最凶の御遣い~北郷一刀再び外史へ~ (水無月 新人)
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第1話 北郷一刀、現代に戻る 第2話 北郷一刀の変化

少々文脈がおかしかったりしますが、よろしくお願いします。

では、始まります。
しばらくは日常が続くと思います。


『さよなら‥‥‥誇り高き王‥‥‥』

 

 

『さよなら‥‥‥寂しがり屋の女の子』

 

 

『さよなら‥‥‥愛していたよ、華琳━━━━━━』

 

続けて喋ろうとしても、もう声が出なかった………

 

視界が真っ白になり、青年の意識は沈んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピリリリリリーーーー

 

……なんだ、この音は?聞き慣れない音だな

 

不快な音が聞こえ、青年は目を覚ました

 

「…………やっぱり戻って来たか…」

 

青年の目の前には、数年前まで慣れ親しんだ自分の部屋があった。青年は上体を起こし、アラームを止めた。

 

その時、時計を見て驚愕した

 

あれだけの長い時間、三国時代で魏の皆と過ごしていたはずなのに、時間は1日しか進んでいなかった‥‥

 

青年は不思議に思った。 あれは夢だったのか?

実感が湧かず、ベッドの上で数分呆然としていると下の階から

 

『こらぁーー!!一刀!早く降りてきなさい。学校に遅れるわよ~。』

 

懐かしい母の怒鳴り声が聞こえた。

 

青年はその声を聞いて、感傷に浸るのは後にしようと思い、扉を開けて一階に降りた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一階に降りると、久しぶりに見る両親がいた。

 

両親の姿を見て、思わず涙ぐんでしまった。

 

『ほら、何突っ立てるの?早く朝ご飯食べなさい!学校に遅れるわよ。及川君もあと少しで来るんだから。』

 

『一刀~。お前、また夜更かししてたな~。早く寝ないから、起きれないんだぞ。』

 

二人の言葉を聞いて、青年は慌てて服の袖で涙を拭った。

 

 

「ごめんごめん、おはよう!お父さん、お母さん!!』

 

青年は笑顔でそう言い、席について朝ごはんを食べ始めた。

 

 

『なんだ?今日はやけに元気だな。何かいいことでもあったのか?』

 

『そうねぇ~。たしかに、いつもよりも調子がいいみたい。』

 

 

「べ、別に何もないよ………そういえば、一葉は?」

 

 

一葉とは青年より2コ年下の妹のことである。

 

 

『一葉なら、一刀が降りてくる少し前に出たわよ?それがどうかしたの?』

 

 

「ううん、何でもないよ、ありがとう。」

 

 

その後、朝ごはんを食べ終わり、歯磨きなどを済ませた。そして、玄関で靴を履き

 

「じゃあ、行ってきまーす!」

 

『はーい、行ってらっしゃい!』

 

『おう、気をつけて行くんだぞー!』

 

そして、青年は数年ぶりの学校に向かった。

 

家を出てすぐに、アイツがいた。

 

『おーっす!かずぴー。おはようさん!』

 

 

及川佑(おいかわたすく)、青年の親友の一人で、昔からの付き合いの長い友達である。

 

 

「おー、おはよう!及川。」

 

 

『ほな、行きましょか!』

 

二人は取り留めのないことを喋りながら、学校に向けて歩いていった。

 

 

『なぁー、かずぴー。今週の土曜日一緒に遊ばへん?』

 

「ん?別に構わないけど……」

 

『よっしゃ!なら、その日はよろしく頼むわ!』

 

 

及川は何故かその場でガッツポーズをした。

 

 

青年はある考えが頭をよぎり、尋ねてみた

 

 

「まさかとは思うけど、女子とかも誘ってないよな?」

 

『ま、まさか…そんなことあるわけないやん。」

 

 

「………図星だな。」

 

 

『堪忍してや~、かずぴー。かずぴーが来ないと女子も来ない言うとるんよ。』

 

「知らん。お前が勝手に女子と約束するのが悪い。俺は関係ないからな~。」

 

そう言って、青年は及川を置いてきぼりにして、先に進んでいった。

 

『ちょっ、置いていかんでよ~、かずぴー!』

 

及川は青年の後を追って走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

授業中、青年は物思いに耽っていた……

 

 

"やっぱり、あれは夢だったのか……?"

 

 

"いや、夢にしては、はっきりと覚えているから不自然だ"

 

 

"向こうでは数年間過ごしていたはずなのに、どうして、こっちでは1日しか進んでいないんだ?"

 

 

"考えても謎が深まるばかりだな~"

 

 

『………お………い ………カ…………ん……』

 

 

"でも、三国志の世界に飛ばされる直前は登校してたから、現実だよな"

 

 

"ヤバい、ますますわからなくなってきた……"

 

 

『おーい!かずぴー。なんで頭抱えとるん?』

 

 

青年の思考はそこで打ち切りになった

 

 

「どうしたんだ、及川?なんかあったか?」

 

 

『もう3時間目、とっくに終わったで。次は体育だから、とっくにクラスの皆は更衣室で着替えてグラウンドにおるで。あとはかずぴーだけや。はよせんと、授業に遅れるで。』

 

「えっ!まじで!?」

 

 

青年が腕時計で時間を確認すると、授業開始まであと5分を切っていた。

 

「やっば!おい、及川走るぞ!」

 

 

『あっ、待って~な、かずぴー。足速すぎやで。』

 

この時、一刀を追いかけていた及川は、ふと思った。

 

 

(あれ?かずぴーって足、こんなに速かったけ?)

 

 

 

 

 

 

 

なんとか授業開始ギリギリに二人はグラウンドに到着した。

 

授業の内容は持久走だった。トラック一周200mを10周走って終了だと体育教官から言われた。上位10人のタイムは発表するとのこと。

 

 

これを聞いて、青年と及川の二人は声を揃えて、『うわ~、ダルいわー。』と言った。

 

 

2クラスの男女全員がスタートの位置に立ち、教官のホイッスルが鳴ると、全員走り始めた。

 

 

ダルいと感じつつも本気で走ろうと青年は思った。

 

青年は意識を切り替えて走ることだけに集中した。この時、青年は周りのことを意識せずに、走ることのみに意識を傾けた。

しばらくして、青年は10周を走り切りゴールした。タイムを聞きにいくために、青年は教官のもとに走った。

 

すると、教官は驚愕の目で青年を見ていた。

 

 

『か、‥‥一刀、お前、いったいどうしたんだ?』

 

「はい??」

 

教官の言葉の意味が分からず、首を傾げていると、教官から信じられないことを言われた。

 

 

『お前、タイム‥‥‥‥、ぶっちぎりでトップだぞ。』

 

 

「え!?俺が?」

 

青年が自分のことを指差すと、教官は頷いた。

 

 

青年が信じられないのも当然である。

今、体育で持久走をしている2クラスの中には陸上で全国区の人が数人もいるのである。

 

当たり前のごとく、その人たちが常に1,2位を争っている。

その他にもサッカーやラグビーなどといった運動部の人たちが上位を占めている。

 

青年も運動部だが体力に自信はなく、持久走では常に中間の下あたりだった。

 

 

教官と話していると、ぞろぞろと走り終えてきた人たちがやって来た。

 

皆、口を揃えて『アイツってあんなに速かったけ‥‥』と言っていた。

 

 

 

しばらくして、及川が走り終わり青年のもとに来た。

 

及川は青年を見つめて

 

『かずぴー、どないしたん?むちゃくちゃ速くなっとるやん。秘密の特訓でもしてたん?』

 

と言った。

 

青年はそれを否定しようとしたが、あることに気付いた。

 

自分は学校では体力がない方だったはず‥‥‥

 

しかし、現在では陸上部に勝つほど、体力が上がっている。

 

‥‥やっぱりアレは夢じゃなかったんだ!

 

大剣を振り回す春蘭から逃げたり、地獄の調練に参加してヘトヘトになるまで訓練させられたりして、体力が付いていっていたのか!

 

 

"華琳たちと過ごした出来事は夢なんかじゃなくて現実だったんだ!"

 

 

疑問だったことが確認できると、青年の目から涙が溢れた

 

 

『えぇぇー!?かずぴー、どうしたん?いきなり泣き出したりして‥‥』

 

青年が泣いている姿を見て、及川はオロオロしてしまった。

 

「よかった~、夢じゃなくてほんとによかったぁ~。」

 

青年はしばらくの間、そう呟いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに余談だが、

この時、周りにいた人たちは及川が一刀を泣かせたと勘違いし、及川の学校での評判が一段階下がった。

 

 

 

 




誤字・脱字や訂正すべき点などを沢山、申し付けください(o^-')b !

次回の反省に生かさせていただきます(*^^*)

すいません、こちらでは1000字未満だと投稿できないんですね………
二話連続掲載になり、申し訳ありません

次回から気を付けます(^_^;)


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第3話 青年の決意

構成は思い付いても、文字に書き直すのって難しいですね。

では、続きをどうぞ(*^^*)

あともう少し日常が続きそうです。


4時間目の体育が終わった後、周りの人に心配され、放課後まで沢山の人から声をかけられた。

もちろんその中には、持久走の記録について聞いてくる人もいたが、青年は「ただ調子が良かっただけだよ」と答えた。

 

 

放課後になると青年は屋上へ向かった。

 

とにかく一人になって、考え事をしたかったので、青年は一人になれる場所に行きたかった。

 

階段を上り、屋上の扉を開ける。

 

夕方なので、心地よい風が流れ込んできた。

 

青年は、屋上の柵に肘を付け、空を見上げた。

 

 

向こうには何とかすれば戻れるはずだ………、しかしこのまま戻っていいのだろうか?

 

 

華琳は蜀と呉を統一し、大陸の王になったはずだから、平和な世になっているはずだけど……

 

 

戦乱の時、自分はろくに戦えもせず、ただ助言するだけの役立たずだった……

 

 

戻ったら、今のままだと絶対に自分が足を引っ張ってしまう……

 

 

なら、今から知識と力を付けて皆を支えれるように努力するべきだ!!

 

 

“”華琳たちの力になるために、強くなろう!“”

 

青年はそう決意すると、急いで屋上を出た。

 

階段を急いで下り、学校を出た。

 

そして、ある場所へと向けて走り出した。

 

 

目的の場所の目の前に着くと、青年は一旦止まった

 

学校から一度も休憩せずに走ってきたので、ぜぇぜぇと息を切らせていた

 

暫く休んだ後、青年は家の門をくぐった。

 

進み続けると、道場が見えてきた。

 

道場の扉を開けると、目的の人物が座っていた。

 

その人物は青年の顔を見ると笑った。

 

『おー、久しぶりじゃな一刀。お前が平日に来るなんて珍しいの~。』

 

 

青年が会いに来た目的の人物の名は、<北郷一心>。

青年の祖父で、剣道の達人である。

数百年の歴史を持つ剣術、北郷流の第35代目の師範代。

その実力は年を取っても衰えず、未だ健在とのこと。

 

 

「久しぶり、じいちゃん。今日は折り入って話があって来たんだ。」

 

青年の何か決意を固めた瞳を見た祖父は、気持ちを切り替えて尋ねた。

 

『お前はなぜ、儂に教えを乞おうと思ったのじゃ?生半可な覚悟では教える気にはならんぞ。』

 

その問いに対して、青年はこう答えた。

 

「お、俺には…、力が足りないんだ。支えてあげたい人たちを助ける力がないんだ……。」

 

「だから、お願いします!自分に稽古をつけて下さい!」

 

青年は祖父に土下座して、頼み込んだ。

 

『支えてあげたい人たちは、お前がそこまで肩入れするほどの人なのか?』

 

「あぁ、とても大切で大事な人たちだ。自分の命が尽きる、その瞬間まで支えたいと思っている。」

 

そう答えると、暫くの間、道場には静寂な時間が過ぎていった。

 

その間、青年は土下座し続けていた。

 

すると、祖父はカッカッカと大笑いし始めた

 

不思議に思って顔を上げると

 

『そうかそうか~、お前がそこまで言うなら仕方がないの~。よし、分かった!明日から稽古をつけてやる。』

 

 

「あ、…ありがとう、じいちゃん。これからよろしくお願いいたします。」

 

青年は感謝の意を込めて、祖父にまた頭を下げた。

 

『小さい頃は稽古をつけようとしても逃げ出し、つい最近までヒヨッ子のようなやつだったのに、随分様変わりしたの~。』

 

「あぁ、覚悟が決まったからかな……」

 

『カッカッカ、よう言うわ。なら明日からびしびし鍛えさせるからな!」

 

「はい、よろしくお願いします!じいちゃん。」

 

こうして、祖父との鍛練の日課が始まった……

 

 




誤字・脱字・訂正箇所を感想などで報告していただけると、助かります。

まだまだ拙いところもありますが、読んでいただけると幸いです。

では、また次話で(。・ω・。)ゞ


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第4話 青年の修行

え~、すいません(-人-;)

戦闘の描写をどう表せばいいかで悩んでいました……

まだまだ拙いところが多々ありますが、楽しんでいただけると幸いです(^_^)


祖父との鍛練はとても過酷だった。

 

まずは体力作りからだった。向こうの世界で少しはマシになるように鍛えていたが、祖父からまだまだ不十分だと言われた。

 

学校が終わり放課後になると、すぐに青年は祖父の家に行くようになった。

ちなみに所属している剣道部には、暫く休部すると伝えている。

 

祖父から出された体力作りのメニューはこうであった。

 

 

・町内(1周=約4km)を3周休憩なしで走る

・腕立て伏せ、腹筋、背筋を3セットそれぞれ

200回ずつ

・10分間の休憩

・近所のお寺の階段を往復20~40本

(一心の気分次第で回数が変わる)

・30分間座禅を組む

 

 

このメニューの内容を聞いて、青年は少しショックを受けたが、一度祖父に頼んでしまったからにはやり遂げようと思い、自分を鼓舞した。

 

最初のうちは、町内を3周走り切り終わった後、祖父の家の前で気絶して倒れていた。

その度に祖父は、水の入ったバケツを持ってきて青年の身体に水を浴びせて、起こしていた。

こんな日々が3カ月続いた。

その間、青年は弱音を吐かずに一生懸命取り組んだ。

 

その結果、青年の身体は以前とは比べ物にならないほどガッチリになり、座禅にも取り組んだことで心の乱れをなくすことができるようになった。

 

3カ月に及ぶ体力作りの次は、剣術の指導だった。青年は剣道部に所属していたが、実力は下から数えた方が早いくらいであった。

 

そのため、指導が始まってすぐに、祖父からの怒号が飛び、何度も指摘された。

力任せに木刀を振ると、祖父に竹刀で頭を叩かれたりもした。

 

だが、毎日木刀を振る続けると、少しずつ良くなっていった。

 

そして気付けば、剣を振る速さが音を置き去りにするまでになっていた。

 

青年は自分の実力がどれほどになったのか確かめたかったので、祖父に部活に行ってくると伝えた

 

 

祖父は笑顔で『行ってこい!』と返してくれた

 

 

久しぶりに剣道部に参加して部員との試合をすると、前までの実力が嘘のように次々と部員たちを倒していった。

 

 

そして、去年のインターハイの個人戦で優勝した不動先輩と互角に渡り合えるまでになっていた

 

不動先輩との試合は一時間以上続き、どちらも一本を取れなかったため、引き分けとなった

 

 

結果を報告すると、祖父は『そうか、そうか』と笑って頷いてくれた。

 

その後も鍛練は続いていった。

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剣術の鍛練が半年経つと、

 

『そろそろ、次の鍛練に進んでも良い頃じゃな。あと2つの鍛練をこなせば儂から言うことはもうないな。』

 

と、祖父にそう言われて、剣術の鍛練を終えた。

 

 

 

次の鍛練は『気』の習得だった。祖父はなんと気が使えたのだ。

 

祖父の気は凪のような放出型ではなく、春蘭や季衣などのような内気功型だった。

 

向こうの世界で、何度か凪に『気』について教わったことがあったが、結局上手くいかなかった。

 

『精神を無にして、心の奥で何かを感じ取ったなら、それを爆発させるようなイメージをするんじゃ。上手くいけば、それで気が発現するはずじゃ。』

 

祖父から言われたことを実践したが、なかなか上手くいかず、夕方になる頃には力尽きて、床に大の字に倒れた。

 

「あ~、駄目だ。出来ねぇ……」

 

 

『カッカッカ、そりゃそうじゃ!一朝一夕で気が身に付いたら苦労しないわい。今までの鍛練と同様にコツコツとしていくしかないわい。』

 

 

『明日、また頑張るんじゃな。儂はもう出るぞ。』

 

 

手をヒラヒラさせながら、祖父は道場を出ていった

 

 

「やるっきゃないな………、よし!頑張ろう」

 

 

青年は自分を鼓舞して、明日の鍛練に向けて家に帰った

 

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気の習得の鍛練を始めて、約2週間。

 

青年はようやく気の発現に成功した

 

発現した瞬間、青年は体の奥底から力が溢れるのを感じた

 

だが、発現したのも僅か数秒ほどで、すぐに気が尽きてふらつき、膝を着いてしまった。

 

 

『お~、この短期間でよく気が発現できたの。儂の場合は1カ月程かかったんしゃがなー。じゃが、本番はこれからじゃぞ。』

 

 

「えっ!?……」

 

 

『「えっ!?」とはなんじゃ。まだ、気を発現しただけで、気の総量が全然ないではないか。

そんなものでは、役に立たんぞ。』

 

 

正論を言われてしまい、青年は何も言い返せなかった……

 

『まぁ、そう落ち込むでない。気が発現できただけでも立派じゃ。』

 

祖父はそう言い、青年の頭をワシャワシャと撫でた

 

 

『一刀。これから毎日剣術と座禅に打ち込め。ただし、剣術はただ打ち込むだけでは前と同じじゃ。気を使いながら取り組むんじゃ。』

 

『気は自身の精神力・肉体の向上によって、必然的に総量も増えていくものなのじゃ。毎日欠かさずに励むのだぞ。』

 

 

「分かったよ、じいちゃん。毎日欠かさずに頑張るよ!」

 

 

こうして、青年は気の総量の増加に努めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(少し時を遡って……………)

 

一方、青年は鍛練だけを取り組んでいたわけではない

 

 

祖父に鍛練を願い出た後日から、鍛練をしていない時間は勉強に費やしていた。

 

もちろん、向こうの世界で天の国の知識を取り入れるためだ

 

元々、青年は普通の人よりも頭が良くなかっため、人一倍毎日努力した。

 

授業中の居眠りをなくし、予習・復習に力を入れた

 

その結果、三年生に上がった頃には学年で常に3位以上を保っていた。

 

(閑話終わり)

 

 

気の総量を増やす鍛練も、始まって一年近くが経とうとしている

 

来週末には卒業式が迫っていた。

 

いつも通り鍛練を始めようとしたら、祖父に呼び止められた。

 

不思議に思った青年は尋ねてみた

 

 

「どうしたの?じいちゃん。」

 

 

『うむ、そろそろ最後の鍛練に挑ませようと思ってな………。』

 

 

「本当!?やったーー!じゃあ、お願いします。ところで、最後の鍛練って何?」

 

 

『最後の鍛練は…………』

 

祖父がそう言った瞬間、祖父の体が目の前から消えた

 

そして、何かが自分の脇腹辺りを横切るのを感じて、咄嗟に青年は後ろに跳んだ

 

『ほう……、今のを避けるか。さすがは儂が鍛えただけはあるのう。』

 

青年が先程いた場所には、祖父が竹刀を振り抜いていた

 

 

「な、なにすんだよ、じいちゃん!危ないだろ。」

 

 

『一刀、これが最後の鍛練じゃ。儂と試合をして、勝てば北郷流の免許皆伝じゃ。じゃが、今回だけは制限時間を設ける。日没までに勝てなければ、免許皆伝はなしじゃ。よいな?』

 

「…………………………………」

 

 

青年は言葉が出なかった

 

 

"じいちゃんとの勝負だって?勝てるわけがないじゃないか"

 

 

『どうした、一刀?勝負前に諦めるのか?あの時の言葉は嘘じゃったのか!!』

 

 

祖父に言われ、青年はハッとした

 

 

"そうだった……。俺は華琳たちを支えるための力を身に付けるために、じいちゃんに稽古を頼んだんだったな…。じいちゃんの期待を裏切る真似なんて絶対できない!"

 

 

青年は覚悟を決めると、祖父を見据えた

 

 

『ほう、いい面構えになったではないか。覚悟は決まったかの?』

 

 

「あぁ、全力でいかせてもらうよ。じいちゃん。」

 

 

互いに己の武器を構え、相手に意識を集中させる

 

風が舞うと同時に二人は駆け出す

 

「「はぁーー!!」」

 

 

祖父の方がやはり速かった

 

青年が竹刀を振る時には、既に祖父の竹刀は青年の

首筋に直撃しようとしていた

 

だが、竹刀は青年には当たらなかった

 

 

祖父がその異変に気付いた時には、もう遅かった

 

 

青年は竹刀を祖父の首筋に突きつけていた

 

 

『カッカッカ、儂の負けじゃな。よくここまで付いて来れたのぅ……。流石、儂の孫じゃ。』

 

祖父は青年の頭を撫でて、誉めた

 

すると、青年の心は嬉しさでいっぱいになり、思わず涙がこぼれた

 

「うっ………うっ………」

 

 

『ほれ、男が涙を流すものではないぞ。』

 

 

祖父は青年の頭をクシャクシャと撫で続ける

 

 

暫くの間、青年は静かに泣き続けた……

 




誤字・脱字・感想などの報告、お待ちしています(。・ω・。)ゞ

できるだけ、早めに次は投稿します。


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第5話 小さなミス

大学のオンライン講義で忙しかったり、小説の内容を何度も変えたりして時間がかかってしまいました。

では、どうぞ!(っ´ω`)っ


『お前に渡したい物がある。付いて来るんじゃ。』

 

泣き止んだ後、祖父は青年にそう言った。

 

祖父に言われて着いた先は、道場の裏にある蔵だった

 

ここは北郷家の先祖代々の物が入っている

 

青年は小さい頃、祖父から『そこには絶対に入るでないぞ。』と強く言われていたので一度も入ったことがない……

 

中に入ると、沢山の木箱が積まれていた

 

『え~っと、どこじゃったかな?たしか、このあたりに…………』

 

祖父は積まれた木箱を1つ1つ確認していく

 

『あったあった!これじゃ!』

 

祖父は目当ての物が見つかったらしく、嬉しそうに言った

そして、青年の方を振り向く

 

『これが免許皆伝の証じゃ。大切にするんじゃぞ。』

 

祖父が渡してきたもの、それは一振りの日本刀だった

 

 

素人が見ても相当な業物であった……

いったいどれほどの価値があるのだろうか

 

 

青年は一瞬驚いて固まったものの、すぐに気持ちを切り替えた

 

 

「ありがとう、じいちゃん。これからも精進させていただきます。」

 

 

両手で刀を祖父から受け取り、青年は頷いた

 

 

『カッカッカ、よくここまで上りつめたの~。儂から言うことはもうない………。北郷流の第36代目としてこれからも精進するんじゃぞ。』

 

 

祖父からそう言われて、青年は疑問に思った

 

 

「あれっ?父さんって北郷流を継承してないの?」

 

 

『あやつはダメじゃ。最初でへばったわい。」

 

 

それを聞き、青年は苦笑いした

 

 

『よし、今日は一刀の免許皆伝を祝って、夕食は豪勢にしようかのぅ!いくぞ、一刀!』

 

 

「あっ、待ってよ~じいちゃん。」

 

 

青年は街に向けて走っていく祖父のあとを追った

聖フランチェスカ学園を卒業すると、青年は本格的に手掛かりを探し始めた

 

青年は大学には進学しなかった。勉強は魏の皆を助けるためにしていたことなので、大学に進む理由はなかった

 

しかし、これに両親と担任の教師は猛反対だった

それもそのはず。聖フランチェスカ学園は全国でも屈指の名門校であり青年自身も学年で3位以上だったので、担任からは国公立の難関大学を勧められ、それに両親も納得していた

 

だが、面談で青年が大学には進学しないと断ったので、担任と両親から反対されてしまった

 

家でも両親からとやかく言われていると、そこにじいちゃんが現れた

 

『一刀が決めたことだ。一刀の好きにさせい。」

 

祖父から助け船を出され、この騒動も治まった

 

 

 

 

 

 

 

まず、一刀は図書館や古本屋などで手掛かりを探すことにした

古代中国に関する文献に何かヒントがあるのではないかと思ったからだ

 

だが、結果は空振りだった……

 

もちろん、ネットでも探して、噂などがある場所に足を運んでみたが何も手掛かりはなかった

 

このまま闇雲に探しても手掛かりが見つからないと判断した青年は、中国に行くことにした

 

華琳たちと共に歩んだ地なら何かあるかもしれないという青年の直感であった

 

青年は今まで貯めてきた貯金を全て崩して、中国渡航の費用に充てた ……

 

 

 

 

(1ヶ月後‥‥‥)

 

 

青年は空港に行き、中国へ旅立った

 

 

やはりというか、1000年以上経った中国は様変わりしていた

 

 

町中は人で溢れかえり、車やバイクなどが行き交っていた

 

 

「さて、では行きますか。」

 

 

青年は手掛かりを探すべく、歩いていった

 

 

 

徐州、華北、洛陽、長安、涼州………などといった思い出の地に足を運んだ

 

 

その度に皆と過ごした日々を思い出し、青年は涙ぐんだ

 

「早く会いたいな…………。」

 

 

 

 

道中、道端にいる人にも聞き込みをしたりもした

 

青年は中国語と英語を学校で勉強していたので、難なくなく会話することができた

 

 

だが、数十日滞在しても手掛かりは何も見つからないまま、帰りの飛行機が明日に迫っていた

 

手持ちのお金もほぼ尽きかけていた

 

あと1日しか時間がなく途方に暮れていると、

メールが突然届いた

 

 

メールは及川からだった

 

 

メールにはこう書かれていた

 

 

『カズピー、元気にしてるかー?いきなり中国に行くとか言い出すから、びっくりしたわー。

三国志について調べてるんやったろ?近所の博物館で三国志の展覧会があるらしいから、一度来てみたらどうや?』

 

 

青年は「ありがとう、助かる。」と返信した

 

 

「さて、明日の帰りの準備でもしますか…。」

 

 

青年は泊まっている宿に向かって歩き始めた

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、青年は起きると宿を出た

 

大通りに出て、タクシーを拾い空港へと向かった

 

空港まで距離があったので、着いた頃には8時20分だった

 

 

帰りの飛行機は9時に出るので、急ぎ目で受付に行った

 

スタッフに荷物を預け、搭乗券に引き換えてもらった

 

急いで搭乗口に向かおうと思い、早歩きで向かっていると、途中で外国人とぶつかってしまった

 

「あっ、すいません…。」

 

その時、ぶつかった拍子に搭乗券を二人は落としてしまった

 

『いえ、大丈夫ですよ。そちらこそ大丈夫でしたか?』

 

「えぇ、すいません。急いでいて周りを見ていませんでした。」

 

青年は落とした搭乗券を拾った

 

そして、時計で時間を確認した

 

「やばっ、あと少ししかない!そ、それでは失礼します。」

 

 

青年はそう言うと、急いで搭乗券に記された番号の搭乗口に向かった

 

『ハッハッハ、気をつけるんだぞ!よい旅を!』

 

外国人は青年の慌てて搭乗口に向かう姿を見て笑った

 

『さて、私はお土産でも買うとするか……』

 

屈んで搭乗券を取ろうとしたところで、外国人はあることに気付いた

 

『なっ……………こ、これは…………』

 

 

 

一方で、青年は手荷物検査を終えて、搭乗券に記されたゲートに向かっていた

 

「ハァハァ、やべぇ。乗り遅れたらシャレにならねーぞ。」

 

焦燥感に刈られならがら、青年はなんとか8時40分にゲートに到着した

 

ゲートを通り、飛行機に搭乗して座席に座った

 

ここ数日の疲れが溜まっていたせいか、青年はすぐに眠ってしまった

 

 

この時、青年は気付いていなかった

 

 

さっきぶつかった拍子に外国人と青年の搭乗券が入れ替わっていたのであった………

 

 

外国人は拾った際に気付くことができたが、青年は急いでいたため、きちんと確認せずに取ってしまっていた

 

番号だけで判断していたので、取り違えたことに気付かなかった

 

 

 

外国人が空港のスタッフに知らせに行った頃には、青年が乗った飛行機はそのまま飛び立ってしまった

 

 




定期更新できるように頑張ります!

感想などいただけましたら、嬉しいです。

どなたか恋姫革命蜀√の霊帝について知っていることがあれば、教えてください!


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第6話 新たな始まり

……いやー、本当に申し訳ございませんm(_ _;)m

大学でのレポートがごたついて、なかなか更新できませんでした


では、どうぞ〜


 

『只今…………………に……………いたしました。』

 

 

 

「う、う~ん、やっと着いたか……。」

 

 

着陸のアナウンスが聞こえ、青年は目を覚ました

 

 

「さてと、まずは家に戻るか。」

 

 

シートベルトを外して、前の人が降りていくのを確認すると、青年は立ち上がった

 

 

手荷物を持ち、飛行機から降りた

 

 

外の景色を眺めて、青年はふと違和感を感じた

 

(あれ?なんか、前来た時と違う気がする…)

 

違和感を感じたまま、青年は預けた荷物を受け取りにいった

 

しかし、いくら待っても荷物は運ばれてこなかった

 

不審に思い、スタッフに声をかけようとしたところで気付いた

 

(ここ………どこだ?………)

 

 

青年はようやく違和感の正体に気付いた

 

 

数十日前に利用した空港の内装と今見ている内装が全然違っていた……

 

 

「おいおいおい………、いったいどうしちまったんだ?……」

青年は状況をよく呑み込めずに、呆然とした

 

 

(落ち着け……俺。まずは状況を整理しよう)

 

 

気持ちを落ち着かせて、状況を確認することにした

 

 

青年はスマホを開き、現在地を確認した

 

 

「えっと現在地はー………………は??」

 

スマホの画面を見て、青年は固まった

 

 

現在地に信じられないことが記されていた

 

 

 

 

 

 

アフリカ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんで、俺アフリカにいるんだ?」

 

 

 

なぜアフリカにいるのかが理解できなかった…

 

 

「とりあえず、スタッフに確認してみるか。」

 

 

確認してみたところ、日本行きの飛行機は今日はもう飛ばないとのことだった

 

 

青年の事情を説明すると、特別に明日の昼前の飛行機に乗せてもらえることになった

 

 

「ありがとうございます!」

 

 

青年はスタッフに軽く頭を下げて、空港の出入口に向かった

 

 

「はぁ~、こうなったら仕方ないし、今晩泊まれるところを探すか……」

 

青年は空港を出て、町へと歩いた

 

空港の近くにもホテルがあったが、青年の残りの所持金では到底泊まれそうになかった

 

 

だが、青年は気付いていなかった……

 

「日本」と「外国」との決定的な差を…………

 

 

 

 

「え~と、泊まれる宿はどこにあるのかな~。」

 

 

青年は町を散策しながら、宿を探していた

 

 

町はマーケットが開かれていてとても賑わっていた

 

 

「次はあっちの方に行ってみるか。」

 

 

そう言って、青年は別の道を進んだ

 

そこは先程とは違い、あまり人通りの少ないところだった

 

暫く歩いていると、後ろから車の音が聞こえた

 

青年が振り返ろうとした頃にはもう遅かった

 

車の扉が開き、男二人が出てきた

男は青年の腕を掴み、車に引きづり込んだ

青年は咄嗟のことでうまく抵抗できなかった…

 

僅か十秒にも満たない出来事だった

 

『よし、早く出せ!!!』

 

男が運転手にそう指示すると車は発進していった

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青年は手足をロープで拘束され、口には布を詰められて身体の自由を奪われていた

 

 

「ンンンんンンン〜ンンン」

 

 

車の中でジタバタもがいて暴れていた

 

 

「おい!殺されたくなかったらおとなしくしろっ!」

 

 

男は青年に怒鳴り散らして、首筋にナイフを突きつけた

 

(………ちょっ、えっ!?こいつらまじで何なんだよ……しかも絶体絶命だし………)

 

 

『だんな〜、少しは声を抑えてくださいよ〜。うるさくて運転に集中できないんですよ。』

 

 

『わーかったよ、ったく……おとなしくしてろよ……。』

 

 

男はそう言って、ナイフをしまった

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そのまま、青年を乗せた車は2〜3時間近く走っていた

 

 

縛られているため、外を見ることはできなかったが、

ガタガタと車が揺れていたので、山道に入っているのではないか、と青年は思った………

 

(う〜ん、俺臓器とか売られて殺されるんかな…)

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暫くして車が止まった………

 

ガチャッ 目の前のドアが開いた

 

『おいっ、こいつを引きずり出せ!』

 

 

男は部下らしき人に命令して、青年を車の中から引っ張り出して外に出した。

 

ドサッ

 

当然、ロープで縛られているため、青年は背中から地面に落ちた

 

 

『このガキの持ち物を全部持ち帰るぞ。』

 

 

男はそう言って、車に乗り込んだ

 

そうして、車は走り去っていってしまった

 

 

(あれ?…俺、荷物奪われて放置って、もう終わりじゃね?………)

 

 

縛られたまま、青年は自分の置かれた状況に恐怖を感じた

 

 

ファサッ……

 

 

乾いた風の音だけが寂しく聞こえた

 

 




活動報告にて、進捗状況などをお伝えしております。

コメントお待ちしています(^^)


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