ボルトとスミレ 基本的にif (レオ2)
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親子の日 ifからのストーリー
親子の日 if


親子の日のボルスミ····まあそういう描写にできたかは怪しいですが。ではでは(∩´。•ω•)⊃ドゾー


 何時も賑やかな里も今日は一段と賑やかだ。しかし少女は自分にはあまり関係ないと思ってしまう。何故ならその少女、(かけい)スミレにはもうこの里が今やっている祭りの主題である親子なる人はもう1人もいないからだ。

 

 そう今日は今年から始まった木ノ葉隠れの里の祭り──―親子の日だ。これは親と子が主役の祭りで催しなども親子でやる物が多数だ。

 

 今日は自分の班、15班も任務はなく休みとなっている。親子の日でも任務がある人は偉い人や暗部の人達だろう。

 班員であるナミダもワサビもスミレと一緒にいようとしたらしいがスミレは自ら断った。

 

『せっかくの親子の日なんだから今日はご家族と過ごしなよ』

 

 とスミレは言った。班員の2人はそれでもと引き下がったが最後には泣く泣く折れた。

 スミレは少し罪悪感があったが何時も休みの時に付き合ってもらっている優しい2人にも親子の時間はいると気遣ったのだ。

 だが胸の中では1人寂しい日を過ごしている。今日はずっと自分のアパートに引っこもうと思っていた。何故なら外に行って仲が良いというふうな親子が嫌でも目に入ってしまい少し胸が苦しくなってしまうからだ。

 しかしスミレはうっかりしていた。

 

「今日の晩ご飯の材料を買ってない·····」

 

 スミレは一人暮らしだ。故に自炊をしている。だから基本は前日や任務が休みの日に買うのだがその暇がなかったのを思い出して思わずそう言った。材料を買いに行くには外に行く必要がある。だから少し憂鬱の気持ちを抑えながら立ち上がり着替える。と言ってもスミレはそんなに服を持っていない。何故なら両親は死に自分自身もそんなにファッションに興味がなかったからだ。というか持つほどに裕福ではなかったからだ。

 だけどスミレはこの前の休みに班員であるナミダとワサビが選び自分は悪いと言ったのだが3人でお代を割り勘にして買った服を出した。それは今まで着る機会がなく──正確には任務服を着る機会の方が遥かに多かったから──初めて着る服である。

 本当はこの買い物も任務服でも良かったのだがその服は晩ご飯の事を思い出す前に洗濯してしまいまだ乾いていない。だからスミレはこれを初めて着て人前に出歩く事になった。別に着るのを躊躇っていた訳では無い。どちらかと言うと

 

(あまり汚したくないなあ)

 

 という心境だった。友達が自分の為に何時間も洋服屋でにらめっこしてくれた服でありそれ故に自分の大事なものである。だから何かの事故で汚れてしまったら2人に申し訳ないという気持ちがある。勿論2人ともそう言ったら恐らく気にしすぎと言ってくれるだろうがスミレとしてはそうはいかない。

 

 スミレはその服を出しながら端っこの方にある服を見た。それはスミレがかつて里に反逆した時に着た服だった。もうあの日からこの服を着ることは無くなった。だがスミレはある1人の男の子とのある意味での思い出に残してある。

 

「道は自分で選べる·····か」

 

 そう言った男の子の顔は忘れず寧ろ鮮明に覚えてる。それに任務の途中でも偶に会うし。しかしあまり会話はせずに2人ともそれぞれの任務に行ってしまうから最近はあまり話せていない。それが少しスミレの心にぽっこりと穴を空けている。何故こんな気持ちになるのかは分からない。だけど寂しいと思ってしまうのはしょうがない。

 しかし今日はその男の子も自分の親·····父親と遊んだりしているかもしれない。

 あの男の子は自分の父親の事をクソ親父とよく言っているがスミレは分かっている。本当は構って欲しくて仕方ないって顔をしているから。

 

 スミレは着替えながら思い出していた。この前行われた中忍選抜試験でその男の子は所謂ずるをした。正直最初は信じられなかった。自分を今の道に導いてくれた人がそんな事をするなんてと。そしてその男の子は自らの父親によってそのずるを看破されて忍びの証明である額当てを取られた。

 が、その直後謎の襲撃者に襲撃をされてそれを考える暇がなくなりスミレやその他の班は避難誘導に加わったからその後の事は伝聞でしか分からない。

 しかしそれによれば、男の子がその襲撃者をサポートありきとは言え倒したらしい。そしてそれについて後々テレビにも出たほどだ。しかしそんなテレビ出演の前に私達15班の所に来て腰を90度に曲げ謝ってきた。

 私達は笑って許した。寧ろ彼も間違える事があるんだなと思った。しかし私は1つだけ条件を出した。

 

『今度あの雲隠れの人達と戦う時は実力で勝ってね?』

 

 それを聞いた男の子は顔をばっと上げ頷いた。

 

『了解だってばさ!』

 

 着替えが終わって洗面所にある小さな鏡を見て変な所はないかをチェックする。スミレ色のワンピースでそのワンピースには菫の花の柄もあるワンピースだ。そしてそれにあわせるように靴下も菫色の靴下だ。髪は三つ編みにしようか迷ったが直ぐに出て買って直ぐに帰るから別にいいかなと思いそのままにした。そしてしばらくどこかで見たなと思ったら里に反逆した時以来だなと思い直した。この髪型を見た人は案外少ない。ナミダやワサビも多分見た事はないと思う。自分が把握してるだけでも男の子、そして男の子の班員のミツキという少年、シカダイ、いのじん、デンキと元担任の油女シノと自分を連行した人サイさんとその少ない仲間の人達だけだ。

 

 スミレは晩ご飯代を持ってアパートを出た。やっぱり外は親子の人達でいっぱいだった。少し胸を抑えながら何時も買いに行っている場所に行った。だけど·····

 

「うそ」

 

『本日 ○○店はおやすみさせてもらいます』

 

 という紙がシャッターに貼られ入れなかった。よくよく考えれば普通に有り得る話ではあった。ただそれを考えなかった自分が馬鹿だなあと思いながら次の店に行ったのだが·····

 

「ここも」

 

 閉まっていた。この里の初の親子の日の波に乗りに行ったらしい。だが親子の日ももう夕暮れに染まりもう少しで終わろうとしている。多分お店の人達はそのまま今日は休んでしまうだろうと考えた。

 

 ──もう今日はいいかな? 屋台も閉まってきちゃってるし。

 とそんな諦めが出た時に声をかけられた。

 

「あれ? そこにいるの委員長か?」

 

 スミレはその聞き覚えがある方に振り向いた。そこにいたのは男の子だ。金髪の髪に青い目、主に黒色の服に下に白い服も着ている。その男の子の名は

 

「ボルト君·····」

 

 そう言ってスミレは自分の格好を思わず見た。何か変な所ないよね? という意味で確認しそこで気がつく。

 

 あれ? 何で私こんな事を? 

 

 別に普通に会ったのだから普通に話をして別れれば良いだけなんだけどそこに自分の格好が何か影響がある訳では無い。何故か早くなる心臓を抑えながら聞く。

 

「ぼ、ボルト君どうしたの? 今日は7代目様と一緒じゃないの?」

 

 そう、このうずまきボルトは木ノ葉隠れの里の7代目火影、うずまきナルトの長男でありスミレのアカデミーの同期だ。今日は多忙なナルトも帰っている筈と思ったから聞いたのだ。

 

「いや、父ちゃんは今日はヒマワリと一緒にいるってばさ。ヒマワリこの日をすげえ楽しみにしていたからな」

 

 そう言って腕を後ろに回しながら笑って言っている。だけどその中に少し寂しげな顔があることをスミレは見逃さなかった。しかしそれを敢えて追求せずに言った。

 

「そっか、今日はヒマワリちゃんとか。でもボルト君は良かったの?」

 

「俺は平気だってばさ! どちらかと言うと俺の方が構ってもらう機会は多いしな。所で委員長は·····」

 

 何かを言おうとしたボルトだが直ぐに何かを思い至って済まなさそうに謝った。

 

「すまねえ委員長、気が利いてなかったってばさ」

 

 スミレはなんの事か直ぐに分かり顔を振った。

 

「ううん。大丈夫だよ。晩ご飯の材料を買いに出たんだけどどこも閉まっちゃっててもう今日はいいかなと思っていた所だったんだ」

 

 スミレは本心を言ったつもりなんだがボルトはそれを聞いて直ぐに答えた

 

「それはダメだってばさ! ちゃんと栄養を取らないといざって時に力が出ないぞ!」

 

 やっぱり君は優しいな。そう思い思わず少し笑った。

 

「それはボルト君が言えること?」

 

 目の前にいるうずまきボルトはよくハンバーガーをよく食べている事は結構有名というかアカデミー時代によく言っていた事だ。しかしハンバーガーばっかり食べているから栄養が偏っているのは見てれば直ぐにわかる。

 それを聞いたボルトがうっと顔をしたが直ぐに反撃した。

 

「で、でも晩ご飯を抜くのはダメだってばさ!」

 

「私の事なら大丈夫だよ」

 

 スミレは何故自分がこんな話をしたのかよく分からなかった。別に晩ご飯の件は言わないでも良かったのだ。というか目の前の少年に言えば必ず何らかの解決策を·····

 

「じゃあ家に来いよ!」

 

 言うとは思ったがそれを聞いたスミレは少し硬直した。そしてその意味が段々わかると焦りだした。

 

「はわわ、それは迷惑じゃ·····」

 

「全然迷惑じゃねえーよ。母ちゃんや父ちゃんに言えば大丈夫だってばさ!」

 

「で、でも·····」

 

 正直に言えば自分には行く資格はないと思っている。何故なら1度は自分は里に反逆した犯罪者だったという罪悪感があるからだ。だがそんなスミレの内心はほっとかれボルトはスタスタと近づいてきてスミレの右手を握った。

 スミレは思わず顔が赤くなるがそれに気がつかずボルトは

 

「さあ行くってばさ!」

 

 そう言って歩き出した。スミレは内心どうしようと思いながらついて行った。正直に言えば断るのが良いとは思っている。だけどスミレは知っている。ボルトは自分がやると決めた事は最後までやるという事を。·····違う。本当はスミレ自身がボルトと一緒にいたいという気持ちがある。それにボルトの気遣いを無為には出来ないというのもある。

 

(で、でもお家に何て·····)

 

 しかしそれとこれとは別である。生まれてこの方異性の家に行くことなんて皆無だった。頭の中でパニックをおこしていたらボルトの家に着いてしまった。ボルトはスミレの手を握ったままドアを開けた。

 

「ただいまだってばさ!」

 

 そうボルトが言えば直ぐに2人の人影が出てきて言った。

 

「おかえりなさい、ボルト」

 

「おかえりーお兄ちゃん!」

 

 1人は木ノ葉隠れの里最強と謳われている日向一族の目を持っている人で7代目火影夫人、そして自分の班の担当上忍である日向ハナビの姉であるうずまきヒナタ。もう1人はうずまき家の長女でありボルトの妹のうずまきヒマワリである。そのヒマワリの腕には尾獣の一尾を模したぬいぐるみがある。だけど2人は同時に固まった。そして2人して視線をスミレに向け次にスミレの右手に向く。そこにあるのは恐らくボルトの方から繋いだ手だった。

 先に復活したのはヒマワリだった。

 

「あーっ! お姉さんもしかしてお兄ちゃんのアカデミーにいた」

 

「う、うん。こんにちはヒマワリちゃん」

 

「母ちゃん、今日委員長も晩ご飯を一緒に食べてもいい?」

 

 それを聞いたヒナタがはっとし聞いた。

 

「あなたは?」

 

「はわ、か、筧スミレと言います」

 

「委員長今日晩ご飯の材料を買おうと思って外に出たんだけどどこも閉まってて、だから連れてきたってばさ。母ちゃん、いいか?」

 

「ええ、いいわよ」

 

 そう言った直後奥からもう1人が出てきた。ボルトに受け継がれている金髪にオレンジ色の服を着ている。右手は包帯でいっぱいだ。この人物こそ木ノ葉隠れの里の7代目火影でありボルトの父親であるうずまきナルトだ。

 

「おかえりボル·····」

 

 固まったのはスミレを見たからだろう。

 

「お前は確か·····筧スミレだったな」

 

 スミレはいたたまれなくなりやっぱり帰ろうと少し強めにボルトの腕を払おうと思ったが

 

「今日は自分家だと思ってゆっくりしろってばよ!」

 

「さあ、入った入ったってばさ!」

 

 そう言ってボルトは右手を離しスミレの背中を押して家に入った。スミレは視線をおろおろしながら入った。

 

「へへ〜、サラダさん以外のお姉さんは初めてだなあ」

 

「え、えと。よろしくねヒマワリちゃん」

 

「うん。えへへ、手繋ごう!」

 

「う、うん。いいよ」

 

 そう言ってスミレはヒマワリと手を繋いだ。

 

(妹がいたらこんな感じなんだ)

 

 その心にはそんな思いがあった。自分は一人っ子だから姉妹はよく分からないが今何となく分かった。

 

「じゃあスミレちゃん、作るから待っててね」

 

「はわ、あの手伝います。ただでさえ迷惑をかけてるのに何もしないのは悪いです。それにお金も·····」

 

「うーん、じゃあ手伝ってもらってそれで出来たものをバイト代って事で」

 

「わ、分かりました」

 

「ヒマも手伝う!」

 

「うーんキッチンが狭くなるからヒマワリは大丈夫よ。お兄ちゃんとお父さんと遊んでて」

 

「ぶー、わかった」

 

 そう言ってヒマワリはナルトとボルトの所に向かいボルトに一尾の人形·····シュカークを兄に見せている。その微笑ましい光景にスミレは思わず優しげな笑みを見せていたが

 

「さて、じゃあスミレちゃんは何が出来る?」

 

「あ、えっと私は料理は基本的に全部できると思います。その、人に振るう機会がないのでよく分からないですが人並みに出来るつもりです」

 

「うーん、じゃあ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「スミレちゃん料理上手ね」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 料理を開始して暫くたちヒナタがそう言った。実際スミレは難なくこれまでの行程を終えている。一人っ子であり一人暮らしをしているから料理や家事は得意なスミレは今まであまり機会がなかったのもあるが褒められて嬉しいと思っていた。

 

「将来はいいお嫁さんになりそうね」

 

 いきなり爆弾が落とされた。思わずスミレはヒナタを見て後々赤面になっていき持っていたお皿で顔を隠しながら言う。

 

「お、お、お嫁さんって。はわわ」

 

「ふふふ」

 

 しかしスミレはある意識があり徐々に普通になっていき次第に少し暗い顔になった。ヒナタはそれを訝しげに聞く。

 

「どうしたの?」

 

「私がお嫁さんになってもいいのかなって思ったんです。里を滅ぼそうとした私がもしそんな人が現れても、幸せになっていいのかって思ったんです」

 

 それを言ったスミレの顔はどんどん暗くなっていく。だけどそれを否定した人がいた。

 

「そんなの当たり前だってばさ!」

 

 スミレが思わず前を向いたらそこにいたのはボルトだった。あの時と同じ青い目で見てくる。

 

「委員長だって幸せになってもいいってばさ。委員長は確かに悪い事をしようとしたかもしれねえ、だけど今はちゃんと立派な木の葉の忍びじゃねえか。それに委員長は自分で傷つけた人以上に人を助けてるんだから胸をはれってばさ!」

 

 そう言ったボルトはスミレの不安を一掃する位の笑顔だった。スミレは胸が嬉しくなり思わず少し泣いた。後ろからナルトも来た。

 

「そうだぞ。人は間違える生き物だ。だけど本当に大事なのは間違えた後の行動だってばよ」

 

「父ちゃんは間違えることが多すぎだってばさ!」

 

「う! ボルトお前な!」

 

「ふふふ」

 

 スミレは面白くて思わず笑った。そして周りの視線に気が付きまた赤くなって言った。そしてオロオロし始めた。

 

「あ、え、えとその」

 

 それを見たヒナタが助け舟を出した。

 

「さあ、もう出来るからあなたもボルトも食器を出してくれる?」

 

「「了解だってばさ(ばよ)!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「頂きます!」

 

 そううずまき家とスミレは手を合わせて言った。スミレは何となく嬉しく思っていた。いつも1人でご飯を食べているが今日は5人というスミレからすれば大人数で初めての食卓であるからだ。

 

「うわあー、これスミレお姉さんが作ったの?」

 

 ヒマワリが思わずと言うふうに身を乗り出しスミレが作ったものを見る。それは肉じゃがだ。余ってたものを有効活用しようと思ったらそうなった。ヒマワリはその肉じゃがを口に運んだ。そしてもぐもぐしている。

 

「そ、その。どうかな?」

 

「美味しい!」

 

「おう、美味いってばよ!」

 

「うん、本当に美味しいわ」

 

 そう口々に言ってくれスミレは嬉しかった。だがその感想は1人分足りなかったスミレは不安に思いチラチラとボルトを見る。そのボルトは今肉じゃがを口に運び暫く噛んで

 

「美味いってばさ! 委員長料理上手いんだな!」

 

「はわわ、ありがとうボルト君」

 

「委員長、どうしたんだってばさ?」

 

「え?」

 

 スミレは何故か今目元が濡れている事に気がついた。思わず目を少し触って一所懸命止めようとするが止まらなかった。

 

「あ、あれ? 何でだろ? 止まらない」

 

 今まで1人だったスミレは初めての温もりに思わず泣いてしまっていた。手で拭っているが次から次へと出てしまう。ヒマワリを除きスミレの事情を知っている3人は最初は少しびっくりしたがその内暖かい目線を向けていた。

 

「スミレお姉さんどうしたの?」

 

「うんうん、何でもないよ。ただ·····嬉しくて」

 

 そう言って泣き顔のままヒマワリに笑いかける。

 

「あー、わかるよそれー。ヒマも食べてもらって美味しいって言ってもらった時嬉しいもん!」

 

 そう言ってとびきりの笑顔を見せてきたヒマワリに笑い返したスミレ。そして声をかけられる。

 

「さあ、冷める前に食べるってばよ!」

 

「何父ちゃんが仕切ってるんだってばさ」

 

 そう言って親子は食べ始めた。スミレは嬉しい気持ちを噛み締めながら自分も箸を進めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ご馳走様でした!」」

 

 最初と同じようにうずまき家とスミレは手を合わせながら言った。

 

「美味しかったではさ! ありがとうな委員長」

 

 スミレは今のボルトにある意味1つだけ不満だったから少しイタズラした。

 

「もう委員長じゃないよ」

 

「え? でも俺の中では委員長出しなー」

 

「じゃあ私は修学旅行委員って言おうかな?」

 

「え、そ、それはやめてくれってばさ! わ、わかったてばさ! ·····スミレ、これでいいんだろ?」

 

 そう言って少し赤面になるボルト。スミレはそれを聞き今以外に初めてボルトに名前で言われたのを思い出した。

 少し照れくさいが嬉しかった。

 

「うん、ボルト君!」

 

 そしてヒナタの方に向き

 

「あ、あの。お皿洗いもします」

 

 そう言ったがヒナタは横に振った。

 

「大丈夫よ、流石にそこまでお客様にやらせる訳にはいかないわ」

 

「わ、分かりました。で、ではその今日は帰らせて貰います」

 

「え? でも·····」

 

 そう言ってヒナタは外を見た。スミレもつられてみた。そこはもう真っ暗だった。少女が1人で帰るには心もとない。·····まあスミレは忍びだからただの大人程度なら負けないが。

 

「今日は泊まっていきなさい」

 

「で、でも·····」

 

「えー、スミレお姉さんお泊まりしないの?」

 

 ヒマワリが残念な顔で言ってきた。その顔にいたたまれず無意識に返した。

 

「わ、分かりました。その、ありがとうございます。あ、でも着替えがこれしか」

 

 そう言って自分の格好を見た。そして視線に気がついた。

 

「どうしたの? ボルト君」

 

「あ、いや。その、似合ってるってばさ。その服」

 

「えっ!?」

 

 それを聞いたスミレがどんどん赤面になった。

 

「あ、ありがとう。ボルト君。·····というか今言うの?」

 

 そう、もう町でばったり出会ってから結構時間が経っている。普通なら出会った時に言うものと思う。

 

「え、ああ、すまねえってばさ」

 

 その間2人とも少しモジモジしていたがナルトが言った。

 

「じゃあ少しサイズが合うかは分からないけどヒナタの小さい時の服ならあるんじゃねえか?」

 

「うん、あるよ。少し待っててね」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 そう言ってヒナタは2階に行った。そして持ってきたのはスミレに合いそうなパジャマだった。

 

「じゃあスミレちゃん、ヒマワリとお風呂に入ってきてくれる?」

 

「あ、分かりました。行こ、ヒマワリちゃん」

 

「うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「スミレお姉さんはお兄ちゃんの事をどう思うの?」

 

「へ? ど、どうって?」

 

 スミレはお風呂の温度も相まってめちゃくちゃ赤面になってしまった。腕の中にいるヒマワリを思わず見た。

 

「だってお姉さん、お兄ちゃんの事をチラチラ見てたもん!」

 

「えっ!?」

 

 全然意識をしてなかった。知らず知らずに見ていたらしい。ヒマワリに言われて初めて気がついた。

 ·····というかそんなのボルト君にバレてたらと思うと恥ずかしい以外の何物でもない。

 それより今はこの状況を打開する方法を考えたがのぼせてきて何も考えられなくなってきた。

 

「え、えと。その·····友達かな?」

 

「ふーん、そうなんだ!」

 

 凄く無邪気な顔で笑ったヒマワリに笑顔を見せスミレは言った。

 

「じゃあそろそろ出ようか」

 

「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとうね、スミレちゃん」

 

「あ、どういたしまして。私も楽しかったので大丈夫です」

 

 実際楽しかった。ボルトの家の中の姿をヒマワリに教えて貰っていた。やっぱり妹には甘いお兄ちゃんらしい。でもそれは微笑ましい話だった。スミレはリビングを見渡してボルトとナルトがいないことに気がついた。

 

「あれ? ボルト君と7代目様はどうされたんですか?」

 

 ヒナタを見たがヒナタは顔を庭の方に向けた。スミレは庭の所に行き窓から庭を覗いた。そこにいたのはお互いに戦っている親子だった。でもその顔は嬉しさが出ている顔だった。そしてその親子が止まりスミレの方を向いた。スミレは窓を開けて

 

「ボルト君、修行?」

 

「ああ、委員·····スミレが出るまで汗をかいとこうと思ってな」

 

「そっか」

 

「お兄ちゃん! ママがお風呂入れって言ってるよ」

 

「わかったってばさ」

 

 そう言ってひょいとリビングに戻ってきたボルトは颯爽とお風呂に向かった。スミレはどうしようかと思ったが取り敢えず机の椅子に座った。ヒマワリがシュカークを持って来たが

 

「ヒマワリ、少し片付けるのを手伝って」

 

「分かったー!」

 

 そう言ってヒマワリはヒナタの元に行った。そしてスミレの目の前に座ったのはナルトだった。背筋がピーンとなるのを自覚していたらナルトが話しかけてきた。

 

「その、筧スミレ。すまなかった」

 

 そう何故か謝られた。スミレは何でという顔を思わずしたがナルトは理由を言い始めた。

 

「今日の親子の日、お前にとっては辛い日だっただろう? すまなかった、俺は良かれと思ってこの日を企画したがお前みたいな人達の事を考えていなかったってばよ。親がいない気持ちは·····俺は知っていた筈なのに」

 

 そう心痛な面持ちで言った。スミレはナルトが言いたい事がよくわかった。そしてそれを謝ってきてくれたんだと理解した。やっぱり親子なんだなとスミレは思った。ボルトも間違った時は直ぐに謝ってきてくれた。

 

「いえ、顔をあげてください7代目様」

 

「今はプライベートだからナルトでいいってばよ」

 

 そうニカッと言ってきた。

 

「確かに今日私は少し憂鬱だったのは否定しません。本当は今日一日中アパートに引っこもうと思ってたんです。ですけどご飯の材料がないのに気がついて外に出なきゃボルト君に会えなかったと思うんです」

 

「·····そうか。これからもボルトと仲良くやって欲しいってばよ」

 

「はい!」

 

「所で最近は大丈夫か?」

 

「はい、お陰様で班の皆とも上手くいっています。鵺の事も·····知ってもらいました。でも皆受け入れてくれました」

 

「そうか·····、良かったな!」

 

 そうボルトとよく似ている笑顔で言ってきた。そんな話をしてたらヒマワリが寄ってきた。そして遊ぼうと言ってきたから一緒に寝るまで遊んだりお話をした。そしてヒマワリはその内ウトウトし始めスミレはヒマワリの部屋におんぶをして連れていき寝かしつけた。そのヒマワリの腕にはシュカークがある。そのヒマワリのベッドの横には簡易的な寝る所があった。スミレとヒマワリが入っている間にヒナタが置いたのだ。その気遣いにお礼を言おうと思って戻るとボルトがいてナルトとヒナタはいなかった。

 

「7代目様とヒナタさんはどうしたの?」

 

「ん? あー、父ちゃんと母ちゃんなら久しぶりに夜のデートに行くって行ったってばさ」

 

「で、デート·····」

 

「ああ、やっぱりスミレもそういう事に興味あるのか?」

 

「はわわ、そんな事は·····あるかもしれない」

 

「どっちだよ」

 

「今日はありがとうね、ボルト君」

 

「どういたしましてだってばさ」

 

 ボルトと2人きりだからかスミレの胸は激しく脈をうっていた。だけどそんな事を知る由もないボルトは続ける。

 

「さっき母ちゃんと父ちゃんと話してたんだけどよ、偶に一緒にメシ食わないか?」

 

「え? それって……ここで?」

 

「ここで」

 

「いいってばさ。スミレなら歓迎するって言ってたてばさ」

 

 それを聞き嬉しくなりまた目に涙が溜まった。

 

「お、おい泣くことはねえだろ」

 

「うん、ごめんね」

 

 そう言ってスミレは目を拭い真っ直ぐボルトを見つめた。そして

 

「ありがとう、ボルト君」

 

「どういたしまして、だってばさ」




親子の日、それはスミレにとっては少し辛い日である。アニメでは何か当たり前のごとくスミレの描写はなかったが普通にいるだろとか思ってしまった僕は悪くない。何かヒナタと同じ匂いがする。·····別に良いんじゃない?と思ってしまう作者。言うてそんなにゴリ押しでもないだろとか思っている。ではまた書ける暇があれば書きます。バイバイ(ヾ(´・ω・`)


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親子の日 続き if

おはようございます!親子の日 ifの続きです。最初らへん気分悪くなったらすいませんm(*_ _)m。

というかタイトルが全く思いつかなかったんで良かったら見た後にタイトルを考えて教えてくれたら嬉しいです。
ではどぞ(っ´∀`)っ


 今日もアカデミーの少し騒がしい廊下を1人歩いている少女、筧スミレは周りがヒソヒソ話してるの声が色々聞こえる。でもそれが何なのかが分からずスミレは首を傾げながら自分のクラスの扉をくぐった。そして何故か皆の視線が自分に注いだ。スミレは何なの? と思いながら普段から自分が座っている友達のサラダとチョウチョウの隣りの席に行っていつも通り挨拶した。

 

「おはよう、2人とも」

 

 だが2人は何故か異質なものを見るような目でスミレを見てきた。スミレは何でそんな目を向けられてるのかが分からず思わず聞いた。

 

「ど、どうしたの? 2人とも」

 

 そしてこれまた何故か侮蔑の目を向けられているのに気がついた。そして言って来た。

 

「何で犯罪者のあんたがここにいるの?」

 

 ──────え?

 

 その言葉を言われた瞬間スミレの思考は止まった。そして徐々にその意味を理解し始めた。だけど何の犯罪を起こしたのかが分からずただ立ち尽くした。だがサラダは追い討ちをかけてきた。それも決定的な。

 

「あんたのせいで何人の人が死んだと思ってるの? それなのに何でのこのこアカデミーに来てるの? 信じられない」

 

 し·····んだ? 

 誰が? 

 

 サラダはある席に目を向けた。そこはスミレの記憶が正しければ雷門デンキの席だったはずだ。しかしその席には誰もいない。もうホームルームが始まるのに何で? 

 またサラダを見ると今度はメタル リーがいるはずの席だ。しかし真面目な彼なのにまだいない。

 スミレは困惑を隠しきれず動揺して立ち尽くした。しかしそんな時ドアが開いた。

 スミレは担任の油女シノに2人が来てない理由を聞こうと思い見た。だがそこにいたのはシノではなくみたらしアンコだった。

 スミレは絶句しながらサラダに聞いた。

 

「し……の先生は?」

 

 だがまたもや侮蔑の声で言ってきた。

 

「はあ? あんたが殺したんじゃない」

 

 ころした? わたしが? なんで? 

 スミレの顔は蒼白になっていた。周りを見てみると全員侮蔑、或いは恐怖の目で見てきてる。

 そして皆言ってきた。

 

「こんな所に来るなよ殺人者!」

 

「お前が殺した人達の為に死ねよ!」

 

 言ってる事は皆似ている。スミレは自分の班員であるナミダとワサビに目を向けた。だがその2人も侮蔑の目をスミレに向けていた。

 スミレはショックを受けてその2人に目線を固定した。そして2人も言ってきた。

 

「お前が私達の委員長になったのが里への反逆のためだったなんてな」

 

「信じてたのに·····」

 

 信頼を寄せる2人にも言われスミレは絶望の奈落にあと一歩までになってしまった。あと一歩踏ん張れたのはある少年の存在があったからだ。スミレはその少年の席を見た。いつもならその少年は1番前にミツキと一緒に座ってる筈だ。

 だがその席は空席だった。思わずスミレは呟いた。

 

「ボル·····ト君……は?」

 

 そう言ったらまたもやサラダが吐き捨てるように言ってきた。

 

「は? あんたが殺したんでしょうが!」

 

 今度こそ言葉にならなかった。

 

 わたしが·····ボルト君をころした? 

 なんで? 

 私がボルト君を殺せる訳ないのに。

 

 その瞬間、スミレは自分の手が濡れてるのに気がついた。そして恐る恐る見た。そこにあったのは真っ赤なもの·····血だった。

 

「ひっ!」

 

 何で血が? そんなのを考えられない程スミレは弱っていった。スミレは罵詈雑言に耐える事が出来ず教室から出た。そして走り続けた。そして気がついたら真っ暗闇の中にいた。そして目の前にいたのは·····

 

「みんな、良かった生きてたんだね」

 

 サラダが私が殺したって言ってた人達だった。デンキ君にメタル君、シノ先生·····そして名も知らない人達。

 でもボルト君がいない。

 

 スミレは声をかけた。だが声を出せなかった。そして足もコンクリートに埋められたのごとく動かなかった。

 スミレは何でそんな事になってるのか分からない恐怖に震えた。そして皆がスミレが恐れた事を言った。

 

「僕の人生がお前のせいでめちゃくちゃになったよ」

 

「え」

 

 デンキが言った。

 

「僕の青春の日々があなたのせいで無くなりました!」

 

 メタルが言った。

 

「あなたを好きになった僕が愚かでした」

 

 マギレが言った。

 

 スミレは縋り付くようにシノを見た。ゴーグルのせいで目が見えない。だがスミレは何故か分かった。分かってしまった。

 その下の目は皆と同じ目になっていた事を。

 

「私の生涯最後にして最低の生徒だったな、お前は。人の闇を食い物にし、反逆の為にその爪を研いでいたとはな」

 

 その言葉と共にスミレの脳裏に様々な光景が浮かんだ。雷門デンキに鵺を取り憑かせた。そして次の日の入学式、電車が暴走して火影岩に激突しそしてその電車が耐えきれずそのまま落ちた。凄まじい砂煙をあげた。

 そこでスミレの脳裏には違う光景が出てきた。

 電車の中にいたのは金髪の少年うずまきボルトと雷門デンキだった。しかしボルトは傷を少しついた程度だったのに対してデンキは頭から血を流して倒れていた。

 

 その瞬間スミレは心臓が締め付けられてる気がした。口元に手を当て下がろうと思わず下がろうとした。だが足は動かなかった。

 

 場面が変わった。

 今度はアカデミーの内部だ。スミレは周りを見渡した。そして見つけた。禍々しいチャクラを纏ったメタル リーがボルト、シカダイ、いのじんと戦っている模様だ。だが唐突にその戦いが終わった。メタルがその場でバタッと倒れたのだ。その体はいつも鍛えていた筈なのにやせ細ったなんてものでは無い。全てのチャクラが無くなったように見える。

 ボルトやシカダイがメタルの脈をとって呟いた。

 

「·····死んでる」

 

 それを聞いた瞬間またスミレは心臓が締め付けられた。

 

(もう·····見たくない!)

 

 そう思い目を閉じたが脳裏に見せられてるので閉じていようが関係なかった。映像が変わった。その映像に映っていたのはうずまきボルト、シカダイ、ミツキの3人がシノと戦っている様子だ。

 そして3人は機転の利いた戦いをし、シノ撃退に成功した。だがその際ミツキが体力を使い果たし湖に沈んで行ってしまった。だがそれをほっとける訳のないボルトは自らも飛び込みミツキを助けようとした。だがボルトも体力とチャクラを消費して上がれなくなってしまった。

 そんな時、シノが目を覚まし救出に向かった。だが1番消費していたのはシノ自身だった。それでもシノは何とかボルト達の所に辿り着いた。だが体力も同時に尽きた。しかしシノは諦めず口寄せの術をした。だが残ったチャクラ量では2人を助けるぐらいのチャクラしか無く、2人を水上に上げた。そしてシノはそれを微笑んで見送り·····

 

(うそ·····こんなのうそだよ)

 

 そして場面が次々に変わった。それのどれもチャクラが吸い尽くされ死んで行った人達の映像だった。そしてとうとうある映像になった。

 

(わた·····し?)

 

 そこに映っていたのは三つ編みの髪では無くストレートで見覚えのある服を着た自分だった。そして戦っているのはミツキだ。一進一退の攻防をした後、ボルトの右目が白くなって自分やボルトとミツキは異界に行った。

 そこでもボルトは鵺と戦った。そしてミツキは自分と戦った。だがミツキの方が一枚上手だった。自分がやられると思った時、ボルトの作戦に引っかかり動けなかった筈の鵺がミツキを思い切り吹き飛ばした。ミツキは元々チャクラが少なくなっていた。だからそのまま動かなくなっていた。

 唖然としているボルトに向かって自分じゃない自分が言った。

 

「これが私の本性なの。あなたみたいなあまっちゃんとは違うの」

 

「委員長·····何で、何でだってばさ!」

 

 自分じゃない自分は人差し指をボルトに向けた。あれはスミレの得意な術、水遁水蓮波だ。ボルトは唖然としたまま動かない。

 

(ダメ·····逃げて)

 

 そう思った瞬間にそれが放たれた。そしてボルトはショックが大き過ぎたのか立ち尽くしたまま眉間を貫かれた。血しぶきを上げながらボルトは仰向けに倒れた。

 

(い、いや!)

 

 そこで映像は途切れ恐る恐る前を見たらボルトがいた。だがスミレが何かを言おうとした前にボルトが今まで聞いたことの無い冷たい声で言ってきた。絶望へ落とすには充分な程の

 

「委員長を信じた俺がバカだったってばさ。もうお前の顔も見たくねえ」

 

 それを聞いた瞬間スミレの心は凍った。しかしまだ縋りつこうと歩こうとした。だがまだ足は動かなかった。ボルトはそんなスミレに目もくれずスミレに背を向けて歩き出した。

 

(まっ、待って。お願い·····だから)

 

 声も出ず足も動かせずスミレは心の中で叫んだ。だがそんな叫びはボルトは気づかず或いは気づいてるが無視した。

 

(待って、ボルト君待って!)

 

 唯一動かせる手をボルトに伸ばしたが届かない。どんどん遠くに行ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ!」

 

 そんな声と共に筧スミレは目を覚ました。古びたアパートの天井を見ながら自分の顔に手をやる。だがその手は震えていた。抑えようとすればする程に余計に震えていった。

 

「何で·····あんな夢」

 

 スミレは自分の体を抱きしめたがそれでも止まらなかった。親子の日が終わりナミダの修行も予期せぬ成果を得れた次の日だった。

 夢はアカデミー時代のだった。だがその夢はスミレのifの世界だ。ありえたかもしれない可能性。だがスミレに絶望を与えるには充分すぎるほどの夢だった。

 

 

 

 今日の任務は商人さんの護衛だった。いつも通りワサビとハナビ先生とスミレが前衛、ナミダが後衛だった。

 だがスミレは朝の事を思い出し全く集中出来ていなかった。だから奇襲の対応が遅れてしまった。ハナビの厳しい声があがった。

 

「スミレ!」

 

「ご、ごめんなさい!」

 

 そう言ってクナイを構えた。そして少し手こずったが難なく撃破し、商人を送り届け里に帰ってきた。

 

「スミレ、今日はどうしたの?」

 

 ナミダが聞いてくるがスミレは夢の事を考えて聞いてなかった。そして今度はワサビも聞いてきて初めて気がついたみたいだ。

 

「おいスミレ!」

 

「はわ! な、何?」

 

「何じゃねえよ。どうしたんだ、今日はずっとぼーっとするか怖い顔になってたぞ?」

 

 ハナビも言う。

 

「そうね、それに偶に震えてたわよ? 何か怖い事があったなら話してみなさい」

 

 だがスミレは心配をかけたくなくかぶりを振った。

 

「だ、大丈夫です。少し怖いホラーもの見ちゃっただけですから」

 

「で、でも」

 

 ナミダが聞こうとしてきたがそれよりも早くスミレは言った。

 

「ごめんなさい、晩御飯の材料まだ買ってないから私もう行きます」

 

 そう言ってスミレは返事を聞かず駆け出した。残された3人は聞きたいのは山々だが何故ああなっているのかが分からず手のうちようがなかった。

 

「スミレどうしたんだろう?」

 

「何か普通じゃなかったよな。何時も冷静なのに·····」

 

「でも昨日まで何もなかったはずだし。姉様もスミレが何か怯えてるようには見えなかったって言ってたし·····」

 

「·····あれ? 何でハナビ先生のお姉さんがスミレの事を知ってるんですか?」

 

 ナミダは聞いた。実際何でと思ったのもある。ハナビのお姉さんはうずまきヒナタ、つまり7代目火影の妻だ。ついでに言うならボルトの母親だ。つまりハナビはボルトやヒマワリから見ればおb·····お姉さんになる。しかしスミレとは特に接点はなかった筈だ。

 種明かしするようにハナビは2人に言う。

 

「ああ、親子の日にスミレが姉様の家で晩御飯を一緒にしてうずまき邸に泊まったそうよ。その時にスミレが自分の料理を披露して好評だったそうよ。私も食べてみたかったなあ」

 

「う、うずまき邸って事はボルトと?」

 

「まあ泊まった部屋はヒマワリの部屋だったらしいよ」

 

「で、でも何でそうなったんですか?」

 

「うーん、私もその辺は聞いたけどはぐらかされたなぁ。でも私の勘が教えてくれる。ズバリボルトが絡んでると思うんだよねえ」

 

「ぼ、ボルトが?」

 

「ボルトが何かしたのかな?」

 

「それはないわよ。ボルトの性格はあなた達だって知っての通りでしょ。でも·····スミレに何かあったのは確かね」

 

 そう言って3人はスミレが走っていった方向に目を向けた。

 

 

 

 

 

 2日後

 

 スミレは今日は皆との修行をするためにハナビの家の日向邸を目指していた。だがその顔は暗いままだ。同じような夢をこの2日間ずっと見てしまったのだ。

 もう精神も限界まで疲労している。取り敢えず今日の修行を乗り越えようと頑張る。

 しかし夢のせいでご飯があまり喉を通らず少ししか作らなかった。昔から貧乏だったスミレは自分の食べれる量を作る主義だったからだ。

 そして日向の門が開いてる事を確認し入った。集合5分前だったがもう皆いた。だが一瞬夢の中のナミダとワサビを思い出し思わず止まった。直ぐに深呼吸して足を踏み出す。

 

「おはようございます」

 

「おはようスミレ」

 

「よお、おはようスミレ」

 

「よし、全員揃った所で始めましょうか!」

 

「「「はい!」」」

 

 そして3人は修行を始めた。3人のフォーメーションの確認。1体1の組手、多対一の組手、そしてそれらから得たもので反省会。

 だがスミレはまたしても上の空になる事が多かった。そして震える事も。

 ワサビとの1体1の時にそれが起きた。

 

 スミレは猫かぶりの術をしてすばしっこいワサビに勝つために散漫な集中に鞭打って照準を合わせた。そして夢の中で3回ぐらいボルトに向けて撃った術、水遁水蓮波を撃った。

 だが寸前に夢の事を思い出し少しずれてしまった。だが後ろには誰もおらずだから普通に考えて誰にも当たる訳がない。

 しかし外れた先にいたのは·····

 

「え·····?」

 

「ん? おお!」

 

 親譲りの金髪の髪に父親の青色の瞳より青色の瞳を持った少年、うずまきボルトだった。ボルトは不意打ちで来た水蓮波を躱せずに·····

 

「あ·····あ」

 

「痛て!」

 

 眉間に直撃した。そして思わず後ろから倒れた。その瞬間スミレは重ねた。重ねてしまった。夢の中の自分と同じ事を自分がしてしまったと認識してしまった。

 

「おお、びっくりした。お前ら修行中か?」

 

「なんだボルトか、修行の邪魔するなよな」

 

 そんな言葉もスミレには届かない。元々蒼白だった顔を更に蒼白にしてしまった。真ん中にいるのはスミレとワサビ、スミレの後ろにはハナビとナミダがいる。だが誰もスミレを見ていない。ワサビもボルトに視線を向けていたからだ。そして後ろの2人には当たり前だが見えない。

 ボルトが立ち上がったのもスミレにはもう見えなかった。もうスミレの目にはあの夢の続きが再生されてしまっている。すなわち、ボルトがスミレを糾弾し歩いてく夢を。

 

 そしてスミレの様子にいち早く気がついたのはボルトだった。スミレを見て直ぐに心配した顔になって寄ってきた。だがスミレはそれも気づかなかった。

 

「スミレどうしたんだってばさ?」

 

 それを聞いたワサビも振り返りびっくりした顔になり焦ったように聞いてきた。

 

「お、おいスミレどうしたんだ?」

 

「スミレ」

 

「スミレ!」

 

 ハナビが少し大きめな声で言って初めて気がついた。そして目の前にいるボルトを見つけた瞬間にスミレは恐怖に駆られた目をしそしてそのまま目を閉じボルト目掛け倒れてしまった。ボルトは何が何だか全く分からないがスミレを抱きとめた。そしてそのままスミレの意識が無くなってしまった。

 

「スミレ! どうしたのスミレ!」

 

「お、おいスミレ!」

 

 ボルトはそう言いスミレの顔を覗いた。その顔はさっきよりも更に蒼白になっていた。更に熱が出てしまっているようだ。

 

「大変だってばさ、ハナビ姉ちゃん!」

 

「分かってる!」

 

 そして各自動き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第十五班は修行を切り上げスミレを寝かす事にした。その際そのまま日向邸に寝かすかスミレのアパートまで行って寝かすか少し悩んだがハナビは慣れてる所がいいだろうと考えスミレを背負いスミレが住んでるアパートまで来た。

 15班+αはそんなスミレの為に解熱剤や冷却シート、お粥の材料を買いに来た。

 そして急いで3人はスミレの部屋まで走っている。

 

「スミレがずっと上の空だった?」

 

 ボルトがその道中ワサビから聞いた。曰く2日前から様子が変だった。任務の時もいくらかぼーっとして最悪は震えてた。だけど3人には心配をかけまいと任務が終われば直ぐに帰ってしまい聞く時間もなかった。

 そして自分達を見たら思わずというふうに立ち止まってる事もあったと。

 

「でも何でそうなったか全然話してくれなかった」

 

「スミレ·····」

 

 ボルトにも何故スミレがそうなったのかは分からない。だけどあんな状態は悪すぎる。正直に言うなら2人に憤然の思いがあるのは否定できない。仲間なら無理やりにでも聞き出せよと思ってしまった。だが同時に理解もしていた。恐らく自分も体調が悪くてもサラダとミツキには黙ったままだろう。仲間だからこそ心配をかけたくない、その気持ちは分かるからだ。

 

(スミレ·····)

 

 ボルトは走りながら親子の日のスミレを思い出していた。あの日、ボルトは色々な催しを見た後に終わりかけの親子の日の里を歩いていた。そろそろ帰らないとなと思っていた所に特徴的な髪色を持つ人が目についた。そしてそれがスミレだと気づくのに少し遅れてしまった。普段は束ねてる髪をストレートにしてたのもあったが何より着ている服もいつもより女の子っぽさが出ていたからだ。普段から任務服ばっかり見ていたのもあり、それで少し反応が遅れたのだ。スミレの姿を見た瞬間少しドキッとしたのは否定できなかった。だがそれが何故なのか分からずアカデミー時代と同じように声をかけた。

 そして聞いたのは晩御飯の材料が無く買いに来たがどこも閉まっていたからもう今日は晩御飯はいいかなと思っていた所、だったという訳だ。

 それを聞いた瞬間自分はダメだと言った。ただ単純に栄養が悪いと思ったのは本当だ。だけどそれと同時にスミレの状況も考えたのだ。

 親がもういない。その状況はボルトには分からない。父親のナルトも両親はいなかった。だがボルトには例えあまり帰ってこなくても父親とよく話したりいつも家にいてくれる母親がいる。だから自分はその暖かさを知っている。だがスミレは根の残党というレッテルのせいでいつも逃げる生活をし、父親に修行させられたりした。唯一親子の時間はスミレの母親がスミレの髪を結ってた時と聞いている。だがその2人はもうこの世を去った。家庭の温かさ何てスミレが知る機会は遥かに少なかった筈だ。

 だからボルトは気づいたら声を出してた。

 

『じゃあ家にこいよ!』

 

 別に自分の家族の状態を見せびらかそうと思った訳じゃない。そんな事したら自殺する。

 スミレを·····親子の日で1人にいさせたくなかったのだ。

 

「ボルト!」

 

「なんだってばさ?」

 

「いや、スミレがああなった原因を知らないか?」

 

 少し考え直ぐに顔を振った。

 

「分からねえってばさ。親子の日まで普通だったぜ?」

 

 ボルトは内心余計な事言ってしまったかとなったが2人は特に気にしたように見えず言葉を続けた。

 

「でも、ボルトを見た瞬間に倒れちゃったし·····」

 

「いや、本当に俺は何もしてねえよ!」

 

 そう慌ててナミダに返しボルトも考える。今日ボルトが日向を訪れた理由はただ単に母親のヒナタから使いを頼まれたからだ。任務がなかったこともあり日向に行ってからそのまま修行か、いたらハナビに修行をつけてもらおうと思っていた。

 そして日向の門をくぐった瞬間にスミレが外した水蓮波が眉間に直撃しただけだ。威力はそもそも体調が優れてなかったのか普段の彼女が放つものより半減していたからあの時はびっくりして倒れたという意味合いが強い。

 

(でも何でだ? 何で俺を見たら倒れっちまったんだ?)

 

 それはそれで少し傷つくが今はそれよりもそれを考える。

 別に自分に当ててしまったぐらいならごめんで済む。気絶する程じゃない。

 元々熱があって幻覚でも見た? でもワサビとは途中までちゃんと戦ってたそうだし·····。

 答えが出ないままボルト達はスミレの所に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして一同はスミレのアパートに到着し中にいたハナビと合流。冷たいタオルを冷却シートに変える。そしてお粥を作ろうと思ったがスミレがまだ起きない。どうせなら出来たてを食べて欲しいのもあり作るのは起きてからという事にした。そしてハナビによる軽い尋問が始まった。

 

「ボルト、本っ当に何もしてないのよね?」

 

 それを首をブンブン振って肯定するボルト。

 

「じゃあ心あたりは?」

 

 そして顔を少し下げ再び上げた。

 

「いや、特に思い当たる事はねえってばさ」

 

 そこでワサビが聞いてきた。

 

「それなら親子の日にボルトの家に泊まった時とかは?」

 

「いや、あの時のスミレは俺と話すよりも母ちゃんとヒマワリとよく喋ってたし·····父ちゃんも少し話したみたいだし。俺とはそんなに話さなかったぜ? まあ夜遅かったのもあるけど」

 

 ボルトはその時に何か引っかかったがそれが何なのかまでは分からなかった。そして15班はそのままスミレを見ようとしてた。

 ボルトは班員でもないからもう出来ることは無いと思った。

 だけどそれでも何かをしたくて声をかけた。

 

「俺に何か出来ることねえかな?」

 

 3人は少し考えたが直ぐに顔を振った。代表でハナビが答えた。

 

「その気持ちだけで嬉しいわ。でもこれはスミレの状態を軽視した私達の問題よ。だからここは任せなさい。本当にボルトが必要な時は呼びに行くわ」

 

 スミレの上司でありボルトの叔母でもある人にそう言われればもう言い返す言葉もない。それにスミレの近くで言い争いも出来ないのもあった。ボルトは少し無力感を感じながらも玄関まで歩いて振り返った。

 

「じゃあ、スミレの事は頼むってばさ」

 

「当たり前だろ。私達は同じ班なんだからな」

 

 ボルトは頷いて玄関を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日の夕暮れ、まだスミレは目覚めなかった。3人はその間に今日の修行の振り返りをしてた。だが反省会すら身が入らなかった。

 そしてとうとう夕暮れになってしまった。ハナビは最悪ずっとここにいれるが2人は帰らなければならない。

 しかしそんな時スミレに異変が起きた。うなされていたのだ。そして3人がこの日1番驚愕のもこの瞬間だった。

 

「ハナビ先生、スミレが何か言ってます!」

 

 ナミダがそう言った時全員スミレのベットの周りに集まって何を言ってるのか耳を澄ました。しかし言っていた言葉は意外なものだった。

 

「ボルト·····君」

 

「「「·····え?」」」

 

 やっぱりボルトが絡んでいたという理解はある。しかし班員よりもボルトの方に注意が向いてるのはいささかショックである。

 だがそれからのスミレは呼吸も速くなった。

 

「まっ·····て。ボルト……君」

 

 顔色も余計に悪くなって行ってる。ハナビは班員2人に言った。

 

「ボルトを呼んでくるから、スミレの事お願いね!」

 

 そう言って直ぐにアパートを出ていきボルトの家に向かった。そしてうずまき邸に来た。急いでインターホンを鳴らした。

 

『ハナビ? どうしたの?』

 

「姉様、ボルトはいますか?」

 

『ボルトはまだ帰って来てないわよ。修行して帰るって言ってたわ』

 

「分かった。ありがとう姉様」

 

『ボルトがどうかしt·····』

 

 ヒナタが聞き終える前にハナビはうずまき邸を離れていた。そして小耳に挟んだよくうちはサスケと修行していると言う場所に来た。そこにいたのは心ここに在らずというふうにクナイを的に投げてるボルトだった。的もいつもなら全て真ん中に入れてるボルトがいくらか外してる。

 

「ボルト!」

 

「ハナビ姉ちゃん!」

 

 ハナビはガツガツとボルトに近づきガシッと肩を掴んだ。そしてその表情は普段ボルトには向けない真剣すぎる目だった。ボルトは思わず少し下がりかけたが堪えた。

 

「ボルト、あなた本当にスミレに何もしてないわよね?」

 

「あ、当たり前だってばさ!」

 

 そう言ったらハナビは手を外した。

 

「ボルト、スミレの所までついてきて」

 

「す、スミレに何かあったのか?」

 

「うなされている。それに呼吸も速くなってる」

 

 そう言ってハナビは走り始めた。ボルトもそれに追随する。そして事情を聞こうとするがハナビはスミレが心配でそれすらも許さないスピードで駆けていった。ボルトはそれについてくのが精一杯だった。そしてボルトは本日2回目のスミレの部屋に来た。

 ハナビとボルトは真っ先にスミレの周りに来た。そして·····

 

「はぁはぁ、ボルト·····君」

 

「こういう訳なの」

 

「スミレ·····」

 

 ボルトはそう言ってスミレの隣に行って顔を覗いた。さっきよりも酷くなっていた。息も荒い。

 だがボルトには本当に心当たりがない。

 

「ボルト、手を握ってあげて」

 

 ハナビが言いボルトは頷いてスミレの横に座り左手を優しく握った。

 そして少し経ってスミレの呼吸が落ち着いてきた。

 それを見たハナビは班員2人に向き直り

 

「ナミダ、ワサビ。今日はもう帰りなさい」

 

 だがそれを聞いてはいそうですかとは言えない2人だ。

 

「わ、私も残ります」

 

「仲間ですから!」

 

 それを聞いてもハナビは被りを振った。視線でスミレとボルトを指す。2人もそれを追って2人を見た。ボルトの表情は彼が滅多に見せない不安の表情だったがスミレはさっきまで2人といた時より幾分かまだましそうな顔だった。それを見ればハナビの言いたい事は分かった。

 しかし理解と感情は別物だ。2人からすればボルトはアカデミーの同期で同じ木の葉の仲間、はっきり言えばそれだけだ。しかし自分達は違う。スミレと班をずっと組んでたのも自分達だからスミレのは事を分かってあげれるのも自分達2人以上の人はいないと思ったのだ。しかしそれでも目の前の事を見れば黙るしかなかった。スミレは自分達が看病してた時に比べ幾分か楽そうだったからだ。

 そして2人は黙って頷いた。

 

「分かり……ました」

 

「ボルト、スミレの事をお願いね」

 

 今度は2人がボルトにそう言った。そのボルトは手を握ったまま2人に顔を向け安心させるような笑顔で返した。

 

「おう、任せろってばさ」

 

 そして2人はもう一度スミレを見、玄関から出た。

 そしてハナビとボルトとスミレだけになった。

 

「何で俺を見たら倒れんだ?」

 

 ポツンと呟いた。だがハナビは首を振った。

 

「分からない。どんなに聞いてもはぐらかされたし」

 

 そう言った後、ハナビはスミレに向けてた視線を甥に向けた。そして少し悪戯を思いついたような顔をしボルトに言った。·····実際自分でもいいと思ったのもある。

 

「ボルト、スミレの事を明日まで任してもいい?」

 

「え!? 姉ちゃんはどうするんだってばさ?」

 

「うーん、正直に言うなら今回はボルトに任せた方が良いって思ったのよ。それにある意味1番スミレを理解してるのもあなただしね」

 

 ハナビはスミレがやった事を知っている。そしてサイからは解決にボルトが絡んでるという事も聞いている。ボルトはスミレの奥底にまで入り込みそして理解している。ナミダやワサビはスミレがやった事を知っているがボルトに比べれば引けを取る。そして上司という立場だけの自分がいればスミレはまた無理をするのではないかと思ったのだ。上司としては面目ないが背に腹はかえられない。

 

「まっ、どうするかはあなたに任せるわ」

 

「そんなの悩むまでもねえってばさ。スミレは俺が看病する!」

 

 そう決意した目で見る。·····ハナビとしては年頃の2人を一晩だけとは言え一つ屋根の下にするのは倫理的にどうなんだろうとは思うが状況が状況だ。しょうがないと割り切りボルトに言った。

 

「分かったわ。でもあなた一度帰った方が良いわよ? お風呂とか着替えとかも、あと姉様にも言っとかないと後で怖いわよ?」

 

「忘れてたってばさ」

 

 そう言ってボルトはスミレとハナビを交互に見て悩んだ。

 お風呂と着替え、それは正直それを1日ぐらいやらなくてもいいとは思ってる。しかしそれは男の友達の所に泊まった時とかだ。当たり前だがスミレは忍びである前に女の子である。それ故にそれについては言い返せず不承不承頷いた。

 

「·····分かったってばさ。じゃあ直ぐに戻って来るってばさ! それまでスミレの事頼むなハナビの姉ちゃん!」

 

「はいはい〜、行ってらっしゃい!」

 

 そう言いボルトは全力で家に帰って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ここ·····は)

 

 スミレは少し重い目を開けた。そこにあったのは日向邸から見える空ではなく見慣れた天井だった。そして焦点を少し合わせた。

 

「何で私の部屋に·····」

 

 そして思い出した。自分はワサビとの戦いの時に水蓮波を撃ちそしてそれがボルトの眉間に·····

 そこまで思い出した瞬間にはね起きた。

 

「ボルト君!」

 

「俺がどうしたんだってばさ?」

 

 そう言ってリビングの方から来たのは少し狭いお風呂場にあった桶を持って来たボルトだった。

 

「ぼ、ボルト君大丈夫!? 怪我ない?」

 

「あんまり動くなってばさ。まだ熱が下がってないんだから」

 

 ボルトにそう言われた瞬間に体が熱を思い出したように辛くなって思わずまたベットに逆戻りした。

 そしてボルトはスミレのベットの隣に行き元々引いてたであろうタオルの上に桶を置いた。そしてスミレが先程起き上がり前に飛ばした小さめのタオルを回収しそのさぞかし冷たい水に入れた。そのタオルを出し思いっきり捻りスミレのおでこに乗せた。スミレは直ぐ横の箪笥を見てそこに冷却シートがあるのを見て聞いた。

 

「冷却シートって、長持ちすると思うんだけど?」

 

「ああ、だけどやっぱり冷たい方がいいと思ったんだ」

 

 要するに冷却シートは最初は冷たいが徐々に熱くなっていき効果が薄くなると思ったそうだ。

 冷却シートの横を見ればスミレの額当てがある。昔の結ぶのとは違い今はバンドだから他人でも簡単に外せるのだ。

 そしてボルトはお粥を作ろうと思い立ち上がった。だがスミレが反射的にボルトの腕を掴んだ。

 

「スミレ? どうしたんだ·····」

 

 ボルトが止まったのはスミレが震えていたからだ。

 ボルトは後で話を聞こうと思い優しくその掴んでる腕に手を当て言った。

 

「俺はどこにも行かないってばさ」

 

 スミレはそれを聞き少しビクッとした。そしてそーっと離した。

 

「じゃあキッチン借りるってばさ」

 

「う、うん」

 

 ボルトはそう言ってスミレが動いて落ちたタオルをまたスミレのおでこに乗せてキッチンに行った。そして少し経ちボルトはスミレの部屋にある1番大きめな鍋を持ってきた。1番大きめなと言ってもスミレは一人暮らし故にそれなりには小さい。

 そしてこれまた予め置いてたタオルの上に桶を蹴飛ばさないように気をつけながらその鍋を置いた。

 寝てるスミレからは見えないがいい匂いがしてる。お粥でいい匂いを出すのはそれはそれですごい。

 そしてリビングからボルトは椅子と小さい皿を持ってスミレのベットの隣に置いた。

 ボルトは桶をそーっと少し離れた所に置いた。

 

「スミレ、少し起きれるか?」

 

「う、うん」

 

 ボルトの手助けを得ながら上体を起こした。そしてボルトはお皿に今のスミレが食べれそうな位の量を入れスプーンを掬いスミレにの口に近づけた。

 その瞬間にスミレの理解が色々落ち着いた。

 

「ほら、スミレあーんしろよ」

 

「え? はわわわ!」

 

 スミレは色々パニックになっていた。熱を出した女の子の看病で男の子·····それも気になってる男の子がお粥を自分で作りそれを女の子にあーんするってどこの恋愛小説なのだ、と一瞬で思った。だがしかし体がだるいのも本当でありそして何より

 

(こんなのは·····もう無いかもしれない)

 

 そう無理やりに納得し熱を出てたのも相まって顔は赤面になりまくっているが決心し

 

「あ、あーん」

 

 もう羞恥で顔は真っ赤なのは確実だ。だけどボルトの話が本当なら今は自分は熱が出ているらしいからそれで誤魔化せるとこれまた無理やり納得した。

 そしてそのお粥をスプーンごと口に入れゆっくり全て口に入れた。スプーンを抜いてもらいゆっくりと咀嚼した。

 

「ど、どうだってばさ?」

 

 いつも自信たっぷりなのに何故か伺うようなボルトに少し微笑んだが口のものを飲み込み答えた。

 

「うん、美味しいよ。ありがとう、ボルト君」

 

「良かったってばさ。母ちゃんに即席で美味しいお粥を作る方法聞いといて良かったぜ」

 

「ヒナタさんが?」

 

 そして今更のように状況をを理解した。スミレの部屋にはボルトと自分しかいないことに気がついた。そしてそれを気づいた瞬間にまたもや赤くなった。そんなスミレの内面の事なんて知らずボルトはまたお粥を掬いスミレの口に近づけた。

 スミレはもうやぶれかぶれでボルトからあーんされるお粥を食べた。

 

「「ご馳走様でした!」」

 

 ボルトとスミレは手を合わせ言った。

 

「じゃあまた少し待っててくれってばさ。洗ってくる」

 

「あっ、私が」

 

 私がすると言いかけた瞬間にまたもやふらっとしてしまいボルトに支えられた。そしてベットに横にされた。

 

「無理するなってばさ。俺が好きでやってるんだからさ」

 

「ありがとう」

 

 ボルトはニカッと笑い鍋と小皿を持って行った。そして水の音が聞こえた。少し経ちボルトは薬と水を持ってきてスミレの隣に座った。そして薬の箱の裏の説明を読み薬を出してスミレに差し出した。

 

「あ、ありがとう」

 

 スミレは受け取り薬を飲んだ。そしてボルトに返した。ボルトはいつにも増して真剣に聞いてきた。

 

「それでスミレは何で無茶したんだってばさ?」

 

 スミレは悩んだ。しかしもう倒れてしまった以上ボルトやワサビとナミダももう聞きまくってくるだろう。そう思い白状した。

 

「夢……見たの」

 

「夢? どんな夢だってばさ?」

 

「私が·····皆を殺す夢」

 

 流石にそれを聞いたボルトは少し唖然としたがスミレは続けた。1度出したら全て吐きたくなった。

 

「私がアカデミーのドアを開けたら夢の中のサラダや皆が侮蔑の目で見てきて、理由を聞いたら私が鵺を使って人を殺したテロリストって·····」

 

 確かに鵺は人のチャクラを吸える。しかしあのゴースト事件の時は全員チャクラは抜かれたがちゃんと生きていた。だからボルトは鵺はチャクラを吸うことでは殺せないと思っていた。だがボルトは第四次忍界対戦にて神授の木が忍び連合軍のチャクラを吸い殺されていたことは知らない。理論上は鵺でも吸いまくったら殺せることは殺せるのだ。

 スミレは嗚咽を漏らしながら吐く。

 

「それで·····私が鵺にとりつかせた時の皆が出てきて皆が死ぬ瞬間の夢も見せられて。また皆に罵られて」

 

 正直に言うならスミレは被害者には言う権利はあるとは思っている。しかしスミレがショックを受けたのは自分の罪を知った上でも友達でいてくれた人達が態度も何もかも真逆になって自分を罵った事だ。

 そして決定的なのは

 

「私じゃない私が·····ボルト君に水練波をボルト君の眉間に当てて·····」

 

 その先はもう言えなかった。本人が目の前にいるのにその先が言える訳無かった。そしてボルトもその先が分かった。恐らくその後に夢の中のボルトにも罵られたんだろう。

 それを聞きボルトはゆっくりスミレに抱擁した。嫌がられたら直ぐに離そうとは思っていたが少し強ばらせたが直ぐに力を抜いた。そして耳元で妹のヒマワリにもするように頭を撫でながらそう言った。

 

「だから俺が来た時·····正確には俺に水蓮波を当てた時に気絶したのか」

 

「うん。ごめんね、いきなりでびっくりしたよね?」

 

「まあな、でも知れて良かったってばさ」

 

 そして少し強めに抱擁した。スミレはそれはそれで内心穏やかではなかったが心地よかった。

 

「俺が·····俺らがスミレにそんな事言うわけないだろ? 第一そんな奴がいたら俺がぶっ飛ばしてやるってばさ!」

 

 それだけしか聞いていないのにスミレは胸のモヤモヤが消えていくのが分かった。

 

 ──―君は本当に凄いなあ

 

 スミレの脳裏にあるのはそれだけだった。自分がどれだけ悩んでうなされてもボルト君は真っ直ぐな言葉で励ましてくれる。無意識に抱き返していたのは気がつかなかったが。

 

「スミレはもう自分の罪とはいっぱい向きあったんだ。だからもう自分を責める必要なんてないんだってばさ」

 

「そう·····かな?」

 

「そうだってばさ」

 

 ボルトはスミレがそんな夢を見た原因は親子の日の時のが原因だと思ってる。ナルトやボルトに言われた事は胸にしみた。だがそれと同時に自分の潜在意識·····有り得たかもしれない可能性が夢に出てしまったんじゃないかと。なら自分がそんなスミレに赦しを与えれば良いのではないかと思ったのだ。

 しばらくそのまま抱き合っていたが流石にスミレがオーバーヒートしかけた時ボルトはゆっくり離れた。

 

「あ……」

 

 そんな残念そうな声を思わず出してしまったスミレであった。

 

「寝れそうか?」

 

「多分寝れないと思う」

 

 倒れたのがお昼ぐらいで夜になるまでずっと寝ていたからの判断であった。実際に今から寝るのは少し辛いし·····何よりまたあの夢を見てしまうかもしれないという思いがあった。それとボルトに抱擁された時の鼓動がしばらく収まりそうにないというのもあった。

 

「じゃあ少し喋ろうぜ!」

 

「うん、いいよ」

 

「でも無理だと思ったら言えよ」

 

「うん、分かった」

 

 そして2人はお喋りを始めた。アカデミー時代の事を中心だった。そして今は修学旅行の霧隠れの里に行った時の事を話していた。

 

「サラダが俺を探しに来たのスミレのおかげだったのか」

 

「私はボルト君がいないって言っただけだよ。その後に先生とかの誤魔化しはやったけど」

 

 修学旅行の際、ボルトが自称新忍刀七人衆のリーダーの屍澄真に一度やられ気絶した時にサラダが医療忍術で助けに来てくれた時。

 サラダが何故自分を探しに来たのだろう? と言う謎が解けた。

 そして次は下忍試験の後の秋道家が開催したスキヤキの時の話だ。

 

「あの時はシカダイが色々取り仕切って助かったぜ」

 

「そうだね、シカダイ君がいなければもう少し修羅場になっていたと思うよ」

 

「スミレはスキヤキを食べる前にももうすげえテンばってたな!」

 

「う、い、言わないでよボルト君」

 

 スミレはその下忍試験後のスキヤキには後見人のサイに誘われて秋道家に来た。しかし生まれて初めて大人数で鍋を食べるというのが初めてだったスミレはシカダイ曰くスキヤキを食べる前にも「はわわ」を16回言ったそうだ。

 スミレは次に卒業式の時の事を聞いた。

 

「あの時もボルト君が最初いなかったからびっくりしたよ」

 

「準備があったからな。元気かなリョウタクのやつ」

 

「そう言えば何であんな事をしたの?」

 

 あんな事とはボルトが普通科にいたリョウタクという生徒と一緒に花火を打ち上げた事を聞いたのだ。

 

「リョウタクって言ってさ、自殺しようとしてたんだってばさ」

 

「え? な、何で?」

 

「自分が頭がいいのが気に食わないって言う連中にいじめられてたんだってばさ」

 

 そしてボルトはそこから卒業式の裏話を語った。

 リョウタクはいじめっ子に卒業式の総代に出るなと言われ出たらみっともない写真をばらまくと脅されたそうだ。そしてもう何もかも嫌になったリョウタクは最初はアカデミー事吹っ飛ばして自殺しようとしたらしい。

 しかしそこに爆弾代わりの花火を見つけリョウタクの居場所を調べたボルトが間一髪現れ事情を聞いた。

 そしてそこからボルトは職員室にいたシノの所に直行した。

 そこでボルトは少し暗い顔になった。

 

「どうしたの?」

 

「あ、いや。その時にシノ先生に言われた事を思い出して·····さ」

 

「何を言われたの?」

 

 ボルトは正直悩んだ。これを聞いたスミレが侮蔑してくるのではないかと思ったのだ。しかしスミレなら大丈夫、そんな不確定な確信があった。

 

「俺は·····さ、委員長」

 

 スミレはボルトがまた委員長呼びをしたのはただ素で出たのではなくわざと言った事に気がついた。それは今の忍びになった時ではなく、アカデミー時代に思ってた事を言うための分別だと結論づけた。

 

「俺は·····あの時まで罰は制裁のため、罪を犯したやつの更生の機会を奪う事なんてどうでもいいって思ってたんだってばさ」

 

 スミレはそれを聞き少し黙った。ボルトが言うのを躊躇った理由が分かったからだ。更生の機会を奪ってもいい、即ちそれはスミレの更生何てどうでもいいって無意識に言ったのも同然だったからだ。

 ボルトにとってはスミレは大切なクラスメートであり木の葉の仲間である。しかしボルトはスミレが赤の他人ならこうまでスミレを励まし導くことはなかっただろう、それどころかスミレは正真正銘取り返しのつかない事になっていたかもしれない。スミレがアカデミーに戻れたのは死者が1人もいなかった事、そして鵺の1番最初のターゲットがデンキではなくスミレ自身だった事もあった。鵺は心が弱い又は弱くなっている人にとりつかせる。それが母親も父親も亡くし一人ぼっちで里に来たスミレにもとりついたのだ。

 

「·····ボルト君が言うの躊躇ったのはそういう事なんだね」

 

「その、すまねえってばさ委員長」

 

「うんうん、その時のボルト君みたいな考えを持ってるのはしょうがないよ。それに私はずっと自分の罪と向き合うよ。例え皆が許してくれても、私はきっと向き合い続ける」

 

 そのまま少し2人とも沈黙してしまったがスミレが気を取り直すようにボルトに続きを聞いた。

 

「その後シノ先生といじめっ子をあぶりだす作戦を考えて俺はリョウタクに『なんかデカい事をやって、あいつらの度肝を抜いてやろう』って言っただけだってばさ」

 

「それがあの花火?」

 

「ああ、あれは元々アカデミーをぶっ飛ばす為に用意したものだったらしいけど俺が話した後にそれを使えないかと言われたからアカデミーを飾ったんだ。全部リョウタクが頑張ったんだぜ?」

 

「そうなんだ·····、そのいじめっ子の人達はどうしたの?」

 

「リョウタクが派手な動きをすれば絶対に動くと思ったからな、そこをシノ先生の虫で追跡してシノ先生とイルカ校長で現場突入したらしいぜ。俺はその場にいなかったけど」

 

「記念写真を撮ろうとしてた時だからね」

 

 自分のクラスメートでもない子を助ける。それはスミレにとってのボルトの美点だと思っている。いや、もっと大雑把に言うなら自分が友達認定した人達なら皆助ける。自分が鵺を呼び出しミツキと戦ってた時ボルトが来た。その時スミレはボルトに家族を取るかスミレを取るか、その選択を迫った。あの時スミレはせめて悪役で通しボルトが自分の事を酷いやつと割り切れるようにしようと思った。だがボルトはそんなスミレの予定を良い意味で狂わせた。どれだけ自分が反逆者と言ってもボルトは引かずそれどころかクラスメートだから止めると言ってくれた。そして実行して見せてくれた。

 そしてそんな話も終わりスミレは今日ずっと気になった事を聞いた。

 

「今日は何で日向に来たの?」

 

 スミレはボルトが日向に来ること自体は不思議ではないと思ってる。日向の姫の息子で自分の上司の甥だからだ。ただ単純に気になったのだ。

 

「ああ、母ちゃんに使いを頼まれたんだってばさ。それであわよくばハナビの姉ちゃんに修行をつけてもらおうと思ったんだけどもうスミレ達がやってたからどっちにしろ無理だったな」

 

「そ、そうなんだ。なんかごめんね」

 

「スミレが謝ることはねえってばさ。自分達の修行を優先するのは当然だってばさ」

 

 スミレはもう1つ、何故ボルトがここにいるのかが気になったが何となく聞くのを躊躇った。ボルトはそう言った後にスミレのおでこのタオルを回収し水をつけまたスミレのおでこに乗せた。

 そして聞いてくる。

 

「そろそろ寝るか?」

 

 時計を見ればスミレが普段寝る時間だった。スミレとしてはもう少しボルトと話したいが恐らく言っても無理するなと言って無理矢理でも寝かすだろう。

 

「スミレが寝たら俺も帰るってばさ」

 

 ボルトはハナビに明日まで宜しくと言われたがよく良く考えればボルトも年頃の女の子と1日一緒なのはスミレの気持ち的にどうなんだと思いそう口にした。だがそれを聞いたスミレはボルトの手首を掴んだ。その顔は真っ赤だ。しかし上目遣いでボルトに言った。

 

「どこにも……行かないんじゃなかったの?」

 

 スミレは勿論先程ボルトがそう言ったのは気持ち的にというのは分かってる。しかし今は物理的にもいて欲しいと思ったのだ。ボルトはそれを聞いて直ぐに顔が赤くなってしまった。

 ボルトが少し考えてる間にもスミレは内心で自分が言ったことに対してパニックになっていた。

 

(はわわわわわわ!! 私何て事を!)

 

 そんな事を考えながらボルトに言った。

 

「また·····あの夢を見ちゃうかもしれないから」

 

「わ、分かったってばさ。じゃあなんかあまりのシーツとかねえか? 俺は床で寝るからさ」

 

「だ、ダメ。お客様にそんなのさせられないよ」

 

「い、嫌でもベットはスミレが使ってるのしかないだろ?」

 

 確かにそうだ。リビングにもソファーなどはない。しかしベットが1つしかないのも事実。そこまで考えスミレはまた勝手に口が動いてた。

 

「は、半分にすれば寝れるよ」

 

 突拍子の無いことを得意とするボルトでも流石に数秒止まった。そして恋愛耐性のないボルトは昔の母親のように真っ赤になった。

 

「だだだだダメだろ! スミレの寝る所削ったら悪いってばさ!」

 

「それならボルト君を床に寝かすのも悪いよ!」

 

 両者譲らない。しかしボルトは泊まると言った以上やっぱり帰るという選択肢はない。つまりはどちらかが引かなければならない。普段なら気が弱いスミレが引きそうなものだが気が弱いだけでスミレは芯は強い。そしてそのまま少し方向性がおかしいが夫婦喧嘩みたいな事をしボルトが折れた。

 

「わ、わかったってばさ。寝れば良いんだろ寝れば!」

 

「う、うん」

 

(はわわわ!! は、恥ずかしいよ!!)

 

 だがスミレの中にボルトを床で寝かすという選択肢はなかった。

 

「じゃあ歯磨きするか、スミレのも持ってくるから待っててくれってばさ」

 

 そう言って洗面所に行き自分の歯ブラシとスミレの歯ブラシ、そしてタオルを持ってきた。スミレの上体の下にタオルを置いて歯ブラシをスミレに渡したボルト。2人はそのまま無言で歯を磨いていたがスミレの心中は穏やかではない。歯を磨くという行為もボルトの前では恥ずかしいのだ。そしてボルトは終わったようだ。そして歯ブラシを咥えながら言ってきた。

 

「スミレ立てるか?」

 

「う、うん」

 

 流石に歯磨きの終わりはスミレにもたってもらわなければならない。スミレはボルトの肩を借りながら立ち洗面所に行き歯磨きを終わらせた。そしてベットに戻った時ベットを寄り半分ぐらいスペースを開けた。ボルトは親子の日の夜と同じような格好をしていた。ボルトはスミレの近くまで寄っていき最後に聞いた。

 

「えっと、スミレ本当に良いのか?」

 

「も、もうしつこいよ、良いって言ってるでしょ?」

 

「わ、分かったってばさ」

 

 ボルトは女の子と一緒に寝るのは初めてという訳では無い。サラダとも小さい時は一緒に寝た事はあるしヒマワリともよく寝ている。しかし今のこの状況は訳が違う。サラダはまだ小さい時だったから、ヒマワリは妹だからと言い訳が出来るがスミレはそのどちらでもない。同年代の女の子なのだ。スミレは布団を少しあげ目線で早く入れと言ってくる。ボルトは電気を消しそーっと同じベットに入った。しかし元々シングルベットだ。肌と肌が接触すのはしょうがない。しかし2人とも初めての経験故に少し触れ合っただけでも反射的に謝ってしまう。そして2人はまだ覚醒したままだった。そしてスミレは大事な事を聞くのを忘れていた。

 

「そう言えばボルト君、ヒナタさんにちゃんと言っといたの?」

 

 ボルトはアカデミー時代から自分の母ちゃんが怖いとよく言っていた。スミレはボルトの家に行った時特にそういうのを感じなかったがあれはスミレがいたから何か怒ることはあっても言わなかっただけかもしれないと思ったのだ。

 

「ああ、大丈夫だってばさ。ちゃんと言っといたぜ。まあ複雑そうな顔はしてたけどな」

 

 スミレはそれを年頃の男女が同じ部屋で1晩過ごす事だろうなと思った。そして2人はそのまま眠りに落ち·····

 

(ボルト君と同じベットだなんて·····)

 

 ていなかったのはやはりスミレだった。目を閉じた瞬間にあの夢がまた再生されそうで寝付けないのだ。そのまま少し身動ぎしていたら声をかけられた

 

「スミレ、寝れなねえのか?」

 

「ぼ、ボルト君起きてたの?」

 

「いや、何か動いてるなと思ったんだってばさ」

 

「はわ、ごめんなさい」

 

「良いってばさ、それで何で寝れないんだってばさ?」

 

「·····寝た瞬間にまたあの夢を見そうで·····怖いの」

 

 ボルトはそうそう聞いた後少し黙り横で動く音がしたからスミレも体を横に倒して見た。そこには暗い中でも見える蒼色の瞳が自分を真っ直ぐ見つめてた。スミレはそれにドキッとした。ボルトの顔も赤い。そしてボルトまた少しずつ寝ながらスミレを抱擁して行った。その後にさっき励ましたように頭を撫でてきた。それでスミレは小さい頃に母親にも同じことをしてもらった事をまた思い出した。スミレもぎこち無くボルトの背に手を回した。そしてそのまま撫でを受け入れた。ボルトの胸に顔を埋めた。

 

「大丈夫だってばさ、今日は俺もいるからな」

 

 そう安心させるように言ってきた。

 スミレも微笑みながら返した。

 

「うん、ありが·····とう」

 

 途中で止まったのは一気に睡魔がきたからだ。そして2人は互いに抱擁したまま眠りに落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまだってばさ!」

 

 夫のうずまきボルトが長期任務から帰ってきた。スミレは料理の手を止め玄関に向かった。そこにいたのは右目に傷があり今のバンド型の木の葉の額当てではなく結ぶ方の真一文字の傷がついた額当てをし、うちはサスケから譲り受けた刀とマントを羽織ったボルトだった

 

「ボルト君おかえりなさい!」

 

「スミレ久しぶりだってばさ!」

 

 そう言って少し抱きあって久しぶりの口付けをすると割と直ぐに離しボルトはスミレの後ろに背負われている赤子を受け取り愛でていた。

 それを微笑みながら見守るスミレ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ!」

 

 その声と共にスミレは目を開けた。周りは朝日の前ぐらいで暗かった。そして目の前にいるのは

 

(ボボボボルト君!?)

 

 そう思い思い出した。自分からボルトをベットに誘いそして自分はなかなか寝れずボルトに寝れない理由を言ってボルトが抱擁してくれた事を。スミレはそーっとボルトの寝顔を観察する。

 

(可愛いなあ。やっぱりヒマワリちゃんと似てる)

 

 親子の日に泊まった時にスミレはヒマワリの部屋で寝た。その時にヒマワリの寝顔を見たのだ。そこまで考えた時夢の事を思い出した。

 

(はわわわわわわわわわわわわ!!)

 

 今まで見ていた夢と何もかも全くの真逆だ。見ていた時間も幸福か否かという事も。だが圧倒的に今見た夢の方が幸福だった。そして夢の中での自分達の行動を振り返った。そしてスミレはボルトに回してた片手を少し狭い隙間を通し自分の口元に触った。それだけで夢の中の感触が思い出されますます赤くなっていった。そしてボルトだんだん部屋が明るくなってることに気がついた。そんな時

 

「す·····ミレ」

 

 ボルトが寝言で言ったであろうそれを聞いた瞬間にスミレの時は色々な意味で止まった。そしてボルトを起こさないように心の中で悶絶していた。

 

(ボルト君、普段はひょうひょうとしてるけど·····意識してくれてるのかな?)

 

 スミレははっきり言ってボルトに恋愛感情を持っている。それは自分を励まし、取り返しがつかなくなる前に自分を止めてくれた事、そんなボルトの性格に惹かれたのだ。サラダ辺りもボルトの事は馬鹿だとは思っているがそういう面では尊敬してると言っていた。

 

『委員長だって幸せになって良いってばさ!』

 

 親子の日にボルトにそう言われた事を思い出した。スミレは無意識的に体が動いていた。先程よりも少しボルトに密着し顔もボルトにもう少しでつくという所まで近づけた。

 そして·····唇と唇が重なった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日スミレは体調が不思議と良くなったのでいつもの任務を受ける為の所にボルトと共に来た。そのスミレの顔は違う意味で真っ赤だったが昨日とは別人のように吹っ切れていた。そしてアカデミー時代よりも仲が良さそうな雰囲気を各自の班のメンバーに見せつけていた。それを少し唖然と見ていたのはハナビ以外の女子メンバーだった。ミツキは特に変わりなく不思議な感じで2人を見ていた。ハナビはハナビで少し驚いていた。そしてそれぞれの前に来た時

 

「あれ、俺達遅刻はしてねえよな?」

 

「え、ええまあ」

 

 サラダがそう返す。

 

「でも任務はもう聞いといたから行きましょ」

 

「おう、分かったってばさ」

 

 そう言ってスミレに向き直り

 

「じゃあスミレ、無理するなよ」

 

「う、うん。昨日はありがとうボルト君」

 

 そう言ってボルト達3人は歩き始めたがボルトが唐突に振り返ってまた近づいてきた。スミレはそれに気がつき首を傾けた。

 

「どうしたの?」

 

「ああ、スミレが治ったら母ちゃんがまた一緒に食べないかって言ってたから今日は任務の後は大丈夫か?」

 

「はわわ、いいの?」

 

「おう! じゃあ任務が終わったらここに集合な」

 

 そう言ってボルトは仲間の元に戻った。そしてスミレはそれを見送り振り返った。そして謝った。

 

「皆、ごめんなさい。心配かけて」

 

「その様子ならもう大丈夫みたいね?」

 

「はい!」

 

 その他2人はスミレを元気づかせたのが自分達ではなくボルトだったのが少し所か結構ショックだがそれよりもスミレが元気になった方が嬉しかった。

 そして任務を受けに行く最中スミレはほかのメンバーの目を盗んで唇に指を当てた。そこにある感覚は生涯忘れることは無いだろう。そしてその感覚と共にスミレはもう1つ決心した。

 

(ボルト君を頑張って振り向かせる!)

 

 そう心の中で呟き皆に続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おまけ

 

 

 

 

 スミレは割と気になった事をスミレの為に無理のない任務を受けた任務の休憩中に聞いた。

 

「その、先生も皆何でボルト君が部屋にいたのか知ってるの?」

 

「まあ私達が入れたからねえ」

 

 そう答えたのはハナビだった。少し微妙な顔をしてるのは何故だろうと首を傾けた。そして残りの2人は何故か少し機嫌が悪くなったように見えた。しかしその顔が2人して悪戯を思いついたって顔をしスミレに緊張が走った。

 

「それはなスミレ」

 

「スミレがボルトを呼んだからだよ?」

 

 それを聞き再びスミレはまたもや時間が少し止まった。そして徐々に慌てた。

 

「はわわわわわわ! よ、呼んでないよ!?」

 

「いや、呼んでたわよ?」

 

「は、ハナビ先生まで!」

 

 そして2人は少しモノマネ風に言った。

 

「ボルト······君」

 

「まっ·····て、ボルト···君」

 

 それを聞きながらスミレは羞恥で顔を真っ赤に染めた。その言葉はどれも自分があの夢の中で何度も言ったセリフだったからだ。

 もうこれからは偶にからかわれるのが確定してしまった。だがそんな日常も今の自分には幸せと思えたのだった。

 

 

 

 

 

 

 ·····後にボルトにも聞かれてたと知ったが




お疲れ様でした。今回はノベライズ版5巻にあったスキヤキの話、シカダイが主役の話でしたがスミレも出るんで出しました。そして卒業式の話、これもノベライズ版から取ってきました。良かったらボルトのノベライズ版も見てみてください。アニメではわからなかった心情描写などがあるんで面白いです。後ノベライズ版だけのセリフもあるんでそれを探すのもいいと思います。

そしてスミレ、一歩踏み出す(色んな意味で)
そこまではないわーという人、ごめんなさい。正直自分でもどうかとは思いました。しかし決心する為に少しオーバーでも良いかなと思いやりました。
ではまたねーヾ(。・∀・。)


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思いと葛藤

おはようございます≡Σ((( つ•̀ω•́)つ
今回はオリジナル設定ありまくりです。
取り敢えず前提知識
→あの原作・アニメの第1話のカワキ対ボルトから1年後、ここでは疾風伝に合わせカワキ戦の時はボルトもスミレも16歳とします。つまり今回の話は2人が17歳の時です。
→ナルト・サスケ両名は殻に大筒木産の封印術をされいません。そしてその封印術は解き方が今の所全く分からない。ただし封印術の中では時間の感覚がボルト達がいる世界と違う(そうじゃなかったら2人とも餓死するし)
→そしてボルトはそんな2人を助ける為にカワキとの戦いの後サスケに代わり大筒木の遺跡などを調査する旅に出かけた。
→ボルトの同期はスミレも含めて皆中忍。スミレは中忍試験の時だけ椿と変わって15班にまた入った。作者が調べた所侍に中忍などはないので椿はどっち道受けないと思ったから。あとナルトが中忍選抜首脳会議にてスミレが科学忍具班に行くと言っても忍びには変わりはないと言って候補に残したからのもある。勿論試験の時は実力で行った。·····科学忍具の実験で色々やって戦闘力もつけたって事で。
→一応書いとくとここの2人は第2話で書いた星降る夜 ifを通ってないんでスミレはまだボルトがサラダの事を好きかもしれないと考えている。
こんなところです。ではどぞ(っ´∀`)っ


あの大筒木の襲来、そして殻との激戦の果てに木の葉隠れの里が崩壊してから早1年。世界は1人の英雄によって一時の平穏を取り戻した。

一時と言うのは大筒木がまだいるという事が分かったからだ。だからまだ気は抜けない。

そしてその英雄は殻によって封印され、どこかに飛ばされてしまった父親と師匠を探す為の旅を1人で始めた。

しかしその飛ばされた所は世界と地続きという訳では無いと英雄や英雄の親友は考えている。だからその飛ばされた所も分からない。しかし唯一繋がる鍵は殻が使った封印術は元々大筒木の物だったという事だ。

そこから導き出される答えは1つだ。この忍界のどこかにある大筒木の遺跡にその封印術を解く鍵があるかもしれないという事だ。

即ち英雄が今やっている事は英雄の師匠と同じ事という訳だ。この任務は英雄の師匠の輪廻眼がなければ普通は厳しいとされている。だが英雄には輪廻眼ではなく浄眼という特殊な眼でも同じ事が出来る。よってどちらにせよこの任務は英雄が適してると言えた。

そしてその英雄の名は·····

 

どこからかでかい鳥が·····よく見たら本物ではなく絵の具によって書かれたようにも見える鳥が飛んで真っ直ぐ自分の所に来る事に気がついた金髪に右目に傷があり真一文字に刻まれた木の葉の額当てをしてる青年は白紙の巻物を取り出し広げた。そしてそこにその鳥が入って行った。そしたらその巻物に文字が出た。青年は里に緊急事態が発生したのかと焦り急いで読んだ。だがそんな緊急事態という訳では無い。どちらかと言うと·····

 

「はは、花見の誘いか。」

 

そう花見の誘いだった。青年が里を出て早1年、青年は1度も里に帰っていない。周りの風景が特殊すぎて季節の感覚が無くなってしまっていた。青年は少し悩み断りを入れよう手紙を書こうとしたがその手が止まった。花見の誘いの最後らへんに書いてるものを見て止まったのだ。それは親友の字だが書かせたのは別の·····もっと言うなら同じ班のメンバーと思われる文書があったからだ。

 

『私もパパや7代目も早く帰ってきて欲しいと思う。だけどあなたの家族に辛い思いをさせてまでやって欲しくない。ヒマワリちゃんは寂しがってる。顔には出さないけど寂しがってるよ。』

 

それを見て青年は少し顔を苦渋に満ちた顔にした。そしてふっと笑った。

 

「そうだよな、俺もあのクソ親父と同じ事する所だったってばさ。·····帰るか」

 

巻物に書かれた日程を見、こりゃあ少し間に合うか怪しいぞと思いながら青年·····うずまきボルトは故郷の木ノ葉隠れの里を目指しマントを翻し歩きを進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

木ノ葉隠れの里の某所

そこに集ったのはうずまきボルトの仲間や家族がほぼ全員揃っていた。ここに集まったメンバーはある意味1つだけ共通点がある。

それは世界の行方をボルトに託してしまった事だった。うずまきボルトの父うずまきナルトの仲間は余計に責任感を感じていた。自分達がもっと強かったら·····そんな事はここにいるメンバー全員が思ってしまっているだろう。

だが今日はそれは一旦忘れ、ボルトに感謝する。それがこの花見の隠された本当の目的だった。ボルトは里の人に称えられる前に里を出て旅をした。故にまだ全員が伝えられた訳では無かったのだ。しかしボルトは普通に言っても恐らく来ないだろう、そう考えたメンバーのボルトの同じ班の仲間、うちはサラダは手紙にヒマワリの事を書いたのだ。勿論嘘はついてない。ヒマワリが寂しがっているのは本当だ。

父親が行方しれず、兄はそんな父親を探しに1人で行った。母親のヒナタはずっといたがそれだけではヒマワリは満たされなかった。

そのヒマワリはある1人の女性のおかげでそれ以上の悲しみにはくれなかった。

 

「ボルトの奴遅いな。」

 

そう少しイライラした感じで言ったのはうちはサラダだ。その容姿はますます父親と母親に似てきている。

 

「もうすぐ始まっちゃうね。」

 

そう言ったのは同じ班のミツキだ。言葉通りもう殆どの仲間·····何故か風影の我愛羅や水影の長十郎、土影の黒ツチに雷影のダルイまで集結している。どこから聞きつけたのだろう?とミツキは思ったがどっちでもいいと思った。

もうボルトの同期や家族はほぼ集った。いないのは·····

 

「スミレ遅いね·····」

 

サラダはそう言って少し顔を下げた。ここにいない1人、筧スミレは今は火の国の外れにある科学忍具の研究所に勤めている。スミレもボルトと同じ同期であるから勿論呼んだ。そして返事は行くと言うことになっていた。その時·····

 

「あっ!スミレお姉さんだ!」

 

ヒマワリが声を上げ結構なスピードでスミレに突っ込んで行った。サラダ達も目を向けるとそこには可愛らしい菫色のワンピースを着たスミレがいた。そして突っ込んできたヒマワリを受け止めた。

 

「はわわ、もう危ないよヒマワリちゃん。」

 

「えへへ」

 

そしてスミレはヒマワリを連れてヒナタの元に向かい挨拶した。

 

「お久しぶりです、ヒナタさん。」

 

「そうね、2、3週間ぶりね。」

 

そんな会話を聞きながらサラダは流石にもう待てないとなり用意された壇上に同期代表として上がった。

 

「お集まりの皆さん、今日はこのお花見に参加してくれてありがとうございます。」

 

そして頭を下げた。顔を上げ続きを言う

 

「進行を務めるのは私、うちはサラダです。よろしくおねg·····」

 

「「ちょっと離れろってばさーーーーーーっ!」」

 

そんなここにいる面子からしたら懐かしい声が聞こえた。上から(・・・)

一同は上に顔を向けたそしてそこから出て花見の会場のレザーシートがないど真ん中に見事な着地を決めたのは木ノ葉隠れの里の2人目の英雄にして7代目火影の息子でうちはサスケの弟子

 

「うずまきボルト―――参上だってばさ!」

 

膝を屈んだ状態から元に戻りながらそう言った。周りは最初は唖然としていた。そしてボルトと同期組はボルトがアカデミーの入学式の時の飛び入り参加した時の事を思い出した。

そしてボルトがいの一番にされた事は·····

 

「もっと普通に来なさいよーー!バカボルトーーーーーっ!」

 

「痛ってーーーーーっ!」

 

その言葉と共に瞬身の術でボルトの近くに行き、昔の母親と同様にボルトの頭を殴ったサラダだった。

つまりボルトがされた事とは·····ただ殴られただけである。

そんな光景を見た後場は笑いの嵐となった。

 

 

 

「お兄ちゃーーーん!」

 

「ヒマワリ!大きくなったな!」

 

そう言い合って1年ぶりのハグをしてるうずまき兄妹。ボルトはそれが終わった後ヒナタに向いた。

 

「ただいま、母ちゃん。」

 

「おかえり、ボルト。」

 

そのままヒマワリをサンドして抱擁した後皆に向き直った。

 

「久しぶりだってばさ。皆元気だったか?」

 

「めんどくさいが落ち込んでる暇は無かったからな」

 

そうシカダイが答えたのを契機にそれぞれ言葉を交わして行った。そして花見をスタートさせたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花見がスタートし、ボルトは来賓の人達に挨拶し少し話した後家族がいるレザーシートに行った。そこにいたのは

 

「スミレも久しぶりだな、元気だったか?」

 

「うん、ボルト君は·····聞くまでもなかったね。」

 

「ああ、元気じゃなかったら任務はできないってばさ。」

 

そう言ってボルトは右側にスミレ、左側にヒマワリの間に座った。スミレはそんな大人っぽくなったボルトにドキドキしながら自分が持ってきた花見弁当をヒナタの作ったものの隣に置いた。

 

「いっぱい作ったから食べてね。」

 

「サンキューだってばさ!まともな飯は久しぶりだってばさ!」

 

そしてボルトはガツガツ食べ始めた。スミレは今の言葉で少し不思議に思ったから聞いた。

 

「ボルト君普段どんな物食べてるの?」

 

それを聞いたボルトは唐揚げを口に入れたままスミレに向き直り噛んで飲み込んだ後答えた。

 

「いや、運が良かったら村とかで食えるんだけど基本はおにぎりばっかりだったな。」

 

「そ、そうなんだ。私もついて行けたらなあ

 

「ん?何だって?」

 

「うんうん、何でもない。じゃあいっぱい食べてね。」

 

「おう!ありがたく貰うってばさ。」

 

そうやってボルトはまたガツガツ食い始めた。周りから見ればもう既にこの2人は夫婦に見えてしまっている。が2人はまだ付き合ってすらいない。

そして壇上では今日はめいいっぱい遊ぼうとなっているのでそれぞれが出し物をやったりしている。

カラオケ大会や演芸大会などもして盛り上がった。スミレは自分だけ楽しいのは少し可哀想かなと思い鵺を口寄せした。

スミレは今日は何も出ないからのんびりとしていた。弁当を食べ終えた後はかつての班の元に向かった。

因みにもうボルト達は全員中忍である。それはスミレも例外ではない。スミレは1度は第15班は抜けたが中忍試験の時に限り戻ったのだ。スミレが抜けた後に15班には鉄椿という侍の少女が入ったがサムライは下忍などの階級で別れておらず実力主義だったからそもそも受ける意味がなかったのだ。

そしてその中忍試験にてボルトはスミレとの約束を果たした。ボルト達の初めての中忍試験でスミレ達が負けボルトが科学忍具を使って勝った雲隠れの下忍のユルイを撃破したのだ。

スミレとて科学忍具班にいたからと言って鍛錬をサボってるわけなかった。それどころかスミレもパワーアップしていたが第3試験で砂隠れのシンキと準決勝で戦い敗れてしまったのだ。反対のブロックではボルトがサラダを下し決勝に進んだ。

その時スミレは今まで修行を手伝ってくれた人や班の皆に申し訳なく昼休みで誰もいなかった控え室で泣いた。そんな時泣いてた姿をボルトに見られた。そしてあの時以来の抱擁をして励まし代わりに自分が絶対に勝つ!!と言ってくれたのだ。

そして有言実行したのだ。ボルトはシンキの黒鉄の翼に追い詰められたがそこでボルトの一か八かの新術、六代目火影のオリジナル忍術にしてうちはサスケがよく使う技「千鳥」で黒鉄の翼を破りシンキを撃破したのだ。しかしその時のボルトも限界でふらっと倒れてしまう時スミレが自分でも信じられないくらいのスピードで抱きとめたのだ。·····観客の前で。

それからたまにそれでからかわれるようになってしまったのだ。そして今も·····

 

「へっ!?い、今なんて?」

 

「だーかーらー、もうボルトに告っちゃいなよぉ!」

 

と親友のチョウチョウがいつものように軽い感じでサラッと言った。軽い所は母親譲りだ。そして恋愛事にも同期で1番と言っていいほど積極的な人物なのである。

それを聞いたスミレが慌てだした。

 

「はわわわわわわ!!な、何で!?」

 

それを答えたのはワサビだった。

 

「何でってもうスミレがボルトの事を好きなのは一目瞭然だよな。」

 

「そうだよ、思えばあの日からスミレよくボルトの事気になりだしてるもん。」

 

ワサビにナミダが続いた。あの日とはスミレがアカデミー時代のifの夢を見てうなされて精神も何もかも疲労しまくっていた時にボルトがスミレの所に来た時思わず倒れてしまい1日ボルトに看病してもらいそして·····

 

(あの時私は初めて·····)

 

正確にはボルトは寝てる最中だったしした後は割と直ぐに外した。しかしその直ぐでもスミレにとってはすごく時間の流れがゆっくりになった。

あの時からスミレはそれなりにボルトにアタックはしているものの父親の影響かそっち方面には流れた事はなかった。そしてスミレは悩んだ末にボルトの後押しもあり科学忍具班に加わり火の国の外れに行った。それはスミレにとっては2重の悩みがあった。

1つは班の皆に中々会えなくなる事、もう1つはボルトにもあまり会えなくなる事だった。しかしボルトが鳥獣被害の調査の際知り合った重吾が暴走した時に言った言葉を聞き決めたのだ。

 

「で、でも·····」

 

しかしそれとこれは別である。ボルトが好きなのは間違いない。それはあの夜で確信した。だからと言って直ぐに告白出来るほどスミレはチョウチョウ見たく軽くはなかった。それどころか悩んでもいる。暗い過去がある自分ともし付き合うことになってもボルトは大丈夫なのだろうか、いや、そもそも1度罪を犯した自分はうずまき家と日向家に迎え入れられのか。そして何よりボルトが違う人を好きになっていたら·····例えばサラダだ。幼なじみであり同じ班のメンバー、正直ボルトがサラダを好きになる可能性だってある。昔も今もそれは分からない。

そんな時当のサラダが言ってきた。

 

「まあ確かにボルトはバカだけど·····」

 

スミレはサラダを見ながらその言葉を聞いた。

 

「でも、幸せにするって決めたらもう一直線だと思うなあ。」

 

「·····うん、そうだね。ボルト君はいつも真っ直ぐだもんね。」

 

そう言って少しボルトとの思い出を振り返っていたら周りの視線に気がついた。

 

「はわわわわわわ!!」

 

全員面白がっている顔だったからだ。

そしてサラダも面白そうに言う。

 

「スミレ、もしかして私がボルトの事を好きだったらとか考えてたの?」

 

図星である。

 

「無いわ、それは。」

 

「え?どうして?」

 

「私とボルトはどちらかと言うと友人だからね。少なくとも私は1回も恋愛対象で見たことはない。」

 

スミレにとっては意外だった。ボルトは普段やっていたことのせいで忘れられているが顔は四代目火影の血なのかそれなりにイケメンの部類入ってるし仲間思いなのは数々の戦いで分かってる。イタズラにしたってナルトに構って欲しかった物だったのだ。だから今はイタズラ何てやってない。最後のイタズラはあのアカデミーの卒業式の花火でスミレの知る限りない。

そしてサラダからそれを言われた時、安堵が出てしまったのは否定出来なかった。

 

「まっ、でも告白したいなら早めの方がいいかもよ?」

 

「え?ど、どうして?」

 

「どうしてって·····ああそうかスミレ普段はあっちにいるから知らないのか。ボルト今は女の子の間で割と人気なのよ。それに霧隠れの里の社長令嬢にも告白されてたし」

 

「―――え?」

 

知らなかった。サラダ曰く2人目の英雄として人気なんだそうだ。偶にサラダにボルトが見つからないから自分の気持ちを伝えてくれと言われることもあるそうだ。

同期の間ではアカデミーのボルトの印象が強すぎて恋愛対象にはあまりなってはいないが後輩などには人気なんだとか。そして社長令嬢の事は完全に初耳だ。

そうなったのは1つはあまりボルトが里にいないことに起因する。普段からおらず伝聞でしか分からないから女の子の間であれこれ言われてるそうだ。

社長令嬢はボルトに直接言ったらしい。それはまだボルトが里にいた時の任務だったのだ。

スミレは先程の会話を頭の中で反芻しながら元の場所に戻った。

 

(告白·····か。)

 

頭の中で絶賛パニックになっていたがそれもボルトを見たら少し吹き飛んだ。

 

「ここで寝ちゃうんだ·····。」

 

そう寝ていたのだ。腹に鵺を乗せて寝ていた。ヒマワリはどうやら自分の班のメンバーの所に行ったそうだ。余談だがヒマワリは結局忍びになった。色々な職業を見た結果なんだそうだ。

スミレは1人と1匹を起こさないように隣に座った。ヒナタはママ友の所に行っている。

スミレはボルトの久しぶりの寝顔を見た。その寝顔はあの時に比べれば顔は大人っぽくなっていたが寝顔はあの時同じだった。それに·····ちゃんと自分が知っているボルトと分かって安心した。

スミレは少し周りを見た後ボルトの顔を起こさないようにゆっくり触った。そしたら何故かスミレのまぶたが重くなってきてるのに気が付いた。

 

(そう言えば私·····最近この日のために徹夜が多かったから)

 

スミレはボルトの寝顔を見て自身も眠くなってしまい睡魔に抗えずそこで意識が無くなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「·····ろ」

 

何か声が聞こえる。

 

「起きろってばさ。スミレ。」

 

その声と共にスミレは目を開けた。目に飛び込んできたのは·····

 

「·····ボルト君?·····え?」

 

ボルトを見てスミレは完全に覚醒した。そして周りを見ると花見が行われた跡は無かった。それが示すのはつまり·····

 

「もしかして終わった?」

 

「ああ、1時間ぐらい前に終わったってばさ。」

 

スミレは顔を徐々に赤くして行った。それが示すのは自分がボルトの隣で寝ていたのを花見の出席者全員に見られたかもしれないという事だ。好意を持たない相手の隣で普通は寝ない。つまり全員に自分はボルトが好きですと言ったようなものと気がついたのだ。

元々少し寝たら起きようとは思ってたのだ。しかし予想以上に疲れていたそうだ。

ボルトの肩には鵺が乗っている。その鵺もスミレに「やっと起きたか」と言わんばかりに鳴いた。

 

「じゃあ俺達も行くか。」

 

「へ?い、行くかって·····」

 

「ああ、そうかスミレ寝てたもんな。俺が帰ってきたからパーティーを開くんだってばさ。スミレも来るよな?」

 

「え?う、うん。」

 

スミレは聞きながら思い出してた。もしボルトが来ればそのまま二次会と称してパーティーをすると。寝ぼけの頭で忘れていた。

そして2人はレザーシートを片付けボルトが持った。その後会場のアカデミーに向かった。最初はボルトの家となっていたが人数が多く無理だったのだ。そこでシノがアカデミーの校庭ならどうだと言いそこに決定した。

 

「そうなんか、校庭の思い出と言えばやっぱ青空教室だよなー。」

 

「ふふ、そうだね。でもあれはあれで凄く楽しかったよ?」

 

「まあ、そうだな。」

 

青空教室とは男女対抗戦にてボルトが一発逆転の手として口寄せの術をした。その時にどういう訳か·····もしかするとボルトのチャクラに反応して今ボルトの肩にいる鵺が不完全な姿で登場しその一撃に校舎が耐えきれず校舎が崩壊してしまったという出来事があった。因みにその時の対抗戦はスミレが勝利条件のフラッグを勝ち取り女子チームが勝った。

そんな懐かしの回想をしていたスミレは隣のボルトが止まってることに気がつき後ろに振り返った。

そこにいたのは少し悩んだふうなボルトだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボルトは過去の事を思い出してた。大筒木、そして殻の襲撃で木ノ葉隠れの里が崩壊する約1年前の事だ。つまり今から2年前に当たる。

ボルト達第7班はその時霧隠れの里のそれなりに大きい会社の社長令嬢を護衛するという任務が与えられた。

しかしボルト達の中にあった令嬢やら所謂ボンボンはボルトの中ではまどかテントウだった。

だがその令嬢は清く自分の身分に鼻にかけない人だった。だが抜け忍に誘拐されそうになってしまった所だった。もう少しボルトが遅れてたら最悪の事態になっていたかもしれない。そんな色々ハチャメチャな護衛任務の終わり、令嬢を電車の所にまで送り届け後は令嬢が電車に乗るだけだった。しかしそこで令嬢が振り返りボルトに言ってきたのだ。

 

『ねえ、私のお婿さんにならない?』

 

そう唐突に言ってきたのだ。流石のボルトも理解に数秒かかったが勝手に口が動いていた

 

『悪いな、俺は最強の忍びになるまでそう言うのはないんだってばさ。それに·····』

 

令嬢は首をかしげた。そしてボルトは顔を上げて言った。

 

『俺は心に寂しい気持ちを持ってる人と一緒にいてやりたいんだってばさ。』

 

何故自分がああ言ったのか正直分からない。寂しい気持ち·····家族?いや違う。当時はまだ父がいた。ヒマワリも母も笑っていた。

だから家族では無い。じゃあサラダ?それも違う。サラダも家族がいる。サスケは里にいるのが多いが中忍試験の後から結構な頻度で戻ってくるようになった。第一家族云々の人を言うならボルトの知ってる限り1人だけ·····

 

でも何故その人を思い浮かべたのかが分からない。同じクラスにいた。その人がやろうとしてた事を本当の気持ちを聞き出し止めた。その時までは友人だった筈だ。友人でクラスメートだから止めた。だけどその時にその人が抱えた寂しさや孤独も感じた。勿論他のクラスメイトがその寂しさや孤独を和らげるように接していったのは間違いない。そして実際和らいでいただろう。だがそれでもボルトがあの親子の日に見かけたその子の顔はあの時と同じ顔をしていた。声をかけ事情を聞き自分の家に招待した。その寂しさを和らげて欲しかったから。

だがそんな和らげが後日の体調不良に繋がった。ボルトはその子を看病しながら少し苛立った。「自分がこの人の本当の家族になれたら·····」そう思ったのだ。勿論それが意味することは分かっている。だから今まで声に出したことは無い。それにそれを抜きでも正直ボルトはその人の事を考える事が増えた。それの原因はその人と同じベットで寝、弱さをさらけ出された時から芽生えた感情だった。

だからその人と会う時話す時悟られないように出来るだけいつもと変わらないようにする努力をした。

そしてそのままその人は科学忍具班に行きその後あの戦いが起きた。その後ボルトはその足でナルトとサスケの封印術を解除する方法を探す為の旅に出た。

その旅の最中ボルトは一松の不安があった。自分の家族に会えない寂しさを·····その時にその人·····筧スミレもこんな気持ちだったのだろうかと思った。勿論スミレが感じたものはボルトの比では無いとは分かっている。ボルトが感じたのはその一端だ。だがそれだけでもこんな気持ちになるのかと思った。

それを思い出しボルトは現実に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スミレは不思議な感じの顔でボルトを見ていた。だがその内心ではどうしようと思っていた。先程の昼寝前の女の子メンバーの話を思い出してたのだ。

 

(ボルト君が·····色々な人に人気・・・。)

 

サラダは令嬢の告白は断ってたと言っていた。だがそれでも人気なのは変わっていない。そしてボルト自身も好きな人がいるかもしれないのだ。さっきサラダは否定したがそれはサラダだけなのであってボルトの気持ちじゃない。

チョウチョウに言わせればモヤモヤするくらいなら告白しろという事だがスミレには高難易度過ぎた。

 

(でも·····告白しなきゃ何も分からない·····。)

 

そして何より次いつ会えるのかが分からない。ボルトは今日が終わり数日、もしかしたら明日にでも再び行ってしまうかもしれないのだ。

そしてその旅から帰ってきたボルトの隣に女の人が·····

 

(い、嫌!)

 

「スミレどうしたんだってばさ?」

 

「へ?はわわ、も、もういいの?」

 

「ああ、悪いいきなり止まって。」

 

「うんうん、大丈夫だよ。さ、もう行こ?流石にもう主役は行かないと。」

 

「分かったってばさ。」

 

そう言い2人は再び歩き出した。スミレもボルトも少しちらちらと見ていたが見事なタイミングで目が合うことは無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ皆準備はいい?」

 

サラダがそうクラッカーを手に二次会参加者に聞いた。そしてあちこちからOKサインが出た。それを聞きサラダは

 

「じゃあ行くよ!」

 

「「ボルト、木ノ葉隠れの里を救ってくれて、ありがとう!」」

 

そう言い切ると同時にあちこちからクラッカーがなった。それを受けたのはうずまきボルトだ。だがボルトは思わずというふうに耳を抑えてた。

 

「も、もう少し数減らせってばさ!」

 

「文句言わない!皆あんたに感謝してるんだから!ちゃんと受けときなさい!」

 

「うぐ!」

 

確かに人数は多かった。スミレの科学忍具班に移動する時は同期の忍びだけだったが今回は家族もいるから余計にうるさかったのだろう。しかしその顔は本気で嫌がってるという訳でも無かった。

そして二次会がスタートした。参加人数は少し減っている。今回はボルトの同期や家族と担任の油女シノだけだったからだ。

ボルトは懐かしの仲間と再び話し込んでいた。スミレはそんなボルトを遠巻きに見ていた。その内心は本当にどうしようと言うものだった。

 

(告白·····でももしフラれたら・・・。)

 

ボルトが社長令嬢の告白すら断ったのだ。スミレよりも令嬢の方が一般的に見てステータスは上だったのだ。そんな人でもボルトは断ったと知り完全にしり込みしている。もし告白してフラれたら今までの関係も崩れてしまう·····そう思うと怖くて出来なかった。

 

「どうしたんだ?」

 

そんなスミレに声をかけてきたのはアカデミー時代の担任でこの場所の提供者、油女シノだった。

 

「シノ先生·····えっとその、大した事じゃないんで大丈夫です。」

 

告白云々で悩んでると知られるのが恥ずかしく思わず嘘を言った。だがそんなのが通じる訳が無かった。

 

「嘘だな。何故なら本当に大した事では無いのならそこまで思い詰めた顔はしない。」

スミレはやっぱりバレちゃったかと思った。スミレはボルトに目線を向けながら返す。

 

「先生は·····誰かに告白した事はありますか?」

 

「すまないがない。なぜならそもそも私は独身だからだ。」

 

少しその顔は苦笑いになっていた。

 

「·····ボルトに伝えないのか?」

 

スミレはそれを聞き体育座りになり足に顔を埋めながら言う。

 

「·····伝えたいです。でも・・・それで今までの関係が壊れたら·····そう思うと怖くて出来ないです。」

 

そのまま少しの沈黙の時間になった。スミレはこんな事言われてシノ先生も困ってしまっただろうなと思った。

そう思っていたら隣から声をかけられた。

 

「それは要らぬ心配だと思うぞ。なぜなら、ボルトはそもそもそんなので態度を変えるとは思えないからだ。確かに最初はギクシャクしてしまうだろう、しかし時間が経てばそれも直に無くなる。それに·····」

 

スミレは恩師の言葉に顔を上げ顔を見て話を聞いた。

 

「ボルトが今までにそんな態度でお前に接した事があったか?」

 

それを聞きスミレの心は何かが氷解した。確かにそうだと思った。ボルトは自分が里の反逆者と知ってもクラスメイトだからと言って一所懸命自分を止めてくれた。そしてその後も反逆以前と態度を変えなかった。それがどうしようもなく嬉しかったのを覚えている。

シノはその後無言で立ち上がり元生徒の所に向かった。スミレはそのまま少し体育座りしていたが

 

「·····決めた。」

 

そう呟いて立ち上がりボルトを探す。だがいつの間にか主役はどこかに行っていた。居場所を聞こうと思ったがからかわれるのが目に見えているから自力で探すことにした。シカダイやいのじんはまだいるからどこかに遊びに行った訳では無さそうだ。ミツキもナミダと話しているから分からないだろう。サラダはチョウチョウと話し込んでるから多分知らない。まさか帰った?

 

(うんうん、ヒナタさんもヒマワリちゃんもまだいるからそれはないわ。)

 

だったらとスミレはアカデミーの校舎を見上げた。何となくここにいると思ったのだ。スミレは久しぶりのアカデミーの中に入った。そしてアカデミーに通ってたのは大分前だが鮮明に覚えていた。いや、この場合は完全に復活していたと言うべきだろう。ここも襲撃で1度は崩壊したと聞いている。たった1年で凄いと言うしかない。

スミレはそんな校舎の中を感慨に浸りながら歩いた。そしてある教室の前で止まった。これまた何となくだ。それでもそれなりの根拠はある。だってここは·····

 

「私達の教室だったもんね。」

 

スミレは早くなる鼓動を抑えながら深呼吸してドアを開けた。

そこにいたのは主役のボルトだった。窓の方に向いてた顔をスミレに移した。少し驚いた顔になったが何故か直ぐにぷいっと机がある方に向いた。

スミレは少し立ち止まりもう一度深呼吸して踏み出した。

 

「ここにいたんだね。」

 

「ああ、俺が行く前はここは無くなってたからな。ちゃんと復活した所見たかったんだってばさ。」

 

ボルトはそう言った後教室のドア側の上を見た。スミレも立ち止まり見た。そこに何かあっただろうか?そう思ったが直ぐに思い出した。そして思わず笑った。

 

「·····笑う事はないだろ。」

 

「うんうん、あの時は凄くびっくりしたよ。だってアカデミーに来たらボルト君が縛られて蜘蛛みたいに吊るされてたんだもん。」

 

ボルトがアカデミー生のの時、イルカ校長にイタズラをしてその罰で吊し上げされていた時の事だ。因みにその時にサラダの策略により修学旅行委員になった。スミレもその時に修学旅行委員になる勇気は無かった。アカデミーだけならばいざ知らず他国にまで言って当時の自由奔放なクラスをまとめられるとは思えなかったからだ。

ボルトは当時の自分を思い出してるのか少し顔を顰めてた。そんな顔を見ながらスミレは

 

(大人っぽくなったなぁ。)

 

あの時のイタズラ小僧の面影はもう殆どない。その代わりに出てきてるのは大人っぽさだった。だがそんな大人っぽさはサラダとミツキの前では昔に戻ったようになっているが。

そしてスミレはまた心の中で決心し先程よりもドクンドクンと言っている心臓を収めるために深呼吸して

 

「ボルト君!」

 

「スミレ!」

 

同時に言った。見事に被った。2人は少し戸惑ったが今度は2人して譲り始めた。

 

「ぼ、ボルト君から良いよ?」

 

「あ、いやスミレから言って良いぞ?」

 

でもそこでボルトは笑いだした。スミレも何か変で笑いだした。そしてボルトが真剣な顔になったのが分かりスミレも少し羞恥の混じった顔で見返した。そしてボルトが深呼吸して言った。

 

「スミレ、俺は·····スミレの事が好きだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボルトは花見終了の30分前に起きた。そして目覚めて直ぐに見たのは

 

「す、スミレ!?」

 

目の前にいたのは思わず見とれるぐらいの美しい寝顔だった。そして自分の腹の上に鵺もいた。

 

「やっと起きたのね。」

 

そう言って近づいてきたのはサラダだった。サラダ曰く何かいつの間にかスミレも寝ていたらしい。

 

「あんた、何か悩んでるの?」

 

「な、何で分かるんだよ!?」

 

実際ボルトは悩んでいた。今の忍界に大筒木とたいまんをはれるのはボルトぐらいのものだ。他の皆も集団で戦えば簡単にはまけない。

つまりそれは今の所忍界最強はボルトとという事になる。自らに課した制約はもう無いのだ。·····それでも父親や師匠が復活した時には分からないが。

 

「そりゃあ分かるよ、何年あなたを見てきたと思ってるのよ。」

 

幼なじみがそう呆れた感じでいってきた。

 

「はは、敵わないってばさ。」

 

だけどいくらサラダでも何に悩んでるのかは分からない筈だ·····。ボルトは今の悩みを打ち明けるのに似たような経験をしたサラダに頼った。スミレを見ながら聞いた。

 

「サラダは、さ。サスケさんが中々里に帰って来れなかった時、どんな気持ちだった?」

 

答えは少し経ってからだった。

 

「そうね·····、最初はママがパパは大事な任務だからまだ帰ってこないってばっかり言ってた時は何でってなったなぁ。そんな事ばっかり言って全然会ってもくれなかったし。」

 

ボルトは無意識にスミレに視線を固定しながら聞いた。サラダはそれを見てふっと笑ってサラッと核心を言ってきた。

 

「でも、ママとパパはどんなに離れていても気持ちが通じあっていた。」

 

ボルトはそれを聞き思わず顔をサラダに向けた。そこにいたサラダはもう何もかもお見通しという顔になっていた。ボルトは少し遠回しにサラダに聞いたが本当はサスケの妻のサクラに聞きたかったのだ。サクラならばサスケが里を出て放浪してた時の気持ちを知れたからだ。サラダもサスケの娘で寂しい思いをしていたのは幼なじみだから知っている。何故サラダに、サクラに聞きたかったのかと言うとやっぱり自分の状況がサスケと同じだからだ。だからもし·····彼女が出来たらその彼女が寂しい思いをするのではないかとそう思ったのだ。いかんせん、サラダがひねくれてた時期を見てたから余計に心配になったのだ。

 

ボルトは知らない内に筧スミレの事を・・・好きになっていたのだ。それがいつ頃にはっきり自覚したのか·····それは旅の最中だった。スミレの気持ちの一端を理解した時、スミレと一緒にいた日々も思い出したのだ。ボルトの度量なら告白は·····結果云々はほっといて告白だけに限ればかなり恥ずかしいが出来る。

そして仮にボルトがスミレに告白しOKを貰っても···また問題が発生する。

それは結構な時間をスミレに寂しい思いをさせてしまう事だ。まさか放浪の最中戦闘が起きるかもしれない、そんな旅にスミレを連れていく訳には行かない。それにスミレも今は科学忍具班の重要メンバーだ。そう言う意味でも待たせる訳にはいかない。だからこそずっと悩んだのだ。

だがサラダはそれすらもお見通しだったという訳だ。

 

「いいこと教えてあげる。」

 

「ん?なんだってばさ?」

 

「ボルトは私がどこで生まれたのか知ってる?」

 

「いいや、そう言えば知らないな。木の葉のどこかにじゃないのか?」

 

「ぶっぶー、不正解。正解は大蛇丸のアジトでしたー。」

 

「そ、そんなの分かるわけないだろ!?·····え?大蛇丸のアジト?って事は」

 

「うん、ママもパパの旅について行ってた時期があったんだって。もっとスミレの事を信用してあげたらどう?スミレも同期の中で、いや木ノ葉隠れの里でも強いんだからさ。それに科学忍具も使わせたら敵なしよ。」

 

確かにスミレは強い。幼い頃から父親に修行をさせられてアカデミー時代にはもう下忍レベルに迫っていた、そして科学忍具班に行った後も鍛錬を続け敗れたとは言えシンキに本気を出させたのだ。勿論その時は科学忍具なしだ。その実力と頭の良さでスミレは中忍になったのだ。

勿論敵なしというのは表現というのはボルトにも分かってる。だがそれだけ強いということでもある。カワキの時は単に術を吸収するカーマを持ったカワキと相性が悪すぎた。

 

「それに、そんなに心配するならこまめに帰ってくればいいだけよ。1つの場所行ったら帰ってくるとかね。」

 

「·····そうだな。サンキュ、サラダ。」

 

「どう致しまして、バカボルト。」

 

そう言ってサラダは再び女の子メンバーの所に行った。ボルトはその場に留まりスミレの寝顔を見て呟いた。

 

「·····決めたってばさ。」

 

カタスケには悪いがボルトはもう決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スミレはそれを聞いた時、思わず手を口に当てた。そして徐々に目頭が熱くなった。そして呟いた。

 

「私から·····言おうと思ったのに」

 

「え?」

 

「私も·····ボルト君が好きです!」

 

スミレは言い切った後恥ずかしく顔を下げた。ボルトはボルトで理解に数秒かかったがそれの意味を分かると顔を赤くした。

そのまま2人は無言の時間を少し過ごしどちらからか分からなかったが互いに少しづつ距離を詰めゆっくり抱擁した。その抱擁はあの時以上に暖かった。

そして長く長く抱擁した後、2人は手は相手に回したまま互いの目を見た。どちらも羞恥で真っ赤だったが2人は同時に互いの顔に迫った。

 

教室の一部の2つの影が長い時間、1つになっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ行ってくるってばさ!」

 

「ええ、ちゃんと守るのよ?」

 

「分かっているってばさ、ハナビ姉ちゃん。」

 

ボルトが里に一旦帰り1週間経った。その間にボルトとスミレは色々ドタバタしていた。ボルトはあの後、スミレに自分と一緒に来て欲しいと言った。そしてそれを叶える為、2人で科学忍具班の所のカタスケの所に行き頼んだのだ。結果としてスミレは科学忍具班を辞める事も無かった。カタスケがならばとデータ取りも兼ねての科学忍具のモニターをして欲しいと頼まれボルトとスミレはそれを引き受けた。だからまあ報告には割とこまめに帰らなくてはならなくなったがそれにももう異論はない。スミレも連れて行ってしまう以上ヒマワリに余計に寂しくさせてしまうから元々2人は1つの探索場所を調べたら帰ると言う制約をしたのだ。

今2人は木の葉の門の所でお見送りを受けていた。

 

そして2人は里を出た。そのまま少し2人は無言だったがボルトが話し始めた。

 

「これからもよろしくな、スミレ。」

 

「うん!」

 

そう満面の笑みでスミレは返した。本当は手も繋ぎたいが奇襲がいつあるかも分からないからそれは我慢している。

スミレはボルトに一緒に来て欲しいと言われた時、ふたつ返事で返した。それは1つはボルトの力になりたかった事、もう1つは愛してる人と一緒にいたかったからだった。

そして2人はまだ見ぬ地に2人で並び進んだのであった。




ボルスミくっつけたった!何か前のやつを書いてたら唐突にこの展開が浮かんでしまい勢いで書いたのもある。
やっぱり2人の思い出の地と言えば教室だーーっ!となりの色々屁理屈こねて教室で告白大会しました。ここで読者の皆さんにあるかもしれない疑問に先に答えます。
→アンケートで大人になったボルスミやってんのに書いてどうするねん!
→A だ、大丈夫です。2人は17歳だから日本の法律上は成人じゃない。

→これもアンケートの最後にあるボルスミがもうくっついたやつあんのに何書いてんねん!
→A 作者はアンケートの所には「もう」くっついたと書かれてるのでもし書く時は冒頭から付き合ってる設定ですからセーフ。

さてさて、何かいきなりぶっ飛んでしまいましたが勿論まだ書きます(頻度は保証しませんが)
(ΦωΦ)フフフ…、便利な言葉「if」

まあ具体的にはやっぱり親子の日 続き ifから今回の話の間とかですね。
そして今回から章で分ける事にしました。
親子の日 ifから続いてるものと単体の話で分けますのでよろしくお願いします。

アンケートもしてますのでよろしくお願いします。
これまた書いてる時に思ったけどこれの話の続きでR18展開出来ないこともないですけどいります?まあその場合は別小説になりますが。

という訳で感想やメッセージで見たいという方がいたら試しに書いてみようと思うのでよろしくお願いします。

もし気に入ってくれたならばお気に入り登録お願いしますm(*_ _)m


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夏祭りのボルスミ

おはようございますm(*_ _)m。今日は夏祭りボルスミです。
スミレに浴衣を着させたかったのだ。時系列は呪印編が終わった後です。NARUTOの世界って季節感覚が分からないんですよね。だって任務服皆バラバラだし。長袖だったり半袖だったり。だから季節は違ってても知らね。
ではどぞ(っ´∀`)っ


鳥獣被害の調査は呪印を研究、そして世界中に広めようとしていたトサカと言う罰当たりな奴との決戦、その後暴走した重吾を止める為の戦いも終わりスミレが科学忍具班に行く事を決心し少し経った時、里は親子の日以来の熱狂に包まれかけていた。

何故ならもう少しで木ノ葉隠れの里の夏の名物―――夏祭だからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

筧スミレは今久しぶりに15班でお茶会をしようとハナビが言い、日向邸に向かっていた。スミレは鳥獣被害の調査の任務の少し前から科学忍具班に誘われていた。スミレは悩んだ。確かに鵺は最近言う事を聞かなくなっていた。それがチャクラが制御出来ないのかはたまた自分に原因があるのかが分からなかった。そこで科学の力に頼るのも手だった。

しかしスミレに悩ませたのはやはり科学忍具班の研究所の場所だ。新たな科学忍具班の研究所は里の外にあるのだ。つまりもう気軽にあまり15班の仲間と会えなくなる、そして·····自分の好きな人にも中々会えなくなる。

だがその好きな人が暴走した重吾に向けた言葉でスミレは決めた。

 

『どんなに願っても叶わない事だってあるかもしれないけどさ!なりたい自分になりたい気持ちだけは捨てちゃダメなんだ!』

 

その言葉を聞きスミレは決めた。家族の鵺とこれからも付き合って行くために、科学の力を借りよう、と。

スミレは自身の好きな人·····うずまきボルトの事を考えながら日向邸に来た。最後にここに来たのは自分が悪夢のせいで倒れた時だ。つまりそれ以来という事になる。スミレはその後の事を思い出し少し赤くなりながら1日に1回はしてる指で自分の口元を触る事をした。それがある種のおまじないになっていた。

そして門が開いてる事を確認し入った。そしてお手伝いさんに声をかけ通してもらった。案内された部屋にいたのは15班全員だった。

 

「皆、久しぶり!」

 

「スミレ〜元気だった?」

 

ナミダがそう涙を流しかけながら言った。恐らくあの時の自分みたいにまたなってたらどうしようとかそういう事なのかなと思い笑って返した。

 

「うん、大丈夫。元気だよ。」

 

「また無茶してないだろうな?」

 

今度はワサビだ。こちらも心配してる顔だった。やっぱりそんなに酷かったんだなあと当時の自分を思い出したら確かに無茶していた。

だけど今は科学忍具班に行く準備に割く時間が多く、それでもちゃんと寝るようにはしている。·····偶にボルトと一緒にいたりする夢を見るが。

 

「大丈夫、ちゃんと休む時は休んでるからね。」

 

「それなら良かったわ、皆心配してたのよ?またあの時みたいに倒れたらどうしようってね。」

 

「はわわ、ごめんなさい。」

 

「まっ、元気ならいいのよ。それに・・・」

 

「?」

 

何故かそこで止めて少しニヤついてるのは何故だろうか?自分何かしただろうかと考える。しかしこれと言って思い浮かべない。そしたら爆弾が落とされた。

 

「何か良い夢はちゃんと見れてるようね。」

 

「へ?はわわわ!!良い夢って、な、何ですか?」

 

「そんなに慌てたら認めたようなものじゃない。何ですか、か。うーん、ボルトの夢とか?」

 

そう言われた瞬間スミレの顔は真っ赤に染まった。そして露骨に慌て出す。余談だがもう班の皆はスミレがボルトの事が好きなのは何となく分かってる。あの日からボルトを見る目が少し変わっていたからだ。最も合同任務の時は割といつも通りだった。任務だと割り切れば普通になれるのだ。だが任務じゃない日にボルトを見かければふっと目を向けているのに皆気がついた。同性だから余計に。

 

「はわわわわわわ!!み、見てませんよ!?」

 

「ハイハイ、そういう事にしといてあげるわ。」

 

「うう、ほ、本当ですよ?」

 

そして両側から何故か肩に手を置かれた。左右にはナミダとワサビがいた。

 

「分かってる、分かってるから」

 

「ああ、恥ずかしがることは無いと思うぜ?」

 

「ああう」

 

何故か2人とも全て知ってるみたいな顔をしていた。それが恥ずかしくてしょうがないスミレだった。

 

その後4人はお茶会をスタートさせた。主に話す内容は最近の任務やスミレが行く科学忍具班の事だった。そしてそれらを話終わった時ハナビが狙ったように言ってきた。

 

「ああ、そうだ。皆ボルトの写真見る?可愛いわよ〜?」

 

ボルトの写真と聞いた瞬間スミレは少しビクンとしてしまった。ここで否定せねばさっきのを否定した意味が無くなってしまう。だが心の中では見たいと言う葛藤の中にいた。そんなスミレを3人は少しニヤニヤしながら見てた。スミレは少しばかり他人だよりした。

 

「え、えっと、皆が見たいなら良いよ?」

 

あくまでも自分が見たいと言うのではなく2人の内のどちらかが見たいと言えば合法的に見られるという考えで言った。だがそれも3人の策略だった。

 

「んー私はいいです。」

 

「私も見なくて大丈夫です。」

 

「え?」

 

2人は見事に回避した。スミレのやろうとした事に気がついて綺麗に躱した。スミレは1人ぐらい見たい人いるかなぁと言う気持ちで言ったがその策も甚だしく散った。そしてハナビが最後に畳み掛けた。

 

「それでスミレはどうするの?見ないなら見ないで構わないわよ?」

 

「う。」

 

見たい、凄く見たい気持ちをとるか先程の否定を磐石にするかで悩んだ。そんなハナビはどこからか取り出したのかアルバムを見せつけていた。スミレは耐えきれず言った。

 

「み、見たいです。」

 

「はい、よく出来ました。」

 

そう言ってハナビが手招きしたからスミレはハナビの隣に座った。ナミダもワサビも結局気になったのかスミレとハナビの後ろからひょこっとアルバムを覗いた。そしてアルバムが開かれまず出てきたのはボルトの赤ん坊の時の姿だった。そして思わず

 

「はわわ、ボルト君可愛い!!」

 

そう言った直後周りからの暖かい視線に気がついた。そしてまた真っ赤になったのを見てハナビはアルバムをめくった。

そこにあったのはボルトが恐らく立てるようになった時のものだろう。てくてく歩く様はアカデミー時代のイタズラ小僧のイメージがなければ最早天使にも見えなくもない。

 

「こんなに可愛いのにアカデミーじゃああなっちゃうんだ。」

 

ナミダが笑いながら言った。スミレも確かにと頷いた。でも可愛いとは思った。その証拠に何秒かは釘付けだった。そしてまたアルバムがゆっくりめくられた。その写真はボルトとヒマワリが仲良く寝てる写真だった。この時は2人とも歓声をあげた。

 

「わぁヒマワリちゃん可愛い!!」

 

「本当にボルトとよく似てるな。」

 

「でしょ〜?本っ当にボルトとヒマワリは可愛くてね!!」

 

ハナビがうずまき兄妹の事を大好きなのはこの3人にとっては最早周知の事実だった。その溺愛ぶりは最初のうちは結構ひいた。妹の方は分かるが兄の方を見てると余計に。

 

「あれ?スミレちょっと顔赤いよ?」

 

「へ?はわわ!!」

 

そこで慌てるのはやぶ蛇である。この3人は最早反応で面白がってる部分がある。しかし同時にその恋が叶ってほしいとも祈ってる。3人はスミレの素性を殆ど知っている。里の反逆者だったという事、ダンゾウが創設した「根」の生き残りの父親を持つこと、その父親に根の怨念をはらさせる為に自分を兵器と言った事、そして・・・家族がもうスミレ以外にはいないということ。そんな辛い境遇にあったスミレが傍から見ても恋をしてるならば応援もしたいと思っている。

·····ハナビに関しては例えもうすぐ元部下になってしまうが自分の班の人が甥に恋してるのは嬉しかったりしてる。

 

そして次は火影就任式の時のものだった。ナミダとワサビ、それにハナビに関しては親戚だから間近で見ていた。スミレはこの時父親と修行の真っ最中だったから就任式には行ってない。故に当時のボルトの事もあまり知らない。

 

「この時は·····色々大変だったわね。」

 

そうハナビが言ったのは少し意外だった。

 

「えっと、それはやっぱり親戚が火影になったからですか?」

 

そうスミレが聞いた。それ以外思いつかなかったのもある。しかしそれを聞いたハナビは首をふるふるして

 

「半分正解」

 

と言った。3人はまた考えるがギブアップした。

 

「この日はね·····ヒマワリが一時的でも白眼になった日でもあるの。ついでに言うならその時不意をついたとはいえ火影様を一撃で気絶させてたみたいよ?」

 

「「·····え?」」

 

さらっととんでもない事を言った。不意打ちでも火影を気絶させるのすら途方もない修行がいるだろうにそれを小さな女の子がやってのけたのだ。·····凄い可愛いのにそのギャップに少し震えた。

 

「まあその気絶も休止の点穴を一撃だったからだけどね。だからこの写真の火影様は木ノ葉丸が化けてるのよ。」

 

「そ、そうなんですか·····因みにボルト君は大丈夫だったんですか?」

 

「大丈夫だったと思う?」

 

ナルトでさえこれだったのだからナルトよりもボルトがどうなったのかは·····お察しである。

 

「で、でも何で白眼になれたんですか?」

 

普通白眼とは修行をして初めてなれる。だが修行すれば誰でもなれるという訳では無い。実際日向の全員がなれてる訳では無い。だから忍者の修練すらまだしてないであろうヒマワリがなぜなれたのか気になったのである。

 

「うーん分からないわ。それに元々持ってる才能で直ぐになれる人もいない訳では無いからね。」

 

「そ、そうなんですか。」

 

スミレはそう言って写真を見ながら聞いた。

 

「ボルト君のは·····白眼じゃないのですか?」

 

スミレがゴースト事件を起こしていた時、そこにボルトが関わっている事を確かめる為にスミレはボルトの近くでボルトの好きな俳優のカゲマサに鵺をとりつかせて遠目で観察した。予想通りボルトには何故か鵺が見えていた。

そしてスミレは間近で見た。あれは自分が鵺を千手公園に解き放ち自分は里を一望出来る所でそれを見ていた時、ミツキがスミレを殺しに来た時ボルトも駆けつけスミレとミツキを止めようと2人の攻撃をクナイで受け止めた時に起きた。

一瞬ボルトの右目が白眼みたいになっていたのを覚えてる。だが白眼は移植などをしない限り基本は両目で開眼するものだ。だからスミレはあれが白眼なのか分からなかったのだ。

それを聞いたハナビは少し難しい顔をしていた。

 

「うんうん、ボルトはまだ白眼は開眼してないはずよ。でも·····何か別のものはあると思うわ。」

 

「別のもの?」

 

「まあ全く検討もつかないけど·····1度ボルトが白眼を開眼したとか言って家に来た事あるのよ。で、それを見極める為に私が戦ったんだけど·····確かに白眼ではなかった。だけど少なくともボルトは嘘をついてない、そう思ったわ。」

 

スミレはまた写真に目を移し頷いた。

 

「・・・はい。私もボルト君の目は特別だと思います。今の私があるのはボルト君のおかげ·····はっ!!」

 

そう言ってスミレは周りを見て皆にこやかに笑ってるのを見て引っかかった事を悟った。それが恥ずかしくてそれを誤魔化す為に

 

「つ、次行きましょう!!」

 

最早誤魔化しにすらなっていなかった。それにハイハイと言いながら出た写真は

 

「これ夏祭りの時のですか?」

 

「ええ、そうよ。2人の浴衣姿可愛いでしょ!?」

 

凄く凄みをきかせて聞いてきた。3人は思わず頷いた。そしてワサビが思い出したように言う

 

「そう言えばもう少しで夏祭りだな。」

 

「うんそうだね、皆で行かない?浴衣を着てさ!」

 

「おお、良いなそれ!」

 

だが1人だけ暗い顔をしていたのはスミレだった。それに気がついたナミダが聞いた。

 

「スミレどうしたの?」

 

「私·····浴衣持ってない。」

 

そう、家族で逃げていたり貧乏だったのであまりファッションなどに興味を持たなかったスミレだ。アパートにある服もそんなに種類はない。少なくとも同年代の女の子に比べれば余計に。

そんなスミレに手を差し伸べたのはハナビだった。

 

「なら家にある浴衣貸そうか?」

 

「え?はわわ、そんなの悪いです。」

 

「いいのいいの、どうせ今はあまり使われてないから大丈夫よ。」

 

「で、でも·····」

 

「借りときなよスミレ」

 

「ハナビ先生もこう言ってるんだからさ。」

 

スミレはハナビを見て少し悩んだがこれが第15班として遊びに行く最後かもしれないと考え頷いた。

 

「じゃあその、お借りしてもいいですか?」

 

「ええ、バッチシよ。うーんじゃあスミレに似合いそうなのを選んどくから。そうね、じゃあ当日はここに来てくれる?」

 

「わ、分かりました。」

 

そして4人はそれからも少し話をして解散した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏祭り当日

 

スミレは半袖のセーラー服のようなものを着て日向邸に着いた。最早顔なじみのお手伝いさんに通してもらいハナビの所に来た。

 

「お、いらっしゃいスミレ。」

 

「お、お邪魔します。」

 

そう言ってスミレはおずおずと中に入って行った。そしてハナビが少し待ってと言い取り出したのは薄い紫色の浴衣だった。柄には何かの花がある。帯は黄色だった。スミレはその綺麗さに思わず数秒見続けた。それに満足したようにハナビは頷いて先程のお手伝いさんを呼んだ。

 

「じゃっ、スミレ、脱いで。」

 

「·····へ?」

 

思わずそんな変な声を出した。そして徐々に赤くなった。

 

「浴衣を着るなら脱がないとでしょ?ほら早く!」

 

「は、はい!!」

 

そうしてスミレはハナビとお手伝いさんのナツによって生まれて初めて浴衣に袖を通した。そして浴衣を一通り着終え今度は髪型の話になった。

 

「うーんどうするスミレ?ストレートか三つ編みかそれとも新しいの挑戦してみるか。」

 

「あ、新しいのですか?」

 

「そう、例えば後ろに纏めるとか·····ああ、でも長くてそれは少し辛いかなぁ。まあ決めるのはスミレだけどね。1つアドバイスするならいつもと違う自分を見せつけたらお近づきになれるかもしれないわよ?」

 

「な、成程·····って!」

 

それを聞きスミレは嵌められたのに気がついて赤面になりながらハナビを見る。そこに居たのはイタズラが成功したみたいな顔をしたハナビだった。しかし引っかかったのはスミレ自身だから何も言えなかった。

 

三つ編み·····確かにいつもと同じだから新鮮味にかける。でも慣れてるという点では軍配が上がる。

 

ストレート·····1人の時はなってる事はあるがあまり人前では見せない。ただボルトの前では結構なっている。ゴースト事件の時然り親子の日然り。だからボルトに鍵って言えば新鮮味にかける。

第三の選択肢·····後ろで纏める。しかし先程も言われた通りスミレの髪が長くて少し厳しい。そこで思いついた。

 

「あ、あの先生。」

 

「ん?決まった?」

 

「えっと·····」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スミレはハナビ達にお礼を言い祭りに向かった。入口らへんで集合する事になっている。慣れない浴衣だからゆっくりと歩いていた。そして集合時間前に到着した。周りはもう祭りに来た人でいっぱいだ。祭りの途中には花火大会もあるらしい。だからその時にはもっと増えるだろう。

そう思っていたら見覚えのある顔が2人いたから手を振る。そして近づいてきたのはそれぞれ浴衣を着込んでるナミダとワサビだった。それぞれのイメージカラーのオレンジ色と緑色の浴衣だった。

 

「ごめんスミレ、待った?」

 

「うんうん、私も今来た所だから、大丈夫だよ。」

 

ナミダに返した所で2人がじっと自分の事を見てる事に気がついて少し照れた。

 

「スミレ凄い似合ってるよ!!」

 

「ああ、本当に似合ってるぜ?長い髪をそうするとはな。」

 

スミレは後ろに髪を纏める事にした。でも普通にやったら少し厳しい。だから纏めた後余った髪の毛で三つ編みにしたのだ。

2人からの賞賛に照れながら返す。

 

「はわわ、あ、ありがとう。じゃ、じゃあ行く?」

 

「うん」

 

「おう!」

 

それぞれ返事をし3人は歩き始めた。ハナビは日向の用事があるそうで来れなかった。

スミレは初めて友達と浴衣を着て祭りに来てるこの状況をめいいっぱい楽しもうと決めてる。3人は気になった屋台に行きながら話を弾ませた。そしてスミレは2人と話してる時に何か見えた気がして思わず前を見た。

見えた先にいたのは少し離れたここからでも分かるほど目立つ金髪だった。人混みで少し見にくいが隣に小さい子供もいる。そう思っていたら向こうもスミレに気がついたらしい。少しびっくりしたような顔をし隣の子と何か話して近づいてきた。隣にいたのはヒマワリだった。普段から着ている薄い黄色の浴衣だった。ヒマワリはスミレを見つけ嬉しそうに寄ってきた。ナミダとワサビも気がついた。

 

「スミレお姉さん!」

 

「はわ、ヒマワリちゃん。」

 

「ヒマワリちゃんもか。」

 

「やっぱり可愛い!!」

 

思わずという風にヒマワリはスミレにハグした。スミレも笑ってハグし返す。そしてハグしながら前から来た人を見る。金髪に蒼い目·····ヒマワリの兄うずまきボルトだった。スミレは内心大いに焦った。

 

「よおお前ら。」

 

「ボルト君·····」

 

「ボルトはヒマワリちゃんのお供?」

 

「ああ、ヒマワリ楽しみにしてたからな」

 

そう聞きスミレは目をヒマワリに向けるとヒマワリもニコッとしていた。ヒマワリの手には金魚が入ってる袋がある。

 

「じゃあヒマワリ、スミレ達の邪魔したら悪いから行くぞー。」

 

「え〜」

 

そう言ってヒマワリは猛抗議の目を向けた。それにタジタジになるボルト。因みにボルトはいつも通りの格好だった。そこでワサビから救援が入った。スミレとボルトにとっては爆弾だったが

 

「じゃあ私達がヒマワリちゃん見てるからボルトとスミレで祭り見てこいよ。」

 

「·····は!?」

 

「·····え!?」

 

全くもって意味がわからない2人である。驚いてる間にナミダはヒマワリを少し後ろに連れていき何かを吹き込んでる。

この場合は普通女子3人がヒマワリを見るというのが流れ的に普通じゃないのかというボルトの心の叫びを声に出そうとしたら目の前で茹でられたみたいにスミレが赤くなっていた。

 

「はわわわわわわ!!わ、ワサビ、な、何言ってるの!」

 

全く迫力がない。

 

「そ、そうだってばさ!少しはスミレの意見を聞けってばさ!いきなり俺と2人きりになれって言われても困るだろ?」

 

それを聞きスミレは少しモジモジしながら否定した。

 

「はわ、えっと、それは別に構わないけど·····」

 

「え」

 

その時ヒマワリがトコトコボルトに寄っていき

 

「お兄ちゃん!私は別に良いよ!このお姉さん達と一緒にいる!」

 

「お、おいヒマワリ!?」

 

「さあさあもう決定したから早くスミレを連れて行けよ!」

 

そう言ってスミレとボルトの背中を押した。そして2人が振り返るともう3人は反対に進んでいた。そして人混みのせいで見えなくなった。2人はそれを呆然と見送った。ボルトがその内我に返りスミレに聞いた。

 

「えっと、スミレ嫌ならいいんだぞ?」

 

それを聞きスミレも我に返り少し顔を赤くしながら首を振った。

 

「えっと、ボルト君が嫌じゃないなら私は良いよ?·····ボルト君は私と一緒に回るのは嫌?」

 

「そ、そんな事無いってばさ!」

 

そうムキに返す。

スミレはスミレで心ではパニックになっていた。ボルトといきなり会ったのもそうだがそのあとのワサビの爆弾のせいで余計にパニクった。

最初はナミダとワサビと同じ班としての最後の思い出作りだった筈なのにそれが途中からボルトとの思い出作りになっていた。確かにもうナミダとワサビとはもう1時間以上ゆっくり回ったから思い出作りはもう成功したと言えるだろうけど·····でもいきなりボルトと2人きりにされたのは恥ずかしい。

そのまま往来の真ん中で立っていたが流石にボルトがはっと気づき動いた。

 

「あ、じゃあ行くか?」

 

「はわ、う、うん」

 

そう言って2人は横並びになり歩き出した。暫く2人は無言になったがそれに耐えられなくなったボルトが喋り出す。

 

「その、似合ってるってばさ。その浴衣。」

 

「あ、ありがとう。ハナビ先生が選んで貸してくれたんだ。」

 

「そうなのか、ハナビ姉ちゃんがか。」

 

「うん。」

 

その時スミレは浴衣で2人きりという状況のせいで注意力が散漫になっていた。スミレの左肩に男性とぶつかってしまった。そして誰かに支えられたのを感じながら謝る。

 

「ご、ごめんなさい。」

 

「いえこちらこそすいません。」

 

そう言って歩いて言った。ここで絡まれたら少しめんどくさかったから助かった。そう思いながらはて?自分は今誰に支えられてるのだろうと思い後ろを振り返り赤面になりながら離れた。

 

「ご、ごめんなさいボルト君!」

 

「大丈夫だってばさ。スミレも気をつけろよ。」

 

「う、うん。」

 

そのまま何か恥ずかしく2人は5秒程無言になったがボルトが聞いてきた。

 

「あっ、射的あるぜスミレ。」

 

そう言われスミレはボルトが向いてる方に向いた。確かに射的があった。射的は普段使ってる水遁水練波でも似たような事をしてるから出来るかもしれない。

そう考えたらボルトがいきなり手を掴んできた。

 

「はわわわ!!」

 

そのまま一緒に歩いた。そして射的の所に来てボルトが2人分お金を払った。

 

「あっ、お金は私が·····」

 

「別にいいってばさ、俺が連れてきたんだから俺が払うってばさ。」

 

そう言われそれでもと返そうとしたらその前に弾丸と銃を渡された。そしてボルトは弾を詰めて狙った。集中してる時に声をかける訳にもいかずボルトを見守る。そしてボルトは恐らく結構上ら辺にある可愛らしい狐のぬいぐるみを狙って撃った。のだが·····見事に外した。挑戦はあと2発だけ、なのだが·····全て外した。

 

「くそーーっ!全部外したってばさ!」

 

そう叫ぶボルト。そのボルトに店主が笑いながら声をかける。

 

「ははは!ボウズまた全弾外したのかい?」

 

「うぐっ!」

 

スミレは今の会話で?となった所があったから聞く。

 

「ボルト君、またって?」

 

それに答えたのはボルトではなく店主だった。

 

「ボウズはさっきも来たんだよ。その時は妹さんを連れて来て妹さんがどうやらねだったみたいだが射的の腕は今お嬢さんが見た通りだ。」

 

そう言われスミレはボルトを見るとバツが悪そうな顔をしていた。でもここに来た理由は何だか分かった気がした。恐らくさっき来た時全弾外した時にヒマワリは残念そうな顔をしたんだろう。そして兄として笑顔にしたいのが本音何だろう。だから唐突感はあったが無理矢理でもここにまた来たんだろう。

 

(やっぱり優しいね、君は。)

 

そう心の中で言う。そして自分の弾を銃に詰め込む。そしてボルトに聞こえるぐらいの音量で言う。

 

「任せて」

 

たったそれしか言ってないがボルトにはこれ以上ないほどスミレが頼りに見えた。そしてスミレは構えた。そして狙いを定めて撃った。その弾は見事にヒットしぬいぐるみが落ちた。

 

「おお!やるね嬢ちゃん。」

 

「すげぇなスミレ。」

 

「はわ、そ、そうかな?」

 

そしてスミレは残り2つは辞退しぬいぐるみ受け取りボルトに渡そうとした

 

「はい、ヒマワリちゃんにあげて。」

 

だがボルトは首をふるふる振った。なぜ?という疑問をボルトに目で聞く。

 

「スミレが取ったんだからスミレから渡してやってくれってばさ。」

 

そう聞いたスミレはボルトとぬいぐるみを交互に見て頷いた。

 

「分かった。じゃあ私から渡すね。」

 

そう言って狐のぬいぐるみを抱えた。スミレにとってヒマワリはもう既に妹のような存在になっている。勿論たかが何度かお話したりご飯を一緒に食べたりお風呂に入ったりするだけで妹になるとは言わない事は分かってる。でも家族がいないスミレにとってはそれだけでも妹のように感じてる。ヒマワリがお姉さんって言ってくれる時、嬉しいと思っている自分がいるからだ。

そのまま2人はまた歩き始めたがもう少しで花火大会だからか最初よりも人が多くなりスミレが少し流された。

 

「人が多くなって来たね。」

 

「そうだな·····」

 

その時ボルトはスミレの右手を掴んだ。

 

「はわ!」

 

「はぐれんじゃねえぞ、スミレ。」

 

「う、うん。」

本当は赤くなってるであろう顔を手で覆いたいが右手はボルト、左腕はぬいぐるみを抱えてそれも出来なかった。そして少しばかり脚が止まりボルトが何事か考えていた。スミレは首を傾げながら待つ。そして「決めたってばさ」と言い少し強めにスミレを引っ張り祭り会場の出口に向かった。流石にスミレは少し抗議した。

 

「ぼ、ボルト君!?出ちゃうの?」

 

「ああ、いい所があるんだってばさ!」

 

いい所?とスミレは思いながら連れて行かれた。そしてある廃ビルの所に来た。そしてボルトは少し悩みスミレに近づいてきた。スミレは何だろう?と思ったが

 

「スミレちょっと失礼するってばさ!」

 

そう言ってスミレがびっくりしてる間にボルトはスミレの体を横向きにして飛んだ。

所謂お姫様抱っこである。

 

(はわわわわわわ!!)

 

もうスミレの顔は真っ赤で思わずぬいぐるみを強く抱きしめてる。そして廃ビルの屋上についてまだ熱は覚めなかったがスミレは降ろされた。その屋上は四方に囲まれてなく木の葉の里が一望できた。

 

「はわわ、凄く綺麗。」

 

ボルトはその言葉に満足しながらスミレの手を引っ張り奥まで来た。そしてボルトは自分の上着を脱いでスミレの前に引いた。

 

「え?」

 

「スミレはここに座れってばさ。」

 

「で、でも·····」

 

「良いからいいから、俺が連れてきたんだし浴衣を汚しちゃ悪いだろ?」

 

そう言われスミレは思わず黙った。確かに借り物だから汚しちゃダメだ。でもボルトの上着を下敷きにするのもどうかなと思ったがボルトはそんなスミレの背を押した。

 

「別に構わないってばさ。第1俺のせいで汚れたと知られたらハナビ姉ちゃんに殺されるからさ。だから俺を助けると思ってさ。」

 

そう手を合わせお願いされた。色々屁理屈だがそんなボルトの気遣いが嬉しかった。

 

「じゃあ··座るね?」

 

「ああ。」

 

スミレはボルトの上着の上に座った。ボルトも隣に腰を下ろし思い出したふうに言ってきた。

 

「鵺も呼んだらどうだ?」

 

「う、うん。分かった。」

 

そして鵺を口寄せした。鳴き声を上げながらスミレの肩に乗った。そしてぬいぐるみを少し見た。何か仲間が出来たとでも思ったのか一旦降りてジロジロ見たあと鵺はボルトの肩に乗った。

 

「おいおい、お前スミレの上じゃねえのか?」

 

「ぬえー!」

 

「はわわ、もしかしてぬいぐるみ持ってるから浮気だと思っちゃったのかな?」

 

スミレはナチュラルにボルトに近づける鵺が少し羨ましいと思ってしまった。自分は行動一つ一つに恥ずかしさを感じながらするというのに鵺は普通にボルトの肩に乗ることが偶にある。

 

(・・・でもあの夜からは少しマシになったんだけどね。)

 

そう心の中で言いながらそっと指を口に触れる。とその時

 

「ん?どうしたんだスミレ?」

 

「はわわわわわわ!!」

 

(み、見られちゃった!ど、どうしよう?)

 

スミレにとってその行動はあの夜を思い出す為のアクションである。しかしボルトは寝ていたからあの夜のスミレの行動は知る由もない。だからボルトからすれば何でそんなに尊そうに口辺りを触るのかが全く分からない。だからスミレは無理矢理話題をすり替えた。

 

「そ、そう言えばボルト君、よくここ知ってたね?」

 

ボルトは露骨に話題を変えられたのが分かったが特に気にせず答える。

 

「ああ、去年花火大会を4方向から見たら4倍楽しめるんじゃねえかなと思って色々花火を見る所を探してた時に見つけたんだってばさ。」

 

「4方向から見て4倍楽しむ·····もしかして影分身?」

 

そう言ったらボルトは頷いた。スミレは面白い試みだなと思って聞いた。

 

「それでどうなったの?」

 

「ダメだった。確かに影分身の記憶がフィードバックはされたけどただ単に曖昧になっちまった。それにずっと出しっぱなしだったからチャクラがめちゃくちゃ無くなっちまって暫く寝てたってばさ。だから今年は1人でのんびり見ようと思ってたんだけどな。」

 

「えっと、ごめんなさい。」

 

「何謝ってるんだよ。俺はスミレと一緒に見れて嬉しいぜ?」

 

それを聞いたスミレはほんのり赤くなった。

 

「私も·····嬉しい。」

 

「そ、そうか?なら良かったってばさ。」

 

その時花火の第1射が発射された。赤色の花火だった。ボルトとスミレはそれに顔を向けた。そして次々に花火が打ち上げられた。色とりどりの花火が上がって心が奪われてる最中スミレは少し目をボルトに向けた。その顔は先程は暗かったから少し分かりにくかったが今は花火に照らされその横顔がちゃんと見えた。その次にボルトの左手を見る。少し·····いやかなり恥ずかしいが今しかアタックチャンスが無いのは明白だった。一緒にまわってる時は人が多くてボルトに手を握られてる時でさえ恥ずかしかったのだ。

 

(でも・・・今は2人きり)

 

そう思いながら顔も赤くしスミレはぬいぐるみを持つ手を左手に変え、そっと右手をボルトの左手に近づけた。そしてゆっくりと重ねた。ボルトは少しビクンとしてスミレを見たがスミレは見てない事にした。ここにきて今更のように振りほどかれたらどうしようと思ってしまったが幸いボルトは振りほどこうとはしなかった。

スミレの心臓の鼓動は弱まるどころか早くなっていった。その時·····

 

「あ·····」

 

ボルトの手が離れた。スミレは嫌われてしまったと思い顔を下げてしまったが·····

 

「回りくどいってばさ。」

 

そう言って手を繋いだ。スミレは反射的にボルトの顔を見たが赤くなってるのは自分だけだった。

 

(はわわわわわわわわわ!!)

 

大いに慌てた。自分から重ねるのだけでも恥ずかしかったのにボルトは普通に握ってきたのがびっくりした。いや、よく考えたらそれがボルトという人間なのかもしれない。そしてドキドキしながら花火を見ていた。

 

「・・・ねえ」

 

「ん?なんだってばさ?」

 

「菫の花の花言葉って知ってる?」

 

このまま手を繋いで2人きりで花火を見てたら心臓が爆発しそうで話を振った。ボルトは少し考えて言った。

 

「確か誠実とかじゃなかったか?」

 

「うん、そうだよ。よく知ってたね。」

 

「まあな。」

 

そう言って2人はまた花火を見上げた。そしてボルトとスミレは心の中で続けた。

 

(紫色の菫にはもう1つ花言葉があるんだけどな。)

 

(菫にはもう1つ花言葉あるんだよ?)

 

互いに心の中では同じ事を言ってる。

 

(まあ言えないってばさ。·····スミレの事を知りたくてその過程で知った何て事はさ。·····何か恥ずかしいってばさ。だって·····)

 

(言うのはちょっと恥ずかしいんだけどね。だって·····)

 

((その花言葉は「愛」だから))

 

2人の寄り添う姿を見ていたのはお月様だけだった。

 

 

 




お疲れ様でした。ボルトが重吾に言った言葉は名言だと思います(。・ω・)ノ。あとあの呪印編最終回はボルスミ回だったなぁ。まあカットしたんですが。この小説の呪印編の変更点はボルトがスミレの事を呼んでる時は委員長ではなくスミレって言ってることぐらい?流石にスミレも任務の時は平常心で頑張った。
アンケートの途中経過を言うとボルスミの大人になった話が超リードしてます。
後批判を承知で言いますがボルスミの大人になった話はまだ付き合ってないボルスミです。だってそうじゃなかったら最後の項目意味ないし。この小説のタイトルはifですからね。色々分岐出来るから考えるのが楽しいです笑。
でも勘違いしてしまった方がいましたらごめんなさい。説明不足でしたm(*_ _)m。
因みにこのボルトも前回の小説見てくれたら分かりますが自覚はしてないけど心ではスミレの事は気になってる設定です。
ではヾ('ω'⊂ )))Σ≡サラバ!!


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スミレの決心

おはようございますm(*_ _)m。
タイトルがあれですがスミレの誕生日の話です。季節に関してはもう知らね
では⊂('ω'⊂ )))Σ≡GO!!


木ノ葉隠れの里の外れ、電車の最寄り駅は竜胆駅。その駅から少し歩いた所には先端科学任具研究所がある。そこは中忍試験である少年がやらかしたのとその後の重要な戦いで主任がやらかしたせいで一時科学任具班は凍結されていたが、元々あった場所から今のこの場所に移されたのだ。そしてそれと同時に科学任具班は新たなメンバーと共に再スタートを切った。

その科学任具班で才覚を表している少女がいた。その少女は今研究所の廊下をとぼとぼと歩いていた。今日の分はもう終わったからこれから帰るのだ。

その少女、筧スミレの顔は暗かった。というかある時からこう言う顔をする事が増えた。主任のカタスケやそのカタスケの助手の犬塚アキタはそんなスミレを心配している。カタスケはその理由に心当たりもあるから余計にだ。

 

「カタスケ先生、アキタさん、お疲れ様でした。」

 

「うん。ゆっくり休みなさい。所でスミレ君。」

 

「はい?」

 

「6月12日に何か用事はないかい?」

 

スミレは何か大事な日だった気がしたがぱっと何も思いつかなかったから首を振った。

 

「それは良かった。その日に里の方に頼んだ機材とかを持って来てくれる人がいるのだけどその人の相手をしてくれないかい?その機材の受け渡しが終わればもうその日は帰ってもらっても大丈夫だから。」

 

本当はその機材が大事なのもあるがカタスケとアキタは作戦でその日に持ってきてくれるように指定したのだ。

 

「え?でも私はその後も出来ますけど・・・」

 

「いや、スミレ君はここに来てから1度も休んでいないからね。丁度いいからそのまま休みなさい。」

 

スミレとしては別に全部出勤するのは割と普通なのだがカタスケは上司だから素直に頷いた。

 

「えっと、分かりました。」

 

「うん。じゃあ気をつけて帰ってください。」

 

「はい。お疲れ様でした。」

 

そう一礼してスミレは研究所を出て最寄り駅の竜胆駅に向かった。空はどんよりと曇り空だ。だがスミレの手には傘はない。そしてやっぱりその顔は暗いままだ。電車に乗った後も心ここに在らずと言う感じだ。

 

(ボルト君·····)

 

スミレが何故こんなに暗い顔をしているのかと言うとそれは少し前まで遡る。その日スミレはカタスケと一緒に木ノ葉隠れの里の病院に赴いた。その理由は全身科学任具であるカワキと言う少年の治療だ。しかし全身科学任具であるから普通の人間の治療では無理だ。そこでカタスケが呼ばれ、アキタは用事でいなかったからスミレが助手として一緒に来たのだ。

何故カワキが治療するほどの怪我を負ったのか。それは『殻』と呼ばれる組織のボロと言う者と戦ったからだ。その激戦でカワキは病院のベットに入る事となった。そしてそんな時状況が動いた。何と殻のメンバーのアマドと言うメンバーが木ノ葉隠れの里に亡命させてほしいと言って木の葉に来たのだ。そしてシカダイを人質にとり奈良シカマルと話をさせろと言った。本当は火影のナルトが良かったがもうジゲンにやられたと思っていたそうだ。だがナルトはボルトやカワキ達に救出され病院のベットにいた。その旨をシカマルが言いナルトが話を聞くことになり、病院の一室でアマドがもたらす殻とボルトやカワキが持つ楔の情報をスミレも別室から聞いたのだ。そしてその楔とは·····

 

(大筒木の·····バックアップデータ・・・)

 

そう、楔をつけられたものは·····この場合ボルトだがいつか大筒木に・・・ボルトの場合はモモシキになりそしてボルトと言う存在が消える。

それだけでもスミレにとってはいやなのにその後に言われた事もショッキングすぎた。

 

『楔を取り除く方法は?』

 

スミレの脳内でボルトの父親で7代目火影のナルトがアマドに聞いた。スミレとしてはもう縋り付くように聞いていたが答えは非情で、絶望的な答えだった。

 

『ボルト君を殺すしかない。』

 

それだけでボルトの事が好きなスミレは絶望の奈落に叩き落とされた。スミレはその後どうなったかはあまり覚えていない。何か映像で殻のリーダー格とメンバーの1人・・・アマドの仲間が戦っていたのは覚えているが勝敗がどうだったかは覚えていない。それよりも楔の件の方がスミレにとってはショックすぎたからだ。その日からスミレは暗い顔になる事が増えた。研究の際は頑張っているがそれが終われば顔色も少し悪くなる事が増えた。スミレは中忍試験の時1度モモシキを見ている。

 

(ボルト君が・・・モモシキに・・・)

 

ボルトが普通にしていた所からモモシキに変わる所を想像した。そして電車の中でその想像を払うように首を振った。

 

(そんなの·····嫌だよ・・・)

 

ボルトがモモシキになる事は勿論嫌だ。でもスミレはボルトが死ぬ事も嫌なのだ。自分が悪夢のせいで倒れた時に看病して、抱擁して一緒に寝てくれたボルトがいなくなるのはスミレには耐えられない。だがスミレにはどうしたらいいのか分からない。元敵だったがカタスケに匹敵するほどの科学者のアマドでさえ楔の取り方がわからなかったのだ。才覚を表してると言ってもスミレはまだ科学者見習いだ。そんな小娘が楔を取る方法何て分かるわけがない。

 

(ボルト君・・・。どうしたら・・・いいの?)

 

そう心で呟き指を口に当てる。いつもはそこであの夜にトリップしちゃうのだが今はそれも起きない。

スミレは木の葉に着いたら電車を降りた。だが降りる時一瞬何かが落ちてきたと思い降りきった後空を見上げた。そうしたら雨が降ってきた。

 

「・・・あ。傘ない。·····今日はもういいや。」

 

そう諦めた声で言いスミレは改札を出た。スミレのカバンは防水だから中にある研究所の証明書や財布が濡れることはない。

スミレはザーザーと降ってきている雨の中を歩いた。今はこの雨に打たれたかった。そうしたら何か道が見えるかもしれない、とそう無理やり納得した。雨空の中に光が見えるからその内止むのは分かってはいるがそれでもスミレは濡れた。普段のスミレならばそんな事はせず雨宿りするのだが今のスミレにはそれすらもどうでもいいと言う思いがあった。だがそんな時・・・

 

「何やってるんだってばさ!」

 

と、スミレには聞き覚えがありまくる声が聞こえたがスミレは幻聴だろうと思いそのまま歩いた。だが声の主は今度は横に来ながら言った。

 

「スミレ何やってるんだってばさ!」

 

スミレは雨がもう体にかかってないという事も忘れて左側を見た。そこに居たのは心底怒った顔で自分を見てオレンジ色の傘をさしているボルトだった。スミレは呆然と呟いた。

 

「ボルト·····君」

 

「風邪ひいちまったらどうするんだってばさ。・・・スミレ?どうしたんだってばさ?」

 

スミレは暗い顔のままボルトを見ていた。その顔色の悪い姿にボルトは心配そうな声をあげた。だがまさかボルトの事で悩んでた何て言える訳もなく誤魔化した。今回は前みたいに誰にも心配はかけさせてないからボルトもそれ以上は聞かないだろうという考えだ。

 

「・・・うんうん、少し研究が行き詰まっただけだから大丈夫。」

 

「え?でも・・・」

 

「それよりもボルト君は何でこんな所に?」

 

ボルトがまだ聞こうとしたのを遮りスミレは聞いた。ボルトはそれに怪訝そうな顔を見せたが素直に答えた。

 

「ああ、母ちゃんに買い物頼まれたんだってばさ。」

 

そう聞きスミレはボルトの左手を見た。そこにはレジ袋があった。因みにボルトは絶賛休み中だ。サラダがまだ入院中なのもあるし、まだボルトを自由にするのは危ないと言う声があったからだ。

 

「それでスミレは・・・」

 

「じゃあ私帰るね。」

 

ボルトが再び聞こうとしたのをまたスミレは遮り言った。そして足早にその場を去ろうとしたがその濡れてる袖をボルトがレジ袋を傘の柄にぶら下げ掴んだ。スミレは今の顔をあまり見られたくなく前を向いたまま聞いた。

 

「なに?ボルト君。」

 

「なにじゃないってばさ。何でそんなに俺から離れようとするんだってばさ!」

 

スミレは無言で答える。言える訳ない。ボルトの事で悩んで無力さを感じていたなんて。ボルトに言っても困らせるだけだ。

ボルトは無言の返事を受けながらもスミレの隣に立ち傘をスミレの上に合わせる。それによってボルトの右肩が濡れ始めるがボルトにとってそんなのはスミレに比べれば些細なことだ。ボルトは答えが帰って来ないことを悟ると話しだした。

 

「じゃあもう聞かないってばさ。その代わりスミレは家まで送るってばさ。」

 

「そ、そこまでは大丈夫だよ。」

 

「じゃあこのままスミレが話すまで俺は待つってばさ。」

 

·····それだけ聞いてたら完璧ストーカーなのだが。スミレも流石にそれは耐えられないというか恐らくボルトが困ると思っても暴露してしまう。そう考えたスミレは返事をした。

 

「・・・うん。それじゃあお願いします。」

 

「了解だってばさ。」

 

そう言って2人は相合傘で歩き始めた。スミレはこんな心境だがそれでも心臓の鼓動を早くした。今隣にいるボルトは間違いなく自分が知っている少年だって。困ってる友達がいたら絶対に助ける少年だと。そして·····自分が好きになった少年なんだと。

2人の間に会話はない。ボルトはさっき送る代わりにもう聞かないと言った以上その事は聞けない。スミレはさっきの自分の取った態度のせいで話しかけにくかったのだ。そうこうしていたらスミレのアパートに到着した。屋根の所にスミレは行きボルトにお礼を言った。

 

「その、今日はありがとう。」

 

「どういたしましてだってばさ。ちゃんと暖かくするんだぞ?」

 

「うん。本当にありがとう。」

 

そう言ってスミレは足早に自分の部屋の前に行きボルトをもう1度見て頭を下げ入っていった。ボルトはそれを複雑そうな顔で見届けた後、母の買い物が遅くなった事に気が付き急いで家に戻った。だがその頭の中は先程のスミレの様子を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

バタン

 

そんな音を鳴らしながらスミレはドアを閉めてそのドアにもたれてそのままずるずると座った。一応玄関だが靴もそんなにないから人1人が座るスペースはある。

 

「私・・・疲れてるなぁ。」

 

と、独り言のように呟きのろのろと立ち上がった。そして誰もいない小さなリビングにただいまと言った後カバンを置き靴下を脱いだ後、親子の日に着た服をハンガーから取りボルトに言われた通り暖まろうと脱衣場でいそいそと服を脱いだ。そしてシャワーを浴びる為にお風呂場に入った。

そして極力出しすぎないようにシャワーの威力を調整して暖かくなってきたのを見計らって頭から浴びた。冷たかった体に暖かいのが満たされていく。

 

「はぁ·····」

 

だがスミレが出した声はその気持ちよさか、はたまたスミレの内面に対してかは分からなかった。

スミレは暖まった後、お風呂場から出て体を拭いた。そしてワンピースを着てこれまたのろのろとベットに直行した。今日は晩御飯を食べる気にはなれなかった。そして布団の上に脱力するように顔からダイブした。

 

「・・・私、ボルト君にあんな態度・・・」

 

ボルトの問いに知られたくないからと言って無言で答えた事、そしてその後も無言を貫いた事を後悔していた。そもそも最近ボルトともあまり会えていないのにその今は貴重な時間を無駄にしてしまった・・・それ所かボルトに心配をかけてしまったかもしれないと。1番辛いのは当事者であるボルトの筈なのに·····。

それなのにあんな態度を取ってしまった自分が嫌になる。スミレは少し頑張り布団の下にもぐり目を閉じた。よっぽど疲れたのかそのまま眠りに落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スミレは気がついたら夢のような空間にいた・・・実際夢なのだが。

 

「ここは・・・どこ?」

 

スミレはその時自分が浮いている事に気がついた。それに困惑しながらも状況把握に努めた。だが周りには何もなかった。スミレはそれに不安になるのを感じながらそれでも何かを探そうとする。そんな時背中側が光ったのを感じ後ろを向いた。そこには円形状の何かがあり、そこにあった・・・いや映っていたのは

 

「・・・私?」

 

そう、スミレだった。だがその場所は今勤めている先端科学研究所ではなくアカデミーの校庭だった。そしてスミレの格好はアカデミー時代のそれだった。スミレは何故そんなものを見ているのかが分からなかった。だがその映像はスミレの困惑などほっといて動いていた。

スミレはよく見たらその校庭に何人もの生徒がいるのに気がついた。

 

「アカデミーの・・・入学式?」

 

そう呟いた直後轟音がなった。映像がその轟音がなった所に向いた。その場所にあったのは7代目火影のナルトの顔岩に突っ込んでいる電車だった。スミレはそれに目を見張った。

 

「これって・・・私の記憶·····なの?」

 

そう問いかけるがそれに答える声はなく代わりに映像が続いた。そしてスミレの予想どうりその後ボルトが出てきた。スミレが初めて直接ボルトを見たのがこの時だ。

 

『うずまきボルト、参上だってばさ!』

 

と、スミレが聞き覚えのある事を言った。スミレはそれだけで少し安心した。何か悪いものではないと。だがそこから変わった。何故かいきなりボルトの顔がぐにゃぐにゃしだした。スミレは思わず口を手で隠し3歩分下がった。そしてそのぐにゃぐにゃが終わった時、ボルトの顔がモモシキになっていた。

 

「なに?これ?」

 

そう震えた声を出した。そして本人は気がついていないが目に涙が溜まっている。スミレはまた反対側から光が出てるのに気がつきそちらを見た。そこに居たのはスミレとミツキとボルトだけだった。よく見てみればそこは屋上だった。

 

「ここ・・・マギレ君の時の·····」

 

あの時スミレはマギレにストーカー行為をされていた。そしてチョウチョウに看破されて告白されスミレはそれを断った。そしてその後チョウチョウやボルト達と別れた後にマギレに鵺を取り付かせた。最初はこのままストーカー行為をされれば自分が鵺をとりつかせてる所を見られたらいけないと言う思いと自分が被害者になれるという一石二鳥の考えで鵺をとりつかせたのだがスミレはマギレが隠れ身の術を全力で使ってストーカーをしてくるとは思わなかったのだ。最初はマギレを振った自分への怒りで襲ってくるものだと思った。そうしたらアカデミーにはボルトもシノもいるからすぐに取り押さえられるだろうと思った。だが予想を遥かに超えた手段に出られ粘着質に脅かされスミレは恐怖した。そしてそれが自分がマギレを利用しようとした罰なんだとさえ思った。ボルト達が来た時は本当に感謝したのだ。そしてこの場面はボルトとシカダイがマギレと戦ってチョウチョウの一喝が終わった後だ。スミレがボルトに声をかけてる。

 

『ボルト君、どうしたの?』

 

『いや、なんでもないってばさ・・・』

 

そこで不審と止まった。スミレはそこでまさかってな感じでまた3歩分下がった。そして嫌な予想どうりボルトの顔がぐにゃぐにゃし始め・・・

 

「い、嫌!」

 

スミレは思わず目を閉じた。その先を想像するのでさえ嫌だった。幸いスミレはモモシキの声なんて聞いた事がないからモモシキになったボルトが話す何て事はなかった。スミレはもういっその事この夢が覚めるまで目を閉じようと思ったが意地悪な夢なのか今度はスミレの脳裏にその続きが再生されてしまった。

 

「い、いや、やめて・・・」

 

そう言っても脳裏に続く映像は止まらない。そしてその次の出来事まで改変されるのだけは嫌だった。

 

「お願い·····やめて・・・」

 

そう心細い声を出した。そして次の映像もスミレには見覚えがありまくった。異界だ。鵺が住む異界が今にも崩壊しそうな場面でスミレは鵺の前で泣いていた。それはアカデミーでの思い出を思い出し泣いていたのだ。そしてその最中母の言葉を思い出し顔を上げ、少し影になっている事に気がついた。脳裏に浮かぶスミレはその正体を見上げた。

 

『ボルト君・・・どうして?』

 

『置いてける訳ないだろ、クラスメイトを。』

 

スミレはそんなボルトを見上げている。だが今これを見ているスミレは早く夢が覚めて欲しいと思っている。だがその願いは届かず続いた。

 

『戻ろうぜ、委員長·····』

 

そこでボルトはスミレに手を差し出した。·····がそこでボルトの顔がぐにゃぐにゃし始めた。

 

「・・・お願い、これだけはやめて・・・」

 

この記憶は自分がボルトの事を好きになったきっかけの時だ。その時まで奪われたらスミレの心は·····

 

「い、嫌!ダメ!」

 

そう言っても止まらない。そしてぐにゃぐにゃが終わり差し出されてた手はボルトの物よりも白く・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「·····はっ!」

 

その声と共にスミレは飛び起きた。そして震えてる体を抱いた。

 

「あ・・・」

 

目に涙が溜まってるのに気がつき拭いた。あの日以来の悪夢だった。スミレは呼吸を整えベットから降りた。よろよろと洗面所に向かった。そして顔を洗おうと鏡を見た。

 

「・・・酷い顔」

 

顔が少し蒼白になっていた。顔を洗いタオルで拭いた後台所に向かった。買い置きしていた食パンを1枚取り出し耳を取ってトースターに入れた。そして取っといた耳と前々から貯めてた耳も少し取り出しフライパンに入れ焼き始めた。スミレは昔からお金がなく、そんな時母がこうしてパンの耳を焼いて食べさせてくれたのだ。そしてそれが好きになりこうしてパンの耳を取って保存したりしている。トースターが焼き終わったのを知らせてくれたのと同時にスミレはフライパンの火も切った。バターを取り出しパンと耳を持って小さい机に座った。

 

「・・・いただきます。」

 

そう小さな声で呟き少量のバターを塗って食べ始めた。両手で持ち食べる。そして食べながらカレンダーを見る。カタスケが言った6月12日は明後日だ。今日と明日、そして明後日の機材の受け渡す人の案内とかを終わらせたら休みだ。だがスミレは休みと言ってもやる事があまり思い浮かばない。元同じ班のワサビとナミダに会いたいが2人はイレギュラーで休みが出来た自分とは違って新たな班のメンバーの鉄椿との連携や任務があるから忙しいだろう。

 

「はむっ」

 

今度はパンの耳を食べながら思考を続ける。それじゃあ家に閉じこもるか・・・でも最近はあまり里をぶらぶらを買い物以外で出来てないし研究所で見た天気予報は晴れだったのに外に出ないのはもったいない気もする。

でもだからと言って1人で回るのもやっぱり寂しい。スミレは極力夢の事を考えず休みの日の予定を考えたが結局結論何て出なかった。それ所かぼーっとする方が多かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同日 夕方頃

 

ボルトはあーでもないこーでもないと里の店を回っていた。そしてそんな時そのボルトに声をかけられた。

 

「ボルト?何してるんだ?」

 

その声でボルトは振り返った。そこに居たのは緑色を基調とした任務服と特徴的な猫のしっぽのアクセサリーを持つ少女と顔にほくろを持つオレンジ色を基調とした任務服を着た少女・・・ワサビとナミダがいた。

 

「お前ら、任務はもう終わりか?」

 

「うん。今日は終わったよ。」

 

「それでボルトは何でそんなに急いでるんだ?」

 

ボルトは言おうか寸瞬迷ったが別にこの2人なら良いだろう·····というか是非協力して欲しかったので言う。

 

「スミレの誕生日パーティーをしようと思ってるんだってばさ。だから何かプレゼントを買いに里中回ってるんだけど良い物がなくて・・・」

 

それを聞いたワサビとナミダはボルトの肩をガシッと掴んだ。

 

「それ、私達も行っていいよな?」

 

そうめちゃくちゃ怖い顔で言うワサビにこくこく頷くボルト。パッと見チンピラがボルトをいじめてるように見えてしまう。そして3人はそのまま3人は作戦会議してそれぞれ里に散った。だがボルトは少し暗い顔だった。

 

(結局、スミレがまた暗い顔していたことを言えなかったってばさ。)

 

そう、ボルトは昨日のスミレの様子を結局2人に言えなかった。ボルトは何故スミレがあんな顔をまたしてるのか分からなかった。聞いても答えて貰えなかった。あのスミレが倒れた時は多分倒れた以上はもう隠せないと思って言ってくれたんだろう。でも今回は違う。

 

(何で教えてくれないんだってばさ。)

 

そう心の中で呟く。ボルトとしてはちゃんと聞いて励ましてあげたい。だけど言ってくれなきゃ何で悩んでるのかすら分からない。·····実際はボルトに関しての悩み事なのだがボルトに知るよしもなかった。

ボルトは親友のいのじんの母親がやっている花屋の前で止まった。そして顎に手を当てて考えた。そんな時店から声をかけられた。

 

「なーにボルト、そんな所で突っ立って。」

 

「あ、いのおばさん。いや、誕生日プレゼントに花ってどんなんだろうって思って」

 

ボルトが考えていたのはスミレに菫の花を渡すのはどうだと考えて止まったのだ。

 

「うーん、花屋としては良いと言いたい所なんだけどね。でももうすぐ夏でしょ?そのせいで枯れるのも早くなる花とかもあるのよ。」

 

「あー、そうか。誕生日プレゼントならやっぱり一生モノが良いよな・・・いのおばさんサンキューだってばさ。」

 

そう言ってボルトは駆け出した。だが依然とプレゼントは決まらない。最初は髪飾りを考えたのだがスミレはもう大切な髪飾りを持っているから却下。だからと言ってあまりプレゼントは思い浮かばない。ヒマワリならば恐らくぬいぐるみ辺りを送ったら喜んでくれるのだろうがスミレは恐らくぬいぐるみにはあまり興味がないというかあったら可愛いと言うぐらいだろう。·····アパートにいる時にぬいぐるみがあれば少しは寂しさが紛れるかもしれないと考えた事はあるが。

そんな時、ボルトはある物が目に止まった。

 

「・・・これは」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6月12日

 

スミレはいつもの時間に出勤した。結局今日をどうするか決めれなかった。それ所か何か大事な事を忘れてるようなきがしている。そして顔もあの悪夢を連続で見た時みたいに少し蒼白になっていた。あの夢をまた2日連続で見てしまったのだ。

だがあの親子の日と一緒に寝た時の記憶は改変されなかった。それが唯一の救いである。あれまで改変されてしまったらもうスミレは立ち直れなくなったかもしれない。

そしてスミレは今日の夢はもう一種類あった。ボルトがモモシキになる夢を見終わった後、謎の空間に飛ばされた。今度は浮いてなく地に足がついていた。が、スミレは先程の夢のせいで精神があの日と同じぐらい疲弊していた。それでも状況把握に努めようと周りを見れば神殿みたいな所だった。スミレは不審に思いぐるぐる見回したがどこかは分からなかった。そしたら目の前から視線が来てるのに気がつき思わず臨戦態勢を取った。

そしてよくよく見たらその肌は白かった。大筒木(・・・)のように。スミレはそれに気がついたら先程の夢を思い出して顔を蒼白にした。そうしたらその人が話しかけた。特に敵対する気はないという声で。

 

『今、僕はあなたの夢を通して語りかけています。』

 

「・・・夢を」

 

『鵺に選ばれし少女よ、あなたはうずまきボルト君を助けたいのですか?』

 

それを聞いた瞬間スミレは目をめいいっぱい開け言った。

 

「あなたは·····ボルト君の楔を取り除く方法を知ってるのですか!?」

 

だが返ってきた答えは良いのか悪いのかよく分からない答えだった。

 

「いえ、確実に取り除く方法は今の所はないです。ですが・・・」

 

「教えてください!私・・・私、ボルト君を助けたいんです!」

 

そう言ったらその人は手を2の形にした。スミレはそれが何を表すのかが分からず困惑した顔で見る。

 

「2つ、2つだけ楔を取り除く方法・・・細かく言ったら取り除くではないですがボルト君がモモシキにならない方法があります。」

 

「2つ·····」

 

「1つ目、ボルト君が逆にモモシキを取り込むのです。だけどこれははっきり言えば至難の業です。存在しないものを取り込むのですから当然ですが。しかしもし取り込む事に成功すればボルト君は大筒木の力を使う事が出来るようになるでしょう。ですが出来るかどうかは別です。」

 

モモシキを取り込む・・・つまりそれは結局ボルト次第という事だ。スミレは知らないがボロと戦った時ボルトは1度モモシキに乗っ取られた。だがそれは逆も出来るということ。ただ楔をつけられるモモシキや大筒木じゃないからそのチャンスは恐らくモモシキが取り込もうかというその一瞬だけだろう。確かにそんなのは成功率が低すぎる。

 

「もう・・・1つは?」

 

スミレは震える声で聞く。

 

『あなた方の技術次第です。あなた達が科学任具と呼ぶものでボルト君の楔からモモシキを追い出すか、はたまた消滅させるか・・・そのどちらかです。』

 

「そんな・・・」

 

スミレは顔を下げた。今言った方法ならアマドがもう見つけててもおかしくない筈なのだ。だがアマドははっきりとないと言ったのだ。

スミレには科学でボルトの楔をとる方法なんて分からない。そんなスミレに謎の人物はヒントになるかもしれない事を言ってきた。

 

『あなたは白豪の印を知っていますか?』

 

「5代目火影様やサラダちゃんのお母さんの額にある印の事ですか?」

 

それを聞いた謎の人物は頷いた。

 

『百豪の印は大昔、六道仙人の時代からあった術だ。そこに手がかりがあるかもしれない。』

 

「六道・・・仙人」

 

そう呟いた直後光に包まれスミレは思わず目を閉じた。

そしてスミレは起きたのだ。暫く謎の人物について考えたが全く分からず取り敢えず今日の午前中の仕事を終わらせようと仕事場に来たのだ。そしてカタスケとアキタに挨拶をしようと来た。

 

「おはようございま·····」

 

そこで止まったのは見覚えのある人がいたからだ。何故そこにいるのか分からなかった。今は一応監視対象の筈だ。なのに何故ここに・・・

 

「な、何でアマドさんが?」

 

「いやー、アマドさんの科学力には目を見張るものがあって火影様に頼んで連れてきてもらったんですよ〜!」

 

と、カタスケが言った。

 

「私も青から先生の話を聞いた時から是非お会いしたいと思っていましたよ。」

 

と、アマドも言う。そんなアマドにスミレは恐る恐る聞いた。

 

「あの・・・アマドさん。」

 

「何だ嬢ちゃん?」

 

「アマドさんはボルト君やカワキ君の楔について・・・どれくらい知っていますか?」

 

少しでも謎の人物の言ってた事のヒントを求めて聞いた。

 

「お嬢ちゃんはあの時もいたね?だったらあの時私が言った事が全てだ。回りくどく聞いているが本当はこう聞きたいんじゃないのか?『本当に楔をとる方法を知らないのか?』と」

 

それを聞いたスミレは思わずビクッとした。それを見たアマドは掴み所のない顔で言ってきた。

 

「私も八方手を尽くしたがとうとう分からなかった。それで導き出した結論が楔を持つものを・・・殺す事、それしか楔を持つものを止められない。」

 

スミレはそれを再確認させながらどんどん暗い顔になった。それを見たカタスケが取り繕うとするが今回聞いたのはスミレからなので宥めることは出来なかった。だからスミレをここから離れさせようと声をかけた。

 

「そうだ、スミレ君。もう少しで来ると思うからそろそろ行った方がいいよ。」

 

「はい、分かりました。」

 

一礼してスミレはカタスケの部屋から出た。そして研究所の入口にまで来てその機材を持ってきてくれる人を待った。その顔は未だに暗い。先程のアマドに言われて再確認させられたことを思い出していた。そして強く目を閉じた。

 

(私には·····無理だよ・・・)

 

そう夢の中にいた人物に言った。そしてそれから五分後、研究所の入口が開いた事を察知したスミレは入口を見た。

 

「・・・え?」

 

と、思わず変な声を出した。何故なら入口から機材があるであろうリュックを背負ってやって来たのは・・・

 

「あれ?スミレどうしたんだってばさ?」

 

「ボルト君·····。もしかしてボルト君が里から機材を届けてくれるって言う人?」

 

「おう!」

 

スミレはそれを少し呆然と見ていたがすぐに我に帰り仕事を始めた。

 

「あ、じゃあこっちに来て」

 

そう言ってスミレは歩き始めボルトもそれに続いた。そして機材をそれぞれの場所に置いて後はボルト次第なのだが・・・

 

「え!?スミレ今日休みなのか!?」

 

「う、うん。カタスケ先生が休んで構わないって言ってたから・・・」

 

「じゃあさ、これから何か用事あるか?」

 

「え·····」

 

スミレはそれを聞き少し赤くなった。そして首を振って否定した。

 

「うんうん、ないよ。」

 

「じゃあ俺と付き合ってくれってばさ!」

 

「·····へ?・・・はわわわ!!」

 

ボルトは慌ててる理由が分からず首を傾けたが直ぐに何故こうなってるのかが分かったからボルトも顔を赤くしながら否定する。

 

「そ、そう言う意味じゃないってばさ!一緒にぶらぶらしようぜ!って意味で言ったんだってばさ!俺も任務は今ので終わりだしな。」

 

それを聞いたスミレは今度は勝手に勘違いした自分が恥ずかしく顔を隠した。ボルトはどうしたものかって感じで頭をかいてたがスミレがポツンと言った。

 

「・・・良いよ。」

 

「お、おう。」

 

「じゃあその、準備してくるから待ってて。」

 

そう言ってスミレは赤い顔を隠しながらカバンを置いた所に向かって背負いカタスケの部屋に覗いて挨拶した。

 

「その、お疲れ様でした。」

 

「うん。ご苦労さま。」

 

スミレは一礼して出てボルトの所に向かい言った。

 

「い、良いよ。」

 

「じゃあ行くってばさ。」

 

そう言って2人は並んで歩き始めた。スミレの心臓は高鳴っていた。前はボルトの事を考えて逆に全然喋れなかったが今回はまだましだ。·····だが唐突に夢の事を思い出し思わず足が止まった。それをボルトは訝しげに見たが一瞬で心配してる顔になった。

 

「スミレ?どうしたんだってばさ?」

 

スミレは深呼吸して歩き始め首を振った。

 

「うんうん、何でもないよ。」

 

「でも・・・」

 

「さ、ボルト君どこに行くの?」

 

ボルトは釈然としない顔だったが直ぐに行く場所を考えた。今はもう昼は過ぎだ。夜までにスミレを誕生日パーティの場所に連れていかなきゃ行けない。元々スミレを連れてく役目はボルトがする予定だったからスミレの予定がなかったのは良かったがよくよく考えたらその間の暇つぶしを考えていなかった。それにうーんと悩んでいたが無理矢理

 

「ま、まあそれは行きながら考えるってばさ!」

 

そう言ってスミレの背に行きスミレを押し竜胆駅に向かった。そんなボルトに苦笑いしながらボルトにスミレは押されて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「少し休憩しようってばさ。」

 

「うん。いいよ。」

 

そう言って2人は里を一望できる所·····シカダイとリョウギがかつてよく将棋を指していた場所に来て座った。2人はあの後里を色々回った。スミレは里を久しぶりに回ったので何か新鮮で良かった。隣にボルトがいた事もあったが。

夕日が沈み始め周りは暗くなり始めていた。・・・あの夢の時のように。スミレは今はボルトがいると念じその思いを首を振って振り払った。だがどうしても怖い。もし今横にいるボルトを見たら夢で見たモモシキの顔になっていたらどうしようと。だが今隣にいるのが自分が好きになったうずまきボルトなのだと再確認する為に見なければならない。だが怖い。そんなジレンマになった。そして勇気を出して言った。

 

「その、ボルト君。」

 

「何だってばさ?」

 

「手、握ってもいい?」

 

それが今隣にいるボルトが本物なのか確かめる方法だ。恥ずかしいこと極まりないがそれでもスミレは確かめたかった。ボルトは少し驚いた顔をしたがスミレの左手を見てそっと自分の手と握った。女の子らしく小さな手だ。

 

「・・・あ」

 

スミレは思わずそんな安心した声を出した。

 

(ボルト君の·····手だ。)

 

スミレは夏祭りの花火大会の時にボルトに手を握られた事を思い出した。あの時はボルトへのアタックチャンスがあの時しかなく羞恥で真っ赤にしながらスミレはボルトに手を重ねたがボルトはそれを回りくどいって言ってスミレの手を握ったのだ。その時に感じた温もりと全く同じだ。そんなスミレをボルトは見ていたが聞いた。

 

「スミレ、何で言ってくれないんだってばさ?」

 

スミレはボルトと一緒にいたら間違いなくボルトは前のスミレについて聞こうとしてくるだろうとは思っていた。だがスミレは無言を貫こうと思った。·····ボルトの顔を見るまでは。

スミレが少しボルトの顔を見た時、ボルトは本当に心配そうな顔をしていた。スミレはその顔で罪悪感が増していき聞いた。

 

「·····聞いても、怒らない?」

 

それを聞いたボルトは力強く頷いた。スミレは顔を下げながら・・・しかし握ってる手をもう1回握り直してポツポツ言い始めた。

 

「ボルト君が·····私の知ってるボルト君がいなくなる夢見たの。」

 

ボルトはそれを聞き少し目を見張らいた。まさか自分の事でそんなになっているとは思わなかったのだ。・・・いや、ある意味前の時もボルトの夢を見ていたのだが。だが自分が知ってる自分じゃないってどういう事だ?と思ったらスミレが続きを言った。

 

「私のボルト君との思い出が皆・・・モモシキになって・・・」

 

ボルトは唖然としていたがスミレは続きを言った。

 

「だから・・・ずっとボルト君の楔を取り除く方法考えたけど全然分からなくて・・・そんな自分の無力さがもう嫌になって・・・」

 

そう言って泣き始めた。右手で拭うが止まらなかった。

 

「うっ・・・う」

 

ボルトはまだ驚いていたが一旦手を離した。そしてスミレの右の脇を自分の方にやってボルトは自分の方に来たスミレの頭を自分の胸に埋めさせた。スミレはその一連の流れに少し目を開いた。そしてスミレの頭を撫でながらボルトは言った。

 

「前に言っただろ?俺はどこにも行かないって」

 

それはスミレが悪夢で倒れ、ボルトが看病してボルトがスミレの為にお粥を作ろうとした時、ボルトが離れてく夢を見た後だったスミレが反射的にボルトの手首を掴んだ時にボルトが優しく言ったセリフだ。・・・後々スミレにそれが理由で一緒に寝てと言われたが。

スミレはそれを聞きボルトの腕と胸の間で頷いた。

 

「俺は・・・皆の·····スミレの前からいなくならないってばさ。モモシキ何か逆に取り込んでやるってばさ!」

 

そうスミレを安心させるように・・・夢の人物と同じ事を言ったボルトを上目遣いでスミレは見た。それにボルトが少しドキッとしてるのには流石に気がつかなかった。そしてスミレは少しクスッと笑った。ボルトはそれが何でなのか分からず聞く。

 

「ど、どうしたんだってばさ?」

 

「うんうん、夢の中に出た人と同じ解決法言ってたから少し可笑しくて。」

 

「ゆ、夢?」

 

「うん。でも不思議な事を言う人だったよ。私の夢を通じて話しかけてるって言ってきたから。」

 

それを聞いたボルトはまた目を見張らきスミレをガン見した。スミレは真っ直ぐ見つめられてるのに照れながら聞く。・・・いつの間にか今朝まで暗かった感情が明るくなっている事に気づいた。

 

「な、何?ボルト君。」

 

「そ、そいつってどんなやつ何だってばさ?」

 

「えっと・・・肌は白かったよ。大筒木みたいに。だけど語りかけてくる口調は優しさがあったと思う。」

 

「まさか・・・あいつなのか?」

 

「ボルト君?もしかしてボルト君もそんな夢を見た事あるの?」

 

「あ、ああ。アカデミー時代の時に1度だけ。その時もそいつは俺に言ってきたんだってばさ。俺の瞳は希望だって。それで俺はカゲマサのあれをつけて」

 

それを聞いた瞬間スミレは思わず笑った。ボルトの顔はやたら赤くなっている。流石にあれは黒歴史になったようだ。ボルトは一時期カゲマサのオレンジ色の目を隠すものをつけてアカデミーに来て厨二病全開のセリフを連発していたのである。それを思い出しスミレは笑ったのだ。そんなスミレを少し黒歴史を思い出され羞恥の顔をボルトはしていたが少し満足そうにスミレを見ていた。それに気づいたスミレが聞く。

 

「ボルト君、どうしたの?」

 

「いや、やっと笑ってくれたってばさ!」

 

スミレはそれを聞き口をあの形にした。スミレは今日はあまり笑えていなかった。少なくとも心から笑ってはなかっただろう。だがボルトは自分の黒歴史を思い出させることで笑わせたのだ。そんなボルトの気遣いにお礼を言った。

 

「・・・ありがとう、ボルト君。」

 

「へへっ!どういたしまして、だってばさ!」

 

そしてスミレは1つの決心をした。ボルトを自分に振り向かせるという以外の決心だ。それは・・・

スミレはまたボルトの胸に顔を埋めた。ボルトはそれに驚いて何か言おうとしたがその前にスミレがそれを封じた。

 

「ボルト君、私決めたよ。」

 

「な、何がだってばさ?」

 

「私・・・ボルト君の楔をとる方法を見つける。見つけてボルト君もカワキ君も助ける!」

 

そう決意した顔でスミレは言った。その真っ直ぐさにボルトは少し見惚れたが直ぐにスミレが言った事を理解した。そして笑った。

 

「ああ、当てにしてるぜ、委員長!」

 

それでスミレも笑って返した。

 

「うん!」

 

そして2人は少しまたスミレがボルトの胸に顔を埋めてる状況が続きスミレは流石にもう恥ずかしくなってきたから顔を戻した。そしてボルトの顔を見て少し顔を傾けた。少し悩んでる顔だったからだ。

 

「ボルト君、どうしたの?」

 

「いや、ははは。なんでもないってばさ。それよりもスミレまだ時間大丈夫か?」

 

「うん。大丈夫だよ。」

 

「じゃあついてきてくれってばさ。」

 

「うん。分かった。」

 

そうして2人は立った。流石に周りは暗くなっている。2人は下に行こうと階段に行こうとしたがボルトがいきなり止まったからスミレも止まった。そしてボルトは・・・

 

「やっぱり決めたってばさ。」

 

そう言ってボルトはくるっと回ってスミレを見た。その目はいつにも増して真剣で、でも何故か羞恥も混ざっている顔だった。スミレは何故そんな顔になるのか分からず首を傾けた。そしてボルトは言った。

 

「その、スミレ少し向こう向いててくれないか?」

 

とボルトは反対に指を向こう側に指した。スミレはそれに不思議そうな顔をしたが頷いて反対に向いた。スミレの後ろでは少しボルトがゴソゴソしてる。そしてボルトはもう良いと言ったからスミレはもう一度ボルトに向いた。ボルトの両手が何故か後ろに回されてる。それについて聞こうとしたがそれを遮られまたボルトに言われた。

 

「じゃあ、次は目を閉じてくれってばさ。」

 

スミレはよく分からないがボルトが真剣そうだったから大人しく目を閉じた。そしてスミレは何故か首元に少しひんやりとしたものがあるのに気がついた。そしてボルトがまたもう良いと言ったからスミレは目を開け首元を見た。

 

「え·····?」

 

そこにあったのは綺麗な菫のネックレスだった。何か特別なものでも使っているのかこの暗い中でも輝いていた。だがスミレは何故こんな綺麗な物を首にかけてくれたのか分からずボルトをまだ理解しきれてない顔で見た。そしたらボルトはとびきりの笑顔を見せて言った。

 

「スミレ、誕生日、おめでとうだってばさ!」

 

「・・・あ」

 

そうだった。何か大切な事を忘れてる気がしたが誕生日だったのだ。そしてボルトは自分ですら忘れていた誕生日を覚えてプレゼントをくれたのだ。それに気がついた瞬間スミレの目が濡れてきた。だがそれは悪夢を見た時に流した嫌な涙ではなく、嬉しさで出てきた涙である事は疑いようもなかった。

 

「はわわ」

 

そう涙を流しながら言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして2人はそのままボルトの家に直行した。今回は人数がまだ少なめだからうずまき邸でする事になったのだ。

スミレはまだ事情を知らずボルトについて行ってる。尊そうにネックレスを見ていてボルトはそれに照れながら聞く。

 

「えっと、そんなに尊そうに見てたら何か俺が恥ずかしくなるってばさ。」

 

「ふふ、一生大事にするよ。」

 

スミレの誕生日プレゼントで1番嬉しいプレゼントだ。・・・というかそもそもあまりプレゼントを貰った事はあまり無い。恐らく科学任具班に行く時の送別会の時に貰ったのが最後だ。あのプレゼントはスミレの部屋に置いてある。·····ミツキの蛇の人形は少し置く場所に迷ったが。幼少期はあまり誕生日も祝って貰えなかったから尚更だ。アカデミー時代はそもそも皆知った時はもうスミレの誕生日が過ぎていた。その翌年はワサビとナミダに祝ってもらった。・・・その時ボルトは泊まりがけの任務に行ってて里にはいなかった。

そんなこんなにで2人はうずまき邸に到着した。そしてボルトはスミレの背を押しスミレの困惑をほっといて家に入りリビングに来たら・・・

 

パンパンととんでもなく大きい音がしスミレはそれに目を見張って口をぱくぱくさせた。そして·····

 

「「「スミレ、誕生日おめでとう!!」」」

 

「み・・・んな。」

 

そこにいた面子はワサビにナミダにサラダ、ミツキや猪鹿蝶、そして家主のうずまき一家である。カワキはまだ病院なうだ。何でもアマドが義手作りを手伝うらしい。

後ろからボルトがイタズラ成功みたいな顔を覗かせた。

 

「改めて、誕生日おめでとうだってばさ!スミレ。」

 

「あ·····ああ」

 

そう震える声を出し顔を手で覆った。そしてそんなスミレにワサビとナミダは一緒に抱擁してスミレも顔を覆っていた手を2人に回した。

スミレの誕生日はこれからが本番である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。スミレ誕生日おめでとう〜(っ’ヮ’c)。
という訳で時系列は漫画最新話の後ですね。楔の秘密を知った同期最初の女の子という有難い立場を貰ったからそれを活かさない手はないとこうなりました。
実際は楔はどうなるのか全く分かりませんがこうだったらもうボルスミ確定だな〜とか思いながら書きました。まあそういう訳であまり鵜呑みにしないでください笑。多分というか100パーセント外れてると思うので笑。(というかこれでもし当たってたら自分がスタッフ説になってしまう。)
スミレ·····また悪夢見る。ごめんなさい、ボルトの知らない所で精神的に参る方法が悪夢しか思いつかなかったんです。芸がないなーとは思ったんですが他の方法が思いつかず悪夢になりました。ただ一緒に寝た時とかは改変されてないからまだマシ。というかそこまで行ったらスミレが誕生日の前にぶっ倒れる未来しか無かったので甘いかなーと思いながらカットしました。
因みにスミレの悪夢の場所のイメージはThe LASTのナルトとヒナタのキスシーンの前に走ってた所をイメージしてくれたらいいです。
そしてトネリさん復活。ウラシキという術者が死んだから戻ってると思うんでスミレにアドバイスしました。トネリも鵺というか異界の事は気にしてたんで鵺の親のスミレの事も知ってるといいなーとスミレの事を知ってる設定にしました。
スミレの誕プレは最初腕時計にでもしようかなと思ったんですがそれじゃあもし戦闘になった時邪魔だなと思い少し考えネックレスにしました。ボルトもナルトもしてたから良いだろという。
カタスケとアキタの作戦の内容は書く所がなかったのでここで書きます。というか見てくださった方は何となく予想ついてると思いますがスミレの誕生日にナルトに頼んで任務休みのボルトを寄越すように言っただけです。スミレが休みの事を知ったら連れ回してくれるだろうと言う人心を利用するという笑。
では今日の0時になった時点でアンケートを締め切ります。バイバイ(ヾ(´・ω・`)


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スミレの気持ち

おはようございますm(*_ _)m
リクエストのやつです( 'ω')/
親子の日は通ってます。こっちの方が色々やりやすかった( ̄▽ ̄;)。取り敢えず漫画版との相違はこっちのスミレはアニメや原作よりもボルトの事が好きになってますので所々セリフ変えました。自分の主観がめっちゃ入ってるのでご了承ください。
レッツラゴー-=≡( ๑´・ω・)


「えっ?木の葉からですか?」

 

そう素っ頓狂な声をあげたのは紫色の髪を持った少女だ。セーラー服のような服を着て目の前にいる自分の上司である白衣を着て眼鏡をかけて少し小太りな人物とその隣にいる女性に顔を向けている。その小太りな白衣を着ている人物が笑って言った。

 

「そうです。向こうで少し火影殿に科学任具のテストをしてもらってからこっちに任務として私の護衛と科学任具のテストにも協力してもらいます。」

 

「は、はぁ。でも、科学任具のテストなら私も協力出来ると思うのですが·····」

 

スミレはそう言った。スミレは今スミレがいる科学任具班に引き抜かれる前まではスミレが言った木の葉の忍びだったからだ。・・・まあ正確に言えば一時的に忍者から離れているってだけだ。力が暴走しやすくなった鵺と上手く付き合い始めたら徐々に戻ってくつもりだ。それでも科学任具班を完全に辞める訳では無く半分半分でするつもりだ。そういう訳でスミレは科学任具班にいると言っても今は立派な下忍だから科学任具のテストなら協力出来ると思ったのだが・・・実際今まではそうする事もあったし。

 

「いえ、今回からはスミレ君にもテストを見て欲しいのです。もうそろそろいいんじゃないかなと思ったんですよ」

 

「え?それって·····」

 

「期待してますよ?」

 

そう笑って言った。スミレはそれに嬉しく思いながら笑って返した。スミレがテストをするのではなくテストを見る方になるという事はきちんとスミレにとって嬉しい意味がある。それは簡単に言えば認めて貰ったのにほかならないからだ。科学任具のテストはそれなりの知識がなければ見ても凄いねとかそんな誰にでも言える感想しか言えない。スミレも最初はそんな状態だった。だが忍びは7代目火影のような例外を除けば基本は科学を知ってはいるとは言えスミレは目の前にいる小太りな·····名をカタスケと言うがカタスケ程知識が無くだから今までは見る方ではなくテストする方に回ってはいたが今回は見る側に·····それはカタスケはスミレがテストを見るのに相応しい知識量を身につけたと値すると思ったのだ。

スミレは自分の父親の信楽タヌキには忍びの才能は無いと言われたが勉学においては元々優秀でアカデミー時代の科学の成績表を見てカタスケはスカウトをしたのだ。

 

スミレはその日の仕事を終え帰路につこうとカバンを背負った。そしてその後カタスケなどに挨拶してから帰路についた。その頭はやっぱり科学任具の事が多かった。スミレは今は科学任具班だがきちんと忍びの訓練は続けている。スミレとしても中忍にはなっときたいのだ。カタスケは普段から白衣を着ているから忘れやすいがあれでも特別上忍だ。でもまあどう中忍になるかはスミレ自身にも分からないのだが。普通に考えれば中忍試験だがあれはスリーマンセルで挑むものだ。だが今のスミレが元いた第15班にはもう侍の黒鉄ツバキが入って定員はもういない・・・侍には下忍などの階級はないからワンチャン中忍試験の時だけ変われるかな?ぐらいだ。それでも無理なら最悪前の中忍試験で唯一中忍になったシカダイの代わりに一時的に猪鹿蝶の第10班に入る事になるだろう。

 

「木の葉から来る下忍・・・か」

 

そうスミレは電車の中で呟いた。唐突に今日カタスケ達に聞かされた事を思い出してぽつんと呟いた。スミレはそれを聞いた瞬間に一緒にアカデミーの忍術科を卒業し共に忍びになった者達を思い出した。その思い出す時に真っ先に出てきたのは何故か同じ班員だったワサビとナミダでは無くコンマ数秒早く金髪が思い浮かんだ。いや、本当は分かっている。何故この人が真っ先に自分の脳裏に出てきたのか。スミレは口元をそっと触りながら続けた。それは自分がこの人の事が·····

スミレはそこで電車が木の葉に着いたアナウンスを聞き立ち上がった。そして駅に降りた時に目を見開き一気に心臓の鼓動を早くした。木の葉外から来るこの電車にはあまり人はいない。休日ならともかく今日は平日だからだ。だからスミレがその人を見て思わず止まっても誰の邪魔にもならなかった。スミレが見つめる先にいた人物はスミレを見つけるなり笑顔で寄ってきた。その人物は·····

 

「ボルト君·····」

 

「よっ!スミレ元気だったか?」

 

父親は7代目火影、母親は木の葉最強と謳われている日向一族の姫。スミレのアカデミーの同期にしてさっきスミレが忍者リストを開いた時に真っ先に出てきた人物。父親譲りの金髪と父親よりも蒼い目を持った少年·····うずまきボルトだった。だがスミレには何故ここにボルトがいるのか分からなかった。もう少しで晩御飯時だ。だから泊まりがけの任務や夜に行う任務じゃない限り・・・そして木の葉外で行う任務じゃない限り平日の夜にこんな駅に来る事はないと思ったからだ。だが恐らくボルトは任務じゃない。何故ならボルトの班員であるうちはサラダやミツキがいないからだ。そう思っていたらボルトが言った。

 

「スミレこの後時間あるか?」

 

「えっと·····晩御飯の材料を買いに行くぐらいかな?」

 

それを聞いたボルトは嬉しそうな顔をして言った。

 

「じゃあ丁度良かったぜ。母ちゃんがスミレを呼ぼうって言ってたから俺ん家行こうぜ!」

 

あの親子の日にスミレがボルトの家で晩御飯を食べ終え泊まることが決まりスミレがヒマワリを寝かしつけた後にリビングに戻った時にボルトに偶にここで食べないか?と言われそれから偶にスミレはうずまき家にお邪魔している。だが科学忍具班に行ってからは前程の回数は無くなっていた。

 

「え?良いの?」

 

「勿論だってばさ!!さあさあ!」

 

そう言って背中に周りスミレの背を押して行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、お邪魔します。」

 

そうおずおずと言ってうずまき邸のドアをスミレはくぐった。

 

「いらっしゃいスミレちゃん。」

 

「スミレお姉さんだ!」

 

「お久しぶりです、ヒナタさん。久しぶり、ヒマワリちゃん。」

 

その後4人はリビングに来てスミレはカバンを椅子の背もたれにかけ料理を作ろうとしたのだがもう出来ていた。スミレはそれなら茶碗洗いするって事になった。

 

「「頂きます!」」

 

そう4人は言って食べ始めた。美味しいと思ったものは作り方を聞いたりして団欒した。ナルトはまだ仕事中なんだそうだ。

 

「「ご馳走様でした。」」

 

そう手を合わせて言った。そしてスミレは真っ先にお皿を持ってキッチンに向かって皿洗いを始めた。そんなスミレの隣にボルトは来た。そして洗い終わった皿を拭いていく。

 

「えっと·····ボルト君、それも私がやるよ?」

 

「良いってばさ、偶には母ちゃんにも楽させたいからな。」

 

そう微笑んで言ってその気持ちを無下にする訳にもいかず2人はスミレがお皿を洗いボルトがそれを拭くという光景が出てた。·····因みにそんな光景をヒマワリはスミレがくれた狐のぬいぐるみを抱きながらニコニコして見てた。余談だが夏祭りの日にヒマワリがナミダに吹き込まれたのは『ボルトとスミレがもしお付き合いし始めたら本当のお姉さんになるよ?だからその為に2人きりさせてあげよう?』そう吹き込まれた。それを素直に遂行するヒマワリなのであった。

スミレは今は結構ドキドキしていた。皿を渡す時に偶にボルトの手と触れ合うのだ。·····というか今2人がやっている事が夫婦がやる事みたいなのもあった。それに気づいた時にほんのり頬を赤くした。

 

「お、これで最後だってばさ。」

 

そう言って最後の皿を拭き終わった。

 

「2人ともありがとうね。」

 

「い、いえ、この位大丈夫です。」

 

そうヒナタとスミレは言い合った。その時·····

 

「スミレお姉さん今日はお泊まりするの〜?」

 

とヒマワリがサラッと爆弾を放り投げた。スミレはあの日以来うずまき邸に泊まった事はない。まあ·····ヒマワリは泊まって欲しそうだったのだがスミレも家の事を一人暮らしとは言えあるから帰る方が多かったのだ。そしてとうとう痺れを切らしたようにヒマワリはあの甘えん坊モードが発動し徐々にスミレの心を罪悪感でいっぱいにする。ヒマワリ甘えん坊モード、それは今の所耐えられた者はいないというヒマワリ最強のモードである。·····次点で白眼の刑である。

 

「スミレちゃん久しぶりに来たんだから泊まっていってあげて。じゃないとヒマワリが泣いちゃうわよ?」

 

スミレはそれを聞きヒナタとヒマワリを交互に見て頷いた。それに嬉しそうにしながらヒマワリはスミレに抱きついた。その後スミレとヒマワリはお風呂に入り次にボルトも入った。そして今はヒナタが入ってる。ヒマワリはと言えばふかふかな椅子でぬいぐるみを抱えながら寝ていた。そんなヒマワリを見ながら2人は最近の近況報告をした。·····スミレはボルトが科学忍具にいい印象を持ってない事に気づいてる。しかしいくら自分が言ってもあまり印象は覆らないと考え何も言ってない。自分の目で見て感じないと印象は中々変わらないからだ。

そういう訳でスミレはカタスケから教えられた明後日の事は教えなかった。そんな時スミレはボルトの左の印をたまたま見てそう言えばこの印について聞いてなかったなと思った時にボルトから聞かれた。

 

「そうだ、スミレの左手のあの鵺のマークみたいな物ちょっと見せてくれないか?」

 

「え、うん。良いよ。」

 

そう言って少しチャクラを左手に込めあの鵺との契約マーク的な物を出しボルトに見せた。手のひらについた印という事でなにか共通点を探そうとしてるのだろう。その時

 

「はわわ」

 

その手を取られボルトが左手をじーっと見ている。手を取られている事にスミレはドキドキした。そしてボルトは少し考えていたが今自分がやってる行動に気が付き思いっきり赤面になりながら離した。

 

「あ、すまないってばさ。」

 

「あ、うんうん。大丈夫だよ。·····それよりボルト君の印って何なんだろうね?」

 

「分からないってばさ。モモシキと戦った後に知らない間についてたからな。」

 

ボルトはあの金縛りにあってモモシキに話しかけられた時の事は伏せた。スミレに余計な心配をかけさせたくないのだ。

 

「なにか·····悪いものじゃないの?」

 

「うーん、分かんないってばさ。」

 

「そう・・・なんだ。」

 

スミレは何かこの印の事を考えると嫌な予感がした。後にその予感が的中するのだがそれは少し未来のお話。

その後2人はスミレはヒマワリを連れてヒマワリの部屋に、ボルトは自分の部屋に引っ込んだ。スミレはヒマワリをベットに寝かしつけ自分もヒマワリの隣に轢かれていたマットにいそいそと入って思考した。半分はさっきのボルトの印について、もう1つは·····

 

(全くボルト君にアタック出来なかった。)

 

そう、それである。勿論ボルトとお話は沢山したがそれはいつもやっている事だ。勿論いつもやっている事が嫌という訳では無い。寧ろその時間もスミレにとっては大切だがいつも通りという事は新しい刺激が無かったという事でもある。·····まあヒナタがいる前で堂々とアタック出来たらそれはそれで凄いが。

 

(ボルト君は·····サラダと何かあったのかな?)

 

うちはサラダ、ボルトの幼なじみでボルトとスミレのアカデミーの同期、そしてボルトの班のメンバーだ。

何故サラダと何かあったのかと気にしたのか、それは·····ボルトが近況報告の際に7班で行った忍び監獄鬼灯城での任務の話をしていた時に唐突に気になった。ボルトはサラダの事はどう思ってるのだろうかと。ボルトとサラダは·····幼なじみでアカデミーの頃から何かと喧嘩していた。だがスミレは知っている。この2人は喧嘩はするが仲は良いという事が。そう考えた時

 

ズキン

 

そんな心の痛みが聞こえた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スミレがうずまき邸に泊まって2日後、スミレは今日も今日とて先端科学忍具研究所にいてこれから来るお客さん用にもてなしの準備をしていた。そんなスミレの心中は荒れてもいないが穏やかでもなかった。2日前の夜、ボルトとサラダの事を考えた時から少し胸が苦しいのだ。

 

(嫉妬·····なのかな?)

 

幼なじみの関係、腹の中では互いの事が分かってる、そして同じ班のメンバー。スミレがサラダに嫉妬してしまうのはある意味しょうがない。まあだからと言ってスミレは今の立場が嫌という訳では無い。ナミダやワサビと過ごした時間はかけがえない時間だし鵺との関係の為にここにいるのはスミレが望んだ事でもあるからだ。

スミレは時計を見てお昼頃の電車で来ると言ってたからもうそろそろかな?と思い入口に向かった。そして思わず

 

「はわっ!」

 

その声で前にいたカタスケ以外の3人は振り返って来た。スミレは思わず呟いた。

 

「ボルト君!?」

 

「よおスミレ!一昨日ぶりだってばさ!」

 

うずまきボルト、その人とボルトの班のメンバー、ミツキとうちはサラダだった。その後スミレ達は応接室に向かいスミレは用意してた飲み物をそれぞれの前に置いて言った。

 

「里から来る忍びってボルト君だったんだ。ビックリしちゃったよ。」

 

そしてスミレはボルトの隣にサラダがいるのを一瞬だけ見て

 

ズキン

 

またそんな音がしたような気がする。それを認識しない為に話を振る。

 

「サラダもミツキ君も元気だった?」

 

ボルトが元気だったのは一昨日で知ってるから2人に聞いた。

 

「当然!火影になるまでくたばる暇なんてないもの。」

 

「僕も元気だよ。」

 

そう2人は言った。スミレとしてはやっぱりミツキの変化に割と驚いている。アカデミー時代はずっとボルトにくっついてあまり自分の意見は言わなかったがある事件を境によく自分の事を言うようになった。それでも一般常識が少し抜けているのは否めないがアカデミーよりも全然マシになっただろう。

そんな時、サラダが何か心配そうな顔で聞いてきた。

 

「スミレ、何かあったの?」

 

「え?ど、どうして?」

 

「何かさっき一瞬だけ暗い顔したよ?」

 

「うんうん、何でもないよ。」

 

そう言った、まさかサラダに嫉妬してるかもしれないなんて本人に言える訳ないだろという。サラダは釈然として無さそうだが本人が何でもないと言ってる以上聞くのはやぶ蛇だ。そんな時カタスケの助手の犬塚アキタが来て何やらボルト達にはよく分からない話が目の前で繰り広げられた後ボルトが言った。

 

「じゃあスミレ、そろそろ帰るわ。」

 

だがスミレは不思議そうな顔でボルトに言い返した。

 

「帰るって·····これからでしょ?任務。」

 

「え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそ、聞いてねえぞ科学忍具のテストなんて」

 

「あんたが最後まで聞かず火影室を飛び出したからでしょ?」

 

そう幼なじみが向かい合って会話する。スミレはさっきまでの思考を一旦止め仕事モードに入った。

その後ボルトはミツキと共にサラダと戦った。最初ボルトが攻めたが途中で足払いをされコケた。そこにミツキが蹴りをしながらサラダを上にジャンプさせた。そのジャンプしたサラダの足をミツキは腕を伸ばし捕まえ無理やり下に下ろした。その時ボルトがサラダを殴ろうとしたがそこで科学忍具が使われた。煙閃光弾だ。それによってサラダ以外の2人はピタリと動きを止めサラダにクナイを当てられ

 

「はーいそこまで。どぉ?煙閃光弾の威力は?強烈な光と音で感覚を麻痺させる科学忍具よ。結構良いでしょ?」

 

スミレとしてもこの科学忍具は便利だ。合図するか1体1の時にしか出来ない欠点はあるがそれなら煙閃光弾に反応しその一瞬だけ目と耳の機能を一時的にシャットアウト出来る科学忍具があれば全身人造人間·····みたいな人達なら分からないが普通の人間なら優勢にたてるようになる。

その後3人は音を消す科学忍具·····の割に大がかりなシジマ、そしてファンデルワールス力を応用した手袋とブーツだ。スミレは割と無意識にボルトを見ていたがやはり科学忍具には何か思う事があるようだ。だかやはり男の子なんだろう楽しいと分かった暁には楽しそうにしていた。それにスミレも少し嬉しくなった。

そして今は凧みたいな4角上のものにボルトは張り付いて実験場の空を舞っていた。·····もうこの時になったら誰が見ても明らかな程はしゃいでいた。だがそんな時いきなり暴走した。

 

「ボルト君!?」

 

「あらら、やっぱりまだコントロールに難ありね。安定翼をつけた方がいいかしら?」

 

何かのほほんとアキタが言っているがスミレは暴走したのを見た瞬間に割と直ぐに飛び出した。そのスピードにその場にいた全員ビックリした。そしてスミレは恐らくまだ痛くて受け身が取れないかもしれないボルトの所に飛んでボルトを·····夏祭りの時にスミレがされたお姫様抱っこを今度はスミレがボルトにした。·····あれ?お姫様抱っこと言うのだろうか?まあそれは置いときスミレも元忍びだから人一人抱っこするのは割と簡単だったりする。そしてスミレはその体勢のまま着地して聞いた。

 

「ボルト君大丈夫!?」

 

その慌てようでもうほぼその場にいたメンバーはスミレがボルトの事をどう思ってるのか気がついた。・・・肝心のボルトは気がついてないが。因みに分かってないのはお馴染みのミツキだ。ミツキはどちらかと言うとスミレが出したスピードが自分が知ってるのよりも速くなっていた事に感心してた。

そしてボルトは今の自分の状況を理解したと同時にめちゃくちゃ赤面になって慌てて言った。

 

「だだだだ大丈夫だから下ろしてくれってばさ!」

 

「え?あっ!ご、ごめんなさい!」

 

そう言って思わず両手を引いて戻した。つまりボルトは今支えられているものが無いわけで

 

「いてっ!」

 

まあこうなります。

 

「はわわわ!!ごめんなさいボルト君!!」

 

「あ、うん。大丈夫だってばさ。」

 

そう両者赤面のままボルトは立ち上がった。スミレはそんなボルトの顔に傷があるのを見て言った。

 

「ついてきて、ボルト君。」

 

「?おう。」

 

そして2人は実験場の隣の休憩スペースに来た。ミツキとサラダはそれぞれ気に入った科学忍具を使っている。スミレはボルトをソファーに座らせ棚に置いてた科学忍具を取りボルトの隣に少し頬を染めながら座った。ボルトはむすーんとしている。

 

「はわわ大丈夫?ボルト君。」

 

「俺としたことがついはしゃいじまったぜ。」

 

スミレはそんなボルトに少し寄って言った。

 

「ちょっとジットしててね?」

 

そう言ったのと同時にスミレは持ってた科学忍具をボルトの頬の傷に吹きかけた。

 

「おわ!な、何だこれ?泡?」

 

「これもカタスケ先生の新作なの。自然治癒力を高めて傷を治してくれるの。そのまま膜になって傷口も塞いでくれんだよ。」

 

ボルトはそれを聞き隣の実験を見る為の所にいるカタスケを見た。そしてスミレに聞いてきた。

 

「スミレは・・・さ。信頼してるんだな、カタスケ先生のこと。」

 

スミレは少し黙り言った。

 

「うん。信頼もしてるし尊敬もしてるよ?私もアキタさんも。」

 

スミレは正直にそう言った。スミレは正直最初はあまりカタスケの事は尊敬もしていなかった。スミレの中にあったカタスケはボルトに科学忍具を使わせ中忍試験を間接的に失格にした張本人だからだ。勿論1番悪いのはボルトだがそれでもカタスケがボルトに科学忍具を進めなかったらボルトはあんな苦痛の叫びもあげることは無かっただろう。だがスミレはここに来てカタスケの見解を180度変えた。カタスケを一言で言えば真摯なのだ。科学忍具を作り・・・そしてその科学忍具で誰かを救おうとしている姿を短期間で何度も見た。例えば·····

 

「ワン!」

 

「ちょっと茶丸!」

 

見る為のスペースから1匹の犬が飛び出しボルトの元に来た。

 

「わっ!ははっ!懐っこいなお前!」

 

「ワンワン!」

 

「こらこら」

 

そう言ってボルトは何かに気が付き茶丸を持ち上げ呟いた。

 

「そっか、お前足が。」

 

そんなボルトを見てアキタは茶丸を呼んでボルトに言った。

 

「この子は元々うちの忍犬でね。任務で足がね。私としては生きてるだけで良かったんだけどやっぱり茶丸は元気が無くなって。そんな時カタスケ先生がこう言ったの。『「忍犬」としてのこの子を支える脚を作りましょう!ってね·····!』それからなんだ。私が先生の助手になったのは。」

 

そう言ってアキタは茶丸を下ろした。

 

「今じゃケガする前よりも元気になっちゃって。」

 

降ろされた茶丸はカタスケの所に行き抱っこしてもらっている。

 

「力のない人、大切な何かを失った人、そんな人達の笑顔を取り戻す希望の光。それが先生にとっての『科学』なんだと思う。」

 

ボルトは目をカタスケと茶丸に向け黙って聞いている。

 

「科学忍具のこと、君は気に入らないのかもしれないけれど、皆を支えたいって気持ちは同じなんだよね。君も先生も。それだけは覚えておいて。」

 

そのまま場は沈黙したが茶丸との戯れが終わったカタスケがひょこっと出てきて投げながら言ってきた。

 

「若、こういうものはどうです?」

 

ボルトはその科学忍具を受け取った。スミレも初めて見る科学忍具だ。そしてカタスケが持ち方とスイッチのオンオフのやり方を教えボルトはソファーに座ったままその動作をした。その時いきなり青い刃が出てきてボルトもスミレもビックリした。

 

「己のチャクラを刃にする。『チャクラ刀』です。」

 

「すげぇ」

 

そう呆然と呟いた。だがカタスケは申し訳なさそうに欠点を説明した。

 

「先程と同じやり方をすれば納刀出来ます。実は今の所チャクラを吸いすぎてしまいまして長時間は使えません。」

 

「なんだ。使えねえなぁ。」

 

「ははは、精進致します。」

 

そう苦笑いで言った。ボルトはチャクラ刀をじっと見た後カタスケに言った。

 

「あの義手、父ちゃんの手はさ、里を、皆を守るための手なんだ。だから·····さ。これと同じくらいすげーカッケーのにしてくれよな!」

 

この瞬間ボルトは科学忍具を認めた。そう分かったらスミレは嬉しかった。

 

「ええ!勿論ですとも!」

 

その時、ボルトの父の7代目火影のナルトから電話があった。内容はボルト達の担当上忍、猿飛木ノ葉丸と相棒のムギノとの連絡が国境付近で取れなくなった。1番近いのがボルト達だから今の任務を中断し見に行ってくれと言うことだ。3人は勿論それをOKした。カタスケと茶丸も同伴する事になり一同は先端技術研究所の入口に来た。カタスケは何やら準備して来たのだが·····ごつかった。元々介護用のパワードスーツなのを戦闘用に改造したんだとか。そんなカタスケをボルトは呆れた目を向けたが邪険にはしなかった。そんなボルトを見ながらスミレは思ってた事を·····ボルトを意識し始めた時から気になってた事をサラダに聞いた。

 

「ね、ボルト君ってモテるのかな?」

 

ボルトは顔は四代目の血なのか所謂イケメンの部類には入っている。まあ·····アカデミー時代のイタズラ小僧のイメージのせいで少しあれだがスミレから見てもボルトの性格は・・・まるで太陽の様だと思っている。スミレはそんなボルトの性格に惹かれたのだ。

 

「さあね、誰とでも直ぐに仲良くなっちゃうって言うのはあると思うけど」

 

スミレはそうだろうなと思った。修学旅行の際にも案内役だった霧隠れの中忍のかぐらとも直ぐに仲良くなっていた。

そしてスミレは·····自分の胸が苦しくなるのを感じながら自分の首を絞めるかもしれない、でもどうしても聞きたかった事を聞いた。

 

「·····サラダは気にならないの?ボルト君の事。」

 

そう言い切った瞬間何か言葉では言い表せない感情が広がったが顔には出さずサラダの答えを待つ。

 

「はぁ?何それ?なる訳ないでしょ。」

 

そう聞いた瞬間スミレは·····正直に言えば安心した。その気持ちが大きかった。ここでスミレは考えた。サラダにだけ言わせて·····まあサラダからすればそんなに意識して言った訳では無いだろうがサラダにだけ言わせて何か自分だけだんまりなのは悪いと·····いや本音を言えばサラダがこれからボルトを好きになるのかもしれない。だからスミレは言っときたかった。そもそも今の問いで多少ボルトの事は意識してしまうかもしれないから今更と割り切り恥ずかしいが言った。

 

「私は·····気になるよ。ボルト君のこと。」

 

「·····」

 

サラダは驚いた顔をしスミレを見た。スミレはそんなサラダに微笑んだ。その時ボルトから声がかかってサラダは3人と1匹の所に向かう時にサラダは言った。

 

「えっと、じゃね!スミレ。」

 

「うん。ボルト君や皆の事、よろしくね?」

 

「はいはい!」

 

そう言って走っていき最後にボルトが言った。

 

「じゃあなスミレ!またゆっくり話そうぜ!」

 

そんな4人と1匹が見えなくなるまでスミレは手を振り続けた。そして見えなくなると深呼吸した。そしてまた赤くなってちょっぴり今のやり取りを後悔した。オマケに最後のセリフも聞きようによってはサラダを焚き付けたかもしれない。あのよろしくねの最初にボルトの事を言ったのは普通に自分の好きな人だからよろしくねって意味で言っただけである。好きな人が真っ先に来るのはある意味しょうがない気がする。

自分でやっといて何だがあれでサラダがボルトの事を意識し始めたら·····。そう考えた時やっぱり言うべきじゃ無かったかな?と思ってしまったがそれでも・・・親友でライバルになるかもしれないサラダには言っておきたかった。勿論もしこれでサラダもボルトを意識し始めたらはっきり言ってスミレは圧倒的不利だ。·····少なくともスミレはそう思っている。普段からパカすかサラダと違って会える訳では無い自分ではアタックチャンスは少ない、でも言ってしまったものはしょうがないと割り切りスミレは入口に入る前にもう一度ボルト達が走って行った方向を見て心で言った。

 

(例えそうなっても·····サラダには負けない。)

 

そう悪く言えば勝手に1人でライバル視を始めた。まあだからと言って2人の仲がわるくなる訳では無い。それだけでは2人のアカデミーからの繋がりは消えない。

·····余談だがスミレは自分が圧倒的不利だと思っているが実はそうでもなかったりする。・・・いやだってね、恋人でもないのに何回もうずまき邸にお邪魔したりボルトと夏祭りで一緒に回ったり手を繋ぎながら花火を見たり·····ぶっちゃけ今だけを見るならスミレの方が圧倒的に有利だったりする。

 

まあそれはさておいてスミレは最後に心の中で呟いた。

 

(気をつけてね、ボルト君、皆。)

 

そうこれから新世代の対決に向かうボルト達に言った。

 

 

 




お疲れ様でした(´・ω・`)。
スミレってその内普通に復帰すると思うのですよ(。'-')(。._.)
だって鵺と付き合っていくために科学忍具班に行ったのにそのまま科学忍具班にいるなら少し?となったので復帰すること前提に書きました。力を持っても付き合っていきたいって意味だろうしただ付き合うだけならミニ鵺にずっとしとけばいいだけだし。
そう言えばこの話の漫画版を確認の為に見てて思ったんですが·····サラダ任務なのにヒール履いていいの( ˙꒳˙ )???となりましたね。何かよくよく見たらヒールじゃん!ってなりました笑。
それからスミレの気持ち云々は作者があの場面を見てて自己解釈したものです。ぶっちゃけボルサラの人達が言ってるあれは応援っていう言い分は(ヾノ・∀・`)ナイナイ。ボルトSDでスミレがサラダにボルトの事どう思ってるのと聞いてその後に私はサラダに負けないって言ってたしね。応援ならそんな事言わない。
まあそういう訳で自分が勝手に解釈したものなので本当のところは分かりませんが自分はこうだったらいいな〜!と書きました。
(*´∇`)ノ ではでは~


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ボルスミ単体のお話 (親子の日 ifとは繋がってません)
星降る夜 if


今回はアカデミー編までバックです。親子の日とは繋がってません。この話単体で見た方が良いです。
あの永遠鯉の時の話です。では⊂('ω'⊂ )))Σ≡GO!!


アカデミーの卒業を間近に迫ったある日、永遠鯉という鯉を釣りにキャンプに行こうとアカデミー忍術科の中心人物、うずまきボルトが仲の良い人達に声をかけ同じく忍術科の雷門デンキの父親が経営する雷門カンパニーという会社が近日オープンするキャンプ場にモニターとしてキャンプをしに来てそして釣りをした。

がしかしその永遠鯉はキャンプの前日の大雨で水位が上がってしまい岩に隠れてしまい元から釣るのが難しいやつが更に難しくなってしまい、ボルト以外の一同は1度諦め、キャンプ名物のカレーを作りに行きそして食べ終わったボルトはまた釣竿を持って釣りをした。そしてそれを後から来た少女2人·····うちはサラダと筧スミレはボルトと反対の方に腰を下ろし会話をする。

 

「私はボルト君のおかげで変わる事が出来たから、これからも、皆と!」

 

そう言ったスミレは2人に振り向いたが2人して見つめられて慌ててよく分からない行動したスミレだが直ぐにボルトの釣竿に起こってる異変に気がついた。そしてボルトは引っ張られて行ったがサラダが間一髪ボルトの服をつかみ止まる。だが永遠鯉の力が強く2人がかりでも引っ張られていた。それに糸が切れる心配もあった。

だがスミレは自身が最初は兵器として育て、しかし眼前にいる金髪の少年、ボルトにこの子は自分の事を親だと思ってると指摘され、それからは親友として、そして子供として育てた獣を口寄せした。

その名は鵺。ダンゾウが残した負の遺産であるが今では唯一のスミレの家族である。スミレは鵺を使い里に反逆をした。しかしそれはスミレの父親の怨念がスミレにそうさせてしまった。だがボルトのおかげで目を覚ました。

その鵺はチャクラを出しボルトとサラダが握る釣竿をコーティングし、糸が切れないようにした。

 

「ボルト君が教えてくれた。私も皆と一緒にいていいんだって。」

 

「当たり前だろ、委員長がいないクラスなんてありえねえってばさ。」

 

そう背中越しに言う。そして肝心の永遠鯉は3人の力で合わせてもまだ釣れずそれ所か少しまだ引っ張られている。だがそこにアカデミーの面子が後ろから、空から来てボルトとサラダを援護し、とうとう永遠鯉を釣り上げた。

 

そしてその永遠鯉を焼いて食べた。その後は皆で都会では見られない満天の星空を見上げ各々アカデミーの思い出を思い出していた。

スミレのその脳裏にはボルトとの思い出が浮かんでいた。

最初にボルトを見た時、それはスミレ自身がデンキを暴走させて鵺にチャクラを集めさせようとした。だがデンキはボルトのおかげで正気に戻り尚且つ自分の道を決めた。そしてその副産物でボルトは雷車を自身の父親である7代目火影の顔岩に雷車を突っ込ませた。

 

「うずまきボルト、入学式に飛び入り参上だってばさ!」

 

スミレは初めて見るボルトのその清々しい顔に最初は火影の息子だからボンボンだろうと思ったが少し違った。その顔は今までスミレが見たことない種類の顔だった。何とも言えない気持ちになった。

 

そしてボルトの謹慎が終わり初登校したその日にまたもや騒ぎが起きた。2回連続留年した生徒、結乃イワベエとの喧嘩騒ぎだった。そこでスミレは初めてボルトの本質を見た。

友達が傷つけられたらその友達の為に怒ったり戦ったりする優しい少年であった。そして、親が火影の事を鼻にかけない人だ。

そしてその実力はアカデミー生の中では飛び抜けていると言えた。

 

その後もボルトはスミレの行いまいた種を見事に解決していった。スミレは父親の怨念が頭に纏わりつきながら罪悪感を増やして行った。決定的に罪悪感が出たのはボルト達の担任、油女シノにボルト達曰くゴーストを取り付かせた時だ。

 

 

 

 

スミレは皆と星空を見た後、幾らかお話をしてテントに皆引っ込んだ。当たり前だが女子3人は同じテントだ。そして眠りに落ちたかと思ったが起きてしまった。

 

「あ、起きちゃった。」

 

まだ眠い目を擦りながら横目でサラダとチョウチョウを見つめた。その顔は微笑んでいた。

 

(私の·····初めての友達)

 

スミレが委員長に立候補した後に話しかけてきたのがこの2人である。そして2人は親友になってくれた。それが今まで1人だったスミレには嬉しくて嬉しくて。

その時に「はわわ」と言い始めた。それは元々の口癖と言う訳ではなかった。この2人と初めて話した時に思わず出てしまい、弱そうな女の子を演じる為にその後も困った時に使い始めた。そしてその内本当に口癖になった。

 

スミレは少し悩んだが静かにテントをパジャマのまま出た。そして皆と話してた時に使った丸太の上に座った。そして1人で未だ満天の星空を見上げた。

 

·····皆と見る星空もいいけど、出来るならあの人と一緒に2人でこの星空を見たいなあ

 

そう思ったが直ぐに顔を横に振った。自分でそんな事を言う勇気が出ない。ただでさえアカデミーの前は人見知りだったのだ。そもそも話す人が父と母しかいなかったのもある。

それに·····まだ罪悪感がある。そんな思いが胸の中に秘めながら星空を見ていたが見入りすぎて背後から近づく人に気が付かなかった。

 

「ふわああ、あれ?委員長どうしたんだ?こんな時間に。」

 

その声にビクンとしながら後ろに振り返った。そこに居たのは白いTシャツを着ているこのキャンプの主催者である、そして先程頭に思い浮かべた人物、うずまきボルトだった。

 

「ぼ、ボルト君!?」

 

「?おう。で、どうしたんだってばさ?」

 

「え、えと·····その」

 

頭に思い浮かべた人がいきなり現れ内心めちゃくちゃ動揺している。そして満天の星空にこの2人きりの状況に心臓がバクバクしている。そんなスミレの気持ちはボルトにはわからず隣に腰を少し離れてかけられた。

 

「えっと、その、起きちゃったの。何か悪い夢を見た訳では無いんだけどね。」

 

「ふーん。そっか。」

 

そのまま2人で星空を見上げた。ボルトの表情はいつもとは変わらず、どちらかと言うと星空に見とれている顔だがスミレの顔は真っ赤とは言わないがほんのりと赤くなっていた。だけどそれと同時にボルトにしたことも思い出し、罪悪感が少し出ていた。顔も少し暗くなっていた。

 

「気にする事はねえってばさ。」

 

「えっ?」

 

「どうせ俺に迷惑をかけた事とか思い出してたんだろ?」

 

「な、何で?」

 

そう思わず言った。スミレはそんな事を一言も言っていない。なのに自分が考えた事を当てられ少し動揺した。

 

「そんなの簡単にわかるってばさ、なんたってクラスメイトだからな!」

 

そう言ったボルトは最初見た時と同じ笑顔を見せて来た。スミレは最初自分ではこんな顔になることはないと思った。しかしボルトやサラダ、そしてクラスの皆のおかげで今は素直に笑えるようにはなった。

·····まあ初めてサラダやチョウチョウのおすすめのスイーツの店に行った時は初めてのあの味を感じた時は思わず泣いてサラダに少し変な目で見られた事はあるが。しばし絶句してからスミレはボルトに向けていた顔を自分の腕の中に埋もれさせた。

 

「やっぱり凄いね、ボルト君は·····」

 

「そうか?」

 

少し赤くなった顔を隠す為にスミレは少し埋もれさせていたが少し時間が経ちあげた。

 

「うん、そうだよ。」

 

そう言ってまたもやどちらも沈黙になった。スミレとしては何か話したいが残念な事に他の女の子と違って流行などは全く分からない。そう思っていたらボルトが問うて来た。

 

「委員長はアカデミーは楽しかったか?」

 

スミレはしばし考え答えを出した。

 

「うん。楽しかったよ。これからも楽しい事があると思うから楽しみだよ。」

 

「はは、そうだな。俺も·····楽しみだってばさ。」

 

そう言ったボルトは先のスミレと同じく何故か暗い顔になっている。スミレは何故そんな顔になっているのか分からず、顔をこてんと傾ける。

 

「どうしたの?」

 

「あ、いや。何でもねえってばさ。」

 

その表情から嘘をついてるのは明白だ。

 

「嘘。」

 

「えっ?」

 

「嘘つくのはダメだよ?·····偶には私にも相談にのるよ?委員長としてね。」

 

ボルトは暫く顔を伏せたが何かを決心しようにボルトに見てきた。その顔を見たスミレは思わず治った顔をまた赤くした。だがそんな事をはほっとかれその相談内容を言った。

 

「委員長は·····さ、忍者に何でなりてえんだ?」

 

スミレは少し考えた。そして割と直ぐに答える。

 

「·····こんな私を友達にしてくれた皆に恩返しする為、かな?」

 

「そうか·····。俺はさ、何で忍者になりたいのか、分からないんだってばさ。」

 

それを聞いたスミレはまたもや少し考えた。正直に言えば少し面食らったのは否定できない。何故ならボルトはストレートに忍者になると思ったからだ。しかし考えてみればモチベーションが低いのはある意味仕方ないかもしれない。

何故ならボルトはどちらかと言うと、最初からあまりやる気がないように思えたからだ。

だからスミレなりに思った事を言った。

 

「良いんじゃないかな?分からないままでも。」

 

「えっ?」

 

「分からないからって無理にそんなに動機を決めなくても良いんじゃないかな?私の場合は直ぐにぱっと思い浮かべたように見えたかもしれないけどこの思いはあの時から変わってないよ。」

 

あの時というのはスミレが起こした鵺の事件の後にスミレは留置所に暫くいた後にスミレがアカデミーに帰った時である。その時クラスメイトは暖かく迎えてくれた。そして横にいる少年、ボルトにサムズアップした時には泣いた。

 

「動機なんてその内自ずと出るよ。誰かを助けたい、誰かの為になりたい、」

 

そして星空を見ていた顔をボルトに向けた。ボルトは何故か少し顔が赤くなっていたがスミレは最後の言葉を言う。

 

「それに、誰かを見返したい、とかね。」

 

それを聞いたボルトは少し顔を下げたが直ぐにぱっと顔を上げた。顔を下げた瞬間に何を考えてたのかスミレは分からないがボルトの顔を見た時、もう大丈夫だろうと思った。

 

「サンキューな、委員長。そうだな、なりたい理由、やりたい理由何て自ずと出るようになるか。」

 

ボルトはそう言って少し黙ったが突然立ち上がった。スミレは思わずビクッとしたが問いかける。

 

「ど、どうしたの?」

 

「少し待っててくれってばさ。」

 

そう言ってボルトはまたテントの中に入って行った。そしてまたそーっと何かを持って出てきた。そしてスミレを手招きして草草の上にそれをひいた。それはレジャーシートだった。ボルトはその上に寝っ転がった。スミレにも勧める。

 

「委員長も寝ろってばさ。そうだ、鵺も呼んだらどうだ?」

 

「いいの?」

 

「勿論だってばさ。」

 

それを聞いたスミレは口寄せの印をしてさっきも呼んだ鵺を口寄せした。その鵺は先程と同じように上から落ちてスミレの肩に乗った。スミレはボルトの横に寝っ転がった。鵺はその時に降りてスミレとボルトの間で丸くなった。それはボルトをこれ以上主に近づけないようにする為にも見える。

 

「綺麗だな。」

 

そう隣から聞いてきたボルトに返事する。

 

「うん、本当に綺麗だよ。」

 

そして暫く2人ともだんまりだったが鵺の尻尾がスミレをちょんちょんと触りそれは鵺が「何か話せよ」って言ってるように聞こえたから少し勇気を出して話しかけた。

 

「ボルト君はアカデミーに凄い登場の仕方をしたね。」

 

その時を思い出して思わず少し笑った。ボルトも思い出したのか笑って返す。

 

「ああ、まああん時の登場の仕方は俺のかっこいい登場の仕方の5本の指に入るってばさ。」

 

そう言って星空に手を広げ突き出した。それはスミレの目にも見えた。あの時を反省するように言う。

 

「·····あの時に私は初めて罪を犯したんだ。」

 

スミレは鵺の頭を撫でながら言う。あの時は本当にどうかしてたと自分でも思う。アカデミーの入学式の前日にデンキを見つけた。それは父親が言った弱い心の持ち主で暴走させやすかったのだ。そして·····取り付かせた。しかしスミレは全く予想だにしない事態になった。入学式当日、自分の罪に震えながら出た入学式。ボルトとデンキは清々しい程の遅刻の仕方をした。そのボルトの表情はあの時の自分には眩しかった。

 

「でもデンキが言ってたぜ?あれのおかげで忍びになろうとする決意が出来たって。だから気にする事はねえってばさ。」

 

それはスミレ自身があの入学式の後にボルトが謹慎中にデンキに聞いた事だ。

そして次に話したのはイワベエとの決闘の話だ。

 

「あの時は凄く焦ったよ。」

 

「はは、悪かったってばさ。でも俺は後悔してねえぜ?あれがなきゃイワベエと仲良くなれなかったしな。」

 

「うん、そうだね。あの時のイワベエ君は忍者になれなくて焦ってた時だもんね。結果的にいい方に進んで良かったよ。」

 

そして次はメタルのあの時の話だ。

 

「メタルは緊張を無くせばすげえんだけどなー。実際あの時シカダイ達と手を組まなきゃやられてたぜ。ああ、委員長を責めてる訳じゃねえからな。」

 

「うん、確かに凄いよね。体術じゃ私は勝てないよ。」

 

「俺も体術だけなら負けるってばさ。まあ忍術ありきでも分からないけどな」

 

スミレやボルトはもう実力だけなら下忍、もしかすると中忍レベルかもしれないが体術を重点的にやっているメタルに体術では敵う怪しい所だ。

 

そして次にマギレの時の話だ。

 

「あの時は·····自分で言うのもあれだけど本当に怖かったんだよ。ボルト君たちが来てくれた時は本当に嬉しかったんだ。」

 

自分でそう言ったが自分でやった事も一緒に思い出した。だけどそんな時ボルトの手をスミレの手に重ねてきた。思わず横を見たがボルトはまだ上を見てるまんまだった。スミレも振りほどこうとせず上に向いて星空を見た。ボルトの手から伝えられてくる温度が「気にするな」って言ってるように聞こえた。

 

「·····マギレ君には本当に悪い事をしたと思うよ。でも·····正直に言うなら好意を向けられた時、少し嬉しかったんだ。今まで誰からもそんなの向けられた事何てなかったから。」

 

「・・・そうか、今マギレの事はどう思ってるんだ?」

 

少し悩んだが迷わず答えた。

 

「嬉しいとは思うよ?でも私もう好きな人が·····」

 

そこまで言ってはっと気がついた。そして自分で言った事に気がつきみるみる赤くなっていたことが自覚できるほどできる。それも今1番聞かれたら少し恥ずかしい所ではない。ボルトは少し経って聞いてきた。

 

「えっ!?委員長好きな人いるのか?どんなやつだってばさ?」

 

「はわわわ、えっとそれは·····。」

 

「どんなやつなんだよ?」

 

·····まさかあの時マギレがやった事を自分でもやってしまうのかと思ったがボルトは名前を言えって言ってる訳じゃない。そう無理矢理納得する。·····少々所かめちゃくちゃ恥ずかしいがこれを言ったら何か変わるかもしれない。そんな渋い思いをひめながら言うことにした。

 

「·····優しい人だよ。友達が傷ついた時、怒られた時、間違った時。怒ったり、庇ったりしてくれる人だよ。·····私もその人のおかげで救われたんだ。」

 

スミレとしてはもうこの段階で赤いのなんのってなっていたがボルトは割と直ぐに答えた。

 

「そうか、確かに良い奴だな!そいつの事を大事にしろってばさ!」

 

スミレの心の中では唐変木って言う気持ちをボルトに言ったが今はこれでもいいと思った。今のこの時に隣にいてくれる事が孤独だったスミレには暖かく、嬉しいと思うから。

·····あの時の私には全然想像出来なかったな。

 

「お母さんが·····」

 

「?」

 

「お母さんがね、私に最後に言ってくれた言葉とその人が残してくれた言葉が今の私の原動力なんだ。」

 

「へー、何て言ったんだ?スミレの母ちゃんは。」

 

「『あなたの幸せはきっと別の所にある。』って言っていた。復習の道何かじゃなくて本当の幸せが。」

 

「いいこと言う母ちゃんだな。それでもう1人は誰なんだ?」

 

ボルトはそれと同時にスミレに顔を向けた。スミレもそれを感じ自然に横を向いてボルトを見た。その透き通るような青い目で見つめられて少し照れたがとびきりの笑顔で言った。

 

「秘密!」

 

「えーーーっ!それはねえってばさ委員長。」

 

「ふふ、それを聞きたいならボルト君の気になる人とかいるなら教えて欲しいな。」

 

それを聞いたボルトは少し黙った。スミレは内心自分で言った事にある可能性がある事を失念していた。

うちはサラダ、2人からの今までの情報である可能性だってある。

2人は親同士が仲がよく、小さい頃からの知り合いで所謂幼なじみである事を思い出した。アカデミーの図書室にあった恋愛小説みたいなものを見た時のその設定は幼なじみの恋だった。この2人は普段は仲が悪いが、いざとなった時のコンビネーションはバッチリだ。

·····この2人が互いに好きになることだってあるかもしれない。いや、その確率が割と高い。

 

「·····サラダはどうなの?」

 

自分で自分の首を絞めるかもしれない質問をした。でも知りたかった。それと反対に胸の中はモヤモヤが出ている。

 

「·····サラダはどちらかと言うと友人だな。」

 

「え?なんで?」

 

「なんというかな、少なくとも父ちゃんと母ちゃんみたいな雰囲気にはなれないと思うからだってばさ。」

 

ボルトの脳裏にあるのは火影就任前のナルトとヒナタだ。そういう人がまだいないボルトにもあの2人が仲が良い、それだけは分かる。

そしてあの2人みたいにはサラダとはなれない。それだけは何となく分かる。それにあんな雰囲気ならどちらかと言うと·····

そう思いボルトはまた横にいるスミレに向いた。鵺はもう寝てしまっている。スミレもボルトの方に向いていた。それで少し2人とも照れくさくなってまた星空に向き直った。

それ以上、2人は何も言わずただ満点の星空を見上げてた。

 

そのボルトの右手とスミレの左手は無意識に重ねてる状態から手を繋がれていた。

 

 

 

 




お疲れ様でした。この話でもボルスミ出せる!と思いやってみた。
割と今回のスミレはノベライズ版で言ってた事を書きました。
よくスミレが使う「はわわわ」、ノベライズ版曰く別に最初からそういう口癖だった訳じゃなく、サラダ達に初めて話しかけられた時に思わず言ってしまったのをそのまま使い続けてるだけ。まあその内本当に口癖になるという。アニメで描写がなかったのはノベライズ版オリジナルだったから。
あとマギレの時に言ったのもノベライズから。
(*´∇`)ノ ではでは~、


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大人になったボルスミ

おはようございます(*・ェ・*)ノ。
アンケートで1位になった大人ボルスミです!親子の日からのは通ってません。ただ思いと葛藤の設定の一部は拝借しました。
では٩(.^∀^.)งLet's go


世界が再び平穏を取り戻して4年が経った冬。あの時崩壊してしまった木ノ葉隠れの里は里の住民と忍びの助力によりほぼ戻ったと言っていいだろう。そして木の葉の2人目の英雄により7代目火影とうちはサスケも封印術から解放された。

その2人目の英雄·····うずまきボルトは火影を支える凄い忍びになる夢を叶えるため再びうちはサスケと共にまだある大筒木カグヤの遺跡を調べる旅に行ったり、火影に復活した父の側近を務めている。そして今は後者の任務だ。それは·····

 

「ええ!?俺がエキシビションマッチ?」

 

「そうだ。」

 

その続きを答えたのは父うずまきナルトの補佐、ボルトの親友の父親の奈良シカマルだった。

 

「最近科学忍具が色々出ているだろ?今やドラマの撮影とかにも使われるようになったからな。」

 

「まあそうだけど、それとこれがどう繋がるんだってばさ?」

 

「そのせいで最近若い忍びの意欲が下がっているように見える。科学忍具があれば万事解決、だから忍びの修行を面倒くさがっているやつが増えてきている。それは大問題だ。」

 

·····正直中忍試験で科学忍具を使ったボルトとしては耳が痛い。そう思いながらボルトは続きを促す前に2人の目的に気がついた。

 

「あー!だから忍びの俺といわば科学忍者の人と戦わそうとかいう腹だな!」

 

「そうだ。エキシビションマッチは明後日、やってくれるか?」

 

「まっ、しょうがねえか。じゃあガキ共に忍者の凄さを教えてやろうじゃねえか!」

 

「その意気だ。」

 

「所で相手は誰だってばさ?」

 

そう言ったらナルトとシカマルは顔を見合わせ首を振った。

 

「悪いがそれは教えられない。」

 

「そうか、ならしゃあねえな。じゃ、俺は修行があるから行くってばさ。」

 

「ああ、頑張れよ。」

 

ボルトはそう言い火影室を出て行った。残された2人は少し苦笑いをしながら会話をする。

 

「まっ、カタスケ曰く科学忍具を使わせたらデータ上の数値だけなら忍びトップクラスだって言ってたけどな。」

 

「あくまでも数値上はだ。」

 

「ああ、だけど強さは本物だ。今のボルトでも少しきついかもしれないってばよ。」

 

そう言って2人はボルトが出て行ったドアを見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2日後

ボルトがそこに着くとめちゃくちゃ人がいた。ボルトがやってきたのはボルトからしたら懐かしの中忍試験の第3試験でトーナメントをした所だった。そう思ってたら隣から声をかけられた。

 

「ボルト。」

 

「ん?よう、ミツキにサラダ!」

 

ボルトの下忍時代の班員でミツキとうちはサスケの娘、うちはサラダだった。

 

「お前らも来たんだな!」

 

「私達はあんたの応援、丁度任務も終わったからね。まっ、忍び代表何だから負けたら承知しないわよ」

 

そう言って拳を握りながら威圧してきたサラダにこくんこくんとボルトは頷いた。それを楽しそうにミツキは見た。そしてボルトは会場入りし2人と別れた。控え室で呼ばれるまで待つ。

 

(そう言えば・・・あいつはここで)

 

ボルトはボルト達が受けた2回目の中忍試験の第3試験の時を思い出してた。自分はサラダを下し決勝に駒を進め反対のブロックでは自分と同期のくノ一が砂隠れのシンキに破れ敗退した後のお昼休憩、そのくノ一がこの控え室で泣いてた事を思い出した。あの時、自分は慰める言葉が分からずただ抱擁して自分が絶対勝つとしか言えなかった。だがあの誓いがあったから自分はシンキに勝てた、そう思ってる。

 

「そう言えば・・・もうあまり会ってねえな。元気かな。」

 

そう、そのくノ一は元々科学忍具班の人間だった。だから同期で集まる時にしか会わなくなっていた。しかし最近はボルトの同期は殆ど上忍の重要メンバーの人物が多く最近はその集まりはあまり開かれていない。最後はボルトがナルトとサスケを解放した時のが最後だ。それ以降ボルトはそのくノ一と会っていない。その時ボルトは自分が呼ばれたに気が付き回想を終わらせ立ち上がった。

一瞬外に出た時の太陽が眩しく思わず目を隠した。それと同時に大歓声が聞こえ周りを見ると満員だった。科学忍者と木の葉の英雄の一騎打ち。満員にするには十分なカードだった。余談だが、会場の観客席には結界が張ってある。だから観客は普通は戦いの影響は受けない。

ボルトが観客席に目を向けると同期の忍びはほぼ全員がいた。だがさっき思い出してたくノ一の姿は見えなかった。ボルトさそれに少し落ち込みながらも前を向いて対戦相手を待つ。そして出てきたのは·····

 

「え!?」

 

それがボルト·····いや同期全員の感想だった。だってボルトの対戦相手は紫色のロングヘアを三つ編みにし、戦闘服も紫色を基調とする服だ。その人は·····

 

「久しぶりだね、ボルト君。」

 

「い、委員長!?」

 

それを聞いたボルトが委員長と言ったくノ一は少し苦笑いをしながら答えた。

 

「もう委員長じゃないよ?」

 

「あ、悪い。本当に久しぶりだってばさ、スミレ。」

 

そう、先程ボルトが控え室にて回想していたくノ一。それが目の前にいる筧スミレだ。

 

「ってもしかして俺の相手ってスミレか?」

 

「うん。そうだよ。火影様から直々に任務として言われてね。でも·····任務の内容が内容だからって、手加減はしないよ?」

 

それを聞いたボルトは口をにっと笑い嬉しそうに答えた。

 

「上等だってばさ。俺も手加減はしないってばさ。」

 

その言葉と共に試験会場の電光掲示板にうずまきボルトVS筧スミレという文字が出てきた。そして試験官の奈良シカダイが出てきた。2人の間に立ち宣言する。

 

「では、これよりうずまきボルトと筧スミレのエキシビションマッチを始める!」

 

それを聞いた会場はわああああ!と大歓声が再び上がった。そしてシカダイはそれを止めさせルール説明を行った。

 

「ルールは簡単、どちらかが気絶、または降参した場合が決着とする。今回うずまきボルトは忍びとして科学忍具の使用は禁止。反対に筧スミレは自身の忍術は禁止、科学忍具と自分の身体能力のみで戦ってもらう。両者何か質問は?」

 

ボルトとスミレは同時に首を横に振った。シカダイはそれに頷き右腕を垂直にし

 

「ではうずまきボルトVS筧スミレのエキシビションマッチ·····」

 

その言葉でボルトはうちはサスケから譲り受けた刀を、スミレはクナイを構えた。

 

「始め!」

 

その言葉と共に刀とクナイがぶつかった。少しの鍔迫り合いの後、やはり前線で戦ってきたボルトの力に押される事を悟ったスミレはすぐに引きそのクナイを投げた。ボルトはそのクナイを刀で弾きスミレに迫った。

その時ボルトはスミレの右腕が自分の覚えがある動きをしたのに気が付き下がった。それと同時にスミレは自分の右腕を地面につけた。そこから影が伸びボルトに迫った。奈良一族の秘伝忍術「影縛りの術」だ。スミレが使った科学忍具は忍籠手と呼ばれるものでボルトには見覚えというか自分が中忍試験を失格になった原因の科学忍具だったからだ。この科学忍具は1度忍籠手をつけてる方の腕が動く。ボルトはそれを見極め後退したのだ。そのままバックステップで躱し、空中へ少し飛んだ時手裏剣に雷を乗せて放った。

 

(うちは流手裏剣術、雷・三連!)

 

文字通りボルトの師匠うちはサスケから伝授された手裏剣術だ。その手裏剣はスミレに迫った。スミレは術を終わらせ躱しに入った。忍籠手は基本的に使い切りの技だ。これによりもう一度影縛りの術を使うにはまた巻物カートリッジに忍術を入れる必要があるが試合中には出来る訳ないからこれで影縛りの術は出来なくなった。

ボルトは次の印をした。父うずまきナルトの十八番でボルトの初めて出来た忍術

 

「影分身の術!更に·····」

 

「「風遁・烈風掌!」」

 

そうボルトの後方に出た影分身が本体のボルトを打ち出した。そのスピードは少年時代の彼とは比較にならない。だがスミレも見事に反応した。ギリギリ上体を仰け反らせ躱した。その時互いの視線が交錯した。

ボルトはそのままスミレの上を突っ切ったが直ぐに回転しまた影分身を出し先程と同じように本体のボルトを打ち出した。

スミレは上体を仰け反りさせてたがその時また右手が動き巻物カートリッジが出て煙を出した。そしてその煙の中からもう1人のスミレが出てきた。巻物カートリッジから出した術は影分身の術だ。

分身のスミレと本体のボルトが激突した。だが風遁で押し出されたボルトの方が強く少しの拮抗の後分身スミレはけち出され消えた。だがその分ボルトの突進も弱まりスミレ本体が体勢を整え迎撃した。その際スミレが使ったのはこれまたボルトの見覚えがある科学忍具だった。

己のチャクラを刃にする·····ボルト達第7班が殻のメンバーの『青』と戦った時に助けてもらった科学忍具「チャクラ刀」だ。

そしてボルトの刀とスミレのチャクラ刀が激突して火花を散らした。その時にボルトは思わず問いかけた。

 

「そ、それってチャクラを吸いすぎて実用性がなかったやつじゃないのか?」

 

それにスミレはにっと笑いながら答えた。

 

「私も頑張ったんだよ?最近になって漸くチャクラ消費量を抑えることに成功したんだ。」

 

「へぇ、すげぇな。だけど俺だって負けないってばさ!」

 

そう言ったのと同時に出しっぱなしにしてた影分身がスミレに襲った。スミレは目の前いる本体を蹴飛ばした。ボルトはそれをガードし後ずさった。その間に分身はスミレに攻撃したがスミレは踊るように避けていきすれ違いざまに分身を消していった。分身が全員消えたのと同時にボルトとスミレは互いの刀を振った。

観客は最初は戦いを楽しみにしてた部分も勿論ある。科学忍具か忍び、どちらが強いのか、それも楽しみにしていた。一部には科学忍具があれば何でもいけると思ってこの戦いもいくら英雄だからと言っても流石に科学忍具には勝てないと思っていた人もいる。いや、そう思わなきゃ自分が今までに信じてたことを裏切られてしまう。そんな人もいた。だが今彼らの前で繰り広げられている試合·····いや剣舞はそんなもの関係なく美しかった。会場にいる誰もが雷遁を纏わせた刀とチャクラを纏わせた刀のぶつかり合いに目を奪われた。

そして全員悟った。この戦いをしてる2人には科学忍具とか忍術とか関係ない。互いの全力で戦っている。それは忍びの訓練をサボってきた者に少なからずダメージを与えた。科学忍具にばっかり頼ってるだけではいけない・・・と。その使い手も強くなければ意味が無い。

だがそれでも性懲りも無く科学忍具の方が強いと思ってた人もいる。科学忍具には相手の感覚を麻痺させる科学忍具もあるからだ。

スミレはこのままでは刀を使い続けたボルトに負けてしまうことを悟り激突の後後ろに下がった。ボルトはそれを追いかけようとしたが一瞬目を見張った。そして会場が強烈な音と光に包まれた。観客も思わず目を閉じた。

そして光が静まり観客が目にしたのはピタリと動きを止めたボルトだった。ボルトはこれも覚えがあった。これは「煙閃光弾」だ。光と音で神経を麻痺させる科学忍具。基本合図を教えないと仲間まで巻き込んでしまうが今回は1体1だからそれを無視しスミレは使ったのだ。そしてスミレは神経を麻痺させられ動けないボルトに迫った。科学忍具に頼り隊は歓喜した。これで科学忍具の必要性は磐石だ、と。因みにシカダイは事前に使うかもしれないと言われていたから耳栓をつけ目を閉じて回避した。

 

「ボルト君、勝たせてもらうよ!」

 

そのままスミレは突っ込んだ。チャクラ刀を首にやり降参させる算段だ。だがその時ボルトが麻痺させられながらも動いた。会場のマイクはその呟かれた言葉を拾った。

 

「忍びにとって本当に大事な事は·····」

 

スミレはそれを聞いた瞬間目を見張った。煙閃光弾をまともに喰らえば少しの間でも口が動かなくなるからだ。そしてボルトは叫んだ

 

「諦めねえど根性だーーーっ!」

 

そう言った瞬間にボルトの右手が動きスミレのチャクラ刀を弾いた。そして刹那ボルトの左手も動いた。そしてそこにうずまきながら青い球体が出た。4代目火影が考案、作成し4代目火影の師、自来也に継承されそして自来也の弟子であり4代目火影の息子のナルトにも継承された会得難易度Aランク。スミレは弾かれ体勢を崩され避ける事が出来ない。ボルトは叫んだ。

 

「螺旋丸!」

 

スミレは思わず目を閉じた。そして爆風が吹き荒れスミレの後ろがざわついた。そしてスミレはそっと目を開けた。そこにあったのは自分の体スレスレに止められている螺旋丸だった。そしてスミレはふっと笑いながら言った。

 

「参りました。降参です。」

 

そう言った。それと同時にボルトは螺旋丸を消しシカダイが宣言した。

 

「筧スミレ降参により、勝者うずまきボルト!」

 

それと同時に会場は再び大歓声を上げた。そしてボルトはへなへなと尻もちをついた。神経を麻痺させられながらも無理矢理動かし疲れたのだ。

 

「はあ、スミレはやっぱりすげぇや。」

 

それを聞いたスミレは顔を横に振った。

 

「それならボルト君こそ、勝つつもりだったんだけどなぁ。」

 

そう残念そうに言って手を差し伸べた。ボルトはその手を見て笑ってその手を取り立った。その時スミレの顔はほんのり赤くなっていたがボルトは気がつかなかった。その時来賓席で見ていた7代目火影のうずまきナルトがボルトとスミレの元に降りてきた。

 

「2人とも良い戦いだったってばよ。」

 

「へへ、当たり前だろ?俺とスミレが戦ったんだぜ?」

 

「はわわ!!」

 

そしてナルトは観客に向き直り演説を始めた。ボルトとスミレとシカダイは事前に聞いていたから出口の所まで下がったところに控えた。下がった時にスミレはまたゴソゴソしあるものを出してボルトにヒソヒソ声で話した。

 

「ボルト君、ちょっと顔を近づけて。」

 

「え?おう。」

 

そう言ってボルトはスミレに顔を少し寄せた。スミレはボルトの顔が近くにあるから少し顔を赤くしながらスミレはさっき自分のチャクラ刀で傷つけ少し切り口がある所にこれまたボルトの見覚えがあるスプレーを吹きかけた。だが覚えのあるものよりも効果が早く感じた。

 

「スミレ、これってもしかして·····」

 

「うん、ボルト君達が1度科学忍具研究所に来た時に私がボルト君に使った治癒スプレーの改良版だよ。前のよりも自然治癒力を更に高めたんだよ?」

 

「へぇー、俺が知らない間に色々増えたんだな。」

 

「ふふ、うん。」

 

ボルトは自分の傷口がなくなっていくのを感じていた。その時スミレの腕にもあるにも見えたからボルトはスミレが握ってたスプレーを取った。

 

「ぼ、ボルト君?」

 

「スミレにも傷があるってばさ。」

 

そしてボルトはそのまま手を取ろうとしたがスミレは大いに慌てた。

 

「はわわ、だ、大丈夫自分でやるから。」

 

「遠慮するなってばさ。」

 

「·····じゃあお言葉に甘えて」

 

ボルトはそれを聞きスミレにスプレーを使った。その際手を取っていたからスミレは赤くなっていた。スミレも傷が無くなっていくのを感じながら胸をドキドキさせていた。そして治療が終わりボルトはスプレーをスミレに返した。ボルトはそのままシカダイに振り返り少し文句を言った。

 

「シカダイも人が悪いってばさ。俺の相手がスミレって知ってたんだろ?」

 

「まあな、俺も審判役をやらされる時に聞いてたのは確かだが口止めもされてたからな。」

 

「何でだってばさ?」

 

そう聞かれたシカダイはスミレに顔を向けた。先程の余韻でまだ少し赤かったがシカダイの視線に気がついたスミレはボルトに言った。

 

「私が頼んだんだ。ボルト君をびっくりさせたくてね。」

 

「本当にびっくりしたってばさ。」

 

そう言って笑った。そして何か思い出したようにシカダイに向いた。

 

「なあシカダイ、この後皆何か用事あるのかな?」

 

「いや、無いはずだぜ?」

 

「じゃあ久しぶりに皆で集まろうぜ?スミレもな!」

 

「え·····いいの?」

 

「当たり前だってばさ!スミレも俺達の仲間なんだからな!」

 

それを聞いたスミレは笑って返した。

 

「うん、ありがとうボルト君。」

 

その時ナルトの演説もピークを迎えていた。3人はそれに耳を傾ける。

 

「俺の親友が言っていた。『忍びの本質は変わらない。時代が変わろうともな』ってな。皆がさっき見た戦いもそうだ。うずまきボルトは自分の身体能力と自分が培ってきた忍術を、筧スミレは自分の身体能力と自分が提案した科学忍具を駆使し戦った。だがその本質は自分の積み重ねたものはそこに生きていた。それは身体能力であったり状況判断力だったりな。」

 

ナルトはそこでボルトとスミレの方を向きにっと笑った。

 

「さっきボルトが煙閃光弾で動けずスミレにやられそうになった時、ボルトが叫んだだろ?『忍びにとって本当に大事な事は諦めないど根性』ってな。その言葉に全てが集約されている。これからも木の葉を・・・忍界を守るために個々の力を上げていって欲しいってばよ!」

 

そういい終わり会場は拍手喝采に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーあ父ちゃんにいい所取られたってばさ。」

 

そうスミレの隣で歩きながら言っているのはボルトだ。どうやら先程の演説の役目をやりたかったらしい。スミレはそんなあまり変わってないボルトにくすっと笑った。

 

「変わらないね、ボルト君は。」

 

「そうか?」

 

「うん。・・・皆に準備を任せて良かったのかな?」

 

「皆がやるって言ってたから良いんじゃねえか?・・・というか俺とスミレは無理矢理追い出されたような気がするってばさ。」

 

そう、今2人は里をぶらぶらしている。あの演説の後、場は解散となりボルトとスミレとシカダイは同期の忍びと合流し久しぶりのメンバーで話した。ボルトがその時さっき思い浮かべた久しぶりの集まりをしようとなり会場は自分達のアカデミーの教室となった。そしてお菓子などの準備をボルトもスミレもしようとしたがサラダに「あなた達は疲れてるでしょ。ボルトはスミレを連れてどっか行ってきなさい。」と言われ追い出された。そんな事はないと言おうとしたがその前にドアが閉められたのだ。

スミレはと言えば大人らしい容姿になったボルトにドキドキしていた。スミレは・・・ボルトの事が好きだ。この気持ちは恐らくあの時からあったのだろうと自分でも思っている。自覚したのはもう少し後だったが。

そんなボルトと2人きりのこの状況が嬉しいのだ。そんな2人だったがボルトが「あっ」て感じで止まってある場所を見た。スミレは何だろうとボルトの視線を追った。そこにあったのは服屋さんだ。でも何で?そう思ってたらボルトが言った。

 

「その・・・委員·····じゃなかった・・・スミレの服代わりの買わないとな。」

 

そう言ってボルトはスミレの格好を見た。スミレも釣られて見る。確かに先程のボルトとの対戦でスミレの服は所々破けている。まあ対戦用に買ったものだから言っちゃ悪いが思い出は特にない。だから・・・

 

「えーっと、気にしなくても大丈夫だよ?」

 

だがボルトとしては女の子の服をボロボロにしたという罪悪感がある。勿論これが戦闘服という事は分かってはいるが気持ち的にダメだ。それともう1つボルトとしては理由がある。少し顔を赤くしながら言う。

 

「その·····少し肌が出てるんだってばさ。」

 

「·····へ?」

 

そんな変な声を出しスミレはもう一度自分の状態を見る。傷はスプレーのおかげで既にないが·····確かに露出が結構ある事に気が付き顔を赤くした。そう言えば道行く人か偶に自分を見ていた事を思い出した。

 

「はわわわ!!」

 

そう口癖を言って思わず体を隠した。·····でもまあボルトはそんなスミレの姿をもう見てしまっているからあまり関係ないのだが。

 

「まあ試合とは言え破いたのは俺なんだから俺が払うってばさ。」

 

ボルトがそう言った。因みにボルトは同期の中ではお金持ちの部類に入っている。S級任務を約3年間続けたのだからそれも当たり前なのだが。今のボルトはあまり少年時代にハマったものはやっていないからそれも相まって懐にはそれなり暖かい。だがだからと言ってスミレはボルトが払うのはよしとはしなかった。

 

「だ、大丈夫だよ。1回家に帰れば服はまだあるし。」

 

「ダメだってばさ。もう少しで同窓会だから帰ってる時間はないってばさ。ほら、いいからいいから」

 

そう言ってスミレの後ろに回り背を押した。スミレはそんな行動に顔を赤くしながらされるがままに押されて行って服屋に入った。スミレはそれでも萎縮したのだが·····その前に店員さんに詰められた。

 

「どんなものをお探しですか?」

 

スミレが断りを入れる前にボルトに遮られた。

 

「何かスミレに似合いそうなやつ服を選んでくれってばさ!」

 

店員さんはボルトを見て少し目を見開いたがすぐに営業スマイルになりスミレをじっと見て少し考えてから商品の羅列に飛び込んで行った。ボルトとスミレはそんなハイスピードな店員さんに苦笑いしていたが待ってる間にスミレがやっぱり申し訳なさそうな顔で言った。

 

「えっと·····本当に大丈夫だから。自分で払うよ?」

 

「ダメだってばさ。俺が斬ったんだから俺が払うってばさ。」

 

両者引かない。別に2人して貸しを作ろうなんて思っていない。2人とも本心だ。そんな言い争いをしていたらさっきの店員さんがやって来てスミレの困惑をほっといて試着室に連れていった。

ボルトは·····少し顔を赤くしていた。どんな服を着てくるのだろうかと。ボルトは正直スミレの事が気になっている。恐らく気になり始めたのは2回目の中忍試験でのあの一幕からだろうか?あのスミレが泣いてる所を見た時、何故か胸が少ししんどくなったのを覚えている。そしてその想いに歯車をかけたのはやっぱり父親や師匠の封印を解くための旅の最中だった。スミレと似たような·····と言ってもスミレの方が遥かに孤独だったとは分かっているが·····経験した時にボルトの中でスミレの存在が少しづつ大きくなっていった。そしてボルトが封印の解き方を知り木の葉に戻ってから父親と師匠の封印を解き放った後、お祝いみたいな感じで同期が集まった時にボルトはスミレと久しぶりに話した。お互いの近況報告だったがその時は何時もと何かが違ったのを覚えている。こう·····胸がドキドキしたのを覚えている。ドキドキならサラダ相手にもした事はある。初めての中忍試験の第2試験が終わってリラックスした時にサラダがいきなりボルトの顔を覗いてきた時に思わずドキドキしたのは覚えているがあれはどちらかと言うといきなりサラダが顔を近づけたからという意味合いが強い。·····いや誰だってそれなりに顔が整っている人に・・・それも幼なじみといえど女子にリラックス状態の時に覗きこまれたらドキドキするのはある意味しょうがない気がする。

だがスミレに対してしたドキドキはサラダの時とは何か違った。言葉では上手く言えないが·····。

と、そんな事を考えていたら試着室のカーテンが開いた。ボルトは反射的にそこにいるスミレを見た。

 

「はわわわ、ど、どうかなボルト君?」

 

そう羞恥の声と顔を赤くしながら聞いた。ボルトと言えばじーっとスミレを見ていた。正直見惚れていた。ボルトにはスミレの着ているだろうワンピースの種類は全く分からないがスミレに似合ってると思った。ワンピースとしては珍しく丈は膝の上までだ。そして色合いは主に濃い紫色だが、それは恐らく所々にある菫の花の薄い紫色を目立たさせる為のものだろう。スミレの胸の下辺りにはワンピースの上下を固定するためなのか紫色の紐がある。そしてスミレの上半身のワンピースの下には長袖の白色の服がある。そしてスミレの髪の毛は忍びになってからは三つ編みを1つでしていたが今はアカデミー時代のように2つに分けて三つ編みをしていた。靴も前の戦闘用の服では無く可愛らしい靴になっていた。·····ボルトはスミレの容姿を見た後に思わず少しスミレの生の素足を見てしまったが。

 

「あ、ああ。すげえ似合ってるってばさ!」

 

そう笑って言った。それにスミレは笑った。そしてボルトは聞く。

 

「じゃあそれでいいか?」

 

「う、うん。で、でもお金は・・・」

 

払うと言おうとしたが口を指で塞がれた。それに思わず赤面になりながらボルトを見ると言ってきた。

 

「だーから俺が払うってばさ!」

 

そう言ってスミレが何かを言う前に店員さんにボルトはこれでいいってばさと言って店員さんも頷きレジに向かってしまった。スミレはさっきまで着ていた戦闘服と靴を回収しレジに向かったら既にボルトが払ってしまっていた。それなりに高かった筈なのだが·····恐らくスミレが来るよりも早く支払いしてくれとでも言ったのだろう。

 

「ありがとうございました〜!」

 

「じゃあ行くってばさ!」

 

「あっ、ボルト君待って!」

 

そう言って2人は服屋を出た。そしてスミレは言う。

 

「えっと·····やっぱり私が着てるんだから私が払うよ。」

 

「だから大丈夫だってばさ。」

 

「でも·····」

 

「じゃああの時俺を助けてくれた時の礼って事で。」

 

「あの時·····?」

 

「俺が重吾さんにやられそうになった時に鵺と助けに来てくれただろ?それも2回も。だからその時のお礼って事で。」

 

ボルトは約6年前にある任務でスミレがいた時の15班の合同任務である男・・・名を重吾と言う人に殺られそうになった時スミレが鵺を口寄せして自分を助けてくれた時の事を言ったのだ。それも2回あったのだ。スミレはそれを聞き懐かしそうな顔をし、ボルトを見た後に自分の今の格好を見て呟いた。

 

「・・・何か無理矢理感あるけど・・・・・・いいの?」

 

「ああ!6年越しのお礼って事で。」

 

スミレはそれを聞き今からやる事を決めた。第1物理的なお礼だったら自分はあの時のお礼だってまだだからだ。そんな事を考えていたらボルトが言った。

 

「そろそろ行かないとな」

 

もう結構2人がぶらぶらし始め時間が経った。流石にもう準備は終わっただろう。そう一瞬で考えたスミレは頷いた。

 

「そうだね、そろそろ行こうか。」

 

そう言って2人して歩き出した。

 

 

 

 

 

 

ボルト達がアカデミーに戻ると既に同窓会が始まっていた。2人は教室に着いたらそれぞれ別れて久しぶりの同期とお喋りを始めた。スミレは元の班員のワサビとナミダと、ボルトは男友達と話をしていた。

 

「それでスミレ」

 

ワサビがいきなりそう言ってきたからスミレは不思議そうな顔をしてワサビに向いた。だが嫌な予感がした。ワサビがイタズラっ子みたいな顔をしていたからだ。そして案の定·····

 

「ボルトと何か進展あったか?」

 

「けほっけほっ!」

 

それを聞いた瞬間飲みかけてたジュースを吹きそうになり慌てて無理やり飲み干したがそれでもむせた。そしてむせりが終わるとスミレは顔を真っ赤にしながら思わずボルトの方を向いた。そしたらボルトはまだ男友達と話していたから聞かれてない事が分かると露骨に安心してワサビに向いた。

 

「な、何言ってるのワサビ。」

 

だがワサビはまだイタズラっ子みたいな顔をして言ってくる。と言うかいつの間にかサラダとチョウチョウも来ていた。

 

「と言うか2人きりにする為に準備から追い出したのに成果はなかったのか?」

 

それを聞き元々真っ赤になっていた顔を更に茹でたこみたいに赤くした。そして今ワサビに言われた事をもう一度頭でリピートする。·····という事は誰にも・・・いや1人だけには伝えているが·····ボルトの事が好きだとは言っていないのに何故知ってる?

口をパクパクさせながら何かを言おうとするが上手く言えない。そして4人はそんな反応を面白がっている節がある。

 

「えっ·····えと·····せ、成果は」

 

と漸く絞り出すように言ったが成果は·····どうなのだろうか?確かに2人で久しぶりの里を回ったが何かこう·····Loveイベント的なやつはなかった·····と思う。・・・強いて言うならば露出している戦闘服を見られていた事だがスミレが気づいてなかったからノーカン。服もLoveイベントとは何か違う気がする。どちらも自分が俺が払うっていう若干夫婦喧嘩っぽい事しただけだ。そう思っていたらサラダが聞いてきた。

 

「と言うかスミレ。エキシビションの時は戦闘服だったけど何で今はそんな新品なの?」

 

·····確かに今の自分の服装については言ってなかった。でもどう説明したものか・・・。そう思いながら結局正直に言うことにした。

 

「えっと·····ボルト君が買ってくれたの。あの鳥獣被害の調査の時の礼って言って。」

 

「へー、ボルトがね〜。」

 

そうサラダは呟きボルトの方を向いた。確かにボルトは借りは返すタイプだがそれは行動とかで返すタイプだ。実際サラダはそうされてきた。それがスミレに対しては物理的に返すとは·····もうその時点でサラダはボルトの気持ちも察した。それにニヤッとしながらスミレに振り返った。そんな顔のサラダを見てスミレは何か嫌な予感がした。·····というかもうサラダには自分はボルトの事が好きだと暗に言った。

 

『私は気になるな〜。ボルト君の事が。』

 

スミレはそう言った。あの時のスミレは正直少し焦っていた。スミレはボルトが好きなのは確かだが会う回数はサラダよりも圧倒的に少なかった。別の班でもあったしその後は科学任具班に行く事になりボルトと会う機会がほぼ皆無になってしまったからだ。勿論科学任具班に行った事を後悔はしていない。そうしなければ今ほど鵺とコミュニケーションも取れてなかったかもしれない。·····スミレはもしボルトが鵺の契約者だったら科学任具では無く親譲りの根性で仲良くなるような気がした。

閑話休題

そういう訳で後悔はしていなかったがそれと同時に焦りも出ていた。自分はボルトが好きだがそれでもサラダ程頻繁に会っている訳では無い。

心理学で単純接触効果という言葉がある。恋愛にして簡単に言えば何度も同じ人と会っていると次第にその人の事が気になり始まるというやつだ。勿論全員がなる訳では無い。でもだからと言ってスミレが焦るには十分な理由だった。

だからあの時のあの言葉は自分がボルトの事を好きだと伝えるのと同時にある意味ライバル宣言にもなった訳だ。だがスミレとしてはボルトが幸せな方を選んで欲しいと思っている。·····サラダになった場合は暫く泣くと思うが。

そして後々あの宣言が逆にサラダがボルトを本気で意識し始めたらどうしようともなっていた。しかし言ってしまったものはしょうがないと考え自分に出来ることをし始めたのだ。

 

「まっ、スミレも頑張れ。」

 

だからサラダが言ってきたこの言葉に少し呆けた顔をしてしまったのはしょうがない気がする。今のは·····応援だ。つまり・・・

 

「え、さ、サラダは?」

 

それにサラダは一瞬不思議そうな顔をしたが何を言われたのか思い当たりふっと笑って言った。

 

「私は火影になる為の修行で忙しいの。だから恋愛なんて今はいいのよ。」

 

サラダの夢は火影だ。それも7代目火影、ボルトの父ナルトのような火影だ。その為には人格だけではなく当然強さも磨かなければならない。·····ナルトの場合は17歳の時点で忍界最強クラスだったがあれはナルトが色々ぶっ飛んでいるだけである。サラダは忍界では上位に入っているがそれでも17歳のナルトに勝てるかと聞かれたら正直怪しいだろう。だからサラダは修行するから恋愛なんぞ構ってられるかーっ!というスタイルである。·····余談だが今の所里の長の影の女性で結婚している人はいないからサラダはお付き合いをしたいのならガチで探さねばならない。

閑話休題

そういう事を聞いたスミレはまた露骨に安心した。最早隠す気もないようにも見える。そんなスミレを4人はまたからかいの目で見てスミレが慌てるいう一幕があった。

 

 

 

 

「んーっ!楽しかったってばさ!」

 

そうスミレの隣で背中を伸ばしながら歩いて言っているのはボルトだ。スミレと言えばその隣でまた赤くなっている。何故2人で歩いているのか?それはまあワサビ達の策略である。同窓会が終わって皆で片付けをした後解散となる前にワサビ達がボルトに言ったのだ。

 

『もう暗いからボルトはスミレを送っていけよ。』

 

それを聞いたボルトは不思議そうな顔をしてボルトからすれば普通に、ただスミレの気持ちを知ってる面子からすれば察しろよ。·····というかそれはこの場合嬉しいのかよく分からんセリフが言われるという会話がなされた。

 

『ん?スミレは強いから大丈夫だろ?』

 

·····まあ確かに強い。先程のエキシビションマッチでそれは分かっている。しかしそういう事では無い。ボルトの答えを聞いた女性メンバーは呆れた視線を向けながら言った。

 

『いいからスミレをよ・ろ・し・く・ね!』

 

その女性メンバーの威圧に思わずボルトは首をこくこくしながら頷いた。因みにスミレはその時トイレに行っていたから戻ってきていきなりボルトにじゃあ一緒に行くか?と言われた時盛大にパニクった。

そして商店街を歩いていたらいきなりスミレが「あ」と止まりボルトはそれを訝しげに見て聞いた。

 

「どうしたんだってばさ?」

 

「えっと・・・少し待っててくれないかな?」

 

「別にいいぜ。」

 

その返事を聞きスミレはある店に入った。ボルトはなんでこんな店入ったのだろうかと考えたが割と直ぐにスミレが袋持って出てきたから思考を中断した。そして聞いてきた。

 

「ボルト君、次はいつサスケさんと調査に行くの?」

 

「えっと・・・2週間後位かな。今はサスケさんが1人で行ってるけど一旦帰ってきてその後にもう一度行く事になってるから。」

 

スミレは2週間後と呟きお礼を言った。ボルトはそれに不思議そうな顔をした後笑って頷いた。その後2人はスミレのアパートに向かった。その最中ボルトは聞いた。

 

「所でスミレはさっき何買ったんだってばさ?」

 

だがスミレは少し頬を赤くしながら返した。

 

「はわわ・・・秘密。」

 

そう言ってぎゅっと袋を抱えた。そんな1幕にボルトは思わず少し赤面した。そんなこんなでスミレのアパートに到着した。

 

「送ってくれてありがとう、ボルト君。」

 

「気にするなってばさ。」

 

スミレはそれを聞き少し寂しいと思いながらもドアを開けボルトに一礼してから部屋に入った。ボルトはそれを見届け帰路についた。そして歩きながら今日を振り返った。やっぱり1番びっくりしたのはエキシビションマッチの相手がスミレだった事だろう。特別上忍になっていた事は知ってたがあそこまで強くなっているとは思わなかった。チャクラ刀の扱いも上手かった。正直鵺が出てきたら負けてたかもしれない。・・・まああれは口寄せの術でスミレの忍術で呼び出すから呼んだ時点でルール違反だが。

·····と、そう無理矢理思考を変えてみたがボルトの頭の中は違う事を考えた。それは·····

 

(スミレ·····大人っぽくなってたな)

 

最後に会ったのはおよそ1年前であるがたったそれだけでも何か変わっていた。やはり20歳という節目を過ぎたからだろうか?そんな事を考えながら先程男友達と話したことを思い出した。

 

『それでボルト、お前はスミレの事をどう思ってんだよ?』

 

『けほっけほっ!!』

 

いきなりシカダイがそう言いボルトは飲んでたジュースを吹きそうになり懸命に飲んだ。しかしむせりは暫く収まらず収まったら直ぐに顔を赤くしながら思わずスミレに聞かれてないかスミレの所を見た。そこに居たのはサラダやワサビ達と一緒にいて顔が赤いスミレだった。距離は若干遠かったと言うかスミレ達は教室の上の方に集まっていたから多分聞かれてない。そう納得しシカダイに向き言った。

 

『な、何言ってるんだってばさ!』

 

それに答えたのはいのじんだ。

 

『あれ?ボルトはスミレの事が好きなんだとずっと思ってたんだけど?』

 

·····いのじんは親譲りの毒舌と思った事を普通に言う事がある。それが見事に発揮された。イワベエはそれを聞きボルトにヘッドロックしながら面白そうに聞いた。

 

『そうなのかボルト!』

 

正直あの時の状況を脱出したかったのは山々だがだからと言ってスミレの事を気にならないと言う気にはなれなかった。何か自分に嘘をついてる感じがするからだ。そのままその後は同期達にいじられたが懸命に羞恥に耐えた。·····だから女性メンバーからスミレを送っていけと言われた時心臓の鼓動を抑えたく思わずスミレの強さに言及してしまったが。

 

「どう思う·····か」

 

そう漠然と呟いた。そうしてたら何か冷たいものが当たった。それに釣られボルトは空を見た。そこら辺に出てきてたのは雪だった。そんな雪の冷たさを感じながらボルトは歩いた。

 

「俺はスミレの事が·····」

 

·····正直ボルトはスミレに1年間会えなくて寂しいと思った事が多々ある。何故そう感じたのか?それは·····

 

「·····考えるまでもなかったってばさ。」

 

そう呟きボルトは次スミレに会った時に言う言葉を決意し帰路を歩いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

約2週間後の寒い早朝、ボルトは結局スミレに会うことがなくだからと言って自分から行くのも何か恥ずかしくスミレは科学任具班の重要メンバーだから忙しいとか言い訳して会いに行かなかった。そんないざとなったら度胸がない自分に幻滅してしまっていた。そしてボルトは次会った時には絶対に·····と、そうだんだん言い訳して今はサスケとの待ち合わせのあんの門に向かって住宅街を歩いていた。

 

「ボルト君!」

 

だから今そんな会いたかった人物の声を聞いた時思わず足を止め振り返った。そこに居たのは少し息を切らしていたスミレだった。そんなスミレの手には袋がある。

 

「スミレ·····ど、どうしたんだってばさ?こんな朝早くに」

 

「うん。良かった間に合った。」

 

そう言ってスミレは袋から赤いマフラーを取ってボルトの前まで進み少し頬を赤くしながら言った。

 

「私はボルト君がいなかったらきっとあの時にはもう生きてすらいなかったよ。」

 

ボルトはスミレが言うあの時とはアカデミー時代のゴースト事件の時の事だと直感的に悟った。そして今言ったセリフは下忍試験の時自分が落ち込んだ時にスミレが言った言葉だ。

だがボルトはそれを手助けしただけで頑張ったのはスミレだから自分は関係ないと言おうとしたがみなまで言うなというふうに人差し指で口を抑えられた。そしてスミレは首を振り言った。

 

「だからね、私ずっとお礼したかったの!」

 

そう言ってスミレはマフラーを差し出した。ボルトはそのマフラーを見て直ぐに分かった。これは手編みだ。スミレが次いつ旅に行くのか何故聞いたのか分かった。恐らくマフラーを作る為の猶予期間を聞いたのだろう。その証拠にスミレがあの時立ち寄った店は毛糸を売ってる見せだったからだ。

 

「私はボルト君がいたから頑張れてこれた!こんな物だけどこれは私が今ボルト君にあげれる『お礼』です。」

 

そう羞恥の顔と声で言った。その瞬間ボルトは自分に馬鹿やろーって言った。自分は何かと理由をつけて言いたかった事を言いに行かなかったのにスミレは勇気をだしてこんな朝っぱらからマフラーと気持ちを伝えに来てくれたのに自分は何やってたんだと、そうこの2週間の自分を殴りたくなった。そしてスミレのセリフが終わり3秒後に思いっきりスミレを抱きしめた。スミレはマフラーを落とさなかったのが奇跡的で目を見開いて沈黙した。そしてボルトがスミレに聞こえるだけの音量で言った。

 

「スミレ·····俺は・・・スミレの事が・・・」

 

そう言った。そしてこの2週間言いたかった最後の言葉を言う。

 

「好きだってばさ。」

 

そう朝の静寂の中言った。そしてスミレはそれを聞き先程よりも目を見開いた。そして涙声になりながら返した。

 

「はわわ」

 

それと同時にマフラーを持ちながらボルトを抱き返した。スミレの胸の中は最初は言ってることが理解出来なかったが時間が経つにつれてボルトが今言った事が耳から胸を通って体全体に通った瞬間に言葉で言い表せず口癖しか言えなかった。だが返事はそれで十分だった。ボルトの顔が離れたのを感じスミレは自分よりも少し背が高いボルトを見上げた。そのボルトが顔を近づけてきたのを見てスミレは目を閉じた。2人の中ではゆっくりな時間が過ぎて2人は離れた。その顔は真っ赤だがボルトは新たな決意を言う。

 

「絶対·····絶対スミレを幸せにするってばさ!だから・・・だからもう少し待っててくれってばさ!」

 

スミレはそんなボルトを見上げ目に涙を溜めながら笑顔で頷いた。

 

「うん!待ってる。だからちゃんと帰ってきてね?」

 

ボルトの任務は危険だ。若しかするといきなり大筒木が襲ってくるかもしれない。だからスミレは言ったのだ。それにボルトも笑顔で頷いた。

 

「ああ、絶対に帰ってくるってばさ。」

 

それを言い2人は少し無言だったがゆっくりスミレがマフラーをボルトの首に巻き付けた。ボルトはそんなマフラーの暖かさにスミレの温もりも感じた。そして最後にボルトは自分のおでことスミレのおでこをくっつけた。両者赤いが今は互いの体温を感じていたかった。そして暫くして流石に近隣が起きてきそうだしサスケとの集合時間が近づいてきたから離した。それ以上言葉や行動はいらなかった。最後に2人は言った。

 

「じゃあ、行ってくるってばさ、スミレ。」

 

「うん!行ってらっしゃい、ボルト君。」

 

それを聞いたボルトはスミレに背を向け歩き出しスミレはそんなボルトの姿が見えなくなるまで見届けた。

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした( *・ω・)ノ
今回は作者的に何故ボルトとサラダがくっつかないのかを書いてみました。資料云々ではなくアニメの中の事柄だけで決めてます。勿論ボルスミはアニメを見始めた時から応援してますが頭を空っぽにしてボルスミかボルサラかの議論をしてみたら結構んーこれ難しくない?ってなり書いてみました。
1 そもそも火影になりたいなら恋愛にうつつ抜かすのはどうかと思う·····という事ではなく本音は仮にボルサラになった場合子供どうするの?片や火影、片やよく旅に行く火影を支える忍び·····正直どっちも育てられなくね?とは思った。まあその場合は子供作らなきゃおkってだけですが、まあ後ヒナタやサクラに預けるとかか、でもそれって2人が反抗期の原因になった時のやつをアゲインするだけじゃんというのもある。
2 これはボルサラでは無くNARUTOとBORUTOで今の所続いてるやつですが今の所女の影って誰も結婚していないんですよね。メイ然り綱手然り、だから今の所のこの法則で行くとサラダが火影になった暁には結婚できない事に:(´◦ω◦`):。·····うちはの繁栄もクソもないな。

何かサラダの事ボロくそに言ってますが嫌いな訳では無いです。サラダはサラダなりの苦労だってしてますし、あの反抗期の時は同情普通に出来ましたし·····まあ自分は親が普通にいるので同情出来るわけないだろという答えが聞こえそうですがスルーでお願いします。

そしてボルトとスミレ、またくっつく。いやごめんなさい。終わり方が思いつかずこうなってしまいましたごめんなさい。
それからリクエストでくれたスミレの心情的な部分も書いてしまいましたごめんなさいm(*_ _)m。ちゃんとリクエストのはリクエストで書くので許してくださいお願いします。

流石に漫画版は自分もスミレ、それはダメだってなりました笑。アニメだとちゃんとスミレっぽく修正して欲しいな〜。あの最後のウインクがダメだ笑。

ここで好奇心で読者の人に聞きたいのですが思いと葛藤のくっつき方とこの話のくっつき方どちらが好きですか?割と気になったので良かったら答えてくれたら嬉しいです。

じゃあ(*^-^*)ノ~~マタネー


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委員長に拘る理由

おはようございますm(*_ _)m。
Twitterでリクエスト貰ったので出します。リクエスト内容は青年ボルトだけが同期の中でまだスミレを委員長と呼んでいてそれをからかわれる話という事でした。
·····広大なストーリーは思いつかなかったんでめっちゃ少なめです。大人のボルスミの世界での花見の時です。


木ノ葉隠れの里 某所

 

今ここではお花見が行われている。その実態はある1人の青年に感謝する意味合いもあるが本人は気がついてない。今その青年がダイナミックに登場し幼なじみにぶっ叩かれた所だ。そしてその後青年、うずまきボルトはアカデミーの同期達の所に向かって約1年ぶりとなる同期との談笑を始めた。そんな時ボルトはこの前の連絡で思い出した事があり同期の少女・・・筧スミレに向いて笑顔で言った。

 

「そう言えば委員長、特別上忍になったんだって?おめでとうだってばさ!」

 

特別上忍·····それは少し特殊な立ち位置だ。階級としては中忍と上忍の間でありだからと言って中忍の後に誰でもなれる訳では無い。何かの分野に秀でたりするものだけがなれるのだ。そしてスミレは科学忍具の分野でその特別上忍となった。

スミレはそんなボルトの称賛に苦笑いしながら答えた。

 

「ありがとう、ボルト君。·····でももうアカデミーから4年経ってるのに流石にもう委員長はないんじゃないかな?」

 

アカデミー時代はスミレのクラスメイトからの呼ばれ方は委員長だった。卒業後も少しだけ委員長呼びの人はいたが4年経った今はもうボルトだけだ。だがボルトも笑いながら返す。

 

「いや、俺からすれば委員長だしなー」

 

そんなボルトにスミレは少し残念に思った。·····ボルトには名前で呼んで欲しい、そう思う事がよくあるからだ。ボルトに名前を言われたことは2回ある。1つはスミレがボルトに科学忍具班に行くと伝える為にハチャメチャがあった後に言われた。そしてもう1つは·····ゴースト事件の終盤だ。

その後自然とお話しタイムのメンバーは女子と男子に別れた。そしてそんな時いきなりいのじんがボルトに笑顔で言った。

 

「そう言えばボルト、何でスミレをずっと委員長って言ってるの?」

 

それを聞きボルトは思いっきりむせた。そして頬を赤くしながら言う。

 

「な、なんでだってばさ?」

 

「だって君が何でそんなに委員長呼びに拘るのかよく分からないし。」

 

ボルトは別にスミレのことをスミレって言えない訳では無い。普通に言えるが何故ボルトが委員長ってまだ言うのか、それは·····

 

「な、何でもいいだろ!」

 

ぶっちゃけ言うなら恥ずかしいのだ。ここぞという時には自然とスミレと言えるのだが普段からずっと委員長呼びをしていたからいきなり変えるのは恥ずかしいのだ。

 

「そ、その内ちゃんと言うってばさ。」

 

そう言ってそっぽ向いたボルトに男組は笑っていたのだった。そして結局ボルトがスミレと言えるようになったのはこれより3年後だった。

 




お疲れ様でしたm(*_ _)m。
超少なめという。ボルトは皆と違ってスミレって呼び方のタイミングが見当たらなかったと言う。青年になったボルトはヒナタの血が入ってる分恋愛はナルトよりもマシだと思ってますので好きな人の名前呼びは少し躊躇いがあるという。
(*´∇`)ノ ではでは~


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メサイア

おはようございます。久しぶりのボルスミ単品話。アニメ184話を見て作りました。独自解釈あります。
⊂('ω'⊂ )))Σ≡GO!!


「またなー委員長!」

 

 そう金髪の少年、うずまきボルトが手を振って別れを告げる。委員長と呼ばれた少女、筧スミレも久しぶりに再会した同期との別れを惜しみつつも振り返す。

 そしてボルトと彼の班員のサラダ、ミツキ。更に科学者のカタスケや忍犬の茶丸も新たな任務場所まで向かった。見えなくなるまで彼らを見送ったスミレは一息つく。

 

「大丈夫かな……ボルト君達」

 

 そんなスミレの肩を先端技術研究所の所長、犬塚アキタの手が置かれる。

 

「大丈夫じゃないと困るわよ。茶丸の命も預けてるんだから」

 

 それもそうかと考えスミレはボルト達が走った方を一旦向いた後、研究所の中に戻った。また元気なボルト達と会えるように内心で祈りながら。

 

 ★★★★★

 

 翌日、スミレは今日も研究所に出勤していた。鵺を口寄せし暴走をコントロールする為の科学忍具を作る。と言ってもまだスミレが出来ることはしれている。だけどそれで良い。一歩一歩進んだら良いのだ。

 

(ボルト君達、昨日のあの後どうなったんだろう?)

 

 まだ任務を継続している可能性はあるが何となくもう終わっていると思った。ただ、まだ茶丸が帰ってこないのでなんとも言えない。

 そんな時電話が鳴ってアキタが電話に出た。

 

「カタスケ先生、無事で良かったです」

 

 どうやらカタスケからで無事に任務を達成出来たようだ。スミレはホッとした。今頃ボルト達も任務を達成出来て喜んでるんだろうなぁとスミレは思っていた。

 アキタは2、3言話すと電話を切った。

 

「茶丸を連れて来るって言ってたわ。ただ、カタスケ先生は向こうに残らないとダメみたいだから代理の人が来るって。スミレちゃんも一応覚えておいて」

 

「分かりました」

 

 そんな会話をして約2時間後、スミレは実験で廊下に出て再びゴーグルをつけて鵺と視線を共有して暴走をコントロールしようとするがやはり上手くいかない。

 やはり見ている景色を共有するだけではダメなのだ。スミレは頭を捻らせる。そんな時、不思議と少しだけ風を感じた。ゴーグルを外し鵺を捕まえた所で小さな生き物が走ってくる音が聞こえ廊下の方を見た。

 

「茶丸!」

 

「ワン!」

 

 走ってきたのは件の茶丸だった。茶丸はスミレに突撃してきたがスミレはゴーグルと鵺で手がいっぱいなのでしゃがんで抱え込む形で茶丸も抱っこした。見た所怪我はしてない様子だ。それにホッとしながらスミレは茶丸が走ってきた方を見る。

 そこから結構目立つ金髪が見えスミレは昨日の今日だが挨拶した

 

「昨日ぶり、ボルト君」

 

「お……おう。昨日ぶりだってばさ」

 

 そんなボルトの様子をスミレは訝しげに見た。何故なら任務は達成した筈なのにボルトの表情は嬉しさとは真逆だったからだ。言うなれば悲しそうな顔だ。スミレの中のボルトは基本的に笑っている事の方が多い。辛そうな顔を見せたのはゴースト事件終盤にスミレが犯人だとバラした時、そして下忍試験と中忍試験の時くらいしか思いつかない。

 最も水月に気絶させられていたから知らないがその時も悲しげな顔はしていたが。スミレはどうしたのかと聞こうと口を開きかけた時

 

「じゃあ茶丸を届けに来ただけだから俺帰るわ。またな委員長」

 

 有無を言わさずにそう言った。何時もなら確かに「うん。またね」と言うのだが今のボルトはどう見ても様子がおかしかった。

 だから帰ろうと背を向けたボルトの手を鵺と茶丸を離した手で掴んでしまったのかもしれない

 

「……委員長?」

 

 スミレは割と無意識にしてしまった行動に内心パニックになりながらも口を開いた

 

「この後時間ある? 科学忍具の使用感とか聞きたいな」

 

 そう結構咄嗟に思いついた理由を言った。勿論止めたのはそれが理由ではない。この理由は手を掴んで1秒後に作った。

 本当の理由は今のボルトを1人にしてはいけない……そう漠然と思ってしまったからだ。ボルトはスミレを少し見てたが科学者だもんなと思い直して

 

「おう、良いぜ」

 

 スミレの内心を知らずにそう言った。スミレは鵺との実験を中止してお茶を用意するついでにアキタに訳を話し許可を貰った。ボルトを応接室に案内してお茶を出した。

 その間にボルトは何やらゴソゴソしてると思ったら昨日渡した科学忍具を出した。

 

「悪ぃ、持って帰っちまう所だったってばさ」

 

 そう先程茶丸を送り届けそのまま帰ろうとしたのを思い出し言った。スミレは首を振って

 

「いいよ、ボルト君が持ってて。邪魔じゃなかったらだけどね」

 

 ボルトはそれを聞き科学忍具達を見る。昨日、ここに来る前までのボルトなら却下していたかもしれない。と言うよりした。しかし今は科学忍具に対する苦手意識はそんなに無い。

 

「じゃあ……サンキューだってばさ」

 

 そう言ってまたカバンに入れた。

 

(やっぱり元気が無い。どうしたんだろう?)

 

 ボルトが元気を無くす時は大概誰かが絡んでいる。ゴースト事件の時はスミレが、下忍試験の時はクラスメイト達が、中忍試験の時は殆ど自爆だからあれだが。

 今回は誰が絡んでいるのだろうか。まさかサラダやミツキか? 

 スミレは昨日の戦いをボソボソと話してくれるボルトを見ながら考える。そしてある所まで来たらボルトは隠しているつもりなのかもしれないが1層悲しげな顔をした。それは洞窟で敵に襲われた時ら辺の話だ。何故かそこら辺の話は彼にしては珍しくボカして飛ばした。

 

(ここかな、元気がない理由は)

 

 ボルトが元気を無くした出来事の時系列を決定した。その洞窟の時に何かがあったのだ。それも立ち直りが基本的に早いボルトが今も立ち直れない位の出来事が。

 

「チャクラ刀はやっぱり使い方次第だったってばさ」

 

 そう無理矢理笑顔を作ったボルトをスミレは心配な顔で見ていた。ボルトはその顔に気が付き

 

「ど、どうしたんだってばさ委員長?」

 

「ボルト君、無理してない?」

 

 ただそれだけをズバリと聞いた。ボルトはスミレの言葉に面をくらい少しだけ呆然としていた。そんなボルトをスミレはまた心配な顔で待つ。そんなスミレの表情に少し耐えられなかったのかボルトは慌てて返す

 

「な、何でも無いってばさ。どうしたんだいきなり?」

 

 あからさまに動揺しているのが分かる。しかしスミレはボルトが何で元気が無いのか知らない。だからこれ以上踏み入った質問が出来ない。それでもボルトの力になりたくて少し声を震わせながら言った。

 

「何時もより元気が無いよ。それに少し上の空みたいだし……私で良かったら話を聞く……」

 

なんでもないってばさ! 

 

 ボルトは何かトラウマ的な出来事を思い出していたのかスミレの心配の声を思わず叫んで遮ってしまった。ボルトは自分の行動にハッとしてスミレを見た。スミレはボルトが叫んだ事にびっくりして口を開けていた。ボルトは申し訳なさそうな顔になり俯いて謝った

 

「すまねえ……大声出しちまって」

 

 スミレは首を振った。

 

「私も……ごめんなさい」

 

 ボルトに何があったのか知らないのに踏み入ろうとした事に対しての謝罪だった。スミレの言葉にボルトも首を振って立ち上がりボソボソと言った。

 

「悪い委員長、俺もう帰るわ」

 

 何かあったと分かっているスミレといれば何もかも吐き出しそうで……しかし男が女の子の前でそれはダサいとボルトは思っているので帰るという選択肢を選んだ。

 スミレは何となくボルトが思っている事が分かった。だけどやっぱり放っておくことは出来なかった。自分を救ってくれた人のこんな顔を見ていたくなかった

 

「ボルト君!」

 

 応接室を出ようとしたボルトの名を呼んで止めた。ボルトは覇気がない表情でスミレを見た。

 

「私も久しぶりに里に帰る日なの。一緒に帰ろ?」

 

 スミレは今基本的にはこの先端技術研究所で寝泊まりしている。木の葉からだと電車に乗ってこなければならず往復が時間がかかるという事でそうなった。それでも木の葉にある自分のアパートはまだ契約したままなので帰ろうと思えば帰れるのだ。スミレが壁にかけてある時計を見ると夕方に迫っていた。ボルトはそんなスミレを見てやはり元気なさげな顔で言った

 

「おう。良いってばさ」

 

 許可を貰った所でスミレはアキタに帰る旨を伝え定時は過ぎてた事もあり帰る準備をして出入口で待っているボルトの元まで走った。

 ボルトは建物に背を預けぼーっとしていた。

 

「お待たせ、ボルト君」

 

「おう。じゃあ行くか」

 

 そう言ってボルトは電車の駅まで歩き始めスミレもボルトの隣を歩き始めた。その間何時もならボルトから何か話しかけてくるのに今日は無言だ。

 何も話さないまま電車に乗って木の葉へ行く。

 

「……ボルト君」

 

「……ん、なんだ?」

 

 一応声をかければ返事はしてくれるが上の空だ。そしてスミレは少しだけ勇気を振り絞り聞いた

 

「昨日何があったの?」

 

 戦いの内容では無い。気持ちの面でスミレは聞いたのだ。ボルトはスミレを少し見ていたがやっぱり思い出すのも辛いのか

 

「悪い……余り話したくないってばさ」

 

 そう言ったボルトから無理矢理聞き出す訳にも行かずスミレは少し胸が苦しくなった。そしてまた無言の時間が過ぎ電車は木の葉へと到着した。電車から降りると外は暗くなっていた。普段なら綺麗な夜空に立ち止まって見る所だがボルトとスミレは改札を過ぎた所で

 

「じゃあ、ここで」

 

 別れようと言ってズボンのポケットから手を出した時、何かが一緒に落ちた。

 

「ボルト君、何か落ちたよ」

 

「あ……!」

 

 ボルトはその落ちたものを拾った瞬間、大きく目を見開き一瞬動きを止めた。その瞬間ボルトがした思考は分からない。スミレはボルトじゃないからだ。少し動きが止まったボルトはその落ちたものを掴みもう一度ポケットに入れた

 

「じゃあまたな委員長」

 

 そう有無を言わさずにボルトは踵を返した。スミレはまた駆け出しそうになってしまったが止まった。これ以上ボルトに迫ったらボルトが怒る可能性も考えたのだ。そして理由を話してくれないかもしれないと。

 

(それに……私なんかが聞くの)

 

 嘗て目の前のボルトも殺そうとした自分にボルトの悩み事を聞く権利はあるのだろうかと考えてしまったのだ。そんな逡巡をしている間にボルトは夜の里に紛れ歩いて行ってしまった。スミレはそんなボルトを見送る事しか出来なかった。スミレは少しの間ボルトが歩いた方向を見ていたが気分を紛らわせようと今日の晩御飯の材料を買いに向かったのだった

 

 ★★★★★

 

 ボルトはスミレと強引に別れた後、1件のアパートに来た。家主がもう居ない部屋を先程ポケットから落とした鍵を使い入る。

 もしかしたら本当は生きていて「遅いぞボルト!」とか言うアニメ的な展開を1割でも期待していたのだがそんな事は無かった。それが更にボルトの気分を重くさせる。

 扉横の電気のスイッチを押したが電気はつかない。それでこの部屋には電気が来ていないことを思い出した。ボルトは窓から窓から射し込む月光を頼りに机の隣の水槽を見る為にしゃがんだ。そしてポケットから買っておいた餌をその水槽の中の亀にあげながら言った

 

「お前は……これからどうするんだってばさ」

 

 そんな質問に亀が答える訳もなく亀はゆっくりと餌を食べる。

 この亀を買っていたこの部屋の部屋主はもう居ない。ボルトはポケットの残りの餌を机の上に置きこの部屋のたった1つの窓をボルトは開けた。射し込んでいた月光を直に浴び思わず目を少し閉じる。そしてまたゆっくりと目を開ける。そこにあった光景は歴代火影の顔岩が……もっと言えば3代目火影の顔岩がよく見える。

 部屋主が一番尊敬していたのが三代目火影と聞いている。ボルト自身は会った事はないが今自分の家で居候している男を居候させる事は三代目の事を思い出したからと父親で今の火影のナルトが言っていた。

 ボルトは顔岩を見ながらこの部屋と昨日の任務で起こった事を思い出し心臓の部分を抑え嗚咽を漏らしながら昨日スミレが言った言葉を思い出す。

 

『ボルト君、あれからいっぱい修行したの?』

 

 修業とは基本的に強くなるためにするものだ。スミレはボルトがサラダと戦った時の身のこなしからボルトが強くなったと感じたのだ。そしてボルトはスミレの送迎会前よりも強くなったと自負していた。だが今のボルトの心中は……

 

「俺は……全然強くなってないってっばさ」

 

 そう絞り出すような涙声で呟いた

 

 ★

 

 スミレは取りあえずの買い物を終えて帰路についていた。しかし頭の中ではボルトについて考えている。あれだけ元気がないボルトをどうしたら元気づけられるのか……或いは自分に慰める権利はあるのだろうかと考えている。

 そんな時、昨日ぶりの声がかかった

 

「スミレ?」

 

 スミレも今のボルトに似た覇気の抜けた顔で振り返ると手提げ袋を掲げ里内だからだろうか額当てを取っているうちはサラダがいた。

 2人は近場の公園のベンチに座った。そしてスミレは意を決して言った

 

「ボルト君の元気がないの」

 

 サラダはそれを聞き自身も少し悲し気な顔になり「やっぱり引きずってたんだ……」と言ってサラダはボルトがああなった理由をスミレに話した。

 昨日のあの後、自立型の傀儡の戦いの後の洞窟でボルトと何だかんだ仲良くなったムギノという上忍がボルト達を逃がすために自分を犠牲にして……

 

「そう……だったんだ」

 

「昨日別れるときは無理やり笑ってたんだけどね」

 

(でも……本当にそれだけなのかな)

 

 別にサラダの言葉を疑っているわけではない。確かに目の前でそんな人が亡くなってしまったのなら元気をなくすのはまだ分かる。それでもボルトなら人前では……同期の前なら笑う筈だと思ったのだ。そしてスミレの予想は大体合っている。この前ボルトとサラダがボロボロの状態で帰って入院していた時、第5班の前では無理をして笑っていた。つまりボルトはやろうと思えばスミレの前でも無理やり笑えた筈だ。それも出来ない程に今のボルトは弱っている。

 そうなった原因は確かにムギノの死なのは間違いない。でもそれはサラダが思ってたよりもボルトとムギノに親交があったか……大事な約束か何かを果たせなかったか

 

(ちょっと待って……)

 

 そこでスミレは自分にブレーキをかけた。何かが頭に引っ掛かったのだ。そしてそれに思い当たった

 

(もしかして……私のせいでもあるかもしれない)

 

 そう思う理由は昨日にある。スミレはボルトに「強くなったね」という旨の言葉を言った。本当にボルトが強くなっていると思ったからこそ言える純粋な言葉だった。

 ボルトは中忍試験前は大分自信家だった。しかし紆余曲折があり今はそんなに自信家の面は全部という訳ではないが無くなっている。それでもボルトは自分が強くなった事に多かれ少なかれ誇りを持っていたはずだ。だけど……そんな自分の目の前でムギノが死んだとき、ボルトは何を思うだろう。そしてそれを助長してしまったのは……

 

「私も同じ所にいたから気持ちは分からないでもないけど……いつまでもグチグチするのはムギノさんが望んでいない」

 

 そんなサラダの言葉を聞きながらスミレの心中は罪悪感で支配されていったのだった

 

 2人は公園前で別れた。サラダが帰ったのを見送った後、スミレは鵺を口寄せしボルトのチャクラを追わせた。ミニサイズなら言う事を聞いてくれ鵺は走り出した。

 

(少しでも私のせいなら私がやらなきゃ!)

 

 そう心で言った。鵺に追わせて少し経った時、この夜の中でも目立つ金髪が見えた。鵺にお礼を言って帰ってもらいつつスミレはボルトを見た。ボルトは街灯もない道へ歩こうとしていた。その闇がボルトを誘う様にボルトは歩いている。そして……ここで逃がしたらボルトがいなくなるような気がして……夢中で駆け出してその腕を掴んだ

 

「……! 委員長?」

 

 あからさまにびっくりしているボルトを見ていたら無我夢中でしてしまった自分の行動に頬を赤くしながら口を開いた

 

「はぁ……はぁ……ボルト君。私の部屋に来ない?」

 

 そうスミレは少しだけ息を切らしながら言ったのだった。

 

 ★★★★★

 

「お邪魔します」

 

 ボルトは部屋に入ったスミレの後に付いてきてそう言いながら部屋に入った。スミレが電気を点けると明かりが灯り部屋の全貌が見えた。リビングとトイレとバスルーム、そして寝室があるのが分かる。流石に覗き見はしなかったが初めてサラダ以外の女の子の部屋に来たので少しソワソワしてしまう。

 そんなボルトの様子に気が付かずにスミレはテーブルにクッションを置いた

 

「ここに座って」

 

「あ……サンキューだってばさ」

 

 ボルトはそう言いつつ座った。そして珍しいものを見るように少しだけ見渡してしまう。テーブルの上にはアカデミー時代の修学旅行写真や15班で撮っただろう写真がある。キッチンの場所を見れば恐らくお皿が入っている棚の上にも写真がある。そこにはミツキ里抜け事件の後に皆で撮った記念写真がある。それらの写真はアカデミーまで一人ぼっちで生きていたスミレには正真正銘の宝物なんだろう。

 

「ボルト君、少し待ってて」

 

 スミレはそう言ってエプロンを着つつキッチンの方に行きお米をとぎ始める。そして小鍋にお米と水を入れ弱火で炊き始めた。ボルトはそれを不思議そうに見る。ボルトの家には炊飯器があるからスミレのやった様な炊き方はしない。野外やキャンプなら兎も角家でもそうする事が少し珍しかったのだ。

 スミレはその後、先程買ってきた晩御飯の材料を引っ張り出した。そして少し悩んだがボルトを長く待たせる訳にも行かないので簡単にチャーハンにする事にして準備を始めた。

 ボルトはそんなスミレの後ろ姿をじーっと見ていた。女性が料理している場面なんか母親であるヒナタで見慣れている筈なんだがそれとは違った感慨を受ける。後ろ姿からしか推測出来ないが凄い慣れている。ボルトが同じ作業をすればスミレの3倍は時間がかかると思う。

 

(俺……なんで委員長についてきたんだ?)

 

 ボルトは料理しているスミレを見ながらここに来る事になった経緯を思い出した。ボルトは少しだけ泣いた後痩せ我慢して帰路に着いた。家にはイラつく居候がいるが夜遅くまで任務でもないのに帰らなかったら心配をかけると思ったからだ。だから暗い道を歩こうとした時、突如スミレが自分の腕を掴んで来たのだ。

 

『はぁ……はぁ……ボルト君。私の部屋に来ない?』

 

 一瞬腕を掴まれた事と少し息を切らしていたスミレにドキッとしてしまった。びっくりの方ではなくドキドキの方の意味で。そしてそんな勢いのあったスミレに思わず頷いてしまった。

 ……違う。本当は誰かといたかったのかもしれない。家族では無くスミレと。家族の元に帰れば少なからず気にかけてはくれるだろう。でもボルトにはそれが嫌だった。何より今居候しているあいつに自分のかっこ悪い顔を見せたくなかったと言うのもある。

 そして一緒にスミレの部屋に向かってた時『良かったらご飯も一緒に食べない?』とスミレは言ってきた。その時スミレの頬が暗かったから分かりにくいが赤くなっていたのは気のせいだろうか? 

 

「ごめんなさい、お待たせボルト君」

 

 流石にお客さんのボルトをほっとくのは気が引けたのかスミレは具材を切り終わらせた。ボルトはその時初めてスミレのエプロン姿を見た。主に紫色だが菫の花柄があちこちにあってスミレにとても似合っていると思った。そんなエプロン姿もスミレが一瞬で取ったおかげでもう拝めなくなったが。スミレはボルトの隣にちょこんと座った。

 そして……1分程の静寂が2人を包む。スミレは色々感情よりも口が先走って今の状況になった。そんな自分が恥ずかしく抑えるのに1分かかった。その間何とかボルトの表情を覗き見した。やはり何かを考えているのかぼーっとしている。そして……スミレは意を決して口を開いた

 

「……ムギノさんの事でしょ? ボルト君が元気無い理由」

 

 ただそれだけを言ってみせたスミレにボルトは驚愕し思わずスミレをガン見してしまう。サラダの話が正解だった。ボルトは隠すつもりもなく動揺しているのが分かる。

 

「な……ん」

 

「サラダに教えて貰ったの」

 

 ただそれだけを言えばボルトは納得した表情になった。そしてほんの一瞬だけゴースト事件終盤に見せた悲しげな表情を見せ直ぐに作り笑いを浮かべた。

 

「ま、まぁ忍の世界なんだから殉職だってあるってばさ」

 

『だからしょうがない』、ボルトは言葉には出さなかったが心でそう続けた。しかしそれが作り笑いなのはスミレにはお見通しだ。今の全力を持って作り笑いを浮かべているボルトの顔にスミレは両手を添えた。

 

「ちょっ! 委員……長」

 

 ボルトは思わず叫んでしまう所だったがスミレの表情を見て止まった。スミレの眼は『話して?』って『抱え込んじゃダメ』と言ってるように見えたのだ。そしてボルトが目を逸らす事が出来ないように顔に手を添えている。

 その紫色の眼をボルトは初めてまじまじと見た気がする。そして「綺麗だ」と今の状況に全く関係ない事を思い浮かべてしまった。

 

「……私にはボルト君がどんな思いをしたのか分からない。でも……辛そうな貴方をほっとくなんて出来ない」

 

 そしてそんな紫色の眼から少しずつ涙が出てきた。

 

「ボルト君が私にしてくれた様に今度は私がボルト君の助けになりたい」

 

 その言葉から嘘も偽りも感じなかった。本気でスミレは自分の事を心配し話を聞こうとしてくれている。それが分かったらボルトは誰にも弱みを見せまいとしていた壁が崩れ去ったのを感じた。

 

「昨日……さ」

 

 そこからボルトは先程のサラダと同じ事をボソボソと話してくれた。その間でもスミレは手を添えるのを止めなかった。

 そしてサラダが話した事以上の事を話してくれた。

 

「約束……したじゃねえか」

 

 気がついたらボルトの青色の瞳からも涙が少しずつ出てきた。

 約束とは雷バーガーを奢ったツケを返すと言う約束。ボルトはお金を返してもらう欲しさにそんな事を言ってる訳じゃないのは直ぐに分かっている。きっと生きてまた笑って会って欲しかったんだろう。そしてボルトが真に悲しくなっている理由はムギノの死と

 

「俺が……もっと強かったら」

 

 スミレはボルトが思わず呟いた言葉にボルトの心が疲弊しきっているのを感じた。自分の予想通りボルトは自分の力不足を責めていた。自分が強かったら道ずれなんて道を選ばせず一緒に里に帰る事が出来たんじゃないかと。

 ボルトは時々自分の事をめちゃくちゃ責める。スミレが入院した時も自分を責めていた。ボルトは涙を流しているがそれに気が付きスミレの前で泣くのはダサいと勝手に考え必死に止めようとする。しかし止めようとする度に逆にムギノの事を考えてしまい止められなかった。

 

「……!」

 

 スミレはそんなボルトの顔に添えていた手を頭の後ろに回し少し強引にボルトの顔を体ごと自分に預けさせた。スミレの胸部の部分にボルトの顔が押さえつけられた。ボルトはいきなりそんな事をされた恥ずかしさと情けなさが出てきてしまう。だから離れようとするのだがどこにそんな力があるのかスミレは顔を上げさせなかった。

 そしてボルトの頭をゆっくりと撫で始めた。その手つきは少しぎこちない。スミレ自身こんな行動は初めてだ。それでも……今のボルトにはこうしなくちゃいけないと思ったのだ。そんなスミレの撫でがボルトには心地よくて無意識に抵抗をやめた。そしてスミレは撫でながら赤ん坊に語りかけるように言った。

 

「ボルト君は強いよ」

 

「違う……俺は弱いんだ!」

 

 そうスミレに撫でながらも半ば叫んだ。そんなボルトの咆哮にスミレはビクともせずに首を振った。

 

「貴方が弱かったなら私は今頃生きてもいないよ」

 

 そんなスミレの言葉にボルトは震えを思わず止めた。何故そうなるのか全く分からない。そんなボルトに幼い子供に何かを教える口調でスミレは言葉を紡いだ。

 

「貴方が本当に弱かったなら私はきっと今頃あの異界で死んでた」

 

 ボルトが弱かったら異界の崩壊中にへたり混んでしまったスミレを見殺しにしていたとスミレは言ったのだ。いやボルトが弱かったならそもそも異界にすらついていけたか分からない。

 ボルトが弱かったら異界崩壊中に瓦礫を躱しつつスミレの元に辿り着けるかすら怪しい。そして心の面でもボルトは強い。それは直接救われたスミレだからこそ分かる。上手く言葉では言えないがボルトが弱いというのは違うとスミレは思ったのだ。

 

「私にはボルト君を励ます言葉なんて見つからない。ボルト君と同じものを見たり感じたりした訳じゃないからそんな無責任の事なんて言えない」

 

「でもね」とスミレは言葉を続ける。

 

「貴方が弱いなんて事は絶対無い。例えボルト君自身がそう思っても私はボルト君の強さを知っている。だって私はボルト君のおかげで救われたから」

 

 ボルトはスミレに顔を押さえつけられているのでスミレの顔は見えない。でも何となく少し泣いているんじゃないかなと思った。

 

「悲しかったり……苦しかったら私の事を思い出して。私はボルト君のおかげで今を生きていられる。貴方の強さのおかげで今を生きている私の事を思い出して」

 

 ボルトも人間だ。人間なのだから絶対なんかない。ボルトにも出来ないことなんか山ほどあるし救えない命もある。ボルトはそれが自分に近い人ならまたショックを受けてしまうだろう。だけどそれでもボルトのおかげで救われた人も確かにいる。言うまでもなく目の前のスミレだ。父親の復讐の道具として生涯を終える筈だったスミレを救ったのは他の誰でもないボルトなのだ。スミレにとってボルトはメサイアなのだ。

 励ます事は出来ない。スミレが言った通りスミレは当時いなかったし赤の他人に等しかった。そんなスミレが励ました所で逆効果だ。だからスミレはこんな少し強引な方法をした。自分はボルトのおかげで生きている。その生きているスミレの温もりを少しでもボルトに分かって欲しかったのだ。

 

「……スミレ」

 

 ボルトはそう言って自分の顔を子供のようにスミレに押し付けスミレはそんなボルトを受け止めつつ撫で続けた。アパートの一室から結構長い泣き声が聞こえたという

 

 

 

 

 

 ★★★★★

 

 

 

 

「その……悪い。ダサいとこ見せて」

 

 そう少しだけスミレから離れボルトは恥ずかしそうに言った。その眼の周りには泣いた跡がある。それでもその顔はどこかスッキリしている顔だった。まだムギノの事を引きずっていないと言ったら嘘になるが大分落ち着いた。

 スミレは少し首を振った。因みにスミレの服は少しボルトの涙で濡れている。

 

「気にしないで。私に出来るのはこの位だから」

 

 そのまま2人は少し無言になった。別に話題が無い訳では無い。どちらかというと先程のやり取りに対しての恥ずかしさだ。スミレはしていた時は何にも無かったのに少し離れてしまった時遅すぎる自覚をした。元気づける為とは言え自分でも大胆な事をしたという自覚がある。

 ボルトはスミレの胸で泣いてしまったこと等など……大分恥ずかしくそれによる無言だ。

 2人とも無自覚なのか顔が赤くなっている。スミレは動いてないと体が変になってしまうと思ったのでお米を炊いている鍋に近づき出来ていたのでチャーハンを作り始め、ボルトはそんなスミレを先程とは別の視点で見ていたのだった。

 

 

 




お疲れ様です。めっちゃ中途半端な所で終わるやーつ。想像におまかせ系。

スミレの告白シーンはアニメじゃカットでしたね。まぁ漫画とアニメのスミレは微妙に違うし緊急の任務前なのに場違いの事を言うのもあれなのでカットは正解だと思います。スミレがわざわざ原作にはない里戻る宣言したのでアニオリでスミレ出そうだし。個人的にサスケ新伝はスミレと重なる事がありまくるのでアニメでやるなら出て欲しい。

184話を見て思いついた話で単品なので続きは多分書かない。最初は親子の日シリーズで書こうかなと思ったけどそっちはもう漫画準拠でやっちゃったので色々整合性おかしいことになるので止めた。
アニメのボルスミの会話の改変は良かったです。スミレの夢が微妙にボルトに似ているのも良き。

さて独自解釈について。ボルトは自分が弱い自分を責めました。アニメでスミレがいっぱい修行したの?と聞いて強さについて考えてしまうんじゃないかなぁと思いました。現にミツキの時のショックはそりゃあ半端無かったし。死んでいないミツキであれだからムギノが死んだ時はこうなっちゃうんじゃね説でやりました。そしてスミレが励ます?みたいな展開でした。

そう言えばアニメのサラダのスミレへの呼び方が委員長に戻ってましたね。送別会の時はスミレ呼びだったのに。
因みにこの話、ボルトが泣く前のスミレ呼びは素です。

(*´∇`)ノ ではでは~


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矛盾

おはようございます。2か月半位書いてませんでした。本当にごめんなさい。大学生活が忙しく(以下言い訳なので割愛)

メサイアの続きです。次回はビオラの方書けたらいいなと思っています。


謎の少年がボルト達第7班に連れてこられた先端技術研究所を脱走した事件から少し経ち、スミレがボルトをムギノの事で励ましてからも少し経った日、スミレは隣を歩いている遠野カタスケと共にうずまき邸を目指して歩いていた。

 

「カワキ君、元気だと良いな」

 

 カワキ……それが謎の少年の名前だ。その名はカタスケから聞いた。殻と呼ばれる組織から逃げてきたと思われる少年で「器」だ。何の器なのかはまだ分からないが忍界を脅かそうとする組織が言う器なんてろくなものでは無い筈だ。最もそれでカワキが責められる言われはない。自分の意思でなったなら兎も角そうでは無いからだ。

 

『そんな化け物を飼い慣らしているとはな、お前も俺と同類って訳か』

 

 カワキに言われた事を思い出す。それを聞いた時はカワキの中に感じる悲しみを確かに感じた。同じような道を歩いていたスミレだから感じた悲しみ。

 だからどれだけ攻撃されようとカワキに反撃しようとはしなかった。反撃何かしたらカワキは誰も信用しなくなる。同じ悲しみを感じたもの同士心を開いて欲しいと思ったのだ。その役目は今は7代目火影で今向かっている家の家主がやってくれているが。

 

「ここですよ」

 

 カタスケの声でスミレは意識を現実に戻した。そして割と初めて見るうずまき邸、スミレからすればボルトの住んでいる家を見た。内心大きい家だなと思いながらもカタスケが先に歩いで行ったのでついていく。

 インターホンを鳴らす。そうすれば女の人の声がする

 

「はい、うずまきです」

 

「カタスケです。カワキ君のメンテナンスをしに来ました」

 

 そう言うと家から施錠音がした。カタスケはお礼を言って玄関に行く。スミレもインターホン越しにお礼を言ってカタスケを追った。家に入ると恐らくさっきの女性が出迎えてくれた

 

「お邪魔します」

 

 カタスケが言ってスミレも同じ台詞を言うと女性……うずまきヒナタは微笑んだ

 

「いらっしゃい。あら?」

 

 そこでヒナタはスミレを見た。スミレは内心では元上司のハナビと似ていると思った。それもそのはずでハナビの姉なのだから。しかしヒナタとスミレは初対面なのでスミレは自己紹介をした

 

「あ、カタスケ先生の助手の筧スミレと申します」

 

「あれ? 委員長」

 

 と家の奥から顔を覗かせたのはボルトである。

 

「こんにちは、ボルト君」

 

 今の会話でヒナタは内心この子が……と思っていた。ゴースト事件が終了した後、ボルトがナルトに「委員長をアカデミーに戻してくれ」と嘆願していたのを覚えている。その件の委員長というのがスミレ何だろうと。

 そしてよくよく見れば何やら2人とも恥ずかしそうに少し頬を染めた。

 

(やべえ、どんな会話すりゃあいいんだ?)

 

 少し前、ボルトはカワキを連れ帰った任務の時にムギノという上忍が目の前で死んだ。そのことを思い出し落ち込んでいた時にスミレに励まされた。それなら別にと思うかもしれないがその励まされ方が恥ずかしかったのだ。何故ならボルトは顔ごとスミレの胸に押し付けられ頭を撫でられるという割と恥ずかしい励まされ方だったからだ。

 しかしスミレは仕事仕事と意識を切り替えてカタスケの後に続いてうずまき邸のリビングに入ると家主のナルトに次女のヒマワリ、そして……

 

「こんにちは、カワキ君」

 

 カワキは椅子に腰掛けスミレを見ていた。スミレの挨拶を返さないカワキにボルトはイライラの面立ちで言った

 

「おい、挨拶位返せってばさ」

 

「うるっせえな。別にいいだろ」

 

「良くねえよ。お前あの事も謝っちゃいねえんだろ?」

 

 スミレは一瞬あの事って何の事だろうと思ったが直ぐに分かった。カワキが竜胆の研究所から脱走してそれを追いかけてきたスミレに何があったのかはボルトは知らないが次にカワキとスミレを見た光景がカワキがスミレの首を締めているという絵面だけ見れば最悪な光景だった。仲間思いなボルトがあの光景を見た時に感じた感情なんて間近で見続けてきたスミレには分かる。

 カワキはそれを聞きバツが悪そうな顔をした。しかしスミレはボルトに慌てて言った

 

「ぼ、ボルト君。あれは私も悪かったんだから大丈夫だよ」

 

 その理由をスミレは言った。腹が減って体力が無くなっていたカワキにスミレは栄養剤の入った注射を打とうとした。しかし未だに人を信用出来ないカワキにとってその注射は毒かなにかだと思いスミレの首を絞めるに至ったのだ。

 確かに絵面だけ見ていればカワキに非があるように思えるがカワキの過去を知っていればスミレにも少し非がある事になる。しかしそれはカワキの過去をスミレが知っている前提になり……

 

「だけど、何も首を絞める事なんてなかっただろ!」

 

 ボルトもカワキがある程度過去を話してくれたから分かっているつもりだ。だがあの光景だけは許せなかった。栄養剤が嫌なら注射だけ壊すって事も出来た筈でスミレを傷つける必要は無かった筈なのだと。まあ当時のカワキは割と切羽詰まっていたのもあったのだが。

 次いでに言うとカワキの過去を知らないスミレには非がない。

 

「それに、花瓶の事も俺はまだ許しちゃいねえ!」

 

 それを聞いたヒマワリが若干悲しそうな顔をしたのにスミレは気がついた。そしたらムギノの事での励ましの後に近況報告した時に出てきたヒマワリのヒナタへの誕生日プレゼントの事かと思い至った。そしてちらりと部屋を見るとその花瓶がどこにもない。つまり悪意があったのかは知らないがカワキが割ってしまったという事なんだろう。それはボルトが怒るのも必至な気がする。

 怒りのボルトの視線と冷静なカワキの視線が交錯する。しかし睨み合いはボルトが玄関に向かうことで終わった

 

「ちょっと外行ってくる」

 

「ああ、行ってらっしゃい」

 

 ナルトがそう言って少し経つと玄関のドアが開閉した音がした。見届けたナルトはため息を着く

 

「全く、なんだかな」

 

 やれやれと言いたげに首を振った。この家に来てからボルトとカワキは上手くいってないのだろう。確かに考えてみれば仲間思いで曲がった事が嫌いなボルト、スミレが見る限り悲しい過去のせいで人を信用してなさげで何よりもスミレの首絞めという割と最悪な光景をボルトに見せつけてしまったカワキが直ぐに仲良くなれる訳なかったのだ。

 勿論、カワキの居候はボルトと仲良くするためのものではなくあくまでも目的はカワキの保護だから最悪仲良くはならなくてもいいのだが……

 

(その雰囲気にしちゃうのはヒマワリちゃんが可哀そうだよ)

 

 横目でヒマワリを見るとしゅんとしている。だれも家庭内で嫌な雰囲気なんて嫌だろう。最もスミレは誰かと食卓を囲んだことなんて数える程しかないのだが。

 

(どうしたらいいんだろう)

 

 スミレはカタスケの手伝いをしながら頭の隅で考え始めた。結果論だがカワキがもし最初から大人しい性格ならここまで溝が出来なかっただろう。そうするとボルトはおそらくカワキの何かしらあった過去に共感し仲良くなるのは早かったはずだ。

 現に今ボルトのカワキに対する評価は「いきなり敵意をむき出しにしてきた奴」と「大切な仲間を傷つけた奴」と「大事な妹の花瓶を割ったやつ」となる。例えスミレが感じたカワキの悲しい過去を聞いたとしても第一印象が強すぎるのだ。

 

(カワキ君も悪い人ではない。それが分かればマシなのかな?)

 

 どうだろうと内心首をかしげる。普段のボルトならそれでいいかもしれないが今のボルトはどこか焦ってるところも見られる。謎の敵殻の存在がそれに歯車をかける。ボルト達は殻のメンバーと戦った。その犠牲を見たボルトが焦るのは無理もないような気がする。

 スミレは気がつけばカワキを見てあれこれ考えていた。カワキはその視線に気が付き荒々しく聞いた

 

「なんだ?」

 

「花瓶以外にボルト君となにかあった?」

 

 それを聞いたカワキは「お前には関係ない」とばかりに顔をそらす。スミレは「あったんだな」と内心納得した。それが何なのかが問題だが。

 ナルトがカタスケに教えたことをスミレも教えてもらった。楔と呼ばれる手の印はある意味呪いのようなもの。ならカワキがそれをどうしたのかと聞かれたら間違いなく消すことと答えるはず。そして共通点を持つボルトがいれば協力を持ちかけるのではないのか? 突拍子のない考えだが今の所これくらいしか思いつかない。

 だけどボルトには花瓶の件で断られたってあたりと考えたときカワキのメンテが終了した。

 

「お疲れ様です、カタスケ先生」

 

「君もありがとう」

 

 カワキは手を開いたり閉じたりして感触を確かめている。そしてなんにも異常が無いことを確認しそっぽ向いた。しかしスミレはこれよりも荒々しいカワキを知っているのでまだ短い時間しか経っていないがここが安全な場所だとは理解してもらえたそうだ。

 現に今はスミレを振りほどこうとはしていない。それがスミレには嬉しかった。

 スミレとカタスケは目的は達成されたのでお暇することにして立ち上がった。そしてスミレはカワキに自分らしくないと思いつつ言った

 

「ボルト君がね、昔言ったんだ」

 

 カワキはその顔を窓の方に向けているがボルトの名を聞き少しピクッとした

 

「『どうしても信用してほしいなら言葉じゃなくて行動で示せ』って」

 

 ゴースト事件の際、スミレはボルトが当時ハマっていたカゲマサと呼ばれる俳優の劇中での台詞だから正確にはボルトの言葉ではないのだがスミレはボルトが言ってた所しか見てないので若干勘違いしている。しかし言いたい事は伝わったのかカワキはうざったそうな表情を見せスミレに何か言おうとしたがその前にスミレはナルト達に言った

 

「お邪魔しました」

 

 一礼して玄関へ向かってしまいカワキはやり場のなくなった気持ちを思わず愚痴た。

 

「……俺にどうしろってんだよ」

 

 カワキはボルトにこのままへそ曲げられているのは都合が悪い。しかし当のボルトはあの状態だ。あんな状態からどう信用されろというんだとなったのである。

 一方、うずまき家を後にしたスミレとカタスケは研究所に戻ってカワキの体の研究……をするはずだったのだがカタスケの方に用事が入ってしまいスミレは意図せず午後は休みになってしまった。

 

「それではスミレ君、今日は助かったよ」

 

「いえ、カタスケ先生もお気をつけて」

 

 スミレはカタスケの背中を見送り自分も反対方向に歩み始めた。急に出来てしまった休みだからなにも予定がない。普段は研究所で鵺の暴走を止める科学忍具を考える所だが最近色々ありすぎて割と精神的に疲れた。

 だから久しぶりに里に出てみることにした。クラスメイトの雷門デンキが言っていた事だが彼の父親が現役の時里を歩いていたら電車のアイディアの元を話しているの聞きそれで今雷門カンパニーは一大企業になったんだとか。

 だから歩いてたら何かいいアイデアが転がってないかなと思ったのである。

 

「こんなにゆっくり回るの何時ぶりだろう」

 

 科学忍具班になってからは大概竜胆にいたものだから里を歩くのも久しぶりだったりするのだ。しかしその思考は徐々にボルトとカワキの事になっている。

 スミレとしては二人には仲良くなってほしいと考えている。同じ楔を持つ同士、そして悲しみも理解し友達になってほしいと思っている。友達がいれば世界は変わる。それはスミレがアカデミーに入ってから一番感じた事だ。

 そんな時嬉々とした声がスミレを呼び止めた

 

「スミレじゃないか!」

 

 少し懐かしい男勝りの声を聴きスミレは嬉しそうに振り返った。そこには活発そうな猫のしっぽのアクセサリーをつけたワサビとナミダのスミレの元の班である15班の二人と今は抜けたスミレの代わりに15班に入っている鉄の国の侍、黒鉄ツバキがいた。

 

「皆任務は終わったの?」

 

 いきなり午後休が出来てしまったスミレと違い普通なら任務があるところはある。

 

「ああ、今日の任務は終わったぜ」

 

「スミレは今日は休みなの?」

 

 ナミダのその言葉について説明するために一行は雷バーガーまでやってきた。それぞれ飲み物、ツバキに関してはハンバーガーセットを頼んで飲み物組は席についた。

 スミレはカワキの事について話してもいいところまで話した。そして自分はどうしてほしいのかも

 

「なんか難しそうな問題だな」

 

 それにナミダも頷く。話を聞いてる限りは正直ボルトが妥協すれば解決する。だけどもボルトはそうしないだろうなとスミレは考えている。ボルトは家族の事をとても大切にしている。それはかつて家庭を顧みないと思っていたナルトの行動があったからだ。まあそれも今は解決してる。だけどもボルトの家族思いは本物だ。それは一度は自分と家族を天秤に賭けたスミレが一番よく分かっている。

 三人で悩んでいたら一人だけセットを頼んでいて遅くなったツバキが戻ってきながら言った

 

「それはスミレさんが悩む必要があることなのですか?」

 

 スミレは何でさん付けなんだろうと一瞬思ったが直ぐにツバキの言葉を聞き返してしまう

 

「えっ?」

 

 ツバキはスミレの隣にハンバーガーセットを置きながら座る。ツバキは当然という風に言った

 

「その二人が仲良くなるにせよならないにせよそうなるのは結局その二人次第なのではないのですか?」

 

 確かに一理ある。スミレがここで悩んでも最後は本人たち次第、そこにスミレの願望として仲良くなってほしいというの押し付けてしまったら最悪関係は悪化してしまうかもしれない。スミレも考えなかった訳ではない

 

「……うん。確かにその通りなんだ」

 

 スミレはそこで言葉を区切り喉を潤すために飲み物を飲む。さっきから緊張しっぱなしだったからかとても美味しく感じた。

 

「でもね……それでも私がいる事で二人が仲良くなれるならそうして欲しいって思うんだ。……カワキ君は私と同じだから」

 

 その意味はツバキにはわからない。何故ならツバキはまだスミレの過去の事を知らないからだ。しかしワサビとナミダは意味する事が分かったのか若干戸惑った顔になった。ただでさえスミレの境遇も辛いしはっきり言うと珍しい部類にはいる。そしてそんなスミレはアカデミーに入るまでは友達のとの字も知らなかった。周りは皆敵とか思っていたのに徐々に友達が出来てスミレの世界は広がった。そんなスミレだからこそ思った事

 

「友達がいれば世界は変わるってことをカワキ君に知ってほしい」

 

 そして同じ楔を持つ同士のボルトがそれに本来なった方がいい。その為にカワキと似た境遇の自分が名字通りの「筧」になればいいのではないかと思ったのだ。しかしカワキはまだ余り皆を信用してなさげだ。それがスミレの悩みなのだ。でも止まるという選択肢はない。だからスミレは微笑んで三人に言った

 

「だから、私は私に出来る事をする」

 

 そう言ってスミレは深呼吸した。自分の思いを言葉にした事で少し胸がスッキリした。顔色が良くなったスミレを見てこれ以上言うのは野暮かとワサビは思い話を変えた

 

「それでスミレはそのカワキって奴が気になるのか?」

 

 その言葉に先程とは違う雰囲気を感じ取った。若干ニヤリしている所を見るとその意味とは……

 

「ち、違うよ! そういう意味で気になる訳じゃないよ!」

 

 先程とは打って変わって顔を赤く染めながら両手を前に突き出し否定する。ワサビはそうだろうなと言う風に頷き

 

「そうだよな、スミレはボルトの事が好きだもんな」

 

 それを聞いて頬だけだったのが顔全体が赤くなって言った。そして口が若干開いて「はわわ」と小さい声で呟いている。しかし何とか声を絞り出した。正し頭が色々パンクして正常な思考が無くなっているので殆ど自爆だが

 

「ぼ、ボルト君とは少し前一緒にご飯食べただけだよ」

 

 言ってから「はっ!」とスミレは気が付いた。ワサビとナミダが驚愕の表情になり聞いてきた

 

「もうそこまでやったのか!?」

 

「スミレって意外に積極的なんだね」

 

「う……な、何で分かるの?」

 

 それもそうだ。スミレ自身は一度もボルトが好きとは言ってない。今は半ば自爆したようなものだがワサビは完全にカマをかけてきた。少なくともスミレがボルトの事を好きと分からなければ今のカマもかけなかった筈だ。スミレとしてはだいぶ隠している方だ。

 ワサビの答えは

 

「いや、誰が見ても明らかだぜ?」

 

「へ?」

 

 ワサビはナミダに「なあ?」と言いナミダも首肯する。スミレは自身の顔が赤く染まっていることが理解できてしまった。本人は隠してるつもりなのに周りにはバレてるって……そこで思わず立ち上がりながら聞いた

 

「ぼ、ボルト君には」

 

 言わないでと言おうとしたらみなまで言うなというふうに手を突き出してきた。

 

「分かってる。別にバラすつもりもないさ」

 

 ナミダも見ると楽しそうな顔になっていた。スミレは恥ずかしく席に座り直し両手で顔を覆った。羞恥が半端なく落ち着くのに少し時間が……待ってくれなった。今まで余り口を挟まなかったツバキが自覚なしの追い打ちをかける

 

「スミレさんはボルトの事が好きなのですか?」

 

 自分には分からないと言いたげな顔である。まあツバキは木の葉よりもストイックな環境で育ったのもあると思うが。スミレは恥ずかしながらも頷いた。自分は隠してるつもりなのにバレバレということを聞いて少し勇気が出た。ただ本人が知っているのかが分からないが……。ツバキはスミレの感情が分かった訳でもないが自分のボルトとのエピソードを披露した

 

「確かにボルトは優しいと思います。ボルトのおかげで我々は大事なもの見失わずに済みましたから」

 

 そのエピソードはスミレには初耳だった。詳しくは省くが任務達成のために個々の力を高めようとした。確かにそれも違ってはいないが大正解という訳でもない。そのことでハナビに怒られた。だが当の本人達には理由が分からなかった。そんな時ツバキはボルトにこの雷バーガーで出会った。ポテトだけを食べていたツバキにボルトはハンバーガーセットの良さを説いた。確かにポテト単体で食べるよりもずっと美味しかった。そういう理屈なのかは分からないがツバキはそれでハナビの言ってた事を理解し15班は崩壊せずに済んだのだ。

 スミレはそれを聞きくすっと可愛らしく笑った

 

「ボルト君らしいな。ちょっと強引な所もあるけど何時も誰かのために動いている」

 

 とスミレは言った時に「はっ!」と前の二人を見るとにやにやしていた。完全に乗せられた。友人の前だからかいつもより気が緩んでしまっている。

 にやにやの二人に弁解しながら内心思う

 

(でも……気が緩むのは幸せの証だよね、お母さん)

 

 

 

 ★

 

 

 

 ワサビ達とはあの後色々話をして別れた。スミレが木の葉に戻って来たことも報告した。一番初めにボルトに話したことというのは内緒にしているが。

 スミレは若干夕日に染まっている里を見てどうしようかと悩んだ。実はワサビ達からお帰りパーティー的な奴を提案されたのだが今日は断った。なんとなく行きたいところがあったからだ。そこは幾多の忍が鍛錬に使う場、演習場だった。ここに来たのには訳がある。もしかするとボルトに会えるかもしれないという期待だった。そして

 

「しゅっ!」

 

 気合の入った声と共に放たれた手裏剣は彼にしては珍しく的を通り過ぎた。演習場にはボルトが一人でいた。汗を流し的を見ているはずなのにどこか遠くを見ている気もした。

 手裏剣を投げたのを見届けた後スミレは近寄った。少し鼓動が早くなるのを感じながら声をかけた

 

「ボルト君」

 

 それに本人であるボルトはびくっとしてスミレの方を向いた。そして驚いた表情を見せ

 

「委員長……どうしたんだってばさ。こんな所で」

 

 スミレは今も忍の訓練を続けているとはいえまだ実践に戻るつもりはない。そんなスミレがここに来るのがボルトには分からなかったのだ。

 

「ボルト君ならここにいるかなって思ったから」

 

 ボルトは最近自分の力不足を責めることがある。それを解消するために何が必要なのかと言われれば修業だろう。そして修業のばとなれば場所は限られる。

 逆に言えばスミレはボルトを探していたことになる。どちらともなく二人は演習場の木の枝に座った。スミレがボルトの手を見ると若干手裏剣によって擦り切れていた。

 

「ボルト君、手出して」

 

 ボルトは何も言わずに右手を出した。スミレはその手を取りあの治療スプレーを出して吹きかけた。それをされているボルトは

 

(委員長にこういうことされるのは二度目だな)

 

 一度目は竜胆の研究所で、あの時は今みたいな状態になるとは思わなかった。手裏剣の擦り傷がなくなっていくのを見ながらそんな事を考える。治療が終わりスミレは離れた。離れていく手を名残惜しく見た後二人は無言で目の前の演習場を見る。最初に口を開いたのはスミレだった

 

「カワキ君の事、悩んでるの?」

 

 ボルトはびくっとした後口を開いた。

 

「ああ、俺にはあいつが何なのか全然分からねえ」

 

 初対面の時から敵意むき出しだし誰も信用しないわ脱走するわスミレの首を絞めるわヒマワリの花瓶を割るわ。第一印象からもう最悪である。ただヒマワリの時は素直に謝った。だからこそ分からないのだ。

 それはカワキの過去を聞いた今も思う

 

「あいつが辛い目にあった事はよく分かったさ。でも……だからってやっていい事と悪いことがあるってばさ」

 

 スミレはボルトの言葉を聞いて深呼吸した。そして……スミレが今のボルトに感じてる矛盾を突いた

 

「それだったら……私もボルト君にとって悪い人だと思うな」

 

 その言葉にボルトは弾かれたようにスミレを見る。スミレの肩にはいつの間にか鵺がいて視線を演習場から動かしてはいなかった。その光景でスミレの言いたいことが分かった。だがボルトとしてはそれは余り見認めたくなくスミレに対して珍しく声を上げる

 

「全然違うってばさ! 委員長とあいつは!」

 

 その言葉にスミレは前を向いたまま首を振る。ボルトを見ないまま鵺の頭をなで言った

 

「同じだよ。私も何人の人を犠牲にしようとした」

 

 一拍置いていった

 

「ボルト君の命すら取ろうとした」

 

 聞き間違えようのない言葉を聞いた時、ボルトは言葉を失いスミレの整った横顔を見続ける。ボルト自身はゴースト事件の時、スミレを止める事の思考を割いてたこともあり意識してなかったが確かにスミレは当時ボルトの命も取ろうとした。

 ボルトが違うといってもおそらくスミレは否定するだろう。言葉を発せないボルトにスミレは少し悲しそうな表情で向いた。

 

「でもボルト君は……うんうん、ボルト君達は罪を犯した私をクラスメイトって言ってくれた。待っていてくれた。私の罪を知った後も仲間って言ってくれた」

 

 そこでスミレは首をかしげボルトに聞いた

 

「ボルト君はどうしてそう言ってくれたの?」

 

 それににボルトは上手く言えなかった。何時ものボルトならクラスメイトだから当然というと思う。しかしそれは逆に言えばクラスメイトじゃなかったら今ボルトがカワキにしているように化け物扱いするの? と聞いてるようにボルトには聞こえたのだ。

 答えられないボルトを見たスミレはボルトの中で葛藤が起こってるのが分かりながらも言った。ボルトにだけはそっち側の人間になって欲しくないから

 

「私はボルト君にカワキ君と仲良くなって欲しいって思ってる。ボルト君が私にそうしてくれたように今度はカワキ君に手を指し伸ばしてほしいな」

 

 これは完全にスミレの我儘である。ボルトはナルトの話を思い出した。

 

『お前にはそっちにいてほしくない』

 

 ボルトは深呼吸した後、スミレの方に向いた

 

「分かったてばさ、委員長」

 

 自分の矛盾に気が付くことが成長への第一歩、だから……

 

「うん!」

 

 スミレは嬉しそうにほほ笑んだのだった。これが彼らの第一歩になるっ事を祈っていたのだった。…そんな微笑みにボルトが頬染めたのは夕日に照らされたことの勘違いなのかはたまた…

 

 

 

 

 




お疲れさまでした。ちゃっかりカワキとツバキ初参戦。
アニメ連動です。その内カワキがスミレに謝るイベントもあるかな?アニオリ描写もいいぞ!
というわけで次回はビオラの方書きます。ではでは~


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もしもボルトとスミレがNARUTO・BORUTO史上最速で互いを意識しだしたら
ビオラ


おはようございますm(*_ _)m。
今日から新シリーズというかシリーズ一覧に加わります!結構書く順番おかしいですけどよろしくお願いしますm(*_ _)m。
シリーズ通りテーマは「ボルトとスミレがNARUTO・BORUTO史上最速でお互いを意識しだしたら」です。
その為にすみません、ボルトの性格を1箇所だけ・・・というか有り得たかもしれない思考になってますのでご了承ください。
今回はクソ長いです。絶望を超えし戦士とこのボルトとスミレ 基本的にifを全て合わせてもぶっちぎりで長いです。平均文字数見て貰えればわかると思いますがこのボルスミ小説は1つの話で書ききらなきゃいけないので1話1話は約1万字が多いです。絶望を超えし戦士は割と文字数が少ないんですが今回の小説は約3万7千文字ですので書いた自分で言うのもあれですが頑張って読んでください。ではどぞ(っ´∀`)っ


 木ノ葉隠れの里、そこはあまたの忍びが伝説を作った里だ。そしてその伝説の1人うずまきナルトは九尾の人柱力であった為に里の人から迫害を受けそれでもそんな里の人達に自分を見せるための努力をしそしてその努力は暁ペインの来襲、そしてその後の第四次忍界対戦でナルトは九尾と他の尾獣達との絆を手に入れそして親友と共に忍界を救った英雄になった。木ノ葉隠れの里と言えばうずまきナルト、これが思い浮かばれるほどだ。そんな神格化されているナルトだが戦闘においては確かなのだがいかんせん、事務作業などは少し不得意である。そんな神格化はされてはいるが万能ではないナルト。だがナルトには頼もしい補佐がいる。だからナルトは今までやってこれたのだ。……仕事のやりすぎでの残業などで家族には寂しい思いをさせてはいるが。

 だがそんなナルトやナルトの補佐の奈良シカマルでも予想外すぎることが起きてしまった。これはそんなお話である。

 

 

 

 

 

 今日も今日とて木ノ葉隠れの里のトップ2人は里の為に書類仕事などをせっせと片付けていた。そして休憩の時にナルトはシカマルに笑顔をで言った。

 

「最近は平和でいいってばよ! この前みたいな事も最近はないみたいだしな」

 

 それに苦笑いしながらシカマルは返した。

 

「当たり前だ。あんな事がしょっちゅう起きてたまるかっての」

 

 シカマルの言うあんな事とはこの前ナルトやシカマルの息子、うずまきボルトや奈良シカダイが通っている忍者アカデミーで初めて他里に修学旅行に行ったのだ。ナルトが根気よく頑張って交渉した果てに実現した修学旅行である。

 ·····まあナルト達の世代の時は修学旅行すら無かったのだが。最近のアカデミーには修学旅行が出来た。それだけ平和になった証拠なのである。

 そしてその修学旅行では中止になるほどでは……そもそもそんな事があった事を知ったのは修学旅行が終わった後だ。水影自らの嘆願書が届きそれによって発覚した事だった。

 それによると霧隠れの里で干柿屍澄真率いる自称新・忍刀七人衆なるもの達が水影の長十郎が自分達の都合の悪い人達を排除などしたとでっち上げ長十郎と先代のメイの権威を失墜させ再び霧隠れの里を血切りの里に戻そうとしたのをアカデミーの生徒のうずまきボルト、うちはサラダ、結乃イワベエがそれを喧嘩と称して止めてくれたことに感謝し何かしらの罰を受けさせないでやって欲しいという内容のものだった。

 ナルトとしては危険なことをするなっていうのとよくやったという気持ちが両方あった。だがその気持ちはどちらともまだ言えていない。まだボルトが修学旅行から帰ってきてもまだボルトが起きてる時間に帰れた事がないのだ。それによってボルトがカッカッしてるのは知っている。だが自分には親が、父親がいなかった。会ったのは戦場で親子の時間とは程遠かったのだ。それ故にボルトとの接し方が分からなくなる。そして仕事で言い訳してボルトにも会えないという悪循環に入っている。そんな事を思考していた時、ドタバタとナルトの弟分で木ノ葉隠れの里きっての天才忍者、猿飛木ノ葉丸が飛んできた。ドアを勢いよく開けて叫んだ。

 

「7代目! 少し大変です!」

 

「どうした木ノ葉丸?」

 

 ナルトとシカマルは緊急事態か? と思い顔を引き締めた。だが木ノ葉丸が言った事は少しの間2人の頭の中に? を浮かばせた。

 

「そ、空からいきなり謎の赤ちゃんが降ってきました!」

 

「「·····?」」

 

 

 

 

 

 

 ナルトは取り敢えず現場というかナルトからしたら親戚である日向邸に来た。この上空からいきなり赤ちゃんが降ってきてたまたまいたハナビがキャッチしたのだ。そしてハナビ曰く赤ちゃんが降ってきた後に亀っぽいやつも一緒に降ってきたそうだ。ただくるまってはいるが。

 ナルトは日向邸の門をくぐった。そして顔なじみのお手伝いさんに通してもらい居間に入った。そこにいたのは2本の足で立ってハナビの手を握っている紫色の幼児用の服を着て髪の毛は主に金髪だが所々に紫色も混じっていてそれがいいアクセントとなっている赤ん坊だった。ハナビはハナビで少し嬉しそうだった。

 

「えーっと、ハナビ、その子は?」

 

「火影様、いやいきなり空から降ってきたんです。本当に真面目にそうなんです」

 

 ナルトはそれを聞きながら奥にいる義父のヒアシを見た。そのヒアシも頷いたから本当なのだろう。だが何故空から? オマケに亀っぽいのまで一緒に。その亀はまだくるまっている。そもそも喋るのか? 

 そんな時その赤ちゃんがナルトを見て不思議そうな顔をした後にトコトコある言葉を言いながら天使の笑顔で寄ってきた。

 

「じいじ!」

 

「「「えっ?」」」

 

 その場にいた3人が素っ頓狂な声をあげた。だってそりゃそうだ。この中でじいじと呼ばれそうな印象を持つのはヒアシだけだ。だがヒアシではなくナルトに向かってじーじと言うのは?? になってもしょうがない。そのまま謎の赤ちゃんはナルトの膝にハグした。

 

「え、え──────ー〜っ!」

 

 昼間の日向邸にその絶叫が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日うずまきボルトは居残りをしある罰を受けた。その罰とはこの前の修学旅行の時に自分達が喧嘩と称して新・忍刀七人衆のクーデターを止めたことで水影から嘆願書が届きそれの事実確認でボルトはその嘆願書が届いてた事を知らずそれっぽいストーリーを作ってそれを担任の油女シノとうみのイルカ校長に伝えた。が、その時イルカが水影の長十郎からの嘆願書を取り出し嘘をあっさりと看破した。勝手に新・忍刀七人衆と戦った罰は嘆願書の通りなしだった。だがその時嘘をついたのがまずかった。それ幸いとそれで罰を受けさせられた。だがそんな罰も今日で終わり、ボルトはルンルン気分で帰ろうとした。その時前に見覚えがありまくるクラスメートを見かけ走って追いつき声をかけた。因みにサラダやイワベエは少し早めに自分達の分のバツをし終えボルトよりも早く帰った。

 

「委員長!」

 

 それを聞いた前にいた人はビクンとした。紫色の三つ編みの髪とその紫色を基調としたセーラー服のような服を着、カバンを斜めに背負っていた少女は振り返った。そしてボルトの姿を認めると顔をふっと笑った。ボルトはスミレの隣に追いついた。

 

「委員長どうしたんだこんな時間に」

 

 今はもう夕暮れだ。ボルトは罰があったから遅かったがスミレは先程ボルトも言った通りボルトのクラスで委員長を務めてるだけあって優等生だ。だからスミレが罰を受けていたとは思えない。·····まあ優等生っていう点ならばうちはサラダも当てはまるのだが。

 

「ナミダとワサビの訓練を手伝ってたの」

 

 アカデミーでは放課後に訓練などをするのも自由だ。ボルトはあまりしないが·····。

 そして横に並び歩き出す。

 

「今日でようやく罰も終わりだってばさ」

 

「ふふ、お疲れ様。ボルト君達のおかげで校舎綺麗になってたよ」

 

「ま、まあな。俺にかかればそれぐらい楽勝だってばさ」

 

 そう1人でウンウン言ってるボルトに微笑んでいるスミレ。

 その後は他愛のない話をした。互いの趣味などだ。

 

「へぇー、委員長料理と裁縫得意なのか」

 

 それに照れながら頷くスミレ。

 

「う、うん。·····ボルト君は私の昔を知ってるよね?」

 

 それを聞いたボルトは少し暗い顔しながらも頷いた。スミレの昔とはスミレの父親の信楽タヌキが根の残党であり、戦後に根の残党と言うだけで里の人達が迫害したのだ。普通ならば敵に当たるべき鬱憤を根にぶつけたのだ。それは対戦で家族を亡くした時には確かに敵はいた。だがその敵達はもうどこにもいない。2代目火影が生み出した禁術『穢土転生』で呼び出された死者達だったからだ。主犯であるうちはオビトもうちはマダラももう亡くなった。そんなもういない奴らよりも目に見える形でいる根に当たったのだ。

 そしてスミレの父親と母親は赤ん坊のスミレを連れて逃げた。大きくなって行ったスミレに待ち受けていたのは木の葉への復讐の為に父親がスミレに自分が持ちうるあらゆる戦闘技術を叩き込まれる事だった。爪は剥がれ肌には痣が出来たりした。そして母は死に父親もスミレに牛頭天王を託しスミレを家から追い出し死んだ。そんな事情だったから料理や裁縫は自分でやった方が安上がりだったのだ。それに料理は一人暮らしには必須能力だ。

 

「そう言えばスミレの弁当美味しそうだったもんな」

 

「はわわ、そ、そうかな。ありがとう」

 

 そう照れながら返す。アカデミーの生徒は購買などのパンなども食べる。スミレも偶に食べてる。だがそれでもスミレの弁当の頻度はそれなりに多かった。でもスミレにとっての弁当は食費を浮かせるためのものでありあまり見た目にこだわった事は無かった。それでも美味しそうと言ってもらい嬉しかった。

 

「えっと、それなら明日作ってきてあげようか?」

 

 スミレはそう勝手に口が動いていた。そして自分が言った事に気が付き徐々に赤くなった。慌てて取り消そうとしたが遅かった。

 

「良いのか!? サンキューな委員長!」

 

 そう笑顔で言われてもうダメとは言えなかった。

 

(はわわ!! ぼ、ボルト君にお弁当って·····そ、それじゃあ……あ、愛妻弁当みたいだよ)

 

 そんな事を思っていたら·····いや他人が聞いたら誰もがそんな事を思うだろうが·····ボルトがカバンを探っている。そしてお金を出してきた。

 

「じゃあこれが弁当の材料費だってばさ。これで俺とスミレの分を作ってくれってばさ!」

 

「え、で、でもお金はいいよ」

 

「良くないってばさ! 作ってもらうんだから対価はいるってばさ!」

 

 そう言ってスミレの手を取りお金を握らせた。スミレは手を取られたことに心臓の鼓動を早くした。

 弁当を作ることは構わない·····というか望むところだ。スミレの頭の中はどんな弁当にしようというものを考え始めていたし。でも……

 

「えっと、私の分のお金はいいよ。ボルト君のお弁当の分だけで」

 

 そう言って一部返そうとしたが押し切られた。

 

「いいってばさ、それとも明日委員長は購買にするのか?」

 

「う」

 

「じゃあ明日の弁当楽しみにしてるってばさ!」

 

 そう言ってボルトは家に走って帰って行った。スミレは手にあるお金を見たあと財布の別枠に入れて行きつけの食材が売っているお店まで歩を進めた。その頭はボルトに弁当を作って食べさせるというこの状況での心臓の高まりと、その弁当をどんなものにするかの思考だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方ボルトは訳も分からない心臓の鼓動を抑えるために走った。そして家までもう少しという所まで来て止まった。

 

「何で俺、委員長に弁当作ってくれって·····」

 

 スミレの作る弁当を気になったのは本当だ。だからそれは別にいい。でも作ってくれって·····それじゃあ愛妻弁当みたいではないか、と思ったのだ。何故それだけで心臓がやたら早く鼓動するのかが分からない。サラダと喋る時でさえこんなに心臓がバクバクすることはない。スミレと最初他愛もない話をしてた時は割と普通だった筈だ。でも料理の話になった時にスミレが見せた少し寂しそうな顔を見た瞬間から何故か鼓動が早くなった。そして弁当を作ってきてあげようか? と言われた時ほとんど無意識に返答を返した。

 

「·····でも委員長の弁当楽しみだってばさ」

 

 そう言ってボルトは残りの家までの道を辿った。

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま──」

 

 そう言ってボルトは我が家のドアをくぐった。いつもはここで母か妹が笑顔で顔を見せてくれるのだが今日はどういう訳か来ない。というかリビング辺りで何かキャッキャッ聞こえる。そしてよく見たら男ものの靴がもう1つある。この家以外で男はボルト以外は1人……ボルトはそれに気がついた瞬間にリビングまでの短い距離を走った。そしてリビングのドアを開けたらそこに居たのは。

 

「父ちゃ·····」

 

 途中で止まったのはナルトを見た後ヒマワリの手を掴んで歩こうとしてる存在を見つけたからだ。ヒマワリよりも小さくてくてく頑張って歩こうとするさまはまるで赤ん坊·····

 

「……って赤ちゃん────っ!?」

 

 それにビクッとした顔で赤ちゃんがボルトを見た。ボルトも赤ちゃんを観察した。主に金髪の髪の中に紫色の髪も混ざっている。顔はナルトやボルトにヒマワリのように頬にヒゲのような模様が1本入ってる。そしてよく見たら……

 

「もしかしてその子、女の子か?」

 

「そうだよお兄ちゃん!」

 

 ボルトはナルトに目を向けると色々訳があるんだみたいな顔をした。目でそれを促す。

 

「日向邸の真上からいきなりこの子が落ちてきたんだってばよ」

 

 自称天才のボルトでも数秒固まった。

 

「は!? 落ちてくるわけないってばさ!」

 

「いや、俺も直接見た訳じゃないがこの子を受け止めたのはハナビだしお義父さんも確かに落ちてきたと言ってたから間違いないってばよ」

 

 その間赤ちゃんはボルトをじーっと見た後にヒマワリの手を振りほどきてくてくボルトによって行った。そして·····

 

「パパ──ーっ!」

 

 ボルトは絶句して口を変な形にした。その他のメンバーはこんな事態も何かしらの理由であると思ったのか苦笑いをしていた。そんな状況の中赤ちゃんはボルトにハグした。

 

「はわわ〜、パパー」

 

 謎の·····いや良く考えれば身近に1人いるがその人と同じ事を言って自身をパバと言ってきた赤ん坊にボルトは言う。

 

「い、いや俺はお前のパパじゃないってばさ」

 

 それを聞いた赤ん坊はボルトを見上げだんだん涙目になって行った。そしてボルトが何かを言う前に

 

「パパじゃ·····ないの? うわああああああ!!」

 

「えっちょっおい!」

 

「パパなのにパパじゃないって言った!! うわああああん!!」

 

 そしてボルトは絶対零度の視線に気がついた。ヒマワリだ。

 ボルトは赤ちゃんを抱っこしてあやしてみた。小さい頃のヒマワリにもやったからお手の物だ。

 

「わ、悪かったってばさ! ほ、ほらパパだぞ?」

 

 正直周りの視線が痛いからやめたいのだがこのまま泣き続けられたら困るなんてものじゃない。下手したらしばらくヒマワリに口を聞いて貰えなくなる。いや、白眼の刑になってしまう。もうあの日みたいな目にはあいたくない。

 赤ん坊はそれを聞いたら泣きやみうるうるした顔で聞いた。

 

「ぐすん、ほんと?」

 

「あ、ああ」

 

 そう言ったら今度はとびきりの笑顔になりボルトに抱っこされたままボルトに全力ハグした。

 

「ふふー、パパ〜」

 

 ボルトはほとほと困り果てた顔になってナルトを見た。そのナルトは微妙な顔のままだった。そして5人で晩御飯を終えヒナタとヒマワリと謎の赤ん坊はお風呂に入った時を見計らいナルトに問い詰めた。

 

「で、父ちゃんあの子はなんなんだ? 俺をパパって絶対おかしいだろ?」

 

「まあ、それには同意だ。だがあの子が嘘をついてるようにも見えない」

 

「敵の変化だったらどうすんだよ」

 

「それぐらい俺もハナビもすぐに分かるさ。1度九喇嘛モードになってそういう類があるのか調べたが全く無かった。無邪気そのものだ。あそこまで行ったら正真正銘赤ん坊としか言えないだろ?」

 

 ボルトはそれを聞き椅子に座り直した。確かにそうだ。悔しいがナルトの中にいる尾獣と仲良くなった事で変身できる九喇嘛モードは種類までは判別は出来ないものの悪意を探知する技術は本物だ。だからそれを疑う余地はない。

 

「じゃあ誰の赤ん坊なんだってばさ!」

 

「それが分かれば苦労はしない·····と言いたい所だが……」

 

 そこでナルトは微妙な表情になりボルトは父が言わんとすることが分かった。

 

「いやいやそれはねえだろ父ちゃん! あの子が俺の娘とか絶対!」

 

 さっきのやり取りをナルトが真に受けたと思い言った。さっきのはあの子を鎮める為にやったのにすぎない。徐々にあの子には自分はパパじゃないと教えなければならない。というかそもそもボルトは赤ん坊の出来方すら知らないのだ。オマケにボルトには彼女と呼べる人すらいないのだ。それなのに赤ん坊が居るわけない。それと大人達に言わせればボルトの歳で赤ちゃんがもういたら倫理的にアウトだ。

 それでもナルトは微妙な顔をしたままだ。

 

「ボルト、お前あの子が俺やヒナタを呼ぶ時何て言ってるか知ってるか?」

 

「えっと……」

 

 そう言えばさっきの晩御飯の時はずっと自分に顔を向けてパパを連呼していたからナルトやヒナタへの反応は知らない。帰って来た時の状況だけ見るなら仲は良さそうだったが·····ナルトの答えは斜め上を行った。

 

「じいじとばあばだぞ?」

 

 それを聞いたボルトは天を仰いだ。理解が少し追いつかない。いや誰でもこんな事になったら追いつかなくなるだろう。ボルトが悪い訳では無い。

 ナルトやヒナタは普通にまだ若く見える。それなのにじいじとばあばって·····

 そんな時お風呂から出る音が聞こえた。赤ちゃんだから短めにしたんだろう。そしてボルトは暫し虚空を見ていたが何か泣く声で我に返った。

 

「どうしたんだってばさ?」

 

 ヒナタが出てきて困った顔で言ってきた。

 

「それがね·····」

 

「ママはどこ〜ーっ?」

 

 こういう訳である。ボルトはパパと言われた時から覚悟はしていたがやっぱりこの赤ん坊にも母親がいる。そう思っていたらすごい泣き顔でボルトに寄ってきた。

 

「パパ〜、ママどこ?」

 

 ボルトは膝を折り聞いた。

 

「お前のママって誰だってばさ? ……というか名前は何て言うんだ?」

 

 よく良く考えればまだ名前を聞いてなかったのを忘れていた。これで名前を言ってくれればそれを元に本当の両親を探せるかもしれない。だがそれを聞いた赤ちゃんはボルトを信じられないみたいな目で見てまた目に涙を溜めた。

 

「わたちの名前·····わちゅれたの?」

 

「え、いや、えっと……」

 

 分かるわけない。自分はこの子の事何て知らないのだから。·····でも何故だろう? こう見てたら親近感が湧いてきてるのは否定出来ない。

 

「うえええん!! パパがビオラの事忘れてるー〜!!」

 

 そこでボルトは貴重な情報をゲットした。

 

「あ、ああそうだ。ビオラだったな!!」

 

 そう聞いた赤ちゃん……ビオラは涙を止めふにゃぁと笑った。そして嬉しそうに言う。

 

「あい! うずまきビオラです!」

 

 ·····はい? 今うずまきって言わなかったか? という思考にここにいる全員がなっていた。そしてビオラはキョロキョロした後ボルトに向いた。

 

「ママどこ〜ー?」

 

「あ、ええとビオラのママは今お仕事に言ってるんだってばさ」

 

 それを聞いたビオラはショボーンとして

 

「……わかった」

 

 ショボーンともしていたが眠そうでもあった。ヒナタがビオラを寝室に連れていこうとしたが眠そうな顔で抗議した。

 

「パパと寝る〜ー!」

 

「ええ!?」

 

 そうボルトが驚いていたがここで何か言って泣き喚かれたらしんどい。そう思い立った。ビオラはそれで嬉しそうにボルトについて行った。自分の部屋に連れて行き奥のベットに寝かせ布団をかけた。このまま出て行ったら泣き喚かれるのでボルトは上着を脱ぎ同じベットに入った。ビオラはそんなボルトに固くハグして離してくれずそのまま寝てしまった。ボルトはそんなビオラを見ながら考える。

 

(何で俺の事をパパって·····それじゃあママは誰なんだよ)

 

 でもビオラを見ていたら不思議と大切なクラスメートの1人が思い浮かんでくる。どこか雰囲気がそのクラスメートに似ているのだ。ただ甘えん坊なのだが·····。ボルトはそのまま30分程その状態で切り抜け固いハグが少し緩んだ時を見計らいするっと抜けた。布団をかけ直しリビングに戻った。ヒマワリはもう寝たらしい。ナルトはある意味イレギュラーなあの子の監視と言った所だろう。あれだけ甘えん坊ならあまりあの子が認めた人以外は泣かれたりでもするのではないだろうか? そんな事を思いながらテーブルの椅子に座る。

 

「疲れたってばさ」

 

 自分が小さい頃にヒマワリにしてやった時は何ともなかったが何故か今は疲れてる。ナルトとヒナタはそれを苦笑いで見つめてる。というか2人とも自分はパパ認定だからまだいいような気がするがこの2人は祖父母認定は年齢的に少し辛くないか? という事を考えたボルトなのであった。

 

「それでボルト、さっき分身の俺とシカマルが少し話した結論を言うとな……」

 

 ボルトはそれを疲れた目で聞く。何となく何て言われるかわかったからだ。

 

「あの子は未来から来たんじゃねえかってなった」

 

 それを聞いたボルトは机に突っ伏した。そのまま聞く。

 

「第一仮にビオラが未来から来たんだったらどうやって過去のここに来るんだよ。さすがに父ちゃんでもタイムスリップは出来ねえだろ?」

 

 こう言った時にボルトは気がついた。何故かビオラという名前が不思議と口に馴染んでる。まるで自分じゃない自分が何度も呼んだように……。その考え頭をフルフル振って振り払う。

 

「でもそうじゃないと色々おかしいんだよ。第一に木の葉の出生記録にうずまきビオラって名前はない。あの子の様子なら年は約1歳くらいだろ。それでも見つけられなかった。いや、そもそもうずまき一族も元々そんなにいないんだ。昔色々あってな」

 

 そこでボルトは顔を上げ話を聞く。

 

「それとタイムスリップの方法はビオラと一緒に落ちてきた亀が関係してんじゃねえかと思う。まだその亀は全然反応しないが……。でもその亀が本当にそうならその内何かアクションを起こすはずだ。それまではビオラを家で面倒見ることになってる」

 

 ボルトはボルトにしてみればささやかな反抗をする。

 

「それで誰が面倒見るんだってばさ?」

 

「あの子もお前に懐いてるみたいだしアカデミーの時以外はお前が見てくれないか?」

 

「·····わかったってばさ」

 

「ありがとうな、ボルト。それでボルト、仮にビオラが未来のお前の娘だとして母親は誰だと思う?」

 

 少しニヤニヤしながら聞いてきた父に呆れた視線を見せながら考える。⋯いや何故か考えるまでもなく分かった気がする。だが惚けてみる。ここで父と母に言ったらからかわれてしまう。

 

「さあ、分からないってばさ」

 

 そう言って立ち上がりお風呂に行った。

 

 

 

 ボルトはそっと自室のドアを開け入った。自分のベットではビオラがすやすや寝ている。ボルトは再びゆっくり入りビオラを撫でた。それにビオラはくすぐったそうに笑う。それで思わず口を緩ませたが直ぐにまた思考する。

 

(ビオラの母親は·····委員長なのか?)

 

 紫が混じっている髪にさっき自分に抱きついてきた時にビオラが言った「はわわ」。これは委員長、筧スミレの口癖だ。そう思うと雰囲気も似ている。

 

 ドクン

 

 そんな音が聞こえた気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「パパと行く〜」

 

 ボルトがアカデミーに行こうとした所それに気がついたビオラがボルトに張り付いて言った言葉だ。何でだって聞いたら

 

「あってパパずっと遠くいるからあ、会えないのやー!」

 

 ずっと遠くにってアカデミーはまだ近い方だろう。ビオラの父親はビオラをほっといて何で遠くに行くんだよ! とか思いながらあやす。

 

「いや、流石にアカデミーには連れて行けないってばさ。だからビオラはここでヒマワリと母ちゃんと留守番してくれってばさ」

 

「やだぁ〜!」

 

「ああ、駄々こねんなよ」

 

 そう言って無理やりホールドを解除する。まだ猛抗議の目を向けられているがもう行かなければボルトの脚力を持ってしても遅刻になってしまう。もうすぐ卒業試験が近いというのに補習はめんどくさい。そう思い泣き声を背に家を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ボルトは始業ギリギリに教室に慌ただしく入った。思わず息を切らしながらドアを背にもたれた。周りのクラスメートは不思議な顔をしていたがボルトにはそれを気にする余裕も既に昨日から無かった。ボルトはふらふらと立ち上がり適当に空いてる席に座った。アカデミーの席は自由席だ。だからボルトは疲れた目でサッと見渡して誰もいなかった所に行ったのだが

 

「はわ」

 

 そんな声が聞こえたので横を見るとスミレが少し赤い顔で見ていた。ボルトは疲れた声で挨拶した。

 

「おはよう委員長」

 

「う、うん。おはよう、ボルト君」

 

 クラスはこの2人の雰囲気はなんなんだってなっていたがボルトが本当に疲れてそうだったから誰も何も言わなかった。

 ボルトは座って少し経ち気づいた。

 

「あれ? サラダとチョウチョウは?」

 

「えっと……」

 

「ここにいるわよバカボルト」

 

「もっち〜、ボルトそんなのも分からなくなったのぉ?」

 

 そう言って前から聞こえてきたのはサラダとチョウチョウだった。サラダはミツキとイワベエと同じ机でチョウチョウは猪鹿蝶でいた。どうやら結構精神的に参ってたらしい。何故こうなってるのかは気になる所だがボルトはビオラの事で頭がいっぱいだった。取り敢えず謝っといて担任の油女シノを待つ。その間にスミレが話しかけてきた。

 

「ボルト君、どうしたの?」

 

 心配そうな顔で覗いてきたスミレにまた訳もわからず鼓動が早くなる中答える。

 

「あーうん。な、何でもないってばさ」

 

 まさか赤ん坊が空から降ってきてその赤ん坊が自分の事をパパと呼んだり自分をうずまきと言ったなんて事言っても困るだけだろという。スミレは釈然としてなさそうな顔だったが一旦引いて机の下にある手を見ていた。その顔はほんのり赤くなっている。そしてチラチラとボルトを見ているがボルトは机に突っ伏したままだ。そうこうしてたらシノが来てしまいスミレは委員長として挨拶を始め今日の授業をスタートさせるのだった。

 

 

 

 

 授業が始めればボルトは少し精神的に辛そうだったが難なく午前の分は終えた。そしてまた机に突っ伏そうとしたがスミレはそれをされる前に声をかけた。少しもじもじしながら言う。

 

「あの、ボルト君」

 

「ん? 委員長どうしたんだってばさ?」

 

「えっと、お弁当作ってきたから一緒に食べよう?」

 

 スミレとしては人生1回分の勇気を使った気持ちだった。ボルトはそれを聞き3秒ぐらい経った時にばっと顔を上げた。

 

「あ、すまねえ。色々あって忘れてたってばさ」

 

 それはそれでショックだがそれだけ何かあったのだろうと考え笑って顔を振った。そしてボルトは少し考え

 

「じゃあ屋上に行こうってばさ」

 

「はわわ、う、うん」

 

 そう言い2人はクラスメートの視線にも気が付かず屋上に行った。スミレは歩きながらボルトの様子を見た。その顔はやっぱり疲れてそうな顔だったが昨日の夕方の時点では普通だった筈だ。何でこんなに疲れてそうなんだろう? と思ったが屋上についたから適当に座った。そしてスミレはお弁当箱を取り出しボルトの楽しみそうな視線を受け開けた。

 

「おおー〜!」

 

「ど、どうかな?」

 

「美味しそうだってばさ!」

 

 弁当の中身は玉子焼きや小さい可愛らしいハンバーグなど小さいスペースによく入れれるなという思いが見た瞬間ボルトの中にはあった。

 スミレはボルトの反応に嬉しそうにしながら自分の分も取り出しボルトに箸を渡した。そして2人は手を合わせて

 

「「いただきます!」」

 

 そう言い2人は食べ始めた。スミレは食べながらも横目でボルトを見る。先程までの疲れた顔は無くなっていてお弁当を頬張っている。スミレはそれに嬉しく思いながら自分の分も食べる。その心臓はドクンドクンとなっているのを感じていた。そしてボルトは食べ終え手を合わせて

 

「ご馳走様だってばさ。美味しかったってばさ!」

 

「はわわ、ありがとう」

 

 そう言ってスミレ照れくさそうにしながら弁当を片付けた。ボルトはその様子を見ながら

 

(これじゃあ夫婦だってばさ……)

 

 ボルトの脳裏に小さい頃に家族とピクニックに行った時のナルトとヒナタが思い出された。そう思っていたらまたスミレが心配そうな顔で見てきた。

 

「ボルト君、今日ずっと疲れてそうだけど大丈夫?」

 

「え、ああ大丈夫だってばさ」

 

 そう言って手をふるふる振ったがスミレは真正面からボルトを見つめ続けた。ボルトはそれにタジタジになっている。

 

「嘘ついちゃダメ」

 

「う、嘘なんてついてないってばさ!」

 

 それこそ嘘である。スミレは少し珍しく怒った顔になった。ボルトはそれに少し下がった。

 

「じゃあ何で目を泳がしたりするの? 嘘ついてないのならそんなにタジタジにならないよね?」

 

「えっとそれは……」

 

「……私には言えないこと?」

 

 ボルトは正直迷った。言ったら何か変わるだろうか? でも話をそもそも信じるか? ……それにビオラがスミレに似ているなど言っても困るだけだろう。そんな葛藤をしていたがいきなりボルトの顔に手を添えられた。ボルトは顔をスミレに向けるとスミレの顔はほんのり赤くなっていたがそれを指摘する前に言われる

 

「私だって、ボルト君の力になりたい。ボルト君が困ってるなら助けたい」

 

 そう少しビオラに似ている泣き声で……泣いてはいないが言われた。それで折れた。

 

「分かったってばさ。話すってばさ。でもあまり言いふらさないでくれってばさ」

 

 それだけ重要な事なのだろう、そう思い気を引き締め頷いた。ナルトからはあまり言いふらすなとは言われていない。そもそも言わないと思ったからだろう。だが今回は甘かったな父ちゃんとか思いながら話始めた。さて、隣にいる紫色の髪を持つ少女はどんな反応するのだろうか? そう思いながら話始めたのだった。

 

「空から赤ん坊が降ってきたんだってばさ」

 

「·····?」

 

 

 

 

 

 

 

 一通り休み時間をいっぱい使いボルトは昨日の夕方の話を終えた。スミレは話を聞き終えた後少し黙って何かを考えている。ボルトは先程スミレにああ言われたが容姿や口癖っぽいものと自分の事をパパと呼ぶ事は伏せた。流石にそれを聞いたらスミレがどうなるか分からない。そう思っていたら予鈴がなったから2人は立ち上がった。教室までの道でスミレはぽつんと言う。

 

「うずまき……ビオラ」

 

 そう言ったスミレの顔が少し赤いような気がしたが気の所為だろうと思いボルトは聞く。

 

「その名前聞き覚えがあるのか?」

 

 そう聞いたが首を振り否定した。

 

「うんうん、知らないよ。でも·····」

 

「でも?」

 

「私と似たような名前だなぁと思っただけだよ」

 

「え? ど、どこが似てるんだってばさ?」

 

 ボルトは焦りながら聞く。スミレは何でそう焦ってるのだろうと思いながら言う。

 

「ビオラって菫科の花の名前で私の菫の花言葉にも似てるの」

 

 ボルトは猛烈に焦った。スミレに似ている紫色の髪の部分、口癖、そして名前まで来たらもうナルトが言った未来説が有効じゃねえかと。そうこうしてたら教室に着きまたスミレの隣に座った。クラスメートから視線が刺さっているがそれは何でだ? とか思いながら再びスミレとビオラの関係性を考える。そのせいで午後の課題が全くと言っていいほど集中出来ずシノに怒られた。

 

「どうしたボルト、集中できてないみたいだが?」

 

 シノからしたらボルトのそんな様子は珍しい。いつも課題はクラスの中でも早く終わる方なのに今日は全然手をつけていなかったからだ。それどころか偶にスミレの方に顔を向けていた。だがそれはスミレの方も一緒だ。スミレはかろうじて課題には手をつけてもうすぐで終わりそうだがそれでもボルトをちらちら見ていた。まさか2人はそういう関係になったのだろうか? 少し真剣にそう考えたが違うという結論に至った。……だがしかしシノはこの2人ならお似合いにはなるだろうなとは思ったことが1度だけある。スミレがゴースト事件を終えアカデミーに帰ってきた時だ。あの時生徒は殆どスミレの方に向いていたから分からなかっただろうがシノはしっかり見た。スミレがボルトを見ててボルトはサムズアップで答えた場面を。その瞬間にスミレが泣いてイワベエが濡れ衣を着せられていたのも知ってる。

 

「ああ、ええと何でもないってばさ」

 

 明らかに嘘を言っているが今は授業中故に深くは聞かず形だけの注意をして離れた。そして授業が終わると同時に課題が終わってなかったので補習にした。いつもなら文句を言っていたところだが何故かラッキーみたいな顔をして喜んで補習を受けると言っていた。

 

 

「ボルト君、何かごめんね」

 

「何で委員長が謝るんだってばさ?」

 

「私が名前のことを言ったから集中出来なかったんでしょ?」

 

「あーいや、まあそれはあるけど集中出来なかったのは俺が悪いんだから委員長が謝ることはねえってばさ」

 

 そしてボルトはカバンを出してドアに向かう前に言った。

 

「ああそうだ、委員長、弁当美味かったぜ。サンキューな!」

 

 そう言ってボルトは補習室に向かった。スミレはそんなボルトを心配そうな顔で見送った。

 

 

 

 

 

 

「やっと終わったってばさ」

 

 朝は嫌だと言った補習だがビオラの事を考えてる内に現実逃避したくなったボルトは喜んで補習を受けた。多分家に帰ったら絶対に絡まれる。そう思い誰か教室にいるかなぁと思い戻った。だが途中で流石に今日は少し遅いから誰もいないだろうなと思いドアを開けた。

 ボルトはそこで一瞬止まった。自分が今日いた席にまだ人がいたからだ。その人は小さな生き物と話してるみたいだったがボルトに気がつくとふっと笑った。

 

「お疲れ様、ボルト君」

 

「ぬえー!」

 

「委員長·····まだ帰ってなかったのか?」

 

 そう言いながら教室を見渡してスミレ以外にいないのを見た。

 

「うん、ボルト君を待ってたんだ」

 

 そう言いながら鵺にじゃあまたねって言い鵺はそれに答え煙に包まれ恐らく異界に帰った。それを見届けたスミレは自分のカバンを背負い立った。そして言った。

 

「じゃあ帰ろうか」

 

「あ、ああ」

 

 そう言って2人は歩き始めた。その間ずっと無言だったが校舎を出た時にスミレから話し始めた。

 

「ボルト君、まだ何か隠してない?」

 

「え?」

 

 思いっきり素が出た。そんなに自分わかりやすいだろうかとも考えた。スミレの目線が少しずつ怒ってる目になっていってるのに気がついたボルトはまたタジタジになった。

 その時……

 

「パパー〜!」

 

 どこからか……いや校門辺りから聞こえた。ボルトはゆっくり校門に目を向けるとヒマワリに手を繋がれているが無理矢理でもこっちに来ようとしてる赤ん坊……ビオラがいた。

 

「はわわ!! ぱ、パパ!?」

 

 とスミレが隣で言っている。そしてボルトは少し嫌そうにしながらも歩き始めたからスミレも追いかける。校門まで来ると連れてきたヒナタに問う。

 

「母ちゃん何で連れてきたんだってばさ?」

 

「ごめんね。ビオラちゃんがボルトに会いたい会いたいって聞かなくて」

 

 それと同時にヒマワリが手を離しビオラは速攻でボルトに突っ込んだ。

 

「パパー〜!!」

 

 そう言ってボルトの膝辺りでスリスリしてる。

 

「遠く行っちゃやー!!」

 

「だ、だからどこにも行かないってばさ」

 

 そう慰めた。そのままボルトも膝を折りビオラを少し恥ずかしいが抱きしめた。これがビオラに有効なのは昨日から分かってる。その時ボルトはビオラの目線が後ろにいってる事に気がついた。ボルトは一瞬後ろには誰がいるっけ? となり直ぐに思い出した。

 

(やべ!! 後ろには委員長が……)

 

 ボルトが口を開けようとした瞬間にビオラは顔を宝石のように輝かせてスミレに言った。

 

「ママー〜!!」

 

 数秒ほど皆無言になったというか時が止まった。その間にビオラはボルトから離れ今度はスミレに突っ込んだ。スミレはまだ理解しきれてない顔でビオラを見る。そして

 

「はわわわわわわわわわわわ!!」

 

 パニックになって顔を赤くした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、お邪魔します」

 

 スミレはそうおずおずとうずまき家の家のドアをくぐった。その手にはビオラの手が握られてる。何故スミレがうずまき家のドアをくぐっているのかと言うと

 

 スミレのパニックが収まり落ち着いたスミレは最初はビオラに自分はママじゃないと言おうとしたがボルトにそれを止められた。凄い泣かれるからと。スミレもこんな小さい子が泣くのはあまり見たくないからそれに頷いた。そして初めて会うボルトの母親と妹に挨拶もしてビオラに手を離してもらおうとしたがビオラが全く離さずそれを見たヒナタが家にいらっしゃいと言って今に至る。

 

「ふふーん」

 

 ビオラはご機嫌である。だがボルトとスミレとしてはさっきビオラが呟いた言葉の方が衝撃的だった。

 

『でもパパもママもせー小ちゃいねぇ』

 

 多分ビオラは「パパもママも背が小さいね」って言ったんだろう。それが示すのは逆に言えばボルトとスミレの身長を伸ばしたらビオラの親に似ているということでありつまりそれはビオラの両親が……

 

「ただいまだってばよ!!」

 

 ナルトが晩御飯の前に帰ってきた。ボルトはそれに多少びっくりした。スミレは思わずビクッとしてる。因みにスミレの膝の上には笑顔のビオラが乗っている。そしてナルトはリビングに入りヒナタに声をかけようとしたがその言葉は途中で止まった。スミレを見たあと嬉しそうなビオラを見たからだ。スミレとしては元反逆者だから肩身が狭いこと間違いないのだがいかんせんビオラが離してくれない。

 

「えっと、筧……スミレだよな?」

 

「は、はい」

 

「ママだよぉ!」

 

 それを聞いてナルトは再び固まった。スミレとしてはもう逃げ出したのだが……

 

「そうか。良かったな」

 

 ナルトは笑ってそう言った。最初は驚いてた風だったのだが今は何か嬉しそうなのは気の所為だろうとスミレは思った。息子のお嫁さんが里の元反逆者なのはナルトのおかげであの事件はあまり認知はされていないがいつかバレたらそんなのスキャンダルどころじゃない。だから自分はボルトに恋心を持つべきでは無いとさえ思っている。自分がボルトの事を好きになればうずまき家に迷惑がかかる。だから自分はこの心を永遠に閉じこめるべきだと今日まで思っていた。

 だが今膝にいるビオラに自分とボルトがママ、パパって言われた時恥ずかしい以上に何故か嬉しい気持ちが大きくて……

 

(そんなの·····ダメなのに……)

 

 そう心で言いボルトを暗い顔で見る。その時……

 

「ママ泣いてうの?」

 

 そう言ってビオラは小さな手をスミレの顔に伸ばした。スミレは何故か目頭が熱くなっているのに気がついた。

 

「あれ? 何で···何で止まらないの?」

 

 そう言ってビオラに回してた手で自分の目を拭いた。だがそれでも涙が止まらなかった。その時ビオラの手も頑張ってスミレの目元を触り無邪気な笑顔で言った。

 

「泣きたい時は、ないていいんだってママ言ってたよぉ!」

 

「あ……ああ」

 

 スミレは泣きながらビオラを抱きしめ泣いた。ヒマワリは不思議そうな顔で見ていた。ボルトは何で泣いているのかは分からないが優しげな目でスミレを見た。ナルトとヒナタは夫婦だからかスミレの考えた事が分かっていたから微笑みながら見ていた。余談だがさっきナルトが言った良かったなとはビオラだけじゃなくてスミレにも言った言葉である。スミレは両親がもういない。それも円満な別れ方じゃなかった。母親は恐らくストレスなどで、父親はスミレを復讐の道具にしようとスミレを鍛え上げ娘とは見ず道具として見ていた。だから親の……もっと言えば家族の愛情を知らない。だがビオラがイレギュラーとは言え来た事で未来では家族を持つということになるということが分かったからだ。勿論ナルトもここから未来が変わってしまう事もあるかもしれないとは考えている。だが·····ナルトとヒナタは不思議とビオラが生まれる未来は変わらないと思った。

 

「ボルト、少し話がある」

 

 ナルトはスミレを見た後ボルトに小声で言った。ボルトはそれに頷きリビングを出た。

 

「で、何だってばさ父ちゃん」

 

「ああ、ビオラの元の世界に戻れる目処が立った」

 

 ボルトはそれを聞き嬉しさよりも何故か消失感があった。ビオラが元の所に帰れるのはいいことだ。これでもう構われることも無くなって楽になれるはずなのに何故か心にぽっかりと穴が空いたみたいなそんな感覚だ。ナルトはそんな複雑そうなボルトをふっと笑って見て言う。

 

「あのビオラと一緒に落ちてきた亀、カラスキって言うそうだが大筒木の道具だった」

 

 大筒木……ボルトもその名は聞いたことはある。というかアカデミーで習った。忍びの祖にして第4次忍界対戦の黒幕。目の前にいる父親と父親の親友が共に封印して倒したと習った。だがボルトはいつものダメ親父な部分しか見ていないから信ぴょう性が無くなっている。

 

「それで、その大筒木の道具が何だってばさ?」

 

「まあ道具と言っても普通に話すんだけどな」

 

「それを先に言えってばさ」

 

「悪い悪い。で、話したら少し長くなるんだけどいいか?」

 

「ここまで言って何も言わなかったら怒るってばさ」

 

「ああ。カラスキが起きたのは今日の昼頃だ。いきなり喋り始めたからびっくりしたな」

 

「それで何でビオラを連れてきたんだってばさ?」

 

 そう聞いたらナルトは微妙な顔をした。だがボルトとしてはそれが1番気になる。そう思っていたらナルトの口が動いた。

 

「どうなるのか気になったからって言ってたってばよ」

 

「·····はい?」

 

 どうなるって何が? というボルトの疑問はほっといてナルトは言う。そっちの方が驚きだったのだが

 

「カラスキは未来のお前にやりたい事を探せよと言われたからこんな事をしたんだとさ」

 

 未来の自分? 今父親はそう言ったのか。

 

「まじか、未来の俺ってどんなやつだってばさ!?」

 

「いや、そこまでは言ってなかった。だからそれは諦めろ」

 

「うっ! 期待させやがってクソ親父」

 

 まあ未来の自分を知りたいのはある意味しょうがない気もするが……

 それを苦笑いで見た後ナルトは言った。

 

「で、カラスキによると帰る為のチャクラがまだ溜まっていなくて……」

 

 その時家のチャイムがなった。ナルトは何故か嬉しそうな顔をした後そのままドアを開けた。ボルトも後ろからひょこっと覗いてみるとそこには黒いマントで体を覆ってる人がいた。だがどことなく幼なじみのうちはサラダに似ている。そして何より

 

(か、カッケ──ーっ!)

 

 それがその人の第一印象だった。そんなボルトの反応は知る由もなくナルトは話しかける。

 

「久しぶりだってばよ、サスケ」

 

「ああ、そうだな。ん?」

 

 サスケはそこでボルトを見た。ボルトは思わず直立をした。

 

「お前がナルトの息子か……」

 

「そ、そうだってばさ」

 

 そう聞いたサスケはナルトに向き直った。

 

「それでナルト、大筒木のものが来たというのは本当か?」

 

「ああ、今は火影屋敷にいるってばよ。チャクラをチャージ中なんだそうだ」

 

「何か悪いもんじゃないだろうな?」

 

「いや、それは無さそうだ。だけどあの亀……カラスキは少しだけとは言え大筒木の情報を持ってそうだ。だからそれらも調べるつもりだ」

 

 そしてボルトに向き直った。

 

「だからビオラと未来のお前達には悪いがもう少し待ってて欲しいんだってばよ」

 

 ボルトはビオラを未来に返したいのかまだ一緒にいたいのか分からなかったが首を縦に振っといた。その後ナルトとサスケは少し話をしてた。ボルトはそれを見ていた。

 

(これが父ちゃんの親友でライバル·····)

 

 その瞬間ボルトは無意識に言った。

 

「さ、サスケのおっちゃん!」

 

 それを聞いたナルトとサスケはボルトに向いた。

 

「俺を弟子にしてくれってばさ!」

 

「ええ!?」

 

 というのはナルトの反応だ。だがサスケはボルトに視線を向け問いた。

 

「何故だ?」

 

 ボルトはそれを聞いて顔を下げながら言った。

 

「俺は……俺が弱かったばかりに友達が……敵になっちまったんだってばさ。だから……もうそんなことが無いように強くなりたいんだってばさ!」

 

 それを聞いてナルトとサスケはビクンとした。これだけ聞いてれば2人にある意味重なっているからだ。

 ボルトが言ったのは修学旅行の際、かぐらが自分を守るために屍澄真について行った事を後悔していたのだ。結果的に2人は再び仲直りというかかぐらが前の距離感に戻ったから良いものを何かが違えば2人は永遠に……少なくともかぐらは敵になっていたかもしれない。

 ボルトがかぐらを引き抜かれる前に屍澄真を倒していればかぐらはボルトを助ける為に一時的でも屍澄真について行かなかったはずだ。ボルトはそれを心のどこかで感じていた。もっと自分が強かったらと。だが修学旅行から帰ってきても強くなる為の修行がダサいと思ってしまう自分がいた。でも今目の前に自分の父と張り合えるほどに強い人がいる。だからこれを機に強くなりたい、そう思ったのだ。

 ナルトはそんな様子を自来也に弟子入りを志願した自分に、サスケは子供のナルトを重ねた。そしてサスケは言った。

 

「お前は螺旋丸は出来るのか?」

 

「え?」

 

「螺旋丸だ。それが出来なきゃ弟子入りは認められないな」

 

 ボルトは顔を下げたが直ぐにナルトに向いた。

 

「父ちゃん! 螺旋丸を教えてくれってばさ!」

 

 ナルトはそんな真剣にボルトが言ってくれるのが嬉しかった。だから笑顔で言った。

 

「おう! いいぜ!」

 

 サスケはアカデミー卒業まで里にいるそうだ。今までの調査を振り返るのとカラスキからの情報整理を手伝うのとか。そしてサスケは一旦帰った。

 

「それでボルト、ビオラはまだ少し帰らせてあげられねえから頼んでもいいか?」

 

 それを聞いたボルトは腕を後ろに組んで言った。

 

「ま、しゃあねえか。それで父ちゃん、螺旋丸ってどうやるんだってばさ?」

 

 そう少し照れくさそうに言ってきた。ナルトは水風船を取ってきた。ボルトはそれを訝しげな目で見ている。それを差し出しながらナルトは言った。

 

「この水風船をチャクラの回転で割ってみろ」

 

「そんなの楽勝だってばさ」

 

 そう意気揚々と言って庭に出てやる。ナルトとヒマワリとビオラはそれをリビングから見る。スミレは泣き終わった後晩御飯の手伝いを申し出たからキッチンにいる。そしてボルトは片手に水風船を乗せ回転で割ろうとしたが……

 

「な、何だこれ。全然出来ねえ」

 

 ナルトはそれに苦笑いをしながらもう1つ水風船を出してきて見本を見せた。

 

「4代目火影、つまりお前のもう1人のおじいちゃんが開発した術だ。チャクラの形態変化を極めた術だ。会得難易度Aランク。そんなに簡単じゃない」

 

 そう言いながら水風船を割ったナルト。そしてボルトを見ながら言う。

 

「どうする? 諦めるか?」

 

 そう言ったらナルトの思い通り反抗的な目になり否定した。

 

「んな訳ないってばさ! もう1回やるってばさ!」

 

 そう言ってまた水風船に向き直り螺旋丸修行に取りかかった。ビオラはそれを不思議そうな顔で見ている。だがヒマワリは何故かこの光景が嬉しいと思った。いつもの兄はナルトがいないことに腹を立てていた。だが今はどちらも何か嬉しそうだからだ。そしてあーでもないこーでもないと言っていたら

 

「あー、ママ!!」

 

「はわわ、ビオラちゃんご飯出来たよ」

 

 そう言って庭の方を見る。そこにはザ・親子というふうなボルトとナルトがいた。

 

「ぼ、ボルト君、7代目、ご飯が出来ましたよ」

 

 それを聞き2人は修行を止めた。因みに15分くらいずっとやっていた。

 

「ああ、分かったってばさ」

 

「サンキューなスミレ」

 

「はわわ、は、はい」

 

 緊張するのはしょうがないような気がする。そして2人はリビングに入った。スミレは今日は晩御飯を一緒にしようとなっている。ボルトは自分の部屋から椅子を持ってきた。

 

「ふふーん、ママも一緒!」

 

 そう言ってビオラは笑顔でスミレの隣に座った。そして

 

「「いただきます!!」」

 

 そう言って一同は食べ始めた。

 

 

 

 

 

 

「ママも一緒に寝るのー〜!」

 

「はわわわわわわわわわ!!」

 

 スミレが晩御飯を食べ終えこれ以上家族団欒を邪魔しちゃ悪いと思い帰りますと言った所ビオラが泣きついた。ボルトはそれをやっぱりみたいな顔で見ていた。それを見たナルトもヒナタも泊まっていきなさいと言われお言葉に甘えたのだ。そして2人はお風呂に入り、ビオラは嬉しそうに入ったそうだ。お風呂から出た後はビオラとヒマワリと少しばかり遊んだ。ボルトとナルトは庭で螺旋丸の修行をしていた。そして皆それぞれの事を終わらせ寝る時間になりビオラがパパとママと一緒に寝ると言って聞かなかったのだ。つまりそれは言い換えればボルトとスミレとビオラは一緒に寝るということで……

 

「はわわわわわわ!!」

 

 こういう訳である。ボルトも顔が赤くなっている。ビオラはそんな2人の様子を見てこう言った。

 

「だっていつも皆で寝てうでしょ?」

 

 爆弾だった。それを聞き2人とも先程よりも顔を赤くした。ナルトとヒナタは少し笑っている。

 そして3人は結局一緒に寝る事になった。ボルトの部屋のベットクッションを下ろしもう1つのベットクッションを持ってきて並べスミレ、ビオラ、ボルトの順で寝た。ビオラは最初はどちらに掴まって寝ようかと思ってたふうだが結局2人の服を掴んで寝た。ボルトとスミレは初めての経験故にまだ眠れず起こさないように話していた。

 

「……なんか、すまないってばさ委員長。いきなりあんな事を言われてびっくりしただろ?」

 

「うんうん、びっくりしたけど大丈夫だよ?」

 

「本当にビオラ、委員長にまであんな事を言って」

 

「私は……嬉しかったよ?」

 

「え?」

 

 そう言ってボルトはビオラ越しにスミレを見る。窓から入ってくる光でスミレの顔が見えた。その顔は少し赤かった。

 

「ボルト君は……信じてない? ビオラちゃんが未来から来たっていう話」

 

 スミレはもう事情は殆ど知っている。もうビオラと会った以上隠す意味が無いからだ。

 

「俺は……正直わかんないってばさ。でも……」

 

「?」

 

「ビオラと委員長が一緒にいるのを見た時、何か嬉しかったってばさ」

 

「……うん。私も何か上手く言えないけど嬉しかったよ」

 

 それ以上2人は会話せずビオラに手を置いて寝た。2人の顔は慈愛に満ちた顔だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「やだ──ーっ! ビオラも行く〜──!」

 

「はわわ、び、ビオラちゃんはお留守番をして、ね?」

 

「や〜ー!!」

 

 翌日も昨日と似たような応酬を今度はスミレとビオラが繰り広げていた。スミレとボルトは……特にボルトは昨日の失敗を踏まえ2人して……スミレの方がやたら早かったが起きた。ボルトは起きた時、ビオラが寝ているのを確認しそーっとリビングに行こうとしたが2人がいなくなったからかビオラが起きた。そしてボルトとスミレは違う意味の危機感を持ちながら朝ご飯を終えアカデミーに行こうとしたのだがこれと言う訳である。ビオラは泣き顔で聞く。

 

「だって昨日パパ遅かったからやー!」

 

 どうやら昨日ボルトが補習で遅くなった事を根に持っているらしい。ボルトはそれを聞きビオラに目線を合わせ言った。

 

「今日は昨日よりも早く帰るからさ、な?」

 

「う──、ほんと?」

 

「「ほんとほんと」」

 

 と2人は言う。それでビオラは不承不承という感じで頷いた。

 

「……わあた」

 

「うん、良い子だね」

 

 そう言ってスミレはビオラを撫でた。それを嬉しそうに受けるビオラ。ボルトはドアを開け言った。

 

「じゃあ委員長行くってばさ」

 

「う、うん。お邪魔しました!」

 

 それを聞いたヒナタは不思議そうな顔をして言った。

 

「え? スミレちゃん今日も泊まるんでしょ?」

 

「……へ?」

 

「だってそうじゃなかったらビオラちゃんがうるさくなるわよ?」

 

「で、でも2日連続は悪いです!」

 

「良いのよ、気にしないで」

 

「そうだってばさ。じゃないと俺がビオラにずっと構わなくちゃいけなくなっちまう」

 

 スミレは悩んでる。その時ビオラを見た。そしておずおずと頷いた。

 

「その、それじゃあお願いします」

 

「うん」

 

 そして2人はアカデミーへ通学した。道中2人とも昨日の内に色々ありすぎて反応が出来ないから無言になっている。ボルトは何もしない状況が嫌だったのか水風船を取り出し歩きながら螺旋丸の修行を始めた。スミレはそれを見る。そして集中が切れたのを見計らい声をかけた。

 

「やっぱり難しい?」

 

「ああ、だけど絶対に弟子入りしてやるってばさ!」

 

 スミレからしたらそんなボルトの様子は珍しかった。ボルトは所謂天才だ。もうこの歳にして水・風・雷の性質を持っている。そして基礎能力などももう下忍、若しかすると中忍レベルかもしれない。だからボルトがアカデミーで言っては悪いが何かを本当の真剣でやってる所は見たこと無かった。たまにおふざけでやってた事はあるが……。そんなボルトが修学旅行の一件で自分の無力さを感じていたのも気が付かなかった。修学旅行の時も後にサラダに聞いた所かぐらと協力して忍刀鮫肌に取り込まれた新・忍刀七人衆のリーダー格と戦い勝利したと言っていた。ミツキに関してはその時のボルトはかっこよかったと言ってたほどだ。だから逆に自信になってるのかもしれないと思っていたがその逆だったとは。

 だが今スミレにはこれしか言えない。

 

「うん。頑張って。でも·····」

 

「?」

 

「もうアカデミーに着くよ?」

 

「あっ」

 

 ボルトは完全にアカデミーに行く事を忘れていた。思わず水風船を落としたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「おはようだってばさ!」

 

 ボルトは教室に入るなりそういつもの挨拶をした。そしてそれに答える親友達。だがその親友達の目がまん丸になった。後ろからスミレも一緒に入ってきたからだ。普段ならそんなに気にしない。たまたま一緒に来たってなるぐらいだ。だが昨日の事がある。昨日のこのクラスではボルトとスミレが一緒に屋上でお弁当を……それもこの2人の近くにいた生徒情報によると何とスミレの手作り弁当という情報がある。そして何より……

 

「な、なああの2人普通に同じ机に当たり前のように座ったぞ」

 

 と言ったのはシカダイだ。実際2人は昨日と同じ机に座った。それがこのクラスの面子には衝撃的だった。サラダですら目を丸くしてる。そんなクラスの様子に気づかず2人はそれぞれの時間を始業まで過ごした。スミレは本を読んで、ボルトは手を水風船を掴んでるみたいにしイメージトレーニングをした。お喋りをしていないのだがクラスの面子には何故かこの2人が昨日よりも仲良くなってるように見えた。例えるなら休みの日に父親が新聞を、母親がキッチンで朝ご飯を作ってる時のあれだ。シカダイ達は聞きたいのは山々だが何かあの領域に踏み込みにくい。それにシカダイ達からすればボルトの様子も珍しい。いつもはシノが来るまで自分達と話してるのに今日は何か集中している。自分達がヒソヒソと話してるのにすら気づいてない。そんなこんなでシノが来た事によりシカダイ達は黒板に注目しスミレの号令で起立しいつものように……けど何か違う1日をスタートさせた。

 

 ボルトは昨日とは別人のように……と言っても昨日以前に戻っただけだが課題をやってのけた。そのボルトはちょっとやべっとなる事があった。それは……

 

「今回組むスリーマンセルが卒業前ラストのスリーマンセルとなる。明日の休みが終わればそのスリーマンセルで実戦形式の試験をやる。これが卒業前の最後の実戦形式の試験だ。気を引き締めるように!」

 

(そうだってばさ! 忘れてたってばさ!!)

 

 思いっきり忘れてたボルトである。ボルトは即座に面子を考える。ミツキは確定だ。というか多分向こうからよってくる。だからあと一人、イワベエは? いや、多分最近仲が良いメタルとデンキ辺りと組むだろう。シカダイ達……いやあそこはもう猪鹿蝶で固定だと考える。残りで自分と張り合えるのはサラダと……そう思い隣を見る。そこには慌ててるスミレの姿がある。スミレは強い。鵺に……あの世の父親の怨念に支配され里に反逆したのだからそれ相応に強い。総合的にはサラダに負けるかもしれないがそれをカバー出来るだけの父親との血に汗握る修行を乗り切った技量で戦ってくれないと分からないが恐らくサラダと張り合えるかもしれない。現に自分の目の前で下忍以上の戦いを鵺の協力ありきとは言えやってのけた。そんな事を思考していたら午前の分が終わった。ボルトは購買に行こうと立ち上がったが·····

 

「あの、ボルト君」

 

「ん? 何だ委員長?」

 

「あの、ヒナタさんと一緒にお弁当作ったから一緒に食べよ?」

 

 そう赤くなりながら言った。ボルトも少し赤くなりながら返す。

 

「わ、分かったってばさ。じゃあ屋上行くか?」

 

「う、うん」

 

 そう言ってスミレはお弁当を2人分だし1つをボルトに渡し2人でまた屋上に向かった。·····余談だがこの時ミツキもついてこうとしたがクラス全員に止められた。因みにこの2人が出て行った後のクラスはこの2人の話をめちゃくちゃし始めた。

 

「ハッ、クション!」

 

「くちゅん!」

 

 クラスがボルトとスミレの話で持ち上げられている最中2人は揃ってくしゃみをした。ボルトは豪快に、スミレは女の子らしくした。2人は揃って顔を合わせ苦笑いした。

 

「何か誰かが噂した気がするってばさ」

 

「うん、私も」

 

 そのまま2人は歩を進め屋上について昨日と同じ所に座った。2人は弁当袋から弁当を取り出しボルトは蓋を開けようとする。スミレはそれを少し緊張の面持ちで見る。そしてボルトは開け感嘆の声を上げた。

 

「おおー!! 美味しそうだってばさ!!」

 

 昨日と言った言葉は同じだが作った者としてはこれ以上に嬉しい言葉はない。

 

「はわわ、ありがとう」

 

 そうしてスミレも自分の分を開け2人は昨日と同じように手を合わせた。

 

「「いただきます!!」」

 

 そう言って2人は食べ始めボルトが感想を言ったりスミレが作る際の話をしたりして過ごしていた。だが途中でボルトの箸が止まった。スミレはそれを訝しげな目でみる。何か変なものがあっただろうかと。スミレはボルトがじーっと見てるものに目を向けた。そこにあったのは玉子焼きだ。ただ普通の玉子焼きとは形状が少しばかり違う。少し螺旋丸っぽく丸めてみたのだ。だから味に変化は特に無いはずだ。ボルトの玉子焼きは半分ほど食べられている。その断面をずーっと見てる。そして……

 

「なるほど!!」

 

「な、何が?」

 

「いや、これのやり方のイメージみたいなやつが出来たんだよ!」

 

 そう言って水風船を割る格好を弁当箱を置いてした。スミレとしては朝はヒナタと作っていたから時間をいつもやっている半分の時間で出来たからやってみただけなのだがそれがヒントになったのなら良かったと思ったのであった。自分も玉子焼きを半分食べ断面を見たら上手く回転してるようにも見えなくもない。そうこうして2人は食べ終えた

 

「ご馳走だってばさ」

 

「はい、お粗末さまでした」

 

 そう言ってスミレはお弁当を片付けた。ボルトはこう言う瞬間が少し小っ恥ずかしかったが嬉しいと思う自分もいるのだった。そして2人はお喋りを始めた。……主にビオラの事だったが……。2人はビオラが自分達の子供かどうかは正直分からない。だけどいつしか2人の中にはもうビオラがいた。

 そしてボルトは唐突に思い出しスミレに言った。

 

「そうだ、委員長」

 

「何?」

 

「スリーマンセル、組んでくれないか?」

 

 スミレはそれを聞き少し驚いた顔をしたが直ぐに笑って頷いた。

 

「うん、いいよ。よろしく、ボルト君」

 

 ボルトも笑って頷いた。

 

「ああ、よろしくだってばさ!」

 

 その時予鈴がなりそれぞれの弁当箱を持ち立った。その後の2人はどんなフォーメーションで戦うかなどの議論をしながら教室に戻った。またもやクラスの視線が刺さったがもうスルースキルが無自覚に100レベなんじゃないかと疑うほど2人は普通に同じ机に座った。そんな机にミツキは平然と寄っていきボルトに話しかけた。シカダイ達はそんなミツキを少し羨ましいと思った。この2人普通に近寄り難い雰囲気が……勿論悪い方ではなく何か……ね? ミツキはスリーマンセルの事を話しボルトは笑ってOKして次に言った言葉がクラス全体に衝撃が……いや、この2日を見てたら不思議と納得出来ることをボルトが言った。

 

「よし! じゃあこれで俺とミツキと委員長でスリーマンセルだな!」

 

 ミツキはいつものように掴みどころのない笑顔で、スミレは少し恥ずかしそうな顔をそれぞれしていた。

 その後午後の分も終わり本当は3人でフォーメーションやらやりたいのだがビオラにまた泣かれたら精神的に少しきついから2人は真っ直ぐボルトの家に……と思ったのだがスミレがあっ……て感じで止まった。ボルトはそれをランニングポーズを取りながら振り返る。

 

「どうしたんだってばさ?」

 

「えっと·····その」

 

「?」

 

「き、着替え取ってきてもいいかな?」

 

「あっ」

 

 そうだ。スミレは昨日から泊まってるし昨日はアカデミーからそのままボルトの家に来たから着替えがない。ボルトは頷き言った。

 

「じゃあ委員長の家に行くってばさ」

 

「う、うん」

 

 そうして2人はスミレのアパートに向かった。

 

「じゃあ俺はここで待ってるってばさ」

 

 こことはスミレの部屋の前だ。流石に同年代の女の子の住んでる所に入るのは気が引けたのだ。だがスミレは首を振った。

 

「別に構わないよ。ほら、入って入って」

 

 ボルトは少し悩み少し恥ずかしいが頷いた。そして2人はスミレの部屋に入り靴を脱いでスミレが上がったのと同時に思い出したように注意しようと思い振り返った時にそれは起きた。

 

「あっ、ボルト君。そこ段差あるから気をつけ·····」

 

「うわぁ!!」

 

 気をつけてと言おうとした所見事に段差に引っかかりボルトは前のめりに倒れた。そして目の前にいたスミレを不可抗力で押し倒して……

 ボルトは何か口に不思議な感覚があるのに気がついた。そしてそれは良く見たら·····

 

「す、すまないってばさ!!」

 

 そう言ってボルトはばっと腕立てみたいに体を戻した。その顔は真っ赤だった。一方スミレは一瞬何が起こったのか分からず割と普通の顔だったが急激に自分の口に起きた事を思い出しそして目の前にいる自分を押し倒した状態のボルトを見て見える範囲全てが真っ赤に染まっていき·····

 

「は·····はわわわわわわわわわわわ!!」

 

 暴走した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「その、本当にすまないってばさ」

 

 ボルトは後ろでスミレが着替えを入れてる音を聞きながら謝った。スミレはさっきは3分程暴走して先程漸く止まったのだ。スミレは1日分の着替えを入れ終わりそのままボルトと背中合わせになりながら言った。

 

「うんうん、早く言わなかった私も悪かったから大丈夫だよ」

 

 その顔は2人とも赤かった。

 

「でも……その。委員長の初めてを……俺は」

 

 ボルトはあまり恋愛ごとには疎い。だが他人のを見てる分にはやたら過剰に反応している。母親の血があるからだろう。それでも女の人の初めての口付けはボルトは大事なんだろうなとは思っている。だから不可抗力でも自分がスミレの初めての口付けを……はっきり言えばファーストキスをしてしまったのがボルトに罪悪感をあげている。·····でもまあボルトの父親のファーストキスよりも遥かにましなような気もしないことも無い。

 

「ボルト君が気にする事はないよ。それに·····」

 

 私は初めてがボルト君で良かったと言おうとして止めた。そんなの恥ずかしいなんてものじゃない。ボルトがそれにの続きを聞こうとしたがスミレはその前に勢いよく立ち上がった。

 

「じゃ、じゃあ行こ!」

 

「お、おう」

 

 そうして2人は立ち上がりボルトの家に向かう。またもや2人は沈黙になっていた。今度はボルトも螺旋丸修行をする気にはなれなかった。そのまま歩を進めボルトの家に到着した。

 

「パパ、ママー〜!!」

 

 昨日と同じように突撃された。それを2人は受け止めた。そして2人はボルトの部屋に荷物を置きに行きリビングに戻った。その時……

 

「マーマ、ぬえたんいないの?」

 

「え? えっと……」

 

 ここで鵺を出していいの分からずヒナタを見た。ヒナタが頷いたのを見てスミレは口寄せした。

 

「ぬっえ──」

 

 と言ってスミレの肩に乗った。そして鵺はビオラを不思議そうな顔で見た。そうしてたらビオラが笑顔で寄っていた。

 

「鵺たん!」

 

 鵺に向けて手を広げている。鵺は何だろうと思っていたがスミレの肩から降りてビオラの腕の中に納まった。

 

「可愛い!!」

 

 とヒマワリも鵺を撫で始めた。それに鵺は嬉しそうにしてるという微笑ましい光景が繰り広げていた。スミレはその光景を見た後ヒナタの所に行き晩御飯を手伝いを始めた。ボルトはしばらく鵺に任せてよさそうと判断し庭に出て螺旋丸修行を始めた。しかし昨日よりも手応えを感じていた時……

 

「ただいま──っ!」

 

「じいじ!!」

 

「父ちゃん!! 最近どうしたんだってばさ!?」

 

「おいおい、普通は喜ぶ所なんじゃないか?」

 

「自分の胸に聞いてみろだってばさ」

 

 実際ナルトは3日連続で帰ってきてる。前までなら有り得なかった事だ。ナルトはそれに苦笑いしながら答える

 

「あー、シカマルにビオラを理由に帰らせられてるんだってばよ」

 

「シカマルのおっちゃんが……」

 

 表向きビオラは怪しい子だ。……まあうずまき家の面々は思いっきり可愛がっているが。だからその表向きを利用してシカマルはナルトを帰らせてる。出来る補佐は違う。そしてボルトは水風船が割れそうと言いナルトを庭に引っ張り水風船を割り始めた。そして水風船が暴走し始めて……

 

「……まじかよ。こんなに早いなんてな」

 

「へへ!」

 

 ボルトはドヤ顔でナルトを見ている。ナルトは笑いながら次のものを出した。ボルトはそれを見て空に声を上げた。

 

「今度はゴムボールかよ──ー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして晩御飯を皆で食べ、スミレとビオラとヒマワリはお風呂に行った。ボルトとナルトは庭で螺旋丸修行パート2に入っている。今度のゴムボールは螺旋丸の威力を高める為の修行だ。ボルトはもっと効率いいの無いのかとイライラしながら聞いたが1番の螺旋丸の使い手にないと言われゴムボールと向き直ってやっている。間違えて雷遁で割ったりしながら何度もやっている。ナルトはそんなボルトに嬉しく思っていた。いや、もっと言うならこの状況もだ。親子で修行出来る時が来るのだろうかとビオラが来るまでは思っていたが今こうして現実になっている。

 だがそんなボルトに言わなきゃいけないことがあるナルトだった。

 

「ボルト……」

 

「ん? なんだってばさ?」

 

「明後日の夜、ビオラが寝ている間にビオラを未来に返す事になった」

 

 明後日の夜、つまりアカデミーの実戦形式の試験の日の夜にビオラが帰るということだ。

 

「そう·····か」

 

「ああ」

 

 ボルトは昨日の夜と似たような感情がある。ビオラが帰ることになり嬉しいのか嫌なのかよく分からない感情だ。

 

「だからボルト、明日はスミレとビオラでどこか行ってきたらどうだ?」

 

 ボルトはそれを聞き頷いた。

 

「分かったってばさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう……何だ。良かった·····のかな」

 

「ああ、これでいいはずだってばさ」

 

 昨日と同じようにビオラが3人で寝ると言い張りまたスミレとボルトの服を掴みながらビオラは眠りに落ちた。そんなビオラを跨いで2人は会話をした。

 

「それで委員長、明日なんだけどさ·····」

 

「うん、分かってる。3人で思い出……作ろ?」

 

 ナルトには写真などはやめとけと言われたから記録に出来ないのが残念だが自分たちの中で覚えとけばいい。2人は昨日と同じようにこの日を終えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 3人は翌日千手公園に来た。スミレとしては少しあれな思い出の場所だがビオラをあまり目立たさせる訳にはいかないからあまりアカデミーの生徒がいないだろうと思われる場所に来た。3人で千手公園を歩きながら話をする。そしてお昼時になり今日もヒナタとスミレが作ったお弁当をレジャーシートを引き3人で食べる。……まあビオラは赤ちゃん食だが。

 

「おいちいよ!!」

 

「はわわ、良かった〜」

 

「スミレはもう少し自信持てってばさ!! 本当に美味いんだからさ!」

 

 ボルトとしてはスミレの料理は割と上位にランクインしてる。そしてボルトはスミレが少し赤くなってるのに気が付いた。何か赤くするような事をしただろうかと思い聞く。

 

「えっと、俺何かしたっけ?」

 

「へ? はわわ、な、何もしてないよ! ただ……」

 

「?」

 

「えっと、その、普通に名前で言われたから少しびっくりしただけだよ」

 

「あっ、すまないってばさ委員長」

 

「うんうん、いいよ。名前の方がいいならそう呼んでも大丈夫だよ」

 

「じゃあその、お言葉に甘えるってばさ……スミレ」

 

「う、うん」

 

 そう言って2人は照れた。そんな2人をビオラは不思議そうな顔で見ていた。その後3人は食べ終えヒマワリから借りといたゴムボールで遊んだ。だがやっぱり体力はまだ少ないみたいで割と直ぐにビオラはばててスミレの膝で寝始めた。ボルトとスミレはそれに苦笑いしながらレジャーシートに戻った。2人はそのまま話をする。ボルトがナルトから聞いたナルトの小さい頃の話だ。以前ならばそんなもの聞きたくないと思っていたがナルトとの螺旋丸修行を通して少しだがナルトの凄さも分かりナルトが小さい頃の話をしても特に拒否反応が出なくそのまま聞いたのだ。·····どこまで信憑性があるかは不明だが。そんなボルトでもジーンときた言葉がありそれをスミレに言った。

 

「それでカカシのおっちゃんが言ったんだってばさ! 『忍者の世界には色々なルールや掟がありそれを破ればクズ呼ばわりされる。だけどな……仲間を大切にしないやつはそれ以上のクズだ!』って! かっけーよな!!」

 

 スミレとしてはボルトは普通にやってのけてると思っているがどうやらボルトは気がついてないらしい。でも自分も実際良い言葉だと思ったから微笑みながら返した。そしてナルトの話をしながらスミレは心の中で思っていた。

 

(やっぱり7代目の事が好きなんだね。ボルト君は)

 

 アカデミーではよくクソ親父と言ってはいるがこの2日間で見たボルトとナルトはやっぱり嬉しそうだった。スミレはボルトがお風呂に入ってる間にナルトとも話した。·····緊張しまくったが。スミレにもナルトは元気づけるようなエピソードを教えてくれた。両親がいないという似たような境遇で気にかけてくれたんだろう。そんなこんなでもう時刻は夕方になった。ビオラも眠そうな顔をしながら起きた。そのまま2人はボルトの家に向かった。余談だがスミレは今日まで泊まる事になった。明日のビオラの見送りをした後は自分の部屋に帰るつもりだ。そしてボルトはゴムボールを、スミレはまた手伝いをしながらそれぞれの時間を過ごした。その時ナルトも帰ってきた。どうやら今日もシカマルにビオラを理由に帰らせられたらしい。そしてご飯が出来るまでナルトはビオラと戯れた後ボルトの修行を見た。休憩中にこの修行の意義を唱えてボルトは辟易していたがこれが後にボルトの役に立つと思いナルトは教えたのだ。そしてご飯の時ビオラが言った。

 

「パパとママが戦ってるところみたい〜!!」

 

 ヒナタがスミレにアカデミーの事を言いスミレが明日には実戦形式の試験がある事を教えナルトがスリーマンセルをどうしたんだと聞かれボルトが少し恥ずかしながらミツキとスミレと言った所ビオラがボルトとスミレが活躍するのかと思ってそう言ったのだ。

 ボルトとスミレは目を合わせ少し困った顔をした。試験の場所は恐らく修練場だろう。外からならば遠目に見てもらうことが出来るかもしれないが屋内なら嫌でもクラスメイトの目がある。そしてその時ビオラが2人をパパ、ママと呼ぶ確率が半端なくある。ビオラが見たいなら見せたいのが本音だがそのせいでクラスメイトから変な目で見られるのは2人ともあまり望んでない。そして何よりそもそもアカデミーに入っていいのか? という疑問もある。

 

「まあ良いんじゃねえか? ヒナタ、明日ビオラを連れていったらどうだ?」

 

「っていいのかよ父ちゃん!」

 

「ああ、シノには俺から言っとくってばよ。ただしビオラ」

 

「じいじなに?」

 

「あまりアカデミーじゃパパとママって言っちゃダメだぞ?」

 

「なんでー?」

 

「そうしたらパパとママが困っちゃうからだぞ」

 

「うー、わかた」

 

 という訳でビオラはボルト達の試験を見学することになった。内心2人は焦っていたがこんな楽しみそうなビオラを見たらもう拒否するという選択肢はなかった。

 

 

 

 

 

「何か緊張するってばさ」

 

「うん、私も」

 

 2人は3日連続同じベットでビオラをサンドしながら寝た。2人は自分達の戦いをまさかビオラに見せることになるとは思っていなかったから緊張している。そしてそのまま2人は眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 翌日2人はビオラとまた会う約束をしてアカデミーに向かった。その道中はボルトは修行したりスミレはそれを微笑みながら見るという光景だったが。2人はアカデミーについた後も普通に同じ机に座った。クラスではますます噂になったが2人はそれに気がつかずミツキを呼びフォーメーションの確認やらをやった。

 そしてついに試験の時間になった。くじ引きで相手が決まる。そんな時修練場の入口からヒナタとビオラとヒマワリが来た。やっぱり騒ぎになったがシノに止められ試験に向いた。ビオラは今にも親を叫ぼうとしているが我慢してるみたいだ。それにほっとしながらボルトはくじを引いた。そして相手は……

 

「9? って事は……」

 

 対戦表みたいなものを見る前に声がかけられた。

 

「俺達が相手だな、ボルト」

 

 後ろから声をかけたのは猪鹿蝶、シカダイだった。ボルトはそれに好戦的な笑みを浮かべる。

 

「へへ! 上等だってばさ! この前みたいに勝ってやるってばさ!」

 

「そう上手く行くかな? おばさんの前だからって容赦はしないぜ?」

 

 そう言ってる間にスミレはミツキに聞いた。

 

「前もボルト君とシカダイ君達戦った事あるの?」

 

「うん、委員長がアカデミーに戻ってくる前にね。その時は僕らが勝ったよ」

 

「今度はそうはいかないよ」

 

「もっちー、やられっぱなしも嫌だし〜?」

 

 と後ろから言ってきたのはいのじんとチョウチョウだ。どうやら前回ミツキの策で負けた事に案外根に持っているらしい。

 そして試験が始まり2人は出番を待っている間ビオラの元に向かった。

 

「もう少しだから待っててね?」

 

「あーい!」

 

 周りのクラスメイトは何なんだと思いながら試験中の生徒を見たりボルト達を見たりしている。そしてそうこうしてたらボルト達の出番となった。

 

「がんばって!!」

 

 というビオラの声援を受けボルトとスミレは修練場に降り立った。ミツキも隣に来る。向かい側ではシカダイ達がスタンバっている。そしてシノが真ん中に来る。

 

「では、これからボルトチーム対シカダイチームの実戦形式の試験を始める。両者準備は?」

 

「何時でも良いってばさ!」

 

「こっちも良いっすよ!」

 

 そしてシノは右手を垂直に上げ

 

「では、始め!」

 

 振り下ろした。

 

 最初に動いたのはシカダイだ。影縛りの術でボルトを捕らえようとしたがボルトは飛んで躱した。着地地点に影を伸ばしたが流石に直ぐにミツキが動きクナイをシカダイに投げ影縛りの術を解除させた。だが飛んでいるボルトにはチョウチョウが部分倍加の術で大きくした手でボルトを殴ろうとした。ボルトは影分身を使い分身に自分を投げさせいのじんの所に行くのと同時にチョウチョウを躱した。ボルトはそのままいのじんと肉弾戦をする。

 この試験はシノが止めるまでが勝負だ。

 ボルトは肉弾戦をしていたが背後の気配に気づき下がった。スミレはチョウチョウと素早さを活かして戦っている。背後にはシカダイが投げたのだろうかクナイが刺さっていた。

 

(このままいけるか?)

 

 そう思っているといのじんが鳥獣戯画をミツキに向けて撃った。ミツキはそれを躱したが一瞬鳥獣戯画に目を奪われ気づいた時には体が動かなくなっていた。だがミツキは前回と同じように口からクナイを出そうと思ったがシカダイがニヤっと笑い口から何か吐く動作をした。そうしたらミツキもピクピクと動き同じようにしてクナイを無理やり出された。

 

(これは影縛りじゃねえ! 確か影真似の術だ)

 

「前と同じように行くかよ!」

 

 ミツキの動きを封じられたのは痛い。ここでもボルトは少し無力感を感じるのだった。自分がいのじんをちゃんと相手にしてればと。そう考えていたらスミレが横に来た。向こうは動けないシカダイを守るようにいのじんとチョウチョウがいた。向こうは結構不敵な笑みを浮かばせてる。

 

(結構この状況は不味いってばさ!)

 

 影真似から脱出するのは相当力量差がないと厳しい。ボルトは試しにクナイをシカダイに投げたが簡単に叩き落とされた。

 

(くそ、どうする?)

 

 いのじんとチョウチョウは簡単にシカダイにまで通さないだろう。コンビネーションもバッチリだ。そうしてたら声をかけられた

 

「がんばれ〜!!」

 

 と言ってきたのはビオラだ。小さい体から出せる最大音量だろう。それを聞いた2人は目を合わせ目で作戦を伝えた。本当に伝わっているか分からないが不思議と伝わっている気がした。

 

(ミツキは捕まっちまった。でも逆に言えばシカダイもあまり動けない。つまり今だけは実質2対2。いや、こっちの方が多いぜ?)

 

 そしてボルトは煙玉を投げ修練場は煙包まれた。そして2人は印をした。そして何人もの分身で3人に襲いかかった。だが影分身はチャクラを等分するため動きも少々雑になり、水分身は本体の10分の1しか力を出せないという欠点がある。だから2人は特に慌てず分身を消して行く。その時何故か一気に煙が晴れた。そこにいた生徒が見たのは

 

「へへ! 行くぜシカダイ!」

 

 ボルトの手がボールを包んでるみたいに手を合わせそこに小さいが青い球体があった。

 

(父ちゃんは螺旋丸のあの修行の意味を言った。水風船で回転を高め、ゴムボールで威力を高める。そしてその2つを意識して螺旋丸を作る。出来るかどうか分からなかったが小さいけど出来たぜ)

 

 本人には思いもよらない性質変化も入ってはいるが。最初は驚いた3人だが直ぐに大きさに気が付き不敵な笑みを浮かべた。ボルトは叫んだ。

 

「行くぞスミレ!」

 

 そう言って残りの分身と共に突っ込んだ。2人はそれに応戦する。螺旋丸をもつボルトは手を使えない。それに本体がやられれば分身も消える。そう思った2人は螺旋丸を持つボルトとやたら動きの良いスミレに向かった。ボルトとスミレは応戦するがやっぱりやたらコンビネーションがよくいのじんの刀がボルトの首に突きつけられた。

 

「さあ、降参しなよボルト」

 

 だが今度不敵な笑みを浮かべたのはボルトの方だった。

 

「へ! やなこった!」

 

 ぼん! 

 

 そんな音ともに螺旋丸を持っていたボルトは消えた。シカダイはそれに目を見張り後ろに気配があるのに気が付き後ろに向いた。そこにいたのは螺旋丸を振りかぶっているボルトだった。さっき煙玉を投げた時に後ろに回ったのだ。

 

「喰らえ──っ!」

 

 そう言って螺旋丸を投げた。だがしかしやベッとなっていた顔は直ぐにから笑いに変わった。何故なら螺旋丸が消えたからだ。残りの2人も安心したような顔になった。

 

「ふはは! そんなものが届かないんじゃ世話ないぜボルト!」

 

 イワベエがそう言っている。実際作戦はバッチリだったのに最後にこれは……そうクラスが少し笑いになった瞬間シカダイが目を見張り少し吹っ飛んだ。それと同時にミツキは動きシカダイにクナイを当てた。チョウチョウも動揺した隙にスミレはチョウチョウの後ろを取ってクナイを当てた。そこでシノから声がかかった。

 

「そこまで! 勝者ボルトチーム!」

 

 一同はポカーンと口を開けた。何故シカダイが吹っ飛んだのか分からない。そんな事を考えてる間にボルトチームは集まりハイタッチしていた。

 

「よっしゃー! 勝ちだってばさ!」

 

「うん、流石ボルト」

 

「うん!」

 

「勝った〜!」

 

 と喜んでいるのはビオラだ。手を振る2人。ミツキは不思議そうな顔で2人を見ていた。ボルトはスミレにお礼を言う。

 

「サンキューなスミレ。陽動手伝ってくれて」

 

「うんうん。私も気づけて良かった。……不思議とボルト君の考えてることが分かったんだ」

 

「そ、そうか? ハハハ!!」

 

「それにしても出来たね、螺旋丸」

 

「でもまだちっちゃいし、というかあの消えるのはなんなんだってばさ」

 

「あれは恐らく雷遁の性質変化が入ってるんじゃないかな?」

 

 と言ったのはミツキだ。普段雷遁を使うから分かったのだろう。ボルトはそれに成程なと言いつつギャラリーの所に戻った。そしてクラスメイトから質問攻めを回避しビオラの所に向かった。

 

「勝った、勝ったね〜!」

 

「ああ、ビオラのおかげだってばさ」

 

 そう言ってボルトはビオラを撫でた。クラスはそれを本当に何なんだというふうに見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 そして放課後になりビオラと3人で帰った。ヒナタとヒマワリは買い物行くそうだ。少し周りから視線を集めながら3人は帰路を歩く。だがビオラがキャッキャッ言ってるのに対して2人は無言だ。そしてボルトがスミレに言った。

 

「その、スミレ。寄りたい所があるんだってばさ」

 

「分かった。ビオラちゃんもいい?」

 

「うん! いーよ〜!」

 

 そう2人の快諾も得てボルトは放課後の市場に来てボルトはある物を探した。スミレは聞く。

 

「何探してるの?」

 

 ボルトはスミレの耳に口を近づけ言った。耳元で言われたことで顔は赤くなっている。

 

「その、スミレのその髪飾りみたいなのないかなって思って……出来ればビオラの髪飾りを」

 

「はわわ、成程」

 

 スミレはそう言って周りをキョロキョロした後にビオラの手を掴んでボルトに向き行った。

 

「ついてきて、ボルト君」

 

「お、おう」

 

 そう言ってボルト達は歩き出し一同が着いたのはアクセサリーショップみたいな所だった。

 

「ここは?」

 

「私がこの髪飾りを買った所だよ」

 

 そう言ってスミレは自分の髪の毛を指す。アカデミーに戻る前につけていた母からの髪飾りは自分の道に行くという意味を込めて自分の菫の髪飾りに変えたのだ。そうして3人はアクセサリーショップに入って行き髪飾り……出来ればビオラの花の髪飾りを探した。ビオラは綺麗なアクセサリーにキャッキャッ楽しそうに見ている。そんな時

 

「あ、あった」

 

 そう言って取り出したのは花の外側が紫色で内側が黄色の花だった。スミレ曰くビオラ自体には種類が結構あり育て方で変わるんだとか。でもビオラの見た目的に恐らくこの花をイメージして決めたんじゃないかという事だ。

 

「じゃあ買って来るってばさ!」

 

「あっ、私も払うよ!」

 

「え、いやでも·····、大丈夫なのか?」

 

「うん。この3日間食費は使ってないからね」

 

 3日間ヒナタはバイトと称してスミレからお金を取らなかった。というかそもそも取るという選択肢はなかった。そう言う訳で少し余裕がある。そうして2人は割り勘してその髪飾りを買った。アクセサリーを見てたビオラを連れて家に帰った。そしてビオラとの最後の晩餐の前にボルトはナルトに螺旋丸を見せた。それに驚きながらも嬉しそうにわしゃわしゃとボルトの髪を手でボサボサにした。小さいが螺旋丸には違いない。それも4代目火影でも出来なかった性質変化を無意識に加えるという本物の天才的な行動をした。普通の螺旋丸はもう少し頑張れば出来るようになるだろう。そして6人は晩御飯を食べ始めた。ビオラが最後だからか結構豪華だった。スミレはそれに少し萎縮したがボルトが気にするな気にするなと言い勝手に野菜やらお肉やらを入れた。そんな楽しい時間は終わって次はお風呂……何だが……その時事件が起きた。起きたというかこれは爆弾である。何故ならビオラがボルトとスミレに……

 

「パパもママも一緒入ろ〜!」

 

 この時時間が止まった。本気でそう思えるほど何もかも止まった。そして件の2人は徐々に真っ赤になっていき

 

「はわわわわわわわわわわわわわわわわわ!!」

 

 とまた暴走したのはスミレ。口をパクパクしながら赤面になっているのはボルトだ。ヒナタが流石にちょっとあれだと思いビオラを諭す。

 

「ビオラちゃん、流石にそれはダメだわ」

 

「なーんで?」

 

 そう言われると上手い説明が思いつかない。後ろではまだスミレが暴走してる。そんな時第2の爆弾が投下された。

 

「だってよく皆で入るでしょ?」

 

 また時が止まった。先程よりも長く止まった。ヒナタは徐々に目をボルトに向けて白眼になっていたがボルトはヒナタに全力で猛抗議した。

 

「いやいやいやいやいやいやいやいや母ちゃん。そ、それは俺じゃない俺で……」

 

 自分でそう普通に言ったのにボルトは気がついた。遠回しにもう自分がビオラの父親という事を認めたのだ。そんな心境の変化に驚いたのは自分だった。最初はあんなに頑なに認めようとしなかったのにビオラと……そしてスミレと一緒に過ごした日々が今の言葉を言わせたのだ。

 

「パパとママとビオラで入りたい〜!」

 

 スミレは暴走を頑張って止めビオラに膝を屈めて言った。ボルトは断ってくれるのか! と思ったが逆だった。

 

「じゃあ、入る?」

 

 スミレのだ羞恥で真っ赤だったがそう言った。ボルトは諦めた顔でナルトとヒナタを見たが2人とも泣かれるよりましって顔をしながら頷いた。スミレはボルトの耳元で声を出した。

 

「その、ごめんねボルト君」

 

「いや、しょうがないってばさ」

 

 そう諦めた顔で言うボルトであった。そしてスミレはお風呂から出た後に髪飾りを付けようと言い袋を持って3人は脱衣場に行った。

 

「そ、その。ボルト君が先に入って」

 

「わ、分かったってばさ」

 

 そう言ってボルトはスミレを背後にしながら衣服を脱いだ。同年代の女の子が後ろにいると考えただけで恥ずかしいこと極まりないがここを乗り切れば終わると信じてバスタオルを巻いた。そしてスミレに声をかけ入った。先に頭と体を洗いそれなりに大きい……少年少女サイズなら2人分入る程度の風呂に入った。そしてその時が来た。ドアが開く音がして入ってきたのはバスタオルを包まれているビオラと……

 

「はわわ、あ、あんまり見ないでボルト君」

 

「あ、すまないってばさ!!」

 

 そう言ってボルトは思わずスミレに向けてた視線を湯船に移した。両者の顔はもう真っ赤である。平然としてるのはビオラだけである。ボルトは正直スミレの裸体に近い格好に見惚れていた。肌は健康的に白く体型も普通に女優になれる程だったしその特徴的な紫色の髪もお風呂ようなのか纏めていた姿も初めて見たから思わず心臓の鼓動がやたら早くなった。そしてボルトはずっと湯船に顔を向けてスミレはビオラの髪の毛やらを綺麗にしたり自分の髪も洗った。その間に2人の声も聞こえたりしてその声が風呂場で反射し余計にボルトの耳に入ってくる。今理性を保ててる自分を褒めたい。そうしてたらスミレから声をかけられた。

 

「じゃあ、その、ボルト君入るね?」

 

「パパ〜!」

 

「お、おう」

 

 そうしてスミレはビオラを抱えてゆっくり湯船に入っていった。両者の顔は赤くなっているがしょうがない。お風呂の温度はビオラ用にぬるめだ。ビオラはスミレの腕から離れボルトの所に行ったりスミレに行ったりしながら楽しんでいた。ボルトとスミレも楽しんだ。……まあ入っていた半分の時間ぐらいは2人とも羞恥であまり何も話せなかったんだが。そして先にスミレとビオラが出た。そして声をかけられた後ボルトも出た。まだ高鳴っている鼓動を頑張って押さえつけパジャマになる。スミレは先程結局今日も泊まっていきなさいと言われお言葉に甘えた。そして出た後2人はビオラを呼び寄せた。てくてく寄ってきたビオラに真正面を向けさせたままスミレはビオラの花を取り出しビオラの前髪辺りにつけた。流石にこの歳だからそんなにロングヘアではなかった。

 

「ママなにこれ〜?」

 

 そう聞いたスミレは少し涙ぐみながらビオラを抱き寄せ言った。

 

「ママとパパのお守りだよ」

 

「お守り〜!」

 

 ボルトも少し躊躇った後にスミレ事抱擁した。ビオラはそれに嬉しそうにしながら眠くなったのか寝息をたて始めた。そして2人は庭に出た。もうカラスキは連れてこられている。その場にはシカマルやサスケの姿もあった。ナルトがカラスキに話しかける。

 

「じゃあカラスキ、ビオラがここに来た瞬間の時間にビオラを戻してくれるか?」

 

「かしこまりました。ではビオラ様を10年後に送り届けます」

 

 カラスキがそう言った時スミレの腕にいたビオラが持ち上げられた。そして光に包まれながら徐々に上昇して言った。ボルトとスミレはそれを見送る。スミレは目が濡れている事に気がついた。抑えても止まらない。

 

「あ……あ」

 

 ボルトはそんなスミレを見ながらビオラと会ってからの日々を思い出していた。最初はパパと言われ焦ったがそれすらも可愛くもう見えていた。そしてビオラのおかげで父との関係も少しは改善された。スミレの一面も知ることが出来た。ビオラが来てから良い事しかなかった。ビオラが来なければサスケもまだ帰ってなかっただろうし螺旋丸も習得しなかったかもしれないからだ。

 スミレは涙を流しながら言った。

 

「ばいばい、ビオラちゃん」

 

 ボルトはそんなスミレを少し抱き寄せて無意識に言った。

 

「ばいばいじゃないってばさ」

 

 スミレはボルトをあの異界から脱出する前ボルトに手を差し出された時と同じように見た。

 

「またね、だってばさ!」

 

 スミレはそれを聞き涙を流したままもう消えかかって·····いや帰ろうとしてるビオラに言った。

 

「またね、ビオラちゃん」

 

 その瞬間カラスキもビオラも光に包まれながら消えた。一同はそれを見た後もあまりその場を動けなかった。スミレは溢れる涙が止まらなかった。ボルトはこれまた無意識にスミレを抱き寄せた。スミレはそれに抗う事もせずボルトの胸元で泣いた。そんなボルトの目も濡れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「むにゃむにゃ」

 

 ビオラは眠たい目を開けた。真ん前にいたのは紫色のパジャマを着た母親だった。ビオラは反対にも目を向けた。そこにいたのは白色の下着をつけて寝ている父親だった。そしてビオラが起きたのに気がついたのか2人は起きた。母親がビオラに聞いた。

 

「ビオラ、その髪飾りどうしたの?」

 

 ビオラは無邪気な笑顔で言った。

 

「ママとパパがお守りでくれたの〜!」

 

 それを聞き2人は目を見張って優しげな笑みになり同時に言った。

 

「また、会えたね」

 

 ビオラはそれに不思議そうな顔で見ていたが直ぐに頷いた。

 

「うん!」

 

 この2人は正直何故こう言ったのかは分からない。だけど言わなきゃいけない。そう思ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ビオラちゃん、帰れたかな?」

 

「もうそれ5回は言ってるってばさ……気持ちは分かるけどな」

 

 2人は最終日も一緒に寝た。スミレが情処不安定になるかもしれなかったからだ。2人の中で割とビオラの存在が大きくなっていたらしい。あまり2人とも寝付けなかった。ボルトはあの後螺旋丸をサスケにぱっと見せ弟子入りした。卒業試験まで修行をつけてくれるという。ナルトにはサラダのも見てやれとか言われていた。

 ボルトとスミレは部屋の天井を見ながら話をしてる時にスミレはビオラが無事かの心配を先程ボルトが言った通り5回言った。

 

「ボルト君、その·····」

 

「ん? 何だってばさ?」

 

「その·····ハグしてくれない……かな?」

 

 そう羞恥の顔と声で言った。だがその中に少し泣き声も混じっているのにボルトは気が付きスミレを見た。スミレもボルトを見ていた。昨日までその間にはビオラがいたが今はもういない。それに寂しさを感じながらボルトは少しづつスミレに寄っていきゆっくり抱擁した。そして2人は少し涙を流しながら抱き合っていた。2人はビオラがいない寂しさを感じながら眠りについたのだった。

 

 

 

 

 




お疲れ様でした(*・ω・)*_ _)。
最初はなんかボルトかスミレを事故らせて意識させたろうかな〜と思ったんですがそれじゃあ何かありきたりだな〜と思い却下しました。
そんな時姉がBORUTOのタイムスリップ編を見てるのを見て「あっ!便利なやついるじゃん!」と思い放浪してたであろうカラスキに頑張ってもらおうと思いました。
それで最初はボルトかスミレの幼少期を連れて来ようかなと思ったんですがそれだとスミレは自分がボルトの事を好きなのを再確認するだけだしボルトに関しては幼少期スミレを変えるのは寧ろ当たり前と思ってそうだから多分恋愛感情に繋がらない・・・まあ気になるぐらいにはなるかもしれませんが決定的にはならないから2人とも却下。だったらもう子供連れて来ようとなりました。
多分スミレであれサラダであれ子供がもし出来た時は男の子の確率が多いような気もしますが髪飾りの件をしたかったので女の子にしました。ビオラと言う花は本当にあるので見てみてください。結構綺麗です。
これからもアニメに沿ってやっていきますが読んだ人ならわかると思いますがボルトがやたら強化されました笑。ビオラが来たから変わった事って感じでこうなりました。ハハハ、アニメにただ沿うのは嫌なんでオリジナル要素入れてきます。
そう言えば漫画の最新話見ましたか?ボルスミ派としては嬉しい描写がありました( 厂˙ω˙ )厂うぇーい。
ボルトの楔の秘密を初めて知った同年代最初の女の子がスミレになったのが何故か嬉しい。

では感想など良かったらして行ってください!(* ̄▽ ̄)ノ~~ マタネー♪


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星降る夜 前日

おはようございますm(*_ _)m。
やたら出さなかったのはスミレの誕生日の話を早めに書こうと書いてて書き終わったら想像以上に早く終わったという。
だから誕生日の話を書き終わって急遽この話を3時間くらいで書き上げました笑。だから文字数は少ないです。前の10分の1位です。また、アニメ改変を少しだけしたのでお許しください。ではどぞ(っ´∀`)っ


「スミレ、後何がいるってばさ?」

 

と金髪の少年は隣にいる紫色の髪を持つ少女に聞いた。少年の背中にはリュックがある。少女・・・筧スミレはいるものリストに書かれているものを見て答える。

 

「えっと・・・後はやっぱりお野菜だね。じゃがいもと人参と・・・それに玉ねぎかな?他のはシカダイ君たちが持ってくるはずだから。」

 

「了解だってばさ。それにしても楽しみだな、キャンプ。」

 

それを聞いたスミレは笑って返す。

 

「そうだね。私も皆とキャンプ何て初めてだから楽しみだよ。」

 

何故金髪の少年・・・ボルトとスミレ、そして一部の同期がキャンプに行くのか?それは1日前まで遡った。その日ボルトはサスケとの修行を終え疲れた体で大好物なハンバーガーを食べようと雷バーガーに行った。そこには同じく疲れてそうなシカダイ、いのじん、チョウチョウの猪鹿蝶も疲れてそうな顔でいた。そして4人は同じ机に座って卒業試験の事などを話した。以前のボルトならばあまり乗り気にならなかっただろう。だが今は真剣にするように言っていた。ボルトはサスケから手裏剣術を教わっている。最初はサラダの得意分野と言って逃げようとしたがそう思った時に気づいた。

 

(・・・自分が出来ないからって逃げようとして・・・ダサイってばさ。)

 

以前・・・ビオラと会う前ならこんな思考になる事すらなかっただろう。だけど・・・今はまたビオラに会った時に胸張って強くなれたって言う為にボルトは素直にサスケからの手裏剣術を習った。最初はなかなか出来なかったがやっぱり才能はあるのか徐々に的に当たるように・・・カーブやらで真ん中に撃ち込む手裏剣などが出来るようになっていった。そして難しい事が自分の手で出来るようになる事の快感をボルトは味わった。

自分で天才と言うだけあってボルトは要領が良い。だがそれ故にあまり努力をしようと思ったことは無かった。それどころか今までのナルトの根性やら努力と言ってくるのが嫌で嫌でしょうがなかった。自分はやれば出来るんだと、だから努力何て古いと考えていた。そんな時、修学旅行の事件が起きた。そして自分がもっと強かったら·····と考え始めそんな時に立て続けに色々起きた。未来から自分をパパと呼ぶビオラ、そしてそんなビオラを・・・正確に言うならそのビオラを連れてきたカラスキの事と大筒木の情報整理の為に帰ってきたサスケと出会った。弟子入りを志願し条件として螺旋丸を出され習得しようと父に教えて貰った。だがその修行が難しかった。スミレが作ってくれた玉子焼き、そしてビオラの声援がなかったらもっと·····1週間以上かかったかもしれない。少なくともたったの4日では無理なのは断言出来る。だからこそボルトは努力の大切さを知った。努力すれば全然出来ないって思った事も出来るようになるんだと思ったのだ。今回は色々ヒントがあり出来るようになっただけだが。

ビオラが未来に帰った後、ボルトやボルトの周りは色々変わった。1番はやはり前よりもナルトが帰ってくるようになった事だろう。それでも頻度は前よりもマシってだけだがボルトはナルトが帰ってきた時にナルトの過去の話をよく聞くようになった。それがどんなゲームのストーリーよりも面白かったのだ。・・・どこまで当たってるかは知らないが。少なくともビオラが来る以前とは親子関係も修復されただろう。

 

「えーっと、これで最後だってばさ。」

 

そう言ってボルトは玉ねぎをカゴに入れた。

ボルトは猪鹿蝶と話してた時、ふっとテレビを見た。そこに大人気俳優、演じてる役がカゲマサの俳優が永遠鯉なるものを食べてるのを見て名案を思いついたようにその場で永遠鯉釣りに行こうぜと。サスケはキャンプの日は情報整理に向かうと言って休みになったのだ。

何故サスケがこんなに里にいるのか、それはまあナルトに言われたからである。偶にはサクラとサラダに構えと。

 

そんなこんなでボルト一行は雷門デンキの所に向かい誘った。その時、デンキが新しいキャンプ場で永遠鯉が釣れると言い、ボルト達がモニターとしてそこでキャンプする事になったのだ。

ボルトはその足で他の同期を誘いに行った。イワベエ、ミツキ、メタル、サラダ、そして・・・スミレに。ボルトとスミレはビオラが帰った後もビオラが帰る前と同じぐらいの雰囲気というかなんというか・・・そういう物を放っていた。

そしてキャンプ行くメンバーでじゃんけんして買い物の面子を決めた。それがボルトとスミレのペアだった。

 

2人は野菜を買い終えボルトの家に向かった。ボルトが昨日ヒナタにキャンプの件と買い物ペアの事を言った所ここに泊まっていきなさい、と言われスミレは萎縮したがボルトが気にするなと言ってお言葉に甘えたのだ。·····流石にスミレが寝る場所はヒマワリの部屋になった。

2人はそんなボルトの家のドアを開けて入った。

 

「ただいまだってばさ。」

 

「お、お邪魔します。」

 

「あ、スミレお姉さん!」

 

「いらっしゃい。」

 

2人が入ってそれを迎えたのはうずまき母娘だった。スミレはそんな2人に礼して入った。

買ってきた物を冷蔵庫等に入れた。入れ終わった後、スミレは晩御飯の手伝いを申し出てヒナタの隣に持ってきたエプロンをつけて立った。そんなエプロン姿をボルトは見て少し頬を赤くしたが気づかれないようにふっと目を逸らしヒマワリと遊んだ。そんな時・・・

 

「ただいまー!!」

 

「父ちゃん!!」

 

「パパ!!」

 

そう言ってヒマワリはナルトに突撃した。そんなヒマワリをナルトは嬉しそうに受け止めた。そしてボルトに言った。

 

「仕事が一段落したんだってばよ。」

 

そう言ってナルトはヒマワリを抱っこしながらスミレに顔を向けた。スミレは緊張しながら礼した。

 

「7代目様、お邪魔してます。」

 

ナルトはそれに苦笑いしながら訂正した。

 

「ここじゃナルトさんで良いってばよ。」

 

「はわ、分かりました・・・ナルトさん。」

 

「おう!」

 

そんなやり取りを少しつまらなさそうに見ていたのはボルトだったが直ぐに顔をブンブン振ってその感情を捨てた。

そしてナルトに聞いた。

 

「父ちゃん、螺旋丸が上手くいかないってばさ!」

 

「ん?どれ見せてみろ。」

 

そう言って2人は・・・抱えられているヒマワリを入れて3人は庭に向かった。そんな光景にスミレは微笑みながら料理の手を再開した。

ボルトは未だに小さい・・・それでも最初よりは大きくなったがナルトが出す普通の大きさが出せない事に不満に思いアドバイスを貰おうとしている。

そんなこんなでスミレがご飯を作り終え親子に声をかけた。

 

「あの、皆さん出来ましたよ。」

 

「あ、スミレサンキュー。」

 

そう言って3人はそれぞれ皿を持って机に置いた。各々座り終え手を合わせた。

 

「「いただきます!!」」

 

ボルトはそんなご飯やおかずをガツガツ食べている。スミレと買い物に行く前にも修行をしてお腹が空いてたのだ。だがそんなボルトは知らず知らずによく食べていたものを見てヒナタが少し苦笑いしていた。それに気づいたボルトが聞く。

 

「ん?何だってばさ母ちゃん。」

 

「ボルトがスミレちゃんの作ったものをよく食べるなぁって思ったのよ。」

 

ヒナタとスミレはそれぞれ違うおかずを作った。そっちの方が時間が短く済むからだ。

それを聞いた2人は少しづつ赤くなっていった。

 

「はわわわ」

 

「お、美味しいから、い、良いだろ!?」

 

そう言ってまたスミレが作ったおかずを食べる。最早確信犯である。そんな2人にとって少し恥ずかしい晩餐の時にナルトが思い出したように言った。

 

「そう言えば2人は明日キャンプに行くんだって?楽しんで来いよ。」

 

「父ちゃんに言われなくても楽しんで来るってばさ!!」

 

そう言って笑い合う親子、それにニコニコしながら見る女性メンバー。そして食べ終え、順番にお風呂に入った。子供から入った。時間が過ぎ、今はナルトが入っている。スミレはパジャマを着て膝にヒマワリが寝ている。そんなスミレにボルトは話しかける。

 

「その、美味しかったってばさ。」

 

「はわわ。ありがとう。」

 

そう言って2人は照れた。そしてボルトは言う。

 

「明日も頼むってばさ、スミレ。」

 

「うん!」

 

そう言って2人は笑いあった。

 

 




お疲れ様でした。
そう言えばボルトSD最新話を見ましたか?超ボルスミ回でしたね笑。と言っても自分はTwitterに上がってるものしか見てませんけど・・・。
スミレの大事な話って多分科学任具班に行くことだろうけどウエディングスミレを見れたのは良かった笑。
というか6月にボルトに話したって事は割と夏祭りボルスミの時期って当たってますね笑。・・・ただスミレがボルトに言ってからどのくらい経ったのかが分からないですけど。
それはそうと嬉しいことがありました!Twitterにて外国の方からメッセージというかコメント来てすごく嬉しかったです!
でも自分には英語力がそんなにない・・・英検2級レベルしかないので英語で小説書けないのですごめんなさいm(*_ _)m。

そしてTwitter等、pixivでボルスミの絵を見ていたら偶にスミレアンチの方凄いこと言ってて悲しかったりします。
自分はボルスミ派ですけど正直に言うなら公式がボルサラにするならするで構わないと思ってます。別にボルスミが好きだからってサラダが嫌いという訳ではないですから。
小説でボルスミ書いとこ⊂('ω'⊂ )))Σ≡ってなるだけですから。
因みに凄い事っていうのは海外の方なんですけど自分の翻訳が間違ってなければこんなゴミを書くなとか書かれてましたよ。悲しいなぁ。
何かが嫌いなら別にいいと思いますがだからってその嫌いなものを好きな人にまで押し付ける人は自分は大っ嫌いですね。わざわざネットで言うまでもないですし。

何か怒りっぽくなりましたごめんなさいm(*_ _)m。

では、アンケートもラストスパートです。詳しくは言えませんが割と接戦になってます笑。
アンケートや感想に答えたり書いたりしたからと言って死ぬ訳じゃないので気楽にしていってくださいね。
では次はスミレの誕生日に出すのでよろしくです(`・ω・)b。
(* ̄▽ ̄)ノ~~ マタネー♪


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三者面談!!

おはようございますm(*_ _)m。
三者面談であります。·····言うて面談自体は速攻終わりますが。ここのボルトはアニメ版よりも強化やアカデミー時代から人間性も進歩してますから色々変わってるという。


 卒業試験が本格的に迫ったある日ボルトは母親のヒナタと共にアカデミーの応接室にいた。そんな2人の前にはボルトの担任でヒナタと同じ班だった油女シノが成績表を持って座っている。そのシノが言った。

 

「ボルトの成績はオールラウンドに優秀だ。ただ授業中不真面目な部分があるがそれを除けば完璧だ」

 

 成績の所まではエッヘンって感じだったが授業中の話が出た瞬間にやべって顔になった。そんなボルトをヒナタはため息をついて見ていた。そして成績の話は終わり次はどんな忍びになりたいかの話になった。

 

「それでボルトお前はどんな忍びになりたいんだ?」

 

 ボルトは少し悩んだ。ビオラと会う前の自分なら恐らく何故忍びになりたいか·····そんな事は考えなかっただろう。しかし今は螺旋丸を教えてくれた父や師匠のサスケのおかげで漠然とだが忍びになる理由が出来た。

 

「俺は·····俺の大切なものを守るために最強の忍びになるってばさ!」

 

 修学旅行の時の後悔、そして·····ナルトに聞いたがまだ大筒木が残っている。その大筒木が来た時、人任せなんて絶対にごめんだ。皆が弱いと言ってる訳では無い。寧ろ強いと思っている。だが万が一、いや億が1でも自分しか立てない状況になったら·····最近のボルトはそんな事を考えるようになった。家族を、仲間を、そして……スミレを守る為に。その為には目標が必要だ。それが最強の忍びになる事だ。

 シノとヒナタはこの大きな変化に微笑んでいた。そして思わずというふうにシノは聞いた。

 

「お前は火影に興味はあるのか?」

 

 少年時代のナルトがよく言っていた事だ。だからボルトも興味か……それとも夢にしているのか聞いたのだ。だがボルトは首を振った。

 

「俺はどちらかと言うとサスケさんみたいな忍びになりたいってばさ!」

 

 サスケみたいな·····今のサスケは影から火影を支えている。ボルトはそう言う忍びになりたいと言ったのだ。

 

「じいちゃんや父ちゃんが火影だからって俺が火影になる事はねえってばさ。俺は俺の道を行くってばさ」

 

 正直修学旅行が終わってからの短期間でこんなに将来を見据えているのにはシノは驚いた。前までなら1番考えて無さそうだったボルトが今はしっかり考え目標を持ったのだ。シノは何故ボルトが今みたいになったのか漠然とだが理解している。恐らく最後の実技試験でヒナタが連れてきた赤ん坊が関係しているのだろうと考えている。……それからそれにはスミレも関係しているということも。だが悪い変化ならばいざ知らず良い変化なのにあーだこーだ言う必要はない。そう考えボルトの三者面談は終わった。

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ私は買い物して帰るからボルトもあまり遅くならないようにね」

 

「分かってるってばさ」

 

 そう2人はアカデミーの校門前で言い別れボルトはサスケとの修行の修練場に、ヒナタは買い物に向かった。サスケはもう整理や調べ自体はとっくに終わっているから本当ならばもう遺跡調べに行けるのだがその遺跡はカラスキのおかげで割とストレートに行けるから放浪しながら探すよりも休んで行ってからでも誰も文句は言わないと諭されもう少し残る事になっていた。

 そしてボルトは修練場に来てサスケに声をかけた。

 

「サスケさん!」

 

「来たか、では修行の成果を見せてもらおうか」

 

 そう言いサスケは木々にある的を見た。そのコースはどれもサスケに居る位置からならば今までに教えた手裏剣術で当てることが出来る·····1つずつならば、が付く。ボルトは何か嫌な予感がしたのと同時にサスケが言った。

 

「この的全てに1度で真ん中に当ててみろ」

 

 そう、1つずつならば難しい事には変わりないがサスケが宿題として出しといた手裏剣術を出来るようになったボルトには出来る。だが1度全てとなればその難易度は遥かに上昇する。それにボルトは冷や汗を流しながらカバンを置いて手裏剣を出した。それを構えながら言う

 

「上等だってばさ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「や、やっと半分だってばさ·····」

 

 そう言いながらボルトは汗を拭った。思ったよりも難しかったのだ。頭の中で使う手裏剣術と軌道を計算しながら投げても他の場所に当てるための計算しなくてはならず混んがらがって余計にミスしたのだ。ボルトは手裏剣術を始めてからは手裏剣術は計算なんてしなく、無意識下にまでしたら出来るという事は分かっているのだがそれが難しいのだ。だがボルトはそんな手裏剣術を半分の的に当てる事が出来た。つまりそれは今のコースならば半分は無意識下に出来るようになったという事でそれはそれで凄いがボルトは満足しなかったらしい。サスケはそんなボルトを見た後に渋々……だが少し満足そうに言った。

 

「だが成長はしているようだな」

 

「ほ、本当に!?」

 

 それにボルトは嬉しそうに反応した。そんなボルトに頷きサスケは周りを見て言った。

 

「そろそろ終わるか」

 

 それを聞きボルトは周りを見たら確かに暗かった。本当はもう少しやりたいがヒナタに遅くなるなと言われたので素直に頷いた。だがサスケは帰る前に1つ言った。

 

「それからボルト、俺は卒業試験まで俺は事情があってお前の修行を見れん。明日からは自習だ」

 

「え、まじですか!? まあ事情があるならしゃあねえか、分かったってばさ。じゃあ今度はサスケさんが行っちまう前か?」

 

「ああ、そうだな、卒業試験が終わった後ここに来い」

 

「了解だってばさ。じゃあ帰るってばさ、じゃあまた今度だってばさ!」

 

 だってばさを3回連続言った後ボルトはカバンを背負い帰った。そして誰もいなくなった修練場にいたサスケに近づく影があった。その人物にサスケは言った。

 

「何か用か? カカシ」

 

「いや、何、お前が弟子をとったって聞いたから気になって見に来ただけだよ」

 

 そう言いながら木々の間から顔を半分マスクで隠して額当てを付けて中忍以上が貰えるベストを来ている人物·····六代目火影はたけカカシは言った。

 

「そんな事か」

 

「そんな事って、お前を知っている面子が聞けば皆驚くよ?」

 

 ·····確かにそうだ。だがサスケは特に反応せず逆に聞いた。

 

「それで、先代のあんたが一アカデミー生を何故見に来た? 俺の弟子と言ってもまだ日は浅い。そんなボルトを見に来る理由にはならんだろ?」

 

 それに肩を竦めながらかつての教え子に言う。

 

「情報収集、とだけ言っとこうかな?」

 

「·····なるほど」

 

 これだけ聞いてカカシがこれからやる事が分かるサスケが凄い……とまあそれは置いときカカシはボルトが走って行った方向を見据えていた。その眼光は激戦を駆けてきた忍びの目だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日、ボルトはまだ昼間のアカデミーの校門を出ようとしていた。今日は修行をしようかどうか迷っていた。最近あまりヒマワリに構ってやれずヒマワリが寂しそうな顔をする事が増えたのだ。自分は修行から帰ってご飯を食べてお風呂入って歯を磨いてその後疲れて寝る事が多くなったのだ。だから少なくとも今日の夜位は構ってやりたい。·····まあだから昼はまだ自由だが修行をしてまた疲れてベッドに直行してしまうかもしれないから悩んでいる。そんな時何か前からカメラの音が聞こえボルトは前を見た。そこに居たのは目の辺りに紫色のものを付け唇の左斜め下にホクロがある人物だった。そしてその人物がボルトに聞いてきた。

 

「やあ! ここの生徒だよね?」

 

 ボルトは訝しげな目を向けながら聞いた。

 

「おっさん誰?」

 

「おっさんは酷いな。僕はスケア、フリーの記者だよ。もう直ぐ卒業試験を迎える生徒達に取材に来たんだ。意気込みとか将来の夢とか生の声を聞きたくてね」

 

 ボルトはこれだと思った。体力を過剰に使うこと無く且つ暇を潰せるものだと思い言った。

 

「何か面白そうだし俺が協力してやるってばさ! まだ下校してない奴ら集めて来てやるよ!」

 

 そう言って出たばかりのアカデミーの校舎に逆戻りした。スケアは最初はボルトに聞こうと思っていたのだがボルトの行動が早く苦笑いしながらボルトを追った。その後2人は色んな同期を回ってインタビューした。そして将来について聞かれた皆の答えは色んな考えがあった。

 父親のような強い忍びになる為、画家よりも儲かるから、親の期待、火影になりたいから、だが忍びになる者だけではなかった。実家の寺を継ぐ、普通科の中等部に進む。色んな同期を見つけては聞いていった。ボルトは内心色々関心していた。皆案外考えてるんだなって。そんな時特徴的な髪を持つ少女を見つけてボルトは思わず止まった。その少女とは修学旅行からの短期間で色々ありすぎた。少女の手作り弁当を一緒に食べたりビオラと一緒に寝たり最終日には2人で寝たし何ならビオラを混ぜてお風呂にも入ったことがある。そして·····不可抗力で2人は互いの初めてをした。その日の事はお互いにあまり触れていない。だからといって仲が悪くなった訳ではない。それ所かビオラが来る前より仲良くなった。だからこそ少し悩んでいる。自分はあの少女を·····筧スミレをどう思っているのだろうか? と。そんなボルトをスケアは不思議そうな顔で聞いてきた。

 

「あの女の子がどうしたんだい?」

 

「な、何でもないってばさ。じゃあ次はスミレだな」

 

 そう言って早歩きでスミレに声をかけた。

 

「スミレ!」

 

 それにビクッとしてスミレは振り返りボルトに微笑んだ後スケアを見て不思議そうな顔をした。そんなスミレに追い付き事情を説明した。それを聞いたスミレは少しテンバった。

 

「はわわ! か、カメラもう回ってるんですか?」

 

「うん。君はアカデミーを卒業したらどうしたんだい?」

 

「はわ、私は·····忍者になりたいです!」

 

 そうはっきり言った。スケアはそれにOKと言いながらカメラを収めた。スミレにお礼を言って違う生徒の所に向かおうとしていたがボルトが止まってるのを見て聞いた。

 

「どうしたんだい?」

 

「あ、いや、その。スミレは三者面談どうするんだってばさ?」

 

 そうボルトは聞いた。スミレにはもう家族はいない。だから気になったのだ。スミレは頷いて答えた。

 

「私は·····1人で受けたよ」

 

「そうか、なんかすまないってばさ」

 

「うんうん、大丈夫」

 

 そう言い2人は別れた。だがボルトは少し暗い顔のままだった。そんなボルトとスケアは最後に屋上に来てチョウチョウにインタビューし今はチョウチョウが帰った後だ。そんな暗そうなボルトにスケアは聞いた。

 

「どうしたんだい? さっきのスミレって子と会ってからずっとそんな顔をしているけど」

 

「ああ、いや、何でもないってばさ。それよりスケアさん、もう殆ど俺のクラスは回ったぜ?」

 

「もう1人いるじゃないか?」

 

 それに不思議そうな顔をしたがそんなのはほっといてスケアは言う。

 

「君だよ。君は何でアカデミーに入ったんだい?」

 

 ボルトは暫く考え言った。その間にカメラは回っていた。

 

「俺は……さ。最初は父ちゃんの鼻を明かすつもりでアカデミーに入ったんだ。父ちゃんと同じ道を行って父ちゃんよりもすげぇ事をすれば誰の目から見ても俺の方が凄いと分かるって思ってさ」

 

「最初は·····ね。じゃあ今は違うの?」

 

「アカデミーに入って皆と色んな事をして色んなことがあってさ。そしてそんな出来事の中に危うく大事な友達がいなくなっちまうような時もあった」

 

 かぐら·····そしてもしかしたらスミレだって力づくで止めなければならなかったかもしれない。幸いボルトの説得が利いたから良かった。

 

「だから……もうそんな事ないように、皆を守れるぐらい強い最強の忍びになりたいってばさ!!」

 

 そうカメラに向けてニカッと笑った。その後2人は別れボルトは帰路についた。スケアは明日も来ると言ってたからまた捕まえようとボルトは思ってる。そんなボルトが校門前に来た時何かデジャブのような光景があった。そんな光景にいる人物にボルトは走って声をかけた。

 

「スミレ」

 

「あ、ボルト君。もうあの人とインタビュー終わったの?」

 

「ああ、また明日も来るみたいだから明日もくっつくけどな」

 

 そう言いながら2人は並んだ。だがあまり会話がない。さっきのボルトの質問で少し会話しにくいのだ。ボルトはスミレを横目で見ながら様子を伺うがスミレの顔も少し赤い。そうこうしてたら互いの別れ道に来てしまった。

 

「じゃ、じゃあなスミレ」

 

「うん。さようなら、ボルト君」

 

 そしてスミレは少し暗い道を辿って帰って行った。ボルトは見えなくなるまで見送り自分の帰路についた。

 

「俺、馬鹿だってばさ」

 

 スミレにあんな質問したら傷つくかもしれないのに心配だからって聞いた事を少し後悔していた。そうして後悔したままな顔のままボルトは帰路についた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日、ボルトは割と早めにアカデミーに来た。特に理由があった訳じゃない。ただ何となくだ。今日もまだ面談だからお昼までだ。そんな事考えながら教室に入れば先客がいた。サラダと雀のナミダと伊豆ワサビだ。前者は本を、後者2人は喧嘩というかワサビが言いよっていてナミダはそれを謝っている。その事について小声でサラダに尋ねた。

 

「あいつらどうしたんだ?」

 

「ナミダが普通科の中等部に行くんだって」

 

「それって忍者になるのを諦めるって事か?」

 

「うん……。今日の面談で親御さんと一緒にその話をするんだって」

 

(そんなやつもいるんだな)

 

 そう考えながらボルトの足は割と無意識にビオラがいた時にスミレと座った席に向かった。そして座ってまたぼんやりと考え事をする。皆色んな将来ってやつを見据えてるんだなと感心した。……という事を考えてたのは半分くらいでもう半分はスミレの事だった。やっぱり今日謝ろうと決心して1人でうんうん言ってたら隣に人が来たのが分かり見た。

 

「おう、おはようだってば……」

 

 途中で止まったのは件のスミレだったからだ。

 

「? うん。おはよう、ボルト君」

 

 ボルトは教室を見渡したら確かにもう少し殆ど人がいて余ったのがここだったのだろう。·····ここは2人にとっては何か特別の席だ。ボルトはいきなりの事で先程決心した事を言いそびれそのままスミレがホームルームの挨拶をしてその日の授業が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの、ボルト君」

 

 午前の授業が終わりスケアとの待ち合わせ時間までまだ少しあるから購買でも行こうと思った矢先横からスミレに声をかけられてボルトは思わず少しドキッとした。

 

「な、何だってばさ?」

 

「少し訓練手伝ってくれないかな?」

 

 どうやらもう少しの卒業試験、その後にある下忍試験が不安なようだ。スミレはクラスの中でだいぶ強い方なのだが本人は不安で声をかけたのだろう。ボルトは訓練の途中か終わり間際に謝ろうと考え快諾した。2人はそのまま修練場に行きそれぞれカバンを置いて修練場に降り立った。普段はサラダが居そうなものだが今日サラダは面談でいない。時間的に一本勝負しか出来ないがスミレはそれでも快諾した。

 

「じゃあ行くってばさ!」

 

「うん!」

 

 そう言い2人は走り真ん中で激突した。そしてお互いにアカデミーや自分達の修行で得た体術を繰り広げる。·····もうそのレベルはアカデミー生を超えているのだが。

 ボルトはスミレの胸の辺りに拳を向けたがスミレはその拳に手を重ね受け流しボルトが前のめりになった所を殴ろうとしたがその前にボルトが振り向きながら蹴りを放った。スミレは殴る動作を止め顔の横に腕を置いてガードした。そして直ぐに拳を向けたが今度はボルトが腕を顔の前に置きガードし2人はまた体術を繰り広げた。その時スミレは隙を見つけてボルトの腹に拳を入れたがボルトはギリギリ反応しガードと後ろに飛ぶことで威力を減らした。

 

「影分身の術!!」

 

 下がったと同時にボルトは印を組み影分身を今自分が出せる最大人数4人を出した。サスケへの弟子入り前は3人だったが弟子入りした後に1人増やす事が出来た。だがボルトのチャクラ量では出せてもその分身の動きが少し雑になってしまう。それを証明するかのようにスミレは落ち着いて分身を2体蹴散らして本体ボルトに迫った。その間にボルトは……

 

「風遁・烈風掌!!」

 

 そう言い並の下忍すら超えてるスピードで打ち出された。スミレは初めて見るそのやり方に目を見張って思わず反応が遅れた。それでも躱したのは流石としか言えなかった。だが躱した時の体勢が悪く普通の体勢に戻ろうとした所後ろを取られた。

 

「はわ、降参です」

 

 そう手を上げながら言った。それと同時にボルトは影分身を解除してにっと笑った。

 

「やっぱりスミレは強いな!」

 

「そんな事ないよ。実際今負けちゃったし」

 

「そんな事ねえって、もう次からは名を『ボルトストリーム』も通じないだろうしな。今回は運が良かっただけだってばさ」

 

 ボルトがボルトストリームを思いついたのは修学旅行の時で自称新忍刀七人衆と戦った時だ。それ故にスミレはそんなものがあるとは知らなかった。·····まあ忍びになった時に初見だったからなんて言い訳は通じないが。そしてボルトは今しかないと思って息を吸って言った。

 

「その、スミレ」

 

「? なに?」

 

「昨日あんな事聞いて本当にすまないってばさ」

 

 スミレは少し顔を傾けたが直ぐに思い至り少しクスッと笑った。ボルトは何故笑われるのか分からず呆けた顔をした。

 

「もしかして今日ずっと元気なかったのはそれを悩んでたの?」

 

「え?」

 

「そっか、偶に私の方を向いてたのは謝る機会を伺ってたんだね」

 

 ボルトはそれを聞いて赤面になった。なんせ意識してなかったのだ。勝手に顔が動いてスミレの様子を見ていたのだ。それを指摘され赤面になったのだ。そしてスミレは微笑みながら言った。

 

「昨日ちゃんと大丈夫って言ったでしょ? ボルト君がそれ以上気にする必要はないよ。それに·····」

 

「?」

 

「·····確かに私は昔なら幸せなんて程遠かったかもしれない。生まれた時からお父さんの怨念がまとわりついて修行させられて·····お母さんとお父さんが死んで私は……正直生きるのも疲れてた。本当にお父さんの·····根の復讐をしたいのかも分からずアカデミーに名字を変えて入学して」

 

 ボルトは黙ってスミレの話を吸い込まれるように聞いた。

 

「最初はアカデミーも全然楽しむ所じゃなかった。……それ所か私は周りは全員敵だと思ってアカデミーに来て復讐の為の策で委員長になったんだ。でも·····サラダやチョウチョウ、ワサビにナミダたちと触れ合ってく内に自分がやろうとした事も忘れるぐらいその日々が楽しくて」

 

 それを言いながらスミレがどんどん涙声になった事に気がついたボルトはスミレが遠くに行ってしまう気がして思わず少し寄っていき抱き寄せた。スミレはそんな行動に目を見開いたが呼吸を落ち着かせて話を続けた。

 

「でも·····それでも私は怨念に囚われて……チャクラを奪い続けた」

 

「それは!」

 

 何か言おうとしたがボルトの胸の中でふるふる顔を振った。

 

「それで·····あの日、私が本格的に反逆した時にミツキ君と·····それにボルト君が来た時、私はね……冷酷な悪役で通してボルト君が清々しく私のことを忘れられるように出来たらいいと思ったんだ」

 

「スミレ·····」

 

 スミレは少しボルトから離れ微笑んだ。

 

「でも·····ボルト君が止めてくれた」

 

 その後またボルトに体を預けた。

 

「それで·····私がアカデミーに帰ってきた時、皆が迎えに来てくれた時凄く嬉しくて……今までよりもずっとずっと幸せって思えた。私がアカデミーに来たのは復讐の為なんかじゃなくて·····アカデミーの皆に·····ボルト君に会う為に私はここに来たんだって本気でそう思えたし、今も思ってる」

 

 そんな2人が抱き合いながら話を続ける。スミレの顔はもう赤く目に涙も溜まってる。それでも言葉を繋ぐ。

 

「だからね、ボルト君はそういう事は気にしなくて良いの。私は"今"が幸せなんだから。お父さんやお母さんがまだ生きていたら違う幸せだってあったかもしれない、だけど今ここにいる私は今のこの瞬間が1番幸せなんだ」

 

 根が戦後誹謗中傷されなかった世界、そんな世界ではスミレはもしかしたらアカデミーに来ることが無かったかもしれない。そうしたらスミレは今のアカデミーの仲間達にも会うことが無く違う道があったかもしれない。だが今いるスミレの現実は紛れもなく根が戦後誹謗中傷を受け、スミレの父親はスミレの母親と夜逃げし、スミレを鍛え復讐をさせようとした。それをボルトが止めた世界は紛れもないこの世界だ。つまりスミレははっきり言えば父と母が死んだからこそ今があると言ったのだ。勿論父と母が亡くなったのは悲しい、だが逆に言えばそれがなければスミレはアカデミーに来ることもなく皆と·····ボルトと会えなかった、そう言ったのだ。そのまま2人は無言で互いを抱きしめていたが流石に2人はオーバーヒートを仕掛けているがボルトは自分からしたから離しにくく、スミレは·····オーバーヒート仕掛けてももう少しこのまま·····と思っていた時に何故かカメラのシャッター音みたいなものが聞こえ2人はばっとその音の方に向けた、そこに居たのは·····

 

「いやー、いいショットを貰ったよ〜」

 

「ススススケアさん!?」

 

「はわわわわわわ!!」

 

 にんまりと笑ってカメラをチラつかせていたスケアだった。そしてボルトは今の状況を思い出しばっとスミレから離れスケアに迫りそのカメラを取ろうとした。

 

「スケアさん何撮ってんだってばさ!!」

 

 だがスケアは記者とは思えない程ケラケラ笑いながら避けていく。

 

「ボルト君が遅いなーと思って探しに来たら2人があんな事してるとは思わなかったよ〜」

 

「い、いいから消せってばさ!」

 

「丁重にお断りするよ。ボルト君が遅刻したのが悪かったって事で!!」

 

 そして暫く2人は鬼ごっこしてボルトの体力がなくなり鬼ごっこは終わった。そして結局消しては貰えず羞恥の顔のままボルトとスミレは明日も訓練するって事で別れた。

 ボルトは朝のような暗い顔ではなく羞恥の顔だったが朝に比べれば断然マシな顔になった。その後2人は取材の続きをしてまた校門前に来た。

 

「ボルト君助かったよ。ありがとうね」

 

「そう思うんだったらあれ消せってばさ」

 

「それはお断りするよ」

 

「うぐぐ」

 

「それよりも人生の先輩から1つアドバイスだ」

 

「?」

 

「夢に向かって突き進む、そんなモラトリアムも悪くは無いさ。ただ、それだけでは破れない壁にぶち当たる事もあると覚えておくといい」

 

「よく分かんねーけど·····俺()ならこれからもやって行けるってばさ!」

 

 それを聞いたスケアは少し目を見開いたが直ぐに戻って背を向けた。その背中にボルトは聞いた。

 

「そうだ、スケアさんは卒業試験見に来るのか?」

 

「うん。その時にまた会えるかな」

 

「そっか。じゃあなスケアさん!! 俺達全員で合格してみせるから派手に記事にしてくれよな!!」

 

 そう言ってボルトは帰路を走った。そんなボルトをスケアは口元を緩ませ反対に進んだ。

 




お疲れ様でしたm(*_ _)m。
所々ボルトのセリフがアニメ版と違います。
あと何かナミダとワサビが仲直りする場面が飛びましたがスケアと回ってる時に教室の所に来てサラダがいたからボルトがアニメ版どうり発破かけました。
次は卒業試験ですが·····ぶっちゃけ言います。アニメ版よりもこのボルトには簡単になってます。ビオラから見てくれた方は分かりますね。そういう事です。ボルトは直ぐに違和感に気づいてしまう。·····あれ?卒業試験いるかこれ?
そういう訳で最初はサスケにも試験官になってもらおうかなって思ったんですがいやダメだ生徒の親が試験官はダメだとなり泣く泣く却下。( ´∀`)ハハハif書くのも疲れるなこれ。
いやー漫画版も超展開来ましたね〜。果心居士がね〜自分の目で見てくださいm(*_ _)m。
(*´∇`)ノ ではでは~


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卒業試験!!

すいません!何か書きかけの保存していたやつを投稿してました。完全に自分のミスですm(*_ _)m!
こっちが新しいのです。謝罪の意味を込めこの時間に出します。


卒業試験の日、今日は筆記試験だ。そしてその筆記試験も今チャイムと共に終わった。シノが筆記用具を置くように言いその後テスト用紙を回収し教室から出たのと同時に教室の空気は軽くなった。

 

「バッチリだったぜデンキ!お前のおかげで助かったぜ!」

 

「イワベエ君が先生の気を引いてくれなかったらあんなに簡単に問題を盗み出せなかったよ。」

 

と意気揚々とイワベエとデンキは話していたがボルトはそれに疑問形で聞く。

 

「お前らそんな事してたのか?それって反則だろ?」

 

それに答えたのは2人ではなくサラダだった。

 

「あんた本気で言ってるの?1週間前シノ先生が『試験問題を調べて対策をたてるように』って言ってたじゃない。」

 

「つまりその間に職員室から問題を盗み出せってことだよ。忍者としての情報収集能力を試してるんだぜ?めんどくさいけどな。」

 

「そうだったのか、全然聞いてなかったぜ。」

 

·····正確にはサスケの修行の集大成のクリア方法をずっと考えて聞いてなかったのだ。

 

「はわわ…ボルト君大丈夫?何もしないで試験受けちゃったんでしょ?」

 

心配そうにスミレが聞いてきた。それに笑って返す。

 

「問題ねえって。これくらいのテスト勉強しねえでも余裕だってばさ。」

 

そんな本当に余裕そうなボルトにスミレは安心して微笑んだ。·····そんなスミレに少しドキッとした。そんなボルトにスミレも少し頬を赤くした。·····そんな2人を周囲は出来るだけ目を逸らした。先週の三者面談の後から2人の雰囲気がおかしい。おかしすぎる。何故こうなったのかが全く分からない。あの赤ん坊がアカデミーに来た時、そして三者面談の後から余計にだ。心理的距離が近いのが誰の目にも明らかだ。そしてこの一週間よく一緒に訓練してるらしい。

 

「実技試験って何するんだろうね?」

 

「やっぱ厳しいんだろうな。」

 

そうナミダとワサビは言ったのを聞きボルトは立ち上がって言った。

 

「どんな試験だろうと、俺達なら楽勝だってばさ!皆で忍者になろうぜ!」

 

そうボルトは元気づけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃シノは先程のテストの採点していた。シノが言ったことが分かって問題を盗み出した子達をシノは把握している。そしてその中にボルトがいないことも知ってる。だがボルトの点数は100点で文句なしだった。そんな時後ろからいきなり声をかけられた。

 

「うずまきボルトは100点か、やるね。」

 

「ろ、6代目!」

 

6代目火影、はたけカカシだ。

 

「·····それにもしかしたらあいつは分かってるかもしれないな。」

 

その言葉に試験内容を聞いているシノは頷いた。

 

「ええ、最近のあいつは前とはどこか違います。」

 

「·····まっ、今から試験を変える訳にもいかないからねー。」

 

そうのほほんと、だがもしかしたら本当に分かってるかもしれないという期待を見せた顔になったカカシなのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、演習場にてボルト達は準備運動をしていた。その時デンキがイワベエに向けて印をして術を発動させてみた。

 

「一糸灯陣」

 

その言葉と共にイワベエの背中に何やら模様が出た。違和感に気づいたイワベエは力を入れてその封印術を破った。

 

「あれ?」

 

「チャクラが全然足りねえって」

 

「やっぱり実践じゃ使えないかな。」

 

その後無事イワベエに締められましたとさ、めでたしめでたし·····のはどうでもよくボルトはデンキに聞いた。

 

「なぁ、その印教えてくれってばさ。」

 

「え?でもボルト君のチャクラ量でも実践で使えるかは·····」

 

「そうじゃないってばさ、皆でやれば出来るかもしれないだろ?」

 

「それは·····まあ出来ると思うけれど。」

 

そう言いデンキは印をボルトに教えた。そんな教えられてるボルトを周りは少し意外な目で見ている。ボルトは基本は独学が多いからだ。·····まあ最近はサスケの修行をしているから実際はそうでも無いのだが。そんな時·····

 

「あ、シノ先生」

 

そうスミレが言い一同は森の方を向いた。そこに居たのはシノ、みたらしアンコ、木ノ葉丸だ。

 

「それではこれから実技試験のルールを説明する。まずはこのハチマキを結びつけるように。」

 

そう言われハチマキを人数分渡してきた。ボルト達はそれを額や腕に巻き付けた。

 

「そのハチマキはお前らの命だ。取られたら失格となる。会場はこの森全体、制限時間は今から24時間だ。」

 

「そして私達のこれはあんた達のハチマキの役割をする。これが壊されたら私達は戦闘不能になるわ。」

 

そう言いながらお腹辺りにある円形のものを押してブザーを鳴らした。

 

「シノ先生達が相手か、相手にとって不足はないぜ!」

 

ボルトのその言葉に3人は少し目を見張った。前までのボルトなら絶対にこんな事は言わなかっただろう。それ所か舐めまくってハチマキなしでもやっても良いと言うと思った。

だがボルトは至極真面目だ。シノの強さはゴースト事件の際に思い知った。あの時は暴走して力の使い方が全然マシだったから自分達は戦えたとサスケに弟子入りしてから考えるようになったのだ。そして木ノ葉丸は自分が謎の目の力があったから太刀打ち出来たがそれが無かったら勝てたか怪しい鵺を螺旋丸で一撃倒したのだ。勿論あの時の鵺はまだチャクラが溜まりきってなかったからまだ弱かったかもしれないがボルトと戦った鵺も不完全な状態だったしそんな状態の鵺でもボルトは倒しきれなかった。それに螺旋丸が出来るようになったから分かる。あの時の螺旋丸の威力は半端じゃない。アンコの実力は分からないが2人と並んでる時点で強者なのは確定だ。

 

「ふーん、流石にそれは分かってるみたいだね。」

 

そう言いながら森の間から出てきたのはカカシだった。それに周りはザワつく。

 

「6代目!」

 

「カカシのおっちゃん!」

 

そう何時もの癖で言ってしまったボルトにカカシはヒソヒソと言う。

 

「いちおう皆の前では6代目って言ってくれないかな?」

 

「ん?おう。何で6代目のおっちゃんがここにいるんだ?」

 

「何でって、俺が試験官だからね」

 

そう言った瞬間周りは少し沈黙し思いっきり「えっ?」と言いそれぞれ言う。

 

「6代目が試験官?」

 

「嘘でしょ」

 

「あちしの実力を試しに来たのね!」

 

「すげえ!12歳で上忍になった木ノ葉隠れの里きっての天才忍者!忍界戦争後の混乱を収めた6代目試験官かよ!」

 

それに反応したのはボルトだった。

 

「え!?カカシのおっちゃん12歳で上忍になったのか!?知らなかったってばさ。」

 

そりゃあよく会っててこんなのほほんとしてる人なら知らないのも無理はない。そしてボルトは「はっ!」と感じでカカシに聞いた。

 

「じゃあ父ちゃんとサスケさんは何歳で上忍になったんだってばさ?」

 

それにカカシは「え?」と顔をした。そしてイワベエは少し考えに考え首を振った。

 

「そう言えば7代目が上忍になったのって何時なんだ?」

 

「私もパパが何時なったか知らないですね。」

 

それの答えを聞きたくボルトはカカシを見たが少し微妙な顔をしている。よく見たらその他3人は少し笑ってる。

 

「ど、どうしたんだってばさ?」

 

「いや、それはナルトとサスケの名誉の為に今は黙っとくよ。」

 

そうカカシが言った。今のナルトを名前で呼べるのはカカシや綱手ぐらいなものだろう。そしてカカシはルールを説明しだした。

 

「俺がお前達が忍者に相応しいか見てやるよ。」

 

そう言いながら鈴を1つ出した。

 

「取り敢えず俺からこの鈴を取れたら合格ってことにしとこうか。因みにハチマキは勝敗をはっきりするため、もし殺しちゃったら面倒だからね。」

 

そこで手が上がった。シカダイだ。

 

「あの、念の為聞いておきたいんですけど鈴は人数分あるんですよね?」

 

「ないよ。」

 

ボルトはそこで何か違和感を感じながら怒った。

 

「ちょっと待てよ!それって合格者を1人しか出さないつもりかよ!」

 

「嫌ならやめてもいいよ。当然不合格になるけど。今のご時世忍びの数は足りてるんだ。」

 

「そんな無茶あるかよ!」

 

「どこが無茶だ。何故ならば実践ではどんな理不尽が待っているのか分からないからだ。」

 

「忘れるな!お前達が入りたがってる世界は一歩間違えたら死ぬ事もある。そういう所だ。」

 

そんな何時もと違う先生達に少しアカデミー生が震えながら言った。

 

「先生達、怖い」

 

「俺達は6代目の護衛をする。」

 

「6代目に辿り着きたいならまず私達を突破しないとね。」

 

「って訳で手加減なしで行くからお前たちも俺達を殺すつもりでかかってきなさい。見せてもらうよ、お前達の覚悟を。」

 

その間ボルトは口を挟まず何かを考えていた。そんなボルトをスミレは少し心配そうに、カカシは少し見て森の方に歩き出した。そして右手を上げながら言った。

 

「まあそういう訳で今から始めるよ。何時までも学生気分で仲良しごっこしているならお前達は誰も合格出来ないだろうけどね。」

 

その瞬間ボルトは違和感に気づいた。だがそれと同時にカカシが始めと言い皆消えてしまった。生徒はそこで止まったがイワベエが先導を切った。

 

「誰が仲良しごっこだ!」

 

そう言ったイワベエに続き他の生徒も走る。だがボルトはやべぇみたいな顔をして止まっている。そんなボルトに残っていたスミレが話しかける。

 

「ねえボルト君、もしかしてこの試験って·····」

 

「ああ、クソ。先生達に1杯食わされっちまった。」

 

スミレも違和感に気づいたのだ。ボルトはナルトから自分達が下忍になった時のカカシのテストの内容を聞いていた。そしてその時カカシがナルト達に教え、それがナルトの原動力の一つになっているのも知っている。そしてその教えをボルトはスミレとビオラで千手公園に言った時に自慢げに言っていたのだ。それをスミレも覚えていたのだろう。ボルトは残ってるメンバーを見た。猪鹿蝶にミツキだ。そしてどうやらシカダイは発信機をつけていたみたいだがとっくに外されていた。

 

「どうやら先生達の分断作戦に乗っちまったみたいだな。」

 

そう言ってシカダイは向かおうとしたがボルトがストップをかけた。

 

「なんだよボルト。今回はいくら何でも1抜けさせてもらうぜ?」

 

「そうじゃないってばさ!」

 

「お願いシカダイ君、話を聞いて。」

 

とスミレも言う。ボルトだけならともかくスミレも言うということは重要な事なんだろう、そう悟ったシカダイは目で2人に促した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その少し後サラダは木ノ葉丸と対峙していた。

 

「しゃんにゃろーーーっ!」

 

そう親譲りの一撃を木ノ葉丸に叩きつけようとしたが木ノ葉丸はバックステップで躱した。その後サラダの攻撃が当たった場所はクレーターができた。

 

「サクラさん譲りの怪力か。それに·····」

 

木ノ葉丸はサラダの目を見て呟いた。

 

「写輪眼か、もう開眼してたとはな。」

サラダは態勢を取り直しながら呟いた。

 

「やっぱり強い。」

 

そう言いクナイを構えまた激突するがやはりサラダは押される。そしてサラダのチャクラ量では写輪眼は長くは持たない。そして今少し目がくらっとしてしまった隙を見つけ木ノ葉丸はサラダに足払いをして吹き飛ばした。その攻撃でサラダの写輪眼が切れた。

 

「く·····」

 

「サラダ悪いなコレ。」

 

そう言って動けないサラダに木ノ葉丸は近づく。だが唐突にクナイを構えどこからか飛んできたクナイを弾いた。そして後退した。倒れてるサラダの前に来たのは

 

「お前らか、スミレ、ボルト。」

 

ボルトはクナイを構えて牽制スミレはクナイを持ちながらサラダ忍者近寄った。

 

「サラダ大丈夫?」

 

「う・・・委員長。」

 

「ここは引くよ。」

 

そう言ってスミレはサラダに肩を貸した。

 

「逃げるのかコレ?」

 

「逃げるんじゃないってばさ。合格への布石だってばさ。」

 

そう言って煙玉を投げた。その煙が晴れた時そこには誰もいなかった。木ノ葉丸は追うことは出来たが先生側の取り決めで退散した生徒は追わないことになっている。

 

「·····どうやらあいつは気づいたなコレ。」

 

そう呟いた木ノ葉丸だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボルト達は予め集合場所に決めといた場所に集まっていた。シカダイ達にはアンコかシノと戦っているものを退かせるように言ってきて有言実行してきたのだ。今この場所にはミツキ以外の同期が全員集まっていた。そんな時最後の一人のミツキが来た。そしてその状態にボルトはびっくりした。

 

「ちょっミツキ!どうしたんだってばさ!?」

 

ミツキはボロボロだった。

 

「シノ先生に会ってね、戦ったんだ。」

 

「お、おい。作戦じゃ·····」

 

「うん。ごめん。でもシノ先生とは戦ってみたかったんだ。」

 

そう真っ直ぐ言われたからボルトはそれ以上何も言わずニッと笑って聞いた。

 

「そんな事言うからには収穫はあったんだろうな?」

 

それにミツキは頷いた。この場合の収穫·····即ちシノの的を壊したという事だ。それを聞いたメンバーは浮き立った。戦わなければならない相手が一人減り体力を温存出来たのだ。因みに作戦とは全員回収して3グループに別れて戦うと言う作戦だ。だがミツキがシノを倒したことにより2グループにする事が出来る。

 

「よし、じゃあ作戦を伝えるってばさ!」

 

そう言いボルトは作戦を話しそれが終わった後2グループに別れて散った。この時間まで試験が始まり僅か2時間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃先生チームは集まっていた。

 

「さああいつらはどうするかな。」

 

そうカカシが呟いた。そんなカカシにアンコは言った。

 

「ここら辺は私達が見てますから6代目はイチャイチャパラダイスでも読んできたらどうですか?」

 

「もう暗記する程読んだからなー。」

 

イチャイチャパラダイス、それはナルトの師匠で伝説の3人の1人、自来也の書籍だ。だがもうこの世界に自来也はいない。それ故にもう新刊が出ることは無いのだ。

結局カカシはその場を2人に任せ広く見渡しが良い広場に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

木ノ葉丸は草木が揺れる音でそっちに向いた。

 

「アンコ先生もいるし、ここはあいつらに乗ってみるか」

 

そう言って森の中に入っていった。そこに待ち受けていたのはボルトにサラダ、イワベエなどのクラスの約半分のメンバーだった。シカダイやスミレは見当たらないからアンコの方に向かったんだろう。その後木ノ葉丸は戦った。サラダの体術を受けガードしつつ隙を見つけ吹き飛ばした。そして今度はそれを縫うようにボルトが体術を仕掛ける。木ノ葉丸の手を掴んだ瞬間に力比べを始めた。そしてその時木ノ葉丸は後ろで手裏剣を投げようとしてるサラダを見つけた。だがこの場所からではボルトに当たる。まさかこのボルトが影分身?そう考えたが影分身の割に強い。そう思っていたらそのサラダが手裏剣を木ノ葉丸達の横辺りに投げた。サラダの手裏剣術はアカデミー生の中でも1番だがそれでもまだカーブなどは出来ないと思った。だが·····

 

「な!?」

 

よく見たら1つだけじゃない。2つ投げていた。この少し暗めの森の中では分かりにくかった。そしてその手裏剣は途中で手裏剣同士がぶつかり合い軌道が変わった。これに木ノ葉丸は目を見張った。この暗い中でこんな高等な手裏剣術顔面もうサラダに出来るとは知らなかったのだ。そしてその手裏剣は木ノ葉丸の顔面に向かった。

 

「ふっ!」

 

だがそれで慌てるようなら上忍はやっていない。冷静に目の前のボルトを蹴飛ばし顔を逸らして躱した。そしてその木ノ葉丸にデンキは殴りに行った。

 

「やああああ!」

 

だがその気合いの入ったパンチもデンキは少し非力だった。普通に止められ押し返された。

 

「悪いなデンキ。お前の相手は後で…」

 

その時ブザーがなった。木ノ葉丸はそのブザーの音に目を見張った。そしてボルトとサラダを見ればイタズラが成功したみたいな顔をしていた。

 

「油断しすぎだぜ?木ノ葉丸の兄ちゃん!」

 

そう言ってボルトとサラダは煙に包まれそこに居たのはさっきまでとは反対の場所にいる2人だった。それに木ノ葉丸は驚いた。2人が変化してたことではない。2人が反対になっていたと言うことはボルト版サラダがやった手裏剣術はボルトの実力だ。そしてサラダはボルトがミスしない事を信じて自分に幻術を、恐らくクナイだけを消す幻術だ。そしてデンキに殴ると思わせてリーチの長いクナイで自分の的を壊させたのだろう。周りを変えるほどの幻術なら木ノ葉丸はすぐに解ける。だがクナイ1本だけなら至難の業だ。

 

「俺にばっか気取られてるからだぜ?」

 

「参ったよ。流石写輪眼と7代目譲りの悪知恵だコレ!」

 

そう嬉しそうに言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カカシはイチャイチャパラダイスに向けてた目を反対に向けた。そこにいたのは5人のボルトだった。

 

「ふっ、待ちくたびれたよ。お前の覚悟を見せてもらうよ?」

 

「へ!余裕こくのも今のうちだってばさ!」

 

そう言って突撃した。だが分身の動きの雑さは消えない。カカシは力の差を見せつけあっという間に4人の分身を消した。

 

「分身は4体までだったな」

 

だがカカシは気配を感じ後ろを向いた。

 

「ちょ!何だこれは!」

 

「待ったなしだってばさ!」

 

そうなん10人のボルトが一斉にカカシに襲いかかってきた。だがカカシはなんだかんだでバッタバッタと倒していく。そして倒したボルトを横目に見るとそれぞれの生徒が変化していた。そしてカカシはとうとう本物のボルト以外を地に追いやった。

 

「言った筈だよ。仲良しごっこしてたら合格出来ないって、ね。」

 

「じゃあ今から答え合わせをするってばさ!」

 

そう言ってボルトはカカシの所に飛びながら言った。

 

「今だ!」

 

その言葉と同時にクナイボルト以外の全員が印を結んだ。そして

 

「封印結界!?」

 

朝デンキがやった一糸灯陣をクラス全員でカカシにかけたのだ。カカシはそれでも鈴に向かうボルトの両手を止めた。

 

「成程、戦いながらここに誘導されてたのか」

 

そして口々に速くと言う。ボルトはその声に答えるために力を振り絞る。その速度は前までのボルトならば出せなかった力だ。きちんとするようになった修行、そしてボルトは1度しか戦わなかったから体力がクラスの誰よりも残っていたのだ。

 

「こいつは…少し不味いな。紫電!」

 

「「うわぁぁぁぁ!」」

 

カカシの忍術紫電。カカシが写輪眼を失い出来なくなった雷切の代わりに編み出した術だ。それをその場にいた全員に当てたのだ。大人げないったらありゃしない。だが·····

 

「ダチをバカにされて黙ってる訳にはいかないんだってばさ!」

 

「私は忍者になる!」

 

「俺だって!」

 

「僕も!」

 

そうボルトによって変われたスミレとイワベエ、そしてデンキが言う。紫電に全員耐えたのだ。流石に態勢を崩してるメンバーが大半だが全員耐えきり封印は継続中だ。そしてボルトはグイグイと手を伸ばす。そして他のメンバーはそんなボルトを歯を食いしばりながら応援する。1人は皆の為に、皆は1人の為に。

 

「ボルト君頑張って!」

 

そうスミレが叫んだ。その瞬間にボルトの力は上がった。ボルトはクラスメイトの思いを背負ってここにいる。だから

 

「負ける気がしないってばさ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はーい、下忍試験終了!全員合格!」

 

そうカカシはどこか嬉しそうにボルトを見ながら言った。そんなボルトの掌には鈴があった。そしてボルト達は

 

「いよっしゃーーーーーっ!」

 

飛んで喜んだ。試験終了まで僅か3時間、超短期決着だ。もし他のクラスメイトがまだ戦っていて体力を無くしていたり正解に辿り着けなかったらもっと時間がかかりボルトも力を出せなくなり全員不合格だったかもしれない。·····まあカカシとしては全員で向かってきた時点で合格にするつもりだったのだが何かいい感じになってきたから黙っておいた。

カカシはボルトに聞いた。

 

「一応聞いとくけど、答えは分かってるの?」

 

ボルトはにっと笑いながら答えた。その間他のクラスメイトは黙って聞いてた。

 

「『忍者の世界では様々な掟やルールがありそれを破る奴はクズ呼ばわりされる。けどな』」

 

そこで一瞬スミレに目を向け言った。

 

「『仲間を大切にしないやつはそれ以上のクズだ!』だろ?カカシのおっちゃん。」

 

それにカカシは笑顔を向け言った。

 

「正解だ。」

 

嬉しそうに言うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この試験は仲間を切り捨てれば不利になる。仲間と力を合わせることが正解だ。なぜなら現実の任務でもたくさんの困難があるからだ。しかしそれを乗り越えるには仲間との絆と揺るがない覚悟が必要なんだが…」

 

そこでシノは止まりボルト達に聞いた。

 

「どうした?そろそろ終わってしまうぞ?」

 

「いいよ、話を続けて。」

 

「口を開けるのもめんどくんで」

 

「全くお前達は·····、だが今回はよくやったな。解!今からお前達は下忍だ。」

 

シノが解した瞬間にボルト達のハチマキが煙に包まれそこにあったのは木の葉額当てだった。それに全員浮き立った。イワベエはもう泣いている。そんな中ボルトはスミレの所に向かった。

 

「スミレ、お疲れ様だってばさ。」

 

「うん。ボルト君もお疲れ様。」

 

そう言って2人は笑いあった。ボルトはそんなスミレに言う。

 

「そうだ、スミレ悪いけどヒマワリを連れて先に行っててくれないか?」

 

この後ボルトとヒマワリとスミレは秋道家のお呼ばれしている。

 

「え?どうして?」

 

「サスケさんとの修行があるんだってばさ。今日終わったらサスケさんまた行っちまうらしいからさ。」

 

「・・・それなら私も行くよ。」

 

「え、嫌でも。」

 

「ボルト君の修行の成果も見たいしまだ時間はあるから大丈夫。それともボルト君は私がいるのは邪魔?」

 

そう聞いた。スミレはボルトに課された宿題を知っている。それを練習している事も知っている。だから聞いた。ボルトは首をぶんぶん振って否定した。

 

「そ、そんな訳ないってばさ!」

 

そう言い合うのだった。

その後2人は皆と別れてサスケとの演出場に向かった。そこにはもうサスケがいた。スミレの事はクラスメイトと言い邪魔はしないからいさせてくださいと言いサスケは的に向いた。

 

「今から始める·····と言いたい所だがサクラに呼ばれているから悪いがここには後3分程しかおれん。チャンスは1度きりだ。」

 

「え!?·····分かったってばさ!1発で決めればいいんだろ?上等だってばさ!」

 

ボルトは一瞬文句を言おうとしたが止まった。今日が終わればサスケは旅立ってしまう。そうすればまたサラダやサクラに寂しい思いをさせることになる。だから1秒でも多くいさせたいと思ったのだ。

ボルトは手裏剣を構える。そして的の数々を見据えるが冷や汗が出て一向に投げ出されない。そんな時ボルトは横に紫が見え少しスミレを見る。スミレは心配そうな顔で見ていた。そしてその口が音を出さず動いた。ボルトはその動きで何を言ったのかわかった。

 

『頑張って』

 

ボルトは深呼吸した後目をキッとし動いた。一斉に手裏剣を投げた。そしてそれぞれの手裏剣が何度も当たりその度に軌道が変わりそして

 

「・・・ちゃんと出来るようになったようだな。」

 

そう言ったサスケはほんの少しだけ満足そうだった。その視線の先には全ての的の真ん中に手裏剣が刺さっている的だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後2人はサスケと別れて歩きながら帰っている。流石に走ってこれ以上体力を消耗させたくなかった。ボルトは下忍試験の時のアンコ戦の話を聞いていた。

 

「やっぱりナミダの術はすげえんだな。」

 

「うん。アンコ先生も思わず両手を使ったからね。」

 

アンコの的を壊したのはスミレだ。まずシカダイの影縛りをワサビとメタルにアンコに撹乱させその間に成功させた。だが力量差は未だあり無理やり動かそうとした。その時ナミダの術が発動した。それはやたらとでかい高周波の音で気絶させたり神経を麻痺させる術だ。だが弱点としては耳を防いでガードしたり出来る。今回はそれを利用した。耳を塞ぐという事は両手が使えない。そこをスミレが鵺を頭の上に乗せて耳を塞いで貰ってる間に的を壊したのだ。

 

「その・・・スミレ。」

 

「?何?」

 

「さっきもあん時も応援してくれてありがとな!」

 

そう少し照れくさそうに言った。スミレは笑って返す。

 

「どういたしまして、ボルト君。」

 

そんな2人を夕空が見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

ナルトは火影室にて今日の下忍試験の報告をカカシから受けていた。そして今は報告が終わった時だ。

 

「お疲れ様だってばよ。カカシ先生。それにしてもボルトが鈴を取るとはな·····」

 

「まあ俺もしてやられたよ。俺もあいつらの底力を侮っていたねどーも。」

 

その時カカシはあっとしナルトに言った。

 

「そうだ、ナルト良いものあげようか?」

 

「なんだってばよ?」

 

そう言ってカカシは1枚の写真をナルトに渡した。そこにあったものを見てナルトは口をあんぐり開けた。そんな教え子をカカシはにこにこして見ていた。

 

「いやーうずまき家も安泰だね〜」

 

「ちょっ、まさかこの2人・・・」

 

「いやまだ流石にそこまではないと思うよ?」

 

「·····はぁ、まあ俺達がそこまで言う資格はないか。」

 

「そうだね〜。おまけにその2人の場合は互いに支えてるって感じだしね。そうなったとしても心配はいらないでしょ。」

 

「·····まあそうだな。」

 

ナルトはもう一度写真を見て少し笑った。そこに映っていたのはボルトとスミレがアカデミーの演出場で互いに抱き合ってる写真だった。

 

 

 




お疲れ様でしたm(*_ _)m。
ボルト、鈴を取る。いやごめんなさい最初はアニメ通り無理だったにしようと思ったんですがアニメの方はワンチャン時間が後30秒くらいあればいけたんじゃね?ってなった·····まあその前に他のメンバーのチャクラ切れ起こしそうだけど。
今回のボルト達は体力とチャクラ消費を極限まで抑えたので伸びました。そして修行やらで力をつけたので色々運がよく取れました。カカシファンの皆さんごめんなさいm(*_ _)m。

下忍試験中のスミレが『私もボルト君がいなかったら〜』の励ます場面もカットです。ごめんなさい。どうやってもここのボルトがあの状態に繋がらなかった。あのセリフは前回言わすべきでしたね。ごめんなさいm(*_ _)m(·····今から書き足してもいいですか?(おい笑))

後なんかサラダを退かせる時スミレが肩を貸してましたが割と本編でもスミレがサラダを連れたんじゃないかなと思ってます。だってその場にサラダとスミレしかいなかったし。サラダは写輪眼切れて倒れてたし

そしてノベライズ版にあったスキヤキの話の話で本当はサラダも行くんですがここでは行きません。サスケが最後なのにサラダは違う所で晩御飯ってのはおかしいよなとなりこうなりました。

そしてボルスミ、ナルトに写真見せられる。スケアの正体お前だったのか〜!?(わざとっぽい笑)結局カカシが自分スケアでしたって奴やらなかったのでボルトは未だに知らないという

因みに紫電に耐えて立ったのはアニメ通りボルトとスミレだけです。


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スリーマンセル結成!

おはようございますm(*_ _)m。
アンケートの結果班分けはボルスミミツになりました〜(・ω・ノノ゛☆パチパチ
ボルサラ派の人、いるかもしれないので謝っときます。ごめんなさい(。>_<。)。
今日はVSミライです!どぞ(っ´∀`)っ


朝のうずまき邸、今日の朝は4人揃って朝ごはんを食べていた。ボルトの額にはもう額当てがあった。そしてボルトはガツガツと朝ご飯を終え牛乳も飲み終わり立ち上がった。今日は初任務·····ではなく班分けの発表だ。ボルトは特に班のメンバーは誰がいいとかはない。ただナルトやサスケ、サクラみたいな班になりたいと思っている。·····そして出来るなら班番号も7班が良いと思っている。何か憧れるのだ。前まではどうでもいいと思っていたのだがナルトの思い出話を聞いてたら7班が良いと思い始めた。

 

「じゃあ俺も行くってばよ。」

 

そう言ってナルトも立ち上がった。ナルトとボルトは共に家を出た。

 

「「行ってらっしゃい〜!」」

 

という母娘の声を背に2人は走った。そしてアカデミーの教室が集合場所のボルトと会議が7つあるナルトは火影屋敷に行くから道は途中で反対だ。その分かれ道で2人は拳を互いにぶつけあいながら言った。

 

「じゃっ、父ちゃんも頑張れよ!」

 

「お前もなボルト、いきなり問題起こすんじゃねえぞ?」

 

「誰が起こすかよ!」

 

そう元気に言い合い2人は別れた。その後ボルトはアカデミーまで走った。そして途中で見覚えのある髪色を見つけたから笑いながら声をかけた。

 

「スミレ!」

 

そう言えばアカデミーの同期の筧スミレは振り向いて微笑んだ。ボルトはそんなスミレの横に並び一緒に歩いた。ボルトはスミレの新鮮な任務服を見た。

 

「へえ、動きやすそうだな。」

 

「ふふ、そうしないとダメだしね。ボルト君はあんまり変わってないんだね?」

 

ボルトは背中の紋様以外は特に変わっていない。

 

「ああ、やっぱりこれの方が俺は1番動きやすいからな。」

 

そこでボルトは思い出した事があり聞こうとしたが踏みとどまった。流石にこれを聞くのは·····と思っていたらスミレが首をこてんとして聞いてきた。

 

「どうしたの?」

 

「あー、えっと何でもないってばさ。」

 

「聞きたい事あるなら聞いてもいいよ?」

 

スミレはそう微笑みながら言った。ボルトはそれでも少し悩んだが少し好奇心が買ってしまった。少し申し訳なさそうにしながら聞いた。

 

「その·····あの時の服はどうしたんだ?」

 

主語が絶対的に足りないがスミレはあの時という言葉で思い出したように頷いて穏やかに答えた。

 

「·····まだお家にあるよ。着ることは·····ないだろうけど。」

 

「·····そうか。」

 

あの時·····それはスミレがゴースト事件を起こしその最終局面で着ていた戦闘服だ。あの戦闘服を着たのはあれが最初で最後だった。2人はその後アカデミーの教室に入りイワベエ達の所に向かった。そして少し話していたがチョウチョウが言った。

 

「ねぇねぇサラダ!あちしたち何班だと思う?」

 

サラダは苦笑いしながら返す

 

「まだ同じ班になれるかどうかもわからないんだよ」

 

「こんなに相性抜群のあたし達が別々ってありえないっしょ」

 

だがサラダは割と客観的に返す

 

「でもチョウチョウには伝統の·····」

 

「おもしれえじゃねえか。そうなったら一緒に組もうぜシカダイ。」

 

サラダの言葉を途中で遮り言ったのはボルトだ。そんなボルトに呆れた視線を向けながら至極当然のように言う。オマケに余計な一言も加えて

 

「決めるのは先生達でしょ。まああんたみたいな出たとこ勝負の無計画男と組まされたらたまったものじゃないけど。」

 

それにボルトはにっと笑いながら返す

 

「臨機応変って言葉知らないのか?」

 

そんなボルトの顔を押し返しながら言う。

 

「顔近い唾飛ぶでしょ」

 

そんな幼なじみの様子にイワベエが1番大人な意見をする。

 

「こういうのはなるようにしかならないんだ。ドーンと構えとけばいいんだよ。」

 

そんな時ドアをから廊下を覗いてたナミダが言った。

 

「先生達来たよ!」

 

「お待ちしておりましたー!」

 

とさっきまで大人だったのに先生達が来た瞬間に杓変したイワベエによりボルトは不意打ちでサラダの顔面に・・・もっと言えばサラダの唇に·····

 

「ダメ!」

 

「いてっ!」

 

となる筈だったボルトは誰かに引っ張られギリギリ回避しながら尻もちをついた。その引っ張った本人が慌てて謝りながらボルトを起こす。

 

「はわわ、ごめんなさいボルト君。」

 

「いや、大丈夫だ。助かったぜスミレ。」

 

スミレが思いっきりボルトを引っ張り色々カオスになる所を回避した。サラダは少しキレながら返す

 

「スミレに感謝するのね!もう少しであんたの顔面を蹴る所だったわ。」

 

「ははは」

 

ボルトは乾いた笑みを浮かべる。された所を思い浮かべたのだろう。痛いじゃ済まされない。

 

「サンキューだってばさ、スミレ。」

 

「う、うん。」

 

「オッホン!もういいか?ボルト、スミレ。」

 

「「は、はい!」」

 

そう言ってボルト達は横一列に並んだ。その後教室に何人かの上忍が入ってきた。その中には木ノ葉丸やハナビがいる。ハナビはボルトを見て少し微笑んだが直ぐに目を他の生徒にも向けた。そしてシノが言う。

 

「アカデミーを卒業したと言ってもあんなものはただの通過点に過ぎない。」

 

「とか言って卒業式で1番泣いてたくせにな」

 

「そうそう」

 

とシカダイとボルトが茶々を入れた。

 

「何か?」

 

「なんでもありません!」

 

シノが冷たい声を出す時は怖いのだ。シカダイはあの時に思い知った。

 

「お前達の訓練が終わった訳では無い。これからも俺の愛情から逃れられるとは思うなよ?」

 

「「はい!」」

 

「さて、班分けの発表だが·····スミレ、スリーマンセルとは何だ?」

 

いきなり指名され少し慌てながら返す

 

「はわ、忍びが任務を遂行する為に組まれる3人チームの事です!」

 

「うん。それでは50点だな。スリーマンセルは命を預け合える仲間を意味する何故ならこれからの任務においてチームワークが生死を分けるからだ。お前達は今まさに忍者として一生続く関係の入口に立っている。それを忘れるな。」

 

そしてシノは1度見渡し班を発表した。

 

「雷門デンキ、結野イワベエ、メタル・リー。第5班。」

 

そう言われると言われた3人は各々ハイタッチしながらシノが発表したと同時に動き始めたウドンについて行った。

 

「伊豆野ワサビ、うちはサラダ、雀乃ナミダ。第15班。」

 

そう言われ件の3人は微笑んでハナビの後について行った。その後も班分け顔面進み最後に残ったのは

 

「そして、最後にうずまきボルト、ミツキ、筧スミレ。お前達は第3班だ。」

 

「へぇ、7班じゃないんだ」

 

そこでボルトが不満そうな顔をしたがシノは見てない振りをした。そんなボルト達の前に木ノ葉丸が来た。

 

「で、俺が担当上忍の猿飛木ノ葉丸だコレ。」

 

「木ノ葉丸の兄ちゃんが?」

 

「いい加減先生と呼べコレ!」 

 

「木ノ葉丸先生、俺は7班が良いでーす!」

 

と皮肉りながらボルトは言った。

 

「班番号位我慢しろコレ!」

 

「嫌だってばさ!他の2人が3班が良いってなら兎も角な。」

 

「僕はどっちでもいいよ。」

 

「はわわ、私も特に何もないです。」

 

「お前ら·····」

 

そう頭を抱えた木ノ葉丸を見ながらシノは下忍の班分けを決める会議を思い出していた。

 

『あとはボルトにサラダにミツキ、それに筧スミレとワサビとナミダ、か。』

 

そうナルトが言って少し顎に手をやり考えている。

 

『まあボルトとミツキは確定だな。あの2人は·····主にミツキだがボルトへの執着がある。それにあの一般常識が少し抜けているミツキとはボルトが1番上手く付き合えるから一緒にするのが良いだろう。』

 

そしてボルトとミツキの写真を前に出して残りの女子メンバーを見る。そこでまた考える。

 

『ナミダとワサビも一緒の方が良いだろう。何故ならこの2人は実技試験でのコンビネーションはまだ伸び代があるからだ。それに2人の仲も悪くない。』

 

そうアカデミー時代の代表としてシノが言いナルトはそれに頷いてワサビとナミダの写真をもう一方のスペースに置いた。

 

『あとはサラダとスミレか。ボルトとサラダは喧嘩は良くするが相性が悪い訳じゃない。ちゃんと協力し合えば強敵にも立ち向かえるだろう。だけどスミレとも仲が悪い訳じゃない。』

 

そこでシノは少し微妙な顔をしていたのに気がついたナルトが疑問符を浮かべながら聞いた。

 

『どうしたんだってばよ?』

 

『いや、修学旅行が終わって少し経った頃からボルトとスミレの仲は更に深まっている気がする。』

 

それにナルトは事情を知っているから苦笑いした。その後ボルトとスミレの写真を見た。だが勿論ビオラがいたからと言ってそれだけの理由でこの2人を同じ班にする訳にもいかない。そんな時シカマルが実技試験の結果を見てシノに聞いた。

 

『実技試験じゃシカダイ達にボルトとミツキとスミレで勝ってるのか。シノ、お前から見てあの3人のコンビネーションはどうだった?』

 

『そうだな、ミツキはシカダイの策に嵌ってしまい最初と最後以外は動けなかったがボルトのやろうとした事は理解し何も言わずとも動いた。ボルトとスミレに関しては·····目だけであの2人は作戦を伝えあっただろう。何故ならあの2人は試験中に一言も言葉を交わさなかったからだ。そしてたった2人であの状況を脱しシカダイ達に1本とった。』

 

目だけでの部分でシカマルは割と少し驚いた顔をした。熟練の忍びでも目だけで意思疎通などずっと一緒に過ごしたりしていたら出来るかもしれないが一介の当時アカデミー生が出来ていたのはびっくりしたのだ。ナルトはそこでシノに聞いた。

 

『シノ、ボルトのクラスのどれ位がスミレのやった事を知っている?』

 

『·····デンキ、シカダイ、いのじんにミツキ、そしてボルトだ。』

 

ナルトは少し考えスミレの写真をボルトとミツキの方に置いた。

 

『ボルトとのコンビネーション、そして何よりスミレのやった事を2人は知っている。スミレの性格からして自分の罪を知らない子に自分の罪を言わない事で恐らく悩んで苦しんでしまうだろう。』

 

ナルトはスミレの事は最初はゴースト事件の資料で見た。そして直接会ったのはビオラが家にいた時だ。あの時にナルトはスミレの性格を見た。

 

『だからもうあの事を知っている2人と組ませるのがベストだと思う。』

 

そして次にサラダの写真をワサビとナミダの所に置いた。それを見たシノが言う。

 

『サラダはナミダとワサビの仲を取り持ったそうだ。ナミダが忍びになると決めたのもサラダのおかげだそうだ。』

 

『ワサビの術の使い所やナミダとワサビのケア、それらを出来るサラダをこの2人と組ます。』

 

『まあ・・・話を聞いた限りそれがベストだな。』

 

とシカマルが纏め会議は終わったのだ·····と回想していたがまだ言い争いをしていた。そして木ノ葉丸がため息をついてついてこいと言ったから3人は職員室に向かった。シノもついて行き見守る。木ノ葉丸は椅子に座り巻物に何か書いてそれをボルトに見せた。

 

「直訴状?」

 

「そうだ。これを7代目に持っていけば班番号を変えてもらえるんだコレ。」

 

·····本当は班員を変えて欲しいとなった時に渡すものだが今回はまさかの班番号で揉めたから想定外だがまあ問題ないだろと木ノ葉丸は考えた。ついでに見たいものもあるって言うのもある。

 

「そんなの楽勝だってばさ!」

 

そう言って受け取りボルト達は走って行った。明日から任務だが今日はもう何にもない。やるとしても親睦会ぐらいだ。ボルトは走りながら聞いた。

 

「で、お前らはいいのか?7班になっても。」

 

「ボルトがなりたいなら僕も協力するよ。」

 

「私も良いよ。」

 

「サンキューだってばさ!」

 

そう言ってボルト達は途中まで走っていたがミツキが考えがあると言って途中で別れたから途中で別行動になりボルトとスミレは火影屋敷の屋上に辿り着いた。と同時にボルトとスミレは気配を感じて飛んで近づいてきた影を躱した。

 

「ほう?今のを躱すか。」

 

「いきなり何すんだってばさシカマルのおっちゃん!」

 

「騒がしいから来たんだよ。で、何の用だ?」

 

「父ちゃんにこの直訴状を渡すんだってばさ!」

 

と言って直訴状を見せつけてきたボルトを見てシカマルはえ?と顔をした。仲は良いのでは無いのか? 

 

「お前らそんなに仲悪かったのか?」

 

そう聞かれボルトとスミレは寸瞬止まりボルトが首を振って言った。

 

「いやなんの事か分からねえけど俺達の仲は普通にいいぞ!俺が変えて欲しいのは班番号だってばさ!」

 

それにシカマルは少しずっこけた。まさかの班番号とは思わなかったのだ。そして決められた事に文句言うなと言おうとしたが唐突に思い出してあの子の今の実力を見るのにも丁度いいかとなり奮い立たせる言葉を言った。 

 

「生憎7代目は多忙だ。諦めろ。」

 

「ぐ!スミレ行こうぜ!」

 

そう言って走り去ったボルト達を見送りながらシカマルは心の中で父親と同じで簡単だなとか思っていた。諦めろと言われたら諦め無いのがこの親子の特徴だ。ボルトとスミレはその後木々の間に降り立った。

 

「朝の内に聞いとくんだったぜ。」

 

「7代目の心当たりは?」

 

「いや、全然ないってばさ。こうなった時の父ちゃんには中々会えないんだってばさ。」

 

「·····ボルト君も色々大変だね。」

 

その時ミツキがボルトとスミレの所に降り立った。 

 

「これ、7代目のスケジュールの写しなんだけど。」

 

「でかしたミツキ!」

 

その後ボルト達はスケジュール表を見てその演習場に向かった。そして橋が見えてきたと同時に唐突に目の前にクナイが刺さった。

 

「止まれ!ここより先には行かせない。」

 

「何だミライの姉ちゃんか。俺達父ちゃんに用があって来たんだ。」

 

「なんびとたりとも入れるなという命令よ。」

 

「どうやら戦うしかないみたいだね。」

 

そう言ったスミレに頷きながらボルトは父親から譲り受けたチャクラ刀構えるミライに向けて走ろうとしたが

 

「ボルト君待って!」

 

そうスミレが慌てて言いボルトも慌てて止まりスミレが見てる方を向いた。そこには恐らく急いで橋を渡ろうとすると切れるようにセッティングされたクナイがあった。ボルトが走っていけば恐らくボルトは落ちてしまっただろう。ボルトが前を警戒しながらスミレはクナイを引っこ抜いた。

 

「罠を確認するのは忍びの基本よボルト。」

 

「うぐ!」

 

至極当たり前の事をミライに指摘され少し不貞腐れた顔になった。そんなボルトの隣にスミレが来て言う。

 

「あの人は中忍、普通にやっても勝てるかは分からないよ?」

 

「僕も委員長に賛成かな。」

 

「へ、大丈夫だってばさ。俺達なら勝てる!」

 

そんな真っ直ぐな言葉にスミレとミツキは微笑んだ。そしてミツキが言う。

 

「こんなに場所じゃ戦えるのは2人だ。僕は何かあった時の為のサポート役に徹するよ。」 

 

「分かった。行くってばさ、スミレ!」

 

「うん!」

 

そう言って2人は駆け出した。先ずはボルトがクナイをぶつける。そしてぶつかった瞬間にボルトは頭を下げた。ミライはいきなりそうされたから目を見張る·····暇も無くスミレのクナイが迫っていたから反射的に右のチャクラ刀でガードする。そして弾かれ少し間が出来た時にボルトは顔を上げ回し蹴りをした。ミライはガードと後ろに飛んだ。その間にボルトは

 

「影分身の術!」

 

そう言ったら橋の上に1人と橋の裏にボルトが3人出た。橋の裏にいるボルト達がミライの後ろから2人出てきた。

 

「やるじゃん!」

 

そう言いながら後ろのボルトの攻撃を飛んで躱し一体を蹴った。それによりその分身は消えた。

 

「水遁・水練波!」 

 

そう言ってスミレの指先から放たれた水練波をミライは仰け反ったりして躱した。そしてその内の1つが分身ボルトに当たってしまい消えてしまったが仰け反りさせた今がチャンスだとボルトは反射的に考え別に勝たなくてもいい、出し抜けばいいだけなのだからと考え手裏剣を2つ出して1つずつ投げた。それによって本体ボルトに遅れて向かおうとしていたミライは手裏剣を躱そうとしたがどういう訳かその手裏剣はミライの少し前で大きくカーブをして大空に行ってしまった。ミライはそれを失敗したと考えボルトに向けて走ろうとしたがボルトがもう1つ手裏剣を投げた。先程手裏剣が向かった大空に。そしてミライは走ってる時に金属音が聞こえ思わずそっちに向いたら

 

(なっ!?)

 

外れた筈の手裏剣が思いっきり向かって来ている事に気がついたミライは反射的に飛びのけた。だがその飛びのけた場所は分身ボルトが橋の裏から来た時の穴があった。それにミライはつまずき体勢を取り直そうとした時どこかのホラー映画よろしくボルトの手がミライの足を掴んだ。そして穴からミライを落とした。その時ミライに縄がクルクルとされそれ以上の落下を回避した。

 

「勝負あったなコレ!」

 

「木ノ葉丸!?あんたの班なの!?」 

 

と、吊るされ状態の中言った。その顔は悔しさが出ている顔だった。 

 

「兄ちゃん!」

 

「ミライに勝つとはやるなコレ。」

 

木ノ葉丸が直訴状をボルトに渡したのはこの3人の·····もっと言えばボルトとスミレのコンビネーションを見る為だ。会議には木ノ葉丸も出席していたが木ノ葉丸はボルトとミツキのコンビなら何度も見たがスミレとボルトのコンビは見た事無かったからだ。·····まあ会議でシノが言った事に偽りは無かったという事だ。

 

「シカマルさんがもし負けたら修行のし直しだ!って言ってたから覚悟するんだなコレ!」

 

「ぐ!」

 

そんな不貞腐れた顔になったミライにボルトとスミレは苦笑いした。そんな2人にミツキは近寄った。

 

「良いコンビだったね。」

 

「まあな。」

 

そう笑いあう。その後一同はミライの存在を一旦忘れ橋の修理を他の人に任せナルトの所に向かった。ナルトは今日は結界班の修行を手伝っていた。危機が来た時には結界の強度が重要になるからだ。鵺の時も結界のおかげで街に被害は出なかった。そしてナルトは駆け寄ってくるボルト達を見てボルトのは手に直訴状があるのを見て少しえっ?と言う顔をした。

 

「お前らミライはどうした?」

 

「ミライの姉ちゃんなら今はぶら下がってるぜ?」

 

「お、お前らまさか班を変えて欲しいのか?」

 

「?そうじゃないってばさ。何で俺達が変わらないとダメなんだってばさ。俺達が変えて欲しいのは班番号だってばさ。」

 

「班番号?」

 

「3班じゃなくて7班が良いってばさ!絶対に父ちゃんやサスケさんを超えてみせるからさ!」

 

それを聞いたナルトは驚いた顔をした後嬉しそうな顔をして頷いた。

 

「そうか。新生第7班ここに結成だってばよ。」

 

それを聞いたボルトは嬉しそうな顔をした。スミレとミツキもそんなボルトに微笑んでいた。そしてナルトが思い出したように言う。 

 

「そうだ、お前らこの後用事あるのか?」

 

「特にないってばさ。」

 

「私もないです。」

 

「僕も。」

 

「そうか。ヒナタが班結成記念でご馳走作ってくれてるから家に来て欲しいそうだってばよ。」

 

「おー!マジか!じゃあ早速行くってばさ!父ちゃんは?」

 

「俺は会議が後1つあるから少し遅くなるってばよ。」

 

それにボルトは頷き3人に目配せして帰って行った。木ノ葉丸は残っていた。そんな弟分にナルトが聞いた。

 

「で、どうだった?あいつらは。」

 

「ええ、しっかりやっていけそうです。ボルトとスミレのコンビも噂以上でした。」

 

そう微笑みながら言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜3人はうずまき邸でご飯を食べミツキは親への報告があるからと言って帰ってしまった。スミレはまたヒマワリにねだれられ泊まる事になった。そのスミレの膝にはヒマワリがいてお話をしていた。そんな光景を見てた時ボルトは唐突に思い出してスミレに聞いた。

 

「そう言えばスミレ」

 

「なに?」

 

「あの時言った『ダメ!』ってなんの事だってばさ?」

 

スミレはそれを聞き少しだけ考えた顔になり·····一気に誰が見ても明らかな程真っ赤になった。ボルトが言ったのは今朝班発表の前にボルトがイワベエに押されてしまい危うくサラダの顔面にボルトが突撃してしまう所をスミレが咄嗟にダメ!と言いながら引っ張って回避した時のことだ。

 

「はわわ、そ、それは」

 

「何だってばさ?」

 

「お、教えない!」

 

そう真っ赤になりながら言ったスミレに不思議な顔を向けたボルト。スミレの心中は

 

(だって·····言える訳ないよ。ボルト君とキスした事ある人は私だけが良いなんて)

 

スミレ自身はボルトと色々不可抗力でキスしてしまった時の感触を覚え過ぎてるほどに覚えている。まあだからこそあんなに3分程暴走してしまったのだが。そんな時膝にいたヒマワリが聞いてきた 

 

「何の話?」

 

「ん?ああ、朝な·····」

 

「ぼ、ボルト君ダメ!」 

 

恥ずかしすぎて思いっきり赤面になりながら言った。それにヒマワリとボルトは不思議そうな顔をしていた。先程会議が終わり帰ってきたナルトとヒナタはそんな1幕を笑いながら見ていたのだった。




お疲れ様でしたm(*_ _)m。最後の最後でボルスミシーン書くという。
ミライ、ボルト達に負けたからシカマルの修行のし直しの刑。
このシリーズのボルスミはいつくっつけようか(´・ω・`)?個人的には中忍試験が終わった後で命懸けの戦いが終わって無事に帰ってきたボルトにスミレがボルトがいなくなってしまう恐怖を味わって思いっきり言っちゃうみたいな事を考えてる(だって今の所この小説でのくっつき方はどっちもボルトから告ってるからスミレからでもいいかなーと)
何かもっと良いくっつき方あればTwitterでも感想でも良いので是非教えてくださいm(*_ _)m。
そしてアンケートをまたします。締切はボルト達の初任務が終わるまでです。またまたロシアンルーレットとという。

というかボルト達1度も吹き飛ばされずミライに勝利と言う。サスケの手裏剣術をちゃんと使うと言う。
スミレは罠をちゃんと見つける。いや別にサラダを下げようとしてる訳じゃなくてスミレならちゃんと見つけると思うんですよ。だって恐らくボルトやサラダよりも忍びの事をスミレは父親から学ばされたと思うのでその内の1つに罠があるか確認するってぐらいの訓練というか話は聞かされてたと思うし。アニメのボルトとサラダはどちらも早く直訴状を届けたいって言う焦りもあったでしょうし、でもスミレは7班でも構わないよってスタイルだったからボルトよりも冷静に見る事が出来た。

そしてボルト、サラダとキス仕掛ける場面をスミレがレスキューした。後に爆弾となった笑。因みに書いてないだけでスミレは自分の唇を触ってあの時の感覚を思い出すって事はこの小説でも普通にしてます。今回は戦いがあったからやってないだけです。
ではつぎは初任務です(*`・ω・*)ゞ
(* ̄▽ ̄)ノ~~ マタネー♪


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初任務・結束の力

おはようございますm(*_ _)m初任務です。
レッツラゴー⊂('ω'⊂ )))Σ≡


「いいか、ここが上忍中忍下忍全ての忍者が任務を受ける受付所だ」

 

ボルト達第7班の担当上忍猿飛木ノ葉丸が言った。

 

「その内容は国家間の紛争解決から里の平和維持活動、要人の護衛、はては個人の遺失物探しまでと多岐にわたる」

 

そう後ろのボルト達に解説しながら向かう。そんな木ノ葉丸の解説にスミレが聞く。

 

「任務はランクで分かれてるんですよね。確か低いものからDからSランクまでで上層部が能力に見合った任務に振り分けるんですよね。」

 

「委員長よく知ってるね。」

 

そう呟いたミツキにスミレは少し暗い顔をした。そんなスミレにボルトは心配そうに聞いた。

 

「どうしたんだってばさ?」

 

「うんうん。何でもない。」

 

「·····俺にはあんなに嘘つくなって言ったのにか?」

 

ビオラがまだいた時にスミレと弁当を食べた時にビオラの事を隠そうとしてスミレに嘘ついちゃダメって言われた時の事だ。それを覚えていたのだろうスミレが少し俯き呟いた。

 

「·····お父さんと修行したりしていた時に、ね。」

 

「・・・そうか。」

 

その時ボルトが少しスミレの手を繋いだ。スミレはそれで驚いたようにボルトを見たが不思議とボルトが伝えようとしてきた事が分かった。

 

『スミレは1人じゃないってばさ。』

 

そう聞こえた気がした。だが割と直ぐに手を離されボルトは自信満々に言った。

 

「いきなりAとかSランクやって俺達の力を見せつけてやろうぜ!」

 

「思いっきり張り切ってるところ悪いが下忍は基本はCとかDとかからなんだコレ。そしてコツコツと積み上げていくんだ。」

 

「だったら最初だしちゃっちゃと終わらして俺達の力を見せつけてやろうぜ。」

 

「ちゃっちゃと、か。自信過剰なのはいいがそういう奴が真っ先に倒れるんだってばよ。」

 

と何かボルトからすれば聞き覚えがありまくる声が聞こえボルトはそっちに振り向いた。

 

「じゃあ父ちゃんはどうだったんだってばさ!」

 

「ここじゃ7代目だ。俺の時はもうちょっとスマートになぁ。」

 

「ああじゃあ今度聞くってばさ。」

 

そう少しめんどくさいように言った。そんなボルトにまた何か言おうとしたが火影にはやる事がある。その後5人は火影室に向かった。ボルトは着替えを運びに何度も来たことあるが初任務で少し緊張している。普通なのは木ノ葉丸とミツキだけだった。

 

「初任務は火影自ら言い渡す習慣でな。有難く思えよ。」

 

「第7班の初任務は野盗の討伐だ。」

 

「依頼は火の国と風の国の国境付近にある小さな集落、緑の畔からだ。今年は日照り続きで収穫が悪かったらしい。で、隣接する村が緑の畔の貯蔵庫から食料を盗むんでそれを撃退してほしいって話だ」

 

「つまり村同士の争いって事ですか。」

 

そう木ノ葉丸が言った。

 

「そんな喧嘩直ぐに止めて見せるってばさ!」

 

「お前な〜、大切なのは」

 

「チームワーク、だろ?分かってるってばさ!」

 

そんな本当に分かってそうなボルトにナルトは露骨に安心した顔を見せたが直ぐに顔を引き締め頼んだぞと言われ一旦解散した。その後ボルトは家に一旦戻り準備していた。そしてその時ボルトは母親を聞いた。

 

「母ちゃんは初任務どうだったんだってばさ?」

 

「そうね…なんかドキドキしたってことだけは覚えてるかな」

 

「ドキドキってやっぱり楽しみだった?」

 

「ううん。あの頃はね、まだ戦もあって命がけの任務が多かったから…」

 

ヒナタの時代は忍びは大概は強制だった。ヒナタは由緒ある日向一族だったから余計にだ。

 

「初任務のときもワクワクはできなかったかな私は」

 

そう締めくくった。ボルトは時計を見て行ってくると行って出て行った。その後あんの門からボルト達は任務の地に向かった。そしてしばらく走り今は休憩中だ。そしてその休憩を利用して木ノ葉丸が確認で言う。

 

「大切なのはチームワークなのは分かってるな?それともう1つ大事な事だ。危機に面した時1人で解決しようとするな。必ず俺も含めた班全体、あるいはお前達3人で話し合って切り抜けろ。決して1人で突っ走ろうなんて思うなよコレ。」

 

その時、木ノ葉丸の後ろでガサガサとし思わずスミレ以外のボルトとミツキは立った。だが正体は猪だった。それにボルトは思わずへなへなとまた座った。そんなボルトに木ノ葉丸はにっと笑いながら言った。

 

「殺気の種類を嗅ぎ分けられないとはまだまだだなコレ。スミレはちゃんと分かってたみたいだぞ?」

 

「そうなのか?すげぇなスミレ。」

 

「·····うんうん。私はずっとビクビクして過ごしてたから。」

 

ボルトはそれを聞き何か言おうとしたがスミレは首を振り立ち上がった。それを見た木ノ葉丸が言った。

 

「よし、じゃあ行くか」

 

そう言った後再びボルト達は任務先へ向かった。道中は特に何も無かった。そして走ってる途中ボルトは何度かスミレの様子を伺った。スミレの顔は普通だ。だからその内面はよく分からない。そうこうしていたら橋が見えてきた。橋はボルト達が来て少し経ち動いた。ボルト達は橋を渡り村の入口に来た。そんなボルト達を迎えたのは老人だった。

 

「ようこそお越しくださいました。」

 

木ノ葉丸は横を見ながら聞いた。そこにあったのは何かの受付所みたいな所だった。

 

「あれは?」

 

「あれは橋の通行料を頂いております。先代の村長が資源が乏しく貧しい村の為に自ら指揮を執って橋を作ったのです。おかげで村は昔に比べて随分と潤いました。いつも村長は村人を家族だって言ってどんな時も矢面に立たれて·····身を挺して村を守る、そんな大きな方でした。」

 

ボルトはそんな話を聞いた時父親を思い浮かべた。過去の話をしてくれてた時にナルトは自分が生きられたのは3代目のじっちゃんのおかげだって言っていた。火影がただ1人を庇う訳にもいかず、だからといってナルトを英雄の4代目の息子とミナトの想いを汲んで言う訳にもいかず、それでも3代目は1人のナルトに寄り添い話をしてくれた。アカデミーにも行かせてくれた、そう言っていた。そしてその3代目がよく言ってた言葉は里の皆が家族って言っていた。

 

「先代と言うと今は引退されているのですか?」

 

「3ヶ月前突然亡くなられて今はご子女が継いでおります。」

 

「3ヶ月前・・・という事は村が襲われ始めた頃ですね。」

 

「えぇ、村長が代替わりしてそれが原因で近隣の村に舐められてるんじゃないかって噂になっています。」

 

木ノ葉丸はそれを聞き少し思慮した顔になった。その後4人は村長の所に通され膝をつきながら対面した。その時ボルトは思わず言った。

 

「まだ子供じゃねえか」

 

「しっ!」

 

そう木ノ葉丸が言ったからボルトは黙った。だが村長が言った事も似たようなものだった。

 

「こんな子供を我らの依頼に寄越すとは木の葉の里は人材不足か?」

 

それにボルトは思わず膝を上げ何か言おうとしたが木ノ葉丸とボルトの隣にいたスミレに引っ張られ止まった。木ノ葉丸が言う。

 

「腕は確かな者です。」

 

「そうか、その言葉が嘘にならぬと良いが·····」

 

·····実際腕はたつものばかりである。3人はまだ知らないがミツキは伝説の3人の1人大蛇丸のクローンでその実力はアカデミーの同期で普通に飛び抜けていたしスミレは木の葉に1度反逆しようと動いたのだからそれ相応に強い。そしてその状況判断能力はナルト達すら舌を巻く程のものだ。ナルト達もスミレが入院先から消えた時の状況判断能力はアカデミー生とは思えない程だと言っていた。そしてボルトはアカデミー時代から既に螺旋丸も出来、更には消える螺旋丸なんてものも出来る。そして師匠サスケに教えられた手裏剣術は同期のサラダともいい勝負が出来る程であり実力面で見れば既に中忍クラスだ。

 

「今年は日照り続きで作物の収穫がままならなかった。それは我が村に限らずどこの地域も同じ事。所が蒼い谷の者が我が村の貯蔵庫から頻繁に食料を盗むようになった。」

 

「はい。聞いております。その者達が二度と襲ってこないように撃退するのが我らの役目と」

 

だが村長は首を振った。

 

「当初はそうであった」

 

「当初は?」

 

「今まで我らは敵を自らの手で撃退していた。だが奴らは忍びを雇ったのだ。」

 

それを聞き木ノ葉丸が目を見張りボルト達に言った。

 

「少し外してくれ」

 

「えっ?何で?俺達も一緒に·····」

 

とボルトが残ると言おうとした所スミレがボルトの手を取った。ボルトがスミレを見るとスミレは首をふるふると振った。これがサラダなら反発しそうになるがボルトは不思議とスミレに従った。3人は大人しく部屋から出た。そしてスミレが言った。

 

「·····忍びが相手って事は本当ならBランク以上の任務の筈だよ。普通に考えたら私達の出番はない·····と思うけど」

 

「せっかくここまで来たのに何もしないで帰るのはかっこ悪いってばさ。」

 

「それでも·····命は大切にしてね?」

 

スミレはそう言った。本当はこんな事自分に言う資格がないのは分かっている。自分は班員2人の命を嘗て取ろうとしたのだから。だがそれでも·····ボルトには生きて欲しいのだ。自分勝手なのは分かっている。だけどそれでも・・・。ボルトはそれを聞き頷いた。·····そんな時

 

「ぐわああああ!」

 

その叫び声を聞き3人は現場に向かった。そこにあった光景は何かえらいごつい人が村人の人を1人刀で突き刺していた。そしてその刀を突き刺していた人·····忍びがその突き刺していた人をボルト達の方に投げた。

 

「ミツキ!その人を!」

 

そう言いながらボルトは走りながら手裏剣を投げた。その手裏剣は途中でカーブし横から忍びに向かった。忍びはその手裏剣を刀で弾いた。ボルトはそれに目もくれずクナイぶつけた。だがパワータイプらしく弾かれボルトは胴体を晒した。だが忍びがボルトを刺そうとした瞬間にスミレが間に入りパワーで勝てなくとも刀が当たらなければ良い。そう考え少し無理やり逸らした。そして影からボルトが出て来て右のクナイで刺そうとしたが忍びは咄嗟にもう1つの小太刀を取りそれをガードしついでにボルトとスミレを弾いた。ボルトとスミレは砂煙を上げながら後退した。それと同時に木ノ葉丸が降り立った。だが謎の忍びは閃光弾をやり辺り一帯を眩しすぎる程照らしてどこかに消えてしまった。そんな状況に木ノ葉丸が呟いた。

 

「どうやらこのまま引き下がったら木の葉の名折れだなコレ。」

 

先程刺されてしまった人をボルトは少し悔しそうに見ながら木ノ葉丸と村長の話を聞いた。

 

「敵の狙いは貯蔵庫ではありませんね?全て包み隠さず話してくださいますか?」

 

その時村長に意見する男性がいた。

 

「キリ様。命じて下されば我々も武器を手にして·····」

 

「無用だ!何の為に木の葉の忍びを呼んだと思う。私に任せておけ。」

 

そう言って先程の場所に戻る村長キリに木ノ葉丸とボルト達はついて行った。その道中ボルトはスミレに言う。

 

「スミレ、さっきはサンキューだってばさ。スミレいなかったら俺やられてたぜ。」

 

前までのボルトならば強がって俺の腕の見せ所だぜ!とか言いそうだが今のボルトには上には上がいる、それを分かっている。だから素直にお礼を言った。勿論やられっぱなしやあの忍びの方が上とは認めてないがが自分の感情よりも先に言うことがある。今のボルトにはそれぐらいの分別はついていた。スミレは首を振り微笑みながら言う。

 

「どういたしまして。ボルト君には返しきれない程の恩があるから·····ね。」

 

「いや、あれは」

 

「ボルト君がどう思ってるかじゃないの。私がそう思うの。だから少しづつ返させて?」

 

「·····分かったってばさ。委員長。」

 

「うん!」

 

·····最近のスミレは偶にされる委員長呼びも少しドキドキ案件になっていた。名前で呼ばれてからもドキドキするが偶に違う呼び方されるのもドキドキするのだ。·····まあ流石に任務中なので顔には出さなかった。そんな2人をミツキはニコニコ見ていたとさ。

その後4人は先程の場所に来てキリが箱を持ってきた。

 

「敵の狙いは何です?依頼は受けます。だからこそ全てを話してください。」

 

それを聞きキリは箱を前に押し出し言った。

 

「橋の権利書だ。奴らはこれを狙っている。」

 

「この事を知っているのはキリ様、あなただけなのですね?」

 

それによりキリは頷いた。ボルトはそこで少し苛立った。何で他の村人に言わないのだ?なぜ1人で抱え込もうとするのだ?村人はあんたの事を凄く心配しているのに何で·····。そう反射的に言おうとしたがスミレがまた手を重ね抑えた。·····何かスミレがボルトを制御出来る人になってきているのは気の所為だろうか?

 

 

 

その夜村の1つ一軒家が火事になった。

 

「予想どうりの展開だなコレ。」

 

それにスミレは頷きながら言った。

 

「はい。昼間襲ってきたのは私達の力を測る為だったんですね。」

 

そんな会話を繰り広げられている最中ボルトは火事が起きてる場所から少し離れた所にいる仮面の男に村人の1人が包丁を首筋にやられている。

 

「待てボルト!」

 

そう言われたが命の危機に瀕してる者を見捨てられずボルトは飛び出し村人のホールドを外させた。その時相手の仮面が外れその素顔が明らかになった。その正体は昼間ボルト達を迎えてくれた村人だった。そして動揺しているボルトにその村人は包丁を振り下ろした。

 

「ボルト君!」

 

そう再び間一髪でスミレが入りその後木ノ葉丸とミツキも降り立ちそれぞれ背中合わせで状況を分析する。スミレが言う。

 

「幻術、ですね。」

 

「とにかく術者を探すことだ。この中に紛れてる筈だが·····」

 

幻術で操られてる人の中に先程人質に取られていた村人も操られたのだろうか?キリを人質にとっている。ボルト達は術者を探すが

 

「クソ!どこだ!?」

 

「焦るな!考えろ、他に村人を傷つけずに術者を見つけ出す方法はないかコレ?」

 

「多少手荒なやり方だけど僕の風遁の威力を抑えて広範囲に使えばどうかな?」

 

「そうか、その風遁に耐えられる者が・・・」

 

「忍って事。」

 

そうとなれば直ぐに行動する。

 

「風遁・突破!」

 

そうするとボルト達の周りが風に包まれ吹き荒れた。それでほぼ全ての村人倒れていた。だがボルトは直ぐに気づいた。

 

「村長がいねえぞ!?まさかあのおっさん・・・」

 

「やつが敵の仲間だったって事だな。」

 

最初に人質に取られていた村人がまさか敵の仲間だったとは·····完全にやられた。ボルトは直ぐに追いかけようとしたが木ノ葉丸が制止する前にスミレが腕を掴んで止めた。

 

「待って!先走っちゃダメ!」

 

「でも!」

 

「悔しいのは私も先生達も一緒だよ!」

 

それにボルトはハッとした顔になり木ノ葉丸達を見た。木ノ葉丸はそれに頷きボルトは顔を下げた。そんなボルトにスミレは少し遠慮がちに肩に手を置いて覗き込みながら言った。

 

「·····キリさんを助けに行きたいのは皆同じ。でも・・・先走ったって何も良い事はないよ。敵の狙いは橋の権利書。だからまだ時間はある。今は·····耐えて。」

 

そう自分も悔しそうな顔を出しながら言った。そしてボルトは肩に乗ってるスミレの手に自分の手を重ねもう大丈夫と伝えた。

 

「·····すまねえ、スミレ。」

 

「・・・うん。」

 

そう神妙そうに頷いたスミレなのであった。その間に木ノ葉丸は周辺を捜索しあるものを見つけボルト達に言った。

 

「蒼い谷が雇った忍びが敵とみて間違いない。こんなものが残されていたからな。」

 

そう言って矢文を取り出し読んだ

 

「再三の警告にも応じないようなので最終手段に出る。キリの命と引き換えに橋の権利書を持ってこい」

 

「橋の権利書!?」

 

そう先程キリに提案しようとした男性、松葉が言った。それに木ノ葉丸は頷きながら続けた。

 

「つまり貯蔵庫の襲撃が警告だったって事なんです。」

 

「おかしいと思ってたんだ。わざわざあなた方に依頼するなんて·····」

 

一方その頃あたりは明るくなった時キリは自分を誘拐したおじさんに気を荒らげながら聞く。

 

「いつからあいつらと与していた?」

 

「お前の親父を殺すちょっと前だ」

 

「殺した!?」

 

「橋の権利書はこの辺りじゃ金塊と同じぐらいの価値があるからな。蒼い谷が高値で買ってくれることになってな。」

 

そう言いながらキリを転がした。

 

「あとは忍びの連中から蟲毒お前の親父に飲ませたまでだ。お前が父親の跡を継げばその負けず嫌いの性格だ。父親に負けじと背伸びをして誰にも相談すること無く1人で抱え込んで自滅する。そう思っていたのに…木の葉の忍びに依頼するはな。計算違いだよ。」

 

キリはそんなおっさんを睨みつけるのだった。

そして場面は変わって再びボルト達だ。ボルトは松葉が神妙そうに言った。

 

「先代は確かに偉大な方でした。けれどそれは問題を1人で抱え込むことなく皆の意見を聞く耳も持っていたからこそでした。キリ様はまだ若い。それ故にに真っ直ぐだ。緑の畔を守ろうとしている気持ちは私達にも痛い程伝わっている。どうかキリ様を助けていただけませんか?お願いします!」

 

「つまり村長を取り返すのが俺達の任務って事だな。」

 

そうボルトが纏めた。ボルトは·····ナルトは皆に認められて火影になった事を知っている。ナルトがサラダの伯父に言われた事がナルトが道を踏み外す所を止めた。

 

「『火影になった者が皆に認められるんじゃない。皆に認められた者が火影になるんだ。』」

 

「ボルト君?」

 

「俺の父ちゃんが言われた言葉だってばさ。村長は·····キリさんはそれを忘れている。だから俺が・・・俺達がそれを思いやらせてやるってばさ!」

 

それに松葉は少し驚愕した顔になったがそれに頷き巻物を渡して来た。

 

「良いんですか?これを守る為に村長さんが1人で踏ん張ってきたんじゃ·····」

 

スミレが聞いた。

 

「良いんです。こんなもの。キリ様の命には代えられない。それが皆の思いです。」

 

そして4人は入口に集まり作戦会議しながら言う。

 

「相手の力が分からない以上は俺が奴らを引き受ける。お前達は隙を見て村長を救い出し村に戻れ。」

 

「でもそれじゃあ兄ちゃんの負担が」

 

「現状これが確実に任務を成功させる作戦なんだ。心配するな。俺はそんなにヤワじゃない。」

 

「·····その言葉信じるからな兄ちゃん。」

 

「まあ初任務にしては随分と重くなってしまったなコレ。決して無理はするな。特にボルト!」

 

「分かっているってばさ。」

 

その後ボルト達はその後取引場所に向かった。その最中ミツキが探索に行かせていた蛇が異変があった事を伝え4人はスピードを上げ木ノ葉丸はキリ達が見える所に向かった。ボルト達は別の所に待機している。そこにいた忍びは2人だ。何故かキリを誘拐したおっさんはくたばってる。そんな木ノ葉丸に忍びの内の1人が言った。

 

「取り引きといこうか木の葉の者」

 

「穏やかじゃ無さそうだが?」

 

「気にするな。お互い目的のものが手に入れば問題なかろう。」

 

そう聞いた木ノ葉丸が巻物を見せつけ木の空いている所に入れた。

 

「何故持ってきた!?それがどれだけ大事かお前に話しただろう!」

 

そんな声を無視して木ノ葉丸は相手の忍びと入れ違いでキリの所に来た。だがおっさんの口に起爆札があり爆発が起きたが木ノ葉丸はキリを抱え飛んで躱した。だがそんな木ノ葉丸にボルトとスミレと戦った忍びと先程木ノ葉丸と位置を交換した忍びが木ノ葉丸に襲った。ボルトはそれを躱すとの同時にキリを上空に放り投げた。

 

「ボルト!」

 

「分かってるってばさ!」

 

そう言いながらボルトは上空でキリをキャッチした。ボルト達は木ノ葉丸の後ろに着地した。木ノ葉丸は相手側に聞く。

 

「権利書は手に入っただろ?」

 

「その娘がいると色々面倒なんだよ。それにお前たちもな。」

 

それにボルトは吠える

 

「ガキだからってなめんなよ!」

 

「ボルト!落ち着け。お前たちを守りながら戦える相手じゃない。心配するな、直ぐに追いつく。いいか、お前たちで初任務を達成するんだ。いいな?」

 

「·····分かったってばさ。」

 

そう言ってボルト達はキリを連れて村に戻る道を進んだ。ボルト達は振り返らずにただ進んだ。ボルト達はキリの応急処置をする為に一旦木々の間に隠れその間にミツキがトラップを仕掛けに行った。キリをスミレが応急処置をしている。そして今はミツキが帰ってきた所だ。

 

「あるだけのトラップは仕掛けたよ。」

 

「ひとまず時間は稼げるか。」

 

そしてボルトはキリに言った。

 

「辛いなら言わねえと分からないだろ?」

 

それは少しスミレにも言った言葉だ。この任務中、そして任務の前に少し暗い顔をしているのを知っている。何故辛いのを言ってくれないのか?·····ボルトはスミレは自分達に心配をかけたくないのだと分かっている。だが、だからこそ、自分達は仲間なのだからしっかり・・・自分だけでもいいから本音を言って欲しいのだ。

スミレは少し暗い顔をしたがキリの言葉が早かった。

 

「すまない。これ以上お前達の足でまといになりたくなかった。」

 

「·····お前は何で自分が村長になったと思ってる?」

 

そうボルトが聞いた。キリはそれに呆けた顔をした。

 

「何でって·····それは私が立派な父の娘で世襲で決めるしきたりだから·····」

 

「違うってばさ!」

 

そう遮った。その大声にキリやスミレはびっくりした。

 

「村の皆は·····お前の事を認めたから村長にしたんだってばさ!」

 

そんな事を言った時いきなりトラップの方から大爆発が起きた。ボルトはその爆発を見てミツキとスミレに言った。

 

「お前ら、俺はここであいつを迎え撃った方が良いと思うがどう思う?」

 

「僕も同意見かな。木ノ葉丸先生が言ってたチームワークってやつもやって見たいしね。」

 

「私もそれが良いと思う。」

 

そんな3人にキリは言う。

 

「私は誰にも頼らず1人で背負い込んでこんな事になってしまった。だから見せてくれないか?お前たちのチームワークを。」

 

それにボルトは頷きながら2人に言った。

 

「よし、じゃあ行くか!」

 

「「うん!」」

 

その直後ボルト達が逃げてきた方からやたらでかい音がしていたと言う。だがボルト達はもう1つ目の前にいる相手に向かって行った。ボルトは影分身を出して様子を見る。だが元忍びのだけあって簡単にいなされ消されていく。そして分身が経験した相手の動きを蓄積していく。だがナルトと違ってそんなにポンポン出来る訳ではない。だがボルトの才能をもってすれば3回で十分だ。ボルトとミツキのコンビネーションでも捌ききる。

 

「口寄せの術!」

 

「ぬえーっ!」

 

スミレが口寄せしたのと同時に鵺が飛び出し忍びに向かった。

 

「風遁・烈風掌!」

 

ボルトはそう言ってとんでもない風を忍びに送ったが忍びはそれを刀を振るい相殺した。だが一瞬でもボルトに気をやったのが間違いだった。

 

「ぬえーっ!」

 

「な、何だこいつ!」

 

刀で風遁を弾いたのと同時に鵺が忍びの顔面に飛びついた。勿論忍びは鵺を外そうとするが意地で食いついて離さない。

 

「水遁・水練波!」

 

その間にスミレは水練波を撃った。鵺はさっさと飛び退いた。そしていきなり来た水練波を顔面に·····そして目に当たった。普通の水なら少し目を閉じ回復すればいいがスミレの水練波は威力も放たれた形は目だけを当てる為に極限まで細くしている。

 

「ぐおおおお!·····絶対に許さんぞーーっ!」

 

叫んでいる。片目を潰されたのだから当然だ。そしてボルト達は集まり話す。

 

「スミレ!どうだ?」

 

「うん。やっぱりあの人攻撃を受けてから反撃に転じてる。」

 

ボルト達の作戦はスミレを程々に攻撃参加させこの忍びの弱点がないか、それを探させてもらったのだ。スミレの状況判断能力がなければ出来ない芸当だ。

 

「なら、やる事はやる事は分かってるな!?」

 

「勿論!」

 

「うん!」

 

「殺してやるーーーっ!」

 

何かそんな不謹慎な事を言いながら忍びが凄い形相で目を1つ閉じながら走ってきた。

 

「行くよ委員長!」

 

「うん!水遁・水華輪!」

 

そう言ってスミレは印を組み口から大量の水を勢いよく放出した。だが忍びは怒りながら突っ切っていく。威力は充分なのだがいかんせん忍びの怒り具合が半端ではなくダメージもお構いなく突っ切っていく。だがこれで終わりではない。

 

「雷遁・・・蛇雷!」

 

「なっ!?ぐわああああ!」

 

水に雷遁を掛け合わし水のある場所が全て感電させたのだ。だがそれでも意地でも進んでいる。それだけ自分の腕に自信があるのだろう。だがボルト達からすれば·····

 

「調子に乗るなーーーーっ!」

 

「お前の敗因は·····」

 

そう感電し終わった水の上を走りながらボルトの右手に青い球体が出てきた。忍びは激昴の声を上げながら刀を振り下ろした。だがその速度は当初と比べるまでもなく遅かった。最初に振り下ろしてきたスピードではボルトは躱す事が出来るか怪しかったが今の片目を潰されボルトを上手く見ることが出来ず感電によりビクビク動いている忍びの攻撃を避けるなんて造作もない。ダメ押しにボルトはこいつの動きを影分身で3回経験したのだ。刀をスレスレで避けながら青い球体·····螺旋丸を

 

「1人で俺達と戦ったからだーーーっ!」

 

そう言いながら螺旋丸をぶつけた。

 

「ぉぉおおおおお!」

 

「螺旋丸!」

 

そうボルトが叫んだ瞬間に森の中に忍びは吹き飛んだ。そしてボルトが見るとその忍びの目は白目を向いていた。それを見届けたあとボルト走りながらスミレとミツキの所に向かいハイタッチした。そしてそれを見てたキリの隣に木ノ葉丸が来た。

 

「どうです?あいつらも中々やるもんでしょ?」

 

「ふっ、そうだな。」

 

その後ボルト達は忍びを2人纏めて捕縛し村に戻った。そして入口で待っていてくれた村人にキリは頭を下げた。

 

「誰にも相談せず私が突っ走ってしまった事がこのような事態を招いた。本当に申し訳なかった!こんな私だが皆私に力を貸してくれるか?」

 

「はい。遠慮なく何でも言ってください。」

 

「ただ、父上のようにはなれないが。」

 

「いいえ。そうやって一生懸命な所は先代にそっくりです。」

 

「色々と経験を積んで先代と同じような·····」

 

だが松葉はそれを遮り言った。

 

「いえ、もっと凄い村長になると思います。なぁ!」

 

それに村人は同調した。その暖かさにキリは少し涙を流した。そして振り返りボルト達に言った。

 

「お前達にも礼を言わなければならん。私を助けてくれたチームワーク学ばせてもらったぞ。·····ボルト。」

 

「?」

 

「私は今よりも皆に認められる村長になる。そして私が本当の意味で父を超えた時、またここに来てくれ。」

 

「·····へへ。了解だってばさ!」

 

そう言った後ボルト達はキリ達と別れ木の葉の里に戻る道を走った。その後緑の畔の入口には「木の葉の忍び 第7班休憩所」という立て札が置かれた。

ボルト達は帰っていたがまた休憩をしていた。無理は良くないからである。だがそんな時スミレが木ノ葉丸に言った。

 

「すいません。少しあっち行って良いですか?」

 

そうボルト達から少し離れた所を指さした。

 

「良いがあまり遠くに行くなよ?」

 

それに頷きスミレは歩いて行った。そんなスミレをボルトは心配そうな顔で見ていた。そんな時ボルトは木ノ葉丸の視線に気づいた。木ノ葉丸はボルトに頷いた。それにボルトは頷き返しスミレの跡を追った。そこにいたのは木にもたれていたスミレだった。スミレはボルトに気づいたが何も言わなかった。ボルトはスミレの反対側に行きボルトも少しもたれた。

 

「·····心配性だね、ボルト君は。」

 

「·····当たり前だってばさ。」

 

背中合わせで会話をする。そして少しの沈黙の後

 

「·····お父さんに教えられた事は沢山あるんだ。」

 

そうスミレが言い始めボルトはそれを黙って聞いている。

 

「でも・・・その殆ど·····うんうん、全部親子の時間とは程遠かった。」

 

スミレが父親に教えられたのは戦闘技術は勿論復讐対象の木の葉の情報も含まれていた。その中に任務のランク分けについてもあったし父親からは殺気を見分ける修行もやらされた。それでもアカデミーに来た当初はビクビクしていた。周りは全て敵なんだと思っていたから。だがアカデミーでサラダやチョウチョウ、ワサビにナミダと触れ合っていく内に自分が何をしようとしたのかすら忘れるほどアカデミーは楽しかった。そして·····ボルトを初めて見た時の笑ってる顔が暫く頭から離れなかった。初めてボルトを直接見たのは入学式、ボルトがダイナミックな登場した時だ。スミレはボルトの笑った顔が太陽のように思えた。

·····そして、紆余曲折を経て今は恋心すら持っている。

 

「・・・本音を言うとね。寂しいって思う事もあるんだ。ボルト君の家に泊まった時とか特にね。この前はあんな啖呵切ったけど・・・やっぱり、ね。」

 

1度でいいから何か親子らしい事をしたかったと思わなかったと言えば嘘になる。スミレも1人の人間で・・・強くとも女の子なのだから。

ボルトの家に泊まった時の暖かさ、それを思い出すのと同時に頭の隅にどうしてもイフとして父親と何か親子らしい事をしている自分を想像してしまう。勿論スミレは今が幸せだ。木の葉の忍びになり・・・好きな人と同じ班になれたのだから。まあ勿論私情は分けているから大丈夫である。

 

「・・・スミレ。」

 

「·····ボルト君、手、繋いでも良い?」

 

そう頬を少し赤らめ言った。ボルトからは木で見えていないが。スミレは左手をボルトが繋げるように出した。ボルトはその手を見てゆっくりと右手で握った。女の子らしく少し小さかった。

 

「・・・俺はスミレとずっと一緒にいるってばさ。スミレから離れたりしない。スミレが寂しいと思う時、俺も一緒にいる。スミレは·····1人じゃないから。」

 

・・・正直これは根本的な解決にはなっていないがボルトにはこれだけしか言えない。自分がスミレと一緒にいて1人じゃない、そう言う事しか出来ない。・・・因みに今のは聞きようによってはプロボーズの言葉に聞こえるからスミレは頬を完璧に赤に染めた。そして・・・少し羞恥の声で言った。

 

「・・・じゃあその、少し甘えても良いかな?」

 

「勿論だってばさ。」

 

ボルトがそう言えば反対側にいるボルトの前に手を繋ぎながらボルトの前に来た。ボルトから見ればスミレの顔は赤かったがそれを指摘する前に行動に移された。スミレからボルトの胸に飛び込んできたのだ。ボルトは反射的に左手でスミレを抱きとめた。

 

「少しだけ、このままで」

 

そう真っ赤になりながら言った。ボルトはそんなスミレの頭を撫でた。スミレはそんな撫でに目を閉じ受け入れた。そして3分程経った時離れた。

 

「もう良いのか?」

 

「うん。充分。」

 

そう言って微笑んだ。

 

「分かってる。私は1人じゃないから。」

 

それにボルトは頷いた。2人はその後木ノ葉丸達の所に向かったのだが·····

 

「お前達、そろそろ・・・」

 

そろそろ行くぞと言おうとしたのだが木ノ葉丸は途中で止まった。2人は何故そうなってるのか分からず首を2人揃って傾げた。そして木ノ葉丸がどこかを見てると思い2人は視線を追った。そしてそこにあったのは2人の先程から繋がれていたままの手だった。それを認識した途端2人は謝りながら離した

 

「す、すまねえってばさ!」

 

「はわわ、ごめんなさい!」

 

その2人の顔は真っ赤だった。

 

「えーっと行くぞコレ?」

 

「あ、ああ。」

 

「は、はい。」

 

そんな3人の様子をミツキはニコニコして見ていた。その後ボルト達は無事何事も無く報告し終えた後解散した。木ノ葉丸は残って更に詳細な報告をナルトにしていた。そして今はそれが終わった所だ。

 

「今回はご苦労だったな、木ノ葉丸。」

 

「でも3人ともしっかりやってくれましたから。」

 

「そりゃきっとお前の指導がよかったんだってばよ。これからもしっかり頼むぞ。第七班隊長」

 

そこで少し木ノ葉丸は少し微妙な顔をした。ナルトは疑問符をつけながら聞いた。

 

「どうしたんだ?」

 

「いえ、大したことでは無いのですが・・・ボルトとスミレの仲が良すぎなのでは?と思って。」

 

それに今度はナルトが微妙な顔をしてその後苦笑いした。ナルトは事情を知っているからだ。·····まさか木ノ葉丸もあの赤ん坊が2人にやたら関係してるとは思うまい。

 

「ま、まあ仲が良いのは良い事じゃねえか!」

 

それもそうかと何か釈然としないが木ノ葉丸はそれに頷いた。・・・後に割と早く状況が動くとは思わなかったが。一方その頃ボルト達第7班は雷バーガーに集まって初任務の話をしていた。

 

「で、お前らの初任務はどうだったんだ?」

 

「聞くな。思い出すのもめんどくせえ。」

 

「俺らはよォ土くれの中に隠れてやがったやつを叩きだしてよ」

 

そうイワベエが言ったのに反応した。

 

「おっ!バケモンか何かだったのか?強かったのか?」

 

「お、おうよ。スポンとやってやったぜ!!」

 

「退治っていうか大きなカブを引き抜くのを手伝ったんだよ。」

 

「何だよそれ、ちょっとだせえってばさ。」

 

デンキの補足にそう思わず言った。だがイワベエは自分の初任務がバカにされたからムキになってボルトに詰め寄る。

 

「じゃあお前達の初任務はどうだったんだよ!?」

 

それにボルトはニヤニヤとしながらイワベエに言う。

 

「それ聞いちゃう?俺達は忍びと戦ったんだぜ?」

 

「マジか?」

 

「相手も中々だったけどな、バシッと倒してやったぜ」

 

そんな面白そうな話をデンキは聞きたくてしょうがなくワクワク顔で聞いた。

 

「凄いねボルト君!その話詳しく聞かせて!」

 

「相手はとんでもねえ奴らでさ。木ノ葉丸の兄ちゃんもテンパっちまってよ。そこで先ずスミレとミツキの合わせ技が炸裂して俺が最後に螺旋丸でズッカーん!って決めたんだってばさ!」

 

そんな話をしてるボルトを見ながらサラダは向かいにいるスミレを見て聞いた。

 

「そうなの?」

 

「うん。合ってるよ。」

 

だがそこでボルトが続きを言った。

 

「でもMVPはスミレだってばさ!」

 

「へ?・・・はわわ、そんな事ないよ!最後はボルト君が・・・」

 

「何言ってんだってばさ!スミレが片目を使えなくさせてくれなきゃ勝負はまだ分かんなかったってばさ!それに俺を何回か助けてくれたしな。」

 

そう言って1人でうんうん言ってるボルト。だがスミレの顔は真っ赤に染まっていた。そしてよくよく見ればめっちゃ注目されている。それにまたテンパるのだった。その後男メンバーはまた何やら話し込んでいた。そんな男どもを横目に見ながらサラダはスミレに聞いた。

 

「・・・ねえ、スミレさ。」

 

「?なに?」

 

「もしかしてボルトの事・・・好きなの?」

 

それを聞いて暫くスミレは止まり再び真っ赤に染まった。·····サラダとしては何故バレないと思ったのか逆に知りたい。修学旅行後からそれっぽい兆候があり卒業試験辺りから完全にわかった。極めつけはボルトが自分に突撃しそうになった時のスミレがボルトを思いっきり「ダメ!」って言いながら引っ張った時にもう殆ど確信した。

 

「はわ、え、えと、はわわ」

 

「あ、うん。もう良いよ。」

 

「ああう・・・」

 

もう既にオーバーヒートしているスミレなのであった。

その後解散し2人は互いの分かれ道まで歩いていた。そして分かれ道の時ボルトが言った。

 

「じゃあ、明日からもよろしくな!スミレ。」

 

「うん。こちらこそ。よろしくボルト君。」

 

そう言って2人は別れた。スミレは帰り道を歩きながら唇に触れた。そこにある感覚は覚えている。・・・まあいきなりだったのに覚えていられたのが凄いが。そしてスミレは先程サラダに言われた事を思い出していた。

 

(私は·····ボルト君が好き。でも·····)

 

人間としては正解なのかもしれない。だけど忍びとしてはどうなのだろう?それで任務に支障をきたしてしまったら忍び失格だ。だけどスミレはボルトの隣を歩きたい。そんなジレンマになりながらスミレは帰路を歩いたのだった。

 

 




お疲れ様でしたm(*_ _)m。
アンケートは7日の10時に締め切ります。
次回はハグルマさんの話・・・どうしようか。まあアンケート次第という事で。
水遁・水華輪、漫画ボルトのスミレの紹介ページの使える術って所にあったんですけどアニメじゃ出た事ないのでオリジナルでやりました。
スミレ、弱点というか癖を割り出す。写輪眼で洞察力が上がると言っても結局考えるのは脳なのだから別に超スピードとかじゃないならスミレでもいけそうとなりこうなりました。
(*´∇`)ノ ではでは~


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白夜団の顛末と悩み

おはようございますm(*_ _)m
アンケートの結果ダイジェストになりました。では⊂('ω'⊂ )))Σ≡GO!!


「おはよう。」

 

そう言いながらボルトは自室からリビングに目を擦りながら入って行った。そんなボルトを迎えたのは母娘だった

 

「おはようお兄ちゃん。」

 

「おはよう。今日はスミレちゃんと修行だっけ?」

 

「うん。ミツキは何か親に会いに行くって言ってた。」

 

そう眠そうな顔をしながらもその胸は言いようのないドキドキ感があった。

 

(スミレと2人きりなら今までもあっただろ。)

 

そう自分に言い聞かせる。そしてテレビに目を向けた。そこにあったニュースは昨日までに色々あった白夜団という集団が全員逮捕されたというニュースだった。白夜団・・・自分達は義賊と名乗っていて富があるものから何かしら盗みそれを貧しい人達に分け与えるということをしていた奴らである。·····まあボルトは解決の瞬間に立ち会ったから色々思うことはあるのだが。ボルトはそんなニュースを見ていて言いようのない気分になりヒナタに出された朝飯をガツガツと食べた。その後スミレとの待ち合わせ場所は演習場だったのだがボルトは時間が早いが家を出た。そして歩いて行きスミレのアパートの前に来た。

別にボルトは白夜団を捕まえた事を後悔してる訳では無い。あんな人から盗ったもので助けるのは間違えてる。例え助けられる側がいいんだとしても。・・・だがボルトはあまり反論が出来ない。自分ははっきり言えば坊ちゃんなのだ。7代目火影と日向の姫の息子なのだから。·····だから何一つ不自由したことなど無い。そんな自分がどうこう言っても助けられる側の人達を説得など出来ない。出来る筈がない。出来る人なら・・・そう思いスミレのアパートを見たがその時一室が開いた。そこから少女・・・筧スミレがカバンを持って出てきた。そしてスミレはしっかりと鍵をかけてアパートの前を見たら割とびっくりした顔になった。ボルトはそんなスミレに手をあげる。スミレはボルトの前に来ながら言った。

 

「おはようボルト君。」

 

「ああ、おはようスミレ。」

 

「どうしたの?こんな早くにアパートの前なんて」

 

「いや、·····ちょっと早めに体を動かしたかったんだってばさ。」

 

「・・・そうなんだ。それじゃあ行こうか。」

 

それにボルトは頷き2人並んで歩き出した。そして1度街に出る。そこから演習場に行けるのだ。そんな時ボルトが止まったのを見てスミレは首を傾げてボルトの見てる方に向いた。そこに居たのは何やら少しボロボロな服を来ているが足取りは軽そうな人がいた。ボルトはその人に走って近づいていった。スミレも近づいていき漸くその人物が分かった。

 

「ハグルマさん!」

 

その言葉にハグルマと呼ばれた人は振り返り笑って言った

 

「ボルト君!」

 

「久しぶりだってばさ。」

 

ハグルマ·····白夜団の事件が頻発する前にボルトが出会った人物だ。ただ出会った時は銀行強盗の1人と忍びとしてだが。なぜハグルマが銀行強盗をしたのかと言うと色々黒い所がある。ハグルマはあるゲーム会社に務めていたのだがその会社の社長が普通なら無理だと思われるスケジュールを出してきたのだ。だがそれでもハグルマとハグルマの同僚はゲームを作るのを成し遂げた。だが無理なスケジュールのせいで何人も体を壊しハグルマは会社に抗議しようとしたのだがそれを知ったリーダーがハグルマがライバル会社に自社の情報を渡したとでっち上げ会社をクビにされたのだ。そして自社の情報を渡したと言う噂が広まりどこの会社にも拾って貰えず嫌になったのだ。その後借金などしてそれがまた悪い借金取りで雪だるま式に増えていってしまったのだ。そして何より裏方でもゲームを楽しんでくれたらいいと仕事を頑張ってきたのにその声すら聞けないならもういいやとなり自殺しようとしたのだ。だがボルトがその時にハグルマが作ったゲームを持っておりそれがきっかけでハグルマを止めることが出来た。

 

「君のおかげでこれからもやっていけそうだよ。」

 

そう嬉しそうに言った。ボルトはハグルマの就職先を世話したのだ。·····と言ってもアカデミーの同期で雷門カンパニーの御曹司のデンキに事情を話しただけなのだが。

 

「そうか。良かったってばさ!」

 

そう笑顔で言い合い別れた。ハグルマの姿を見ていたボルトにスミレは声をかけた。何か入りにくかったのだ。

 

「元気になったね、ハグルマさん。」

 

だがその声にボルトからの反応が無くスミレはボルトを見て聞いた。

 

「どうしたの?」

 

「・・・いや、もうハグルマさんの時から白夜団は動いていたんだなと思って」

 

ハグルマから事情聴取をした結果ハグルマを銀行強盗させた奴らがいるという事が分かったのだ。ボルトも後に木ノ葉丸から聞いた。スミレはそれに頷き2人は少しそのままだったが

 

「あっ、わりぃ。行こうぜ。」

 

そうボルトが言い出して歩き始めたからスミレもついて行った。ボルトは白夜団の事を思い出してある1幕も思い出し思わず体を抱きしめた。

 

「?」

 

「あーいや。あの金庫室寒かったなって」

 

それを聞きスミレはその時の事を思い出してクスッと笑った。その時のボルトが面白かったのだろう。銀行強盗が行われていた同時刻ある金庫室から宝石が盗み出された。ハグルマを使って注意を逸らさせたのだ。そしてボルトは現場検証に立ち会わせてくれと何か面白いことないかなって思い言った。警務部のコウタロウは防寒がないと寒いと言われたがボルトは鍛えてるから大丈夫と言い見事に凍りかけた。そりゃそうだ。マイナス20度に保たれてる金庫室だったのだから。1度でも上がれば警報がなるはずが鳴らなかった言えに油断したのだ。そういう訳で最初は内部半を疑ったのだがミツキが待ってる間にスミレが手に取った瓶に入ってた花を見て気がついた。

 

『綺麗だね。』

 

『これ氷ってるね。』

 

『はわ、本当だね。でもどうして・・・?』

 

そう困惑した声で思わずミツキに聞いた。ミツキは少し顎に手を当て考えた。今は確かに冬だが暖房が効いているここで凍るとは思えない。つまりこれは人為的という事。そしてそれを可能にする人物又わ術は

 

『もしかして氷遁じゃないかな?』

 

基本はチャクラ性質は5属性だが例外でそれ以外を持つ人もいる。氷遁は雪の国のルーツを持つもの達が多いのだ。そしてその名の通り凍らせる事が出来る忍術だ。早速スミレとミツキは金庫から出てきた木ノ葉丸とコウタロウに凍ってる花を持って説明した。因みにその時ボルトはガチガチに震えていた。

 

『ぼ、ボルト君大丈夫?』

 

『だだだ大丈夫じゃないってばさ。』

 

そうガチガチになっていた。その後暖かいスープを飲み無事回復しましたとさ。そしてその後ボルト達と木ノ葉丸とコウタロウは別れた。

 

『氷遁か』

 

そうボルトがぽつんと呟いた。

 

『何か心当たりあるの?』

 

スミレが首をこてんとしながら聞いた。だがボルトは首を振った

 

『父ちゃんが初めて任務で戦った人の中に氷遁を使う人がいたんだって。』

 

『へぇ、・・・初めての戦いの相手が氷遁使いって・・・』

 

氷遁使いという事は相手は忍びだろう。木の葉の任務のランク制度は変わってないということだから最初はCかDランクの任務の筈なのだがそれだとBランク以上の任務だ。·····変な所でも親子を発揮するんだなと思ったのだ。

 

「そう言えばあのカタスケさんって人は個性的だったね。」

 

「あの人は結構変わってるってばさ。」

 

カタスケ・・・科学技術研究所の主任でありよくうちの科学忍具を使ってくださいとボルトの父・・・7代目火影のナルトによく張り付いてるという人だ。家にまで来たことあるからボルトも知ってる。新作ゲームを貸してくれるがボルトは割と丁重に断っている。やっぱりするなら自分でお金を貯めて買った方が何倍も嬉しいのだ。楽するよりもそっちの方が良い・・・そう1人でうんうん言った。

 

「でも悪い人じゃないってばさ。」

 

「うん。そうだね。取引場所調べるのも手伝ってくれたそうだもんね。」

 

「まあ結局逃げられっちまったけどな。オマケに木ノ葉丸の兄ちゃんには怒られっちまったし。」

 

氷遁使い・・・又わ白夜団の居場所を調べようとしたのだが皆目見当がつかなくてボルトとミツキは知ってそうな人物の所に向かった。それがカタスケだったのだ。カタスケは話を聞き火影の息子をあろうことかブラックマーケットなどに連れて行ってそこにある連絡板みたいな所で宝石を買い取る人を探してるという書き込みがあった。ボルトとミツキは客としてなりすましそのまま白夜団の1人を捕まえようとしたのだが見事に気が付かれ逃げられた。ボルトが影分身と変化をして金の入ったバックになりすまして相手の所に着いた瞬間に元の姿に戻って捕まえようとしたが相手はそれを読んでおり全く関係ない人を幻術にかけて取引場所にいさせた。勿論ボルト達は本物を追った。そして辿り着いた場所は高台にある村だった。その場所は水を汲んで来るのに水車を使っていたのだが長い時間使い続けた事により壊れてしまったのだ。貧しい村に水車を直す余裕などなかった。だが白夜団が盗んだ宝石を資金に変えて水車を直した。

 

『取り返せるものなら取り返してみろ。うずまきボルト』

 

ボルトはその時その白夜団の人にそれでも間違ってると叫びたかった。だがその人に言われた通り自分は何一つ不自由したこと無かった。父親との関係も改善されたから余計にだ。だがら反論が出来なかった。宝石は保険で賄われる事になったがボルトの心に保険なんてもんはない。ボルトはそこまで思い返してたら何かスミレが少し怒ってる顔になってる事に気が付き少しタジタジになった。

 

「え、えっと・・・スミレ?」

 

「ボルト君、私本当は少し怒ってるんだ。」

 

・・・スミレの怒った時、ボルトは母を思い浮かべる。おしとやかそうな人ほど怒った時は怖いのだ。

 

「何で私を置いて行ったの?」

 

そう、ボルトはカタスケの所に行った時はスミレとミツキとで行ったのだがその後別れてからカタスケがいきなり思い出したとか行ってブラックマーケットに行ったのだ。そして翌日の任務の休みの日にスミレに内緒で取引場所に行った。スミレは自分を置いて行った事を怒ってるのだ。

 

「え・・・えっとそれは·····」

 

·····正直に言えばスミレを危険な目にあわせたくなかったのだ。強いのは勿論知ってる。だけど何が起こるか分からなかった。だから悪いと思いながらもスミレには黙ってミツキと2人で捕まえに行った。・・・まあ失敗し木ノ葉丸に知れて危険な事はするなとお怒りを貰ったのだが。

 

「・・・スミレを・・・危険な目にあわせたくなかったんだ。」

 

「·····私は・・・ボルト君が知らない内にいなくなる方が嫌。」

 

そう少し涙ぐみながら言った。・・・ボルトはスミレの涙に弱い。罪悪感が胸を貫く。スミレはそんなボルトに少し頭を預けた。

 

「ちょっ!スミレ。」

 

「一緒にいてくれるって・・・言ってたのに。ボルト君達が取引場所に行ったって聞いた時・・・凄く怖かった。」

 

ボルトやミツキが強いなんて知っている。アカデミー時代から見てきたのだから。ミツキに関しては状況が特殊だったが戦った事もある。2人が簡単に負けるとは思わなかったがそれでも絶対に何て言葉は戦いの世界にはない。ましてや相手は実力も分からない組織だったのだから。ボルトは何か言おうとしたが結局何も言う事が出来ずせめて頭を撫でようとしたがその前にスミレが離れた。

 

「・・・本当にすまなかったってばさ。」

 

スミレはそれに首を振って言った。

 

「うんうん。私もごめんなさい。少しだけ独占欲出ちゃった。」

 

そう笑って言った。2人は再び歩き出し演習場に到着した。自分達が1番と思ったのだが先客がいた。

 

「シカダイ!!」

 

「ん?なんだボルトか。」

 

奈良シカダイ、木ノ葉隠れNo.2の息子でも風影の甥である。そんなシカダイは何故か突っ立っているだけなのに汗が出ている。

 

「何してんだってばさ?」

 

「影で俺のクナイを取る練習をしてんだよ。」

 

影でクナイを取る。聞いてるだけならば地味なことこの上ないが割と重要だったりする。影縛り中は相手は動けないが自分も動けなくなる。だが影でクナイを取る事が出来るようになれば動けない相手に投げつけてグサグサ・・・とイメージしたらえぐい事が出来るようになる。それを練習しているのだ。

 

「お前らは修行か?」

 

「うん。」

 

そうスミレが笑顔で答えた。

 

「そうだ、シカダイも混ざらねえか?」

 

「俺は今こっちで手一杯なんだよ。掠りもしねえ。」

 

だがその言葉とは裏腹にあまりイラついてる顔ではなかった。ボルトはそんなシカダイに何があったのか知ってるからそうかと言って少し離れた場所に行こうとしたのだが昨日約束した事を思い出して振り向きながら言った

 

「いつ新作バーガーとポテトとジュース奢ってくれるんだってばさ?」

 

ボルトはシカダイをある事で手助けする代わりにその3種を奢ってくれる事になっていた。

 

「そう言えば忘れてたわ。そうだな・・・じゃあ今日の昼にでも・・・」

 

そこでシカダイはボルトの後ろにいるスミレがカバンをぎゅっとしたのを見た。それで何かを悟ったシカダイは首を振り

 

「悪い、やっぱり明日の昼でいいか?」

 

「おう、分かったってばさ。」

 

その会話の果てにスミレは割と露骨に安心した顔になった。・・・この時シカダイはスミレがボルトの事をどう思っているのか何となく察した。2人はシカダイから離れスミレはカバンを置いた。

 

「じゃあウォーミングアップするか。」

 

「そうだね。」

 

そう言って2人は構えて激突した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして2人は気づいたらもう3時間程修行していた事に気がついた。いつの間にかシカダイはどこかに行っている。スミレはスミレが1本取って地面に横たわって息をぜえぜえしてるボルトに頬を少し赤くしながら言った。

 

「ボルト君、その·····お弁当作って来たの。だから一緒に食べよ?」

 

ボルトはそれを聞きばっと起き上がって笑顔で言った。

 

「本当か!?スミレの弁当美味しかったからまた食べたかったんだってばさ!」

 

それを聞いたスミレは嬉しそうな顔をした。2人は木の下に行き弁当を広げた。

 

「おーっ!美味しそうだってばさ!」

 

「ふふ、良かった。」

 

「あっ、そういやお金·····」

 

「私が勝手に作ってきたんだから大丈夫だよ。」

 

「え・・・いやでも·····」

 

「・・・それじゃあこれを貸1つって事にするよ。」

 

「·····分かったってばさ。」

 

2人はそれで笑い合い手を合わせて言った。

 

「「頂きます!」」

 

先ずボルトが何やら少し辛そうな野菜炒めを少し食べた。スミレはドキドキしながらボルトの感想を待った。

 

「んー!美味いぜスミレ。」

 

「はわわ、良かった。」

 

「辛さ加減が丁度いいってばさ。」

 

「ボルト君って辛いハンバーガーよく食べてるけど極端に辛かったら無理そうだったから結構気を使ったんだ。」

 

そう言いながらスミレも少し食べた。その味にスミレは満足だった。スミレは基本的に好き嫌いはない。貧乏だったから好き嫌いしてるのは論外だったのだ。そんなボルトを見て微笑んだ後何やら瓶を出してきた。その中には

 

「漬物か?これ。」

 

「うん。そうだよ。」

 

そう言ってスミレはボルトが食べて空いた弁当スペースに入れた。ボルトは早速という感じで漬物をパクッと食べた。

 

「おーっ!これはこれで美味いってばさ。」

 

「良かった!」

 

そう本当に安心したように微笑んだ。そんなスミレにボルトは少し頬を染めたがスミレは気づかなかった。

 

「こんな美味い漬物よく作れたな。」

 

「・・・うん。趣味なんだ。味付けとか好きに出来るし保存しとくだけで出来るからね。」

 

「へぇー。」

 

2人はその後弁当を完食した。

 

「ご馳走様だってばさ。」

 

「はい。お粗末さまでした。」

 

スミレはそう言い弁当をカバンにしまった。その後2人は心地よい風が出ているのをいい事に少し寝そべった。そして少し無言だったのだがスミレが聞いた。

 

「ねえ、ボルト君昨日の解決の現場にいたんでしょ?話を聞かせて欲しいな。」

 

「・・・スミレは俺が走ってるシカダイを見つけて追ってた事までは知ってるよな。」

 

「うん。その後は全然知らないんだ」

 

ボルトとミツキが白夜団の1人を見逃した次の日警務部の招集が下忍皆にかかり言われた事は白夜団を見つけ次第中忍か上忍を連れてくる事。場合によっては追跡まで。交戦の許可はなかった。だがその日イワベエ達第5班は任務の最中白夜団を見つけイワベエが自分の土遁で白夜団を捕まえようとした。そして土遁が氷遁に破られそのままデンキに迫ったのをメタルが止めようとしたのだが止めきれず骨にビビが入り入院してしまった。その第5班は来週には復帰出来る。

そして更に翌日の夜にとうとう白夜団が本格的に動いた。デンキの父親の会社・・・雷門カンパニーが不正やらなんやら甘い蜜を吸ってるとデマを幻術を一部の人にかけて何人ものデモ隊になってしまったのだ。そして厄介なのがこれが忍者でもない一般人という事だ。忍び相手なら多少荒々しく出来るのだが一般人ではそうはいかない。だからボルト達の任務は出来るだけ丁重にその人達に帰ってもらう事だった。だがボルトは任務に行く前にシカダイが何やら焦ってるのを見てボルトはついて行ったのだ。ミツキとスミレは流石に持ち場を離れる訳にはいかなかったからシカマルを見つけて事情を説明しシカマルがボルト達を追って行った所までしか知らない。

 

「白夜団はデモ隊を囮にしてカタスケ先生の所に行ったんだってばさ。」

 

「え?どうして?」

 

確かにあの場にあった道具はスミレも興味を持った·····研究者だった父親の血だとは思う。だけどそんなに白夜団が狙う程の価値があるものはあっただろうか?と失礼ながら考えたのだ。

 

「んー、よく分かんねえけど何かありとあらゆる忍術とかを記したものなんだって。」

 

「・・・それは確かに凄いものだね。」

 

少しスケールが大きくなり苦笑いしながらスミレは言った。スミレは続きを促した。

 

「で、それは盗まれたけど先生が追跡できる発信機を着けてくれてたおかげで楽に追えたってばさ。それで追いついたけどあの白夜団のボスは部下に足止めさせて・・・リョウギって奴と一緒に逃げたんだ。」

 

「・・・シカダイ君と将棋をしてた子?」

 

「ああ。・・・まああいつにも色々訳あったから罪はそんなにだろうってコウタロウさんが言ってたってばさ。」

 

「そうなんだ。良かった。」

 

スミレは解決の大筋しか知らない。リョウギが幻術にかけられていたのも知っている。

 

「それでそのボスに一杯食わされっちまった。」

 

「?」

 

「・・・幻術に俺がかけられっちまった。鏡を使ってな。」

 

「・・・ボルト君は幻術の修行もした方が良いんじゃないかな?」

 

「·····努力するってばさ。」

 

そう苦笑いで答えたボルトなのであった。実際ボルトは幻術には割と弱い。そういう所では父親そっくりだ。・・・まあ今のナルトにはクラマがいるから全くと言っていいほど幻術は通じないのだが。

 

「それでどうなったの?」

 

「シカダイがリョウギにかけられていた幻術を解除したんだってばさ。でもボスは電車の車両を切り離して追いかけられなくなっちまって・・・と思ったら父ちゃんがすげぇ速さで俺達とボスの乗った電車を追い越してとっ捕まえてたってばさ。父ちゃん速すぎだってばさ。」

 

ボルトとシカダイとリョウギは取り敢えず止まった電車から降りてどうするかを考えたが諦めるのは何か癪に障ると思いボルトは追うだけ追う事にした。そして走っていたら何やら横を黄色い閃光が駆けて行き少し経った時いきなりボルトの前から何やら大きい音がしボルトが追いついた時ボスをひっ捕らえていたのはナルトだった。

 

『父ちゃん!もしかして今の父ちゃんだったのか?』

 

『おうボルト。ああ、そうだってばよ。今回はお手柄だったな。』

 

そう言ってボルトの頭に手を置いて少しわしゃわしゃとした。だがボルトは微妙な顔のままだ。

 

『何か父ちゃんにいい所全部取られた気がするってばさ。』

 

『ははは、それはすまないってばよ。でもここで逃げられる訳には行かなかったからな。お前が力不足って言ってる訳じゃないんだ。だから許してくれ。』

 

『じゃあ今度帰ってきた時父ちゃんの初任務の時の話をしてくれってばさ。』

 

『おう!良いぞ。』

 

「そんな事あったんだ。」

 

スミレは全部聞いた後そう呟いた。

 

「まあ父ちゃんは暫く他の里とかの連絡で忙しいって言ってたからもう少し待つと思うけどな。」

 

「ふふ、仲良いんだね。」

 

「そ、そうじゃないってばさ。父ちゃんから学ぶもんは学んどいた方が良いんだよ。」

 

そう少し照れたように言った。ボルトは気を取り直すようにスミレに聞いた

 

「そう言えば父ちゃんが何か演説したらしいけどどうったんだ?」

 

ボルトとシカダイ達が白夜団を追ってる間ナルトは雷門カンパニーで演説した。ボルトはその演説は聞いてないがスミレは聞いてるから聞いたのだ。

 

「うん。凄く良かったよ。里の人と共に在る、そんな演説だったよ。」

 

「へ〜、あの父ちゃんがね。」

 

ボルトはそのまま空を見ていたが立ち上がった。スミレもそれを見て立ち上がる。

 

「よし、じゃあやるか。」

 

「うん!」

 

そう言い合い2人は再び激突した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2人の午後の修行が始まり2時間ほど経ち休憩中にボルトが何やら印を練習しているのを見てスミレは聞いた。

 

「どうしたの?」

 

「いや、サスケさん曰く俺は雷遁のチャクラ性質が濃いから修行すれば強力な雷遁を使えるようになるだろうって言われたけどやっぱり全然イメージ出来なくてさ。」

 

「なるほど。新しい術が欲しいんだね。」

 

「ああ。術はいっぱい持ってても困らないしな。」

 

「そうだね。確かにどんな術を目指すのかをイメージしとくのは良いかもね。」

 

「それで最初はサスケさんの千鳥を教えてもらおうとしたんだけどあれは写輪眼があって初めて成り立つ術だって言われてさ。」

 

「そうなんだ·····あっ、それじゃああれはどうかな?」

 

「あれ?」

 

ボルトが疑問符を浮かべて首をこてんとした。

 

「6代目が使ってる"紫電"はどうかな?確かあの術は6代目が写輪眼を失った後に出来なくなった雷切・・・千鳥の代わりに生み出された術って聞いたよ。下忍試験の時も使ってたでしょ?」

 

ボルトはそれを聞き何その名案的な顔をして

 

「おお!それだ!・・で、どうすんだってばさ?」

 

「·····さあ?」

 

確かに千鳥がダメなら紫電を学ぶのは名案だ。だがやり方が全く分からない。直接見たのは下忍試験の時だけだしあの時は合格する為に精一杯で観察何かする暇はなかった。

 

「・・・いい案なんだけどな〜」

 

「何か・・・ごめんね?」

 

「いや、大丈夫だってばさ。その内カカシのおっちゃんを捕まえて教えてもらうってばさ。」

 

そうボルトが笑って言ったがスミレは自分で言ったのにぬか喜びさせたのが申し訳無くて少し顔を下げた。そんな時

 

「あれ?ボルト君じゃないか!」

 

そんな声にボルトとスミレは仲良く一緒に振り向いた。目線を向けた先にいたのは何やら見覚えのあるジャーナリスト・・・

 

「スケアさん!?」

 

そうボルトが思わず叫んだ。スケア・・・ボルト達がアカデミー時代の卒業試験の前に何やら卒業試験を迎えた生徒達を取材しに来たジャーナリストである。·····その正体は6代目火影・・・はたけカカシその人なのだがボルト達は知らない。カカシとしては卒業試験でネタバレしようかと思ったのだがそうする間もなく超短期決戦で終わってしまった為に結局明かす機会もなかった。

 

「どうしたんだってばさ?」

 

「もう少しで中忍試験だからね。今度は下忍の皆に話を聞きに来たんだよ。」

 

・・・まあこれはスケア・・・何かめんどくさいからカカシと言うがカカシの趣味だ。カカシは笑顔でビデオを取り2人に焦点を合わせた。

 

「はわわ」

 

「そう言えば言ってなかったね。下忍試験突破おめでとう。君達の事はちゃんと見ていたよ。」

 

「どこにいたんだってばさ?」

 

「ん〜、まあ特等席?」

 

·····確かに試験官としていたから特等席だ。ボルトとスミレは疑問符を浮かべたがカカシが聞いた。

 

「2人は中忍試験どうするの?」

 

「勿論受けるってばさ。父ちゃんに俺のすげぇ所を見せつけるチャンスだからな。」

 

「私も受けます。」

 

「はい。OK」

 

そう言ってビデオを止めた。スミレはそれに思わず

 

「ふぅ」

 

「スミレ緊張してたのか?」

 

「ふ、普通するよ?」

 

「そうか?俺は全然だってばさ。」

 

そんな仲睦まじい2人の様子を見てカカシは聞いた。

 

「ねえ?君達って付き合ってるの?」

 

それを聞き10秒程2人ともフリーズした。そしてどちらもめちゃくちゃ赤面になりながら全力で否定した。

 

「つつつ付き合ってないってばさ!」

 

「そそそそうです!」

 

・・・だが2人の内心は何かチクッとした。何かそうしたい本心とは別のように・・・。だがその考えを振り払った。そんな2人の慌てようを見てカカシは楽しんでる部分もある。そして声をかける前に何やら話してたのを思い出して内容までは知らないから聞いた。

 

「そう言えばさっき2人は何を話してたの?」

 

「あ〜それはカカシのおっちゃんが使ってる紫電?って術のやり方が分からないって話だってばさ。」

 

それを聞いて余裕もってたのにまさか自分の術の話をしてるとは思わず少し目を見張った。そして口元を隠して聞いた。

 

「なんで6代目の紫電を学びたいんだい?」

 

「まあ1つはやっぱりカッコ良くて強い術が出来るようになりたいってのもあるけど・・・」

 

「けど?」

 

「誰かを守る力が増えるのはいい事だろ?」

 

そんな返答にカカシはふっと笑って背を向けた。

 

「もう行くのか?」

 

「ああ、他の下忍にも話を聞かなくちゃいけないからね。」

 

「そっか。また中忍試験も取材するのか?」

 

「ああ、そのつもりだよ。」

 

そう言って手を振り演習場からスケアもといカカシは出て行った。そんな嵐のように去って行ったカカシにボルトとスミレは苦笑いした。

 

「何か・・・あっという間だったな。」

 

「そ、そうだね。」

 

「そう言えば・・・鵺のコントロールはどうなんだ?」

 

ボルトとスミレは下忍試験後もよく一緒に修行するようになった。そのお陰かスミレの口寄せ獣の鵺もパワーアップして里を襲った時にはまだ程遠いが虎サイズにまで大きくなったのだが何故か言う事を聞いてくれないのだ。スミレはそれを聞き首を振った

 

「うんうん。あんまり・・・」

 

「·····そうか、俺も協力するからさ、頑張ろうぜ?」

 

スミレはそれを聞いて頷いた。そして思い出した事がありちょっと聞いてみた

 

「ねえ、ボルト君鵺口寄せしてみてよ。」

 

「え?何でだってばさ?」

 

「忘れたの?アカデミーの時に男女対抗戦があったでしょ?その最後の時にボルト君鵺を口寄せしたんだよ?」

 

「あっ」

 

ボルトはそれで思い出した。確かに自分は鵺を口寄せした事がある。だが何故出来たのかは全く知らない。父親にでも聞いてみるか・・・まあそれは置いときボルトも何か面白そうとなりやってみる事にした。

 

「口寄せの術!!」

 

そして・・・何も起きなかった。そのまま少し静寂が過ぎた。

 

「や、やっぱり無理だったな。」

 

「何か・・・ごめんね?」

 

「ま、まあ俺は鵺と契約してる訳でもないからな。へ、平気だってばさ。」

 

そう少し苦笑いで言った。

 

「それにやっぱり鵺はスミレが呼ぶべきだしな。」

 

スミレの今の唯一の家族であり友人である鵺はスミレが呼ぶべき・・・まあ確かにそうなのだがスミレは別にボルトが鵺を呼ぶなら呼ぶで構わないと思っている。鵺もボルトには·····というよりうずまき一家には懐いてる。 ビオラに関してはめちゃくちゃ懐いた。

 

「・・・そっか。でも鵺が認めてくれた時はきっとボルト君の力になってくれるよ。」

 

「・・・ありがとな。」

 

そのまま2人は少し沈黙の時を過ごした。言葉は交わして無いが不思議と心地よかった。そのまま2〜3分過ぎた時また足跡が近づいてきた。まさかこんな里の中でいきなり何か敵が来るとは思えないがボルト達は少し臨戦態勢を取った。だが来たのは

 

「カカシのおっちゃん!!」

 

「ん?ボルトじゃない。どしたの演習場で。」

 

さっきまでボルトと一緒にいたのに少しあれだがボルト達はそんなもん知らないから普通に答える。

 

「俺達は修行だってばさ。今は休憩中だけど」

 

まあその休憩は色々話してたから長くなったが・・・。そしてボルトは先程の紫電の会話を思い出して聞いた。

 

「そうだ!カカシのおっちゃんの紫電教えてくれってばさ!」

 

「ん〜、まあ構わないよ。時間は限られるけどそれでもいいか?」

 

6代目火影として相談役としてカカシは割と忙しい時がある。何にもない時は温泉に行ったりしてるが時間は割と不定期だ。·····まあ今回は時間を作ったのだが

 

「本当か!?ありがとうだってばさ!!」

 

そんな嬉しそうなボルトにカカシも微笑んだ。・・・割とカカシは嬉しかったりしてる。確かに自分はナルトの師匠だがナルトに自分の忍術を教えた事はなかった。だから世代を超えて自分の術を教えるのが何か嬉しいのだ。

 

「あの、6代目。」

 

「?どうしたの?」

 

スミレが声をかけてきたから聞く

 

「その・・・口寄せ獣をコントロールする為にはどうしたらいいですか?」

 

「そうだね・・・普通は互いに信頼関係を築いていけば自ずと出来るようになるけどスミレの鵺は色々特殊な口寄せだからね。普通のやり方とは違うのかもしれない。」

 

「信頼関係・・・」

 

信頼関係·····どうなのだろうか?木の葉を襲った時は·····信頼関係というよりスミレは復讐の兵器として鵺を育てたが鵺はスミレを親だと思っていたからスミレが危険な事になった時はスミレの命令を無視して助けに来てくれた。でも・・・それは信頼関係と言えるのだろうか?そんな悩んでるスミレに申し訳なさそうにカカシは言う

 

「えーっと、何かごめんね?アドバイスらしいアドバイスじゃなくて」

 

「いえ、大丈夫です。地道に鵺と仲良くなれる方法を探します。」

 

そう言った。実際どうするのかは分からないがそこは言った通り地道にやるしかない。そして2人はカカシの元で・・・何故かスミレは幻術の修行する事になった。カカシ曰く1人ぐらい幻術タイプはいた方が良いということでそうなった。そういう訳で修行を始めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「疲れたってばさ。」

 

「そ、そうだね。」

 

2人は本当に疲れてそうに言った。というか疲れてる。思ったよりもハードだった。ボルトはこれからも紫電の練習をする。カカシは忙しくそんなに見る事は出来ないが時間が出来たら見てくれるそうだ。スミレの修行は何とか成功した・・・のだが割とヘトヘトである。あんなに幻術をかけられた事ないから精神的に疲れた。そんな2人はボルトの家に向かってる。朝出る前に連れてきたら?とヒナタに言われたからだ。スミレは萎縮したのだが誘っといて何だが晩御飯そんなにヘトヘトで作れるのか?ってボルトに聞かれ作れるって言い返せず甘えさせてもらった。・・・あとヒマワリという癒しに会いたいのもある。

2人は無事にボルトの家に到着した。

 

「おかえり〜お兄ちゃん!あっ、スミレお姉さん!」

 

「ただいまだってばさ。」

 

「お、お邪魔します。」

 

そう言って家に入って行った。スミレは晩御飯を作るのを手伝おうとしたのだがどう見ても疲れてるからヒナタは割と丁重に断った。代わりにヒマワリと遊んだがやっぱりボルトもスミレもヘトヘトだった。晩御飯を食べた後先ずスミレとヒマワリがお風呂に入りその後にボルトも入った。そしてスミレはヒマワリとソファーに座って隣にボルトが座った。そのまま3人はお話をしていたのだがお風呂に入った事により疲労による眠気が加速して・・・

 

「あれ?お母さん、お兄ちゃんもお姉さんも寝ちゃった。」

 

スミレの膝の上にヒマワリがいるのだが何か唐突に2人とも反応しない事に気が付き上向いてみたら2人は互いの頭をコツンとして寝ていた。そんな状態を見たヒナタはヒマワリに優しく言った。

 

「疲れてるから寝させてあげましょ。毛布持ってきてあげて。」

 

「はーい!」

 

そう言ってヒマワリはどこからか毛布を取ってスミレとボルトにかけた。・・・そのボルトとスミレの光景は仲の良い夫婦のようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

·····因みにこの2人で寝てる姿は無事にカメラに収められましたとさ

 

 

 

 




お疲れ様でしたm(*_ _)m
色々アニメボルトとは違う展開です。ボルト・・・正真正銘の本物の紫電を学ぶ・・・つまりそういう事です。そして鵺はアニメよりも早い暴走。正直に言うならスミレを科学忍具班に行かせるか悩んでます。スミレが原作でボルトを助ける展開が来るならスミレを行かせるべきなんでしょうが・・・それじゃあ同じなっちゃうし・・・というかツバキと鬼灯城って正直無理だと思う。まあ解決法あるにはあるんですがまあその時になったらアンケートします。
因みに今作の鵺は暴走させたままにはしません。科学忍具なしでコントロール出来るようにします。
そしてスミレ・・・幻術対策する。おk。次回は·····まあデート回にでもします。アニメだとイワベエやらナミダ達の話なんでその裏のボルスミという事で。
(*´∇`)ノシ ではでは~


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デート

おはようございますm(*_ _)m
レッツラゴー(˙꒳˙ )


白夜団の事件が終わりボルトとスミレがカカシとの修行が終わり1週間後。2人は今日も今日とて任務を受ける為に受付所に来た。2人はたまたま受付所の入口前で会い少し時間が速いが2人して受付所に入った。先週スミレはボルトの家に泊まった時・・・色々恥ずかしい事が起きた。何と言っても·····ボルトとスミレは2人して互いに体を預けながら夜を越してしまった。最初に起きたのはスミレだった。

 

「んぅ」

 

そんな声を上げながら何か左側が少し重いと寝ぼけの頭で考え横目で見た。そして2秒で覚醒した。

 

「ぼ・・・!?」

 

そこで思わず声を出そうとしたが咄嗟に右手で口を抑えた。

 

(ぼぼぼボルト君!?)

 

あどけない表情でボルトは寝ていた。そのボルトが今度はスミレの肩に頭を預けスミレの顔が真っ赤に染まった。だが起こす訳にもいかず·····というより寝顔をみていたいという何ともあれな理由である。かけられていた毛布を再び自分達にかけ直した。

 

(はわわ)

 

口癖を心の中で言いながらボルトの寝顔を見る。リラックスしてるのだろうか、起きる気配はない。

 

(・・・ボルト君に言ったら怒るだろうけど·····可愛い)

 

男に言う感想としてはどうなのかとは自分でも思うが感想を聞かれたらそう答えてしまうだろう。·····そしてスミレが暴走しかける事が起きた

 

「・・・ス·····ミレ」

 

寝言だろうか、ゆっくり動いた口からそんな声が聞こえた。スミレは一瞬何を喋ったのか全く分からなかった。だが数秒後に理解した時

 

「はわ・・・はわわ」

 

ボルトを起こさない為に残ってた理性で何とか音量だけは抑えたがそれ以外は全く抑えれなかった。顔は赤に染まり口は口癖を小音量でぱくぱくしながら言ってる。手は毛布を悶絶によってしっかりと握られていた。

だからボルトの隣を歩いてるスミレの頬は無意識に赤い。

因みにその後はヒナタ達が起きて来た時に咄嗟に寝たフリをしてボルトと一緒にたった今起きたように演じた。·····ごまかせたかは分からないが。

 

「ん?あれ?よお!」

 

隣のボルトがそう言ったからスミレもボルトが向いてる方を向いたらそこにはサラダ達第15班の姿があった。ボルトとスミレは3人近づいていく。

 

「何よボルト。」

 

何か尖った感じで言ってきたのはサラダだ。

 

「何だよ声かけただけじゃねえか」

 

その隣ではスミレとナミダとワサビが苦笑いした後に挨拶した。

 

「久しぶり、ナミダ、ワサビ。」

 

「うん。久しぶり、スミレ。」

 

「元気そうだな。」

 

「うん。もう任務終わったの?」

 

「ああ、おばあさんの道案内だったぜ。まあ私達にかかれば楽勝だったな。」

 

・・・偶に木の葉ではこれ忍者がやらなければならないのだろうか?という任務が偶にある。ボルトもハグルマと会う前はもっとこうバーンって感じの任務をやりたいと言ってたのだがハグルマと会った後考えが変わった。例え誰かに見て貰えずともそれによって誰かが喜んでくれたら良いという考えを持った。

スミレはまだ何やら言い争いしているボルトとサラダに目を向けた。

 

チクッ

 

そんな心の音がした気がする。それを頭を振って振りほどく。

 

(私・・・サラダに嫉妬してるのかな?)

 

嫉妬・・・自分はそんな事したらダメなのに。里を襲ってクラスメイトを1度は殺そうとした事がある自分にはそんな資格はない。

 

「まっ、頑張れよ」

 

「あんたに言われるまでもないわ。」

 

「へいへい未来の火影様はお怒りのようで。スミレ行こうぜ」

 

「う、うん。またね、皆」

 

そう言ってボルトとスミレはエレベーターに乗った。スミレはボルトの後ろ姿を見ながら自分の嫉妬の感情を頑張って振り払った。その後木ノ葉丸とミツキと合流し受付嬢のスイカの所まで来た。・・・何かスイカが微妙な表情をしているのは気の所為だろうか?

 

「あのー今回の任務は色々特殊でして・・・」

 

その特殊という言葉を聞いたボルトが目をキラキラにしてスイカに詰めた

 

「特殊ってなんだってばさ!?何かやばい奴らを相手にするとか!?今度こそやばい強盗を捕まえるとかか!?」

 

「こらボルト。最後まで話を聞け。」

 

そう言って首根っこ捕まえボルトを戻した木ノ葉丸。スイカはまだ微妙な顔なままだ。

 

「それでどんな任務なの?」

 

「えーっと、・・・依頼は一般男性からで、・・・好きな女性をデートに誘う事が出来たのですが初めての経験故にその人が考えたデートコースを回って感想を聞かせて欲しいというもので・・・」

 

流石の木ノ葉丸も少し止まった。いの一番に吠えたのは定番のボルトだった

 

「そんなの忍者に頼むんじゃねえーー!」

 

木ノ葉丸も大変同じ気分なのが自分達は国に従える身だからそういう訳にはいかない。因みにスミレも「へ?」って顔になってる。

 

「依頼人に文句言うな。耐えるんだコレ。」

 

「それでこれも依頼人からのお願いで男性1人と女性1人がこの任務を受けて欲しいそうで・・・」

 

それを聞いたスミレは目を丸くした後

 

「はわわ」

 

慌てた。だってこの班に女性はスミレしかいないからスミレはもう確定だ。

 

「残りの2人は運良く2人で受けても良いという任務があったのでそっちをお願いしたいと思います。運搬の任務ですね。それも里内です。」

 

7班はミツキ以外固まった。確かに色々特殊な任務である。基本はフォーマンセルで任務を受けるが今回はツーマンセルなのだ。・・・それもまさかの受ける人指定という。取り敢えずボルト達は任務を受ける事にして·····元々拒否権なんて無いのだが受付室を出た。そして木ノ葉丸は腕を組んで話す

 

「それで最初の任務の方だが・・・スミレはボルトとミツキどっちが良いんだ?」

 

「へ!?」

 

そう赤くなりながら口を開けて呆けた顔をした。

 

「へ!?ってそういう事なんだからしょうがないだろコレ。」

 

スミレはボルトとミツキを見るとミツキはいつも通りの顔で・・・というかよく分かってない顔で、ボルトは腕を頭に組んでいる。だがよく見たら頬が少し赤い気がする。

「え・・・えっと·····」

 

どんどん赤面になってくスミレ、だがボソボソと言い始めた

 

「ぼ、ボルト君と」

 

「そうか、じゃあボルトとスミレはそっちの任務を任せるぞコレ。」

 

「え!?お、俺!?」

 

「スミレがお前が良いって言ってるんだからそうだろ。」

 

·····正直この赤面コンビを見るのは疲れる。例えば・・・

 

「その、嫌なら大丈夫だよ?」

 

「い、嫌じゃないってばさ。」

 

こういう光景が目の前で繰り広げられるからだ。何だこの仲睦まじい様子は?前々から思ってるが何か色々ぶっ飛んでる様子である。

 

「おっほん!それじゃあミツキ、俺達は運搬の任務に行くぞコレ」

 

ミツキはそれに頷いた。そして一同は解散した。夕日を背に2人は並んで帰ってる。7班の任務は明日する事になった。・・・ボルトとスミレの任務は任務と言えるのか全く分からないのだが。

 

「え、えっと····ごめんね、選んで」

 

「だだ大丈夫だってばさ。それにただ回るだけだろ?」

 

「ま、まあそうなんだけどね。」

 

任務は明日の朝からだ。というより何か渡された大まかな予定表が朝からだった。

 

(ただ・・・か。)

 

スミレは横目でボルトを見る。先週の寝言をボルトは覚えているのだろうか?・・・多分覚えてないだろう。

 

(ボルト君は·····私の事どう思ってるのかな?)

 

また思考する。ビオラと出会った日からスミレはその前よりもボルトの事を気にするようになった。意識を切り替えない限りずっとドキドキしている。自分が甘えてもいいか?と聞いた時ボルトは遠慮なくいいぞって言った。だが・・・ボルトなら誰でもOKしそうな気がする。そんなボルトとの別れ道でボルトは言った。

 

「じゃあ明日アパートの前に行くってばさ」

 

「う、うん。」

 

「じゃあまた明日」

 

「うん。明日。」

 

ボルトはそう言った後スミレに背を向け歩いて行った。スミレは見えなくなるまでボルトを見送り道を曲がった。そして冷蔵庫にある材料があんまり無い事を思い出した。今持ってる金額を頭の中で思い出し万事屋に向かった。そのスミレの頭の中は明日の任務・・・基ボルトと2人で依頼人が考えたデートコースを回るという忍びじゃなくてもいいだろそれという任務の事を考えていた。・・・はっきり言えばドキドキしている。コースを決められてるとは言えボルトと2人きりになれるのだから。・・・デートの任務と言ってもおしゃれできる程服はないが。

 

(任務服で大丈夫·····だよね?)

 

そう1人でうんうん言ったスミレなのであった。

 

 

一方ボルトも帰路を歩いていた。見た目は割といつも通りなのだがその内心は180度違う。

 

(何で・・・こんなに鼓動が早いんだってばさ)

 

そう心で言う。あの任務の内容を聞いた後にスミレに選ばれた後からずっとそんな鼓動が鳴っている。

 

(任務だろ?うずまきボルト。)

 

そう心で言うが鼓動は全く収まらない。ボルトはスミレの事を考えた。スミレの第1印象は·····いつも何かあったら慌ててる。だけど優しい・・・今までボルトが同年代で会った事のないような性格の人だった。サラダは口が悪い時あるしチョウチョウは偶に話通じないし・・・クラスの他の女の子の大半は気が強かったりした。大人しめの人はスミレを入れてナミダと黒衣ハコぐらいのものだった。·····だがボルトはナミダとハコよりもスミレの方が何故か印象に残った。・・・やっぱり最初に慌ててるのを見た人だからだろうか?いのじんの安定の毒舌をぶつけられた時にスミレが慌てたのを見たのがボルトとスミレのファーストコンタクトだ。その時は・・・この人が委員長か·····ぐらいだった筈だ。だけどスミレが一所懸命クラスメイトを纏めようとしてるのを見て割と印象は変わった。この人が委員長で良かったと思い始めた。

····そしてそんな時マギレの件が起こった。あの時の事を今思い出すと胸がチクッとする。最初はマギレがスミレに告白した時は何やら自分も恥ずかしかったが今同じ事が目の前で起これば·····多分嫉妬するかもしれない。その次に·····浄水場の事件が起こった。

 

(あの時は·····罪悪感と喪失感でいっぱいだったな)

 

アカデミーの時にあった職業体験。ボルトとシカダイとミツキはその時まだゴースト事件があったからその調査が同時に出来る郵便局を選んだ。·····だが一日目からやらかした。そのせいで2日目・・・それが起こった。その日3人はやらかした罰として切手を数えるという苦行を課された。そんな時3人は何やらテレビがある方が騒がしいと思い抜け出してテレビを見てみたら・・・スミレとナミダとワサビが職業体験の場、浄水場で立てこもり事件が起きてその立てこもり犯が暴れてアカデミーの生徒が負傷したというニュースだった。ボルトは郵便局から浄水場まで全力で走った。その時の頭は・・・真っ白だった。・・・不思議とナミダとワサビの前にスミレの顔が浮かんだ。そして浄水場にスミレ達がもういないことを知ると本気で泣きかけた。その場にいた人達に病院にもう行ったと言われた瞬間に直行した。そして見たのは頭に包帯を巻いてベットにいたスミレだった。その時は無事だったのが本当に嬉しかったのと自分がちゃんと職業体験していれば浄水場の件も気がついてスミレ達を守れたかもしれないというものだった。・・・後にスミレから聞いたが自分は少しだけ泣いてたらしい。まあその後サラダに出てけと言われたのだが。それからはゴースト事件の犯人を捕まえようと躍起になった。·····スミレ自身が犯人だったのだが。その事実をミツキから告げられ実際ミツキと戦ったスミレを見た時、喪失感でいっぱいになるのと同時にスミレが本心とは違う事をしてると気がついた。必死でスミレを追いかけて説得して・・・その果てにスミレはアカデミーに戻ってきてくれた。

ボルトはスミレが拘置所にいる間プライドを捨てて父親を頼った。・・・まあ結果としてはよく分かんなかったがスミレが戻ってきてくれた事だけは確かだ。当時は父親の力は借りたくなかったがそれよりもスミレに戻ってきて欲しい気持ちの方が強かった。

修学旅行の時・・・チンピラに絡まれてイワベエが追い返した時案内人で友達のかぐらが手にクナイを止めて怪我した時にスミレがかぐらの手当をした時·····胸が何とも言えない気持ちになった。

 

(あれは・・・嫉妬だったのか?)

 

自問自答を続けるボルト。

 

「俺は・・・スミレの事どう思ってるんだ?」

 

そう言って空を見上げたボルトなのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、スミレはいつもよりも早く起きてしまった。というよりあんまり寝れていない。緊張しまくって寝れなかったのだ。

 

「・・・デート、か。」

 

そう髪をとかしながら呟いたスミレの頬は赤い。寝れなかったからお弁当はもう作り終わってる。結局任務服で行く事にした。·····デートの服装としてはどうかと自分でも思うが服がアカデミー時代のものとパジャマと私服1セットしかないし、そもそもデートだけど任務だからしょうがないという。

 

「でも・・・額当てはどうしよう」

 

任務・・・だから着けた方がいいのだろうがデートに額当てをつけるかな普通?と言う思考になるスミレ。

 

「·····ボルト君がしてなかったら外そう。」

 

ボルトが付けていたら自分も付けて逆もまた然り。時計を見るとまだボルトが来るには少しだけ早いがスミレは準備を整えた。そしてアパートを出た。・・・がそこで1週間前のように目を丸くした。

 

「ボルト君」

 

「おはようスミレ。」

 

ボルトが1週間前のようにアパートの前にいたのだ。額当てはあるからスミレは付けたままのをそのままにした。スミレはカバンを持って鍵を閉めて確かめた後にボルトに近寄った。ボルトの格好はいつも通りで自分だけじゃないとなりホッとした。

 

「ボルト君、来たなら呼んでくれればいいのに」

 

「いや、俺が早く来ちゃったからさ。準備してたら悪いし。」

 

·····というよりボルトはスミレの家に入ったら多分あの事故った時のを思い浮かべてしまう。スミレはそんなボルトの様子に首を傾げたが直ぐに頷いた

 

「そっか・・・少し早いけど行く?」

 

「あ、ああ。」

 

2人はそう言って並んで歩き出した。スミレは昨日スイカに貰ったデートコースが書いてある紙を取り出す。

 

「えっと・・・先ずは映画館だね。・・・はわわ」

 

「ん?どうしたんだ?」

 

「な·····何でもないよ!?」

 

そう真っ赤になりながら言った。どう考えても何かあるがボルトはそうかと言い前を向いた。スミレはボルトが見てない事を見た後に再び紙を見た。

 

(これって·····恋愛映画だよね?)

 

この映画の宣伝は里の中に割とあったから知っている。内容は知らないが·····確かに付き合ってる2人が見る分には良いかもしれないが12歳の自分には色んな意味であれなんだけども・・・。2人はそのまま映画館に到着した。カゲマサの映画を見た場所だ。

 

「ボルト君?」

 

「ちょっと待っててくれってばさ。」

 

そう言ってボルトは売店まで行った。そして少し経ちポップコーンやら2人分持ってきた。スミレはそれを見て言った。

 

「あ、お金·····」

 

「大丈夫だってばさ。この前スミレが弁当くれたからな。ここで返すってばさ」

 

·····スミレが受けた恩はこんなものじゃなかったのだがボルトの気持ちを無為にする訳にもいかず頷いた。素直にポップコーンとドリンクを受け取り2人はシアタールームに向かった。·····実はスミレは初めて映画館で映画を見る。というよりテレビはアパートにもあるにはあるが節電の為に基本的にコード自体抜いててそのままだ。天気予報などは里にある大型テレビで見ている。

 

「・・・こんなに大きいんだね。」

 

「もしかしてここに来るの初めてなのか?」

 

「う、うん。」

 

依頼人から映画代やらこの後に行く所の入場料などは既に受け取っている。ポップコーンなどは自腹だが·····今までこんなに楽な任務があっただろうか?デートコース沿っていけば報奨金貰える任務って·····任務をなのか?·····2人にとっては爆弾なのだがいのじんとチョウチョウ辺りなら楽勝楽勝とか言うような気がする。寧ろデブとか何とか言ってそう。まあそれは置いておきとうとう始まった。映画館特有の音の振動にスミレは思わず息を飲んだ。

そして·····内容にも息を飲んだ。何か特別めちゃくちゃ感動したという訳では無い。内容が·····似ているのだ。ゴースト事件の時に。

主人公は2人いた。1人は男性だ。所謂刑事でもう1人は女性だ。男性はある殺人未遂事件を追っていた。巷で気が付かれない内に半殺しにされる事件が多発。刑事はその事件を追う。自分の嘗ての同僚も被害者の中にいたから仲間思いの男性はその事件を全力で捜査した。その過程である女性・・・もう1人の主人公の女性と出会った。2人は・・・男性が女性に話を聞きに行く度に·····その女性に惹かれていった。そして女性もまた・・・惹かれていった。女性は男性が自分の事を好きになってる事にも気がついた。だがその想いに答える訳にはいかない。女性自身がその事件の真犯人だったのだから。

 

『何で·····君はこんな事を?』

 

『私は復讐するの!』

 

女性は嘗て友達をある集団に殺されていた。それが今回女性が殺した人達なのだ。

 

『あいつらはクミを殺したのにのうのうと生きていた!許せる訳ない!』

 

理由は・・・常人には分からない。親戚家族友達を殺された人の数なんて昔ならいざ知らず今の時代では昔程ないからだ。

 

『あなたと言えど手加減はしない!』

 

刑事は紆余曲折がありあるビル・・・クミが務めていた会社の屋上で女性が刃渡りが割と長いナイフを取り出した。人を半殺しにするには十分な程のナイフだ。

女性は襲いかかった。それでいて強かった。

 

『復讐の為に強くなった!』

 

刑事は本気を出せば取り押さえることは出来る。そしてそうするべきなんだろう刑事としては。だが·····

 

『・・・君は本当に復讐がしたいのか?』

 

『そんなの・・・当然じゃない!』

 

だがその答えとは裏腹にどこか苦しそうだった。例えるならゴースト事件最終局面の時のスミレのように。

 

『だったら何で半殺しなんだ!?君のそんな腕があれば殺す事も可能だろう?』

 

それを聞き女性は目を見張ったがその考えを振り払うように・・・どこか現実逃避したいように男性に突撃した。そして・・・男性は立ったまま動かなかった。

 

『な・・・んで』

 

男性の腹に刺さる寸前にナイフは止まっていた。そして女性はナイフを手放した。それを見た男性は女性を抱擁した。

 

『何で・・・何で!?』

 

その問いに男性は少しあれな返事をした。

 

『あなたの事が好きだから』

 

そうはっきりと告げられ女性は泣き崩れた。

 

『ずっとあなたの事を待ってます。』

 

そう男性が言った。幸い誰も死んでいない。動機も相まって刑は普通のよりも少ないだろう。それでも年単位で見れば結構経つが・・・。そして・・・次のシーンはスミレは思わず顔を隠して指の間から見た

 

「はわわ」

 

恋愛映画定番のキスシーンがあったのだ。スミレはボルトの様子を見る余裕もなかった。父と母がキスしてるとこすら見た事なかったのだ。実質これが初めて見たキスシーンと言っても過言ではない。まあした事はあるが。

2人はその後映画館を出た。因みにポップコーンをスミレは割とガチに初めて食べたが美味しかった。2人は少し無言だったがボルトが話しかけた

 

「その・・・スミレ大丈夫だったか?」

 

ボルトも内容に思うことがあったのだろう、心配そうな顔を向けてきた

 

「う、うん。大丈夫だよ。でも・・・初めてのデートで行く映画としては・・・どうなんだろう?」

 

はっきり言えば割とドロドロしていた。結末は・・・まあ普通に良かったのだがその過程が本当にドロドロしていた。ああいう映画・・・まあそう言う趣味の方にはいいのだろうけど・・・自分達を一般と当てはめたら正直スミレはオススメしない。ポスターがちらほらあるという事はそれなりに人気なのかもしれないがスミレにはよく分からなかった。

 

「そっか·····まあ感想だしな。大丈夫だろ。」

 

「そうだね。」

 

そう言ってスミレは取り敢えず簡単なメモを取った。感想云々だから報告書を書かなくてはいけないからだ。そしてそれが終わったのを見てスミレは次の場所を見た。

 

「えっと・・・次はファイヤーパークだね。」

 

「あそこか・・・小さい時にヒマワリと行ったっけな。」

 

「そうなんだ。」

 

「おう。でもまああんまり行かなくなったんだけどな。」

 

「ふふ、じゃあ新鮮で何か良いと思うよきっと。」

 

「そ、そうだな。」

 

そう言い合い2人はファイヤーパーク・・・もとい、動物園に向かった。スミレはここにも初めて来た。入場料を払い2人は入り回った。

 

「はわわ!!可愛い!!」

 

そう言ってスミレはうさぎを抱いた。今2人がいるのは小動物達のふれあい広場でそこにいた白うさぎをスミレは抱っこして愛でた。ボルトはそんなスミレを見ていたら一瞬うさぎがビオラにすり変わって思わず首を振った。ボルトはうさぎを愛でているスミレの笑顔をじーっと見た。それにスミレは気が付き頬赤くしながら聞いた

 

「えっと・・・どうしたの?」

 

その問で思わずボルトはまた首を振って答えた

 

「な、なんでもないってばさ!」

 

正直に言うなら·····見惚れていたのだ。可愛いと言い換えてもいい。スミレはボルトの答えに首を傾げたがうさぎが顔をスミレに擦り付けたからスミレもそっちに向いた

 

「可愛いなぁ」

 

「それはスミレも·····」

 

ボルトはそこまで言って勢いよく自分の口を抑えた。幸いスミレに聞こえないぐらいの音量だったから良かった。·····まあ顔は真っ赤なのだが。その後スミレは残念そうにうさぎを下ろして違う場所を回った。

 

「はわわ、大きいね」

 

今2人が見てるのはオオタテガミオオカミだ。人よりも大きいオオカミとは一体·····。それはさておき何かめちゃくちゃ吠えられたから退散した。その後も色々見て回った。

 

「動物のパジャマって·····」

 

2人がいるのは売店だ。そこで動物のパジャマが色々あった。

 

「これスミレ似合うんじゃねえか?」

 

そう言って渡してきたのはタヌキのパジャマだった。スミレはそれに苦笑いした。

 

「似合う·····かなぁ?」

 

受け取りながら微妙な目で見た。·····というよりスミレとしては親がタヌキって名前だったから色々思う事はあるのだが。

 

「じゃあ試着してみたらどうだ?」

 

「へ!?」

 

正直に言うなら恥ずかしい。普通のパジャマならビオラがいた時に何度も見せたからいいがタヌキのパジャマって·····スミレは顔を思わず隠しながら条件を出した。

 

「じゃあ·····ボルト君は狐を試着してみてよ。」

 

「え!?·····わ、分かったってばさ。」

 

スミレは思わずそれに目を見張った。まさかOKするとはボルトの性格的にないと思ったのだ。だがそうなってしまってはしょうがなく2人は試着室に入った。

ボルトが何でOKしたのか·····スミレのタヌキのパジャマを着た姿を見たかったのかもしれない。2人は数分で互いに出た。

 

「はわわ」

 

パジャマの恥ずかしさとボルトの何か言いようのない可愛さに思わず口癖を言った。ボルトはボルトで赤くなってるがスミレを見て

 

「その·····可愛いってばさ。」

 

そう割と無意識に言った。スミレはそれを聞き今度こそ真っ赤に染まった。

 

「はわわわわわ」

 

2人はその状態のまま試着室の前に突っ立てたが客が入ってきたから2人とも目配せして試着室に引っ込んだ。そしてパジャマを元の場所に置き直し動物園を出て千手公園に向かった。ここでお昼となっていたのだ。結局パジャマは買わなかった。ベンチに腰掛けスミレが弁当箱を取り出した。

 

「な、何か結局また貸しが出来ちまったな」

 

「だ、大丈夫だよ。·····あ」

 

「どうしたんだってばさ?」

 

「箸·····1セットしかない」

 

色々朝パニックになっていたからつい1セットしか入れてなかった。

 

「ごめんなさい!」

 

「だ、大丈夫だってばさ。スミレが作ったんだからスミレが食べろよ」

 

と言ったのだが·····その瞬間に腹がギュルるとなってボルトの顔は赤くなった。スミレはそれに苦笑いしながら箸でご飯を取りボルトの口に持って行った。

 

「ほ、ほら。」

 

「え、いや·····」

 

恥ずかしいなんてものでは無いが食力が勝ってしまった。

 

「あ、あーん」

 

何て言葉を言いながらご飯を食べた。スミレもボルトが噛んでる間にご飯を食べた·····その瞬間に気がついた。

 

(これって·····関節キス!?)

 

それと同時に今日何度なったかも分からない真っ赤になった。そしてスミレは横目でボルトを見て様子を見た。特に何も・・・って感じだったからほっとした。・・・まだ続くのだが。2人はその後どちらも頬を赤くしながら食べさせ合いっこした。

 

「ご馳走様でした」

 

「うん。お粗末さまでした。」

 

スミレは弁当箱を片付けて2人はのんびりした。スミレはボルトが違う所に向いてる所に向きそこに向いた。そこはビオラと3人でお昼を食べた木の下だった。

 

「あそこ行く?」

 

「ん?そうだな。」

 

2人はそう言って1年も経ってないのに何だかもう懐かしく2人は穏やかな顔になった。そしてその内風が吹いてきた。スミレは何か自分だけは勿体ないと思い鵺を口寄せした。鵺はスミレの肩に乗った

 

「ぬえー」

 

「ふふ、風気持ちいい?」

 

そう笑顔で言ってスミレは前を向いた。そしてあのビオラとボール遊んだ時を思い出していた。・・・その時何か肩にいた鵺が降りた感覚がした後これまた何故かひと房の三つ編みの髪が引っ張られたというか持ち上げられ下ろされたと感覚で感じ少し目を向け・・・赤面になった。スミレの髪が寝っ転がって少し寝息をたててたボルトの顔面・・・目の辺りに乗っていた。スミレの髪がアイマスク代わりになった。

 

「ちょっと鵺!?」

 

「ぬえー」

 

鵺はそう泣きながらボルトの横で丸まって寝始めてしまった。まだ次に行くまでは時間があるから全然いいのだが・・・この格好は恥ずかしすぎる。

 

「・・・こういうの好きなのかな?」

 

スミレは思わずそう言った。こんな状態なのに寝れてるからそう考えた。·····でも恥ずかしすぎる。

 

「·····そう言う関係になれたら」

 

そこまで割と無意識に言い首を振った。そして唇に指を当てる。少しあの事故でキスした事を感覚と共に思い出す。そして·····今日の映画のラストシーンも思い出した。

 

「・・・キス、か。」

 

そう漠然と言ってみた。言った瞬間に元々早かった心臓の鼓動が更に早くなった。そんな時

 

「ん?な、何だこれ?」

 

「はわ!」

 

いきなり髪が持ち上げられびっくりしてボルトを見た。ボルトは寝ぼけの顔でスミレの顔を手に持っていたが徐々に赤面になって謝った

 

「なななんでだってばさ!?」

 

「ご、ごめんなさい。鵺が勝手に・・・」

 

ボルトはそう言って横で鵺が丸まってるのを見た。鵺もボルトに顔を向け鳴いた。

 

「ぬえー!」

 

「いや何言ってんのか分からねえんだけど」

 

·····鵺は今鳴いたのは「さっさとくっつけよ」という意味で鳴いたのだ。2人には分かる由もないのだが。そしてボルトはスミレの髪を持ってる事を思い出して隣に置いた。

 

「そ、そのすまねえってばさ。」

 

「だ、大丈夫だよ。」

 

「な、何かいきなり寝やすくなったなって思って目を開けてみたらスミレの髪があってびっくりしたってばさ。」

 

「そ、そうなんだ。」

 

自分の髪に何か催眠効果でもあるのだろうかと少し考えたがそろそろ予定では次に行く事になってるからと2人は立ち上がった。鵺に終わりと言えば鳴き声で答えた後に異界に帰って行った。2人はその後もデートコースを回ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「スミレお疲れ様。」

 

「ボルト君もね。」

 

2人はそう言いながらスミレの部屋に向かっていた。最初はボルトの家に行こうとしたのだがこの夕方の時間帯はヒナタもヒマワリも買い物に行ってるなと思ってスミレに言った所なら近いしスミレの部屋に行く事になったのだった。・・・まあボルトは無為に反対する訳にもいかず了承した。段差には気をつけようと誓った。スミレの部屋では2人で報告書というか感想文を書いてスイカに渡さなければならない。

 

「・・・その、スミレは今日どうだった?」

 

そうスミレに聞いた。午後も色々回ったのだが色々過ぎて疲れる人は疲れるかもしれなかった。

 

「うん。楽しかったよ!」

 

そうとびきりの笑顔を見せたスミレなのであった。そしてスミレはある事を思い出して少し頬を赤くしながら言った。

 

「その・・・手、繋いでもいい?」

 

「え!?」

 

ボルトは驚いてる間にスミレはコースの書かれた紙をボルトに渡した。そしたら確かに帰路で出来れば手を繋ぐなんて記述があった。どんだけ小心者なんだよと·····というよりこれやっぱり忍びがする任務じゃねーーっ!ってボルトは叫びたかったがその前にスミレが頬を染めたまま手を差し出したからボルトもゆっくりと握った。そして2人は無言で下を見ながら歩いて·····だが確かに互いの鼓動を伝えあって帰ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。
最初は普通にボルトが誘って里回るとか考えたんですけどこのシリーズのボルトは多分スミレが元気ない限りそういう事やらないので却下。
だったらもう無理やり任務にしちゃえ〜ってやりました。
何かTwitterで自分がリツイートしたパンダの服?みたいなものを着てる鵺が可愛かった(・ω・*)
次は白ゼツですね。

アンケート実施してます。今回は中忍試験の1次試験が終わるまでです。サラダ達の命運を決めてください( *˙ω˙*)و

(*´∇`)ノ ではでは~


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スミレの想い

おはようございますm(*_ _)m。VS白ゼツです。アニメと全く展開違うのでご了承ください


色々あったボルトとスミレのデート任務から更に数日が経ち第7班は今日も今日とて任務を終わらせ報告が終わりエスカレーターで下っていた。そんな時ボルトとスミレは会話した。

 

「今日の任務も楽勝だったってばさ。」

 

「でも油断しちゃダメだよ。最初の時みたいに何があるのか分からないからね。」

 

「分かってるってばさ。それよりもこれから飯行かねえか?」

 

そうボルトが聞けばスミレは少し悩み結局苦笑いしながら言った

 

「うーん、ボルト君が行きたい所で良いよ。」

 

「僕もボルトのいる所にいるよ。」

 

「え?それじゃあ雷バーガーになっちまうぞ?」

 

・・・まあ確かにボルト=雷バーガーみたいな所がある。スミレとしては団子屋辺りに行きたいが流石に昼ご飯で団子は無理だ。かと言って雷バーガーでも少しあれな気がするがカロリー低めなものを食べれば問題ないだろう。

 

「うん、大丈夫だよ。」

 

「そうか?じゃあ行こうぜ!」

 

そう言って3人は出入口に歩いた。そんな時近くにいた下忍の2人が言った

 

「第7班のルーキー様がお通りだぜ?」

 

「任務達成率100%だって。俺らよりも年下なのに天才は違うな〜」

 

どう考えても陰口である。そんな2人の陰口にスミレは思わずなにか言おうとしたがボルトがそれを止めそのまま2人の前を突っ切りながら言った

 

「そんなだっせー事言ってる暇あるなら努力しろってばさ。」

 

「何!?」

 

下忍2人は一気に憤怒の顔になり突っかかろうとしたがボルトにはそんなのはどうでも良くスルーした。スミレとミツキはそんなボルトを追って追いつき心配そうに言った

 

「・・・いいの?」

 

「良いんだってばさ。あんな事言ってる時点であいつらの力なんてたかが知れてるってばさ。」

 

まあ実際そうだから良いのだがスミレ釈然としてなさそうだった。そんなスミレにボルトは自分の手をスミレの頭に乗せて言った

 

「俺の為に怒ろうとしてくれたんだろ?ありがとな。」

 

実際スミレは怒ろうとした。ボルトが天才なのは否定しないが決してそれだけがボルトの全てじゃない。それをあの2人は才能があるだけみたいな言い方をしていたのだ。・・・多分ボルトじゃなかったらここまで怒る事は無かった。恐らくやんわりと言うか出口に出た辺りで気にしない方が良いよと言うだろう。だがボルトが言われた瞬間に何か言いようのない怒りを感じたのは否定出来ない。

 

「だって・・・ボルト君にあんな事言って·····」

 

「・・・大丈夫だってばさ。それに、俺達が任務をちゃんと達成出来てるのは俺だけじゃねえ、スミレとミツキが一緒にやってくれるおかげだってばさ。」

 

「ボルト・・・君」

 

そのままスミレの頭に手を乗せて甘い雰囲気を出していたがボルトが思い出したように言った

 

「そう言えばスミレのプレゼントすげえ良いぜ。」

 

「ほんと?良かった。」

 

あのデート任務から数日後にはボルトの誕生日があった。誕生日パーティーが催されスミレもプレゼントを持って行った·····と言っても何か高いものを渡したとかでは無く自分で作ったパジャマだった。狐の模様が入ってる。・・・服だけ作って模様をどうしようかとなっていたがデート任務の時に試着してもらった狐のパジャマが忘れられずに・・・でもあの狐のパジャマを渡しても多分あんまり嬉しくないような気がして・・・というか絶対に嬉しくない。まあボルトはスミレからの誕生日プレゼントならなんでも嬉しいのだが。そういう訳で狐の模様を入れてみた。最初はやっぱり何か実用的な物にしようかと思ったのだがスミレが受け取るならともかくボルトは裕福な家故にあんまりボルトが持ってなさそうなものが中々思いつかなかった。そこでビオラがいた時にそう言えばボルトのパジャマって白シャツ1枚だった・・・という事を思い出しパジャマにしようとなったのだった。

 

「何かヒマワリからの受けが良くてさ!」

 

「そうなんだ。もう少しでヒマワリちゃんの誕生日だからプレゼント作らなきゃ。」

 

「何作るんだってばさ?」

 

もう少しでボルトの妹のヒマワリの誕生日である。スミレはそれをボルトの誕生日に知った。だから次の日にはプレゼントの材料は買いに行った

 

「その・・・ぬいぐるみ作ろうかなって思ってるの。」

 

「スミレぬいぐるみも作れるのか、すげえな。」

 

「そ、そうかな?」

 

「そうだってばさ!ヒマワリきっと喜ぶぜ?」

 

「う、うん。」

 

・・・そのまままた甘い雰囲気に行ってしまった。あのデート任務から前までも少しあれだったのに更にこの2人はこういう甘い雰囲気を出すようになった。ミツキはそんな2人ニコニコ見ている。因みに受付所から出てくる忍び達はこの雰囲気を見て少し引いて離れて行ってる。ぶっちゃけこの雰囲気に耐えられる同期は多分ミツキぐらいのものだろう。もしかしたら黒衣ハコもいけるかもしれないが結局分からない。そんな甘い雰囲気を出してる2人に声をかける人物がいた。

 

「おっほん!2人ともいいかコレ?」

 

「こ、木ノ葉丸先生!?」

 

「に、兄ちゃんいつからいたんだってばさ!?」

 

そんな甘い雰囲気をサラッと、でも遠慮がちに打ち砕いたのはボルト達の担当上忍の木ノ葉丸だった。

 

「さっきからそこにいたぞコレ」

 

そう言って出入口辺りに指を指した。つまり今のは全部見られていたということだ。2人からすれば恥ずかしいことこの上ない。

 

「もう少しで中忍試験だが、お前達はどうする?」

 

中忍試験、それは文字通り下忍が中忍に上がる為の試験だ。ただ実力を見る訳では無い。状況判断力なども見られる。そして少し前に同じ質問をされた2人とミツキは答える

 

「勿論出るってばさ。」

 

「私も出ます。」

 

「ボルトが出るなら僕も出ます」

 

ボルトの誕生日の時ナルトが帰ってきた時に中忍試験の第3試験ではナルトだけでは無く5影が試験を見るということでボルトは言った

 

『俺の強くなった所ちゃんと見ろってばさ!』

 

そう拳を突き出したボルトにナルトも拳を合わせ笑いながら言った。

 

『おう!楽しみにしてるぜ!』

 

だからボルトはその約束を果たす為に中忍試験には元々出る予定だったがこれにより更にやる気を高めたのだった。因みにナルトが誕生日パーティーに来れた経緯としては火影室にて

 

『その・・・シカマル』

 

『何だ?』

 

『ボルトとヒマワリの誕生日には・・・早めに帰ってもいいか?』

 

それを聞いたシカマルはふっと笑って言った

 

『何言ってんだ、お前は普段から頑張ってんだから子供の誕生日位普通に帰っても誰も文句言わねえよ。』

 

ナルトは細かい事も・・・それも他の人にやらせても問題ないやつも自分でやろうとする。それは自分が結果を出さなきゃまた里の人に見捨てられるんじゃないかという不安からだった。それにより疲労が溜まったり家に帰れずしたりしてボルトと分かり合えず少しあれだったがビオラのおかげで今はそんな事も、少なくても家族の時間も一段と大切にしようと思えるようになったのだ。その後3人は帰路につきミツキと別れ2人は話しながら帰った

 

「そう言えば紫電は出来た?」

 

「それが難しくてさ。やっと何か小さい紫電は出来るようにはなったけどまだ実践じゃ使えないってばさ。」

 

「そうなんだ。」

 

その後も2人は仲良く並んで帰った。

次の日任務の受付所にて7班は木ノ葉丸から任務の内容を聞いた

 

「今回の任務は火の国辺境の町で起こった電車強盗犯を捕まえることだコレ。」

 

そう言いながら資料を渡す。

 

「強盗犯って・・・俺達に回るって事は大物じゃねえよな」

 

そうなんかシュンとした感じで言ったボルトに苦笑いしながらスミレが言う

 

「うん。ここに4人って書いてるね。」

 

そう資料の1部を指した。それに木ノ葉丸は頷き言った

 

「そこは鉱山町でな。使われていない廃坑がいくつかあるんだ。」

 

「そのどれかに逃げたという事ですね。」

 

木ノ葉丸はそれに頷き昼から出発するという事になり一同は解散し準備してから再び受付所の前に集合した。そんな時受付所から出てきた人物にボルトは声をかけた。

 

「父ちゃん!」

 

「ここでは7代目だ。」

 

そう苦笑いしながらナルトは言った。まあナルトももしミナトが生きていたら父ちゃんとずっと呼ぶ自信があるから何とも言えないのだが。シカマルは親子の時間を邪魔しまいと思い先に歩いて行ったからスミレとミツキも先に電車に向かった。そしてナルトは聞く

 

「今から任務か?」

 

「そうだってばさ。何か強盗犯を捕まえるって任務だっばさ。」

 

「そうか、油断するなよ?」

 

「分かってるってばさ。」

 

そう互いにまた拳を合わせ2人はそれぞれの任務と仕事に向かったのだった。

ボルトは先に向かった2人を追った。途中で木ノ葉丸も合流した時にボルトはある人を見つけた

 

「あれ?カタスケ先生?」

 

「おー!これは若、これから任務なのですか?」

 

カタスケ、科学忍具班の主任である。

 

「ああ、先生はどうしたんだってばさ?」

 

「私は材料を買いに来たのですよ。そうだ、少し遅れましたが若にプレゼントを差し上げましょう。」

 

そう言ってカタスケはカバンから何やら球体のものを取り出しボルトに渡した。それが何なのか分からずボルトは首を傾げた。スミレとミツキも不思議なものを見る顔で見ていた。そんな謎の球体のものを見て木ノ葉丸が聞いた

 

「先生、これは一体なんですか?」

 

「ふふふ、よく聞いてくれました。それは今開発中の煙閃光弾という科学忍具の前身のものです。まだ煙閃光弾は開発していますがその科学忍具はそれの副産物で出来たものです。それは光で相手の動きを止めることが出来ます。ただし時間は短いです。その間に決着をつけるか退散しなくてはいけません。」

 

「成程、すげえなカタスケ先生!」

 

「いやー、若に褒めてもらえるとは光栄ですなー!」

 

本当に嬉しそうに言ったのだった。その後カタスケと別れ4人は電車に乗り任務の地に向かった。

 

「ここかー」

 

「確かにいっぱい廃坑があるね。このどれかに」

 

それに木ノ葉丸は頷き歩いていく。ボルト達もついて行く。自分達がやる任務だから忍び相手ではないだろうが最初の任務みたいに油断は出来ない。その内町に到着し町の代表者のご老人が任務の説明をしてくれる筈なのだがそのご老人は微妙な顔をし言った

 

「木の葉の方ですかな?」

 

「はい。」

 

「申し訳ないが事情が変わったのです。ついてきてください。」

 

そう言って老人は歩き出しボルトとスミレは顔を見合せた後ついて行った。そこにあったのは牢屋で中には何やら震えてる人物がいた

 

「彼は?」

 

「強盗犯の1人です」

 

「まさか我々が来る前に突入したのですか?」

 

「いいえ、彼は自分から飛び出してきたんです。随分と慌てふためいて」

 

木ノ葉丸はそれを聞きその強盗犯に聞いた

 

「おい、他の仲間はどうした?」

 

「あぁぁ!もうダメだ!皆死んじまった!」

 

「死んだ?」

 

その物騒な言葉に困惑の顔のボルト

 

「うぅぅ、皆あのバケモノに殺されたんだ!」

 

「ずっとこの調子でね、相当恐ろしい目にあったのでしょう。」

 

「あ、あの白いヤツが襲ってくる!」

 

「白い・・・」

 

それを聞いた木ノ葉丸は顎に手を当てて何やら考えた。そしてスミレも少し考えた。だが2人はその考えを1度振り払った。一同は1度外に出て木ノ葉丸が聞いた

 

「なら我々の任務はその白いヤツの調査ですか」

 

「はい。どうかよろしくお願いします」

 

その後4人はあの怯えていた強盗犯が出てきたという廃坑の入口に立った。

 

「一体なんなんだろうね、白い化け物って」

 

その時ボルトはスミレの何か不安そうな顔を見て聞いた

 

「スミレどうしたんだってばさ?」

 

「うんうん、何でもないよ。ただ・・・その白い化け物って言うのがね・・・」

 

「?」

 

「·····お父さんが言ってたんだ。第四次忍界大戦の時に忍連合軍を苦しめた・・・白ゼツって言う生物兵器が沢山戦場を混乱に落ち入れさせたって」

 

「・・・スミレの言う通りまさかとは思うが白ゼツの可能性も否めない。皆しっかり警戒するんだコレ」

 

だがそこでボルトは白ゼツを知らないから聞く

 

「白ゼツってそんなにやばいのか?」

 

「ああ、チャクラまで同じにする変化を使えたりしていたからな。」

 

変化・・・忍びの基本的な術だが姿が変わってもチャクラまでは変わらない。だが白ゼツは姿だけでは無くチャクラまでその姿の人物と同じになるから白眼などでは見分けがつかなかったのだ。

 

「へぇー、どうやって勝ったんだってばさ?」

 

「7代目の九喇嘛モードで見分けたんだコレ。」

 

「なるほど。」

 

そうボルトは素直に感心した。そしてスミレにも感心したように言う

 

「・・・何でスミレのお父さんはそんな事知ってたんだ?」

 

スミレの父親は研究者であり恐らく大戦には出ていない。そんなスミレの父親が何故そんな事を知ってるのか気になった。

 

「多分・・・牛頭天王の研究の時に知ったんだと思うよ。白ゼツと牛頭天王の共通点はどちらも柱間細胞が使われているからね。」

 

・・・忘れがちだがスミレは柱間細胞の適合者である。だから牛頭天王も適合できたのだ。そんな少し暗い雰囲気の中木ノ葉丸が言った

 

「強盗犯とは言え、生きていたら救出するのも任務の内だ。命がかかってる。だがだからと言って焦るなよ。」

 

それに3人は頷き廃坑に入って行った。狭い廃坑の中を進んで行く。

 

「随分と遠くまで来たな」

 

そんな時ミツキが何やら見つけて呟く

 

「ねえちょっと」

 

その声にボルトもスミレもミツキが見てるものを覗いた

 

「これって・・・」

 

「もしかして強盗犯の・・・」

 

何やら箱にもたれかけられていた。それは人だった。だがどう見ても既に息はなかった。ボルト達の話を聞いてた木ノ葉丸も反対側に進み言った

 

「こっちの行き止まりの先にもあった。2人分な」

 

「じゃああの人の仲間は全員・・・」

 

「全身を鋭い刃物で切り裂かれている」

 

「俺が見つけた2人は黒こげになってたのと雷撃をくらったような痕跡があった。」

 

3種の痕跡・・・なら普通に考えれば

 

「複数の忍び?」

 

「その可能性もあるが・・・」

 

「白い化け物・・・か。」

 

そんな時足元を見ていたミツキが言った

 

「これじゃないかな?この人達の足跡。奥から逃げてきてる。そして・・・」

 

そう言って一際でかい足跡を指さす。木ノ葉丸がそれに少し戦慄しながら言う

 

「こいつだけ随分と大きいな、恐らく身長は2メートル以上」

 

「ならこの足跡の持ち主があの人達を・・・」

 

「だとしたら随分多彩な術を使うんだね。」

 

「なんにしろこの奥にこんな事した化け物がいるってことか」

 

それに頷き木ノ葉丸は言った

 

「ここからは臨戦態勢だ。一瞬たりとも気を抜くなよ!」

 

その後4人は前に進んだ所、あるものを見つけた。それはカグヤのマークだった。今はそれよりも化け物の方が重要だ。4人は足跡を追い続け途中で無くなった事に気がついた。

 

「足跡が」

 

「途切れてる・・・」

 

「まさか罠か!俺達をここまで誘い込む為の」

 

そう木ノ葉丸が言った瞬間に4人は陣形を組んだ。全員背中合わせにしてある場所以外の死角を無くすフォーメーションだ。だが罠だとしてもまだ正面から来ない。という事は・・・

 

「上だ!」

 

そう言った瞬間にボルト達は下がり降りてきたやつを木ノ葉丸が迎え撃った。そして歯を食いしばりながら言う

 

「何でこいつが・・・」

 

「白ゼツ・・・でも何でこんな姿に」

 

そうスミレが呟いた。目の前にいる白ゼツはスミレや木ノ葉丸が知ってる姿とは全く違う。何やら表現するなら白ゼツが三体くっついたみたいな姿になっている。スミレの呟きの間に木ノ葉丸は下がった。そのスミレの問答に白ゼツが答える代わりに何やら口から黄色の閃光が走った。

 

「来るぞ!」

 

4人はそれぞれ別方向に飛んで雷遁を躱した。そして2つ目の顔の白ゼツの口にまた光が見えまた放出された

 

「今度は火遁か!」

 

そして今度は鋭利な腕を振り払いボルトに向かった。ボルトはそれを躱しながら言った。

 

「今度は風遁か、こいつどんだけ遁術を使えるんだ!?」

 

そして白ゼツはボルトに襲いかかった。ボルトに振り下ろされた鋭利な腕を木ノ葉丸が間に入り止めた。その間にボルトは木ノ葉丸の影から出てきて白ゼツの顔を1つぶん殴った。だが何かゴムを殴ったような感覚がした。

 

「効いてねえのか!」

 

そう思わず言った瞬間にまた鋭利な腕が振り下ろされボルトと木ノ葉丸はそれぞれ下がった。そして4人は集まり異様な白ゼツと相対した。

 

「くっ!この白ゼツは知能は低いが代わりに強さが桁違いだ。」

 

白ゼツはそんな4人の所に走ってきた。ボルト達はそれぞれ散り木ノ葉丸がクナイを2本持って迎え撃った。繰り出される攻撃は一撃が重く木ノ葉丸は反撃が少ししか出来ない。

 

「援護するぞ!」

 

そう言ったボルトは手裏剣をカーブさせて投げた。その手裏剣は木ノ葉丸の後ろからいきなり来て木ノ葉丸の横辺りで曲がり白ゼツの目に刺さった。

 

「良いぞボルト!」

 

その間に木ノ葉丸はクナイを腹に突き刺し横にえぐった。白ゼツはそんな木ノ葉丸を痛みを耐えてぶん殴ろうとするがその前にスミレが動いた

 

「口寄せの術!」

 

煙の中から鵺が出てきて鵺はそのまま少し迂回して木ノ葉丸に鋭利な腕を振り下ろそうとしてる白ゼツに突撃した。走ってる最中鵺はどんどん大きくなりとうとう虎サイズにまでになり白ゼツに体当たりして白ゼツを吹き飛ばした。木ノ葉丸は鵺がぶつかる瞬間にクナイを抜き下がった。

 

「鵺下がって!」

 

吹き飛ばされた白ゼツがいきなり立って反撃しないとも限らない。だからスミレは鵺に下がってと言ったのだが

 

「グルル!!」

 

「鵺ダメ!」

 

鵺は静止の声を聞かずに再び白ゼツに向かった。白ゼツは立ち上がりその鵺を押さえ持ち上げた。

 

「鵺!」

 

スミレの叫びの答えは投げられる鵺だった。鵺は投げられ白ゼツは何故か退散して行った。木ノ葉丸にえぐられた傷の治療にでも行ったのだろうか?そんな事よりスミレは近づいて言う

 

「鵺・・・どうして?」

 

鵺はそれに答えず投げられたお返しでもしたいのか追おうとしたがスミレが叫びながら止めた。

 

「鵺ダメ!」

 

そんなスミレにミツキは聞いた

 

「鵺を制御出来ないの?」

 

スミレはそれに神妙そうに頷いた。なぜ制御出来ないのかが分からないのだ。そんなスミレを見ながら木ノ葉丸が言う

 

「・・・鵺が制御出来なければ·····お前だけじゃなく他の人も危険に晒す事もある。」

 

スミレはそれを聞き暗い顔になりながら鵺を見る。鵺は白ゼツが逃げて行った方向をじっと見ていた。そして絞り出すように言う

 

「・・・分かってます。」

 

木ノ葉丸はそれ以上何か言う事もなく言った

 

「あいつはやはり白ゼツだ。全部倒されたと思ってたんだがな。」

 

「この先にあいつの秘密があるのか・・・」

 

そうボルトが呟き一同は白ゼツが逃げて行った方を向き歩き出した。鵺はサイズを戻しスミレの肩に乗った。この状態の時は言う事を聞いてくれるのだが虎サイズになれば言う事を聞いてくれなくなる。スミレは肩にいる鵺を見ながら暗い顔をする。そんなスミレにボルトが言った

 

「スミレはよくやってるんだから、さ。鵺もきっと答えてくれるってばさ。」

 

「·····うん。」

 

ボルトの励ましを貰っても暗い顔のままだった。だがボルトは当事者でもないのにこれ以上何か言える訳がなくボルトも顔を下げた。そして一同は何やらでかいつぼみを見つけた。

 

「こんな所に大筒木の遺跡があったとは・・・。かつて白ゼツは大筒木カグヤの手によってこれと同じ木の根で無数に培養されていた。だがさっきの白ゼツは資料で見た白ゼツとはどれも違った。」

 

「放置されていた間に変化したのかな?」

 

ミツキは皆が話してる最中何やら階段を見つけて覗き見てた。

 

「じゃあこの下にはあんな白ゼツがいっぱい・・・」

 

「流石にそれは不味いってばさ。」

 

「いや、それは無いんじゃないかな?」

 

スミレの懸念を払ったのはミツキだった。何故と顔を向ける

 

「主人を失って10年あまり。あのつぼみ枯れているし活動しているとは思えない。チャクラが供給されない限り孵化しない筈だよ。」

 

スミレはどこかそれに納得できた。少しだけ牛頭天王のシステムに似ていたからだ。木ノ葉丸が聞く

 

「ミツキお前よくそんな事知ってるな」

 

「前に親に教わったんです。」

 

・・・スミレとしてはミツキとは殺し合いをした仲だしミツキのその時の言い分は命令されたからと言うものだった。だが結局誰からの命令だったのかは知らない。ただ何となく予想はしている。ミツキの出身の音隠れの里は元は伝説の三忍の大蛇丸が木の葉の里を潰すためにできた里だ。だったら普通に考えて命令をしたのは・・・大蛇丸という事になる。だが今は仲間、そもそもミツキはもうスミレを殺すなんて物騒な命令はもう受けていないとアカデミーの卒業文集の時に聞かされた。だからスミレもミツキの親は予想はしているがあの人男か女なのかよく分からないという。

 

(それに・・・)

 

スミレは木ノ葉丸を見ながら心の中で言う

 

(もし私の予想どうりミツキ君の親があの人だったら・・・木ノ葉丸先生は知ってるのかな?)

 

そう考えたが直ぐに首を振った。ボルトがその時言った。

 

「兄ちゃん、ここは4人でぶっ潰しに行くべきだと思う。」

 

木ノ葉丸はボルトに向きながら先を促す

 

「俺達が一旦木の葉に戻って応援を呼んで来るって言うのも手だけど・・・あいつが俺達を襲ってこないとも限らねえ。なら固まっていた方が俺はいいと思う。」

 

「僕も同感かな。」

 

そうボルトとミツキが言った。木ノ葉丸は少し考えた。確かに木ノ葉丸は1度ボルト達を里に戻らせ応援を呼んで来させようと思った。だがボルトの言う事にも一理ある。木ノ葉丸は5秒ほど唸り言った

 

「分かった。4人で奥に進みあいつを倒す。だから今から言う作戦をちゃんと聞くんだ。いいな?」

 

「「了解!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4人はその後奥に進み何やら岩の間で休憩している先程の白ゼツを見かけボルトが起爆札を幾つか投げた。休憩中の白ゼツは爆発に飲み込まれたが煙の中から赤い光が見えたと同時にスミレは3人の前に出て印を組んだ。

 

「水遁・水陣壁!!」

 

そう言ってスミレは巨大な水の壁を口から放出した。・・・本来水陣壁は上忍レベルの術だがスミレはアカデミー時代から出来ていた。それはやっぱりスミレは努力家という事だろう。それはさておきスミレの水陣壁は4人を守るように聳えた。と同時に白ゼツの顔の1つから火遁が発射された。スミレの水陣壁とぶつかり合い消火され湯気が出て周りを煙に染める。白ゼツはそんな状態で狙いを定められず近接にシフトした。だがそれこそが木ノ葉丸の作戦だ。ボルトと木ノ葉丸は互いに同じ印を結んだ。

 

「「影分身の術!」」

 

合計8体の分身が白ゼツを翻弄する。白ゼツは煙の中から縦横無尽にやってくるボルトと木ノ葉丸に対応出来ずボコボコにされる。

 

「こうやってあいつの体力を削っていけば・・・」

 

「ああ」

 

木ノ葉丸の作戦は白ゼツの体力を削り大技で決める事だった。・・・だが

 

「おおおおーっ!」

 

白ゼツは謎の雄叫びを上げ腕を振った。ボルト達はそれぞれ上空に飛んで躱した。白ゼツがやったのは風遁だ。風遁で煙を吹き飛ばしついでに8体の分身も蹴散らしたのだ。と着地した時にスミレの肩にいた鵺が

 

「鵺待って!!」

 

スミレの静止の声を聞かず走りながら再び虎サイズになりながら白ゼツに突撃した。

 

「ぬえーーーーっ!」

 

鵺と白ゼツが激突した。押し合いを始め力は同じくらいだ。だがこれ以上の助走も無しに鵺は力を上げる事ができなかった。そんな時鵺の目の前いる白ゼツの顔から光が出た。

 

「鵺逃げて!!」

 

だが一足遅く鵺は雷遁によって吹き飛ばされた。

 

「ぬえー」

 

「鵺!」

 

スミレは悲鳴に近いものを上げた。だが白ゼツを咄嗟に見ると鵺に向けてまた雷遁の兆候を出していた。鵺はまだ立てていない。そう分かったスミレは鵺に向けて駆け出した。もう水陣壁は間に合わない。ならスミレが鵺の為に出来ることは・・・

 

「スミレ!!」

 

そうボルトも悲鳴に近いものを上げた。スミレは鵺の前に白ゼツ任務の背中を見せて鵺はを庇った。そして・・・

 

「くっ・・・は」

 

「スミレ!!」

 

スミレは白ゼツの雷遁を鵺を庇ってまともに受けたそれにより鵺に向けて倒れた。鵺はスミレを見て目を見開いた気が・・・いや見開いている。

 

「てめぇ!」

 

「ボルト!!」

 

ボルトはスミレがされた事の怒りにより白ゼツに突撃した。白ゼツは倒れてるスミレと鵺の所に向かおうとしたが走って来るボルトを迎え撃った。白ゼツは鋭利な腕を振り下ろした。ボルトはそれを紙一重で避けクナイを白ゼツの顔面の1つに突き刺した。

 

「ーーー!」

 

声にならない悲鳴を上げ無作為に暴れた。

 

「グッ!」

 

ギリギリクナイを間に置いてガードしたが白ゼツの力の方が強く吹き飛ばされた。一方スミレは雷遁をまともに受け体があまり言う事が聞いてくれない体で鵺に泣きながら言う

 

「鵺·····私にとってあなたは大事な友人で·····家族なの。」

 

それは紛れもないスミレの本心だ。最初は兵器として育てたのは間違いない。だがボルトに指摘され気がついた。鵺にも意思がありチャクラをくれるスミレを親だと思って育った。

 

「あなたにもうボルト君達のチャクラはあげられない。・・・それがあなたの反抗期の理由なのかもしれないけど・・・それでも·····私は・・・あなたにとっての大事な人であり続けたい。」

 

チャクラを貰えなくなったから鵺は反抗期になったのか・・・それは正直分からないがスミレは鵺とこれからも家族であり続けたい・・・その気持ちはゴースト事件後から変わっていない。

 

「私はあなたを守る·····だから・・・鵺は私を守って!!」

 

そう心から叫んだ。一方ボルトとミツキは白ゼツと激闘を繰り広げていた。ミツキは伸びる腕を伸ばし白ゼツの太い腕を絡め動けなくした。その間にボルトはクナイを何回も切りつけるが何やら人じゃなくて皮を斬ってる感覚がして手応えがいない。

 

「ちっ!」

 

舌打ちをしながらボルトとミツキは下がり木ノ葉丸に並んだ。そして思わず愚痴る。

 

「こいつ回復力もあるし何よりこのパワーが強すぎる。」

 

既に切りつけたクナイの後が既にもう塞がり回復している。パワーだけなら鵺でしか対抗出来ない。パワー攻撃を受ける前に一気に決めるしかない。ボルトはその時気がついた。白ゼツが腕を振った事を。それは風遁の行動だ。そしてその振った先には

 

「スミレ!!」

 

スミレが倒れてる方向だ。ボルトは駆け出そうとしたがもう間に合わない。あの風遁はカマイタチ、最悪斬られてしまう。ボルトはそんな想像を振り払い走るがやはり間に合わない。だが・・・

 

「ぬえーーっ!」

 

鵺が雄叫びを上げ尻尾でその風遁をかき消した。

 

「鵺・・・」

 

スミレはそう言いながら立ち上がった。鵺も立ち上がりスミレを見た。スミレはそれに頷きで返す。

 

「鵺・・・一緒に戦って?」

 

「ぬえ!」

 

そう言った瞬間にスミレと鵺は駆け出した。

 

「水遁・水練波!」

 

水練波を白ゼツの3つの顔に放ち視界を一時的に制限した。白ゼツは制限されるのが嫌だから水練波を腕を振って回避するが振るだけでもある意味視界は制限される。鵺の体当たりが白ゼツを少し後ずらせた。スミレはそんな白ゼツに突撃する。勿論白ゼツは腕を振り下ろすがスミレは迎え撃つのではなく身軽に避けていく。パワーがいくら高くとも当たらなければどうということはない。そして体にクナイを突き刺した後飛んで後ろに下がり入れ替わりに再び鵺が体当たりをした。

 

「2人とも、スミレと鵺の援護するぞコレ!」

 

「了解だってばさ!」

 

木ノ葉丸のその返事を聞きながら叔父が使ってたチャクラ刀に似ている忍具を取り出した。そして横から白ゼツに攻撃した。白ゼツは体当たりして少し止まった鵺に攻撃しようとしていたが木ノ葉丸に続きまた腕を振って風遁を出したが木ノ葉丸は飛んで躱しチャクラ刀にチャクラを流し刃として白ゼツの厄介な腕を1つ切った。

 

「こっちは任せて!」

 

そうミツキが言って印を組んだ。ボルトはその間に後ろから術を発動した。

 

「風遁・烈風掌!」

 

そう言って強烈な風を起こしたが白ゼツは残ってる腕を振ってその風遁をかき消した。だがそれこそがボルトとミツキの狙いだ。腕を振り抜き狙いやすくなった体と腕の結合部に向けてミツキは

 

「風遁・カマイタチ!」

 

そう言って鋭利なカマイタチを白ゼツの腕に飛ばしもう1つの腕を切断した。ボルトはその間に後ろの腰に手を回し朝受け取ったカタスケからの誕生日プレゼントを白ゼツの目のあたり目掛けて投げた。スミレはそれが見えた瞬間に水練波を白ゼツの腹辺りに何発も撃った。白ゼツに目を覆わせない為だ。

 

「鵺!何も気にせず走って!」

 

鵺はそのスミレの呼び声に応え一旦下がり勢いよく駆け出した。その間にボルトの投げた科学忍具が白ゼツの目の前に来て光った。その光に白ゼツは思わず目を閉じた。そしてそれはチャンスだ。

 

「鵺頑張って!」

 

「ぬっえーーーーー〜っ!」

 

鵺の全力疾走からの全力体当たりが白ゼツにガードする間もなく直撃した。白ゼツは最初体当たりされた時とは別次元のスピードで吹き飛び壁に勢いよく激突した。そして静寂が訪れた。壁に激突した白ゼツは壁に張り付いた後倒れ・・・そのまま動かなくなった。

 

「やった・・・のか?」

 

そうボルトが呆然と呟き木ノ葉丸は白ゼツに寄って行き螺旋丸でトドメをさした。そして振り向きながら言った

 

「よくやったな、お前ら。」

 

「よっしゃーーーーっ!」

 

正しくボルト達にとっては激戦だったが制したのだ。嬉しくない訳ない。スミレは少しへなへなと女の子としてはどうかと思うが尻もちをついて歩いてくる鵺に腕を回して言った。

 

「鵺・・・ありがとう。·····これからも・・・不甲斐ない私だけど・・・一緒にいてくれる?」

 

その答えはスミレの頬に擦り寄る事だった。

 

「ぬえー」

 

「ふふ、疲れたの?少し休んでて。」

 

そう言われたから鵺は元のサイズに戻り今度はスミレの頭に乗った。そしてスミレは立ち上がった。そんなスミレと鵺の様子にもう大丈夫だろうみたいな顔をして木ノ葉丸は頷いた。そして奥に向いた。3人もその方向を向く。

 

「・・・油断するなよ」

 

「分かってるってばさ。」

 

木ノ葉丸が呟きボルトが答えスミレとミツキは頷いた。4人と1匹は奥に進んだ。その最中にあったものを見てスミレが思わず言った

 

「何ですかこれ?」

 

「やっぱりだ、これは白ゼツを育てる為のまゆみたいなものだ。」

 

かつて自分も囚われた事があるから覚えているのだろう。

 

「じゃあこれまさか全部・・・」

 

「いや、それは無さそうだ。」

 

木ノ葉丸が否定し周りを見たからスミレも周りを見る。

 

「腐ってる・・・」

 

4人と1匹はその後も進み行き止まりの所に来たから木ノ葉丸が言う

 

「ここが最深部か。」

 

「この中にまだあんな白ゼツがいたら・・・」

 

そうスミレが少し不安そうな声を上げた。

 

「ぬえー!」

 

「・・・うん。分かってる。私も鵺を守るよ。」

 

そう会話した。

 

「もしそうなった時は力の限り戦うしかない。気を抜くなよ」

 

そう言いながら螺旋丸をだし壁にぶつけいたのは

 

「うわ!」

 

思わずボルトがそう言った。いきなり白ゼツが倒れてきたのだ。誰でもそうなる。だがその白ゼツは襲う事もなくバタッと倒れた。その白ゼツの背中には黒炎が燃え盛ってる。

 

「これは・・・その炎には触れるな!」

 

そう言いながら燃えてる白ゼツを迂回して少し進み立ち止まった。ボルト達も迂回してその光景を見た。

 

「これは・・・天照」

 

「何ですかそれ?」

 

ミツキが聞いた。

 

「サスケさんだ。これはあの人だけが操れるあらゆるものを焼き尽くす炎。どうやらここには数十匹が存在していたみたいだ。サスケさんが先に来てなかったらやばかったなコレ。」

 

「サスケさんやっぱり強えーーーっ!」

 

そうボルトが目を輝かせて言った。自分達は4人と鵺で漸く倒したのに対しサスケは1人であんな白ゼツ軍団と戦って殲滅したのだ。憧れない訳ない!

 

「俺達が戦った白ゼツはここにいたやつの生き残りだったようだな。」

 

「でも何でサスケさんがこんな所に·····何かの探し物の旅とは言ってたけど・・・」

 

ボルトはサスケがまだいた時に何してるのか?と聞いた時サスケは探し物の旅と言っていた。ボルトは探し物の中身が気になったが教えてくれずまたサスケは旅立ってしまったのだ。

 

「いや、その探し物というのはある意味あってるな。これを見たならやむを得ないか。サスケさんは単独で大筒木カグヤの痕跡を調査する極秘任務に就いてるんだ」

 

カグヤの痕跡を探すということでボルトに言った事は決して嘘ではない。そしてボルトはある可能性を思い当たり興奮しながら聞いた

 

「そうだ!なら近くにサスケさんいるんじゃねえか?」

 

だが木ノ葉丸は首を振った。

 

「サスケさんは輪廻眼の力で空間を越えて移動する事が出来る。もう近くにはいないだろうな。」

 

「す、すげえ!やっぱり父ちゃんよりもかっけえーーっ!

 

ボルトはナルトのイメージは回復したがまだ何かかっこいいと思った出来事は特にない。対してサスケは目の前で成果を表しどこかを旅してる・・・ボルトの厨二心を燻るには十分だった。

 

「僕も親から聞いた事あるよ。誰からの称賛を受ける事もなく影から木の葉を支えてる最強の忍びだって」

 

「おーっ!ミツキの親分かってんじゃねえか!」

 

4人はその後廃坑を出て町に寄り電話を貸してもらいあの遺跡の調査する為の人員を呼んで貰った。しばらくして分身ナルト率いる調査隊が来て木ノ葉丸はナルトの説明に、ボルト達は遠目からその様子を見ていた。

 

「・・・俺達は蚊帳の外かよ!」

 

思わずそう叫んだボルトにスミレは苦笑いしながら言った

 

「しょうがないよ。私達まだ下忍だし・・・蚊帳の外が嫌なら今度の中忍試験頑張って受かろうよ。」

 

そのスミレの言葉にボルトは不承不承頷いた。その時スミレの頭に乗っていた鵺が鳴いたからスミレは鵺を抱っこして聞く

 

「どうしたの?」

 

「ぬえー」

 

「???」

 

何やら鵺は白ゼツになりかけたものを見ているがスミレ達には分からない。・・・理由としては牛頭天王は実は大筒木の秘術であり鵺はそれを媒介に呼ばれていたから何か反応したのかもしれない。

 

「あ、父ちゃん」

 

ボルトがそう言ったからスミレとミツキも見ると木ノ葉丸とナルトが近づいて微笑みながら言った

 

「お前達、よくやったな。お前達がここであいつを倒さなきゃ町の人達が危なかったかもしれねえ。お前達の手柄だ。」

 

そんな褒め言葉にスミレとミツキは笑ってボルトは照れ隠しなのか腕を組みながら言った。

 

「ま、まあ俺達にかかれば楽勝だったってばさ。」

 

「ふっ、そうか。」

 

「鵺が凄かったんだぜ?めちゃくちゃ白ゼツを吹き飛ばしてさ!」

 

「へー」

 

そう言いながらナルトはスミレの腕にいる鵺を見た。鵺もナルトを見て鳴いて答えた。そして鵺を撫でながらスミレに聞いた

 

「鵺のコントロールは上手くいったか?」

 

「は、はい。・・・あれ?なんで7代目が知ってるんですか?」

 

ナルトは鵺の暴走の事は知らなかった筈だ。何故知ってるのか純粋に気になった。

 

「ああ、カカシ先生に聞いたんだってばよ。2人の修行を見たって。幻術の修行は疲れたろ?」

 

「は、はい。」

 

スミレはなんべんも幻術をかけられ幻術の耐性をつけた。流石にサスケなどの幻術は分からないが前よりもマシになった筈だ。

 

「ボルトも紫電を習ってるんだって?」

 

「お、おう。まあな」

 

「紫電は応用が効く。きっと役にたつってばよ。それにある程度千鳥と似たような使い方も出来るだろうからな。」

 

「そ、そんなの分かってるってばさ!」

 

この場にいた全員「あっ、嘘だ」とは思ったが誰も何も言わなかった。その後木ノ葉丸を置いて3人は木の葉に帰る電車に乗っていた。ボルトは背を伸ばしながら言った。

 

「今日は疲れたってばさ・・・」

 

「そうだね、私も疲れたよ。」

 

「2人は仲良いんだね」

 

ミツキのそんな素朴な一言に思わずボルトは赤面になった。

 

「ちょっ!ミツキ!」

 

ミツキはそんな慌てようを見ても首を傾げただけだった。そしてボルトはスミレの反応が無かったことに気が付き隣に座って鵺を膝に置いてるスミレに顔を向けたがその時

 

「なっ!?」

 

スミレがボルトの左肩に頭を乗っけて寝息を立ててしまった。

 

「委員長寝たみたいだね。」

 

ボルトはと言うとスミレの寝顔に思わずまた赤面になった。そう言えばとスミレの寝顔を見た事は無かったと思い出した。スミレは気持ちよさそうに寝ているから起こす訳にもいかずボルトは出来るだけ外を見てスミレの寝顔を見ないようにした。そんなボルトをミツキは不思議そうな顔で見ていたのだった。

 

 

 

 

 




お疲れ様でしたm(*_ _)m。
鵺・・・暴走終了。ぶっちゃけアニメで何で鵺が暴走したのか知りませんけども自己解釈出て原因出しました。ノベライズ版3巻にてアニメにないセリフでボルトが「チャクラを与えて育ててくれた委員長を親だと思ってる」みたいな事が書かれてたんでじゃあチャクラ貰えなくなったからじゃね?ってなりました。呪印編で鵺が名前忘れましたけど敵を吹き飛ばした後チャクラを吸ってたのでそうなんじゃないかな?って思い。力が強くなったというのもあるけどその力を補うためのチャクラを貰えなくなったからという事にしました。

チャクラではなく信じる事によって鵺の暴走を止めました。

そしてボルト、サスケの凄さを痛感。これからもより修行に励む事となるでしょう。

そして最後にボルスミ持ってくる。スミレの頭を肩に乗せて寝させる。何気にボルトがスミレの寝顔を見たのは初めて。
スミレはミツキの親が誰なのか何となくわかってる。父親に大蛇丸の事をダンゾウの裏切り者として聞かされていたからである。

スミレって柱間細胞適合出来たから頑張ったら化けそうな気がする。まあ多分本人が望まないけど。

次回はヒマワリの誕生日をダイジェストにして中忍試験始めます。
(*´∇`)ノ ではでは~


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中忍試験開幕!!

おはようございますm(*_ _)m。
中忍試験開幕であります。ここのボルトは不正しません。オマケに色々大人になっているから多々違う所あるのでご了承ください。


演習場で2つの影が戦っている。その内金髪の方・・・ボルトは手裏剣を投げるのと同時に相手に突っ込むが相手はサラッと避けた後ボルトの攻撃もあっさりと避けて蹴飛ばした。

 

「うわぁ!!」

 

そう言って蹴りの威力とずっと修行やってた分の疲労も合わさり思わず倒れた。そんなボルトに相手は近寄り言った。

 

「前よりは成長したようだな。」

 

「はぁはぁ・・・やっぱり強いってばさ・・・サスケさん。」

 

相手の正体はうちはサスケその人だった。もう少しで中忍試験の願書を出す日が迫った日の1幕だった。2人はその後焚き火をしながら振り返りをしていた。

 

「狙いが単調だ。同じ下忍ならば良いかもしれんが格上には通用せん。」

 

「うぐ!」

 

「それからやられたら直ぐにやり返そうとするな。冷静に状況を判断するんだ。」

 

「うぐぐ!」

 

自覚がある事ばかり言われボルトは言い返す事が出来なかった。

 

「だが前に教えた手裏剣はどんな場面でも使えるようになったようだな。」

 

「へへ!」

 

潰しに潰し最後に押し上げる。何故サスケがまたここにいるのか、それは昨日までに遡る。昨日はヒマワリの誕生日だった。ナルトも少し強引にスケジュールをずらして出席した。・・・目にクマが出てたから出席者全員で心配した。そしてスミレとボルトのプレゼントをヒマワリに渡していた所にチャイムがなりいたのが帰ってきたサスケだった。取り敢えず玄関先でナルトは話を聞きパーティーが終わってからまた火影室に戻るという苦行を行った。その時にボルトは翌日の夜に修行してくれる事になったのだ。

 

「サスケさんはさ、父ちゃんの事最初はどう思ってたんだ?」

 

純粋に気になった質問をした。サスケは少し焚き火の火を見た後に言った。

 

「そうだな·····ウスラトンカチだな。」

 

そんなボルトからすれば意味分からん答えに思わずずっこけた。

 

「な、何だってばさそれ。」

 

「特に意味はない。」

 

そんなサスケにボルトは変なのとか思いながら見ていた。そして少し遠慮がちに聞いた。

 

「その·····俺が言うのも何だけどさ。サラダの修行とかは・・・見れてますか?」

 

何か途中で敬語になってしまったがサスケは特に気にせず答えた

 

「お前が気にする事はでは無い。サラダの修行は昼間に見ている。」

 

「そっか、良かったってばさ。」

 

ボルトは修行してもらう内に「あれ?自分が家族の時間奪ってないか?」となってしまい聞いたのだ。そしてよくよく考えればもう1つ謝らなきゃいけない事があるから少し遠慮がちに言う

 

「その・・・カカシのおっちゃんから紫電習ったんだけど·····」

 

自分今サスケの弟子なのに一時的とは言えカカシから術習うのは少しあれじゃないか?と思い言ったのだがサスケは気にすること無く言った。

 

「そうか、それで出来たのか?」

 

そんな返事に少し気が抜けたがボルトは正直に答えた

 

「それが・・・小さい紫電しか出来なくて。」

 

カカシから習ってから何か出力が小さい紫電なら出来るようになったがカカシみたいな紫電はまだ出来なかった。カカシに聞こうにも忙しい身だから捕まえられずそこからパワーアップ出来なかったのだ。

 

「見せてみろ」

 

そう言われたからボルトはボルトは紫電をやった。やはり小さい紫電しか出来なかった。それを見たサスケはボルトにアドバイスをしてボルトはそれを聞くという光景があったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなサスケとの修行から数日後ボルトは中忍試験の会場へ赴いた。そしてその途中に紫色の髪色を見つけ前にいたスミレに駆け寄っていく。スミレもボルトに気づき微笑んだ。・・・そんな微笑みに少しドキッとしたボルトなのであった。

 

「おはようスミレ。」

 

「うん。おはようボルト君。」

 

その後2人は並んで会場に向かった。その道中では意気込みなどを語り合っていたがボルトが思い出したように言った。

 

「そう言えばあのぬいぐるみすげぇ好評だぜ?」

 

「本当!?良かった〜」

 

スミレはヒマワリに九尾を模したぬいぐるみをプレゼントした。どんなぬいぐるみにしようかと悩んでいた時にナルトを見てその後に資料で見た九尾を思い出してディフォルメにすれば可愛くなるんじゃないかと思い短い期間で徹夜でやった。結果凄く喜んでくれたのがスミレも嬉しかった。·····まあその時のナルトは何か苦笑いで独り言言ってたが多分腹にいるクラマと話していたんだろう。結果としては少しクマが出来たがもう回復した。

 

「来たか」

 

そう言いながらシカダイが手を上げた。ボルトも手を上げながらそこにいる同期達を見渡す。そう言えば同期が集まるのも久しぶりだなと思った。そしてボルトは更に周りを見渡した。そこに居たのはそれぞれの里から来た下忍だった。何かパッと見やる気のなさそうな雲隠れ、三つ子の霧隠れ、玄武三人衆の岩隠れ、そして·····

 

(何か他の奴とは違う雰囲気だな・・・)

 

砂隠れの忍びを見てそう心で呟いた。そう思っていたら砂隠れの忍びもボルトを見ていた。互いの視線が交錯した。だが砂隠れの方が先にどっか行った。スミレはそんなボルトの様子を見て元々持っていた出場者名簿を見てボルトに教えた

 

「あの砂隠れの人・・・真ん中の人はシンキ君。·····風影様の養子だって。」

 

「我愛羅のおっちゃんの・・・」

 

小さい時から我愛羅が木の葉に来た時はボルトにも会ってくれてたからボルトは自然とそんな呼び方になった。·····まあシカダイからすれば叔父なのだが。そしてボルト達は開会式の所に集まった。ボルトは並ぶ前に下忍を一望したが壮観だった。ボルト達はボルト、スミレ、ミツキの横並びで並んで壇上のシカマルを見た。シカマルは周りを見渡した後始めた

 

「これより第1回5里合同中忍試験を開始する!知っての通り今回の選抜試験は史上初めての5つの里の共同開催となる。このご時世、他の里の忍者同士が直接戦うような機会は滅多にねえ。自慢の術を全力で使えるまたとないチャンスだぞ。」

 

そこでシカマルは1度見渡しシカダイ達の所を見て肩を竦めた後宣言した

 

「1次試験は試験会場アルファにて正午きっかりにスタートする。解散!」

 

3人はその後雷バーガーに向かった。今度こそ団子屋でも良かったのだがスミレが多分喉に団子が通らないから雷バーガーになったのだ。·····他里でも噂でもあるのだろうか、割と木の葉以外の人もいた。まあそんなのはほっといてボルト達は颯爽と席を取りスミレに留守番を任しボルトはさっさといつも食べているハンバーガーを買ってきた。今日ばかりは新作を試すことはしなかった。アカデミーの時に新作食って翌日に腹の調子が悪くなった事があるからだ。スミレはそんなボルトを苦笑いで見つめて言った。因みにミツキは少し席を外している。

 

「ボルト君、ハンバーガー好きだね。」

 

ボルトはひと齧りして飲み込んだ後にニカッと笑いながら言った。

 

「まあな!父ちゃんのラーメン熱にも負けてねえぜ?」

 

「あはは、そ、そうなんだ。」

 

ボルトとスミレとミツキは一楽の店にボルトの奢りで行った事がある。スミレは萎縮したのだがボルトは2人にいつも世話になってるからと言って聞かなかった。その時にスミレは壁に貼られてるナルトのポスターを見たのは割と衝撃的だった。·····その時にそう言えば父がくれた計画書の資料にラーメンが好きって書いてたなと思い出した。・・・更に衝撃的だったのはヒナタがラーメン女王だった事だが。そんな時ボルトが何か横目で誰かを見てると思った時にいきなり机にハンバーガーセットがプレートに載せられ1つ置かれてスミレはびっくりしてその主を見た。そこに居たのは何やらガムを噛んでる雲隠れの忍び・・・名簿によるとユルイだ。ボルトが座ったまま聞く

 

「何だってばさ?」

 

「悪いけど変わってくんない?」

 

・・・傍若無人とまでは言わないがとんでもなく礼儀がなってない奴である。スミレは少しハラハラしながらボルトを見たがボルトはユルイに聞き返した

 

「はぁ?」

 

心底意味分からんという答えで聞き返した。ユルイはさも当然みたいな顔で言った。

 

「そっちは2人だろ?こっちは3人いるんだ。人数が多い方がテーブル席に座るのが当然じゃねえ?」

 

スミレはまだハラハラしていた。こんな所で揉め事を起こす訳にはいかない。耐えてという視線をボルトに送る。ボルトも少しスミレを見て言った。

 

「生憎俺はそんな常識知らないってばさ。それにお前俺達が中忍試験を受ける下忍って知ってるだろ?なら俺達が3人いるってのも普通に分かる筈だけどな。雲隠れの忍びはそこまで考えられないのか?」

 

煽りに煽り返す。前までのボルトなら出来なかった芸当である。前までのボルトなら多分売り言葉に買い言葉でややこしくなっていただろう。だがまあそんな言い分がユルイ達に通じる訳なく・・・と言うより割と憤怒の顔になりながら言った。

 

「てっめえ!」

 

そう言ってユルイは沸点低いのかそれとも里をバカにされたからか座って無抵抗のボルトに掴みかかろうとした所ユルイの肩に手が置かれユルイは反射的にその手の主を見た。そして少しびっくりした顔になる。だって伸びた手が伸縮していくのだ。誰でもそうなる。そしてその手の主はミツキだ。ミツキは歩きながら言う

 

「そこ僕の席なんだけど」

 

そう言ってボルトの隣に来る。ボルトは端によりミツキに言う

 

「おう、ここ座れよ。」

 

「うん。」

 

そう言ってユルイを置いてミツキは席に座った。そしてある意味無視されたユルイはまた憤怒の顔になりボルト達に詰め寄った

 

「てめえらせこいだろ!先に席だけ取っとくなんてよ!」

 

それは割と支離滅裂である。ボルトはそもそももう注文し受け取り直ぐにここに座ったのだ。その時間は5分だ。それに誰も何にも食べないならいざ知らずボルトはちゃんと食べてるし。ボルトは流石に少し苛立ち立とうとしたがその前に何故かユルイが動きを止めてた。ボルトは止まってる原因を見ると何やら黒いもの·····砂鉄がユルイをガシッと掴んでいた。そう気づいた時に声がした

 

「そこまでだ。」

 

たったそれしか言ってないが強者のオーラを放っていたのは砂隠れ代表・・・シンキだった。ユルイはその迫力に気をされ少し冷静になりボルト達に言った。

 

「チッ、まあいいや。試験で当たった時はよろしく頼むぜ。」

 

そう社交辞令を言ってどこかに行った。スミレはそれに安堵しシンキに言った。

 

「ありがとうございます。助かりました。」

 

それに答えたのはヨドという砂隠れの忍びの1人だった。

 

「気にしないでいいよ。シンキはこういうやつだからさ。」

 

そんな言葉を背に受けながらシンキは出口に向かった。ヨドとアラヤという少年も続く。スミレはボルトを見ると少し笑っていた気がした。ボルトもハンバーガーを食べ終え少し早いが1次試験会場のアルファに向かった。まさか試験前に自分達の術を見せびらかしてるとは思えないが念の為だ。そんなボルト達が試験会場に着いた時声をかけられた。

 

「ボルト君。」

 

そんな聞き覚えのある声にボルトは振り向いて笑顔で言った。

 

「長十郎のおっちゃん!」

 

そこに居たのは現水影の長十郎だった。ボルトと長十郎の接点はボルトが喧嘩と称して新忍刀七人衆と戦った時たまたま長十郎が通りかかり仲裁の為にボルトと共に戦ってくれたのだ。ボルトは長十郎の周りを見ると護衛はいるがかぐらがいないのに気がついた。そんな視線を受けながら長十郎は言った。

 

「かぐらも連れて来たかったんだが彼には僕が留守の間里を任せていてね。その代わり伝言を預かってきた。『君と中忍どうしで会える時を楽しみにしている』そう言っていたよ。彼も僕の後継者として毎日訓練を続けているよ。」

 

「そうか。あいつも頑張ってんだな。」

 

そんなボルトを見て長十郎は微笑んだ後自分の里の代表を見ながら言った。

 

「君も頑張ってくれよ。うちの里の連中もなかなかやるからね」

 

ボルトはそれを聞きふたつの拳を合わせながら言った

 

「上等だぜ。どんなやつが来てもぜってえ負けねえ!」

 

その後3人は1次試験の会場の列の1番前の列の端っこにやってきた。そして正午になりいのじんの父親のサイが壇上に上り周りを見た後に言った。

 

「さて、皆揃ってますね。1次試験の内容は僕から発表させてもらいます。1次試験は」

 

会場に緊張が走る。・・・だがその緊張をサイはある意味裏切ってきた

 

「○×クイズです。」

 

恐らく試験会場の下忍は2秒ほど沈黙し全員で仲良く言った

 

「「はあああああ〜!?」」

 

ボルトも言ってしまった。スミレとミツキは少し呆然としていた顔だったが戸惑ってる事だけは分かった。そしてサイはストップウォッチを掲げながら説明を始めた。スミレはその時何か違和感に気がついた。その違和感は何だと考える

 

「問題はここから20km先の試験会場ブラボーで出題します。今からこのストップウォッチで1時間以内にたどり着けないヘタレ下忍は即座に失格です。」

 

そう言われスミレはストップウォッチを見た時に気がついた。

 

「尚途中には様々なトラップが仕掛けられています。それらに掛かって行動不能になっても失格となります」

 

そんな事を言われてる間スミレはボルトに言った。

 

「ボルト君!あのストップウォッチもう動いてる!」

 

それを聞いたボルトはハッとしストップウォッチを見た後スミレとミツキに頷き1番前の端っこだったのが幸いし同率1位でスタートを切った。その同率は

 

(シンキか・・・)

 

7班とシンキ達が同時に動いたのを皮切りに全員試験会場ブラボーに向かった。森の中を突っ切る道だ。そしてサイからの予告通りトラップが所々にあった。だが修行を繰り返してきたボルト達には通じずスルスル〜と回避していく。何か途中で岩隠れの玄武三人衆が何やら最終奥義をやろうとしていたが清々しく転けて転けた先にあった起爆札に引っかかり強者感はあったのに敗退していたがボルトはどこ吹く風とスルーした。そんな時目の前に口寄せされたデク人形が沢山出てきた。

 

「こいつらをぶっ倒せって事だろ!」

 

そう言ってボルトは術を使わずに人形をボコボコにして戦闘不能にした。スミレもミツキも同様。そして3人は人形を抜けて試験会場ブラボーに到着した。そこに先客で居たのはシンキ達だった。ボルトは似た境遇をシンキから感じるから割とライバル視してる。その後続々と同期達もやってきてサイの説明開始から1時間経った。壇上には何故かボルト達よりも早くいたサイが居る。そのサイが言い始めた。

 

「チーム3人でクイズの答えだと思う方、マルかバツの印の上に移動してください。」

 

「マジで○×クイズかよ。」

 

そう言ってる間にもスミレは何やら考えていた。だがその思考を一旦止めてサイの説明の続きを聞く

 

「不正解、つまり失敗したやつは真っ黒になって失格です。では問題です。忍軍師捕物帳5巻に登場する忍合言葉、月といえば日、山といえば川、花と言えば密である。マルかバツか」

 

・・・ぶっちゃけボルトもスミレもミツキも誰もこの問題は分からない。・・・と言うよりそんな勉強好きそうな人しか知らなくないか?だがスミレはボルトに言った。

 

「・・・ボルト君。この試験何かおかしくない?」

 

「え?何でだってばさ?○×クイズならこういうのじゃないのか?」

 

スミレはそれに首を振る。ミツキもその時に思い至ったのか頷いて言った。

 

「成程・・・失格の条件だね。」

 

スミレもそれに頷き仮説だが説明した

 

「真っ黒になって失格って·····普通の○×クイズなら間違えた時点で失格の筈でしょ?」

 

スミレはボルトとミツキだけが聞こえる音量で言った。ボルトはスミレの話を聞いてあっとした顔になった。確かにそうだ。サイの説明は少しばかり変だ。勿論事実として目の前に○×の場所はあるが真っ黒ってなんの事だと思った。だがこれ以上は想像の余地がない。だからボルトは言った。

 

「・・・取り敢えず気をつけようぜ。何があっても冷静に対処するしかねえ。」

 

それにスミレとミツキは頷いた。ボルトはナルトが初めて受けた中忍試験の話を聞いた事ある。その時は何故かペーパーテストだったと言っていた。だがそれはまさかのどれだけ他人に気が付かれずカンニングが出来るかのテストだったと言っていた。・・・今回のもそういう類のものかもしれないと思ったのだ。3人は取り敢えず〇の方に進み何かあっても大丈夫なようにシートが張られている所と地面の境界線ギリギリの所に来た。そしてタイムリミットが来て電光掲示板で正解発表が始まった。

 

「時間です。正解は·····」

 

『○×』

 

(はっ!?)

 

そう思った瞬間にボルト達は・・・バツの人も含めて何故かシートが破られて全員下に真っ逆さまに落ちた。ボルト達は咄嗟に下を見て

 

「真っ黒ってそういう事かよーーっ!」

 

そう言いながらボルトクナイを壁に突き刺した。だがボルトは刺しただけで威力を殺せずそのまま落ちる。だがこれで十分だった。ボルトは1人だけでこの試験を受けている訳じゃないからだ。

 

「口寄せ!」

 

そう聞こえた瞬間にスミレの前に鵺が来て鵺は尻尾から紫色のチャクラを紐みたいのを出したが場所が悪い。だがスミレだけではない。今度はミツキがボルトの突き刺したクナイを掴みミツキの位置を固定しもう一方の手を伸ばし鵺を上に持ち上げた。鵺はミツキの手に乗せられ地上の地面に降り立った。鵺は運ばれながらもチャクラの紐をボルトとスミレの所にぶら下げボルトとスミレはそれを掴んで墨まみれを回避した。ミツキは自分で地面にしがみついてる。ボルト達は自分達が助かった事を悟ると周りを見渡した。シカダイ達はシカダイが逆さにクナイを壁に刺して壁に足をつけながら他の2人の落下を影縛りで回避。イワベエ達はイワベエの土遁で回避。サラダ達はボルト達からは見えずらいが細長い紐がワサビとナミダの手にある事からサラダもクナイを壁に突き刺してもう一方の手から紐付きクナイをワサビ達に投げワサビ達はそれをキャッチしたのだろう。

 

「この○×クイズ自体には意味がない。」

 

ボルトのその言葉に近くにいたシカダイは頷き言った。

 

「失敗したやつは真っ黒になって失格・・・確かにそう言った。つまり黒くならなきゃいい。」

 

そんな解説をいのじんは嫌そうな顔をして言った。

 

「やれやれ、父さんらしいクソテストだよ。はァ。」

 

·····確かにこの試験は出題者の性格がよく出ている。だが同時に中忍になる為の素質を見る為の項目もちゃんとクリアしているからなんとも言えない。そんなサイが上から言ってきた

 

「その通り。下に広がる墨の池を見て自分達が間違った選択をしたと受け入れてしまった奴。ただ黒くなることを選んだ奴。そんな玉無しに中忍になる資格はありません。この1次試験の本当の選択は追い込まれてからの一瞬の二択。諦めるか諦めないかです。墨のプールに落ちていないやつが正解。中忍選抜1次試験これにて終了!2次試験は3日後、解散!」

 

その後ボルト達は鵺とミツキに引き上げてもらい鵺はそのままスミレの肩に乗った。まだ外は明るくもっと時間がかかると思っていただけにボルトは少し拍子抜けした。ボルト達は合格した面々と合流して次の試験の意気込みを言い合っていた。

 

「次の試験も皆で通ろうぜ!」

 

そうボルトが笑って言ったがそんなボルトにまた突っかかる人物がいた。

 

「ハッ!何を偉そうに。連れの2人がいなきゃ何にも出来なかったくせによ」

 

まだ雲隠れのユルイである。ボルトはそんなユルイの言葉を聞いてニッと笑いながら言った。

 

「何だお前、そんなに俺の事見ていたのか?」

 

ボルト達の合格法を知っているという事はわざわざボルト達を見たということ。しかもユルイはボルト達と同じ〇ではなく✕だった。自分達の方にいる人達を見るなら分からんでもないが反対側にいるボルト達を見ていたということはそういう事だ。ユルイはまた憤怒の顔になっているがボルトからすれば知ったっこっちゃない。

 

「皆帰ろうぜ」

 

そう言ってボルトは頭に腕を組みながら歩いて行く。ユルイはほっときスミレやイワベエもボルトに続く。残ったのは地団駄踏んでる雲隠れの忍び達だった。ボルト達第7班は団子屋で祝杯をあげていた。

 

「うめぇ!ハンバーガーもいいけど団子もいいな!」

 

そんなボルトをスミレとミツキはにこやかに見ていた。そしてスミレ名簿表を見て1次試験で落ちた人をぺけして行った。そして3人は2次試験の作戦を考える。

 

「やっぱり他里で1番注意するべきなのはシンキの所か」

 

そう写真を見ながらボルトは言う。スミレもそれに頷きながら言った。

 

「うん。風影様の養子ってだけあって強いよ。」

 

1番警戒するのはやはりシンキ達だろう。そんな時にスミレの肩にいた鵺が机に降りてスミレの団子をくんすかした。スミレはそれを見て鵺に聞いた

 

「欲しいの?」

 

「ぬえー!」

 

「ふふ、はい。1つだけね。」

 

そう言ってスミレは団子を1つ取り鵺にあげた。鵺は匂いを嗅いだ後に小さい口でパクパク食べた。そんな微笑ましい光景が夕方の団子屋にあったとさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボルトは家に帰ると少し疲れてたから直ぐにベットに直行した。この後はスミレが家に来る事になっている。ミツキも誘ったのだがミツキは親への定時連絡があるからと言って拒否した。そしてボルトは天井を見ながら1次試験を振り返った。スミレが色々気がついてくれたから助かった。・・・そして最初はちゃんと振り返りをしていたのだが途中でスミレの事ばっかり考えてるのに気がつき首を振った。だがその顔は赤かった。そんな時何やらメールが来た。ボルトは誰だろうと体を起こし見た。

 

『1次試験突破おめでとう。2次試験も頑張れ!!父ちゃんより』

 

ボルトはそれにより嬉しい気持ちに満たされた。

 

「·····影分身すらよこさないのかよ。」

 

と口では罵ってみたが顔は反対の顔だった。・・・そんな時インターホンが鳴った。ボルトは自分には関係ないだろと思っていたが何やら話がされた後ヒナタが呼んで来た。

 

「ボルトー!カタスケさんが呼んでるわよー!」

 

「カタスケのおっちゃんが?」

 

そう言いながらボルトは下に降りて外で待ってるという事だから行けば確かにいた。・・・だがボルトは何か違和感を感じた。確かにカタスケなのだが・・・何か雰囲気がほんの少し違うというような・・・。そんなカタスケがにこやかに言ってきた

 

「1次試験突破おめでとうございます、若。」

 

「あ、ああ。サンキューだってばさ。」

 

「しかし2次試験からは特に厳しくなるでしょう。力もいります。だから私からこれをプレゼントします。」

 

そう言って渡してきたのはボルトにも見覚えがある忍具・・・いや、科学忍具だった。忍籠手と呼ばれるものは巻物カートリッジに術を入れ小型化し、その忍籠手を使いその入れた忍術を使うという科学忍具である。例えば木ノ葉丸の螺旋丸を巻物に入れその後好きな時に螺旋丸を出せるという訳である。だがボルトは・・・

 

「科学忍具は中忍試験じゃ使えないってばさ。いくらカタスケのおっちゃんでもそれは受け取れないってばさ。」

 

そう言って背を向けようとしたが肩に手を置かれ止められた。振り向いた時・・・何故か少しぎょっとした。

 

「若の時代は努力などせず、もっとスマートに生きる時代なのですよ。」

 

「か、カタスケのおっちゃん?」

 

そんな時うずまき家の入口が開けられて入ってきたのはスミレだった。スミレは入った瞬間にぎょっとした。だってカタスケがボルト忍具詰め寄っているのだから。・・・ぶっちゃけスミレはカタスケにはあまり良い印象を抱いていない。カタスケのせいでボルトが危険な目に白夜団の時にあったのだからそれも当然である。·····だけど研究所は素直に凄いと思った。研究者だった父親の血だろうなと思った。

閑話休題

そういう訳でスミレは少し戸惑った顔をしながらボルト達に寄って言った。

 

「えっと・・・カタスケ先生、何やってるんですか?」

 

「スミレ殿からも言ってください。これからの時代は科学なのだと」

 

そう言ってカタスケはスミレにも忍籠手を見せた。スミレもこの時違和感を感じた。確かに良い印象は持ってはいないが悪い印象がある訳でもない。だが今のカタスケはどう見ても悪い印象しか持たれない。科学忍具が禁止の事は今年追加されたルールにもちゃんと書かれてる。それなのに堂々とルール違反しろって・・・スミレはその時カタスケの目が少し焦点があってない気がしてスミレはカタスケの肩に触りながら言った。

 

「解!」

 

そう言ってスミレは自分のチャクラをカタスケに流しカタスケのチャクラを乱れさせカタスケにかけられていた幻術を解いた。それによりカタスケはスミレを見た後ボルトを見て今度は自分の手にある忍籠手を見た。

 

「あれ?私は何故これを持って若の所に・・・?」

 

「幻術にかけられていたのか?」

 

「うん。そうだと思う。・・・ボルト君が幻術にかかってる時の私の目が何か虚ろって言ってたからそれを思い出したんだ。」

 

そう少し頬を赤に染めて言った。そんな自分を見られていたのが恥ずかしかったのだ。

 

「幻術・・・いつの間に」

 

「って自覚ないのかよ。」

 

「ええ、火影様に中忍試験での科学忍具の使用許可を貰いに行って断られた後に前向きに考えようとしたら·····それからの記憶が·····」

 

ボルトとスミレはそれに目を合わせて言った。割と焦った声で

 

「か、カタスケのおっちゃん!何か盗られていたりしないか?」

 

「え?·····あーー〜っ!本当に少し霞んでるんですが・・・科学忍具の情報を誰かに渡した気が・・・」

 

そこまで言ってカタスケは頭痛がしたように頭を押さえた。ボルトはそんなカタスケの肩を持ちながら言う。

 

「・・・一大事じゃねえか」

 

スミレはそれに頷いて言った。

 

「うん。木の葉の科学忍具は他里よりも発展している。下手したら戦争の火種になりかねないよ。」

 

「ああ。・・・でも父ちゃんは忙しいだろうし·····」

 

「この際しょうがないよ。怒られる覚悟で行こ?」

 

ボルトはそれにしゃあねえかと言い一旦家に戻ってヒナタとヒマワリに少し出かけると言って頭を抱えているカタスケと共に火影屋敷に向かった。その間にボルトは聞いた

 

「本当に幻術にかけた奴知らないのかよ?」

 

「面目ない。」

 

・・・ボルトとスミレはこの時は他里の忍びがカタスケに幻術をかけて科学忍具の情報を盗んだと思ったのだが実際は全く別の・・・それも忍界を脅かす程の勢力とは思わなかった。それは少し未来の話。ボルト達は火影室前まで来て少し深呼吸してノックした。

 

『どうぞー』

 

「入るってばさ。」

 

ボルト達が来たと分かるとナルトとシカマルは割とびっくりした顔になった。

 

「どうしたお前ら揃って?」

 

そうシカマルが疑問符をつけながら言った。カタスケは未だに少し混乱しているが本当に申し訳なさそうに言った。

 

「・・・科学忍具の情報が盗まれたかもしれません。」

 

その後ボルト達はここに来るまでの経緯を説明した。説明不足の所はスミレが補強した。全てを聞き終わった後に父親の重労働を知っているからボルトは少しすまなさそうに言った。

 

「その・・・忙しいだろうにいきなり来て悪かったってばさ。」

 

ナルトとシカマルは顔を合わせ2人して首を振り笑いながら言った。

 

「いや、お手柄だ。」

 

「そうだ。お前達が気づかなきゃ更に情報が取られていたかもしれねえ。」

 

そうナルト、シカマルの順で言った。そしてナルトもカタスケに言う

 

「カタスケ、お前には悪いが暫く心転身の術で本当にそうなのか調べるがいいか?」

 

「はい。」

 

そうシュンとした顔になったカタスケにボルトは元気づけようと言った。

 

「ま、まあ今度一緒にマルチプレイしようぜ先生。」

 

カタスケは研究者だがゲーマーでもある。それも割とボルトと趣味が会う。ボルトは寝る前にコツコツとレベル上げなどを頑張っている。このヒナタに見つかるか見つからないかのスリルが面白い。

 

「若〜!」

 

とそんな感動な声をあげたのだった。その後カタスケにはもう少し詳しい事情を聞く為別室に行き残ったのはボルトとスミレだった。そんな2人に言う

 

「今回は本当にお手柄だったな。」

 

「スミレが幻術解いてくれなきゃまだ全然分からなかったってばさ。」

 

「うんうん。ボルト君の言ってくれた事がなかったら私も分からなかったよ。」

 

「おっほん!そんな雰囲気の時に悪いがお前達に言っておく事がある。」

 

そうシカマルが言った。

 

「今回の事は極秘情報だ。絶対に外部に漏らすな。木の葉でも最小限の人数に知らせる。」

 

それにボルトとスミレは顔を見合わせ頷いた

 

「分かったってばさ。」

 

「分かりました。」

 

その返事を聞いた後ナルトは父親の顔になって言ってきた。今度はフラットである。

 

「それはそうと・・・1次試験突破おめでとう!次も頑張れよ!」

 

ボルトはメールで言われるよりもやっぱりこうして本物に言われる方が嬉しかった。思わずにっと笑い言った。

 

「当然だってばさ!」

 

その後2人は暗い道を歩いている。思いの外時間がかかりご飯が冷めてしまうと考えたボルトなのであった。·····だがそれ以上にスミレと2人きり、そして夜という状況に当たり前のように心臓の鼓動をが高鳴っている事に気がついた。そしてそれはスミレも同じだった。スミレは未だに悩んでいた。自分は・・・ボルトに想いを伝えてもいいのだろうか?と。そんな時少し風が吹き半袖のスミレは体を抱きしめた。もう少しで春と言っても夜は寒い。そんなスミレを見てボルト聞いた

 

「寒いのか?」

 

「う、うん。大丈夫。」

 

そう言ったがやはり寒そうだった。そんなスミレを見てボルトは自分の上着を脱いでスミレに被せた。スミレはそれに目を見開き言った。

 

「だ、大丈夫だよ。ボルト君が寒いでしょ?」

 

そう言って返そうとしたがスミレの手に自分の手を置いて止めた。

 

「大丈夫だってばさ。それに今のスミレを見てる方が逆に寒くなるってばさ。」

 

「·····分かった」

 

そう言ってスミレはボルトの上着に袖を通した。その時ボルトを見たが下着は半袖だからやっぱりボルトの方が寒そうに思えてやっぱり返そうとするがボルトが押さえてる手を離してくれず断念した。そして片方袖を通せばボルトは手を離し達はからスミレはもう1つの袖に腕を通した。·····そしてその温もりに思わずぎゅっとしちゃうのだった。だがやはりボルトも寒そうに思えて少し罪悪感が出て言う

 

「その・・・やっぱり・・・」

 

返すと言おうとしたらいきなりボルトの右手がスミレの左手を握った。スミレは思わずボルトの顔を見た。ボルトの頬は赤になっている。そして言ってきた

 

「·····俺はこれで充分だってばさ。」

 

そう言われるとスミレは言い返せず繋がれてる手をぎゅっとした。そしてボルトの上着の温度とボルトの体温を感じながらボルトの家に向かったのだった

 

 

 




お疲れ様でしたm(*_ _)m。
今日の10時にアンケート締め切ります。
ボルトとスミレ、カタスケのかけられた幻術解くという素晴らしい功績。まあここのボルトは一足早くサスケに弟子入り出来たりもう既にナルトと仲良直りしてるから科学忍具を使う必要ないし。そもそもアニメや原作よりも強くなってるし。
次は2次試験です。·····多分文字数少ないので割と直ぐに出せると思います。
そしてまた最後にボルスミ持ってくる。何か最後らへんしか持ってこれない笑。
次回からまたアンケートしますので良かったら答えて行ってください。


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2次試験開幕!!

おはようございますm(*_ _)m。2次試験開幕です!!


 3日後、ボルト達は中忍選抜試験第2次試験会場にやってきた。障害物やビルが沢山ある。ボルトはこの3日間はサスケと修行する事もあればスミレとミツキと修行する事もあった。スミレからは水遁の威力の出し方を習った。それでも実戦で敵を圧倒できるかと言えば微妙だったが・・・。まあ使えないことは無いから良しとした。そして時間が来たからボルト達はボルトを先頭に並んで壇上にいる試験監督のテンテンを見た。テンテンは少し周りを見た後に言った。

 

「2次試験は旗の取り合い。己の陣地の旗を守りつつ敵陣地へ攻める。いわゆる攻防戦よ。分かってるわね?3対3のチーム戦、つまりここで確実に半分は脱落するわ。始め!」

 

 その声と共にボルト達は陣地に行き簡潔に作戦を言った。

 

「俺がここに残る、2人は旗を取ってきてくれ。」

 

 それに2人は頷き向かった。イヤホンから2人の声が聞こえている。どうやら順調に進んでいるようだ。一方その頃第10班の猪鹿蝶はシカダイの考えた作戦が上手く行き無事に霧隠れの1チームから旗を奪取した。

 更にもう一方、サラダ率いる15班はサラダが前衛に行きワサビとナミダが互いに足りない所を補う方法で雲隠れのユルイ、タルイ、トロイと激突していた。ユルイが旗の前に立ち・・・いわばガム爆弾みたいなガムをそこら辺に張り詰めていた。ユルイはこれで防御は磐石と思った。ワサビとナミダは他のトロイとタルイに善戦している。トロイは何やら雷遁で自分の神経の伝達速度を上げワサビに攻撃しているがボルト達の同期の中で一二を争う程のスピードを持つワサビには通じずナミダも少し泣き掛けになっているがタルイのラリアットを上手く躱し善戦している。そしてサラダはと言うと

 

「それは確かに厄介だけど·····」

 

 そう言って手裏剣を2つ重なるように投げた。傍から見れば手裏剣は1つしか投げられていないように見える。実際ユルイもそう思った。その手裏剣はガム爆弾を上手く躱しとうとうユルイの横に来た。だがユルイは自分の所までは届かないと思い再びガム爆弾を増やそうとしていたのだがそこで目を見開いた。

 

「·····終わり」

 

 そうサラダがぽつんと呟いた瞬間に手裏剣同士が弾け1つがユルイが膨らましていたガム爆弾を破った。ガム爆弾だからそれを破られたら勿論

 

「ぐへっ!」

 

 顔面に爆発を貰いユルイのチャクラコントロールが一気に乱れて張り詰めていたガム爆弾も全て爆発しその内ユルイの近くにあった爆弾も巻き込み芋づる式にユルイは被爆して行った。サラダはそんなある意味自業自得のユルイを見ながら旗を取った。

 

「よしっ!」

 

 これでサラダ達も第3試験に進出決定である。更にもう一方、第5班のイワベエ、デンキ、メタルは砂隠れのシンキと激突していた。・・・のだがデンキは勢いよく吹き飛ばされビルに激突し戦闘不能になった。イワベエは敵・・・シンキの砂鉄の攻撃を土遁で防いだが知らない間に足元に砂鉄をやられぶら下げられ吹き飛ばされた。最後の砦のメタルは必死に体術で足掻くがシンキには全く届かない。メタルはそれにどんどん試験内容を忘れてシンキの謀議を破ろうと躍起になった。

 

「まだまだこれからです!」

 

「いや、終わりだ。」

 

 その瞬間にメタルは後ろから音が聞こえ見たら旗が持ち上げられていた。

 

「俺を倒す事に熱中しルールを忘れた時点でお前の負けだ。」

 

 それを聞きながらメタルはへなへなとした。そしてラストワンペア。スミレとミツキは慎重に霧隠れの撰歌三人衆の陣地に向かう。だがスミレとミツキは何か変だと思った。すれ違わないのだ。それに違和感を感じながらもスミレ達は走る。そんな時イヤホンからボルトの声がした。

 

「奇襲は失敗だな。そっちは3つ子、こっちは5つ子。油断はしないぜ?」

 

 どうやらあっちに3人全員で向かったらしい。なら何か旗に対策している筈だ。2人は旗をボルトに任し全力で走った。もう向こうに行ったと分かった以上慎重になる意味がないからだ。同時刻ボルトは霧隠れの撰歌三人衆と対峙していた。1次試験ではこの3つ子の分かった事と言えばやたらと連携と体術と刀術が凄いということだ。だがボルトはスミレとミツキの分まで背負って立っている。

 

「簡単には負けねえぜ?」

 

「それは無理だ。何故なら」

 

 そう言った瞬間に3人はそれぞれ影分身をし1人2人ずつ影分身を出した。

 

「9対5だからな!」

 

 そう言って9人はボルトに向かった。ボルトは1人で2人を受け持つ。だがやはり3つ子なだけありコンビネーションはバッチリである。だがボルトは何にもしてこなかった訳じゃない。手裏剣をパッと見誰にも当たらない所に投げる。3人は一気に小馬鹿にしたように笑ったがその手裏剣が急カーブしボルトの分身と対峙して背を向けていた1人にぶっ刺し分身を消した。そしてその分身とペアになっていた分身も動揺した隙に消した。だがボルトはパッと見これじゃあ影分身を出され続けてジリ貧だと考える。そこで思い出した。戦っているのは霧隠れ・・・なら基本的に得意な忍術は水遁の筈だ。そう思った瞬間にボルト達5人は上空に飛んだ。そしてそれぞれ同じ水遁の印をする。それを見た3つ子の1人が言った。

 

「馬鹿か!俺達に水遁をするとはな!」

 

 そう言って残っていた分身も合わせ7人も水遁の印をしてボルト達と同時に叫んだ。

 

「「水遁・波濤!!」」

 

 そう言って上空にいるボルトと地上にいる撰歌三人衆は互いの水遁をぶつけ合う。だがボルトの方が少し押され相殺された。大量の水が三人衆を包む。だが三人衆はそれを無視し旗を取ろうとする。旗を取れば勝ちなのだから上空にいるやつを気にする必要は無い。·····そう思っていた。だがそれが撰歌三人衆の敗因だった。

 

「雷遁・迅雷箭!!」

 

 そう5人のボルトが再び同じ印をし雷遁を大量の水がある地上に叩きつけた。

 

「うわああああああ!!」

 

 そう言いながら三人衆の分身は解かれ合計5人の雷遁を食らった三人衆は白目向きながら倒れた。ボルトも分身達は感電して消えてしまったが本体のボルトは旗の上に着地した。そして言う。

 

「忍者なら裏の裏を読めってな!」

 

 一方スミレとミツキは三人衆の陣地に来て少し困惑していた。何故か旗が沢山あるのだ。だがミツキはその旗の内の1つを触ってみると透けた。

 

「委員長、少し離れて。」

 

 何か考えがあるのだろうとスミレは頷きミツキの後ろに行った。ミツキはスミレが後ろに行ったのと同時に印を組んで大きく息を吸い込んだ。

 

「風遁・突破!!」

 

 それは旗が倒れるぐらいの威力を持った風だった。スミレは旗を観察し動いた旗を見つけた。

 

「ミツキ君、あったよ。」

 

 ミツキはそれを聞き風遁を止めた。スミレは動いた旗に近づき取った。

 

「やったね。」

 

「うん。」

 

 そうにこやかに言ったミツキなのであった。サラダなら写輪眼で分かったのだろうが2人にはそれはないから普通にやった。3人は陣地で再び会いハイタッチした。

 

「ナイスだってばさ!」

 

「ボルト君もね。でもどうやって倒したの?」

 

 そう言いながらスミレはまだくたばっている撰歌三人衆を見た。ボルトはにひひと笑いながら言った

 

「俺とあいつらの水遁を掛け合わして雷遁をその水遁に叩きつけたんだ。俺だけの水遁なら無理かもしれねえけど相手が出したやつも入れるなら威力はばっちしだぜ。」

 

「そ、そうだったんだ。流石だね。」

 

 やっぱり頭も術の使い所も上手いなーと思ったスミレなのであった。スミレは最初鵺も残そうか?と聞いたがボルトは首を振った。元々こういう作戦をしようと思っていたのかもしれない。鵺は巻き込まない為に断ったんだろうと思った。3人はその後2次試験に出た同期達と集まりに行った。

 ボルト達が集まりに行ってる間シカマルは試験結果を疾風のスピードで聞きうずうずしているナルトの所に向かった。シカマルが火影室に入った時ナルトはデスクワークをしていたがシカマルにはわかった。結果が分からず落ち着いてなかっただろうという事は。そんなナルトにはシカマルは言った

 

「やるじゃねえか」

 

 ナルトは務めて真剣にデスクワークをしてるようにしながら答えた

 

「何が?」

 

 だが全てお見通しのシカマルは笑いながら言う

 

「ボルト達だよ。2次も通ったぞ。」

 

「それだけ言いにここに来たのか?」

 

 今シカマルはお昼休憩だ。その時間を削りここに来た事にナルトは思わず聞いた。シカマルはドアの前まで戻り言った

 

「そりゃあ大事な事だからな。因みに言っておくがシカダイやサラダ達も通った。3次試験は個人戦だ。息子同士の対決も見られるかもな。」

 

 そう手を上げながら火影室を去った。ナルトはシカマルが部屋を出た後ニンマリと笑って勢いよく椅子から立ちながら言った

 

「よしッ!」

 

 場面は戻りボルト達は5班と10班と15班と集まっていた。ボルト達が最後だったらしくボルトは集まった時にデンキが眼鏡割れてるのを見て心配そうな声を出した

 

「大丈夫かよデンキ?」

 

 デンキは顔をあげて苦笑いしながら言った

 

「うん。アカデミーに入って丈夫になったからね。」

 

「俺達の事も心配しろ。」

 

 そうイワベエが言いボルトも言い返す

 

「あっ、悪ぃ」

 

「冗談だよ。お前達は勝ったみたいだな。俺達はてんでダメだった。」

 

「緊張しなかったんですけどね。何も出来ませんでした。」

 

 そうメタルが悔しそうな表情で言った。ボルトはそれを聞き聞く

 

「お前達は誰と戦ったんだ?」

 

「砂隠れだ。」

 

 それを聞きボルトは少し拳を握った。そんなボルトにサラダは言った。

 

「私達は雲隠れ、あんたをやけにライバル視していた奴は自分のガムの爆発に巻き込まれて自爆してたわ。」

 

「はっ!何だそれ、だっせえな。」

 

 そう笑った。結局何であんなに絡んできたのか分からないがボルトは少しスッキリした。

 

「まあ初めて見る術に得体の知れない敵。俺達は運が良かったのかもしれないな。」

 

「運も実力も食欲のうちじゃない?」

 

「1つ多いね。」

 

 イワベエはボルトとシカダイをヘッドロックしながら言った

 

「とにかくお前ら負けんなよ!」

 

 そう男子3人の激励を受けたのだった。ボルト達7班はボルトの家に集まった。三次試験は個人戦だが1回戦は同じ班のメンバーとは当たらないと言うことなのでそれぞれの対策を練るという集まりである。

 

「サラダの写輪眼は出来るだけ目を見ないようにして出来るだけ遠距離攻撃か目を合わせないように体術で戦ってサラダのスタミナを減らして倒す。シカダイ君は影の術を使われないように遠距離から攻めながら接近戦に持ち込む。体術はシカダイ君は得意じゃないから有効だと思う。ワサビは・・・」

 

 そんなスミレのやたらと何か凄い戦略立てにボルトは思わず少し引いていた。

 

「す、スミレいつもそんな事考えてるのか?」

 

 そう言われスミレは思わず周りを見た。ミツキはニコッとしていてボルトは少し引いていてヒマワリもボルトの後ろに隠れていた。それを見て自分がやたらと熱心に傍から聞いてたらヤバい事を言ってる奴ということに気が付き

 

「はわわーっ!」

 

 そう慌てたのだった。そんな時家のドアが開いた音がした。ボルト達は皆でリビングに入る為のドアを見た。そこに居たのはナルトだった。

 

「父ちゃんおかえりー!」

 

「あ、ああ。」

 

 ナルトはそこで少し深呼吸してボルト達に言った

 

「2次試験受かったんだろ?おめでとう!」

 

 言われた3人は目を一旦合わせボルトがニカッと笑いながら答えた

 

「へっ!俺達なら楽勝だったてばさ!」

 

「・・・そうか。だが次は個人戦だ。俺も見ている。」

 

「分かってるってばさ。俺の強くなった所見せてやるぜ!」

 

 ボルトは自分が強くなる事にある種の高揚感を持ち始めている。そして次の試験はそんな自らの強さを存分に発揮できるのだ。嬉しくない訳ない。そんな親子の様子をスミレは見て微笑んだ後にもし自分と父親が今のボルトとナルトのような関係だったらというifを想像してしまい思わず首を振った。そんなボルト達の様子を見ていたヒナタが声をかけた。

 

「さっ、ご飯にしましょう。あなたも食べてから戻って?」

 

「ああ、いつもありがとな。」

 

 そんな仲睦まじい様子の夫婦を見てスミレは今度は思わず夫婦となった自分とボルトを想像しその真ん中にビオラがいる所も想像し顔を赤くしながら首を振った。そしてボルトを横目で見て見たら・・・

 

(なんでボルト君も赤くなってるんだろう?)

 

 ボルトの頬も赤くなっていた。だが何故なのか分からず思わず首をコテっとしたのだった。·····実際はボルトもスミレと同じ事を想像したのである。その後皆で晩御飯を食べてミツキは帰って行った。ナルトも食べ終わったらさっさと火影室に戻って行った。カタスケの件があるからだ。あの後カタスケについて分かった事と言えばどうやら他里の忍びに幻術をかけられた訳では無いという事がわかった。それにはナルトもシカマルも一安心した。少なくとも戦争の火種になる確率は減った。スミレも皿洗いが終われば帰ろうとしていた。・・・のだが3日前も来て泊まっていかなかった事に業を煮やしたヒマワリが言った

 

「今日はお泊まりしないの?」

 

「へ?え、えと·····」

 

「お、おいヒマワリ!?」

 

「だって3日前お泊まりしなかったから·····」

 

 そう何か寂しそうな顔と声で言いスミレの胸の内を罪悪感で埋めていく。そしてそんな寂しそうな顔を見てられずヒナタを見たらヒナタも頷いた。スミレは膝を折りヒマワリの身長に合わせ言った

 

「じゃあお泊まりしようかな。」

 

「うん!」

 

 その後スミレはヒマワリとお風呂に入りボルトも入った後にそれぞれスミレはヒマワリの部屋に、ボルトは自室に引っ込んだ。ボルトは窓から出ている月の光を浴びながらスミレの事を考えていた。·····もしビオラが本当に自分とスミレの娘なら自分はスミレと夫婦という事になる。・・・そして何故かその様をさっきナルトとヒナタが話してた時にイメージした。そしてばっと上体を起こし首を顔を真っ赤にしながら振る

 

「いやいや!お、俺はサスケさんみたいな忍者になるんだ!今は結婚してる暇はないってばさ!」

 

 と13歳の少年が言っています。ボルトは手のひらを見た。その手は何度もスミレの手を握った手だ。その手の温もりは今でも覚えている。·····なんならこの部屋で抱擁して寝てた時の感覚も覚えている。もうあの後からスミレが泊まりに来てもスミレはヒマワリの部屋で寝るようになったからもう一緒には·····1度だけソファーで一緒に寝たがベットで寝ることはなかった。そして・・・デート任務からずっと自問自答していた事をまたした

 

「俺は·····スミレをどう思ってんだ?」

 

 一方スミレはヒマワリの寝顔を見て頭を撫でながらもボルトの事を考えていた。ボルトの事を考えると頬は赤くなり心臓の鼓動は早鐘を打つ。だがスミレはそんな鼓動が心地良い。・・・今でも正直ボルトを好きでいいのか思う事がある。別にボルトが本当は嫌いとかじゃなくて好きなのは間違いないが里が知らせてないとは言え自分は元反逆者。それにまだ罪悪感だって持っている。勿論最初の鵺の精神操作を受けていたのがスミレだったり父親の怨念がスミレの頭に刷り込まれていたのが分かってるからスミレはここにいる。

 スミレは物心ついた時から父の呪怨を聞かされていた。そんな今よりも更に少女だったスミレが本当に正しい事など考える余裕があるはずも無くスミレの精神は徐々に変になっていき父が死んだ後でさえ父の怨念の幻聴が聞こえてきた程である。だが・・・そんな精神状態のスミレを光に引き戻してくれたのがボルトだ。あの異界脱出の前に戻れるかすら分からないのにスミレの所に来てくれたボルトの顔は生涯忘れられない。

 多分ボルトにスミレの不安を言っても気にするなとか言ってくれそうだがこれはスミレの問題なのだ。ボルトが良いと言ってもスミレが納得しなければ意味が無い。

 

「私は·····ボルト君が好き」

 

 そう少し確かめるように言うのだった。そして言ったことにより鼓動が早くなった事を感じ心地よさそうに目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 筈だった。スミレは確かに目を閉じた。だが·····懐かしいような聞きたくないような声を再び聞いた

 

『スミレ!我が悲願を果たさずあまつさえ1番の標的の息子に惚れるとはどういう事だ!』

 

 スミレはそれに思わず閉じた筈の目をめいいっぱい開けた。そして・・・少し震えた。目の焦点も少し朧気になっていく。だがもう起きた以上は聞こえない筈と頭を抱えた。だが・・・

 

『お前は俺を・・・父を裏切るのか!?ダンゾウ様が築いてくださった木の葉の者達は里の為に尽くした根を裏切り我々は貧しい生活を強いられたというのにのうのうと暮らして不自由した事ない火影の息子に惚れるとは一体何だ!?』

 

「い・・・嫌·····やめて」

 

 そこに居たのは木の葉の忍びの筧スミレではなく自分の一種のトラウマと言うべきの父親の怨念の声を再び聞いて震えている筧スミレという1人の少女だ。何故父の声が聞こえてきたのは分からない。と言うよりも今のスミレに考える余裕などなかった。自分が本当に良いのかと思ってた所にこんなオカルトみたいな事が起これば誰だって嫌だ。

 

「7代目は·····里の事をちゃんと考えてます・・・」

 

 そうナルトの事を言った。白夜団の時の演説や3日前の火影室の1幕で余計にそう思うようになった。

 

「ボルト君だって·····」

 

『黙れ黙れ!!お前は我らの怨念を晴らしてくれるのでは無いのか!?私も母もそれを望んでる!』

 

「違う・・・お母さんはそんな事望んでない·····」

 

 スミレの母のハコベはスミレの居場所はきっと他にあると父との修行時代に言われた。その事を異界脱出の前に思い出した。そして今のスミレは胸を張って自分の居場所は木の葉だと言える。スミレは本当は少し声を出して父の声を追い出したかったがヒマワリが起きてしまう為スミレはよろよろと立ち上がり焦点が朧気な目でリビングに来た。電気もつけずソファーに座って頭を抱える。それでも小言をネチネチチクチク言われ続ける。スミレの精神はまた疲弊していく。

 

「スミレ?どうしたんだってばさ?」

 

 そんな時スミレに不安そうな声をかけた人物に気が付きスミレは少し眼に涙を流しながら見た。そこに居たのはスミレが誕生日プレゼントとして渡した狐の模様が入ったパジャマを着たボルトだった。

 

「ボルト・・・君」

 

 ボルトは寝ようとしても寝付けずそんな時何か廊下を誰かが歩いてる音が聞こえてボルトも降りたのだ。ヒナタはもう寝ている。

 ボルトはスミレの隣に座った。·····そしてスミレに抱きつかれた。

 

「ちょっ!スミレ!?」

 

 スミレはボルトの体に手を回し割と強めに抱きついている。今までに無いほど強い力で抱きつかれてる。

 

「ちょっと・・・このまま」

 

 ボルトはそれに答えずスミレの頭を撫でた。そして徐々に声が小さくなっていくのを感じたスミレは落ち着いた。そんな自分の胸にいるスミレにボルトが聞く。

 

「どうしたんだ?」

 

「・・・久しぶりにお父さんの声を聞いちゃった」

 

 今のスミレの様子を見ればどう考えても良い事では無い。ボルトはスミレと父親がどんな生活を送っていたのかはスミレの伝聞でしか分からない。だから無責任な事を言う訳にもいかずにただ撫で続けた。スミレはそんな動作を感じながら心地よさそうに目を閉じた。今度は怨念が聞こえる事はなかった。

 

「・・・スミレの髪綺麗だってばさ。」

 

 そう月の光に照らされて輝いてる紫色の髪を見て言った。スミレはボルトに抱きつきながらクスッと笑いながら言った。

 

「ふふ、ありがとう。髪を褒められたのは初めてかも。」

 

「そうなのか?」

 

 それに胸の中で頷いた。そしてまた少し経ちボルトが言った。

 

「···もうスミレは反逆者じゃねえ。スミレは木の葉隠れの俺と同じ班の・・・筧スミレだ。」

 

 それにスミレは目を見開きまた涙を溜めて頷いた。ボルトが言った言葉はナルトが恩師のイルカに言われ・・・その後ナルトも九喇嘛にも言った言葉だ。過去がどうあれ今ボルトの腕の中にいるスミレは間違いなくアカデミーでボルトが出会い・・・慌てたりクラスをまとめようと頑張ったりそんな四苦八苦して・・・親の呪縛からも解き放たれ本来の自分を出せるようになった筧スミレだ。ボルトからすれば反逆者かどうかなんて関係ない。今ここにいるスミレが何より重要で・・・愛しいのだ。ボルトはスミレを抱きしめ撫でながら心の中で・・・今のやり取りで分かった事を心の中で言う。

 

(俺は·····スミレの事が・・・)

 

 この日1人の少年が1人の少女にある感情を持ったのだった。

 




お疲れ様でしたm(*_ _)m。
ボルト・・・漸く気持ちを言葉で言い表す事が出来た。だけど今度は今の自分に恋愛してる暇があるのだろうかと考えてしまう。SDの時と同じ状況です。·····まあ分岐するんですが。次は三次試験です。本作品オリジナルのトーナメント表を是非楽しんでください。·····先に言っとくと割と変えてます。
アンケートしてるので是非答えてください。


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トーナメント開始!!

おはようございますm(*_ _)m。先に言います。戦闘ばっかりです。ボルスミ要素は皆無に等しいです。トーナメント表書いときます。オリジナル注意。
1回戦 ボルトVSシカダイ
2回戦 サラダVSアラヤ

3回戦 ナミダVSヨド
4回戦 スミレVSワサビ

5回戦 ミツキVSいのじん
6回戦 チョウチョウVSシンキ


アニメでもある対戦カードは基本アニメの動きを言葉にしてるだけなんでよろしくです。オリジナル対戦カードはオリジナルでやりました。尚、偶に速攻で終わります。
ではどぞ(っ´∀`)っ


 中忍選抜試験第3次試験の日ボルト達は会場の戦う為の闘技場に入る手前の所に集まっている。砂隠れの3人は反対側にいる。ボルト達はまだ闘技場に入っていないのに伝わる熱気に思わずニヤッと好戦的な笑みをした。

 

「ミツキ君は試合は何番目?」

 

「5番目かな。」

 

「じゃあ僕とか・・・手加減はしないよ?」

 

「うん。」

 

 ミツキがスミレの質問に答えたら入ってきたのはいのじんだ。ミツキはどうやらいのじんと対戦するらしい。

 

「朝飯が喉通んなくてよ」

 

「分かる〜」

 

 そうチョウチョウは返事しているがポテトチップスを普通に食べている。

 

「よく食えんなデブ」

 

 ボルトはそんな会話を聞きながら横目でスミレを見た。そこにいるのは前の夜とは違い微笑んでるスミレだった。スミレは女の子メンバーと話している。ボルトは自分の気持ちについてはもう自覚している。それでも・・・

 

(俺に・・・恋愛してる暇は)

 

 サスケのような忍びになりたいボルトは今恋愛している暇はないと思っている。だけど・・・そう思っていたらアナウンスが流れた。それでボルトは切り替えそこにいた木の葉の面子に言った

 

「木の葉の力見せつけてやろうぜ。だって勝つのは」

 

「「俺(私)(僕)(あちし)!!」」

 

「だってばさ!」

 

 その後ボルト達は入場した。ボルトを先頭にして7班は縦に並んだ。そして反対側からもシンキ達が入場してきた。一瞬だけ視線が交錯した。だが2人とも直ぐに上にいるメタルの父親で試験官のロック・リーを見上げた。リーは下忍を見た後始めた。

 

「この三次試験は個人戦です。1回戦では同じ班のメンバーとは戦わないように配慮しましたが勝ち進めば当然戦う事になります。試合は3回戦までで決勝は甲乙丙、各ブロックの勝者3名での三つ巴戦となります」

 

 最後はバトルロイヤルという訳だ。1回戦のメンバー以外は用意されモニターつきの控え室に移動した。入場する所で見るのも構わないが基本的にはここから見る事になる。スミレも1回戦の面子以外の木の葉の仲間と集まって観戦している。スミレ達が出て行ったのと直ぐに1回戦対戦者たちは拳を付き合わせながら言う

 

「負けないぜ、シカダイ。」

 

「こっちのセリフだ。正々堂々、勝負しようぜ!」

 

 そう言い合い2人は一定距離離れて相対した。リーも真ん中に来る。そしてリーは右手を上げながら2人を見て宣言する。

 

「では、1回戦!うずまきボルトVS奈良シカダイ・・・始め!!」

 

 1回戦の対戦カードは木の葉隠れNo.1の息子とNo.2の息子のぶつかり合いだ。1回戦目から凄い大物の息子同士の戦いで会場はハイテンションになっていく。そしてその戦いもそのテンションに相応しい戦いだ。

 

「ふっ!」

 

 そう言ってボルトは手裏剣を投げるがシカダイはクナイを持ち上手く捌いている。アカデミー終盤からボルトの手裏剣術は急速な勢いで成長している事をシカダイは知っているが故に例え自分に当たらないコースだとしても横目で確認し迎え撃ってる。そしてボルトは手裏剣じゃ埒が明かないと思い煙玉を自分とシカダイの間に投げ辺りは煙に包まれた。そしてボルトは影分身とある術をした。

 

「こんな状況を自ら作るとはな!俺の影の餌食になるぜ?」

 

 そう言いながらシカダイは影縛りの術を煙の中に放った。煙の中で影縛りの影が見えにくくなっている。そんな状況をボルト自ら作ったのだ。スミレも何で?って顔になっている。

 

(どうして?こんなのシカダイ君を有利にするだけなのに)

 

 だがそんな煙の中からボルト達が数人出てきた。影分身だ。だがスミレはこれまた何故となった

 

(何でボルト君最大人数を出さないんだろ?)

 

 ボルトの影分身の最大人数は4体·····では無い。確かに白夜団の前は確かに4人だったが白夜団の後は頑張れば5人出せるようになった。白ゼツの時に4人だったのは別に舐めていた訳では無い。あの時は5人になれるようになって日が浅くちゃんと5人継続出来るか怪しかったからだ。だが今は安定して出せるようになっている。それはスミレもミツキも知っている。だからミツキも?を出している。今出してる人数は4体だ。そのボルト達はそれぞれ影を躱していく。そしてスミレは途中でボルトの糸に気がついたがそれでも?になった。

 

(・・・シカダイ君の意表を突く·····でも捕まってしまえば印も組むのが難しくなる。それが分からない筈ないのに。)

 

 ボルトVSシカダイは状況は拮抗している。どちらの技も当たらないのだ。

 

「ふっ!」

 

 そう言ってボルトはクナイを投げたがシカダイは印を組んだまま避ける。避けられたクナイはそのまま地面に突き刺さった。それでもボルトは気にせずアクロバティックに影を躱し続ける。

 

「いい加減捕まれ!」

 

 シカダイは割と焦っている。影縛りは永遠に出来る訳では無い。自分のチャクラが切れる前にボルトを捕捉せねばならない。·····まあこの苛立ちは演技なのだが。ボルトはそんな苛立ちをかいてそうなシカダイにチャンスだと思い1人が突撃した。周りにいた4人もチャンスだと思い突撃した。だがそこでシカダイはにっと笑った。

 

「なっ!?」

 

 そうスミレは思わず言った。ナルトも似たような驚きの声をあげた。何故ならシカダイの影の範囲がシカダイを中心とし円形になっているのだ。そしてシカダイに突撃していた本体含め5人のボルトが全員拘束された。

 

「し、シカダイあんな事出来たのかよ!?」

 

 そう思わずナルトが後ろにいるシカマルに聞いた。シカマルはニヤッとしながら言った。

 

「親子の対ボルト戦の研鑽の成果だ。ここまでにするのに結構頑張ってたんだぜ?」

 

 そう嬉しそうに言った。・・・まあナルトからすれば嫌味に聞こえてしまうがそれはしょうがない。ボルトの影分身は全員消え去り残った本体ボルトに影を固定しクナイを持って詰め寄る

 

「これはシカダイの勝ちかな?」

 

 そういのじんが言ってるのを聞きながらスミレは両手を握りしめた。画面の中のシカダイはとうとうボルトに詰め寄るのが終わりクナイをボルトに突きつけた

 

「降参しろ。もう詰みだぜ?」

 

 だがボルトの答えは好戦的な笑みだった。

 

「俺は諦めが悪いんだってばさ」

 

 ボンッ!

 

 そんな音がシカダイの横からした。シカダイは目を見開いて横を見た。そこに居たのはボルトが先程クナイを投げてシカダイがそれを避けて突き刺さっていたクナイがボルトに変わっていた・・・いや、この場合は元に戻ったと言うべきだろう。クナイはボルトの変化だったのだ。アカデミー時代にサラダとやったコンビ技に似たような事を今度は自分1人でやったのだ。そしてその変化を解いたボルトがするのは当たり前だが

 

「うちは流手裏剣術、雷・三連!!」

 

 そう雷のチャクラを手裏剣に纏わせながらボルトは投げた。ボルトが最近サスケから伝授してもらった技だ。シカダイはそんな雷と手裏剣の攻撃なんて当たり前だが受けたくないから咄嗟に影縛りを解除し回避した。だがシカダイが影縛りを解除した瞬間にボルトは再び印を結び分身を4体出して回避中のシカダイを取り囲みクナイを四方八方から突きつけた。

 

「·····参った。降参だ。」

 

「そこまで!勝者、うずまきボルト!!」

 

 そのリーの宣言の瞬間観客は沸き立った。

 

「やった!」

 

 そう思わずスミレは勢いよく立ちながら言った。・・・そして周りの視線に気が付き慌てて赤面になりながら座り直した。画面ではボルトとシカダイが共に闘技場から出ている所だった。それと同時にサラダが立ち上がり少し準備運動をした。そしてボルトとシカダイが入ってきた

 

「お疲れ、私の次の相手はボルトか·····」

 

「何だよ、まだ勝てるかも分かってねえのに勝った気かよ。」

 

 そうボルトが言った。サラダが次の試合に勝てば次は確かにボルトと勝負だがそれは勝てればの話である。だがサラダはにっと笑いながら手を出す。ボルトもその意図をつかみ手を出す。

 

「当然!」

 

 そう言いながらハイタッチしてサラダは闘技場に向かった。そしてスミレの隣に座ったボルトにスミレが言う

 

「お疲れ様。」

 

「おう、サンキューだってばさ。」

 

 そんな様子を見ながらシカダイが愚痴る

 

「まさかボルトが影分身を5人まで出せるようになってるとはな」

 

「忍者なら裏の裏を読めってサスケさんが教えてくれたからな。」

 

 そう1人でうんうん言ってるのをスミレは見ていた。あの夜はあの後スミレはヒマワリの部屋にそっと戻って寝た。今度こそ父親の声は聞こえなくなっていた。そんな回想をしていたら観客が浮き立った。サラダと対戦相手の砂隠れのアラヤと言う少年が出たからだ。

 

「何であんな仮面被ってんだ?」

 

「さあ?」

 

「第2試合、木ノ葉隠れうちはサラダ対砂隠れアラヤ、始め!」

 

 その掛け声と共にサラダとアラヤは互いの武器を手にぶつかり合う。そしてサラダは一旦距離を取り手裏剣を2つ投げて途中でぶつけ合い手裏剣が飛ぶコースを変えてアラヤの脇腹辺りに向かった。だがアラヤはノールックでその手裏剣を弾く。それに息を飲みながらボルト達は見守る。

 

「冷静に観察してるって訳ね・・・ならこっちも!」

 

 そう言ってサラダは写輪眼になりクナイを振るう。だがアラヤはそんなサラダの動きを上回り冷静に避けて行く。

 

「・・・写輪眼でも追い切れないってのかよ」

 

「サラダ·····」

 

 そう思わずナミダ言う。ぶつかり合っていたがアラヤが距離を取って剣だったものを鞘に入れてその鞘の先端を見せた。鞘は槍にもなっていたのだ。そしてその槍を振るう。

 

「流石はうちはの写輪眼」

 

 そう言いながら上空に飛び上段から振り下ろす。サラダは写輪眼でも追い切れないならチャンスを作るまでとクナイを手放し印を結んだ。幻術だ。だが止まると思っていたアラヤの攻撃はそのまま進みサラダはそれに気が付き避けようとしたが遅かった。サラダの肩が斬られそこから血が出てくる。

 

「サラダは幻術を使おうとしたのか。」

 

「でも効かなかったみたいだね。」

 

「嘘でしょ?」

 

 ボルト、ミツキ、チョウチョウの順で驚きの声を上げた。写輪眼の幻術を初見で破るなんて·····それはもう並の人間ではない。サラダは流血してる肩を抑えながら何かを考えている。

 

「どんな攻撃も冷静に対処する動き·····あの人・・・強い」

 

 そうスミレが言った。スミレでも十中八九冷静に対処出来るかと言われたら出来るとは言えない。と言うよりも多分幻術に強くなったと言っても写輪眼の幻術を破るのに時間はどうしてもかかってしまう。だがアラヤはそれをものともせずにサラダに攻撃し傷を負わせた。これで弱い訳ない。そんなスミレの思考を他所に試合は再び始まる。肩の傷を負いながらもサラダは再びクナイを構え何とか攻撃を防いでいる。だが怪我の影響か動きが少し鈍い。その証拠にいつもなら防げたらであろう足に向けての攻撃を受けれず食らった。

 

「サラダ!」

 

 サラダは地に膝をつけて息を荒く吸っている。その足からは血が出ている。

 

「無駄っす。君達木の葉の忍びの事は研究してきたっすから。」

 

 そう独特な口癖と共に言う。そしてその槍を掲げ降参させようとした。だがサラダは槍を掲げた瞬間に印を高速で結んだ。

 

「雷遁・雷球!」

 

 嘗て修学旅行の時に戦った相手からコピーした忍術だ。その簡単に言えば雷のボールをサラダは目の前にいるアラヤにぶつけると見せかけて全く関係の無い会場の屋根の所に撃った。勿論そんな事をしたら屋根はぶっ壊れる訳で

 

「僕に任せてください!」

 

 そう跳躍しながらリーの息子のメタルが屋根の残骸を蹴って壊したりした。

 

「ありがとうメタル!」

 

 ボルト達はサラダが会場を破壊したのに驚いた。

 

「な、何やってんだよサラダ」

 

「いや、見て」

 

 そうミツキが言ってボルトも見ると何故かアラヤは倒れていた。ボルトはそれに疑問符をつける。だがそれからまたどよめきが起こりカメラはサラダが壊した会場の屋根を映した。そしてそこに居たのは・・・

 

「さあもう逃げられないよ!」

 

 煙が晴れいたのはアラヤだった。それを見てサラダは確信を持って言った

 

「あなたが本体でしょ?傀儡使い!」

 

「どどど・・・どこで気づいたっす!?」

 

 ·····なんかさっきの自信満々の声とは裏腹に動揺しまくりな声を出した

 

「おかしいと思ったのは最初からね。いくら鍛えていても人間は目の前で突発的に起こった事に無意識に反応してしまうもの。それが全くないなんて。それに写輪眼でも追い切れない機械のような精密な動き。幻術にもかからない。それで思い出した。砂隠れの里には優れた傀儡の技術があるって事を。」

 

「そそそそれだけっすか!?」

 

 そこでサラダはコンマ数秒悩んだ顔をしたが直ぐに返した

 

「あっ、もう1つ。あんた弱った私を相手に急いで勝負を決めに来たでしょ?私の事を研究してきたなら写輪眼の弱点が何か知ってる筈よ。」

 

 控え室にいるシカダイが言う

 

「写輪眼は大量のチャクラを消費する。だからサラダの弱点は」

 

「スタミナ・・・」

 

 シカダイの呟きにスミレが答える。サラダは続ける

 

「私を倒すなら戦いを引き伸ばしてチャクラ切れを狙う方が確実。なのにあんたは一気に決めようとした。その違和感で確信を持った。」

 

 サラダが言うのを少し考えた理由はこの後戦う事になるボルトに自分の弱点を教えるようなものだからだ。だがサラダはボルトならとっくに知ってるかと思い結局言う事にした。サラダは説明を続ける

 

「長引かせて私があんたの秘密に気づくのを恐れたんでしょ?冷静に観察されたら隠しきれないものね。傀儡を動かすそのチャクラの糸を!」

 

 スミレはやっぱりサラダは凄いと感嘆した。あの場に立ってみないことには分からないが自分でも気がつけるか分からない。恐らく鵺がいたら鵺の方が違和感に気が付きチャクラ糸を切ろうとして動いてくれるかもしれないがスミレ単独ではジリ貧になるかもしれない。その頃ナルトはシカマルに聞いた。

 

「戦いに挑む者は闘技場にいなけりゃ失格じゃないのか?」

 

「確かに途中で出たら失格だが最初からいなけりゃ失格にしようがねえ。そうだろ、風影様?」

 

 我愛羅は慌てず返した

 

「何か文句でも?」

 

 まあルール違反はしていないから問題ないがそういう訳にもいかない

 

「こりゃルール改正が必要だってばよ。」

 

 ·····まあ嘗ての中忍試験でナルトはほぼ自分専用のルールがあったのにそれを聞いてなくて失格になった苦い過去があるから何とも言えないのだが。

 そして闘技場ではまだ試合は続いている。別に傀儡がバレたからと言ってアラヤが闘技場に入った訳では無いからだ。·····だが何か様子が変だとボルトは声を上げる

 

「さっきから動かねえ。あいつ今度は一体何を狙ってやがるんだ?」

 

 だがそれにミツキは異を唱えた

 

「いや、彼・・・震えてるよ」

 

「どどどどうすればいいっす!?僕こんなに注目され・・・」

 

「あいつ注目されてビビってるのか?メタルと一緒だな。」

 

「僕あんなですか!?」

 

 そう観客席からイワベエとメタルは言い合う。我愛羅はそんなアラヤを見て言う

 

「悪い癖が出たか・・・」

 

 アラヤはあがり症なのだ。緊張癖があると言い換えてもいい。まあメタルと同じである。そういう面ではメタルと仲良くなれそうである。まあそれは置いときアラヤは殆どやけくそになった

 

「も、もう遅いっす!そその体じゃ逆転は無理っス!」

 

 そう言ってチャクラ糸を再び動かし自分を模した傀儡を動かす。この傀儡のチャクラ糸を切らない限り試合は終わらない。だが半分やけくそになったアラヤとは違いサラダは冷静だった。高速で印を結びサスケ譲りの忍術をした。

 

「火遁・豪火球の術!!」

 

 そう言い巨大な炎を吹き出し直線で走ってきた傀儡をチャクラ糸諸共吹き飛ばした。それを見届けたリーが降りてきて言う

 

「そこまで!勝者うちはサラダ!!」

 

 その宣言で観客は歓声を上げアラヤはへなへなと膝をついた。その頃ナミダは準備して闘技場の入口にやってきた。そこには試合を見届けたワサビやボルト達もいた

 

「凄いよサラダ!あんな術があったなんて!」

 

 そうナミダが感動して言った。

 

「まだ未完成だから焦って真っ直ぐ突っ込んでくる相手くらいしか使えないけどね。それよりナミダ、次はあんたの番!頑張って!」

 

「う、うん!頑張る!」

 

 そしてナミダは闘技場に入っていった。サラダ達は控え室に戻りそこに置いてあった救急箱を取り出しワサビが医療忍術をサラダにした。サラダは次の試合はワサビ何だからいいと言ったのだがワサビは気にするなと言いやった。だがボルト達が知っているワサビの医療忍術よりも治りが早い気がした

 

「ワサビ、お前の医療忍術何か凄くなってねえか?」

 

「サラダの家に行った時にサクラさんから教えて貰ったんだ。」

 

「あー、成程!」

 

 そしてワサビは救急箱と医療忍術を駆使しサラダの肩の傷と足の傷を治した。

 

「どうだ?痛むか?」

 

「うん、大丈夫。ワサビありがとう。」

 

 ワサビ自体はそんなにチャクラは使ってない。傷を治しただけだからだ。それに救急箱もあったのもある。ボルトはそんなサラダを頭に腕を組みながら言った。

 

「まっ、俺はサラダが怪我してようがしてなかろうが勝つつもりだけどな。」

 

「それは私の台詞。あんたには負けないから。」

 

 そう宣言しあったのだった。

 

(やっぱり・・・仲いいんだね。)

 

 そしてまた嫉妬の感情が出ている事に気が付き小さく頭を振った。そんな時リーのアナウンスが聞こえ一同はテレビに向いた

 

「3回戦、木の葉隠れ雀のナミダVS砂隠れヨド!!」

 

 画面のナミダは大観客の前に少し緊張して泣き掛けになっているが相手のヨドは普通だ。リーはそんな2人を気にせず両者見た後に宣言した。

 

「始め!!」

 

 その合図でナミダは一旦距離をとった。だがヨドは動かない。ナミダは舐められているのかと思うがそれを言う勇気はない。構えないのなら自分から仕掛けるまでとクナイを投げつける。

 だがヨドはそれを何処吹く風と華麗に避けていく。そんなヨドの耳にはイヤホンがある。ナミダはあれでは自分の術が使えないと悟る。·····ぶっちゃけそんな事はないのだが。

 ナミダはクナイを投げつけるのでは埒が明かないと思ったのか一旦跳躍自分に背を向けているヨドに起爆札付きのクナイを投げた。避けたとしても爆発に巻き込まれ怪我は負うはずだと思ったからだ。だがヨドは勢いよく振り向きながらいつの間にか持っていたクナイでその起爆札付きのクナイをナミダに弾き返した。その弾き返されたクナイは上空にいたナミダの後ろを突き抜け爆発を起こした。ナミダは文字通り涙を流しかけながら吹き飛び上手く着地した。だがクナイを死角から投げても避けてしまう敵にどうするか何てナミダにも分からずオマケにそれが得体がしれないからナミダが涙ぐむのもある意味しょうがなかった。

 だが·····それでもナミダに勝負を投げる選択肢はなかった。だが作戦も何もないのにどうするか何て分からず·····いつもなら作戦はサラダが立ててくれるが今回は個人戦故にそれは期待できない。好戦的な笑みを浮かべてるヨドに少し気圧され少し下がりながらクナイを投げた。と同時にナミダは何かを踏んだ。そして何故かその避けるのは簡単であろうクナイをヨドは少し目を見開きギリギリ避けた。

 

「・・・なんで?」

 

 そうナミダが言い横目で下を向いたがそこにあったのはクナイだった。自分が投げた物のどれかだろう。控え室にいたシカダイは少し考えた

 

「・・・まさかな」

 

「なんだってばさシカダイ。」

 

「何か気づいたの?」

 

 そう班員を案じるようにサラダが聞いた。シカダイは頷いた。

 

「まあ・・・俺の仮説が当たってるなら·····ナミダは普通に勝てるぞ。」

 

 その答えに一同は「えっ?」とした顔をしたのだった。一方試合は新たな展開を迎えていた。ヨドがナミダに向けて言った。

 

「この程度なの?」

 

 ・・・それだけでメンタルが弱いナミダが鳴くのは時間の問題だった。そしてそれがヨドの最大の誤算という事も。ヨド木の葉の忍びは研究したがナミダは研究しなかった。どこか凄い親の元で生まれた訳でもない。そして目立った戦績もある訳でもない。それだけでヨドがナミダを脅威と認めないのは十分だった。

 

「まっ、あんたが終わるならこっちもやらせてもらおうかな?」

 

 そう言いながらフードを取り長い金髪を出した。その時にイヤホンも同時に無くなっているのを見てシカダイはやっぱりなという顔をした。だがナミダはそれに気が付かない。ヨドは自分の長い髪を持ちそれを勢いよく振りかざした。それによってナミダは思わず耳を抑えながら横にずれた。

 

「今のは・・・高周波ってやつか。まともに食らったらアウトだぞ。」

 

 そうシカダイが呟く。

 

「ほら!まだ行くわよ!」

 

 そう言いながらヨドは更に髪を振りかざす。ナミダはそれをかろうじて避けるがその避けてる最中にも泣き掛けになっている。そして反撃してこないナミダを見てヨドはつまらなさそうに言う

 

「逃げてるだけ?やっぱり砂隠れが1番・・・あんたの仲間がアラヤを倒したのはただのまぐれか」

 

 それを聞きナミダは足を止めた。ヨドは引っかかったとニヤッとした。煽れば自分に向かってくると思ったのだ。そこを自分の術で一気に仕留める作戦だ。だが·····ナミダはその予想を斜め上に越えた

 

「サラダちゃんをは·····本当に強いの!」

 

 そう涙を溜めナミダは殆ど無意識に口を大きく吸った。それを見た観客席にいたイワベエ達も控え室にいたボルト達も耳を抑えた。·····でも普通の観客はナミダの術何て知らないからこの後少し悲惨な目に

 

「何しようとしてるか知らないけどあんたの負けだよ!」

 

 そう言いながら髪を持った。だがそれよりもナミダの方が早かった

 

「あーーーーーーーーーー〜っ!」

 

 そう闘技場所か会場に響き渡る鳴き術·····「ナミダ参上の術」を発動させた。これは所謂超音波であり近くにいればナミダ以外を気絶させる程の威力を持つ。ただ欠点としては味方も耳を防いでもらえないと巻き添えにしてしまうという何ともあれな術である。だが・・・

 

「なっ!?」

 

 ヨドは髪を持っていた手を離し全力で耳を抑えた。だがその顔はどう見ても苦痛を感じてるような顔である。因みに観客も急いで耳を抑えたが·····少しの間皆難聴になってしまった。リーはメタルから凄い術の使い手としてメタルから話を聞いていたから術発動の前にギリギリ耳を抑え難聴を回避した。そしてナミダの術が終わり闘技場でヨド伸びていた。

 

「えっ?」

 

 自分でやったが何故か効果抜群な様子を見れば誰でもこうなる。だがどう見ても試合は終わったからリーが宣言した。

 

「勝者、雀のナミダ!!」

 

 だが1部しか反応しなかった。・・・5影はギリギリ防ぎ難聴も回避したが一般市民は間に合わず皆難聴になってしまったのだ。歓声のないままナミダはよく分からないという顔で闘技場の出入口に来た仲間の元に戻って疑問符をつけながら聞いた。

 

「えっと・・・よく分からないけど勝ったよ。」

 

 本人もよく分かってない顔で言う。そんなナミダにシカダイは仮説だが話した

 

「あいつは恐らく恐ろしく耳が良い奴なんだ。最初にイヤホンをしていただろ?あれはナミダの術を調べてつけていた訳じゃなくて良すぎる耳を抑える為のものだったんだ。」

 

 それにサラダは成程といった

 

「だからシカダイはナミダが普通にやれば勝てるって言ったんだね。」

 

 そう納得したようにサラダが言った。そして今度はスミレとワサビが闘技場に向かった。その道中で2人は話し合う

 

「負けないからなスミレ。」

 

「うん。私も負けないよ。」

 

 そう言って2人は拳をコツンとぶつけた。2人は闘技場に入りリーを真ん中にして向かい合った。

 

「4回戦、木ノ葉隠れ筧スミレVS同じく木ノ葉隠れ伊豆野ワサビ·····始め!」

 

 スミレとワサビはクナイを持ってぶつかった。2人ともどちらかと言うとスピードタイプ、どちらもクナイを振りそれをガードするという展開が続く。だがスミレの方が実戦経験があるが故にワサビが押される。スミレは隙を見つけクナイでは無く拳握りワサビの腹に当てた。

 

「かっ!」

 

 そして怯んだ時スミレは綺麗な回し蹴りを放った。ワサビはギリギリ腕を横に置きガードしたが弾き飛ばされた。ワサビはやはり普通にやれば不利だと悟ったのか弾き飛ばされながらも巻物を広げ着地したのと同時に叫んだ

 

「忍法・猫かぶり!」

 

 文字通り猫の能力を得る術だ。猫だと言って侮ってはダメだ。爪は人を引っ掻いて負傷させるのに十分だし脚力も上がる。スミレは巻物が出た瞬間に攻撃をしようと思っていたのだがワサビはスミレが足を振り抜き弾き飛ばされながら術を発動させたから邪魔が出来なかった。一方ボルト達の控え室ではボルトが拳を無意識に握りしめていた

 

(スミレ頑張れ。)

 

 スミレは猫かぶりを邪魔するというのは出来なかったがならばと接近してきたワサビを迎え撃った。爪による攻撃を紙一重で躱し隙あらば自分も攻撃をした。

 

「くっ!」

 

 そうワサビが苦渋の声を上げる。ずっと体術とクナイで戦ってるスミレに対してワサビは術を発動し続けている。それ故にずっとチャクラを消費し続けているのだ。それに猫かぶりも永遠に出来る訳じゃない。その証拠に術が発動してる証の猫耳が一瞬消えかかった。それと同時にワサビの動きが遅くなった事を悟ったスミレは一気に勝負を決めに行った。

 

「ニャーっ!」

 

 そう言ってワサビは攻撃が当たらない焦りか術が終わる焦りか大振りな一撃を当てようとしたがスミレはそれも紙一重で躱しそれと同時に足を引っ掛けてワサビをこけさした。勿論ワサビは直ぐに立とうとするがその前にスミレがワサビにクナイを突きつけた

 

「・・・参った。」

 

「勝者、筧スミレ!!」

 

 その宣言で電光掲示板がスミレの勝利を知らせ難聴になってしまった人達も歓声を上げた。スミレはホッとした後にクナイをポーチに直してワサビに手を差し出した。ワサビはその手を取り立った

 

「やっぱりスミレは強いな。全然当たんなかったぜ。」

 

「うんうん。私もボルト君とミツキ君と体術の修行してなかったら危なかったよ。」

 

 この3人の修行内容は普通に基礎から実戦形式が多い。元々アカデミー卒業前でも下忍レベルを超えている面子だからだ。まあ特に3人は意識している訳では無いのだが。2人は闘技場の出口に向かう。そこには次の試合のミツキといのじんがいた。

 

「良い戦いだったよ2人とも」

 

 そういのじんがにこやかに言う。

 

「ミツキ君頑張ってね。」

 

「うん。」

 

 そう言ってミツキといのじんは闘技場に入って行った。スミレとワサビは控え室に戻りワサビはサラダとナミダの間にどかっと座った。

 

「15班で私だけ負けかよ〜」

 

「ははは。次があるよ。」

 

 そのサラダの言葉にワサビは頷いた。スミレもボルトの隣に座った。

 

「お疲れスミレ。」

 

「うん。ありがとう。」

 

 テレビから歓声が上がりまた一同はテレビに向いた

 

「では第5回戦!木ノ葉隠れ山中いのじんVS木ノ葉隠れミツキ·····始め!」

 

 先に動いたのはいのじんだった。巻物を開き高速で絵を描いて印を結ぶ

 

「忍法・鳥獣戯画!!」

 

 何匹もの絵の小鳥がミツキに迫る。パッと見攻撃力は無さそうだがどれか1つでも目に入ったらその目は試合中に治す事は難しい。ミツキは小鳥を全部迎え撃とうかと思ったがそれよりも術者を狙った方が早いと考えて後退しながら印を結んで袖を振った

 

「風遁・カマイタチ!」

 

 振られた腕からカマイタチが出て小鳥を切り裂きながらいのじんに迫る。いのじんは描くのをやめて上空に飛んで躱す。だがミツキは今度は腕を伸ばしいのじんの足を掴んだ。

 

「うわっ!」

 

 そんな叫び声を上げながらいのじんはミツキによって無理やり下に叩き落とされた。受身を取ろうにも重力によって落ちるなら兎も角人為的に叩き落とされたら受身を取るのは至難の業だ。いのじんは闘技場の地面に背を下にして叩き落とされミツキは叩き落とした瞬間に倒れてるいのじんに詰め寄りクナイを当てた。

 

「ま・・・参った」

 

「勝者・・・ミツキ!」

 

 いのじんの敗因はミツキが腕を伸ばせる事を忘れて上空に飛んだ事だろう。横ならまだ戦えたかもしれないが上空に行くのは不味かった。いのじんは試合開始僅か30秒で負けて悔しげな顔になっていた。そのまま2人は控え室に戻る。·····木の葉同士で戦った後に一緒に控え室に戻るのって割と気まずい。·····まあミツキはそんな事ないのだが。控え室に戻れば仲間がそれぞれ待っていた。

 

「お疲れ様。」

 

「うん。」

 

「はあー、秒殺されたよ。」

 

「ありゃあお前が悪い。」

 

 とシカダイからの責めもありいのじんは項垂れた。チョウチョウは控え室の出口にまで来て言う

 

「じゃあ、行ってくるっしょ!」

 

「うん!チョウチョウ頑張れ!」

 

 その声援を背に受けてチョウチョウは闘技場に行き対戦相手のシンキと向かい合った。そんなチョウチョウに声をかける人物がいた。それはチョウチョウの父親のチョウジであった。

 

「チョウチョウ〜!勝ったら雷バーガー食い放題!パパも一緒に食い放題!勿論ママも食い放題!」

 

 好きなものでテンション上げるのは理にかなっている。だが今回はチョウチョウの好みではなかった

 

「ハンバーガーか〜、テンション上がんねー」

 

「中々笑えるご両親じゃないか。その前で娘の無惨な姿を見せるのは心苦しいな。」

 

「あんた何様な訳?」

 

「やれば分かる。」

 

 控え室にいたボルトはもっと近くで試合を見たいと思い闘技場の出入口にまで来た。スミレもついてきた。それにつられたのかシカダイ達もやってくる。

 チョウチョウは珍しく怒ってる顔になっている。誰だって何もやってないのに勝手に自分が下だと決めつけられたらこうなる。リーの試合開始の合図はもう終わっているからいつでも始められる。

 

「さっさと来い。お前も2次試験の奴らも忍びに向いていない。ここで現実をわからせてやろう。」

 

 そんな挑発されたらそりゃあ怒る。

 

「あちしカチンと来ちゃったよ!部分倍加の術!」

 

 秋道一族秘伝の術で自分の右の拳を巨大化しその拳でシンキをぶん殴ろうとしたがシンキの纏っていた黒いもの·····砂鉄が動き砂鉄の手を作りチョウチョウの拳を止めた。そしてもう1つの砂鉄の腕がチョウチョウを吹き飛ばした。チョウチョウはギリギリガードし後退した。闘技場の出入口で見ているサラダが言う。

 

「何?あの術・・・」

 

「メタル達が手も足も出なかったってやつか」

 

 外野が観察してる間にチョウチョウは攻め続けるがシンキはその場から1歩も動かずにチョウチョウを押す。観客席にいる親のチョウジとカルイが話し合う

 

「大丈夫かなママ・・・」

 

「あんたが狼狽えてどうすんの?チョウチョウも馬鹿じゃないんだ。接近戦が不利なら距離をとるだろうさ。」

 

「距離だよ距離!一旦離れて!」

 

 そんな言葉を聞いたシンキは言う。

 

「心配してくれる肉親がいるだけ有難いと思うんだな。」

 

「何言ってんのか分かんないんだけど!」

 

 ボルトはシンキの言った言葉で眉をひそめた。だが今はチョウチョウが戦ってるが故黙った。

 

「早目に降参することだ。俺は手加減が出来ないと言っただろう。」

 

 チョウチョウは顔を苦しげにしながら一旦下がった。

 

「痛った〜。ネイル整えたばっかりなのにどうしてくれるのよ。あんた調子こいてっと痛い目見るよ!」

 

 そうシンキを指さしながら言った。そして再び部分倍加の術で拳を大きくし跳躍した。それを見たサラダが思わず言う

 

「同じ手は通用しないってば!」

 

 だがチョウチョウはシンキでは無く会場の地面を殴り瓦礫を浮き上がらせた。

 

「からの〜ドーン!」

 

 チョウチョウはその浮き出た瓦礫をシンキに向かって弾き飛ばした。だがシンキは砂鉄で自分事包みその瓦礫をガードした。チョウチョウはさっきは接近戦していた故に気が付かなかったが遠距離攻撃をしてみて気がついた

 

「砂鉄にチャクラを流し込んで操ってたのね!」

 

「それが分かったところで事態は何も変わらない。」

 

 確かにそうである。自分の方から相手のチャクラコントロールを奪う事は·····出来る人はいるがチョウチョウには出来ない。ならば道はただ単純にぶっ飛ばして勝つしかない。だがそれが簡単に出来れば苦労はしない。チョウチョウは焦って再び直接殴りに行こうとしたがシンキにまた吹き飛ばされた。だがチョウチョウは立て直し吹き飛んだ所にあった瓦礫をぶん投げた。だがシンキはそれも防ぎ砂鉄をチョウチョウに伸ばし捕まえた。

 

「うわぁーーっ!」

 

 そんな叫び声を上げながらチョウチョウは地面に叩きつけられた。

 

「立たなくていい!もう十分だ!」

 

 だがチョウチョウは立ち上がる。シンキはそれを見て感情の変化がよく分からない声で問いかける

 

「無駄だと分かっていて立つか」

 

「ポテチのレアシリーズにさ、明太子プリン味ってのがあんのよね。」

 

 何かよく分からないシリーズの話を持ち出しながらチョウチョウはゆっくり立つ。

 

「そんなの美味いわけないじゃん。でもさ、あちし食べてみんのよ。一か八か食べて見なきゃ分からないでしょ?」

 

「・・・お前の残りのチャクラ量では何をしようが無駄だ。」

 

「ふぅ·····無駄かどうかなんてやって見なきゃ分かんないって言ってんの!」

 

 そうチョウチョウは言って印を結ぶ。その印はチョウチョウの父のチョウジがよく使っていた・・・だがチョウチョウはあまり使いたがらなかった術だ。それは·····

 

「本当に嫌だけど!肉弾戦車!!」

 

 そうチョウチョウ事巨大化し顔を引っ込めた後にチョウチョウは地面を凄い勢いで転がった。シンキはそんなチョウチョウを迎え撃つ。砂鉄の手で止める。だがチョウチョウは回り続けている。ボルト達は手を握りしめた。そしてチョウジとカルイは

 

「い」

 

「行けチョウチョウ!!」

 

 やっぱり父親よりも母親の方が熱かった。

 

「ゴロゴロゴロゴロ·····」

 

 そしてそのぶつかり合いの果てに煙が上がった。結果は·····

 

「ハァハァ・・・あんた·····少しは見る目変わった?」

 

「そうだな。やはり俺の方が遥かに上だった。」

 

「あぁそう。むかつくわァ〜」

 

 そう言いながら仰向けに倒れた。そしてリーの勝利宣言があり難聴が治った観客は沸き立った。ボルト達は倒れたチョウチョウの所に来て言った

 

「チョウチョウ大丈夫?」

 

「だらしない顔してるから大丈夫だよ。」

 

 そんないつも通りの会話をしながらシカダイといのじんはチョウチョウに手を貸し持ち上げた。女子陣と猪鹿蝶はそのまま控え室の道に行った。ボルトとミツキも続こうとしたがその前にシンキが声をかけてきた

 

「ミツキとか言ったな。せいぜい見習う事だ。どんな理由があっても手を抜く事は相手を愚弄する行いだ。俺は父上の名にかけてお前を倒す。」

 

 だがそれに反応したのはボルトだった。

 

「父上の名にかけてだ?笑わせるな!勝負ってのは自分自身と仲間の為に戦うもんだぜ?」

 

「お前を倒すのはその次だ。勝ち残ればの話だが。」

 

 そう言いながらシンキは背を向け退場していく。そんな背中にボルトが吠える

 

「お前もミツキに勝ってから言えってばさ!」

 

 その後ボルト達は控え室まで戻る。そんな控え室から未だにグラグラしているチョウチョウを連れて猪鹿蝶がチョウジとカルイと一緒に出てきた。

 

「おう、何してたんだ?」

 

「ああ、ちょっとな。」

 

 そうはぐらかした。

 

「そうか。俺達はもう観客席に行くぜ。」

 

「おう!見ててくれってばさ!」

 

 シカダイもいのじんも頷き観客席に行く為の階段を登って行った。それを見届けた後ボルトとミツキは控え室に入ろうとしたが·····Uターンした。ミツキは不思議そうな顔で着いてきながら聞く

 

「どうしたの?」

 

「あー、いや。あそこ今女子ばっかりで何か入りにくいからさ。」

 

 ミツキは再び首を傾げた。ボルトはそんな事を気にするような性格だっただろうかと思ったのだ。·····実際はさっきまでは試合があるって言う建前で控え室にいてもスミレを気にする事はなかったが今は準決勝の前の30分休憩だから自分の気持ちを自覚した今は多分スミレの事を無意識に気にしてしまう。それをサラダ達にバレたら何て言われるか分かったもんじゃない。

 

(俺・・・こんなキャラだっけ?)

 

 そう思わず愚痴たボルトなのであった。そのまま2人はぶらぶらして丁度いい階段があったから座った。そして少しミツキと話してたのだがそんな時後ろから声をかけられた

 

「ボルト。何してるんだこんな所で?」

 

「父ちゃん!」

 

 ボルトの父親のナルトだった。家にいる時とは違い今は7代目の羽織を羽織ってる。

 

「なんでここに?」

 

「それは俺が聞いてるんだけど・・・まあ5影にも休憩時間位はあるってばよ。」

 

 そう言いながらナルトはボルトの隣に座った。余談だが座ってる階段は皆共通だから割と迷惑である。今は運がよく誰も来てなかったから良かった。今は父親として褒めている

 

「よくやったな。」

 

 そう言いながらナルトはにししとボルトの頭を撫でた。ボルトは素直に受け取った。誰かに見られてたら小っ恥ずかしいが今はミツキだけだ。なら問題ない·····筈。そしてそんな撫でも終わり3人は立ち上がった。もう少しで30分経つからだ。ナルトは拳を突き出しながら言った

 

「サラダにも負けんなよ?」

 

 ボルトもにっと笑いながら勢いよく合わせた

 

「当たり前だってばさ!」

 

 そうコツンとした後ナルトとボルト達は反対に進んだ。そして休憩が終わりボルトはサラダと闘技場の真ん中にまで来た。

 

「そう言えばあんたと直接戦うのは初めてね。」

 

「そう言えばそうだな。」

 

 2人は割と落ち着いている。その反対に観客はまだ試合が始まってもいないのに熱気が高まっている。なんせ7代目火影うずまきナルトの息子とそのライバルにしてナルト共に忍界を救ったうちはサスケの娘の対決なのだ。興奮しない方がおかしい。リーは何か少年期のナルトとサスケを少し思い出した。が、今は仕事中故にそれ以上考えるのは止め手を上げた

 

「では、準決勝第1試合·····始め!」

 

 そして2人はぶつかった。先ずはクナイを持たずに互いの体術のみで戦う。滑り出しは静かだった。

 

「はっ!」

 

 ボルトが日向の体術を駆使しサラダは親から譲り受けた力押しの体術で戦いを繰り広げる。だがそこは少し相性が悪かった。確かにサラダの力押しの体術は1発1発当たるだけ相手を消耗させることは出来る。サラダの体術は1文字で言い表せば「剛」なのだ。それに対してボルトの日向流体術は白眼こそはないがそれでもボルトはその天性の才能でヒナタやハナビから得た体術。柔拳を使いチャクラの経絡系を塞ぐことは厳しいがそれでも普通の体術として流用するなら通じる。そんなボルトの日向流体術ら一言で言えば「柔」。

 

「くっ!当たんない!」

 

 ボルトはサラダの攻撃を上手く受け流す。そして反撃に掌底を加える。だがそこはサラダも上手くガードしながら後退し2人の戦いは一旦止まった。

 

「あんた・・・そんなに強かったのね。」

 

 サラダはボルトの事を見直した。元々強いのは知っているが体術の相性もあったがそれでも決定打が無いことに思わず褒め言葉を出した。勿論まだ写輪眼は出してはいないがそれでも体術で負けたのは割と堪えてる。

 

「でも私も負けない!」

 

「·····へへ、写輪眼か。」

 

 そう言いボルトはサラダの周りを走りながら手裏剣を投げる。偶にカーブや2つぶつける事によるコース変更という技も使うがやはり本場のうちは一族、上手くクナイで叩き落とす。だがサラダが接近しようとするとボルトも上手く距離を取りながら手裏剣を投げる。サラダは段々とイラついてきた。

 

「ちょっと!やる気あるの!?」

 

「いや、そんな事言われても·····」

 

 やる気はありまくるのだが接近戦に持ち込んで幻術にかけられて負けましたなんて洒落にならない。

 

「そんなにお望みならやってやるよ!影分身の術!」

 

 そう言って分身を五体出しサラダに向かわせた。サラダの写輪眼が動きを先読みする。1人目の分身はサラダに飛び蹴りをしようとしたがサラダは逆にその足を持ちながら逆に向かってきた2人目の分身に投げ返した

 

「しゃんにゃろー!」

 

 2人の分身は消えたがその煙に乗じてクナイが来る。サラダは顔を逸らして躱す。もう2人の分身も突撃してくるがサラダは冷静に捌く。そして分身2人が消えたのと同時にまたボルトが突っ込んでくる。

 

(これが本体!)

 

 写輪眼は白眼とは違い影分身の本体か分身を見分ける事ができる。本体をぶっ飛ばしてチャクラコントロールを乱れさせればもう1人の分身も消える。だがその時何故か影分身が消えて出来た煙が一瞬で晴れた。サラダは目を見開きその場所を見た。そこに居たのは分身のボルトだ。いや、それは今はどうでもいい。大事なのは何故かボルトが何かを投げたようなフォームをしていている事だ。違和感でサラダは本体ボルトがいるにも関わらずその得体の知れない投げられたものをガードした。

 

「うっ!」

 

 そう言いながらサラダは少し吹き飛んだが何とか倒れるのだけは阻止した。だが阻止しただけだ。サラダはその時仰け反ってしまい本体ボルトの攻撃をガードする術はなかった。

 

「はぁ!」

 

 日向流の掌底がサラダの腹部に直撃した。

 

「かハッ!」

 

 サラダは肺の中の空気を一気に出され苦渋の声を上げた後に吹き飛んだ。ボルトはそのままクナイを当ててサラダを降参させようとダッシュしたが

 

「負けるものですかーーっ!」

 

 意地で立ち上がりボルトのクナイを持ってる腕を掴んだ。ボルトは左手で殴ろうとするがその手も捕まえた。

 

(このまま持ち上げて叩き落とす!)

 

 そう心で言ってサラダは腰を入れて本体ボルトを持ち上げて地面に叩き落としてクナイを当てて降参させようと思った。·····サラダは焦っていた。あとは本体ボルトをぶっ飛ばせばほぼ勝ちだったのにいつの前にか自分は仰け反りさせられ掌底を貰ったことに。自分の動きが読まれている。そう感じサラダは焦っていた。決定的な事を忘れる程に

 

「悪いな。俺も負けたかないんだよ!」

 

 そう言いながらボルトは頭を下げた。サラダはいきなりのその行動に0.5秒で不思議な顔をし残りの0.5秒で驚愕した。そして自分の迂闊さを思い知った。頭を下げたボルトの後ろにいたのは分身のボルトだった。サラダは咄嗟に腕を離して後退した。だが先程の掌底が思ったよりも効いていて顔を苦痛に染める。

 

(だけどこれで本体と分身がぶつかり合って隙が生まれる筈!)

 

 今分身ボルトは本体の後ろから飛んできてる状態だ。本体ボルトは頭を下げ

 

(何で腰が下がってるの!?)

 

 ボルトは所謂礼の体勢に近かった。あんなの反撃しにくいだけなのに·····と思ったサラダの思惑は再び打ち砕かれた

 

「はっ!」

 

 そう言いながら分身が今度は本体を踏みつけてまたサラダの上空に飛んだ。そしてここでもサラダは不味い事をした。上にいるボルトに気を取られたのだ。礼状態から再び本体ボルトは動き出した。

 

「くっ!」

 

 本体ボルトは拳を握り上のボルトはクナイをサラダに投げた。上から前からの同時攻撃がサラダを襲う。普段のサラダなら何も問題ないが今は無理やり体を動かしたが故に動きにくい。サラダは上からのクナイを1歩下がる事で躱す。そして本体ボルトの拳も避けようとしたがその前に上に影が出来たのを見て咄嗟に腕を上空に交差させた。その腕にかかと落としをしていた分身ボルトは一回転し本体ボルトと入れ替わった。そしてサラダに次の攻撃を避ける術はなかった。

 

「はぁ!」

 

 その本体ボルトの右手には青い球体が出ていた。それは

 

「螺旋丸!!」

 

 その声と共にサラダの周辺に爆風が吹き荒れた。サラダは普通ならしてはいけないが思わず目を閉じた。そして恐る恐る見ていたら螺旋丸が自分の腹部スレスレで止まっていていつの間にか来た分身ボルトが首筋にクナイを当てていた。サラダはため息して言った

 

「·····参った」

 

 元より目を閉じた時点で勝負は決していた。電光掲示板がボルトが勝った事を知らせれば観客は何度したか分からない大歓声を上げた。2人はそのまま闘技場出口にまで歩く。その道中サラダが悔しそうに言う

 

「・・・まさかあんな切り札があったなんて」

 

「?·····あー、そうか。サラダは俺の消える螺旋丸は何であんな風になるのか知らなかったのか。」

 

 そうボルトが少し考え言った。サラダはそれに疑問符をつける

 

「あんたが使ったのがアカデミーの時に使った奴なのは分かったけど」

 

「あれは雷遁の性質変化があるんだってばさ。だからチャクラの流れを見る写輪眼を持つお前相手なら有効だと思ってな」

 

 にししとイタズラ小僧のような顔をして笑った。その顔は父親のナルトにそっくりだった。サラダは消える螺旋丸の存在自体はアカデミー時代の時にボルトが使ったのを見て知っている。だが何故消えるのかは知らなかった。そして自分の写輪眼を逆手に取って逆にフェイントに使用されたのを知りまた悔しそうな顔をしながら言った。

 

「次は絶対に勝つから今回の勝ちはあんたに譲ってあげる。」

 

「次も勝つのは俺だってばさ。」

 

 そんな幼なじみの会話をして次の試合のスミレとナミダの所まで来た。

 

「お疲れ様、ボルト君。」

 

「おう!スミレも頑張れよ!」

 

「うん。」

 

 その隣ではサラダとナミダが話していた。

 

「ナミダも頑張って。」

 

「う、うん。頑張る!」

 

 そう言いながら4人はすれ違った。だがボルトは闘技場の出入口の所で止まり振り向いて闘技場を見た。サラダも迷ったがそこで止まり試合を見る。そうしてたら後ろからミツキとワサビも来た。

 

「準決勝第2試合·····始め!」

 

 その宣言で互いのクナイをぶつけた。スミレは兎も角ナミダの技はもうスミレに知れ渡っている。だからナミダは迂闊に術を使えない。

 

(でも不意打ちですれば)

 

 不意打ちならば効く筈だ。戦いにおいて音も重要なファクターだ。ダウンまでは取れなくても一時的な難聴にすれば少しは渡りあえるはず。と思った。だがスミレは一旦下がった。そして口を噛んだ。ナミダはそれであっとした顔になった

 

「口寄せ!」

 

 その言葉と同時に鵺がスミレの上空から降ってきてスミレの頭に乗りつつ耳を塞いだ。これでナミダの術は鵺を退かさない限り意味が無い。そうなればあとは地力の問題で·····

 

「·····参った。」

 

 スミレがナミダをあっという間に追い込み降参させた。ナミダは身体能力はワサビよりも低い。ならワサビに勝ったスミレが負ける道理はなかった。

 

「ふぅ」

 

「ぬえ〜」

 

 そう言いながら鵺は肩に乗った。スミレは鵺を見て微笑んだ後にナミダに手を差し出した。ナミダはその手を取り立ち上がった。

 

「う〜スミレ強いよ〜」

 

「ふふ、ありがとう。」

 

 ここで謙遜するのは良くない。素直に受け取った。2人はボルト達の所まで来てスミレはボルトとハイタッチした。

 

「これで後はミツキだけだぜ。」

 

「頑張って!」

 

「決勝は第7班でやろうぜ?」

 

「うん。」

 

 そう言いながらミツキは闘技場に入って行った。向かい側からはシンキが出てきた。

 

「準決勝第3試合、木ノ葉隠れミツキ、砂隠れシンキ·····始め!」

 

「風遁・突破!」

 

 ミツキの風遁がシンキを襲うがシンキは砂鉄でガードする。そしてし終わった後に砂鉄の塊をミツキに向け捕まえようとした。実際ミツキは空中で右腕が捕まった。だがミツキは右腕を蛇に変化させてその拘束を抜けた

 

「面白い手品だ。次は何を出す?鳩か?」

 

「僕、蛇しか出せないけど。君こそ変わった術を使うね。どうやってこの砂鉄を動かしてるんだい?」

 

「これは父様から直々に教えてもらった術。お前に分かるはずもない。」

 

「そう。まあどっちでも良いけどね。」

 

(砂鉄にチャクラを流し込んで動かしてるのは間違いねえ。だけどそれだけであんな自由自在に出来るのか)

 

 外野ではボルトとスミレがシンキを観察していた。ミツキが負けるとは思ってないが観察しとくのに越したことはない。

 

「風遁・カマイタチ!」

 

 また風遁をするがシンキの砂鉄の防御は破れない。

 

「無駄だ。」

 

 そして今度は腕だけじゃなくてミツキ自身を砂鉄で捉えた。だがその砂鉄の塊から蛇が大量に出てきた。蛇分身だ。

 

「潜影乱蛇手」

 

 その言葉の次の瞬間地面から大量の蛇がシンキに襲いかかった。シンキは砂鉄を自分の周りに広げその蛇達を止めた。

 

「まさに鉄壁だね。でもこれはどうかな?」

 

 そんな言葉を呟きの瞬間にシンキの足を地面から掴んだ。それと同時にミツキは地面から出てきて腕を伸ばしながら言う

 

「潜影蛇葬!!」

 

 シンキを地面に引きずり込んだのだ。だがミツキは手応えが無いことに手を見ながら後ろに問いかける

 

「そうだよね。まるで手応えがなかった。今まで1歩も動かなかった君が分身を使うなんてね。少しは驚いてくれたかな。」

 

 それに後ろに来たシンキが答える

 

「ああ。だが父上はこういう状況だからこそ油断するなと。かつて戦ってきたライバルがそうであったと教えてくださった。お前はどうだ?ミツキ。もっとお前の力を見せてくれ。」

 

 そう言って砂鉄を広げた。ミツキは冷や汗を出しながら思考する。

 

(もう小細工は通用しない。こんな時ボルトならどうするかな?)

 

「・・・雷遁・蛇雷!」

 

 ミツキは雷遁を放つ。そしてその雷遁でシンキの砂鉄の鎧が崩れた。ミツキはそのチャンスを生かすべく一気に接近し殴ろうとしたがシンキはギリギリ躱し自分の拳に砂鉄を一瞬で集めて逆にミツキを殴り飛ばした。

 

「ミツキ君にわざと鎧を外させてチャンスを作ったようにして誘い込んだんだ。」

 

 スミレは手を握りながらそう呟いた。その隣ではサラダが写輪眼でミツキの状態を確認する。

 

「術も結構使ってる。チャクラも後僅か·····」

 

(·····ミツキの雷遁で鎧は外れる。だけどそれでも相当な雷遁じゃねえと今みたいにカウンターされる。)

 

 ボルトは冷や汗を出しながら観察している。

 

(ミツキ·····どうするんだ?)

 

 シンキは再び砂鉄を纏いながら問いかける

 

「こんなものか?まだある筈だ。奥の手が」

 

 シンキはミツキが本気を出していないことを気がついている。ミツキは口元を少し緩めている。

 

「そうか。その余裕がどこから来るのか教えて貰うぞ。さっきの攻撃でお前に砂鉄のマーキングを仕込んだ。砂鉄の性質は知っているな?」

 

「磁力」

 

「そうだ。回避不能の槍がお前を貫く。」

 

(確かにこの状況じゃなす術なしかな。この人に勝つには仙人化しか…)

 

 ミツキは心でそう言いながらふと目に止まったボルトを見た。ボルトもそれに気が付き不思議そうな顔をした。ミツキはボルトに微笑んだ

 

(さあ見せてみろ。お前の本気を!)

 

 シンキが砂鉄の槍を放った。それはミツキの心臓辺りに物凄い勢いで飛んでいく。そして·····

 

「参った」

 

 その言葉を聞きシンキは槍を急停止した。

 

「今のは聞き間違えか?」

 

「うんうん。あってるよ。参ったって言ったんだ。」

 

 そうミツキが言えば電光掲示板がシンキの勝利を知らせた。ミツキはシンキの前を通りボルト達の所に向かう

 

「何やってんだよミツキ!」

 

「どこか怪我したの?」

 

 そう班員のボルトとスミレが心配そうに声をかけた。

 

「ごめん」

 

「「えっ?」」

 

「いや、よろしくかな。うん。そんな気がする。」

 

 ミツキはそのまま闘技場を出ていった。ボルトとスミレとシンキはリーを見た。

 

「決勝戦は明日開催します。出場者は万全の態勢で臨むように!」

 

 リーのその言葉で解散した。シンキは砂隠れのメンバーの所に行きボルトは男仲間の所に行きスミレは女の子メンバーの所まで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その夜ボルトはサスケの元で修行していた。最初はサラダを倒した事により割と気まずかったがサスケは気にしていなかったからボルトも徐々に普通になっていた。今は雷遁を構成する印の精度を上げている。

 

「そう言えば千鳥と紫電の違いって何だってばさ?」

 

 そう印をしながらボルトは聞いた。サスケは直ぐに答える

 

「そうだな・・・千鳥は貫通力が紫電よりもある。対して紫電は千鳥よりも汎用性が優れているな。」

 

「へ〜!」

 

 ボルトはサスケが千鳥を使う所はあんまり見てない。だから違いが分からず聞いた。その後も黙々とボルトは印の精度を上げていく。そんなボルトを見ながらサスケは話をした

 

「昔…人の言葉に耳を貸さず手段を問わずに力を求め、一人で世界を変えようとした男がいた」

 

「へぇ〜。そいつどうなったんだってばさ?」

 

「痛い目を見たさ。でも最後は友が助けてくれた。」

 

「つまり友達は大事って事だろ?そこに関しては俺は大丈夫だってばさ。俺の友達皆良い奴なんだぜ?」

 

「·····そうか。」

 

 

 修行はそこで切り上げ2人は帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でしたm(*_ _)m
最後にボルスミシーン入れようかと思ったんですけど思いつかず挫折。まあ翌日は敵だから良いかなと。モモシキ達の戦いが終わればいっぱい書くので許してください(ノ_ _)ノ

オリジナル設定、ボルト影分身を五体出せるようになってる。シカマルが修行次第で出せたかもしれねえって言ってたから良いかなと。

そしてナミダ、よく分からない内に勝つと言う。ヨドとは相性が良すぎた笑。尚スミレには通じなかった模様。

そしてボルトVSサラダやりました。·····尺の都合上あんまり書けませんでしたが。消える螺旋丸って写輪眼でも見えるみたいだからそれを逆手に取って戦うと言う。

戦闘ばっかりでめちゃくちゃゆっくり目に書いてたんで時間かかりました。ごめんなさいm(*_ _)m
では次は決勝です。原作・アニメ・映画とは違う結末を楽しみにしてください。(*´∇`)ノ ではでは~


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決勝戦開戦!

おはようございますm(*_ _)m
決勝です。どぞ(っ´∀`)っ


 翌日ボルトは闘技場の控え室にやってきた。そこに居たのは今日対戦するスミレやアカデミーの同期達だった。その同期の内の一人のイワベエが笑顔で言った

 

「頑張れよボルト!」

 

「応援してるからね!」

 

 そう口々に男組はボルトに言った。ボルトもそれを笑顔で答える。スミレは反対側で女子組に応援を貰っていた。そしてボルトとスミレは決勝の時間になったから闘技場に向かった。他の皆は観客席に向かった。2人が闘技場に入るのと同時にシンキも入ってきて会場は一気に沸き立った。ボルトはスミレに拳を向けた

 

「今日はよろしくな。」

 

「うん。」

 

 そう言ってスミレも拳を合わせ2人は離れてシンキと三角形を作り相対した。それを見てリーが宣言する。

 

「これより中忍試験決勝戦を始めます。決勝は三つ巴戦で最後まで立っていた人の優勝です。」

 

 観客はまだ止むことの無い歓声をあげている。リーはそれを無視し3人を見た後に手を上げて言った。

 

「それでは、決勝戦·····始め!」

 

 その宣言の瞬間にシンキは2人に向かって砂鉄の攻撃をした。2人はそれを軽々と避けた。それを見た5影の土影の黒ツチは言う

 

「馬鹿なの?三つ巴戦で2人に同時に攻撃するなんて」

 

「それだけ自信がある。そういう事ですね。」

 

 そう黒ツチの呟きに水影の長十郎が反応し我愛羅を見た

 

「シンキには俺の全てを叩き込んだ。」

 

 そう渋々と答える。一方ボルトとスミレは砂鉄の攻撃を避け続け集まって軽く作戦会議をする。

 

「スミレ、俺はお前と決勝でやりたいんだ。だからここは協力してあいつをぶっ飛ばすまで共闘しねぇか?」

 

 スミレは砂鉄をクナイで弾いたり避けたりしながら言う

 

「うん!良いよ!」

 

 スミレも最後に戦うならボルトが良いと思っていたのだ。

 

「へっ、共闘成立だな。」

 

 その会話を聞いたシンキは一旦砂鉄の攻撃を止め言った。

 

「その方が都合がいい。2人纏めて倒し砂隠れが優れている事を証明する。」

 

 シンキの砂隠れの信仰は幼少期に我愛羅から貰った愛情の恩返しでもある。だがボルトとスミレはそんな事は知らないから何も反応しないのだが。ボルトは影分身をした後に幾つかの起爆札つきのクナイを持ってシンキを取り囲む。スミレも同じものを持って上空に飛んでボルト達とスミレは一斉にそれを投げた。その起爆札の爆発により辺りは黒煙が上がったがその黒煙が無くなった時ボルトは歯を噛み締めた。

 

「俺の守りは絶対に破れん」

 

 シンキは2人の攻撃を砂鉄の大きい手で自分を包む事により防いだ。そしてその手はそのままシンキから少しだけ離れ大きい手を形成した。その2つの手からは雷っぽいやつが出たりしている。それを見ながらナルトは我愛羅に言う

 

「誰かを思い出す絶対防御だな。」

 

「黒鉄の拳、シンキが最も得意とする攻防一体の術だ。」

 

 シンキは片手を前に突き出し

 

「黒鉄の拳·····射出!!」

 

 ギュッと握った瞬間にその砂鉄の拳が猛スピードでボルト達とスミレを襲った。本体ボルトと分身ボルトの2人とスミレは上空に飛んでそれを躱した。だがシンキは手を上に向けた。それにより先程射出された拳が今度は上を向いて突撃してきた。ボルトとスミレは分身ボルトと連携してその拳も避けた。だがシンキは再び拳を動かし空中にいるボルトを叩き落とそうとした。だが最後に残っていた分身ボルトが飛び込み本体ボルトはその攻撃を避けれた。ボルトは上手く着地して目の前を見る。そこに居たのは拳を引き戻したシンキだ。スミレはそれを見ながら呟いた。

 

「・・・電磁場だね。」

 

「·····なんだそれ?」

 

「磁力のフィールドで砂鉄の形を変えたりコントロール出来るんだよ。」

 

 そう簡潔に伝えた。

 

「・・・普通なら雷遁をぶつけるのが良いんだろうけど」

 

 スミレはそれに頷きながら言う

 

「生半端な雷遁じゃダメ。」

 

 ボルトはそれを聞き右手に紫色の光をほとばしらせた。スミレはそれを見て頷いた。

 

「・・・隙は作る。」

 

 そう言って印を結んだ。水分身がスミレの隣から出てきてシンキに向かった。シンキはそれを動かず砂鉄だけで蹴散らす。水分身はチャクラ消費が少ない代わりに本体の10分の1程の力しか持たない。だがボルトは少し気を散らしてくれた時を狙いシンキに突撃した。

 

「紫電!!」

 

 紫電・・・六代目火影のカカシが写輪眼を失って出来なくなった雷切の代わりに開発した術だ。ボルトはそれを突撃しながら紫電を伸ばしてシンキの顔面にぶつけようとした。シンキは水分身のスミレを相手にしていた砂鉄を紫電のガードに回した。

 

「くっ!」

 

 そうボルトが苦渋の声を上げる。そして少しの拮抗の後にボルトは弾かれた。ボルトは上手く着地したが右手を少し抑えてシンキを見た。シンキは状態を確認した後に言った。

 

「確かに強力な雷遁だがお前の強さでは片手がやっと崩れるくらいだ。」

 

 シンキの紫電を受け止めた砂鉄の拳は半分ほど崩壊していた。カカシが放つ本場の紫電なら突き抜けられたのだろうがボルトの紫電では突破出来なかったのだ。ボルトは自分の力の無さに思わず舌打ちをした。

 

「知るが良い、絶対的な力の差を」

 

 その言葉と共に砂鉄の手が地面を揺らし煙をあげさせた。そしてその煙の中から出てきたのは砂鉄の拳に掴まれて両腕を使えないボルトとスミレだった。

 

「父様は木の葉を過大評価しすぎている。7代目火影を敬うあまりにな。だから証明する。木の葉よりも・・・火影の息子よりも父様の全てを受け継いだ俺の方が上だという事をな。」

 

 その言葉と共に2人を拘束している拳の力を入れる。

 

「うぉおおお!!」

 

 あまりの痛みにボルトは思わず叫んだ。スミレも必死に耐えて拘束を取ろうとするが力が足りず逆に力を強められる。

 

「うっ!何とか·····しないと・・・」

 

 だがスミレにこの拘束を解く術がない。·····その時スミレの拘束している拳から紫色の光が発光して出てきた。そしてその発光と共にあるものがシンキに向けて駆け出した。

 

「何!?」

 

 シンキはそのものの対応の為に2人を拘束していた腕を解いてガードに回した。その出てきたものの体当たりは砂鉄で防がれ吹き飛ばされたが上手く着地した。そんな出てきてくれたものにスミレは言った。

 

「鵺、ありがとう。」

 

「ぬえ〜!」

 

 鵺だ。鵺がスミレのピンチに駆けつけたのだ。5影はそれを見て感心したような声を出した

 

「あの獣・・・口寄せをしていないのに出たぞ」

 

 そう雷影のダルイが言えばシカマルは鵺の件が件だけに少し冷や汗を流しながら答える。

 

「あの獣・・・鵺は色々特殊なんです。」

 

 口寄せ獣は基本術者が呼ばないと来ない。だが鵺は自分から来る事が出来る。それは主人で親のスミレを守りたいが故だ。ゴースト事件の時もサイにやられたスミレを助ける為に不完全な状態で出てきてスミレを助けた。

 

「スミレを助けたくて来たんだろうな。」

 

 そうナルトが締めた。そして闘技場では新たな動きがあった。何とシンキが自分の砂鉄を翼状に広げ空中に浮いているのだ。そして上から2人と1匹を見下ろす

 

「父上の前で木の葉などよりも優れている事を証明してやる。先ずはお前だ。火影の息子。」

 

 そう言ってボルトに狙いを定め砂鉄の嵐を放った。

 

「そう簡単には負けねえ!」

 

 そう言って砂鉄の間を抜けて避けて行く。シンキがボルトを狙ったのはどちらかと言うとボルトの方が要注意人物だからだ。スミレの鵺には確かに驚いたがそれだけだ。スミレと鵺が協力しても自分の防御は破れないと思ったからだ。

 スミレは避けて走ってシンキに突撃しているボルトを見た。何か違和感があったからだ。そしてそれに気がついた。ボルトの黒地の上着に砂鉄がくっついている事に。

 

『さっきの攻撃でお前に砂鉄のマーキングをつけた。砂鉄の性質は知っているな?』

 

『磁力。』

 

『そうだ。回避不能の槍がお前を貫く』

 

 シンキがミツキと戦った時の事をスミレは思い出した。·····そして体が勝手に動いた。ボルトは砂鉄の攻撃を避けて行きクナイを持ってシンキに向かって飛んだ。だがボルトはシンキが余裕な事に気が付き目を困惑させて後ろを向いた。そこにあったのはボルトが避けたはずの砂鉄の小針みたいなものが大量にボルトの背に向けてUターンしているではないか。

 

(避けれねえ!)

 

 ·····そして次の瞬間今度はシンキが目を見開いた。何か攻撃をされた訳では無い。それ所かシンキからすれば理解不能な行動をしている人物に対してだった。それはスミレだった。スミレはボルトがいる空中のボルトの後ろ側に飛んでいたのだ。ボルトもそれに気が付き目を見開いた。·····そして何かを失う恐怖を感じた目になった。そして·····

 

「ああああ!!」

 

 そんな普段のスミレならあげないような叫びを上げてスミレはボルトに当たる筈だった砂鉄の攻撃を全て受けた。鵺も目を見開いていた。・・・だがシンキは無常にも冷静だった。そんなボルトを庇ったスミレと空中にまだいたボルトを同時に翼の片翼で吹き飛ばした。ボルトは咄嗟にスミレを抱えたが吹き飛ぶスピードまでも抑える事は出来ずに2人は壁に激突した。

 

「スミレ!」

 

「ボルト!」

 

 そうサラダとシカダイが思わず叫んだ。

 

(終わりだ。)

 

 そうシンキは心で呟いた。ボルトのチャクラは元々少なくなっていたし吹き飛ばした事によりダメージもある筈だ。スミレはまだ倒す予定はなかったがボルトを庇った事によりもう倒す必要は無くなった。そして煙が晴れればそこに居たのはボルトがスミレの後ろでスミレを抱いて壁に激突しスミレが受けるはずだった壁の激突する衝撃も受けたボルトと気絶しているスミレだった。

 

(やはり木の葉は火影の元でぬくぬく暮らして火影頼りの烏合の衆だ。)

 

 だがシンキはこれで倒したと思ったが

 

「ス·····ミレ」

 

 ボルトはそう小声で呟きゆっくりと動いた。まずスミレを壁に持たれさせ状態を確認した。砂鉄の針の攻撃の痕が生々しい。

 

「なんで·····」

 

 これはバトルロイヤルだ。つまりスミレが敵であるボルトを助ける理由にはならない。あくまでも共闘していただけだしバトルロイヤルには変わりないからだ。

 そこでスミレは目をゆっくりと開けた。そしてボルトを見て微笑みながら言った。

 

「何でかな?体が勝手に動いちゃった」

 

 そんなどこか困ったような顔をした。そんな様子を見ながらリーはスミレはもう無理そうと思い近くで状態を確認した後に言った。

 

「筧スミレ戦闘不能!」

 

 ボルトは言いようのない悔しさと涙が出た。自分が砂鉄のマーキングに気づいてさえいればスミレはこんな酷い状態にならなかった。そもそも自分がシンキの挑発に乗らなければ良かったのだ。感情に任せてシンキに突撃した訳じゃないがそれでも注意力のレベルは間違いなく下がっていた。そして今目の前で自分がなるはずだった怪我を負って失格にさせてしまったスミレを見てボルトはらしくない涙が出てきた。そんなボルトの頬にスミレは手を添えて言った。

 

「・・・まだ試合は終わって·····ないよ。」

 

 その言葉でボルトは目を見開いた。そして涙を溜めて絞り出すように言う

 

「でも・・・俺は·····」

 

 本当は自分が負ける筈だったのだ。そんな庇われた自分が試合を続けるなんて·····そんなボルトを知ってる面々からすれば今のボルトはありえないほど精神的に弱っていた。だがスミレは首を振った。

 

「私がしたくてしたんだから。ボルト君は強いよ。・・・誰にも負けない。」

 

「違う・・・俺は弱いってばさ」

 

 そうボルトが言った。普段のボルトなら当然だってばさと言う所だが今ある現実に弱音を吐いた。だがスミレはまた首を振り優しげな声で言った。

 

「ボルト君は強い人だよ。どんな時だって·····諦めてこなかったでしょ?だったらまだ立てるよ・・・。さぁ・・・立って。私の·····英雄」

 

 英雄·····大袈裟かもしれないがスミレからすれば本気でそう思っている。自分を闇から引きずり出してくれたボルトはスミレからすれば英雄でヒーローだ。ボルトはその言葉を聞きくしゃっと顔を歪め頷き立ち上がった。そして今にも飛び出しそうな鵺に背を向けながら言った。

 

「鵺、異界に戻ってくれ!」

 

 鵺がこのまま飛び出してしまえばスミレはもう戦闘不能なのだから色々な意味で不味いことになる。仮に戦闘不能になっているスミレの口寄せ獣の鵺の攻撃で怪我を負わせたら木の葉と砂の国際問題になってしまう。勿論ナルトと我愛羅は争う必要はないと思っているが周りは違う。そういう訳でボルトは鵺に頼んだ。鵺はボルトを見る。ボルトは振り向いてシンキの真正面の所まで歩く。その道中ボルトは自分の上着を投げ捨てた。上着にマーキングがつけられているからこれでマーキングは意味は為さない。下着だけになったボルトの真剣な顔をし鵺は煙を上げて異界に戻った。シンキがそれを見て言う

 

「お前では俺に勝てない。火影の加護の元でぬくぬくと過ごしてきたお前らは烏合の衆だ。」

 

 ボルトは顔を下げていたがいつもの好戦的な笑みを浮かべて自虚気味に言う

 

「ああ、そうかもしれねえ。だけどなシンキ。俺は自分の弱さを恥も悔いもしない。俺は色んな人に助けられて生きてきた。父ちゃんや母ちゃん、ヒマワリにアカデミーからの仲間達、そして·····スミレに。」

 

 その言葉を言い終わるのと同時にシンキの真正面にやってきた。ボルトは自分を天才と称しそれ故に根性とか努力とか・・・そんな言葉が大っ嫌いだった。だがビオラに会ってからボルトの価値観は大いに変わった。ナルトと螺旋丸修行をした時、最初は出来なかったのに段々と螺旋丸が出来る様を見た時は柄にもなく感動したのだ。その後のサスケから課された手裏剣術の修行もそうだ。

 

「お前、チョウチョウと戦った時に言ったな?心配してくれる肉親がいて有難いと思えって。」

 

「それがどうした?」

 

「なら俺はこう言わせて貰うぜ。心配してくれる家族がいるだけ有難いと思え。」

 

「何?」

 

 ボルトはそこで一瞬スミレを見て再びシンキに向いた

 

「俺はお前よりも辛いめにあった人を知っている。お前何かよりもよっぽどな!」

 

 ボルトはチョウチョウ戦の時のシンキの言葉に苛立った。肉親がいるだけ有難いと思え。シンキの境遇からすればそんな言葉が出るのはある意味必然だ。シンキは孤児で自分の制御出来ない力に里のみなから恐れられ疎遠されてきた。そんなシンキを我愛羅が引き取り力の使い方を教えてくれたのだ。だがボルトからすればスミレの方が辛い境遇だ。生まれた時から復讐を望まれ女の子らしい普通の生活とは程遠く自由何てなかった。更に両親も死に今のスミレには人間の家族はいない。なら我愛羅が親になってくれたシンキよりも今も人間の家族がいなくてアパートの一室に住んでいるスミレの方がボルトからすれば辛い目だと思っている。シンキはボルトの言葉を聞き珍しく感情的な顔になった。

 

「俺の事は何回でも何百回でも馬鹿にしろ!だけどな、俺の仲間を、スミレを馬鹿にするなら絶対に許さねぇ!」

 

 そうボルトは吠えた。シンキは感情に流されそうなのを我慢し冷静に状況を分析する。

 

「・・・どれだけ吠えようがお前では俺に勝てない。また絶対的な力の差を思い知らせてやろう。」

 

 だがボルトは好戦的な笑みを浮かべたまま言った。

 

「いつ誰が俺だけでお前を倒すなんて言った?」

 

「何?」

 

 ボルトは自分の指を噛み血を出した。そして高速で印を結ぶ。そして印を結び終えた手を地面に勢いよく置いた

 

「口寄せの術!」

 

 その瞬間見た事のある紫色の光が発光しボルトの周りは煙に包まれた。そして少ししたらボルトが立ちながら言った。

 

「俺()でお前をぶっ倒すんだってばさ!」

 

「ぬえ〜ーっ!」

 

 そうボルトと鵺が言った。シンキは少なからず目を見開いた。だがシンキだけではない。アカデミーの同期達も5影も驚いた。ナルトが思わず言った。

 

「な!?ボルトが鵺を口寄せ!?」

 

 ボルトは鵺と口寄せ契約をしていない。それなのに鵺はボルトの呼び掛けに応じ再び闘技場にやってきた。シカマルが言った

 

「ボルトが新たに鵺を呼び出し直したならルール上は問題ない。何で出来たのかは分からねえがな。」

 

 だがシカマルは漠然と予想はしている。ボルトは1度アカデミー時代に鵺を口寄せした事はある。その時は恐らくチャクラの混線かと思われたが今はどう見てもボルトが故意に呼び出した。

 

(誰かを一途に思う所はナルトにそっくりだな)

 

 ボルトのスミレに対する想い、それに共鳴して鵺はやってきたんだろうとシカマルは思った。だがシンキはあくまでも冷静だ。自分は今空に浮いているのだから鵺の全力ジャンプからの体当たりも普通に対応出来る。そう考え表情は特に変えなかった。だが鵺は予想の斜め上にいった。鵺は自分の闇色の尻尾を出してそのままボルトをパクッと食べた

 

「な!?」

 

 そうナルトが思わず言った。チャクラを鵺に取られると思ったからだ。だがルール上は何ら問題ない。光景は滑稽になってしまうだけだ。

 

「いや、ナルトよく見てみろ。」

 

「え?·····鵺が縮んでいってる?」

 

 そう鵺はボルトを包んでから虎サイズから段々と小さくなっていった。ボルトはそんな鵺を見た

 

「鵺、お前」

 

「ぬえ〜!」

 

 鵺にも分かっていたのだ。今のままではシンキに勝てないという事を。逆に自分が足でまといになってしまう事を。自分は空中戦には向かない事も分かっておりそれならせめてと

 

「ボルトにチャクラを渡してるのか。」

 

 シカダイが言った。そして鵺は自分が持ってるありったけのチャクラをボルトに渡し終えへなへなと座り込んだ。ボルトはそんな鵺を見て少し涙をためて言った。

 

「サンキューな、鵺。」

 

 そう言った後にキッとシンキを見上げ影分身を2体出して風遁の準備をさせた。シンキはそれを見て言う

 

「そんな獣1匹のチャクラを貰った所で何も出来ん。あくまでも足掻くなら劇的な敗北を味わせてやろう。」

 

 そう言って翼を広げた。ボルトは右手に紫電をほとばしらせた。ボルトはジャンプし影分身の発射台の所に乗ったと同時にシンキも叫ぶ

 

「ボルト」

 

「黒鉄の」

 

「「ストリーム!!」」

 

「翼!!」

 

 そう叫びあって互いの技を空中でぶつけ合った。黒鉄の翼は途中で形態を変えドリルみたいになりボルトの紫電とぶつかった。紫色の光が辺りを照らした。鵺はへなへなとスミレの元にいきボルトの激突を見守った。2人の激突は最初は拮抗していたが徐々にシンキが押して行く。だがそれでボルトが諦める理由にはならなかった。

 

(俺に鵺もスミレも託してくれたんだ!だから·····だから!)

 

「俺は·····俺は負けねえーーーーーっ!」

 

「何!?」

 

 ボルトは更なる叫びを上げてシンキが限界だと思っていた紫電の威力が先程の何倍も上がり黒鉄の翼に罅を入れそしてその罅は翼全体を侵食していき

 

「終わりだーーーっ!」

 

 翼は崩壊した。そしてこの瞬間シンキの絶対防御は無くなった。ボルトはシンキの上に来て一気に紫電をシンキ本人の腹部に強烈なパンチと共にシンキを壁まで吹き飛ばした。訪れる静寂の中ボルトは着地した。そして息を荒らげながら壁に埋もれてるシンキに言った。

 

「お前がどんな事情があったのかは俺は知らねえ、だけどな・・・俺の大切な人達を馬鹿にするのだけは絶対に許さねぇ。」

 

 ボルトとシンキの間にリーが降り立ちシンキの状態を確認した後高らかに宣言した。

 

「勝者·····いや、優勝者・・・うずまきボルト!!」

 

 その瞬間観客は今まで1番の大歓声をあげたがボルトはそれを無視しスミレと鵺の所まで行った。スミレはゆっくりと上体を起こしボルトに微笑んだ。

 

「やったね、ボルト君!」

 

 そんなスミレを見てボルトは思わず抱きついた。歓声は思いっきり止んだ。ボルトはそれに気が付かず半泣きになりながらスミレに言った。

 

「すまねえ·····本当に·····本当に」

 

 スミレはそれを聞いて自分がスミレの代わりに戦ってスミレが優勝するかもしれないチャンスを無駄にした事を悔やんでの事だと思った。そしてボルトがよくしてくれたようにスミレはボルトの頭を撫でた

 

「さっきも言ったけど、私がしたくてしたんだからボルト君が気にする事はないよ。」

 

 そう言ってボルトを励ました。ボルトは顔を上げてスミレを見た。スミレはいつもの微笑みを見せた。そんな時、5影の席にいたナルトが何かを感じ闘技場に瞬身の術でやってきた。他の影達も感じ取ったのか一斉に立ち上がった。それと同時に闘技場上空から声がした。

 

「ようやく見つけたぞ」

 

 その声は静まっていた闘技場に響いた。ボルトもスミレも上空にいる2人組を見た。そこに居たのは1人は小柄で肌が白く、もう1人は同じく肌は白色で巨漢の男だった。

 

 

 




お疲れ様ですm(*_ _)m

ボルト、鵺とスミレのおかげで勝利。ただ本人は罪悪感あるという。この展開は割と最初から考えてた。スミレが痛みで叫んでる所ないから違和感あるかなと思いながらも普通にやりました。

最初の紫電について。何故通用しなかったのかと言うとカカシが放った紫電を封じ込めた科学忍具とボルトの紫電じゃ同じ技でも通用しないと思ったから。

そして鵺、勝手にやってくる。スミレのピンチに駆けつけるとかカッコよすぎか。ボルトも鵺を呼び出す。修行回のフラグ回収。色々概念吹っ飛ばしてごめんなさいm(*_ _)m。

それから少しだけSAOのキリトとユージオのシーン拝借。使うなやーっ!って人ごめんなさいm(*_ _)m。

(*´∇`)ノ ではでは~


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守り、受け継ぎ、紡げ未来へ

おはようございますm(*_ _)m。アニメの話を2話合体させましたが短めです。どぞ(っ´∀`)っ


中忍試験最後の試験の場所の上空。ボルト達の試合が終わったのとほぼ同時に上空から全忍びの敵が余裕綽々な顔で見下ろしていた。ボルトはボロボロのスミレを何とか肩を貸し立ち上がらせて鵺と歩いて何とかナルトとリーの後ろに来た。そんなボルトとスミレとてくてくついてきた鵺の前にナルトとリーが庇うように立った。その間に2人組は闘技場に降り立った。

 

「お前ら何もんだ?」

 

その答えは巨漢の男の攻撃だった。巨漢の男は自分の巨大な手の爪に赤黒い色の爪を地面に叩きつけ地面を揺らし会場を崩壊させた。屋根は崩れ闘技場の会場もえぐれボルト達は吹き飛びそうになったが2人で支え合いそこにナルトもボルト達が吹き飛ばないように支えた。鵺は自分の小さい闇色のチャクラを出して踏ん張っていたがリーが途中で抱え込み耐えた。その地面がえぐれ会場の屋根も観客達の上から振ってくる。だがそれらの観客の被害は最小限抑えられた。我愛羅や他の影達も協力している。サクラ達も屋根を根本的に吹っ飛ばして被害を抑える。ボルトの同期達もそれに協力する。サラダもそれに混ざり救助活動をしていたが巨漢の男が瓦礫を避けたサラダに斧を振りかざしていた。サラダはそれが空中故に避けれない。そんなサラダをサスケがかっさらい斧を躱した。サスケはそのまま巨漢の男と交戦を始めた。一方ナルト達の方は小柄の男と相対していた。その小柄の男の目はボルトのよく知っている眼になっていた

 

「白眼·····?」

 

その瞬間小柄の男が一瞬で移動してナルトの前に来た。ナルトは後ろにボルトとスミレがいるが故に大規模な技を使う訳にもいかず体術で迎えうった。リーは途中でスミレの隣に鵺を置きナルトに加勢した。ナルトとリーのコンビネーションに小柄の男は誤算だったのか忌々しそうな顔で受けている。ナルトは隙を見つけ螺旋丸を作った。

 

「螺旋丸!!」

 

だがそこで小柄の男はニヤッとした。そして手をかざしその螺旋丸を吸収した。

 

「なっ!?」

 

「貰ったぞ!」

 

そう言って動揺した2人に超速の蹴りを放った。だがそこは歴戦の忍び、2人はガードしボルト達の前まで後ずさった。小柄の男は手をナルト達に向けた。だがその小柄の男と斧を振っていた巨漢の男の動きは止まった。シカマルの影縛りの術だ。その間にサスケはナルト達の所にやってきた

 

「リー、お前は救助を!」

 

リーはそれに頷き会場に残っている観客を避難させるために消えた。ナルトとサスケは目の前の2人組について話し合う

 

「くだらん」

 

そう言い小柄の男が右手を煌めかせ影をその手に吸収した。

 

「こいつらだ。こいつらが来る事があの巻物に書かれていた。」

 

「お前らは何もんだ!」

 

「我は大筒木キンシキ、そしてこのお方が大筒木モモシキ様であられる。」

 

巨漢の男がキンシキ、小柄の男がモモシキという。

 

「こいつらの目的はチャクラの実の回収。つまりお前の中の尾獣チャクラだ。」

 

「そこまで知っているか。」

 

そう言いながら頭にかけていた薄い布みたいなものを払った。

 

「目的はなんだ!」

 

「お前だ。お前はこの苗床で一番強いチャクラを持っている。お前から回収すれば神樹を植え直せる」

 

「神樹!?」

 

神樹·····ナルト達も1度目にしたことがある。忍び連合軍を半壊させたあの樹の事は忘れる筈がない。

 

「そう、我らの使命はカグヤのやり直し。散ったチャクラの実を回収し神樹を再生させること」

 

その言葉にサスケの後ろにいたサラダが反応した

 

「神樹は我らの祖、大筒木カグヤの力の源だった伝説の樹。カグヤは神樹からチャクラの実を得て忍を生み出した。そしてその樹は永遠に失われた。そう聞いているけど…」

 

「そうだ。その神話を蘇らせてどうするつもりだ?」

 

「知れた事を、集めたチャクラで丹を精製する。不老長寿怪力乱神。全てが丹を食すだけで得られる。この丹さえあれば即座に手間なく本物の力を手にすることができる」

 

「要するにドーピング頼りの卑怯者じゃねぇか。んなもん道具や薬に使われてるだけだ。本物の力じゃねぇ!」

 

「本物ではないとほざくか」

 

「所詮下等生物。我ら大筒木の餌に過ぎぬ」

 

そう言いながらその丹を食べた。そして上に手を掲げた。そしてその手のひらから真っ黒な球体と先程のナルトの螺旋丸が何倍も巨大化して出てきて途中でその2つが合体し更に下忍ボルト達からすれば絶望的な大きさになった。スミレは傷だらけの顔で天を見上げ慌てて鵺に言った

 

「鵺異界に戻って!」

 

だが鵺は言う事を聞かずスミレの前でスミレを庇うように立つ。だが鵺はボルトにチャクラを渡していて今ここにいるのも限界なのだ。スミレの隣でもサラダが絶望的な力の差に膝を折った。ボルトはそんな2人と1匹を見た後印を結び影分身を1体出して2人を庇うように立ち鵺に言う

 

「鵺、お前までやられたらスミレが悲しむ。俺がスミレを守るから異界に戻ってくれ」

 

そうどこか懇願するように言った。鵺はボルトをじっと見たあとにチャクラが尽きたのか独りでに煙に包まれ帰った。その瞬間にモモシキはその巨大な八尾から吸収した尾獣玉とナルトの螺旋丸を合体させ何倍にも増幅させた球体を闘技場真ん中のナルト達の所に投げた。その球体が闘技場に近づくにつれて元々あった空気を押し出すように瓦礫が吹き荒れた。その瓦礫が逃げ遅れた人達に襲いかかる。だがそんな観客達の前に現れた影分身のナルトと本体はナルトの中にいる尾獣の九喇嘛の力を合わせ変身した。全体的に明るくなりその暖かさは人を安心させるような雰囲気がした。ナルトのチャクラバリアだ。ナルト本体には九喇嘛の顔が出ている。

 

「父ちゃんにこんな力が·····」

ボルトは初めて父の大きな背中を見た。ボルトは父の本気は見た事はなかった。それが今こんな状況で披露されている。状況が状況だがボルトはどこか感動にも似た感情が沸き立った。

 

「俺のチャクラも使え。お前がやられたらここは終わりだ。」

 

そうサスケが言いながらナルトの九喇嘛に須佐之男命を纏わせた。そして球体とナルト達の力が激闘した。それにより嵐が吹くがナルトとサスケはビクともしない。だが後ろのボルト達はそんな今まで受けた事ない衝撃でサラダを庇っていた分身が吹き飛んで消えてしまい。本体ボルトはスミレの頭を抱え込むように庇った。サラダは自力で踏ん張っている。だがナルト達は球体は受けれているが弾き飛ばせない。相殺はその気になれば出来るが観客もボルト達もいるのに周りをぶっ飛ばすような技は使えない。そしてとうとう須佐之男命の鎧が剥がれてきた。それを見てナルトは覚悟を決めた

 

「サスケ、子供達を頼む」

 

サスケはナルトを見た。

 

「分かった。」

 

サスケはナルトとボルト達の前に立ち須佐之男命を出した。ナルトはそれを見た後に中にいる九喇嘛に聞いた

 

「よし!やるぞ九喇嘛!鈍ってないだろうな!」

 

『バカ言え!ありったけでいくぞ!』

 

その瞬間2人のチャクラが更に膨れ上がり影分身で観客を守っていたナルト達も共鳴し9本の尻尾を出しそのチャクラの尻尾が球体を包みこんだ。そして九喇嘛の顔が段々と上がり九喇嘛の姿が顕になった。そしてナルトは球体を押さえ込み一旦尾獣玉を放とうとしたが思い直しやめた。それをボルトはスミレを庇いながらサスケに聞く

 

「なんで父ちゃん撃たないんだ!?」

 

「ナルトがその気になればあんなもの吹っ飛ばせる。ただし辺り一帯ごとな。」

 

(皆を守る為に·····)

 

その瞬間にボルトの中に記憶が入ってきた。それは自分の赤ん坊から成長するまでの記憶だった。

 

(これは·····父ちゃんのチャクラ。)

 

そのチャクラが不思議と教えてきた。ナルトの信念を、決してアカデミー時代の時に家族を蔑ろにしていた訳じゃなく里の為、それが回り回ってボルト達を守る事に繋がる。ボルトは今父親の偉大さを思い知った。そして

 

「父ちゃん!」

 

その瞬間球体が爆発したのだった。そしてボルトの腕の中にあった感触が無くなっていた事にボルトは気が付かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「·····ルト·····ボルト!」

 

そんな声が聞こえボルトはゆっくりと目を開けた。額当てはあの爆発の風圧で吹き飛んでしまい今のボルトは額当てをしていなかった。そしてボルトを起こしたのはサラダだった。

 

「気がついた?」

 

ボルトはゆっくりと体を起こした。そしてさっきの出来事を思い出してはっと目を開いてサラダに聞いた

 

「父ちゃんは?」

 

「7代目様はみんなを守ってくださって·····」

 

歯切りが悪い。そんな時悲痛の声が聞こえた

 

「ママ!」

 

その声でボルトは飛び起きて声がした方向を向いた。そこに居たのはヒマワリとサラダの母のサクラとベットにいるヒナタだった。ヒナタは気を失っている

 

「どうしたんだよ母ちゃん!」

 

「奴らに立ち向かって行ったのよ。あいつらが倒れたナルトを連れ去ろうとした。それを止めようとしたの。」

 

そう言いながら医療忍術を施している。

 

「それで父ちゃんは」

 

「里の皆を守る為に攻撃を一心に受けて·····ナルトはいつも口癖のように言ってたでしょ?里の皆を守るのは俺のするべき事だって」

 

その言葉にボルトははっとした。そして悔しさに拳を握る。ボルトはサラダに聞いた

 

「·····他の皆は?」

 

「ミツキが危険な状態になってる。あの混乱の中でチャクラを奪われたみたいで。今シズネさん達が付きっきりで見てくれてる。」

 

そこでボルトは思い出した。自分とミツキと同じ班で自分にとって大切な人を

 

「スミレは!?」

 

その迫力に思わずサラダは後ずさったが気まずそうに顔を下げた。その顔にボルトはまさかって顔をしたがサクラが声をかけた

 

「彼女は·····」

 

そう言って反対側の仕切りの向こうを指した。ボルトはカーテンを乱暴に開け目にした。自分が庇ってた時よりも怪我してベットに横たわっているスミレを。ナルトが押さえ込んだ爆発の中で細かい瓦礫が当たったのだろう。だけどそれなら何でスミレの前にいた俺は目立った怪我がないんだとなり思わず自分を見た。サラダは少し気まずそうに声をかけた

 

「·····あの爆発の時、スミレはあんたを庇ったのよ」

 

ボルトはあの爆発の閃光の瞬間に気を失った。だが気を失う前に腕の中にいた感覚が消えたのを思い出した。それでボルトは蒼白になりスミレを見て膝をついた。そして布団をめいいっぱい握り

 

「何·····で。俺が·····俺が守るって·····守るって·····」

 

そうスミレのベットに顔を押し付け絞り出すように言った。それはやがて慟哭になり病室の空気が重くなった。ボルトは鵺との約束を守れなかった。逆に自分が守られあまつさえ自分はそれに気が付かなかった。目の前にいるスミレはサクラの医療忍術が施されたのかそれ以上は痛くないのかも知れないがシンキ戦からのダメージだってあった。そんなスミレを見てボルトは泣いた。そして·····それ以上見てられなくてボルトは病室を走って抜け出した

 

「ボルト!」

 

そうサラダが叫んだがボルトは聞かず走り続けた。父との思い出、父の暖かさ。·····そしてスミレの事も。途中で同期達とすれ違ったのにも気が付かずただ走り続けどう通ったのかも忘れて家に来た。そして·····導かれるようにナルトの部屋にやってきた。そして虚ろな目で見渡した。父の部屋に入ったのは久しぶりだ。写真が大事に入れ物に入れられ飾られていた。ナルトの少年期から大人になり家族を持って·····ナルトの軌跡を見て最後に見たのは洗濯はされているのだろうが何回も使われ少しボロボロの服だった。

それはナルトがボルトと同い年くらいの時に着ていた服だった。ボルトはそれを手に取ってまた目に涙を溜め足を動かした。次にやってきたのは火影室だ。里が緊急事態の今はシカマルを中心に警戒態勢が取られ火影室は意味を為していない。ボルトはナルトの服を持ってぐるっと見渡した。

一楽のカップ麺にボルトにはよく分からない書類にパソコン。この光景を見ればどのくらい忙しいのか分かる。そして·····里を···自分の敵かもしれない人達も守れる人·····そんなのはナルトしかいない。ビオラが来る前の時、ボルトは火影は誰でもいいって思ってた。机で偉そうにしてるだけなら他の人でもいいと。だが今のボルトは過去の自分をぶん殴りたい。火影が出来るのはナルトだけだ。ボルトは今、父の偉大さを知った。そして鏡の前に立ち下着だけの姿を見た後ボルトはナルトの服にゆっくりと袖を通した。自分の姿を見て過去のナルトの写真を思い出して

 

「俺···かっこ悪いってばさ」

 

守ると言った人に逆に2回も守られ父の本当の偉大さも知らなかった。自分の無力さに奥歯をかみ締め拳が握られる。そんな火影室にいるボルトに後ろから寄ってくる影があった。ボルトはその人影に力なく振り向いた。そこに居たのはサスケだった。そんなサスケにボルトは食いしばりながら言った

 

「俺は·····自分の守りたいと思った人も守れなかった。父ちゃんの想いの全部も分かってなかった」

 

「·····だったらどうする?」

 

その言葉にボルトはサスケを見た。そしてボルトは目を閉じて3秒で目を開けた

 

《さぁ、立って》

 

シンキの時にスミレにかけられた言葉を思い出した。そして·····決意の顔で言う

 

「俺は·····俺の出来る事をする!」

 

そう聞いたサスケはふっと一瞬笑って真剣な顔で言った

 

「なら助けに行くぞ」

 

「父ちゃん生きてるの!?」

 

「あいつのチャクラを感じる。無事かは分からないが死んじゃいないってことだ。」

 

「火影を助けに行こうってなら俺らにも一肌脱がせろよ」

 

そう言って火影室に集ったのはナルト以外の5影だった。その貫禄に思わずボルトは感嘆した。

 

「大筒木一族となれば捨て置けんからな。」

 

「盟友を攫われて黙ってたら5影の名折れですからね」

 

「私らを敵に回したことを後悔させてやろうじゃない。」

 

そう我愛羅と長十郎、黒ツチが言う。サスケと5影はナルトの机に行きサスケが今回持って帰ってきた巻物に書かれてた事を言う。曰くカグヤが大筒木へのチャクラ供給を切るため追っ手がやってくると。そしてカグヤはそんな追っ手を迎え撃つための準備をしていたという事だ。そして相手が大筒木ということで気を引きしめる。モモシキ達の居場所も巻物に記されており輪廻眼で既に読み取った。そして5影とサスケは火影室の出口に歩いていたがボルトはずっと止まっている。そんなボルトを見てサスケは言った

 

「どうしたボルト、行くぞ」

 

「え?」

 

「まさか、連れていくのか?」

 

「おいおい冗談だろ?」

 

「流石に危険やしませんか?」

 

「そうだな、ここは留守番してもらった方が」

 

4影は至極当然の事を言う。中忍試験優勝と言ってもあくまでも中忍試験だ。そんなボルトを連れていくのは危険である。だがサスケは一蹴した

 

「決して冗談ではない。コイツは他でもないアイツの息子で俺の弟子だ。連れていく意味がある。」

 

だがボルトはあの力量差を思い出し自信なさげに呟く

 

「でも俺は」

 

「俺がいいと言っている。いいか、ボルトよく聞け。確かに奴らは危険だがそれを承知であえてお前を連れていくのには理由がある。俺達の何人か倒れたり最悪仲間全員が危機に陥った時、お前がやるんだ。」

 

「そんな事言われても」

 

「お前は強い忍びだ。俺はあいつに負けたがお前はあいつに勝る忍びになるだろう」

 

だがボルトにはそうは思えなかった。里の人達を守ったナルトとスミレ1人守れず守られた自分のどちらが強いなど明白だ。だがサスケはボルトの肩に手を置いた

 

「なれるさ。何よりお前はナルトよりもウスラトンカチだ。」

 

その修行の時に聞いた言葉を再び聞きボルトはサスケを見た。サスケはその言葉の本当の意味を教えた

 

「負けず嫌いって事だ。」

 

ボルトはその言葉が胸に染み渡り頷いた

 

「行くよ、俺。」

 

サスケはそれに頷き言った

 

「よし、だが行く前に足りない物がある。」

 

ボルトはそれに首を傾げたがサスケは自分の腰あたりを探りあるものを渡してきた。ボルトはそれでハットしゆっくりと受け取った

 

「これ、サスケさんの。」

 

「俺が1度捨てたものだがお前の父親がずっと持っていてくれた。そして約束を交わした。本当の勝負をするまで取っておくと。それをお前にやる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一同はその後火影屋敷の屋上にやってきた。そこに居たのはサラダやカカシ達だった。サラダは不安なのかサスケに言った

 

「パパ、私も」

 

サスケはサラダの肩に手を置き首を振って言った

 

「サラダ、里に写輪眼を持つものはお前しかいない。カカシやシカマルと一緒に里を守るんだ」

 

我愛羅と長十郎は3人目の大筒木と交戦した。その大筒木は逃げた。だからサスケ達のいない里を襲うかもしれない。それ故にサラダは言い返さずに言った

 

「分かった。パパも気をつけてね。ちゃんと帰ってきてよ。」

 

「もちろんだ」

 

「こっちは任せてね。必ずナルトを連れて帰ってきてくれ」

 

その頃ボルトはシカダイと向き合って拳を互いに突き出していた

 

「しっかりやってこい、ボルト。」

 

「ああ!」

 

そう言った後サスケが輪廻眼で異空間への道を開いた。そして次々と影達は入っていく。ボルトもそれに続こうとしたがそこで声をかけられた

 

「ボルト!」

 

「お兄ちゃん!」

 

ヒナタがサクラに肩を貸されながらもやってきた。ボルトはそこでヒナタに向きながら額当てを結んでつけた。結び終える瞬間ヒナタは少年のナルトが見えた。そしてボルトは少し顔に影がありながらも言う

 

「里を·····スミレの事も頼むってばさ。·····行ってくる!」

 

行ってくると言った瞬間にはまた明るい顔になった。それを見届けた面子はどことなくナルトに重ねボルトはシカダイとサラダに拳を突き出し2人も突き出す。そしてボルトはサスケと共に異空間に飛び込んだ。その移動感覚は不思議と鵺が住む異界に初めて行った時に感じた感覚に似ていた

 

(待ってろよ、父ちゃん!)

 

 




お疲れ様でしたm(*_ _)m
次回はモモシキ戦ですが·····自分が中途半端に描写するよりもアニメと同じなのでアニメイメージしといてください(というよりあんな高速戦闘を表現出来るわけない笑)

そういう訳で次回も文字数少なめです。アンケートは次の話を出した日の夜10時に締め切ります。

最初モモシキ達が鵺に反応する所でも書こうかなと思いましたけどどんな会話するのか分からず挫折。

リーがちゃっかり活躍。( ´ ▽ ` )

そう言えば最近漫画を見てそこにあったコラム的なやつで知ったんですけどカタスケとかスミレが科学忍具班でやってる事ってAランク任務に値するらしいんですよ。だから1下忍のボルトよりもスミレの方が給料良いらしいですよ笑。見た時「えっ?まじか」ってなりました笑

新しいBORUTO SDでは何かボルトとサスケがSAOしてるし笑。SDアニメ化してくれないかな〜?でも最初から中忍設定でやってたナルトSDと違ってあれアカデミーからだからな。きついか。

(*´∇`)ノ ではでは~


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父と子

おはようございますm(*_ _)m。前話で言った通りアニメを言葉にしただけなんでオリジナル要素は最初しかありません。なんならアニメイメージしてください。どぞ(っ´∀`)っ


ボルト達がナルト奪還に向かって暫く経った時、スミレの病室でサラダはスミレを見ていた。サラダはあの爆発の瞬間スミレがボルトの腕からスルッと抜け出しボルトの前に立ったのを見ていた。

 

(スミレ、あなたにとってボルトは·····)

 

そんな時スミレが少し呻いた後ゆっくりと眼を開けた。そしてサラダを認識するのと同時に

 

「·····ボルト君は!?」

 

ばっと起きてサラダに聞いた。その一連の流れにビクッとしながらもサラダは答えた

 

「パパ達と7代目の救出に向かった。」

 

「え?」

 

そこでスミレの目が見開きスミレの胸が不安で貫かれた。相手の力は尋常じゃない。そんな所にボルトが向かったと聞かされスミレは

 

「スミレ?」

 

ゆっくりと涙が出てきた。サラダはそれを見てどこか自分にも言うように言った

 

「大丈夫だよ、パパ達も4影もいるんだから」

 

今の忍界で今の言葉ほど勇気づける言葉はない。サスケの凄さはスミレも知ってるし4影は言うまでもなく。だがスミレの不安が消える事はなかった。白夜団の時にボルトとミツキが2人で取引場所に向かったと聞いた時以上の·····比べるまでもない絶対的な恐怖と不安がスミレの中にあった。そしてスミレはベットを出ようとしたが心配顔のサラダに抑えられた

 

「だめだよ、決勝戦からのダメージだってあるんだから」

 

「お願い、待つ·····だけだから」

 

そう懇願したスミレにいたたまれなくなりサラダは肩を貸し火影屋敷に向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モモシキがナルトを連れ去った場所。そこではモモシキがナルトのチャクラを奪っていた。だがナルトのチャクラ量が尋常じゃなく奪うのに時間がかかっていた。これはナルトの作戦だ。相手の狙いが自分だけと分かったからあえて捕まりそれ以上里に被害を出さずに済む方法がこれしかなかったのだ。里の為なら自分を賭ける。そして·····信じているからだ。ライバルを、親友を。その想いに答えたかのように上空からの気配に気がついた。訝しげにモモシキも見上げキンシキと後退した

 

「行くぞ!」

 

我愛羅が砂あられを2人に放つ。モモシキ達はそれを避けそれをダルイと長十郎がモモシキとキンシキを攻撃した。その間にサスケはナルトを捉えていた神樹を切り裂きボルトがナルトの拘束を切って救った。そしてサスケがナルトの肩を貸し着地したのと同時に我愛羅とダルイはモモシキと、長十郎と黒ツチはキンシキと対峙した

 

「我らより逃げおおせると思うなよ!」

 

「ほざけ、下等生物が!」

 

その間サスケとナルトとボルトは離れた所に着地した。ナルトはボルトを見る

 

「ボルト、お前その服·····」

 

「···前よりも俺、かっこよくなったかな?」

 

ナルトからすれば前のボルトも自慢の息子だが今のボルトはそれ以上に吹っ切れているように見えた。ナルトは誇らしげな顔をしてにっと笑った

 

「ああ!」

 

サスケはそんなボルトとナルトを目にした後に長十郎と黒ツチの援護に向かった。ボルトは少し恥ずかしそうに頭を掻きながら言った

 

「父ちゃんって、·····やっぱり凄かったんだな!」

 

そんな褒め言葉にナルトは微笑みながら立った。ボルトも立ち上がる。

 

「さて、じゃあ行くか!」

 

「ああ!」

 

親子は新たな絆を手に入れ戦場に向かった。一方黒ツチと長十郎、そしてサスケの3人はキンシキと激突していた。キンシキの図体がでかい割に早いスピードに少し苦戦を強いられていたか長十郎がわざと攻撃を受けることにより隙を作り黒ツチがキンシキをぶっ飛ばした後にサスケの千鳥斬りがヒット。動きが止まったキンシキに長十郎と黒ツチが術を使い動きを止めた。サスケはそれを見た後に2人に頷きモモシキの所に向かった。

更にもう一方我愛羅とダルイはモモシキと交戦していた。砂の足場を伝い飛んでるモモシキに攻撃を仕掛ける。モモシキもそれを躱したりしていた。状況は拮抗していたがその拮抗が破れた

 

「遅くなってすまないってばよ!」

 

ナルトが飛びながら影分身の印を結ぶ。だがボルトはそれに待ったをかける

 

「父ちゃん待った!あいつに忍術は駄目だってばさ!」

 

その言葉にナルトは印を解除し困惑の顔でボルトを見た。その間にサスケも合流しサスケがモモシキを無理やり地に下ろし相対した。

 

「簡単な事だ。お前は術を吸収しそれを放出できる。」

 

「だったら話は早い。」

 

「このまま術無しで腕づくで決めさせてもらうぜ。ダルいけどよ」

 

体術が有効ならばリーを連れて来たかったがリーは里の警戒に当たらせているから無理だった。

 

「仲間は既にあの様だ。観念するんだな」

 

捕らわれているキンシキを見てモモシキは忌々しそうな顔をした。そして周りを見た後にボルトを見た。そして白眼になりながら言う

 

「そいつはお前の子か?狐よ。なるほど、確かに面白い運命を背負っているようだな。不憫だぞ狐よ。それほどの力を持ちながら次の世代にそれを伝えるすべを持たぬとはな」

 

そんな意味不明な話をされボルトが黙っていられる訳なく

 

「一体なんの話をしてるんだよ!」

 

「下がっていろボルト!」

 

モモシキはボルトの問に答えずキンシキへ右手を突き出した。

 

「見せてやろう!我が一族のやり方を!」

 

その瞬間キンシキの拘束が無理やり剥がされモモシキに体ごと向かった。

 

「さあ!モモシキ様!我のチャクラを食らう時が来たようです!躊躇われるな!」

 

「当然だ!」

 

そうモモシキがいえばキンシキの体が変わっていきでかい実になってしまった。ボルト達はそれを唖然として見ていたがサスケが動いて刀をモモシキの首に叩きつけた。だが一足遅くモモシキはその実を食べてしまった。

 

「もう遅い」

 

一帯は煙に包まれサスケは後退した。そして感じる威圧。煙が晴れればそこに居たのはモモシキだ。だが姿は違う。束ねた髪はほどかれて少し逆だっており目も白眼ではなく黄色になっていた。

 

「次はお前だ、狐。」

 

「仲間を」

 

「食っちまいやがった!」

 

「外道が!」

 

そうナルトとボルトとサスケが言う。

 

「キンシキは望んで我の力になった。力の伝達、それが我が一族の掟だ!では終わらせようではないか!神に抗う痴れ者共よ!」

 

その時モモシキは気合いを入れ神樹諸共切り裂く攻撃をした。ナルトはボルト光輝前に土遁の壁を作りそれを止めようとするが衝撃に耐えきれず吹き飛んだ。我愛羅は何とか自分とダルイは砂に乗せて耐えたがその一瞬を狙われダルイは急接近しダルイを猛烈な勢いで蹴った。ダルイはそれにより吹き飛び樹の根にぶつかった。我愛羅はそんなモモシキを拘束しようと砂を動かすがモモシキは華麗に避けていき我愛羅に接近するが我愛羅の砂がモモシキが我愛羅に触れる寸前でモモシキを拘束した。これを好機と捉え我愛羅は砂の封印術をしようとしたがモモシキはその前に自分の髪の毛を伸ばし逆に我愛羅を拘束し強烈なパンチを腹部に負わせた。

 

「風影どの!」

 

そう叫んだ長十郎の後ろから猛スピードでモモシキは攻撃を仕掛けた。長十郎は反応こそ出来たがあまりの力に吹き飛ばされ神樹の根に張り付いた。黒ツチは自分の腕を岩にしモモシキを殴りつけたがモモシキはそれを軽く足らい逆に気絶させた。

 

「こんな一瞬で5影の皆を·····」

 

「次は貴様だ、狐」

 

そうモモシキが言った瞬間先程の衝撃で吹き飛んで根に埋もれていたナルトの所に瞬時に来て攻撃を仕掛けた。ナルトは辛うじて反応し体術で反撃する。だがモモシキのどこか日向に似ている攻撃に押される。モモシキは隙を見つけ攻撃した

 

「点穴!?」

 

「だけじゃない!」

 

そう言って正拳をナルトに食らわして吹き飛ばしすぐさま追いつきナルトの頭を鷲掴みにした。その直後サスケが復帰し後ろから刀を振り下ろそうとしたがモモシキは体重移動しながらサスケの腹に掌底を食らわせ動きを止めた後にサスケの頭も鷲掴みにして飛翔した。そしてモモシキは2人を地面にぶつけ抉りながら左右の岩へ投げ飛ばした。

 

(父ちゃん·····)

 

「なるほどな」

 

「さっきとは別物って訳か!」

 

そう言いながら木の葉の双璧は起きてモモシキを挟み込む。

 

「いや、別物と言うよりただの化け物ってとこだな」

 

「抜かせ、化け物はお互い様だ。」

 

ボルトは今の攻防に動けなかった。だがそれでも何かを伝えたく叫んだ

 

「父ちゃん·····父ちゃーーん!」

 

その瞬間にナルトとサスケは動いた。超速のスピードで2人とも右の拳をモモシキに叩きつけた。だがモモシキは見事に反応し腕を交差させ受け止めた。だが先程とは雰囲気が違う2人に言った

 

「面白くなりそうだな」

 

「サスケ、いっちょ・・・教えてやろうぜ!」

 

「ああ!」

 

その瞬間から今のボルトには到底及ばない次元の戦いが始まった。父親は先程の九喇嘛モードになりサスケは万華鏡写輪眼になっていた。ボルトは遠目からずっとその戦いを見ていた。2人の強さは非の打ち所もなく地球の危機だと言うのにその戦いに見入っていた。そして今は先程の神樹の切り株の所にいるのが見える。そしてナルトが影分身の印をしているのが見える。そしてサスケが風磨手裏剣をモモシキに投げ·····その手裏剣が武器を口寄せし続け武器の嵐がモモシキに降り注いだ。更にそれらの武器に千鳥が纏っていたからガード不能。モモシキは全力で後退して避けていくが数が多く途中で頬に掠ったのを見て雄叫びをあげて近くにあった武器を吹き飛ばした。そしてモモシキは油断したのかモモシキの下の地面から唐突に罅が入りそこから真上に出てきたのはこれまた風磨手裏剣だった。モモシキはそれを辛うじて避けたがその風磨手裏剣はナルトの変化だった。避けたモモシキの上にナルトが螺旋手裏剣を構えていた。

 

「はあ!」

 

ナルトがその螺旋手裏剣を投げた。モモシキはそれを吸収しようと右手を翳すが唐突に螺旋手裏剣が煙に包まれ出てきたのはサスケだった。変化だったのだ。だがモモシキはニヤッとした後赤色の鎖をジャラジャラと出し空中にいたサスケを拘束した。だが今度はサスケの左目が煌めきいきなり鎖にいたサスケとサスケに向かっていたモモシキの位置が入れ替わった。

 

「何!?」

 

「はああああ!!」

 

ナルトの強烈なパンチが無防備なモモシキの顔面に突き刺さってモモシキは神樹に突撃した後それでも威力は削がれず更に吹き飛んで宙をまった。

 

「地爆天星!!」

 

そうサスケが右手をモモシキの所に翳し叫んだ。そうするとそこら辺にあった岩がモモシキを軸にして集まってモモシキを丸くなった岩の牢獄に封じ込めた。

 

(やったか?)

 

そうボルトが思った。だがそう甘くはなかった。

 

「犬飼タケルの尊!!」

 

そう地爆天星の岩の球体の中から何とも形容しがたい化け物が2人に襲いかかった。2人は見事に反応したがその後にも似たようなものが一斉に襲いかかった。サスケは咄嗟にナルトを蹴飛ばしその化け物共を捌いたが数が多く捕まった。

 

「終わりだ!」

 

そう言いながらモモシキは熱線をサスケを咥えた化け物を通してサスケを丸焦げにしようとしていたが復活したナルトがその化け物の所に割って入り尾獣化した。サスケをその尾獣化のチャクラの中に入れて火傷しかけなのを回復させながらナルトは叫ぶ。

 

「うおおおおぉ!」

 

「出たな、化け物め!」

 

そう言いながらモモシキはどうやったのかは全く分からないがパッと見岩で形作ったゴーレムみたいになった。九喇嘛はそのゴーレムを殴りつけようとしたが逆に止められ殴りつけられた後に地面へ練り込まれた。そんな時サスケがナルトの肩に手を置いて頷いた。

 

「そりゃあ良い!」

 

ナルトがそう言った直後に九喇嘛が紫色の·····サスケの須佐之男を纏ったて九喇嘛を掴んでいたゴーレムの腕が切れた。そして九喇嘛は立ちながら右手を伸ばした。その右手には紫色の剣が形成された。ゴーレムは腕が切られたお返しだとも言いたげに左手をラリアットみたいに振った。

 

「「はあああああ!!」」

 

だが2人は雄叫びを上げながらその攻撃を躱し一閃した。それによりゴーレムは真っ二つに切り裂かれその体が崩壊した。それと同時にナルト達も尾獣化と須佐之男を終わらせ地面に着地した

 

「·····すげぇ!」

 

そう思わずボルトは呟いた。今まで経験した事の無いような戦いが目の前で繰り広げられたのだ。ボルトが思わず呟くのは無理無い。そして地上に戻ってきたナルト達に声をかけたのは5影だった。

 

「よお、やったのか火影?」

 

「いや、まだだ。」

 

「ちっ!めんどくさいね、派手な技でさっさとやっちまおうぜ!」

 

「そんな適当な事を言わないでくださいよ。」

 

そして一同は未だ宙にはいるがプラーンと仰向けになっているモモシキを見上げた。ボルトはこれで勝てると思った。モモシキはどう見ても限界だし·····だが。

 

「う·····ぉぉおおおおおお!!」

 

そんな絶叫を上げてモモシキはぶわっと上体を上げた。そんなモモシキにトドメを指すべくナルト達は一斉に動こうとした。だが·····

 

「ふん!」

 

モモシキが手を翳したらナルト達の動きが止まった。ボルトは思わずナルト達の所を見て思い出した。

 

(あれは·····影縛り···それもシカマルのおっちゃんのだ。あれが倍の威力になんかされたら・・・)

 

ナルトは何とか自力で動こうとしたがその前に黒い棒がナルトに三本ほど突き刺さった。

 

「はぁはぁ、貴様には念を入れておく。俺が慌てた素振りを見せれば貴様らは突撃してくると思ったぞ。」

 

それを狙われたのだ。自分が弱ってると見せかけ暴れる前兆みたいなものを見せつけたらナルト達は走ってくると思ったのだろう。そんなモモシキは先程サスケを焦がそうとした時の応用で手のひらに火が出た

 

(どうする·····)

 

ボルトはそこで思い出す。サスケから聞かれた事を

 

『ボルト、お前の忍道はなんだ?』

 

『忍道·····考えた事無かったな。気持ちの問題だと思ってたし·····漠然としか分からねえし』

 

『そうか、ならその漠然とはなんだ?』

 

『·····俺は仲間を・・・家族を守りたい!』

 

そうボルトは言った。その言葉は三者面談の時にシノに言った言葉と一緒である。それにサスケはふっと微笑みながら言った

 

『それは今回の戦いで、そしてこれからの戦いにおいてお前を突き動かすものだ。それが漠然と分かるならいい。お前がやるんだ、ボルト。俺が出来ると言っている。その言葉を信じるんだ。』

 

「俺がやる。ビビってる場合じゃねえ!サスケさんを・・・俺を信じてくれてる師匠を信じるんだ!」

 

そう叫びボルトは手を包み込むように構える。そしてその包み込まれた手の中から小さい螺旋丸が出てきた。

 

(あいつにはただの術は効かねえ!なら!)

 

ボルトの叫び声にモモシキはボルトの方を向いた。

 

「はあああああ!!」

 

そう言ってボルトはその螺旋丸を投げた。モモシキはそれを見てゆっくりと右手をその螺旋丸に向けた。ボルトは口を噛み締める。そしてその螺旋丸はモモシキに辿り着く前に消えてしまった。そこでナルトはボルトの意図に気が付き思わず少しニヤッとした。そんなナルトの顔を見ていればモモシキは対応のしがいあったのかもしれないがモモシキは右手を下げながら嘲笑った

 

「こいつはお笑いだ!よもや届きもせんとはな。まあ安心しろ。貴様ら全員行く所は同じごアッ!」

 

そんな自分に酔った事を言っていたモモシキは唐突に吹き飛ばされた。言っちゃ悪いがブーメランである。

 

「父ちゃん!」

 

ボルトは影縛りが解けたのを見てナルトの元へ向かった。

 

「ボルト、助かったぜ。」

 

「ああ、上出来だ。」

 

そう2人に褒められ少し照れくさそうにした。ボルトがした螺旋丸は最初はビオラがいた時にシカダイに無意識に使いその後中忍試験第3試験のトーナメントのサラダと戦った時に使った「消える螺旋丸」だ。モモシキが術を吸収する為には先ずその術を「認識」しなければならない。ならそもそも見えない術ならば吸収出来ないという訳だ。モモシキは漸く攻撃から立ち直り激闘に次ぐ激闘で息が切れ始めている。

 

「はぁはぁ·····勘違いするなよゴミ共!見えないがどうした!」

 

そう言いながら再び丹を取り出し食べた。そして咆哮を上げそれにより出来た風圧が5影に襲いかかる。

 

「野郎次で決める気だぞ。」

 

「ボルト、螺旋丸は?」

 

「でも、俺の力じゃとても·····」

 

普通の螺旋丸ももう出来るがそれでも今のボルトの螺旋丸の威力は木ノ葉丸にも及ばない。消える螺旋丸は性質変化が入る分小さくなっているから論外。だが不意をつくには消える螺旋丸じゃなければいけない。

 

「大丈夫だ」

 

そうナルトが安心させるように言った。そして消える螺旋丸を作ったボルトに手を下に添えた。そうしたらミニサイズだった螺旋丸がどんどん大きくなって行った。ボルトはその時確かに感じた。自分が生まれる軌跡を·····父が色んな人物に支えられ強くなったのかの軌跡を·····そして今度は父がボルトを支える側になったのだ。それが終わる頃には螺旋丸はボルトの何倍もの大きさになった。ナルトはゆっくりと添えていた手を離した

 

(この重さ·····ここまでするのに一体どれだけの·····)

 

その重みに思わずボルトは涙した。父を見るとにっと笑っていた。それにボルトもにっと笑い返し

 

「負ける気がしねぇ!!」

 

「見たぞ、2度はない!」

 

そんなボルトの前にサスケが来て刀を抜いた

 

「チャンスは1度きりだ、行くぞ!」

 

「ああ!」

 

ボルトが消える螺旋丸の特性を利用し螺旋丸を消した。そして最初の師弟共闘が始まった。サスケは猛スピードでモモシキに接近した。モモシキはそんなサスケを止めるべくナルトを拘束した黒い棒を何本も発射するがサスケは刀で弾くか綺麗に避けて行く。そしてサスケはジャンプし刀をモモシキに投げつけたがモモシキはしゃがんで躱した。だがサスケはすぐさま輪廻眼の能力で刀の場所と自分の場所を入れ替えた。

 

「それしきの動きで!」

 

だがそれすらも囮だった。宙に舞っていた刀が煙を上げボルトになった。そのままボルトはクナイをモモシキに投げサスケは千鳥を出した。だがモモシキは不敵に笑いながらクナイをノールックで取り右手を千鳥に向けた。だがそこでまた輪廻眼の能力が発動し今度はモモシキの左手にあるクナイとサスケの千鳥の場所が入れ替わった。そしてサスケはクナイをそのままモモシキの右手の輪廻眼にぶっ刺す。オマケに千鳥も食らわす一石二鳥の攻撃だった。これで輪廻眼の吸収は出来ない。だがモモシキはそれをされた事に激昴しサスケを殴った後に勢いよく蹴り飛ばした。

 

「後は任せたぞ·····ボルト!」

 

サスケを吹き飛ばしたモモシキにボルトはボルトストリームによる一撃を与えた。だがモモシキは意地で耐えてみせ逆にボルトの胸ぐらを掴んだ。

 

「小癪な・・・だが残念だったな!」

 

「そいつはどうかな?」

 

その胸ぐらにいたボルトは煙をあげて消えた。そして他の3人も攻撃を仕掛けに行くがモモシキは軽く捌き消していく。その時5人目のボルトが勢いよく螺旋丸を作りながらモモシキに突撃した。

 

「そこか!」

 

だがボルトは目をよく凝らしモモシキの左腕を手の甲で上手すぎるほど受け流し螺旋丸をぶつけた。のと同時にモモシキも何とかその分身を消した。だが螺旋丸もヒットしモモシキは黒い棒が弾かれ消えたのと同時に思わず後ずさった。

 

「くっ!」

 

そんなモモシキの前にボルトが高々と現れた

 

「俺は・・・ここだ!」

 

その瞬間消していた螺旋丸を再び出した。どこか神々しい光を出しながらボルトは叫んだ。モモシキにこの攻撃をどうにかする術はなかった。吸収した術も何も無い。それ故に迎撃も不可能だった。

 

「行け、ボルト」

 

螺旋丸!!

 

モモシキはその螺旋丸に成す術もなくぶち当たった。

 

「我は·····我は大筒木モモシキだぞっ!」

 

そう言って抵抗しようとするが全く抵抗出来ない。そしてとうとうその時が来た

 

「まさか·····この我が」

 

「はああああああああああ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「我の存在を感じるか?人の子よ」

 

「何だ!?」

 

ボルトはいつの間にかいたよく分からない空間でモモシキが目の前にいるのに思わず下がろうとしたが体が金縛りみたいになり動かなかった。モモシキはボルトに何をするでもなく白眼でボルトを見る

 

「成程、貴様大筒木の血を濃く受け継いでいるな。しかし未熟。己の運命を見る事は叶わぬ。我には良く見えるぞ。心せよ、その青き瞳はお前から全てを奪い去る。そして自覚せよ、神を倒したものは最早ただ人ではおれぬということを!」

 

「何を訳分かんねえ事を!」

 

「その運命、しかと噛み締めて歩がいい、人の子よ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直後螺旋丸は勢いよく神樹諸共抉り去り宙に上り宇宙で漸くが弾かれたのだった。それを見た影達は言う

 

「あいつ、やりやがった」

 

「ははは!」

 

「見事」

 

一方サスケは今の寸瞬の会話をしっかり聞いて目を細める。だが直ぐに立ち上がり座っているナルトの元に来た

 

「今回は俺もお前もあいつに助けられたな」

 

「ふっ、そうだな。·····ボロボロだな。」

 

「馬鹿言え、俺はまだ自分の足で立ってる」

 

そう言いながらサスケはナルトに手を差し伸べた。ナルトはその手を取り立ち上がる。そして2人は覆われていた雲が無くなり光が出てきてる中その光を浴びながら立ったボルトを見ていた。ボルトはふらふらと立ち上がり手を顔に当てそしてその手を離して見た

 

「人の子か·····ああ、そうだよ。俺はうずまきナルトの息子、うずまきボルトだ!」

 

そう言って空を見上げたのだった

 




お疲れ様でしたm(*_ _)m。最後にドラゴンボールで言う撃ち合いをしなかったのは映画のノベライズ版であの最後にモモシキが放ったのはカタスケが放出した術の中に螺旋丸があってそれを巨大化させたのですがここではカタスケとっくに正気に戻ってるんでモモシキはアニメよりも弱体化してます。カタスケいるといないとでこれほど難易度に差があるという笑。

それでボルトにトドメをささせる為に色々屁理屈こねました。ナルトとサスケファンの皆さん何かあっさりと影縛りに捕まっててごめんなさいm(*_ _)m。

では、次回中忍試験編終了です。(*´∇`)ノ ではでは~


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帰還と告白

おはようございますm(*_ _)m
タイトルでバラしていくスタイル(๑•̀ㅂ•́)و✧割と勢いで書いた所ある笑
レッツラゴー─=≡Σ((( っ゜∀゜)っ


火影屋敷屋上にて再びサスケの輪廻眼の扉が開き5影とサスケ、そしてボルトが戻ってきた。出てきたナルトにヒナタは抱きついた。

 

「良かった、ナルト君。」

 

そしてヒナタは今度はボルトに抱きついた

 

「ありがとう、ボルト。」

 

そして帰還者はそれぞれの仲間や家族と再会を喜びあった。ボルトは視線に気が付きシンキを見たがシンキは顔を逸らして我愛羅の元にいった。そんな時もう1人の視線に気がつきボルトはばっとその場所を見た。

 

「・・・スミレ」

 

2人はそのまま無言で見合っていたがボルトがてくてくと歩き出しスミレはそれを不安そうに見ていた。そしてとうとうボルトが目の前に来て·····スミレが我慢出来なくなった。ボルトが何かを言う前にボルトの胸に飛び込んできた。

 

「ちょっ!スミレ!?」

 

スミレはそれに答えずボルトの腰に手を回し顔を見せないようにボルトの肩におでこを押し付け腰にやっていた手に力を入れる。·····この2人は忘れているが絶賛ナルト達もこの光景を見ている。オマケにナルト以外の5影もシンキ達も。そんな状況の中スミレが漸く口を開いた

 

「·····良かった。ちゃんと・・・帰ってきた。」

 

「スミレ·····泣いてるのか?」

 

そうボルトは困惑した声を出した。スミレは顔は見えないが涙声になっていた。スミレはボルトの問いを聞きながら手に力を込めてボルトの存在を確かめる。

 

「·····すまねえ」

 

ボルトが独りでに謝った。スミレは姿勢を変えずに聞き返す

 

「どうして?」

 

「だって·····守るって言ったのに·····」

 

それ以上は言えなかった。スミレは気がついた、どこかボルトも涙声になっていた事に。だから自分は気にしてないという意味で背中を撫でた

 

「私がしたくてしたの。ボルト君が気にする事はないよ。それに·····怖かった。ボルト君が·····帰って来なかったらどうしようって」

 

そうスミレなら言うとボルトは思っていた。だが·····自分の事で怖がってるとは思わず呟いた

 

「何で·····そこまで」

 

ボルトはスミレを助けた事を恩にきせたとは全く思っていない。クラスメイトとして、そして仲間として当たり前の事をやっただけだ。それにどちらかと言うとビオラが来てからは自分の方がスミレに恩を感じてるくらいだ。螺旋丸が出来た時も手裏剣テストの時も·····シンキと戦った時にも必ずスミレが傍にいてくれた。スミレはボルトの問いに割と無意識に・・・だが頬を赤くしながら言った

 

「ボルト君の事が·····好きだから」

 

時が止まった。少なくともボルトの中では止まった。そして今言われた事の意味をゆっくりと理解して行った。

 

「·····え?」

 

だがいざ理解してもそんな惚けた顔をした。そして·····完全に理解しきった時・・・徐々にボルトの頬も赤くなっていった。一方スミレは今自分が無意識に言った言葉を思い出し真っ赤になった。

 

(はわわわ!!わ、私なんて事を!!)

 

好きなのは確かだが・・・ずっと告白してもいいのか悩んでたのにいざそういう状況になった時には考える間もなく無意識に言ってしまった。ボルトはスミレの告白を聞き·····胸の中が言葉で言い表せない嬉しさが込み上げて·····

 

「俺も·····スミレが好きだってばさ」

 

そうボルトも無意識に、だが第2試験の夜から思っていた事を噛み締めるように言った。今度はスミレの時間が止まった。見えなくしていた顔は驚愕になりそしてボルトの言葉を理解したと同時に先程とは違う意味で真っ赤になった。スミレがそんな状態の時ボルトはスミレの背に腕を回して抱きしめた。2次試験の夜とは違う言いようのない心地良さに2人はそのまま長い時間身をとおじて·····

 

「おっほん!ふ、2人ともいいか?」

 

そうナルトの咳払いで2人は今の状況に気がついて先ずお互いの顔を見た。2人とも真っ赤になっており腕は互いの腰に回していて顔もやたら近かった。そして今度は周りを見た。シカマルは何か頭に手を当てていてサスケは特に変わらずサラダは若干赤くなってて眼鏡を押し上げていている。シンキは特に変わらずアラヤとヨドは驚愕、4影は何か微笑んでいる。ヒナタとヒマワリも微笑んでいた。そしてボルトとスミレはばっと離れて慌てた

 

「は・・・はわわわ!!」

 

そう思わず顔を手でスミレは隠したがもはや意味なかった。ボルトも顔を赤くしたまま視線をうろうろしていた。今のやり取りを自分達がやったのだと·····それも5影の目の前で・・・それに気がついた2人はオーバーヒートし始めた。だが互いに伝えあった事は紛れもない事実であり2人はそれの嬉しさとこの状況の恥ずかしさを永遠と感じたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モモシキ襲来から少し経ち、ボルトの家にてボルトはハンガーにかけられている自分が決勝戦で放り投げた上着を見ていた。上着は所々破れているがそれが逆に良い雰囲気を醸し出している。そんな上着を見てヒナタは聞いた

 

「ほんとに良いの?新しいのにしなくて」

 

「ああ、これがかっけーんだ!」

 

そしてボルトは机の上に置いてある自分の額当てを取った。上着と同じくあのモモシキの攻撃のせいでどこかに行ったと思ったが中忍試験の会場を直すための土木の任務を請け負っているボルトの同期のイワベエ、デンキ、メタルの3人が上着と一緒に見つけてくれ家に戻った時に渡しに来てくれたのだ。だが額当てはバンドだったのだが衝撃で切られていた。運良くそれが切れたのが真ん中ら辺だった。勿論バンドに戻す事は出来る。だがボルトは額当てを変えなかった。何となく昔の父親のように結びたくなったからだ。そんな時ボルトは時計を見て「あっ」とした顔になり上着を取りながらヒナタに言った

 

「悪い母ちゃん、俺行ってくるってばさ!」

 

「はい、行ってらっしゃい!」

 

その言葉を背に受けながら上着着て額当てを結んでスミレの家まで走った。

大筒木一族を名乗る連中の襲撃で里は大きな被害にあった。だが中忍試験はボルトが優勝した事により何とか全ての工程を終えた。だがボルトは正直優勝した気がしない。スミレが何度自分が勝手にやった事と言ってもスミレと鵺がいなければ負けていたのは自分なのだ。その事実は覆せない。

事件は5影たちが力を合わせ解決したと発表され里は徐々に落ち着きを取り戻し始めている。ナルトもまた忙しい日々が始まったのだった。ボルトはスミレのアパートの前に来た。スミレとはあの後は·····羞恥だった。だが想いを伝えあったのは事実。

 

「はわ!ぼ、ボルト君もう来たの?」

 

そうアパートの扉から顔を覗かせてスミレは言った。ボルトはスミレに頬を赤くしながらも頷いた。スミレはカチャカチャとアパートのドアを閉めボルトの前に来た。2人はそのまま頬を赤くしながら突っ立ていたが通行の邪魔かと思い歩き出した。だが2人は無言だ。ちらちらと互いの顔を見てはいるが·····どんな会話をすればいいのか分からないのだ。ボルトもスミレもあんまり寝れなかった。ボルトはモモシキと戦って疲れていたのは確かだがそれよりもスミレの告白の事で頭がいっぱいで顔を沸騰させたりしていた。スミレも殆ど同じ。ボルトは昨日家に泊まる?と聞いたのだがスミレがぶんぶんと首を振って断った。同じ屋根の下にいたら自分が変になる自信しか無かったのだ。そして任務受付所まで無言で歩いていたらボルトが止まったのを見てスミレも止まった。ボルトが向いてる方に目を向ければシンキ達砂隠れがいた。シンキ達もボルト達に気が付き止まった。そのまま睨み合っていたがシンキが再び歩き出しボルトとすれ違う時言った

 

「次は俺が勝つ。」

 

ボルトもにっとしながら返した

 

「次も俺が勝つってばさ」

 

喧嘩にならなくて良かったとほっとしたスミレなのであった。そんな時横からミツキがやってきた。

 

「どうしたの2人とも?」

 

「はわ!何でもないよ!」

 

そうスミレは慌てて・・・だが赤面になりながらも返した。ボルトも赤面になっていたが。3人はその後受付所についた。そこに第5班がいたから3人は近寄った。

 

「中忍試験が終わってから忙しすぎるぜ。全然休みがねえ」

 

「あんな事件の後だから細かい任務がいっぱいあるんだよね。」

 

「僕達、土木工事のプロですから!」

 

そうイワベエ達は話す。第7班はあの日からまだ任務は1回もやっていない。スミレは準備万端なのだがボルトは念の為もう少し休めというのとミツキが完全回復したのが昨日だったからだ。それと木ノ葉丸が別任務に行ってるという事もある。

 

「ミツキ君、体は大丈夫なのですか?」

 

ミツキは会場でモモシキが来た時、仙術を使おうとチャクラを練っていた。だがそこに第3の大筒木の釣竿の不意打ちで貫かれてしまいそのチャクラを奪われてしまった。トドメを刺される前に我愛羅と長十郎がミツキを救いその後シズネによって医療忍術が施された。その甲斐あって今は回復している

 

「うん。もう大丈夫。あの時、僕いつも以上にチャクラを練っていたからダメージも大きかったんだ。でも親が僕を作ってくれて助かったよ。」

 

「親、ですか」

 

スミレはそれを聞きながらミツキを見た。

 

(今の言い方だと·····ミツキ君って・・・)

 

子供を作る·····スミレはまだ子供の作り方は・・・知らない。·····まだ精神が歪む前に母親に聞いた事はあったかもしれないが覚えていない。だがスミレの予想通りミツキの親があの人なら正攻法で作ってるのか疑問に思うのは当然だ。·····出来方は知らないが。もしかしたら普通に作ったのかもしれないしそうじゃないのかも知れない。作るって意味なら

 

(クローン・・・って言う事もあるよね)

 

別にクローンだからと言ってスミレからすればそれがどうしたという感じだが気になるものは気になる。·····直接聞く気にはなれないから黙っとくが。そんな時後ろのエスカレーターから声が聞こえ見た。

 

「あ〜疲れた〜、どんだけ任務入れたら気が済むんだよ。」

 

「誰かさんが試験で活躍したからじゃないの?」

 

「うっせえな。第一俺は1回戦でボルトに負けたんだし忙しくなるなら優勝したあいつの方が」

 

そこで本人がいた事に降り終わった後に気がついた。ボルトは手を上げシカダイ達も近寄ってきた。

 

「・・・よう。」

 

「ああ。」

 

そう言いながら2人は拳をぶつけた。

 

「·····またお前に色々背をわしちまったな。悪かった。」

 

「そんなの気にしてたのか?」

 

「当たり前だろ?」

 

そう言って2人は少し笑いあった。シカダイは今度は好戦的な笑みになりながら言った

 

「だけど、次は俺が勝つ。」

 

「俺も負けないってばさ。」

 

「何か2人で言い合ってる所悪いけど、私もあんたには負けないわよ!」

 

そんな声で5班と7班と10班は入口の方を向いた。そこに居たのは15班の面々だった。今2人に声をかけたのはサラダだ。サラダは2人に近寄ってボルトに向いた

 

「次勝つのは私だから。」

 

ボルトは何か今日は同じ事を3人も言われるなぁとか思いながらも返した。

 

「俺だって負けねぇよ。」

 

そんな時、サラダは純粋な疑問を持ち聞いた

 

「ボルト·····本当はあんたも火影に」

 

サラダがそう思うのも無理はなかった。ビオラが来て以降のボルトの成長は目を見張るものがあった。それが·····火影になる為ならば・・・

 

「俺は火影に·····ならねぇ!」

 

「え!?」

 

「火影になるのはお前だろ?だったら俺はサポート役だ。しっかり守ってやんよ!」

 

ボルトは至って真剣に言っているのは分かる。だが今の言葉は告白に聞き変えても自然である。スミレは少し胸が締め付けられる。勿論もう2人は場所が場所だが気持ちを伝えあった。だからボルトが言ってる事は所謂ボディーガードに近いと言うのも分かっている。それでも·····嫉妬の感情が出てしまう。サラダはそんなスミレを見ながらボルトにも少し呆れた視線を向ける。

 

「俺にとっちゃ火影はただのレールのひとつだ。爺ちゃんと父ちゃんが火影だからって同じ道をいく必要はねえってばさ。俺が目指すのは·····サラダ。お前の父ちゃんみたいな忍びだ。俺は俺の忍道を行ってやる!」

 

そう拳を握ったのだった。そんなボルトをサラダはスルーしスミレの耳に話しかけた。

 

「それであの後何か進展あったの?」

 

「へ!?」

 

その言葉を聞いたスミレは思いっきり赤面になりながら驚いた。その声にボルトも不思議そうな顔を向けて何か聞こうとしたがその前に女子陣が気になったのかスミレの周りに集まった。

 

「はわわ·····え、えっと・・・その」

 

「何かあったの〜?」

 

「なになに?」

 

そんな感じで女子陣に詰められスミレは恥ずかしすぎてどんどん赤面になっていったのだった。

 

 

 

「今回は現場に巻き込まれた下忍の方をスタジオにお招きしております。では早速お話をお伺いしましょう。」

 

ボルト達はナルトの火影岩の上で公共テレビを見ていた。そこに映っていたのはキャスターとボルトの影分身だった。前までなら本体の近くにいないと維持出来なかったが今はもう離れていても出来るようになった。

 

「――なるほど。では忍びにとって1番大切なものは何ですか?」

 

「やっぱりチームワークと根性·····って父ちゃんが言ってたけどそれは頭だけじゃなくて体に解らせてなんぼかな」

 

それに頷きキャスターは時計を見て言った。

 

「本日はありがとうございました。」

 

その声を聞きボルトは影分身を解除した。それを見ていたミツキが言う

 

「僕もインタビュー受けたんだけどな」

 

そうちっとも残念そうじゃない声で言った。そのミツキの言葉にスミレは苦笑いをしていた。3人は久しぶりの任務が終わった所である。任務の前にボルトはサスケに会い借りた額当てを返そうとしたがサスケは弟子の証としてボルトが持っとく事になった。サスケはボルトに用心しとけという言葉をかけた。3人はそのまま里を見ていたがボルトがミツキに今日家でお祝いするけど来るか?と聞いた所ミツキは報告があるからと言って帰ってしまった。ボルトとスミレは2人きりになり·····何を話せばいいのかよく分からずただ赤くなった。ボルトは何もしない状況に耐えられず自分の右腕に巻いてあった包帯を取った。スミレもその作業を横から見ていた。そしてその包帯の取れた右手にあったのは印だった。それも菱形の

 

「何それ?」

 

「うーん·····よく分かんねえけど。」

 

ボルトはモモシキと戦った後に出来た事を言おうかと思ったが黙っといた。心配させたくない。だがスミレにはお見通しだった。

 

「·····モモシキと戦った後に出来たんだよね?」

 

「うぐ!」

 

また嘘をつこうとしたボルトに少し冷ややかな視線を向けた。ボルトはそれにタジタジになる。だがスミレは唐突にその視線をやめ頬を赤く染めた。ボルトもスミレの考えた事が分かったのか同じく頬を染めた。そして·····ボルトが口を開く前にスミレが真っ赤になりながら言った

 

「私は·····ボルト君の事が好きです。」

 

そう改めて言われボルトは赤くなる。そして心臓の鼓動が早鐘を打つ。

 

「だから·····だから・・・私と·····つ、付き合ってください!」

 

スミレは正直自分はボルトとは釣り合わないとは思っている。ボルトと違ってどこか凄い所の生まれという訳でもない。どちらかと言うと貧乏な部類の家系だった。そして最初は里の為どころか里を襲おうとした自分にそんな事を言う資格はないのかもしれない。だけど・・・それでもスミレは·····想いを伝えうずまきボルトという少年と・・・恋人になりたいと心の底から思った。その気持ちはビオラが来て帰って行った後に更に加速した。だからこそあの時·····無意識に言ったのかもしれない。ボルトはそんなスミレの思いっきりの告白に何度したか分からない赤面になり·····

 

「俺も・・・スミレの事が好きだ、だから·····」

 

そう最後はにかっと笑いながら·····それでも真剣にスミレの告白を·····。スミレはそれを聞き目頭が熱くなり何も考えられなくなった。そんなスミレを見ながらボルトは·····スミレの手を取り抱き寄せた。

 

「これからも·····だせえ俺かも知れねえけど・・・宜しく頼むってばさ」

 

「はわ・・・はわわわ」

 

そう慌てる様子ではなく絞り出すように涙しながら言って抱き返したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2人は里の中で並んでボルトの家に向かっていた。ナルトがスミレを連れて帰って来いって言ってたからだ。2人はあの後5分程ナルトの顔岩の上で抱き合っていた。そんな2人の手は・・・何故か小指だけ繋がれている。最初は2人とも普通に繋ごうとした。偶にあったから出来るはずだと思った。だが·····いざ前にしてみると羞恥心が半端ではなく特に示し合わせた訳ではないが小指から始めたのだった。だが小指だけでも2人は今まで以上にドキドキしていた。

 

(·····誰にも見られてねぇよな?)

 

そう思わず心で言った。見られるのは全然構わない。·····めちゃくちゃ恥ずかしいが。二人の間に会話はない。ちらちらと互いを見るだけだ。そうこうしていたらとうとうボルトの家に到着した。ボルトはドアを開けスミレも一緒に入った

 

「・・・た、ただいまだってばさ。」

 

「お、お邪魔します。」

 

そう2人は何度も一緒に入った事あるのに今まで以上に緊張した。そんな2人の緊張はほっとかれヒマワリがひょこっと顔を出して顔を輝かせて2人に突撃した。2人は咄嗟に小指を離してヒマワリを受け止めた。

 

「はわわ、危ないよヒマワリちゃん」

 

「えへへ!」

 

そう言って嬉しそうにしたのだった。ヒマワリを下ろし3人はリビングに入った。そこにはナルトとヒナタがいた。スミレはあの1幕を思い出して思わずボルトの後ろに少し隠れたがナルト達はにっと笑いながら言ってきた

 

「よ、復帰任務お疲れだってばよ。」

 

「まあな、楽すぎて逆に暇だったってばさ」

 

所謂人助けの任務だった。もう慣れっこである。そんなボルトに苦笑いしながらスミレは言った

 

「小さな任務もコツコツと、だよ。」

 

「わ、分かってるってばさ。」

 

どうにもスミレには逆らえないようである。そんな2人を夫婦は微笑んでいたがヒナタがケーキを持ってきた。それはよく見ればボルトの中忍試験優勝とスミレの第3位をお祝いするデコレーションケーキであった。スミレはそういう物を見た事が無くて思わず手を口に当ててびっくりした。

 

「・・・凄い」

 

「お父さんが買ってきてくれたのよ。」

 

「父ちゃんが?」

 

そう言ってボルトはナルトに近づき・・・油断しているナルトに腹パンした。声にならない悲鳴をあげナルトは腹を抱えた。

 

「どうやら影分身じゃねえみてえだな!」

 

ナルトは復活しボルトをヘッドロックしながら頭をグリグリした。

 

「いきなり何すんだってばよ!」

 

「父ちゃんは影分身と紛らわしいんだってばさ!」

 

「何だとこらっ!」

 

「パパ私もーっ!」

 

そう言って今度はヒマワリがナルトの首にダイブした。そんな少し騒がしいうずまき家を見てスミレはくすくすと笑った。スミレの家族の光景はスミレが覚えている限りは暗い部屋の中電球1つで何も会話は無く黙々と質素なご飯を食べるなどそういう光景だったからだ。そんなスミレを3人は見て不思議そうな顔をした。スミレは気が付き

 

「はわわ!!」

 

そう言って慌てた。5人はその後席に着いた。そして立派なケーキにスミレは思わずナルトに言った

 

「その・・・お金」

 

「なーに言ってんだってばよ、ボルトとスミレのお祝いなんだし子供が遠慮何かするなってばよ!」

 

そうボルトに似ている顔で笑った。そしてケーキを食べたいのかヒマワリがうずうずしているのが見えナルトとヒナタとヒマワリはクラッカー持って言った。

 

「「中忍試験優勝と第3位、おめでとう!!」」

 

そう一斉にクラッカーが鳴らされ少しうるさいがそれよりも嬉しさが勝った。2人は顔を見合わせ言った

 

「サンキューだってばさ!」

 

「ありがとうございます!!」

 

そして2人はケーキを食べ始めた。スミレはゆっくりと咀嚼しながら初めての味に舌鼓をうった。そして·····気がついたら涙を流していた。今までこうやって誰かにお祝いとしてケーキを貰った事などなかった。だけど今はうずまき家の輪の中に自分がいるのだと感じたら·····嬉しかった。血の繋がった家族がもう居ないスミレにとって今ある時間はかけがえのないものだ。

最初は復讐者として・・・父親の兵士として来たのにいつの間にかアカデミーでの繋がりができ、好きな人も出来て·····今はその好きな人の隣にいる。周りの人達は暖かく、優しかった。

そんな涙を出してるスミレにボルトは心配そうな顔を向けたがスミレが涙を拭いて微笑んで口パクで大丈夫と伝えた。そして5人は食べ終え余韻に浸っていた。スミレはそんな時・・・考えていた事をボルトに聞いた

 

「ボルト君、明日時間ある?」

 

「あるけどどうしたんだってばさ?」

 

「·····お墓参り、一緒に来て欲しいの。」

 

誰のお墓参りか、それは言われるまでもなく分かった。スミレの両親だ。スミレはゴースト事件の後、1度両親と過ごしていた家に戻り·····父親の亡骸も見て少しあれだったがお墓を作った。母もその墓にいる。ボルトはスミレの言葉を聞いて神妙に頷いた。

 

「・・・分かった。」

 

「うん。ありがとう。」

 

そう言って微笑んだ。スミレは泊まる事になり片付けとお風呂に入った。スミレがヒマワリとお風呂に入ってる間ボルトはぼーっとしていた。そんなボルトにナルトは話しかけた

 

「どうしたんだボルト?」

 

「いや·····どんな事言えばいいのか分からなくて」

 

ボルトはスミレの親に会った事など無い。と言うより母親は兎も角父親に関しては悪感情しかない。例えお墓だとしても·····どんな事を言えば良いのか分からないのだ。それを聞いたナルトは苦笑いした。何か娘さんくださいのあれだなと思ったのだ。ナルトも正直カカシからスミレの親のタヌキがスミレを復讐の道具にしたと聞かされた時は真っ先に自分の子供にそんな事をした怒りが湧いてきたのを覚えている。 ナルトはボルトの頭に手を乗せながら言う

 

「お前の思った事を言えば良いさ。」

 

そう言った。ボルトは父親の顔を見て頷いた。因みにもううずまき家の面々は2人が今日から付き合い始めたのは知っている。2人は羞恥の顔でそれを言った。それを知ってたみたいな顔でナルトとヒナタは見ていた。と言うよりあんな5影の目の前で告白合戦しあったのだ。そうなるのは普通に分かる。

 

「・・・まあ·····頑張れよ。」

 

「分かってるってばさ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日ボルトとスミレはナルトと共に走っていた。

 

「遅刻だーーっ!」

 

「ゲームして遅刻なんてだせえってばさ!」

 

「お前も一緒にしてただろうが!」

 

そんな親子の後ろをスミレは走りながらくすくすと笑いながら追う。途中でナルトと別れ2人はいのじんの家·····山中花店にやってきた。そして2人して入った。そして中にいた店主の山中いのが話しかけた

 

「あらボルト。どうしたの?」

 

「えっと・・・菫ってありますか?」

 

「あるわよ。ちょっと待ってて」

そう言って如雨露を置いて菫の場所に向かって何本が持ってきた。2人はそれを見て会計した。俺が私が払うという争いの果てに結局割り勘になった。そんな会計中いのはニヤニヤしながら聞いてきた

 

「それで2人はどういう関係なの?」

 

「「え!?」」

 

そんな事を聞かれ2人は仲良く声を赤面になりながら揃えた。そんな2人を見ていのは察した。そしてボルトに言う

 

「あらあら!ナルトと違って早いわね〜!」

 

ボルトは慣れないそんな会話に赤面になり続ける。そんなボルトの隣ではスミレも赤くなっている。可愛いなぁーとか思いながらいのは会計を終えた。そして2人はあんの門を通ってスミレの実家に向かった。近づくに連れて会話は少なくなる。

 

「ここが・・・」

 

暫く歩きとうとうやってきた。その家はもう見るからにボロボロでそんな家の前にはスミレが作ったお墓が置いてあった。2人はそのまま歩き持ってきた水を使って墓石を洗った後菫の花を花瓶に入れて2人して手を合わせスミレが言った。

 

「お母さん、お父さん。今日は知らせたい事があるんだ。・・・私の隣にいるうずまきボルト君と·····お付き合いする事になりました。」

 

あの世でもしタヌキがスミレを見ていたら歯ぎしりしている事だろう。1番復讐したい相手の息子と娘が付き合い始めたのだから。ボルトはそんなスミレを見て·····手をゆっくりと握った。スミレは頬を赤くしながらボルトを見た後にあの世にいるタヌキに向かって言った。

 

「お父さんは望まないかもしれない。だけど・・・私はボルト君のおかげで変われた。いつも元気でイタズラが好きで・・・でも凄く優しくて·····そんなボルト君が私は大好きです。」

 

スミレの本心だ。手を握りながら少し涙ぐみながら言う。

 

「お母さん、私·····自分の幸せ、見つけたよ!」

 

今度は母親に言った。そう言ったスミレの顔は晴れやかで清々しい表情だった。スミレは自分の言いたい事を言い終え少し沈黙した。そして今度はボルトが言った。

 

「俺は・・・正直スミレの父ちゃんには悪い感情ばっかりだってばさ。でも·····」

 

お墓に向かい合いながらもボルトは言葉を探し言う

 

「スミレを・・・この世に生まれさせてくれて·····アカデミーにも行くように仕向けてくれてサンキューだってばさ。それは感謝してる。」

 

タヌキからすればとんでもない皮肉だがボルトは至って真面目だ。

 

「俺も·····いつも慌てて、でもいつも優しくて···そんなスミレが俺も大好きだってばさ!」

 

そう言って少し強めにスミレを自分の方に抱き寄せた。スミレはびっくりしながらもボルトに大人しく抱擁された。そして抱擁が終わった後2人は墓に向き直った。

 

「スミレの母ちゃん·····スミレをずっと見守ってくれってばさ!」

 

そのまま2人はお墓の前で余韻に浸っていたがボルトが唐突に家のボロボロ具合が凄いなとか思って見ていたらスミレが聞いてきた。

 

「入る?」

 

「え?良いのか?」

 

「うん。」

 

そう言って2人は家に入った。中は散らかり埃だらけだった。スミレも墓参りに来る事はあれど住む訳では無いから掃除はサボってる。2人は家を見て回る。そして・・・恐らく寝室の場所に来てスミレは止まった。ボルトも後ろからひょこっと覗いてスミレの見てる所を見る。そこにあったのは埃がありまくる鏡台だった。

 

「·····お母さんのだよ。」

そう言って近寄り尊そうに触った。この鏡台も母の形見である。だが流石に里の外のここから里にまで運べずにずっと置きっぱなしだった。

そんな少し寂しそうな顔をしたスミレを見てボルトは家の中で何かを探し始めた。スミレはそんなボルトに不思議そうに聞いた

 

「どうしたの?」

 

「いや・・・もしかしたら」

 

そう言ってゴソゴソしたりしていたらボルトが「あっ!」と言ってあるものを出してきた。それはキャスターだった。

 

「こんな所に·····」

 

「鏡台がここにあるって事はスミレの母ちゃんは運んだ筈だ。なら運ぶ為の道具があってもおかしくねえだろ?」

 

「なるほど·····」

「どうする?運ぶか?」

 

キャスターがあれば普通に運ぶよりも楽である。スミレは少し考え·····頷いた。

 

「うん。・・・それじゃあお願い。」

 

「了解だってばさ。」

 

2人は寝室に行き鏡台を持ち上げてキャスターに置いた。重かった。2人はその後家から出て再びお墓で手を合わせた後にキャスターを転がし里への道を歩いた。もう周りは夕暮れに染まっていたが2人は歩きスミレのアパートに到着した。先ず鏡台の埃や汚れを2人して取りスミレのベットの横に置いた。2人はそんなベットの上で休憩していた。そんな時スミレは·····頭をボルトの肩に預けた。

 

「·····スミレって甘えん坊だったのか?」

 

そう頬を赤くしながら聞いた

 

「うーん·····分かんないや。」

 

だが甘えん坊というのはあるのかもしれない。過去が過去だったから・・・彼氏という存在が出来て甘えたくなったのかもしれない。·····後ビオラが甘えん坊だったのもある。2人は暫くそのままゆっくりと心地よい時を過ごした。そしてその頃にはもう月が出てきてそんな月光が2つの影が1つに寄り添っている光景を作ったのだった。

 




お疲れ様ですm(*_ _)m
ここの小説で合計3つ目のボルスミくっつく話でした(๑´ω`ノノ゙✧
他のシリーズと違ってこっちはくっついた後も書きますが。NARUTO・BORUTOで最年少カップル(*´・д・)*´。_。)。
またアンケートしますけどもこれは興味本位なので宜しくです。
と言うよりやっとここまで来れたな(。'-')(。._.)
(*´∇`)ノ ではでは~


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意志

おはようございます((。´・ω・)。´_ _))
ミツキ失踪編です。めっちゃオリジナルのくせに文章下手くそですけどもよろしくですm(*_ _)m
めっちゃダイジェストです。どぞ(っ´∀`)っ


 ある下忍が里抜けした事が発端となった岩隠れの里の事件が終わり三代目土影のオオノキの葬式が終わってナルトが木の葉に戻って来た日、ボルトとスミレはうずまき邸にてナルトと向き合っていた。これはそんな岩隠れの事件の中枢にいた2人から事情を聞くためだ。ナルトがサイに2人の話は自分が聞くと言っていたからだ。2人もそれを了承しここにいる。ヒマワリはヒナタが気を利かせ買い物に行っている。

 

「それで・・・最初に変だと思ったのはミツキが居なくなった事か?」

 

 2人はそれに頷いた。大筒木襲来について話し合う五影会談、その時は事態の大きさ故に先代の影達も集まってもらい会談する事になったのだが三代目土影のオオノキは道に迷ったのか会談場所に現れなかった。オオノキはその時たまたまあったボルトとスミレ、ミツキの3人にある問題の答えを教えてもらう条件で里を案内した。因みに問題とは『世界で1番固いいしは何だ?』というものであった。そして様々な場所を巡り·····事故で鉄骨が落ちて下にいる子供が巻き込まれそうになりオオノキが血継淘汰·····塵遁を使ってばてた事以外は平和に終わった。そしてそんなオオノキとの邂逅から少し経ち事件が起きた。

 

「いつもの集合場所にミツキが来なくてさ。だからミツキの家に行ってみたらもぬけの殻で」

 

「里中探しても見当たらなくて」

 

 そう、ミツキが突如行方不明になったのだ。ナルトはそれに頷いて事実関係をはっきりとしておく。ミツキが行方不明になったのと同時期にあんの門の門番が何者かに襲撃されていた。これは立派なテロ行為である。一昔前なら戦争案件だ。

 

「だから木ノ葉丸の兄ちゃんにそれを伝えたら何か隠して気がして」

 

「それで盗み聞きした訳だな」

 

 そこで2人は「うっ!」って言う顔をした。2人はミツキがいなくなったと木ノ葉丸に伝えた後2人は木ノ葉丸の様子が何か変だと思い火影室の窓の下から盗み聞きをしたのだ。それで分かった事はどうやらミツキが門番を襲い・・・突如消えてしまったという事だ。その火影室には長旅から戻ってきた五代目火影の綱手もいた。ボルトは幼少期に綱手を怒らせた事がトラウマとなりビクビクしていた

 

『つ、綱手のばあちゃん怒らしたら怖いんだぞ!』

 

 そう自分の彼女の前で本気で怖がってる様子を見せていた。スミレは綱手の事は父親のゴースト事件の計画書の写真と情報しか見ていないが直接見ると全然老けていないと違う所で感心した。

 

「と言うより・・・父ちゃんあの時俺らが聞いてたの気づいてたろ」

 

「はは、まあな。」

 

 ナルトはボルト達が盗み聞きをしていたのに気がついていた。だが動かなかったのはどうせ逃げられると思っていたのと仲間の事は気になるよなというサスケが里抜けした時の自分の気持ちを思い出したからだ。その後いのの術で門番の記憶を少し覗きミツキが門番を襲った事は確定した。そして・・・ミツキは自分から里抜けをしたのだと知った。それがボルト達に多大なショックを与えた。

 そしてナルトがとうとうある事をカミングアウトした。それはミツキは伝説の三忍で木ノ葉崩しの首謀者、そして木ノ葉丸の祖父の3代目火影を殺した大蛇丸の息子という事を言った。スミレはやっぱりという気持ちがあり木ノ葉丸の様子を見れば少し理解しきれていない顔になっていたのを覚えている。

 ボルトは落ち込んだ。自分はミツキの事を知ろうともしてなかったと。スミレもそれは同じだった。里は厳重緊急態勢に入り許可なく里を出たら里抜けの罰を食らう事になった。そして2人は話し合って·····自分達もミツキを追うために里抜けしようと決意した。その前にミツキが門番を襲ったという現場に2人は行き出来る限り何があったのか推察しようとした。

 

「その時にあの蛇を見つけたんだな?」

 

 そのナルトの言葉に頷いた。ボルト達はその現場で蛇を見つけた。それもただの蛇ではなくミツキの伝言を伝える蛇だった。伝言は『僕の意志』とだけだった。だが2人はそれによりミツキに直接会って話したいと思った。その後火影室に侵入しミツキの額当てを回収しさあ向かおうとした所に

 

「父ちゃん達が来たんだってばさ」

 

 そう不貞腐れた様子で言った。ナルトはボルト達が盗み聞きをしているのに気がついた時からボルトならこうするだろうと思いシカマルと待ち伏せしていた。

 

『それを持ってどこに行くつもりだボルト』

 

『父ちゃん·····決まってるだろ、ミツキの所だ!』

 

 そして親子の·····里の下忍としてのボルトの視線と火影としての視線が交錯する。その時シカマルはスミレに聞いた

 

『ボルトだけなら兎も角スミレ、お前も行くつもりか?』

 

 シカマルはスミレがボルトの彼女だからついて行く訳では無いと知っている。例えボルトでもスミレはダメなものはダメだとボルトに言う事を知ってるからだ。ならそんなスミレまでついて行く事に疑問に思ったのだ。

 

『はい。』

 

『·····理由を聞こうか。』

 

 ボルトは正直言うのを戸惑った。これを言えば自分達は拘束されミツキを追えなくなる。不意打ちでナルトをぶっ飛ばして意地でも行こうと思っていたがシカマルまでいる。勝算は1割もないだろう。そんな時・・・2人を守るようにボルトの忍具入れからミツキの蛇が出てきた。

 

『それは・・・』

 

 ボルトは慌てて蛇を抱き抱えて父親を見る。ナルトは厳しい顔になって聞いてきた

 

『その蛇はどこにいた?』

 

 ボルトは答えない。

 

『答えないならお前達を拘束させてもらうってばよ。』

 

 ナルトとシカマルは厳しい事を言っている自覚はある。サスケが里抜けした際に2人も似たような感情になったからだ。だがボルトとスミレまで里抜けにさせたくないのだ。

 

『何だよ、結局は掟かよ』

 

『!?』

 

『俺はクズに何かなりたくねえ!』

 

『忍者の世界でルールや掟を破る奴はクズ呼ばわりされる。けどな、仲間を大切にしないやつはそれ以上のクズだ。』ナルトの脳裏にカカシの言葉が蘇る。そしてボルトの目を見る。ボルトの目は真剣そのものだ。その目を見た時・・・ナルトにも躊躇いが出来た。ボルト達を拘束したら2人はずっとミツキの事を引っ張るのではないか?と。そんなナルトを見てシカマルはふっと笑った。

 

『・・・今から10分後、あんの門に集合だ。』

 

『え?』

 

 シカマルの意図に気がついたのかナルトは本気か?と目で問いかける。シカマルは本気だと答え背を向けた。ボルトとスミレは困惑していたがナルトにもう敵意が無い事を感じ一息ついた。2人は10分後あんの門の前に行った。そこに居たのは猪鹿蝶の3人と担当のモエギ、それに木ノ葉丸だった。

 

『第7班と第10班にはミツキを別ルートで追ってもらう。』

 

『別ルート?』

 

 シカマルはボルトが持ってる蛇を見ながら言った

 

『その蛇を大蛇丸の所に持って行け。蛇に関してはあいつが圧倒的に詳しい。そして木ノ葉丸、これを渡しとく』

 

 そう言って仮面を渡した。

 

『もし何か国が関わっている場合、お前にはその調査をしてもらう。ただ許可もなく入る訳だから絶対に木の葉の忍びと悟られるな。』

 

 最初木ノ葉丸はこの任務に行く事はなかった。だが木ノ葉丸はナルト達とボルト達の会話を聞いてしまったのだ。そして・・・自分も行くと懇願した。それが実りここにいる。ボルトはシカダイに近づいて言う

 

『何か・・・巻き込んで悪い。』

 

『何言ってんだ。ミツキは俺にとってもダチだ。それだけで十分だろ?』

 

『・・・ああ!』

 

 その光景を見たシカマルは全員に言った。

 

『そもそも今回は色々おかしい。わざわざ門番を襲うなんてリスクが高すぎる。そんな事をしなくても穏便に抜ける方法はいくつもあったつもりだ。』

 

『·····確かに』

 

 門番を襲えばいのの術で誰がやったのか分かる筈だ。だがわざわざそんなリスクを犯してまで門番は襲われた。

 

『第2にその蛇だ。ミツキがその蛇を残す意味も今の所分からない。そんなのを残せば自分が里抜けしたとあっという間に知られてしまう。』

 

 それにボルトはあっとした顔になった。その後いよいよ出発という所でナルトはスミレに近寄った。

 

『スミレ・・・、あいつの事を頼む。』

 

『・・・はい!』

 

 そして第7班と第10班は大蛇丸の所に向かった。予め監視のヤマトには伝えて貰っていたが故に着いた後通されて大蛇丸に会った。スミレは会うのは初めてだがどこか・・・得体の知れない人だと思った。そんな大蛇丸は少しだけスミレに興味を示した。

 

『あら、あなたが牛頭天王を持っていた筧スミレかしら?』

 

 そう言われた時は正直ゾッとしたのを覚えている。咄嗟にボルトが庇ってくれたから良かったが。木ノ葉丸は大蛇丸を見て少し歯を食いしばっていたが耐えた。そして大蛇丸の蛇の解析を待っている間ボルト達は見た。試験管にいる·····ミツキにそっくりな人達を。いや、実際名前はミツキだった。スミレはそれを見てやっぱりと思った。

 

『ミツキ君は·····クローン』

 

 それぞれの反応は三者三葉だった。そんな時解析が終わったと言われ7人は大蛇丸の部屋に行った。結果から言うならボルトに伝えた事以上の事は出なかった。だが自分以上に蛇を知っている人物を教えてくれた。龍地洞という所にいる白蛇仙人と呼ばれる人物ならば蛇に残った思念·····記憶が分かると教え7人はそのまま龍地洞に向かった。その道中色々あったが7人は何とか辿り着き白蛇仙人に解析を頼んだがただでは無理だと言いガラガと呼ばれる暴れん坊な蛇の逆鱗を持ってこいと言われ7人は危険かも知れないがやるしかないとなりガラガの逆鱗を取りに行った。

 

「あん時は大変だったぜ」

 

 そう疲れた表情を見せたボルトにスミレは苦笑いする。ガラガと最初戦った時は大蛇というアドバンテージがあり一同は一旦下がって作戦を練りたかったがガラガそれをさせてくれなかった。そんな時今度は青い大蛇がガラガに攻撃してきた。一同はその間に逃げた。

 

「まさかサスケのおっちゃんの蛇とは思わねえよなぁ」

 

 その青い大蛇はアオダと言い最初は人間がガラガに無謀な戦いを挑んでると遠目から見ていたのだがボルトを見ていたら主のサスケから聞いた世話が焼ける弟子の存在を思い出し助太刀したのだと。そして予想どうりボルトがサスケの弟子だと分かったのだ。

 その後アオダの手も借りガラガの逆鱗を取ろうと奮闘した。その最中にチョウチョウが石像になったりとアクシデントはあったが逆鱗を持ってくる事に成功した。·····ガラガ事だが。ボルトはガラガと口寄せ契約をしたのだ。ミツキを取り戻す所を見せるとガラガに言ったのだ。

 ガラガは嘗て友に裏切られた事により人間を信用出来なくなっていた。それを見破ったボルトがなら自分がミツキを取り戻す所を見せてやると言った訳である。

 そして白蛇仙人は約束通り蛇に残っていた思念を見せた。そこにあった光景は確かにミツキは門番を襲っていたが自分の蛇を使い死んだように見せかけてもいた。それは門番を守る為の行動にも見える。ボルトはそれに浮き立ったがシカダイがこれだけなら何故ミツキが敵·····岩隠れの者達について行ったのかが分からないという事でミツキの判決は保留になった。

 そして門番を最初に襲ったのは岩隠れの者達なのだ。その事実に上忍の2人は厳しい顔になる。一行は取り敢えず龍地洞を出て作戦会議をし、二手に分かれる事にした。里に事態を知らせるいのじんとチョウチョウ、残りの5人は岩隠れを目指すチームに分かれた。

 

「・・・あん時はびっくりしたぜ」

 

 4人がミツキを追いかけている最中何と何人もの木の葉の忍びが倒れていたのだ。それも上忍ばっかりだった。息を調べてみると・・・全員死んでいた。その事実に戦慄していたが近くに敵がいるはずだとなったら案の定来た。その敵はコクヨウと名乗りトンファー用いて戦った。そんなコクヨウの隣には何やら不気味なものがいた。それが岩隠れの禁術で作られた意志なき戦闘人形·····芥だった。その戦闘力は上忍を一網打尽にした時点で明確だ。だがボルト達は機転を利かせて芥撃退に成功した。

 

『ここは俺とモエギ先生がやる!』

 

 そう言って2人はコクヨウと激突した。3人は近くにいるであろうミツキを追った。だが3人の前にも刺客が現れた。その者はセキエイと名乗って攻撃を仕掛けてきた。その攻撃方法は起爆粘土·····チャクラを練りこんだ粘土を好きな形にして好きなタイミングで爆発させる事が出来る岩隠れの禁術だ。その多彩な攻撃に3人は防戦一方になった。そこでボルトは契約したばっかりのガラガを口寄せした。だがガラガは戦うと言った訳ではないと言い放ち戦いに参戦しなかった。その時木ノ葉丸がナルトに昔聞いた起爆粘土の話を聞いた事を思い出し

 

『ボルト!雷遁だ!』

 

 ボルトは何故木ノ葉丸がそう言ったのか分からなかったが直ぐに行動に移した。

 

『雷遁・迅雷箭!!』

 

 それをセキエイに放った。セキエイはそれを起爆粘土で防ごうとするがぶつかった爆発する筈なのだがどういう訳か爆発しない事にセキエイは焦った。その隙をついていつの間にか出てきた鵺が全力体当たりをかました。セキエイはそれを避けられずに吹き飛んで転がった。そしてボルトがトドメを刺そうとクナイを振りかざした時それが起きた。何とそのクナイが弾かれたのだ。ボルトは咄嗟に飛び退き弾いた人を見た。月を背景にいたのはミツキだった。ボルトはそれに喜び額当てをミツキに返そうとしたのだがミツキはそれをスルーしセキエイに近寄り何とセキエイを気遣ったのだ。ボルトはそれを理解しきれていない顔で見て額当てを返そうと語りかけたがミツキの答えはその額当てを払ってからの雷遁だった。スミレはその光景が信じられなかった。あれだけボルトと一緒にいたミツキがボルトを攻撃した事を・・・。だからこそ違和感を持った。鵺はミツキに突撃しそうになるのを抑えながら経過を見守った。

 

『·····おかしいな・・・コクヨウが·····来ない』

 

 シカダイ達は途中で里の忍び達がやられている所を見て戻ってきたいのじんとチョウチョウも駆けつけ拮抗状態だったコクヨウとの戦いを一気に優勢に持っていき撃破する事に成功していた。猪鹿蝶だけならば無理だった·····と言うよりボロ負けになりそうだったがモエギがいた事によりチョウチョウの肉弾戦車が決まりコクヨウは何かを悟って死んで行った。その代わり猪鹿蝶はチャクラが無くなりばてていたが。

 

『コクヨウなら追い付いてくるよ。行こう』

 

 ミツキはそう言ってセキエイを立たせた。その時ミツキと木ノ葉丸の視線が交錯しミツキの口元が声を出さずに動いた。

 

『止めないでください』

 

 そう言ってるように聞こえた。そしてミツキ達は行ってしまった。勿論追いかける事も出来たがスミレと木ノ葉丸は止まった。状況を確認する方が先だと思ったからだ。いつの間にかガラガは鼻を鳴らして消えていた。2人はショックと雷遁で気を失っているボルトを背負い敵に見つからないであろう場所に来た。木ノ葉丸はミツキが弾いた額当てをボルトに握らせモエギ達に居場所を知らせに行った。スミレは気絶してどう見てもショックを受けているボルトを見て精神的に泣きそうな顔になりボルトの頭と胴をを持ち上げて自分の膝の上に乗せた。所謂膝枕である。鵺はミニサイズになりボルトを心配そうに見ていた。·····少し経って戻ってきた5人はその光景に面食らったがスミレが悲しそうな顔でボルトを見ていたから何も言わずに取り敢えず夜だったから木ノ葉丸とモエギ、そしてスミレに見張りを任せ猪鹿蝶は激戦の果てにボロボロになった体を横に倒して寝ていた。スミレは膝枕したままボルトの頭を撫でていた。せめて自分がいる事は分かっていて欲しいからだ。木ノ葉丸はそんなスミレを見て単刀直入に聞いた

 

『スミレ、どう思う?』

 

『·····違和感がありました。』

 

 木ノ葉丸はそれに頷いた。木ノ葉丸も違和感を感じたのだろう。ミツキが木ノ葉丸に向けた視線はどこか・・・嘆願しているようにも見えたからだ。それも·····里の仲間としての目で。それが余計にミツキの行動に違和感を持つ原因だった。モエギは同じ班の2人がそう言うならそうなんだろうと黙っておいた。

 

『ミツキ君は・・・何かを探っている?』

 

 ミツキが直接『自分の意志』と言った時どこか悲しそうな顔をしていた。それが何なのか分からないのが歯がゆい。3人はそのまま黙っていたが木ノ葉丸が唐突に言った

 

『岩隠れに潜入する。』

 

 そう単刀直入に言った。スミレもモエギもそれに頷いた。普通なら木の葉に戻って報告の方が良いのかもしれないがそうも言ってられない状況なのは確かだ。ならば直接岩隠れに行って連絡手段を確保しそれで木の葉に伝えた方が早い。木ノ葉丸はシカマルに貰った仮面を取り出し

 

『俺は単独で調べる。』

 

 危険だとモエギは言おうと思ったが確かにぞろぞろついて行ったって見つかりやすいと考え不承不承頷いた。スミレはその後見張りを上忍2人に任しボルトの隣に横たわり手をボルトに乗せて寝た。翌朝ボルトはまだ目覚めずスミレは膝枕を続行した。そんな時いのじんの叫び声が聞こえボルトをスミレに任せ木ノ葉丸とモエギとシカダイはいのじんの所に言いながら向かいシカダイが思わず焦った声を出した

 

『急げ!いのじんが襲われてい·····る?』

 

 シカダイが見た光景は何やら昨日戦った芥のミニサイズの芥がいのじんにくっついているという光景だった。いのじんは最初は嫌そうだったが上忍2人とシカダイは満場一致でこのミニ芥を連れて行くことにした。理由としてはやはり証拠という理由が1番だろう。岩隠れが認めてるのか水面下で行われているのかは分からないがこの芥がいれば取り敢えずやばい事をしようとしているという事は分かる。取り敢えず懐かれているいのじんが世話してみて行けそうなら連れて行くことになった。スミレはその芥にほっとし再びボルトに向いた。ボルトは時々夢を見てるのか魘されている。元気づける事が出来ない事がスミレには悔しかった。そして少し経ってもボルトは起きずそれに痺れを切らしたチョウチョウが言った

 

『こうなったらやるしか無いっしょスミレ!』

 

『な、何が?』

 

『キスするしかない!』

 

 それを聞いたスミレは一気に真っ赤になった。

 

『どどどどうして!?』

 

『眠れる姫を起こすのは目覚めのキスって決まってるっしょ!』

 

『いや姫じゃねえだろ』

 

『何か変なスイッチ入れるなよデブ』

 

 そうシカダイといのじんの冷静なツッコミが入るがチョウチョウは何かスイッチが入ったのかスミレを急かす。

 

『ほら!スミレのキスなら絶対起きるって!』

 

 スミレはそんなスイッチが入ってるチョウチョウの言動に真っ赤になり続けている。そんなスミレを見てチョウチョウは聞く

 

『2人とも付き合い始めたのにキスの1つもしてないの!?』

 

 ボルトとスミレの交際はもう同期には知れ渡っている。2人から言った訳では無いが知らない内に広まっていたのだ。スミレはチョウチョウの言葉を聞いて

 

『そ、それは·····あるにはあるけど』

 

 正確には付き合う前・・・アカデミー時代のあの事故のことだが、スミレはあの時はボルトが目の前にいた事と自分の唇に起きた事で頭が変になった事は覚えている。だがそれ以降は·····付き合い初めてまだ1ヶ月も経っていないがまだキスした事はない。2人とも言い出しにくいのだ。そしてチョウチョウは早くしろみたいな顔で見てきた。もう他の4人は見て見ぬふりをしている。スミレはそんなチョウチョウとボルトを真っ赤になりながら交互に見て頭が沸騰し何を血迷ったのかだんだん顔をボルトに近づけた。·····そして唇が触れ合う時·····

 

『ん?』

 

 そんな声がもう少しでキスする所だったスミレの顔の前から聞こえた。スミレはばっと目を開けて見たら真ん前にボルトが目を開けていた。数秒経ち

 

『はわわ!!』

 

 そう言って上体を起こした。その顔はほんのり所かトマトみたいに真っ赤である。ボルトは状況をイマイチ把握していなかったのか???だったがスミレが真ん前にいた事とスミレに膝枕をされている事に気がついた時慌てて真っ赤になりながら起きた。

 

『すすすすまないってばさ!』

 

『う、うんうん大丈夫だよ。』

 

 そんなカップルをチョウチョウといのじん以外はいにくいと思いながらシカダイが気を取り直し岩隠れに潜入する旨を伝えた。ボルトはそれに頷きミツキの額当てを握った。

 

「それで岩隠れに行った訳だな」

 

 2人はそれに頷く。·····キスのくだりは言わなかったが。7人は途中で木ノ葉丸と芥をお守りするいのじんと分かれた。モエギとボルト達は3代目土影のオオノキに力を貸してくれるように頼みに行くつもりだった。オオノキが前回木の葉に来た時にボルトにいつでも来いと言っていたからだ。一行は水を供給するためのパイプから里に潜入し額当てを一旦外し外套を羽織り里に潜入した。そして潜入したのはいいのだがチョウチョウが何日も食べていない故にでかい腹の音を出して一行は慌ててそこから離れて3代目土影を探した。だが3代目の居場所が分からず右往左往していたらある岩石料理の店の扉が開き一行は慌てて怪しまれないように演技してついでに腹ごしらえをした。そしてそこの店主がオオノキの居場所を丁度よく知っていて全員で向かった。因みに岩石料理のお代はモエギ持ちだった。そして一同はオオノキの自宅に歩いて辿り着いた時に声をかけられた

 

「あん時はびっくりしたぜ」

 

 声をかけてきた人物は赤ツチと呼ばれる岩隠れの上忍でオオノキの警護をしている者だった。赤ツチは唐突に行方不明になった現土影の黒ツチの事で途方に暮れていたらチョウチョウのでっかい腹の音でボルト達を見つけたという訳である。

 6人は赤ツチの協力を得てオオノキに会うことが出来た。そして協力して欲しい旨を伝えた。だがオオノキはそれを拒否した。唖然としたボルト達の前にある者が降り立った。それはどことなくオオノキに似ている人だった。名を空と呼ぶ。そしてその空はオオノキの前に膝まづきマスターと呼んだ。それだけでオオノキがどちら側なのかは分かった。

 オオノキは自分がやったミツキを連れてこさせたりした理由は平和の為だと言った。いつ大筒木のような敵が来た時、若い命を散らせるわけにはいかないからその為に空達·····ツクラレを作りそのツクラレの強化の為にミツキがいると言う訳である。

 その後芥達もぞろぞろと出てきた。一旦は戦おうとしたが数が多くジリ貧になる。そう考えた赤ツチは逃がす事を選んだ。そして戦闘の結果そこにあった柱が倒れボルトは咄嗟にその柱にぶつかる所にいたオオノキを救ってほっとけずに連れて逃げた。それと同時にシカダイが芥の一体に捕まってしまいどこかに連れ出された。スミレはボルトがオオノキを助けたのを見て咄嗟に追いかけた。普通なら一人一人散り散りになった方が良いのだろうがスミレには出来なかった。ボルトがあんなご老人を見捨てて逃げるとは思えなかったからだ。そうなればボルトは戦闘がやりにくくなる。スミレはそれを考えボルトについて行った。2人は集合場所に戻ろうとするが暗くて迷子になってしまい2人とオオノキは安全そうな所まで来てオオノキを岩にもたれさせた。

 

『疲れただろ。俺が見張っとくからスミレは寝てろよ。』

 

『で、でもボルト君だって·····』

 

『俺は今日の半分は寝てたしスミレの方が寝れてないだろ?』

 

 実際スミレは安全そうな場所に来たからか少し目がうとうとし始めている。勿論戦闘になれば動けるがそう言う問題ではない。

 

『·····じゃあボルト君の肩貸して?』

 

 そう少し甘えるような声を出したスミレにボルトは思わずドキッとして頷いた。2人は石の地面の上にスミレは体育座りをしてボルトもその隣に座った。そしてスミレは自分の頭をボルトの肩に預け疲れていたのだろうか直ぐに寝息を立てた。ボルトはそんなスミレの寝顔を堪能した。·····見張りとは一体?·····因みに朝になればスミレがずり落ちてボルトの膝枕の上で寝ていた。

 翌日2人は起きてボルトも少し寝た後スミレは周りへ探索に向かってボルトはオオノキを見ていた。そしてオオノキが起きるのと同時にスミレも戻って浮かない顔をしていた。

 

『ずっと同じ所をぐるぐるする。』

 

『どういう事だってばさ?』

 

『ここは三途ヶ原。周りに厳重な結界が貼られててのう。』

 

 三途ヶ原は岩隠れの忍が己を鍛錬するための場所。出るにはここのどこかに落ちている自分だけの心の石を見つけだすしかない·····つまり修行する為の場所であり昔からある場所らしい。それならその石を探せば良いだけなのだがいかんせん2人は修行目的で来た訳では無いからモチベーションが圧倒的にない。里の若い忍び達はここを古臭いと言い誰も来なくなったそうだ。つまり助けは期待出来ない。

 オマケに術も使えないと言う。実際スミレは水を作ろうと水遁をしようとしたが出来なかった。流石に2人も喉が乾いてくる。そんな時オオノキが竹で作った水筒を寄越してきた。そして一時休戦し2人はオオノキに教えて貰いながら竹の水筒を3個作った。1つ多いのは予備だ。

 そして食料は·····スミレは必死に耐えて食べた。何をって?·····知らない方が良い。ボルトは慣れたらパクパク食べてたが。

 そしてその日は石を見つけられず夜になってしまった。スミレをオオノキの見張りに残しボルトは焚き火の薪を拾いに行った。その時、人影が見えた。その人影の正体はセッキと言う玄武三人衆の1人の少年だった。玄武三人衆はボルトが優勝した中忍試験の第一試験で落ちた岩隠れの忍びだ。取り敢えずセッキを焚き火の所に招いて事情を聞いた。セッキはどうやら自分だけの石を見つけに来たらしい。ならばとオオノキとボルト達はそれに協力する事になった。セッキが石を見つければ自分達も出れるからだ。ボルトはそれにしゃあねえとなり受諾した。

 ボルト受諾した後ありったけの薪をセッキの隣に置いた。

 

『火は任せたぜ』

 

『お、おいどこ行くんだよ?』

 

 ボルトはそこで少し頬を赤くしたが直ぐに返した

 

『何でも良いだろ』

 

 そしてボルトはスミレに近寄って小声で2人から見えない所まで行こうと言いスミレはそれに不思議そうな顔を向けながらも快諾した。2人は岩陰に来てもたれたあと空を見上げた。空は汚染されてなく綺麗な星空が見えた。昨日は余裕が無く寝てしまったがよく見たら凄い綺麗な空だった。

 

『綺麗·····』

 

『まあでもやっぱり木の葉のあそこには敵わないってばさ』

 

 あそことは2人がアカデミー卒業の前に同期の皆と行ったキャンプの時に見た星空だった。

 

『でも・・・ここにはここの良さがあるよ。』

 

 そう言って2人は星空を見上げていたがボルトが唐突に聞いた。

 

『その·····スミレは俺が起きた時何しようとしたんだ?』

 

『へ!?』

 

 いきなり自分が暴走してキスしようとした時の事を掘り返され変な返事をした。そして赤くなっていく。そしてまた頭が暴走し始めて血迷ったのか赤くなりながら言う

 

『ちょ・・・チョウチョウがき・・・キスしたらボルト君が起きるって!』

 

 恥ずかしすぎてスミレは手で全力で顔を隠した。·····それはボルトも同じでスミレがそう言う理由で自分に顔を近づけていたとは思わなかった。····というかそれ自分が姫役になってるよなどう考えてもとボルトは思った。そして同時にスミレと見た映画のキスシーンも思い出した。そして·····

 

『ぼ、ボルト君!?』

 

 ボルトが赤面になりながらスミレをの腰に手を回し引き寄せた

 

『その·····してもいいか?』

 

 何をとは言わなかったが何を意味するのかスミレには分かった。そしてまたトマトみたいに顔を赤くした。今こうしてる間にもミツキがどうなっているのか、こんな事をしてる場合じゃないのもスミレには分かっている。

 だがスミレには不安があった。もしミツキを取り戻せなかったら・・・そして何かの戦いでボルトがいなくなってしまったら。忍びの世界だ。本来死と隣り合わせなのは分かっている。それでも·····そんな事を考えたら忍び失格だと思っても·····自分の大好きな人には生きてて欲しい。そしてそんな不安を少しでも埋めて欲しくてスミレは頷いた。

 

『あ・・・』

 

 2人は密着して互いの鼓動を伝え合いながら顔を近づけた。真ん前に互いの顔がありスミレは目を閉じた。そしてアカデミー時代に1度感じた感触が2人に伝わってきた。2人は長い時間星空を背景に重なっていた。

 

 

 翌日セッキの石探しを手伝うが難航した。そしてセッキがとうとう妥協し始めた時オオノキはセッキにアドバイスをした。自分を信じる事が大事なのだと。その後オオノキを置いて3人は水を汲みに行った時にそれが起きた。何とでかいオオカミ·····オオタテガミオオカミが出現したのだ。3人は術を使えない中戦ったが流石にきつかった。だがボルトがセッキに発破をかけてセッキのチャクラを必要としない玄武最終奥義が当たりオオタテガミオオカミは退散して行った。そしてセッキは見事自分の石を見つけ出口へ一緒について行った。

 そしてセッキの前から消え3人はオオノキが何故こんな事をするに至ったのかの説明をする為にオオノキのお孫さん·····コヅチが亡くなった場所に赴いた。

 コヅチは土影を目指すオオノキの孫だった。コヅチの夢は平和の時代を作る土影になる事だった。オオノキはそんなコヅチに逃げない事とアドバイスをした。そして少し時が経ちコヅチが下忍になったある日賊連中が岩隠れに襲撃してきた事に気がついたコヅチは応援の部隊が来るまでたった1人で足止めをしたらしい。そしてその果てに·····。オオノキは自分を責めた。自分が逃げるなと言ったばっかりにコヅチは立ち向かって死んだのだ。そして後日コヅチの日記が見つかりコヅチは平和を守る立派な忍びになりたいと。だからオオノキはコヅチのような若い忍びが死なないようにする為に。そしてオオノキは書籍を洗い禁術を掘り起こし意志なき人形·····空達ツクラレを作って忍界を、若い忍びを守りたいと。例え·····ツクラレの強化に白ゼツを使ったとしてもだ。

 だがボルトはそれに異を唱えた。ツクラレにだって意志がある。コクヨウもセキエイも意志を持って行動し戦ったのだ。ならばそれは人間と何が違うと言った。だがオオノキはその問に少し目を見開いた後ツクラレは作られたものだから個性や意志のようなものはただの機能にすぎんと言った。そこでボルトはそれでも納得出来なくてオオノキに詰めよろうとしたがそれをスミレが止めた。

 

『スミレ?』

 

 スミレは1歩前に出て岩隠れ潜入の前に異界に戻ってもらった鵺を呼んだ。

 

『ぬえ〜!』

 

 そう言って鵺はスミレの頭の上に乗っかった。そして深呼吸した後オオノキに言った。

 

『私は·····この子を·····鵺を兵器にして木の葉を崩壊させようとしました。』

 

 そのいきなりのカミングアウトにオオノキとボルトは目を見開いてボルトが慌てて言う

 

『ちょっ!スミレ!?』

 

 スミレはボルトに向いて首を振った。だがボルトにはスミレの言いたい事は分かった。これでオオノキが止めてくれるかは賭けだがボルトは見守る事にした。スミレが話す事は木の葉の弱みを見せることと同意だ。どれだけ木の葉が争うつもりでやった訳じゃないと言っても鵺はタヌキが兵器のつもりでスミレに託したからだ。鵺を使って他里を襲わせようとしたんだろ?とか言われても否定が直ぐに出来ない。一昔前なら敵対行為とみなされて戦争にだってなりかねない。だがスミレは頭の上にいる鵺を腕に抱き抱えて続きを言った。

 

『この子は牛頭天王と呼ばれる術式を介して人からチャクラを奪って・・・それを溜め続けて里の中心部で自爆する事が出来るんです。それも·····いきなり里のど真ん中にこの子が来る事だって出来ます。』

 

 つまりそれは鵺は誰にも察知されずにチャクラさえ溜まっていれば唐突に里のど真ん中に来て唐突に里諸共吹き飛ばす自爆が出来るとんでもなく卑怯で合理的な動物だ。オオノキはそんなサラッと凄い事を言ってのけるスミレに目を見開き続けて話を聞く

 

『私は·····里から迫害された父の復讐をする為にこの子と契約しました。そして木の葉の忍者アカデミーに通って·····色んな人のチャクラを奪っていきました。そして兵器だと思っていたこの子を秘密裏に育ててきました。』

 

 ボルトはそこで思わずスミレの手を握ろうとしたがスミレは首を振った。スミレは今あの時の罪悪感が再び出ている。だが・・・それでもオオノキに伝えたい事があった。鵺を最初は兵器として·····心のない兵器として育てたスミレだからこそ言える事を。

 

『私も・・・最初は鵺を意志がない兵器として育ててきました。うんうん、私は自分ですら父の恨みを晴らすための兵器だと思ってました。でも·····違うってある人に言われたんです。鵺は·····私を親だと思ってるって言われたんです。自分が傷ついても・・・私を助けに来る鵺には·····意志があるって!』

 

 そう言ってスミレは片腕で鵺を抱きながら片方の手でボルトの手を握った。オオノキはそれである人とは誰か分かった。スミレは少し涙しながら言う

 

『もう·····それに気がついたら·····私はもう鵺を兵器にする事なんか出来ない。きっと私はこの子がいなくなったら·····悲しいし、きっと泣きます。』

 

 ボルトはスミレの話を聞きながら手を握りしめる。

 

『あの人達やミツキ君だって同じです!例えあなたの命令だとしても・・・それに従うあの人達にだって意志や信念を持ってるんです!』

 

 シカダイ達からはコクヨウが強さに執着していたと聞いた。それだって立派な信念でありコクヨウが持った個性であり意志だ。

 セキエイは純粋までの人間への興味を持っていた。本当に意志がないならば2人ともそんな事さえ思わず芥みたいになっているはずだ。いや・・・芥でさえも意志を持つ事は出来る。

 オオノキは鵺は人間では無いと言おうとした。だがスミレの涙を見てそういう事では無いと感じた。スミレが言いたいのは意志があるものは生きているんだと・・・例え作られた存在でも生きてるんだと伝えたいのだ。

 そんな時第3のツクラレがやってきた。名はカコウ、何とオオノキと空以外の塵遁使いだ。だがオオノキはスミレの話を聞いて悩んでいた。スミレの涙を見れば嘘を言ってる訳では無いと分かったからだ。だがそれでもコヅチの意志を貫きたいと言う思いもあった。

 だがカコウは己の欲求を満たしたいのか屁理屈を捏ねてボルト達に襲いかかった。ボルトとスミレは塵遁を警戒しながら戦った。塵遁を撃たせない為に接近戦でとめどなく攻撃を仕掛けた。そして2人は確信を持った。カコウにも·····ツクラレにも意志がある事を·····カコウは人間の心への興味を持ち尚且つ戦いを楽しもうとしていたからだ。ならそれは人間と何が違うのだろうか?オオノキは戦いを止める為に歩いていたがカコウがわざと離れた場所に誘導しているから一向に追いつけない。

 一方戦いは拮抗していた。カコウは塵遁を当てる為に分身で陽動をしようとしても鵺のチャクラを感知する能力のおかげで陽動が効かない。だがボルトとスミレも倒す為の決定打にかけていた。スミレの主な忍術は水遁だがカコウは土遁を得意とするが故にあまり通じない。ボルトは螺旋丸か紫電を当てたい所だがカコウも強者であり当てる隙が見つからなかったのだ。オマケに近づきすぎたら塵遁の餌食でもある。だがそんな時助っ人がやってきた。最初にオオノキと会った時に1度別れたモエギとチョウチョウだった。そこから形成は逆転した。モエギのスミレよりも強力な水遁の攻撃が塵遁を使おうとする度にカコウに迫りカコウは塵遁を使えない、使おうとしたら今度は顔面に強力な水遁がやって来る。そんな時カコウの体に罅が入った。それはカコウの命が灯火になっている事と同義である。それを見たカコウは何が面白いのか笑って水遁のダメージもお構いなく塵遁を乱射した。4人はそれを避けるのに途中で防戦一方になってしまった。そしてカコウは辺り一帯をぶっ飛ばすような塵遁を作り出しボルト達に投げつけようとしたが

 

「そこでカコウって奴の寿命が亡くなったんだな?」

 

 ボルトはそれに頷いた。カコウは限界突破の代償として命を亡くした。だがその表情はどこか悔しそうで満足したような顔だった。4人は命拾いをした。そしてそんなカコウをオオノキは何故だと言う顔で見ていた。ボルト達は取り敢えずオオノキには自分達と一緒にいてもらうという事になった。·····元々オオノキに拒否権などないが。そんな時空から超獣戯画の鳥がやってきてそこからいのじんがニコニコしながらやってきた。だがそこでモエギは違和感を感じ直ぐにそれに気がついた。いのじんは毒舌が多いが悪い子ではない。意味もなく命令を·····芥の見張りを捨ててまでここに来る事はないと分かってるからだ。そしていのじんは自分達の様子が気になったから来ちゃったよと言った瞬間にボルト目掛け走った・・・と同時にモエギはいのじんに触り

 

『解!』

 

『あれ?僕·····』

 

『幻術·····』

 

『失敗ね。まあ良いわ』

 

 そんな時第4のツクラレ·····キララが忌々しそうにモエギを見て言う。

 

『さあ・・・市街地に行きましょう。空様がお待ちよ。』

 

『誰が行くもの·····』

 

 そうチョウチョウは吠えようとしたがキララが少し横にズレたらいたのは2体の芥に引っ張られているボロボロの赤ツチだった。暗に逆らうなら赤ツチを殺すと言ってるようなものである。キララは余程この状況が楽しいのか笑っている。

 

(違う·····わしはこんな事をしたかった訳では·····)

 

 スミレの話を·····そしてカコウの行動を思い出しオオノキは葛藤の中にいた。万事休すかと思われたその時赤ツチを拘束していた芥の顔面にクナイが勢いよく突き刺さった。それにより芥の一体が崩れ落ちた。

 

『なっ!?』

 

 キララは驚いて振り向こうとしたが遅かった。

 

『影縛りの術·····成功。お前らやれ!』

 

『やっぱお前は最高だぜシカダイ!!』

 

 何故囚われていたと思ったシカダイがここにいるのか・・・それはシカダイは一旦は囚われていたがそこには土影の黒ツチもいた。·····まあそれは置いとき2人が脱出出来たのは1人で岩隠れに潜入してきた木ノ葉丸のおかげである。木ノ葉丸はたまたまシカダイ達がいた檻の場所を見つけ2人を救出したという事である。シカダイはその後土影屋敷に潜入し木の葉へ連絡する事に成功した。そして事情を説明した後はボルト達を探していた。そんな時カコウとの戦闘の起爆札の爆発を見て駆けつけた訳である。

 そこからはまた形成が逆転した。ボルトはキララが命令出来ないのを良い事に赤ツチを拘束しているもう一体の芥に螺旋丸を叩き込んで赤ツチを解放した。

 そしていのじんとチョウチョウは影縛りのせいで得意の幻術も使えないキララにまず超獣戯画で目潰しした後チョウチョウの部分倍加の術ででかくした手でぶん殴った。

 

『ボルト!ここは第10班がやる!』

 

『ああ!』

 

 キララは確かに強敵だ。だが幻術が得意になってるせいか接近戦がからっきしダメだ。

 ボルトはオオノキを無理やり背負いスミレと共に走って鵺にミツキのチャクラを探って貰った。そして岩隠れの市街地に入った時3人とも目を見開いた。何と岩隠れにいた人々が忽然と姿を消してしまったのだ。だが2人は止まる訳にも行かずミツキの所·····土影屋敷の所まで走った。そこで見つけた光景はセキエイとミツキだった。そのミツキの手には何やらカプセルがありその中には・・・心臓があった。そんな時ついに空が階段の上から現れミツキにその心臓を寄越して我々は仲間だと言い放つ。

 

『やめろ空!』

 

 そうボルトの背中から叫んだのはオオノキだった。オオノキはもう自分が間違っていた事を理解した。若い人達を守りたかったのにその人間を犠牲にするならそれを間違いと言わずして何と呼ぶのだろうか?

 だが空はもう既にねじ曲がった存在になってしまった。オオノキがこんな事を言い始めたのは疲れているからとか自分の意志はオオノキの意志、つまりオオノキの憎しみを自分が引き継いだと言う自分に都合のいい風に考え聞く耳を持たなかった。そしてボルト達を土遁で拘束した。そしてミツキは空に心臓を渡して·····空の体を雷遁と共に貫いた。

 それは明らかな空達への敵対行為だ。空は呆然としたまま階段を転び落ちた。そしてミツキは階段を降りてボルト達に向いて謝った。そうしてる間にも空はふらふらになりながら逃げた。ミツキは空を2人に任せセキエイと対峙した。2人は直ぐに空を追ったが途中で芥の軍団がやってきた。ボルトは背中にいるオオノキをどうしようかと思ったがその時

 

『わしは後で行く。置いていけ』

 

 普段のボルトならそんなのはダメだと言いたいが芥の数が多すぎる。スミレと鵺だけではやられてしまうかもしれない。ボルトはオオノキを地面に置いて直ぐにスミレ達に加勢した。そして2人と鵺は芥を蹴散らしていき旧土影屋敷にまで来た。芥の数が多くその分時間が取られてしまった。そんな時ミツキがいつもの格好でやって来た。そんな時上空から声が聞こえそこに居たのは·····空達を作ったドクターの心臓を手に入れた空だった。最早世界の為ではなく自分の為に人を傷つけるようになってしまった。

 3人はそのまま戦闘になった。そして途中でセッキに背負われてやって来たオオノキが説得を試みるが空は聞く耳持たずあろう事かオオノキや3人諸共塵遁で吹き飛ばそうとした。だが塵遁は失敗した。ボルト達はその下にあった水路に流されてしまった。スミレは咄嗟に鵺を異界に帰らしボルトはスミレを抱き抱えて流されて行った。

 そして着いた場所は自分と向き合う為の神聖な場所という所だった。3人はそこで再び話し合いミツキはボルトが持っていた額当てを再び付けた。そして自分が囮になるからオオノキを連れて逃げてと言ったがボルトはそれを拒否した。そして空が塵遁で壁をこじ開けながらとうとうやって来て3人は新たな絆を手に入れて激突した。そして陽動をかけてボルトの螺旋丸を心臓にぶち当てる事に成功したが空は生への執着で立ち上がり極大の塵遁を生み出し度重なる戦闘で動けないボルト達にぶつけようとしたがオオノキが生涯最後の力を振り絞った本物の塵遁が空の塵遁とぶつかりオオノキは自分の間違いを認め意志を再び拾い空を自分の命と引き換えに消し去ったのだった。

 

「そこからはもう父ちゃんも知ってるだろ?」

 

 ナルトはそれに頷いた。この後はナルトと第5班と15班が岩隠れにやってきた。そして木ノ葉丸はミツキを抱擁しお前は俺達の仲間だと言いそんな様子をその場にいたボルトとスミレ、第10班といのじんが面倒を見ていた芥·····いつの間にか名前が付き1度はキララに吹き飛ばされたが猪鹿蝶とキララの戦いが終わった後にてくてくと来たあっくんは見ていた。

 そしてオオノキの葬儀があるナルト以外は電車で木の葉に帰らせられた。ミツキは一旦額当てを取り上げられ違う車両に乗せられて木ノ葉丸とサイと一緒にいる。

 スミレは不安なのか電車の中ではボルトの肩に頭を預けていた。一方猪鹿蝶の席ではいのじんとあっくんがじゃれていた。あっくんがいのじんが離れなかったのである。

 そしてボルトとボルトに誘われたスミレはうずまき邸に帰ってきてヒナタ達の抱擁を受けたのである。

 

 

 そして少し時は経ちボルトは額当てを外しベットに寝っ転がった。そしてそのまま寝た。そんなボルトの精神世界にてボルトはガラガと再び会い別れを告げた。何だかんだ言いながらガラガはやっぱり良い蛇であったのである。

 

「ボルト君!ボルト君!」

 

 急かしてボルトを起こしたのはボルトの彼女だった。ただ急いできたのか額当ては無かった。

 

「スミレ·····?」

 

「ミツキ君の事情聴取が終わったって!」

 

 それを聞いたボルトは飛び起きて2人して独房のある場所に向かった。だが時すでに遅くミツキはもう行ってしまった。スミレは鵺を呼んでミツキのチャクラを辿るように頼み鵺が走り出したのを見て2人も追った。そしてミツキは里を一望出来る場所で空達の·····ツクラレのお墓を作り終え歩き出していた。そんなミツキに2人は追いついた。

 

「ボルト、委員長、僕は君達に謝らなきゃ行けない。僕が空達について行ったのは内偵の為だけじゃなかった。自分の意志の在りかがどこにあるのか。それは本当に君たちのそれと同じものなのか。知りたい気持ちがあったからだ。結局僕は自分のために身勝手な行動をしたんだ。結果として隠し事をしたり君を傷つけることにまで。君が怒っても当然だ。僕にはもう君の傍にいる資格なんてないのかも·····」

 

「爺さんが最後に言ったこと覚えているか?」

 

 ミツキの言葉を遮りボルトは言う

 

「意志ってやつにはいろんな面がある。そう言ってたろ?それって自分が何を考えてるか自分でもはっきりわからないのは当たり前だってことじゃねえのかな。里を救おうとした意志も自分を知りたいと思った意志も、きっとどっちもお前の意志だってばさ」

 

「どっちも僕の意志·····」

 

「それに俺だってミツキのことわかったつもりになってたからな。独りよがりはお互い様だぜ」

 

「そっか。じゃあ僕は…僕たちは今までどおりでいいのかな?」

 

「今まで通りじゃねえ。今までよりももっと固い意志でつながってる」

 

 そう言ってボルトは拳を突き出しスミレも出した。それを見てミツキはいつもの掴み所のない笑顔を浮かべ2人の拳に自分の拳を当てた。

 

「これからもよろしくな、ミツキ!」

 

「よろしく、ミツキ君!」

 

「うん!」

 

 そんな3人を夕日に染めたのだった。

 その後久しぶりに3人で市街地に繰り出しそこの公共テレビでオオノキが亡くなった事がニュースになっていた。そんなニュースを見た後3人は河川敷に来た。その時ボルトは川の中の石が光ったように見えそれを拾い上げた、と同時に短い間だったがオオノキに教えてもらった数々の事を思い出し涙したのだった。

 

 

 

 更に数日経ちミツキは無事下忍へ復活した。普通ならば処罰をしなければならないが4代目土影の黒ツチが唐突にナルトの元へやってきてミツキを何時でも岩隠れに歓迎するっていう露骨な牽制をかけてきてミツキの下忍剥奪は無事無くなった。

 

「じゃあどんな作戦で行く?」

 

「僕が囮をするよ。」

 

「うん!じゃあ私は援護するからボルト君最後は任したよ!」

 

「ああ!任せろって!」

 

「第7班活動再開だね」

 

「「おう(うん)!」」

 

 そう言って久しぶりの3人での任務に向かったのだった。

 

 

 

 




お疲れ様ですm(*_ _)m
あっくん生存。ナルトは盗み聞きに気がついた。木ノ葉丸とモエギ、アニメと違って公認で同行。鵺、大活躍。鵺ってチャクラを辿れるみたいだから(呪印編でワサビとナミダのチャクラを探ってたし)出番多かった。
戦闘シーンほぼカット。
BORUTOって何だかんだでスミレに通じる事って偶にある気がする。今回のツクラレの意志云々もスミレが言った通り鵺に通じる所あるし呪印編は言わずもがな。
そして2人とも敷居がちょっと低くなったからか人前でも恋人行動し出す。付き合い始めて初めてのキスをする。前回は抱き合っただけでしてませんでしたからね。
次は親子の日という名のデートにします。

·····生存させといて何だけどあっくんの扱いどうしようか(´・ω・`)?

そして2つ目のアンケートしてます。期限は明日の日曜日のお昼の12時です。親子の日の話で使うので。

(*´∇`)ノ ではでは~


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好きすぎる彼・彼女

おはようございますm(*_ _)m
概要にも書きましたがR15タグつけたので甘々過ぎて少しキャラ変わってるかもしれません。砂糖吐くためのバケツ用意推奨
人によったら気持ち悪いかもしれないので先に謝っときます。ごめんなさいm(*_ _)m


 岩隠れの事件から少し経った日、ナルトはこの日の公務を終え·····だがある事で少し悩みながらも帰宅した。そしてリビングへ入ると何やらスミレとヒマワリが裁縫をしていた·····というよりスミレがヒマワリに教えていた。そして一同はスミレとヒナタが作った晩御飯を食べヒマワリとヒナタがお風呂に入ってる間ナルトはスミレと向かい合った。スミレはボルトとの交際で何か言われるのだろうか?と思い少し身構えていたがナルトはある企画書みたいなものをスミレに見せた。スミレはそれに少し目を通しナルトが何故少し悩んでそうなのか分かった

 

「親子の日·····ですか。」

 

 親子の日·····それは木の葉の新しい祝日である。忍びの数が減ったこの時代・・・忍びにとって休日はたまたま任務が無い日、それ以外は定期的にある骨休みの日だ。

 そして親子の日は文字通り親子の絆を深めよう!みたいな祝日でありスミレに見せたのはその親子の日に関する書類である。

 だがスミレにはもう両親はいない。そんなスミレが息子の彼女だからこそ本当に良いのだろうかとナルトは悩んでスミレに見せたのだろう。

 

「凄く良いんじゃないのでしょうか?」

 

 だからそんな事を息子を惚れさせた笑顔で言われ少し呆けた顔をしたのはある意味しょうがない。そんなナルトの表情を見てスミレは何か変な事言っただろうかと思わず首を少し傾げてしまった。

 

「いや・・・何とも思わないのか?」

 

 因みにボルトはこの会話を遠目から聞いてる。スミレを泣かすなら父親でもぶん殴る。スミレはナルトの問にキョトンとしたがナルトが少し罪悪感を持ってるのと気づいたから首を振った。

 

「・・・確かに私みたいな子達からすればある意味辛い祝日になるかもしれません。でもこれが木の葉の祝日になるなら·····きっと未来の私達も楽しんでると思うんです。そう思ったら今我慢するくらい何でもないですよ。」

 

 そう答えた。今は確かに自分は子で親はもう居ないが未来の自分達は·····ビオラと自分達はきっと楽しんでるに違いない。ならそんな未来の為に今自分が我慢する位は訳ないという訳である。そんなスミレを少し呆然と見てたがナルトはふっと笑ってお礼を言った。だがボルトとしてはそういう訳にはいかない。スミレを親子の日に1人でいさせるなんて·····ボルトには出来なかった。ナルトがお風呂に入ってる間ヒマワリとじゃれてるスミレに近寄り・・・改めて言うのが少し恥ずかしいが言った。

 

「その・・・スミレ。」

 

「どうしたの?」

 

「親子の日一緒に里回ろうぜ!」

 

 つまりデートのお誘いである。2人は確かに付き合い始めたがこれといったデートはまだした事がない。大筒木連中のせいで細かい任務が増えたりしたり修行を怠ける訳にもいかなかったからだ。·····つまり2人の中の普段のデートとは修行である。そこにミツキも入る事が多々ある。だがスミレは少し寂しそうな顔をしながらも首を振って答えた

 

「大丈夫だよ、ボルト君。それにボルト君だって7代·····お、お義父さんと一緒にいたいでしょ?」

 

 お義父さんとは勿論ナルトの事だ。ヒナタの事はお義母さんと呼んでる。ボルトとスミレが結婚した暁には確かにそうなるがまだ結婚した訳では無い。だが岩隠れの事件の事情聴取の日にヒナタがさんずけだと他人行儀みたいと言いナルトもそうだなと言った後に何故かプライベートではこう呼ぶ事になった。スミレは最初は割と戸惑った。·····だって結婚している訳でもないのにと。だけれども今では少し恥ずかしながらもそう呼んでいる。

 ボルトはスミレの言葉を聞いても首を振った

 

「父ちゃんはヒマワリと一緒に回るから良いんだよ。それに·····ちゃんとしたデート行ったことないし。」

 

 ボルトはボルトなりに気にしていたらしい。修行がデートとかは流石にまずいと思ったのだろう。スミレはやっぱり優しいねと惚れ直していた。そして遠慮がちに聞いた

 

「じゃあ·····良いの?」

 

「ああ!」

 

 そうとびきりの笑顔を見せたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 親子の日当日、ボルトはスミレのアパートに迎えに行く為に額当てを結びナルトを待って玄関で寝てしまったヒマワリの布団をかけ直しドアから出た所でナルトが凄く眠たそうな顔でいた。

 

「ったく、やっと帰ってきたか」

 

「それがよ、今日は親子の日だろ?縁日の屋台を出したいだの大食い大会を開きたいだので商人たちが殺到してきて寝てなくてよ…」

 

「言い訳していいわけあるかよ。ヒマワリがずっと待ってたんだから今日は頼むぜ。」

 

 そうオオノキが言っていたダジャレを言いながらボルトは歩き出した。

 

「お、お前は?」

 

「お、俺は·····スミレと」

 

「·····そうか。行ってらっしゃい!」

 

 そんな声を背に受けながらボルトはスミレのアパートに向かった。そしてアパートの前に着いた時丁度スミレが出てきた。

 

「あ、お、おはようボルト君!」

 

 ボルトも手を上げながら返す·····のと同時に少し目を見張ってスミレの姿をガン見した。スミレは少し恥ずかしそうにボルトの前に来て少しもじもじした。

 

「お、おはよう。その·····似合ってるってばさ。」

 

 スミレは珍しく任務服ではなく私服で額当てもつけてなかった。その服はボルトは知らないが交際を始めてからスミレはヒナタとヒマワリの女性メンバーで買い物に行った事がありそこでヒナタが中忍試験で3位を取った事のお祝いも兼ねて買ったものだ。勿論スミレは全力で遠慮したのだが最終的にヒマワリの援護もあり折れた。白いブラウスの上に菫の柄のワンピースを着て靴はスミレが自腹で私服用に紫色の可愛らしい靴を履いている。·····少しだけボルトは生足に目を向けてしまったが。因みにボルトには雷バーガーのセットのクーポン券を何枚か貰った。いやスミレの方が豪華に見えるがボルトはそもそも知らないし仮に知ったとしてもあまり根に持たないだろう。そもそもファッションも重要としないし。

 

「はわ・・・あ、ありがとう。」

 

 そんな素直な褒め言葉を貰ってスミレは頬を染めて嬉しそうに笑った。·····因みにスミレはボルトが自分の生足を少しだけ見てたのも気づいた。

 

(・・・男の子だもんね。)

 

 逆に言えば自分はちゃんと意識してもらってるという事だからそれはそれで嬉しい。そして2人は歩き始め・・・ボルトがスミレの手を握った。小指じゃなく普通に繋いだ。·····そして徐々に2人は互いの指を絡めあった。·····所謂恋人繋ぎである。当の2人の顔は真っ赤である。恥ずかしいならするなやとなるかも知れないが2人には出来なかったらしい。そのまま2人は屋台に繰り出して色々回った。時間が経てば最初の恥ずかしさは幾分かマシになっていた。·····まあそんな2人を周りは少しリア充が!とか思いながら見ていた。どう見ても自分達よりも年下なのに自分達よりも幸せそうな2人を見ればそうなる。·····それも中忍試験決勝にいた2人だからそれなりに知名度もあるから余計に。そんな時2人は自分達の恩師の姿を見つけた。その恩師は何か丸いものを左手に持たれている九喇嘛の人形·····クラーマにあげていた。

 

「オイシイ、もっと頂戴」

 

「フフ、慌てるな。お前は俺の大事な家族。」

 

 2人はそんな自分達の恩師·····シノを見つけ少し呆然としたがボルトが少しニヤッとしながら近づいて行ったから恋人繋ぎしているスミレも一緒に歩き·····この格好恩師の前ではめちゃくちゃ恥ずかしい事に気が付き離してもらおうと考えたが指がしっかり絡めあっていてスミレからは離せなかった。

 

「何やってんだってばさ」

 

「ぼ、ボルトにスミレ!?」

 

 シノは思いっきり恋人繋ぎしている手を見てスミレの顔は恥ずかしさで真っ赤である。だがそれはシノも同じ事。アカデミーの問題児だったボルトに教師の威厳が無くなるような姿を見せたのだ。シノは咄嗟にクラーマをぞんざいに扱ってるようにして焦った声を出した

 

「これはクラーマといってな、子どもたちの間で人気があるようだから俺も買ってみたのだ。なぜなら生徒の気持ちを理解するための研究になるからな」

 

 言ってることは理に適っている。だが先程の様子を見ればそれだけが理由では無いと分かった

 

((必死に誤魔化そうとしてる))

 

 と2人は心で同じ事を言ったのだった。

 

「いや~しかし所詮は子どものオモチャ。たいしてかわいくはないがな。アハハハ…」

 

「すんげぇ可愛がってるように見えたけど?」

 

「そ、それよりもお前達は·····」

 

 と誤魔化そうとして2人を見ながら言おうとしたが言うまでもなかった。スミレは私服で2人は恋人繋ぎをしているのだから何をしてるのかなんて一目瞭然だ。

 

「お、俺達の事は良いんだよ。スミレ行こうぜ!」

 

 そう言ってボルトは歩き出しスミレも別れの挨拶をした後ボルトの横に並んで歩いた。そんな2人の後ろ姿を見てシノはやはり自分の目に狂いは無かったと思った。シノもあの決勝戦は見ていた。やはり2人の成長が嬉しかった。スミレはボルトを庇って敗退してしまったが元々努力家の面もあり共に修行するのがボルトとミツキだったからか強くなって行った。正直ボルトが鵺を口寄せした時はシノも驚いた・・・というより6代目すら少し驚いていた。何しろ契約していないのに口寄せされてきたからだ。それがボルトのスミレへの想いならば·····不思議と納得出来たのだった。

 

 そしてシノと別れた2人は何やら玩具屋が出店している屋台を見つけスミレが試しに1回やってみた。クジを引いてその番号の所にあるものを貰えるというものである。だが3分の2位は安物が多い。スミレはこれと言ってパッと見欲しいものは無かったが運試しと思ってやってみた。そしたら何か当たりを引いたらしく店員さんが少しゴソゴソして出したのは先程シノが持っていたクラーマであった。スミレはクラーマの事は知っていた。うずまき邸のリビングにクラーマのチラシがあったからだ。やっぱり自分が作った人形とちゃんと作られてる人形じゃ嬉しさも違うよね·····とスミレは少し落ち込んだがヒマワリは「お姉ちゃんがくれたこの子の方が可愛いよ!」とヒマワリの誕生日にスミレが徹夜で手作りしてあげた九喇嘛をディフォルメにした人形を掲げてくれたのだ。それがスミレには嬉しかった。そんなクラーマが自分の持ってる袋の中にあるのは何か不思議な気分だが。

 そんな2人は橋の上を歩いていたら何だか項垂れているチョウチョウの父親の秋道チョウジとチョウチョウがいた。どうやら家でチョウジがポテトチップスを食いまくったのと明日家族で食べる分の菓子パンを食ってその上図々しく買い物に行こうとする妻のカルイに新しいポテトチップスを頼むという傍から聞いててもそれはダメだと思う出来事でチョウジは肩を落としてたらしい。

 

「パパの思うパパの魅力って何?」

 

「優しい所かなぁ」

 

「ないわぁ~そんな優しいだけで一緒になってくれるなんてありえないって。なんかもっと他の人にはないパパだけの魅力がないと…これだ!他の人にはないパパだけの魅力。これに出るっきゃないっしょ!」

 

 そう言ってチョウチョウは掲示板にあった大食い大会の知らせを指さした。そんな2人はカルイを呼びに行った後大食い大会の会場に向かった。ボルトとスミレも丁度お昼時だったのもあり会場には屋台も出てるという事なのでついて行った。何とその大食い大会の会場には奈良親子やあっくんが居候を始めた山中親子、更にはリー親子がいた。2人は恋人繋ぎのままシカダイに寄って行った。シカダイは2人を見た後繋がれてる手を見て少し顔に手を当てたがボルトに言う

 

「お前は7代目と一緒じゃないのか?」

 

「俺はスミレとで、デート。父ちゃんはヒマと買い物。ずっと楽しみにしてたからよ。」

 

「そうか。」

 

 正直ボルトにスミレが付き合い始めてから無意識なのか自覚してるのかよく分からないがイチャイチャを任務の休憩中にしてるから同じ空間にいにくいという本音がある。それでも言葉には出さないが。

 

「出るのか?大食い大会。」

 

「まあな、めんどくさいんだけどよ。」

 

 何か出なければいけない理由でもあるのかと2人は考えたが結局分からなかった。実は奈良親子は優勝商品のぜんざいの1年間食べ放題が欲しかったテマリに出場させられたのだ。2人はその後クレープやチョコバナナやボルトは雷バーガーを買って観客席に座った。そしたら丁度大食い大会が始まる所だったがメタルが何やら緊張して凄く顔色を悪くして口を抑えていたのを見てボルトは咄嗟にスミレを頭ごと抱き抱えた·····のと同時にメタルはまだ食べてもないのに吐いてしまった。仕方ない事かもしれないが同期のそんな姿を自分の彼女に見せたくなかったのである。一方スミレはいきなり抱き抱えられたから真っ赤になった。·····そんな2人を周りの人は見て少しこの2人を視界に入れないように頑張った。そしていよいよ大食い大会が始まった。1品目はラーメン一楽から極厚チャーシュー麺超大盛だった。スミレは見てて

 

(私なら半分も無理だね)

 

 と心で苦笑いしていた。元々貧乏で節約もして生活しているから必要以上に食べる事は無かった。そしてとうとう1回戦が始まり参加者はガツガツと食い始めた。それを見てボルトは紙皿に置いといたクレープを取り

 

「ほら、スミレ。」

 

 そう言って少しスミレの口に持っていった。スミレは恥ずかしかったが素直に咥えた。そしてスミレが食べたものを今度はボルトもパクッと食べた。2人で分け合ったら色んなものを食べれるという事でこうなった。·····関節キスだから恥ずかしいのだが2人は徐々に自分達の世界に入って周りの人は少しだけその桃色空間から遠ざかってる。この光景を見た一部の人は少しだけ口を抑えて何かを吐きそうになったとかないとか。食べさし合いっこしていたらいつの間にか1回戦が終わっており奈良親子と山中親子に秋道親子は通っていた。でも

 

「辛そうだね」

 

 とスミレは山中親子と奈良親子を見て言った。少し顔色が悪い。食べなれてない量を食べたらこうなるよねと苦笑いしていた。そして2回戦を待ってる間スミレはクラーマを開けてみた。ボルトはそんなクラーマを見て思わず言った。

 

「スミレが作ったやつとすげぇ似てるな。」

 

 ボルトもスミレがヒマワリに渡したプレゼントを見た事が何度もある。そんなボルトにスミレは聞いた

 

「そう言えばボルト君は九尾・・・じゃなかった。九喇嘛を見た事あるの?」

 

 父親が九喇嘛の人柱力だしこの前の大筒木連中の戦いに見たのではないかと思ったのだ。

 

「ああ、あるぜ。すげぇカッコよかった。」

 

 そううんうん言ってた。スミレは凄いなぁと思いながらクラーマに兵糧丸に似た何かをあげてみた。そしたら何かもっとくれとか何とか言われ苦笑いした。だけれどもシノが可愛がろうとするのも分かった気がした。そうしていたら2回戦が始まっていた。品は熟成ロース10人前だ。

 

「何か·····お肉ばっかりで辛そう。」

 

 スミレはお肉だけを食べるなんて豪華な食べ方をした事ないしそもそも目の前にあってもやっぱり野菜と一緒に食べたいと思うだろう。

 

「確かにそうだな。·····まあチョウチョウ達には関係無さそうだけどな。」

 

 2回戦から出場者は壇上で食べる事になっている。そんな壇上では凄い勢いで秋道親子がバクバク食べていた。

 

「というよりいのじんは何してんだ?」

 

「あはは·····譲り合ってるね。」

 

 山中親子はどちらもお腹いっぱいなのか譲り合っていて一向に食べない。そうしていたら2回戦も終わった。山中親子は撃沈していた。奈良親子も辛そう。秋道親子は余裕そうだった。そしてもう1チームのクイダオレ親子もまだ余裕そうであった。

 隣ではボルトが雷バーガーを食べていた。スミレもチョコバナナを食べていた。そうして食べ終わってたら3回戦が始まった。3品目は雷バーガーから特製超激辛バーガー·····もう見た目が辛そうというか絶対辛い。主張が強すぎる。だがボルトは

 

「美味そう!」

 

 正直スミレは「えっ?」って顔をした。あんなあからさまに辛そうなものを美味そうと言えるのか?と思ってしまった。だがボルトはお昼を食べたのにヨダレを垂らしていた。スミレは思わず少しジェスチャーでヨダレの事を伝えボルトは拭いた。そうしていたら3回戦が始まりやはり辛いのか秋道親子でさえスローペースだった。だがクイダオレ親子はパクパクと食べていた。

 

「嘘·····」

 

 とスミレは思わず言ってしまった。そして3回戦は終わった。奈良親子は両者1個も食べれずに·····というより一口で撃沈していた。だがボルトは未だに美味しそうと見ていてスミレは少しボルトが心配になった。いつか忍界で1番辛いものまで食べたいとか言い始めないだろうか·····。辛いもの食べ過ぎて体調不良にならないだろうかと。そんな2人は少し消化を進める為に散歩に出かけた。もうここまで来たら大食い大会も見届けようという訳である。左腕でクラーマを持ちながら2人はまた恋人繋ぎをした。ゴミをゴミ箱に入れた後舞台裏みたいな所まで来てボルトは先程の激辛バーガーの余り物をどうするか相談していた人を見かけボルトは近寄っていらないならくださいと言って1つ貰ったのだった。一旦手を離しボルトは激辛バーガーを見ながらまた少しヨダレを垂らしていた。

 

「超激辛バーガー!食えるなんてラッキーだなぁ!」

 

 スミレは少し心配そうに言った。

 

「お腹壊さないでね?」

 

 デートはまだあるのだ。体調不良になってしまったらそれ所では無い。ボルトは分かってるってばさと言いながら1口食べた。スミレはそのバーガーの禍々しさにボルトが食べる瞬間目を閉じた。そうしたらボルトの「からーーっ!」が聞こえると思ったのだがどういう訳がない。まさか本当に美味しいのだろうかと思って目を開けたらボルトは少し首を傾げてスミレに言った。

 

「スミレ、1口で良いから食べてみてくれってばさ。」

 

 そう言ってそのバーガーをスミレに向けた。スミレは辛いものが嫌いでも好きでもないが真っ赤なバーガーを食べる程物好きじゃない。首をぶんぶん振った。

 

「いや·····辛くねえんだけど」

 

「え?」

 

 そう言われてボルトが1口食べたバーガーを見るが見た目は凄く辛そうなのだが·····。スミレは少し勇気を出して食べ物にかからないように少し髪をかき揚げながらボルトの手にあるバーガーを1口だけ食べてみた。ボルトはそんな髪の毛をかき揚げながら行儀よく食べるスミレに少し赤面した。スミレは食べてみたがボルトの言う通り本当に辛くない。2人は顔を見合わせて先程このバーガーを乗せていたキャスターを見るとそこにはクイダオレ親子という表紙があった。

 

「・・・もしかして」

 

「みたいだな。」

 

 そしてボルトはその隣にある決勝戦で使われるぜんざいの入れ物を見て少し開けてみた。スミレは本来止めるべきなのだろうが少し許せない気持ちがあり何も言わなかった。そして2人の予想は当たっていたのだった。

 

 その後決勝戦が始まった。スミレは元いた席に戻って見届ける。決勝戦は景品にもなっているぜんざいであり制限時間の中で多く食べた方が勝ちである。だがチョウジはどういう訳かあまり箸が進んでいない。そしてクイダオレ親子はみるみる食べて行った。それもその筈、クイダオレ親子のぜんざいの入れ物は底が上げられ元々の量が少ないのだ。正々堂々とやっている秋道親子を見ていたらスミレがクイダオレ親子に少し憤りを感じたのだ。

 だがクイダオレ親子が次のぜんざいを催促すればボルトが動いた。ちゃんとした入れ物に入れたぜんざいを親子に出したのだ。クイダオレ親子はバーガーを食いすぎていたのかペースが一気に落ちた。そしてチョウジはカルイの応援で親子共々ペースを上げとうとうクイダオレ親子を逆転した。しかしそんな時いきなり壇上にあったぜんざいが膨れ上がってしまった。そしてその膨らみは止まらずボルトは一旦スミレの元に戻ってきた

 

「何だよこれ!」

 

「ぜんざいが膨れてる·····。」

 

「と、取り敢えず吹き飛ばしてみるか?」

 

「でも他の人に当たっちゃう」

 

 観客は逃げ回っている。リー親子が膨れたぜんざいを蹴散らそうとしているが全く効果がない。根本的に消さなければならない。だがそんな大規模な攻撃をしてしまえば観客にも当たってしまう。何とかしなければ木の葉が餅まみれになってしまうが全く策が思いつかない。

 

「そうだ、シカマルさん!」

 

 そう言って2人は木の葉隠れNo.2を探して見つけたがシカマルは食べ過ぎと激辛バーガーのせいでダウンしていた。オマケにサイもダウンしていた。

 

「こんな時に何やってんだってばさ!」

 

「くっ!水遁・水練波!」

 

 そう言って何発か放つがやはり意味が無い。もちもちしてて貫通すら出来ない。ボルトは紫電をやりたいがまだ観客がいて全力で撃てない。だがそんな時いきなり巨大化してきた人物がいた。チョウジだ。チョウジが倍加の術で巨大化してきた。そしてチョウジはそのまま増え続ける餅を食べた。そして最後に勢いよく吸い込み蝶モードを発動させて全てのカロリーを消費した。

 

「はぁ、良かった。」

 

 とスミレは安心した声を出した。そしてボルトはこのぜんざいを大きくする術をしたお婆さんを特定し詰め寄っていた。そしてズルしていたクイダオレ親子は失格となり優勝は秋道親子になったのだった。

 

 2人はその後また市街地に繰り出した。親子の日でセールをやっているから服を見たりしていたが結局何も買わなかった。そんな時ボルトは見覚えのある人を見つけ寄って行った。スミレも追った。そしたらそこに居たのは

 

「サスケさん!」

 

「ボルト·····今日はやけに親子連れで賑わってるな。」

 

「え?それで帰ってきたんじゃねえの?今日は親子の日だぜ?」

 

「何だそれは」

 

「新しく出来た祝日で親子の絆を深める日なんだって。」

 

 サスケはそこでボルトにナルトと一緒じゃないのか?と聞こうとしたが後ろにいるスミレを見て悟った。そしてボルトは思い出したように言う

 

「そうだ。サラダなら演習場にいるんじゃねえかな?最近よくあそこで修行してるってばさ。」

 

 第7班で修行する時に偶に会う。それも最近はボロボロになっても修行し続けている。ボルト達には分かってないがサラダは焦ってる部分もある。中忍試験でボルトに負けその後のミツキの里抜け事件ではボルトは強敵と戦い続けたという情報を聞いてボルトと自分の強さが離れていってると思ってしまう事が増えたのだ。だがぶっちゃけボルトはサラダに勝てたのは運が良かっただけだと思ってる。消える螺旋丸に引っかかったかそうじゃないかというだけだっからだ。その後2人はサスケと別れデートの続きをしたのだった。そして満喫していた所に声をかけられた。

 

「あれ?ボルト君じゃないか!」

 

 そう言って2人の背後から声をかけてきたのは

 

「スケアさん!」

 

 中忍試験と下忍試験の前にインタビューをしに来たスケアことはたけカカシその人である。尚、2人はまだカカシと言う事を知らない。

 

「どうしたんだってばさ?」

 

「今日は初めての親子の日だからね。記事にしようと思って里を回ってるのさ。」

 

「へ〜」

 

「そう言えば中忍試験優勝と第3位おめでとう。」

 

 そう言われ少し照れながら返した

 

「サンキューだってばさ。」

 

「ありがとうございます。」

 

「賞品という訳じゃないけど良かったら1枚撮ってあげようか?」

 

「良いのか!?」

 

 スケアは頷きながらじゃあどこで撮る?と聞いてきた。2人は少し相談しアカデミーで撮って貰う事にした。そして一行はアカデミーの自分達の教室だった場所に向かった。ここがボルトとスミレが初めて会った場所だからだ。そして2人は少し照れながらも並んだ。

 

「はい、もっとくっついて」

 

 とスケアに言われたから2人はくっつく。ドキドキしているがスケアは普通にシャッターを切った。

 

「現像が出来たら渡すよ。」

 

 と言われスケアは背を向けた。ボルトとスミレは少しアカデミーに残って思い出に浸っていたがそろそろ夕方になってしまう。スミレは今日もうずまき邸にお呼ばれしている。·····1回ボルトはスミレの部屋でお泊まりしようと思った事があるがヒナタに止められた。ボルトは何でだ?ってなってたしスミレもその時は何でだろう?と思っていたが今はもうヒナタが止める理由が分かった。そう考えてるスミレは少し顔が赤い。年頃の男女が同じ部屋にいたら·····

 

(だって·····あ、あれをしちゃうかも知れないもんね。)

 

 あれとは·····スミレは岩隠れの事件の後少し調べ物があり図書館に行った事がある。そこで何故か図書館の奥の方に行きそこに何か所謂保健の本がありそれを手に取ってみた。アカデミーでも医療忍術の授業はやったがスミレは完璧には出来なかったからだ。そして自分の班には医療忍者はいない。だから少しでも知識をつけときたかったのだ。·····その本が大人向けの段にあった事にも気づかないまま見た。·····そして3分後に本を顔を真っ赤にしながら閉じた。

 

(・・・子供があんなふうに出来るなんて·····)

 

 その本には説明とその説明を具体的にした絵があった。それは12歳のスミレにとっては刺激的過ぎた。というより父と母もあれをして自分を産んだのだと知ったら両親がそんな事をしてる所何て全く想像出来なかった。·····本を見てたら体が熱くなったのは覚えている。

 

「んじゃ取り敢えずクラーマ置きに部屋に行くか?」

 

 と言われた時思いっきり赤面になったのはしょうがない。

 

「へ!?」

 

「ん?いや、クラーマをずっと持っとくのは少し邪魔だろ?」

 

「·····え、う、うん。」

 

(はわわどうしよう!?)

 

 と心の中で頭を抱えたのだった。だがもう返事をしてしまった以上今更やっぱりダメと言う訳にもいかず2人はスミレの部屋に向かったのだった。

 

 2人はスミレの部屋にやってきて鏡台の反対にあるタンスの上にクラーマを置いて2人はベットに座った。普通にこのままボルトの家に行ってもいいのだが多分まだ皆帰ってないと思ったのもあるし今日は歩きっぱなしで忍び故にそんなに体力消費はそんなにないが気分的に歩いた量のせいで精神的に疲れた。·····スミレとしてはあの見た本のせいで余計な事も考えて顔が赤い。

 

(けど·····あれならまだ)

 

 とスミレはその本に書いてた事の1つを思い出して手を繋いで隣に座ってるボルトを少し見る。だけれどもあれもスミレからすれば恥ずかしすぎる。しかし·····スミレはそれ以上に恋人としてボルトと触れ合いたかった。少し立って髪飾りをクラーマの横に置いてそしてスミレは珍しく自分からボルトをベットに押し倒した。

 

「わっ!ス、スミレ!?」

 

 今スミレはボルトの上に跨って腕立てみたいに腕を立ててボルトと相対した。2人の顔は真っ赤である。そしてスミレは·····

 

(だだだだだめ!は、恥ずかしいよ!)

 

 自分からやっといて今更後に退けない事とやっぱり恥ずかしい事に気がついた。ボルトはそんな固まったスミレをじーっと見た後·····跨ってる足を引っ掛けてくるりんと早業で2人の位置が入れ替わり今度はボルトがスミレに跨りスミレがベットに押し倒された格好になった。そうなったらスミレは勿論先程よりも赤くなって口をぱくぱくしていた。

 

「はわ、えっと・・・その」

 

「·····何しようとしたんだってばさ?」

 

 言える訳無い。自分からキスして·····本に載ってた事をしてみようと思ってた事なんて。

 

「・・・お仕置きだってばさ。」

 

 そう言った瞬間スミレの返事も聞かず唇を塞いだ。その速さにスミレは塞がれてるままボルトを見ればボルトもほんのり赤くなって目を閉じてる。

 

「·····んぅ・・・」

 

(柔らかいってばさ。スミレの唇)

 

 互いの息がかかりあってそれが余計に少し頭をぼんやりさせる。2人の手は指を絡めて握り合いそのままボルトはキスを続ける。そしてボルトは一旦離れてスミレを見た。ほんのり赤くなってワンピースの下に着ているブラウスが少し乱れて·····

 

(何か·····少しエロいってばさ)

 

 ただでさえいつもと違って私服なのも合わさり今のスミレもいつもと違うベクトルで可愛い。それに加えその新しい服が良い感じに乱れてボルトは思わずそう言った。そして息を整えてボルトは再び何も言わずにスミレの唇に吸い込まれるように口付けした。スミレもそれを受け入れる。頭が少しぼーっとしてしまうがボルトを感じていたいから必死に応じてる。

 

(·····今なら)

 

 そうぼんやりとした頭で考え行動した。スミレはボルトの唇を少し強引にこじ開けて自分の舌をボルトの口に入れてまさぐってボルトの舌と絡めた。ボルトはそんな初めての事をされて思わず少し顔を離した。

 

「はぁ、はぁ」

 

 スミレは息を少し整えながらどこかとろんとした顔で少し妖艶に見える。ボルトは今の行動振り返りされた事を理解したら·····自分から再びキスをし始め今度は2人とも互いの舌を絡めあった。2人とも頭が既にぼーっとしているがそれでも互いを感じていたくてそれが起爆剤になり2人とも初めてと思えない程に徐々に激しくなっていく

 

「んぅ・・・んちゅ・・・は·····ん」

 

 スミレは時々甘味な声を出してしまう。抑えようとしても止まらない。息継ぎの方法さえ忘れてしまい無我夢中で互いを求めあう。

 

「はぁん·····んぅ」

 

 スミレはボルトの首に手を回し舌を絡ませる。そして偶に顔を離れれば2人の舌が互いの唾液が出てきて重力によってスミレの口に戻ろうとするがその前にボルトが再び塞ぐ。普通のキスからまた舌を絡めあってくちゅくちゅと音が出て2人の頭が少し変になっていく。

 

(何・・・これ?気持ち·····いい。頭·····可笑しく・・・なっちゃうよ)

 

 2人の相性が良すぎるのかはたまた2人が互いの事を好きすぎて気持ちが高揚しているのか·····そのどっちもだろう。そう思う度にスミレは普段の彼女からすれば珍しく積極的にボルトを求める。最早舌や体がボルトを求めて無意識に動いてる。

 

「はぁ・・・ん・・・んちゅ·····ぷはぁ·····んぅ·····もっと・・・んぅ」

 

 だけれどもそれはボルトも同じ事、普段のスミレも可愛いが今のスミレは妖艶過ぎて今理性を保ててる自分を褒めたい。

 

「はぁはぁ・・・可愛すぎだってばさ。」

 

「はわわ·····んちゅ・・・ん・・・んぅ」

 

 互いの舌を絡めあう度にくちゅくちゅと2人しか居ない部屋に響き渡りそれが2人を高め合う。最初は緊張していたのにもう2人はそんな緊張など無くなって互いを求めて互いを感じていたくて初めてとは思えない程に音が響き渡りもうすぐうずまき邸に行く事も忘れて舌を絡ませ合う。

 

(こうか?)

 

 ボルトは少し舌の力を抜きスミレの舌を感じる。そうすれば先程よりも気持ちよくなってボルトのあそこが主張し始め今スミレの上に体半分預けているからその主張ているものがスミレに少し当たっている。

 

(ボルト君の·····あそこが·····当たって・・・)

 

 恥ずかしすぎるのだが今は自分達は12歳と13歳なのだからそれは駄目と何とか理性を保つが最早目の前の快感には耐えられず寧ろ自分からも積極的に求める。アカデミーの同期達が見れば割と気が弱いと思っていた委員長が恋人の事になると積極的になるのはギャップがある。だけれどもそんなギャップがボルトからすれば見えてなかった面も見れて更にスミレの事が好きになり舌を絡ませ合う音が大きくなっていく。

 スミレも体でコツを掴んだのか舌の力を抜いて舌が柔らかくなっていく。ボルトの舌も柔らかくなっていき最初よりも感じてしまいスミレは首に回した腕に力を込めボルトの唇が離れないようにした。2人は最早息継ぎさえしてるのか分からなくなる。

 

「はぁはぁ・・・」

 

 2人は一旦離れて互いにほんのりと赤い顔をしている。だけれどもボルトは初めて見るスミレの妖艶な姿を見て

 

(俺の·····彼女・・・)

 

 そう思った時ボルトに少し独占欲が出てきてしまった。今度は唇じゃなく首にキスした。

 

「ひゃあ!」

 

 そんな慣れない所に唇が来てスミレは今日1番の喘ぎ声を出した。そこから少しボルト暴走し始めた。スミレの首にキスしたり耳にもキスして甘噛みしたり·····最初は痛いだろう行動もそれだけはダメだと理性を残してボルトは優しく痛がらせないように・・・それでもスミレが気持ちよくなるようにスミレの首から上の性感帯を本能なのか無意識なのか攻め続けた。

 

「あっ·····ん・・・んぅ・・・あん」

 

 慣れない所に唇をくっつけられたからなのかスミレの感度がやたらと良いのかボルトにされて気分が高揚し感じてるのか·····いや、その全てが噛み合いスミレの体が快感に支配されていく。

 

「んぅ・・・ちゅ·····んちゅ」

 

 そして偶に舌を絡ませ合うキスに戻りそしてまたボルトは首や耳にキスする。

 

「スミレ·····大好きだってばさ。」

 

「あん·····んぅ・・・ああ・・・あ·····私·····も・・・あん·····大好き」

 

 そう言った瞬間暴走のリミッターが半分ほど壊れた。先程よりも激しく首や耳に吸い付き舌を絡ませ合う音も最初より大きくなっていく。

 

「ひゃあ·····あん!あ・・・気持ち·····良い」

 

 とスミレは思わず本音を言い惚けた顔をしてボルトを必死に求める。そしてボルトは首に吸い付いた

 

「あん!」

 

 そんな12歳の少女があげるには色々問題な喘ぎ声を出したがボルトは吸血鬼みたいにスミレの首に吸い付いて少ししたら離れた

 

「ボルト君·····好きぃ·····」

 

「俺も·····大好きだってばさ」

 

 そう先程も言い合った事を言って互いが磁石のように唇をくっつけ徐々に舌を絡ませ互いの唾液を交換しあう。

 

「あん·····あー〜!」

 

 今はボルトが首の左側に先程と同じく吸い付いてスミレは最初の恥じらいもなく喘いでいた。そしてボルトは離れるとスミレはもっとしてと目で訴える。それに抗えずボルトは再び口付けしようとして·····

 

『プルルルルル!!』

 

 とスミレの固定電話が鳴り響いて2人はばっと起きた。

 

「はわわ!!」

 

 他の部屋からのクレームだと思ってスミレは思いっきり慌てた。そして2人は一旦少し残念そうに離れてスミレは電話を取った。

 

「は、はい!」

 

『あ、スミレちゃん?』

 

「お、お義母さん!?」

 

 まさかのヒナタでスミレは思いっきりでかい声を出してしまった。·····さっきまでボルトとあんなことやこんな事をしてたなんて言えない。ボルトを見れば真っ赤になって慌ててる。

 

『ボルトもそこにいるの?』

 

 一瞬言おうか迷ったがいますと返事をした。何か勘ぐられないか心配だがヒナタは

 

『ご飯にするからいらっしゃい。』

 

「はわ、分かりました。」

 

 そう言って受話器を置いた。2人はそのまま少し無言だったがスミレは乱れた服を整えて髪飾り取り鏡台の前に座って·····真っ赤になった。

 

「はわ!な、何これ!?」

 

 スミレは鏡の中の自分を見て思わず言った。何故ならスミレの首には2つのキスマークがあったからだ。

 

「すすすすすまねえ!スミレが·····可愛くて・・・我慢出来なかったってばさ。」

 

 そんな嬉しいやら恥ずかしいやら分からなくなる事を言われ2人はまた赤くなってる。スミレは取り敢えず任務服の下に着るインナーを取り出し隠した。·····それでも少し微妙に見えてる事に気が付き慌てるがもうこれ以上キスマークを隠すものが無くこれまた基本優しいスミレには珍しく怒った目でボルトを見る。キスマークをつけてきた理由は素直に嬉しいものだが場所がよく見れば分かってしまう所にあるのだ。これで里を歩いて行くのは辛い。

 

「ほんとにすいません。」

 

 とボルトは本当に申し訳なさそうな顔で言ったからスミレもそれ以上怒る気にはなれなかった。その代わりスミレはボルトに近寄り・・・上着を少し捲り首に吸い付いた。

 

「なっ!?」

 

 それにボルトはびっくりしたのと慣れない所に来た感触で思わず情けない声をあげそうになったが我慢した。スミレは少ししたら唾液を少し出しながら離れた。ボルトは言われるまでもなく分かる。スミレは自分にキスマークをつけたのだと。だけれども怒る気にはなれなかった。·····というより嬉しい気持ちがある。そしてボルトはそんなスミレが愛おしくて思わずまた唇を奪おうと腰を引き寄せようとしたがその前にスミレの人差し指がボルトの唇を止めた

 

「·····めっ!お義母さんに怒られるから。」

 

 言ってる事は分かる。ヒナタが怒れば怖いしナルトも敵わない事もよく知っている。だからさっさと行くのが良いのだろうがまた火がついた愛を止めるのは難しかった。

 

「・・・また今度、ね?」

 

 ボルトは彼女にそう言われ漸く残念そうに止まった。·····本音を言うとさっきまでの行動でどこか少し大人っぽくなったスミレにドキドキしまくっている。スミレはそんな残念そうなボルトを見て少し近寄り頬にキスした。そして微笑んだ。

 

 

 

 

 2人はその後恋人繋ぎしながらうずまき邸に到着してスミレはご飯を手伝ったりボルトは何やらスミレがやったあのおもちゃ屋のくじ引きでハズレ枠として一尾を模したシュカークを兄に見せびらかしてた。そしてスミレがあげた九喇嘛の人形と並ばせていた。·····スミレは少しシュカークに親近感を持ってる。親がタヌキだったからだ。·····そんな時ヒナタはスミレを横から見て少し違和感を持って少しよく見て見たら·····

 

「あれ?スミレちゃん首元の·····」

 

「な、何でもないです!!」

 

 そう言ってインナーの首元のやつを少し伸ばして誤魔化したが・・・

 

(はわわどうしよう!?ヒナタさん・・・白眼あるよ!?)

 

 ヒナタがその気になればインナーなど簡単に透けて2つのキスマークを看破するぐらい簡単である。と言うよりもボルトも家の中なのに上着を着てる時点で少し怪しい。····そう思っていたらヒナタが微笑んでスミレに言った

 

「・・・ちゃんと上手くいってるみたいね」

 

 と言われた時からスミレはもうずっと真っ赤になって恥ずかしすぎたのだった。一行はご飯を食べ終えた後ヒマワリが沢山歩いたのか疲れたと言ってスミレとお風呂に入った後2人はヒマワリの部屋に行き寝た。·····余談だがスミレは割と必死にキスマークを隠そうと頑張ったのだった。そして次の休日に少し恥ずかしいがキスマークの消し方を調べにまた図書館に行ったのだった。

 ボルトはスミレやヒマワリがお風呂に入ってる間ナルトから親子クナイなるものを貰ってそれを使って少しだけナルトと修行したのだった。

 2人とも今日の出来事が再生されてしまって中々寝付けなかったのは言うまでもない

 

 




お疲れ様でしたm(*_ _)m
色々限界突破。好きになりだしたら止まらなくなるという
そしてスミレ、クラーマを手に入れる。ボルトSDでも手に入れてたんで良いかなと思いまして。次は呪印編か〜スミレどうしようか·····アンケート次第でストーリー決めます

はぁ漫画版でもっとボルスミ描写欲しいなぁ。でも48話の最後は不穏だし49話は多分イッシキと勝負だし·····あっ、でもサスケがボルトに覚悟を聞いてたからそれでスミレがボルトを励ますって展開も良いかも。
楽しみだなぁ。漫画のボルトがめっちゃ面白くなってワクワクする。

またイチャイチャするタイミングあれば書きます。(*´∇`)ノ ではでは~


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満足するまで

おはようございますm(*_ _)m。しばらくサボってましたごめんなさいm(*_ _)m。呪印編どうしようかとずっと悩んで結構アニメと変わりましたけどぶっちゃけ最後らへんのイチャイチャ以外は飛ばした方が良いかもしれない。アニメとの相違点書いときます。

言わずもがなサラダが15班にいるのでサラダが里に戻る役目になったので途中で水月達と会ってもスミレの時みたいに交戦はしません。

木ノ葉丸はチャクラ切れで倒れません。来るな!と言う前に鵺がレスキューしたのでそんなに吸われなかった。

トサカの黒幕説はアニメよりも早めに分かるので色々早めになっています。

水月はアニメみたいに注射ぶすっとされずトサカと交戦

アニメではスミレ達が戦っていた男の人とはミツキが戦う。

こんな所ですね。どぞ(っ´∀`)っ


「はぁ」

 

 ボルトは少しため息をつきながら里を歩いていた。今日は任務が特になく休日であった。だから普通ならば少し喜びそうなものだがボルトの気分は少し下降気味である。そんな少し落ち込んでるボルトにスミレが声をかけてきた

 

「ボルト君!!」

 

 ボルトはスミレを見つけたらパァーっと明るい顔になって近寄って行った。

 

「スミレも報告終わったのか?」

 

「うん。さっきね。」

 

 そう言いながら2人は並んで歩き出した。そして足は千住公園に向かった。2人の修行以外の日は割と千住公園でのんびりする事が多い。·····偶に遊んでいる子供達が寄り添って寝ながらお話を·····はっきり言えばイチャイチャしている2人を見て足が遠のく事がある。そんな2人はビオラとお昼寝した木の下でレザーシートを引き座ってお話をしていたがボルトがどこか元気がないのを見てその心当たりというか自分が原因なのを知っているから申し訳なさげに言う。

 

「·····ごめんね?一緒に任務が当たり前じゃなくなって。」

 

 ボルトはそれを聞き慌てて首を振った。

 

「大丈夫だってばさ!ずっと出来なくなる訳じゃねえんだし·····それに俺のせいでスミレの道の邪魔をしたら悪いしさ。気にするなってばさ。」

 

 と全く気にしてない素振りをしたがスミレは分かってる。ボルトが割とショックを受けている事に。そして少し気まずい雰囲気になってしまったがボルトの方が耐えられず話し始めた。

 

「それにしてもビックリしたよな!まさかトサカがあんな奴だったなんてさ。」

 

「うん。結構ビックリしたよ。」

 

 トサカ·····それが先日までボルト達と共に任務に向かい最終的に敵という事が分かった者だが今は恐らく死よりも恐ろしい事になっているのは想像に難くない。

 

「最初は変な人だと思ったんだけどなぁ」

 

 ボルトとトサカの出会いは任務を受ける道中だった。ボルトと途中で合流したミツキは何やらパッと見怪しい事をしている·····具体的には女性の着替えを見てたとボルトは思って牽制してとっちめってやろうと思ったがトサカは女性では無く鳥の卵を見ていたのだ。

 トサカは鳥類学者である青年だ。しかし所謂変人の領域に入っている。例えば·····その鳥の卵を舐めたり·····と言うよりも興味があれば何でもかんでも舐めようとしていた。ボルトの事も面白そうと言って舐めようとしたが丁重に辞退し2人は全速力で受付所に向かった。そこに居たのはボルトの彼女のスミレと少し怒りマークが出ていたサラダだった。

 その任務は第15班との合同任務だったのだ。ボルトは案の定少し遅れたからサラダの小言を少し受けた。

 任務内容は火の国の外れにある村で鳥が凶暴化する事件があり原因究明が任務だ。鳥の住処を隈無く調べる為に2班がいるという訳である。そしてボルト達は鳥の素人故にプロのトサカが着いてきたという訳である。

 その後2班はその村に向かった。

 

「ねぇボルト君。結局あの時トサカは何してたの?」

 

「え!?いや、スミレは知らなくて良いってばさ!」

 

 トサカは道中·····鳥の糞を見つけふむふむとか言って·····舐めた。ボルトは予感がしていたから咄嗟に隣を歩いていたスミレの目元に手を当てて見えないようにしていた。だからスミレは何があったのかは知らない。その後のトサカが何かを舐めようとした時もボルトが目を隠したからだ。スミレは何をしていたのか割と気になっているがボルトやサラダ達が知らない方が良いと言って余計に疑問符を浮かべていた。

 そして夜になれば野宿だったのだがスミレ以外の女性メンバーと木ノ葉丸は少し口元を抑えていたとか何とか。

 

『スミレ俺の腕を使えよ。』

 

 とボルトはスミレに腕枕を勧めた。野宿故に地面で寝るしかなくそれ自体は良いのだがボルトはせめてスミレには楽に寝て欲しかったのだ。スミレはボルトが痛くなると言って遠慮したのだがボルトも譲らず結局スミレはボルトの腕枕を使った。そこまでなら「ああ、そう言えば付き合い始めたんだっけ?」となる位だけれど問題はその後だった。腕枕を使っているスミレの髪がサラサラしていてどんなシャンプー使ってるのかな?と思って髪を少し触っていたらスミレが少しクスッと笑って言った。

 

『ぼ、ボルト君くすぐたいよ。』

 

『あ、すまねえ。何かサラサラだなと思ってさ。』

 

『·····ボルト君の髪もサラサラだよ?』

 

 そう言ってスミレもボルトの髪を触った。ボルトはそんなスミレを見て頬を染めた。スミレも赤くなっている。サラダ達には見えた。ボルトとスミレの周りがピンク色になっている事に。そしたら不思議と何か気分が変になり少し口を15班は抑えた。そしてサラダは起きてたミツキに言った

 

『ミツキあんたよくあれに耐えれるわね?』

 

『ん?いつも通りだよ。』

 

 それを聞いてサラダは少し手を頭にやったのだった。そして夜が明けた後も歩き続け目的地が近づいてきた時全員少し困惑した。静かすぎるのだ。鳥のさえずりさえ聞こえない。そんな時叫び声があげられサラダ達はトサカの護衛、ボルト達は叫び声の方に向かったがその道中ボルトにいきなり鳥がボルトに襲ってきてボルトは即座に対応しつつ3人に先に行け!と言い鳥達と交戦し始めた。

 スミレ達は叫び声の元に着いたらそこには村人であろう人とボルトを襲ってるのと同じ種類の鳥が村人を襲っていた。ミツキの雷遁で鳥達を殲滅していたらボルトを置いてきた方向からとんでもない声量の叫び声が聞こえてきた。それはボルトのものではなく全くの他人という事にすぐ分かったスミレは自分よりも足が速い鵺を口寄せし『鵺、ボルト君を!』と言って鵺はもう1人の家族のボルトを助けに猛スピードで向かった。スミレは村人の応急処置を木ノ葉丸とミツキに任せ鵺を追った。そしてその後見た光景に血の気が引いた。ボルトが崖の端っこで巨漢の人物に押さえつけられて今にもその命が取られそうな場面を見てしまった。幸いそこで鵺の怒りのタックルがヒットしその巨漢の人物は崖の下にある川に落ちて行った。それを確認する前にスミレは倒れてたボルトを勢いよく抱き起こし揺さぶった。

 

『ボルト君、大丈夫!?怪我ない!?』

 

『な、無いから頭変になるから止めてくれってばさ!』

 

 とぶんぶん体を振っていた事に気がついたスミレは謝りながら離した。それでも·····無事を確認したくてゆっくりと抱きついた。本当は任務中だからご法度だが今は鵺以外見ていないと無理矢理理由付けし行動した。ボルトも不安にさせた自覚はあるから抱き返し頭を撫でて安心させ謝った。

 

『不安にさせてすまないってばさ。』

 

 ボルトもスミレが同じ状況になったらスミレと同じ事を絶対する。スミレは少しの間体を預け離れた。

 

「本当に・・・良かった。」

 

「ぬえーっ!」

 

 俺が助けたんだから俺も褒めろ!って感じで鵺が2人に寄ってきて2人は苦笑いで顔を見合わせたあと頭と顔を撫でて鵺は甘えた声を出してミニサイズに戻ってスミレの頭に乗った。その後2人は皆の所に戻り注意を促して怪我した村人を連れて依頼の村に着いた。ボルト達は怪我した村人を木ノ葉丸とトサカに任せて村人の事情聴取を始めた。地からひびきわたる恐ろしい声がしたという。そして何やら川の近くに倒れていたという人がいて一行はそこに向かいいたのは先程の巨漢の人間と同じ位の身長でオレンジ色の髪色の男だった。その男はサラダとミツキの情報で大蛇丸の所にいた重吾と呼ばれる人だった。その時鵺が反応した。

 

「ぬえーーー」

 

「こら、ダメ。」

 

 とスミレが言えば収まったが鵺は重吾を睨み続けていた。

 そんな時いきなりトサカが慌てた声を出しながら怪我人を運んだ家から出てきた。そして一緒に不思議な文様が体についた先程怪我した村人がトサカに襲いかかろうとした。そこに木ノ葉丸が入りボルト達は村人を避難させようとしていた。そして暴走していた村人は重吾に襲いかかったが何故か次見た時には重吾の方が馬乗りになって目が少し変わっていた。そして重吾はどこかに行ってしまった。その後ボルト達は重吾が向かった方向に向かい3チームに分かれた。その際重吾村人に起こった変化について話した。呪印と呼ばれるもので重吾は言うならば元祖呪印で危険な力を持っていると言う。

 15班は下流に、木ノ葉丸とミツキはそのまま進みボルトとスミレと鵺は上流に進んだ。ボルトはその時小石を投げた。スミレはそれでボルトの意図に気が付いた。

 

「自然の反響音だね。」

 

「ああ。」

 

 2人はその音を頼りに探せばなにやら怪しげな洞窟を見つけた。スミレは鵺に木ノ葉丸達に知らせに行ってもらい2人は洞窟に入った。そこに居たのは何かを耐えている重吾だった。だが唐突に重吾が叫んで変化し始めてその姿が先程ボルトを襲った巨漢の男に変化した。2人は洞窟では分が悪いと洞窟の外に出た所鵺に連れられて木ノ葉丸とミツキもやってきた。その後第7班は重吾と交戦した。途中木ノ葉丸が不意打ちで捕まりチャクラを吸われかけたが鵺が速攻で腕に噛みつき木ノ葉丸が離され鵺が噛み付いている間に木ノ葉丸の螺旋丸が放たれて重吾の暴走は止まった。鵺は当たる瞬間にしっかりと離れた。

 その後一行は暴走が止まったのに逃げ出した重吾を追った。途中でサラダ達も合流し着いた先には倒れていた重吾がいた。その後重吾には呪印を吸収する力がある事が分かりボルト達7班は残り重吾の手伝いと15班は里に事態を伝える為に戻った。重吾には自身を抑える為の薬がありそれを定期的に何度も打つことで呪印化を防いで行った。

 

 最初は重吾も拒否したがボルトが勝手についてくと言い張り重吾は何も言わず鳥の·····コノハガンと呼ばれる鳥の呪印を調べた。目が赤くなっていたら呪印に感染しているとい言う。そんな時いきなり声をかけられた。川の国の調査団と言う。重吾は咄嗟に隠れ木ノ葉丸は重吾の事は誤魔化した。その後1度暴走しかけてしまったがボルトが鎮静剤を打ち信用を得た。鎮静剤は定期的に打つことにし未然に呪印化を防いだ。だけれどもそうすると五感が鈍ってしまい呪印を吸収するのに時間がかかってしまう。赤目のガンは即席の木の檻に入れている。

 

 ボルトはそんな時白い鳥·····ガチョウを見つけた。ただ家畜として飼われ続け飛べなくなった遺伝子を持っているガチョウだった。ボルトはそんなガチョウを応援したかった。そんなボルトをスミレはボルトが何を思って応援したいのか何となく分かった。

 一行は来る日も来る日も感染してるガンを捕まえて呪印を取るという作業を繰り替えす。重吾は夜には最初の洞窟に戻ってしまっていたが。

 

「あの時の重吾さんは·····辛そうだったってばさ。」

 

 そうボルトは少し暗めの顔で言う。そんなボルトを見た後スミレはゆっくりと手を重ねた。

 

「うん。私達には分からない苦しみがあったと思うよ。」

 

 そう言って頭をボルトの肩に預けた。ボルトは少し安心した顔になった。

 

「あの時は木ノ葉丸の兄ちゃんが気がついてくれて良かったってばさ。」

 

「うん。そうだね。やっぱり私達もまだまだだなって。」

 

 重吾と過ごし始めてからのある日の夜に木ノ葉丸は叫んだ。

 

『誰だ!?』

 

 そう言って茂みに叫んだ。忍び相手に逃げれないと分かっていたのか出てきたのは村人だった。その村人は何やら厳しい顔をしている。曰く重吾が呪印と関係ありそうなのに何故黙ってた!という事だ。確かに何も事情を知らない人から見ればそうかもしれない。

 だが木ノ葉丸は懇切丁寧に村人に説明した。そして本当の所は分からないが一応は納得してもらえたのか帰って行った。そしてその日から少し経ったある朝ボルト達は木ノ葉丸の念押しによって1人見張りをつけていたミツキから重吾が暴走しかけているという事を聞き鎮静剤を持ってトサカと共に向かった。そして何故か途中で煙玉が出たがボルトは即座に風遁で吹き飛ばし鎮静剤を打った。

 だけれどもそんな時川の国の調査団がやって来て事情を聞かれその話が聞かれたのか村長から任務打ち切りをを宣言された。だがこの村長は念の為とか言って川の国にも頼んでいたのだ。重吾は木ノ葉丸の説得も虚しく拘束されて連れて行かれてしまった。スミレは1度洞窟と自分達の寝床に置いといた鎮静剤を取りに行ったが何故か忽然と消えてしまっていた。

 そして何と木の葉に応援を呼びに行って貰っていたナミダとワサビが呪印に感染していた。その事実に全員驚愕しサラダの事も聞いたが2人以外にはいなかったと言われた。2人の治療を川の国の人達に任せ不承不承離れようとしたがトサカは鳥の専門家という事で居残りをお願いされ7班は雁を捕まえていた所にまで戻った。面々は暗い顔になっていたが木ノ葉丸だけは違った。

 川の国の奴らは自分達を見張っていたかもしれないと言う。そして·····鎮静剤を奪ったのも川の国の連中かもしれないと。

 そんな時後ろからガサガサと草の音がして臨戦態勢に入ったが出てきたのは行方不明になっていたサラダと·····大蛇丸の部下で重吾の仲間の水月と香燐だった。サラダは里に戻ってる最中に謎の首輪をつけた双子に襲われた。その首輪で何と呪印かをしてナミダとワサビがあっという間にやられ呪印を感染させられた。サラダは苦渋の決断で何とか逃げる事に成功したが体力とチャクラを使ってしまい隠れていた。ボルト達には分からないがサラダは何度も奥歯をかみ締め拳を握って涙した。何も出来なかった情けない自分に。そして目が覚めたら昼になっていた。そして少し考え最悪な考えを出した。

 

「あそこでトサカが怪しいって気づくのは流石だよなぁ」

 

 サラダ達が里に応援に向かった事を知っていたのは重吾の暴走を止めてすぐに話し合ったから第7班とトサカだけだった。ボルト達がサラダ達を邪魔するのは有り得ないから必然的に邪魔するのはトサカという事になる。何故そんな事をするのか分からないが敵という事は分かった。そしてその首輪の双子も川の国の調査団に混ざっていた事でトサカと村とグルという事が分かった。

 

(·····それもあると思うけどボルト君は水月さんの方に怒ってたなぁ。)

 

 水月と香燐がやって来たのは重吾を連れ戻しに来たんだと。それはもう有無を言わずに。それにボルトは食いついた。重吾が救おうとしている鳥達を見捨てるのか!と。水月はそれでも重吾の為に動いた事があったけどそれでも無理だった。呪印をどうにかするのは無理だった。だから生まれ持った宿命として受け入れる事にしたんだと。だがボルトはそんな宿命に抗って自分らしく生きおうとしている人だと遠回しにスミレの事を話し鳥を助けたいと思った重吾もそうなんじゃないか?と言った。

 

 木ノ葉丸はボルト達が話してる間に村の様子を見に行った。そしたら川の国の調査団が下流に船を停泊させてそこを拠点としている事が分かった。それが分かったら一行は作戦会議をした。陽動作戦を仕掛ける事にした。

 木ノ葉丸は下流の停泊している拠点で呪印を消す薬が無いかを調べる。サラダと香燐とミツキは陽動。スミレはナミダとワサビの救援に向かう。サラダが救援に行きたがっていたが本人では無いと陽動になら無い。変化を使えばその限りではないがバレてスミレ達の所に向かわせてしまえば手負いのナミダとワサビを連れながら戦わなくてはいけなくなる。そしてボルトと水月は重吾奪還とついでに出来たらトサカをひっ捕らえて拘束しておく。作戦は夜にスタートさせた。

 結果から言うなら何個かアクシデントがあったが成功した。

 

 陽動のサラダ組に首輪をつけている双子に追いかけられたが途中双子がこれは陽動という事に気が付き男の方が救援に向かったスミレに向かったが感知タイプの香燐がそれに気が付きミツキが方向転換しモモの所に向かってスミレ達の所に着く前に対峙し呪印の力を得て調子に乗っていたその男は見事にミツキにコテンパンにされてあえなく撃沈した。

 サラダと香燐の方も少し手こずったが香燐の感知とサラダの写輪眼に怪力で倒す事に成功した。そしてボルトと水月は重吾を見つける事に成功した。

 だけれども·····遅かった。何故か重吾とめちゃくちゃ悪い顔のトサカがおりその周りには川の国の調査団の人達が泡吹いてくたばっていた。そしてそのトサカは何と呪印化をしておりそれが真実を物語っていた。

 そして重吾は呪印の鎮静剤とは逆の活性化を投与されていて暴走仕掛けていた。トサカの狙いは重吾をフルパワーにして呪印化状態の自分と戦ってもらい自分の呪印が世界一という事を証明するという事だった。しかしそれを聞いてはいそうですかと言う訳無く交戦を始めようとしたら拘束されていた重吾がテントを突き破って出て行ってしまった。それをボルトは追った。水月も追おうとしたがその前に嬉々としたトサカがいるのを見て思い直してトサカと激突した。·····結果は言うまでもない。

 

 ボルトと水月と木ノ葉丸以外の面々は鳥を捕まえていた所にまで戻った。ここを集合場所にしていたからだ。そして飛び立とうとしている呪印に感染している鳥を捕まえる作業に入ったのと同時に逃げ出した重吾が雄叫びをあげて·····呪印化をした。そして自分が救おうとしていた鳥を捕まえているスミレ達に向かおうとしたがその前にボルトが割って入り交戦し始めた。だけれどもパワーやスピード、オマケに耐久力も桁違いでボルトは劣勢になって行った。それをスミレは不安そうな顔で見て

 

「ごめんなさい皆!」

 

 そう言って鵺を口寄せしながらボルトの元に向かった。それをどこかしょうがないなぁというふうに一行は見た後に鳥を捕まえる作業を始めた。

 その後鵺がやられそうになっていたボルトを救出した後に2人と1匹は交戦し始めたがそれでも決定打がなかった。鵺のパワーも重吾には届かないしスピードも重吾の方が上だった。耐久力は言わずもがな。そして·····ボルトは重吾の背中のジェットみたいな部分に着目し危険な作戦を立てた。

 

「·····あの時、本当に怖かったんだからね?」

 

「ほ、本当にすまないってばさ。あれしか思いつかなかったんだよ。」

 

 そうボルトは言った。ボルトが立てた作戦とは重吾のジェットみたいな所から生み出される推進力と自分のボルトストリームで突進しあってぶつかる瞬間にボルトの最高の技、螺旋丸と紫電を叩き込むことだった。ただの螺旋丸や紫電では重吾の耐久を破る事は出来ないがぶつかり合うことによって威力不足を補ったのだ。勿論スミレは反対した。そんなのしたらボルトのチャクラも体力も肉体的にも耐えられるか分からない·····下手したら重吾の攻撃の方が当たってしまい一気にあの世行きかもしれないからだ。ボルトにそんな危険な役回りをさせる位なら自分が囮になって最後の一撃をボルトと鵺に叩き込んで貰う方がずっと安全だと。·····ホントを言うとそんな事しなくても水月が来るまで時間稼ぎすれば解決するのだが2人は忘れていた。

 ボルトもスミレの作戦に反対した。スミレを囮になんて出来る筈がない。それに力不足という事実には変わりなくそれで決める事が出来るのかすら分からなかったからだ。2人は鵺が重吾の相手をしてる少しの間に夫婦喧嘩していたが鵺が吹き飛ばされスミレは絶対にダメだから!と言って鵺の救援に向かったがボルトは申し訳なさそうにしながらも裏切った。重吾にクナイを投げ自分の方に注意を向けさせた。スミレは眼でダメと訴えたがボルトは聞かずに重吾に言った。

 

『どんなに願っても叶わない事だってあるかもしれないけどさぁ!』

 

 スミレはもうこうなったボルトを止める事は出来ないと諦めボルトの言葉を聞きながら動く準備をした。

 

『なりたい自分になろうとする気持ちだけは捨てちゃダメなんだ!』

 

 その言葉と同時にボルトはボルトストリームを、重吾は飛び出す準備をして互いに猛スピードで突進しあった。ボルトは最初は2人で打ち出し真ん中くらいでもう3人を出して1人を自分の隣に、もう2人を後ろにやりもう一段階風遁で押してもらい瞬間スピードは重吾と同等になって本体のボルトは螺旋丸を、もう1人のボルトは紫電を出して·····ギリギリ見極めて2人の技が重吾に炸裂した。そしてボルトの分身は消えて本体ボルトは地面に投げ出され重吾は湖にダイブした。スミレは息を飲んで見守っていた。そして湖から出てきたのは·····呪印化が解けていた重吾だった。

 

「本当にごめんってばさ。許してくれ。」

 

 とボルトは自分に寄りかかっている彼女にそう言った。スミレはボルトを見た後少し恥ずかしそうにしながらもボルトをゆっくりと押し倒して自分も横になって誰もいないことを確認して唇をボルトの唇に重ねた。ボルトは何も言わずスミレの腰に手を回して自分と密着させた。少し唇を重ねて30秒、長いキスを終えて顔を離した。スミレは積極的になった自分が恥ずかしく顔を隠してしまったがボルトはそんなスミレが可愛くておでことおでこをくっつけた。スミレは恥ずかしながらもボルトの腰に手を回して2人して密着していたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 密着が終わった後2人して寝転びながら空を見上げていた。ボルトの脳裏には重吾が正気に戻った後の事が再生されていた。重吾が正気に戻った後木ノ葉丸とトサカをボコボコにして引きづってきた水月が合流して木ノ葉丸が持ってきた鳥達の呪印を取り除く血清を持ってきて水月に渡した。水月は重吾の為と言って血清を飲み自分の体を水にして雨のように辺り一帯に降らした。そんな中あの白鳥が必死に飛ぼうとしているのを見て一所懸命応援した。白鳥は見事に遺伝子など突き破り大空に羽ばたいた。スミレはそんな白鳥を見て·····悩んで1度捨てた選択肢を選ぶ事を決めた。それは·····

 

『科学忍具班!?』

 

 とボルトは鳥を隔離するために作ってた簡易的な檻を崩しながらそれを言った自分の彼女であるスミレを見た。スミレは申し訳なさそうな顔をしながらも半分は誤解という事を言った。

 

『班を離れる訳じゃないの。カタスケさんも任務と並行で構わないって言ってたから。』

 

 スミレはこの任務の少し前から科学忍具班·····つまりあのカタスケの元で働いてみないか?とカタスケから誘われていた。鵺の制御を完璧にする為に科学に頼ってみては?と。だけれども最初は断った。鵺は確かに暴走してた時はあったが今はそんな事は無い。暇さえあれば一緒に少し遊んだりアパートで寝る時には一緒に寝たりして信頼関係を築いていってるからだ。それに何よりもボルトと一緒に任務に行けなくなる。ボルトはきっと自分が行く事になったとしても応援してくれるだろう。それでも·····悲しい気持ちになるのは想像に難くない。更に科学忍具班は規模が大きくなる為か里の外に新しい研究所が出来てもし行くならばそこに通う事になりボルトと任務の日程が噛み合わなければ中々会えなくなるからだ。

 そうしたらカタスケは妥協案として忍びとしての任務と科学者として研究を並行しても構わないと言った。それにスミレは悩んだ。父親の血か正直研究所に行ってみた時は柄にもなくワクワクしたのは否めない。そうして悩んでいたらさっきボルトが重吾に向かって言った言葉で決心した。

 

『·····そうか。·····頑張れよ。』

 

 とあからさまに元気なさげにボルトは言った。やっぱりいきなり言われても辛いもんは辛い。スミレが半分科学忍具班に行くからと言って交際が終わる訳じゃない。任務の時にも頻度は下がるだろうけど会える事には変わりはない。なんなら夜にスミレのアパートに行く事だって出来る。ヒナタが許すかは置いといて。

 ボルトにも本当は分かっている。自分がスミレを引き止めてはいけないと。自分が道は自分で選べると彼女に言ったのに自分が寂しいからと言って止める訳はいかない。でもそれからのボルトは少し暗い顔になる事が増えた。それは勿論スミレにも分かっている。本当にこれで良いのかと自分でも思うがボルトをこのままにはしない。どんな手を使ってでも少なくとも元には戻す。スミレは静かに、恥ずかしながら言った。

 

「·····あの日の続き、する?」

 

 それだけでボルトも真っ赤になった。そして恥ずかしながらもしたい気持ちには抗えないのか頷いた。2人は立ち上がって千手公園の森の方に向かった。木々が立ち込めていてパッと見誰がいるのかすら分からないほど奥にまで来てスミレが木を背にしながらボルトの首に手を回してキスし言った。

 

「良いよ、ボルト君が満足するまで·····しよ?」

 

 ボルトは割と速攻でスミレにキスし片手を腰に、片手を頭に回してスミレを感じた。スミレも首に手を回してボルトとキスし続ける。

 

「んぅ・・・ん」

 

 口から漏れでる声と前とは違って外でこんな事をしてるという背徳感のせいなのか早くも2人は頭が惚けて来た。

 

「はぁ···んぅ」

 

 2人のキスは最初はくっつけるものだったのが無意識なのか意識しているのかは分からないがどちらかともなく舌を交換し始めた。徐々に親子の日にしたキス·····スミレはキスマークの消し方を調べに行った際ディープキスという名称を知ったが親子の日以来のディープキスでスミレは高揚し始め感度が高まって行った。

 

「んちゅ·····んぅ・・・ぷはぁ・・・あ・・・んぅ」

 

 ボルトはスミレの口に舌を入れスミレの舌を弄る。舌の上で自分の舌を転がしたりスミレの舌の先をくっつけ合い絡ませあったり·····そんな行動一つ一つでスミレの顔は徐々にあの妖艶な顔になっていく。そんなスミレを見てボルトのリミッターも外れていく。ゆっくりと絡ませ合っていたのを早くしそれに伴って激しいリップ音とそれに混ざってくちゅくちゅと傍から聞いていたらいやらしい音が木に囲まれている2人から聞こえる。

 

「ボルト君·····」

 

「スミレ·····」

 

「あっ·····んぅはぁ·····あん」

 

 名前を呼びあった後ボルトはスミレの首に吸い付いてキスしスミレは身をよじってボルトの体を抱きしめ受け入れる。ボルトはスミレが自分の腰に回してた手を恋人繋ぎで両手とも握り木に優しく押さえつけ更に激しくした。互いの鼻息がかかるがそれが2人が近くにいるということを知らせて

 

「あん·····あ、んぅ・・・ボルト君·····好き」

 

「俺も·····好きだってばさ。」

 

 そう何度も2人で言い合い気分を高揚させ頭をおかしくしていく。

 

「あ···ん·····んちゅ·····はぁ・・・ん」

 

 そして自分がボルトが満足するまで良いよと言ったが主導権がずっとボルトに握られているのを感じてスミレは力が抜けている手に一所懸命に力を入れてボルトを草の上に押し倒してボルトが何かを言う前に自分から唇を塞いだ。そして今度はスミレがボルトの口に舌を入れてボルトと同じように·····だけれども

 

(何か·····全然違う)

 

 自分がスミレにしていた時よりも頭が惚けて気持ちいいと感じてしまっている。スミレはボルトみたいに必死にしようという訳ではなく割とゆっくりめに自分の舌を動かしリラックスして舌の力を抜いてそれがボルトにも伝わったのかボルトの舌の力も抜けてきて代わりに2人には快楽が徐々に体を蝕んでいく。

 

「ボルト·····君·····んちゅ・・・はぁ·····んぅ」

 

 そして今度はボルトがスミレに主導権を握られたのを感じて再びスミレの跨ってる足を優しく浮き上がらせ今度はスミレが下に、ボルトが上になった。スミレはボルトの首に手を回して惚けて妖艶な表情を見せながら言った。

 

「ボルト君の·····好きにして良いよ?」

 

 そう言われ·····ボルトは首元に吸い付いた。

 

「あん·····あ・・・んぅ」

 

 そして離れるとスミレの首元にキスマークが1つ出来ていた。それを確認する前にボルトは唇を塞ぎスミレも答える。そして偶に離れれば首か耳にキスしたり甘噛みしたり·····その度にスミレはその感触と気持ちよさに声が漏れでる。

 

「あ·····んぅ・・・はぁ·····あん」

 

 その少し大きい喘ぎ声にボルトは言った。

 

「そんな大きな声出したら誰かに聞かれるってばさ。」

 

 スミレにはもう既にボルトしか目に入ってなかったがそうであった。今ここは森の方だと言っても外なのだ。完全に忘れていた。

 

「でも·····んぅ・・・はぁ·····んちゅ」

 

 スミレは喘ぎ声を我慢しようとするが我慢よりも快楽が勝ってどうしても喘ぎ声が出てしまう。ボルトは一旦止めるべきなのだろうが喘ぎ声を我慢しながら漏れ出る声が逆にボルトを興奮させる。

 

「ひゃあ!·····そこは·····だめぇ・・・」

 

「好きにしてって言ったのはスミレだろ?」

 

「そ、そうだけど·····あん!」

 

 ボルトはスミレの任務服のチャックを少しだけ下ろして下のインナーも下ろしてスミレの健康的な肌が露出しスミレがダメと言うがボルトは自分の欲求には逆らえず鎖骨の下辺りにキスし吸い付いた。

 

「はぁ····んぅ・・・だめぇ・・・んちゅ」

 

 スミレが拒否の声を上げるがその声色は本当に嫌がってる声ではなく甘える声に聞こえボルトは激しく吸い付いた。·····吸い付いている所は鎖骨と胸部の間くらいである。吸い付いた所には何個もキスマークがあり言外にスミレは自分のものという気持ちを伝えている。

 最初は拒否の声をあげていたスミレだが徐々に抵抗しなく·····というより快楽の方が勝り拒否の声はあげず寧ろ自分からもボルトにキスしたりしている。

 

「ボルトく·····んぅ !」

 

 名前を呼べば呼ぶ程に2人は興奮し気持ちをぶつけ合いボルトは舌を絡める速さをあげスミレも体が勝手に反応してボルトを必死に求める。

 顔と顔を離す度にボルトとスミレの舌から互いの唾液が混ざって出てきてそれが余計に2人を高め、興奮させる。

 2人は周りが真っ暗になるまで12、3歳らしく愛し合っていたのだった。

 

 

 

 




お疲れ様でしたm(*_ _)m。
夜までのイチャイチャ何て書けるかー!となったので夕日が出てるくらいでカットしました。ごめんなさいm(*_ _)m。
それはそうと漫画12巻で久々にスミレ登場!喋ってくれたし満足。13巻は多分オールイッシキ戦だから出番無いかもしれないけど。楔をスミレにどうにかして欲しい気持ちとボルトの気合いか何かでどうにかして欲しい気持ちがある(*`ω´)ぐぬぬ・・・。
Borusumiウィークなるものがあったけど自分何もやってないと言う。学パロ辺り書いてみようかな?偶にはシリーズ違いも見たい人いるかもしれないし。·····書けるかな?
書いてて思ったのは·····もうこの2人が一線超えるの時間の問題じゃね?という事を感じ始めた。
(*´∇`)ノ ではでは~


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ウエディングバースデー

おはようございますm(*_ _)m。スミレ誕生日話です。SDのウエディング話と合体させました。尚、カカシ列伝とサスケ列伝を読んでた方が分かりやすいかもしれない。ではどぞ(っ´∀`)っ


 6月12日、この日はボルトにとってめちゃくちゃ大事な日である。その日は一般には恋人の日と呼ばれる。だけれどもボルトの大事な日というのはそう言う意味では無く·····自分の恋人の筧スミレの誕生日なのだ。スミレは今回の誕生日を過ぎればボルトと同じ13歳となる。そのお祝いの準備は既に整い最高のバースデーにしてやると息巻いたボルト。そんなスミレの誕生日が色々あって想定よりも遥かに幸せなバースデーになった。そんなお話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 スミレの誕生日当日、ボルトはしっかりと身だしなみを整え·····いつもとあまり変わってないが準備を終わらせ誕生日プレゼントを大事に持って家を出た。うずまき邸で誕生日パーティーはする予定だが皆よりも早めにプレゼントをあげたくデートに誘った。スミレは喜んでOKしてくれ何時ものようにボルトはスミレのアパートの前にやってきた。そうすれば丁度スミレも親子の日に着ていた私服を着て少し大きめなカバンを持って出てきた。

 

「おはようボルト君!」

 

 凄い幸せそうにスミレは近づいて言ってきた。スミレはもう既に天涯孤独で両親が生きていた時すら誕生日を祝って貰った事はない。母からは何かあったかもしれないが父親の記憶が強すぎてまだ思い出していない。アカデミーの時はボルトがスミレの誕生日を知った時にはもう過ぎていて何で言ってくれないんだってばさ!?と言われた記憶がスミレにはある。そう言われた時は驚いた。誰かに誕生日を祝って貰うなど·····考えた事もなかった。スミレにとって誕生日とははっきりと言って何時もと変わらない1日だった。父親の復讐の為の戦闘訓練しかしてなかった気がする。だから·····だからこそ今日は何時もと違う誕生日になるかも·····いや、なると信じて嬉しさが滲み出ているのだ。

 そして近づいて来たスミレを見て少し恥ずかしながらも言った。

 

「その·····誕生日おめでとうだってばさ!!」

 

 今までそんな事言われた事など無く自分すらも兵器だと思っていたあの頃とは違う。今の自分には本気で大好きな人がいる。自分の過去も犯した罪も知って·····それでも好きだと言ってくれる人がいる。何度も口付けを交わし何度も愛を言い合った人·····ボルトがいる。だから·····今幸せだと断言出来る。自分がいるべき場所は木の葉、第7班、そしてボルトの隣と胸の中なんだと。だから·····

 

「ありがとう、ボルト君!!」

 

 そう飛び切りの笑顔で返したのだった。その後2人は里をぶらぶらし始める。何時もは中々行かない場所に向かったりファイヤーパーク·····動物園に行ったり。予定は特に決めていない。行き当たりばったりである。だけれどもお昼だけは千手公園である。スミレはこの日の為に気合を入れて弁当を作った。ボルトはスミレの誕生日なのだからどこか外で食べないか?と言ったのだがスミレは首を振った。ボルトに任せコースだと雷バーガーにしかならない気がしたのもあるが折角のデートで誕生日なのだから2人きりで食べたかったのだ。そう言えばボルトはじゃあ俺が作る!と息巻いたのだが試しに料理をしてみれば·····簡単なやつなら出来るがスミレ程レパートリーもなく挫折した。レジャーシートを引いて2人は座ってスミレは弁当を出してオープンした。そこには色とりどりの弁当があった。

 

「美味そう!!」

 

 という率直な感想を聞いてスミレも嬉しくなる。アカデミーに来る前も来た後も料理はいかに食費を抑えるのかがスミレにとっては重要で味は探求はするけどはっきり言えば二の次だった。見た目だってそう。見た目でお腹が膨れるなら幾らでも頑張るがそういう訳では無いからスミレは程々にボルトに作るまでは手を抜いてきた。でもボルトに初めてお弁当を振舞った時のボルトの顔が忘れられずそれからは味やレパートリーもヒナタに聞いたりして増やして行った。見た目にも少し拘りを入れて行ったりした。

 そんなお弁当を仲良く食べている時、何か向かいの道沿いから頭を抱えている女性が 歩いてきた。ボルトとスミレはもう2人の世界に入ってまだその女性は見えていないが。

 

「どうしよう·····」

 

 その女性の名前はミサキ、木の葉で最近流行ってる雑誌の編集者である。彼女は今ある事に悩んでいた。それももう時間がない。今日ではないとダメな事なのだ。今日はある事の撮影があったのだがそのモデルの2人が急病と急用が出来てしまいドタキャンされてしまったのだ。もう既に予告を先月号でしてしまっている。幸いその2人の名前は出さなかったから代替を出しても問題ないが·····映える2人が中々いないのである。それも·····異性の2人がいるのである。それが難しさに歯車をかける。

 

「あ、ボルト君お米ついてるよ。」

 

 そんな時隣の木の下から声がした。そこには様になっているカップルがいた。そのカップルの女性の方が男の子のほっぺに着いてた米粒を人差し指で取ったあとぱくっと食べて男の子はそれに頬を染めている。ミサキは2人の事は知っていた。今年行われた中忍選抜試験、第3試験に出場し決勝に上り詰めた2人で男の子の方は見事な大逆転勝利をした。·····それもドラマみたいな勝利の仕方だったから印象に残っている。その後は大筒木のせいで逃げるのに必死だったが後に男の子の方は5影と共に戦った事が報じられたのもあり見ただけで分かった。その2人はレジャーシートを引いて女の子が作ったであろう弁当を幸せそうに2人して食べていた。そして·····これだ!と思った。年齢的な問題はあるかもしれないがこの2人なら宣伝力もバッチリだし何よりどう見てもお似合いなのだ。·····だからこの桃色空間に入るのに少し勇気がいるが深呼吸した後、弁当を食べ終え手を合わせてご馳走様していた2人に近寄った。

 

「あの、少し良いですか?」

 

 その2人·····ボルトとスミレはキョトンとした顔でミサキを見た。何か迷惑かけただろうか?いや、何もしていないはず。自分達は今日はまだ2人して弁当を食べてゆっくりしてただけでこの前みたいな止められないイチャイチャはまだしていない筈だと。·····自覚あるなら砂糖が大量発生するから止めろやってなるけど2人は気づいていない。もうあの雰囲気になれば2人は周りが見えなくなる。

 

「はい?」

 

 とスミレはキョトンとしたまま聞き返した。ミサキは名刺を出しながら自己紹介した。

 

「私こういうものでしてミサキと言います。」

 

 スミレは両手で名刺を受け取って見た。ボルトも横から覗く。だけれどもスミレはこの雑誌の事は知らなかった。と言うより雑誌を読む事自体無い。いちいちお金がかかるのもあるが任務の時間もあり読む時間が無いのだ。だから料理などは独学かヒナタに教えてもらう事が殆どである。お陰様で元々結構あったレパートリーが増えていった。

 ボルトもあまり雑誌は読まない。ゲームの攻略本などは読んだ事はあるが最近は読んでいない。ゲームするよりもスミレと過ごす時間の方が長いからだ。里でのデートの時もThe・カップルという様を見せつけるからシカダイやいのじん等の同期がデート中の2人を見かけても声をかけにくい。かけにくすぎる。あのサラダでさえ戸惑う。この2人それでいて修行サボってないし何なら中忍試験の時より2人とも強くなってるし·····イチャイチャ具合は天元突破しまくって天井知らずだが。

 

「その·····お2人に頼みたい事があって」

 

「???」

 

「モデルになってくれませんか?」

 

「「·····え?」」

 

 そして2人は話を聞いた。何でも元々撮影予定だった2人がドタキャンして困ってた。それも今日いきなりだったから余計に。だからもう頼れる男女がボルトとスミレしかいなかったのである。それを聞いた2人は·····何か本当に困ってそうなミサキを見て少し恥ずかしいが頷いた。お礼に撮った写真と雑誌をくれるらしい。2人は弁当箱とレジャーシートを片付けて向かった。2人が頷いた時からミサキはやたらとルンルン気分になっていた。·····因みに2人はまだなにを撮るのか知らない。どうか変な奴じゃありませんようにと祈りながら来たのは·····

 

「きょ・・・教会?」

 

 教会だった。何故ここに?と思ったのも束の間2人は早速着替えという事で別々に引き離されボルトは着替えをした。それは·····真っ黒で何か堅苦しい服·····タキシードだった。

 

「な・・・なっ」

 

 とボルトは自分の姿を鏡で見ながら言った。そう、タキシード。つまりボルト達がする撮影とは·····

 

「け・・・けっこん·····式」

 

 今日はスミレの誕生日であるのと同時に恋人の日だ。だからミサキの所の雑誌はその波に乗ってジューンブライドというのも合わさりこういう撮影をしようとなっていたのだ。ミサキが困ってるのを見てられずYESしたが·····急激に逃げたくなってきた。いや、スミレとは将来結婚したいが今いきなりやれと言われても恥ずかしすぎる。

 一方スミレはボルトよりも時間がかけられほんの少し紫がかっているウエディングドレスを着せられ赤面していた。サイズはギリギリいけた。最初に着る筈だったモデルが小柄だったのだ。少し立ってみれば割と足が見えないしもつれやすかったが慣れれば大丈夫だった。ただ座る時には少し辛いかもしれない。このドレスは所謂プリンセスラインと呼ばれるものだ。·····後鏡で見た時恥ずかしいのもあったが自分の胸部も前見た時よりほんの少し出ている気がした。

 スミレが知っている結婚式と言えばナルトとヒナタの結婚式だ。ヒナタがその時の写真を見せてくれた。ウエディングドレスではなく和風の装いだったが一段と綺麗だったのを覚えている。スミレはその後お化粧さんに薄めの化粧をしてもらった。そのプロっぷりに驚愕した。·····そして2人は教会の入口にて再び出会った。タキシード姿とウエディングドレス姿で。言うまでもなく2人は赤面した。ボルトはスミレの綺麗なドレス姿に、スミレはいつもと違って大人っぽく見えるボルトにドキドキした。そして何か互いが互いに止まってしまいそのまま少し2人ともお互いをじーっと見合っていたがミサキが始めるよーっと言い始め2人は我に返ってミサキとカメラマンの指示のもと色んな写真を撮った。

 

「じゃあ先ずは並んで並んで!あっ、手を握って握って!」

 

 2人が本当の恋人なのはもう見ていたら気づいたから遠慮なく言う。いや、普通のモデルでも言うがこの2人には言いやすかった。·····流石にナチュラルに恋人繋ぎをしたのはびっくりしたが。内心2人は羞恥が暴れまくっていた。それでも·····どこか思い出にしたくて2人は撮影を進めた。

 色んなシチュエーションというか角度やポーズを撮る。イチャイチャ具合だけじゃなくて羞恥も天元突破しそうだが2人は何とか撮影を続ける。そして最後の撮影の前に休憩に入った。その時2人は漸く向き合って恥ずかしそうにしながらも言った。

 

「その·····綺麗だってばさ、スミレ」

 

 そう聞いたスミレはもう真っ赤になり涙が流れ言った。

 

「ボルト君も・・・かっこいいよ?」

 

「へへっ。そうか?何か少し暑いけど·····スミレがそう言ってくれたら嬉しいってばさ。」

 

 そうニカッと言った。そんな時何かミサキの怒鳴り声が聞こえた。

 

「何処にやったのよ!?」

 

「すいません、今全力で探させてます!」

 

「ボルト君とスミレちゃんも暇じゃないのよ!?」

 

 何か自分達の名前が出たからひょこっと2人は覗いた。何かスタッフさん達が慌ただしく何かを探しているのを見てミサキに近寄り聞いた

 

「どうしたんですか?」

 

 ミサキは申し訳なさげに振り向いた。

 

「最後の撮影で使う指輪が無いのよ。」

 

 スミレは指輪と聞いても???というなっていた。何故なら木の葉では指輪をつけるという習慣がないからだ。しかしミサキの所はどこからか聞いたのかある所では結婚している夫婦は指輪をするという事を聞いてそれを使おうと思ったのだ。·····そして指輪と聞いたボルトは赤面した。何故ならボルトのスミレへの誕生日プレゼントが·····

 

 もう10分程探しても見つからずミサキがいよいよ頭を抱え始めた時ボルトは羞恥だったがミサキに提案した。

 

「その・・・ミサキさん。」

 

「?何?」

 

「俺の上着の中に俺が買った指輪があるからそれじゃあ駄目かな?」

 

 スミレはそれを聞けばボルト君も何で指輪?と疑問符を出したが鶴の一声だと思ったからミサキは早急にスタッフの1人にボルトの上着にある指輪を探させて持ってきて貰った。

 

「良かった!取り敢えずこれで撮影出来るわ!ボルト君ありがとう!」

 

 そうミサキに言われボルトは少し照れた。そして2人は教会の祭壇に登った。教会の中にお日様の光が教会にめいいっぱい入りどこか神秘的な空間になっている。2人はあまり教会に入った事は無い。と言うより今初めて入った。それでも不思議としっかりしなければというふうになる。そしてミサキはボルトの指輪をボルトに持たせようとしたがその時はて?となりボルトに聞いた。

 

「あれ?ボルト君は何で指輪を持ってたの?」

 

 そう、ミサキ達は撮影で使うから持ってきて無くしてしまったがボルトは個人で持ってきていた。木の葉では指輪をすると言う習慣は無い。それは夫婦であっても同じだ。遥遠くの天体観測所近辺の習慣である。だからある事件というか事態の時ボルトの師匠のサスケとサスケの妻のサクラならば行った事があるから知っている·····と言うよりもサクラはサスケから貰った指輪がある。まあボルトはその事は知らない。一部の極秘情報だからだ。ボルトはミサキの問に思いっきり赤面になってチラチラとウエディングドレス姿のスミレを見る。

 

「·····その・・・スミレの誕生日プレゼントに・・・って思って。カカシのおっちゃんが遠い所の習慣で·····夫婦は指輪をするって教えてくれたから」

 

 本当は2人きりの時に渡したかったのだが撮影が長引くのもあれだと思ったし困ってる姿を見てられなかったと言うのもある。後何でカカシがそんな事を知っているのかと言うとそれもやはりある事でカカシも烈陀という国に向かいたまたまそこで聞いた事をスミレの誕生日プレゼントを悩んでるボルトに教えたのだ。一方スミレはボルトの言葉に思わず口に手を当てて少しうるうるしてきた。ミサキはボルトの言葉に何か少し可哀想な事をしたかもしれないと思った。誕生日プレゼントならば2人きりの時に渡したかった筈だと。

 

「ボルト・・・くん!」

 

 そう少し涙しながらボルトに抱きついた。あの親子の日のキスのしあいから2人きりの時は甘えるようになったが人前では初めてだった。·····本人達が思ってる分には。実際は甘えてはいなくてもイチャイチャはしてるから口を抑えて少しの間体調不良になってしまう人がちらほらいる。ボルト達はそれを見ても何でだ?となってるからタチが悪い。今もスタッフの独身彼女彼氏無しの者達は少し口を抑えている。ミサキも少し抑えているが仕事優先だと自分に喝を入れて抱きしめあってる2人に言った。

 

「あの〜お二人とも」

 

 その声で2人は我に返り赤面しながらも離れた。そしてミサキはまだ箱にある指輪を見ながらボルトに言った。

 

「じゃあプレゼントここで出しても良いのですか?」

 

「お、おう。良いってばさ。」

 

 そしてミサキはボルトに箱を渡してボルトは恥ずかしながらも開けた。そこにあったのは綺麗な紫色のほんの小さいダイヤがある指輪だった。ボルトはスミレと付き合う少し前からスミレに倣って節約して貯金してこれを探し回って買った。その為に急遽木ノ葉丸やスイカに頼んで1人でも出来る任務をコツコツとやりまくった。スミレは幸い科学忍具班への準備の為にデートなどの時以外はかち合わなかった。

 そしてボルトは·····周りに人がいるのも思わず忘れスミレに言った。

 

「ずっと・・・スミレの事·····愛してるってばさ」

 

 そう聞いた他の人もスミレは様々な反応。本人のボルトは本音を言った。13歳で言う言葉としてはどうかと自分でも思うがもうそうとしか形容が出来ない。·····後半分は口が勝手に動いた。

 やっぱり他の人はその甘すぎる雰囲気に口を抑えてスミレは歓喜のあまりもう顔が涙で訳わかんなく

 

「うっ·····うっ・・・ボルト·····くん!」

 

 また抱きしめそうになってしまうがまた撮影が遅くなるので必死にその衝動を我慢する。甘える事は後でも出来る。出来るのだが・・・やっぱり抱きしめたくなる。アカデミー時代の前には考えられなかった感情だ。もう訳分からないほどの嬉しいという感情が沸き上がる。

 ボルトはその指輪を手に取りスミレの左手も持ってスミレの心臓がキスするよりもバクバクしている。そしてゆっくり薬指にその指輪を付けた。少し指輪の方が大きいがそれは大きくなってもつけられるようにという配慮だ。何回もプレゼントで指輪を渡すのも何か変となったのだ。因みにサスケは土遁を使い指輪を作ってサクラにあげていた。

 そして付け終えればその紫色のダイヤの部分がピカっと光った気がした。スミレは指輪を尊そうに触れてからボルトに言った。

 

「私も··ボルト君の事・・・愛してます。」

 

 そうスミレに言われボルトは先程のスミレとほぼ同じ状態になった。違うのは涙を流してない事だ。

 ミサキやカメラマンは口を抑えながらも何か無意識に撮影の工程をしていたボルトとスミレの事はきちんと撮った。もうそれは間違いなくベストショットだ。ボルトのぎこちなさはあったがそんなもんは写真では分からない。分からないのだが·····普通のモデルならここでお疲れ様でしたーっ!なんだろうが·····どうせなら遥かに映える・・・いや、指輪のシーンも映えるのだがそれ以上に読者が盛り上がるものがある。·····他のスタッフさん達には悪いがミサキは2人に言った。

 

「じゃっ、キスシーン行きましょうか!」

 

「「·····え?」」

 

 ボルトとスミレ、スタッフの声が重なった。キスシーンなど予定には無い。2人は普通キスシーンなど撮るのかと思ったのだ。スタッフはこれ以上の桃色空間が出るの!?と身構えてしまった。ボルトとスミレはもうトマトみたいに真っ赤になっている。ビオラが来てから真っ赤になるのは何度かあったが今の羞恥はやばい。人前でキスなどした事ない。この前は外でイチャイチャしたが誰もいない時にしたし誰にも見られていない筈だ。そもそもあんな奥であんな事やこんな事をしてるなど誰も思わないだろう。

 

「表紙にするから早く早く!」

 

 確かに表紙はまだ決まっていない、だから説明は理にかなっている。かなっているだが·····2人の羞恥の限界突破をしている。でも·····教会で、タキシードで、そしてウエディングドレス姿で·····そういう事するのは最後かもしれない。そう眼で相談した2人は恥ずかしくなりながらも頷いて互いの腕を優しく掴んでカメラマンが赤面してるのを無視し顔を近づけた。身長はアカデミー時代はスミレの方が若干大きかったのだが今は同じくらいになっている。

 そして·····ゆっくりと顔を近づけ·····

 

「·····んぅ」

 

 そんな声が漏れ出たが2人はキスした。リップ音は鳴らさず静かなキスである。だけれどもそれと場所のおかげで2人の神秘さが増している。そして2、3秒位で良かったのだが2人はそんな予定を超えて15秒程口付けし漸く離れた。2人は気恥ずかしく暫く2人とも照れた。

 

「えへへ」

 

 そんな声が思わず出た。普段のスミレならば言わなさそうな言葉だが今スミレは気がめちゃくちゃ緩んでる。その後2人は残念に思いながら着替えをして元の服装に戻った。その時ミサキにまだ時間ある?と聞かれまさかまだ撮影が?と思えばどうやら違うらしく2人はミサキについて行った。そこは洋服屋さんだった。

 

「えっと·····どうして?」

 

「だってスミレちゃん誕生日なんでしょ?色々手伝って貰ったから写真とかだけじゃ割に合わないし2人のデートの邪魔しちゃったからね。そのお礼よ。ドレスを渡せれば1番良かったけど流石に無理だからね。」

 

「で、でも·····」

 

「良いから良いから!!」

 

 ミサキに背を押されスミレは入っていった。ボルトも入るがもうスミレはミサキに連れて行かれたから男物のものを見始めた。一方スミレは本気で遠慮したがミサキの案外強い押しに負け選び始め紫がかっている少しセーラ服に似ているワンピースを選んだ。研究所にいる時に着ろうと思ったのだ。その後お会計を済ませる頃にはもう夕日が出始めていた。店の前でミサキとスミレは互いにお礼を言い合い写真を貰った。タキシードとウエディングドレスの2人が並んで少し気恥ずかしそうにしているがそれでも2人が幸せそうな写真であった。年齢的な事を知らなければ夫婦と間違えられるかもしれない。·····まあ背丈で分かるのだが。

 2人はミサキと別れボルトの家に向かった。その道中スミレは薬指にある指輪をずっと尊そうにに触れている。それに何かボルトも恥ずかしくなる。そして2人は思い出した事があり雑貨屋に寄った。2人は割り勘してフォトフレームを買った。ビオラ色·····つまり紫色と黄色が織り成しているフォトフレームだ。写真が1枚しか貰えなかったのは残念だが1枚で十分である。気持ち的にも物理的にも。それが分かってるのは今の所ボルトとうずまき家だけであるが。

 そして2人は漸くうずまき家に到着した。スミレは少しドキドキしながらもお邪魔しますと言い入っていきそーっとボルトがリビングに入りスミレも後ろから入った。

 

「「スミレ(お姉ちゃん)(ちゃん)!!お誕生日おめでとう!!」」

 

「だってばさ!!」

 

 その言葉と同時に3人分のクラッカーが鳴った。ヒマワリ、ヒナタ、ナルト。ナルトがいるのは少し珍しいが実はナルトはこの日の為に割と大急ぎで公務を片付けた。スミレの誕生日を祝ってやりたかったのだ。孤独の誕生日の辛さは·····今年はボルト達がいるが去年までの辛さはナルトにも分かるからだ。贔屓に見えるが息子の彼女の誕生日を祝って何が悪い。

 

「はわ·····はわわ」

 

 そんなおめでとうにスミレは今日何度目か分からない涙を流したのだった。

 その後一同はヒナタとヒマワリが手作りしたバースデーケーキを机に持ってきてスミレは生まれて初めてケーキの蝋燭を消すという事をした。·····そんな初めての事を経験する度勝手に涙が出てそれがもうどうしようも無く·····そんな状態が続きケーキを食べ終わった後ヒマワリがてくてくと近づいて少し照れながらスミレにあるものを渡した。それはハンカチだった。スミレとヒマワリがあるハンカチだ。そして照れながらスミレに言った。

 

「お姉ちゃん程上手じゃないけど·····一生懸命やったんだ!」

 

 スミレは渡されたハンカチを見てまたうるうるとしてしまいしゃがんでヒマワリに合わせ抱擁した。ヒマワリもくすぐったそうで・・・それでも嬉しそうに抱き返す。

 

「ありがとう·····ヒマワリちゃん。大事に·····大事にするね?」

 

 そう泣き声も混じってる声でヒマワリに言った。ヒマワリはそれにうん!と言って頷いた。そして少し長い抱擁を経てゆっくりと離れた。スミレの顔は割と涙でぐちゃぐちゃだったがそれでも逆にそれがスミレの美しさを際立たせボルトは少し赤面した。そして座り直したスミレを見てナルトがボルトに聞く

 

「お前はもう渡したのか?」

 

 ナルトはボルトの誕生日プレゼントを知らない。だから聞いたのだがヒナタがスミレの左手の薬指を見るように言い速攻でバレた。でも大丈夫、サスケやカカシは指輪の意味を知っているがナルトとヒナタは知らない筈だ。案の定綺麗ね!とか良いもん渡すじゃねえか!とかそういう言葉しか言われなかった。

 そして·····少し改まった雰囲気になった。それを肌で感じたのかスミレも少し身構える。·····予想の斜め上を行くが。

 

「それでスミレ、ヒナタと話したんだけどさ」

 

「は、はい?」

 

「ここに住まないか?」

 

 スミレの体内時計は止まった。何て言われたのか分からない。いや、分かってるのだが理解が追いつかない。一体何でここに・・・うずまき家に住むということになったのか?スミレの頭の上に?が沢山並ぶ。そう思っていたらヒナタが言った。

 

「だってスミレちゃん、もう週5日は泊まりに来てるわよ?」

 

「・・・へ?」

 

 そう言われスミレは思い出した。確かにボルトと付き合い始めてからここに泊まることが多くなった。ボルトがスミレの所に泊まろうとすれば却下されるが逆は普通にOKだった。·····と言うよりもスミレは知らないがスミレ用のお茶碗などもう買ってある。ナルトとヒナタはもうそれならいっそ住んだ方が良いんじゃないか?となったのだ。交通の便も良い。スミレのアパートからなら科学忍具研究所に行く為の電車の駅は少し遠いがここからなら割と近い。

 ·····後2人に不純異性交遊させない為の監視の意味合いもある。息子に彼女が出来るのは素直に嬉しかったのだが年齢が年齢なのでそういう事にならないのか不安なのだ。ボルトはまだそういう事を知らないから良いが·····いつ知るのか分からない。仮に知っていたとしても恐らくするのはスミレの部屋になってしまうだろうから先に逃げ道を失くしとく。勿論そんな意図は2人には話さない。

 冷静なスミレならもしかしたら分かったかもしれないが今はナルト達の提案に頭が沸騰して顔が赤くはわわと小さい声で言っている。泊まるのと同じ屋根の下に住むのは訳が違う。

 

「そ、それは本当に迷惑なんじゃ·····」

 

 とやっとその言葉を絞り出したがヒナタは首を振った。

 

「そんな事ないわよ?よくお手伝いもしてくれるし迷惑なんてこれっぽっちも思ってない。」

 

 そう言った。無論ヒナタもスミレは少し嫌がるかもしれないとは考えた。スミレの部屋には実母の形見の鏡台があると聞いている。幸いこの家にはもうほぼ物置化している部屋がある。この機会に整理もしたいし物置化と言っても元はきちんとした部屋だったのだからそれなりに広い。少なくともボルトの部屋と同じ位あるから問題ない。

 これが重要人物の監視という意味があるなら問答無用でナルトと同じ部屋だが。

 その旨をスミレに伝えた。ナルト達はサラッと言っているが住む所を変える割と大事な事だとは思う。だけれどもスミレにはメリットの方が大きい·····と言うよりデメリットが見つからない。家賃は今まで通りお手伝いしてくれたら良いという事だし交通の便も良いし·····そして何よりボルトと同じ家にいれるのだ。喜ばない訳ない。その欲求に負けスミレは恐る恐る

 

「良いんですか?」

 

 と思わず聞いた。

 

「勿論!」

 

 そううずまき家の面々は言ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でしたm(*_ _)m。
アンケートの結果居候が圧勝だったので居候決定!·····その割には部屋貰えるという待遇っぷり。いや、良く考えれば鏡台をヒマワリの部屋に持ってく訳にもいかいないわってなったので物置化している部屋がある設定にしました。
重要人物云々は後のカワキですね笑。
さあ2人はあんな事やこんな事を家で出来るのでしょうか?もしかしたらヒナタがいなくてもヒマワリが見てしまうかもしれないという笑。
アニメではやってませんがもうここの小説では列伝シリーズ通ってます( *・ω・)ノ

アンケートしてまーす( *・ω・)ノ

次は中忍昇格首脳会議です。尚、アニメとはもはや何もかも違うのでご了承くださいm(*_ _)m。


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中忍選抜首脳会議

おはようございますm(*_ _)m
ぶっちゃけ言います。つまんないです。アニメの焼き直しだし回想もクソもないのでつまんないです。
アニメとの相違点

中忍に上げる人数は上限なし、以上

もうシカダイだけじゃなくてボルトとスミレも中忍になった。ちゃんちゃん!で理解出来ます笑。


スミレの誕生日が少し過ぎたある日の夜、ナルトは家に帰らずそれ所か火影室の自分の机の椅子に座って目の前の写真群を見て悩ましい顔をして頬をついてた。そんな時ドアが開けられ顔を出したのはシカマルだった。

 

「どうだ?決まったか?」

 

ナルトはシカマルに顔を向けながら無理だという表情をしながら言う

 

「あのなぁ、そう簡単に決められる訳ねえだろ」

 

シカマルはナルトの机の前まで来ながら言う

 

「中忍試験は大筒木連中のせいでめちゃくちゃにされたが試験自体は工程を終えたんだ。早く決めないと色んな部署から早くしろとせっつかれてるんだ。」

 

「でもよぉ、上げられる枠が無制限なのも難しいっていうか・・・」

 

そう、ナルト達が決めようとしているのは中忍にするものを決める事だ。そしてその中忍に上げられる枠は無制限・・・つまり何人でもいいという事だ。だがそれが逆に難しさに歯車をかける。これが1人だけでも難しいが無制限なのもある意味で難しい。無制限だからと言ってホイホイあげる訳にはいかない。中忍は部隊長クラスで部下の命を預かるレベルだからだ。

 

「実力だけじゃねえ、部隊を率いる統率力、戦況を見極める判断力が問われる。」

 

「その素質にあうものを慎重に選ばねえとな。」

 

そこで2人は中忍試験を思い出す事にした。

 

「1次試験はサイのマルバツクイズ」

 

最初の集合場所から問題が出される会場までに様々なトラップや障害物が出されそれを抜けた先にある会場での○×クイズ。

 

「あの試験で結構な脱落者が出た。32チーム参加し生き残ったのは僅か8チームだ。」

 

「流石に1次試験に落ちた奴を中忍にする訳には行かねえな。」

 

ボルト達はボルトがクナイという布石を残し後はスミレの鵺とミツキのお陰で残れた。

 

「木の葉で残れたのは4チーム」

 

「他の里からは霧2チーム、雲と砂が各一チーム残ったな。」

 

ナルトはそれを聞きながら1次試験を突破した下忍の写真を残し他の写真を積んで横に置いた。・・・この時割と無意識にボルトとスミレの写真は隣にした。余談だがボルトとスミレの雑誌の撮影で貰った写真は結局リビングの写真の中に混ざってる。まだ引越しは終わっていない。物置化してる所の物がまだ処理しきれていないからだ。

閑話休題

 

「チーム戦はチームを仕切るリーダーの力が勝敗を左右する。そういう点で二次試験は中忍の素質を見るのにうってつけの試験だな」

 

2次試験は旗の取り合い。相手の陣地に攻め旗を取れば勝ちだ。

 

「チームの連携を乱し1人で突っ走る奴は以ての外だ。」

 

「あ~そういえば砂隠れのシンキは1人で突っ走ってたよな」

 

シンキは確かに1人で相手陣地に攻め入った。

 

「あ、あぁ…まあそうだがあいつの実力は飛び抜けていたな。イワベエ デンキ メタルの3人を相手に1人で勝ちやがった」

 

親戚だから少し強めに言う訳にはいかないのか少し顔を引き攣らせそれでもあの時の事を思い出しながら言った。ナルトはそんなシンキを流石我愛羅の息子だなと言い今度はシカダイ達の写真を見ながら言った。

 

「シカダイ達の連携は見事だな。」

 

「いや、シカダイの立てた作戦がうまくいっただけだろうよ。いのじんとチョウチョウはそれについていった」

 

シカマルは自分に厳しいがシカダイにも厳しい。何があって命を落とすか分からないこの世界、厳しくする事はシカダイの生存率に直結するからだ。

 

「それはお前が猪鹿蝶のときからそうだったろ?シカマルやシカダイがリーダーにいたんじゃその作戦についていくしかねえと思うけど」

 

「そうか?」

 

と返されシカマルは実感が湧かないが次に行った。次はサラダ達15班だ。サラダが1人で相手陣地に攻めワサビとナミダは防御に徹した。そしてサラダは手裏剣術を巧みに使い2次試験を突破した。そこまで振り返り言った。

 

「先ずは第五班だ。イワベエとメタルの成長には驚かされる。だが2人とも部隊長よりかは前線で戦うタイプ。まだ部隊長とするよりも実戦を積ませた方が良いだろう。」

 

そう言いながらイワベエとメタルの写真を積んである写真の山に乗せた。

 

「ならデンキは残すのか?」

 

「ああ。あいつは元々忍者になるつもりは無かった。だからその分伸び代があると思うんだ。それにあいつの後方で状況を分析する能力は部隊長に向いているとも言えるってばよ。」

 

シカマルはこういう所を見ると本当に少年時代から成長したなと思う。何にも持ってない奴ほど高く飛べるとはよく言ったものだ。そして次に移った。

 

「ボルトは影分身で1人以上の仕事が出来ると思った。」

 

「だが相手も影分身を使って人数は相手の方が勝った。」

 

「ああ。だけどあいつはサスケから教えてもらった手裏剣術も駆使しその差をものともしなかった。それに相手の得意忍術と同じものを敢えて放ってそれも利用した。」

 

霧隠れの忍びに生半可な水遁をするなど普通は御法度だがボルトは逆にそれを利用し雷遁を叩きつけ勝利を収めた。

 

「頭の回転が早いな。どうすれば勝てるか、どうやって裏をかくか、あいつは考えてやがる。」

 

ボルトはサスケからよく相手の裏を読めと言われる。それを実行してみせたのだ。

 

「三次試験は個性のある奴ばっかりで面白かったな。」

 

「忍びの数が減ってるこの時代、毎回実力を持ったやつが現れるから不思議だ。」

 

1回戦はボルトとシカダイの戦いだ。

 

「あいつの敗因はボルトの影分身が4体までと決めつけた事だな。」

 

「俺もあの時まで知らなかったってばよ。」

 

敵騙すなら先ず味方から・・・スミレとミツキは知っていたがそれを功を奏したのかシカダイは見事に騙され敗北した。煙玉を使ったのは変化してクナイになる所を見せない為。シカダイは確かに頭は良いが戦闘中の突発的な事に少し苦手な印象がある。

2回戦はサラダと砂隠れのアラヤとの戦いだった。

 

「アラヤは場外から傀儡を操っていた。」

 

「ああ、そしてそれを見破ったサラダだ。写輪眼で見切る洞察力、おまけに火遁まで·····サスケの再来だってばよ。」

 

「戦況を見切る観察力があると言えるな。そう言う意味では中忍になれる素質があると言える。」

 

「中忍の素質か·····そう言う意味じゃミツキはまだ世間知らずのとこがある。中忍の素質とは程遠い所にあるとも言える。」

 

「最大の問題は里抜けをしてしまった事だ。あれだけの事件の中心にいたミツキを中忍にあげても誰も納得しない。」

 

ナルトは残念に思いながらミツキの写真をを山に乗せた。

 

「でも、木の葉丸の報告によれば最近は少し変わったらしい。自分の意志を言うようになったんだとよ。」

 

「まあミツキも成長してると言うことだろうが」

 

そして次にいのじんの写真を見る

 

「いのじんはミツキに負けちまった。ミツキの能力を忘れていたのが敗因だな。」

 

次はナミダとヨドの戦いだ。

 

「あの試合ではナミダが勝利した。だがナミダ自身は相手の能力が分からなかったらしい。」

 

「運が良かったが逆に言うとナミダにはまだ分析力が無いことになる。実践でそれがどんなに恐ろしい事か・・・。」

 

とシカマルが言ってるのを聞きながら次の試合、スミレとワサビの試合を思い出す。

 

「スミレとワサビの戦いは見応えあったな。2人とも派手な術を使うんじゃなくて体術を駆使して戦っていた。」

 

「ああ。ある意味体術は忍びの基礎能力が見られる。忍術でひっくり返される事もあるが一種の指標だ。」

 

スミレとワサビはクナイ、または体術を駆使して戦っていた。途中でワサビが猫かぶりをして身体能力が上がったがそれでもスミレは冷静に対処していきチャクラ切れを狙った。

 

「敢えて迎え撃たず防御に徹する事によってチャクラ切れを狙った。そして焦った所を決める。」

 

「忍術を無理に使わなかった。使えばワサビなら避けられ自分の方が参る事になる事が分かっていたからそうしたんだろう。」

 

ナルトはそれに頷き言った。

 

「スミレは事情が事情で元から実力がある。それに頭も切れる。木ノ葉丸も大分助かってるって言ってたしな。」

 

それからよくボルトのストッパーになっているとも。まあそれは関係ないから言わないが。

 

「スミレは科学忍具班を志望してたな?」

 

シカマルの言葉に頷いてスミレの写真を見ながら言う

 

「ああ。でも忍びを辞める訳じゃねえ。任務との並行は難しいかもしれねえがスミレならやれるだろう。」

 

一種の信頼が垣間見えているがシカマルは突っ込まなかった。

 

「次はチョウチョウとシンキの戦いだが・・・」

 

「負けちまったな。でもあのチョウチョウがあそこまでやる気になるとはな。」

 

チョウチョウは基本マイペースだ。だからこその言葉だろう。

 

「しかし相手がシンキだったのは悪かったな。」

 

「別の奴と戦ってたら勝っていたと思うと惜しい気がするってばよ。」

 

「あのやる気をもっと早くに出して欲しかったが・・・」

 

やる気を出すとこは人それぞれである。ナルトは次に行こうとしたがシカマルが止めて候補を絞れと言われ考える。

 

「シカダイはボルトに負けた。読みが甘かったからな。いのじんはまだ人の上に立つ器じゃねえ。チョウチョウは・・・言わずもがなだな。」

 

「ナミダとワサビも実力は伸びてきている。だけど分析力という点では不足している。まだ実戦を経験させた方が良いだろう。」

 

ナミダは1回戦を勝ったが殆ど相性の問題だったし本人はヨドの事は分からなかったからの判断だ。

 

「次はボルトとサラダの試合だ。」

 

ナルトはそう言いながら2人の写真を見る。

 

「あの試合はボルトが勝った。」

 

「サラダは写輪眼を駆使して戦おうとしたがボルトが上手く距離を取り消耗戦をしていたな。」

 

「サラダは確かに洞察力はすげえ。流石サスケとサクラちゃんの子供だ。」

 

「だがボルトの消える螺旋丸で一気に形成が逆転したな。」

 

シカマルは思い出していた。消える螺旋丸の後の攻防を

 

「サラダは何とか体勢を取り直してボルトを迎え撃ったが焦ってたのか分身の存在を忘れるという痛恨のミスをしたな。」

 

「あれが無けりゃ違った結末があったかもしれねえな」

 

とナルトは言う

 

「焦った時に冷静な判断が下せないのはダメだ。命を預かる立場になるんだからな。」

 

消える螺旋丸は大筒木にも通じる初見殺しだがそれは言い訳には出来ない。どんな事があるのか分からないからだ。そういう点ではスミレもアカデミー時代の時、ボルトストリームに驚いて負けてしまった事があるが2人は知らないのでノーカン。サラダの写真を山に置いた。

 

「次はスミレとナミダか。」

 

「まあ・・・スミレが完封していたな。」

 

「ナミダの術を知っているからな。対策は出来て当然、ナミダは自分の術をどう当てるか考えられなかったのが敗因だな。」

 

そしてナミダの写真を山に送り残りはボルトとスミレの2人の写真が残った。

 

「2人は決勝に進んだ。スミレは負けちまったがボルトは勝った。まあ本人が言うには勝った気はしてないらしいけどよ」

 

シカマルはそうだろうなと思った。結果がどうあれスミレがボルトを庇い尚且つ鵺がボルトに力を貸さなければ試合は終わっていたかもしれない。·····そこで偶に合同任務をするシカダイから聞いた事を思い出し額に手を当てた

 

「どうした?」

 

「いや、何でもない」

 

ホントはシカダイ曰く7班と10班が合同任務した時、意識してるのか分からないが恋人行動をしだすから非常に同じ場所にいにくい。任務がそのせいで失敗する訳でも·····というよりちゃんと達成してるから言い出しにくい。合同任務をした大概の班はシカダイと同じ感想になる。何故ミツキが普通なのか知りたい。

2人のせいで他の人のコンディションが崩れるのは勘弁して欲しい。だから・・・

 

「2人は頭も切れるし鵺込みでも実力がある。中忍に上げる条件は整ってるぜ。」

 

「·····よし。なら2人を中忍にするので決定だな。」

 

それからシカマルの脳裏にはアカデミー時代のシカダイの会話もある。スミレは問題児だらけのクラスを割とちゃんと纏められたと言うしボルトも修学旅行委員の時きちんとこなしていたと言う。そんな時ドアが開いた。そこに居たのは

 

「サスケ!!」

 

サスケが戻ってきたのは我愛羅と長十郎が戦ったという釣竿の男・・・ウラシキの事を報告する為だ。ウラシキはどうやらモモシキよりも先にこの世界に来てたという痕跡があったからその報告という事だ。いつまた来るか分からない。気を引き締める様にという報告だった。そしてサスケはボルトとスミレの写真を見た。

 

「この2人を中忍に上げるつもりか?」

 

「あ、ああ。えーっとサラダも強くなってんだけどよ・・・」

 

そこでみなまで言うなというふうに首を振る

 

「ボルトの策を見切れなかったサラダが落ちるのは必然だ。」

 

「·····厳しかねえか?」

 

「お前は甘い。」

 

といういつも通りのやり取りが行われた。

 

「だがシカマルはまだ気になってる事があるんじゃないのか?」

 

ナルトはそうなのか?と視線を向けた。シカマルはこの短い期間に色々あった。それが下忍の里抜け事件・・・つまりミツキ失踪事件だ。

 

「サラダから聞いたのか?」

 

「ああ、詳しい事は知らないと言ってたがな」

 

岩隠れを始めとした大きな事件だ。それで経験した事がボルト達の中でも大きく影響している筈だと言う。それを踏まえてきちんと相談してなかった以上2人にすんなりと決めてもいいのかと。それから2人は1度は黙って里を抜けてミツキを追おうとした2人というのもある。

 

「まぁお前たちと違い現場に赴く俺からすれば試験の結果などより実戦で優秀な動きをした者を現場に寄こしてほしいところだがな」

 

そんな中忍試験の存在意義が無くなることを言ってサスケは踵を返す。

 

「ふっ、無い頭を使って考える事だ。」

 

「なっ!?どうせならお前の意見も」

 

「何か考えが浮かんだんだろう?俺がいたほうが早く決まるんだろうが火影であるお前の仕事を奪ってしまっては悪いからな」

 

「んだと〜!!別にお前が居なくたってな・・・って行っちまいやがった。」

 

サスケはナルトの言葉を聞き終える前に出て行ってしまった。

 

「何だよ考えって」

 

ナルトはそれを聞き写真の山からシカダイの写真を引っ張り出し2人の写真と並べた。曰く岩隠れの事件は上忍のモエギや木ノ葉丸がいたがある意味Sランク任務に値する。それでも全員生還できたのはシカダイの力も大きいんじゃないか?と。シカダイは重要な事を木の葉に伝えた。そのおかげで自分達は早く動けたんだと。シカダイはシカマルの代わりにボルト達と共に岩隠れに向かってくれた。自分達の代わりにシカダイは早く動ける。それは凄い事だ、とナルトは言った。そして翌朝、ボルト、スミレ、シカダイは火影室に呼ばれた。

 

「お前達が何で選ばれたのか分かるか?」

 

少し悩みながらもシカダイが言った。

 

「それは…。中忍としての素質である部隊を率いる統率力、戦況を見極める判断力が俺達にはあるから…とかだろ?」

 

シカマルは首を振りながら言った。

 

「それだけでは正解とは言えねえな。それはお前の中に中忍にとって一番大事な素質、仲間への思いがあるからだ」

 

そう言いながら2人は3人に中忍の証であるベストを渡す

 

「やってくれるか?」

 

3人には受け取りそのベストを見た後力強く頷いた

 

「「はい!」」

 

 




お疲れ様ですm(*_ _)m
「何にも持たない奴ほど高く飛べる」
これ自分の好きな曲の歌詞なんですよ(ง ˙-˙ )ง「Power of dreamer」って言うドラゴンボールのゲームの主題歌です。暇になったら聞いてみてくださいm(*_ _)m。
ボルトの初隊長任務やった方が良いかな・・・( ´・ω・`)·····自分で言っといて何だけど思いつかない。

学パロ書いてます( ゚ー゚)( 。_。)
情報ちょい出しするとスミレは反逆しません。·····と言うよりも基本僕らの世界準拠なのにそんな事したら学校戻れねぇ。ボルスミ構成する要素が無くなっちゃいますが·····何とかなるでしょ(おい笑)
お試しとして1話だけ書いてアンケートして存続決めます(*´・д・)*´。_。)。
後やっぱりすいませんがやっぱり国は木の葉とかNARUTO準拠でいきます。忍術無し法律僕らの世界準拠です。優柔不断ですいませんm(*_ _)m

(*´∇`)ノシ ではでは~


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罪と罪

おはようございますm(*_ _)m
取り敢えずこっちです。不穏のタイトルですが別れるとかそういうのじゃないので安心してください。タイトルはドラゴンボールの神と神をぱくった笑。
では─=≡Σ((( っ゜∀゜)っ


 ボルト達が中忍になってこれまた少し経ってスミレのうずまき家のお引越しが終わってスミレの初出勤が始まって少し経った日、ボルトは任務はなかった。しかしスミレと木の葉でデートする事になった。スミレは環境の変化が凄くとても忙しそうで気が休まっていなさそうだったから一段落した今日デートに誘ったのだ。今日スミレは午前中は研究所にいるが午後からはフリー故に喜んでOKした。疲れてるだろうスミレの為にボルトはいつもの行き当たりばったりでは無くきちんと癒しスポットを最初から調査しておいた。

 そんなボルトはスミレがそろそろ電車を降りた頃だろと見計らい家を出てスミレとの待ち合わせ場所まで向かっていた。その道中見知った顔ぶれがいたから声をかけた

 

「お前ら!」

 

 それで振り返ってきたのはシカダイ、いのじんとあっくん、メタルだった。その3人の手には何やらカードがある。その見た事のないものにボルトは聞いた。

 

「何だそれ?」

 

 その言葉にこういう物には目がないと思っていた3人は思わず目を見開いたが親切に教えた

 

「これはゲマキっつーんだよ。」

 

「激・忍絵巻…通称ゲマキです!」

 

「歴代の忍びをモチーフにしたカードゲームだよ。色んな店で直ぐに完売する位なのに·····ボルトが直ぐに食いつきそうな奴なのにね」

 

 ボルトはそれを聞きながらシカダイの持っているカードを覗いた。確かに凄い忍びのカードが何枚もある。何故か忍びじゃない赤丸すらある。というより小さい赤丸とかどうやってカードにしたんだ?精密な絵なのか?とか変な事を考えていたがいのじんに言った

 

「知らなかったってばさ。」

 

 スミレと任務を偶にしかやらなくなった今その残念エネルギーを修行に費やしている。まあ最近はスミレが居候しているから寂しいという事は無いのだが疲れてるスミレを見れば自分の事よりも休ませてあげたい気持ちの方が強く少ししか喋らない。同じ屋根の下にいるのに何故か一緒にいる時間は却って少なくなった気がする。そしてシカダイは思い出したように言った。

 

「そう言えばお前の初隊長任務、サラダ達だったんだって?」

 

 その言葉にボルトとメタルは苦笑いした。中忍になったボルトに待っていたのは初隊長任務だった。勿論スミレと一緒ではなく野盗の退治だった。メンバーはボルト、メタル、サラダ、ナミダだった。

 サラダは階級的にもボルトに越されてしまい凄い悔しそうだったが任務には私情は持ち込まず任務に向かった。しかし割とサラダはボルトの事を見直した。てっきり調子に乗るかもと思ったが任務前に3人の得意分野、出来る事を改めて聞いてそこから幾つかのプランを立てて見せた。その手際に3人は驚いた。3人の中ではボルトは猪突猛進なイメージがあったがそうでも無かったからだ。そしてボルト達は無事に野党を退治して任務を完了させた。

 ボルトは割と重要な立ち位置にいれば物事を客観的に捕える。ナルトを見返したいとか実力を見せたいとか目標があればどんどん周りが見えない事はあるがそこに隊長という仕切りを置く事によって冷静に物事を考えれる。

 この任務を持ってきた木ノ葉丸がサラダと組ませたのはこの2人喧嘩をよくしていたからだろう。自分の私情を持ち込まず尚且つ3人を纏め、作戦を立てて任務を遂行出来るか見たかったのだ。結果は上々であった。

 

「ボルトはゲマキやらないの?」

 

 といのじんが聞いてきたがボルトは腕を組んで難しい顔をした。

 

「俺は·····」

 

「あんた達何やってんの?」

 

 と4人とあっくんは声がした方に顔を向ければサラダがいた。シカダイ達はボルトに説明したのと同じ説明をした。

 

「あんた達もやってんの?任務で稼いだお金をカードにつぎ込むなんてほんっと男子って子供なんだから。」

 

 ボルトは完全なとばっちりである。だけどカードパックの裏にあるカードリストに目が止まった。だが·····最高レアリティ故に当てるのは難しい。

 

「おーいサラダーっ!早く新作スイーツ食べに行こ!」

 

 そんな時上からチョウチョウがいた。どうやら新作スイーツを食べに行くようだ。ボルト達は思った。

 

((女子も似たようなもんじゃねえか))

 

 そんな時女子二人の会話に入った勇者がいた。

 

「·····デブッ・・・!!」

 

 と拳を突き上げ叫んだのはあっくんである。あっくん·····岩隠れの里の一部の勢力が極秘に作った·····芥と呼ばれる生命体であっくんはその亜種である。本場の芥はもう少しでかい。芥は基本的に寿命が短かった。あっくんも例外ではなく徐々に動かなくなって行った。いのじんは口では罵倒しつつもどう見ても悲しげで·····あっくんを救う為に動いた。だが元々コクヨウやセキエイよりも寿命が短いあっくん。亜種だったからか普通の芥よりも長く生きたがそれでもやはり·····手は無いことも無かった。大蛇丸に頼めばあっくんは治るかもそれないが色んな意味でハイリスクだった。そして·····そんな時たまたま2人でいたボルトとスミレと出会い藁にもすがる思いであっくんの事を打ち開ければ·····スミレが提案した。カタスケならどうにかしてくれるんじゃないかと。勿論確実ではない。でもそれ以外の手もなくいのじんはボルトとスミレと共にカタスケの元へ行った。そして·····人工的な心臓を作り·····勿論本物の人間の心臓では無いがあっくんに移植しあっくんは一命を取り留めることが出来た。今では可愛いフォルムのせいなのか山中花店のマスコットキャラクターになっている。

 

「ムッかーー〜っ!」

 

 とチョウチョウがあっくんに怒るのも日常風景となっている。そんな時

 

「ボルトくーんっ!」

 

 ボルト達の前から任務服ではなくミサキに買ってもらったワンピースを着てカバンを持ってるスミレが走ってきた。

 

「悪ぃな。カードにお金使うよりもスミレとのデートだから!」

 

 そう言ってボルトもスミレに向かい走って合流した後、並んで歩き出しその内手を繋ぎ始めた。そんな光景をシカダイ達は見せつけられた。やはり何かを吐きたくなる。と言うよりもチョウチョウとあっくん以外全員思った。

 

(ボルトがもしかしたら1番お金の使い道が上手いかもしれない。)

 

 そう思ったら何か彼氏彼女いない者達はボルトとスミレに比べた時·····虚しさを覚えた。

 

 ★★★★★

 

 ボルトとスミレはそんな皆の心情を知らずにゆったりとデートし始めた。

 

「ボルト君、今度時間ある時科学忍具のデータ取り手伝ってくれない?」

 

 と手を合わせたお願いポーズをしながらスミレは言った。科学忍具は当たり前だが色んな実戦データを取り開発されている。そのデータ取りをする為に手っ取り早いのはやはり現役の忍者に任務等で余裕がある時に使ってもらえればデータが集まる。それもやはりセンスが良い人に扱ってもらったデータの方が嬉しい。あくまでも科学忍具は万人にも術が使える事がベストだからデータ取りも素人の方が良いのかもしれないが危なくてしょうがない。ならセンスがある人に持たせデータを集めた方が何倍も良い。

 

「お、おう。良いってばさ。」

 

 そんな彼女のお願いポーズに思わず赤面し了承した。これがカタスケ辺りなら少し渋るかもしれないがスミレには逆らえない。色んな意味で。

 ·····しかしボルトは1つだけ不満があった。だから少し横に路地裏があったからそこに手を引っ張って連れてきた。

 

「ボルト君・・・?」

 

 スミレが疑問符を出したらボルトはスミレの唇を自分ので塞いだ。そんな早業にスミレは思わず惚けた顔をし慌てて離れた。だがその顔は赤い。不意打ちで好きな人にそんな事されたら誰でもなりそうである。そんなスミレのおでこに自分のおでこをちょこんとくっ付け言った。

 

「今くらいは仕事の話は無しだってばさ。」

 

 今日のデートは疲れているだろうスミレのケアが目的なのに仕事の話をされたら意味が無い。スミレはそれに気が付き謝った

 

「ごめんなさい。」

 

 ボルトは首を振ってスミレの手を握った。

 

「良いってばさ。じゃっ、行こうぜ!」

 

 その後ボルトとスミレは里の少し外側にまで行った。ここら辺に足湯があるのだ。疲労回復等など、少し立地が悪いがそんなのは気にしない。・・・気にするべきかもしれないが。本当は温泉辺りに連れていきたかったのだがこんな昼間から入ったら後が何か少しだらけてしまうと考えた故だ。

 

「わぁーっ!」

 

 スミレは割と真面目に初めての足湯である。ボルトの横に座りそっとその湯の中に足を入れた。一般人にはやはり立地が悪いのか2人で独占状態であった。2人なのを良い事にスミレは顔をボルトの肩に預けた。ボルトもスミレの手に…誕生日の時に渡した指輪の手に自分の手を重ねた。2人とも第三者がいれば気恥しいが誰もいないなら割と遠慮なくやっている。スミレは肩に預けながらも足をばちゃばちゃとゆっくりと上下している。2人はそのまま少し無言だったがスミレが思い出したように聞いた

 

「そう言えばさっきは皆と何話してたの?」

 

 スミレが向かってるのを見てボルトも走ってきたからどんな事を話していたのかは知らない。

 

「ああ、何かゲマキっていうカードゲームの話だってばさ。」

 

 スミレは過去にボルト達がやっていた忍びバウトと何が違うのだろうかと思ったがボルトの口調からボルトも知らなさそうと思いルールは聞かなかった。

 

「ボルト君は何か興味のあるカードあったの?」

 

「サスケさんのカードがちょっと欲しいかもだってばさ。」

 

 ボルトの師、うちはサスケ。サラダの父親でもありうちはシン等のクローン以外で唯一オリジナルの万華鏡写輪眼を持つ忍びである。ナルトの親友、ライバルだ。スミレは何となくサスケのカードが欲しいんじゃないかなと思っていたらズバリ当たって少し嬉しかった。それだけ自分はボルトの事を知っているという事になるから。

 そんな時ボルトが何か右手を湯の中に向けているのが見えた。そうするとボルトが翳した手の所にある湯が少し回転し始めた。どうやら螺旋丸の練習らしい。・・・それにスミレは先程とボルトと同じく少し不満げにボルトを見た。ボルトもその視線に気が付きスミレを見れば今度はスミレが不意打ちでボルトにキスした。リップ音を鳴らさないキスである。ボルトは先程のスミレと同じく赤面になった。

 

「修行の事を考えるの禁止」

 

 ボルトは割と無意識だったのかしまったという顔になり謝った。

 

「す、すまないってばさ。」

 

「そんなに修行するの好きなの?」

 

 少なくとも卒業試験前までは寧ろ修行何てとか思ってそうだったが今は何故か禁断症状の如く無意識に修行している。確かにビオラが来た時から修行はする様になっていたが楽しい事をする時は全力で楽しむ性格だった筈だ。それがこんな風になりスミレは疑問符を出す。

 ・・・これはスミレとの時間が減ってぼーっとするのを無理やり修行にしてたからの弊害であるがスミレは気づいていない。

 

「す、好きだってばさ·····スミレと一緒にいる時の方が好きだけどさ

 

「え?最後何て?」

 

「い、いや何でもないってばさ!!」

 

 どう見ても何か隠し事をしているがスミレは敢えて黙った。・・・何となく原因が分かったからだ。原因は・・・スミレにある事に。別に全面的にスミレが悪い訳では無い。それはボルトにも分かっている。科学忍具研究所に行き始めてからは任務を一緒にする事はまだ無い。スミレの準備期間のせいである。家で一緒にいる事はあるがスミレは初めての連続で疲れてしまい割とうとうとしてる事が多いからボルトも話しかけにくい。今日は本当に2人からすれば久しぶりのデートなのだ。

 スミレも労わってくれるボルトに甘えお話する事が減ったのは分かっている。だがどうしても慣れていなくて疲れてしまう。

 

「じゃあ次行くか?」

 

 何か間が悪くなりボルトはそう言った。もう足湯も15分程いるのもある。スミレは頷き2人は立った。ボルトが予め持ってきてたタオルで足を拭いたあと歩き出した。その後2人は商店街に繰り出し服を見始める。

 今ボルトとスミレの給料がどちらが多いのかと聞かれればスミレだ。科学忍具研究所で研究するという事が一種の任務となっておりボルトが普段受けている任務がCやら・・・最近はBランクも受けているのに対してこの研究というのはAランク任務に相当する。ランクが高ければ当然貰える給料も高くなる。勿論その内普通の任務と並行するため少なくはなるが今の所そういう事である。

 スミレはうずまき家に居候してからはアパートの家賃も払わなくても良くなったからその分浮く。それでもスミレは滅多に新しい服等買わない。今の服で間に合ってるからだ。今はボルトの服を見積ってるがこれと言ったものがなく断念した。と言うよりボルトがあまりファッションに興味が無いのもある。

 

「その・・・スミレ、寄りたい所あるんだけど」

 

「???」

 

 デートも中盤になってきた時にボルトが何か複雑そうに言った。スミレは取り敢えず了承して2人は手を繋いで歩き始めた。そして着いたのは日向宗家・・・つまりボルトの母のヒナタの実家、ボルトからすれば祖父の家である。日向と言えば木の葉の名門である。そしてスミレは忘れがちだったがボルトはそんな日向の姫の息子なのだ。·····やはり自分はボルトと釣り合わないのでは無いのか?と自信が無くなってきた。そんな自信喪失が分かったのかボルトはスミレの背中をポンっと押した

 

「誰に何と言われてもスミレは俺の大切な彼女だってばさ」

 

 ――――――どうして考えてる事分かっちゃうのかな、君は

 

 スミレはその言葉に少し涙を見せかけたが直ぐに拭いた。そして2人は日向邸に入った。何故ボルトがここに来ようとしたのか?それは少し前まで遡る。ヒナタが実家に電話して妹のハナビと話している時、ボルトとスミレの話になったのだ。ハナビは何回かスミレを見た事はあるがまだちゃんと話した事がない。そしてそれはボルトの祖父である日向ヒアシも同じだ。それを聞いたヒアシは今度2人で来なさい的な事を言われ今に至る。ボルトは違う意味で行きにくかったが確かに祖父達にはまだ報告していなかったとなり行く事にしたのだ。そして2人は門の前にいたが家の中に入って行った。そしてボルトの先導で家を進んで行った時声をかけられた。

 

「ボルト、いらっしゃい!」

 

 目の前から来たのはボルトのおb·····お姉ちゃんの日向ハナビ、ヒナタの妹である。でも決しておb・・・では無いよ。ボルトがこの家に来るのは割と久しぶりだったりする。親子の日の時はヒナタが行った。ヒアシとハナビはボルトとヒマワリが来る事も期待したのだがヒマワリはナルトと、ボルトはスミレとのデートで来なかった。と言うよりボルトがここに来るのはゴースト事件の時が最後だったりする。そしてハナビはスミレを見た。スミレは任務服ではなく私服である。だから訪ねる格好ではないと一瞬思ってしまったがハナビはそんな事を気にせず微笑みながら言った

 

「筧・・・スミレだったわよね。ボルトのお姉ちゃんの日向ハナビよ」

 

 そうナチュラルスマイルで何か厳しい事言われるんじゃないかと思っていたスミレは慌てて頭を下げた。

 

「は、はい。筧スミレです!その·····」

 

「あ、うん。分かってるわ。ボルトの事、宜しくね。」

 

 ·····どの位の人達が自分達の交際の事を知っているのだろうかと2人は思ったがスミレはハナビの言葉が嬉しく頷いた

 

「はい!」

 

「・・・さっ、父様が待ってるわ」

 

 そう言って歩き出したハナビを2人は追った。流石に現当主の前にするのだから自主的に手を離した。そして屋敷を進んで行けば割と大きめな部屋に着いた。

 

「父様、連れて来たわよ」

 

 そんな厳かな雰囲気の部屋の奥には1人の男性がいた。現当主日向ヒアシ、ヒナタとハナビの父親である。ボルトはここで少し身構えた。ボルトの祖父ヒアシは孫が大好きな祖父である。それはもう疑いようも泣く。現にゴースト事件の最中訪ねた時はわざわざ玄関前で待っていてやって来たボルトとヒマワリに頬をすりすりしまくった。生まれた時からそんな風だったから少しボルトはヒアシ・・・そして似たような感じの反応をするハナビも少し苦手だったりする。しかしボルトは違う意味で今日は驚いた。いつもの孫煩悩な雰囲気では無く当主としての雰囲気だったからだ。

 

「座りなさい」

 

 ヒアシの前には2つ座布団がある。ハナビは縁側に座る。ボルトとスミレも顔を見合せた後正座した。ボルトはまさか孫煩悩の祖父が交際についてあれこれ言ってくるのかと思い思わず身構える。ヒアシはボルトを見た後スミレを見る。これがヒアシとスミレのファーストコンタクトである。そして射抜く様な視線をスミレに向けスミレは真正面からそれを受け止めた。

 

「初めまして。私が日向宗家、当主の日向ヒアシだ。」

 

 現当主としての名乗り、プライベートでは無く当主として今ここにいる。ボルトはうずまきの性だから忘れやすいが紛れもなく日向の血も入っており本人が望むなら努力次第では日向当主にもなれる人物だ。そしてそうなるかもしれないボルトと付き合うと言うことはスミレも日向の看板を背をわなければならぬという事。まあボルトは今の所当主になるつもりなんぞ皆無だから別に良いのだが。

 

「私は・・・筧スミレと言います。」

 

 スミレの自己紹介に頷き言い始めた。

 

「今日はいきなりで悪かったね。」

 

「い、いえ。大丈夫です。」

 

「ボルトとこれからも良き友、恋人であってくれ。」

 

「は、はい。」

 

 予想していた事よりも嬉しめな事を言われ思わずスミレは呆けた顔をしたが・・・或る意味の地獄はここからだった。今度ヒアシはボルトに向いた。

 

「ボルト、お前がスミレさんを大事にしているのはヒナタから聞いている。だが·····お前達は若すぎる。」

 

 ヒアシが現役の頃の時代は恋愛を周りでしている人は1割もいなかった。戦いの時生き残る為に修行等が普通で恋愛と言うよりお見合いの方が多かった。ヒアシがボルトと同い年の頃何て修行漬けの毎日で妻・・・ヒナタの母親とも恋愛結婚という訳では無かった。しかしヒアシは妻の事はヒアシなりに愛していた。それは絶対だ。

 それに比べて今の時代は平和だ。だからこそ、ボルトやスミレの様に恋愛するのも良いと思っている。だが・・・忍である2人だからこそヒアシは問う

 

「ボルト・・・お前はスミレさんか里、どちらかを取らなければならない時どうする?」

 

 その問いは2人の2人の胸を貫いた。2人は恋人であるのと同時に木の葉の忍、今は大国の戦争何て無いが小国はまだ戦いの火がちらほらある。極端な話そんな奴らがスミレを人質に取った時、ボルトはどうするのか?という問だ。忍なら·····情報漏洩を防ぐ為にスミレを見捨て殺すしかない。スミレは今や科学忍具研究に携わりはっきり言えばボルトよりもある意味で重要人物だ。ボルトもボルトで火影の息子だったり日向ヒアシの孫だったりでハイステータスだが木の葉の重要な事を知っているとは限らない。まだ中忍になったばかりだし。

 その点スミレは他里ではまだ発達していない科学忍具班にいてまだ少ないが科学忍具の情報も持っている。現にスミレよりも知識が豊富なカタスケは何者かに狙われまんまと科学忍具の情報を漏洩させてしまった。スミレがこれからも中枢に携わるようになれば今度はスミレがカタスケの二の舞になる事だってあるかもしれない。

 だがボルトに・・・そんな状況になったとしてもスミレを殺すなんて言う選択肢は無い。出来るはずがない。平和な時代に生まれ、自分を好きになってくれた人を殺すなんて事は出来ない。例えその時スミレが殺される事を望んだとしてもだ。仲間を大切にしない奴はクズ、ボルトもそう思っている。だから・・・ボルトの答えは

 

「そんなの・・・両方取るに決まってるってばさ!」

 

 そう親譲りの蒼い眼でヒアシに言い返した。ヒアシはそう返すだろうなとは思っていた。あの負けず嫌いのナルトの息子、ナルトとヒナタに同じ問いをしても同じ答えになるかもしれない。・・・今の火影としての立場がある時は分からないが。だからこそヒアシは言った。

 

「お前にそれをするだけの力と覚悟があるのか?」

 

 そう当主としての雰囲気を全開にしながら聞いた。忍の世界、どんなに理屈を捏ねても何かが出来なかった時無力さと後悔が襲いかかる。その時に言い訳なんて出来ない。言い訳なんてした所で意味なんて全くない。力不足、以上。それだけだ。そしてボルトはそれがよく分かっている。かぐらの時がそうだからだ。何かが違えば本気でかぐらは敵に·····ボルトの力不足でなっていたかもしれない。言葉に詰まったボルトをヒアシは厳しい眼で見る。ヒナタが見れば懐かしい雰囲気となるがボルトはこの視線を実質初めて受ける。雰囲気が堅苦しくなった時声を上げた人がいた

 

「ボルト君なら出来ます」

 

 そうスミレが言い切った。一同の視線がスミレに集まるがいつものおどおどしてる様子では無く毅然とした姿だ。その姿にボルトも惚けた顔をするがヒアシは特に変わらずに先を促す。ここから色々ぶっ飛んだ話になってしまう。

 

「・・・私はボルト君に里を・・・ヒナタさん達を取るか私を取るかその選択をさせました」

 

「ちょっ、スミレ!!」

 

 ボルトは慌てたがスミレは首を振って「良いの」と口パクで伝えた。今から話すのはオオノキにも話した事、本来は里の重要機密で軽々しく話していいことでは無い。

 

「私は・・・木の葉を潰そうとしました。」

 

 そんなあっさりとえぐい事をカミングアウトするスミレだがヒアシは黙って聞いた。スミレはこれを話したらボルトとの交際も終わってしまうかもしれない。だけど・・・ボルトはヒアシが思ってるよりもずっと立派な人なんだと知って欲しいのだ。

 

「里を潰そうとしている私の前に現れたボルト君に·····私は里を・・・家族を取るか、クラスメイトの私を取るか、その選択をさせました。」

 

 鵺·····体内に溜めたチャクラを自爆することによって敵陣地を壊滅させる事が出来る。サイ曰く反吐が出る程合理的なやり方でスミレもそう思っている。

 あの時スミレは自分をボルトが清々しく悪者にして忘れられるようにしようとしたがボルトはそんなスミレを止めて見せた。

 

「でも·····ボルト君は私を止めてくれました。私も・・・里も守ってみせました!」

 

 そう言い放つ、ハナビは割とヒヤヒヤしている所があるがヒアシは普通だ。

 

「ボルト君は無責任に言う人じゃありません!自分の言ったことは曲げない・・・ボルト君はそれが出来る人です!」

 

 そう言い切った。ボルトは確かに自分が思った事を割と普通に言う事がある。だがきちんとそれに向き合いそれが出来る。ボルトが悩む事が多いがボルトを見てきたスミレには分かる。分かるからこそ伝えたかった。伝えなければならなかった。ヒアシとスミレの視線が真ん中でぶつかる。そして数分経った時、ヒアシがふっと笑った。

 

「そうか・・・」

 

 そしてボルトを当主として・・・忍の先輩としても言う

 

「ボルト、これからも精進し、スミレさんの言葉を裏切らないようにするんだ。」

 

「・・・はい!」

 

 そうしたらヒアシの雰囲気は孫煩悩な雰囲気に戻り爆弾を言い放った

 

「それで2人は何時式を上げるのだ?」

 

 ·····完全に時間が止まった。ボルトとスミレは何を言われたのか一瞬分からなかった。しかし5秒程経った時2人して仲良く真っ赤になった。

 

「じじじ爺ちゃん!?」

 

「はわわわ!!!」

 

 スミレに関しては暴走しかけている。式とは言うまでもなく結婚式だ。しかしボルトとスミレはまだ13歳だ。それすらも忘れ孫に彼女が出来て嬉しかったのか思わず聞いたのかもしれない。色々暴走しかけている二人を見てハナビが助け舟を出した

 

「流石にそれは早いわよ父様。」

 

「む!そうか?」

 

「そうよ。どこに13歳で所帯を持っている人がいるのよ。」

 

 だがヒアシはそこで着物の下から何かを引っ張り出しハナビに言った

 

「しかし2人はこんな事をしているが?」

 

 その写真にハナビは唖然とした。ボルトとスミレは限界を超え真っ赤になった。2人して顔を隠した。

 

 それは雑誌だ。それも今日発売の。書店に行けばある。ハナビは任務完了してそのまま家に戻ってきたからその雑誌の事は知らなかったのだ。そして・・・

 

「ななな何よこれーっ!」

 

 ハナビも少し赤くなりながら言った。そこにあった写真とはボルトとスミレがタキシードとウエディングドレスを着ている。つまりスミレの誕生日に撮った雑誌の奴である。うずまき邸にはボルトとすれ違いで既に届いている。·····ってそういう事ではなくそれをヒアシが持っている事に唖然と羞恥が込み上げたのだ。ヒアシがそれを買っているなんて誰が思うのだろうか?そしてハナビがよくよく見ればスミレは指輪をしている。今目の前にいるスミレも指輪をしている。つまりそういう事である。いやまあ付き合ってるから良いんだが改めて突きつけられるとあれだが。

 

「だから儂はてっきりもう直ぐ式をあげるものだと・・・」

 

「ちちちち違うってばさ!」

 

「そ、それは頼まれたからで!」

 

 2人は早すぎる結婚前提で付き合っているが流石に13歳でする程馬鹿ではない。いや、結婚するのに馬鹿とかあるのか分からないが今はしない。それは確かである。

 因みに雑誌の売上は中忍試験の事で有名になった2人が効いたのか鰻登りである。羞恥のリミットブレイクをしているが気にしたら終わりである。多分。

 ボルトとスミレはその後かくかくしかじかと説明し漸く納得・・・何故か残念そうだったがして貰った。

 2人はその後日向邸を出た。もう夕日が出ているがスミレが最後に行きたい所があると言い2人は向かった。そこはゴースト事件の時、スミレがミツキと最初に戦った場所だ。里が一望出来る風景を見ながらボルトは聞いた。

 

「どうしてここに??」

 

「忘れちゃダメだって、思ってるから。」

 

 スミレはこの場所によく来る。来てあの時の事を思い出す。それはボルトに言った通り忘れない為

 

「ボルト君の彼女になっても私の過去が変わる訳じゃない。私はずっとあの罪を背負ってく。・・・私嬉しかった。ボルト君の周りも、お義父さん達も受け入れてくれて。でも・・・それと同時に私がボルト君の隣にいていいのか・・・そう思う事がよくあるんだ。」

 

 ボルトは良いに決まってると言おうと近づいたがスミレは景色を見ながら首を振った。

 

「分かってる。きっとボルト君は・・・ボルト君達は良いって言ってくれる。そんなボルト君達に私は感謝してもしきれない。」

 

 それはスミレの紛れもない本心だ。本当ならば罵倒され、殺されても文句は言えない。例え父親の洗脳を受けていたとしてもだ。全員体調が戻ったから良かったものの何かが違えばスミレは誰かを殺していたかもしれない。それはデンキやメタルだったかもしれない。スミレは今そんな事を考えれば手が震えもう片方の手で抑える。

 

「私にはボルト君を好きでいる資格も・・・本当はないのかもしれない。」

 

 火影の息子と付き合う・・・それは対外的に色々ハイリスクである。何かの拍子にスミレの過去がバレた時、ナルトの政権が揺らぐかもしれない。だからシカマルも最初は割と不安だった。だからゴースト事件・・・もっと言えばスミレの過去の資料を更に厳重に1人で保管した。ナルトにも黙ってだ。敵を騙すなら先ず味方からである。そういう訳でスミレは自分の資料が厳重になっているのは知らないが最悪の場合も考える。考えるからこそ不安になる。ボルトやナルトの為ならば本当は別れた方がいい。

 

「でも・・・自分でも私がこんなに強欲とは思わなかった。」

 

 ボルトとデートする時、スミレが住んでたアパートとキスしあった時、ボルトを自分のものにしたい・・・そんな独占欲が出てしまった事は覚えている。

 スミレは振り返りボルトを見た。その紫色の瞳をボルトは見つめ返す。そしてボルトは言った

 

「スミレの罪は俺の罪だってばさ」

 

 その言葉にスミレは思いっきり目を見開いた。何故自分の罪がボルトの罪になるのか全く分からないからだ。確かにボルトと自分は同じクラスメイトだったし自分から突っ込んでいきゴースト事件の当事者だ。でも・・・だからと言ってボルトに罪があるとは思えない。寧ろ自分を止めてくれた事に感謝している。ボルトは自分の右眼をそっと触った。

 

「俺には鵺の影が見えた。・・・だからやろうと思えばスミレをもっと早く止められた筈何だ」

 

 スミレは先程から目を見開きっぱなしだ。確かにボルトにはどういう訳か異界から伸びてくる鵺が見えていた。スミレはわざわざカゲマサにとりつかせ様子を見るまでしたのだ。だけど・・・それでボルトが責任を感じる必要はないと思っている。スミレは見つからないように鵺を取り憑かせていたのだから。

 

「スミレにあれ以上の苦しみを与えないで済んだかもしれない。スミレの事をちゃんと見とけば良かったかもしれない。」

 

 それはどれもはっきり言えば結果論だ。ボルトはスミレが犯人だとは全く思っておらずミツキ、そしてスミレ自身に言われるまで分からなかった。だが・・・ゴーストを見る事が出来るというアドバンテージはあった。それを使いスミレが犯人だと早く分かり説得を早く出来ていれば良かったかもしれない。言い出したらキリがない。だけど·····それ位あの時の自分を後悔しているのだ。

 スミレはボルトは悪くないと言おうとしたがその前に抱擁された

 

「スミレがどう思ってるかじゃない。・・・俺はあの時・・・スミレをもっと早く助けられなかった。スミレの罪が見えていた筈なのに・・・助けられなかった」

 

 自分にしか見えない悪い現象、それに被害が出て本人も心の傷を負っていく。自分も止められなかったという罪悪感が出る。

 

「だから·····お互い様だってばさ」

 

 そう少し笑って言った。こうなればボルトは頑なに首は振らない。頑固である。スミレは何も言わずにボルトを抱き返した。夕暮れはいつの間にか終わり里はライトアップされそんな里をバックライトに2人は長く抱擁し合っていた

 

 

 

 

 ★★★★★

 

 

 

 

 2人はうずまき邸に帰ってきた後いつも通りスミレとヒナタ、ヒマワリが作る晩御飯を食べ順番にお風呂に入って歯磨きした後に幾らか世間話をした後寝る時間になりそれぞれの部屋に行った。行ったのだが·····

 暗い廊下を静かに渡り・・・ボルトの部屋に来てゆっくりとドアを開けたのはスミレだった。紫色のスプライトのパジャマである。そしてボルトは思いっきり声をあげそうになったがスミレがしーっとして口を抑えた

 

「その・・・一緒に寝ても良いかな?」

 

 そう暗がりの中羞恥の顔だが枕をぎゅっとしながら言った。ボルトに拒否する理由などなく

 

「お、おう。でも少し狭いぞ?」

 

「うん。大丈夫」

 

 そう言ってボルトのシングルベットにいそいそとスミレは入った。シングルだからそりゃあ肌と肌が触れ合う訳で・・・

 

「その・・・寝にくくないか?」

 

 とボルトはスミレの肌の感触に赤くなりながら言う。因みにボルトの格好はスミレの誕生日プレゼントのパジャマである。スミレはボルトに顔を向けながら言った

 

「ボルト君は眠りにくい?」

 

「い、いやそういう訳では無いけど・・・」

 

 そう言えばスミレは布団の中で動きボルトに抱きついた。そんな積極的なスミレに赤くなりまくるがボルトもスミレを抱き返す。余計に触れ合っているが・・・それが心地良くなっていく。スミレが顔を自分の方に向けているのを見てボルトはそっとスミレの唇に自分のを重ねスミレは目を閉じて受け入れた。何時もとは何となく違う感じがする。そして離れれば照れくさく互いのおでこをくっ付け眠りに落ちたのだった

 




お疲れ様ですm(*_ _)m
ボルト、スミレとイチャイチャ出来ない残念エネルギーを修行に使ってたからゲマキは知らない設定。ただしサスケのカードの存在は知った。
あっくんの説明。ただあれはご都合主義に見える笑。
ボルトの初任務はダイジェスト。
それから科学忍具班も早めに始動。カタスケがアニメ程やらかさなかったから。
ボルトの罪云々は完全にボルトの屁理屈。でも譲らないのはスミレにはよく分かっているから何も言わずにナチュラルイチャイチャ。
休ませる為のデートだけど日向邸に行ってしまう。いや、何か矛盾してるなぁとは思いつつも書いてみたかった。(´•̥ω•̥`)<スイマセン!!

アンケートします。タイムスリップ編でスミレを連れていくか行かないかです。正直これはめちゃくちゃ悩んでいます。今まではスミレが入る余地が全然あったんですがタイムスリップ編はボルトとナルトが完全に主軸なんでやろうと思えば出来ますが念の為にアンケートします。まあ一緒にタイムスリップすれば色々カオスになりそうなのは何か面白そうとは思う。

(*´∇`)ノ ではでは~


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守鶴輸送大作戦!

おはようございますm(*_ _)m。
今回からタイムスリップ編までダイジェストではなく普通に進行にします(そうしないとアニメに追いついてしまう)
そういう訳で守鶴を木の葉に運ぶ編です。どぞ(っ´∀`)っ


 いつも通りの喧騒の中にある木の葉隠れ。最早同期達の集まり場になった雷バーガーにボルト達はそれぞれの任務を終えて集まって休んでいた。そんな彼らの話題は明日からある久しぶりの連休についてだ。

 

「私とサラダは3泊4日の蟹ざんまいのグルメツアー!いのじんは?」

 

「父さんも休みだから釣りに行くよ。シカダイは?」

 

「風の国にある母ちゃんの実家に行かなきゃ行けねえんだ」

 

 そうげっそりしている。シカダイは木の葉のNo.2の息子でもあるが砂隠れの里のNo.1の甥でもある。そして複雑な家庭環境故にシカダイは風の国にあんまり行きたくないのだ。その反対側ではボルトが頬をついてる

 

「俺も爺ちゃん達とキャンプに行く事が決まってさ。あーあ!サスケさんに修行つけてもらいたかったな!」

 

 そうやけ食いのようにハンバーガーを喰らい始めた。ボルトが少し不満げなのはサスケに稽古をつけて貰えないのもそうだが祖父の日向ヒアシが少し苦手なのだ。この前彼女であるスミレを連れて行った時は威厳が半端なかったのにやはり途中で孫煩悩なそれに変わりスミレにもその様を見せた。

 

「まだ返事ねえの?」

 

「サスケさん連絡する時は鷹を飛ばすって言ってたからずーっと待ってんのにさ」

 

 そこでサラダが呆れた目を向けながら言う。曰くパパがどこで何してるのかも分からないのにそんな約束を守ると思う?と。一年中キャンプしてる人とも。父親に辛辣である。流石早すぎる反抗期を終えた人だ。

 

「それがいいんだよ!里になんか縛られずに世界中を飛び回って陰から火影を支える。それってかっけぇよ」

 

 良い意味でも悪い意味でも現代っ子らしいボルトの言葉である。しかしその根底にあるのは夢を持ち強くなりたいという忍の本質である。そこでサラダは思い出したように聞いた

 

「あんたスミレと一緒にキャンプに行けるんだから喜ぶべきなんじゃないの?」

 

 そう、スミレがボルトの居候しているのは最早周知の事実だ。次いでに言うならここにいる奴らは殆どがあのウエディング雑誌を見た·····と言うよりも本屋の店頭にあったから知っている。2人がそれで羞恥したのは言うまでもなく。この2人のイチャイチャ具合もサラダやシカダイ達は漸く慣れ始めた。·····シカダイ達に見せていたのは1割のイチャイチャ度もないのだが。

 

「スミレはカタスケ先生と砂隠れに技術提供しに行く為の手伝いなんだと」

 

 スミレはキャンプには行けない。風の国は貧困だ。だからこそ低金でリスクを低くしリターンを多くする為の方法を探し続けている。同盟国である木の葉がその助けになるかもしれない技術を提供しに行くのである。スミレはその為の手伝いだ。スミレの他には犬塚アキタと呼ばれるカタスケの助手も行く。だからスミレはキャンプには行けない。今回働いた分は後から振り返りで休める事にはなっているが。スミレがキャンプに行けないと知ったヒマワリはめちゃくちゃ寂しそうな顔をしたが兄よりかは物分りがいいのか不承不承頷いた。発表自体は砂隠れに着いて2日後だがスミレ達は早めに現地入りする事になっている。だからもう明日には砂隠れに向かうのだ。

 ボルト達は解散してボルトは里をぶらぶらし始める。確かにスミレと一緒ならキャンプに行くのもやぶ蛇では無いのだがスミレも行かないということでテンションが下がってる。どうしようかなぁと思っていたら空を飛んでいる鷹を見つけた。その鷹はサスケのものだった。

 

「あれはサスケさんの·····」

 

 そう呟けばボルトは鷹が行った火影屋敷まで走った。やはり鷹はサスケのものだったようで何やら連絡があったようだ。鷹は賢くベルを鳴らし忍に迎えに来させて連絡の手紙を届け待っていた。ボルトはその鷹の鍵を外し鷹に撹乱させて連絡を受けサスケの居場所を掴んだ。3日後砂隠れの里の外れに来るようだ。ボルトはさっさと火影屋敷を退散して夕日が出ている里を歩きながら確か午前中の電車でスミレは砂隠れに行くと言ってたなと思い出した。だが·····正直同じ電車に乗るのは悩む。ただでさえヒマワリはスミレが行かない事を寂しく思っているのにその上自分も行かないとなれば·····。それをスミレが知ればどうなるのか全くの未知数だ。

 そう考えながら帰路に着いた。

 

 翌日ボルトは眠い目をこすりながらリビングにやって来てスミレがいない事に気がついた。

 

(ま、まさかもう行ったのか?)

 

 そう不安になるがその様子を出さまいとして朝食を食べる。そしてヒナタとヒマワリにミツキと合宿するからキャンプには行けないと言う。

 

『ヒマ 忍には日々の練習の積み重ねが大事なんだ。わかってくれ』

 

「おじいちゃん悲しむよ」

 

『兄ちゃんもつらいんだ。けどじいちゃんならわかってくれるさ』

 

 確かにヒアシは現役の時代が時代だから分かってはくれるだろう。しかし理解と感情は別物なのはボルトには分からなかった。結局ボルトは嘘を突き通した。スミレが居れば普通に怪しまれたがスミレはもう出発してしまっていた。ボルトがすやすや寝てたからスミレも起こさなかったのだ。ただ少し会えなくなるから頬にキスはして行った。誰も見てなかったのをいいことに。

 

「一緒に行きたかった!」

 

「また今度な〜!」

 

 そしてヒマワリ達が見えなくなればボルトは駅まで走った。だが間に合わなかった。一方スミレはカタスケとアキタと一緒に電車にいたが見知った顔がいて声をかけに行った

 

「シカダイ君?」

 

「ん?よう委員長。そっか。ボルトが砂隠れにって言ってたな」

 

 風の国に行くシカダイと母親のテマリだった。同期がいてスミレは少し安心した。乗り遅れたボルトが貨物車にいる事を知らずに。ボルトはスミレ達が乗っている電車には間に合わなかったが丁度風の国に行く貨物車を見つけボルトはそれに乗った。ミツキが失踪した時のように里は緊急事態になっている訳でもないから里抜けの罪はない。

 

「寒い〜!」

 

 とボルトは暖房も何も無い貨物車で凍えていた。スミレとシカダイが居る電車は暖房がついてて暖かい。ボルトはスミレがいれば抱き合って暖を取るのにとか思っていた。そして翌日ボルトは貨物車を降りた。そこがサスケの来る場所だと思ったからだ。

 

「げっ!もう一駅先かよ!」

 

 とボルトは思わず叫んだ。場所が見事に間違っていたのだ。ボルトは日が照ってる中電車の線路を辿りもう一駅先を目指していた。しかし風の国の環境はやたらと暑く足場も砂漠に近いから体力も水分なくなっていく。持ってきていた水も底をついた。オオノキには水筒の作り方は教わったが水の取り方は教わらなかった。

 

「サスケさんに会うまでは·····」

 

 それ以上言葉は続かなかった。

 

 

 ★★★★★

 

 

 ボルトは見知らぬ天井を見上げ目を覚ました。少し頭がクラクラするが何とか起き上がれば自分にかけられていた布が落ちる。それと同時に少女が安堵した顔で寄ってきた

 

「良かった〜!目が覚めたんだ。」

 

 ボルトは立ち上がりながらキョロキョロと周りを見てここは何処なんだ?と聞く。少女は自分とお父さんの家と答える。

 

「私イサゴ。」

 

「俺はボルト。俺どれくらい寝てたんだ?」

 

 外を見れば自分が倒れた時と同じ位の温度と気候だった。もしかしたら少しだけ倒れていたのかもしれない。そんな望みを期待したが答えは丸一日だった。つまり1日タイムロスだ。確かサスケが連絡をしてくる時間は当時から4日後。貨物車の中で1日過ごして1日倒れていたのならあと1日しかない事になる。ボルトは直ぐにでも行こうと電車の駅までの距離を聞いたが今から出たら夕方になってしまうと返された。そしてイサゴにもう一日泊まっていけば?と言われる。そんな時大柄の髭を生やしたイサゴの父親·····ゴジョウが顔を覗かせる

 

「起きたか」

 

「あの、俺」

 

「起きたのなら帰れ」

 

 ·····辛辣であるがきちんと理由がある。

 

「怒らないで、父さん忍者嫌いなんだ」

 

 忍者が嫌い·····そんな人はボルトが知らないだけで割といる。戦争の時など何にも罪がない村などが戦地になってしまう事などあったからだ。ボルトはそんなゴジョウの元に来た。ゴジョウは自分の畑の柵を作っていた。そんなゴジョウの背中にボルトは声をかける

 

『動物が畑を荒らすのか?俺にも手伝わせてくれ』

 

「断る。忍に手を借りる気はない」

 

 やはり辛辣である。だがボルトは少し顔を顰めただけで気にせずに続ける

 

『どうして誰もいないとこで暮らしてんの?イサゴも友達いなくてつまんなそうだったぜ』

 

 これはボルトの本心だ。イサゴはボルトが同い年っぽい事に気がつけば嬉しそうに遊び相手発見!みたいな感じでせがんだ。それがボルトには少し可哀想に見えたのだ。ボルトには友達が沢山いる。この歳で言うのもあれだが愛してる人もいる。だが見た所イサゴにはそんな人はいない。それがボルトには可哀想と思ったのだ。ゴジョウは背中を見せていたがボルトの言葉を聞き立ち上がりながら言った

 

「お前、その歳では第四次忍界大戦は知るまい」

 

 ボルトの同期はイワベエ以外は13歳だ。忍界大戦が終わったのは修学旅行の時で15年前。ボルトが産まれる前だ。だがボルトは父と母からよく聞かされる。ヒナタの従兄のネジの死、火影を目指したかったナルトの師のカカシの同期の話。スミレに関してもある意味第四次忍界大戦で運命が決まってしまったと言っても過言ではない。その運命をひっくり返してスミレはボルトの隣にいてくれる。

 

「ひどい戦争だった。俺がいた村は焼き払われてな。それも敵ではなく味方にだ」

 

『なんだって!?』

 

 民間人を、世界を守る為の戦いなのにその民間人の幸せを奪っていたと聞いてボルトは思わず叫んだ。

 

「敵が隠れそうな場所を先に潰しておく。俺の村を焼いた忍はそう言っていた。本陣を守るためにはしかたのない犠牲だったそうだ。大きな目的のためなら小さな犠牲は目をつぶる。忍の考えそうなことだ」

 

 確かにそれは合理的なのかもしれない。焼いた忍は勝つ為の策だと思ってるのかもしれない。だがそこの人達の気持ちは考えもしない。

 

「俺はそんな考えしないってばさ!」

 

 ボルトは叫ぶ。確かにボルトは戦争が終わった後の平和な時代に生きている。だから当時と比べれば甘いかもしれない。だがその甘さこそがボルトの美点だ。味方から犠牲者を出さない為、誰も犠牲にさせたくない。それはボルトが持っている考えだ。スミレも、かぐらだってそうだ。だがゴジョウはそんな事は知らないからまたまた辛辣に返す

 

「どうかな…?いざとなれば人は変わる。イサゴには同じ思いはさせん。それがここに住む理由だ。」

 

 ボルトを知っている人が聞けばボルトの言葉は本当と分かるのだが。ボルトは結局イサゴの勧めで泊まることになり夜はイサゴと懐かしの忍バウトで遊んだ。だが·····連敗した。不覚。そんな時に警報ベルが鳴り響いた。ゴジョウとボルトが外に出ると先程ゴジョウが張っていた柵が何者かに壊されていた。ゴジョウ曰く発電所をここら辺に作るから立ち退けという嫌がらせだ。そんなこんなでとうとう朝になりボルトはゴジョウの家を出た。イサゴが残念そうに言う

 

「もう一日泊まっていけばいいのに!ボルトのイジワル!」

 

「おいおい·····おっちゃんもありがとな!」

 

 とゴジョウにも言ったのだがゴジョウはそれを無視する。ボルトは何となく予想はしていたがやはりされたら少し傷つく。

 ボルトはその後電車の駅目指し走り始めた。水も水筒にチャージしといたから問題ない。だがこのままいけば少し遅れる。そんな焦りが出ていた時ボルトは怪しい3人組を見つけた。隠れて様子を見てみると1人が生えていた草に何かをふっかけた。そうすればその草が急速に枯れた。

 

「ヒャハハハ!この除草剤すげぇ威力だ!」

 

「これであの親子も立ち退きますねアニキ」

 

 親子、立ち退く。このワードでこの3人がどんな人物なのか分かったボルトは3人組が走って行った方向にまた逆戻りした。そうすればやはり発電所の連中らしく卑劣にもイサゴを人質に取り立ち退かせようとしていた。ゴジョウはイサゴの命には変えられないと立ち退きを認めようとした。だが3人組は元々約束なんぞ守るつもりは無い

 

「まんまと信じてやがる。哀れだねえ田舎者は。」

 

「つまり全部でっち上げって事だな」

 

 だからナチュラルにボルトに聞かれた。全然·····発電所を建てることも全てだ。この3人はただこの親子の生活を奪いたかったのだ。動機は知らん。

 3人組はボルトの方に目を向けた。その時イサゴは自分を人質にしている奴の指を思いっきり噛んだ。

 

「ぐあああ!!」

 

 ボルトはその間に自分の手の中に螺旋丸を作り掲げながら言い放つ

 

「この事我愛羅のおっちゃんに言ったって良いんだぜ!?」

 

「デタラメ抜かすな!」

 

 ボルトはそれを聞いてもにっとしながらその螺旋丸を3人組にぶつけようと振りかぶり·····

 

「これで済んだと思うなよー〜っ!」

 

 安定の捨て台詞を吐き3人組は見事に退散して行った。弱い犬ほどよく吠えるとはよく言ったものだ。ゴジョウはボルトに近寄り聞いた

 

「なんで戻ってきてくれたんだ?」

 

『たまたまあのゴロツキたちを見ちゃって。ゴジョウさんたちは大丈夫だったか?』

 

 それを聞いてもゴジョウは無言だったがイサゴが逆に聞いてきた

 

「我愛羅様と知り合いだったの?」

 

 我愛羅·····砂隠れの里の5代目風影。今の五影の中では1番長く影を務めている。ナルトの親友で親友のシカダイの叔父に当たる人だ。だからボルトの答えは

 

「まあ…知り合いの知り合い?」

 

 確かにナルトにしてもシカダイにしても知り合いの知り合いだから間違ってはいない。その後イサゴは電車に間に合わない事に気がついた。ボルトは見てたらほっとけなかったから戻ってきたんだと言いサスケに会う事を半ば諦めた。その時ゴジョウがボルトに着いて来いと言いボルトはついて行きゴジョウはある布が覆いかぶさっている物体の前に立った。そしてその布を取ると何とそこにあったのはトロッコだった。曰く戦いに巻き込まれそうになった時イサゴを逃がす為の物だったようだ。ゴジョウはボルトにこれを使えと言った

 

「サンキューだってばさ!!」

 

 ボルトは有難くトロッコに乗り漕ぎ始め途中から風遁も使いトロッコとは思えない超加速を始めた。トロッコは電車の線路に繋がっており電車を乗り継げば目的地に着けるはずだとゴジョウは言った。その言葉通りボルトは目的の駅まで到着した。そして目的地に向かう途中に見覚えのある黒炎を見つけた。ボルトはその黒炎のある方向に走った。そうして見えてきたのは

 

「サスケさん!?」

 

 既に万華鏡写輪眼のサスケと風影の我愛羅。そして対峙しているのは肌がやたらと白く赤い釣竿を持っている男と傀儡達だった。

 

「ボルト!?」

 

 サスケは本気で驚いた。今ここでいるはずのないボルトが最悪なタイミングで来ているのだから。ボルトは釣竿の男がモモシキ達に似ている事に気がついた。つまりこいつは

 

「大筒木·····」

 

「ボルト逃げろ!」

 

 今のボルトでは重い相手だ。ボルトを庇いながら戦える相手では無い。そう考えての判断だ。だがそんな事を言っている間にも傀儡の集団がボルトに接近する。サスケはボルトを庇おうとしたがボルトは冷や汗を出しながらも好戦的な笑みを浮かべながら傀儡の集団を迎え撃った。

 

「俺を甘く見るなってばさ!」

 

 1人目、右ストレートで殴ろうとしていたが手の甲で受け流すのと同時に足払いを仕掛け転けさせクナイを用意する

 2人目、刀を振り下ろす。ボルトは背面にクナイを逆手に持ちながらぶつけ振り向くのと同時に弾いて膝蹴りを入れて吹き飛ばす。

 3人目、刀を突き刺そうとしてきたがボルトは影分身を出しその分身に刀を逸らさせ本体ボルトは掌底を食らわし吹き飛ばした。

 そうしていたら1人目の傀儡が起き上がり本体ボルトを殴ろうとしたが先程出した影分身が間に入りその傀儡を吹き飛ばした。

 

「ほお〜、やりますね。トネリさんの傀儡を簡単にいなすとは。」

 

「トネリって誰だよ!」

 

 とボルトは思わず叫ぶ。

 

「貴方には関係ない·····事も無いですが貴方に用はありません。先ずは本命の前にうちはと風影のチャクラを貰いましょうか!」

 

「舐めるな!」

 

 そう叫びサスケは釣竿の男·····ウラシキに飛んだ。だがその瞬間にウラシキの目が白眼の様な白目じゃなくサスケの様な輪廻眼に変化し飛んでいたサスケの目の前に真っ暗な異空間の扉が開きサスケはまんまとその扉に入ってしまった。

 

「甘いんだよ!」

 

 そう堅気な声で言い放つ。師匠がどこかにやられたのを見てボルトは黙っていられず突撃しようとしたが我愛羅が砂で突撃しているボルトを拘束し岩に押さえつけた。確かにボルトは今傀儡を相手に寄せ付けない戦いをした。だが大筒木はそれだけじゃ駄目だ。ボルトは案の定離せ!と言うが我愛羅は離さずにウラシキと交戦し始めた。その時何やらボルトには見覚えのある砂鉄がうようよいるのが見えた。そうしていたら離れた所にいた中忍試験決勝でボルト達が戦ったシンキが砂鉄の翼を広げてやってきた。それと同時に隠されていた一尾·····守鶴が出てきた。

 

「ほお〜、これが尾獣ですか」

 

 呑気な事を言っているウラシキに守鶴は尾獣玉を放つ。だがウラシキは簡単に躱す。我愛羅はそんなウラシキを拘束しようと砂をウラシキに向ける。だがウラシキは華麗に避けていき守鶴の攻撃も避けている。しかし我愛羅の方が1枚上手でウラシキを拘束する事に成功しウラシキの上から大量の砂がピラミッド型に覆いかぶさっていく

 

「砂瀑大送葬!!」

 

 ウラシキはまんまとやられた事を理解しながらも余裕の笑みは崩さずに

 

「今は捕まっていてあげましょう。」

 

 その言葉を最後にウラシキは封印されたのだった。しかし我愛羅も限界で倒れた。その後守鶴を護衛していた我愛羅の腹心のカンクロウやシンキと同じ仲間のヨド、アラヤが来て状況を整理。我愛羅達がここに居たのはサスケにウラシキが守鶴を狙ってるという情報を聞き守鶴を隠していたが予想よりも早く来て交戦していたのだ。

 そして我愛羅はシンキから何か茶釜に似た何かを受け取り守鶴に近寄り声をかける。曰く大筒木の封印はじきに破られる。そして守鶴のチャクラを感知出来るからそれを止める為にはこの茶釜に封印するしかない。守鶴は我愛羅が今の状態で封印術を使えば死ぬぞと言ったが我愛羅は安い犠牲だと言い放つ。守鶴は化けて出られたら嫌だから今回は自分から入ってやるというツンデレ発言をしながら茶釜に入った。

 

「カンクロウ、守鶴を木の葉にまで届けてくれ。」

 

 曰くナルトに保護してもらおうという事だ。その為にカンクロウは応援を呼ぶか?と言ったがそれでは時間がかかる。その時ボルトがいい事思いついたって感じで自分の指を噛んで血を出し印を組んだ。余程の緊急事態では無い限り呼ぶのは躊躇うが今は緊急事態だと言い訳する。

 

「口寄せの術!」

 

 そうして出てきたのは鵺だった。鵺はどうしたお前?的な表情で見てくるし我愛羅達も何故?となっているがボルトはペンと紙を出して簡潔に今の現状を書いた。そして我愛羅にサインして貰い鵺の闇色のチャクラに掴ませ言った

 

「鵺、砂隠れにいるスミレにこれを届けてくれ。出来るならテマリおばさんにも伝えて欲しいってばさ。」

 

「ぬえー!」

 

 そう吠えた後に一旦異界に帰った。何故ボルトが鵺をナチュラルに口寄せ出来るのかと言うと知らない間に口寄せ契約をしていたのだ。恐らく中忍試験の時にボルトが口寄せした時にだろう。ただスミレの様に牛頭天王がある訳ではないからボルトの能力によって大きくなるということは無い。未だにそこはスミレの力量次第だ。その後ボルト、シンキ、カンクロウは木の葉に目指す事にした。シンキは連携を考えるならばアラヤとヨドが良いと言うが我愛羅はやんわりと拒否し木の葉の地理を知っているボルトが必要と言う。そしてシンキにないものをボルトは持っているとも。シンキはそれで不勝負しよ頷き3人はさあ向かおう!という所で守鶴を封印した茶釜から小さくなった守鶴が出てボルトが唖然とした。

 

「肩苦しいのはやだやだ」

 

 そう言いながら守鶴はボルトの肩に乗った。その後3人は木の葉に向けて走り始めたのだった。

 

 ★★★★★

 

 一方、砂隠れの電車の駅にスミレやカタスケ達は向かっていた。スミレの格好は任務服のそれだ。違うのは額当てを外しているという事だけだ。技術提供自体は恐らく上手くいった。スミレも実演に協力した。だから任務服なのだ。あのワンピースでは動きにくい。今日で砂隠れから帰る。だから電車の駅に向かってるし目の前に見えてきた。しかしその駅の屋上に何やら見知った顔を見かけカタスケ達に一言言って跳躍した。

 

「シカダイ君、テマリさん!」

 

 そう言えば親子は振り返った。その顔は何故か険しかった。曰く風影の我愛羅と腹心のカンクロウ、それにシンキとヨドとアラヤ達とボルトの師匠のうちはサスケが何と大筒木に狙われている一尾の守鶴を守りに行っているというそうだ。だが待てど待てども一行が戻ってこない。そんな色々ぶっ飛んでると感じてるスミレの手にチャクラを感じた。見てみれば鵺との口寄せ契約の印が光っている。鵺からの呼び出しとは何だ?となりながらスミレは口寄せした。そうして出てきたのはミニ鵺である。その鵺の闇色のチャクラに何か挟まっている。何だろうとスミレは手に取り読んで·····唖然とした。

 

「どうしたんだい?」

 

 テマリが唖然としているスミレに聞いた。スミレは口で言うのも難しいからそのまま見せた。テマリはその手紙を読み険しく顔を顰めた。手紙はボルトからで大筒木との交戦とサスケが行方不明になったこと。大筒木を取り敢えず封印したがじきに解かれるという事。守鶴を茶釜に封印し木の葉へ向かう事など。きちんと我愛羅のサインまである。テマリはスミレからペンを借り自分のサインも入れてスミレに返しながら言った

 

「これを風影屋敷に持って来な。応援を呼ぶんだ。」

 

 スミレとしてはボルトが木の葉に向かってるのならそっちに行きたいが応援を呼ぶ必要があるのも事実。木の葉への連絡も含めてだ。スミレは少し悩み頷きその手紙を受け取った。テマリは今は木の葉に嫁いでいるがそれでも風影の姉という事は変わらない。その姉と風影本人のサインがあれば直ぐに動いてくれるだろうという判断だ。テマリとシカダイはスミレに渡した後直ぐにボルト達を追った。スミレは屋上から降りてカタスケ達に事情を説明し風影屋敷を目指した。そして着いたら門番の人に手紙を見せて事情を説明、自分の木の葉の忍という事も教え信ぴょう性を増した。連絡など諸々砂の忍に任せスミレはカタスケに寄った

 

「行くんですね?」

 

「はい!」

 

 スミレはそう言いながら自分の額当てをカチューシャの様に結んでつけた。スミレがそうしていたらカタスケはゴソゴソと何やら何個かの科学忍具を渡した。スミレの見覚えのある科学忍具だ。自然治癒力を高めた泡状のものを出せるスプレー。そして己のチャクラを刃とするチャクラ刀だ。だがスミレはそれに微妙な反応をした。確かに攻撃力は抜群なのだがそれ以上に決定的な弱点があるのだ

 

「分かっています。しかしどんなものも使い方次第。こんなものでも役に立つかもしれませんよ?」

 

 確かにそうだ。かもしれないで物事を決めるのは科学者失格だ。スミレはそう思いそのチャクラ刀を受け取った。スミレが微妙な反応をしたのはこのチャクラ刀は確かにチャクラを刃に出来るのだが刃にする為のチャクラを吸収しまくってしまうのだ。だからボルトの父親のナルトが当たりが持てばまだ良いがチャクラ量が少ない人が持つと相手を切る前にダウンしてしまう。現段階では所謂欠陥品だ。でも…どんなものも使い方次第だ。スミレは実演の為に持ってきてはいたが数は少ないクナイや手裏剣が入っているポーチにそれらを出しやすいようにして入れた。そして忘れ物がないのを確認し鵺を肩に乗せながら言った

 

「行ってきます!」

 

 鵺にボルトのチャクラを感知させスミレは最短距離でボルトの所に向かうのだった。

 

 ★★★★★

 

 ボルト達はその頃風の国の砂漠を走っていた。ボルトは慣れない砂漠を走って体力が奪われていくがシンキに負けたくなく走る。ボルトの鵺の伝言が無かったら砂隠れが試しに作って上手くいかなかった発電所に立ち寄り木の葉への連絡手段を試そうと思っていたがボルトが呼んだ鵺のおかげでその手間が省けた。シンキは鵺に任せてもいいのか?と半信半疑だったがそんな事を言っている状況では無いので鵺を信じ走り始めた。だがボルトがとうとう息を切らし始めたのを見てカンクロウが休憩しようと言う。

 

「俺は大丈夫だってばさ!」

 

「無理は良くないじゃん?」

 

 至極当然の事を返されぐうの音も出ない。ボルトは渋々水筒を取りだし飲む。そして今更の様にスミレの事を考えた。スミレ宛の手紙を鵺に任せたがあれを見てスミレが来る可能性はあるのだろうか?·····自分がスミレなら絶対に来る。忍の前に彼氏が危険な所にいるのならスミレは来るだろうと思った。素直に帰ってはくれないよなぁとなった。

 そして暫く休憩をしていたらシンキがいない事に気が付き聞いた。

 

「おっちゃん、シンキは?」

 

「シンキは水を汲みに行った」

 

「あいつも水を飲むんだな」

 

 結構失礼な態度だがカンクロウは気にせず答える

 

「当たり前だ。あいつも人間何だからな。」

 

 ボルトはシンキに色々思う事があるのをカンクロウは気づいている。シンキは共に走ってる途中ボルトに遅れるな!やら本当にあの獣に任せていいのか?等など、知らないからこその疑問を意識はしてないのかもしれないが人が聞けば割と馬鹿にしてる声色に聞こえる声で言ってくる。もう少し優しく言えないのかとボルトは思ったのだ。自分が足を引っ張っている事は分かっている。シンキ達は正真正銘風の国で生まれて生きてきたからこんな砂漠を走ってる位なら訳ないがボルトは違う。立地もしっかりしている場所で生活していたから慣れていない。だから砂漠に足を取られ余計な体力を使ってしまう。

 

「シンキも口下手だからな。だけど、優しく言われないと出来ないのか?」

 

 ·····ボルトはその言葉を返せなかった。そんな時シンキがやってきてカンクロウに言う。

 

「叔父上何かが接近してきます」

 

「追ってか」

 

 その言葉と同時にボルト達の前に現れたのはあのウラシキ達が連れて来ていた傀儡達だった。そしてカンクロウは前に出た。

 

「あいつらは傀儡、俺は傀儡のスペシャリスト。負ける道理はないじゃん!」

 

 だからお前達は早く木の葉に行けという事だ。ボルトは反対した。全員で片付ければいいと。だがカンクロウはいけ!と言いシンキも行くぞと言い放ちボルトは不承不承頷きシンキの後を追った。

 

「カンクロウさん大丈夫なのかよ!」

 

 砂鉄を身にまといながらシンキは振り向きもせずに答える

 

「問題ない。おじ上の傀儡術は多数の敵相手に真価を発揮する。むしろ俺たちがいた方が邪魔になる。先を急ぐぞ。俺たちが果たすべき役目は守鶴様を守り抜くこと。命に代えてもな」

 

『フン…』

 

 だがボルトはまだ納得の言っていない顔だった。そして2人は少し走り続けその時何やらガタッと音がしシンキは思わず砂鉄の手を向けた。だがそれはただのトカゲだった。

 

「冷静沈着なエリート様でも間違える事があるんだな。そんなに気張ってちゃ木の葉まで持たないぜ」

 

「後先を考えないお前と一緒にするな。チャクラの配分は計算済みだ」

 

 シンキは中忍試験の際ボルトに負けた。今でも何で負けたのか分からない。無謀で取るに足らない下級忍者だと思っていたボルトに負けた。そしてボルトはその後大筒木という強大な敵に立ち向かって行った。その後からボルトと自分の違いを考えたが…分からなかった。だがシンキにはシンキなりの信念がある。しかしシンキの言葉を聞いたボルトは言う

 

『計算ね…。人間は機械じゃないんだぜ?』

 

「だからこそ任務遂行のためには機械のように冷静でなければならない」

 

 人間は感情の動物だ。だからこそいざと言う時に冷静になれない時もある。ボルトはその典型例だ。そんな人間のやり取りを守鶴はやれやれという感じになりながらボルトの頭の上に乗った。そして早く行くんだろと急かし言う時間も勿体ないのかシンキは歩き始める。そんなシンキを見ながらボルトは聞く

 

『アイツいつもああなのか?』

 

「さあな。だが昔の我愛羅を思い出すな」

 

『えっ!?我愛羅さんあんなだったのか?』

 

 ボルトの中の我愛羅のイメージは小さい頃から木の葉に来たら自分の家にも来てくれた良いおじさんという印象だ。しかし今のシンキで昔の我愛羅を思い出すと言われても全くイメージ出来ない。

 

『誰だそれ』

 

「ナルトだよ」

 

 どんな人格者なのかと思えば自分の父の名前が出てびっくりした。我愛羅とナルトの仲はボルトも知っているが変えたのもナルトと知って真面目に驚いた。

 

『父ちゃんが!?』

 

「ナルトは我愛羅に憎しみ以外で生きるすべを教えた。孤独だった生き方を変えちまったのさ。人を引きつける力がナルトにはあるんだぜ」

 

『ふ~ん…父ちゃんがね』

 

 ·····ここにスミレがいれば「ボルト君にもあるよ」と言ってイチャイチャタイムが始まってしまうが生憎スミレはボルトを追いかけ砂漠を走ってる。因みにそのスピードはボルトよりも早い。ボルトが心配で急いでいるのもあるがそれだけでは無い。スミレは父親にこんな砂漠の上でも走る為の訓練をさせられていたからだ。変な所で役に立っているがこの際どうでもいい。

 

『シンキが我愛羅さんのようになるとは思えねぇけどなぁ』

 

「まぁアイツも頑固だからな。特に今は託された役目を果たそうと必死になってやがる」

 

『託された…それって我愛羅さんに?』

 

「我愛羅だけじゃねぇさ」

 

「おい なにをグズグズしている」

 

 遅いのを見てシンキが少し苛立ちの声を上げる。ボルトは走りながら呟く。

 

「託された役目、か。」

 

 その時カンクロウを置いて来た方向から大爆発が起きた。ボルトは向かおうとするがシンキは止める。任務が優先だと。だがボルトは拒否し守鶴を置いてカンクロウの元へ向かった。同じ頃スミレよりも先に走り始めたシカダイとテマリは里に戻っていたヨドとアラヤ、そして体力の消耗で倒れている我愛羅の元に追いついてボルトの手紙の事を聞いたと言いその時ボルトからも見える爆発が起きてボルトと同じ所にまで向かった。

 一方スミレもボルトの元まで最短距離を走っていたのだが件の爆発を見て進路を変えた。チャクラを辿るまでもなく分かる。ボルトならあそこに向かうと。そして1番最初に来たのはシカダイとテマリだった。カンクロウが傀儡と戦った跡を見て顔を厳しくするがその時ボルトもやってきた。

 

「あんたシンキはどうした?」

 

 テマリはシカダイにカンクロウを探しに行かせた後聞いた。ボルトは目を逸らしながら任務が優先だと言っていた。しかしテマリはそれでシンキが平気だと思うのかいと言ってボルトは目を見開いた。確かに自分はシンキの内なる気持ちは考えなかった。

 シンキは口には出さないがカンクロウの事も慕っている。おじで我愛羅の腹心だから。1種の目標だ。だからこそ非情に徹したのだと。我愛羅にもカンクロウにも託された役目を果たす為に。そんな時にボルトの彼女の声が聞こえた

 

「ボルト君!」

 

 そう言ってミニ鵺を肩に乗せながらスミレが降り立った。ボルトはやっぱりなと思っていた。ボルトは色んな意味で何を言えば良いのか分からず黙ってしまう。スミレはそんなボルトを見てここであったことを察した。

 

「ボルト君はどうしたいの?」

 

 何も言っていないのに大体察せてしまうスミレに驚愕しつつもボルトは考え答えを出した。

 

「それでも…俺は納得出来ねえ!」

 

 それがボルトの答えだ。確かに忍なら任務を優先すべきかもしれない。しかしボルトは納得出来ない。カカシの言ったように仲間を大切にしない奴はクズ。それはボルトの信念でもある。だからこその答えだ。その答えにそうだろうなとスミレは思った。その時シカダイが何やら見つけた。何かを庇った様なそんな感じに傀儡達が折り重なってその下に何やらでかい穴がある。それで一行は急いでシンキの元に向かう。地中に潜れる傀儡がいるのならもう先に行ってしまっていると思ったからだし事実そうだった。ボルト達がシンキに追いついた時には既にシンキは傀儡に襲われていてボルトが間一髪割って入り殴り飛ばした。

 

「お前…」

 

 そんなボルトに続いてテマリが自分の巨大扇子で更に傀儡を吹き飛ばした。そしてシカダイとスミレもシンキの前に降り立った。そのスミレの肩に鵺がいるのを見てシンキはきちんと鵺は届けたんだと知った。そしてボルトとシンキは戦線を離脱。ボルトはシンキに謝った。自分の感情ばかりでシンキの気持ちを考えていなかったと。

 

「確かに任務は忍にとっては最優先だ。だけどな、俺は任務と同じ位仲間を失いたくない。例え任務が成功しても仲間を失っていたら俺はきっと後悔する。」

 

「お前は甘い!もっと合理的に考えろ!」

 

「合理的なら何でも良いって訳じゃねえ。俺は今までも仲間を見捨てる選択肢をして後悔した事なんてない。そしてこれからもだ。だから俺は任務も仲間もどうにかする方法を考える。」

 

 そして守鶴は流石ナルトの息子だと言いならお前の思った通りにやってみろと言う。ボルトは当然だってばさと言ってスミレ達に加勢しに向かった。シンキは考え方が相容れない事に苛立つ。そして守鶴がボルトを追って観戦しに行っていたのに気が付かなかったのだった。

 そしてボルトはスミレ達の元に降り立った。

 

『加勢しにきたぜ!』

 

「ボルト君らしいね」

 

『まったく…やっぱり来たか』

 

「しようがないヤツだねアンタは」

 

 もう3人はボルトが戻ってくる事は予測済みなのであった。

 

『ごめん。でもやっぱり俺はこうしたいんだ。こんなヤツさっさとやっつけてシンキと一緒に木ノ葉に向かうためにな』

 

「じゃあ気張んなよ。アイツを倒すのはちょっと厄介そうだ」

 

 その後4人は傀儡に突撃する。傀儡は実に多彩な方法で攻撃をしてくる。伸びるハンドやら毒霧等。しかし毒霧等はテマリの風遁で吹き飛ばせる。伸びるハンドもリーチが長いがスピードは遅い。それをついて戦う。

 

「水遁・水練波!」

 

 スミレが何発か水練波を放つが傀儡はそれを躱す。しかしそれは躱すコースを限定させボルトの攻撃を当てやすくする為。ボルトは影分身を出してその躱してる傀儡の背後から殴ろうとするが傀儡はその俊敏な動きでいなす。ボルトは傀儡に投げ飛ばされスミレの隣に着地した。しかしその傀儡の動きが唐突に止まった。

 

「影縛りの術成功!母ちゃん!」

 

「任せな!風遁・大カマイタチの術!」

 

 その巨大扇子から放たれる大規模な風遁が傀儡を空に打ち上げ切り裂く。ボルト達は呆然とすげーとなっていたのだった。そしてその風遁が終わった時空にいた傀儡の目が光り何と2本の腕がどこから出てきたのか3本目と4本目の手が出てきた。そして一瞬で螺旋丸のような球体のものを作り上げボルトとスミレ、シカダイとテマリのところに放った。4人は後退して躱して集まった。だが傀儡が何処かに行ってしまった。

 

「あいつは何処だ!?」

 

「·····まさか地中に!?」

 

 スミレがそう言った瞬間に伸びるハンドを利用して地中から鋭利な爪がボルト達を突き刺そうとして出てくる。ボルト達は扇子やクナイでそれらを何とか捌いているが姿も見えない敵にどうすれば良いのか分からない。

 

「地中じゃ母ちゃんの風遁も届かねえ!」

 

 とシカダイは言った。

 

「誰が届かないって言ったんだい?潜ったのなら引きづり出せばいいだけだけさ。風遁・タツノオトシゴ!!」

 

 そう叫び扇子を振り下ろす。そうすれば巨大な竜巻が出てきた。その竜巻の中にいる傀儡がその竜巻に吸い寄せられ出てきた。そしてテマリは連続で大カマイタチを放ったがそれは上手く避けられまたエネルギー球みたいなものを投げてきた。そしてボルト達はそれによって出来た煙に目をくらまされる。そして傀儡のターゲットは

 

「シカダイ!」

 

 シカダイの背後から傀儡の鋭利な爪がシカダイに向けられていた。だがそこで間一髪テマリが割って入りシカダイを押して救出。しかしテマリはその爪に引っかかれてしまった。その爪には痺れ毒がありテマリは思うように体を動かせない。3人はテマリの周りに集まり警戒する。スミレはカタスケから貰ったスプレーを使いたいがあれは怪我を治す為のもので毒を抜く事は出来ないのだ。

 テマリは3人に先に向かえ、足止めなら出来ると言うが3人はそれを拒否。

 

「で、どうするよシカダイ。俺の風遁じゃあいつを引っ張り出せねえぜ?」

 

「お前何か策があるんじゃねえのかよ。」

 

「そこはシカダイを頼りにしてるってばさ。」

 

 ボルトとスミレも中忍だが中忍だからと言って皆シカダイ程頭が良くなるという訳では無い。達成率を上げるのならシカダイに頼るのも道理だ。

 

「ったく調子の良い奴だな。一か八かやってみるか!」

 

 その言葉にボルトとスミレは頷いてそれぞれ印を結ぶ。

 

「影分身の術」

 

「水分身の術」

 

 ボルトは実体、スミレはチャクラを水に変換した分身を作り出し全方位に配置する。そして傀儡は空からやって来た。伸びるハンドを駆使しボルトとスミレの分身を消して地中に潜ろうとする。しかし分身が消された事を分かったボルトが起爆札付きのクナイを投げ傀儡に刺す。そして地中に潜ったのと同時にその起爆札が爆発し傀儡の場所を知らせた。そしてシカダイはテマリの扇子を持って

 

「母ちゃんみたいな風遁は無理だけどよ!風遁・タツノオトシゴ!!」

 

 先程テマリがやった風遁を規模は小さくなったがシカダイもやって見せた。その風遁は起爆札が爆発した辺りで吹き荒れ地面に潜っていた傀儡が引っ張り出された。そしてボルトは螺旋丸を作り直接ぶつけようとするが傀儡は間一髪で躱す。しかしそれがボルト達の狙い。傀儡は避けたのと同時にピタッとその動きを止めた

 

「影縛りの術…成功」

 

「鵺!」

 

 鵺はスミレの肩から降りて猛烈な勢いで走り始めた。そして徐々に虎サイズのそれになり影縛りにかけられ動けない傀儡に突進した。

 

「ぬえーーッ!!」

 

 そして鵺はその傀儡をボルトの方に体当たりで吹き飛ばした。

 

「ナイスパスだぜ、鵺!」

 

 その吹き飛んできた傀儡にボルトは螺旋丸を思いっきりぶつけた。反発し合う事も合わさり螺旋丸の威力が伸び傀儡はとうとう大破したのだった。

 その後シカダイ歯身の丈にあってない術を使った事によりチャクラ我愛羅殆ど無くなりテマリもまだ動けない。だからボルトとスミレは先に行け。自分達はカンクロウを探しに行くと言われボルトとスミレは頷き鵺をミニサイズにして肩に乗せ2人はシンキに追いつく為に走り始めた。だが2人は無言だ。スミレはうずまき家のキャンプの事は当たり前だが知っている。それなのに今ここにボルトがいる。つまりどんな言い訳をしたのか知らないがキャンプには行ってないということ。それでヒマワリやヒアシが悲しむのを知っているのにだ。だからボルトは何を言えば良いのか分からないのだ。そんなボルトの心中を察したのかスミレはゴースト事件終盤ら辺の少し冷たい声を出しながら言った

 

「お義母さんとヒマワリちゃんに怒られる覚悟はしてね?」

 

「は、はい。」

 

 あのゴースト事件の時もこの冷たい声を聞いた時はスミレが犯人で信じられないみたいな感情が大半だったが改めて聞いてみると割とメンタルがやられる。·····でも何かこういう冷たい声も良いと少し思ってしまった。·····どうしようもないな。

 その後2人はシンキに追いついた。シンキはボルトを見た後スミレも見た。勿論シンキは覚えている。決勝の相手なのだから。だが私情は持ち込まずに3人は急いで向かった。そして道中で草が生えているのが見えた。それで火の国が近づいてる事にボルトは浮き立つがその時シンキが止まりスミレも止まった。ボルトも止まり上を見てみると

 

「ウラシキ·····」

 

「やっと会えましたねえ」

 

「守鶴様のチャクラは茶釜で感知できないはず。どうやって」

 

「人形達を通して見ていたのでねぇ。あとはこの眼で追いかけるだけです」

 

 そう言いながらボルトがよく知っている眼になった。白眼だ。ほぼ360度の視界と透視能力。体にある点穴と呼ばれるチャクラの流れを見ることも出来る。それらを的確についてチャクラの流れを止めて有利に戦う方法が日向一族が使う柔拳だ。

 

「守鶴共々あなたたちのチャクラもいただくとしましょうか。先ほどの忍の親子のチャクラもなかなか悪くありませんでした」

 

『テメエ…シカダイとテマリおばさんに何しやがった!?』

 

 今にも飛び出しそうなボルトをスミレは抑える。

 

(…チャクラを取る)

 

 スミレはミツキを思い出していた。確かミツキはこのウラシキにチャクラを取られた。なら普通に考えればその人由来の術も使えるかもしれない。モモシキも似たような能力を使っていた。シンキは自分に考えがあるという

 

「お前達時間稼ぎをしろ。俺に考えがある。」

 

「作戦会議は終了ですかァ?では遊ばせていただきますよ!」

 

 そう言った瞬間にウラシキは釣竿を振り下ろした。その釣竿から赤いエネルギー球が出てきた。シンキは砂鉄の壁を作りガードする。ボルトとスミレは左右からウラシキに迫る。ボルトが影分身を出して迫るがウラシキは竿を振りそれらを蹴散らす。反対側からスミレが向かうが直ぐに竿がやって来る。それをスレスレで躱しながらクナイをぶつけようとするが

 

「スミレ後ろ!」

 

「!?」

 

 避けたと思っていた竿が背中からスミレに迫っていた。スミレは避けようとするが間に合わない。その時鵺が肩から降りて巨大化しつつその竿に噛みつき逆にウラシキを振り回し始めた。

 

「何っ!?」

 

 ウラシキはその釣竿の手を離し脱出。しかし目を向ければ既にボルトが螺旋丸を作っていた。しかしウラシキはその螺旋丸を空中に飛んで躱しボルトの背後に降り立つの同時にボルトに裏拳をかました。

 

「ぐっ!」

 

 ボルトは近くの岩に叩きつけられた。そしてウラシキはボルトに迫ろうとするがその時ピタッと止まった。ウラシキの足元を見れば砂鉄が大量にありその砂鉄がウラシキを包もうとするのと同時に何やら傀儡が出てくる。

 

「黒秘技・黒鉄!」

 

 シンキの傀儡を使った封印術だ。その傀儡は不気味にウラシキに噛みつきウラシキの顔やらに何やら術式が出る。

 

「また封印術というやつですか。ホント一辺倒な戦い方をしますね」

 

 その一辺倒な戦いに何度もやられてるやつが言うなという感じだがそんな事をほざいてる時間はない。3人と1匹は先を急いだ。シンキは我愛羅も使う第三の目を砂鉄で作り何個も配備する。そして可能な限り距離を取る。そしてシンキは白眼の問題を考えて遠回りする道を選んだ。白眼が見渡せる距離には限りがあると思ったのだ。そして事実そうでウラシキは木の葉までの最短ルートを進んでいた。これで時間は稼げる。

 このまま木の葉に行きたいが慌てていけば見つかってしまう可能性がある。その時ボルトは思いついた。ゴジョウを頼ろうと。確かそこに通信機器があったから自分達の現状を直接言おうと。最短ルートを外れたからか木の葉の忍もボルト達を見つけられない。でもボルト達が連絡すれば合流が早く出来る。

 

「分かった。ならそこに…」

 

 シンキは言葉を途中で倒れてしまう。守鶴曰く傀儡操作だけでも消耗は激しい。それを遠隔操作し尚且つ第三の目を何個も作ったのだからばてるのは当然。それでもシンキは向かおうとする。守鶴は言う。シンキも機械じゃない。我愛羅とカンクロウに託された任務を達成し2人に応えるために必死なんだと。それを聞いたボルトはシンキに追いつき肩を貸す。

 

「なんの真似だ」

 

「うるせぇ。フラフラの癖によ」

 

 そしてボルトは謝った。機械と言って悪かったと。しかしシンキはボルトはもう少し機械を見習うべきと返す。そのやり取りが何か面白くスミレはくすくすと笑いながら一行はゴジョウの家に向かった。

 そう…向かったのだ。確かに家はあった。あったのだが…ボロボロで倒壊していた。畑も見る影もなく。ボルトは慌てて家に入りゴジョウとイサゴの名前を呼ぶ。そしてイサゴは無事だったがゴジョウが家の瓦礫に押しつぶされていた。

 

「ボルト、お父さんが…お父さんが」

 

「ゴジョウさん!」

 

 ボルトとスミレはイサゴに加勢しその瓦礫を持ち上げようとするがそれには2人は非力だった。少ししか持ち上げられない。ゴジョウが出る力があれば別だが恐らく気絶している。

 

『クソ!動かねぇ…』

 

「お前は何に襲われた?」

 

『おい!今はそれよりもゴジョウさんを助けるのが先だろ!』

 

「瓦礫の下敷きになっているんだ。もう手遅れかもしれないだろう。それより今は状況確認の方が先だ」

 

 それを聞いたボルトはシンキの胸ぐらを掴んだ。

 

『ふざけんじゃねぇよ!目の前で助かるかもしれねえのにそれを放っておくのかよ!前言撤回だ。テメエみてぇなヤツは機械野郎で十分だってばさ!』

 

 そう言ってボルトは再び瓦礫を持ち上げようとする。しかしやはり少ししか浮かない。鵺も手伝っているが鵺もチャクラが半分程度しかなくそんなにパワーが出せない。

 

『イサゴにとってゴジョウさんはたった1人の家族なんだぞ!父ちゃんを目の前で放っておけるわけ…ねぇだろ…!』

 

「ハァ…」

 

 その瞬間にふっと重さが無くなった。よく見てみればシンキの砂鉄の手が瓦礫を掴んでどかした。その後ゴジョウを残っていたベットに寝かした。ゴジョウは幾らか怪我を負ったが無事だった。スミレがスプレーの科学忍具を使い粗方の傷口は塞いだ。

 何があったのかと言うと曰く畑にいたら唐突に赤い光の球が投げられ家を壊されて行った。ウラシキも同じ攻撃をしていた。

 

「ボルト、お前達を探していたようだった。あいつは恐らく火の国の方に飛んで行った」

 

 その後ボルト達は通信機器が壊されていたのを見て残念に思いながらも次の手を考えることにした。スミレは肩にいる鵺に

 

「鵺、ありがとう。少し休んでて」

 

「ぬえー」

 

 そう言いながらスミレは鵺を異界に返した。ボルトは茶釜に向けて語る

 

「シンキの事よく分からねえんだけど。嫌な奴じゃないってのは分かんだけどよ」

 

 その語りをスミレは見て少し笑いながら言う

 

「ボルト君、後ろ」

 

「え?」

 

 後ろに向けば守鶴がいた。

 

「まさかお前俺と話してるつもりだったのか?」

 

「えっ!?あっ!すまねえ!そっくりでつい」

 

「ふざけるな!俺は一尾の守鶴様だぞ!そんな小汚い茶碗と一緒にするな!」

 

「ふふふ」

 

 スミレは笑いを堪えられない。ボルトはただの茶釜を守鶴だと思って語ったのだ。これが面白くない訳ない。ボルトは自分の馬鹿さっぷりを彼女に見せて恥ずかしいどころではないがスミレが笑うなら良いやとなった。

 

「やはり問題はこの川か」

 

 3人と守鶴はゴジョウ達の元へ行き作戦会議をする。シンキは火の国周辺のマップを出しながら言う。曰く木の葉の最短ルートには橋がありそこを渡る必要がある。

 

「橋があるなら簡単じゃないのか?」

 

「違うよボルト君。橋の周りに隠れる所はないし何よりこのマップで見た所この橋でしか火の国に行けないのが問題なの」

 

「…そうか。その橋で待ち伏せされてるって事か…」

 

 それで3人は唸る。これでは交戦は避けられない。勝てる見込みがあるのかは微妙だ。サスケが異空間移動出来るように座標を特定させるような事をしまくれば良いのだが思いつかない。そもそも時空感忍術の使い手などこの3人の中ではいない。·····鵺なら出来そうな気もしないこともないがそんなにポンポン呼ぶ訳には行かない。その時ゴジョウが助け舟を出した。

 

「遠回りになる。ここら辺の人間しか知らない道だ。」

 

「じゃあそっちに行けば」

 

「待て。あまり時間をかければ迂回ルートもバレる。」

 

 それもそうだ。ウラシキはボルトたちと違い空を飛べる。その時ボルトが思いついた顔をして先程守鶴と間違えた茶釜を取ってきた。曰く囮作戦だ。囮がこの橋に向かい本命がその迂回ルートに行く。スミレは眉を顰めたがそれしかないのも事実。

 

「囮は俺が」

 

「私も行く」

 

 ボルトが囮をすると言った瞬間に思いっきり被せた。囮役はただでは済まない。そんな役にボルトだけを行かせる選択肢なんてなかった。ボルトはスミレには木の葉に行って欲しかったが…スミレの眼が拒否している。そのまま2人は見つめ合いボルトが折れた。それで作戦は纏まった。ゴジョウとイサゴに別れを告げボルトは影分身を出してシンキに変化させスミレと一緒に橋に、シンキは守鶴を持って迂回ルートに向かった。そしたら橋が見えてきた。予想通りウラシキが待ち伏せをしていた。目の前で橋をぶっ壊し希望を絶ったように演出する。

 そして2人はウラシキとの命懸けの隠れ鬼ごっこをスタートさせた。

 一方シンキは川沿いに進んでいた。その時その川から橋の残骸が流れてきてボルト達の隠れ鬼ごっこが始まった事を知らせたのだった。

 

 ボルトとスミレ、ボルトの変化したシンキは出来るだけ遠くに行こうとするがウラシキの白眼で見つけられる。そしてウラシキは隠れ鬼ごっこに飽きた。釣竿から放たれる赤色の光弾を何発も放ちボルト達が宙に吹き飛ばされた。そしてボルトの影分身に釣竿が向かいボルトの影分身を貫いた。

 

「しまった!」

 

 その影分身は消えた。ウラシキはそれに眉を顰める。2人はそれでも逃げようとする。その時ウラシキは腰の赤い巾着から黒色のチャクラを取り出し地面に叩きつけた。それを見てスミレは予想が当たった事の確信と同時にボルトに叫んだ。

 

「ボルト君、影縛り!」

 

 スミレは予め自分の予想を話していた。スミレから聞いたボルトは影縛りを横に飛んで躱す。その間にスミレは手裏剣を何個も投げる。ウラシキは数が多いのを見て後退して避けた。それにより影縛りも解けた。そのまま3人は対峙する。

 

「貴方は他人から奪ったチャクラを使って奪った人の忍術が使える」

 

「ほお~。よく気づきましたね。しかしそれが分かった所で貴方方にはどうすることも出来ませんよ!」

 

 そう言い放ち赤い光弾を放つ。2人はそれを避けるがその内の一発がボルトの持っている茶釜にぶつかった。ぶつかった衝撃で茶釜は綺麗にぶっ壊れてしまった。

 

「やはり貴方方は囮ですか。本物はもう一人の子が運んでいるんですね。」

 

 思った様に事が運べなくて割とイラついている。ボルトはしてやったりの顔で

 

「今頃守鶴は父ちゃんの所だぜ」

 

「…こうなれば貴方には人質になってもらいましょう。そこの女性には死んでもらいます」

 

「·····そんなことさせるかよ」

 

 そう言って対峙する。スミレを死なせる訳には行かない。しかしそれはスミレも同じ事、ボルトを死なせやしない。その時ウラシキの足元から大量の砂鉄が吹き荒れた。と同時にボルトとスミレは砂鉄の手に連れられた。そこに居たのはシンキだった。シンキは手をグーにしてウラシキを包んだ砂鉄の山を一気に固め中にいるウラシキを推し潰そうとする。

 

「シンキお前どうして!?」

 

 ボルトは思わず叫ぶ。確かにもう木の葉には入れただろうとは思ったがここに来るとまでは思わなかったのだ。

 

「守鶴様の安全は確保し任務は達成した。その後俺がどう動こうが俺の勝手だ!」

 

 要約するとウラシキがムカついたから戻ってきた。以上。ボルトはそんなシンキに少し呆けた顔をしたが

 

「まっ、そういう事にしといてやるか。」

 

 しかしその時ウラシキを閉じ込めている砂鉄の山に罅が入った。因みにシンキはノープランだ。

 

「誰のせいだと思ってる!」

 

 スミレは何となくシンキの気持ちが分かった。きっとボルトに影響を受けたんだろうなぁと。·····今はそういう事を思ってる時では無い。スミレは作戦を考える。そして戦いの為にクナイを取ろうとポーチに手を入れそこで触れたもので作戦が瞬時に決まった。

 

「2人とも」

 

 スミレは簡潔に作戦を話した。シンキは木の葉の科学力に驚いたがそんな事を言っている場合では無いのでボルトもシンキも許諾した。それと同時にスミレはその科学忍具を取り出した。同時にウラシキもとうとう復活した。

 

「こいつを倒せるかは分からん。だが俺達でぶん殴ってやるぞ!」

 

「おう!」

 

「うん!」

 

 復活したウラシキは1度目を閉じる。そうすれば白眼の特徴の血管が浮き上がるのが収まり代わりに目を開いた時サスケのと同じ輪廻写輪眼になっていた。しかしやる事は変わらない。そして釣竿をボルト達に振る。ボルト達はそれを避ける。ボルトは避けながら手裏剣に雷遁を乗せウラシキに投げる。

 

「ふんっ!」

 

 釣竿を振ってウラシキはその手裏剣を弾く。だが雷遁を乗せていたおかげで一瞬動きが止まる。シンキはそれを見て砂鉄の翼を広げる

 

「黒鉄の翼!」

 

 中忍試験でボルトとスミレに放ったあれをウラシキに放つがウラシキはステップを踏み避ける。しかし数が多く飲み込まれそうなのを見るや否や黒い空間みたいなものを出してそこに入っていった

 

「何!?」

 

「どこだ?」

 

 ウラシキはその探しているシンキの後ろに唐突に現れシンキを蹴飛ばした。シンキの絶対防御はそもそも攻撃を認識しなければ防御のしようも無い。ボルトとスミレはシンキを庇うように立つ。ウラシキは再び空間移動を始めた。3人は全方位を注意するがその時ボルトの右眼が疼いた。

 

「うっ!」

 

「ボルト君?」

 

 ボルトは何かを感じ眼を抑えその眼を離した目を真正面に向ける。そこから空間移動を終えて出てきたウラシキがいた。ウラシキは咄嗟に釣竿で攻撃を仕掛けるが3人は後退する。スミレはボルトの眼を見る。あのゴースト事件の時になっていた眼だ。そしてウラシキがスミレにとって重要な情報を言った

 

「それは淨眼ですか。厄介な眼を持っている」

 

(淨眼…今そう言ったの)

 

 全く知らないが今はそれを問題にする時では無い。ウラシキはテマリのチャクラから発生する竜巻を投げて目眩しをした。しかしまたもやボルトがシンキの背後から出てこようとするウラシキを見てシンキを抱えて攻撃を躱す。そしてスミレは突撃した。

 

「貴方が相手ですか」

 

 そう言いながらウラシキは釣竿を振る。この釣竿は生半端なクナイや刀では簡単に折られてしまう。しかしスミレは賭けに出た。その持っている科学忍具のスイッチを入れた。その瞬間にその科学忍具から青白い刃が出て来た。それと同時にスミレは釣竿を弾いた。

 

「何?」

 

 ウラシキは少し驚いているすきにシンキは布石を打つ。ウラシキは釣竿が弾かれてしまったがまた直ぐに振る。釣竿で貫けないのならその刃を弾くまで。

 

「甘いんだよ!」

 

「キャッ!」

 

 釣竿はその科学忍具の取っ手のところを狙いぶつけた。スミレはガードしようとしたが科学忍具はその手から離れウラシキの目の前に落ちてしまった。スミレは咄嗟にその科学忍具を取ろうとするがその前にウラシキがその科学忍具を手に取った。スミレはあと一歩届かなかった。スミレはウラシキの目の前で倒れてしまった。チャクラをいっきに吸われすぎて貧血に似た状態になったのだ。

 

「ほぉ。人間は面白いものを作りますね~。ではこれで貴方は終わりです」

 

 そう言いながら逆手に科学忍具·····チャクラ刀を持ち目の前で倒れているスミレに振り下ろそうとしたその時、ウラシキの後ろから砂鉄が出てきてそのウラシキがチャクラ刀を掴んでいる手をチャクラ刀事思いっきり拘束した。ウラシキは鬱陶しく思いながらシンキを見る

 

「貴方も懲りないです·····」

 

 ウラシキはそこで思いっきり目を見開いた。何故なら徐々に力が抜けていくのだ。自分は何も消耗する様な事をしていないのにだ。それに驚愕し理由が分からず困惑する。だが·····それが千載一遇

 

「影分身の術!」

 

「風遁・烈風掌!!」

 

 ボルトは影分身を5人出した。1人をシンキの所に行かせる。そしてボルトは烈風掌で本体含め2人を打ち出した。しかしウラシキは力は抜けながらも何とか左手にある釣竿を振ってその2人のボルトを蹴散らそうとする。しかし打ち出された2人のうち一人の分身が更に風遁を出した

 

「ボルトストリーム·····」

 

「ダブルイグニッショッン!!」

 

 ボルトは烈風掌を2回やって2回のスピードアップを図った。修学旅行の時にシズマにやっていたあれだ。普段のウラシキならば難なく迎え撃てるのに今のウラシキはスミレの作戦に引っかかってチャクラ刀を持ちチャクラ刀が消費する莫大なチャクラを取られているから普段のように動けないのだ。そして釣竿は加速した本体には届かず本体ボルトはウラシキに

 

「螺旋丸!!!」

 

 思いっきり螺旋丸をぶつけた。ウラシキはその螺旋丸をもろにくらった。釣竿は分身ボルトを蹴散らす為に使っていたし戻す時間も一瞬過ぎて無かったのだ。ウラシキは近くの岩に思いっきり激突した。砂鉄の拘束は外れたがもろにくらったのはダメージがあったようでフラフラしている。しかしこれで終わりではない。今度はシンキの方にいる分身ボルトが烈風掌を出してシンキがジャンプしつつ巨大な砂鉄の拳を作り上げている。そしてボルトが叫ぶ

 

「名ずけて、即席合体奥義!シンキストリーム!!!」

 

 ネーミングセンスが祖父譲りなのは割愛。シンキはボルトの風遁によって超スピードで岩に張り付いているウラシキに叫んだ

 

「黒鉄の拳!!」

 

 そう言って巨大な砂鉄の拳を張り付いているウラシキに思いっきりぶつけた。為す術もなくウラシキは更にめり込み岩ごと倒壊した。スミレは何とか上半身だけ上げ結果を見る。ボルトとシンキも膝をついている。岩がめちゃくちゃ壊れていってるがこれで倒せたか…?

 そう思った時岩の瓦礫が崩れ落ち出てきたのは何やら痣が出来ているウラシキだった

 

「ここまでやるとは…痛いですね·····殺す!」

 

「はぁ…はぁ…スミレ、お前は逃げろ。時間は…稼ぐ」

 

 そう言いながらボルトは意地で立ってみせる。しかしスミレは首を振りながら立ち上がる

 

「そんなの…嫌に決まってる。」

 

 シンキはこの2人の力は何なんだと思っている。ボルトもスミレもチャクラはもう殆どない。それなのに立ってみせるその力は何なんだと。しかしフラフラの2人を見てウラシキは口角をつりあげる

 

「そんなに2人で死にてえんならそうさせてやるぜ!!」

 

 そう言って2人に赤い光の球を投げつけようとしたその時青白いスパークを乗せた刀がウラシキに飛んできた。ウラシキは上の岩場まで飛んで躱した。刀はそのまま地面に突き刺さったがその刀の前に現れたのは

 

「はぁ…はぁ…サスケさん」

 

「どうやってここに…」

 

「誰かが時空間を何度も開いたようでな。そのおかげでここを特定出来た」

 

 時空間等普通はあまり開かない。するとすれば目の前のウラシキだけ。ウラシキは自分で自分の居場所を知らせたのだ。サスケは刀を持ち岩場の上にいるウラシキに迫った

 

「千鳥!」

 

 刀を振るったがウラシキは今度は時空間を移動じゃなく普通に掻き消えてしまった。サスケは周りを見渡すが時空間を移動じゃないから見失ってしまった。

 

「サスケさん…良かった」

 

 そう言って気が抜けたのか安心感からかシンキは気絶しボルトとスミレは仰向けに倒れた。その後木の葉の応援が到着したが特に出番がなく3人は木の葉に連れられ病院に行ったのだった。

 カンクロウ、テマリ、シカダイは無事だった。我愛羅も復活し3日経った時ナルトの元へ来た。御礼だ。そして我愛羅はナルト達と話した後退院したシンキと合流。電車の駅に向かった。

 

「結局、ウラシキには逃げられちまったな」

 

 そんな事も知らずにボルトはシカダイ、スミレと病院の椅子に座っていた。

 

「守鶴様を届けて任務達成。命もあるだけ上出来だよ」

 

 とスミレは苦笑いしながら言った。そしてシカダイが

 

「お前おばさん達に怒られる覚悟はしとけよ。今回はヒマワリちゃんにも嘘ついてたんだろ?」

 

 そういうのと同時にスミレはボルトの少し強めに掴み目で「逃がさないよ?」と言ってきて少し怖い。でもボルトは出来るなら怒られたくないからかシンキのお見舞い行こうかなーと言ったがシカダイがシンキはもう退院してこれから帰るぞとサラッと言い放つ。

 

「シンキのお見送りは良いだろ?」

 

 とスミレに言った。スミレはまあそれくらいならとなり2人はシカダイと別れ電車の駅に向かった。そこに居たのは我愛羅とシンキだった。今にも電車に乗りそうな所だったが2人は間に合った

 

「お前な、帰るならそう言えよ」

 

「何故わざわざ」

 

「ダチに挨拶位してっけの!」

 

 その言葉にシンキは目を見開く。そんなシンキをほっときボルトは自分の拳を突き出した

 

「元気でな。今度木の葉に来たら案内してやるよ」

 

 その拳を見てシンキはぷいっとボルトに背を向けた。そして

 

「お前もせいぜい死なないように努力しろ」

 

「はあっ!?」

 

 スミレはくすくすと笑った。今のシンキの言葉はシンキなりの接し方なのだ。所謂照れ隠しだ。そんなスミレの反応が少しあれだがシンキと我愛羅は電車に乗り込み砂隠れまで出発した。ボルトは拳をその電車に向け言った

 

「また会おうぜ、シンキ!」

 

★★★★★

 

その日の夕方。ボルトはたっぷりとヒナタ達に怒られた。オマケにスミレも味方してくれなかったから余計に疲れた。しかし結局無事に帰ってきて良かったという事に落ち着きヒナタとヒマワリは晩御飯の買い物に向かった。スミレも行こうとしたのだが疲れてるでしょ?ってボルトとお留守番になった。2人は少し気まづかった。その雰囲気に耐えられずボルトは自分の部屋を掃除する事にした。スミレも手伝い始め粗方終わった時にスミレはボルトをベットに押し倒し跨った。

 

「ス、スミレ?」

 

スミレはボルトの顔に手を添え右眼をじーっと見るが今はあのウラシキが言った淨眼ではなく普通の蒼眼だ。しかしボルトはそれ所では無い。スミレの顔が真ん前にあるのが恥ずかしい。そしてスミレは少し顔を離してボルトを見る。2人はそのまま見つめあっていたがスミレが唐突に首元に吸い付いた

 

「なっ!?す、スミレ!?」

 

ボルトはいきなりされたからか思わず喘ぎそうになったが我慢した。そしてスミレはゆっくりと離れた。ボルトからは見えないがボルトの首元にはキスマークが出来ていた。

 

「私も…本当に不安だったんだから」

 

スミレは先程のボルト叱責の場にはいたが加勢も救済もしていない。つまり今から

 

「だから·····お仕置きだからね」

 

そんな付き合い始めてからよく見せるようになった甘えん坊な声と顔を見せてスミレはボルトの唇に自分の唇を吸いつかせた。磁石の様に吸い付き吸いつかれ2人の頭が惚けてくる。

 

「…んぅ·····はぁ···」

 

スミレはボルトの息が続かないくらい激しくキスしボルトの両手を抑え逃げられないようにしている。

 

「す、スミレ息がんっ」

 

出来ないと言おうとしたら再び塞がれる。2人きりの時スミレはアカデミー時代から想像もつかない程積極的になる。それから2人は最近イチャイチャ出来ないのもあったというのもあるだろう。その後2人は·····スミレのお仕置きはヒナタ達が帰ってくるまで続いたのだった

 

 

 

 

 




おつかれさまでした。スミレの作戦は漫画版のVS青戦でやってたあれですね。そしてシンキストリーム( *´艸`)グフフ因みに今回のスミレは指輪してません。しょうがないね。任務服に指輪似合わないし。
それからサスケ好きの皆さん。ごめんなさい。サスケはアニメと違ってチャクラは取られてないんですが直ぐには戻ってきませんでした。そうしないとボルト達の出番がなくなってしまうので。すいませんm(*_ _)m。
オリジナル設定。ボルト、鵺と口寄せ契約してる。そうしないとスミレに伝わらなかったし。でもボルトは普段は鵺を口寄せしません。それはスミレに言った通り鵺はスミレが呼ぶべきだと思っているから。だから緊急事態の時にしか口寄せしません。

それはそうとアンケート結果でスミレを連れてくのが大半だったので連れてきます。そうしてスミレのいるタイムスリップ編思い浮かべていたらまたアイデア出ましたけど流石にここまでするのは·····うーんって感じだったのでまたアンケートします。
ボルトとスミレと同い歳のビオラを登場させるかさせないか。登場させたらウラシキにオーバーキルな気もするけど·····作者ウラシキ嫌いなので良いでしょう(おい笑)
今週の土曜日の昼12時までにします。どんどん投票して行ってしまえ〜!
(*´∇`)ノ ではでは~


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うずまき家と守鶴・イチャイチャタクティクス

おはようございますm(*_ _)m。
またまた遅くなりましたm(*_ _)m。最後学パロのアンケートしてます。


 守鶴輸送大作戦から少し経ち火影室にはトップ2人とサスケ、それに件の守鶴が茶釜に封印されている状態でいた。

 

「しっかし先手を打って守鶴を大筒木から保護する計画の筈がとんだ大事になっちまったな」

 

「だがおかげで奴の狙いが強大なチャクラだとはっきりした。奴は必ずまた動く。」

 

 尾獣はその身に強大なチャクラを宿す。それらを集めて何をするのかは知らないがどうせろくなことでは無い。そう言う意味ではスミレをボルト達が止めてくれたのは不幸中の幸いでもあった。そのスミレが今ボルトをベットに押し倒してイチャイチャという名のお仕置している事をナルトは知らないが今はどっちでもいいだろう。…多分。

 

「こうなると他の尾獣達も心配だってばよ。」

 

「五影会談の結果次第だが他里には積極的に尾獣達を保護と注意喚起をするべきだろうな。」

 

「ああ。何かあれば俺が直ぐに向かう」

 

「万全とは言い難いが今はそれしかあるまい」

 

 サスケもそう言う。ウラシキが唐突すぎて対策が遅れてしまう。そのせいで被害が出るのはここにいる連中は御免だ。しかし今の状態が御免な人·····尾獣が居る。ナルトの書斎の上にいる守鶴が言う

 

「おいお前ら!俺はいつまでこんな格好でいなきゃいけねえんだよ!?」

 

「しばらくナルトの目の届く場所で保護する以上、あのデカいなりでいられるわけにもいかないだろう」

 

 守鶴は最初はあんなに怖かったのに今では何かマスコット化しているのは割愛。

 

「すまねぇな守鶴。しばらくうちにいてもらうってばよ」

 

「ケッ!我愛羅とお前の頼みだから聞いてやるがキツネ野郎と一つ屋根の下…ゾッとしねぇな」

 

 矢張り性格は結構柔らかくなっている。そんな守鶴にある意味地獄が待っているがまあ大丈夫だろう。守鶴がキツネ野郎·····九喇嘛の事を言えばナルトの中にいる九喇嘛が反応する

 

「ハッ!こっちだってお前のにおいをかぐだけで我慢ならんわバカダヌキ!」

 

「んだと!?やるってのか」

 

「フン…あの大筒木にこっぴどくやられたお前がわしに勝てるのか?」

 

「この~!相変わらず気に食わねえキツネ野郎だぜ」

 

 因みに今の状況は完全に守鶴が独り言を言ってるように見えるからシカマルには見えない訳で

 

「お、おいどうしたんだよ?」

 

「止めろって九喇嘛、守鶴も。」

 

「いつもナルトの中に隠れやがって。出て来こいキツネ。俺が怖いのか!」

 

「誰が茶釜狸なんぞにビビるか。そんなにキレると茶が沸いちまうぞ、ハハハハ!!」

 

 それを聞いた守鶴は怒りで顔が赤くなっている。それを見たほかの面子は茶が沸いたと思ったのだった。そして守鶴はナルトの中にいる九喇嘛に飛び込もうと思ったがナルトに押さえられた

 

「尾獣同士の仲は相変わらずかよ。」

 

「先が思いやられるな」

 

 そんなことを言って微笑んでいるサスケなのであった。その後3人は解散しナルトはin茶釜の守鶴を連れて家に帰った。

 

「ただいまー。」

 

 そう言えば元気なヒマワリと何故か少し赤くなっているボルト、満足した顔のスミレがお出迎えをした。ボルトは家の中なのに何故か上着を着て首元を隠している。そんな3人はナルトが持っている見覚えのある茶釜を見て

 

「もしかしてそれって」

 

 そう言えばその茶釜から守鶴がひょこっと顔を覗かせ言った

 

「おう、ボルト。暫くだな!」

 

「わっ!」

 

 ヒマワリはその守鶴を見て信じられないようなものを見る目をして守鶴をじっと見る。スミレはそんなヒマワリを見てヒマワリがどう思っているか色々察した。そしてナルトが守鶴を保護の場所が決まるまで預かるという事を言っていたらヒマワリが目をキラキラにした。それを見た守鶴がそのキラキラぶりに思わず聞いた

 

「え、何?」

 

「シュカークだ。」

 

「はい?」

 

「このシュカーク喋ってる!」

 

 そう嬉々としてヒマワリは茶釜に入った守鶴をナルトの手から取り抱きしめる。シュカークとは親子の日にヒマワリがクジを引いて貰った守鶴を模した人形である。スミレも同じクジで九喇嘛を模したクラーマ人形を持っている。因みにリビングにそのクラーマ人形とスミレが作った九尾人形にシュカークはサンドされている。

 

「ヒマワリ、こいつはシュカーク人形じゃなくてその…モデルになった本人って奴でな」

 

 本人·····まあ一応尾獣だから人なのかよく分からないが間違ってはいない。

 

「まさか俺を人形何かと一緒にしてるのかよ!?」

 

「かわいい!宜しくねシュカーク!」

 

「いや、俺は守鶴!」

 

 だがヒマワリは聞かず守鶴に頬をスリスリしている。その光景が和む。

 

(そう言えばビオラも鵺にスリスリしてたなぁ)

 

 とスミレは思い出していた。ビオラと鵺は出会って割と早くじゃれていた。ヒマワリがやった様に頬をスリスリもやっていた。

 

(今頃何やっているのかな?)

 

 と言っても自分達が会ったビオラならばまだ1歳かいってたとしても2歳になった位だろうから出来る事は限られる。うずまき邸に居候してからやっぱりビオラとボルトが似ていると思う事が増えた。あの父親が大好きなのはボルトに似ている。ボルトからすればビオラは確かにスミレに似ているとなっている。先程までやっていたスミレのお仕置きの時の甘える顔と声がビオラに似ている。と言うよりビオラがスミレに似ている。因みにボルトはお仕置きの後空気の有難みを知った。

 

「ママシュカーク!」

 

「あら本当」

 

「だから〜!」

 

 もうこうなっていてはペースが永遠と崩される。一行はリビングに移動しヒマワリは椅子に座り守鶴を膝の上に乗せて笑顔である。

 

「俺は誇り高い一尾様だ。だからペット扱いすんな!人間に飼われてる九喇嘛の野郎とは違うんだよ!」

 

 しかしヒマワリは守鶴の初対面が今の茶釜なので全く怖気付かない。それどころか本物のシュカークに会えた事でテンションMAXである。守鶴の言葉を聞いたヒマワリが座っている椅子に腰をかけているボルトは聞いた。スミレはテーブルの椅子に座っている。

 

「尾獣って全部で9体いるんだよな?」

 

「ああ。一尾から九尾、それぞれの尾の数に合わせてな」

 

「おぉ~!守鶴みたいなのがそんなに…。チャンスがあったら見てみたいってばさ」

 

「とはいえアイツらは個性が強いしみんなマイペースだからな。そう簡単にはいかないかもな」

 

 尾獣達は第四次忍界大戦が終わった今それぞれ自由に過ごしている。ナルトの様に人間と一緒にいるのはナルト以外だとナルトに尾獣チャクラの事を教えたキラービーだけだ。

 

「まあ俺達尾獣は簡単に人間に世話になる様なたまじゃないのさ」

 

「いや、元になってるじゃねえかお前」

 

 ヒマワリの膝の上にいる時点でお察しである。今の守鶴は全く貫禄がない。寧ろマスコットキャラクターになれる。と言うよりヒマワリはそう思っている。

 

「なあなあ。父ちゃんの中にもいるんだろ?尾獣。」

 

「ああ。九喇嘛だ。」

 

 ボルトはナルトと九喇嘛の関係性の話はまだあんまり聞いた事がない。ヒナタ曰く最初は苦労していた様なのだが生憎ボルトは仲良くなった後のナルトと九喇嘛しか知らない。この機会に知りたくなったのだ。

 

「父ちゃんのすげえ力は九喇嘛のチャクラがすげえからってのもあるんだよな!?」

 

 思い出すは中忍試験の時のモモシキとキンシキが襲ってきた時のナルトだ。あの時のナルトは九喇嘛のチャクラを纏い会場に残っていた人達を守る為に力を使った。その時の背中は今でも覚えている。

 勿論ナルトの力はそれだけではない。スミレから聞いたが風遁の性質変化を入れ螺旋丸を手裏剣状にした風遁・螺旋手裏剣。仙人モード。そして伝説の六道仙人より授けられた六道仙人モードは絶人の域に達すると聞いた事がある。·····何故スミレの方がボルトよりよく知っているのだろうか?

 

「まあ大雑把に言えばそういう事だな。父ちゃんも我愛羅やビーのおっちゃん、それにかぐらのじいさんなんかと同じ人柱力だったからな」

 

「人柱力」

 

 ボルトは一応アカデミーの時に習った。里同士で争っていた時代、尾獣の器としての兵器として扱われていた人間達。だが今は人柱力なのはナルトとビーだけだし伝聞で聞いてもよく分からない。ナルトとビーも嫌々じゃなく硬い友情で繋がれているのもある。その認識が甘かったと知るのはもう少し後である。

 

「でも今は違うんだろ?」

 

「ああ。」

 

 そう力強く頷いたのだった。

 

「キツネさん、パパの中にいるのなら会ってみたいな」

 

 そう純粋にヒマワリは言ったがナルトは苦笑いしてお腹に手を当てながら言った。曰くよく寝てて起きたがらないのだ。

 

「キツネの人間嫌いは筋金入りだからな。やめとけやめとけ!」

 

「じゃあシュカークが遊んでくれる?」

 

「だから何で俺が人間のガキなんかと」

 

「つまんないの」

 

 そう残念そうな顔をするが嫌だと言っているのにさせるのはあれだからヒマワリは諦めた。そしてナルトは今から守鶴と他の尾獣達と話し合いがあるからどっち道無理だと言う。

 

「いや…俺はイイや」

 

 そう何故かぷいっとした守鶴なのであった。そしてナルトは座禅を組んで目を閉じ精神世界に向かった。そしてその時守鶴はスミレに気がついて少し考えあれ?っとなった

 

「お前もナルトの娘なのか?」

 

 どう見ても紫色の髪色を持つ面子はスミレ以外にはいないが念の為という事がある。まさかボルトのガールフレンドで居候という名の同棲なわけ·····

 

「えっと、ボルト君と付き合ってて、居候しています」

 

 そう少し頬を染めて頭を下げながら言った。不純異性交友させない為の居候である。しかし初見で分かる訳ない。13歳から付き合い始めて同じ屋根の下を想像出来る人なんて少ないだろう。まあ尾獣なんだが。ボルトとスミレのデート中のイチャイチャがあった日はよく口を押さえている人がいるとかないとか。後偶に砂糖が転がってるとかないとか。スミレの返答が予想外過ぎるが守鶴は予想外すぎて何を言うのか分からず「そうか」と言ってナルトの精神世界を覗く。そして

 

「キツネの野郎調子乗りやがって!見てろ!絶対にギャフンと言わしてやる!」

 

 全員どうしたんだろうと思ったがその後ナルトは戻って来た。その後も少し喋っていたがスミレとヒマワリはお風呂に入りに行った。明日は珍しくナルトは休日だ。ボルトも休日、スミレもこの前の連休の振り返りで休みだ。と言うよりスミレの方が休みは長い。その後スミレとヒマワリはお風呂から上がりヒマワリは自室で寝た。守鶴もどさくさに紛れてヒマワリの部屋に転がり込む。そしてボルトがお風呂に入ってる時にスミレは言った

 

「あの…お義父さん」

 

「ん?なんだ?」

 

「ボルト君の事でお話が」

 

 スミレが何時になく真剣な顔になっている。忍とボルトの彼女としての顔だ。机に座って向かい合ってスミレは取り敢えず聞いた

 

「その…淨眼って知っていますか?」

 

 今のはナルトにもヒナタにも聞いた。ナルトとヒナタはその聞いたことの無い単語に疑問符を出す

 

「じょ…淨眼?」

 

 ナルトはヒナタに目線で知っているか?と聞くがヒナタは首を振る。

 

「ウラシキが次元移動をした時にボルト君の右眼がなにか…白眼みたいに白くなってたんです。それを見たウラシキが淨眼って言っていたんです。」

 

「ウラシキが?」

 

 大筒木ウラシキ、守鶴輸送中にボルト達と激突した大筒木。そして白眼みたい·····思い出されるは目の前のスミレが起こしていたゴースト事件の時、ボルトが厨二病になっていた時にボルトは白眼を開眼したと言っていた。だが結果的に白眼でも無かったしそれでボルトが拗ねていた時もあった。

 

「それにその淨眼は多分異界のチャクラも感知出来ると思うんです。私が…鵺にさせていた時もボルト君にだけ見えていましたから」

 

 ヒナタはスミレの所業を知っている。それでもスミレは家事を手伝ったりヒマワリの相手をしたりしてくれているからそれで十分だ。ナルトはその言葉を聞いてボルトが白眼開眼と言っていた時期の事を思い出した。あの時はゴースト事件の真っ最中。そしてスミレの言葉を合わせるのならば確かに白眼ではないがその淨眼と言う眼になっていた事になる。

 

「それに多分その淨眼になっている間身体能力も上がっていると思うんです。」

 

 最初スミレとミツキがガチで戦った時、ボルトは2人の攻撃を当時のボルトでは出せないスピードを持って止めていた。その時にも淨眼になっていた。ナルトは考え込む。考えてみればボルトはある意味じゃ自分達の中で大筒木に1番近い。ナルトもヒナタも元々大筒木が遠縁なのだしボルトはその2人の息子なのだからそれも必然かもしれないが。スミレも一応牛頭天王は大筒木の秘術だがスミレは知らない。そして聞いた事ない淨眼…それも知っていたのはウラシキだ。スミレは思い出した様に言った

 

「そう言えば厄介な眼とも言ってました」

 

 確かにウラシキはそう言った。ならば淨眼は大筒木に対抗出来る眼なのか?考えるが結局何もわからず。スミレも何か少し不安そうな顔をしている。ボルトの右の印の事もあるし。結局ナルトは考えても分からず

 

「ボルトはその眼に自由になれるのか?」

 

 見せてもらえればナルトじゃなくても九喇嘛辺りが反応してくれるかもしれないがスミレは首を振った

 

「まだ意識的には出来ないみたいです。そもそもやり方が分からないと言うべきなのかもしれないですが」

 

 鵺の時も多分無意識だしウラシキの時も無意識だ。

 

「それなら少しボルトに注意しないとダメだな」

 

 未知の眼·····悪いものじゃないのなら良いんだが分からない。なら

 

「様子見…か。ボルトは知っているのか?」

 

「多分知っています。」

 

「そう、か。」

 

 考えても結局分からず様子見という事になった。その後ボルトはお風呂から上がったら何かナルト達に少しガン見されたが直ぐに収まった。そして一行は自室に引っ込み寝たのだった。次の日うずまき家は玄関から出ながらボルトは呟く

 

「皆と一緒に出かけるのも久しぶりだな」

 

 ボルトとスミレは額当てを外している。今日はプライベート時間なのでスミレも指輪をしている。ヒマワリの腕にはin茶釜の守鶴いて何かいい事でも思いついたのか言う

 

「フン、しゃあねぇ。つきやってやっか」

 

「あれ?意外と素直じゃん」

 

 そんな守鶴の心の中は

 

(コイツが九喇嘛を悶絶させたってときの詳しい話を聞くチャンスかもしれないしな。当分あのキツネをバカにするネタに困らないぜ)

 

 昨日守鶴はヒマワリの部屋で一夜を過ごした。その時ナルトがヒマワリの布団をかけ直しに来たのだがその時に火影就任式の時の話を聞いたのだ。その話とは火影就任式の時、ボルトとヒマワリも向かおうとしたのだがその時にヒマワリがピンク色のクマの人形を持ってこうとした。しかしボルトはどうせ自分が持つ事になるからいらないと言って置いてく持ってくの言い争いをした果てにそのクマの人形が真っ二つに引き裂かれた。そしてヒマワリは怒りからなのか白眼になりボルトに襲いかかった。ナルトはボルトを庇って喧嘩を止めようとしたのだがヒマワリの柔拳がナルトの休止の点穴に思いっきりヒットし九喇嘛ごと気絶させられた事の話だ。その後ボルトも無惨な姿で発見された。

 その話をスミレにした時ボルトは「白眼の刑」だけは絶対にもう嫌だってばさと言っていた。その後5人と守鶴は里を回り始める。この前連休だったがボルトもスミレも大筒木相手だったのでSランク任務に相当する任務をやっていて休んでいなかったツケを今味わっている。全く意識していないがダブルデートである。ボルトは小腹が減ったので肉まんを買って巨大テレビを見ているスミレに持っていき半分に分けあげる。

 

「はわ、ありがとう。」

 

 そう言って貰い2人してパクッと食べた。ナルトとヒナタは服を見ている。ヒマワリはシュカーク人形を守鶴に見せる。スミレがテレビを見ていたのを見て1口食べた後に聞いた

 

「どうしたんだ?」

 

 スミレはテレビを指す。そこには海底から見つかった古代の遺物発見のニュースだった。その遺物にある紋章の様なものを指しながら言った

 

「あの紋章どこかで見た気がして·····」

 

 そう言われボルトも見る。確かにどこかで見た気がする。その紋章とは縦3・横3の合計9個の〇が描かれている。どこで見たんだろうと2人は考えたが結局わからず。

 

「あの形も何かに似ているよな?」

 

 とボルトは言ってスミレも確かにとなった。肝心の何かが分からないが今はデートと切り替えナルト達の所に向かう。一行はお昼にする事となり安定の一楽に向かいラーメンを食べる。その時ヒマワリが守鶴にナルトをあげようとしたが守鶴は茶釜に引っ込んだ。·····尾獣って食べ物なしでも生きられるのだろうか?

 その後千住公園に向かった。スミレとしては少しあれな場所だが今や幸せな思い出の方がある。その原っぱでナルトは仰向けになって寝始めた。ボルトとスミレは昼食後の運動がてらに巨大な樹をアクロバティックに移動して遊んでた。そしてナルト達の所に戻って来てナルトが寝ているのを見て

 

「すーぐこれだな。」

 

「疲れてるんだから寝させてあげようよ」

 

 それもそうかとボルトとスミレとヒマワリに守鶴は売店の方に向かう。団子が売っていたのでボルトとスミレは1つずつ買ってスミレがヒマワリの分を買おうとするとヒマワリが言った

 

「私ちょっとトイレ行ってくるね」

 

「1人で大丈夫?」

 

 とスミレは聞いたがヒマワリはムッとして返す

 

「もう!ちっちゃい子どもじゃないもん。それにシュカークもついててくれるって」

 

 尾獣とは言え女の子について行かせるのは良いのかと思ったが守鶴が行こうぜと言ってヒマワリと守鶴は行ってしまった。それを見ていたボルトが

 

「何か妙に仲良くなっちまったな」

 

「うん。」

 

 その後2人はベンチで団子を食べて感想言ったり少しイチャイチャが始まった。そして10分程経った時何故かヒマワリがしゅんとして1人で戻ってきた。曰く、守鶴はヒマワリにナルトの火影就任式の時の事を聞いた。しかしヒマワリはその日の事はナルトが何故か寝込んでたという事しか覚えていないしボルトも思い出させようとはしていない。そしてそれを聞いた守鶴は何故か拗ねて1人にしてくれ!と言って茶釜に引っ込んだのだと。しかしそれは少し不味い。守鶴は一応保護対象なのだから知らない間にどこかに行ったり連れ去られたりしたら不味い。3人は守鶴が丸まった所にまで行ったのだが守鶴はいなくなっていた。ボルトとスミレは周りを見てゴミを集めている会社の人を見かけよって言った

 

「すいません、この辺に古い茶釜なかったですか?」

 

 守鶴は丸まって寝ると言ったらしい。なら寝てる間にまさかゴミと間違えられたのではないかと思ったのだ。そしてその予想は当たっていた。守鶴を処分品と間違えてスクラップ場行きになったのだと。3人はそのスクラップ場に急行した。そして見た光景はスクラップが磁石でくっつけられ圧縮する為の場所に送られる光景だ。それで3人は寝ている守鶴がぺちゃんこにされると言う最悪な想像をしてスクラップをひっくり返し守鶴を探す。鵺を呼ぶ手もあったが鵺は守鶴のチャクラを知らないから探せない。

 

「クソっ!母ちゃんの白眼があれば!」

 

「ないものねだりしてもしょうがないよ!出来るだけひっくり返そう!」

 

 スミレがそう言っているのに頷き2人は守鶴を探す。ヒマワリは自分がきちんと守鶴を見ておけばこんな事にならなかったと自分を責める。そして思い出す守鶴·····

 

「どうしよう…どうしよう」

 

 そしてその瞬間ヒマワリの眼が変わった。それを見たスミレがボルトを呼ぶ。その間にヒマワリはキョロキョロと白眼の透視能力を持って守鶴を探す。

 

「ボルト君!」

 

 スミレがそう叫ぶのと同時にヒマワリは守鶴を見つけた

 

「ロック…オン」

 

「えっ!?」

 

 ボルトはそれだけであの悪夢が蘇った。今のヒマワリは割と声が冷たい。この前スミレがボルトに怒った時の冷たい声よりかはマシだが背筋がゾッとした。そう思うのと同時にヒマワリは瓦礫に突撃し瓦礫を吹き飛ばした。そしてヒマワリはその中から守鶴を見つけ飛んだ。守鶴は途中で目を覚まし何だと慌てるがヒマワリは守鶴を捕まえた…のと同時に白眼が無くなった。そしてそのままヒマワリは瓦礫の山にダイブする所だったがボルトが間一髪クッションになりヒマワリは怪我をせずに済んだ。

 

「2人とも大丈夫!?」

 

 スミレは思わず叫ぶがボルトはGoodポーズをし大丈夫と言う。ヒマワリは急いでボルトから降りる。

 

「これくらい…白眼に狙われるのに比べたら何でもないってばさ」

 

(よっぽど怖かったんだね)

 

 と苦笑いしたスミレなのであった。そしてまあ色々あったがこの日は何事も無く終わったのだった。家で何やら守鶴と九喇嘛が話していたが尾獣同士の会話故にボルトもスミレもよく分からなかったのだった。そして翌日の早朝、ナルトは守鶴を持って玄関前でヒマワリと守鶴の別れの時が来たのだ。ボルトとスミレも見送る。

 

「じゃあ…行ってくるってばよ」

 

「うん。…行ってらっしゃい」

 

 そう明らかに本物の守鶴がいなくなる事を落ち込んでいる。しかしだからと言ってずっとうずまき家で預かる訳にもいかない。守鶴は何も言わずにナルトに抱かれナルトはヒマワリ達に背を向け火影屋敷に歩き始めた。ヒマワリは寂しそうに見送るがその時ナルトの腰辺りから守鶴の尻尾が出てきてフリフリしていた。それは「またな」と言ってる様に見えヒマワリは小さく手を振りながら言った

 

「さようなら、シュカーク」

 

 そう吹っ切れた様子になったヒマワリなのであった。3人はリビングに戻り朝食を食べる。ボルトはガツガツと食べている。そして食べ終われば直ぐに食器を片付けどこかへ向かおうとする。それを見てヒナタが聞いた

 

「どこへ行くの?」

 

「サスケさんに修行つけてもらうんだ!」

 

「サスケ君だってたまに家に帰ったときくらい少しはゆっくりしたいんじゃない?」

 

 まあ…サラダはサスケが帰らなさすぎて反抗期になったからあながち間違ってはいない。しかしボルトは

 

「忍に休息等ない…ってサスケさんなら絶対そう言うって!」

 

「フフ」

 

 何故かそれを聞いたヒナタは笑う。ボルトは訝しげな視線を向けながら聞いた

 

「何だよ母ちゃん」

 

「昔のお父さんみたいだって思って。お父さんもお師匠さんに稽古つけてもらおうと頑張っていたから」

 

 そのナルトの師匠と言うワードにボルトは飛びついた。

 

「自来也様って言う立派な方が」

 

「会ってみたいなその人…どこにいんの?」

 

 そこでヒナタは少し暗い顔になりながら答える

 

「うん…それは無理なの。もう亡くなられたから·····写真ならあるわよ。見る?」

 

「見たいってばさ!」

 

 ヒナタはアルバムを持ってきてソファーに座りボルト達はヒナタの周りに集まった。そしてヒナタはアルバムを開きある写真の所で止めた。白髪で額当てに油と書かれ、ナルトと仲良く写真に映っているのは自来也だ。ボルトは自来也を派手なおじさんと言った。スミレも確かにと思った。·····自来也様と綱手様は同い年なのに老け方が違うのはどうしてだろうとも思った。

 

「そうね。見た目もそうだけどホント豪快な人でね。お父さんにとっては師匠であり父親のような存在でもあったの」

 

 そう言っていたらヒマワリが綱手とナルトが映っている写真に反応したりその他にもサクラやシカマルにいの、今のボルト達と同い年くらいのナルト達が映っている写真を見た。そしてある写真でボルトが反応した

 

「この人ネジおじさんだよな?」

 

 ネジ·····ヒナタの従兄である。第四次忍界大戦でナルトとヒナタを庇い亡くなってしまった。

 

「えぇ。私のいとこなんだけれど私にとってはとても優しくて強い兄さんみたいな人だったの」

 

 そう言いながらヒナタは捲っていく。そんな様子を見ながらスミレは思案する

 

(お母さんはどんな人だったんだろう?)

 

 スミレの実母、旧姓は筧で名前はハコべ。スミレは父親の方がインパクトありすぎて夢に出てくる事もあるがハコベの夢はあまり見ない。何でだろうと偶に思う。

 そしてスミレは何で父と母が結婚したのかは知らない。「根」の父親と一般人だった筈のハコベがどう出会ったのかも今となっては気になる。そして…何をやっていたのかも。そんな事を思っていたらナルトの同期の集合写真でサスケが居ない事をボルトは不思議に思って疑問符を出していた。

 

「こん時のサスケさんやっぱり強かった?」

 

「う…うん。サスケくんはずっと一番だったかな」

 

 何か歯切れが悪いがボルトは気にせず師匠の偉大さを噛み締めながら自来也よりもかっこいいと言う。

 

「でもすごい忍だったのよ自来也様。サスケくんやお父さんより強いかもしれないわよ」

 

「え?そんな訳ないってばさ」

 

 そうボルトは思わず言ったのだった。そしてその後ボルトは準備してさあ行こうとなった時任務服のスミレが言った

 

「あっ、ボルト君私もついて行って良いかな?」

 

「えっ?何でだ?」

 

「ちょっと科学忍具班の方で新しい原理を発見したんだけど戦闘でも応用出来るかサスケさんに試して欲しくて」

 

「それなら俺が言って来ようか?スミレ今日休みなんだし…」

 

 スミレはそれを聞いて首を振った。

 

「直接見たいの。」

 

 こういう所を見ると忍だけじゃなくて科学者なんだなぁとボルトは思った。そしてボルトは頷き2人は家を出て演習場…にはいなかったからうちは家を目指した。そしてうちは家のマンションまで来てインターホンを押すとサラダが出て??となった。ボルトとスミレが2人で来たのだからそれもそうである。まさか俺達幸せだぜアピール·····はするタイプでは無い。するタイプでは無いが無意識に見せつけるタイプという余計にタチが悪いが。

 そしてボルト達はサスケに用という事を言うがサスケは火影屋敷に行っていると言う。スミレは少し試して欲しい事があったから、ボルトは修行や聞きたい事があると言う

 

「まあサラダは知らないと思うけど自来也さんって人の事をな」

 

「自来也さん·····聞いた事ある様な·····」

 

 その後ボルトとスミレはフリーマーケットに来た。サラダ曰く親子の日ボルトとスミレがスミレの部屋でイチャイチャしている間にサラダとサスケはギクシャクしていたんだと。その時にカカシがサスケに貸したと言う事を知ったのだと。この本を読んで娘の気持ちを理解するといいって言って。そしてその本のタイトルが「イチャイチャタクティクス」で作者が自来也という事を覚えていたのだ。サラダ曰く本を読めばその人の人柄も分かるのではないかという事だ。サラダは内容は分からないが人間関係を修復するアドバイスがあるのではないかという事だ。

 所謂処世術の本(とボルト達は思っている)で6代目火影のカカシが読んでいるのだから絶対にためになる本だ。そして古い本だからフリマにあるのではないか?という事になったのだ。ボルト達はサラダも来るか?と言ったのだがサラダは遠慮した。自来也の事は知りたいがこの2人の桃色空間に一緒に長くいると何故か口から何か出そうで嫌なのだ。しかしタチの悪い事にボルトとスミレは疑問符を出しっぱなしだったのだった。そんな時·····

 

「泥棒ーーっ!」

 

 と叫び声がして反対側から何やら窃盗犯が走って来ていた。ボルトとスミレは頷いて向かおうとしたがその前にその泥棒はボルト達の担任だったシノとシノと同じ班だった犬塚キバによって捕らえられた。そして先生であるシノが来たのをいい事にボルトは聞いた。イチャイチャタクティクスって知ってる?と

 

「はあっ!?イチャイチャタクティクスを知っているかって?それは…その·····自来也様が書いた本だよな?」

 

 一気に歯切れが悪くなった。

 

「あ、ああ。確かにあの人の本だ。」

 

「自来也さんの事知ってるの?どんな人だった?」

 

 先生なのだから知っていると思い聞いた。シノもまあそれぐらいなら偉人の説明として良いかとなり咳払いして答える

 

「3代目火影の弟子で伝説の三忍の1人だ」

 

「後2人は?」

 

「綱手様と大蛇丸だ。兎に角凄い忍だった。4代目と7代目二世代に渡っての師匠だった。」

 

 ナルトの事は兎も角祖父の時ミナトも弟子だったと知ってボルトは驚いた。そして自来也は忍界大戦の立役者でもあった。今の木の葉に平和をもたらした1人だ。

 

「確かに自来也様はすげぇ忍だったぜ。まぁ俺と違って火影の器ってわけじゃなかったけどな」

 

 正確には自来也は火影に推薦されたが自分から断ったのだけれども。まあキバの話は置いといてボルトは本題のイチャイチャタクティクスの方に話を振った。

 

「何か凄い処世術の本みたいなんだ!」

 

 正直シノはボルトがそんな本だと思ってる事にほっとした。ボルトが1男子だったアカデミー時代なら兎も角·····いや当時もダメだが今はスミレと言う彼女がいるのにあの本を読ませてはダメだと。しかし少しキバがやらかす

 

「あれは実用書と言うより小説だな」

 

 とそれにスミレは反応した

 

「小説なんですか?それなら私も読んでm…」

 

「「読まんで良い!」」

 

 その2人の声にボルトとスミレは「へ?」って言う顔をした。しかしシノは厳格な先生の雰囲気を出しつつ

 

「お前達にはまだ早い!」

 

 この2人にイチャイチャタクティクスは絶対に見せては行けない。付き合ってない2人ならまだマシかもしれないが如何せん、この2人がお付き合いしてるのは最早周知の事実だから余計に。その後ボルトとスミレは何でだ?ってなりながら歩いていたら声をかけられた。そこに居たのはチョウジとチョウチョウだった。フリーマーケットで古着を売っていたのだ。だがどれもサイズがでかくてボルトにもスミレにも合わなかった。しょうがない。そしてボルトはチョウジにイチャイチャタクティクス知ってる?と聞いた。そしたら先程のシノとキバと同じ様に一気に歯切れが悪くなった

 

「小説なんだろ?もしかしてすっごい深い内容の冒険小説とか?ヒーローものとか?」

 

「いや~あれは…そうじゃなくって…」

 

 やはり歯切れが悪い。そこでスミレは何故か図書館で見たあの本を思い出した。あの時の自分よりかはマシだがこの少し恥ずかしい様な反応はあの時の自分と似ている。

 

「どちらかと言うと恋愛小説かな?」

 

「何それあちし超読みたいんだけど!」

 

 そこで反応したのはチョウチョウだった。そしてチョウチョウは左側を指さしてこの先に古本屋があるからそこにあるのではないかと?アドバイスをくれた。そんな時チョウチョウ達のマーケットに客が来た。親子の日に不正やって失格になったクーイ、ダオレ親子だ。そしてチョウチョウは今まで売れなかったからタイムセールという事にして後はチョウジに任せボルトとスミレと共に古本屋に向かった。そして古本屋に着けば店主さんにイチャイチャタクティクスがあるか聞いて店主さんはイチャイチャシリーズは5〜6シリーズあるという。そして店主さんはとうとうイチャイチャタクティクスを見つけボルト達に売ろうとしたら横から伸びた手がその本を取った。手の主はチョウジだった。

 

「これはまだ早いよ」

 

 とシノとキバと同じ事を言ったのだった。そこでスミレは若干赤くなりながら

 

(もしかして「イチャイチャ」って·····)

 

 周りの人が見ていれば「やっとか」と思う事に気がついt…

 

(彼氏と仲良くする方法とかかな?)

 

 ·····ある意味間違ってはいないがそうではない。いや、13歳に察しろと言うのもあれだがスミレは一応知っているのだから分かっても可笑しくはなかったのだが。そしてそんなイチャイチャタクティクス探しをしていても全然見つからないから·····正確には周りの大人が渡さないから諦めてボルトとスミレはサスケさんいるかな?と演習場に向かった。そうしたらサスケがいたのでボルトは自来也の事を聞いた。

 

「どうしたいきなり」

 

「だって母ちゃんがすごい忍だって言ってたから。なぁ、父ちゃんやサスケさんよりも強いって本当なのか?それとさ、母ちゃんが父ちゃんと自来也さんの関係って俺とサスケさんと同じ師弟だって言ってたんだけど」

 

 スミレはこの時サスケと自来也は面識ないのではないかと思った。確か父がゴースト事件の計画書をスミレに渡してスミレが見た時サスケのデータも一応あった。サスケは当時鵺の異界に干渉出来る唯一の人間だったから要注意人物として警戒せよ的なやつだ。しかしサスケは知っての通り里に居ることは今ほどなかったのでほぼ除外していた。そしてそのデータを見た時何年かは抜け忍になっていたし今も扱いとしては抜け忍のままだ。そんなサスケが自来也と会った事があるのだろうかと思ったのだ。しかしサスケは今のナルトを見ているからこそ思った事を言った

 

「師弟ということでは確かにそうだがまったく同じというわけではない。ナルトは自分の目的のために自来也のもとで必死に修業を積み、最終的にはそれが実を結ぶことになった」

 

「じゃあ俺と大して変わらないな。螺旋丸とか手裏剣術とか習ったし」

 

「そういう問題ではない。ナルトは命を懸けて守るもののために修業をしていたんだ。今のナルトがあるのは自来也の存在が大きい。あいつに忍者とは何たるか、そして歩む忍道を教えたのだから。ナルトにとって自来也は父であり師匠でもある。俺とお前はあの2人の域には達していないだろう」

 

 ボルトとサスケが師弟になってから今で1年程である。しかしナルトと自来也は2年以上·····そして年月だけでは決して分からない信頼と尊敬と絆がナルトと自来也にはあった。そしてボルトとサスケにナルトと自来也程の信頼と尊敬と絆があるのか?と言われたら首を傾けざる負えない。

 

「自来也は立派な忍だったと聞いている」

 

「サスケさんがそう言うのならそんなんだな…そういえばうちに父ちゃんと自来也さんたちみんなが写ってる昔の写真があったんだけどサスケさんいなかったな」

 

 スミレはどう説明するんだろうと思った。しかしサスケは道に迷っていたと答える。

 

「えっ、まさか迷子になってて集合時間に遅れたとかか?」

 

「そんな所だ」

 

 そんな風に少し笑って言ったのだった。スミレとしては自分からボルトにサスケの事を言うつもりは無い。それはボルトとサスケの師弟の問題だ。そしてボルトは本題を思い出し

 

「あっそうだ!肝心なこと忘れてた。イチャイチャタクティクス、カカシさんに借りてもらえないかな」

 

 そう言えばそうだ。サスケはカカシから借りたのだからカカシから借りれば良い。しかし自分達から言ったら貸して貰えない確率の方が高そうなのでサスケに頼んで貰おうと思ったのだ。しかしそれを聞いたサスケは5秒程ボルトを見つめ眼を闇に染め静かに言った

 

「あれはダメだ」

 

「えーーー〜っ!」

 

 まさかサスケから拒否られるとは思わなかったボルトは思わず叫んだのだった。スミレも何でそんなにダメなんだろうと思った。彼氏と上手く出来る方法があるなら是非読んで見たいのに·····。そんな残念を感じながらサスケはスミレに向いてお前の用事は何だ?的な事を聞いてきて自分がボルトについて来た目的を忘れていた。自分のポーチから赤銅色のクナイを取り出しながら言った

 

「強い電流が流れる時その周囲に強い磁場が出来る事を発見したのですがそれを戦闘に応用出来ないかなと思ったんです。それをサスケさんに確かめて欲しくて·····雷遁使いって事が前提なので」

 

「え?俺じゃダメなのか?」

 

 とボルトは聞いたがスミレは少し申し訳なさそうに

 

「うん。早めに結果を知りたくて…ごめんね?」

 

 要は道具の扱いも雷遁もボルトより上手いサスケにやってもらう事で結果を早く知りたいのだとか。そしてスミレは仮定として掌から雷遁の基本技で2本の雷遁の糸を池の方に向けそしてその2本の糸の間を縫うようにスミレが持ってきた赤銅色の鋼のクナイを投げて欲しいと言う。何故鋼なのかと言うと電気をよく通すからだ。そして並んだ2本の雷遁の糸にクナイの左右が触れ合った時の事を知りたいのだとか。

 

「分かった。」

 

 そう言ってサスケはその赤銅色のクナイを受け取り雷遁の糸を2本出してそしてクナイをその2本の間に通るように弱めに投げた。スミレとしては1度では難しいだろうなぁと無意識に何回かチャレンジするとは思っていた。しかし結果は…

 

「す…すげぇ」

 

 とボルトは呆然と呟いた。結果は1発で成功だった。放たれた弱めのクナイの左右に雷遁が当たった瞬間に凄まじい勢いで加速した。そのクナイは池の向こうにある木々をなぎ倒しながら進んでいき回収不可になった。その速度は音速にも勝っていた。ボルトなんかは一瞬何が起こったのか分からなかった程だ。あのスピードは火影でも自力で投げられるかはどうかすら分からない。超える事は更に難しいだろう。スミレはある程度は予想はしていたがそれでも現実にされたら唖然とした。そもそもこれは聞いてるだけで簡単そうには見えるが割と難しい。先ず2本の雷遁の糸を並行させるのも…それも片方の手でやるのも難しい。空気に出た瞬間にそしてその間にクナイを投げるのも難しい。それを1発で成功させたサスケの技量にスミレは改めて自分はすごい人達に喧嘩を売りそうになったんだなと思った。

 

「科学忍具班ではこの原理をどう呼んでるんだ?」

 

 サスケは表情こそは変えていないが普通に驚いた。結果はある程度予測出来てはいたがこれ程とは思わなかった。スミレはサスケの問に慌てて答える

 

「あ、えっと…電磁誘導って呼んでいます。」

 

「そうか」

 

 そう言ってクナイが突き抜けた先を見つめたのだった。その後ボルトとスミレは家に帰った。ボルトはイチャイチャタクティクスが手に入れられず少しイラついてたがそれも電磁誘導を使った投擲で半分程にはなっていた。そして2人は帰って来てテレビがついてるリビングのテーブルに不貞腐れながらボルトは座った。スミレは先程の出来事を纏めたいと言って部屋に戻った。ヒナタはボルトに聞いた。

 

「自来也様の事何か分かった?」

 

「ん〜まあね。あのさ、父ちゃんって俺くらいのときどんなだった?ちょうどその頃なんだろ?父ちゃんが自来也さんからいろいろ教えてもらってたのって」

 

 ヒナタはそれを聞いて懐かしむ様に語った。ナルトは小さい頃から変わっていない。

 

「『まっすぐ自分の言葉は曲げねぁ。それが俺の忍道だ』っていうのが口癖でね。その言葉どおり常に前を向いて絶対に諦めなかった。仲間のことを大切に思って守るって決めてその言葉にウソや偽りはない。昔からそんな人だったお父さんは小さいころからまっすぐだったけど自来也様に出会ってからますますそういう思いが強くなったんじゃないかしら?忍者とは忍び耐える者。自来也様の言葉よ。お父さんはその言葉を胸にずっと頑張ってきたのよ。私はそんなお父さんのことずっと見ていたの」

 

 いじめっ子から助けてくれたあの日から。しかしボルトは知らないから純粋に思った事を聞いた。

 

「ヘッあんなダメ父ちゃんじゃなくてももっとかっこいい相手がいたんじゃねえの?」

 

 それこそサスケやシカマル等など。ヒナタは食器を直しながら答える

 

「昔も今もお父さんの事大好きよ」

 

 と思わず口走り兄妹が反応した

 

「え~ッ!母ちゃん父ちゃんのこと子どものころから好きだったのかよ」

 

 いや貴方もスミレと両思いだろというツッコミは聞こえずボルトは言う。スミレは纏め中に

 

「くちゅん!」

 

 何故かくしゃみをして今日そんなに寒いかな?とか思っていた。そしてまとめが終われば貸してもらっている部屋の天井を見ながら背伸びした。晩御飯の手伝いをせねばと。そんな時机の上に飾ってると言うより置いている物に目が入った。それはレシートだ。ビオラの髪飾りを買った時の。普通の人からすればゴミの様に見えるがスミレにとっては宝物、ビオラと過ごした日々を思い出せるからだ。

 そしてスミレは次にその隣にある少しゴージャスな紫色の箱に触れた。その箱の中にはボルトがくれた指輪が入っている。自分ルールとして任務服の時は付けず私服なら付けるみたいなルールを下しているので任務服の今は付けていない。箱に触れるだけで胸がドキドキしている。状況があれだがロマンチックな場所で貰ったこのプレゼントに色々感情が爆発したのを今でも覚えているしまたやれば同じ様になると思っている。そんな感傷に少し浸っていたが流石にもう行こうとなり部屋を出た。そうすれば白シャツ1枚のボルトが抜き足差し足忍び足何故か移動していてスミレは声をかけた

 

「ボルト君?」

 

「スミレ!?」

 

 そう言ってシーっとしてきた。スミレは何でなのか分からず首を傾けながら近づいた。そうすればボルトは良い事を思いついたんだよと言ってナルトが自来也の弟子なら本を持っているのではないかという事だ。スミレもそれで「あっ」となりスミレは好奇心に勝てずボルトについて行った。少し罪悪感がありながらも2人はナルトの書斎に入り本棚を探したら何やら布に包まれているイチャイチャシリーズを見つけた。しかしその時ボルトは脚立を使っていたので見つけた喜びに思わずバランスを崩し倒れた瞬間スミレは目をつぶった。しかし忍だからこれ位痛くもなく。ボルトは立ち上がり目当ての本「イチャイチャタクティクス」を手に取った。その時ボルトが脚立から落ちた衝撃で気がついたヒナタが来た。

 

「何やってるの?」

 

「ああこれ。自来也さんが書いた小説なんだぜ?」

 

 そう言ってヒナタに渡す。ヒナタはタイトルから不穏のものを察したのか取り敢えず何ページか読んでみる。その間にボルトは今日あったイチャイチャタクティクスを探す物語を語っていたがヒナタは何ページか読み終えた後静かに本を閉じた。そしてボルトとスミレに向かって叱った

 

「だめよこれは!貴方達にはまだ早すぎます!」

 

 スミレはこの時初めてヒナタが怒った様を見た。そしてボルトと仲良く同じ事を思わず言った

 

「「えっ?」」

 

 スミレは何で彼氏と仲良くする方法的な奴が早いのだろうかと思った。まさか伝説の三忍の自来也がスミレが図書館で見てしまったあんな本と似た様な事を書いているはずがないから余計に不思議に思ったのだ。·····とこの時は真面目に思っていたのだった

 

 

 




お疲れさまです (*´∀`)♪
スミレ、壮大な勘違い·····ある意味あってるけど違うとかいう状態。
電磁誘導の下りは完全にスミレがついてく理由付けです。サスケ新伝にてサスケが今回やって見せた事を第7班に教えるんですがその時に科学忍具班が発見した原理と言っていたので今回はスミレがサスケに教えて試してもらった感じです。まさか1発で成功出来るとはスミレも思っていなかったけど·····うちはを舐めるなよ(`・ω・´)キリッ
ぶっちゃけボルトよりもスミレの方がナルトやサスケの強さについては知っているという笑。
スミレのサスケへの口調が未だによく分からないという作者(だってアニメでもノベライズ版でも喋ってる所ないし)

またまたアンケートしています。学パロです。ボルスミの部活です。最初はボルトを武道系の部活につっこんでスミレをそこのマネージャー的なやつにしようかなと思ったけど·····偏見だけど武道系の部活で女子マネージャーって少ない気がするので何かな〜となってしまった。という訳でアンケートです。幾つかこれ良いかな?というパターンあげるので投票してください(o*。_。)o
(*´∇`)ノ ではでは~


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タイムスリップ

おはようございますm(*_ _)m。
タイムスリップでーす!
アンケートの結果スミレ・ビオラ同伴でありまーす!(ΦωΦ)フフフ・・ウラシキ、オーバーキル。前も言ったけど作者ウラシキ嫌いなので良いでしょう。
では(˙꒳˙ )͟͟͞͞ =


 イチャイチャタクティクスの件から少し経った夜、猿飛アスマの娘のミライは前ボルトとスミレ、シンキと戦ったウラシキと戦っていた。周りにはウラシキにチャクラを抜かれ倒れているミライの仲間達がいた。暗闇の中で戦っていたミライがとうとうウラシキを見失ってしまった。ウラシキはミライの首を掴み持ち上げ聞いた

 

「火影達が尾獣を隠しましたね?貴方が知っているとは思えませんが一応聞いときましょう」

 

「残念でした!知らないわよ!知ってたってアンタなんかに教えるわけないでしょ」

 

「こちらは紳士的に聞いているのに酷い人ですね」

 

 首絞めておいて紳士的なのかはさておいてウラシキはミライのチャクラを奪い取った。ミライは脱力し前のめりに倒れた。ウラシキはミライのチャクラを見て「幻術使いのチャクラですかぁ」とか言って腰の赤い巾着に入れた。そんな時ミライが倒れている方から声がした。それは肉声という訳ではなく通信機器から発せられる声だった。それを見てウラシキはにっとしたのだった。

 

 ★★★★★

 

 夜間の木の葉の里、今里では警戒態勢が取られあちこちで忍がうろついている。だがそんな光景を見ているナルトは少しやりすぎじゃねえか?という顔である。事実後ろにいるシカマルに言った。だがシカマルは厳しい顔のまま

 

「これでも軽い位だ。もう大筒木にチャクラを抜かれる事件は何件も出ている。」

 

「けどな、戦争じゃねえんだ。こんなんじゃ里の皆を不安にさせちまう。」

 

 確かにそれもそうだがそういう訳にもいかない理由があった。それは・・・

 

「ヤツは時空間移動ができる。今はサスケがいるからいきなり里の中に飛び込んでくるなんてできねぇだろうが用心に越したことはねぇのさ」

 

 それだ。ウラシキは時空間移動が出来る。やろうと思えば里の中にひょいと入ってこられるのだ。今はサスケがいるから直ぐには来ないだろうが用心に越したことはない。ナルトはそれを聞いてため息をついて言う

 

「大筒木の野郎・・・狙うなら俺を直接狙えってんだ」

 

「お前に正面から向かってくる程馬鹿ではないだろう」

 

 それもそうだ。ナルトからそんなに簡単にチャクラを奪えるのならさっさとそうすれば良いだけだ。しかしナルトは火影をやってるのだから当たり前だが強い。と言うより下忍の時から既に忍界最強レベルだ。そんなナルトに真正面から来たらウラシキは馬鹿である。

 

「で、いい知らせと悪い知らせだ。まずいい知らせは他里との足並みがようやく揃った。これで大筒木の包囲網を更に絞れるはずだ。」

 

「悪い知らせは?」

 

「中忍が1人、哨戒中に行方不明になった。猿飛ミライだ」

 

 その言葉にナルトは難しい顔をする。そしてちらりとシカマルを見る。シカマルにとってミライはもう1人の娘と言ってもいい。シカマルの師、猿飛アスマの娘でアスマから託されたからだ。だから1番シカマルがミライを心配している筈だ。それを顔に出さず渋々言う姿はナルトが尊敬する所である。そんな時外からドタバタと声が聞こえた曰く待て!と言う声と待てないってばさ!と言う声である。

 

「やっぱり来たか」

 

 火影室にドタバタと入ってきたのはボルトとボルトを止めようと来た木ノ葉丸であった。ボルトが来たのとほぼ同時にナルトは立ち上がり夜の里を見る。

 

「今回は下忍もウラシキの捜索任務に当たるんだろ?なのにどうして俺だけ自宅待機しなきゃならないんだよ!」

 

 そう、下忍のメンツはウラシキの捜索に当たる。だがボルトには自宅待機令が出たのだ。因みにスミレは今日科学忍具班の方に行っている。だからウラシキ捜索任務は知らない。ナルトは主任のカタスケに何とかしてスミレを足止めしてくれと頼んどいたからだ。ナルトがボルトを捜索任務に行かせない理由は簡単だ

 

「ボルト…お前はウラシキとの戦いで恨みを買っている。お前が出歩くことはリスクでもある。今回は諦めろ」

 

 それはそうである。前回割と恨みを買いまくった。だがボルトは自分だけが休むなんて嫌だ!と言う。·····スミレには今日は科学忍具班に留まって欲しいとは思っているが。だがナルトは父親としてではなく火影として命令だと言う。

 

「いい加減大人になれボルト。俺がお前くらいの頃はもうちょっと聞き分けがよかったぞ」

 

 ナルトの同期がいればそうだっけ?となるがサスケもシカマルも今は特に突っ込まない。

 

「そんなの知らねえよ!だったらそん時の父ちゃんに合わせてくれよ!」

 

「どうしても命令が聞けないんだったら・・・暫くの間、お前を監禁するってばよ。」

 

「そんな・・・」

 

「ちょっと待て」

 

 そこでサスケが待ったをかけた。曰くサスケとボルトの2人でツーマンセルを組む。そうすればボルトもいきなり襲われることも無いだろうと。シカマルは

 

「だがサスケにはウラシキに対抗する為に里の中に居てもらわねえと」

 

「活動範囲を里の中に限定すれば問題ない。」

 

 師匠からの援護射撃にボルトはナルトに伝える

 

「頼むよ父ちゃん!いや、7代目」

 

 その息子の真っ直ぐな眼を数秒見てため息をついて許可した。ただし里内だけという条件である。サスケとボルトはその後火影屋敷を出て里内でブラブラパトロールを始める。しかしボルトはやはり里内だけはつまんないと言い始める始末。

 

「気持ちは分かるがあいつもお前の身を案じてるんだ。そこら辺は分かってやれ」

 

「分かってるってばさ」

 

 師匠の前ではボルトも型なしである。しかしスミレの前では割とデレが出ている。昔ボルトはミツキに家ではナルトはヒナタにデレデレと言っていたが自分もそうなりつつあるというのに自覚していない。そんなボルト達があんの門前に来た時、ボルトとスミレ以外の同期達が集結していた。言うまでもなくウラシキ捜索隊である。しかし任務だけでなくモニターも兼ねていると言う。新技術のモニターは多い方が良いという理由だ。デンキの会社が新たな技術を開発したのだ。デンキはその発明した物・・・インカムを見せてきた。

 

「インカム何て前からあったろ?」

 

「技術者のハグルマさんからアイデアをもらって少し改良を加えてみたんだ」

 

 ハグルマは過去にボルトに救われた。ハグルマはボルトに一礼した。ボルトも返しつつデンキの説明を聞く。

 

「これでみんなの現在位置がわかる仕組みさ。今はまだ限られた範囲内の位置情報しか集められないけどいずれは火の国全体をカバーできたらなって思ってるんだ」

 

 そう言いながらデンキは自分のパソコンをボルトに見せた。そこには白色の点が密集している。モニターであるサラダ達の位置情報だ。

 サラダはサスケの所に来て

 

「パパはボルトのお守り?」

 

「まあそんな所だ。」

 

「よそんちのお守りばかりじゃなくたまには自分の家族も大事にしてよね」

 

 痛い所をつく娘にサスケは返す

 

「分かっている。」

 

 サラダは歩き始める。

 

「バカボルトはお留守番よろしくね。あんまりパパに迷惑かけないでよ」

 

「何だと!」

 

 ボルトが中忍になってもあんまり関係性は変わっていない。サラダ達はその後あんの門から次々出ていく。ワサビ、イワベエ、メタル、ナミダもサラダに倣って次々と言葉を残す。曰く

 

「偶には我慢しろよ」

 

「いつもお前ばかりに活躍されちゃ俺たちの出番がないからな」

 

「ではボルト君。お留守番は頼みましたよ!」

 

「たまに休憩もいいじゃない」

 

「うっせえ!とっとと行きやがれ!」

 

 当てつけが激しい同期達が門からウラシキ捜索に向け走り去ったのを見届けボルトは残っているデンキの後ろから皆の位置を見る。だんだん里から離れて捜索に向かっているのが分かる。その最中追跡しているコオロギと言う男から連絡が入る。ウラシキを発見したんだと。

 増援が送られる。パソコンにはマップも表示されていてウラシキを追跡しているコオロギの位置情報が来ている。サラダ達も移動を開始している。コオロギの位置は細い渓谷に向かっている。テンテンやチョウジ等の忍はその渓谷を挟み込む様に移動している。里の警備に当たっていた忍達がどんどんあんの門から出ていく光景をサスケが見ているのを見てボルトもデンキから離れ忍達を見る。

 そんな光景を見ていたらボルトの後ろから冷たい声が聞こえた

 

「ボルト君?」

 

 ボルトはその声を聞いてビクッとしてゆっくり振り返った。そこに居たのは腕を組み背筋が凍る程の冷気を出して笑顔のスミレなのであった。その姿は任務服で額当てをしている。任務服なので指輪はしていない。肩には鵺が乗っている

 

「す、スミレ何で?」

 

 スミレは科学忍具班の方へ行っていたはずだ。確かに定時はとっくに過ぎているがナルトがカタスケにスミレを足止めしてもらうよう言っていたのはボルトも聞いている。ボルトもスミレには科学忍具班にいて欲しかったのだが・・・

 

「カタスケ先生が私を頑なに帰らせないようにしていたから何かあると思って無理矢理帰って来たらボルト君がいなかったから。着替えてから鵺にボルト君を探して貰ったの」

 

「ぬえー!」

 

 そうだ。鵺がボルトを探すのなんて朝飯前だ。完全に忘れていた。そしてスミレは自分の後ろから門を出て行っている忍の群れを見て察した。忍を総動員する理由は1つ。

 

「ウラシキ、だね。」

 

 その言葉にボルトは思わず顔に手を当てた。ボルトがスミレに来て欲しくなかった理由はナルトがボルトにウラシキ捜索に当たらせなかった理由と同じだ。ボルトの反応で察したスミレはボルトが里外に出ていないのを見て推察し

 

「サスケさんと一緒で里内限定なら捜索して良い、って感じかな?」

 

「・・・正解だってばさ」

 

(·····スミレに白眼はねぇけど・・・隠し事出来ねえってばさ)

 

 と今更思った。スミレの察し能力と推察能力、状況判断力はナルトやシカマルも驚いた事があるのだからそれも当然だが。そんな時、サスケがマントを翻し里内へ向かった。スミレは聞いた

 

「私もついて行って良いですか?」

 

 スミレもウラシキに恨みは買っている。そもそもスミレは任務すら命じられていない。だがスミレにボルトを危険な目に会うかもしれない任務について行くなと言うのは無理である。サスケはスミレの眼を少し見て

 

「良いだろう。ただお前もボルトと同じで里内だけだ。」

 

「はいっ!」

 

「·····素直に家に帰ってくれるっていう選択肢は?」

 

 とボルトは最後の足掻きで聞いた。しかしスミレは微笑みながら

 

「無いよ。」

 

「だよなー」

 

 ボルトもスミレの立場なら同じ事をする自信しかないからあれである。そして3人は歩き始める。サスケがボルトとスミレに聞いた。ウラシキはチャクラを奪った相手の術をコピー出来る。最近猿飛ミライが行方不明になった。ミライの得意忍術は幻術。

 

「もしかして先頭の人は」

 

「幻を見せられている可能性があるな。今逃げているというウラシキは・・・」

 

 サスケの予想は当たっていた。コオロギが追っていたウラシキは幻術にかけられていたミライだった。コオロギも幻術にかけられ木の葉の忍同士の追いかけっこをしていただけだった。そしてウラシキだと思っていた木の葉の忍達の殆どが里外に出て行った。言い換えれば里の警備が手薄。

 

「奴の狙いは九尾のチャクラだ。行くぞ」

 

 その言葉にボルトとスミレは頷き火影屋敷にまで走り出す。その道中ニュースで古代の遺物野ニュースが目に止まった。ボルトもスミレもまた脳裏に何か引っかかった。そしてボルトは止まり考え始めた。サスケはそんなボルトを訝しげに見る。

 

「里の警備がだいぶ手薄になったからって父ちゃんの周りにはまだ何人もの手練れがいることくらいウラシキだってわかってるはずだよな。それこそサスケさんがいることだって。ウラシキが直接今の父ちゃんを狙ってもうまくいくのか」

 

「九尾のチャクラ以外の狙い・・・」

 

 そしてボルトとスミレはボルトが呟いた言葉をもう一度呟いた

 

「今の」

 

「お義父さん・・・」

 

「「あっ!」」

 

 そんな仲良く声を揃えたカップルにサスケは先を促す。ボルトとスミレは色々思い出した。そしてその思い出すきっかけを言った

 

「今の父ちゃんが無理なら・・・」

 

「過去のお義父さんを狙えば」

 

 一見何言ってんだこいつらと思うがサスケはそれに目を見開いた。言ってる事はぶっ飛んでいるが3人はそれを可能とするものを知っている。サスケが苦々しく言う

 

「カラスキか!」

 

 その言葉にボルトとスミレは頷いた。ビオラを連れてきた大筒木の道具・・・カラスキならば過去のナルトのチャクラを奪いに行ける。

 そして白ゼツと戦った遺跡に古代の遺物にあった紋様と同じものがある事を思い出した。そしてそれは考古学研究所にあると。思い出してみれば形がカラスキに似ていた。いや、あれがこの世界のカラスキなのだろう。そして確信があった。3人は考古学研究所に急いだ。そして着いた先に見つけたのは倒れている人達だった。3人は更に奥に進み扉をぶち上げた。そこに居たのはウラシキ、そしてボルト達からすれば懐かしいカラスキの姿があった。

 

「見つけたってばさ!カラスキを使って過去の父ちゃんからチャクラを取るつもりだな!」

 

「ほーう。何故カラスキの事を知っているのですか?」

 

 ウラシキは本気で驚いた。まさか大筒木以外でカラスキの事を知っているとは・・・しかしそれは今はどうでもいい。ウラシキの後ろでカラスキが光り始めその光り始め部屋を照らす。ウラシキはその光の中に入った。

 

「逃がすか!」

 

 3人はその光の中に入って行った。そして出たのは最早言葉に出来ない程の光景だった。光の床がありそこに降り立っていた。ボルトは思わず周りを見たが目の前にウラシキがいるのを見て臨戦態勢をとる。

 

「ここまでついてくるなんて・・・しつこい男はモテませんよ?」

 

 生憎既婚者とカップルなのでモーマンタイである。ウラシキは釣竿を振るう。サスケが刀で弾く。その間にボルトとスミレは左右から攻めるがウラシキは直ぐに釣竿を戻しボルトを弾いた。それによってボルトは床が無い所まで飛ばされた

 

「ボルト君!」

 

「ボルト!」

 

 サスケの輪廻眼の能力”天手力”が発動しウラシキの位置とボルトの位置が入れ替わった。それによってボルトが落ちるはずだったがウラシキが落ちたのだった。そしてボルトとスミレ、カラスキを1箇所に集めた。最初は須佐之男でガードしようと思ったがそもそも赤ん坊であるビオラが無傷で来たのでそれは大丈夫だろうと思った故だ。そして一行は光に包まれた。

 

 

 ★★★★★

 

 

 木の葉隠れの里、だが最早隠れ里と言うよりも都市に近くなっているが。そんな里の中にある一軒家の中で親子が喧嘩していた。

 

「私だって強いから大丈夫!」

 

「ダメだってばさ!なにがあるのか分からねえんだぞ!?」

 

 最初に言ったのは少女である。祖父と父親譲りの金髪に所々母親譲りの紫色の髪を持っている。長さは母親の様にロングヘアでビオラの花の髪留めで三つ編みにしている。眼は父親譲りの蒼眼である。木の葉の忍の証である額当てをしている。服装は·····父親と母親は大変複雑なのだがスミレの最初の戦闘服に似ている。違うのは背中を出していないということ。その少女はテーブルを挟んで向かい側にいる父親に言った

 

「そんなの上等よ!実戦で強くなれるじゃない!」

 

 言っていることは間違ってはいない。事実実戦を積めば積むほど強くはなれるだろう。しかしそれは基本や実戦をしてもいい実力があれば良い話である。

 

「里の中でも強くなれる。ビオラ、お前は今多くの任務で色んな人と出会うべきだ!」

 

 ビオラ・・・少女の名はビオラ、うずまきビオラだ。そしてその向かい側に座っている金髪に蒼眼、眼に傷があるのは33歳のうずまきボルトだ。

 2人が喧嘩している理由はビオラの頼み事である。ボルトは今サスケがやっていた大筒木の痕跡探しの任務を受け継ぎやっている。ビオラがそれについて行きたいと言い出したのだ。だがボルトは拒否した。当たり前だ。その任務はSランクで最早ランクから下忍のビオラが出来る程の任務では無いのだ。

 ビオラの実力ははっきり言えば同期の下忍の中でも秀でている。祖母の実家、日向家で教わった体術は勿論父親譲りの遁術も飛び抜けている。そして何より科学忍具の使い手としても強い。そして今の火影の弟子なのだから。だが・・・それでは足りないのだ。しかしある意味自信過剰になっているビオラには伝わらず

 

「前もそう言ってた!私だって強くなっているもん!」

 

 そう、この2人がこの話題で言い合いをしていた事があったのだ。ボルトは過去に自分は修行嫌いだったのにどうして娘は強さを探求する様になったのだろうと割と思っている。そして言った

 

「いい加減大人になれビオラ。俺がお前くらいの頃はもうちょっと聞き分けがよかったぞ」

 

 ここにボルトの妻・・・うずまきスミレが居れば思わず微笑み笑った事だろうが生憎スミレは科学先端技術所の副所長になっているので色々忙しいのである。しかしそれでも家族の時間は大事にしているし所長のカタスケもそれを推奨している。リラックス時間が増えれば仕事のパフォーマンスも上がるからだ。

 閑話休題

 ボルトがビオラを拒否する理由は1つだ。ビオラは本当に強大な敵と戦った事が無い。ボルトはシンキ、モモシキ、ウラシキにディーパに殻の中枢メンバー達。本当の戦いの怖さをビオラはまだ知らない。下忍として野盗の討伐に当たった事はあるが悪く言えばそれだけだ。しかしビオラは反抗期なのか言う

 

「そんなの知らない!だったらその時のパパに合わせてよ!」

 

 ·····方法がない事もないが今あいつがどこにいるのか知らない・・・とか思っていたら

 

「もういいよ!」

 

 そう言ってビオラは自分の道具入れのポーチを持って家のドアを勢いよく開けどこかに行ってしまった。ビオラが家の玄関から出た時目の前に男の子がいた。ビオラが割かし父親に似ているのに対して目の前の男の子は母親に似ている。

 ビオラが金髪が多いのに対して男の子は全体的に紫色が多い。瞳も紫色でビオラと並んでいたら配色逆じゃない?と周りによく言われる。まあ本人達はあんまり気にした事がないが。少年は過去のボルトが着ていたような黒色の配色の上着を着ている。

 

「あ、おかえり、サスト。」

 

「う、うん。ただいま、お姉ちゃん。」

 

 少年の名はうずまきサスト。ボルトとスミレの2人目の子供であり今は2人の出会いの場である忍者アカデミーに通っている。お姉ちゃんと言った通りサストはビオラの弟である。

 因みに名前の由来は木の葉の英雄である父親とボルトの師匠から名前をもじった。·····父親よりも師匠の文字の割合が多いのは気にしない。あの2人みたいに強い子になって欲しいという願いが込められている。因みにビオラとは約3歳離れている。

 サストは目の前のビオラの反応から不穏なものを感じ取った。どう見てもサストの前だから笑顔だが内心イラついている。サスト自身は何もしてない筈だから必然的に久しぶりに帰ってきている父親という事になる。ビオラと母親の仲は良好だし却下。

 

「え、えっとどうしたの?」

 

 しかしビオラは寧ろ怖いくらいの笑顔で答える。

 

「何でもないよ。ただ、あのわからず屋のパパに怒ってるだけだからサストは気にしなくても良いよ」

 

 ビオラはサストの事が大好きである。その好き模様はボルトのおb・・・ではなくお姉さんを思い出す程である。サストがアカデミーに行ってからは割と落ち着いているがそういう事である。

 

「そ、そうなんだ」

 

「うん。修行行ってくるね」

 

「う、うん。行ってらっしゃーい」

 

 ビオラはサストから離れたら不機嫌オーラを解放しながら演習場にまで歩いて行ったのだった。サストはそんな姉の背中を見ながら言った

 

「何であんなに怒ってるんだろう?」

 

 と首を傾けたのだった。

 ビオラはそのまま演習場にやってきて師匠からの課題の手裏剣術を始める。だが地味な事の繰り返しで30分程経った時だれた。そして父親との言い争いの攻防にため息をついた

 

「はぁ・・・。私だって強いもん・・・」

 

 それを言うのならば目の前の手裏剣の的の真ん中に全部の手裏剣を当ててみろと師匠がいれば言うが生憎師匠も忙しい身なので無理。因みに真ん中に刺さっている手裏剣はビオラの持っている手裏剣の半分位である。ビオラはまだ高度な手裏剣術は使えない。

 基本が大事なのは分かっているが手裏剣を投げるのなら遁術で一気に倒した方が良くない?とか思っている。良くも悪くも父親の子供時代の楽しようとする性格は受け継がれている。ビオラは的に刺さった手裏剣を回収し始めた。そして回収し終えた時、何かあるのが見えた。それは·····

 

「亀の·····甲羅?」

 

 疑問符の声を出しながらビオラはそっと近づいた。そして観察するがやはり亀だ。でも何か既視感がある。今初めて見たはずなのにだ。そして···眺めていたらその甲羅から顔が出てきた

 

「はわッ!?」

 

 咄嗟の時に出る口癖は母親に似ている。と言うより一緒だ。ただスミレの様に慌てる性格では無いのでビオラの口癖を聞いたものは割かし少なかったりする。亀はビオラを見た後

 

「うずまきビオラ様ですね?」

 

「喋った!?」

 

 まあ喋る生き物は珍しくはないが亀が喋るのはびっくりする。そしたら亀はビオラの返事を待たずにいきなり光始め、ビオラが何かを言う前にビオラを光に包んだのだった。

 

 ★★★★★

 

 ボルトとサスケ、スミレは綺麗な青空の元へ出てきた。その光景にボルトはそう言えばビオラも大空から降ってきてハナビにキャッチされた事を思い出し·····

 

「ってそうじゃねえってばさー〜っ!」

 

 重力をどうにかする方法等無い。つまり3人は垂直に落下し始めた。咄嗟にボルトはスミレの手を取り抱き寄せた。鵺はスミレにしがみついている。そのまま3人は落下しボルトとスミレは地面に突撃。スミレはボルトが庇ってくれたことによりノーダメージ。サスケはスタッと綺麗に着地した。

 

「ぼ、ボルト君大丈夫!?」

 

「だ、大丈夫だってばさ・・・。」

 

 そう言いながらボルトはフラフラで立った。だがボルトの災難は終わっていなかった。3人が周りを警戒していた時、自分達もいた空から慌てている声が聞こえた。

 

「きゃああああ!!!どいてーーーっ!」

 

 ボルトとスミレは顔を見合わせ空を見た。そうすれば人影が急降下しているでは無いか。ボルトは慌てて受け止めようとするが人影の落下スピードの方が早く

 

「ごへっ!」

 

 変な声を出しながらボルトは人影に潰された。思いっきり砂煙が上がりスミレは少し咳をするが直ぐに言う

 

「ボルト君!」

 

 そして煙が晴れればボルトを下敷きにしてスミレ達と同い歳くらいの少女が

 

「痛たた・・・」

 

 そう言いながら下敷きにしているボルトを見てばっと離れ謝った

 

「はわわ・・・ご、ごめんなさい!」

 

 その時スミレは少女の全貌を見た。そして一気に既視感が襲った。主に金髪で所々にある紫色のアクセントの髪、ボルトによく似ている蒼眼。そして少女もボルトに謝った後スミレを見た。少女もスミレに既視感を抱いた。そしてスミレの肩にいる鵺を見て今度こそ唖然とした。スミレと少女が固まっている間ボルトは何とか立ち上がり少女に向いた。

 ボルトもスミレと同じ既視感を抱いた。少女は立ち上がったボルトも見て目を見開いた。そしてゆっくり呟いた

 

「パパ・・・?」

 

 その言葉を本当の父親以外に言う訳が無い。つまり目の前の少女は・・・

 

「ビオラ・・・?」

 

 そうボルトが言った瞬間色々時間が止まった。サスケに関しては最早置いてけぼりだが気にしない。そして先に立ち直ったのはビオラだった。

 

「あれ?どうして私を知ってるの?」

 

 それはそうである。目の前のボルトはどう見ても同い歳位だ。普通なら自分の名前なんぞ知らん筈だ。だがボルトは思わずという風に呟いた。

 

「そうか、あの時赤ん坊だったから覚えてないのか」

 

「え?」

 

「そっか、そうだね」

 

「へ?」

 

 今度はビオラが置いてけぼりを食らった。そしてボルトとスミレはどう説明したものかと思いながら言った

 

「いや、俺達はビオラに会った事があるんだってばさ。ビオラがこんな時に」

 

 そう言いながら当時のビオラの背丈位まで手を出した。その背丈はどう見ても赤ん坊の頃だ。ビオラは益々ややこしくなった。その後ボルト達はここに来るまでの経緯を説明した。ビオラはそれを黙って聞いて

 

「じゃあ本当に13歳のパパとママなの?」

 

 その言葉にボルトとスミレは頷いた。何故だろう。2人はめちゃくちゃ恥ずかしい。あの時は赤ん坊だったのにいきなり成長したビオラが来たのもある。しかし、1番恥ずかしいのは成長したビオラが自分達をパパ、ママと言った事だ。最初、ビオラが来た時ならば赤ん坊が言ってる事だからと言い訳出来たが成長したビオラがそう言うのならビオラは正真正銘ボルトとスミレの娘という事になるからだ。そんな2人を置いといてビオラはボルト達が来た理由を言う

 

「それでその大筒木が小さい頃のおじいちゃんの中にいる九喇嘛を狙っている事に気がついたパパとママと・・・」

 

 そこでビオラはサスケを見た。サスケもビオラを見返す。そしてビオラは呟いた

 

「もしかして・・・師匠のパパ?」

 

 ·····今聞き捨てならない言葉を聞いた。ボルトは3秒程固まり慌てて聞いた

 

「ちょ、ちょっと待ってくれってばさ。お前の」

 

 お前と言った瞬間にビオラはボルトを睨んだ。ボルトは思わず止まり言い直した

 

「ビオラの師匠ってまさか!?」

 

「うん。うちはサラダさんだよ」

 

 その言葉にボルトは何とも言えなくなってしまった。いや、まさかビオラの師匠がサラダとは誰も思わないだろう。そしてそこで思い出しボルトは嬉々として聞いた。

 

「なあっ!未来の俺ってどうなんだってばさ!」

 

 ビオラはそれを聞いて少し考え込み·····

 

「外じゃどうか知らないけど家の中じゃ駄目パパ。ママにはデレデレするしハンバーガーばっかり食べて口うるさいし」

 

 ボルトは膝を付き項垂れる。そんなボルトをスミレは苦笑いする。自分にデレデレのボルトが想像出来ないが·····。まあ既にデレの状態には突撃しているから時間の問題の様な気もする。そしてビオラは自分を連れてきたカラスキを持ちサスケも自分達を連れてきたカラスキを持つ。一行は取り敢えずここが何時の木の葉なのか知る為に指標である火影岩を見る為に移動した。そして一行が見たのは4代目までの顔岩がある。そんな時サスケが持っているカラスキが言った

 

「警告 警告 時間移動目標座標から大きくズレてしまいました。大筒木ウラシキ様が設定した時間移動目標座標地点と一致しません」

 

「ここは過去の木の葉か?」

 

 顔岩の時点で確定だがどこら辺かは知る必要がある

 

「はい、丁度5代目火影の綱手が収めていた時代になります。」

 

「ウラシキはどこだ?目標座標がズレていると言ったが別の時代にいるのか?」

 

「ウラシキ様はうずまきナルトの幼少期に時間移動座標を設定されていましたが…移動空間での運用の支障により私たちは本来到達するべき時代よりも手前の時代に来てしまったのです。そして私たちと離れてしまったウラシキ様はここより更に数日後に到着する計算となります」

 

 それを聞いたビオラが纏めた

 

「兎に角、おじいちゃんを早く探さないとダメって事だね。」

 

 ・・・おじいちゃんと言っているのが本当にビオラは未来から来たんだなぁと思う。そしてカラスキは注意事項を言い始めた。自分達と関係の深い者とあまり関係を持たないこと。大袈裟に言えばそれだけで未来が変わるかもしれないという事だ。未来にいるべき人や物が無くなる危険性を考慮した上で動いてくださいと言う事だ。

 

(あれ?でも·····)

 

 ボルトは視線をビオラの髪留めに向ける。そこにはスミレと割り勘で買ったビオラの花の髪留めがある。つまりこのビオラは正しくあの時のビオラであるという証左。つまりそれはビオラが自分達の時代に来た事により変わった未来は無いという事、あの赤ん坊のビオラが来るのは·····必然だったという訳である。それが嬉しかった。

 スミレ持っているそれに気がついたのか少し嬉しそうに微笑んだ。そんなカップルにビオラは疑問符を出していたのだった。




お疲れ様でしたm(*_ _)m。
タイムスリップして色々言って終わりです。
本作品の2人目のオリジナルキャラ、うずまきサスト。尚、出番はもうない笑。2人目の布線はR18の方の2話で2人目を作ろうとやったから(嘘です。書いてて面白そうと思ったからやっただけです。ごめんなさい。)
ビオラの時もそうだけど名前考えるの難しかった。

ビオラ、ボルトと喧嘩→強制タイムスリップ!
因みにビオラが言った家の中でのボルトは12話でボルトがミツキに言った家の中でのナルトの奴を言い直しただけです。

ビオラのデータ
身体能力 スミレ≦ビオラ≦ボルト(日頃の差。)
チャクラ量 ビオラ≧スミレ≧ボルト(ナルトのが隔世遺伝)
性質変化 水遁・雷遁・風遁(ボルトと同じ)
使用忍術

影分身の術
水分身の術 水遁・水練波 水遁・水華輪 水遁・水陣壁
雷遁・迅雷箭
風遁・烈風掌

基本ボルトとスミレが使っているもの。ただスミレの術の方が現状多かったりする。螺旋丸は無いです。

最後の必然云々はどう言う事かと言うと赤ん坊のビオラが来ても13歳のビオラが赤ん坊の時のビオラと同一人物という事は歴史が変わっていないということ。つまり赤ん坊のビオラがボルトとスミレのキューピットになるのは必然だったという事。それがなんか嬉しかったのです。

そう言えば殻器編·····青の情報出ましたね〜。青という事はつまりスミレが久しぶりにアニメ参上という事。楽しみヾ(≧∀≦*)ノワクワク……
アニオリでボルスミ描写増やしてくれても良いんやで?

(*´∇`)ノ ではでは~


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未来の忍者事情

おはようございますm(*_ _)m。
めちゃくちゃ久しぶりな更新の癖に文字数少ないです。すいません。
もう1つの方の奴が作者も結構早めにやりたかった章に入ってるのでこっちの速度が急激にダウンしましたすいませんm(*_ _)m
⊂('ω'⊂ )))Σ≡GO!!


 タイムスリップ・・・それはその名の通り時間を飛び越え過去、或いは未来に行く事を指す。しかし名前が知られているだけでタイムスリップをした人間何ぞいないと一般的に考えられている。そう、一般的にはだ。ボルトもスミレもある時まではそう思っていた。しかし2人の一般的が崩れ去った時があった。

 今、スミレの隣を何故かルンルン気分で歩いているビオラをスミレは見る。2人の服装は2人とも一応任務服では無く先程服屋で買った過去の木の葉風にアレンジした服装である。スミレは紫を、ビオラも紫だがスミレと違い少し黄色も混ざってる。

 ビオラはボルトやスミレがいた時間よりも未来から来たボルトとスミレの娘だ。2人がビオラに会うのは2回目、1度目はアカデミー時代の時。この時に2人の一般的が壊れた。1度目会った時よりも成長し同い年と言う少し複雑な気持ちがあるがもう一度会えて嬉しいというのはある。

 そんなスミレの視線に気が付いたのかビオラが父親を思い出させる蒼眼をスミレに向けた

 

「もうママ、そんなに私ばっかり見てたら不審がられるよ」

 

「ビオラもママって言うのはマズいと思うよ」

 

「うっ!」

 

 2人はボルトとサスケとは別行動だ。4人は今、少年時代のナルトを探している。ウラシキからこの時代のナルトを守る為だ。二手に別れたのは1つはサスケ達といたら普通は親子連れだと思われる。しかしどう見ても同い年っぽい子供を3人連れているのは不味い。オマケにボルトにしてもスミレにしてもビオラにしても目立つ髪色なのだ。いやでも目立ってしまう。

 もう1つは単純に別れた方が効率がいい。別れ方は男組と女組だ。

 

「それにしてもやっぱり昔の木の葉って少し貧祖なんだね」

 

 ビオラは最早里ではなく都市に近い里に住んでるからそんな感想になってしまうのはある意味しょうがない気もするが選ぶ言葉というものがある。

 

「・・・少しはオブラートに包みなさい。」

 

 スミレからすればこの里も立派な建物が多いと感じている。スミレは主に父親のせいで場所を転々としていたし漸く場所が安定した時にも住んでいたのはやはりうずまき邸と比べれば狭い。うずまき邸のリビング位の広さだ。見た目も少し汚れていた。それに比べれば今の里の様相の方が立派と言えた。

 因みに鵺は帰るべき異界へは帰れない。何故なら鵺はそもそも牛頭天王を介して口寄せしたり来たりしている。スミレにも小さくなったとは言え牛頭天王はまだある。しかしそれは現代の異界に繋がるのであった過去の異界に繋がるかは分からなかった。安全を考慮し鵺にはスミレがこの時代で買ったショルダーバッグを腰に巻き付けその中に鵺は入って貰っている。忍具を入れてい方に入れる事は考えたが手裏剣やらもあるので危ないから却下した。

 鵺もビオラに直に気が付き先程少しじゃれてた。未来にも鵺はいるらしく小さい頃からよく遊んでくれたと言っている。

 

「それにしてもおじいちゃんいないね。」

 

「そうね・・・。」

 

 里外へ任務ならばそもそも見つからない。鵺に探してもらう事も考えたが鵺は目立ってしまうので却下した。そんな時、後ろから女性の悲鳴が聞こえてきた

 

「ど、泥棒ーっ!捕まえてーーっ!」

 

 スミレとビオラは後ろを振り返れば結構なスピードで通行人を蹴散らしながら泥棒が走ってくる。しかしスミレはあんまり騒ぎにする訳にも行かないと考えビオラに離れようと言おうと隣を見た時、先程までいたビオラがいなくなっていた。スミレが慌てて泥棒の所を見るとやはりビオラが走ってくる泥棒に向かっていた

 

「ビオラ待って!」

 

 しかしビオラは聞かず

 

「通さない!」

 

「邪魔だ餓鬼がーっ!」

 

 そう言って盗んだ物を持ってる左手では無い右手の拳をビオラに振るった。しかしビオラは右手でその拳を腕ごと逸らし左手で日向流の掌底を泥棒の腹部に思いっきりぶつけた。

 

「ぐはっ!」

 

 泥棒は面白いくらい吹き飛び盗んだ物も手から離れた。泥棒は相当きいたのか蹲っている。どうやら溝に思いっきりいったらしい。スミレは顔に困った様に手を当てながらもほっとく訳にもいかないのでビオラに近づく。ビオラは鞄を取り埃をはたいた後走ってきた持ち主に返す

 

「どうぞ。」

 

「ありがとうございます!」

 

 スミレは困った顔のままビオラの横から出て何となく鞄の持ち主を見て・・・思いっきり眼を見開いた。顔はスミレの知っている人よりは幼いが顔の特徴は覚えてる。その顔の持ち主は・・・。そして思わずというふうに呟いた

 

「おかあ·····さん」

 

「へ?」

 

「え?」

 

 と呟いた本人は信じられないようなものを見る目でビオラが助けた女性を見ながら口を手で隠す。そして自分の呟いた言葉に気が付き直ぐにビオラの手を取った。

 

「ちょっ、ママ!?」

 

 ビオラの言葉も大分不味いが今のスミレに答える程の余裕はなかった。ビオラを連れて女性から早急に離れ無我夢中で遠くに遠くに走る。そして先程の場所から離れればスミレは息を荒くしながらビオラの手を離して壁に寄りかかる

 

「ママ・・・さっきの人·····」

 

 スミレは確かにお母さんと呼んだ。ビオラはボルトの父と母の事はよく知っているがスミレの父と母の事はよく知らないし会った事もない。何度かビオラのいる時代のスミレに聞いた事はあるが余り教えてくれなかった。ビオラからすればボルトが帰ってきた時の夫婦の様子は今でも新婚か!って思う程ラブラブだが母親のそれだけがずっとミステリアスだった。ビオラはそこで気が付いた。スミレの眼が濡れ始めていた事に

 

「ママ・・・」

 

 スミレはビオラの前の事を思い出して直ぐに涙を拭いた。だがどう見ても大丈夫そうでは無い。ビオラは心配な表情をずっとしているがスミレは見てない振りをして違う方に顔を向けると

 

「あ、ボルト君」

 

 同じく着替えをしていたボルトとサスケを見つけた。ビオラも気が付き近寄ろうとしたがスミレは止めた

 

「どうしてママ?」

 

「様子がおかしいよ」

 

 そう言われビオラはもう一度見た。そしたら確かに背を向けていて分かりにくいがボルトとサスケの近くに3人の人がいる。

 1人は5代目火影、綱手だ。スミレも直接見た事があるから知っている。そしてもう1人は後ろ姿しか見えないからあれだが白髪で少し長髪だ。服の色は赤色を基調となっている。

 最後の1人でスミレは誰なのか直ぐに分かった。彼氏と同じく金髪でその彼氏が大筒木と戦った時に着ていた服を着ていたからだ。

 

「じゃあ・・・あれがおじいちゃん?」

 

「·····それ直接言わないでね?」

 

 さて、ここからどうするべきなのか。今から合流するべきなのか·····だが本当なら会う事なく影から守るつもりだったのだ。ここに来て路線を変えるべきなのか·····少なくとも自分達は外野から守った方が良いのではないか・・・とスミレは悩み始めた。

 ·····そんなスミレの悩みがボルトへの呆れと怒りに変わる出来事が起こった。スミレとビオラが出るべきか悩んでいる時、どんな会話していたのか知らないがボルトが白髪のおじさんに近づいて行き変化したのだ

 

「これでどーお?」

 

 そうやって変化して出てきたのは女性へ変化したボルトである。だがそれだけではスミレが怒る理由にはならない。別に女に変化する位ならばいい。普通の女なら。だがボルトが変化したのはお色気度がMAXの女性で露出多いし胸部を出しているしで·····彼女がいない時ならばいざ知らず彼女がいるのにそんな格好するとは·····とスミレは思った。

 だが白髪のおじさんは

 

「んんんんん!OKーーっ!!!」

 

 と馬鹿さを十分にアピールした。

 その一方その光景を見ていた女性二人は

 

「パパ最低」

 

「ボルト君·····」

 

 と大分ご立腹である。

 ビオラ何て直球過ぎる。喧嘩した後にここに来たからか超辛辣だ。それから父親の戦闘場面何て見た事ないから父親の凄さも知らないのもある。·····知っていても引くが。

 その後、綱手は去って行きナルトと白髪のおじさん·····

 

(多分自来也様ね)

 

 自来也はナルトと何やら言い争いをしている。聞こえて来た事によるとボルトとサスケの監視をナルトがやっておけ!と言われナルトがやたらと反抗している様子だ

 

「聞き分けが悪いぞナルト!わしがお主くらいのころはもっと素直に命令を聞いたもんだ!」

 

「そんなもん知らねぇよ!だったらそんときのエロ仙人に会わせてくれってばよ!」

 

 それを聞いたビオラとボルトは離れていても同じ事を言った

 

「「何かどこかで聞いた台詞だ」」

 

 それもその筈2人がこの時代に来る前にそれぞれの親に言った言葉であり親が言ってきた言葉なのだから。スミレは苦笑いしていた。

 そんな事を思っていたら自来也は女性をナンパしたりしていて何だか

 

「何か·····ほんとに伝説の三忍なの?」

 

「そ、その筈·····だよ?」

 

 本当にそうなのかスミレも自信が無くなった。そう思っていたらボルトとナルトが目を離した隙に自来也はどこかに消えていた。

 その速さには2人とも驚いた。そんな事を思っていたらこの日は夕方になって行った。ナルトはボルトとサスケのせいで自来也に修行をつけて貰えないとボヤいていた。ナルトが前を見て何と目の前からボルト達と同い年位のサクラが来たらサスケは姿を消した。

 

「あ、師匠のパパ隠れた」

 

「サクラさんが奥さんだから不味いって思ったんだよ」

 

 スミレとビオラは耳を傾ける。ボルトはそのままナルトと一緒にいる。ボルトとナルトはそのままサクラに接触、サクラはそんな並んでいる2人を見て

 

「あなたナルトにそっくりね」

 

「「はあっ!?全然似てないってばよ(さ)!!」」

 

「それを似ているって言うのよ」

 

「「全然似ているってばよ(さ)!!」」

 

 そのやり取りを遠目に見ているビオラは笑いを堪えていなかった。

 

「ふふふ…どう見てもそっくりなのに!」

 

「あははは・・・」

 

 貴方もあの2人に似てるわよ

 

 とスミレは心の中で言った。心に留めたのはきっとビオラは否定するからだ。そして2人はサスケの元へ向かった。サスケは目立たない木の上でボルト達を見ていた。隣に降り立った2人をサスケは一瞥した後視線をボルト達に向ける。

 

「取り敢えず、ベストなんじゃないでしょうか?」

 

 スミレはそう言う。確かに当初は離れていざとなったら守るというスタイルだったが出来るなら1番近くにいたらいい。もしギリギリまで離れていたらいざとなったらナルトが一撃でダウンなんてあるかもしれないからだ。

 サスケも不可抗力だったとは言えベストには持っていけたので

 

「ああ、後はボルトがぼろを出さなきゃいいが·····」

 

 人を呼ぶ時の呼び名は咄嗟には変えられない。さっきスミレが自分達よりも少し年上だった母親にお母さんと言ったように。それを思い出したのかスミレの顔が少し悲しいような・・・そんな顔をした。ビオラはそんなスミレを心配な顔で見ていた。

 ボルトとナルトはその後ナルトのアパートまで行った。お互いに自己紹介して2人は部屋に入って行ったのを見届けた後、ビオラは思わず一息ついた

 

「はぁ・・・潜入出来たのはパパだけか」

 

 出来るなら人数が多いに越したことはない。寧ろ良い方だろう。だがスミレは苦笑いしながら言った

 

「しょうがないよ。私達がいきなり出てきても変になるだけだから」

 

「それはそうだけどさ·····」

 

 そう言ってビオラはナルトの部屋を見る。取り敢えず今日は大丈夫な筈だ。余計な敵は増やしたくない筈だから街中でいきなり襲うとは考えにくい。

 そこでビオラは気づいた。気づいてしまった

 

「・・・もしかして私達って野宿?」

 

「まぁそうなるね。でも野宿位なら任務でしたでしょ?」

 

 とスミレは疑問形で聞く。大概の忍は野宿はした事がある。スミレもある。何ならボルトと一緒に温まって他の人よりも快適に寝た記憶がある。呪印の時に。

 だけれど

 

「し、した事ないよ!?」

 

「え!?」

 

 まさかのしたことが無い。

 それもその筈、ビオラの世界はボルト達がいる時代よりも色んな意味で世界が発展して行き前まで割と遠かった所でも短時間で電車で行けるし電車もビオラの時代では雷門デンキが2代目社長となっていてそのデンキが更に電車のスピードを上げることに成功しているからだ。

 更に更にボルトの時代では線路が通っていない所も通っていてそれが更なる時短になっている。

 そしてもう1つは未来ではバイクや車というチャクラを燃料にした乗り物もあり大概電車で行けないところはそれに乗って行くから野宿何てする事は普通ないのだ。

 ビオラの時代で野宿をしているのは恐らく未開拓の地を歩いているボルト位なものだろう。

 

「・・・色々変わってるんだね。」

 

 最早想像出来ないくらい意味分からないがクラスメイトが頑張って里の近代化に繋がったのだと知ったら少し嬉しくなった。

 ゴースト事件の時、スミレは初めてのターゲットをデンキに定めた。テストの意味を兼ねていたから精神が弱っている且つもしバレて暴れられても·····簡単に命を断つことを出来る人としてデンキを選んだ。

 その時のデンキは自分に自信が無い少年そのものだったのにそんなに立派になったんだと。スミレは少しアカデミー時代の事を思い出して胸が苦しくなったがビオラに言った

 

「でも・・・どの道しょうがないよ。私達宿を取れるくらいのお金なんてもう無いでしょ?」

 

 後は何とか滞在している間のご飯代程しかない。服がかかりすぎた。

 ビオラはそれもそうかとしゅんとし始めた。

 その後、2人は買い物に出かけた。キッチンなど使う事は出来ないから余り気は進まないがインスタントラーメン等を買おうとした。

 

「カップラーメンって·····はぁ」

 

 ビオラが盛大なため息をついているがスミレも内心は同じだったりする。それでも何も食べないよりマシだろう。昔の忍ならば任務遂行の為に何にも食べずに敵地に潜入など普通にあったがボルト達以降はそういうのは少ない。それでもスミレは何日かなら食べずに生きていける。父親にそう修行させられたからだ。

 だがビオラは無理だ。さっきも言ってた通りどんな任務も日帰りの事が多くだから腹ぺこになれば大分不味い。

 そんな2人がカップラーメンを手に取った時、声がかけられた

 

「あれ?貴方達さっきの・・・?」

 

 そう懐かしいような・・・悲しいような声が聞こえた。スミレはその声を聞いて一気に鼓動を早くしながらゆっくりと振り返った

 

 

 

 




お疲れ様ですm(*_ _)m。

バイクはナルト列伝にて登場していました。車は無かったんですが10年以上経てばバイクあるんだから車も出来るだろって事で出ました。

そしてデンキ名前だけ笑。

そしてスミレの母親でビオラの祖母登場!尚、話し方は完全オリジナルです。
次回、下忍集合ヾ(。・∀・)oダナ!!
(*´∇`)ノ ではでは~


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下忍集合!

おはようございます。 あけましておめでとうございます。
新年一発目下忍集合であります。と言ってもアニメのボルトが通った道は行かないですが


「ごめんね、こんな物しかなくて」

 

そう言いながら後ろをポニーテールにしている女性はテーブルの上に味噌汁やら白飯やら置いた。スミレは思いっきり萎縮している。

スミレとビオラがいる場所はしがないアパートの一室だ。少し女性としてはものが少ない部屋をうろちょろとビオラは見ている。スミレは女性にお礼する

 

「あの…ありがとうございます。泊めてくれるなんて」

 

女性はテーブルに座り微笑みながら返す

 

「いーえ。私の方こそ、ちゃんとしたお礼を言えずじまいでしたし…それに比べたら何日か泊まらせるなんて容易いものですよ。」

 

スミレは女性をずっと見ていたら勝手に涙が溢れてきそうになり少し目を逸らす。そんなスミレやビオラに女性は自己紹介した

 

「私、筧ハコベと言います。」

 

ビオラはその名字に少し呆然としたが慌てて自分も名乗る

 

「うずまきビオラって言います」

 

そして涙が出かけているスミレの脇腹をつきスミレも急いで名乗った

 

「あ…かけ…うずまきスミレって言います」

 

スミレは間違えて自分の今の名字を言うところだった。スミレの筧という名字はハコベの名字。父親と修行していた時は信楽だったがゴースト事件を遂行する為に姓を母親の筧にしたのだ。

同じ名字は不味い。だから咄嗟にボルトの姓を名乗った。…それでも大分恥ずかしいがうずまきを名乗ったのはもう1つ理由がある

 

「あ、やっぱり姉妹だよね!よく似てるもの!」

 

あわよくばビオラと姉妹に間違えてくれないかなぁ?と思っていたのである。でもまさか母娘、そして孫と子供だとは思わないだろう。

スミレは観察した限りまだハコベは父と結婚する前という事が分かる。

 

「さっさ!食べましょ!」

 

ハコベがそう言ってスミレとビオラはいただきますをして食べた。その味はスミレが父と母と一緒に過ごしていた時に母が作ってくれたものと同じ味だった。スミレの味のベースもハコベのものだがボルトに振る舞う為にオリジナルを入れる。

スミレは懐かしさで涙が出るのを懸命に耐えながら食べるのだった。

 

★★★★★

 

夜、スミレとビオラにハコベは布団を引き3人で寝始める。ビオラがぐっすりと寝始めた時

 

「スミレ起きてる?」

 

とハコベがスミレに話しかける。スミレは寝たフリも出来たが口が勝手に開く

 

「はい。」

 

「スミレとビオラの御両親はいるの?」

 

スミレはそれを聞きつつハコベの方を見る。そうするとハコベの方もスミレを見ていてスミレの心臓がザワつく。それを押え言った

 

「…います」

 

ビオラにはボルトとスミレが、スミレには目の前の母、そして気が早すぎるかもしれないがナルトとヒナタ。あながち間違ってはいないから大丈夫。

ハコベはそれを「そっか」と言いつつスミレの反対の方を向いた。

 

「おか…ハコベさんの御両親は?」

 

つまりスミレの祖父母の事を聞いたが

 

「お母さんとお父さんは戦争で…ね。」

 

この時代はまだ戦乱だった。その戦の中ハコベの両親はハコベを残して死んでしまったのだ。スミレは初めて知ったその事に「そうなんですか」と言ったきり返す事は出来なかった。

 

★★★★★

 

翌日、スミレとビオラは仕事に行くというハコベと別れてサスケの元へと向かっていた。サスケにはハコベの家で泊まる旨を報告しておいたから大丈夫だ。

2人は…主にスミレが少し落ち込んで歩いている。

 

「ママ、やっぱりあの人…」

 

スミレはもうバレていると考え頷いた。

筧ハコベ…スミレにとっては信楽ハコベはスミレの実母。根の父親にその身が亡くなるまで尽くしてきた人物。そしてスミレの名前を与えた人物。

確かによく考えれば過去、それも根が迫害される前なのだから母がいる事は予測出来た筈なのだ。なのに…目の前に現れた時スミレはよく分からない感情に支配された。母に会えた事は喜ぶべきなのかもしれない。だけど自分はゴースト事件終盤まで母の言葉を忘れていた。そんな自分に喜ぶ資格が…オマケにこの時代のハコベはスミレの事を娘だとも思っていない。そんな人相手に喜ぶ資格があるのだろうかと思った。

そんなスミレは落ち込んでいたら周りへの注意力が散漫になり角を曲がった所で人と激突した

 

「きゃっ!」

 

「わっ!」

 

スミレと激突した人も少し弾かれ尻もちを着く。そしてスミレに文句を言おうとしたら

 

「スミレ?」

 

「え?」

 

目の前からぶつかったのはボルトであった。ビオラが後ろを見るとナルトもいた。そのナルトは笑いながらボルトに言った

 

「お前だって何やってんだってばよ」

 

「う、うるせえな。」

 

そう言いながら立ち上がりスミレに手を差し出す。スミレはその手を握ったのはお仕置した時が最後という事を思い出しながら握り立ち上がる。

そこでナルトはボルトが言った言葉にあれ?となりながら聞いた

 

「お前ら知り合いなのか?」

 

そこで3人は慌てた。ボルトはサスケと2人の旅芸人って事にしてしまっている。ここで追加メンバーの2人でーす!とか洒落にならない。

そこでビオラが機転を利かした

 

「あ、ひ、久しぶり、パ…ボルト君!こっちに来てたんだ!」

 

ボルトもビオラの言葉の意味が即座に分かり苦笑いしながら返した

 

「お、おう!久しぶりだってばさ、ビオラにスミレ!」

 

本当は昨日から一緒、何ならスミレとボルトは同じ屋根の下に住んでいたのだから違和感満載の会話だがスミレも直ぐに演技をする

 

「う、うん。久しぶり。」

 

その会話にナルトは疑問符だったがそんなナルトに理解させる為に3人は演技をする。ビオラが切り出す

 

「そ、それにしても3ヶ月ぶりだね!またここら辺で芸をしに来たの?」

 

「おう。3ヶ月修行したからな!今度は俺も主役級で頑張るってばさ。」

 

そんな会話から察するに旅芸人とお客さんという関係、という事にナルトは気がついた。3人は内心でため息をついて眼で

 

(何でここに!?)

 

(サスケさんの所に行こうとしたの!)

 

と言い合った。因みにこの光景もサスケは今見ている。少し頭を抱えているが。

スミレは聞いた

 

「ぼ、ボルト君は今からどこに?」

 

「何か下忍が招集を受けたらしくて」

 

「こいつには悪いけど監視しないとダメだから一緒に来てもらおうと思ってな」

 

寧ろその方が都合が良いのだが。そう内心で苦笑いしてスミレは逆にチャンスだと思いナルトに聞いた

 

「その…お邪魔じゃなかったら私達もついて行って良いですか?」

 

自分達は無理にナルトにくっつくよりも離れて見守る方が良いとサスケとは言ったがナチュラルに護衛が出来るならその方が都合が良い。ビオラもそれがスミレの目線で分かったのか頷く。ナルトは

 

「まぁ良いんじゃねえのか?」

 

「ありがとうございます!」

 

スミレとビオラは

 

(ナイスママ!)

 

(ビオラもね)

 

その後4人は歩き始める。どうやら場所は昨日の戦闘の様でボルトとスミレは並んで、ビオラとナルトは2人の後ろを歩く。

ボルトはスミレの元気が少し無いのに気がついた。昨日別れるまでは普通だった筈だが何故今落ち込んでいるのか見当がつかない。ボルトが話しかけたら笑顔になるが話しかけない時はその顔に影を落とす。そんなスミレの手がプラーンとしているのを見てボルトは手を繋いだ

 

「ぼ、ボルト君!?」

 

「何があったか知らないけど…大丈夫だってばさ」

 

大丈夫云々の問題でもない気がするがスミレの不安はその言葉だけで晴れていく。ボルトの手を握り返し少し頬を染め

 

「うん。ありがとう。」

 

そんな恋人行動を見せつけられているビオラは未来にいる2人の方がラブラブ具合は遥かに上だが同い年の2人がラブラブしているのも恋愛をした事の無いビオラには恥ずかしく感じて少し額に手を当てる。恋愛系に耐性が無いのもある

ナルトも普通にそんな行動をしている目の前の2人に少し唖然としつつビオラに聞く

 

「な、なぁ。あの2人仲良すぎねえか?」

 

ビオラはもう目の前の2人が恥ずかしくそれ所じゃ無い気もするが恥ずかしさを誤魔化す為と考え普通に言った

 

「だってあの2人付き合ってるもん」

 

「えぇ!?」

 

付き合っている…所謂カップル。ナルトの周りではそんな人達はまだいない。というよりこの歳でそんな人がいるのかすら分からない。しかし目の前の2人はそのカップルと言う。

ナルトは自分の隣にサクラをイメージしてみたが何故かサクラはイメージ出来ず代わりに何時も気弱そうな…

そんな事を思っていたら銭湯に到着。同期達にボルト達の事を紹介し一緒にしてもいい旨を受け取り取り敢えず皆集まった。

 

「みんな揃ってるな。俺が今回の特命のまとめ役をすることになった。めんどくせえけどな」

 

ボルトとスミレ、そしてビオラは内心でシカダイにめちゃくちゃ似ているとボルトは内心笑ってしまう。そんな時、参加者の1人であるボルトの伯父さんの日向ネジがシカマルにこの集まりの理由を聞く。

 

「皆にはここの掃除をしてもらう」

 

「五代目の知り合いがこの銭湯と関係があって断れない事情があるんだって」

 

そう言葉を繋いだのはチョウチョウの父親といのじんの母親のチョウジといのだった。ボルトもスミレもイメージがしっかりと重なる事に少し面白くなる。

そんな時、ボルトは隣から視線を感じて見たらヒナタが微笑んで言った

 

「何かナルト君に似てるよね」

 

「え、そ、そんな事無いってばさ」

 

その後男子と女子に別れて掃除の為に女子組は女子風呂の方に歩いていく。その道中いのはヒナタのボルトへの反応について

 

「ヒナタ アンタ人見知りなのに初対面の人とよく話せたわね」

 

「うん。なんだかあの人緊張しなくて」

 

ヒナタは基本的に恥ずかしがり屋でおどおどしているイメージがいのにはある。そんなヒナタが自分からボルトに声をかけたことが同期からすれば珍しかったのだ。

女子風呂に入った後各自掃除を始める。スミレとビオラも掃除を始めているのを見てサクラが申し訳なさげに言った

 

「貴方達もごめんね。こんな事に付き合わせちゃって」

 

そう、スミレ達は下忍の仕事が気になると言う体裁で来た。それなのに仕事もクソもないような仕事である。何言ってんだろ?

スミレとビオラは苦笑いしながら

 

「だ、大丈夫ですよ。ね?」

 

と言ってビオラに振る

 

「う、うん。全然大丈夫ですよ!忍も大変なんですね」

 

と自分も忍だが言っておいた。だが未来で銭湯の掃除をする任務なんて無かった。銭湯の掃除をしたのは今回が初めて…いやスミレも初めてなのだが。

そんなビオラを見てサクラは疑問符を出して聞いた

 

「そう言えば貴方もナルトに少し似ているよね?」

 

「で、でもナルト君が連れてきた男の子にも少し似ているよ?」

 

とヒナタが続けビオラは冷や汗を流しながら慌てて誤魔化す

 

「え、えと…まあ世界には似た顔が3人いるって言うし」

 

「ふーん…それもそうね。」

 

「ふぅ」

 

ビオラはナルトの孫でボルトの娘。似ているのは当然だ。スミレと似ているのにも関わらずつっこまない理由は恐らく姉妹だろうと皆勝手に思っているからだ。姉妹所か母娘とは夢にも思っていない。

そして夕方、掃除が終わる頃には何故掃除をする事になったのか明らかになった。昨日の覗き騒ぎのせいだったのである。それを言われスミレもビオラも昨日のボルトの事を思い出し

 

「それでボルト君、昨日のあの変化はどういうつもりだったのかな?」

 

掃除が終わりボルトも出てきた所でそう聞いた。割かし顔が笑顔だが怖い。ボルトはスミレのその言葉にスミレもあの出来事を見ていた事に気が付き慌て始める。

 

「え、えっとそれはだなぁ…」

 

そんな困り始めたボルトと笑顔のスミレはカップルのそれで周りはニヤニヤし始めている。ビオラは両親のその姿に恥ずかしくなる。ボルトが困り始めた辺りでスミレはふっと笑い

 

「分かってるよ。自来也様を引きつけるためでしょ?」

 

その言葉にボルトはウンウンと頷く。スミレは怖い笑顔を止めてボルトはスミレの隣を歩き始め下忍達は帰路につく。

途中でシノがボルトに体術を何処で習った?と聞きボルトは学校みたいな所先生にと答える。

 

「そうか動きは悪くなかったが体重移動に若干無駄があるように思えた。その先生には注意されなかったか?」

 

「いや別に」

 

「そうか、いい加減な先生だなそいつは。」

 

((シノ先生の事ですよ))

 

とボルトとスミレは内心で言った。

その後ボルトの身体能力の良さについて旅芸人なのにあそこまで動けるなら忍になればナルト何か直ぐに追い越せるんじゃない?と言い始める。

そしてキバが禁句を言った

 

「最近1人里を抜けちまったばかりだからよ」

 

「ちょっとキバ!」

 

キバの言葉を聞いたナルトとサクラがあからさまに落ち込んでいるのを見てボルトはその抜け忍の正体を知った。スミレは知っていた事実を改めて突きつけられた感じだがボルトよりはショックは無い。ビオラは未だに???だったが。

その後、面々は解散。流石にこのままボルトとナルトについて行くのは不味いのでスミレとビオラも別れた。そして木影にいるサスケに近づいてスミレは謝る

 

「ごめんなさい、勝手な事をして」

 

「いや、寧ろお前らは近づく理由が出来たんだ。上出来だ。」

 

そう、これからはスミレとビオラもあの2人にナチュラルに会いにいく理由が出来たのだ。そう考えれば決してスミレ達の行動は無駄では無い。…後ビオラは兎も角スミレはぼろを出さないだろうと思っているのもある。

そんな時鵺がポーチから顔を出す

 

「あ、ごめんね鵺。ずっと引っ込んでもらって」

 

鵺は「本当にだぜ」と言いたげに欠伸をする。鵺はこの時代に来てからまともに自分の足で歩いていない。ぶっちゃけ言えばこの中で退屈なのはサスケと鵺だろう。

ビオラは鵺に指を当て微笑む。

 

「サストも鵺には懐いてたなぁ…」

 

そうまだ1日しか経っていないが弟の事を思い出した。…しかしその言葉の意味はスミレには分からない。しかし何故かその響きが水が紙にしみるように心の中で浸透し恐る恐る聞いた

 

「ね、ねぇ。そのサストって…?」

 

ビオラはそれを聞いて何言ってんだろ?と言う顔だったが直ぐに目の前のスミレはまだ結婚もしていないスミレという事を思い出して呆気からんと言った

 

「サストは私の弟、つまりママとパパの第2子だね。」

 

「…ほ、ほんとに?」

 

「こんな事で嘘ついてどうすんのさ」

 

ビオラだけではなくまさか2人目の存在まで明らかになりスミレの頭が少しオーバーヒートし始める。スミレはサストと言う名前がナルトとサスケの文字を借りたのだと直ぐに気がついた。

ビオラはそれよりもと言って

 

「おば…じゃなかった。ハコベさんの所どうする?」

 

ハコベは用事が終わったら仕事場のお食事処に来てそのまま晩御飯を食べよ?と言ってきたのだ。スミレは少し悩みながらも頷いた。

サスケは念の為にボルトとナルトの所まで行き2人はハコベの元へ向かった。そのお食事処に近づくにつれてスミレはまた暗くなり始める。未だ母と何を話せば良いのか分からないのだ。

 

「まっ、普通にしてれば良いと思うよ」

 

そうビオラが父親を連想させる紛うことなき笑顔でそう励ます。スミレはビオラをじっと見るとやはり顔と髪の模様が違うだけでボルトの娘なんだなと思う。スミレは頷きお食事処について入っていく。

カウンターにいたハコベがスミレとビオラに気がついた。

 

「あ、2人とも用事は終わったの?」

 

「そ、それがまだ用事は続くかもしれません」

 

ウラシキが来て倒すまでの間はと心で続ける。ハコベはそっかと言いつつ2人をテーブルに進める。と言うより店の中はほぼ満席に近い。夕飯時だからだろう。ハコベがメニューを見せてコソコソと

 

「割引になるから何でも良いよ」

 

と言われてもやはり奢って貰うのはやはり気分が沈んでしまうので2人はそれぞれ元々安い奴を頼んだ。そうこうしていたら人が更に多くなっていきとうとう満席になってしまった。スミレとビオラはそれぞれの時代の話を話し合っていたがそんな時ハコベが少し萎縮したように来て

 

「その、2人とも相席良い?」

 

その言葉を聞いて2人は目を合わせ頷いた。それに安心したようにハコベは扉の所まで行きスミレ達の元へその人を連れて来た。

スミレは何気なくその人を見た。そして…恐らくこの時代に来て1、2を争う驚愕と震えが襲ってきた。

 

「ありがとう。」

 

「いえ、ごゆっくりしてください」

 

ハコベにそう言われながらスミレとビオラの目の前に座ったのは男だ。別にそれは良い。相席なのだからそんな事もあるだろう。

だがその男が問題だった。髪は亡くなる前に比べて短髪だがその顔は間違えようもない。何度も自分に復讐の為の修行をつけて挙句スミレの夢にも出てきた男

 

「お父…さん」

 

「ん?」

 

「え?」

 

スミレはまた自分が思わず口走ってしまった事に気が付き慌てて

 

「あ、えと…すいません。人違いです。」

 

「そうか」

 

そう言ってスミレの父…タヌキはメニューを見始める。しかしスミレはテーブルの下にある拳を見て深呼吸をする。

 

(大丈夫…私にはボルト君がいる)

 

そう最早安定剤になっているボルトの名を心の中で言う。しかし冷や汗は誤魔化せない。幸いビオラしか見ていないから良かったが。

そしてスミレは疑問に思った

 

(何で根のお父さんがこのお食事処に…)

 

そう、根は基本的に秘匿にされている。こんな所に来る事が絶対に出来ないわけじゃないだろうがそれでも何か情報を取られるリスクがあるのなら家に引っ込むか研究所に引っ込むだろうと思ったのだ。

ビオラはスミレの異変に気がついている。そしてまたスミレが思わず口走った事を踏まえると目の前の人物は

 

(私の…もう1人のおじいちゃん)

 

しかしスミレは自分の父親に会ったのにも関わらず嬉しそうにしていない。ハコベの時と似たような反応だ。

ビオラはメニューを見る振りをしてタヌキを観察してみる。しかしスミレが恐れるような要素は無いような気もする。普通にどのメニューを頼むか悩む姿はお客さんである。

まぁビオラがそう思うのも仕方がない。スミレの父親のイメージは根が迫害され木の葉への復讐を誓って変わった父親しか知らないのだから。今目の前にいるタヌキはまだ里に、ダンゾウに忠誠を誓い里の為に尽くしているタヌキなのだから。

スミレは何故父がここにと1分程悩んでいたが理由が分かった。タヌキはメニューからチラチラと他の人の注文をとっているハコベを見ている。そしてハコベがフリーになったのを見計らい

 

「すまない」

 

その声が少し裏返っている。

 

(もしかして…緊張してる?)

 

とスミレは思った。ハコベはタヌキの注文を取りに来て注文を聞く。そして注文を終えたらタヌキは何かを言おうとしたが何やら口に出来なくてハコベはそのまま厨房へ。その光景を見てスミレはタヌキがリスクを侵してまでここに来る理由が分かった

 

(もしかして…お母さんに会いに)

 

つまり口説きたいのか仲良くなりたいか、そのどちらかの理由だと分かった。スミレは何故父と母が結婚する事になったのか知らない。お見合いか何かだったのかもしれないとボルトと付き合うようになってから思っているがこの事実ならばお見合い等ではなく父が母にアタックしてという事になる。それが変わった父を知っているスミレには意外過ぎたのだ。

そう思っていたらハコベはスミレとビオラの頼んだものを持ってきた

 

「はいどうぞ。」

 

「ありがとうございます」

 

スミレとビオラはそう言いながら受け取る。その間にもスミレはタヌキを見るがやはりハコベを少し見ていた。

晩御飯を食べながら考えて

 

(やっぱり…お母さんに会いに来たんだ)

 

そう結論づけたのだった。

 

 




お疲れ様でした。
最初はハコベだけを出そうと思ってましたがなんとなくタヌキも出しました。ビオラは祖父母と迎合。尚、スミレの内心は疲れてる。
タヌキは病む前なので忠誠心以外は割かし普通にしてます。
ハコベがお食事処で働いてるのも公式では無くオリジナルです。
では次はファーストウラシキ戦です!(*´∇`)ノ ではでは~


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それぞれの悩み

おはようございます。四カ月ぶりくらいの更新。お待たせいたしました。多くは言わずレッツラゴー!


「会いたかったですよ、うずまきナルトさん」

 

 そうウラシキが言った。

 場所は演習場、あの下忍が集合した日から二日経っている。スミレとビオラはハコベの部屋で、ボルトはナルトの家でそれぞれ過ごしていた。最もスミレとビオラは偶々を装ってボルトとナルトに会いに行ってたんだが。スミレはボルトの反応を見る限りどうやらこの時のサスケが何をやっていたのか大体わかったようだ。それをボルトがどう思っているのかは流石に分からないが見ている限りだと気持ちの整理は出来たのかもしれない。

 ……とそんな事を言ってる場合ではない

 

「へ? 俺の事知ってるのか?」

 

「そりゃあもう有名人ですからね!」

 

 その言葉と共にウラシキは釣竿をナルト目掛け投げつけた。そのスピードは短期決戦の為か最初ボルトとスミレで戦った時よりも早かった。

 

「しまっ!?」

 

「ナルト!」

 

 ボルトとサスケが思わずそう言ったのと同時にナルトは赤い釣り竿に貫かれた。ビオラが思わず駆け出しそうになったのを見てスミレは慌ててビオラの腕を掴んだ。

 

「離してママ!」

 

「待って、様子がおかしいよ!」

 

 スミレがそう言うのと同時にウラシキは釣り竿を引き戻したのだがその先端にはナルトの……もっと言えば九尾のチャクラがなかった。ビオラがナルトの方を見るとナルトは体をあちこち触っているが特に異常があるわけではない。何でナルトがウラシキのチャクラ回収が通じないのか、スミレはそれを考えた。未来の自分たちになくて今のナルトにあるもの。それは

 

「そうか、九尾を封印する為の封印術」

 

 この時代のナルトはまだ九尾と仲が良かったわけではない。寧ろ仲は悪かった方だろう。今ほど仲良くなったのは今から二年後……いや、ナルトが17歳になる前日なので約4年後だろう。それだけ長い時間九尾、九喇嘛とは相いれなかったのだ。

 とそんな事を考えていたらナルトが何とウラシキ目掛け飛翔した。

 

「何したか分かんねえけどいきなり攻撃してくる奴は容赦しないってばよ!」

 

「馬鹿よせ!」

 

 ボルトの声も空しくナルトは突撃した。しかしそんな直線的な動きがウラシキに通じる訳なくウラシキは逆に釣り竿を貫くんじゃなくて拘束するために振るった。ナルトあっさりと捕まりぐるぐる巻きにされてしまった。

 

「うわっ! なんだこれ!?」

 

「少しやり方を変えましょうか」

 

 そう言って去ろうとするがウラシキの目の前にサスケが現れ刀を振るう。しかし白眼で動きを先読みされサスケの攻撃は躱される。何か大規模の術を使おうとしても今はナルトを盾に使われてジリ貧だ。だけど今ナルトを連れていかれる訳にはいかない。

 咄嗟にボルトが叫ぶ

 

「スミレ、援護!」

 

 ボルト自身は螺旋丸を作り上げ影分身を出す。スミレはボルトの言葉に頷きウラシキに向けて焦点を合わせる。

 

「水遁・水練波!」

 

 強力な水弾がウラシキに迫るがウラシキは簡単にそれらを躱す。だけどそれは陽動、ウラシキが躱した先には

 

「風遁・烈風掌!」

 

 ボルトはウラシキの回避ルートを割り出しボルトストリームを放った。本体ボルトはウラシキに超接近する。そんな様子をたった今来た自来也は見ていた。

 

「あれは?」

 

 自来也が注目したのはボルトが使った螺旋丸だった。自来也がそれに驚いたのも無理はない。何故なら螺旋丸を出来る人は限られる。一人は自来也、もう一人はナルトの父親で自来也の弟子にして螺旋丸の考案者、四代目火影、ミナト。そしてナルトだけだ。そんな螺旋丸を今旅芸人というボルトが使ったのだ。驚かないわけない。

 

「おっと! 同じ手は通じませんよ!」

 

 ウラシキは前回この攻撃を受けたことを思い出しながら緊急回避した。ボルトはウラシキを通り過ぎ着地した。自来也はサスケの隣に来ながら状況を確認する。目の前には謎の敵とぐるぐるに拘束されたナルト、そして旅芸人とその客であるという少女二人、しかしどう考えても旅芸人ではない。そして恐らく少女達の方もだ。空中にいる敵はめんどくさそうな顔になりながら言った

 

「ここにいては邪魔が増える一方ですね」

 

 そう言った瞬間、ウラシキの腰にある赤い入れ物から岩石が飛び出してきた。

 

「ボルト君!!」

 

 その岩石はサスケ、ボルト、自来也のいる場所に降り注いだ。しかし三人を潰すわけではなく三人を取り囲むように降り注いだのだ。

 

「スミレは大丈夫か!?」

 

「私は大丈夫!」

 

 そんなスミレとビオラの目の前にウラシキが現れる。

 

「おや、あなた方は捉えられませんでしたか」

 

「あれをどかしなさい!」

 

 そう言ってビオラは熱くなりやすいボルトの血なのか突撃しかけた。それに気が付いたスミレはまた止める

 

「今はダメ! 私たちだけじゃ勝てない!」

 

「でも!」

 

 スミレの状況把握能力にウラシキはニヤリとして返す

 

「察しの良いお嬢さんは尊敬に値しますよ。あなたにあの時のお返しをしたいところですが今は時間が惜しい、失礼させてもらいますよ」

 

 そう言ってナルトをぷらーんと引っ張りながらどこかに飛んで行ってしまった。それを悔し気な表情で見届けたスミレは直ぐに岩石に封じられてしまったボルトに声をかける

 

「ボルト君大丈夫?」

 

 そうすれば中から声がする。

 

「ああ、俺達は何ともないってばさ」

 

 その言葉にスミレは安心した。ボルトの言葉の後に自来也の声が聞こえた

 

「いったい、何が起こってるんだ?」

 

 それにはサスケが答えた

 

「奴の名はウラシキ、九尾のチャクラを狙っている」

 

「ただの旅芸人ではないと思っていたがまさか九尾という言葉が出てくるとはのぉ」

 

「俺たちはやつを始末する任務を受けているある国の忍。やつの狙いが木ノ葉隠れのうずまきナルトだとわかりやってきたんだ」

 

 自来也はサスケの言葉を吟味する。ビオラはウラシキが逃げていった方向に眼を向けハラハラしている

 

「では奴はなぜ九尾を狙う?」

 

「何をたくらんでいるのか俺たちにもわからないが強大な力を手に入れ平和を脅かそうとしているに違いない」

 

 それはウラシキが最初モモシキ達と一緒に来た時点でお察しである。サスケは一拍置き聞いた

 

「尾獣のチャクラを狙う犯罪者集団のことは知っているな? 以前うずまきナルトがソイツらに狙われたということは俺たちも知っている。その集団と何らかの関係があるものと国ではにらんでいる」

 

 スミレはその組織を知ってる。何故なら昔父から聞いたことがある。何でも根が誹謗中傷されるようになった原因である第四次忍界大戦はサスケが言った犯罪組織、”暁”がおっぱじめたからだ。

 

「……そこまで知っておるとはのぉ」

 

「俺達はウラシキの狙いであるうずまきナルトを守るために来た」

 

 自来也はサスケ、ボルトを見て考える。だが直ぐに頬を緩め今取るべき最善の行動をとることにした。

 

「詳しい話は後だ。今はナルトを助けなければならん」

 

 そこで岩石をどうにか壊そうとしているスミレとビオラに言いながら印を結ぶ

 

「そこのお嬢さんたち、離れておれ。口寄せの術!」

 

 スミレとビオラは自来也の言葉に大人しく従い離れたのと同時にボルト達を拘束していた岩石が自来也の口寄せした巨大蛙によって破壊された。

 

「スミレ、ビオラ!」

 

 その蛙の上に乗っていたボルトが手を伸ばす。スミレとビオラは跳躍し二人も蛙に乗った。蛙はそのままウラシキが逃げていった方向に走る。そして人探しならこちら側にはある意味エキスパートがいる。

 

「鵺! お義父……ナルトさんのチャクラを探して!」

 

 スミレはこの世界に来てから一番暇だっただろう鵺をとうとう解き放った。言い方は大げさかもしれないが鵺からすれば本当にそうなので鵺は元気よく飛び出してきた。流石の自来也もそんな口寄せ獣は初めて見た

 

「お前さんたちもただの客ではなさそうじゃのぉ」

 

「ぬえー!」

 

 鵺は独特の鳴き声で蛙とコミュニケーションをとっている。蛙は鵺の鳴き声を聞き偶に進路を変えている。その間に自来也にウラシキのチャクラの取り方とかを聞いてきた。

 

「あいつの釣り竿に貫かれたら簡単にチャクラを取られる……って思っただけど何でかあいつは抜かれなかった」

 

 ボルトの疑問の声にスミレが答える

 

「ナルトさんには九尾を封印する為の封印術がある。多分そのおかげだよ」

 

 相変わらずの頭の良さにボルトは舌を巻きつつも返す

 

「じゃあ大丈夫ってことか?」

 

 その言葉を否定したのは自来也だった

 

「いやそうとも限らん。奴がもし無理やりにでも封印をこじ開けようとすればまずいことになる」

 

「まずい事?」

 

 ビオラがよく分からないと言いたげな顔で自来也を見る

 

「九尾の力が暴走し最悪外に出てしまうだろう。そうなれば皆が危機に陥るだけではなく……ナルトも死ぬ」

 

 その戦乱の時代らしい物騒な言葉にビオラは息をのむ。ビオラは今のこの時代、そしてボルト達の時代よりも平和になった世界で生きてきた。だから”死闘”という経験がない。殺す気でかかってきた盗賊とかはいたが小さいころからある程度忍の訓練、そして母親譲りの科学忍具の知識があればどんな敵も返り討ちに出来た。しかし今から向かう先にはそんなのが通用するのか分からない敵とそんなリスクを背負った祖父。

 ビオラは自分の時代のボルトに言われたことを思い出した。自分には経験が足りないと。今なら少し言ってることが分かる。未来のボルトは……

 

(私が命を懸けた戦いをしてこなかったから……そんな意味でも経験が足りないって言ったんだ)

 

 命を懸けた戦いは時に人を惑わせる。それを未来のボルトはその身をもって知っている。それをビオラに伝えたかった。しかしこればかりは口で言っても分からない。それに気が付きビオラは少しだけ震えた。そんなビオラの気持ちを現代のボルトは分かったのか前を見ながら言った

 

「ビオラ、怖いならここでお前は降りろ。元々お前には関係ない事なんだ。ここで降り立って誰も文句は言わねえ」

 

 ビオラはそんな言葉をボルトを見ながら聞いていた。ボルトのその言葉は年は自分と同じくらいなのに今の自分よりずっと大人っぽい発言だった。しかしその声色はビオラも聞いたことがある。小さいときからよくボルトがビオラを心配していた時と同じ声色だ。つまり今のボルトはビオラを心配している。

 今のボルトにビオラを育てた過去なんてない。だけどあの世話した日々はかけがえのない思い出だ。例えあのビオラと年が違っても思う気持ちは未来のボルトと同じだ。それがビオラには嬉しかった。

 

(何時からだろう? パパの心配がムカつくようになったのは)

 

 勿論褒めてくれる時は褒めてくれる。だがそれよりもここに来る原因になった喧嘩だって言ってしまえばボルトの心配が発端だ。確かに心配する気持ちもあったのだがビオラは旅に連れて行ってくれない理由を自分の実力を知らないから言えるんだと思っていた。自分の実力を見て判断してくれないことにビオラは怒っていた。

 

(だけど……あの時私は)

 

 さっきウラシキがボルト達と交戦した時、ビオラは動けなかった。未知の敵である大筒木にビオラはボルトとスミレ程早く反応出来なかった。それがビオラには悔しかった。ようやく動けたのはウラシキが逃げようとした時だった。それで皮肉にもボルトの言っていた意味が分かった。自分に足りないもの。それは……

 

「ふぅ~はぁ~!」

 

 ビオラは深呼吸をした。それによってさっきまでやたらと鼓動が早くなっていたが収まっていく。そして前を見ながら返事を返した

 

「大丈夫、私も戦える。もう止まったりしないから」

 

 そうどこか吹っ切れた表情で言った。その表情はボルトが下忍試験の時に吹っ切れた表情と同じだった。それにスミレは気が付き思わず口元が緩む。しかし直ぐに前に向いた。何故なら鵺の反応が臨戦態勢のそれに代わっていく。つまり目的地は近いという事だ。

 

「分かった。無理だけはするなってばさ」

 

「うん!」

 

 今はその心配を素直に受け取ることが出来た。そしたら鵺が吠える

 

「ぬえー!」

 

「鵺、近いの?」

 

 スミレはそう呟き自来也は口寄せを解除した。近くまで来たらサスケも感じる事が出来た。ナルトから九尾のチャクラが漏れ出ていることに。一行はそのチャクラがある場所まで走った。その間に自来也とサスケはウラシキ対策を施していた。そして5人と一匹がウラシキの元に到着した時に見た光景はウラシキとウラシキの目の前に九尾の衣を纏って倒れているナルトだった。

 

「なんだよあれ」

 

「九尾のチャクラか」

 

 その封印がはがされかけているナルトを見てサスケは今の最善策を叫んだ

 

「俺が奴の相手をする! お前たちはナルトを」

 

 その言葉と共にサスケはウラシキに一瞬で距離を詰め刀を振るう。流石のウラシキも片手間でサスケを相手しながらナルトのチャクラを回収は不可能。これでサスケが本調子ではなかったらまだやりようはあったが生憎サスケは全開だ。

 

「ふんっ!」

 

 ウラシキは釣り竿を振るう。サスケはそれを刀でガードしたが釣り竿はウラシキの元に戻らずまるで生きてるかのように動きサスケの背中を貫いた。

 

「ふふ、あの時は貴方のチャクラを貰えませんでしたからね……ん?」

 

 ウラシキは回収した釣り竿を見れば何も無かった。普段ならチャクラ取れる筈なのにだ。そんなサスケの背には「封」という文字が出てきて消えた。

 

「やはり封印術の類で防げるようじゃのぉ」

 

 自来也がそう言ってる間にボルトはナルトに近づこうとする。自来也もボルトの後ろからついてい来る。そしてボルトに言った

 

「九尾のチャクラが漏れ出ている。気を付けるんだ」

 

「でも、早く何とかしないと」

 

 その頃、ビオラはナルト達の方に足を進めようとしていたがスミレがそれを止めた

 

「ママ?」

 

「私達はどちらかが危なくなった時のバックアップだよ」

 

 片や未来の七代目火影がライバルと認め輪廻眼を持って忍界最高レベルのサスケ、片や伝説の三人の1人で未来の七代目火影の師、簡単にどちらもやられやしない。今中途半端に割り込んでも足を引っ張るだけだ。スミレはそう考えバックアップに徹することにした。

 

「うん……分かった」

 

 ビオラはそう言ってボルトやナルト達の方を向いた。ボルトは膝を折りナルトと目線を合わせナルトに問いかけている。ナルトは一見正気を保っているように見える。しかし一瞬の変化に気が付いたスミレはボルトに叫ぶ

 

「ボルト君避けて!」

 

 スミレがそう叫ぶと同時にナルトの眼が変わった。それと同時に雄叫びを上げボルトに襲い掛かった。そのスピードは完全に油断していたボルトには速かった。しかしボルトに反応出来なくとも自来也は違う。咄嗟にボルトを抱え後退した。

 九尾の衣を纏い暴走状態になっている。その惨状を見たボルトは未来のナルトを思い出し何かの間違いだと思いたく

 

「そんな……そんな事ないってばさ! ちゃんと声をかければ」

 

「無理だ、離れろ!」

 

 自来也の言葉を聞かずボルトは暴走状態のナルトに駆け寄る。それを見ていたビオラが焦った声でスミレに言った

 

「ママ、あれじゃパパが!」

 

 今のナルトはビオラも見たことがない程のチャクラを放っている。未来では余り九尾……九喇嘛の事は知られていないが未来の祖父に教えてもらった。「木の葉の英雄だってばよ」、とそうどこか懐かしさと悲しさが滲み出ていた顔で言ったのを覚えている。その時ビオラは「じーじが英雄じゃないの?」と思った。

 だけど今のナルトの状態はどう考えても危険だ。未来で強敵と出会った事のないビオラが今のナルトを危険だと考えてしまうのはある意味必然だった。しかしスミレはそんなボルトを見てもGOサインを出さなかった。

 

「どうして!?」

 

「……チャクラは想いを繋ぐためにあるものだから」

 

「はあ!?」

 

 そんな突拍子もない事を言ったスミレにビオラは思いっきり意味が分からないと言いたげな顔になる。それもそうだ。いきなりポエマーのような事を言い出すのだ。ビオラじゃなくても言いたくなる。しかしボルトはもうナルトの目の前に来てしまっていた。

 

「んな事ないよな? 聞こえてんだろ、おい目を覚ませよ」

 

 ビオラはハラハラしてる顔で見ている。そしていつでも駆け出せる準備をしていた。サスケとウラシキの戦いはサスケが押している。

 ボルトが目の前でしゃがみこんだらナルトが少しづつ落ち着き始めている。それに自来也は驚いた顔になる。今までナルトが暴走すれば声掛けでは決して正気に戻らなかった。それなのにボルトの呼び声には反応しているのだ。

 九尾の衣が徐々にボルトをも覆っていく。

 

「ほら、やっぱり」

 

「どうして……」

 

 ビオラはそこで先程スミレの言った事を思い出した。チャクラは繋ぐためのもの。

 

(パパのチャクラに反応してるの?)

 

 ビオラの隣ではスミレが手を握りしめ祈っている。

 

「ウ……う、俺は……」

 

「そうだ。そのまま……」

 

 そこでナルトの意識が戻り始めたように見えた。しかし……

 

「ウアアッ!!」

 

 戻りかけたのにナルトは再び暴走状態になってしまった。ナルトはボルトに向け自分の爪を振った。ボルトはそれを反射的にガードしたが手の甲にナルトの爪痕が刻み付けられていた。

 

「いかん!」

 

 傍観に徹していた自来也が叫びボルトとナルトの間に割り込み「封」と書かれた札をナルトのおでこにピタッと貼り付けた。そうするとナルトに纏っていた九尾の衣が無くなりナルトはそのまま自来也に倒れてきた。

 

「ぱ……ボルト君!」

 

 ビオラは間違ってパパと呼びかけたが何とか止まり言い直しながらボルトに走り寄る。そんなビオラをスミレはあっさりと追い越しボルトに走り寄る

 

「ボルト君大丈夫?」

 

 ボルトに声をかけるがボルトはその視線を自来也に寝かされているナルトを見ていた。それをスミレは心配そうに見ている。今ボルトの中でどんな思いが駆け巡っているのか……スミレはなんとなく分かった。

 一方サスケとウラシキの戦いは押されていると感じたウラシキがその瞳を輪廻写輪眼に変え異空間を開き

 

「ここは態勢を整えるとしますか」

 

 そう言って退散した。

 一行は洞窟から出てナルトを寝かす。もう既に辺りは夕焼けに染まっていた。そんな中でスミレはボルトの傷の手当をしていた。手の甲に包帯を巻きつけながら言った

 

「傷は浅いから直ぐに治るよ」

 

「あ……ああ。ありがとう、スミレ」

 

 ボルトはどこか上の空でそう呟き今度はナルトを見ながら言った

 

「さっきのは何なんだ……あれじゃあまるで……まるで」

 

 そこでボルトは止まった。目の前にスミレがいる事を思い出したからだ。こんな言葉はスミレも傷つけると気づいたからだ。だけど……ボルトはさっきのナルトを見てこう思ってしまった

 

(まるで……化け物じゃねえか)

 

 そんな様子をスミレは心配そうに見ていた。しかしこればかりはボルトの気持ちの問題だ。そして多分自分が励ましても……ボルトが吹っ切れるかは別問題だ。

 自来也はそんなボルトを見ながらナルトの過去を話した

 

「ナルトの中にいる九尾の力は強大でのぉ。そのせいでナルトは里のものから忌み嫌われていた」

 

「え?」

 

「そんなバカな」と言いたげな顔にボルトはなった。それもそうだ。ボルトはよく未来のナルトから話を聞いていたがそんな話は一回も出てないからだ。そして今のナルトは忌み嫌われるどころか寧ろ称えられているのだ。そんなナルトが忌み嫌われていたと言われても戸惑うのは必然だ。

 

「昔里を襲ったのは九尾だった。四代目火影は九尾をまだ生まれたばかりのナルトに九尾を封印した」

 

 その言葉にボルトは驚愕と戸惑いを隠せていない。まさか自分の祖父がナルトに九尾を封印したとは。驚きで止まっているボルトを見ながら自来也は続けた

 

「あやつは里の為に九尾の化け狐の入れ物になってくれたのだ。しかし里の者たちはそんな目では見ない」

 

「そんな……」

 

 それを聞いて辛くなっていたのはボルトだけではない。ある意味似た境遇のスミレも、そんな理不尽な目にあっている人を初めて見たビオラもその顔に影を出す。自来也は倒れているナルトを見ながら言った

 

「あやつはそれでも皆から認められようと前を向いているバカもんではあるが少しづつ前に進んでいる。あんな事をされれば誰しも恐れるのは当然なことだ。だがバケモンと括ってしまえばそれまでになってしまう」

 

 自来也はボルトが胸中で呟いた事を的確に当て言った。ボルトはそれを否定する

 

「俺はそんなつもりで言ったんじゃ」

 

「分かっておる」

 

 そんな言い合いをしていたらナルトが目を覚ました。どうやらさっきまであったことは覚えていないようだ。だがボルトの右手の包帯を見て眼を見開いて思わず聞いた

 

「もしかして……俺がやったのか?」

 

 そう言った瞬間ボルトの視線が一瞬揺れたのをナルトは見逃さなかった。ナルトはボルトに頭を下げた。その顔は悔しさか情けなさか、顔をしかめていた。

 

「すまねえってばよ!」

 

「いやそれは……傷も浅いし気にするなよ」

 

 しかしナルトはボルトの言葉を聞いて無く呟いた

 

「こんなんじゃダチを連れ戻せねえ。もっと強くなんねえと」

 

 そんなどこか悔しそうな表情で頭を下げ続けるナルトを見てボルトは不安そうに自分の掌を見る。

 

(俺は父ちゃんを守れるのか?)

 

 少なくともウラシキに負けては意味がない。ウラシキの強さは未知数だ。最初戦った時はウラシキが油断していたのとスミレの作戦が上手くいっただけだ。今回も上手くいくとは……いや上手くいかないだろう。そういう対応力がウラシキにはある。

 そんな二人を見てビオラも不安そうな顔になる。自分はここにいるメンバーの中では一番経験が足りないからだ。そんな時

 

「のぉ! お前もわしの元で修業してみるか?」

 

「「え?」」

 

 自来也は唐突にナルトとボルトに問いかけ二人は仲良くハモッた。そんな二人をスルーし自来也が背を向けているサスケに聞いた。曰くウラシキはまた来るのだろ? と。サスケの答えはイエスだ。ならば対策を立てるために修業しようと言う事だ。

 

「おっと……そろそろ取材の時間じゃ。まあ考えておけよ」

 

 そう言いながら自来也はどこかに行ってしまった。それをナルトとボルトは訳も分からず見送ったのだった。

 

 ★

 

 この日は現地解散になった。ナルトは監視の任務も忘れ一楽に、ビオラはサスケに少しこそこそ話をした後二人でどこかに行った。そしてボルトとスミレは里の中を歩いていた。誰も知り合いがいないのを良いことに恋人繋ぎをしている。普段なら二人ともそれで幸せな気分になれるのだが今回はそんな気分になれなかった。二人ともそれぞれ先程の出来事が頭にこびりついてるからだ。スミレに関しては母親と父親に関してもあるから余計に心労がたかっている。

 それでも恋人繋ぎをしているのはそうする事で二人の不安が少し消えるからだ。二人は無言でどちらともなくあのゴースト事件終盤にミツキとスミレが戦ったあの丘まで来た。

 そこからは未来の様に近代化している里ではなくまだ発達する前の里だった。もう既に周りは暗く里もライトアップされている。そんな中ボルトはスミレに問いかけた

 

「スミレ……なんかあったのか?」

 

 それにスミレは手を握り返しながら返した

 

「ボルト君こそ……元気ないよ」

 

「それは……」

 

 あっさりと図星をつかれボルトは何も言い返せなくなる。そんなボルトを安心させるようにスミレは言った

 

「大丈夫。これは……本当に私の問題だから」

 

 昨日まではボルトに言えば安心させてくれると思っていた。多分、今日何もなく二人きりになれば迷うことなく言ったと思う。しかし今はボルトもボルトの悩みがある。自分の悩みと不安を打ち明ける訳にもいかない。きっとボルトはスミレの悩みも一緒に抱え込んでしまうからだ。

 

「でもっ!」

 

 そこでボルトはスミレの方に思いっきり向いた。スミレもボルトの方に眼を向けていた。二人の視線があう。二人とも少し顔が疲れているのが互いに分かった。でもボルトはスミレにそんな顔をしてほしくなくて少し体ごと顔を近づけようとした。

 だけどもスミレは自分の左指をボルトの口元にあてボルトがしようとしていた事を止めた。ボルトは「どうして?」と言いたげな顔になりながらスミレを見て……動揺した。

 

「ダメだよ……それされたら……我慢できなくなっちゃうから」

 

 そう涙と共に呟きゆっくりと絡めていた指をほどき踵を返しながら戸惑っているボルトに背を向けながら言った

 

「修業、頑張って。私も頑張るから」

 

 そう言ってスミレはボルトの声を聞かずに去っていったのだった

 

 

 

 

 

 




お疲れさまでした。最後はいつもと違う感じにしました。
BORUTOの中で化け物って聞いたらカワキとスミレが真っ先に思いつく。ボルトはスミレを見てきたから直接口には出しませんでした。
次回修業パートです。久しぶりにアンケートします!

ではでは


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学パロ
出会い


おはようございますm(*_ _)m
予告通り学パロです(*`・ω・*)ゞ

前提
忍者ないです。チャクラという概念無いです。法律は基本僕らの世界準拠。ただしたまにご都合主義あるかもしれない。後作者が無知で知らないうちにやるかもしれない。
忍者という概念が無いので全員が全員運動出来る訳じゃ無いです。パッと思いついた所こんくらいです。では⊂('ω'⊂ )))Σ≡GO!!


 春・・・それは色んな事が終わり、始まる季節だ。その一例は中学を卒業し、高校に入学する・・・とかだ。そんな季節故の風流の桜が舞っている中黒色のブレザーを着てその下に白いポロシャツとラフにネクタイをしている金髪で蒼い眼を持ってる青年は学生鞄を靡かせながら全力疾走していた。走ってるからと言って学校に入学する事に喜んでいる訳では無い。今日から入学する学校を選んだのだってただ友達が皆そこを志望したからに過ぎない。·····それでもここ、木ノ葉隠れの里最高峰の学校に受かった。真剣にやって落ちた人からすればイラつくこと間違いないがそんなもん青年には知ったこっちゃない。落ちた奴が悪いのだ。

 

「流石にやべえってばさ!!」

 

 青年は思わず叫びながらダッシュする。そのスピードは速い。青年は頭脳も良いが真の長所はやはり運動力が半端ではない事だろう。母の家の道場で習った武術は勿論、サッカーや野球、剣道などもこなすオールラウンダーだ。だがそんな青年でも今の状況は割と不味かったりする。何か困ってるお婆さんがいたから荷物を持って道案内していたら入学式に遅れそうなのだ。慌てない訳にはいかない。そんな時・・・何か路地裏から止めて!!って言う声がした。男の声だ。こんな時にそんな事をしてる場合じゃないのは分かっているが見捨てる訳には行かなかった。

 

「お前どうせ親のコネで入学したんだろ!」

 

「ち、違うよ。ちゃんと僕は実力で・・・」

 

「五月蝿い五月蝿い!!」

 

 青年・・・うずまきボルトが見た光景はひ弱そうな自分と同じ制服・・・でも黒色では無く青色を着た眼鏡をかけた青年がチンピラに絡まれている所だ。だが聞こえてきた会話によるとどうやら青年が木ノ葉隠れの里最高峰の学校・・・木の葉学園の木の葉高校に受かって入学する事に何か根に持っているらしい。そして青年は親のコネで受かった等言い張っている。

 

「はっ!馬鹿じゃねえの?」

 

「何だと!?」

 

 とチンピラは振り返る。

 

「証拠もねえのに何言ってんだ。そんなのは自分が受かってから言えってばさ!!」

 

「何だとごらっっ!!」

 

 そう言ってチンピラらしく大振りな一撃を振るってきたがボルトは手の甲で受け流しながら足を動かしチンピラの足を引っ掛け転けさせた。

 

「かハッ・・・!!」

 

 綺麗に転がりチンピラは起きながら敵わないと悟り安定の捨て台詞を吐きながらどこかに行ってしまった。ボルトは青年に手を差し伸べ青年は唖然としながらその手を握り立ち上がった。

 

「あの、ありがとう。」

 

「別に良いってばさ。それよりその服俺と同じとこだよな?」

 

「え、う、うん。」

 

 ボルトは手の埃を取ってから手をさし伸ばした。

 

「俺はうずまきボルト、宜しくな!!」

 

 青年はまだ唖然としていたが思い直しその手を握った。

 

「僕は・・・デンキ·····雷門デンキ。」

 

 そこで2人は余韻に浸ったが·····

 

「「·····あ!!遅刻だーーー〜っ!」」

 

 全力ダッシュした·····結果この里の長のボルトの父親のうずまきナルトが演説していた時に体育館の扉をぶち開け壮大なスタートダッシュを切った。壮大すぎるのが問題だが。

 

 ★★★★★

 

 この木の葉高校の数ある特徴の中でも割と際立っているのはなんと言っても制服の多さだろう。学校の制服というのは基本夏服冬服含めて2種類しかない。と言っても冬はベストを着る着ないなどでそれなりにファッションは出来るが種類はもう殆ど無いと言ってもいいだろう。

 しかしこの高校では制服の種類を選べる。学ランやらブレザーやらセーラー服やら、ベストだけはほぼ共通だが自分の着たい物を選べるのはこの高校の人気の秘密だ。

 そして更に言うと何と種類は決して多くはないがカラーまで自分で決める事が出来るのだ。例えば雷門デンキはブレザーを選びカラーを青色にしたからあの制服になっている。ボルトもブレザーを選び黒色を選んだ。残念ながらポロシャツまで色を変えることは出来ず白色だけだが元々そのつもりだったから問題ない。

 

 筧スミレは学校案内の写真を見た時から着てみたいと思ったセーラー服に紫色を選択した。冬服の制服はほぼ紫色を基調としているが夏服の半袖セーラーは白を基調としてそれをラインなどが紫色だ。受け取った時は軽く感動した。

 

 スミレはもう既に天涯孤独·····つまり家族がもういない。親戚の類もいない。だからスミレは木の葉の保護を受けて生きてきた。母は元々重い病気を持っていて父は突発的な心臓病になってしまい2人はあの世に行ってしまった。そして父は嫌そうだったが母は亡くなる前に2人の故郷である木の葉に頼りなさいと言いスミレはそれを実行した。しかし木の葉に向かう途中で水が足らなくなり水分不足で倒れ死にかけた事がある。そこへたまたま外交で他里に行っていた木の葉の里の長・・・ナルトが通りかかり一命を取りとめて母達から言われた通り頼った。スミレが家族と住んでいた所で2人の遺体が発見され事実だと分かったナルトはアパートを提供しスミレが成人するまで木の葉で世話するという事になった。·····因みにアパートと言っても完全防音だ。これ大事。

 

 スミレは部屋を貸してくれただけじゃなく父と母の簡易的なお墓を作ってくれたナルト、そして木の葉に報いる為に頑張ってきた。その内の1つが勉学だ。父親は木の葉の研究者だった。それも先代・・・6代目火影のはたけカカシの代の研究者だ。だが·····言われのない濡れ衣をきせられそれが嫌になったスミレの父·····信楽タヌキは妻のハコベと木の葉を出て静かな場所でスミレを他里の小学、中学校にも通わせず過ごして来た。それはさて置き父親が研究者だったからか勉学は学校に行かなくともさせられてきたきたし勉学だけでは駄目だ!と若い頃の勉強一辺倒な自分を反省したのか運動もさせられた。

 

 木の葉高校は貧しい者達の為に奨学金制度がある。ただそれは利子はないとは言え返さなければならない。だが木の葉高校にはもう1つの奨学金制度·····と言うよりも入試で超絶優秀な者には特待生になれる。特待生·····それもランクで分かれていてS、A、Bランクに分かれていてそのランクによって奨学金の内容が違う。Sランクはその中でも毎年1人いるかいないか位のランクでありそのSランクのものは成績が優秀である限り文字通り学費が全額免除だ。入学金も何かと行われる検定も授業料も全てだ。更に嬉しいのはそれは給付制で返さなくてもいい奨学金だ。スミレはそのSランクを目指し死ぬ気で頑張りそのSランクを取る事に成功した。取った時は思わず1人暮しの部屋で涙したものだ。それを聞いたのか長であるナルトがスミレに会いに来て軽くお祝いもしてくれた。

 ナルトがスミレの合否を知っている理由は簡単だ。木の葉高校は木の葉という名の通り木の葉で総合的に名実共にNo.1の高校でありそこで出る特待生は他里からの留学生では無い限り基本そのまま木の葉で就職する。しかしSランクの特待生は先程も言った通りひと握りあった方が珍しいランク·····珍しいと言っても決して馬鹿とかそういうのでは無く寧ろめちゃくちゃ良い。だからこそ卒業後火影屋敷の人材にスカウトなどがしたい。だからこそ今年でたSランクの生徒はナルトがいる火影室の所にまで情報が来るのだ。そしてナルトはスミレの資料を見た瞬間に驚愕した。そしてスミレの境遇を思い出し自分だけでもスミレの合格を祝ってやりたく自分の家族のお祝いの前にスミレのお祝いに行ったのだ。その時ナルトは自分の息子の事を話した。

 

『ボルト君・・・ですか。』

 

『ああ。俺と違って要領が良くてだからこそ今の所全部才能で乗り切っている。』

 

 スミレは才能はない。いやSランク何だから才能あるだろ!と言われるかもしれないが自分でも思うし父親にも才能は無いって言われた。しかし敢えて言うなら努力の天才で才能が無いなりに工夫し勉強してきた。それが実を結びSランクが取れたのだ。

 

『ボルトも木の葉高校だからもしかしたら同じクラスかもしれねえけどそん時はよろしくだってばよ。』

 

 そう言われスミレの中にボルトという名前が心に刻まれた。勿論会った事も無い。だからどんな人なのかはまだ知らなかったが入学式に行く時に直ぐに分かった。登校中にナルトによく似た金髪の青年が困っていたお婆さんに話しかけ間に合うかも分からないのにお婆さんの荷物を背負い道案内していた姿を見たのだ。素直に凄いと思った。人助けなんて·····自分はまだした事も無い。そもそも人助けと分かっていてもその人に話しかける事が出来るかすら分からない。だけどボルトはそんな事を考える様子もなく当たり前のように話しかけ人助けをした。その瞬間ボルトによく分からない感情を持った。自分が今まで会ったことのないような人種·····と言うより元々スミレは人見知りだ。

 

 物心ついた時から父と母としかあまり喋らなかったし買い物の時も母の後ろからてくてくついて行くだけだったからだ。だから・・・自分に出来ないことを平然とやってのけるボルトによく分からない想いが出たのかもしれない。

 そしてまた驚かされた。スミレはボルトを見送り学校に向かった。だがその道中に同じ学校の制服を着たひ弱そうな眼鏡の青年がどう見てもガラの悪いチンピラに路地裏に連れて行かれた所を目撃した。スミレは助けられる自信はあった。ただ走るだけなどつまらないから護身用としてある程度の武術は出来る。だが·····助けていたら遅刻するかもしれない。入学初日からそんなのしたら速攻でSランクなど撤回される。

 

 そう考えたスミレは罪悪感に駆られながらも·····見捨てた。そして罪悪感に苛まれながらも会場の体育館に入り入学式が始まるのを待っていた。そんな時自分と同じクラスになる人達がボルトの事を話してるのが聞こえたが初対面の人達に言う勇気なんて無く・・・黙っていた。そうしていたら気がついた。自分達のクラスの列の椅子が2席空いている。誰だろう?と。しかし結局その2席の者は来ずに入学式は始まってしまった。そこで気がついた。ボルトがいないと。あのお婆さんの道案内の後に間に合わなかったのだ。そしてよくよく見える範囲で見ればあの眼鏡の青年もいない事に気がついた。

 

 自分がボルトの手伝いをしていれば・・・或いはSランクに拘らずに眼鏡の青年を助けるべきだった·····そう気がつけばスミレの胸に更なる罪悪感が貫いていき何も無いのにナルトの演説中に泣きそうになった。自分がどちらかに助けに入っていたらどちらかは遅刻せずに済んだのだ。そして原因を知っているのは多分自分だけ・・・そう思っての涙だった。その時体育館の入り口が勢いよく開けられた。息を切らしながらもその入り口を開けた金髪の青年は名乗った

 

『うずまきボルト・・・参上だってばさ!!』

 

 遅刻したことを悪びれてもいない様子でその人は笑顔でそこにいた。その太陽の様な笑顔が·····忘れられないほどスミレの頭に刻まれた。

 

 

 ★★★★★

 

 

 スミレは入学式、その後のクラスの顔合わせの後ボルトとあの眼鏡の青年・・・雷門デンキが担任の油女シノに連れて行かれる所を見た。叱られる・・・そう思ったスミレは勇気を振り絞り3人の後を追った。職員室に礼儀正しく入った後見たのはやはりめちゃくちゃ怒られている2人だ。ボルトはデンキは悪くない。悪いのは俺だ的な事を言ってデンキを無罪放免にしようとしている。スミレはそれにも驚いた。他人を庇うなんて·····自分には考えられない行動だからだ。でもそんなのはシノには伝わらない。連帯責任として2人とも速攻の処分を下すと言い張る。だがそこでスミレが慌てて待ったをかけた。

 

「筧スミレ···だったな。どうした?」

 

 シノは脳内記憶からスミレの情報を引っ張り出した。知り合いの子供以外の一般性は言っては悪いがまだ覚えきれていないがスミレはSランク故に覚えていたのだ。

 

「この2人は遅刻してもしょうが無いと思います。」

 

 ボルトとデンキは呆けた顔をしたがシノは冷静だった。

 

「何故だ?」

 

 スミレは掻い摘んで説明しシノは黙って聞いていた。そして聞き終わればデンキが補足してそのチンピラからボルトは自分を助けてくれたと援護射撃しシノは少し考えた。その結果・・・

 

「次からは正直に言うように。」

 

 という事で初日からの処罰は無くなった。責める理由が無くなったからだ。遅刻はダメだが人助けならば自分の学校の評判にも繋がるし責めるメリットはない。デンキのも勝手に相手が絡んできたのはデンキにはどうしようもない。

 3人は職員室を出て一息ついた。そしてボルトとデンキはスミレにお礼を言った。だがスミレは首を振りながら言った

 

「ごめんなさい」

 

 何故そんな事を言われるのか分からない。2人は正直な事をシノに言えば嘘だとか言われるかもしれないから嘘をついていたがスミレが証人になってくれた事で正直な事を言えるようになったのだ。自分達がお礼を言うのが普通でスミレに謝罪される意味が分からなかった。

 

「・・・私····ボルト君とデンキ君が人助けと絡まれていた所を見たのに・・・助けなかった。」

 

 それでボルトとデンキは何となく察した。自分達のどちらかを助けていればどちらかは遅刻せずに済んだかもしれない。でも見捨てた事により遅刻し処罰を受けるとこだったのだ。それに罪悪感が出ているのだろうと分かった。そんなスミレを元気づける為にボルトは微笑みながらスミレの肩に手を置いて言った

 

「まあまあ、ポジティブに考えようぜ?確かに筧さんはそん時の俺らを見捨てたのかもしれねえ。だけど今筧さんは俺達を庇ってくれたろ?そのおかげで俺達は2人(・・)とも無罪放免になったんだぜ?」

 

 その言葉をデンキが繋ぐ

 

「そうだよ。筧さんが助けててくれたら確かにどちらかは遅刻して処罰されてたかもしれないけど筧さんがきちんとシノ先生に証言してくれたおかげでボルト君と僕は無罪になったんだよ?」

 

 スミレは確かに2人を見捨てたのかもしれない。しかし今は勇気を出して証言した事で2人とも処罰なしになったのだ。と言うよりももしかしたらどちらかを助けていたらどちらかは処罰されていたのだ。だが現実はスミレのおかげで処罰されなかったボルトとデンキだ。2人とも処罰されなかったならそれがベストに決まっている。

 

「過程はどうあれ結果はベストになってんだから筧さんが謝る必要なんてないぜ?」

 

 そうボルトから聞いてデンキを見ると頷いた。その自分の罪悪感が赦されスミレは思わず顔を隠し少しだけ嗚咽した。それにボルトとデンキは慌てる。そんな時尖った声が聞こえた

 

「馬鹿ボルト!!何泣かしてるのよ!」

 

「げっ!サラダ!」

 

 ボルトとデンキが向いた先には赤渕の眼鏡をかけている女子がいた。うちはサラダ、ボルトの幼なじみの女の子。The風紀委員みたいに見える。実際割とルールに厳しいし正義感も強い。そしてボルトは良く考えれば確かにパッと見自分がスミレを泣かしたように見える・・・いや何かの原因で泣かしたのかもしれないが心当たりはない。

 

「げって何よ!あなたこの馬鹿に何されたの?」

 

 スミレはそこで顔を上げ少し涙を拭って微笑みながら言った。その微笑みにボルトは胸がよく分からないドキドキが始まった。

 

「大丈夫。何でもないよ。」

 

 本人がそう言ってるのだから第三者が突っ込むのはよくない。サラダは少し不承不承だがスミレから離れた。そしてボルトは思い出したようにスミレに手を差し出した。スミレはそれを不思議そうな顔で見た。

 

「名前まだ言ってなかったな。俺はうずまきボルト、よろしくだってばさ!」

 

 ばさ・・・親子何だなと思いながら·····そして人生で初めての同年代の手を両手で握りながら言った

 

「私は・・・筧·····筧スミレです。」

 

 それが2人の初めての自己紹介だった。




お疲れ様ですm(*_ _)m。若干アニメのやつと重ねてる。
ではアンケートします。存続を決めてしまえー─=≡Σ((( っ゜∀゜)っ

火影は所謂大統領です。首相でも良いです。

タヌキはアニメ程木の葉を恨んでません。あんな所いてやるかーっ!って感じですね。
スミレの一人暮らしの部屋·····防音なのは何が大事なんでしょうかねえ(白目)

スミレの制服はpixivのボルスミの所にある何かボルトがスミレの髪を引っ張ってる絵のやつを参考にしました。
https://www.pixiv.net/artworks/83939148
これが個人的に1番好き。冬服はアカデミー時代のやつをスカートにしただけです。(*´∇`)ノ ではでは~


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1人じゃない

おはようございますm(*_ _)m
サボってた訳じゃ無いんですが展開が少し思いつかず単調になってしまったかもしれない。・・・後は他作品を加筆修正しまくってたのもある。いや、加筆していたら止まらなくなってしまって笑。
それはそうと学パロ続行でありがとうございます✧*。٩(ˊᗜˋ*)و✧*。

遅かったのに文字数8000字位ですごめんなさいm(*_ _)m


 ハチャメチャな入学式が終わって粗方の学校説明が終わった翌日の朝、ボルトはご飯を食べている。その服装は制服なのだがボルトの隣には割と大きめな鞄がある。何故こんな物があるのかと言うと今日は新入生の親睦を深める為の1泊2日の合宿である。先ずオリエンテーリング・・・オリエンテーリングとは地図とコンパスを用いて山の中に設置されたポイントを指定の順で追加しフィニッシュするまでのタイムを競う野外スポーツである。そのオリエンテーリングの後少し休憩した後は何と班員でカレーライスを作るのだとか。初っ端から難易度が高い。その後はクラスで分かれレクレーションをする。だから木の葉高校新入生は木の葉より少し離れた山の中にあるホテルにまで行くのである。

 

「んじゃっ、行ってくるってばさ!」

 

 そう家族に言ってボルトは家を出た。学校に近くなって行けば同じ新入生がちらほらといる。そんな中見知った姿を見つけボルトは走って追いついた

 

「筧さん!」

 

 その言葉に紫色の髪を持つ女性は運動用なのかひと房に纏めてる三つ編みの髪を揺らしながら振り向いた。因みに2人がこの後着るジャージや体操服は流石に同じである。制服は生徒によって千差満別だがジャージは流石に学年で揃えられている。体育祭の時など区別がつかなくてはやりにくいからだ。ボルトはスミレの隣に並び歩き出した。

 

「今日はよろしくだってばさ。」

 

「うん。・・・誘ってくれてありがとう。」

 

 今回のオリエンテーリングはスリーマンセル・・・つまり3人の面子でやる。この前日、取り敢えずの班決めを行った。勿論これからずっと同じという訳では無いが暫定の班である。ボルトは最初小さい頃から一緒に遊んでいたシカダイかいのじん等を誘おうと思った。1人はもう既に埋まっていたから。1人の名はミツキ、掴み所が分からない人だが悪い人ではない。ただ親は変わり者である。

 だがそんな時はわわと何か慌ててる人がいた。スミレだ。スミレは人見知りである。だから自分から声をかけるという行動が・・・難易度が高いのだ。スミレからすれば。周りでは割と直ぐに班が決められる。顔馴染みの人が多いからだ。例えばボルトの幼なじみのサラダ。サラダは親友のチョウチョウと・・・学校に入ってから喋るようになった雀のナミダ、伊豆ノワサビと班を組んだ。ボルトのクラスは奇数なのでどこかは4人になるのだ。

 そして周りがどんどん決まってく中慌てるだけで誘う勇気がないスミレは置いてけぼりを食らった。それを見てボルトはシカダイに向かおうとしていた足をスミレに向けて誘った。

 

『筧さん。班決まってないなら俺らとならねえか?』

 

 スミレは安心と嬉しさが込み上げ喜んでOKした。職員室前の1幕の後、2人は特に何も無かった。ボルトは親友達とつるむようになったしスミレは人見知りで全然他人に声をかけることが出来なかったからだ。だから2人が会話したのはこの時が2回目という事である。·····というより3人でカレー作りとか時間がかかる。その為なるべく早くオリエンテーリングを終わらせたい。2人して学校に入ればもうクラスの殆どは集まっていた。·····ボルトとスミレに思いっきり視線が刺さった。それに2人はなんでだ?ってなりながらシカダイの元に向かった。

 

「おはよー」

 

「おう。・・・お前筧とどんな関係なんだ?」

 

 それに気になったのか男子面子は聞き耳を立てた。だがとうのボルトは頭をかきながら不思議そうな顔で親友に聞いた

 

「何でだ?」

 

「いや、筧の事を班に誘ったりするしよ」

 

「何だ?嫉妬か?」

 

「んな訳ないだろ」

 

 ボルトはそんな答えを聞きながらスミレの事を考えた。第一印象·····慌ててるイメージしかない。だけど・・・それが何か心に引っかかる。だから声をかけたのだ。別に恋愛感情を持っている訳では無い。

 

「別に困ってる人を誘うのがそんなに悪いかよ」

 

 そう言ってミツキの元に向かった。そうして少し喋っていたが点呼の時間になり出席番号順で並んだ。そうして点呼を取った後皆でバスに乗り込み出発した。場所は近い故にそんなに時間はかからない。それでもバスの中はわちゃわちゃしていた。そんなわちゃわちゃしてる中スミレは教科書で予習していた所の単語帳をめくっていた。そんなスミレを隣にいるサラダは感心半分呆れ半分で見ていた。単語帳1周終わったのを見計らい聞いた

 

「こんな時にも勉強なの?」

 

「はわわ・・・へ、変かな?」

 

 スミレは所謂常識が少し抜けている。大国のどこにも住まず里外れに住んでいたからだ。だからスミレの中の常識は父と母と一緒に過ごしていたあの日々が常識である。つまり時間があれば勉強か運動。勉強の比率が高かった。

 

「別におかしくはないけど・・・普通こういう時は騒ぐものじゃない?あの馬鹿みたいに」

 

 そう言ってサラダは左斜め横にいるボルトに目をやる。そこには何やらはしゃいでいるボルト達がいた。

 サラダはボルト程はしゃぐ訳では無いがそれでも割と楽しみにしている所がある。でもスミレはバスのが出発してから割と直ぐに単語帳を引っ張り出して勉強していた。サラダも勉強はできる方だ。

 サラダのうちは家は代々木の葉の警務部のエリートの家族だ。サラダの父親は里外にいることが結構あるが1週間に2、3回は帰ってくる。そしてサラダの叔父は警務部の副部長である。因みに社長はサラダの祖父である。

 サラダも小さい頃から見ていた父親や叔父さん、祖父のような警務部の人になりたいと夢見て勉強してきた。·····まぁその夢は最近ナルトのような火影になりたいと思うようになったが勉強するのには変わりなく。お陰様で特待生Aランクを取れた。そんなサラダでも今勉強しようとは思わない。楽しむべき日なのに勉強するのは何か違うと思ってるからだ。

 

「・・・私は·····勉強が友達みたいなものだから」

 

 だからそう言ったスミレに少し変な感情を持ったのは別にサラダが悪い訳では無い。スミレは本心を言った。幼い頃からやたらと勉強させられていた。それでも・・・何かを分かる事がスミレは大好きだった。分からない問題が解けた時の快感が好きなのだ。勿論スランプだってあった。それでも乗り越えていけたのは木の葉への恩返しの為。その理由が出来たからこそ頑張れたのだ。そして今も・・・

 

「・・・まっ、ボルト色々猪突猛進だから気をつけた方がいいよ」

 

 と幼なじみが言ったのを聞いてスミレは疑問符を浮かべるが直ぐにクスッと可愛らしく笑い思った事を言った。

 

「仲良いんだね」

 

「どこが?」

 

「そういう所」

 

 全く意味を為していないが要はサラダはボルトの事を普段から見ている。親が学生の時にスリーマンセルの班だったからだ。だから小さい頃からボルトとサラダは互いを知っている。・・・ここで少し変なのだがサラダはボルトの父親のナルトをリスペクトしていてボルトは何故かサラダの父親のうちはサスケや叔父のうちはイタチをリスペクトしている。

 だから何故か上手い具合に2人の尊敬している人物は互いの家族の誰かである。サラダはスミレの言葉を聞いても疑問符を出していたがそのうち今日泊まるホテルが見えてきた。バスを降りた後、ボルト達は背伸びして深呼吸して山の空気を感じ取る。そうしていればそれぞれの担任がクラス毎に並ぶようにと言いボルトたちは並んだ。そして幾つかの注意事項を話した後、ボルト達は自分達の泊まる部屋に向かい荷物を置いた後ジャージに着替えホテルの中庭に集合した。この集合は早く集まれば集まるほど有利である。何故なら集まった面子からオリエンテーリングを始められるのだ。ボルトとミツキが中庭に着いた時割といたがスミレの特徴的な髪を直ぐに見つけ近寄って声をかける

 

「筧さん!」

 

「ボルト君、もう行ける?」

 

「ああ、行こうぜ」

 

 その後3人は仮設用テントの所にいるシノの所に行きマップとコンパスを貰い出発した。山の中を歩きポイントを巡る。しかし人によっては厳しいと思われる崖等が普通にある。最早運動出来る事前提なのかと思ってしまうが気にしない。そして今は川が流れている所で石が人為的なのか置かれていた。ミツキが先行しその石の上を渡っていく。そしてボルトも渡りその後ろをスミレがついて行く。そして半分程順調だったのだが・・・

 

「きゃっ!」

 

 スミレが思いっきり滑った。ボルトとミツキの靴裏にある砂が濡れている石にくっつきスミレの時には滑りやすくなっていたのだ。ボルトは声を聞いて咄嗟に振り向きながらスミレの腕を掴んだ。掴んだのだが・・・

 

「うわっ!」

 

 そう言いながらボルトは片足を川に突っ込んだ。その変わりスミレは川に突っ込まずに済んだ。だがそれでイエーイとなるスミレの筈が無く

 

「ごめんなさい!」

 

 そう言いながらボルトの片足を石の上に戻した。ボルトはもう濡れてしまったものはしょうがないと考え取り敢えず3人は川を渡りきった。そして・・・渡り切った後ボルトはスミレの腕を掴んだままだったのを思い出し慌てて離した

 

「す、すまねえ!」

 

 そんな同年代の女の子の腕を持つなんて事をしなかったボルトは思いっきり赤面になりながら謝った。スミレは何で赤くなってるんだろうと思いながら首を振りながら言った。

 

「私もごめんなさい。」

 

「いや、あれはしゃあねえだろ。」

 

 そう言いながらボルトは濡れたジャージの袖を捲った。少し虫が怖いがまぁ大丈夫だろう。

 

「ねえ、もう行かないかい?」

 

 とミツキの言葉に2人は頷き再び歩き出した。だけどボルトはスミレの腕を掴んだ手を見る。スミレは今度はこけまいと気をつけながら歩いた。

 3人は元々の運動能力も合わさり割と早く歩いた。偶に他の班とすれ違うが大概道に迷っている生徒ばっかりである。·····偶に喧嘩をしながら進んでる人もいる。スミレは確かにこれは少し迷いそうとか思っていた。そんな事を思いながらもしっかりとチェックポイントを追加して行くあたり流石である。そうして先程以降特にアクシデントも無く3人は無事にシノが待っているホテルにまで全てのチェックポイントを周り戻った。

 

「お前達早いな。1番最初だ。」

 

「よっしゃーっ!」

 

 ・・・まぁ別に競争ではないから1番かどうかというのはあまり問題では無いがNo.1の称号は男子を燻るにはボルトには必然である。そうすればシノは今度は外にあるキッチンを指差しそこにカレーの材料と器具があると言い3人は休憩もそこそこに向かった。そして3人は役割分担をした。ミツキがお米を研ぎ、ボルトがお肉や野菜を切ってスミレが付け合わせのサラダを作る事になった。なったのだが·····

 

「上手く切れねえっ!」

 

 とボルトは思わず目の前の中途半端に切られている野菜を前に叫んだ。ボルトは滅多に料理をしない。妹のヒマワリにホットケーキ等作った事はあるが包丁など使う料理は滅多にしてこなかった。今じゃヒマワリの方が料理は上手だろう。そんな叫び声を聞いたのかスミレはサラダを作り終えながらひょこっと覗いて手を拭きながらボルトの所にやってきた。

 

「もうサラダ出来たのか!?」

 

 そのスピードにボルトは思わず叫んだ。スミレはそんなに早いだろうか?と思った。家でもこの位だから普通だと思っていた。自分は基本的に凡人か凡人以下だと思っているから。そしてスミレはボルトの切った野菜を見て苦笑いした。

 

「切り方のコツ教えてくれってばさ!」

 

 そんな困った声を出したボルトが何か可愛いと思いつつもスミレは了承した。・・・ボルトからすればこの教えてとは横から見本を見せてくれる奴だろと思っていた。・・・しかし

 

「えっ、ちょっ!?」

 

 スミレはボルトの後ろからボルトの包丁を持っている手に自分の手を添えた。だからボルトは慌てた声を出した。スミレが自分の後ろに来て後ろから手を添えている。・・・そしてスミレは全く自覚は無いがスミレの胸部は同年代よりもある。その胸部がボルトの背中に当たったりしているのだ。健全なボルトが慌てるのは必然である。だがスミレは何故そんなに慌てるのか分からず思いっきり疑問符を出す。・・・スミレは至極真面目だ。スミレは恋愛事には正直疎い・・・とまではいかないが自分には縁はないだろうと勝手に決めている。というよりスミレからすればボルトは自分の恩人の息子だからそう言う関係になったら駄目だと無意識下に思っている。

 だからボルトの反応を気にせずスミレは自分の手とボルトの手を動かし上手く野菜を切ってみせる。だがボルトはそれ所では無いと思っている。添えられるだけでも恥ずかしいのにもうちらほらとオリエンテーリングから戻って来てる人達がいるのだ。恥ずかしくない訳ない。

 そんな事を思っていたらスミレは一通り切り方を教えて離れボルトは思わず息を着いた。

 

「ふふっ、どうしたの?そんなに疲れてそうな顔をして」

 

 とスミレがクスッと笑いながら聞いてきた。その笑顔に心臓の鼓動を早くするがここでスミレのせいだろと言う訳にもいかずボルトは適当に誤魔化した。そしてスミレは途中までボルトの野菜・肉切りを手伝った後鍋に持って行き調理を始めた。その手際はボルトが見ても凄いと感じる。一応カレー作りの説明書は貰った。実際他の班の人達はそれを見ながらやっているのが大半である。だけどスミレはノールックである。1度も説明書何て見ずに作っている。

 ボルトは全て切り終わった野菜をスミレの所に持って行った。ミツキはお米の火を見ている。

 

「あ、ありがとう。」

 

 そう言いながらスミレは受け取り鍋に入れていく。そんなスミレを見ながらボルトは思った事を聞いた。

 

「凄い手際良いんだな」

 

 それを聞いたスミレは一瞬暗い顔になりながらも作り笑いを浮かべながら言った。

 

「一人暮らしだからね。料理は出来ないと」

 

 ボルトはこの時スミレは他里から来たから一人暮らしなのかな?と思った。ボルトはスミレの事情を知らないからである。他愛のない会話をしながらボルトはスミレの指示通りに動きミツキのお米も出来上がりこれまた1番手でカレーを作り終えた。作り終えた班から食べる事になっているから四苦八苦しているクラスメイトを横目に3人は食べ始めた

 

「美味しいってばさ!」

 

 そんな純粋な感想を聞きスミレは嬉しくなった。勿論自分1人で作った訳では無いが3人で作ったという事実が美味さに歯車をかけてるんだなと思ったのだ。その後も3人はわちゃわちゃしながら食べ進める。スミレは何となく嬉しく思っていた。3人で何かを食べるのは両親が生きていた頃以来だからだ。だから少し油断したのかもしれない。

 

「あっ、筧さんお米ついてるぜ?」

 

 そう言いながらボルトは腕を伸ばしスミレの頬辺りにあったお米を取り食べた。その行動にスミレはいきなりされたからか真っ赤になった。そして訳も分からずドキドキし始めた。そんなスミレを見てボルトは疑問符を出しているがそうこうしていたら食べ終わった。ボルトは自分のお腹を叩きながら満腹満腹と言っている。ミツキは掴み所のない笑顔でニコニコとボルトを見ている。スミレは行儀よくお茶を飲み終え3人は一息ついていた。

 この後はレクイエーションまで外で遊ぶなり部屋でゆっくりなり出来る。だからボルトは余韻もそこまでにしてミツキに声をかけた。

 

「ミツキ、何か遊ぼうぜ!」

 

「うん。良いよ。」

 

 そう言いながらミツキは立ち上がりボルトも立って互いの紙皿をゴミ箱に入れながらスミレに向いた。

 

「筧さんも遊ぶか?」

 

 スミレは遊びの誘い等今初めて受けた。・・・そもそも友達等いなかった。サラダに言った通り勉強が友達みたいなものだったしスミレもそれが当然だと思っていた。運動する時も何時も父か1人でしていた。運動が嫌いな訳では無い。寧ろ好きな方でもあるが勉強には劣る。・・・普通なら断って父親の言う通りに勉強をするべきだろう·····しかし・・・

 

「うん!ありがとう。」

 

 そう言いながらスミレも紙皿をゴミ箱に捨て2人の後を追った。今はどうしてか・・・ボルト達と遊びたい気持ちになったのだ。その理由が分からずスミレは内心首をかしげるがボルトとミツキはさっさとホテルの敷地内にある草原の運動場に向かった。このホテルの特徴は遊ぶ為の場所も先程のオリエンテーリングの様な場所も豊富にある事だろう。クラスの面子と仲良くなるには絶好の場所である。そしてボルト達は相談しサッカーをする事になった。ゴールは無いから3人はパスをし合ったりしている。ボルトとミツキだけならば2人は普通に取り合いをするのだがスミレがいる事を考慮し普通にパスのしあいになったのだが・・・

 

「筧さん普通に上手くねえか?」

 

 とボルトは思わず本音を言った。ボルトがパスばかりでは何か飽きるとなったからリフティングからのパスをし始めた。ボルトが始めたからかミツキもリフティングをした後にスミレにパスした。ボルトはその時スミレは別にしなくてもいいって言おうと思ったがその前にスミレはパスを受け取り普通にリフティングをし始めた。てっきり失礼ながらスミレは運動が出来ないと思っていたボルトは割とびっくりした。スミレは苦笑いしながら言った

 

「サッカーは初めてだよ?」

 

「えっ!?そうなのか?」

 

 その割に普通にリフティングしていた。

 

「幾らボールと言っても重力には逆らえないんだからタイミングさえ合えば少し位なら出来るよ。」

 

 勉学が出来るからこそ思う発想・・・経験者ならその内慣れで解決してしまうがスミレはボルトとミツキのリフティングを1回ずつ見てそれに気がつくあたり凄い。ボルトも1番最初からリフティングが出来ていた訳じゃないし。その後も3人は・・・ミツキだけ変化がよく分からなかったがパスから色々派生して遊んだ。

 例えばしりとりをしながらパスをするのだ。それもただのしりとりではなくリフティングしながらしりとりをして答える事が出来たらパスをするというパッと見簡単そうに見えるがリフティングとしりとりの言葉を探すのを同時並行で行うからはっきり言えば結構難しい。次のレクレーションまで本当は部屋で休むのも良いのだが3人はレクレーションの前まで仲良くパスandリフティングをしていたのだった。

 

 その後のレクレーションは男子と女子で分けられてしまいボルトとスミレは離れてしまったがスミレは初めて同年代の·····もっと言えば異性と遊んだのだった。

 

 夜になればバイキング形式で晩御飯である。この時は制服やジャージじゃなく私服でも良い。良いのだが・・・スミレは服の種類も少なく制服とパジャマ、体操着以外は持ってこなかったから制服で食べる。周りは私服が大概なのだがスミレの制服姿は割と目立っている。スミレは全く自覚がないが美人の領域に入っている。まぁ人のタイプによるが·····ボルトはどことなく母親と何か少し似ていると思っている。・・・体型も似ているから余計に。

 テーブルは円形で自由席だが大半のメンバーがもう決まっている。そしてスミレはまた人見知りが災いしまた1人になってしまったり人数の問題である。サラダ達ももうメンバーで椅子に座っている。サラダは勿論スミレのことも誘おうとした。だがその前にメンバー決まってしまい誘うに誘えなくなってしまったのだ。スミレとしては別に問題はない。木の葉に来てからは1人で食べるのが普通なのだから。そう·····大丈夫な筈なのに・・・

 

(何で・・・こんなに苦しいんだろう?)

 

 スミレは自分が取ってきたおかずやらを見ながら胸を押さえた。そんなスミレをボルトは自分の皿をシカダイやいのじんにミツキにデンキがいる所にまで来た後に見て一言謝り自分の皿を持ってスミレの席に向かった。因みにこの時ミツキもついて行こうとしたが隣の席にいたサラダ達に止められた。ミツキはそれを不思議そうな顔で見ていた。

 そしてボルトはスミレの隣にトレイを置いて座った。そんなボルトにびっくりして見た。ボルトはそんな視線を受けてもにっと笑い手を合わせた。スミレも慌てて手を合わせ2人は食べ始めた。そして無作法とは分かりつつもスミレは聞いた

 

「どうして・・・」

 

 それを聞いたボルトは口の中のものを胃に押し込み当たり前みたいな顔で言った

 

「1人で食べるなんて寂しい事するなよ」

 

 そう眩しい笑顔で言われスミレは何も言えなくなり少しボルトから目を逸らした。逸らした目から一筋の涙が出ていたのだった

 

 

 ★★★★★★★★

 

 

 ホテル、スミレの泊まってる部屋でスミレは窓から射し込む月の光に照らされながら窓の外を見ていた。その姿は美しくどこか幻想的な姿だった。今はもう就寝時間を過ぎている。スミレは見回りが来た後にベットから抜け出し窓の外を見ている。窓から見える景色は遊んだ場所や少し遠くには綺麗な湖が見える。

 明日は朝には帰る事になっている。もう半分の新入生と入れ違いをするのだ。スミレは寝れなかったのだ。今日初めて体験した色々な事に心臓が勝手に鼓動を早くして寝させてくれない。だから起きて景色を見てるのだ。

 

「うずまき····ボルト、君」

 

 そう胸に手を当てボルトの名を呟く。あの後2人は食べながらお互いの話をした・・・と言っても趣味などそんな話だが。でも・・・そんな話でも感じた事もないほど楽しい時間だった。そして·····それからボルトの名を呟くと鼓動が早くなり体も熱くなってる気がする。そんな感じた事もなくなった事も無い状態になりながらもスミレはどこかそれが心地良い事に気がついたのだった

 

 

 

 

 




お疲れさまぁ(。・∀・。)ノ
今回の話はヴァンガードのリンクジョーカー編の話を参考にしました。ただそんなに直ぐ行くのか?というのはもうほっといてください。
2人に何か部活をさせようと思うけど何が良いかな?あんまりイメージ湧かない。誰か教えてくださいませ(ノ_ _)ノ


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委員長と副委員長

おはようございますm(*_ _)m。
久しぶりの学パロ。アンケートの結果武術+マネージャーになったのでそうします。では⊂('ω'⊂ )))Σ≡GO!!


 クラスの親睦を深めるオリエンテーションが終わり本格的な授業が始まって約1ヶ月半、ボルトとスミレは定期テストの際に課される提出物をクラスで集めシノの所に持って行ってる。クラスは割といるのに何故この2人になっているのかと言うとオリエンテーションが終わって次の授業日に学級委員·····委員長、副委員長、文化委員、体育委員をクラスで決めた。その際スミレは人見知りの自分を変えたくて他の生徒と接する機会が多い委員長に立候補した。他にやりたい者がいなくてそのままストレートに決まった。

 そして副委員長はボルトになった。何故ボルトなのかと言うと最初は委員何てなりたく無かったのだが誰も手を挙げなかった。それで入試の成績の上位者でじゃんけんとなって勝ったのだ。·····そして最初は文句ダラダラだったが委員長と2人でする仕事が割とあると知った時からまあいいやとなっていた。

 

「委員長重くねえか?」

 

 とボルトは5:5で2人で持っているワークを見ながら言った。最初はボルトが多めに持とうとしたのだがスミレが遠慮して有無を言わさずに持ち上げたからそのままだが女の子には辛くないか?と心配になったのだ。ボルトはスミレが委員長になった時から筧さん呼びを止めて委員長呼びになった。何かこっちの方がしっくりくるのだ。そんなボルトにつられたのか他の生徒も委員長と呼ぶようになった。因みにボルトは変わらない。例え副委員長と呼ばれてもボルトは拒否する。背中が痒くなる。

 

「大丈夫だよ。」

 

 本人がそう言うのだからしつこく聞くのは印象悪くなってしまう。流石にそれは勘弁。わざわざ嫌われたいと思う程物好きではない。そうして歩きながらボルトはちらちらと自分より少し身長が低いスミレを見る。スミレはその視線に気が付かずにその恐らく同級生で1番長い紫色のオリエンテーションの時とは違い2つに分けている三つ編みの髪を上下する。そうしていた気恥しくなり無理矢理話題を振った

 

「その・・・委員長は部活とかやってるのか?」

 

 木の葉高校は部活は強制·····という訳では無いが暗黙の了解でほとんどの人が部活に入っている。勿論しなくても良いのだが何か同調圧力がかかりそれを貫ける人は正直少ない。スミレはワークを持ちながら答える。因みにボルトは

 

「うーん・・・アルバイトもあるから毎日する部活は無理かな。」

 

 スミレは一人暮らしで里からの援助で今過ごしているがそんな状況に甘える訳にはいかない。ナルトに言わせれば子供を守るのは当たり前だと言うのはスミレには分かってる。少ない時間しか話をした事はないがナルトならばそう言うだろうなとは分かったからだ。しかしそれが申し訳なさに歯車をかける。だからこそバイトをして援助を切ってもらい他の困ってる人を援助して欲しいと思ったのだ。直ぐに援助を切られても困るがなるべく早く・・・高校卒業何て待たずに自立出来るくらいにはなりたいのだ。

 

「そうなんか・・・どこでバイトしてるんだ?」

 

 とボルトは好奇心で聞いた。決してそのバイトしてる所に行こうと思った訳では無い。·····絶対に。

 

「科学技術先端研究所って所。私が科学が好きだと知った火影様がそこでバイトしないか?って言ってきてそれを受けたの。」

 

 名前の通り今の所他里を入れても指折りの研究所だ。スミレがやるのは主に手伝いだがその中で学んで科学の検定等に合格していけばそのまま就職なんて言う事も出来る。スミレも両親と過ごしていた頃にその名は聞いた事がある。最高峰の研究施設と父親が不満げに言っていたのを覚えている。スミレは高校に行く前でもその研究所に憧れていた。だからナルトの誘いに喜んでOKしたのだ。

 

「そこって・・・確かカタスケのおっちゃんがいる所だった気が·····」

 

 カタスケ・・・ナルトが17歳の時に小さい子供が車に轢かれそうになった際その子供を庇う代わりにナルトは右腕が無くなった。そしてそのままだったがその時カタスケが現れナルトの義手を作ったのだ。それからナルトとカタスケは仲良くなりボルトも変な所がある人だが悪い人ではないと思っている。実際自分が持ってないゲームをやらせてくれる良い人だ。そしてカタスケはその研究所で割と1番大事な人というのを聞いた事がある。まあボルトは普段のカタスケのイメージが強くあまりそんな事を考えた事は無いのだが。スミレはボルトの呟きに少し驚いた顔をしてボルトを見ながら言った

 

「知ってるの?」

 

 スミレはボルトも科学が好きなのかな?という同類発見みたいな感じで聞いたのだがボルトは苦笑いしながら

 

「何かよく分からない発明持ってくるけど良い人だよな。」

 

 これでボルトが科学はそんなにという事が分かり少ししゅんとしたがその様子を出さずにスミレも返す

 

「うん。面白い人だよ。」

 

 スミレは既にバイトを始めている。その手伝いをしているのが件のカタスケなのだ。カタスケはその道では有名な科学者でスミレも木の葉に来る前から母の買い物について行った時の本屋にカタスケが表紙の本を見た事がある。そのおかげでカタスケの事は直ぐに分かりこんな立派な人の元で働ける事に歓喜した。カタスケやカタスケの助手の犬塚アキタに教えてもらいながらするバイトが楽しいのだ。最早本人は楽しすぎてこれ本当にバイトでいいのかな?とか思っている。

 

「·····と言うより父ちゃんの事知ってるのか?」

 

 とボルトは今更のように思い出して聞いた。ボルトとナルトの仲は可もなく不可もなくだ。小さい時は火影で構ってくれない時にはやたらと嫌いだったが今ではまあ大変さも一応分かっているつもりだ。

 

「うん。ちょっとね。」

 

 スミレは自分の事は誰にも話していない。変な同情や援助を受けてる事で嫌味など言われたくないからだ。

 ボルトはそんなスミレを不思議そうに見ていたが職員室に到着したから取り敢えず生物の先生兼担任の先生でもあるシノに提出物を出し2人は職員室を出た時にボルトは声をかけられた

 

「ボルト。」

 

「ネジおじさん!」

 

 白色を基調とした服を着てボルトに声をかけたのは日向ネジ。ボルトの母親のうずまきヒナタの従兄だからボルトはおじさんと呼んでいる。おじさんと言っても普通に若く見える。何でモテそうなのに結婚しないんだろうとボルトは時々思っている。小さい時に聞いてみたが「そんな相手が俺にはいない気がする」と変な答えを言われた。ネジは苦笑いしながら答える

 

「ここでは先生だ。」

 

 ネジはこの木の葉高校の武術系の科目を請け負っている。というのはネジの一族の日向一族は代々武術に優れている。そして頭脳の方も頭が良い人が多く木の葉高校の卒業生に日向一族は多くいる。ネジもその内の一人でネジは当時Sランクの特待生でボルトの父ナルトよりも1年早く入学して卒業して行った。

 

「どうしたんだってばさ?」

 

「今日俺は会議で遅くなる。木ノ葉丸には言ってあるがお前からも言っといてくれ」

 

「分かったってばさ。」

 

 そしてネジはスミレに目を向けた。スミレは怒られる事はしてない筈だが一応頭を下げた。ネジは頷き職員室に入って行った。教室に戻ってる最中にスミレは聞いた

 

「お知り合いなの?」

 

「ああ。俺の母ちゃんの従兄だってばさ。ついでに言うなら俺の部活の顧問でもある。」

 

「部活?ボルト君の部活って·····」

 

「武道部だってばさ。サッカー部も迷ったんだけどな」

 

 武道部…その名の通り武道と言うより武術の部活だ。空手・柔道等など色々あるがこの部活はそんな枠に囚われず色んな武術が合体した様な、言わば総合格闘技に近いやつだ。この部にはボルトの他にサラダやミツキが居る。因みに他のメンバーはと言うとシカダイは将棋部、いのじんは美術部、チョウチョウは家庭科部だ。

 

「そうなんだ。」

 

 スミレも一応護身用としてやってはいるがそれだけだ。本格的にはやらない·····というよりやっていたら時間が足りなくなるかもしれない。主に疲労で。スミレは部活をするつもりは·····出来るならしたいのだがボルトに言った通りバイト優先なのでと言う感じなのだ。ナルト辺りが聞けばカタスケに融通してくれるかもしれないが迷惑かけたくなく黙っている。2人はそのまま少し無言で廊下を歩いていて…少しボルトが恥ずかしながら言った

 

「その…良かったらさ、武道部入らねえか?」

 

「え?」

 

 そんな素っ頓狂ない声を出したスミレにボルトは言葉が悪かったと手を振って

 

「選手じゃなくて·····マネージャーみたいな?」

 

 どうしてそこは?何だろう。そしてボルトは割と口が勝手に動いたのを感じて思わず手で口を抑えたがもう遅い。スミレはボルトの問に少し考えた。だが結局首を振った。

 

「ごめんなさい。やっぱり不定期なのは他の人に迷惑だから」

 

「そ、そっか…それならしゃあねえな」

 

 そう言ってボルトは苦笑いしたのだった。そんなボルトを見てスミレは少し胸が苦しくなったのだった。

 

 ★★★★★

 

 科学技術先端研究所、5里含めても有数の研究所で日々色んな研究、或いは実験がされている。そんな中でのスミレのバイト内容は基本は片付けや掃除だが研究のお手伝いもよくする。実験にも立ち会わせてもらい最早スミレは天国とか思っている。勿論それなりの知識等がなければ参加出来ないがスミレにはモーマンタイであった。しかしそんなスミレは今共有スペースのラウンジでため息をついていた。そんなスミレの元へスミレの上司の助手の犬塚アキタが声をかけた

 

「どうしたのスミレちゃん。元気無いけど。」

 

「え?そ、そうですか?」

 

 その言葉にアキタは頷いた。スミレとアキタの仲は良い。男が多い研究所の中で同性なのが気楽になれるのだ。スミレはアキタを研究者としても女性としても尊敬している。

 

「そうよ。今日なんて私が数えただけでも10回はため息ついてるわよ?」

 

「え!?」

 

 全く自覚がなかった。別に身体的にめちゃくちゃ疲れているという訳では無いのだがやはり精神的に疲れたのだろう。

 あのボルトとの会話の後2人は教室に戻りボルトは部活に行った。スミレは教室に残ってバイトの時間まで勉強していた。しかし喉が渇いてしまい水を飲もうとしたが水筒にはもう水はなかった。

 これがボルトとかなら自販機まで行くがスミレは倹約家だったので少し悩み運動部もよく汲んでいる水飲み場まで行った。水道水は少し抵抗があるが自分がこの里に来る前に水分不足で倒れた事を思い出し倒れるよりマシかと思ったのだ。そして水を汲んで教室へ戻る時何やら気合いの入った声が聞こえた。聞こえた場所は道場だ。スミレは通り過ぎようと思ったが先程のボルトとの会話がよぎった。そして道場を少し覗いて見た。そんなスミレが見た光景とはボルトが先輩であるイワベエに突き飛ばされていた所だった。

 

「甘いぞボルト!」

 

 ボルトは立ちながら口元を拭う。そして好戦的な笑みを浮かべながら再びイワベエに向かう。スミレはそれを影から見ていた。ボルトは何度も倒され立ち上がりイワベエに向かう。

 イワベエは今年3年生である。彼は勉強が苦手だが、木の葉の中でも武術に長けたこの高校に入りたくて努力しまくり入学、その後も留年したら部活は抜けなればならないので必死に頑張り何とか赤点だけは回避していた。そして部活目当てで来ただけあって強い。その強さはこの部活の部長をやっている事から伺える。

 

「うわっ!」

 

 そう言ってボルトはまた倒された。そしてよく見れば少し血が出ている。スミレはそれを見て思わず駆け出しそうになったが自分は部員では無いと思い止まった。

 そんな時、スミレは後ろに誰かの気配があると思い思わず、普段の修行の成果を使いばっと後ろを向くのと同時に臨戦態勢に入ってしまった。だが直ぐにその構えを解いた。何故なら目の前にいたのはサラダだったからだ。サラダは今のスミレの割と実践的な動きに思わず呆けた顔をしたがスミレが慌てて構えを解いたのを見て首をこてんとして聞いた

 

「委員長、こんな所で何してるの?」

 

「はわっ!?」

 

 そこでスミレは色々察した。今の状況は完全にスミレが覗き見をしていることになる。いや、実際そうなのだがまさか優等生のスミレがそんな事をするのがサラダには意外だったのだろう。そんなサラダは女性用の道着である。その手に水筒があるのを見る限り先程のスミレと同じく水を汲みに来てその帰りなのだろう。サラダは何か固まってしまったスミレを見た後、スミレが先程まで覗いてた場所から中を見ればボルトがいた。

 

「もしかしてボルトに何か用だった?」

 

「あ、えっと…そう言う事じゃなくて.......」

 

 スミレはそこから顔が赤くなりまくった。心臓の鼓動が自分でも可笑しいと思う位早く鳴りまくり耳を閉じたら鼓動の音が聞こえるのではないかと思った。そして思わず

 

「な、何でもないの!」

 

 そう言って駆け足で教室に戻った。サラダはそんな委員長の赤面しまくっていた顔を思い出しもしかして・・・とか思い始めた。そしてスミレは自分の参考書を広げている机の椅子に座りまだ鳴っている鼓動を収めるために深呼吸をした。しかし鼓動は病むどころか余計に激しくなっていく始末。だがそれもある事を思い出したら収まって行った。ある事とはボルトが倒され少し血が出ていた時の事だ。あの時自分は部員でもないのに駆け出そうとした。それが何故なのか自分でも分からない。

 

「マネージャーなら・・・」

 

 駆けだせたのにと言おうとして口を閉じた。何でそう思うのだ。ボルトはあくまでも他人なのだ。自分には関係ない。関係ない筈なのだ。そう自分に言い聞かせるのだった。

 スミレはバイトが終わり帰路についたのだった。

 




お疲れさまです (*´∀`)♪
言っといてまだならないと言う。
ネジ登場〜〜♪ネジ、メタ発言する笑。
登場人物多くても部活の顧問とか振り分けムズい(;`皿´)ク
アニメの情報出たけどスミレ登場はまだ先っぽい。全然出ないなぁ・・・。ムギノの過去とか短編やるのならスミレの科学忍具班の話をやってくれてもいいじゃん( ´ • ω • ` )
そう言えばディーパ戦凄かったなぁ。サラダのナルトとサスケの白戦オマージュも良かった〜(そうなのかは知らないけど)。
アニメが無理なら原作はイッシキで忙しいからSDで出してくれないかなぁ。と言うよりSDの単行本まだ出ないなぁ。スミレのウエディング話早く見たい(。'-')(。._.)
(*´∇`)ノ ではでは~



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