目指せ事故率5% (図1のようになります)
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たーん1 罠だらけの入試試験

「行け!フレイムウィングマン!スカイスクレーパーシュート!!」

 

「マンマミーア!ワタシがこんなドロップアウトボーイに負けるなん〜て!」

 

下からそんな声が聞こえ、周りの人たちも騒ぎ始める。

その騒がしさに、今まで眠りこけていた少年が気だるそうに眼を開けた。

 

「ふあ…んん、なんか周りが騒がしいな…てか今何番辺りだ?」

 

そう言って次呼ばれる受験番号を確認しようとするが、

 

「はぁ、それではこれにて実技試験を終了しますーノ」

 

「うぇぇい!?ちょっと待って〜!!!」

 

そう叫びながら慌てて階段を降りる。

 

「受験番号87番!自分の試験がまだ行われていません!!」

 

「なんです〜ト?87番は確かに呼んだはずです〜ノ」

 

「すみません。(寝ていたから)聞こえてませんでした。今から試験を受けさせては貰えないでしょうか?」

 

さすがに「寝てました」と堂々と言うことは出来ず、必死になってお願いする。

 

「(ムムム…今ここで目の前のシニョールに勝てば、さっきドロップアウトボーイに負けたのはマグレだということを証明できる〜ノ)いいでショウ。アナタの試験はこのクロノスが担当するノーネ」

 

「あ、ありがとうございます!(よし、寝過ごしてたのはばれてない!)」

 

お互いに頭では別の事を考えながら、デュエルディスクを構える。

 

「「デュエル!!」

 

「先行は受験生からなノーネ」

 

「分かりした。僕のターン、ドロー!」

 

そのまま手札を確認するが…

 

(しまったぁぁぁ!!寝ぼけてネタデッキの方を持って来ちゃった…まあでも、これなら十分戦えるや)

「カードを5枚セットし、ターンエンド」

 

ターンエンドを告げると、周りから「あいつモンスター来てないのかよ」「どうせブラフだろ」「終わったな」なんて呆れたような声が聞こえて来る。まあ、普通見てたらそう思うよな。でも実際デュエルしてると、ガン伏せってかなりこわいんだよ?なにされるか分かんないから。

 

「たしかー二、それだけ伏せカードがあるとこちらからは動きにくくなりますが、発動出来なければ意味はなイーノ。魔法カード『大嵐』を発動!」

 

「さすがにそれは通しません!大嵐の発動にチェーンして、『大革命返し』を発動!このカードはフィールド上のカードを2枚以上破壊する魔法、罠、モンスター効果が発動した時、その発動を無効にし、そのカードを除外します。よって、先生の発動した大嵐の効果は無効となります!」

 

大嵐の発動と共にフィールド上に嵐が巻き起こったかと思えば、突如兵士の格好をした人が大勢現れ、嵐に向かって突進して行った。先頭の人達が吹き飛ばされても、兵士達は荒れ狂う風に立ち向かっていく。半分程の人が吹き飛ばされながらも、ついに人の波が嵐を掻き消した。兵士達が大声で勝利の雄叫びを上げると、そのまま消えていった。

 

え、なにこのドラマ。何かすごい感動があるんですけど。あ、クロノス先生もちょっと感動してるっぽい。

 

「ゴホンッ、中々やるノーネ。ならば『古代の機械兵士(アンティークギアソルジャー)』を召喚するノーネ!」

 

「それもさせません!リバースカードオープン!『サンダーブレイク』!手札を1枚捨て、フィールド上のカードを1枚破壊する。対象はもちろんアンティークギアソルジャー!」

 

今度はフィールド上にアンティークギアソルジャーが出ると、突然その頭上に雷が落ちてきて、アンティークギアソルジャーを一瞬で黒焦げにしてしまった。

 

「ムムム、流石に5枚も伏せてあると中々動けないーノ。ワタシはカードを1枚伏せてターンを終了するノーネ」

 

「エンドフェイズ時、罠カードを発動します。『死霊ゾーマ』、このカードは発動後に守備表示でフィールドに特殊召喚されます」

 

フィールドに不気味な幽霊みたいのが現れると、クロノス先生をじっと見つめながら、ふよふよと浮いている。…まさか、あれが防御体制なの?

 

「僕のターン、ドロー。準備は出来た、ここで終わらせていただきます!リバースカードオープン!『カース・オブ・スタチュー』!このカードも、発動後にモンスターカードとしてフィールドに特殊召喚されます。そして、2体の攻撃力は1800です。ゾーマを攻撃表示にしてバトル!カース・オブ・スタチューで先生にダイレクトアタック!」

 

「トラップモンスターには驚かされましたが、まだまだ甘いのーネ、罠カード『聖なるバリア-ミラーフォース-』を発動!こちらの伏せカードにも気を付けるべきだったのーネ」

 

「もちろん、警戒していましたよ。チェーンして最後のリバースカードオープン、『宮廷のしきたり』を発動。このカードがフィールド上にある限り、このカード以外の永続罠は破壊されません。よって、聖なるバリア-ミラーフォース-の効果は不発、攻撃は続行されます。行け!カース・オブ・スタチュー!」

 

クロノスLP 4000→2200

 

「ムググググ…ですが、2体のモンスターの攻撃力は合計3600、まだ終わりではないのーネ!」

 

「言ったはずです、終わらせていただくと!死霊ゾーマでダイレクトアタック!さらにダメージステップに墓地から罠カード『スキルサクセサー』を発動!」

 

「「「「墓地から罠カード(ですート)!!??」」」」

 

おお、会場の方からも驚きの声が。皆さんノリがいいですね。そういうノリ、嫌いじゃないよ。

 

「スキルサクセサーは墓地に存在する時、除外することによって自分のモンスター1体の攻撃力を800上げます。ちなみにこの効果は自分のターンにしか使えず、また、墓地に送られたターンにも使えません」

 

「い、いつのまにそんなカードを…ま、まさかあのサンダーブレイクの時に…」

 

そう、最初のターンに伏せていなかった最後の1枚がこのスキルサクセサーだ。というか、ネタで入れただけのこのカードがこんな活躍するなんて…

 

「ご名答。これで死霊ゾーマの攻撃力は2600。先生の残りのライフを削り切れる。やれ、死霊ゾーマ!『デス・ナイトメア』!」

 

クロノスLP 2200→-400

 

「ペペロンチーノ!ま、まさかワタシが2回も連続で負けるなんーテ…」

 

な、なんかすごい落ち込んじゃったな…って、そういえば先生さっきもドロップアウトボーイとか呼ばれてる人に負けてたっけ、2連続で負ければ、そらショックだわな…

 

「あ、あの、ありがとうございました。それでは僕はこれで」

 

なんか周りから、「嘘だろ、あのクロノス教諭にこんなにもアッサリと…」「試験官にワンショットキルするやつなんて始めてじゃないか?」「ていうかあいつさっきまでそこで寝てたやつじゃないか?」とか聞こえ始めたのでサッサと退散することにした。特に最後の、やっぱ寝てたのばれてら。

 

「試験結果、どうなるかな…」

 

一抹の不安を抱えながら、決闘場を後にしようとしたら、後ろから肩叩かれた。

 

「ああすまない。87番君だね?ちょっと聞きたい事があるんだが」

 

「うん、いいよ。あと、僕の名前は天城連夜(あまぎれんや)っていうんだ。これからは名前でよろしく」

 

「む、それはすまなかった。俺は三沢大地だ。それで隣にいるのが…」

 

「なあなあ、あんたさっきクロノス先生に勝ったやつだろ?俺とデュエルしようぜ!」

 

「アニキ、自己紹介くらいしたらどうッスか?あ、僕は丸藤翔ッス」

 

「わりいわりい、俺は遊城十代。なあ、そんなことよりもデュエルしようぜ!」

 

「あ〜、悪いんだけど、このデッキでやるのはパス。そういえば三沢くん、僕に聞きたい事って何?」

 

「いや、さっきの君のデュエルを見ていたらトラップカードしか出ていなかったからな。いったいどんなデッキ構成なのかを聞きたかったんだ」

 

「ああ、そりゃあんだけトラップばっかだったら、手札事故か、もともとトラップが多いかのどちらかしか考えられないもんね。ちなみに僕のは後者の方ね」

 

「ほう、参考までにどれだけ入ってるか聞いても?」

 

「40枚」

 

「「「はあ?」」」

 

「だから、あのデッキは40枚全部罠カードでできてんの」

 

「「「何ィィィ!!??」」」

 

ほんと、いい反応ですね、皆さん。

 

「いや、待ってくれ。そんなデッキでいったいどうやって勝つと…ああ、それであのトラップモンスター達か」

 

「うん。基本的には罠カードで防ぎながら、トラップモンスターで殴るのが戦い方だからね」

 

「すげぇな、よくそんなデッキ思い付くな」

 

「そうっすね。あれ、でもなんでアニキとのデュエルは断ったんスか?」

 

「ああうん、分かるとは思うけど、実はこのデッキネタで作ったデッキなんだ。そんなデッキで相手するのはちょっとねぇ…」

 

「クロノス先生はそのネタデッキにワンショットキルされたんスね…」

 

「あれはたまたまだよ。このデッキ、事故率そこそこ高いし、何よりも弱点が明確すぎる」

 

「え?弱点って?」

 

「サイコショッカーや王宮のお触れなんかだな。発動された時点でカウンタートラップで無効に出来なければその時点で負けが確定する。なんせ罠カードしかないんだからな。どうしようもない」

 

「そういうこと。だからこのデッキはネタ止まりなんだ」

 

「ふーん、じゃあ、連夜の本当のデッキってどんなデッキなんだ?」

 

「うーん、僕は色んなデッキ使ってるから、どれが本当の、とかはないんだよね。もちろん、とっておきのデッキもあるけど、それはまたの機会に、ということで」

 

「じゃあ、今度そのデッキでデュエルしようぜ!」

 

「その時はぜひ俺も呼んでくれ。君がどんなデッキを使うのか、非常に興味深い」

 

「あ、じゃあ僕も!連夜君の使うデッキ、気になるッス!」

 

「あはは、じゃあその時が来るためには、みんな合格しないとね」

 

自分で言ってて思う。お前が言うなと。

 

「ふ、ここにいる面子なら心配ないだろう」

 

「そうだぜ、なんとかなるって!」

 

「うう、僕はちょっと心配ッス〜」

 

翔の自信無さげなセリフに2人とも苦笑いしていた。

 

そうやって話をして、笑いあってるうちに、僕の抱えていた不安もいつの間にか消えていた。

 




初めまして。図1のようになります。です。とりあえず1話だけ書いてみましたが、次がいつになるかは分かりません。(実はまだプロローグを書いていないという怠慢さ)ある程度まとめて投稿しようと思います。

※デッキレシピは希望があれば出します。これはすぐ出せるし。

※死霊ゾーマについていろいろと訂正しました。

※マジックディフレクターも大革命返しに変更しました。

※タグの変更をしました。


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たーん0 ぷろろーぐ

あえてここで入れるプロローグ


目が覚めました。知らない部屋でした。うん、自分でも何言ってるか分からん。

 

「…どういうこと?これ?」

 

昨日は夜に勉強終わった後、遊戯王のカードを整理してたはずなんだけど…まあ、恐らく途中で寝落ちしたんだろう。そこまではいいんだ。問題なのは、目が覚めたら知らない部屋になっていたことだ。そう、なっていたんだ。

 

「ここ、僕の部屋、なんだよね?」

 

見渡せば、見覚えのある物がけっこうある。勉強机も、ベッドや布団も、はては本棚の中のマンガまで、僕の部屋にあったものと同じものだ。でも、配置がまるで違う。そもそも前の僕の部屋はこんなにも広くなかった。1.5倍は軽くある。そして何よりも

 

「僕の、カードだ…」

 

机の上に散らばっていたのは、間違いなく自分のカードだった。1枚1枚カードを確かめていると、机の端の方にハガキが見えた。

 

「宛名は天城連夜と…うん、やっぱり僕の名前だ。でもなんだろ、この住所。童実野町?そんな地名地元にはなかったけど…」

 

宛名を確認し、くるりとハガキを裏返して内容を見る。

 

「えーと、なになに?『デュエルアカデミア入試試験案内』?…って、デュエルアカデミア!?どういうこと!?」

 

デュエルアカデミアってあれか?つまり遊戯王の学校なのか?本当にいったいどうい状況なんだ!?

 

「あ…受験番号書いてある。87番?へえ、これって筆記試験の結果でもあるのか…って筆記はもう終わってんのかよ!?」

 

ホント、もう何が何やら…

 

「とりあえず、仕方ないし、試験について調べてみるか」

 

パソコンを起動して、ネットでデュエルアカデミアを検索してみると、1番上にデュエルアカデミア本校のホームページがあった。

 

「ほんとにあったよ、アカデミア…アカデミアがあるってことは、アニメで言うGXの世界か?いや、5D'sにもデュエルアカデミアってあったような…」

 

遊戯王はあんまりアニメ見なかったんだよね。特にGXは放映時間に習い事があったから1話も見てないんだよね。5D'sは結構見てたけど。

 

「あ、そうだ。カード検索かければいいんだ。シンクロあれば5D'sってことなんだし」

 

今度は遊戯王、シンクロカードで検索してみたら、全くヒットしなかった。1番上にあったのは…

 

「『真六武衆』…な、なるほど、シンクロじゃなくて、しんろく、か。この発想は無かった。って、シンクロは無いのに真六武衆はあるんだ」

 

確定。ここ、GXの世界だ。カード群はおかしいけど、5D'sでシンクロが無いということはまずないだろう。確かシンクロ召喚はモーメントに深く関係してるはずだし。

 

そんな事を考えながら、他にどんなカードがあるのか調べていると、どこからかブーン、ブーンと携帯のバイブ音が聞こえたので、慌てて携帯を探すと、ベッドの上で震えているスマホが見つかった。

 

「(携帯は前と同じなんだ…)はい、もしもし?」

 

「あ、連くん?デュエルアカデミアの筆記試験通ったって?おめでとー」

 

「あれ?母さん?なんで知ってるの?てか今どこにいるの?」

 

「なんでって、私のとこにもさっき連絡が来たからよ。多分お父さんにも結果は伝わってるはずよ。あと、今はまだ会社の中よ。海馬コーポレーション本社ビルの。」

 

「…へ?」

 

「なによ、その気の抜けた返事は。言っておくけど、今は休憩中だからね。け、し、て、仕事抜け出したわけじゃないからね。お父さんはまだ開発室にこもってるけど、まあ、そのうち連絡するでしょ」

 

(いやいや、そんな休憩中がどうとかじやなくて、自分の両親があの海馬コーポレーションの本社にいることに驚いてるんだよ!ほんと、この世界ってどうなってんの!)

 

「今度、実技の方の試験もあるんでしょ?まだ暫く帰れそうに無いけど、しっかり頑張るのよ!じゃ、またね」

 

「え、ちょ!ってもう切っちゃってるよ、あの人。マイペースな性格は変わってないんだな…」

 

もう驚くこともないけど、と呟きながら、目の前のカードの山に目をやる。

 

「まだよく分かんないことばっかだけど、頑張れって言われたし、試験の準備でもしますか。そういえば、試験日っていつだろ?」

 

試験案内のハガキを見ると、試験日は2月23日とあった。

 

「23日か。で、今日はっと」

 

スマホのカレンダーを見ると、そこには2月22日とあった。

 

「ふむ、なるほど、明日なのか…って明日かよ!?ああ、だからこのカードの山な訳ね、じゃない!準備急がないと!」

 

時間は既に夜の11時。

 

「ちくしょう。結局昨日、いや、前の世界と同じ状況じゃないか。いや、試験なんて重要なものがある分、こっちの方が断然キツイ」

 

身に降りかかった理不尽にボヤきながら、デッキを作っていく。幸いにも、前の世界で自分が持っていたカードはシンクロやエクシーズを省くとほとんどがそろっていた。

 

「せっかくだから、何か見栄えのいいデッキがいいな。でも単純なビートダウンじゃつまんないし…ちょっと重いけど、カオスドラゴンでも作るか、いや、逆に低レベルモンスターのビートを、ワイトも面白いな」

 

頭の中に浮かんだデッキをいろいろと組んでいる内に、夜は更けて行った。

 

結局、最初に浮かんだカオスドラゴンを試験用のデッキとして組んだ。あとついでに深夜のテンションでネタデッキを作ってみたが、まああれを試験で使うことは無いだろう。

 

試験当日。寝るのが遅かったにも関わらず、特に寝坊もすることがなくきちんと起きることができた。朝食をしっかり取り、手早く身なりを整えて中学校の制服に袖を通す。

 

「よし、行くか」

 

気合いを入れるために頬を両手で叩く。自室に戻ると、昨日(というか今日)作ったデッキを手にし、「今日は頼むよ」と呟き、デッキケースにしまう。

 

玄関のドアを開け、新たな生活への第一歩を踏み出す。

 

これから始まる波乱の日常を、この時の僕は予想もしていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 




どうも、図1のようになります。です。主人公の入試前日のお話しになります。ちなみに、主人公の両親は海馬コーポレーションのデュエル部門、技術開発部という部署に所属しています。2人そろって研究室に篭る日が多く、滅多に家には帰ってきません。ちなみに前の世界でも2人とも似たような仕事をしていました。え、カオスドラゴン?多分もう出て来ないと思います…


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たーん2 バトル・ザ・ヒーロー

今回ちょっと長くなります。


いろいろと不安の残る試験だったが、結論から言うと、僕は合格できた。…オシリスレッドとして。ああ、やっぱり受験番号呼ばれてたのに、それを無視してたのは大きいよね。むしろよく合格できたと思う。やっぱりあの時クロノス先生に勝ったのがいいパフォーマンスになったんだろう。ありがとうございました、クロノス先生。

 

「それにしても不思議ッスね。筆記試験も87位で実技でもクロノス先生をワンショットキルした天城くんがオシリスレッドだなんて」

 

翔君が訝しげにこちらを見ながら、そんな事を口にする。

 

「あははは、実は受験番号呼ばれた時寝てたんだよね。本当なら不合格になっててもおかしくなかったんだよ。でも、クロノス先生に勝ったから、救済措置としてレッド生になったってことだろうね」

 

「し、試験中に寝るなんて…やっぱり余裕だったんスね」

 

「いや、ただ徹夜でデッキ組んでたせいで寝不足だっただけ。その時試験用のデッキのついでにあのネタデッキも組んでたみたんだけど、まさかそのネタの方で試験に臨むとは思ってなかったよ」

 

僕の試験の裏事情みたいなのを話しているうちに、レッド寮が見えてきた。

 

「なんか、漫画とかで出てきそうなボロアパートって感じだね」

 

「こ、これがレッド寮なんスか?」

 

「なんだ、結構いいところじゃんか」

 

さすが十代、豪胆だなあ…

 

「ま、住めば都とも言うし、そのうち慣れるよ」

 

「アニキも天城くんも適応力高すぎッスよ…」

 

レッド寮の感想を言いつつ、各自の部屋へ向かう。翔君と十代は同じ部屋、僕はその隣の部屋だった。

 

「失礼しまーす…って、誰もいないし…ベッドも一つしかない、一人部屋なんだ。あれ、でも十代と翔君は一緒の部屋だったのに、なんでここは一人部屋なんだ?」

 

そんな疑問をブツブツと呟いていると、隣の部屋から「「デ、デスコアラ〜!?」」という声が聞こえてきた。デスコアラのぬいぐるみでもあったのかな?だとしたらちょっと見てみたいな。

 

荷物の整理をしていると、今日支給されたPDAが鳴った。内容は、「早速デュエルしようぜ!」という十代からのお誘いのメールだった。短くOK、とだけ返し、先程片付けた荷物の中から、デッキの入った箱を引っ張り出す。

 

「何のデッキでがいいかな?そういえば十代って試験の時フレイムウィングマン使ってたな、ならこれがいいか」

 

選んだデッキとデュエルディスクを手に部屋を出る。

 

外に出ると、既に十代はデュエルディスクを構えていた。

 

「お待たせ。じゃ、やろうか!」

 

「おう、待ちくたびれたぜ!って、連夜のデュエルディスク、学校支給のじゃないんだな?」

 

「ああこれ?海馬コーポレーションが開発した、最新型のデュエルディスクなんだ。僕はこれのテストプレイヤーだからね」

 

「なんだよそれ!いいなー」

 

「あはは、実はウチの両親がこれの開発に携わっていてね、その関係でテストプレイヤーになることになったんだ」

 

実はこれ、さっき荷解きした荷物の中にあったものだ。見覚えのない段ボールに入ってたから、なんだろ?と思って開けると、中に手紙と一緒に入っていた。ちなみに手紙は両親からのもので、「入学祝い。ついでにテストプレイヤーとして定期的にレポートよろしく!」とあった。レポートは面倒だけど、最新型のデュエルディスクを貰えたのは正直嬉しかった。

 

「へぇー、なんか羨ましいな、そういうの。まあいいや、早くデュエルしようぜ!」

 

「そうだね、それじゃ」

 

「「デュエル!」」

 

「先行は俺だな。ドロー!『E・HEROスパークマン』を攻撃表示で召喚!さらにカードを1枚伏せてターンエンド」

 

「僕のターン、ドロー。『E・HEROフォレストマン』を守備表示で召喚!」

 

「E・HERO!?連夜もHEROデッキを使うのか!?」

 

「ふふ、僕のデッキの一つだよ。続けるよ、僕はカードを1枚伏せてターンエンド」

 

「俺のヒーロー達も負けてないぜ!俺のターン、ドロー!手札から『強欲な壺』を発動、2枚ドロー!さらに手札の『E・HEROバーストレディ』と『E・HEROフェザーマン』を融合!現れろ!マイフェイバリットカード、『E・HEROフレイムウィングマン』!」

 

「なるほど、それが十代の切り札ってわけか」

 

「そうだ、これが俺のフェイバリットHERO、フレイムウィングマンだ!いくぜ、バトル!フレイムウィングマンで…」

 

「おっと、させないよ!リバースカードオープン、『威嚇する咆哮』。このカードを発動したターン、相手は攻撃宣言ができなくなるよ」

 

「えー、じゃあ俺はこのターン攻撃できないのかよ。ちぇっ、このままターンエンドだ」

 

「僕のターン、ドロー。スタンバイフェイズ時、フォレストマンの効果を発動。デッキまたは墓地から『融合』のカードを手札に加える。さらに速攻魔法『サイクロン』を発動、十代の伏せカードを破壊する」

 

「くっ、俺のヒーローシグナルが…」

 

「さらに手札から『E・HEROエアーマン』を召喚!このカードは召喚、特殊召喚した時にこのカード以外のHEROの数だけ魔法、罠を破壊する効果と、デッキからHEROをサーチする効果の2つある。僕はサーチの方を発動。デッキから『E・HEROオーシャン』を手札に。そして手札のオーシャンと場のエアーマンを融合!見せてあげるよ。これがこのデッキの最強のHEROだ!現れろ!『E・HEROアブソルートZero』!」

 

Zeroが出現した途端、フィールドが冷気に包まれた。ちょっと肌寒い。

 

「かっけえ!それがお前の最強のHEROか!」

 

「そ。どう強いかはそのうち分かるとおもうよ。取り敢えずはバトル!アブソルートZeroでフレイムウィングマンを攻撃〈氷結する世界(フリージング・ワールド)〉!」

 

アブソルートZeroがフレイムウィングマンに手をかざすと、凄まじい勢いの吹雪がフレイムウィングマンを包み、一瞬で凍りつかせた。

 

「く、フレイムウィングマンが…」

 

「僕はカードを1枚伏せてターンエンド」

 

「俺のターン、ドロー!く、本当はなるべく使いたくなかったけど仕方ない。俺は手札からフィールド魔法『摩天楼スカイスクレーパー』を発動!せっかくのヒーロー対決だ。それにふさわしい舞台じゃないとな!」

 

「いいねえ、そのノリ。嫌いじゃないよ!」

 

「だろ?いくぜ、バトル!スパークマンでアブソルートZeroを攻撃!スカイスクレーパーの効果により、ヒーローが攻撃をする時、攻撃力を1000ポイントアップさせるぜ!」

 

ビルの間を潜り抜けて急接近して来たスパークマンの掌から放出された電気がZeroに向かう。しかし、突然フィールドに謎の装置が現れ、Zeroの姿が一瞬で消える。

 

「罠カード『亜空間物質転送装置』。自分のモンスターをエンドフェイズまで除外するよ」

 

「く、防がれたか。守備表示のフォレストマンにはスカイスクレーパーの効果は効かないから攻撃が出来ない…」

 

「それだけじゃないよ。Zeroがフィールドから離れる時、相手フィールド上のモンスターを全て破壊する!『崩落する氷山(クランブル・アイスバーグ)』!」

 

突如十代のフィールドが氷に覆われ、スパークマンもその氷に呑み込まれる。

 

「くっ、スパークマン…。なるほど、それが最強のヒーローの理由か?」

 

「そういうこと。擬似サンダーボルトだよ。中々頼もしいでしょ?」

 

「へへ、確かにな。だけどまだ負けた訳じゃないぜ!俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

「エンドフェイズ時にZeroは帰還する。僕のターン、ドロー。スタンバイフェイズ時にデッキから融合を手札に。メインフェイズ、手札から『大嵐』を発動するよ」

 

「させるか!リバースカードオープン!『クリボーを呼ぶ笛』!俺はデッキから『ハネクリボー』を守備表示で特殊召喚するぜ!」

 

「ハネクリボーを召喚されたか、やるねえ。僕は手札から『E・HEROザ・ヒート』

を召喚。さらに『ミラクルフュージョン』を発動。場のザ・ヒートと墓地のエアーマンを除外し、融合召喚!現れよ、『E・HEROノヴァマスター』!」

 

「おお!また新しいヒーローか!そいつもカッコいいな!」

 

「ありがと、じゃあバトル!ノヴァマスターでハネクリボーを攻撃!えーっと…す、『紅蓮の新星(スカーレット・ノヴァ)』!」

 

ごめんなさい。いつか出るかもしれないレモンの最終進化形態さん。

 

「ノヴァマスターの効果、相手モンスターを破壊した時1枚ドローできる。でもハネクリボーが破壊されたターン、これ以上はダメージを与えられない。僕はこのままターンエンド」

 

 

「俺のターン、ドロー!『E・HERO バブルマン』を召喚!このカードが召喚された時、フィールドに他のカードが無ければデッキから2枚ドローできる。ドロー!さらに手札から『バブルシャッフル』を発動!バブルマンとノヴァマスターを守備表示にし、その後バブルマンを生け贄に手札から『E・HEROエッジマン』を特殊召喚!」

 

「え、嘘、ちょっ(こっちのバブルマンってこんな効果ゆるいの!?)」

 

「まだまだぁ!魔法カード『ホープ・オブ・フィフス』を発動!墓地のスパークマン、フェザーマン、バーストレディ、フレイムウィングマン、バブルマンをデッキに戻し、2枚ドロー!手札から融合を発動!手札の『E・HEROワイルドマン』と場のエッジマンを融合!現れろ!『E・HEROワイルドジャギーマン』!いくぜ、バトル!ワイルドジャギーマンは敵のモンスター全てに攻撃出来る、フォレストマン、ノヴァマスター、アブソルートZeroの順に攻撃!『インフィニティ・エッジ・スライサー』!」

 

連夜LP 4000→3900

 

僕のフィールドのモンスターが一瞬で切り倒される。Zeroは最後にワイルドジャギーマンを道連れにしていたが、あっという間にフィールドが焼け野原に…

 

(だ、大丈夫!十代の手札は1枚、こっちは次のドローで3枚になる。まだこっちの方が「さらに!」

 

「まだ何かあんの!?」

 

「おう!手札がこのカード1枚の時、バブルマンは特殊召喚出来る!バブルマンを特殊召喚!効果で2枚ドロー!」

 

「またバブルマン!?」

 

くそう、そんなんだから強欲なバブルマンとか呼ばれるんだ!

 

「よし!手札から『悪夢の蜃気楼』を発動!カードを1枚伏せてターンエンド」

 

…そりゃカードがいろいろ変わってるんだから、禁止、制限も変わってるよね。ちゃんと確かめときゃよかった…

 

「ぼ、僕のターン、ドロー」

 

「スタンバイフェイズ時、悪夢の蜃気楼の効果で4枚ドロー!」

 

「ああもう!なんか一気に手札枚数逆転されてるし!魔法カード『ヒーローアライブ』を発動!自分フィールド上にモンスターがいない時、ライフを半分払ってデッキからE・HEROを特殊召喚する!『E・HEROボルテック』を攻撃表示で特殊召喚!さらに手札から『E・HEROレディ・オブ・ファイア』を召喚!バトル!レディ・オブ・ファイアでバブルマンを攻撃!ボルテックでダイレクトアタック!」

 

十代LP 4000→3000

連夜LP 3900→1950

 

「さらにボルテックが相手に戦闘ダメージを与えた時、除外されたヒーローを特殊召喚出来る!舞い戻れ!エアーマン!効果で『E・HEROキャプテンゴールド』を手札に。エアーマンで追撃だ!」

 

十代LP 3000→1200

 

「メインフェイズ2、僕はレディ・オブ・ファイアとボルテックを融合!現れろ!『E・HERO THE シャイニング』!」

 

「また新しいヒーロー!本当にワクワクするなあ!」

 

「こっちは君のドロー運に驚いてるけどね…シャイニングは除外されているヒーローの数×300ポイント攻撃力が上がる。今除外されてるヒーローはザ・ヒートのみ。よって攻撃力が300アップする」

 

ザ・シャイニング攻撃力 2600→2900

 

「これでターンエンド」

 

「エンドフェイズ時、魔法カード『非常食』を発動するぜ。悪夢の蜃気楼を墓地に送ってライフを1000回復だ」

 

十代LP 1200→2200

 

「なんかライフも逆転されてるし…」

 

あ、なんか嫌な予感。

 

「俺のターン、ドロー!手札の『E・HEROネクロダークマン』とワイルドマンを融合!『E・HEROネクロイドシャーマン』を融合召喚!」

 

「え、ま、まさか!」

 

「そのまさかだ!ネクロイドシャーマンの効果発動!このカードが特殊召喚された時、相手のモンスターを1体破壊する!その後相手の墓地からモンスターを1体蘇生させる!ザ・シャイニングを破壊!さらに連夜の墓地からボルテックを攻撃表示で特殊召喚!」

 

あ、やばい。これ。

 

「シャイニングの効果発動。フィールド上から墓地に送られた時、除外されてるヒーローを2体まで手札に加える。ザ・ヒートを手札に加えるよ」

 

「だけどこれで準備は整った!ネクロダークマンが墓地にいる時、一度だけレベル5以上のE・HEROを生け贄無しで召喚出来る!エッジマンを召喚!」

 

…えー…なにこのチート。まさか最後の手札、あれじゃないよねぇ?あれ、これってもしかしてフラグ?

 

「バトル!ネクロイドシャーマンでボルテックに、エッジマンでエアーマンに攻撃だ!」

 

連夜LP 1950→1050→250

 

あのカードがありませんように…

 

「さらに速攻魔法『融合解除』発動!」

 

「やっぱりあったよ、こんちくしょう!ああもう!来い!十代!」

 

「ああ、行くぜ!融合解除の効果により、ネクロイドシャーマンを融合デッキに戻して墓地からワイルドマンとネクロダークマンを特殊召喚!そのままダイレクトアタック!」

 

連夜LP 250→-2850

 

「ガッチャ!楽しいデュエルだったぜ!」

 

「僕もここまで一気に逆転されたのは初めてだよ。まったく、凄まじいドロー運だね」

 

「ふ、2人とも凄かったッス!さすがあのクロノス教諭に勝った2人ッスね!」

 

「ああ、十代のドロー運もさる事ながら、天城のプレイングにも光るものがあった。2人共素晴らしいデュエルだったな」

 

「「「あ、三沢(くん)いたんだ」」」

 

「いたよ!デュエル始まってからずっといたよ!というか天城!お前が呼んだんじゃないか!」

 

「あ、そういえばそうだった!」

 

試験の日に、デュエルする時は呼んでくれって言われてたからPDAでよびだしたんだった。

 

「まあいい。それで?天城のデッキは十代と同じでHEROなのか?」

 

「あ、さっき翔くんと十代にも言ったんだけど、これはあくまでも僕のデッキの一つなんだ。あと、確かにデッキはHEROだけど、E・HEROだけじゃなくて他のHEROも入ってるんだ」

 

そう言って自分の融合デッキからV・HEROやM・HEROを見せる。

 

「すげえ!こんなHEROもいるのか!」

 

「うん。こんな感じで、色んなヒーローを使い回すのがこのデッキなんだ。あ、そうだ。十代、良かったらこれ、使ってくれないかな?」

 

融合デッキからアブソルートZeroを抜くと、十代へと渡す。

 

「え、いいのか?これお前の最強ヒーローなんだろ?」

 

「うん。僕はまだ持ってるし、なんだかこのカードが君に使って欲しそうな感じがしたから」

 

「そういうことなら、ありがたく使わせてもらうぜ。サンキュー、連夜」

 

「どういたしまして。大切に使ってやってくれ」

 

「あー!アニキだけずるいッスよ〜」

 

「あはは、翔くんはまた今度ね」

 

「本当ッスか!約束ッスよ!」

 

「しかし本当にいいのか?見たところ、相当なレアカードなんじゃないか?」

 

はしゃいでる翔くんの傍で三沢くんが心配そうな、というよりも僕の意思を確かめたいのだろう。そんなことを聞いてくる。

 

「さっきも言ったけど、同じカードはまだ持ってるし、僕の場合デッキも複数使い分けるからね。使われないより、使ってくれる人がいた方がカードにとってもいいんじゃないかな」

 

「なるほどな。変わった考え方をするんだな、君は普通ならそんなレアカードを手放したりはしないだろうに」

 

「人は人、僕は僕ってね」

 

「ふ、そういうものか。次はぜひ俺と手合わせ願うよ」

 

「OK。約束だよ」

 

そう言って笑い合いながら三沢くんと握手した。

 

これからの学園生活、不安もあるけど楽しいものになりそうな予感がした。




どうも、図1のようになります。です。今回さりげなく入れた主人公のデュエルディスクですが、見た目としては初代遊戯王のあのKC製の量産型デュエルディスクですが、オートシャッフル機能など、最新の機能が搭載されてる優れものです。実際あったら欲しいなあ。あ、今回使ったデッキは漫画版HEROです。ハイランダー構成なので、事故率がハンパないです。キャプテンゴールド?数合わせだよ!タイトルの目指せ事故率5%は、あくまでも作者の願望なんです。


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たーん3 湖上の決戦 海竜vs海皇龍!

実はこれ、書き上げたの4日前なんです。それを今投稿した理由…ちょっと気まずかったからです。タイトルで察した方もいらっしゃるかもしれませんね。


デュエルアカデミアに入してから数日後の夜。僕は部屋で新しく組んだデッキの調整をしていた。

 

「うーん、やっぱりこの2枚は両方入れるとデッキが重くなっちゃうなー。いっそのこと、これに必要なパーツごとサイドデッキに入れた方が…」

 

自分のデッキとにらめっこしながらあーでもないと独り言を呟いていた時だった。

 

「大変だ!連夜!」

 

「のわっ!じゅ、十代か、驚かせないでよ。てかノックくらいしようよ」

 

「わ、悪りい。慌てててよ、ってそれどころじゃない!翔が攫われたんだ!」

 

「はあっ!?な、何で攫われたって分かったの?」

 

「さっき、こんなメールが来たんだ!」

 

そう言って十代がPDAを開くと、そこには“丸藤翔は預かった。返して欲しくければ女子寮前まで来られたし”と書かれてあった。

 

「なるほど、まだ事情は分からない事が多いけど、一先ず女子寮に向かおう」

 

「ああ、行こうぜ!翔を救うんだ!」

 

だからまだ事情は分からないんだってば、と苦笑しながら言うと、女子寮に向かって走り出す。女子寮の前にある湖を、2人でボートをえっちらおっちらと漕いでいると、3人の女子とその中心で簀巻きにされた翔がいた。

 

「翔!てめえら、翔を返しやがれ!」

 

「ちょっと十代、落ち着いて。で、どうして捕まってんの、翔くん?」

 

「こ、これは、話せば長くなるような深〜い理由があって…」

 

「コイツが女子寮のお風呂をのぞいたのよ」

 

「翔くん、短い間だったけど楽しかったよ。警察署でカツ丼が本当に出るか今度会えたら教えてね」

 

「ち、違うッス!誤解ッスよ〜。僕は覗いてなんかいないッスよ〜、アニキも連夜くんも信じて欲しいッス」

 

「そうだぜ連夜!それに、翔に女子風呂覗く度胸があるはずないだろ!」

 

「むう、それは確かに…」

 

「その納得のされ方はなんか微妙ッス…」

 

「そういうわけだ、翔は誤解って言ってるんだ、もう返してくれないか?」

 

「いやよ!覗いていない証拠なんてないじゃない!それに、覗いてないならなんで女子寮の前にいたのよ!」

 

「うう、それは…」

 

言い淀むってことは、何か事情でもあったのかな?

 

「落ち着きなさい、ジュンコ。ねえ、アナタ達」

 

金髪の女の子が隣の子を嗜めると僕と十代の方を向いた。

 

「僕と十代に何か?」

 

「ええ、アナタ達、私とデュエルしなさい。アナタ達2人が勝ったら今日の件は忘れてあげるわ」

 

「もし負けたら?」

 

「その時はもちろん先生に報告します。ちなみに、このデュエルに断っても同じことよ?」

 

「やれやれ、受けるしかないか」

 

「いいじゃねえか、その方が分かりやすくってよ」

 

「というよりも君は単純にデュエルしたいだけだろうに」

 

「へへ、まあな。俺が先にいってもいいか?」

 

「僕は構わないけど?」

 

「私はどちらから来てもらっても構わないわ」

 

「だ、そうだ。じゃ、勝って来い」

 

「おう!任せとけ!」

 

そう言うと、僕と十代はお互いに拳をぶつけ合う

 

「オシリスレッドのくせに生意気ね!」

 

「明日香さん、負けないで下さい!」

 

「アニキー!連夜くーん!お願いだから勝って欲しいッスー!」

 

「行くわよ!」

 

「ああ!来い!」

 

「「デュエル!!」」

 

 

 

「サンダー・ジャイアントでダイレクトアタック!『ボルティックサンダー』!」

 

「きゃああああああ!」

 

結局、デュエルはいつも通りの十代のチートドローからのサンダー・ジャイアント召喚、効果でモンスター除去して(サンダー・ジャイアントも効果が違ってた)ダイレクトアタックで勝利した。いいなあ、あのドロー運。

 

「ガッチャ!楽しいデュエルだったぜ!」

 

「さっすが十代。次は僕だね」

 

十代と軽くハイタッチをし、今度は僕がデュエルディスクを構える。

 

「待ちなさい!明日香さんはさっきデュエルしたばかりで疲れてるわ!それにそっちは明日香さんのデッキをさっきのデュエルで知ったはずよ、それじゃ不公平じゃない!」

 

「…えーと、どうしろと?」

 

「決まってるわ!私が代わりにデュエルするわ!」

 

「ジュ、ジュンコ?私ならまだ大丈夫よ?」

 

「いえ、明日香さんは休んでいてください。あんなナヨナヨしたやつ、私で十分です!」

 

「な、ナヨナヨしてるって…」

 

僕、そんな風にみられてたの!?

 

「そうは言っても、相手はあのクロノスに勝ってるのよ?」

 

「分かっています。油断はしません。さあ、いくわよ!」

 

「仕方ない、勝ってナヨっちくないところをお見せしますか」

 

「「デュエル!」」

 

「私の先行よ。ドロー!私は『グリズリーマザー』を守備表示で召喚するわ。カードを1枚伏せてターンエンドよ」

 

「僕のターン、ドロー。『海皇の重装兵』を守備表示で召喚。そして重装兵の効果を発動、自分のメインフェイズ時に一度だけ、レベル4以下の海竜族モンスターを召喚できる。『海皇の突撃兵』を攻撃表示で召喚。突撃兵は自分フィールド上のこのカード以外の魚、水、海竜族モンスターの数×800攻撃力があがる。よって今の攻撃力は2200。カードを1枚伏せてターンエンド」

 

「あれ?なんで今のターンバトルしなかったんすか?せっかく攻撃力が上がったのに…」

 

「恐らくグリズリーマザーの効果を警戒したのでしょう。下手に攻撃してデッキからモンスターを特殊召喚されるのを避けたようね」

 

明日香さん、解説ありがとうございます。十代もへーって顔してるけど、僕等は翔くんを連れ戻しに来たって事覚えてる?

 

「私のターン、ドロー!私は『水陸両用バグロス MK-3』を召喚!このカードは『海』がフィールド上にある時、ダイレクトアタックができるわ。さらにフィールド魔法『伝説の都 アトランティス』を発動!このカードは水属性のレベルを一つ下げ、さらに攻撃力と守備力を200ポイントアップさせるわ。そして、このカードは『海』としても扱う!バトルよ!水陸両用バグロス MK-3でダイレクトアタック!」

 

連夜LP 4000→2300

 

「まだよ!続いてグリズリーマザーで海皇の突撃兵に攻撃!」

 

うわ、自爆特攻しかけて来た!

 

ジュンコLP 4000→3200

 

「くっ、この瞬間、グリズリーマザーの効果が発動するわ。デッキから攻撃力1500以外の水属性モンスターを特殊召喚できる、私は『コダロス』を特殊召喚!」

 

うわあ…

 

「メインフェイズ2、私はアトランティスをコストにコダロスの効果を発動!あんたのフィールドのモンスター2体を墓地へ送るわ!」

 

ああ、やっぱり…ちなみに伏せてたのは『海竜神の加護』。このカードでモンスターに破壊耐性付ける事は出来ても、残念ながら墓地へ送る効果には無防備だ…

 

「カードを1枚伏せてターンエンドよ」

 

「僕のターン、ドロー!僕は『深海のディーヴァ』を守備表示で召喚!ディーヴァは召喚に成功した時、デッキからレベル3以下の海竜族モンスターを特殊召喚できる!僕は

『真海皇トライドン』を特殊召喚!」

 

「次から次へと、よく出てくるわね。でも今更そんな壁なんて…」

 

「壁じゃあないさ!トライドンの効果発動!このカードと自分フィールド上の海竜族モンスターを生け贄にし、デッキまたは手札から『海皇龍ポセイドラ』を特殊召喚する!」

 

「な、なんですって!」

 

「トライドンとディーヴァを生け贄に、デッキから海皇龍ポセイドラを特殊召喚!」

 

突如フィールドに現れた渦の中に、トライドンとディーヴァが飛び込む。すると、その渦の中からゆっくりと巨大な龍が姿を見せた。

 

「トライドンのもう1つの効果。この方法で特殊召喚した時、相手フィールド上のモンスターの攻撃力を300ポイント下げる。」

 

「そ、そんな効果まで…」

 

「バトルだ!ポセイドラでコダロスを攻撃!『荒れ狂う水流(レイジングトーラント)』!」

 

ポセイドラの口から放たれた水流が、あっという間にコダロスを押しつぶしてしまった。

 

ジュンコLP 3200→1500

 

「さらにカードを1枚伏せてターンエンド」

 

「くっ、私のターン、ドロー!正直ここまでやられるとは思わなかったわ。でもこれで終わりにしてあげる。魔法カード『テラ・フォーミング』を発動。2枚目のアトランティスを手札に加え、そのまま発動。そして、水陸両用バグロスMK-3を生け贄に、『海竜-ダイダロス』を召喚!」

 

これは…かなーりヤバイ。

 

「な、なんで最上級モンスターが生け贄1体で…」

 

「なんでって、翔、お前さっきのセリフ聞いて無かったのか?」

 

「へ?さっきのセリフってなんすか?」

 

「伝説の都 アトランティスの効果よ。ジュンコが説明してたでしょ?」

 

「ア、アトランティスの効果って、えーと、確か水属性モンスターの攻撃力を200ポイントアップさせて、レベルを1つ下げる…って、ああ!」

 

「つまりそういうことよ。ダイダロスのレベルは7、それが1下がって6になるから…」

 

「生け贄が1体で召喚出来るってことっすね…」

 

またもや明日香さんが解説役に。今度は十代も理解してたけど。ていうか、ホント、君達なんで戦ってるか忘れてない?

 

「ちょっとアンタ!何ぼーっとしてんのよ!」

 

「へ?あ、ああゴメン。ちょっと考え事を…」

 

「この状況で随分と余裕そうじゃない…!でもその余裕もここまでよ!ダイダロスの効果発動!自分フィールド上の海を墓地に送り、フィールド上のこのカード以外のカードを全て破壊するわ!『タイダルウェイブ』!」

 

ダイダロスが吠えると、巨大な津波が発生し、フィールドを呑み込もうとする。

 

「ただじゃやられないさ!リバースカードオープン!『ダメージ・ダイエット』!このターン、自分の受けるダメージを半分にする!」

 

「無駄な足掻きを…私は魔法カード『二重召喚』を発動するわ。マーメイドナイトを召喚!2体でダイレクトアタックよ!」

 

連夜LP 2300→150

 

あっぶな!アビスソルジャーとかだったら今ので終わってた…ライフ4000のこの世界で、バーン対策に、って入れたカードだけど、こんな活躍をしてくれるなんて…

 

「しぶといわね、私はカードを1枚伏せてターンエンドよ」

 

「僕のターン、ドロー!魔法カード『強欲なウツボ』を発動!手札の水属性モンスター2体をデッキに戻し、3枚ドローする!ドロー!」

 

祈るような気持ちでデッキからカードを引く。

 

「来た!僕は魔法カード『サルベージ』を発動!墓地の攻撃力1500以下の水属性モンスター2体を手札に加える!海皇の重装兵とディーヴァを手札に加える。そして重装兵を召喚!効果でディーヴァを召喚!さらにディーヴァの効果発動!デッキから『海王の長槍兵』を特殊召喚!」

 

「たった1ターンで3体も…!でも所詮は時間稼ぎよ!」

 

「それはどうかな?手札の『瀑征竜タイダル』の効果発動!このカードと手札の水属性モンスター1体を捨て、デッキからモンスター1体を墓地に送る。『フィッシュボーグ・ランチャー』を墓地に送る。さらにこの瞬間、手札から捨てた『海王の狙撃兵』の効果発動!このカードが水属性モンスターの効果を発動させるために墓地に送られた時、相手フィールド上のセットされたカードを1枚破壊する!」

 

「ミラーフォースが!」

 

「(またミラフォ仕事してない…)まだまだ行くよ!墓地のポセイドラの効果発動!自分フィールド上のレベル3以下の水属性モンスター3体を生け贄にし、特殊召喚する!」

 

「なんですって!」

 

「再び現れよ、海皇龍ポセイドラ!」

 

フィールドに前より大きな渦が現れ、僕のモンスターを呑み込んでいく。そして再び渦の中からポセイドラがその姿を見せた。ポセイドラがダイダロスに向かって咆号をあげる。すると、ダイダロスの真下に先程の渦が現れ、ダイダロスを呑み込んでしまった。

 

「な、なんで!?」

 

「墓地に送られた重装兵の効果。このカードが水属性モンスターの効果を発動させるために墓地に送られた時、相手フィールドの表側表示のカードを1枚破壊する」

 

「そ、そんな…(でもまだマーメイドナイトがいるわ。このカードが破壊されてもライフは残る。それに手札には『死者蘇生』がある。向こうの手札は0。このターンさえ耐え切ればまだ勝負は…)」

 

「まだ僕のメインフェイズは続いています。墓地のフィッシュボーグ・ランチャーの効果発動!自分の墓地のモンスターが水属性だけの場合、このカードを墓地から特殊召喚出来る!ランチャーを特殊召喚!」

 

「嘘…たった1ターンで、こんな…」

 

「バトルです。ポセイドラでマーメイドナイトに攻撃。『荒れ狂う水流(レイジング・トーラント)』!」

 

ジュンコLP 1500→200

 

「フィッシュボーグ・ランチャーでダイレクトアタック!えーっと…フ、『フルオープンアタック』」

 

フィッシュボーグ・ランチャーの顔(?)と肩の部分にあるミサイルが一斉発射される。…あんだけ派手なのに、ダメージはたったの200…

 

「きゃーー!」

 

ジュンコLP 200→0

 

よし、ジャストキル!ホンットギリギリだけど、なんとか勝った!

 

「ふう、いいデュエルでした。ありがとうございました」

 

「すっげーなあ!あんな状況で逆転するなんて、さすが連夜だぜ!」

 

「…そのセリフ、君が言う?」

 

「へ?なんでだ?」

 

「…いや、何でも無い…」

 

十代はよく分からないって顔してるけど、ハッキリ言おう、君程じゃないと。ほら、さっきデュエルしてた明日香さんも苦笑してる。

 

「うう、アニキも連夜くんも、僕のために…本当にありがとうっす〜」

 

「あ、そういやそんな理由もあったっけ」

 

「わすれてたんすか!?」

 

あ、やっぱり忘れてた。

 

「そろそろいいかしら?」

 

こちらの状況を見かねた明日香さんが話しかけてくる。

 

「あ、うん。えーっと、これで翔くんは返してもらえるって事でいいのかな?」

 

「そうね、負けたのはこちらなのだから。約束はきちんと守るわよ。ほら、ジュンコもいつまで落ち込んでいるのよ」

 

「ぐすっ…きょ、今日負けたのは偶然なんだからね!次会った時はギッタンギッタンにしてやるんだから!」

 

「ちょ、ちょっと、落ち着きなさいよジュンコ」

 

「そうですわ。お淑やかさに欠けますわ」

 

え、そういう問題なの?

 

「とにかく、今日の件はこれでお終いよ。でも、私もジュンコと気持ちは一緒よ。次は負けないわ。貴方にもね」

 

僕の方を見ながらそう言ってきた

 

「おう、次も負けないぜ!」

 

「もちろん僕もね。まあ、とりあえずなよっちくない事は示たかな?」

 

「そうだぜ、えーっとこういう時は汚名挽回って言うんだったっけか?」

 

「…汚名は返上するもんだよ、そんなの挽回してどうしろっていうのさ…」

 

「あれ、そうだっけ?」

 

明日香さんが苦笑しながら翔くんをこちらに渡しに来た。

 

「次に戦うのを楽しみにしてるわ」

 

「ああ、またな!」

 

十代と明日香さんが握手し、明日香さん達は寮の方へ戻っていった。なんか「うう、覚えてなさいよー!」と聞こえたのは、きっと気のせい。

 

「そういえば、翔くんラブレター貰ったって言ってたよね。見せてもらってもいい?」

 

「あ、これっす」

 

翔くんの貰ったというラブレターを読んでみたが、これは何というか…

 

「…これ絶対に本人が書いたものじゃないよ。文も字も雑だし、とても好きな相手に渡す様な物じゃないよ。そもそも宛名が十代になってるし…」

 

「そう言われてみればそんな気もするっす…」

 

「ラブレター貰って舞い上がるのはいいけど、宛名くらい確認しようよ。それに、このキスマーク、なんか下品。明日香さんはこんな事しないでしょ。大体こんな悪趣味な位真っ赤なルージュ、持ってないと思うよ?」

 

「んじゃあ、誰がこんな変な手紙俺によこしたんだ?」

 

「さあ、そこまでは分からないけど…完全に嫌がらせだよね、あんな女子寮のお風呂が見えるような所を指定するなんて。下手したら退学だよ。」

 

「たちの悪いイタズラっす!」

 

「それに引っかかる君もどうかと思うけどね」

 

そう言うと、翔くんがうぐっと変な声で呻いた。

 

「ま、もう終わった事だしどーでもいいけどな。それに、オベリスクブルーの奴とデュエル出来たんだ。何も悪い事ばっかってわけじゃないぜ!」

 

「ま、十代はデュエル出来ればいいんだろうけどね。こっちは結構ヒヤヒヤしてたんだから」

 

「うう、申し訳ないっす…」

 

「もう気にすんなよな、翔。それより連夜、寮戻ったら俺とデュエルしようぜ!」

 

「まだやるの!?まあ、別にいいけど。さっきのデュエルじゃこのデッキ、あんまり回せなかったし」

 

「あれで全力じゃないっすか…」

 

「本気は本気だったよ?ただ、あんまり手札が良く無かったんだ。本当ならもっといろいろやれたんだけどね」

 

「おー!ますます楽しみになってきた!翔、連夜、早く寮戻ろうぜ!」

 

「元気っすねー、アニキは」

 

「あはは、本当にね」

 

そう言って翔くんと笑いながらオシリスレッドの寮へと帰って行った。

 

…その頃、湖の中からデュエルの様子を見ていたら、突然落ちて来た雷に感電し、ようやく痺れが取れたと思ったら今度は突如発生した渦に巻き込まれ、溺れかけた所に、さらに津波+2度目の渦のコンボを食らい、ボロボロになりながらもなんとか岸に辿り着いたと思ったら、トドメとばかりに流れ弾のミサイルがもろに命中し、真っ黒焦げになった物体が湖に浮いていたらしいが、それを知る者は誰もいなかった…




どーも、図1のようになります。です。今回のデッキはまあ見りゃ分かると思いますが、海皇です。そこにディーヴァやらタイダルやら突っ込んでみました。いやー、ほぼ純粋な海皇でも結構回せるもんですね。え、マーメイル?何それ?
前書きで記した理由、つまりそう言うことです。仕方ないじゃん!書き始めたのは一ヶ月位前なんだから!

追記
今回のデュエルでチューナーが出て来ていますが、チューナーモンスターとしてでなく、ただの効果モンスターとして扱います。これからもずっとそうです。


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たーん4 試験前日 参上!呼び声五人衆?

今回はデュエル無しで、短めです、


デュエルアカデミアには月一試験という制度が存在する。文字通り、月に一度、デュエルに関する筆記と実技のテストがあるのだが、これが中々バカに出来ない。この試験で良い成績を取ると、オシリスレッドならラーイエローに、ラーイエローならオベリスクブルーにという風に、一つ上のランクに上がることが出来る。で、その試験前日の今日、僕は何をしているかというと…

 

「…試験でロックバーンはマズイかな?」

 

何時もの様にデッキの制作をしていた。

 

「まあ、ロックバーンはやってる方は面白いけど、やられる側としてはアレだよなあ…うん、このデッキは非常用(?)にしとこう」

 

たった今作り上げたデッキをケースに仕舞い、調整中のデッキに手を伸ばす。

 

「…うん、このデッキなら問題無いな。試験はこのデッキでいこう」

 

ハマるとえげつない展開力だけどね

 

「でも誰かに相談したいな。…十代たちは勉強してるのかな?」

 

翔くんはともかく、十代は勉強とかしなさそうだなあ…とか考えながら、十代たちの部屋に向かう。

 

「お邪魔しまーす。ちょっと十代達に相談があるんだけど…」

 

部屋に入ると、机に向かって頭を下げてる翔くんがいた。

 

「お願いします、デュエルの神様。この月一試験の結果次第でこのオシリスレッドからラーイエローへと昇格出来ます。そう!これは正に『死者蘇生』!」

 

「…」

よく見たら、机の上の方に死者蘇生のカードが祀られているのが見える。取り敢えず何も見なかったことにした。そのまま回れ右をし、自分の部屋に戻ると、カードケースの中から5枚カードを取り出し、再び十代達の部屋に向かう。

 

「お願いします、お願いします、お願いします…」

 

部屋の扉を少し開け、今だに祈り続けてる翔くんに向かってさっき取って来たカードを投げつけ、素早くその場を離れる。

 

「お願いします、お願いし痛っ!な、何か背中にって、あれ?何すか、このカードは…ギャー!!な、何でこんな不吉なカードがここにあるっすかー!?」

 

僕が投げつけたカードは、『闇からの呼び声』『ミイラの呼び声』『リビングデッドの呼び声』『死神の呼び声』『墓場からの呼び声』の呼び声シリーズのカード達である。試験前にはあまり見たく無い類のカードであろう。リビングデッドは便利だから目にする事あるだろうけどね。

 

笑いながらレッド寮の階段を降りる。何か「もうお終いっす〜」って言う声が聞こえた気がしたけど、きっと気のせい。PDAでとある人物に「今からそっち行っていーい?」

というメールを送る。暫くすると、「多少散らかってても構わないなら歓迎する」と返事が来た。まあ、実はもう目の前まで来てるんだけどね。

 

「お邪魔しまーす。調子はどう?三沢くん」

 

「随分早いな。まあ、ぼちぼちといった所だ」

 

そう、僕が相談しようと思ったのは、困った時の三沢博士こと、三沢大地くんである。

 

「何だ、別に全然散らかって…るね。壁に字が」

 

「はは、俺は思い付いた数式なんかをその辺に書き残す癖があってな。いつかこの壁もペンキで塗り直さなければな」

 

「あはは、その時は是非呼んでよ。今日のお礼に手伝うからさ」

 

「それはありがたいな。で、今日は何しに来たんだ?まあ、大方明日の試験についてだろうがな」

 

「うん、その通り。ちょっとデッキについて相談がね」

 

デッキケースから、先程の調整中のデッキを出し、三沢くんに渡す。

 

「おいおい、俺が見ても良いのか?」

 

「見てくれないと相談になんないでしょ。別に見られて困るもんじゃないしね。対策立てようにも、いろんなデッキ使う僕には関係ないし」

 

「成る程な。どれどれ…ふむ、相変わらず面白いデッキを使うんだな。これはどうやって回すんだ?」

 

「ああ、それはね、基本的には…」

 

「成る程…なら、このカードよりこっちのカードの方が効率良くないか?いくらこのデッキでも、これは必要ないだろう」

 

「うーん、やっぱりそう思う?じゃあ…」

 

二人であーだこーだ言いながら、デッキを調整していく。

 

「よし、完成!」

 

「ああ、おめでとう。しかしなんだ、そんなデッキが組めて、プレイングも上手いのに、なんで君がオシリスレッドなんだ?君の実力なら、確実にラーイエローだろうに」

 

「あー、三沢くんには言って無かったっけ、実はまあ、カクカクシカジカで…」

 

「成る程な、試験番号呼ばれたのを無視したのか。ああ、だからあの時最後にデュエルしてたんだな」

 

「そーいうこと。多分、クロノス教諭に勝ったのに不合格、では向こうのメンツが立たないんでしょ」

 

主にクロノス教諭の

 

「それで救済措置としてオシリスレッドに、という訳か。納得したよ。まあ、君の実力なら次の試験でラーイエローへの昇格はほぼ確実だろう」

 

「あはは、だといいね」

 

「そうだ、話しは変わるんだが、ちょっと聞きたい事があるんだが」

 

「ん?何?」

 

「実はこの問題なんだが、少し複雑でな。君はどう思う?」

 

「あ、連夜でいいよ。で、どれどれ…ふむ[以下のカード効果の中で、『冥界の魔王 ハ・デス』が攻撃して破壊した場合、無効化されないものを記号で答えよ]?確かにこれは厄介だね」

 

ちなみに、ハ・デスとは

 

冥界の魔王ハ・デス

星6/闇属性/悪魔族/効果モンスター

攻2450 守1600

このカードは墓地からの特殊召喚は出来ない。

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、自分フィールド上に存在する悪魔族モンスターが戦闘で破壊した効果モンスターの効果は無効化される。

 

こんなモンスターである。

 

「三沢くんは何選択したの?」

 

「ウとエとキとコだな」

 

「惜しい。そこにカも入るんだよね」

 

「カは…[カ、『デビルズ・サンクチュアリ』等のカード効果で特殊召喚されたトークンの効果]だな。だが、トークンもモンスターカードとして扱うはずだろ?ならば無効化されるんじゃないのか?」

 

「確かに、トークンはモンスターカードとして扱うけど、実はトークンはみんな通常モンスターとして扱うんだ」

 

「何?じゃあトークンの持つ効果はどうなるんだ?」

 

「そもそもトークン自体は効果を持って無いんだ。効果を持つのは、あくまでもそのトークンを生み出したカードなんだよね。だから、ハ・デスで通常モンスターであるトークンを破壊しても、そのトークンを生み出したカードの効果は無効化出来ないんだ」

 

「成る程、そういう事か…いや、助かったよ。これからも分からない所があったら話しを聞かせて貰えるか?」

 

「もちろん。こっちもいろいろと相談に乗ってもらうよ。あ、そうだ。はいこれ、今日のお礼」

 

そう言って調整カード用のデッキケースから3枚のカードを出して渡す。

 

「これは…ふ、成る程な。確かに俺好みのカードだ。ありがたいな。しかし、本当に貰ってもいいのか?なんとなくだが、お前もこの類のデッキはよく使うだろ?」

 

「いーのいーの。君の方が上手く使えそうだしね。それにあの時カード渡す約束だったしね」

 

「あの時…ああ、あの十代とのデュエルの時か。俺も含まれていたのか」

 

「まあ、十代と翔くんにあげて三沢くんにだけあげないのもなんだしね」

 

翔くんにあげたカードあんなんだけど…

 

「律儀な奴だな。あと、俺の事は大地でいいぞ」

 

「ん、じゃあそう呼ばせてもらうよ。改めて、これからもよろしく。三沢っち」

 

「…なぜそこで三沢っちになる」

 

「え、だって三沢大地だから縮めて三沢っちでしょ?」

 

「まあ、何でもいいが…こちらこそ、よろしく頼む。このデッキが完成したら、先ずはお前と戦わせてもらう」

 

「受けてたとー。じゃ、明日はお互い頑張ろうね」

 

「ああ、また明日な」

 

三沢っちと固い握手を交わし、僕は部屋を後にした。

 

 

…一方その頃十代達の部屋では…

 

「あはははは…神は僕を見放したんす。むしろ悪魔が呼んでるっす〜」

 

「お、おい。しっかりしろ!翔!」

 

「戻って来るんだなあ!翔!」

 

「僕はもうだめっす、お先真っ暗っす、明日の試験もろくな結果にならないっす〜…」

 

「あーもう!誰か翔を止めてくれー!!」

 

 

…中々のカオスっぷりだった




どうも。図1のようになります。です。今回アレやらソレやらコレやらと 、ぼかしまくったせいでちょっと分かりづらくなってしまいました。ごめんなさい。

主人公のデッキは次回明らかになります。で、三沢っちに渡したカードの方は…。ヒント、三兄弟。出て来るのは…言うとバレそうなんでやめときます。それではまた次回!

次はなるべく早く更新します。ホント不定期で申し訳ないです。


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たーん5 月一試験 ブルー生徒をブッ飛ばせ!

月一試験当日。僕自身は何の問題も無く(もちろんデッキを間違える、何てこともしていない)試験に臨んでいた。そう、僕は問題無いんだ。問題なのは…

 

(なんで十代の奴はまだ来てないんだよ…!)

 

試験時間を半ば過ぎても、一向に十代が教室に来ない事だった。

 

(昨日メールで「明日は絶対寝坊すんな」って忠告しといたのになあ…)

 

時計を見ると、途中退出可能時間まで1分を切っていた。今から呼びに行けば、ギリギリ間に合うかもしれない。まあ、名前書いて記号問題だけ適当に埋める位だろうが。

 

解答用紙を裏返し、机の上を手早く片付け、時間が来ると同時に教室から出る。

 

(まだ見直し終わって無かったけど、まあいいや。もしまだ寝てたなら、叩き起こしてやらないと)

 

だがその考えは杞憂に終わった。寮とアカデミアの途中にある坂道で、車を押している十代を見つけたからだ。

 

「ちょっ!十代何してんの!もう筆記試験終わるよ!」

 

「んぎぎ…お?おう!連夜!丁度いい所に!何かこの車エンストしたらしいんだ!手伝ってくれ!」

 

「あー、もう!分かったよ!ほら、十代ももっと力入れて!」

 

どうせ先行けって言っても聞かないだろうから、協力してさっさと終わらせるのが得策だ。…さっき「力入れて!」って言った時、「足を踏ん張り腰を入れぇぇい!!」と言いそうになったのはナイショだ。

 

二人で車を坂の上まで押し上げ終えると、十代は「サンキュー連夜!じゃ!」とだけ言って教室に走って行った。

 

「あら、もう行っちゃったのかい?あの子。後でお礼しないとねえ。君もありがとう。助かったよ」

 

「ああいえ、構いませんよ。元々十代を呼びに来たんですから。ところでその車、エンストしたそうですが、どの様に?」

 

「何かねえ、坂道登ってたらスーッとエンジンが止まっていったんだよ。その後で何回もエンジンかけようとしたんだけど、ウンともスンとも言わなくて」

 

「ふむ…ちょっと失礼」

 

一言断って、車を調べ始める。

 

「何をするんだい?」

 

「ちょっと原因究明を…燃料ポンプは…故障してないな。フィルターも燃料ホースも特に詰まってない…となると」

 

〜10分後〜

 

「これでよしっと…エンジンかけてみてください」

 

僕の言葉に、恐る恐るといった様子でエンジンをかける。すると、ドルルルルッ!とエンジン音が響く。

 

「よかった。どうやら点火プラグが緩んでた様です。一応締め直しましたが、これは専門の人に見て貰った方がいいですよ」

 

なんで僕が工具一式を常備してるかって?デュエルディスクの調整とかあるんだよ。色々と。

 

「本当にありがとうねえ。私は購買部で働いてるから、いつでも来てちょうだい。あの子にもお礼したいしねえ」

 

「いえ、お気になさらず。それでは僕はこれで」

 

言い終えると同時に学校のチャイムが鳴る。筆記試験が終わった様だ。

 

軽く頭を下げ、その場を離れる。さて、十代の奴、ちゃんと問題解けたのかな?

 

「…なんて、考えてたんだけどなあ…まさか寝てたとは」

 

結論→間に合ったけどほぼ意味無し

 

「う、わ、悪りぃ。問題見てると眠くなっちまうんだよ」

 

「問題見たら、どころか授業中も寝てるっすけどね、アニキの場合」

 

「そのうち勉強の2文字で寝そうだな」

 

ほら、翔くんも三沢っちも呆れてる。

 

「まあ、もう終わった事だしそれは置いといて、何でこんな人少ないの?」

 

教室に残ってるのは、辺りを見回しても僕等以外ほとんどいなかった。

 

「ああ、どうやら購買部で最新パックの発売があるらしいな。みんな午後の実技試験に向けて、ちょっとでもデッキを強化したいんだろう」

 

「そ、それ本当っすか!?急がないと!アニキ達はどうするっすか?」

 

「俺は今のデッキを信頼してる。新しいカードは必要ない。とはいえ興味はあるから俺も着いて行くとしよう」

 

「僕も同意見」

 

「俺もだ!どんなカードがあるかワクワクするぜ!」

 

「んじゃ皆で行こう。早くしないと売り切れちゃうかもしれないしね」

 

「それは困るっす!アニキ、急ぐっすよ!」

 

「おう!どんなカードが出るか楽しみだぜ!」

 

「元気だねえ、最近の若い子は」

 

「お前も同い年だろう」

 

僕と三沢っちはのんびりと十代達の後を追うことにした。

 

 

 

「「う、売り切れ〜!?」」

 

「ごめんなさい。先程あるお客様が最新パックを全部お買上げになられて、品切れなんです」

 

「そ、そんな〜」

 

「誰だよ、そんな事する奴」

 

「あれ?どったの?十代」

 

「ああ、連夜か。実はな…」

 

追い付いた僕と三沢っちに十代が事情を説明する。

 

「何と言うかまあ…すごいね、色んな意味で」

 

「全くだ。今更そんな沢山のカードを仕入れても、十分に把握出来ないだろうに。そもそも、DP制度があるとはいえ、よくそれだけのカードを買えたものだな」

 

ここ、デュエルアカデミアには、DP制度というものがあり、このDPはテストの成績や、実習デュエルの結果なんかで増やすことが出来る。溜まったDPはカードパックから食品、文房具や生活用品などと交換できる。学生にとってありがたいシステムなんだが、それを踏まえても新作パック全部というのは、いささか疑問が残る。

 

「ま、売り切れたもんはしょうがない。今日のところは諦めるんだな」

 

「はあ〜。仕方ないっすね」

 

「くっそー、次入荷した時は絶対手に入れてやる!」

 

そう言って悔しがっている二人の後ろから、こちらを呼ぶ声が聞こえた。

 

「あら、あんた達ちょうどいい所に」

 

「あ、トメさんじゃないか。車大丈夫だったか?」

 

「ええ、そこの彼が見てくれたおかげでね」

 

「?何かあったのか?」

 

「うん。さっきの筆記試験の時にちょっとね」

 

「そういえば連夜くん、途中退室してたっすね」

 

「そうそう、あんた達が来ると思ったから、これ、取っといたのよ」

 

そう言ってトメさんが僕と十代にカードパックを渡した。

 

「これってまさか最新パック?売り切れたはずなんじゃ」

 

「言ったでしょう?あんた達が来ると思ったから取っといたって。さっきのお礼よ、受け取ってちょうだい」

 

「サンキュー!トメさん!」

 

「すみません、わざわざ」

 

「いいのよ、それにオシリスレッドなんだから、レアカードの一つでも持ってないとねえ」

 

「連夜くんはレアカード人にあげる位持ってるっすけどね…」

 

「気持ちの問題だよ。じゃ、早速開けてみようかな」

 

パックを開封し、中のカードを取り出す。

 

「えーっと、『ワンチャン!?』、『王宮の鉄壁』、『ワイトプリンス』、『レベルスティーラー』に『ワン・フォー・ワン』…なんかレベル1関係のカードばっかだな。やたら実用的だし…そっちはどうだ?十代」

 

「見ろよ連夜!俺の相棒のカードだ!」

 

「『進化する翼』か。十代ハネクリボー持ってたんだ」

 

「ああ。俺の相棒だぜ!」

 

「いいなあ、二人ともいいカードが出たみたいで」

 

「ふ、幸先が良いのは確かだな。…おい連夜。お前今そのカード使ったデッキ考えているな?」

 

なぜバレた!?三沢っちはエスパーか!?

 

「顔に出ていた。新しいデッキもいいが、今は次の実技試験に備えたらどうだ」

 

「うう、不安で胃が痛くなってきたっす…」

 

「そうかあ?俺は今から楽しみでしょうがないぜ!」

 

「俺も特に問題は無いな」

 

「右に同じく」

 

「うう、その自身が羨ましいっす…」

 

「翔くんはもっと自分に自信持ちなよ」

 

「そうだぜ翔!当たって砕けろだ!」

 

「十代、砕けたらだめだろう…」

 

「あれ、本当だ。まあとにかく、皆で良い結果残そうぜ」

 

そう十代がまとめ、皆で気合を入れてそれぞれの名前が呼ばれるのを待った。

 

 

そして、実技試験でついに僕の番になったんだが、僕の相手というのが…

 

「ふん!オシリスレッドの落ちこぼれなぞ、この俺が叩きのめしてくれる!」

 

「…お手柔らかに」

 

なぜかブルーの生徒だった。話を聞くと、なんでもブルーの万丈目という生徒が、レッド生の十代に勝負を挑んだため、お互いの相手をする予定だった生徒があぶれてしまったため、僕の方もレッド生徒とブルー生徒がデュエルすることになったらしい。…せっかく十代と公式戦できるはずだったのに。

 

「本来ならば、俺は万丈目さんとやる予定だったんだ。それがいきなりレッドの落ちこぼれとデュエルしろときた。こんな奴倒した所で何にもならんというのに」

 

イラッ

 

「正直全力を出すまでも無いが、かかって来い、相手をしてやる」

 

イライラッ

 

「まあ、俺の足元にも及ばんだろうがな。笑い話くらいにはしてやる」

 

ブチッ!

 

「なんだ、ビビって声も出ないのか?まあいい、いくぞ!」

 

「デュエル!」「…デュエル」

 

 

 

 

「ねえアニキ、連夜くんの体からドス黒いオーラが見えるのは気のせいっすかね?」

 

「安心しろ、翔。俺にも見えてる。相棒もすんげえ怯えてる」

 

「俺もだ。あんな連夜は初めて見る。何というか、アレだな、これは」

 

「「「普段大人しい人を怒らせると怖い」」」

 

 

 

 

 

「先行は俺だ!ドロー!俺は『ゴブリンエリート部隊』を攻撃表示で召喚!カードを1枚伏せてターンエンドだ!」

 

「僕のターン、ドロー。…カードを1枚伏せて『手札抹殺』を発動。お互いは手札を全て捨て、捨てた枚数分デッキからドローする」

 

「は、しょっばなから手札交換とはな!ろくなデッキじゃねえようだな!」

 

「…手札の『インフェルニティ・デーモン』の効果発動。自分の手札が0枚の時にこのカードをドローした時、このカードを見せることで特殊召喚出来る。インフェルニティ・デーモンを特殊召喚。さらに手札から『ナイト・ショット』を発動。相手フィールド上のセットされたカードを破壊する」

 

「ちっ!スキルドレインが…」

 

「永続魔法『インフェルニティ・ガン』を発動。1ターンに一度、手札のインフェルニティと名のついたモンスターを墓地に送ることが出来る。『インフェルニティ・デストロイヤー』を墓地に。カードを1枚伏せて『インフェルニティ・ミラージュ』を召喚。ミラージュの効果発動。自分の手札が0枚の時、このカードを生け贄にすることで墓地のインフェルニティと名のついたモンスターを2体特殊召喚出来る。『インフェルニティ・デストロイヤー』と『インフェルニティ・ビースト』を攻撃表示で特殊召喚。さらに先程伏せたリバースカードオープン、『おろかな埋葬』。デッキからモンスターを1体墓地に送る。『インフェルニティ・ジェネラル』を墓地に。さらにインフェルニティ・ガンのもう一つの効果発動。自分の手札が0枚の時、このカードを墓地に送ることで墓地のインフェルニティと名のついたモンスターを2体特殊召喚出来る。『インフェルニティ・ジェネラル』と『インフェルニティ・アーチャー』を攻撃表示で特殊召喚」

 

「そんな…バカな…たった、たった1ターンで5体のモンスターを召喚するだと?あり得ない…」

 

「バトルフェイズ。インフェルニティ・デストロイヤーでゴブリンエリート部隊を攻撃。『インフェルノ・デストロイ・ナックル』」

 

ブルー生徒LP 4000→3900

 

「インフェルニティ・デストロイヤーの効果発動。自分の手札が0枚の時に相手モンスターを戦闘によって破壊し、墓地に送った時、相手に1600ポイントダメージを与える」

 

「な!ぐああああ!」

 

ブルー生徒LP 3900→2300

 

「残りの全モンスターでダイレクトアタック」

 

「ま、待て!う、うわああああああ!!!」

 

ブルー生徒LP 2300→−4800

 

「う、嘘だ…オベリスクブルーのこの俺が、オシリスレッドの落ちこぼれなんぞに負けるなんて…認めない、認められるはずがない」

 

床に手をつき、嘘だ、あり得ない、マグレに決まってる、と未だにブチブチ言っているブルー生徒をほっといて、さっさとデュエルフィールドを後にし、十代達の元へ戻る。

 

「いやー、暴れた暴れた。スッキリしたー」

 

デュエルしてた時とは打って変わって晴れ晴れとした表情だった。

 

「お疲れさん。昨日見たから分かってはいたものの、やはりあのデッキの爆発力は恐ろしいものだな。1ターンで初期ライフの倍以上削るなんて」

 

「いやー、思った以上に回ってくれたよ。後攻ワンキルも決めれて、気分爽快ってね」

 

「僕、連夜くんが怒ってるとこ初めて見たっす」

 

「俺もだ。やっぱ怒る時はちゃんと怒るんだな」

 

「そりゃあんだけ言われれば誰だってブチ切れるってもんですヨ」

 

「確かにな。こう言ってはなんだが、連夜があのブルー生徒をワンターンキルした時はスカッとしたよ。ここにいるレッドやイエロー生徒の大勢が同じ気持ちだろう」

 

「「それは言えてる(っす)」」

 

どうやら皆同じ気持ちだったらしい。

 

「よっしゃ!次は俺の番だ!」

 

十代が掌に拳をバシッと叩きつけ、気合いを入れて立ち上がる。

 

「勝ちなよ、十代」

 

「へ、当然だぜ」

 

「相手はブルーの中でもトップクラスの実力者だ。さっきの連夜のようにいくと思うなよ」

 

「僕も応援してるっすよ!アニキ!」

 

「ああ!任せておけ!」

 

皆の激励を受け、十代はデュエルフィールドへと向かって行った。

 

 

 

 

「コレでお互いのライフは1000ずつ。なあ万丈目!ここで俺が攻撃力1000以上のモンスターを引けたら最高に面白えよな!」

 

「何を戯言を!そんな簡単に…」

 

「さあ、それはどうかな!俺のターン!ドロー!…よっしゃ!俺はこのカードを召喚だ!来い!『E・HEROフェザーマン』!」

 

「な、バカな!」

 

「フェザーマンでダイレクトアタック!『フェザーブレイク』!」

 

「ぐっ…俺が、この俺がオシリスレッドごときに…」

 

「ガッチャ!楽しいデュエルだったぜ!」

 

ビシッと決めゼリフ&決めポーズまでして、十代がこちらに戻ってくる。

 

「へへっ、どうだ、ちゃんと勝って来たぜ」

 

「さすがアニキっす!ブルーのトップ相手にあんな勝負が出来るなんて!」

 

「途中どうなる事かとヒヤヒヤしたが、土壇場での引きの強さは相変わらずだな」

 

「しかも最後に引いたのが攻撃力1000ジャストのフェザーマンだもんね。ホント、さすがとしか言いようが無いね」

 

「へへっ、まあな!」

 

皆で十代の健闘を讃えていると、頭上から声が聞こえた。

 

「見せて貰いましたよ、遊城十代くん。君のデッキへの信頼感、モンスターとの熱い友情、そして何より勝負を捨てず、最後まで諦めることのないデュエル魂。それはここにいる全ての生徒が認めるものでしょう。よって、勝者である遊城十代くん、君はラーイエローへ昇格です」

 

瞬間、観客席からの歓声が会場に響き渡った。辺りを見渡すと、誰もが(一部ブルー生徒を除く)が十代の事を称賛している。

 

「そして天城連夜くん」

 

「うぇ!?」

 

「君の卓越したデッキ構築、正確なプレイング、そして常に落ち着いて状況を把握する事の出来る冷静さ。君の実力もまた、十代くんに勝るとも劣らないものです。よって君もラーイエローへ昇格です」

 

再び歓声が沸き起こる。先程十代を讃えていた人達が、今度は僕に称賛を送ってくれる。

 

「アニキも連夜くんも凄いっす!オシリスレッドから2人も昇格するなんて!」

 

「ふ、2人の実力なら当然と言えるだろう。だがあえて言わせてもらう。おめでとう、2人とも。そしてようこそラーイエローへ」

 

「俺も、お前は絶対昇格するって思ったぜ!」

 

「うん、ありがとう、みんな。十代もおめでとう」

 

「でも、これでレッド寮も寂しくなるっすね、いきなり2人も減っちゃうんすから」

 

「ん〜、それはどうかな?」

 

「?どういうことっすか?連夜くん」

 

「にしし、すぐわかるよ。きっと」

 

 

 

 

「やっほー、ただいま」

 

「ういーっす」

 

「アニキに連夜くん⁉︎何でココに⁉︎イエローに昇格したんじゃなかったの⁉︎」

 

「何でも何も、ここが俺の部屋だからな!俺はレッド寮が気に入ってる!燃える炎!熱い血潮!情熱の赤!まさに俺にピッタリだぜ!今更変わる気なんて更々無いぜ!」

 

「あはははは!いかにも十代らしい理由だ!」

 

「そう言う連夜は何で残ったんだよ?」

 

「僕は一つ決めてあることがあるんだよね」

 

「「決めてあること?」」

 

僕は十代に向けてぐっと拳を突き出す。

 

「君に公式戦で勝つ。それが目標だ。それを成し遂げるまでは、僕はここを離れる気は無い。本当は今日達成したかったんだけどね」

 

「へ、成る程な。いいぜ、受けて立つ!」

 

突き出された僕の拳に十代も拳をぶつける。

 

「じゃあアニキも連夜くんもここから出て行かないんすね〜。よかったよ〜」

 

「うわ!おいコラ!くっつくな翔!」

 

「うえ〜ん、どこまでも着いて行くっすよ〜アニキ〜」

 

「だー!分かったから離せって!」

 

そんな2人の様子を笑いながら思った。もう暫くは、この空気を楽しんでいたいと。

 

 

 

 

オマケ〜デュエル終了時〜

 

ブルー生徒をフルボッコし終わった後の三沢っちとの会話

 

「そういえば、最後に伏せてあったカードって何だったんだ?」

 

「ああアレ?『インフェルニティ・バリア』だよ」

 

インフェルニティ・バリア

カウンター罠/自分フィールド上に「インフェルニティ」と名の付いたモンスターが表側表示で存在し、自分の手札が0枚の時に発動出来る。相手の発動した効果モンスターの効果、魔法、罠の効果を無効にし、破壊する。

 

「ちなみにさっき確認したら、デッキの1番上のカードが『大嵐』だったよ」

 

「…あのターン凌いでもどのみちほぼ終わりだったんだな…」

 

終わり

 




どうも。図1のようになります。です。今回使用したデッキはシンクロ、エクシーズの無いインフェルニティです。もしこの世界にシンクロやらエクシーズがあったら…確実にもっと凄惨な結果だったでしょうね。気軽に人を挑発するのはやめましょう。

さて、次回はついにあの方のご登場です!主人公のデッキ何にしようかなあ…。それではみなさんまた次回!


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たーん6 KCの技術力は世界一ィィィィ!!!

デュエルアカデミアは、優秀なデュエリストを養成するための学校である。となると、当然教師はデュエルを教える側として、それ相応の実力が求められる。そこで、デュエルアカデミアの教師となるためには、ある条件が必要となる。それが、

 

“アカデミアの生徒50人に勝利する”

 

というものである。で、何でこんな話題が持ち上がったというと…

 

「む、無理だよアニキ〜、相手は教育実習の先生だよ」

 

「先生もクソもあるかよ!だいたい人のカード奪うなんてデュエリストとして許せねえ!なあ!連夜!!」

 

「同感!教師が生徒にアンティルール仕掛けるなんて人としてどうかと思うね!」

 

「「絶対取り返してやる!!!」」

 

 

 

事の始まりは、とある噂だった。

 

「なあ連夜。お前龍牙先生の噂って知ってるか?」

 

「龍牙先生?ああ、確か教育実習の先生で、今採用試験の最中だったっけ?」

 

「今のところ45連勝中らしいぜ」

 

「45!?さすが教育実習生、相当な実力だね。で?その龍牙先生がどうかしたの?」

 

「ああ、その噂ってのがな、負けた生徒からカードを奪ってるって話なんだよ。ほら、ここ最近生徒がカード忘れたって実技授業休んでただろ?」

 

「そういえば最近そんな生徒がちらほらいたような…」

 

「それでな、今日は翔が対戦相手に選ばれてんだ。だから…」

 

「翔くんから先生の実力を聞くついでに噂の真相を確かめようって事だね。了解、付き合うよ」

 

「連夜ならそう言うと思ったぜ!早速翔のとこ行こうぜ!」

 

 

 

デュエル場に続く廊下で、トボトボ歩いてる翔くんを見つけた。

 

「オイ翔!どーだったデュエルは!?」

 

十代が肩をドンと押すと、翔くんは何の抵抗もなく、ペタンと床に手をついた。

 

「お、おい、どうしたんだよ」

 

「いやそこは空気読もうよ。それにしても、そんなに強かったの?」

 

そう尋ねると、翔くんはゆっくりと顔を上げた。

 

「ア、アニキィ、連夜くん…ぼ、僕のカードが…取られちゃったっす…」

 

「な…なんだってェ!」

 

「単なる噂じゃなかったんだ…」

 

これはさすがに見過ごすわけにはいかないね…

 

 

 

この様な経緯で冒頭部分に至るわけだが、僕らはその龍牙先生のもとに向かっていた。

 

すると、ちょうど龍牙先生がクロノス教諭の部屋から出てくるところだった。

 

「「ああ!いた!!」

 

「おいアンタ‼︎翔から奪ったカード返せよ‼︎」

 

「ん?アンタとは私のことかい?確か君達は…」

 

「オシリスレッド1年、遊城十代だ!」

 

「同じく、天城連夜です」.

 

「そうそう、オシリスレッドのワリにはそれなりのウデを持っているらしいね」

 

「それよりも、先生はデュエルで負かした生徒からカードを奪っていると耳にしたのですが」

 

「ああ、そのことか。実は私はカードコレクターでね。そこの丸藤くんが私の持っていないカードを所持していたんで譲って貰ったんだ」

 

「そんな…僕は譲ってなんか…」

 

「どうかね?君達も何枚かカードを譲ってくれないか?そうすれば、来年からの私の授業で成績に多少色をつけてあげてもいい」

 

「「だが断る!!!」」

 

「…何だと?」

 

「カードはデュエリストの魂だ!アンタみたいなヤツに簡単に渡せるもんか!」

 

「僕も同意見です。僕がカードを渡すのは、僕が認めた人だけなんで」

 

「ほう?そんな態度でいいのかな?来年には私はこの学校の教師だ。成績次第では君達の退学だってあり得るんだ」

 

「へ!関係ないね!」

 

「それに、まだ決まった訳ではないでしょうに」

 

「決まったも同然さ!なんせ、あと一勝すればいいのだからね!」

 

龍牙先生が声を上げて笑っていると、後ろのドアが開けられた。

 

「私の部屋の前が騒がしいと思ったら、アナタ達でスーノ」

 

「「ゲッ、クロノス教諭」」

 

「お疲れ様です、クロノス教諭。お騒がせして申し訳ありません」

 

「おや、龍牙先生、アナタもいたんでスーノ?」

 

「え、ええ。先程の翔くんとのデュエルについて少し」

 

「結構でスーノ。そうなノーネ、シニョール十代にシニョール連夜、アナタ達のどちらかが龍牙先生の50人目の相手をするノーネ」

 

「おやおや、二人ともクロノス教諭に勝った相手、なかなか厳しそうですね」

 

「い、イヤなこと思いださせないで欲しいノーネ」

 

「イイぜ、そのデュエル受けてた…」

 

受けて立つ、と言いかけた十代を遮る

 

「連夜?」

 

「十代、このデュエルは僕に任せて欲しい」

 

「…しゃーねえなあ。今回は連夜に譲るよ」

 

「サンキュ、十代」

 

「では、キミが相手ということでいいんだね?なら、私は先にデュエル場へと向かうよ。…せいぜい頑張ってくれたまえ、なんせ、君達の退学がかかっているのだからね」

 

すれ違いざまに、僕と十代にだけ聞こえるような声でそう言い放ち、龍牙先生はデュエル場へと歩いていった。

 

「さて、それで?龍牙先生の実力はどうだったの、実際」

 

「うん、デッキは恐竜と爬虫類の混合デッキで、プレイングにも無駄が無かったよ。でも、問題はそこじゃないんだ」

 

「どういうこと?まさか、十代みたいなとんでもないドロー運とかじゃ…」

 

「そんなんじゃないんだ。その、実は何故か魔法カードが使えなかったんだ…」

 

「ま、まさか俺が昨日デュエルディスクをフリスビーみたいに投げたから…」

 

「あれはアニキのデュエルディスクだったでしょ!」

 

「何やってんだよ二人とも…で、結局メンテ不足だったの?」

 

「それが、デュエル終わった後にもう一度起動したら、今度は普通に使えたんす」

 

「ちょっとデュエルディスク貸して。っと、デュエルディスク起動、んで死者蘇生を発動っと、…うん、普通に反応するね」

 

「でしょ?何であの時だけ…」

 

「やっぱ偶然じゃねえ?」

 

「うーん…ま、これ以上考えても仕方ない。とりあえずデュエル場に向かおう」

 

ただの偶然にしては出来過ぎだ。何か裏があるのだろうけど、それが何かは分からない。これ以上は直接確認するしか無いな…

 

 

 

僕らがデュエル場につくと、既に龍牙先生が待ち構えていた。

 

「遅かったね。それで、相談はもういいののかね?」

 

「ええ、お待たせして申し訳ありません。始めましょう」

 

「「デュエル!!」」

 

「先攻は私が貰う。ドロー!私はモンスターをセット、さらにカードを1枚伏せターンエンドだ」

 

「僕のターン、ドロー!手札から魔法カード「ピーッ、ピーッ、ピーッ」これは…」

 

魔法カードを発動した瞬間、デュエルディスクからアラーム音が鳴り響いた。

 

「すみません。タイマー機能を切るのを忘れていました」

 

「な、何だただのタイマーか…驚かせないでくれたまえ」

 

やたら驚いている龍牙先生を横目に、デュエルディスクを操作していく。

 

(このアラームはデュエルディスクに何らかの異常が生じた際に発せられるものだ。原因は…電磁波によるシステムの異常?発信源は…近っ!半径6mかよ!?こんな近くに電磁波が発生する様な物は…ああ、そういうことね)

 

「まだ終わらんのかね?」

 

「すみません、設定の解除に手間取ってしまって。続けましょう。僕は手札から魔法カード『竜の霊廟』を発動!」

 

「なっ!?」

 

「ただの魔法カードです。そう驚かれることもないでしょうに。霊廟の効果により、デッキから『アレキサンドライドラゴン』を墓地に。さらにこの時送ったモンスターが通常モンスターの場合、もう1枚墓地に送ることができる。さらに『焔征竜ブラスター』を墓地に。さらに魔法カード『おろかな埋葬』を発動。デッキから『レベルスティーラー』を墓地に。」

 

「(何故だ、何故ヤツのデュエルディスクは魔法が使える…!そういえば、ヤツのデュエルディスクは他の生徒の物とは違う…っち!特注品か!まあいい。所詮オシリスレッド、実力でどうとでもなる)…1ターンでそれだけのモンスターを墓地に送るとは。なるほど、腕は確かなようですね」

 

「それはどうも。『強欲な壺』を発動。2枚ドローします。『聖刻龍 トフェニドラゴン』を攻撃表示で特殊召喚。このカードは相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上にモンスターが存在しない時、手札から特殊召喚できる。攻撃は出来ないけどね。さらに『アックス・ドラゴニュート』を攻撃表示で召喚。バトル!アックスドラゴニュートでセットモンスターを攻撃!」

 

「私の伏せたモンスターは『レプティレス・ナージャ』だ!レプティレス・ナージャは戦闘では破壊されない!さらに!レプティレス・ナージャとバトルを行ったモンスターの攻撃力をバトルフェイズ終了時に0にする!」

 

「く、だがアックスドラゴニュートは戦闘行うと守備表示になる!」

 

「ふ、用意周到だな!」

 

「メインフェイズ2に、墓地のレベルスティーラーの効果発動!自分フィールド上のレベル5以上のモンスターのレベルを一つ下げ、墓地から特殊召喚する!さらに速攻魔法『地獄の暴走召喚』を発動!相手フィールド上に表側表示でモンスターが存在する時に、攻撃力1500以下のモンスターを特殊召喚した時に発動できる。特殊召喚したモンスターと同名モンスターを手札、デッキ、墓地から攻撃表示で特殊召喚する。レベルスティーラーを2体特殊召喚」

 

「私はデッキからもう1体のレプティレス・ナージャを特殊召喚する。自分からそんなザコモンスターを並べるとは。壁にすらならないじゃないか」

 

「勝利への布石その1ってとこです。多少のダメージは必要経費ってものですよ。カードを2枚伏せ、ターンエンド」

 

「その強がり、いつまで続くかな?私のターン、ドロー!先ずは『強欲な壺』を発動だ。2枚ドロー。私は手札から『超進化薬』を2枚発動!場のレプティレス・ナージャ2体を生け贄に、手札から『ジュラック・スピノス』と『ジュラック・ティラヌス』を特殊召喚!さらに『ジュラック・グアイバ』を通常召喚!ついでだ、速攻魔法『サイクロン』を発動!右側のカードを破壊!」

 

「チェーンしてリバースカードオープン!『ダメージ・ダイエット』!このターン受けるダメージを半分に!」

 

「ちっ、フリーチェーンのカードか、運が無い。まあいい、バトル!スピノスで攻撃表示のレベルスティーラーを攻撃!スピノスは相手モンスターを戦闘で破壊し、墓地に送った時、相手フィールド上に攻撃力300のスピノストークンを攻撃表示で特殊召喚する!」

 

連夜LP 4000→3000

 

「続いてグアイバで攻撃表示のレベルスティーラーに攻撃!グアイバが戦闘でモンスターを破壊し、墓地に送った時、デッキから攻撃力1700以下のジュラックと名の付いたモンスターを特殊召喚出来る!ただし、このターンは攻撃は出来ないがね。『ジュラック・イグアノン』を特殊召喚!」

 

連夜LP 3000→2450

 

「最後にジュラック・ティラヌスでスピノストークンに攻撃!」

 

連夜LP 2450→1350

 

 

「ふん。なんとか耐え切ったか。ターンエンド」

 

「エンドフェイズ時にリバースカードオープン!『心鎮壺(シン・ツェン・フー)のレプリカ』!相手フィールドにセットされた魔法、罠を1枚選択する。このカードがフィールド上に存在する限り、選択したカードは発動できない!」

 

「ちっ!無駄な足掻きを…連夜くん、潔くサレンダーしたらどうだね?奇跡でも起こらない限り私の勝利は揺るぎないぞ」

 

「お断りします。僕はどんなデュエルでも最後の1枚をドローするまで諦めないので。それに、既に勝利への布石はほぼ揃い終わっています!」

 

「この状況で何ができると言うのだね。負け惜しみはよしてくれ」

 

「では負け惜しみでは無い事を証明しましょう。僕のターン、ドロー!これが最後の勝利への布石です!場のトフェニドラゴンとレベルスティーラーを生け贄に、現れよ!『破壊竜ガンドラ』!」

 

「攻撃力0だと?血迷ったか!?」

 

「おや、ガンドラの効果を知らないので?トフェニドラゴンが生け贄にされた時、自分の手札、デッキ、墓地からドラゴン族通常モンスターを攻撃力と守備力を0にして特殊召喚します。デッキから『エレキテルドラゴン』を特殊召喚!さらにガンドラのレベルを2つ下げ、墓地から2体のレベルスティーラーを特殊召喚!」

 

「今さらそんなザコが何になる!」

 

「ではお見せしましょう。破壊竜ガンドラの効果発動!ライフポイントを半分払い、フィールド上に存在するこのカード以外の全てのカードを破壊し、ゲームから除外する!」

 

連夜LP 1350→675

 

「な、何だと!?」

 

「フィールドを蹂躙しろ!ガンドラ!『デストロイ・ギガ・レイズ』!!」

 

ガンドラから放たれた無数の光線がフィールド上のカード全てを破壊し尽くした。

 

「さらにガンドラはこの時破壊したカードの枚数×300ポイント攻撃力が上がる。ただし、召喚したターンのエンドフェイズに墓地に行きますが。破壊したカードは10枚。よってガンドラの攻撃力は3000!!」

 

「そのためにワザとフィールドにカードを…だがキミは重大なミスをしている!レベルスティーラーは除外されたらもう特殊召喚出来ない!キミの墓地にはまだ1体残っているが、それでも合計の攻撃力は3600だ!私のライフは削れないぞ!そうなるとキミの場にはレベルスティーラーしか残らない!どの道私の勝ちだ!」

 

「言ったはずです、勝利への布石は揃い終わっていると。墓地の焔征竜ブラスターの効果発動!自分の墓地、または手札から炎属性、またはドラゴン族モンスターを2体除外することで手札または墓地に存在するこのカードを特殊召喚出来る!アレキサンドライトドラゴンとトフェニドラゴンを除外!現れよ、焔征竜ブラスター!」

 

「な、なん…だと…!」

 

「終わらせましょう。ガンドラとブラスターでダイレクトアタック!『デストロイ・ブラスター・カノン』!!」

 

2体の竜から放たれた熱線と光線が龍牙先生を貫いた。

 

「そ、そんな、バカなァァァァァ!!!」

 

龍牙LP 4000→-1800

 

「…それだけの腕ならば、実力のみでも十分すぎる結果が出せたでしょうに。下手な小細工は自身の身の破滅を迎えるだけですよ」

 

「ま、まさかお前…」

 

()()()()の件は校長先生に報告させていただきます」

 

「く、クソッ…」

 

悔しそうにこちらを睨んでいる龍牙先生を横眼に、僕は応援席にいる皆の元へ歩いて行った。

 

 

 

「約束通り、勝ったよ十代」

 

「ああ、さすがだな!連夜!」

 

「でも、連夜くんは魔法使えたって事は、やっぱり偶然だったんすかね…」

 

「いや、龍牙先生の仕業だよ。先生の着けてる指輪から、デュエルディスクのシステムを麻痺させる電磁波が発生してた」

 

「えっ!?じゃあ何で連夜くんのデュエルディスクは大丈夫だったんすか!?」

 

「言ったでしょ?このデュエルディスクは海馬コーポレーションの最新のものだって。ああいう外部からの妨害に対するプロテクトは万全だよ。ついでに原因も究明出来る」

 

「あ、じゃあお前が俺の代わりに今回デュエルしたのって」

 

「そういうこと。万が一魔法が使えなかったとしたら、十代のデッキじゃ厳しいだろうし、何より原因が分からないだろ?」

 

「アニキはそれでも勝っちゃいそうっすけどね」

 

「…何かそんな気がしてきた」

 

「なあ連夜、お前のそのカード…」

 

「「「あ、三沢(くん・っち)いたんだ」」」

 

「居たよ!最初からずっと!ていうか一緒に観戦してただろうが!」

 

「あはは、ゴメンゴメン。で、そのカードってこれ?」

 

そう言って破壊竜ガンドラのカードを見せる。

 

「ああ、そのカードだ。凄いな、このカード、あの伝説のデュエリスト、武藤遊戯が使用したカードの1枚だろ?よく手に入ったな…」

 

「(え、そーだったの!?フツーにあったから何も考えずにいれちゃってたけど…)あはは、む、昔パックで当たって」

 

「何とも羨ましい限りだな。ドラゴン族デッキか?」

 

「えっとね、これ、本当は入試試験で使う予定だったのをちょっと改造して作ったんだよね…」

 

「あれ?でも連夜くんって入試試験では罠カードばっかじゃなかったっすか?」

 

「あれは間違えて持って来たって言ってただろ?なあ連夜、それがあの時の本来のデッキなんだろ?じゃああん時出来なかったし、今から俺とデュエルしようぜ!!」

 

「いやー、さっき回して思ったけど、まだまだ調整が必要だからね。また今度」

 

「ちぇー。結局デュエル出来ず終いかよー」

 

「龍牙先生ともデュエル出来なかったっすからね」

 

「でもあの人、小細工なしでもかなりできるよ。多分翔くん魔法使えてたとしても勝てたかどうか…と言うか下手すればクロノス教諭と同じかそれ以上だよ」

 

「本当っすか!?」

 

「連夜がそこまで評価するとはな…あれでまともな先生だったら、俺もぜひデュエルしたかったな」

 

「ま、実力あってもあんな先生は嫌だけどね。とりあえず校長先生のとこ行ってくる」

 

「報告か。お前も大変だな」

 

「先に寮戻ってるっすね。ほら行くよ、アニキ」

 

「おう。じゃ、また後でなー連夜」

 

「うん。また後で…さて、行くか」

 

今回の件を報告するため、僕は校長室に向かった。

 

 

 

後日、龍牙先生の教育実習が終了することが全校生徒に伝えられた。何人かの生徒がホッとした様な表情を浮かべていたので、やはり今回の被害者はそれなりにいたらしい。翔くんのカードも無事に戻って来たそうで、しきりに感謝された。

 

「アニキも連夜くんも、これで一安心っすね」

 

「え?何がだ?」

 

「ほら、龍牙先生が教師になったらアニキや連夜くんって絶対目をつけられるじゃないっすか。特にアニキなんか成績危なかったら退学にするって言われてたんすから」

 

「げっ…そういえばそんな事言われてたっけな」

 

「あはは、十代らしいや。でも、あの人は嫌いだけどあの人のデュエルは実は結構楽しかったんだよね…実力は本物だったし。またデュエルはしたいね」

 

そう笑いながら答えたが、この時の僕は、この一言が最悪の形で実現することになるとは思ってもいなかった…

 

 




どうもー。図1のようになります。です。前回の後書きで、次回あの人登場!とか言ってましたが…残念!!「ぶるぁぁぁぁ!!!」の人ではありません!あの人=龍牙先生の事です!この後の展開的に、どうしてもこのタイミングで登場させたかったんです…次回こそ、ぶるぁぁぁぁ!の人が登場します!お楽しみに!!

今回のデッキですが、ええ、もう出ないとか言ってたあのカオスドラゴンですよ。まあ、大分改造しましたけどね。むしろカオスの要素がほぼ無いですけど。だってガンドラぶっぱでヒャッハー!したかったんだもん!だからついでに今回は大分ネタ要素を突っ込んでみました!あなたはいくつ気付くかな?おかしいな…後の展開に繋がるシリアス場面作ろうとしたのにな…

追記
手札に困ったら強欲な壺で調整。…今回のこれはちょっとやり過ぎかな?


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たーん7 そっちがその気ならこっちもガチだ!

今回主人公のデュエルシーンは無いです。


とある日の夜、僕と十代、翔くん、隼人くんの4人で“引いたモンスターのレベルに応じた怖い話しをする”っていうちょっとした百物語モドキをしていた。

 

…ちなみにさっきから隼人くんがものすごくビビっている。なんで参加したのさ…

 

「おい、次連夜の番だぜ」

 

「おっと、んじゃドローっと」

 

引いたカードは…『死霊騎士 デスカリバーナイト』、ちなみにレベルは4だ。

 

「レベル4か…うーん…あ、そうだ。これは僕の友達が昔実際に体験した事なんだけど…」

 

「じ、実話っすか…」

 

「これは期待出来そうだな。それで?」

 

「うん。それでね、その友達が家族で山にキャンプに行った時の事なんだけど、その山、カブトムシやクワガタムシが結構いるって事で有名だったらしいんだ。で、当然自分も捕まえてみようとトラップを仕掛けたんだ」

 

「トラップってあれだろ?真っ黒になったバナナを潰して、酢とか砂糖とか混ぜてネットに入れて、それを木に吊るすやつ。俺もちっちゃい頃よくやってたなー」

 

「そうそう。そんな感じの。で、そのトラップを自分達のテントがちょうど森の近くだったから、テントからちょっと離れた所に設置したらしいんだよ。あんまり遠くにつけると後で探すのが大変だからね。で、夜中にそれを見に行ったんだ。目的の場所にはすぐに着いた。けど、設置したはずのトラップがどこにも見当たらない。でも、周りの様子は記憶通りだし、目印にと積んでおいた石もあった。不思議に思っていると、その木の根元でモゾモゾと動く影が見えた。ああ、トラップが落ちちゃったのか、とすぐに理解した。でも、その影はカブトムシやクワガタムシに比べてかなり大きかった。ネズミとかだったらちょっと怖いな…と恐る恐る懐中電灯を向けた。すると…」

 

「「「(ゴクッ…)」」」

 

「すると、そこにはトラップを覆い尽くす十数匹のGが…」

 

「「「うわあ………」」」

 

「ちなみに、あとで調べたらヤマトゴキブリという名前だと判明したそうだよ」

 

「いらないよ!そんな情報!っていうか何この話!?」

 

「でも怖かったでしょ?」

 

「怖いというか気持ち悪いっす…」

 

「オレ、頭ん中で想像しちまった…うう、鳥肌が…」

 

「オ、オレもなんだなあ…」

 

むう…うけると思ったのに…

 

「おや、何やら面白そうな話しをしてるにゃー」

 

「あ、大徳寺先生。今皆でドローしたモンスターのレベルだけ怖い話しをするってゲームをやってるんです」

 

「連夜くんのは怖いというよりも気持ち悪い話しだったっすけどね…」

 

「なるほどなるほど。どれ、私も」

 

そう言って大徳寺先生が引いたカードは…

 

「おお!『FGD(ファイブ・ゴッド・ドラゴン)』!レベル12だ!」

 

「取って置きのをお願いしますね、先生」

 

「ふむ、そうですにゃ。皆さん、この島には昔特待生用の寮があったのは知っていますかにゃ?ーーー」

 

大徳寺先生の話によると、この島には既に廃寮となった特待生用の寮があるらしく、なんでもそこでは闇のデュエルの研究が行われており、実際に行方不明となった生徒もいるらしい。場所もレッド寮からそう離れていないそうだ。と、なると…

 

「連夜!先生の言ってた廃寮に行ってみようぜ!」

 

「まあ当然こうなる訳で…」

 

「?何ブツブツ言ってんだ?」

 

「いんや、なんでも無いよ。まあ確かに興味あるし、僕も行こうかな。2人は?」

 

「ああ、翔と隼人なら来るってよ」

 

「へえ?あんだけ怖がってたのに意外だね。あれかな、怖いもの見たさってやつ?」

 

「なんでもいいだろ?じゃ、今日の夜な」

 

「了解。またね」

 

さて、準備でもしますかね。

 

 

 

日が完全に落ち切った頃、僕らは件の廃寮の前にいた。

 

「おー、これが先生の言ってた廃寮か〜」

 

「…というか、なんでさっさと壊さないんだろ?そもそもいつ建てられたんだ?コレ…ん?あれは?」

 

門の辺りを懐中電灯で照らすと、薔薇が置いてあるのが見えた。

 

「なんでこんな所に薔薇が…」

 

そんな疑問を口にしていると、ガサッと近くの葉が揺れた。…なんか翔くんと隼人くんが騒いでるけど、無視して音のした方を照らす。

 

「あれ?天上院さん?」

 

「んお?ホントだ。なんでお前がこんな所にいんだよ?」

 

「アナタ達こそここで何をしてるのよ。ここは立ち入り禁止よ?」

 

「俺たち、今からこの廃寮の探検するんだ。明日香も来るか?」

 

「アナタ達知らないの?ここで行方不明になった生徒がいるのよ。悪い事は言わないわ。早く帰りなさい」

 

「そんなのただのウワサだろ?大丈夫だって」

 

「噂じゃないのよ!!…ここで行方不明になった生徒の中には、私の兄も含まれてるの…分かったら早く帰りなさい」

 

その言葉に僕らは何も言う事が出来なかった。明日香さんはそのまま歩き去ってしまった。

 

「で、どうする?十代」

 

「行くに決まってんだろ。それに、もしかしたらあの中に明日香の兄ちゃんの手掛かりがあるかもしんねえしよ」

 

「ま、そう言うと思ったよ。ほら、翔くんも隼人くんも行くよ。早くしないと置いてっちゃうよ?」

 

「わわ、今行くっすよ〜」

 

「待って欲しいんだなあ!」

 

結局2人とも着いて来るようだ。さて、中では何が出て来るやら…

 

 

 

「さすが特待生の寮ってだけのことはあるな。レッド寮とは大違いだぜ」

 

「だからってここに住むとか言い出さないよね?」

 

「えー、なんでダメなんだよ」

 

「僕はやだよ、こんな埃っぽい寮。掃除するにしてもものすごく大変だろうし、何より校舎から距離があり過ぎ」

 

「それもそうかー」

 

「2人とも余裕っすね…」

 

「うう、何か出そうなんだなあ…」

 

怯える2人を再び無視しながら辺りを捜索してると、デュエルに関すると思われる壁画を見つけた。

 

「ほ、本当にここで闇のデュエルを?」

 

「この絵だけでは何とも言えないけど、怪しさは大分増したね」

 

「こっちには千年アイテムの絵があるぜ。へえ、千年アイテムって7つあるんだな…ん?」

 

「どしたの?十代」

 

「いや、何か写真が落ちてたんだけどよ」

 

ほらこれ、と言って十代が見せた写真には、『10JOIN』という暗号(?)と共に男の人が写っていた。

 

「じゅう…ジョイン?なんて読むんだろ?」

 

「さあ?でも何でこんな所に写真が…」

 

あるんだ?と十代が言いかけた瞬間、

 

「キャーーー!」

 

「!?この声…明日香か!?」

 

声のした方へと視線を移すと、カードが落ちているのが見えた。

 

「このカードは!?十代!」

 

十代に拾ったカードを渡す。

 

「これは…明日香の『エトワール・サイバー』!?」

 

「連夜、十代!こっちに何かを引きずったような跡が!」

 

「よし!行ってみよう!」

 

隼人くんの見つけた跡を辿って、僕らは廃寮の奥へと進んでいった。

 

 

 

通路を抜けた先には、何やら怪しげなスペースが広がっていた。そこにはタイタンと名乗る男が待ち構えており、明日香を人質に取り、十代にデュエルを持ちかけた。十代もそれに応えるが、人質となった明日香を気にしていつものプレイングが出来ず、追い込まれていた。

 

そして、今に至る。

 

「『ジェノサイドキングデーモン』でフェザーマンを攻撃!『炸裂ゥ!五臓六腑ゥ!』」

 

「くっ!?リバースカードオープン!『ヒーローシグナル』!この効果で『E・HERO クレイマン』を守備表示で特殊召喚!」

 

「よし!追撃を防いだんだなあ!」

 

「いいぞー!アニキー!」

 

「(ズズッ)…あ〜…」

 

「連夜くん?どうしたっすか?さっきからボーッとしてるっすけど」

 

「(ズズッ)、んにゃ、なんでもないよ」

 

なんかこの部屋、埃っぽいなあ…さっきから鼻がムズムズしっぱなしだよ。

 

「ふふふ、言ったはずたぞ?小僧。これは闇のデュエルだとな」

 

そう言ってタイタンが懐から変な目のマークの入った三角錐の物体を取り出す。というか、やっぱり、うん。

 

「消えてゆくゥ…お前の体がライフポイントと共にィ…徐々に消えるゥ…」

 

「な、なんだ!?俺の体が…」

 

「アニキ!」

 

「十代!」

 

「…」

 

「ふふふ…そこの小僧は早くも闇のデュエルに飲まれた様だな」

 

「連夜くん!?大丈夫っす「ぶえっくしょい!」…か?」

 

「あ〜も〜、本当ここ埃っぽい!あ、隼人くん、ティッシュ持ってない?」

 

「一応持ってはいるんだなあ…」

 

そう言って隼人くんがカバンの中からポケットティッシュを出してくれた。

 

「おー、ありがと。(ブビーッ)ふー、いやー、さっきからくしゃみそうで出なかったんだよねー。あー、やっと出てスッキリしたー。あれ?みんなどしたの?」

 

「もしかして、さっきから連夜くんがボーッとしてたのって…」

 

「ボーッと?ああ、さっきからずっとくしゃみが出そうで出なくってさー」

 

「心配して損したんだなあ…」

 

その後もデュエルは続き、十代はサンダージャイアントを融合召喚し、効果を発動したが、ジェノサイドキングデーモンの効果により無効化、破壊されてしまい、再び十代のフィールドがガラ空きになってしまった。次のターンでジェノサイドキングデーモンの攻撃に対してミラーフォースを発動し相手モンスターを全滅させるが、デスルークデーモンの効果でジェノサイドキングデーモンが復活し、そのまま追撃を受けそうになるも、十代が非常食によって悪夢の蜃気楼を破壊した事により、ライフを1000回復し、なんとかもちこたえた。…ミラフォにチェーンして発動すればもう1000ポイント回復できたのに、それを忘れてるあたり、やはりまだ本調子で無いのかもしれない。それにしてもホントにココ埃っぽい。今度は目が痒くなったじゃないか。うー、目が、目がぁ!

 

「ライフポイントが減った事により、お前の体は更に消えてゆく…」

 

「ああ!アニキの右腕が!」

 

「え?右脚、だろ?」

 

「(ゴシゴシ)あー、目が痒い!ところで2人とも何言ってんの?十代の体がどうのって」

 

「闇のデュエルの影響でアニキの体が消えちゃってるんすよ!」

 

「え?別に何ともなって無いじゃん」

 

「一体どういうことなんだなあ?」

 

その後十代はフレイムウィングマンを融合召喚し、ジェノサイドキングデーモンを破壊し、相手に2100のダメージを与えた。ちなみにキングは三たび復活していた。…いい加減休ませてやれよ。過労死するぞ。

 

そして、ライフと共にタイタンの体も消えていった。今度は僕にも見えた。

 

「消えたの、右手だよね?」

 

「左、だろ?」

 

「僕はお腹の辺りが消えてる様に見えるけど…」

 

うーん、どゆこと?

 

十代はメインフェイズ2にダークカタパルターを守備表示で召喚してターンを終了した。続くタイタンのターンで、タイタンはジェノサイドキングデーモンを生贄に、迅雷の魔王スカルデーモンを召喚し、十代のフレイムウィングマンを破壊した。

 

「くっ、今のは効いたぜ…!」

 

「ふふふ、お前は既に体の力が抜けて立つこともままならない」

 

タイタンがポケットから千年パズルを取り出し、胸の辺りに掲げると、パズルの目の部分から強烈な閃光が発せられた。

 

「ぐ…」

 

十代が苦しげに呻くと、ガクッと膝を着いた。

 

「アニキ!」

 

「十代!」

 

「しっかりしろ!十代!」

 

「フハハハハハ、闇に堕ちたな、遊城十代!」

 

十数秒ほどしゃがみ込んでいた十代だったが、突然目を見開くと、再び立ち上がった。

 

「なにぃ!再び立ち上がるだとぉ!」

 

「へ、このまま終われるかよ!隼人!奴の右腕は消えているよな!」

 

「え?逆じゃないか?」

 

「「え!?」」

 

「やっぱりな…俺のターン!ドロー!ダークカタパルターの特殊効果発動!このカードが守備表示でいたターンの数だけ墓地のカードを除外することで、同じ数のフィールド上の魔法、罠を破壊できる!俺は墓地のフェザーマンを除外し、フィールド魔法パンデモニウムを破壊する!『ホーリーシュート』!」

 

ダークカタパルターの角?から発射された光弾がタイタンのデュエルディスクに命中し、フィールド魔法が破壊され、周りの景色も元に戻った。

 

「ちぃ!コレを見ろぉ!」

 

タイタンがまた千年パズルを掲げる。

 

「お前には除外したカードを確かめてもらうぜ!」

 

そう言って十代が手に持ったフェザーマンのカードを投げつけると、キィン!と高い音を鳴らしてカードがパズルに突き刺さった。あれ?カードって紙だよね?確かに前の世界よりもかなり丈夫だけど、材質紙だよね!?何をどうやったらあんな風になるんだ!?

 

「しまったあ!」

 

「思った通りだ!こいつの闇のデュエルはインチキだ!多分こいつはマジシャンか何かで、俺たちはこいつの催眠術にかかってたんだ!だから消えてる所がチグハグに見えたり、ちょうど良いタイミングでくしゃみしたり目をこすってた連夜には最初の方体が消えてるように見えなかったんだ!多分そのパズルやコートやルーレットには何か仕掛けが有るんだろうぜ」

 

「あ、ルーレットは多分問題無いよ。イカサマなんて使ったら僕のデュエルディスクが反応してるから」

 

「そ、そうなのか?」

 

「うん。確実にね」

 

このデュエルディスクは電源が入っている時は常時監視モードになるよう設定してある。ルーレットやコイントスの不正、隠し持っていたカードなんかを発動、又は墓地へ送ったら即警告アラームが鳴り響く。KC製の最新版は伊達じゃない!ついでに言うと、電源はデュエルが始まって直ぐに入れた。つまり、やたらルーレットが当たってたのは、単にタイタンの運が良かっただけということだ。

 

「何をバカなことを。私は本当に闇のデュエルを…」

 

「なら当然知っているよな?千年アイテムがいくつあるのかを」

 

「千年アイテムの数だとぉ?」

 

「さあ、答えてみろよ!」

 

「そ、それはぁ…な、ななぁ…」

 

…なんつー自信なさげな…そんなんじゃさすがに誤魔化せ…

 

「!当たってる…」

 

てるよ!?十代もモロ顔に出てるし!

 

「ふふふ、なぁなだあ」

 

「ぐ…」

 

「これで分かっただろう。私が七つある千年パズルの一つを持つ闇のデュエリストだということがあ!」

 

あ、墓穴掘った。

 

「墓穴を掘ったな!千年パズルが七つあるわけじゃ無い!やっぱりお前はインチキだ!」

 

「なあっ!?くっ、私の仕掛けが効かぬ以上、もはやお前とのデュエルは無意味な物!」

 

タイタンが千年パズルもどきを床に叩きつけると、パズルが爆発し、辺りが煙に覆われた。ていうか、さっきカードが刺さった時によく爆発しなかったな…

 

「やっぱり偽物の千年パズル!待ちやがれ!」

 

すかさず十代が追いかけるが、煙に紛れてよく見えない。

 

「十代!深追いは危険だ!」

 

僕がそう言い放った瞬間、床に目の模様が浮かび上がり、辺りが闇に包まれた。

 

「お、おい、十代!?」

 

僕の呼びかけに応える声が聞こえてくることは無かった。

 

 

 

十代達が闇のドームの中に囚われてから数分後、ドームの割れ目から十代が飛び出してきた。

 

「無事か!?十代!」

 

「アニキィ!」

 

「十代!大丈夫か!?」

 

「おお、何とか勝ったぜ!」

 

「あのタイタンってやつは?」

 

「さあ?何か負けたら直ぐに去ってったぜ?でも多分まだあん中いると思うけど」

 

「そっか…」

 

何か釈然としない気持ちを抱えていると、突然闇のドームが収縮し始め、吸い込まれそうになる。

 

「うわっ、みんな伏せろ!くっ、明日香!」

 

十代が眠っている明日香さんのいる棺桶を必死に押さえる。そんな中僕はじっと収縮していく闇のドームを見つめていた。

 

「おい、どうしたんだよ連夜?」

 

「連夜くん?」

 

「闇のデュエルというのが本物だったとして見捨てる気も、偽物だったとして見逃す気も無いんでね!」

 

そう言うと僕は迷わず闇のドームの中に突っ込んでいった。

 

「お、おい連夜!?」

 

「危ないっすよ!連夜くん!」

 

「戻るんだなあ!連夜!」

 

十代達の驚いた様な声が聞こえたが、それに応える事なく僕は闇の中に吸い込まれでいった。

 

 

 

闇の中は何も無い空間がただ広がっていた。

 

「タイタン!いるのなら返事しろー!」

 

大声でそう叫ぶと、突然目の前に人が現れた

 

「…どうやら普通では無いようだね」

 

目の前のタイタンからは生気が感じられなず、まるで糸の切れた人形のような雰囲気だった。

 

「…」

 

無言でタイタンがデュエルディスクを構える。

 

「…正直闇のデュエルなんて実際に起こる物とは思ってなかったけど」

 

腰につけたデッキケースのうち、“本気用”と書かれたデッキケースの中からデッキを抜き、デュエルディスクにセットする。

 

こっちの世界に来てからは初めてだな。

 

「そっちがその気なら」

 

さて、久々に

 

「こっちもガチだ!!」

 

本気で行くとしますか!!

 

「「デュエル!!」」

 

天城連夜にとって、絶対に負けられない、負けることの許されない闘いがいま始まる




どーも。図1のようになります。です。いやー、予定してたよりも遅れにおくれてしまい、本当に申し訳ありません。しかもまだデュエルが始まって無いというね、ホント何をやっているのやら。新学期が始まり、車校に通い始め、延びに延びてこんな遅くなってしまいました。本当はこの話1話にまとめようとしたんですけど、あまりに長くなったんで前半と後半に分けることに。ホントすみません。あと、今回の話はアニメをちゃんと覚えて無いと分かり辛い様な部分が多くあります。気になる方は是非アニメの見直しをすることをお勧めします。

さあ、次回ついにこの小説のタイトルである“事故率5%を目指したデッキ”の登場です!お楽しみに!

次回はなるべく早く更新します。目標は3日以内!


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たーん8 闇を打ち破れ!

「「デュエル!」」

 

「先攻は僕だ!ドロー!『グリーン・ガジェット』を召喚!そしてグリーン・ガジェットの効果発動!このカードが召喚、特殊召喚に成功した時、デッキから『レッド・ガジェット』を手札に加える。カードを2枚伏せてターンエンドだ」

 

「私のターン、ドロー。私は『トリック・デーモン』を召喚。さらに手札からフィールド魔法『伏魔殿-悪魔の迷宮-』を発動!」

 

「デッキ内容がさっきと変わってる!?」

 

正直チェスデーモンならこのデッキと相性が良いからまず負けることは無いと思ってたけど…そっちのデーモンとはやや相性が悪い。厳しい闘いになりそうだ…。

 

「悪魔の迷宮の効果で、私の場の悪魔族モンスターは攻撃力が500ポイントアップする。さらに手札から『デーモンの将星』を特殊召喚!」

 

「させない!リバースカードオープン、『煉獄の落とし穴』!相手が攻撃力2000以上のモンスターを特殊召喚した時、その効果を無効にし、破壊する!」

 

「ふん、ならばバトル!トリックデーモンでグリーンガジェットを攻撃!」

 

トリックデーモンがグリーンガジェットを破壊し、その衝撃がこちらにまで伝わる。

 

連夜LP 4000→3900

 

「っ!こんな過剰な衝撃はソリッドビジョンには設定されていないはずだ…まさか、ダメージが実体化するのか!?」

 

「そうだ。この闇のゲームにおいて発生するダメージは全て現実のものとなる。せいぜい闇に飲まれる前にくたばる事がないようきをつけるのだな。私はカードを1枚伏せ、ターンを終了する」

 

「くっ、僕のターン、ドロー!『マシンナーズ・ギアフレーム』を召喚!このカードが召喚に成功した時、デッキから他のマシンナーズを手札に加える事が出来る!『マシンナーズ・フォートレス』を手札に!フォートレスは手札からレベル8以上になるように機械族モンスターを墓地に送る事で手札、または墓地から特殊召喚出来る!レッドガジェットとフォートレスを墓地に送り、墓地からフォートレスを特殊召喚!」

 

「この瞬間、私はリバースカードを発動する。私の伏せていたカードは『激流葬』!」

 

「なっ!?」

 

「激流葬の効果により、場のモンスターを全て破壊する。そしてトリックデーモンの効果発動!このカードがカード効果によって墓地に送られた時、または戦闘で破壊され墓地に送られた時、デッキから他のデーモンを手札に加える事が出来る。私は『トランス・デーモン』を手札に加える」

 

「ならばリバースカードオープン!『リビングデッドの呼び声』!自分の墓地のモンスターを攻撃表示で特殊召喚する!蘇れ!マシンナーズ・フォートレス!バトル!フォートレスでダイレクトアタック!『フォートレス・カノン』!」

 

「甘いわぁ!私は手札の『バトルフェーダー』の効果発動!相手の直接攻撃時、このカードを特殊召喚しバトルフェイズを終了させる!」

 

「く…ターンエンド」

 

「私のターン、ドロー。私は『トランス・デーモン』を召喚。さらに悪魔の迷宮の効果発動!自分フィールドのデーモン1体を選択し、選択したカード以外の悪魔族モンスターを除外し、デッキ、手札、墓地から選択したカードと同じレベルのデーモンを特殊召喚する!私はバトルフェーダーを除外し、『デーモンの騎兵』を特殊召喚!私はカードを1枚伏せ、トランスデーモンの効果発動!1ターンに1度手札から悪魔族モンスターを捨て、このカードの攻撃力を500ポイントアップする!そして私の捨てカードは『暗黒魔族ギルファーデーモン』だ。ギルファーデーモンが墓地に送られた時、フィールド上のモンスターに装備することが出来る。対象はもちろんマシンナーズフォートレスだ!」

 

「だけどマシンナーズフォートレスがモンスター効果の対象となった時、相手の手札を確認し、1枚選択して捨てる事が出来る!」

 

「残念だが私の手札はこのカード1枚だけだ」

 

そう言ってタイタンが自分の手札を公開する。残った1枚は…な!?『デーモン・イーター』!?

 

「ふ、マシンナーズフォートレスの効果により、デーモン・イーターは墓地に送られる」

 

こっちのモンスター効果を利用してくるなんて…この男、純粋な実力ならこっちに来てから闘った中では一番強い!

 

「バトル!トランスデーモンでマシンナーズフォートレスを攻撃!『次元裂殺』!」

 

フォートレスの前の空間が裂け、そこから現れた悪魔がフォートレスを裂け目に引きずりこんでしまった。

 

連夜LP 3900→3400

 

「く、マシンナーズフォートレスの効果発動!このカードが戦闘で破壊され墓地に送られた時、相手フィールド上のカードを1枚破壊する!悪魔の迷宮を破壊!」

 

「だが私のバトルフェイズは続く!デーモンの騎兵でダイレクトアタック!『滅殺降魔槍』!」

 

騎兵の槍が僕の胸を深々と刺し貫く。

 

「ぐ、がはっ!」

 

連夜LP 3400→1500

 

「私はこれでターンエンドだ」

 

「僕、の、ターン!」

 

ズキズキと痛む胸を押さえつける。大丈夫、まだ行ける!

 

「ドロー!」

 

っ!このカードじゃない…!

 

「『イエロー・ガジェット』を守備表示で召喚!効果でデッキからグリーンガジェットを手札に。カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

「貴様のエンドフェイズに墓地のデーモンイーターの効果発動!デーモンの騎兵を破壊し、このカードを特殊召喚する!さらにデーモンの騎兵効果発動!このカードがカード効果により破壊され墓地に送られた時、墓地のデーモンを1体特殊召喚できる。私はデーモンの将星を特殊召喚!」

 

く、やはり将星を回収して来たか…

 

「私のターン、ドロー!私は『戦慄の凶皇-ジェネシス・デーモン』を召喚!このカードは生け贄無しでも召喚する事が出来る。もっとも、この方法で召喚した時、このカードの元々の攻撃力、守備力は半分になり、エンドフェイズには破壊されるがな。だが効果は使える。ジェネシスデーモンの効果発動!1ターンに1度、手札か墓地のデーモンを除外することで相手のカードを1枚破壊出来る!トリックデーモンを除外し、お前の伏せカードを破壊する!『凶王惨殺剣』!」

 

「ならその効果にチェーンしてリバースカードを発動!『威嚇する咆哮』!このターンの相手の攻撃宣言を封じる!」

 

「ちぃ!フリーチェーンのカードとはな。エンドフェイズにジェネシスデーモンは自壊する。だがこの瞬間、速攻魔法『デーモンとの駆け引き』を発動!このカードは自分フィールドのレベル8以上のモンスターが墓地に送られたターンに発動できる。手札かデッキから、『バーサーク・デッド・ドラゴン』を特殊召喚する!出でよ!バーサークデッドドラゴン!」

 

タイタンの場に禍々しい雰囲気を撒き散らすドラゴンが現れる。その瞳には理性がまるで感じられず、ただただ狂気だけが映っていた。

 

「バーサークデッドドラゴンは自分のエンドフェイズ毎に攻撃力が500下がる。私はこれでターンエンドだ」

 

このターンはなんとか凌いだ。だが相手のフィールドにはモンスターが4体残ったままだ。だけど相手のフィールドに魔法、罠は伏せられておらず、手札も0だ。決めるチャンスは今しか無い!

 

「僕のターン、ドロー!」

 

よし!来た!!

 

「僕は魔法カード『死者蘇生』を発動!墓地のマシンナーズフォートレスを特殊召喚!」

 

もう一度だけ頑張ってくれ、フォートレス!

 

「そして、手札から『ネジマキシキガミ』を特殊召喚!このカードは自分の墓地に機械族モンスターしかいない場合に手札から特殊召喚出来る!」

 

「攻撃力、守備力100だと?時間稼ぎのつもりかぁ!」

 

「時間稼ぎじゃあない!勝利のための鍵だ!ネジマキシキガミの効果発動!相手フィールド上に存在するモンスターの攻撃力をエンドフェイズ時まで0にする!バーサークデッドドラゴンの攻撃力を0に!」

 

「何だとお!?」

 

「バトル!マシンナーズフォートレスでバーサークデッドドラゴンを攻撃!そしてこの瞬間、速攻魔法『リミッター解除』を発動!自分フィールド上の機械族モンスターの攻撃力をこのターンのエンドフェイズ時まで倍にする!」

 

「ま、待て!やめろぉ!」

 

「行け!フォートレス!『アルティメット・フォートレス・カノン』!!」

 

フォートレスから放たれた極太のレーザーがバーサークデッドドラゴンを貫いた。

 

「うおおおおおおおおおお!!」

 

タイタンLP 4000→0

 

デュエルの決着と同時に、周りで蠢いていた闇がタイタンを取り囲んだ。

 

「や、やめろお!来るなあ!」

 

恐らく自我の戻ったのだろう。タイタンが闇から逃れようと必死にもがいていた。

 

「タイタン!掴まれ!」

 

急いでタイタンの手を掴むと、今にも呑まれそうな体を全力で引っ張る!

 

「ぬおおおおお!どっせぇい!!」

 

一本背負いの要領で、肩に担いだタイタンを思いっきり反対側にぶん投げ、自分もその場から退避する。

 

「タイタン!しっかりしろ!っく、完全に気絶してる…」

 

仕方なく、半ばひきずる様にタイタンを担ぐ。っていうかやっぱ重いなあ!コイツ!

 

「って、出口どこ!?」

 

迫る闇から全力で逃げ惑っていると、突然目の前に明かりが見えた。

 

「あ!なんか出口っぽい!ええい!ままよ!」

 

躊躇ってる暇なんか無い!とばかりにその光の中に走っていく。

 

 

 

光の中を抜けると、目の前には元の景色が広がっていた。

 

「ラッキー、ホントに出口だった…って危ない!」

 

「うお!?連夜!?無事だったのか!?」

 

抜けたすぐ先に十代がいて、危うくぶつかりそうになった。

 

「いや〜、相棒がいきなり飛んでったと思ったらお前が現れるもんだからビビッたぜ…って、タイタン!?」

 

「なんで連夜くんがタイタン背負ってるんすか!?」

 

「いや、デュエル終わったら気絶しちゃって。仕方なく背負って来たんだけど」

 

「背負うというか、半分引きずってるんだなあ…」

 

仕方ないじゃん。重いしデカイんだもん。

 

「うう…」

 

「あ、起きた」

 

「本当だ。おい!タイタン!何で俺を狙った!」

 

「ぬう、ここは…そうか、あの場所から出られたのか…」

 

「おい、質問に…」

 

問い詰めようとする十代を手で制し、タイタンの前に出る。

 

「あなたが何故この様な事を仕出かしたのかは尋ねません。どうやら今回の事態はあなたにとっても予想外の事だったでしょうから。でも、二度とこんな真似はしないようにしてください。」

 

「私はお前に助けられた身だ。約束しよう。今回の事に関して謝罪と感謝を。すまなかった、そしてありがとう。」

 

「…操られていたのかもしれないけど、あなたの実力は本物でした。次はあなた自身とデュエルが出来る事を楽しみにしていますよ」

 

「ああ、約束しよう」

 

そう言うとタイタンはコートを翻して去って行った。

 

「なあ連夜、あれで良かったのか?」

 

「いいんじゃ無いかな。目的は分からなかったけど、皆が無事で済んだんだ」

 

「連夜くんってそういうところが妙に大人びてるっすよね」

 

「そう?自分じゃ意識したこと無かったんだけど」

 

「何でもいいけどよ、取り敢えずこっからでようぜ」

 

「ん、それもそうだね。よーし、皆、撤収!」

 

「「「おー!!!」」」

 

 

 

廃寮から出た辺りで、明日香さんが目を覚ました。

 

「ん…私はいったい…」

 

「お、明日香。起きたのか」

 

「あなた達!どうしてここに!?」

 

「まあまあ、それは置いといて。それよりも十代」

 

「ああ、ほらコレ、お前のカードだろ?それから、これ、お前の兄ちゃんだろ?」

 

そう言って十代が拾ったエトワールサイバーと写真を渡す。

 

「これ、兄さんの写真だわ…兄さんはよくシャレで天上院を10JOINって使ってたから…」

 

「ゴメンな、それくらいしか見つからなかったんだ」

 

「じゃあ、あなた達わざわざこのために?」

 

そんな事を話しているうちに、朝日が出てきた。

 

「うわ、やべえ!皆が起き出す前に帰らないと!」

 

「あっ、待ってよアニキ〜!」

 

「早く行くぞ!翔、隼人、連夜!じゃあな、明日香!」

 

「了解!って言っても今さら寮戻っても寝る時間無いだろうなあ…」

 

そう言うやいなや、僕達は走り去っていった。

 

「遊城十代…お節介なやつ…」

 

明日香さんの最後の一言は恐らく呟いただけのつもりだろうけど、僕にはバッチリ聞こえてしまった。うーん、十代のフラグ立った?

 

 

 

「そう言えばさ、何であんなとこに写真があったんだろ?」

 

「そりゃあ誰かが持ち込んだからだろ?」

 

「誰かって誰さ?」

 

「そりゃあ…うーん?」

 

「まさか、お兄さんが自分で持ち込んだんすかね?」

 

「えー、まさかー」

 

自分のサイン(しかもシャレの名前の)付きの写真なんか持ち歩かないでしょ。

 

「そっすよねー」

 

あははははー、と笑い合う僕らだった。

 

後日、明日香さんにその事を話すと、頭を押さえながら

 

「兄さんはそういう人よ…」

 

と溜め息混じりに言った。

 

えー、どんだけー。

 




どうも。図1のようになります。です。まずは謝罪を、ゴメンなさい!!目標三日とか言っときながら余裕で一週間が経ちました…言い訳をさせてもらうと、当初予定していたデュエル内容だと、タイタンを一方的にボコって終了!だったのですが、それでは味気無さ過ぎるということで、タイタンのデッキを大幅に改造致しました。その結果、魔改造どころじゃない強化っぷりに。ネタでデーモンイーターとか入れてみたのに、何故か上手く機能するというね。うん、流石にやり過ぎたかな。反省しないけど。

ついにタイトルの“事故率5%”デッキが実現しました!今回のデッキはズバリ除去ガジェットです!ぶっちゃけチェスデーモンなんぞ相手にすらなりません!地砕きやら奈落なんかは対象とりませんから。と、いうことでタイタンのデッキは8軸デーモンに。破壊されても後続がポンポン出て来ます。除去相性悪いです、はい。

次こそ早めに投稿するぞ!って言うとまた遅れそうだなあ…


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デッキレシピ紹介1

【8軸デーモン】

モンスター 22枚

トリック・デーモン ×3

トランス・デーモン ×2

デーモンの騎兵 ×2

デーモン・イーター ×1

バトルフェーダー ×2

デーモンの将星 ×2

暗黒魔族ギルファー・デーモン ×1

戦慄の凶皇ージェネシス・デーモン ×3

ヘル・エンプレス・デーモン ×3

バーサーク・デッド・ドラゴン ×2

暗黒の侵略者 ×1

 

魔法カード 12枚

堕落 ×2

デーモンとの駆け引き ×2

愚かな埋葬 ×1

死者蘇生 ×1

テラ・フォーミング ×2

伏魔殿-悪魔の迷宮- ×3

トレード・イン ×1

 

罠カード 6枚

激流葬 ×1

デーモンの雄叫び ×1

王宮のお触れ ×2

リビングデッドの呼び声 ×2

 

 

タイタンの使用した8軸デーモンデッキです。なるべくデーモンで統一しているデッキなので、この様な形となっております。ホントはデスガイドとかクリッターとか入れた方が安定しますけどね。基本的には迷宮で強化したデーモンで殴り、破壊されたら他のデーモンを引っ張り、場合によっては駆け引き持ってきてバーサークしたりします。デーモンイーターはノリで入れただけなんですが、実際にもそこそこ役に立ちます。まあ、このカードは獣族ですが。相手が魔法使いデッキなら採用の価値はアリです。

 

 

 

【除去ガジェット】

モンスター 17枚

グリーン・ガジェット ×2

レッド・ガジェット ×2

イエロー・ガジェット ×2

マシンナーズ・ギアフレーム ×3

マシンナーズ・フォートレス ×3

ネジマキシキガミ ×1

古代の機械巨竜 ×3

メタモルポッド ×1

 

魔法カード 11枚

地砕き ×3

死者蘇生 ×1

歯車街 ×3

サイクロン ×2

貪欲な壺 ×1

リミッター解除

 

罠カード 12枚

奈落の落とし穴 ×2

煉獄の落とし穴 ×1

漆黒の落とし穴 ×1

強制脱出装置 ×3

激流葬 ×1

聖なるバリア-ミラーフォース-×1

サンダー・ブレイク ×1

鳳凰の爆風 ×1

神の宣告 ×1

リビングデッドの呼び声 ×1

連夜の使ってた除去ガジェットデッキです。僕もコレとほぼ同じデッキを使っています。どちらかと言うと罠カードの除去が中心となっているのが特徴ですかね。ただ、フォートレスやガジェドラなどで殴ることも考慮してのデッキなんで、ややパワーよりなデッキとなっています。モンスターを退かしてから一気に殴り倒す、というのが基本的な回し方になります。ライフが4000しかないこの世界だと驚異的な強さを誇ります。ついでに言うと、このデッキは初期手札がオールトラップでもばっちこい!なデッキなんで、そうそう事故ることはありません。ただし、ガジェット達が初期手札+ドローしたカードで全色揃ったら流石にどうしようもありません。…僕は一度だけなった事があります。その時、初めてガジェットをセットする、というガジェットの存在意義を真っ向から全否定するようなプレイをしました。だってほかにすること無かったんだもの。




感想でデッキレシピ教えてってのがあったんで書いてみました。一応実際にも使える様に微調整しました。ホントだったら強欲な壺とか入る予定ですけどね。どっちのデッキもGXの世界だったら無双出来きそうなんですけどね…現実(?)は甘くないぜ!


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たーん9 究極って付くモンスターの大半は、究極なのは召喚のし辛さだけだと思う

「うわー!僕じゃアニキのパートナーなんて務まらないっすよー!もうダメだー!どうせ退学になるんだー!」

 

「俺、十代や連夜の姿を見てやっと俺も頑張ろうって思い始めたのに、退学なんてあんまりなんだなぁ…」

 

「お前ら、まだ負けるなんて決まって無いだろ。何もう諦めた顔してんだよ!」

 

「そうだよ2人とも。諦めるの早過ぎだよ」

 

そもそも、なんでこんな事態になっているのかというと…

 

廃寮から帰って来て朝起きると、査問委員会を名乗る人達に連行される。

退学を言い渡される。

救済措置として制裁タッグデュエルをすることに。

十代は翔くんと、僕は隼人くんとペアを組むことに。

今ココ

 

こんな感じである。

 

この後、十代が翔くんのデッキを確認するためにデュエルしたり、流れで十代が翔くんのお兄さんである丸藤亮先輩とデュエルしたり、この事でちょっと持ち直した翔くんと十代と一緒に隼人くんを励ます、なんて事があった。ついでに、隼人くんのデッキを確認した時、翔くんは『デス・カンガルー』を、十代は『マスター・オブ・OG』を渡していた。ちなみに僕は『吸血コアラ』を渡した。

 

そして、制裁タッグデュエル当日

 

最初のペアは十代と翔くんのペア。そして僕達の対戦相手として現れたのはかのデュエルキング武藤遊戯とデュエルしたという自称、伝説のデュエリスト、迷宮兄弟だった。その時の感想は

 

(あー、初代のすっごい序盤の方で出てきたような…うーん、ゲートガーディアン使ってたことしか覚えて無いや)

 

こんな程度だった。

 

だが、彼らは本物だった。三魔神を僅か数ターンで揃え、明らかにそのままの方が強いだろうに、何の躊躇いも無く合体させるという、ロマンデッキ使いのお手本と言えるプレイングを見せてくれた。ゲートガーディアンが出てきた瞬間は、校長先生と一緒にはしゃいでしまった。三沢っちにビデオ係頼んどいてよかった!

 

デュエルの結果は、十代たちの勝利だった。翔くんがパワーボンドを使ったことには、隼人くんと2人で喜んだ。

 

そして、僕達の出番が来た。

 

「よし!行こうか、隼人くん」

 

「うう、緊張してきたんだなあ…」

 

「翔くんは結局最後まで諦めなかった。そして、自分の過去にも打ち勝った。今度は僕らの番だよ」

 

「そうなんだなあ。俺だってやってやるんだあ!」

 

「そうそう、その調子!」

 

デュエルフィールドに上がると、既に2人は準備万端といった感じで待ち構えていた。

 

「先程は油断してあの2人にしてやられたが」

 

「今度はその様にはいかぬと思え!」

 

「「さあ!いざ尋常に!」」

 

「「「「デュエル!!」」」」

 

※迷宮兄→隼人→迷宮弟→連夜の順

 

「私のターン、ドロー!『地雷蜘蛛』を召喚し、ターンエンド」

 

「俺のターン!俺は『デス・コアラ』を攻撃表示で召喚なんだな!」

 

「ちょっ!?」

 

「ハハハ!デスコアラを攻撃表示で召喚だと?とんだ素人の様だな!」

 

「あ!うう…ターンエンドなんだなぁ…」

 

 

 

「おいおい、大丈夫かよ、隼人のやつ」

 

「いきなりあんなミスしちゃって、落ち込まなきゃいいっすけど…」

 

「正直、あの状態から持ち直すのは厳しいでしょうね」

 

「ああ、こういったミスはズルズルと引きずると厄介だ」

 

「あれ?三沢くんいつからそこにいたっすか?それに何でビデオカメラ持ってるっすか?」

 

「…連夜にこのデュエルを撮ってくれと頼まれたんだ。とにかく、だからこそ連夜がどうフォローしていくかが鍵になりそうだな」

 

 

 

「私のターン、『ヒゲアンコウ』を召喚!カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

「僕のターン、ドロー!『天使の施し』を発動!デッキから3枚ドローし、その後2枚カードを捨てる。『おとぼけオポッサム』を召喚!」

 

「攻撃力800だと?その様なモンスターをわざわざ攻撃表示で召喚とは」

 

「やはり素人も同然!」

 

「それはどうでしょうね?おとぼけオポッサムの効果発動!相手フィールドにこのカードよりも攻撃力の高いモンスターがいる時、このカードを破壊することができる!やれ!おとぼけオポッサム!『フェイク・ダイ』!」

 

フィールドのオポッサムがコテンとひっくり返ると、ポンッと音を立てて消えてしまった。

 

「自分のモンスターを破壊するだと!?」

 

「そして、僕のフィールドの獣族モンスターが破壊された事により、森の番人が目覚める。ライフを1000払い、今こそ目覚めよ!『森の番人 グリーン・バブーン』!」

 

連夜&隼人LP 8000→7000

 

「「攻撃力2600だと!?」」

 

「カードを2枚伏せ、ターンエンドです」

 

「私のターン、魔法カード『生け贄人形』を発動!地雷蜘蛛を生け贄に捧げ、手札から『風魔神-ヒューガ』を特殊召喚!バトル!ヒューガでデスコアラを攻撃!『魔風衝撃波』!」

 

「リバースカードオープン!永続罠『バーサーキング』を発動!僕のフィールドのグリーンバブーンの攻撃力を半分にし、その数値分デスコアラの攻撃力を上げる!」

 

「何!?」

 

デスコアラの目が光り、吹き荒れる風の中ヒューガに突進して行く。そして、ヒューガに体当たりをして破壊すると、自身も力尽きたのか、その場に倒れた。

 

「タッグバトルではお互いの連携が大事、だよね」

 

「あ、ありかとなんだな」

 

「どういたしまして。さ、巻き返していこうか!」

 

「ああ!」

 

 

 

「さっすが連夜。よく考えてるな」

 

「ええ。彼のおかげで隼人くんもだいぶ持ち直した様ね」

 

「あいつは色んなデッキを使うからな。今回のデッキもペアに合わせて調整したらしい」

 

「いつの間にそんな事をしてたっすか…って何で三沢くんがそれ知ってるんすか?」

 

「さっきビデオカメラを渡された時な。今日のデュエル大丈夫か?って聞いたら一応タッグ用の調整はした、と答えていた」

 

「ホント、流石っすね」

 

 

 

「く、確かに中々の連携だ」

 

「だがその程度では」

 

「「この迷宮兄弟を倒すことなど不可能!」」

 

さっきから見事なハモりを見せてくれるけど、いちいちセリフごとにポーズ決めるからギャグにしか見えない…

 

「私はモンスターをセットし、さらにカードを1枚伏せターンエンド」

 

「俺のターン!魔法カード『コアラの行進♪』を発動!墓地のレベル4以下のコアラと名の付くモンスターを特殊召喚し、更に手札から同名モンスターを特殊召喚出来る!墓地と手札のデスコアラを特殊召喚!そしてこのデスコアラ達を生け贄に、『ビッグ・コアラ』を召喚なんだな!いくぞ、バトル!ビッグコアラで迷宮弟のヒゲアンコウを攻撃!『ユーカリ・ボム』!」

 

「させぬわあ!罠カード『シフトチェンジ』を発動!攻撃の対象を私のセットモンスターに変更する!そして、私のモンスターは『ウェポンサモナー』!攻撃された事により、リバース効果が発動する!デッキから『ゲートガーディアン』を手札に加える!」

 

…まさかのウェポンサモナー。確かに効率良くゲートガーディアン持ってこれるけど

 

「そ、そんなあ…」

 

「落ち着いて、隼人くん。まだ状況はこっちが圧倒的に有利なんだから」

 

「そ、そうなんだな。俺はカードを1枚伏せてターンエンドなんだな」

 

「ふ、その余裕、いつまで続くかな?私のターン!ヒゲアンコウを生け贄に、『水魔神-スーガ』を召喚!更に魔法カード『一時休戦』を発動。お互いにカードを1枚ドローし、次の相手ターンのエンドフェイズまでお互いの受けるダメージは全て0になる。私はこれでターンエンド」

 

「僕のターン。スタンバイフェイズ時、墓地のおとぼけオポッサムを特殊召喚する。『ビーストライカー』を召喚!そしてビーストライカーの効果発動!手札を1枚捨て、デッキから『モジャ』を特殊召喚!そして、このカードを生け贄に捧げることで手札か墓地の『キング・オブ・ビースト』を特殊召喚出来る!墓地のキング・オブ・ビーストを特殊召喚!」

 

「なんと…たった1ターンでこれ程モンスターを揃えるとは」

 

「ダメージは与えられなくても、戦闘破壊は出来ます。バトル!グリーンバブーンでスーガを攻撃!『ハンマークラブ・デス』!」

 

「甘いわあ!リバースカードオープン!『聖なるバリア-ミラーフォース-』を発動!これで貴様達のモンスターは全滅だ!」

 

「成る程、さっきの隼人くんのターンではあえて発動しなかったということですか。ですが警戒を解いていたわけではありませんよ。チェーンしてリバースカードオープン!『大革命返し』!フィールド上のカードを2枚以上破壊するカードの発動を無効にし、ゲームから除外します。ミラーフォースの効果は無効になります。よってバトルは続行!行け、グリーンバブーン!」

 

「くっ!スーガの効果発動!相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にする!」

 

「ならばキングオブビーストで攻撃!さらに、バーサーキングの効果により、グリーンバブーンの半分の攻撃力を加える!『バーサークラッシュ』!」

 

「ぐっ…スーガまでもが破壊されるとは…」

 

「エンドフェイズ時、先程ビーストライカーの効果で墓地に送った『暗黒のマンディコア』の効果を発動。おとぼけオポッサムを生け贄にし、このカードを墓地から特殊召喚します。これでターンエンドです」

 

 

 

「ふえー、やっぱり連夜くんは凄いっすね」

 

「そうね、気が付けば彼がフィールドを支配している、みたいな空気よね」

 

「隼人もちゃんと闘えてるしな」

 

「ああ、だが油断は出来ないぞ。あの迷宮兄弟がこのまま終わるとは思えない」

 

「確かに…なんかまだ隠していそうな雰囲気よね」

 

「頑張れー!連夜くーん!隼人くーん!」

 

「お前達が負けんじゃねーぞー!」

 

 

 

十代達の応援が聞こえてくる。

 

「ほら、隼人くん。みんなも応援してくれているんだ。気張って行こうか!」

 

「ああ、そうなんだな!」

 

応援も気合も十分。まだまだ行ける!

 

「私のターン!私は『天使の施し』を発動!カードを3枚ドローし、その後2枚捨てる。…ふ、どうやらようやく準備が整った様だな。見せてやろう!我らが究極のモンスターを!」

 

「そんな!?フィールドに三魔神は一体もいない!それどころか2人のフィールドにはカードが1枚も無い、そんな状況でゲートガーディアンの召喚なんて出来る訳無いんだな!」

 

隼人くんはこう言ってるけど…今天使の施しで墓地に送ったカードから考えると、恐らく…

 

「ならば見せてやろう!私は『死者蘇生』を発動!この効果で墓地から蘇らせるモンスターは…『ファントム・オブ・カオス』!」

 

「三魔神じゃ無い!?」

 

「まだだ!さらに速攻魔法『地獄の暴走召喚』を発動!この効果により、デッキから更に2体のファントムオブカオスを召喚する!」

 

「僕はデッキからもう1体グリーンバブーンを特殊召喚する」

 

「なんで相手に上級モンスターを召喚させてまで攻撃力0のモンスターを…?」

 

「すぐにわかるよ、隼人くん」

 

やっぱりファンカス並べて来たか…というか正規召喚に加えてファンカスギミックまでも突っ込んでよく事故らないな…やっぱロマンデッキには補正でもかかるのだろうか?

 

「ファントムオブカオスの効果発動!墓地のモンスターをゲームから除外し、そのモンスターの名前、ステータス、効果をエンドフェイズ時まで得る!私は墓地のサンガとヒューガ、さらに弟の墓地のスーガを除外する!」

 

黒い渦がカードを呑み込み、その姿を徐々に変えていく

 

「さ、三魔神が1ターンで全部揃うなんて…」

 

「そしてこの三魔神達を生け贄に、ゲートガーディアンを召喚!現れよ、ゲートガーディアン!」

 

三魔神の姿となったファンカスが合体し、ゲートガーディアンになった。色が若干黒っぽいのはファンカスの影響だろうか?

 

「バトル…の前に、貴様のフィールドには厄介なトラップがあったな。先ずはそれを破壊させて貰おう。『サイクロン』でその罠カードを破壊する!」

 

くっ…バーサーキングが破壊されたか…

 

「バトル!ゲートガーディアンでビーストライカーを攻撃!『ゲート・デストラクション』!」

 

ゲートガーディアン(扉の守護神)なのに技名がゲートデストラクション(扉の破壊)って…

 

連夜&隼人LP 7000→5900

 

「お、俺のターン!ビッグコアラを守備表示にしてターンエンドなんだな…」

 

「ふ、私のターン!ゲートガーディアンで暗黒のマンティコアを攻撃!『ゲートデストラクション』!」

 

「くっ!!」

 

連夜&隼人LP 5900→4450

 

「連夜!」

 

「大丈夫。こんな程度で終わったりわしないさ。エンドフェイズ時、キングオブビーストを生け贄にマンティコアを蘇生する。いくよ、僕のターン!魔法カード『ワン・フォー・ワン』を発動!手札を1枚を墓地に送り、デッキから『森の聖獣 ユニフォリア』を特殊召喚!そしてユニフォリアの効果発動!自分の墓地に獣族モンスターしかいない時、このカードを生け贄にし、手札か墓地から獣族モンスターを召喚出来る!僕は墓地の『森の聖獣 カラントーサ』を特殊召喚!そしてカラントーサの効果発動!このカードが獣族モンスターの効果によって特殊召喚された場合、フィールドのカードを1枚破壊出来る!僕が選択するカードは、『ゲートガーディアン』!」

 

「「何だと!?」」

 

「行け!カラントーサ、『森羅のまどろみ』!」

 

カラントーサの体の葉っぱがゲートガーディアンを包み、完全にその姿を覆い隠す。そして、葉っぱが崩れると、そこにはゲートガーディアンの姿が無かった。なんかマジックショーみたいだな。

 

「バトル!カラントーサ以外の全員でダイレクトアタックだ!『百獣大行進』!」

 

「「ぐあああああ!」」

 

迷宮兄弟LP 8000→500

 

「よし!追い詰めたんだなあ!」

 

「だけどまだ終わったわけじゃ無い…それに、あの2人にはまだあのカードが残っているはずだ…」

 

あの2人の顔…恐らく既に持っているな…

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンドです」

 

 

 

「よっしゃあ!流石連夜!一気に迷宮兄弟を追い詰めだぜ!」

 

「あのゲートガーディアンをこうも簡単に倒すなんて…」

 

「ああ、だがまだデュエルは終わっていない。あの2人にはゲートガーディアンが破壊されてもまだアレがある」

 

「でも、連夜くんなら…」

 

「確かに、連夜なら落ち着いて対処出来るだろう。だが…」

 

「次のターンプレイヤーは、前田くん…」

 

「あっ…」

 

「大丈夫だって!隼人はやるときゃやる男なんだ。きっと、なんとかするはずさ!」

 

「そう信じるしか無いな」

 

 

 

「まさか、我がゲートガーディアンがこうもあっさりとやられるとは…」

 

「認めよう、その実力を。だが!」

 

「「デュエルはまだ終わってはいないぞ!」」

 

「私のターン!私は魔法カード『ダーク・エレメント』を発動!自分の墓地にゲートガーディアンが存在する時に発動可能。ライフポイントを半分支払い、デッキから『闇の守護神-ダーク・ガーディアン』を特殊召喚する!」

 

迷宮兄弟LP 500→250

 

「そのモンスターは…!」

 

やっぱり手札に持ってたか…戦闘破壊出来なくても、相手のライフはあと200、やり様はいくらでも…

 

「さらに魔法カード『アームズ・ホール』発動!デッキの一番上のカードを墓地に送り、デッキから装備魔法『巨大化』を手札に加え、ダークガーディアンに装備する!」

 

「な!?」

 

ダークガーディアンの攻撃力は3800、その倍となると…

 

「攻撃力7600…」

 

隼人くんが呆然とした様子で呟く。

 

「これぞ我らが最強のモンスター!ゆくぞ、バトル!ダークガーディアンで暗黒のマンティコアを攻撃!『ダークショット・エアー』!」

 

「リバースカードオープン!『和睦の使者』!このターン自分への戦闘ダメージを0にし、モンスターの戦闘破壊を防ぐ!」

 

「ふん、なんとか凌いだか」

 

「だが次の貴様のターンは」

 

「「訪れぬものと思え!!」」

 

 

 

「ふー、ヒヤヒヤさせてくれるぜ、まったく」

 

「このターンは何とか凌いだ様ね」

 

「でも次のターン…」

 

「ああ、隼人が何とかしないと、また連夜の場のモンスターが狙われる。そうなったら今度こそ終わりだ」

 

「そんな…攻撃力7600のモンスターなんて、倒せるはずが無いっすよ…」

 

「そうか?俺は信じてるぜ。隼人なら必ず何とか出来るってな」

 

「でも、隼人くんのデッキにあのモンスターを倒せるカードなんて…」

 

「いや、あるぜ」

 

「え!?」

 

「それに、そのための鍵の一つはもう揃ってる。後は隼人を信じるしか無いさ」

 

(頑張れよ、隼人。お前になら出来る。お前にはそれだけの実力が有るんだ)

 

 

 

「お、俺の、ターン…」

 

「ふ、怖気付いてもうカードを引くことすら出来んか」

 

「う、うううっ…」

 

隼人くんの手がデッキの上で震えている。

 

「隼人くん」

 

「れ、連夜…」

 

「周りを見てご覧」

 

「え…?」

 

そう言って観客席の方を指差す。すろと…

 

「頑張れー!隼人ー!」

 

「隼人くーん!諦めたらダメっすよー!」

 

「気張れ!隼人!」

 

「このまま終わる何て許さないわよ!前田くん!」

 

十代、翔くん、三沢っち、明日香さん、みんなが応援してくれてる。それだけじゃない。

 

「頑張れー!」

 

「諦めんじゃねーぞー!」

 

「負けたら承知しねーぞー!」

 

「オシリスレッドの底力見せてやれ!」

 

レッド寮のみんなはもちろん、イエロー、ブルーの生徒までもが隼人くんを応援している。

 

「み、みんな…」

 

「さ、これで君が一人で戦ってるわけじゃ無いって分かった?」

 

「ああ、俺、こんなにも多くの人に応援されるなんて、初めてなんだなあ」

 

「なら、その期待に応えようじゃないの」

 

「ああ!俺のターン、ドロー!」

 

さて、後は信じるしか無い。でも正直言って、負ける気はしない!

 

「俺は『強欲な壺』を発動!デッキから2枚ドローするんだな!ドロー!…来たぁ!俺は手札から『融合』を発動!場のビッグコアラと手札の『デス・カンガルー』を融合!『マスター・オブ・OZ』を融合召喚!」

 

「攻撃力4200!?」

 

「だがそのモンスターではダークガーディアンは倒せん!そして、ダークガーディアンは戦闘では破壊されない無敵のカード!」

 

「でも、さっきのデュエルでもあったように戦闘ダメージまでは防ぐことは出来ないんだな」

 

「何を馬鹿な事を!攻撃力7600のダークガーディアンを超えるモンスターなど…」

 

「いるんだな!俺は手札から『野性解放』を発動!このカードは自分の獣、獣戦士族モンスター1体の攻撃力を、そのカードの守備力分アップするんだな!」

 

「マスターオブOZの守備力は3700…」

 

「攻撃力7900だと!?」

 

「いけぇ!マスターオブOZ!『エアーズロッキー』!」

 

体中から闘気を漲らせたマスターオブOZがダークガーディアンに強烈な右ストレートを繰り出す。パンチをモロに受けたダークガーディアンが、迷宮兄弟の上に倒れこんだ。

 

「「馬鹿なァァァァァ!!」」

 

迷宮兄弟LP 250→0

 

デュエルの決着の瞬間、会場から大きな歓声が上がった。

 

「ナイスファイトだったよ、隼人くん」

 

「ありがとうなんだな。でも俺がここまでやれたのは連夜のおかげなんだなあ」

 

「僕だけじゃ無いでしょ?」

 

「ああ、みんなの応援があったから、俺、ここまで頑張れたんだな。みんな、ありがとうなんだな!」

 

隼人くんが頭を下げてお礼を言うと、再び観客席から歓声が上がった。

 

「おーい!隼人!連夜!」

 

「凄かったっす!隼人くんも連夜くんも凄かったっす!」

 

「おめでとう。隼人も良く頑張ったな」

 

「本当ね。2人とも良く頑張ったわ」

 

「ニハハハ…そこまで言われるとちょっと照れるな…」

 

「うう、みんな、本当にありがとうなんだなあ」

 

「おいおい、せっかく勝ったのにこんなとこで泣くなよな」

 

「「「「あはははは!」」」」

 

 

 

「ふむ、あれだけ元気なら宿題でも出そうかと思ったのですが…」

 

「ホホホ、まあ、今日はあのデュエルに免じて許してあげて欲しいのにゃ」

 

「仕方ありませんね。では、今日はそういうことにしておきましょう」

 

こうして僕らの退学をかけた制裁タッグデュエルは幕を下ろしたのだった。

 

 




どうも。図1のようになります。です。更新が遅れてごめんなさい。先週まで車校にほぼ毎日通ってたので、中々時間が無くて…
今回主人公が使用したデッキはお分かりの通り、【獣族】です。ただし、バルバロスやマンティコアなどの獣戦士も混ざっていますが。主にキングオブビーストやグリーンバブーンなどの大型モンスターを素早く展開し、とにかく殴るのがこのデッキです。ただ、今回はタッグデュエルということで、サポートのためにトラップがやや多めになっています。それにしても、アニメルールのタッグデュエルは書きにくい…

次回の予定はまだ決まっておりませんが、報告を一つ。タグから"シンクロカード無し"を消します。これの意味するものは…?では次回もお楽しみに!!


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たーん10 一期のOPで三沢っちの後ろにいた炎の竜って結局何だったんだろ?

タイトルは前から気になってたことを。wikiったら名前が『ハルマゲドン』の予定だったらしい。


「かっ飛ばせー、じゅ、う、だーい!」

 

「アニキー、頼んますよー!」

 

「おー!任せとけ!」

 

今日の体育は野球で、ラーイエローとオシリスレッドの試合だ。今九回表のツーアウト、3対0でオシリスレッドがリードしている。2塁には僕が、そしてバッターは十代だ。十代は三振か本塁打しか打ってない。葉っぱ咥えたら似合いそうだ。ちなみに僕は1番のショート。4打席2安打1盗塁と中々の好成績だ。まあ、僕がヒット打つと十代は空振り三振して終わるんだけどね、毎回。

 

「おーい、その試合ちょっと待ってくれー!」

 

慌てた様子で三沢っちが駆けつけて来た。あー、そういえばいなかったなあ…

 

「行けるか?三沢」

 

「はい。任せて下さい」

 

どうやら向こうのピッチャーが三沢っちのに変わったらしい。三沢っちがミットとボールを受け取り、マウンドに上がる。

 

「来たな三沢!お前の球もあそこに叩き込んでやる!」

 

「いや、君に俺の球は打てない。なぜなら君の攻略法は既に計算済みだからだ!」

 

宣言通り、三沢っちは十代を完璧に押さえ込んだ。

 

「だー!ちっきしょー!」

 

「ムキになってボール球にまで手を出すからっすよ…」

 

「ま、終わったもんはしょうがないさ。次の回守り切れば勝ちなんだからさ」

 

「そうっすよ、頼みますよ、アニキ」

 

「おう、任せとけ!」

 

 

 

「ボールフォア!」

 

「ボールフォア!」

 

「ボールフォア!」

 

「タイム!」

 

始まるやいなや、いきなり十代が三連続フォアボールを出したため、翔くんが慌ててタイムをかけた。

 

「えー!じゃあ三沢くんと勝負するためにわざと三人歩かせたんすか!?」

 

「おう!やっぱ借りは返さねえとな!」

 

「いや、だからって塁埋めることは無かったんじゃ…」

 

別に2アウトとって一人歩かせればよかったんじゃ?

 

「ここで打ち取った方が盛り上がるだろ?」

 

「「そんな理由(っすか)!?」」

 

もう…やな予感しかしないんだけど…

 

 

 

「行くぜ2番!さっきの借りを返してやる!」

 

「さあ来い!1番!」

 

「どおりゃああああ!」

 

十代の投げた渾身のストレートは…

 

「ふっ!」

 

アッサリと三沢っちに打ち返された。打球はフェンスを越えていった。

 

「言ったはずだぞ。君の攻略法は既に計算済みだと」

 

ヤバイ、三沢っちが輝いている!

 

三沢っちがホームに帰ると、何やら慌てた様子で十代と翔くんが外野に走って行った。気になったので、審判にタイムかけて三沢っちと一緒に見に行くと、右目にボール型のアザをつけたクロノス教諭がいた。どうやら三沢っちの打った球が運悪く当たってしまったらしい。その後、クロノス先生が三沢っちだけ引き止めて何やら話をしていた。

 

道具の片付け中に、三沢っちからさっきの話を聞いた。

 

「へー、じゃあ三沢くんとうとうオベリスクブルーに昇格なんすね」

 

「さすがラーイエローの首席だぜ」

 

「本当にね。なにわともあれおめでとー!」

 

「あ、ああ、ありがとう…」

 

?歯切れ悪いけど、何か思うところがあるのかな?

 

 

 

その後、勝負に負けた僕らは三沢っちの部屋のビッグバン…様するにペンキの塗り替えを行うことになった。

 

「うわ!何すかこの部屋!?」

 

「すげー、これ全部数式か?」

 

「前来た時より増えてるね」

 

「まあな、あの辺がアボガドロ分子説、アレはシュレディンガーの猫、あっちのは風が吹けば桶屋が儲かる確立式が書かれている」

 

「桶屋って…それどうなったの?」

 

「限りなく、というかほぼ0だった」

 

ですよね〜。

 

そんなこんなでペンキの塗り替えが始まったのだが…まあ案の定十代がふざけ出して、ペンキのかけ合いが始まり、みんなペンキまみれになってた。ちなみに僕はというと…

 

「何で連夜君だけカッパ着てるんすか…」

 

「知ってたから」

 

「教えて下さいっすよ〜」

 

「ごめん、ついうっかり」

 

1人だけカッパ着てたため無事だったりする。というか、なんで三沢っちまでカッパ用意してないのさ。

 

 

 

三沢っちの部屋はペンキがまだ乾かないので、僕の部屋に泊まりに来た。

 

「そういえば連夜は1人部屋だったんだな」

 

「そうなんだよね。隣の十代達は3人なのに、ここは1人部屋なんだよね。まあ、ここって元々転入生用の部屋らしいけど」

 

「成る程な。デュエルアカデミアは転入生はレッドからだからな」

 

そのためか、ベッドは一つだし、テレビと1人用意のソファー、小さいけど冷蔵庫まである。うん。ラッキーだ。

 

「ま、気兼ね無く泊まってよ」

 

「そうさせてもらおう。さて、早速で悪いが俺のデッキの調整を手伝ってくれ」

 

「いいよー、って多!?何で六つもデッキあるのさ!?」

 

「毎度毎度違うデッキ使う君が言うのか?」

 

「僕も普段は二つしか持ち歩かないよ…」

 

「む、そうか。まあいいさ、取り敢えず見てくれ」

 

「じゃ失礼してっと、へえ、属性ごとに分けてるんだ。で、状況に合わせて使うデッキを決めると」

 

「まあそういうことだ。取り敢えずこのデッキから…」

 

「ふむ…流石優等生、キチンとまとまってるね。でもこのデッキならこういうカードが…」

 

「成る程、ならこっちはどうだ?」

 

「それは変えなくてもいいと思う。それよりこっちのカードは…」

 

「それなら…」

 

僕らのデッキ調整は遅くまで続いた。

 

 

 

次の朝、あくびを噛み殺しながら朝食を食べてると、トメさんから連絡があった。

 

連絡にあった海岸に行くと、そこには無数のカードか散らばっていた。

 

「ねえ、このカードって…」

 

「ああ、俺のだ。このデッキは外に出しておいた机にしまってあったからな」

 

「そんな!デッキが無きゃデュエル出来ないっすよ!」

 

「どうすんだよ三沢!」

 

十代達はああ言ってるが、三沢っちのデッキは別にある。だから三沢っちからは慌てた様子は見られない。だけどその目には静かな怒りが浮かんでいた。

 

 

 

その後僕らは今回の試験会場のデュエルフィールドに向かった。そこでは既に対戦相手の万丈目か待っていた。

 

「逃げださずに来たことは褒めてやる。だがただデュエルするだけではつまらん。そこでだ、このデュエル、負けた方はこの学園を去るというのはどうだろう?最も、デッキがあればの話だが」

 

「万丈目!お前…」

 

何か言おうとした十代を三沢っちが手で制した。

 

「いいだろう。その勝負受けて立つ!そして俺のデッキは…ココにある!」

 

三沢っちが制服の上着を広げると、そこには六つのデッキがあった。

 

「風、疾きこと風の如く。水、静かなること林の如し。火、侵略すること火の如く。地、動かざること山の如し。悪の闇に光差す!」

 

「ふん!そんなもの俺の地獄の業火で焼き尽くしてくれる!」

 

「ふ、決まったぞ!お前を打ち倒すためのデッキが!」

 

「「デュエル!!」」

 

「先攻は俺だ!ドロー!『ヘル・ドラゴン』を攻撃表示で召喚!ターンエンドだ!」

 

「俺のターン!魔法カード『トレード・イン』を発動!手札のレベル8のモンスター『ウォーター・ドラゴン』を捨て、2枚ドロー!更に手札の『瀑征竜 タイダル』の効果発動!このカードと『ハイドロゲドン』を墓地に送り、デッキから『オキシゲドン』を墓地に送る!」

 

「さっきからモンスターを捨ててばかりじゃ無いか!お前のデッキには捨てるモンスターしかいないのか!」

 

「いや、これは途中式にすぎないさ。『グリズリー・マザー』を守備表示で召喚してターンエンドだ」

 

「俺のターン!『地獄戦士(ヘル・ソルジャー)』を召喚!バトルだ!ヘルソルジャーでグリズリーマザーを攻撃!『ヘル・アタック』」

 

「グリズリーマザーの効果発動!戦闘で破壊され、墓地に送られた時デッキから攻撃力1500以下の水属性モンスターを特殊召喚できる!再びグリズリーマザーを召喚!」

 

「ならばヘルドラゴンで攻撃!『ヘル・ブレス』!」

 

「グリズリーマザーの効果発動!『シー・ランサー』を特殊召喚!」

 

「ちっ、次から次へと鬱陶しい!俺はカードを2枚伏せる。エンドフェイズ時、ヘルドラゴンの効果でヘルソルジャーを生け贄に捧げる。ターンエンドだ」

 

三沢LP 4000→3400

 

「俺のターン!魔法カード『おろかな埋葬』を発動!デッキから『ハイドロゲドン』を墓地に送る」

 

「またデッキから墓地に…!いい加減まともなモンスターを出したらどうだ!」

 

「ならば見せてやる!墓地のタイダルの効果発動!墓地の水属性またはドラゴン族モンスターを除外し、このカードを特殊召喚できる!ウォータードラゴンとグリズリーマザーを除外し、墓地からタイダルを特殊召喚!ただし、この効果で特殊召喚したタイダルは次のお前のエンドフェイズ時に手札に戻るがな」

 

「ちっ!」

 

「まだだ、シーランサーの効果発動!ゲームから除外されている魚、海竜、水族モンスターを装備出来る!ウォータードラゴンを装備!そしてこの効果でモンスターを装備している時、攻撃力を1000アップさせる!」

 

「な!?くそッ!リバースカードオープン!『リビングデッドの呼び声』!ヘルソルジャーを蘇生させる!」

 

「タイダルでヘルドラゴンを、シーランサーでヘルソルジャーを攻撃だ!」

 

万丈目LP 4000→2100

 

「くっ、だがヘルソルジャーの効果でお前にも戦闘ダメージを与える」

 

三沢LP 3400→2300

 

「この程度は必要経費さ。カードを1枚伏せターンエンド」

 

「俺のターン!リバースカードオープン!『強化蘇生』!墓地のヘルドラゴンを特殊召喚する!更にカードを1枚伏せ、ヘルドラゴンと手札全てを生け贄に、『火炎魔人 ヘル・バーナー』を特殊召喚!更に先程伏せたカード発動!『死者蘇生』!墓地の『ヘルカイザー・ドラゴン』を特殊召喚!そしてヘルカイザードラゴンを二重召喚!これによりヘルカイザードラゴンは2回攻撃ができる!バトルだ!ヘルカイザードラゴンでシーランサーを攻撃!『フレイム・オブ・ヘル』!」

 

三沢LP 2300→2200

 

「シーランサーの効果発動!このカードが破壊される代わりに装備カードを破壊出来る!ウォータードラゴンを破壊する!」

 

「ええい!だがヘルカイザードラゴンは2回攻撃が可能だ!そんなモンスターすぐに消し去ってやる!」

 

「残念だがそれは出来ない。なぜならお前を倒す方程式はたった今完成したからだ!」

 

「何を戯言を!」

 

「ならば証明してやる!破壊されたウォータードラゴンの効果発動!このカードが破壊され墓地へ送られた時、墓地のハイドロゲドン2体とオキシゲドンを特殊召喚できる!蘇れ、ハイドロゲドン、オキシゲドン!」

 

「墓地にモンスターを溜めていたのはこのためか…だが今更そんなザコを並べた所で何も変わらん!やれ!ヘルカイザードラゴン!」

 

「おっと、させない!リバースカードオープン!『アモルファス・バリア』!自分フィールドにモンスターが3体以上いる場合に相手が攻撃して来た時、その攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了させる。その後相手は自分のモンスターを1体生け贄に捧げる」

 

「くっ、ヘルカイザードラゴンを生け贄に捧げる。だがこれで貴様のドラゴンは手札に戻る!そして俺の伏せたカードは『ビッグバン・シュート』!これで貴様がモンスターを守備表示にしても俺の勝ちだ!」

 

「言ったはずだ、既にお前を倒す方程式は完成していると!俺のターン!俺は魔法カード『ポンディング -H2O-』を発動!フィールドのハイドロゲドン2体とオキシゲドンを生け贄に、ウォータードラゴンを特殊召喚する!来い!ウォータードラゴン!」

 

「だが俺のヘルバーナーの攻撃力は3200!そのモンスターでは倒せない!」

 

「それはどうかな?ウォータードラゴンの効果発動!フィールド上の炎族と炎属性モンスターの攻撃力を0にする!『ウォーター・ゲイン』!」

 

「バカなっ!?」

 

「バトル!ウォータードラゴンでヘルバーナーを攻撃!『アクア・パニッシャー』!」

 

「うわあぁぁぁぁぁ!!」

 

万丈目LP 2100→0

 

「万丈目!カードを大切にしない奴はデュエリストとして失格だぞ!」

 

「何の証拠があってそんな…」

 

「俺はあちこちに数式を書く癖があってな、こんな数式の書き込まれたカードはおそらく俺しかいないだろう」

 

「くそッ…俺は…っ!」

 

万丈目が悔しそうに床を殴りつける。

 

「それデーハ、シニョール三沢のオベリスクブルーへの編入を認めるのーネ」

 

「いえ、せっかくのお話しですが、それは断らせていただきます」

 

「何ですート!?何故なノーネ!?」

 

「俺がオベリスクブルーに入る時は、この学園で1番になった時と入学式で決めたんです。十代!それに連夜!お前達を倒すまで俺はオベリスクブルーには行かない!」

 

「よっしゃあ!」

 

「その挑戦!」

 

「「受けて立ーつ!!」」

 

十代と一緒に三沢っちと拳を突き合わせる。

 

「よっしゃ!じゃあ今すぐデュエルだ!」

 

「いや、それは出来ない」

 

「えー、なんでだよー」

 

「まだお前達に対抗できるデッキが完成してない。恐らくあの壁が再び数式で埋まる頃にはお前達を倒す7番目、8番目のデッキが完成するだろう」

 

「俺のHEROを倒すデッキだと!?おもしれえ!ならそん時が勝負だ!来い!2番!」

 

「ああ、行くぞ1番!」

 

「あれ?じゃあ僕は?」

 

「「「「…番外?」」」」

 

「皆そろってそれは無いよ…」

 

十代と三沢っちどころか、観戦してた明日香さんや翔くんまで…何この疎外感。トホホ…




どうも、図1のようになります。です。いやー、予想よりも随分遅れた更新になってしまいました。ウォータードラゴンをいかに現実的に出すか考えてたら、こんなデッキに…
それに伴い万丈目君のデッキも大幅変更…どうしてこうなったorz
今回のデッキはいかにウォータードラゴンを出すか、ということをコンセプトにし、かつなるべく原作に近い形でデュエルを再現してみようとしました。まあ、共通点がだいぶ薄れる結果になりましたが…万丈目君のデッキはまあお分かりの通り名前に地獄、またはヘルの付いたデッキですね。うん、組みにくい!そんだけです。
次回?未定です。でも頑張って一週間以内に更新します!


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たーん11 序盤のオマケみたいな話しに意外とフラグってあるよね。

やっと…やっとテスト終わった…。

…いろんな意味で………


三沢っちが万丈目君を負かした翌日。

 

「アニキ〜!連夜く〜ん!」

 

授業の始まる直前に翔くんが僕と十代の名前を叫びながら駆け寄って来た。

 

「どうしたんだよ翔?そんなに慌てて」

 

「もう授業始まるよ?」

 

「そ、それが…万丈目君がいなくなっちゃったんす!」

 

「「な、なんだってー!?」」

 

「そんなお約束なギャグやってる場合じゃないっすよ!」

 

「っと、そうだな!よし、探しに行こうぜ!」

 

「え!?授業は!?」

 

「サボる!!」

 

ですよね〜…

 

結局授業はサボることになりました。

 

 

 

学校を抜け出すと、そこには明日香さん達が待ち構えていた。

 

「な、なんだよ明日香。俺たちこれから万丈目の奴を探さなきゃいけないんだ。止められても行くぜ」

 

「何もあんた達を引き止めるために来たわけじゃないわよ。私達も手伝うわ」

 

「え、でも明日香さん達授業は?」

 

「ふん!アタシ達はあんた達とは違って一回くらい休んだって勉強についていけない何てことないのよ!」

 

「まあ十代なんか授業出てもどうせ寝てるしねえ…」

 

「連夜くんだって時々寝てるっすけど成績いいっすよね」

 

「まあね」

 

流石にデュエルの知識は一通りありますからね。…ノーマルカードのテキストは流石に暗記してないけど…

 

「そういうことなら構わねえぜ。早く探しに「ちょっと待った!」へ?」

 

声のした方に顔を向けると、さっき僕らが抜け出して来た穴から三沢っちが出て来た。

 

「俺も参加するぞ。元々俺とのデュエルが原因なんだ。このまま放ってはおけない」

 

制服に付いた土を払いながら三沢っちがこちらに合流した。結構な人数になったな…

 

「悪いのは万丈目君なんだからそんなに気にしなくてもいいとおもうけど?」

 

「そういうわけにもいかないさ。それに、最近のあいつは何処か思いつめた様子だったからな…」

 

確かに、最近の万丈目君は何かに悩んでいる様だったし、そればかりか同じオベリスクブルーの生徒からも避けられている感じがした。

 

「おーい!そんなことより早く探しに行こうぜ!」

 

三沢っちと話していると、十代が催促をかけてきた。

 

「ああ!今行く!」

 

「了解!」

 

 

 

万丈目君を探していると、僕らの前にやたらメカメカしい猿が現れた。皆万丈目君だと思ってた分、余計に驚いていた。その隙に猿がジュンコさんを攫って行ってしまった。

で、結果…

 

「コラー!待てー!ジュンコ置いてけー!」

 

「待ちなさーい!」

 

「…あれ?確か僕たち万丈目君を探しに来たんじゃ…」

 

「気にしたら負けだぞ、連夜」

 

「何でもいいから早く助けて〜!」

 

 

 

ようやく猿を崖まで追い詰めると、林の中から黒服の人達と小柄で白衣を着たお爺さんが出て来た。

 

「…ねえ、ホントなんでこんな事になったの?」

 

「…俺に聞くな」

 

博士(と呼ばれていた人)の話によると、あの猿はデュエルが出来るように調教された猿をらしく、猿に付けられた機械もそれをサポートするための物らしい。名前もSAL…まんまやん。

 

その後、黒服達が麻酔銃を打とうとするのを十代が止め、さらに猿を説得してデュエルすることになったのだが…

 

「十代、このデュエルは僕に譲ってくれない?」

 

「えー、なんでだよ?」

 

「あの機械が気になるっていうのが一つ、もう一つは…」

 

デュエルディスクにデッキをセットし、静かに構える。

 

「理由は何であれ僕の友人が連れ去られたんだ。その分のオシオキはきっちりしないとね」

 

「へ、そう言う理由ならしゃーねえな。今回は譲ってやるよ。けど…負けんなよ?」

 

「当然!さあ、始めようか」

 

「ウッキー!」

 

「「デュエル!」」

 

「僕のターン、ドロー。モンスターをセット。カードを1枚セットしてターンエンド」

 

「ワタシのターン!ドロー!ワタシは『怒れる類人猿(バーサーク・ゴリラ)』を召喚!バトル!バーサークゴリラでセットモンスターを攻撃!『アンガー・ナックル』!」

 

「セットモンスターは『電池メン-ボタン型』。ボタン型のリバース効果発動!デッキからボタン型以外のレベル4以下の電池メンを特殊召喚する!『電池メン-角型』を特殊召喚!さらにリバースしたボタン型が戦闘破壊された時、1枚ドロー、更に角型が特殊召喚した時、デッキから電池メンを1枚手札に加え、攻撃力と守備力を倍にする!『燃料電池メン』を手札に加える」

 

「ワタシはカードを1枚伏せ、ターンエンド!」

 

「僕のターン、ドロー。『電池メン-単四型』を守備表示で召喚、単四型の効果発動。手札の単四型を特殊召喚。さらに『燃料電池メン』を特殊召喚。このカードは自分フィールドに電池メンが2体いる時特殊召喚できる。更に、単四型を生贄に燃料電池メンの効果発動。相手フィールドのカード1枚を手札にもどす。伏せカードを手札に」

 

「ウキッ!?」

 

「バトル。燃料電池メンでバーサークゴリラを攻撃。『ボルテック・エナジー』!」

 

「キッ!」

 

猿LP 4000→3900

 

「角形でダイレクトアタック」

 

「ウキッ!」

 

猿LP 3900→1900

 

「エンドフェイズ時に角形は自壊する。ターンエンド」

 

「ウキッ、ワタシのターン!ドロー!手札の『ボルテック・コング』を墓地に送り、『虚栄の大猿』を特殊召喚!効果によりレベルを4上げる!更に『マジシャンズ・エイプ』を召喚!手札の『ファイターズ・エイプ』を墓地に送り、マジシャンズエイプの効果発動!電池メン単四型のコントロールを得る!『カースド・ニードル』!」

 

マジシャンズエイプの杖の先から放たれた光が単四型に当たると、単四型はそのまま相手フィールドに移って行った。…あれ?これ5D’sネタじゃ…?

 

「更に魔法カード『二重召喚』発動!場の3体のモンスターを生贄に、『神獣王 バルバロス』を召喚!」

 

「嘘!?」

 

ここでバルバロス!?って、さっき伏せてたカード二重召喚かよ!?バウンスするんじゃなかった!

 

「バルバロスの効果発動!このカードが3体のモンスターを生贄にして召喚に成功した時、相手フィールドのカードを全て破壊する!『ゴッド・シェイパー』!」

 

バルバロスがゆっくりとその手の槍を振りがぶる。

 

「くっ、チェーンして『急速充電器』を発動!墓地の単四型2体を手札に加える!」

 

バルバロスの投げた槍が僕のフィールドを抉ると、フィールドが竜巻に覆われ、全てのカードが破壊された。

 

「バトル!バルバロスでダイレクトアタック!『トルネード・シェイパー』!」

 

バルバロスの槍から放たれた衝撃波が螺旋を描きながら僕の胸を貫く。

 

「ぐっ…」

 

連夜LP 4000→1000

 

「ウホホッ!ターンエンド!」

 

 

 

「連夜くん!大丈夫っすか!?」

 

「連夜!頑張れー!」

 

「あら、三沢君は彼を応援しないの?」

 

「ああ。この中ではおそらく俺が一番あいつの実力を知っている。だからこそ、あいつがこの程度で終わるはずは無いこともな」

 

「へえ、信頼してるのね」

 

「そんなんじゃないさ。あいつは…ただ純粋に強いんだ」

 

 

 

「僕のターン!ドロー!魔法カード『充電器』を発動!500ポイントライフを払い、墓地の角型を特殊召喚!角型の効果により『充電池メン』を手札にくわえる。」

 

連夜LP 1000→500

 

「そして角型を生贄に充電池メンを召喚!充電池メンが召喚に成功した時、手札かデッキから電池メン1体を特殊召喚出来る。デッキから『電池メン-単三型』を特殊召喚!そしてこの瞬間速攻魔法『地獄の暴走召喚』を発動!デッキから更に2体の単三型を特殊召喚!」

 

「ウキッ!ワタシはもう一体バルバロスを特殊召喚!ウホホーッ!」

 

「喜んでるとこ悪いけど、さっきやられた分のお返しだ!魔法カード『漏電』発動!このカードは自分の場に電池メンが3体以上いる時に発動出来る。相手フィールドのカードを全て破壊する!」

 

「ウキキッ!?」

 

電池メン達から漏れ出した電気がバルバロスを感電させる。強烈な電流に襲われたバルバロスはプスプスと黒い煙を吐きながら真っ黒コゲになっていた。気のせいか体の毛もチリチリになっている。

 

「トドメ!全員でダイレクトアタック!『エレクトロニック・リーク』!」

 

4体の電池メンから溢れ出した電気が一つになって猿に向かう。

 

「ウキキキキキィーッ!!」

 

…なんか一瞬骨が透けて見えた気がしたけどきっと気のせいだね。うん。

 

猿LP 1900→0

 

「やれやれ、なんとか勝てたや。さて、お猿さん、約束通りジュンコさんは返してもらうよ」

 

「ウキィ…」

 

猿はジュンコさんの所まで行くと、彼女を木から降ろしてくれた。

 

「うえ〜ん、明日香さま〜」

 

ホッとしたのか、ジュンコさんが明日香さんに抱きついて泣いてしまった。モモエさんと明日香さんが苦笑しながらなだめている。

 

「お疲れ様連夜。相変わらずすごいデュエルだったな」

 

「なー、あの猿すげえ強かったな。あー、俺もデュエルしてえ!」

 

「もー、アニキったら。それより、あの猿どうしてこんな事したんすかね…」

 

「ん、多分あれが理由じゃないか?」

 

三沢っちの指差した先には、あの猿の仲間と思われる猿達が林の仲間からこちらをうかがっていた。

 

「じゃあ、あの猿は仲間達の元に戻りたくて …」

 

「何か、可哀想っす…」

 

「でも、負けた時にあの猿がどうするかまでは言ってなかったから…」

 

と、僕らがしんみりしていると、

 

「ついでだ、あそこにいる猿どもも全て捕らえろ。実験材料は多いにこしたことはない」

 

「なっ!?いくらなんでもそれは…」

 

無いだろ!と言おうとしたところで…

 

「ニャーッ!」

 

「「「へっ?」」」

 

「う、うわ!なんだこの猫…ぐわっ!」

 

「「ファラオ!?」」

 

「おい、知ってる猫か?」

 

「う、うん。レッド寮の寮監の大徳寺先生の飼ってる…」

 

「ファラオですにゃ〜」

 

「「大徳寺先生!」」

 

「お手柄にゃ、ファラオ。さて、そちらのみなさんにちょっとお話しがあるんだにゃー」

 

そう言って大徳寺先生は黒服達の方に向き直った。

 

 

 

その後、大徳寺先生の説得、というか脅しによって、あの猿は解放されることになり、無事仲間達の元へと戻って行った。そして、すでに万丈目くんがこの島を離れたことを聞いた。

 

「そっか、万丈目のヤツ、もう行っちまったのか」

 

「大丈夫だよ。きっと帰ってくるって」

 

「そうだな。あいつはこんなとこで終わるタマじゃない」

 

「そうね、彼の事だからまた取り巻き引き連れて戻って来るかもしれないわ」

 

「あー、ありそうっすね」

 

「ホントにね。さて、万丈目くんの行方も分かった事だし、そろそろ戻ろっか。急げば2限目間に合うだろうし」

 

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」

 

学校に戻ろうと振り返った所でジュンコさんに呼び止められた。

 

「えっと、なに?」

 

「こ、今回は助けてもらったけど、だからってあの時言った事は取り消さないわよ!」

 

「え〜っと…?あの時のって?」

 

「あんたとデュエルした時よ!あんたは私が絶っっっ対ボッコボコにするって!」

 

「そ、そんな事言ってたっけ?」

 

「言ったわよ!覚悟しておきなさい!」

 

えっと、助けた女の子に突然宣戦布告されたんだけど、こういう時ってどんな顔すればいいんだ?

 

「了解、いつでもかかって来なよ (ニコッ)」

 

とりあえず某アニメの主人公の言うとおりに笑ってみた。

 

「〜っ!ふんっ!」

 

ジュンコさんの顔が赤くなったかと思うと、するってプイッとそっぽ向いてそのまま去って行った。

 

「あれ…?もしかして対応間違えた?」

 

「いや、ある意味正解なんじゃないか?」

 

「そっすね。ある意味正解っすね」

 

「ジュンコは素直じゃないから…」

 

「まあまあ、それがジュンコさんの可愛いとこでもまりますから」

 

「なあ、皆ニヤニヤしてるけど、一体どうしたんだ?」

 

「…僕に聞かないでよ。むしろこっちが聞きたいよ…」

 

結局誰も説明してくれなかった。

 

 

 

〜おまけ〜

 

その日の夜、僕はあの時のどさくさで持って来てしまったあの猿に付けられてた機械を調べていた。

 

「うーん。これ普通に凄い機械だよな。純粋に猿の言葉が分かるんだから」

 

そんな事を呟きながら機械をいじっていると、

 

コンッ

 

「ん?窓に何か当たったかな….」

 

気のせいか、と再び作業に戻ると

 

コンコンッ

 

「やっぱ何か当たってるな…」

 

何だ?と窓を開けると

 

「あれ、きみ、さっきの猿か?」

 

「キッ!」

 

窓の外にはあの猿がいた。その腕には幾つもの木の実が抱えられていた。

 

「キキッ!」

 

「?もしかしてこれ僕に?」

 

「ウキキー!」

 

「お礼なの?あはははっ、ありがとう!」

 

「ウキーッ!ウキ?」

 

ひとしきり喜ぶような仕草をとる猿だったが、僕の手にある機械を見ると不思議そうな顔をした。

 

「あ、これ?あの時持って来ちゃったんだけど…」

 

「ウキッキー!」

 

「もしかしてデュエルしたいの?」

 

「ウホホッ!」

 

こちらの言葉を肯定するように頷いた。

 

「そっか、じゃあまずはこのデッキから見ていこうか」

 

「ウキ?」

 

「きみのデッキだよ。デュエルディスクに取り付けられたままだったから。折角ならもっと強いデッキの方がいいでしょ?」

 

「ウホッ!ウキキー!」

 

取り敢えずは喜んでくれているようだ。

 

「よし、そうとなれば…」

 

PDFを取り出し、ある人物に電話をする。

 

「…あ、もしもし三沢っち?明日の放課後暇?…うん。またデッキについてちょっとね。…まだそこは秘密かな。じゃ、お願いね。…うん、了解、じゃーねー」

 

よし、助っ人確保。

 

「明日、僕の友達も交えてデッキ作ろうか。きみもそれでいい?」

 

「ウキッ!」

 

「うん。じゃあまた明日」

 

「ウキキー!」

 

そういえば途中から猿との会話普通にしていることに何の疑問も抱かなくなってたな…。

 

まあでも猿も納得してくれたようだし、これでいいか。いやー、猿のデッキ作るって言ったら三沢っちどんな顔するかなー。明日が楽しみだ。




どうも。図1のようになります。です。ところで…だれだ!!目標一週間とか言ったの!一ヶ月以上過ぎてるぞ!…はい、すみません。自分ですね。いやホント。反省してるんですよ。だから許してください…。もう、次回はいつまでに更新するなんて言わないようにしよう。うん。

さて、次回は今回の後日談…というかオマケの続きを書きたいと思います。もちろん猿のデッキも出て来ますよ!…猿自身の名前とかも考えとこうかな…それでは!


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たーん12 その名はcusillu

ただいま!


おSALとのデュエルの翌日、僕と猿は約束通り新しくデッキを作る為に三沢っちの部屋へと赴いた。

 

「だーいちくーん、あっそびましょー!」

「ウキーッ!」

 

部屋の扉をノックしながら呼びかけると、慌てた様子で三沢っちが出てきた。

 

「や、三沢っち」

 

「や、じゃないまったく。っと、そっちは昨日の猿か。今日はこいつのデッキについてだったか?」

 

「そうそう。とは言っても実は昨日の内に大体は作り上げたんだけどね。あ、あとこの子の名前も決めたよ。cusilluって言うんだ」

 

「クシル?また何でそんな名前に?」

 

「cusilluはケチュア語で猿って意味らしいから」

 

まさか某自爆神(誤字にあらず)から取ったとは言えない

 

「ケチュア語…ああ、確かナスカの地上絵に猿があったな。あの辺りの公用語がケチュア語だったな。というかお前よくそんな事知ってたな。意外と博識なんだな」

 

「僕的にはケチュア語からそこまで理解できる三沢っちの方が驚きだよ…」

 

流石三沢博士。部屋の壁に訳の分からん数式を書き込むだけの事はある。

 

「まあ何にせよ取り敢えずは上がれ。いや、やっぱりちょっと待ってろ。今雑巾持ってくるからそれで猿の足を拭いてからだ」

 

「ああ、大丈夫。ウェットティッシュ持ってきてるから。ほらクシル、足拭くからこっちおいで」

 

「キッ」

 

おとなしくこちらに向かって足を向けてきたので、丁寧に拭いてやる。

 

「随分と聞き分けがいいな」

 

「この子すごい頭良いからね。こっちの言うことはちゃんと聞いてくれるよ。はい終わり。じゃ、改めておじゃましまーす」

 

「キー」

 

「その辺に座っててくれ。今飲み物を用意する」

 

「ありがと。じゃあその間にこっちも準備しておこうか」

 

背負ってきたリュックサックの中からクシル用のデュエルディスクと頭の装置を取り出し、クシルに手渡す。クシルも慣れた様子で自分で装置を付ける。

 

「待たせたな。ああ、なんかでかいリュックサック背負ってると思ったらそれが入ってたのか」

 

「これが無いとクシルがデュエル出来ないからね」

 

「ウキッ」

 

「あ、着け終わった?じゃあ始めよっか。じゃあはい、これが昨日作ったクシルのデッキだよ」

 

「む、どれどれ…おい、何だこれは」

 

「あれ、何か問題あった?」

 

「問題も何も、あの時使ってたデッキの原型どころか面影すら残って無いじゃないか!完全に別物だろコレ!」

 

「いやいや、それクシルが選んだデッキだから。ねー?」

 

「ウキー!」

 

そうなのだ。昨日の夜、今のデッキを改造するか、新しいデッキを組むかを選ばせたところ、クシルが選んだのは新しくデッキを組む事だった。それで何か使いたいデッキはあるのかといくつかデッキを見せたところ…

 

「選んだのがソレだったんだよ」

 

「なるほど。なら俺からは何も言わん。しかしこれは…また変わったデッキだな。まあ、お前らしいと言えばお前らしいが…」

 

「モンスターの打点があまり高く無いからね。でも回るとすごいよ?」

 

「だろうな。だが、これを猿が回せるのか?」

 

「それを今から教えていきます。三沢っちにもそれを手伝って欲しいんだ」

 

「ウキキー」

 

クシルもお願いするようにペコペコと頭を下げている。

 

「手伝うとは言ったんだ。やれるだけはやるさ」

 

「流石三沢っち、頼りになるね!」

 

「なら三沢っちは止めろ」

 

「あ、それは無理」

 

そんなこんなでクシルへのデュエル講座は行われるのであった。

 

 

 

あれから三沢っちと僕とでデッキの回し方を実際のデュエルを交えながら教えていった。ついでにアドバンテージやチェーン処理といった、デュエルにおいて重要な概念も説明していき、かなり腕前は上達した。

 

「よし、これならそこんじょそこらのデュエリストに遅れを取ることは無いね!」

 

「ああ。ただ、何というか、やり過ぎた感が、な」

 

「えー、でも三沢っちもノリノリで先生やってたじゃん。いや、先生っていうか教授?」

 

「ぐ…まあ、何だ。やっぱり誰かに物を教えるのが存外楽しくてな」

 

伊達に普段解説役やっていませんものね。解説ポジはなるべくしてなったというわけだ。

 

「ならば早速成果報告を…よし、十代呼ぼう」

 

「人選に迷いが無かったな」

 

「適任でしょ?」

 

「否定はしない」

 

というか、十代ならむしろ自分から来そう。「デュエルの匂いがする!」とか言って。

 

「じゃあメールを…えー、『新作デッキ完成なう。おい、デュエルしろよ』っと。送信」

 

「何でそんな喧嘩腰何だ」

 

「チッチッチ。これが相手にデュエルを申し込む時のお約束ってやつなんですよ」

 

「聞いたこと無いぞ、そんな事」

 

まあ、未来(多分)の某蟹のセリフですから。

 

「連夜!新作デッキ作ったんだろ!?デュエルしようぜ!」

 

「はっや!さっきメール送ったばっかなのに!」

 

「いやー、なんか此処からデュエルの匂いがな」

 

お、おおう…まさか本気でそれ言うとは…

 

「まあ、呼び出したのは元々こっちだしね。だけど今回の相手は僕じゃない。因みにそこにいる三沢っちでも無いよ」

 

「へ?じゃあ誰が相手するんだよ?」

 

「十代、君の相手は…この子だ!」

 

そう言ってクシルを前に出してやる。

 

「ウッキー!」

 

「あ!お前昨日の猿じゃないか!もしかして新作デッキってこいつのデッキの事か?」

 

「その通り!僕と三沢っちの手により、この子のデッキはさらなる次元へと進化したのだ!」

 

「進化というか、そもそも以前のデッキの面影すら無いがな。共通のカードが死者蘇生だけなんだぞ」

 

「あ、こら三沢っち。今からネタバレしちゃダメでしょ」

 

「何でも良いぜ。それに、見た事無いデッキの方がワクワクするしな!」

 

「ならばデュエルフィールドに移動しよう。こんな事になるだろうとあらかじめ予約しておいた」

 

「流石三沢っち!僕らには出来ない事を平然とやってのける!そこに痺れる、憧れるぅ!」

 

「…何故だろう。褒められてる気がしないどころかむしろ怒りが湧いてくるのだが」

 

「そんな事より早く移動しようぜ!」

 

「ウキー」

 

「あ、ごめん。行こ行こ」

 

あ、ついでにあの時いた面子には声かけとこ。えーっと、翔くんに隼人くんに、あと明日香さんとモモエさんとジュンコさんにも。…女子組でメアド知ってんの明日香さんしかいないや。2人に声かけて貰えるよう頼んどこう。

 

 

「いやー、まさか全員集まるとは」

 

「僕はアニキからも誘われたっすから」

 

「俺も特にやること無かったんだな」

 

「私は後学のためにね。あなた達が関わったなら面白いものがみれそうだわ」

 

「わたくしも明日香様と同じ理由ですわね」

 

そしてさらに

 

「何よ、私がここにいて何か問題でもあるの?」

 

「いや、あの時被害者だったし、その辺どうなのかなーと思いまして」

 

「別にあの時の事はもう気にしてないし、折角明日香様が誘ってくれたのよ。断るわけが無いわ」

 

そんなもんですかね。

 

「お、始まるみたいだぞ」

 

おっと、お喋りはこの辺にしといて。さあ、どんなデュエルになるのかね?

 

 

 

「あの時は連夜に出番取られちまったからな。さあ、始めようぜ!」

 

「キキー!」

 

「「デュエル!」」

 

「先攻は俺だな、ドロー!『E・HERO スパークマン』を攻撃表示で召喚!カードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

「ワタシのターン、ドロー!ワタシは手札の『ファーニマル・ベア』を墓地へ送り、効果を発動!デッキから『トイポット』をサーチし、フィールドにセットする。そして発動!さらに『エッジインプ・トマホーク』を召喚。トマホークの効果発動、手札の『エッジインプ・チェーン』を墓地に送り、800ポイントのダメージを与える!さらにチェーンが墓地に送られた事により、デッキから『デストーイ・ファクトリー』を手札に加える」

フィールドに刃物が重なったようなモンスターが現れ、その歯の様に並んだ斧が十代に向かって発射された。

 

「な!?うわっ」

 

十代LP4000→3200

 

発射された斧は命中した後ブーメランみたいに再び元の位置まで戻っていった。

 

「トマホークのもう一つの効果発動!デッキから『エッジインプ・シザー』を墓地に送ることで、このターンのエンドスェイズまで同名モンスターとして扱う!」

 

トマホークが一瞬バラバラになり、その後再び組み合わさって今度はハサミの様な形をとった。

 

「墓地のシザーの効果発動。手札1枚をデッキトップに戻し、蘇生する」

フィールドに現れたのは、これまた幾つものハサミを重ねたかの様なモンスターだった。

 

「ここでトイポットの効果発動!手札1枚を捨て、デッキからカードを1枚ドローする。そしてそのカードがファーニマルモンスターだった場合、手札のモンスターを一体特殊召喚出来る」

 

一見ギャンブル要素の高いカードに見えるが、今デッキトップにあるのは先程のシザーの効果で戻したカードだ。つまり…

 

「ワタシがドローしたのは『ファーニマル・ドッグ』。トイポットの効果により、ドッグを特殊召喚!」

 

先程までの凶悪なモンスター達とは打って変わって、フィールドに現れたのは羽根のついた可愛らしい犬のぬいぐるみだった。

 

「ドッグは召喚、特殊召喚された時デッキからエッジインプ・シザーまたはファーニマルモンスター1体を手札に加える事が出来る。『ファーニマル・ラビット』を手札に。さらに魔法カード『融合徴兵』を発動!融合デッキの『デストーイ・ホイールソウラ・イオ』を公開し、『エッジインプ・ソウ』を手札に加える。更に永続魔法『デストーイ・ファクトリー』を発動!墓地の融合魔法カードかフュージョン魔法カードを除外し、デストーイ融合モンスターの融合が可能となる!墓地の融合徴兵を除外し、手札のファーニマル・ラビット、フィールドのドッグ、シザーを融合!悪魔の爪よ、獣の牙よ!今ここに一つに交わりて、新たな力と姿を見せよ!融合召喚!現れよ、全てを噛み砕く草原の覇者、『デストーイ・シザー・ウルフ』!」

 

フィールドのウサギと犬のぬいぐるみがハサミでズタズタに切り裂かれ、ハサミと共に一つになる。そうして出来上がったのは、継ぎ接ぎだらけで、しかも前足がハサミで繋がった不気味なオオカミのぬいぐるみだった。しかも口の部分からは赤い目が覗いている。あ、ジュンコさんとモモエさんが倒れた。

 

「おい、連夜」

 

「や、だってあそこまで凝った演出とは思わなくて」

 

KC社がこんなソリッドビジョンに設定したのが悪いんだ。

 

「ここで融合に使用されたラビットの効果発動!墓地のドッグを手札に加える。バトル!シザー・ウルフでスパークマンを攻撃!」

 

ウルフがスパークマンに向かって飛びかかり、そのまま噛みつき…はせずにお腹のハサミで両断した。

 

十代LP3200→2800

 

「くっ、リバースカードオープン!『ヒーロー・シグナル』発動!これでデッキから『E・HERO フォレストマン』を特殊召喚するぜ!」

 

「ウキィ…ターンエンド」

 

追撃出来なかったためか、クシルが落ち込んでる。

 

「なんか、三体融合のモンスターの割にはあんま強く無いっすね」

 

「いや、シザー・ウルフは別に三体融合のモンスターってわけでは無いんだよね」

 

「あら、それはどういうことかしら?」

 

「デストーイ・シザー・ウルフの融合素材はエッジインプ・シザーとファーニマルと名の付くモンスター1体以上だ。つまり、1体でも問題は無かった」

 

「じゃあ何で2体使ったんすか?」

 

「まず、シザー・ウルフの効果が『融合素材としたモンスターの数だけ攻撃出来る』っていうのが一つ。もう一つはファーニマル・ラビットの効果が『融合素材となって墓地へ送られた時、墓地のシザーかファーニマルモンスターを手札に加えることが出来る』というものだからだよ」

 

「なるほど、もし十代が伏せていたのがブラフだとしたら、3回攻撃が可能だからそのまま決着、 『ヒーロー・バリア』みたいな防御系でも1度防がれても続けて攻撃出来るし、さらにはエッジインプ・トマホークもいたからこれでも決着。さらにラビットの効果でどのみちモンスターの回収が可能ときたら、自然とあの形になるわね」

 

「そういうことだな」

 

タイガーの方を出さなかったのは相手の次の展開を警戒しての事だろう。あのカードはあいにく1枚しか持ってなかったから使いどころは考えなくてはいけない。今回はそれが裏目に出ちゃった様だけど。

 

「俺のターン、ドロー!スタンバイフェイズ時にフォレストマンの効果でデッキから『融合』を手札に加えるぜ。さあ、今度はこっちの番だ!魔法カード『天使の施し』を発動!カードを3枚ドローし、その後手札を2枚捨てるぜ。そして『E−エマージェンシーコール』を発動し、『E・

HERO エアーマン』を手札に加え、そのまま召喚!エアーマンの効果で『E・HERO バーストレディ』をサーチ、そして融合を発動!手札のバーストレディと場のフォレストマンを融合!来い!『E・HERO ノヴァマスター』!」

 

「あ!あのカードってアニキと連夜君が初めてデュエルした時の!」

 

「おい、連夜」

 

「いやー、十代が持ってるべきかと思いましてね?」

 

ついつい各属性HEROとその他もろもろを渡してしまった。因みにお礼は購買名物、ドローパンの幻の黄金卵パン10個分。これを得るにはとてつもない運が必要で僕は自力で引き当てた事が一度もない。それを十代は持ち前のドロー力でポンポン引き当てる。だからカードと引き換えに依頼をしたのだ。ついでに、僕はワサビパンを引いて以来、二度とドローパンは買わないと誓った。ワサビや辛子が苦手な僕にとって、チューブ1本分は入ってるだろうあのパンは拷問にも等しい。

 

「まだまだいくぜ。魔法カード『融合回収』発動!墓地の融合とフォレストマンを手札に加えてもっかい融合発動!フォレストマンとエアーマンで融合!来い!『E・HERO Great TRNADO』!Great TRNADOは融合召喚に成功した時相手の場のモンスター全ての攻撃力、守備力を半分にする!タウンバースト!」

 

Great TRNADOから放たれた突風がクシルの場のモンスターたちを容赦なく襲った。

 

「更に魔法カード『ヒーローハート』を発動!効果対象はノヴァマスターだ!攻撃力を半分にして、このターン2回攻撃を可能にするぜ!バトル!ノヴァマスターでトマホークとシザーウルフに攻撃、スカーレット・ノヴァ!」

 

止めて!前特に思いつかなくて何と無く言っちゃったけどそれは止めて!未来のレモンさんの最終進化形態が出にくくなっちゃうから!

 

「モンスターを破壊した事でノヴァマスターの効果が発動。カードを2枚ドローするぜ。Great TRNADOでダイレクトアタック!スーパーセル!」

 

「ウキキキキー!!」

 

クシルLP4000→500

 

「カードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

これはかなりマズイな。十代は消費した手札をノヴァマスターの効果で上手く補充してるし、場も充実してる。対してクシルの方は手札が2枚しかなく、しかも両方内容はバレてる。さあ、これをどう覆すかな?

 

「ワタシのターン、ドロー!『エッジインプ・ソウ』を守備表示で召喚!そして効果発動!手札のファーニマルモンスターを捨て、2枚ドローし、その後手札1枚をデッキの一番上か下に戻す。『ファーニマル・ドッグ』を捨てドロー!そして手札1枚をデッキトップに戻す。そしてトイポットの効果発動!手札1枚を捨て、ドロー!ドローしたのは『ファーニマル・オウル』、さらに今捨てたトイポットのもう一つの効果発動!デッキからエッジインプ・シザー1体又はファーニマルモンスター1体を手札に加える。『ファーニマル・シープ』を手札に、そしてオウルを特殊召喚!オウルの効果発動!このカードが召喚、特殊召喚に成功した時、デッキから融合を手札に加えることができる!融合を手札に。そして手札のシープの効果発動!自分のフィールドにファーニマルモンスターが存在する時、このカードを手札から特殊召喚できる。シープを特殊召喚!そしてシープの二つ目の効果発動!このカード以外の自分フィールドのファーニマルモンスター1体を手札に戻し、手札か墓地のエッジインプモンスターを特殊召喚できる!オウルを手札に戻し、エッジインプ・シザーを墓地から特殊召喚!」

 

おおう、怒涛の展開だな。ほら、レッド寮勢とブルーの女子2人がポカンとしてる。

 

「手札より融合を発動!フィールドのシザーとシープで融合!悪魔の爪よ、鋭い牙よ!神秘の渦で一つとなりて、新たな力と姿を見せよ!融合召喚!現れよ、全てを引き裂く密林の魔獣『デストーイ・シザー・タイガー』!」

 

羊のぬいぐるみがハサミで…ってもういいか、取り敢えずシザー・タイガーが出現した。相変わらず無駄に気合いの入った演出付きでだけど。あ、今度は2人とも耐えてる。ちょっと涙目になってはいるけど。

 

「シザー・タイガーの効果発動!このカードが融合召喚に成功した時、融合存在としたモンスターの数だけ相手フィールドのカードを破壊出来る!伏せカードとノヴァマスターを破壊する!ブレイクシザー!」

 

シザー・タイガーのお腹からハサミが伸びてきて十代のカードを両断しようとする。

 

「ならチェーンしてリバースカードオープン!『融合解除』対象はGreat TRNADOだ!」

 

「ウキッ!?」

 

「Great TRNADを融合デッキに戻して、フォレストマンとエアーマンを特殊召喚!守備表示でだ!」

 

ハサミが届く寸前、Great TRNADOの姿が消え、フォレストマンとエアーマンが現れる。しかし、そんな事は御構いなしとでもばかりにハサミはノヴァマスターを両断した。

 

「あれ?何でアニキは融合解除をわざわざGreat TRNADOの方に使ったんすか?ノヴァマスターに使えば破壊されなかったし、シザー・タイガーにも使えたのに」

 

「あ、ノヴァマスターには使えないよ。融合回収で一度墓地からフォレストマンが離れてるでしょ。だからあの状況では十代の行動が正解なんだ」

 

「でも、それならわざわざ融合解除を使わなくても良かったんじゃないかしら?あれじゃエアーマンの効果も使えないし、何より攻撃力の高いGreat TRNADOを残した方が良かったんじゃないかしら?」

 

「その答えなら直ぐに分かるだろうさ」

 

「さらにワタシはデストーイ・ファクトリーの効果を発動!墓地の融合を除外し、エッジインプ・ソウとファーニマル・オウルで融合!悪魔宿りし鉄の歯よ。牙剥く野獣と一つになりて、新たな力と姿を見せよ!融合召喚!現れよ、全てを切り裂く百獣の王!『デストーイ・ホイールソウ・ライオ』!」

 

フィールドに現れたライオンのぬいぐるみが丸鋸によって切り裂か)以下略。

 

「ホイールソウ・ライオの効果発動!相手の表側表示のモンスター1体を破壊し、その攻撃力分のダメージを与える!エアーマンを破壊する!サーキュラー・ソウ!」

 

ホイールソウ・ライオの顔部分から丸鋸が十代のエアーマンに向かって飛び出して、真っ二つに両断してしまった。…ホント何でこんな演出にしたんだろ?

 

十代LP2800→1000

 

「バトル!ホイールソウ・ライオでフォレストマンを攻撃!バズソウ・スラッシュ!」

 

フォレストマンがホイールソウ・ライオの爪で呆気なく切り裂かれる。

 

「シザー・タイガーでダイレクトアタック!フィアーネイル・クラッチ!」

シザー・タイガーがフォレストマンに向かって勢いよく腕を振り下ろす。あ、そこは腕使うんですね。

 

これが決まればクシルの勝ちだけど…

 

「させるかよ!墓地の『ネクロ・ガードナー』の効果発動!このカードを除外する事で一度だけ戦闘を無効にするぜ!」

 

ま、さすがに簡単には決めさせてくれないね。ていうかあのネクガいつ落としたっけ?…ああ、さっきの天使の施しの時か。抜け目ないなあ。

 

「ウキィ、ターンエンド」

 

「あ、危なかったす…もう負けちゃうかと思ったっす。あれ?結局アニキが融合解除使ったのって何でなんすか?」

 

「いや、あのままGreat TRNADOが立ってたら十代もう負けてるからね。ホイールソウ・ライオの効果で」

 

「あ…」

 

「でも不思議ね。十代は次に出てくるのがホイールソウ・ライオだと知ってたのかしら?」

 

「いや、ただ単に攻撃力の高いGreat TRNADOを破壊せずにノヴァマスターを優先したから何かあるだろうと感じたんだろう。それに、フィールドにはデストーイ・ファクトリーがあったんだ。あの状況では更に融合召喚してくると考えるのが自然だ。だからモンスターの数を増やしたかったというのもあるだろうな」

 

「そっか、あの時点ではフィールドにエッジインプ・ソウがいて、手札にはファーニマル・オウルがあって、更に融合が墓地にあったから続けて融合召喚される可能性が高かったんだね」

 

「そういうことだね」

 

「ほえー、あの一瞬でそこまで考えてるなんて、流石アニキっすね!」

 

「と言うか、みんなもこういった判断はすぐに出来るようにならなくちゃね」

 

「返す言葉が無いわね…」

 

「ちょっと!明日香様に何てこと言ってんのよ!」

 

「いや、あなたも含めて言ったんだけど…具体的には三沢っち以外に」

 

「むぐっ」

 

あ、反論しようにも反論するとこが無くてつまっちゃつたかな?

 

「ま、今はデュエルの続きだよ。ほらほら」

 

取り敢えず流すことにしよう、そうしよう。

 

「俺のターン、ドロー!『EHERO クレイマン』を守備表示で召喚だ。カードを2枚伏せてターンエンド」

 

「ワタシのターン、ドロー。『魔玩具融合』を発動。墓地のエッジインプ・チェーンとファーニマル・ライオを除外し、融合!悪魔の鎖よ、爪立てる獣と一つに合わさり新たな力と姿を見せよ!融合召喚!現れよ、全てを封じる鎖のケダモノ、『デストーイ・チェーン・シープ』!」

 

ジャラジャラと音を立てながら鎖がライオンのぬいぐるみに巻きついて)以下略もういいよ、この演出は…

 

「ホイールソウ・ライオの効果でクレイマンを破壊!サーキュラー・ソウ!」

 

十代LP1000→200

 

「バトルー」

 

「の前にリバースカードオープン!『リビングデッドの呼び声』!これで墓地の『E・HERO オーシャン』を特殊召喚!続けてもう片方のもオープン!『ヒーロー・ヘイロー』!これでそっちの攻撃力1900以上のモンスターは攻撃出来ないぜ!」

 

お、上手い。今クシルの場には攻撃力1900より上のモンスターしかいないし、オーシャンもヒーロー・ヘイローの効果ないギリギリだ。ていうか、これが天使の施しの時捨てたカードその2なのね。

 

「ウキッ!?ターンエンド」

 

「うっし、俺のターン、ドロー!スタンバイフェイズ時にオーシャンの効果でエアーマンを回収するぜ。速攻魔法『非常食』を発動!リビングデッドの呼び声とヒーロー・ヘイローを墓地に送ってライフを2000回復させる。リビングデッドの呼び声がフィールドから離れたことにより、オーシャンは破壊されるぜ」

 

十代LP200→2200

 

ん?わざわざフィールドを空にしたのか?なら手札にはアレかアレがあるんだろう

 

「ライフを半分払って、魔法カード『ヒーローアライブ』を発動!自分の場に表側表示のモンスターがいない時、デッキのHEROを1体特殊召喚するぜ!来い、『E・HERO バブルマン』!更にバブルマンが召喚、特殊召喚に成功した時、場に他のカードが無い場合2枚ドロー出来る!ドロー!」

 

十代LP2200→1100

 

アライブの方だったか。ま、結果的にバブルマンが出ることにはやっぱり変わりなかったけど。にしてもやっぱりアニメ版のバブルマンはチートだね。

 

「エアーマンを召喚して、効果発動!デッキから『E・HERO フェザーマン』を手札に加えるぜ。そして魔法カード『融合賢者』発動!デッキから融合を手札に加えて、発動!バブルマンとフェザーマンを融合!来い!『E・HERO セイラーマン』!」

 

あー、セイラーマンと来ましたか。

 

「カードを1枚伏せて、バトルだ!そしてセイラーマンの効果発動!自分の魔法&罠カードゾーンにカードがセットされている場合、相手にダイレクトアタックが出来る!やれ、セイラーマン!アンカーナックル!」

 

セイラーマンの左腕に付けられた碇がクシルに向かって射出された。

 

「ウキ、ウキキキキー!!」

 

クシルLP500→0

 

「っしゃあ!ガッチャ!楽しいデュエルだったぜ!」

 

「ウキ、ウキキ」

 

「2人ともお疲れー。いやー、いいデュエルだったよ」

 

「ああ、かなり有意義な時間だった。クシルも頑張ったな。最後のアレは仕方ないさ。あれが遊城 十代というデュエリストなんだ」

 

「そうね。土壇場でのあの引きが彼の1番の強さだもの」

 

「そうっすね。というか何で三沢君がその猿の名前知ってるんすか?」

 

「 あのデッキは連夜が組み上げた物を俺と連夜とあの猿、クシルで調整していったものだからな。そもそもこのデュエルフィールドは俺が予約したんだぞ」

 

「そうだったのか。サンキューな三沢」

 

「いや、俺としてもあのデッキでお前とどれだけ闘えるかのデータが取れたからな。これでお前を倒すデッキの完成にまた一歩近づいたわけだ」

 

「そうか、なら楽しみにしてるぜ」

 

「ねえねえ三沢っち、僕のは?」

 

「実は連夜用のも構想自体は出来ている」

 

「あら、そうだったの?」

 

「連夜って特定のデッキ使わねえよな?どう対策するんだよ」

 

「それは今は言えないな」

 

「だよね。ま、僕も楽しみにしてるよ」

 

「それで、あなた達いつまでそうしてるわけ?」

 

肩をすくめながら明日香さんが呼びかけた先には項垂れた様子のジュンコさんとモモエさんが。

 

「い、いえその、あのお猿さんが使ってたモンスターが恐かったというのもありますが…」

 

「それよりも今アタシ達が挑んでもその猿に勝てそうに無いなぁと…」

 

ああ、自分の実力が猿以下という事実に打ちひしがれてたのね。あ、追加で翔くんまで凹んだ。

 

「まあ、僕と三沢っちで教えたしね。そもそもこの子のデュエルタクティクス自体が高かったし」

 

「そう思うなら自分達で努力していかないとな。幸いなことに実力ある人物が近くにいるんだ。翔なら十代がそっちの2人には天上院君がいる。テスト前なんかは集まってやるのもいいだろう。その時は俺と連夜も講師役を務めるさ」

 

「あれ?ナチュラルに数に含まれてる?僕」

 

「当たり前だ。お前成績いいだろ 」

 

「まあ、いいんだけどね」

 

確かに、成績は悪く無いけどね。デュエルに関しては言わずもがな。一般科目も特に苦手な物は無いし。

 

「っと、そろそろ時間だな。もうすぐここも閉められる。今日はこれで解散だな」

 

「そう、なら私達はこれで。ありがとう。良いものが見れたわ。また機会があれば呼んでちょうだい」

 

「俺も帰るかー、さーて、メシメシ。翔、隼人、連夜、帰ろーぜー」

 

「あ、待ってよアニキー!」

 

「待つんだなー」

 

「さて、僕も行きますかね。じゃ、今日はありがとね。三沢っち。またよろしく」

 

「ああ、またな。今度は俺の相談にでものってくれ」

 

「当然。じゃあね。さ、帰るよクシル〜」

 

「ウキキー」

 

うん、負けちゃったけどいいデュエルだったし、満足満足。さーて、今度は何作ろっかな〜。




お待たせ致しました!図1よようになります。です。遊戯王復帰記念に続きを投稿です。いやー、最初は剣闘獣デッキで書いて、書き終わって投稿しようとおもったら変なとこ押して何故か真っ白に…スマホ投稿ってやりにくい!なんかコツとかあるんでしょうか?そんな感じで凹んでしまい、かつ遊戯王からも離れていたため執筆がなかなか出来ませんでした。それが最近になってまた遊戯王始めてみたので、その一環としてこの小説の続きを書こうとおもいましたわけです、はい。だから次が何時になるか自分でも決めてません!ストックなんかありません!そもそもGXの内容がおぼろげ!見直そう…それではまた!

追伸
エアーマンの効果がタイミングを逃すとのことでしたので、大幅に修正致しました。また何か間違えている点がございましたら、その都度教えて頂けると幸いです。
てかゴメンね!?コンマイ語理解不足で。なるべく遊戯王wiki片手に頑張るので応援して下さい。


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たーん13 蛇帝龍が倒せない−前編−

今回アニメオリカやアニメ効果、TF版カードに果てはアニメオリカの内容を一部改変しております。ご了承ください。


カチカチカチカチカチカチ

「あ、三沢っち、乗ったから一旦攻撃止めて」

 

「む、了解。今のうちに回復しておこう」

 

「ぬおおおお!よし、倒れた!三沢っち頭よろしく!」

 

「任せろ、そっちも尻尾頼む」

 

「ラジャ!もうそろそろ切れても良いんだけど…って切れた!」

 

「ナイスだ!よし、こっちも…っておい!尻尾の剥ぎ取りは後にしろ!」

 

「あ、つい…」

 

「おい、ブレス来るぞ!」

 

「え!?まだ剥ぎ取り途中…ギャー!モロに食らったー!三沢っち回復、回復プリーズ!粉塵使って!」

 

「もう演奏してるぞ」

 

「おー、ナイスタイミング。助かったー」

 

「そりゃ食らうのは分かりきってたからな…」

 

現在時刻は午前7時ちょっと前。僕と三沢っちは学校の前で狩りをしていた。ちなみに僕はスラッシュアックスで三沢っちは狩猟笛だ。

なぜこんな早い時間帯に学校にいるのかと言うと、今日はあの伝説のデュエリスト、武藤遊戯のデッキの展示会のチケット発売日だからだ。本来は今日の放課後17時から購買部にて販売が開始されるのだが、実は放課後に用事がある人のために、朝の7時半から先着10名分だけ先行販売されるのだ。放課後で取れるかどうかは怪しいため、こうして1時間前から並んでいる。ちなみに十代達は声かけても起きなかったのでスルー。

 

「しかし、お前の事だから武藤遊戯のデッキを見たら、自分でも作ってみるんじゃないのか?む、足を引きずりだしたぞ」

 

「もう作ったよ。あ、先回りして巣に落とし穴張っとくね」

 

「ほう?どんなデッキになった?というか、レアカードが多いからまともなデッキにならないんじゃ…お、落とし穴にはまったな」

 

「いや、それが…って捕獲玉1個しか残ってなかった!三沢っち後1個投げて!」

 

「な!?残弾くらい確認しとけ!」

 

三沢っちが慌ててこちらに近づいて捕獲玉を投げつける。落とし穴から脱出されるギリギリの所だったが、これで何とかクリアーだ。

 

「あー、そーいやさっき1個外してたや。ゴメンね」

 

「予備は用意しておけ、全く。間に合ったからいいもの」

 

「いやー、ボックスに残り4つしか無くて。あ、さっきの続きだけど、さすがに武藤遊戯のデッキをそのまま回すのは無理だからいろいろ改造したら、別のデッキになってた」

 

「何のデッキになったんだ、一体」

 

「ブラマジデッキ」

 

「は?」

 

「だから、ブラックマジシャンのデッキになってたの」

 

「待て待て、何故お前がブラックマジシャンを持ってるんだ。どこで手に入れた」

 

「ああ、ブラックマジシャンでも、武藤遊戯の持ってる初期版じゃ無くてEX版だよ。それでも2枚しかないし」

 

ちなみにEX版ブラマジは、初期版やパンドラ版とは違って髪が金髪で服装が青くなっている。

 

「確かに市場価格的には下がるだろうが、それはそれでかなりのレアカードだろうに」

 

「ちなみにブラマジガールも入ってたりする」

 

「…もう驚かんが、それはパックでか?」

 

「いや、これ実は親からもらったカードで…」

 

「親御さんが当てたのか」

 

「それが違くて、どうも会社内のデュエル大会での優勝賞品だったらしいよ」

 

ちなみに海馬コーポレーションオリジナルデザインで、このカード専用のソリッドビジョンのプログラムも存在する、事実上世界に一つだけのカードだ。優勝を逃した男性社員の一部が血の涙を流して悔しがったらしい。

 

「ああ、確か両親二人共KC社で働いているんだったな。やはり強いのか?」

 

「どうなんだろう?優勝したのは母さんだけど、決勝が父さんと母さんだったらしいし…」

 

「流石お前の親なだけはある、と言うべきなんだろうな、ここは。と、開いたな。行くぞ」

 

「おk。あ、後ろやっぱ人いるね」

 

「だな。やはり早めに来たのは正解だった」

 

「同感」

 

こうして、僕と三沢っちは無事にチケットを手に入れる事が出来た。

レッド寮に戻ると、十代達が朝食を食べていた。

 

「あ、連夜!なんで起こしてくれなかったんだよ〜!」

 

「いや、起こそうとしたけどお前が『俺は後でいい〜』って言うから」

 

「え?マジ?」

 

「マジ。だから三沢っちと2人で取ってきたよ。ホラ」

 

そう言って十代に先程買ったチケットを見せる。

 

「ちぇー、俺もあとちょっと早く起きてたらなー」

 

「あの列合流禁止だからどっちみち無理だったと思うけどね。ま、諦めて放課後に頑張りなよ」

 

「もちろんだぜ!なんてったってあの遊戯さんのデッキのためだもんな!」

 

まあ、遅れたとはいえこうやって十代が早起きしてるのは間違い無いんだし、やはり武藤遊戯のデッキは楽しみにしてるんだろう。

でも放課後には人が集中するだろうから、僕達は朝早くに並んだ訳ですがね。まあ十代の事だし、放課後授業終わったと同時に駆け出すんだろうけど。

 

 

 

「で、これはどういう状況?」

 

放課後、既に整理券を入手済の僕と三沢っちは2人で公開される武藤遊戯のデッキについて話していた。

気が付いたら時間が販売開始時刻をまわっていたので、様子を見に購買部に行くと、そこでは人だかりが出来ていて、その中心では翔くんがラーイエローの生徒とデュエルをしていた。

 

「おう、連夜か。実は翔のやつ、俺と並ぼうとしてたんだが財布を忘れたらしくてな。慌てて寮まで取りに帰ったんだが、戻った時には結構列が出来ててな。ちょうど翔のとこで最後の1枚になっちまってよ。それで隣の列で並んでたやつとデュエルして、買った方が整理券を手に入れられるって事になったんだよ」

 

「なるほど把握。で、翔くんの相手は?」

 

「神楽坂だな。ラーイエローの中でも座学での成績はかなり優秀な方だ。ただ、実戦となるとな…」

 

「何か問題でもあるの?」

 

「それが…まあ見てろ。ほら、ちょうど神楽坂が動くぞ」

 

デュエルに目を向けると、神楽坂くんのターンに移っていた。

 

「俺のターン!魔法カード『大嵐』を発動!場の魔法、罠を全て破壊するノーネ!」

 

「…ねえ、あの口調」

 

「それだけじゃ無いぞ。見てろ」

 

「そして俺の破壊された『黄金の邪神像』の効果発動!2体の邪神トークンを召喚される!この邪神トークンを生け贄に、『古代の機械巨人』を召喚するノーネ!」

 

ああ、コピーデッキ使いなのね。口調までマネするなんて凝ってるなあ…

 

「バトルだ!行け!古代の機械巨人!」

 

「『ジェットロイド』の効果発動!攻撃対象にされた時手札から罠カードを発動できる!『魔法の筒』を発動!僕の受けるダメージはそのままお返しだあ!」

 

「うわああああ!」

 

決まったか。というか、ギアゴに戦闘時の魔法、罠封じの効果ついて無いんだ。なんか微妙だな…

 

「えへへ、やったよアニキ!」

 

「おう、良かったな、翔」

 

あっちは盛り上がってるな。まあ、武藤遊戯のデッキが観れる事もあるだろうけど、翔くんは自分がラーイエローの生徒に勝てた分余計に嬉しいんだろうな。一方で、相手の神楽坂くんはかなり落ち込んでいる。格下に負けた事がショックだったのだろうか。周りの反応もよろしくない。

 

「ドンマイ、まあツイてない時もあるさ」

 

三沢っちが笑顔で励ます。哀れみではない、本気でそう思ってるのだろう。

 

「うるさい!何時でもオベリスクブルーに行けるようなやつに俺の何が分かる!」

 

神楽坂くんは三沢っちの手を跳ね除けてそのまま走り去って行った。

 

「三沢っち…」

 

「…あいつはデッキを作ろうとする時、人のデッキを参考にするんだが、どうしてもそのデッキとデュエリストの印象が頭に残ってしまい、結果的にほぼ同じデッキに仕上がってしまうそうだ。プレイングに関しても同じ事らしい。その事についてずっと悩んでいたんだがな。俺では結局何も解決してやれなかった」

 

「でもそれは…」

 

「分かってるさ。これはあいつの問題で、あいつの責任だ。…あいつにも、何か変わる切っ掛けがあれば良いんだがな」

 

切っ掛け、か。十代あたりとデュエルすれば何か分かるかな?

 

 

 

その日の夜。十代達が僕の部屋に来た。

 

「なあ、連夜も一緒に一足早く遊戯さんのデッキ見に行かねえか?」

 

「んー、でも、見せてくれるかな?」

 

「今の時間なら、ちょうど鍵が先生に返却されてる頃っす。頼み込めば先生によっては見せてくれるかもっすよ」

 

「なる。なら行ってみようかね。あ、三沢っちにも声かけとこう」

 

えーっと、『デッキ見に行くよ。今から』っと、送信。…あ、もう返事きた。えー、なになに『もう向かってる』?

 

「三沢っちもういってるってさ」

 

「マジか。なら俺たちも行こうぜ」

 

「だね。三沢っちなら上手く交渉してくれそうだし」

 

 

「…で、これはどういう状況なのかな?」

 

本日2度目のこのセリフである。

 

展示会場に向かった僕らは、会場の近くでクロノス教諭の悲鳴を聞きつける。現場に到着すると、そこには割れたガラスケースと、腰を抜かしたクロノス教諭の姿が。

 

「まさかクロノス先生が!?」

 

「ち、違うノーネ!ワタシはやって無いノーネ!信じて欲しいノーネ!!」

 

「いや、そもそもクロノス教諭鍵持ってるからガラスケース割る必要ないでしょうに」

 

「そ、そうなノーネ。鍵持ってたノーネ」

 

「ならば犯人は別にいるということだ。とにかく、さっきすれ違った警備員に連絡を…」

 

「それも勘弁して欲しいノーネ!校長にバレたら下手したら免職処分なノーネ!!」

 

「いや先生。確かにお気持ちは分かりますが…」

 

「まあいいじゃん。それより、早く犯人探しに行こうぜ。まだそう遠くには行って無いだろ」

 

「仕方ないな。よし、皆んなで手分けして探すぞ!」

 

「「「「おー!」」」」

 

「うう、ありがとなノーネ」

 

「いや、先生も探しに…行ったら怪しまれますか。先生はここでこれ以上他の生徒がここに近づかないように見張ってて下さい」

 

「了解なノーネ。頼みまスーノ」

 

「わかりました」

 

さて、ちゃっちゃと犯人見つけてついでにデッキを拝むとしますか。

 

 

 

「見つかったか!?」

 

「いや、そっちはどうだ?」

 

「ごめん、僕もまだ」

 

「俺もなんだな」

 

皆んなで探し回るも、なかなか犯人が見つからない。

 

「あれ、そういえば翔のやつは?」

 

「まだ探してるとか?でも一度ここで合流する事になってるのに」

 

『うわああああ!!』

 

「この声、翔か!」

 

「向こうのほうからだ!急げ!」

 

急いで翔くんよ悲鳴が聞こえた場所に向かうと、そこには翔くんと、神楽坂くん!?

 

「あ、アニキィ…ゴメンなさい。僕、負けちゃったっす…」

 

「ふ、ふふふふふふ。凄い、凄いぞ!俺がこんなに強かったなんて!はーはっはっはっは!!」

 

「神楽坂…お前まさか…」

 

「この伝説のデュエリスト、武藤遊戯のデッキなら…俺は、誰にも負けない!」

 

「へえ、誰にも負けないか。なら俺と」

 

「待て」

 

三沢っちが前に出ようとした十代を手で制する。

 

「このデュエルは連夜、お前がやってくれ」

 

「え!?僕!?」

 

「ああ。本当ならおれがやらなきゃいけないのだろうが、俺はあいつを止める事が出来なかった。だから俺が今あいつに何か言ってやれる資格が無い。だから頼む」

 

「でも何で僕が?」

 

「適任だと思ったからだ」

 

…そんな事言われたらやってやるしかないじゃ無いか!

 

「ならば期待に応えようじゃないか!十代、悪いけどここまで言われたんだ。僕がやるよ」

 

「しゃーねえな。だけど、負けんじゃねえぞ!」

 

「当然!」

 

「誰だっていい!今の俺は最強なんだ!お前にも勝って、それを証明してやる!」

 

「「デュエル!!」」

 

「先攻は僕だ、ドロー!『バニーラ』を守備表示で召喚。カードを2枚セットし、永続魔法『凡骨の意地』を発動!効果は後ほど。これでターンエンド」

 

「俺のターン、ドロー!手札から『融合』発動!手札の『バフォメット』と『幻獣王ガゼル』を融合!来い!『有翼幻獣キマイラ』!」

 

初ターンから素材の指定された融合召喚か。やるね。だけどそれは十代で見慣れてる!

 

「バトル!キマイラでバニーラを攻撃!」

 

「リバースカードオープン!『同姓同名同盟』発動!場のレベル2以下の通常モンスターと同名のカードをデッキから2体特殊召喚する!バニーラ2体を守備表示で特殊召喚だ!」

 

バニーラの左右に、さらにバニーラが並び立つ。

 

「ならば右側のバニーラに攻撃だ!幻獣衝撃粉砕(キマイラ・インパクトダッシュ)!」

 

キマイラがバニーラに向かって走り出すと、それを見たバニーラが慌てて地面に潜り込み、そのまま出て来なくなった。…あ、これで破壊された扱いになるのね。

 

「さらに俺は『クイーンズ・ナイト』を召喚、カードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

「僕のターン、ドロー!僕はドローしたカード、『ワイト』を公開し、凡骨の意地の効果発動!ドローフェイズにドローしたカードが通常モンスターだった場合、追加でドロー出来る!さあ、凡骨の凡骨による凡骨の為ではないデッキの真髄を見せてやる!ドロー!ドローしたカード『バトル・フットボーラー』を公開し追加でドロー!ここで打ち止め。ここでリバースカードオープン!『凡人の施し』!カードを2枚ドローする!『大砲ダルマ』を公開しドロー『くいぐるみ』を公開、ドロー『封印されし者の右腕』」

 

「何!?」

 

「ドロー、ここで打ち止めだ。凡人の施しの効果で、くいぐるみを除外する。魔法カード『アームズ・ホール』発動。デッキから装備魔法『下剋上の首飾り』を手札に。カードを3枚伏せ、ターンエンド」

 

「エンドフェイズ時に罠カード『融合準備』発動!融合デッキの『アルカナ ナイトジョーカー』を見せ、融合素材の『キングス・ナイト』を手札に加え、墓地の融合を回収する。」

 

「む、揃えちゃったか。改めてターンエンド」

 

「俺のターン、ドロー。お前のそのデッキ、まさかあの伝説のカード、エクゾディアか?」

 

「さあ?でも言ったでしょ。これは凡骨の凡骨による凡骨の為ではないデッキだって」

 

「どんなデッキだろうと、俺は負けない!俺はキングス・ナイトを召喚し、効果発動!このカードが召喚に成功した時、自分の場にクイーンズ・ナイトがいればデッキから『ジャックス・ナイト』を特殊召喚出来る!来い、ジャックス・ナイトよ!そして融合!絵札の三剣士を融合し、アルカナ ナイトジョーカーを融合召喚!バトル!アルカナ ナイトジョーカーでバニーラに攻撃!」

 

「リバースカードオープン!『カバーカーニバル』!効果により僕の場にカバートークンを3体特殊召喚!そして、相手はカバートークンにしか攻撃出来なくなる!」

 

フィールドにサンバの衣装っぽい服をきたカバが3体現れ、踊り始める。

 

「ちい!ならアルカナナイトジョーカーとキマイラでカバートークンを攻撃!」

 

ジョーカーとキマイラによって2体のカバートークンが破壊された。バニーラたちは…残った1体のカバートークンの陰に隠れていた。

 

「ターンエンドだ」

 

さて、状況的にはかなり厳しいけど、がんばりますかね。

 

 

 

「ああ!連夜君が押されてるっす!」

 

「…妙だな」

 

「ん?どうしたんだよ三沢?」

 

「いや、今日の連夜はやたら守るなと思ってな」

 

「でもそれはエクゾディアを揃える為なんじゃ無いか?」

 

「いや、本当にただエクゾディアを揃えるなら、あいつはもっと別のデッキにしている。以前そういうデッキとやったが、あれは酷かった」

 

確かあいつは『図書館エクゾ』と言っていたな。ただひたすら自分のデッキを回す、相手の事など知った事かとでもいうようなデッキだった。あいつも、『このデッキの対戦相手の9割9部は壁』とか言っていたしな。

 

「何かする気なんだろ?連夜の事だし。ワクワクするなあ!」

 

「そうだな。あいつはそういうやつだな」

 

やはりこのデュエル、あいつに任せたのは間違いじゃなさそうだ。

 

 

 

「僕のターン、ドロー。む、凡骨の効果は発動しない。1枚伏せてターンエンド」

 

「俺のターン、ドロー!装備魔法『稲妻の剣』をアルカナナイトジョーカーに装備!」

 

突如、アルカナナイトジョーカーの持ってた剣に、雷が落ちた。え、大丈夫なの?あ、剣が帯電してる。しかも形が変わって稲妻の剣になってる。

 

「アルカナナイトジョーカーでカバートークンに攻撃!ライトニングサンダーブレード!」

 

「罠発動『和睦の使者』!モンスターの破壊と戦闘ダメージを防ぐよ」

 

「また守りの…ターンエンドだ」

 

さて、次はどう動こうかな?

 

 




何回やっても何回やってもイビルジョーが倒せないよ。
あの狂暴龍何回切っても死なない。
後ろに回って尻尾切るけどリーチが全然足りて無い。
鬼人化乱舞叩き込んでても四股踏みされたら意味が無い。
だから次は絶対勝つために僕はスラアックスの練習をやっておく。
そんな3rd時代を過ごした図1のようになります。です。
デッキの内容はまだ伏せておきます。分かる人はいるかな?いるだろうなあ…
後編も直ぐに投稿します。というか、デュエルが長引き過ぎて前後半分けたんですけど。でわ!


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たーん14 蛇帝龍が倒せない −中編−

おかしい…予定じゃ前後編で終わってたはずなのに…


伝説のデュエリスト、武藤遊戯のデッキを操る神楽坂とのデュエルはお互いに受けたダメージは未だ0の硬直状態に陥っていた。

しかも、神楽坂の場には攻撃力が4600になったアルカナナイトジョーカーがいる。

 

「こ、攻撃力4600だなんて…あの青眼の究極龍すら超えてるっすよ!」

 

なお、この人物の兄は初手パワボンサイバーエンド(攻撃力8000)を平気でやってのける。

 

「あいつの事だ。何とかするさ。それよりも俺はあいつがあれだけ大人しいのが不気味でならん。一体何をしでかそうとしているのやら…」

 

 

 

うーむ。デッキの特性上仕方ないとは言え、そろそろ動きたいところなのだが…

 

「さて、気を取り直して僕のターン、ドロー。む…また凡骨は発動しない。けどリバースカードオープン!『手札断殺』!お互いにカードを2枚捨てて2枚ドローする。よし、ドローした『海皇の長槍兵』を公開してドロー。『マーダーサーカス・ゾンビ』を公開してドロー。ここで打ち止め。魔法カード『悪魔の貢物』を発動!相手の特殊召喚されたモンスター1体を墓地に送り、手札からレベル4以下の通常モンスター1体を特殊召喚する!対象はアルカナナイトジョーカーだ!」

 

「させるか!アルカナナイトジョーカーの効果発動!このカードがカード効果の対象にされた時、そのカードと同じ種類のカードを手札から捨てることでその効果を無効にする!俺は手札の『光の護封剣』を捨てて無効化する!」

 

まあ、防がれるよね。でも相手の護封剣を除去出来たから良しとしよう。

 

「まあ想定内だからおk。魔法カード『闇の量産工場』発動!墓地の通常モンスター2体を手札に加える。ま、何でもいいけど、ワイトとバニーラを手札に。更にカードを2枚伏せる。そして『手札抹殺』を発動!お互いに手札を全て捨ててその枚数分ドローする!僕は6枚だ」

 

「ちっ、俺は1枚だ」

 

「ドロー!ま、今はドローフェイズじゃないから凡骨は発動しないけどね。さて、魔法カード『馬の骨の対価』発動。僕の場の通常モンスターバニーラを墓地に送って2枚ドロー。…あー、やっと1枚引けた。取り敢えず魔法カード『トライワイトゾーン』を発動。墓地からレベル2以下の通常モンスター3体を特殊召喚するよ。墓地の『大木炭18』、『海皇の長槍兵』、『マーダーサーカス・ゾンビ』を蘇生。更に『ヘルバウンド』を召喚。」

 

「はっ、そんなザコばかり並べてどうする!?」

 

「それフラグだよ。さあ、攻めてみようか!伏せてあった『サウザンド・エナジー』と『下剋上の首飾り』を発動!サウザンド・エナジーはレベル2の通常モンスターの攻撃力と守備力を1000ポイントアップさせる。下剋上の首飾りはヘルバウンドに装備。そして速攻魔法『時の飛躍−ターン・ジャンプ−』発動!これにより、僕から数えて3ターン後のバトルフェイズまでの全てのフェイズをスキップする。ただし、このカードは自分のバトルフェイズ以降及び相手のターンには発動が出来無いけどね。ついでにLvモンスターをレベルアップさせる効果もあるけど、これは今は関係無い。」

 

「じゃあ何でそんなカードを…」

 

「後で分かるよ。バトル!長槍兵でキマイラを攻撃!」

 

長槍兵が手に持った槍を一閃させ、キマイラ2つの首を落とした。

 

「ちぃ!キマイラが破壊された時、墓地のガゼルかバフォメットを特殊召喚できる!バフォメットを守備表示で特殊召喚だ!」

 

「ならマーダーサーカス・ゾンビでバフォメットを攻撃!」

 

マーダーサーカス・ゾンビが、自分が乗ってたボールを蹴り上げ、オーバーヘッドキックでバフォメットに向かって蹴りつけた。…なんか生前より生き生きしてない?

 

「くそっ、まだだ、まだ俺にはアルカナナイトジョーカーがいる!」

 

「何を勘違いしてるんだい?まだ僕のバトルフェイズは終了して無いよ!!ヘルバウンドでアルカナナイトジョーカーに攻撃!」

 

「バカが!攻撃力500の通常モンスターに何が出来る!」

 

「下剋上さ!装備魔法『下剋上の首飾り』は、装備したモンスターが自分よりレベルの高い相手のモンスターと戦闘する時、そのレベル差×500ポイント攻撃力が上がる!ヘルバウンドのレベルは1、対するアルカナナイトジョーカーのレベルは9、その差は8、よってヘルバウンドの攻撃力は4000ポイントアップし、攻撃力は4500となる!」

 

「バカな!たかがレベル1の通常モンスターの攻撃力が4500だと!?だがまだアルカナナイトジョーカーには届いていない!」

 

「ならば届かせるまで!ダメージステップ時に速攻魔法『禁じられた聖衣』を発動!フィールドのモンスター1体の攻撃力を600ポイント下げ、このターン他のカードの効果対象にならず、カード効果では破壊されない!対象はもちろんアルカナナイトジョーカー!」

 

フィールドの上空から純白の衣が落ちてきて、アルカナナイトジョーカーがそれを羽織る。

なんか後光がさしてるけど、攻撃力本当に下がってるの?

 

「攻撃力ダウンだと!?」

 

「これでアルカナナイトジョーカーの攻撃力が600ポイントダウンする!行け!ヘルバウンド!墓場の瘴気!」

 

ヘルバウンドが目にも留まらぬ速さでフィールドを駆け、その勢いのままアルカナナイトジョーカーに体当たりをかます。

って体当たりかよ!瘴気はどこ行った!?さっきからゾンビども溌剌しすぎだろ!?

 

「ア、アルカナナイトジョーカーが効果も持たないレベル1のザコに倒されるなんて…」

 

「言ったはずだよ?下剋上を起こすって。デュエルモンスターズにおいてジャイアントキリングなんてそう珍しいものでも無いでしょ。カードを2枚伏せてターンエンド。ターン終了時にサウザンド・エナジーの効果で長槍兵とマーダーサーカス・ゾンビは破壊される」

 

神楽坂LP4000→3200

 

 

 

「す、凄い…」

 

「ああ。相手のモンスターによるとは言え、たった2枚のカードで攻撃力4500のモンスターが出たんだ。最大では2枚で攻撃力が6400まで上がる。だが、デッキに左右されるな」

 

「あら、どういうことかしら?」

 

「あの装備魔法『下剋上の首飾り』は通常モンスターにしか装備できず、かつ相手のモンスターのレベル差だけ攻撃力が上がる。つまり、攻撃力0のレベル1モンスターが実質レベル4攻撃力2000モンスターと同等になるという事だ。なら、レベルが低いモンスターの方が攻撃力の上げ幅が大きくなる。現状ではあいつの出した海皇の長槍が1番だな。もし長槍兵に装備した状態でレベル12のモンスター『青眼の究極竜』とバトルすれば、その攻撃力は5400にまで上がる事になる」

 

「やっぱり凄いじゃないっすか。どこが問題なんすか?」

 

「あのカードの装備条件だ。下剋上の首飾りは通常モンスターにしか装備出来ない。つまり、必然的に通常モンスター、それもレベルが低いものを使うデッキでこそ、あのカードは真価を発揮する。だから効果モンスターの多いデッキでは手札事故になりかねない」

 

「お、じゃあ俺のデッキだったら結構上手く入るんじゃね?」

 

「ああ、十代の下級HEROは通常モンスターが中心だからな。入らない事は無いだろう。だが、お前のデッキの真骨頂は融合だろう?融合したら装備出来なくなるぞ。まあ、相手の意表をつく事は可能だろうがな」

 

「成る程。今彼が使ってるカードはその多くが低レベルの通常モンスター。あのカードは切り札にもなりうるわね」

 

「そういう事っすか…って、え!?あ、明日香さん!?何でここに!?」

 

「学内ネット掲示板を見たのよ」

 

「何?本当だ。どうやらクロノス教諭はデッキを盗まれたのではなく、貸し出した事にしたらしいな」

 

「えーと、何々?『今夜学園島東海岸にて伝説のデュエリスト武藤遊戯のデッキのデモプレイデュエルを緊急開催!』だ?どうなってんだ?」

 

「恐らく、クロノス教諭がこの一連の事件を最初からあった予定として処理したらしいな。ちょっと無理矢理感があるが、これなら誰も悪人にならずに済む。校長にはバレるだろうがな」

 

「お兄さんまで!」

 

「カイザーも来てたのか」

 

「ああ、あのデュエルキングのデッキが実際にデュエルで使用されるのを見る機会などそう訪れるものでは無いからな。他にもかなりの人数が集まっている様だ」

 

「本当なんだなあ。よく見るとあっちこっちに制服姿が見えるんだな…」

 

「それだけこのデュエルの注目度が高いと言える。さあ、今度は神楽坂のターンだ。どう切り返すか見ものだぞ」

 

 

 

「俺のターン!ドロー!俺はカードを1枚伏せて『疾風の暗黒騎士ガイア』を召喚!このカードは自分の手札がこのカード1枚の時、生け贄無しで召喚が出来る!更に今伏せたカードをオープン!『天よりの宝札』!お互いに手札が6枚になるようにドローする!俺は6枚ドロー!」

 

「む、僕は4枚だ」

 

「先ずはその邪魔な魔法カード共を破壊する!魔法カード『大嵐』発動!場の魔法、罠を全て破壊する!」

 

「マズ!チェーンしてリバースカードオープン!『威嚇する咆哮』!このターン相手は攻撃宣言出来無い!」

 

突然ヘルハウンドがガイアに向かって吠え始めた。突然の事に驚いた暗黒騎士ガイアが落馬してる。…おい、攻撃力500のモンスターにビビるなよ、騎士が。

 

「ちっ、ターンエンドだ」

 

「僕のターン、ドロー。魔法カード『テラ・フォーミング』発動。デッキからフィールド魔法『フュージョン・ゲート』手札に加え、そのまま発動。これで融合が無くても融合が可能になった。行くよ、場の炎族モンスター大木炭18と手札の機械族モンスター大木人18を融合!機械と炎の力を合成し、現れよ!『起爆獣 ヴァルカノン』!ヴァルカノンの効果発動!このカードが融合召喚に成功した時、このカードと相手のモンスター1体を破壊し、その破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える!対象は暗黒騎士ガイア!やれ!ミサイル・ストーム!」

 

ヴァルカノンの両肩に付けられたミサイルポッドから6発のミサイルがガイアに向かって放たれる。しかし、ガイアもミサイルが当たる寸前で手に持っていたランスをヴァルカノンに向かって投擲した。ミサイルが起爆し、爆発の渦にガイアが飲まれる。ヴァルカノンもまた、ランスの命中した部分から火花が散り、数秒後爆散してしまった。

 

「ぐ、だがこれで俺の場にカードは無くなった!手札の『冥府の使者ゴーズ』の効果発動!自分の場にカードが無い状態でダメージを受けた時、このカードを特殊召喚する!更にその時受けたダメージの種類によって発動する効果が変わる!今受けたのは効果ダメージ、よってお前にも俺が受けたダメージと同じダメージを受けてもらう!」

 

「させない!速攻魔法『禁じられた聖杯』!場のモンスター1体の攻撃力を400ポイント上げ、効果を無効にする!これでゴーズの効果を無効化する!」

 

「だが、ゴーズは俺の場に残る。更に聖杯の効果で攻撃力は3100まで上昇するぜ」

 

「わかってるさ。僕は手札の『はにわ』と場の『ヘルバウンド』を融合!弱者の魂よ、今ここに交わりて新たな姿へと昇華せよ!融合召喚!来い、『始祖竜 ワイアーム』!」

 

フィールドに現れたのは、四肢の無い蛇の体に竜の首、蝙蝠の羽というキメラのようなドラゴン。ワイアームだ。

 

「ワイアームは通常モンスター2体で融合召喚するモンスターだ。このカードは通常モンスター以外のモンスターとの戦闘では破壊されず、このカード以外の効果モンスターの効果を受け付けない。カードを2枚伏せてターンエンド」

 

神楽坂LP 3200→900

 

「それがそのデッキの切り札か。だが俺は更にその先を進んでみせる!ドロー!俺は『強欲な壺』を発動!デッキからカードを2枚ドローする。ドロー!『ワタポン』の効果発動!このカードがカード効果によってドローされた場合、手札から特殊召喚出来る!ワタポンを特殊召喚!そしてこのワタポンを生け贄に、『ブラックマジシャン・ガール』を召喚!来い、ブラックマジシャン・ガール!」

 

おお、これが本物の方のブラックマジシャン・ガールか!成る程、デュエルで見るとファンクラブが出来るのもうなずける。やっぱりソリッドビジョンをただ起動するだけじゃダメだな。…今度三沢っちにブラマジデッキの相手してもらおうかな?

 

「おお〜!ほ、本物のブラマジガール!ぼ、僕連夜君には勝って欲しいけど、彼女だけは応援しちゃおうかな〜」

 

「何言ってるんだな、翔」

 

「だって!ブラマジガールは遊戯さんのデッキにしか入って無いんすよ!今夜限りの恋かも知れないんすよ!?」

 

「そ、それはそうだけど…」

 

(ここで連夜がブラックマジシャン・ガールを、それも限定版を持っていると翔が知ったらどんな反応するか…止めておこう。少なくとも碌な事にならないのは確実だな)

 

「ん?どうしたんだ三沢?ため息なんかついて」

 

「いや、なんでも無い。ちょっと考え事をな」

 

「これだけじゃ無いぜ!このデッキの切り札を見せてやる!俺は墓地の闇属性モンスター『疾風の暗黒騎士ガイア』と光属性モンスター『ワタポン』をゲームから除外!」

 

そ、その召喚方法は!

 

「闇と光混ざりし混沌より来れ!『カオス・ソルジャー ー開闢の使者ー』!」

 

やっぱりソイツかー!緩すぎる召喚条件に凶悪な効果。みんなのトラウマ開闢さんじゃ無いかー!

 

「見ろ!これが俺の切り札、カオス・ソルジャー 開闢の使者だ!」

 

いや、それあんたのデッキじゃ無いでしょーが!

 




何回やっても何回やっても遠距離武器使え無いよ
あの紙装備何回やっても慣れ無い
後ろで距離取って狙いつけるも直ぐに突進かまされる
転がりまくって回避をするけど攻撃出来なきゃ意味が無い
だから次は攻撃するために
僕は暗躍スキルを装備に加えとく
そんな遠距離武器が大の苦手な図1のようになります。です。
想像より遅てしまった理由は、プロットにミスが見つかったから。『弱肉一色』って、手札までブッパするんですね…おかげで途中がまるまる書き直しですよ。
さて、そろそろ主人公のデッキが何かが分かったでしょうか?まあ、TFシリーズに詳しい人とかにはそろそろバレるかもですね。では!

ここからはカードの解説時間となります。
今回使った『時の飛躍−ターン・ジャンプ』についてですが、原作効果がチート過ぎるため、少しエラッタされたという設定です。原作効果が知りたい方は遊戯王の未OCG化wiki等で調べてみて下さい。


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たーん15 蛇帝龍が倒せない −後編−

やっと終わった!流石にここまで長くなるとは思っても無かったけどやりたい事はやりきったぜ!


ぜぇんかいまでのあらすじぃ!

 

盗まれた王のデッキ。それに対峙するは我らが主人公、天城連夜。神楽坂の場にはガチカードで制限の常連、カオス・ソルジャー 開闢の使者。さらにブラック・マジシャン・ガールにゴーズまでが立ち塞がる。このモンスター達を前にどう立ち向かう!?連夜!!

 

「お前はワイアームが戦闘耐性も効果耐性も持っているからと安心しているのだろうが、それは甘いぜ!魔法カード『蜘蛛の糸』!これはお前が前のターンで使用した魔法カードを俺の手札に加えることが出来る。俺がお前の墓地から手繰り寄せるカードはこいつだ!」

 

カードから伸びた蜘蛛の糸が僕の墓地に入り込み、中からカードを1枚引きずり出した。…って、それは!?

 

「そう、俺が手札に加えるのは『禁じられた聖杯』!これをお前のワイアームに使うぜ!」

 

フィールドの上空に現れた杯から水が湧き出てワイアームへと降りかかる。一見ワイアームが生き生きしてるように見えるが、これで耐性が飛んでしまった…

 

「ここでお前の切り札には退場してもらおう!開闢の使者の効果発動!このカードの戦闘を放棄する代わりに、相手のモンスター1体をゲームから除外する!開闢断空斬!」

 

開闢の使者が放った斬撃がワイアームの目の前の空間を切り裂く。ワイアームはそこから発される引力に負け、空間の裂け目へと引きずり込まれた。

 

「これでお前の場にはウサギが1匹いるだけだ!行け!ゴーズ!ダークネス・ソード・ブラッシュ!!」

 

「まだだ!罠発動!『攻撃の無敵化』!このカードはバトルフェイズ中の戦闘ダメージを0にするか、バトルフェイズ中に選択したモンスターが破壊されないかのどちらかの効果を選んで発動する!当然耐性の後者を選択!」

 

バニーラがゴーズの斬撃を軽快に避け続ける。でも相変わらずぼへっとした顔してる。心なしかゴーズがイラついてるようだ…

 

「ふ、いつまで守り続けられるかな?カードを1枚伏せ、ターンエンドだ」

 

「僕のターン、ドロー!まずは伏せてた『補充要員』を発動。墓地のワイト、マーダーサーカスゾンビ、封印されし者の右腕を手札に加える。続いて『貪欲な壺』を発動。墓地のバニーラ2体、大砲ダルマ、長槍兵、フレムベルガードナーをデッキに戻し、シャッフル。その後2枚ドロー。『天使の施し』を発動。カードを3枚ドローし、その後2枚捨てる。フュージョンゲートの効果を使用する。手札の封印されし者の右腕と『ハウンド・ドラゴン』を融合!再び現れよ!始祖竜ワイアーム!更にワイトとマーダーサーカスゾンビを融合!亡者の魂交わる時、冥界の邪龍を呼び覚ます。正者無き世界よ!融合召喚!目覚めよ冥界の主『冥界龍 ドラゴネクロ』!!」

 

フィールドを黒い霧が立ち込め、その中から現れたのは全身が骨で覆われた龍だった。

 

「どうやら切り札はまだいたようだな」

 

「バトル!ドラゴネクロで開闢の使者に攻撃!ソウル・クランチ!」

 

「甘い!リバースカードオープン!『聖なるバリア −ミラーフォース−』!」

 

「は?え、ちょっ、嘘でしょ!?」

 

ドラゴネクロはバリアによって自身の攻撃を跳ね返され、あっけなく破壊される。しかも跳ね返された攻撃の一部がワイアームにまで…

ミ、ミラフォが仕事をするなんて…!

 

「タ、ターンエンド…」

 

「俺のターン、ドロー!先ずはいい加減目障りなそのウサギを取り除く!開闢の使者の効果で除外!開闢断空斬!」

 

「墓地の罠カード『スキル・プリズナー』を発動!このターン選択したカードを対象とするモンスター効果を無効にする!当然バニーラを選択!」

 

「墓地から罠だと!?くそッ、いつそんなカードが…いや、確か大嵐で破壊したカードで発動されてなかった方も罠カードだった…ならばバトルだ!ゴーズでバニーラを攻撃!」

 

「墓地から『超電磁タートル』の効果発動!このカードを除外する事で、バトルフェイズを終了させる!」

 

「また墓地から…!ターンエンド!」

 

「僕のターン、ドロー!ふふふふふふ…やっと、やっと準備が整った!」

 

「準備、だと?お前の場にはザコが1体いるだけ、手札も3枚、これで一体何の準備が出来るんだ!」

 

「それで十分なんだ。さて、ここで一つ問題だ。僕のバニーラは一体いつからこの場にいたかな?」

 

 

 

「あ、あれ?いつからだったけ?」

 

「んー?あれ?よく考えたらずっといねえか?」

 

「そうなんだな。最初に連夜が召喚してからずっといたんだな」

 

「私は最初の方は見てなかったけど、確かにずっといるわね」

 

「…1ターン目からずっといるモンスター、それを守り抜くようなプレイング、さらにあの不自然に発動された時の飛躍…そうか、そういう事だったのか!!」

 

「うお!?ど、どうしたんだよ三沢」

 

「そうかそうかそういう事か。これで納得がいった。あいつの不可解なプレイングは全てこれの為だったのか…!」

 

「何の事っすか?」

 

「まあ見てろ、これから見るのはデュエルキングのデッキよりある意味ではさらに貴重な光景だ」

 

「どういう意味かしら?」

 

「すぐに分かるさ。あいつが何がしたかったかがな。」

 

 

 

「…1ターン目だ。それに何の意味が…」

 

「正解。では2問目、このバニーラは1体何ターン(・・・・)このフィールドにいるかな?」

 

「7ターンだ!だからさっきから一体何を…」

 

「ハズレ〜!残念、答えは10ターンだ。さあ、これからお見せするのはこのデッキの真の切り札!凡骨の凡骨による凡骨のため、ではないこのカードの為のデッキの真価、とくとご覧あれ!僕はバニーラを生け贄に捧げる!大地に封印されし大いなる魂よ、今その眠りから目覚めその力を示せ!現れよ、『眠れる巨人 ズシン』!!」

 

突如フィールドの地面が割れ、中から一体の巨人が体を起こす。その大きさはフィールドにいる全てのモンスターを圧倒している。あのゲートガーディアンですら、ズシンの半分も無いだろう。

 

「な、何だ、このモンスターは…」

 

「眠れる巨人ズシンは、フィールドに10ターン以上居続けたレベル1の通常モンスターを生け贄に捧げる事でのみ召喚が可能となるモンスターだ。今まで執拗なまでにバニーラを守ってきたのは、全てこのカードを出す為。エクゾディアも、強化されたモンスター達も、融合モンスター達でさえも、全てバニーラから目を離させるための囮さ」

 

「だがそんな大げさな召喚条件のくせに攻撃力は0じゃないか!」

 

「このカードに攻撃力は関係ないからね。バトル!ズシンで開闢の使者を攻撃!」

 

「攻撃力0で!?血迷ったか!」

 

「言ったよね、攻撃力は関係無いって!眠れる巨人ズシンの効果発動!このカードが相手モンスターと戦闘を行う場合、このカードの攻撃力はそのモンスターの攻撃力+1000ポイントになる!」

 

「馬鹿な!常に相手より攻撃力が1000高いモンスターだと!?」

 

「開闢の使者の攻撃力は3000。よってズシンの攻撃力は4000となる!行け!ズシンパンチ!」

 

ズシンから放たれるパンチが、呆気なく開闢の使者を押しつぶす。

 

「まだだ!俺は手札の『クリボー』の効果発動!この戦闘ダメージを0にするぜ!」

 

これを防ぐか…本当によく回る。

 

「ありがとうクリボー。お前にはいままで何度も助けられたな」

 

「いや、だからそれあなたのデッキじゃ…まあいいや、ターンエンド」

 

 

 

「こ、これが連夜の切り札…」

 

「凄い、凄すぎるっす!」

 

「レベル1の通常モンスターを10ターンに渡って守り抜く。それはある意味ではただ勝利する事よりもずっと難しい。だが、それをやり抜くだけの強さを彼は持っているな」

 

「どういう事だよカイザー。あんなモンスターいればすげー心強いじゃんか」

 

「よく考えてみろ十代。あのモンスターは10ターンもの間手札では何の意味も持たないカードだ。それに、同じ10ターンを待つならもっと手っ取り早い方法がある」

 

「『終焉のカウントダウン』の事ね」

 

「正解だ天上院君。あちらは一度発動してしまえば後はただ自分を守ればいい。もっと端的に言えば連夜が使った時の飛躍を3枚使えば次のターンに勝利が確定する。それに比べて眠れる巨人ズシンは自身を召喚したとしても、それが直接的な勝利にはならない」

 

「た、確かに。ならなんでそんなカードを?」

 

「さあな。俺もあのデッキは初めて見る。だが連夜なら『そっちの方が面白そう』とでも言うんだろうな」

 

(そうだ、だからこそこのデュエルはお前に託したんだ)

 

 

 

「俺のターン!ドロー!確かにそのモンスターは戦闘においては最強だ。だが何も戦闘で破壊する必要など何処にもない!魔法カード『黒・魔・導・爆・烈・破(ブラック・バーニング)』発動!このカードは場にブラックマジシャンガールが存在する時発動可能。相手のモンスター全てを破壊する!行け!ブラックマジシャンガール!黒・魔・導・爆・烈・破(ブラック・バーニング)!!」

 

ブラックマジシャンガールから放たれた魔導弾がズシンに命中し、大規模な爆発を起こす。

 

「はっはっは!折角苦労して出したモンスターも呆気ないものだったな!」

 

「いやいや、あんな苦労して出したモンスターがそんな簡単にやられてたまりますか」

 

爆煙が晴れると、そこには幾重にも張り巡らされた障壁により、無傷の様子を見せるズシンの姿があった。ああ、その杖ちゃんと使うのね。

 

「な、何故だ!」

 

「眠れる巨人ズシンは、このカード以外の魔法、罠、モンスター効果を一切受け付けない。つまり、このモンスターを破壊するのはほぼ不可能という事だ」

 

「なっ!?くっ、モンスターを全て守備表示にする。カードを1枚伏せ、ターンエンドだ!」

 

「僕のターン、ドロー!『貪欲な瓶』を発動。墓地の強欲な壺、天使の施し、凡人の施し、凡骨の意地、下剋上の首飾りをデッキに加え、1枚ドローする。『アレキサンドライドラゴン』を召喚。さらに下剋上の首飾りを装備する。バトル!ズシンでゴーズに攻撃!ズシンパンチ!」

 

開闢の使者同様、ゴーズもあっさりと破壊された。

 

「さらにアレキサンドライドラゴンでブラマジガールを攻撃!アレキサンドバースト!」

 

「やらせるか!リバースカードオープン!『攻撃の無力化』!そいつの攻撃は防がせてもらう!」

 

「僕はカードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

「まだだ、まだ俺は負けちゃいない!このデッキで負けるはずが無い!俺の、ターン!ドロー!!俺は魔法カード『賢者の宝石』を発動!俺の場にブラックマジシャンガールが存在する時、デッキから『ブラック・マジシャン』を特殊召喚出来る!来い!ブラック・マジシャン!」

 

ブラマジガールが宝石を手にし、呪文を唱えるとフィールドに魔方陣が浮かび上がる。魔方陣が強く発光した次の瞬間、そこにはあのブラック・マジシャンの姿があった。

 

「さらに俺は魔法カード『光と闇の洗礼』を発動!ブラックマジシャンを生け贄に、デッキから『混沌の黒魔術師』を特殊召喚する!光と闇の洗礼を受け、新たな姿へと昇華せよ!出でよ!混沌の黒魔術師!!」

 

ブラックマジシャンの姿が闇の中に消える。その闇を掻き消すかのな強い光が生まれ、中からマジシャン・オブ・ブラックカオスのリメイクモンスター、混沌の黒魔術師が現れた。

 

「混沌の黒魔術師の効果発動!このカードが召喚に成功した時、墓地の魔法カードを手札に加えることが出来る!俺が手札に加えるカードは『天よりの宝札』!」

 

上手い、手札を全て消費したけど、それを上手にカバーしている。このターンで仕掛ける気か!

 

「俺はこのドローに全てをかける!ドロー!さあ行くぞ!これが俺のラストターンだ!!」

 

「ああ、来い!」

 

「俺は『翻弄するエルフの剣士』を召喚!さらに魔法カード『死のマジック・ボックス』発動!このカードはお前の場のモンスター1体を破壊し、その後俺の場のモンスター1体をお前の場に移す!俺が選ぶのはアレキサンドライドラゴンと翻弄するエルフの剣士!」

 

僕と神楽坂くんの場に大きな箱が現れて、中にアレキサンドライト・ドラゴンと翻弄するエルフの剣士が閉じ込められる。すると、神楽坂くんの場の箱の周りに10本近くの剣が浮かび上がり、一気に突き立てた。数秒の静寂の後、箱の扉がゆっくりと開かれる。しかし、剣が突き立てられた神楽坂くんの箱は空になっており、逆に僕の場の箱にはアレキサンドライドラゴンではなく翻弄するエルフの剣士がいた。

 

「確かに眠れる巨人ズシンの効果は驚異だ。戦闘でも効果でも破壊する事が出来ない。だが、デュエルモンスターズは相手のモンスターを全滅させなければ勝てないというわけでは無い!」

 

 

 

「やるな、神楽坂。これで攻撃力の高いアレキサンドライト・ドラゴンを除去すると同時に、戦闘破壊耐性を持っている翻弄するエルフの剣士を送りつける事に成功している。これなら攻撃対象を眠れる巨人ズシンではなく翻弄するエルフの剣士に集中させる事が出来る」

 

「凄え、凄えぜ二人共!あー!やっぱ俺もデュエルしたかったぜ!!」

 

「だけど、それだけじゃまだ彼には勝てないわ。今いるモンスター全員で攻撃してもまだ彼のライフは残ってしまう」

 

「だが神楽坂はこれが自分にとってのラストターンと言った。まだ何か手があるのだろう」

 

 

 

「さらに俺は魔法カード『黙する死者』を発動!墓地に存在するブラックマジシャンを蘇生させる!ただし、この効果で蘇生したモンスターは攻撃を行う事が出来ない。だがその力を受け継がせる事は可能だ!魔法カード『受け継がれる力』を発動!自分の場のモンスター1体選択し、そのモンスター以外のモンスター1体を生け贄に捧げる。このターン選択したモンスターの攻撃力は生け贄に捧げたモンスターの攻撃力分アップする!俺はブラックマジシャンを生け贄にし、ブラックマジシャンガールの攻撃力を上げる!さらに、ブラックマジシャンガールは墓地に存在するブラックマジシャンの数だけその力を上昇させる!これにより、ブラックマジシャンガールの攻撃力は4800!!師の意志を、師の力を継承せよ!ブラックマジシャンガール!」

 

場に佇んでいたブラックマジシャンの姿が消え、残された膨大な魔力がブラックマジシャンガールへと受け継がれる。ブラックマジシャンガールの纏うオーラが見るからに増大しており、その背後には霊体となったブラックマジシャンの姿が。

 

「バトル!ブラックマジシャンガールで翻弄するエルフの剣士に攻撃!喰らえ!最強の魔術師の力を受け継ぎし弟子の一撃!黒・爆・裂・破・魔・導(ブラック・バーニング・マジック)!!」

 

ブラックマジシャンガールが、背後のブラックマジシャンと杖を重ね、巨大な魔導弾を生成する。先程放たれたそれよりも、何倍も大きくなった魔導弾がエルフの剣士へと襲いかかった。

 

「神楽坂くん、君はやっぱ凄いよ。武藤遊戯のデッキをそこまで研究し、そして実際に使いこなせる人物は他にいないだろう。だからこそ!僕は君に勝ちたい!これで最後だ!リバースカードオープン!『シフト・チェンジ』!相手のカード効果、攻撃の対象を、別のモンスターへと移し替える!翻弄するエルフの剣士への攻撃をズシンへの攻撃に変更する!」

 

エルフの剣士を庇うかの様に前に出たズシンは自身も手に持った杖で魔導弾を生成する。一瞬で膨れ上がった魔導弾は、ブラックマジシャンガールのそれよりも更に一回り大きかった。

 

「迎撃しろ、ズシン!終焉の魔法−end of Armageddon−!!」

 

ズシンの放った魔導弾は、ブラックマジシャンガールの魔導弾をブラックマジシャンガールごとのみ込み、全てを掻き消した。それと同時に神楽坂くんのLPが0になり、デュエルディスクがデュエルの終了を告げた。

 

「ちくしょう…!デュエルキングのデッキを使ったのに負けたなんて…俺は、俺はやっぱり弱いんだ!」

 

「神楽坂くん…でもそれは」

 

「それは違うぞ、神楽坂」

 

「三沢…」

 

「周りを見ろ」

 

三沢っちがそう言って指を指した先には、無数の生徒達の姿が。

 

「凄かったぜ神楽坂!」

「キング・オブ・デュエリスト、武藤遊戯のデッキをあそこまで使いこなすなんてな!」

「いいもん見せて貰ったぜ!」

 

辺りからは自然と拍手が聞こえ始め、やがてそれは大歓声へと変わった。

 

「こ、これは…」

 

「みんなお前のデュエルを賞賛している。これはお前が作った光景なんだ」

 

「だが俺は負けてしまった。それどころか、このデッキを使ってライフを1ポイントすら削る事が出来なかったんだ。そんな俺が…」

 

「結果だけ見ると確かにそうだ。だが、お前以外であそこまでそのデッキを使いこなせるのはそのデッキの本当の持ち主である武藤遊戯くらいなものだ。お前は十分、それを誇る事が出来る」

 

「だ、だが俺は」

 

「素晴らしいデュエルでした。神楽坂くん、天城くん」

 

「「「「「校長!?」」」」」

 

突然の校長先生の登場に周りから驚きの声が上がる。

 

「こ、校長、俺、すいませんでした!」

 

「君は何を謝っているのですか?このデュエルは元々予定されていたものです。そうですね?クロノス教諭」

 

「その通りなノーネ」

 

「クロノス先生まで…」

 

「シニョール神楽坂。デュエルキングのデッキのデモプレイデュエル、ご苦労様なノーネ」

 

「デモプレイ…?」

 

成る程、これが元々の予定だったと処理したんだ。クロノス教諭も中々いい仕事してくれる。

 

「さて、これで明日の展示会に向けての準備が整ったわけでスーが、ちょっとした事故(・・・・・・・・)により、展示用のガラスケースが破損してしまったノーネ。」

 

「しかし、ここにいる生徒はみな明日の展示会を心待ちにしています。なのにガラスケースを予備と交換するまで展示会を延期するというのは少々酷な話でしょう。そこでです、神楽坂くん。神楽坂には明日から一週間、展示会の整理券を持った生徒達とデュエルをしてもらいたいと思います。勿論、そのデッキを使ってです」

 

「お、俺がこのデッキを使ってデュエルを!?い、良いのですか!?」

 

「ええ、むしろ貴方にしか頼め無い事です。そのデッキをあそこまで使いこなした貴方にしかね。頼まれてくれますか?」

 

「は、はい!!勿論です!やらせて下さい!」

 

「ではお願いしましたよ」

 

「それでは明日から一週間、デュエルキングのデッキとの対戦の受付を開始するノーネ!整理券を持った生徒の中で希望する学生は明日配られる申し込み用紙に記入して教員まで提出するノーネ!では解散なノーネ!」

 

クロノス教諭が大声でそう告げると、学生達が興奮した様子で帰って行った。

 

「おい、お前申し込みすんのか?」

「当然だろ!こんなチャンス二度とねえぜ!」

「俺は整理券取れなかったけど、絶対観に行くぞ!」

「おっしゃー!今からデッキの見直しだ!はっはー!今日は徹夜だぜ!」

 

「俺がまたこのデッキを使えるなんて…夢の様だ」

 

「これで分かったろ?お前が今まで積み重ねてきた物は何も無駄じゃなかったんだ」

 

「そうなノーネ。努力は決して自分を裏切りませんーノ」

 

「クロノス教諭」

 

「シニョール神楽坂。今回の件は悩んでいるあなたに何も手を貸せなかった我々教員にも責任がありますーノ。だからシニョール神楽坂。これからは悩んでいる事をちゃんと人に相談する事を覚えて欲しいノーネ。あなたは一人ではないノーネ。シニョール三沢の様に親身になって相談に応じてくれる人は必ずいるノーネ。勿論教員もそうなノーネ。これからのあなたは必ず成長すると私は信じているノーネ。では、私は仕事が残っているのでここで失礼するノーネ」

 

「クロノス先生…ありがとうございました!」

 

クロノス教諭はそのまま校舎の方へと戻って行った。

 

「やれやれ、クロノス教諭に全部持っていかれたな。まあなんだ、神楽坂。つまりそういう事だ。これからは何かあったら俺が相談に乗ってやる。必要ならそこの連夜も一緒にな」

 

「あれ、僕も?勿論良いけどね。ところで結局何で僕にデュエルさせたの?」

 

「簡単だ。お前は真似される心配が無いからな。神楽坂は人のプレイングを研究すると、どうしてもデッキまで似た様なものになってしまう。なら固定のデッキを持たないやつを参考にさせればいいと思ってな。そうすれば神楽坂も自分だけのデッキを組むことが出来ると考えたんだ。だから本当なら俺が行こうとしたんだが、俺はそうする機会があったにも関わらず神楽坂を変えてやれなかったからな。今回は連夜に頼んだんだ」

 

「そういう事ね。じゃあ神楽坂くん。僕からアドバイスだ。君は何を思ってデッキを組んでる?」

 

「何を、だと?おれはただ、人のプレイングを参考にし、それに沿ったデッキを構築しているだけで…」

 

「それがダメなんだよ。デッキっていうのは、個性なんだ。アレがしたい、このカードを使いたい、このコンボで勝利したい。あるいは、本当にただ勝ちたいという思い。デッキにはそういった個性が現れるんだ。今回の僕だと、眠れる巨人ズシンを出したいが為にあんなデッキを組んだんだから。だから君もまず自分が何をしたいかを一度しっかり考えてるみなよ」

 

「俺が、何をしたいか、か…そうか、そうだな。ありがとう。なんか色々吹っ切れたよ」

 

「なら良かった。これからも相談には応じるよ。三沢っちと一緒にね」

 

「そうだな。先ずは明日からのデュエルだ。これからも一週間連続してデュエルするんだ。しっかり休んでおけ。不甲斐ないデュエルをしたら相手からのブーイングが凄まじいぞ」

 

「ああ、任せておけ!今日は本当にありがとう!」

 

神楽坂くんは勢いよく立ち上がると、そのまま寮の方まで走り去ってしまった。

 

「さて、俺も明日は申し込みするんだ。デッキの調整をしておかなくてはな」

 

「だね。じゃあまた明日、三沢っち」

 

「ああ、またな」

 

 

 

翌日から開かれた一週間のデュエルキングのデッキとのデモプレイデュエルは凄まじい熱気を帯びた。当然の事ながら十代達も参加していたし、中には教員まで混ざってデュエルをしていた。

こうしてたった一週間ではあるが、伝説のデュエルキングの再来は大盛況で幕を降ろした。




何回やっても何回やってもミラシリーズ倒せないよ
てかそもそもクエスト出現してない
闘技場ずっとすっぽかしてるババコンガすら狩れてない
前にソロで挑んでみたけど遠距離武器とか使えない!
だから次は絶対勝つ為に僕はリアルの狩り友をずっと探してる
図1の様になります。だ。(ずっと)ソロだ。こんなセリフが似合うだろう図1の様になります。です。
いやー、やりきりましたよ!何でこんな長くなったのやら!最初に考えてた構成だと主人公使ってたデッキ『サイレント・ソードマン』だったのに!デュエルが短くなり過ぎた上に、レベル7が全く活躍しないという理由でボツになりました。
と、いうわけで今回のデッキは『ローレベル軸ズシンデッキ −エクゾディアを添えて−』です。TF6でほぼ同じデッキを作ってました。勝ったことほとんど無いけど…でも、今回やりたかった、
・レベル1のザコでアルカナ撃破
・ミラフォ、仕事をする
・最後が師匠と弟子の連携攻撃→返り討ち
を全部やってやりましたよ!いやー、いい仕事したぜ。
…ただ、今振り返るとこのデュエルのお師匠様の仕事が
・賢者の宝石で召喚!→即行でリリースされ混沌魔術師に
・黙する死者で復活!→弟子にエナジードレインされる
…あれ?


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