東方何でも屋 (ミスター髑髏)
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何でも屋が本当に何でもすると思ったら大間違い

初投稿です。
こんな作品にも感想等をくれると咽び泣きながらゲッダン踊ります。
それでは、どうぞ。


 

 

 

ヘドロに片足突っ込めば

いやぁ 中々抜け出せない

そして其れは 我々にも言える事だ

 

 

          *

 

 

「────────フゥ~。やっぱり、倉庫暮らしもさみしいな⋅⋅⋅⋅」

 

月明かりのみが照らす人っ子一人いない港に佇む男。目も気だるけだ。

 

彼の服装はいたってシンプル。

まず、黒のセンター・クリースを被り、白のシャツを着て真っ黒のネクタイを締め、それらの上に羽織るのは真っ黒のロングコート。履いているベイカーパンツは白。シャツはズボンに入れていない。そして、マフィアが履くようないかにもな靴。

 

タバコの煙が辺りに漂う。

 

主人公、“神嵜何屋(カンザキカヤ)”は何でも屋、万の御用達を二人で経営する男。ちなみにまだ十八歳である。何でも屋で黒や白の依頼を受け続け、覚悟ガンギマリになってしまった彼。

そんな彼は、この世に辟易していた。

 

「つまらないなぁ。どこかに旅に出ようか⋅⋅⋅⋅」

 

タバコを指でくりくりしていると、彼の後ろからギュゥゥン、となにかが開くような音がした。

 

「あら。それでしたらいいトコロがありますわよ。ご紹介致しましょうか?」

 

カヤは、ん?と言いながら懐からアーカードの使う銃のジャッカルのような銃(色は銀でリボルバーがついている)を振り向くついでに声の出元へ、まるで息をするように構える。

そこにいたのは、腰から下に行くにつれフリフリがついていて、袖の部分にも同じように施されている道士服を着て、真ん中には紫の布が身体に添うようにして首から垂れている。布の下には陰陽玉が施されている。

扇子で口元を隠している金髪のロングヘアーの女は少しだけ銃を見るが、どうと言う事はないと言う風に目線をカヤへ向ける。

 

「おお。びびらないんだ。ハジキじゃあ駄目だね」

 

カヤが感心したように声を上げる。カヤは金髪の女に拳銃での脅しが効かないと分かると、潔く銃口を女から外し、懐へ戻す。

 

「あらあら。オハナシの通じる御方は好きですわよ」

「ははは。どうだかねぇ。ま、俺もアナタの言うオハナシは好きかもよ」

 

金髪の女がふふふと笑えば、カヤがカラカラと乾いた笑いを返す。両者話すことが無くなり、そして一定の静寂が場を包む。

 

「んでさ、御用は何かな?御用の内容によれば、料金はしっかりと取るよ?」

 

カヤが口を開いた。人差し指と親指をくっ付けて、ゼニのマークをつくりながら。

 

「あらやだ。あなたはこの世に辟易していたんではなくて?」

「⋅⋅⋅⋅ねぇ。君って良く事件の黒幕とか言われない?」

「まあ、似通ったことは言われるかしらね?」

 

売り言葉に買い言葉。話が一向に進展しない。

カヤはそれに痺れを切らし、タバコをコンクリの地面に落とし、靴で踏み、付いた火を消す。

 

「はは。それじゃあ言葉遊びはここまでにして。本題をどーぞ」

「ありがとうね。人間さん。それで、本題なんだけど⋅⋅⋅⋅⋅⋅貴方、楽園に興味無いかしら?」

 

波打つ音が、谺した。

 

「楽園⋅⋅⋅⋅か。ちょうど退屈な日々に飽き飽きしてたんだ」

「では、今すぐにでも⋅⋅⋅⋅「ちょっと待ってね」はい?」

 

ズボンのケツにあるポッケから名刺入れのようなシガレットケースから一本タバコを取りだし“NO SMOKING”と彫られたジッポライターでタバコに火を付ける。

タバコから出た煙が月明かりに照らされながら怪しく漂う。

タバコを吸うカヤの姿は、驚くほど様になっていた。

 

「ふぃぃ~。あ、ゴメンね。タバコが吸いたくなったとかじゃそんなんじゃなくて、ウチに頼れる相方がいるからさ、ソイツも連れて行きたいんだよ」

「それぐらいでしたら⋅⋅⋅」

「オッケイ。それじゃあ呼ぶね」

 

タバコを持っていない手を口元に持っていき、人差し指と親指を輪にして咥え、いわゆる指笛を吹く。

ピーッ!!と甲高い音が響く。

直後、バサバサと羽ばたくような音が夜空から聞こえた。

 

「ボス、あんたまた面倒事に首突っ込んでんじゃあ無いでしょうね?」

 

軽トラ二つ分程(縦に積んだ場合)の大きさの鴉がカヤの隣に降り立つ。

一本一本がしっかりと艶のある羽根。肉食の恐竜を彷彿とさせる三歩の脚。

まるで宝石を埋め込んだかのように輝く眼。例えるならば深い色のカイヤナイト。

微かに開いた嘴の奥から声が聞こえる。普通の鴉はしゃべらいし、何よりこんなにでかくない。紫が見上げてしまう程大きいのだから。

となると、この鴉は⋅⋅⋅⋅「妖怪かしら?」

 

巨大な鴉を見つめていると、自分でも気付かない内に言葉が漏れ出ていた。

紫は思わず下げていた扇子を口元へ戻した。

 

「おお、ご名答。にしても、良くわかったね?お姉さんも妖怪だったりするのかな?」

「! へぇ、勘が宜しいのね」

「あはは。ご謙遜を。さっきの登場といい、燼鴉(ジンア)に対する態度といい、アナタはどうも普通じゃあ無い。

それこそ、普通に、冷静になれば誰でも分かる事だ」

 

二人が先程と同じようになりかけると、それを見かねた妖怪鴉が艶々の嘴を開く。

 

「ボス、すぐに話を逸らそうとするのはあんたの悪い癖だ。

あぁ、スイマセンね、お姉さん。ボスはとんでもなくアホなんです。許して下さいね」

「へ、へぇ⋅⋅⋅そうなの」

 

意外としっかりした性格で驚いているし、お姉さんと一日で二回も言われたので内心上機嫌な八雲紫であった。

 

「それじゃあ二名様、ごあんな~い。⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅と行きたいのだけれど、二人とも、この世界に未練はない?」

 

紫の絹のような指でフィンガースナップを虚空にすれば、不可解な事にスキマが開く。

スキマの中は真っ暗で、どこまでも続いていそうで、目玉がギョロギョロと動いている。

その隣で、いつの間にか日傘を広げた紫が真剣な眼差しで二人に問う。

既に一歩踏み出していたカヤは呼び止められたと思い、紫を見る。

 

「未練?あ~⋅⋅⋅⋅⋅俺達の荷物はどうなるの?」

 

想定していた答となにもかもが違う答が返って来たので吉本新喜劇でよろしくやっていける軽いコケを披露した。

 

「えぇ⋅⋅⋅未練なんてさらさらないの?」

「うん。まあ、褒められたものじゃ無いけどね」

 

ははは、と自虐的に笑う。目は闇を隠し持っている。

そう、とカヤを一瞥をくれると、今度は鴉へと目線をやる。

 

「? あ、この姿では駄目ですか?」

「駄目って言うか⋅⋅⋅⋅姿変えれるの?」

「化け狸と同じ要領ですよ。ホラ」

 

と言うと、大鴉の身体から炎が溢れ、大きな妖怪鴉を包む。その炎は次第に小さくなっていき、革靴の音が炎の中から響く。その音は、此方へ近付いて来る─────。炎の中から出て来た男は、死んだ魚の目をしていて、全身を黒で包んでいた。

 

ま、ボスの身長よりは頭三つ分程高いんですけどね。

 

「えぇ⋅⋅⋅⋅(困惑)」

 

紫が文字通り困惑していると、紫の隣にいたカヤに燼鴉は言った。

 

「ボス、先に行ってて下さい。後から行きますんで」

「へぇ、燼鴉は俺に毒味役をしろって言うのかい?」

 

目を閉じた作り笑いを顔に張り付け、燼鴉に向き直る。何でも、これが日常茶飯事なのだから驚きである。

ちなみにこの時紫は自分のスキマが毒物みたいと言われたので顔には出ていないが心の中でムスっとしていた。

 

「ははは。毒味役じゃなくて勇気ある一歩ですよ。ボス」

「腹黒ね。燼鴉くん」

「最近ボスからサービス残業バリバリでMONSTERゴクゴクなんです」

 

これについてはカヤが悪い。そう思ってしまった紫。

あー、あれの事ね。と額に冷や汗を浮かべながら目を逸らすカヤ。

そして⋅⋅⋅⋅⋅。

 

「ですからボス、先に行ってて下さい」

「え?」

 

カヤが振り向くも時既に遅し。

燼鴉はカヤにヤンキー蹴りをキメていた。

 

「燼鴉アァァ!!!?」

「ふぅ。スッキリした」

 

Cの形でスキマへ飛ばされ呑まれたカヤ。ドヤ顔でコロンビアしている燼鴉。スキマと燼鴉を交互に見る紫。

な ん だ こ れ

 

「あ」

「ん?どうかしたのですか?」

 

明らかにやらかした感じの声を出した紫に対し、何がなんだかわからない燼鴉。言うまでもなく原因はお前だ。

 

「急に入ったから乱れちゃった⋅⋅⋅」

「ちょっとエッチいですね。その台詞」

「狙ったのよ」

「なるほど」

 

艶のある声でえっちい台詞を言う。音フェチならば絶頂ものである。一瞬にして筍が竹へとニョッキッキ。それはもうぐぐーんと成長するのだナ。

 

紫はムフー。と自信ありげに豊満なお胸を張る。

ふーん、エッチじゃん。

燼鴉はおおー。と言いながらピッチリと嵌まった革の手袋で拍手をしている。

そしてもはや二人からはカヤの存在は忘れ去られている。哀れなり。神嵜何屋。

 

「あ、ボスが言ってた我々の荷物なんですけど、貴女のチカラでその楽園とやらに運んどいてください。場所を教えてくれたら取りに行きますんで」

 

では。と言ってスキマへ入った燼鴉。

波止場にはまるで最初から何事もなかったかのような静けさがあった。

 

「うふふ。彼らが幻想入りする事で齋すモノ。ワタクシに見せてくださいね⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅」

 

紫は霧に溶けるようにスキマへ消えた。




いかがでしたでしょうか。
東方何でも屋。皆様のお気に入りになれば幸いでございやす。
誤字脱字等々ありましたら報告していただけるとありがたいです。
さーて、がんばるぞぉ。


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何でも屋は金がお好き

はいどーも。
ミスター髑髏です。
今回は結構ギャグ的なナニカがマシマシ
途中から自分でも何書いてるかわからなくなってきた
えっちいネタ
これらの要素があります。
それでもいいよって方は⋅⋅⋅ゆっくりしていってね!


「イテテテテ。くそう、燼鴉め。俺を蹴りやがって。ちくせう」

 

今のカヤの体制はと言うとケツを突き出しながら土下座擬きをしている。その状態でしゃべっているのだから、想像すると中々シュールである。

 

「よっこらせっと。うーむ。ここが⋅⋅⋅楽園?」

 

起き上がり、体に付いた草やら土やらをはたき落とし、辺りを見渡す。

あったのはどこまでも続いていそうな草原。その先には山があった。目線を横にずらすと館があった。紅の館が。

 

「想像してたのと違うねぇ。天女が沢山いてキャッキャウフフするものと思ってたんだけど⋅⋅⋅⋅」

 

以外とむっつりスケベなのだろうか?ちなみに作者はロリコンです←聞いてない

 

「おや、館があるぞぉ?⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅シュミ悪いな。目がチカチカする」

 

そんな事を言いながら館へと歩くカヤ。

門の辺りには誰もいない。

 

「でも、門番さんはいたみたいだ。門の端の草が凹んでるから⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅いないってことは留守だろうか。ま、インターホンぐらいあるよね」

 

門へ近付いて行く。そこでカヤは、衝撃の事実を知ることになる────!

 

「い、インターホンが⋅⋅⋅無い⋅⋅⋅⋅だと⋅⋅⋅⋅⋅!!?」

 

後ろに落雷のエフェクトが出そうなほど驚いている。そんなに驚くことかなぁ⋅⋅⋅⋅。

 

「嘘でしょ。無いんだ。どうせノックしても聞こえないだろうし、入ってみようか。突撃!となりの突撃!」

 

門を押し、中へ入る。この時カヤは悪戯をするような悪戯心を擽っていたが、そんな心は一瞬にして払拭される。

まず最初に目に飛び込んで来たのは大きな噴水。そして、周りにある花壇。大小様々な花が風に吹かれゆらゆら揺れている。

それは誰もが思う、理想の庭園であった。

 

「おお。⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅うんうん。荒んだ俺の心が浄化されてくねえ」

 

しっかりと、脳裏に納めるようにじっくり見ながら玄関へ向かう。

たどり着いたカヤは玄関扉へと手を掛ける。門と同様に、押して開ける。

 

「うーん、あの鮮やかな花園を見た後に深紅の内装か。目がチカチカするね。でも、構造は好きかな」

 

品定めをするようにじっくりと見る。

目に焼き付けるのに集中していたせいか、カヤは、自身へ近付く足音に気付けなかった。

 

───────────刹那。

 

「うおっ!!!?」

 

空を切る音が聞こえた。危険を察知し、後ろへ身を翻す。

カヤが先程までいた場所には、八本のナイフが突き刺さっていた。

ナイフが投げられた場所を探す。目まぐるしく変化する視界。ナイフの刺さり具合からして、階段の踊り場。しかし、誰もいない。

一瞬だけ、思考の海へ潜る。

 

───────────刹那。

 

「な⋅⋅⋅⋅⋅」

 

カヤは衝撃を受ける。思考の海へは潜れども、踊り場からは目をそらしてなどいない。なのに、手を伸ばせば届きそうな距離に、ナイフの群れがあった。

それに、誰もいなかった踊り場に、メイド服を着た銀髪の少女がそこにいた。

彼女を一言で例えるならば、瀟洒な従者。

 

「チィ⋅⋅⋅⋅!」

 

カヤは地面を蹴り、後ろに跳ぶ。そして大きく屈み、コートの首筋の部分へ手を入れる。

首筋から出て来たモノ。

それは─────────太刀であった。

銘も分からぬ、至高の太刀(カヤ談)。

 

獲物を無造作に振る。

 

一つ。二つ。三つ。ナイフの群れを尽く弾く。

 

「グッ⋅⋅⋅⋅オオォ⋅⋅⋅⋅⋅!」

 

全てが弾かれた。カヤは肩で息をする。太刀を床に突き刺し、支えの変りにする。

人の領域とは思えぬ動きでナイフを弾いたのだ。これぐらいは当然だろう。

 

「ふむ。生き永らえますか⋅⋅⋅。徒者では無いようですね」

「ッ!」

 

カツン⋅⋅⋅⋅カツン⋅⋅⋅⋅。と規則正しくリズムを刻み、メイド服の少女は階段を下りてくる。

 

「(今この太刀を床にガン!ってすれば階段がなくなったりしないかな⋅⋅⋅⋅?)」

 

おい。シリアスムード壊すなよ。ルールブレイカーか貴様。

 

「⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅あなた、今途轍もなくしょうもないこと考えてません?」

「ギクゥ!??さ、さぁて?なんことやら~⋅⋅⋅⋅。アハ。アハハハハハ⋅⋅⋅⋅⋅⋅!(ヘイJK!空気を読みすぎるのも時に人を傷付けるんだぜ!)」

「ま、いいですわ。お嬢様に連れてこいと命令されておりますので。こちらへ来てください」

 

カヤは二つ返事でこれを了承する訳にはいかなかった。

なにせ、イキナリ攻撃してきて、おぜうが呼んでるだぁ?こちらにウマ味は殆んど無いね。だから、呑む訳にはいかない。せめて、俺の安全が確保出来なければ⋅⋅⋅⋅な。

 

「それはできないよ。メイドさん」

「⋅⋅⋅! それは、何故?」

 

断られるとは思っていなかったのだろうか。浅いね。思考の幅が。もっと可能性を考えないと。

 

「俺の安全が確定的じゃあないからさ!!」

 

あえて声を荒らげる。この行為に特に意味は無い。ラオウ的なアレである。我が生涯に悔いなし的なアレである。

⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅多分違うけど。

 

「では、双方武器を納めましょう。それでよろしいですか?」

「ノン。よろしくない」

「何故です?」

「だって⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅君は武器を持っていないじゃあ無いか。僕が納めても、従者さんが納めていなければ、双方武器を納めた。とは言えないよ」

「ですが、私は武器なんて物騒なものは一つも⋅⋅⋅⋅」

 

はぐらかそうとするね。ま、無駄だが。煙に巻く事に関して、俺の右に出る人はいない。だから、かるーく追い詰めていく。

 

「じゃあなぜ、君は『双方武器を納めましょう。』何て事を言ったんだい?これは暗に、“私は武器を持っています。”と言ってるようなモノではないのかな?!」

「! 解りました。お嬢様の仰った通り、お喋りが好きなのですね」

「ふふん。何でも屋には必須のテクニックだからね!」

 

得意げにBLEACHの織姫ちゃんがやってた、おべんと食べるのポーズをしながら言ってみた。彼女の目が冷やかから絶対零度になった。

ハハハ。やはりおべんと食べるのポーズが似合うのは織姫ちゃんだけなのか⋅⋅⋅⋅⋅⋅!

さて。ズタボロになった俺のお豆腐メンタルは置いといて。

彼女の言うお嬢様、未来を見る事ができるのだろうか。だとすれば厄介だ。言葉遊びに俺が負けてしまうかも知れない。いやだ!俺の唯一の特徴が砕けて消えてしまうなんて!俺はいやだ!行くの止めようかな⋅⋅⋅⋅。

 

「お嬢様、お連れしました」

「入って」

「了解いたしました」

 

あり?お連れした?おかのしたって言ったんじゃ無いの?

⋅⋅⋅⋅⋅⋅うそん。さっきまで目の前に何も無かったのに扉がある。彼女、空間移動とか、そういう特異物(ペコリアーレ)を持ってるのかな?

 

扉が開く。俺は従者さんに促されて部屋へ入る。そこにいたのは───────!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チビッ子じゃないの。でも覇気がすごい(語彙力)。それに従者さんのあの真剣な眼差し⋅⋅⋅⋅信じない他無いね。

少しおちょくってみよう。グフフフ。どんな反応をするのだろうか。

 

「なによ。⋅⋅⋅⋅⋅⋅その期待外れを目の当たりにしたような眼は⋅⋅⋅!!」

「済まぬ」

「フン!まぁいいわ。ところであなた、何でも屋なんですってね?」

「済まぬ」

「⋅⋅⋅⋅? まぁ、私のカリスマにあてられたのでしょう。許してあげます」

「済まぬ」

「ねぇ⋅⋅⋅ふざけてる⋅⋅⋅⋅?」

「済まぬ」

「咲夜ァ!!こいつ始末してぇ!!」

「ぐふっ⋅⋅⋅⋅⋅。くく⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅ぷふっ!」

「咲夜ァァァァッ!!!?」

 

済まぬさんの真似をして正解だったわね!もちろん声は置○龍太郎さんだ。

おや。赤髪の中華服のお姉さんは新しい扉が開きかけているね。よきかな。よきかな。

 

「すみません。その声、もう一回聞かせてくれます?」

「我が子よ⋅⋅⋅⋅⋅⋅お前もまたローマなのだ」

「うーん、ちょっと違いますねぇ」

 

声の感じはにてるんですけれど⋅⋅⋅⋅とブツブツいっている中華お姉さん。

ふふふ。俺の声マネは世界一ィィィィィィ!!!

勿論女声も出せる。こんな風にね!

 

「~♪!~~♪!~♪!」

「ギャアアアアア!!」

「あの声から、どうすればこんな声がぁ!!?」

「とっ、止めてください!!」

「み⋅⋅⋅⋅耳が潰れる⋅⋅⋅⋅⋅」

「パチュリー様ァァァァア!!?」

 

ちなみに声はぷよぷよのハーピーである。結構いい音色だと思うのだが、なぜ耳を塞ぐのか。理解に苦しむ。

少し悲しい。なので⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅本気で歌う!!

 

「~~♪~♪~♪~~~♪!!」

「わぁ。いい歌⋅⋅⋅⋅。わたし、お姉様と聞いてみたいなあ」

 

カヤの狂瀾怒濤の歌声が、紅魔の館中に響き渡る。

地下では狂気の妹が可愛らしくリズムを取り、一方でおぜうの部屋では⋅⋅⋅⋅⋅。

 

「くっ、防音結界⋅⋅⋅⋅⋅!」

「あぁ、やっと解放された⋅⋅⋅⋅。ありがと、パチェ」

「ありがとうございます。パチュリー様」

「助かったあ。鼓膜潰れるかと思いましたよ⋅⋅⋅」

「~♪!~♪~~~~♪!~♪~~♪」

 

いえ~い!ノリノリだぁ~!フェスいっちゃう?いっちゃう?

よぉ~し、皆様の声にお応えして!いくぞ~!!!もりあがってるか~い!?

 

「~♪!~♪~~~~♪!~♪~~♪」

 

ピシリ。ピシリ。

パチュリーが張った結界から、嫌な音が鳴る。

 

「うそでしょう⋅⋅⋅⋅?急拵えとは言え⋅⋅⋅⋅⋅自分でもビックリするくらい上等な出来なのよ⋅⋅⋅⋅⋅?」

「お嬢様!説得!説得!」

「え、ええ!??ムリよ!ムリ!」

「プリン、食べたいですか?食べたいですよね?」

「やってあげるわよ!!」

 

うーむ。ファンのみんなから声が聞こえない。

そうよね。あなたとわたしは、そういう関係だもの。でも、悲しいわ⋅⋅⋅⋅あなたはそっちを選ぶのね!?そんな女を!!」

 

「ねぇ、あなた一人で何言ってるの?」

 

おっと。途中で声が出ていたのか。いやん恥ずかしい。

依頼が無いときは一日中昼ドラ見てたなぁ。ネトリ的なヤツが好きだった。うむ。異論は認めぬ。

燼鴉は純愛が好きらしい。ここだけは譲れない。たとえ燼鴉であったとて─────!

 

「オ・ハ・ナ・シ!聞いてよね!!」

「うむ。よいぞ。話してみよ」

「ぶちころ⋅⋅⋅?」

「ヒエッ」

 

やべえよやべえよ。従者さんのお嬢様やべえよ。一瞬感情の一切が抜け落ちたんだけど?この世の深淵みたいな顔してたよ?

怖っ。

いや、それより⋅⋅⋅⋅⋅。

 

「依頼かい?お嬢さん」

「ええ。あなたを雇ってあげる」

「その代わり、ゼニはしっかりいただくぜ?」

 

なんでか⋅⋅⋅⋅自分でも分からないが、この依頼は楽しくなりそうだ




最後まで読んでいただいて、ありがとうございます
あと、一話のポエムモドキ、どうでしたか? 
BLEACH熱が再燃して書いてみたんですけど、やはり先生はスゴいなぁと思いました。まる。
では。では。皆様もお体にお気を付けて。



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鴉は羽ばたき楽園へ

投稿期間がめちゃくちゃ空いてしまい申し訳ございません。
筆があまりにも乗らなかったですね。ヒデェ。
不定期更新の小説でも楽しめるって人は⋅⋅⋅ゆっくりしていってね!


「っと。到着⋅⋅⋅ですね」

 

スキマから出て来た燼鴉は辺りを見渡す。

上を見上げれば鳥居が。そして、後ろを振り返れば、下の見えない階段が。

 

「ヒュッ」

 

音を置き去りにして階段の近くから離れる燼鴉。そう。彼は⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅「高いところが苦手なんですよ!!何でこんなトコロに出たんですか!!?」

 

高所恐怖症である。鴉なのに高所恐怖症とかおかしいだろとか思ったそこの君。私もそうおもイダダダダダダ!!

どっから入って来たこの鴉!!?

 

「何か小馬鹿にされてる気がしたので使い魔の鴉を飛ばしてみましたが⋅⋅⋅⋅スッキリしましたね」

 

燼鴉⋅⋅⋅⋅⋅恐ろしい子!!((((;゜Д゜)))

 

「おや?まだ私を小馬鹿にしている輩がいるのでしょうか。ムズムズしますね」

 

みんな!止めて!たとえ思ってたとしても!

こいつ妖怪鴉なのに高所恐怖症かよプークスクス

m9っ(^Д^)とか思っててもイダダダダダダ!!

 

「無性に殺意が⋅⋅⋅⋅⋅。いけませんね。ボスを探さなければ。全く。ボスが好奇心に負けて飛び入るから別れてしまうんですよ」

 

あれ?記憶欠如してない?この子。まだ数十分もたってないと思うんだけど。

自分の都合の良いように記憶改竄してない?

 

燼鴉は賽銭箱の前へ足を動かす。

 

「ボスを探す前に手っ取り早く、かつあまり力を使わずに見つけれるようにお願いしておきましょう」

 

相当根に持ってるな。クォレハ。そんなに残業がイヤかね?

 

「とりあえず、うろ覚えですが、やってみましょう。

確かご縁があるとかで御賽銭に使うのは五の付くお金だけでしたね!(大間違い)」

 

コートのポケットをまさぐり、財布を手に取る。顔を覗かせるは艶のある黒の長財布。

ファスナーを引っ張り、取り出すべき五の付くお金を吟味する。

 

「⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅五円はケタが小さいですし、五百円もまだ足りないと思うので⋅⋅⋅⋅五千円札です!」

 

ヒラリ、ヒラヒラリ。

 

燼鴉の手から離れた五千円札が賽銭箱へ落ちて行く。賽銭箱へ、吸い込まれるかのように入る。

その瞬間。

 

「五千円札の音ォォォォォォッッ!!!」

 

賽銭箱の上を何者かが神速が如し速さで通り過ぎる。

右を見れば、頭の後ろに赤のリボンを付けた紅白の巫女が五千円札をまじまじと見つめている。

うへへ(ズッケェロ風)⋅⋅⋅⋅これだけあれば三ヶ月は過ごせるわ⋅⋅⋅⋅とかブツブツ言っている。

⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅五千円で三ヶ月?普段の生活費どうなってんの?

 

「あら。もしかして、御賽銭(生活費)をくれたのはあなた?」

「ええ。そうですど⋅⋅⋅⋅?」

「おぉ⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅神は⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅此処に」

 

涙を流しながら手を擦り合わせている。手を擦り合わせる前にさも当然かのように巫女服へしまっている。かわいげが微塵もない。

というか巫女が神をあんまり信じてないってどうなんだろう。

 

「それより、もっともっと御賽銭(生活費)をこの博麗神社(わたし)にみつ⋅⋅⋅ゲフンゲフン奉納すれば願い事が叶いやすくなるわよ」

 

思い切り詐欺師の手口じゃねぇか。巫女がそんなことをしていいのか?

あと咳払いする前にナニを言おうとしてたんだ。

 

「へえ。そうなんですね。では、五千円をもう一枚」

 

と言いながら賽銭箱へ入れようとする燼鴉。その手をがっしりと掴み、御賽銭(生活費)が落ちるのを阻む霊夢。

その顔はにこやかに笑っているが、その後ろにゴゴゴゴゴ⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅とエフェクトが付きそうなぐらい威圧感を放っている。

このとき、燼鴉は悟る。

 

(あ⋅⋅⋅⋅この人を怒らせたらヤバイですわ⋅⋅⋅⋅⋅⋅)

 

と。

そして先程、霊夢の脳に電流走る────!

 

(①こいつは金を持っている

      ↓

 ②圧 倒 的 金 蔓

      ↓

 ③もう少し絞り出させて、適当に願い事を叶える

      ↓

 ④そうすれば、コイツ(金蔓)はまた私に貢ぐ

完璧ね。我ながら素晴らしい方程式だわ)

 

二秒でアホ丸出しの方程式を思い付いた博麗霊夢。

それでいいのか博麗の巫女。

 

「私に寄越しなさい。賽銭箱(そんなの)に入れるのはもったいないわ。わたしが貰う方が安心よね?」

「え?いや、ですが」

「ん?なあに?」

「い、イエスマム」

 

霊夢に促されるまま霊夢に五千円を渡す。

いい金蔓だわ♪とか聞こえてしまったのは無視する燼鴉であった。

それをまたもさも当然かのように巫女服へしまう。

 

「それで?お願いって何よ」

「あ、そうですね。私のお願いとは⋅⋅⋅⋅」

「はぁ~い☆ぷりてー・らぶりーな永遠の17才のゆっかりん、ここにさんじょうよー!」

 

日傘をくるくると回しながらスキマから上半身だけを覗かせる。

二人の反応?もちろんドン引きである。

 

「あら、ひどいわね」

「何してるんですか。年甲斐もなイダダダダダダ!!」

 

燼鴉の足元に小さめのスキマが開き、靴の踵で小指をグリグリされている。

 

「霊夢?」

 

ギギギギギ⋅⋅⋅⋅⋅と、狂った人形のように霊夢の方を向く。

 

「何も無いわよ。⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅本当だから!スキマから電車覗かせるの止めなさい!!」

 

いつの間にかスキマから出ていた紫はゲートオブバビロン(全て電車Ver.)を展開していた。

 

「燼鴉くん、お願いってなぁに?」

「イテテ⋅⋅⋅。分かりきった事を聞きますね。我々の荷物はどこですか?」

「白玉桜よん。安心して。そこの主には話は通してあるから」

「分かりました。スキマをお願いします」

「じゃあね」

 

燼鴉がスキマへと入る。スキマは閉じ、本から何事も無かったかのような静けさが神社の周りにある木々を揺らす。

 

「ねえ、敢えて気づかないふりしてたけど、アレ、妖怪よね?」

「(敢えて⋅⋅⋅⋅⋅?まあいいわ)えぇ、そうよ」

 

一瞬何言ってんだ⋅⋅⋅⋅⋅?コイツ⋅⋅⋅⋅⋅的な思考に陥りかけたが気にしな~い気にしな~い。

 

「外の世界にも⋅⋅⋅⋅⋅いるのね。妖怪が⋅⋅⋅⋅⋅」

 

未だ妖怪はいるかも知れない。それこそ、我々が思いもよらない場所に。

その代表こそが、幻想郷かもしれない。

 

「別に気負う必要なんて無いわ。彼は無害。それは言えることよ」

「もし、ここに害を齎す存在になったなら──」

「直ぐ様消すわ。招いた私がね」

 

そう⋅⋅⋅とだけ言って霊夢は箒を手に取り、掃き始めた。紫はスキマへ消えた。

 

そしてその数時間後、幻想郷を紅霧が覆う。




またまた終わり方が雑ですね。みんな!オラに文才分けてくれェ~!
本当に分けてくれ(切実)
これからもっと酷くなって行ったとしても、ここまで見てくれた皆さんなら大丈夫でしょう。私、信じる。
では。では。次回を楽しみにしててください。頑張ります


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ノワールを満たすラ・ディモース

こんにちは。
最近暑すぎてドロドロに溶けそう。夏バテに気を付けなければ。
夏の暑さのおかげで中華麺を沢山食べれるから嬉しさ半分苦しさ半分⋅⋅⋅みたいな?
夏の暑さで不定期投稿になっても許して。
長くなりましたが、ゆっくりしていってね!


幻想郷を紅霧が覆う数時間前⋅⋅⋅⋅⋅

 

「お?てこたぁこういう事か?依頼主サマの妹をあやせ。と?」

「ええ。そうよ」

 

二人きり⋅⋅⋅⋅厳密には外で待っている四人を加えれば違うのだが。

その部屋にて、この紅い館の主、レミリア・スカーレットは豪華な机とその小さな体には似合わぬ大きさの椅子に腰を掛け、何屋(カヤ)を見つめていた。

対して何屋は素朴な椅子に左手で火のついていないタバコを人差し指の上でくるくると回し、椅子の笠木という部分に右腕を置き、ジッポライターをカチカチと弄くっている。

 

「子守りを頼まれるのは始めてだ⋅⋅⋅⋅⋅⋅その前によ、一つ確認しても良いかい?」

「許可するわ」

「(カリスマ⋅⋅⋅⋅⋅か)じゃ、遠慮なく。

─────依頼主サマの妹さんはどこなんだよ」

「ッ⋅⋅⋅⋅!」

 

動揺。手を組んだまま指を擦り合わせているな。これは強いストレスがかかっているときに見られるなだめ行動だ。⋅⋅⋅⋅⋅完全にテレビの受け売りだが。

 

さて。考察タイムと行こうか。

妹さんをあやすなら俺に妹さんを見せるはずなんだよな。なのに、見せない。見せれない理由があるのだろうか。容姿や、性格に問題が?

まず、容姿の線。

依頼主サマであるレミリアの言ってた事⋅⋅⋅レミリアが吸血鬼であるという事をそのまま鵜呑みにするならば容姿は当て嵌まるだろうが、翼や牙があるだけだろうし、俺はレミリアの容姿に対し、嫌悪感とかを抱いたことは無いんだよな。よーするにかわいい。それにレミリアとは姉妹と来た。

となると、容姿の線は無くなる。

じゃあ性格だ。確定。てかそれ以外思い浮かばねぇ。

 

────────────そういえば。

妹さんをこの紅魔館に入って一度も見てないわ。

動けない体?本格的な妖精の羽根を付けたコスプレメイドが沢山いるのに?もし、動けない体の妹さんをあやせと言うならば、それはあやすとは言わない。そりゃあただの介護だ。

てか、あやせって言うなら妹さん見せるはずだからなぁ⋅⋅⋅。容姿の線は消えたから、性格だ。

どんな性格だ?ヒトサマをすぐに襲っちまうようなカンジなのか?それとも、人と関わらない⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅ならあやせなんて俺に言わないし、もし、人見知りを治すためにならあやせとは言わないから違うか。

ならさっき考えてたヒトサマをすぐに襲っちまうようなアブナイ性格なんだろうな。

それより、何故いないかを訊いてみよう。

 

「素朴な疑問、良いか?」

「⋅⋅⋅⋅⋅ええ」

「妹さんを一度もいてないんだが、一体全体、何処に居るんだ?」

「⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅」

 

すげぇ威圧で睨み付けられる。怖いなぁ。ま、サプレッサー付けたハンドガンで頭皮マッサージされるよかましだわ。

 

「お?地雷踏み抜いちまったか?」

「⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅」

「────だんまりか。おーけー。おーけー。その代わり、命の保証はしてくれな?俺、我が身が可愛いからさ」

 

タバコをしまい、ライターもさりげなくズボンのポケットに入れておく。

 

「命の⋅⋅⋅⋅⋅保証⋅⋅⋅?」

「そ。命の保証。中々にヤバいんだろ?妹さんが」

「へえ。何故?何故そう思ったのかしら?」

 

わはは。敢えて訊いてくるのか。精一杯の虚勢だな。

 

「まず、あやす対象を俺が一度も見ていないのがおかしいと思い、何故いないかを容姿と性格の線で考えてみた。

容姿は⋅⋅⋅⋅アンタとおんなじ吸血鬼ならば、容姿はアンタに似るはずだ。姉妹ってんなら尚更な。

じゃあ性格だ。まあ、見ることすら願わないほど不自由な体をあやすなら別にいいんだが、それはあやすとはどうも違うと思ってね。それに人見知りや人と関わらないことを治せなら、それもさっきと同様であやすとは違うだろ?

だから、最終的にたどり着いたのが、アンタの妹さんはやべぇ奴ってこと⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅なんだ⋅⋅⋅⋅⋅ソレ」

 

俺の言葉を遮って大きめの机に突き立てられたのは紅い槍。

机が突き立てられた衝撃で割れたことよりも、何故、突然変異現れた?

予備動作なんて何も無かった。それより、どんだけ濃密な殺意だよ。

参ったな⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅冷や汗が止まらねえ。

ここはしっかりと謝らないとな。どう転ぶかわからない。最悪死ぬ。

 

「⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅すまない。アンタの妹さんを悪く言ってしまった。心から詫びる」

「いえ。私が取り乱してしまったわ。はしたなかったわね」

「(死ぬかと思った。危機は凌げたが、信用がガタ落ちだろうな。しくったか。いやはや好奇心てモンは恐ろしいね)いや、こちらこそ済まなかった。

妹さんをあやしてくる。妹さんのトコロへ案内状してくれ」

「分かったわ。咲夜、来て」

「はい。お嬢様」

「ウヒッ!?」

 

慣れないね。どうも。変な声出ちゃったじゃん。

 

「何屋を案内して。くれぐれも⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅なくさないようにね」

「! はい。了解しました。お嬢様」

 

レミリアが最後に言っていた事はうまく聞き取れなかったが、俺の隣にいる咲夜の顔を見るに良いコトなんだろう。

そんな気がする。

 

「それでは、何屋さま、私に付いて来て下さいませ」

「ん。了解」

 

咲夜が扉から出たのを見た俺は、咲夜の後を一定の距離を保って歩く。シガレットケースからタバコを取り出し咥えジッポライターを出すためズボンのポッケをまさぐっていると、咥えたタバコが切断されていた。

 

「アラ?」

「この館に喫煙者はいませんので、ご遠慮してくださいね?」

「あ、そうなのか。ならスマンね」

「聞き分けがよろしいですね」

 

そりゃああんな威圧感のある笑顔を見せられたんならやめる他無いし、喫煙者が一人もいない場所で嗜むほど腐っちゃいない。

あ、そういやこの人に聞きたい事があったんだった。

 

「ねえ、メイドさん」

「メイドさんではなく、十六夜とお呼びください。一々メイドさんでは言いにくいでしょう?」

「お気遣い感謝するよ。改めて、十六夜さん。アンタ、空間を圧縮したりできる特異物を持っていたりするのか?」

 

咲夜が突然足を止め、驚いた顔で此方へ振り返る。

やめてくれよ。これ以上評価落としたく無いんだけど。

 

「まあ半分正解。半分不正解。当たらずとも遠からず、です」

「信頼が落ちてた訳では無いのな。安心した」

「信頼⋅⋅⋅⋅⋅ですか」

「そう。何でも屋に限らず、仕事は信頼と仕事をこなせる力がないとダメだからな」

「メイドは大変です⋅⋅⋅⋅」

 

愚痴だな。まあメイド長らしいし、過労は次のパフォーマンスを鈍らせるからな。労うように頼んでおいてやろう。

燼鴉?アレは俺に仕えることを自分の使命とでも思ってるからな。愚痴も俺が聞いてあげている。

⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅ほとんど俺と仕事の多さへの愚痴だが。

 

「着きました。こちらです」

 

話していたら着いたみたいだな。

途中で煉瓦造りの螺旋階段を降りていった時は驚いたが、降りた先にあったのは黒く厚い鉄の扉。魔方陣がびっしりと描かれている。

こりゃあひでえな。家のなかにいるのに自由に動けない。しかも、相当いたんだな。埃や煉瓦、その他諸々を鑑みると、大体が分かる。

 

「それじゃあ、失礼しますよっと」

 

鉄の扉を押して開ける。ギギギギギ⋅⋅⋅⋅⋅⋅と金属どうしが擦れる嫌な音が響く。

 

「やあ。麗しいお嬢様。それじゃあなにしてあそぼうか」

「あなたは⋅⋅⋅⋅新しいオモチャ⋅⋅⋅⋅⋅?

ウフッ⋅⋅⋅⋅アハハハハハハハ⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅!簡単に⋅⋅⋅⋅⋅壊れないデネ⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅?」

 

──────永いお遊びになりそうだ。




サブタイの意味⋅⋅⋅⋅分かりましたか?
一応フランス語です。
ノワールは黒や暗黒を意味します。ラ・ディモースは狂気を意味するので、直訳すると暗黒に満ちる狂気。
おしゃれ。
では。では。冷やし中華食べましょか。


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吸血鬼はプリンで懐柔できる

最近は暑いですし、これからも暑くなるんですって(絶望)
あと、小説には全く関係ないですけど、私ナイトミュージアムの3章で泣きました。
何ヵ月か前に金ローでやってましたよね。あれは泣ける。
長くなりましたが、ゆっくりしていってね!


「わ!そこおくの!?」

「ふぅーははぁ!戦術の組み立てがあまい!あまいぞフランちゃん!」

「こんなの、みとめないっ!!」

「認知しろ」

「⋅⋅⋅? きゅとして~!どかーん!」

 

フランの両腕がチェスの駒達を押し倒して行く。何屋は、あともう少しで勝てたのに⋅⋅⋅⋅。と愚痴りながらチェス盤から落ちた駒達を拾う。

なぜ仲睦まじく二人でチェスに興じているかというと、数十分に遡る───────。

 

ほわんほわんほわん⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅

 

 

 

 

 

 

 

「あなたは⋅⋅⋅⋅新しいオモチャ⋅⋅⋅⋅⋅?

ウフッ⋅⋅⋅⋅アハハハハハハハ⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅!簡単に⋅⋅⋅⋅⋅壊れないデネ⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅?」

「ふむ⋅⋅⋅⋅⋅⋅」

 

バタン。扉を閉じ、もう一度鍵を締める。

 

「十六夜さぁぁぁぁぁん!!?なんだよアレ!?」

「(はあ、やっぱりですか⋅⋅⋅⋅妹様を恐れてしまってい)「なんだよあの部屋!!?散らかりようがひどい!俺より酷い!!何より人形がマミってるのおかしくない!?」え?部屋?」

「部屋以外に何があるの!!?」

 

ぎゃあぎゃあ喧しく騒ぐ何屋。

咲夜もそっち⋅⋅⋅⋅?みたいな顔をしている。

何を隠そう、神嵜何屋はアホなのである!!変なところで!

 

「掃除しましょう!」

 

そう言って鍵を開け、扉の取っ手に手をかける。しかし、咲夜の細くしなやかな指に止められる。

 

(oh⋅⋅⋅⋅触られてる⋅⋅⋅⋅⋅。1ヶ月前までヤクザの潰し合いに参加させられてて、何人も殺ってきたおててを⋅⋅⋅触られてる。)

「危ないですよ。妹様に何もしないまま突っ込んでしまえば、一瞬で爆☆殺ですよ」

 

何かイントネーションがおかしかったぞ。

具体的にはロケット戦士が破壊されたときのように。

 

「じゃあどうするんだ⋅⋅⋅?」

「おにーさん、あーそぼ」

 

何屋が凭れている鉄の扉からコンコン、とノックの音が何屋の胸の下辺りから聞こえた。

 

「⋅⋅⋅⋅⋅⋅好きな食べ物とかあるかい?」

「? えーっとねー、プリン!」

「プリン沢山あげるから爆☆殺は止めてくれる?」

「たくさんプリンくれるの!?」

「ああ。約束は守るよ」

「わーい!やったやったぁ!じゃああそぼー!」

 

なんとか和解できたらしい。

プリンが好物だなんて可愛いな、と思った何屋であった。ちなみに余談だが、何屋は尋常ではないほどそうめんが好きだ。それこそ、三食全てがそうめんになるほど。

 

閑話休題

 

重厚な扉を開ける。

そこにいたのは先程とは打って変わって可愛らしく羽根をぴょこぴょこさせ、何屋に抱きついている少女だった。

しかしそれよりも目が行ってしまうのが部屋の汚なさ。

人形はクマから人の形をした人形まで、全てがマミっていた。マミられた時の綿が、そこら中に飛び散っている。マミっていない人形には額、胸、腹に銀のナイフがぶっ刺されていた。

ベッドの上にはナイフで切り裂かれた枕たちの中に入っていた羽毛が鏤められており、リアル羽毛布団になっていた。

ダーツボードにはレバ剣がぶっ刺さっていた。ちなみに壁はダーツボードと同じようにひしゃげている。レバ剣のせいで。

 

「何度見ても酷い。お片付けをしようか」

「ぷー!お片付けなんていつでもでき「プリン二倍」よしやろー!今すぐやろー!」

(妹様のお扱いが上手い⋅⋅⋅⋅⋅!?)

 

少年少女お片付け中⋅⋅⋅⋅⋅

 

「十六夜さん?十六夜さん?いざっ⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅し、死んでる!!?」

「ちょっと微睡んでただけです!」

「ゴッ!」

「わー!さすぺんすだ~!」

 

疲れてソファーに横になっていた咲夜の肩を揺らす何屋。死んでるだなんて不吉なことを言われたので一気に意識が覚醒し手で口を隠している何屋へ頭突きをする咲夜。何屋が悶絶する。

さすぺんすの意味を履き違えきゃっきゃしているフラン。

端から見れば家族のようだ。

 

「ところで、フラン。この部屋、きれいになったかい?」

 

額に手を当てながら、起き上がり、フランがいた部屋を見回す。フランも、そんな何屋に倣って、部屋を見渡す。

 

「うん。きれい。ありがと。おにーさん」

「いいよ。フランのお姉さんから頼まれてるからね」

「お姉様が?」

「君と遊んでくれってね。君のことを心配してたんじゃ無いかな?」

 

そっか⋅⋅⋅そっか⋅⋅⋅と考え込むフラン。

そして、冒頭に至る。

冒頭のチェスが強制終了させられ、拾った駒を何屋がもう一度並べていると、咲夜から肩を叩かれる。

 

「⋅⋅⋅⋅何か?」

「お嬢様からお話があるそうです」

「そ。────じゃあね。フランちゃん」

「うん。ばいばい。」

 

フランが手を振ったので軽く手を振り返す。

踵を返し、扉へと歩を進める。

 

「─────あ」

 

フランが思い付いたように声を上げる。

その声につられ、二人も振り返る。

 

「おにーさんの名前は?」

「───────ははっ。俺か?

俺の名前は神嵜何屋だ。一応、何でも屋を経営してた。今も継続してるぜ?

頼みたい事があるんなら⋅⋅⋅⋅⋅⋅はいこれ。

今後も、万の御用達をご贔屓にな」

 

何屋がコートの内ポケットからペンと焦げ茶色のカバーがしてある片手サイズの手帳にすらすらと何かを書き、ちぎり、フランに渡す。

紙には、『何でも屋利用券(無料)×5』と書かれていた。

 

「え⋅⋅⋅⋅無料?いいの?これ、×5ってことは、五回仕えるんでしょ?いいの?」

「いーんだよ。あんまり深く考えなくて。下らないことも、大事なことも、俺に頼れ。

でもな、その前にこの館のみんなを頼れ。この館におまえがいる限り、おまえは紅魔館の家族だ」

「⋅⋅⋅⋅⋅⋅! ありがとう!おにーさん!!これ、ずっと、ずーっと大切にするね!」

「でも、一回ぐらい使ってくれよ?」

「うん!」

 

じゃあな、と何屋が呟き、もう一度歩き始めると、フランが抱きついてきた。

ドスッ!ベギッ!と鈍い音がする。

───────ヤバ。腰骨砕けたかも。

 

「⋅⋅⋅⋅⋅ナニしてるんだ?」

「えへへー♪おにーさん成分ほきゅーしてるの」

(尊い⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅!)

 

抱きついてきたフランの頭を撫でる。髪がさらさらと何屋の所々に古傷が付いた手をすり抜けていく。

咲夜は鼻を押さえて朗らかな雰囲気を醸し出している二人から目をそらす。鼻血出てるんですか?

 

「じゃ、ほんとにバイバイ!」

「お⋅⋅⋅⋅⋅おう」

 

フランが離れると、何屋は腰を動かす。すると、ベキバキと間接の鳴る音がした。間接の鳴る音を聞いたことのないフランは、おろおろとして、咲夜と何屋を交互に見る。

 

「大丈夫だ。安心しろ」

「ほ⋅⋅⋅ほんと⋅⋅⋅?」

「ほんと」

 

何屋は腰をさすりながらフランのいる部屋を後にした。

 

 

 

「で、妹はどうだったかしら?」

「後で沢山プリン作らなきゃ⋅⋅⋅」

「(何があったのかしら⋅⋅⋅⋅)あやすのとは別に、あなたに依頼があるの」

「了解。して、依頼の内容とは?」

 

椅子に座りながら囈言のように、プリン作らなきゃ⋅⋅⋅プリン作らなきゃ⋅⋅⋅と連呼していたのだが、レミリアから依頼を受けると、何でも屋の顔になる。

 

「ええ。そうね⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅まず、私達は異変というモノを起こすわ。そして、その異変の時に、あなたには美鈴と共に門番をしてもらいたいの」

 

レミリアの深紅の瞳が、何屋を写す。

 

「あー⋅⋅⋅⋅⋅差し支えなければ、だがなぜ異変を起こすかを聞いてもいいか?」

「私の妹、フランドール・スカーレットが外出できるようにしたいの」

「異変の内容は?」

「深紅の霧を、ここ幻想郷全土に蔓延らせる。霧で吸血鬼の弱点である日光を防ぐ。こんな感じかしらね」

「分かった。ではな」

「待ちなさい」

 

レミリアとの軽い問答を終え、椅子から立ち上がり扉の取っ手に手をかける。そこで、レミリアに呼び止められる。

 

「ん? なんだ?」

「大図書館へ行きなさい。下に降りれば大きめの扉があるから、そこよ」

 

何屋はレミリアの顔を見ながら少しだけ考えに浸っていると、レミリアから目線を外し、咲夜へ一瞥をくれると無言のまま、部屋を出た。

 

咲夜は自身の主であるレミリアを見る。

その顔は妖しく笑い、これから起こることに心踊らせているようだった




フランちゃんが単純過ぎる?
何百年と監禁まがいをされてたので自分のやりたいことに忠実だとお考えください。考えてください(切実)

あと、オリキャラが増えそう。何人までならいいんですかね?
一応三人ぐらい追加予定なんですけど。ま、それはおいおい考えますか。
では。では。猛暑が消滅することを願って


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何でも屋はシッポを巻く

はい。遅れてしまい、申し訳ございません。

ああっ。やめて。石を投げないで⋅⋅⋅⋅⋅。

遅れた理由としてはなぜか筆が圧倒的に進まなくなりました。本当はブレソルにまたはまってしまっていまし
ああっ。やめて。霊玉を投げないで⋅⋅⋅⋅⋅。

こんな事が何度もあると思いますので、何卒、暖かい目で見守ってあげてください。

では⋅⋅⋅⋅ゆっくりしていってね!


「で、来てみた訳だが⋅⋅⋅⋅⋅ホコリっぽいなァ⋅⋅⋅⋅ココ」

 

肘窩で鼻と口を覆い、本棚と本棚の間を歩く。たまに歩いているついでに本棚の中にきれいに並べられている本を見てみたりするのだが、まるで文字が読めない。とっても奇天烈だ。

しかし、とある本棚で足が止まる。

 

「ん、これは知ってるなぁ。『鼻』。ホラー小説だ。お。他にもある。『銀河鉄道の夜』だ。懐かしいなぁ。

─────────うむ。ヘンだ。摩訶不思議の文字があるのに、なぜ読める文字がある?

⋅⋅⋅⋅⋅⋅分からん☆」

 

思考を切り替え、本棚から『鼻』を取りだし、パラパラとページを捲りながら歩く。

だからだろう。歩いている途中、本棚の間から出てくる赤い髪の女性に気づけなかった。

 

「うぉっ!?」

「きゃあ!」

 

顔が隠れてしまうほど本を持っていた赤髪の女性は、ぶつかった衝撃で本が散らばってしまい、せっせと本を回収している。

これを見て、手伝わないのは男が廃るというもの。

そう思った何屋は近くにある散らばった本へ手を伸ばす。

 

「ありがとうございます」

「いや、俺の不注意だからね。これぐらいはしないと」

 

落ちていた二冊の本を軽く叩き、渡す。やはり書かれている文字は読めない。

 

「『鼻』⋅⋅⋅⋅?お好きなんですか?ホラー系小説」

 

右手に持っていた小説を好きか?と、聞かれた。

─────まあ、好きだ。鴉の写真集の次ぐらいには。

 

「うん。⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅まあコイツ(作者)本当は読んでいないがな」

 

やめろ。ネットで漁ってきたことを暴露するんじゃねぇ。私ホラー小説読めないから。ホラー自体が無理なんだからな!

ホラー小説のまとめ記事見ただけで鳥肌が立ったわ!

 

「何か言いましたか?」

「うんにゃ。何も。

それより、レミリアにココへ来るよう言われたんだが」

「⋅⋅⋅⋅⋅⋅ああ、わかりました。それじゃあ⋅⋅⋅⋅そうですね。私、あそこの机に本を置いてきます。ここで待っててくださいね。

私の名前は小悪魔です。気軽にこあとお呼びください。では!」

 

と、こあは何屋へ言った後、悪魔のような翼を羽ばたかせ、飛んで行った。⋅⋅⋅⋅⋅最初から飛べば良かったんじゃ⋅⋅⋅?

 

「はい。戻りました!」

「それじゃあ行こうか」

 

大図書館内をこあに案内してもらっている最中、こあから色々質問されたりした。

 

「それじゃあ、お誕生日はいつなんですか?」

「8月13日だ」

 

『鼻』はいい。アレ(作者)は読んだこと無いらしいが、とてもいい。何が、とは言わない。というかかけない。

だって読んだことねえんだもんな?

 

何屋はページを捲る。

 

「では、好きな食べ物とかは?」

「燼鴉の作るやつ以外なら何でも食える(燼鴉が作ったのを食べるぐらいならシュールストレミングかサルミアッキ食ってた方がマシなんだよなぁ⋅⋅⋅)」

 

ご飯と言いながら持ってきたものはプラスチックのようになっていた。

焼き魚と言いながら持ってきたものは真っ黒で魚のカタチをした何かだった。

味噌汁は味噌がなかったらしく、代わりに味の素二袋をぶちこんだらしく、飲んだ瞬間味覚がイカれかけた。

 

「そうなんですか⋅⋅⋅⋅⋅じゃあ」

「いつまで質問してるの!!?ほら見ろよこの人の顔!チベスナ顔だよ!?この人?!」

 

読んでいた途中の本を閉じ、隣にいるこあに向かって声を張り上げる。

 

「うるさい。ここは図書館よ?

それとこあ。早めに終わらせないといけないから、あっち行ってなさい」

 

ちぇ~、と言いながら翼を羽ばたかせ来た道を戻るこあ。

 

「さて。こっちに来て、この水晶玉に触れていなさい」

「? なにをするんだ?」

「あなたに能力があるか調べるのよ」

 

寝間着のような服を着た少女が、水晶玉に向かってブツブツと呪文を唱えていく。何屋は本を机に置き、水晶玉を触る。

しかし、何屋が呪文を遮る。

 

「いや、分かってるよ。俺の特異物(ペコリアーレ)ならな」

「なんですって?」

「言葉どーりの意味だ。俺の能力とやらは、ガダーヴェレ・アクゥームラ(屍を積みし者)

─────戦う程度の能力だ」

「なぜ、分かっているの?」

 

怪しむ目で何屋を睨む。

何屋はどこ吹く風といったように笑みを浮かべ、肩を少し竦め、少女の問いに答える。

 

「クソッタレの財団に飼われてた。ただそれだけだ」

「そう。あまり深くは詮索しないわ。

自分でわかってるなら、自分の能力で出来ることを言ってくれる?」

「⋅⋅⋅⋅⋅⋅ははっ。ありがとな。

 

まず、戦い続ける事で次第に俺は強くなっていく。

次に、武器を完璧に扱える。どれだけヘンテコなヤツでもだ。

─────それくらいか。俺が知ってるのは」

 

何屋は指を折りながら説明していった。しかし、それを聞いていた少女は首を傾げた。

 

「あら?もうひとつあるわよ?あなたの扱える力」

「は?」

 

水晶玉をまじまじと見ながら疑問を唱える。

それを聞いた何屋は、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をする。

 

「その顔をみると、知らなかったようね。まあ、気付けるようなものでもなかったようだけど」

「教えてくれ。俺の知らない能力を」

「いいわ。元より隠すつもりなんて無いし、それにあなたには早めに門に行っていもらいたいらしいからね。

それじゃあ、手短に。

あなたは武器の象徴とも言えるものがあれば、武器を生み出す事が出来るのよ」

 

何屋がぽかんとした顔をする。少女がはあ、と溜め息を吐くと水晶玉から目線をはずし、目と目の間を指で揉む。

 

「つまり、鞘さえあれば、刀を作り出せるのよ」

 

なるほど。と、何屋は心で思う。

刀は、最初から無かった。元からあったのは鞘だけで、刀は既に鞘に納まっていた。自分でも知らぬ内に。

銃もそうだ。弾丸も最初からない。知らず知らずの内に作り出していただけだった。

 

「気付いて無かっただけか。まだまだ未熟だねぇ。俺も」

「そうね。あら。もうこんな時間だわ。

転送するわ。じゃ、頑張ってね~」

「え?」

 

ヒュン⋅⋅⋅!

何屋の姿が一瞬で消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん?ココドコ?ワタシは⋅⋅⋅⋅神嵜何屋だ

⋅⋅⋅⋅⋅って、空が赤いな。コレが異変ってやつか」

 

空を見渡してみる。どこまでも広がる紅い空。妖しく蠢く紅い空。

どこを見ても目がチカチカする。

 

「あ、どーもどーも。って、悠長に話してられないですね。いつ来るかわからないですから」

 

チャイナドレスの女性が何屋へ話しかける。

その直後、巨大な陰陽玉が二人の元へ迫る。

 

「危ねぇ!」

「うへぁ!?」

 

何屋はチャイナドレスの女性の腕を引っ張り、自身も引っ張った勢いで後ろへ跳ぶ。

陰陽玉が通った後は、すべてが崩れていた。

 

「あ、ありがとうございます」

「いいのいいの。それより、あんた名前は?」

「え?紅美鈴ですけ⋅⋅⋅」

「逃げるぞ!!」

「ふぇぇぇぇぇぇぇあああああああ!!」

 

美鈴が言い終わる前に担ぎ上げ、紅魔館の門だった場所から全速力で逃げ出す。その直後、弾幕が彼らのいた場所を砕いた。

そして何屋はポケットから3個ほどとあるものを取り出し、ピンを引き抜いて、投げた。

 

「なにあれ。敵前トーボーってやつ?ま、いいわ。仕事が一つ減ったってだけだし」

 

庭園を過ぎたあたりで轟音が響き、美鈴が口を開く。

 

「なんで逃げるんですかぁぁ!!?」

「もう門はねぇ!だから俺たちは門番じゃねえ!」

「なんですかその屁理屈ぅぅぅぅ!!?」

「それにメイリンさんも見ただろう!?あの威力!

どー考えても俺たちが敵う手合じゃない!それにもう仕掛けてある!

⋅⋅⋅⋅⋅のはいいんだが、止まらないよな。あれじゃあ」

 

疾走しながらぼやく。美鈴は振り落とされないようにしがみつくのに必死だというのに。

 

「ひげぶ!!!」

「? 軽くなった。よーし!イクゾー!」

 

なぜか軽くなったので、手頃な窓に突っ込んだ。

 

「よし。とりあえず依頼主サマのところへ行こうか。シッポ巻いてきた言い訳もしねぇと」

 

何屋は走る。それと平行して、この異変は終わりへと近付いて行く。

 




なんとか早めに投稿しようと急いだ結果、駄文加減がいつもより八割マシになってしまった。本当にすいませんでした。

何はともあれ、何でも屋は続きます。打ち切りにはしません!
はい。言いました。投稿が三日空いたら、適度に催促してください。元気出ます。

では。では。今度こそは、キチンと投稿できますように


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何でも屋は人間であって、決してやべえやつではないのよ。おっけー?

どうも。ミスター有限不実行です。

これを書いてる途中に万華鏡の方を見たんですよね。そしたらまぁ完成度の高いこと。すごいですねぇ。
あと、異変とかのストーリー教えてください。具体的には紅霧異変以降。私、無知なんで。たのんます。
それでは、ゆっくりしていってね!


走る。走る。何屋は走る。

レミリアを目指して走る。しかし走れど走れど、レミリアの元へはたどり着けない。

それどころか、何度も何度も同じ光景を見ているように思う。

 

────────メンドクセェ!!道とは!爆発である!

 

そんな事を思った何屋は、コートのポケットからM67破片手榴弾を取りだし、二十メートル先へ投げた。

 

ここで!なぜ何屋がM67破片手榴弾を持っているかというと、前の前ぐらいの話にも出ていた通り、彼は、幻想入りする前にヤクザさんを少しだけ壊滅させていて、そのときにヤクザさんから拝借(盗むとも言う)し、手榴弾を使った記念にピンを取っていたのだ!(この間約5秒)

 

ドグォォン!!

 

ピンを引き抜いては投げ、引き抜いては投げを繰り返し、漸くレミリアの元へたどり着く。

 

 

 

「わたしもういい子でいるのやめる!お姉様をこの手でやっつけて外に出るわ!」

 

フランの幼くて、力強い宣言をレミリアへ向ける。

フランは決意を現すかのようにレーヴァテインを振るう。

体を捻ったりしたせいだろうか。服から紙がこぼれ落ち、レーヴァテインの炎に燃やされ塵になった。

 

フランのレーヴァテインとレミリアのスピア・ザ・グングニルが激突する。

緊張で空気が張り積めている空間が、文字通り爆発した。

 

ドグォォン!!

 

耳を劈く程の轟音が轟いた。

 

「えーと⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅やっぽー」

 

壁に空いた穴から出てきたのは、顔に煤を付けた何屋だった。

その何屋を見て、最初に口を開いたのはフランだった。

 

「あっ!おにーさん!もしかして、お姉様のシモベなの!?」

 

フランはレミリアから距離を取り、何屋を指差す。

何屋はフランに指を指されながらレミリアの元へ歩む。

 

「は?いや、こんなちんちくりんのシモベな訳「ええ。そうよ」──────え?」

 

レミリアと何屋は目を合わせる。

 

(待て待て。俺、雇われてるだけだろ?)

(雇われてる=シモベでしょう?)

(なにその拡大解釈!!?)

 

無言で会話を続ける二人。待たされてる側の二人は顔を見合わせ、首を捻っている。

 

「お姉様たち、何してるの?」

「さあ?」

 

(それに、あなたも気付いてるでしょ?)

(? 異変を起こす理由か?)

(ええ。適当にあのネズミでも摘まみ出してちょうだい。それくらいは出来るでしょう?)

「(言うじゃねえの)はは!ではそこのきんぱ「それより!」ふぁ!?」

 

ビシッと指を指すつもりだったが、フランに遮られる。何屋はオレ、遮ラレル、多イ⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅とカタコトで呟いている。

哀れなり。神嵜何屋(カンザキカヤ)

 

「おにーさんがお姉様のシモベなら、私がおにーさんをシモベにするわ!」

「「は?」」

 

癇癪を起こした子供のようにレーヴァテインを振るい、そして床に突き刺し、ポケットに手を突っ込んだ。

 

「あれ!?ない!ないよぉ!しっかりポケットに入れてたのに!」

「なあ、フランの探してるのって紙切れみたいなやつか?」

「そう!それだよ魔理沙!どこにあるの!?」

「その剣みたいなので燃えたぜ?」

 

その一言を聞いたフランが魔理沙の方を向きながら固まってしまった。

何屋は企むような笑みを浮かべ、フランへ声をかける。

 

「なあフラン。こういうどこへもやることのできない怒り怒りってのはな、八つ当たりすれば解決するんだ!」

(あんた⋅⋅⋅⋅後で覚えてなさいよ⋅⋅⋅⋅⋅?)

 

ざまぁみろ。といったようにレミリアを見る。とってもゲスである。

何屋の言葉を聞いたフランはなにかを閃いたのか、何屋へ指を指す。

 

「分かった!おにーさんに八つ当たりする!」

「は?」

 

予想の斜め上の答が帰ってきたので硬直してしまう。レミリアはとなりでぷるぷると震えている。

レミリアはとうとう我慢の限界が来たようだ。ついにレミリア吹き出してしまった。

 

「ぐふっ⋅⋅⋅⋅⋅⋅くくっ⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅ぷっ⋅⋅⋅⋅⋅⋅。あははははははは!!

傑作よ!これが俗に言う即オチ二コマってやつね!

あはははははははははは!!」

「くそったれ!なんで即オチ二コマなんて言葉知ってんだよ!?

んでフラン!考え直せ!お前がしたかった事はなんだ!?」

 

何かラスボスが主人公に命乞いをするみたいになってる。この後世界の半分あげるからとか言うのかなこの主人公。

 

そんなラスボス風味の何屋の言葉を聞いたフランは、はっとしたようにレミリアの方へ向きレーヴァテインを振りかぶり、レミリアへ突撃する。

 

「ふふっ。決心はついたって訳ね」

「やっぱり、お姉様を倒して外に出る!」

 

競り合っていた二つのチカラが反発し合い、一方が引き、一方が押す。そんなジリ貧にも思える行為をスカーレット姉妹は何度も何度も続けていた。吸血鬼である彼女たちの強大なチカラは、攻防だけでも、その余波で屋敷にヒビを走らせ、力強く揺らしていた。

当然、揺れるのだから、建物や柱は崩れ落ちるものだ。

 

「うぉわ!───っとと⋅⋅⋅⋅⋅。まずいね。ありゃあまずい。

あら⋅⋅⋅?思い返してみれば────────やっべ、オレなんもしてねぇわ。こっちのほうが割りと本格的にやう゛ぁいな。

⋅⋅⋅⋅⋅⋅露払いぐらいはしておいてやるよ!雇い主サマ!」

「あら、頼めるかしら?」

「へっ。もとよりそのつもりよ!!」

 

コートの中へ両の手を突っ込み、ナニかを取り出した。

ナニかは徐々に顔を覗かせる。その姿は日本刀の柄のようで、その柄に、刃はついていなかった。

 

「はあ?刃も付いてないそんなので、何が切れるんだよ」

「ああ。切れるさ。これがね。イッツア、まじーっく。ってやつ」

 

気の抜けるような声で言い、次の瞬間には魔理沙の首筋に、刃が煌めいていた。

 

 




はい。遅れてすいません。何が三日に一話投稿だ。
誰だそんなこといったやつ。出てこい。
──────あ、私か。
そんなわけで、投稿が遅れてすみませんでした。
理由としてはブレソルを楽しんでました。
バンビエッタちゃんのバスターバインがバインバイン。

あと、思い付いたアイデアの想像を膨らませていたらあれよあれよと言う間に時間が流れていきましたね。

最後に、この何でも屋は、大体三文字ぐらいを目安に書いてたんですけど、自分の文才じゃあこの目安は達成できそうにないので週一投稿ぐらいとさせてもらいます!

では。では。文才が向上してくれたらなぁ⋅⋅⋅⋅


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何でも屋ってね、依頼の内容は選べないの。で、依頼主も選べない。⋅⋅⋅⋅あれ?何でも屋ってもしかしてブラック?


何屋くんの能力の三つめってわかりにくいですね。
自分でもなに書いてるかわかんにゃい。
簡単に説明すると、エミヤの劣化版と思ってくだされ。媒体がないと生み出せないからね。
あと最近ゲシュタルト崩壊が頻発しちゃう。たしけて。

投稿期間が空いてすいません。
さて!ゆっくりしていってね!


 

魔理沙の首筋へ刃が叩きつけられ、魔理沙は膝から崩れ落ちた。

刃が消えて無くなった日本刀のような柄を持っている両手をコートの中へなおして振り返り、スカーレット姉妹の姉妹喧嘩を見る。

 

それは、とても恐ろしいほど大きな力のぶつかり合いだった。けれど、それ以上に美しく思えた。

弾き弾かれ舞い散る紫と橙の火花。それらは入り交じり花火のように、館の上空で輝いていた。

何屋はそんな景色を見ながら呟いた。

 

「さぁて。どうするか。────まぁ、依頼は終わったしな。

どうする⋅⋅⋅⋅⋅⋅ってあっぶね!!」

 

何屋が左へ避けると、横を弾幕が通り過ぎる。後ろを振り返るとふらふらと弱々しく立ち上がる魔理沙がいた。

魔理沙は箒を杖代わりにして立ち、何屋へニッ、と笑う。

 

「へへ。まだ、終わってない⋅⋅⋅ぜ。首周りの疲れが、とれたって、だけだぜ」

「(驚いた。気絶させる程度に短刀の峰を打ち込んだつもりだったんだが)

前言撤回。依頼は未だ続行中⋅⋅⋅!」

 

そう言葉を発しながら、再度柄を取り出す。そこには、刃が煌めいていた。

それを見た魔理沙は、少しだけ困惑を顔に出すが、両手で頬を叩き、気合いを入れ直す。先程まで怯えが写っていた眼には、何者にも陰らことのできない、光が宿っていた。

 

「あ、でもその前に」

「⋅⋅⋅その前に?」

「逃げる!」

 

何屋は突然走りだし、魔理沙を横切って紅魔館の窓に突っ込んだ。

窓に突っ込み過ぎじゃない?

わかった!君は窓に突っ込むのが好きなフレンズなんだね!?

───違うわボゲェ!!!

 

 

「はあああああああ!!!?ってホントにヤバい!!」

 

窓に飛び込む何屋を見て驚いた魔理沙は天井を見上げた。

そこには、先程まで槍と剣をぶつけ合っていたのだが、いまは火柱のようなものとなり、屋敷を悉く崩壊させている。魔理沙は何屋が飛び込んで割れた窓に、箒に乗り崩れて落ちてくる瓦礫やらなんやらを回避するために飛び込んだ。

 

「凄まじいなあ。あの腐れボゲナスビが見たらなんて言うんだろう。絶対皮肉しか言わねぇなよな⋅⋅⋅⋅⋅⋅」

 

いつの間にか屋根に登っていた何屋はスカーレット姉妹の弾幕の打ち合いを見て、そう言った。何屋が言うのと同時に、紅魔館のメイド長、十六夜咲夜を倒した巫女、博麗霊夢が水色の妖精を大きな弾幕で門ごと吹き飛ばして魔理沙の側へたどりついた。

 

「遅かったな。霊夢手出しは無用だぜ?」

「何よアレ。あと屋根に立ってるあいつって誰よ」

「えーと。まず、あれが異変の主犯。あっちはその妹だ。で、あいつのことなんだが⋅⋅⋅⋅多分だが、異変の主犯に雇われてるんだと思う。

あと、あいつは強いぜ。霊夢」

「誰であろうととりあえずぶっ飛ばすわ。話を聞くのはそのあとね」

(話ぐらい先に聞けばいいのに⋅⋅⋅⋅)

 

魔理沙が霊夢の言ったことに呆れているとき、異変の主犯格であるレミリアたちはというと─────

 

 

「おー!いけいけーフランー!あんなチビなんかぶっとば」ズガァン!!(グングニルノササルオトー)

「あんたホント黙ってなさいよ」

「ヒェッ」

 

こんな感じである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うーん。こりゃあ、違いねぇな。

─────────? 何が、だと?そりゃおまえ。この異変─さしずめ“紅霧異変”と言ったところだろう─は、もうすぐ解決するだろうってことだよ。

おれ、戦いに関しての勘は外れたことないんだよな。

だから、あの巫女サンがちゃちゃっと解決するんでしょーね。

 

 

スカーレット姉妹の弾幕の打ち合いと宙に留まっている二人を交互に見て、何屋はそんなことを思った。

そして今度は、宙に留まっている二人を見る。

 

「あんたもたまには役に立つじゃない!」

「たまにじゃ無いだろ!」

 

──まだ茶番やってんのか⋅⋅⋅⋅。

 

心の中でため息を吐きながら、姉妹へと目を向けると、そこには抱き合うレミリアとフランドールがいた。

 

「⋅⋅⋅え?和解エンド?」

 

本当につくづく、空気を読まない。この男は。

 

「フラン。いつの間にかこんなに大きくなってたのね⋅⋅⋅」

 

───オムネはどっちかって言うと雇い主サマの方がちっせえがな。

 

「お姉さま、私のことが嫌いなんじゃないの?」

「そんなことないわよ。私のたった一人の妹だもの」

 

─────イイハナシダナー

 

「⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅あんたうっさい!!!姉妹水入らずの時間邪魔すんじゃないわよ!!」

「あれ?気づいてんの?」

 

レミリアはピクピクと額に青筋を浮かべ、何屋を睨み付ける。

そんな事などどこ吹く風といったように、何屋はにへらと笑う。

 

「⋅⋅⋅⋅⋅お姉様とおにーさんって漫才してるの?⋅⋅⋅⋅⋅⋅メオト漫才?ってやつなの?」

 

フランがこの場所に合わない素っ頓狂な声をあげる。

レミリアは耳まで赤くさせ、何屋は正気を疑うような顔をしている。

 

「ばっばばばばばばばば!!ばかいわないでよフラン!だれがこんなちんちくりんのことをすっ⋅⋅⋅すきになるのよ!!」

「わりと正気を疑うぜ?フラン?俺だってお断りだ。

レミリア。もっと色々と大きくなって出直して来なさいあとちんちくりんはてめぇだ」

 

レミリアが結構気にしている事をすらりといいはなった。するとどうだろうか。別の意味でレミリアの顔が赤くなったではないか。

 

「ごろ゛ずぅ゛!!な゛ん゛どじででも゛!!!」

「鬼だァ!!鬼がいるぞォ!!!!!!」

「わはははー!おには~そと~!」

「レミリアは兎も角フランはちげぇだろ!!」

 

レミリアが本気で弾幕を放ち、フランは節分の豆まき感覚で高速の弾幕を何屋へと投げつける。地味に豪速球だったりする。

 

「クソッタレがああああああああああ!!!!!!」

 

走る何屋の真後ろから屋根が弾幕で爆ぜていく。

 

それを見る二人の感想は⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅

「「なにあれ」」

 

でしょうね

 

 

 

 

何屋は走りながら、異変の解決に来たであろう二人の少女を見る。二人の少女は、まるで珍獣を見るような目付きでこちら─主に追いかけられている何屋の方─を見ている。

そこで何屋は一つの案を思い付く。

 

「あーーっ!!異変解決に来た方ですよねぇ!!?俺一般の何でも屋なんですけどォ!ちょっと異変解決していただけませんかねぇ!!?」

 

明確な殺意が込められた段幕とゆるふわ系な段幕を必死に避けながら大声で言った。何屋の言葉を聞いた二人は何屋が指差した方向を見る。

 

「どうするのぜ?罠かも知れないが⋅⋅⋅⋅」

「あんな必死な形相で逃げてるのに罠な訳無いでしょ?」

「ま、それもそうだぜ!それじゃ、レッツ弾幕勝負!!」

 

箒に立ち、三人へ八卦炉を構える。片方はやれやれという風にため息を吐き、お祓い棒を構える。

 

ここに、また新たな戦いの火蓋が切られた。

 




スレスレ投稿!からのスライディング土下座!!(ズザザザァ)

投稿期間が空いてしまいすみません。ぷよクエにはまったりアークナイツを始めたりして筆が全然進まなかったの⋅⋅⋅

次は!次こそは早めに投稿したいデェス!!では!


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何でも屋は失敗を知る

大変長らくお待たせしました。かれこれ二ヶ月手前です。猛省。
頑張ってかきました。暖かい目で見てくだしあ。


それでは、どうぞ





色とりどりの弾幕が自分のはるか上を飛び交う絶景(?)をみながら、何屋は宇宙に到達しかけていた。

 

「──────あーんなスパロボみたいなことされたら、結構萎えるな⋅⋅⋅⋅。

フランちゃんは四人に増えるし、あの時机ぶち壊した槍があんな威力とか。しかもそれと対抗できるビームをフツーに出してるし、あの白黒金髪魔女。

うーん。勝てない☆」

 

紅魔館の一番端の屋根の上で宇宙を悟っている。

てか一番端ってところにチキンさが出てるなあ。

─────あんたぁだぁっとれい!!(迫真)

 

 

 

 

 

 

 

閑話休題。

 

 

「夢想封印!」

 

楽園の巫女──博麗霊夢が、スペルを宣言する。すると、巨大すぎる陰陽玉が紅魔館の上空に出現した。それは大きすぎて、とてもゆっくりと紅魔館へ進んでいた。

そして、強大過ぎる力の奔流が爆ぜ、紅魔館へ襲いかかる。もちろんその力には耐えられず、館は悉く崩壊していった。

 

 

 

ゴウッ!という凄まじい音と共に、紅魔館の屋根まで力の奔流で生じた烈風が、何屋へ襲いかかる。徐々に近づいてくる陰陽玉を見た何屋は、全速力で屋根を駆ける。

 

「俺ぇッ!被害(こうむ)り過ぎだろぉぉぉぉぉおっ!!?」

 

屋根を飛び降り、勢いそのままにまた駆ける。そして大きな瓦礫に身を隠す。何屋の心臓はバクバクである。

 

「ハアッ!ハアッ! ─────なんだよありゃ⋅⋅⋅⋅⋅⋅あ?」

 

隠れた瓦礫から顔を覗かせる。すると、四つの目がこちらを見ていた。

四つの目は、先程まで激闘を繰り広げていた楽園の巫女、博麗霊夢と普通の魔法使い、霧雨魔理沙だった。

ちなみに彼女達は突然アホが顔を覗かせたので結構面食らっている。

 

「あんたって確か⋅⋅⋅雇われ屋だったっけ?」

「だァれが無償労働提供サービスだ!そんなブラックじゃねぇわ!」

 

何屋がつっこむ、沈黙が訪れる。ちょっと気まずい沈黙である。

 

「⋅⋅⋅⋅あの、何でもいいんで話してくれません?」

「あっそ。じゃ、ひとつ。

 

 

 

───────この異変に関わった時点で滅却対象よ。とりあえず滅されなさい」

突拍子もなくいい放つ。何屋からしてみれば、死の宣告にも等しい。そしていい放った瞬間、お札を何屋へ投げる。ほぼほぼゼロ距離である。

 

「ブォイ!!────あっ!帽子ちゃあああああああん!!?!」

 

しゃがんで避けた。そのせいで、被っていた帽子がお札に滅された。帽子は星となった。(‐人‐)ナムナム⋅⋅⋅⋅

 

「ええい、ままよ!ケセラセラじゃああああああっ!!」

 

叫びながらナイフをはじいた日本刀と銀のコンストリクターを取り出した。目が逝きかけてはいるが。

 

「さっさと黙らせましょ。なんかめんどくさそう」

「────────敵に同情するなんてな。御愁傷様、だぜ」

 

二人は散り、弾幕の嵐を何屋へ放つ。

 

「あーもーしーらねっ!──────────『戦闘状態解禁』!」

「「ッ!!?」」

 

顔を附せて呟くと、纏う空気が一変した。

 

「あ、そんなに変わってないよ?ただちょっと強くなるだけだから」

能天気に二人にそう言った。若干張り積めていた空気は一気に爆発四散してしまった。サヨナラ!

 

「ふっ!」

「ははっ!おまえ面白いな!先手必勝だぜ!」

 

霊夢はさっきと同じようにお札を投擲し、魔理沙は素早く箒に乗り、弾幕を撃ち飛ばしていく。もう一度言わせていただくが、ほぼゼロ距離である。

何屋は、それらを見ても、焦ることなく「どっせぇい!!」とおっさんみたいな掛け声と共に日本刀で弾いてコンストリクターを撃ってを繰り返す。

 

「ちょっとォ!!?手加減ぐらいしてやくれませんかねェ!?」

「言ったはずよ。あなたは滅却対象って」

 

淡々と言い放ちながら弾幕を放つ霊夢と魔理沙。

何屋はギリギリで弾いて撃ってを繰り返す。

 

「ああ、なるほどなるほど。つまりおれが倒れるまで攻撃はやめないと?そういうわけですね?」

「ええ。そうね」

「白旗をあげるのは?」

「⋅⋅⋅⋅⋅⋅却下ね」

「うそぉぉぉぉぉおぉ!!!?」

「ぶふっ。」

「笑いましたね!ギルティ!有罪!!」

 

売り言葉に買い言葉の応酬が続き、何屋が跳躍し、霊夢に日本刀を叩きつける。それを霊夢はお祓い棒で受ける。

このやり取りを経て、何屋は素直に疑問に思った。

 

────────なぜ、この者達は命の奪り合いをしないのだろう。なぜ、光の玉をぶつけ合うだけなのだろう。

 

「なあ、なんで本気で殺しに来ない?殺した方が手っ取り早いだろ?」

 

何屋は尋ねた。なんかもうよくわかんなかったから。

 

「! あんた、幻想郷(ココ)のルール知らないの?」

「知らねぇよ。ただ────」

「ただ?」

「胡散臭い人に会って、連れてこられたってだけだな」

「あっ」

「あー⋅⋅⋅⋅⋅」

「? 誰か心当たりがあるのか?」

「「紫ね/だな」」

「(あの人紫って言うのか⋅⋅⋅⋅⋅)」

 

自分をここ(幻想郷)へ連れてきた胡散臭い彼女の名前がわかったところで、今のこの絶望的な状況は変わらない。とはいえ、やっとエンジンが温まってきたところだ。行けるところまで行かせてもらおう。

そう考えた何屋は右に持っていたコンストリクターを左に持ち替える。

 

「まァいいや。俺は一応雇われてるんでね。逃げてばっかじゃあこのシゴトは務まらんのですわ」

 

何屋は明確な殺意を持って引き金を引く。殺す意志と書いて殺意。しかし、何屋は殺意を込めつつも殺す気はなかった。なんとなくだが、いまここで殺生をしてしまうと絶望させられる気がするからだ。なんとなくではあるが。

何屋の戦う程度の能力(カダーヴェレ・アクゥームラ)、“屍を積みし者”のお陰で弾丸を装填する必要など無い。撃ちきっても念じるだけで次の弾丸が装填されている。その異質さを目撃した霊夢は不気味に思って叫ぶ。

 

「何なのよソレ!ソレって何回か撃ったら撃てなくなるんじゃないの!?」

「違うんスよねぇコレが!俺の能力の副産物見たいな?」

「副産物⋅⋅⋅⋅?なあ霊夢。能力って、副産物とかってあるのか?」

「そんなの、聞いたこと無いわよ。能力の応用とかは聞いたことあるけど、副産物って⋅⋅⋅⋅ないわね。改造とかなんじゃない?分かんないけど」

 

会話をしながらも放たれた弾丸を弾幕で迎撃し、弾幕を放つ。しかし、霊夢だけは何屋の異変に気付く。

 

「⋅⋅⋅⋅⋅あいつ、すばしっこくなってるわね」

「そうか?あたしにはそうは見えないぜ?」

 

弾幕勝負の応酬で先程よりは距離が離れた。しかし、レミリアとフランとの距離は少しも離れていない。一度雇われ、命令を下された身だ。それに背くのは何でも屋の矜持に反する。

弾幕が二人の元へ届こうものなら弾き穿ち、当たる心配が無いのなら往なしてどこかへ飛ばす。

 

「しっかしまあ、あんたもシュミ悪いね。俺が依頼主二人を守ってると気付くや否や狙ってくる。外道か?」

「外道じゃないわよ。試してみただけ」

「外道って思ってないところが外道だね」

「⋅⋅⋅⋅まあいいわ。ちゃちゃっと終わらせてお茶でも啜りましょ」

 

先程ばら蒔いたお札を右と左で交互に一瞥すると、あることを確認してお祓い棒を構える。すると、何屋の足元にあったお札が突如光り出し、そこから細い注連縄が勢いよく飛び出して何屋に巻き付いた。能力の効果でパワーアップしている(このときの状態で半端な妖怪なら余裕で殺せる)がそれでは未だ博麗の巫女には届かない。

 

「ウッソ。やけにお札蒔くなあって思ってたけど、まさかこれのためってこと?

────初見殺しもいいとこだよ⋅⋅⋅⋅ねッ!!」

 

注連縄が弾け飛ぶ。これには魔理沙は目を見開く。自分から初見殺しだの言っておきながらそれを身体を震わせて破壊したのだ。しかし当の霊夢はいたって冷静。逆に、予想通り。といった顔だ。

 

「────《博麗結札・爆式》」

「うそぉん⋅⋅⋅⋅」

 

霊夢がそう唱えると、お札が再び光り出した。 

まるで、なにかを内包するかのように丸く光った。そしてその直後、爆発した。

最初は何屋の足元のお札が爆発しただけだったが、それに連鎖して次々と爆発していく。

爆発で生じた煙が晴れると、倒れ伏している何屋がいた。爆風にやられ、コートもどこかへ行ってしまっている。

 

「一応爆破の術式を編んどいて良かったわ」

「まーた勘が当たったのかよ?なんかラッキー過ぎやしないか?」

「なによ。タネも仕掛けも無いわよ。勘なんだから」

 

「はいはいどーも!清く正しいしゃめ「汚く捏造の間違いじゃないの?」ちっ、違いますよ!私はただ真実を知らない読者のために分かりやすいよう編纂しているだけです!」

「それがダメだっての!」

 

“自称”清く正しいブン屋こと射命丸文が、まるで霊夢、魔理沙と何屋の戦いの終わりを見計らったかのようなタイミングで現れた。首に外来品を元にしたカッパ特製のカメラを下げている。

 

「インタビューさせてもらっても?」

 

いったいどこから取り出したのか、手帳とペンを手に持ち、一言一句聞き逃すまいと前のめりになっている。

それを嫌そうな目で見ている霊夢は「嫌よ。宴会でどーせ魔理沙が話すんだし、それでいいでしょ」とハッキリと断った。

射命丸は頬を膨らませてむすーっとしているがあきらめて写真を数枚だけとって飛び去っていった。

 

「ま、何はともあれ異変解決ね。帰って宴会の準備でもしましょうか」

「おっ、いいなぁ!賛成だぜ!!」

「そうと決まれば、早めにしないとね」

 

二人は宙へ浮き、飛び去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご機嫌はいかが?」スキマから身を乗り出し扇子で口元を隠している妖しげで胡散臭い雰囲気を放っている女性がコートが吹き飛び、白のワイシャツと背中でクロスするタイプのサスペンダーを着けている青年に尋ねる。青年は動かず、うつ伏せのまま「⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅最悪だ。依頼をこなせなかったのは初めてかもしれん」と、そう答えた。

 

紅い雲から差し込む青い空。そして、日の光。それらは絶対に交わることのないモノだったが、交わってしまった今、それはとても幻想的で、何屋の心を表していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Filename:カヤ・イン・ザ・レッド・デビル

                     Fin




いかがでしたか?東方何でも屋、みなさんのお気に入りになれば幸いです。
今度はもっと早く投稿したいなぁ。

では。では。作業効率が上がりますように


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