キラメイてゼロワン (ブレイアッ)
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キラメイてゼロワン《前編》

コロナのせいで新しいキラメイジャーとゼロワンが見れない?だったら見せてやろう!クロスオーバーでな!


 5月某日。

 

「何だこれ? 宝石?」

 

 飛電製作所の社長、飛電或人は会社の前に落ちていた黄色い宝石を拾い、首を傾げていた。

 

「どうした、社長」

 

「あ、不破さん」

 

 そこに現れたのは飛電製作所の用心棒、不破諌だ。

 二人顔を並べて或人の手にある黄色い宝石を見ていると、キラリと中が光った。

 

「ん?」

 

「なんだ?」

 

 次の瞬間、宝石は眩い輝きを放った。

 あまりにも強い光に、飛電製作所の事務室にいた秘書ヒューマギアのイズが慌てて飛び出す。

 

「──或人社長?」

 

 光が収まった時には、或人と諌の姿は無く、イズはぱちくりとまばたきをした。

 

 

◇◆◇◆

 

 

 都会に聳え立つ巨大なヤシの木。否、ココナッツタワー。

 表向きは宝飾ブランド『ココナッツベイ』本社ビルだが、その正体は魔進戦隊キラメイジャーが所属し、ヨドンヘイムからの侵略者たるヨドン軍と彼らの戦いをサポートする地球防衛組織『CARAT(カラット)』の秘密基地である。

 

「──!」

 

 CARAT作戦室。そこにいたクリスタリアの王女、マブシーナが突然、ハッと顔を上げた。

 

「どうしたの? マブシーナ」

 

 彼女に話しかけたのは赤い制服に身を包んだ青年、熱田(あつた)充瑠(じゅうる)だ。

 

「何かが来ます……何かが!」

 

 その時、作戦室にアラートが鳴り響いた。

 地図が表示されたテーブルに充瑠、黄色い制服の射水(いみず)為朝(ためとも)、青い制服の押切(おしきり)時雨(しぐる)、緑の制服の速水(はやみ)瀬奈(せな)、桃色の制服の大治(おおはる)小夜(さよ)の5人の若い男女と、壮年の男性が集まる。

 

「K-01地区にヨドン反応だ! キラメイジャー、出動ッ!」

 

 壮年の男性、ココナッツベイ社長にして地球防衛組織『CARAT』の代表である博多南(はかたみなみ)無鈴(むりょう)の言葉に、充瑠達5人の若者が「了解!」と応え、作戦室から飛び出した。

 

 

◆◇◆◇

 

 

 平和だったはずの街は突如として、人々が悲鳴を上げながら逃げ惑う地獄のような光景に変わっていた。

 

 ビルが崩れ、破片が地面に落ちる。アスファルトが砕けて立ち上がった土煙の中から、錠のような仮面を付けた怪人と鍵のような仮面を付けた怪人が現れた。

 彼らこそ、この惨状を作り上げた犯人である。

 

「何だなんだ、あいつら!」

 

「ヒューマギアの暴走でも、レイダーでも無さそうだな……!」

 

 そこに居合わせたのは或人と諌。

 或人の手には黄色い宝石が握られている。

 

「とにかく、止めないと! 不破さん!」

 

《ゼロワンドライバー!》

 

「ああッ!」

 

《ショットライザー!》

 

 二人はそれぞれのドライバーを装着し、或人は黄色いプログライズキーを、諌は青いプログライズキーを取り出し、起動させる。

 

《ジャンプ!》

 

《バレット!》

 

「ふんっ!」

 

 諌がバキッと片手でプログライズキーをこじ開けて展開し、ショットライザーに装填する。

 

《オーソライズ!》

 

 バックルからショットライザーを外し、銃口を怪人に向ける。

 

「変身ッ!」

 

《ショットライズ!!》

 

 引き金を引き、飛び出した弾丸が新たにビルへ攻撃しようとしていた2体の怪人をかすって攻撃を中断させ、諌の方へと向かってくる。

 

「ふっ!」

 

 それを空いた左拳で殴り、砕かれた弾丸がアーマーを形成し、変身する。

 

《シューティングウルフ!》

《The elevation increases as the bullet is fired.》

 

「な、何だ貴様は!」

 

「むぅ、キラメイジャーでは無いな!」

 

 変身した諌の姿に驚く怪人達。

 

「俺は仮面ライダーバルカン。てめぇらこそ、何者(なにもん)だ!」

 

「我が名は(キー)邪面!」

 

「我が名は《ロック》鍵邪面!」

 

「「二人合わせてジョーキーズ!」」

 

 ババーンと効果音やら演出が付きそうな勢いでキメる錠邪面と鍵邪面。

 

「ふざけてんのか? まあいい、行くぞ社長……おい、どうした?」

 

 バルカンが呆れつつ隣に視線を向ける。

 そこには何度もプログライズキーをベルトにかざし当ててカチャカチャ言わせている或人がいた。

 

「どういうわけかドライバーが認証しないんだ! これじゃあゼロワンに変身出来ない!」

 

「何だと!? チッ、こうなったら俺一人でやる! はどっかに隠れてろ!」

 

「ふっはははー! そんなダサい仮面を被ったところで我らジョーキーズに敵うものか!」

 

 錠邪面がその場でくるりと回って高笑いし。

 

「貴様からたぁっぷり、闇エナジーを絞りとってア・ゲ・ル♡」

 

 鍵邪面がどこからか鍵のような形をした剣を取り出し構える。

 

「ふん、試してみるか?」

 

 ドライバーからショットライザーを取り外して銃に、銃口を鍵邪面に向けるや発砲。鍵邪面の体から火花が飛び散った。

 

「あいたぁ!?」

 

「何とぉ!」

 

「うおおおおおおおっ!」

 

 撃ちまくりながら駆けて鍵邪面に接近。

 2歩の距離を跳躍で一気に縮め、鍵邪面の顔を踏みつけて足場に後ろ上方に飛び上がる。

 

「ワタシの顔を踏み台にぃ!?」

 

 空中でショットライザーを持ち替え、装填されているプログライズキーを叩く。

 

《バレット!》

 

 後方宙返りをし、顔を真上に上げてのけ反る鍵邪面がバルカンの視界に捉えるや銃口を向け、引き金を引く。

 

《シューティングブラスト!》

 

 青い炎の狼が宙を駆け、鍵邪面の手足に食らい付いてその場に捕らえる。

 両足で着地するや再度引き金を引く。

 

《バレット シューティング ブラスト》

 

 青白い光球を撃ち放ち、鍵邪面が爆発に飲まれる。

 

「──がはぁっ!?」

 

 爆発の中から吹っ飛ばされ、鍵邪面が後ろにあったビルの壁に打ち付けられる。

 

「か、鍵邪面んんん!」

 

 錠邪面が慌てて鍵邪面に駆け寄る。

 

「くっ、今ので倒れないってことは出力不足か! だったらコイツで!」

 

《アサルトバレット!》

 

 グリップが付いたプログライズキーを取り出すバルカン。

 そこに無数のキラリと輝くコイン型の銃弾が飛来し、その手からプログライズキーを弾き飛ばした。

 

「痛ッ、何が……ぐああっ!?」

 

 次々と襲い来る銃弾がバルカンを全身に当たり、火花を散らす。

 

「そこまでだ! 邪面師!」

 

 そう言って現れたのは赤、黄、緑、青、ピンクの5人の男女。

 キラメイジャーの5人だ。

 

「って、邪面師が3体!?」

 

「1体だけ変わったお面をしてますね……」

 

 キラメイグリーンが戸惑いの声を上げ、ピンクがバルカンを見て違和感を覚える。

 

「しかも1体はかなり弱ってる……仲間割れでもしたのか?」

 

 キラメイブルーが冷静に推測する。

 

「何だテメェら!」

 

(…………?)

 

「俺達はキラメイジャー。覚悟しろ、邪面師!」

 

 キラメイレッドがバルカンの言葉に何か引っ掛かるがキラメイイエローが前に出たことでその思考を中断した。

 

「キラメイジャー? 初めて聞く名前だが、いきなり攻撃してきたって事はそういうことか!」

 

 バルカンの銃口がキラメイジャーに向く。

 バルカンのショットライザーから放たれた銃弾とイエローのキラメイショットから放たれた銃弾の激突で戦いの火蓋が切り落とされた。

 

 

「ナンだかよく分からないケド、今のうちに!」

 

「おう鍵邪面よ、ここは退くぞ!」

 

 

「あっ!」

 

 突如始まったキラメイジャーとバルカンの乱戦。その隙に2体の邪面師が逃げ出したのを或人は目撃するが、生身では追いかけることも出来ない。

 

《Ready go! アサルトウルフ!》

《No chance of surviving.》

 

「なっ、仮面が変わった!?」

 

「それどころか、姿そのものが変わってるわよ!」

 

「ちょっとカッコいいかも……」

 

「生き残る術は無いってか! だったら試してやる!」

 

 バルカンが落ちたアサルトウルフプログライズキーを拾い上げ、仮面ライダーバルカン アサルトウルフへと変身する。

 その変身に驚くブルーとピンク、グリーンをよそに、バルカンの変身音声を挑発と受け取ったのか、イエローがキラメイショットの上部にある蓋を外し、中にコイン型の弾丸、キラメイバレットを装填。蓋を閉めてレバーを引く。

 

『キラメイチャージ!』

 

 バルカンもイエローに対抗するようにショットライザーに装填されたアサルトウルフのスイッチを押す。

 

《アサルトチャージ!》

 

 両者の銃口にエネルギーがチャージされる。

 

「止めてください!」

 

「「──ッ!?」」

 

 二人の間に或人が割り込んだ。

 しかし、飛び出すタイミングが少し遅かった。イエローが引き金を引くのとほぼ同時だったのだ。

 その結果、イエローの放った必殺の威力を持った輝くコイン型の銃弾が或人に襲いかかる。

 

「マズイッ!」

 

『キラメイシールド!』

 

 或人に命中するかと思われた攻撃は、宝石のようなシールドに防がれた。

 

「ギリギリセーフ……。大丈夫ですか?」

 

「あ、ああ……おかげさまで……」

 

 煙の中から姿を見せたのはレッドだ。

 咄嗟に割って入ったレッドがイエローの攻撃から或人を守ったのである。

 

「みんな、攻撃止め!」

 

 レッドの言葉に各々が武器を下ろす。

 

「今だ隙ありぃ!」

 

 物陰から錠邪面が現れ、レッドめがけて紫色の光球を放つ。

 

「危ない!」

 

 しかしそれは、直前で錠邪面の存在に気付いた或人がレッドの体を押したことでレッドの左手首を掠め、紫の光球にレッドのキラメイチェンジャーと或人のポケットから飛び出たライジングホッパープログライズキーを飲み込み、硬化してカチャッと地面に落ちる。

 変身アイテムであるキラメイチェンジャーが外されたことによってレッドの変身が解ける。

 

「あの野郎ッ!」

 

《マグネティック ストーム ブラスト!》

 

 バルカンが怒り巻かせにチャージしたままだった必殺技を撃ち放つ。

 

「錠邪面!」

 

 鍵邪面が錠邪面の前に飛び出し、バルカンの必殺技を食らった鍵邪面は鍵型の剣を放り投げて爆散した。

 

「鍵邪めぇ~~ん! おのれ仮面ライダーめ! だが、キラメイレッドのチェンジャーは封印した! その錠は鍵邪面の力でなくては解放出来ないぞ!

 ここは退かせてもらうッ!」

 

 錠邪面はそう言い残すと、鍵邪面が残した剣を拾い上げ、闇の中に消えていった。

 

 

「充瑠くん! 大丈夫?」

 

 ピンクから変身を解除した小夜が充瑠に駆け寄る。

 

「うぅ……大丈夫です。

 さっきは助けてくれて、ありがとうございます」

 

「こっちこそ、さっきはありがとう」

 

 笑みを浮かべる或人と充瑠。

 

「いきなり飛び出すなんて、一体どういうつもりだ」

 

 変身を解除した諌が或人に詰め寄る。

 

「に、人間!?」

 

「あん?」

 

 変身を解除した諌に驚くキラメイジャーの面々。

 その反応に諌が彼らを睨み、為朝が睨み返す。

 

「と、とにかく! この人達と話をしよう、不破さん。ここが何処なのかも分からないんだし」

 

「む……」

 

「俺からも! この人は邪面師じゃないみたいだし、話をしても良いんじゃないかな? ねっ、為くん」

 

「んん……」

 

 メンチを切り合う諌と為朝の間に入ってなだめる或人と充瑠。

 そこに時雨のキラメイチェンジャーに通信が入る。

 

『キラメコーリング!』

 

『キラメイジャーの諸君、彼らを連れて本部まで帰投してくれ』

 



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キラメイてゼロワン《中編》

◇◆◇◆

 

 

 CARAT本部。作戦室。

 

「どうも、私こういうものです」

 

「おお、これはご丁寧にどうも」

 

 名刺交換する或人と無鈴(むりょう)

 

「飛電製作所代表取締役社長、仮面ライダーゼロワン。飛電或人……なるほど、やはり姫の推測は正しかったようですね」

 

「「姫?」」

 

 無鈴の言葉に揃って首を傾げる或人と諌。

 

「やはり、異世界からの迷い人……何らかの要因で世界を渡ったこのキラメイストーンによってこの世界に迷い込んだのでしょう」

 

 そう言ってマブシーナが或人達の前に現れ、黄色い宝石をテーブルの上に置く。

 

「異世界……道理で変身出来ないわけだ。こっちの世界には衛星ゼアが無いもんな……」

 

「それで? どうやったら元の世界に戻れる?」

 

「分かりません……ですが、こちらの世界に来れたということは元の世界にも行けるということ。このキラメイストーンに秘められた力をどうにか解放出来れば、元の世界に戻れるはずです!」

 

 マブシーナの言葉にほっと安堵する二人。そこに疲れた様子の充瑠達キラメイジャーの5人がやって来た。

 

「おお、どうだった。充瑠くんのキラメイチェンジャーは」

 

 小夜がテーブルの上に紫色に透き通った錠を置く。

 透けて見える錠の中には充瑠のキラメイチェンジャーとライジングホッパープログライズキーが入っている。

 

「ダメ。どうやっても開かない」

 

「剣で斬りつけても傷一つ付かん……」

 

 瀬奈と時雨がソファーに倒れこみながら答えた。

 

「やっぱり、あの邪面師が言ってたみたいに鍵が無いとこの錠は開かないみたいだ」

 

「でも、鍵の邪面師は倒されてますし……」

 

 為朝と小夜が諌を見る。

 

「……倒しちまったもんは仕方ねぇだろ。それに、ロックなんてのは力付くで開ければいい」

 

「それが出来ないから困ってんだろ!」

 

 諌と為朝のケンカが勃発するのでは、となった瞬間。作戦室にアラートが鳴り響く。

 

「Z地区にヨドン反応だ。また例の邪面師である可能性が高い。変身出来ない充瑠くんは待機。みんな、出動してくれ!」

 

「「「「了解!」」」」

 

「待て、俺も行く」

 

「不破さん」

 

「そいつが戦えなくなったのは俺にも原因があるからな。異世界だろうと関係ねぇ、誰かを傷付ける奴はこの俺がぶっ潰す」

 

「……分かった。では司令官として君に、協力を要請する」

 

「任せとけ」

 

 こうして充瑠を除くキラメイジャーの四人と、諌が邪面師のいる場所へと向かうのだった。

 

 

◆◇◆◇

 

 

 変身出来ず、残された充瑠と或人はもう使われていない採石場を並んで歩いていた。

 

「ここが、或人さんと不破さんが目覚めた時にいた場所ですか?」

 

「そう。この宝石がピカーって光って、目が覚めたらここにいたんだ。

 何か元の世界に戻れるヒントが無いかなって思って来たんだけど……」

 

 キョロキョロと辺りを見渡す或人。彼の手には黄色いキラメイストーンがある。

 

「うーん……手がかりになりそうな物は無さそう……」

 

 砂利をひっくり返したりしながら応える充瑠の手にはキラメイチェンジャーとプログライズキーを封じた薄紫色の錠がある。

 

「だぁーめだ。全っ然見つからない! ……こんな時、イズがいればなぁ……」

 

「イズって誰ですか?」

 

「あぁ、イズっていうのは俺の秘書をやってるヒューマギアなんだ」

 

「ヒューマギアって或人さんの世界にある人工知能搭載人型ロボット……でしたっけ?」

 

「そう! これからの未来、人と共に歩いていけるパートナーになれる夢のマシーンだ」

 

 それから或人は充瑠にヒューマギアの素晴らしさやこれまで出会ってきたヒューマギア、そしてヒューマギアとの未来について語り始めた。

 

「──それで、その腹筋崩壊太郎ってお笑いヒューマギアが凄いんだ。こうやって、腹筋パワー! って腹筋を飛ばして」

 

「腹筋を飛ばすんですか!?」

 

「そう! 飛ばしてもすぐに腹筋がリロードされて、また腹筋パワー! って。これが悔しいことに面白いんだ」

 

「いいなぁ……或人さんの世界、行ってみたいです。ヒューマギアを描いてみたい!」

 

 無邪気なキラキラとした充瑠の笑顔に、或人は返す言葉に詰まる。

 

「…………うん。今は色々と大変だけど、俺達が元の世界に戻れて、充瑠くんが来れるようになる頃には必ず、ヒューマギアと人が笑って暮らせるようにするから……!」

 

「?」

 

 含みのある或人の言葉に充瑠が首を傾げたその時、列車の汽笛ともに、怪獣の咆哮とも取れる声が響いた。

 

「ぐああっ!」

 

「きゃああっ!」

 

 そして、バルカンとキラメイジャーのイエロー、グリーン、ブルー、ピンクが或人と充瑠のすぐそばにまで採石場の斜面を転がり落ち、変身が解ける。

 

「不破さん!」

 

「みんな!」

 

 すぐに彼らに駆け寄る二人。

 彼らを変身解除にまで追いやった犯人はすぐに現れた。

 

「こんなものか、キラメイジャー。それに、仮面ライダーとやらは」

 

「ガルザ!」

 

 斜面の上から見下ろすように現れたのはヨドン軍の鬼将軍、ガルザ。そして錠邪面だった。

 

「キラメイレッドか。錠邪面の力で変身を封じられた貴様に用は無い。消えろ」

 

 ガルザが漆黒の大剣を横凪ぎに振るうと黒紫の斬撃が飛び、彼らの周囲に爆発が起こる。

 

「ぐああああっ!」

 

 爆発で服が破れ、手や頬に赤く血が滲む。

 ガルザの一撃で7人がその場に倒れ伏した。

 

「ふん、これで終わりだ」

 

 ガルザが剣に闇のエナジーをチャージし始める。

 

「これで終わり……?」

 

 充瑠の右手が砂利を掴む。

 

「嫌だ。せっかく新しい夢が出来たってのに……こんなところで、終われるもんか!」

 

 震える足で立ち上がる。

 

「新しい……夢?」

 

 或人が顔を上げる。爆発で飛んだ石によるものなのか、額から血を流れている。

 

「いつか、或人さんの世界に行って、ヒューマギアを描くって夢です!」

 

 充瑠の言葉に或人が笑う。足に力が入る。

 

「だったら、夢は叶えないとな。こんなところで、立ち止まるわけにはいかない!」

 

 或人も立ち上がる。

 

「無駄な足掻きだ。消えろッ!」

 

 ガルザが炎のように揺らめく闇エナジーを纏った黒紫の大剣を振り下ろさんとする。

 放てばそこにいる誰もが死に絶えるであろう斬撃は、2つの銃弾によって阻止された。

 ガシャンと音を立てて落ちるガルザの大剣。その柄とガルザの手からは白い煙が立ち上っていた。

 

「へっ、やるじゃねぇか。諌」

 

「テメェもな、射水」

 

 不破諌のショットライザーによる銃撃と、射水為朝のキラメイショットによる銃撃がガルザの剣を握る手を撃ち、その手から剣を取り落とさせたのだ。

 どちらか一人だけでは威力が足らず、不可能だった芸当だ。

 

 諌が地面に落ちていた錠を拾い上げる。

 

「ふんっ、ぬぅぅぅぅっ!」

 

「ふっはははー! いくら力を込めた所で無駄だ! その錠は鍵でなくては決して開かない! それがこの世界のルール!」

 

 鍵邪面が嘲笑う。

 

「そんなのはテメェが決めたルールだろ! そんなものに従う俺じゃねぇ! 俺を従わせるルールはッ、俺のォッ、ルールだけだァッ!」

 

 バキィッ!

 

 不破諌の()によって薄紫色の錠が砕け、解錠される。

 中から飛び出したキラメイチェンジャーを充瑠が、プログライズキーを或人がキャッチする。

 

「な、何ィッ!?」

 

「キラメイソードでも傷一つ付かなかったあの錠を……」

 

「たった一人の力でこじ開けた!?」

 

「人間の限界を超えてます……!」

 

「スッゲェ……!」

 

「生憎と、この手のロックをこじ開けるのは得意でな。刃のかけたロックの方がよっぽど固かったぜ……!」

 

 錠邪面に時雨、瀬奈、小夜が驚愕し、為朝が感嘆の声を上げる。

 不破諌という男の行動一つが、この場の流れを大きく変えた。

 

「ひらめキーング!」

 

 具体的には、充瑠の創作意欲に火を付けた。

 普段から持ち歩いているスケッチブックに物凄い勢いで色鉛筆を走らせる充瑠。瞬く間にそれは描き上がった。

 

「出来たぁ! 或人さんと世界を渡ったキラメイストーンよ、この姿になってくれ!」

 

 高く掲げたスケッチブックから光が溢れ、黄色いキラメイストーンが姿を変える。

 

「で、でっかいバール……!?」

 

 巨大なバールへと姿を変えたキラメイストーンはビュンビュンと回転しながら空中に刺さった。

 

「異世界に戻る術が分からないのなら、新しく作れば良い! バールで或人さんの世界への穴を、こじ開けるッ!」

 

 バールが動き、宙に穴が開く。

 その穴から覗いた先には飛電製作所とイズが見えた。

 

「なるほど! バールで元の世界も、バー()ルっとお見通しってわけか!

 はい! 或人じゃ~ないとぉ!」

 

 

「──ッ! ~~ッ!」

 

「怒るなよ諌……そりゃこんな場面でギャグをぶちこむのはどうかと思うけどさ……」

 

「おぉ、怒ってッ、ないッ!」

 

「うぉい! いやウケてんのかい!」

 

 

「貴様ら、何をやっている!」

 

 ガルザの怒声が響き、7人の表情が引き締まる。

 

「元の世界への穴が空いたってことは……もしかしたら」

 

《ゼロワンドライバー!》

 

 或人がゼロワンドライバーを腰に装着する。

 コンマ1秒にも満たないほんの僅かな時間で、或人はその答えを得た。

 

「ラーニング完了。不破さん、充瑠くん!」

 

「おうッ!」

 

「はい! 皆、行こうッ!」

 

「「「「応ッ!」」」」

 

 

 充瑠達5人がキラメイチェンジャーを構え、或人と諌がプログライズキーのスイッチを押す。

 

《ジャンプ!》

 

《バレット!》

 

『キラメイ・ゴー!』

 

「ふんっ!」

 

 或人がプログライズキーをキーモードに変形させ、諌が片手でバキッとプログライズキーのロックを外し、ショットライザーへ装填する。

 

《オーソライズ!》

 

 衛星ゼアから光が地上に落ち、その光は空中に空いた穴を通って異世界へ。

 巨大なバッタのライダモデルが或人達の元に現れ、7人の周りを跳ね回る。

 

 

『  キ  ラ  メ  ー  イ  』

 

 

「「変身ッ!」」

 

『キラメイチェンジッ!』

 

 充瑠達5人がキラメイチェンジャーを回し。

 

《プログライズ!》

 

《ショットライズ!》

 

 或人がプログライズキーをドライバーに装填し、諌が引き金を引く。

 

《飛び上がライズ! ライジングホッパー!》

《A jump to the sky turns to a rider kick.》

 

《シューティングウルフ!》

《The elevation increases as the bullet is fired.》

 

『キラメこうぜ!』

 

 

 綺羅(キラ)と輝く宝石が弾け飛び、5人の輝く戦士がその姿を現す。

 

 熱田充瑠が変身した赤き「創の戦士」。

 

「閃きスパークリング! キラメイレッド!」

 

 射水為朝が変身した黄の「射の戦士」。

 

「導きシューティング! キラメイイエロー!」

 

 速見瀬奈が変身した緑の「速の戦士」。

 

「突撃ライトニング! キラメイグリーン!」

 

 押切時雨が変身した青の「斬の戦士」。

 

「切っ先アンストッパブル! キラメイブルー!」

 

 大治小夜が変身した桃色の「治の戦士」。

 

「手さばきインクレディブル! キラメイピンク!」

 

『キラッと参上! カラッと解決!』

 

 彼らの名は。

 

「魔進戦隊!」

 

『キラメイジャー!』

 

「仮面ライダーゼロワン!」

 

「仮面ライダーバルカン」

 

 キラメイジャーに続いてゼロワンに変身した或人と、バルカンに変身した諌も名乗る。

 

 

「お前らを止められるのは……俺達だ!」

 

 

「よくぞ吠えた! ならば我らヨドン軍を止めてみろ!」

 

 ガルザが手を上げるとあちこちから茶色ヘドロのような怪人戦闘員、ベチャットがわらわらと現れる。

 

 レッドとゼロワンがそれぞれの剣を構える。

 

『キラメイソード!』

 

《ブレードライズ!》

 

「「みんな、行くぞ!」」

 

 二人の声を合図に、仮面ライダーとキラメイジャーがベチャットの群れに駆け出した!

 

 

 

 ベチャットの熊手型武器、ヌマデとブルーのキラメイソードが火花を散らす。

 

「ふっ、はっ!」

 

 剣の閃きがブルーの周りにいたベチャットを斬り裂き、爆発させる。

 

「おおっ! カッコいい~!」

 

 高い跳躍力で得た落下エネルギーをブルーの背後から迫っていたベチャットに叩き付け、倒しながらブルーの剣技を褒める。

 

「ゼロワン、お前も剣を使うのか。なら、お前の剣技、見せてもらうぞ」

 

「じゃあ青には青で!」

 

《ファング!》

《オーソライズ!》

 

 バイティングシャークプログライズキーを起動。慣れた手つきで認証、展開、装填を行う。

 

《プログライズ!》

《キリキリバイ! キリキリバイ! バイティングシャーク!》

《Fangs that can chomp through concrete.》

 

 衛星ゼアから穴を通して現れたサメ型のライダモデルが数体のベチャットを噛み砕いて爆発させ、ライジングホッパーのアーマーがスライドしたゼロワンのアーマーへと変わる。

 

 青いゼロワン。バイティングシャークへとフォームチェンジする。

 

「コンクリートをも噛み砕く牙か。」

 

アタッシュカリバーに装填する。

 

《Progrise key comfirmed. Ready to utilize.》

《シャークズ アビリティ!》

 

 ブルーがキラメイソードの刀身にあるスイッチを二度、連続で押す。

 

『キラメイチャージ!』

 

 二人並び立ち、ゼロワンが腰を低くし、アタッシュカリバーを身体の右側面に構え、ブルーが右手に持ったキラメイソードを身体の左側面に構える。

 二人の間に青く煌めく刃が二本並び、それに危機感を覚えたのかベチャット達がヌマデからヘドロの弾丸を放つも、それらは当たらず二人の側で爆発を起こす。

 

《バイティング カバン ストラッシュ!》

 

『チェックメイジ!』

 

 二人がそれぞれ逆向きに体を半回転させ、180度、二人合わせて360度全方位のベチャットを真っ二つに斬り裂き、周囲に大爆発が起こった。

 

「お見事」

 

《ライジングホッパー!》

 

「こっちは任せます!」

 

「ああ、任せろ!」

 

 ライジングホッパーの高い跳躍力でその場から跳び立つゼロワン。その先では、あまりにもの多勢に苦戦するピンクがいた。

 

「くっ、分断された上で、こうも数が多いと……!」

 

「大治さん!」

 

《フリージング カバンストラッシュ!》

 

 上空から放たれた冷気を纏ったエネルギー刃が数体のベチャットを一気に斬り裂いた。

 

「或人くん!」

 

「手助けに来ました!」

 

 ピンクと背を合わせて立つゼロワン。

 

「そういえば、さっき遠目に青い姿になってるのを見ましたが……ピンクの姿って」

 

「ああ、ありますよ!」

 

《ウィング!》

 

 フライングファルコンのプログライズキーを起動、ドライバーに認証させると穴からハヤブサのライダモデルが現れ、周囲のベチャットをなぎ倒していく。

 

「おおっ!」

 

「行くぜ、鳥ちゃん!」

 

《プログライズ!》

《Fly to the sky! フライングファルコン!》

《Spread your wings and prepare for a force.》

 

 ピンクの姿、フライングファルコンへとフォームチェンジしたゼロワンはふわりと浮かぶ。

 

「俺の脚に掴まってください! 飛びますよ!」

 

「ええ!」

 

 空を飛ぶゼロワンの脚を掴み宙を舞うピンク。

 持ち前の天才的な感覚ですぐに左手一つで安定して掴まるコツを捉えるや、空いた右手でキラメイショットによる銃弾の雨を地上のベチャットめがけて放つ。

 

「一気に行くわよ! 或人くん!」

 

「はい!」

 

 ピンクがキラメイショットにキラメイバレットを装填。

 

『キラメイチャージ!』

 

 ゼロワンがドライバーのフライングファルコンのキーを押し込み、必殺技を発動させる。

 

「「はああああああっ!」」

 

《フライング インパクト!》

 

 上空で高速回転。ピンク色の光の羽根を豪雨のように降らせ、着弾したベチャットが次々と爆散していく。

 さらに追い討ちとばかりにピンクのキラメイバレットが降り注ぐ。

 

『チェックメイジ!』

 

 多勢に無勢であったキラメイピンクはゼロワンとの共闘によってその絶体絶命の危機を撃ち破った。

 

 

 

《パワー パンチング ブラスト フィーバー!》

 

 文字通り束になってかかってきたベチャットを怪力で一気に殴り飛ばすバルカン パンチングコング。

 その隣にすれ違い様にベチャットを斬り倒したグリーンがバルカンの横に並び立つ。

 

「スッゴいパワー! ゴリラみたい!」

 

「はぁっ!?」

 

「うわっ! もうっ、褒めたのに~!」

 

「……ッ、そうか。だが、俺がパワーだけだと思わないで欲しいな……!」

 

《ランペイジ バレット!》

 

「ふんっ……ぬぅあっ!」

 

 バキィッ!

 

 マガジンが付いたプログライズキーをこじ開けるバルカンを見ながら「いや、パワーじゃん、力強くじゃん」と思うグリーン。

 

《オールライズ!》

 

 そんな彼女をよそに、こじ開けたランペイジガトリングプログライズキーをショットライザーに装填、引き金を引く。

 

《フルショットライズ!》

 

 銃口から放たれた銃丸が分身し、弾け、マンモス、チーター、蜂、虎、白熊、サメ、ゴリラ、ハヤブサ、狼のライダモデルへと変わり、周りのベチャットを踏み倒し、噛み倒し、吹き飛ばす。

 

《Gathering Round!》

 

 そして増えた銃弾がバルカンに当たってアーマーを形成。続けて暴れまわっていたライダモデル達がバルカンに飛びかかるや、バルカンの仮面と一体化。

 

《ランペイジガトリング!》

《Mammoth Cheetah Hornet Tiger Polarbear Scopion Shark Kong Falcon Wolf》

 

 仮面ライダーバルカン ランペイジガトリングへと変身する。

 

「すっごーい! てんこ盛りだ!」

 

「こいつの力はこれからだ」

 

 マガジンを叩くように回す。

 

《パワー! ランペイジ!》

 

 ショットライザーの中で赤い光が灯り、トリガーを引くとマンモス、コング、シャークの紋様が現れ、バルカンの手足に宿る。

 

《ランペイジ パワー ブラスト!》

 

「おおおおっ!」

 

 マンモスの力が宿った左足でその場を大きく踏みつけ、大地を大きく揺らす。

 たった一踏みで周りにいたベチャットと隣にいたグリーンがバランスを崩す。

 

「ふぅんっ!」

 

「わっ!」

 

 ゴリラの力が宿った右の拳を振り上げると凄まじい風圧が起こり、足元が覚束ないベチャット達と一緒にグリーンも空に巻き上げられる。

 

「──ッ!」

 

『キラメイチャージ!』

 

 空中でグリーンがキラメイソードを逆手に持ち直し、近くのベチャットを足場に宙を駆ける。

 

「はぁっ!」

 

 緑の煌めく閃光が走り、一瞬にして空中のベチャット達が斬り刻まれ。

 

「おぉぉぉぉ……はああっ!」

 

 だめ押しとばかりに力強く大地を蹴って跳躍したバルカンが、サメの力が宿った両足で挟み込むような蹴りをベチャットめがけて放つと水飛沫を上げながら巨大なサメのライダモデルが舞い上がったベチャット達を噛み砕き、爆散させた。

 

『チェックメイジ!』

 

「やるぅ♪」

 

「ふんっ、当然だ」

 

 ポンとバルカン肩を叩くグリーン。

 その足下に飛んできたキラメイバレットが地面に当たって跳ね返り、バルカンの股下をくぐってその後ろにいたベチャットを吹き飛ばした。

 

「うおっ!?」

 

「油断大敵だぞ、諌」

 

 クルクルとキラメイショットを回しながらイエローが言う。

 

「まだまだ敵は沢山いるんだ。気を抜くんじゃねぇよ」

 

「上等だ」

 

 叩くようにマガジンを回転させる。

 

《パワー! ランペイジ!》

《スピード! ランペイジ!》

 

 ショットライザーが青く発光し、トリガーを引く。

 

《ランペイジ スピード ブラスト!》

 

「はっ!」

 

 蜂の力が宿った右手でショットライザーを水平に振るいながら引き金を引くとスズメバチの針のようなエネルギー弾が発射され、ベチャットを刺し倒す。

 さらにチーターの力が宿った両足で速さ自慢のグリーンにも負けない速さで駆け出す。

 

「はっや! ……っと、俺もひらめキーング。なんてな」

 

『キラメイチャージ!』

 

 イエローがエネルギーをチャージしたキラメイバレットをバルカンがこれから通るであろう位置に放つ。

 キラメイバレットはコイン型の銃弾であり、地面や壁に当たれば跳ね返る性質を持つ。

 つまり。

 

「ふんっ! はっ!」

 

 高速で移動するバルカンが弾く事も可能なのだ。

 

 バルカンがキラメイバレットを拳や蹴りで弾き、その先にいるベチャット達を貫き、さらにキラメイバレットの先に移動して弾く。

 円を描くように高速移動するバルカンによって円の中にいるベチャット達は1発のキラメイバレットによって殲滅されていく。

 

「はぁっ!」

 

『チェックメイジ!』

 

 ハヤブサの力が宿った背中から片翼の翼を広げたバルカンが宙を舞い、キラメイバレットを蹴る。

 その先にいるのは離れた所で「やれやれ!」と野次を飛ばしている錠邪面。

 

「あだぁっ!?」

 

 しかしそれは錠邪面が持っていた鍵邪面の形見の剣が射線上に入ってそれを砕いたことで威力が減衰。見事額に命中したものの滅茶苦茶痛い程度のダメージを与えるに留まった。

 

 

 

《フレイミングタイガー!》

 

『キラメイソード!』

 

 仮面ライダーゼロワン フレイミングタイガーへとフォームチェンジしたゼロワンとレッドがガルザに挑む。

 あらかたのベチャットは倒しきり、残るは錠邪面とガルザだ。邪面師はバルカンとイエロー、グリーン、ブルー、ピンクに任せている。

 

《フレイミング インパクト!》

 

「やぁーッ!」

 

『キラメイチャージ!』

 

 ゼロワンが両手から炎が放ち、レッドが煌めく刀身でそれを絡めとって炎の斬撃としてガルザを斬りつける。

 

『チェックメイジ!』

 

「ぬぅんっ!」

 

 しかしガルザも負けてはいない。闇のエナジーを纏った剣でレッドの攻撃を押し返す。

 

《ブレードライズ! フルチャージ!》

 

「でぇやぁッ!」

 

《ブレイキング カバン ダイナミック!》

 

 弾き飛ばされたレッドの下から抉りこむように突き出したアタッシュカリバーからマンモスの牙のようなエネルギー刃が伸びる。

 レッドとの合体攻撃からの隙を生じぬ二段構えの連続攻撃。ガルザはレッドの攻撃を弾いたばかりで隙だらけだ。

 

「うぉおおおおっ!」

 

 ガルザの全身から放たれた闇エナジーの波動によって牙が削られ、攻撃は届かない。

 

「今のを防ぐのか!?」

 

「くっ、やっぱり強い!」

 

「どうした、そんなものか? キラメイレッド、仮面ライダー!」

 

 ヨドン軍の鬼将軍ガルザ。かつて己の兄を殺し、自身の生まれ故郷であるクリスタリアという国を滅ぼした残酷で残忍な男の強さは並大抵ではないのだ。

 

「ならば次はこちらから行くぞッ!」

 

 己の身から放たれる炎のように揺らめく闇エナジーを操って剣に収束。奇しくもキラメイレッドとゼロワンの合体攻撃に似た炎の斬撃を、横凪ぎに振るって飛ばす。

 

「ッ、マズイ!」

 

 飛翔する闇の極大な斬撃は、避けようにもその場所を与えない。

 

《エブリバディ ジャンプ!》

 

 結果、ガルザの攻撃によって二人の姿は大爆発に飲まれる。

 

「ふん……異世界の戦士、仮面ライダーも所詮は──何ッ!?」

 

《Let's rize! Le Le Let's rize! Let's rize! Le Le Let's rize!》

 

 煙を斬り裂き、現れたのは無傷のレッドとゼロワン。そして二人を守るように飛翔する鋼の飛蝗(バッタ)達。その姿になってるのをガルザは驚愕する。

 

《メタルライズ!》

 

 鋼の飛蝗の大群が集まって巨大な飛蝗を形成した後、ゼロワンの身体に群がり装甲へと変わっていく。

 

《Secret material  飛電メタル(HIDEN-metal)

 メタルクラスタホッパー!》

《It's High Quality.》

 

 鈍く銀に煌めくボディに蛍光イエローのラインが走ったその姿は、今のゼロワンが持ちうる最強の姿。仮面ライダーゼロワン メタルクラスタホッパーだ。

 

《プログライズホッパーブレード!》

 

 ゼロワンがメタルクラスタへの変身と同時に生成された剣、プログライズホッパーブレードを右手に、アタッシュカリバーを左手に構える。

 

「おお、カッコいい!」

 

「へへっ、行くぞ! 充瑠!」

 

「はい! 或人さん!」

 

『キラメイショット!』

 

 レッドが右手にキラメイソードを、左手にキラメイショットを構え、ゼロワンと二人並んで駆け出した。

 

《フィニッシュ ライズ!》

 

 プログライズホッパーブレードの持ち手にあるトリガーを連続で引き、袈裟に宙を斬るとその切っ先が描いた軌跡に鋼の刃が生成される。

 

「てぇやっ!」

 

 その刃をアタッシュカリバーで斬り砕くとその破片が弾丸の如く飛ぶ弾丸となってガルザを襲う。

 

《プロクライジング ストラッシュ!》

 

「ほっ! たぁっ!」

 

 キラキラと輝きを纏いながらレッドが駆け、ゼロワンが飛ばした鋼の刃を足場にしてキラメイショットによる銃撃でガルザを攻撃する。

 

「何のこれしき!」

 

 ガルザが剣を縦横無尽に振るい、ゼロワンの鋼の刃も、レッドの銃撃もすべて斬り落とす。

 

 その隙に接近したゼロワンがアタッシュカリバーをガルザの腹に突き立てる。

 

「何ッ!?」

 

 プログライズホッパーブレードを真上に放り上げ、空いた手でキラキラと輝くプログライズキーを取り出し、起動させる。

 

《シャイニングジャンプ!》

 

 シャイニングホッパープログライズキーをアタッシュカリバーに装填。

 

《Progrise key comfirmed. Ready to utilize.》

《シャイニングホッパーズ アビリティ!》

 

「食らえぇッ!」

 

《シャイニング カバン ストラッシュ!》

 

「ぐっ、ぬぅあぁっ!」

 

 アタッシュカリバーの刀身から煌めく刃が伸び、ガルザを吹き飛ばす。

 

「今だ!」

 

『キラメイチャージ!』

《フィニッシュライズ!》

 

「はい!」

 

 上空でプログライズホッパーブレードを受け取っていたレッドがキラメイソードとの二刀によるX字の斬撃を落下と同時にガルザに放つ。

 

《プロクライジングストラッシュ!》

『チェックメイジ!』

 

「ぐぅおぉあっ!?」

 

 ゼロワンとレッドによるコンビネーション攻撃によってここに来てガルザに明確なダメージが与えられた。

 

「うっし、作戦成功!」

 

「或人さん、これ」

 

「おう、サンキュー」

 

 レッドからプログライズホッパーブレードを受け取った瞬間、背後で爆発が起こる。

 

「ぐああああっ!!」

 

 その爆発と共に錠邪面がガルザの前に飛んで転がった。

 

「ガ、ガルザ殿ぉ……コイツら、強いです……!」

 

「錠邪面……!」

 

 錠邪面を追うようにバルカンとイエロー、グリーン、ブルー、ピンクが現れ、ゼロワンとレッドの横に並ぶ。

 

「不破さん……!」

 

「みんな……!」

 

「「よーし、一気に決めるぞ!」」

 

 ゼロワンとレッドの声が重なり、バルカンとキラメイジャーの四人が頷いて応える。

 

『キラメイチャージ!』

 

 ブルーとグリーンがキラメイソードの刀身にあるスイッチを二回押し、煌めくエネルギーをチャージ。

 

『キラメイチャージ!』

 

 イエローとピンクがキラメイショットにキラメイバレットを装填、レバーを引いて煌めくエネルギーをチャージ。

 

《スピード! パワー ! エレメント!》

《オール! ランペイジ!》

 

 バルカンがマガジンを叩くように四回、回転させるとショットライザーに赤や青といった様々な色が宿り、背中のファルコンの翼がアンカーとして地面に突き刺さる。

 

《ドッキングライズ!》

 

『キラメイバスター!』

 

 ゼロワンがプログライズホッパーブレードとアタッシュカリバーを合体させ、両刃の剣に。

 レッドがキラメイソードとキラメイショットを合体させてキラメイバスターへと変える。

 

《アルティメット ライズ!》

 

『キラッキラメイチャージ!』

 

 ゼロワンが刀身をドライバーにかざし、レッドがレバーを引いて煌めくエネルギーをチャージする。

 

「「「「「キラメイラッシュストリームスペシャル!」」」」」

 

《ランペイジ オール ブラスト!》

 

《アルティメット ストラッシュ!》

 

 キラメイジャーの五人の声が重なり、ブルーとグリーンの飛翔する煌めく刃、ゼロワンの鈍く白銀に煌めく刃が「*」の字になって高速回転し、イエローとピンクの煌めく弾丸とレッドのビームにも似た軌跡を描く弾丸、そしてバルカンのショットライザーから七色に煌めく狼が合体してガルザと錠邪面に迫る!

 

「ッ! これはマズイ!」

 

「ガルザ殿何を!?」

 

 七人の合体攻撃を前にガルザがとった行動は転がっている錠邪面を掴み上げることだった。

 

「盾になれッ! 錠邪面ッ!」

 

「ガルザどのおおおおおお!?」

 

『チェックメイジ!』

 

 合体攻撃は錠邪面を飲み込み、大爆発が起こった。

 

「見事だ、キラメイジャー。そして仮面ライダー」

 

 爆発の後からダメージを受けつつも健在のガルザが現れ、キラメイジャーと仮面ライダーに動揺が走る。

 

「ここは退かせてもらおう。さらばだ!」

 

 ガルザの駆る汽車型の魔進、魔進ジョーキーが怪獣の咆哮にも列車の汽笛にも似た声を上げながら現れ、彼を乗せるやワームホールの中へと消えていった。

 



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キラメイてゼロワン《後編》

 

 ガルザが消えてすぐ、大地が揺れて、どこからともなく2つの頭に鍵と錠を模した仮面を被った怪獣が街中に現れた。

 

「何だあれ!?」

 

「でかい怪獣……!?」

 

 見慣れない巨大怪獣に驚くゼロワンとバルカン。

 

「あれは、ヨドン軍が送り込んでくる怪獣、邪面獣です!」

 

 邪面獣を初めて見る二人にレッドが軽く説明し、キラメイチェンジャーを操作、タイヤを回す。

 

「魔進のみんな! 出動だ!」

 

『『『『『魔進(マッシーン)!』』』』』

 

 ココナッツタワーより五つの宝石が射出される。

 

『魔進ファイヤ!』

 

 赤い宝石が消防車に。

 

『魔進ショベロー!』

 

 黄色い宝石がショベルカーに。

 

『魔進マッハ!』

 

 緑の宝石がスポーツカーに。

 

『魔進ジェッタ!』

 

 青い宝石がジェット機に。

 

『魔進ヘリコ!』

 

 ピンクの宝石がヘリコプターにとそれぞれが変形。

 キラメイジャーの面々が乗り込む。

 

「うおおお! 中はこうなってるのか!」

 

「或人さん!?」

 

 

「よぉ」

 

「って、諌!?」

 

 ファイヤのコックピットにゼロワンが、ショベローのコックピットにバルカンが一緒に乗り込んでいた。

 

『うおおお! 充瑠達や魔進以外と協力するのは初めてだ! テンションMAX! めっちゃメラメラだぜ!』

 

「よし、魔進合体だ!」

 

魔進(マッシーン)合体(ガッターイ)!』

 

 ファイヤをベースに、ショベロー、マッハ、ヘリコ、ジェッタが合体し、煌輝(きらめき)の巨神へと成る。

 

「「「「「完成! キラメイジン!」」」」」

 

『キラメイジン!』

 

 2つ頭の邪面獣、キーロックダガメスの錠側の邪面から錠付きの鎖が飛び、キラメイジンをぐるぐるに縛り上げる。

 

『ぬぅ、これでは動けんぞい!』

 

『この固さじゃ斬るにも時間がかかっちゃうよ~!』

 

 両腕のショベローとジェッタがどうにか切り抜けようとするが硬い鎖は斬ることが出来ず、引きちぎるにはパワーが足りない。

 完全に動きを封じられたキラメイジンをキーロックダガメスの爪による攻撃が襲う。

 

 斬りつけられるたびに火花が散り、コックピットが揺れる。

 

「どうすれば……!」

 

「そうだ。俺も、ひらめキーング!」

 

「或人さん!?」

 

 ゼロワンがレッドのキラメイチェンジャーに顔を近づけて。

 

「へへっ、不破さん! ランペイジの力をキラメイジンに!」

 

 通信でイエローのキラメイチェンジャーを通してバルカンに指示を出す。

 

「ランペイジの力を……? なるほど、そういう事か!」

 

《パワー! ランペイジ!》

《ランペイジ パワー ブラスト!》

 

 キラメイジンの背後にマンモス、ゴリラ、サメの紋様が現れ、両腕に宿る。

 

『おお! 力が溢れてくるぞい!』

 

『このパワーなら……!』

 

 マンモスとゴリラの力が宿った左腕のショベローが鎖を引きちぎり、サメの力が宿った右手のジェッタが鎖を切断する。

 

「キラメイジャーと仮面ライダーの力が合わさって、キラメイジンに新たな力が!」

 

「これは、エモい……!」

 

 グリーンとピンクが興奮したような声を上げる。

 

《スピード! ランペイジ!》

 

「まだまだ行くぞ!」

 

《ランペイジ スピード ブラスト!》

 

 ハチ、チーター、ハヤブサの紋様が現れ、両足と右肩、胸に宿る。

 

『いっくぜぇ!』

 

 チーターの力が宿った両足のファイヤが高速で駆け、ハチの力が宿った右肩のマッハでショルダータックルをかまし、追撃にハヤブサの力が宿った胸のヘリコがプロペラを回してハヤブサの翼のようなエネルギー刃でキーロックダガメスを斬りつけた。

 

「オォォォン!」

 

 悲鳴のような声を上げながら後ずさるキーロックダガメス。

 

「よし、俺も!」

 

《ハイパージャンプ!》

 

 ゼロワンが取り出したのはシャイニングホッパープログライズキーのアサルトグリップが付いたシャイニングアサルトホッパープログライズキー。それを起動させ、ドライバーにかざす。

 

《オーバーライズ!》

 

「キラッキラのシャイニングに!」

《プログライズ!》

《Warning,warning. This is not a test!

 ハイブリッドライズ! シャイニングアサルトホッパー!》

《No chance of surviving this shot.》

 

 メタルクラスタから仮面ライダーゼロワン シャイニングアサルトホッパーへとフォームチェンジするゼロワン。

 

「シャインシステム、起動!」

 

 その赤い複眼が強く発光し、キラメイジンの後ろに巨大な6つの青く輝く宝石のようなエネルギー波動弾、シャインクリスタが現れた。

 

「あれっ、いつものより大きい!?」

 

 と、驚いているゼロワンをよそにキーロックダガメスが鍵状のエネルギー弾を生成し、射出する。

 

「行っけぇ!」

 

 ゼロワンの号令でシャインクリスタがキラメイジンの前方で密集して盾となって防ぐ。

 続けてキーロックダガメスは錠が付いた鎖を飛ばすが、シャインクリスタの先端から放たれたビームに弾かれ、逆にキーロックダガメスを拘束する。

 

「今だ!」

 

 レッドの声を合図に、全員が必殺技の構えをとる。

 

《アサルトチャージ!》

 

《オール! ランペイジ!》

 

 シャインクリスタがキラメイジンの周りを回転、浮く力を生み出して空へと舞い上がる。

 

《シャイニング ストーム インパクト!》

 

《ランペイジ オール ブラスト!》

 

 キラメイジンの後ろにすべての巨大なライダモデルが現れ、(ジェッタ)に様々な色の光が灯る。

 

「「「「「シャイニング キラメイ ダイナミックッ!」」」」」

 

 巨大なライダモデル達がキーロックダガメスを次々と斬り裂き、噛みつき、踏み潰し、シャインクリスタから放たれた光線が焼き、最後に煌めく巨大な斬撃がキーロックダガメスを斬り裂き、大爆発。

 

 強敵、キーロックダガメスはキラメイジャーと仮面ライダーの協力によって倒された!

 

 

◆◇◆◇

 

 

 戦いが終わり、元の世界へ繋がる穴の下で充瑠達キラメイジャーの五人と或人、諌が向かい合う。

 

「ありがとうございます、或人さん」

 

「こちらこそ」

 

 握手する或人と充瑠。

 

「本当はそっちに行ってみたいんですけど……」

 

 充瑠が後ろに視線をやれば彼の仲間達がいる。

 

「暫く行けそうに無いです」

 

 ガルザは健在で、ヨドンとの決着はまだついていない。

 

「でも、新しい夢を諦めるつもりはありませんから」

 

 充瑠が笑い、或人も笑顔を浮かべる。

 

「俺も、俺の夢を絶対に叶える。人間とヒューマギアが一緒に笑える未来を作るって夢を」

 

《ジャンプ!》

 

「だから──」

 

《ライジングホッパー!》

 

 諌がゼロワンの肩を掴む。

 

「充瑠も、キラメイジャーの皆も、夢に向かって……飛ぼう!」

 

 ライジングホッパーの跳躍力で一気に穴の向こう側、仮面ライダーゼロワンの世界へと跳んだ。

 

「ありがとー! 仮面ライダー!」

 

「また会おうー! キラメイジャー!」

 

 パリン、と異世界への穴をこじ開けていたバールが砕け、キラキラと散って消えた。

 

 

◇◆◇◆

 

 

 飛電製作所、玄関前。

 

「うわっ!」

 

 ドサッと或人と諌がアスファルトの上に落ちる。

 

「おかえりなさいませ、或人社長」

 

「ただいま、イズ」



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あとがき、簡単な設定とか小ネタとか。

  去年もやった春休み合体スペシャルと春映画のノリを組み合わせた戦隊ライダーのクロスオーバー。ノリと勢いで突っ走りました! 瞬瞬必生! キラメイてゼロワン、お付き合い頂きありがとうございます。

 

 

 以下、小ネタとか設定解説。

 

 

・ゼロワン世界に現れたキラメイストーン

 何なんでしょうねアレ。作者も知らん……。

 

・鍵邪面

 あらゆるロックを解錠する能力を持つ邪面師。オカマ口調で話してあらゆる人の性癖とか色々な扉を開く。

 仮面ライダーバルカンによって撃破される。

 

・錠邪面

 あらゆるものにロックをかける能力を持つ邪面師。キラメイレッドの無力化に成功して実はキラメイジャーをピンチに追い込んでたけどゴリライズされた。

 防御力に優れるためサンドバッグになってた上に上司に盾にされてやられた可愛そうな人。

 盾にされた時はきっとヨドンのクランチュラが「ガルザこわっ!」って言ってる。

 

・邪面師(仮面ライダー)

 邪面じゃなくて仮面を被ってる。から事情を知らないキラメイジャーの面々(特に為朝)と戦隊になった。

 

・止めてください!

 一時期毎週のように或人が言ってた台詞。必殺技の撃ち合いの間に入るのはどうなの?って感じですがまぁ、或人だし……ってことで。

 

・名刺交換

 どっちにもメインキャストに社長いるんですよね。っていう小ネタ。

 

・衛星ゼア

 ゼア無かったらゼロワン変身出来ないよねって話。

 

・或人と充瑠

 高校生と社長。充瑠くんの純粋さがちょっと眩しい或人社長。

「新しい夢」という言葉で或人に火が付いた。

 

・不破さんと為朝

 この二人、初対面だと絶対に激突するし後々なんか仲良くなるタイプだよね。

 

・ガルザ

 本人は真面目にやってるけどなんか面白いことになる、なのに一切の株が落ちない幹部。

 戦場を滅茶苦茶にかき回すだけかき回して退いた。

 

・ゴリライズ

 

 い つ も の

 

 キラメイジャー世界の人間だと絶対に開けられない錠をこじ開ける。

 

・バール

 世界に穴をこじ開ける名状しがたいバールのようなもの。

 

・或人ギャグ

 特に上手くも無いギャグ。しかし不破には効果抜群だ! ツッコミ担当為くん。

 

・ブルー&シャーク。ピンク&ファルコン。レッド&タイガー

 同じ色のキラメイジャーとゼロワンの組み合わせ。やりたかったやつ。

 

・キラメイラッシュストリームスペシャル

 キラメイジャーと仮面ライダーの合体技。強い。

 

・キラメイジン+ライダーの力

 やりたかったやつ2。

 ランペイジとシャイニングアサルトの力を加えてキラメイジンが超パワーアップ!

 

 



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