魔法忍術作成研究所 (風雲たぬき)
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プロローグ
魔法。
古来より大小の違いはあれど、一人一人が変わらず持つ魔力と呼ばれるエネルギーを利用した力の総称。
その力を日夜研究し、日常生活に便利な道具を作りだす。さらには全く新しい魔法を作成し、技術として確立する。
それがオレが所長を務める国家機関、魔法魔術具作成研究所の存在意義であり、そして俺自身の夢である死ぬまで未知を楽しむという事だ。
そんな中、最近になってついに作成できた魔力の貯蓄を可能とする魔術具を足掛けに、国をさらに豊かにすることが出来る技術の第一歩、新魔法の作成実験が今日、行われようとしていた。
「所長! 魔力庫の準備、完了です!!」
「ああ、ありがとう」
職員たちが一丸となって協力し、皆でコツコツと実験に使わなかったあまりの魔力を溜めてきた貯金箱、もとい魔力庫を、五つの均等に並んだ正五角形の線を消さないよう、ゆっくりと線を跨いで頂点に配置した部下に労いの言葉をかける。
「最終チェックは俺の役目だ、皆は一足先に実験室から外へ出ていてくれ」
「了解です!」
五角形の頂点を通るように描かれた真円の歪みは失敗のもとだ。
そして、頂点から中心へと向かって伸びる直線もまた、必ず円の中心点に到達する必要がある。
一つ一つを丁寧に観察し、失敗のもとを極力減らしていく。
無論、一度で成功等するはずもないが、それでも単純なヒューマンエラーで失敗してしまうのは良くない。
まだ作成段階のこの新魔法は多大な魔力を必要とする。実験は気軽にできないのだから、失敗するのならば特大の失敗をしてその原因究明にあたりたいに決まっている。
そうしてつぶさに観察を行っているときだった。
唐突に魔力庫が強く光り始める。
それと同時に、実験室内部と外部のやり取りを可能とする管から職員の声が部屋に響き渡った。
『い、いけません!! 所長、早くその場から離れてください!!』
「ッ!!」
魔力庫だけでなく、魔法陣が光ると同時に不測の事態が発生した事を把握し、即座に対応すべく一気に全身へと魔力をいきわたらせて地面を踏みしめる。
「【加速魔法:ヘイスト】!」
魔力というエネルギーを魔法へと変換。
その名の通り、自分の体を今の倍以上に加速させ、それに対応できるよう脳の処理能力も上げる上位魔法により、景色のすべてがゆっくりと動く。
強化に利用した魔力量によって1秒がどれだけ引き延ばされるかが変わるが、今回は咄嗟だったため、出来得る限り全力の強化を行った。
なのでわかる。
魔法陣から出るだけではない、魔法と物理、どちらをもカバーした強力な結界を施したこの実験室から隣の部屋へ出ることすら可能。
踏みしめた足に力を入れると、爆発的な速度を生み出す。
イケる、間に合う。
「っ、なっ!!?」
そう思った次の瞬間にはその計算が打ち砕かれる。
配置した覚えのないギミック、魔法陣の光に紛れてわかりづらいが、それをさらに囲うように展開された内部の者を閉じ込めるタイプの結界魔法。
引き延ばされる時間の中で咄嗟に実験室の外を見る。
強化ガラスで張り巡らされた実験観察用の隣室では慌てふためく職員たちの顔が見える。
一人一人ゆっくりと表情が変わるそのシワの一つまでわかるほどの広い視野と観察力、脳の処理速度で、呆然とするもの、慌ててコチラの救助に向かおうと体を立ち上がらせるもの、そして……頬を歪めて愉快そうに笑うものを認識する。
丁寧な仕事と柔らかい物腰で、こんな事をしでかすような人物には到底見えない副所長の姿。
新魔法。あらかじめマーキングした場所へと瞬時に移動可能な、理論を突き詰めていけばきっと過去にも未来にすらも飛ぶことが出来る可能性を秘めた、【時空間魔法:テレポ】の暴発。
成功すれば研究所の第二実験室へと飛ばされるだろうが、事ここに至ってその確率は低いと言わざるを得ない。
この身はバラバラに転移して肉片となって世界中に散らばるか、もしくは次元の裂け目で未来永劫の孤独を味わうことになるかはわからないが、きっと碌な目にはあわないだろう。
何が理由で裏切られたのかもわからない。単純な出世欲か、何かの陰謀か、もしくは知らぬ間に恨みを買っていたのか。
「やられたな。俺はまだ、未知と遊びたいのになぁ。これは事故ではなくアイツが起こしたよる人為的な――。」
俺が言葉を発せたのはそこまでだった。
『木の葉隠れの里の七代目火影、うずまきナルト。
第四次忍界大戦で多大な戦果を挙げ、世の忍の頂点とも謳われるほどの英傑。
尾獣と呼ばれる狐を体内に宿しており、そのチャクラ量は圧倒的』
マントをかけた青年に小脇に抱えられてぶら下がり、気絶したフリをしながらこの部屋の主へと【解析魔法:ライブラ】をかける。
脳内に刻まれた情報に、魔法はしっかりこの世界で機能しているのがわかる。
わからない単語は後でまたさらにライブラに掛けるとして、恐らくは異世界と思われるこの世界で、自分の全く知らない事柄すら暴いてしまうこの魔法は、やはり世界に刻まれた情報を読み解く魔法なのかもしれない、と仮説を立てる。
ついつい魔法の理論に仮説を立てて推測してしまう癖は、一つ昇華されたもはや職業病になっているのかもしれない。
書類の山に埋もれているこのナルトというものは、今の俺の魔法に何かの気配を感じた様子で、目が細められる。
敵意がなかったからだろうか、とくに向こうからも反撃をするような気配はなく、むしろ真剣ではあるがどこか温かみを感じるような目線だ。
「ナルト、火影が一体何を遊んでいる」
「さ、サスケ……帰ってくるならちゃんと連絡しろってばよ。いきなりお前が現れたら、そりゃ誰だって驚くに決まってるだろ?」
「そうか。もともと寄るつもりはなかったんだがな」
「……流すんじゃねぇよ。そっちの子供はなんなんだ?」
崩れた紙から顔を出すそれは間抜けか、愛嬌があると見るか。
そんな彼の頂点らしからぬ素朴な失敗をサスケと呼ばれた青年は容赦なく間抜けと切り捨てる。
一つ間違えれば一触即発になるだろうその言葉のトゲは、彼らの会話にとっては旧友との友好を温めるスパイスだと双方が理解している様子だ。
しかし、そんな軽口もすぐに消える。
サスケという青年が小脇に抱えている子供、つまりは俺へと二人の注意が向いたからに他ならない。
「さぁな。森の中で倒れていた」
「倒れてるヤツは病院に運ぶべきだし、そもそも怪しいヤツを火影室に連れてくるなってばよ」
「いやなに、俺が『視た』ところ、妙なチャクラをまとっていたからな。今のところ敵意も逃走するきも無いようだが、保護すべきか尋問すべきかさすがに判断に困ってな。とりあえず、妙な真似はするな、とだけ忠告してある」
抱えていた俺を部屋の中央に転がす。
……目が覚めた途端にバレたようで、すでにこの人物にもライブラをかけようとはしたのだが、喉元に刃物を当てられて黙らされた。
彼にとっては敵意のあるなしが判断材料の一つらしく、敵意をつかめなかったため即戦闘というわけにはならなかったが、次はないぞと口ほどに雰囲気がものを言っていたのでこれ以上何もできなかった。
まさかこの国一番のお偉い人物の部屋に来るとは思わなかったが。
仕方がないのでここは狸寝入りを決め込んで情報の収集に努めることにする。
「尋問って……相変わらず容赦ねぇなぁ、お前。まだ子供じゃねぇか……大丈夫だ、安心しろ。危害をくわえる気はねーから、起きてくれってばよ」
……狸寝入りでやり過ごそうとするのも見抜かれてしまったようだ。
というか、情報のためにライブラの魔法をかけたり、かけようとしたりしたのだから当たり前といえば当たり前だろう。
仕方なく、目を開く。
転がされたために視界に入るのは高級そうな肌触りの良い絨毯と、小さな手。
そう、小さな手なのだ。ナルトさんがコチラを見て子供というのは理由がある。
手足と全体の体の感覚だけでわかっていたが、完全に時空間魔法の影響で若返ってしまっているようだ。何がどうしてこうなったのか、未知というものは全く俺をドキドキさせてくれる。
「……ええと、初めまして?」
「おう、初めまして。俺の名前はうずまきナルトってんだ。それで? どうして森の中に倒れてたんだってばよ」
特徴的なしゃべり方は、尋問というよりはこちらの緊張をほぐすかのような声色だ。
驚異的なのは、こちらの警戒網すらすり抜けてくるそのぬくもりだろうか。
まるでひだまりのような、まっさらな言葉をぶつけてくる。
こういう人物は簡単に騙されてくれそうだ。
そもそも不和の種をむやみにまく必要も……。
「……」
ダメだな。
ナルトさんはともかく、このサスケという人物はごまかしを許す気はないようだった。
目の色が変わっている。文字通り赤く、そして元の世界では見たことも無いような魔法陣とも呼べない模様。
物凄く見られているが、指先一つという言葉では生ぬるい、筋繊維の一本、魔力の動き一つすら不信な動きをすれば即座に切り捨てるつもりの覚悟と重圧を感じる。
観察・分析をされている、と言ったほうが正しいか。
「……荒唐無稽な話になりますが、驚かないで聞いてください。俺の名前はヒューズ。……俺は、こことは異なる世界からやってきた人間です」
「……嘘は、言っていないようだな」
「異世界、か」
「その世界で俺は魔法という超常の現象を紐解く仕事についていたのですが、空間を超える新魔法の実験中に……」
そこで止まる。
口角の上がった頬が脳裏に思い浮かぶ。
正直なところ、裏切られてしまったものは仕方がない。
彼にとって一体何が気にくわなかったのかわからないが、信用されなかったという事には少し残念さがある。
恨みはないが、それでも気落ちはしてしまう。
「つまり、こちらで言うところの時空間忍術の新術を試していたら事故でこの世界まで吹っ飛ばされたってところか」
「いえ、人為的なものです。どうやら部下の人心をきちんと掌握できていなかったようで。魔法の影響でこの体も小さく縮んでしまいました。こう見えても40歳を超えてたんですよ、俺」
「げっ、子供だと思ってたら年上かってばよ」
「……裏切り、か」
「サスケ……」
事実を告げると、しんみりした空気が部屋に広がってしまう。
この二人は裏切りという行為に何か思うところがあるのかもしれない。
重苦しくなってしまった空気を吹き飛ばすように、わざと咳払いをして注目を集める。
「ああ、あんまり俺のことは気にしないでください。多少残念ですけど、そんなに気にしていないんです。ただ……」
「ただ?」
「俺の夢は、新しい魔法を作って技術体系を確立することで、ただひたすらに未知を楽しむということでした」
「お、おう……裏切られたこと、ほんとに気にしてなさそーってばよ」
「未知の解明か、アイツを思い出す」
呆れたような視線と、苦い記憶を思い浮かべるような二人。
その反応はどちらも違うものだったが、とりあえず理解されてないことは何となくわかる。
だが、魅入ってしまったものは、魅入られてしまったものは仕方がない。
名にもないところに火を生み出す、水を生み出す、風を、雷と、石を。天候すら操り、傷をいやし、四肢欠損を治し、熟練した魔術師ならば死者の復活すらも行える未知の力に。
「……そんなワケでして、どうか帰るまでの間、協力してくれませんか?」
「え? か、帰れるのかってばよ??」
「すぐには無理ですよ、空間魔法であるテレポはまだまだ未完成。採算度外視で何十人が何日もかけて魔力を蓄え、巨大な魔法陣を作成してようやく実験ができる、という程なのですから。ですが既に可能性は見えました。先ほどサスケさんが口にした時空間忍術、それを解析して空間魔法に取り込めればあるいは……」
「時空間忍術を踏み台にして、一つ上の忍術を作るというところか」
「……忍術。ああ、それがこの世界の未知なる技術なんですね……? なんという面白……もとい興味深い響きですかね」
「しかし魔法、魔法ねぇ……どんなことが出来るんだってばよ?」
「うーん……見せたほうが早いですね。【解析魔法:ライブラ】! 対象、時空間忍術!」
別に唱える必要なく使うこともできるが、今度はこっそり使う必要は無い、というよりはそんなことをすれば信頼関係が気づけないだろうしな。
この魔法は解析魔法というものの、世界が記憶している表面的な情報しか受け取れない(と今は仮説を立てている)
そして、生き物に対して行う場合は力量差がそのまま開示される情報の幅になる。
ナルトさんのそれはおそらく世界中に出回っているような情報しか表示されていないんだろう。
本来なら相手が使う魔法の属性や、弱点属性などもわかるのだが、一切開示されなかった。
この世界に魔法がないから、という理由もあり得るが、どちらかといえばチャクラというこの世界特有のエネルギーと俺の魔力を比べた結果、単純にレジストされたと考えるべきだろうな。
まぁそもそも、圧倒的なチャクラ量を誇るって表示されていたわけだし。
「『時空間忍術。主に代表されるものは口寄せの術や、四代目火影が得意とする飛雷神の術。チャクラエネルギーによって空間を湾曲させ、他者を呼び出したり、あらかじめ仕込んでいた場所へ転移する術の事を言う』」
「……お前の世界にも忍術があるのか?」
「いえ、これはそういう効果の魔法です、サスケさん。全く確証のない、ただの仮説ですけど、世界や人々が認知している概念を呼び出すことで識る魔法じゃないかと疑っています。魔法とはそういうものです、どうしてそうなるのか、なぜそんなことが出来るのか、そんなことはわかりませんが我々の世界で人類はみな、ありがたく使わせてもらってはいます」
「なるほど、妙なチャクラだと思っていたが、お前はチャクラではなく、精神エネルギーのみを抽出して術、魔法だったか。その魔法とやらを発動させているわけだな」
「え、チャクラじゃないってのかよ!?」
サスケさんにはやはり観察されていたようだが、彼のいう事は俺にもよくわからない。
「チャクラ、って、この世界のエネルギーの総称ですよね? サスケさんに持ち運ばれているときいくつかライブラで見ました」
「そこからか……チャクラとは肉体エネルギーと精神エネルギーを練り合わせることで作られるエネルギーのこと、忍はそれを用いて術を扱う。だがお前のソレは精神エネルギーのみを使って超常の現象を発生させた様子だ」
「でもよ、サスケ。精神エネルギーだけで忍術なんてつかえんのかよ?」
「普通は無理だ。だが、コイツの言う通りならば、コイツの世界の普通では可能なんだろうな。写輪眼でもコピーできなかった」
写輪眼、というのは、きっと今の彼の赤い目の事をいうのだろう。
あの目に見られているとまるで観察されているような気分になるが、コピーという言葉で合点がいった。
確かにあの極度のプレッシャーを放つ瞳にはそれくらの力があっても不思議ではない。
というか、サスケさんにはナルトさんと同じクラスの底の知れなさを感じる。
万全の、大人の体で戦ったとして普通に負ける可能性が高い。
いや見栄を張った。どう負けるか、どれだけ被害を少なく負けることができるか。そんな戦いになりそうだ。
勝率0パーセントだろう。
今のこの体じゃ歯が立つとかそんな話以前だ。ワンパンもいい所だろうな。
というかこの二人、どちらとやり合っても一瞬で制圧される。だからこそのこの余裕なんだろうなぁ。
二人を観察していることすらバレている様子だしな。
「はぁ……まぁ、わかったてばよ。ヒューズ、オレも信じてやりてぇと思うんだけどな。わりぃけど里を預かるものとして全面的に信用してやることはできねぇ」
「……いえ、ナルトさんのお気持ちはわかります。正直いって、異世界から来たなどという相手、普通は信じるほうがどうかしている」
「そう言うな。何もここにいちゃいけねぇなんて言ってねぇ、お前の住む家と生活費はこっちで手配させてもらうってばよ」
「え?」
「相変わらず甘いな、ナルト」
「その代わり、ヒューズにはアカデミーの忍術科に通ってもらう。そして帰るまでは忍者として働いてもらうってばよ」
「忍術科??」
「ああ。そうしてもらったほうがお前の動きを管理しやすいし、働かざる者食うべからずっていうだろ?」
「なるほど、考えたな。だがいいのか? 怪しいぞ」
「うーん、まだなんもしてねぇしなぁ。窮屈させるかもしれねぇけどよ、なんもしてないやつを捕まえるわけにはいかねぇってばよ」
学校……つまり、この世界の常識を学ぶことができる、というわけか。
日々の日常を監視されることにはなりそうだけど、忍術というこの世界の未知の力に触れることもできるんだ、悪い話ではない。
というか、条件付きで実質自由にしてもよいというコチラへの最大の譲歩だ、受けなきゃ失礼も甚だしいだろう。
返答はきまっていた。
「……ではお言葉に甘えさせてください」
こうして俺は、子供の体のまま元の世界に戻るための手がかりを求めてこの世界で忍術学校に通うことになった。
ぼちぼちはじまってしまった……。
どれくらいの頻度で投稿できるかわからない。
ノリで始めたのでいつまでやるかもわからない。
そしてこの物語がどこに向かうのかも誰もわからない。
独自設定つき本作品のいろんなこと解説コーナー
【空間魔法:テレポ】
一度行ったことのある町とか村に行けるすごく便利な魔法。
中盤とかで覚えたりするけど最近は最初から覚えてたりする。
戦闘で使うと敵を消したりできる作品もあったっけ。あったよね。
この作品は主人公が元の世界に帰ることを目標としているため、空間魔法は殆ど出てきません。主人公の世界では発達してないよ、ご都合主義万歳。にんにん。
【加速魔法:ヘイスト】
ゲームではキャラの次の行動までの間隔を短くする。
これだけで手数が増えるので飛躍的にダメージが増加したり、窮地にすぐ行動できたりともはや実質攻撃魔法。
この作品では肉体の性能を一時的に上昇させる速度上昇バフ。
速度が上がれば攻撃力も多少は上がる。システムとかないし数値化もしない世界だからねそれくらいはね。
また、同時に脳の処理性能も上げることで反射神経や動体視力なども上がった速度に対応できるようになる。
無論、体にかかる負荷は軽減されないので魔力をこめて強化しすぎると体が反動でぼろぼろになるため多様は禁物。
【解析魔法:ライブラ】
どんなRPGでもよくある、敵の弱点を看破する魔法。
相手の最大HPとか弱点とか盗めるアイテムとか表示されたりするよね。
初見攻略時は割とかけたりする。ペラペラなマ〇オの仲間にものしりってやつがあったけど、ああいう一言コメントが見れちゃうのってついつい全部みたくなる。
この作品では世界に浸透している万物の情報を引き出す魔法になっている。
指定した対象が思う自分自身の弱点を魔法行使者は知ることが出来るが、実力差が少しでもある相手の情報は抵抗されてしまい、その世界の誰かが認識している一般的な情報しか引き出せない。また、対象に選んだ相手以外誰も知りえないような情報も全く引き出せない。補助魔法のため敵意感知に引っかからないが、感知能力の高い相手には何かされたことだけはバレる。
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第一話
少し古ぼけたキッチンとダイニングに、風呂とトイレと洗面所。
そして4畳半ほどの部屋がワンルーム。
周りの真新しい共同住宅に浮くように存在する小さな木造家屋は息を吸い込むと少しだけ埃っぽい。
とはいえ独り暮らしするなら広さなんてこれで十分だし、布団のセットと調理器具一式、生活に必要な雑貨はある程度そろっている。
それだけではない。
磨き上げられた忍具というものは基本的なものがそろっているらしい。
投げて使うらしい手裏剣、近接戦闘時に短剣として扱うらしいクナイ。チャクラを流すと数秒後に小さな爆発を起こすという起爆札や、いざという時の兵糧丸という食料。
そして、お願いしておいた身の丈程の頑丈な木の棒。先端には重さを出すためにしっかり安物ではあるが大きめの純度の低いクリスタルをつけてもらっている。
……お金がたまったら硬い宝石をつけてもらおう。魔力を封じた宝石じゃないので魔法の威力は上がらないが、見てくれは大事だ。
修行できるようにと小さいが庭もついていて、的のついた丸太と木偶人形が置かれている。
起爆札は訓練場に行くように言われているが、他の者はしっかり使えるように練習しておけ、という事だろう。
ワンルームから窓を開ければ縁側があり、庭先に立ってみれば二つの共同住宅の隙間からしっかり太陽の光が降り注ぎ、洗濯物がよく乾くいい環境だ。
息を大きく吸い込むと、この世界の空気を感じることが出来る。
木の葉隠れの里、とはよく言ったもので、周りに広がる森や山のおかげか発達した街中でもしっかり緑の匂いがする。
忍術と呼ばれる魔法に似たものがあり、それを操ることが出来る忍というものがこの世界を支える職業として定着しているならば環境の問題あまり大きくないのかもしれない。
そういえば、研究所の所長になって物資もしっかり届くため、もうずっと研究所から出ていなかった気がするな。
目いっぱいに肺に空気を取り入れると、気合を入れて的を見る。
「っ、はっ、そら!! 」
そうして投げた手裏剣は物の見事に的の張り付いた丸太を外れ、家を囲む石垣、その石材の隙間にぶっ刺さった。
「まだまだぁっ!!」
さらに俺は大きく飛び上がり、腰のポーチから取り出したクナイを真っすぐ投げる。地面に向かって。
さらにさらに、空中では大きく身をひるがえして後ろに下がるように縦に一回転する、ここで脳内の敵は俺に手裏剣を投げてきたからだ。
空中では大きく動くことはできないが、ここでよけながらすぐに反撃に転じることが出来れば大きな武器になる。攻防一体の武器に。
イメージに合わせてしっかり頭の中で手裏剣を避けつつ、その隙を逃さずにクナイをさらに2射!!
「これで終わりだな!」
回転中に軸がぶれたせいで体が斜めにずれていたため、縁側に置いておいたミカンはクナイによってまるで破裂する頭部のようにその瑞々しい果汁をぶちまけた、もう片方のクナイは窓ガラスをぶち抜いてカーテンにからめとられてしまった。
「……」
そして華麗に着地。
「……黒魔道士、白魔道士、赤魔道士に召喚士のジョブしかやってない俺に一体何を求めているのか。こういうのは狩人の仕事であって俺の仕事じゃないんだなぁ」
ナルトさんがつけているだろう監視の目はさすがに位置を気取らせない。
だが見られているというわずかな気配は感じる。
本気で調べれば割り出せるだろうが、そんなことはどうでもよかった。
ここは自分の名誉のためにとりあえず言い訳をしておく。
「そもそも魔道士とは近接はともかく投擲武器なんて使わない、自前の魔法でアウトレンジは自分のフィールドなんだからな。牽制のために前衛が行うか、魔力を乗せた一撃を放てる職業に比べたら威力なんてそれ事その辺の石ころよりはマシってレベルなわけだ」
……居たたまれないとか思われている気がする。
「逆にこの攻撃のタイミングでしっかり魔法や術を放つことが出来れば、こんな道具に頼る必要はないわけで……まぁ、魔力の節約という意味ではその重要さはわかっているつもりだけど?」
視線がそれた気がするのに、なぜか哀れみの気配をぶつけられて意図せずに監視の位置がわかってしまった。
もうやめろ、と言われている気がする。
「……ま!! 元の世界に戻ったらシーフか狩人のジョブも経験と思って取得しておこうかナ!!」
心のメモ帳に屈辱の記憶とともにどす黒いインクで書き残しておく。絶対。
ついでに今監視しているヤツは覚えたからな。
呪ってやる。黒魔道士なめんなよ。
さて。クナイや手裏剣は消耗品なのでしっかり拾っておく。
石垣に刺さったものが一番気になるが、どれも刃こぼれ一つない。
「ん、んんっ!!」
全て回収し終えると気を取り直すつもりで咳ばらいをする。
「次はチャクラを練る練習、だな。アカデミーの教本では確かこう……」
人差し指と中指を立て、もう片方の手でそれを包み、こちらもしっかり指を立てる。
サスケさんが魔力を動かした際に精神エネルギーがどう、と言っていた。つまり精神エネルギーは魔力を動かすイメージでいいんだ。
問題は、身体エネルギーのほうだが。
「ええーっと……細胞からエネルギーを抽出する。その際、イメージは各個人の一番しっくりくるイメージで行うほうがより効率よく抽出することが出来る。この教本はあくまで一例だという事を念頭に置いて、まずは……ふんふん」
縁側に開いた教本を読み、今度こそ庭に真っすぐ立って目を閉じる。
精神エネルギーは問題ない、若返ったといえど修練で増やしたコレは膨大にあるし、動く感覚もわかる。
身体エネルギー、抽出。抽出……細胞を、雑巾を絞るようなイメージでやってみるか。
細胞を絞る。雑巾から余った水分が滴るように、筋肉を構成する細胞を絞りあげていく。
「……!! あった、これが身体エネルギー……」
溢れてきた身体エネルギーに、精神エネルギーのほうが反応している。
まるで一つであることが自然かのように。
身体の内部で自分の意思通りに動く二つの熱をしっかり混ぜ合わせていく。
なるほどこれがチャクラ。1:1で混ぜ合わせたはずなのに、相乗効果でものすごく増幅されている。
割合で言うならば魔力換算で10と言ったところだろうか。
だが練ったチャクラは長時間体にとどめておくことが出来ないようだ。
少しずつ体から外に溢れて量が減っている。
勿体ないのでこのまま放つことにする。
人差し指を真っすぐに木偶人形にむけ、いつものように魔法陣を脳内で構築、そこに魔力の代わりにチャクラを流し込んでいく。
「これで……【水遁・ウォーター】!!」
構築した魔法陣に練ったチャクラを3ずつ区切って送ることで、拳大に生成された水弾を指先から射出させる。
連続で2射目、3射目が素早く指先から射出されると、木偶人形の頭、胴、足へとぶつかり、大きく揺らして術が終わった。
「ふぅ。身体エネルギーと練り合わせるだけで、とても燃費が良くなるし、練ったチャクラをどの程度注ぐかで威力も変えられる。これは便利だ」
とはいえ、いくつか欠点もある。
まず第一に、身体エネルギーの抽出に少し時間がかかる。
これならば多少の訓練である程度は使いこなすことは出来るだろうが、今現在では戦闘で使い物にならないだろう。
魔法を行使する際の魔法陣を脳内に構築するプロセスと並行して、そのタイミングでチャクラも練れるのが理想だろうか。
魔力を流すだけと違い、どうしても練るという工程が増えてしまうのは、ナルトさんやサスケさん、それより一つ二つ劣るくらいの最上位クラスの相手だと致命的な隙につながる。
精神エネルギーである魔力は元の世界の影響か膨大にあるため、子供の体でなければ負けはしてもナルトさん相手に食い下がることは出来るが、それでも鍛えた身体エネルギーと合わせてチャクラにして使用すれば、単純に普通に魔法を行使するよりも10倍の威力向上が見込めるのは大きな利点か。
そして第二に、子供の体は身体エネルギーが精神エネルギーに比べて圧倒的に少ない。
たとえ精神エネルギーが膨大にあったとして、今の俺の体の身体エネルギーはスカスカだ。
どうあがいても、身体エネルギー分しかチャクラを練れない計算になる。
そもそもどちらかが切れたらチャクラ切れになって気絶してしまうので、全部使うこともできないのだが。
体術も、打根術は高いレベルで使えるが、子供に戻った幼児体型ではイメージ通りとまではいかないだろうな。
大人の時と比べて魔力、精神エネルギーは減らなかったのが不幸中の幸いだ。
「んっ、ん、ん……ぷはっ」
さて、朝の準備体操は終わり、忍術学校とやらに登校しますかね。
友達、出来るといいんだけど。
学校なんて魔術院以来だ。あの頃は俺もトッゲトゲの強さに貪欲な、まわりを目の敵にしてたやつだったからなぁ。
断じてぼっちではない。周りも皆ライバルって感じだったしな、卒業後にいい成績であればあるほど、師匠選びもできるしな。
でも友達は欲しい。たとえ子供たち年下が相手でも、友達は欲しいさ。うん。
忍具入れのポーチを一応腰につけて、背中には特製のクリスタルスタッフを背負う。
ツバの広い帽子やローブを着たい……どこかで売ってないだろうか。
立派な塀に門構えを超えると、中央を真っすぐ行けば大きな建物。
歴史のある建物だとライブラが教えてくれたが、改修を定期的にしっかり行っているのか屋根や壁の塗装は真新しく、周囲の教育用と思われる施設も外見はとても立派だ。
ここからでも見える建物内部の廊下はさすがに距離があってわからないが、やはり15年ほど前とは言え、戦争をする際の主力が忍者なこの世界では、それを教える学校もしっかりとしたものなのか、それともこの発展した町に合う学校の基準がこれなのかはわからないが……。
見上げている事数分。急に後ろのほうが騒がしくなってくる。
「ん?」
振り返ってみれば、三人の少年が一人の少年に追っかけまわされている。
ふざけているんだろうか、子供は元気がいいというか。
……なんであの子らはこっちに向かってくるのかわからないが、ふざけてるにしては表情が真剣なような
「あっやべぇ!! なんでこんなとこにガキがいんだよ!? おーいそこのお前ー!! お前も早くにげろってばさーー!!」
「え、あー……」
もうすぐ目の前まで三人組に距離を詰められると、追いかけているほうの緑の服を着た、ちょっと印象深い顔つきの少年が何やら異様な雰囲気を放っているのがわかる。
こういう時は大抵、やっかい事なのは人生経験でよくわかる。
編入早々問題は起こしたくないので、することはただ一つ。
後ろに向かって前進である。って……。
「せっかく逃げたのに、なんでこっちに向かってくるんだよ君たちは!」
「うっ、す、すまねぇってばさ」
「あーあ、巻き込まれちゃったね、いけないんだボルト」
「オレのせいかよ!?」
「ちっ、とにかく今は逃げるぞ! 君も速く走るんだ」
「まだ全然鍛えてないからダッシュはよくても体力が厳しいんだからな俺!」
頭髪が黄色で青い瞳の前髪が特徴的な少年、色白で薄いクリーム色の少年、オールバックにしたうえで後ろで髪を結ぶ少年とともに、緑の少年から逃げ回る。
渡り廊下から学校に入り、その先を抜けて裏手にある丸太のある訓練場へと抜けると、オールバック少年の「隠れろ!」の号令とともに手近な草むらに四人で飛び込んだ。
「……隠れても無駄です」
幸い、飛び込むところは見られていないのか、遅れて出てきた緑服の少年はあたりを探し始める。
不意打ちを警戒してしっかり周囲全体に気を配っているところを見るに、訓練はしっかり積んでいる子なんだろう。
「こえぇ……」
「静かに!」
「逃げてるだけじゃ、ラチあかねーなぁ」
「お前が逃げろつったんだろーがよ!」
「今度こそ作戦練ったから大丈夫だ。反撃に出るぞ」
草むらに隠れながら、巻き込まれた俺を蚊帳の外に三人の少年が相談をしていく。
「いいか、まずボルト」
「お、おう」
「まずはお前の【影分身】で不意打ちを行い、メタルの気を引き付ける」
「なーるほどなぁ、不意打ちして気を引いた後に、お前の【影縛りの術】で動きを止めるってわけだな?」
「ばっかお前、それじゃあ今のメタルには通用しねぇよ。本来の力をしっかり出してるメタル、かなりやるみたいだぜ」
「なっ、馬っ!? じゃ、じゃあどんすんだよ」
「ボルト、お前は俺に【変化の術】で化けておくんだ。そんで、いのじんは【鳥獣戯画】で黒くて長いヤツ……そうだな、ヘビでいいか、ソイツをボルトの影に潜ませておく」
「へぇ……シカダイ、よく考えるもんだねぇ」
ええと、黄色髪の子がボルト、色白の少年がイノジン、そんでオールバックの子がシカダイね、なるほどなるほど。
さっきから術の話をしてるみたいだから忍術科、つまり今日から同級生になる子たちってわけだ。
「で、最後、ボルトが影を伸ばしたふりをしたうえで、ボルトへ意識をさかせつつ接近戦で気を引き必要があるんだが……ボルト、お前影分身は後一人出せるか?」
「いや、三人全員でとびかからせないとオレが影を伸ばすフリするのに信憑性薄れちまわねぇか?」
「だよな、仕方ねぇ。ちょっと気が引き切れるか不安だけどイノジン」
「俺がやろうか?」
後1手足りない。
そんな様子を見せる司令塔のシカダイに声をかける。
近接戦闘なんて久方ぶりだし、この体で打根術をする際のすり合わせに、ある程度訓練を受けた少年は丁度いいはずだ。
それに何をするのかわからないけど、忍術らしき名称がぽんぽん出てくるこの状況は正直、とても面白いし見学料として協力するくらいはしてもいいだろう。
背中のスタッフを手に取って軽く2,3度握りしめる。
愛用していたものほどはやっぱり手に馴染まないし、重さも違うから、慣れていかないといけない。
注文したはいいけど、お金に余裕が出来たら新調させてもらわないとな。
「君……たたかえるの?」
「うちの妹やデンキより小さいじゃんか」
「小さいのは関係ないでしょ、これからクラスメートになる相手に向かってずいぶんだなぁ」
「ゲッ、お前そんなちいせぇのに忍術科かよ……」
シカダイ、それはどういう意味だろうか。
というか、小さいのは種族柄だ。
肉体があまり成長せず、小柄な種族だからこそ魔法の扱いに長ける種族なんだから仕方ないだろう。
この世界には人間しかいないのか、種族という概念はないのか?
「んじゃ、転入生の実力、拝見させてもらうとするか。皆、ヘマすんなよ? ボルト!」
「おう! 【影分身の術】! そんで、【変化の術】だってばさ!」
「へぇえ……」
「ボクもいくよ、【忍法・鳥獣戯画】!」
シカダイの表情が、ピタリとピースが嵌ったかのような気持ちのよさそうなものになっている。
この作戦はきっと成功するんだろう。
声をかけられたボルトが即座に術を発動したようで、彼が3人増えたかと思うと、本体はシカダイにそっくりそのまま変身する。
それだけではなく、イノジンは描いた黒い蛇の絵が動き出し、シカダイに化けたボルトの影に潜み始めた。
なるほど、これが忍術。
魔法よりもずっと多様性がある。
増えたボルトは実体も持っているようだし、変化に至っては見た目は完ぺきにシカダイくんだ。
イノジンの術も絵が動くということは、描いたものに合わせて色々できるんじゃないか?
汎用性が高いな……で、ヘビを影に潜ませたということはシカダイのソレはきっと影に関する術なのかもしれないな。
「じゃ、いってくるぜ! うおぉぉ!」
興味深く初めて目にする忍術というものを目に焼き付けていると、分身のボルトが草むらから勢いよく飛び出していく。
分身しているボルトは自分のよく目が揺動だと理解しているので、一つ一つが迎撃されることを前提とした隙をわざと見せる大振りなので、すぐに対処されてぽんぽんと消えていってしまう。
ちょっとした衝撃でも消えていくのはやや不便かもしれないな、あの術は。
「忍法、影縛り!」
そして分身が消えると同時に本体のボルトがシカダイの恰好で影に扮したヘビを伸ばしていく。
動いているのはボルトだけではない、完全に不意打ちを入れられる位置に、草むらを伝って本物のシカダイも移動している。
皆冷静だ。
これはうかうかして失敗していられない。
「どうやらその影は射程距離があるようですね!」
「くっ!」
「そこっ!」
「!? まさか影縛りをさらなる揺動に使うとは! ですが惜しかったです、ね!」
この二段構えで行けるとおもっていたのだが、気絶させるためにやや力を籠めすぎたスタッフに一撃は寸前で回避されてしまった。
シカダイが後ろからしっかり不意を突けるように、メタルと呼ばれた緑少年の視界に入る位置から飛び出したのだから仕方ないといえば仕方ないのだが。
それにしてもこのメタルという少年、とても体幹がいいのか、避けてからすぐに反撃に転じてきた。
身体を必要以上によける動作に使わず、勢いのまま回転、回し蹴りを放ってくるので、スタッフを縦にしてそれを受け止める。
子供の体なので体重は軽いし、威力は高いようで受け止めた手もしびれるが、しっかり踏めばとりあえず吹き飛ばされることはなさそうだ。
体幹を崩そうと受け止めた足を押し返すと、簡単には崩れてくれず、その勢いを利用されて第二の回し蹴りが飛んでくる。
スタッフでそれもしっかり受け止めると、今度は押すのではなく一歩体を後ろに下げつつ棒を蹴りと同じ方向に引いてみると、そこでようやく変化があった。
「っく!?」
一度押されたので、今度はその押された力も計算して力を込めていたようだが、引かれてしまったために足は空を切っていく。
蹴りというのは威力は高いが、体を支えるための足が地面についてるのだから一度体幹を崩してあげると隙ができやすい。
回し蹴りも避けられれば背面を取られてしまうので、メタルは当然俺の目の前で蹴りの勢いのままお尻を晒す形になる。
それを突くようにスタッフを横なぎに振るう。
狙うのは当然、防御しずらい下側で、しかも相手の選択肢を狭めることが出来る軸足……本来ならそうなのだが、そこを狙ってジャンプで避けられでもしたら、影と体のつながり切れてしまう。
影を扱う術で足止めをするのなら、きっと影と本体はつながっていないといけないのではないだろうか。
仕方なくメタルの側頭部を狙って先端のクリスタルをぶつけるが、やはりうまくはいかないようで、余っていた腕で防がれてしまった。
「……素手で受け止めて痛くないのか?」
「鍛えてますからね」
軽口を一つ入れるが、攻撃の手は緩めない。
ここで気絶させてしまってもいいはずなので、今度は踏み込んでスタッフを2度3度と振るっていく。
先端が重いため遠心力によって威力もあり、長い分先端だけでなく反対側で捌くこともできる、手数は割と多いこの武器。
大技である蹴りは危険と判断したメタルは両足をしっかりつけて両腕だけでガードしていくことにしたらしい。
しっかり守ってたまに拳を突き付けてくる。
隙が現れたら先端を振るって気絶や悶絶を狙い、突き付けられた拳は打ち払う。
もう少し力を入れればガードに利用した腕や攻撃の拳の骨にひびを入れられるが、今回は無力化をしたいようなので捌くにとどめておく。
ひきつけ、互角の演出でわざと戦闘時間を引き延ばしていくうちにメタルの背後の草むらから影が伸びてくる
「っ、しまった!?」
「!! もらいました、ぁ!? か、体がっ……!!」
互角だという演出のおかげで、じれてきた彼の拳にはじかれるような形で大きく隙をみせると、ここぞとばかりに攻撃に転じてくる。
それがぶつかる瞬間、彼の動きは完全に停止した。
「そんな、馬鹿な。彼には意識を払っていたはず、動いていないのにどうしてっ! か、影がっ!?」
「わりぃな、メタル。【影縛りの術】成功だな」
なるほど、【拘束魔法:バインド】に似ているな……。
でもあっちは足を止めるだけの魔法だから、こっちのほうがずっと使い勝手がいい。
いいなぁこの忍術、教えてもらえないだろうか、凄く気になる。
「な、なにっ!?」
「へへん、変化の術だってばさ」
「じゃ、じゃあその影はっ!?」
「ボクが描いたヘビだよ」
後ろから現れたシカダイの声に、うろたえたようにボルトのほうを見るメタルだが、続々とネタばらしをしていく。
「ぐ、ぐ、ぐぐぐっ……僕を騙すなんて、ぇっ!?」
「あ、おいお前っ!?」
「ごめん、やばそうな雰囲気だったから……すぐに起きると思うけど、とりあえずタンコブは出来たかもしれないから医務室に運んであげて」
「いいんじゃないの、冷静じゃないというか、様子がおかしかったし」
急に雰囲気が変わり、さらに力が上がりそうだったのでスタッフの柄で後頭部をぶっ叩いておいた。
申し訳ないが、そろそろ時間も時間なのでお暇させてもらう。
職員室に行かなければならないので、後のことはこの子たちに任せてしまおう。
「じゃあ、俺はもう職員室いくからさ、これからよろしくな」
「えー、いっちまうのかよ」
「めんどくせぇこと押し付けんなよなぁ」
「あはは……じゃあね、またあとで!」
気絶させてしまったお詫びではないが、とりあえずメタルを木陰まで運んであげて、すぐに踵を返して先に校舎に向かう。
彼らとこれから生活すると思うと、退屈はしないかもしれない。
色々な忍術も見れたし、空間魔法テレポの研究は魔力不足だし、まずは時空間忍術を調べるまでの間、しばらくはこの生活を楽しんでしまおう。
独自設定つき本作品のいろんなこと解説コーナー
ジョブ/職業
たまにあるやつ。キャラの性能が変わったりするよね
魔道士
黒は攻撃魔法、白は回復魔法、赤は阻害や属性付与したりとかそんな感じよね
召は精霊とかよんだりして戦ったり、攻撃魔法うってくれたり、回復魔法うってくれたり。
主人公の世界では気軽にチェンジできたんじゃないかな、きっと!
主人公
体術 中忍くらい。ただし体力が全くないためすぐバテる。
忍術 下忍くらい。チャクラの元のエネルギーが圧倒的になりない。
幻術 アカデミーくらい。興味はある
【水遁・ウォーター】
脳内で構築したウォーターの陣にチャクラを流し込んで発射する。
【影分身】
ナルトやボルトの代名詞。
実体の伴う術のため、普通の分身よりも使い勝手がいい。
【変化の術】
アカデミーで習うレベルの術。諜報向きだし低難易度なのにめちゃくちゃ使い勝手いい。
【鳥獣戯画】
絵が動く。汎用性は高そう。個人的に好き。
【影縛りの術】
影を接続すれば本体を縛れる術。便利だしよく出てくる。
ジャンプで影と離れると拘束できないかどうかは不明。この部分は主人公が勝手に考察してるだけで捏造ではないからセーフ、セーフ
【拘束魔法:バインド】
実はそんなに出てこない魔法
足を止めて毒、足を止めて毒。定石。何時間とテレビの前で耐えられるなら強い魔法。
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第二話
書き溜めてから週1とかで上げたほうがいいんだろうか。
みんなどうしてるんだろう……
忍という有事の際の戦力や、普段から荒事までこなす団体を育てる忍術学校と言うからには、戦闘による力に比重を置いてるのかと思っていたが、中々どうして体を動かしたり、実際にチャクラを練って術を使うという授業は少ないようだ。
クラスメイトや教師の話、また歴史の授業では七代目火影が子供の頃にはまだ忍術科しかなかったらしく、さらに前の国同士の仲がよろしくなかった頃はより実践に即した授業を中心に行っていたようで、即戦力になる人間や人員不足の際は飛び級などもあったようである。
今は七代目火影であるナルトさんを筆頭に勝ち取った平和と、近代化が進んだ影響で忍者の人気自体はまだまだ高いものの、将来と現実という視点で見るとどうしても忍者志望は少なくなっているらしい。
年々忍者の質も落ちてきていて嘆かわしいという老人は少なくないが、さて、一度大人になったことがあり、国でもそれなりに有名で優秀だった俺にとってはそんな老人を見返す程度のことは出来るだろうと高をくくっていたわけだが。
「せいっ! そい! そこっ!!」
「うおっ、おまっ、おいっ!!?」
縦に腕を大きく振るって全力で投げた手裏剣は明後日の方向へとすっぽ抜け、横からサイドスローで投げたクナイは横へ大きくそれる。
そのすべてが自習訓練時間でボルトと組手を行っていたイワベエという不良崩れの少年に向かって飛んでいってしまうが、かの少年は持っていたクナイを素早く振るってすべてを叩き落としてみせる。
「テメェ! ヒューズ! オレに何か恨みでもあんのか!?」
当たり前だが恨み等ない。
「……いや今のはほら、不意を突かれたとき君がちゃんと対処できるかのテストだよ、抜き打ちテスト。うん、イワベエは合格」
「思いっきりすっぽ抜けてたけどね~」
「アホかおめぇ、マジに当たったらどうすんだよ。お前先生が見てないとこで手裏剣の練習すんのやめろよな」
「テンメぇ、ボルト、ちょっと待ってろ」
「あっ、おいイワベエ!」
咄嗟に思い浮かんだ言い訳を粉々に砕いていくイノジンとシカダイの発言に、ブチギレ寸前といった様子のイワベエが俺に襲い掛かってくる。
「あ、あはは。ボクのほうに飛んできてたらさすがに危険だったよ、ボクはまだあんな風に打ち落とせないから」
「そーかぁ? デンキも最近頑張ってるし、何とかなるんじゃねぇ? な、シカダイ!」
「ボルトくんやシカダイくんには簡単に見えるだろうけど、普通刃物が飛んで来たら怖いよ」
「当たらなかったから良かったものの、ありゃヒューズのやつがわりぃ」
いつものスタッフでイワベエの拳や蹴りを防ぎつつ、打ち払うことで体勢を崩させ、隙が出来ればそれを振るって攻撃する。
イワベエも怒ってはいるが、訓練だという事できちんと手を抜いているらしく、本気でキレている様子はないので外野へと耳を傾けることが出来るが、正直事故のもとなのでシカダイの言う通り教師のいない場での手裏剣術の練習はやめたほうがよさそうだ。
「それにしても、あのイワベエやメタル、ボルトとしっかり組手出来てる時点で体術は中々だよね彼」
「まぁ、体術は、な。それにしたってそろそろ」
「ごぼへぇっ!?」
「体力がなぁ。あんなちいせぇ体で力負けしねぇようにそらしたり避けたり、体の小ささを利用した工夫はすげぇんだけど、持久力なさすぎんだろ」
ご明察である。
子供の姿になったとはいえ、研究職はフィールドワークで魔物と呼ばれる相手と戦うこともある。
その分の戦闘における勘は問題ないのだが、いかんせんその勘に体のほうが付いてこない。
全身をしっかり動かして近接戦闘を行っていると、すぐに息切れをし、力が抜けて受け流す最低限の力すら出せなくなってご覧のようにイワベエの拳が顔面に突き刺さるのである。
結構いたいのだ、これが。硬い木材でできたスタッフである程度打っているはずなのに、彼の拳や腕、恐らくあのボンタンに隠れた足もダメージは入っていないんだろう。
何度か入れた一撃も筋力が足りないので痣を作る程度が関の山だ。
急所に当たればその限りではないが、きっちりそこは防御されるか、体の向きが悪くそもそも打たせてもらえない程度には工夫されるしな。
「では、ヒューズ、【変化の術】始め!」
「そいや!」
「……はぁ。しっかりなりたい自分をイメージするんだ」
個人的にはこの変化の術は成功なのだが、シノ先生はお気に召さないらしい。
なりたい自分を想像して変化の術を行うことが課題なので、大人になった自分をイメージしているのだが、そもそもが成人しても小さくあまり肉体的に成長しない種族の体なので、ちょっと前までの大人の自分を想像して変化の術をかけると、ボルトより少し高いくらいの少年の外見になってしまう。
と、言うよりもこの変化の術、なりたい自分にイメージしながらチャクラを練るとその姿に変身する術なのだが、そのイメージというのが曲者で、俺の場合はなんだかんだと子供の姿の不便さが身に染みてしまっているのか、深層心理に反映された大人のもとの姿に戻りたいという気持ちがイメージとして強く反映されてしまうようなのだ。
先生の言葉の意味はわかる。なりたい自分、というのは人や物を客観的に見たうえで、その姿になりたい、という気持ちなんだろう。
俺にとってのなりたい自分、というのは、将来的にどうなりたいか、という深層イメージになってしまう。
言葉とは難しい。意味はわかっているのに、使い分けることが出来ない。『なりたい自分』違いのせいで、まったく変化の術がうまくいかない。
「まぁ、忍術は得手不得手の差が激しい。が、変化の術と分身の術くらいはしっかり会得してほしい。なぜならそれはアカデミーの授業クラス、難易度でいうならばE相当の術なのだから。」
「真面目にやっているんですけどね……【忍法・分身の術】!」
ぼふん! という煙とともに先ほど変化の術で自分自身が変化した、大人の自分が一人現れる。
こちらもまた、もう一人の自分をイメージしながらチャクラを練る、というもの。
俺の中で、俺自身はこの大人の姿なのだから、こうなるのも当たり前といえば当たり前の話だ。
「ヒューズってさぁ、火遁とか水遁とか得意なのに、なんで変化の術や分身の術がまともにできないのかしらね?」
「あわわ、で、でも、下忍でもないのに五大性質変化をすべて扱えるのって、とてもすごいことだと思うんですけど……上忍にもなかなかできることじゃない、そうですし……」
「委員長の言う通りぃ、確かに凄い術がたくさん使えるって、将来は有望かもねぇ~。でも幼いだけじゃなくて顔が可愛い系であちしの好みとは外れるかなぁ~」
席に戻ると、後ろから赤縁メガネの少女であるサラダ、紫の長い髪を束ねた少女であるスミレ、ふくよかな体型をしているチョウチョウからちょっかいをかけられる。
「だから、これでも真面目にやってるんだよね。チャクラを練るのは成功してるんだけど、ちょっと問題がね……大人になった自分をイメージしてるだけなんだけど……」
「大人って、あんたねぇ。あれじゃあ、いいトコお兄さんじゃないの」
「あちしの想像する大人ってのはぁ、もっと身長が高くてスマートなイケメンなんだけどぉ」
「はぁ……試験の内容が変化や分身じゃないことを祈るよ……」
種族柄無理なだけとはいえ、とくに高身長なイケメンになりたいわけではないので、どうにもやる気が出ないのも一つの原因なのだろうか。
身長の高さで使えない魔法は無いし、顔が優れていれば古代魔法を扱えるわけでもないんだから。
こんな感じで、かなり優秀なのは間違いないのだが色々なところでチグハグというのがクラスメイトからの俺への印象で、教師からはいまいちどう捉えていいか測りかねる生徒、という状態のようだ。
技術が違えば、別の世界ではどれだけ優秀であってもそううまくいかないという事か。
第一にこのチャクラというもの、応用力が高いエネルギーなだけあってイメージの力によるところが大きい。
精神力とか想像力とか、ふわっとしたものを媒介にした力で、それを当然と思う事が大前提なので、一度別の世界で大人としての価値観を培ってしまった自分には使いこなすのが思いのほか難しかった。
「オレ達のどこがガキだってんだ」
「そういう、すぐムキになる所だっていってるの」
授業中に言い争いをしているボルトやサラダは正真正銘子供なわけで、大人からしっかり習うことで自分なりのイメージを一から作り上げることが出来る。
培った価値観から連想してしまうイメージを捨てることができないのは全く厄介なことだ。
「そこまでだ! 全くお前たちは……今授業中だぞ。ヒューズから、忍具の口寄せをしてみるんだ、コレ」
言い争いを止めた木の葉丸先生が自分へと話をそらすために振ってくると、俺は手元に視線を落とす。
いま手元にある時空間忍術の忍具を口寄せする巻物とて、俺にとっては空間に作用する魔法のようなものだ。
空間魔法はまだ未知の技術、詠唱の理論から魔法陣に起こすことはできたが、失敗してしまった。
中途半端な知識は忍術へのイメージを大きく阻害する。
それがどういうことかというと。
「【忍法・口寄せの術】! ……ぜぇ、はぁっ……せ、成功、しました」
ご覧のとおりである。
俺の中で空間へ作用するイメージはあの実験が失敗したテレポの魔法。
長い詠唱の意味をすべて盛り込んだ魔法陣には膨大な量の魔力がいるので、普通は威力を削ぎ、形をシンプルにし、無駄なく効率よく誰でも扱えるようにしたものが完成形なのだが、あれはまだそのまま魔法陣にしたものなので、職員たち全員が少しずつ溜めていった魔力が必要だった。
だからそのイメージに引っ張られ、大量のチャクラを消費してしまう。
何とかする手がないわけではない、が……他の忍術と合わせて、やはり研究と知識は必要不可欠で――。
「お、おい、ヒューズ!?」
「!! 木の葉丸先生、すぐに医務室へ!!」
「わかっている!」
倒れ込んだ自分を抱き支えてくれた木の葉丸先生の声と、シノ先生の心配する言葉を遠くに、身体エネルギーのチャクラ切れを起こしてしまう。
「まさか口寄せの術でチャクラ切れがおきるとはなぁ」
「すみ、ませ……」
「あー、いい、いい。命に別状がなければな、疲れない修行なんてないんだぜ、コレ」
取り出した立った一つの忍具であるクナイ。同じ世界で、大して距離の遠くないただの物を取り出すだけでこの体たらくでは、元の世界で、自分自身の質量持った物体を帰らせるには言ったいどれだけのチャクラが必要なんだろうか。
木の葉丸先生に支えられながら、自分が取り出したクナイを眺めながらタメ息を吐いた。
独自設定つき本作品のいろんなこと解説コーナー
【忍法・変化の術】
なりたい自分をイメージしながらチャクラを練ることでその姿に変身する術。
ヒューズが使うと身長160くらいの少年の姿になるが、これは彼自身の大人姿。
この作品ではあまり出ないが、彼の種族は本来魔法ジョブに特化した種族なので、肉体的な成長はあまり見込めない。
ただ、魔法ジョブに特化した種族とはいえ、戦士系の職業を使わないことはない。
多少有利不利が決まるだけで、実際の戦闘はジョブの力によるところが大きい
【忍法・分身の術】
もう一人の自分をイメージしながらチャクラを練ることで姿の自分を出す。
やはり少年のような見た目の大人姿のヒューズが出てきてしまう。
実体はないため、攪乱にしか使えない。
【忍法・口寄せの術】
時空間忍術でも比較的簡単な部類の術(と、作者はおもっております)
会得難易度もあまり高くなく、中忍クラスは契約さえできれば使っているものも多いらしい。
時空間に作用する、ということでヒューズ自身は苦手意識がある様子。
どうでもいいけど口寄せの獣って可愛いの多いよね。
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第三話
結局放課後まで医務室に残ってしまった。
より正確にいうならば寝ていたといえばいいだろうか。
忍術は魔法と違う。精神エネルギーだけでは発動できない。
わかってはいたことだが、失敗を連想する負のイメージのせいでたった一つのクナイを呼び出すだけで身体エネルギーが空っぽになってしまった。
今日の授業の分はどこかで先生に補修をしてもらおう。
たった一人に放課後時間を作ってもらうのは正直ちょっと気が引けるが……。
「あ、シノ先生、さような……え? ええ? これはいったい何事?」
校舎から出て、校門まで足を進めた所で異変に気付く。
校門前で校舎に背を向けて立っているシノ先生に帰りの挨拶をかけようとすると、まるで対立するように女子と男子が左右に分かれている。
「来たか、ヒューズ。君も男子側に混ざりなさい」
「こっちこいよ、ヒューズ! 女子達に一泡吹かせてやろうぜ!」
「いや、え?? な、何が何だかさっぱり……」
シノ先生の言葉と、ボルトから手を引かれることで仕方なく男子側に向かう。
仕方なく近くのシカダイに事情を聴いてみる。この中では一番冷静そうだ。
「ね、ねぇ、シカダイ。これ一体どういう事なの??」
「いやなんかよォ。お昼ごろにボルトとサラダのやつが焼きそばパンを取り合って……説明すんのもめんどくせぇ」
「要は女子対男子の合同演習ってやつだよ。シノ先生がやる気になっちゃってさぁ」
事情の最初の部分で説明を放棄したシカダイと、補足する気のないイノジンの完結すぎる言葉に余計に混乱する。
とりあえず事情を察するに、男子の中心人物であるボルトと、女子の中心人物のサラダで焼きそばパンをめぐって争いが勃発。
なまじ発言力のある二人の争いのため、クラス全体で男子と女子に分かれて不和が広がり、シノ先生がそれを仲裁するためにひとまず舞台を用意してくれた。
「ってことであってる?」
「すごいねヒューズくん。たったあれだけでそこまで予測できるなんて」
「まぁ、概ね間違ってねぇな。説明する手間が省けて助かったぜ」
く、くだらなさ過ぎる。
「ルールはたった一つ。ここからスタートして、本館屋上にある旗を先に取ったほうが勝利。負けたほうは、勝ったほうのいう事を一つ聞くことだ」
子供同士の喧嘩……それも女子を相手に大人の俺は本気を出していいんだろうか。
いや、子供相手だからと油断できないのはこの数日、忍の授業を受けたのでわかっているが……。
前の世界とルールが違うこの世界では、俺はまだ子供と言ってもいいだろう。
で、あるならば、女子たちには申し訳ないが本気でやらせてもらおう。
「では……よーい、始め!!」
シノ先生の号令とともに、即座に脳内に魔法陣を展開、集団なので上位魔法を行う必要がある。ここは一気に……!!
「ここはオレに任せろ!! 【土遁・土流壁】!!」
上位魔法陣に魔力を流し込もうとした所で、イワベエが背中の棒を地面に突き立て、女子側の進行ルートに土の壁を迫り上げ妨害する。
しまった、と思う。
俺はさっきまで寝ていたから作戦に参加する時間もなかったし、始めの合図まで事情をかいつまんで聞くだけが精いっぱいだったからな。
上位魔法は脳内で構築する魔法陣もやや複雑で、簡単なものでも数秒はタイムラグがある。
一網打尽にしようとして裏目に出てしまった。これならサラダやチョウチョウと言った厄介な相手に下位魔法で素早く妨害すべきだった。
「皆、今のうちに行け!!」
とはいえ、文句は言うまい。
足止めという目的は果たしたし、ここはお言葉に甘えて先に行かせてもらおう。
「イワベエ、ナイス!」
「サンキューな、イワベエ!」
「おうよ! ヒューズ、ボルト! さっさと行きな!」
先手は男子がゆずってもらった。あれならしばらくは持つだろう。
そう思った瞬間、後ろでイワベエの悲鳴が上がる。
「無駄なカロリー使っちゃったじゃん」
お、おおぅ。ちらっと見えたけど、あれは巨大化した拳だろうか。
チョウチョウはああいう術を使うのか。単純に攻撃力が強いし、リーチもありそうだな。あれはスタッフでは受け止める処か受け流すことも難しそうだな……。
「【影縛りの術】!」
追いかけてきた女子を今度こそ足止めしようとしたところで、俺より先に振り返ったのはシカダイだ。
咄嗟に彼の頭を飛び越えるようにジャンプすることで、彼の足元から伸びた影を避ける。
「シカダイ! お前俺までかかったらどうすんだ!」
「わーるかったって! おかげで一網打尽にできただろ!」
あれは俺を壁にすることで術の発動する瞬間を見せなかったんだろうな。
信用されているとすれば聞こえはいいが、避けられなかったらどうするつもりだったんだ。
……それにしても、やっぱり彼の術は俺の魔法より使い勝手がいい所が――。
直後、先頭から爆発音が聞こえる。
見れば校舎の入口の昇降口から煙が噴き上げてしまっている様子だ。
「一体なんだってばさ!?」
「言い忘れていたが、校舎にはトラップが仕掛けてある。何故なら、より実戦に近い緊張感を持つためだ」
「い、いくら何でも、やりすぎじゃないかコレは……」
流石に呆れてしまう。
とはいえ、こんな事では誰も怯まないらしい。いや、女子の何人かは怯んでいるようだが……。
シノ先生の言葉を無視して俺も男子に混じって突入する。
「ぎゃあああぁぁ!」
「うおおぉぉお!?」
「きゃああぁっ!!」
阿鼻叫喚とはこの事か。
一人、また一人と爆発に巻き込まれて人数が減っていってしまう。
ボルトたちのやや後方を自分のペースで走っていくことで体力を少しでも節約するつもりだが、石や破片が時折飛んでくるため、それを避けながら進むのは意外に体力を使う。
「全く。シノ先生ってば何考えてんだよ! あれじゃあ校舎が壊れちまうってばさぁ!」
「というか既にガラスは粉々だし、扉はひしゃげたり外れたりしてるし、柱にも傷が入ってるんだけど……この修理費ってシノ先生が出すのかな?」
「そんな事より、ずいぶん人数が減っちまったなぁ」
「残っているのはボクたちだけ?」
……殺気!
後ろを振り返ると同時に、スタッフを回転させて手裏剣を叩き落とす。
メタルのほうも飛んできた手裏剣をすべて受け止めたようだ。
「こ、こここ、ここはボクがぁっ!?」
「よし、任せた!! いくぞ、ボルト!」
「えぇ!?」
明らかに緊張した様子のメタルだ、本当ならばフォローしたほうがいいのだが……。
とりあえず見捨てて逃げる!
「さらばメタル。お前が時間稼ぎしている間だけは忘れない……」
「ヒューズお前、メタルに容赦ねぇーな」
「ボクもあれはちょっと……」
ちょっとした冗談のつもりだったのだが、なぜか俺がメタルに当たりが強いみたいな言い方をされてしまった。
後方で彼の悲鳴が聞こえたが、ここは心を鬼にして彼の雄姿を胸に前に進ませてもらう。
「誰も気づかなかったのか?」
「……っ!? ……女子の数が足りない」
「なんだって!? じゃあ……!」
メタルを見捨てた理由は簡単。多少の時間稼ぎをしてでも前に進まなければいけないからだ。
「生き残ったのはここにいるボルト、シカダイ、イノジン、デンキ、そして俺だけ」
「先頭を走っていただけ、男子の数は減っているが……」
「なるほどな、一度発動したトラップを後ろから追いかける女子はもっと数がいてもいいはずだ」
「別動隊がいるってことだね」
「やってくれんじゃん」
ここにいる全員、頭の回転は速い。
何度も思うが、子供と侮っていられないな。
「一番の最短ルートを行くぞ」
「今だって一番の最短ルートを言ってるはず、なんだけど……?」
「いや、本当の一番の最短ルートはこっちだ」
シカダイの自信のある発言に、俺たちは顔を上げて頷き合う。
ここにいるのは皆、今の俺には出来ないことが出来て、見習うべきところがしっかりある。
背中を預けるに値する仲間といえる。仲間の言葉は信じるべきだろう。
シカダイが途中でルートを変更し、俺たちはそれに追従する。
追ってきている女子側も最短ルートは知っているため、これで追っ手を振り切れるはずだ。
「何も馬鹿正直に中を行く必要はねぇ。要は屋上につければいいんだ。そしてここが恐らく一番最短ルート」
「なるほど、非常階段! 任せてよ!」
非常階段は災害時以外では使用禁止だから、頭から抜け落ちていた。ここからなら確かに屋上一歩手前の廊下までショートカットできるな。
出入口にある鍵のかかった扉はデンキに任せる。
この世界にある電気という物質は魔力庫を使用すれば再現が出来そうだ。
彼の操作するパソコンという機械はよく分からないが、このあたりの技術も勉強していけば、いざ元の世界に帰るときの手土産としては十分かもしれない。
「彼女や、他の遠回りのルートでいっただろう別働隊はどうしても処理されていないトラップを慎重に進む必要がある」
「それならボクたちも強行突破しないで多少はトラップを警戒しつついけるね」
「いやまて……デンキ、今の女子たちの動向は探れるか?」
「え? それはまぁ、監視カメラを探ればできるけど……」
「いい事、思いついたぜ」
「これも先生のトラップ!?」
セキュリティシステムとやらに侵入できるデンキは、屋上までの最短距離を走る女子の道を防火扉でうまく塞いでみせる。
シカダイの作戦。
外の非常階段からはどの階へも校内へ入ることが出来る。
逆を言えば、女子の位置を探ることが出来ればこうして先回りして、さらなる足止めをすることも可能というわけか
まぁ、しなくても最上階に入って屋上にそのまま向かえば普通に勝てていただろうけど、シカダイもなんだかんだ言って、女子に対して多少の腹立ちはあったのかもしれないな。
こういう所は年相応だ。
「【忍法・鳥獣戯画】」
「なにこれっ!」
「イヤぁあっ!? カエル嫌いーー!!」
物陰に隠れながら様子をうかがってみるが、女子の苦手なカエルを出して嫌がらせする所がエゲつないし、腹にすえかねてる証拠だろう。
「一泡吹かせられたわけだし、そろそろ行こうか」
「シカダイも自分の手を汚さずに相手を痛めつけるなんて、容赦ないよねぇ」
「誤解を招くような言い方すんじゃねぇ」
「なぁデンキ、これ押したらどうなるんだってばさ」
「あっ」
ボルトがデンキの手元を勝手にいじると、警報装置とともに女子の頭上から水が大量に流れはじめる。
カエルの絵がどろどろと水で溶け始める様は正直ゾンビやグールと言ったモンスターを彷彿とさせるな。
「あーあ。やっぱりまだパパと同じようにはいかないなー」
「うーん、これは俺たち、余計な恨みを買ったかもな」
「潮時だな」
「やべ、さっさと行こうぜ」
急いでこの場を離れる。
女子は身だしなみに気を遣うし、カエルだけならまだしも全身水浸しにされたらちょっとやりすぎかもしれない。
急いで離脱して、先ほどの非常階段のもとへと向かうが、曲がり角を曲がったところでついに別動隊とかち合ってしまう。
「あちしらから逃げられると思ってんの?」
正面を封鎖されてしまった。
先ほどの警報装置で位置がバレてしまったようだ。
「くそ、とにかく正面突破だっ!」
「ええ!?」
シカダイが窓へ、イノジンが逆の壁へ飛び込み、壁を蹴り上げて女子の頭上を飛び越える。
同時に左右へ行くことで相手を一瞬怯ませる、その隙で抜けていく息のあったコンビネーションだ。
ボルトもそれに続いてチョウチョウの足元を滑り込むように抜けていく。
「じゃあ俺はっ、っと!」
ボルトへと視線がうつったのをいいことに、体をひねりつつジャンプし、天井を踏みつけて頭上を越えさせてもらう。
「デンキ!」
……デンキには、まだこれらの芸当は無理なようだ。
「ボルト、シカダイ、イノジン! 先に行け!」
「くっ、すまねぇってばさっ!!」
「逃がさないわよ!!」
騒ぎを起こせば当然、気付かれる。
先ほど嫌がらせをされたサラダチームが追いつき、チョウチョウチームと合流を果たされてしまう。
人数で圧倒的に不利なこの状況、誰かが残って足止めをしなければならないが、この中で一番足止めに向くのは俺だろう。
ついでに大きく声を上げて俺が残ることで、逃げ遅れて女子に取り囲まれてしまったデンキから意識をそらさせる。
流石に全員分の恨みをデンキ一人で担うのは可哀そうだからな……
半数が投げてくる手裏剣をスタッフを回転させてすべて撃ち落とす。
「くっ、ヒューズは要注意よ、皆!!」
「俺自身は女子に思うところはないけど、せっかくだから精一杯邪魔させてもらおうか」
トラップに巻き込まれた子達はわからないが、ボルトたちは意図して女子を傷つけないように攻勢に転じることはなかった。
問題児と噂されるこの忍術科で、女子まで悪く言われてしまっている現状を男子側も申し訳なく思っているのかもしれない。
で、あるなら、俺が使うべき魔法は。
「気を付けて! 何か来るよ!!」
「【遅延魔法:スロウガ】!!」
スタート時にイワベエに譲って使わなかったものを、ここで使わせてもらう。
自分を中心に魔法陣が大きく広がっていく。
最前列にいたサラダとチョウチョウはこちらの魔法の発動を見て大きく後ろに飛ぶが、その後ろにいた委員長やツインテールの女の子を筆頭に、大半の女子に魔法をかけることに成功する。
「あわわ、な、なにこれ、体が思うようにうごかない……!?」
「ワサビちゃん、逃げてぇっ!」
「ナミダ!」
魔法陣の射程ギリギリまで伸ばしきると、魔法陣が消える。
ワサビと呼ばれた尻尾のアクセサリーをつけた少女も、ツインテールの子の言葉に合わせて逃げたらしい。
スロウの魔法は相手の脳が体に流す電気信号を妨害する魔法。かかった者はしばらく走ることも、飛び跳ねることもできないだろう。
「サラダにチョウチョウに、君はワサビだね」
「やってくれるじゃん……【忍法・部分倍化の術】!」
「【防御魔法:プロテス】! 何のこれしきっ!!」
青い光の結界が体に沿って鎧のように展開される。
防御を固めて両手を前に突き出し、チョウチョウの迫りくる巨大な拳を受け止めるが、あくまでこの魔法は物理防御力を上げる魔法なので、衝撃を流すことはできず、そのまま押し込まれていく。
チョウチョウの拳を受け止めることが出来ず、彼女の倍化の射程限界まで圧されてようやく止まってくれた
「なっ、あちしの部分倍化を正面から受けて立ってるなんて!?」
「チョウチョウ! 何か変だよ、ヒューズって確か受け流したり相手の力を利用する体術をつかうはず!」
「じゃあ今度はあたしの番だ! 【忍法・猫かぶり】!」
巻物を開き、口寄せのようにチャクラを流し込むと、わさびの被ったフードから猫耳を模したチャクラが現れる。
「行くぜ!!」
「っ、はやいな!?」
四つん這いになった低い姿勢から、四肢へと力を込めて飛び出す爆発力は、想像を大きく超える程の速さで、振るわれた引っかき攻撃は受け流す事をできずにひたすら防御せざるを得ない。
「いまだ! いけサラダ、皆!」
「ありがとう、ワサビ!!」
ひたすら猛攻を繰り替えすワサビの攻撃を受け続けることに精一杯で身動きが取れない!
衝撃を防ぐことは出来ないからな、この魔法は……!
スロウの効果も薄れてきているのか、小走りで何人かにまんまと抜かれてしまった。
とはいえ、これ以上やらせるわけにはいかない!
「【加速魔法:ヘイスト】!!」
「なっ!? こいつ、急に動きが……!!」
自分が速くなり、その速さに合わせて脳の処理速度も上がる。
スロウ魔法の反対にあるこの魔法は、神経系への伝達スピードも上げてくれる。
ワサビに合わせて魔力を注いだため、強化自体は不十分だが、怪我をさせないという意味でもこれで十分だろう。
全員が最初のスロウガを受けたときのように遅く感じる。
ワサビの連撃も打ち払える程度に加速し、しっかり受け流し、力を利用して元の位置に向けて優しく放り投げる。
「ちくしょう、あしらいやがって! もう一度だ!!」
『両者そこまで!! 男子チームが旗を取得したため、この勝負は男子チームの勝利とする。皆、校舎前に速やかに集合するように』
ワサビが最初のようにとびかかろうとしたため、すぐに迎撃態勢を取ろうとしたが、その寸前にシノ先生の校内放送が響き渡る。
しっかり時間稼ぎをしたおかげで、無事ボルトたちはうまくやったようだ。
「そ、そんなぁ……」
ヘナヘナと落ち込むワサビを前にしながら、女子達を捕縛していた魔法を解いてあげる。
「やったね、ヒューズくん!」
「あ、デンキ。ごめん、途中ですっかり君のこと忘れてた」
「ええっ!? ひ、ひどいよヒューズくん、助けるために残ってくれたんじゃ……」
「あははは、ごめんごめん! さ、校舎前に急ごう?」
「今日は皆、よくやった」
放課後に始めたので日も落ちてきた頃、ようやく全員が集まってきたため、シノ先生が口を開く。
「へんっ、女子なんて目じゃねーぜ! ボルトも何か言ってやれよ」
「イワベエ、本当にそうだったか?」
「ええ? んだよ急に」
勝ち誇った様子のイワベエに、ボルトが待ったの声をかけて項垂れるサラダ達に視線を向ける。
その表情は真剣で、シカダイやイノジン、デンキ、メタル、他の皆もまた、思うところがあるように女子側を見つめる。
「なぁサラダ」
「な、何よ……負けたんだから、何でも言いなさいよ。ハンバーガーでも驕りましょうか?」
「いや、お前ら女子、本当にすごかったってばさ」
「え?」
真剣な表情から一変、男子側の空気が一気に軽くなる。
みんな笑顔で、わだかまりなくお互いの健闘を称えるように立っていた。
「俺ら男子は皆固まっちゃいたけどよ、サラダたち女子は皆で連携取って、しっかり追い詰めてきた。すごかったってばさ」
「まぁな。俺らも結構焦ってたんだぜ」
「な、何よ……あんたたちも、皆強かったじゃないの……」
「先生。つまりシノ先生が伝えたかった事って、こういう事ですか?」
女子の顔も明るく、ボルトとサラダが握手する。
その様子を見て、俺が話を続けたそうなシノ先生へ会話を振る。
対立をしたついでに競争させながら評価していたのかと思っていたが、それは副次的なものでしかなかったのだろう。
終わって、この光景を見るまではわからなかったが。
「……そうだ。お前達はいずれ立派な忍になるだろう。競争は大切だ。だが、チームを組んで活動する中でお互いの長所をよく知って、しっかり連携をすれば自分達の力以上のことが出来るようになる。何故なら、忍にとって必要なものはチームワークだからだ」
シノの言葉に、女子と男子がお互いを見つめ合う。
今まで対立してしまうのは、お互いの悪い面ばかりを見てきたからだが、今回こうして戦うことで良い所を見ることが出来るようになった。
「これからも、お前たちは自分を磨き、周りのクラスメイトの良さをしって、悪い面ばかりではなく良い面も見つけられるように――」
シノ先生の言葉の途中で、ピシリと空気を割くような嫌な音が響く。
見つめ合っていた視線はすべて音のした方向へ、校舎のほうへと向けられる。
数秒置いてまるでそれが広がるようにピシピシと鳴り響いたかとおもうと、一気にそれが広がり、真新しい綺麗な校舎は一気に崩れ去っていった。
「これは、しばらく青空授業ですかねェ。コレ」
夕日が広がる中で、木の葉丸先生の言葉ではっきりとオチが付いた。
独自設定つき本作品のいろんなこと解説コーナー
【土遁・土流壁】
イワベエが使う忍術。上忍クラスの忍術らしいけどイワベエ普通につかってるよな……まぁきっとチャクラ量とかで大きさが変わったり、形が変わったりするんだろうけども……
実は結構、音が好き
【遅延魔法:スロウガ】
ゲームだと相手の中心にエフェクトでたりするけど、この作品では魔法陣が広がってそれに触れたらアウトな感じにしてみた。
でもあんまりスロウって使わない……使わないよね??
【防御魔法:プロテス】
物理防御力を上昇させる魔法。どのタイトルでも大体エフェクトカッコイイ。
ボス戦とかで重ねて使ってカッチカチやぞってネタが使える。
実際カッチカチの腹筋や大胸筋で敵の拳を一身に受け止める盾役はかっこいいぞ。
盾は飾りだ、かっこいいからな。筋肉の前では不要
【焼きそばパン】
うまい。濃い味付けはパンととても合うってどっかで聞いた。
いじめっ子といじめられっ子を繋ぐ架け橋、それが焼きそばパン。
でも作者はパンではなくご飯派であり、焼きそばもそのまま食べたい派
子供達に内側だけ食べられる可哀そうなパン筆頭だと思ってる。
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