミストガンは、拳をぶつけ合いながら話を続ける。

 

「1つ!妖精の尻尾に不利益になる情報は、生涯他言してはならない!」

 

「ふたーつ!」

 

ドゴン!

 

喋りながら殴っていたナツだったが、ミストガンの拳をまともに受けてしまった。

 

「なんだっけ?」

 

掟を忘れたナツに、ミストガンが二つ目を告げる。

 

「過去の依頼者にみだりに接触し、個人的な利益を生んではならない」

 

「そうそう」

 

「3つ!例え道は違えど、強く力の限り生きなければならない。決して自らの命を小さなものとして見てはならない…愛した友の事を」

 

「生涯忘れてはならない」

 

ドン!!

 

掟を言い終えた二人の拳が、同時に顔にぶつかる。

 

「届いたか?」

 

「ギルドの精神があれば、できねぇことなんかねぇ」

 

踏ん張りを利かせ何とか立つミストガンと、倒れるナツ、これにより勝負の決着は完全についた。

 

「また会えるといいな!ミストガン」

 

そういうナツの顔は、満面の笑みだった。

 

ウオォォォ!!!

 

「ナツ…」

 

「王子が勝ったぞぉ!!」

「やったー!」

「王子ー!」

「ステキー!」

 

 

勝ったミストガンは、民から絶賛の歓声を受ける。

 

「終わったな…」

 

すると、ナツやリート…アースランドから来た者達の体が光だした。

 

「!お前…体が」

 

 

「始まった」

 

「さーて、派手に苦しんでやるか」

 

「まぁ、ほどほどにな」

 

 

リート達は、光に包まれながらゆっくりと空に浮かび上がる。

 

「お!ルーシィ、ハッピー」

 

「おーラリカ、無事だったか」

 

「「ナツ!リート!」」

 

「何か私の扱い雑じゃありませんこと?」

 

「無事だったか!お前ら」

 

「!」

 

リートが遠くを見ると、そこにはジフレクトが黙ってこちらを見ていた。

 

「…」

 

「…達者でやれよ」

 

「お前もな」

 

 

二人のリートが拳を突き出す。

 

「「リート…」」

 

「あっ、忘れてた」

 

そして、何かを思い出したリート達は喉や頭に両手を当てて悶える。

 

「「「「ぐわあぁぁぁ!!」」」」

 

ナツ、リート、ガジル、ウェンディの四人は苦しむ演技をする。

 

「何やってますの?」

 

「苦しそうなフリ」

 

「フリ!?」

 

「そーそー、大魔王が苦しんでんのに、オレだけシラフって訳にはいかねぇからな、ぐわあぁぁぁ!!」

 

「端から見るとシュールですわね」

 

「「「「ほっとけ!」」」」

 

 

「ま…まさか、人間までも空に流されていくとは、想定外だ」

 

「おぉー!魔王が空に流されていく!」

「王子が私たちを救ってくれたのね!」

 

空に流されていくナツたちを見て、国民達は大喜びしていた。

 

アースランドとエドラスの者同士、それぞれ別れの挨拶を済ませていく。

 

「バイバイ!エドルーシィ!もう1つの妖精の尻尾!」

 

「おぉい!頑張れよオレ!じゃなくてお前!」

 

「みんなー!またね!」

 

「何言ってるのよ。もう会えないのよ。二度と」

 

「!うわぁぁ!バイバーイ!」

 

「だらしないわね、泣くんじゃないわよ…グスッ」

 

「…皆様、本当にありがとうございましたわ」

 

そして、リート達はアースランドへと帰る。

 

(さようならリリー…ナツ、リート、ガジル、ウェンディ…そして我が家族、妖精の尻尾)

 

 

ザァァァァ

 

そして、アースランドではどしゃ降りの雨が降っており、リート達は、空から落ちて戻ってきた。

 

「ヌオォォォ!?」

「わぁぁぁ!!」

 

ドサドサドサドサ

 

 

「ッハハ!帰ってきたぞぉ!」

 

ゴーンゴーン

 

「うはっ!元通りだ!」

 

「どーやらホントに帰ってこられたみてぇだな」

 

「マグノリアの街も」

 

「やったー!」

 

「待て、まだ喜ぶのは早い…人々の安全を確認してから…」

 

「大丈夫だよー!」

 

「!」

 

エルザ達の他から聞こえる声、空ん見上げると、そこにはエグゼクティブ達が翼を生やして飛んでいた。

 

「一足先にアースランドに付いたからね。色々飛び回ってきたんだ!ギルドも街の人もみんな無事だったよ!」

 

「みんな魔水晶にされたことすら知らないみたい」

 

「アースランドってスッゲェな!魔力に満ちてる!」

 

 

「どーなってますの?」

 

「何で…何でエクシード達がアースランドに!?」

 

その後、シャルルはエクシード達を下ろさせアースランドに住まわせる事を否定する。

 

「冗談じゃないわよ!コイツらは危険、エドラスに返すべきよ!」

 

「まぁまぁ」

 

「エクスタリアもなくなっちゃったんだよ。許してあげようよ」

 

そこを、ハッピーとウェンディが何とかフォローを入れる。

 

「いやよ」

 

「強情ですわねぇ」

 

「って言われてもなぁ…アニマはもうねぇし、実質返すのは無理じゃねぇか?」

 

 

「石を投げたのは謝るよ」

「ごめんなさい」

「でもオレたち帰る場所がないんだ」

「これから改心するよ」

「もう許して」

 

エクシード達も許して貰おうと必死に謝る。

 

「そんなことはどーでもいいの!あんた達は私に、滅竜魔導士を抹殺する使命を与えてアースランドに送りこんだ!」

 

「そーさ!女王はオイラ達の卵を奪った!忘れたとは言わせねぇ、カァーー!」

 

「あなた」

 

「落ち着きましょうよラッキーさん」

 

「あなた、ここ面白いわ、もっと観に行きましょ」

 

「君はべつの意味で落ち着きなさい」

 

「あ!おじさん!」

 

「エウスのおじさま!アマネのおばさまも!」

 

 

「まだ、キチンと説明してませんでしたな。これは6年前の話しになります」

 

「女王シャゴットには未来を見る力があるのはもうお話ししましたね?ある日、彼女は地に堕ちるエクスタリアを見たらしいのです。今思えば、エドラスの魔力枯渇による自然落下だったのじゃが…。

当時、我々はそれを人間の仕業だと思っていた」

 

 

「そして、その危機に巻き込むまいと、子供達を逃がしたのです」

 

「逃がすだと!?」

 

「私たちもそんな話しは初めて聞きましたよ」

 

エウスとラッキーは驚きを隠せずにいた。

 

「いかにも、その計画はエクスタリアの民にも内密に行われました」

 

「そして、女王は嘘の…表向きのふでを出した」

 

「女王に嘘を言わせるのは心苦しかった…しかしやむを得なかったのですエクスタリアが地に落ちるなど」

 

「もちろん滅竜魔導士に恨みがあった訳ではありません」

 

「んなこたぁ分かるよ。何をするにしても理由は必要だしな」

 

「人間のアニマを借り、私たちの作戦は成功しました。しかし…1つだけ計算外の事が起きたのです」

 

「それはシャルル…あなたの力、あなたには私と同じような『予言』の力があったのです」

 

「え?」

 

「しかしそれは無意識に発動してるようであなたの記憶を混乱させたのです。避難させたエクシードの内、あなただけが、おそらくエドラスの断片的な未来を予言してしまった。そして、それを使命だと勘違いしてしまったのです」

 

「そんな…」

 

「じゃあオイラは…」

 

「元々そんな使命はなかったのですよ」

 

「不運に不運が重なった結果…というわけでしたのね」

 

そして、ナディ達も全て打ち明けた。

 

「ぼきゅたちは君が自分の力を知らないのをいいことに、さもぼきゅたちが操ってるように言ってみたんだ…ごめんね」

 

「全て女王様の威厳を演出する為の猿芝居…本当に申し訳ない」

 

「たくさんの不運と民や人間に対する私の虚勢があなたを苦しめてしまった。いいえ…6年前卵を取り上げた全ての家族を不幸にしてしまったのです。だから私はあなたに剣を渡したのです。悪いのはエクシード全てじゃない、私一人です」

 

「うおぉぉ!メェーン!!!」

 

「うおっ!?ビックリした」

 

「それは違いますよ女王様!」

 

寂しげな顔で謝るシャゴットに、エクシードの皆は励ますようにシャゴットの罪を否定する。

 

「女王様の行動は、全部私達を思っての事」

 

「オレたちだって、自分達の力を過信し過ぎてた訳だしな」

 

「せっかくアースランドに来たんだからさ皆で6年前に避難させた子供達を探そうよ!」

 

「僕たちの新しい目標ができたぞ!」

 

「今度は人間と仲良くしよう!!」

 

「新しい始まりなんだー!」

 

 

「ははっ、前向きな奴らだな」

 

「いいことじゃねぇか」

 

ナツとリートは、エクシード達の行動を笑って見ていた。

 

「新しい始まり、素晴らしい言葉ではないか」

 

 

「いいわ。認めてあげる」

 

「シャルル…」

 

「でも、何で私にアンタと同じ力があるわけ?」

 

シャルルの疑問を、シャゴット達は言葉を濁しながらごまかした。

 

「ごほっごほっ」

 

「ど…どうしてかしらね」

 

「いい天気じゃ」

 

「何か怪しいわね」

 

 

「おじさま」

 

「?どうしましたか?ラリカさん」

 

「あの二人って何か似てますわよね」

 

「おっと、気が合いますね。私も同じことを思ってましたよ」

 

「あら、浮気現場なの!?これは修羅場ってやつね、エウス、私を選ばないと捥ぐわよ」

 

「「どこを(ですの)!?」」

 

「とりあえず、無事に終わってよかったな!」

 

「はい!」

 

嬉しそうにするナツとナディだが、なぜかナツはナディのように片腕を上下に振り回していた。

 

「うつってんぞ…」

 

 

「私たちはとりあえず、この近くに住もうと思います」

 

「いつでも会えますね」

 

「何嬉しそうにしてるのよ」

 

「そう…いつでも会えるわ。シャルル」

 

シャゴットはシャルルをぎゅっと抱きしめた。

 

「ちょっ…」(温かい…)

 

 

「いつでも遊びに来てくださいね。ラリカさん」

 

「えぇ、お二人のそばにいるとリートと居るときのように居心地がよくて安心いたしますの。また、遊びに行かせていただきますわ」

 

「「!」」

 

「勿論よ!いつでも来て!すぐに来て!毎日来て!」

 

ぎゅーーー

 

アマネはラリカを全力で抱きしめた。

 

「ま…毎日はちょっと…」

 

「ハハハッ、ほら困っているから離れてあげなさい」

 

「あん!もう少しだけぇ~」

 

そして、エクシード達は自分のすめる場所を探しに空に飛んでいった。

 

「みなさん!本当にありがとう」

 

「また会いましょう!」

 

「元気でねー!」

 

「おーう!またなー」

 

「とりあえずバイバーイ!」

 

そして、エクシードを見送った後、ナツ達は今後について話し合う。

 

「オレたちもギルドに戻ろうぜ」

シュッシュッ

 

「みんなにどうやって報告しよう」

シュッシュッ

 

「いや、みんな気づいてねぇんだろ?今回の件」

シュッシュッ

 

「しかし、ミストガンの事は黙っておけんぞ」

シュッシュッ

 

「お前ら…話が入ってこねぇからその腕止めてくんね?」

 

気がつけば、リートとガジル以外の全員がナディのように腕を振っていた。

 

「ちょ…ちょっと待て」

 

「どうしたガジル…お前もマネしてぇのか?」

 

「楽しいですよ」

 

「それに価値があるならな!!!」

 

「…ないない」

 

「リリーはどこだ!?パンサーリリーの姿がどこにもねぇ!!!」

 

ガジルは辺りを見渡すが、それらしき影はどこにもない。

 

「リリー?」

 

「あのゴッツイエクシードのことよ」

 

「オレならここにいる」

 

リリーの声が聞こえ、全員がそちらに注目する。

 

そこにいたのは、エドラスの時とはかなりサイズの違うリリーの姿があった。

 

「ちっさ!!!」

 

「ずいぶんかわいくなったね」

 

「どうやら、アースランドとオレの体格は合わなかったらしい」

 

「そーゆーものですの?」

 

「アンタ、体なんともないの?」

 

「今のところはな」

 

「オレは、王子が世話になったギルドに入りてぇ、約束通り入れてくれるんだろうな?ガジル」

 

「ふーん…ギヒィッ!勿論だぜ!相棒~!!!」

 

ガジルは、泣きながらリリーの事を抱き締めた。

 

「うわっ!泣いた」

 

「よっぽど嬉しいんだな…」

 

「で…それとはべつに怪しいやつを捕まえてな」

 

リリーはそう言って手に持っていたロープを引っ張る。

 

「おぉ!早速手柄か!さすがオレの猫!」

 

「来い」

 

リリーは強めにロープを引くと、一人の人物が現れた。

 

「ちょっ…私、別に…怪しくなんか…」

 

バシャッ

 

「キャッ!私も妖精の尻尾の一員なんだけど」

 

そこにいたのは、エドラスで再開したリサーナだった。




本来だったらここでエドラス編を終わりにしたいんですけど…リサーナをギルドに連れてってパーティーさせるまでオリジナルが始められない悲しき現実…


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リサーナ

できた…ついにできた…やっと次回でオリジナルに入れる!


「何なのこのネコ!ってかエクシード?」

 

「パンサー・リリーだ」

 

リリーが連れてきていた人物は、エドラスにいたリサーナだった。

 

「何だテメェ!オレの猫にケチつけようってのかアァン!?」

 

リサーナの事を知らないガジルは、食って掛かる勢いで威圧していたが、他の人物達はそうではなかった。

 

「嘘…だろ」

 

「そんな…まさか!?」

 

「リサーナ!?」

 

「なんで…」 

 

「もしかして、エドラスのリサーナが

 

「こっちに来ちゃったわけ!?」

 

「魔力がないハズですのにそんなことあり得ますの!?」

 

「どうしよう!」

 

 

リサーナは、ナツの顔を見るといきなり黙り込んだ。

 

「…」

 

ガバッ!

 

「ナツーー!!」

 

「ドワァー!」

 

リサーナはナツに飛び付き、ナツは反動で後ろに倒れてしまった。

 

「また、会えた…本物のナツに」

 

そして次は、ハッピーとラリカをリサーナは一気に抱き締めて頬を擦り合わせる。

 

「ハッピー、ラリカ~私よ~リサーナよ」

 

「グレイとエルザにリートも久しぶりだね。あ~懐かしいなぁ!その子達はギルドの新しいメンバーかしら?小さいウェンディと…もしかしてルーシィ?」

 

明らかにエドラスの人間らしからぬ発言に、リート達は戸惑っていた。

 

「ちょっと待て…お前…まさか、こっちのリサーナ…?」

 

「…うん」

 

「うそ!?」

 

「えぇ!!」

 

「生き返ったのかーー!!」

 

「ウワーイ!!!」

 

「待て待て待て待て!!ちょっと待て!」

 

ぐいっ

 

リートが慌てて、リサーナに飛び付こうとするナツとハッピーの首を掴んで止める。

 

「ぐもぉ!」

 

「この世界のお前は二年前に死んだハズだろ?なんで今ここにいる!?エドラスで生き続けてたっていうのかよ」

 

リートの問いに、リサーナは静かに答えた。

 

「…私、死んでなんかなかったの」

 

リサーナの説明によると、2年前、エルフマンの暴走により死にかけだったリサーナはそこにあったアニマに吸い込まれ、気がつけばエドラスへと飛ばされていたという。

 

そこで、エドラスの妖精の尻尾に行き着いたリサーナだったが、アースランドとは違う光景に困惑していた。

 

エドラスの妖精の尻尾では、リサーナはすでに死んだ人間となっていた。そして、リサーナは自身を記憶喪失ということにして2年間エドラスのリサーナのフリをして、エドラスで過ごしていたという。

 

「その時はよく分からなかったけど、今にして思えば、エドラスのリサーナが死んだ事によって、世界に足りない分を補完するために、アニマが私を吸収したのかもしれない

最初は戸惑ったけど、エドラスの事を少しずつ学んで、みんなに合わせながら…段々、エドラスの生活にも慣れてきた。そして二年が過ぎて…六日前、アースランドのナツとリート、ハッピーとラリカがやって来た」

 

「…あの時か」

 

「何であの時本当の事を言わなかったんだよ!!!」

 

「言えるわけねぇよな」

 

「!」

 

ナツの言葉に、リートがリサーナの気持ちを汲み取って話した。

 

「エドラスのリサーナは死んでたんだろ?そして、悲しんでいたギルドにいきなりオレ達の世界のリサーナが現れて、みんなが喜んでいた。そんな状況で私は実は別人ですなんて言えるか?ナツ、お前がリサーナの立場だったら軽々しく言えるか?エドラスの自分が死んでいて、そんなタイミングでほとんど瓜二つのお前がそいつらの前に現れたとしたらよ」

 

「…」

 

「そう、言えなかったの。私はエドラスのミラ姉達を悲しませたくなかった…ナツたちに会えたのは本当に嬉しかったけど…でも…」

 

リサーナは、エドラスで生きていこうと既に決心していた。

 

だが、アニマの逆展開により体内に魔力を宿していたリサーナも当然吸い込まれそうになり、そこでエドラスのミラとエルフマンに全て気づいていたことを告白された。

 

『気がついていながら言い出せなかった…ゴメンな』

 

『あなたは死んだリサーナと同じ優しい子よ。だからこれ以上、本当のお兄ちゃんとお姉ちゃんを悲しませちゃダメ。元の世界に帰るのよ。アースランドの私たちによろしくね』

 

「そして、私はここに帰ってきた…」

 

リート達は黙ってリサーナの話しを訊いていたが、いきなりリートが振り返る。

 

「んじゃ、行くか」

 

「え?」

 

「行くって…ギルドにか?」

 

「いんや、その前に行くところがあるだろ」

 

「行くところ?」

 

「ミラとエルフマンのところ」

 

 

 

ザァァァァ

 

ここはアースランドのカルディア大聖堂、ここに死んだと思われていたリサーナな墓が立てられており、現在ミラとエルフマンはリサーナの墓参りをしていた。

 

「姉ちゃん、そろそろ行こう」

 

「もう少し…」

 

バチャバチャ

 

「ミラ姉~!!!エルフ兄ちゃーん!!!」

 

「え!」

 

「!」

 

ミラとエルフマンが後ろを振り返ると、そこには、もうリサーナが二人の近くにやって来ていた。

 

リサーナは喜びで涙を目に浮かべながら、ミラとエルフマンに駆け寄る。

 

「…ウソ」

 

「おぉぉぉぉ…」

 

「リサーナ」

 

リサーナはミラに抱きつき、ずっと言いたかった言葉を言う。

 

「ただいま」

 

「お帰りなさい」

 

 

 

そして、妖精の尻尾に帰ったリート達はリサーナを中へと招き入れる。

 

「ほらっ、入ってみろよ。結構変わったんだぜこのギルド」

 

「…うん、まず外から見ただけでも十分違うよね」

 

リサーナが中へ入ると、ギルドのメンバーが騒ぎ出す。

 

ざわざわ

 

「ま…マジかよ」

 

「オメェ…生きてたんか」

 

「…うん」

 

ズダダダダダダ

 

「ひっ!?」

 

「「「「「リサーナーーー!!!!」」」」」

 

リサーナをよく知るメンバー達が、一斉にリサーナに飛び付こうとするが、そこはエルフマンが殴り飛ばした。

 

「汚ねぇ手で触るな!!」

 

 

「オレらと同じリアクション…」

 

「ですね」

 

「オレらって、まさか、リートもやったの?」

 

ミラがリートに睨みを効かせる。

 

「やってねぇよ!?」

 

「大丈夫ですわよミラ、リートはリサーナにはやってませんわ…リサーナには」

 

「他の奴にはやったみたいな言い方しないでくれねぇ!?」

 

「よかった。ギルドがちゃんと元のままで」

 

「アニマの事も全く知らねぇようだしな」

 

「とにかく、無事でなによりだ」

 

「いかれてるぜ」

 

「これが魔導士ギルド…」

 

 

「リサーナ」

 

 

「マスター!!」

 

リサーナの元へ歩み寄るマカロフ、そしてリサーナもマカロフの顔を見る。

 

 

「信じておった」

 

「え?」

 

「ギルドで育った者は、みなギルドの子じゃ。子の心配をしない親がどこにいる…そして、子を信じない親がどこにいる。事情は後でゆっくり話してくれればよい。リート達もな」

 

「もちろんです」

 

マカロフは笑顔でリサーナを迎え入れる。

 

「とにかく、よー帰ってきた」

 

「マスター…帰ってきたんだよね…私、帰ってきたんだよね」

 

「そーじゃよ。ここはいつでもお前の家じゃ…お帰り、リサーナ」

 

マカロフの言葉に続き、ギルドのメンバーが全員でリサーナを迎え入れた。

 

お帰りーー!リサーナ!!!

 

ドゴォ!

 

「ただいまー!」

 

「ぐもぉ!?」

 

マカロフはリサーナに抱きつかれるが、後ろの椅子に後頭部をぶつける。

 

「ひぃー!マスターー!」

 

「あらぁ~これはしばらく動けませんわね」

 

「完全に他人事かよ」

 

そこからは、リサーナの帰りを祝して、妖精の尻尾でパーティーが開かれていた。

 

乾杯ー!

 

ワーワー!

 

「火竜!!氷竜!!小娘ぇ!!テメェらのネコ共とオレのリリィを勝負させろぉ!!」

 

ガジルがナツ、リート、ウェンディにエクシード同士での喧嘩を求め始めてきた。

 

その頃、ラリカはちょうどミラに遊ばないかと誘われていた。

 

「ねぇラリカ、近い内に、家に遊びに来ない?」

 

「…そうですわね、ちょうど予定もないですし」

 

「「のぞむところだぁ!!!!」」

 

「のぞまないでよ…」

 

「と思ったのですけど、リートを拷問の実験台にする予定が今出来ましたわ」

 

「と言いたいとこだけど、ラリカの意見も聞かずに戦わすのはどうかと思い却下することに決めたので、実験台だけはマジで勘弁してください!!!」

 

「串刺し、八つ裂き、釜茹で、丸焼き、お好きなのを選んでいいですわよ」

 

「バッドエンド一択じゃん!!!」

 

「フフフッ」

 

ミラとラリカの会話が聞こえていたリートは、即座に掌を返し早口で断り、その様子を見ていたミラは思わず笑っていた。




次回はオリジナル行きます!書き終えてるから1日2回くらいは投稿するかもです


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オリジナル物語5
S級試験リート編


ここはとりあえず選抜までにしときましょう


リサーナが帰って来て、ミラやエルフマンと感動の再会を果たし、ギルドでは夜遅くまで全員がリサーナの帰りを祝って騒いでいた。

 

「みんな変わったねー、ギルドそのものも変わっててビックリしたけど、一番驚いたのは、リートとミラ姉がアタシがいない間に付き合ったことだなぁ、よかったね!ミラ姉、昔からリートに気があるんじゃないかって思ってたんだぁアタシは」

 

「フフフ、どうだったかしらね」

 

「おい、その話しそろそろ止めとかねぇと、エルフマンの精神がどんどんと削られていってるぞ?」

 

リート達が目を向けた方には、エルフマンが肩を落として分かりやすく落ち込んでいた。

 

「あらあら」

 

「あはは、そうだね、そろそろこの話しは止めておこっか」

 

「そー言えば、今年のS級試験はもうやったの?」

 

リサーナの疑問に、リートは答える。

 

「いや、まだ選抜すら発表されてないよ」

 

「そっかー、私がエドラスに行ったのってミラ姉がS級になってすぐだったっけ…あれ?そういえばリートがS級になったのっていつだっけ?」

 

「オレは4~5年くらい前だったかな?その時はまだエルザもS級じゃなかったしな」

 

「そうだった。アタシはナツとリートは一緒にS級になるものだと思ってたよ」

 

「オレも初めはそのつもりだったけど、こいつにそれはダメだって言われちまってな、まぁ、そんな感じでなったS級だけど、今は後悔してねぇし、よかったかなって思ってる」

 

「へぇー」

 

リートは、自分の膝の上で眠っているラリカを優しく撫でる。

 

「ふみゅぅ」

 

「ふふ、ラリカったら気持ち良さそうに寝ちゃって、一体どんな夢を見てるのかしら」

 

「さぁな」

 

 

 

 

「コホン……妖精の尻尾古くからのしきたりにより、これより……S級魔導士昇格試験出場者を発表する」

 

ウオオオオオッ!!!!

 

ラリカは、夢でリートがS級になった時の夢を見ていた。

 

「ついに来たか!」

 

「今年はオレがS級になるんだ!」

 

「いいえ、S級になるのは私よ」

 

 

「今年もこの日が来たな、ナツ」

 

リートは気分を高ぶらせながら、ナツに話しかける。

 

「おう!今年こそS級になるんだ!一緒にS級になろうぜ、リート!!」

 

「お前らには悪ぃが、今年はオレがS級になるぜ」

 

「グレイ!」

 

リートとナツの所に、パンツ一枚になったグレイが歩み寄ってくる。

 

「血気盛んなのはいいけど、お前はまず服を着ろ」

 

「うお!?いつの間に!?」

 

「フッ、お前たち、私を忘れていないか?私もこの日の為に数々の試練をこなしてきたんだ、選ばれる為にな」

 

「エルザ!」

 

「おう、エルザもやる気だな」

 

「オレとしては、エルザはほぼ間違いなく選ばれると思うが…」

 

「あなた方、まだ発表されてませんのに、もう自分が選ばれた気分でいらっしゃるんですわね」

 

リートの頭の上で、ラリカが辺りを見渡しながら話す。

 

「まぁ、それだけ自分に自信があるってことだよ」

 

「それでは発表する!!今回S級試験を受けるものは3名!!」

 

「3人か…思ったより少ねぇな」

 

「まずは一人!エルザ・スカーレット!!」

 

「当然だな」

 

「やっぱりエルザか」

 

「まだだ!!まだあと二人枠がある!」

 

「諦めろ、あとはオレと他の誰かだ、少なくともお前はねぇよ」

 

「何だとこのカチコチ変態男」

 

「やんのか熱血戦闘バカ」

 

 

「そしてもう一人!リート・イクシーズ!!」

 

「お、オレか、いやぁよかったよかった」

 

リートはホッと胸を撫で下ろす

 

「やはり、お前が選ばれたか、リート」

 

「よかったですわね。リート」

 

「「あと一人!!!」」

 

「そして、最後の一人は、カナ・アルベローナ!!!」

 

「……」

 

「カナか、これは面白い試験になりそうだ」

 

チーン

 

ナツとグレイの二人は、自分が選ばれなかったことにショックを受けて倒れてしまう。

 

「お二人とも~、汚れますわよ~」

 

「そっとしておいてやれ」

 

「以上が今回S級試験を受けるメンバーである!今回も毎年同様ペアを組んで試験に挑むことを許可する!そして、これも毎年同様に現S級魔導士に試験を妨害をしに出てもらうので心してかかれ!3日以内にペアを組んで準備しておけぇい!!」

 

そう言ってマカロフは壇上を降りて、その場から離れていった。

 

「なんでだ…オレはこの日の為に、大量の依頼をこなしてアピールしてきたってのに」

 

「オレだって…グレイ以上に仕事をこなしてきたハズなのに…」

 

グレイとナツは、あまりのショックに立ち上がれなくなっていた。

 

「しょーがねーだろ?最終的に決めるのはマスターなんだ、決まったモノは変えられねぇよ」

 

「リートの言うとおりだ、おまえ達は鍛練が足らなかった。ただそれだけだと言うことだ」

 

「「うっ…」」

 

「今回は諦めた方がいいですわよお二人とも」

 

「「ちくしょーーー!!!」」

 

「……」

 

ナツとグレイを見るリートの表情は、少しだけ暗く見えた。

 

その後、ギルドから自分の家に帰る途中のリートとラリカは歩きながら話しをしていた。

 

「……なぁ、ラリカ」

 

「ダメですわよ」

 

「!」

 

「今回のS級試験を辞退したいって言うつもりなのでしょう?」

 

「っ…なんで」

 

「わかりますわよ、それなりにアナタとは一緒にいるのですもの。でも、だからこそダメと言っておきますわ」

 

「…理由を聞いてもいいか?」

 

「今回選ばれたのは間違いなくリートの実力で勝ち取ったモノですわ。けど、選ばれたアナタが辞退なんてしてごらんなさい、選ばれなかった人たちの気持ちはどうなりますの?」

 

「……」

 

「グレイや、エルフマン、選ばれたエルザも必死に今年こそはって努力してましたのよ。そして、もちろんナツも…アナタがナツと一緒にS級になろうと約束してるのはギルドの方達から聞いてますわ。けど、それは二人で選ばれたらの話しですわ。でも今年はリートだけが選ばれた」

 

「…」

 

「一緒になろうとしているのは熱い友情のようで私は嫌いではありませんわ。けど、私欲で辞退を選べばそれこそ選ばれなかった方たちに失礼だと思いませんの?

なにも、S級試験は今年で終わりってわけじゃありませんわ、来年、再来年とナツがS級になるのをアナタがS級という壁になっていくらでも待ってあげればいいですわ」

 

「…そうだな、オレが間違ってた」

 

リートは表情を明るくし、前を向く。

 

「分かればいいんですのよ」

 

「あぁ、すまなかったな変なこと言おうとして」

 

「気にしてませんわ」

 

そして、リートが次に考えるのはペアとなる相手だった。

 

「となると、後はオレのペアを決めねぇとな…」

 

「私が一緒にいきますわ」

 

ラリカの発言に、リートは目を丸くする。

 

「へっ?」

 

「なんですの?文句でもありまして?」

 

「いや、文句はねぇよ…けど、いいのか?オレなんかとペアになって」

 

「いいですわよ別に、私がそうしたいと思ったから言っただけですわ」

 

「それと」

 

ラリカはリートから飛び降りて地面に仁王立ちになり、ビシッという効果音でも付きそうな勢いで、リートに指を指した。

 

「オレなんか、などというのはお止めなさい。私の友人に、自分なんか、などと言える程度の方は一人もいませんのよ」

 

そう言われて、リートは笑みをこぼす。

「ふっ…そっか、じゃあよろしく頼むぜ」

 

「えぇ、アナタを絶対にS級魔導士にしてあげますわ」

 

二人は固く握手をすると、その後家に帰っていった。




次は試験当日からです。あと、昼にもう一話出しておきます


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それぞれのペア

さぁて、どんどんいきましょう。今回のペアは普段活躍の少ないあの人達です


そして試験当日、リート達は港へと足を運んでいた。

 

「まさか船で行くなんて…」

 

「しっかりしなさいな、だらしないですわよ」

 

リートは船で試験会場に行くことを知り、テンションが著しく下がっていた。

 

「ふっ、今からそんなでは先が思いやられるな」

 

「まったくだ、これならエルザの勝ちで決まりだな」

 

リートの下にエルザと、ワカバの二人がやって来た。

 

「エルザ、ワカバ」

 

「あら、珍しい組み合わせですわね」

 

「あぁ、今回はワカバの魔法が役に立つと思ってな、私から誘ったのだ」

 

「まだ試験内容も聞いてねぇのに、何でワカバが役に立つと思ったんだ?」

 

「私の人生における第六感がそう感じ取ったのだ!」

 

エルザは、胸を張って自慢していた。

 

「要するに…なんとなくですのね…」

 

「はっはっは!エルザに選んでもらったからには、ぜってぇにS級にしてやらねぇとな!任せときなって」

 

「そうはいかねぇぞ、ワカバ!」

 

「!」

 

ワカバが振り返ると、そこにはマカオとカナが立っていた。

 

「勝つのはオレたちでS級にはオレのペアのカナがなるぜ」

 

「なにぃ!?おめぇも選ばれたってのかよマカオ!」

 

「おう!ワカバがエルザに選ばれたって聞いてな!パートナーが決まってないカナにペアに入れてもらったぜ!」

 

「必死に頼み込むマカオの姿が目に浮かぶ…」

 

リートは、マカオがカナに頼み込んでいるところを想像する。それがリートには、あまりにも滑稽に思えてしまった。

 

「ほっとけ!!」

 

「私は…別に誰でもよかったから…」

 

「ひでぇ!!」

 

「全員揃ったようじゃのぉ」

 

リート達が集まると、ちょうどマカロフも港に到着した。

 

「「「「「「マスター!!」」」」」」

 

「では、全員揃った所で船に乗れぇぃ、試験内容は島に向かいながら説明する」

 

全員は船に乗り込み、船は問題なく出港した。

 

ザザァー…

 

「うっぷ…やば…これ…ホント…に……まずい」

 

「しっかりしなさいな、まったく」

 

「なっさけねぇなリート」

 

「うっせぇ…」

 

「全員聞けぇぇい!」

 

「「「「「「!」」」」」」

 

全員が振り返ると、マカロフが魔法ペンで空中に図を書いて立っていた。

 

「これから試験の内容を発表する!他言はせんように」

 

「まず!今向かっている島は、バーディング島という、鳥類モンスターの巣といわれておる極めて危険な島じゃ」

 

「バーディング島?」

 

「聞いたことありませんわね」

 

エルザとラリカは、聞き覚えのない島の名前に首をかしげる。

 

「ワシが今さっきつけたんじゃもん」

 

「名付け親マスターかよ!!」

 

「じゃが、そこが鳥類モンスターが大量にいるのは間違いない!そこで、お主らにはあるモンスターを狩って来てもらう!」

 

「あるモンスター?」

 

「それは、ダイヤモンドワイバーンというモンスターじゃ」

 

「ダイヤモンド…」

 

「ワイバーン?」

 

「そう!そのダイヤモンドワイバーンを狩り、最後に重さを計り一番重量のあったチームの勝ち、勝った1名をS級魔導士とする!ワイバーンは制限時間内なら、いくら取ってきてもかまわんぞ」

 

「なるほど、総重量勝負ということか、シンプルで分かりやすいぜ」

 

「もちろん、ただ狩るだけでは簡単すぎるからのぉ、島には現S級魔導士のラクサス、そして、仕事場所が近かったことからギルダーツを呼んでおいた。その二人がお主らを待ち構えておる。あやつらはお主達が狩ったダイヤモンドワイバーンを奪いに来るから気を付けろよ」

 

「はぁ!?」

 

「おいおい、冗談じゃねぇぞ!!アイツらに勝てるわけねぇじゃねぇか!!」

 

ラクサスとギルダーツがいると聞いて、ワカバとマカオの二人は動揺する。

 

「誰も勝てとは言うとらんじゃろ、要は獲物を守って自分の拠点に狩ってきたダイヤモンドワイバーンを置いてこればいいんじゃ。そうすれば、あやつらには手を出さんように言うてある」

 

「「けどよぉ~」」

 

「やめないか二人とも」

 

ワカバとマカオの愚痴を、エルザが止める。

 

「S級魔導士になるための試験なんだ。そう甘くはないに決まっているだろう」

 

「「うっ…」」

 

「そうですわよ、そんなに簡単に行けば苦労はいたしませんわ」

 

「どうでもいいから…そろそろ下ろして…」

 

リートは、顔色を悪くして完全にダウンしている。

 

「アナタは試験の内容を聞いてましたの!?」

 

((((リートだけには勝てそう…))))

 

リートとラリカ以外の全員の気持ちがこのときだけは一致した。

 

そして、試験内容を公開してから約10分、リート達を乗せた船はバーディング島に到着した。

 

「お主らの拠点はワシが昨日のうちに設置した。各拠点に代表の名前があるからそこを自分達の拠点とするように!頑張ってダイヤモンドワイバーンをそこまで持って行けぃ」

 

「ちょっと待てよマスター、拠点ってオレたちどこか聞いてねぇんだけど」

 

「制限時間は夕暮れまで!!では始めぇい!!!」

 

「拠点も探すのか!?」

 

マカロフの合図とともに、全員がそれぞれの思う方へと散らばっていった。

 

「これは…」

 

「一筋縄じゃいかなそうだな」

 

 

「カナ!!何がなんでも一番になるぞ!!」

 

「うん!!」

 

 

「リート!!拠点の場所とワイバーンの居場所はわかりますの?!!」

 

「いや、こーなりゃ手当たり次第にやってくしかねぇ!!死ぬ気でやるぞラリカ!!」

 

 

 

「アイツら動いたみたいだぜ、オッサン」

 

「あぁ、じゃオレたちも動くとするか」

 

 

リート達が動き出したと同時に、S級魔導士の二人が動き出す。

 

「さぁーて、ここからどーする?エルザ」

 

「まずは私たちの拠点の場所を把握するべきだ。ワイバーンよりも先に陣地を探すことにしよう」

 

「そーいう事なら任せな」

 

ワカバはパイプを吹かして煙を上げると、煙は空高く上がり望遠鏡のような形に変形し、除き穴の部分がワカバの目元まで下りてくる。

 

「スモークスコープ」

 

「流石だな、やはりワカバをパートナーに選んで正解だった」

 

「へへっ、だろ?マカオなんかよりもよっぽど役に立つぜ」

 

「今回の相手はマカオだけではない、油断するな」

 

「そんなマジにツッコまなくても」

 

ワカバはスモークマジックで辺りを見渡すと、一ヶ所だけ拠点が見えた。

 

「見えたぜ!!」

 

「本当か!!?」

 

「けど、ここからじゃオレたちの拠点かどうかわからねぇ、もっと近くに行かねぇと」

 

「場所が分かっただけでも充分だ。まずはそこに向かおう」

 

「おう!」

 

エルザとワカバの二人は、拠点が見えた方向へと走り出した。

 

「さてと、どーするよ?カナ」

 

「ちょっと待って、アタシ達の拠点の場所をカードで占ってみる。うまく行けばすぐに見つかるかもしれない」

 

「へへっ、そいつはいいな、よっしゃ!じゃあいっちょ頼むぜカナ」

 

カナは自分の持ってるカードを地面に広げて、拠点の場所を占う。

 

「でた!!アッチ!!」

 

「よっしゃ!そんじゃあ行こうぜ!!」

 

「うん!!」

 

カナの占いで出た方角に、二人は走り出した。

 

「どうだラリカ、何か見えたか?」

 

リートとラリカのペアは、ラリカに空から拠点の位置を探してもらっていた。

 

「さっきからずっと拠点らしきものは見えてますわよ?」

 

「そーゆーのはもっと早く言ってくんない!!?」

 

「聞かれませんでしたもの」

 

「聞かなきゃ教えてくんないのかお前は!!」

 

「でも、ここからじゃ名前までは見えませんわよ、もしかしたら別の誰かの拠点かもしれませんわ」

 

「どっちにしても調べる必要はあるだろ、とりあえずその拠点に向かおう」

 

「了解ですわ」

 

各チームは、それぞれ拠点となる場所へと向けて走り出した。

 

ザッザッザッ

 

まず拠点に到着したチームは、

 

「あった」

 

「おっしゃ!カナの占い通りだな」

 

カナとマカオのチームが、拠点に到着した。

 

「とりあえず名前を確認するぜ…」

 

マカオは拠点を見渡すと、カナという名前が彫られた部分を見つける。

 

「間違いねぇ、オレたちの拠点だ。流石だなカナ」

 

「うん、じゃあ…次はいよいよ…」

 

「ダイヤモンドワイバーン狩りだな」

 

「うん!行こう!!」

 

 

 

「むっ」

 

「げっ…」

 

エルザのチームとリートのチームは、同時に同じ拠点に到着した。

 

「お?リート!!それにラリカもいるじゃねぇか!!」

 

「あら?あなた方もここの拠点を見つけましたの?」

 

「あぁ、ワカバに見つけてもらってな、私たちの拠点かどうか確かめに来たんだ」

 

「目的はやっぱり同じか…となると、問題はこれが誰の拠点か…だな」

 

リートは拠点の周りを確かめ、名前を探す。

 

「…うそ…だろ…」

 

リートが見つけた場所は、エルザの拠点だった。

 

「やりぃ!オレたちの拠点見っけ!!」

 

「よし!では、私たちはダイヤモンドワイバーンを探すとしよう」

 

「おうよ!」

 

「くそっ…ここまで来てハズレって…」

 

どんどんと凹んでいくリートに、ラリカは一喝入れる。

 

「しっかりしなさいな!!まだ拠点を見つけられただけじゃありませんの!!充分挽回できますわよ!!」

 

「……」

 

「リート!!」

 

「っだぁぁぁ!!!こーなりゃ意地でもS級になってやる!!行くぞラリカ!!!」

 

「意外と元気ありますのね!!?」

その頃、マカロフは船を止めた場所で時間を潰していた。

 

「そろそろ、全員が拠点を見つけて動き出す頃かのぉ」

(今回の獲物ダイヤモンドワイバーン…S級試験で狩って来いと言われるほどじゃ、一筋縄ではいかんぞ)




あれだよね…世界線だけ見てるとトリコみたい…


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ワイバーン狩り

1日で終わりそう…


ギィヤオオオオ!!!

 

「くそっ!コイツがダイヤモンドワイバーンかよ…羽…いや、もはや全身を被う鱗か…固すぎるだろあの鱗!!」

 

カナとマカオは、早々にダイヤモンドワイバーンを見つけて捕獲しようとしていた。

 

「マカオ!!大丈夫!!?」

 

「あぁ、こいつを狩れとか流石S級試験だな、あの装甲を外さねぇとこっちの攻撃が通らねぇ」

 

「ならこれでどう?!!カードマジック!!召炎!!」

 

カナが放ったカードが炎となり、ワイバーンに襲いかかる。

しかし、ワイバーンは翼を羽ばたかせカナの炎を一瞬で消し飛ばした。

 

「そんな!!」

 

ギィヤオオオオ!!!

 

「カナ!!!」

 

ワイバーンがカナに襲いかかろうとした瞬間

 

「フン!!」

 

バチバチバチバチ!!!

 

「「!?」」

 

ワイバーンの真上から雷が落ち、一瞬でワイバーンは黒焦げになっていた。

 

「ったく、テメェらこんな雑魚に時間かけすぎなんだよ」

 

「ラ…ラクサス…」

 

「残念ながら、こいつはオレがもらっていくぜ」

 

ラクサスはワイバーンの尻尾を掴むとそのまま引きずって歩きだした。

 

「ま…まって!!それがないとS級には…」

 

「奪われたテメェらの責任だ。返してほしけりゃ力ずくで奪いに来な」

 

「なら!!そうするよ!!」

 

カナは、持っていたカードをラクサスに向けて放ったが、ラクサスは一瞬でカードを避けて、カナの後ろに回り込む。

 

「カナ!!後ろだ!!!」

 

「!!」

 

「テメェみてぇな雑魚がS級なんて10年早ぇんだよ」

 

ドン

 

「うっ…」

 

カナは、ラクサスに手刀を受けて気を失ってしまった。

 

「カナ!!」

 

「気ぃ失ってるだけだ」

 

ラクサスは、そのままワイバーンを引きずって去っていってしまった。

 

「ちくしょう!!」

 

 

 

「ぐっ!」

 

「エルザ!!」

 

一方、エルザとワカバもダイヤモンドワイバーンと勝負をしていた。

 

「はぁ!!」

 

エルザは剣を換装し斬りかかるが、

 

ガキィン

 

「うっ…やはりダメか」

 

ダイヤモンドワイバーンの装甲を剥がすには、エルザの力ではまだ足りなかった。

 

「このやろう!!スモークラッシュ!!」

 

ワカバがワイバーン相手に煙を拳のように変えて攻撃するが、やはりワイバーンにはダメージを与えられているようには見えなかった。

 

「おいおい、こんなのどーやって捕まえろってんだよ」

 

「諦めるな!!必ず捕まえる手段があるハズだ!!」

 

エルザは諦めることなく、ワイバーンを斬り続ける。

 

「はぁぁぁぁ!!!」

 

キィンキィンキィン

 

ワイバーンはエルザの攻撃をものともしていなかった。

 

「はぁ!」

 

フッ

 

「!?」

 

エルザが諦めずに攻撃していると、ワイバーンは胸を斬られそうになったのを今までは動かずにいたのに、その時だけは何故かエルザの攻撃を回避した。

 

「…」

 

「どうした!?エルザ!!」

 

「いや…」

 

ギィヤオオオオ!!

 

ワイバーンは、エルザのいる場所に前足を振り下ろし、エルザを踏み潰した。

 

「エルザーーー!!!」

 

 

…ガフッ

 

「!?」

 

ワカバは驚いていた。なぜなら、エルザを踏み潰したワイバーンにダメージがいきなり入ったからだ。

 

「ど…どーなってんだ…」

 

「やはり…そーゆーことか」

 

ワイバーンに踏み潰されたと思われていたエルザが、気がつけばワイバーンの胸に剣を突き刺していた。

 

「エルザ!!」

 

「ワカバ!!こいつらの弱点は心臓だ!!心臓に近い皮膚ほど硬さが落ちているぞ!!」

 

「!」

 

エルザのアドバイスでワイバーンの弱点を知ったワカバも、ワイバーンに攻撃を仕掛ける。

 

「なるほど、そーいう事なら」

 

ワカバは煙で剣を作り、ワイバーンの胸に突き刺した。

 

ギィヤオオオオ!!!

 

「エルザ!!あそこに向けてデケェの一発くらわせてやれ!!!」

 

「助かる!!」

 

エルザは新たに剣を換装して、ワカバの突き刺した剣のつかを狙って突進した。

 

「はぁぁぁぁ!!!!」

 

ズドン!!

 

ギィヤオオオオ!!!!!

 

心臓を貫かれたワイバーンはついに気を失ってしまった。

 

「はぁ…はぁ…」

 

「よっしゃぁぁ!!さすがエルザだぜ!!!」

 

「しかし、どーするよ?この巨体を運ぶのは結構骨だぜ?」

 

「問題ない私がこいつを半分に斬るから、お前は片方をスモークマジックで運んでくれ、私はもう半分の胴体を運ぶ」

 

「お…おう…よくそんな発想がでるな…」

 

エルザは躊躇なくワイバーンの鱗を剥ぎ取り、体を切り落とすと、ワカバに半分渡し残りを担ぎ出した。

ワカバも受け取った半身を、煙で持ち上げる。

 

「よしっ、では拠点に一度戻ろう、先程の戦いで体力も消耗しているしな」

 

「おうよ!」

 

 

「やるじゃねぇか、おめぇら」

 

「「!?」」

 

エルザとワカバが後ろを振り返ると、まさかのギルダーツが立っていた。

 

「う…うそだろ」

 

「くっ…」(こんな時に…)

 

 

「さぁ、おまえら…残った魔力を使って捕まえた獲物をしっかりと守りきれよ?」

 

 

 

「ぜぇ…ぜぇ…」

 

「ずいぶんと荒々しい鳥なのですわね、ダイヤモンドワイバーンという生き物は」

 

リートとラリカは拠点を探していたが、何故か途中でワイバーンに襲われるというトラブルに会い、なんとか倒したはいいものの、拠点が見つかっていない為に島の中をぐるぐると歩き続けていた。

 

「と…とにかく…拠点を…探さねぇと…こんなデカいのをいつまでも運んでられねぇ」

 

「ちょっと待ってくださいまし、今空から探していますわ」

 

ラリカが辺りを見渡し、ようやくリートの名前が彫られた拠点を見つけ出した。

 

「ありましたわ!!今度は間違いなく私達の拠点ですわよ!!」

 

「ホントか!!急ぐぞ!!!」

 

リートは巨大なダイヤモンドワイバーンを引きずって拠点に向かって走り出した。

 

「おっも…」

 

「我慢ですわ、我慢」

 

リート達は何とか拠点に到着し、拠点の中に捕まえたワイバーンを入れると、ワイバーンは吸い込まれるように拠点の中に入り、右上のモニターに250kgと表示された。

 

「250キロ…」

 

「そりゃ重いハズだわ…」

 

「いや、そもそも人間が持てる重さじゃないと思いますわよ!!?」

 

「まぁ、とにかく…拠点も分かってワイバーンもゲットしたんだ。これでみんなより一歩くらいリードしたんじゃねぇか?」

 

「だといいですわね」

 

一方ラクサスに倒されてしまったカナとマカオの二人は、今後について話していた。

 

「どーするよカナ、さっきと同じやり方じゃラクサスかギルダーツに奪われる一方だぜ」

 

「うん…なら奪われるまえに奪えないようにしてしまえばいいんじゃないかって思ってる」

 

「奪えないようにってのは、例えばどーやって?」

 

カナは懐からカードを取り出して、マカオに説明する。

 

「アタシのカードマジックは物の収納もできる。それを使ってラクサスかギルダーツに見つかる前にワイバーンを収納して、拠点の前に来たときに取り出せれば」

 

「なるほどな、それならオレたちは常に手ぶらに見えるって訳だ。うまくいけばアイツらに狙われるリスクも減る」

 

「そう、残る問題はあのワイバーンの弱点を探すことだけど…」

 

「それが一番の問題だよなぁ」

 

「アタシらの実力じゃ普通に戦っても勝てない相手だからね…何とか突破口を見つけないとラクサスやギルダーツ以前の問題になる」

 

「その辺はオレに任せとけ、観察力にはちっとばかし自信があるからな、戦ってる間に弱点を見つけてやるぜ」

 

「…わかった。とりあえず他に案もないし、今はそれに頼ることにするよ」

 

「意外と頼られてねぇのかオレは!?」

 

そして、二人はまたダイヤモンドワイバーンを探し始めることとなった。

 




よしっ…次


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試験終了

めっちゃ進んだ…


「はぁ…はぁ…」

 

「ぜぇ…はぁ…」

 

カナ達が再度動き出した頃、エルザ達はギルダーツを相手に苦戦していた。

 

「おいおい、こんなもんで音をあげてちゃS級なんて夢のまた夢だぜ?」

 

「ちくしょう…一発も当たりゃしねぇ」

 

「はぁ…はぁ…ワカバ…」

 

「あん?」

 

「ワイバーンの半身を持って拠点に走れ…ここは私が何とかする」

 

「!?走れったって…おめぇボロボロじゃねぇか!!」

 

「このまま二人でギルダーツを相手にしても勝てる見込みは限りなく低い…ならば、戦力となる方が残って片方が拠点に着くまでの足止めをすれば、まだ合格できる可能性は残されているだろう」

 

エルザの判断は、正しいのであろう、しかし、それはワカバには仲間を見捨てろと言っているように聞こえていた。

 

「け…けどよぉ」

 

「早くしろ!!私だってそう長くは足止めできんぞ!!!」

 

「お…おう…」

 

ワカバはギルダーツの横を抜け、拠点に向けて走り出そうとする。

 

しかし、ギルダーツがそう易々と行かせてくれるわけはない。

 

ギルダーツはワカバの前に一瞬で移動して立ちふさがった。

 

「おっとぉ、行かせねぇぜ。どーしても通りたきゃ、その獲物をここに置いていきなワカバ」

 

「ちっくしょー!スモークラッシュ!!」

 

ワカバは煙のパンチをギルダーツに向けて打つが、ギルダーツが右手を前に出すとワカバの煙は霧散して消えてしまった。

 

「無駄だ」

 

「今だ!!エルザ!!!」

「はぁぁぁぁ!!!」

 

 

「!?」

 

ビュン!!

 

ワカバの煙が霧散したと同時に、エルザがギルダーツに向かって斬りかかった。

 

「ギルダーツ!!!貴様の相手は私だ!!!」

 

 

 

「はぁ…はぁ…」

 

エルザがギルダーツと戦っている時、リートは2匹目のワイバーンを狩ろうと奮闘していた。

 

「くっそっ…やっぱこいつら心臓部以外全部硬ぇな…ガードの合間をぬって攻撃するのが思ったよりキツイ」

 

「ファイトですわよリート~!!」

 

「応援すんのはいいけど巻き込まれんなよ?」

 

「大丈夫ですわ!!もしもの時はアナタを見捨てても生き延びて見せますわよ!!」

 

「生きようとする意志があるのはいいけれど!!!」

 

ギィヤオオオオ!!!

 

しびれを切らせたワイバーンが、リートに襲いかかる。

 

「!」

 

ズズゥゥン

 

「!リート!!」

 

前足を頭上から振り下ろされたリートだったが、腕と足の力でワイバーンの前足を受け止めていた。

 

「ん…なろ…」

 

 

「そんな雑魚にいつまで手こずってんだテメェは」

 

「!?」

 

バチバチバチバチ!!!

 

ギィヤァァァァ!!!!

 

グリフォンに電撃が走り、リートが電撃が飛んできた方向を見ると、そこにはラクサスが立っていた。

 

「…ラクサス……」

 

「よぉ、リート」

 

「…おう、まさかテメェとここで会うとはな」

 

「余計な話は無しだ、さっさとそのワイバーンを寄越しな」

 

ラクサスは、仕留めたワイバーンに歩み寄ると、リートが間に立ちふさがる。

 

「何のつもりだ?」

 

「これはオレの獲物だ。お前にはやらねぇよ」

 

「フン、じゃあ力ずくで奪って持ち去ってみろよ」

 

「言われなくとも!!」

 

リートは氷の柱を作り、ラクサスに向けて投げ飛ばす。

 

「氷竜の柱弾!!」

 

グオオォォ

 

にっ

 

ラクサスは、ニヤリと笑うと高速で回避し、リートの後ろに回り込んだ。

 

「!」

 

「おらぁ!!」

 

そして、リートの後ろに回り込んだラクサスが、電撃を飛ばす。

 

「ぐっ…」

 

バッ!

 

リートは慌てて電撃を回避して、視線をラクサスに戻す。

 

「っぶねぇ」

 

リートは氷を腕に纏い、ラクサスに殴りかかった。

 

「氷竜の硬拳!!!」

 

「はっ!そうこねぇとなぁ!!」

 

ガン!ゴン!ドン!

 

ズガガガガガガガ!!

 

リートとラクサスは、拳をぶつけ合い攻撃し続けた。

 

「氷竜の…」

 

リートは、ラクサスから距離をとって大きく息を吸い込んだ。

 

「咆哮!!!!」

 

ズオオオオォ!!

 

「はぁ…はぁ…どうだ!!」

 

リートがブレスを放つと、地面がえぐれていた。しかし、そこにラクサスの姿が見当たらない。

 

(っ…どこに!?)

 

「おい、いつまでそっちを見てんだ」

 

「!?」

 

ドゴォ!

 

「ぐはっ!!」

 

ブレスでリートの視界がふさがった瞬間、ラクサスは高速でリートの後ろに回り込んでいたのだ。そしてそのままリートの背中を殴り飛ばした。

 

「がはっ」

 

目の前の大木に、リートは体を叩きつけられる。

 

「ふん」

 

ラクサスは自分が勝利したと思い、ワイバーンへと足を向けると、後ろから荒い息づかいが聞こえた。

 

「ぜぇ…ぜぇ…」

 

「おいおい、まだ立つのかよ」

 

「お前に…ワイバーンは……やらねぇよ……」

 

「…フン!これ以上相手してられるか」

 

「!」

 

ラクサスはきびすを返して、ワイバーンを諦めた。

 

「おまえ…」

 

「認めてやるよ。テメェはS級になれるだけの実力はある…だがそれだけだ。オレには勝てねぇ」

 

ラクサスはそれだけ言うと、その場から去っていってしまった。

 

「…ぐっ…」

 

バタッ

 

ラクサスとの戦いでボロボロになったリートは、そのまま意識を失ってしまった。

 

 

「見つけた!!ダイヤモンドワイバーン!!」

 

「よぉし、じゃあ慎重にかつ急いで狩っちまおうぜ」

 

「うん!!」

 

あれから、ダイヤモンドワイバーンを探し続けてようやく見つけたカナとマカオ、ワイバーンは食事中のようで、二人にまだ気づいておらず、二人はゆっくりとワイバーンに近づいていく。

 

「さて、ここまで来たはいいが、ここからどーするかだな」

 

「どう?ワイバーンの弱点は分かりそうなの?」

 

「ちょっと待て、そんな急には見つけられねぇよ」

 

マカオはじっとワイバーンを観察し、ワイバーンの弱点を探る。

 

「ん?ワイバーンの胸の部分…やけに動いているような…」

 

「そうか!わかったぜカナ!!」

 

「ホント?!!」

 

「あぁ、おそらくやつの弱点は心臓だ!!その証拠にやつの呼吸で胸の筋肉だけ動きがわかるようになっているからな」

 

「ホントだ…じゃあ、そうと決まれば!!」

 

「おう!やつの胸を狙えば勝てる!!」

 

「OK!!行こう!!」

 

「おうよ!」

 

二人は勢いよく草むらから飛び出しワイバーンに向かっていった。

 

 

「はぁ…はぁ…ぜぇ…はぁ…」

 

エルザにギルダーツを任せて、単身で拠点に走っていたワカバは、必死に走りようやく拠点の前に到着していた。

 

「ぜぇ…ちくしょー、タバコ控えようかな」

 

「ってそんな事いってる場合じゃねぇや、さっさとこいつを拠点に置いてエルザの援護に向かわねぇと」

 

ワカバが拠点の中にワイバーンの半身を入れるとモニターに110kgと表示された。

 

「よしっ!待ってろよエルザ!!」

 

ワカバは、エルザのいる場所に向けて走り出した。

 

「はあぁぁぁぁ!!!!」

 

ビュンヒュンビュンビュン

 

エルザは一心不乱に剣をギルダーツに振り続けるが、ギルダーツはそれを全てかわしていた。

 

ガシッ

 

「!!」

 

エルザの振っていた剣が、ギルダーツに片手だけで捕まれピクリとも動かなくなった。

 

「くっ…」

 

「なかなかいい攻撃だなエルザ、だが経験の差が出たな。こればっかりはどうしようもねぇ」

 

「…しかし、貴様の足止めにはなっている、今はそれで充分だ。もっとも、貴様はまだ全力ではないようだがな」

 

「ガッハッハッハ!!確かにな、それだけでも大したもんだ。実力、その場の状況判断能力、どれをとっても申し分ねぇ、オレが試験官なら合格にしてやりてぇくらいだ。けど、残念ながら今年はオレたちはお前らの獲物を横取りする事しかマスターに指示されてねぇんだ」

 

「そうか、それは残念…だ!!」

 

エルザはもう一方に握っていた剣を振るう。それをギルダーツはしゃがんでかわし、掴んでいた剣をクラッシュで粉々に砕いた。

 

「エルザーー!!」

 

「!ワカバ!!」

 

同時にワカバがエルザの下にたどり着いた。

 

「いいタイミングだな、だが、そろそろ時間切れだ」

 

「「!」」

 

ワカバ到着した瞬間、黄色い閃光弾が空に打ち上がる。

 

「あれは…試験終了の合図…」

 

「終わった…のか?」

 

「あぁ、試験結果はまだ出てねぇからわからねぇが、よく頑張ったなお前ら」

 

ギルダーツは戦いを止めて、きびすを返して港へと歩いていった。

 

「終わっ…た……」

 

ドサッ

 

「!エルザ!!」

 

エルザは緊張感が抜けたのか、膝を地面につけた。

 

「大丈夫だ…とにかく、港へ行こう」

 

「あぁ」

 

エルザとワカバの二人は、閃光弾が上がった港へと向かって歩いて向かった。

 

閃光弾が上がる少し前、リートは目を覚まして拠点に向かって歩いていた。

 

「リート、大丈夫ですの?」

 

「あぁ、でもさすがにキツいな…へへっ…さすがS級試験…」

 

ヒューーッドーーン!!

 

「まぶしっ!!」

 

「あれは!!」

 

「何だ?今の」

 

「黄色い閃光弾…試験終了の合図ですわよ」

 

「まじか!じゃあ…どーするよ?これ」

 

リートは、引きずっていたワイバーンに目を向ける。

 

「とりあえずここに置いて、先に閃光弾が上がった港へ向かいましょうですわ」

 

「…そうだな、わかった」

 

リート達も港へ向かうことになった。

 

 

「はぁ!!」

 

「このっ!!」

 

二人は必死にワイバーンの胸に狙いを定めて攻撃するが、ワイバーンもそう易々と弱点に攻撃させてはくれなかった。

 

「くそっ!せっかくの弱点も、こうも防御されてたら意味がねぇ!!」

 

「…ねぇマカオ、一瞬でもアイツの隙を作れたら心臓にでかい攻撃撃てる?」

 

「ん?あぁ、隙ができて魔力を込める時間さえあれば…多分何とか」

 

「なら、アタシが隙を作るから、その瞬間に攻撃よろしく」

 

カナは前に飛び出し、ワイバーンに向かっていった。

 

「!カナ!!」

 

「カードマジック!!召雷!!」

 

バリバリバリ!!

 

カナの召雷により、ワイバーンは感電し、体が痺れて動きが鈍くなっていた。

 

「マカオ!!」

 

「任せろ!!」

 

マカオは炎を一点に集中させて、グリフォンの胸目掛けて放った。

 

「いっけぇぇぇ!!!」

 

マカオの炎がワイバーンの胸を貫き、ついにワイバーンは力尽きて倒れた。

 

「「よっしゃぁぁ!!」」

 

ワイバーンを倒した瞬間、黄色い閃光弾が上がる。

 

「!あれは!!」

 

「試験終了の…合図…」

 

「そんな…まだワイバーンを拠点に持っていけてないのに…」

 

カナは、ショックで膝から崩れ落ちてしまった。

 

「カナ!!」

 

「ちくしょう…ちくしょーーー!!!!」

 




ぶっちゃけキリのいいところがなくて困惑してます


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S級へ

ここで終わりです。最後みじっか!


ショックを受けていたカナを背負って、マカオは閃光弾の上がった港にやって来た。

 

「来たか…」

 

そこには、マカロフやS級の二人を含め、全員が集まっていた。

 

「まずはお主ら、よく頑張った。結果を残せた者もそうでない者も居るじゃろうが、ひとまず無事に試験が終わり嬉しく思う」

 

「それは、いいからよマスター、早く結果を教えてくれよ。もうクタクタだぜオレたち」

 

「まぁ、そう慌てるでない、では結果を発表する!!」

 

「「「「「「………」」」」」」

 

「今回S級試験合格者は、リート・イクシーズじゃ!!!」

 

「!」

 

「や…やりましたわ!!S級ですわよ!!リート」

 

「あ…あぁ」

 

「よくやったじゃねぇかリート」

 

「ギルダーツ…」

 

「何だよ?S級だぜ?もっと喜んだらどうだ?」

 

ギルダーツが、リートに祝福するが、リートは呆けた顔をしたままだった。

 

「いや、何か実感わかなくて」

 

「ガッハッハッハ!!こーゆー時は素直に思いっきり喜べばいいんだよ」

 

「そ…そうか?…じゃあ、よっしゃぁぁぁ!!!!」

 

リートは、ガッツポーズで喜びを表現した。

 

「リート」

 

「エルザ」

 

「おめでとう。今回は完敗だ」

 

「いや、正直オレもギリギリだったさ。運がよかっただけだよ」

 

「運も実力の内だろう。大した奴だよお前は」

 

「そろそろえーかのぉ」

 

「「!」」

 

マカロフの話の途中で騒いでいたため、マカロフが話しを戻そうとする。

 

「よー頑張ったリート、しかし、S級は試験よりもなった後からが大変なんじゃ、決して気を抜かぬようにな」

 

「…はい!」

 

「うむ、さてと…では、リートのS級試験合格を祝って祝勝会でも開こうかのぉ!!」

 

オオオォォ!!

 

祝勝会と聞いて、試験を受けていたほとんどの者がテンションを上げる。

 

「酒は持ってきておるから安心せい!!そして、食材はなんと!!ダイヤモンドワイバーンじゃ!!!」

 

「「「「「「は?」」」」」」

 

マカロフの意外な言葉に、全員の空いた口が塞がらなかった。

 

「驚いとるようじゃのぉ」

 

「いや、だって…あれを食うのか?」

 

「何じゃ、知らんのか?ダイヤモンドワイバーンは硬い鱗や羽に被われとる分、その中の肉は柔らかくSランクの肉として扱われる最高級食材なんじゃぞ」

 

「最高級の…」

 

「肉…」

 

ギュルルルル

 

最高級の肉と聞いて、全員の腹が一斉に鳴った。

 

「そして、ワイバーンの鱗は宝石として…高く売れる!!!」

 

「あんたS級試験にダイヤモンドワイバーンを狩らせたのそれが目的だろ!!」

 

「とにかく!!ワシらでここで祝勝会を上げ、残った分はギルドの者達への手土産にするぞぉ!!!」

 

マカロフは、もう食べる気満々だった。

 

その後、リート達は祝杯を上げて無事にギルドに帰ることになった。

 

………

 

「…リカ……ラリカ…ラリカ!」

 

「うーん…はっ!」

 

そして、夢を見ていたラリカは目を覚まし、気がつけば翌日の朝になっており、おそらくリートが運んだのだろう、リートとラリカの家のソファーの上で布団を被せられていた。

 

「起きたか?そろそろギルドに行くから支度しろよ」

 

「ふぁ~っ、なんか懐かしい夢を見た気がしますわ」

 

「懐かしい夢?どんなのだ?」

 

「…思い出せませんわ」

 

「アハハ…何だそりゃ」

 

ラリカの夢の内容を聞けず、リートは苦笑いをするしかなかった。

 

「ねぇ、リート」

 

「ん?」

 

「ダイヤモンドワイバーン…食べたいですわ」

 

「また懐かしいなオイ…まぁ、機会があればまたみんなで一緒に食べようぜ」

 

「はいですわ!!」




完全な夢オチ…まぁいいかとか思ったり、そしてこれを一年以上放置していたことになぜか申し訳なさを感じております


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S級試験編
発表前日


S級試験始めます


「うんめぇ~!ミラ!今日のかき氷はまた格別だな!」

 

「フフッありがと、おかわりが欲しければ言ってね」

 

エドラスから帰ってきてから数日が経過した今日この日、リートは騒がしいギルド内でいつも通りミラの作ったかき氷を頬張っていた。

 

「よく飽きませんわね、毎日かき氷なんて」

 

「好きなものはいつ食っても旨いんだよ。それがミラの作ったやつなら尚更な」

 

「ハイハイ、甘ったるい事この上ないですわね」

 

「かき氷がか?」

 

「あなた方がですわよ」

 

「いいじゃねぇか、あー」

 

ムギュッ

 

「ぶっ!」

 

 

「ミラさーん!!訊いてくださいよ~!!」

 

リートがかき氷を頬張ろうとした瞬間、ルーシィがリートを身体で押し潰してミラに話しかける。

 

「あっ…」

 

「大丈夫?リート」

 

「あっ…ごめんリート」

 

「お前…オレに何か恨みでもあんの?」

 

「それで?どうしたの?ルーシィ」

 

「オレが潰されてるのはもうスルーなの!?」

 

それからルーシィは、前日にあった出来事を話す。

 

珍しくカナが、ルーシィの家に上がり込みギルドを辞めようと思うと話したこと、その理由を話そうとしなかったことを。

 

「…という訳なのよミラさん!!!カナってば理由も言わないし!!!もうどーなってるんだか!!」

 

「あー、それか」

 

「あれですわね」

 

「え!?リートとラリカは知ってるの!?」

 

「えぇ」

 

「あぁ、アレだな」

 

「でた!!アレ!アレって何なのよ」

 

困惑するルーシィを、ミラが落ち着かせる。

 

「大丈夫よ。この時期になるとカナはいつもそうやって言い出すの」

 

「えぇ!!?ってかこの時期って!?」

 

「仕事仕事ォ~!!!」

 

「あいさー!!」

 

ナツとハッピーは、張り切って仕事に行こうとしルーシィの後ろを通りすぎていった。

 

「ちょっと!!仕事ならアタシも…」

 

「悪ぃ!!この時期は一人で行くんだ!!」

 

「戻ってきたら遊んであげるね!!」

 

「おっとそうだ…リート!」

 

ナツは振り返り、リートを指差す。

 

「ん?」

 

「今年こそはお前に並んでやるぞ!!覚悟しとけよ!!」

 

リートはかき氷のスプーンを口に咥えながら、手をヒラヒラと振る。

 

「分かってる。一緒にイグニールのおじさんとフランドーラを探す範囲広げねぇといけねぇんだからな。頑張ってこい」

 

「おう!」

 

「ナツ~早く行こうよー!」

 

「おっといけねぇ!!」

 

ナツが踵を返すと、目の前からグレイが走ってきていた。

 

「「どわぁぁ!!」」

 

「前見て走れよこのド桜ツンツン頭!!!」

「テメェこそ邪魔なんだよムッツリパンツ!!!」

 

「二人とも喧嘩してる時間あるの?」

 

「「ハッ!そういえば!!」」

 

ナツとグレイは喧嘩を止めて、次の仕事へと動き出す。

 

「ただいま!」

 

「お帰りグレイ、服は?」

 

「それどころじゃねぇ!!次の仕事コレな!!」

 

「ハイ、行ってらっしゃい」

 

「え!?もう次の」

 

「姉ちゃん!!オレはこの仕事行ってくる!!」

 

「ひゃあ!!?」

 

グレイの次はエルフマンが、仕事の依頼書を持ってきた。

 

「張り切ってんなぁ」

 

「そりゃあ、アレがありますもの、当然ですわよ」

 

仕事仕事~!!

 

ギルドのカウンターに次から次へと仕事の依頼書をもってメンバー達が押し寄せてくる。

 

「な…何事なの」

 

「…さてと、オレもそろそろ行くか」

 

「そうですわね」

 

「え!?リートも仕事に行くの!?」

 

リートとラリカが立ち上がるのを、ルーシィは驚いた顔で見る。

 

「おう、つっても余り物の仕事だけどな」

 

「余り物?」

 

「ミラ、今残ってるので古くて日帰りでできそうなの、まとめて持ってきてくれ、今日中に全部済ませてくる」

 

「全部!?」

 

「はーい、あまり人気のない仕事だけど、よろしくね」

 

「滅多なこと言うもんじゃねぇよ…どんな小さい仕事でも仕事は仕事だろ」

 

「フフッそうね、それじゃあラリカ、手伝って」

 

「了解ですわ」

 

そう言ってミラは、依頼書を取りに行った。

 

「はい!アタシもついて行きたい!!」

 

リートが依頼書を待っていると、ルーシィが積極的に手を上げる。

 

「ん?別にいいけど、大した仕事じゃねぇぞ多分」

 

「いいの!それよりもまだ聞きたいことあるし、リートとラリカは何か知ってそうだし」

 

「ふーん、まぁいいぜ、ルーシィは入って半年ぐらいだから今年は選ばれねぇだろうしな」

 

「選ばれる?」

 

「お待たせ、はいコレが余ってる分の仕事ね。じゃあ今年もよろしくね」

 

ミラは、三枚の依頼書をリートに手渡した。

 

「りょーかい行くぞ、ラリカ、ルーシィ」

 

「あら?ルーシィも行きますの?」

 

「うん、ダメ?」

 

「そんなことありませんわよ。リート、エスコートしてさし上げなさいな」

 

「いつものメンバーとそんなに変わらねぇのにか?」

 

「レディにはエスコートするものですわよ」

 

「ヘイヘイ」

 

リートは、荷物を持って立ち上がった。

 

「変なことしないでよ?」

 

ルーシィはニヤニヤとしながらリートをからかう。

 

「しねぇよ!?」

 

「リート、ルーシィに手を出したら…言わなくても分かるわよね?」

 

「…あい」

 

ミラの脅しに萎縮したリートは、そのまま二人と共に仕事に出掛けた。

 

 

それから、三人は依頼者のいる街へと向かっていた。

 

「生きた心地がしなかった…」

 

「アハハ…ごめんごめん」

 

「ったく…えーっとラリカ、今回の仕事は何がある?」

 

「ちょっとお待ちくださいまし、今読み上げますわ」

 

ラリカは依頼書に目を通して内容を読み上げる。

 

「薬草探しに、魔牛の討伐…あら?盗まれた盗品を取り返すなんてのもありますわね」

 

「そんなにたくさん一度にできるの?」

 

「普段はやらねぇんだけどな、オレがやってもあまり意味ないし、残った依頼は誰でも出来るか、依頼のランクが低いかでどうしても余り物が出てくるんだよ。

そーゆーのをオレはまとめて片付けてるってわけだ。

やってもアピールにはあまりならねぇからな」

 

「アピールって…誰に?」

 

「マスター…あ、ほらっ、ついたぞ」

 

リート達の目の前に街が広がっていた。今回の依頼の三枚は、全てこの街からの依頼だったのだ。

 

「え!?気になるところで話しそらさないでよ」

 

「仕事中に教えてやるよ」

 

リート達は街に入ってからリート、ラリカ、ルーシィへと一枚ずつ依頼書を分けて持つ。

 

「んじゃ各自で依頼内容を聞いたらここに再度集合ってことで、集まったらまとめて仕事を片付けるぞ」

 

「わかりましたわ」

 

「うー、話しが気になって集中できない~!」

 

そこから、三人はそれぞれ依頼の内容を聞いて再度集まると、仕事に取りかかる。

 

「さてと、まずは薬草探しからやるか…こういうときは手分けしてやった方が効率的なんだけど…」

 

ジトー

 

ルーシィの何かを言いたげな視線が、リートに突き刺さる。

 

「はぁ…わぁーった。薬草探しながら説明してやるよ」

 

「流されてますわねぇ~」

 

「ラリカが説明してくれてもいいのよ?」

 

「パスですわ」

 

「即答かい!!!」

リート達は山の中に入り、薬草を探しながら話の続きをし始めた。

 

「えーっと、どこまで話したっけ」

 

「リートがまとめて仕事を片付けてる理由と、マスターにアピールがどうのって話しから」

 

「あー、つまりだな。簡潔に言ってしまうと、明日マスターが決めたメンバーで試験があるんだよ」

 

「試験?」

 

「そう、その試験は年に一度しかなくてな、みんなはそれに選ばれるために必死こいて仕事をこなしてるって訳だ。まぁ必要ないやつもいるけど」

 

「でも、あたしは選ばれないだろうって言ってたけど、どーして分かるの?」

 

「選抜メンバーは一年間の成績を見て選ばれますのよ。だから、入って半年のルーシィだと比較的可能性は低いって訳ですわ。もちろん選ばれる可能性もゼロではないですけど、こなした仕事量や、その実力をいかに見せつけれていたかを見られるわけですから、ほとんどナツ達と一緒にいたルーシィならナツ達の方が撰ばれる可能性が高いと思ったんですのよリートは」

 

「んま、そーゆーことだ」

 

「へぇー、それとカナの事と何の関係があるの?」

 

「さぁ?カナの事はよく知らねぇけど、アイツ毎年試験が近くなるとギルドを辞めるって言い出すからなぁ」

 

「何かしらはあるんだと思いますわ」

 

リートもラリカも首をかしげる

 

「…因みに~その試験って何の試験なの?」

 

「ん?S級昇格試験」

 

「へぇー…S級……はぁ!!?S級昇格!?」

 

「その発表が明日な」

 

「じゃあ!!それに合格したらS級になれるってこと!!?」

 

「そうだよ、お!薬草見っけ。これで全部だな。んじゃ次行くぞ~」

 

「あっ!ちょっと待ってよー!」

 

そして、その日ルーシィはなぜかソワソワしながらリート達とギルドに戻るのだった。




なんとなくオリジナルにしてみたかった…ただそれだけです


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発表当日

よしっ、ちょっと進んだ


リートがルーシィとラリカと共に仕事に行った翌日、ギルド内では、発表はまだかとざわざわと騒いでいた。

 

「何の騒ぎだ?」

 

「さぁな」

 

 

「マスターから重大発表があるんだって」

 

「なんかワクワクするね」

 

「興味ないわ」

 

「もー、またそーゆー事言って」

 

リリーやガジル、ウェンディやマーラ達もその場に集まり何事かと話していた。

 

ガツガツガツガツ

 

そして、ギルドにはいるが、カウンターで大量の飯を食べているバンクはまったく興味無さそうだった。

 

「あらバンク、あなたは無関心そうですわね」

 

「もがもごもももご、ももももごもご」

 

「口の中の物飲み込んでから喋ってくださいまし…」

 

「むぐっ…んぐんぐ」

 

ゴクン

 

「オレは入ったばかりだからな、多分関係ねぇだろうし興味ねぇよ」

 

「あら、案外そうとも言ってられないかも知れませんわよ」

 

「ん?なんでだ?」

 

ドゥルルルル

 

そして、ギルド内でドラムロールが流れると共に、舞台上にかかっていた幕がゆっくりと上がる。

 

そこには、マカロフと共に、現S級魔導士の四人が段上で並んでいた。

 

「マスター!待ってました!!」

 

「早く発表してくれー!」

 

 

「ウォホン、妖精の尻尾古くからのしきたりにより、これよりS級魔導士昇格試験、出場者を発表する!!!」

 

ウォォォォ!!!

 

「お前ら静かにしろ!」

 

「マスターの話しの途中だろーが」

 

リートとギルダーツの一喝で、ギルドのメンバーはマカロフの言葉に耳を傾ける。

 

「今年の試験会場は天狼島!!我がギルドの聖地じゃ」

 

ルーシィは近くにいたメンバーに、ふと疑問に思った事をたずねる。

 

「ねぇ、試験って何するの?」

 

「そりゃあ毎年違ぇけど」

 

「ハードな事に変わりねぇよ」

 

「なんせ合格者はS級魔導士になれるんだからね」

 

 

「各々の力!心!魂!ワシはこの一年見極めてきた。参加者は9名!!」

 

そして、選ばれた者達が順番に呼ばれていく。

 

「ナツ・ドラグニル!!!」

 

「おっしゃー!!」

「やったねナツ!!」

 

 

「グレイ・フルバスター!!!」

 

「やっとこの時がきた」

 

 

「ジュビア・ロクサー!!!」

 

「え?ジュビアが?」

 

 

「エルフマン!!!」

 

「漢たるもの、S級になるべし」

「頑張って!エルフ兄ちゃん」

 

 

「カナ・アルベローナ!!!」

 

「……」

 

 

「フリード・ジャスティン!!!」

 

「ラクサスの跡を継ぐのは…」

 

 

「レビィ・マクガーデン!!!」

 

「私とうとう!!」

「「レビィがキター!!!」」

 

 

「メスト・グライダー!!!」

「メストだ!!」

「昨年は惜しかったよなぁ」

 

 

「バンク・ガイアスタ!!!」

「ふぁ?ムグムグ…ゴクン、なぜオレ?」

「ほら、他人事じゃなくなりましたわよ」

 

選ばれた者達を、選ばれなかったメンバーが次々に話題に出す。

 

「ついにナツがきたか」

 

「グレイもだ」

 

「いいもんだなぁ」

 

「皆いい顔してるぜ」

 

「スッゲー!S級魔導士か、オレもいつか!!」

 

まだ、マカロフの話しは終わっておらず、続きを話す。

 

「今回はこの中から合格者を一名だけとする!!試験は一週間後、各自体調を整えておけぇい」

 

「一人だけキナ?」

 

「本命はフリードか?」

「メストでしょ?」

「ナツやバンク、グレイもいるぞ」

 

今回の参加者の名前を聞き、ガジルはショックを受けていた。

 

「な…なぜオレは入ってねぇんだ…ジュビアとバンクは入ってるってのに」

 

「お前のギルドでの立ち位置は聞いたぞ、信用されてないようだな」

 

リリーからの冷たい一言に、ガジルは強く否定しようとする。

 

「い…いやぁ違う!言えねぇけどそりゃぁ無ぇ」

 

しかし、ガジルが全て話せない分どうしても完全に否定することはできなかった。

 

「言いたくても言えねぇんだよぉ!!」

 

「エルザにだ」

 

「フフーン、まだ早い」

 

「クソー!!!」

 

 

「お前からマスターに言ったのか?エルザ」

 

リートの質問に、エルザはニヤリと笑いながら答える。

 

「あぁ、ファントムの一件もあり、全員からの信用を得るにはまだかかりそうだったからな。私からマスターに抗議しておいた」

 

「…何気に一番ゆるしてねぇのお前じゃね?」

 

 

「まったくもう…相変わらず騒がしぃ…!!?」

 

途中まで何かを喋ろうとしていたシャルルだったが、ここ最近で少しずつ使えるようになってきた未来を見る力により、不吉な光景を予知してしまう。

 

「?どうかしたシャルル」

 

「なになに?どしたの?」

 

ウェンディとマーラの二人が、雰囲気の変わったシャルルを見る。

 

「べ…別に…」

 

 

「初めての者も居るからのぉ、ルールを説明しておく」

 

そこでミラが、今回の試験のルールを説明し始めた。

 

「選ばれた9人の皆は、準備期間の内にパートナーを一人決めておいてください」

 

そして、次にエルザがルール説明を続ける。

 

「パートナーの条件は2つ、一つ妖精の尻尾のメンバーであること、二つS級魔導士はパートナーにできない」

 

 

「ほーぅ」

 

「つまり、エルザやリート、ミラジェーンやギルダーツとはチームを組めないということか」

 

「エルザさんやリートさんと一緒なら最強過ぎるもんね」

 

エルザの説明の後、リートがそれに続いて更に説明をする。

 

「そして、今回は天狼島ってこともあり充分に広いため、ラリカに試験の中継を任せてある。何かのトラブル、リタイアしたり、場合によっては時間による試験も充分にあり得るため、その報告係として天狼島周辺を見張ってもらうこととなっているからよろしく頼むぞ」

 

「ん?お前もいくのか?」

 

「そうですわよ」

 

 

「試験内容の詳細は天狼島についてから発表するが、今回もエルザとリートが貴様らの道を塞ぐ」

 

ええぇぇぇぇ!!!

 

「今回は、私もみんなの邪魔する係りやりまーす」

 

ミラが満面の笑みで手を上げた。

 

「も…もしかして、エルザやリートやミラさんを倒さなければ、S級にはなれないわけ!?」

 

「まぁ、それなりに手を抜いてくれるらしいけど…」

 

「ハードって意味、分かっただろ?」

 

 

「もしうまく行けば、暗がりに紛れ込んでリートに…なんて、キャーーー!!」

 

「マスター!!オレ、今過去一番に恐怖を感じてる!!!」

 

ミラの何かをたくらみ照れる顔を見たリートは、顔色を青ざめさせてマカロフに助けを求める。

 

「うーむ、まぁそこは勝手になんとかしてくれい」

 

「この状況で子を見捨てる親がいますかね!!?」

 

「ブーブー言うな、S級魔導士になるヤツは皆通ってきた道だ」

 

騒ぐ皆をギルダーツが止める。

 

「オレは女性に襲われる経験はしたことねぇんだけど!!?」

 

 

「ちょ…ちょっと待てよ」

 

「まさか…」

 

「ギルダーツも参加するのか!!?」

 

ナツは嬉しそうにしていた。

 

「嬉しがるな!!!」

 

「選出された9名とそのパートナーは、一週間後にハルジオン港に集合じゃ。以上!!!」

 

そして、マカロフの発表が終わり全員が解散した後、ナツ、ルーシィ、グレイ、ハッピー、ジュビア、シャルル、マーラ、ウェンディ、エルフマン、リサーナと、集まっていた。

 

「今年はえらくハードルが高ぇな」

 

「意外ね、アンタ達皆初挑戦なんて」

 

「オレは燃えてきた!絶対S級になってやるぁぁぁ!!!」

 

「うぉぉぉ!!漢エルフマン、S級への道が遠ざかるぅ!!」

 

「みんな大変そうだねぇ、アタシやウェンディはもう完全に他人事だけど」

 

「そ、そんなこと無いよ!!」

 

「みんな頑張ってね」

 

ルーシィが、ふと端を見ると、フリードとビックスローがチームを組んでいるのが見えた。

 

「フリードのパートナーってやっぱりビックスローなのね…つ、強そうなチームね…アハハハ」

 

「うわっ、下から目線」

 

「ルーシィさん参加しないのに不安気だね」

 

「そー言えばみんな、もうパートナーは決まってるの?」

 

その質問に真っ先に答えたのは、ナツだった。

 

 

「オレはもちろんハッピーだ!な?」

 

「あい」

 

「ハッピーはズルいだろ!!もし、試験内容がレースだったら空飛べるなんて勝負にならねぇ!!」

 

ハッピーの参加にエルフマンは否定的だったが、リサーナやマーラ、グレイは逆にそうでもなさそうだった。

 

「別にいいんじゃない?」

 

「うん、ルールにはのっとってるもんね」

 

「オレも別に構わねぇよ。戦闘になったら困るだけだしな」

 

「酷いこと言うねグレイ」

 

そして、ハッピーは拳を強く握り掲げる。

 

「オイラは絶対ナツをS級魔導士にするんだ!!」

 

「こればかりは、仲間といえど絶対ぇ譲れねぇ」

 

「ってなわけで!」

 

「こーしちゃいられねぇ!!修行だーーー!!!」

 

「あい!!」

 

ナツとハッピーの二人は、一目散に外へと出ていった。

その様子を、黙って優しげな目でリサーナは見ていたのだった。

 

「ふーん、私がいない2年の間に、ナツがS級試験を受けるようになってるとはねぇ」

 

そして、家に戻ってきたナツとハッピーは、早速修行に取りかかろうとする。

 

「ぬぉぉぉ!!!修行すんぞこらぁ!!!」

 

「こらーー!!!」

 

「…つってもよぉ、修行って何から始めればいいんだ?」

 

「雪も降ってきたし、アレしかないよ」

 

「うぉーし!アレかぁ…ってぇ!!」

 

ナツが張り切ってる内に、ハッピーはナツを木に縛り付け動けなくしたあと、目の前の崖の上に岩を用意する。

 

「特訓その1!!!岩を身体で受け止めて防御力を底上げします!!!」

 

「ちょっと待てぇぇ!!!」

 

そこからドンドンと特訓は進み続ける。

 

「ってなわけで、特訓その15!!!足腰をパワーアップさせます」

 

ハッピーの案で、ナツは巨大な岩を背負わされ、うさぎ跳びを強要される。

 

その様子を、近くの木陰から見守るようにリートがみていた。

 

「よう、リート」

 

「!ギルダーツ」

 

そこへギルダーツも、ナツの様子を見にやってくる。

 

「お前も様子を見に来てたのかリート」

 

「まぁな」

 

「そーいやお前らは、二人でS級になって親のドラゴンを探す約束をしてたんだっけか」

 

「あぁ、S級になれば危険な仕事もつくが、イグニールのおじさんとフランドーラを探すのに使える場所や行ける世界が広がる。だからオレ達は必ずS級になってフランドーラ達を探そうって言ってたんだけどな」

 

「なら、今回はオメェもこの試験にかける想いは人一倍ってことか」

 

「まぁな、あっ、だからってアイツをS級にしたいから手を抜くなんて野暮はしねぇつもりだぜ?そんなことしてS級になってもアイツのためにはならねぇし、アイツ自身がそれを許さねぇだろうからな」

 

「あぁ、分かってるよ。お前はそんな野暮なことはしねぇヤツだ。昔からな」

 

「ギルダーツ…」

 

「さて、そろそろ行くぞ、オレ達は一足先に天狼島に行かねぇといけねぇからな」

 

ギルダーツとリートは、港へと足を向けて歩き出す。

 

「おう…ってやっぱ船で行くのか?」

 

「あたりめぇだろ、他に何があるってんだよ」

 

「はぁ~…」

 

「その乗り物に弱ぇのまだ克服してなかったのかよ」

 

「無理、一生、絶対、不可能」

 

「ガッハッハ!!さっさと馴れろよっ」

 

バシッ!

 

「痛って!!マジ痛って」

 

ギルダーツに背中を叩かれたリートは涙目でギルダーツを見ながらギルダーツと共に港へと歩んでいった。




そー言えば、AI機能を使ってアクナとバンクの絵を作ってみました。
ただ、アクナさん何か若々しいし…バンクはバンダナないしで、ちょっとおかしいかもですが、大体イメージに一番近いキャラを選んだので今後はそんなキャラだと思って見てください。
挿絵は目次にあります


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心配な二人

今回はバンクのパートナーとその経緯です。相方はまぁ、あの人ですよ


時は、マカロフの試験発表が終わった時に遡る。

 

「S級試験ねぇ、つっても何をするんだよ」

 

「あなた…さっきのマスターの話し聞いてましたの?」

 

バンクが食事の続きをしながら、首をかしげる。

 

「マスターの話しですと、今回は天狼島で試験を行い、現S級のエルザやリート達の妨害をうけつつ、自分の選んだパートナーと共に課題をクリアすればS級になれるんですのよ」

 

「ってことは、妖精女王やリートとかと戦えるのか!?」

 

バンクはリート達と戦えるかも知れないという話しに、目が輝いていた。

 

「やっぱりそこに食いつくんですのね」

 

「でも、パートナーってのはよく分からねぇな、一人じゃダメなのかよ」

 

「妖精の尻尾のS級試験では、仲間との絆も試されるのですわよ。一人で受ける事は出来ませんわ」

 

「ふーん、ま!いいか。それはそれで面白そうだ」

 

「ほーんと、マイペースですわよねぇあなたって」

 

そして夜、バンクは家に帰ろうと歩いていた時、後ろから誰かがついてきている気配を感じていた。

 

「…敵にしては殺気がねぇな…とはいえしっかりと魔力は感じる。誰だ」

 

「…」

 

バンクに呼ばれ、物陰から表れたのはマーラだった。

 

「ん?チビシスターズの片割れじゃねぇか、どうした?」

 

「アタシとウェンディってそんな呼ばれ方されてたの!?」

 

「あ、悪ぃこの呼び方してたのオレだけだわ」

 

「どうしよう…もはや殺意さえ覚えそうなんですけど」

 

マーラは肩の力を抜いて、項垂れる。

 

「アタシもウェンディもちゃんと名前があるんで、アタシの事はマーラって、ちゃんと呼んでくださいよ」

 

「分かったバーバ」

 

「アタシは床屋ですか!?母音しかあってないよ!!」

 

マーラはため息をついて本題に入る。

 

「実はお願いがあって来ました…バンクさん!!アタシをパートナーに選んでください!!!」

 

「ん?」

 

遡ること数時間前、ウェンディ、シャルル、マーラの三人は外を散歩していた。

 

「どうしたの?シャルル、朝からずっと大人しいね」

 

「ちょっとね」

 

「恋?」

 

「バカね。違うわよ」

 

「どうしてアタシへの第一声が罵倒なの…?」

 

「何か嫌な予感がするのよ。この試験とかいうやつ」

 

「嫌な予感?」

 

「アンタ達は絶対に参加しちゃダメだからね」

 

シャルルは、二人にS級試験を受けないように釘をさす。

 

「私なんかをパートナーにする人なんていないし、大丈夫だよ」

 

「アタシもウェンディと同意見かなぁ、ギルドにはアタシよりも強い人は山のようにいるんだからね」

 

 

「それはどうかな、天空の巫女」

 

三人が振り返ると、そこには今回のS級試験に参加するメストが立っていた。

 

「あ、えーっと…あなたは」

 

「メストさん…でしたっけ?」

 

「そう、オレはメスト…ミストガンの弟子だった」

 

「ミストガンの弟子!?」

 

「って事はジェラールさんの弟子ってことなの?」

 

「そっか、マーラは知らないんだね」

 

「え?…なにを?」

 

「話しが進まないからまた今度説明してあげるわよ」

 

三人が話していると、メストがいきなり上を向いて口を開けだした。

 

「君の事は、ミストガンからよく聞いている」

 

「あの…何してるんですか?」

 

「雪の味を知りたいのだ。気にしないでくれ」

 

「なんなの…コイツ」

 

「面白い人だね~」

 

メストは上を向いたまま、ウェンディに話しかけた。

 

「力を貸してくれないか」

 

「それが人にものを頼む態度なの!!?」

 

「そうだよ!ものを頼むときはまず土下座だよ!!」

 

「あの…そこまでされてもちょっと…」

 

「うっ…」

 

メストは、顔を戻して真剣な顔になり謝る。

 

「すまん、どうもオレは知りたいことがあると夢中になってしまう癖があるのだ」

 

「変わった癖だね…」

 

「ウェンディ、君の力があれば、オレはS級の世界を知る事ができる。頼む力を貸してくれ」

 

「あの、でも、私なんか」

 

「ダメに決まってるじゃない!」

 

「…知りたい、冬の川の中というものを」

 

メストは川に入り込み、浮かんでいた。

 

「…ホントに変わった人だね」

 

「こんな変態につき合っちゃ絶対にダメよ!!!」

 

「でも、悪い人じゃ無さそうよ」

 

「うん、アタシも悪い人には見えないなぁ」

 

「どこが!!?」

 

「私、色々と助けてもらったミストガンに、何一つ恩返しができなかったし」

 

「エドラスを救ったじゃない!!それで充分よ!!」

 

「でもそれは、結果的にそうなっただけで…私の気持ち的には」

 

「ダメったらダメ!!!」

 

「まぁまぁ、いいじゃんパートナーになるくらい」

 

必死に止めるシャルルを、マーラがなだめようとした。

 

「マーラ!!!」

 

「それに、ウェンディも結構強情なところがあるしね、言い出したら聞かないのもアタシ達が一番よく知ってるでしょ?」

 

「マーラ…ありがとう」

 

「でも!!」

 

「大丈~夫、アタシにいい考えがあるの!」

 

そして時は戻り、現在

 

「アタシをパートナーに選んでください!アタシもついていけばシャルルの不安も少しは軽減されるかもしれないの!」

 

マーラは、バンクに頭を下げて頼んでいた。

 

「それってよ。白猫の不安が一つ増えるだけじゃねぇか?」

 

「うっ!?た…確かに」

 

マーラは、ばつの悪そうな表情で肩を落とす。

 

「ってことは、むr「いいぜ」え!?」

 

「パートナーになってくれるってんならいいぜ。ちょうど相手もいなかったからな」

 

「ホントに!!?やったー!!!」

 

「んじゃ、よろしく頼むぜ、バーバ」

 

バンクは、手を出して握手を求める。

 

「うん、バンクさん」

 

そしてマーラは、魔力で作った花火をバンクの手の上に置いた。

 

「は?」

 

「サイレント花火」

 

「うぼぉ!?」

 

マーラの作った音のない花火が破裂し、バンクを吹き飛ばした。

 

「てめぇ何すんだよ!!」

 

「次名前間違えたらこれの三倍ね」

 

「鬼か!」

 

こうして、バンクのパートナーにマーラが選ばれた。

 

「因みに、ウェンディのことは何て呼んでるの?」

 

「チビシスターズの片割れ、もしくは回復娘」

 

「だから名前で呼んでよ!!!」




よくよく考えたらバンクが呼ぶ人って限られてたんですよねぇ、他の人は何て呼ばせよう…グレイとかルーシィとか…まぁその時考えます。
因みにウェンディとマーラの呼び方は即興で考えました。


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先行く者達

今回は試験前日にあった些細なお話しです。まぁ本編に関係するかはわかりません


「うっぷ…」

 

今回のS級魔導士昇格試験にて選抜者を邪魔する係となった現S級魔導士達は、マカロフの指示で一足先に船に乗り天狼島へと向かっていた。

そして、リートは当然乗り物なので船酔いを起こし、船の後方で船から顔を出してダウンしていた。

 

「大丈夫?リート」

 

「すまんミラ…うぇっ…背中…さすって…」

 

「はいはい」

 

さすさす

 

「オロロロロロ」

 

「あらあら、遂に吐いちゃったのね」

 

「アイツの乗り物に弱い所はいつまでたっても治らねぇな」

 

「ナツといいリートといい、鍛え方が足りんのだ」

 

「鍛えて…どうにかなると思うなよ…お前r…うっ!オロロロロロ」

 

「はいはい、今はリートは安静にしてましょ、ね?」

 

「イエスマム…」

 

そして、ようやく船は天狼島へとたどり着き、リートは完全復活して大喜びしていた。

 

「着いたーーー!!!」

 

「あらあら、元気になっちゃって」

 

「さてと、これからだがマスターにもらった指示書通りに動かないといけねぇ…と言いたいところだが、試験は明日だからな今日のところはここで一泊する。明日の朝起きたら指示通りに動くぞオメェら」

 

「指示書は誰が持ってんだよ」

 

「安心しろ、私が預かっている」

 

エルザは手に持っていた指示書をリートに見せると、リートはほっと息をつく。

 

「そうか、なら安心だな、なら今日はここで野宿か?」

 

「そうなるな、とりあえず飯と寝床の準備だ。確か船に釣竿とテントがあったハズだが…ミラ持ってきてくれ」

 

「はーい」

 

ギルダーツの指示で、ミラは船から釣竿4本とテント3つを持ってきた。

 

「テントが一人分足りねぇ…」

 

「そう?足りないのは仕方ないわね、それは後で考えましょ」

 

「足りなかったんだよな?ホントに足りなかったんだよな?なぁ」

 

「諦めろリート」

 

エルザがリートの肩に手を置き、言葉をかけた。

 

そしてエルザは、ズタボロの折りたたまれたテントをリートに見せつける。

 

「今見てきたが残っていたのはこれだけだった」

 

「ミラさん!!?」

 

「あら、ここって何かいるのかしら?こわ~い、今夜は私がリートを守ってあげるわね」

 

「すいません、確信犯っぽいのが何か言ってるんですけど」

 

「ま、テントは後で考えるか。とりあえずリートとオレは釣りに行ってくる。エルザとミラは薪でも集めておいてくれ、ホレ行くぞリート」

 

ガシッ

 

ギルダーツは、リートの首根っこを掴み、島の奥へと釣竿を持って入っていく。

 

「待って!オレは今日貞操の危機かも知れねぇんだ!そこら辺しっかりと話し合っておかねぇと!」

 

「お、遂に男として卒業か?やるじゃねぇかリート」

 

「テメェ他人事だと思って適当に流しやがって!!!」

 

ズルズル

 

「いやぁぁぁぁ!!!!」

 

ズルズル

 

しくしく

 

「おっ、ここならよさそうだな」

 

ドサッ

 

ギルダーツは良さげな釣り場を見つけるとそこに座り込み、釣糸を垂らしてもう一本の釣竿をリートに渡す。

 

「まぁ、細けぇことは後回しだ。今は釣りを楽しもうじゃねぇか、釣りはいいぞぉ、まさに男のロマンだ!!」

 

「……」

 

納得のいってなさそうなリートだが、ギルダーツから釣竿を受けとると、黙って釣糸を垂らした。

 

「なぁリートよ。何でお前はミラとの関係を嫌がんだ?アイツの事好きじゃねぇのか?」

 

「…逆だよ、アイツの事は好きだし愛してる。それはもちろんミラにも言ったことある」

 

「じゃあ何が不満なんだよ」

 

「不満じゃなくて、不安なんだよ」

 

「不安?何がだよ」

 

「仮に今、オレとミラの間に子供が出来たとして、二人を幸せにしてやれるとは限らねぇ、下手をしたら二人とも不幸にしちまうかも知れねぇ、それが怖ぇんだよ。

確かに子供が出来るってのは幸せな事かもしれねぇ、けどオレはそのせいで不幸になってきた人達も仕事で何人も見てきた。

そんな経験はミラや子供にさせたくねぇ、アイツがまた不幸になるのは耐えられねぇんだよ。

だからオレは、アイツとその子供を幸せにできる確信が持てるまで手を出さねぇって決めてんだ」

 

「…はぁ~」

 

ギルダーツは、大きめのため息を吐いた。

 

「人の心配事聞いといて、ため息はひどくね?」

 

「お前は少し考えすぎなんじゃねぇか?」

 

「え?」

 

「お前の心配も分からなくはねぇ、けどな、お前にもミラにも仲間がいるだろ。不安があるなら仲間を頼れ、失敗したら仲間が止める。それだけじゃねぇか」

 

リートは、目を丸くしてギルダーツを見た。

 

「だから重く考えんな、もっと肩の力を抜けよ」

 

「…で?アンタはそれで何人女をつくった?」

 

「サラ、ナオミ、クレア、イライザ、フィーナ、マリー…あっ」

 

「今ので信憑性はなくなったな」

 

ギルダーツは頭をガシガシと掻くと、真剣な顔に戻る。

 

「けどなリート、気がつかねぇうちに大切なヤツがいなくなるってこともあるんだぜ。それだけは覚えておきな」

 

「…あぁ、それも分かってる」

 

そして夜、誰がどのテントを使うか話し合いになるハズだったのだが…

 

「じゃ、みんな、おやすみなさい」

 

ズルズルズル

 

「待て待て待て、なぜオレを引きずって行くんだ」

 

ミラがリートの腕を組んでテントに向かって歩き出すのを、リートが止めた。

 

「?」

 

「何を言ってるか分からないって顔するんじゃありません」

 

「ごめんなさいリート、何を言ってるか分からないわ」

 

「口に出して言えって言ったわけじゃないよ!!?」

 

「大丈夫よ何もしないわ、あなたはただ仰向けになって大人しくしててくれれば朝には全て終わってるから」

 

「事後じゃん!!!」

 

「でも、後の二人はもうテントに入ったわよ」

 

「は!?」

 

リートが振り返ると、既にエルザもギルダーツもテントに入ろうとしていた。

 

「じゃあオレぁ寝るぜ」

 

「お前達、明日は試験なんだ。楽しむのはいいがほどほどにな」

 

「公認しないでちょっとはミラを止めろよお前ら!!!」

 

「さ!行きましょ♪」

 

「イヤァァァ!!!!」




リートがミラに手を出さない心境でした。
まぁ今のところは何もありません…えぇ、今のところは


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試験開始

さぁ、テントで一泊したリートとミラはどうなったでしょうね。


前日の一騒動から翌日、先に天狼島についていたリート達は参加者が来る前に目を覚ましていた。

 

朝一番はエルザで、既に日の光を浴びて元気そうだ。

 

「おう、早ぇじゃねぇかエルザ」

 

その次に、ギルダーツがテントから現れる。

 

「あぁ、ギルダーツ、おはよう」

 

バサッ

 

そして次に、ミラとリートのいたテントも開きリートが現れるが…

 

「リートも、おは…大丈夫か?隈がすごいが」

 

「いっ…すいもできなかった」

 

「お前達…ホントに昨日やったのか?」

 

「しねぇよ、それを回避するために必死だったんだよ!!!」

 

「あら皆、おはよう」

 

そして最後に、リートの後ろから元気そうにミラが現れた。

 

「ミラ…お前は昨日リートに何をしたんだ?」

 

「ふふっ、気持ちよかったわぁ」

 

「!?」

 

「リートの抱き枕♪」

 

「だ…抱き枕?」

 

「一晩中抱きつかれてた…」

 

「なんだ、やったわけじゃねぇのか」

 

「しねぇっつってんだろーが!!!」

 

「私はそれでもよかったんだけどね」

 

「ミラさん!!?」

 

「とりあえず、さっさと用意しちまうぞ」

 

「この騒動はもうスルーなの!?」

 

それからリート達は今回の試験を受けるメンバーを迎え入れる為に、マカロフの指示書通りに準備する。

 

「といっても、この看板をそれぞれの移動先に取り付けて、後はここから煙を上げて、アイツらを待ち受けるだけなんだがな」

 

ギルダーツは、手元にあったA~Iまでの書かれた看板に手を置く。

 

「それだけか」

 

「あぁ、オレ達と同じルートに来た奴らとそれぞれ戦って一次試験の合否を決めるんだとよ」

 

「一次試験ってことは、二次試験もあるのかよ」

 

「らしいな、ま、だがオレ達は一次だけやるって話だぜ」

 

看板の設置も取り付け終わり、後はどこに誰が入るかとなった訳だが。

 

「うーんどこにするべきか」

 

「そこまで悩むことでもないだろう、誰が来るかなど今は分からないのだからな」

 

「そうなんだけどよぉ」

 

「リート」

 

「ん?」

 

どこに入るか悩んでいたリートの元に、ギルダーツがやってくる。

 

「勘でいい、ナツならお前はどこを選ぶと思う?」

 

「ナツ?」

 

リートは看板を見やると、Eの看板を指差す。

 

「多分、あそこだと思うぜ」

 

「Eか」

 

「アイツなら『エルザのEだからエルザがいる!!!』とか言って真っ先にここに入っていきそうだ」

 

「そうか、ならオレはそこに行かせてもらうぜ」

 

ギルダーツは、Eの看板を立てた洞窟に足を踏み入れる。

 

「あ、おい!…ギルダーツのやつ、そんなにナツと戦いてぇのかな?」

 

「ねぇリート、私はあそこに行ってくるわね」

 

そして、ミラも自分で選んだ道へと進んで行った。

 

「おう!気を付けろよ」

 

「うん!」

 

「さてと、後はエルザとオレ…ってエルザもういねぇし!!?」

 

リートが辺りを見渡すと、残るは自分だけとなっていた。

 

「はぁ、まぁここでいいか」

 

そしてリートも、目についた洞窟へと入っていった。

 

「さーて、誰が来ることやら」

 

そして、試験参加者のバンクサイドでは、港へと次々に参加者が集まってきていた。

 

そして9組の魔導士達を乗せた船が、今出港した。

 

「暑い…冬だってのになんなのコレ~アタシ溶けちゃうかも」

 

海の上は、冬だというのにカンカンに太陽が照っており、まさに夏と変わらない気温になっていた。

 

「アイスになってハッピーに食べられちゃうんだ」

 

「不味そうだね」

 

「ルーちゃんだらしないよ…その格好」

 

「この辺は、海流の影響で年中この気候なんだとさぁ」

 

「アヅイよぉ~ウェンディだずげで~」

 

「私もダウン中だよ~」

 

船の上では暑さにやられる者、そうでない者と別れており、基本的には皆自由にしていた。

 

「大したことねーよ、こんな暑さ」

 

「デッケェ船だよなぁ~誰か探検しねぇ?!!」

 

「ケッ、ガキかよ」

 

「あぁん?なんだよS級になれない僻みか?ガジルさんよぉ」

 

「あぁ!?今ここでテメェをぶちのめして候補者を一人減らしてもいいんだぜ?クソバンク」

 

「上等だ!!いつでもかかってこいコノヤロー」

 

バンクとガジルが喧嘩を始めようとする。

 

「暑いのに喧嘩を止める体力使わせないで!」

 

それをマーラが何とかとめる。

 

「気持ちわりぃ~」

 

そして、当然ナツは完全に船酔いになっていた。

 

「ナツ…こっちに来ないでくれるかな?」

 

今にも吐きそうなナツを、ロキが寄せ付けないようにと止めていた。

 

「ウェンディがトロイアを掛けてくれねぇんだよぉ~うっ!オロロロロ」

 

船酔いの限界で、ナツは海に向かって吐いていた。

 

「しょうがないよ、メストのパートナーだし」

 

「すみませんナツさん」

 

「やだやだ、皆して馴れ合っちゃって、これから敵になるっていうのにさぁ」

 

「暑いぃ~漢だぁ」

 

「意味わかんないから」

 

「暑い~アイス…食べたぁい」

 

「オイラを食べないでよねぇ」

 

「アイスになったハッピーなんて、想像するのも…」

 

ルーシィが、ふと後ろを見ると、船は既に天狼島のすぐそこにまで来ていた。

 

「見えてきたね」

 

「アレが」

 

「大きな樹みたいだね~」

 

「着いたのか」

 

「アレが天狼島?」

 

「すげぇ形してんなぁ」

 

「島の上に…島?」

 

「ここからでも、島の辺りの空気に魔力を感じますよ」

 

「おっもしろそうな島だな!!」

 

「うっぷ…」

 

「ナツ、もうすぐだよ」

 

ナツとハッピー以外は全員、天狼島へと目を向けていた。

 

「あの島にはかつて、妖精がいたと言われていた」

 

いつの間にか、船の上にマカロフとラリカが現れていた。

 

「マスター、ラリカ」

 

「そして、妖精の尻尾初代マスター、メイビス・ヴァーミリオンの眠る地」

 

「なんだよ、その服!!」

 

グレイがツッコミを入れたマカロフの服は、半ズボンにアロハシャツという気の抜けそうな服装であった。

 

「だって暑いんだもん」

 

「服着てない人が言う?」

 

「グレイがツッコむのはお門違いですわよ」

 

「これより、一次試験の内容を発表する。ラリカ!!」

 

「はいですわ」

 

ラリカは翼で飛び上がり、島の手前から煙が上がってるところを指差す。

 

「あそこから上がっている煙、皆様にはまずあそこに向かってもらいますわ」

 

「そこには9つの通路があり、1つの通路には一組しか入ることしかできん。そして通路の先は、こうなっておる」

 

「これですわよ」

 

ラリカは手に持っていた地図を広げて、メンバーに大きく見せる。

 

その地図には、それぞれルートと、『闘』『静』リート達写真とその顔の上に『激闘』と書かれていた。

 

「ここを突破できたチームのみが一次試験合格じゃ」

 

「闘?」

 

「エルザやリートの顔に、激闘って書いてあるぞ!!」

 

「それって」

 

「静ってのもある」

 

 

「闘のルートは、この9組の内、二組がぶつかることになりますわ、そして勝った一組しか通れませんの」

 

「激闘は、現S級魔導士を倒せなければ進めぬ最難関ルート」

 

「静は、誰とも当たらず一次試験を突破できる。いわばラッキールートですわ」

 

「一次試験の目的は武力!!そして、運!!!」

 

「理論的には最大7組、最低3組が合格できることになりますわよ」

 

地図を見たメンバーの反応は、それぞれ違い、気合いの入るもの、その逆に不安になる者とバラバラだった。

 

「運ならいけるかも!」

「静を当てる確率は1/9しかないのよ」

 

「ヌウゥ、無理だ!!エルザやギルダーツのいる道は突破できねぇ!!」

「何弱気になってるのよ!!」

 

「おっもしろそうだ!!リートとの闘いもいいけど、今回はS級魔導士の誰とでも戦える可能性があるのか!!!」

「既に激闘選ぶ気満々だよこの人!!?」

 

「最悪の場合は、3組しか突破できないのかぁ」

「おもしれぇ、どいつもコイツもボコボコにしてやるぜ」

 

「さぁ!始めぇい!!!試験開始じゃあ!!!」

 

「!」

 

ぐいっ!

 

「ぐえっ!」

 

試験開始の合図と共に、バンクが靴を黄色に変えて、マーラを抱え船から飛び出した。

 

「うぇぇっ、苦しかった…何するの!!?」

 

「ギリギリセーフ」

 

「え?」

 

マーラが船に視線を戻すと、他のメンバーはフリードの術式に捕まり動けなくなっていた。

 

「あれは…術式!?」

 

「あのキザ男くんが術式書いてるのに気づいたからな、急いで船から飛び出したって訳だ。もう試験は始まってる。気を付けろよ」

 

「は、はい!」

(意外と頼りになるんだなぁバンクさんって)

 

「あ、それともう1つ」

 

「え?」

 

「すまん、オレ空は飛べねぇ」

 

「は?」

 

空中にいたバンクとマーラは、そのまま海へと落ちていく。

 

「はいぃぃぃ!!?」

 

ドッパァン!!!

 

 

「っぷはぁ!!バンクさん!!!もっと女の子はデリケートに扱ってください!!!」

 

「ナハハ!!悪ぃ悪ぃ、とにかく、ここからは泳いで行くぞ」

 

「ぶぅー…はーい」




ここからが本番です。主も気合い入れて書いてかないと


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運命の選択

今回は、バンクとマーラのルートと、リートの相手だけ書きますので、まぁ短いです。


皆より一足先に島に到着したバンクとマーラは、目の前にある看板の前で立ち止まる。

 

「で、どうするの?バンクさん」

 

「うーん…うーん…うーーーん」

 

「早くしないとフリードさん達が来ちゃうって!!」

 

「よしっ!ここだ!」

 

バンクは、指差した洞窟に向かって走り出す。

 

「ここから強そうな気配を感じる!!!」

 

「感じない所を選んでくれませんか!!?」

 

「行っくぞぉ!!!」

 

「あっ、ちょ…待ってよぉ!!」

 

ダッシュで走り出すバンクを、マーラも急いで追いかける。

 

ピチョン…ピチョン…

 

洞窟の中は驚くほど静かで、ただ岩から水滴が垂れる音だけが響いていた。

 

「何か、薄暗くて静かですね」

 

「そうだなぁ」

 

「もしここにホントにS級の誰かがいたりなんかしたら…」

 

「ワクワクするよな!」

 

「しませんよ!!!」

 

「お?何か見えてきた」

 

「え?」

 

バンクとマーラの視線の先に、誰かのシルエットが見えてきた。

 

「そうか、ここを選んだのはお前達か、バンクとマーラとは、珍しい組み合わせだな」

 

二人の視線の先にいたのは、なんとエルザだった。

 

「うっひょぉぉ!!!大当たり!!!」

 

「終わった…大ハズレだぁ」

 

シャァァァ!!!

 

ァァァァ…

 

「ず…ずいぶんと対照的なんだな…お前達」

 

「さぁ!さっさとやろうぜ妖精女王さんよ!!ワクワクして待ちきれねぇ!!」

 

「アタシはガクガクでやりたくない…」

 

「マーラ」

 

「!」(初めて名前で呼ばれた)

 

「適当なところで援護頼むわ、なんならオレを巻き込むつもりでもいい。それくれぇしねぇと勝てねぇかもしれねぇからな」

 

(雰囲気が変わった…バンクさん、本気だ)

 

「っ…はい!」

 

マーラも本気でエルザを倒すつもりで、バンクの隣で構えをとる。

 

「フッ、意外と息の合ったコンビかもしれんな、これは侮る訳にはいかんな」

 

エルザは、天輪の鎧に換装し、構えをとった。

 

「行くぞ」

「はいっ!」

 

「来いっ!」

 

そしてリートのサイドでは、まだリートの相手は来ておらず、リートもただ黙って近くの岩に座って待っていた。

 

「ふぁぁぁ~っ、眠っ」

 

前日から一睡もしてなかったリート、当然誰も来ない間は暇をもて余す訳で、徐々に眠気が襲ってくる。

 

「さっさと誰か来てくれねぇかな、こりゃその内寝ちまいそうだ」

 

リートは眠気を覚ますため、イメージトレーニングで気を紛らわしていた。

 

パチャパチャ

 

「ん?」

 

「思ったより静かですね」

 

「うん、何か不気味」

 

(来たか…)

 

リートはいつ戦闘になってもいいように、体内で魔力を込め始めた。

 

「ねぇ、ジュビア…さっきから肌寒いんだけど…どう?」

 

「そうですね、洞窟の奥に入るほど気温が下がってるような気がします」

 

「あのさ、これって私の予想が正しければ、ここにいるのって…あの人だよね」

 

「はい…あの人…でしょうね」

 

パチャパチャ、パチャパチャ

 

リートの目の前に現れたのは、ジュビアとリサーナのペアだった。

 

「よう、お前ら、運が悪かったな」

 

「「やっぱり!!!」」

 

ジュビアとリサーナの二人は、ショックを受けた表情でリートを見やる。

 

「リートになんか勝てるわけないよ!!!やり直しを要求するよ!!!」

 

「同じ氷使いなら、せめてグレイ様と戦いたかったです!!」

 

「ひっでぇ言われよう…」

 

リートは岩から降りて、準備運動で身体をほぐす。

 

「まっ、選んだのはお前らだし、選らんじまったものはしょうがねぇ、諦めてオレと戦いな」

 

リートは身体をほぐし終わると、全身から冷気を放出させる。

 

ブワァッ!!!

 

「「!!」」

 

「因みに、これにクリアしたらS級なんだ。生半可なやり方でS級にして今後大事な家族を危険な目に合わせるわけにはいかねぇ、悪ぃが仲間と言えど、すこしばかりマジでやるぞ、無理だと思うなら今の内に棄権しとけ」

 

リートの本気が伝わり、ジュビアとリサーナも一気に戦闘態勢に入る。

 

「ジュビア…」

 

「はい、わかっています。これは私たちも本気で行かないとマズイですね」

 

「…棄権する気はなし…か、なら手加減はしねぇぞお前ら」

 

「いいよ!そっちがその気なら」

 

「私たちも全力で立ち向かうのみです!!!」

 

ジュビアとリサーナの二人は、同時にリートに向かって走り出した。

 

「来い!!!」




シンプルにジュビア達の相手をリートにして、空いたエルザ枠にバンクを詰め込んだだけにしました。戦いの様子は次から書いて行きます!!


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S級の強さ

うーん、思い描いてる展開にしずらい状況に…まぁどこかで変えられるかな?


「はぁぁぁ!!」

 

リートとの戦闘になったジュビアとリサーナは、二人してリートに攻撃を仕掛ける。

 

「いくわよ!!リート!!」

 

先行はリサーナが腕を鳥の翼に変えて空から攻撃を仕掛ける。

 

リサーナはリートに向けて蹴りを繰り出すが、リートはそれを身体を反面にしてかわすと、リサーナの翼を掴みとる。

 

「え!?」

 

「攻撃が直線的過ぎだ、反撃してくださいって言ってるようなもんだぞ」

 

リートはそのまま、リサーナを足元の水面に向けて叩きつけた。

 

バシャァン!!!

 

水流裂鞭(ウォーターカーネ)!!」

 

水を鞭のように振り回すジュビアは、そのままリートに水を叩きつけようとする。

 

が、リートはその水をしゃがんでかわし、そのままジュビアに向かって飛び出した。

 

「!」

 

「簡単に懐に入られんな、がら空きだぞ」

 

「くっ!けど、ジュビアの身体は水でできている。物理攻撃なんて」

 

「自分の特性に傲ってんじゃねぇよ」

 

リートはジュビアの腹に手を当てると、そこから勢いよく冷気を放出させてジュビアを吹き飛ばす。

 

「キャァァ!!!」

 

「触らなくても敵を倒す方法なんていくらでもあるし、触れるようにすることだって出来る。お前は自分の得意な性質に頼りすぎなんだよ」

 

「つ…強すぎる」

 

「こんなに強いなんて」

 

リサーナとジュビアは立ち上がり、リートを見やる。

 

「いいか、お前らの目の前にいるのは敵だ。強大な敵なんだよ。出し惜しみして勝てると思うな!全身全霊、ここでくたばるつもりでかかってこい!じゃなきゃオレには勝てねぇぞ!!」

 

「確かに勝てない…それでも、ジュビアは…あなたに勝つ!!!」

 

ジュビアは身体を水に変えてリートに向かって行った。

 

水流斬破(ウォータースライサー)!!」

 

リートに近付き攻撃圏内に入ると、水を放ち、今度の水は周りの岩を切り裂きながらリートに向かって行く。

 

「…」

 

リートが一歩踏み出すと、足元から巨大な氷の壁が現れ氷の壁はジュビアの水をいとも簡単にはじいた。

 

「そんな!」

 

「テイクオーバー!!!」

 

ジュビアの後ろから猫のテイクオーバーでリートに接近するリサーナ、岩場を器用に使いながら、狙いを定められないように右往左往に動き回りながらリートに接近する。

 

「そこ!」

 

ヒュン!

 

しかし、リサーナの攻撃をリートが飛び上がってかわすと、リートはリサーナの背中を蹴り飛ばす。

 

「キャァ!!!」

 

「それで終わりか?まだやれるだろ」

 

「くっ…」

 

「どうすれば…」

 

「攻撃もしねぇのに、いつまでも二人してまとめて固まってんじゃねぇ!格好の的だぞ!」

 

リートは大きく空気を吸い込み、二人に狙いを定めた。

 

「あれは!」

 

「まさか!?」

 

「氷竜の咆哮!!!」

 

ズォォォ!!

 

「「キャァァァァ!!!」」

 

リートのブレスをまともに受けた二人は、後方へと吹き飛ばされ、リートの視界から消えた。

 

「ふぅ…少しやり過ぎたか?…いや、おそらくまた来るだろうな」

 

リートは、二人が戻ってくるのをその場で待つことにした。

 

「相手の視界から消えたなら作戦を作る十分な時間稼ぎにもなる。アイツらはそれをしっかりと理解して作戦を立てて来るかどうかだが…さて、どうするかな?」

 

一方、少し前のバンクサイドでは

 

「おらぁ!!」

 

ズドォン!

 

バンクはエルザに向けて拳を繰り出すが、エルザはそれを紙一重で回避した。

 

「うっは!いい反応」

 

「ぜぁぁぁ!!!」

 

バンクの拳を回避したエルザは、そのままバンクの身体を切りつけようと剣を振る。

 

「っと!あぶねぇ」

 

バンクは剣をかわして、バク転でエルザとの距離を取る。

 

「ここで引くのは悪手だぞバンク!!!」

 

エルザはバンクに向かって地面を強く蹴って距離を積めようとする。

 

「にっ!」

 

「!」

 

しかし、バンクの謎の笑みを見て、何かあると思ったエルザは足を止めた。

 

キィィィン

 

「!これは!!?」

 

足を止めたエルザの足元が光だし、エルザは困惑していた。

 

「2対1なんだ、これを利用しない手はねぇよな?」

 

「まさか!」

 

エルザが視点を変えると、マーラがエルザの足下に向けて手を向けていた。

 

「トラップ花火」

 

「くっ!」

 

ドッパァン!!!

 

エルザがその場から離れる前に、マーラの仕掛けた花火が爆発した。

 

「やった!」

 

「…いや、まだだな、あの程度じゃビクともしねぇと思うぜ」

 

「え?」

 

バンクの言う通り、煙が晴れた後、その場にいたエルザは炎帝の鎧に換装しており、花火の威力を軽減していた。

 

「うそぉ!?直撃だったのに!!?」

 

「さっすが妖精女王、S級は伊達じゃねぇな」

 

「中々いいコンビじゃないか、私が不意を突かれるとは思ってなかったぞ」

 

エルザは、口元を緩めて笑いながら二人を見る。

 

「へへっ、いいコンビだってよ」

 

「やめてくださいよ、こんなデリカシーのない人と」

 

「…お前達ほんとは仲が悪いのか?」

 

「そんなことより、試験はまだ続いてんだろ?なら遠慮なくいかせてもらうぜ!!!」

 

バンクは装備を黄色に変えて、光速でエルザに向かって動き出す。

 

「雷拳!!!」

 

「換装!!」

 

ガキィン

 

バチバチと電気の溜まった拳でエルザに殴りかかるバンクだが、エルザは即座に雷帝の鎧に換装してバンクの拳を槍で防いだ。

 

 

「マーラ!!!」

 

「わかってます!!流星花火!!」

 

バンクの掛け声で、マーラはエルザの真上に向けて花火を投げ、投げられた花火は空中で爆発し、光の破片がエルザとバンクの真上から次々に降ってくる。

 

「これなら避けられないでしょ!!」

 

「あまい!」

 

エルザは槍一本で、真上から降り注いでくる破片を払い落とす。

 

「人間業じゃないよねそれ!!?雨を武器一本で防いでるのと変わらないんですけど!!?」

 

「やるなぁ妖精女王」

 

「いや、しれっとあなたもかわしきってますけど、それも人間業じゃないですからね?」

 

いつの間にかマーラの隣に戻ってきていたバンクは、花火を一撃も受けていなさそうだった。つまり巻き込まれることなく全てかわしてきたのだ。

 

「楽しいなマーラ!!!」

「いいえまったく」

 

「食いぎみに否定された!!?」

 

「はぁー…パートナー別の人に頼んどけばよかったかも」




ジュビアとリサーナの戦い方がいまいち定まらない…立ち回りかたとかが上手いこと書けないんですよねぇ。


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負けたら終わり

自分の作品にお気に入り設定出来るって変わってるなぁって…今更ながら思ったりしちゃったり。…別にそれが悪いことではないとは思いますからね!?


ピチョン…ピチョン…

 

「ずいぶんと時間がかかってるみてぇだな、まぁ、しっかりと作戦は立ててるみたいで一安心ってところだな」

 

ジュビアとリサーナをブレスで吹き飛ばしてから数分、未だに顔を見せない二人に、リートは周囲を警戒しつつも二人が作戦をたてていることに少しばかりの安堵を覚えた。

 

そして、リートの足元を一匹の小魚が通る。

 

「だが、通用するかどうかは…」

 

バシャア!!!

 

リートが独り言を終える前に、先程まで小魚だった生物がリサーナへと変わり、水から飛び出してきた。

 

「えいやぁぁ!!!」

 

テイクオーバーで、巨大ウサギに変身したリサーナは、そのままリートに体当たりを仕掛ける。

 

バッ!

 

リートは体当たりをしてくるリサーナの頭に手を置き、飛び上がる。

 

「別問題だよな」

 

「やばっ」

 

パキパキ

 

「え?…えぇぇ!?」

 

気がつけばリサーナは足元を凍らされて、動きを止められていた。

 

「まず一人、あとは本命の…」

 

バシャァ!!!

 

水流拘束(ウォーターロック)!!!」

 

「!」

 

「やった!」

 

水面からいきなり現れたジュビアに、一瞬だが、意表を突かれたリートは、ジュビアが作り出した水の球体に包まれてしまう。

 

「うまくいきました、作戦成功です!!」

 

「やったね!ジュビア!!」

 

ピキピキ

 

「「!」」

 

バキィン!!

 

しかし、リートを拘束できたのはわずか一瞬だけで、水の球体は即座に凍りつきそのまま割れて、中からリートが出てきた。

 

「ふぅ、まさか時間差でジュビアも水面から現れるとはな、てっきり同時に出てくると思ってたから驚いたぞ」

 

「そんな…」

 

「アレでも捕まえられたのが一瞬だけだなんて…」

 

「いや、今の作戦は悪くなかったぞ。けど相性が悪かったな」

 

リートは、身体をほぐしながらジュビアに話しかける。

 

「ジュビア」

 

「は、はい」

 

「お前の魔法と氷使いのオレやグレイとは味方として戦う分には相性はいいと思うぞ、だが、敵になった瞬間、お前の水を凍らせられるオレ達とは相性は逆転して最悪になっちまう。グレイにばっかりかまけるのは構わねぇが、そこら辺もよく理解しとけよ?」

 

「私とグレイ様との相性がいい!!?」

 

シュゥゥゥ

 

自分がグレイとの相性がいいと聞いたジュビアは、顔を真っ赤にして照れてしまった。

 

「訊いてるか…?」

 

「は…はい!私はやっぱりグレイ様にアタックし続けることに決めました!!」

 

「趣旨変わってんじゃねぇか!!!」

 

「こっちのジュビアって、グレイにぞっこんなんだね…」

 

足元を凍らされて動けないリサーナは、肩を落としてジュビアを見やる。

 

「それと、リサーナ」

 

「え?私?」

 

「お前はさっきも言ったが攻撃が直線的過ぎだ。フェイントとかかけると当たりやすくなるだろうぜ」

 

「うっ…」

 

「ま、どうせ今は動けねぇんだ。その氷が割れたら二人がかりでまた挑んで来な。安心しろ。その氷が割れてもお前の足が一緒に砕ける…なんてことが無いように手加減してあるからよ」

 

「一緒に砕けるって…何気に怖いよ」

 

リートは拳に氷を纏って構えをとった。

 

「さて、ここからはリサーナが動けるまでは一対一で、時間もあまりない、悪いがオレも魔力を今以上に解放するぞ、次からのオレはお前達をもう視界から外す何てことはしねぇ、倒れたら負け、そこで終わりだ。気合いを入れ直せよ?」

 

「さっきまでしていなかった、氷を纏って構えをとるスタイル…リートが訓練や修行から戦闘に切り替えた時の行動だよ。さっき以上に魔法も使い出すと思うから、気をつけてジュビア」

 

「はい、もちろんです」

 

「よしっ…行くぞ!」

 

ヒュン!

 

リートが速攻でジュビアに、攻撃を仕掛けた。

 

「くっ…」

 

ジュビアも警戒し、即座に身体を水に変えられるように構えた。

 

トントントントン

 

「?…当たっていない?」

 

リートは全ての攻撃を寸手のところで止めており、ジュビアもその行動に困惑していた。

 

「お前が水になることなんてわかりきってるんだ。簡単にはさせねぇ…よ!!」

 

リートは寸止めを止めて、強烈なパンチをジュビアの腹に入れる。

 

「かはぁっ!」

 

「ジュビア!!!」

 

バシャン!バシャン!

 

「水になれない…どうして…!」

 

ジュビアが殴られた箇所を見ると、殴られた部分が凍りついていた。

 

「凍ったままじゃ水にはなれねぇだろ?あとはそこを狙うだけだ」

 

「くっ…」(これじゃあ水に変身できない)

 

「次行くぞ!」

 

「え!?」

 

バシャァ!

 

ビキビキビキビキ

 

リートが水面に手をつけると、水面に氷が広がる。

 

「次は行動を制限」

 

「うそっ!」

 

「そして!」

 

リートは大きく飛び上がり、ジュビアの後ろに回り込んだ。

 

「ラスト」

 

「しまっ…」

 

「ハッ!」

 

ドン!!

 

リートはジュビアの背中に、もう一度冷気をぶつけてジュビアを洞窟の壁に向けて吹き飛ばした。

 

「キャァァァ!!!」

 

ドゴォ!!

 

ドサッ

 

「気を失ったか」

 

ジュビアは、そのまま岩の上に落ちてピクリとも動かなくなった。

 

「ちょっ…早すぎない!?まだ私足が抜けてないんだけど!?」

 

リサーナは、ジュビアが負けたことに焦りを感じて急いで足を引き抜こうとする。

 

「諦めろ。お前達の負けだよ」

 

リートは、リサーナの額にデコピンの要領で指を添える。

 

「え!?私の終わり方ってデコピンなの!?」

 

「よーしっ、歯ぁ食いしばれぇ」

 

「こわっ!」

 

ピン!

 

リートのデコピンで、リサーナも気を失ってしまった。

 

「きゅぅぅぅ…」

 

「よしっ、終わりっ!」




ジュビア→壁に叩きつけられ敗北
リサーナ→デコピンで敗北

やっといてなんやけど、デコピンて…


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一次試験突破は誰?

評価バーがオレンジに戻った!!!この色見たのスッゴい久しぶり( ;∀;)次は是非とも赤いバーに皆さまのお力で戻していただけますと…主が昇天します。


「グレイ!ロキ!やっぱり、一次試験を突破して来たんだね!」

 

「とりあえず、おめでとう」

 

リートが、ジュビア達との決着をつけた頃、洞窟の外では次々に試験を突破した者達が集まりつつあった。

 

現在集まっていたのは、ナツとハッピーのペア、ガジルとレビィのペア、カナとルーシィのペアだった。

 

そしてそこに、グレイとロキのペアも合流する。

 

ガジルとレビィは、静のルートを選び突破。

 

「私たち、静のルートでラッキーだったね」

 

「どこが!!誰も殴れなかったんだぞ!!」

 

カナとルーシィは、フリードとビックスローを倒し突破。

 

グレイとロキは、メストとウェンディを倒して突破。

 

ナツとハッピーは、ギルダーツの試験を突破し、それぞれ一息つけていた。

 

「一次試験を突破したのは、これだけか」

 

「?ナツは?」

 

ロキが、ふとナツの場所を聞くと、ハッピーが指を指して答えた。

 

「あっちにいるよ」

 

そこには、いつもなら騒がしいナツが、珍しく岩の上に座り込み黙っていたので、グレイ達はおかしなものを見るような目でナツを見る。

 

「何だ?アイツ」

 

「どうしたんだ?」

 

「それがねぇ」

 

 

「さて、これで全員揃ったかな?」

 

そこへ、マカロフとラリカが二人で現れる。

 

「マスター!ラリカ!」

 

「皆様お疲れ様でしたわ」

 

「では、これまでの結果を発表する」

 

マカロフは、一次試験を突破したペアを呼び始める。

 

「カナとルーシィは、フリードとビックスローを闘で破り、突破ぁ!!」

 

「なにぃぃ!!?」

 

「ナツとハッピーは、ギルダーツの難関をクリアし、突破!!」

 

「嘘だぁ!!!」

 

「オイラ何もしてないけどね」

 

「レビィとガジルは、運良く静のルートを通り、突破!!」

 

「へへーん」

 

「運が良いだと!!?」

 

「グレイとロキは、メストとウェンディを闘で破り、突破ぁ!!」

 

「ジュビアは落ちちまったのかぁ?」

 

「ぐもぉ!!」

 

ジュビアの名前が出たとたん、マカロフは変顔で反応する。

 

「なんだよぉ、じーさん!!」

 

「ジュビアとリサーナは、やつと当たってしまった…あの真面目過ぎる氷使いにぃ!!」

 

「あぁ~」

 

グレイは、マカロフが言った人のことを察する。

 

「あーぁ~」

 

「じゃああとは、バンクとマーラのペアと、エルフマンとエバーグリーンね」

 

「でも、消去法で行くと…残るルートは」

 

残ったルートは、エルザがいるか、ミラジェーンがいるかのルートしかないわけで…

 

「エルザか…」

 

「ミラジェーン…」

 

「可哀想に」

 

「ふむ、ラリカ、念のため二組の様子を見てきてくれい、二人とも試験が終わったとの連絡がまだ入っとらんからのぉ」

 

「わかりましたわ」

 

「ちょっとまてぇ!!!」

 

ラリカが飛んで確認に行こうとした時、森の奥からエルフマンの声が聞こえた。

 

「ぜぇ、ぜぇ」

 

そして、声が聞こえた方に視線を向けると、そこからボロボロの二人が出てきた。

 

「オレらも姉ちゃん倒してきたぞ!!」

 

「一次試験突破よ!!」

 

「なんと!?」

 

「どーやってあのミラを!!?」

 

倒し方を聞いた瞬間、エルフマンとエバーグリーンの顔色がすこぶる悪くなった。

 

「それは言えん、漢として」

 

「一瞬の隙を付いたとだけ言っておくわ」

 

(何をしたのかしら?)

 

「さて、残るはバンクとマーラか…ラリカ、残念じゃがここでタイムアウトじゃ、二人に伝えてきとくれぇい」

 

「わかりましたわ」

 

ラリカが飛んで洞窟内に確認しに行くと、高らかな笑い声と、うんざりしたようなが聞こえてきた。

 

「ハッハー!!さいっこうだぜ妖精女王!!!」

 

「お前も中々だぞ、さすがリートと互角に渡り合ってきただけのことはある!」

 

「もーいや!限界!アタシもう魔力ゼロです!!!」

 

「…なんとなく状況を察しましたわ…」

 

ラリカが飛んで奥に行くと、暴れまわるバンクとそれに応戦するエルザ、そして後ろで座り込むマーラの三人が見えてきた。

 

「お三方~いつまでやってますのぉ?」

 

「ラリカちゃん!!!」

 

「ん?ラリカか」

「なんだよぉせっかく楽しんでたのに」

 

ラリカが三人の元に行くと、マーラが涙目でラリカの肩を揺さぶる。

 

「ラリカちゃん訊いてよ!!!あの人戦いに夢中で全然決着をつけようとしないの!!!もうアタシ限界だって言ってるのに!!!」

 

「そ~れ~を~い~う~た~め~に~」

 

ラリカは、揺さぶられて上手く喋れないため、マーラから一度離れた。

 

「ここまできたんですのよ。マスターが時間切れと仰ってますわよ」

 

「そうか、わかった」

 

エルザは、元の鎧姿に戻ると踵を返して歩き出す。

 

「ちぇっ、もう終わりかよ」

 

「もう十分やったじゃないですか!!!」

 

マーラは、涙目でバンクを睨み付けた。

 

「お、おう…そだな」

 

「尻に敷かれてますわね」

 

「敷いてない!敷きたくない!敷かせないで!」




とりあえず、一次試験終了


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2次試験

一応報告しておきます。今回の章でオリキャラが増える予定は……ございません!
主の気分が変わらない限りは!


「と言うわけで、バンクとマーラは退場しましたわ」

 

「うむ」

 

バンク達の確認に行っていたラリカからの報告を受け、マカロフは一次試験の結果を改めて報告した。

 

「これで、一次試験突破チームは、ナツとハッピー、グレイとロキ、レビィとガジル、カナとルーシィ、エルフマンとエバーグリーン、この5組となった。そしてこれより二次試験を開始する」

 

「ナツゥいつまで落ち込んでるの?」

 

一次試験でギルダーツの試験により気を落としていたと思っていたナツを心配したハッピーがナツの下にやってくる。

 

「いや、ちょっと考え事」

 

「ナツがぁ!!何かをぉ!!考えるぅ!!!?」

 

「どんだけ見くびられてんのよ」

 

「…わかったよギルダーツ」

 

ナツは立ち上がると、合格者達を次々に指差していく。

 

「グレイ!カナ!レビィ!エルフマン!誰がS級魔導士になるか勝負だ!!」

 

ナツの言葉に、他のメンバーにも気合いが入る。

 

「お前にだけは負けねぇよ」

 

「フッ」

 

「私だって」

 

「その勝負、漢として受けてたぁつ!!」

 

そしてついに、二次試験の内容がマカロフの口から発表される。

 

「では、S級魔導士昇格試験、二次試験の内容を発表する。

二次試験は、この島の何処かにある初代ギルドマスター、メイビスの墓を探すこと」

 

「初代ギルドマスター…」

 

「メイビスの墓」

 

「なーんでぇ、簡単じゃねぇか」

 

「あい」

 

「制限時間は六時間、いいか?六時間じゃぞ、ワシはメイビスの墓で待っておる。ラリカよ、空からの偵察は任せたぞ」

 

「了解ですわ」

 

マカロフとラリカが動いたあと、いの一番に動き出したのは、ナツとハッピーだ。

 

「よっしゃー!行くぞハッピー!」

 

「あいさー!」

 

そして他のメンバー達もどんどんと墓を探して動き出していった。

 

そして、現在、天狼島簡易ベースではというと、

 

「何ぃ!?エルフマンとエバーグリーンが結婚!!?」

 

「あいつらが…?」

 

現S級魔導士のリート、エルザ、ミラと共に、試験に落ちたバンク、マーラ、リサーナ、ジュビアと集まった雑談をしていた。

調理中のエルザがミラが倒された経緯について本人から訊くと、鍋を混ぜていた手を止めて面食らう。

 

「で、動揺した私に一撃くらわせてくれたの」

 

「そりゃ動揺するわ」

 

「私の気持ち分かってくれるのねリート!!嬉しい!!!」

 

ガバッ!

 

ミラはリートに勢い良く抱きついた。

 

「ヒュー」

 

「な…なんか見てるこっちが恥ずかしいよ」

 

「ちょっと待て!!式はいつだ!!というか、奴らいつの間にそんな関係に!!?」

 

「多分違うと思うぞエルザ」

 

「なに!?」

 

「うん、多分、私を動揺させるための作戦。私もまだまだだなぁ」

 

「で?いつまで抱きつかれてんの?オレは」

 

「いつまでもずっと♪」

 

「身動きとれんわ」

 

「ホントに作戦なのか?」

 

「流石にあの二人でそれはないと思うな、だって、あの二人が結婚して子供ができたら…」

 

ミラはエルフマンとエバーグリーンの子供を想像するが、明らかに顔つきは今のエルフマンに、長くて色の薄い金髪姿の赤ん坊を想像していた。

 

「うぐっ…しくしく」

 

ミラはよほど嫌なのか、リートの腕にしがみついて泣き出した。

 

「泣くなミラ、考えようによってはかわいいぞ」

 

「…どんな想像したのお前ら…」

 

「リートいいの!!?私とあなたの甥っ子がそんな顔でも!!!」

 

「気が早くね…?エルフマンの事も、オレ達の事も」

 

ミラの必死な形相に、リートは呆れ返る。

 

「エルフ兄ちゃんとエバーグリーンかぁ、ちょっとお似合いかも」

 

「こ…ここ…子供…」

 

リサーナは意外と二人の関係を安易に受け入れそうな発言をし、ジュビアは子供と聞いて顔を真っ赤にしていた。

 

「興味ねぇ~」

 

「そりゃ、バンクさんは興味ないでしょうね」

 

「そういえばフリード達は?」

 

「ギルダーツと一緒にギルドに戻ったと」

 

「せっかちだね~、最後まで見届ければいいのに」

 

「ウェンディもどこ行ったんですか?アタシがここにきた理由の9割がウェンディの安否なんですけど…探しにいっても良いですか?」

 

「残りの1割は?」

 

「パートナー組ませてもらったので、ついでにバンクさんをS級にするお手伝い…の予定だったんですけど…その必要もなくなりましたし、今は頭の10割がウェンディです」

 

「オレのS級ついでだったのかよ!!!」

 

「初めからウェンディが心配だからって言ってたじゃないですか」

 

「でも、たしかに遅いわねぇ」

 

「集合場所、忘れちゃったのかなぁ」

 

「メストかぁ、彼とはエドラスで会ってないからよく知らないのよねぇ、私の居ない2年の間に入ったんでしょ?」

 

リサーナがそう訊くと、リート達は首をかしげた。

 

「そうだっけ?」

 

「いや…もっと前から?…でも違うような…」

 

「昔からいたような…」

 

「存在感ないのね」

 

「皆さん、メストさんが可哀想ですよ?」

 

「ジュビア、捜してきます。マーラちゃんも行くなら二手に別れた方が…」

 

「いや、私もついていく、三人で行こう。お前達はここに居てくれ」

 

「わかりました。早く行きましょう。エルザさん、ジュビアさん、ウェンディが心配ですし」

 

「悪いけど、じっとしてるのはしょうに合わねぇからパスだ。適当に散歩してくるぁ」

 

バンクは席から立ち上がると、そのまま島の方へ歩いていく。

 

「おい、試験の邪魔はするなよ?」

 

「大丈~夫、大丈~夫」

 

バンクはリートの言葉を適当に聞いて、そのまま森の中へ入っていく。

 

「もー!自分勝手なんだからバンクさん!」

 

「まぁ、マイペースなのは今に始まったことじゃない、私たちはウェンディを探しに行こう」

 

「はい」




ここが戦いへの分岐点


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悪魔の心臓

すいません、アクナの画像を修正いたしましたので、以前の画像を見た方はもう一度確認してくれると助かります


「まったく、探しに出たはいいがどこに居るんだ?ウェンディもメストも」

 

「もーここに来てから思うようにいかないなぁ…バンクさんに振り回されるわ、肝心のウェンディと合流できないわで」

 

ウェンディとメストを探しに出た三人は、いまだに二人を見つけられず島を歩き回っていた。

 

(ジュビアはグレイ様の応援に行きたいのに、何とかしてエルザさんとマーラちゃんと別行動をとらないと…)

 

ジュビアは二人を探すことよりも、エルザ達とどうやって別行動をとろうかと考えていた。

あと、ついでにグレイとの妄想も…

 

「顔が赤いぞジュビア、熱か?」

 

「え?大丈夫ですか?ジュビアさん」

 

「いえ!大丈夫です!」

 

「そうか」

 

「無理しちゃダメですよ?」

 

「ありがとう、マーラちゃん」

 

(でも、ジュビアじれったい!!)

 

その後も、しばらく三人は島を歩き続ける、

 

「あの、よかったら手分けして…」

 

「どうした?そんなに離れたら私たちもはぐれてしまうぞ。もしかして、私がS級だから怯えているのか?」

 

「…あぁ~なるほど」(目的はグレイさんか)

 

マーラはなんとなくジュビアのやりたいことを察したが、肝心のエルザはジュビアの考えを察することができなかった。

 

「?」

 

「すまなかったな、リートがずいぶん手荒な事をしたようで、だが、アイツは何も考えずにそんなことをするような奴じゃないんだ。許してやってくれ」

 

(なーんか、論点ずれてるような気がするなぁエルザさん)

 

エルザは先ほどの一次試験で、ジュビアとリサーナを倒したリートがS級だったから、同じS級の自分も怯えられたのだと思い込んでいた。

 

「リートさんがって…あぁ一次試験で戦った時の」

 

「アイツも、少しやり過ぎたのかもしれん。だが、S級になるのは甘いことではない」

 

(なんか面白そうだからこのままにしとこっと)

 

「私も、数年前にこの試験を乗り換えたが、辛く険しい道のりだった。それは半端なものではなかった…S級になったらなったで、喜んでばかりはおれん!責任もある。ギルドの名を汚すことはできん、その重みに耐えるうんぬんかんぬん、つまりはあれやこれやそれがどうしてーーー「エルザさんエルザさん」?」

 

「長い」

 

「!?」

 

マーラの一言で、エルザは目を点にしてしまった。

 

(あぁ、早くグレイ様の元に…)

 

「とりあえず、早くウェンディを探しましょうよ」

(ここでウェンディを探す人数が減るのはよくないし、ジュビアさんには悪いけど、グレイさんの所に行ってもらうのはもう少し後にしてもらおっと)

 

マーラは、何よりもウェンディが第一の為、ジュビアの犠牲をもとわずにエルザを急かしていた。

 

 

その頃の二次試験中のレビィとガジルはというと、

 

グオォォォォ!!!

 

「やかましい!!」

 

ドゴォ!

 

誰とも戦えていないガジルが、イライラを島の化け物ん倒して発散させていた。

その様子を見ていたレビィも徐々にストレスを感じていた。

 

「んっだよぉ!!この試験はよぉ!道を選べだの墓を探せだの」

 

「あーうるさい」

 

「オレは火竜やエルザを殴れるっつーから来てやったのに、モンスター紛いのデカブツ相手じゃ面白くもなんともねーっての」

 

「私のことはどーでもいいわけ!!?」

 

「あぁん?んなこたー言ってねぇだろーがよぉ」

 

「だって、ガジルはみんなと戦うことばっかで、全然私の事なんか…全然…」

 

「…あー、そーゆーことか」

 

ガジルはレビィの頭に、手をポンポンと何度も乗せる。

 

「かまって欲しいのかぁ小せぇやつ、だったらオレとまともに戦えるくらい強くなってくれよ」

 

「どーせ私は弱いわよ…小さいわよ…」

 

「ったく落ち込むよりも先にやることがあるだろ」

 

ゴン!

 

「ぐぼぁ!」

 

レビィは怒って、持ってた鞄でガジルを殴った。

 

「もう知らない!ガジルのばか!!!」

 

「んだとこら…」

 

ガジルを殴った後、レビィはそのままガジルを置いて走り出す。

 

(何よアイツ!ちょっといい奴になってきたと思ってたのに!!!…嫌なやつ…大っ嫌い!大嫌い!…嫌い…)

 

がさがさ

 

「!ガジル?」

 

草陰から音が聞こえ、レビィが振り向くと、いきなり見知らぬ二人がレビィに攻撃を仕掛けてきた。

片方は犬のような姿に甲冑を着た男と、もう一人は鶏のような姿だがガタイのいい男の二人だった。

 

甲冑を着た男は、剣を振りレビィに切りかかる。

 

「うぁぁ!!なに!?あんた達!!」

 

レビィはギリギリで回避するが、その瞬間うしろに回り込んでいたもう一人の男がレビィを捕まえ地面に押さえつける。

 

「ひゃぁ!!!」

 

「まずは1人!!!」

 

甲冑の男が剣を振り上げ、レビィに切りかかる。

 

ガキィン!!

 

だが、男の剣はレビィを切る事はなく、ガジルが腕を鉄に変えて剣を防いでいた。

 

剣を防いだガジルは、そのままレビィを押さえつけていた鶏の男の顔を殴り飛ばす。

 

「小せぇと探すのが大変なんだよ。だから…オレから離れんじゃねぇ」

 

「!…うん!」

 

レビィは立ち上がって、ガジルに背中を預けた。

 

「で?なんだこいつらは」

 

「あの紋章…悪魔の心臓(グリモアハート)!!?闇ギルド最強のギルドが、何でこの島に!!?」

 

男達の紋章を見たレビィは、焦りを見せる。

 

「マスターは試験内容に闇ギルドを配置するのか」

 

「そんなわけないよ。こいつらどっかから侵入したのよ」

 

「ま、仕事にはアクシデントはつきものだ。S級の仕事なら尚更な、これくらいのアクシデントも排除できねぇようじゃS級の資格がねぇとも言えるな」

 

「でも、相手は悪魔の心臓、バラム同盟の一角、私たちが独断で手を出す訳には…」

 

「ヌハハハハハ、これだから正規ギルドは、規則規則息がつまるのぉ」

 

「戦争にルールはないっぺろんぺぺぺぺぺぺ」

 

「戦争だぁ?」

 

「あんた達は、目的は何なの!!?」

 

甲冑を着た男は、ガジル達に名を名乗った。

 

「我は悪魔の心臓が魔導士、ヨマズ!!」

 

そして、鶏のような男も続けて名乗る。

 

「同じくカワズ」

 

「ヨマズにカワズ?」

 

「目的はぁ…ドォーン!!!」

 

ヨマズは空中に轟という文字を生み出した。

 

すると、辺り一面に騒音が流れた。

 

「うおおっ!!?」

 

「うっ!耳が…」

 

「ここにいる妖精を狩ることなりぃ!!!」

 

「ペーッペッペッペッペッ」

 

ごぉぉぉ!!!

 

「うるせぇぇ!!!文字の魔法か!!お前と同じ魔法かよ!!なぁ!レビィ!」

 

ガジルが必死に声をかけるが、レビィに声は届かない。

 

「この魔法は…東洋のソリッドスクリプト…!」

 

二人が耳を塞いでる間に、カワズがふたりに突っ込んでくる。

 

「ガジル!!ガジルってば!!!」

 

ガジルの声が聞こえてなかったレビィだ。当然レビィの声もガジルに届くことはない。

 

(聞こえてない!?)

 

「クワァ!!!」

 

カワズの攻撃が迫ってきた所を、レビィがガジルの服を引っ張り何とか回避させる。

 

「ヌォッ!?」

 

「ペーッペッ!」

 

カワズはそのまま地面を蹴り飛び上がると、口からいくつもの卵を吐き出した。

 

「ぺぺぺぺぺぺぺぺ!」

 

「卵?…」

 

バキッ

 

「!」

 

卵が同時に割れると、中身がガジル達ぶつかっていく。

 

「エッグバスター!!!」

 

「ぐっ…うぅっ…」

 

ガジル達が怯んだ所に、今度はヨマズが切りかかってくる。

 

「でぁぁぁ!!!」

 

しかし、ガジルはすんでの所で何とかヨマズの攻撃をかわした。

 

(くそっ、騒音のせいで足音すら聞こえねぇ)

 

「ガジル!!!」

 

「くっ、ソリッドスクリプト…SILENT!!!」

 

レビィの魔法の効果で、騒音がなりやんだ。

 

「音が元に戻った…」

 

「拙者の文字と打ち消しあったのか!!」

 

「聞こえた!そこだぁ!!!」

 

音が聞こえたガジルは、そのままヨマズを殴る。

 

「ペーッ!?スゥゥゥぺぺぺぺぺぺ」

 

殴り飛ばされるヨマズを見たカワズが、今度はレビィに卵をはいた。

 

「!…ファイ」

 

ゴォォォォ!!!

 

「!」

 

卵をFIREの文字でうち消そうとしたレビィだが、その前に、どこからか飛んできた炎がカワズの卵をかき消した。

 

「よぉ、面白そうなことしてんじゃねぇかよ、ガージル♪」

 

「バンク!?」

 

草陰から現れたのは、バンクだった。

 

「ちっ、余計なのが増えやがった」

 

「へへっ手ぇ貸してやるよどーせ二人いるんだ。そこのちっこいのに誰かへの報告にいかせて、二人でやろうぜ」

 

「嫌なこった」

 

「うーわっ強情なやつ、んじゃ勝手に1人もらってく、嫌ならさっさと1人片付けてオレから相手を奪うんだな」

 

「勝手にひとり奪うんじゃねぇよ!!」

 

バンクは構えをとってカワズを睨み付けた。

 

「ちっこいの!ここはオレらに任せてラリカの奴にこの事を知らせろ!テメェじゃ役不足だ!!」

 

「う…うん!」

 

レビィは、ラリカを探しに走り去る。

 

「ったく、相変わらず自分勝手な野郎だ」

 

「おう!知ってる、ニシシ」




バンクはもう一戦くらい当ててもいいかな?…まぁ話の流れで考えよう


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バンクとガジル

お、ランキング入りしてる。やったね!今日1日だけかもしれないけど、それでもやっぱり嬉しい


「で?アイツらなんだよ?敵って事しか分かってねぇぞ?」

 

「オメェそれでよく割って入ってこれたな」

 

バンクの質問に呆れるガジルだが、渋々と質問に答えた。

 

「アイツらは、ヨマズとカワズっていう悪魔の心臓って闇ギルドの二人らしい、どこからか潜り込んだんだとよ」

 

「飲まずと食わず?変わった名前だな」

 

「飲まず食わずじゃねぇ、ヨマズとカワズだ!!」

 

「ふーん…どっちでもいいか、さーてどっちを貰おうかね」

 

「だからどっちもオレの獲物だって言ってんだろーが!!!」

 

「へっ!早い者勝ち…だっ!」

 

バンクは、光速でカワズに向かって突進していった。

 

「ぺーっペペペペペペ」

 

バンクの攻撃をくらうまいと、カワズは卵を大量に吐き出す。

 

「うげっ、気持ち悪ぃ」

 

卵が割れ、中身がバンクに向かってくる。

 

「エッグバスター!!」

 

「っ!」

 

ヒュン!

 

卵の中身が当たる前に、バンクは横に飛び攻撃をかわすと、カワズが目の前まで接近してきていた。

 

「ぺーーっ!!!」

 

「あ?」

 

ガシッ

 

バンクに向けて横凪に振ってきたカワズの腕を軽々と捕まえると、バンクはその手を掴み、空いた手で拳を握った。

 

「ぺ!?」

 

「つーかまえた♪」

 

バンクはグローブを赤色に変えて、カワズの顔目掛けて拳を突きだす。

 

「爆拳!!!」

 

ドゴォン!!

 

「ぺぇっ…ぐぺっ」

 

「なんだよもう終わりか?」

 

倒れたカワズを見たバンクは、ガジルの方へと視線を向ける。

 

貫!!!

 

「ぐあっ!」

 

「おいおい、圧されてんじゃねぇかよアイツ…しゃーねぇなっ!」

 

バンクは今度はヨマズの懐に入り込み、拳を握った。

 

「ぬっ!」

 

「爆け…」

 

「させるかぁ!」

 

斬!!!

 

「あぶねっ!」

 

懐に入られたヨマズは、剣を縦に振り下ろし、身の危険を感じたバンクは、攻撃を止め地面を転がり回避する。

 

「鉄竜根!!!」

 

ドン!!

 

「ぐわぁっ!!」

 

「はぁ…はぁ…」

 

攻撃をかわしたバンクの後ろから、ガジルが腕を鉄に変えて伸ばしヨマズの腹を殴る。

 

「おぉーナイス連携」

 

「けっ!たまたまだろーが」

 

「ぺーーっ」

 

「「!」」

 

そこへ先ほど倒れたと思われたカワズが二人を狙って口を向けていた。

 

「ペペペペペペペペペ」

 

「っち!まだ生きてたかよ!!」

 

バンクはガジルの前に出て、卵を燃やそうと構えをとった。

 

「炎け…」

 

「エッグミューカス!!!」

 

「!」(さっきの卵と違う!!?)

 

その卵は先ほどと違い、中身がネバつきのある液体であることに気がつき、バンクは攻撃に一瞬ためらい止めてしまった。

 

べちゃっ!

 

「うっ!」

 

卵の中身がバンクの左手に当たると、勢いよくバンクごと飛んで行き、そのまま後ろにあった木に張り付いた。

 

「くそっ!取れねぇ…」

 

「バンク!!」

 

バサバサ!

 

「!」

 

「かぁぁぁっ!!!」

 

斬!!!

 

「うおっ!」

 

バンクに一瞬気を取られたガジルが、草陰から戻ってきたヨマズに斬られる。

 

 

「ぺーーっ!!ペペペペペペペペペ」

 

「芸のねぇ事ばかりしやがって、片手がありゃそんな卵燃やしつくせらぁ!!!」

 

ニヤリ

 

「!」

 

ボンボン

 

バンクが卵を燃やす瞬間、卵が爆発し始める。

 

「!?」

 

「エッグボム!!」

 

ドゴォン!!!

 

バンクが爆発に巻き込まれていた頃、ガジルも、ヨマズに攻撃しようと腕を剣に変えて戦っていた。

 

「鉄竜剣!!」

 

「ぬぅん!!」

 

ガキィン!!

 

「くそっ…」

 

「暗黒剣…」

 

「!」

 

「鳴咬!!!」

 

鉄竜剣を弾かれ胴体ががら空きになったガジルに、ヨマズの攻撃がきまった。

 

「うおおっ!!!」

 

ドサッ

 

バンクの周りは爆炎で見えなくなっており、ガジルも地面に倒れてしまった。

 

「少々手こずったが、この程度の奴等ばかりなら、本隊が上陸する前に全て片付きそうだ」

 

「ペペロン」

 

「ほ…本隊…だと…」

 

倒れていたガジルが、残った力を振り絞って二人を睨み付ける。

 

「まだ息があるペロ」

 

「我がギルド、悪魔の心臓の全部隊なり」

 

ゴッ!!

 

ガジルはそれを聞いて、ボロボロの姿で立ち上がる。

 

「妖精の尻尾と…全面戦争か?」

 

バキバキバキバキ

 

「「!」」

 

そして、爆炎の中から血だらけのバンクもふらつきながら歩いてきた。

 

「た…立ち上がるのか」

 

「ばかな…渾身の技だったペロ」

 

「似てんなガジル、あの時のオレたちとよ…」

 

「あぁ」

 

「テメェらも同じ気分をあじわえるぜ」

 

「狩る側から狩られる側になる気分をよ」




カワズの技少なすぎ…ちょくちょくあるんだよなぁ…技の少なすぎてオリジナルの技を作らないといけないキャラ…


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おまけ(本編関係なし)

すいません、本編の執筆が乗らなかったのでちょっとしたオマケです。
時系列はS級試験後、ナツ達が帰ってきて数日くらいと思ってください。
本編とは関係ないので読まなくていいって人は飛ばしてもらって結構です。



「バーンクさん!アタシ、アップルパイ作ってみたの!食べてみて!」

 

ギルドでナツ達が普段通り話していると、マーラがやって来てバンクに箱を手渡す。

 

「お?サンキュー」

 

「へぇ、マーラって料理できんのか、かわいい趣味じゃねぇか」

 

「すごーい!美味しそうじゃない!」

 

「あら、いい匂いですわね」

 

「オイラお腹空いてきちゃった」

 

「すげぇな、形も綺麗だし、確かに旨そうだ」

 

「でも、どーしてバンクに?」

 

「ん?こないだのS級試験のお礼…かな?」

 

「かなって…」

 

「おぉー!うまそー!!」

 

バンクの貰った箱に、ナツが身を乗り出して来た。

 

「あ!みんなの分もありますよ!バンクさんのほど量はないですけど」

 

「「やったー!」」

 

マーラが、もうひとつ箱を取り出して机の上に置いた。

 

「へぇー、?どうしたのウェンディ、シャルル、なんか顔色が悪いけど」

 

ルーシィがウェンディとシャルルに視線を向けると、二人は青白い顔でパイを眺めていた。

 

「い…いえ…別に」

 

「ねぇマーラ…これ…アンタが作ったって言ったわよね?」

 

「うん!そーだよ」

 

シャルルがマーラに質問してる間に、他のメンバー達は箱を開けてパイに手をつける。

 

「あら?」

 

スンスン

 

何かに気づいたミラは、パイの匂いを嗅ぎ始めた。

 

「?どーしたのミラさん、食べないの?」

 

「ううん、ちょっとね…リート」

 

「?」

 

ミラはリートを呼ぶと、持ってるパイをリートの口元へ持っていく。

 

「はい、あーん」

 

「ファッ!?!?」

 

「え!?いきなりどーしたのミラさん!」

 

ルーシィやラリカが、ミラの行動に困惑していた。

 

「ちょっ…ミラ、オレは自分の一切れがあるから」

 

「いいから、ほら口開けて」

 

「「うんめぇー!」」

 

「おい、リート、このパイうめぇぞ!!」

 

「ホント!?よかったぁ」

 

「「うそっ!?」」

 

そんなことも気にしてないナツ、バンク、グレイの三人は既にパイを食べ初めていた。

 

そして、その言葉に喜ぶマーラと、なぜか驚くウェンディとシャルルがやけに気になるが、ナツ達が食べているということは、少なくとも危険性はないとリートは判断した。

 

「ううっ…」(こりゃ、断れねぇ流れだ…)

 

「あ…あー」

 

シャク

 

モグモグ

 

「…うまい」

 

「…ホントに?」

 

「え…うっ!」

 

バタッ

 

ミラがホントに?と聞いた瞬間、リートがいきなり倒れた。

 

「え!?え!?どーしたのリート!!!」

 

「何事ですの!?」

 

「って…えーーー!ナツ!?グレイ!?バンクにハッピーまで!!」

 

振り返ると既にパイを食べていた連中が倒れていた。

 

「やっぱり」

 

「え?アレ?」

 

「どういうこと!?」

 

ルーシィがウェンディ達に視線を向けると、ウェンディ達はマーラの料理について説明する。

 

「実は、マーラって料理ができてるのって見た目だけなんです」

 

「見た目だけって…味はダメってこと!?」

 

「でも、ナツ達は美味しいって言ってたわよ?」

 

「味はどうか知らないけど、そもそもの材料がダメなのよ」

 

「材料って?」

 

「マーラ、今回のパイに何を使ったの?白状しなさい」

 

シャルルが呆れた顔で、マーラに視線を向けた。

 

「白状ってひどくない!?アタシ普通にパイ作っただけだよ!?」

 

「その普通に作ったパイがこんな現象を引き起こしてるんでしょーが!いいから材料を言いなさい!」

 

「材料って言っても…小麦粉と、砂糖と、リンゴと、水飴と、蜂蜜と」

 

マーラは、ひとつひとつ材料を上げていく。

 

「ここまでは普通ね」

 

「そうねぇ」

 

「おかしなものは入ってませんわね」

 

 

「あとは、塩酸と…」

 

「「「え?」」」

 

※真似しないで下さい

 

「硝酸と、アンモニア水と」

 

※絶対に真似しないで下さい

 

「塩素酸塩と…過よう素酸ナトリウムかな?」

 

※絶対何があっても決して!真似しないで下さい

 

「何か…後半ワケわかんないの混じってるんですけど…」

 

「全部毒物よ。食べたら即死ね」

 

「はいぃ!?」

 

「食べなくてよかったですわ…」

 

「ってか男共は食べちゃってるんですけど!?」

 

「その内起きますわよ」

 

「そうね、リート達だし」

 

「雑!!!」

 

そう言ってミラ達は、そっとパイを箱に戻した。

 

「だからアンタは!!どーして料理に化学薬品を使うのよ!!!」

 

「だっておいしくなりそうだったんだもん!!!」

 

「化学薬品使って美味しくなるわけないでしょーが!!!」

 

「料理は化学って言うじゃん!!!」

 

「ホントに薬品を入れる人は居ないわよ!!!」

 

シャルルがマーラに怒鳴り散らし、マーラは涙目でシャルルに訴えかける。

 

「でもバンクさん達は美味しいって言ってたよ!!!」

 

「その後倒れちゃってるじゃないの!!!アンタは今後いっさい料理禁止よ!!!」

 

「ひどい!!?ウェンディ!シャルルに何とか言ってよ!!」

 

「ごめんマーラ…私もシャルルに賛成…」

 

「ウェンディまで!!?じゃあミラさん!!」

 

「ごめんねマーラ、私もこれはちょっと…」

 

「ラリカちゃん!!!」

 

「右に同じですわ」

 

「ルーシィさん!!!」

 

「ア…アハハ…」

 

マーラは涙目でみんなに訴えかけるが、この場に一人としてマーラの味方はいなかった。

 

「そ…そんな~!!!」

 

「ひどい!!アタシが何をしたって言うのよ!!!」

 

 

「「「「「殺人未遂」」」」」

 

 

「なんでぇーーー!!!」




すいません、すぐに本編に戻ります。


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幽鬼(ファントム)

戦いって、なぜオリジナル展開にするとこうも短くなってしまうのだろうか…書いてるときは相当長くやってるつもりなのに


「いくぜ…」

 

「おう」

 

バンクとガジルは、二人して構えをとる。

それを見たヨマズとカワズも、二人の行動を警戒した。

 

「まだ起き上がるとは大したもの」

 

「しかーし、起き上がるなら何度でも倒すだけペロ」

 

 

「へっ、そう何度も食らうかよ」

 

「ガジル、アレ…やるぜ」

 

バンクのアレという言葉に、ガジルは目を丸くする。

 

「正気かよ!あの技は幽鬼の頃にもやろうとして失敗したじゃねぇか!!この土壇場でやる気かよ!!」

 

「バーカ、土壇場だからこそだろーが、命のやり取りをしてるときに完成させた技ほど、いざってときの切り札になるんだよ」

 

「正直、いつかは完成させねぇととは思ってたんだよ。けどな、これは幽鬼の頃にお前と組んだ時に初めてやろうとした技だ。なら、初めての完成した技もお前とがいいんだよ。だからこそ、オレはこの技に名前をつけたんだぜ」

 

幽鬼(ファントム)って名前をよ」

 

 

「…わーったよ。こーなったらとことん付き合ってやる」

 

「へへっ、そーこねぇと」

 

 

「話し合いは済んだか?」

 

「なら、そろそろ片付けるペロッ!」

 

ヨマズとカワズは、二人に向かって飛び出した。

 

「ぜぁぁぁ!!」

 

斬!!

 

ヨマズの斬劇を、二人は同時にしゃがんでかわす。

 

「ペペペペペペぺ!!!」

 

その隙にカワズが、また玉子を二人に向けて吐き出した。

 

「っち」

 

「炎拳!!!」

 

ゴォォォ!!!

 

バンクが玉子を燃やした瞬間、ヨマズがバンクに向けて刀を向けていた。

 

「隙あり!!!」

 

貫!!!

 

「!」

 

ズバッ!!!

 

しかし、その攻撃は、ガジルが体を張って肩を貫かれるという負傷はあったが、ヨマズの攻撃を防いでいた。

 

「ちぃ!致命傷は避けたか!!」

 

「ぐっ…今だ!!!」

 

ヨマズが刀を抜いて距離をとると同時に、ガジルはバンクに合図を送った。

 

「チャンスは一度…この属性に…かける!!!」

 

バンクが拳に魔力を込めると、グローブが紫色に変化した。

 

「かぁ!!」

 

バンクの手から紫色の魔力が現れ、辺り一面を覆った。

 

「なんだ!!?」

 

「ぺーっ!!」

 

紫色の魔力に気をとられていたヨマズとカワズ、その隙にバンクとガジルが攻撃をしかける。

 

「爆拳!!!」

 

「鉄竜根!!!」

 

 

「ぐあぁっ!!」

 

「ぺえっ!!?」

 

ヨマズとカワズの二人が吹き飛ばされ、踏ん張りを効かせて耐えたあと、バンクのたちに視線を向けると、二人は驚きの表情でバンク達を見た。

 

「何だ…あれは…」

 

「体が…ぶれているペロ」

 

そう、バンク達の体はヨマズ達から見ると明らかに何重にもぶれているように見え、まるで蜃気楼を見ているような光景が見えていた。

 

「力が溜まるのに何秒だ?」

 

「ざっと、20秒だな。そしたら、ぶれた体が元に戻り溜め込んでいた力が流れ込むぜ」

 

「余裕だな」

 

「たりめぇだ」

 

バッ!

 

二人は、困惑しているヨマズ達に向かって飛び出した。

 

「!…ペペペぺペペペペペペ」

 

「「!」」

 

カワズが空に向けて玉子を吐き、バンク達の頭上から玉子が降ってくる。

 

「ヘビーエッグレイン!!!」

 

ズドドドド

 

バンクの達の上から降ってくる玉子だが、二人はユラユラとかわしながらもヨマズ達に向かって突き進む。

 

「あ!当たらないペロ!!? 」

 

「ならば拙者が!!!」

 

突突突突!!!

 

カワズが何度も突きを繰り出すが、それも二人は、ユラユラと難なくかわす。

 

「バカな!!」

 

「5秒」

 

「鉄竜剣!!」

 

攻撃圏内に入ったガジルが、腕を剣に変えて、ヨマズに斬りかかる。

 

ガキィン!!!

 

「ぐうぅっ!!」

 

ヨマズはそれを刀で防ぎ、隙ができたガジルの後ろからカワズが攻撃をしかける。

 

「ペーッ!!!」

 

ガシッ!!

 

「!」

 

カワズの蹴りをバンクが受け止め、そのままバンクはカワズの顔を殴り飛ばす。

 

「オラァ!!!」

 

「ぐぺぇっ!!」

 

「10秒!!!」

 

そのままバンクは飛ばされるカワズを追いかけ、捕まえると、片手でラッシュを叩き込む。

 

「だぁりゃりゃりゃりゃりゃ!!」

 

「ぐぺぇっ、ごぺっ、くえぇっ!!」

 

そしてヨマズもガジルの剣を払い除けると、連続の突きでガジルに攻撃し続ける。

 

「くっ…ぜぁぁぁぁ!!!」

 

だが、ガジルにその攻撃は全く当たることはなかった。

 

「15秒…ガジル!!」

 

「おう!!」

 

合図と共に、ガジルはヨマズを、バンクはカワズの胸ぐらを掴み、お互い対面から二人を投げ飛ばす。

 

ドン!!

 

「「ぐわぁ!!」」

 

二人のちょうど中心でぶつかったヨマズとカワズ向かって、バンクがとガジルは拳を構えて突撃する。

 

そして、ぶれてた体が元に戻ると同時に、間にいるヨマズ達に向かって全力のパンチを叩き込んだ。

 

合体魔法

 

幽鬼(ファントム)!!

 

ドゴォォン!!!

 

バンク達の攻撃で、ヨマズとカワズの二人は完全に倒れた。

 

「ぜぇ…はぁ…20秒ジャスト」

 

「ぜぇ…ぜぇ…初めてタイミングが合ったな」

 

「合わなきゃ余計な所で力を使っちまって失敗…だったけどな…ニシシ」

 

バンク&ガジルVSヨマズ&カワズ…勝者バンク&ガジルチーム




幽鬼は、決められた時間の間、体をぶれさせて回避にステータス極振りにして、ぶれた体に力を溜め込ませて、時間になると自動で元に戻り溜め込んだ力を次の一撃でズドンって設定です。
あ!説明むつかしぃー!!

因みに即興で作りましたので、矛盾してようがなんだろうがもうこれでいいか!のノリになってます。はい


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信号弾「赤」

今回は今まで書きたかった重要な設定を出します!

そこまで行くのに結構かかった…


「はぁはぁ、早く…みんなに知らせないと…」

 

ガジルとバンクから別行動を取り、急いで敵襲を知らせようと、レビィはラリカを探しながらキャンプ地へと走っていた。

 

「ラリカを見つけられなくても、キャンプになら誰かいるはず…誰でもいいから…早く…知らせないと…ガジルとバンクが死んじゃう」

 

ズザァ!

 

「キャア!!」

 

レビィは急ぐあまり足を滑らせ、急な斜面を転がり落ちていく。

 

「キャァァァ!!!」

 

斜面を転がり落ちたレビィは、打ち所が悪かったのか気を失ってしまった。

 

 

「…ビィ…レビィ…レビィ!」

 

「…はっ!」

 

次にレビィが目を覚ましたときには、ラリカが顔面蒼白でレビィを起こしていた。

 

「よかった!死んでるかと思いましたわよ全く!こんなところで危ないですわよ?」

 

「そうだ!ラリカ!!大変なの!実は」

 

「何をやってるんだ?お前達」

 

「どうかしたんですか?」

 

「え?何々?何かあったの?」

 

そこにエルザと、ジュビア、そしてマーラの三人も合流し、レビィが一通りの事情を説明した。

 

「何!?敵襲だと!!?」

 

「相手は闇ギルドの悪魔の心臓ですか」

 

「なんか…六魔よりヤバそうなんですけど…ハッ!急いでウェンディを探して事情を説明しないと!!」

 

マーラは、ダッシュでウェンディを探しに行ってしまう。

 

「待てマーラ!!今一人になるのは危険だ!!!」

 

しかし、マーラはエルザの話しを無視して森の中へと消えていった。

 

「くそっ!私はマーラを追いかける!ラリカ、お前確か信号弾をもっていただろう。それを打ち上げてギルドのメンバーに敵襲を知らせるんだ!!」

 

「わかりましたわ!!」

 

ラリカは急いで赤い信号弾を上げた。

 

ヒュ~…ドン!

 

そして、それを見たリート達はテントから信号弾を確認した。

 

「赤い信号弾…敵襲の合図だ!!」

 

「て…敵襲!!?」

 

「どうする?リート」

 

ミラがリートに訪ねると、リートはコートを着て立ち上がる。

 

「オレは信号弾の上がった場所を確認してくる。お前とリサーナはもしもの時の為にここにいてくれ。誰かが助けを求めて戻ってくるかもしれないからな、頼んだぞ」

 

「うん!わかった!」

 

「気をつけてね、リート」

 

「おう、んじゃ…ちょっくら行ってくるわ」

 

リートは、そのまま森へと入って行った。

 

「信号弾の上がった場所はあの辺り…か、結構距離があるな」

 

リートは急いで信号弾の上がった場所へと走るが、距離が遠いため中々たどり着くことができない。

 

そこに…

 

ドォォォン!!!

 

「!なんだ!?」

 

海の方から巨大な爆発音が聞こえ、リートは足を止めた。

 

「…」(このまま信号弾の上がった場所に行くか…今の爆発を確認しに行くか…どうする…)

 

「…だぁぁ!!くそっ!次から次へと!!」

 

リートは、方向を変えて海へと走り出す。

 

「信号弾はあくまでも敵を確認したという報告だ…だが、爆発音となると、誰かが戦闘してる可能性が高い、ここは爆発の方を優先か」

 

だが、急いでる間にリートの視界に巨大な火柱が見えた。

 

「なんだ?…ナツ…じゃねぇな…炎の雰囲気がなんとなく違う…急がねぇと」

 

そのまま海に急ぐリートの真上を、何かが通りすぎた。

 

「ヤギ?…何でヤギ?…ってかあのヤギ空飛んでなかったか!?ヤギって空飛べたのか…」

 

そんなどーでもいいことに興奮していたリートだったが、そのヤギが空から落とした玉のようなものに異変を感じる。

 

「あの玉…何かいろんな魔力を感じるような…」

 

バリン!

 

「なっ!!?」

 

玉の中から現れたのは、大量の人間であった。

 

「人!?」

 

「オラァ!」

 

「!」

 

バッ!

 

ドゴォ!!

 

リートの真上から降ってきた一人がリート目掛けて剣を振り下ろし、身の危険を察知したリートは、それを紙一重で回避する。

 

「なるほど、敵襲ってのはお前らの事か」

 

「殺せぇ!!!妖精は全員狩りつくせぇ!!!」

 

空から降りてきた人達は、さまざまな武器を持ってリートに襲いかかる。

 

「なんだと…」

 

ギン!

 

ブォワァァ!!!

 

リートが殺気を放つと、その場にいた全員が足をすくませ、体を震わせていた。

 

「テメェらここが何処かわかってんだろうな?妖精の尻尾の聖地、天狼島だぞ。悪魔の心臓程度のそこらの闇ギルドが軽々しく足を踏み入れていい場所じゃねぇんだよ」

 

「貴様…なぜそれを」

 

「これ見よがしに紋章見せてりゃ嫌でも目にはいるっての、別にテメェらが何処の誰で、何をする気かなんて興味ねぇ…だがな」

 

リートは、その場にいる全員に睨みを効かせる。

 

「ウチのギルドを標的にした時点で、全員オレの敵だ。オレ達の命とる覚悟があるなら、当然テメェの命とられる覚悟もあるんだろうな?容赦はしねーぞ」

 

「うっ…」

 

「退け、お前達」

 

悪魔の心臓のメンバーが密集してる奥からやって来たのは、煉獄の七眷属と呼ばれる悪魔の心臓でもトップクラスの実力者の一人、アズマだった。

 

「あ…アズマさん」

 

「お前達では相手にならん、オレに任せるといいね」

 

(こいつ…強ぇな…ここのやつらとはレベルそのものが違う)

 

「貴様、氷竜のリートのようだね?」

 

「だったら何だ」

 

「先程の戦いは子供と猫で消化不足だったのだ。今度は楽しめるといいのだがね」

 

「!テメッ!うちのギルドのやつに何かしたのか!!!」

 

シュルルル

 

「!」

 

バッ!

 

アズマの周りから木の根がリートを捕まえようと襲いかかってくるが、リートもそんな簡単には捕まらない。

 

「そんな単調な攻撃に捕まるわけねぇだろ」

 

「あぁ、わかっているのだよ」

 

「!?」

 

木の根をかわして距離を取ろうとするリートの背後に、既にアズマが回り込んでいた。

 

ドゴォ!

 

「ぐわぁっ!」

 

「…っち!」

 

ぐるん!

ダン!

 

アズマに背中を蹴られたリートだったが、空中で一回転し、大木に足をつけ踏ん張りを効かせる。

 

ドン!

 

そして、大木を蹴りアズマに拳を構えて突っ込んでいった。

 

「氷竜の…」

 

「ほう」

 

「硬拳!!」

 

バシィ!

 

「!」

 

リートの拳を受け止めたアズマ、そのままアズマは木の根でリートの手足を捕まえる。

 

ガシッ!

 

「くそっ!」

 

「チェイン・バースト!!!」

 

「しまっ!」

 

リートの手足を樹木で拘束させた状態から爆発を起こしたアズマ、リートはそれの攻撃をもろに受けてしまう。

 

ドカァァァン!!!

 

ブワァッ

 

爆煙の中から飛び出したリートは、地面に降りたつ。

 

「ほう、中々強いようだね。さすがは氷竜だ」

 

「プッ!」

 

リートは口にたまった血を吐き、アズマを睨み付ける。

 

「ならこれはどうかね」

 

キラキラ

 

「今度はなんだ…」

 

リートの周りに、光る何かが現れる。

 

「木の実?」

 

「ブレビー」

 

「まさか!」

 

ドカァン!

 

リートの予想通り、木の実は爆発し、リートを襲った。

 

「あまりつまらない戦いにしてほしくないのだがね」

 

「まだ終わってねぇ!!!」

 

「!」

 

爆煙の中から今度はアズマに向かって飛び出すリート、体には何重にも層をした氷を纏っており、爆発を防ぎきっていた。

 

「なんと!面白い!」

 

「今度はさっきの数倍だ!!」

 

リートは、そのまま拳に氷を何重にも纏う。

 

「氷竜の剛拳!!!」

 

ドゴォ!!

 

「ぐおおおっ!」

 

リートの氷で巨大化した拳はアズマに直撃し、アズマはそのまま吹き飛んでいく。

 

「と、氷竜の弾落!!!」

 

ズドォン!!

 

吹き飛んでいくアズマに狙いを定め、その真上から巨大な氷を叩き落とした。

 

ズゴゴゴ

 

「!」

 

氷を落とした場所から音が聞こえ、その場所をよく見るとアズマが額から血を流し氷を持ち上げていた。

 

「これだ…この感覚、最高だね!!」

 

アズマは持ち上げていた氷をリートに向けて投げ飛ばす。

 

「馬鹿力かよ」

 

リートは自分に氷がぶつかる前に、粉々に分解した。

 

「油断大敵なのだよ!!!」

 

「!?」

 

粉々にした氷の視覚から、アズマが現れ拳を構えていた。

 

「なっ!」

 

「もらった!!」

 

ドカッ!!

 

アズマはリートを殴り飛ばすと、もう一度リートの周りに木の実を集結させる。

 

「ブレビー」

 

キィィィン

ドコォン!ドン!ドン!ドコォォ!

 

次々と木の実が爆発し、爆発の連鎖がリートを襲った。

 

「がっ…」

 

ドサッ

 

「もう終わりなのかね?…つまらない」

 

アズマは気を失ったリートを見て、そのまま立ち去っていってしまった。

 

(くそっ…体が動かねぇ…意識が…朦朧と…して…きた…)

 

そして、気を失ったリートが次に見た光景は、真っ白な世界だった。

 

「どこだ?…ここ」

 

その場にいるのはリートのみ…と思われたが、

 

「お久しぶりですね、リート」

 

「!」

 

振り返ると、リートの後ろで金髪の少女が立っていた。

 

「誰?」

 

ガーン!

 

少女は、ショックを受けたような顔で今にも泣きそうになっていた。

 

「そうですよね。覚えてるわけありませんよね…泣いてないですよ。泣いて…ぐすっ、なんか…ないです…ぐすっ」

 

「えーっと…何か…ごめん」

 

少女は腕で涙を拭うと、もう一度リートの顔を見た。

 

「今の私は思念体です。この天狼島だからこそようやく貴方にこうして会えたのです」

 

「はぁ…えっと、それはどうも」

 

「私はメイビス、貴方のお姉さんだと思ってください!まぁ義理ですけど」

 

メイビスはリートに近づくと、ギュッと体を抱き締める。

 

「はぁ~、懐かしい感覚」

 

(なんかヤバそうな雰囲気がする!!!)

 

リートから離れたメイビスは、指先をリートの胸に当てる。

 

「貴方をここに呼んだのは、ある目的があったからです」

 

「目的?」

 

「そう、フランドーラとの約束でしてね、フランドーラ…氷のドラゴンにしか使えない魔法、異結魔法を解きに来たのです」

 

「フランドーラを知ってるのか!!!?」

 

「貴方にはいずれ全てを話します。けれど、今できるのはこれだけ」

 

キィィィ

 

メイビスの指先が光ると、リートの胸も白く輝き出す。

 

「これは…」

 

「異結魔法…それは体の中で害のある存在を自動で氷結させ冷気として体の外に吐き出させる魔法、その魔法で私が貴方に預けた力を害が少なくなるまで掛け続けてもらっていました」

 

「オレに預けた…力?」

 

「そう、あなたにはある種族を倒してもらいたいのです。その為にはフランドーラの子供であるあなたが一番適任でした」

 

「全ての種族の絶対的な力となる魔法…滅全魔導士(オールスレイヤー)として」




とうとうここに来てタイトル詐欺になっちゃった…


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お邪魔かな?

皆さん、前回の話しで気になるところはあるかもしれませんが、まぁゆっくりと出していきますので、今はマーラの戦いを楽しんでくださいな


「ウェンディ~!どこー!」

 

島の危険をいち早く知らせようとウェンディを探し続けるマーラ、だが、ウェンディが見つかる気配が一向になかった。

 

「というか…どうしよう…迷っちゃった」

 

マーラは自分の置かれてる立場を理解して冷静になると、焦りで額から汗を流し始める。

 

「どどどうしよ!あんなにエルザさんに単独で動き回るなって言われてたのに…やっちゃったぁ!!」

 

マーラは、ガックシと肩を落としてとぼとぼと歩き出す。

 

「そういえばさっきまでいた変な人たちはなんだったんだろ…あの人たちが敵だったのかな?身を隠してたら何処かにいっちゃったし」

 

マーラは、独り言を呟きながら歩き続ける。

 

「ウェンディ~どこなの~」

 

「ウェン…」

 

マーラがウェンディを探しながらある光景が目に入った。それは、ルーシィがグラビアポーズをとっている光景と、その近くで藁人形をいじっている巨漢な男と、それを見るナツとハッピーというなんともおかしな光景だった。

 

「……ッスゥーーッ…失礼しましたぁ…」

 

「ちょっと待ってぇ!!!」

 

すぐさまその場を去ろうとするマーラを、ルーシィが必死に止める。

 

「えーっと、アタシ、ウェンディを探すのに忙しいので、そーゆープレイに誘われても快くのってあげられないと言いますかなんと言いますか…ごめんなさい!」

 

「誤解!!誤解だから!!!」

 

「でも、ルーシィさんも楽しそうですし、邪魔しちゃ悪いかな~って」

 

「アイツに操られてんのよ!!!」

 

「って言われてもねぇ」

 

「マーラ!!!ルーシィの言ってることは本当だよ!!」

 

「アイツはオレが何とかするからルーシィを止めてくれ!!!」

 

ナツ達からの説得もあり、マーラはようやく状況を理解した。

 

「って言われても、どーやってルーシィさんを止めろって言うんですか!?」

 

「殴ってだろ」

 

「嫌よ!!!」

 

「それナツさんでも出来るじゃん!!?」

 

「自分…そろそろ参加してもいいっすか?」

 

「意外と律儀なんですね!!?敵なのに!!」

 

巨漢の男、華院=ヒカルが自身の魔法で作ったルーシィを操っている人形、ノーロさんを見せつける。

 

「止めるなんて無駄っス、そこの女はこのノーロさんで動けないんすからね」

 

「ノーロさん?」

 

「アイツの持ってるアレだよ」

 

「あのお人形の事?」

 

「そうよ!アイツの持ってる人形、アレがあるかぎりアタシが自由に動けないの!」

 

「へぇー…」

 

マーラは、じっとノーロさんを見て何かを思い付く。

 

「ナツさんナツさん、ハッピーもちょっと来て」

 

「?」

 

ごにょごにょ

 

マーラは、ナツとハッピーの耳元で何かを囁いた。

 

「へへっなるほど、おもしれーな、その作戦乗った」

 

「オイラもいいよ」

 

「そーこなくっちゃ」




ぶっちゃけ、中距離型のマーラの戦闘が一番書きにくい…


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線香花火

マーラの新技です。こうでもしないとマーラの戦いをうまくできそうになかったんで


「よーしっ!ナツさん、ハッピー、ルーシィさん、準備はいい?」

 

「おう!」

 

「オイラもいつでもいいよ!」

 

「アタシはよくない!!!」

 

マーラ達が華院に立ち向かおうとしていたところを、ルーシィが引き止める。

 

「もーなんですか?ルーシィさん、これからってときに」

 

「そーだぞルーシィ、せっかくまとまったのによぉ」

 

「ノリ悪いよルーシィ」

 

「アタシは動けないって言ってるでしょうが!!!」

 

「大丈夫!それもなんとかするから」

 

くいっ

 

「キャァ!!」

 

「「うわっ!」」

 

マーラに反抗していたルーシィの体が動きだし、いきなりマーラ達に襲いかかった。

 

「あっぶなぁ」

 

「何すんだよルーシィ!!」

 

「アタシの意思じゃないって!!」

 

「おしゃべりの時間は終わりっスよ、仲間にやられるがいいっス!!」

 

華院はノーロさんを使い、ルーシィを操作する。

 

「いやぁぁぁ!!!」

 

「よっ!」

 

突進するルーシィを土台にして上に乗るナツは、そのままブレスの構えをとる。

 

「お尻さわんな!!」

 

「火竜の…」

 

くいっ

 

しかし、ブレスを撃つ前に、ノーロさんに操作されたルーシィがナツの顔に蹴りを入れる。

 

「うごっ!」

 

ばっ!

 

「そこ!花火砲!」

 

華院の後ろに回り込んだマーラが、光の玉を華院に向けて放つ。

 

「おっと!無駄っスよ!」

 

ぐいん!

 

「またぁぁ!!?」

 

華院とマーラの間にルーシィを割り込ませ、ルーシィに花火をキャッチさせた。

 

「うっそぉ!?」

 

「ひいいぃぃぃ!!?」

 

「ドッチボールっス!!」

 

「マーラ避けてぇ!!」

 

ルーシィは、持っていた花火をマーラへ投げ返す。

 

「ひやぁぁぁ!!!」

 

ドカァン!!

 

何とか咄嗟に伏せて花火を避けたマーラ、その後ろで花火が木の一本に当たり爆発する音が聞こえた。

 

「こわっ!!花火こわっ!!」

 

「自分の魔法でしょーが!!」

 

「あ、そうだった」

 

ガシッ

 

「よし、ルーシィ動くな」

 

ナツはルーシィを羽交い締めで捕まえる。

 

「なんて力だ。アレに操られてるときは力が増すのかよ」

 

「ななななにやってるんスかアンタらー!!!イチャイチャはいかんっスよーー!!!」

 

「アレはイチャイチャなのかな?」

 

パシッ

 

「あっ」

 

「ルーシィ!人形奪ったよ~!」

 

華院の一瞬の隙を突き、ハッピーがノーロさんを奪取する。

 

「よしっ!!!」

 

「やった!!!」

 

「ナイスハッピー!!!」

 

「……」

 

ハッピーは、華院から奪ったノーロさんを動かし、ルーシィを操りナツの顔をルーシィの胸に埋めさせる。

 

むぎゅ

 

「あそぶな!!!」

 

「ズルいよハッピー!!次アタシだからね!!」

 

「オモチャじゃないっての!!!」

 

「返せー!!!」

 

ドン!

 

「うぎゃ!」

 

ハッピーを張り手で吹き飛ばした華院は、落ちるノーロさんをキャッチしようとする。

 

パシッ

 

「あ!」

 

「ギリギリセーフ」

 

だが、ノーロさんをキャッチしたのはマーラだった。

 

「マーラ!!!」

 

「返すっスよぉ!!!」

 

「嫌です!くらえ!花火砲!」

 

マーラは、華院の真下から花火を上に向けて撃った。

 

「おっと!」

 

だが、華院はそれをアッサリとかわす。

 

「しまった!」

 

「どどすこーい!」

 

ドゴォン!

 

「「「マーラ!!!」」」

 

「がはぁっ!」

 

華院の張り手で、マーラは地面に顔を叩きつけられた。

 

「こー見えて自分、残忍っすよ」

 

「待ってて今助けるから!!」

 

ルーシィは鍵を取り出そうとするが…

 

「うそっ…こんなときに…魔力切れ?」

 

「ア…タシ…は……大丈夫…それより…ナツ…さん…作戦を」

 

「ぐっ…だぁぁぁ!!!!」

 

ナツは、全力のブレスを空に向かって撃ち出した。

 

「どこ狙ってんっスか、まずは1人、仕留めたっス!」

 

ゴゴゴゴゴ

 

マーラにとどめをさそうとする華院の上から、なにか巨大な物が落ちてくる音が聞こえた。

 

「「ってデカーーー!!!」」

 

それはマーラが先程撃った花火の玉だった。

 

「へへっ…ナツさんとアタシの全魔力を注ぎ込み真上から落とす花火…線香…花火…だよ」

 

「ななななんすかそれーーー!!!」

 

「ハッピー!!」

 

「あいさー!」

 

マーラは華院にとどめをさされるギリギリで、ハッピーに救出された。

 

「ありがとうハッピー」

 

「すごい大きさになったね」

 

「ほとんどナツさんの魔力…だけどね」

 

「ままままずいっス!どうにか!どうにか!…ど」

 

ドゴォン!!!

 

あわてふためく華院の真上に、マーラの作った花火が落ち、大爆発を起こした。

 

「「「ひゃぁぁぁぁ!!!!」」」

 

ギュゴゴゴゴゴ

 

「「「!」」」

 

爆発に慌てるルーシィ達だったが、ナツが爆発の炎を食べてくれたお陰で、ルーシィ達が巻き込まれることはなくなった。

 

「ふぅー、ごちそーさん」

 

「作戦大成功だね!」

 

「えへへっ…ありがとう」

 

「すごかったぜ、マーラ」

 

「アタシ…死ぬかと思ったんですけど」




線香花火…特大にするとやべぇ技です。本来のマーラの全魔力だと、大玉転がしの玉サイズに、ナツの炎を合わせるとその三倍になると思ってもらえるとわかるかと


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ブルーノート

正直、リートと誰を戦わせようか考え中なんですよねぇ


「うっ…」

 

アズマにやられていたリートは、ようやく目を覚まし体を起こした。

 

「さっきのは…メイビスって確か初代の…」

 

リートは、意識がまだハッキリしないままメイビスに話されたことを思い返す。

 

「異結魔法…オレに預けた力、滅全魔法…倒して欲しい敵か、あの人、色々オレに一気にぶっちゃけすぎじゃね?」

 

リートは立ち上がり、自分の魔力を感じとる。

 

「今わかるのは異結魔法ってのが解けたからだろうか…体の中で今までなかった別の魔力をいくつか感じる…」

 

リートは魔力を感じとるのを止め、状況を頭の中で整理した。

 

「さっきの奴の気配はねぇ、いったんテントに戻るか…向こうが心配だ」

 

リートは急いで拠点へと走り出した。

 

 

「ここにゼレフがいたの?」

 

その頃、ナツ達はゼレフがいたという場所へとやって来ていた。

 

「いねぇ」

 

「もう連れていかれちゃったんだ」

 

「そもそも、ゼレフって大昔の魔導士ですよね?そんな人が今も生きてるってちょっと現実味があまり無いんですけど」

 

「まぁ、確かに実感はわかないわよね」

 

くんくん

 

「なんだこの臭い、あいつ何か撒いていきやがったな。これじゃ追えねぇぞ」

 

「アタシもカナを探さなきゃ」

 

くいっ

 

ルーシィは、真剣な顔で片足を上げだす。

 

「何で片足あげてるんですか?ルーシィさん」

 

「ハッピー!!」

 

それは、ハッピーがノーロさんでルーシィを操っていたのが原因で、ルーシィは即座にハッピーを追いかけ回す。

 

「アタシもウェンディを探さないといけないんですけど」

 

「ん?ウェンディなら居場所知ってるぞ」

 

「はい!!?」

 

「今はじっちゃん達と一緒にいるぞ」

 

「アタシが探し続けた意味ないじゃん!!!灯台下暗しだよ!!!」

 

マーラは頭を抱えて悶える。

 

「まいったな、少し寝るか」

 

「ダメよ!!アタシもカナの事が心配だけど、今はゼレフを追わなきゃ」

 

ゴキッ!

 

「ルーシィさん…ごめんなさい」

 

ルーシィはハッピーの毛をつけたノーロさんで背中をのけ反らさせて仕返しをしていた。

 

「ゼレフよりウェンディです!!!今すぐ戻りましょう!!!」

 

「落ち着きなさいよマーラ…」

 

マーラの急ぐ姿を見て、ルーシィは一度落ち着かせる。

 

「さっき話した通り、あいつらはゼレフを使って世界を変えようとしてる」

 

「世界を変えるってもな、話しデカ過ぎだっつーの」

 

「そうですね、アタシも話しが壮大過ぎてそこまで驚きがないというか」

 

ナツとマーラは、ゼレフについての情報についていけていないようだった。

 

「オイラ、魚だけの世界に行きたい」

 

「だったらアタシは、ウェンディだけの世界に行きたいです」

 

「そーゆー事じゃないし…時折思うんだけど、マーラって結構拗らせてるわよね」

 

「?何をです?」

 

「自覚ないんだ…」

 

「けどなぁ、このケジメは必ずつける。じっちゃんに手を出したんだ。このまま島を出られると思うなよアイツら」

 

「ナツさんが怖い…」

 

「島を出る…そっか!アイツらきっと船か何かで来てるハズ!!さっきの女の人、ゼレフをマスターの元へ連れてくって言ったでしょ、どこかにアイツらの船が停泊している可能性が高いわ。ゼレフはそこに連れていかれる」

 

ルーシィは、自信ありげに推理した。

 

「ハッピー!空から船を探すのよ!!」

 

「…オイラ、もう魔力切れちゃったみたい」

 

「それじゃーただの猫ちゃんねぇ」

 

「だったら、一旦じっちゃんとウェンディのとこに戻るか、シャルルとリリーに頼むんだ。うまく行けばラリカとも合流できてアイツにも頼める」

 

「え!?シャルルも来ちゃったの!!?」

 

その頃、悪魔の心臓の船では

 

「ずいぶん上機嫌だな、ジジイ」

 

「フハハハ!我が七眷属が三人もやられたようだ。やるではないか、マカロフの子らよ」

 

悪魔の心臓のマスターで、元妖精の尻尾2代目マスターであったプレヒト、そしてもう1人、ブルーノート・スティンガーが話をしていた。

 

「オレの出番かい?」

 

「いやいや、ヌシの出るような戦ではない、ブルーノート」

 

「オレにも少しは遊ばせて欲しいな、体がなまっていけねぇ」

 

ブルーノートは机に手を置くと、船全体が揺れ動く。

 

「これよさんか」

 

「なんだよ、船を沈めときゃあ奴らに見つかることもねぇだろ」

 

「さらしておけばよい、マカロフの子らはここに集まる。ここが悪魔の口の中とも知らずにな」

 

「餌を口まで運んでもらわなきゃ食えねぇのかよ?オレなら食いに出る」

 

「ヌシはここにいろ、ヌシが動けば場が荒れる。静まれい」

 

「チッ、坊主どもはあと四人、約半数だ…あと1人減ったら…出るぜ。今日は飛べそうなんだ」

 

 

傷ついたマカロフを懐抱するウェンディ達の元に、ナツ達が戻ってきた。

 

「ウェンディー!!」

 

「!ナツさん!!ルーシィさんに、マーラも!!」

 

ガバッ!

 

「ウェンディーー!!心配したよぉ~!!」

 

「ひゃあ!!」

 

「アンタ…ちょっと落ち着きなさい」

 

ようやくウェンディと再開できたマーラは、嬉しさのあまりウェンディに抱きつく。

 

「マスターの具合はどうなの?」

 

「まだなんとも言えないわ」

 

「やはり、傷が深すぎるのだろう。しかし不思議だ。命の危険は感じない」

 

「聖地と呼ばれるからには、何か秘密があるのかもね」

 

そこへ、ウェンディと共に試験にやって来ていたメストが瞬間移動で現れる。

 

「貴様は」

 

「どこに行ってたんだコノヤロー」

 

「この人が、評議員のメスト…」

 

「本当の名は、ドランバルトだ」

 

「ドランバルトさん?」

 

「ガッツリ偽名だったんだねぇ」

 

「心配しなくていい、ウェンディ…オレはお前達を助けに来た」

 

ドランバルトは、意気揚々に話しをすすめる。

 

「オレの魔法があれば、妖精の尻尾のメンバーだけをこの島から脱出させることが出来る!何とか全員の居場所がわかれば」

 

「…お断りしますって奴だ」

 

「な!」

 

ナツは不機嫌そうに、ドランバルトの提案を断った。

 

それに続いて、シャルル達も提案を蹴り始める。

 

「何で私たちが評議員の提案を受けないとならないの?」

 

「ギルドの問題は、自分達で片付けるさ、ここの連中は」

 

「そうじゃない!!!今のこの状況を本部に知られたら島への攻撃もあり得るって話だ!!!」

 

ドランバルトは、必死な形相で今の状況を話す。

 

「またエーテリオンを落とすつもり!!?」

 

「懲りないわねぇアンタらも」

 

「エーテリオン?なにそれ?」

 

「噂に聞いたことあるけど、洒落にならない破壊力の魔法らしいわよ」

 

「オイラ達、楽園の塔でそれを投下されたんだよ」

 

「何で生きてるの?」

 

「まぁ色々あって、詳しくはわからないけど、魔水晶が全部吸収しちゃったんだよ確か」

 

「いく先々でろくな目に合わないわねぇこのギルドは」

 

「そんなもの落とされたら!!」

 

「今回は、どうなるかわからないわね」

 

「その前にかたをつければいいだけだ」

 

「マカロフもやられた!!悪魔の心臓にはまだ恐ろしい奴も残ってる!!勝てるわけねぇだろ!!!」

 

その言葉にも、ナツ達は動じることはなかった。

 

「だから島ごとふっとばそうってか?」

 

「そんなの無茶苦茶だよ!ここはアタシ達のギルドの聖地で、初代マスターのお墓もあるんでしょ?!!そんな場所を軽々しく壊そうとなんてしないで!!」

 

「そんな事したら、皆ただじゃおかないわよ!!」

 

「オレ達評議院を脅すつもりか!!魔導士ごときが!!」

 

怒りで冷静さを失いつつあるドランバルトを、ナツは鋭い眼光で睨み付ける。

 

「いいかよく覚えとけ、悪魔の心臓だろうが評議院だろうが関係ねぇ、ギルドに手を出すやつはみんな敵だ。全て滅ぼしてやる」

 

 

その頃

 

タッタッタッタ

 

ひとまず拠点へと戻るリートは、その最中に振りだした雨により足場の悪いなか走り続けていた。

 

「くそっ、ひでぇ雨だな」

 

(今のところ情報がまるでねぇ、みんな無事だといいんだが…とにかく急がねぇと)

 




滅全魔法を使うまでもう少し…かな?


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刃鬼

少し滅全魔導士についての説明です。

長いと内容が頭に入らないので…主にオレの…なのでなるべく短めに…


ザァァァ…

 

「はぁはぁ」

 

森の中でリートは、雨の中にも関わらず拠点だけを目的に走り続けていた。

 

「ずいぶんと酷くなってきたな」

 

『仲間が心配か?リート』

 

ズザァァァ

 

自身の頭の中で聞こえた声に、リートは足を止めて反応する。

 

「テメェは黙ってろ、目ぇ覚ましてからいきなり話しかけてきたほぼ初対面の野郎が」

 

『クハハハ!そうだな、オレ達はまだ会って数分といったところだが、オレは貴様の中でさんざん貴様の事を見てきたんだ。話しかけるくらい何も問題あるまい?』

 

「ざけんな、テメェの目的を聞いちまった以上、好き勝手させるわけにはいかねぇんだよ…刃鬼(バキ)

 

『フッ、手厳しいことだな。いずれはオレの力も使うことになるだろうに、今だけでも仲良くしてやろうというオレの心遣いがわからんのかね、この若造は』

 

「わかりたくもねぇよ」

 

『まぁ、貴様がオレの事を好いてるか等は最早どうでもいい、だがこれだけは言わせてもらう、その体はいつかオレの物になるんだ。雑な扱いは許さんぞ、リート』

 

「お断りだ。オレの体は、オレのもんだ」

 

『……』

 

「っち、また黙り込みやがったか」

 

(メイビスさん…またずいぶんと厄介な奴を目覚めさせてくれたようだな)

 

刃鬼という者が現れたのは、現在から約数分前、リートが拠点を目指して走っていた間に現れていた。

 

バシャバシャバシャ

 

「急がねぇと」

 

『急ぐ必要もあるまい?リートよ』

 

「!?」

 

リートは、いきなり頭の中に話しかけてくる声に一瞬戸惑いを見せたが、即座に冷静になり聞こえてきた声に話しかける。

 

「誰だテメェ」

 

『オレか?オレは刃鬼、貴様の中にある鬼の力を宿す魔水晶にある魂…とでも言っておこうか』

 

「鬼の力…滅全魔導士となにか関係あるっていうのか」

 

『そうだな、しばらくの間オレはフランドーラとメイビスの奴らのせいで、こうして自由に現れることは出来なんだ。だがメイビスが鍵を開けたことによりオレはこうして貴様と話すことが出来るようになったというわけだ』

 

『今は貴様の体内の魔水晶にオレの魂が宿っている状態、この力を貴様ら風に言うなれば、滅鬼魔法(めつきまほう)滅鬼魔導士(オーガスレイヤー)の一部といったところか』

 

「オレの体の中に…魔水晶?…さっきから感じるいくつもの魔力の正体はそれか」

 

リートは、自分の胸に手を当て魔力を感じとる。

 

『そうだ、そしてオレ達鬼の一族は、唯一自身の魂を別の物に移し変えることが出来る特殊な力がある。オレはその力で魔水晶に魂を移し変えたというわけだ』

 

『まぁ、他にも魔水晶が埋め込まれてはいるが、自我があるのはオレだけだ』

 

「こうしてオレに話しかけてきた理由は?」

 

『なぁに、ただの警告だ』

 

「警告?」

 

『その肉体はいつかオレの物にする。それまでせいぜい気を付けろ、そして…オレは貴様の肉体を手に入れるためなら何でもする。例えそれが貴様の仲間を…妖精の尻尾の全てを滅ぼすことになったとしてもだ』

 

「っ!そんな事させるわけには!!」

 

『させるさせないではない、いずれ必要になればオレはやる…それだけ覚えておくといい』

 

それをいい終えた刃鬼は、喋ることを止め黙ってしまう。

 

「おい待て!…っち黙り込みやがった」

 

バシャバシャ

 

リートは、刃鬼が黙ると喋ることを止め再度走り出す。

 

そして、リートの体内では

 

「さて、リートに警告したわけだが…今のところフランドーラが関与する気配は無さそうだ…」

 

(何か意図があって泳がせているだけか、もしくは気付いていないのか…どちらにしてもオレにとっては好都合だ。今の内に失った力を少しでも回復させてもらうとしようか)

 

そのときの刃鬼の顔は、密かに笑っていたのだった。




新キャラ刃鬼、これについてはどこかでオリジナルの物語として詳しく出せそうかな?って思ったりしてます。

そういや、増やさないとか言っておいてオリキャラ増やしちゃった…


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滅全魔導士

とりあえず、出したいところまで少しでも近づけたくて可能なところまで書きました。


「ドランバルトさん、大丈夫かなぁ?」

 

「ほっとけばいいのよ。あーゆーのは」

 

「シャルルつめたぁ~い…」

 

雨の降る中、ナツ達はドランバルトと別れた後、意識のないマカロフを連れて拠点へと走っていた。

 

「アタシはカナが心配、どこではぐれたんだろ」

 

「キャンプにいるといいけどね」

 

そして、ナツは人影を見つけて足を止める。

 

「誰かいるぞ」

 

そこにいた人物の魔力を感じとり、ナツ達は衝撃を受ける。

 

「何!この魔力…」

 

そこにいたのは、悪魔の心臓の最高クラスの敵であるブルーノートだった。

 

「何でアイツの周りだけ、雨が激しいの!!?」

 

「なんか…とてつもなくヤバそうだよ」

 

「肌がビリビリする」

 

「誰だテメェは」

 

 

「飛べるかなァ…」

 

ブルーノートはナツ達をジッと見ていた。

 

「いや、まだ飛べねぇなぁ」

 

そう言ったブルーノートは、片手を前に出してゆっくりと振り下ろす。

 

「落ちろ」

 

ゴガッ!!

 

「うわっ!」

 

「キャッ!」

 

「わあっ!!」

 

ブルーノートが腕を振り下ろした瞬間、ナツ達を巻き込み半径10メートル程の地面が一気に凹み、ナツ達も何かに地面に押し付けられる。

 

「う…動けない…」

 

「重力!?」

 

ブルーノートは、澄ました顔でナツ達を見下ろしていた。

 

「オレはよう、妖精の尻尾にもゼレフにも興味がねぇんだ。だけど、ひとつだけ欲しいものがここにあるんだ。」

 

「妖精の尻尾初代マスター、メイビス・ヴァーミリオンの墓はどこだ?」

 

 

ところ同じく、キャンプ地に向かうリートは、

 

「もう少し…後少しでキャンプにつく…」

 

『おい、リートよ』

 

「なんだ、今お前に構ってる暇なんかね…!?」

 

リートの視線の先には、空気のようなものに押し潰されるナツ達と、その中心で立っているブルーノートの姿が目に入った。

 

そして、その周りは蜘蛛の巣状のヒビが入り明らかに地面が凹んでいた。

 

『敵だぞ』

 

「…見りゃわかる」

 

スタッ

 

リートはブルーノートがいる地面に降り立つ。

 

「「「「リート(さん)!!!」」」」

 

「また1人、妖精が来たか。お前はオレを飛ばせてくれるのか?」

 

「飛ぶ?意味が分からねぇこと言ってんじゃねぇ。テメェら悪魔の心臓は、どれだけオレ達をコケにするつもりだ」

 

リートは両手を氷で纏う。

 

「ここからはオレが相手をする。かかってこい」

 

「気を付けろリート!!!アイツは…」

「大丈夫だ。勝算はちゃんとある」

 

「あまり頭にのるなよ?オレは七眷属ごときとは格が違うぞ」

 

ブルーノートは片手を前に出し、リートの方へと向ける。

 

「!」

 

ヒュバッ

 

ズン!!

 

「なに?」

 

ブルーノートはリートの居た場所に負荷をかけたが、それよりも早く危険を察知したリートが一瞬早くその場から移動する。

 

「あっぶね」

 

『あれに押し潰されれば、お前も動けまい』

 

「黙ってろ、今は気を抜くわけには」

 

グン!

 

「!」

 

刃鬼との会話に一瞬気を取られたリートは、ブルーノートの魔法により、体をブルーノートの元に引っ張られる。

 

「ぐううぅっ」

 

ドガン!

 

「ガッ…」

 

リートは自分が引っ張られるのを利用して、ブルーノートとの間合いに入った瞬間、ブルーノートに頭突きを入れる。

 

「まだまだぁ!!」

 

ドゴォ!

 

「ぐぁぁっ!!」

 

頭突きをブルーノートに食らわせたリートは、そのまま空中で体を捻らせて回し蹴りを当てる。

 

「氷竜の凍柱!!!」

 

リートは吹き飛ばされるブルーノートへ向けて、氷の柱を伸ばす。

 

ズオオォ

 

「ぐっ…落ちろぉ!!!」

 

ズドォン!!

 

「なに!?」

 

ズズゥゥン

 

「ぐっ!しまっ…」

 

ブルーノートは氷の柱を重力で下に落とすと一緒に、リートの体も地面に押し付ける。

 

「はぁはぁ…ハハハハ!!!捕まえたぞ!!」

 

「リート!!」

 

「リートさん危ない!!!」

 

「くそっ…動けっ動けぇぇぇ!!!」

 

「ぐっ…くそっ」

 

「さぁ、テメェも終わりの時間だ」

 

 

「おまえかぁぁ!!!」

 

リートにとどめを誘うとしたブルーノートだったが、その前にカナがルーシィの元へと戻ってきた。

 

「カナ…」

 

「カナさん!!」

 

「無事だったのね!!」

 

「あい!!」

 

「カナのやつ…何する気だ」

 

「これ以上仲間を傷つけんじゃないよ!!!」

 

カナはブルーノートへと飛び出し、腕に光を溜める。

 

妖精の(フェアリー)…」

 

「光!?」

 

「なんだあの魔法!!」

 

「あれは!!」

 

「まさか」

 

ブルーノートは、顔色を変えてカナを魔法で押し潰す。

 

「アァァ!!」

 

「テメェの持ってるその魔法は」

 

「まさか!妖精の輝き(フェアリーグリッター)!!?」

 

カナは立ち上がり、ルーシィに視線を向ける。

 

「ルーシィ、置いてっちゃってごめんね。弁解の余地もないよ…本当に…ごめん、だけど今は私を信じて、アイツにこの魔法が当たりさえすれば確実に倒せる」

 

「すごい!!!お墓で手に入れたの!!?」

 

「墓に行ったってことは…おい、まさか試験は」

 

ナツは、試験の結果を察して苦い顔でカナを見る。

 

「今はそれどころじゃねぇだろ」

 

「うん、その話は一旦置いといて、ナツ、リート、アイツを倒すために協力して」

 

「勝算はどのくらいだ?」

 

「当たれば…勝てる!!だから、私が魔力を溜める間、アイツを引き付けて」

 

リートは、ニヤリと笑って立ち上がった。

 

「OK、それなら十分だ」

 

「フン!」

 

ズォォ!

 

リートの返答と同時に、ブルーノートが魔法でリート達を吹き飛ばす。

 

「キャァ!!」

 

「ワァ!!」

 

「ぐわっ!!」

 

「ぐっ…」

 

そして、吹き飛ばした位置でブルーノートは重力で全員を押し潰した。

 

「オレの重力下で動ける者などいねぇのさ、まさか探してた魔法が向こうからノコノコとやって来るとはなぁ。その魔法はオレが頂く」

 

「この魔法は、ギルドの者しか使えない!!お前らには使えないんだ!!!」

 

睨み付けてくるカナを、ブルーノートはただ真顔で見下ろし続ける。

 

「魔の根源をたどれば、それはたった一つの魔法から始まったとされている。いかなる魔法も元はたった一つの魔法だった」

 

ブルーノートは、重力でカナを持ち上げ首を締める。

 

「魔道の深淵に近づくものは、いかなる魔法も使いこなすことができる」

 

そして、ブルーノートの魔法により、カナからメキメキと締め上げる音が聞こえてきた。

 

「ぐぁぁぁ!!!」

 

「逆に聞くが小娘、テメェの方こそ妖精の輝きを使えるのかね?」

 

「あた…り…まえ…だ」

 

「太陽と月と星の光を集め濃縮させる超高難度魔法、テメェごときに使えるわけねぇだろうが」

 

ブルーノートは、カナをよりきつく締め上げる。

 

「ぐぁぁぁ!!!」

 

「安心しろその魔法はオレが使ってやる」

 

ズドン!

 

「!」

 

「ぐおおっ!?」

 

カナを締め上げるブルーノートが、誰かに吹き飛ばされた。

 

「……」

 

「テメェ」

 

「リート!!」

 

「邪魔するなぁ!!!」

 

ブルーノートは、片手をリートに向けて突き出す。

 

ズズゥゥン

 

「……」

 

だが、リートが地面に押し付けられる事はなく、黙ったままたっていた。

 

「…リート?」

 

「カナ!今の内に!!」

 

「!そうか!」

 

黙り込むリートが気になるカナだったが、ルーシィの呼び掛けで魔力を溜める。

 

「集え!!妖精に導かれし光の川よ!!!照らせ!!!邪なる牙を滅する為に!!!」

 

「バカな!!!」

 

妖精の輝き(フェアリーグリッター)!!!」

 

妖精の輝きを放つカナ、そして放った光はブルーノートを中心に集まり出す。

 

「ぐおぁぁぁ!!!」

 

「消えろォォォォ!!!!」

 

「オォォォォォ!!!」

 

「落ちろぉ!!!」

 

ドン!!!!

 

カナの放った妖精の輝きを、ブルーノートは重力で押し潰した。

 

力の衝撃で、辺り一面が吹き飛ぶ。

 

「そんな…」

 

「この程度で妖精の輝きだと?笑わせんな」

 

ドサッ

 

魔法の反動で尻餅をつくカナ、もうカナに魔法を撃つ力は残っていなかった。

 

「いくら強力な魔法でも、術者がゴミだとこんなものか」

 

ブルーノートは、カナに歩み寄る。

 

「クククっ…」

 

その時、リートはうつ向きながら笑っていた。

 

「知ってるかね?殺した後でも魔法を取り出せるって」

 

「オレは今日も飛べなかった。お前は地獄に落ちろ」

 

「ハハハハハ!!!!」

 

「…何がおかしい」

 

大声で笑うリート、その様子にブルーノートは手を止めてリートを睨み付ける。

 

「クククっ…いやぁ強力な魔法でも術者がゴミだと力も出んか、確かにそうだ」

 

「リー…ト?」

 

「何?どうしたのリートは」

 

「リートさんが何かおかしい」

 

明らかに様子がおかしいリートに、妖精の尻尾のメンバー達は戸惑っていた。

 

「ならば、本物の強力な魔法を見せてやろう小僧」

 

そう言ってブルーノートに視点をむけるリートの額からは、二本の小さな角が見えていた。

 

「ほう、貴様がオレを飛ばさせてくれるのか?」

 

「あぁ飛ばせてやろう、この滅全魔導士(オールスレイヤー)の力で…」

 

リートは全身から、黒と青の二色の冷気を放出した。

 

「モード滅神竜」

 

「改めて紹介しよう、オレの名は刃鬼だ。

さぁ来い、貴様の全てをオレに見せてみろ」

 

その様子を見ていたナツは、一言だけ呟いた。

 

「…アイツ…誰だ」




出したかった展開と思ったより違うぞぉ…まぁ何とかしましょう


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今回はリートの…いや、刃鬼メインの戦いです


「ほれ、さっさとかかってこんか、時間は有限だぞ?」

 

「テメェあまりオレを怒らせるんじゃねぇよ」

 

ブルーノートを相手に手招きで挑発する刃鬼、そしてブルーノートはその挑発に苛立ちを見せる。

 

ズズゥゥン!

 

ブルーノートは、手を刃鬼に向けて重力をかける。

 

「オレの重力下で動ける者は…」

 

だが、ブルーノートの重力下でも、刃鬼は平然と立っていた。

 

「バカな、オレの魔法を受けて平気な訳がねぇ!!!」

 

「ギャーギャーと喚くな、やかましい奴だ。そんなに自分の魔法に自信があるのか?この程度で…笑わせるな」

 

刃鬼は、青い冷気と黒い冷気を纏いつつブルーノートの方へ歩み出す。

 

「悪いが時間が限られてるんだ。貴様は即座に消すとしよう。そうだな、貴様のお望み通り飛ばしてやるぞ。地平線の彼方にまでな」

 

時間は少し遡り、カナが妖精の輝きを撃つ直前に戻る。

 

ブルーノートに殺されそうになるカナを、リートは焦りの表情で見て、カナに向けて叫んでいた。

 

「カナ!!!…くそっ!間に合わねぇ」

 

『手を貸してやろうか?』

 

焦るリートに、刃鬼は問いかけた。

 

「誰がお前なんかの力を借りるか!」

 

『だが、このままだとあの女は死ぬぞ?オレならこの状況を打破してやることができるがな』

 

「その後お前がどうするか分からねぇだろうが!」

 

『それは今はわかるまい、だが、このままオレと話してる内にもあの男はカナを殺そうとするだろうな』

 

リートは苦痛の表情で悩んでいた。

 

「…どうすればいい」

 

だが、背に腹は変えられず、カナを助けるために刃鬼に力を借りることにした。

 

『簡単だ。滅全魔導士の力を使え、そうだな…今回は神の力にしよう。モード滅神竜、そう唱えれば神と竜の混ざりあった力が生まれオレがその力を使うことができる。今の貴様の残っている魔力の量ならオレが体を使うこともできるしな』

 

「…わかった…モード滅神竜」

 

そうして時は戻り、現在、刃鬼はブルーノートを完全に圧倒していた。

 

ドカ!バキ!ドゴォ!

 

「ぐおおっ!」

 

刃鬼は、圧倒的な力でブルーノートを殴打する。

 

「ハハハハ!!そうれどうした?まだ序の口だぞ?」

 

刃鬼は掌に青と黒の混ざりあった冷気を生み出すと、ブルーノートの腹に押し当てる。

 

「滅神竜…蒼閻(そうえん)

 

ズドォン!

 

「がはぁっ!」

 

冷気の衝撃波で吹き飛ばされたブルーノートは、地面に体をぶつける。

 

「次は悪魔の力だ。頑張って耐えろよ?」

 

「モード滅悪竜」

 

そういうと、刃鬼の体に黒い紋章が現れた。

 

「滅悪竜…魔輝(まき)

 

刃鬼が手を上に掲げると、細い氷の長針が無数に現れ刃鬼が振り下ろした瞬間すべての針が一斉にブルーノートへ襲いかかる。

 

ズババババババ!

 

「グアァァ!」

 

スタッ

 

氷の針でブルーノートにダメージを与えた後、刃鬼は地面に降り立ち自分の両腕を見る。

 

「どうやら、この体はフランドーラの影響のせいか、滅竜魔法が主体として魔力に残るらしい、おかげですべての技にドラゴンの力が混ざって生み出されるようだ」

 

「はぁ…はぁ…テメェ…一体何もんだ」

 

「言っただろう、オレは刃鬼だと…正確には鬼の一族の生き残りというのが正しいのだがな」

 

「鬼…だと」

 

「貴様は運がいい、このオレとこうして戦えてるのだからな、普段はリートの魔力があるせいで滅全魔導士の力を使ってもオレが出てこれる保証はないのだが、今回は条件が一致した」

 

刃鬼はニヤリと笑うと、手を招いてブルーノートに呼び掛ける。

 

「さぁ立て、続きといこうじゃないか」




もう少し戦いを書いていってみます。あまりお待たせするのも申し訳ないので、一度投稿

因みに今回刃鬼が使った技は、刃鬼が体を乗っ取ってる時にしか使えない刃鬼のオリジナル技です。

リートのオリジナル技はもう少し後でってことで


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鬼VS重力

ブルーノート戦決着


「すごい…リート、あの強いのを圧倒してる…」

 

「はい…すごいです」

 

「でも、何か今のリートさん怖いよ」

 

刃鬼が戦う姿を見ていたルーシィ達は、刃鬼をリートと思い、強さに驚愕していた。

 

「違う…」

 

「え?」

 

「ナツ、違うって何が?」

 

「アイツはリートじゃねぇ」

 

「うん、オイラもそー思う、リートはあんな怖い戦い方はしないよ」

 

しかし、ナツとハッピーは確信を持っているわけではなかったが、リートとは別人の刃鬼と見破っていた。

 

 

「リート…アンタ一体…」

 

カナもリートの様子がおかしいことには気がついていたが、それでもその場から動けそうになかった。

 

「さてと、次はどの力にしようか?神か?悪魔か?それとも別の力か?好きに選んでいいぞ、それが貴様の最期の選択となるのだからな」

 

「ぐうぅっ…畜生」

 

刃鬼は、余裕の表情でブルーノートに選択を迫る。

 

「選ばないならオレが選んでやろう。そうだな…次は滅霊魔法…滅霊魔導士(ゴーストスレイヤー)といこうか」

 

刃鬼は両腕を氷で纏い、ブルーノートに迫る。

 

「ダァァァ!!!」

 

フッ

 

「!」

 

ブルーノートは迫る刃鬼を殴ろうとするが、確実に刃鬼をとらえたはずの拳は空を切った。

ブルーノートが殴ったのは刃鬼の残像だった。

 

「どこを見ている?ここだここ」

 

「!」

 

ドガァ!

 

「ぐぁぁぁ!」

 

刃鬼はブルーノートの後ろから現れ、そのままブルーノートの殴り飛ばす。

 

「滅霊竜…無像(むぞう)

 

ズザァァァ!

 

「くそっ!…!?」

 

地面に足をつけ刃鬼を見ようと顔を上げた瞬間、ブルーノートは驚愕した。

なぜなら四人の刃鬼がブルーノートを囲んで立っていたのだ。

 

ダッ!

 

「なに!?」

 

四人の刃鬼は、次々にブルーノートへと襲いかかる。

 

ブン!

 

ビキィ!

 

「!」

 

咄嗟に襲いかかってくる一人を殴ろうとしたブルーノート、だが、襲いかかってくる一人を殴った瞬間、殴ろうとした腕が凍りついたのだ。

 

ダッ!ダッ!ダッ!

 

だが、異変に驚いてる暇などなく、次々に刃鬼の残像がブルーノートへと襲いかかってきた。

 

「くそが!!落ちろぉ!!!」

 

ズゥゥン

 

シュウゥゥ

 

ブルーノートは咄嗟に魔法で、すべての刃鬼のゴーストを押し潰した。

 

「あぁ、そうくると思ったぞ小僧」

 

「!?」

 

ゴーストに気を取られていたブルーノートの目の前まで、刃鬼は迫ってきていた。

 

「滅霊竜…衝塊(しょうかい)

 

パン!

 

ズドン!

 

「うおぉぉぉっ!」

 

刃鬼がその場で手を合わせると、ブルーノートの体は、巨大な冷気で左右から叩き潰された。

 

「止めだ。モード滅鬼竜」

 

刃鬼の角が少し伸び、牙も生えだした。

 

「やはりこの力が一番しっくりくるな。さて、止めといこうか、お前が望んだ通り飛ばしてやろう」

 

「滅鬼竜…銀世界」

 

刃鬼がそう唱えると、刃鬼の周りの全ての時間が止まり銀色の世界が広がった。

 

「これがオレの一番の魔法、銀世界だ。綺麗なもんだろう?…と言っても聞こえんか」

 

刃鬼はゆっくりと、ブルーノートの下へ歩み寄る。

 

「さぁ、終わりだ」

 

グワァァッ

 

ズドン!

 

刃鬼が止まったブルーノートを殴ると同時に、全ての時間が動き出す。

 

「ぐっ…ぐわぁぁぁぁ!!!」

 

それと同時に、ブルーノートは海へと吹き飛んでいった。

 

「やった!」

 

「すごい!」

 

「何がどうなったの?」

 

「勝った…のか」

 

ルーシィ達は、リートと思っている刃鬼に駆け寄っていく。

 

「クククっ」

 

「!待て!」

 

だが、異変に気づいたナツが、全員を止めた。

 

「何がおかしいコノヤロウ!!!」

 

「いや、敵が一人減っただけで喜ぶとはおめでたい奴らだと思ってな」

 

「…なんだと」

 

「貴様らはわかっておらんのだ。いつオレが貴様らの味方と言った?」

 

「「「「!?」」」」

 

刃鬼はナツたちへ視線を向けると、ニヤリと笑った。

 

「せっかく手に入れた体だ。リートの心を折るために利用させてもらうぞ」

 

「何!?」

 

「貴様ら全員を皆殺しにする」




実を言うと、ブルーノート戦はメインのつもりで書いてないんです。次ですよ次


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暴走

今回一番やりたい戦いまで持っていけるかなぁ…せめて!…せめて!その手前までは!


「さて、誰から先に殺されたいんだ?」

 

刃鬼は、一人づつ指を指して聞いていく。

 

「貴様か?それとも貴様か?いや、貴様が最初でもいいな」

 

ダン!

 

刃鬼の話しも聞かず飛び出してくる人物が一人、ナツだ。

ナツは拳を炎で纏いながら刃鬼に向かっていく。

 

「オレが相手だぁぁぁ!!!」

 

「ナツか…貴様は一番よく知っているぞ」

 

刃鬼は、掌に黒い冷気と青い冷気を混ぜて作り出し、向かってくるナツの顔に押し当てる。

 

「滅神竜…蒼閻」

 

ドォン!!

 

「ぐぼぁぁ!!!」

 

「「ナツ!!!」」

 

「「ナツさん!!!」」

 

空高く打ち上げられたナツ、刃鬼はそれを追って自身も空高く飛び上がる。

 

「貴様が真っ先に飛び出してくることもな」

 

ズドン!

 

「ぐぅぉぉぉ!!!」

 

打ち上げられるナツに追い付いた刃鬼は、強力な蹴りでナツを地面に叩きつける。

 

「大丈夫!!?ナツ!!!」

 

「ぐっ…ちくしょう…」

 

「皆そこから離れて!!!」

 

ナツに視線を向けていた刃鬼だったが、声のした方を振り向くと、カナが腕を前に出して構えをとっていた。

 

「ほう、妖精の輝きをもう一度撃つか…」

 

「リート…アンタ…どーしちまったのさ」

 

「言っただろう、オレは刃鬼だと、リートの意識は今オレの体の中にある」

 

刃鬼はニヤリと笑ってカナに話した。

 

「いいことを教えてやろうカナ、オレの意識とリートの意識を入れ換えさせたくば、オレの魔力を枯らすか今のオレを倒す、もしくはオレ自身が入れ替わろうと念じることでリートの意識は戻ってくる…つまり、貴様らが本気でかかってこればリートが戻ってくる可能性もゼロではないということだ」

 

「…それを聞いて安心したよ。なら全力でぶっぱなしても良いってことだね!!」

 

「あぁ、もちろんだ」

 

カナは魔力を込め始めた。

 

「全員!ここから離れて!!!」

 

カナの呼び掛けで、その場にいた全員が走り出した。

 

「ホントにアイツの言うこと信じていいの!!?」

 

「今はそれしかないよ!!」

 

「でも、もしそれでリートさんが死んだりしたら…」

 

「アイツはあんなもんで死んだりなんかしねぇ!!とにかく走れ!!!」

 

「集え!!妖精に導かれし光の川よ!!!照らせ!!!邪なる牙を滅する為に!!!」

 

カナは、今度こそ全身全霊の力で、妖精の輝きを刃鬼に向けて撃った。

 

「妖精の輝き!!!!」

 

キィィィィン

 

ズドォォォン!!!

 

 

「ぐおぉぉぉぉ!!」

 

「うわぁ!!」

 

「「「きゃぁぁぁ!!」」」

 

「何て力…さっき以上の強さじゃない」

 

シュゥゥゥゥゥ

 

「はぁ…はぁ」

 

「やはりこんなものか」

 

「!」

 

煙が晴れると、そこには薄い氷を全身に纏った刃鬼の姿があった。

 

「そんな…全力でやったのに」

 

「確かに威力はすさまじかったぞ、さすがのオレも一瞬ヒヤリとさせられた。

だが、やはりあの男が言っていたように、魔法そのものが素晴らしくても、使い手がごみだと所詮こんなものなのだ。カナ、貴様がまだ弱いのだ」

 

「やっぱり…私の力じゃ…」

 

「ククククッ…そう気を落とすな、魔法自体は素晴らしかったぞ、そう、オレに防御をさせるほどにな」

 

そして、刃鬼は片手を上げてカナに向かって振り下ろそうとする。

 

「死ね」

 

「滅竜奥義!!!」

 

「!」

 

「紅蓮爆炎刃!!!」

 

カナに止めをさそうとする刃鬼に向けて、ナツは前に飛び出し滅竜奥義を撃った。

 

ゴォォォォ!!!

 

「ナツ…」

 

「何してやがる!!さっさと逃げろ!!!」

 

「!わかってる!!」

 

カナは、その場から離れるように走り出した。

 

「いいぞぉ、逃げろ逃げろ、おいかけっこもまた一興だ」

 

爆炎の中から聞こえる刃鬼の声、それはナツの滅竜奥義が全く効いてないことを表していた。

 

「くそっ!これでもダメか」

 

「ナツ、忘れたか?リートの冷気は貴様の炎でさえも何度も凍らせてきたことを」

 

「お前は…リートじゃねぇだろ、さっさとリートを返しやがれ」

 

「この体はリートそのものだ。アイツに出来てオレに出来ん道理がない」

 

刃鬼はまた魔力を込めだした。

刃鬼の体に悪魔の紋章が浮かび上がり、刃鬼は腕を上げて無数の長針を作り出す。

 

「モード滅悪竜、滅悪竜…魔輝」

 

刃鬼は、逃げているカナ達に向けて針を飛ばした。

 

「やめろぉぉぉぉ!!!」

 

「ハハハハハ!!!!」

 

バキィン!!!

 

「!」

 

パラパラ

 

刃鬼の飛ばした針は、カナ達に当たることはなく、カナ達の前に飛び出したギルダーツが一瞬で全ての針を砕き落とした。

 

「ギル…ダーツ…」

 

(お父…さん)

 

「フッ…来たか」

 

「ようリート…オメェ…どーゆーつもりだ」




何とかギルダーツを出せた…


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最凶VS最強

メインの戦いはここからです!


「そろそろ来る頃だと思っていた。待っていたぞギルダーツ」

 

「ずいぶん雰囲気が変わったじゃねぇかリート…それだけなら笑っていてやったんだがな、オメェ…仲間を殺そうとするとはどういう了見だ」

 

ギルダーツは鋭い目付きで刃鬼を睨み付け、刃鬼は口角を上げながら淡々と答えた。

 

「なぁに、ちょっとした遊びだ。オレの中にいるリートの意識に残っている心を完全に折るためのな」

 

「?どー言うことだ」

 

「ギルダーツ!!そいつはリートじゃねぇ!!!」

 

「何言ってんだナツ、どう見たってリートじゃねぇか」

 

「体はリートでも、操られてるみたいなのよ!!!」

 

ナツとルーシィの叫びに耳を貸すギルダーツは、何となくだがリートとは別人だと理解したようだ。

 

「なるほど、つまり今のオメェさんはリートとは別人だと思えばいいってことか」

 

「そうだな、操っている…とは似て非なるものだが、あながち間違いではない、オレを倒せばリートの意識が戻ってくる訳でもあるからな」

 

「じゃあテメェをぶっ飛ばせばリートが戻ってくるんだな?」

 

ギルダーツは拳を握って構える。

 

「ま、そーゆーことだ」

 

ダン!

 

ギルダーツは刃鬼の返答を聞いた瞬間に、刃鬼に向けて走り出す。

 

グオォォォ

 

「フン!」

 

ドゴォォン!!!

 

ギルダーツの拳と刃鬼の拳がぶつかり合い、巨大な衝撃波がナツ達を吹き飛ばす。

 

「うわぁぁぁ!!!」

 

「きゃぁぁぁ!!!」

 

「お前らはここを離れろ!!!こいつはオレが倒す!!!」

 

ギルダーツはナツ達にそう呼び掛け、攻撃を続ける。

 

「ずいぶんと威勢がいいなギルダーツ、流石はギルド最強の男だ」

 

「ハァッ!」

 

ドゴォン!!

 

ギルダーツと刃鬼の腕がぶつかり合い、また衝撃波が辺りを襲う。

 

「モード滅霊竜」

 

刃鬼は滅霊竜の力を使い、三人の分身を作り出しギルダーツに襲いかからせる。

 

「滅霊竜…無像」

 

「!」

 

ギルダーツは空いた腕で分身の一人を殴る。

 

ビキィ!!

 

「!」

 

分身を殴ったギルダーツの腕が凍りつき、一瞬だが、ギルダーツは刃鬼から意識をそらしてしまった。

 

「オレに集中しなくていいのか?」

 

「しまっ…」

 

ドガァ!

 

「ぐっ…」

 

ズザザァァァ

 

意識を反らしたギルダーツに、刃鬼の蹴りが炸裂するが、ギルダーツはそれを防ぎきった。

 

「……フッ」

 

パキィン

 

「ほう、凍った腕についた氷のみを砕いたか、器用なやつだ」

 

「だが、残りの2体の分身はどうする?」

 

刃鬼は、2体の分身を同時にギルダーツに向けて襲いかからせる。

 

「フン!」

 

ギルダーツは、クラッシュの魔法で分身2体を遠距離から粉砕した。

 

「やるな…ならこれでどうだ」

 

「モード滅悪竜」

 

「滅悪竜…魔嵐(まらん)

 

刃鬼がギルダーツに手を向けると、ギルダーツを巨大な冷気の竜巻が襲う。

 

ゴォォォォ!!!

 

「その竜巻に触れるとまた凍りつくぞ」

 

そして、刃鬼は腕を上に上げる。

 

「追加だ。滅悪竜…魔輝」

 

そのまま刃鬼は、竜巻に向けて無数の長針を放った。

 

長針は竜巻の回転に混ざり、竜巻の中で無数の針が渦巻くより危険な技と化した。

 

「さぁ、次はどーする」

 

バシュゥゥゥ!!

 

「!?」

 

余裕の笑みで竜巻を発生させ続けていた刃鬼、だが、目の前の竜巻が一瞬だが欠き消され、その瞬間、前方からギルダーツが飛び出してきた。

 

(そう来たか!!)

 

「オォォ!!!」

 

ドゴォォ!!!

 

「ガフッ…」

 

ドゴォォン!!

 

目の前まで迫ってきていたギルダーツに対応しきれず、刃鬼はギルダーツに殴り飛ばされる。

 

「クククっ流石だ。まさかオレが一撃をくらうとはな」

 

「さっさとリートを返しやがれよ。仲間をいたぶるのは好きじゃねぇんだ」

 

刃鬼は笑いながら、口元の血を拭い立ち上がる。

 

「リートの身体をものにするために、いつかは戦うべき壁になるだろうとは思っていたが…まさかここまでとはな」

 

「壁?」

 

「そうだ壁だ。貴様とアクナ…そしてマカロフ…この三人はリートの身体を通して見てきた中で、オレが強敵と認めた三人だ。つまり、越えるべき強敵というわけだ」

 

「アクナってーのはリートの師匠になったっていう…オレとそいつはよっぽどお前に気に入られたようだな」

 

「気に入った…あぁ気に入ったさ!オレは貴様を倒すことで最強へと一歩近づくことができる!この体で!!誰もオレに逆らえなくなるんだ!!!」

 

刃鬼は両腕をダランと落とし、下を見て笑い続ける。

 

「クククっクククククっ…貴様を倒し、ここの奴らを全滅させたら次はアクナだ。そして奴を殺したらオレはマグノリアを中心に世界をオレが力で支配する…それが…オレの野望なのだ」

 

「そんな馬鹿げた野望がまかり通るわけねぇだろうが」

 

「そう、本来ならまかり通らない…だが、それをできるだけの力がこの体にはある!!オレはそのためにリートの身体をいただくのだ」

 

「話しにならねぇ、テメェにはキツイお灸を据えてやるよ」

 

「やってみろ…最凶対最強…どちらが強いか、ここで決めるとしようじゃないか」




滅全魔導士のリクエストを募集しました。

詳細は主のマイページの活動報告にあるので、是非とも協力してもらえると助かります


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倒れる大樹

皆さんのリクエスト、参考にさせて致いております。

技など考えついたら、今後の展開で出していくと思いますのでまだまだ案があればリクエストの方で教えてください。


ギルダーツと刃鬼の2人は、互いに目を見たまま動かない。

 

「すごい…」

 

「どっちもなんて魔力なの…!?」

 

「アタシ達、巻き込まれっぱなしなんですけどね…」

 

「言われた通り、ここを離れた方がいいと思うんですけど」

 

「う…うん…だけど」

 

ルーシィはカナをの様子を見ると、カナは暗い表情で答えた。

 

「行こう、私たちがいたらギルダーツの邪魔になる」

 

ルーシィ達はマカロフを連れて離れる準備をする。

 

「強ぇーー!!!オレ、この喧嘩見てぇーー!!!」

 

ナツは嬉しそうに言うが、そそくさとルーシィがナツを回収して行った。

 

「行くわよナツ」

 

そしてナツ達は、また拠点へと向かって走り出した。

 

(今、指の1本でも動かそうものなら、オレは確実にギルダーツに狩られるな)

 

(ならば…)

 

刃鬼は、足元からギルダーツが気づかないようにゆっくりと冷気を放出する。

 

(奴らの詮索は後だ。今優先すべきなのはギルダーツ…この男の殲滅のみ)

 

「どーした、来ねぇのか?」

 

「フッ…いやなに、これ程の緊張感のある戦いなのだ。貴様の全力を見る為に少々策を練っていたところだ」

 

「だが、ここらで策を練るのはやめにしよう。今しがた準備は出来た」

 

「なに?…!?」

 

ギルダーツが自身の足下を見ると、地面と氷で張り付けられていた。

 

「モード滅霊竜…滅霊竜…衝塊」

 

パン!

 

「しまっ」

 

ドゴォ!!

 

「ぐううっ…」

 

ギルダーツは、左右から襲う2つの冷気によって挟み込まれ、身動きが取れなくなる。

 

シュタタタタタ

 

「!」

 

「モード滅神竜…滅神竜…蒼閻」

 

ドン!!

 

「ぐうぅぅっ…」

 

身動きの取れなくなったギルダーツに、一気に距離を詰めた刃鬼は、そのまま蒼閻でギルダーツを空に吹き飛ばす。

 

「モード滅悪竜…滅悪竜…魔輝」

 

そのまま刃鬼は、下から氷の針をギルダーツに放つ。

 

「っち」

 

バサァ!!

 

ギルダーツは空中で体勢を立て直すと、マントで針を払い落としたが、

 

「貴様に同じ手が何度も効かん事は分かりきっている」

 

「!?」

 

マントで隠れていた視界が開けると同時に、ギルダーツの目の前に刃鬼が迫って来ていた。

 

「フッ」

 

「ハァ!!」

 

ドゴォォン!!!

 

2人の拳がぶつかり合い、空中でのラッシュの打ち合いが地面に落ちるまで続く。

 

ドカ!ドゴ!バキッ!ゲシっ!

 

バン!

 

地面に落ちる瞬間、拳のぶつかり合う反動で、2人は弾き飛ばされる。

 

クルクルクルクル

 

シュタッ!

 

空中で体を回した刃鬼は、地面に足を付けると同時に、ギルダーツに向かって拳を握って飛び出す。

 

キィィィ ボコォ!!

 

「!」

 

ダッ!

 

対してギルダーツは、地面に足を付けると、足下の地面を魔法で砕き、クッションとして着地した後、刃鬼とはワンテンポ遅れて前に飛び出す。

 

(着地のテンポをずらすことによって、オレの攻撃のリズムを狂わせたか!!)

 

「破邪顕正・一天!!!」

 

ドゴォォ!!!

 

攻撃のタイミングがズレたことにより、刃鬼の拳はギルダーツに避けられ、ギルダーツの渾身の一撃が刃鬼の顔面に直撃する。

 

「カァァァッ!!」

 

ズドォォン!!!

 

「やったか」

 

その瞬間

 

ゴゴゴゴゴ…

 

「!?なんだ!!!」

 

島の大樹が崩れ落ちたのだ。

 

「ぐおぉっ…力が…抜ける…」

 

ガクッ

 

ギルダーツは全身のチカラが抜け、地面に膝をついてしまった。

 

「くそっ、どーなってやがる」

 

ガラガラガラ

 

「!?」

 

パラパラ

 

岩の瓦礫から刃鬼がゆっくりと現れ、ギルダーツの下にまで歩み寄ってきた。

 

「今のは効いたぞ…そこそこにな」

 

刃鬼は自分の両腕を二三度開いては閉じ、自身も力が抜けていることに気がつく。

 

「フム、どうやらこの身体にあるリートの力が著しく抜け落ちているようだな…今は本来のオレの魔力のみがこの身体を支えている…と言ったところか」

 

刃鬼は、ニヤリと笑いギルダーツを見下ろす。

 

「だが、それで十分。リートの力が抜けているということは、おそらく貴様もだろう?ギルダーツ」

 

「くっ…」

 

「力の抜けた貴様を倒すならオレの今までリートの体内で密かに貯め続けた魔力があればお釣りが来る。さぁ、どう料理しようか」




にしても、滅全魔導士とか考えておいてなんやけど…主ひとりじゃ、案少ねぇなぁ…読者がいてマジで良かった


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戻ってこい

短い文でしたが、とりあえずここらで一度決着にしましょう


ドカッ、バキッ、ドゴォ!!

 

「ぐぉぉっ…」

 

「どうした?さっきまでの威勢はどこに行ったんだ?ギルダーツよ」

 

力の出ないギルダーツを、刃鬼は笑いながらいたぶり続ける。

 

「つまらんな、コレでは戦いにすらならんではないか。とりあえず、面倒なことにならんよう、貴様のその義手と義足はとっておかねばならんな」

 

刃鬼は、新たに自身の体に魔力を込める。

 

「モード滅物竜」

 

トッ

 

バシュゥ

 

「!」

 

刃鬼がギルダーツの義手に触れると、ギルダーツの義手が一瞬で消えてしまった。

だが、刃鬼はまだ満足していなかった。

 

「次は…足か」

 

トン

 

「なっ!?」

 

次に刃鬼はギルダーツの義足をつま先で軽く蹴ると、いとも容易く義足が消し飛んだ。

 

「さて、これで貴様はもう何も出来まいコレでも足掻くというなら好きなだけ足掻いてみろ」

 

刃鬼は余裕の笑みでギルダーツを見下ろした。

 

「はぁ…はぁ…リート…聞こえてるか…?」

 

「?何だいきなり、今のリートに語りかけようとしても無駄だぞ、アイツはオレの意識の内側に飲まれている。貴様の声が届くはずもなかろう」

 

「いや、リートはそんなタマじゃねぇ…アイツなら必ず聞こえてる」

 

ギルダーツは地面に倒れながらも、刃鬼の目を見てリートに語りかけ続ける。

 

「戻ってこい…リート」

 

「くどいな、何度も言わせるな、奴は…」

 

ズキン!

 

「!ぐおぉぉぉ!!!…な…何だ!!」

 

語りかけても無駄と主張していた刃鬼だったが、突如頭痛に襲われ、もがき苦しみだした。

 

『テメェ…随分とオレの仲間をいたぶってくれたじゃねぇか』

 

「貴様…意識が…」

 

刃鬼の意識に直接体内から語りかけてくるリート、その声は明らかに怒りで声音が変わっていた。

 

『いつまでもテメェの自由にできると思うなよ。その体はオレのものだ』

 

「ふざっ…けるな!!悪魔の心臓のガキから助けてやった恩を忘れたか!!!」

 

「?何だアイツ…いきなり苦しみ出しやがった 」

 

リートの声が聞こえていないギルダーツにとって、刃鬼の行動は異様なものに感じていた。

 

『確かに借りはある。だがな、それとこれとは話しが違ぇんだよ。家族を護る為にテメェに一時的に体を貸したが、その護るべき家族が殺られそうになってるのを見て黙ってられる訳ねぇだろうが』

 

「はぁ…はぁ…つくづく呆れたバカだな貴様は…オレが意識を奪って何もせん訳がなかろう…貴様の判断ミス…だ…」

 

『あぁ、だから自分のケツぐらい自分で拭わねぇとな、だが、今オレに出来る事はお前の動きを制限する事だけだ。だからこそ、家族の力を借りてテメェを倒す』

 

「ハッ!ならその前に貴様の大事な家族とやらには死んでもらうとしよう!!!」

 

刃鬼は、痛む頭を抑えながらもギルダーツに向けて突っ込んでいく。

 

「死ね!!!」

 

ガシッ

 

「な!?」

 

刃鬼は地面に横たわるギルダーツに拳を振り下ろすが、その拳はギルダーツ本人によって受け止められた。

 

「貴様力が…いや、だが義手も義足も無い体では立ち上がれんハズ!!」

 

「手足ならあるさ…オレの大事な仲間が授けてくれた。最高の手足が…」

 

ギルダーツはゆっくりと立ち上がる。そして消し飛ばされた義手と義足の部分は氷で新たに作られていた。

 

「バカな!!氷…まさか!!」

 

『あぁ、お前が悶え苦しんでる時に作らせてもらったよ。あまり出来のいいもんじゃなかったけどな』

 

「き…貴様ぁ!!!!」

 

「オイ」

 

「!」

 

ギルダーツの声に反応した刃鬼は、振り返るとそこにはギルダーツが拳を構えて立っていた。

 

「歯ぁ食いしばりやがれ」

 

「!」

 

「破邪顕正・一天!!!!」

 

ドゴォ!!!!

 

「ぐぼぇがぁぁぁ!!!」

 

刃鬼の肩を義手で抑えながら、ギルダーツは刃鬼の腹目掛けて全力の一撃を叩き込んだ。

 

ドサッ

 

倒れそうになるリートを受け止めるギルダーツは、笑いながらリートに話しかけた。

 

「ようリート…やっとお帰りか」

 

「…へへっ、悪ぃな…助かったぜ」

 

「ま、コレで貸し1つだからな、今度オレと飲みに付き合えよ。当然お前の奢りでな」

 

「ははっ…随分とデケェ貸しが出来ちまったな」




今後の刃鬼はどうやって出していこうか…


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攻めと守り

ここからの展開、少し悩みました。

というか、前書きと後書きで書くことが無くなってきたぁ!!!

どーしよ…


ドサッ

 

「おわっ!?」

 

「だぁー!もぉー無理だ!立ってられねぇ」

 

リートを支えていたギルダーツが倒れ込み、リートもバランスを崩してギルダーツの上に倒れ込む。

 

「いってー、オイ、大丈夫かよ?ギルダーツ」

 

「あぁ、つってもほとんどオメェのせいだぞリート」

 

「わ…悪かったって」

 

リートは、はにかみながらギルダーツに頭を下げる。

 

「だったら、後はお前達でケリをつけてこい、それが今のオメェのやるべき事だろ?」

 

「あぁ、分かってる」

 

リートは立ち上がりナツ達と同じく拠点へと走り去っていった。

 

「それにしても、リートのやつ…随分と強くなってたな、こりゃぁその内オレを追い越すかもしれねぇな」

 

バシャバシャ

 

ナツ達を追いかけるリートは、道中、刃鬼のコトを考えていた。

 

(今回の戦い…オレは何も出来ていなかった…アイツがキケンな奴って分かってたのに力を借りなければ家族が死んでいたかもしれねぇなんて…情けねぇ)

 

ギュゥゥ…

 

リートは拳を固く握り、悔しさで歯を食いしばる。

 

(強くならなくちゃいけねぇ…今よりも強く…)

 

そしてリートは、ある事に気がついた。

 

(そーいえば、刃鬼のやつが倒れてからも滅全魔法って使えるのか?)

 

リートは、掌を上に向けて魔力を練ってみた。

 

「モード滅神竜」

 

シュルルルル

 

リートの掌に、青と黒の2つの冷気が渦巻いて現れた。

 

「…できた。しかも、今度は刃鬼のやつが出てこねぇ」

 

(アイツをギルダーツが倒したからか?…それともアイツ自身の魔力が底を尽きてオレと入れ変われねぇ…とか?)

 

リートは頭を悩ませ続けるが、一向に答えが出るハズもなく

 

「…やめだ、考えても分からねぇのに、今考えるだけ無駄ってもんだな」

 

リートは、走るスピードを上げて拠点へと向かった。

 

タッタッタッ

 

「着いた!」

 

「「「「リート(さん)!!!」」」」

 

ようやっとの思いで拠点に着いたリートは、その光景に足を止める。

 

「心配しましたわよー!」

 

拠点に着いたリートに、ラリカが勢いよく飛びついてくる。

 

そして、リートはそれを軽く身体で受け止めた。

 

「悪ぃ、心配かけた」

 

「ちょっと待って!…アナタ…本当にリート?」

 

先程の戦いを見ていたルーシィが、当然のごとく刃鬼の存在を疑う。

 

「大丈夫だ。今は刃鬼のやつはオレの中で眠っているのか反応がねぇ、正真正銘、妖精の尻尾のリートだよ」

 

「って言われても…」

 

「ルーシィさんって、結構疑り深いんですね」

 

「あんな危険なやつがさっきまでリートを乗っ取ってたのにいきなり信用出来るわけないじゃない」

 

「…ルーシィの言うことももっともだな」

 

「?どーゆーこと?」

 

「さぁ?」

 

刃鬼の存在を知るルーシィ達はリートを疑い続け、全く存在を知らないリサーナ達は、何故ルーシィがリートを警戒しているのかさっぱり理解していなかった。

 

「大丈夫だ…」

 

そして、ナツがゆっくりとリートに歩み寄る。

 

「ナツ!?」

 

「この感じ…間違いなくリートだ」

 

「分かるのか?」

 

「あぁ」

 

「ナツ…ありがとう」

 

ドゴォ!

 

「おごぉぁ?!」

 

安心するリートの顔面に、ナツは全力で拳を奮った。

 

「ちょっとナツ!!!」

 

「いきなり何してますの!!?」

 

「これで今回の事はチャラだ」

 

ナツは、殴り飛ばしたリートに手を差し伸べる。

 

「っつー…あぁ、すまなかったな」

 

リートはナツの手を取り立ち上がり、今の状況を整理する。

 

「それよりも、ここにも奴らが来たのか」

 

「うん、ミラ姉は私を庇って…」

 

「エルフマンとエバーグリーンもやられて、バンクとガジルは、敵は倒せたけどボロボロで、ここに着いた途端気絶するように寝ちゃって今も眠っちゃってる」

 

「そうか」

 

リートは眠るミラの元へ歩み寄ると、片膝をつけてミラの手を優しく握る。

 

「ごめんな、オレがもっとしっかりしてるべきだった。お前とリサーナに重荷を感じさせるようなことしちまった」

 

「オレは…お前に居なくなられる訳にはいかねぇんだ。だから、今は無理せず休んでくれ」

 

リートは、眠るミラの額に口付けをして立ち上がった。

 

「リート、アンタ恥ずかしげもなくよくやるわね」

 

「見てるこっちが照れちゃいました」

 

「何だよ、ただデコに口つけただけじゃねぇか、何が恥ずかしいんだよ」

 

「ナツはデリカシーから学んだ方がいいと思うよ」

 

「んだとぉ!」

 

「まぁまぁ…いいじゃありませんの」

 

「ミラ姉が起きてたら、リートは今頃滅茶苦茶にされてたと思うなぁ」

 

「メメメ滅茶苦茶!?」

 

リートの先程の光景を見ていた全員が、それぞれ言いたい放題リートに向けて言っていた。

 

「…なんだよ…別にいいだろ!恋人なんだからよ!」

 

「別に誰もダメとは言ってませんよリートさん」

 

「うっ…」

 

「アンタ達、今はそんな事してる場合じゃないわよ」

 

「あぁ、敵はまだ残っている。そーゆーのは全てが終わってからにしてくれ」

 

呑気に話すメンバーに、シャルルとリリーが2人して注意する。

 

「ウチのギルドの猫2匹が辛辣すぎる…」

 

「とりあえず、グリモアの戦艦をひがしの沖で見つけた。攻め込むにしてもこちら側も負傷者が多すぎる。ここの守備を考えてチームを2つに分けてみたらどうだろう」

 

リートはリリーの提案を聞いて、顎に手を当てる。

 

「そうだな、敵の残党も居ないとは言いきれねぇ、リリーの言う通り、攻めと守りで分けるのが定石か」

 

ゴロゴロ

 

そんな話をしてる間に、空の天気は一段と酷くなり、雷まで鳴り出した。

 

「空…荒れてきたわね」

 

「雷…やだね」

 

そして、その雷の音に怯える者が1人

 

ガクガクブルブル

 

「?どうしたリリー、耳なんか塞いで」

 

「まさかアンタ、雷が苦手なの?」

 

「そーなの?リリー」

 

ドキッ

 

「あら、意外と可愛らしい所があるんですのね」

 

「プフっ」

 

雷に怯えるリリーを見て、ハッピー達は少し笑っていた。

 

「うるさい!」

 

「まぁ、そう言ってやるなよ。誰にだって怖いものくらいあるさ」

 

「リートさんも何か怖いものってあるんですか?」

 

「あるぞ」

 

「え?そんなのありましたの?私知りませんわよ」

 

「オイラも知らないよ」

 

「ブチギレしたミラやエルザはこの世の何よりもおっかねぇからな」

 

「それはギルド共通の恐怖ですわよ」

 

「あい」

 

 




これを書きながらYouTubeでとある動画を見ていました。

○○のドレミの歌…これだ!

ってなわけで作ってみました氷竜ドレミ歌

3~4回に分けよう。

ってことで今回はドレミ歌のドとレです!

ド〜は
リート「どんだけ拷問器具買うんだよ!?」
ラリカ「私が満足するまでですわ!!!」
リート「家に収まりきらんわ!!!」
のド〜

レ〜は
リート「冷気が足りない腹へった。グレイ氷作って、もしくはミラのカキ氷持ってこい」
グレイ「召使いかオレは!!」
のレ〜

次回はミとファです!


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ハデス

さてと、続きと行きましょうか。
そしてドレミ歌の方も

ミ〜は
リート「ミラさん待って!!ここでオレを襲っても何にもならんよ!!?」
ミラ「ウフフフ」
リート「いやぁーーー!!!」
のミ〜

次は後書きで


「さてと、ハデスを倒しに行くぞ!!リート、ルーシィ!ハッピー、ラリカ!」

 

ナツは立ち上がって、リート達に呼びかける。

 

「そうだな」

 

「あいさー!」

 

「もちろんですわ」

 

「あ、アタシ?」

 

リート、ハッピー、ラリカの3人は攻めチームに異論はないようだが、ルーシィは意外そうな顔でナツに返事をする。

 

「うーん…」

 

「どうかしましたの?ルーシィ」

 

「同じチームでしょ?」

 

「分かってるけど、フリードとかの方が」

 

しかし、フリードはフリードのやるべき事がある。

 

「オレはここで術式を書かねばならん」

 

「守りは任せとけぇ」

 

ガシッ

 

「え?なに?」

 

戸惑うルーシィの肩に両手を乗せるリートは、真剣な表情でルーシィの顔を見る。

 

「な…なんなの?リート」

 

「いいか?ルーシィ、うだうだ言ってねぇでこっちのチームに入れ、お前はずっとオレ達とチームでやってきたんだ。連携が取りやすい。何より…」

 

「お前が守りに行くとか言い出して、またバラバラになってみろ、ここでハデスを倒しに行かなきゃ、オレ今回暴れるだけ暴れ回ってまともに役に立ってねぇ事になるんだぞ」

 

「そ、それとこれとは違う気がするんだけど…それに、別にアタシが守りでアンタが攻めに行けばいいだk…」

「いいから黙ってこっちのチームに入れ」

 

「強引すぎるんですけど!!?」

 

そして、次はウェンディが名乗り出る。

 

「私もナツさん達と行きます」

 

「ちょっとウェンディ!!」

 

「ナツさん達のサポートくらいできると思うし」

 

「…ごめん…ウェンディ」

 

ハデスの元に向かう決意をするウェンディに、マーラが声をかける。

 

「アタシ、ちょっとダメみたい。さっき線香花火で魔力全部使っちゃってもう花火1発すらまともに作れなさそうなの…出来ればついて行って上げたいけど、アタシはここに残るよ…足引っ張っちゃいそうだからさ。今アタシにできることで皆を守るよ」

 

「マーラ…」

 

悔しそうに、だが笑顔でウェンディを見るマーラを、ウェンディは優しく抱きしめる。

 

「そんなことない、マーラはいつも自分の事を後にして私やシャルルを守ってくれた。今度は私があなたを守るから」

 

そう言ったウェンディに安心感を覚えたマーラは、目を閉じてそっと頷く。

 

「…うん、ありがとう。頼りにしてるよウェンディ」

 

「うん!」

 

「オ…オレも行く、ガジルのかたきを取ってやらねばな」

 

雷に怯え続けていたリリーだが、攻めのチームに自分から名乗り出た。

 

「私は、フリードの術式を手伝う為に残る」

 

「私も、ミラ姉とエルフ兄ちゃんの傍にいるね」

 

こうしてレビィとリサーナは、守りのチームに残ることとなった。

 

「リサーナ、ミラの事頼んだぞ」

 

「もちろん!任せといて!リート兄」

 

「リ…リート兄?」

 

「もしかしたら近い内にそうなるかもしれないからねぇ」

 

「ミラ同様に気が早ぇなオイ」

 

「ま!冗談だけど」

 

「冗談かよ!」

 

(ま、その内ホントにそうなっちゃったりするかもだけどね)

 

リサーナは、リートとミラを見てそう思っていた。

 

「これで、決まりだな」

 

「みんなの事は必ず守る!!」

 

「ルーちゃん!気をつけてね」

 

「だいぶ魔力も回復してきた」

 

「残る敵は、おそらくハデスのみ」

 

「最後の戦いになりそうですね」

 

「ウェンディ、無茶だけはしないでね」

 

「オイラ達も頑張るぞぉ」

 

「分かってるわよ」

 

「こうなったらとことんやりますわよ」

 

「エクシード隊、出撃だ」

 

 

「行くぞー!!」

 

「「「「おぉーー!!!」」」」

 

攻めのチームは、ナツを筆頭にハデスの元へと走り出す。

 

「ルーシィ!ちょっと待って」

 

「?」

 

ナツについて行こうとしたルーシィを、リサーナが呼び止める。

そして、リサーナはルーシィの腕を掴んで言葉をかける。

 

「ずっとナツの傍に居てあげて」

 

「え?」

 

「信頼している仲間が近くにいる時、ナツはもっと強くなる」

 

「…うん」

 

ザッザッザッザッ

 

「!ナツ!!ちょっと待て!!」

 

ハデスの所へと急ぐナツ達、だが、途中でリートがナツを呼び止める。

 

「?なんだ?」

 

「エルザとグレイだ」

 

リートの視線の先に、ボロボロのエルザとグレイが2人で支え合いながら歩いていた。

 

「行こう!」

 

「おう」

 

ナツ達は、エルザ達の所に駆け寄った。

 

「オレは…いつも誰かに、助けられてばかりだな」

 

「私も、同じだ」

 

「!」

 

エルザとグレイが顔を上げ、その先にはリート達が立っていた。

 

「みんな」

 

「グレイ!!」

 

「エルザさん!!」

 

ニコッ

 

「「オレ達も同じだ」」

 

ナツとリートの2人は、笑ってグレイにそう言った。

 

「行こうぜ、これが最後だ」

 

リートはグレイに手を差し伸べた。

 

「…あぁ」

 

そして、グレイ達と合流した攻めのチームは、悪魔の心臓の船の前にたどり着く。

 

その船の上からは、ハデスがリート達を見下ろしていた。

 

「三代目、妖精の尻尾…くるがよい。マカロフの子らよ」

 

ハデスはそのまま船の中へと入っていった。

 

「だぁーーー!!テメェが降りてこーい!!!」

 

「偉そうに!!」

 

「ヤツがマスターを」

 

「アイツの指示のせいで…ミラが…」

 

「あの人を懲らしめてやれば、この島から、みんな出てってくれますよね?」

 

「もちろん!全員追い出してやるんだから!」

 

リートは、視線を下に向け、ハッピー達を見る。

 

「ラリカ…お前らに1つ頼みがあるんだが」

 

「なんですの?」

 

「この船の動力源と思う場所を壊して欲しいんだ。コレが動いたりなんかしたら、オレもナツもまともに戦えねぇからな」

 

「そうですわね…これが飛んだりしたらお2人とも使い物になりませんものね」

 

「「……」」

 

「わかったわ」

 

「そーゆー事なら任せておけ」

 

「オイラ達、頑張るよ」

 

「一応、トロイヤを掛けておきますよ」

 

ウェンディは、ナツとリートの2人にトロイヤの魔法をかける。

 

「悪ぃな、助かるよ」

 

 

 

「そろそろ始めようか!!」

 

グレイは魔法で氷の階段を作り、船まで一直線に伸ばす。

 

「行くぞ」

 

それと同時に、全員がそれぞれ動き出した。

ナツ達は階段を駆け上がり、ハッピー達は別のルートからの潜入を試みる。

 

「アイツは、マスターをも凌ぐ魔導士、開戦と同時に全力を出すんだ!!」

 

「はい!!」

 

「持てる力の全てをぶつけてやる!!」

 

「後先の事なんて考えてられない」

 

「ここまでの事をしてくれてんだ。キッツイのかましてやるよ」

 

「やっとあいつを殴れんだ!燃えてきたぞ」




ファ〜は
リート「ファントム戦直後の頃に戻って告白やり直せねぇかなぁ?」
ミラ「あら、私はあの告白気に入ってるわよ?『オレの人生全てかけてお前をまも…』」
リート「それ以上言わなくていいです!!!」
のファ〜

シリアスな展開にドレミ歌似合わねぇ…
次はソとラですね。


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全力

ドレミ歌、今回で終わらせましょう。

ソ〜は
リート「そもそも何でオレはナツが暴れた記事にオレも共犯にされてるんだ!!!」
ハッピー「止められていないからじゃない?」
リート「じゃあお前も止めてくれ」
ハッピー「それは無理です!」

ラ〜は
リート「ラリカさんよ…今回の拷問器具は…一体何ですかい」
ラリカ「あら、楽しみで仕方ありませんのね、いいですわ!教えて差し上げますの!今回の器具は皆様おなじみ『アイアンメイデン』ですわ!」
リート「馴染めるか!!!」

後書きでラストです!!!


「ハデスーーー!!!」

 

ハデスの元へ、いの一番にたどり着いたナツは、炎を纏った拳を突き出した。

 

「妖精の尻尾の力をくらいやがれーー!!!」

 

ナツが放った炎は、ハデスに向けて一直線に飛んでいく。

 

ゴォォォォ

 

だがハデスが片腕を炎に向けると、炎はハデスの体を逸れてハデスには当たらなかった。

 

「妖精の尻尾の…力?」

 

次にグレイとエルザが、炎の陰から姿を現し攻撃を仕掛ける。

 

「ハァァ」

 

「黒羽・月閃!!!」

 

氷聖剣(コールドエクスカリバー)!!!」

 

エルザとグレイの同時攻撃、だが、それでもハデスはなんてことない顔をしていた。

 

「その薄汚ねぇニヤケ面を止めてやる!!!」

 

「!」

 

二人の間を抜け、ハデスの懐に入り込んだリートが拳を構えてハデスの腹に狙いを定める。

 

「氷河螺旋拳!!!」

 

ズドォォォ!!

 

ギリギリ…

 

だが、リートの一撃は、ハデスが片腕で止めていた。

 

「ッチ」(魔力が…足りねぇ)

 

ズキン!

 

「ぐっ…」

 

リートは、ギルダーツと戦った時の傷が痛み片膝をついてしまう。

 

「開け!!!金牛宮の扉!!タウロス!!!」

 

「Moooooレーツ!!!」

 

タウロスの斧がハデスに向かって振り下ろされ、リートはそれに乗じてハデスから一旦距離をとる。

 

「大丈夫!!?リート!!!」

 

「あぁ、すまねぇ助かった」

 

「全員の魔法に、攻撃力、防御力、スピードを付与!!!アームズ!!アーマー!!バーニア!!」

 

ウェンディの付与により、強化されたエルザとグレイがハデスに向けて剣を振るう。

 

「フン!」

 

「ハァァ!!」

 

それをかわし続けるハデスは、エルザに向けて魔法で鎖を伸ばす。

 

「ちょこまかと」

 

ガシッ

 

「!」

 

エルザを鎖で捕まえたハデスは、そのまま振り回しグレイに向けて叩きつける。

 

「「ぐわっ!」」

 

ズズズズッ

 

「!」

 

巨大な物が動く音と共にハデスがうえを見上げると、巨大な氷の塊が出来上がっている。

 

「氷竜の弾落」

 

ズドォォン!!!

 

リートは遠方から、ハデスの頭上に氷の塊を落とした。

 

(こんなもんでくたばる奴じゃねぇだろ…)

 

「ナツ!!!」

 

バッ!

 

リートの合図と共に、ナツは氷の上に飛び上がる。

 

「火竜の」

 

ナツは、両腕に炎を纏いながらハデスに狙いを定めて落ちてくる。

 

(まだ氷を割らねぇ、逃げられねぇように、ギリギリまで引きつける)

 

リートは、氷を割るタイミングを見計らう。

 

「ここだ!!」

 

バリィン!!

 

「ぐううっ」

 

ハデスが氷から現れると同時に、ナツの攻撃がハデスに炸裂した。

 

「翼撃!!!!」

 

「ぐおおっ!!?」

 

ジャラ

 

ハデスは、またも鎖を操り、今度はナツの首を繋げて振り回す。

 

「んが!?」

 

ブォンブォン!!

 

「あぁぁぁぁ」

 

スパン!!

 

ナツを振り回す鎖を、エルザが断ち切った。

 

「ナツ!!」

「おう!!」

 

グレイはナツに向かって走り出し、氷のハンマーをつくる。

ナツはそれを足場に、ハデスに向かって構えをとった。

 

「行っ…けぇ!!!」

 

グレイのハンマーを振る反動と、ナツの突進力が合わさり、ナツは超スピードでハデスに向かって飛んでいく。

 

「ルーシィ!!!ウェンディ!!!デケェのかますぞ!!!」

 

「うん(はい)!!」

 

リートとウェンディは大きく息を吸い込み、ルーシィは新たに鍵を取り出す。

 

「スコーピオン!!!」

 

「天竜の」「氷竜の」

 

「「咆哮!!!」」

 

リートとウェンディのブレスと、スコーピオンのサンドバスターが混ざり合い、1つの技へと変化した。

 

「合体魔法!!?」

 

そして合体魔法は、炎を纏うナツと共にハデスに向かっていく。

 

「火竜の劍角!!!」

 

「ぬぅぉぉぉぉ!!!」

 

ハデスはナツの火竜の劍角を腹に受け、一気に後方へと吹き飛んでいった。

 

ズドォォォン!!!

 

ガラガラガラ

 

「人はおのれの過ちを経験などと語る」

 

「!」

 

瓦礫が崩れ、その煙の中からハデスの声が聞こえてくる。

まだ、ハデスは倒れていなかった。

 

「しかし、本当の過ちには経験など残らぬ…わたしと相対するという過ちを犯したウヌらに、未来などないのだからのぉ」

 

「そんな…」

 

「全く効いてないの!!?」

 

「オイ…コッチは全力出してんだぞ!!!」

 

「くそっ…」(やっぱ魔力が足りねぇからか…力もまともに入らねぇ)

 

「魔力の質が…変わった」

 

「さて、準備運動はこのくらいでよいかな?」

 

ついにハデスが動き出す。




シ〜は
リート「仕事に行くぞぉ〜、ナツ!今回は暴れて建物壊すなよ!?」
ナツ「ひっでぇな〜いつもオレが何か壊してるみてぇじゃねぇかよ」
リート「いつもお前が何か壊してんだよ!!!」

さぁ!
リート「歌えるか!!!」

歌えるものなら歌ってごらん!!(`・∀・´)


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お久しぶりです。なんかもうほんとペースガッツリ落ちちゃってるし、下手すりゃ覚えてない人もいるかもですね。
ホーントすいません


「さて、準備運動はこのくらいでよいかな?」

 

魔力を放つハデス、それはナツやリート達の肌をビリビリと感じさせる。

 

「くるぞ!!!」

 

エルザの掛け声がかかると同時に、ハデスは魔法をウェンディに向けて仕掛けた。

 

「かぁぁっ!!!!」

 

「!しまっ…」

 

標的がウェンディと、いち早く察したリートだったが気づいた頃にはもう遅く、ウェンディは一瞬で消し飛んでしまった。

その場には、もう、ウェンディが先程まで着ていた服しか残っていなかった。

 

「!ウェンディィィ!!!!」

 

「跡形もなく消滅しよったか、他愛もない。このままウヌらを1人づつ消し去ってやるとするかな」

 

ザワッ

 

ダン!!!

 

全員がウェンディのいた場所を見つめる中、リートだけはその場を飛び出しハデスに向けて拳を構えていた。

 

「だぁぁぁ!!!!」

 

だが、リートの拳はハデスを捉えることは無く、一瞬でハデスはリートの後ろにまわりこむ。

 

「怒りに任せても攻撃は当たらぬぞ」

 

「くっ…」

 

ドカァッ!!

 

ハデスはその場から、リートを回し蹴りで蹴り飛ばす。

 

「ぐはぁぁっ!!」

 

「リート!!!」

 

瓦礫に埋もれたリートだったが、すぐさま瓦礫から這い上がり、口元の血を拭いながらハデスを睨みつける。

 

「プッ!」

 

「ほう、さすがはマカロフの子、今のを受けてまだ立ち上がるとはな」

 

「てめぇ、よくもウェンディを」

 

『皆さん、落ち着いてください。私は無事です』

 

「「「「「「!?」」」」」」

 

どこからか、現状今居る者たちとは別の声が聞こえ、全員が上を見上げると、天井にホロロギウムが張り付いていた。

 

「と、申しております」

 

「ホロロギウム!」

 

「よかったぁ」

 

「ふぅー」

 

「自動危険察知モードが発動されました」

 

「あのぉ…」

 

ホロロギウムの自動危険察知という言葉に、ルーシィは気まづそうに言葉を挟む。

 

「アタシも結構危険がいっぱいだった気がするんだけど…」

 

「今回は危険のレベルが違いました。申し訳ありません」

 

「ワガママ言ってんじゃねぇよ。生きてるんだから良いだろ別に」

 

「よかないわよ!!!!」

 

リートの言葉に、ルーシィは納得いかないのか、勢いよくツッコミを入れる。

 

「『ありがとうございます。ホロロギウムさん』と申しております」

 

「相変わらずややこしいな」

 

「てか、なんで服だけ落ちてんだ?」

 

「緊急事態だったので、ご本人のみをお助けしました」

 

「ってことは、オイ…その中でウェンディは」

 

「何想像してんの?お前は」

 

「『キャァァァ!!!』と申しております」

 

「…だろうな」

 

「さ、早くお召し物を」

 

「あの身体のどこに服しまってんだ?」

 

「とにかく、助かった。礼を言う」

 

「私が守れるのはこの一回限りです。皆さん、くれぐれも気をつけてください」

 

そう言ってホロロギウムは消えていなくなり、着替えを済ませたウェンディが床に着地する。

 

「ありがとう、ホロロギウム」

 

ウェンディも準備が整い、リートも合わせ全員がハデスに視点をおく。

 

「これがマカロフの子らか、フゥン!やはり面白い」

 

「お前、じっちゃんと知り合いなのか!?」

 

「何だ、知らされてないのか?今のギルドの書庫にすら、私の記録は存在せんのかね?」

 

「妖精の尻尾2代目マスター…マスタープレヒトだろ」

 

「「「「!?」」」」

 

ハデスの過去を知っていたのか、リートがそう言うと、ナツ達は驚愕してリートの顔を見る。

 

「ほう、知っているものが居たのか」

 

「半信半疑だったがな、だがアンタのなんでも知っているような口ぶりを聞いて今さっき確信した」

 

「嘘だろ!!!?リート!!!」

 

「嘘じゃねぇさ、書庫で確認したことあるからな」

 

「そう、私がマカロフを、3代目ギルドマスターに指名したのだ」

 

「そんなのありえるか!!!ふざけた事言ってんじゃねぇぞ!!!」

 

ナツは、そのままハデスに向かって走り出し、ハデスは向かってくるナツに向けて黒い魔法を放った。

ハデスの魔法がナツにぶつかると、魔法は爆発を起こし、ナツの姿が見えなくなる。

 

「ナツ!!!」

 

そして、次にハデスはルーシィ達の居る方へと向けて魔法を放ち、ルーシィ達の周りでも爆発が起こった。

 

爆発により一瞬視界を奪われたルーシィとエルザの腕に、ハデスの手から放たれた鎖のような魔法を付けられ、2人はそのまま締めあげられると、鎖が爆発を起こす。

 

「キャァァァ!!!」

「うぅぅぅっ!!!」

 

リートと、爆発から逃れたナツが同時にハデスに向かって行くが、ハデスは小さく作った黒い魔法を、2人の足に当てて動きを止める。

 

「ぐあぁっ!!」

「ぐっ!!」

 

ハデスはそのまま両手で、まるで銃を撃つかのようにグレイやウェンディにも向けて魔法を撃ち出し、そのまま縦横無尽に魔法を連射する。

 

「ぐぅぅっ!!」

「きゃぁぁ!!」

 

「ハハハハハ!!!!私は魔法と踊る」

 

「くそっ!モード滅神…」

 

ダン!

 

新たに手に入れた力を使おうとするリートだったが、その前にハデスに魔法で撃ち抜かれる。

 

「うっ!」

 

「下手に動くでないぞ、私が今1番警戒しているのはウヌなのだからな」

 

(まともに魔法も使えねぇのかよ)

 

その後もハデスの魔法は止まらず、収まる頃には全員が床に倒れ、ハデスのみが立っている光景が広がっていた。

 

「妖精に尻尾はあるのかないのか?永遠の謎、故に永遠の冒険、ギルドの名の由来はそんな感じであったかな」

 

ガッ!

 

「うぐっ!」

 

ハデスは倒れるナツの頭を上から踏み、ナツを見下ろしていた。

 

「しかし、うぬらの旅はもうすぐ終わる。メイビスの意志が私に託され、私の意志がマカロフに託された。しかし、それこそが間違いであった」

 

「間違いな…もんか…」

 

「む?」

 

リートはフラフラと立ち上がり、血だらけの身体を支えながらハデスを睨みつける。

 

「あの人が間違っていたことなんてない、オレ達はそれを信じてここまで来れたし、これからも信じ続けるだけだ」

 

「マカロフはギルドを変えた」

 

「テメェの考えが間違っていたからマスターはギルドを変えたんだ!!!!」

 

「魔法に陽の光を当てすぎた」

 

「当てなきゃ何も変わらねぇからだ!!!!」

 

「それがオレ達の妖精の尻尾だ!!!!テメェみたいに死んだまま生きてんじゃねぇんだ!!!!命かけて生きてんだコノヤロウ!!!!変わる勇気がねぇならそこで止まってやがれ!!!!」

 

リートの言葉を聞いて、ナツも叫び出す。

 

「オレ達はそれでも上向いて、前だけを見て歩いていくんだ!!!!初代やテメェの考えじゃねぇ、今のマスターだからこそオレ達はついて行くんだ、生きていくんだよ!!!!」

 

ズドン!

 

「「ぐああっ!!!」」

 

2人の足に、ハデスの魔法が撃ち込まれる。

 

「うるさい小鬼共よ」

 

ドパパパ!!!

 

その後もハデスは2人を連射し、意識があるのかすら分からない状況の2人に追い討ちをかける。

 

「恨むならマカロフを恨め」

 

「やめっ…」

 

「よせぇ!!!」

 

「うえっ…ひっく」

 

ルーシィやエルザは必死で止めようと叫び、ウェンディはただ泣くことしかできずにいた。

 

「お前は…じっちゃんの…仇だ」

 

倒れ込むナツと、もはや気力だけで立っているリート、それでも2人は、ハデスを睨み続ける。

 

「オレは…お前を倒すまで…倒れる訳にはいかねぇ」

 

「惜しいな、うぬはマカロフに着くには惜しい存在だった。だが、私のギルドをここまでした罪は重い。うぬらはここで消え失せよ」

 

最後の一撃をハデスが撃ち込む直前、船に雷が落ちる。

 

そして、雷が落ちた場所、そこには見覚えのある姿が立っていた。

 

「こいつがジジイの仇か?ナツ、リート」

 

「ラ…」

 

「ラクサス」




まぁ、次はいつ書けることやら


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雷と氷

もう1話キリよく出来たんで投稿です。いやぁ1日2話投稿なんて久しぶり


「小僧!!?」

 

「フン!!」

 

バチィッ!!!

 

ハデスの目の前に降り立ったラクサス、そのままラクサスはすかさずハデスに向かって頭突きを繰り出した。

 

「ラクサス…」

 

「ラクサスが来てくれた」

 

「この人がマスターの…」

 

仲間のピンチに現れたラクサスに、ナツ達は安堵を見せる。

 

「こやつ、マカロフの血族か」

 

「フン!情けねぇなぁ、揃いも揃ってボロ雑巾みてーな格好しやがって」

 

ラクサスは、フラフラで立っているリートに視線を向けて話しかける。

 

「そもそも、テメェがいながら何やってんだヨ、リート」

 

「うるせぇ、こっちだっていっぱいいっぱいだったんだよ。つーか、なんでオメェこんな所にいんだよ」

 

「先代の墓参りだよ。コレでも元妖精の尻尾だからな」

 

「へっ、墓参りねぇ」

 

リートは、ゆっくりとラクサスの横に並ぶと、ラクサスに張り合うように肩を並べる。

 

「言い訳が苦しいんじゃねぇか?お前にしては」

 

「うるせぇよ。オレがオメェにトドメを刺してもいいんだぜ?」

 

リートは、ニヤリと笑ってラクサスに答えを返す。

 

「お前じゃ無理だね。仲間だもんよ」

 

「ッチ、分かったような口利きやがって」

 

ラクサスは、今度はハデスに視線を向けて、話しかける。

 

「オレはメイビスの墓参りに来たつもりだったんだがなぁ、こいつぁ驚いた。2代目さんが居られるとは…せっかくだから墓を作って、拝んでやるとするか、手ぇ貸せよリート」

 

「言われなくても」

 

ラクサスは雷を、リートは冷気を身体から放出させて構えをとった。

 

「フッ、ヤレヤレ小僧にこんな思い上がった親族が居たとはな」

 

ハデスもまた、魔力を身体から放出し、臨戦態勢になる。

 

「ラクサス!!!」

 

ラクサスが光速でその場から動き、リートはラクサスの動きに合わせて氷で足場を作る。

 

「ヌッ!!」

 

リートが足場を作ったことで、ラクサスは縦横無尽に動き回りハデスを混乱させる。

 

(速い、そして何より動きが不規則で目が追いつかぬ)

 

「フン!!」

 

困惑するハデスに向かってラクサスが蹴りを繰り出し、追い打ちをかけるようにリートが正面からハデスの腹向けて拳を繰り出す。

 

「ハァッ!!!」

 

「あの二人が…」

 

「まさか共闘するとはな…」

 

「でも、凄く頼もしい」

 

リートが殴り飛ばしたハデスをラクサスが追いかけ、ラクサスが技を仕掛ける。

 

「雷竜の、顎ォ!!!」

 

ハデスを床に叩きつけたラクサスは、その場から飛び上がり、そこにリートが作り出した氷の塊が落ちてくる。

 

「氷竜の、弾落!!!」

 

ズドォォン!!!

 

落とした氷の上から、ラクサスが雷を纏った足で氷の塊を突き抜け、ハデスに向かって蹴りを繰り出す。

だが、ラクサスの蹴りは僅かに反れ、ハデスは氷の塊から抜け出した。

 

「フン、なかなかの身のこなし、そしてその魔力、更には即興のコンビネーションも悪くないときた。小僧め、ギルダーツ以外にもまだこんな駒を残しておったとは」

 

「ハッ!この程度じゃまだまだ物足りねぇだろ?あそこのバカにオレが合わせてやってるんだからなぁ」

 

「誰がバカだ!!!第一合わせてるのはオレも一緒だっつーの!!!」

 

「ならば準備運動はもうよいだろう。かかってこい!!小童共!!」

 

「おもしれぇ、ギア上げてくぞ、リート」

 

「いいぜ、オレの新技お前にも見せてやるよ」

 

「いくぜ…」

 

「あぁ」

 

リートは真っ直ぐにハデスに向かって飛び出し、同時に拳を繰り出した。

ハデスがリートの拳を受け止めるが、今度はラクサスの拳が迫ってきており、リートの拳から手を離し、ハデスは後ろへと大きく飛ぶ。

 

「オォォォォ!!!」

 

飛び上がったハデスに向けて、ラクサスはブレスを吐き出すが、ハデスは船の壁を伝ってブレスを上手くかわす。

かわしたままハデスが魔法で鎖をラクサスに向けて飛ばし、ラクサスが鎖をかわすが、鎖は後ろの球型の模型に当たりハデスが鎖を操って2人に向けて転がしてくる。

 

2人は模型をかわし、地面に着地したハデスに向かって走り出した。

 

今度はラクサスが拳を構えハデスに殴りかかるが、ハデスは魔法でラクサスを吹き飛ばした。

その隙にリートが空中に飛び、ハデスの顔面に向けて回し蹴りを仕掛けるがハデスはしゃがみこんでリートの蹴りをかわし、動いていないラクサスに向けて魔法陣を仕掛ける。

 

「これは、天照式の!!!」

 

「散れぇい!!!」

 

ラクサスを囲む魔法陣が爆発し、巨大な爆炎でラクサスの姿が見えなくなる。

 

「ラクサス!!!」

 

ハデスはリートから距離をとると、ラクサスのいた場所を視界に入れながらリートを警戒する。

 

「これをくらったものは、四肢の力を失いまともに動くことは不可能、例え防いだとしてもその魔力の消耗は致命的」

 

「モード滅獣竜!!!!」

 

リートは床に足を付けると、モードを切り替え、滅獣魔導士(ビーストスレイヤー)の力を使う。

 

リートの牙は八重歯の見えるほどに伸び、黒目が細くなると手を床に着け、警戒する獣のように構えをとり高速で走り出す。

 

「何ィッ!!?」

 

更に、先程爆発した場所からラクサスが飛び出し、2人がハデスの後ろに回り込むと、ラクサスはハデスの後頭部に蹴りを、リートは背中に肘打ちをくらわせた。

 

「ぐわぁぁぁっ!!!」

 

この光景を見ていたグレイやエルザ達は、2人のコンビネーションを賞賛する。

 

「スゲェ」

 

(こんなに強かったのか、ラクサス…そしてそれについて行くリートも)

 

「それがテメェの新しい能力か?リート、そんなもんじゃ足りねぇぞ」

 

「うっせぇ、一瞬しか発動してねぇだろーが 」

 

リートは立ち上がると、起き上がろうとするハデスを見ながら言った。

 

「獣は本能で相手を見抜き、聴覚で危険を捉え、嗅覚で居場所を当て、視覚で動きを読む。どんだけテメーが強かろうと、獣の本能には逆らえねぇんだよ」

 

「ほざくな小童共がぁぁ!!!」

 

ハデスの闇の魔法と、ラクサスとリートの放った雷と冷気がぶつかり合い爆発を起こした。

 

「はぁっ、はぁっ」

 

「ぬおっ!」

 

ドサッ

 

荒い息を上げるリートの横で、ラクサスが膝を着いてしまった。

 

「!ラクサス!!!どうした!!?」

 

「おやおやどうしたね?大口を叩いた割には、膝を着くのが早すぎるではないか」

 

「!お前、まさかさっきの天照式の魔法を!!」

 

「ラクサス!!!」

 

「やはりか!!」

 

「さっきの魔法をくらってたんだ!!」

 

片膝を着きながら息を荒らげるラクサスは、下を見ながら苦しそうに話す。

 

「クッ…ハハハハッ…世界ってのは、本当に広い。オレがリートと手を組んでも倒しきれねぇ相手がいるなんてな、リートは満身創痍だとしても…オレは…まだまだ」

 

「何言ってんだぁ!!!」

 

「テメェ!諦めるなんてねぇだろ!!」

 

「しっかりしろよ!!ラクサス!!!」

 

「やってくれたのう、ラクサスとやら。だがそれもここまで、リートとやらも1人では私に手も足も出ぬほどの重症、ウヌらはもう、消えよ!!!」

 

ハデスは強力な魔法を込めて、ラクサスとリートのいる場所目掛けて撃ち出した。

 

「やべぇ!!!」

 

バッ!

 

「……は?」

 

リートがハデスの魔法に気を取られた時、ラクサスはリートをナツ達のいる所へ突き飛ばし、リートもあっけに取られながら吹き飛ぶ。

 

「オレはよう…もう妖精の尻尾の人間じゃねぇけどよう」

 

ズザザァァ!!!

 

「くっ!ラクサス!!!」

 

「ラクサス!!!」

 

「避けて!!!」

 

「それをくらったらダメです!!!!」

 

「ラクサスゥゥ!!!!」

 

「ジジイをやられたら…怒ってもいいんだよなぁ!!」

 

ラクサスの怒りに、ナツとリートは同時に叫んだ。

 

「「当たり前だァァァ!!!!!」」

 

それを聞いてラクサスは笑うと、残った魔力を全て解放する。

その雷の魔力は、ナツに向かって飛んで行った。

 

(雷!!?)

 

(ラクサス…)

 

それと同時に、ハデスの攻撃はラクサスに当たり、ボロボロのラクサスが床に倒れ込んだ。

 

(オレの…奢りだ…テメェらは2人で1つなんだろ?リートも強くなったなら…ナツも……強くならねぇとな…)

 

ラクサスの雷を纏ったナツと、青と黒の冷気を纏ったリートが同時に立ち上がった。

 

「はぁ…はぁ……ごちそー…さま」

 

「えぇ!?」

 

「ナツさん…リートさん」

 

「モード…滅神竜、今度は獣より魔力の消耗が激しい分、さっきの比じゃねーぞ」

 

「オレの…全魔力だ」

 

「何!?」

 

「自分の全魔力を、ナツに!?」

 

「ってことは…」

 

「雷、食べちゃったの?前はそれで寝込んじゃったって聞いたけど」

 

「なんで…リートじゃなく、オレに…オレはラクサスやリートより、弱ぇ」

 

ナツは苦虫を噛み潰したように歯を食いしばり、ラクサスをみる。

 

「強ぇか弱ぇかじゃねーだろ、傷つけられたのは誰だ?ギルドの紋章を刻んでねぇやつが刻んだやつと一緒にやってどーする!!ギルドが受けた痛みはギルドが返せ!!100倍でなぁ」

 

「…ナツ…ラクサスがここまで言ってんだ。手を貸してくれるな?」

 

「くっ…あぁ!」

 

ナツは雷を纏った炎を放出し、気合いを入れる。

 

「炎と雷の融合…雷炎竜」

 

「100倍…」

 

「いや、2人で」

 

「「200倍返しだ」」




最初に滅神竜使えよと思った方、引き伸ばしですよ引き伸ばし


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雷炎竜と氷神竜

今回リートの新技出します。


「ふぅぅぅ…」

 

「フゥー!フゥー!」

 

ナツは雷炎竜の力をリートは滅神竜の力を使い、ハデスと対峙する。

 

「ナツは雷を食べちゃうし…リートは神様を倒す力を得ちゃうし…」

 

「炎と雷の融合に、神とドラゴンの融合だと!!」

 

「雷炎竜に、滅神竜…」

 

 

 

「ウォォォォォォォォ!!!!!」

 

 

ナツは叫びを上げ、一瞬でハデスの目の前に移動する。

そして、ハデスさえも反応できない速度で顔面へと強烈なパンチを叩き込んだ。

 

「ぐぼぁぁぁ!!!」

 

そして殴り飛ばされ壁に叩きつけられたハデスに、今度はナツは頭上から炎を纏った蹴りを入れ、ハデスが炎ごと振り払うと炎の後に雷の攻撃がハデスを襲った。

 

「ぐわぁぁぁぁぁ!!!!」

 

雷が収まると、今度はハデスの足元の床が凍っており、リートが技を仕掛ける。

 

「氷神竜の、断罪刃」

 

凍った床から無数の氷柱が作り出され、剣山のような形になると、中心に居たハデスを左右から一気に挟み込む。

 

「かはぁっ…」

 

「炎の打撃の後に、雷の追加攻撃と、青と黒の冷気で作り上げた巨大な氷の攻撃!!?」

 

「凄い!2人とも!」

 

バリン!

 

氷を意図的にリートが壊し、ナツとリートが同時にハデスに飛びかかる。

 

「オレ達のギルドを壊しやがって!!!」

 

「テメェだけは…この手で倒す!!!!」

 

2人はそれぞれハデスを殴り、息を着く暇も与えずにラッシュを叩き込む。

 

「お前はぁぁ!!!」

 

そして、リートが最後に殴り飛ばし、ナツが飛び上がる。

ナツは右手に炎を、左手に雷を纏わせ、火竜の煌炎と同様の攻撃をハデスに撃ち込んだ。

 

「消えろぉぉぉ!!!」

 

それに続くように、リートも右手に青い冷気、左手に黒い冷気を纏ってハデスに向けて打ち出す。

 

炎と雷の球、青と黒の冷気が混じり合い、巨大な爆発がハデスに相当の深手を負わせる。

 

だが、当然ハデスもそのような攻撃だけでは終わらない。

 

「ふぬぁぁぁ!!!」

 

爆煙の中からハデスが飛び上がり、鎖でナツの腕を捉える。

 

「フハハァ!!!両腕を塞いだぞぉ!!!」

 

バキィン!!!

 

だが、ナツを縛る鎖はリートが一瞬で凍らせて破壊する。

 

「んなぁっ!!?」

 

「「スウゥゥゥゥ」」

 

2人は同時に息を大きく吸い込み、ハデスに狙いを定めた。

 

「雷炎竜の」

「氷神竜の」

 

「「咆哮ォォォォォォ!!!!!」」

 

 

2人のブレスは確実にハデスを捉え、更に大きなダメージを負わせた。

 

ブレスは船を突き抜け、地平線の彼方へと向かって飛んで行く。

 

パラパラ…

 

船の半分は今のブレスで消し飛び、ハデスは床に倒れ、ナツの雷炎竜はすでに解け、リートもモード変化を解いた。

 

「はぁ…はぁ…っはぁ…」

 

「かっ…た…」

 

「やった……ぞぉっ…」

 

ナツが後ろに倒れ込みそうになるのを、隣に居たリートが支えナツの腕を自身の肩に回して担ぐ。

 

「へへっ、よくやったなナツ」

 

「へへへっ…もう完全に、魔力がねぇや」

 

(自分でも消耗しきれない強さの力を使った反動だな。そりゃ限界も来るか)

 

「けど…」

 

リートは口元を緩めて優しい表情でナツを見る。

 

「ほんとに、強くなったな…お前」

 

「これで終わったな!!」

 

「はいっ!!」

 

これで全て終わった。この場に居た全員がそう思っていた。

だが

 

「大した若造共だ」

 

「「「「「「!?」」」」」」

 

ハデスはまだ倒されていなかった。ゆっくりと起き上がり、ナツ達を見やる。

 

「マカロフめ、全く恐ろしいガキ共を育てたものだ」

 

「そんな…」

 

「私がここまでやられたのは何十年ぶりかのぅ」

 

あれほどの攻撃を受けても立ち上がるハデスに、全員が絶望していた。

 

「ヒッ!」

 

「嘘だろ!!?」

 

「このまま片付けてやることは容易い事だが、楽しませて貰った礼をせねばな」

 

「あの攻撃が効かなかっただと!?」

 

「冗談じゃねぇぞ…こっちはもう満身創痍なんだよ」

 

ハデスは、自身の眼帯を外し閉じていた片目を開ける。

 

「悪魔の眼、開眼」

 

「ウヌらには特別に見せてしんぜよう。魔導の深淵、ここからはウヌらの想像を遥かに超える領域」

 

ハデスが開眼したことにより、先程より黒く闇の深い魔力がハデスの周りに浮かび上がる。

 

「バカな!!」

 

「こんなの…ありえない」

 

「こんな魔力は感じたことがない!!」

 

「まだ増殖していく!!」

 

 

「終わりだ。妖精の尻尾」

 

「ぐっ…」

 

ナツは立ち上がろうとするが、もはや立ち上がる力も残っていなかった。

 

「ナツ!!」

 

「くそっ…動く力…さえ、残ってねぇ」

 

疲労困憊のナツを見て、リートは大きく息を吐くと、ゆっくりと立ち上がる。

 

「ルーシィ、ナツを頼むわ」

 

「!?何をする気なのリート!!」

 

リートはその場から歩き出し、みんなの前に出ると、強化されたハデスを睨みつける。

 

「リート!!?」

 

「何をする気だ!!」

 

「まさか…その身体で1人で戦うつもりじゃ」

 

ウェンディの言葉に、リートが振り返ると、リートはただ口元を緩めてニコリと笑う。

 

「よせっ!お前だってもうボロボロなんだぞ!!!」

 

「これ以上やったら死んじまうぞ!!!」

 

「死んだらそん時はそん時だな」

 

 

「ほう、ウヌが1人で私と戦うと言うのか?」

 

「あぁ、ここからは全てオレが背負う」

 

リートは、残った魔力を振り絞り力を込める。

 

(例えオレが負けても、こいつらなら何とかしてくれる。そう信じてるからこそ、オレは1人でも戦えるんだ)

 

リートは拳を固く握ると、後ろを振り返って笑顔で話しかける。

 

「悪いけど、もし死んじまったらよ、誰かミラにすまないって伝えておいてくれるか?」

 

「バカなこと言ってんじゃねぇよ!!!だったらオレも!!」

 

「来んな!!!」

 

「!」

 

グレイが前に出ようとするのを、リートが一喝し、グレイの足を止める。

 

「大丈夫だからよ。信じて見ててくれよ」

 

「リート…」

 

「信じよう」

 

リートの言葉を聞いて、エルザがそう言ってくれた。

 

「だが、死んだら許さんぞ」

 

「あぁ」

 

リートは前を向き、ハデスに視線を向け直した。

 

「魔の道を行く者は深き闇の底へと沈む事、その先に見つけたるや深淵に輝く一なる魔法!!!あと少し、あと少しで一なる魔法にたどり着く、だがそのあと少しが深い。

その深さを埋めるこそ、大魔法世界!!ゼレフのいる世界!!!」

 

「今宵、ゼレフの覚醒と共に世界は変わる。そして、私はいよいよ手に入れるのだ!!一なる魔法を!!!」

 

 

「テメェの理屈はもう関係ねぇ…ここからはオレとお前の一騎打ちだ。テメェは言ったよな?悪魔の眼って」

 

「モード滅悪竜」

 

リートは魔力を放ち、冷気を纏うと、身体に黒い紋様が浮かび上がる。

 

「だったらオレとの相性は最悪だよ」

 

「ぬ?」

 

 

「オレは…

滅全魔導士(オールスレイヤー)のリートだ」




次回、オリジナル戦闘


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悪魔対滅悪

完全…とまではいきませんがほぼオリジナルです


「滅悪竜?フン!ヌシの力も所詮は一なる魔法のひとつに過ぎぬ」

 

「一なる魔法、一なる魔法ってうるせぇんだよ。そんなに負けねぇ自信があるならさっさとかかってこい」

 

リートは手を招いてハデスを挑発すると、ハデスは新たに構えをとる。

 

「ウヌらは行けぬ、大魔法世界には、ウヌらは足りぬ、深淵へと進む覚悟が」

 

ハデスが構えをとると、先程まで瓦礫だったものが見たこともない化け物へと変化する。

 

「それが悪魔…か」

 

「ゼレフ書第4章12節より、裏魔法『天罰(ネメシス)』」

 

リートの後ろにいるエルザやルーシィ達は、もはや気力もなく、ただ恐怖に震える事しかできなかった。

 

(一つ一つが…なんて絶望的な魔力の塊…ありえん)

 

(怖い、こわいっ!!)

 

「深淵の魔力を持ってすれば土塊から悪魔をも生成できる。悪魔の踊り子にて天の裁判官、これぞ裏魔法」

 

「次から次へと、やっかい極まりねぇ奴だ」

 

「踊れ、土塊の悪魔」

 

ぜレフの言葉に悪魔が反応し、一斉にリートに襲いかかる。

 

「オメェら!巻き込まれねぇように何とかして離れてろ!!!絶対にコイツらを通しはしねぇから!!!」

 

「お…おう!」

 

「全員できる限り離れるんだ!!!」

 

リートは水色の冷気と青色の冷気を両腕に纏い、構えをとる。

 

「氷悪竜の漸烈(ざんれつ)!!!」

 

リートは冷気で作った無数の鎌鼬を悪魔に向けて飛ばし、一体一体確実に真っ二つに切断した。

 

「ほう、残った僅かな魔力でここまでの技を見せるか」

 

「だが」

 

ハデスがまたも構えをとると、新たに瓦礫から悪魔を作り出す。

 

「土塊さえあれば悪魔は何度でも作り出せる」

 

「さぁて、そいつはどうかな」

 

「何をたわけた事を…」

 

そして、また先程やられてしまい瓦礫に戻った悪魔を呼び起こそうとするが、

 

(!?…悪魔が生成できん…だと?)

 

リートは、うろたえるハデスを見てニヤリと笑う。

 

「悪魔が作れねぇんだろ?」

 

「……ウヌは一体…何をしたァァ!!!!」

 

ハデスは悪魔を一斉にリートに襲いかからせるが、リートはその場から飛び退いて攻撃をかわす。

 

「簡単なことだ、今のオレの力は、悪魔を殺すドラゴンの力だぜ?1度殺した悪魔が復活することは無い」

 

「ふ…ふざけるなぁぁぁ!!!!」

 

ハデスは残った悪魔を手元に凝縮させ、レーザーのように撃ち出した。が、その先にいるのはリートではなく、

 

「!?ナツ!!!みんな!!!」

 

そう、その先に居たのはナツやルーシィ達妖精の尻尾の仲間たちだった。

 

「!みんな!この場から逃げろ!!!」

 

「エルザさん…腰が抜けちゃって…」

 

「こっちだ!!!」

 

エルザは単独で、ウェンディはグレイに担がれて攻撃の外に何とか逃げ延びるが、

 

「ナツ!!!お願い立って」

 

「ぐくっ…くそっ…動けねぇ…」

 

ルーシィに必死に呼びかけられるナツだけは、未だ立ち上がることが出来ずにいた。

 

「ナツ!!!ルーシィ!!!」

 

「やべぇぞ!!今のアイツらがあんなのくらったら!!」

 

「2人とも逃げてください!!!」

 

「フハハハ!!!さぁ!!!ウヌらはどうする?!!!」

 

「くっ!」(魔法じゃ間に合わねぇ!!!)

 

もはや考えてる余裕もないと感じたリートは、気づいた頃には身体が勝手に動いていた。

 

(もうダメ!!!)

 

ルーシィは膝を着くナツを抱きしめて、目を強く瞑る。

 

ズォォォォ!!!!

 

レーザーが過ぎ去った後、ルーシィはゆっくりと目を開ける。

 

 

「……なんとも…ない」

 

「ぐっ…」

 

2人が前を見ると、そこには手を横に広げて2人を庇うように立ち尽くすリートの姿があった。

 

「スッ…リート!!!!」

 

「リート!!!!」

 

「はぁ、はぁ…よーし、お前ら…生き…てるな?」

 

「バカヤロウ!!!何やって…」

「怖いか?…ナツ…」

「!」

 

ナツの言葉を遮って、リートはボロボロになりながらも話しかける。

 

「エルザ、グレイ、ウェンディ、ルーシィ…そしてナツ、恐怖を抱くってのは悪いことじゃねぇんだ。

恐怖ってのは悪じゃねぇ、それは自分自身の弱さを教えてくれる…弱さを知ることができるからこそ、人は優しくなれるし強くなれるんだ。

今は恐れていい、泣いたっていい、震えたって構わない…乗り越えろ、乗り越えた先に強さと優しさがあるんだからよ」

 

リートは顔を上げて、ナツ達の方を見ると、ニカッと笑う。

 

「お前たちが乗り越えられるまで、オレはいつまでも立ち止まっててやるよ」

 

そして今度はハデスを睨みつけた。

 

「だから、今はお前たちの恐れの対象であるあいつを、オレが倒してやる」

 

「話し合いはもうよいか?ならばそろそろウヌにトドメを刺すとしよう」

 

ハデスはもう一度悪魔を一斉に凝縮させて、レーザーを撃ち出した。

 

「全てを闇の底へ、日が沈む時だ。妖精の尻尾!!!」

 

「「「「「リート(さん)!!!!」」」」」

 

「やぁぁめぇろぉぉぉぉ!!!!」

 

 

ズドォォォ!!!

 

 

「……」

 

ピキピキピキ…

 

「!」

 

ハデスの撃ったレーザーが徐々に凍り付き始め、凍りついたレーザーは一瞬で割れて氷の結晶として降り注ぐ。

 

「バカな!!?」

 

氷の割れた先には、リートが両腕を前に突き出し抑える構えをとっていた。

 

「一体ウヌの何処にそれほどの魔力が!!?」

 

そして、ウェンディがあることに気がつく

 

「!…あれ?」

 

「どうしたの?ウェンディ」

 

ウェンディの視線の先には倒れていたハズの天狼樹が元の姿に戻っていた。

 

「な…」

 

「そんな…」

 

「天狼樹が元通りになってる!!?」

 

「魔力が元に…」

 

「戻っていく!!!」

 

リートは、構えをといて、足に力を込めた。

 

「これで終わりだ」

 

ドン!!!

 

床を一蹴りしただけで一瞬でハデスの下まで近づいたリートは、ハデスの顔面に強烈な拳を叩き込む。

 

「ぐはぁぁ!!!」

 

「バカな!!!裏魔法をあれほど受けてまだこれだけの力があるなど!!!」

 

(まさか!!)

 

その頃、ハッピー達が船の動力源と思いハデスの心臓を破壊していたのだ。

 

(私の心臓を!!!?)

 

「ォォォォォ!!!!」

 

リートはハデスの胸ぐらを掴み取り、開いた片腕で強烈なラッシュを叩き込んだ。

 

(私がマカロフに負けるというのか…)

 

「終わりだ!!!」

 

「否ぁ!!!」

 

最後の一撃を打つ瞬間に、ハデスはリートの顎に掌底を入れ、リートは殴り飛ばされる。

 

「ぐわっ!!!」

 

「魔導を進む者、頂きにたどり着くまでは、悪魔は眠らない!!!!」

 

ハデスは残った魔力の全てを使い、6体の悪魔を作り出しリートに向かってつき進ませる。

 

「行けぇ!!!悪魔たちよ!!!」

 

ズザザァ!!!

 

ダッ!!

 

だが、リートはそんな事もお構い無しに、前に突き進む。

 

「こんなもの!!!」

 

ドガッ!!!

 

「!」

 

リートが悪魔を攻撃しようとした瞬間、ラクサスが立ち上がって悪魔を殴り飛ばし、リートの行く道を開けてくれた。

 

「行けぇ!!!」

 

「おう!!!」

 

だが悪魔は後5体、リートは残った悪魔にも突撃して行った。

 

「契約まだだけど…開け!!!磨羯宮の扉!!!カプリコーン!!!」

 

ルーシィは、この争いで新たに手に入れた星霊カプリコーンを呼び出し、悪魔に立ち向かう。

 

「ルーシィ!!」

 

「行ってリート!!!悪魔はあたし達が何とかする!!!」

 

「ウヌは!!」

 

「ゾルディオではありませんぞ、メェは、ルーシィ様の星霊カプリコーン」

 

カプリコーンが悪魔を一体払い除け、更に道は開けた。

 

そして次の一体も、

 

「見様見真似、天竜の翼撃!!!!」

 

ウェンディも天竜の力で悪魔を吹き飛ばす。

 

「ウェンディ!!」

 

「お願いします!!リートさん!!」

 

そして次は2体同時に現れるが、

 

バッ!!

 

それを阻止するようにグレイとエルザが前に出る。

 

氷魔剣(アイスブリンガー)!!!!」

 

「天輪・五芒星の剣(ペンタグラムソード)!!!」

 

「グレイ!!エルザ!!!」

 

「後は頼んだ!!!」

 

「決めて来やがれ!!!!」

 

そして最後の一体が、リートの前に立ち塞がる。

 

バチバチ、ゴォォォ

 

「フゥゥゥ…」

 

最後の一体の拳が届く前に、ナツがリートの前に飛び出した。

 

「滅竜奥義・改!!!」

 

炎と雷が、悪魔を巻き込み、一気に悪魔を吹き飛ばす。

 

紅蓮爆雷刃(ぐれんばくらいじん)!!!」

 

「……ナツ」

 

「行けぇ!!!リーートーーー!!!!」

 

ズザァァッ

 

もはやリートを防ぐ悪魔はいなくなり、リートはハデスの元にたどり着いたと同時に、両手に魔力を込める。

 

「これで…ほんとに終わりだ」

 

「カァァァッ!!!」

 

ハデスが拳を振り下ろそうとするが、それよりも早く、リートがハデスの身体に手を当てて巨大な氷の球を作ってハデスを包み込む。

 

「滅悪竜・奥義!!!」

 

魔丸竜限覇(まがんりゅうげんは)!!!!」

 

ドォォン!!!!

 

ハデスを囲った巨大な氷の塊は、弾丸のような速さで発射され、ハデスは島の奥まで吹き飛ばされて行った。

 

「オォォォォォォ!!!!」

 

「これがオレ達のギルドだァァ!!!!」




滅悪竜奥義とか出したけど…これすると他のモードでも奥義作らんとじゃね!?もしかしてマズった…?


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つかぬ間の安らぎ

特にこれといって大きな話しの進みはございません!…なんかすんません


「終わったな」

 

「あぁ」

 

全てが終わり、エルザもいつもの鎧姿に戻る。

 

「私たち勝ったんですね!!」

 

「あたし達、ついにやったんだね」

 

「リートにおいしいとこ持ってかれちまったけどな」

 

「はぁっ…はぁ…」

 

全員が安堵する中、リートは息を粗げて膝を着き、滅悪竜を解いた。

 

「おい、大丈夫かよリート」

 

「あぁ、ちょっと魔力を使いすぎただけだ。心配…うっ!」

 

「リート!!?」

 

「しっかりしろ!!リート!!!」

 

「ウェンディ!!!リートを診てやってくれ!!」

 

「はいっ!!」

 

『まさかここまでやるとは思わなんだな』

 

リートの意識の中で、ずっと黙っていた刃鬼が話しかけてきた。

 

「バ…刃鬼…」

 

『安心しろ、今のオレには貴様を乗っ取ることは出来ん。だが、警告だ。もう時期に奴がこの島に来るぞ』

 

「奴…?奴って…うぐっ!」

 

『すぐに分かる。貴様に死なれては困るからな。後は好きにするといい』

 

そして、刃鬼の声は聞こえなくなり、リートの荒くなっていた息も落ち着いて来ていた。

 

「…おい、大丈夫か?」

 

「…あぁ、悪い心配かけた」

 

「リート、お前に聞きたいことがある」

 

「?」

 

落ち着いてきたリートを見て、エルザが話しかけてきた。

 

「先程まで使っていた力は何だ?滅全魔導士とは一体何だ?」

 

リートは頭をガシガシとかくと、エルザの質問に答える。

 

「さぁな、オレにも詳しいことはよく分からねぇ、だがあまり使える代物でもねぇな」

 

「そうだろうな、あの力は魔力の消耗が明らかに激しすぎる」

 

リートはバツの悪そうに話しを続けた。

 

「それだけじゃねぇんだ」

 

「どういう事だよ?魔力の消耗以外にも何かあるのか?」

 

グレイがそう聞くと、リートは視線をグレイに変えて答える。

 

「…刃鬼が出てくるかもしれねぇんだ」

 

「バキ?…ってなんだそりゃ?」

 

「あーアイツね、確かにアイツが出るとヤバいわよね」

 

「知ってるのか?ルーシィ」

 

「リートの身体を乗っ取る悪い奴よ。ものすごく強かったんだから」

 

「刃鬼、とは何者だ?」

 

「鬼の一族の魂…なんだとよ。今もオレの意識の中に居て、滅全魔導士の力を使うといつ現れるか分からねぇ、だから迂闊にこの力は使えねぇんだ」

 

「だが、ハデスとの闘いではそんな様子は無かったが」

 

「ギルダーツが倒した直後だったから、あいつの意識が無かったんだよ。恐らく、アイツが現れるのはオレの体力と魔力が一定以下になった時に滅全魔導士の力を使った時だ。だが、今はまだその基準が分からねぇ」

 

「関係ねぇよ」

 

ナツが悩むリートを一言で一喝する。

 

「今度はオレがアイツを倒してやるだけだからな」

 

「ナツ…」

 

リートが、軽くナツを小突いて呆れた顔をする。

 

「なら、ギルダーツ並みに強くならねぇとな」

 

「へっ!ヨユーだね!今のオレならな!」

 

「どの口が言ってんだクソバカチョロ火野郎が」

 

「ア"ァ?余裕だっつってんだろカチコチ変態パンツ男」

 

「なんだとこの熱血ツリ目野郎が、暑苦しいんだよ」

 

「んだと、このヒエヒエタレ目が、見てるだけで寒いんだよテメーは」

 

「やめんか!!!」

 

「「あいっ!!!」」

 

「意外と元気じゃねぇかお前ら」

 

「「アハハハッ!!」」

 

喧嘩を始めようとするナツとグレイを、エルザが一喝するといういつもの光景に戻り、ルーシィ達にも笑顔が戻る。

 

「うえぇぇーーん!!!助けてナツゥ!!!」

 

「リートーーー!!!ヘルプミーですわぁぁぁ!!!」

 

安堵したのも束の間、談笑するリート達の下へ、ハッピーやラリカ達が全力疾走でかけてきた。

 

「お前ら…」

 

「あれって」

 

「悪魔の心臓の残党…っぽいな」

 

本来なら余裕で倒せる敵だが、今のリート達は余裕が無かった。

 

「マズイぞ」

 

「くそっ、さすがにもう魔力がゼロだ」

 

「くっ…」

 

「すまん、オレも魔力が」

 

「みんな怒ってるよぉ」

 

「そりゃそうでしょ」

 

「船を壊したのは(わたくし)たちですから当然と言えば当然ですわよね」

 

「ぐっ…お前らは下がってろ」

 

リートが立ち上がろうとするのをウェンディが必死に止める。

 

「ダメですリートさん!!!貴方が1番重症なんですよ!!!」

 

「構うもんか、魔力が無くても手足があれば喧嘩くらいはできる」

 

「リートさん!!!」

 

ザッ!

 

「そこまでじゃあ!!!」

 

リートが立ち向かおうとした時、瓦礫の上からギルダーツとジュビアを除くマカロフ達妖精の尻尾のメンバーが勢ぞろいして悪魔の心臓の残党を睨みつけていた。

 

「じっちゃん!!」

 

「ミラ!!」

 

「みんなー!!」

 

「マスターもガジルさんも!!」

 

「よく無事で!!」

 

天狼樹が戻ったことにより、島の籠で全員が元気を取り戻していたのだ。

 

妖精の尻尾のメンバーが揃い、悪魔の心臓の残党が慌てふためく。

 

「ふ…増えた!!?」

 

「あれは、マカロフだ!!!」

 

「おい、大変だ!!さっき、アッチにマスターハデスが飛んでいくのを見たって奴がいるって!!」

 

「マスターが負けたのか!!?」

 

 

「今すぐこの島から出て行け」

 

ヒィェェェェ

 

マカロフの一蹴りで、悪魔の心臓の残党は一目散に逃げ出して行った。

 

やったぁぁぁ!!!!

 

これで本当に妖精の尻尾の勝利が確定し、全員が喜びの声をあげる。

 

「フフフ、リート」

 

「ん?」

 

「この後お説教ね」

 

笑顔でリートに話しかけてくるミラだが、目の奥が笑ってない事を、その場の全員がきづいていた。

 

「……なんで?」

 

「自分で考えてください」

 

「なんでウェンディも怒ってんの?」

 

「ウェンディ〜無事で良かったよぉ〜〜」

 

「ひゃあ!!!」

 

泣きながらウェンディに抱きつくマーラに、ウェンディは優しく頭を撫でる。

 

「うん、全部終わったよ。マーラ」

 

「あれ?ジュビアは?」

 

「ん?見てないな」

 

ジュビアを探すグレイに、フリードは見ていないと答える。

 

(無事なのか?ゼレフはどーなった?)

 

そしてマカロフは、黙ってここに来ていたラクサスに目を向け、ラクサスはバツの悪そうに目を背ける。

 

「よくぞ、戻ってきた……なーんて言うと思ったかバカタレめぇ!!!破門中の身でありながら、天狼島へ足を踏み入れるとはァ!!!!」

 

「うるせぇジジイだなぁ」

 

「マスター落ち着いてぇ」

 

「まぁまぁマスター、ここは1つ穏便に…」

 

「ラ…ラクサス…」

 

必死に暴れるマカロフを、宥めるように抑えるリートとレビィ、そしてその光景を雷神衆の3人が見て肩を震わせていた。

 

「帰ってきたのか!!!」

 

「ラクサスゥーー!!!」

 

「ウザッ!!」

 

泣きながら喜んで抱きつく雷神衆3人組にも、ラクサスはウザったいといいながらもされるがままになっていた。

 

「相変わらず厳しいなぁマスター、これぞ漢」

 

「そうね、破門中…か」

 

「さーて試験の続きだぁ!!!!」

 

「今からやるの!!?」

 

気合を入れて叫ぶナツに、ハッピーは驚いていた。

 

「2次試験は邪魔されたからなぁ、ノーカウントだ!!この際分かりやすくバトルでやろうぜバトルでよ」

 

「バトルか!いいなそれ!オレも混ぜてくれ」

 

「オメェは1次試験で脱落したろーが」

 

「私はもうバンクさんと組むのは嫌ですよ?!!!」

 

「テメーらの頭どーなってんだ!!そんなボロボロでオレに勝てるとでも思ってんのか!!」

 

「あぁ、ヨユーだね!!!今のオレは雷炎…はっ!!?あっ…あぁ…」

 

「オ…おい」

 

バタン!

 

余裕そうにしていたナツがいきなり倒れ込み、いきなり気を失った。

 

「ナツ!!?」

 

「どんな気絶の仕方だよ!!!」

 

「おう、動かねぇなこりゃ」

 

気絶するナツに心配そうに声をかけるレビィ、そしてそれをツッコむガジル、最後には木の棒でツンツンと突ついてみるバンクという奇妙な光景が出来上がっていた。

 

「あーぁ、こりゃ身体に相当な負荷をかけた代償だな」

 

「炎以外を食べた副作用だな」

 

「とりあえず、キャンプまで戻りませんか?」

 

「さんせー!私もう疲れちゃった」

 

「少しは休まないと身体がもたないわ」

 

そして倒れたナツを放置して、全員がキャンプ地へと足を進める。

 

「それもそうだな」

 

「帰ろ帰ろ」

 

「リート、キャンプ地に戻ったらまず正座ね」

 

「え?だからなんd「正座ね」…あい」

 

ナツを背負うルーシィと、その隣にいるハッピーを残して。

 

「え?ちょっと!アタシがナツを運ぶの!!?」

 

「大丈夫!オイラが応援してあげます」

 

「手伝うとか言えないのかしら?」

 

「そーゆー事でしたら、メェにお任せ下さいルーシィ様」

 

ルーシィが呼んだわけでもないのに、いきなりカプリコーンが現れ、ルーシィを片手で抱き上げ、ナツを脇に抱える。

 

「カプリコーン、ありがとぅ」

 

「!気のせいかナツがおざなりに」

 

「コチラの猫様はルーシィ様の御学友で?」

 

「あい!そちらのルーシィ様の先輩にあたります」

 

ハッピーとカプリコーンも話しを続けながら、メンバー達に着いて行った。

 

「フフフ、なんだろうねありゃぁ」

 

「すっかり馴染んでやがるなぁ」

 

笑いながら談笑するカナとグレイだったが、心の奥では、カナはギルダーツを、グレイはジュビアの事を心配していた。

 

そして全員が揃ってキャンプへと向かって足を進めるのだった。




今回進んだ事、刃鬼復活!…ダメじゃね?


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キャンプ地で

今日は完全にリートのお仕置き会です


「がぁーごぉーがぁーごぉー」

 

あれからキャンプへと戻った妖精の尻尾のメンバーは、それぞれがようやっと一息つけたという所だった。

 

「うるせぇなぁナツ!!黙って寝れねぇのかよ!!」

 

「いいじゃない、休ませてあげれば」

 

「ミラ姉、いいこと思いついた!!」

 

リサーナは、ナツの髪をゴムで留めて遊び出す。

 

「ツインテのナツ!!可愛くない?」

 

「アッハハ」

 

「気持ち悪っ」

 

「あのー…ミラさん、オレはいつまで正座をしていれば?」

 

ミラの近くで正座をしているリートは、もうかれこれ30分程正座し続けていた。

 

「そうねぇ、リートがなんで怒られているか分かるまでかな?」

 

「満面の笑顔で鬼のような発言!!?」

 

「ラリカー!石追加よぉ」

 

「はいですわぁ」

 

ラリカは、平たく重みのある石をリートの足の上に持ってくると、そのまま足に乗せて積み上げる。

 

ゴトン!

 

「ア"ァァァァァァ!!!!ナニコレ!めっちゃ痛い!!」

 

「古くから伝わる拷問、石抱きですわ!!1度こーゆー簡易的かつ、苦痛を浴びせられる拷問もやってみたかったんですわよねぇ」

 

「だからってなんでオレで実験するの!!?」

 

「ミラに頼まれたものですので、私としてもやってみたかったこともあり、断れませんでしたわ」

 

「鬼ラリカ !!悪魔ミラ!!!人でなしコンビ!!!」

 

「ラリカ、反省してないみたいだから石3枚追加よ」

 

「了解ですわ」

 

ラリカは、懐から1枚ずつ石を取り出す。

 

「どーやって出したの今!!?」

 

「フッ、愚問ですわね。事、拷問に関してなら、私に不可能はありませんの!!!」

 

「そこは不可能であって欲しかった!!!」

 

ゴトン、ゴトン、ゴトン

 

「ア"ァァァァァァ!!!!」

 

それから後、ミラはようやく立ち上がり、シクシクと泣いてるリートの前でしゃがみ込んで顔を見る。

 

「?」

 

「いい?リート、私が怒ってるのは貴方が自分の命を軽く見たからよ」

 

「へ?いや、オレは別に軽くなんて「見たでしょ」…どの辺で?」

 

ミラは人差し指を立てて、リートの鼻を触る。

 

「あなた、さっき悪魔の心臓の残党に1人で立ち向かおうとしたでしょ、魔力もないボロボロの身体で、ウェンディに止められながらも。私が怒っているのはそこ」

 

「あ…見てたんっすね」

 

「えぇ、だからコレは罰よ。今後同じようなことをしようとして、あなたが死んだりしない為のね」

 

「……」

 

リートは、申し訳なさそうに下を向く。

 

「という訳でラリカ!石、お願いしまーす!!」

 

「はぁいでっすわぁ!」

 

ゴトン

 

「もはや純粋に楽しんでないっすかァァァァ!!!?」

 

 

そして、リートの叫びは全員に聞こえていたが、誰もリートを助けようとはしなかった。

それはミラの言うことが最もだと思う者、特に助ける理由が無い者、そしてミラが怖いから手を出せない者と理由は様々だった。

 

「オイラ達が壊したのがハデスの心臓だったのかぁ」

 

「偶然とはいえ、いい仕事したわね」

 

「あれが船の動力源になってたとも思えば、エクシード隊の初任務は、成功という訳だ」

 

「そうね」

 

「あいさー!」

 

ハッピー、シャルル、リリーと談笑をしているところに、ガジルがリリーを心配していやってくる。

 

「オイ!怪我は無いかリリー…ぐっ!」

 

「うむ、お前よりはマシだ」

 

雷神衆は、ラクサスが帰ってきたと思い、嬉しそうに話しをする。

 

「よく帰ってきたなラクサス」

 

『キターキター』

 

「いやぁ、帰ってきた訳じゃねぇよ」

 

「ラクサスが帰ってきたぁ〜」

 

「だから…」

 

「ねぇ〜、ラクサスがいない間にエルフマンが私に悪いことするのぉ、仕返ししてぇ?」

 

「テメェ!!!」

 

エバの話しを訊いたラクサスが立ち上がり、エルフマンに絡みだす。

 

「ほぉー、テメェいつの間に」

 

「ちょっ…ちょっと待て!これはつまり、ややこしい説明がぁ!!!」

 

ポンとエルフマンの肩に手を置いて、何かを察したラクサスがコクコクと黙って頷く。

 

「どーゆー意味だよコレェ!!!」

 

そして、カナと談笑してるルーシィに、カプリコーンが帰りの挨拶をしに来る。

 

「それではルーシィ様、メェはそろそろ」

 

「ありがとねカプリコーン。これからよろしくね」

 

「こちらこそ、ルーシィ様のお役に立てるよう努めます…そういえば、いえ、やめておきましょう」

 

カプリコーンが何かを言おうとするがやめてしまい、ルーシィが気にした様子を見せる。

 

「いいよぉ、遠慮なんかしなくていいから言って」

 

「それでは…健康と魔力の為にもう少し体重を絞られた方が良いかと、先程お運びした時にちょっと…」

 

「うっ…」

 

「これからはメェがお食事のメニューを考えましょうか?肉やスイーツをカットして」

 

「やっぱりちょっと遠慮してもらおうかしらぁ…」

 

「…ナハハ」

 

そして、ある程度魔力の回復したウェンディが、メンバー一人一人の治療をして頑張っていた。

 

「オー、もう痛くねぇや、やるな回復娘」

 

「ウェンディを変な呼び方しないでください!バンクさん!!」

 

「次、レビィさんの怪我の手当てをします」

 

「私は大丈夫、ウェンディも少し休んだら?」

 

「いいえ、天狼樹が元通りになってから、調子がいいんです」

 

「しかし、倒れた天狼樹がどうやって元通りに?」

 

エルザがどうしても分からないと考え込む素振りを見せる隣で、グレイはある人物の顔を浮かべていた。

 

(ウルティア…まさかな)

 

ガサガサ

 

グレイたちの後ろから草をかき分ける音が聞こえ、グレイとエルザの2人は慌てて振り返る。

 

「!なっ!」

 

「クセ者?!!」

 

草の陰から現れたのは、敵では無く、ゼレフを捕まえて逃げていった悪魔の心臓の1人を、追いかけていたジュビアだった。

 

「みなさ〜〜ん…」

 

「ジュビア!?」

 

「無事だったか!!」

 

「すみ"まぜん!!ジュビアは、ゼレフを逃がしてしまいましたぁ〜」

 

ジュビアは、グレイの前に尻を突き出してお仕置きを要求する。

 

「グレイ様ァ!お仕置きして下さぁい、さぁ!好きなだけぶって下さぁい」

 

「お…オレにそんな趣味はねぇ!!」

 

「こっちにはあるんですぅ」

 

その光景を見たラリカが、翼で寄ってくる。

 

「なかなかいい趣味ですわねグレイ」

 

「だから趣味じゃねぇって!!」

 

「そんなあなたにいいものを差し上げますわ」

 

ラリカは棘のついた鞭を懐から取り出して、グレイに手渡す。

 

「さぁ!今ですわよ!!」

 

「何がだ!!!」

 

 

「あとはギルダーツ」

 

「…うん」

 

「大丈夫。だって相手はリートだったんだから。そのリートが気にした様子もないって事は」

 

「……」

 

それでもやはり心配なのか、カナは暗い顔で大きな木の実のジュースを啜る。

 

(お父さん…)

 

「ところでよォ、オメェ破門になったんだってなぁ!プフッ、だっせー」

 

「やかましいぞオッサン」

 

いつの間にかギルダーツもキャンプ地に戻ってきており、破門中のラクサスを小馬鹿にしていた。

 

「ブフーーーッ!!!」

 

そこへ、目が覚めたナツがギルダーツに勝負を挑みにかかる。

 

「ギルダーツゥ!!!オレと勝負」

 

ゴン!!!

 

「休ませろっての」

 

「ガハァッ!!!」

 

だが、そんなナツをギルダーツは氷の義手で一撃で叩き伏せる。

 

「瞬殺かよ…」

 

「おう、リート!お前の義手、慣れれば結構いいもんだな!今度予備も作っといてくれ」

 

石抱きされ続けるリートに、当然のように語りかけるギルダーツは、リートの今の状況を見ても全く気にする気配がなかった。

 

「溶けて無くなるわボケっ!!!というか助けろギルダーツ!!!」

 

「めんどくせっ」

 

「この鬼畜!!!」

 

「ウェンディ…こっちも頼む…」

 

そして続々と治療するウェンディに、自分も直してもらおうと行列が出来上がっていた。

 

「頼りになるなぁ」

 

「漢だ」

 

「お前も治療して貰っとけよリリー」

 

「オレのことよりお前のダメージの方が深刻だな」

 

「な…なんか行列になっちゃったね」

 

「ハイハーイ、並んでくださーい、1人ずつですからねぇ」

 

行列の出来ている列を、マーラが慣れた手付きで整理していく。

 

「大丈夫です!こーゆー時こそお役に立てるし!」

 

「あんまり無茶しちゃダメよ?」

 

「そーだよぉ、無理そうならアタシが列を整理しとくからねぇ」

 

「ウェンディ、変わろうか?」

 

「?」

 

ウェンディが振り向くと、なぜかミニスカナース姿のエルザが立っていた。

 

「って!エルザさんその格好…ナース?」

 

「エルザさん治療できるの?」

 

「あんたに治癒の力ないでしょ!!?」

 

「勝負に能力の差は関係ないぞウェンディ、試されるのは心だ」

 

「フェッ!?勝負ですか?!!」

 

「コレ、勝負だったの?」

 

「ちょっと!ウェンディが怯えるじゃない!!」

 

(始まった…)

 

エルザは木箱の上に座り、足を組んでセクシーさを出しつつ怪我人たちに問いかける。

 

「さぁ素直に言って見ろ、痛いところはどこだ?まずは熱を測ってやろうか?それとも注射がいいか?」

 

その光景にグレイ、ガジル、ナツ達は呆れた顔で見ていた。

 

「ったく、何が始まったかと思えば」

 

「イカれてるぜ」

 

「うんうん」

 

男性陣のリート以外全員が列を作りながらだが、

 

「ちゃっかり割り込むなっての!!!」

 

「ちゃんと並べぇテメーらぁ!!!」

 

「オス共ぉ!!!!」

 

ズゥゥン

 

エルザに治療人を奪われて、ウェンディは分かりやすく落ち込んでいた。

 

「ほ…ほらぁ!少し休めるから良かったじゃない!ね?」

 

「ダメだわウチのオス共は」

 

「やっぱり、お胸の差でしょうか…」

 

ズプリ

 

「リートは見ちゃダメよ?」

 

「石抱き中のオレの目を的確に潰しに来るなァァァァ!!!!」

 

ミラはリートがエルザを見ないように、指2本で目潰しにかかる。

 

だが、エルザの治療はもはやめちゃくちゃで、

 

「包帯というのは、中々難しいものだなぁ」

 

グレイとガジルが2人まとめて包帯で縛り上げられていた。

 

「「殺す気かぁ!!!」」

 

その2人を見たジュビアとレビィは嫉妬と怒りの目でグレイとガジルを見ていた。

 

「グレイ様っお仕置きするより、お仕置きされる方が好きだなんて!ジュビアショック!」

 

「グァジィルゥゥ!!」

 

気がつけば、もう完全に妖精の尻尾のいつものノリに戻っていた。

 

「マスター、試験の方はどうします?」

 

「そーじゃのう!仕切り直すにしても、1度ギルドに戻った方が良いかぁ!!」




石抱き、目潰し、これではまだ生温いですが、ここに尺使っても仕方ないので、お仕置きはこの辺にしときましょう


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お父さん

意外とまだかかるんっすよねぇ


「皆の者、心して聞けい、今から重大発表をする」

 

木箱を積み上げた上に立つマカロフを、妖精の尻尾のメンバー全員が見上げてマカロフの話しを聞く体勢をとる。

 

「天狼島からギルドに戻ったその日より…女子のみ制服を設定するぅ!ナース服かスク水限定じゃぁ!!!ヤッホウ!!イェア!!!」

 

「何の話しかしらぁ!!!」

 

「成程、それは楽しみだな」

 

マカロフのおふざけにツッコむルーシィ、そしてエルザはなぜか楽しそうにしていた。

 

「ノらない!!!ここ怒るとこ!!!」

 

「マスター」

 

「真面目にやれ」

 

ふざけるマカロフに、ミラとリートが圧をかける。

 

「すみましぇーん、ちょっとノリで」

 

その後、マカロフはようやく本題に入った。

 

「今回のS級試験は、中止にしようと思う」

 

 

「「「「なんだとぉぉぉ!!!!」」」」

 

 

「だ・か・ら!今回は、S級魔導士昇格試験は、中止とする!」

 

マカロフの決定に、ナツやグレイ達は異論を唱えていた。

 

「納得いかねぇぞじーさん!!!」

 

「なんで中止なんだよぉ!!!」

 

「オレをS級にしやがれぇ!!!」

 

「候補者はオメェじゃなくて、レビィの方だけどなぁ」

 

グレイ、ナツ、ガジル、エルフマンと納得いかずにマカロフに迫っていた。

 

「仕方なかろう、色々あったんじゃから」

 

「候補者の中に評議員が紛れ込んでいたり、悪魔の心臓に邪魔されたり」

 

「まぁ、どうしようもねぇ事態だったからな。文句言うなお前ら」

 

ミラとリートはマカロフの意見に賛成なのか、ナツ達を抑える。

 

「バンクさんは文句言わないんですね」

 

「ん?オレァだって1次で落ちてるしな、そもそも選ばれるとすら思ってなかったから、まぁ中止になっても闘いじゃなければいいかってくらいだな」

 

「へぇー意外と聞き分けいい時もあるんですね」

 

「意外とってなんだ意外とって」

 

バンクが、ナツ達と一緒に文句を唱えるだろうと思っていたマーラが、バンクの意見を訊き意外そうな顔をしていた。

 

「今回は仕方ないかなぁ」

 

「オメェ、それでいいのかよチクショー!!!」

 

「お前がそんなに熱くなる事もなかろう」

 

諦めるレビィに、怒鳴るガジル、そしてそれをリリーがなだめる。

 

それに続くように、グレイやエルフマンも諦めるが、ナツだけは諦めていなかった。

 

「オレは諦めねぇぞ!!!グレイもレビィもエルフマンも諦めるんだな?!!だったらオレがS級になる!!S級になるんだぁぁ!!!」

 

子供のようにワガママを言うナツに、リートがため息をついて立ち上がった。

 

「はぁ、マスター」

 

「ん?」

 

リートは、マカロフに耳打ちで何かを話していた。

 

「うーむ、まぁええじゃろう」

 

「どーも」

 

マカロフから何かの許可を貰ったリートが、ナツに話しかける。

 

「ナツ、マスターから最終試験の許可貰えたぞ」

 

「ほんとか!!?」

 

「あぁ」

 

「リートと勝負して勝てたらナツをS級にしてやるわい」

 

「おおっしゃぁぁ!!!燃えてきたぁ!!!」

 

「よっ」

 

リートが腕を振り下ろし、気合いを入れるナツの頭上に巨大な氷の塊を落とした。

 

ズズゥゥン

 

「ま…まいりました…」

 

「よーやった。リート」

 

 

その頃、ラクサス達はというと。

 

「ふぁにふんのぉ」

 

リサーナが生きていたことに驚き、リサーナの頬を引っ張っていた。

 

「いや、本物なのかなって思って」

 

「本物よ!!失礼ねぇ!!」

 

「あんまりいじめたら可哀想よ」

 

「あの洞察力さすがはラクサス、見習わねば」

 

「そ…そーか?」

 

『そーか?そーか?』

 

そしてその状況を、少し離れた木陰からウェンディ達が隠れて見ていた。

 

「ちょっと挨拶するの怖くなってきたね、マーラ、シャルル」

 

「え?そう?」

 

「何に怯えてんの?アンタ」

 

「じゃあアタシが先に行って仲良くなってきて挨拶しやすいムードを作ってくるよ!それならウェンディも挨拶しやすいでしょ?」

 

マーラはダッシュで、ラクサスの元へと走っていった。

 

「あ、マーラ!!?」

 

「すっいませーーん!!!アタシも混ぜてくださぁぁい!!!」

 

「あのコミュニケーション能力だけは、見習った方がいいわよアンタ」

 

「ううぅ…はい」

 

「色々噂を聞いてるだろうが、根は悪いやつじゃない、ただ少し不器用なだけなんだ。だから、マーラのように話しかけに行ってもちゃんと相手をしてくれるさ」

 

「エルザさん」

 

エルザの言葉を聞いて、ウェンディは少しだけ勇気が湧いた。

 

「ウェンディーー!!!」

 

そしてマーラが、ラクサスのいる場所からウェンディを呼んで手を振っていた。

 

「はい!私、挨拶に行ってきます!!」

 

 

「よーしっ!ナツ!!リート!!釣りに行くぞ釣り」

 

ギルダーツが立ち上がり、ナツとリートを釣りに誘う。

 

「お?」

 

「釣りって、ほんと好きだなギルダーツ」

 

「さかな〜!!」

 

ギルダーツは釣竿を3本持って、リートとナツ、そしてハッピーが後ろをついて行った。

 

ボーーーッ

 

「なんだよそのシケたツラはよぉ」

 

ただ釣り糸を垂らすのが退屈なのかボーッとするナツにギルダーツが話しかける。

 

「だって、全然面白くねぇんだもん」

 

「まぁ、食いつく魚がいなけりゃ面白くねぇわな」

 

「分かってねぇなぁお前ら、釣りは漢のロマン「それ初日に訊いた」何度でも訊けってんだ」

 

「そうだよ。魚こそがロマンだよ」

 

ハッピーは、釣れた魚の入ったカゴをガサゴソと漁る。

 

「食えりゃいいってもんじゃねぇぞ、駆り立てられる狩猟本能!!この大自然との一体感!!食うか食われるかの真剣勝負!!まさにここは、漢の遊び場!!!」

 

「へーへー」

 

ピクッ

 

そうやって話してる内に、ナツの竿に獲物がかかった。

 

「おぉ!なんかかかった!」

 

「いいぞナツ!引けぇ引けぇ!」

 

「楽しそうだねお前ら」

 

「ギルダーツ!!」

 

ナツが魚と格闘してる時、ルーシィとカナがギルダーツを呼び出す。

 

「ちょっと待てぇ!!今ナツが漢のロマンに目覚める瞬間なんだ!!」

 

「カナがちょっと、大事な話しがあるんだって」

 

「?」

 

「ナツもリートもハッピーも、こっちこっちぃ」

 

ルーシィはナツ達を引きずって、ギルダーツから距離をとる。

 

「どわぁぁ!!」

 

「ついて行くから引きずるなっての!!」

 

「さかな〜!!」

 

そして2人きりになったカナとギルダーツは、本題を話し出す。

 

「どうした?」

 

「私、ギルドに来た理由ってね…父親を探して、なんだよね」

 

「そりゃあ初耳だな」

 

「つーことは、アレか、お前の親父さんは妖精の尻尾にいたのか」

 

「う…うん」

 

ルーシィ達は草陰に隠れて、カナとギルダーツのやり取りを見ていた。

 

「頑張れぇ、カナ!アンタ達は帰ってなさい」

 

「「「?」」」

 

カナは勇気を振り絞り、本当のことを言った。

 

「ギルダーツなんだ」

 

「…え?」

 

それを草陰から聞いていたナツ達は、あんぐりと口を開けて驚き、ルーシィはうんうんとうなづいていた。

 

「うえぇぇぇぇ!!!!?」

 

その事は、ギルダーツ本人も分かっていなかったらしく、当事者であるギルダーツすらも驚きを隠せなかった。

 

「色々あって、ずっと言えなかったんだけど…」

 

「ちょっ!ちょっと待て!!!お、お前!!」

 

「受け入れ難いよね」

 

「だっ…誰の子なんだ!!?サラ?ナオミ?クレア?フィーナ?マリー?イライザ?いやいやいや!髪の色が違う!エマ?ライラ?ジーン?シドニー?ケイト?ユウコ?フランソワ?」

 

「っておっさん!!!どんだけ女作ってんだよ!!!」

 

陰で聞いていたリートが、呆れた顔で反応していた。

 

「そーいや、この島に最初来た時、女の話しで名前出しまくってたなぁあのおっさん」

 

「わかった!!シルビアだなそっくりだぜ!…性別とか」

 

「あーもう腹立つぅ!!こんなしょーもない女たらしがオヤジだなんてぇ!!!とにかくそーゆー事だから!それだけ」

 

カナが元のキャンプへと戻ろうとするのを、ギルダーツが止めようとする。

 

「ま…待て!!」

 

「私が言いたかったのはそれだけ!別に家族になろうとか、そーゆーのじゃないから!!今まで通りで、構わな…」

 

最後まで話しを聞く前に、ギルダーツはカナを抱きしめる。

 

「コーネリアの子だぁ、間違いねぇ」

 

「…離せよ」

 

「なんで今まで黙ってたんだ」

 

「言い出しづらかったんだ。そんなこんなで今頃になっちまったのさ」

 

「コーネリアは、オレが唯一愛した女だ。結婚したのもコーネリアだけさ

仕事ばかりのオレに愛想をつかして出ていったのが18年前、風の便りで逝っちまった事は知ってたが…子供がいたなんて」

 

ギルダーツは、カナの母親のことを悲しげに話す。

 

「すまねぇ、お前に気づいてやれなかった」

 

カナは抱きしめるギルダーツの腕から離れて、ギルダーツの顔を見上げる。

 

「いいよ。わざとバレないようにしていたのも私だし、勝手で悪いけどさ、私はこれで胸のつかえが取れた」

 

「…こんなに近くに、娘がいたのに」

 

「よせって、責任取れとかそーゆーつもりで話したんじゃないんだ。いつも通りでいいよ

ただ、1回だけ言わせて」

 

「会えてよかったよ。お父さん」

 

「カナ!!」

 

ギルダーツは涙を浮かべて、もう一度カナを抱きしめる。

 

「もう寂しい思いはさせねぇ…二度とさせねぇ!」

 

「…うん」

 

「これからは、仕事行くのも、酒飲むのも、ずっと一緒にいてやる」

 

「それはちょっとウザイかな」

 

「だから、オレにお前を愛する資格をくれぇ!!」

 

その光景を、最後まで見ていたナツやルーシィ達も泣いていた。

 

(お父さんかぁ、帰ったら久しぶりに、会ってみようかな)

 

だが、リート達はまだ知らない。これから起こる悲劇を




やつが出るのは次回っすよ次回


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アクノロギア

来ちゃったよ原作ラスボス


784年12月16日、天狼島

 

ゴオォォォ

 

「!」

 

地鳴りから何かを感じ取ったリート達は、意識を集中して違和感の正体を探ろうとしていた。

 

「この感じ…」

 

「なんだろう」

 

「妙な風だなぁ、嫌な匂いだ」

 

「こんな感じは初めてだ」

 

「そうか!わかった!」

 

ハッピーは自身の食料として持っていた魚を、ルーシィに渡そうとする。

 

「ルーシィ、はい食べていいよ」

 

「なんでよ!!!意味わかんないんですけどぉ!!!」

 

「腹の音はちげーだろ…」

 

グアァァァァ!!!

 

 

「「「!!!」」」

 

「何!!?」

 

島中に轟く鳴き声に、リート達が反応する。

 

「これは…」

 

「ドラゴンの…鳴き声…!!!」

 

リートは急いで鳴き声がした方向へと走り出す。

 

「あっ!待って!!リート!!!」

 

リート達がキャンプに着く頃、キャンプでもドラゴンの鳴き声に妖精の尻尾のメンバー達が圧倒されていた。

 

「みんなー!!!大丈夫?!!」

 

「すごい声だぁ!!」

 

「ぐあっ…」

 

キャンプに到着するやいなや、ギルダーツは義手を抑えて苦しみ出す。

 

「ちょっ、大丈夫?」

 

「古傷が疼いてきやがった、間違いねぇ!奴だ。奴がくるぞ」

 

「やつ?」

 

『ククククッ、来たか…アクノロギア』

 

リートの中で話し始めた刃鬼、その言葉にリートが反応する。

 

「アクノロギア?」

 

『あぁ、すぐに面白いことになる。楽しみだ』

 

「おい!上を見ろ!!!なにか来るぞ!!!」

 

リリーが何かを見つけたのか、上空を指差していた。

そしてリート達も空を見上げるとそこには、

 

「なんだアレ!!!」

 

「デケェぞ」

 

「禍々しい…ですわよ」

 

グアァァァァ!!!!!

 

「これは…」

 

「ドラゴン!!!?」

 

「なんなの…」

 

「マジかよ!!」

 

「こりゃあ、ちょっとやべぇな」

 

「本当に居たんだ…ドラゴンって」

 

「本物のドラゴン!!?」

 

「やっぱり…ドラゴンは生きていたんだ」

 

黒いドラゴンが天狼島に近づき、上空を飛びまわっている。

 

そこへマカロフがやってきて、黒いドラゴンを見上げる。

 

「黙示録にある黒き竜…アクノロギアだと言うのか!!?」

 

「あぁ、奴だ」

 

「居たんだ…本物のドラゴン」

 

ナツは、飛び回るアクノロギアに向かって話しかけてみる。

 

「お前!!イグニールとフランドーラのおっちゃんが今どこにいるか知ってるか?!!あと!グランディーネとメタリカーナも!!」

 

「よせっ!ナツ!!!」

 

その行動を、ギルダーツが必死になって止める。

 

「やつを挑発するな、お前とリートには話したハズだ。なぜオレがこの腕…いや、この身体になったのかを」

 

(あいつが、ギルダーツをあそこまでした張本人だってのか?!!)

 

グアァァァァ!!!!

 

「下りてくるぞ!!!」

 

「ナツ達の大好きな竜じゃない!!もっと邪悪な…」

 

ズズゥゥン

 

アクノロギアは天狼島に降り立ち、リート達を見下ろす。

 

「あぁ、その通りだ。こいつは人類の敵だ!!!」

 

「戦うのか?!!」

 

「いいや違う。そうじゃねぇんだよナツ、勝つか負けるかじゃねぇ。こいつからどーやって逃げるか、いや、オレたちの内誰が生き残れるかって話しなんだよ」

 

「!?」

 

ナツはギルダーツの話しを訊いて、動揺する。

 

「こんな奴に、オレ達の誰かがやられるって言うのかよ!!!」

 

『さて、貴様はどーする?リートよ』

 

「今のオレ達じゃ……こいつには勝てねぇ」

 

『ならば逃げるか?ククククッ逃げ切れるといいなぁ、仲間を守りながら…な』

 

「まずい!皆逃げろぉ!!!」

 

「!」

 

刃鬼と話してるリートは、ギルダーツの声に反応して顔を上げる。

 

グアァァァァ!!!

 

ズドォォォ!!!

 

巨大な声を上げるアクノロギアの周りの地面が吹き飛び、暴風がリート達を襲う。

 

「ぐっ…ぐわぁっ!!!」

 

ナツ達は暴風に吹き飛ばされ、次に目を開けた時にはその光景を疑った。

 

「お…おい…何だこりゃ、森が消し飛んでやがんじゃねぇか」

 

「嘘だろ…」

 

「なんて破壊力なの」

 

「随分な演出してくれるじゃねぇか、あのドラゴン」

 

「…こ…こわい」

 

「なんなのよコレ、吠えただけでこんな…」

 

「やつは…」

 

ギルダーツが見上げると、アクノロギアはまた空に浮かび妖精の尻尾のメンバーを見下ろしていた。

 

「ちっ、高みの見物かよ!さしずめ今のは、挨拶がわりってところか」

 

「みんな!!!まだ生きてるな!!!ビビってる暇はねぇぞ!!!直ぐにこの島から離れるんだ!!!」

 

グアァァァァ!!!!

 

アクノロギアは、また声を上げ、何かを仕掛けようとする。

 

「来るぞぉ!!!船まで走れぇ!!!」

 

全員が船へと向かって走り出す。

 

「走れぇ!!!みんなで帰るんだ。妖精の尻尾へ!!!」

 

「ウェンディ!!!確か竜と話せるって言ってたよね!!!あの黒いのを説得できないの?!!」

 

「私が話せるんじゃないよ!!竜はみんな高い知性を持ってる」

 

グアァァァァ!!!

 

走るビックスローとフリードに、アクノロギアが襲いかかる。

 

「マズイ!!バンク!!!手ぇ貸せ!!!」

 

「おう!!」

 

2人に襲いかかるアクノロギアを、リートとバンクが顔を狙って殴りつける。

 

「氷竜の」

「爆」

 

「硬拳!!!」

「拳!!!」

 

ズドォォン!!!

 

「リート!!」

「バンク!!」

 

「走れぇ!!!」

 

頬を殴られたアクノロギアだが、ダメージがあるのかも分からずただリート達に標的を変える。

 

グオアァァァァ!!!

 

アクノロギアは、2人のいる場所を腕で叩きつける。

 

「「ぐああっ!!!」」

 

「リート!!!」

 

「バンクさん!!!」

 

「どうして…どうしてこんなことを!!!答えて!!!」

 

だが、アクノロギアは答える気配はなく、ただ妖精の尻尾のメンバーを追い詰めていく。

 

「やだ…やだよ!!こんなの!!!」

 

ドン!!!

 

「アァァァァ!!!!」

 

リートがボロボロになって地面から飛び出し、もう一度拳を構えてアクノロギアに向かっていく。

 

「よせっ!リート!!!」

 

だが、ギルダーツの声は届かずに、リートはアクノロギアに向かっていった。

 

「刃鬼!!!手を貸せ!!!このままじゃここで全滅しちまう!!!」

 

『断る。滅全魔導士の力を使うつもりか?言っておくが今貴様がそれを使ったらオレは貴様の身体を乗っ取れるぞ。そうなったら、間違いなくオレはアクノロギアと共に貴様の仲間を潰しにかかる。今の満身創痍のアイツらならオレは赤子の手をひねるように跡形もなく消せるぞ?クククッ』

 

「なっ!?テメェ!!!」

 

ぐギャァァァァ!!!

 

「!」

 

アクノロギアは、腕を振り上げリートに向けて振り下ろす。

 

「ぐぼぁ!!」

 

ズドォン!!!

 

「リート!!!」

 

リートが落ちた場所に向かって、ミラが慌てて走り出す。

 

「行くな!!ミラ!!」

 

リートの下へ向かうミラ、だが、アクノロギアは尻尾を振り下ろしミラを吹き飛ばす。

 

「ミラ!!!」

 

「ぬぅぅぅっ」

 

マカロフは着ていた上着を脱ぎ、足を止めてアクノロギアに視線向けた。

 

「じっちゃん!!?」

 

「船まで走れぇ!!!」

 

マカロフは巨大化すると、アクノロギアの首を掴み動きを封じた。

 

「マスター!!!」

 

「無茶ですわよ!!!」

 

「敵うわけねぇ!!!」

 

「マスター!!やめてください!!あなたに何かあったら、ギルドは」

 

「走れぇぇぇ!!!」

 

マカロフが声を荒らげてアクノロギアを押さえつけるのを見て、妖精の尻尾のメンバーたちはアクノロギアに立ち向かおうと覚悟を決める。

 

「かくなる上はオレ達も 」

 

「妖精の尻尾を舐めるんじゃねぇぞ!!」

 

「当たって砕けてやるわ!!」

 

「おうよ!!!」

 

「ヌゥゥゥゥ…最後くらいマスターの言うことが聞けんのか!!!!クソガキがぁぁぁ!!!!」

 

「最後…って」

 

マカロフはここで命を懸けてでも、アクノロギアを止める気だった。

 

「くっ…」

 

「オレは滅竜魔導士だ!!!そいつが敵って言うなら、オレが」

 

ガシッ

 

「うおっ!」

 

「走るぞ!!ナツ!!!」

 

ラクサスはナツの襟を掴んで船に向かう。

 

「ラクサス?!!お前!!…!」

 

ナツが振り返ると、うっすらとだが、ラクサスの目から涙が見えた。

 

「マスター…どうかご無事で」

 

そして、ラクサスに続くようにエルザ達も船に向かって再度走り出す。

 

「くっ…ミラ、走れるな?」

 

「…うん」

 

リートは、ミラの手を握って船に向かう。

 

「マスター…すまねぇ」

 

バンクも立ち上がり皆と同様に船に向かう。

 

船に向かう妖精の尻尾のメンバーは、皆涙を流しながら走り続けた。

 

(それでよい、いずれわかる時が来る。涙など虚空、人が死ぬから悲しいのか?悲しみが人を殺すのか?答えは各々の胸の奥に、誇り高きクソガキ共よ。生きよ!!!未来へ!!!)




言うてここまで来ると原作とほとんど変わらずっすよねほんと。

アンケート投票ありがとうございます。今の結果見る限りだとクロスオーバー要素は出さないかもですかねぇ、まぁ今後の票次第で変わるかもなのでまだまだ投票お願いします。

あ、コラボとかも受け付けますんでしたい人いればコメントなりして貰えるとお答え致しますんで


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コラボ企画その2
コラボ企画その2


今回は少し路線変更してコラボ企画第2です。

数日ですがお付き合いしてもらえると幸いです。

因みにもう一件コラボ企画中のあるんですよねぇ、そっちも進めつつええ加減本編も書かないと!!


これは、もしもの世界の物語

 

「おーいリート、ちょっと」

 

「?」

 

いつものようにカキ氷を食べるリートと、紅茶を飲むラリカに、マカロフが声をかける。

 

「どうかしましたか?マスター」

 

「今度は誰宛のクレームが評議員から来たんですの?」

 

「クレーム前提かよ…」

 

「安心せい、クレームはいつも通り来とるが、要件は違う」

 

((来てはいたんだ…))

 

マカロフは、とある1つの依頼書をリートに手渡す。

 

「ちぃとこの仕事を受けてくれんかのぉ、かなり急ぎの仕事のようで今受けられるのはお前さんしかおらんのじゃ」

 

リートは口に入れてたスプーンをとり、依頼書を受け取る。

 

「別に構いませんけど、珍しいですね。マスターから依頼書を渡してくるなんて」

 

「明日は大雨ですわね」

 

「そんなにか!!?」

 

「うーむ、本来なら誰かが引き受けるのを待つんじゃが、評議院からの直々の依頼なんじゃ」

 

「評議院から?」

 

「古代文字について調べて欲しいという依頼なのじゃがな、お前さんが適任と思ったんじゃよ」

 

「ふーん」

 

リートは、依頼書に一通り目を通す。

 

「でも、こーゆーのはレビィ辺りの方が適任ではありませんの?」

 

「レビィは今別の仕事に行っちゃってるのよ」

 

「ミラ」

 

カウンターにいたミラも、リート達の仕事の話しに混ざって話す。

 

「古代文字ねぇ、オレもそんなに詳しくは無いですよ?」

 

「確かギルドの書斎に古代文字についての本がいくつかあったじゃろう。一応調べてみてくれんかのぉ、レビィが帰ってきたら手伝うように伝えておくが」

 

リートは依頼書を持ったまま立ち上がり、書斎に足を進める。

 

「いいですよ。レビィも帰ってきてすぐ別の仕事じゃ大変でしょう?オレが調べておきます」

 

「すまんのぉ」

 

「私も手伝いますわよ」

 

「おう、頼むラリカ」

 

2人は書斎にやってくると、依頼書を見て考える。

 

「文字は書いてあるがさっぱり読めねぇな、何語かすら分かんねぇし」

 

「とりあえず隅々まで調べるしかありませんわね」

 

「こりゃ時間かかりそうだな」

 

そうして調べ始めた2人だったが、2人がかりで古代文字を調べて、気がつけば日が暮れ始めていた。

 

「ふぅ…ここまで調べて収穫ゼロか」

 

「思ったより大変ですわねぇ」

 

「あぁ、これだけの事をアッサリとやれるレビィはやっぱ流石だな」

 

「えぇ、今の私達じゃ頭が上がりませんわよ」

 

一息ついたリート達は、読んでいた本を置いて、固まった身体をストレッチしてほぐす。

 

「ん?ここにもまだ本があるのか」

 

「あら?ほんとですわね」

 

リートは、まだ本棚にあった1冊の本を手に取る。

 

「天才は妖精の尻尾にいる、異世界召喚物語……古代文字関係ねぇ…」

 

「なんですの?その本、異世界召喚された人が魔法を覚えて俺TUEEEEでもいたしますの?」

 

「なに?そのどこかで見てきたような設定」

 

「何となく思い浮かびましたの!」

 

「あ、さいですか…」

 

リートは手に取った本をパラパラとめくり、あるページで止めた。

 

「?どーしましたの?」

 

「いや、なんかこのページが気になってよ」

 

そこ書いていたのは、1人の天才と呼ばれる少年が妖精の尻尾で努力する。という話しだった。

 

(しかも、この後のページが白紙になってる)

 

「どーして、この本に妖精の尻尾が出てきてますの?」

 

「まぁ、一応フィオーレ1のギルドだったんだし、それに感化された誰かが書いたんだろ」

 

カァァァァッ!!!

 

「「!!?」」

 

そうして話していたリート達の持つ本がいきなり光り出し、リート達は慌てふためく。

 

「なんだ!!?」

 

「なんか懐かしい感覚ですわぁぁぁ!!!!」

 

そして、2人は本の世界へと消えていった。

 

 

「うっ…ここは?」

 

リートが目を覚ますと、そこは見たこともない世界だった。

その世界は人と同じように人型や動物の形のロボットが暮らしており、人と機械が共存している。そんな世界だった。

 

「おいラリカ、起きろ」

 

「うーん…ダメですわよリートぉ…もっと苦痛の表情を見せてくださいましぃ〜えへへ〜」

 

「どんな夢見てんのお前!!!?」

 

「はっ!!ここはいったい?先程まで私はリートを十字架に貼り付けて火炙りにして楽しんでいたはずですのに!!」

 

「オレを殺す気か!!!」

 

目を覚ましたラリカを肩に乗せ、リートは立ち上がって街へと繰り出して行った。

 

「とりあえず、ここがどこなのか情報収集しねぇと、このままじゃオレ達妖精の尻尾に帰れねぇぞ」

 

「それは困りますわね。何とかいたしませんと」

 

リートとラリカは、街中をキョロキョロと見渡しながら歩き続ける。

 

「人も沢山いるが、同じくらいロボットもいるな」

 

「人酔いしそうですわ」

 

「どっちかっつーと…ロボ酔い?」

 

「どっちにしても嫌ですわよ」

 

リートは街を見渡す内に、あることに気がつく。

 

「魔法を使ってる人が誰もいねぇ」

 

「そういえば…確かにですわ」

 

「ここは、魔法より科学の発展があるって事か」

 

「今どき珍しいですわね」

 

そこへリート達に話しかけてくる人型のロボットが一体。

見た目は完全に人間そのものだった。

 

「君達、見ない顔だね。新入りかい?」

 

「ん?」

 

「誰ですの?」

 

「おっと失礼、ボクはNAGU0019というんだ」

 

「長ったらしい名前ですわね」

 

「いや、どう聞いたって名前じゃないだろ」

 

「ハハハ!確かに名前じゃないよ。これは製造番号さ」

 

「製造番号?」

 

「あぁ、ボクはロボットだからね。ホラ」

 

NAGU0019は腕をガチャりと取り外して見せた。

 

「「!!!?」」

 

「良かったらこの街を案内しよう。さっき君たちと別の場所で新たに生体反応が現れたからそれを確認するついでに、ね」




本編から逸れてしまい申し訳ありません!

とりあえず青メッシュさんとのコラボをお楽しみください。

天才は妖精の尻尾にいるでは、向こうの主人公のマキナ視点で投稿してもらってますので同じ内容で2度美味しい作品になりました!是非読んでね


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マキナ

コラボ第2話です。

満を持してマキナ登場!


カチャカチャ

 

「先に飯屋に行くなんて言うからついて来たけど、いいのか?こんなゆっくりで」

 

リート達はとある食事処にて、昼食を食べていた。

 

「大丈夫だよ。新たな生体反応もここに来てるみたいだからね」

 

「分かるものですの?」

 

「うん。この街の生体反応の数は全て把握してるからね、1人増えたとしても一瞬でわかるようになっているんだ」

 

「さすがロボット…」

 

「何かのセンサーでも埋め込まれているのですの?」

 

「フフフ、それはロボット界の暗黙の了解みたいなものでね、簡単に喋る訳にはいかないのさ」

 

「まぁ、それはなんでもいいや…で、えーっと、お前の名前なんだけどよ」

 

「?ボクの名前?製造番号の事?」

 

「それだそれ、もっといい呼び方ねぇのか?呼びづらくて仕方ねぇ」

 

「それでしたら、ナグオはどうですの?」

 

ラリカは、ロボットを見てそう答える。

 

「ナグオ?どーしてだい?」

 

「NAGU0019というのでしょう?なら、NAGUでナグにゼロをOと読んでナグオと名付けたのですわ。さすがのネーミングでございましょう?」

 

リートはナイフとフォークを食器に置いて、腕を組む。

 

「ナグオねぇ、まぁいいんじゃねぇか?呼びやすければ問題は無いしな」

 

「ナグオ…ナグオ…うん、気に入ったよ」

 

「それは良かったですわ」

 

 

 

「オイオイ!こんな所に変なガキが居やがるぜ!!!」

 

「オイガキィ、ここはオメェ見てーなチビが来るところじゃねぇんだよ。帰って母ちゃんのミルクでも飲んでな」

 

「残念かな、ボクの家族はネエちゃんと次いでにトーちゃんがいるだけで、母親はいないんだよー。あっ、でも…ミルクが欲しいならボクがミルク作成機を作ってあげるかな。1時間で作るから別のミルクでも飲んで待っててよー」

 

 

「「飲んでいられるかぁ!!!」」

 

「テメェ、オレ達を舐めてやがるな」

 

「ちょっと表に出ろや」

 

ガシッ

 

「あー……まだわたあめ食べてないかなー」

 

「あ、博士まだお会計済んでないですから逃げないでくださいよ」

 

「喧嘩だろ?何時も通りじゃねぇか」

 

「仕方ないさ、博士は絡まれやすいからね」

 

「ヤケに落ち着いてるが、アイツらはあの二人はこの街でも有名なデッドサイエンスというサイエンスギルドの2人組だ。あんまり良い噂は聞かねぇな」

 

「おや、ここにもギルドがあるんだね。しかもサイエンスか……興味深い!見物しよう」

 

「おい、デウス。博士の勝ちにオイル3日分を賭けてもいいぜ?」

 

「それは賭けにならないだろ……博士が負けるワケないからな」

 

リート達が話していると、2人組の男が深紅の癖毛に白衣が印象的な少年に絡んでいるのが見えた。

 

「どこにでもいるんだな。あーゆー輩は」

 

「ですわねぇ、手助けいたしますの?」

 

「下手に絡まない方がいいよ」

 

「「?」」

 

「あの二人はこの街でも有名なデッドサイエンスというサイエンスギルドの2人組さ、余計な事をするとロクな目に合わないよ」

 

「ふーんサイエンスギルドか、ここにもギルドはあるんだな」

 

「なら大人しく見ていますの?リート…というかあれエクシードですわよね?」

 

「取り敢えずだ、あの少年の様子を見ようか」

 

「ですわね。エクシードを連れていましたし、他人の気がしませんわ」

 

リート達は、外に運び出された少年について行くように外に足を運んだ。

 

「おうおう!テメェ!オレ達に喧嘩を売るとはいい度胸だ!!今からでも謝れば許してやるぜ?チビ!」

 

「捻り潰してやるからよォ、覚悟せいやガキィ…オレたちはあの泣く子も黙るサイエンスギルド!デッドサイエンス所属のマーベリック兄弟!吠え面をかかせてやるぜっ!」

 

「御託はいいから、さっさと来なよー。お腹空いてるんだよね……ボク」

 

「「「「あんなに食ってたのに!?」」」」

 

「そもそも、ボクは何もしてないと思うかな、どちらかと言うと絡んできたのは君達でボクは親切心でミルク作成機を作ってあげようとしただけだよ」

 

「舐めんなっ!ガキがっ!このゴムガントレットは伸縮自在!お前が逃げても、縦横無尽に我が腕が駆け巡る!」

 

「そして!我がプラスチックソードは尖端を加工することにより、殺傷能力を高めた斬撃の刃!」

 

男達は、ゴム製のガントレットと、プラスチックの剣をマキナに見えるように見せつける。

 

「ふ〜ん、ゴムにプラスチックか。サイエンスギルドを名乗る割には使ってるのが一般的なんだねー」

 

「笑っていられるのも今だけだ!喰らえっ!!ゴムパッチン!!兄者!」

 

「おうよっ!弟!プラトニックスラッシュ!!」

 

「笑ってるな……アイツ」

 

「敵を前に余裕のある態度……なかなかの大物の器の持ち主ですわね」

 

リートとラリカは少年の笑みを見て明らかに2人を相手にしていて余裕なのを悟る。

 

「つーか…ゴムとプラスチックの攻撃って…ちゃんと攻撃になるのか?」

 

「拷問にすらなりませんわ」

 

「その拷問基準やめね?」

 

 

物質魔法(アポートマジック)!!発明No.009!爆裂魔水晶(ボムラクリマ)!!」

 

マキナは何も無かった空間から魔水晶を出現させて、魔水晶を爆発、さらには連鎖を起こしてマーベリック兄弟を巻き込む。

 

「へぇ、物体を召喚できるのかアイツ」

 

「何と!!!素晴らしい魔法ですわ!!!是非とも私の拷問実験時に欲しいですわね」

 

「今のお前の頭の中の8割が拷問器具だってのは分かった…」

 

「舐めんなっ!」

 

「やっちまうぞ!」

 

男達は肩に着いていた金属を変形させて、ガトリング銃へと変形させる。

 

「ワオ!この世界にも、形態変化ってあるんだね!これは興味深いんだよ!!」

 

 

「随分お気楽な子供だなぁ」

 

「あれは…魔法ですの?」

 

「さぁな、だが…相手の実力も見ぬけねぇやつらがどんな戦艦揃えたって、そいつに勝てる見込みはねぇよ」

 

リートは、苦笑いでマキナの事を見ていた。

 

「なるほどー、この世界にも形態変化があるとは驚きかな……不思議(ワンダー)だね」

 

「さてさて、次はボクの番かな……キミたちにも見せてあげるよー。デウス!エクス!形態変化(カンビオフォルマ)!!」

 

 

「「ワオォォォ」」

 

その瞬間、2匹の狼が刀へと姿を変えてマキナの両腕に納まる。

 

天才斬撃(ジーニアスラッシュ)!!!」

 

「「ぐわぁぁぁ!!!」」

 

マキナは速攻で斬撃を飛ばして、男達2人を片付ける。

 

「ジーニアス……」

 

「スラッシュ……」

 

「随分変わった技名だね。君達の世界でもあーゆー技名が好まれるのかい?」

 

「「絶対にない」」

 

「でも」

 

リートは、先程斬撃が当てられ土煙が上がった場所を見据える。

 

そしてマキナはと言うと、デウスとエクスの形態変化を解いて完全に臨戦態勢を解いていた。

 

「あーあ……お腹空いたー、わたあめ食べよーっと……かな?」

 

「喰らえっ!!」

 

土煙の中から、斬撃を耐えきったマーベリック兄弟の片割れがガトリングを辺り構わずに放つ

 

ズガガガガガ!!

 

「!!」

 

「氷竜の壁岩」

 

リートはマキナの目の前に氷の壁を作り出して、ガトリングの弾を防ぎ切る。

 

「油断大敵なところはいなめねぇかな」

 




よくある展開?


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マキナとリート

今回はちょっと長いです!

でもじゃんじゃん行きましょう!


マキナは目の前に立つリートを見て、お気楽そうに話しかける。

 

「オニイサンはどちらさんかな?でもまぁ、助けてくれてありがとねー」

 

「何処の誰かは知らないけれど、博士を助けてくれてありがとう。なかなかどうして……博士は空腹になると注意が散漫してしまう悪癖があってね」

 

「なーに、礼に及ばねぇよ。それよりもわたあめ食べたかったんだろ?奢ってやるよ」

 

「ホントー?重ね重ねありがとうかな」

 

青年の厚意に甘え、マキナたちは店内に戻るために歩き出す。

 

「ついでに」

 

ズズウゥゥン

 

「「ギャァァァァ!!!」」

 

リートは先程ガトリングを撃ってきたマーベリック兄弟の片割れの上に巨大な氷をたたき落とす。

 

「トドメを刺し忘れるのも直しといた方がいいぜ」

 

「あ〜、忘れてたんだよ」

 

そしてリート達は、店の中へと戻り食事を再開する。

 

「まだ名乗ってなかったな、オレはリート、リート・イクシーズだ」

 

「私はラリカですわ」

 

「僕はディンガ、マキナ基博士と共に魔科学の研究に勤しむ天才科学猫だよ」

 

「最後はボクだねー、ボクはマキナ・アルベローナ。魔法と科学の両立を夢見る天才魔科学者だよー」

 

互いに自己紹介することで一気に距離を縮めるマキナたちとリートたち。しかし、その時だった

 

「アルベローナ……?」

 

「聞いたことありますわね……何処かで」

 

「アルベローナっつったら…確かカナの…」

 

「そうですわ!カナのファミリーネームですわよ!」

 

聞き覚えのあるファミリーネームに思考を巡らせるリートとラリカ、暫くすると一人の女性が頭に浮かび上がる

 

「リートはネエちゃんの知り合いなんだねー」

 

「あぁ、お前のネエちゃん………は?」

 

「今なんといいましたの……?」

 

耳を疑う発言にリートとラリカが固まる。しかし、マキナは首を傾げ、何を言ってるのかを理解出来ないと言わんばかりの表情だ。

 

「カナ・アルベローナはボクのネエちゃんかな」

 

「「はぁぁぁぁぁぁ!!?」」

 

「カナ…カナってアイツ弟いたのか!!?」

 

「初耳ですわ…もしかして、ギルダーツの隠し子ですの?」

 

リートとラリカは予想もしていなかった発言に驚きの表情で、マキナに視線を向ける。当の本人は頭のゴーグルに触れる

 

「別に隠し子じゃないかな…まぁ、血の繋がりはないけど、ボクのネエちゃんはカナだよー。トーちゃんもギルダーツで間違いないかな」

 

「そ…そうか…帰ったらあいつに聞いてみるか」

 

「大樽でお酒に酔って、適当な返事が返ってくる気しかしないですわ 」

 

「そ…そうだな」

 

リートは再度椅子に座り、頭を働かせて考え込む。

 

「というか、カナと姉弟ってことは、妖精の尻尾にいるってことだよな?オレ、お前みたいな変わった子供を見たことねぇんだけど」

 

「私もですわ」

 

「キミ達も妖精の尻尾の一員なのかな?でも、見覚えないねー。これでも、ボクは割とギルドでは古参だから、知らない仲間はいないかな」

 

「あぁ、一応妖精の尻尾の氷竜(セルシウス)で通ってるんだがな。ナツとルーシィ達とチーム組んでんだ」

 

「いっつも滅茶苦茶されてますものねぇ」

 

「言うな…悲しくなるから」

 

「マスターの方がもっと悲しい思いしてますわよ」

 

「待ちたまえ、話に花を咲かせているところを悪いけれど、続けても構わないかい?」

 

「「あっ…すいません」」

 

マキナを其方の気で話に花を咲かすリートとラリカを引き戻したディンガは頭のガスマスクに触れ、待ったをかける

 

「次に聞きたいのはお兄さんの魔法についてかな」

 

リートの魔法が気になっているのか、マキナは食べる手を止めないながらも彼に質問を投げかける

 

「魔法?滅竜魔法だけど…知らねぇって事はねぇだろ?」

 

「もちろん、滅竜魔法は知ってるよー。でもねー、氷の滅竜魔法は見たことも、聞いたこともないかな」

 

「…オレは父さんに教えてもらったんだよ、氷竜フランドーラ」

 

「イグニールとラベンダリアの他にも竜がいたんだー、それはちょっと興味深いかな」

 

「あぁ、オレはナツと一緒に父親を探し続けている。まだ見つかっていねぇけどな…ん?ラベンダリア?」

 

「ボクの大事な人を育てた花のドラゴンだよー。でも、ゴメンね。知らなかったとはいえ、言い辛いことを聞いちゃったかな」

 

「気にするな、まだ父さんが死んだって言われた訳じゃねぇ、オレは諦めていないからさ」

 

ラベンダリアの名を聞いた瞬間の反応が気になりはしたが、今は掘り下げる時ではないと判断し、言い辛いことを聞いてしまったことを素直に謝罪する

 

「因みにリートは、ただの滅竜魔導士ではありませんのよ」

 

「ただの滅竜魔導士じゃない?興味深い話だね、それは」

 

「あぁ、正確に言うとオレは滅竜魔導士じゃなくて滅全魔導士、つまり全ての種族に対するスレイヤーって事になるんだよ」

 

「「なにそれっ!!」」

 

氷の滅竜魔法だけに限らず、全ての種族に対応可能な力を持つと語るリートに、研究意欲が爆発したマキナとディンガの瞳がきらきらと光を放つ

 

「竜だけじゃなくて、神、悪魔、獣、幽霊とか様々な相手に有効打を与えられるってことだ」

 

「それはすっごく不思議(ワンダー)かな!」

 

「是非とも、頭の中を調べたいね。カチ割ってもいいかい?」

 

「絶対に断る!!!」

 

「いいですわね。最近新しく脳天をかち割れそうな器具を手に入れましたの、使っていただいても構いませんわよ」

 

「即死じゃん!!!」

 

物騒な事を言い放つディンガに苦笑しつつもリートはコップに入った水を飲み干し、話題をマキナに変える

 

「次はお前について教えてくれよ。お前の魔法は?他にも何か使えるのか?どうやってここに来た?」

 

「ボクの魔法は物質移動(アポーツ)って移動魔法だよー。異空間に収納してる発明品を呼び出すんだよ」

 

「発明品というと先程の爆発する魔水晶(ラクリマ)ですわよね?」

 

「そうだよー、アレは爆破系魔法を科学的な観点で解明し、火を起こす魔水晶(ラクリマ)に金属とかの可燃物を混ぜ合わせて作った即席の爆弾かな。ボクは実戦よりも研究が主体の科学者だから、魔法を科学的な観点から理解し、解析し、生み出す新たな技術………ボクは此れを魔科学って呼んでるよ」

 

「ほーん……ん?てことは、さっきの剣になった狼たちもお前の発明なのか?」

 

頭のゴーグルに触れ、魔科学の原理についての解説をするマキナ。それに納得していたリートはデウスとエクスの存在についても問い掛ける

 

「デウスにエクスだね、彼等は博士が創り上げた三体の機械動物(アニマギア)の内の二体だよ」

 

「三体……と言いますと、もう一体も存在しますの?」

 

「おっと……今のは忘れてくれて構わないよ」

 

「訳アリか」

 

「そんなとこかな。あとボクも多少の制限はあるけど、滅竜魔法を使えるよー」

 

「滅竜魔法をっ!?」

 

「お前、滅竜魔導士だったのかっ!?」

 

会話の流れの中で、さらっと打ち込まれた予想していなかった発言にリートたちは目を丸くする

 

「でも、ドラゴンそのものにはあったことないよー。ボクの滅竜魔法は体内に埋め込んだ魔水晶から得た擬似的な力なんだ。多用するとぶっ倒れる副作用とかあるから、大変なんだよねー。最悪は死んじゃったりとかもする可能性も否めないかな」

 

「博士のブラックジョークは今日もエグいね」

 

「ラリカ……アイツ等、お前と気が合うんじゃね?」

 

「そうですの?」

 

物騒な自虐を忘れないマキナをディンガが皮肉交じりに褒める姿を見ながら、リートは自身の相棒に視線を向けるが、彼女は意味が分からないと言わんばかりに首を傾げた

 

「どういう滅竜魔法なんだ?」

 

「斬撃だよー」

 

「相手を斬り刻む姿は実に幻想的でね、血が出るのを見ながら、僕の愛しい人は紅茶を嗜んだりするよ」

 

「リアンはネコだよー」

 

「引きちぎるよ」

 

「なにを?」

 

「おまえの想い人ってのもラリカと気が合いそうだ」

 

「フッ、私の趣味はどこの世界でも共通しているものなのですわね」

 

「全力で否定したい」

 

リートからの問いに答えるマキナ、その背後で恋人の姿を思い浮かべるディンガの発言にネコであると突っ込むが即座に彼は謎文句で反論する

 

「次はここに来た経緯を教えてくれ」

 

「う〜ん……なーんか、記憶が曖昧になってるんだけど……じっちゃんに古代文字を調べて欲しいとか言われて、地下書庫で文献資料を探してたような気がするかな」

 

「確かに頭の中に靄的なものが途中から存在しているね。僕たちの記憶はその辺りから先が途絶えている……キミたちはどうだい?何か、不思議(ワンダー)な現象に遭遇したりはしていないかい?些細なことでも構わないよ、手掛かりは多い方が助かるからね」

 

「オレ達もマスターから仕事を頼まれて書庫で調べてたんだけどな」

 

「たまたま開いた本が光り出しましたのよ。そしたら気がつけばこんな所にいましたのよ」

 

「それはなかなか不思議な現象だね」

 

「まぁ、魔法が流通してるような世界だ。世の中の不思議は、ほとんどそれで説明がついちまうからな」

 

「元の世界に帰る方法とは、あまり関係無さそうですわね」

 

「分からないことがあるならボクらの親に聞いてみるかい?」

 

「そうだな、オレ達の親なら何か知ってるかもしれないぜ」

 

ナグオともう1人のロボット、マキナにゴローさんと呼ばれていた人物が1つの案を出す。

 

「親?って」

 

「ボクらの開発者、この街の1番偉い人だよ」

 

「町長?」

 

「まぁ、そんなところだな」

 

「まぁ、そうだな。とりあえず1度その親ってのに掛け合ってみるか」

 

リート達は席を立ち上がりその親に逢いに行くことにした。

 

「あ、待って!まだ食べてるから」

 

「「「「「まだ食ってたんかい!!!」」」」」




よしっ次


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博士

コラボはまだまだ続きます


「ここが、その御屋敷だよ」

 

「全てのサイエンスギルドを統括してる人だ。すげぇ頭が良いんだ」

 

「天才のボクよりもすげぇヤツがいるワケねぇかな」

 

頭が良いという部分を聞いた瞬間、天才を主張しているマキナは対抗意識を燃やしたらしく、口調が微妙に荒々しくなっていた

 

「博士、天才を主張するのは構わないけれど、嫉妬が混じってるよ?それにだ、口調が荒くなっている」

 

「……おっと、それはごめんねー」

 

「たまにあの笑顔の裏にある闇が見え隠れしてるに……」

 

「物騒ですわね。ホントに気が合いそうですわ」

 

けらけらと笑うマキナ、その笑顔の裏に隠されているであろう闇が見え隠れするのを垣間見たようなリートは苦笑するが、ラリカは気が合いそうと口にする

 

「Dr.ケミストリー、客人を連れてきました」

 

「客人?いやいや、よくぞ参られた!歓迎しよう!あっーほっほっほっ!」

 

中に入ったナグオが呼び掛けると、白衣を羽織った老人が姿を見せる。体格的にはふくよかなシルエット、笑う姿は豪快な老人を前にマキナは冷めた視線を注ぐ

 

「なかなかどうして……アレを天才と呼ぶのは、あまりにも酷な話かな」

 

「醜いお身体ですわね。私オススメ拷問ダイエットをご紹介致しましょうか?」

 

「それ、削り取られてるの肉じゃなくて命じゃね?」

 

「おいおい、何を言うんだよ。Dr.ケミストリーはこの街の機械水準を一夜にして築き上げた稀代の天才科学者だぜ?昔はサイエンスギルドに所属し、今では街一番の発明家と呼ばれてんだ」

 

「それは実に興味深い話だ。この世界の根幹についての知識も持ち合わせているのかい?」

 

「当然だよ、Dr.ケミストリーに知らないことは存在しないからね」

 

「あーっほっほっほ!して、私に何を聞きたいのかな?」

 

「あぁ、オレ達がここに来てしまった理由と、帰る方法を探してるんですが、何か知りませんか?」

 

Dr.ケミストリーは、顎に手を当てて考える。

 

「ふーむ、恐らく君達がここに来たのは、この世界を安定させる為、そして帰る方法はまだ分からないかな」

 

「使えねぇ」

 

「ポンコツ駄肉ですわ」

 

「ほんとに天才なのかな?ボクの方が天才な気がするよ」

 

「まだ競い合ってたよこの子…」

 

リートは視線を、マキナからDr.ケミストリーに戻して新たに抱いた疑問を問いかける。

 

「オレ達がこの世界を安定させるって、どーゆー事なんですか?」

 

「うむ、まず私が君達が別世界から来たことを知ってることに疑問を抱かないのかね?」

 

「んなこたァ後でいいです」

 

「なかなかのドライ反応!!?」

 

Dr.ケミストリーは肩をガックシと落として、リートの疑問に答える。

 

「まぁよい、して、この世界を安定させる理由だったね」

 

Dr.ケミストリーは椅子をギシリと鳴らして座り込み。足を組もうとするが…

 

「くっ…ぐっ…組めない」

 

「「「「「じゃあ組むなよ!!!」」」」」

 

Dr.ケミストリーは、足を組むのを諦めて椅子をリート達のいる方向へと向ける。

 

「君達がこの世界を安定させる理由!それは!!」

 

カチッ

 

ドゥルルルルルルル

 

Dr.ケミストリーが手元のスイッチを入れると、後ろにある人形達がドラムロールをかける。

 

バン!

 

「それは!リート君の自然発症する魔力が機械達のエネルギーへと変わり、マキナ君の科学力がこの世界をより機械の為の世界へと変えると私の作ったAIが判断したからなのだよ」

 

「オレの魔力が機械のエネルギー?」

 

「ボクの科学力が機械の為の世界に変える?」

 

「より一層意味不明ですわ」

 

Dr.ケミストリーの話しを聞いても、リート達は首を傾げていた。

 

「この世界の機械は大気中の魔力を自然に取り込み動く仕組みとなっている。だがこの世界は魔力が薄い!だが!君がいればこの世界の魔力量がグンっと一気に上がるのだよ!!!

そして、マキナ君の科学力を使えば限界のある機械達も半永久的に動き続けることができるのさ!!!」

 

「なるほど!それで天才のボクを選んだんだねー!そのAIは正確かな!!!」

 

「ぶっちゃけどーでもいい」

 

何気に嬉しそうにするマキナと、呆れてしらけるリートは、それぞれ対象的な反応だった。

 

「あーっほっほっほ!君達がこの世界で自由にしているだけで勝手に世界が動くとAIが判断したのさ!だから暫くはここにいて欲しいのだよ時期に帰る方法も見つけると約束しようじゃないか」

 

「まぁ、帰る方法を見つけてくれるってんなら…自由にやらせてもらうが…」

 

「何をするにも、身分を証明出来る何かがないと動きようもないんだよ」

 

若干の困り顔を見せるリート達に、Dr.ケミストリーはとある案を出す。

 

「それならギルドに入りたまえ、AKAGI563番!NAGU0019番!2人をギルドに案内してあげたまえ」

 

「「はいっ!」」

 

「ギルド…」

 

「っというと、さっき絡まれた奴らの集まりのようなもんだよね」

 

「あんまり気乗りしねぇなぁ」

 

「ドンマイですわ!お2人とも」

 

「諦めた方がいいよ?博士。デウスもそう思うよね」

 

「乗り掛かった船というヤツでしょうね」

 

「言っとくがよ、流れ的に考えるとお前等もだろ」

 

「「「!!?」」」

 

エクスの一言に、完全に他人事だったラリカたちはショックを受け、衝撃が体を迸る

 

「「さぁ!行こうか!」」




次はギルドに行きます!ギルドですはい、妖精の尻尾というものがありながら!リートさんの浮気者!


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ギルド

今だけは妖精の尻尾のメンバーではありません。

今だけです。


「おぉー!建物自体が機械仕掛けになってるんだねー!すごく不思議かな!」

 

「興味深いね、次にギルドが壊れた時の参考になりそうだ」

 

「ウチの世界でもよく建物が壊れますものね、参考にでも致します?リート」

 

「どーせ次の日にはナツかバンク辺りが崩壊させてるから意味ねぇよ」

 

目の前に現れた機械仕掛けの建物を前に無邪気に喜ぶマキナ、ディンガも次にギルドが壊れた時の参考にしようと観察を始める

 

「ここはサイエンスギルドのアモルファス!癖者ばかりだが、この世界でも有名なギルドだ!」

 

「「アモルファス……?」」

 

魔導士ギルドは名に幻獣の名を多く用いるが、サイエンスギルドは異なるらしく、疑問に感じたリートとラリカが首を傾げる

 

「結晶構造を持たない物質の状態を指す化学用語かな。原子の配列が不規則に並んだ物質、ガラスなんかはこれに該当するよー」

 

「因みに結晶構造というのは氷や金属、水晶等のことだね」

 

「サイエンスギルドはその名が示す通りに科学者が集まるギルドだからね、名前にも科学用が用いられるんだ」

 

「アモルファスは信用できるギルドだぜ?主任(マスター)はDr.ケミストリーだからな!」

 

「「「「えっ……あのおっさん?」」」」

 

主任(マスター)、マキナたちやリートたちの世界ではマカロフに該当する人物がDr.ケミストリーだと聞いた瞬間に、彼等の顔から笑顔が消える。変な笑い方が特徴的な彼に不安を感じているようだ。

 

「おーっ!いらっしゃい!そしてお帰り!AKAGIとNAGU」

 

門の前で建物を見上げていたリート達の前に、1人の屈強な男性が現れる。タンクトップ姿に坊主頭、いかにもパワータイプの男なのだが、リート達は首を傾げる。

 

「ここって……サイエンス…ギルド…だよな?」

 

「いかにもパワー!って感じのお兄さんだね!」

 

「マッドサイエンティストの間違いじゃありませんの?」

 

「そりゃお前だ」

 

「引きちぎりますわよ?」

 

「それはリアンの持ちネタだね。まぁ、ラリカなら、構わにゃいと彼女は言いそうではあるけどね」

 

自らの愛しい人?というか猫の真似をしてリートを脅すラリカの姿にディンガは彼女の姿を想像し、言いそうな事であると口にする

 

「ハッハッハー!そうだぜ!ここはサイエンスギルドだ!それ以外にギルドはないだろう?オレは、このギルドの修繕と改築を担当してるベリアル・マグリーナってんだ。よろしくな」

 

「ボクはマキナ・アルベローナだよ!!そして、こっちがディンガとエクスにデウス!ボクの相棒たちだよ!ところでキミもロボット?」

 

「んーにゃ、オレはれっきとした人間様よ。まぁ疑っちまうのも無理ないけどなこの街ロボットだらけだしよ」

 

「なるほどー、ちゃんと人間もギルドにいるんだね」

 

「まぁ人間とロボットが共存してるみたいだし、不思議はないか」

 

リートは、ベリアルに手を差し出して挨拶する。

 

「リート・イクシーズだ。それと、相棒のラリカだ。オレ達は元々別世界から来たんだが、帰るまでギルドに世話になるといいってここのマスターに勧められたんだ。短い間だが、よろしく頼むよ」

 

「おう!こちらこそよろしくな!」

 

ベリアルはリートの手を握り握手をかわすと、マキナとリートに顔を近づけて小声である噂を話す。

 

「実はよ、最近ウチのマスターの良くない噂が流れててな」

 

「良くない噂?」

 

「それはどんな噂なのかな?」

 

「なんでも、機械に執着するあまり、人間を消してロボットだけの世界を作り上げようとしているとかしてないとか」

 

「あのおっさんが?」

 

「うーん………確かに良くない気配は感じたけど、見た目は普通のオッサンにしか見えなかったかな」

 

「ですが、博士の善悪を見抜く観察眼は信用に値します。意外と信憑性はあるかもしれません」

 

「確かにな…博士は敵味方を区別する事に関しては誰よりも優れた才能がある……スコルの獣的な五感も侮れねぇがな」

 

「あのバカ猿と同じにすんじゃねぇかな」

 

優れた観察眼を持つが故に何かを見抜いてはいるが核心に迫る情報が足りず、Dr.ケミストリーの真意までは見抜けない

 

「ま!あくまで噂!今まで何も無かったし心配するこたァねぇさ!さぁさぁ!ギルドに入ってくれ!!今日からお前らはオレ達の仲間だ」

 

「なんだろー、この人からは妙な親近感を感じて仕方ないかな。ギルドにこういう人がいたような………ああ、バカ猿か」

 

「博士はスコルがホントにキライだね」

 

「キライだよ……まぁ、認めてはいるかな……キライだけど」

 

「2回言いましたわよ?」

 

「よっぽど嫌われてんだな、そのスコルってやつ」

 

ベリアルの姿にライバルの姿が重なり、妙な親近感を感じるマキナ。背丈は微妙に異なるが同一人物と会話している様に感じていた

 

「リート・イクシーズにマキナ・アルベローナ。互いの世界に於いて、イレギュラーと呼べる力を持った逸材………利用させてもらうとしよう……私の夢を実現する為の生け贄として…!!!あーっほっほっほ!」

 

サイエンスギルド主任 としての肩書きを持つ男の名はDr.ケミストリー。かつては世界の機械水準を底上げした稀代の天才科学者と呼ばれ、サイエンスギルドの根幹を築き上げた科学者たちの憧れ………しかし、一部の者たちは彼を、

 

死の科学者(デッドサイエンティスト)と呼んだ。

 

 

リート達がギルドに入ってから、1週間ほど経過し、ギルドの雰囲気にも慣れ、仲間達と仲良く過ごせるようになっていた。

 

「第3万2506回!発明科学力大会!!イエーーイ!!!」

 

イエーーイ!!!

 

「毎日やってんじゃねぇか」

 

「いつも通りですわねぇ」

 

サイエンスギルドと言うだけあり、余程発明に自信があるのか1週間毎日のように発明大会を開催していた。

 

「イエーイ!!!」

 

「博士は今日もノリノリですね」

 

「博士にとっては自慢大会みたいなものだからな」

 

「優勝はボク以外にありえないよー、何故かって?天才だからかなー」

 

「甘いぞマキナ!今回のオレの発明はお前の何倍もすげぇからな!!」

 

「何言ってんだ!!オレが1番だ」

 

「いいえ!今日は私が優勝を貰うからね!!」

 

「甘いよー、わたあめよりも甘いかなー」

 

「元気だな」

 

ギルドの壇上でガヤガヤと騒ぐマキナとギルドのメンバー達は、我先にと発明を披露しようとする。

 

「リートは今日も不参加か?」

 

「だからオレは発明なんて出来ねぇっての、オレは魔導士だ」

 

「マキナも魔導士なんだろ?」

 

「あいつは別枠」

 

リートは傍から、呆れた目で大会を見物していた。

 

「ではまず私から!!」

 

気がついた時には、大会はもう始まっていた。

 

「私の発明はこのリュック!これは中に荷物がいくらでも入るブラックホールとなっているんだよ!!!欠点は自身も吸い込まれかねないこと!取り出せないこと!吸い込まれたら出られないこと!」

 

「ダメじゃん」

 

「次はオレだァ!!!オレの発明はなんでもぶち壊せるこのハンマー!ただ重すぎて使いこなせるやつがいない!!!」

 

「それただの力業」

 

大会は次から次へと進行されていき、リートはツッコミ所を見つけてはツッコんで行く。

 

マキナにとって、サイエンスギルドという環境は居心地が良かった。

無論、一番の居場所は姉が、幼馴染が、仲間たちがいる妖精の尻尾(フェアリーテイル)であることは間違いない。其れでも発明が身近にある環境に、心地良さを感じているのも事実だ

 

「博士のあんな笑顔を見たのは何時以来だろうな……」

 

「そういや、最近はあんなに楽しそうに笑わなくなってたな」

 

「そうだね。昔よりも博士は本当の笑顔を見せてくれなくなった………なかなかどうして、難しいものだ」

 

「割と笑っているイメージしかねぇんだが……」

 

「物騒なことを言いながら、けらけらと笑ってますわよね」

 

共通の話題を持つギルドメンバーたちと盛り上がり、年相応の笑顔を見せるマキナ。その姿に二体と一匹(相棒たち)は感慨深そうな表情を浮かべていた

 

「博士の本当の笑顔を見せてくれるのはまだまだ先かもしれないが……僕は信じているよ、その未来は遠くないとね」

 

「ディンガはマキナのことが大切ですのね」

 

「無論だよ、博士(マキナ)は僕に生きる意味を見出してくれた大事な相棒だからね。ラリカもじゃないのかい?」

 

「そうですわね……リートは大事な相棒で私の家族ですわ」

 

「キミを見ていると、リアンと重なる時がある…。彼女は基本的に相棒の女の子とハッピーを溺愛していてね、紅茶のアテに物騒な事を好んだりする変わり者ではあるけれど……彼女も僕に生きる意味を教えてくれた存在の一人なんだ」

 

頭のガスマスクに触れ、毛色や仕草は異なるが想い人の姿をラリカに重ねるディンガ。その瞳は僅かに寂しそうにも見えた

 

「だからね、そのハンマーの柄をカーボン素材にするんだよ。そうすれば、持ち上げるのは簡単に出来るかな」

 

「な、なるほど!そいつは盲点だった!マキナはすげぇな!!よっしゃ街中のカーボンかき集めるぞ!!」

 

「多すぎるかな!!?」

 

「では私のリュックは!?」

 

「ブラックホールの原理を応用してるなら、その対になるホワイトホールの原理も取り入れてみると良いと思うよー。吸い込んだモノを吐き出したり出来るからね、攻撃にも役立つよ」

 

和気藹々とギルドメンバーたちと盛り上がるマキナ、発明大会は何時の間にか彼のアドバイスを元に改良を加える教室と化していた

 

「何時の間にか……博士のアドバイスコーナーになってますね」

 

「博士の知識は膨大だからな、下手すりゃあマグノリアだけには留まらねぇ知識があのちっこい頭に詰め込まれてる」

 

「義理とはいえ、カナの弟だってのが未だに信じられねぇな…」

 

「カナといえば、お酒のイメージしかないですわね」

 

「博士も酒豪ではあるよ。カナの飲み歩きに付き合えるからね」

 

「「あんなに小さいのに呑んでるのかっ!?」」

 

「カナのやつ、元の世界に帰ったら説教だな。未成年に呑ませやがって」

 

「私達の世界のカナは、身に覚えありませんわよ」

 




結構なハイペースで投稿してる!!

…いいのかな?まぁいいか


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暴走

もう開き直ってじゃんじゃん行っちゃえ!


それからまた数日後、仕事を終えたリート達は、ギルドへと向かって歩いていた。

 

「今日も無事に終わったね〜」

 

「無事…だけど、そろそろオレ達の帰る方法を見つけてくれてねぇかな?」

 

「もうそろそろ見つけてもいい頃だと思うんだよ」

 

「私達もそろそろ帰りたいですわね」

 

「ホームシック?」

 

「違いますわよ」

 

「帰ってからマスターに聞いてみればいいじゃないか、何か進展してるかもしれんぞ」

 

「そうだなぁ…ん?」

 

マキナたちが目にした光景、それは自分達が世話になっているギルドが半壊している光景だった。

 

「なんだ!!敵襲か!!?」

 

「これは一体…」

 

「マ…キナ…リー…ト」

 

「「ベリアル!!!」」

 

マキナたちを呼ぶ声に、視線を向けた先には傷だらけのベリアルが倒れており、全員が駆け寄る

 

「何があった!!」

 

「一体誰がこんな事を?!!」

 

「ロ…ロボット達が暴走して…オレ達人間を襲い始めやがった」

 

「ロボット!!!?ってことはナグオも」

 

「ということはゴローさんも?」

 

「どうしていきなり…」

 

「分からない……けど、アイツらを作ったのはマスターだ…頼む、マスターに頼んでアイツらを……止めて…くれ」

 

そう言い残すと、ベリアルは意識を手放す。あくまでも気絶しただけに過ぎないが、少なくとも仲間と呼んでくれた友人が受けた仕打ちにリートは歯噛みする

 

「くそっ!どうしてこんな!!」

 

「兎に角、ゴローさん達を止めないとだ………デウス、エクス。匂いは追える?」

 

「「博士の御命令とあらば…!」」

 

冷静さを失い、近くの瓦礫を殴るリートとは裏腹に怒りを表に出さないマキナは相棒の機械狼たちに指示を飛ばす

 

「ロボットに匂いがありますの?」

 

「正しくはロボットを作った人物の匂いだね。この場合はDr.ケミストリーは匂いということになる」

 

「あのおっさんが何かをしたってのか?」

 

「可能性は薄くないと思うよ。現に以前、ベリアルは僕たちにDr.ケミストリーには良くない噂があると教えてくれた。ということはだ、第一に疑うべきは彼ということになる。あくまでも仮説だけどね」

 

「その仮説は正しかったみたいかな………目的地は此処だよ」

 

デウスとエクスの嗅覚を頼りに移動しながら、仮説を立てるディンガ。今回の騒ぎを起こした元凶がDr.ケミストリーであると語る彼に、リートたちは首を傾げる。しかし、匂いを辿った先、マキナが頭のゴーグルに触れながら、視線を向けた場所は見覚えのある建物だった

 

「おっさんの屋敷………確かにナグオたちのからしてた匂いがするな」

 

「あの科学者の方に直接、聞いた方がいいですわね……これは」

 

「百聞は一見にしかずというからね。確かめてみよう」

 

「うん……その前に……制限解除(リミットパージ)からの!デウス!エクス!形態変化限界突破(カンビオファルマ・アンリミテッド)!」

 

制限を解除し、万物を斬り裂く滅竜の魔力に切り替えたマキナの両手に双刃剣が握られる。本能的に屋敷の中から感じる気配を感じ取ったのか、表情からは何時もの笑顔が消え、僅かに目付きが鋭さを増していた

 

「前に来た時と…構造が違う」

 

「明らかに改変の跡があるね」

 

「お2人とも、気を付けたほうがいいですわよ」

 

『相手は博士と同じく科学者、何をどこに仕掛けてるか分かりませんからね』

 

『警戒するに越したことはねぇだろうな』

 

勢いよく開かれた屋敷の扉を潜った先に広がる光景は前回とは異なっていた。否、異なる等と生半可な答えで片付けることも容易ではない程に構造そのものが変化を遂げ、更にはDr.ケミストリーの姿形も何処にも見当たらない

 

『あーっほっほっほ!やっぱり来たね?君達』

 

「「「「!!」」」」

 

高らかに響いた特徴的な笑い声に、マキナたちは突如、目の前に現れた巨大なモニターに視線を向ける。その先に映るのはDr.ケミストリーの姿、推測通りの結果にマキナは頭のゴーグルに触れる

 

「やっぱりアンタが黒幕だったか」

 

『そう!私がロボットを暴走させたのさ』

 

「いったいどうしてこんなことを」

 

『私の目的の為だよ。諸君たち』

 

「目的?ギルドの奴らを始末してまで成し遂げたい目的だと?」

 

『そう!私の目的…それは!…ロボットだけの世界を作り上げることなのさ!!!』

 

「随分とスケールの大きな目的だね。その為に何故わざわざゴローさん達を暴走させてまでギルドの人達を傷付けないといけなかったの?」

 

『あのギルドには人間が多すぎたからだよ』

 

「は?」

 

『人間というのは、直ぐに老いて枯れて朽ちていく物、それのどこに美しさがあるんだい?そんな美しくもない存在は消えてしまった方が世のためだと思わないかい?』

 

「なん…だと…?」

 

Dr.ケミストリーの身勝手な言い分にリートの表情に変化が現れる。マキナも口には出さないが、目付きが僅かに鋭さを増す

 

『それに比べて機械はどうだ!!しっかりとメンテを怠らなければ人間の何倍も生きられる!老いて朽ちる事もない!素晴らしい存在だ!その子達のためにこそ世界があるべきだと思わないかね?!!』

 

「……ざけんな…」

 

『私の作ったギルドも本来はロボットの為だけに作りあげたギルド、だけど人間が増えすぎてしまったのだよ。だから1度リセットしたのさ』

 

「ふざけんな…」

 

『リセットして、人間共を潰し、もう一度ギルドを作り上げる!今度は人間の居ない機械だけのギルドを立ち上げて見せるのさ!!!』

 

「ふざけんな!!!!」

 

「リート…」

 

『!!』

 

リートの怒りが頂点を超え、息飄々と語るDr.ケミストリーの言葉を遮った。

 

「人間が要らねぇだ?ロボットだけのギルドだ?ふざけんなよ…そんなテメェの夢物語で、ベリアルやギルドの奴らはあんな姿にされちまったってのかよ…」

 

『私のギルドさ、どうしようと私の勝手----』

 

「テメェの家族だろうが!!!」

 

心からの叫び、ギルドは家族、マスターは親、其れを蔑ろにするDr.ケミストリーの言葉にリートは怒号を張り上げる

 

「テメェにとっちゃどーでもいい存在なのかもしれねぇ、けどな、ギルドの奴らからしたらテメェは親なんだよ…例え世界中の誰を敵に回しても、それでも信じたい親なんだよ…決して裏切られたくねぇ存在なんだよ!!!親が子を見放したらそこで終わりだろうが!!!」

 

「リートの言う通りかな……ギルドは家族なんだ、そして、アンタは仮にも親……親が子を裏切るなんてことは絶対にやっちゃいけない……それが理解出来ないアンタに(マスター)を名乗る資格はないよ」

 

「オレはお前が許せねぇ、絶対にぶん殴ってテメェのやった罪の重さを分からせてやる!!!!」

 

Dr.ケミストリーを睨み付けるリートは拳を硬く握り締め、マキナも双刃剣を握る手に力を込める

 

「そうですわね。私も協力致しますわよ」

 

「やれやれ……結局はこうなるのかい。仕方がない相棒だよ」

 

『言いたい放題言ってくれる。いいだろう、ならばここまで来てみたまえ。来れたら…の話しだがね』

 

その言葉に怪し気な笑みを浮かべたDr.ケミストリーが手元のスイッチに触れた

 

「「!!」」

 

刹那、マキナたちの足元の床が開き、穴が出現する。気付いた時には既に遅くリートとマキナは、奈落の底に姿を消す

 

「リート!!!」

 

「博士!!!」

 

そして、ラリカはリートを、ディンガはマキナを追って穴へと飛び込んでいくのであった。

 




次の展開はリートsideとマキナsideで分かれてます!

リートの動向はこちらで、マキナの動向は向こうで出ますよ!

コラボならではの敵がそれぞれ出てくる予定です!!


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秘密兵器

リートsideです!ここでしか読めない部分なので、是非とも読んで行ってくださいな!


スタッ

 

穴に落とされ地面に着地したリートは、辺り一面を見渡す。

 

「ここは…」

 

そこはまるで、闘技場のように何も無い床と壁だけが視界に入る空間だった。

 

「リートー!!!」

 

そして、リートを追いかけてきたラリカが上から落ちてくると、リートにしがみつく。

 

「無事ですの?!!」

 

「ラリカ、あぁ大丈夫だ」

 

『あーっほっほっほ!そこは君達を処刑するために特別に用意した戦闘場なのだよ!リート・イクシーズ!君はそこが処刑場となるのだよ』

 

「趣味の悪ぃ野郎だ。こんな場所、サッサと抜け出して…」

 

「そうはいかないよリート君!!!」

 

リートの目の前の壁が開くと、そこから現れたのはナグオを含めた大量のロボット集団だった。

 

「ナグオ…」

 

「悪いねリート君、マスターのご命令なんだ。君をここで抹殺する」

 

「そんな…ナグオ!目を覚ましてくださいまし!!」

 

「目を覚ますも何も、コレが正常だよ、ボクらロボットは生みの親であるマスターの命令を訊くのは当たり前のことなんだからね」

 

「お前は…そのマスターの命令で家族を潰したんだぞ」

 

「分かってるさそれくらい」

 

「悲しく…なかったのか?」

 

「悲しい?すまないがボク達ロボットに感情はないさ、笑いも涙も、全て意思表示を分かりやすくするためだけにコンピュータが乗せたプロットに過ぎないからね」

 

「そうか」

 

リートは拳を構えて、ナグオを見据える。

 

「オレは…あのおっさんのことは許せねぇ、けど、お前の事は仲間だと思ってる。それは今でも変わらねぇ、だからオレがお前をぶん殴って、間違っていることを気づかせてやる」

 

『NAGU0019、リート・イクシーズを抹殺しろ』

 

そしてモニターは消え、リートとロボット達だけが残った。

 

「という訳だ。ごめんねリート君」

 

「……ラリカ、懐に入ってろ」

 

「はいですわ」

 

ナグオは片手を上げて後ろにいるロボット立ちに指示を出す。

 

「行け」

 

ナグオの掛け声と共に、ロボット達が一斉にリートへ襲い掛かる。

 

「モード滅霊竜」

 

シュバッ!

 

ロボットが様々な攻撃でリートへと攻撃するが、全ての攻撃がリートを通り抜けて後ろの壁にぶつかる。

 

「!?」

 

「悪いけど、滅霊魔導士の力を発動したオレに物理攻撃は効かねぇよ」

 

リートは前に走り出し、迫り来るロボットにパンチを繰り出す。

 

リートのパンチは全てのロボットを突き抜け、ロボットの体に傷がついた気配はない。

 

「物理攻撃が通用しないのは君の攻撃も同じようだね、回避に全振りした変身って所かな?」

 

「悪いな、滅全魔導士の力はそんな甘いもんじゃねぇんだ」

 

ギギギッ

 

「!」

 

リートのパンチを受けた、全てのロボットの動きが明らかに悪くなる。

 

「これは…!」

 

「ロボットの動力部を殴った時に凍らせた。もうこいつらがまともに動くことはねぇよ」

 

リートは手を上にあげて天井一面に氷を張る。

 

「氷霊竜の幕激」

 

リートが手を下に振り下ろすと、天井の氷から冷気が降りてくる。

その冷気が動けないロボットに当たると、ロボットは一斉に凍りつき粉々に砕け散った。

 

「後はお前だけだ。出来れば降参して黙って通してくれるとたすかる」

 

「無理だね。これでもボクとAKAGIはマスターの秘密兵器、ボクらが殿にならないといけないんだよ」

 

「秘密兵器?」

 

「そう、秘密兵器、ボクらはね君達の記憶の中から最強と認識された者に変化することができるんだよ」

 

「最強の…姿…?」

 

ナグオが激しい光りを出して徐々に姿を変えていく。

 

「ボクはマキナの記憶を探ってマキナの思う最強の魔導士に変身する!いったい誰になるかな?!!」

 

「何っ!!?ラリカ!!離れてろ!!」

 

「わ…分かりましたわ!!」

 

(マキナの知る中で一番の存在…それってかなりヤバいやつのハズ、ラリカを庇ってる余裕なんかねぇぞ)

 

バチバチバチ

 

ナグオの変身が終わり、新たに変わった姿が現れる。その姿はというと

 

「はぁい」

 

「え?」

 

「かっ…」

 

「「カナ!!?」」

 

「マキナの思う最強の魔導士に変わるんだよな…?」

 

「そうよ、そしてアタシが現れたってこと、まさしく不思議(ワンダー)でしょ?」

 

「マキナにとってカナが最強の魔導士ってことになりますわよね」

 

((あのシスコンのおかげで助かりそう))

 

リートとラリカの2人は、完全に油断してしまう。

それが命取りになるとも知らずに。

 

「油断したね?」

 

「は?」

 

シュバッ!

 

カナは一瞬にして、5枚のカードをリートの足下へ飛ばす。

 

札魔法(カードマジック)!!!煉獄のカード!!」

 

「なっ!」

 

ゴォォォ!!!

 

カナのカードから炎の渦が出現し、リートを取り囲む。

 

「そんな!私達の知るカナはあのような強力なカードは持っていませんわ!!!」

 

「当たり前だよ、アタシはマキナの世界のカナ・アルベローナ!マキナと2人で不思議姉弟(ワンダーアルベローナ)と呼ばれてるんだよ!!」

 

「モード滅神竜!!!」

 

シュバァァッ!!!

 

リートはモード変化で炎をかき消し、軽い火傷を負いながらカナを睨みつける。

 

「なるほど、確かに今のは油断したオレが悪かった。ここからは本気で相手する」

 

「やるね!ならこれはどうだい!!」

 

カナは更に新しくカードを取り出しリートに向けて投げつけた。

 

札魔法(カードマジック)!!召雷!!」

 

バリバリバリ!!!

 

「モード滅獣竜」

 

リートは地面に手をつけて、動物のように走り出し雷をかわして一気に駆け回る。

 

「速い!!」

 

ズドンッ!

 

「かはぁっ!!」

 

リートは雷をかわしながらカナの後ろに回り込むと、鋭い蹴りでカナを蹴り飛ばす。

 

「ハハッ…ハハハハッ!凄いね!アタシがこんなに楽しいと思ったのはマキナと一緒に戦った時以来だよ!!!こんな奴がいるなんて!まさしく不思議だよ!!!」

 

「あの喋り方、マキナによく似てるな」

 

「まさしくマキナのお姉様ですわね」

 

「札魔法!!森林のカード!!!」

 

カナが飛ばしたカードから大量の木が現れ、一瞬にして部屋を大木だらけにする。

 

「これは…」

 

「森になったせいで一瞬でカナの姿が見えなくなりましたわ」

 

スンスン…

 

「後ろっ!」

 

カッカッカッ

 

リートは匂いでカナの位置を割り当てカナの飛ばしたカードを後ろに飛んでかわす。

 

「ハハハッ!凄いね!これもかわすんだね、でも私の札魔法はこんなものじゃないさ!」

 

「オレの知ってるカナだって強いのは知ってるさ、だから決して手を抜いたりしない」

 

「フッ、でもまだアンタはアタシを舐めてるよ」

 

「なに?」

 

クラッ

 

「!」

 

リートの足がおぼつかなくなり、無意識に膝をつく。

 

「これは…毒霧か」

 

「そう、そしてアタシは札魔法でアンタに風を送り続けている為、アタシに毒が回ってくることはない、アンタは呼吸する度に毒が回る仕組みなのさ」

 

「どうして!?リートは毒は効かないハズですのに!!」

 

「うっ…」

 

(そうか、以前は異結魔法で滅全魔導士の力を封じてる代わりに、毒などの状態異常の元凶となる異物を冷気に変えて外に無意識に出してた…

けど、今のオレに異結魔法はかかっていない…つまり毒が有効になるってことか)

 

『代わってもいいぞリート』

 

(刃鬼?!!くそっこんな時に)

 

リートの体内から聞こえる声に、リートは意識を向ける。

 

「お前に、カナと戦わせられねぇ」

 

「何を言ってんだいアンタ、とうとう毒でおかしくなっちまったかい?」

 

カナはカードをリートの首筋に向けて振り下ろしてトドメをさそうとする。

 

『せっかく楽しそうな状況だ。オレが片付けてやると言っているんだぞ?』

 

シュバッ!

 

「!」

 

ゴロゴロ!

 

カナのカードを持つ手を蹴りで退けると、リートは後ろに転がって木の影に隠れる。

 

「お前はあいつを苦しめて殺す気なんだろ」

 

『ふむ、敵だから当たり前だな』

 

「ならダメだ。安易に代わる訳にいかねぇ」

 

『はぁ、ならば条件をつけよう。奴は苦しめずに殺す、それならどうだ』

 

「足りねぇ」

 

『…なんだと?』

 

「隠れても直ぐに見つけるよ!!見つかる前に出てきな!!」

 

カナはまだリートを見つけられておらず、辺り一面に大声で声をかけながらリートに呼びかける。

 

「カナを倒したらオレと代われ、ラリカは巻き込むな、そして…」

 

「決してアイツらにお前の存在を感ずかせるな」

 

『……』




次回!刃鬼は出るのか!!



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ケミストリーという男

だぁぁぁ!!こーなりゃ一気に最後まで行ったれ!ここは長いですぞ皆さん!!


「……出てこないねぇ」

 

カナはしばらく様子を見ていたが、リートが出てくる気配がない為しびれをきらす。

 

「あーもう!じれったい!!こーなったらもう全部燃やして」

 

カナが、懐からカードを取りだして構える。

 

「いやカードの効力切るだけでいいと思いますわよ?!!」

 

「あ、そっか」

 

カナは自身の魔法を解いて、辺り一面の森を消し去る。

 

シュゥゥゥ

 

「フフーン、みーつけた」

 

「リート!!気をつけてくださいまし!!」

 

「……」

 

カナはカードを投げつけて、リートに攻撃を仕掛ける。

 

「これで…終わりだよ!!!」

 

「チッ…ゴミが」

 

リートが腕を軽く払うと、カードが凍りつき床に落ちる。

 

「なっ!!」

 

「リート?」

 

《決してアイツらにお前の存在を感ずかせるな》

 

(確認の為に入れ替わらないといけなかったとはいえ、リートのやつ無駄に交渉を取り付けやがって)

 

現在、リートと刃鬼の中身が入れ替わっていた。

 

(滅悪竜 魔輝)

 

刃鬼は、空中に無数の氷針を作り出し、カナに向けて飛ばす。

 

「つっ!!札魔法!!石壁!!」

 

ズババババ!!

 

「アァァァ!!!」

 

氷の針はカナの作り上げた石の壁を貫き、カナは間一髪で腕で顔をガードし防ぐが、氷の針はカナの腕に突き刺さる。

 

「チッ」

 

(一気に貫いて一瞬で終わらせてしまうつもりだったが…やはりオレ達の世界のカナとは違うか)

 

「中途半端な力は、より自身を苦しめるぞ」

 

「くっ!札魔法!!爆発(エクスプロージョン)!!!」

 

ズドォン!!!

 

パラパラ

 

「どう!!これなら」

 

「モード滅神竜」

 

「!」

 

刃鬼は煙が晴れる前にカナの懐に入り込み、掌に青と黒の混ざりあった冷気を作り出す。

 

「滅神竜 蒼閻」

 

ズドォン!!!

 

「かはぁっ!!!」

 

カナの腹に手を当て、冷気を手元で爆発させると、その勢いでカナは吹き飛んで行き、壁に叩きつけられると、カナはナグオの姿に戻って意識を失っていた。

 

(この程度だったか)

 

刃鬼はリートと入れ替わり、元に戻ったリートがナグオの元に駆け寄る。

 

「ナグオ!!!」

 

「大丈夫ですの?!!」

 

リートに続いて、ラリカも倒れてるナグオの元に駆け寄る。

 

「フフフッ…甘いよ2人とも…敵のボクを心配するなんて」

 

「言っただろ、お前は仲間だって」

 

「そっか……でもボクはもう動けない、あとは好きにするといいさ」

 

そう言ってナグオは動かなくなってしまった。

 

「……くっ…」

 

「ナグオ…おバカ…」

 

2人は涙を流して歯を食いしばっていた。

 

「ラリカ…絶対にケミストリーを倒すぞ」

 

「…はいですわ!」

 

「あの天井を突き破れば一気にケミストリーの所に行けそうだな」

 

リートは上にある自身が落ちてきた場所を見上げて、そう呟く。

 

「ということは、私の出番って訳ですわね」

 

ラリカは翼で宙に浮かび、リートの背中をしっかりと掴む。

 

「あぁ、頼むぜ相棒」

 

「お任せあれですわ」

 

 

ズドンッ!!

 

ラリカはリートを掴んでアッサリと天井を突き破った。

 

「意外と簡単に突き抜けられましたわね」

 

「お前が怪力だかr「何か言いましたの?」なんでもありません」

 

「もう1枚天井がありますわね」

 

「よしっ!行けラリカ!お前の怪力で一気に突き破「八つ裂きにしますわよ?」すんません…一気にお願いします」

 

ラリカはリートを掴みながら、天井を一気に突き破った。

 

「よしっ!ここか」

 

「目の前に扉があるところからして、恐らくここで間違いないですわ」

 

「あれ?リート?」

 

リートが後ろを振り返ると、戦闘後と思われるマキナが立っていた。

 

「マキナ」

 

「五体満足でなによりかな」

 

「あぁ、なんとかな」

 

「それでこの向こうにDr.ケミストリーがいるのー?如何にもって感じの雰囲気だけど」

 

「あぁ、あのクソ科学者の嫌な臭いがプンプンしやがる」

 

「そっかー、じゃあケリつけなきゃだねー」

 

「あぁ、最期の闘いだ」

 

リート達が扉を開けると、そこにはやはりDr.ケミストリーが待ち受けていた。

 

「あっーほっほっほっ!!!まさか、ここまで辿り着くとは思わなかった!まぁ、敢えて言おう!待ちくたびれたぞっ!」

 

扉を潜った先に待ち構えていたのは、特徴的な笑い声を挙げる白衣の老人。聞き慣れてしまった笑い声さえも不協和音を奏でられているかのように感じ、マキナの顔から笑みが消えた。

 

「ごめんねー、待たせてー。ホントはもっと早くに着く予定だったんだけど、ワケわかんねぇトラップに巻き込まれちゃったんだ」

 

「博士、それは誰かを待たせた時に使う決まり文句なのは確かではあるけれど、今の場面に使う台詞ではないよ」

 

「そっかー、間違えちゃったかな。じゃあ、気を取り直して………その耳障りな口を閉じやがれかな、クソジジイ」

 

「テメェの趣味に付き合う時間はもう終わりだ。ここからは、オレ達の戦いに付き合ってもらうぞ、クソ科学者」

 

「それはどうかな?AKAGIとNAGUはやられたが、私にも戦闘の手段はあるのだよ」

 

パチンとDr.ケミストリーが指を鳴らすと、ケミストリーの後ろから人1人が乗り込めるほどの大きさの戦闘用ロボットが出現する。

 

『あーっほっほっほっ!コレが私の最後の兵器なのだよ!さぁ!一思いに叩き潰してあげよう!』

 

「叩き潰されるのはお前だよ」

 

「ボク達が負けるなんてありえないかな」

 

『あーっほっほっほ!!!自意識過剰も程々にするといいよ!!!』

 

バシュウゥ!!

 

Dr.ケミストリーの乗るロボットが、腕をマキナに向けて飛ばしてくる。

 

ヒョイ!

 

マキナは体をかがめて腕をかわすが、ロボットの腕と本体を繋げる鉄製の紐がマキナの身体に絡みつく。

 

「!」

 

「氷竜の剛拳!!!」

 

腕に何重にも氷を纏わせたリートが、巨大な拳をケミストリーに向けて突き出す。

 

ガシッ!

 

だが、ケミストリーはそれを空いた片手でアッサリと受け止める。

 

「ふーん?なんか絡みついてるかな。取り敢えず……えいっ!」

 

その様子を動きを封じられた状態で見ていたマキナは手にしていた双刃剣を一振りし、自分を拘束していた鉄製の紐に振り下ろす

 

『あっーほっほっほっ!無駄だ!そのワイヤーは特殊な合金にカーボンファイザーを混ぜ合わせた合成金属!!!鈍如きでは傷一つ付かんよ!!』

 

「言ってくれるねー?デウスとエクスはボクの最高傑作なんだけどー?」

 

『最高傑作?笑わせてくれる!我が頭脳を総動員させたこのケミストリーキングには及ばんっ!!貴様等の攻撃では私を引きずり出すことも不可能に等しい!!さぁ、抜け出せるものなら抜け出してみるがいい!』

 

物質移動(アポーツ)!!」

 

自分を拘束していた鉄製のワイヤーに触れ、体内の魔力が均等に行き渡る様に流し込む。刹那、拘束していた筈のワイヤーからマキナの姿が忽然と消えた

 

『なんだとっ!!?私のケミストリーカイザーの拘束を破った!?なにをしたっ!!』

 

「なにって移動魔法だけど?一応、言っておくと滅竜魔法はあくまでも二番煎じな上に諸刃の剣、ボクの本来の魔法は物質移動かな。あと、ロボットの名前を統一しやがれかな」

 

「物質移動も使い方次第で化ける魔法みたいだな」

 

「切り札は最後まで見せねぇ方が不思議だからね」

 

「おい、クソジジイ」

 

『!』

 

リートは掴まれていた氷を自信で砕き、ケミストリーのロボットの腕から抜け出しており、懐で拳を構えていた。

 

「誰か忘れてんじゃねぇか?」

 

『しまっ!』

 

「氷河螺旋拳!!!」

 

ズドォン!!!

 

『ぐぉぉぉぉ!!!』

 

リートは、冷気の渦を纏った拳でケミストリーロボを殴りつける。

だが、ケミストリーロボは踏ん張りを効かせて、地面に足をつけて後ろにズリ下がる。

 

ズザザァァァ!!!

 

ケミストリーが顔を上げると、リートとマキナの2人が剣を振り上げて迫ってきていた。

 

「「くらえぇぇぇ!!!」」

 

ズバン!

 

2人が剣を振り切り、ケミストリーロボにダメージを与える。しかし、ケミストリーロボは一瞬ひるんだだけで体制を立て直す。

 

「なかなかどうして……一筋縄ではいかねぇかな。あのロボットの動きを封じないと、当たる攻撃も当たらない………かと言って、闇雲にやるだけじゃどうにもならない……なにかしらの弱点はないもんかな」

 

攻防戦を続けながらも、マキナは思考を巡らせ、ケミストリーロボに対する攻撃を当てる為に策を練る。

機械とはいえ、人の手で生み出された人工物、故に完璧、完全等という言葉は該当しない。

人の手で生み出された物体には必ずと言っていい程に改善すべき弱点又は欠陥が存在する、思考を巡らせつつ、視界を巡らせる

 

『あっーほっほっほっ!無駄な足掻きはやめたまえ!機械こそが世界を支配し、醜い人間は淘汰される!これこそが科学の進歩!!』

 

「うるせぇ………」

 

『なに?』

 

Dr.ケミストリーの言葉に、マキナの中で何かが音を立て、崩れた。理屈よりも先に激しく、ゆらめき、何かが湧き上がる

 

「お前が科学を語るな………科学も……魔法も……人々の暮らしを支える大事な技術だ…….そんなことも理解出来ねぇヤローに……科学者を名乗る資格も、科学を語る資格もねぇ!!お前はボクたちが斬る!!〝X(見えないもの)〟が見えるのはこっからだっ!!!」

 

「マキナ…フッそうだな」

 

リートは拳に氷を纏い、ケミストリーを睨みつける。

 

「オレは、化学なんて全くもって分からねぇ、けど、お前が間違っている事は分かる。ギルドの仲間を潰したテメェに何かを語る資格なんてねぇ」

 

「「オレ達がお前をぶっ潰す!!!」」

 

『遺言はそれでよいかな?ならばもう君達は死んでよし!私の科学力の前に手も足も出ないことを思い知らせてあげよう』

 

ケミストリーが手元のスイッチを押すと、ロボットの両手が変化する。

 

片手はドリルへと、もう一方の手は赤く高温になり明らかに熱を発していた。

 

「物質移動!!爆裂魔水晶!!」

 

マキナはケミストリーロボの目の前に、魔水晶を転移し目の前で爆発を起こそうとするが、

 

ギュッ!ボンッ!

 

「なっ!!」

 

ケミストリーロボは熱を発する片手で魔水晶を握り込み爆発を抑え込む。

 

「氷竜の凍剣!!!」

 

スキを見せたと思ったリートは、ケミストリーロボに向けて氷の剣を振り下ろす。

 

ギャリリリリ!!

 

「ぐっ…くっ」

 

バキィン!!

 

「しまっ…」

 

ドリルの回転で剣が砕けたリートは、体制を崩して、ケミストリーロボにスキを見せる。

 

『まずひとりィィ!!!』

 

ドスッ!!

 

「がふぅっ!!」

 

「リート!!!」

 

巨大なドリルを腹に突き立てられたリートは、後方へ勢いよく吹き飛んでいった。

 

「大丈夫!!?リート!!」

 

「ガフッ…あぁ、なんとか腹に張った氷で防ぎきった…」

 

リートはゆっくりと立ち上がり、マキナと肩を並べた。

 

「あのロボット、見た目の割に厄介な装備が満載かな……爆裂魔水晶は熱を発する手で止められる……氷の刃はドリルの回転で砕け散る……考えろ…考えるんだ………熱……そうかっ!ひらめいたっ!」

 

ケミストリーロボの構造を観察し、思考を巡らせ、弱点を探るマキナ。一度は怒りで破棄した思考を鮮明にした瞬間、その脳裏に何かが浮かび、手を叩いた

 

「何かあるのか?作戦が」

 

「上手く行くかは微妙なんだけど、あの熱を発する方の手をどうにかする方法があるよ。熱を発する原理は二つ、一つは火などの自然エネルギーが該当する」

 

「なるほどな、もう一つは?」

 

「物質を利用する化学エネルギーだね、あのロボットは後者に該当するかな。でも化学エネルギーは自然エネルギーとは裏腹に膨大な量の物質を燃焼させる必要があるんだ。

あの熱を発する力は其れの応用と考えた方がいいね……でも、だからこそ利用出来るんだ」

 

「敵の利点を弱点に変える…….みたいな感じか?」

 

「うん、ロボットを急激に冷やすことでケミストリーは確実に機械を一定の温度まで温めるハズ…そこを更に急激に冷やせば、どうなると思う?」

 

頭のゴーグルに触れ、意味深に笑うマキナ。彼が見据える先にはサイエンスギルドで僅かばかりの科学的発想を受け入れたリートの姿があった

 

「そうか…!逆に機体に負荷が掛かり、脆い部分が生まれる…!」

 

「その通り!物質移動!! 水蒸魔水晶(ウォーターサーバー)!!」

 

リートの答えにニヤリと笑ったマキナは無数の魔水晶を呼び出す。

しかし、其れは十八番芸の爆裂魔水晶とは色味が異なる魔水晶。何が起きるのか、理解不能な其れはロボットの周囲に包囲網を生み出した

 

「爆発するのが火だけだなんてのは大間違いかな。液体、気体、個体、凡ゆるモノが組み合わせ次第で爆弾に変化する!それは水もおんなじだよっ!!さぁ!喰らいなよっ!独奏不思議爆閃光(ソロワンダーインフェルノ)!!!」

 

マキナが指をパチンと鳴らした瞬間、無数の魔水晶が連鎖爆発を起こし、空間全体的に爆発が巻き起こした煙が立ち込め、互いの姿を視認出来ない程に

白一色に染まった

 

『おのれ!小癪な真似を!!しかし、何処に隠れようと無駄だ!煙が晴れた時がお前たちの最後だ!!』

 

「聞いてなかった?だったら、仕方ないから、もっかいだけ言っとくよ……〝X(見えないもの)〟が見えるのはこっからだ」

 

煙が晴れる瞬間を待っていたDr.ケミストリー。だが、視界に捉えたのは爆風に白衣を棚引かせる深紅の髪の少年一人。数秒前までは確認出来ていた青髪の青年の姿が何処にも見当たらない

 

『リート・イクシーズは何処に消えたっ!!』

 

「準備はいいですの?!!リート!!」

 

「あぁ、頼む!」

 

リートはラリカに空中に運んでもらい、ケミストリーの真上に移動していた。

 

「それじゃあ、行ってらっしゃいまし!!」

 

ラリカはリートを、真下にいるケミストリーに向けて全力で投げつける。

 

『!上かぁぁぁ!!!』

 

「凍てつけぇぇぇ!!!」

 

バキィィン!!!

 

『な…なにィィッ!!!!』

 

リートは、落ちてくタイミングを見計らいケミストリーロボの熱を発する腕を凍らせた。

 

『こんなものぉ!!ケミストリーキングの熱で溶かしてくれるぅぅぅ!!!』

 

「オォォォォォォォ!!!」

 

シュゥゥゥーッ!!

 

パキパキパキパキ

 

ケミストリーロボの発する熱で氷をとかそうとするが、リートはそれでも魔力を送り続けて氷を張り続ける。

 

『舐めるなぁぁ!!!』

 

「ォォォォォォォォ!!!!」

 

ビシビシビシ

 

次第に、ケミストリーロボの腕が限界を迎え始め、腕にヒビが入ってゆく。

 

『なっ!!?』

 

「こ!わ!れ!ろぉぉぉぉ!!!!」

 

バリィィン!!!

 

『バカな…!!!』

 

ケミストリーロボの腕がついに壊され、それと同時にリートが地面に着地しマキナを呼ぶ。

 

「マキナァァァ!!!」

 

「準備オッケーかな!!」

 

マキナは剣を構え、既にケミストリーロボを狙っていた。

 

「一刀竜・竜災天!!!」

 

マキナが斬撃を飛ばし、それに続くようにリートも両の手を合わせて巨大な剣を作り出す。

 

「滅竜奥義!!!氷刀飛影斬!!!」

 

 

「「合体魔法!!!天災斬影双(てんさいざんえいそう)!!!」」

 

 

リートとマキナの斬撃が合わさり、ケミストリーロボに向かって飛んで行く。

 

『そんなものぉぉぉ!!!』

 

ケミストリーロボは、残ったドリルを斬撃に向けて突き出した。

 

「「オォォォォォォォ!!!!」」

 

『ぬぅぅぅぅぅん!!!』

 

ギャリリリリ!!!

 

斬撃とドリルの激しいぶつかり合いは、どちらも拮抗しているように見えた。

 

「「いけぇぇぇぇ!!!!!」」

 

ズッズズッ

 

ケミストリーロボのドリルに、徐々に切れ込みが入り込む。

 

『そんなっ!!!馬鹿なぁぁ!!!』

 

ズッパァン!!!

 

ついに斬撃はケミストリーロボの胴体事切り裂いてケミストリーロボは大爆発を起こした。

 

ドカァァァン!!!

 

「はぁ…はぁ…」

 

「はぁ……はぁ」

 

残った魔力全てをぶつけ全力を出し尽くした2人は、同時に地面に膝をつく。

 

「へへっ…」

 

「あははっ」

 

顔を見合わせ、笑いあって拳を合わせる。

 

「やったな」

 

「だね!!」

 

 

 

「そーいや……どうやって、帰るんだ?元凶はロボットと仲良く木っ端微塵になったぞ」

 

「あぁ、それなら大丈夫だよー。あの騒ぎの間にディンガが調べてくれてるかな」

 

「通りで見当たらないと思いましたわ。何時もなら、マキナの考えにエグいツッコミをしているはずですものね」

 

帰る方法が分からない状況に頭を掻くリート。その様子にけらけらと笑いながら、マキナは自らの相棒が既に調べている事を告げる

 

「そーいや……アイツも天才科学猫とか名乗ってたな」

 

「自意識過剰なだけかと思ってましたけど、本当だったのですわね」

 

「当たり前だよー、伊達にボクの相棒兼助手はやってねぇかな」

 

初対面時を思い出し、ディンガの自称が事実である事にリートとラリカは納得したように頷く

 

「おや、あのオトボケジジイは木っ端微塵になったのかい?見逃してしまったね」

 

「あっ、ディンガだ。おかえりー」

 

「開口一番にエグいことを言ってんぞ……ラリカ、アイツってお前の親戚だろ」

 

「違いますわよ。私は人が木っ端微塵になるのを見るよりも、自分でする方ですわよ」

 

「もっとエグいじゃねぇかっ!!」

 

「あっはっはっはっ!!いやぁ、言わずもがなだけど、リートとラリカはおもしろいねー」

 

姿を見せたディンガの物騒な発言にリートがドン引きする中、更に物騒な思考の持ち主だった彼の相棒に突っ込みを放つ様子を見ていたマキナが楽しそうに笑う

 

「おーい!リート!マキナーー!」

 

「この声…まさか」

 

「もしかしたら、もしかするかな」

 

「ああ、言い忘れていたよ。あの後になんとか傷を癒したらしくてね」

 

自分たちを呼ぶ声に二人は背後にある扉の方に視線を向けた。その様子にディンガは頭のガスマスクに触れ、優しく笑い掛ける

 

「「サイエンスギルドアルファモス!!只今参上!!」」

 

「「ベリアル!!みんなっ!!」」

 

其処には襲撃を受け、倒れたベリアル率いるアルファモスのメンバーが勢揃いしていた。数時間しか経っていないが、元気な姿を見せた彼等に二人は歓喜の表情を浮かべる

 

「お前たちが戦ってる間にディンガが見つけた装置を直しておいたぜ!」

 

「大丈夫よ!アルファモス印の安全保障だから、誤作動の心配はないわっ!」

 

「これで無事に帰れるぜっ!多分!」

 

「ははっ……これが襲撃された奴等の元気かよ…心配してたってのによ…」

 

「でもなんか、こういう雰囲気をよ〜く知ってる気がするかな」

 

「オレもだ…」

 

自分たちが傷ついていようと仲間の為ならば、絶対に駆け付ける。そういうギルドを二人は知っていた。妖精の名を冠し、家族の為に命を賭ける、そんなギルドを彼等は知っている

 

「他のロボットは整備しだいでは、前と変わらない状態で動き回れるハズだ」

 

「そっかー、良かったかな」

 

「あぁ………それで、ナグオたちは?直るのか?」

 

「分からねぇ……他のロボットとは構造から違うケミストリーのロボットだからな……」

 

ロボットと聞き、友人たちを思い出したリートの問いにベリアルは首を横に振る。構造が異なるロボットを完全に修復するのは、流石の彼等にもお手上げらしく、誰もが口を噤む

 

「でもよ、安心してくれ。オレたちが必ず直す!なんたって、アイツらも同じギルドの仲間だからな!約束だ!」

 

「ベリアル………うん!約束かな!」

 

「約束だ」

 

「約束ですわ」

 

「嘘をついたら、針を目玉に突き刺すからね」

 

「「発想がエグいわっ!!!」」

 

ベリアルの言葉に全員で約束を交わす。それが叶うかは誰にも分からない、それでも約束する事に意味がある、だからこその約束を彼等は交わした

 

「そろそろ、装置の起動時間だ!あばよっ!リート!マキナ!それにラリカにディンガ!」

 

「「元気でなーー!」」

 

手を振り、見送るベリアルたちの声を背に転移装置の前に二人と二匹は佇む

 

「じゃあな、天才。自慢のネエちゃんと仲良くしろよ」

 

「またね、氷竜。キミの冒険に不思議(ワンダー)な出会いがあることを祈ってるかな」

 

最後に顔を見合わせ、笑い合い、拳を合わせ、互いの冒険に健闘を祈り、彼等は其々の世界に向かい、歩き出す。この出会いは偶然ではなく、必然だったと後に二人は語る。

 

「リート…リート!!」

 

「うん…はっ!!」

 

リートが目を覚ますとそこは、いつものギルドの書斎だった。

 

「ここは…ギルド…?」

 

「よかったぁ〜目を覚ましたのね」

 

声の聞こえた方を向くと、ミラがへたりこんでリートの顔を見ていた。

 

「ミラ?オレ…一体どうして」

 

「あなた、ラリカと一緒にここで気を失ってたのよ、覚えてないの?」

 

「ラリカと…ってことは戻ってこれた…のか」

 

「?何を言ってるの?あなたずっとここで眠ってたのよ」

 

「え?寝てた?」

 

「う…うーん」

 

リートがミラから話しを聞いて困惑していると、隣にいたラリカもようやく目を覚ます。

 

「あら?ここは?さっきまで私…」

 

「よかった。ラリカも目を覚ましたみたいね」

 

「あら?ミラ…そーいえば…マキナはあの後どうなりましたの?」

 

ミラは、聞きなれぬ名前に首を傾げていた。

 

「マキナ?そんな子いなかったわよ?2人ともおかしな夢でも見てたのね、待ってて!今落ち着く紅茶を持ってきてあげるから」

 

そう言ってミラは、小走りで書斎を出ていった。

 

「夢…だったのか?」

 

「どうなのでしょう?」

 

2人が頭を悩ませていると、マカロフの声が書斎に向けて聞こえてくる。

 

「2人ともー!依頼の進み具合はどうじゃぁ?!!」

 

「ゲっ!しまった!全くもって進んでねぇぞ!!」

 

「急ぎますわよリート!!こーなったら私、レビィを力づくでも連れてきますわ!!」

 

「お、おおう!分かった!」

 

ラリカは急いで書斎を飛び出し、レビィを探しに行き、リートも古代文字を調べ直すために立ち上がる。

 

バサッ

 

「ん?」

 

立ち上がったリートが、何かが落ちる音を聞き取り、振り返ると、そこには題名のない1冊の本が落ちていた。

 

「こんな本…あったっけ?」

 

「リートーー!!!レビィを連れてきましたわァ!!!」

 

「でかしたラリカ!!!レビィ手伝ってくれー!!」

 

リートは小さな机の上に本を置いて、ラリカの元へ走り出す。

 

そしてその本には、天才は妖精の尻尾にいるというタイトルが消えていた事、白紙であったハズのページがびっしり文字で埋められていることを、2人は知る由もなかった。




コラボ!完!結!


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