TANBA (ドラナリ)
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プロローグ
第1話 転生!


NARUTOの二次小説を書いてみたくて書きました。楽しく読んでくれると嬉しいです。


カランカランカラン♪

 

「おめでとうございます!貴方には転生する才能があります!よかったですね!」

 

俺は会社に通勤する途中の電車の中にいたはずなのにいつのまにか真っ白い空間にいた。

 

「ここはどこであんたは誰だ?そして転生する才能ってなんだ?」

 

「では一つずつ応えていきましょう!まず私はあなた達の世界でいう神です!そしてここは神の間です。さらに転生の才能というのは転生するために別世界に行くのですがそれに耐えることが出来るかどうかということです!」

 

「神様?あんたが?それに転生ってことは俺は死んだのか?」

 

「ええあなたは電車の事故により死んでしまいました」

 

「そうか。死んでしまったのは悲しいが仕事はブラックだったし死んで良かったのかもな。それに転生が出来るってことだしラッキーと思おう!で?俺はどこに転生するんだ?」

 

「それはこれで決めます!」

 

そう言って神様がどこからともなく出してきたのは抽選箱だった。

 

「これで転生する世界を決めていきます!では早速抽選をどうぞ!」

 

その言葉の後俺は抽選箱に手を入れた。

 

ガサゴソガサゴソ

 

どうやらこの抽選箱の中は紙が三角に折り曲がっているバージョンのようだ。

 

「これにする」

 

そう言って俺は自分が出した紙を神様に渡した。

 

神様は渡された紙を開けた。

 

「では、あなたが転生する世界は・・・・NARUTOの世界です!」

 

「お!NARUTOか!NARUTOは俺が一番好きな漫画だからすげぇ嬉しいな!」

 

「では行く世界が決まったということで能力を決めていきましょう!」

 

「能力はどうやって決めていくんだ?」

 

「それはこれです!」

 

そう言って神が出してきたのはガチャガチャだった。

 

「これにはチャクラ量・チャクラコントロール・得意属性の3つが一つの紙に書かれていますのでこれで一気に決めていきます!ちなみに紙には下の下、下の中、下の上、中の下などと言った感じで書かれていて、1番上は超です!まぁ、超なんて滅多に出ないんですけどね」

 

「なるほど。じゃあ早速」

 

ガチャガチャガチャ、ポロン。

 

出てきたガチャを神様が開けた。

 

「え〜では発表します!まずチャクラ量は・・・中の上!続いてチャクラコントロールは・・・なんと超です⁉︎すごい滅多に出ないのに!」

 

「それは俺も嬉しいが早く得意属性を発表して欲しいんだけど」

 

「あ、すいません。つい興奮してしまいまして。では、最後に!得意属性は・・・風遁の超です!いやーすごいですね!超が二つも出ましたよ!」

 

「チャクラコントロールの超はわかるんだけど風遁の超ってのはなんだ?」

 

「風遁との相性が凄くいいと言うことです。しかも超のレベルまで来ると自然の風を読んで相手の動きを察知するなんかも出来るレベルですよ!」

 

「へぇ〜、それは便利だな。戦いが有利に働きそうだ」

 

「最後にどの時代に行くかはランダムとなっていますので!それでは転生です!」

 

「は⁉︎行く時代がランダムってそれも決めさせろよ!」

 

*****

オギャーオギャーオギャー!

 

「はい。元気な男の子ですよ」

 

こうして俺は転生した。

 

転生から3年がたちわかったことがある。

・名前が伊賀崎タンバだということ。

・伊賀崎一族自体が猿飛一族と並ぶ名門だということ。

・伊賀崎一族は元来風遁を得意としている一族だということ。

・時代は第1次忍界大戦と第2次忍界大戦の間だということ。

・火影は三代目火影猿飛ヒルゼン。

・父である伊賀崎ガンドは三代目火影である猿飛ヒルゼンの親友であり、補佐をしていること。

・神が言っていた通り俺は風や空気自体を読むことでチャクラを使わずとも誰がどこにいるかがわかる。俺はこの能力を風読みと呼ぶことにした。

 

本当はナルト達の時代が良かったんだけど、まぁ原作改変できると思えばよかったのかもな。

 

「お母さん!行ってきまーす!」

 

「遠くまで行っちゃダメよ!」

 

「はーい!」

 

俺は今親友との待ち合わせ場所向かっている。待ち合わせ場所の公園に向かうと既に親友が待っていた。

 

「おーい!フガクー!」

 

「タンバ遅いぞ!」

 

「まあまあ、いいじゃんいいじゃん。今日何やるかはフガクが決めていいから」

 

そう!俺の親友というのはあのサスケやイタチの父親であるうちはフガクのことだ!フガクとは俺が2歳の時に公園で出会った。それからは毎日のように2人で遊び今では親友と呼べる間柄になっている。

 

「それじゃあかくれんぼで勝負だ!」

 

「え?まぁ俺はいいけどフガクなら手裏剣勝負とかの方がいいんじゃないのか?かくれんぼで俺に勝てたことがないだろ?」

 

「だからこそだ!今度こそは絶対に勝つ!」

 

まぁ本人がこう言っているんだからいいか。そしてまずはフガクが隠れる事になった。

 

「もーいーかーい?」

 

し〜ん

 

俺は返事がないので探すことにした。

 

「まぁ、といっても俺にはもう場所が分かってるんだけどな」

 

そう、俺の風読みの力があれば隠れているやつを探すのなんて簡単すぎるんだ。

 

「へぇ〜。今回は工夫したみたいだな」

 

そう言って俺は歩き始め目的のところで止まり、地面に向かって喋りかけた。

 

「地面に穴まで掘って大変だったんじゃないかフガク?」

 

そう言うと地面がめくり上がり下からフガクが出てきた。

 

「くっそー!昨日の夜から用意してここならいけると思ったのにー!」

 

「だから前にも言っただろ、俺のこの能力はたとえ風がなくても空気の通り道がある限り居場所を察知することができるって」

 

「次だ!今度は俺が見つけてやる!」

 

まぁ確かに俺は見つけるより隠れる方が苦手だからそっちの方が可能性があるかもしれない。

 

「それじゃあ10分間の勝負だな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・3・2・1・0。

 

「よっと。10分経ったぞフガク」

 

「くっそー今回も見つけられなかったー!」

 

まあ隠れる方が苦手と言っても見つけるよりはという意味だし隠れるのはある術を使うことで隠れる方もフガクには負けなしだ。

 

「でもずるいぞ!忍術を使うなんて!」

 

俺が使った忍術とは風遁・隠風の術というオリジナルの術だ。隠れ蓑術と風遁を掛け合わせた術で風に気配を溶け込ませ気配をより薄くするという術だ。

 

「毎回終わった後によくそれを言うけど、いざやる時になると使うようにいうのはフガクの方じゃないか」

 

「わかってるけど言いたくなるんだよ!俺だってまだ忍術を使えないのに」

 

まあ確かにまだ3歳で風遁を使っている自分が異常なんだろうなー。でもチャクラのコントロールや風遁の性質変化なんて生まれた時から努力とかしなくても自然にできたからなー。これが超の凄さかと思うと良いのを出したよなー。

 

「おい!もう一回勝負だ!」

 

こういう感じで毎日遊んでさらに2年が経ち5歳になった。5歳になり、とうとう俺たちはアカデミーに通うことになった。

 

「いやーやっとって感じだなフガク!」

 

「お前は何故そこまで楽しみにしているんだ?所詮アカデミーだぞ?俺たちからしたら今更感があると思うがな」

 

「そんなことないだろ!アカデミーは忍者を育成する場所なんだぞ!きっと今まで知らなかったことを学べるはずだ!」

 



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第二次忍界大戦
第2話 はたけサクモ


「暇だ・・・」

 

「だから言っただろ。お前はアカデミーに幻想を抱きすぎてたんだよ」

 

「だってよー」

 

アカデミー入学から1ヶ月が経ち俺は早々に退屈していた。入学前はもっとアカデミーでも学ぶべきものがあると思っていたけど、アカデミーに入って最初にしたことは読み書きや計算と言った前世の小学低学年がやる様な事や、チャクラとは何かという名門一族なら今更感がある内容ばっかりだった。これらについては他の生徒たちも退屈そうにしていた。

 

さらに実技に入ると周りは5歳相当の実力しかない子ばっかりなのでそちらでも退屈だった。唯一フガクだけは毎日俺と遊んでいたからか周りよりもマシではあるが、それだけなのでフガクには悪いがフガクでも俺の退屈をしのぐことはできていなかった。

 

そんな時俺は先生から呼び出しを受けていた。

 

「俺なんで呼ばれたんだろう?あれかな?授業を影分身に受けさせていたことがバレたのかな?でも退屈な授業が悪いと思うんだよなー」

 

ちなみに今日は本体だ。流石に先生の呼び出しは本体がいかないとまずいだろうしな。そう考えている間に先生から呼び出された屋内練習場(体育館のような場所)に着いた。

 

ガチャ

 

「失礼しまーす」

 

俺が屋内練習場に入ると3人の人物が待っていた。1人は担任の先生で、他の2人は1人が見たことあるがあまり思い出せないという感じなんだけど最後の1人がやばかった。なんと!あの3代目火影猿飛ヒルゼン様だった!

 

と言ってもちょくちょく家に来るから俺からしたら親と仲がいいおじさんとしか思えないんだけどね。

 

「おじさん久しぶりー」

 

俺はおじさんに対してそう言いながら近づいた。

 

「バ⁉︎バカモン⁉︎火影様に向かってなんてことを⁉︎」

 

「かまわん。こいつはガンドの子供ってことで赤ん坊の頃から知っているからな」

 

ガンドというのは俺の親父のことだ。いつもは火影の補佐としておじさんと常に一緒にいるのだが今はおじさん直々の任務で不在にしている。

 

「それで?ここにおじさんがいるってことはおじさんが俺を呼び出したんでしょ?」

 

「ああ、その通りだ。唐突で悪いがお前には今からこの男と忍び組手をやってもらう」

 

そう言って前に出てきたのが見たことがあるけど思い出せない謎の男。

 

「本当に唐突だな。なんでそんなことをしなきゃいけないんだ?」

 

「お前の実力を考えてのことだ。お前ならこれぐらい言えばわかるだろう」

 

たぶん、実力次第ではアカデミーを卒業して下忍になるってことを言いたいんだろうけど・・・

 

「・・・戦争か?」

 

俺がそう言った瞬間、3人全員が驚いた顔をした。

 

「何故そう思う?」

 

「あの忍界大戦の真っ只中ならともかく、忍界大戦から何十年と平和が続いている今にいくら実力があると言ってもアカデミーに入って1ヶ月しか経っていない5歳をわざわざ下忍に上げるには何かしらの意味があるんだろうと考えただけだよ」

 

まあ本当は第2次忍界大戦のことを知っているからそう思っただけなんだけどな。

 

「ほう、賢いのは知っていたがまさかここまでとはな。下忍への昇格試験ぐらいは見抜くと思っていたが、まさかその先をも見抜くとはな。確かにお前の言った通り各里の動きがきな臭くなってきてな、近々戦争が起こるかもしれない。戦争が起きるのならばたとえ5歳であろうと優秀なら使うしかない。それが戦争だ」

 

「へぇー。俺、初めておじさんの火影の顔を見た気がする」

 

「すまないな。本当は5歳ならもっとアカデミーで友達と授業を受けているはずなのに」

 

「いいよ別に、気にしなくて。それで?その隣にいる人が俺の実力を見る人?」

 

「ああそうだ。お前の実力については先生方から聞いてはいるが実際に見たわけではないからな。試験がてらどれぐらいの実力があるのかを見てみようと思ってこいつを呼んだんだ」

 

そう言った後、謎の男が一歩前に出て自己紹介を始めた。

 

「はじめましてタンバくん。俺の名前は、はたけサクモ。君の試験官を担当するものだ」

 

はたけサクモ⁉︎はたけサクモって言ったらあのはたけカカシの父親で確か木の葉の白い牙と呼ばれてその名は伝説の三忍の名が霞むほどだったというあのはたけサクモか⁉︎

 

「まさかここではたけサクモさんに会えるとは思ってなかったな」

 

「へぇ。俺のこと知っているのか」

 

「当たり前ですよ。木の葉の忍びを志す者であなたの事を知らない奴はいない。でもおじさん!俺の実力を図るためとはいえ試験官にこんな人を連れてこなくてもいいだろう!おじさんは本当に俺を下忍にする気があるのか!」

 

「別にサクモに勝つ必要はない。お前は俺やサクモに実力を認めてもらえればいいんだ。そんなことよりさっさと準備をしろ!」

 

「へいへい」

 

まさか、あのはたけサクモとやり合うとは思っていなかったな。でも俺が今どれだけの実力があるのかを図るにはいい機会かもな。



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第3話 VSはたけサクモ!

俺は準備を済ませはたけサクモと対峙した。どうやら審判は先生がするようだ。

 

「忍び組手開始!」

 

「は!」

 

ドン!

 

開始の合図がなるとタンバは先手必勝とばかりにサクモに速攻で近づき殴りかかった。

 

「ちぇ!防がれたか」

 

「なかなか鋭い、いい攻撃だった。並の中忍なら今の一撃で終わっていただろう。とても5歳とは思えんよ」

 

「そいつはどうも!」

 

その後もタンバは体術にクナイや手裏剣などを織り交ぜ忍術無しの戦闘をしていたが一発も当たることなく簡単に防がれたり避けられたりしてしまう。サクモはというと実力を見るためなのか攻撃はして来ず防御に徹している。

 

「ハァハァ。一発も当たらない」

 

タンバはこの時、当然風読みの力で次の動きを察知して動いていた。しかしサクモはそれを上回るスピードや読みでタンバの攻撃を防いでしまう。

 

「どうした?こんなものじゃないだろう?なぜ忍術を使わない?」

 

「最初は忍術無しだとどれぐらい通用するのかを見たかっただけだよ。でも、それももうわかったしここからは本気で行く!」

 

タンバは3枚の手裏剣を投げた。

 

「またそれか?」

 

「そんなわけないだろ!風遁・烈風掌!」

 

チャクラを風に変え圧縮し放出することで先に投げた3枚の手裏剣の追い風となり手裏剣のスピードが増す。

 

キン!キン!キン!

 

それでもサクモには通用せず、全ての手裏剣をサクモは弾いた。しかし、

 

「話には聞いていたが本当に5歳で風遁を使うとはな。む⁉︎」

 

サクモの目からタンバの姿が消えた。

 

「螺旋丸!」

 

「チッ⁉︎」ドン‼︎

 

タンバは風遁・烈風掌で加速させた手裏剣やクナイを囮に使い、そちらに目がいっているうちにサクモの後ろに回り込み螺旋丸を食らわせた。

 

「さすがだね。あの状態から避けるなんて」

 

そう、サクモは一瞬見失いはしたもののすぐに後ろに回り込もうとしているタンバを察知してギリギリのところで避けた。だがこれに関してはサクモだけでなく、見学している先生やおじさんもすごい驚いているようだ。

 

「な⁉︎なんだ今のは⁉︎あんな術見たことない⁉︎火影様!あの術は一体?」

 

「・・・・わからん。あんな術初めて見た」

 

「な⁉︎教授(プロフェッサー)と呼ばれている火影様が知らない術⁉︎そんな術が存在するんですか⁉︎」

 

「俺がいくら教授(プロフェッサー)と呼ばれていても全てを知っているわけじゃないからな、知らない術も当然ある。しかし、わずか5歳で俺の知らない術を習得するとはな」

 

そう!俺はあの原作主人公であるうずまきナルトの代名詞と言っても過言ではない螺旋丸を習得している。やっぱりNARUTOのファンだったら一度は試してみたい術No.1だろう。

 

俺も転生してから何気なしに試してみたら簡単にできた。その時は驚いたものだ。そしてその時に実感した!俺のチャクラコントロールは半端ねぇと!まぁいくら神様にすごいって言われても何事も自分でやってみなくちゃ実感しないからな。

 

「まさか3代目でも知らない術を5歳児が使ってくるとは思っていなかったよ」

 

サクモはそういうと今までの防御態勢ではなく攻撃態勢に入った。

 

「なーんか嫌な予感」

 

「君のある程度の実力は分かった。今度は君の今の限界を見さしてもらう」シュン!

 

そういうとサクモがクナイを持ち突撃した。

 

キン!

 

「驚くんで急に攻撃しないでもらます」

 

「そうは言うが結構余裕そうじゃないか」

 

「いや~、結構ギリギリなんですけどね~」

 

「じゃあそれが本当か確かめさせてもらおうか!」

 

キン!キン!キン!

 

攻守が入れ替わり今度はサクモの攻撃が始まった。タンバはそれを風読みの力や風遁を駆使しながらなんとか耐えている。しかしサクモの攻撃は徐々にスピードが上がってきた。そしてついに!

 

「クッ!ハッ!グワ!?」

 

タンバはサクモの攻撃に耐えることができず吹き飛ばされてしまった。

 

「ふむ、6割といったところか。まさかここまでの力があるとはね」

 

6割って!最後なんか全然対応できなかったのにまだ4割も上があるのかよ。どうしようかなぁ、あの術を使えばまだやりようはあるとは思うんだけど、でもあれは発動までの時間が長すぎてまだ実戦では使えないんだよな。まあでも、これは試験だし交渉次第ではいけるかもしれないな。それにサクモさんはまだ忍術を使ってないから最低でも忍術は使わせたいしな。

 

「さて君の限界も見れたしもう試験は終了かな」

 

「ちょっと待ってよ!まだ俺は本当の意味では全力を出してないよ」

 

「へえ。それはどういう意味かな?」

 

「ある術を使いたいんだけどまだ未完成で発動までの時間が長いんだよ。だから時間が欲しいんだ」

 

「へえ。君がそこまで言うんだったら見せてもらおうか」

 

どうやら待ってくれるようだ。それじゃあ早速準備に取り掛かるか。まあ、と言っても風遁のチャクラを練るだけなんだけどね。俺は早速風遁のチャクラを練り体の細胞一つ一つにまでいきわたる様にコントロールする。

 

「風がタンバくんに吸収されてるのか!?いったい何をしようとしているんだ」

 

10秒後。

 

「ふう。おまたせ。これが俺の切り札の空遁だ」

 

空遁を使ったタンバの姿は髪の毛が緑になっていた。

 

「後でたっぷりと教えてもらおうか!」

 

そう言うとサクモは突撃した。タンバはというとまだ防御の体制にも入っていない。このままサクモの攻撃が当たるかに思われたが、突如サクモの目の前からタンバの姿が消えた。タンバはサクモの後ろに現れ蹴った。初めて攻撃が当たった瞬間である。

 

「ガッ!?なんて速さだ!まるで瞬間移動でもしたのかのような速さだ。これは全力を出したほうがいいみたいだな」

 

とうとうサクモさんが全力を出すのか。さて、この空遁がどこまで通用するのか楽しみだな。

 

 



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第4話 VSはたけサクモ決着!

タンバ対サクモの戦いは最終局面に至った。俺は風遁のチャクラを体の細胞の一つ一つにまでいきわたらせることにより空遁・風神モードが完成した。この風神モードでは風遁の扱いや威力が上がるほか自然に流れる風をも操ることが可能で、さらにその風を吸収することでチャクラに変換が可能になる。さらに風読みで感知できている範囲に転移が可能という「瞬空の術」が使用可能になる。

 

この瞬空の術を使いサクモの攻撃を避けながら空遁や体術を使い攻撃をしていると徐々に攻撃が当たり始めた。だが、サクモもついに忍術を使い始めた。

 

「さすがに5歳児には負けるわけにはいかないんでな。これで決めさせてもらう」

 

そう言うとサクモの足から稲光が発生した。その直後火影様が叫んだ。

 

「な⁉︎サクモそれはやり過ぎだ⁉︎」

 

「雷鳴蹴!」

 

そう叫ぶとサクモは雷遁を纏った足で俺に向かって来た。その速度の速さに俺は風読みで感知しているのにかかわらず「瞬空の術」が間に合わずサクモの攻撃が俺に当たると思われた。しかしさすがに当てる気は無かったのか当たる直前でサクモが止めた。

 

「これで試験は終了だ」

 

バタン

 

その言葉の後、俺は気絶した。

 

*****

 

目がさめると俺は自分の家のベッドの上だった。

 

「俺どうしたんだっけ?確かサクモさんと忍び組手をしていて・・そうか忍び組手が終わった直後に倒れちゃったのか」

 

俺が起きてから少しすると扉が開いてサクモが入ってきた。

 

「起きたようだね。ごめんね大人気ない事をしてしまって」

 

「気にしないでください。続けて欲しいと言ったのは俺だしそれに倒れたのも俺が空遁:風神モードを使いすぎたからなんで」

 

そう。俺が倒れたのは別にサクモの攻撃が当たったのではなく風神モードがまだ体に慣れていないからなのか数分もすれば限界がきてしまうんだ。その事を説明すると納得してくれたようだ。

 

「そういう事か。僕も当てた記憶がなかったから納得だ」

 

俺は今後のことについて聞いてみた。

 

「それで俺はどうなるんですか?」

 

「君は十分に実力を示した。というか実力だけならヘタな上忍よりも上だ。だがさすがに戦争だからといってすぐに上忍にというわけにはいかない。なのでまずは下忍になってもらう。配属先は僕の部隊になっている」

 

へえ、俺はサクモの部隊か。まあそりゃそうか。俺の事を少しでも知っている人の部隊じゃないと問題も起きるかもしれないからな。

 

「よろしくお願いします隊長」

 

「ああ。僕も期待の新人に入ってもらって嬉しいよ」

 

そう言ってサクモは部屋を出て行った。その後しばらくはもらった額当てを眺めていたのだが母親に見せるために下に降りた。

 

「お母さん!額当てもらった!下忍になったよ!」

 

「ほんとすごいわね。お母さんも誇りに思うわ。お父さんにも早く見せたいわね」

 

「お父さんはまだ帰ってこないの?」

 

「長期の任務になるって言ってたからいつになるんでしょうね」

 

お母さんと話をした後フガクに自慢をする為に外に出た。

 

いつもの場所に行くとフガクが待っていた。

 

「タンバ⁉︎もう大丈夫なのか?」

 

「ああ。何ともないよ。それよりも見てくれよこの額当て!俺下忍になったんだ!」

 

「ああ、知ってるよ。先生から聞いたから」

 

「なんだそうなのか。せっかく驚かそうと思ったのに」

 

「でもこれで、タンバともしばらくは会えなくなるのかな?」

 

フガクが落ち込んだ様子でそう言った。

 

「まあ、今の頻度で会うことはできなくなるだろうな」

 

「そうだよな」

 

なんだかますます落ち込んでしまった。こいつこんなキャラだったっけ?

 

「俺は待ってるからな!早く忍びになれよフガク!」

 

「ああ!待ってろよ!いつか絶対にお前を超えてやるからな!」

 

というわけでその日は一日中フガクと遊んだ。

 

*****

翌日

早速俺に召集がかかった。待ち合わせの場所に行くと既に何名かが待っていた。その中にはサクモもいた。カカシとは違うらしい。

 

「隊長おはようございます」

 

「ああ。おはようタンバ。みんなが集まってからタンバには自己紹介をしてもらう予定だからそのつもりでね」

 

「はい」

 

俺がきた途端既に居た人達は俺に注目しているようだった。そりゃそうだろうな。なんせこの場に子供がいるんだから。何も言わないところから既にサクモから言われてたんだろう。

 

俺がきてから数分でほかの忍びもやってきた。そして全員が揃ったようでサクモが話すと最後に俺に話を振ってきた。

 

「ついこの間下忍になったばかりの伊賀崎タンバです。まだ何もわからないことだらけですがよろしくお願いします」

 

そう言って俺は頭を下げた。そして俺が顔を上げるとやはり何人かが懐疑的な顔をしていた。

 

「隊長!こんなガキが役に立つんですか?」

 

明らかに見下した感じでそう言ってきた。まあ、俺は5歳児だから見下して当然なんだけど。

 

「ああ当然だ。タンバの実力は俺だけではなく火影様も認めるところだ」

 

「火影様が⁉︎」

 

サクモがおじさんの名前を出すと先程の忍びは黙り出した。まあ、何人かはまだ懐疑的ではあるが。

 

こんな調子で俺の初任務は始まった。

 



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第5話 初戦闘!

俺たちの任務は砂隠れとの国境線の警備だ。どうやらもうすぐ砂隠れが攻めてくるという情報を入手したらしい。なのでそれに先立って俺たちが砂隠れとの国境線の警備をすることになった。

 

警備すること数日。この数日間、俺は一緒に任務を受けている人たちと仲良くなるためにコミュニケーションを取って行ったのだが何人かはそれで仲良くなれはしたが、やはりいくら隊長のサクモや火影様が認めたと言っても実際に実力を見るまでは信じられないといった人が大半なのでこれから実力を見せて行かなきゃいけない。

 

今日も交代をしながら警備をしていると一緒に警備をしていた日向チルドさんが白眼で敵の接近を確認した。

 

「隊長!砂隠れの接近を確認しました!」

 

その報告を聞くとサクモなど部屋で休んでいた人達が奥の部屋から出てきた。

 

「敵の数は?」

 

そうサクモが聞くとチルドさんが答えた。

 

「先遣隊なのか数は少なく7人ほどです!」

 

サクモは少し考えるとこちらを向いた。

 

「タンバ、やってみるか?」

 

サクモがそういうと他の人が驚いた様な声をあげた。

 

「待ってください隊長⁉︎いくら火影様や隊長がお認めになったからといってもまだ5歳ですよ⁉︎それに対して敵はこちらを殺しに来ている大人の忍びです!いきなりそんな事が出来るとは思えません!」

 

他の人もどうやら同じ意見らしい。まあ確かにはたから見れば5歳児に「7人の大人を殺しに行け」なんて狂気の沙汰としか言いようが無い。だけどみんなの信頼を勝ち取るならここだろうな。

 

「実力を証明してみせます」

 

そう、俺は敵の存在を知った時から行く気満々だった。最初の任務という事もあり全力で行く為に風神モードで行くことにした。

 

これを使った時サクモに見せた時の様に皆驚いていた。

 

「それじゃあ行ってきます」

 

そう言って俺は瞬空の術を使い敵の砂隠れの忍びの前にやってきた。

 

「なんだこのガッ⁉︎「空遁・窮風斬」」

 

どさ!

 

「まず1人目」

 

俺は初めに近くにいた砂隠れの忍びを風遁チャクラを腕に纏い鎌鼬のように攻撃できる窮風斬という技を使い相手を切り裂いて殺した。

 

「ガキが⁉︎なにしやがっ⁉︎「空遁・空指銃」」

 

突然目の前にやってきた俺(5歳児)がいきなり仲間を殺したからか他の6人が戸惑いそのうちの1人が激怒しながら攻撃しようとしたので右手を銃の形にして人差し指の先から空気の弾丸を相手の頭に向かって放ち殺した。

 

「これで2人目」

 

これでやっと1人が正気に戻ったようで周りに指示を出した。

 

「姿に騙されるな!強敵とみなし全力で当たれ!」

 

部隊長らしき人物の指示で気が引き締まった砂隠れの忍び達は全員で忍術を発動した。

 

「「「風遁大突破!!!」」」

 

5人の砂隠れの忍びから突風が俺に向かって放たれた。

 

ブオオオ!

 

突風は砂を巻き上げながら俺に迫るが今の風神モードの俺にとってすべての風は俺の味方となっている。

 

「その風、利用させてもらう」

 

そう言うと俺は迫りくる風を操り砂隠れの忍びに返した。

 

「なっ!?か、風が!?」

 

「「「「「ぐわあああ!?」」」」」

 

5人の砂隠れの忍びは空中に打ち上げられた。俺はその隙を見逃さず空遁を放った。

 

「空遁・窮風斬!」

 

俺は窮風斬状態の腕を空中に打ち上げられた砂隠れに向かって横に振りぬいた。すると、風が鎌鼬の要領で砂隠れに向かって飛んでいった。

 

そして鎌鼬は砂隠れの忍び達を切り裂いた。こうして俺の初陣は圧勝に終わった。

 

*****

あの後は木の葉に砂隠れの襲撃があったことを報告し正式に木の葉と砂の戦争が幕を開けた。

 

その頃俺は砂隠れとの戦いが俺の初戦闘という事と5歳という年齢も考慮しサクモ隊長に休息を言い渡されて今は個室にいる。

 

あれ以降の周囲の反応は俺を木の葉の忍びとして認めてくれて親しげに話しかけてくれる人と俺を恐れる人に分かれた。

 

まあ、それはそうだろう。いくらこの世界が殺し殺されの世界だったとしても、たった5歳児が7人の大人の忍びを皆殺しにしたのだから。

 

「まあ、俺でも自分が怖いんだから当たり前だろうなあ〜」

 

なぜ自分が怖いのか。それは砂隠れの忍びを殺した時に罪悪感や殺すことの恐怖、殺したことの恐怖を一切感じなかったから。ただ淡々と砂隠れの忍びを殺して回っていた。

 

その様は自分自身でも恐怖を覚えるほど。

 

「まあ、この世界で忍びをするにはいつかは人を殺さなければいけなかったし、その際に恐怖で身体が固まって動けないという状況よりは良かったのかもな」

 

そうやって俺は納得することにした。

 

*****

その後は本格的な戦争に備える為に木の葉隠れの忍びの部隊がやってきた。その部隊の中には後に「伝説の三忍」と言われるようになる、自来也・綱手・大蛇丸もいた。年は十代半ばぐらいだろうか。

 

そんな3人がサクモ隊長に会いに来た。

 

「サクモさんお久しぶりです!」

 

そう真っ先にあいさつしたのは自来也さんだった。

 

「ああ、よく来てくれた自来也。それに綱手と大蛇丸もな」

 

「まあ、サクモさんがいるんだったらうちらも必要なかったかもしれませんけどね」

 

そう言ったのは綱手さん。残りの一人の大蛇丸は来た時からずっと俺を見ていた。

 

正直見ないでほしい。食べられそうで怖いから。

 

「・・・この子が先生が認めた神童ですか」

 

大蛇丸がそう言うとサクモ隊長と話していた自来也さんと綱手さんも俺に注目してきた。

 

「初めまして伊賀崎タンバです。まだ5歳なので何かとご迷惑をかけるかもしれませんがよろしくお願いします」

 

こうして俺と伝説の三忍は出会った。

 

 



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第6話 戦争初日!

俺はこの世界にやって来てまだ決めていないことがあった。それは原作改変を起こすのかどうか。

 

でもせっかく転生したのなら変えたい事件などは山ほどある。しかし下手に変えたらそのせいで予想外のことが起こるかもしれないという怖さもある。

 

しかしだからと言って死ぬとわかっていて見殺しにするのは違うだろう。この世界は空想の世界なんかじゃなく一人一人がちゃんと人間として生きている世界なんだから。

 

だからこそ予想外のことが起こっても対処できるだけの強さが必要だし原作を知っているが故の固定概念を捨てなきゃいけない。

 

でも原作改変を起こそうとしても問題が一つある。それが原作を覚えていられないという事だ。

 

まだ5歳ながらも5年間まったく原作のNARUTOを読んでいないせいで、それまでだったらどんなマイナーな事でもすぐに思い出せたのに今では思い出すのに時間がかかってしまう。

 

まだ5歳だから思い出す事ができるけど歳が経つにつれ忘れていくだろうし、だからといってどこかに書き留めていくとバレたときに大変そうだから書き留めも出来ない。

 

今強く思うのはサクモ隊長の自殺は止めたいと思っている。たしか任務より仲間を優先した事により里中から誹謗中傷を受け一人息子のカカシを残し自殺したはず。

 

その影響でカカシがしばらく仲間よりも任務を優先するようになる原因でもあるしこれは今一番止めたいとも思っている。

 

でもそれを止めたいと思っていてもそれがいつになるかは明確には書かれてなかったはず。でも確かなのはカカシが忍者になってから自殺したはずだから、まだカカシすら生まれていないしさらに言えば木の葉の白い牙ともまだ言われていないのでそこまでは相当後になるかもしれない。

 

それまでに強さとさらに影響力を高めていけばいざと言う時に動きやすくなるだろう。

 

本当は他にも止めたい事件はあるけどすべてを覚えておくなんてことはできないし、最低でも目の前の人物ぐらいは救いたい。

 

*****

木の葉から部隊が到着してから数日後、砂隠れの部隊が侵攻してきた。当然のことだが先遣隊と違って大軍での侵攻のようだ。

 

砂隠れの侵攻に対して当然木の葉も迎え撃つ。

 

「タンバ、とりあえずお前は生き残ることだけを考えろ。そして決して俺から離れるなよ」

 

そう言ってサクモ隊長は俺との戦いのときでも抜かなかった白光に輝くチャクラ刀を抜いた。

 

「はい!」

 

そういってサクモ隊長も砂隠れの忍びに向かって駆け出した。

 

「グア!?」「ガア!?」

 

俺は原作で「自来也さんたち「伝説の三忍」の名が霞むほどの天才忍者として他国にまでその名が知れ渡っていた」とされるサクモ隊長の真の実力を改めて理解させられた。

 

「・・・強すぎるだろ・・・」

 

俺は実際にサクモ隊長と戦ってみて正直すぐには無理でもいつかは超えれる程度の実力としか認識してなかったが目の前で行われる戦いとも呼べない蹂躙を目の当たりにすればいくら神様特典を持っている俺でも引いてしまうほどの実力をサクモ隊長は持っていた。

 

「まさしくリアルチートって感じだな」

 

俺がそんな風に言っているとサクモ隊長が敵の対処をしながら話しかけてきた。

 

「暇そうだなタンバ。ハッ‼」

 

「まあ、そりゃそうでしょう。俺に向かってくる敵まですべてサクマ隊長が殺してしまうから、俺はただサクマ隊長の後をついていく事しかできないんですよ」

 

「そうか。俺はまだ初日だから戦争の雰囲気に慣れさせようと思っていたが必要ないようだな。今後はタンバに向かってくる敵までは取らないようにしよう」

 

「へ?」

 

サクモ隊長はそう言うと本当に自分に向かってくる敵にのみ集中し始めた。するとサクマ隊長が今まで対処してくれていた敵が俺の目前にまでやってきた。

 

「ここは戦場だ!ガキがいていい場所じゃあねえんだよ!」

 

砂隠れの忍びはそう言って蹴飛ばしてきた。

 

ドゴン!

 

「ハッ!戦場をなめるからそうなるんッグア!?」

 

砂隠れの忍びは俺を蹴飛ばしてなんていなかった。俺は蹴飛ばされる前に変わり身の術を使い砂隠れの攻撃をかわし後ろに回り込むとクナイで砂隠れの忍びの膝裏を斬りつけ膝をついた瞬間砂隠れの忍びの首を切り裂いた。

 

「ふう~。結構危なかったかも」

 

「休んでいる暇はないぞ。敵は待ってはくれないんだからな」

 

「え?」

 

周囲を確認すると俺たちは砂隠れの忍びたちに囲まれていた。そしてその中には俺を見ているやうのほうが多い気がする。

 

「これ全部相手にするんですか!?」

 

「当然だ。さあやるぞ!」

 

オオオオオオオ!!

 

そう雄たけびを上げて砂隠れの忍びは俺達を殺そうと殺到した。

 

*****

結果を言うとなんとか生き延びた。まあ、何回かサクモ隊長に助けられたおかげでもあるんだけどな。

 

そして今は夜になり大規模な戦いは一時休止だ。と言っても夜襲の可能性が十二分にあるのでそこは警戒しているそうだ。俺は風読みの能力があるので駆り出されるかと思ったがさすがに年齢も考慮されたのか外された。

 

「タンバ今のお前の課題は風神モードとやらに瞬時になることと風神モードの耐久時間だな」

 

そう言ったのはサクモだった。ちなみになぜサクモがいるかと言うと単純に俺とサクモが同じテントになったから。

 

「今日も何回か危険な場面があったが、それもその風神モードがあれば対処可能な場面ばかりだった」

 

「わかってます。・・・見ていてください。いつか必ず今度は俺があなたを助けて見せますから」

 

「!?・・・ふふ。分かった。その時を楽しみにしてるよ」

 

そう言って第二次忍界大戦の初日は終わりを告げた。

 

 



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第7話 帰還

第二次忍界大戦が始まってから半年が過ぎた。

 

俺はサクモ隊長の忠告通り風神モードを完成させるべく出陣の前に風神モードになっておくことで体に慣れさせることにした。

 

もちろん戦場で気を失うほど使い続けるわけにもいかないので危ないと感じたところで風神モードを解いている。

 

その結果、以前よりも風神モードの持続時間が増え風神モードへなる為の時間が短くなった。

 

そして風帝と呼ばれている伊賀崎ガンドの息子というのがバレたのか「風の妖精」と呼ばれるようになり、サクモ隊長もついに「木の葉の白い牙」と呼ばれるようになった。

 

そして肝心の戦争の状態はサクモ隊長の活躍もあり拮抗が保たれており、活躍が認められたのか俺は下忍になって半年だが中忍に昇格した。

 

「え?帰還?」

 

サクモ隊長が俺たちに帰還の指示を出した。

 

「ああ。俺たちは先にやって来ていたからな。その分先に帰還することになっているんだ」

 

それはそうだよな。さすがに戦争が終わるまでずっと居続ける訳ないからな。

 

という訳で俺たちは木の葉に帰ることになった。

 

*****

木の葉隠れの里の「あ」と「うん」と書かれている門を潜るとそこで解散となった。

 

「もう父さん帰ってるかな?中忍昇格の報告がしたいんだけどな?」

 

そう思いながら俺は足早に家に帰った。すると、家の周辺に暗部がいた。

 

「暗部?なんで暗部がこんな所に?」

 

向こうもこちらに気づくと1人の暗部がこちらにやってきた。

 

「伊賀崎タンバ君だね?」

 

「はいそうですけど、なんで暗部の皆さんが家の周辺にいるんですか?」

 

俺がそう聞くと暗部の人は悲しそうな顔をして俺を家へと誘導した。

 

俺は嫌な予感がしながらも暗部の人の後ろをついていった。

 

そして家の扉を暗部の人が開けた。

 

「火影様、伊賀崎タンバ君が帰ってきました」

 

家の扉を開けると暗部の人はそう言った。

 

「え?」

 

火影様っておじさんがいるってこと?

 

俺は暗部の人の横から顔を出して確認をすると確かにおじさんがいた。でも、それ以上に気になることがあった。

 

「お母さんどうしたの?なんで泣いてるの?」

 

そう、俺がおじさんを確認したと同時に目に入ってきたのはお母さんが泣いている姿だった。その姿に驚き俺はお母さんに近づいた。

 

すると、お母さんは泣きながら俺を抱きしめた。俺はお母さんがなぜ泣いてるのかを知っているであろう人物に聞いてみた。

 

「おじさん、なんでお母さんは泣いてるの?」

 

俺は嫌な予感が強くなるのを感じながらおじさんにそう聞いた。

 

「・・・タンバ、よく生きて帰って来てくれた。()()まで死んでしまってはサユリさんは生きていけなかっただろう」

 

おじさんがそう言った瞬間俺はい嫌な予感の正体を理解した。

 

「・・・やめてよおじさん・・・なんだよその言い方・・・そんな言い方をしたらまるで・・・」

 

俺はそれ以上言えなかった。現実を理解したくなかったから。その言葉を言えば理解しなくちゃいけなくなるから。

 

「やはり賢いな。・・・そう、タンバの考えている通りお前の父伊賀崎ガンドは任務中に死亡した」

 

そうおじさんは淡々と言った。

 

俺はその言葉を聞き泣き叫びたかった。

 

「そんなわけない!!風帝のガンドが死ぬわけがない!!」

 

そう叫びたかったが俺は今も俺に抱き着きながら泣き止まないお母さんをお父さんに変わり守らないといけない、という思いで泣きながらも冷静になれた。精神が大人の転生者というのも関係しているだろうが。

 

「・・・その任務内容を教えてください・・・」

 

俺がそう言うとおじさんは驚いた顔をした。

 

「タンバお前はいったい・・・わかった。本当は教えるつもりはなかったが今のお前なら教えてもいいだろう。ガンドの任務は火の国の中に角都という忍びが現れたという報告が来たのでその暗殺だった」

 

角都!?角都ってあの角都か!?原作にも出てきた暁の!?

 

「角都というのは元は滝隠れの忍びとして初代火影千手柱間様に暗殺を仕掛けてきた忍びなんだが、今は滝隠れの抜け忍となっているんだ。そんな奴が火の国に現れたという事でガンドを筆頭とした少数精鋭で暗殺の任務を出した」

 

お父さんの任務は角都の暗殺だったのか。

 

「ガンドを筆頭としたあのメンバーなら問題ないと思い送り出したのだが結果は1人を除き全滅。その1人も任務失敗を告げると死んでしまった」

 

おそらくおじさんの想定外は角都が地怨虞を習得している事だろうな。

 

「・・・教えてくれてありがとう・・・おじさん」

 

俺は涙を拭いおじさんにお礼を言った。

 

「・・・タンバはしばらく任務は休みだ。ゆっくり休むといい」

 

「ありがとうおじさん」

 

おじさんは心配そうな顔をしながらも帰っていった。

 

*****

数日後にはお父さんの葬式が開かれた。葬式は戦争中ということもあり大々的には出来なかったがいろいろな人が来てくれた。その中にはサクモ隊長もいて俺を心配してくれた。

 

そこからさらに数日経つとお母さんも元気になった。どうやらお母さんもお母さんで俺を守らないといけないという気持ちが働いたらしい。

 

俺は休みの間にさらに風神モードを鍛えることにした。

 

「全ては無理でも助けれる人を助ける」

 

それが戦争を経験しお父さんの死を経験して作り上げられた俺の忍道となった。

 



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第8話 猿飛ノエミ

休みの間は風神モードを鍛えるといったけどずっと一人でやっていると気が滅入ってしまう。

 

「あそこ行ってみようかな?」

 

というわけで下忍になるまではいつもフガクと遊んでいたあの場所に行ってみた。

 

「ん?誰だあれ?」

 

いつもの公園に行ってみるとフガクがいたのだがもう1人フガクと忍び組手をしている女の子がいた。

 

「だあ~!また負けた~!」

 

「そんなんじゃタンバに勝つなんて夢のまた夢だな」

 

「くっそ~!」

 

俺の名前が出てきたので隠れ蓑の術と風遁を合わせた隠風の術でフガクに近づいて耳元でささやいた。

 

「ようフガク」

 

すると、フガクは飛び跳ねて驚いていた。

 

「うわあ~!?」

 

俺は声をかけると同時に隠風の術を解くことで姿を現した。

 

「た、タンバ!?お前どうしてここに!?」

 

「いや~、フガクがいるかな~と思ってきてみたんだけど、まさか女の子をいじめるフガクを目撃してしまうとは思わなかったよ」

 

俺がそう言うとフガクは怒りながら言い返してきた。

 

「誰がいじめてるだ!今のは普通の忍び組手だよ!」

 

俺はフガクの返事を聞きながら、いまだに尻もちをついて俺を見ている女の子のところに行った。

 

「大丈夫?」

 

そうやって手を差し出すと女の子は呆然としながら呟いた。

 

「伊賀崎・・・タンバ・・・」

 

「ん?なんで俺の事しってんの?」

 

俺はそう聞きながら手を差し出してこない女の子の腕をつかみ立たせてあげた。

 

すると、俺の質問に答えたのはフガクだった。

 

「当たり前だろ。お前は5歳で忍者になったんだぞ?噂にならないわけないだろう?」

 

そりゃそうか。普通は12歳からだもんな、忍者になれるの。

 

「それにアカデミーのころから実技で他を圧倒してたんだからアカデミーで話題にならないわけないだろ」

 

考えてみれば思い当たる節が何個もあるな。

 

俺とフガクがそう話していると女の子が突然大声を出した。

 

「い、伊賀崎タンバ!あ、あたしと勝負だ!」

 

その言葉に俺とフガクは呆然とした。

 

「急に何言ってんだノエミ?言っただろ?俺に勝てないのにタンバに勝てるわけないって」

 

「やってみなくちゃわからないだろ!」

 

いや、さすがに5歳児に負けるほど弱くないつもりなんだけど。

 

「それにタンバはいろいろあって休まなくちゃいけないんだぞ。わかるだろ?」

 

フガクがそう言うとノエミと呼ばれた女の子はフガクの言った意味を理解したのか申し訳なさそうな顔をした。

 

「ごめんなさい。あたし自分の気持ちばかりで」

 

そう言ってノエミは謝ってきた。

 

おそらく2人が言ってるのはお父さんの事だろうな。

 

「別に大丈夫だよ。俺ももう木の葉の忍びだから、いつまでも落ち込んでいられないんだよ。それにお父さんがいない今、お母さんは俺が守らないといけないからね」

 

俺がそう言うとノエミは俺の顔を見つめてきた。

 

「・・かっこいい~・・」

 

「え?」

 

そのまさかの言葉に思わず聞き返してしまった。

 

「はっ!?な、なんでもないです!気にしないでください!」

 

ノエミはさっきの言葉が恥ずかしかったのか慌ててそう言ってきた。

 

すると、横からフガクが余計なことを言った。

 

「こいつお前のファンなんだよ」

 

フガクがそう言った瞬間ノエミの渾身のパンチがフガクの腹に入った。

 

「ぐはぁ!?」

 

「余計なことを言うな!」

 

そういった様々なやり取りの後、俺たちは一旦落ち着いた。その際やはり俺と忍び組手がやりたいノエミに再度(今度はケンカ腰ではなく)普通に頼まれた。

 

結果はもちろんの事俺が勝ったのだが、5歳児にしてはなかなか強かった。いろいろ聞いているとどうやらフガクとここで頻繁に忍び組手をしているらしい。

 

フガクの実力は俺と毎日のように遊んでいたせいか既に下忍レベルの実力はあると思うしそんなフガク相手に忍び組手を頻繁にしていたらそりゃ強くもなるだろう。

 

そして最終的にはたまにここに顔を出すことになった。さすがに俺も風神モードの練習がしたいから毎日は無理だが定期的に顔を出すぐらいだったら今回みたいに気分転換がてらいいだろう。

 

*****

3年後(タンバ8歳)

 

父さんが死んだ後しばらくの休暇をもらった。その間は自身の鍛錬はもちろんのことフガクとノエミへの鍛錬も定期的に実施した。

 

その甲斐もあってかフガクは火遁の性質変化が出来るようになったし、さらに俺がボコボコにしすぎたせいか写輪眼に開眼した。

 

ノエミこと猿飛ノエミはもともと体術の才能はあったようで写輪眼を使わないフガクとなら互角に戦えるようになり、さらにノエミは雷遁の性質変化が出来るようになった。

 

なので当然2人はアカデミーでは無双状態になっていてお互いしか相手ができない状態になっている。

 

その結果、砂隠れとの戦争中で少しでも戦力が欲しい木の葉はフガクとノエミの2人も下忍にすることにした。

 

そして俺はフガクとノエミの2人とスリーマンセルを組むことになり、今日は担当上忍との顔合わせの日ということで演習場に向かった。

 

演習場に着くとすでにフガクとノエミはいた。

 

「おはようフガク、ノエミ」

 

俺が挨拶をすると2人もこちらに気づいた。

 

「ああ、タンバおはよう」

 

「おはようタンバ」

 

俺に気づいた2人は挨拶を返してくれた。

 

「タンバなら担当上忍が誰か知ってるんじゃないか?」

 

「残念ながら俺は何も知らないよ」

 

「いったい誰なんでしょうね?」

 

数分演習場で待っているとこちらに誰かが近づいてくるのを「風読み」で確認した。

 

「ごめんごめん。待たせたかな?」

 

現れた人物はなんとサクモだった。

 

「「はたけサクモ様⁉︎」」

 

フガクとノエミはサクモの登場に驚いた声を出した。

 

「サクモが俺たちの担当上忍になるのか?そんな事して砂隠れとの戦争は大丈夫なのか?」

 

「問題ないよ。三代目火影様が戦争に参加したからね。だからそのうちに俺が期待の若手を鍛えようという事」

 

そうか、おじさんが戦争に参加したのか。それじゃあ確かに安心だな。今のおじさんはまだまだ現役だからな。

 



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第9話 サクモVSフガク&ノエミ

遅くなりましたがどうぞ!


演習場にサクモが到着し俺たちの担当上忍となった事を明かされた。

 

「さて、それじゃあフガクとノエミの2人の実力を知りたいから2人は俺に戦おうか」

 

ん?2人だけ?俺は?

 

「サクモ隊長。俺は?」

 

「タンバこれからは隊長じゃなく先生と呼ぶんだ。それからタンバの実力はすでに知っているから見学していてくれ」

 

という訳で俺は演習場の脇で見学している事になった。

 

*****

フガクside

 

タンバはサクモ先生に言われた通りに演習場の脇にいった。

 

「さて、今から俺と戦ってもらうが当たり前のことだが2人の実力が想定よりも下ならばもう一回アカデミーからやり直しになるからね」

 

そのサクモ先生の言葉を聞いた俺とノエミは驚愕の表情をした。

 

「ちょっと待ってください!そんな話聞いていません!」

 

「それはそうだろう。今伝えたんだから」

 

俺が抗議してもサクモ先生は意に返していなかった。

 

「それじゃあ私とフガクの実力がサクモ先生のお眼鏡に敵わなかったら本当にアカデミーからやり直すんですか?」

 

「ああ。今必要なのは戦争で役に立つ戦力だ。下忍レベルの実力しかないようじゃ戦争では死ぬだけだからね」

 

俺とノエミは再び驚愕した。そして俺は無意識にタンバの方を見てしまった。しかしその事をサクマ先生にバレてしまった。

 

「タンバに助けを求めるかい?別にそれでも構わないよ。しかしそうした瞬間、君はタンバの中ではライバルではなくなり守るべき庇護者になってしまうがそれでいいのかい?」

 

タンバを頼れば俺はタンバの中でライバルから守るべき庇護者になる?本当にそうか?そもそもあいつは俺のことをライバルと思ってるのか?

 

俺は今までタンバをいつか倒すべきライバルと思い生きてきた。だけどそう思えば思うほどタンバは俺の先を行く。

 

タンバは5歳で下忍になり、戦争での活躍が認められ下忍になって半年で中忍になり、木の葉始まって以来の天才と言われている。そんな時俺はアカデミーで授業を受けていた。

 

そんな俺で本当に勝てるのか、俺なんかがライバルと思っていいのか不安に思ったことは何回もあった。もしかしたら一生勝てないかもしれない。

 

それでもやっとスタートラインに立てたんだ!あいつがもし俺をライバルと思ってないのならこれからライバルと思わせてやる!

 

「やるぞノエミ!タンバなんかに頼ってられるか!」

 

「当たり前でしょ!私は最初からあいつを頼るなんて考え1ミリもなかったよ!それにあいつがあたし達が頼ったところで一緒に戦ってくれる訳ないしね」

 

確かにそれはそうだな。あいつはあれで厳しいところもあるからな。

 

「ほう、いい顔つきになったじゃないか。それじゃあ始めようか」

 

そうして俺とノエミ対サクモ先生の戦いが始まった。

 

*****

タンバside

 

サクモ先生対フガクとノエミの戦いが始まった。しかし2人の実力を見るためかサクモは佇んでいるだけ。

 

それに対してフガクは相手が自分よりも圧倒的強者というのを分かってか最初から写輪眼を使い、一発目から火遁を使用した。

 

「火遁・豪火球の術!」

 

そう言うとフガクの口の中から火の球がサクモ先生に向かって放たれた。

 

「ほう、なかなかの大きさだな」

 

そう言いながらサクモ先生は避けると待ち構えていたかのようにそこにはノエミがいた。

 

「はあ!」

 

ノエミはすかさずサクモに先生対して蹴りを放った。

 

「うん、なかなか鋭いいい蹴りだ」

 

そう言いながらもサクモ先生は簡単に避けてしまう。

 

「まだまだぁ!!」

 

避けられてもなおノエミは諦めず体術の連撃を繰り出す。さらにそこにフガクまで加わる。

 

「2人なら!!」

 

体術に秀でたノエミと写輪眼で相手の動きを見切るフガク、この2人の猛攻は中忍であろうと防げないレベルにまで達している。

 

しかし相手は上忍であり木の葉でも有数の実力者のサクモ先生である。いくら体術に秀でていようと、いくら写輪眼を開眼していようと、フガクからしたらあまり関係のない事だった。

 

「ふむ、なかなかの連携だな」

 

そう言いながらサクモ先生は2人の足を掴んで2人を左右に放り投げた。

 

「火遁・鳳仙花の術!」

 

「雷遁・雷球の術!」

 

投げられた2人は同時に術を放った。その攻撃に対してサクモ先生は初めて忍術を使った。

 

「土遁・土流壁!」

 

サクモ先生は地面に手を当て左右から来るフガクの火遁・鳳仙花の術とノエミの雷遁・雷球の術を、土の壁を作る土遁・土流壁によって防いだ。

 

「クソ!分かっていたけど強すぎる!」

 

「まだよ!まだ負けてない!」

 

2人はまだまだやる気のようだがどうやらここまでのようだ。なので俺は3人の元に向かう。

 

パチパチパチパチ!

 

「「え?」」

 

サクモ先生が突然拍手した事により2人は困惑の表情をした。

 

「すごいね。さすがは戦争中とはいえ飛び級でアカデミーを卒業するだけの実力はある。それぐらいの実力があるなら今からでも戦争での戦力として数えても良さそうだね」

 

サクモ先生がそういうも2人は未だに戸惑ったままだ。

 

「それじゃあ俺たちは認められたという事ですか?」

 

「ああ、その通りだ。改めて下忍おめでとう」

 

サクモ先生からそう言われて2人は顔を合わせて叫んだ。

 

「「「やったー!!」」

 

こうしてサクモ班が誕生した。



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第10話 初任務

サクモ班が始動して初の任務は山賊の討伐だった。

 

「サクモ先生!こんなことしていていいんですか?」

 

「あたし達戦争に向かうんじゃないんですか?」

 

フガクとノエミはすぐに戦争に向かうと思っていたらしく、それなのに山賊の討伐の任務に向かう事に不満があるようだ。

 

「山賊達は木の葉の忍びが戦争していて国内の事が手薄になっている今だからこそ各地で暴れるんだ。それをみすみす見逃す訳にはいかないだろう?」

 

まあ、そうだろうな。戦争しているという事はそちらに優秀な戦力は割かれているはずだから、それだけ山賊のような悪党からしたらやりやすいだろうからな。

 

「それは分かりますけど!でもせっかくタンバに追いつくチャンスだったのに!」

 

「あたしも戦争を経験すれば強くなれると思って楽しみにしてたんですよ!」

 

サクモ先生はそんな2人の言葉を聞くと真面目な表情になって答えた。

 

「これからの光景を見てもそんな事が言えるかな?」

 

サクモ先生はそう言うとそれ以外は喋らなかった。

 

数分後、森を抜けるとそこには小さな町があった。だがそこから火の手が上がり煙が立ち昇っており山賊達による虐殺が繰り広げられていた。

 

その光景を見てフガクとノエミは驚愕の顔をしていた。おそらくここまでとは思ってなかったんだろうな。

 

「フガクとノエミは俺と一緒に来い!タンバは自由に動け!」

 

「了解」

 

と言う事になったので2人の事も気になるけどそれ以上に町の人が危険なのですぐに向かった。

 

*****

「く、来るな!もうすぐ木の葉の忍びの人たちが来るんだぞ!来たらお前達なんかあっという間でやっつけてくれるんだ!」

 

タンバ達と同い年ぐらいの男の子が母親と妹を庇いそう言った。

 

「げへへへ!諦めな、今木の葉は戦争中だ。こんな所まで木の葉の忍びが来る訳ねぇし、例え来たとしても大した実力もねぇ奴等だろうからな。お頭に鍛えられた今の俺たちに敵う奴らは来ねえよ!」

 

山賊がそう言うと突然風遁が山賊に向かって放たれた。

 

「風遁・針千本!」

 

その声が聞こえた後、家族を襲おうとしていた山賊は風で出来た針に全身を刺された。

 

「ガッ⁉︎」

 

その後その家族の前に風遁忍術を放った人物が現れた。

 

「大丈夫?ちょっと待っててね!もうすぐ山賊達も居なくなるから!」

 

その騒ぎに気づいた他の山賊達が騒ぎ出した。

 

「てめぇ木の葉の忍びか!」

 

「ああ。この額当てを見れば分かるだろ?」

 

そう言ったのは風遁を放った張本人であるタンバ。

 

タンバはサクモから単独で動く許可をもらうと「風読み」で近くの人の所まで向かうと男の子が母親と妹を守りながら、明らかに山賊という感じの柄の悪い男に襲われそうになっていた。

 

そこでタンバは「風遁・針千本」という口から針の形をした風遁チャクラを放ち山賊を殺した。その後襲われかけていた家族の前に出て今に至る。

 

「へっ!木の葉の忍びと言っても所詮はガキ!この数に敵うわけがねえ!」

 

そう言ってゾロゾロと山賊たち6人が俺と俺の後ろにいる家族に集まってくる。

 

「オラー!クソガキが調子にのんじゃねえぞ!」

 

そう言いながら1人の山賊が走り出すとそれに追従する様に他の山賊たちも襲いかかってきた。

 

「俺の後ろから離れないでね」

 

俺は後ろに家族を庇いながら山賊の迎撃に出た。

 

「オラー!!」

 

先に走ってきた山賊が斧を振り下ろしてくる。俺はその斧を避けクナイを首に目掛けて投げつけた。

 

「なっ⁉︎」

 

先に走ってきた山賊はその言葉を最後に生き絶えた。

 

すると、すぐに3人の山賊が斧を3人同時に振り下ろしてきた。

 

「もらったー!!」

 

しかし俺は慌てず風遁で迎え撃つ。

 

「風遁・窮風斬!」

 

「「なに!?」」

 

俺は風遁チャクラを腕に纏わせる風遁・窮風斬で斧を斬った。

 

「風遁・針千本!」

 

「「ガッ⁉︎」」

 

風遁・窮風斬を解除し、風遁・針千本で3人の山賊を殺した。

 

別に窮風斬でそのまま殺しても良かったんだけどさすがに首が飛んだりしたら後ろにいる子供たちがトラウマになると思って針に変えた。

 

まあ、針でも血が飛び出てるのでこれはこれでトラウマかもしれないけど首が飛ぶよりはいいだろう。

 

「土遁・土波の術!」

 

残りの2人の山賊の1人が地面を揺らし敵の態勢を崩す土遁・土波の術を繰り出した。

 

「うお!?」

 

それに対して俺は油断していたこともあり見事に態勢を崩した。

 

「火遁・豪火球の術!」

 

その隙にもう1人の山賊が火の球を飛ばす火遁・豪火球の術を放った。

 

「これでどうだ!!」

 

俺はそれに対してもちろん風遁を繰り出した。

 

「風遁・大突破!」

 

口から風を吹き出し風圧で相手を攻撃する風遁・大突破を使った。

 

「へっ!バカが!性質変化の優劣も知らねえのか!」

 

そう、性質変化には優劣が存在する。

+++++

火遁は風遁に強く水遁に弱い。

水遁は火遁に強く土遁に弱い。

土遁は水遁に強く雷遁に弱い。

雷遁は土遁に強く風遁に弱い。

風遁は雷遁に強く火遁に弱い。

+++++

という感じで優劣が存在し火遁に風遁をぶつけると火遁の威力を強くするだけになるので火遁使いと戦う場合は水遁を使うのが普通だ。

 

しかし何事にも例外がある。蝋燭の火が息を吹きかけることで消えるように性質変化の優劣で劣っていても威力が何倍も強かったり、忍術の質がより高かったりすれば性質変化で劣っていようと勝つことができる。

 

今がまさにそうである。

 

「なっ!?バ、バカな!?」

 

山賊が放った火遁・豪火球の術は俺が放った風遁・大突破にかき消されそのまま2人の山賊を吹き飛ばした。

 

「「グアアアア!?」」

 

これで見えてる山賊はあらかた片付いた。

 

「さて、これでここの周囲はアンタだけだ」

 

俺は地面の中に隠れている存在にそう声をかけた。

 

すると、隠行の術で家の影に隠れてた男が出てきた。

 

「ほう?気づいていたか。さすがは「風の妖精」の異名を持ち、稀代の天才忍者と言われるだけの事はある。なあ!伊賀崎タンバ!」

 

どうやらこの山賊は他の山賊達とは違うようだ。

 



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第11話 VS元岩隠れ上忍!

家の影から山賊が出てくると、どこで知ったのか俺の情報を喋った。

 

というか、「風の妖精」はやめてほしい。妖精って言えばやっぱり女の子のイメージがあるから恥ずかしいんだよな。

 

「そういうアンタは?明らかに今までの奴らとは違うみたいだけど?」

 

「当たり前だ。あいつらに戦い方や忍術なんかを教えたのは俺だからな!」

 

やっぱりそういう事か。なら、こいつが親玉ってことか?

 

「じゃあアンタはあいつらの親玉で、忍術を教えたってことは元忍びなのか?」

 

「ああ、そうだ。俺は元々は岩隠れの上忍だった。戦争も経験し山程人も殺してる。まあ、味方も殺しすぎて処罰されさそうになったから抜けてきたがな」

 

岩隠れで上忍にまで上り詰めた抜け忍か。しかも、味方も殺してるとなると残虐性もある感じか。

 

後ろの家族を庇いながら戦うのはリスクがありそうだな。

 

そう考えた俺は山賊も減ってきた事もあり後ろの家族を避難させることにした。

 

「影分身の術!」

 

俺は影分身を作り出し影分身に家族の護衛も頼み家族を避難させることにした。

 

その間山賊の長はただ見ているだけだった。一応妨害の可能性も考えて警戒もしていたんだけどな。

 

俺は何も仕掛けてこなかった事を疑問に思い聞いてみた。

 

「何か仕掛けてくるかと思ってたんだけどな?」

 

すると、山賊の長はニヤケながら答えた。

 

「戦ってみたいのさ。たった5歳で戦争に出て、風の妖精という異名まで付くほど戦争で活躍した規格外とな!」

 

どうやらこいつは戦闘狂の部類らしい。こういう奴が1番厄介だったりするんだよな。

 

「さあ!始めようぜ!まずは景気づけに!」

 

山賊の長はそう言うと印を組み始めた。

 

「土遁・岩鉄砲の術!」

 

そう言うと山賊の長は口から石を放った。放たれたその石は徐々に大きくなってきて人の頭よりも大きくなってきた。

 

「風遁・窮風斬!」

 

俺はその岩を縦に切り裂いた。岩は二つに割れたがその先に山賊の長はいなかった。

 

それをわかっている俺は上に飛んだ。すると、俺のいた場所から手が出てきた。

 

「ハッ!!」

 

俺は出てきた手に対して窮風斬で風の斬撃を飛ばした。

 

すると、山賊の長はすぐに出てくると後方に下がった。

 

「俺の土遁・心中斬首の術を見抜くとはさすがだな」

 

土遁・心中斬首の術とは地面に潜り敵の足を掴み敵を地面に顔を出した状態で埋めると言う忍術だ。

 

それに対して俺は風読みで地面に潜る事は分かっていたので何があってもいいようにジャンプして上に逃げたという訳だ。

 

「悪いが俺はお前のように戦闘を楽しんだりはしない。なので最初から全力でいく!影分身の術!」

 

俺は影分身を2体出す事で時間を稼いだ。

 

「面白い!風の妖精の本気とやらを見せてみろ!」

 

山賊の長が影分身の相手をしている間に俺は風を身体の一つ一つの細胞に浸透させていった。

 

俺の本気といえば答えは一つ。

 

「空遁・風神モード!」

 

空遁・風神モードを使うことにより俺の髪は緑色になった。

 

「それがお前の本気か!」

 

俺の影分身の相手をしながら山賊の長は笑顔で喜んだ。

 

「なら俺も本気で行こう!土遁・剛隷式(ごーれむ)の術!」

 

土遁・剛隷式(ごーれむ)の術は岩の人形を作る術で山賊の長は4メートル程もある剛隷式(ごーれむ)を作り出した。その術ですぐに俺の影分身を蹴散らした。

 

「いくぞ伊賀崎タンバ!」

 

そう言うと山賊の長は剛隷式(ごーれむ)で攻撃してきた。

 

剛隷式(ごーれむ)の振り下ろされる拳が迫る中俺は直前まで動かなかった。

 

ドオオオオン!!

 

「ガハッ⁉︎」

 

ドン!!

 

「風神モードなら上忍クラスでも余裕があるな」

 

さて、地面に倒れたのは山賊の長の方だった。俺は剛隷式(ごーれむ)の拳が当たる瞬間に空遁・瞬空の術を発動し剛隷式(ごーれむ)の肩に乗る山賊の長の頭上まで瞬間移動をし用意していた螺旋丸を喰らわした。

 

山賊の長は突如自身の頭上に現れた俺に対処ができず螺旋丸をもろに喰らって地面に叩きつけられ気絶した。

 

「どうやら向こうも完全に終わったみたいだな」

 

風読みでサクモ先生のほうを確認するとこちらに向かっているところだった。おそらく剛隷式(ゴーレム)の姿が見えたので駆け付けたのだろう。

 

サクモ先生たちがこちらに向かっているようなので俺は風神モードを解きこの場で待つことにした。

 

すると、すぐにサクモ先生たちがやってきた。

 

しかしフガクとノエミの表情が暗い。ミスでもしたのかな?

 

「タンバお疲れ様。正直心配はしてなかったが無事でよかったよ」

 

「それはいいんだけど、フガクとノエミはどうしたの?なんか暗いけど?」

 

俺がそう聞くとサクモ先生は何でもないかのように答えた。

 

「ああ、これはアカデミーから上がったばかりの下忍あるあるだよ」

 

詳しく聞くと村人の死体や山賊の所業などの凄惨な現場を目の当たりにして本来の実力が出せず死にかけたらしい。まあ、もちろんそこはサクモ先生が助けたそうだけど。

 

だが、途中からは本来の実力を出せるようになり山賊を倒せるようになったらしい。

 

本人たちは最初に動けなかったことを気にしているようだが途中からでも戦えたんならそれでいいと思うんだけどな?

 

という感じでサクモ班の初任務は終わった。

 

 

 



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第12話 初戦争!

サクモ班の初任務から半年。

 

この半年は山賊などの木の葉の里で暴れている奴の討伐任務やこの機に乗じて忍び込んできた他国の忍びの討伐、さらに護衛任務などを中心に受けてきた。中には危ない場面などもあったがサクモ先生や俺などが助けに入ったりフォローする事で任務を達成してきた。

 

初任務以降気持ちを入れ替えたフガクとノエミは戦争へ行けない文句を言うことなく真剣に任務に当たっていた。

 

休みの日でもフガクとノエミは鍛錬に明け暮れ、さらに実戦を経験した影響か半年前よりも明らかに実力が上がっている。

 

そして今日もフガクとノエミと3人で鍛錬をしているとサクモ先生がやってきた。

 

「3人ともやっぱりここにいたか」

 

「サクモ先生どうしたんですか?今日は来れないんじゃ無かったんですか?」

 

鍛錬にはサクモ先生もたまに参加していた。だが今日は用事があるという事で来れないと事前に連絡を受けていた。

 

「みんなに報告があってね。近々我々サクモ班は砂隠れとの戦争に参加する!」

 

「「えっ!?」」

 

俺は「そろそろかな」と予想もしていたので驚きはなかったがどうやらフガクとノエミは違うようだ。

 

「ちょっ⁉︎ちょっと待ってください!それって大丈夫なんですか?」

 

そう聞いたのはフガクだった。どうやら戦争の影響で木の葉の里内が荒れている事を気にしているようだ。それはノエミも同じ意見のようだ。

 

「私たちは他の忍びよりも数々の山賊や他国の忍びを討ち取っています。今私たちが抜けたらまずいんじゃないですか?」

 

確かに俺たちは木の葉の里に残っている他の忍び達よりも数もそうだがレベルの高い討伐任務や護衛任務などを請け負ってきた。

 

そんな俺たちが抜けたら誰が俺たちの穴を埋めるのかという事だろう。

 

「それも問題ない。戦争というのはずっと同じ人がずっと戦うわけじゃないんだ。定期的に人を入れ替えてるんだよ。そうしないと身体的にも精神的にもしんどいからね。だから今回は僕たちが行く代わりに誰かが下がることになる。そして今回下がるのは三代目火影様とその弟子の三人だ」

 

おじさんの弟子って言ったら、自来也さんに綱手さんに大蛇丸だよな。というか、大蛇丸っていつ里抜けをするんだろうか?それにもう悪さとかしてんのかな?そこら辺よく分からないからなぁ〜。

 

「火影様とそのお弟子さんが戻ってくるなら大丈夫ね」

 

「ああ、少なくとも俺たちよりも強いだろうからな」

 

2人もサクモ先生の言葉で納得したようだ。その後まだ夜まで時間があったのでサクモ先生を交えての鍛錬が開始された。

 

*****

サクモ先生から戦争の話を聞いた数日後には準備を済ませ戦争の場所へと向かった。

 

道中は特に何事もなく到着し待っていたおじさんと自来也さん、綱手さん、大蛇丸と会う事ができた。

 

「サクモご苦労だったな。どうだ?新人の2人は?」

 

そう聞いたのはおじさんだった。やはり自分で決めたことであっても気にならんだろうな。特におじさんは優しすぎるから。

 

「問題ありません。2人とも優秀な忍びです。すでに実戦も経験済みですし実力もどうやらタンバに鍛えられていたようで、今では下手な中忍でも余裕をもって戦えるレベルになっています」

 

そうサクモ先生が言うとおじさんだけでなく自来也さんと綱手さんまでも俺の方を向いた。大蛇丸も俺の方を見ているがどちらかと言うと俺を観察しているような目線を感じる。

 

「タンバか。サユリさんはもう大丈夫なのか?」

 

おじさんはそう言って母さんの事を聞いてきた。おそらく父さんが死んだことを言っているんだろうな。

 

「うん、もうすっかり元気だよ。というか、もう3年も前だからさすがに母さんも心の整理がついてるよ」

 

「そうか。それは良かった」

 

俺がそう答えるとおじさんはあからさまに安堵の表情をした。ちなみにこのやり取りはこの3年で何回も経験済みだ。まあ、父さんとおじさんは親友同士だったからその親友の家族が気になるんだろうけど。

 

そうして俺とおじさんの話が終わるとそれを待っていたのか自来也さんたちが話しかけてきた。

 

「久しぶりだなタンバ、どうだ?好きな女でもできたか?」

 

そう聞いてきたのは自来也さん。自来也さんは会えばそう言う事ばかり聞いてくる。

 

「はは。そんなのいませんよ」

 

「なんだつまらん。おお!そうだ!俺は最近弟子を取ってな、里に帰ってきたら会ってやってくれないか?あいつもお前ほどではないが天才の部類の奴だからな。天才同士で話が合うかもしれない」

 

自来也さんの弟子って言ったら波風ミナトか?俺が名前を聞こうとすると自来也さんを押しのけて綱手さんが話しかけてきた。

 

「久しぶりねタンバ!どう?縄樹は元気にしてた?」

 

「ええ、この前会ったら元気でしたよ」

 

縄樹とは綱手さんの弟で二年前に生まれた。原作では戦争で死に綱手さんが血液恐怖症になった原因の一つでもある。これもなんとか変えたい出来事である。

 

ちなみに綱手さんは縄樹を溺愛している。だからこそ気になるんだろう。

 

その後自来也さんと綱手さんはフガクやノエミやサクモ先生に軽く話しかけておじさんと一緒に木の葉の里へと帰っていった。

 

これから、俺たちの戦争が始まる。

 



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第13話 三代目風影

二話投稿です!


サクモ班が戦争に参加して二週間以上が過ぎた。最初こそフガクやノエミは戦争の独特の雰囲気に緊張などもしていたので俺やサクモ先生が何回かフォローする形になったりしたが、今では冷静に自分の実力を出せるようになった。

 

まあ、いくら自分の実力が出せるようになったとしても中には2人よりも強い砂隠れの忍びがいるので、その時は同じように俺やサクモ先生がフォローに回っている。

 

結果的にサクモ班は数々の砂隠れの忍びを殺すことができた。しかしそんな状態に砂隠れ側も何の対処もしないわけがなかった。

 

「砂鉄時雨!」

 

「「炎遁・豪火球の術!」」

 

俺達に対して数多の黒い塊と通常の豪火球の術よりも何倍もでかい火の球が飛んできた。

 

「!?タンバ!」

 

「ハイ!」

 

それに対して俺とサクモ先生は反応できていないノエミとフガクをそれぞれ俺がノエミを抱えサクモ先生がフガクを抱えて回避した。

 

ドドドドドン!!

 

バン!!

 

「きゃあ!?」

 

「うわあ!?」

 

俺とサクモ先生は離れた場所に着地した。そして俺の前には男女の砂の忍びがいた。

 

タンバはお姫様抱っこの形になっていたノエミを下した。その際ノエミは名残惜しそうな顔をしたがタンバは気づかなかった。

 

「下がってて」

 

「わ、わかった」

 

俺が下がるように言うとノエミは素直に従った。すると、サクモ先生の声が聞こえてきた。

 

「・・・三代目火影様と一緒に退いたと聞いていたがまさかこんな早くにまた出て来るとはな。三代目風影」

 

三代目風影!?まさかここで一度退いた三代目風影がまた出て来るなんて。

 

三代目風影は原作では多くは語られずただ歴代最強の風影として描かれていた。そしてそんな三代目風影が使用する忍術が磁遁といい、磁遁とは磁力を操り砂鉄などを使用する忍術である。

 

本来、隠れ里の長である影はそんな簡単に前線に出てきていい存在ではない。確かに影が前線に出てくれば相手にとっては脅威でしかないし味方からすれば単純な戦力増強だけでなく士気向上につながるかもしれないが、それ以上に影という存在が殺されたときの戦力的と精神的な損失は計り知れないものがある。故にサクモもタンバも驚いていた。

 

「木の葉の白い牙の相手ができるのは俺だけだと思ったのでな。それと風の妖精と戦えるだけの実力者も連れてきた」

 

サクモ先生が三代目風影を視界に入れながらこちらにいる砂隠れの男女を確認した。すると、サクモ先生は驚いた表情をした。

 

「あれは!?タンバ!お前の目の前にいるのは()()()()()()だ!連携に気を付けろ!」

 

炎遁?聞いたことがあるような感じだけど思い出せないな。血継限界かな?

 

こちらに意識を割いていたサクモ先生に対して三代目風影動いた。

 

「他の事にも気を配るとは余裕だな。磁遁・砂鉄結襲(さてつけっしゅう)!」

 

凄い量の砂鉄が圧縮され巨大な三角柱の形が出来上がりサクモ先生を襲った。

 

「そっちは頼んだぞタンバ!」

 

サクモ先生は巨大な砂鉄の塊の相手をしながらそう言った。

 

*****

サクモはチャクラ刀に風遁のチャクラを流すことで切れ味を上げ、飛んでくる三角柱の砂鉄を斬ろうとした。

 

ザク!

 

だが、三角柱の砂鉄には傷を付けるのみで切断には至らなかった。

 

「なに!?くッ!?」

 

サクモはなんとかチャクラ刀で三角柱の砂鉄をずらし自身も砂鉄をずらした逆側に避けることで何とか回避した。

 

「ほう、俺の砂鉄に傷を付けるか。さすがは木の葉の白い牙と言ったところか」

 

サクモは事前に三代目風影の砂鉄については聞いていた。もちろんその硬さも。しかしそんなサクモからしても予想以上だった。

 

「どうした?まだまだ始まったばかりだぞ?磁遁・砂鉄時雨!」

 

そう言うと今度は砂鉄で大量の槍を作り出し放った。

 

「土遁・拳岩の術!」

 

拳を岩で覆う土遁・拳岩の術で飛んでくる砂鉄の槍を弾き飛ばしたり避けたりしながらサクモは三代目風影に向かう。

 

「弾き飛ばすか。ならこれはどうだ?磁遁・砂鉄界法!」

 

数多ある砂鉄の槍を一纏めにし巨大な砂鉄の塊が出来上がった。すると、その巨大な砂鉄の塊から針状の砂鉄が枝分かれしながら広範囲に勢いよく飛び出した。

 

「なに⁉︎」

 

飛び出してきた砂鉄のスピードは先程の砂鉄の槍の比ではないほど早かった。サクモは土遁・拳岩の術で弾こうにも弾く事ができず、避ける事しかできない。さらに数が多すぎて避けた所にも砂鉄の針が押し寄せる。

 

すると、ついに避ける事ができず脇腹に喰らってしまった。

 

「ぐッ!?」

 

そして立ち止まったサクモに尚も砂鉄の針が押し寄せた。

 

「これで終わりだ」

 

三代目風影は勝利を確信しそう言ったがサクモにはまだ奥の手があった。

 

「ハア!!」

 

サクモは自身の奥の手を発動した。すると、サクモは三代目風影の前から消えた。

 

「なに!?今のはまさかッ!?」

 

ドゴーン!!

 

突如三代目風影は吹き飛んだ。吹き飛んだ理由は蹴られたからだ。もちろん蹴ったのはサクモである。しかし、やはり歴代最強の風影の名は伊達ではなく、三代目風影は背後に気配を感じるとすぐに砂鉄を背後に回しサクモの蹴りを防いで見せた。しかし衝撃を抑えることはできず吹き飛びはしたがダメージらしいダメージは負っていない。

 

三代目風影は起き上がりサクモを見た。すろとサクモの体から雷遁のチャクラが溢れ出していた。

 

「やはりそれは雷影が使う雷遁チャクラモード。雲隠れであろうと雷影レベルでないと扱えないとされる雷遁チャクラモードを木の葉の忍びが使用するとは。とんだ化け物がいたものだな木の葉には」

 

サクモは雷影を参考にしたわけではない。もっと身近に風遁で似たような術を使う忍者がいたのでその術を参考に数年かけて完成したのがこの術である。

 

しかしこれでサクモは三代目風影と互角に戦えるようになった。

 

 



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第14話 炎遁夫婦

sideタンバ(時間はサクモたちが戦闘始めた時まで遡る)

 

サクモ先生の戦闘が始まった。いくらサクモ先生でも歴代最強の風影が相手じゃちょっと心配になる。あともう一つ心配となればフガクだ。フガクが戦闘に巻き込まれないか心配だがそんなことを気にしている余裕はないようだ。

 

キンキンキンキン!

 

「やっぱり弾くか。一応俺のクナイには風遁のチャクラを纏わせていたからそう簡単には弾けないはずなんだが、さすがは風の妖精か」

 

クナイは目の前にいる砂の夫婦が投げたものだというのは風読みで分かっていた。そして二本のクナイだけ明らかに何かを纏っているというのも分かっていたので俺はクナイに風を纏わせ弾いた。

 

「あなた!子供だからって油断したら駄目よ!相手は幾人もの同胞を葬ってきた忍び!殺すべき敵として認識すべきよ!私たちには帰りを待つ息子がいるんだもの!」

 

「ああ、わかっているよ」

 

そう言うと二人は忍術を繰り出してきた。

 

「「炎遁・鳳仙花の術!」」

 

女の人から複数の火の球が飛び出しそれと同時に男の人から風の球が飛び出し火の玉と合わさることで規模が普通の豪火球の術のように大きくなった。

 

「風遁・窮風斬!」

 

俺は腕に風のチャクラを纏い相手を切り裂く「風遁・窮風斬」で複数の火の球に向けて鎌鼬を放った。

 

すると、火の球はそれぞれ真っ二つに割れた。

 

「やっぱりこの程度じゃ無意味ね。じゃあもっと強力なのを行くわよアナタ!」

 

「ああ了解だ!」

 

火遁・鳳仙花の術にしては火の球が大きすぎたけどそれでも普通の豪火球程度の大きさなら俺の風遁で何とでもなる。だが、本来は風遁は火遁相手には不利に働く。いずれは俺の風遁でも対処できないレベルの炎遁が来ることを想定して先に風神モードになることにした。

 

「空遁・風神モード!」

 

今の俺なら風神モードには一瞬でなることができる。なのですぐに風神モードになった。

 

すると、二人はさらに表情を引き締めた。

 

俺は早速、空遁・瞬空の術で2人の後ろに飛んだ。

 

しかしそれを読んでいた男性のほうが俺が空遁・瞬空の術で後ろに回る前に風遁忍術を繰り出した。

 

「風遁・砂嵐の術!」

 

俺が空遁・瞬空の術で後ろに回り込むと夫婦を中心に砂嵐が巻き上がった。

 

「チッ!」

 

俺は砂嵐に邪魔されて攻撃が出来なかったので空遁・風神モードで砂嵐の風を消し砂が落ちてから攻撃しようとしていた。

 

「「炎遁・火龍炎弾!」」

 

人を軽く呑み込めるほどの超巨大な火の龍が俺に向かってきた。

 

俺は風読みで印を組んでいるのを確認しているのですぐに空遁・瞬空の術で避難したが、巨大な火の龍は俺を逃さないとばかりに俺を追いかけてきた。

 

「どうしようかな?」

 

これほどの巨大な火の龍でも今の俺なら空遁で消し去ることもできるけど俺は別の行動をとった。

 

その別の行動というのが火の龍をできるだけ引き付けてから空遁・瞬空の術で夫婦の後ろに回り込み攻撃するという事だった。

 

俺は早速いつまでも追いかけてくる火の龍を空を飛びながら引き付け頃合いを見計らって夫婦の後ろに空遁・瞬空の術で飛んだ。

 

ズバ!

 

「ぐあッ!?」

 

「タンバ!?」

 

攻撃を受けたのはタンバのほうだった。この戦争で空遁・瞬空の術を見せすぎたタンバは飛んだあとに敵の背後に回る傾向が高いという自身でも無意識の癖を見抜かれてしまい、その情報を知っていた砂の炎遁夫婦の風遁使いの夫・アガマはタンバが空遁・瞬空の術で飛んだと同時に後ろにクナイを横に振りぬいた。

 

結果タンバは自身の腹にクナイの一撃を喰らってしまった。

 

「浅かったか!」

 

タンバにダメージを負わせる事ができたが致命傷にはならなかった。すると、続けざまにアガマの妻である砂の炎遁夫婦の火遁使い・ナメラが同じくクナイで攻撃したがタンバは空遁・瞬空の術で遠ざかった。

 

どんな忍術であろうと完璧な忍術などあるわけもなく空遁・瞬空の術に対しても弱点はある。

 

第一の弱点:空遁・瞬空の術は風読みで読んだところに行くことができるので風読みでも読めないような土の中など空気がない場所や単純な範囲外には飛ぶことができない。

 

第二の弱点:風読みは空気のあるところなら真後ろや離れた場所でも誰が何をしているかが分かるだけだし、空遁・瞬空の術は風読みで感知している範囲から選んで飛ぼうとしないと飛べないので、純粋に相手が速すぎる場合や飛んだところに既に攻撃が待っている場合など「飛ぼう」と思う前に攻撃を喰らえば逃げることはできない。

 

今回の場合は砂の炎遁夫婦がその情報を知りタンバを罠にハメ、タンバはその罠にはハマった形になる。

 

「タンバ!?大丈夫か!?」

 

ノエミはタンバが心配になりそう声をかけ近寄ろうとした。

 

「ああ・・・ハアハア・・・そこまでの傷じゃないから・・・そこにいてくれ」

 

タンバにそう言われたノエミは悔し気にしながら踏みとどまった。しかしタンバの傷は致命傷ではなかったが行動不能にするには十分だった。

 

「アナタ!」

 

「ああ!」

 

片膝をつき腹を抑えているタンバに向かい砂の炎遁夫婦は止めを刺しに来た。

 

「「炎遁・鳳仙花の術!」」

 

アガマの風遁とナメラの火遁が合わさり火遁・豪火球並みの大きさの火の球が複数、怪我を負ったタンバ目掛けて放たれた。さらにそれだけでは終わらなかった。

 

「「炎遁・火龍炎弾!」」

 

続けざまに追尾する火の龍が現れた。

 

複数の大きい火の球とそれよりも大きい火の龍が傷を負ったばかりで動けないタンバに迫った。

 

だがタンバはここで新術を繰り出すことにした。

 

タンバは迫りくる火の球を上空に瞬空の術で逃げた。しかし尚も追ってくる火の龍に向かい右手を銃の形にした。

 

「空遁・空指銃!」

 

銃の形をした右手の人差し指から圧縮された風のチャクラがレーザーのように放たれ火の龍を貫きその奥にいたナメラの頭を貫いた。

 

ドサ

 

「ナメラ!?」

 

それに動揺したアガマをタンバはもう一度、空指銃でアガマの頭を撃ち抜き殺した。

 

「ハア・・ハア・・何とか・・なった・・か・・」

 

ドサ

 

そう言ってタンバは倒れた。

 



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第15話 驕り

タンバが倒れた後サクモと戦っていた三代目風影が砂の炎遁夫婦が殺されたことに気づき、予想外の事態に砂の炎遁夫婦の遺体を運んで退いた。

 

それをサクモは妨害はせず見送った。妨害をしようと思えばできないこともなかったがそれはしなかった。理由としては実戦で初めて使う雷遁チャクラモードにサクモ自身もまだ慣れていなく雷遁チャクラモードの限界が近かったこと。それともう一つの理由としてタンバが倒れているのを心配してというのもある。

 

本来の忍びなら仲間の心配よりも三代目風影を殺すことを優先するのが普通だが、原作でもあったようにサクモは任務よりも仲間の命を優先する優しい性格をしていた。故に今回も三代目風影を殺すことよりもタンバの命を優先した。

 

その結果タンバはすぐに医療忍者に見てもらい助かることとなる。

 

*****

タンバは倒れてから数時間後ベットの上で目を覚ました。

 

「ここは?」

 

目を覚ますとそこにはノエミがいた。

 

「タンバ!?目を覚ましたのね!大丈夫?どこか痛いところはない?」

 

タンバはノエミにそう聞かれ自身を確認した後答えた。

 

「大丈夫、何ともないよ。ここは医療室みたいだけどあの後はどうなったんだ?」

 

ノエミはタンバが倒れた後について話した。

 

「そうだ!サクモ先生とフガクに知らせなきゃ!ちょっと待っててね!」

 

そう言ってノエミは出ていくと割とすぐサクモ先生とフガクを連れて戻ってきた。

 

「タンバ、目が覚めたようでよかった。体はどうだ?」

 

「大丈夫。特に痛みとかないしも無いし。逆に今すぐに動きたいぐらいかな」

 

「それぐらい元気なら大丈夫だろう。だが、念のため今日一日は横になっていた方がいい」

 

「ああ、そうする」

 

俺はそう言って改めて横になった。

 

「・・・驕っていたか?」

 

サクモ先生にそう言われ俺は頷いた。

 

「自覚はなかったけどそうなんだと思う。俺は風神モードと空遁・瞬空の術が無敵の術のように無自覚にも思っていたのかもしれない。そのせいで空遁・瞬空の術のデメリットが見えていなかった。それが今回バチが当たったんだと思う」

 

「確かに空遁・瞬空の術は非常に強力であり生半可な忍びなら反応も出来ないかもしれないけど、逆に言えば反応できる忍びもいると言う事だ。もっと言えばそこをあえて狙ってくる生半可じゃない相手も現れるだろう。それを今回知れたのは良かったのかもしれないな」

 

俺とサクモ先生が話し終わるとフガクが話しかけてきた。

 

「タンバ、目が覚めてよかった。無事ならもう俺は行かせてもらう」

 

「え⁉︎ちょっとフガク⁉︎」

 

ノエミが呼び止めるもフガクは去っていった。

 

「あいつどうしたんだ?」

 

俺がそう聞くとノエミが答えてくれた。

 

「・・・フガクはタンバが戦っているのに自分は守られている状況が悔しかったのよ。だから待機している時でも鍛錬と称して体を動かしているのよ」

 

そうノエミが悔しそうにしながら答えた。おそらくノエミ自身もフガクと同じぐらい悔しかったんだろうな。

 

すると、サクモ先生がノエミの頭を撫でた。

 

「焦ることはない。タンバがいるせいで自覚がないかもしれないがフガクもノエミもその若さで下忍になることを許されるなんてとんでもない才能がある証拠なんだ。それだけの才能と悔しがれる気持ちがあればすぐに強くなれるさ」

 

そうサクモ先生が頭を撫でながら言うとノエミは力強い表情になり鍛錬をするためフガクを追っていった。

 

まあ、普通に考えて8歳で戦争に出て経験豊富な大人の忍びを殺したりできるってのは普通に考えたら天才だからな。俺は神様のおかげだし。

 

その後は一日ベットの上で安静にして戦争に参加した。しかし三代目風影は出てこずサクモ先生の無双状態となった。そのおかげで戦争は木の葉が押す展開となった。

 

そして、サクモ班が戦争参加から半年以上が経過したとき木の葉に戻れるようになった。

 

*****

翌日

 

木の葉に戻ってからしばらくの休暇を貰った。という事なので少し街を練り歩いているといつもの公園でフガクともう1人の男の子がいた。

 

「フガク!昨日帰ってきたばかりなのに早速修行か?」

 

俺がそう答えるとフガクともう1人の男の子が振り向いた。

 

「タンバか。ああ、この前のような何も出来ずただ守られている状態っていうのは嫌だからな」

 

「フガク・・・」

 

「・・・あっ!そうだ紹介するよ。こいつは俺の弟でイナミだ」

 

そう言ってフガクはもう1人の男の子、イナミ君を紹介した。

 

「初めましてうちはイナミと言います。いつも兄がお世話になっております」

 

そう言いながらイナミ君はお辞儀をした。

 

「礼儀正しい子だなぁ〜。俺の名前は伊賀崎タンバだよろしく。でも珍しいんじゃないか?いつもは弟なんて連れていないだろ?」

 

「ああ、今回も連れてくるつもりは無かった。だがイナミがどうしてもって聞かなくてな」

 

「いつも『また今度な』とか言っていつまでも連れていってくれない兄さんが悪いんじゃないか。僕は兄さんがいつも話すタンバさんに会いたかっただけなのに。それに兄さんが出した条件はクリアしたからね」

 

「条件?ここに連れてくるのに条件なんて付けたのか?」

 

「ああ。その条件っていうのは写輪眼に開眼する事だ。それを戦争に出る前に言ったんだが、いざ帰ってくるとすでに開眼してたんだよ」

 

そう言うので驚きながらイナミ君を見ると察してくれたイナミ君が証明するように写輪眼になってくれた。

 

すごいな。写輪眼ってそんな簡単に開眼しないんじゃ無かったっけ?それとも記憶違いかな?



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第16話 フガクへの修行

「写輪眼ってそんな簡単に開眼するものなのか?」

 

「いやそんな事はない。うちはの人間でも写輪眼に開眼していない大人もある程度はいるからな。だからまあ、自分で言う事じゃないが10歳にも満たずに兄弟揃って写輪眼に開眼しているのは結構すごい事だと思う」

 

そんな設定もあったような気がするな。まあ、気がするだけで思い出せないんだけどな。

 

「タンバには会ったんだからもういいだろ?家に帰れ」

 

フガクはなんでそんなに嫌なんだろう?

 

「なんでそんなに帰らせたがるのさ!僕も兄さんやタンバさんと一緒に修行したいんだよ!」

 

「お前にはまだ早い!さっさと帰れ!」

 

「やだ!帰んない!」

 

その後もフガクとイナミは「帰れ!」「帰らない!」の言い合いが続いた。それを見ていた俺はいい加減めんどくさくなったので別のところに行こうとした。

 

「それじゃあ俺はもう行くよ。散歩の途中だし」

 

そう言って歩き出そうとすると歩き出す直前にフガクに呼び止められた。

 

「待ってくれタンバ!お願いがあるんだ」

 

「お願い?フガクが俺にお願いなんて珍しいな」

 

俺がそういうとフガクはイナミを見た後諦めたようにため息をついた。その後真剣な表情で俺に向き直った。

 

「・・・俺に修行をつけてくれ!」

 

「兄さん?」

 

修行と来たか。よっぽどこの前の戦争を気にしているらしいな。

 

「・・・俺はタンバをライバルだと思ってる。もちろん俺とタンバの間には隔絶する実力差がある事は分かっている。それでも俺はいつか追い抜き追い越そうと本気で思っている。だから俺はお前にこういう事を頼みたくなかったんだ。ライバルだから・・・」

 

「・・・兄さん・・・」

 

「・・・・」

 

フガクの言葉をタンバは黙って聞いている。

 

「でも、戦争は俺の成長を待ってはくれない。このまま意地を張ったままではタンバに絶対に届かない。・・・だから頼む!俺に修行をつけてくれ!」

 

そう言ってフガクはタンバに向けて頭を下げた。

 

「・・・なるほどな。だからイナミをあれだけ早く帰るように言ってたのか」

 

「そうなの兄さん?」

 

その問いに関してフガクは頭を上げて顔を逸らしながら答えた。

 

「・・・・・まあな。俺がタンバに頭を下げてお願いしている情けない姿なんて見せたくなかったからな」

 

「情けなくなんかないよ!強く成る為に貪欲な兄さんの姿は尊敬するよ!」

 

「・・・ありがとうイナミ」

 

とりあえず二人は仲直りをしたようだ。まあ、喧嘩っていうほど激しくはなかったんだけど。

 

「でも、修行っていっても俺は誰かに教えたことなんてないし。どうせならサクモ先生に頼めば?」

「サクモ先生には先に頼んだけど『今はノエミを付きっきりで指導してるから』って断られたんだよ。その時に『タンバに頼んでみたら』って言われてさ」

 

いやいや別に下忍の2人ぐらいサクモ先生なら見れるだろ?そもそも担当上忍なら生徒からの指導のお願いを断るなよ。後で聞きに行こう。

 

「まあ、そういう事なら別に良いけど。俺がしてやれるのなんて模擬戦しかないぞ?それでも良いなら良いけど?」

「それでも良いさ!ありがとうタンバ!」

 

という訳で早速始めるため俺とフガクはある程度離れて向き合った。ちなみにイナミは見学をしている。

 

「始める前に言っておくけど、フガクを鍛えるからにはいつもよりもキツくするからな。もしかしたら怪我をするかもしれないけど問題ないんだろ?」

「ああもちろんだ!それぐらい厳しいぐらいがちょうどいい!」

「そうか分かった」

 

俺は言い終わると意表をつくようにいつもの模擬戦よりも速いスピードでフガクに接近した。

 

「なっ!?」

 

そして驚いているフガクの腹を容赦なく蹴り飛ばした。

 

ドン!

 

フガクは防御も何もできずに俺の攻撃をモロに受けた。すると、それを見ていたイナミが俺に抗議をしてきた。

 

「タンバさん何の合図もなしに始めるなんて卑怯ですよ!」

 

俺はイナミのその言葉に何も返さずに起き上がるフガクを待ってから喋った。

 

「ハア・・・ハア・・・」

「フガク、お前もあの攻撃を卑怯だと思うのならその考えから改めたほうがいい」

「ハア・・・ハア・・・」

「忍者は殺し殺されの世界で生きてるんだ。いかに相手の意表をつき殺すかを考え実行しなければならない。今の攻撃だって警戒しているフガクなら防御ぐらいは取れた程度の攻撃だぞ。常に警戒を怠るな」

「・・・ハア・・・分かった・・・」

 

それからフガクの目つきも変わり修行が再開された。といってもやることは変わらない。とりあえずいつもよりも怪我する程度にまで戦闘レベルを上げて悪いところを指摘するを繰り返した。

 

たまにフガクの体力が限界に達して休んでいる時は今度はイナミの修行相手になってやったりもして1日が終わった。

 

*****

フガクたちと明日以降も修行をつける約束をして別れた後は文句を言う為風読みの力を使ってサクモ先生を探し出した。

 

探し出すと風神モードの「空遁・瞬空の術」で目の前に飛んだ。若干驚かれはしたものの来るだろうと予想はしていた様だ。

 

そして文句を言うと、

 

「タンバはいずれ上忍になるんだから今から誰かを教えるという経験をしていてもいいだろう?」

 

と返された。まあ、言いたい事は分かるけど事前に連絡ぐらいはあってもいいと思う。



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第17話 波風ミナト

数日後

 

さすがにフガクに修行を毎日つけるのは自分の時間が無くなるので嫌だと思い強くなるには休息も必要だという事でたまに休日を作ることにした。

 

そして俺は今日、自来也さんが言っていた自来也さんの弟子に会いに来た。つまりはミナトのことである。ちなみに自来也さんは今は砂隠れとの戦争に行っていていない。

 

「さて、自来也さんが言うにはここでいつも修行しているって話だけど?」

 

自来也さんからは事前にミナトの容姿やどこにいけば会えるかなども聞いているのでその聞いた場所にやってきた。すると、黄色の髪をした年下の男の子がいた。

 

「確か俺の3歳年下って言ってたから6歳か。見た目とも合うな」

 

という訳で1人で手裏剣の修行をしているミナトに話しかけた。

 

「波風ミナト君?」

「えっ?」

 

俺が話しかけるとミナトが振り向いてくれた。

 

「あの?どなたでしょう?それにどうして僕の名前を?」

 

俺はそのミナトの質問に近づきながら答えた。

 

「俺の名前は伊賀崎タンバ。君の事は自来也さんから聞いていたんだよ」

「そうでしたか、あなたがタンバさん。僕もタンバさんの事は自来也様から聞いています。凄い天才だって」

 

その後俺とミナトは自来也さんやアカデミーでのことなど様々なことを話し合った。

そこで分かった事だが、どうやら俺はアカデミーでの授業で名前が出てくるらしい。木の葉の天才忍者達として初代火影様などと一緒に名前が出てくるらしい。それはいくらなんでも早すぎると思うんだけどな。

 

まあ、それはともかく俺は本来ならミナトが開発するはずだった主人公の代名詞でもあるあの術をミナトに教えることにした。

 

「ミナト、お前に会得難易度Aランクの螺旋丸って言う術を伝授しよう!」

 

大々的に言ってみたらミナトは驚くでもなく呆れるでもなく、若干首をかしげながら不思議がっていた。

 

「らせんがん?聞いたことない術ですね。それに会得難易度Aランクの術をなんで僕なんかに?」

「・・・ごほん。えーと順番に答えると、まず聞いたことがないってのは当然だよ。なんせ俺が螺旋丸を使ったのなんて一回きりだからな」

「タンバさんが一回だけしか使ってないってそれだけ危険ってことですか?」

 

ミナトは若干顔が強張りながらそう聞いてきた。というか、今思ったけどミナトって6歳のはずなのに大人みたいにしっかりしてるよな。もしかして転生者とかじゃないだろうな!・・・ないな。それにミナトなら幼少期からこれだけ頭がよくてしっかりしていてもおかしくないしな。

 

「別に危険だから使ってないわけじゃないよ。ただ、俺には風遁があったからな。簡単に言えば必要なかったんだよ」

「たしかに。風の妖精と言われるほどですもんね」

 

ミナトはからかうでもなく普通にその恥ずかしい異名を言ってきた。

 

「・・・それはやめてくれ。恥ずかしいから・・・」

「え?あ、はい。分かりました」

「・・・さて、なんでミナトに教えるかだけど。・・・もったいないだろ?」

「も、もったいない?」

 

ミナトは予想外の返答だったのか間の抜けた表情をした。

 

「だってさ、せっかく作っても使わなかったら意味ないだろ?特に強力な術でもあるし」

「・・・まあ、それは分かりましたけど。どうして僕なんですか?先生から話を聞いてたとはいえ今日会ったばかりなのに?」

 

まあ、当然そうなるよな。自来也さんって言う共通点があるからいくらかは仲良くなれたけど、まだそこまで深い仲でもないしな。・・・まあ、適当にごまかすか。

 

「勘だ」

「勘・・ですか?・・」

「そう、勘だ。ミナトなら会得難易度Aランクのこの術も習得して使いこなせると話しているうちに思ったんだ」

 

俺がそう言うと完全には納得していないようだったけど、とりあえずそれ以上何も言ってこなかった。

 

「とりあえず、手始めに螺旋丸がどんなものか見せるよ」

 

そうして俺は久し振りに螺旋丸をやってみた。

 

キィーン!

 

何年も使ってなかったから久し振りだったけど問題なく一瞬で発動することができた。

 

「うん、出来たな。これがミナトに教える螺旋丸だ」

「・・・これが・・・螺旋丸・・・」

 

ミナトは俺の螺旋丸に驚いているようだった。

 

「・・・チャクラをただ放出するんじゃなく乱回転させて密度を高くした上で掌の上に留めてる・・・こんな超高等忍術を事も無げにやってのけるなんて・・・」

 

なにやらミナトから尊敬のまなざしを向けられている。どうやらミナトにとっても螺旋丸はそれだけの衝撃を受けるほどの忍術だったらしい。

というか、螺旋丸を一回見ただけで瞬時に見抜くなんて。やっぱり天才だな。

 

「さあ、ミナト。やってみてくれ!」

 

俺が有頂天でそう言うとミナトが若干呆れた感じで答えた。

 

「・・・タンバさん。会得難易度Aランクの螺旋丸はやってみてくれと言われてできるほど簡単じゃありません。何かコツとかないんですか?」

 

まあ、そりゃそうか。でもコツかぁ。コツって言われても俺は感覚で出来るからコツも何もないからな。

 

「うーん?コツかぁ?・・・・・・そうだ!」

「何か思い浮かびましたか?」

「水風船からゴムボールからの風船だ!」

「??」

 

ミナトはよくわからないようで首を傾げてるけど、確か原作だとナルトが自来也との修行でその順番で螺旋丸を覚えたんだったよな?多分そうだよな?

 

自信はなかったが他に思いつかなかったので早速ミナトに修行方法を教えることにした。



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第18話 ミナトの天才性

おそらく年内最後になると思われます!来年も気を長くしてお待ちください!


「水風船がどうとかどう言う意味ですか?」

 

ミナトが意味が分からないといった感じで聞いて来た。これだけじゃ当然何も分からないと思うので俺はとりあえず水風船と風船とゴムボールを買ってきてミナトに説明した。

 

「わざわざ買ってきたと言う事はそれで螺旋丸の修行をすると言う事ですか?」

「もちろんだ」

 

そう言って俺はまず水風船を持つ。

 

「まず初めにこの水風船の中の水をチャクラで回転させかき回して水風船を割るんだ」

 

そう言って俺は手に持っている水風船を割って見せた。

 

パァン!

 

「水風船が・・割れた・・」

 

そこで俺は大事な確認をするのを忘れていた。

 

「そういえば今更だけど水面歩行の業ってもう出来る?」

「はい、すでに習得済みです」

 

水面歩行の業とはその名の通り水面を歩く事だけど、その為にはチャクラを一定量常に水面方向に放出し続けなければならない。

 

本来だと6歳児が会得する事じゃないけど・・今更か。

 

「そしてその次に使うのはこのゴムボール!」

 

と言って俺はゴムボールを手に取った。

 

「今度も水風船と同じ要領でこのゴムボールを割る。でも、さっきの水風船よりも硬いから、よりチャクラを高密度にしなくちゃいけない」

 

という訳で水風船と同じくゴムボールを割った。

 

パァン!

 

「なるほど。これが威力につながる訳ですか」

「そう言うこと。最後は風船だけど」

 

そう言って俺は今度は風船を手に取った。

 

「この風船に水風船とゴムボールで学んだ事と同じ事をして今度は割らない」

 

と言って同じようにやって見せた。まあ、割れないから外見では何も変化はないんだけどな。

 

「・・・なるほど、水風船で回転を覚えてゴムボールで威力を覚えて風船でそれらを留めると言った感じですか・・・」

 

さすがは波風ミナト。すぐに理解しやがった。

 

「それじゃあ今日買ってきた水風船とゴムボールと風船をあげるよ。また明日ここに見にくるから」

「分かりました。それじゃあ明日までに覚えられるようにします」

 

そう言って俺はミナトと分かれた。

 

*****

ミナトと分かれた俺は縄樹に会いに行っていた。

 

「俺が9歳だから縄樹は3歳か。会うの久し振りだなぁ」

 

そう言いながら歩く事しばらく。千手邸にやってきた。

 

コンコン

 

ノックするとお手伝いさんが出てきた。俺は度々千手邸に顔を出すのでお手伝いさんにも顔を覚えられているのですぐに家の中に入ることができた。

 

すると、ある部屋の前まで案内された。

 

「奥様、伊賀崎タンバ様がお見えになりました」

 

お手伝いさんが襖の前でそういうと部屋の中から声が聞こえた。

 

「ありがとう。入ってもらって」

 

襖を開けた中にいたのは初代火影千手柱間の奥さんでもあり今の九尾の人柱力でもあるうずまきミトさんがそこにいた。

 

「ミト様お久しぶりです」

「久し振りねぇタンバ君。さあ、中に入って」

「失礼します」

 

俺はそういって部屋の中に入り正座をした。

 

「今日も縄樹に会いに来てくれたの?」

「ええ、まだ戻ってから会ってなかったので」

 

そんな感じでミト様と話していると、

 

ドタドタドタ!

 

廊下から足音が聞こえてきた。

 

ガタン!

 

襖が勢い良く開くと俺が会いにきた目的の人物がいた。

 

「タンバ兄ちゃん!」

「縄樹久し振りだな」

 

そう俺が会いに来た人物と言ったのは縄樹だ。縄樹にはちょくちょく会いに来ている。縄樹とは綱手さん経由で仲良くなった。せっかく仲良くなったのなら原作通りに死んでしまうことは防ぎたいと思っている。

 

「ふふ。縄樹ったらいつもタンバ君が来るのを楽しみにしているのよ」

 

俺からしても縄樹は弟のような感じなので好かれているのは単純に嬉しい。

 

「タンバ兄ちゃん修行つけて修行!」

「修行って・・・縄樹はまだ3歳だろ?さすがに早過ぎるだろ」

 

そう言って俺はミト様を見た。

 

「そうですね。さすがに修行は縄樹にはまだ早すぎると私も思いますよ」

「大丈夫だよ!僕はお爺ちゃんみたいな立派な火影になるんだから!」

 

その後もミト様と縄樹の問答の末縄樹は修行を諦めた。

 

「その代わり・・・タンバ君。縄樹と遊んでくれないかしら?」

 

そうミト様が言った瞬間さっきまで落ち込んでいた縄樹は一瞬で明るい笑顔になった。

 

「お婆ちゃん!」

 

こう言われてあの笑顔を見たら断れないよな。

 

「ええ、良いですよ」

 

まあ、最初からそのつもりで来たから別に良いんだけどな。

 

「じゃあ早く行こ!タンバ兄ちゃん!」

 

こうして俺は縄樹と鬼ごっこやかくれんぼなどをして遊んだ。まあ、3歳児ならこうして遊ぶだけでも十分だろう。

 

*****

翌日

 

俺はフガクやイナミに修行をつけた後ミナトとの約束を果たすべく昨日の場所に来ていた。

 

「ミナトはどこまで進んだかな?」

 

ミナトには螺旋丸の修行として水風船・ゴムボール・風船の修行を課していた。

 

「昨日の今日だからゴムボールぐらいかな?いやミナトなら風船にまでいっててもおかしくないよな」

 

そう考えながら指定の場所にやって来ると手裏剣の修行をしているミナトがいた。

 

「気分転換とかか?」

 

螺旋丸の修行をしていないので疑問に思いながらも俺はミナトに話しかけた。

 

「ミナト!」

 

俺が話しかけるとミナトもこちらに気づき振り向いた。

 

「あ、タンバさん」

 

俺はミナトに近づき話しかけた。

 

「螺旋丸の修行はどうしたんだ?休憩か?」

「いえ?もう出来ました」

「え?」

 

俺が驚く間も無くミナトは証明するかの如く螺旋丸を作った。

 

キィーン!

 

どうやらミナトは思っていたよりも天才らしい。



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第19話 螺旋丸は未完成!?

ミナトが螺旋丸を思ったよりも速く習得してしまった。確か原作だともっと時間がかかったんじゃなかったっけ?

 

「どうですか?タンバさんよりも少し小さいですよね?」

「まあ、確かに少し小さいかもしれないけど。でも1日で習得したんだったら十分だろ?」

「そうですかね?」

 

しかし困った。いくらミナトでも習得にはもう少しかかるって思ってたからこれからの事は何も考えてないんだよな。

 

「どうかしたんですか?」

「ん?いや別に何でもないよ。あ、そうだ言い忘れてたけどそれ完成じゃないから」

「えっ!?螺旋丸が完成じゃないってどういう事ですか!?」

 

俺が螺旋丸がまだ完成じゃないと伝えると思いの外驚いていた。

 

やっぱり一から作るのと人から教わるのとは習得時間や気付きも違うんだな。

 

「ミナトは形態変化と性質変化は知ってるか?」

「はい、知っています。最近アカデミーで習いましたから」

 

形態変化とはチャクラの形を変化させる事。この形態変化で螺旋丸は球状に変化さしている。

性質変化とはチャクラの属性の事で、火・水・風・土・雷の五つの属性が存在する。この五つの他に陰と陽という性質変化も存在する。

 

「じゃあもうわかったと思うけど、その螺旋丸は形態変化を極めたような術だ。だからこそ螺旋丸に性質変化を加える事で螺旋丸はより強力な術になる」

「なるほど、それじゃあ今度はその修行ですか?」

「いや、その修行はしない。まだミナトには早すぎるし螺旋丸でも十分だろ?」

「修行をしないんですか?僕としてはやってみたいんですけど?」

 

俺が螺旋丸のこれ以上の修行をしないと言うとミナトは明らかに落ち込んだ感じになった。

 

「これ以上はさすがに危険すぎるんだよ。だからこれ以上の螺旋丸の修行はミナトが大人になってからすると良い」

 

俺がそう言うとミナトはなんとか分かってくれた。まあ、実際原作のナルトの螺旋丸に性質変化を加えた風遁・螺旋手裏剣は相当腕を酷使する術だったはず。さすがにそんな術を6歳の子供に教えるわけには行かない。

 

「見るだけでいいんで見せてくれませんか?タンバさんの性質変化を加えた螺旋丸を」

 

そうミナトがキラキラした目で言うもんだから今更やったことが無いなんて言えるはずもなくミナトに見せる事になった。

 

だったらついでにフガク達にも見せてみようと言う事で俺はミナトを連れてフガクとイナミといつも鍛錬している公園に向かった。

 

*****

いつもの公園に向かうと幸いまだフガクとイナミがいた。どうやら2人は忍び組手でもしていたらしい。

 

「フガク!イナミ!」

 

おれが2人に声をかけると忍び組手をしていた2人は俺の方に振り向いた。

 

「タンバ?どうしたんだ?今日の鍛錬は終わっただろ?」

「ああ、ちょっとやりたい事があってな。ちょうどいいけら2人にも見せようと思ったんだ」

「タンバさんその後ろの子は誰ですか?初めて見ましたけど?」

 

そうイナミから質問が来たので俺はミナトを紹介する事にした。

 

「こいつは波風ミナト。ミナトこいつらはうちはフガクとその弟のイナミだ」

 

俺が紹介するとミナトが俺よりも一歩前に出た。

 

「波風ミナトです。タンバさんから螺旋丸を教わったのでタンバさんの弟子になるのかな?」

 

どうなんだろう?螺旋丸は教えたけどそれだけで師匠ってなるのかな?俺がちょっと悩んでいるとフガクがミナトの名前に反応した。

 

「波風ミナトって事は君は自来也さんの弟子の子か」

「え!?あの三代目火影の教え子の自来也さんの弟子!?」

「ええ、確かに僕は自来也さんの弟子として自来也さんに色々教わっています」

「・・・いやちょっと待て。そういえばさっきミナトくんはタンバから螺旋丸を教わったと言わなかったか?」

 

フガクがそう言って俺に視線を向けて来た。

 

「ああ、教えたな。それがどうかしたか?」

 

俺がそう問いかけるとフガクが何か言う前にイナミが聞いて来た。

 

「螺旋丸ってなんですか?」

 

まあ、そりゃ知らないだろうな。螺旋丸は作ったはいいものの風遁の方が使用頻度が高いし螺旋丸はあまり使わないからな。

 

「ちょうどいいからミナト、お前の螺旋丸を見せてやれ」

「はい」

 

ミナトはすぐに螺旋丸を作り出した。

 

キィーン

 

「これが・・・螺旋丸・・・」

「・・・まさかこんな小さな子が螺旋丸を習得しているなんて・・・」

 

イナミは初めて見た螺旋丸に驚き、フガクは6歳のミナトが会得難易度Aランクの螺旋丸を習得している事に驚いていた。

 

「・・・これ・・・習得までにどれぐらいかかったんだ?」

「たった1日だよ」

「たった1日で螺旋丸を!?」

 

そのセリフにフガクが驚愕の顔をした。

 

「ああ。俺も驚いた。ミナトは俺が思っている以上に天才だったんだよ」

 

俺がそう言うとフガクが今度は呆れた顔でこちらを見た。

 

「それをお前が言うのか?その螺旋丸を思い付きの一瞬で作ったやつが?」

 

フガクがそう言うとミナトが驚愕の顔をした。

 

「螺旋丸を思い付きの一瞬で!?」

 

ミナトがそう驚いている。

 

「見たら難しそうだと言うのは分かるけど螺旋丸ってそんなに難しいの?」

 

そう言えばフガクはともかくイナミは螺旋丸を知らないんだったな。

 

「当たり前だ。何せ螺旋丸は会得難易度Aランクの術だぞ?」

「会得難易度Aランク!?そんな難しいんだ」

 

フガクがイナミに螺旋丸について教えている。

 

「まあ、螺旋丸はまだ完成してないんだけどな」

 

フガクは俺がそういうと不思議そうな顔をした。

 

「螺旋丸が完成してない?それはどう言う事だ?」

 

という訳でフガクとイナミにも螺旋丸が未完成である事を教えた。



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第20話 風遁・螺旋手裏剣?

「螺旋丸が完成してない?それってどういう事だ?」

 

フガクが聞いてきたのでミナトにしたのと同じ回答をした。

 

「なるほど、形態変化の極みにあるのが螺旋丸というわけか。それで?タンバの事だから螺旋丸に加える性質変化は風遁だろ?」

「ああ、名付けて風遁・螺旋手裏剣ってところかな」

「なんで手裏剣なんですか?」

 

イナミが風遁・螺旋手裏剣に対して疑問をぶつけてきた。

 

「見たら分かるさ。今からやるからちょっと離れてくれ」

 

みんなが離れたのを確認して俺は風遁・螺旋手裏剣を発動しようとした。原作の主人公のナルトは3人でやってたりしてたけど俺にとって螺旋丸に風遁を加えるのなんて影分身を使うまでもなく簡単にできる。

 

それに多分俺なら風遁と馴染みすぎて風遁・螺旋手裏剣の後遺症も無いだろうしな。

 

シューン!!

 

俺の手には手裏剣の形をした螺旋丸が存在した。

 

「これが・・・風遁・螺旋手裏剣・・・」

「本当に手裏剣の形なのか」

「・・・飛ばすのかな?」

 

イナミよ飛ぶかどうかって気になるとこがそこか?俺はとりあえず近くの木に向かって走っていった。

 

「ハア!」

 

ドオーン!!

 

俺の風遁・螺旋手裏剣は周辺の木もまとめて吹き飛び大人1人分ぐらいの広さと深さの地面を作り出した。

 

「「「・・・・」」」

 

3人とも何も答えずただただ呆然としている。

 

「一応言っておくと全力にしたらさすがに周りの人たちに迷惑だろうから威力は弱めておいた」

 

俺がそう言うと最初に反応したのはフガクだった。

 

「ちょっ!?ちょっと待て!?あれで全力じゃないって言うのか!?」

「ああ、そうだよ。それとミナトこの術は俺はともかく腕を酷使する術だから大人になってさらにその対処法を編み出すまでは使ってみない方がいい。最悪チャクラを練れなくなるだろうからな」

 

まあ、他の性質変化の場合がどうなるかは知らないけど風遁の場合だけで他の性質変化は問題ないなんていう都合いいようには出来ていないような気はするけどな。

 

「でも、タンバさんはなんともなさそうに見えますけど?」

「俺の場合が特別なだけだ」

 

俺がミナトにそう答えるとイナミが質問をしてきた。

 

「タンバさんが螺旋丸も風遁・螺旋手裏剣も使ってるって言うのは聞いた事がないんですけど戦場とかでは使ってないんですか?」

「それは俺も気になった。どうして使わないんだこんなすごい術?」

 

イナミの質問にフガクまでもが聞いてきた。

 

「単純に必要ないからだよ。この規模の術を出そうとしても俺には風遁があるからな。そっちの方が早いし簡単なんだよ」

「な、なるほど。さすがは風の妖精だな」

 

その異名は恥ずかしいので言わないで欲しいんだけどな。

 

その後はしばらく話した後解散となった。

 

*****

半年後(タンバ10歳)

 

「火遁・龍手の術!」

 

フガクが火遁のチャクラで龍の鉤爪を形成する。

 

「ハッ!ハッ!」

 

その龍の鉤爪で俺を攻撃する。

 

ジュウ!

 

俺がその龍の鉤爪を避けると後ろにあった木に当たった。すると、その木が瞬く間に燃えてしまった。

 

「火遁・豪火球の術!」

 

俺の後ろに回ったイナミが火遁・豪火球の術でフガクもろとも攻撃する。

 

俺は風読みでイナミが後ろにいるのは分かっていたのでジャンプする事で避ける。

 

俺が避けるとイナミの放った火の球は俺の線上にいたフガクにそのまま向かった。

 

「ハア!」

 

だがフガクは龍の鉤爪で迫りくる火の球を切り裂いた。

 

空中にジャンプして避けた俺に分かっていたかのようにミナトが襲いかかる。

 

「螺旋丸!」

 

俺は空中で身動きが取れずに咄嗟に螺旋丸で迎え撃った。

 

「螺旋丸!」

 

ドン!

 

俺がミナトの螺旋丸に威力や大きさを合わせた事により相殺になり両者吹き飛んだが、俺が調整した事によりミナトにも怪我はなく無事に着地した。

 

「や、やったー!!僕たちの勝ちだ!!」

「そんなに大喜びするな、と言いたいところだが半年間をかけてやっと手を出させる事に成功したからな」

「でも、最後はさすがタンバさんですね。俺の螺旋丸を見て瞬時に俺と同じ威力の螺旋丸を作り出すんですから」

 

俺はミナトをフガクとイナミ紹介した後、ミナトの希望もあり3人で鍛錬することにした。ミナトは本来は自来也さんの弟子だからあまり教えたりはしない方がいいのか迷ったが、螺旋丸を教えている時点で遅いというのに気づき了承した。(のちに戦争から帰ってきた自来也さんに後から了承も貰っている)

 

この半年は鍛錬と同時に任務も開始した。その際久しぶりに会うノエミはサクモ先生との鍛錬で鍛えられており、前以上に体術も雷遁も扱えるようになっていた。

 

そして現在俺たちは俺対フガク・イナミ・ミナトの忍び組手をしていた。フガクがある程度実力がついてきたのと、近々戦争に行くことになったのでこれまでの成果を見る為、俺対3人による忍び組手を提案した。俺は攻撃禁止で3人の勝利条件は俺が避けきれず防いでしまうこと。

 

ちなみにノエミはサクモ先生との鍛錬でいない。

 

そして今、自来也さんに見られながらの試験は俺の負けで終了した。

 

「しかし、お主らも強くなったのう。フガクなどオリジナルの忍術を開発したしたんじゃからな。フガクに関してはもうすでに中忍でも上位に位置するほどではないか?」

「本当ですか!?ありがとうございます!」

 

フガクが自来也さんの言葉に感激したかのようにお礼を言った。すると、見知った人物が近づいてきた。

 

「みんな鍛錬お疲れ様」

 

その人物はサクモ先生だった。

 

「サクモ先生どうかしたんですか?」

 

俺がそう聞くとサクモ先生が俺の方を向いた。

 

「タンバ、三代目様がお呼びだ」

「おじさんが?」

 

珍しい事もあるもんだと思いつつも俺は今日の鍛錬を終了しサクモ先生と一緒におじさんの下まで向かった。



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第21話 上忍昇格!

火影室に向かうまでの道中にサクモ先生に要件を聞けば、

 

「後のお楽しみだ」

 

と、嬉しそうにしながら言っていたのでサクモ先生はどう言った内容かは知っているようだ。

 

その後はたわいない話をしながらも進んでいると火影室に到着した。

 

コンコン

 

「失礼します」

 

ガチャ

 

サクモ先生が扉を開け火影室に入っていった。すると中には当然三代目火影猿飛ヒルゼンがいた。

 

「タンバをお連れしました」

「・・・来たかタンバ。よく来たな・・・」

「まあ、そりゃあ三代目火影のおじさんに呼ばれたら断る木の葉の忍びはいないだろ?」

 

俺がそういうとサクモ先生が珍しく注意してきた。

 

「タンバ、いい加減三代目火影のことをおじさんと呼ぶのはやめろ」

「急にどうしたの?いつもならそんな事言わないのに?」

 

俺がそう怪訝そうにしているとおじさんが答えてくれた。

 

「それはタンバをここに呼んだことに関係がある」

 

一拍置いてからおじさんはさらに続けた。

 

「伊賀崎タンバを今日より上忍に昇格する」

 

おじさんが真面目な顔でそう言い出した。

 

「・・・マジ?・・・」

 

俺が驚いてそう言うとサクモ先生がため息をした。

 

「はあ〜。上忍に昇格した第一声がそれか?もっとあるだろう?」

「ははは!だから言っただろ?タンバはあからさまに喜んだりはしないってな」

 

俺が予想外のことを言われ固まっている間サクモ先生とおじさんが話していた。

 

「いや、喜んではいるんだけど予想外だったから。だって俺まだ10歳だぞ?そんな俺が上忍になんかなっていいのか?」

 

俺がそう聞くとおじさんが答えてくれた。

 

「まあ、確かにタンバの年齢を問題視する声があったのは事実だが逆に言えばそれだけだった。お前の実力は誰もが認めるところだし、すでに木の葉でも指折りの実力を持っていることを考えれば上忍になるのは早いか遅いかの違いでしかないからな」

「それに当分は今まで通り僕の指揮下にある。さらに今後は上忍としての勉強をしてもらうという事で反対していた人も納得してくれたよ」

 

それで納得するもんなのか?やっぱりいろいろ無理をしたのかな?でもそういえば原作でもはたけカカシが若いながら上忍になってたな。流石に何歳でなったかは忘れたけど。

 

じゃあ案外実力主義ってところもあんのかな?まあ、今が戦争状態ってのもあるとは思うけど。

 

「じゃあ俺は今後もしばらくはフガクとノエミと一緒ってこと?」

 

俺がそう聞くとおじさんが答えてくれた。

 

というかさすがに上忍になったなら火影様って言ったほうがいいかな?だからこそさっきサクモ先生に怒られたんだろうし。

 

「ああそこも変えるつもりはない。しかしタンバが上忍になったことでこれからはサクモが単独任務や単独行動をすることが多くなるだろう。だからその時は2人のリーダーとなり指揮を取ってもらう」

「その為にもこれからはそう言った上忍としての勉強もやってもらうからな」

 

上忍になったことだし試しにおじさんを火影様と呼んでみよう。

 

「かしこまりました火影様!伊賀崎タンバ!身命を賭して頑張ります!」

 

俺は片膝をつき恭しくそう言った。すると、サクモ先生もおじさんも突然のことにびっくりした表情になった。

 

おじさんの方はびっくりした後嫌そうな顔になった。

 

「なんだ突然?心にも思ってないような事を言うのはやめろ。似合わないぞ?」

「確かに。誰かを敬っているタンバは気持ち悪いですね」

 

ただサクモ先生に言われた通りにやっただけなのにひどい言われようだな。まあ、すこし過剰にやったのは認めるけど。

 

「おじさんがそういうなら今後も同じでいいよね?」

「ああ、そうしてくれ。お前に敬われても何か企んでいると考えてしまう」

 

別に見せてないだけでちゃんと敬ってるんだけど、それを形で見せるとそう言われるんなら今まで通りでいいだろ。おじさんもそれを望んでいるみたいだし。

 

*****

翌日

 

任務で俺たちは集まった。ちなみにまだ誰にも上忍昇格の事は話していない。「どうせ明日になれば任務で会うんだからその時に言おう」と思っていたからというのもあるけど、フガクとノエミを驚かしたいというのもあった。

 

門の前に行くともうすでにとフガクとノエミがすでにいた。

 

「おはよう、2人とも」

 

俺が挨拶するとフガクとノエミがこちらに気づいた。

 

「おはようタンバ」

 

ノエミはそう挨拶を返してくれたがフガクは違った。

 

「そんなことよりタンバ昨日火影様に呼ばれた要件は何だったんだ?」

 

開口一番そう聞いてきた。ノエミもフガクから聞いていたのか興味津々だ。

 

「まあ、その話はサクモ先生が来てから話すよ」

 

数分後サクモ先生がやって来た。

 

「待たせたね3人とも。タンバからもう話は聞いているかな?」

 

そうサクモ先生がフガクとノエミに話を振った。

 

「まだです。タンバがサクモ先生が来てからって言ってたので」

 

そう答えたのはノエミだった。

 

「なんだ、まだ話してなかったのか。別に先に話しておけばよかったのに」

 

サクモ先生が俺を見ながらそう言って来た。

 

「まあ、一応サクモ先生の口からの方がいいかなって思って」

 

まあ、正直さらっと言ってしまっても良かったんだけどやっぱり上忍に10歳という若さでなったんだから少しは自慢したっていいと思うんだよな。

 

「そうか、なら僕から言おう」

 

サクモ先生は少し間をおき言った。

 

「タンバは上忍に昇格した」

 

フガクとノエミの2人にそう簡潔に言った。俺は若干胸を張ってみた。

 

「「ええええ〜!?」」

 

2人は思いの外驚いていた。



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第22話 フガクとノエミの実力

「「ええええ〜!?」」

 

サクモ先生が俺が上忍に昇格した事を告げるとフガクとノエミが声を張り上げて驚いた。

 

「だ、だってタンバはまだ10歳ですよ!?いくらなんでも早すぎるんじゃ!?」

 

そのフガクの問いにノエミも同意なのか頷いている。

 

「タンバが上忍にふさわしい実力を持っているかどうかは2人が一番分かってるはずだろう?タンバにはその力はないか?」

「そ、それは・・・」

 

サクモ先生がそう言うとフガクとノエミは黙ってしまった。まあ、一番近くで俺を見ていたからな。納得するしかないだろうな。

 

「確かにタンバは強いもんね。頑張ればいつかは追いつくんじゃないかって思ってサクモ先生に一対一で鍛えてもらったのに、また離されちゃった・・・」

 

そうノエミが落ち込みながら答えた。方やフガクは悔しそうな表情をしていた。だが、次の瞬間フガクが俺を指差しながら叫んだ。

 

「タンバ!待ってもよ!俺もすぐに上忍になっていつかはタンバを超える忍びになってやる!」

 

その言葉に触発されたのかさっきまで落ち込んでいたノエミも元の勝気なノエミの表情になった。

 

「あたしだって!まだ、タンバ勝つ事を諦めた訳じゃないんだからね!」

 

ノエミは最近になってまた鳴りを潜めていた勝気な性格が戻ってきた気がする。どうやらこの前の戦争で守られるだけだった自分が許せなかったらしい。修行のためサクモ先生と鍛えている間に勝気な性格が戻ったようだ。

 

そもそも元の勝気な性格が鳴りを潜めたのは俺との実力差に絶望したかららしい。まあ、これはノエミの修行を見ているサクモ先生から聞いたことだけど。

 

まあ、でもノエミはやっぱり勝気な方が似合ってると思う。

 

「うん、やっぱりノエミはそっちの勝気な方が俺は好きだな」

「なっ!?す、好きって・・・そんな・・・」

 

うん、言ってすぐ気づいたけど何でこんな事を言ったんだろう?フガクは驚いているしサクモ先生はニヤニヤしてるし。思わずポロッと出ちゃったけど、まあ本人は顔を赤くしながらも嫌そうにはしていないのでいいと言うことにしよう。

 

そんなことより問題はやっぱりこの力だよな。この力は神様から貰ったチートみたいなものだし、それで調子に乗っていると簡単に死んでしまうのがこの世界だからな。気を引き締めていかないとな。

 

*****

2人への報告も終わり早速任務のための移動となった。

 

今回の任務は賊の討伐だがどうやら賊のボスは霧隠れの里の上忍の抜け忍らしく、さらにそいつから忍術を学んだ下っ端たちも結構厄介らしい。

 

そしてさらに今回はややこしいことになった。

 

「いつもならタンバにこの抜け忍を任せるんだが、今回は2人のサポートに回ってもらう」

「それはタンバが上忍に昇格したからですか?」

「そうだ。もっと先になるだろうがやはり上忍ともなれば隊を率いたり俺と同じように下忍の先生になる事もあるだろうからな。その為の練習だ」

 

今までは強ければそれでよかったけど上忍になったのならそれだけではダメだという事で、サポート役というサクモ先生がいつもやっている立場になった。

 

当然賊のボスはサクモ先生が倒すので俺とフガクとノエミは下っ端たちの相手だ。

 

という訳でしばらく走っていると賊のアジトにたどり着いた。アジトは森の中であり風読みでも多くの人物が屯しているのが分かる。

 

「それじゃあさっき話した通りだ。タンバ、そっちは頼んだぞ」

「分かりました。極力サポートにまわります」

 

*****

「火遁・龍手の術!」

 

ザン!ザン!

 

「雷遁・雷鳴蹴!」

 

ドン!

 

「「ぎゃああああ!?」」

 

2人の攻撃により数多の賊たちが次々に沈められていっている。

 

「つ、強すぎる!?」

「こんな奴らに敵いっこねぇよ!?」

「こんな下忍いてたまるか!?」

 

・・・圧倒的だな・・・というかこれ俺必要か?フガクもノエミも強くなりすぎだろ。特にノエミが使っている雷鳴蹴ってサクモ先生が使っていた術だよな?雷切の脚版みたいな術。まあ、肉体活性がないみたいだから厳密には違うみたいだけど。

 

「あっ!風遁・空指銃!」

 

パン!パン!

 

「グアア!?」

 

フガクとノエミの後ろから忍び寄り攻撃しようとしていた敵がいたので、右手で銃の形を作り人差し指の先から風の弾丸をフガクとノエミの背後から忍び寄る敵に向かって撃ち援護した。

 

「2人とも攻撃に意識を割きすぎだ。もっと冷静に周囲を警戒しないと」

 

俺がそういうと2人は攻撃の手を緩めずに返答してきた。

 

「分かったわ。ありがとう」

「ぐっ!またタンバに助けられた!」

 

ノエミは素直に受け入れたのに対しフガクからは悔しげな言葉が返ってきた。

 

他の任務とかでも何回か助けてるからな。それの事を言ってるんだろうな。負けず嫌いだし。

 

その後も俺にも向かってくる下っ端を蹴散らしながらフガクとノエミをサポートしていると数十人もいた下っ端が十数分かけてやっと全下っ端を蹴散らすことに成功した。

 

「やっと終わったわね」

「一人一人は大した事はなかったがさすがに人数が多すぎだ」

 

フガクとノエミがホッとしているとノエミが周囲をキョロキョロ確認した。

 

「サクモ先生はまだかな?」

 

そうノエミが言っている。まあ、サクモ先生なら抜け忍をすぐに倒してフガクやノエミが戦っている最中に来ていてもおかしくないからな。

 

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「2人ともよくやった」

 

気配を消していたサクモ先生が俺たちの後ろから声をかけた。

 

「「うああああ!?」」

 

2人は気づいていなかったみたいだけど俺は風読みのおかげでサクモ先生の事は分かっていたので驚かなかった。

 

「タンバもサポートご苦労だったな」

「2人が思いの外強かったので楽でしたけどな」

 

こうして任務は終了した。

 



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