Avengers Magicians report (猫七瀬猫八)
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邂逅

自粛期間中にMCUを見てたんですがオリ主転生書きたくなったので頑張ります。
MCU大好きなので出来るだけ終わりまで書きたいですね。長期間居なかったのは指パッチンの被害を受けたからです本当です。




突然だが話をしよう。

なんて言うけれど、突然でない物語の冒頭なんて無いかもしれないが。

展開としても新鮮味に欠けるかもしれない。事実、題材としても使い古されているだろう。

それでも、僕には劇的で、十分衝撃的な出来事だったんだ。

 

アベンジャーズの世界に転生してしまった。

 

いや、マニア向けに言い直すとMCU、マーベル・シネマティック・ユニバースの世界だ。超人達が町を守り、宇宙規模の災厄が起こり、トニー・スタークの死によって区切りを迎え、マルチバース等含め更に急速に広がり出した、素晴らしい世界である。愚痴ではない。嘘でもない。こんなの聞いてない。

 

なぜ分かったかといえば、歴史の授業で偉大なるキャプテンアメリカについて学んだからである。そして顔がクリス・エヴァンスだったから、おそらくMCUだろうというという感じだ。まあ、その英雄は今まさに氷漬けの状態だと思うけれど。

脱線するが、当時のキャップもカッコイイよね。写真持ち歩いてたコールソンの気持ちがよく分かる。アベンジャーズのみんなと会ったら言わなきゃ、初期スーツの素晴らしさを。表面的なセンスだけで判断するのはいささか酷すぎると思うんだ。様々な記憶が重なった上でさらに輝く激エモスーツだからね。

 

現在の僕は6歳。母親は放任主義で父親はいない。しがない一人っ子の少年だ。片親と言うと何かと心配されるが、お母さんはとても優しいし幸せな家庭だ。仕事の忙しい中でも、授業を見に来てくれたりもする。忙しすぎて2週間ぐらい帰らない時もあるけれどね。まあそれもこれも僕が転生者で初めから物分りが良すぎてこうなっているきらいはある。家事も全部できるし、勉強もまだ片手間で済ませられるうちだ。一人でいる時間が長くても退屈はしていない。何故ならスコットの様に家遊びマスターになっているからだ。本を買って貰いトランプマジックも出来るようになった。

ただ、問題は住んでる場所についてだ。僕はNYに住んでいるので、何としてもチタウリが来る前には引っ越さないといけない。崩壊した自宅からホークアイに憧れるのも悪くはないのだが、家族には何も罪はないのだ。安全なところにいてもらいたい。

 

そして、僕はテレビをシットコムしか見ないから知らなかったが、スタークインダストリーズも普通にあるし、トニーが社長に就任する正史通りの展開が起きていた。二度目の驚きである。マジか。

でも、よく考えたら二度ほど聞き覚えのある会社名を聞いた気がする。番組に夢中で気付かなかった。

ついでにここもMCU基準でロバートダウニーJrである。まだ若いスタークも最高にカッコイイ…!

なぜ気付くのが遅れたのか自問自答しNYに住んでる意味を考えたが、子供の視線は低いしスタークタワーが分からなくても無理はないだろう。先は長いので今気付けた事に感謝しよう。

今の年は1992年。インターネットも一般的でない時代だ。近所の図書館で調べた結果、ハワードは正史通り事故死となってしまっていた。

だが、僕は知っている。ウィンターソルジャーの事を。キャップの親友であるバッキーが血清を打たれ、洗脳され、要人を殺す超人暗殺者になっている事も。そして、起こる惨劇。

その事を思うと胸が痛くなった。どちらにしろハワードの件は僕が介入できる問題ではない。今の僕は少し利口なだけの、実力も、年齢も、実績も、まるでないただの子供だ。ただ知識はあるのだ。変えられなかった事実は、気付くと重くのしかかる。またバッキーに消えない痛みが増えてしまった。トニーの苦しみもこれからずっと続く。

せめて、確執を早めに取り払えるように動こうと、そう思うしかなかった。

それだけじゃない。全てに関して。これは使命だと言ってもいい。

 

 

人生を楽しむのは大事だが、使命に気付いてしまったのなら、意識を変えて進まなければいけない。トニー・スタークだってそうした。スーパーヴィランのサノスもそう。あれはただ様々なものを含めて考えてもただ善とは言い難いが…。僕も自分の譲れない使命と共に生きたい。

 

これから色んな出来事が起こる。既に起こっている事件に関しては保留にしておく。あとエージェントオブシールドなど一部のパラレルは全部知らないしパンクするからこれも起きないと願って保留するしかない。最悪知らないチャートも走りきるつもりだが。

現在、作中だとキャロルはスターフォースにいるだろうし。まあ数年でレンタルビデオ屋の屋根を突き破って落ちてくるはずだ。ナターシャは偽りの家族と別れウィドウへの道を進む。

クィルは既に数年前さらわれてたはずだ。まさかここで代わりにティチャラがさらわれたなんてマルチバース展開は無いはず。いや、その方が銀河にとっては安全なのか?マルチバースのコレクターはラスボスぽくて怖いけれど。

ピム博士には奥さんが生きてることだけでも伝えたいな。これから後悔と共に生きるだろうから。

セレスティアルのエゴが植えた植物も抜けるなら抜きたい。あれも少なからず被害が出た。宇宙組は楽観的に見えて起こってる事がえぐい。

そうだ、ウンジョブが殺される年も今年だ。キルモンガーがヴィランになる。これもやはり今のままじゃダメだ。介入できない。

トニーがキリアンをヴィラン化させる件もあった。ピム博士も含め、天才イケメンは敵を増やすのが上手い。もちろん性格的問題もあるけど。

1999年にはワンダとピエトロが戦争に巻き込まれる。そのあとはバナー博士のハルクだ。

だが、アイアンマンまでの期間は、紛争や後に続く問題等は起こっているがヴィランは静かに動いているだけで、比較的穏やかな数年間だ。案外準備期間としては丁度いい時期かもしれない。

 

僕は一度は失った命だ。最初の人生は道半ばで死んでしまったし、有意義な人生にしたい。

何よりも、子供の頃からの夢だった、誰かの為の生き方。銀幕の中で飛び回るヒーロー達、その生き様には、憧れない訳が無い。

その人物を完成させる為の物だとしても、死んでしまったヒーローは助けたい。上手くいかなかった展開は変えてしまいたい。ご都合主義でもね。

それに、MCU世界に転生したのならば、やりたいことは沢山ある。皆でちゃんと美味しいシャワルマを食べたり、キャップやサムとランニングしたり、アスガルド式の乾杯でグラスを粉々にしたり、トニーの演説聞いたり、コラボアイス食べたり考えたらキリがない。

 

まあ、楽しむことに関しては、言葉通り楽観的に考えていたいが、四の五の言ってられない状態でもあるのだ。MCUにはマルチバースという概念がある。その為どの未来に転ぶか分からない。

というかTVAとかいうタイムパトロールじみたメタ組織まであるし、その場合僕が関わった時点でオシャカだ。無いと信じる。今がロキ終盤のマルチバース解放後、枝分かれが許され今まで消された可能性の世界も一気に出現したような状態だと願うしかない。あれ要するに世界五分前仮説みたいなもんなのかな。時間軸の外なだけあって理解するの大変だった。

もしかしたらが存在するなら、指パッチンで半分が消えたままかもしれないし、より悪い方に向かう可能性もある。

たまに初期脚本の話とか見てたけれど、サノスがタイムスリップする前に2014年アベンジャーズ全滅させてそのままキャップの首を持ってくるとかあったらしい。これもマルチバースなら恐ろし過ぎるだろ。

そう考えると、ただ未来を知っているという訳でなく、正史の出来事を知っているというのは、まさに攻略チャートが頭に入っているようなものだろう。

神聖時間軸バンザイ。再三言うがマジで来ないでくれTVA…

 

 

と、ここまで色々話したが、重要な点がある。

いずれの選択も、力があってこそ成り立つのだ。

 

 

今のところは何の力も持たない一般人として生まれてしまったが、前世の記憶持ちということもあり、筋トレや運動は欠かさず行っていた。筋肉は裏切らないからである。

まあこれから武術を習うにしてもそれだけでヒーローは心許ないよね。覚えておいて損は無いが。

ナターシャとかクリントとか純正人間がめちゃくちゃアクティブに動いてるから錯覚しがちだが、この先の展開で生き残り、歴史を変えていくなら宇宙規模で戦える力が必要だ。

 

 

例えば超能力、特殊スーツ、人体改造、魔術など。

 

 

まあ特殊スーツはもちろんまだ無理だ。ブラックパンサーのやつならあるかもしれないが、あれは秘伝のものだし、まあ取れるならとるけど。その他も現状では不可能である。もしやるとしたら宇宙組に助けてもらうしかない。ピム粒子があったけれど、ピム博士がすんなり仲間になってくれるとは思わないしなあ。超人血清やハーブにガンマ線にエクストリミスとかあと遺伝子組み換えたクモ、手に入らないしリスクが大きすぎる。超能力にも今のところストーンの力による開発しかない。インヒューマンズはもちろん分からないし。

 

 

そうすると、一番得やすいのは───魔術。

 

 

魔術は人間であれば誰でも可能性があり、尚且つめちゃくちゃ強い。明らかに戦力として申し分無い力だ。

最低レベルの魔術だけでも、雑魚兵程度なら無双できるほどだ。

ていうか、ストーンレベルの強力かつ多彩な技を人間が修行するだけで手に入れられるって割とおかしくないですか?

まあそれは無限のマルチバースから力を引き出しているためで、インフィニティストーンと力が似通っているのもこれが理由だろうか。ストーンは宇宙創世の際に生まれたからね。

 

ちなみにエンシェント・ワンは設定で700歳を超えているらしいし、どの年に転生したとしても生きていたはずだ。流石エンシェント・ワン、ソーサラースプリームは格が違う。

それに、心·技·体全てを鍛え上げるのが魔術だ。戦闘訓練も行っていたし、この先どこに所属するにしろアドバンテージになる。

そんなこんなで、本来ならカーマタージに行くべきだとは思ったが、財布を開けば、6歳の子供にそこまでお金がある訳もないので、まずダメ元でニューヨークから魔術に触れることにした。

 

 

 

⿴⿻⿸

 

 

グリニッジ・ヴィレッジ。ブリーカー通り177A。自分の家の住所はどもる癖にこの記憶はスラスラ出てくる。

そう、例のニューヨークにある不思議な形をした窓の建物に来てみた。ちなみにこの窓の文様は守護神ビシャンティの紋章らしい。NYサンクタムは外観も溶け込んでおり、この建物が地球を守る結界の主柱だとは誰も思わないだろう。常に恐ろしい敵から護ってくれていると思うと頭が上がらない。

緊張しながら、ドアをノックする。

やや遅れ、綺麗な女性の声で返事が聞こえた。ゆっくりとドアが開かれる。

 

 

「遅れてすみませんね。ワックスをかけていたもので」

 

 

呼吸が止まる。いきなりの遭遇に心臓が飛び出そうになった。

目の前に立つのは幻想的でいて威厳のある存在、至高の魔術師、エンシェント・ワンその人だ。

 

 

「い、いえ、こちらこそ突然尋ねて申し訳ありません。実は少しお話があってですね…」

 

 

驚きで動きがぎこちなくなりながら、ふと気付く。いつもワックスかけてないかこの人?

エンドゲーム(ニューヨーク戦)の前もかけてたから、こまめな人なんだろうか。

色々と考えて気を紛らわせようとするが、まさか最初からエンシェント・ワンが出てくるとは思わず、挙動不審は直らない。

 

 

「なるほど、何か理由がお在りの様ですね。中へどうぞ。話を聞きましょう」

 

 

驚くほどスムーズにサンクタムへ招き入れて貰えた。ゆっくりと歩いていけば、見覚えのある部屋や道具たちが目に入る。浮遊マントもちゃんと保存されていた。これがレリック達、神々しい。

少し歩き、向かい合わせになった椅子のある部屋へと通される。香ばしい香りのお茶を差し出すエンシェント・ワン。一礼してお茶を啜り、心を落ち着かせ本題に入る。

 

 

「単刀直入に申し上げます。魔術を教えて欲しいのです」

 

 

目を見つめ、静かに話し出すエンシェント・ワン。

畏怖さえ感じるその眼光は、心の奥底まで見透かされる気持ちにさせる。

 

 

「あなたが力を求める理由は何でしょうか」

 

 

 

全てを飲み込むような威圧感。いや、この方の前であれだけの傲慢さを発揮出来たドクターはそれだけで魔術師の才能があると思う。

ただ、僕も使命があるんだ。深く息を吸い、しっかり答える。

 

 

「多くの人を救いたい。それが理由です」

 

 

会った時に分かった。この人に嘘はつけない。異分子の僕は情報が何よりも大事だが、聞かれたら全部答えようとすら思っている。もし命に危険があるとしても。だってここを乗り越えなければ、もちろんその先には行けないのだから。

全て事実を言うと決めた。誰かを救うための力を求めてここまで来たのだ。

 

 

「動機としては充分ですね。心も善性だといえます。礼節も欠いていない。力を悪用しようという意思や野心も見当たらない」

 

 

本当に見透かされてるのは怖いけれど、褒められるのに悪い気はしない。ヒーローとして、あまりにも独善的だとヴィランと紙一重だからだ。

そんな言葉を聞いて、なんとか未来への一歩を踏み出せたかと思ったのだが。

 

 

「ですが、一つ聞かせて下さい。あなたはどこから来たのですか?私の見る未来に、あなたは存在すらしなかった」

 

 

いきなり確信に迫ってきたため息が止まりそうになる。やはり僕が来るのはエンドゲーム展開のようなもので、歴史には無かったようだ。バナーの時も平静としていたが、ストーンを渡すかどうか本人も迷っていたようだし。エンシェントワンと会った時から既に分岐イベントだと思うが、すぐTVAが来ないところを見ると大丈夫な時間軸のようだ。ただパラレルはいくらでも起きる事になるので注意していかないといけない。TVAという懸念も消えたので、不審に思われる前に全てを話す事にした。

 

 

「信じてもらえるか分かりませんが、俺はマルチバースから転生してきました。」

 

「マルチバースから?」

 

「ええ、そしてこの世界の未来を知っているのです。もちろんここへストレンジが来ることも。知っているのは未来だけではありません。あなたがソーサラースプリームの継承のため、ダークディメンションから寿命を伸ばす為の力を得ていることも知っています」

 

 

エンシェント・ワンの目が大きく開く。流石に全てを見通す至高の魔術師でも驚くことはあるようだ。

 

 

「私はその事を誰にも話したことはありません。どうやらマルチバースというのも真実のようですね」

 

「はい。僕は未来をより良い方向に変えるため、力をつけて貰おうとここまで来ました」

 

 

一口お茶を啜り、向き合う。

 

 

「あなたは本来の歴史にはいなかった。つまり、あなたがいることで歴史が狂う可能性もあるということですね」

 

「…確かにその可能性は否定出来ません」

 

 

可能性はある。バタフライエフェクトしかり、どれぐらい変わるのかは分からない。

エンシェント・ワンは映画でも歴史が変わり世界を救えなくなることを危惧し、最後までストーンを渡すのを躊躇していた。だが、それでは救えない。

運命だとしても、変えていい。変わっていい。これはロキが教えてくれたことだ。

 

 

「でも、僕は救いたい命が沢山あるんです。守りたいものがある。それに、運命でも変えていいって、一人の嘘つきが教えてくれたんです。もちろん、その中にはあなたの運命も含まれています、エンシェントワン」

 

「私が死ぬのはその役目を終える時です。無理に伸ばす必要はありません」

 

「それでもあなたに生きて欲しいのです」

 

「なぜそこまでするのです?赤の他人でしょう」

 

「あなたが、死ぬ時酷く寂しそうで、辛そうにしていたからです」

 

 

雪の降る中、寂しそうにそれを見つめていた。ストレンジに全てを託し、その生涯を終えた彼女。

目が合っても先程の覇気は無く、黙り込んだままだった。僕は、純粋な気持ちをそのまま伝える。

 

 

「あなたが死ぬ時に辛そうにしていたから、生きていて欲しいと思ったのです」

 

 

僕の言葉を聞き、彼女は、悲しそうな顔をしていた。僕も泣きそうになった。

この人はずっと魔術的脅威と戦ってきたのだ。それこそ数百年も。途方もない時間だ。

少しぐらい自分のために生きてもいいと俺は思う。ヒーローとしての最期に、自分の人生を生きた誰よりも高潔な男を僕は知っている。今は氷の中で眠っていて、同時に幸せな人生を送っている彼を、誰が責めるだろうか。

死ぬまで楽しんで過ごしても、今までの分のお釣りが来るだろう。

 

 

長い沈黙が終わり、柔らかい雰囲気に戻る。エンシェントワンは、お茶を入れ直しながらこちらに声をかける。

 

「勝手にしなさい。私の修行は厳しいですよ」

 

「やった!ありがとうございます!」

 

 

少しバツが悪い顔をするエンシェント・ワン。やっぱりこの人めっちゃいい人だよ。ヒーローだ。じゃなければ、こんなに長く地球を脅威から守ったりしないだろう。

MCU世界で初めて会った人物、エンシェントワン。彼女が初めて会う人で本当に良かった。

今日は忘れられない一日になるだろう。なんとか第一関門をクリアした僕は強く拳を握りしめた。

 

 

「ところで、あなたの名前を聞いていませんでしたね」

 

「ジョンです。ジョン・クラーク。」

 

「それでは。気を抜かないように。クラーク」

 

「はい!これから宜しくお願いします。師匠」

 

 

これから、 僕の第一歩。これからを記す魔術記録が始まるんだ。

 

 

「あぁ、これも聞いておきますが、あなたは転生したと言いましたね。でも今はまだ子供でしょう?家族には伝えなくて宜しいのですか?」

 

「出張でしばらく帰らないそうなので大丈夫です!」

 

「それならば良いですが、くれぐれもご両親に心配はかけないように」

 

「はーい!」

 

どこか呆れたような顔でこちらを見る師匠。親が放任主義なだけで非行してるとかじゃ無いから大丈夫ですよ。むしろ魔術の修行は度を抜いて健康志向にあると思う。運動魔術瞑想勉学医療、素晴らしいまでの理想的な生活だよ。

 

さて、恒例の部屋のWiFiのパスワードはまだパソコンが普及していないので無かった。少し寂しいが、直ぐに使えるようになるだろう。たった数年だ。長い数年だが。

部屋に入って服を着替え、ほっと胸をなで下ろす。まだ不確定な未来ではあるが、不安を乗り越え先に進む決意を、胸に抱いた。

 

 

この後、呼び出されて、突然はるか広大なマルチバースを見せられる魔術入門チュートリアルを行うとも知らずに…




長生きしてる師匠キャラは孤独を抱えがち問題。主人公は見た目子供だし母性とか、お互いに色々感極まってしまった感じです。なんかこのままの流れだとショタとソーサラースプリームのカップリングでオリ主×エンシェント・ワンみたいになってしまうかもしれない。だがそれでいい。ティルダ・スウィントンは美しすぎるので問題ないです。


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修行の日々

MCU、時間経てば経つほど作品が際限なく増え続けていくので、とりあえず今ある知識(フェーズ4)でヒーローを目指す物語にしていきます。矛盾無いところは足すかも。マジで新作の度に過去話も増えるので絡ませようと思ったらキリがなくて(フェーズ4からの増え方は異常)
どうしても絡ませたくなったら、過去は変えられなくてもタイムストーンもタイムマシーンもあるし、何とかします。それよりちょっとずつでも書きます…


前回のあらすじ

ヒーローになるために魔術を習い始めた。

 

 

紆余曲折あった訳だが、隠していても良い事なんて無いので、出来る限りエンシェント・ワンにスッキリ打ち明け師匠となってもらった。

もちろんウォッチャーやマルチバースについてのあれこれ、メタ過ぎるしある意味一番の厄ネタであるTVAこと時間変異取締局などだ。長年、ドルマムゥ含め驚異から地球を守っているヒーローの彼女、その毅然であり超然とした顔がまるでカートゥーンアニメのようにコロコロ変わっていくのは見ていて面白みがあった。

 

まあ見透かされ話が終わると同時に組み伏せられましたが。怒らないで…

 

そして、無事に修行を始めて2ヶ月、ハードな修行に耐え続け、前よりもいい顔つきになっていると思いたい。

ちなみに、思いもよらなかったが僕にはかなり魔術の才能があったようである。

化け物みたいに強い人たちと戦っていると全然分からないけれど、ここに辿り着いた者の中でも上位に入る習得速度と色んな方に褒められたからだ。嬉しい。多分特徴的なヒゲのドクターが来たら簡単に抜かされると思うけども。

要因を何となく考えてみたのだが、魔術とはイメージ。信じる力。考える力。MCUで様々な力や世界を見ているからか想像力も高く、かなりの速度で魔術を覚えることが出来たのだろう。

 

だが、超越者やマルチバース、宇宙規模の危機などが蔓延るこの世界で多少なり才能があったところでどうにもならないので、決して調子になんて乗っていません。断じて。ちょっとご機嫌なのは朝食のベーコンエッグの卵を久々に半熟に出来たからです。修行中にダンスを踊り始めるのはシンビオートに乗っ取られた時の為とタイタン星人とダンス対決でストーンの奪い合いをするためです。

 

 

 

 

⿴⿻⿸

 

 

 

 

「随分と調子に乗っているようですが、あなたの実力は私の足元にも及びません。修行を積みなさい」

 

 

まるで羽のように縦横無尽に舞いながら、間髪入れず技を繰り出してくる師匠。何度も吹き飛ばされるが、食らいつくように攻撃する。

 

 

「平常心を心がけなさい。魔術の質が落ちていますよ。」

 

「ご指摘ありがとうございます!」

 

 

多重魔法陣による連撃。師匠の力によって地面にたたきつけられ、動けなくなる。

 

 

「あなたは魔術の素質はありますが、冷静さを保つのが苦手ですね。鍛えるべきです」

 

「そう言われても、如何せん僕は平凡育ちなもので!」

 

 

立ち上がり、正中線へ連撃。いなされる。

もちろん師匠は修行で手を抜かない。殺す気かと錯覚するほどに攻めてくる。実際殺す気なのかもしれない。そんなのと一般人育ちが戦えるようになっただけ凄いと思う。

 

 

「これから激しい戦いが待っているのです。いつまで素人のつもりですか?」

 

「厳しい言葉…痛み入ります…!」

 

 

会話しつつ攻撃をいなし合い、激しい次元の火花が飛び交う。魔力の具現化、エルドリッチ・ライトがぶつかり、爆発音と共に弾けた。

師匠のエルドリッチ・ライト、魔法陣から扇形への展開はドクターストレンジ作中で見た事があったが、実際に目にしてみれば、その精密さや術の強度、攻撃力の高さに感嘆してしまう。

そして流麗に舞い、汗一つかかずに技を繰り出す師匠は、流石魔術の真髄と言うべき美しさを感じさせた。

 

 

「クソッ…!見惚れてもいられないな…!」

 

 

隙を見て魔法武器(レリック)を取り出し応戦する。レリックとは作中曰く、使用者を選ぶ魔法武器だ。

浮遊マントはかなり位の高い魔法道具なので、あれほどがっつり選ぶものは滅多に居ないのだが。それでもそれぞれの武器に適性があり、使用者との相性で使えるかどうか決まるのは事実だ。

そして、魔術的才能があるほど、多くのレリックを使いこなす事が出来る。

 

僕のレリックは短剣程の大きさから瞬時に伸縮変形する蛇腹剣だ。

ネーミングはムラクモの剣。かの有名な剣と同じ名前だが、神的存在が実在するこの世界なので曰くの品なのだろう。超越存在はやめてね…

そして相性がいい為か、今では手のように器用に扱え、中〜近距離の戦闘ではかなり優位に動ける。まるでドックオクでは。ドクター違いでした。

とは言っても、勝てるとは言っていない。

 

 

ムラクモが地面を跳弾の様にはね回り、死角へ向かう。それを簡単にたたき落とす師匠。

そのまま流れるように魔法扇を投擲した。瞬間的に回避して、体勢を整える。

見れば、さっきまで居た場所が粉々になっていた。

 

 

余裕綽々の師匠の顔が見える。

 

 

師匠は近距離戦闘がメインだが、もちろんソープリ(略語)なのでかなりの術を修めており、問答無用で全てこなせるオールラウンダータイプだ。

まあ場数が違うってことなんだろうが、本当に隙がない。未来でカエシリウスが師匠を殺した時のように、完全に不意をつかなければ一撃も当てられないだろう。いや、もしかしたらわざとやられたのかもしれないしな。底が見えない。

 

 

「戦闘訓練にも慣れてきましたね」

 

「師匠の教え方が素晴らしいだけですよ」

 

「茶化さなくても良いですよ。素直に受け取りなさい。さて、今日のところはここまでにしましょう」

 

「ご指導ありがとうございました!」

 

 

師匠の一言により気が抜けてしまう。何とか修行が終わった。最近は毎日死にかけている気がする。才能があったのは嬉しいのだが、この人、出来るとわかると修行の密度がとんでもないのだ。

無慈悲で寛容とか言われていたが、無慈悲率がかなり高い。鍛えれば鍛えるほど強くなるとかサイヤ人か。理知的に見えてゴリゴリの脳筋である。重要なのはパワーであることがよく分かった。

 

 

「マスターハミヤ、クラークと魔法陣の訓練を続けて下さい」

 

 

そう言って諸用に出かける師匠。こちらに来たマスターハミヤは一礼をして修行場に入る。

マスターハミヤが魔法陣を展開し、それに習うように僕も魔法陣を展開する。

要は見本の魔法陣と同じ魔法陣を展開することで、複雑な魔法陣を瞬時に読み取り展開する修行だ。

 

作中でも出ていた片腕の魔術師、マスターハミヤだが、この人、無口なだけでかなり優しい。

案外話しかけたら答えてくれるし、分からないことがあれば分かりやすく教えてくれる。

師匠のようにスパルタに教える訳では無いので、そういう意味でも厳しい修行の後にマスターハミヤとの修行を挟むことで、バランスを取っているのだと思った。

 

 

さて、マスターハミヤとの修行も終わり、日課のアストラル読書タイムに入る。同時に考え事も忘れない。

習得できるまで何年かかるかと思っていた魔術だが、師匠の修行のかいあってか2ヶ月ですらここまで高めることが出来た。マスターの面々と模擬戦してもいい勝負できるところからも戦力として申し分ないのが分かる。

 

チタウリ兵相手なら既に戦えるはずだ。戦闘力が高まるのは、僕の目的としても早ければ早いほどいいので、嬉しい限りである。

このままならキャロルの件に関わってしまってもいいかもしれない。まあ部外者が関わりにくい問題ではあるが、ここで関われればちょっと陽気な頃のニック、スクラル人の面々、キャロルというキーパーソン達と知り合いになれるのだ。

 

ニックがどんどん疑心暗鬼になる前に知りあえれば少しは信頼も得られるだろうし、スクラル人、特にタロスは今後のマーベルで関わってくるはずだ。ファーフロムホームで出てたし。キャロルは言わずもがなである。

その後キャロルがキャプテンマーベルとなり、宇宙中の平和を守ろうとあちこち飛び回ってるのだから、それと同じように能力に目覚めたから某仮面ライダーぽく通りすがりで人を助けるヒーロー活動をしているという雰囲気を出せば、多分理解してくれるはずだ。してくれないかな?いや何とかする。

 

そうすればアベンジャーズ計画にも間違いなく組み込まれるだろう。他のメンバーとの知り合い方も怪しくない。

僕みたいなのが突然NYで合流したら混乱がさらに大きくなる可能性がある。フェーズ1だもん。まだ超人の数は多くないし、何人か話聞いてくれなさそうだからね。

 

よし、そうと決まればひたすら修行の日々である。

妥協は許されない。最善を尽くす。

 

出来るだけ取りこぼしたくないからだ。

 

悔いが無いようになんて言っても、すべて上手くいく訳じゃない。山ほどの後悔をするだろう。

それでも僕はヒーローとして進みたい。この世界の人々の輝きを守りたい。

美しくも残酷な、この宇宙と共に生きるために。

 



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