催眠パワーでいけるのか!? (ヒミノまろ)
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0章
プロローグ


 何も感じない

 

 指先の感覚が無い

 

 むしろ腕や足の感覚すらない

 

 黒い世界のなかで漂う

 

 時間の感覚すら感じられない

 思考すら……

 

 ……ふと目の前に光が現れる

 そこに吸い込まれるように意識が飛んだ

 

 

 ―No.59492-072–530420025252-❇︎❇︎❇︎……︎-❇︎❇︎❇︎0101

 解凍

 

 

 目蓋の上から光を感じる

 

 目蓋? 

 

 ……腕、足の感覚がある

 

 久しぶりのような元からある形なのか、困惑する。

 そんな思考をしながら目蓋を開ける。

 

 ひらけた世界が飛び込み

 眠りから目が覚めたときに感じる眩しい光を感じながら周りを見渡す。

 

 真っ白な世界

 周りには何もなくただ広く真っ白な地面が続いている

 

「ここは? 一体どこなんだ……」

 

 全く知らない世界を見ながら思考を回そうとすると

 

「はーい! おめでと~!! 君は選ばれました! ぱちぱち~」

 

 そんな声が聞こえたと同時に

 

 ぽんっ! と擬音語がつきそうな感じでいきなり小さな女の子が現れた。

 

 小さいと言っても自身の身長の半分位だろうか……

 髪の色は漆黒で艶を持たせたよに煌びやかに輝いている。

 長さはセミロングくらいだろうか、それが赤い瞳とあって少女ながらも妖艶さ淫靡さを感じられた。

 別に性衝動というよりかは雰囲気がそうさせているだけであるけれど、タブーに触れるような背徳感が背筋を貫く。

 ただ少女の背中に黒い翼があってそれがぴこぴこと動いている時点で、まともな人間ではないだろうと想像がつくのだが……。

 

「選ばれたってどう言うこと?」

 

 とりあえず少女が喋った内容を聞こうとする。

 すると少女は翼を動かし、体を浮き上がらせる。

 体が浮くと言う摩訶不思議な現象を見て驚きを隠せず、目を見開いて彼女を見ていると自分の目線の高さまで顔を合わせて言い始めた。

 

「あー細かいことは置いておいて、君にはあることをして貰います」

 

「ええっ?」

 

 会話が成立しているかどうかと言う感じで、彼女は一方的に話を始める。

 

「あることと言うのは、とある世界に行ってある意味のハーレムを築いて貰います!! やったね!!」

 

「???」

 さらに訳が分からない事を言い始めた。

 

 少女は自分の顔をじっと見ながら呟く。

 

「うーん。理解度はあまり良くなさそう……ま! いっか!! こう言うのは数が勝負だからね!!」

 と独り言のように呟いて話を続けた。

 

「ハーレムを作るにあたって君にはとある能力を……」

 

「ちょっと、ちょっと待ってくれ!!」

 

 話を続けようとする少女の言葉を遮り、言葉を続ける。

 

「いきなりハーレムとか……意味が分からない事を言い始める前にここは一体どこなんだ?」

 困惑しか出てこないが全く意味がわからないよりかは、現状を把握しないと取り返しが付かない気がして、少女を問い詰めようとする。

 

「むっ!! ……まぁ、大体がこんな反応だったの忘れてた……。うーん。そんじゃ、少し現状を説明するね!!」

 

 最初少女は話を遮らされてムッとした表情を見せたが、少し考えた表情を見せて不本意ながらな表情を浮かべながら、話を続け始めた。

 

「まずは、君は分からないかもしれないけど、君は死んでしまいました!! 残念。シクシクだね!!」

 

「はっ??」

 

 死んだ?? 何故?? どうして?? 

 自分の記憶を思い出そうとしても、うまく記憶がまとまらず、困惑を重ねてしまう。

 そんな気持ちを無視しているような感じで、少女はもう少し体を浮き上がらせて、得意気な顔を見せつつ話を続けた。

 

「そして、君は魂のような存在となり、ここに呼ばれたのね。ここは……まぁ、ある意味死後のような世界」

 

「死後の世界……」

 

「そ!! まぁ、本来なら死んだ魂は生きていた人生の精算を見て次の魂の紡ぎの世界へ組み込まれるんだけど……」

 

 輪廻転生と言う意味だろうか……記憶を探ろうにも余り思い出せない現状だが、宗教はあまり信仰していないはずと言う気持ちが先立つ。

 だけど、まさか死後の世界が存在するとは思いもよらなかった。

 と言うのも自分の根底に感じられるのは、死と言うのは動物的思考がある意味正しいと思っていて魂と言う存在の考えはある意味否定はしないが、結局死と言うのは脳が死に体が死にタンパク質の塊になってしまい、その本人自体は世界から消え終わると言う何も救いはない状況。

 

 だからこそ本能では人は子孫を残し、自分と言う存在を遥か彼方まで記憶として残そうとするのではないか。

 

 と思っている。

 まぁ、そんな考えは人それぞれで他の考えを否定するつもりは全くないが自分はそれを根底に感じられてしまうので、こう言った死後の存在と言うのは正直疑わしく感じられてしまう。

 

 そんな気持ちを考慮せず、と言うか全く気づかないであろう考えを思いながら少女は話を続けた。

 

「さっきも言った通り君は選ばれたので、次の紡ぎには参加せずに今回の話があるってことだね!!」

 

「今回の話ってさっき言っていたハーレムを作るってこと?」

 

「そっ!!」

 

 まるで君にはご褒美をあげるよ!! って顔を浮かべつつぱちぱちーっと拍手をしてきた。

 

「いや、全然まるで意味がわからないんだけど……なんでハーレムを作らないといけないの?」

 

「えー?? 男の夢ってハーレムで酒池肉林をすることじゃないの??」

 

「いや……ある意味は正しいのかもしれないけど…………」

 ある意味の否定は出来ないと言うか……極論を突きつけられた気持ちだ……。

 

「でしょ!! だからある意味手取り早くハーレムを作れるように君に能力を与えて、とある世界に行ってもらおうと思うんだ!!」

 にこにことしながら、少女は話としては似つかわしくない話をしてきた。

 

「待てよ……これって……」

 こう言う話ってある意味……聞いたことがあるような。

 聞いたことがあると言うか読んだことがあると言うか……

 

 ハッとして、

 

 読んだことがある。

 

 曖昧な記憶の中おそらく自身が好んでよく読んでいたと言う概念のみが、思い起こされてくる。

 

 異世界転生

 

 そうだ! 

 よくある一般人(ときには有名人)が異世界と言う名の別次元にいき、己の知識、力、アイテムなどを駆使しつつ無双すると言うお話をよく読んでいた記憶が思い起こされる。

 あくまで読んでいたと言う概念のみなのだが……一つ思い出せただけでも進展があったのは、嬉しい気持ちが湧き上がる。

 

 と言うことはある意味よくあるハプニングはあるとはいえ、基本的にはイージーに進めることが出来るのではないか? 

 あの少女が神本体なのかそれとも使いの者かは知らないけれど、言うにはハーレムを築く為とは言っていたのと、能力を与えると言っていたので恐らくはチート能力だと思う。

 確かに選ばれたなら幸せになるはずなのでは、とどんどん思考を重ねていくと。

 

「ん? 反応が薄いけど、ずっと考え込んでどうしたの?」

 

 少女はそう言いながら自分の顔を覗き込むように喋ってきた。

 

「ん……。あぁごめん。戸惑って色々と考えてしまったけど、もう大丈夫だ」

 

「そっかー! ならもう大丈夫なんだよね!! それじゃ、早速……」

 

「待ってくれ!? 考えていたことが大丈夫であって、話自体はまだまだ突っ込み所満載だよ!!」

 

 慌てて少女が何かしようとしていた所を大きな声で中断させる。

 

「えー? もう良くない?? 大丈夫だったんでしょ??」

 

「いや、だから考えが纏まっただけで、話自体は全然分からないよ……」

 

「むー。じゃあ、他に聞きたいことはあるの??」

 

 少女は若干むくれながら話を促してきた。

 

 ……考えろ。

 

 確かに良くある転生者物語だとして本当にそれで良いのだろうか。

 ここのパターンは大まかに分けたとして、

 

 1.良くわからないまま転生させられて実地学習をさせられる

 2.話を聞いた上で、実情を把握しつつ交渉などなどを行いプラスの材料を貰い転生する

 

 結局はどっちも上手くいくのが物語であるのだが、それでも事前に知るのと知らないのでは、雲泥の差があると思うのが、一般の考えだと思う。

 

 が、しかし話を聞けるまたは交渉が出来る相手なのだろうか……? 

 

 上手く行くパターンとしては、神が

 

「間違って殺しちゃった! たくさん特典あげるから許してね! てへ♡」

 

 とか言って許しをこう代わりに特典を与えるパターンだけど、

 

 本当にそんな上手い話はあるだろうか

 

 逆の立場で考えてみた場合、

 

 自分は相手とは次元が違う存在であるのにも関わらず、下等の存在に対して謝ると言うことはまずあり得ない。

 例えば間違って、存在を気づかないままアリを踏み潰したとして、アリに謝るだろうか。

 

 コミュニケーションが取れる存在じゃないと謝らないのであれば、家畜として生きている存在を殺して自分の糧とする行為は謝るべきなのか。

 

 自分としての答えは否

 

 そもそも会話が出来たとしても、人は人を下に見たときにはどこまでも残酷になれるのは良くある話と思う。

 他の生物としても罪悪感を感じた上で、あくまで祭り上げて奉じる存在として和らげる行為はあるだろう。

 

 だけど、あくまで殺したことに対しては表向きに謝る気はないだろう。

 

 だってそれは

 

 自分たちは生きていく為に必要なことであるから

 

 まぁ、この辺りは極論を持って臨むのであれば、反論は出来ると思うけど、結局は、植物、昆虫、微生物も含め生きているもの以外を摂取して生きる行為と言うのは、正直難しさは半端ないだろう。

 かと言って、この手の話は平行線にしかならないと思うので、自分の根底を持つしか無いと思うのだが、それでも考えれば考えるほど、上位の存在が下位の存在に謝るのは大多数的にあり得ないだろうと思う。

()()()()はそう言う風に作られてしまっていたのだから。

 

 閑話休題

 

 それはそれとして、話は進めないといけないだろう。

 口調に関しては、砕いた口調でやってしまったと思ったが今のところ相手側が不快に思っていない感じなので、急に変えると不審を与える可能性も考慮しつつ様子を見て調整できればと思う。

 いきなり切れるとかをしない限り大丈夫だと思いたい。

 

 少女のむーとした表情のままこちらを伺っているので、まずは柔らかく問を進めようと考えた。

 

「まずは、死んだってことだけど、どう言う死因だったの?」

 

「えーっとね」

 

 少女はパッと手から電子機器の端末ようなものを取り出して操作をする。

 

 死後の世界って電子機器があるんだ……

 

 究極どうでも良いようなことを考えていると、少女は目的を見つけたのか目を輝かせる。

 

「死因はね。隕石が落ちて来ちゃって全滅だね」

 

「は?」

 

「だーかーらー隕石が落ちて来ちゃったので、その星の人類は死んじゃったの!!」

 

 衝撃だ……

 

 衝撃すぎる……

 

 他の星に人類って存在するんだ……とか思考を放棄したことを考えつつ、もはやなんも言えねぇと言う表情を前面に出しながら言葉を出した。

 

「あぁ……そうなんだ……まぁ痛みを感じずに死ぬのはマシだったのかな……?」

 

「さぁ? これで質問は終わり?」

 

「待って待って。聞きたいことはまだあるよ」

 

「えー。もう良く無い? パッと次行きたいんだけど……」

 

 引き続きむーとした表情をして言って来ているので、慌てて次の質問を考える。

 とりあえず、そんな長くは持ちそうに無いと思うので、どんなに困惑しても前提を仮定として進めないといけないな。

 

 仮に死亡から転生して、ハーレムを作るとして、

 

 なぜ自分が

 

 他の世界で

 

 ハーレムが作る必要があるのか

 

 あたりを聞き出さないといけないと考える。

 

 ……と言うか冷静さを持続出来るのはここが死後の世界のせいなのかな? 

 どうでも良いことを考えつつ質問を出す。

 

「最初に戻るんだけど、選ばれたって何かあったの?」

 

「えー? 選ばれたってだけで喜ぶ人が多いのにそこ引っかかっちゃうの?」

 

 少女はうーむと悩む表情を見せつつふらふらと周りを飛びながら言葉を発する。

 

「運かなぁ。見る限り特に悪いこともせず良いこともせずって感じだし、どちらかと言えば陰に染まりそうだから可能性としてだね」

 

「陰? それってどう言う意味?」

 

「うーん。説明がめんどくさいから説明しなーい!!」

 

 あははと言いながら少女は飛び回る。

 

 これは突っ込んでも良いものだろうか……

 相手の行動ひとつで色々と変えられる可能性があるともどかしい。

 

 ___

 

 少女は対象を見つつ相手側に伝わらないように小さく呟く

 

「うーん。感情の起伏が乏しいかな。大体勘違いした人はこの辺りで……」

 

 無謀にも突っかかり霧散するんだけどね。

 漏れた魂はそれはそれで美味。

 

 そんなことを考えつつ、首を傾げながら対象を見る

 まだ解凍されたばかりの魂。

 

 無垢と言うにはほど遠いが、何色にも染まっていない状態

 これをある程度染めることがひとつの目的

 

 まぁ、それ以上の可能性はなきにしもあらずだが、それは対象の成長次第だろう。

 

 やらないと行けないと言う考えを植えつけて飛んでもらわないとなので、程々に思考を誘導させつつ、話を進めようと考えるが……

 

 ま、どう言う風に転んでもこっちには損はないから、考え過ぎずに行こう!! 

 

 持ち前の適当さを発揮して次の言葉を発した。

 __

 

「ま、宝くじがあたった見たいな感じで良いと思うよ。そこを深く考えてもしょうがないね。選ばれたと言う結果が重要なだけ」

 

「そうなのか?」

 

 決められた過程に対する結果がランダムと言うことは、自分だけではなく他にも候補がある。

 そうすると自分だけ言うよりたまたま合致する何かがあったのだろう。

 そして他にも候補あると言うことは特段自分に対する唯一無二の有利性は見込みが薄い。

 

 下手に勘違いでブッ込むとろくなことにならなそうだ……。

 

 要するに就職試験の書類審査に合格した程度だろうとあたりをつける。

 勘違いして伺うと余裕で面接落ち。お祈りの手紙をもらうことになる。

 

 貰うだけで済めば良いけど……。

 

 ろくなことを考えつつ、少女を伺うとこちらに向けて笑顔を見せつつ口を開く。

 

「そ! だから運が良かったと思えば良いよ! 一生分の運だね!! 死んじゃったからもう使いようがないけど」

 

 けたけたと笑いながら飛び回った。

 

 ……とりあえず、気にせず話を進めよう。と気を引き締める。

 

「次の世界ってどう言うことかな?」

 

 うーんと考えた姿を見せて少女は話はじめた。

 

「次の世界って言うのは君が元々いた世界では無く、他の世界に行ってもらうってことなんだけど……」

 

「それはよくある話として、ファンタジーの世界見たいな感じなの?」

 

「お! 良く知っているね!! そうそう。そんな感じ。ただ、完全に君が思っているファンタジーとは言えないかもしれないだけどね」

 

 ?? 

 どう言うことだ? 

 

 困惑を浮かべてしまった顔を見て少女はピッと人指先を立てて

 

「君の記憶の中で、完全に知っているとは言えない世界をピックアップしてそこからランダムに行ってもらうから。君の世界に無かった魔法とかある世界じゃないかもしれないね」

 

 だからファンタジーとは言えないと言うことさ。

 

 と少女はドヤ顔でそう言ってきた。

 

「……そこで何故ハーレムを作る必要があるんだい?」

 

 おろっと少女はせっかくのドヤ顔を流されてしまった肩透かしの動きを見せてきた。

 そしてすぐ体勢を作り直して、言葉を伝えてくる。

 

「それはさっきも言ったけど、ハーレムって男の夢なんでしょ。だったらその夢が簡単に叶うなら作ってみたいと思わない?」

 

 確かに数ある夢の中の一つとしてたくさんの女性に好かれたいと言うのは存在するだろうけど……

 

「男の夢と言うのは否定しないけど、それを希望するかどうかは別問題と思うよ……」

 

「そうなの? まぁ、いいじゃん!! 欲望の限りを尽くして色々と気持ちいいことしたいでしょ?」

 

 純愛主義者では無いけど……こう言うふうに強制っぽいのを言われるとどうしても美人局感が強く見える。

 

 微妙な顔をしていると少女はしびれを切らしたように言葉を発してきた。

 

「あーもう!! なんか煮え切らない態度だなぁ!! せっかくのチャンスなのにやらないの??」

 

 その言葉にふと疑問をぶつける。

 

「やらないと言う選択肢はあり得るの?」

 

 その言葉を聞いて少女はキャッキャと言う感じで、自分の周りを飛びながら

 

「やらないと言うことは出来るよー。だけどー」

 

 だけど……? 

 

「その時には残念だけど、君は()()()なっちゃうだろうねー」

 キシシと笑いながら少女は告げてきた。

 

 強制じゃねぇか……

 

 と脳内で突っ込みを入れつつ考える。

 

 自殺願望が無ければ、自分の存在を維持するために言うことを聞かないといけないらしい。

 

 まぁ、今は死んでいるですけどね……

 

 とは言え、自分と言う存在を持って再度生きる事が出来るのであれば、それに越したことは無い。

 個人的に生きて幸せな生活を送りたいと言うのは人として間違ってはいないと思う。

 

 今の世界とは別のファンタジーに近い世界と言う事(現存の世界滅んでいるみたいだし……)なので、文明が発展し過ぎて無ければ何かしらのアドバンテージはあるだろうから、

 多少は賭けの要素が強くても大外れはなさそうと検討する。

 

 どちらにせよ受けるしかない状況なので、言い訳の部類に入るだろうが、納得出来るレベルかどうかは考えないと精神が落ち着かない。

 

「で、受けるってことでいいんだよね?」

 

「……状況的に受けるしかないんだろうな」

 

 少女はにぱっと笑いながら

 

「それじゃ、契約成立ってことで!!」

 

 と言って手のひらをこちらに向けてきた。

 

 そうすると手のひらから真っ赤な光が溢れてこちらを照らし出す。

 その瞬間

 

「あづっ!!!」

 

 左手首に熱く痛みが走り出す。

 痛みは一瞬であったが、いきなりな展開に声が漏れた。

 

 光が収まり痛みを走った左手首を見てみると、そこには腕時計を付けたように手首一周する真っ赤な刺青のようなものが掘り込まれていた。

 

「ではでは、簡単だけどその能力について説明するね!!」

 

 よしよしと上手く行ったと言う表情を見せながら少女は話をしてきた。

 

「能力?」

 

 そう言えば、最初に能力を与えるとかどうかと言っていたが……

 

「そ!! 簡単にハーレムを作れるように君には素晴らしい能力が与えられたんだ!!」

 

 ドヤっと少女はそう伝えてくる。

 

 能力……俗に言うチートだろうか。

 

「その能力を使うのは簡単!! 相手を左手の人差し指で1分指して相手のフルネームを言って……」

 

 そう言って、少女はこちらを指差す

「相手から返事があるとなんと!! 何でも言うことを聞いてくれるのです!!」

 ばーんと指差し銃でこちらを撃ち抜く表現をして言ってきた。

 

 ……チートだな。

 

 そう思い自身の人差し指を見る。

 なんでも言うことを聞くと言うのは、言葉通りなら恐ろしいくらいのアドバンテージだ……。

 

「まぁ、使うにあたり簡単な注意事項は必要なんだけど、これは転生したあとに説明されるから……(多分」

 

 ボソっとちょっと不吉なことを言ったので、そこを聞こうとする前に少女は話を続けてしまった。

 

「ではでは、それじゃハーレム作り頑張ってね!!」

 

 そう言って、再度こちらに手のひらをかざしてくる。

 今度は青色の光が輝き出し、こちらを照らし出した。

 

 そうすると自身の体全体が薄くなるように消え始めてきた。

 展開が早過ぎて、戸惑うがもはや動き始めてしまったのはどうしようもなさそうだ……。

 

 ならせめて、

 

「そう言えば、遅れて申し訳ないんだけど、君の名前を教えてもらっても良いかな?」

 

 自分の名前は……

 

()()()()()()()()

 

 実際、自分の名前が思い出せないと言う状況は、急に叫びたくなるような不安しか湧き上がらず、焦燥感が募っていくのだが、ふと取り乱してもしょうがないと言う一周回った考えに行きつきひとまずは後回しにしようと棚を上げる。

 そんな心が吹き荒れた状態ではあったが、相手の少女はこちらの様子に気づく事もなく、

 

「え? うーん……名前かぁ……」

 

 と悩んでいるそぶりを見せてきた。

 

 名前を教えるのは不都合にあたるのだろうか……? 

 

 

 少女はこちらに手のひらをかざしつつもうーむと悩む姿を見せてくる。

 だがそれも一瞬で、

 

「ま! いっか!!」

 

 と結論を出したみたいだ。

 

「私の名前はリリーって名前だよ」

 

 ドヤっとそう告げてくる。

 

「リリー……」

 

 特に記憶にピンとこない名前だった。

 

 ……ハズレだったのかな

 

 何かしら刺激になれば良かったのだが、特に都合の良い展開にはならなかったので残念に感じる。

 

「そ! まぁ次会うのは……いつになるか良く分からないけどね」

 

 てへっと少女はそう言って来た。

 

 転生後、会う事があるのか? 

 上手く考えがまとまらないまま……自身の身体が消えはじめる。

 

「それじゃ、ハーレム作り頑張ってね!!!」

 

 最後にリリーはそう言った……。

 

 __

 

「ふうっ……」

 

 手のひらの光を収めて、正面を見るとそこには何も残っていなかった。

 

「よしっ。転送成功っと」

 

 いえーいと身体を伸ばしつつ辺りを見渡して、指をぱちんと行うと、白い世界が崩れ去る。

 

 崩れ去った世界の後には、まるで実験場のような機械と硝子に覆われた世界が存在した。

 

 ま、実験場そのままなんだけどね。

 

 脳内に突っ込みを入れつつ、出口の方を向きそこから移動を開始した。

 

「さてさて、今回はどこまで()()出来るんだろうなぁ~」

 

 ありきたりな食糧としての無垢な魂

 

 絶望に染まった魂

 

 絶望に抗いつぶれた魂

 

 絶望を越えた魂

 

 そして……

 

 まぁ、そこまでは行かないにしても少しは美味しく美味しく育ってほしいところではある。

 崩壊されるはずの世界にてどこまで深く潜れるだろうか。

 

 ふんふん~と出口の扉を開け移動する。

 

「楽しみだなぁ~♪」

 

 そうリリーは呟いた。

 

 __



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1章(無印前~無印編)
1話


 白い世界から消えた後、そこにあったのは

 

 黒い

 

 黒い

 

 闇と呼べるべき中に存在していた。

 ただただ漂う感覚が続く

 ゆら

 ゆらゆら

 ゆらゆらゆら

 ゆらゆらゆらゆら……

 思考が纏まらない。ただただ黒い闇の中をふわりふらりと漂っている

 …………

 一体どのくらい漂ったのだろう

 

 5分? 1日? 1週間? 1ヶ月? 1年? 

 

 良く分からない時間感覚の中、急に浮上する感覚が出て来た。

 ふと前を見てみると光が見える。そこに向かって身体が急スピードで突っ込んでいく。

 

 光の中に入った瞬間

 意識が途切れた……

 

 

 ちゅんちゅんと小鳥の囀りが聞こえて来た。

 微睡の中、意識が少しずつ覚醒しようと身体を動かす。

「ん……」

 もぞもぞと布団の中で、身体を動かしているとだんだんと意識がはっきりとしはじめる。

 覚醒しはじめた意識の中で、ふと思う。

 今日は……

 

 今日は? 

 がばっと身体をおこす。

 

「ここは……どこだ?」

 辺りを見渡す。

 

 部屋の広さは大体6畳くらいだろうか。窓もありそこから明るい光が飛び込んでいた。

 机、椅子、そして今、寝ていただろうベッドと簡素な状態ではあるが、部屋の中にいると言う事実を認識できるが、どうにも視点が低く感じる。

 自身の腕を見てみる。

 小さい……

 確か、記憶は曖昧だったが自分は青年と呼ばれるような年齢であったような気がする。

 だが見てみる限りどう見ても年少の腕だ。

 違和感を覚えつつもベッドから移動を行い、窓を見てみると記憶には無いが、他の住宅もたくさん見えここは住宅街だと思える。

 高さ的にはここは2階だろうか。

 ふとさらに周りを見渡してみると……机の上に紙が置いてある。

 

 移動して、それを手に摑み見てみると

 

 

 

 ▼▼

 

 転生おめでとー!! 

 

 ▲▲

 

 

 その最初の文を見たとき、思い出す。

 

 そうだあの訳が分からない所で転生させられたんだ。

 色々と情報も吸い出す事ができなかったことを悔やみつつその紙を読み進める。

 

 

 

 ▼▼

 

 転生おめでとー! 

 これを読んでいると言うことは無事転生出来たってことだよー! 

 よかったね! ぱちぱちー。

 

 ▲▲

 

 

 転生が失敗することもあり得るのかよ……。

 若干背筋が寒くなるような文が書かれていたが、ひとまず読み進める。

 

 

 ▼▼

 

 この世界は魔法少女リリカルなのはと言う名の世界なのです!! 

 よかったね!! 魔法があるよー!! にこにこ

 

 ▲▲

 

 

 魔法少女リリカルなのは……

 確かに知ってはいるが、中途半端にしか知らない……

 斜め読み程度しかしていないので、主要人物や起こり得ることは分かるけど、細かいところはさっぱりだ……

 

 

 ▼▼

 

 とは言っても、原作と呼ばれる世界とは別物なんだよねー。

 あ、別物とは言っても人物とか魔法とかその辺りはちゃんとしているよー。

 

 ▲▲

 

 

 ……別物? 

 

 

 ▼▼

 

 別物と言うのは、その世界ではストーリー上、世界がヤバイ! って時に失敗しちゃった世界なんだよね。

 

 ▲▲

 

 

 ……? と言うことは……

 

 

 ▼▼

 

 で、君にはその世界がヤバイ! って時には手助けをしつつ、ハーレムを作ってもらいます!! 

 

 ▲▲

 

 

 まじかよ……

 そんなの言ってない! まぁ、そんなのは聞きようも無いだろうけど……

 

 早速の暴露に憂鬱になりながら読み進める。

 

 

 ▼▼

 

 世界を救いながらハーレムを作る。まさにロマンも含めた男の夢がぎっしり!! やったね!! 

 ちなみに何もしないと君も一緒に世界が滅んで終わっちゃうので、ファイト!! 

 

 ▲▲

 

 

 クソが……

 

 

 ▼▼

 

 そういえば転生前にお話しして上げたけど、能力の使い方を記載しておくね!! 

 

 君に与えたのは催眠能力と呼ばれるもので、催眠をかけるには、人差し指を催眠したい相手に1分以上差した上で、相手のフルネームを言い相手から返事を受けると催眠状態に入るよ! 

 催眠状態に入ってから解除するには、人差し指で解除したい相手を差した上で「終了」と言えば大丈夫!! 

 催眠中にはいろんなことを命令する事ができるよ!! 

 この辺りは実際にやってみるといいかなー。

 

 ▲▲

 

 

 大体、転生前に聞いていた通りだな。

 けど、確か注意事項があると言っていたが……

 

 

 ▼▼

 

 そうそう。注意事項としては

 催眠状態を見られる。

 催眠を仕込んだ後で、その人が催眠がかかっている事がバレる。

 君が催眠をかけているのと催眠手順がバレる。

 上記が発覚しちゃうとペナルティが発生しちゃうから注意だね!! ドキドキ

 あ、後、男性には催眠がかからないから注意!! (だってハーレムを作るためだもん)

 

 ▲▲

 

 

 まじかよ……

 と思わず突っ込みを入れたくなるくらい面倒な事が記載されていた。

 

 

 ▼▼

 

 まぁ、チートと呼ばれる能力を貰う以上、対価が発生するのは当然だね!! ドヤっ

 ちなみにペナルティは発覚した時に教えるよ!! (どうやって教えてもらえるかは秘密♡)

 

 ▲▲

 

 

 ……と言うか、一々イラッとくる文章だな。

 選ばれたんじゃ無いのかよ……と一昔前に自分が考えたことを棚に上げて叫びたくなる。

 

 

 ▼▼

 

 さて、先ほども記載したけど、君には世界を救いながらハーレムを作ってもらうんだけど、

 ハーレムのメンバーは俗にいう原作で名前が存在する中心的メンバーだね!! 

 可愛い娘が沢山!! やったね!! 

 とは言っても詳しすぎない世界だと思うから誰が対象者か分からないと思うので、

 そこを判別する機能もつけたんだよ(私って出来る子!!)

 

 対象者かどうかは左の手のひらを向けると分かるようになります!! 

 腕にある五芒星の紋章が赤く光れば対象者、青く光ればサブ対象者です!! 

 あ、ちなみにその腕についてるものは他の人から見えないから安心してね!

 

 ▲▲

 

 

 サブ対象者? 

 

 

 ▼▼

 

 対象者を沢山ハーレムメンバーにするとご褒美が貰えるんだけど、

 サブ対象者もハーレムにするとさらに追加でご褒美が貰えちゃうんだ!! (スゴい!! 

 

 ▲▲

 

 

 ご褒美って……この流れだと怪しそうだな……。

 

 

 ▼▼

 

 ご褒美は貰える時になったら説明するね!! 

 ちなみにその家は君専用に作ったんだ! 主人公が居る海鳴市だね!! その家にあるものは自由に使っていいよー。

 両親も居なくても違和感をわかないように調整したのでハーレムの巣にすることも可能だよ!! やったー!! 

 

 ▲▲

 

 

 ……中途半端に気が利くのも腹が立つな……

 色々とイライラしながら最後まで読み進める。

 

 

 ▼▼

 

 ではでは、ハーレム作り頑張ってね!! 

 ちなみに催眠にかけた時点で、ハーレムメンバーに組み込まれるから、

 その能力を使うなら、ハーレムは必ず出来ちゃうから安心してね!! 

 

※ここまで読み進めると自動的にこの手紙は消去されます(ビーガガ……

 

 ▲▲

 

 ボッ! 

 

「うおっ……」

 

 最後まで読み進めた瞬間、手に持っていた紙が一瞬で燃えはじめて消えた。

 熱は感じなかったが、唐突な展開にびっくりした声を上げてしまう。

 

 紙があった空間を見つつ、とりあえず、ふうっと一息入れる。

 

 とりあえず、書いてあったことをまとめると。

 ・ここは魔法少女リリカルなのはの世界

 ・ただしストーリー的に大きな出来事があった時に失敗する予定の世界

 ・なので世界を崩壊しないように手助けする必要がある

 ・手助けする上で、能力を使う必要があるならハーレムを作ることになってしまう

 

 ……現状、記載されていた通りだとすれば主人公が居る海鳴市からのスタートみたいなので、朧げながらも知っている知識とあわせてもデバイスとか手に入る可能性は薄いだろうから能力を使わざるを得ない感が強いな……。

 

 デバイスがあっても魔力があるかどうかも不明だし……

 異世界転生ってこんな大変なの……? 

 と軽く現実逃避をしたいぐらいの状況だが、何日後に何かが起きる動物の物語よりかは、まだ自分の中で何が起きるのが分かるのは救いだと思い直す。

 とりあえずはこの家を調べるか……

 

 寝ていた部屋から移動して、他の部屋を確認しはじめる。

 

 2階…………自身が寝ていた部屋、他同じくらいの大きさの部屋が2つ

 1階…………居間、キッチンフロア、浴室、客室と思われる部屋

 大まかに部屋を調べた感じ上記のような感じだった。

 そして、1階2階ともにトイレがあるのは良かった。

 

 まぁ、よくある一軒家って所か……。

 ガス、水道、電気全て利用できることを確認しつつ移動していると、ふと居間のテーブルに紙が置かれているのが見えた。

 それを手に取ってみてみると

 

 

 ▼▼

 

 そうそう。細かい所になっちゃうけど、この世界の君の名前を記載しておくね。

 君の今世における名前は

 鏡音 奏(かがみね かえで)だよ! 

 

 後、お金とかは寝ていた部屋の机の中にカードが入っているよー。

 適当に使ってオーケー!! 

 インフラの費用とかも全部そこから引かれているから安心だよ!! (出来る子って辛いね! 

 

 それじゃ、ファイトー!! 

 

 ▲▲

 

 

 そこまで見ると紙はまた燃えたように一瞬で消え去っていった。

 

 こっちの行動を見ているんじゃないか……? 

 まさかとは思いつつ考えてしまうが、どうせ分からないから考えてもしょうがないと切り替え今後のことを考える。

 とりあえず今後の動きを考えよう。

 

 まずは、魔法少女リリカルなのはの世界として、どのシリーズから開始されているかを確認する必要がある。

 俗に言う無印、A's、StrikerS からその後が確かあったはず。

 あの紙に書かれていた主人公が居る海鳴市からと言うことであれば、恐らく無印またはA's辺りが無難と考えるべきかなぁ。

 これは登場人物を見てみないと分からないので、後に確認しに動こう。

 

 そして自分の能力だよなぁ……。

 そう考えながら左腕を見てみる。

 左手首の辺りに腕時計のような刺青が入っている。

 リストバンドの部分は特に気になりそうな部分は無いが時計部分に関しては、中央の円の部分に五芒星のような形が入っており円の周りには4つの羽のような紋様が入っている。

 よくよくその部分を見てみるとイメージ的には蝶の羽みたいな感じだ。

 それ自体が合っているかどうかは分からないが、とりあえずはこれを使って能力が使えるはず。

 どちらにせよどこまで利用できるか試す必要があるな。

 

 ひとまずの今後の動きとしては、

 

 周囲状況の確認

 能力の把握

 登場人物の調査

 

 を行うようにしよう。

 

 そう決めて、行動を開始した。



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2話

 朝起きて全て夢だったんだよと言う好都合の展開は無く残念ながら、自分の体を確かめる。

 かなり移動していたので、筋肉痛とか歪みが出るかと思っていたが特に無く体自体は元気なものである。

 子供特有であるエネルギー万全の状態なのか、それともリリーの影響下なのかは判断がつかないが、

 特に不都合がないのはプラスになる事項なので、ありがたく受け取っておこう。

 洗面台に向かい改めて自分の状態を見てみる。

 

 大体小学1〜3年くらいだろうか。恐らくは子供ながらも体付きは他と比べても大きめだろう。

 子供の成長度合いは千差万別なので年齢あたりは多少ごまかしが利くだろうと考える。

 

 顔付きはまぁ、悔しいが生前よりも綺麗なものだった……。顔がいいのは一つの武器である。

 それだけで第一印象が軽くなるのはある意味チートと思えるべきものだ。

 人間の心理として、第一印象というのは重要である。

 初頭効果と言うのは思いこみでも人の意識を誘導する上でプラスにもマイナスにも左右する。

 その面で考えてみても顔がいいと言うのは良好な印象を与えやすい。

 多少ぶしつけな言葉でもクリアされると言うのは失敗をカバーしやすいし、立ち回り次第では難易度がかなり柔くなるであろう。

 胡座をかきすぎると孤独になる可能性もあり得るが、その辺りは悪いこととして認識出来ていればいくらでも調整が効くだろう。

 意図的すぎるとまた違った反応があるので……自然的な演技を学ぶ事は実施しようと思う。

 

 閑話休題

 

 さて、歯磨きなどの身嗜みを整えまずは生活必需品を揃えようと考え机にあったカードを持ち外出を開始した……。

 

 

 大体ひと通りの買い物をして分かった事がある。

 

 あくまで見た目は子供なので、多少不自然に感じられる所、例えばお金をこんなにとか一人で大丈夫? とかあるが、子供は子供と認識しつつもそういった不自然に疑問に感じることは欄外に飛ばされる感じだ。

「子供ではあるが、大人が普通に買い物する形になり不自然に思わない」

 まぁ、あくまで買い物とか時間帯とか子供であることに不都合がありえそうな所が調整されているだけで、言葉使いであったりと子供であることは認識されているので、基本的には疑問に思われない行動をすることは必要である。

 ただ、これはかなり安心した。補導とかもあり得るのが現代の世の中なので、その辺りは多少考慮しなくても良いのが救いである。

 この辺りは確かに出来る子と言っていただけのことはあるな……。

 そう考えつつ、これからの行動プランを検討する。

 

 まずは翠屋へ行き家族状況を確認して時間軸を確定させる。

 その後、原作前と言う事が確定すれば、あまりやりたくは無いが女性陣の紋章色を確認する。

 あれに記載されていた内容を考慮すればサブがどこまでなのかも調べないといけないから……あんまり気乗りはしないが、情報を集める上では必要な事と割り切りつつ対応を進めようと思う。

 

 その辺りが終われば実験も兼ねた催眠能力を使うことを検討しようと思う。

 

 まずは高町なのはからだろうな……。

 現段階で一人になりやすく多少の時間の空白があっても家族が忙しい状況であれば調整がしやすい。

 確か原作の状況でもなのはの異変に気づくのは難しかったはずだから、最初に行うとしても好都合だろう。

 下衆な思考であることには変わらないが、その辺りはもはややる以上腹を括るしかない。

 決して自分は聖人ではないのだから性欲もあるのが人間である。

 ハーレムとはいかなくても可愛い子とそれなりな関係になるのは悪い気はしない。

 ただ、今の年齢からと言うのは……さすがにそこまでの嗜好はないので、将来的に上手く組み込めればいいと考える。

 

 ある意味の源氏物語だな……と訳のわからないことを考えつつ行動を開始しようと体を動かした。

 

 

 翠屋の喫茶スペースに座りながら辺りを見渡す。

 逆説にはなるが、なのはの面影が見える女性が恐らく高町桃子なのだろう。

 綺麗なブラウンのセミロング姿で忙しく店を切り盛りしている。

 それに合わせて男性とメガネをかけた女性恐らくは高校生辺りの年齢だろうかホールスタッフを務めている。

 男性が高町恭也、女性が高町美由希だろうな。

 両名とも忙しくはしつつも無駄な動きはなく、常に姿勢は綺麗で元から培っているであろう体幹がかなり出来ていると推測される。

 まぁ、あくまで素人目線なのだが。

 とはいえ剣術一家という所を知識で知っているため、そう言う目で見てしまうのもしょうがないと思う。

 やはり父親の高町士郎の存在は見受けられない。

 休憩中または休みと言うことも考えられるが、この忙しい状況の中、家族で運営しているのであれば、さすがに駆り出されているであろう。

 とは言え、0では無いので、もう少し様子は見ようと思う。

 そう考えながら、注文していたケーキを食べはじめた。

 

 美味いな……。

 ただただ甘いケーキではなく、濃厚などっしりとした生クリームではあるが、フルーツとの酸味と合わせてバランスがよくとれている。

 そしてふわふわなスポンジと合わせて後引く甘さを残しつつコーヒーなどと合わせられるように調整されている。

 うんうんと言いつつ無駄に脳内レポートを繰り広げ、さりげなく腕を組み手のひらを忙しなく動いている高町美由希に合わせてみる。

 

 薄い青い光が出てきた……。

 

 さらに高町桃子の方に向けると

 

 これもまた青い光が出てきた……。

 

 節操無しかよと……と考え腕を解きコーヒーを飲み始める。

 基本はブラックをよく飲むのだが、ちょっと大人っぽい子だねと思われるくらいに見えればと考慮し砂糖は1個入れている。

 とは言え、やはりコーヒーの苦味があり先ほどの甘さを上手く洗い流してくれる。

 また酸味、豆の焙煎された香ばしい香りと共に新しく甘いケーキが食べたくなる感覚に陥った。

 

 食べたくなったので、そのままケーキをぱくつきつつ考える。

 

 青くってことはサブなので、メインとは別か……。

 この辺りの女性も対象となると、高町恭也の恋人あたりも怪しいな……。

 

 寝取り趣味は無いし……極力そう言った爛れた世界に突入するのは勘弁して貰いたいと引き続きコーヒーに手を付ける。

 まぁ、あくまでサブなら対象外として認識して大丈夫だろうと思いたい。

 

 そう考え、耳を澄ましつつ必要なことは知れたと思い少し休憩した後、店を後にした。

 

 翠屋から出てきて考える。

 

 常連の会話を聞けたのは朗報だった。

 楽しみつつも周りの会話を拾っていた中で、常連らしき客と桃子が会話しているのが聞こえた。

 

 やはり士郎は怪我をしており、峠は越えた所ではあるが、まだまだ入院生活らしい。

 ですから、夫が復帰するまでもう一踏ん張りですね! とまるで疲れを見せないように和かに会話する桃子が印象的だった。

 

 母は強しと言う言葉が浮かぶが母も一人の女性である。抱え込みすぎるのは大変だろう……。

 この辺りは血筋かもしれないなと考え、公園の方へ足をむけた。

 

 さて、ここで検討する。

 

 まずは高町なのはに催眠能力を使うに辺り、

 仲良くなってから催眠を使うのか

 催眠を使ってからその事実を作るのか

 を検討しはじめた。

 

 後者の方が楽ではあるが、もしペナルティが催眠を解除するとかならその後のフォローが大変だ。

 前者は最初は苦労するであろうが、その後の想定外の時にはある程度フォローがしやすい。

 

 どちらも一長一短であるので、悩ましい所ではある。

 

 うんうんと唸りながら、公園に入るとやはり高町なのはは公園のベンチに座ったままボーっとしている。

 

 その姿を見つつ

 

 

 失敗すると世界が滅ぶと共に自分も滅ぶ……

 

 

 繰り返しと言うチートは無い以上、失敗できないプレッシャーと戦い続けなければならない。

 

 

 そう考えながら、高町なのはが座っているベンチに足を向けて歩きはじめた。

 

 

 

「ねぇ、君。ボーッとしているけど大丈夫かい?」

 

 



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3話

 

__

 

 お父さんが倒れた。

 

 お兄ちゃんが言うには、ボディガードと言うお仕事で大変な怪我をしたらしい。

 詳しいことは私には分からないけど、お父さんが大変な状態ということは分かった。

 

 そこからお家の状況は大変だった……。

 お父さんの看病、お店を開くお仕事、お母さんもお兄ちゃんもお姉ちゃんもみんなみんな忙しく大変そうだった。

 私も手伝えることは無いかお兄ちゃんに聞いたけど、頭を撫でられながらやんわりと断られてしまった。

 まだ子供だからと言う焦りを抱え日々を過ごす。

 お父さんの様子が安定するまではどんどん家庭も暗くなっていった。

 夜中ふと起きた時に居間の電気がついていたので、見てみるとお母さんが一人で物思いにふけっている姿を見た。

 子供ながらも声を掛ける空気じゃなかったので、そのまま部屋に戻りベッドに飛び込む。

 

 夢を見る。

 お父さんが居て、お母さんが居て、お兄ちゃんが居て、お姉ちゃんが居て私が居てみんなで笑いながらお話ししている夢だ。

 私もみんなに構って構ってと飛びついたりして頭を撫でられる。

 みんなの笑顔が嬉しかった。そして、私も嬉しかった。

 

 目が覚める。

 現実は変わらないままを実感する。

 ホントは遊んで欲しかった。構って欲しかった。

 けど、みんなが大変なのに私がわがままを言うわけにはいかないと心に決める。

 

 そうして日々が過ぎる。

 

 切っ掛けはお父さんの変化だった。峠を越したらしいとお兄ちゃんが言っていた。

 内容はよく分からなかったが、お父さんの様子が良くなり始めたらしい。

 

 久しぶりに家族のホッとした笑顔を見た。

 私も笑顔を出した。

 

 お父さんはまだ病院にいるけど、もう少しだ! と家族全員が頑張る。

 私もわがままを言わず頑張らなきゃと考えた。

 

 とは言っても私はすることも無いので、いい子でいるために今日も公園にいた。

 家にいてもみんなが気を使ってしまうだろうから遊んでいるふりをする為、公園にいる。

 けど、公園で他の子供達と一緒に遊ぶことは出来なかった。

 要するに友達の作り方が分からなかった。

 普通に一緒に遊べば良いかもと考えるけど、どうしても声をかける勇気を出せなかった。

 もし、喧嘩になったらどうしよう。みんなに迷惑かけちゃう。

 迷惑を掛ける……。

 いい子である為には、みんなに迷惑をかける訳にはいかない。

 ここに座っていれば何もしなくても迷惑をかけることは無い。

 そう恐らく後に考えればそれは言い訳だろうが、その時はどうしても私は勇気を持てなかった。

 

 寂しいなぁ……。

 

 今日も私は空を見る。

 

 今日も同じ日々が終わるんだろうなとちょっと大人びた考えで空を見る。

 

 そんな時に声が聞こえた。

 

「ねぇ、君。ボーッとしているけど大丈夫かい?」

 

__

 

 声を掛けると高町なのはは、こちらをぱちくりとした瞳でこっちを見てきた。

「えっ? わ、私のこと?」

 

 わたわたとそう喋ってこっちを見てくる。

 ……やっぱり近くで見てみてもやはり可愛いな。

 子供ながらとは言え、アニメキャラ特有なのか普通に見ても可愛さは際立つ。

「そうだよ。何かボーっとしているから悩んでいるのかな? と思って声をかけてみたんだ」

 

 子供同士の接触の仕方などもはや記憶の彼方だし、子供同士で仲良くなるなんてまずは喋って遊ぶしか思いつかないから、

 それを実践すべく会話を続ける。

 

「えーっと……」

 

 もじもじと高町なのはは言葉を濁し始める。

 この時期は家族のゴタゴタで確か無鉄砲さはなりを潜めているはず。

 恐らくは極度の人見知り状態なのだろう。

 

 大人ならゆっくりと考えを聞き出そうとするだろうし、根気よく話を伺おうとするだろうが、

 今も昔も、大人が子供に声を掛けるのは中々怪しさ爆発なので、よっぽどのことがない限りそう言うことは無いだろう。

 

 まぁ、見た目は子供同士なので、そう言った気遣いは不要なのだが。

 こう言った時は多少強引に行っても大丈夫かな。

 

「特に何も無いんだったら良かった。それじゃ、一緒に遊ばない? ここは初めて来たからよく分からないんだ」

 

 無邪気を装いつつ、教えて教えて攻撃を仕掛ける。

 

「えっ……と……」

 

 目をぐるぐるさせつつ混乱した表情でこちらをみてくる。

 そうして見ているとちょっと落ち着いた様子になって来たので再度声を掛ける。

 

「ん? どうしたの?」

「私もあまりここで遊んだことが無いからよく分からないの……」

 

 怒られる! と寂しげに見える子犬のような表情でこちらをみてくる。

 優しく優しくけど、強引にと言う大人なら無駄に高いハードルを掲げつつ、子供ながらの無邪気で話を続ける。

「そうなんだー。それじゃあさ。一緒にこの公園を調べてみようよ!!」

 柔らかく笑顔を向けならが、彼女の手をとる。

 

「えっ……?」

「ほらほらーそれじゃ、あっちに行ってみよー!!」

 

 そう言って、高町なのはを連れ出した。

 

 

 

 しばらく彼女と話をしながら、遊具を見つけ一緒に遊びつつ時間を過ごす。

 

 その中で、改めて分かったことは家族が大変だと言うことが本人から聞くことができた。

 だから迷惑にならないようにこの公園にいたと言うことも。

 

 予想の展開通りなので、まずはその孤独感から埋め合わせていこう。

 そう思いながらもやはり人と一緒に遊ぶと言う行為はすごく楽しい。

 こっちはこっちでやはり飢えていたんだろうなと客観的に分析しつつ一緒に遊び続けた。

 

 そうしてさらに時間が経過すると空も夕暮れになり、

「あ……もう夕方だ……そろそろお家に帰らないと……」

 ちょっと寂しそうに彼女が呟いた。

 

「そっかー。それじゃ今日はここまでだね。明日もここにいるの?」

 と声を掛けると彼女は

「え……? 明日も遊んでくれるの……?」

 寂しさから期待がちょっと含まれた瞳を揺らして問いかけてきた。

 

「もちろんだよ! まだまだ全然調べ足りないし、明日も探索だー!!」

 そう無邪気につげてあげる。

 

「分かった!! 明日もここにくるね!!」

 と彼女は嬉しそうにこちらをみてきた。

 

 そう言えば……

 

「そう言えば……僕の名前は鏡音奏って言うんだけど、君の名前を教えてもらっていいかな?」

「あ……そうだったね。うん。私の名前は高町なのはだよ!」

 

「そっかー。これで僕たちは友達同士だな! 改めてよろしくね!!」

 そう言って手を出す。

 彼女は目をぱちくりさせながらこっちを見て……理解が及んだのか

 

「うん!!」

 

 とても綺麗な笑顔で手を差し出してきた。

 

 

 

 

 高町なのはと別れて家に向かいながら考える。

 とりあえず最初の接触は問題なくいけたと思う。

 親御さんの復帰はいつになるかはまだ分からないが、しばらくは遊べる関係は維持出来るだろう。

 復帰後に向こうに遊びに行けるくらいの仲になればその後の動きが楽になるはず。

 

 あとは、どの辺りで催眠をかけるかだが、しばらくは遊んで本人も含め警戒心を取り除く必要がある。

 恐らくだが、今日の出来事は家族にも話をするだろう。

 確かあの兄妹は度を越した妹博愛主義者だったはず……。

 まぁ、そうでなくても親心としてどう言った友達なのかは気になるはずだ。

 そう考えると何回か様子を見にくると考えられる。

 戦闘民族と考えれば、向こうが見ていることなどこっちには察知出来ないのは想像に難しくなく、隙を生むにはこっちは無害ですよー。と言った状況を作り上げる必要がある。

 焦ってはいけないと気を引き締めつつ家についた。

 

 

 

 そうして1週間……2週間と遊ぶ日数を重ねて行き、公園以外にも少し遊ぶ場所も増やして行った。

 その中で恐らくは向こうの視察もあったと思うが、こうやって遊ぶことがおとがめ無しの状態っぽいので、問題は無いだろうと判断されたと信じたい。

 ただ、こうやって高町なのはと接するとやはり魅力が強いことを実感する。

 屈託無く笑う笑顔もそうだし、

 ちょっとふてくされる顔、

 正義感に満ち溢れた顔、

 失敗したときに見せる恥ずかしげな顔、

 コロコロと変わる表情も含め魅力を押し上げている。

 

 物語の主人公であると言う事実を抜いてもやはり抜き出ていると思ってしまう。

 なるべくしてなったと。

 

 まぁ、要するに可愛い! と思いつつそんな思春期特有の感情は今はあってはならないので封をしつつ、無邪気に遊ぶことを継続した。

 

 そうして日々を積み上げていったある日。

 

「お父さんが退院するの!!」

 そう嬉しそうになのはが告げてきた。

 

 一つのタイミングがきた。

 そう心の中で冷静に判断しつつ話を進めようと考える。

 

 良かった! と声を上げつつ祝福すると、

「それでね。奏くんのことをお父さんにお話ししたらお礼をしたいから今度家に連れてきなさいって……」

 

 ちょっと恥ずかしい表情をしながらチラチラとこっちを見つつ言ってきた。

 

 ……? 

 お礼……? 娘に何しとんじゃ我! と言うお礼参り? 

 

 将来的には確かにバレたら何しとんじゃいと刺されてもしょうがない可能性が大だが、

 現段階では何もしていないはずなので、今は何も言われないはず。

 そう考えていたが、ふとシスコンという言葉を思い出す。

 あの兄妹は親譲りか……。

 

 恐らくは体のいい言葉で、こちらを呼び出して娘との交流状況を確認するつもりだろう。

 さすがにここで断るのは後ろ暗いですと言わんばかりなので、断る選択肢は無い。

 ただ、これは逆にチャンスでもある。

 特に問題がおきなければ今後、自然に相手側の家にも入ることが出来る。

 遊びと言う名目も立てられ両名が個室にいても不自然にならないので、催眠能力の使用がしやすくなる。

 

 そう考えている時間がちょっとあった為か、なのはは若干悲しそうな表情を浮かべたので、慌てて言葉を繰り出す。

 

「そうなの? それじゃ、今度なのはの家に遊びに行こう! 楽しみだな!!」

 そう無邪気に笑ってなのはに告げる。

 すると悲しそうな表情から一変嬉しそうな表情を浮かべ

「うん!!」と頷いてくれた。

 

 そうしてなのはの家に伺う日がやってくる。

 

 うーん……やっぱり少し緊張はするな……。

 あくまで子供同士とは言え、女性の家に伺うのはこちらとしても身構えてしまう。

 気にしすぎとは言え、向こうもこちらを伺う可能性がある以上、色々と注意をしなければならない。

 気構えを持ちつつ家のインターフォンを鳴らす。

 

 インターフォンの音が鳴ったあと、少し待っているとパタパタとドアの向こう側から音が聞こえドアが開けられる。

「奏くん!! いらっしゃいなの!!」

 と元気いっぱいの笑顔でなのはが向かい入れてくれた。

 

 そのままなのはに手を引っ張られながら、居間に案内されると恐らく父親であろう人物が座っていてこちらを見てきた。

 

 恐らくはあれが高町士郎なのだろう。

 知っている知識はあまり無いが、御神真刀流と言う人外の剣術を操った後継者の一人でとにかく強いと言う事。

 だけど、今回の怪我で恐らく引退になったはず。

 つらつらと考えながらも挨拶を交わす。

 

「君が、奏君だね。はじめまして。なのはの父親の高町士郎って言うんだ。よろしくね」

 そう言って、にこやかにこちらに挨拶をしてきた。

 さすがに向こうの経験には及ばないだろうが、表面上はにこやかでもこちらを観察するような気配は感じられる。

 見下す感はなさそうなので、恐らくは職業柄そうなのであろう。

 

「はじめまして。鏡音奏と言います。なのはさんとはよく一緒に遊んでもらっています」

 と挨拶を述べるとなのはの方が目をぱちくりしながらこっちを見てきた。

 恐らくは改まった言葉使いをしてきた事に驚きを見せたのだろう。

 なのはに軽く目配せをして、してやったりの顔をすると、どう言う受け取り方をしたのか知らないが、

 しばらくボーっとした後、やんやんと言いながら首を左右に振りはじめた。

 いや……どういう受け取り方をしたんだよ……。

 

 なのはの天然っぽいギャグなのか分からない状態を無視しつつ話は続く。

 

「ちゃんと挨拶出来るんだね。しっかりとした教育をされているのかな?」

 探り探り

「そんなことは無いと思います……。お家は普通の家庭ですから。す、少し勉強してみたのですが……」

 ちょっと照れ隠しをしつつも、慣れない敬語を使うという無駄に難易度が高い表現を意識して話を進める。

「そうなんだね。いやー中々どうに入った挨拶が出来るものだから、うちのなのはが心配になっちゃったよ」

 あはは。と言いつつなのはの頭を撫ではじめた。

 なのはは、もうー! と言いたげな表情で父親の方に抗議のような視線を向ける。

 お互い仲が良いんだろうなと言うやりとりなので、良好な家庭環境なのだろう。

 

「あらあら。子供の成長は早いものですよ。気を抜くとあっという間に成長するんだから」

 とのんびりな感じで声が聞こえ、奥から母親の高町桃子が現れた。

 

「はじめまして。なのはの母親の高町桃子です。奏くんよろしくね」

 とにこやかな笑顔で声をかけてくれた。

「はじめまして。鏡音奏といいます。よろしくお願いします」

 とぺこりと頭を下げる。

「可愛いわねー。うちのなのはと仲良く遊んであげてね」

 そう言って頭を撫でてくれた。

 恐らく大人になってからそういった撫でられる機会はなかった為、久しぶりに感じる心地いい感覚を味わいながらも話を続けた。

 

「はいっ!! なのは……さんと一緒に遊んで楽しいです!」

 ちょっと背伸びをして、慣れない言葉で伝えようとするのは傍目から見て子供が使う分には微笑ましいものだ。

 頭の中で警戒心が少しでも和らげば良いなと考える。

 

「あらー。ほんと可愛い。今度、喫茶店の方にも来てね。サービスしちゃうから」

 と頭を再度撫でてくれた。

「ほんとはね。お兄ちゃんとお姉ちゃんも挨拶したかったんだけど、今日は忙しいので今度紹介するわね」

 

 家族総出で挨拶とか……

 結納する訳でもあるまいし……と一人突っ込みを入れるが、よく考えるとどれだけなのはを愛しているのかという事が分かり、ある意味の緊張感をもたらしてくれる。

 

 そんな中、

「もうー。お父さんとお母さんとお話しばっかりしてダメなの!!」

 とぷんぷんと怒る表情を見せて、私の部屋にいこっとこちらの手を取りなのはの部屋へと向かった。

 

 あらあらーと桃子さんは見守る表情を見せ、士郎さんはにこやかながらも娘は渡さないよと無駄に対抗心を見せつけるような複雑な顔を見せながらなのはを見送った。

 

 そうしてなのはの部屋に移動して中に入る。

 

 ピンクを基調として、とは言ってもその色は主張せず綺麗に整頓された机とベッドそして中央にはテーブルが置いてある。

 やっぱり女の子の部屋なんだな。

 と考えつつ、テーブルを挟みお互い中央に座り話をしはじめた。

 

 そうして、しばらく話をしていて途中、お茶とかよくある親御さんの差し込みのイベントを入れ、一息つける時間帯になってきた。

 

 ある意味、チャンスなんだよな。

 

 本当はもう何回かなのはの家に遊びに行き、警戒心をさらに落としておいた方が安全だということは、理解はしている。

 だけど、今まで試した事が無い能力を使ってみたい心情、使ってもお試し的な感覚ですぐ戻すようにすれば問題ないだろう的に軽く考え実施しようと判断してしまった。

 

 これがあまりにも軽率な判断だったと言うことも知らずに。

 



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4話

「そう言えば前にテレビで見たんだけどさ。ちょっと試してみても良い?」

「なになにー?」

 

 お互いに対面に座りつつ話を進める。

 スッと五円玉に紐をつけ、右手で紐を持って五円玉の部分をなのはの目の所に持ってくる。

 それをプラプラさせて、言葉を発した。

 

「あなたはだんだん眠くなーる。眠くなーる」

「……。あ、これ知ってるの!! 催眠? とか言うやつだよね!」

 

 子供なら一度は出来るのか? と言うお遊びをはじめた。

「そうそう。これをプラプラさせるからじっと見てみて。しばらくして名前を呼ぶから返事してね」

「わかったの!」

 

 普通には何もかからず終了して、肩透かしを行うものであるがこれはある意味の本物であるはずである。

 そう考えながら膝上の左人差し指を向ける。

 

 1分ちょい経過した後、そろそろ飽きる行動が出る前になのはに声をかける。

「高町なのは」

 

「はいっなの!!」

 

 と催眠なんて掛かっていませんよと言う位に元気よく返事をした瞬間。

 

 

 空間が止まった。

 

 

 !? 

 想定とは別な形が発現され驚き周りを見ると自然に聞こえていた車の音、人の声など音も一切聞こえず、部屋にあった時計の秒針も動いていない。

 

 時間停止?? 

 

 と訳も分からず見回していると頭上から紙が落ちてきた。

 

 

 ▼▼

 

 やっほー。元気にしているかな?? 

 まずは初催眠おめでとー!! パチパチ

 

 今回は色々と説明があるので、ちょっとその世界の時間を止めました!! スゴイ! 

 

 ▲▲

 

 

 この手紙の文面を見る限りこの現象はリリーの仕業だと言うことらしい。

 やはり次元の違う存在なのだと言う事が強く意識されられる。

 

 

 ▼▼

 

 それじゃ、説明するねー。

 これで催眠をかける事が成功したので、催眠をかけた人はハーレムメンバーに無事追加されるよー。

 だけどね。それだけで終わりじゃ無いんだ。

 やっぱり釣ったお魚にも餌をあげないといけないよね!! うんうん

 そこでね。催眠を維持するために設定が追加されますー。

 

 まずは目の前にあるサイコロを振ってね。

 

 ▲▲

 

 

 そこまで目を通すと、紙はボッと燃え消えた。

 目を前に向けるとテーブルの上に6面の小さなサイコロが存在している。

 

 これを振らないと話が進まないのか……。

 まさかの展開に焦りが出てきているが、この段階で出来ることはなさそうだと思いサイコロを振る。

 

 出てきたサイコロの目は『2』だった。

 

 するとまた頭上から紙が落ちてくる。

 

 

 ▼▼

 

 おー。今回は2だね。と言うことで、催眠を維持させるためには

『1週間に1度、催眠実行者の匂いを嗅がせる』

 だよ。抱きしめて匂いをクンカクンカさせてあげてね。中々マニアックですな!! キシシ

 

 ▲▲

 

 

 …………

 

 

 ▼▼

 

 1週間の区切りは催眠をかけた日からスタートで、その7日目の24時に終了するよー。

 そこまでに維持させる行為をしないとペナルティが発生するから注意してね。

 

 ▲▲

 

 

 ………………

 

 

 ▼▼

 

 ちなみにハーレムメンバーが5名以上になるとサブメンバー報酬とは別に豪華な報酬があるから頑張ってね!! 

 それじゃーねー。

 

 ▲▲

 

 

 

 ………………………………

 

 

 断言しよう。

 

 これはクソゲーである。

 

 自身の存在が掛かっていなければ間違いなくプレイをしない。

 コンテニューも存在しない世界で、これは酷い。

 

 これは人数を増やせば増やすほど、雁字搦めになる。

 報酬とかあるらしいが、これも期待はしすぎるものでは無いと思う。

 

 あまりのめんどくささに投げ出すプランも考えるが、恐らくは自分の存在を消されて終了だろうと予想がつく。

 大体、あの話を思い出しても代わりはいるのだ。

 もし失敗したとしても、それをカバーしようと考えるよりも間違いなく次に移行するだけだろう。

 究極の存在または圧倒的権力でもあれば別だろうが、一般レベルであれば間違いなく切り捨てられる。

 よっぽど最後なのであれば救いもあり得るが、この世界をみてもこの現象も含め自由に出来ることから数などは想像出来ないほどいるであろう。

 

 ちきしょうと思いながも、ここでどうやって生き延びるかを考えた方がまだマシだ。と無理やりにポジティブに考えを持ち直しひとまずの行動を考える。

 先ほど見ていた紙は消え、時計を見てみると秒針が動きはじめた。

 恐らく元に戻ったであろうと推測して、なのはの方を見てみる。

 

 なのはは直立している状態で止まっていた。

 目の焦点は合ってなく遠くでも近くでも見ている感じでは無く、身動ぎもしないため人によっては精巧な人形にも見えるだろう。

 恐らくは催眠状態だなと予測し、ずっとこのままの状態だとそのうち怪しまれるだろうと思われるので、ひとまず簡単な命令を組み込む。

 ・鏡音奏の体の匂いを嗅ぐと安心する

 ・鏡音奏と会うと1回は抱きつかないと安心しない

 ・鏡音奏から「高町なのは」とフルネームを呼ばれると「はい」と返事をする

 

 ひとまずはこれで再度と継続は自然に出来るように思われるので、それ以外は後に考えるようにしよう。

 そう思い終了と声をかければ、なのはの目の焦点が戻り、こちらを見てきた。

 すると少しもじもじした仕草をして、こちらにどーんと言う感じで体を突っ込んできた。

 催眠後の状態を伺っていたのでいきなり行動をおこされた事に焦りつつなのはの様子を見てみると

 そのまま顔を体の部分に擦り付けるように埋め込んでいた。

 

 ……あ、1回目の抱きつきか。

 と先ほど自分が設定していたことを思い出し、とりあえずはそのまま好きにさせる。

 

 ……どれくらい経っただろうか。

 

 一向に離れる様子が見えないため、多少強引になのはの体を引き離す。

 なのははむーとした表情を見せたが、とりあえずは満足したのかうんうんとうなずきながら改めて対面に座る。

 

 ひとまずは話をしつつ、催眠前後の状況を聞き出した。

 分かったことは、何か自分と話していたのは覚えているが、あまり良く思い出せないとのこと。

 恐らくは指をさした辺りからきちんと催眠に入れば、その前後はあやふやになる感じだと思う。

 ある意味の事後処理や事前のカバーもやりやすくはなるなと考え、そのまま遊び続けた。

 

 夕方に差し掛かり、良い時間だと思い帰宅の準備をする。

 夕食の誘いもあったが、さすがに子供とはいえ初回からそこまで行くのは少し躊躇われたのと、色々と考えたいことも多いので、丁重にお断りをして、家路につく。

 なのはは多少残念がっていたのが少々印象的であったが。

 

 あの後、なのはの行動を見ていて多少触れ合うコミュニケーションが増えたように感じるが、予想以上の行動を行わなかった事にほっとした。

 あれであれば子供のじゃれあい程度ですむだろうし、流石に怪しむほどの違和感は出ないだろう。

 親御さんの動きとしては、父親はあくまで娘の友達として牽制の視線はあるが、まぁ、親バカと呼べる程度のものだ。

 母親の方は、見守るスタンスなのか特ににこにことしているだけで、普通に感じられた。

 

 とりあえず向こう側の家族の印象としては、概ね好印象で終わっただろうと総評する。

 催眠能力に関しては別だが……。

 

 正直、使いづらいが先立つ。

 相手側を意のままに操ると言う点で、恐ろしい能力である事は間違いないが、継続対応及び露見するリスクを考慮するとおいそれと使い続ける事は躊躇われる。

 とはいえ、何もしないと普通に世界が滅んでしまうので、ストーリーに絡みつつ誘導をかけるためにも使わざるを得ないと想定されるのが悪質だ。

 

 そう考え家に到着し、夕食を軽く食べ、シャワーを浴びつつ考えをさらに進める。

 

 触れたくはないが、ペナルティの度合いも検討しないとだな。

 浴室にある鏡に映る自分の姿を見る。少年の姿であり、余程不摂生な生活をしなければ、恐らくはイケメンと呼ばれるくらいに成長出来るのが想像つく。

 まぁ、逆に鍛えすぎてマッチョになるのも……と考えたが、まだ流石に早いだろう。

 あくまで常識の範囲内で肉体を鍛えるのは、必要だと思うが限界までいじめ抜くと言うのはその方向性しか見えない限りあまりやりたくない。

 能力的には相手の操作しか出来ないのだから極力自分が矢面に立つ行動は慎むべきだ。

 

 そう考えるとどう見ても主人公気質ではないな。

 

 と自虐した笑いを見せつつ左手首を見る。

 そこにある刺青を見て五芒星の部分に関しては、使い所は見えてきたが他の部分に関してはまだ未知数だ。

 蝶の羽のような部分を見て使われることがない方が幸せなんだろうなと考えつつ可能性としては何かしらの使いどころが出てくるだろうとあたりをつけておく。

 心構えの準備のようなものだ。

 今回も含めいきなり展開されることが多いはずなので、少しでも焦りを抑えられるように心をコントロールする気持ちでいようと思う。

 まぁ、理想と現実は別なのだが……突っ込む自虐をおいておいて、浴室から上がりベッドへと移動する。

 

 ベッドの中に入り込むとやはり気を張っていたのか、緊張の糸が切れたかのようにすぐに眠りに落ちた……。

 



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5話

 ここ最近の動きとしては大きく変わらない。

 

 なのはと一緒に公園で遊んだり、家で遊んだり、たまには翠屋でお話ししたりと親密度を稼いでいった。

 兄妹でもある高町恭也、高町美由希共に顔合わせ等も行った。

 事前に父親から聞いていたのか、特に不都合なく普通に終わったが、やはり両方ともなのはを大事にしていることはよく読み取れた。

 

 順調に積み上げて行った状況の中、一つやらないといけないことをする為、その準備をし始める。

 

 まずは、タイミングを見てなのはの催眠設定の項目を一旦解除する。

 解除したのは

 ・鏡音奏の体の匂いを嗅ぐと安心する

 ・鏡音奏と会うと1回は抱きつかないと安心しない

 の2点だ。

 そうして家族旅行と言う名の嘘をつき、日数を開ける時間を作る。

 なのはは会えない事に、駄々をかなり捏ねられたがその後、お泊まり会をしようと誘導させてご機嫌を取る。

 

 ここで試さないといけないのがペナルティの実施だ。

 今ならカバーが効く範囲内で収まるだろうし、いざの時にペナルティを知らないと行動が制限されすぎて破綻する可能性があり得る。

 あのリリーと呼ばれる少女の性根を考えるとやりたくないのは同意するが、やらざるを得ないのも現状であると考える。

 

 そう考え当日に向けて動き始めるのだった。

 

 そうして改めて知る事になる。

 あの少女の無邪気と呼べる悪意を。

 

 

 お泊まり会は順調に進んだ。

 なのはもご機嫌だし、向こうの家族もやはり善性が強いのだろう暖かく迎え入れてくれた。

 日頃の積み重ねもあるが、信頼を得られ始めるのは嬉しいものだ。

 

 ただ、なのはがお風呂に乱入しようとする一幕は色々と焦ってしまったが概ね問題なく進む。

 

 そうしてなのはの部屋で、なのははベッド、こちらは布団を敷き眠る前のお喋りを始める。

 

 そうしてしばらくするとなのはがうとうとし始め、お互い眠りにつき始めた。

 まぁ、こっちは寝たふりなのだが……。

 

 そうして時間がチクタクチクタクと過ぎ、催眠効果が切れるであろう24時に向けて進み始める。

 

 24時。次の日の0時になる30秒前で左人差し指を向けておく。

 そうして、その時を待ち始めた。

 

 0時になった瞬間、違和感が出る。

 ふと左手首を見ると蝶の羽の一つが赤色で薄く発光しながら消え始める。

 消えた瞬間。

 

 

 左手首に激痛が走った……。

 

 

 熱い

 

 熱い熱い

 

 熱い熱い熱い熱い! 痛い!! 

 

 燃えるような灼熱の痛み。火に炙られるような焼き爛れるような感覚。

 もはや痛みしか感じられない。

 痛みで考えることも出来ず、皮膚が焼けるような匂いも嗅げる幻すら感じられる。

 

 まずい。これはとんでもなくまずい。

 

 思考はどうして良いかわからずただ痛みに耐える。

 叫び声を出したがったが、最後の理性で押し留める。

 が、さすがに声が漏れたのだろうか。異変を察知したのか分からないが、なのはが寝ぼけながらも目を覚ましこちらを伺ってきた。

 

「奏くん。どうしたの? 具合が悪くなったの?」

 少し目が覚めたのか、心配そうな表情を浮かべこちらに近づいてきた。

 時計を一瞬みる。

 

 地獄のような時間帯の中、秒針は30秒を超えていた。

 

「高町っ……なのはっ……!」

 

 名前を叫ぶ。

 

「えっ?」

 

 だがなのは困惑した表情を出す。

 

 催眠が解けている……。

 激痛と絶望感が体の中で暴れまわる。

 それでも諦めるわけには行かないと体を無理やり奮い立たせ心配で近づいて来たなのはに再度問いかけを行う。

 

 

「たぁ高町……なっなのは……」

 

「えっと……。そうだよ。奏くん。高町なのはだよ。お寝坊さんだったの?」

 

 となのはが言った瞬間。

 

 

 時が止まった。

 

 

 時が止まった瞬間、激痛だった腕の痛みが引き始めた。

 なのはとして返事をしてくれたので、それが認められたのか催眠が成功したのだろう。

 

 よかったと言う安心感が包むが、それでも過呼吸にもなりそうな位、息を荒げる状態が続き脂汗が止まらない。

 だが、痛みが完全に引いて少しずつではあるが、落ち着きを取り戻しはじめた。

 

 左手首を見てみると、先ほど消えた蝶の羽の部分が復活している。

 

 痛みから開放され放心状態でいると目の前に紙が置かれているのに気がついた。

 

 

 ▼▼

 

 あらー。ペナルティを受けちゃったね。

 大体これで詰みになっちゃって()()()()が多いんだけど、持ち直すなんてスゴイスゴーイ! 

 

 ▲▲

 

 

 ……これで確定した。こいつはこちらを実験動物くらいの感覚で見ている。

 

 

 ▼▼

 

 受けちゃったから分かるだろうけど、ペナルティを受けちゃうと体に続々と異変が出てくるよー。

 ペナルティを重ねちゃうとその蝶の羽の数分だけ異変が出てくる感じだね。

 そしてペナルティが発生した催眠の人も解除されちゃいます。

 

 ▲▲

 

 

 ある意味能力のライフは4つだろう。

 だけど、1段回目でこれなら2段回目以降を受けたら終了する。

 

 

 ▼▼

 

 さらにーペナルティはこれだけじゃないんだー。(残念♡

 催眠継続のハードルも上がっちゃうよ。

 

 あまり酒池肉林に向けて動かないから少しだけお手伝いするねー。(やっぱり私は出来る子!! 

 継続させるに辺り今回から匂いの対象を催眠をかけた人の「男性器」に限定しちゃいます!! 

 

 ▲▲

 

 

 男性器。男性における生殖器官の名称である。ペニス。可愛く言えばおちんちん等様々な名称が存在する。

 現実逃避したい状況に無駄な知識を探ってしまう。

 

 

 ▼▼

 

 やったね! これでムフフなこともしやすくなるよー!! (キャッ♡

 ちゃんと性欲と身体も健康的に行けるようにしてあるから大丈夫!! 

 

 ちなみに()()()()()()()使()()()()()()()()()()でしょ。頑張ってねー。

 

 ▲▲

 

 

 クソが……。

 何度目か分からない言葉を呟き紙が焼失した。

 

 …………

 

 

 時が戻りつつある世界にて考える。

 

 

 

 あまりにも理不尽。

 

 

 

 あまりにも遊び過ぎている。

 あいつらは人のことなどどうでも良いのだろう。

 

 

 

 

 なら後悔させてやる。

 

 あの生物どもに鉄槌を下す日がくるまで()は生き延びると誓う。

 そのためには天使のような囁きも悪魔のような残酷さもなんでもやってやる。

 生み出される罪悪感にも壊れることなく受け入れてやる。

 

 

 実験動物が反逆するわけがないと言う考えを覆してやる。

 いつでも潰せると言うその高慢な考えをへし折ってやる。

 

 

 

 次元がなんだ。

 生きているのなら殺せる。

 存在しているのなら破壊出来る。

 

 

 

 そのためには今は卑屈にならざるを得ないが来るその日まで牙を研ぎ続けよう。

 

 



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6話 □微エロ なのは(匂いフェチ

 ボーっとした目で佇んでいる催眠状態のなのはを見て考える。

 どう言う設定をしたものか。

 

 とりあえず先ほどの騒動はそこまでうるさくなかったのか、他の人がくる気配もないためじっくりと考えることが出来る。

 催眠を継続するために1週間に1回は自分の男性器の匂いを嗅がせる必要がある。

 変態っぽい状況ではあるがやらざるを得ないからたちが悪い。

 

 状況を検討し催眠の設定を行った。

 ・鏡音奏の体の匂いを嗅ぐと安心する

 ・鏡音奏の男性器の匂いを嗅ぐ事について抵抗はない。むしろ好きな匂いになる

 ・鏡音奏と会うと3日毎には二人っきりになりたくなる

 ・二人っきりの時には鏡音奏の男性器に特に注目してしてしまい匂いを嗅ぎたくなる

 ・男性器の匂いを嗅ぐことはアブノーマルであり他の人がいる前ではする行為では無いと認識する

 ・鏡音奏から「高町なのは」とフルネームを呼ばれると「はい」と返事をする

 

 あとは男性器とはアブノーマルはなんぞやと言うことを教えて、今回の指令が終了したあとは眠りにつくと言う所を仕込み終了の合図を伝えた。

 そうすると佇んでいたなのはは崩れ落ちるように横になりそうだったので慌てて彼女を支えそのままベッドへ運ぶ。

 

 ……とりあえずはこれでしばらく持つだろう……と考え、その日は布団に入り疲れすぎた頭を休めつつ眠りに入った。

 

 

 カーテンの上からでも分かるくらい朝日の光が差し込む。

 その光は目蓋の裏にも届くくらいの感覚で天気が良い予感を思わせる。

 小さく小鳥の鳴き声も聞こえてくる感覚を受けながら朝の微睡を感受しようと体が求める。

 

 そんな朝特有の幸せな時間を満喫しているとふと下半身が寒く感じられた。

 ……確か布団はしっかりと掛けてたよな。

 寝相が悪いと言うことは家でもよく分かっていたし、体型的にもまだまだ布団の余裕があったはず。

 そう思っていると、やけに生暖かい風が股間に感じる。

 

 スーハースーハー。

 スーハースーハースーハー。

 

 朝の生理現象は強めでないとは言え、股間に伝わる刺激はやけにとても気持ちいい……。

 微睡とこの気持ちよさは幸せすぎる。

 

 けど……これはなんのだろう……まるで深呼吸のような……とやっと考えがまわり始めると、

 

 スーハースーハースーハー。

 スーハースーハースーハースーハー。

 

 …………!? 

 意識は一気に覚醒したが、身動きが取れない。

 やけにがっちりとしたホールドがされているみたいだ。

 

 出来る限り気付かれないように頭を動かし下半身に目線を送る。

 

 そこには下半身をがっちりホールドしたなのはの頭が見えた。

 

 ……確かに自分が設定した状況だからあってもオカシクはないけど……朝一からかよと突っ込みたくはなる。

 そんな気持ちを知ってか知らずか、そのままなのはは下半身に顔を埋めたまま深呼吸を続けていた。

 

 ……これはまずい。

 可愛い美少女が股間に顔を埋めている状態で征服欲を満たされながら、さわさわとした刺激が股間に継続されるのは色んな意味で強すぎる。

 男として大きくなっていくのも仕方のないことである。

 

 柔らかく優しくだけど、激しい要求のような刺激は自然と股間を大きくさせる状態を築きあげた。

 すると、更に匂いが濃くなったのか匂いを嗅いていたなのはの力が強くなる。

 

 スーーーハーーー。

 スンスンスンスン。

 

 いや……いや……これはまずすぎる。

 大きくなると共に刺激はより増しながら継続される。

 けど、いきなり起きたりするとなのはが逆に悲鳴を上げる可能性もあるため、下手に動けない。

 ジレンマを抱えつつひとまずはなのはが満足するまで寝たふりを行おうと考えた。

 

 そうしてどのくらい経ったのだろうか。

 

 スーーーーーーーーハーーーーーーーー。

 

 なのはは変わらず股間に顔を埋めたままだ……。

 いい加減、他の家族も動き出す時間帯だろうと思ったので、軽い身動ぎを入れこれから起きそうですよーと察知させるようにする。

 

 するとビクッとなのはが勘付きあわわと慌て始めたが、ふと何を思ったのかそのまま布団に入ってきた。

 柔らかな感触と共に石鹸の匂いと共に甘いような香りが入りこむ。

 そのまま胸の位置辺りで顔を押し付けて寝たふりを始めた。

 

 まさかこれでごまかそうと……? 

 間違えて布団に入っちゃった的な展開? 

 

 耳年増なのかそれともそういった事に憧れを感じていたのかはよく分からない話ではあるが、本人はそれで誤魔化す気満々なのであろう。

 

 生殺しの状態と他の人が入ってきた時における自分の惨状を顧みなければ。

 

 他の人が入ってきた時の惨状を考えると目も当てられないため、さっさと起きてなのはを移動させなければ。

 そう思い、ふぁーと起きた動作を行い、なのはが布団の中に居る驚きの声を上げて優しくなのはを起こしてあげた。

 

 なのははすぐ起きてえへへと幸せそうな顔を浮かべそのまま引っ付いてきたので布団に入ってきたらダメだよーと優しく諭しながら顔を一緒に洗いに行こうと手をとって部屋をでた。

 

 危なかった……。

 気を落ち着けながら男の象徴も抑えつけて、洗面台の方へ移動する。

 一緒に手を繋いだまま。

 

 途中で、桃子さんに遭遇して朝の挨拶を行うと「あらあら。仲良しさんねー」と微笑ましい笑顔で迎えてくれた。

 なのはも幸せそうにえへへーと顔を蕩けさせる。

 

 父親や兄がこの場に居なくてよかった……。

 恐らくこのなのはの表情を見たならば、よし、一緒に道場に行こうかと誘われたに違いない。

 

 若干あせあせとしつつ、そのまま洗面台へと移動し顔を洗う。

 そうするとなのはも落ち着いたのであろうか。改めて行動の恥ずかしさを思い出したのであろうか。

 そのあとはいつもの通りに感じる動きになった。

 

 朝食を取り、そのあとは順調に公園とかお出かけをして一緒に遊び夕方には別れた。

 

 家に帰り、考え事をし始めた。

 

 本来は継続の線引きもしたかったのだが、受けたペナルティの重さを考えると危険すぎる。

 例えば匂いにしても衣類とかの匂いで自分が存在しなくても継続は可能なのかだったりと試したい所ではあった。

 これはベスト(ギリギリのラインでやり繰り出来るようにする)よりベター(確実に継続させる動作をさせる)を取るべきだなと判断。

 向こう側のスタンスが透けて見えた時点で、不利な状況をいかに有利にするべきかを考えようと思う。

 やはり情報集めは引き続き継続しないとだな。

 

 恐らく次の大きなイベントとしては、アリサ・バニングス。月村すずかの友達イベントだろう。

 小学校とか一緒に行けるのかな? と考えていると、机の上に書類が置かれていた。

 

 ……いつの間に

 

 時間を止める相手に対してこちらに気付かれる事なく動くことなど容易だろうな。と改めて考え書類を見てみる。

 

「私立聖祥大付属小学校 入学案内」

 

 準備が良いことだ……。

 

 まぁストーリーに絡むことが求められている以上、向こうも想定内だろう。

 ただタイミング的に心を読まれているような錯覚は心を折りに来ている。

 

 まぁ、読めたとしてもこんなアリなど構わないって所だろうな。

 

 ならアリが象を倒すその瞬間まで諦めるということはしない。

 そう心に誓った。

 

 それとは別に朝の出来事を思い出す。

 色々と生殺しすぎる……。

 あくまで維持することは出来るだろうが、我慢し続けてもこっちの精神もすり減り続ける。

 自分は聖人では無いので、この性欲も発散させていく必要があるだろう。

 

 手っ取り早いのはそのまま一緒に性欲も発散していくことが理想だな。

 そう人としての道を外す考えを持って嫌悪感も出てくるが、もはや人の道は外れているかと思い直し、改めて今後のことを考え始めるのであった……。

 



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7話 □エロ なのは(フェラ、匂いフェチ

 

「おじゃましますーなの!!」

 元気良く、なのはは玄関の扉から顔を見せてきた。

「いらっしゃい。待っていたよー」

 とにこやかで迎える自分。

 

 ここは自分の家である。

 

 なのは家と交流を重ねつつ、お互いの信用も重ねお家を行き来することも、特に支障なく実施することが出来ていた。

 

 今回はなのはの催眠変更を行う予定だ。

 

 もはや家まで上げることが出来れば、催眠をかける事自体は容易である。

 さすがに相手側の人外能力を発揮されればこちらの様子は伺うことが出来るだろうが、そこまで信用が落ちているならこういったことは組み込まない。

 一応、お互いの信用を稼いだだけあると思う。

 親御さん同士の挨拶とか本来はあるべきなのだろうが、そこは改変能力で都合よく省かれている。

 

 この家にはなのはと二人きりの状態だ。

 

 さすがに気分も高揚してくる。積み重ねる上で催眠の継続も行う所は変わらずだったので、生殺し状態も変わらずだった。

 解消したい欲と闘いつつも出来る限り理想の構築をするべき理性は残っていたため、今回まで我慢していたのだ。

 

 なのははそんなことも露知らず、こちらの顔を見てパッと笑顔を向けて抱きついてくる。

 胸のあたりに顔をつけ、猫のように擦り付けてくる。

 側から見ると恋人同士のような触れ合いであるが、そこは如何せん。なのは的にはあくまでコミュニケーションの一環としか思っていない。

 まだまだ恋心など育つには時間が掛かるだろうと思うし、元から線の引き方というのは学ぶ機会も薄かっただろうし普通に家族と接するような気持ちなのだろう。

 

 ただ本人からしてみたらだけどね。

 

 美少女と呼ばれてもおかしく無い綺麗な顔立ちと共に芯のある瞳、常に元気いっぱいの魅力ある笑顔。

 そして砂糖と水を合わせて煮詰めたあとの甘い甘いシロップのように鼓膜を蕩かすような声。

 どこを取っても魅力的に感じられる少女が好意を隠しもせずこういう風に抱きつかれて、女の子の匂いを発せられると我慢するのも大変だ。

 

 精神と体の乖離を考慮してもそういった状況は、体が特に引っ張られてしまい子供ながらも性欲が増されていく。

 あの存在が言っていた健康だよーと言う言葉を考慮すると、こう言った欲を増幅させることはしているだろう。

 

 とまぁ、要するに溜まりっぱなしなのである。

 

 ごろにゃんと顔を擦り付けているなのはを連れたまま、一緒に自分の部屋まで移動する。

 

 そうして自分の部屋に入ると、二人きりになったと言う意識が強くなったのか、なのははより一層顔をグリグリと顔を擦り付けてくる。

 だんだんと顔が下に動いているのは気のせいだろうか……。

 

 速い速い! がっつかないで。と思いつつ先ほどから向けていた指を維持しつつ、なのはの名前を呼ぶ。

 名前を呼ぶとなのはは返事をして催眠状態に陥った。

 

 そうして設定を追加する。

 ・鏡音奏の男性器を嗅ぎ続けると男性器をずっと舐めていたくなる衝動にかられる。

 ・鏡音奏の体を舐める行為はすごく幸せである。

 ・鏡音奏の体に汚いところは無く、全てが最高のお菓子のように美味しく感じる。

 ・鏡音奏から舐める場所を指定されたらそこを丁寧に舐めることが必要である。

 ・男性器の匂いを嗅ぐこと、体を舐めることはアブノーマルであり他の人がいる前ではする行為では無いと認識する

 ・鏡音奏が「終わり。終わり」と告げたら舐める衝動は一時的に抑えられる。

 

 設定が多くなってきたが、まとめすぎると行動が大雑把になって変に露見する可能性があるので、二人きりと言う状況だとはめを外しやすいようにし他は抑えるようにする。

 ただ、将来的にはまとめようと思う。

 

 とりあえずはこれで様子を見つつ調整していければ良いと考え、催眠を終了する言葉を伝える。

 

 催眠状態から復帰したなのはは、目をぱちぱちと瞬かせながら、こちらを見てくる。

 すると体が少しずつもじもじと恥ずかしいような動きを見せ始める。

 

「奏くん。そっちに……行っても良いかな?」

 ちょっと恥ずかしげな表情。羞恥心と欲求がせめぎ合いそれでも欲求に従おうとするその魅惑的な仕草には滾るものがある。

 そんな心の中は微塵も外には出さずに優しく言葉を伝える。

 

「良いよ。こっちにおいでっ……」

 

 言葉を最後まで発する前に良いよ辺りから勢いよくなのはが突っ込んできた。

 仔犬のような無邪気な笑顔付きである。

 そのままベッドの上に一緒に転がり込むように倒れた。

 

 なのはは胸の辺りで引き続き顔を埋め少し深めな呼吸を始める。

 

 スーハー

 

 可愛らしい吐息が胸の上でくすぐる。

 呼吸は暖かく優しくそしてお互いの体温が合わさってきて体が火照る感覚が上昇する。

 

 しばらくはその状態だったのだが、なのはは自然と体を動かし少しずつ下半身の方へと顔を近づけ始める。

 無意識なのか意識的なのか本人しか分からないが、それでも顔は少しずつ下の部分へと近づいていく。

 

 そうして、下腹部に到着すると

 

 すぅーーーーーはぁーーーーー

 

 深く深く深呼吸をし始めた。

 その呼吸の振動音で、ズボンの上からでも自身の男性器には刺激になり、さらに暖かい吐息の温度による刺激というのは気持ちいい。

 

 ある意味のマッサージを受けているような感覚を味わい堪能しているとなのははふと顔を上げこちらを潤んだ瞳で見つめてきた。

 少し恥ずかしげに見える表情は征服欲を刺激される。

 

「奏くん……ズボンを脱がせても良い?」

 

 匂いを嗅いだことによる安心感。断られたらどうしようと揺れる瞳。ただより深く嗅ぎたいと言う欲求。様々な感情が混ざりつつ潤んだ瞳と表情は年齢に見合わない蠱惑的な魅力を発していた。

 そのまま無言でズボンのベルトを緩める。

 なのははその行為を邪魔することなく、こちらを見ている。

 そうしてズボンを脱ぎ終わると下半身は下着1枚になり、その状態のまま、おいでと手を広げなのはに優しく伝えた。

 

 なのはは嬉しそうにこちらに再度近づき、

 ……そのまま下半身に顔を突っ込んだ。

 

 お預けをくらった後、よしと言う声と共にがっつき始めた仔犬のような貪欲さである。

 その勢いには若干戸惑ったが、そのままなのはの好きにさせる。

 

 すんすんすんすん

 

 今度はこちらの腰に手を回し小さく呼吸音を出し、余すことなく嗅いでやるぞと言わんばかりに細かく振動を伝えてくる。

 呼吸だけでもここまで愛撫が出来るのかと感心しつつも堪能することは忘れない。

 

 お互いにより強めの刺激を味わいながら時は進む。

 そうすると

 

 チロッ

 

 と、匂いを嗅ぐ刺激とは別な刺激が飛び込んできた。

 

 チロッチロッ

 

 恐る恐ると言うか探り探りと言うべきか、少しずつ新たな刺激が入ってくる。

 もはや自分の男性器は成長度MAXの状態なので下着の上とは言え新たな刺激はより快感度を増してくる。

 そう感じながらなのはを見てみると腰に回していた手は、大きくなっている男性器の部分に優しく包み込むように手のひらをあわせて挟み込み男性器の先の部分を下着の上から舌で舐め始めていた。

 

 チロッ。ちゅっちゅ。

 

 ゆっくりとした舌の動きは水っぽい音と共にさらに刺激を伝える。

 時には匂いを嗅ぐ動作も合わせられ飽きさせることなく続いていく。

 

 そうして、だんだんとだんだんと動きに遠慮が無くなり刺激が強くなっていく。

 先の部分を舐めていた舌は竿の部分にも這わせ柔らかい大事な大事な袋の部分には鼻を近づけ匂いを嗅ぐ。

 洗練された動きではなく時には軽い痛みも走る時はあるが、本能に任せた行動はお互いの感情を高めていく。

 

 そしてもっともっと堪能したいと言う欲求が高まってきたのか、なのははこちらに有無を確認することなく下着をずらしはじめた。

 こちらももはや快感を味わいたいのは一緒なのでお互い無言だけど通じ合ったように動き、こちらも脱がしやすいように腰を軽くあげる。

 

 そうして男性の象徴がなのはの目の前で露わになった。

 

 なのは本人は強く強く象徴してる状態の男性器など初めてみるだろうが、驚きも無くそんな事はまるで気にしないと言う形で、優しく小さなその掌に男性器を挟み、先の部分に自分の鼻を近づける。

 

「すごい……すごい強い匂いなの……」

 

 目は恍惚とそして貪欲な形で直に濃くなった匂いを堪能する。

 自身の鼻先にくっつけより手のひらで左右に動かし、強く強く鼻腔で彼の匂いを嗅ぎ続ける。

 直接擦られる快楽はこちらの理性もさらに奪い始める。

 

 お互いの幸福度、興奮度それぞれ心の壁が壊れかかり更に行動は過激になっている。

 

 ちゅっちゅっ

 

 そんな音と共になのはは唇を男性器の先に捧げていた。

 本人は知ってか知らずかそのファーストを自身の男性器に捧げていたのだ。

 

 これがなのはのファーストキス。

 

 その事実を認識した時に、征服欲、快感と合わせドクドクとした心の興奮度は増してくる。

 それに体が合わせていく形で、男性器の先から新しい呼び水がどんどん生まれて来た。

 

「すごく甘い……()()すごく美味しいの……。ちゅ……」

 

 蕩けるような甘いボイスと共に空腹で目の前に食事が与えらたような、飢餓感を満たす行為として舌を出し己の体に吸い込んでいく。

 それは凄く凄く快感を呼び込んでしまう。

 

 ちゅ。ちゅ。ぺろっ。ちゅ。ちゅ。

 

 刺激を受けまだまだ限界はこんなものではないと言うくらいに味わう快感に合わせ更に男性器は主張する。

 それに合わせてなのはは恍惚と一所懸命に奉仕を続けて行った。

 

 ちゅ。スリスリ。ちゅ。スリスリ。スンスン。

 

 そんな中、まるで自分に匂いをつけるかの如く男性器を己の頬に擦り付けて来た。

 お餅のような柔らかさ。けど弾力があり張りがある暖かい頬に擦り付けられる摩擦はくすぐったさを超える快楽を生み出し始める。

 なのはの頬に我慢汁がどんどん塗られていくが、本人は止めることなく嬉しそうにその行為を続けた。

 

 こうなってくるともはや歯止めは効かなくなる。

 

「なのはっ……。竿の部分を腰側の方に引っ張ってくれるかい……」

「……ちゅ。竿ってこの棒の部分?」

「そうっ……。手に持っている部分をこっち側に引っ張るように動かして欲しいんだ……」

 

 そう言うとなのはは挟み込んでいた竿の部分を引っ張り始める。

 そうすると男性器の先が体温から解放され空気の冷たさを感じるような感覚を受けつつ完全に露わになった。

 大人になればその赤黒く腫れ上がった存在は、より凶悪な印象を植え付けられるだろう。

 だけど今はあくまで象徴する存在でも自分で見る分には可愛いものである。

 しかしそう言った存在を見たことは無いなのはは別である。初めて見たその存在は若干の怯えを見せつつそこから溢れる強い主張に目を離せないでいた。

 

 その姿に更に興奮を促される。初めて見た驚きと共にさらに手によって竿が引っ張られる快感は亀頭部分を増大させた。

 そうすることでまるで目に見えるような男性の匂いが発せられ、酔ったような表情でなのはは顔を近づけた。

 

「すごい……すごい……」

 

 語呂が崩壊したかのようになのははそう呟き、その匂いを堪能する。

 汗臭く、だが魅力的なその男性の匂いへ夢中になり、むさぼるように己の体に取り込んでいく。

 特に濃い亀頭の縁の部分はまるでお気に入りの如く鼻先を強くあてていった。

 

 快感を味わっていると、なのはは更に行動を重ねてくる。

 縁の部分に舌を伸ばしぐるっと舐め回すような形で包み込んできた。

 亀頭の下部分、裏筋近辺はここが一番味が強いとばかりに念入りと舐めてくる。

 

 ちゅぱ。ちゅ。れろ。れろれろ。

 

 直接的刺激が半端ない。

 まるで汚れを落とし尽くすようなその献身的舌の動きは快感を次へ次へと生み出していく。

 更に目に映るなのはの献身的動作は興奮を巻き上げていくのであった……。

 

 そうすると何か思いついたのか、なのはの動作が変化する……。

 かぽっと擬音が聞こえそうなくらいに口へ亀頭を包み込んだのだ。

 その瞬間なのはは目を驚きに満ち溢れた形にした後、すぐ蕩けるような視線へ変化し、

 

 じゅ。じゅっ。じゅっ。

 

 まるで亀頭をストローのように吸い上げるのであった。

 吸い上げる動作が行われる度に舌の動きも変化し裏筋の部分にぴったりと食いつき吸い上げる密着感と共に射精感に近い快感が生まれる。

 

 これは凄い……。

 

 その動作は背徳感。征服感。罪悪感。そして強い快楽と共にこみ上げる衝動が強くなる。

 もはや射精することだけしか考えられないくらいに快感が続く。

 

 ずっずっ。じゅっ。れるレロ……。

 

 水っぽい音を発し、なのはは美味しいものとしてそれを啜りあげる。

 竿を引っ張られながら裏筋を攻め亀頭を吸い上げられると言う、身悶えする快感の中、射精感はどんどんと高められていく。

 

 そうして終わりが訪れる前になのはに叫んだ。

 

「そのまま裏筋を舐め続けて!」

 

 裏筋と言う言葉になのははきょとんとした顔を見せたが、今、舌がある部分だろうと考えたらしくそのまま丁寧に丁寧に舌を動かした。

 

 そうして精を解き放つ。

 射精する瞬間と言うのは、男性としては何も考えられないくらい快楽が発生する。

 精液が筋肉の動きを伝い尿道を経て外部へと出すその刹那とも呼べる瞬間は一瞬でも永遠に感じられる。

 特に今回は今世における初めての射精であり、それは発生する快楽は自身の想像を越えたものだった。

 

 思わず漏れた声を上げ、そのままなのはの口の中に放った。

 

 なのはは初めて受けた口内射精に、んっ!? と驚きつつ、亀頭の先から溢れ出て来た精液を口に溜める。

 発せられた精液は、むせること無く、なのはの口へ溜まりその味を確かめるのであった。

 精液の匂い、味はより鏡音奏の体の味の濃厚さを感じられ幸福度を更に引き上げられる。

 そうしてなのは自身も頬が紅潮し、精液を味わいつつ心が満たされてその精液を喉に吸い込む様に取り込んだ。

 そして命令通りそのまま舌で裏筋を丁寧に舐めあげるのであった。

 

 れろれろと舌が動く刺激に絶頂からも刺激が落ちることなく快楽を維持させる。

 精液の味が気に入ったのか、そのまま亀頭を吸い上げる動作も継続された。

 

 頭の中がちかちかと小さな発光がする感覚と共に継続される刺激は腰が砕ける様な感覚を引き起こされる。

 ひとまず絶頂からの荒げた呼吸を落ち着かせようと考えたが、なのはは継続して刺激を与えてくれるので、快楽の渦は止まらない。

 その状況に半分諦めつつ脱力してなのはの奉仕を受け続けたのであった……。

 

 

 

 さすがにしばらくすると刺激はあっても呼吸も落ち着き冷静さが戻ってくる。

 そろそろ終わろうかと思ってなのはから体をずらそうとすると、男性器を口に含めたままいやいやと首を振りつつそのままペロペロと舐め続けていた。

 このままでは2回戦に行ってしまい止めどもない状況になるので、ひとまずは一息付こうと思い、終了の合図をなのはに送る。

 そうするといやいやながらの動作を見せつつ、なのはは従った。

 その様子を苦笑しながら見ていると、ピンと閃いたのかなのははそこから自分の胸の方に飛び込みこちらの腕を枕の様にして頭を預けて一緒に寝る体勢をとってくるのであった。

 

 なのはは幸せそうな笑顔でこちらを見て顔をくっつけてくる。

 その顔を見て優しく頭を撫でてあげながら、時間が過ぎていくのであった……。

 



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7話迄-現段階の状況メモ

 ▼▼

 高町家

 高町士郎

 高町桃子(サブ)

 高町恭也

 高町美由希(サブ)

 高町なのは(メイン)

 

 高町なのはの催眠状況

 ・鏡音奏の体の匂いを嗅ぐと安心する。

 ・鏡音奏の男性器の匂いを嗅ぐ事について抵抗はない。好きな匂いである。

 ・鏡音奏と会うと3日毎には二人っきりになりたくなる。

 ・二人っきりの時には鏡音奏の男性器に特に注目してしてしまい匂いを嗅ぎたくなる。

 ・鏡音奏の男性器を嗅ぎ続けると男性器をずっと舐めていたくなる衝動にかられる。

 ・鏡音奏の体を舐める行為はすごく幸せである。

 ・鏡音奏の体に汚いところは無く、全てが最高のお菓子のように美味しく感じる。

 ・鏡音奏から舐める場所を指定されると、そこを丁寧に舐めることが必要である。

 ・男性器の匂いを嗅ぐこと、体を舐めることはアブノーマルであり他の人がいる前ではする行為では無いと認識する

 ・鏡音奏が「終わり。終わり」と告げられたら舐める衝動は一時的に抑えられる。

 ・鏡音奏から「高町なのは」とフルネームを呼ばれると「はい」と返事をする

 

 男性器及びアブノーマルの知識を織り込み済み。

 

 催眠能力について

 左掌をかざすとメインストーリー対象者か否を判断できる。

 赤色……メイン対象者

 青色……サブ対象者

 それ以外にも催眠能力を使用することは可能。

 男性には能力が使用できない。

 

 催眠をかけるには催眠対象者に対し 1分以上左人差し指を指し続けその対象者のフルネームを言う必要がある。

 催眠後、催眠を継続させるためにサイコロを振って継続させる行動パターンを付ける必要がある。

 

 1……不明

 2……催眠実行者の匂いを嗅がせる。

 3……不明

 4……不明

 5……不明

 6……不明

 

 ペナルティについて

 下記行動が見られるまたは発覚するとペナルティが発生する。

 ・催眠状態を見られる。

 ・催眠を仕込んだ後で、その人が催眠がかかっている事がバレる。

 ・自分が催眠をかけていることと催眠手順がバレる。

 

 あと、継続対応を放置した場合もペナルティが発生する。

 

 ペナルティ発生時は蝶の羽で通知対応される。

 最大4段階あるらしい。

 1段回目……手首に燃えるような激痛が発生し続ける。

 2段回目以降は不明。

 

 ペナルティが発生すると催眠者は催眠から復帰する。

 ペナルティ復帰は再度その対象者を催眠にかける。

 

 再度催眠をかけると、継続対応のハードルがあがる。

 今回は体の匂いから男性器の匂いに変更された。

 

 催眠メンバーを増やせば報酬があるらしい。(5名以上らしい)

 サブ対象者をメンバーにすると報酬があるらしい。

 

 ▲▲

 

 メモを書きつつ状況を整理すると、細かいところが多すぎるな……と改めて思った。

 一人でこれである。大雑把に設定することで纏めることも出来ると思うが、ペナルティを考えるとどこで破綻するかわからない。

 ジレンマを抱えつつメモを見ながら考えると恐らくこれはそう言う風にわざとしているのだろう。

 

 何も考えずに増やせば破綻

 設定が甘いと事故って破綻

 設定を組み込みすぎると管理しきれなくて破綻

 

 クソゲーと呼ぶに相応しくバランスが無駄に高めに設定されているせいで基本が破綻へ向かう様に調整されているんだろうな。と辺りはつけるが、今のところ手は思いつかない。

 ……今のところは現状を見つつ積み上げていくしかないな……。

 

 そう思いメモを燃やした。

 

 向こうの手紙も見た後は燃やされているため、恐らくは残していくことは危険なのだろう。

 なので、このメモも残しておくことも不安だし、持っていても不安だし、頭の中にしか今のところは残せない。

 定期的に書き起こしして記憶を整理して焼き付けるしかないだろうとめんどくささを実感し、ぐったりと椅子に体を預けるのであった。

 

 



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8話

 

 時は経ち舞台は聖祥大付属小学校へ移る。

 

 

 新しく催眠をかけたメンバーは居ない。

 と言うか、現段階ではあまり追加したくない……。

 

 だが、確かめる必要がある人員がここで追加されるのも確かなのだ。

 高町なのはの親友と呼べるべき人材。

 アリサ・バニングス

 月村すずか

 両名が同じクラスに居る。

 

 確かある出来事によって、仲良くなるのだが年齢の割には修羅場な展開だったはず。

 だけど、あれは三人のみで発生する出来事なので、自分と言う存在がある以上どう言う風に転ぶかはわからない。

 

 切っ掛けはアリサ・バニングスが作るはずなので現状はタッチしていない以上、イベントは発生する可能性は高いが、なのはの精神状況によっては良い方にも悪い方にも行く可能性は否定できない。

 現在のなのはの状態はある意味安定された状態だろう。

 家族間における仲は良好であり、自分という友達も存在している。

 常に居る、自分へと若干依存気味な癖は見えるが、年齢的にもまだまだ修正は効く範囲だと思いたい。

 ……最近、あっちの方も色々遠慮が無くなってきている……催眠の後押しがあるのは間違いないと思うが、だんだんと大胆な行動になってきているのは本人の気持ちも膨らんで行っているのだろう。

 ただ本人の気質なのか、やり過ぎな所があり……こっちがへばる事が多いのは贅沢だろうか。

 ある意味年齢以上の健康な体すら疲れさせる恐ろしい娘! と訳も分からないことを考えつつ、動きを検討する。

 

 現状知っている知識としては

 アリサ・バニングス どこかの大会社の令嬢であったはず。頭脳明晰。ただ若干、性格は強気で周りに誤解されやすい。

 月村すずか こちらも確かお屋敷を持っている令嬢であったはず。身体能力が高く。性格は温厚。どの設定か分からないが「夜の一族」と呼ばれる超常現象を使える一族だったはずだ。

 こちらはただただ面倒なのだが、さすがにアニメ系の親友だけあって設定されているものは豊富である。

 とはいえ、知っている事がある分、有利に活用できることも多いだろう。

 

 こちらの2名に関しても、まずは状態の確認である。

 メインに設定されているのであればするからの検討になり検討される考えが強くなってしまうが、サブであればするしないからの選択が出来るので後に回すといった考えの調整をすることも可能だ。

 なので最初の検討が出来る様に状態の確認をする。

 

 幸い同じクラスなので、状態を見るのは容易であった。

 アリサ・バニングス、月村すずか共に青色。サブ対象者であった。

 少しホッとした。以前に確かめた高町桃子、高町美由希以上でストーリーに絡んで居たはずの両名がサブであった為、メインはこの2名以上のストーリー進行者になるだろう。

 おそらくは、

 フェイト・テスタロッサ

 八神はやて

 クラス。

 

 八神はやてに関してはまだ先ではあるが、フェイト・テスタロッサは間近むしろ無印と呼ばれる一番最初のメイン人員であるので、こちらの対策を優先していければと考える。

 とはいえ、こちらもまだ時間もある為、ひとまず置いておき、今、現段階としての対応を検討する。

 

 アリサ・バニングス。月村すずか両名とも現段階で催眠を組み込むことはリスキーだと判断する。

 なぜなら向こう側のお家状況が不明すぎるのだ。

 アリサ・バニングスに関しては、仕事がら両親は忙しいはずだが、お手伝いさんとの信頼度合いが不明であり、どの程度怪しい行動をしたかによってこちらの存在に気付く可能性が分からない。

 月村すずかに関しても同様だ。向こうは確か夜の一族と呼べる人員が複数存在したはずである。

 試すにしても能力の差も分からない内に行うことは危険しかない。

 特にお金持ちであればあるほど、このアニメの世界では見えない影の存在というのは持っているのは定番であろう。

 どこで見ているかも分からない状態で、催眠を掛けている状態を見られたらこっちが一発アウトである。

 なので、やはりこの2名も正当的対応が遠くも近道であろう。

 両名とも仲良くなり、情報を収集し、リスクを削っていく。

 チート持ちが行うには地道な進め方ではあるが、近道であればあるほどあのクソに破綻される可能性が高い以上しょうがないと割り切る。

 

 とはいえ、サブ対象者であるのでどうしても必要な時にかける事ができれば良いので気負いはしない様にする。

 

 さて、そうしながらも日々はさらに経過し、様々な交流を重ねていった。

 小学生としてのテストはさすがに簡単過ぎるが、気を抜かず優秀な成績を収めていく。

 また体育の時もしっかりと上位に合わせる形で調整する。

 突き放し過ぎると怪しまれてしまうし、かと言って平凡だと歯牙にも掛けられない。

 向こう側にも意識されつつ好印象を振りまくのは中々骨が折れる対応であるが、必要経費だと思うしかない。

 他の小学生とも遊ぶ時も同様だ。子供過ぎる言動は控えつつも子供っぽい無邪気さは演出する。

 

 そうなると当然、対象の2名以外からも好印象が積まれて行くのだった。

 

 話しかけられる相手も増え、休み時間などに遊ぶ友達も増え側から見るとさぞ順風満帆に見える人生だろう。

 これに面白くない思いをするのは高町なのはである。

 元から依存癖があったのが更に依存度が高くなった様に思える。

 とはいえ、この辺りのさじ加減は非常に難しい。あっちを立てればこっちは立たずというなんで小学生からこんな苦労をしなきゃいけないんだろう。という気苦労は絶えなかった。

 まぁ、ご機嫌を取るのはこちらも苦ではないので、その辺りの機微を見つつ機嫌を損ね過ぎないようにして行く。

 

 そうしたある日、なのはと一緒に校庭を歩いて居た時

 

「返してよっ!!」

 

 と少女の悲痛な叫び声が耳に飛び込んできた。

 

 __

 退屈だなぁ……。

 

 先生が喋っている事など私にとっては新しいことなど一つもない。

 知っている知識を聞かされる行為は、飽きを増幅させ時には苛立ちすら感じられる。

 

 なんでこの程度のことがみんなわからないんだろう? 

 

 他の人が聞いたら嫉妬されるような問いを頭の中で反芻する。

 

 アリサ・バニングス

 

 幼少からの丹念な教育もあったのだろう。そしてそれを受ける本人の才能もあったのだろう。

 その結果、本人の能力とこの学校における年齢的な学力で大きくギャップを生み出していた。

 

 それは子供心として、勘違いを引き起こしやすい。

 

 とはいえ、本人は本物の才女だ。本来は勘違いした後、どこかで叩き潰されるのが常だ。

 そうやって人は痛みを覚えながら過去を悔い、己を確立させて進んでいく。

 だがアリサ本人は勘違いを正す機会すら己の能力で上回ってしまう為、それを否定出来るような人員も居ないのも確かだった。

 その結果、わがまますら常に許容される世界にて子供ながらの残酷な無邪気さと共に優越な心を加速して行く。

 

 退屈だなぁ……。

 

 テストとかで私と張り合える相手が居た時は少しながらも感動して、負けるもんかと思い時間がすぎた為、まだマシだった。

 

 ただこうやって毎度毎度知っている授業を聞くのは、何も身にならないような虚しさを覚え常に退屈だった。

 

 何か新しい刺激が欲しいなぁ……。

 

 ボーっと聞いていた授業が終わった放課後、各々が遊びや習い事の話をしている姿を見ている。

 現段階でアリサ・バニングスには友達は居なかった。

 

 本人としては、話のレベルが噛み合わないから話すだけ無駄だと思い、周りは容姿端麗過ぎる女の子は、子供ながらも理解できるほど話しかけるには心理的ハードルが高かった。

 まぁ、話しかけても一方的に言葉の圧力で意気消沈されてしまうのだが……。

 

 それはさておき。アリサ・バニングスは新しい刺激を求めていた。

 

 正直退屈を紛らわせれば、なんでもよかった。

 

 大食い勝負とかある意味面白いかも。

 

 少し前にみたTVの内容を思い出し、いざやるとなったら絶対にやらないであろう無理やりな内容を投げやりに考えていた。

 アリサ・バニングスの席は窓際である。グラウンド、校庭が見渡せる位置でもありそこから見る空は割と好きだったが、この退屈な心を埋めるには至らない。

 それでもボーっと窓から外を見ていると、一人の少女が校庭で何かしていた。

 よく見てみると、花壇の部分でしゃがみ込み何かしている。花でも愛でているのだろうか。

 その少女は綺麗な深い紫色した髪をしていて、花へ向ける優しい温厚な表情は遠目から見ても美少女であるのがよくわかる。

 

 そういえば……同じクラスだったわよね? 

 名前は確か……月村すずか……だったような……。

 

 クラスメイト自体、自分の存在を揺るがすことが出来ない限り興味が無かった為、思い出しながら彼女の名前を思い出す。

 そのまま彼女の姿を見続けているとその綺麗な髪につけているカチューシャがキラリと光に反射して存在感を主張する。

 そのワンポイントな存在感と合わせて彼女の慎ましやかな魅力が更に映えていた。

 

 私も……ああいう可愛いのを付けたら魅力的に映るのかしら。

 

 そう考えて……パッと良いことを思いついたように無邪気な笑顔を浮かべ席を立ち移動を開始した。

 __

 

 声が聞こえた方へなのはと一緒に向かうと、そこでは少女二人が取っ組み合うような感じで揉めていた。

 とは言え、力の差があるかのように紫色の髪をした少女の方が金色の髪をした少女へ懇願しているような姿を見せている。

 その修羅場っぽい場面を見たなのははこちらの腕をギュッと握り不安そうな表情で見つめてくる。

 

 恐らくこれが三人で仲良くなるイベントなのだろう。

 概要としての知識でこう言った出来事が起こると知っていても、いつどのようにどのような形で発生するかは分からないので起こっている状況でイベントか否かを判断しないといけない。

 これ自体はまだ分かりやすいから良いとしても今後判断に迷う時は出てきそうだな……。

 

 と考えが横道に逸れそうだったので、思考を戻し事前に考えていた対応方法を思い出す。

 

 要するに自分主導で絡むかなのは主導で絡むかだ。

 自分主導で行うなら恐らく今回は容易だろう。そしてそれに伴う好感度のメリットも生まれることも想像がつく。

 ただ、そうなるとなのはを成長させる機会が失われる。

 それを合わせて更に原作からの乖離が少しずつ行われてしまうため、後にどうなるかは想像がつかない。

 転生者であり朧げながらも持っているこの知識は、未来視に近い強力なものである意味最大のメリットだ。

 世界がヤバイと言われるイベント以外は基本それを取り壊さないように出来る限り原作に沿う形で合わせておいた方が無難であろう。

 

 そう考え、行動を開始した。

 



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9話

短めです。


 __

 

 

 怖い……

 

 

 まずはその感情が先立った。

 

 目の前で揉み合っている少女二人を見る。

 紫色の少女が叫んでいるが、その声が聞こえてこない。

 それよりも自分の感情が優先してしまうのだ。

 

 

 怖い…………

 

 

 喧嘩という行為はなのは的には相手側に強烈に感情をぶつける行動だと思っている。

 特にそこに見える悲痛な感情、悪意には凄く身を竦ませる。

 

 自分が悪いわけではないのに、その感情は周りに伝播させてしまう。

 良い子であろうと心に秘めているなのはには特にそれがひどく怖く感じられた。

 

 ギュッと隣の腕を握りしめてしまう。

 そうしていつも隣にいてくれる奏くんの横顔を見た。

 

 ……なのはが思うに体と体が合わさっている行為は、本来安心するべきものなのだ。

 そう……今、隣にいる奏君と一緒にいる時のように。

 

 そう思っているとふと奏くんはこちらに目を向けていつもの安心出来る声と共にこちらの頭に手を置いてくれた。

 その際に些細ながらも奏くんの匂いを感じられて怖い感情から幸せの感情へと上書きされて行く。

 

 上向きはじめた感情を得て、心の中に悪意にもめげない勇気がともろうとした瞬間

 

「例えばだけど、急に僕が()()()なったらどう思う?」

 

 と()()()()()()()ことを奏くんが言ってきた。

 

 

 ……奏くんが居なくなる?? 

 

 この一緒にいて幸せに感じる時間が無くなる? 

 

 

 あの()()()()()()()()()()()が無くなる? 

 

 

 お互いに大事に大事に気持ちを育てて行ったと思っている安心と幸せに満ちた時間が無くなる? 

 

 足下が急に真っ暗になったかのような錯覚に陥る。

 仮定の話だとしても想像しただけで胸が締め付けられて吐き気を催す。

 

 間違いなくそんなことがあれば生きていけない自信がある。

 いつも優しく一緒に居て優しい顔でお話ししてくれる奏くん。

 ちょっと時々見せるカッコいい横顔にはドキドキしたことも数えきれない。

 そして、一緒にいる時に触れ合う体温。顔を擦り付けた時に感じる安心する匂い。そしてあのどこまでも幸せに感じる一時。

 

 それが取り上げられるとするのであれば……

 

 

 そんな時に叫ぶ声がなのはの耳に入った。

 

「それは大事なものなのっ! 返してっ!」

 

 

 そう()()()貰わないといけない

 

 そもそも()()()()はならない

 

 そして大事に大事に()()()()()いけないのだ

 

 そう考えた瞬間、頭の中が真っ白になり、心が真紅へと燃え広がる。

 まるで代々受け継がれてきたかのような鋼鉄な強い意志へ火がくべられたように胸がこみ上げてきた。

 そして目の前の()()()()()()そんな行為は止めさせようと、なのはは動き出すのであった。

 

 __

 

 

 いや……猪突猛進しすぎじゃね……。と突っ込みしたくなった。

 

 元々正義感は強いであろうなのはをけしかける為、()()依存心が向いている自分を例えとして用いつつ動かそうと思ったのだが、想定以上の効果が出ているみたいだ。

 急にチャージMAX!! と言わんばかりに二人の所に突っ込み奪われたと思うカチューシャを取り上げ、取った側の金髪の少女へビンタをぶちかました。

 

 二人は呆然とその出来事を受けて止まっている。

 そしてなのはの説教が開始された辺りで、更にヒートアップしないようになのはの後ろ側に周り、気分を落ち着けさせるよう肩に手をおいた。

 

 なのはも言いたいことが言えたのか、若干落ち着きを取り戻しつつあった為、呆然としていた二人も少しずつ復帰を果たし取り上げた少女は謝罪を口にする。

 紫髪の少女も元々温厚なのであろう。返ってきたものを大事に受け止めつつ気持ちは落ち着いて話をして行くのであった。

 

 それを黙って見ていると、金髪の少女が改めてこちらの存在に気付きバツの悪い顔を浮かべた。

 こちらの存在を意識していることも確認出来たので、こちらは口を出さずにこにことした優しい表情で彼女らの行動を見守る。

 

 三人はそのあとも話を続け、無事に仲良くなりそうな雰囲気になって解散となる。

 ここから更に交流を重ねて親友へと昇華されて行くのであろう。

 

 無事に終了してほっとしたと共に、さすが主人公となのはの()()()()()()を実感し活用することは改めて検討の余地がありそうだと思った。

 

 



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10話

 その後の交流は順調であった。

 

 相変わらずなのははこちらと一緒ではあるが、アリサ、すずかと共に親密な関係を築いて行く。

 元々のポジションの相性もあったのだろう、お互いのことを知って行くには不都合なく積み重ねて行く。

 

 その中で、なのはの後押しもありつつ自分も話の輪に入ることも多くなってきた。

 最初は、意識させていた効果があったのかアリサ・バニングスにはやたら言葉で噛みつかれることが多かったが本人に悪気は感じられない為、猫が戯れついて来ているような感覚で構いつつ対応している。

 無駄に癇癪をおこす事なく優しく対応されたのが、アリサ本人的にも満足がいったのか友達としての気軽な対応が増えて来ているので、信頼は少しずつではあるが上がって来ていると思いたい。

 月村すずかに関しては、やはり柔らかい性格をしている為、コミュニケーション自体は問題ない。

 ただ、一線を引く対応が目立ち例えばもし二人きりになった時には話が途切れる事は多くなるだろう。

 まだ友達の友達程度の接点に感じられるが、これ自体は気にし過ぎてもしょうがないはず。

 

 確か夜の一族はバレてはいけないはずで、その為、すずか自身友達としても一線を引きがちだったはず。

 リリカルなのはとしてのストーリーとしては、直接的に絡まなかったはずなので特にここを深堀する必要も無いかと考え、一先ずはいざというとき用にコミュニケーションを取っても不自然じゃない程度で行こうと思う。

 

 なので、すずか、アリサ共に現状は情報収集のみで、そこまで親密になろうとする考えはなかったのだが……

 

 

 

「ねぇ……私の目を見て…………」

 

 

 

 まるでオルゴールで音を奏でるような小さくも相手を安心させるような声を出し、真紅の瞳でこちらを見ている。

 その姿は年齢に見合わない妖艶さを醸し出していた。

 だが、自分は薄暗い建物の中、腰を椅子に縛りつけられ更に手首を縛られていて身動きが出来ない状況である。

 

 

 どうしてこうなった…………

 

 

 右手も使い無理やりにでも左人差し指を背中側から月村すずかへ向けるようにし、そう考える。

 

 

 どうしてこうなった!! 

 

 

 再度そう思いながら。

 

 

 

 

 時は少し遡る。

 

 成績優秀なポジションはアリサとの絡み合いもある為、上位は維持しているのとよく他の人とも絡むことも多く性格的にも温厚さを前面に押し出しているので先生からの受けはよかった。

 なので、色々とお願いされることも多い。

 年齢的にそこまで難しい作業を頼まれる事は多くないのだが、今日に限っては少し遅めの時間帯まで手伝う必要があった。

 

 なのはも一緒にいたい空気を出していたが、遅くなりそうな所が見えた時点で無理やり帰らせる。

 若干、むくれていたので、後でご機嫌を取る必要があるだろうと思いつつ作業は継続するのだった。

 

 そうして作業が終わった頃には、夕方となり下校する人も少なくなって来ていた。

 今日も良い仕事をしたと自画自賛をしつつ、外履へ履き直すため玄関の方へ向かうと、そこにはアリサ・バニングスが居た。

 

「何よ?」

 

「いや……何よと言われても。こちらは特に……」

 

 少し拗ねている表情を出しつつこちらを伺い言葉を発してくる。

 今はご機嫌が良くないなぁ……。と思うが、別に知らない仲でもないため話を続ける。

 

「どうしてこの時間まで残っているの?」

 

「今日は帰りに迎えの車が来る予定だったのよ。だけどいつもの運転手さんが体調崩しちゃって……代わりの運転手さんを手配していたんだけど、まだ遅れて到着していないのよ」

 

 ふん。とアリサはそう告げる。

 なるほど。令嬢であればそう言った出迎えもあるだろうと思いつつ話を続けようと思ったが、ピンとアリサが思い付いたかのように続けて喋り始めた。

 

「ずっと一人で待つのも暇だし、送って上げるからあんたも一緒に待ちなさい」

 

 ビッと指を突きつけ、完勝の笑みを浮かべつつそう言って来た。

 うーん。断る事は難しいだろうなぁ。と考え賛同した返事をする。

 

 そうすると満足した笑みを浮かべ、

 

「本当はすずかも誘いたかったんだけど、まだ花壇のお手伝いがあるって断られちゃったから暇つぶしとしても丁度よかったわ」

 

 と段々とアリサ本来の調子を取り戻しつつ喋り始めたので、そのままたわいのないお喋りをして行く。

 そうしてしばらくすると迎えの車らしき姿が近づいて来た。

 

「来たわ。ほら、行くわよ」

 

 と、こちらの袖を引っ張り車に近づいて行く。

 運転手さんに恐縮しつつ、帰りの道を伝えてアリサと一緒に車へと乗り込んだ。

 そうして車の中で、夕暮れから夜に染まりつつある空を窓から見てアリサと会話をしつつ帰りの家路を楽しんでいると、ある道角で車が急にストップした。

 家にはまだ距離がある場所である。ふと周りを見渡しても他の人の存在も見当たらない。

 

「お嬢さま。すみません。急にエンジンの調子が悪くなったみたいで、少し見て来ます」

 

 そう言って、運転手が車のドアを開けた瞬間。

 運転手さんが助手席まで吹っ飛ばされた。

 

 は? 

 

 思考が停止してしまう。

 運転手さんは頭から血を流していてぐったりしている。

 するとドライバー席に全然見知らぬ覆面を被った男が入って来た。

 

 手に銃を持ちながら。

 

 そのまま運転手の手を見事な手際で縛りつけハンドルを握る。

 

 えっ? 

 

 困惑状況が更に広がっていると、後部座席の方のドアが開けられてこちらも覆面をした男が入ってくる。

 こちらも手に銃を所持していた。

 

 そうして覆面越しに声を発してくる。

 

「動くな。叫ぶな。少しでもそぶりを見せたら撃つからな」

 

 ようやく頭が回り始めた頃には、手遅れの状態を認識する。

 アリサの方も事態を認識したのか顔は真っ青に変化し始めた。

 

 こんなイベントは()()()()

 

 ようやく回った頭の中で、知識を反芻するが思い当たるふしが無い。

 そんな合間にも時間は過ぎて行く。

 ふと、後部座席に入った覆面男を見るとガスマスクらしきものを被っていた。

 

 そうしてこちらにスプレーのようなものを向け、ガスを発してきた。

 それを無理やり吸い込まされると、段々と意識が薄くなり遠くなって行く。

 

 意識が薄れて行く中で、ドライバー席を見てみるとそちらの覆面男もいつの間に付けたのかガスマスクらしきものを付けており、そのまま車を動かし始めた。

 こうしてどこに行くかも不明なドライブが始まった。

 

 __

 

 今日もアリサちゃんのお誘い断っちゃったな……。

 花壇に手を入れつつ心の中で呟く。

 

 夜の一族

 

 私たち月村家において、別途呼ばれる呼称の一つだ。

 それは人間を超えた力を発揮し、普通の人間が感知出来ない能力を使う存在。

 人類が進化した超越者と呼べるその存在は、いくら本人が普通に人間的思考を持っていたとしても人々に恐怖を与える。

 

 もちろん代償もあるが、それでも人間を超える人外の力は大きければ大きいほど相手に不安を掻きたてる。

 

 そして、恐怖された人々から短絡的に言われる言葉は「化物」だ。

 

 その言葉は月村すずかの心を抉る。

 どんなに仲良くなっても恐怖の視線を向けられ伝えられるその言葉はどこまでも心を抉られてしまう。

 

 本当の私のことを知っちゃうと皆離れて行く。

 

 強迫観念にも似たその事実はどこまでもすずかにのし掛かり、どうしてもより仲良くなるための行動が一歩引けているのであった。

 とは言え、別に彼女らを友達と思っていない訳では無いし、友達だからこそ迷い不安が強く生まれてしまっている。

 

 そう後悔に苛まれつつ、つらつらと花壇に手を入れ続ける。

 そうしていたらいつの間には日は落ちかかっていた。

 夕方から夜へ向かい空は急速に暗闇を纏い始める。

 

 いけない! と思い。花壇に手を入れるのを止めて帰宅する準備を始めた。

 

 時はそのまま過ぎつつ、準備を終え帰宅する時には更に日が落ちて来ている。

 

 遅くなると怒られちゃうから、少し早めに走ろう。

 

 そう考え、すずかは走り始めた。

 

 夜の一族。それは身体能力一つを取っていても一般と比べ突き抜けている。

 彼女自身の少しは一般でいうと、とんでもないスピードで帰宅するスピードであった。

 

 その走っている中で考える。

 

 鏡音奏と言う存在。

 

 高町なのは、アリサ・バニングスという同性の友達と呼べる存在とは別に異性としての存在。

 成績優秀、運動能力高、容姿は良いと言う三拍子である。

 性格もアリサちゃんを上手くやり込める辺り、精神年齢は高いのだろう。

 

 側から見ているとなのはちゃんはゾッコンに見えるくらい鏡音奏に入れ込んでいるように見える。

 私たちよりも前から一緒だった為、幼なじみとしての存在が強いとは思うがそれでも異性として少なからず好意は持っているのだろう。

 

 まぁ、他のクラスメイトを見ていると、どうしても惹かれちゃう魅力はあるよねー。と私も思う。

 

 ちょろいと言われればそうかも知れないけど、やはり自分に持っていないものを持っている異性というのは目を惹かせられる。

 いつも読んでいる小説のような恋愛をしてみたいと言う妄想はしてしまう。

 ……ただ、私の場合は、どうしても一族の後継を視野に入れる必要があるため、あくまで妄想レベルで終わるのは間違い無いだろう。

 

 

 けど、多少の妄想は許可して頂きたい。こう見えても女の子である。

 恋をしたいという想像は女の子にとってすごく甘美なのだ。

 

 そう段々と変な方向に頭の列車が走り始めていると……

 

 ふと、鼻に異臭がして来た。

 足を止める。この辺りは確か私の中で話題だった鏡音奏の家の近くであったはず。

 

 異臭が濃い方向に足を繰り出し、動き始める。

 

 すると一つの車が遠目に見える。

 力を強め遠目でその車を見ると、

 

 確かあれってアリサちゃんのお出迎えの車だったような……

 

 何度か登下校の時にその存在は見ている。ただ嗅覚から伝わる異臭はその車から強く放っているように感じた。

 更に目を細める。車の窓から中身がよく見えない。

 んーと更に見ていると車は動き始めた。とりあえず車が移動した後に足を進めてみる。

 

 そして先ほど車があった位置には、よく嗅ぎ慣れた匂いがした。

 

 血の匂い。

 

 その匂いを嗅いだ瞬間、心臓は速まり目は薄らと赤くなり始める。

 そうして、先ほどよりもスピードを上げて車の後を追い始めるのであった。

 __

 

「いやぁぁぁあぁぁぁっ!!!!」

 

 女性の叫び声で意識が浮上する。

 そして目の前に飛び込んできた光景は、男に伸し掛られる寸前のアリサ・バニングスだった。

 アリサは目の前に居る男性に恐怖をあげ、顔を涙で濡らし更に悲鳴を上げ続ける。

 

「ちっ。少し楽しもうと思ったら目が覚めやがった」

 

 襲い掛かろうとした男性はあまりの叫び声に萎えたのか、体勢を戻し立ち上がった。

 顔は覆面状態で見えない。ただ立ち振る舞いはどう見ても不良レベルの素人ではなく訓練された動きに見えた。

 

 そうした視線に気づいたのか、こちらに視線を向ける。

 

「こっちも目が覚めやがった。おい。うるせえからお前は黙っていろよ」

 

 そう言って銃を持っていることを見せびらかす。

 こっちがそのまま黙っていることに怯えたんだろう。と満足したのか、アリサに向き直る。

 

「ぎゃあ、ぎゃあ。うるせーな。お前は少し黙っていろ!」

 

 そう言ってアリサに向けて車で受けた同様のスプレーのようなものを出し、アリサに直接吹きかける。

 そうするとその空気を吸い込んだアリサはそのまま黙ったまま動かなくなる。

 

「ちっ。これも安くは無いんだがな……。あんまり使わせんなよ」

 

 そう覆面男がぼやいていると、先ほどの叫び声を聞いたのか別の覆面男が現れる。

 

「おい。何かあったのか?」

「あー。少し鬱憤を晴らそうかなと思っただけさ。高く売れそうでもあったからな」

 と下卑た笑い声を上げて会話をし始める。

 

「まだ、交渉が終わっていないんだ。それが全部終わるまで我慢しろ」

「へいへい。少しぐらい摘んだって良かっただろうに……」

 

 そう言ってやれやれと言った動作をおこなった。

 

「……ひとまず他の場所を哨戒するぞ」

 と先ほどきた覆面男はこちらをチラと見て、黙っている様子で支障ないと判断したのかそのまま先ほどから居た覆面男を連れ扉から出て行った。

 

 ……ひとまず現状の状態を確認する。

 廃墟のビルなのだろうか、ここから見る限り窓っぽい場所から見える外の様子は地面など全く見えず空の様子しか見えない。

 そして部屋の状況はひどい。床は剥がれ壁のコンクリートもボロボロで剥き出しだ。

 恐らくは誰も近づかない廃墟のビルなのだろう。

 そして自分は椅子は腰に縛り付けられて、手も背中の方で縛り付けられている。

 動こうにも動いた瞬間、椅子ごと倒れて終わりだ。

 そう言った状況の中でこうなった原因を探る。

 

 誘拐? 

 

 アリサの立場を考えればあり得るだろう。

 大会社の社長令嬢。恨みを買う機会など売るほどあるだろう。

 先ほど交渉とも言っていたし、恐らくはその線で考えるのが妥当である。

 

 そうするとこちらは完全に巻き込まれた状態か……。

 サブイベントもあるのかよ! と気持ちは沈む。

 これのタチが悪いのは、事前知識が全く役に立たない。

 あくまで本筋のストーリーの記憶はある程度あるが、こう言った発生するかどうかも分からないイベントは覚えていない。

 さすが完全に知っているとは言えない世界をピックアップされているだけある。

 その手際は出来る子の印象をある意味強烈に裏付けられてしまった。

 

 とは言えここで出来ることはないか検討する。

 

 名前すら知らないので催眠能力は使えない。そもそも男性なので使えないのは確定だ。

 事前知識も無いためこちらも役に立たない。そうなると体一貫なのだが自由は奪われている。

 

 やはり現段階では何も行動は出来ないか……。

 

 と黄昏れる。あとは可能性の検討だ。

 先ほど考えた通り、アリサの親は大会社の社長。

 恐らくは救出部隊に関しても伝手はあるだろう。

 この世界としての繋がりを考えれば、裏仕事もしていたはずの高町家にも伝手があると信じたい。

 

 そうなるとそこからの救出待ちだろうか……。

 結局は、信じて待つ以外の選択肢しかないかと考えた。

 

 結果としては的はハズレてしまったのだが……。

 

 しばらくそのままの状態で、うんうんと手はないか考えていると、ふと気づいた。

 ……さきほどから何も音が聞こえない。

 

 元々場所的にも音は聞こえて来づらいだろう。ただ、あの複数名を考えると全く音がないのは不自然だ。

 その状況を不審に思っていたら、とんでもない光景に出会すことになる。

 

 そして、冒頭に戻るのであった。

 

 それは幻想的な光景だった。

 

 月村すずか。

 

 ふと現れたその少女。

 月明かりに照らされたその紫色の髪は、月の光を吸い込んだかのように深く綺麗に映る。

 まるで重力すら感じさせないようにふわりと現れた、その姿は年齢に見合わない妖艶さを醸し出している。

 

 そして、

 

「ねぇ……私の目を見て…………」

 

 とオルゴールで音を奏でるような小さくも相手を安心させるような声を上げつつ、真紅の瞳でこちらを見ていた。

 

 ヤバイ……。

 夜の一族の方が来てしまった……。

 

 こちらは純粋にヤバイ。

 詳しく能力は知らないが、この世界において超常現象を操る連中である。

 記憶操作系で吸い上げられると一発で終了だ。

 

 そして恐らく発した言葉を聞く限りこの目を見る行為自体が、魅了の可能性が十分あり得る。

 それでも十分こちらのピンチは変わらない。

 

 そんな気持ちをまるで考慮されてないように、すずかはこちらに近づいてきている。

 

 

 考えろ。

 

 

 他を全て捨て、考えろ。

 

 

 

()()を返事させることだけを考えろ。

 

 

 その魅力的な瞳を見ないように注意しつつ、自然な動作で視線を外したまま問いかける。

 

「……その前に、確認したいんだけど」

 

 少し軽めにした口調を含ませ発言すると、すずかは先ほどの雰囲気を流されて気が抜けたように目をパチクリとさせた。

 

 ここからだ。

 

 ……正確な時間は不明だが、出来る限り時間を稼げるように、ゆっくりと言葉を詠うように優しく伝え始めた。

 

「いつも君を見ていた、綺麗な瞳と今もさらに魅力的に映る瞳」

 急に真剣な顔を作り君をいつも見ていましたよと言う表情から照れたような表情を浮かべ、

 

「そして、いつも優しそうになのはとアリサを見つめていた笑顔」

 そんな光景を見ていたよ。と言わんばかりに遠い目をして表情を作り、

 

「今の触れれば壊れそうに映る守ってあげたくなる儚げな表情」

 ゆっくりゆっくりと表情を変化させつつ、こちらが優しく守ってあげたくなる気持ちが少しでも伝わるような気持ちを込め、

 

「こんなに引きつけるような魅惑的な君は、本当に」

 再度、照れを意識した表情を出しつつもその魅力に釣られてしまった残念な少年の顔を少しでも表現するようにして、

 

「月村すずか」

 名前をしっかりと発言しつつ、

 

「なのかい?」

 その魅力に酔ったように弱く問いを行う。

 

 __

 

 後を追いかけアリサちゃんの車を見つけた場所は、誰も近寄りそうにない取り壊し予定の壊れかかったビルだった。

 周りに目立った他の建物は無く、大声を出されたとしても気付かれる可能性は低いだろう。

 

 そんな場所へアリサちゃんが向かうことは無いだろうと判断して、身体能力をフル活用し様子を伺う。

 

 ……こんなビルの中で動いている人間が数名いる。

 

 さすがに平和な状況では無いと判断し、アリサちゃんを救うべく行動を開始した。

 

 友達の緊急事態なので、私の能力をフル活用することに戸惑いはなかった。

 そうしてビルにいる怪しい人たちを無力化していく。

 

 夜の一族として瞳の力を実践で使うのは初めてであったが、問題無く対応出来たと思う。

 だけど、力を使用しすぎたせいで疲労感は溜まっていたのだろう。

 無力化した後は、あまり上手く頭が回っていないような感覚だった。

 

 

 だからこそ、あの言葉は身に心に深く深く沁みた。

 

 

 アリサちゃんが囚われている場所へ行った際に、そこに想定していない人物がいた。

 

 

 鏡音奏

 

 

 アリサちゃんとは別に意識があったままで居た為、慌てて彼にも能力を使い眠らせてしまおうと考えた。

 すぐ意識を落とせばそこまで苦労なく変更出来るだろうと思い足を進める。

 だが、彼はこちらに向かって怯えることなく言葉を伝えてきた。

 

 いつも君を見ていた。

 今の君も可愛い。

 

 化物と私を怖がることなく、むしろ今の私を受け入れてくれそうな言葉は私にとって心からずっと求めていたものである。

 その言葉は私の身を震わせ、心を震わせてしまう。

 

 そうして私は、彼から告白を受けたような言葉を受けその答えを出すように返事を返すのであった。

 

 __

 

 

 そして時間稼ぎも含めたこちらから出た言葉は、相手側の意表を突くことが出来たのか、

 その真紅の瞳が揺れ動きながら、それでもこちらへ向きつつ

 

「そうだよ。私は月村すずか」

 

 

 そう答えてくれた。

 

 

 



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11話

 月村すずかが目を虚空に向け光を失い催眠状態に入る。

 

 

 催眠状態に入ったことを確認し、周りを一瞬見渡すが特に景色に変化はなく、どこから吹いているか分からない風すら頬に感じることが出来る。

 

 

 今回は時間停止は無し……。

 

 

 こう言う時こそ考える時間が欲しいのに、期待していた現象が起きずにちきしょうとぼやくが時間は待ってくれない。

 

 すると、右手の方に硬い物質のようなものが握らされる。

 元々左手を右手で無理に持っており開いた状態ではなかった為、その硬い物質のようなものは落とすことなく右手の中に存在していた。

 

 改めて感触を探ると恐らくはサイコロであろう。

 とりあえず急ぎ見えないままそのサイコロを手放す。

 

 どの目が出たか知らないが、床に落ちると目の前に紙が落ちる。

 拾い上げることは出来ないのでそれは置いておき、すずかへの催眠命令を仕込む。

 

 時間がない。

 アリサが起きても終了だし、他の誰かが手助けに来ても終了なので、急ぎ大きく内容を設定する。

 

 ・鏡音奏から「月村すずか」とフルネームを呼ばれると「はい」と返事をする

 ・鏡音奏からの質問には全て素直に答える

 ・鏡音奏からの命令に関しては全てよろこんで引き受ける

 

 終了のサインを送り、すずかの瞳に光が戻るのを見る。

 すずかの方も改めてこちらを見て来るが、彼女が動く前に声を発した。

 

「すずか。まずこの縛られている紐を解いてくれないかな?」

 

 すると、体を一瞬震わせた後に、

 

「分かったよ!!」

 

 すごく綺麗な笑顔で、すずかが近づいてきた。

 

 すずかのおかげで無事、椅子から開放されるとアリサの様子を伺おうとアリサへ近づく。

 すずかは縄を解いた後は、にこにことそのまま立っている。

 

 攻撃はされないだろうな……と若干、検討したがその時にはすぐ止めろと言えば終わるはずなので、まずはアリサの状況を確認することを優先した。

 アリサの様子は……

 顔に涙の跡があり、服装も汚れ若干乱れてはいたが、怪我などは無く息も問題ない。

 

 ひとまずの無事と起きていないことに安堵して、次は現状の状態をすずかに問う。

 そこで分かったことは、襲ってきたあの覆面男たちは無力化されており、それをすずか一人で行ったことであった。

 緊急事態だと判断して一人で強襲した為、まだ家族とかそちらの方には伝えていない状況だと言う。

 

 とりあえず追加でさらに夜の一族がこないことに安堵するが、まだアリサ側の救出部隊とすずかが今のこの遅い時間まで帰宅してないことを心配に思う家族がいれば、近く何か起こり得る可能性があるので油断はせず早々にことを運ぼうと考えた。

 

 どうすべきかと考え、本来どうする予定だったのかをすずかに聞いてみる。

 あの後、自分を寝かしつけて、家の方に協力を求める予定だったらしい。

 家族の方に、記憶を操作出来る人がいる為、すずかが助けたことを消して貰おうとお願いする予定だったみたいだ。

 

 ……記憶操作。やっぱりあるんじゃないか。

 

 危ない。危ないと思いつつ、話が破綻しないようにそれに調整を入れて乗っかっておこうと思う。

 

 助けにきた時には二名とも寝ていたと言うことにし、すずかに助けられたことは誰も見ていないこと。

 二名をそのまま家に持ち帰ってしまうとバレてしまうので、そのまま残してすずかの家に戻り家族に協力してもらって、アリサの家族に連絡をとってもらうこと。

 

 後は、それに救出される二人と言う流れで行こうと考えた。

 

 すずかにその旨を伝えると、笑顔で「うん! 分かった!」と返事をしてくれた。

 一応、もしすずかの家族が何かこちらに能力を使用しそうなら絶対に自分に伝えるように命令する。

 

 すずかはその内容も上気した表情で了承し、家の方に協力を求めるためそこから移動を開始した。

 

 すずかが居なくなった後に思う。

 

 いやいや命令をこなされては、遂行中にバレる可能性もあったのでよろこんでと言う内容を盛り込んだが、少し過剰にも感じる。

 ただ、元々のすずかの気性も分からないので、内気な子が家では元気な子供というのもよくある話である。

 それが喜びとして見せてきたのであれば、元気であるのも頷けるため、まぁ現状は特に大きな支障はないだろうと判断した。

 

 と言うかそんな考えの前に確認すべき内容があるため、サイコロがあっただろう位置に向かった。

 そうして確認したサイコロの目は「5」であった。

 

 サイコロの目を確認した後、落ちていた紙を拾う。

 

 

 ▼▼

 

 サブのメンバー追加おめでとー。君も中々好きものですな!! ウリウリ

 サイコロの目は「5」なので、継続設定を記載するね。

「1週間に1回。催眠実行者の精液を飲ませる」

 きゃー♡これも男の甲斐性だね!! それじゃー頑張って!! 

 

 あと、サブメンバー追加の報酬は家においておいたので見てね♪ 

 

 ▲▲

 

 

 相変わらずぶん殴りたくなるような内容だ。

 気分を落ち着けるため、内容を考える。

 

 今回の設定に関して、今のなのはにしている事とあんまり変わらないと思うなら間違いだと思う。

 なのはの最初の設定は「1週間に1回、催眠実行者の匂いを嗅がせる」だ。

 直接的に性的なものでは無く、間接的なものであったが今回は1回目から直接的な設定に思える。

 となるともう一段進行した場合、さらに直接的な重しが加えられるだろう。

 そして、前回は「2」今回は「5」となったので、完全にランダムでないかぎり、数値が大きいほどより直接的になるだろう。

 後、もう一つ程度の目の内容を見てみないとなんとも言えないが心構えとしてそう想定は付けておくべきだ。

 

 そう考えて、今後すずかへとどう催眠をつけようか考えようと思ったが、ひとまずそれは後まわしにして、アリサの方へと向かう。

 さすがにそのまま汚い床に寝かせておくのは可哀想だと思い、アリサをゆっくりと起こすようにした。

 

 あくまでよく分からないまま誰も居なくなった体なので、それを忘れずに。

 

 優しく揺すって声をかけ続けていると、アリサがうめき声を上げてゆっくりと目を開き始めた。

 自分の顔をボーっと見た後、意識が覚醒したのか、ひっ! と怯えた表情を見せてきたので、落ち着いて。大丈夫、奏だよ。と優しく体を抱きしめる。

 子供をあやすように背中をぽんぽんと撫でながら、安心させようとするこちら側を理解したのか安心してタガが外れたのかのようにシクシクと泣き始めた。

 そのままゆっくりと背中を撫でているとようやく落ち着いたのか涙を落ち着けさせ、辺りを見回し始めた。

 

 アリサがここはどこ? と問いかけてきたが僕にも分からない旨を伝えお互い何も分からないと言う状況をすり合わせていく。

 そして、とりあえずは助けが来るまで待とうと言う話に落ち着きお互い体を抱き合いつつ待つのであった。

 

 その後は概ね予定通りである。

 

 そのまま待っているとアリサ救出部隊が到着した。

 あまりにもその強靭そうなその部隊はこちらが逆に引くくらいであったが、ひとまず安心である。

 そのままアリサの豪邸に連れていかれ、汚れた服なども綺麗に一新してくれた。

 向こうの両親からの謝罪もあり、てんやわんやの騒ぎではあったがこうして無事に家に戻ることが出来た。

 警察などの調書などは無く、恐らくは全てアリサの両親が握るのであろう。

 これ以上、向こうの裏事情を突いてもロクなことが無いので、無事に戻れただけでよしとしよう。

 

 そうして家に戻った後、居間の机に器具みたいのが置かれているのを発見した。

 見た目はストップウォッチではあり手のひらに収まるサイズである。

 そして、本来タイムを表示される液晶部分には何も表示されていない。

 

 これがおそらく記載されていたサブ報酬なのだろう。

 

 そのストップウォッチの上部分にスイッチがあったが何も知らずに押す行為は蛮勇だと考え、裏を見てみると折り畳まれた紙が貼られている。

 それを剥がして中を見てみると

 

 

 ▼▼

 

 視線チェックウォッチ

 

 なんと! スイッチを押すと「今、君を見ている人」の人数が表示されるよ!! 

 使用回数は合計5回! 合計分使っちゃうと消えちゃいますー。

 身嗜みは意識しよう! 

 

 ▲▲

 

 

 余計なお世話だと言いたい気持ちを堪え、機器を見て考える。

 文はともかくその効果が本物なら使えるなと判断する。

 催眠をかける時には、どうしても他の視線を意識しておく必要がある。

 周りを見て見た目的に居ない状況であっても望遠などによる視線は分からない。

 そう言ったリスクを排除出来るのはありがたい。

 

 

 報酬はちゃんと報酬でホント良かった……。

 

 

 と一安心して、それを持ち自室へと向かった。

 

 



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12話 □エロ すずか(命令シチュ、飲精

 

 __

 

 私はあの日。生まれ変わった。

 

 光を見た。

 

 とても眩しく輝いて、そして優しく暖かさを伝える光。

 太陽は体質的に好きでは無いが、()から生まれるその光は大好きだ。

 

 あの姿でいた私を告白みたいな情熱で、口説いてくれた彼

 私の存在を認めてくれる優しい彼

 

 ひび割れた心を優しく丁寧に詠うような声で修復してくれた彼

 

 その優しさに触れた嬉しさと共に彼からお願いをされた瞬間、私の心は上限を突き抜けた。

 元々心の上限など無いと言わんばかりに何もかも私の気持ちをよろこびで満ち溢れさせる。

 

 喜び。歓喜。

 

 そして気持ちは加速していく。

 

 悦び。

 

 そうして私は精神の絶頂を迎えたのだ。

 

 その瞬間、私は理解した。理解させられた。そして魂に刻まれた。

 

 あぁ、()()()()()()()

 

 彼は私の全てを捧げる()()()()であったのだ。

 

 人は神を崇める。

 だが私が崇める存在はご主人様である彼なのだ。

 

 彼から発せられるお願いごとを受ける度に祝福された感情が突き抜け絶頂する。

 その気持ちは落ちることは無く、常に上昇を続けているような感覚だ。

 もしお願いされて私の体を屈服されたらそれこそ身も体も迷いなく彼に捧げてしまうだろう。

 と言うか捧げたい。

 

 常に彼の近くにいて、命令を受けたい。

 そしてその命令をこの体全てを使って応えたい。

 

 そんな気持ちを常に持ちながらご主人さまと接して居たある日、一瞬二人きりになった時に私に家へ一人で来いと言うお誘いを受けた。

 勿論私は迷うことなく返事をして歓喜と共に絶頂を受けるのであった。

 

 __

 

 

 

 

「お邪魔します」

 

 そう言ってすずかが家に来た。

 

 今日は継続対応も兼ねた催眠の再設定である。

 ただ、夜の一族に関しては知らないことも多く、必要に応じて聞き出したり対応をお願いする必要があると考えた為、再設定と言うより継続用の追加だけにしようと考えている。

 

 そう考えつつすずかを迎え入れ、自室へ案内する。

 すずかは異性の部屋は初めてなのだろう。

 キョロキョロと珍しそうに色々と見回す。

 ただ、特に目新しいものも部屋には置いてないので、すぐに落ち着き、こちらが準備して居たお茶を飲みながら他愛のない会話をした。

 その会話中、見えない位置で指を指し続ける。

 準備が終わった後、もう一つの手に貰った視線チェック器を握る。

 スイッチを押すと、中央の部分に数字が「1」と表示される。

 機能したことにホッとしつつすずかのフルネームを呼び催眠状態へ移行させるのであった。

 

 今回追加したのは以下である。

 ・鏡音奏の精液は美味しく幸せに感じる

 ・鏡音奏の精液を飲むために行う鏡音奏との行為は全て幸せで、体を舐める行為も抵抗無く美味しく感じる

 ・4日に1回は鏡音奏の精液を飲まないと落ち着かない

 ・精液を飲む行為は、人前では恥ずかしい行為だと認識する

 ・鏡音奏が「終わり。終わり」と告げられたら精液を飲みたい衝動は一時的に抑えられる。

 

 今回、少し試行する部分も入れてみた。

 落ち着かない感情からこちらへの精液をお願いする能動的動作が問題なくいけるか。

 大きく一つにまとめた時の影響度合い。

 こちらで特に問題なければ、多少項目を短く出来るのではないかと思い設定を行う。

 

 そうして、解除の合図を送りすずかの催眠を解除する。

 

 すずかの瞳に光が灯り、先ほど他愛のない話をして居た状態に戻りつつ会話をしていると。

 だんだんとすずかの様子がソワソワとしてくる。

 

 恐らくまだ精液は飲んでいないから、その面の影響が出ているのだろうと推測する。

 

 そうしてしばらくソワソワした表情をして居たが決意した顔に変わりこちらに恥ずかしそうに言葉を伝えてきた。

 

「ごっ……ん。あのね。奏くんにお願いしたいことがあるの」

「ん? どうしたんだい?」

「あ……あのね。こんなことを言うのは不躾かもしれないけど、どうしても奏くんの精子が飲みたいの」

 とても恥ずかしそうに伝えてくるその表情、そしてその言葉はこちらにその気は無くても被虐心をどうしてもそそられてしまう。

 

「精子って……どう言うふうに出てくるか知っているの……?」

 

 設定した効果とはいえ、元々可愛い美少女なのだ。

 そんな美少女が可愛らしい表情で、本来ありえない言葉を伝えてくるのは非常に心が興奮してしまう。

 すずかは元々、清楚に見えるお嬢さまだ。そして儚げに見える雰囲気の姿は、こちらを魅了する。

 そんな少女が恥ずかしげに淫猥な言葉を伝えてくる姿はこちらの気持ちを上昇させていくには十分であった。

 

「うん……。本とかで読んだことがあるよ……。男性のあそこから出てくるんだよね?」

 ちらちらとこちらの股間部分を見てくる。

 

「そっか。それじゃ、試してみる?」

 と体を座っている状態から起こそうと動かす時に、すずかはさらに言葉を伝えてきた。

 

「あっ……うん。後、もう一つお願いしていいかな?」

 

 ? 

 なんだろう? 

 

「うん? どうしたの?」

 

「えっとね……。出来れば命令口調で言って欲しいの。そうすれば沢山、奏くんに頑張れる気持ちになるから……」

 

 ……おや? 

 そうなの?? 

 

 どう言うことだろう。恐らく最初の設定しているお願いが影響している? 

 とはいえ、あれは範囲が広いとは言え、自主的な面を促すぐらいのはずなのだけど……

 

「ダメ……かな?」

 そう寂しそうに見せる表情は、卑怯だと言わんばかりにこちらを説得させるには十分だった。

 

 性知識がある以上、元から持っている本人の性的嗜好があり得るだろうし、内容的にも難しいものでも無いし様子を見る形で良いかな。

 そう判断し、

「いや。全然大丈夫だよ」とにこやかに返事をしてあげた。

 そうすると、その言葉を聞いたすずかがパッと笑顔に切り替わる。

 

 それじゃ、ちょっと遊び要素としてやってみようかな。

 やる以上、楽しまなければ損である。

 

 そう考えふと思いついた。

 

「それじゃ、イメージプレイ的にやってみようか?」

「イメージプレイ?」

 すずかが、はてな顔を浮かべる。

 

「そ。昔遊んでいたと思うけど、おままごとみたいに役になりきるんだ。その方がお互いイメージしやすいんじゃ無いかなと」

「例えば、ご主人さまとメイドみたいな……」

 

「それでお願いします!!」

 

 食い気味に返答されてしまった……。

 やっぱり性的嗜好なのかなと思いつつ、それじゃそれで行こうと話を進めた。

 

 

 

「それじゃ、すずか。まずは僕の服を脱がすんだ」

「……はい。ご主人さま」

 

 すずかの柔らかな手がこちらの服を脱がそうと触り始める。

 くすぐったい感触と共に上着から手をかけられ上半身があらわになる。

 

 異性の裸を間近で見るのは初めてなのだろう。すずかの頬はより赤く紅潮して恥ずかしげにこちらを見てくる。

 その行為だけでも自然と心が上向く。

 

「それじゃ、次は下部分も脱がすんだ」

 

 そう伝えると、すずかの方も更に気持ちが上がってきたのか、恥ずかしい表情を浮かべつつもしっかりとズボンのベルトに手を出し緩めてくる。

 そうして、ズボンを脱がし、靴下も丁寧に一つ一つ脱がしてくる。

 普段、あまり人に触れられない部分に他の人が触る肌触りのくすぐったさとその触られる体温は気持ち良さを上昇させた。

 脱がす行為すら一種の愛撫のような心地良さを覚える。

 

 そうして下着一枚の姿になった。

 

「次は下着も脱がせ」

 

 こちらも段々と興奮し始め、すずかに命令する。

 そうするとすずかは体を一瞬震わせたが、手をしっかりと伸ばし下着をおろしていく。

 

 下着を下ろした先には、徐々に興奮し始めている男性器が現れた。

 

「これが……ご主人さまの……」

 

 ごくっと喉の音が聞こえそうな位にすずかがこちらの男性器を見つめる。

 その表情はまるで初めてお酒を飲んで酔ったような蕩ける表情であった。

 そのまますずかは手を男性器に伸ばそうとするが、あることを思いつき、手でおあずけと言った形で止めさせた。

 

 すずかはどうしてと言う表情をしてきたが、それを無視しつつベッドの縁に座る。

 

「すずか。お前の下着を見せるんだ」

 

 そう伝えるとすずかは雷鳴を受けたように瞳を見開きハッとした表情を見せる。

 意図を理解すると顔を真っ赤にして、自分の手でスカートの両端を掴みつつたくし上げ始める。

 

 気分はご主人さまだから、ちょっとやって見たかったメイドのスカートのたくし上げ姿である。

 メイド衣装では無いが、すずかは基本的に大人しめの服装を好む。今回も同様に清楚を感じさせる色合いの服装でスカートだ。

 なので、やってみようと思い指示を出してみた。

 

 すごく恥ずかしそうに表情を赤く染め、瞳は潤んでいる。

 そして下着が見せそうな位置で、一瞬手が止まった後、顔を横にむき更に少しずつたくし上げていった……。

 

 その恥ずかしい顔を見ながら、すずかの下着があらわになる。

 

 それは一種の絵画みたいだった。そのまま記憶のメモリーにずっと保存していたい。

 すずかは誰もが振り向くような美少女である。

 大人しめで清楚な雰囲気を持つその美少女性と淫靡に感じるその姿はギャップを更に生み出し芸術度を高めている。

 そしてその光景を独り占めしている征服感は半端では無い。

 

 すずかは横を向いたままそのままの姿勢でいる。

 やはり相当恥ずかしいのであろう。今にも泣きそうなその表情は被虐心を加速させた。

 

「そのまま足を開け」

 

 その言葉を聞いたすずかは瞳をギュッと閉じた。

 葛藤したのかそれともその恥ずかしい格好を想像したのか、その閉じた瞳から少し涙の滴が浮かんでいる。

 ただ、最終的には拒否することなく、少しずつ少しずつ足が開きはじめた。

 

 すずかのショーツはまだ何色にも染められてない綺麗な白色で高級なシルク素材のように見える生地は肌触りが良さそうに見える。

 足が開きそのショーツがよりあらわになり、すずかはその大事な部分をこちらにより見せるために少しずつ大胆に腰を突き出してきた。

 

 ……よく見てみると下着の下中央には湿り気のようなものが見える。

 そしてより色が濃い部分には粘度がある雫のような水滴が存在していた。

 

 すずかも見せることで興奮が高まってきたのか、はぁはぁと息も少しずつ荒くなってくる。

 やはり本人的にも被虐されることに興奮を感じるのだろう。

 その姿を見てこちらも興奮すると共に今後出来ることの可能性を見て、次のステップへ行こうと動いた。

 

「こちらに来い」

 

 そう告げるとすずかは静々と足を戻しスカートを少しずつ下ろした後、こちらに近づいてきた。

 瞳はとろんとしており盛り上がった心を写すようなその紅潮した表情は艶やかだ。

 

 そうして近づいてきたすずかに命令する。

 

「すずか。僕に口付けを捧げるんだ」

 

 はい。ご主人さまとロールはお互い忘れることなく進行する。

 これからすずかのファーストキスを貰うと言う行為は男性として優越感、満足感をどんどんと加速させていく。

 近づいてきたすずかは唇を捧げようと動作を開始した。

 そして……

 

 

 

 

 

 

 

 こちらの目の前に土下座のように座り右足の甲にキスをするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………ごめんなさい。正直ちょっと興奮が引きました。

 

 

 すずかのそれはロールとしてもやりすぎだよぉ。と顔を引きつらせてしまったが、本人は至ってそのまま興奮したような息使いを足に伝えてくる。

 そうしてこちらもどう動くべきか悩んでいると、そのまますずかは体を動かし左足の甲にも口を付けてくる。

 

 

 ちゅ。ちゅ。ちゅ。ちゅ。

 

 

 小さく水音を鳴らし足にキスの雨を降らせる。足に感じる柔らかい唇の感触、そして荒い息が伝えるくすぐったさが新たに興奮を呼び起こす。

 そうして足の甲から爪先と次々にキスの雨を降らせ続けるのであった。

 

 先ほどの動揺が収まり、しばらくその気持ち良さに浸かっているとキスの音から変化が訪れる。

 

 

 ちゅ。ちゅ。ちゅ。……レロっ。

 

 

 今までに無いその新しいくすぐったい刺激にんっ!? と声が出てしまう。

 その感じた声が聞こえた為か、すずかの動きが更に大胆になってくる。

 

 足の指を一つ一つ舌で舐めはじめたのだ。

 足の親指から始まり指の間、そして人差し指とゆっくりとしかし確実に足の指を舌で味わうように愛撫しはじめてきた。

 

 元々そう言った行為を前提に家に招いて居たので、来訪前に身体は綺麗に洗っては居たのだが、それでもこう言った行為は背徳感がもの凄く心も体も感じてしまう。

 そしてそこからもたらされる新しい快感はゆっくりゆっくりとこちらの性の力を強めていく。

 

 

 ちゅ。レロっ。……レロっ。ちゅ。ちゅ。はぁ……。ちゅ。

 

 

 キスと舐める動作を繰り返しつつこちらにむず痒い快感を与え続ける。

 そして清める動作かのように段々とすずかが足から移動し、脛、太腿へと顔を移動させ口で愛撫してくるのであった。

 

 そうして内腿へと移動し舌を這わし続け更に味わったことがない感覚が体を襲う。

 

 

 れーっ。ちゅ。レロっ。ちゅ。

 

 

 本人の性格的な面もあるだろう。本当に丁寧に行為は行われていった……。

 

 

 そうして、太腿の付け根部分まで進行し顔を埋め始める。

 自然とこちらも快感を求めるように足を更に広げた。

 

 その動作に彼女はここを舐めろと言われたかのように付け根にしっかりと顔を埋めて舌を這わせてきた。

 はあっ……。と小さくだが、妖艶にも聞こえるその吐息は本人の興奮を表しているのだろう。

 

 そうしてしばらくその行為を受け入れ堪能していると、本人的に味がしなくなったのか更に濃く感じる部分へと自然に顔が動き出した。

 たどり着いた先は、男性として大事な陰嚢部分である。

 彼女はそこで一つ深呼吸をした。

 

 

 

 すぅーー。

 

 

 

 そこから発せられる男性の濃い匂いを体に入れ味わうように、吸い込んだ息をとめしばらくしてから

 

 

 

 はぁ………………。

 

 

 

 それを吐き出すのが勿体ないかのように小さくゆっくりと吐き出してきた。

 

 その息の刺激だけで気持ちいい……。

 少しずつ高められた性感は直接的な刺激を増幅させる。

 そしてこちらの気持ちが高まっていることを知っているかのように、更にそれをもっともっと高めようと彼女は尽くし続けた。

 

 

 ちゅっ。はっ……れる。ちゅ。

 

 

 こちらからの視点では直接見ることは出来ず、その綺麗な紫色の髪を揺らして音と刺激を伝えてくる。

 柔らかい舌が溝を一つ一つ綺麗に舐め上げてくれる感触を受け、まるでマッサージを受けているような気持ち良さと新しく血液の流れるような衝動がそこへ蓄積されていく。

 

 決して手を使わず、顔を直接つけて行うその行為は幼いながらも欲情をどこまでも煽るものであった。

 

 左、右と両方、そして更に根本の敏感なそして汗の汚れが溜まりやすい部分まで舌が這う。

 その味を堪能するかのように念入りに這う舌の刺激は本体への気力を更に上げさせた。

 

 そうして一通り味わい満足したかのように顔を男性器の正面に移動してきた。

 そこでゆっくりと両手を初めて使い優しく竿の部分を挟んだ。

 

 そして顔をこちらに向けて来る。

 その瞳はもはや後一息で泣きそうに見える位に濡れており、荒い息使いと共に欲情を我慢し続けている表情に見える。

 

 彼女は命令を待っているのだ。

 

 その男性器を味わい尽くして良いのか? と言う許可を得たい。だが、命令があるまで動けないと言うその無言の懇願は征服欲を更に満たす。

 そして……これから行われる快感の期待を込め

 

「よし。舐めろ」

 

 と命令を行なった。

 

 はい……。とすずかは小さく答え男性器に顔を近づける。

 そして大きく口を開けて先端部分をかぽっと言うくらいの音が聞こえそうな感じで一気に取り込んだ。

 

 ……最初は舌からと言った予想から外された分、その刺激はよりこちら側へと快感を伝えて声が出る。

 

 口の中における暖かな湿り気は先端部分を包み、そして喉から唾を飲み込むような短い吸い込みの刺激は先端部分の血流を肥大させた。

 

 

 んっ。ちゅっ。ずっ……ちゅ。ずっ。

 

 

 まず口の中でモゴモゴと形を確かめるように、そして舌で少しずつ亀頭部分の先端からぐるぐるとまるで磨くような舌技が開始される。

 そうして完全に亀頭部分のまだ剥け切っていない部分にまでくると、そこもゆっくりと優しく舌が隙間へ入り完全に露出させようとして来た。

 

 本来、被っていた部分は空気に露出することで熱せられた状態を少し冷ましてくれるものだが、咥内で露出されていく動きは冷めることなく唾液の暖かさ、そして舌の柔らかい刺激、敏感な部分を心地良さと共に快楽を上昇させる。

 そして口の中で完全に露出された亀頭を更に磨くように舌がぐるっと動きはじめた。

 

 先端から溢れ出る体液を舌の中腹で受け、それを舌で亀頭部分に塗り付け、唾液と一緒に喉を鳴らして飲みこむ。

 

 

 レー。れろっ。ずっ……んっ。ちゅ……。

 

 

 そして段々と彼女は更に空腹を埋めるかの如く、舐める行為から飲み込む喉の動きの方へ比率を上げて来た。

 飲みこむその行為は鈴口から出る液体を次から次へと喉から腹へと収めていく。

 

 

 んっ……。ちゅ。んっ。んっ。んっ。

 

 

 唾液の水音と共に喉が動き吸い込む動作は、射精にも似たような擬似的な感覚が短く断続的に発生する。

 咥えている表情を改めて見てみる。

 

 瞳は閉じられ目の縁にはうっすらと滴が見える。だが表情はうっとりと朱が差している。

 赤ちゃんがミルクを飲むように口は窄められ、一つ一つ味わうように見えるその喉の動きはこちらの興奮を誘うものであった。

 

 そうしてしばらく味わっていた彼女の動きが新たに刺激を伝えるために動き始めた。

 ちゅぽんと音が聞こえそうな位、唇で包み込んでいた亀頭部分を離し、じっとその先端を見つめる。

 

 亀頭部分は彼女の舌で磨かれピカピカ光るぐらいの膨らみを見せている。

 そして口内と言う熱い風呂から涼しさを求め外へ出た時のように、湯気のようなイメージが亀頭から出ているように見えた。

 

 その状態を満足したかのようにうっとりと見つめた後、舌をれーっと前面に出し陰茎の部分に舌を這わせて来た。

 まるで笛を吹くように、快感で動く陰茎の部分を手で動かないように優しく押さえ裏の筋の部分をゆっくりと舌で上下に這わせてくる。

 

 顔の感触。そして舌の滑り。筋の敏感な部分に這う刺激はビクビクと陰茎を自然と動かしてしまう。

 それを優しく押さえる手の感触すら気持ち良さを上げていくのであった。

 

 時には、陰茎の根本部分に顔を近づけここが濃いと言わんばかりに鼻を鳴らしつつ堪能している。

 そして唇で陰茎を挟み甘噛みのような強い圧迫感の刺激を伝えて来た。

 

 そのあまりにも献身的に丁寧に行う愛撫に我慢が出来ず、指で陰茎を指しつつ次の命令を出してしまう。

 

「すずか。これを限界まで飲み込むんだ」

 

 そうすると「はい……。ご主人さま」とにっこりと返事をしてくる。

 お互い興奮している状態で、ロールを忘れずに行う会話は本当に「ご主人様とメイド」になったような錯覚さえ覚えるのであった。

 

 命令を受けたすずかは、大きく口を開けて口の中に男性器を改めて向かい入れた。

 今度は亀頭部分だけでは無く陰茎の部分まで取り込もうとしていた為、亀頭部分はまだ密着していなく口の中の温かい空気だけが伝えられる。

 その温かい空気すら彼女の見えない柔らかさを感じる快感が走る。

 

 そうしてそのまま陰茎の半分以上彼女の口の中に取り込まれ、口と男性器が密着された。

 その挿入感は本来の男女の営みにおける快感と同様なものに感じ、より興奮が増大する。

 

 亀頭部分は喉の位置にあり、すずかはストローから飲み物を飲むかのように喉を鳴らし吸い上げてくる。

 舌は陰茎の部分にのっぺりとくっつけられて、飲み込む動作を合わせ前後に動作して来た。

 

 喉のなる音、そして舌を動かす唾液の音、すずかがそれに合わせて発する艶かしい声、それぞれが興奮と快感を伝えてくる。

 そんな刺激は流石に我慢の縁を超え、最大の快楽へ向けて走り始めるように命令を追加する。

 

「……っ。そうしたらそのまま前後に動かすんだ」

 

 こくりとすずかは咥えた状態のまま返事をした。

 そうして、彼女はズッ……と音を出すかのようにして顔を前後に振りはじめる。

 

 もはや色々と我慢の縁に達している今、射精まで到達するのにそこまで時間は掛からなかった。

 

 緩急を付けた喉の動き、そして先の敏感な亀頭と喉が触れ合う圧迫感と陰茎全体が引っ張られる快感。

 それはまさしく性交であった。

 

 射精感がこみ上げ精液が発する快感が陰茎を伝う。

 そうして亀頭が大きく膨らみ開放に伴う快感が走るその瞬間、

 

 

 

 ずっっっっっっ!!!!! 

 

 

 

 本能がなせた技なのか、たまたまだったのか分からないが射精するその時を見計らったように強く強く喉で吸い込む動作を行って来た。

 精液が通る快感のスピードが増し、乗算式のように快楽の速度が急激に駆け上がる。

 

 その精を発した快感は頭の中がぱちぱちと真っ白になる状態と魂すら吸い込まれるような絶頂感を引き起こすのであった。

 

 

 

 そうして射精した快感を得た後に伴う倦怠感を感じていると、すずかはまだ咥えている状態でゆっくりとゆっくりと舌を使い労るように全体へ舌を這わせてくる。

 くすぐったいような弱い快感が走り声が漏れそうになるが、一旦射精した影響として段々と陰茎は柔らかさを取り戻していく。

 

 それを口の中で感じていたすずかは少し残念な表情を浮かべつつ大事にしまっていた男性器を開放した。

 

 そしてこちらに顔を向き直し、口を軽く開けて口内を見せてくる。

 そこには先ほど出した白い精のかたまりと唾液が混ぜ合わさった状態が見える。

 

 口を開けたすずかは恥ずかしそうに頬は紅潮したままであったが、その状態のまま動くことはなく見せつけてくる。

 その姿は被虐心をそそられ、つい命令を出してしまう。

 

「それをじっくりと口の中で味わうんだ」

 

 すずかは恥ずかしそうにこくりと頷き口を閉じて動かしはじめた。

 唾液と精液がくちの中でより混ざりあっているのだろう。

 恥ずかしそうに目線は斜め下を見つつ、だがそれでもしっかりと口をもぐもぐと動かし彼女は命令をこなした。

 

 にちゅにちゅと音が聞こえそうな位にすずかの口が小さく動いている姿を見てゾクゾクとした快感が背筋を這う。

 そのまま口を動かし段々と鼻息も荒くなって味わっている様子を見続ける。

 

 そうして、飲み込める準備が出来たのだろうか。すずかは目線をこちらに戻し潤んだ瞳で懇願した表情を見せてくる。

 

 少し、意地悪な思考を持ってもったいぶらせた時間を作ると、更に瞳が潤み体が小さく震えてくる。

 その姿に満たされた思いを抱き、飲み込む許可を与える。

 

 

 飲め

 

 

 と言った瞬間、すずかは頷きこちらに近づいてくる。

 そして顔の目の前で、綺麗な長い髪を手で抑え顔を横に向いて喉を見せてくる。

 

 その状態から

 

 

 

 コクリ

 

 

 

 飲み込む音と共に喉を動かす所作を見せつけて来たのであった。

 

 んっ……ふぅ……。とビクッとすずかの体が震えたので、その顔の方に視線を向けてみると

 

 

 

 そこには恍惚と蕩けた表情をするすずかが見えた。

 その表情はその綺麗な顔をより性的な意識を持たせる魅力を放つ。

 

 細かく何度か体が震えた後、無事飲み終えたのか、こちらへ改めて向き直り正座をして来た。

 

 そうして、彼女は土下座のように頭を下げて

 

「ごちそうさまでした。ありがとうございます。ご主人さま」

 

 と伝えてくるのであった。

 

 その立ち振る舞いはどこまでも真摯に見える。それは演技として別次元のように感じられ、今まで自分が演技していたのは稚拙すぎだったように感じてしまう。

 イメージプレイやべぇ……と素の考えが出るが、そんな気持ちはまるで知らないようにすずかはそのまま顔を上げてニコッとした笑顔を見せて来た。

 

 

 その魅力的な笑顔は、

 

 

 紅玉の宝石みたく透明で鮮やかな真紅の美しさを持つ瞳を携えていた。

 

 

 








読んでいただきありがとうございます。

あと、すみません。
出来る限り本文内で表現出来るように頑張っており、補足等を枠外で出さないように自身に注意を払っておりました。
ただ、あることを表現するに辺りそれを実施するとまるまる1話程度必要となり、話を進行するペースを多少は持つために今回補足を入れさせて頂ければと思います。








補足事項:この少女、最初から最後までノリノリである。


※もし、需要がありましたらどこかの機会に書き上げたいと思います。


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13話

 

 屋上のベンチに横並びに座り持って来ているお弁当をそれぞれつまむ。

 

 日によって並び方は違うがこの日はアリサ、自分、なのは、すずかと続いていた。

 

「あんたたちって、将来を考えてたりするの?」

 

 そんな中、隣に居たアリサが午前中にあった授業の内容を反芻したかのように問いを投げかけて来た。

 

「まっ。私は両親が経営している会社を継ごうとは思っているんだけどね!」

 

 と他の人が答える前にそのままアリサは慎ましやかな胸を張って答える。

 

「うーん。まださすがに将来のことは分からないの……」

「私もそうだねー。機械とか興味がある分野はあるけど、職業としてはまだ分からないかな」

 

 と隣にいたなのはがにゃははと、その奥にいたすずかがあごに指を置きつつ、うーんと言いながら答える。

 その結果が不満だったのか、両名の方を見て、むーとした表情を出して来た。

 

「なのはは翠屋と道場もあるんでしょ。そう言えば()()()()()()()()()走り込みとかもしていたけど、まだやっているの?」

 

「にゃはは。うん。まだやってるよー。お兄ちゃんとお姉ちゃんには全然追い付けないから大変なの……」

 

 けど、少しずつ走れる距離が伸びているから楽しいの! となのはは言葉を伝える。

 

「ずっと続けているなんてあんたもタフよねぇ。もしかして……道場を継ぎたいの?」

 

「ううん。お兄ちゃん、お姉ちゃんには全然かなわないからさすがに……なの」

 

「ふーん。それじゃ、翠屋の方を継いだりしないの?」

 

 うーん。となのはは悩んだ姿を見せる。

 最終的には「お料理のお勉強もしているけど、まだよく分からないの」と言う形で話が終了した。

 

 

 

「それじゃ、あんたはどうなの?」

 

 

 とこちらに指をさして聞いて来た。

 

 んー。と悩んでいる振りをしてどう答えたもんかなと考えていると、

 

「あんたには。怖い思いもさせちゃったし……」

 そうアリサは言ってちょっと間を開けた後、そっぽを向きながら言葉を続ける。

 

「もしそれがトラウマになっていたら大変だし……。その時には継いだ私の会社で雇ってあげてもいいわよ!」

 と言って来た。

 

 なるほど。これを伝えたかったんだなと考えを巡らせる。

 いつも真ん中に座りたがる性格のアリサが端の方に座って来たのはこれを言いたかったのかと推測する。

 授業を聞いてピンと来たのだろう。そして何故自分へその言葉を伝えたかったのかを考える。

 

 恐らくは吊り橋効果もあったのだろう。

 あの現場にて経験したことは恐怖しかなかっただろうし、その中で二人一緒にいたことは彼女にとって安心したことだろう。

 それが自分への印象を高く評価してくれたのではないかと思う。

 

 恋心という存在ではなく、元々意識にいた人が切っ掛けを伴い気になる人に変化した感じかな。

 好意自体はもちろん嬉しい。ただ、頭の中では規定の路線を保てていることに安心する。

 いざというときには利用する覚悟をする必要があるし、その時に容易にする準備は常に必要だ。

 

 まぁ、子供心というのは移ろいやすいものでもあるし、この一時高まった気持ちは弱くなるだろうと考える。

 あくまで仲良くのスタンスを崩さなければ、その後、気持ちも落ち着くだろうと思う。

 あとは、アリサ本人が「迷惑を掛けた分を恩で返してやる!!」と男気溢れる行動をした可能性はあるが、まぁ、この年齢からそこまで責任を持った行動が出来るのは男気が溢れすぎてるし、そこまで考慮する必要は無いかと判断した。

 

 なので、「ありがとう。もしお願いしたくなったらその時はよろしくね」と返事を無難に返した。

 

 アリサが思った通りの返答ではなかったのか、ちょっとこちらをジト目で見た。

 それでも伝えたことに満足したのか顔を照れたようにフン! とまたそっぽをむいてお弁当を食べることを再開する。

 

 それを気まぐれな猫のようだなぁ。と愛玩的な動物を見る気持ちを持って優しくアリサを見つめていると、

 

 

 

 

 パキッ

 

 

 

 と小さく音が後ろの方から聞こえてきた。

 

 おや? と思い、なのは側の方を見てみるとなのははこちらを笑顔で見てきた。

 ふと、弁当箱を見てみると食べ終わったのか蓋は閉じている。

 

「どうしたの?」

 となのはが笑顔で聞いてくる。

 

「いま、なにか音が聞こえなかった?」

 

 なのはは、首をフルフルと振って「特になにも聞こえなかった」と言った風に伝えてくる。

 

 んー。気のせいだったのかなと思い、すずかの方を見てみるとすずかも笑顔のままこちらを見てきた。

 

「そろそろ、食べちゃわないと時間が来ちゃうわよ」

 

 すずかにも聞くか悩んでいたが、その前にアリサがこちらを急かしてくる。

 まぁ、気のせいだったのだろう。と思いそのままご飯を食べて午後への時間を過ごすのであった。

 

 

 

 

 

 __

 

 

 ……今の生存状況を確認してリリーはちょっと低いなと思った。

 

 今回のグループも0の可能性が十分あり得ると思い残念がる。

 

 なかなか思い通りに行かないものだとちょっとむーとした表情になってしまった。

 

 

 

 これからなのだ。これから各々の世界にて各々の物語が少しずつ開始される。

 

 

 創造され観測していた世界、幼いころに想像していたような世界、夢に見ていたような世界

 

 

 そんな世界に行きたいと夢を見つつも時と共に忘れていた世界が改めて繰り広げられていくのは、それぞれが己の心を満たす世界のはずだ。

 

 

 まぁ、全てが破滅に向かい続けるんだけどね……。

 

 

 と言う突っ込みはさておきひとまず様子は続いてみていく必要があるため、そのまま観測を継続する。

 その中でリリーは思う。

 

 

 

 世界を救い英雄となった世界で欲望の限りをつくし破滅するのか。

 

 

 

 世界を救うために抗い自滅して絶望するのか。

 

 

 

 世界が破滅するその時まで何もせず悲観し恐怖に怯えるのか。

 

 

 

 また、己が破滅するその時まで欲望の限りをつくし限りない性欲に溺れるのか。

 

 

 傲慢、情欲、恐怖、悲観、絶望、憤怒、そのそれぞれの強い感情は無垢なる魂を震わせ染まる。

 

 

 これからなのだ。これから起こりうる事象と欲と経験を()()まで行うことで魂が深くなっていく。

 そこで力尽きたとしてもこちらは損しないし、もしこの経験を乗り越えられることが出来るのなら欲しいものへと一つ近づく。

 

 

 まぁ、全部破裂しちゃって0になったらそれはそれで美味しく調理しなきゃね。と想像を膨らませていった。

 

 

 

 

 にこやかな笑顔を見せ、リリーと自ら呼んだその存在はそのまま状況を見続けるのであった……。

 

 __

 

 

 

 

 ぼーっと授業を受けつつ考える。

 

 年齢的にも1期目、俗に言う無印編が開始される時期だ。

 アリサの誘拐事件が終わったあと、そのあとは大きな事件はなく無事に過ごすことが出来ている。

 

 とは言え、別途な意味で様々なことは起こっているが…………それはちょっと割愛したいと考え、ひとまず棚にあげた。

 

 

 ストーリー内容を簡単にまとめると

 

 

 高町なのはが魔法と言う存在に出会い、ジュエルシードと呼ばれるロストロギアを巡りフェイト・テスタロッサと戦う。

 最終的に二人は友達になるお話だ。

 

 

 ただ、それに当たり数々の戦いやそれぞれの目的が存在する。

 

 そこで考える。

 

 今回のストーリーで危険なポイントは恐らくジュエルシードとプレシア・テスタロッサによって引き起こされる次元断層と言う災害だろう。

 

 あの存在は世界がヤバイ時に失敗すると言っていた。

 

 だけど、今回で言えば次元断層が起こり得ると言う内容であるとして、そのタイミングや失敗の原因に関しては、現段階でこちらは一切分からない。

 

 もし、ジュエルシードを事前に回収した場合、どこかのタイミングでプレシア・テスタロッサが勝手に動き暴発されることも十分にありえる。

 そうなると災害が発生しそうなポイントが不明になってしまい何も出来ず自滅と言うこともあり得るため、やはりそのポイントを事前に知っている所に合わせた方が無難だろうと考える。

 自分という存在がある以上、ストーリーを完全になぞる事は出来ないがそれでも原作通りに近いようにして行った方がやはりその原因も判断しやすいと考える。

 ただそうなると色々と問題も出てくる。

 

 

 ユーノ・スクライア

 レイジングハート

 

 

 この辺りはなのはとの絡みが多いはずである。そして催眠が恐らく効かないと推測される。

 ユーノは男性であるし、レイジングハートはインテリジェントシステムと言う名のAIだったはずだ。

 確か……女性的な声であったはずだけど、それだけで使えるかと言われると正直疑問である。

 まぁ、それに伴う継続対応を考えてみても……効かないを前提に考えた方がいい。

 

 で、そうなってくると困るのが継続対応である。

 どうしてもなのはの側にいることが多く、且つなのはが自主的に動いたとしても怪しまれる機会が多くなる。

 レイジングハートにバレた時もペナルティがあるかは分からないが、試すのも危険だろう。

 また、レイジングハート自身が動けなくてもその後のメンテナンスなど何処かで漏れる可能性はあり得るので、結局はここにもバレずに持っていく必要がある。

 なので、最低でもこちらの存在を自然に溶け込ませることが出来る。理想としては()()()()()()()()()と言う違和感が存在しないと言った環境を作るまでは、この辺りの調整は慎重に行いたいところだ。

 まぁ、どちらにせよこれはなのはが魔法と言う環境に触れない限り設定が難しいので、次へ考えを進める。

 

 

 フェイト・テスタロッサ陣営とアースラ陣営だが、こちらは正直進行していかないと想定が立てづらい。

 魔力の有無の件もあるし最初から絡めるかどうかも不明だ。

 

 究極のところ、プレシア・テスタロッサへの催眠対応が出来れば今回の問題自体はある意味解決すると推測されるが、まず最初の段階からそこまで辿り着くこと自体、どう考えても難しいだろう。

 フェイトからプレシアといった形で組む必要があるが、いきなりフェイトに催眠をかけて連れて行ったとしても余裕で怪しまれて対応されるのは間違いない。

 向こうの攻撃を受けても終了だし、捕まって動けなくなったりすると時間経過のペナルティ発動で終了する。

 怪しまれてフェイトを調べられたりでもしたらそれでも終了だ。

 

 まぁ、もし仮に全て上手く出来たとしても今度はアースラ陣営との対決になり得るし、次のストーリーにて対応が破綻して終了するだろう。後を考えない対応としても無理すぎるしこれは現段階では切り捨てるしかない。

 

 結局のところストーリーを着実に進行させていくしかないと言う結果に戻るため、いつもの通り情報を集めていくしか無いかと考えるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 そうしてその時が近づき魔法少女リリカルなのはとしての幕が上がる。

 

 

 



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14話 □エロ なのは(匂いフェチ、朝フェラ、擦り付けオナ 

 __

 

 夢をみた。

 

 少年が見たことないような怪物と戦っている姿だ。

 

 その怪物は色は黒色に見える。そして大きく4本足の獣のような姿で少年を攻撃しようとしている。

 その攻撃を少年がファンタジーみたいに魔法のようなものを使い防ぎつつも怪物に攻撃していた。

 ただ、少年の方も元から傷ついていたのか体の至るところから血が流れているように見えた為、攻撃が最後まで出来ず、怪物を倒すことが出来なかった。

 そして、少年はそのまま倒れてしまう。

 

 怪物の方は怪我を負いつつもそのまま逃げ出して行くのが見えた。

 

 

 

 それを見て、私は思った。

 

 

 私も魔法が使えれば良いのに。

 

 

 それがあれば()()ための力になるのに。

 

 

 もっともっと護れる大きな力が欲しい……。

 

 そうでないとあの大切な大切な何もかもお互いを交わる時間を奪われてしまうかもしれないのだから。

 

 

 

 

 携帯電話のアラームで目が覚めた。

 

 体をうーんと伸ばした後、さらに体の筋を念入りに伸ばし体に血液を回していく。

 そうして頭が徐々に回転し始める。

 お兄ちゃんに色々と柔軟なストレッチの仕方を教えてもらったので、それを実践して体を起こしていく。

 

 カーテンを開ける。まだ光はうっすらとしていてこれから段々と明るくなっていくのだろう。

 いつもの時間だね。と顔を洗う準備をしようと思い部屋から出ようとすると思い出した。

 

 慌てて枕元に戻る。

 

 

 枕の上には、()()()()()()が置かれていた。

 

 

 あぶない。あぶない。と思いつつ、大事にそれを隠す。

 

 匂いが薄れてきちゃったなぁ……と呟く。

 

 そろそろ交換かなと考えつつ顔を洗いに行くのであった。

 

 

 

 

 顔を洗い終わった後、いつもの通りに運動着を着込みとある準備をして外に出る。

 外に出た後、体を動かし少しずつ体を解していく。

 お姉ちゃんにはまだまだ体が硬いよと言われちゃっているので念入りに解す。

 

 

 そうして少しずつ体を暖めて、走り始めた。

 

 

 

 

 最初は苦しかった。朝起きるのも辛かった。

 

 

 

 そして、全然走れなくて悔しかった。

 

 

 

 けど、全然諦める気持ちはなかった。

 

 

 

 だって、あの()()に比べたらこんなの何でもなかったのだから。

 

 最初はお兄ちゃん、お姉ちゃんと一緒に走っていたが、あることを思いついてからは一人で走っている。

 

 

 そうして走ってしばらくすると目的地が見えてきた。

 

 奏くんのお家だ。

 

 近づくに連れて走ってきた心臓の動きとは別に心がドキドキしはじめる。

 

 走るにもちょうど良い距離にあってよかったと思う。

 

 家族にもこの行為は知られるわけにはいかないのだから。

 目的地に着くと息を落ち着けて、準備をしていたリュックからタオルを取り出した。

 

 そこで念入りに汗を拭き取る。もし、汗臭いと言われたらショックで気絶する自信がある。

 なので念入りにしっかりと拭き取り、体の火照りを覚ます。

 そうして一息ついた後、運動着の上着部分をリュックにしまいそこから運動着の下に合いそうな少しお洒落な上着へと着込んで行く。

 

 そうして、鍵を取り出し家に入った。

 

「お邪魔しまーす……なの」

 小さく呟きつつ玄関に入る。

 

 そうして、そのまま奏くんの部屋まで直行する。

 奏くんの部屋のドアをそーっと開けるとベッドの所がこんもりと膨らんでいた。

 

 寝てるの……。

 

 と笑顔になってしまう。

 

 

 

 

 

 これを最初思いついた時、私は天才なの! と思った。

 

 

 ある日、お母さんとお姉ちゃんと一緒にお買い物をしていた時、お父さんの日常品を買うため男性用の衣類コーナーに行った際、下着コーナーに見たことがある下着があった。

 奏くんと一緒の下着である。

 

 

 

 それを見た瞬間、ビビッ! と電気みたいなのが体に走り思いついた。

 

 

 

 その日はそのまま何事も無く終わったけど、その私はその考えを実行できるよう行動を開始した。

 

 奏くんは自分で朝ご飯は作っているって言っていたので、

 まずは奏くんにちょっとしつこくなってしまったが、翠屋でのお仕事の練習も含めて朝食の準備をさせて欲しいとお願いをした。

 奏くんはなかなかうんと言ってくれなかったけど、どうしても! とお願いすると、朝だけね。他の時間帯は使っちゃダメだよ。他の時間で使う時には必ず事前に教えてね。と言う条件のもと何とかお家の鍵を借り受けることに成功した。

 もちろんその条件は守る覚悟である。

 けど、これで目的を達せられる喜びが溢れ出た。

 

 

 そうして、鍵を借りた後、準備を進める。

 特に使う予定も無く貯めていたお小遣いを使用して、奏くんと同じ下着を買いに行く。

 

 ちょっと買う時に恥ずかしかったので、お使いにきた風にして無事に購入することが出来た。

 

 これで準備完了である。

 

 そうして私は、奏くんが使用した下着を手に入れることが出来たのだった。

 

 

 もちろんちゃんと朝食の準備もしている。

 お母さんに習いつつ作った朝食を奏くんが食べるのはいつも心がドキドキする。

 

 

 そうして今日もいつもの行為をはじめる。

 

 

 そーっと、ベッドに近づき様子を見る。

 

 スースーと寝息が聞こえた。

 まだ眠っている状態に安心する。

 

 そうして足元の方から、少しずつ布団に潜り込んだ。

 

 布団に顔が入った瞬間、安心感に包まれる。

 まるでここがお前の居場所だよと言わんばかりに心地良い空間に感じた。

 

 そしてこの奏君から感じる体の匂いは私にとって大好きな匂いだ。

 

 その空間にずっと居たい気持ちは続いていたけど、より強い刺激を求めるため布団をひとまず半分まくり上げる。

 そして、しっかりと場所を確認して、足から少しずつ上へと顔を上げていった。

 

 そうして目的のところにたどり着く。

 目で見るだけでももはや私の興奮は期待感に満ち溢れて顔が熱くなる。

 

 

 まずは服の上から。

 

 

 これは私の礼儀作法である。最初は少しずつ匂いを体へ取り込むのが作法だ。

 そうして股間部分の上に顔を近づけて息をバレないようにしつつも大きく吸い込む。

 

 

 スゥーーーーー。

 

 

 その瞬間、私の脳に電撃のような刺激が走る。

 好きと言う感情が溢れ出し、頭の中が沸騰しはじめる。

 

 吐く息さえ惜しく感じてしまう。

 そのまま息を止めてその最初の匂いを体で堪能する。

 

 そうして、少しずつ息を吐き出しまた顔を近づけて息を吸い込んだ。

 

 それを数回繰り返した後、より強く刺激を求める。

 寝巻きのズボンを少しずつ下ろしていく。

 

 最初は中々大変だったが、コツを掴んでからはスムーズに行ったので、その技術を駆使してズボンを下ろしていく。

 そうして出てきた下着部分に顔をぴったりと密着させるのであった。

 

 

 そうして2段回目としての匂いを体に取り込みはじめる。

 

 

 下着の上からでも分かる硬くなっている部分。

 男の人は朝、硬くなるんだよと恥ずかしながらも見た漫画に描いてあった。

 

 そこの匂いは下着の上からでも私の感情を上げていく。

 

 身体中に取り込まれるそのさらに強い匂いは私のこの好きと言う感情をどこまでも突き上げてくれる。

 大好きと言葉にすること以上の幸せな気持ちが体を押し上げてくれるのだ。

 

 それはいつも読んでいる漫画とかにある目がハートマークになる以上の好きな気持ちが体に溢れてくる。

 

 これも繰り返して堪能しはじめた。

 

 

 そうしていよいよ本番と言わんばかりに下着を下ろしはじめる。

 

 

 

 奏くんのおちんちん。

 

 

 

 その存在は下着から解放された喜びに満ち溢れているように直立に上を向いていた。

 そこから発する匂いは少し離れていても先ほどとは比較にならない。

 

 

 先っぽの部分に鼻をつけたくなる衝動にかられたけど、まずはこれも私の作法にそった順番にする。

 

 

 まずはおちんちんの根っこの部分だ。

 自分でも分かるくらい興奮で呼吸が荒くなってしまう。

 

 

 そうして私は根っこの部分へ顔を近づけ触れたのであった。

 

 

 強い。

 

 

 濃い。

 

 

 すごい。

 

 

 

 その汗と体の匂いが混じった特有の濃い匂いは感情を爆発させる。

 胸がきゅーとなるこのくすぐったい感情はそれをどこまでも気持ちよくさせ、鼻を通る刺激は私の頭の中をどんどんかき回す。

 

 奏くんは、寝る前にお風呂にちゃんと入るのであろう。

 少し石鹸の匂いと共に一晩あった寝汗が入った匂いなので、そこはちょっと残念に感じる。

 

 

 

 …………どうせ私が綺麗にしちゃうから入らなくて良いのに。

 

 

 

 と本気で思ってしまったほどだ。

 そこは機会を見てチャレンジしようと考え、今はこの匂いを堪能する。

 

 

 どんどん体が熱くなってくる。

 

 お腹の辺りがどんどん幸せで動くような感覚になる。

 そんな感覚も味わいながら次は柔らかいプルプルとした袋の部分に鼻をつける。

 

 そこでプニプニとした感触が鼻に辺りそれも楽しみつつ息を吸い込むと思わず我慢出来ず舌も出してしまった。

 そうして袋の部分に舌が触れると味がする。

 

 

 美味しい。

 

 甘い。

 

 

 どこまでも舐めていたくなる味だ。これに比べられるものは無いと断言出来てしまうぐらいに口の中に美味しさと幸せが溢れてしまう。

 この味はお母さんのシュークリームすら霞んでしまう。

 

 その味は一度手を出してしまうと止まらない。

 れっと舌を出して、ぺたっと袋と大きく密着させる。

 

 舌へ美味しさの刺激と鼻に吸いこまれる匂いが合わさって、大好き! 幸せ!! と頭の中が駆け巡る。

 どんどん上昇していく感覚に身を任せ、私はそのまま袋を口に含む。

 最初は中々お口に入りきらなかったけど、今はもう慣れたものだった。

 

 唇から口の中に感じる大きな飴玉のような感覚。

 それを優しく優しく一つずつ舐めあげるのが好きだった。

 これをすると最後の時の感覚がすごくなることを学習したので、今はもはや当たり前のようにしている。

 

 

 かぽっ。はむっ。れろれろ。れるれる。

 

 

 自分でも分かるくらいに堪能している音が耳に入る。

 心のドキドキが止まらない。その気持ちが高まりつつも顔をもっと深く沈めて袋の根本部分にも舌を這わせる。

 そうすることで、プルプルとした袋が顔に付きその体温が心地よく感じられた。

 

 舌を伸ばす。そして鼻から息を吸い込む。

 

 

 ふぁ……

 

 

 思わず声が漏れてしまった。

 舌に感じるピリッとした刺激。それに汗が濃く感じる匂い。そしてとろけるような甘さがそれぞれがアクセントとなり美味しさの広がりが感じられた。

 

 

 もう止まらない。

 

 

 止められない。

 

 

 止めたくない。

 

 

 

 味わう感情が強くなっているのが自分でも分かる。

 もっともっとと体が求めてしまう。

 

 そうなってしまうともう歯止めが止まらなかった。

 

 

 舌を動かす。

 

 匂いを嗅ぐ。

 

 

 繰り返すつつ更に舌を回転させるようなイメージで、より範囲を広げていく。

 本当は更に味が続いているお尻の方まで行きたかったのだけど、そこは以前奏くんが声を上げすぎちゃうくらいに体が動いちゃったので、今は残念に思い置いておく。

 

 そうして一つずつ舌へ体へと収めていく行為をしばらく続けていたら。

 

 

 味がしなくなっちゃったの……。

 

 

 そう感じてしまった……。匂いも先ほどと違い弱くなってしまっている。

 やっぱり一晩分じゃ足りないの!! と強く思ってしまうのだった。

 

 とは言え、これからが最大の楽しみなのである。

 はやる心が抑えられず、顔を動かしておちんちんの先っぽの方に顔を近づける。

 

 

 ゴクリ。

 

 

 これから行う行為を想像しただけで、唾液が口の中に溢れてしまい飲み込んだ音が鳴る。

 だけど次から次へと溢れる唾液をお口の中に溜めつつ顔をより近くにしていくのであった。

 

 

 そうして到着した……。到着してしまった。

 ドキドキが止まらない。想像だけで目が潤んでしまう。体の奥の奥まで熱が溜められる。

 

 

 まずは鼻先をつける。

 

 

 寝ていても奏くんの体も興奮していたのだろう。

 その鼻先に感じる透明な雫はヌルヌルとした感触を与えてくれる。

 

 そしてその透明な雫から発せられる匂い。一晩分の汗の匂い。

 好き大好きと言う感情がとめどなく溢れる。

 

 本当はもっとお鼻の奥まで取り込みたい。ただ、以前にそれを行った時、大変だった。

 その日、終わってからも匂いの余韻でしばらく心がドキドキしすぎて動けなかったのだ。

 そして動けるようになってからも匂いは続きずっとうわの空であった。

 奏くんとずっと二人きりだったらそれでも良かったのだが、他の人の所には行けなくなってしまうのでさすがにそれは我慢する。

 

 私は学習する女なのだ。そして更に全力で成長するのだ。

 と考えつつも体は次の行動を求め動き出す。

 

 

 ちゅ。

 

 

 そして私はおちんちんの先っぽへ唇をつけるのである。

 

 一晩分の発せられる汗の味。先っぽから溢れ続ける雫の味。それが少しずつ唇からお口に入りこみ蜜のような甘さを広げはじめる。

 それが口全体に広がってしまう前に我慢出来ず、そのままお口に溜まっている唾液のお風呂へ先っぽを漬け込むのであった。

 

 

 すごい。

 

 美味しい。

 

 大好き。

 

 

 もはや頭の中の言葉は崩壊である。

 私の唾液と混じり合う汗や雫の味は感情を更に上へ上へと昇っていく。

 

 

 こくっ。こくっ。

 

 

 そうしてお口の中に先っぽを入れたまま飲み込んでいく。

 その飲み込んでいく刺激におちんちんがビクッと震えるが、それが可愛く大好きなのでつい何回もしてしまう。

 

 飲み込んでもどんどん新しく溢れる唾液のお風呂と先っぽから溢れ出てくる蜜がすぐ口の中を満たしてしまい幸せと共にごくごくとお腹へ収めていくのだった。

 

 

 ずっ。ずずっ。

 

 

 ちょっと勢いよくストローからジュースを飲むかのようにお口の中をすぼめて飲み込んでいく。

 そうすると口の頬の部分にも先っぽが密着されて体温と共に味が広がるのが幸せだ。

 

 そして舌が更なる汗の味を求め先っぽから少し奥の窪みの部分へ向かう。

 そこはまだ先っぽと肌と合わさっているのだが、そこがより美味しい部分でもあるため期待感を込めつつ舌を差し入れる。

 

 そうして舌をぐるぐると動かし肌から先っぽがどんどん露わになっていくのであった。

 

 

 

 その部分を舐めはじめ意識が飛びそうになる。

 

 この想う気持ちがどこまでもどこまでもどこまでも上昇する。

 幸福という感情が止まらない。

 このままの状態で時が止まってしまったらどれだけ幸せだろう。

 ずっとお口の中に入れて、そしてずっと一緒に二人きりでいたい。

 

 そう想いながらも舌は先っぽを味わうことが止まらない。

 より濃くなった匂いの部分を舌で少しずつ少しずつ大切に舐め上げていく。

 

 そうして行くと体にも変化をより感じた。

 太ももをモジモジと動かしてしまう。お腹の部分がきゅっとなる。

 そして幸せに感じる感情を表したかのように、私の股間部分から沢山のヌルヌルとした液体が下着の中に留まっているのが分かる。

 

 恥ずかしいという感情もあるがそれ以上にそこから発生する気持ち良さをじんわりと感じる。

 

 漫画で見た内容で、ここの部分も下のお口と言うことがあるらしい。

 それを知った瞬間、私は衝撃が走り以前にそれを試してみた。

 

 

 今回もそれと同様に体の衝動に身を任せて行動する。

 

 

 口に含めながら少しずつ体を起こし運動着のズボンを脱ぐ。

 そして下部分が下着一枚になった所で、その部分をそっと奏くんの足にまたがり舐めあげるように擦り付けた。

 

 

 はぁっ…………んっ……

 

 

 思わず声が漏れる。目の前が真っ白となり、体を強く震わせる。

 幸せと好きと体を走るこの快感が止まらない。

 

 

 止まらない。本当にどこまでも止まらない。

 

 

 っ……ずっ……ふっ…………あっ……はぷっ……

 

 

 口に含めていても声が漏れ出てしまう。けど、体がその行為を止めることは一切なかった。

 顔が更に熱くなる。呼吸も荒くなり鼻から強く吸い込むことで更に匂いも一緒に入る。

 まさにそれは天にも昇る快感と感情なのだろう。意識が白く飛び飛びになりながらも私はその行為に夢中になるのであった……。

 

 

 そしてこの気持ち良い感覚は上がり続けて落ちることは一切無いが、お口と体が次を求めてしまう。

 そのまま下着の部分を擦り付けつつも口の動きを更に変化させた。

 

 

 今までの経験的に奏くんのより気持ち良い場所は知っている。

 まずはこの裏筋と呼んでいた先っぽのくぼんだ線のような部分。

 

 ここを舌先で強く押し当てる。

 味は薄くなったがそれでも残るその味を堪能しつつ、舌先を震わせ舐めあげる。

 

 そうするとおちんちん全体が喜んだように震える。

 先っぽ部分もそれが気持ち良いかのように時々、お口の中で膨らんだりする。

 

 その動きを舌に口に体に感じられて幸せが止まらない。

 けど、まだまだ動きを続けるため、れーっと舌先をそのまま裏筋につけたまま、口を大きく開けておちんちんの横に動かす。

 はぷっと横の部分に口をつけたまま、顔を下に動かすのであった。

 下に動いて行くと共に舌先は筋の部分を沿うようにする。そして下に着いたら今度は上へと動かして行った。

 

 ここを通るんだよー。と言う感じで横部分を優しくけど強く口に挟みつつ、れろれろと舐め上げて行く。

 そうすると奏くんの呼吸も荒くなり、どんどん先っぽも大きく膨らんできた。

 その姿は私が匂いの元を舐め上げたのでピンク色で、ピカピカに光っている。

 それを見て私の気持ちはどんどん求めるように動きを続けた。

 

 もう少し、もう少し。とその動きを見つつ顔を上下に動かす。

 そうして更におちんちん全体の震えが沢山出てきた所で改めてその大きくなった先っぽを口に入れる。

 

 そして手を使っておちんちんを優しく挟み横部分を下へと引っ張る。

 すると先っぽが更にもっと限界まで大きく膨らんできた。

 

 限界まで膨らんでいる先っぽの裏筋部分を舌で激しく舐め上げれば、強く大きくおちんちんが震え始めた。

 

 

 

 来るっ! 

 

 

 

 口の中が期待感で高まる。その期待感に応えるかのように先っぽから液体が飛び出してきた。

 それを口の中で感じた瞬間。

 

 

 んっーー!! 

 

 

 頭の中が真っ白になる。そして股間の部分からまるで水が飛び出すような刺激と共に強すぎる気持ちいい感覚が走る。

 それはまるでふわふわとした世界に放り出されたような感覚となり、意識を飛ばしたのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 これでよしっ! っと。

 

 

 あの後、意識があやふやになっちゃったけど、だんだんと戻り、後片付けをはじめた。

 全部、綺麗に舐めとりお腹の中に収めた後は、新しい下着を履かせ、ズボンも履かせる。

 古い下着はさりげなくリュックに仕舞い込む。

 

 

 そうしてお布団もかけ直して、こちらも身嗜みを整えた後、優しく奏くんを起こしてあげる。

 

 するとゆっくりと目を開けて、こちらを確認した後、

 

「おはよう。なのは」

 

 と優しく笑顔を向けてくれたのであった。

 その優しい笑顔を見て心が満たされ、お腹の辺りもきゅーとなってしまったが、時間もあるため私は朝食の準備をするねー。と伝えて部屋を出て行く。

 こうして私は元気を貰ってムン!と胸を張り準備に向かうのである。

 

 

 

 

 

 大好きだよ。

 

 

 と言う気持ちを心に秘めて。

 

 

 

 そうして一日が始まる。

 __

 

 

 

 

 

 

 

 なのはがルンルンと言う言葉がぴったりなくらい上機嫌で部屋の外に出て行った。

 

 部屋に一人残される。

 

 

 そして、

 

 

「いや。絶対に起きるだろ……」

 

 

 そう呟いた。

 

 

 



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15話

()()()設定されている動きなのだ。そしてそれに伴う行為にも理解ができる。

 

 

 安心する匂いを嗅ぎたい→なら毎日でも良いよね→それを行うために行動しよう→匂いを嗅いだらムラムラ来ちゃった→堪能しましたがそれが何か? 

 

 

 簡単にいうとこんな感じだろう。

 

 

 設定された感情→通常の感情→通常の感情に伴う行動→設定されている行動

 

 

 この動き自体は正直回数の云々を除けば、想定される範囲内であり基本的には求めている動きではある。

 

 鍵をという点も最終的に能動的行動を確認するために渡してある。

 結果、ある意味問題なくなのはは行動している。そして男性器の匂いを嗅ぐと言う行為も含めしっかりと二人の時に限定されており、そこから繋がるように設定していたため結果今回みたいなことになる。

 後はこれをどうすべきかという点だが、3日毎に二人っきりになりたくなるという部分だ。

 

 先ほどの動きとしての想定やこの日数の設定は基本的に今後増えるであろう時に備えて、

 こちら側がうっかり忘れそうになった場合、能動的にフォローができるようにしているためであった。

 そして今回の行動として、3日毎ではなく別に毎日二人っきりになりたくなっても設定的には問題ない。

 感情的に匂いを嗅ぐために毎日二人っきりになっちゃいたいけど、結果的に3日毎の基準も満たされる。

 

 とは言え、日数をギリギリや限定しすぎると今度はその管理が難しくなる。

 

 その柔らかさを持った調整幅を更に絞ることで、人数が増えた後、更に首が締まる可能性もあり得るだろう。

 

 まぁ、どちらにせよこの回数自体はストーリーが進行しはじめればミッドチルダへの移行が行われるはずなので、結果会う日数が自然と減るだろうから、それが活きるはずとは思っている。

 

 

 本来なら、もう少し接触を大人しめに設定すべきなのだろう。

 ただ、現状ではこれを受け入れる余裕もあることは確かなのだ。しかも将来的に解決する可能性が高い。

 そして、これを考え尽くすには他を注意しつつ設定をしなおさないといけない。

 支障がある問題なら考えなければいけないのだが、前述している通り解決の見込みがある以上、そこまで深堀しても更に再設定する可能性があるので行動が躊躇われてしまう。

 

 

 

 そして何よりも

 

 

 

 大変気持ち良いのである。

 

 

 

 この()()な体としてあいつに作成されたせいなのか確実では無いが精力も含め年齢以上に強く感じられる。

 時々なのはも含めそれを上回る時があるのは戦慄するが、体力とかも多少のことでは衰えを感じず回復は速い。

 

 そしてなのはの行動は最初は勿論驚いたが、行動パターンを理解すれば大したことはない。

 朝の微睡の中で暖かい感触を男性器に受け、ゆっくりと意識を上げて行く感覚は大変心地良い。

 もうそれは可愛い美少女が魅惑的な表情で奉仕してくれる光景と快感は何よりも心を満たしてくれる。

 それに愛しさも含めずっと受け入れてしまいたいと感じてしまうのはしょうがないと言いたい。

 

 

 頭では理解しつつも体は正直と言うジレンマを持ちつつ、とりあえず支障がおきそうなら考えるか……と先延ばしにしてひとまず移動を開始するのであった。

 

 

 

 

 __

 

 

 お昼時間。

 

 

 将来の話になった。

 

 

 まだ私が将来なりたいものは分からない。

 

 

 道場はどう考えてもお兄ちゃんとお姉ちゃんの方が合っているだろうし、あの動きは肉体的に自分ではどう鍛えたとしても到底不可能だろうとも感じる。

 確かに翠屋も一つの案だろう。けど、ずっと彼を力無しで包み込めるのかも分からないのだ。

 

 

 結局は言葉を濁して逃げたんだと思う。

 

 

 そうして奏くんの話になった。

 

 アリサちゃんが将来会社を継いだら雇ってあげると言う言葉を聞いた。

 

 

 お金の力というのを実感する。

 

 確かに私のお家も裕福な方に入るのだろう。

 ただ、アリサちゃんのように圧倒的なお金の力は無い。

 

 財力。

 

 これも一つの力なのだと感じた。

 ただ、これだけでも自分が彼を護れる力を発揮するには至らないと感じる。

 

 自分だけが彼を囲うように護ることが出来れば良いのだ。

 

 彼と一緒に誰にも奪われることなく、二人っきりで過ごす。

 

 それはとても幸せに魅力的に感じた。

 

 そのためには他の人に奪われることがないように自分が護れる力をもっともっと身に付けたいと思う。

 そしてお金を稼ぐことも重要だ。維持するためにはお金も一つの力であるのだから。

 

 力とお金

 

 両方とも合わせることが出来れば効率が良いんだろうなと思った。

 

 

 とは言え、その話の時に奏くんがアリサちゃんに奪われる感情が巻き上がってしまった。

 

 ついつい手に持っていたお箸を両手で折ってしまった。

 その音を聞いたのか奏くんがゆっくりと振り返る前に慌ててお弁当箱の中に仕舞い込み蓋をする。

 

 奏くんが振り向きこちらを確認する。

 どうやら無事に間に合ったのか聞かれても誤魔化すことで話は終了した。

 

 すずかちゃんには見られちゃったと思うけど……特に何も言われなかったから一安心する。

 

 そうしてそのままお昼時間が終わって行くのだった。

 

 

 夕方になる。

 

 下校中、アリサちゃん、すずかちゃん、そして奏くんと一緒に公園を歩いた。

 アリサちゃんがこちらの方が近道だよっていつもと違う道を教えてくれる。

 

 その道をみんなで一緒に歩いていると頭の中に声が響く

 

 その声は「助けて」と伝えてきた。

 

 

 __

 

 

 

 下校途中歩いていた時にふとなのはが立ち止まる。

 

 その瞬間、頭の中に一瞬ノイズのような音が聞こえた気がする。

 なのははこちらに顔を向け「声が聞こえない?」と聞いてきた。

 

 来たか。と思いつつも、この瞬間、おおよそを判断し始める。

 ユーノの声だろう。そして自分には魔力が少しはあっても戦闘出来るレベルでは無いのだろうと言うことも。

 

 魔力が無かったのは想定の範囲内だし、むしろ少しでも可能性があるだけでもプラスに感じた。

 けど、強い方が良かったと心は残念になる。

 

 そんなことはさておき、なのははその言葉に導かれているかのように別方向に歩きはじめる。

 それをアリサ、すずかと共に追いかけていく。

 

 そうして、なのはを追いかけていったその先に傷ついている小動物がいたのであった。

 

 

 小動物を連れて動物病院に向かう。

 そこで無事治療を受け、医者からの話を聞くと大きな怪我はないけど衰弱しているとのことでしばらく病院で様子を見るとの事だった。

 

 

 結局、あれってフェレットだよね? その後の面倒はどうするか? と言う話にもなったが、それはお互いの家族に相談してみようと言うことになり、そのまま解散となる。

 

 

 そうして自分は、家に帰り出来る限り自然な形で服を複数枚重ね特に肌着の辺りは多少締め付けられるぐらいに重ねて着た。

 気休めかも知れないが、多少でも防御力を上げておかないと破片とかで退場する可能性もあり得るので少しでもカバー出来るようにしておく。

 

 本当は本とかを挟むとかサラシみたいに重要所を押さえるようにしたいが……その事態になった時、何故? と疑問に思われるだろうから気休めでもとりあえず準備をしておく。

 

 そうして外出をするのであった。

 

 到着したのは先ほどの動物病院。

 そこで人目に付かない所へと移動し待機をする。

 

 

 ……その日の夜だったはず。ユーノが助けを求めそこで襲われる時になのはが魔法少女へ覚醒するのだ。

 

 

 ただ、時間が分からないので、待機してその時を待ち続ける。

 催眠で時間のフォローをすることも考えた。ただ、正確な日程が不明からの対応する内容を検討して催眠を行うリスクを考えると、結局はこうした方が確実で速いと判断して待機をする。

 

 まずは最初として、ここになのはが来た時点で合流した後、戦闘終了まで影に隠れて、その後にさりげなく話に入り込み自分も魔法に触れると言う流れで行こうと思っている。

 

 戦闘に一緒に入ると言う行為が出来ないことは非常に情けなくも感じるが、参加したとしても何も出来ないだろうし諦めるしかない。

 最初に合流しないと行けないのが、確か戦闘の時は基本結界みたいなのが展開されるはず。それに入れるか分からないが、最初から合流しておいた方が巻き込まれる可能性が高いと考える。

 

 最初の動きとしてそのように考えた。

 

 もし、行けなかった場合は次策へ行くしかない。

 その時は催眠を使うしかないのが現状だ。

 

 

 ちなみに今後自分が考えている流れが一通り上手く行ったとしても今回無印編のストーリーでは最低()()更に追加しないといけないと思っている。

 上手く行った流れの想定内で三名なのだ。下手をすると更に増える可能性も否定出来ないので、極力追加する部分に対しても押さえておきたい。

 

 まぁ、どちらにせよ、それはその時になったら考えるしかないなと思い待ち続けるのであった。

 

 

 

 

 

 そうして時は経ち、夜の帳が降りてその時が訪れる。

 

 空気が変わったような気がした。

 そして頭の中にノイズが常に響いているような感覚に陥る。

 

 病院がある道と合わさる曲がり角まで移動する。

 軽くその場でジョギングの動きをして体を暖める。少し息切れまで出来れば尚良い。

 そうして小さく走る足音が聞こえた時点で、必死感も出すためにその詳細を確認せず一気に曲がり角から病院の入り口まで走りこむように移動した。

 

 むしろ先に着いても良いくらいの感覚で移動する。

 その方が巻き込まれやすいはずだ。そう思って前を向くとなのはが向かい側から走って近づいてくる。

 無事その姿に安心する。違ったらそのままジョギングのように走り続けるしかなかったから……。

 少し自分の方が先に着いたが、病院の入り口の前で合流を果たすのであった。

 

 

「はぁ……はぁ……奏くん。どうしてここに……?」

 

 なのはが息を切らせながらこちらに聞いてくる。

 

「いや……。何か助けを求める声が聞こえたから。なんだろうと思って慌てて走ってきたんだ」

 

 と、こちらも息を軽く荒くしつつ薄く汗が浮き上がっているのを手で拭う。

 そうすると「奏くんもなの……」と何かに納得したようになのはがこちらを見てくる。

 

 もちろん嘘である。

 助けを求める言葉の詳細は知らないが助けを求めていたことは理解しているので、これで話を合わせる。

 

 なのはの方はやはり運動した直後なので、引き続き顔も赤く息も荒い状態である。

 お互い深呼吸をして落ち着くようにする。そうして自分は落ち着いた状態になり、病院の入り口をみた。

 

 頼むと希望を込めてその時を待つ。

 

 なのはの方はそのまま、まだ深呼吸を続けていたが急に頭を押さえはじめた。

 確かにノイズのような音が強くなって来た気がするので、こちらもその動きに合わせて軽く頭を押さえた動きをする。

 

 そうして周りの風景が灰色に染まったように感じた。

 

 いけたのか? 

 

 その光景を見た瞬間、まずはその感情が浮かび上がる。

 だがこういった超常現象が見えると言うことは恐らく巻き込まれることに成功したのだろう。

 一先ずは巻き込まれることに成功したことに安堵しつつ、あとは影に隠れるように準備をするだけである。

 

 

 そんな逃げ腰満載な考えをしていると、病院の開いていた窓からフェレットが飛び出して来た。

 そして更にその後ろから素早く黒く大きな塊のような存在が飛び出してくる。

 フェレットはそのまま敷地内の木が立っている部分まで移動する。

 その姿は追って来ている黒い存在から逃げているように感じた。

 

 大きく黒い存在の動きは速い。

 イメージ的にヒョウやライオンが餌を追うときの一瞬で動くようなスピードに感じる。

 そして逃げていたフェレットを追うようにそのまま逃げていた木の部分にぶつかるのだった。

 

 破壊音が響く。そうして土煙が舞う。そしてその音と共にこちらの地面も揺れたように感じた。

 その感覚は間近で打ち上げ花火が行われたような音と振動であった。

 

 それを見て感じて思う。

 

 間違いなく、無理だなと。素手なんてもっての他、手で持てる原始的な武器があっても折られるだけだろう。

 持ったことは無いがマシンガンクラスで多少傷をつけて怯まさせることが出来るんじゃないかという期待感ぐらいだ。

 

 そもそも物理攻撃が効くかも分からないので意味のない妄想はやめる。

 とりあえずは自分がどうこう出来る相手ではないということが改めて分かればそれで十分だろう。

 

 フェレットは先ほど倒れた木から無事に逃げ出せたようだ。

 そうしてこちら側に気付いて向かってくる。

 その首には赤い宝石のようなものが掛けられていた。

 

 なのはの方は、仰天しっぱなしだ。「なに!? なんなの!?」を繰り返してこの光景を見ている。

 それはそうだろうなとやけに冷静になった頭で、それを見ていたがそこにフェレットがなのはの懐に飛び込んできた。

 

 

 さすがだな。この淫獣が……と人のことを言えないだろう差別言語を頭の中で漏らしてしまう。

 そんな気持ちは勿論知られないまま、そのフェレットをなのはが受け止めるとフェレットが喋りだした。

 

 助けて欲しいんだと

 

 

 黒く大きな存在が己の倒した木の所でもがいている隙にその場所から移動を開始させる。

 その移動の中でフェレットが喋ったことは、

 

 ある探し物をしている。

 けど、一人では限界があった。

 そして素質がある人に手伝って欲しい。

 

 そしてフェレットはチラリとこちらを向いて来た。こちらも声が聞こえた旨を話すと声は街全体に言っていたので、恐らく君にも素質があったのかも知れないと言ってくれた。

 

 彼に言いたいことはあったが……話が繋がってくれたことに安堵しつつそのまま進む。

 どう対応すればいいのかと困惑する二人へフェレットは赤い宝石のようなものをなのはに渡してくる。

 

 なのはが手に持つとうっすらと赤く発光するのが見える。

「暖かい」となのはが軽く呟いた。恐らくは魔力に反応しているのだろう。

 

 そうしてフェレットが一緒に言葉を繰り返すように伝えて来た。

 

 そうして

 

 

「我使命を受けしもの也」

 

 

「契約の元その力を解き放て」

 

 

「風は空に」

 

 

「星は天に」

 

 

 

「不屈の魂はこの胸に!」

 

 

 

 なのはの手がギュッと強く握られる。

 

「レイジングハート。セットアップ!!」

 

 

 

 そうしてこちらが大きく吹き飛ばされそうに感じるくらいの膨大なピンク色の魔力と共に魔法少女への変身が無事行われるのであった。

 

 

 



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16話

 やはり原作の詠唱は素晴らしいと感じてしまう。

 幻想的な表現で合わせて高町なのはの心を、短くけど強く感じるその言葉は胸にきた。

 

 

 なのはの変身した姿は記憶している通り原作そのままの姿である。

 学校の制服のようなものを基調としたその白い姿は、その後においてよく言われるあの通称を全く感じさせない。

 

 莫大なピンク色の魔力と共に光り輝くその白色の姿は天使のように見えた。

 

 

 ただ本人はいきなり変身したため「えぇ……!?」と戸惑ってはいるが。

 

 

 だがそこに先ほどの存在が追いついて襲って来た。

 その速さは一瞬で、本能で察知したのか一番危険な存在を消すと言わんばかりになのはの元へ飛び込む。

 

 

 しかしなのはは壁のようなピンク色の薄い幕を張り、相手を逆に木っ端微塵に吹っ飛ばしてしまう。

 その衝撃は防御魔法であるにも拘らず相手側に致命傷を負わせ、周りの道路や壁、電柱を破壊し、破片が辺りに飛び散るのであった。

 

 

 すげぇ。なのはさんと思いつつも、慌ててこちらも被害に遭わないように少し離れつつ物陰に隠れるように避難を行う。

 

 

 そこからユーノの説明が始まった。

 

 

 魔法と呼ばれるその存在は僕らの世界では発動体と呼ばれるプログラムを実行することである。

 それは精神エネルギーによって発動し、効果を発揮する。

 攻撃は防御などの基本的な動作は心に願うだけで発動する。

 より強い攻撃は呪文が必要であり、それは意識することで心の中に呪文が浮かぶはず。

 

 

 今の敵は思念体と呼ばれる存在であり、その中核はジュエルシードという名の忌まわしき器である。

 それを封印することが必要。

 

 

 ということであった。

 

 

 そうしてひとまず状況が理解出来たなのはは行動を行う。

 

 

 そこからは圧巻であった。

 

 木っ端微塵に吹っ飛ばされた思念体はなんとか形を取り戻すことは出来たみたいだが、死に体に見えるほど弱まったみたいに見える。

 圧倒的に湧き上がるそのピンク色の魔力で、もはや可哀想になるくらいに思念体を縛り捕らえた後、粉砕する。

 

 その後にはジュエルシードと呼ばれる綺麗な石が転がっていた。

 そうしてそのままジュエルシードがレイジングハートへと吸い込まれ無事封印されるのであった。

 

 

 

 そうして無事にことが終わるとなのはの変身が解ける。

 先ほどの私服姿に戻り一息つく。

 

 とりあえずこれで当初の最初から魔法枠の枠組みに入れたこととジュエルシードの現物を見ることが出来た。

 それとなのはが魔法に触れる事が出来たので、それに伴う理解が出来た。

 後は、なのはがユーノと言う名前を認識させる事だろう。

 

 その様子を見つつ被害に遭わないように物陰からそう考えていると、ユーノが体力の限界がきたのかその場で倒れてしまった。

 

 そして残されたのは先ほどの魔力で思念体が粉砕された影響による周りの被害である。

 道の一部分は粉々。電柱も更に倒れているときた。

 

 あれ? 結界の効果が無かった……? それともユーノ自身が途中で力尽きたのかよく分からない。

 結果としては最後でも良かったっぽいがとりあえずは入りこむことが出来たので、よしとしよう。

 

 二人で顔を見合わせつつここに居てはいけないという結論になり、そのまま移動を開始した。

 

 そうしてユーノを抱えつつ、人気のない公園まで移動して、一緒にベンチに座る。

 

 とりあえずは今日はここまでかなと考える。

 

 その後すぐにユーノが目覚めそこで初めてユーノの名前が伝えられた。

 

 そこでお互いに名前を名乗り合った後、明日詳細を教えて欲しいということで解散となる。

 さすがにここでレイジングハートを持っているなのはと一緒にしないのは不自然に当たるだろうと考え、ユーノはひとまずそのままなのはの方へ預ける形だ。

 

 大きな怪我も無く無事にホッとして明日の朝、自分の家にて話そうということにして話は終わった。

 

 去り際にちゃんと呼び鈴を鳴らしてね。と小声で伝えるとしょぼんとした顔になったが、流石に状況と二人きりではないことは理解していた為か素直に頷いた。

 

 やっぱり生身では活躍出来るのは無理だよなぁ。と気を軽く落としつつも今日の一日が終わるのであった。

 

 

 

 そうして次の日の早朝。

 

 なのはとユーノが自分の家にやってくる。

 居間の部屋に案内し昨夜の件を軽く話をすると、なのははお兄ちゃん、お姉ちゃんにこってりと絞られたようだった。

 そしてユーノは普通に向こうの家族と馴染んだ後、寝床を居間に作られたのでそこで寝たらしい。

 

 ……今後のことを考えると、一度向こうの親と話す必要があるだろうな。と面倒な気持ちになってしまう。

 とはいえ、下地を利用すればそこそこ上手くいくんじゃないかなとも思っているので、これは後回しにしようと思う。

 

 そのまま、ユーノの話が続く。

 

 

 

 ジュエルシードは僕らの世界の古代遺産。

 それは、手にした者の願いを叶える魔法の石。

 

 ただ力の発現が不安定らしく使用者を求め周りに危害が出る時がある。

 動物や人が間違って使用して暴走する時もあるらしい。

 

 ユーノは遺跡発掘を仕事にしている。そこでジュエルシードを発見した。

 それを調査団に調べてもらうために保管してその移動中に人為的事故にあった。

 

 その結果21個のジュエルシードがこの世界へ散らばってしまったらしい。

 今まで見つかったのはこれで2つ。

 

 それを全部見つけてあるべき場所へと返したい。

 

 けど、怪我をしていたので探すことが出来なくなってしまった。

 そこで怪我が治るまで、居させてほしいと。

 

 そうして怪我が治った後は、また一人で探し出すと。

 そうして昨日は迷惑をかけてごめんなさいとこちら側に謝ってきた。

 

 

 

 淫獣なんて言ってごめんなさい……と言いたくなるぐらいの健気な姿勢だ。

 話を聞いている間に軽く左の手のひらをレイジングハートへ向けたが特に反応はなかった。

 

 そして話を聞き、なのはが何か聞きたそうにうずうずしていたが、そちらを軽く遮るようにこちらから質問を投げかける。

 

 あのなのはの姿は借り受けていた赤い宝石のようなものはレイジングハートと言っていたがそれを利用するのか? 

 そしてそれは自分にも使用が可能なのか? 

 

 話を聞く限り事故の原因は直接ユーノ君に関係ないはずだけど、それでも集めるのは何故か? 

 

 後、純粋な疑問で失礼にあたるか分からないのだけど、君のような動物の姿で喋るのはそう言った種族でありそちらの世界では普通のことなのか? 

 

 

 と言う点をひとまずの質問としてユーノへ伺う。

 ユーノが答えてきた内容としては、

 

 

 この赤い宝石はレイジングハートと呼ばれるデバイスである。

 デバイスを使用して魔法を行使するため、あのなのはの姿はレイジングハートを使用して魔法を使用する時の姿である。

 

 そして君に使用できるかどうかはまだ分からない。僕の声が聞こえたのなら、魔力適性があるはずなので多分利用は可能かもしれない。

 ただ今は分からないと言うことでその話は終わる。

 

 事故にあったとしてもジュエルシードを最初に見つけたのは自分だから、それをちゃんとあるべき所へ戻したい。

 

 そして最後の質問には本人もハッとしたのか、ごめんなさい。本当の姿を見せてませんでした。と注釈を付け変身を行う。

 そこに現れたのは先ほどのフェレットの毛と同じベージュに近い色をした髪色を持ち、緑色の瞳を持った少年が佇んでいた。

 

 

 なのはが大層驚き、こちらもその姿を見て驚いたように目を見開く動作を行う。

 

 

 今は怪我をしている状態なので、フェレットの姿の方が回復が早いから、そちらの姿になっていたらしい。

 そして、この人の姿の方が本来の姿であると告げてくる。

 

 そうして質問が終わった後、回復が早いフェレットの姿へ戻った方が良いと伝え、姿が再度フェレットへ変化する。

 その姿を見て、更になのはが動く前に話を行った。

 

 ちょっと、今までの話を纏めるため、なのはと二人きりで相談したいけど大丈夫かな? 

 

 と告げた。

 

 

 ユーノをそのまま居間に止めレイジングハートもそのままユーノの元へ置いておく。

 なのはは先ほどの質問を行った以降、ソワソワしていたその姿をピタリと動きを止め素直に付いてくる。

 そうして自分の自室のドアを開けてなのはと一緒に入った。

 

 なのはが自室のドアを閉めた後、そのままなのはから背を向けた状態でボーっと立っていると、なのはが背中に抱きついてくる。

 深呼吸をしているから、そのまま匂いを嗅いでいるのだろう。

 その柔らかい感触は精神を高揚させるが、そうではないと思い直し、視線チェックウォッチを取り出す。

 そしてスイッチを押すと「1」と表示されていた。

 

 まぁ、話の流れ的にも自然に行えたと思うし、本人の性格的な面を考慮しても怪しまれる要素はないはずだが、その最終的確認も込めてと言う感じだ。

 残りは後「3回」だと思いつつ、左人差し指を自分の腹部の方からなのは側へと向け続ける。

 

 そして名前を呼び催眠をかけるのであった。

 

 

 そこまで時間をかけるわけにも行かないので、基本的には追加対応を行う予定であった。

 今回追加した部分は

 ・鏡音奏と二人っきりで会う時にはレイジングハート等も含めデバイスを持ち込まないように意識する。

 ・鏡音奏と二人っきりで会っている時に、もしレイジングハート等のデバイスを持っている場合は二人っきりではない事を認識する。

 ・鏡音奏と二人っきりで会っている時に、もしレイジングハート等のデバイスを持っている場合、鏡音奏から頭を撫でられると嬉し恥ずかしくなり優しく鏡音奏から離れる。

 ・ユーノ・スクライアに対し、友達ではあるが異性である事を認識し、好意を持たれないように行動を慎む事を意識する。

 

 

 最初の3つはレイジングハート対策。若干弱い設定にしているのはレイジングハート側に会っている時に必ず持って行かないと言う状況を怪しまれないようにするためである。

 そして行動部分に関しては、レイジングハート自身が客観的に見てこちらに好意を持っているであろうと言うことを知ってもらうと同時にこちらもレイジングハートを持っていることを確認出来るため設定してみた。

 ユーノ部分に関しては、知っている分、大変心苦しく感じてしまうのだがその気持ちには蓋をする。

 恐らくユーノはなのはへの好感度が高くなるはず。好意と言うのは良い面もあり悪い面もより強く浮き出やすい。

 例えば自然にその姿を目で追い多少曖昧なところでも突っ込まれやすくなってしまう。

 とは言っても、興味がないとかにすると絡みが全く出ないだろうし、絡ませないことにはストーリーも進まないのでなのは側からの行動による好意が生まれないようにすることで多少は抑えられるだろうと考えた。

 ユーノが一目惚れでもしない限りこれで自然とお互い距離感を持って接してくれればと思い設定する。

 

 そうして設定を行った後、催眠を解除する。

 

 なのはの瞳に光が戻った後、こちらを認識したのか普通にまた抱きつこうとして来たので、それを一旦堰き止める。

 ムーっと拗ねた可愛い顔を見せてくるが、それに気にせず話を振り始めた。

 

「なのははさっきの話を聞いてどうしたい?」

 

 そこでハッと先ほどの話を思い出したかのような顔をした後、考え込みつつ少しずつ喋り始めた。

 

「私は……ユーノ君のことは手伝ってあげたいとは……思うの。ただ、それよりも……あの魔法の力にもっと触れてみたい!」

 

 ……大体妥当なところだろうか。

 恐らくはなのははお節介の意識は強かったはずなので、あの健気な話を聞くと本来は手伝いたいの方が強いはずだろうと推測される。

 それが先ほどの効果と合わせてと言った感じだろう。

 元々、魔法の方にも興味が強いはずでもあったので大体妥当な線だろうなと思い、返事を行う。

 

「そっか。僕も彼のことは手伝ってあげたい。だから僕ら二人で少しでも協力してあげよう」

 

 そう言うとなのはは笑顔を浮かべて「うん!!」と伝えてくれるのであった。

 

 

 そうして、話が纏まりユーノの元へ向かう。

 そこで、もし力になれるのであればこちらも手伝いたい。と言う事をユーノへと伝える。

 最初は遠慮がちに断っていたが、本人も一人では難しいのは重々に理解できていたのであろう。説得するのにそこまで時間は掛からなかった。

 

 ひとまずはレイジングハートは、実績もあるなのはが使用することにして、放課後や空いている時間を使い一緒にジュエルシードを探すようになるのであった。

 

 まぁ、自分はデバイスも無いし一緒に行動しながら怪しそうな場所を探す人手がかかる部分を手伝うよ。とか補佐をするよと言うポジションに落ち着けさせる。

 実際レイジングハートを渡されても使える気は一切ないので近寄らないようにしようと心に決めた。

 

 そうしてジュエルシードの探索がスタートする。

 

 

 



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16話迄-現段階の状況メモ そして考察

 ▼▼

 

 現在、催眠されている人員は二名

 高町 なのは(メイン対象者)

 月村 すずか(サブ対象者)

 

 高町なのはの催眠状況

 ・鏡音奏の体の匂いを嗅ぐと安心する。

 ・鏡音奏の男性器の匂いを嗅ぐ事について抵抗はない。好きな匂いである。

 ・鏡音奏と会うと3日毎には二人っきりになりたくなる。

 ・二人っきりの時には鏡音奏の男性器に特に注目してしてしまい匂いを嗅ぎたくなる。

 ・鏡音奏の男性器を嗅ぎ続けると男性器をずっと舐めていたくなる衝動にかられる。

 ・鏡音奏の体を舐める行為はすごく幸せである。

 ・鏡音奏の体に汚いところは無く、全てが最高のお菓子のように美味しく感じる。

 ・鏡音奏から舐める場所を指定されると、そこを丁寧に舐めることが必要である。

 ・男性器の匂いを嗅ぐこと、体を舐めることはアブノーマルであり他の人がいる前ではする行為では無いと認識する

 ・鏡音奏が「終わり。終わり」と告げられたら舐める衝動は一時的に抑えられる。

 ・鏡音奏から「高町なのは」とフルネームを呼ばれると「はい」と返事をする

 ・鏡音奏と二人っきりで会う時にはレイジングハート等も含めデバイスを持ち込まないように意識する。

 ・鏡音奏と二人っきりで会っている時に、もしレイジングハート等のデバイスを持っている場合は二人っきりではない事を認識する。

 ・鏡音奏と二人っきりで会っている時に、もしレイジングハート等のデバイスを持っている場合、鏡音奏から頭を撫でられると嬉し恥ずかしくなり優しく鏡音奏から離れる。

 ・ユーノ・スクライアに対し、友達ではあるが異性である事を認識し、好意を持たれないように行動を慎む事を意識する。

 

 男性器及びアブノーマルの知識を織り込み済み。

 

 月村すずかの催眠状況

 ・鏡音奏から「月村すずか」とフルネームを呼ばれると「はい」と返事をする

 ・鏡音奏からの質問には全て素直に答える

 ・鏡音奏からの命令に関しては全てよろこんで引き受ける

 ・鏡音奏の精液は美味しく幸せに感じる

 ・鏡音奏の精液を飲むために行う鏡音奏との行為は全て幸せで、体を舐める行為も抵抗無く美味しく感じる

 ・4日に1回は鏡音奏の精液を飲まないと落ち着かない

 ・精液を飲む行為は、人前では恥ずかしい行為だと認識する

 ・鏡音奏が「終わり。終わり」と告げられたら精液を飲みたい衝動は一時的に抑えられる。

 

 

 催眠能力について

 左掌をかざすとメインストーリー対象者か否を判断できる。

 赤色……メイン対象者

 青色……サブ対象者

 それ以外にも催眠能力を使用することは可能。

 男性には能力が使用できない。またデバイスも利用不可であった。

 

 現在の対象者

 高町桃子(サブ)

 高町美由希(サブ)

 アリサ・バニングス(サブ)

 月村忍(直接的な確認は未実施だが恐らくサブと推測)

 

 

 催眠を継続させるためにはサイコロを振って継続させる行動パターンを付ける必要がある。

 

 1……不明

 2……1週間に1回。催眠実行者の匂いを嗅がせる。

 3……不明

 4……不明

 5……1週間に1回。催眠実行者の精液を飲ませる

 6……不明

 

 ペナルティについて

 下記行動が見られるまたは発覚するとペナルティが発生する。

 ・催眠状態を見られる。

 ・催眠を仕込んだ後で、その人が催眠がかかっている事がバレる。

 ・自分が催眠をかけていることと催眠手順がバレる。

 

 あと、継続対応を放置した場合もペナルティが発生する。

 

 ペナルティ発生時は蝶の羽で通知対応される。

 最大4段階あるらしい。

 1段回目……手首に燃えるような激痛が発生し続ける。

 2段回目以降は不明。

 

 ペナルティが発生すると催眠者は催眠から復帰する。

 ペナルティ復帰は再度その対象者を催眠にかける。

 

 再度催眠をかけると、継続対応のハードルがあがる。

 体の匂いから男性器の匂いに変更された。

 

 催眠メンバーを増やせば報酬があるらしい。(5名以上らしい)

 まだこちらの報酬は獲得出来ていない。

 

 サブ対象者をメンバーにすると報酬があるらしい。

 貰った報酬は視線チェックウォッチと言う名の機械だった。

 効果は「今、自分を見ている人」の人数が表示される。

 使用回数は合計5回、現段階で残り3回 合計5回を超えると消えるらしい。

 

 ▲▲

 

 

 

 メモ紙を見つつ、考察を始めようと考えた。

 

 

 考察に関して最初に結論を言うと「相手の最終的な目的」は分からないし「結局は行うしかない」になる。

 

 

 

 

 では、何故結論が分かっている蛇足のような考察を行うかと言うと「あの存在を少しでも理解するため」である。

 理解が何故必要かと言うと己の心を保つためでもあった。

 

 基本的に方向性として考察をすればするほど色々心を折りに来ている所が非常に多い。

 だが、それを理解しておかないと諦めの状態へ持って行かれた時にそのまま折られてしまう。

 そうなると普通に迎えるのは自分と言う存在の消失だろう。

 どうにかしてあいつの存在に対して最低でも一泡吹かせてやりたいこの心の火を消したくはないし、そして改めて死にたくもない。

 

 だが現状力の差ははっきりしているし、それをどうこう出来るレベルでもないのを現実的に理解しないといけない。

 だからこうやって少しでも新しい発見が無いかも含め検討を重ねるのである。

 

 そうしてつらつらと考察を始めるのであった。

 

 

 まずは、催眠について

 催眠能力と言うのは印象的にも強力な能力であると考える。

 その気になればその世界を掌握することは簡単だろうし、そして自由に己の欲望のままに遊べるだろう。

 そして自分がクソゲーと呼ぶにあたり、渡されているものに関しては確かに能力としては使えるが制限が多い。

 

 そこで思う。何故、()()が必要なのか? 

 あの存在の力を見る限りこの世界において自由に出来ることは想像に難しくないだろう。

 その存在が何故制限がある状態の催眠能力を渡す必要があるのか? 

 

 それについて思うことは、好き放題に使って欲しくない。と推測する。

 では、何故好き放題に使って欲しく無いのか。それは先ほど述べたようにその気になればこの能力はその世界を好き放題に出来るからだろう。

 

 恐らくは向こうの希望としては、この世界を好き放題に遊んで欲しくない。と考えられる。

 何故好き放題に遊んで欲しく無いと考えると、それに伴う目的が存在するはずだからだ。

 

 その目的は何か? という所は現状分からないが、少しでも材料がある分、考察を重ねる。

 

 時に話は変わるのだが、自分の考えとしてルールと言うのは「意図」「その意図に伴う設定」「結果」と言うのが基本的に存在していると考えている。

 ただ、それには表向き、裏向きが時には存在することがある。俗に言う本音と建前だ。その両面を紐解いてそれを合わせて行かないとそのルールを改善したように見せても結局は改善の意味がなくなり新しいルールが追加される。

 なので結局は元のルールに従っていた方が良かったと実体験されることで、改善への想いは失われていく。

 当たり前なのだ。人が作るルールには人それぞれの想いが存在する。そして誰もがそんな表と裏の意図を最初から全て理解することなんて出来ない。

 ものによっては最初から理解出来るものもいるだろう。ただどんな時にも関わらずその作られた他人の想いを全て理解することなど出来るなら、それはその世界における人の枠組みを超えている存在だと個人的には思う。

 まぁ、中にはそもそもこれは無理だろうと思うルールも存在するが、それでも作られるものには想いが乗っている。

 自分は人を超えている存在どころかむしろ人の枠組みの中でも埋もれる存在であることは重々承知しているつもりだ。

 何故なら突き抜けている存在であるなら、もっと楽にクリアをし、そしてもっとこの世界を楽しめているだろう。

 だがそれでもその現実を理解した上で、合っているかも分からないがそれでも考えを積み上げ少しでも相手の意図を理解しようとする。

 

 

 

 

 閑話休題

 

 

 

 

 目的を探すにあたり各々のルールを考える。

 ・男性には効かない。

 ・催眠の継続対応。

 ・メイン、サブの存在。

 

 まず、男性には効かないと言う点。これはあの存在が喋っていた内容を受ければ「ハーレムを作るため男性には効かないようにしている」だ。

 これは表向きとして納得出来るかどうかは別として話の筋は通る。

 ただ、先ほどからあるとおり、自由に遊んで欲しく無いという視点で見てみると逆に女性に対しては好きに遊んで良い。なのだ。

 それは何故か? と考えると確証はないが恐らく女性との関係を爛れさせると言う目的があるのだろう。

 で、それはハーレムを作ると言う所も結果として合っており、決して嘘は言っていない状態となる。

 そして自然と女性への手が出やすくなる環境が作られるはずだ。

 

 

 そして継続対応だ。

 これは恐らくだが、内容を試みるに女性への手を出しやすさを助長させる。

 なので、先ほどの女性に対して好きに遊んで欲しいと言う部分の補強になってしまう。

 

 

 メイン・サブの存在。

 これは要するにそれに注目させたいのだろうと推測される。

 その気になれば性欲を満たすだけであればそこら辺にいる女性を催眠にかければ解決である。

 とは言え後に出るペナルティや世界の崩壊への道筋において、それを防がせることによりよりその存在への意識を高めるような意図を感じられる。

 

 

 とここまで見ると、要するに、ある程度女性の数を持って好き放題に遊んで欲しいと言うことになる。

 全てを遊んで欲しくない。けど自分が想定している人数は遊んで欲しいと言った感じだろう。

 だが、それは何故となるとそれが一つの目的だろうなと考えられる。

 

 

 恐らくこれで得られるのは、支配欲、性欲などの男性的欲望であろう。

 そういったのをある程度に浸って欲しいと言う意図が感じられる。

 

 

 ここまではそう感じられるのだが、何故その欲望にある程度、浸って欲しいと言う点はそれがより上位のルールに基づいた結果なのだろう。

 なのでそこの目的が見えない以上、積み上げるのは難しいと考える。

 

 

 そうして報酬の制度だ。

 これもきちんとした報酬が貰えた所で、より催眠をかけていくことのメリットを誘導させられる。

 だが、ただ単に掛けていければ前述のもので妨害されて破綻させられる。

 催眠を使わせようとする意識を持たせるための補強だろうか。

 

 あとは世界の崩壊について、崩壊される世界を救って欲しいと言うことは伝えられている事象である。

 ただ、これを先ほどの遊んで欲しい。欲しくない。の視点で見てみると、女性とだけ遊んでいるだけではダメだと言うことに感じられる。

 このルールがあるからこそ、ストーリーの攻略が必要であるからだ。

 そして攻略することが可能と言う前提で考えれば、これは成功することで達成感などの満足感を埋めることができるだろうなと考える。

 

 

 それとは別にあるのがペナルティの存在である。

 これがあることで、その満足感を簡単には得ることが出来ないようにされてある。

 そして、ペナルティが発動した瞬間にほぼ詰むと言う状況はその難易度を跳ね上げる。

 これは遵守せよと言う意図と、それを含めて攻略出来た時の満足感を引き上げるものであると考えられる。

 

 

 ただこれは全て成功した場合のものである。それとは別にクリアするための安全弁が無い。

 そして、このルールの数の多さもだ。逆にワザと多くさせて混乱も誘うその手法は、そこも含め要するに自分でなんとか出来る能力が最低限求められらていると言うことであろう。

 それと合わせて別に失敗しても構わないと言う意図も感じられる。

 

 ここまで考えると「私の考えたルールで遊べ」と言う独善的な理由より「ある目的を満たすためルールに沿って、ある程度の女性と遊んで欲しい。そしてその欲望に浸って欲しい。そして世界を救って満足感を得て欲しい。だけど失敗してもこちらは困らない」と思うようになる。

 確かに最終的に建前の「ハーレムを作って、世界を救って楽しんで欲しい」と言う点は同じだろう。

 ただそれを無理矢理レールを引かせて動かす意図や感情がコントロールされる気持ち悪さがなければさぞ楽しいかもしれないなと思った。

 

 

 彼女との最初の会合を思い出す。

 最初説明されていること、転生されたあとに説明されること、これも今考えれば全て意図があったのだろう。

 

 こちらの世界に来てから思うことがあった。親の存在がなくても大丈夫だよ。という設定された環境である。

 これはかなりいろんなパターンで試してみたが、どれもこちらに不都合を与えることがなかった。

 その件に関してはある意味の信頼感さえ生まれるくらいに。

 ただ、こう思った。「ここまでキチンと出来る存在があの適当な説明で済ませるか?」だ。

「めんどくさい……」それも勿論考えられるだろう。

 ここまで意図的にルール設定する存在が、あそこを適当に済ませるにはそれなりの理由があると思った方が自然に感じた。

 

 そうなるとそこの意図を感じさせるのは最初の催眠を使わせる切っ掛けすらコントロールしたいのであろう。

 あの設定における催眠能力は一度使えば無理矢理にでも欲望を満たせようと動き出す。

 要するにしばらく使わないことが相手には嫌だったのだろう。

 実際、その方が雁字搦めになる時間が少なくなるのであるだろうから。

 長く浸しつつも溺れさせず、そして苦悩からの欲と言う開放をそれぞれ意図されて行われるというのは非常に心にくる。

 

 ある意味全て客観的に見られているのだろう。その存在に立ち向かうと言うのは非常に強大さと言うのを強力に意識させる。

 恐らくこの感情すら辿り着くことすら想定内であろうと考えるぐらいには心へ負担がのし掛かってくる。

 

 他にも数がいるであろう点も気づかせてくる所も厄介だ。

 例えば、継続対応である「催眠実行者」などの表現である。自身に対してのみであればそんな表現は必要ない。

 では、この世界に複数いるのか? と言うと、ストーリーが開始されているこの段階で全く絡みがないと言うのは考えられない。

 もし、奇跡的に催眠を使わずに進めたとしてもなのはとの邂逅は必須であるだろうし、それも無いと言うことは居ないと思った方が自然である。

 そして何より「複数いた場合、攻略することは不可能であろう」と考える。

 ペナルティのことを考えただけでも危険度は加算ではなく間違いなく乗算でいくと思う。

 お互いの足すら引っ張り合う可能性も考えればより増すであろう。クソゲーレベルを突き抜ける所の話では無い。

 そしてそれは何よりもあの存在が見合った結果を得ることはない設定をすることは無いだろうと推測される。

 難易度すら求めるものに調整するのに、無謀とも言える所は手を入れないだろうと言うある種の信頼感だ。

 まぁ、それすら裏切る可能性は否定出来ないが……。とは言え現状見えないのは事実である。

 

 では、何故それを伝えるかと言うのは「お前以外にも代わりが居るよ」だ。

 それを補強するように、例えば転生後に現れる紙だ。あれには基本的に汎用的措置が作られている。

 詐欺メールに近いだろう。あれは奇跡的にタイミングが合えばその内容は自分宛に送られていると錯覚してしまう時がある。

 そのタイミング自体そうそうあり得ないし冷静に見れば問題無いのだが、それでも極僅かのタイミングと合わせてそれも一部の人間にヒットする可能性は0では無い。

 彼らはそれを繰り返し数を行いつつ情報を集め利用するのだが、こちらで見る紙には極力個人宛と思われる言葉は載っていない。

 あくまでそこにいる人が自分じゃなくても通じるような内容がほぼであった。

 もちろん最初とかの説明における内容は個人宛としての要素が強かったり、他にも時々は現れたりするのであるが、テンプレメールを弄っているかのような感覚は残る。

 それに気づいた時の感情すら弄りたいのであろう。焦りや絶望の感情すら伸ばされてしまう感触を受けるのは、やはり心にくるものであった。

 

 

 最終的にそれじゃその目的に合わずにいけば良いじゃんと思わなくはなかったが、どう足掻いても無理筋である。

 例えば、なのは、フェイトと仲良くなり、失敗するよ! と言っても本人たちは何が失敗するかも分からないし、結局はそのまま失敗して終わりであろう。

 魔力もほぼ無かった以上、自分には力でどうこう出来ることはなく、恐らく催眠を使わない限り、崩壊の意図はクリア出来ない難易度にされているのは間違いない。

 それじゃ、欲に溺れなければ良いじゃんとも思うが、体の快楽、体が求める欲求はさすが()()を意図して作られているだけあって素直である。

 しかも相手は元々好んでいた相手ばかりだ。意図はわかっても受け入れてしまうことは、聖人ならまだしも自分では抗うことは非常にハードルが高い。

 これは覚悟というよりも欲求という所がどうしても勝ってしまい独善的な形ではあるが問題無い限りは受けたいと思ってしまう。

 まさに意図通りと言われればそれまでなのだが……頭では分かっていても……というやつである。

 

 

 

 まぁ、あくまで考察なのでひょっとすると、とある漫画でもある「そこまで考えていないと思うよ……」という結論もあり得るので当初の予定通り理解を少しでもして、あくまでどう転ぼうともその時に諦めないように、こう言った考えを持ちつつ心構えを作っていた方が良いと思うようにする。

 

 

 どちらにせよ、もし意図的に動かされているという状況は見えたとしても結局は進めていくしかないし、その目的は分からないという結論は変わらず紙を燃やして終わるのであった。

 

 

 



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17話

 ジュエルシード探索は順調に進んだ。

 

 なのはの魔法に対する欲求は常に貪欲で、特訓もユーノに教わりつつ実施し始めている。

 その成果なのかジュエルシードの思念体に対して憑依されて強化されていようがお構いなくという感じで続々と撃破していくのだった。

 さすがに技術と言う点はまだまだなのだろう。相手の攻撃を被弾することも少なくないのだが、ダメージは全く受けることなくその余りあるピンク色の魔力で相手を瞬殺していく。

 その様は、力とはなんぞや? それはパワーだ! と言わんばかりのゴリ押し具合だ。

 そしてその有り余る魔力を持て余すかのようにこちらへの防御膜もしっかりと貼られていて、誰も怪我をすることなく順調にジュエルシードが回収されていく。

 

 

 ただ、少し思ったのはこの段階でここまで強かったかな? と少し疑問に思った。

 ユーノも「これは……凄すぎる才能だよ……」と言っていた。しかし、元々彼女自身魔法の才能の塊であったはずで、それがユーノを手伝う意識から魔法への欲求意識へのスライドの結果、そこに集中されていると言う点も考えれば多少の強化はされていてもおかしくはない。

 多少強い分には問題無いだろうし、影響を考えても進めやすい所が多くなるだろうから、そこまで問題ないだろうと考えた。

 

 

 

 そうして、今、自分は、

 

 

「奏くん? 二人で話したいことがあるってどうしたんだい?」

 

 

 高町士郎と二人で話す所であった。

 

 

 

 なのはとユーノは放課後になった後、少し予定がある旨を伝えて先にジュエルシード探索に出てもらっている。

 そして高町家に伺い、今、士郎さんと二人で話をし始める所であった。

 

 

「まず、僕……私の件に関して、色々とご心配ご迷惑をおかけ致しまして申し訳御座いません」

 

 

 そう言って頭をペコリと士郎さんへ下げる。それを見た士郎さんは、

 

 

()()()()()()?」

 

 

「いえ、特に()()()でしたら、気にして頂かなくて大丈夫です。こちらの気持ちの問題でしたので……」

 

 

 そう伝えると士郎さんはふぅーと息を軽く吐いて、

 

 

()()()()()()()()()?」

 

「いえ……全く気づきませんでした……」

 

「では何故?」

 

「さすがになのは……さんの様子を伺っているだろうな……と考えていましたので……」

 

 

 まぁ、これは先制みたいなものである。

 なのはは内緒にしていると言っていたが、毎日こちらに伺っていることはさすがに様子を1回は見るだろうなと思っていた。

 戦闘民族の集団である。そしてその動きは何回か道場でなのはと一緒に見学はして居たので向こうもそれは理解しているだろうと考えていた。

 そしてその動きを使えば、なのはが朝どこに向かっているのかを調べるのは容易だろうなと。

 料理の勉強をして、幼なじみの家に朝伺う。その様子を見れば愛娘が自分へ食事を作ってあげているんだろうなと言う想像を持つことも難しくないだろうなと思う。

 そして中の様子も見られないのもあの存在による影響が働いているのだろう。元からなのはと遊んでいる信用度も積み上げてあるし、認識が無ければさすがにその行動を見ていれば判断出来るだろうし、狂信的な親バカでなければ中の様子までは見ることは無いだろうとも考えていた。

 これはその辺りの謝罪である。とは言えこれが勘違いしている可能性もあったので、何であれどこかのタイミングでは自分の様子は見るだろうなと思っていたから、こちらからの限定される言葉は避けるようにして伝える。

 どちらにせよ、相手がどこかで一度見ていれば引っかかるだろうし、先制として伝えたのだ。

 

 その目的はこれから話をする内容に関して、こちらの真剣さを伝えるためとその本気度を上げる為である。

 やはり親から見ると子供は子供であり、どうしてもこちらから伝える言葉というのは相手への温度感が伝わりづらい。

 ただ、性格的にも士郎さんは相手側のことを子供とは言え真剣に聞いてくれることは理解していたが、こちらも子供の枠では無く一人の男の話として聞いて貰うくらい大人びた考えを伝えるためでもある。

 とは言え、これは誰にでも通じる話でも無い。むしろ逆に怪しまれる可能性もあるだろう。だが恭也さんみたいに子供の時から年齢に見合わず老成した考えを持っていたはずなので、士郎さんには通じるだろうなとも考えて行っているのである。

 

 

「ふぅー。やっぱり子供というのは成長が早いものなのかな。なのはの背も高くなって来ているように日々感じるし。歳を実感しちゃうよ」

 

 

 ハハハと士郎さんが茶化しつつも話は続き

 

 

「それで、これを伝えたい訳じゃないんだろ?」

 

 

 と促してくれた。

 

 はい。と伝えつつこちらは引き続き真剣な顔を継続して、

 

 

「なのは……と最初に会ったときですが、彼女は泣いていました」

 

 

「私は家族の役に立てないと。何も力になれないと涙を流していました」

 

 

 士郎さんが苦い顔をする。それを見つつも話を続けた。

 

 

「いま、なのはは新しい道を見つけようとしています。出来ればそれを見守ってあげて欲しいというお願いです」

 

 

「そして彼女からその話があるまで、信じてあげて欲しいんです。おそらくは夜とか急に出かける可能性があったりと側から見て怪しく行動する時もあると思います。ですが、彼女の新しい道を見つけるためにそれを見守って欲しいのです」

 

 

「もちろん、なのはが道を外すとか本当に危ないことがないように、自分が守れるようにしたいと思っています」

 

 

「そしてこれは自分から言う事では無いと思いますが、彼女から話があった時に真剣に考えて答えてあげて欲しいんです」

 

 

「それが僕……私からのお願いです」

 

 そうしてぺこりと頭を下げた。

 

 士郎さんはこちらをじっと真剣に見つめてくる。

 それに目を逸らさずこちらもじっと真剣に見つめ返す。

 

「僕が家族を信じないとでも言うのかな?」

 

「いえ、そんなことはないです。なのは……さんの普段の姿を見ていれば家族から愛情を沢山貰っているだろうと言うのは理解しているつもりです」

 

「では、何故君が今回のお話をしてくるのかな?」

 

「これは自己満足かも知れません。ただ、やはり自分がこの件を知っている以上、これをお話ししないと今まで信頼して貰っていたのに失礼にあたると考えたのと、やはりどうしても少しでも一人の男としてなのはの手助けをしてあげたかったんです」

 

 

 

 ですので、よろしくお願いします。と頭を再度下げたのであった……。

 

 

 

 話し合いで向こうからの答えは逆に聞かないまま終了させた。

 多少話を誇張してはいるがそれは向こうには分からない部分でもあるし、元々気持ちはその通りであったはずなので特に問題は無いかなと思っている。

 やり方は善意を盾にしているし最低な部類だとは思う。そして素直に相談出来無い罪悪感は積み重なるがそれにはどこまでも蓋をしていくしかない。

 

 これに関しては、正直根回しの部類だ。原作でも確か余計な茶々は入らなかったはずだが、念を入れておく形でもある。

 そして、これを理由に状況が危なくても反対意見を生み出せ無いように参加出来るようにするためでもあった。

 なのはの親と見守る事を約束しているとユーノにさりげなく伝えておけば、ユーノ側から危ないから参加しない方が良いと言われるのを防ぐためだ。

 自分から宣言した形ではあるが、決して否定されなかった内容は決して嘘では無いと言う真実を纏う。

 まぁ、あの後、娘はやらんぞ! と言う親バカっぷりを見せつけられたので、ある程度は効果はあるだろうと思いたい。

 

 

 そんな事を考えつつ、なのは達との合流を目指して移動を開始するのであった。

 

 

 

 

 本日は、すずかの家でお茶会である。

 

 アリサ、なのはと共にすずかの家に招待されたのだ。

 そこで出会ったのは、月村忍、ノエル・K・エーアリヒカイト、ファリン・K・エーアリヒカイトである。

 前もってすずかから情報は聞いていたので、会うのは初であったが特に混乱はなく話は進んでいった。

 そして月村忍は早々に恭也と一緒に消え、メイド達に関してもお茶の準備などで今は居なくなっている。

 

 ひとまず各々チェックは済ませておいた。三名とも青く光、サブ対象者である事を確認した。

 ホント節操無しに感じてしまうが、まぁ、そうだろうなとも思っていたのでひとまずは記憶はしておくレベルに止めておく。

 

 その後は他愛の無い話をしつつ時は進む。

 ペット枠のユーノはアリサに弄られつつ、猫と一緒に追いかけっこをして遊んでいた。

 本人は遊んでいるかは疑問だけど、気にしてもしょうがないのでそう思っておく。

 

 穏やかに過ごす一時は心を落ち着けさせる。

 そうしてお茶の準備が整う前に、すずかは一旦席を外しお茶の準備が出来た時には何故かメイド姿で現れた。

 

 アリサは何? 何? どうしたの? とすずかに聞いていたが、すずかは私もみんなに持て成してあげたかったんだとてへっとした笑顔で伝えてくる。

 ちょっとした悪戯心を持ったその仕草とメイド姿の彼女はより魅力を一段と輝かせるのだった。

 

 すずか直々にお茶を注ぎ始める。

 そうしてアリサ、なのはと終わり自分の番になった時にすずかは注ぐのを一旦ストップしてこちらをにこりと笑顔で見て来た。

 

 ……すずかは時々こう言う事を仕掛けてくる。あのプレイを気に入ったのか時々バレないように命令が欲しいとお願いしてくるのだ。

 ほんのお茶目な部分ということもあり得るが、そう言った姿勢にも魅力を感じてしまうのはさすが登場人物の一人だと感心もした。

 

 とりあえずこちらも極力自然に僕にもお茶をくれるかな? と伝える。

 そうするとすずかは笑顔を輝かせたようにお茶を注いでくれるのであった。

 

 それを見たアリサはご主人さま気取りのつもり? とか茶化して来たりしたが、こちらはあはは。そんなんじゃ無いよと笑顔でスルーした。

 すずかはずっとニコニコし続けている。なのははずっと何か考えているようにこちら側を見ていたが、ふと何かを感じたようにそわそわし始めるのであった。

 

 念話で話をして居たのであろう。それに合わせてユーノが動き出し始め、急に居なくなるフリをし始めた。そしてなのははそれに合わせる形でユーノくんをちょっと探してくるねー。すぐ戻るから。と言った後、こちらに目を向けて動き始める。

 ちなみにこちらは現段階では念話出来ないことは特訓時に確認済みであるし、ユーノ、なのははそれを了解済みである。デバイスが無い為なのか結局魔力が足りないからなのかは判断が出来無いので一旦はそれで保留になっていた。

 それはさておき今のなのはの動きはジュエルシード関連だろうなと思い、アリサ、すずか共になのはの事を心配そうに見送って居たので、僕もちょっと手伝ってくるよ。心配しないで待って居て欲しいと伝えてなのはの後を追いかけるのであった。

 

 

 

 そうしてなのはと合流を果たした時に見えたのは、巨大な猫である。

 ジュエルシードの影響なのか願いの結果なのかよくは分からないが、巨大な猫はそのままの姿で寛いでいる。

 なのは、ユーノ共にポカーンとした表情でいたが、こちらから声を掛けて気を取り直したので、そのまま封印に向けて動き始める。

 

 

 そうしてなのはの変身を終えて、いざその力を持って封印を実行する直前に、大きな猫へ別の角度から電撃のような黄金色の魔力が走り攻撃が行われるのだった。

 

 

 

 その攻撃が行われた先を慌ててみんなで見てみると、そこには金色の髪をツインテールにしてその髪を靡かせつつ黒の衣装を纏った少女が立っていた。

 

 

 



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18話

 

 フェイト・テスタロッサ

 

 

 事故で亡くなったプレシアの娘、アリシアの遺伝子を使用された人造生命体だ。

 アリシアの記憶を移植され、それでもその結果がプレシアにとって望んだ結果ではなかった為、プレシアからの愛を受け取ることはなかった。

 だが、本人はプレシアを家族として愛しており期待に応えられるように努力を重ねている。

 その健気な姿勢、そして本来培っている心優しいその心は彼女を苦悩に誘う。

 だが様々な壁を乗り越え成長していく姿はもう一人の主人公と言うべき存在である。

 

 戦闘時における凛としたその姿勢、そして意志を固く持っているその瞳。だが孤独を誘うその雰囲気は様々な感情を引き寄せる。

 

 そんなフェイト・テスタロッサを見て考える。

 

 

 

 いつ()()をかけるべきかと。

 

 

 

 紋章の光は赤、やはりメイン対象である。

 今考えているプラン上では正直本人や周りの信頼を培う時間が足りなさすぎるしハードルが高すぎる。

 なので、この辺りは最初から()()取り込む覚悟で臨むべきだと考えていた。

 

 とはいえ、現段階ではお互いの認識すら無いので、今直ぐにはどうやっても難しいだろうなとも思っていた。

 とりあえずは初会合としてなのはとの絡みを見守るしかない。

 

 

 そうこう考えているうちになのははフェイトが行なっていた攻撃を止めさせるべくフェイトへ向かって突撃が行われるのであった。

 

 

 __

 

 

 私は歓喜した。

 

 

 一番最初、レイジングハートを通して行われた魔法への存在の接触。

 

 そして魔法と言う力の接触。

 

 自身の体から溢れ出るように出てくるこの魔力は、私が護りたい力を表したようにも感じるくらいに力強く感じた。

 

 そしてこの力を受けた時に頭の中でカチリと嵌ったようにも感じる。

 

 これは私がどこまでも渇望して求めていた力では無いのかと。

 

 

 私は歓喜した。

 

 

 だが、この溢れ出る力ではまだまだ足りないと感じてしまう。

 

 そう。私が抱えるこの()()はこんなものでは無いからだ。

 

 どこまでも遥か上空へ突き抜け宇宙すら超えたいその想いはまだまだ足りない。

 

 レイジングハートに問いを行う。

 

 私がこの護りたい力をもっともっと高めてくれるかと。

 

 この力を宇宙の果てに届かせるくらいにどこまでも協力してくれるのかと。

 

 レイジングハートは答えてくれた。

 

 

「マスターの望みのままに」

 

 

 私は歓喜する。

 

 

 もっともっと護れる力を得るために成長しようと心に決めるのであった。

 

 

 

 

 物足りない……。

 

 正直そう感じてしまった。

 

 ユーノくんから話を聞いて協力しているジュエルシードの回収。

 

 思念体の強さは私のこの想いを得るためには力不足にも感じてしまう。

 

 だけど、魔法で彼を包み込むのはものすごく心が高揚してしまった。

 

 もっともっと彼を固く優しく包み込んであげたい欲求を満たすにはもっと練習が強さが必要だと感じてしまう。

 

 しかし、相手の力不足を感じてしまい、その場を得るのは中々難しくも感じてしまうのだ。

 

 別に友達でもあるユーノくんの協力自体は別に構わないのだ。

 

 ジュエルシードという()()を叶えるという石にも勿論興味があった。

 

 だが、自分の中の極論では正直それは()()()()()()と思って居たのも事実である。

 

 この魔法と言う力の存在でより高みへ昇りたいのだ。

 

 彼を護れる強さを自らの手で得たいのだ。

 

 それこそどこにも行かなくても彼を包み込むべき強さを身につけたいのだ。

 

 そして二人きりで過ごす永久の刻を得たいのだ。

 

 そう思いながら思念体を封印し、日々特訓を続ける。

 

 

 

 

 すずかちゃんの家に招かれた。

 

 遊びに行って楽しい時間を過ごして居たのだが、

 

 すずかちゃんがメイド姿になった時に思った。

 

 ひょっとすると……これをすればもっと濃いものが堪能出来るかも知れない。

 

 あの至福な時間の妄想が頭の中に繰り広げられ体がきゅーっとなる。

 

 これはどこかで実行せねばなるまいと心に硬く誓った。

 

 

 

 

 そんな事を考えて居たらジュエルシードらしき魔力反応を感じた。

 

 ユーノくんとも話を行い、奏くんも勿論付いてきてもらわないといけないので、目配せを行いその場所へと向かう。

 

 そこには大きくなった巨大な猫が居た。

 

 最初は驚いたが、すぐに終わるだろうとも思ったので準備を開始したところで、その猫へ私では無い魔力の攻撃が行われる。

 

 攻撃を行われた場所を見てみるとそこには金色をした髪の少女が居た。

 

 恐らく持っている武器は私が持っているこのレイジングハートと同じように思えた。

 

 その佇まいはお兄ちゃんと道場で対峙した時のような歴戦の戦士のような気すら感じられる。

 

 これが魔法を使うものなのかと感じ、どうしても彼女の力を感じたくなってしまう。

 

 私のこの感情を力を高めてくれるのかと。そう考え突貫する。

 

 

 

 

 凄い!! 

 

 素直にそう感じる。

 

 熟練されたようにも感じるその行動パターンそれは私には到底及ぶものではなかった。

 

 最初の撃ち合いはともかくその後の彼女の行動はこちらの攻撃を一切当てさせることは出来なかった。

 

 その動きは雷のように一瞬で動きこちらの的を決して絞らせてくれない。

 

 フェイントを織り交ぜ、その動きに翻弄されてしまう。

 

 だから私は当てられないなら当てられるようにもっと数を増やす。

 

 レイジングハートから教えてもらったディバインシューターを使い魔法を撃つ回数を増やす。

 

 そしてディバインバスターを合わせつつ狙い続けるがそれでも当たらない。

 

 なら、もっともっと増やしていく。

 

 自分の魔力の限界まで行うことでより私の力の限界は深くなっていくだろうとも感じた。

 

 だが私の想いの力は止まらない。溢れ続ける。それをどこまでも伸ばしていきたい。身につけたい。

 

 だからもっと私を高みへ昇らせて欲しいと願う。

 

 その力を見せて欲しい。それを私は糧にすると。

 

 

 

 __

 

 

 __

 

 

 

 強い。

 

 素直にそう思った。

 

 最初、その少女が持っているインテリジェントデバイスおよびその姿を確認し、恐らくは現地の魔導師だろうと判断した。

 なので、そこまで強くは無いだろうと思っていた。そして恐らくは最初の一撃で終わるだろう、とも。

 

 

 しかし最初お互いに発したその魔法の一撃はこちらの予想を裏切りこちら側の魔法を一瞬で打ち負かしてきた。

 

 

 なんという魔力。

 

 

 精密さを誇る精度とか熟練、卓越された技術などまるで関係ないと言わんばかりに無理やりにでも詰め込まれたその魔力は、その無理やりな圧縮による強さだけでこちらの攻撃をかき消すかのようにしてきたのだ。

 驚きと共にありえないという感情が走る。そしてそれを直撃した時の想像で背筋が震えてきた。

 

 

 だけど私は負ける訳にはいかない。

 

 

 心を奮い立たせその感情を支配する。母さんに言われている命令を遂行するためにはこんな所で足踏み出来ないのも事実であった。

 だが、さすがに直撃する訳にもいかないので、動きで撹乱しつつ相手の様子を伺う。

 

 やはり動き自体はぎこちない。とても訓練された動きには見えなかった。ただ余りあるその魔力を使いこちらに攻撃を行なってくる。

 その魔力を使った攻撃は数と言う驚異を改めて実感させてくるのだった。

 

 そして更にその数を増やしてくる。

 

 もはや精度は崩れているが数を利用した攻撃は点から線へ、線から面に移る様はいつかこちらを捉えられる感覚を引き起こされる。

 まだ回避は可能だが、相手の魔力がどこまで持つかも分から無い為、いずれジリ貧になる前に、こちらから攻撃を仕掛けた。

 

 

 

 アルフっ! 

 

 

 

 あいよっ!! 

 

 

 

 いざと言う時用に近くで控えて居たアルフに念話で声を掛ける。

 それを承知したと言わんばかりに向こうの少女の死角からアルフが突貫を仕掛けた。

 

 

 きゃっ!! とその声と同時に少女が吹き飛ばされ土煙と共にその姿が隠れる。しかしその少女を吹き飛ばしたアルフは硬すぎるだろ! と言う感じで己の拳をさすっていた。

 

 とりあえず今のうちにあの猫を封印する。

 そう考えすぐに行動を実施した。そうしてすぐ封印が終わると離脱を開始しようとするが、その前に改めてあの少女から攻撃が行われてきた。

 その姿を見ると少女は完全に無傷で、更に無尽蔵にも見えるその膨大な魔力を纏いこちらをワクワクしたような顔で見つめてくる。

 

 

 化物という恐怖の感情が軽く浮かぶ。しかし目的は達した為、馬鹿魔力というべきその力を再度受ける前に、不本意だが逃げるようにそのまま攻撃をいなしつつ離脱を行なった。

 

 

 流石に追っては来なかったので、なんとか無事に離脱し一安心つく。

 出来ればもう会いたくないと感じてしまった。

 

 

 __

 

 

 やはり、今の段階ではフェイトの方が一枚上手だったか。

 そして、アルフに対しても紋章が青色に光り確認が出来た。

 この辺りの詳細な戦闘内容は余り記憶はなかったが、基本的にフェイトが優勢だったはず。

 確かに強化された面もあっただろうが、やはりそこまで影響は無かったなと感じた。

 

 とはいえ、強化された影響なのかユーノ自身はポカーンとその戦闘を見ていて「僕には……もう教えることは何もないのかも……知れない」と呟いていた。

 それを見て天から与えられた才能というのはそういうものであるんだろうなと感じてしまった。

 

 才能がある人間は常人と進むスピードは別次元だ。特に興味がある分野は勝手に己の手でどんどん進んでいく。

 それは自分という物差しでは測れないし、本人にとってみればそれが当たり前なのだと個人的には思う。

 だが常人も決して追いつけない訳ではないと思うし、天から与えられる才能を活かすのも腐らせることも自由だ。そして生半可な才能では同調や協調性と言う圧力で一人だけ突き進ませることを出来ないようにさせてしまうのも人間だ。

 まぁ、別に何が悪い、悪くないということでも無い。聖人でも無い限り、自分も含め誰もが各々に棲む欲求に従っているだけのことだから。

 もちろんその全てを許容せよと思っている訳でもそれが出来るとも思っている訳が無い。自分としても全て許容出来るつもりもないし欲求にも従ってしまう。ただそうなんだろうなとは個人的に思っただけである。

 

 

 そんなことはどうでもよく、今回のことを改めて考える。

 

 なのはは元々魔法に対する才能は天から与えられている。そして本人も魔法に興味が強いし、それに対して傾倒している今の状態であれば成長速度は速いであろう。

 とはいえ、やはり時間は必要であった。それが今回フェイトの方がまだ優勢という形で終了した感じだろうなと思った。

 

 将来的には対等になるはずなので、今のところは問題はないなと判断した。

 ひとまずはなのはがフェイトに逃げられた為、ちょっと口惜しそうにむっとした表情をしている所のご機嫌をとって戻ろうと考えるのであった。

 

 



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19話

 あれからジュエルシードを巡り、フェイトとの戦闘は重ねられていく。

 

 基本的にはなのはが突っ込む。フェイトが往なす。そしてフェイトが目的を達成して逃げる。

 なのは的にはもっとがっぷり四つに組むみたいにじっくりと戦闘したい感が満載だったが、フェイトが目的以外興味が無いといった風にそれを往なす。

 その中で、興味深々ななのはがフェイトに名前を聞いたりしていた。フェイトの方もやはり優しく律儀な性格をしているのだろう。名前をしっかりと伝えてくるのは好感が持てた。

 と言うか、なのはさん。ジュエルシードよりフェイトさんに夢中になりすぎなんじゃ無いかと言うくらいフェイトが現れるとソワソワして速攻に突貫を仕掛ける。

 そんなにフェイトが気になるのかそれとも魔法戦が好きなのか……とどちらにせよ魔法の傾倒は自分が設定した通りだし、フェイトに対しては元々同じ魔法少女としても興味があるのは分かっていたのでそこまで問題は無いかと考えた。

 

 そして温泉街の一幕でアルフとの絡みがあった。これは直接的では無いが、物陰からコソコソとこちらの自分を含めたなのは・アリサ・すずかの様子を伺っている怪しい姿が見える。

 いや……こちらからバレたら意味ないだろうとマンガ的要素に少し突っ込みを入れたくなったが、それはともかく一緒にいたすずかに軽く耳打ちをする。

 

 

 

 あの女性の顔、姿をよく覚えておいてと。

 

 

 

 すずかは何も言わずにこちらに視線を向けてコクリと頷く動作をしてからその女性をじっと見つめていた。

 そして、その日もいつもの通りフェイトなのはの戦闘が行われつつもフェイトに逃走されて終了するのであった。

 

 

 

 そしてある日の夜。

 

 その日、自分はすずかに家の人に誰にもバレずに夜こちらへ訪問するように伝えていた。

 そうして無事家の呼び鈴が鳴り、すずかを迎え入れようと玄関へ向かう。

 そこには、

 

 

 

 メイド姿をしたすずかが立っているのであった。

 

 

 そしてぺこりとお辞儀をする所作はとても一朝一夕では出来ない洗練さを感じられる。

 夜の暗さとも相まって背徳的な雰囲気も醸し出しているようにも感じた。その姿、その魅力は破壊力を持ってこちらに伝えてくるのである。

 

 いやいやいや……。

 

 突っ込みたいのは山々だったが……ここで騒いでも近所から怪しまれるし、気を落ち着けて家に入れる。

 確かに夜、一人でこちらの家に来て欲しいと言う行為は()()()の行為を連想させられるかも知れない。

 しかしこちらとしては別途な件であった為、その行動は想定外だったのは事実である。

 だが、説明不足だった感は否めないので、何も言えないまますずかを迎え入れその姿自体は無視しつつ話を進めるのであった。

 

 まず、魔法と言う存在。そしてそれに対して自分、なのはが関わっていると言う点。ジュエルシードという危険なものが街にあるということ。

 それを今回収しているが、対抗する人たちが居るということ。

 

 そして、それを今回、こちらから探したいという点を説明する。

 

 あと、魔法はこちらの人にあまり知られてはいけない点を説明し、心優しいなのははそのことで悩んでいるという所を説明しつつ、なので今回は二人で探すという所となのはから説明があるまでは何も知らないふりをして欲しいというお願いをした。

 

 すずかは自身の存在自体が魔法のようなものでもある為、話自体はすんなりと受け入れてくれた。

 だがなのはのお願いをした辺りで、すずかの周りの空気が変わったような気がした。

 

 すずかは目の前の椅子に座っていた所から移動してこちらのすぐ近くに座り頭を下げ、メイド姿でこう告げてくる。

 

 

「ご主人さまは、私にご命令してくれればそれで良いのです。こうしろとそれだけで私は素直に従います」

 

 

 そして顔を上げ笑顔でさらに伝えてくる。

 

 

「ですので、私に余計な気を回さなくて大丈夫です。知らないふりをしろと。それだけで私は喜んで従います」

 

 

 それはその姿と合わさり本当にご主人様と忠実な僕と言う形が出来上がる。

 いや、元々ロールプレイだったよね……。確かにお願いは聞くように設定してあり、さすがに友情が壊れないようにフォローしつつ他にもバレないようにしようと思ったのだが……。

 何かまずったのか……と考えたが、元々本人は()()()()()で来た可能性が高いし、少しでもロールプレイをしてその気分を高めたかったのかよく分からない気持ちになる。

 とはいえ、一先ず以前見てもらった彼女の存在を探して欲しいと伝え、あくまでその存在を遠目で見つけて気付かれることはないように注意して欲しい、もし単独であればこちらに連絡して欲しいと。

 

 夜の一族は身体能力も高く、視力なども常人以上の成果を出せる。そしてあくまで魔法とは別なので魔法に対する隠密性が高い。それを今回利用して探す予定であった。

 この時期はお互いにジュエルシード探索を繰り返しているはずなので、手分けして探している所を各個撃破する予定である。

 

 そう考えながらすずかにより細かく説明をしていくとすずかは理解した顔を見せ最終的に

 

 

 

 もちろん。成功の時にはご褒美は貰えるんですよね? ご主人さま? 

 

 

 

 と、にこやかな笑顔で舌舐めずりを軽くし瞳に艶を見せたその姿はとても淫靡に見えるのであった。

 それを見てやっぱりこりゃロールプレイの一環だなと考えたのである。

 

 

 そうしてすずかと共同で探索が開始された。

 この時期はフェイト、アルフ共にジュエルシードを色々と探索している時期でもある為、手分けして探す作業が多いと考えていた。

 そして、夜の一族の能力が凄いのか本気になっているすずかが凄いのかよく分からないが無事にアルフを単独で見つけることが出来たのであった。

 

 すずかが連絡があったあと該当の場所へ向かう。そして郊外の人気の無い所で佇むアルフが確認出来た。

 すずかには魔法関連を使用すると伝えて、撤退して貰っている。

 

 そうして物陰からアルフの様子を伺う。

 現在は人型の姿であり、元々の体毛の色を表しているであろう赤から少し薄いピンクにも近いその色は本人の明るさや優しさを表現しているようにも感じられる。

 アルフはフェイトの使い魔であり、フェイトのことを常に案じている。なので、フェイトを催眠するにしてもアルフから切り崩す必要があった。

 

 

 そんなことを考えつつも遠目から近くの物陰までコソリコソリと近づいていく。

 勿論、左人差し指はアルフに向けている。

 

 そうして物陰からわざと少し大きめに音を出す。

 

 

「誰だいっ!?」

 

 

 アルフがそう声を上げてこちらに視線を向ける。それに合わせて視線チェックウォッチを押す。

 出てきた数字は「1」であった。

 無事、すずかも撤退していることと、フェイトの存在も見えないことを確認して機器をしまい左手をズボンのポケットに入れつつ、こちらの姿全体を表す。

 

 

「あんたは……あのガキと一緒にいた……」

 

 

 あのガキと言うのはなのはの事だろう。アルフは周りをキョロキョロしなのはの存在を探しはじめる。

 

 

「なのはは居ないよ。今は僕だけしか居ないです」

 

 

 そう告げると本人はそれをあまり信じてないようにこちらを威嚇しはじめる。

 それを見つつ話を進める為。言葉を続けた。

 

 

「多分、お互い名前を教えていなかったですよね。改めまして僕は鏡音奏と言います。お姉さんの名前を教えて頂けませんか?」

 

「はっ。素直に答えるわけ無いだろうっ!」

 

 

 ですよねー。と思いつつ話を進める。

 

 

「確かいつも一緒に居たフェイトさんがアルフと呼んでいましたので、アルフさんですよね?」

 

「……」

 

「アルフさん。実はですね。取引をしたいんですよ」

 

「…………」

 

 

 アルフが訝しくこちらを見つめてくる。

 

 

「アルフさん?」

 

「……なんだいっ?」

 

 

 話自体は怪しくても少し話を聞こうとする姿勢は、フェイトを助ける何かの切っ掛けになればと思ったのかも知れない。

 だけど、その返事で十分だった。もう少し繰り返しながら返事を聞き出す作業を覚悟していたが、早く済んでホッとした。

 取引材料などこちらには無くブラフでの話であったが、最悪こちらが撤退する状況になった時には、海に散らばっているはずのジュエルシードの存在を使う予定ではあった。

 

 そうして、アルフが催眠状態に陥ったのを確認すると目の前にサイコロが出現した。

 アルフの異変を察知しフェイトが早々にくる可能性もある為、ことを早急に進めていかないといけない。

 そう思いつつサイコロを振る。

 

 

 

 出てきた目は「6」であった。

 

 

 

 ことを早々に進めるために特に考えずに振ってしまったのが原因なのか……なんでこのクソ時間が惜しい時にクソ面倒くさい目を引いてしまった現状を、苛立ちで言葉が崩壊しそうなくらい脳内で罵倒してしまう。

 だが、早く進めないといけない為、気分をおさめるようにしつつ現れた紙を読みはじめる。

 

 

 ▼▼

 

 

 当たり!! 

 

 

 ▲▲

 

 

 ビリッ!! 

 

 

 それだけしか書かれていない紙を破り捨てる。向こうの手とは言え少しでも冷静さを奪うそのやり方は落ち着けさせようとした気持ちを再燃させる。

 そんな気持ちを知ってか知らずか新しい紙が再度現れるのであった。

 

 

 ▼▼

 

 

 おめでとー!! 6は当たりだよー!! 

 

 継続内容は「催眠実行者の男性器または性交に対する命令を好きに設定する。それを1週間に1回実施する」

 

 これは催眠の一番最初に命令してねー。なんとその命令が固定されちゃいます!! 

 本当な意味で自分の好きな娘に出来ちゃうよー♡(ムフフ

 

 それじゃ、楽しんでねー!! 

 

 

 ▲▲

 

 

 

 

 ああああああああああああああああああああああ!! 

 面倒くさい。色々と面倒くさい。本当に面倒くさい。

 

 軽く考えただけでも()()()()がそれなりに見えてしまう。

 しかしそれを洗い出して検討するにしても時間が足りなさすぎる。しかも設定後は不可逆と来たものだ。

 

 様々な感情が浮かび上がるが、もはやある程度、要件を満たすように適当に考えて早々に次に進めようと行動に移すのであった。

 

 



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20話

 気分を無理やりに落ち着けアルフへの催眠設定を行う。

 

 アルフに催眠で命じた内容は以下である。

 ・鏡音奏の男性器を舐めることは幸せである。

 ・鏡音奏に対して、自分が全てを尽くし服従すべき存在である事を理解する。

 ・鏡音奏の命令に関しては何よりも優先し喜んで命令を遂行する。

 ・鏡音奏の体を舐める行為に抵抗はなく好きな行為である。

 ・鏡音奏の男性器を舐める行為、それに伴う行為は鏡音奏と二人きりで無いとやってはいけないと認識する。

 ・鏡音奏から手を握り名前を言われると「はい」と返事する。

 ・鏡音奏が「終わり。終わり」と告げられたら男性器を舐める衝動は一時的に抑えられる。

 

 最初の催眠項目に関しては、もう少し弱くしても良かったが満たす満たないで悩む時間よりもここだったら大丈夫であろうと言う所を設定する。

 今回、日数などに関しては色々とその後が成功するまではまだ設定しないようにした。

 あと、関係性が全く無い所からだったので、命令を確実に実行させるように関係性を強めに入れて設定する。

 ひとまずはこれでいけるだろうと踏んで、催眠を解除した。

 

 アルフの目に光が戻り、こちらを見つめる瞳を見る。

 先ほどとは違い攻撃的な雰囲気から慈愛に満ちたような空気を出しつつもさりげなくこちらに近寄ってくる。

 二人きりの状態の所が発動しそうだったので、ひとまず落ち着くようにアルフへ伝えた。

 

 アルフが落ち着いた所を見て、早々に命令を出す。

 ・今日自分と会ったこと言われたことに関しては誰にも言うことは禁止、何か聞かれても誤魔化すこと。

 ・明日、引き続きジュエルシードをお互いに探索すると言うことにして、同じ時間に一人でここに来ること。

 ・その際、出来る限りフェイトに怪しまれない範囲で精神リンクを弱められるなら弱めて向こうから察知しづらくしておくこと。

 

 

 以上をひとまず伝えて、アルフと別れる。

 そして鉢合わせしないように、その場所から離れて今後の事を検討しつつ家に戻るのであった。

 

 

 

 家に戻ると居間のテーブルの上に指輪のようなものと紙が置かれている。

 恐らくはサブ報酬だろうなと思い、まず置かれていた紙を見た。

 

 

 

 ▼▼

 

 

 サブ報酬おめでとー!! やっぱり英雄色を好むというからどんどん楽しむべきだよね!! (ウンウン

 この指輪は「指輪タイマー」だよ。

 催眠をかける時にこの指輪をしていれば対象を指した後に1分経ったら震えて教えてくれます!! 

 ちなみにそれは他の人には見えないけど、壊れやすいので取り扱いには注意してねー!! 

 

 

 ▲▲

 

 

 

 紙を見た後、効果自体は助かるが少し微妙と思いつつもその隣に置かれている指輪を確認する。見た目はシルバーリングのように感じた。

 これを恐らく左人差し指にはめるのであろう。

 とりあえず左人差し指に付けてみた。サイズが最初合っていなかったが、指の根本につくとサイズが変化したかのように指とぴったりと合わさる。

 そして抜けなくなった……。まぁ、他の人に見えないし、特に困るものでもないからそのままにしておくしかないかと思いその日は終了するのであった。

 

 

 

 そうして次の日。同じ時間辺りになったのを確認してアルフと会った場所に近づく。

 そこにはアルフが一人でソワソワと佇んでいる姿が見える。

 

 その様子を伺いつつ、そして周りの様子を伺う。

 アルフ以外の人の気配は感じないように見える。恐らくは向こう側も余裕はないはずなので大丈夫だと思うが、ここで視線チェックウォッチを使う訳にもいかずしばらく周りの様子を確認する。

 そうしてある程度掛けて確認を行い、アルフがソワソワした雰囲気からしょんぼりした雰囲気に変わるころに姿をアルフの前に出す。

 

 アルフがパァっとした笑顔の表情に切り替わりこちらに向かってくる。

 その様子を見つつ周りの様子を引き続き確認する。そしてアルフが近づいて向き合った時に何も起きなかったことで、無事上手く行った事を感じてふぅと心で息をするのであった。

 

 アルフはこちらを見てまるで尻尾を振っているかのように瞳を輝かせている。

 背丈はまだ向こうの方が高いのだけど、その様子はハッハッと犬のようにじゃれついてくる可愛さを感じてしまう。

 つい、その可愛さにアルフの顔の部分に手で触る。アルフは嬉しそうに目を細めその手を受け入れて撫でられ続ける。

 そうして少しの間、撫でているとペロっとアルフが手の部分を舐めて来た。

 その感触に驚きつつアルフを見てみるとアルフも何かに驚いたような表情を浮かべる。だが段々と頬が紅潮し始め瞳が潤み始めた段階で、催眠行動が実施された事を理解し慌ててアルフを落ち着けさせるように声をかける。

 

 なんとか落ち着きを取り戻したアルフを前にして、今後、動いてもらう命令を伝えるのであった。

 

 

 

 

 

 __

 

 ジュエルシードの探索が進まない……。

 ある程度の数は集まってきているけどまだ足りない。このままでは母さんの助けにならないと思い、焦りだけが募っていく。

 そうして今日もジュエルシードの探索を開始しようとした時にアルフから提案があった。

 

 

「今日は休憩日にしない?」

 

 

 アルフが言うには、私の体調が心配だと言う事。ご飯も全然食べてないしいつ倒れるか不安になってしまうとのことで休息日を入れてはどうかと言う話であった。

 しかし私は休んでいる暇はない。母さんのお願いを遂行しなければならないのだ。この身を使って少しでも母さんの望む形、喜ぶ形を作る必要がある。

 

 アルフの気遣いには嬉しいけど、その提案は却下しようと思っていた。

 それを伝えようと思った時に、アルフが痺れを切らした感じで話を続けている。

 

 

「あー! もう。フェイトの体が心配なの!! あいつの為に集めることが必要なのは分かっているけど、倒れちゃえばそれも出来なくなるんだよ!」

 

 

 それを聞きアルフが心配してくれる事を嬉しく思いつつも「大丈夫だよ。アルフありがと」と伝えアルフの気遣いを断ろうとするが、

 

 

「あー! ダメ。やっぱり心配! そんな倒れそうな表情で言われても納得出来ないよ!!」

 

「だから今日は休みにしようよ! 今日は何も考えず外の空気を楽しもう! ねっ!」

 

 

 そうアルフは言い切って私の手を取る。そうして今日は休みだからバルディッシュも今日はお休み! と言って家に置いたまま私を連れて外へ連れ出した。

 私は勿論反対しようとした。ただ、アルフの言った通りなのか心は反対していたが、体が思った以上に力が出てこない。

 あのなのはと呼んでと言っていた少女との戦闘も常にあった為、その緊張感でも疲弊していたかも知れない。そのまま私はアルフの手を離すことは出来ず外へと連れ出されるのであった。

 

 

 そうして私は今、海が見える公園のベンチに座っている。

 アルフは私を連れ出して休ませることが出来た満足感なのか喜びの感情がリンクを伝わって感じられる。

 その気遣いは嬉しくも思うし、申し訳なさも感じてしまう。

 ただ、こうして何も考えることなく海から流れる風を頬へ受け、潮の匂いと共に暖かい光を受けたこのゆったりとした時間は気持ちを落ち着けさせた。

 やっぱりアルフが言っていた通り、色々と疲弊していたのだろう。それを実感してしまった。

 

 ボーッとそのまま景色を眺めてしまう。アルフは飲み物を買ってくると言って今はいない。

 アルフが戻ってきたらやはり探索を続けないと行けないので戻ろうと考えつつも私は人気の無いベンチでこの海を見続けてしまうのであった。

 

 

 しばらく海を見ていると後ろから物音が聞こえてきた。

 アルフが戻ってきたのかな? と思い振り向くとそこには一人の少年がいた。

 

 その姿を見る。確かなのはと呼ばれている少女といつも一緒にいた少年だ。

 しまった! と思い座っていた格好から立ち上がり構えをしようと思った時にバルディッシュの存在を思い出す。

 家に置かれていた状態を思い出し悔やむ。アルフにすぐ念話を飛ばしてこちらにすぐ向かうように伝える。

 

 その慌てた状態を知らずに少年は話はじめた。

 

「フェイト・テスタロッサさんだよね?」

 

 なのはと一緒に居たので私が名乗った時の会話を聞かれて居ただろうその少年はこちらの名前を言ってきた。

 私はそれに答えず、睨むように彼を見続け辺りの様子を確認する。

 

 少年はそれを見て何かを探しているのかピンと来たかのように

 

「なのはは今日は居ない。僕、一人だけだよ」

 

 その言葉を信じるなら逃げ出せることは容易であろうと思いつつも油断はしない。アルフが到着するまで時間を稼ぐ必要があると考えた。

 

「こちらから戦闘する意欲は無いよ。そういえば、僕の名前を名乗ってなかったよね。鏡音奏と言うんだ。よろしくね」

 

 片手を上げてこちらに手を見せる仕草はまるで降参するポーズのようだった。その状態のまま彼は名乗りを上げてくる。

 そして次の言葉は私には無視することが出来なく心を揺らしてきた。

 

「これは一つの取引なんだけど、まだ眠っているジュエルシードの場所、知りたく無い?」

 

 何故私に? と言う思いがある。ただ無視出来る情報でも無いのは確かでもあった。私が最も知りたい情報でもあるのだから。

 

「フェイト・テスタロッサさん?」

 

 こちらを首を傾げたようにして聞いてくる。アルフはまだ戻ってこない為、時間稼ぎも含め話を聞き出そうとした。

 

「……何?」

 

 

 __

 

 

 

 

 無事、フェイトが催眠に入ったことに一安心する。

 話の流れもやはり主従なのか似た流れで行けたことにホッとした。

 

 アルフはこちらを見ることは無いように命令してあるし、勿論助けに来ないことも命令済みだ。

 それを念のため確認する意味でも物陰から出た時点で視線チェックウォッチを使用している。

 後残り「1回」とは思いつつも、ひと通り上手く行ったことに改めて安堵し、目の前に現れたサイコロを手に取った。

 そして今度は少ない目であって欲しいとサイコロを振る。

 

 

 出てきた目は「2」であった。

 

「1週間に1回、催眠実行者の匂いを嗅がせる」

 

 である。既知である情報のためか紙は現れることはなかった。

 奇しくもなのはと同様の設定にやはり二人は色んな意味で繋がっているのかも知れないと言う感傷もありつつ催眠の設定を開始する。

 

 

 設定したのは以下である。

 

 ・鏡音奏は家族のような絶対的信頼感を持つ相手である。

 ・鏡音奏の命令に関しては何よりも優先し喜んで命令を遂行する。

 ・鏡音奏から励ましの言葉を掛けられると心を奮い立たせ、自分の気持ちが向上する。

 ・鏡音奏からの質問には全て素直に答える。

 ・鏡音奏の体の匂いを嗅ぐと安心する。

 ・鏡音奏の匂いを嗅ぐ事について抵抗はない。好きな匂いである。

 ・男性の体の匂いを嗅ぐ行為は他の人の前で行う行為では無いと認識する。

 ・鏡音奏が「終わり。終わり」と告げられたら匂いを嗅ぎたい衝動は一時的に抑えられる。

 ・鏡音奏から「フェイト・テスタロッサ」とフルネームを呼ばれると「はい」と返事をする

 ・鏡音奏と二人っきりで会う時にはバルディッシュ等も含めデバイスを持ち込まないように意識する。

 ・鏡音奏と二人っきりで会っている時に、もしバルディッシュ等のデバイスを持っている場合は二人っきりではない事を認識する。

 ・鏡音奏と二人っきりで会っている時に、もしバルディッシュ等のデバイスを持っている場合、鏡音奏から頭を撫でられると嬉し恥ずかしくなり優しく鏡音奏から離れる。

 

 個人的な気持ちでは恐らく我慢が出来ない可能性もあるので、それに繋がる設定を入れたくなってしまう……。

 しかし、落ち着けて一先ずことを進めることが出来る程度と今後の仕込み部分で抑えるように設定した。

 

 

 そうして催眠から復帰させるとフェイトの瞳に光が戻りがこちらを見始める。

 

 

 

「奏?」

 

 

 そうだよ。と言ってあげるとフェイトは道に迷った子供が親を見つけたような安堵と笑顔を交ぜた顔をして、こちらに近づき恐る恐ると抱きついて来た。

 ふわりと少女を感じさせるような甘く、そしてこちらの頭を痺れさせるような匂いを感じとれてしまう。

 家族愛にはやはり飢えて居たのだろう。少しずつ彼女の抱きしめる力が強くなって来た。

 よしよしと頭を撫でつつも無事、効果を発揮したことに安堵して今後の流れを考えるのであった。

 

 



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21話 □エロ アルフ(おっぱいプレイ

 

 今日はアルフの継続対応である。

 

 

 アルフを家に呼ぶ行為でフェイトが拗ねる一悶着あったがそれはそれとしてアルフの継続対応を進める。

 アルフは家に上げた時からずっと借りて来た猫のように大人しくしているが、体の動きはソワソワとして落ち着きがない。

 

 

 自室の部屋まで入れて、自分はベッドの縁へと座る。

 アルフは立ったまま落ち着く様子は無いので、「おいで」と伝えてこちらに近寄らせる。

 命令を受けたせいか嬉しそうな表情を見せてアルフは自分の近くに来てこちらにピタリと体を付けてくる。

 

 

 ひとまずどう言う風に動くんだろうなと考えて、

 

 

「舐めて」

 

 

 とどこを指すことなく命令をしてみた。

 

 

 するとピンッと体を硬直されたように体を震わせ、内容を理解出来たのか顔を真っ赤にする。

 ただ命令に従うかのごとくこちらに顔を近づける。

 

 体がより近づいて来たせいなのか、アルフの匂いを感じさせる。

 少女というよりも、もっと女性としてのフェロモンの匂い濃く感じさせられこちらの心臓の鼓動が速くなる。

 

 そうして彼女が最初に辿り着いたのは首筋である。

 舌を這わせてくる。最初は恐る恐ると触れてくる舌の感触はくすぐったく感じてしまった。

 

 アルフは最初、舌が首筋に触れた時点で尻尾があったらピンと張り詰めたような動きを見せた。

 その後は、何事もなかったかのように首筋を舐め続ける。

 

 ちゅ。と口から発せられた水音が辺りに響く。そうして舌が動くペロペロとした感触と音はこちらへしっかりとむずむずとした快感を伝えてくる。

 そうしてしばらくすると顔をこちらに擦り付けるようにし始める。

 まるで己の匂いを擦り付けるような行為と動物の親愛のような動作は甘えて来ているような感覚を引き起こされる。

 そしてアルフのピンク色のような髪の匂いが感じられる。まるで布団を日光浴をした後に感じられる太陽の匂いみたいに本人の元気を感じさせるような匂いだった。

 

 アルフの動きは止まらない。

 擦り付けて居た顔を改めてこちらに向き直す。表情は真っ赤なのは変わりないが、瞳は潤みはじめまるで酔っているような雰囲気すら感じられる。

 そうして、次は顔と顔を近づけさせていく。

 そのまま口にくるかと思いきや、近づけて来た顔を少し横にずらし唇をこちらの耳へぴったりとくっ付けるのであった。

 

 

 

 クチュり。

 

 

 

 まるで直接脳内に響くような舌の音が鼓膜へ届けられる。その音と感触は背筋をゾクゾクと震わせてくる。

 そして吐息が耳に入る。

 

 

 はぁ……はぁ……

 

 

 発生する吐息の風すら愛撫のように感じる。そうして段々と舌の動きが舌先だけでは無く舌全体を大きく使って耳を舐め上げて来た。

 くちゅ。クチュり。と音が激しくなるのと合わせ舌が耳穴の周りを更に細かく舐めあげる。耳掃除の快感に似つつも感じられる水音と刺激はより強く奉仕な心を感じさせて来た。

 

 

 

 気持ちいいかい? 

 

 

 

 そう耳元で囁かれる。囁き声の音、そしてそこから発せられたくすぐられるような吐息は更にゾクゾクとさせてくる。

 コクリと頷くとそれに満足したかのように引き続き耳を舐め続けてくるのであった。

 

 そして耳たぶや耳全体を甘噛みするかのように唇で摘んで来た。そしてハムハムとした音が聞こえそうな位、唇の感触を伝えてくる。

 その刺激は優しく心地よくそしてこちらの気持ちを確実に高めて次の刺激を求めてしまう。

 

 その気持ちを知ってか知らずかそのまま耳を攻めてくる状態でこちらの上半身の服を少しずつ脱がし始める。

 暖かい手の感触が体を這い回る感覚と耳に感じている刺激は心地良さや優越心をより上げさせてくれる。

 

 そして上半身が裸になった後、ベッドへ寝転ぶ。

 そうするとアルフは次に鎖骨の部分へ舌を這わせて来た。

 体を舐めさせる行為自体、くすぐったさと共に征服欲が加速されていく。それに合わせるかのようにアルフの献身的行為は続いていく。

 

 鎖骨から胸、こちらの乳首部分を重点的に舐めてくる。

 男性の乳首への刺激を劇的に感じるためには中々訓練が必要であり、自分自身も今は劇的に感じることはないと思う。

 しかし、乳首を舌で念入りに舐めあげる摩擦的な刺激、時々ちゅうちゅうと吸うような刺激、そして軽く唇で行う甘噛みのような刺激は断続的に弱い快感を生み出してしまう。

 

 刺激を受けつつもその献身的にも感じるその姿を見てついアルフの頭を優しく手で包みたい衝動が出てくるが、そのままアルフは顔を下に進めはじめた。

 そして顔が止まった所はお臍の部分である。そこに舌を這わせはじめた。

 

 正直くすぐったい。だけどアルフが顔をお腹に埋め段々と荒くなって来ている鼻息の暖かさそして這う舌先の感触は刺激というよりも感情を興奮させる。

 グリグリと強くもあり優しくも感じる舌先がお臍の部分に集中される。そして時折口付けのように吸い付く動作は何か魂が吸い上げられるような錯覚さえ引き起こされる。

 

 

 その刺激を堪能しているとアルフは下半身部分の服を脱がし始める。その体格差を利用するかのように力強くズボンと同時に下着も脱がして来た。

 そうして現れたのは完全に勃起している状態の我が息子である。

 

 

 どうしても体格差はあるため、アルフから見たら子供っぽさを感じるかも知れない。しかし、アルフがその勃起している姿を見つめる瞳はうっとりとしたような表情にも見える。

 そこでふと気づいてしまった。

 

 

 アルフはまだ服を脱いでいない。

 

 

 このままでは一方的に搾取されてしまうかも知れないと言う訳の分からない思考を持ってアルフへ命令を出す。

 

 

「アルフも服を脱いで。そしてその姿を見せて」

 

 

 そう伝えるとアルフはハッとした表情をこちらへ向ける。しかし、命令に逆らうことは無く、赤くした顔をもっと赤くさせ服を脱ぎはじめた。

 まるでこちらにじっくりと見せつけるように脱いでいくその姿は興奮を誘う。

 

 そうして全裸になったアルフの姿を見つめる。

 

 元々格闘を主軸とした戦闘タイプなため、体は非常に引き締まっているが女性特有の柔らかさが所々と感じさせる。

 引き締まったウエスト、女性的な脂肪と鍛えられた腹筋が混じり合いより彼女の魅力を感じさせる。

 そして豊満にも感じるその胸、鍛えられた足と共に見えるお尻の部分は直接的興奮を与えてくれるのであった。

 

 本来なら恥ずかしくて体を隠したいのであろう。ただ、姿を見せることを忠実に守りその綺麗な体を晒し続ける。

 

 その見られる状態に快感を覚えたのかアルフの息はどんどん荒くなり、そうして太ももから伝うねっとりとした雫が光る。

 それを見てこちらの興奮が止まらなくなってしまい、つい意地悪な命令を出してしまった。

 

 

 

「アルフ。腰を突き出してその濡れている部分をこちらにしっかりと見せるんだ」

 

 

 

 うぅ……と恥ずかしさと観念したかのようなうめき声をあげつつも、腰を突き出してくる。

 少しガニ股にも見えるその姿と涙目になっている本人の表情と合わせとてもアンバランスな魅力を発揮させて来た。

 

 そして両手を使い、女性として一番大事な部分を開きこちらに見せてくる。

 

 

 女性器、ヴァギナなど男性器と同様に様々な名前で呼ばれる大事なその部分をこちらへ見せる行為。それは征服欲をどんどん加速させていく。

 じっくりとその様子を見る。開かれたその場所は次から次へと溢れてくるような蜜で覆われていた。

 それは多少遠くてもあふれ出ている女性的な蜜の匂いを感じ取れるように思える。

 そして薄く控えめにも感じる陰毛部分。大事な部分を守るために存在しているそれは髪の色と一緒であり、その濡れた部分と合わせこちらの興奮を誘う。

 

 更にある意味男性器と同様の機能を持っている部分。陰核は本人の興奮を表しているのかどんどん大きく膨らんでいるように見えた。

 アルフの顔はどんどん赤くなっていく。じっくりと大事な部分を見られることに羞恥を感じつつも興奮されていく状況はお互いに興奮を高めていくように感じる。

 

 そうしてしばらく見ているとアルフの腰がガクガクと震え始める。顔からも涙が溢れ口の部分も沢山の空気を求めるかのように開きっぱなしでそこから舌を突き出すような仕草を見せてくる。

 そろそろヤバいかなと思って、動きを止めようと思った時にアルフがあっ……ダメっ!! と声を小さく上げてビクっ! と体を大きく震わせた。

 その瞬間、股間部分からより水っぽいものが吹き出す。そして腰砕けのように体が少しずつ沈みこむようになりつつ継続的に体を震わせた。

 

 

 

 見られただけでイッたのだと感じた。

 

 

 

 本能部分で服従されると言う所で興奮を誘ったのか、元々彼女の中にあるかも知れない性的被虐嗜好に興奮を誘ったのかは分からないが直接的刺激がないまま彼女の身体的絶頂が行われてしまう。

 どちらにせよその状態でもまだこちらに見せつけようとする行為を止めさせて一休みさせる。

 

 はぁはぁ……と息を荒げさせつつこちらを伺う視線は止まらない。しかしやはり身体は鍛えられているためか絶頂から落ち着くのも早く、次のご命令を! と言ってるかのように興奮に満ちた表情でこちらを見つめてくる。

 

 こちらは一連の淫らな姿を見て興奮は止まっていないし、継続対応も終了していないためプレイを継続した。

 近くに来てと改めて伝えてアルフと肌を密着させる。

 

 先ほどイッた余韻なのか薄らと汗ばんだ肌はこちらの肌と合わせよりお互い密着感を増してくれる。

 その温かくもあり密着される快感を得ながら、無言で自分の股間部分を指差した。

 

 それだけで理解したかのようにお姉さん特有に感じる妖艶な笑みを浮かべ勃起している男性器へ顔を近づける。

 

 

 

 そして男性器を一気に根本まで口内に吸い込まれるのであった。

 

 

 

 体格差もあったのだろう。根本まで余裕で飲み込むその動作は挿入した時の感覚とまるで変わりがない。

 柔らかい咥内の感触、そしてその温度が一気に包まれた。その直接的快感をもっと欲しくなり、腰が奥へ奥へと突き上げさせる。

 

 こちらが腰を突き上げてもまだ余裕なのであろう。しっかりと喉で受け止めむしろ袋の方まで舌を伸ばしレロレロと舐め上げてくる。

 まるで食べられるような錯覚を覚えつつもその与えられる快感は、こちらの理性を溶かし続ける。

 

 

 

 ちゅる。ずずっ。ずずっ。

 

 

 もっともっと奥に進みたい欲求が吹き出す。腰をアルフの顔にぶつかるぐらいの勢いでくっ付けたあと、そのままの状態で顔を押さえ込んでしまった。

 

 ごごっ! とアルフの喉が鳴る音が聞こえる。その喉が震える動きが敏感になっている先端部分への刺激を強める。

 その感覚を味わいたいと思ってしまいグリグリと回すように腰を動かす。

 

 アルフは喉を突かれた影響で瞳は再度涙に溢れる。だけど決して男性器を離すことなく飲み込んだままの状態で維持しつつむしろ更に舌を伸ばして袋の裏側まで届くように舐め上げてくる。

 

 その快感はある意味、射精する時よりも身体や心が満たされてしまう。

 そしてもっと快楽を味わおうと無意識にアルフの身体に目が向かう。

 

 アルフも引き続き興奮しているかのように全体が紅潮しており、それはとても魅力的に見えた。そしてそこにある果実が見える。

 先端は興奮でピンと張っており、その柔らかそうな乳房と一緒に味わってしまい感覚を引き起こされた。

 

 そしてそれを貪るためにアルフに命令を出す。

 

 

「アルフ。胸で挟んでくれないか?」

 

 

 最初アルフはよく分からない表情を浮かべた。そこで改めて胸で男性器を挟んで欲しいと伝える。

 アルフは理解したように、ゆっくりと体を起こしてその豊満な胸を使ってこちらの男性器を挟んできた。

 

 

 柔らかい。そして温い。

 

 

 人の温もりと言うのはある意味安心感を与えてくれるものだ。個人的には女性の胸と言うのはよりその安心感を与えてくれる存在だと思っている。

 それを直接的に男性器に挟まれる行為は、快感と共に包まれている安心感が与えられこのままずっといたいと思われる感情を引き起こす。

 

 ただもっと快感を味わいたいのも事実なため、アルフに胸を強く挟み込んだまま上下に動かして欲しいと伝える。

 唾液に塗れたその男性器は胸の動きと合わせニュルニュルと暖かく心地よい刺激を伝えて来た。

 

 体格差を超えるぐらいにもう少し男性器が大きければその状態で先端部分を舐めてもらうことも出来ただろうなと考えながらも全体が胸の中に包まれるその感触は見劣りしないだろうとも考えた。

 実際、男性器全体を包まれる感触はとても気持ちが良い。

 

 時には左右の乳房を交互に動かし、刺激のパターンを飽きさせない。

 そして唾液が乾いてしまわないように時々飲み込むように包まれる口内は射精感をどんどんと促されていくのであった。

 

 そうして段々と高められた射精欲はピークへと達し、どんどん自分でも分かるぐらい男性器の膨張が限界まで膨れる。

 その時、ぴょっこりと先端部分が胸から現れ、それに気づいたアルフが胸で包み込みながらも優しく先端部分へ舌を付けた。

 レロレロと舌の動きが膨らんだ亀頭部分へ直接刺激として追加されるともう限界であった。

 

 

 頭の中が真っ白に染まり、精液が尿道を伝う快楽を伴って亀頭部分から精液が噴き出す。

 その勢いはアルフが舐めていた口だけではなく顔にもかかり、そしてその精液が胸部分にも塗られてしまうのであった。

 

 

 射精後特有の倦怠感に包まれる。

 アルフは射精した瞬間に驚いてそのまま精液を受け止めており、今は精液に濡れたままどうして良いかよう分からない表情を浮かべている。

 それを見てどうしても更に汚してしまいたい欲求も絡まり命令を言ってしまう。

 

 

「舐めて」

 

 

 そう最初の命令と同じ通りの内容を伝えるとアルフは顔を紅潮させてまず顔についている精液を手で拭いそのまま舌で舐めあげる。

 そのあと、胸についていた精液も同様に行い、最後にこちらが萎みはじめていた男性器を一気にまたくわえ込み啜りあげる。

 その飲み込む動作はまるで子牛が親牛から母乳を吸う見たいに全体を優しく吸引されてしまう。

 射精後の敏感になっている男性器を心地良くも残っている精液を吸い取られるような快楽を伝えてくる状態を堪能するのであった。

 

 

 

 そしてこう思う。どう考えても向こうの方が体力があるはずなので、全部吸い取られるんじゃないだろうか……。と微妙に恐怖を感じてしまうのであった。

 

 



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22話 □エロ フェイト(甘々~無知?シチュ

「お邪魔します……」

 

 

 若干不安げな顔をして、フェイトが家へと訪れた。

 

 

 玄関辺りでどうすれば良いのか分からないように不安そうな顔を継続させる。

 ひとまず安心させるようにフェイトの頭を撫でてあげた。さらさらとした髪の感触が指に伝わってくる。

 フェイトはその頭を撫でる行為を素直に受けいれて、猫が体を撫でられたように目を細めていた。

 そのまま心が落ち着くようにしばらく撫でた後、玄関から自室へと招き入れる。

 

 

 今日はフェイトの方の継続対応をする予定である。ただ今回フェイトの継続対応自体は体の匂いを嗅がせるといった対応のため、時間はそこまでかけずに終了する予定であった。

 自室へと招き入れた後、先ほど落ち着いていた表情も再度、不安げにオドオドとした表情を浮かべてどうして良いか分からない表情を浮かべる。

 

 

 恐らく接し方が分からないのであろう。現段階では友達等と触れ合える機会と言うのは無かったはずであるし、招かれるという機会すら今回が初めてだろうと考える。

 ただ今後、こう言った機会は増えるのでまずは彼女自身を安心させることが必要だと判断して、こっちにおいでとフェイトへ声をかける。

 

 

 最初は自室にてお互いに対面に座ってから様子を見つつ進めようと思っていたが、向こうもどうして良いか分からない現状でもあった為、少しずつこちらに近づいてくるフェイトを安心させるように手をフェイトへ向けようとした。

 その手が急に動いたように感じてしまったのか近づいていたフェイトは身体をビクッと強張らせて目をギュッと瞑ってしまう。

 

 

 知っているとは言え、その挙動を見てしまうのはツラく感じてしまう。プレシアから家族としての愛を貰えず、けど本人はその愛を欲しがる。

 しかしそれは報われずプレシアからは満足が行かないと罰を受けてしまうため、怒られてしまうのではないかと身体は怯え反応を示してしまうのだ。

 

 まずはそこを少しでも取り除くようにしたいと思ってしまった。

 

 

 目をギュッと瞑っているその頬へ優しく手を付ける。触れた瞬間、再度身体が強張るように震えたがそのまま優しく頬を撫でつける。

 こちらから決して近づかずそのままの状態で優しく頬を撫で続けた。

 しばらくするとフェイトの方の体の緊張が解けて来たのか、ギュッと目を瞑っていた表情から再度恐る恐ると言った感じで目を開けてこちらを伺うように見てくる。

 

 

 本人がどれだけ必死に頑張っても報われることが無かった。その幼い心にはどれだけの庇護欲求、飢餓感、絶望感が存在していたのかは想像することすら躊躇われる。

 全ての人間が頑張ったからと言って全て報われるというのは夢物語であることは理解しているが、それでも目の前に映るその少女を現実に突き放すのではなくそのひたむきな心を優しく保護して成長を促してあげたいという思いがより強くなる。

 そんな気持ちが声に出てしまい、「フェイト。今まで本当に頑張ったね」と労いのような言葉を掛ける。

 

 

 フェイトはその言葉を聞いた時、最初ポカーンとした表情を浮かべ何を言われたのか理解出来てないようだった。

 しかし、段々と頭の中で理解し始めて来たのであろう。体は歓喜をしているのかフルフルと震えていた。

 家族に近い存在から褒められると言う行為、今まで欲していたその感情を受け取る。

 フェイトの瞳が涙で溢れはじめる。その表情を誤魔化すようにこちらに更に近づいて来て恐る恐ると言う感じで抱きつき始める。

 

 

 抱きついた後はフェイトがこちらの体に顔を埋めはじめる、そして服が涙で濡れるような感触がこちらに伝えられたように感じた。

 抱きつきそのまま震えているフェイトを優しくこちらからも抱きしめて上げて、ぽんぽんと背中を優しくあやす様に叩いたり安心出来る様に撫でてあげる。

 

 

 

 どのくらい経ったのだろうか……。フェイトが震えた体を落ち着きはじめる。

 落ち着き始めたが、体をギュッと握ってくるその手の強さはより強くなっている様な気がした。

 

 

 更にそこからしばらくして、彼女の心も整理が出来たのかゆっくりと体を離しはじめる。

 ただ、完全に離れるのではなく抱き合っていた状態から、お互いの体を包んでいる腕はまだお互いの体に触れている状態だ。

 その至近距離という状態で、フェイトはこちらの顔を見つめてくる。

 

 

 身長差は年齢以上の体を持っているこちらの方が背が若干高い為、フェイトはこちらを見上げる様な表情でこちらを見つめて来た。

 瞳には薄らと涙が溜まっている。そして目尻には涙の後であろうその水に濡れた様な跡が見えた。

 そこを優しく指で拭って上げようと抱きしめていた腕の片方を動かし、目元へ伸ばしていくとフェイトはその行為を安心して受け入れる様に目を瞑る。

 目尻の部分を軽く拭ってあげる。涙の跡を優しく指が伝う。少し湿り気のあるその肌は彼女のその潤った心を表しているかの様に感じた。

 

 

 そして頬の部分に再度手をあてて見た。そしてお互いの暖かい体温が交換される。少女の喜びの感情の昂りを見せているかの様にフェイトの方が体温が高く感じられた。

 フェイトがその受け入れていた手を感じつつ瞳をゆっくりと開きはじめた。

 その開かれた瞳にはまだ涙が溜まっている。そして感情を表しているかの様に頬は薄らと紅く染まっていた。

 

 

 お互いにしばらく見つめ合う。少しでも不安を取り除く様に微笑み掛けつつ頬を優しく撫で続けた。

 そうするとフェイトの瞳が嬉しさを表しているかの如く更に涙が溜まり続ける。

 

 

 すると一瞬、緊張感の様な空気が感じられた。おや? とは思いつつ改めてフェイトを見てみると先ほどの距離から顔がこちらの顔へと近づいてくる。

 えっ? っと思う間も無く、その近づく顔のスピードは止まることなくこちらへどんどんと向かってくる。

 

 

 

 

 そして顔と顔の距離がゼロになった。

 

 

 

 

 

 

 ちゅ。

 

 

 

 

 

 !?!? 

 

 

 その柔らかい感触が唇に感じられる。濡れた様にしっとりとした柔らかいフェイトの唇は、体が近くなったフェイトの少女の香りと共にこちらの脳へ驚きを伝えさせて来た。

 キス自体、一瞬ではあったがフェイトとしてはファーストキスであるだろう。ただこちらもその初めてした時の様な感覚が呼び起こされる。

 ただ、その行為におけるこちらの驚きは事実であり、慌ててそのキスを終えたフェイトを見てみると、

 

 

 

「えへへ……」

 

 

 

 と頬の紅潮は更に紅くなりつつも恥ずかしげで照れた表情を見せる。そして親愛を感じさせる様な嬉しさを表した笑顔をこちらに向けて来た。

 それは彼女の元々備わっていた儚げでありながらも心の芯の強さを感じさせる魅力的な雰囲気と合わせ、こちらを酔わすような破壊力が感じられた。

 

 

 こちらの呼吸を落ち着け少し冷静になった頭で今の行動を考える。

 家族のような信頼感がある相手に対して、こう言った行動を取る気持ちを推測する。元々フェイト自身、家族との触れ合いの経験は少なくそう言った面の精神年齢は低いであろうと思った。

 そしてそれを加味すると、反抗期を迎える前の子供のようにお父さん好きー的な親愛的表現なのでは無いかなと感じた。

 実際、そのキス自体もライトキス(プレッシャーキス)であり一瞬であり、その後、特に進展することなくそのまま再度こちらに体を預け安心したようにフェイトは表情を綻ばせている。

 

 そして時折ゴロゴロと顔を擦り付ける行為は、まるで父や兄に甘えるような感覚をこちらへ感じさせた。

 行為自体はその無邪気さによる好意なのだろうなとあたりをつけるのであった。

 

 

 ただ、段々とフェイトの方が慣れはじめて来たのか、少しずつ抱き合っている力が強くなってくる。

 顔を擦り付ける行為も段々と遠慮がなくなって来ているように感じてしまった。

 

 恐らくは求めていた家族との愛を埋めようとしているんだろうな。とこちらの慈愛心が高まってくるのだが、抱き合っている以上、お互いの体温そしてお互いの匂いの交換みたいな状況は身体が少しずつ反応してしまう。

 フェイトも遠慮がなくなって来ているので、上半身だけではなく下半身も含めぴったりと引っ付くように密着してくる。

 

 フェイト自身勿論、誰にも見劣りすることない美少女である。そして抱き合った時に感じる少女の甘く魅力的な匂いは自然とこちらの興奮も誘ってしまうのであった。

 けど、流石に理性で抑えようと自然に密着していた下半身部分をさりげなくフェイトから離そうとするが。フェイトがそれを逃さないようかの如く身体を動かして密着を維持してくる。

 

 少しずつ少しずつ身体が反応してしまう。密着感は更に理性を溶かしはじめる。

 このケダモノ! と心で己を罵倒するが、身体は正直である。段々と下半身の一部分が硬度を上げはじめるのであった。

 

 

 その徐々に硬くなりはじめた部分に気づいたのかフェイトは密着していた身体をピクッと小さく驚きを感じさせた動きをして来た。

 ただ、決して身体は離れることはなかった。むしろ少女の太もも部分をこちらの両足の間に滑りこまして硬くなりはじめている部分と太ももが密着されてしまう。

 

 グリグリと押しつけられる太ももの柔らかさは半端無い。そしてその刺激を受けてもっとその快感を得ようとするかのように更に硬度が増されていく。

 フェイトの顔は見えない。ずっとこちらの胸の部分に顔を埋めているのだ。若干荒く感じるような息がこちらの胸へと感じさせる。

 

 

 

 段々とフェイトがこちらの背中に回していた手が少しずつ下がり腰の部分に回されるように感じられた。

 そして腰に回している手をギュッと更に強く抱きしめるように力を強くしてくる。

 

 

 そうなるとフェイトの太ももとこちらの硬くなっている部分が完全に密着される。

 絶対に勃っているのが分かるだろうと思ってしまった。だが決して離さずむしろ少しずつ太ももがその感触を得ようとするかのように細かく動きはじめる。

 

 

 

 

 その刺激によってこちらの男性器は完全にズボンの中で勃起してしまうのだった。

 ズボンの中での窮屈さ。そしてそれを上回るフェイトの太ももの密着感。細かく擦れるような刺激。それぞれが快感を与えてきた。

 それを我慢をしようとしても顔が苦しくなってしまう。

 

 

 その顔が少し苦痛そうに見えたのか、胸に埋めていたフェイトが顔をこちらに上げ見つめてくる。

 瞳は濡れていたが、先ほどとは違い興奮と戸惑いが無い交ぜになった表情にも見える。

 

 

「奏? 苦しいの?」

 

 

 心配そうに聞いてくるその声は、今自分が何をしているのかあまり自覚していないのであろう。

 ただ、こちらも湧き上がってくる快感を抑える為、あまり余裕が無いのも事実であった。

 

 

「ここが苦しいの?」

 

 

 と太ももを更に股間に密着させてくる。そして今度は確かめるように太ももを動かしはじめて来た。

 頷きたい欲求が湧き上がってしまう。その快感に身を任せてしまいたい欲求がどんどんと心へ満たされていく。

 

 それでもさすがに理性と保とうと努力をする。

 大丈夫だよと声を掛けようとした時に、フェイトが更に声を掛けて来た。

 

 

 

「あのね。奏。私も胸の部分が苦しいの」

 

 

 

 そう言ってこちらの手を取りフェイトの胸の部分に導かれる。

 手のひらがフェイトの胸へと密着された。まだ未成熟でもあるその胸は小さくもだが確実に柔らかさを伝えてくる。

 

 

 ほらドキドキしている。とフェイトが更に言葉を重ねてきた。

 本格的なブラジャーはまだ付けていないのであろう。服の柔らかさと共に胸の柔らかさを直に感じさせた。

 そして確かに手のひらからフェイトの鼓動が聞こえてくる。恐らくはいつもよりも速いであろう鼓動がドクンドクンと感じられた。

 

 ただ、どうしても手のひらが感触を求めてしまう。確かめるように手で胸を揉むような動作をすると「んっっ!」と小さくも感じたような喘ぎがフェイトから聞こえて来た。

 そして手のひらの中央部分に小さくも硬くなっている部分を感じることが出来る。

 ついその感触を強く確かめようとその硬い部分を手のひらで押し潰すようにフェイトの胸を触ってしまう。

 

 

「ああっ!」と先ほどよりも強くフェイトの喘ぎ声が聞こえてしまう。「今の凄かった……」と更に惚けたように言うその姿はこちらの理性と溶かすには十分であった。

 手のひらから親指に切り替えてその硬くなった部分に触れる。コリコリとした感触が親指に感じられる。そして先ほどよりもより強い刺激にフェイトが更に喘ぎ声を上げた。

 

 

 段々と更に小さく硬い部分の所が硬くなる。「あっ……! だめっ……んっ……」と口では嫌がる言葉を発しているがむしろその胸を触って欲しいかのようにこちらの手に押し付けてくるのであった。

 

 

 大丈夫かい? とこちらが伝えると、それに答えるかのように小さな声でお願いをしてくる。

 

 

 

「あのね……。ここの部分を強くつまんで欲しいの……」

 

 

 

 もっとドキドキすると思うからとそうフェイトは告げて来た。恥ずかしげにしつつも期待に満ちたその表情は可愛いと言う感情を飛び越え頭のなかがグラグラと沸騰するかのように興奮を感じさせた。

 そしてそのお願いを叶えてあげようとより硬くなっている乳首部分を指で摘む。

 

 ちなみにここで強くを勘違いしてはいけないと頭の中で警報がなる。強くを勘違いしてギュッと強くしすぎると相手の手のひらが顔に飛んでくるはずだ。

 あくまでソフトにけど少しずつ歯で甘噛みする時のような意識を持って指で挟み込んでいる部分を愛撫する。

 そして時折、潰すような意識だけを伝えるようにきゅっと軽く強い刺激を指で与えてあげるのだ。

 一人脳内解説をしつつフェイトの乳首の感触を堪能する。

 

 フェイトはその感触を喜んで受け入れているように見えた。そして時折、強くもあるが軽い刺激を受けた時には「ひぐっ……!」とくぐもった声をあげる。

 ただ、止めて欲しいとは言わない。むしろもっとやって欲しいとその潤んだ瞳をこちらに向けてくるのだ。

 はぁはぁ……と苦しそうにも我慢しているようにも聞こえるその声。そしてその開いた口から見えるいつもよりも粘度が高そうなそのキラキラと光る唾液。

 漏れる喘ぎに近い息と合わせ、こちらの余力をどんどん削り出す。

 

 そしてそのこちらの興奮を表すかのように手の加減を間違えてしまう。

 強く軽くを意識していたが、興奮の度合いを示すようにただ強いだけの潰すような刺激をギュッと与えてしまう。

 

 

 

 

 あ。やばっ。

 

 

 と、ある意味冷静な言葉が頭の中に広がった。

 だがその瞬間、その強い刺激を受けたフェイトが、

 

 

 

「ひぎゅぅ……!! あぁぁっぁぁぁっ!!」

 

 

 

 先ほどよりも強い声を上げて口から舌を突き出し身体を後ろに反らした。

 慌ててこちらの力を緩めフェイトが倒れないように背中を抱きしめる。

 

 フェイトはこちらの腕に収まったが、あぁ……あぁ……と惚けたように力が抜けていく。

 そして段々と足の力が無くなりペタンと座り込むように腰を落とした。

 

 座り込む動作を腕で補佐しつつ無事フェイトが座り込む状態になった為、様子を確認する。

 瞳の光は先ほどよりも薄くなり、そして漏れる荒い息や、口から喉へ伝う唾液は先ほどの刺激の強さを物語っていた。

 

 ただ少しずつ時間が経ち、フェイトの呼吸が落ち着いてくる。

 そして改めてフェイトとの立ち位置を見てみるとフェイトが座っている状態でこちらは立っている状態。

 こちらの腰の目の前にフェイトの顔がある状態となってしまっていた。

 

 フェイトの瞳に光が戻りはじめてはいるが、まるで酔ったかのようにそのまま顔をこちらの股間部分へ近づけてくる。

 その動きはまるで本能がそうさせているようにも感じられた。

 

 こちらは先ほどの感じている姿を見て勃起状態は常にマックスである。

 それを知ってか知らずか、そのままフェイトの顔がその硬くなっている部分へ密着された。

 

 そして己の匂いを擦り付けるように顔を動かしている。その行為は逆にこちらの匂いを顔に擦り付けている行為にも感じられ快感と共に悦びの感情を増してしまう。

 そうなるとこちらの歯止めが止まらなくなってしまい、

 

 

「フェイト。僕のも楽にしてくれるかい?」

 

 

 と伝えてしまうのであった。

 

 フェイトはその言葉を聞いて喜んだ表情を見せてくる。が、しかしどうすれば良いのか分からない表情も浮かべて来た。

 まずはこちらのズボンを下ろして、下着を下ろすように告げる。

 

 

 そうして現れたのは絶好調である己の分身が現れるのであった。

 

 

 それは開放された喜びなのか下着からプルンと飛び出して天へとそそりたつ。

 その様子をじっと見るフェイトの視線が尚、こちらの興奮を誘う。そしてフェイトが更にどうすれば良いのかと言う表情をこちらに向けた。

 まずは優しく好きに触って。と伝えてフェイトの動きを見るのであった。

 

 フェイトは恐る恐ると、だが興味深々に感じるような瞳を向け男性器を両手で挟む。

 その刺激だけでも男性器は喜びピクリと歓喜の動きをしてしまう。

 

 

 その動きに「きゃっ」と少し驚いた様子を見せたが、興味の方が勝ったのかそのまま両手で挟みその動きを観察し始める。

 そして少しずつ形を確かめるように手を動かしはじめた。

 

 手の動きでピクンピクンと動く男性器を慈しむような表情で触っていくその刺激は、何も知らない無垢な少女を汚していく昏い悦びを与えてくる。

 フェイトは引き続き感触を確かめるように男性器と触り続けた。

 

 そうして段々とフェイトの視線が男性器の先っぽ部分に向けられていくのが分かる。段々とフェイトの顔が男性器の先部分へと近づいていった。

 

 こちらも更に刺激を受ける期待が膨れた。そうしてフェイトは顔と男性器との距離がゼロになった時には、フェイトの鼻先と男性器が密着された。

 尿道部分からは興奮を表す先走った液が溢れている。そんなことは気にならないかのように鼻先を近づけ密着された行為。お互いの粘膜が触れ合うその行為は精神的な快感を引き起こされる。

 

 フェイトはそのまま鼻で息をするように深呼吸を開始した。震えるような息の刺激は敏感な亀頭部分への快楽を伝えてくる。

 それは光景だけでも射精出来るかも知れないぐらいの感情を引き起こされてしまう。

 ただ、どうしてももっと直接な快楽を求めてしまいフェイトへそのまま舐めて欲しいと伝える。

 

 

 するとフェイトは恐る恐ると舌をチロリと出して、亀頭部分へ触れるのであった。

 フェイトの味覚は弄っていない。なので無垢な少女へ本来の味をそのまま味わわせている悦びが出てしまう。

 決して美味しいとは言えないそして少女的には未知の味が彼女の舌へと取り込まれていく。

 

 ただフェイトはそんなことはまるで気にしないかのように亀頭部分へ舌を這わす。それはとても美味しそうに表情を緩め酔っているようにも見えた。

 そして粘度のある先走りの液体と舌の唾液が混じり、ツゥっと伝う液体の橋はどこまでも淫らに感じる。

 しばらく亀頭部分を舐める快感を味わう。するとフェイトは舌で舐めていた亀頭部分を少しずつ咥え始める。

 唇と真空密着されたようなその吸い込まれるような感覚。それが亀頭の全体部分へと包まれ暖かい快感をこちらへ改めて伝えてくる。

 

 

 そして舌が動き、こちらの尿道部分を念入りに舐めはじめた。

 その穴をほじくるように舌が密着される。その刺激は強くそしてくすぐったい感覚を伝え興奮を伝えるかのようにどんどん先走りの液が溢れ出していく

 それを丁寧に舌ですくうようしつつも喉を動かし飲み込んでいく。そして次が欲しいと言わんばかりに舌を尿道へ這わす快感はどこまでも浸っていたいと感じさせた。

 

 ただ、更に強い刺激が欲しくも感じてしまう。

 それを得るためにフェイトへ両手で挟んでいる手を前後に動かして欲しいと伝える。

 そして手が先っぽ部分に来た時に親指部分を亀頭の裏側、裏筋部分で優しく擦って欲しいと。

 

 言葉を聞いたフェイトは両手を前後へ動かす。柔らかい手で射精を促すその動作はより快感を伝え亀頭部分を大きく膨らませてしまう。

 そして手が先の部分に到達した時に親指は裏筋の部分を優しく擦る。

 

 舌とは違いより強い摩擦が男性器のピンポイントの快感を大きく伝えて頭の中が夢に包まれているような真っ白な快感を生み出す。

 その快感を表現する先走りの液をフェイトの舌が這う。グリグリと裏筋を這う小さく柔らかい指の感触。そして尿道部分への舌の刺激はこちらの限界を近くさせる。

 

 自分好みに仕上げていくその征服感は半端なく、そして与えられる快感はどこまでも貪り続けてしまう。

 そうしてその時が近づき、フェイトへ亀頭部分を両手で包んで欲しい旨を伝える。

 そして手のひらで亀頭全体を擦って欲しいと伝えた。

 

 

 フェイトはその通りに亀頭全体を包みこねくり回すかのように大きく膨れた亀頭を擦る。

 唾液と先走りでローションのように濡れた亀頭を手のひらの摩擦で擦り上げられる快感はこちらの喘ぐ声を出してしまう。

 

 射精する特有の痙攣が男性器へ感じ、精液が溢れる快感と共に思考が止まる。

 そうしてフェイトの手のひらの中に射精をするのであった。

 

 フェイトは射精後も手のひらを動かし続ける。それは敏感になりすぎた亀頭にはあまりにも強い刺激であり、声を出せないまま悶えてしまう。

 そのままフェイトは亀頭を念入りに何かを塗るかのように動かし続ける。

 その行為は本来なら射精後は少しずつ戻るはずの男性器はそのまま硬度を維持し続けてしまった。

 刺激に声も出せないまま、その行為を受け入れざるを得なくなり悶え続ける。

 

 すると射精とは別の快感が体に生まれてくる。トイレに行く感覚に近いそれは何かを放出したい快感に襲われる。

 尿と近いその感覚は我慢し続けていたが、敏感な部分を擦られる感覚が段々と快感へ屈服されるかのよう体が弛緩されていく。

 

 そして本来落ちかけていた射精の快感が更に吹き上がる。そして尿道から精液とは違うような液体が長く噴射された。

 その快感は凄まじく、先ほどよりも快感が上回りそしていつもよりも長く快感へと浸らせた。

 頭の中はまるで怪しい薬を入れられたかのように快楽物質が巡っているようにも感じ、更なる射精時の快楽は思考を溶かし続けるのであった。

 

 

 

 ……その後、息も絶え絶えながら何とか声を出し、フェイトの行動を止めさせた。

 

 はぁはぁと息を荒げつつフェイトの様子を見てみる。

 フェイトは手のひらに溜まっている精液など混じっているものを見つめていた。

 そして自身の鼻を近づけてスンスンとその匂いを嗅いでいる。

 

 その様子を見つめていると更に口を近づけてペロっと舌で舐めはじめた。

 こちらの気分は落ち着いて来ていたが、その行為を見るとどうしても昏い喜びが満ちてしまう。

 

 そしてそれを染め上げるかのようにフェイトへ伝えるのであった。

 

 

 

 それを全部舐めて欲しいと。

 

 

 

 フェイトはそれを聞いて嬉しそうに手のひらを己の身体に収めるべく舐めはじめた。

 ペロペロと舐めるその仕草は可愛くも淫靡に見え、染め上げていく快感に酔ってしまう。

 

 

 

 そうして、フェイトは全て手のひらの液体を飲み込んだ後、こちらへ褒めて褒めてと言った表情で笑顔を向けるのであった。

 

 












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23話

 これからの事を考える。

 

 

 フェイト、アルフ共に催眠は成功出来た。

 これで実際、動きがバレてしまうと自分の立場は非常に嫌われるコウモリ状態になっている。

 だがそれは覚悟している所ではあるし、ばれないよう注意しつつも、ここからが正念場だとも思っている。

 色々と考えた結果、なのは陣営、フェイト陣営の中へ入り込みそれぞれを調整していく必要があると考えていた。

 

 この段階でフェイト陣営に食い込むことは必要だと考えていたのは、何に失敗するか分からない為、それをフォロー出来るようにする為である。

 これからのストーリー進行は基本的にフェイトが心折られるシーンが多くなるはず。

 それをフォローしつつ、ストーリーを順調に進めるためにある種のマッチポンプのようなものを行って行こうと考えていた。

 

 

 大きく分けると以下をフォローする予定ではある。

 

 ジュエルシード単体の暴走

 ジュエルシードを持っていた後のプレシアからの懲罰

 海に散らばっているジュエルシードの強制覚醒によるイベント

 そして、プレシアとの最終決戦

 

 ジュエルシード単体の暴走はフェイト、なのはが同時に強い魔力を用いてジュエルシードを回収しようとして暴走状態になったはず。

 ただ、これは発生しなくてもストーリー進行自体に大きな影響は無いと思われるのとむしろこれが下手に強化されている可能性があり、未然に防げるならそれに越したことはないだろうと考えた。

 そして、お互い怪我を負う状況は避けた方が無難だと思うので、出来れば発生させないようにするべきだと感じている。

 しかし実際どうなるかは分からない為、発生時にはフォロー出来るようにしたいと考えていた。

 

 そしてプレシアの叱責対応だ。恐らくここでフェイトが更に追い込まれる。

 ストーリー上では大丈夫だったが、もし追い込まれ具合がひど過ぎると影響が出てしまうので、適度にフォローしつつなのはとの戦闘に備えさせるつもりだ。

 

 そうして改めてなのは、フェイトの戦闘が行われた時に時空管理局が出て来るはず。

 その後の海でのイベント通しそして1期のクライマックスへ向けて動くのでその辺りが行われるように何かあればフォローする予定である。

 

 そこまで無事進められれば、最後のプレシア暴走時におけるアクションである。

 ここがメインでもあるがそこまである意味辿りつければ恐らくは力と力の勝負になる。

 それに対しても対応する必要がある為、進行に応じた仕込みをしていく予定だった。

 

 

 まずはフェイト陣営の仕込みを進める。

 

 フェイトに今後の予定を聞く。推測した通り、もう少しジュエルシードを集めた後一度母さん。プレシアの元に届けにいく予定だった。

 なので、その予定は進めるように話をしつつ、フェイト・アルフ共に命令として、

 

 鏡音奏との関係性については誰にも明かしてはならない。そしてお互い鏡音奏との関係を疑問に思わない。

 鏡音奏から許可を出さない限り鏡音奏とは他人のフリをする。

 プレシアの所に戻った後、こちらの世界に戻ってきた際に誰にもバレないよう注意をして、バルディッシュも持たずに一度、自分の家に来るように。

 

 と伝えてある。特に関係性と他人のフリに関しては厳命した。

 実際、色んなパターンで催眠の命令に伴う動きを見てみたが、やはりこれは一つのチートであると再認識出来る。

 本来なら命令する内容に対して裏切り等の可能性を考慮すべきだが、そう言った面を省くことが出来るのは強い。

 催眠による絶対順守の掟は破られることはなく遂行される為、裏切りの可能性を考慮した内容を考えなくて良いのが救いだった。

 もちろん、遂行能力自体は人によって異なるし、実際行う人員によっては細かくしたりその人に合わせていく必要があるだろうとは考えている。

 

 

 ただ、どうしても感情が優先してしまう場面などでも、こちらの命令が上位に置かれるというのはこちらとしては助かってしまう。

 それは人としては最低だよな。とも思う。しかし、そういうのを全て飲み込み食らいついて行かないとあの存在には影すら踏めないとも思うし、誰もを不幸にしたいと思っている訳でもない。

 とはいえ、結局、その考え自体が傲慢か。と自虐はしつつも進める覚悟を持って次の対応を行うのであった。

 

 

 なのはとのジュエルシード探索である。

 相変わらずジュエルシード単独で見つけた場合は、圧倒的攻撃で対象を沈黙させて無事に回収出来ているがフェイトとの戦闘の時は、そちら側へ優先されてしまう。

 フェイト側はもはや回避のみに専念していて、隙を見つけては電撃のように一瞬で動いて回収していく。

 もちろん自分はなのはの魔力で守られっぱなしだ。最近、守られているピンク色の魔力がどんどん強度が増しているような気もする。

 実際、魔力自体ほぼ無いので、詳細は分からないが何となく包まれている魔力が厚いのだ。そういう空気をひしひしと感じてしまう。

 

 それはそれとして、フェイトになのはと戦うことはイヤなのか? を聞いた時があった。

 答えは極力戦いたくは無い。という返答であった。恐らくは元々心優しい少女でもある為、お互い傷つけたくは無いのだろうと考えた。

 なのはは若干戦闘よりの考えが強いが、フェイトはそこまで戦闘一本ではなかったはず。

 実際、本来お互いの性格を考慮すれば妥当な線なんだろうなと感じたのであった。

 

 

 そうして、フェイトが現れた時にこちらに一瞬目を向ける時はあるが特に何も言うことは無く、何時もの通りなのはを出し抜きジュエルシードを回収していくのであった。

 とはいえ最近はなのはが色々と考えを巡らせているらしく、多少隙をわざと見せるなどの戦術を持った動きをしはじめて来ているので、なのはも順調に成長しているのだろうと感じた。

 

 

 

 時が更に少し経過したある日。

 

 夜、自分の家に来訪者が訪れた。来訪者はフェイトとアルフである。

 一旦、プレシアの元に戻り、ジュエルシードを渡したので戻って来たとアルフから説明があった。

 

 

 あれ? ジュエルシードの単体の暴走は……? 

 

 

 その話を聞いて真っ先に思ったのはジュエルシード単体暴走の件である。

 恐らくフェイトの離脱戦闘が速かったこともあり、結果としてそれ自体を未然に防いでいた感じかなと判断した。

 ひとまず発生しなければそれに越したことはないと思ったので、それはそれで良いと思い、今のフェイトの様子を確認する。

 

 今、フェイトが着ている服装はいつもの黒を基調としていながらも女の子らしさを感じる服装である。

 ただ、基本スカートをいつも履いていたはずだが、現在はスラックスのような長目のパンツを履いており、上の部分は若干余裕があるロングTシャツような服を着ていた。

 それは今までの格好から見ても、どちらも肌を隠すように見えてしまう。

 

 やはり叱責イベントは行われていたのであろう。

 フェイトに袖を捲るように伝える。フェイトは無言のまま体を若干震わせつつ袖を捲り上げはじめた。そしてそこに表れたのは線を引いたような傷痕が見えるのであった。

 

 その傷をそっと優しく触れる。肌に触れた瞬間フェイトがビクっと体を震わせ痛みを我慢するような顔を見せてくる。

 何か怒られるのでは無いかと言う怯えや泣きそうにも見える表情でこちらを見てきた。

 

 それを見て思う。最悪、催眠では痛みを感じさせることは出来ても傷そのものを癒すことは出来ないだろうなと。

 そして傷を触れられてもずっと無言のままでいるフェイト。先ほどの表情はかなり精神的に追い込まれている状態であろうと容易に推測できた。

 

 完全に傷を癒すことは出来ないし、かと言ってもし全て癒してしまうと違う展開になる恐れという罪悪感を受け止めつつ、少し心の傷は癒しておこうと考えた。

 まずは、ずっと無言のままでいるフェイトを軽くこちらに引き寄せ傷ついている部分を刺激しないように優しく触れるように抱きしめる。

 

 引き寄せた時に怒られるかもと目をギュッと閉じているフェイトを「頑張ったね」と優しく囁いてあげる。

 その言葉を聞いた瞬間、フェイトは目を大きく開けてこちらを見てくる。

 そしてホントに? という表情を見せてくるのであった。それを見て勿論だよ。と伝えつつ頭を軽くこちらの胸に押し付けてあげた。

 

 フェイトの頭を優しく抱き込んであげて刺激にならないようにそのままギュッと抱き込む。

 そうするとフェイトは少し体を震わせて嗚咽のような声を小さくあげるのであった。

 

 しばらくすると落ち着きを取り戻したのか、フェイトは顔をこちらにあげる。

 抱きしめたままであるので、その表情は崩れてはいるが先ほどの思いつめた表情から少しは開放されたかのように見える。

 

 ただ、それをそのままにする訳では無く「ただ、勿論これからするべきことは分かるよね?」と次の行動をしっかりと行うように誘導してあげる。

 その言葉を聞いてコクリと頷くフェイトを見て優しく回していた腕を開放するのであった。

 

 そしてフェイト、アルフ共に次の命令を出しておく。

 

 

 

 

 次、ジュエルシードを見つけ高町なのはと遭遇した場合、お互い正面から戦闘をして欲しい。

 

 そして、もし第三者の介入があった場合にはすぐ撤退を行うようにと。

 

 

 

 

 

 その日はすぐに来た。

 

 なのはとフェイトがジュエルシードをお互いに挟んだ状態で正面で向き合う。

 

 そしてなのはがレイジングハートを構えるとそれに応えるかのようにフェイトもバルディッシュを構えるのであった。

 

 なのははそれを見てようやくやる気になったのかと言うかのようにワクワクを隠しきれない様子が見てとれる。それはある意味、獰猛のような笑顔をフェイトへ向けるのであった。

 ただフェイトはそれを受け流すかのように冷静なままの顔で、それを受け止めバルディッシュを握る手の力が強くなる。

 

 

 

 そうしてお互いの獲物を構えて、その初撃がぶつかる直前にその間へ割り込み声が聞こえた。

 

 

 

「ストップだ! ここでの戦闘は危険すぎる。時空管理局執務官クロノ・ハラオウンだ」

 

 

 

 両方の攻撃を受け止めている両手はそれぞれその強さを物語っているように震えてはいるが、それでもクロノ本人の強さを表すかのように発する声に乱れは無く

 

 

「詳しい事情を聞かせて貰おうか」

 

 

 と二人に伝えるのであった。

 

 



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24話

 __

 

 

 

 不満である。

 

 

 最近、私、高町なのはは不満なのである。

 

 

 魔法の特訓自体やジュエルシード回収は物足りなさはあるが、特訓出来ている成果を奏くんに見せているようでここには不満はあまり無い。

 そして奏くんの護る力はユーノくんからもシールドの張り方の詳細を学んだあとも日に日に強く出来ており、その包みこめる想いは多少満足出来ている。

 ただこれはまだまだ心にある想いには全然足りないので、もっともっと精進を重ねていくつもりだ。

 

 

 不満の一つはあの少女との()()だ。初戦以降不満が溜まりっぱなしである。

 

 勿論、回避される動き、それを予測してこちらも逃さないようにする為、色々と考えて対策をするのはそれはそれで学ぶところがいっぱいあるのだが……違うのだ。

 もっとこう……なんと言うか……ぶつかりたいのである。

 

 私のこの想いを表しているようなこの魔力をもっともっと見てもらいたい。

 戦闘を通して語りたいし見せたいのである。

 

 私はこんなにも想いそしてその想いは尽きることは無いですよと。

 

 勿論、彼女自身に八つ当たりをしたい訳でもないし、語りたい訳でもない。

 あくまで見て欲しいのだ。想いは成長を続けていると言う証を見せたい。

 

 そして彼女自身の本当の強さを学びたい。それは私の糧になるのだから。

 

 

 だけど、中々その機会は訪れなかった。

 

 少女の気を引くためにもお互いの名前を交換した。フェイトちゃんと言う名前はその綺麗な容姿と合わせてとても合っているようにも感じた。

 しかし、進展はあまり変わらなかった。

 

 なので不満は溜まりっぱなしであったのである。

 

 

 そしてもう一つ大きな不満が出てきた。

 

 

 あのお互いの全てを交換出来るような至福の時間である。あの時間はとても幸せであり私が護らなければならない時間の一つであるのは変わらないのだが。

 

 

 最近、奏くんの匂いが()()のである。

 元々、夜寝る前にお風呂に入るので一晩分しか堪能出来ない不満は元からあったのだが、最近更に薄くなっているように感じている。

 いつもより念入りにお風呂で体を洗っているのか、体の匂いが薄くなっているのが感じられてしまうのだ。

 

 いっそ、何日かお風呂に入らないような状況を作ってあげようかなと思うくらいには現状不満が大きくなってきている。

 

 

 

 そして、これがもっとも重要なのかも知れないが……時折()()や何か()()()()()()()()が感じられるような気がするのだ。

 お母さんに料理を習いつつ色々と私の舌や鼻も成長しているのかもしれない。

 それが時折訴えてくるのだ。至福の味では無い微妙な味や匂いがあると。

 

 ただ、それも念入りに体が洗われている現状、気のせいなのかもと思う。

 勿論奏くんの体は一番大好きな匂いでもあり味も最高である。どこまでも舐めてずっと口に収めていたい衝動には変わりが無い。

 しかし気になってしまうとどうしても頭の中にそれが残ってしまうのだ。

 とはいえ、具体的な所は分からないので何とも言えないのだが、もやもやとした感情は積り続けてしまう。

 

 そろそろ一回色々発散するため、やはり前考えていたプランをチャレンジすべきなのかなと考えている。

 

 

 

 そんなこんなとしている内にフェイトちゃんと真っ向勝負が出来そうな場面があった。

 

 ジュエルシードをお互い正面に向けている状態で、デバイスを構える。

 いつもならあまりお互いが構えることなく、フェイトちゃんが動き回ってしまうので今回はその構える動作がいつもと違う雰囲気が感じられた。

 

 

 ようやくやる気になったんだね。フェイトちゃん。

 

 

 レイジングハートは私の心の発散を理解しているかのように即座にシューティングモードへ移行してくれる。

 マスター思いのレイジングハートに感謝をする。私も頑張るから更なる護る力を身につけようね。と心で感謝を告げた。

 

 そしてフェイトちゃんの方もデバイスを構えたままこちらをジッと見つめてくる。

 

 

 まずは様子見もかねて軽く一当てかな。と頭の中で考えた。

 

 これ自体フェイクかも知れないので、すぐに逃げられないように軽く様子を見てから動きを見ようと考える。

 その考えを持ったままフェイトちゃんへ向かいレイジングハートを突き上げるようにする。

 フェイトちゃんもそれを受け止めようとしてデバイスをこちら側へ振り下ろしてきた。

 

 

 その威力を確かめようとした瞬間、間に人が入り込んでくるのであった。

 

 

 せっかく解消されそうな不満は残り続け、そのままちょっと撃っても良いかなと考えてしまうくらいに心がささくれ出す。

 レイジングハートも「いいんじゃないでしょうか」と言ってくれているかのようにディバインバスターを撃つ準備をし始めてくれたのだ。

 さすがマスター思いのデバイスだと少し感心してしまった。

 

 

 そう思っていたのがいけなかったのか、フェイトちゃんは乱入されてきた人が喋った瞬間には離脱を行なっており、何もかもが不発で終わってしまう。

 

 

 

 私、高町なのはは不満である。そしてそれはまだ解消されなかった。

 

 

 __

 

 

 

 

 

 __

 

 

 

 幸せだ。

 

 

 今、私は心の中で幸せという感情を噛み締めている。

 

 

 こんなにも命令に従うことが幸せだとはしらなかった。

 幸福と言っても差し支えないと思う。

 

 元々、幸せという感情はあまりよく分からなかった。

 

 昔の思い出として母さんと一緒にいた時は幸せだったのだろう。

 ただ、今の母さんからは幸せという感情を貰うことはなかった。

 私はただ母さんの喜んでいる顔が欲しかっただけだったのに、私の未熟さでいつも怒られてばかりだった。

 

 

 奏と初めてあった時の感情は今でも思い出せる。

 

 彼の雰囲気、瞳、顔、体全てを見て理解してしまった。彼には何もかも自分の全てを預けてしまうべき存在であると。

 もはやそれこそが私の運命であるとも思うぐらいであった。

 そしてそれは今でも間違いが無いと思っている。

 

 彼の近くに行った時に感じた仄かな匂い。それは今では私の()()大好きで安心出来る匂いでもある。

 彼の近くにいるとどこまでも安心出来るし、そのためには何もかも捨て彼とずっと一緒に居たい誘惑に駆られたりする。

 

 だけど、違うのだ。確かにそれは欲しいものであるし絶対的に求めてしまうのだが、本当に私が心から求めていたものは更にあったのだ。

 

 彼から「頑張ったね」と何回か声を掛けてもらったことがある。

 その時、その瞬間、私は何もかも包まれてしまった。心が文字通り()()()のだ。

 

 

 枯れかけていた心がどこまでも潤うかの如く満たされ心が漲る。

 

 

 そして何でも彼のために出来るという万能感。何もかも彼のために行動したいという尽くしたい気持ち。

 彼にどこまでも尽くしたい感謝の気持ちが溢れすぎて涙が出てしまった時もある。

 その時は今まであった悲しみや焦燥感など比べられるものでは無い。

 彼から受けて湧き上がるこの心の感情は、今までのことが()()()()()()()()と思えるくらいだった。

 

 別に母さんのことが嫌いになった訳では無い。むしろ母さんのことは愛してると思っているし母さんのために私は努力を重ねるつもりだ。

 

 

 ただそれよりも私の全ては心を含め彼に預けている。

 

 

 ありえないことだとは思うが、もし奏から母さんを倒せと言われたら私は喜んで母さんに攻撃をするであろう。

 彼の存在は私の全てを持っているべきだし、命令や言葉は私の心を全て満たしてくれるから。

 

 今、彼の命令を受けて撤退を行なっている所である。

 湧き上がる気持ちは喜びなのだろう。それがどこまでも私を満たしそして溢れ続ける。

 

 

 だから思うのだ。私は幸せだと。

 

 

 撤退をする前に、立ちはだかっていた少女のことを思う。

 高町なのは。と自ら名乗っていた少女である。

 

 見た目は可愛い少女である。恐らく無邪気に笑えばそれはすごく魅力的に見えるだろう。

 彼女のことは特段嫌いな訳でも無い。戦うたびに色々と努力を重ねていく姿勢はむしろ好感さえ持てるほどだ。

 ただあの身から湧き上がり続ける魔力は見た目とは裏腹に凶暴さを纏っているようにも感じてしまう。

 個で物量を表現する戦い方はこちらの戦い方と相性が良いとは決して言えないと思ってしまった。

 

 ただ、私もリニスから訓練を受けた身でもある。長年培っている経験はそうそう覆らない自信もあるが相手の成長速度も速い。

 正直、正面で戦いたくはないし、どんどんと強くなっていく相手は、今後を考えても極力戦いたくない相手であった。

 

 

 しかし、彼の命令があれば別である。

 

 

 彼の命令を受けて彼女と正面で向き合った時、負ける気は微塵もなかった。

 気持ちは常に幸せに包まれており、どこまでも魔力を生み出せそうにも感じられる。

 

 そして第三者の介入があり、命令に従い即時撤退行動を実施する。それもずっと心が満たされていた。

 

 

 

 ただ、高町なのはと会っている時、どうしても見逃せない点が一つだけある。

 

 命令通りに奏とは他人のフリを続けており、それ自体に不満など存在する訳が無い。

 問題なのは彼が常に纏っているあのピンク色の防御壁だ。

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()

 

 

 

 

 恐らくは彼を守るための防御魔法なのであろう。ただ、あれは彼を縛りつける檻にも感じられてしまう。

 彼は自由にすべきなのだ。それで私を自由に使うべきである。

 縛りつけるその行為は私が全て預けるべき彼の行動を阻害する可能性があり、その行為は到底許せるものでは無かった。

 

 何よりも()()されているように見えてとても気分が良くない。

 ずっといるべき存在は私なのであるから。

 

 

 ふと彼と一緒に居た時の気持ちを思い出す。

 

 彼と密着していた時、安心に包まれてどこまでも浸っていたかった。

 そして声を掛けられた時、心が歓喜に震えドキドキとした。

 

 その時、奏に胸を触ってもらった感触が忘れられない。

 

 母さんからずっと叱責を受けて鞭のようなもので傷を付けられることも多かった。

 私が母さんの期待に応えられなかったのが悪いと思うし、それ自体は受け入れるべきなのかもしれない。

 

 ただ、こうも思ったのだ。この傷つけられる痛みが母さんとの繋がりの証明でもあるのではないかと。

 苦痛を伴っても家族としての絆みたいなのも感じてしまい無条件で受け入れていた。それが心の拠り所でもあったと思う。

 

 それが奏から行われた時には、別次元であったのだ。

 私の全てを預けるべき彼から痛みを授かった時、絆とは本当はこういうものであったと思い知らされた。

 

 最初は優しくそれでも刺激的な気持ちにさせる奏の手は、安心な匂いと共に心が色々と満ちたのだが、一番凄かったのは胸の先部分が潰されるかも知れない強さで抓られた時だ。

 その痛みと快楽は私の脳髄を痺れさせた。言葉が全く出なくなり頭の中が真っ白に染まる。そしてどこまでも私の全てを扱って欲しい欲求が跳ね上がってしまった。

 痛みと快楽は奏との繋がりをより強く意識してしまう。何もかも私を受け取って欲しい気持ちを伝えるかのように、もっともっとその強い刺激を心から欲してしまう。

 

 ただ体はまだ付いていけなったらしく、倒れそうになったためその行為自体はそこで終了したのだが。

 

 もし、あれだけではなく、奏からご褒美のお仕置きを受けられればもっと凄く絆を感じてしまうのではないかと考えてしまうのであった。

 

 

 それは兎も角として、彼の命令を無事遂行して撤退は順調に終了した。

 

 次の命令は何だろうという期待もあるが、それ以上に命令を遂行出来るように改めて自分を強化する必要があるとも感じていた。

 囚われている檻を破るという命令が来る可能性もある。それ以外でも命令を遂行出来るためにも、もっと力が必要だと感じていた。

 

 口を開けて待っている雛ではなく自らこう言った命令も出来ます! と伝えなきゃ私の全てを使って貰えないと思っているので、今後の特訓プランも考えるのであった。

 

 

 

 __

 

 

 



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25話

 今、自分はなのは、ユーノと共にアースラの中に居る。

 

 

 時空管理局 次元航行船 アースラ

 

 

 ユーノからの説明ではいくつものある次元世界を自由に移動出来る船である。

 なのはや自分が居る世界とは別に複数の世界、例えばユーノ達が暮らしている世界等にも狭間を通り自由に移動出来る船であるとのことだった。

 

 そして、それぞれの世界で干渉し合う出来事を管理しているのが時空管理局という組織であった。

 

 

 

 この辺りは元から知っている知識で大体は理解していたが、なのははまだ余りピンと来ていない顔を続けている。

 うーん。と悩む顔を続けていたが、最終的には何だかよくわからないけどスゴい船なんだね。と結論を出していた。

 

 実際自分も詳細は全然分からないから特に突っ込むことは無く、辺りを見回す。

 

 

 SF感が溢れ未来的に感じられる船内だ。魔法というファンタジー的要素でも感動したが、こう言った場所に来ると改めてなのはの世界に来ているという感動が出てくる。

 ただ、今後の行動を怠らないように、ほえーと辺りを見回すフリをしながらも気を引き締め続ける。

 

 

 そうして船内を進んでいくと、クロノが「バリアジャケットを着たままでは窮屈だろう。解除して平気だよ」と伝えてきた。

 なのははその言葉を受けてバリアジャケットの解除を実施する。ユーノの方にも元の姿に戻って良いよと伝えて、ユーノも元の少年の姿に戻った。

 そして自分の方にも目を向けて「君はデバイスを持っていないよね? 何か魔法を使っていたりするのかな?」と聞いてきた。

 自分は特に何も使用していない旨を説明して今の姿が素であると伝えた。

 

 

 ひとまず、これでやはりというべきだろう。事前にこちらの様子を確認されていたことが良くわかった。

 基本的に戦闘はなのは一人で行うことが多い、そしてもしサポートがあってもユーノが動く。こちらは魔法が使えないため、情けないが戦闘時はジッとしているしかない。

 

 それはそれとして、ユーノがフェレットに変身している状況を知っているのは分析されている結果だろう。そして自分は全く動いてないので魔力はほとんど無いが未知数であるはずなので確認されたのだ。

 デバイスを持っていない質問がやけに確信的に感じられたのも一つの要因ではある。

 

 とは言え、別に事前に調べられることは当たり前である。向こうは危険を管理するための人員を持っているのだ。

 事前情報というのはそれだけで一つの武器になる。仕事をきっちりこなすと言うことが分かれば十分であった。

 

 その結果、アースラ内部でも拘束や武器を取り上げられることはない。戦力分析を行い自分達で問題無く対処出来ると言う自信があるからこそ、こちらを招いているのだから。

 

 

 そうして、クロノが一つの部屋へ案内を行う。「艦長。来てもらいました」と入る時に声を掛け中に入る。

 こちら三人ともそれに続き部屋に入った。

 

 部屋の内部は、何と言うか無理に日本風にセッティングされた数々の品が見える。

 盆栽、鹿威し、割と本格的な茶器一式などなど、それらはSF感と合わせなんとも言えない微妙な雰囲気を感じさせた。

 部屋の中央には畳がありその上に赤い毛氈を敷いている。端には赤く大きな和傘が立てられてそれはお茶会を開催する状態のように見えた。

 そしてそこにはリンディ・ハラオウンが正座で座っているのだった。

 

 多少、知ってはいたけど……本当にミスマッチ感がスゴいな。とある意味感動してしまう。

 

 なのははもはやポカーンである。ユーノはさすがにそこまでこちらの文化には詳しく無いだろうからショックを受けている様子は感じられない。

 

 そんな状況を意に介さずリンディ・ハラオウンが「お疲れさま〜。まぁ〜三人ともどうぞどうぞ楽にして〜」とのんびりとした口調で語りかけてくるのであった。

 

 

 そうして出されたお茶とお茶菓子を見ながら、お互い自己紹介を交わし話が進む。

 

 まずはジュエルシード発掘に関して、ユーノが経緯を伝えた。

 ジュエルシードをユーノが発掘し、事故にあいそれが散らばった為、自分が責任を持って集めようとしていることを伝える。

 

 それに対する評価としてリンディは「立派だわ」と優しく伝えてくる。しかしクロノはそれに合わせるように「だけど同時に無謀でもある」と厳しく捕捉した。

 その言葉を受け、ユーノは自覚しているかのようにしゅんとした表情を浮かべていた。

 

 実際、危ないは危ないからなとは思う。今回、世界がヤバイ事態になるのもジュエルシードの力があるためでもあるし、否定出来無いのも事実であった。

 

 またジュエルシードをロストロギアと呼んだことで、ロストロギアに関する疑問をなのはが伝える。

 それを受けロストロギアに関する説明が行われるのであった。

 

 

 

 

 ロストロギア

 

 異質世界の遺産

 

 次元空間の中には様々な世界が存在している。それぞれが生まれ育った世界。

 その中にごく稀に進化しすぎた世界が存在していた。

 技術や科学など進化しすぎたそれは世界を滅ぼすまでの力を生み出し結果その世界が滅んでしまう。

 その後、取り残され滅び失われた世界において危険な技術が含まれている遺産が発見されることがある。

 それは正しく扱う技術が確立されていない力であり、世界を再度滅ぼす可能性もありえる危険な物品や知識。

 それらを総称してロストロギアと呼んでいた。

 

 危険な代物をしかるべき手続きをもってしかるべき所へ保管する必要がある。

 それが時空管理局の使命でもあった。

 

 ジュエルシードは次元干渉型のロストロギアである。

 いくつか集まったところで特定の手順で実行されれば空間内に次元震を引き起こし次元断層さえ巻き起こす危険さえある。

 

 ジュエルシード自身が次元震自体を引き起こす事態はまだなかったが、戦闘で行われていたジュエルシードの力をこちらで分析した結果として伝えられる。

 もし複数個集まった状態で暴走された場合、過去に起こった隣接する世界すら崩壊してしまう次元断層の被害が出るだろうと。

 

 

 

 そしてリンディから伝えられる。ロストロギア、ジュエルシードの回収は時空管理局が全権をもって対応すると。

 

 それの後を継ぐように「君たちは今回のことは忘れてそれぞれの世界に戻り元通りに暮らすと良い」と伝えられた。

 

 なのははそれに反発するような声を上げたが、クロノは一蹴する。「次元干渉に関わる事件だ。民間人レベルに介入して貰うレベルの話では無い」と。

 

 それをフォローするかのようにリンディが言葉を伝えてきた。

「まぁ、急に言われても気持ちの整理はつかないでしょう。今夜一晩ゆっくり考えてみんなで話し合ってそれから改めて話し合いましょう」

 

 

 さて、ここまでは()()()()である。恐らくこのまま何も無ければただ帰されるだけであろう。

 そしてこちらから協力を願い出る流れを誘うのだ。

 

 ここら辺の解釈は人様々だと思う。クロノ自身は元々、真っ直ぐな気質であることは知っているので言葉自体は他意は無く恐らくは本心である可能性が高い。

 そしてリンディのフォローも本来であれば大変だった子供を気遣う言葉であり素直に受け止めるなら懐の深さを伝えてくる言葉にも見える。

 

 正直、それだったらそれで()()()()のだ。善意の塊での話であれば幾らでも後で仕込みは組み込めるだろう。

 ただ、もし裏がある場合だと後に回せば回すほど己が不利になってしまう。

 

 裏があると言うことはその分、こちら側をコントロールする意思があり良い悪いに限らず枷を付けられる可能性が高い。

 そしてその読み合いをする時間は相手側の方が魔法知識が豊富な分、上手であろう。

 未来の話をした場合なんかはむしろ拘束すらされるだろうなと思う。

 

 

 なので、意思があるかを確認するためにちょっと良いですか? と声を上げ、少し流れを変えるような発言をし始める。

 

 

「時空管理局って話を聞く限りスゴいですよね。沢山世界があってもこうして対応するために人員が来てくれるなんて」

 

「よっぽど優秀な人員が沢山居るんですねー」

 

 

 と朗らかな表情で明らかに空気が読めていない発言をした。

 なのは、ユーノは多少落ち込んでいる表情からこちらへ視線を向ける。何を言っているんだ的な表情だろう。

 

 向こうは一瞬黙り込んでリンディが答える。

 

 

「そうなのよ〜。クロノ執務官のような優秀な人材も居るんだからね〜」

 

 とクロノの方を優しくチラッと見て答えてくれた。

 クロノは満更でも無いのか照れた表情を見せてくれる。生真面目なぶんこう言った話には免疫はないのだろうと思う。

 

 

 そして思った。裏はあるなーと。勿論今のやり取りだけで全て判断することは出来ない。ただ、基本時空管理局は人員不足であるはず。

 それを自然と隠すような発言は向こうの不利となる面をこちらへ伝えない。そして質問にも答えていないのだ。

 沢山居るの? に対して答えは全くない。あくまでクロノが優秀な人員であることは伝えてきているだけである。

 

 では、なぜ隠すのか? こちらの条件をしっかりつける為に相手から譲歩を引き出したくない。とも受け取れてしまうのだ。

 勿論これが全てでは無い。ただ相手は艦長でもあり言ってしまえば役職付きである。しかも仕事が出来る役職付きだ。

 

 個人でただ仕事が出来る訳でも無い。艦長要するにそこの組織を全て預かる人間として成功を遂げている人物がただただ善良だけでは務まらないであろう。

 それほど人が組んでいる組織というのは厄介でもあるのだ。

 

 そしてそう頭が回る人間は手元の手段が多いに越したことは無いと考える。いつもあるものでやりくりする必要がある為、新たに手が出来るならそれに越したことは無い訳である。

 ただ闇雲に集めても使えない。あくまで自分が思うようにコントロール出来る必要がある。だからこそ向こう側から願い出ることでコントロール出来やすくする。

 そしてある意味の責任も回避出来る言い訳もたつ。全て自分の有利に運ぶようにしているはずだ。

 

 

 それが悪いことでは無い。むしろそれを()()()()()。別に個人的には忌避すべき内容でもない。

 何故なら自分も似たようなことをしようとしているのだから。

 

 今はまだお互い読み合いが出来る環境下だが、長期戦になればなるほど彼女へ勝てる気がしないのも事実である。

 しかしお互いの着地点は違う。現段階ではこちらの着地点の方が圧倒的に速いのでそれに向けて動きを続けた。

 

 

「そうなんですねー」と相槌を打ちつつ、次へ繋げる。

 

「そうだったら確かに自分達のような民間人は要らないですよねー」

 

 と伝えた。

 

 

 クロノは勿論だともと言わんばかりの雰囲気を出している。

 ただそれには全く興味を示さず、真っ直ぐと目を逸らさずリンディを見た。

 

 リンディはその真っ直ぐむけた目を見て一瞬考えたように沈黙する。

 ダメだよ。そこで一瞬でも沈黙しちゃうと色んな意味に捉えられちゃうよ。と何故か上から目線で頭の中が回ってしまった。

 

 あくまで一瞬であり、リンディは笑顔を見せてそのまま答えてくれる。

 

 

「えぇ。残念だけどその通りね」

 

 ですよねー。とその返答に笑顔であははと言いつつこちらも答えた。

 

 

 

「帰る前にリンディさんと二人きりで相談したいことがあるんですが大丈夫ですか?」

 

 とチラリとなのはを見て伝える。

 

 相手もしっかりと裏を読んでくれることを期待していた。

 その言葉はクロノには許容できなかった内容で、「何を言っているんだ君は」と言ってくる。

 それに対しては「本当にごめんなさい。少し色々と家族の事情も入ってしまうのでそれを相談したかったんです」と申し訳ないように伝える。

 

 なのは、ユーノは何も言ってこない。ユーノは色々と事情を知っている為、咀嚼してくれるだろうと思っている。

 なのははジッとこちらを見つめてきた。「説明してくれるんだよね?」と言っているようにも感じる。

「後でね」と言うジェスチャーを見せ、リンディの反応を見る。

 

 

 リンディは考えているような表情を浮かべている。

 

 

 きちんと裏を読んでくれるならこう思ってくれるはず。

 三人の中で頭脳担当は自分であるはずだと。実際、何も戦闘に参加していないのにそこに居ると言うのは不自然にも感じられる。

 なら何故? の結論を与えるのだ。先ほどの質問からそっちの意図は多少理解していますよ。と言うメッセージでもある。

 そうすれば勝手に誤解をしてくれる。多少裏が読めるくらい頭が回るなら恐らくチーム内で作戦を考えたりしていたのだろうと。

 そしてこの発言自体も相手が誤解したまま説得力を持たせられる。何か裏で提案がしたいのだろうと思ってくれるはずだ。

 

 そうなると二人っきりになると言う危険性を検討するはず。とは言え、相手は子供。頭脳担当、そして調べた限り魔力は無い。なら自分だけでもどうにでもなると言う所で結論つけるはず。

 なのはに関する相談又はむしろどう言った可愛い提案をしてくれるのかと余裕に思ってくれれば万々歳だ。

 失敗したらそれはそれでそっち側の能力はなかったと思うしかない。

 

 

 そして彼女の中の結論が出たのであろう。

 

 

 

「分かりました」とこちらへ伝えてくれるのであった。

 

 

 

 クロノは最後まで抵抗していたが艦長命令で部屋から出て貰った。

 マザコンとまでは思わないがやはり母のことは心配しているのだろう。

 ただ、あなたの母は魔力も桁が違いそもそも戦闘では勝ち目はありませんよ。と心の中で思うのであった。

 

 

 改めてリンディさんがお茶を入れ直してくれている。

 紋章の確認も合間で実施済みだ。色は青色でサブである。

 現在、リンディさんはお茶を入れるため後ろを向いており、それを見つつ視線チェックウォッチを起動させる。結果は「0」を示してくれた。

 割とプライベートよりの空間なので監視の目が入ってないことが確認できた。最後の関門も突破してくれて一安心する。

 それを見たかのように機器は「0」回になった為、消滅した。

 

 どちらかと言えば後ろを見せていたのも急に攻撃をしてくる誘いをしていたのかも知れない。

 とは言え、こちらは攻撃する意思など皆無でありあくまで相談と言う名の提案と言う姿勢を崩さない。

 

 

 そして手のひらを開いている状態で正座している膝の上に乗せている。

 左人差し指は自然に膝の上でリンディさんに差し続けていた。

 

 お茶も入れ直しが終わりお互いに正面に向き合う。そして指が震えたのを感じる。

 そうして女性であり二人きりなら何かを起こす前にこちらが全てを掌握出来る奇襲を行うのであった。

 

 真剣な表情で相手を見る。リンディさんはそれをジッと視線を受け止めた。

 

 

「リンディ・ハラオウンさん」

 

 

 真剣さを伝えるように割と強めに言葉を発し相手の返事をジッと待つ。

 

 

「何かしら」

 

 

 そうして無事に返答を貰うのであった。

 

 

 



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26話

 __

 

 

 

 私は今、正面に座っている少年を見ている。

 

 年齢は息子のクロノよりも若いだろう。

 まだまだ親に甘えたい年頃ではないのかと感じてしまう。

 

 精悍と呼ぶにはまだまだ早く、まだあどけなさがあるその可愛い笑顔は色々な気持ちを複雑へとさせていた。

 

 最初は報告が上がってきた内容を加味して、彼に関しては戦闘などには耐えられないだろうと判断していた。

 恐らくは現地にて巻き込まれたまま一緒にいたか何かしらの役割を担っていたのだろうくらいの感覚である。

 

 もしあの話の後、なのはさん方が参加の意思を持ってくるのであれば彼は戦闘から除外する予定でもあった。

 恐らくはそのまま通常通りの生活に戻ってもらう可能性が非常に高かった。

 

 ただ、私に話があるという点を除いて。子供だからと気付かれないように話を進めていた考えが甘かったのか彼はこちらの意図に気づいたような仕草を見せる。

 とは言え、やはり子供であることは変わりないであろう。意図に完全に気づくのであれば最大の材料でもある彼女を入れて三人同時で交渉に臨むべきなのだ。

 その方が私達の方に通せる内容が多くなるはず。それが一人で行おうとする姿勢がまだまだと感じられてしまった。

 

 恐らく一人で色々と考え実行してしまうタイプなのだろう。そしてそれを他の二人の手助けになると信じている。

 折衝役もしくは作戦を考えるような役割を担っていたのかも知れない。

 

 そして私へ二人きりで相談したいという話があった。

 仲間のためを思いそれを実践、行動しようとする様は本心では立派だと思っている。しかし、それではやはりまだまだだと思ってしまった。

 年齢的にも厳しい話だとは私も思っている。ただ、その役割を担うのであればどこまで有利に条件を引き出せるか考えるべきなのだ。

 

 現状はあくまでも私達の立場の方が強いイメージが彼の中で存在している。

 だからこその相談なのであろう。どう有利に()()()()()()()()()()()と下手に出た考えである。

 

 私達、時空管理局は次元世界を平和に導けるように、力、権限は勿論ある。

 ただ、現在この地球がある世界は管理外世界であり、本来であればこちらの事情はまだまだ考慮されづらいのも事実であった。

 現地の協力者というのはある意味、非常に助かる存在でもあるのだ。

 

 けど、実際そこまで想像出来るかと言えば酷な話だろうと私も思う。こちらの事情など知らないのは当たり前であるし、年齢的に考えてみても交渉材料を出せる分だけ有能なのかも知れない。

 そう思い彼からの提案内容を聞こうと思っていた。

 

 

 

 今でこそ感じる。そう思わされていたこと。そしてその()()()思考を守ってどこまでも導いてあげたいと。

 

 

 

 少年を改めて見る。

 

 

 名前は……鏡音奏く……様……旦那様……? 

 

 

 さまざまな感情が湧き上がる。決して不快ではない。むしろずっと感じていたい感情が私の心の中で吹き荒れる。

 

 

 息子のようにそしてそれ以上にも甘く包んであげたい母としての気持ち。

 

 より彼を高みに導いて上げたいという親としての気持ち。

 

 彼に私の全てを捧げ尽くしたいという気持ち。

 

 

 そして死という離別から心にしまい何重にも鍵をかけ鎖に縛られた奥底にあった心。

 それが鍵を差し込まれた訳ではない。むしろ箱の中にあった心が爆発したかのように膨れ箱を何もかも破壊したのだ。

 

 

 私の胸を切なくさせるそして幸せになる乙女心。もう二度と感じることはないだろうと思っていた。忘れていた女の心が彼へ全て向かいたいと叫んでいる。

 それぞれが彼に何もかも捧げることが喜びであると心が告げていた。

 

 

 そして私の理性もそれに従うことが正しいと教えてくれる。迷うことなど存在しなかった。

 

 

「リンディさん?」

 

 彼から声が掛けられた。それだけで私の心は幸せに包まれ歓喜に支配される。彼をどこまでも甘やかして上げたい欲求が膨れる。

 そして何よりも彼を想うこの心が溢れてしまうのだ。

 

 その心を表現するかのように顔に血液が集まるのが分かる。けど、冷静な部分で大人の余裕を見せておくことも必要だと思いつつ彼の言葉に応えるのであった。

 

 

 

 __

 

 

 

 

 出てきた目は「3」であった。

 

 新しい目が出た為、紙が別途現れた。それを確認する。

 

 

 

 ▼▼

 

 出てきた目は「3」だねー。

 継続内容は「1週間に1回 催眠実行者の体を舐めさせる」だよ!! 

 これも中々良いプレイができそう!! (ポッ

 

 それじゃ、頑張ってねー。

 

 ▲▲

 

 

 

 ひとまず、そこまでの内容でなかっただけ一安心である。

 体なら指先とかでも行けるだろうし十分対応は可能だと考えた。

 そして時間もそこまで無い為、素早くリンディさんへの設定内容を行う。

 

 ・鏡音奏は家族以上の強い絆で結ばれている存在であり、決して自ら裏切ることも無く親愛を持って接すべき存在である。

 ・鏡音奏に対して彼の存在が不利にならないように常に気にかけその他の存在に怪しまれずにフォローすることが使命であり幸福である。

 ・鏡音奏からの命令は己の能力、権限全てを使い達成させることが至上の喜びである。

 ・鏡音奏からの命令は全て鏡音奏の存在は見せない上に感じさせないように細心の注意を行う。

 ・鏡音奏からの命令を含め鏡音奏の存在が露見する可能性や遂行する上で不都合がある場合は必ず鏡音奏に相談を行う。

 ・鏡音奏からの質問には全て素直に答える。

 ・鏡音奏の体を舐める行為はすごく幸せである。

 ・鏡音奏の体に汚いところは無く、全てが最高のお菓子のように美味しく感じる。

 ・鏡音奏から舐める場所を指定されるとそこを丁寧に舐めることが必要である。

 ・体を舐める行為は人前でする行為では無いと認識する。

 ・鏡音奏が「終わり。終わり」と告げられたら舐める衝動は一時的に抑えられる。

 ・鏡音奏から「リンディ・ハラオウン」と呼ばれると「はい」と返事を行う。

 

 

 前半は他と比較してもかなり強めに設定している。色々と動いて貰う為、誤解が発生しないよう何があっても裏切りは無いようにしたいのでかなり強固にしたつもりだ。

 リンディさんは権限も含め手腕の幅が広いはず。それを余すことなく使ってもらうためにこちらも強くしている。

 組織に組み込まれている以上、使える権限も豊富だがしがらみも多い。

 本人のポテンシャルを100%使える仕事など稀である。納期とクオリティは比例すべきものであるが、現実は中々そうもいかない。

 どうしても上位に紐づいている対応が優先されてしまうのが現状であろう。

 そこを少しでも大きく能力を活用して貰うために強く設定を行っている。

 あとはリンディさんの能力はどう考えても自分よりも高いと思うので、無理にこちらから命令を重ねないように自ら動いて貰うようにした。

 実際、命令自体も細かくはしないつもりだ。本人の能力が高いならそれに任せるべきだと個人的に思っている。

 

 そして後半はなのはで設定していた部分を利用している。

 緑茶に砂糖を入れるくらいの甘党であった為、基本的にこの設定を利用すれば問題ないだろうと考えた。

 日数に関しては、フェイト達と同様にこちらの存在が居てもおかしくない状態まで行ってから設定する予定である。

 

 催眠から元へ戻す。リンディさんの瞳に光が戻り、こちらを改めて見つめてきた。

 そして何かに耐えるように自ら体を抱え込むように腕を抱きしめる。

 

「リンディさん?」

 

 設定が上手く行かなかった? と心配になり声をかける。リンディさんは声が届いた瞬間、顔が少し紅潮したようにも見えた。

 ただ、返答自体には淀みがなく普通に会話出来た為、念のため命令を素直に聞いてくれるか話をしてみる。

 

「リンディさん。もしもなのは達が協力を申し出たら協力してもらって大丈夫ですか?」

 

「勿論よ」

 

 と笑顔で即答してくれた。もし、設定が反映されてないならメリットなどを提示して欲しいとか交渉内容へ向けた流れになるはず。

 一応、さらに念のため全然話の流れとは関係無いお願いをしてみることにしてみた。

 

「あと、リンディさんと個人的に他の人に内緒で連絡出来る方法をお願いしたいのですが、大丈夫ですか?」

 

「勿論。大丈夫よ」

 

 とこれも笑顔で即答である。設定は大丈夫だと思い一安心したが、リンディさんはその話に続けるように言葉を重ねてきた。

 

 

「出来れば。もっと強く命令しても良いのよ〜」

 

 と朗らかに伝えてくるその姿は何故か魅惑的に思えてしまった。

 

 

 

 

 

 リンディさんにはあの後、命令を何個か伝えて解散となった。

 

 

 

 艦長命令で他の場所で待機していたブスっとしている表情のクロノに元の場所へお見送りされる。

 なのは達は先行で戻っていたらしい。なので、クロノには勿論謝っておいた。

 自分に力は無いが魔法関連で、もしもの時のためになのは達を守ってあげたいからなのはの家族の事情とかを相談したかったと伝えている。

 クロノの性格的にも無下には出来ない内容のはずなので気持ちは多少戻せたと思いたい。

 

 実際、見た目的には何も無いのでどちらにせよ大丈夫だろうと考えている。

 境遇的に母親の比重は大きな存在であることも理解している。

 しかしクロノは将来的にエイミィとくっつく予定なはず。

 なので、アースラに入ったら罪悪感では無いがそちらを出来る限りお世話してあげようとも思った。

 

 そして元の場所に戻り、なのは達と合流する。

 

 なのはは自分が現れた瞬間、笑顔になったがすぐムーっとした表情を見せてくる。

 ユーノはその様子をあははと言った感じで見てくるのであった。

 

 恐らくは先ほどのことを説明しろと言う意味だろう。

 

 そこでまずはなのはに質問を行った。

 

「なのははあの話を聞いてどう思った?」

 

 

「……私に出来ることがあるなら手伝ってあげたいけど」

 

「これで魔法に触れられなくなるのはイヤなの……」

 

 

「そっか……僕の思っていた通りだね。リンディさんは必要ないと言っていたけどこちらから協力出来ることはあると思ったんだ」

 

「協力出来ることがあれば、そのまま魔法に触れられると思ったから」

 

「だからそれを確かめるためにもリンディさんと二人で相談したかったんだよ」

 

 

 後、士郎さんとの約束もあるからね。と伝えた。

 突然士郎さんの名前が出たことになのはは驚きの表情を浮かべる。

 

 士郎さんと話をした内容を若干照れ臭そうに軽く話す。

 ジュエルシード探索のとき、夜外出する可能性もあったからどうしても誤魔化し切れないかも知れなかったので手助けしておきたかった。

 そのためになのはが士郎さん達に相談しやすいようにしておきたかった所。そしてなのはが進みたい道を守って上げたかった旨を伝える。

 

 

 それを聞いた後、なのはは無言でこちらの胸にタックルを仕掛けてきた。

 衝撃がこちらの身体に走るが、倒れるほどではない。そしてなのははそのまま背中にギュッと手を回して抱きつくようにしてくる。

 

 

「ありがとうなの……」

 

 

 そう小さく呟いて感謝をのべてくる。その言葉にこちらから応えるようになのはの頭を撫でてあげるのであった。

 

 

 話を逸らしつつ誤魔化せたことにホッとする。そして思うのだ。

 

 

 ストーリー的にはそのままでも問題無かったはずだが失敗の可能性はあり得るので、その可能性を無くすことが無事出来た。

 これでアースラ陣営参加の障害も無くなり次に進められると思うのであった。

 



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27話

「本日0時をもって本艦全クルーの任務はロストロギア ジュエルシードの捜索と回収に変更されます」

 

 

「また本件において特例として、件のロストロギアの発見者であり結界魔導士でもあるこちら」

 

 

 リンディさんがそう宣言を行った後、こちら側への紹介を誘導させてくる。

 

 

「はい。ユーノ・スクライアです!」とそれに応えるように元気よく立ち上がって挨拶を行った。

 

 

「それから彼の協力者でもある。現地の魔導士さんとそれの補佐さん」

 

 

 リンディさんがにっこりと笑顔を向けながら、こちらへの誘導を行う。

 

「高町なのはです……」「鏡音奏です」となのははこう言った機会は初めてだろう。戸惑いつつも立ち上がり挨拶を行う。

 そして、こちらも立ち上がり挨拶を行うのであった。

 

 

「以上、三名が臨時職員の扱いで事態にあたってくれます」

 

 

 とリンディさんが締めた所で、よろしくお願いします。と三者改めて挨拶を行った。

 

 クロノはむーとした納得出来ない表情を浮かべつつこちらを見ている。恐らくは本人の責任感もあり自分が行うべき仕事だと思っているのであろう。

 ただ、さすがに艦長へ反対出来る内容ではないためあくまで不服です程度の可愛い反応を示す程度で終わっている。

 

 恐らく、こちらはなのはがきっちり仕事を進めていければ問題ないだろう。その辺りは真面目に受け取れる分、ある意味好感すら覚える。

 

 さて、自分は補佐と言う立場で組み入れることができた。

 魔力は少しあるかもしれないが戦闘魔法は使えない。直接的絡みは出来ないのに何故彼を協力者にと言う所をカバーするためにこの枠組みにしている。

 

 もし艦長へ彼が何故? と誰かに聞かれた場合、こう答えられる予定である。「高町なのはのメンタルケア要員である」と。

 高町なのは自身は戦闘力として申し分無いはず。ただ、現地人であり、どうしても年齢的に幼いため彼女を一人にし過ぎると不安や暴走する可能性があり得る。

 そこで事情を知っていて、同じ現地人でもありなのはが信頼を置いている彼を補佐役としてつけることでコントロールすると言うことである。

 彼と話を行なってみると年齢以上に成熟しており、大人な事情的にも受け入れやすい性格面もあったため、それを考慮して彼女の補佐につけるという流れであった。

 

 と言う設定である。

 ユーノもそれの候補となり得るが、ユーノ自身も戦闘に参加することが多い。そして大人な事情への考慮はまだ浅く、更に現地人の細かい所に気づかないのも考慮した為である。

 彼にフォローも含めた仕事を沢山させるよりも、適材要員がいるのであればそれを使いユーノ自身は戦闘へ集中させて上げた方が良いだろうと判断した流れだ。

 まぁ、それでも何かあれば上手くリンディさんがフォローしてくれるはず。

 一応、戦闘に直接参加出来ない非戦闘員が一人増えた所でアースラ的にはほとんど影響は無いだろうし、戦闘要員の精神的フォローが他で行われるのであればアースラ側の負担も減るので何か言われることは少ないはずだ。

 

 自分がポカをやらかさない限りと注釈はつくが……とはいえ作戦自体にも直接口を出すわけでも無いし、戦闘に参加するわけでも無いのでポカをやらかす場面が無いのも事実であった。

 あとは普通になのはと仲良くしている部分を見せていけば話の整合性はあっていくので、よっぽど怪しい行動をしない限り問題はないだろうと考えている。

 

 ちなみにクロノはアースラの切り札と言うことで温存される。事態が緊急になった場合の要員である為、アースラの戦力自体は使わずに進められることはある意味の安心を他の人員達へ伝えることが出来るはず。

 

 

 

 そうしてアースラ主導のジュエルシード探索が開始されるのであった。

 

 

 

 アースラにて割り当てられた一人部屋にて今後を検討し始める。

 

 この部屋自体は監視が入らないようにリンディさんにしっかりとお願いしてあった。

 そのお願いに勿論、分かっているわよ〜。と言わんばかりに、きちんと鍵もありそして防音処理も魔法でフォローしてくれている。リンディさんの手腕はやはりしっかりとしていると感じられるのであった。

 まぁ……なのはが普通に来襲してきたりするのでずっと一人で居ることは中々無いのだが……それでもアースラ内部にて無事拠点を確保出来たのは安心出来る。

 

 なのははこちらに来るにあたって問題無く親御さんと話をして許可を得ることが出来ていた。

 根回し自体は無くても纏まる話だったはずなので、そこまで深く心配はしていなかったがそれでも問題無く進行出来ている所は良かったと思う。

 ただ、なのはが今までよりもこちらの近くに居ることが増えているようにも感じられる。

 アースラ内に居る以上、なのはと絡む機会は多いのでそれで近くに居ることが多く感じられてしまうのかも知れないとも思っていた。

 自分がアースラに居る設定のフォローにもなるし、特に支障もないので次に検討を進める。

 

 

 まずはズボンのポケットから小さいピルケースを取り出す。

 その中には薬の錠剤のサイズで黒色の薬のようなものが一粒入っている。

 

 それを手に取り見つめる。黒色でまるで磨かれた小さな石のようにも見える。

 恐らく口の中に入れても溶けないものであろうとも推測出来る。

 

 これは五人目の報酬であった。アースラから家に戻ったあとに置いてあったものである。

 書いてあった紙の内容を思い出す。

 

 

 

 ▼▼

 

 

 とうとう五人目の達成おめでとー!! 

 いっぱいムフフな事を楽しんでいるかな? (キャッ♡

 

 これは五人目の報酬だよー。「コピーお薬」なのです!! 

「今いる世界にて、現段階において存在している能力、魔法、力など何か一つ同様の力をコピーして1回だけ使用することができる」

「ただし、使用した力の大きさによって体にフィードバックが発生する」

 

 これで君も憧れの戦士や魔法使いになれるかも!! (ドキドキ

 過去に失われている力や未来の力は利用出来ないから注意してねー!! その時は無駄使いになっちゃうよー。

 あと、フィードバック自体はそれで直接的に死んじゃうことはないから安心だね!! (さすが出来る子!! 

 

 それじゃ、頑張ってー!! 

 

 

 ▲▲

 

 

 

 

 なんとも使いたくない報酬である。そして直接的では無く、間接的に死ぬ可能性があると言うことにも使用を躊躇うには十分であった。

 忌々しげにそれを見ていたが、どうにもならないので手で持っていたそれをピルケースに仕舞い込む。

 そして、首からぶら下げているペンダントにも目を通した。

 これはリンディさんのサブ報酬である。

 

 

 

 

 ▼▼

 

 

 サブ三人目だね!! 着々とハーレムを楽しんでますなー!! 

 

 これは「名前教えてペンダント」だよ。ペンダントの宝石部分を触って相手を見るとあら不思議。

 その相手のフルネームが頭の中に浮かんじゃうんだ!! (スゴイ!! 

 度忘れしても大丈夫だよー。

 ただ、使用回数は合計「1回」だけ。使っちゃうと消えちゃいます! 

 

 それじゃ、頑張ってー!! 

 

 

 ▲▲

 

 

 

 首にかかっているペンダントを見る。装飾自体はシンプルでシルバーを基調として付けていても特に違和感は無い。

 ぶら下がっている宝石部分は小さな赤いルビーのようなものがはめ込まれている。

 これを触ってみれば使えるのであろう。試すにしても1回だけなのでここぞと言う時にしか使えない。

 けど、使う機会があり得るのか? と言う疑問もあるが保険として持っているぐらいの気持ちで居ようと思う。

 

 ただメイン報酬、サブ報酬を貰ってみて大体の方向性が見えてきたかもしれない。

 合計人数によるメインの報酬はどちらかと言えば身体にプラス出来るような感じなのでは無いかと。

 英雄と言う名に近づける為のストーリー攻略要素を軽減する報酬の形である。

 サブ報酬は催眠能力自体の補佐をする為の報酬では無いかと推測している。

 メインの報酬をもう一個貰えばさらに確信的になるだろうが、現段階では難しいだろう。

 実際、報酬目当てで人数を増やすと普通に首が締まってそもそもが回らなくなってしまう。

 基本的に報酬目当てはやらないべきであろうと考えるのであった。

 

 そして、途中途中で内緒で家に戻れるようにもリンディさんと話をしてある。

 すずかであったり、フェイト、アルフの方にも継続対応を実施出来るようにするためだ。

 この辺りは適時必要に応じて非戦闘要員の立場を活かしつつ夜間とか隠れて対応を進める予定である。

 

 

 そして、ジュエルシードの回収が実施されていくのであった。

 

 なのは、ユーノそれぞれが出撃して問題無くジュエルシードを回収していった。

 基本的に相手はなのはの攻撃で瞬殺されるのだが、なのははいつもよりも不満げな表情を浮かべている。

 自分の防御魔法に回す魔力も無い為か攻撃自体はいつもよりも大きく感じられた。

 

 その魔力の大きさにアースラ内の観測している人達は驚きの声を上げて改めて脱帽しているようにも見える。

 クロノくんよりも魔力が全然大きいねと弄ってきている女性が見えた。恐らくあれがエイミィなのであろう。

 クロノは「魔法は魔力値の大きさだけじゃない。状況に合わせた応用力と的確に使用できる判断力が必要だ」と言ってはいるが何故か覇気があまり感じられなかった。

 

 とは言え、クロノが言っていることは自分も賛成できる。

 持っている力の大きさと力の使い方はそれぞれが必要であると思うからだ。

 比重があまりにも突出していれば話はさらに変わってくるが、バランスが取れてる方が手の出し方の幅が広く様々なシーンに活用できると思っている。

 ただ、魔法戦闘自体はこちらも理解出来ない為、なんとも言えないので特にそれには触れないようにしていた。

 

 回収は無事終了して、なのは達がこちらに帰還する。

 そしてそれを迎えにいくと、なのはは気づいた瞬間に自分の所までぶつかるような感じで近づいてくる。

 

 先ほどの不満顔はどこへ行ったのかと言うくらいの笑顔を向けてきた。褒めて褒めてーと言わんばかりのその無邪気な笑顔はまたなのはの魅力を感じさせるのであった。

 他の人達は暖かくその様子を見守ってくれている。設定通りに進んでいることを安心しつつそのままなのはを労るのであった。

 

 ただ、ジュエルシードの回収状況を聞くとフェイト側もアースラ側の監視の目を掻い潜り何個か集めているとのことである。

 

 

 

 そうしている内に舞台が海鳴市の海へと移る。

 

 

 フェイトの存在が観測された。海鳴市の海上で魔法を唱えようとしている状況であるらしい。

 来たなと思い、その状況を確認するために状況報告に耳を澄ます。

 この辺りは普通にジュエルシードを集める所を聞いていたのとプレシアが手助けに入るはずなので怪しまれないように命令は行っていない。

 ただこのイベントが終わるとフェイトやアルフが更に追い込まれてしまうはずなので、そこのフォローは必要だと考えていた。

 

 

 ここでの対応はフェイトが一斉にジュエルシードを発動させてなのはが助けにいく流れになるだろうと予測していた。

 

 ただ、入ってきている報告があれ? と思ってしまう。

 フェイトは少しずつ範囲を選択しているかのように魔法を発動しているらしく、ジュエルシードを一斉に強制覚醒をしていないらしい。

 もちろんそれを行うに辺り時間がかかるが危険は減る。そしてこちら側でもそれを捕捉されるのだが、まるで誰かを待っているかのように海上で探索を続けている。

 

 

 

 

 あれ……? フェイトさん冷静すぎじゃない……? 

 

 

 

 

 そんな気持ちは向こうに伝わらないだろう。フェイトはそのまま海上での探索を続けている。

 さすがに疲弊を待つとかそう言う場面では無く、普通に対応するため、なのはが出撃していくのであった。

 

 

 そしてクロノやユーノも他の危険性を考慮していつでも出撃出来るように待機する。フェイトの名前から過去に居た魔導工学の研究開発者プレシア・テスタロッサとの関連性が疑われるためフェイト以外の敵対者に対応するためだ。

 

 

 フェイトとなのはが海上で向かいあう。お互い正面に向き合いデバイスを構えているが、会話をしているような感じで各々が口が動いていた。

 その内容は恐らくアルフが貼っているであろう妨害魔法で聞き取ることが出来無い。

 元々お互い興味があるはずだし、そして最後にはお友達になるだろうから何故こんなことをしているのか? とかの疑問を話しているのだろうと推測している。

 

 

 そしてフェイトが口を動かしてなのはに何かを伝えたのか、なのはは表情を一変させ、何かに怒ったような大声をあげる様子が見えた。

 こちらに伝わらない声を伝えるかのようになのはの体から巨大で膨大な魔力が噴き出すのであった。

 その余波は広大な海を揺らすようにも感じられる。

 

 そしてその膨大な魔力に応えるかのようにフェイトからも金色の魔力が体から噴き出す。

 正直、なのはと比べると大きさは弱いが、それは逆に集中することで圧縮され磨かれた刀のように洗練されてる黄金の魔力のようにも感じられる。

 こちらの余波も本人の魔力資質である雷を伴って海上から空へ影響を及ぼすのであった。

 

 

 

 それらを観測している人達が魔力の量に驚き叫ぶ。慌てふためく様子を見ながら思うのだ。

 

 

 

 なのはさん。フェイトさん。一体、何があったの……? と。

 

 









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28話

 __

 

 

 

「フェイトちゃん!!」

 

 一人の少女、高町なのはが広大な海の空を駆ける。海上で浮遊していた金色の髪を持つ少女、フェイト・テスタロッサへ向かい駆けるのであった。

 そして二人の少女が向かいあう。

 

「フェイトちゃん……。ジュエルシードを探しているんだよね?」

 

「…………」

 

「もし……一緒に探したらその後、それを賭けて勝負とか出来たりする……?」

 

「……」

 

 フェイトからは返答が無く、なのはは返答がなかったことで誤魔化すように、にゃははと照れ笑いのような声を上げる。

 そんななのはのことを気にかけない形でフェイトは辺りを見渡したような動作をした後、初めて言葉を発する。

 

「今日は()()?」

 

「えっ……うん。そうだけど……」

 

 

 フェイトは何か残念そうな表情を浮かべる。なのははその様子を怪訝に見つめるのであった。

 だが、フェイトは話を続ける。

 

「勝負自体は構わない」

 

 その言葉を聞いて、なのはは、やった!! と言うように顔をぱぁっと明るくする。

 ただ次に繋ぐ言葉はその少女の心を変化させてしまう。

 

「あなたの守る壁を打ち破りたいから」

 

「えっ…………?」

 

 高町なのはは最初、その言葉の意味が分からない戸惑った表情を浮かべていた。

 ただ、内容の意味が段々と頭に染みていき内容を理解し始めると共に様子が段々と変化していく。

 

「フェイトちゃん……? 何を言っているのか()()()()()()()()?」

 

「……? 言葉の意味の通りだけど……?」

 

 フェイトは急に変化した様子の高町なのはに戸惑った表情を浮かべる。

 ただ、その答えに満足が言っていないように高町なのはは言葉を荒くして告げてしまう。

 

 

「私のこの(奏くんを)護る力を壊すって言うの!!」

 

「そう。私はあなたの守る力(防御障壁)を打ち破れることを証明したい」

 

 

 現段階では結果として同じ形になるかもしれない。ただ違うのだ。

 高町なのはは魔法そのものが彼を護る力である。それを破壊するという言葉は彼女の言葉はその心に秘めている想いを壊されてしまうという恐怖、そしてそんなことは絶対にさせないという怒りのような感情があらわれてしまう。

 

 

「そう……なら、試してみる?」

 

 

 その言葉に合わせ高町なのはは「はああああああっ!!」大きく叫び声をあげ動作をする。

 声に応えるかの如くなのはの身体から今までに無いくらい膨大なピンクの魔力が吹き出るのであった。

 

 対するフェイトもその魔力に動じることは無い。むしろ結果を出せるという高揚感にも包まれ気合い十分かのように彼女からも魔力が溢れ出るのであった。

 その溢れ出る魔力はフェイト本人が剣本体と言わんばかりに圧縮され研ぎ澄まされれている。

 

 

「構わない。早いか遅いかだけで、乗り越える結果は変わらないから」

 

 

 そうなのはへ伝えフェイトは気合い十分という様にデバイスを構えるのであった。

 

 

 

 __

 

 

 

 

「なのはちゃん!! なのはちゃん!! 聞こえる?」

 

 

 エイミィが声を大きくして通信を行っている。

 妨害されているのかそれとも声を聞こえていないふりをしているのかは分からないが、なのははフェイトと対面したまま動く気配はなかった。

 

 

 アースラ内は絶賛、バタバタ中である。

 魔力観測もそうだが、二人が膨大な魔力を溢れ出していることもあってそれに呼応するかの様に海にまだ眠っているジュエルシードが目覚めそうなのだ。

 というか、何個かはもう覚醒しているっぽい。

 

 本人たちの魔力とは別に二人の周りには超常現象が発生していた。

 海上の竜巻であったり、空から嵐の様に雷や雲が押し寄せてきている。

 

 だが、二人は全くそのことに気にしていないのだ。お互いから目を離すことは無い。

 

 それは光景と合わせある意味、クライマックスの決戦の様な雰囲気すら感じられる。

 

 

 リンディ艦長は、クロノ、ユーノへと待機状態から出撃へと指示を出しはじめる。

 出撃する二人は……クロノはともかくユーノは悲壮感が見えている様な気がした。

 

 あの今にも怪獣大決戦を始めようとしている二人を宥めて、ジュエルシードを封印するという中々ハードなミッションに取り組む必要がある。

 ユーノはそれを悲観している様にも見えるがそれはさておき、流石にこのままでは原作通りに進まなくなる可能性が高い。

 彼女たちの行動自体は後で聞き出そうと思うがまずは目の前の問題をどう進めていくか考える。

 

 そして、リンディさんへ声を掛けるのであった。

 

 

「リンディ艦長!」

 

「……何かしら。奏くん?」

 

「僕もユーノ達と出撃してもよろしいでしょうか?」

 

 

 リンディは何を言っているんだ? と言わんばかりの表情を浮かべる。

 

 

「どうして? あなたが行っても戦闘には参加出来ないでしょう?」

 

「確かに戦闘には参加出来ないです。ただ、なのはを冷静にさせることは出来ます」

 

 

 実際、なのは達が冷静になれば事態は一気に緩くなる。

 あの二人が戦闘してしまうとカオスになるので、そこさえ抑えられれば何とかなると考えていた。

 

 ただ側から見ても二人は周りから声を掛けられてもすぐに冷静になるか微妙な所であろう。

 クロノが割って入ってもそちらの対応に取られてしまい、その間にジュエルシードの方が暴れてしまうためそちらを放置することも問題だ。

 ジュエルシード単体ならまだ何とかなるかもしれないが複数となると、それをユーノが抑えるには難しいであろう。

 

 その二人の立場を逆にしても、ユーノがあの二人を穏便に収めることは難しいだろう。

 ユーノが決して弱いわけでは無い。各々の役割の問題でもあるのだ。

 簡単なイメージだとなのはは前衛か砲撃としての後衛。クロノはオールラウンダーとしての中衛。ユーノは後衛メインである。それぞれがしっかりと機能する様に配置されればチームとして発揮されると思われた。

 ただ、後衛メインを前線に配備してもただ蹂躙されるだけであるのも想像は難しく無い。

 

 とは言えここで自分が無理に戦闘に参加しても役に立たないのは分かっている。

 しかし二人を冷静に戻せることに関しては問題ないだろうと思っていた。

 

 けど、自然に入り込める様にするためにもリンディさんからの許可を得る必要があった。

 

 リンディさんの方を見つめる。自分が受けた話を考えこんでいる様にも見えた。

 勿論命令で行けるのは分かっているがそんなことをすればあっという間に自分が終了するだろう。

 

 自分の存在を隠しつつ要望に応えるという点で、リンディさんはどうすべきか悩んでいるはずである。

 そしてアースラ内で行っている自分の設定ともそこまで齟齬は無く進められるであろうということも理解しているはずだ。

 

 そうして、考えが纏ったのかクロノ達に声を掛ける。

 

 

「クロノ。ユーノくん。奏くんも少しだけ出撃させることは可能?」

 

 クロノはそれを聞き、無茶です! と答えるのであった。

 

 

「一つか二つ程度声を掛けてそれで何も進展が無ければ帰還させるわ。成功出来るに越したことは無いから試してみる価値はあると思うの」

 

 

 クロノはそれでも無茶だと言わんばかりの表情だ。

 ただ、ユーノはなのはと仲が良い関係性をある程度理解してくれているので、通用出来るかもしれないとフォローを入れてくれる。

 

 若干、クロノとしこりはありつつではあったが、ユーノにフォローされる形で呼びかけを行うことになった。

 

 

 ユーノにフォローされる形でなのは、フェイトがいる海上へ向かった。

 無事、その現場に辿り着き二人の様子をみる。まだ、お互いの様子を見ている状態なのか二人は魔力を噴出したまま向かい合っている状態であった。

 クロノはジュエルシードの状況を確認に集中している。

 

 二人がまだ戦闘が行われていないことに安堵しつつユーノと話し始めた。

 

 

「そう言えば声を大きくする魔法ってあったりする?」

 

「多分あるとは思うけど、僕は使えないかな」

 

 

 そう言ったのは大体念話で行うからと言われてしまった。

 それもそうだな。と納得しつつそれだったら少しでも大きく声を伝えるため、二人へ近づく様にユーノと話を行った。

 

 そして大体、二人にも届くくらいの位置に着いたらきちんと二人に聞こえる様に大きく口を開けた。

 

 

 

『周りを見ろっ!!!!』

 

 

 

 実際、これはなのはでは無く()()()()へ向けた声である。

 フェイトの方は命令を聞く状態であるため、それを利用する形で声を掛けフェイトが落ち着けばなのはも落ち着くだろうという形でもあった。

 

 

 自分が出した声がちゃんと聞こえたのかなのはの方は「奏くん!?」と驚いた様子でこちらを見てくる。

 そしてフェイトの方は命令通りに周りを見始めて初めて状況に気づくのであった。

 

 なのはは先ほどの様子から変化して、こちらに真っ直ぐに向かってくる。

 そしてこちらに合流を果たすと、すぐに自分の周りにピンク色の防御膜が張られたのが分かった。

 

 その心遣いに感謝しつつも近づいてきたなのはを「なのは。周りをちゃんと見なきゃダメだよ」と声を掛ける。

 そこで初めてなのはは周りを見てジュエルシードの暴走が始まっていることがわかるのであった。

 

「なのは。まずはジュエルシードの封印を行うべきだよ」と伝えると「分かったの!!」と理解した様子を見せる。

 それを見てユーノと共にホッと一安心ついた。なのははそのまま暴走しているジュエルシードへと向かっていく。

 

 さりげなくフェイトの方を見る。フェイトはジッとこちらを見ている様に感じられた。

 視線をフェイトから暴走しているジュエルシードの方へ向けた後、再度フェイトの方を見つめる。

 そしてフェイト以外に誰にも気づかれない様、頭をコクンと頷く様に動かして無言の意図をフェイトへ伝えるのであった。

 

 フェイトはその動作の意図を理解したかの様にフェイトもジュエルシード回収へ向けて動き出す。

 アルフもどこに伏せていたのか分からないがフェイトと一緒に回収を手伝う。

 そうして主軸二人の行動が開始されジュエルシードが元の姿に戻るにはそう時間は掛からないのであった。

 

 

 海上に6つのジュエルシードが浮かぶ。

 それを挟む様になのは、フェイトが改めて向かい合う。ここで再度また同じことが起きるのかと思ったら「戦闘区域に次元干渉!!」とアースラ側から連絡が行われる。

 その連絡に合わせるかの如く海上の空から紫色の大きな稲妻が走った。それを見てフェイトは「母さん!?」と呟くが、稲妻は真っ直ぐフェイトに向かい直撃される。

 

 

「ああああっ!!」

 

 

 雷の衝撃を受けフェイトが声を上げる。そしてその余波がなのはにも向かった。なのはは直撃はしなくてもその余波の衝撃でフェイトから離れてしまうのであった。

 

 フェイトはその雷の直撃を受けて気絶したかの様にぐったりとしてゆっくりと飛行状態が解除される。

 それを慌ててアルフが支えている。そして二人の居なくなった場所に6つのジュエルシードが輝いている状態が残っていた。

 

 アルフはそのジュエルシードも回収しようと動く。だが、さすがにそれは許さないと言わんばかりにクロノがアルフの動きを防ぐのであった。

 しかしその動きを防いでいたクロノをアルフは力の限りに吹き飛ばす。そしてジュエルシードの方に改めて向かうのであったが、そこには6つでは無く3つのジュエルシードがあった。

 

 クロノが防いでいると同時に3つ回収していたのだ。さすが万能型であると感じたが、アルフは残っている3つを回収した後、目を晦ますかのように海へ力をぶつける。

 その力が上げる海柱はこちらの視界をしっかりと防ぎ、収まった頃には二人とも居なくなっていた。

 

 

 そうしてアースラ組だけが海上に取り残される。なんとも言えない空気の中、帰還の準備を始めた。

 自分はなんとかストーリー的に進行出来たことに一安心しつつ、いつ戻ればよかったのだろうとも思っていたりしていたのであった。

 

 



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29話 □エロ リンディ(指フェラ〜A舐め

この話はストーリー的に進行はほぼありません。シチュ的にもし苦手な方がおりましたら飛ばして頂ければと。


 状況を頭の中で整理しようと思っていた。

 

 

 ひとまずジュエルシード探索は一区切りになり、一旦アースラから家に戻る状況であるが現段階ではまだアースラ内にいる状況である。

 家に戻った後、いよいよクライマックスへ向けて動き出すのだ。

 

 

 色々と内容を考えながら対応を検討しようと思っていたが、

 

 

 

 はむっ。ちゅる。ちゅ。

 

 

 

 右手の人差し指の先端が暖かい何かに包まれている。そして指先を丁寧になぞり上げる感触が心地よさを生み出し思考力を少しずつ削り取られる様にも感じられた。

 その感触を受けている場所へ目を向ける。そこにはこちらの右腕を両手で大事そうに抱え突き出している指先を口内に入れているリンディさんの姿が見えた。

 

 人差し指を口に含み瞳を閉じて一つ一つを味わうかの様に舌が動く。その動きに伴って小さく水音が部屋の中に響くのであった。

 

 待機状態で部屋に居た時にふと現れたリンディさん。家に戻る前に継続対応をしておいた方が良かったので丁度タイミングを見計らったかの様にリンディさんが部屋に訪れていた。

 そうして継続対応が行われる。体を舐めるという継続内容の為、指先を舐めてもらい早々に終了する予定であったのだが。

 

 

 

 ちゅ。んっ……れろっ。ちゅっ……ちゅ。

 

 

 

 指先の第一関節部分をぐるりと周回する様に舌が動く感触が伝う。そしてまるでミルクを求める子供のように指先を吸い込む。

 その刺激が微弱ながらも心地よさと合わせ快感が生まれていく。

 

 

 指先を咥えたままリンディさんの瞳が開かれる。そしてこちらと目が合うと嬉しそうにニコっと笑顔を見せてくれた。

 その笑顔はいつも感じられた凛々しい姿とは違いまるで少女のように無邪気さを含んでいるようにも感じられた。

 新たな魅力を発揮してくるリンディさんに心臓が一瞬跳ねたようにも感じられる。

 

 

 そんな照れた様子を見たのか見ていなかったのか分からないがリンディさんが動き始める。

 人差し指の第一関節まで咥えていた部分を一気に吸い込むように人差し指全体を口に収める。

 

 

 さすがに子供の体型でもありこちらの指一本全部含めても向こうの喉を不快にさせることはなかった。

 リンディさんの口内は人肌として暖かくねっとりとした唾液がローションのようにも感じられる。

 

 

 そして、ちゅーという擬音が付くくらいに口の中で指を吸い込む動作が行われる。

 指が吸い込まれる感触は、真空のように圧迫される感触を生み出すのであった。

 

 

 指先から何か出てしまっているのかと勘違いしてしまう位、リンディさんは頬を染めうっとりとした表情で指先をちゅちゅと吸い続けていた。

 更に吸い込む動作を行いつつ舌が大きく動く感触に切り替わったりする。指先だけの時よりも大きく動く舌の感触は滑りと摩擦で更なる心地よさを伴っていた。

 

 

 段々と指が唾液でふやけるような感覚にも陥る。そしてリンディさんはゆっくりとこちらの手を優しくマッサージするかのように手のひらを両手で開くようにしてきた。

 指を咥えていた口を動かし、今度は指の付け根のところに舌を這わせてくる。そして更に舌をスライドさせ次に中指を咥えるのであった。

 

 

 舌の感触は普通の肌との触れ合いとは別に淫猥な感覚を引き起こす。

 ゆっくりと丁寧にそして優しくも舌の筋肉の強さをこちらの手に伝えてくる。

 まるで舌で手全体の愛撫を受けているようであった。

 

 

 時には指の横の部分を横笛のように柔らかい唇で挟む。そしてゆっくりと舌を絡めてくるのだ。

 リンディさんは頬を染めて咥えたままこちらを見てくる。その表情は心を興奮させてしまう。

 

 

 そして思ってしまうのだ。その舐め方を男性器にして貰うととても気持ち良いのでは無いかと。

 リンディさん自体、恐らくは意識しているのであろう。指先を舐め回すその舌は亀頭を磨くように。

 指を咥えこむその動作は男性器全体を口内に収めこむように。そして指の付け根を舐める動作は男性器の根本を堪能するかのように。

 こちらにイメージさせるように見せてくるのだ。ある意味熟練された動きを感じさせて心の期待がドキドキと高まってしまう。

 

 

 とは言え、さすがにそのまま命令してしまうと誘惑されて負けたようにも感じてしまう。

 これはリンディさんと駆け引きを行う一種の勝負なのだと訳の分からない思考に陥ってしまう。

 その結果、暴走気味の行動を起こしてしまうのであった。

 

 

 指を舐めていたリンディさんの顔をこちらに近づけるように手を動かす。

 手に吸い付くようにしてリンディさんの顔も一緒に動かしてくれた。

 

 

 そしてその手を自分の顔の近くまで引き寄せる。自然とリンディさんと顔と顔が近づいていった。

 こちらの口を軽く開け舌を見せる。近くでその様子を見ていたリンディさんは意図を理解したかのようにウキウキとした様子で指から顔を離しこちらの口に唇を重ねるのであった。

 

 

 お互い口を開いた状態で唇と唇が密着する。そしてリンディさんが柔らかい舌をこちらの舌と絡め始める。

 

 

 ぬちゅにちゅと絡め合う舌の音が頭の中に響き渡る。そしてリンディさんの女性の香り。

 何か香水を薄らとつけているのだろうか。不快では無く、その女性の魅了を高める匂いはリンディさん自身の匂いと合わせこちらの性的興奮を誘ってしまう。

 

 

 リンディさんの舌の動きはまるでこちらを誘導しているかのように優しく絡めてくる。

 息継ぎなど必要ないかのようにお互いの唾液を交換し続けるのであった。

 

 

 ディープキスというのは一種の性交であるというのを感じさせてくれる。

 まるでお互いが口を通じて一つになる粘膜の接触は幸せすら感じさせてしまう。

 

 

 だがリンディさんの舌の動きを感じてこうも思うのだ。

 

 

 

 それはまるで彼女に手ほどきを受け、彼女好みに仕込まれていると。

 

 

 

 もちろん絡め合う舌は気持ちよく、自然とお互い気持ち良いだろうというのは理解出来る。

 しかし、年上のお姉さんがリードするかのように絡め合う舌はこうするともっと良いんだよと言わんばかりに絡め方を誘導してくるのだ。

 

 

 まぁ、実際、見た目的にはリンディさんは年上になってしまうのはしょうがない。

 ただ、こちらにも意地というものがあるのだ。よく分からないその思考は更に己の暴走を開始してしまう。

 

 

 優しくこちらの口の中に入れていたリンディさんの舌を押し返すようにこちらの舌をリンディさんの口内に入れ込む。

 そしてリンディさんの頭をこちらの両手で固定して、攻めを転じさせたかのようにこちらの舌でリンディさんの口内を蹂躙し始める。

 

 

 リンディさんはそのいきなりな動作に驚いたように目を大きく開く。しかし、こちらの動きを理解したかのように優しく蹂躙する行為を目を瞑り受けて入れてくれる。

 その様子は何故か年上の余裕に見え、こちらに敗北感を引き起こされる。

 しかし、まだこちらのターンと言わんばかりに唾液を沢山リンディさんに送り込む。

 

 

 だがリンディさんはその送り込まれた唾液を嬉しそうにコクコクと飲み込む。

 そしてまるでお酒を飲んだ時のようにうっとりと頬を紅潮させてくるのだ。

 もっともっと飲ませて欲しいとねだっているかのように更に舌をにゅるにゅると絡めてくる。

 

 

 自分で味覚を設定したのにもかかわらず、何故か敗北感が引き続き湧き上がってしまう。

 ちきしょうと何故か心の中で自分を罵倒するのであった。

 

 

 しかし絡め合う舌の動きは止まらない。合間合間で酸素をお互い求める動きが絡み合う唾液の音を発生させて淫猥に聞こえてくる。

 固定していた手を優しくリンディさんの頭を包み込むように変化させる。

 それはお互いの年齢的な見た目は兎も角、恋人同士で行うような優しく激しいディープキスを行う。

 

 

 リンディさんは先ほどの余裕が無くなったかのように目がトロンとした表情でお互いの口を貪る。

 お互いの口内を交互に舌で移動させ絡めあう。それはどこまでも溶け合う気持ち良さを伝えてくれる。

 

 

 決してお互いの歯をぶつけない。実際、それは醒めてしまう行為にも繋がってしまうので、こちらの腕を見せるように注意を払いながら口付けを交わし続ける。

 リンディさんもそれは分かっているのだろう。むしろ唇でフォローしているかのように優しく密着感を高めてくれるのであった。

 

 

 どの位経ったのだろうか。10分位なのか1時間位なのか時間の感覚がない。

 その位お互いの唇を交わし続けることに夢中になってしまった。

 

 

 身体はすっかり興奮してしまっている。最初の気持ちと裏腹に次の期待で身体が熱を持ち続けていた。

 リンディさんはこちらの身体の興奮が分かっているかのように手をさりげなくこちらの股間部分へ持ってくる。

 そしてズボンの上から優しく指をなぞり上げてくるのだ。更に爪で勃起している裏筋部分をカリカリとズボンの上から刺激してくる。

 

 

 まるでこちらの身体すらコントロールしてくるようなその動きは、主導権を改めてリンディさんに渡してしまう。

 絡めあっている状態でお互いの目を見つめ合う。お互いの吐息が重なりそして股間部分に伝わる刺激。

 それはこちらを更に溺れさせてしまう。

 

 

 しかし、改めて溺れすぎないようにこちらの心を戻すように努力した。

 ちきしょう。息子よりも若い年代に何してくれてるんだ! ともはや自分で設定している状態を何もかも棚に上げた罵倒を頭の中で展開する。

 

 

 リンディさんに勿論そんな気持ちは伝わらず手を動かしこちらへしっかりと快感を伝えてくる。

 その快感はいっそ何もかも溺れてしまいたいと先ほどの悔しい気持ちは一瞬で吹き飛ばされてしまうのだった。

 

 

 リンディさんを改めて見つめお互い瞳と瞳が合わさる。リンディさんの潤んだ瞳は何か照れ臭い感情も湧き上がるが身体は更なる刺激を求めてくるのだ。

 ゆっくりと自分の服を見る。そして改めてリンディさんを見て脱がして欲しいという視線を向けた。

 

 

 リンディさんはその動きを見て理解したかのように優しく微笑んできた。そして優しくこちらの服を脱がしてくれるのであった。

 あっという間にこちらは全裸になってしまう。ある意味色んな意味で手慣れているその動きは母としての貫禄を見せられているようだった。

 

 

 しかしこちらの男の主張は止まらない。その象徴をリンディさんはうっとりとした目で改めて見てくれる。

 その期待に応えるかの如く、こちらの勃起は更に強くなっていった。

 

 

 ゆっくりとリンディさんがしゃがみ込む。あの指で感じさせてくれた行為を男性器で味わう期待感が出てくるが、待てよ。と思ってしまった。

 

 

 確かにあれを受ければ気持ち良さで一瞬で果ててしまうだろう。

 だがそれはやはりリンディさんに敗北感を持ってしまう。敗北はその後、こちらに主導権が無いまま一方的に搾取されてしまうだろう。という謎の危機感を持ってしまう。

 

 ひとまずしゃがみ込んだリンディさんを止める。男性器に近づいていたリンディさんの瞳が先ほどとは違いギラギラしていたがそれは気にしないようにした。

 まずはお互い対等にということで、リンディさんも裸になるように伝える。

 

 

 リンディさんは物凄く照れた表情をこちらに向けてくる。それは生娘にも似た少女のような仕草である。

 しかし、命令に逆らうことなく少しずつ服を脱いでこちらを楽しませてくれるのであった。

 

 

 そうして全裸になったリンディさんを見る。やっぱり緑なんだなぁ。としみじみ感じる感想が浮かび上がったが、プロポーションはやはり女性らしさをしっかりと感じさせてくれるのであった。

 

 

 お互い裸のままベッドへ行き抱き合うように一緒に横たわる。

 裸になったことで、肌寒さを感じていたその肌はお互いに触れ合うことで温もりに包まれていく。

 

 なんか安心する……。とどんな年齢でも心に持っている子供心が女性と抱き合うことで安心感を得てしまうが、身体はずっと正直である。

 興奮は冷めず次の快感を欲してしまうのであった。

 

 

 リンディさんと抱き合いながらキスをする。先ほどとは違い今度はちゅちゅとした軽いキスを連続で行った。

 それは唇の柔らかさとともに心の快感が満たされる。

 

 そして勃起している男性器をリンディさんの肌に擦り付ける。肌の摩擦が気持ち良い。

 リンディさんはそれを見て優しく手で男性器を包み込んでくれた。

 そして撫で撫でというように亀頭部分を優しく手で擦ってくれる。思わずその刺激はこちらの腰を前後へ動かしより強く求めてしまうのであった。

 

 

 理性がドロドロに溶けていく。本能のままに腰を擦り付けて快感を得てしまう。

 そして頭の中で先ほどの舌の快感を思い出してしまうのだ。舐めて欲しいと強く思ってしまう。

 

 心は敗北し正直になってしまう。舐めて。とリンディさんに伝えてしまうのだった。

 リンディさんはそれを聞き嬉しそうな表情を見せてくれる。

 

 いよいよ。男性器に強い快感が走る期待と気持ちが高まってしまっていたが、リンディさんは先ほどストップさせた行為の罰かのように顔は男性器へ進行しなかった。

 抱き合っていた状態からこちらをゴロンと優しくひっくり返して、リンディさんが背中の方に回ってしまう。

 

 

 何? 何が起きるの? とちょっとドキドキになっていると、まずは首の後ろ部分にれろっと舌が這う感触があった。

 そして舌を回すように動かして、少しずつ下に下がっていく。

 背骨の部分を舌が這う感覚は、ゾクゾクとした快感の感覚を引き起こす。そして時折キスをするようにちゅっと唇の感触が背中に伝わる。

 それはくすぐったさとゾクゾクした快感を伝え背中が軽く反ってしまうが逃さないように手をこちらの胸側へ回し舌を這う動きをしっかりと伝えてきた。

 

 

 それと合わせて密着している状況だからだろう恐らくはリンディさんの胸の部分が背中にあたる。暖かく柔らかい感触とともに少しコリコリとした触感を背中に与えてくれる。

 想像だけでも更に男性器は興奮して大きくしてしまう。

 

 そして背中から腰に舌が回る。尾てい骨部分に舌が這うとくすぐったさが増してしまうが、リンディさんは逃してくれることはない。

 そのまま更に舌で快感を伝えてくるのだ。こちらの感覚は色んなものでグチャグチャである。

 しかし快感は逃げてくれない。声を漏らさないように必死になってしまう。

 

 

 だがリンディさんの攻めは止まらない。こちらのお尻の方まで顔が近づいたのがわかる。

 そこから動きが早かった。こちらがえっと思う間もなく、お尻の部分が手で開かれ顔がそこに密着されるのがわかった。

 

 

 そして男性の菊の部分に舌が這う感触が始まる。

 

 ~~~~~~っん……。と声にならない悲鳴が心の中で木霊する。ゆっくりと周囲の部分に舌が動き暖かさと柔らかさと滑りを伝えてくる。

 そして何よりも精神が興奮を伝えてくる。決して綺麗とは言えない場所を綺麗な女性に舐めさせる。このシチュエーションだけでも男性器は興奮を包みこんでしまう。

 

 しかし舌の動きは止まらない。まるで美味しいものを舐めているかのようにペロペロと丁寧に舐め上げてくる。

 そしてシワの一つ一つまで丁寧に舐めてくるその動作は快感を伝え括約筋の緊張を緩めるかのように心地よさを与えてくれる。

 

 

 舌が尖る。そしてシワの溝を舐めるように舌先が震える。その刺激は男性器をブルブルと動かしてしまうくらい悶えるものであった。

 その悶えた様子を感じたのか、そのまま舐めつつも両手を男性器に回してくれる。

 暖かいその両手は男性器を優しく挟みシゴいてくれるのであった。

 

 性的刺激によって溢れている先走った液体が手を伝いヌルヌルとした感触を男性器全体に伝えてくれる。

 ローションで塗られたように摩擦の速度が上がり快感を増幅させてくれるのであった。

 

 その快感に腰が動きたくなってもしっかりとリンディさんが逃さないように腕で固定しているので肛門への刺激。

 そして男性器の快感を余さずこちらへ伝えてしまう。

 

 

 肌がふやけるかのように舌や唾液が敏感な肛門に這ってくる。その快感に緊張が更に緩みつつあった状態を見抜くように舌を更に尖らして穴へと侵入してくるのであった。

 

 

 にゅぷにゅぷとした音と共に舌が穴へと前後し始める。そして時折グリグリと言わんばかりに舌をより深く埋めてくるのだ。

 それの快感には声を我慢することが出来ない。口から喘ぐように音が漏れてしまう。

 

 その声にご満悦なのかは知らないが、より丁寧に舌が動くのが分かる。そして口付けのように唇の感触と音が聞こえ更に心や身体が興奮してしまった。

 より強い快感を求め腰が動き更に顔の方へ密着される。それが嬉しいかようにリンディさんの舌の動きが休むことはなかった。

 

 もちろん男性器に回している手の動きも止まらない。更に強くなっているようにも感じられる。

 指の腹が裏筋部分を擦り、そして手の平で強く撫でるように亀頭部分を触ってくれるのだ。

 

 

 終わりが近いのがわかる。射精感がこみ上げて来ているのだ。まるでそれが分かっているかのように今度は手をギュッと竿の部分に回し根本まで引っ張るように動かしてくる。

 その手の動きは亀頭部分をより大きく膨らませ射精への我慢が出来なくなる。

 

 

 これで止めかと言わんばかりに舌が穴へより深く差し込まれて来た。その刺激はこちらをギュッと筋肉を収縮させてしまう。

 まるで舌を抜かせないかのように収縮させた筋肉は快感を生み出し、射精へと導くのであった。

 

 

 開放する強い快感に更に声が出てしまう。大きく膨らんだ亀頭から白くドロドロな液体が溢れて来た。

 その射精に伴う快感は一瞬の意識を飛ばす。

 

 

 リンディさんはその射精した精子を逃さないように回していた手のひらでしっかりと受け止める。

 その量は改めて見ても相当なものであると思ってしまった。

 だけど、そんな状況の中でリンディさんは更に残りも絞り取ろうと優しくもう片方の手で優しく竿をシゴいてくれた。

 

 

 先ほどとは違い優しい快感が男性器に伝わる。ゆっくりと残っていた部分が溢れてくる。

 それをリンディさんは手で拭ってくれた。そうしてリンディさんの手の中には自分が出した精子が溢れているのであった。

 

 

 リンディさんはお尻から顔を離し、その手に受け止めていた精子を見つめる。

 そしてゆっくりとその精子を自分の口の中に啜り込むのであった。

 

 

 全て口に含み噛むような動作を行う。頬を染めうっとりとした表情を浮かべてリンディさんは精子を味わい続ける。

 その表情は幸福を感じさせるようにも見えるが何よりも魅惑的に見えてドキドキとした感情を甦らせてくれる。

 

 

 味わった後はコクリと喉を可愛らしく鳴らして飲み込んでいく。

 そしてこちらに笑顔を見せてくる。それは「ごちそうさまでした」と伝えてきているように見えてしまう。

 

 

 それを見て、次こそは負けない!! と謎の対抗心を燃え上がらせてしまうのであった。

 

 



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30話

 アースラから無事に家に到着した。

 あの戦いの際にアースラ側もプレシアに攻撃されていたらしく、フェイト達の足取りはまだ不明のままである。

 

 

 そしてなのはにどうしてフェイトと向き合い続けていたのかという所も聞いてみた。

 返ってきた答えは「フェイトちゃんと魔法の話でどうしても納得出来ない事があったの」と。

 それを聞いてうーん? と思ってしまい更に話を聞いてみると、力がどうとかの話となり、魔法戦闘関連の話なのかいまいち中身を読み取ることが出来なかった。

 最初から魔法へ傾倒しているなのははそれこそ戦闘民族の血を受け継いでいる証拠を見せるように力と力のぶつかり合いを求めている節もある。

 それが今回暴走させたのか? と思ったが、とりあえずフェイト側の方も聞いてみてから判断しようと思った。

 

 

 なのはがアースラ側からの音声に反応しなかったのはフェイトの方に意識を集中させていたため聞こえていなかったとのこと。

 これに関しては、リンディさんから直接注意という形でひとまず終わってくれた。

 

 

 

 そしてクライマックスに向けて、もう一息だなと気合を入れて行動を開始する。

 ちゃんと進んでくれればアルフが先に戻ってくるはずなので、そこに合流しておく必要があると考えていた。

 

 

 ちなみになのはは、リンディさんと共になのはの実家の方に挨拶に行っている。

 魔法関連のフォローはそのままリンディさんに完全に任せるつもりであった。

 

 アルフは確か……プレシアに反抗して怪我を負ってしまい、アリサに発見されてそのまま一旦保護されるはず。

 その後になのは達がアリサの家に遊びに行ってそこでアースラ側へ説得される。

 そして、フェイトを助けてほしいという願いを申し出る流れだったはず。

 

 これ自体はそのまま進めるべきだと思っている。ただ懸念として説得の際にきちんと応えるように話をしておかないと、どうすべきかアルフが困惑してしまう可能性がある。

 何も会話せずに行けるならそれに越したことは無いが、アルフはそこまで読み切れるのか少々不安なところがあるのも事実である。

 下手に自分と繋がっていることがバレないようにするためにもアルフとは擦り合わせておく必要があると考えていた。

 

 

 そう考え携帯電話を手に取る。そして連絡を開始するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「あんたも戻ってきているんだったら、ちゃんと連絡しなさいよね!」

 

 そのツンとした声だけでも相手が誰だか分かってしまうのでは無いかと思っているアリサと現在、一緒に車で移動している。

 電話にて連絡を行い、丁度下校に合わせてアリサと一足先に合流したのだ。そしてアリサ宅へ遊びにいくと言う体を利用して行動を共にしている。

 

 

 アリサと話をしつつ状況を聞き出す。まだ、アルフは見つかって無いらしい。

 そうなるとしばらくはアリサと行動を共にする必要があるなと考えつつ話を続けて行った。

 それなりに好感度は稼いでいるはずなので、それを利用しつつ上手く進めようと思っている。

 

 

「けど、なんで下校から話をしたいって思ったのよ」

 

 しかも二人っきりで……とそっぽを向きながら小さく呟く声も聞こえてきた。

 

「しばらく話が出来なかったから……少しでも長くアリサとお話ししたいと思ったんだけど嫌だったかな?」

 

「イヤじゃ無いけど……」

 

 

 こう言うのは順序が……と何の順序? と突っ込みたくなる呟きを聞きつつ車の窓から周辺を見てみる。

 会話に集中しすぎないように念のため辺りを確認する。以前のサブイベントのようなものに巻き込まれると面倒なので、せめて周囲は確認しておこうと思ったからだ。

 とはいえ、あんなイベントは早々起こるものではなく、周囲は至って平和にも感じる状況であった。

 それこそ何か不穏なことがあれば違和感にすぐ気づく位の平穏な状況である。

 

 

「あんたもなのはと一緒に居たってことで良いのよね?」

 

「うん。そうだね。詳細はまだ言えないけど一緒に居たことは間違いじゃ無いよ」

 

「詳細って……なのはが時々ぼーっと考え事をしている時があったけどその件なの?」

 

 

 さすが友達である。しっかりと様子を見て心配しているのがよくわかる。

 その答えには素直にコクリと頷いてアリサに肯定を伝えるのであった。

 

 

「何で? 友達には相談出来ない内容なの?」

 

 友達の概念は人それぞれであろう。人によっては損得勘定で付き合う人も友達としてカテゴライズされる場合もある。

 しかしアリサの場合は違うであろう。友達とはお互いの信頼を預け、そして悩みごとは一緒に悩んで解決していきたいのであろう。

 その考えはとても尊いと思う。そしてそれを尊重して上げたい。綺麗な考えは年齢と共に色んな濁りが出てしまうから、そういったことはさせたく無いと思ってしまう。

 ただ勿論その考えは自分の独り善がりの考えであると言うことも理解しているので、あくまで尊重するようにアリサと話を続けるのであった。

 

「相談はしたいんだと思う……」

「ただ、なのはの考えもあるだろうし、話の内容自体が色々とありすぎて中々相談出来ないのもあると思うんだ……」

「アリサもジレンマはあるかもしれないけど、出来ればなのはから相談があるまで待っていてほしい」

 

 なのははちゃんとアリサを信頼しているよとフォローも伝えておく。

 更に「実際、僕もアリサの事はとても信頼しているよ」と優しく笑顔で持ち上げることも忘れない。

 それを聞いたアリサは照れ隠しのように頬を軽く染め「ふんっ!」とそっぽを向くのであった。

 

 

 そうしてそっぽを向いていたアリサが何かに気づいた様子を見せた。

「鮫島! 車を止めて」と運転手へと伝える。

 

 恐らくは鮫島と呼ばれていた人が本来の運転手であったのだろう。

 お嬢様の急遽の要望にもしっかりと余裕で応えてくるその動きは素晴らしいものであった。

 

 車を問題なくストップさせるとアリサはドアを開ける。

 そして道路から側の通り道を進んでいくのであった。

 自分もそれに続いてくと、その道に転々と血のような物が赤く滲んでいた。

 

 アリサの動きが止まる。その止まった場所には犬のような狼のような姿の大型の動物が寝転がっているのであった。

 ピンクに近いその毛並みは、アルフの獣形態の姿である。

 

 ジャストタイミングとは思ったが、やはり怪我をしていたので、そちらの方を優先すべきである。

 アリサとも話を行なって、アルフの保護を一緒に実施するのであった。

 

 

 

 

 

 __

 

 

 私を呼ぶ声が聞こえ意識が少しずつ覚醒しはじめるのが分かった。

 

 そして目を開くと母さんが側に居てこちらに話かけてきた。

 

 ジュエルシードの数がまだ不足しているとのこと。

 それを伝えてくる母さんの声は優しくもあり不満にも聞こえる。

 そして私は自分の不甲斐なさ、力不足を感じてしまうのだ。

 

 まだ不足しているジュエルシードを集めてきて欲しいと母さんから伝えられる。

 私はそれに応えるように体を動かすのであった。

 

 辺りを見渡す。いつも一緒に居たアルフの姿が見えない。

 母さんが言うにはアルフは怖くなって逃げ出したらしい。

 

 こんな私じゃ見限られてもしょうがないよね……と自分を責める。

 そしてこう思ってしまう。一人になっちゃった……と。寂しさが心に包まれてしまうのが分かってしまった。

 

 ただこうも思ってしまった。奏に会いたいと。

 幸福や安心というずっと浸っていたいあの感覚。そして掛けられる声や匂い。それは私を優しく包み心を震わせ何でも出来るという万能感にも似た感覚を与えてくれる。

 その感覚を知ってしまうと次へ次へと求めることもそうだが、枯渇した時にはそれを強く求めてしまう。

 そしてそれを求め続ける事は勿論、何も間違ってないと思っている。

 

 特に最近はその成分が干上がってしまっているのが自分でもよくわかる。

 だからこそどうしてもそれを強く求めてしまうのであった。

 

 私は渇いた喉を水で潤したいようにそれを常に求めてしまう。

 だから行動しようと体を動かし始めた。

 

 そう心に決めた瞬間、それを()()する声は雑音に聞こえ何も耳に入らないのであった……。

 

 

 __

 

 

 

 アルフを無事、アリサの元で保護することが出来ていた。

 鮫島さんの手助けもありアルフの治療は無事行われ、夜にはご飯も食べれるくらいに回復している。

 

 そしてこちらに気づいた時にアルフは動揺していたが、毛並みを撫でつつ、大丈夫だよ。落ちついて。と動物を宥めるような形で言葉を伝える。

 素直にその言葉を聞き、アルフは落ち着いたので様子を見て他に聞こえないように注意を払いながら擦り合わせを行う。

 アルフは他にバレないように喋る事はさせず、こちらから内容を一方的に伝えるだけではあったが無事それも行うことが出来た。

 

 

 そうして無事にアリサ邸から家に戻る。

 時間はもう夜になり、明日以降からの予定を考えつつ家の前まで辿りつくとそこにはフェイトが一人で立っているのであった。

 

 フェイトは泣きそうにも見える表情でじっと明かりのない自分の家の方を見つめている。

 恐らくはプレシア関連にて色々とあったのだろう……。その様子は追い込まれ衰弱しているようにも感じられた。

 

 早く何とかするべきだなと思い、フェイトの方に近づく。

 フェイトは近づいてきた自分に気づき、寂しそうなその表情が少し緩和されたようにも見える。

 だけど、他人のふりをするという命令に従っているため、フェイト側から声をかける事はしてこない。

 ただ周囲の目が無い状況は理解しているのであろう。チラチラと視線でこちらを伺ってくる。

 

 そのいじらしい様子に心の奥で可愛らしさや儚さを生み出し庇護欲がどうしてもかき立てられてしまう。

 それらの欲求に反抗する事なく、フェイトをしっかりと受け入れるように両手を広げて「おいで」と許可を出した。

 

 

 すると許可を得たフェイトは先ほどよりも更に笑顔を輝かせてこちらの胸に飛び込んでくるのであった。

 

 



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31話

 フェイトと一緒に家に入る。

 

 

 家の前に居たフェイトを見てあまりにも寂しくなっている顔、そして儚くも健気に感じたその雰囲気を感じてしまったので、衝動のままにそれらの解消へ向けて行動を行ってしまったが、これは反省すべき点も多いだろう。

 本来は念のためバルディッシュの有無を確認すべきだと思うし、周りが居ないとは言え短慮に行動してしまった所は反省すべきだと思う。

 

 

 家の中で移動中もずっと引っ付いているフェイトの頭を優しく撫でても特に離れる行動も無いので結果的には問題なかったが後々それが致命傷になる可能性もあるので、今後は注意すべきだと思う。

 ただ、正直、個人的には衝動のままに行動したのは後悔していない。

 あの状況で冷静な対応をするのは自分自身に嫌気が差しそうである。勿論、必要に応じて時には突き放す行動もしないといけないのは理解出来ているし、その覚悟もあるつもりだ。

 しかし、フェイト自身はまだ甘えたい年頃でもあるのだ。そこまで危険が無い中で、それをある意味突き放す行動を行うのは出来なかったのだと思っている。

 まぁ……もう少し上手く行動出来るようにしたいと思ってはいるので、心をコントロール出来るよう改めて気合を入れ直すのであった。

 

 

 居間に到着してもフェイトはずっとこちらの体にぴったりとくっ付いている。

 常に体が触れている状況はフェイトのその暖かい体温を感じられてしまう。

 そしてフェイトの顔はずっとこちらの体に埋めるかのようにピタッと吸い付いていた。

 

 

 ひとまず「座るよ」と声を掛けて一緒に居間のソファに座った。

 フェイトは顔を埋めたままでも問題なく一緒に座ったのを見て器用なものだなぁ……。と少し謎の感動が出てしまった。

 座ったままフェイトの頭をよしよしという感じで撫で続ける。そして時折、「大丈夫だよ。フェイト」と何が大丈夫だかよく分からないが、とにかく励ましの言葉を伝えて落ち着くまで待ち続けた。

 

 

 

 

 

 どのくらい時間が経ったのだろうか……。そろそろ引っ付いている腕とかも正座を続けていたように血流が妨げられ、あの痺れるような感覚を引き起こしそうである。

 しかし、無理に引き剥がすことも出来ないので落ち着く様子を見るまでは自由にさせ続けるつもりであった。

 

 そこから余り時間は掛からずしがみ付いていた力が弱まり、フェイトはゆっくりと顔を起こしてこちらを見てくるのであった。

 顔をあげたフェイトを改めてじっと見つめてみる。

 

 

 先ほどとは変わって顔の血色がしっかりと戻り悲しげな印象がなくなっているように見える。恐らくは匂いを嗅いで安心したのであろう。

 こういうと変態っぽく感じてしまうが……それはともかく気持ちが戻ってきたのを確認出来て一安心である。

 

 

 儚げな印象や悲しみの表情は消え失せ、揺り籠で安心している子供のように無垢な笑顔をこちらに見せてくる。

 そして少しずつ潤み始めているその瞳は何かを訴えているようにも感じられた。

 どうしたものかと考えていたが、フェイトはこちらが何も動かないことに痺れを切らしたのか改めて自分の肩の部分へ顔を預ける。

 顔は横向きになり、自分の首筋の部分にフェイトの吐息がくすぐるようにかかってくる。

 

 それはフェイトを抱っこをしている感覚になる。更にフェイトの身体の香りがこちらに強く感じられてしまうのだ。

 その少女の蕩けるような甘い香りは強く抱きしめたい衝動を引き起こすが流石に自重すべきであろうと考え「フェイト。落ち着いたかい?」と声をかける。

 

 フェイトはそのままの姿勢でコクリと頭を動かしてくれる。

 ひとまず色々とこのままの姿勢では大変なことになるので、少し体を離そうとフェイトを優しく引き離そうとした。

 

 その瞬間、フェイトは嫌がるかの如くこちらに抱きついていた腕や顔を更に強くしてきた。

 そしてイヤイヤと言うかの如く顔をこちらの体に擦り付けてくる。

 ぐえっと心の中で声が出てしまうくらいその力は強くそれを引き剥がそうと思ったら一苦労するであろう事は容易に分かってしまった。

 ただ、さらに強く抱きしめて来ているので、よりフェイトの匂いは強くなる。

 

 一体、匂いで安心するのはどっちなんだろうと言わんばかりにフェイトの香りに酔いそうになる。

 本当に我慢が効かなくなる前に話を進めようと思い、とりあえずそのままの格好で話をするのであった。

 

 

「何があったの?」とフェイトに問う。

 

 

 フェイトは小さく呟くように「アルフが居なくなっちゃった……」とこちらに伝え、ぎゅっとこちらに更に抱きつく力を強くしてきた。

 アルフが居なくなってやはり心が追い込まれていたのであろう。再度、空気が悲しみに包まれそうになる前に、フェイトの柔らかくしっとりと濡れたような金色の髪を手で撫で上げてあげる。

 フェイトはその手を嬉しそうに受け入れてくれる。まるで猫のように目を細めるその仕草は、こちらの手の感触を楽しんでいるようにも感じられた。

 

 

 そして、

「大丈夫だよ。アルフはフェイトを決して見捨てたりなんかしていない」

「アルフは居なくなった訳ではなく、今、こっちからお願いをして動いて貰っているよ」

 

 と髪を撫であげながら伝える。

 まずはアルフがちゃんと居ることを伝え、こちらの意思で動いて貰っている趣旨を伝えることでアルフは裏切っていないフォローを入れておく。

 元々心優しい少女でもあるフェイトはフォローが無くてもアルフと再会して問題なく再度仲良くなるであろう事は想像に難しく無いのだが、それでもフォローを入れておいた方がフェイトの心の負担も減るだろうと考えて伝えたのであった。

 

 

 フェイトはその言葉を聞き、ゆっくりと顔をこちらの正面に移動させる。

 先ほどの悲しみを表現したかのように瞳はより潤いを増してはいたが、こちらの言葉を聞いて「ホント?」と首を傾げながらこちらに聞くような表情を浮かべてくる。

 

 

 それを見て優しく笑顔を向けて本当だよと伝える。

 するとフェイトは「良かった……」とにへらっと言う感じで表情を崩して笑顔を浮かべた。

 

 

 それは本当に無垢でありつつもその年齢にあった少女の笑顔である。

 いつも凛とした表情とは別な面を見せてくるフェイトは新しい魅力をどんどんこちらに魅せてくれるのだ。

 その魅力にやられたかのように、ついこちらからもフェイトを抱きしめてしまう。

 

 

 

 フェイトは笑顔でその行為を無条件で受けて入れてくれるのであった。

 

 

 

 そして、しばらく抱き合っていたがさすがに頭が冷静になってくる。

 ゆっくりとこちらから抱きしめていた力を弱め、フェイトへ向き直る。

 フェイトは若干苦しかったのか顔が少し赤くなっているようにも感じられる。そして窮屈な状態から解放されたためか息を大きく吸い込むようにしていた。

 少し強くしすぎたかと改めて反省しつつ、お互いに落ち着いたので本来の道筋に戻すべく話を行う。

 

 

「フェイト。僕からお願いがあるんだけど、聞いてくれるかな?」

 

 そう告げるとフェイトは一瞬目をパチクリさせた後、いつもの可愛い笑顔をこちらに向けて

 

「うん! 任せて!」

 

 と返事をしてくれるのであった。

 

 

 

 

 

 自重する心は鍛えるべきだな……。と今後も何回も思いそうな事項を考えつつ改めて気を引き締めた。

 本日はなのは達と一緒にアリサの家にて遊ぶ予定である。

 

 そしてなのはには事前にアルフの存在っぽいのが居る旨を伝えていた。

 アースラ側にそれを報告してもらうためである。

 

 

 なのは側には恐らく戦闘があり得るためアースラ側からの捕捉がそれなりにされているだろうが、自分が知っている事実を報告しておいた方が無難であるためそれをお願いする。

 もちろん、自分側の捕捉はリンディさんにお願いしている事とそもそもデバイスや魔力が殆どが無いので労力をかけないように監視対象外として動いて貰っている。

 ただ、今回、偶然ではあるが発見してしまった事実が出来てしまったため今後は注意するべきではあるが……何とか誤魔化しつつ対応していくしかないかと割り切った。

 

 

 ちなみになのはにアルフと思われる存在の旨を話した際、やたらなのはが不機嫌になってしまいそのご機嫌取りが大変だった……。

 恐らく勝手にフェイトに繋がる手がかりを見つけてしまった事が不満だったのだろうと考えているが、中々機嫌が戻らない。

 そのため、今度一緒に特訓をする旨を約束させられてしまった。それ自体は別に構わないのだけど……なのはの特訓は魔法メインなので自分が役に立てるか非常に不安である。

 しかし、約束をした瞬間になのはの機嫌が戻り先ほどの不機嫌な様子は演技のようにも感じられてしまった……。一先ずは機嫌が戻ったことでよしとしようと心を落ち着けさせる。

 

 

 そうしてアリサの家に向かいアルフとなのは達が会う状況になった。

 ユーノがフォローする形で、なのはとアルフの間を取り持ち会話を進めさせる。

 

 アルフにはまずそちらの状況を聞かれたらフェイトの状況を説明して助けを求めるように伝えてある。

 いきなり素直に寝返れと言うと何の理由もなく寝返る可能性もあり、そうなるとアースラ側はあからさまに不自然だと感じるだろう。

 その為、アルフもちゃんと理由を持って寝返る対応をしておく必要がある。

 この辺りも大丈夫ではあると思ってはいたが、何があるか分からないので念のための対応であった。

 

 

 恐らく念話で会話を繰り広げているであろう。……そろそろ自分も念話に参加出来るようにしておかないといけないなと思うが、解決方法があるのか今度リンディさんに聞いてみようと思う。

 

 

 そうして改めてフェイトが主軸ではなく、プレシア・テスタロッサが大元であると伝えられた。

 アースラ側はリンディさんの指示のもと、ジュエルシードの回収からプレシア・テスタロッサの捕縛へと対応が変更される。

 どちらにしてもアースラに攻撃してきた事実で捕縛する事は可能であると判断もあってのことであった。

 

 なのはにどうしたい? と言う形で質問を行う。なのはは事情を聞いた結果なのか「フェイトちゃんともう一度ちゃんとお話ししたい」と言う主人公にあるべき熱さを持って参加を決意していた。

 

 

 

 

 

 そうして、場所はあの二人がお互い膨大な魔力を伴い向き合っていた、海が見える公園。

 

 

 

 海鳴臨海公園にて、なのはとフェイトが再度向き合うのであった。

 

 



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32話

 

 深くは考えないようにしていたが、これからの流れである意味決着するのだ。

 この世界が滅ぶか生き残るか。

 

 

 世界が滅ぶと言うあまりにも壮大すぎなその出来事は、正直最初はそこまでピンと来ることが無く心が追い込まれていく事もなかったのだが、改めてこれからの最終局面を迎えるに辺り心へと重くのしかかってくる。

 あの存在が言うには何もしなければこの世界は無くなるだけであろう。

 それに手を加え崩壊を防ぐと言うところはマイナスからゼロへと戻るのである意味プラスしかないはずと思えるが、そう言ったことではないのが肌で感じられてしまう。

 

 

 自分の失策でこの世界の人たちが消え失せてしまうのだ。

 勿論、自身が死ぬのはイヤであるし全力で回避するつもりだが、最悪はある意味覚悟しなければならない。

 自分自身の失敗は自分自身で償うだけであればまだ救いがあるが、そういう話ですまないところが心の隙を突いてくるのだ。

 それを考えてしまうと各々が生きて生活しているこの世界が己の失策で全て消え失せてしまう事実はプレッシャーを確実に与えてくる。

 

 自分が知らない人たちでもそのプレッシャーを受けるのに、今まで知り合い、話し、触れ合っている人たちが失策によって消え失せると言う重さはとてつもない心の緊張を招くのであった。

 

 

 自分は英雄や主人公的資質は無いのは理解している。

 どこまでも熱く燃え上がるような心は持ち得ないし、催眠能力という与えられた能力以外、特筆すべき力を持っている訳でも無い。

 何もかも全てを救うという夢物語に憧憬する事はあるが、それが現実的にどこまで行ってもあり得ないという事も理解している。

 ただ、そう言った資質が無い事を悲観している訳でもない。それこそそんな資質があったら逆に潰れて廃人になってしまうであろう。

 それほど救うという行為は難しく道は果てしなく遠い。そして重いのであった。

 

 

 相対している二人を見る。

 彼女ら二人はそれこそ物語の主人公として存在している。更にそれに見合う精神や強さを持ち合わせていた。

 なのはは、どこまでも真っ直ぐに熱く己の信念を貫き通す。そして泣いている子を当たり前のように助けてあげるのだ。なのはが持つ心の強さと優しさはどこまでも真っ直ぐあり続ける。

 フェイトは、儚くも感じられるその心を震い立たせ、強い心に成長させてどこまでも進み続ける。そして敵対する相手のことすら心配出来るその優しさはどこまで進んでも心の曇りを感じさせない。

 

 勿論、二人だけではない。他の人たちもそれぞれの心。信念を持ち己の信じる道を進み続けているその姿はとても魅力的に感じさせる。

 それらがなかったことのように失い全て消えるのは許せない感情と共にプレッシャーを与え心が潰れそうになる。

 

 

 だが、やるしか無いのだ。

 

 

 自分が世界を救うなど傲慢も良いところであろう。何もかも助けるという高潔な心は持ち合わせていない。

 自分が生き残る為、その結果がついてくるだけである。そしてせめて自分の見える範囲で不幸にならない人を少しでも増やしたいだけである。

 そう考えつつ心の位置を改めて置き直す。

 まぁ……催眠で色々と致してしまっている時点で問題があるかもしれないが……不幸にはさせたくないのは事実であった。

 

 だからこそ、自分は何もかも飲み込み続け常に思考を回して実践を行う。

 所詮このくらいしか出来る事はないと自虐しつつも、決して自分の心から逃げぬよう目を逸らさず進むのだ。

 恐らくはこの状況や感情すらケタケタと笑いながら見ているであろうあの存在。

 それに少しでも届かせるよう心を引き締め、行動を開始するのであった。

 

 

 

 __

 

 

 

 

 ……フェイトちゃん。

 

 目の前に映る少女。フェイトちゃんを見て私は以前とは違う感情が湧き出している。

 

 以前は私の魔法を打ち破るという個人的にものすごく許せない内容を伝えられてしまったので感情のままに行動をしてしまった。

 奏くんに言われるまで、衝動のままに行動していたらジュエルシードの被害は酷かっただろうと考えてしまう。

 勿論、リンディさんにも怒られて反省している。あの衝動自体、後悔は少しも無いけどそれでも頭の中は冷静にするべきだったと思った。

 

 何故ならフェイトちゃんのその発言の意味を全く考えてなかった。

 ジュエルシードを集める意味。フェイトちゃんのお母さんに渡す為、彼女は体を酷使して集め続けていた。

 恐らく私が封印して守っているジュエルシードも欲しかったのだろう。

 そう言った意味で彼女はあのような発言をしてきたのではないかと考えていた。

 

 私は相手の事情も考えず行動してしまった点を反省しなければならない。

 どんな時でも相手の行動を考えないと相手の先を読めない。それは後手に周り負ける可能性が高くなってしまう。

 そう言った浅い考えでは絶対に負けられない状況で負けることがあり得てしまうのだ。

 その事実だけでも私自身到底許せる事は出来ない内容であった。

 もっと私は全力全開で成長しなければならない。成長した姿を奏くんに見てもらうのと同時に彼をどこまでも優しく包み護る必要がある。

 どんな状況でも護るためには力は必要である。思考する力も付けなければならないと改めて心に誓った。

 

 そうでないと奏くんを堪能出来るあの作戦すら遂行することすら出来ないだろうと考えてしまう。

 アリサちゃんと二人っきりで一緒に居たなんて…………私にとって到底許しがたいその状況は己の力不足を感じてしまう。

 だからこそ、それを聞いた時に利用して、奏くんと特訓の約束をしたのだ。あらゆる作戦をここで遂行するつもりである。

 

 

 ぽやーと妄想に走りそうになる。だけど状況が状況なので、それを惜しみつつも慌てて振り払う。

 

 

 ふぅーっと考えを落ち着けさせて、改めてフェイトちゃんを見るのであった。

 

 今回、こちらに現れているのは前回同様こちらのジュエルシードを狙っているためだと思う。

 そして……思っていたよりもフェイトちゃんの気力が充実しているように感じられた。

 アルフさんの話を聞いた限りでは、お母さんのためにほとんど休むことなくジュエルシードを集めていたはずなのでもっと疲れた様子があってもおかしくないはずであった。

 

 しかし見たかぎりでは、万全の状態にも感じられる。その姿は海の上で会った時と変わらない凛々しく強い印象をこちらに与えてきた。

 アルフさんがフェイトちゃんに声をかける。だけどそのアルフさんの悲壮にも聞こえる声でもフェイトちゃんの動きに影響はなかった。

 その様子を見て現段階で言葉の説得は難しいと感じさせる。

 

 フェイトちゃんが纏う魔力の大きさはその想いの強さを表しているように感じてしまう。こちらも想いの強さで負けるつもりは全然無いけど、話し合う事は今は無理かなと思うのには十分であった。

 こういう時でもお互いの意思の確認の仕方はお兄ちゃんやお姉ちゃんに聞いたことがある。

 

 

 そう、これは……拳(魔法)で語るってやつなの! 

 

 

 そう考えてワクワクする心を胸に持ちつつ、手に持っていたレイジングハートへ魔力を込めるのであった。

 

 

 

 __

 

 

 

 

 フェイト、なのは両方ともに魔力を纏い戦闘体制に移行した。

 

 フェイトには複数命令を行っている。まずはこの段階の命令として、

 アースラ合流前にこちらが全員集合しているこの場に居合わせ、お互いのジュエルシードをかけるようになのはと戦闘を行うこと。

 なのはとの戦闘では全力を出す必要はなく、全力で戦闘している()()をして怪我や魔力消費を極力抑えるようにすること。

 そして程々の時間が経ったらなのはに負けるふりをすること。

 

 負けた時にジュエルシードをなのはの方に引き渡すようにする流れも伝えてある。

 

 実際、ストーリーをなぞる事は必要であるが、それが必要なのは予測外の行動を防ぐためである。

 そのため、完全にストーリーの通りに進める必要はないと考えていた。

 予想外の行動を防ぐための目的がストーリーをなぞりつつ進めるという手段である為、目的と手段が入れ替わら合いように注意しつつ今回の流れを組み込んでいく。

 フェイトが全力を出してそれが負けた後、ジュエルシードを差し出すそぶりを見せればストーリーと同様に間違いなくプレシアが手を出してくるはずである。

 そうすればアースラ側でプレシアの居所を掴むことが出来るので、対プレシア戦へと移行するのだ。

 

 フェイトにはここでの戦闘の消費を抑えてもらうようにしたい。その後のプレシア戦に向けて少しでも力を残しておくべきだと考えているからだ。

 

 勿論、フリでもそれなりの魔力を使う事は必要であろう。だから消費を抑えるにしても加減しすぎて怪しまれないように注意するようフェイトにも伝えていた。

 中々違った意味で難しい任務であるが……フェイトは自信満々に「大丈夫!! 任せて!!」と言ってくれていたのでその言葉を信じている。

 

 実際、多少の消耗は入るのはしょうがないとしても、ここでなのはさんの魔力砲撃の代名詞でもある巨大な砲撃のマトになる必要はないと考えていた。

 非殺傷設定があるとは言え、近距離であの砲撃を受ければ消費というよりもトラウマになりそうだし……。

 

 またその後に関しても命令を行なっているが、プレシアの独白に対しての対策は何も伝えていない。

 これはフェイトには一旦アースラに留まってもらうことで、後に自分がプレシア戦に参加する流れを作る必要な措置であるため割り切るつもりである。

 とは言え、それに対して心が痛み続ける事は間違いない。だが、それを彼女に謝って逃げる事は出来ない。その罪をしっかりと飲み込むしかないのだ。

 勿論、彼女の心のフォローは出来る限り早急に行うつもりではある。ただ、こういう事は今後も判断することが多いだろうから覚悟を決めるしかない。

 

 

 そう考えながら二人を見ているとなのはとフェイトの戦闘体制からそれぞれ行動が開始される。

 その二人が持つピンクと金とそれぞれが色を伴う膨大な魔力はまるでこちらに見せつけるように展開されるのであった。

 

 



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33話

 __

 

 

 なんでだろう。

 

 

 頭の隅に疑問が住みつく。

 

 フェイトちゃんからの攻撃を防御する。その攻撃は私の体に届く事はない。防御魔法できちんと防げているのだ。

 そして私はフェイトちゃん対策の戦闘パターン訓練を思い出しつつも、そのイメージ通りに体を動かしていく。ディバインシューターを使い魔法攻撃の数をどんどん増やしていった。一つ一つの制御は少なく簡素にして小さな固定砲台を作り上げていく。

 それらはあくまで通り道を作る為のものだ。更に完全に制御しているディバインシューターでフェイトちゃんの行動の幅を狭めるように攻撃を開始した。

 

 

 ただ、やはりフェイトちゃんはそれを上回るスピードでこちらの攻撃を当たらせない。

 そして合間を縫って、小さな金色に纏う魔力の塊を複数こちらに撃ってくるのだ。

 

 私は何個かは回避出来ずそのまま受け止めてしまう。

 だがそれらの攻撃は決してこちらの防御を抜く事はなかった。

 

 攻撃を受けるたびに疑問の大きさが少しずつ膨れてくる。

 

 フェイトちゃんの動き。射撃の緻密さ、そしてこの青い空をどこまでも自由に早く駆けるその姿は私が体験したかったものであるのは間違いない。

 だけど、フェイトちゃんとの魔法の語り合いはもっと重かったイメージが残る。

 

 攻撃の一つ一つが私の想いを打ち破るかのようにもっと鋭く重いものであったはずだ。

 だけど今の攻撃は受けて分かってしまう。この攻撃では私の想いを含めている防御を抜く事は決してないと。

 

 

 

 私が強くなったの……? 

 

 

 

 ……確かに魔法の特訓は続けており成長出来ている実感はある。

 ただこの感覚はこれで済ませていいものだろうかと悩んでしまうのだ。

 

 確かにフェイトちゃんの動きは私の糧になってくれる。それは求めていた経験でもあり、その鋭利な攻撃は私よりも戦闘経験が上であることを伝えてくる。

 だけど、これでは私が負ける事は決して無いだろうという事も理解してしまう。

 

 

 どうしても攻撃から感じられる想いが軽いのだ。

 

 

 下手をすれば防御魔法に触れた瞬間、霧散してしまいそうな攻撃。

 フェイトちゃんときちんと戦った回数は少ないけれどそれでも以前受けた時とは比較にならないくらい弱く感じてしまう。

 

 

 お母さんを想うその力はその程度なのか……と残念な気持ちすら湧き上がってしまう。

 段々とその呼応に合わせるかのようにこちらの戦意も萎んでくるような感覚に陥ってしまった。

 

 

 フェイトちゃんを改めて見てみる。

 

 体から湧き上がるその魔力は以前と変わらない。むしろもっと鋭く重く研ぎ澄まされているようにも感じられる。

 ただ、そこから繰り出される攻撃は感じられた魔力よりも数段落ちていた。

 本人が疲れていることを誤魔化すようにこちらに見せているのだろうか。見た目の魔力と攻撃される魔力との差異にどうしても違和感を覚えてしまう。

 

 

 けど、フェイトちゃん自身も攻撃して分かるはずだ。これではこちらに届く事は無いという事を。

 

 お互いの視線を交わし合う。

 

 

 フェイトちゃんは決して諦めている瞳をしていない。むしろどこまでも真っ直ぐキラキラと輝いている。

 だからこそ頭の中が困惑してしまうのだ。戦闘中でもある為、そう言った感情は読まれないように顔に出す事は勿論無いが、ちぐはぐにも感じられる意思と攻撃は動きを少しずつ鈍化させていく。

 

 

 

 だけど、ふと思った。

 

 

 

 

 それが狙いなの……? 

 

 

 

 

 ドキリと心臓の音が跳ねたようにも感じられた。

 まるでそれに答えを与えるかのように、私の片足に丸い輪っかのようなものが絡みつき動きが止まってしまった。

 

 その瞬間、あっと声を上げ失敗したと感じてしまう。

 そしてフェイトちゃんがその隙を待っていたかのように高速で目前に迫りデバイスを振り下ろしてくるのであった。

 

 

 

 __

 

 

 __

 

 

 

 今っ!! 

 

 心の中で声を上げてなのはの目の前に移動する。

 

 奏から言われている命令は忠実に行う予定だ。

 元々魔力をおさえる長期戦闘の訓練は行っているので、それ自体は大きな問題は無いと思っている。

 だけど、やはりこの一点は行うべきだと常々思っていた。

 

 

 なのはの防御魔法の破壊。

 

 

 奏からも本気のフリを行う必要性はしっかりと言われており、それに伴って魔力の使用の許可は得ている。

 言われた命令をこなすに辺り自分も行うべき内容を考え行動を実践している。

 

 本気のフリを行いつつも、なのはの防御魔法を抜く為、魔力節約も兼ねて行う作戦である。

 

 恐らくなのはは戸惑ったのであろう。こちらの攻撃の薄さにいつもと違う感触を得ていたはずだ。

 それはやはり戦闘経験の薄さが浮き彫りになってしまう。

 だからこそ、そんな中で仕掛けたバインドに気づく事が遅れてしまった。

 

 その隙を私は自身の為に活用する。

 

 ずっとあれから考えていたシールド破壊魔法である。

 シールド破壊だけを目的として私の今ある全勢力を注ぎ込んだ魔法だ。

 

 演算処理もただ破壊するだけを目的としており、それに合わせるように魔力も圧縮をどんどん捻り重ねてどこまでも硬くしている。

 イメージは勿論、剣の錬成である。

 

 鋼鉄を熱で溶かしつつ叩いて固めそして更に鋼鉄を重ねて硬く鋭くさせていく。

 それをイメージして魔力の硬度を高めていくのであった。

 バルディッシュ自体は戦斧から発展させている構造のため、現段階ではあくまでその刃としての活用となる。

 それでもその刃の強度は私がイメージしている通りの硬さと強さを持っていた。

 

 

 そして私の想い。

 

 

 奏を自由にさせて上げられるその想い。檻で守るのではない。彼が私に願ってくれる通りに動いてずっと尽くすことこそが私の幸福なのだ。

 だからこそその楔を解き放ちいつでも自由にすることが可能であると彼へ示したい。

 

 

 その想いを受け取ったかのようにバルディッシュも魔力の刃を更により強く出力させて応えてくれる。

 

 

 だから私もそれに応えるように、ここだけは本気の全力でなのはへ私の想いを伝えるのであった。

 

 

 

 この想いは……他の誰にも負ける事は無いと! 

 

 

 

 

 

 

 そしてその想いは届く。

 

 

 

 

 パリンとなのはが纏っている桃色のシールドが割れた。ガラスが割れたような音が周りに響きわたりシールドが虚空へと消える。シールドを破壊することに無事成功したと思った。

 やった! という喜びの感情が出てくる。これで奏をいつでも自由にすることが可能になるのだ。後は彼の命令次第でいつでも助けることが出来るだろうと更に心が喜びに溢れてしまう。

 

 だけど、まだ任務の遂行中であることを忘れてはいけない。目的をほぼ達成出来た以上、後は消耗を避けるようにして負けるだけだと考えていた。

 まずはなのはから距離を置くため、手に雷撃系の魔法を準備する。これでなのはのバリアジャケットを抜かないように軽く吹き飛ばして距離を取ろうと思っていた。

 そして距離が出来たらなのはからの攻撃が行われるであろう。それを少しずつ受けて負ければ一つの任務は完了である。

 

 

 

 

 そう考え片手に込められた魔法をなのはへ向ける為、視線をそちらへ向けた。

 その光景を見た瞬間……私の頭の中は真っ白になってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なのはの前に先ほど砕いたはずのシールドが更に()()あったのだ。

 

 

 

 その光景を見て呆然としてしまう。

 

 そしてその呆然とした表情を見たのか分からないが、少女の声が耳に入ってくる。

 

 

「フェイトちゃん……」

 

 

「なんで、シールドが1()()しか無いって思ったの?」

 

 

 

 当たり前だ。あんな硬いシールドが1枚あるだけでも魔力の消費が尋常ではないはずである。

 それが複数となると……消費魔力もそうだが、その壁の厚さは想像外であった。

 

 

 慌ててこちらからなのはとの距離を取る。設置されている攻撃を避けつつ距離を取る行動はなのはの予想パターンに嵌ってしまった。

 彼女が仕掛けている通り道を通ってしまい、体にバインドが巻き付けられてしまう。

 

 慌てて解除を試みるがなのはの方はそれで十分だったのだろう。彼女のデバイスから急激に魔力が高まるのが分かってしまった。

 

 恐らくは砲撃魔法。

 防ぐ間も無くデバイスから発射するその魔力の奔流はこちらの意識を刈り取るのであった。

 

 薄くなっていく意識の中で思う。

 

 

 必ずその檻を打ち破って見せると。

 

 

 

 __

 

 

 

 __

 

 

 

 やっぱりフェイトちゃんは凄い!! 

 

 改めてそう思った。

 私の防御魔法を破ってきたのだ。このどこまでも持っている果てない想いにちゃんと応えてくれた。

 

 だけど私の想いは積み重なる事はあっても無くなる事なんて微塵もない。

 だって大切なものを護るのだ。1枚だけなんて心細くてしょうがない。何枚も何枚も大事に包みこんであげる必要がある。

 世界から全て護り二人で一緒に過ごすのだ。それこそ何枚あっても良いものだと思っている。

 

 ただ破られてしまった……まだまだ改良の余地はあると思わせてくれたのは朗報である。

 私はまだまだ成長する必要があると改めて思ってしまった。

 

 

 フェイトちゃんが先ほどの距離から離れてしまう。

 恐らくは慌てて飛び出してしまったのだろう。私が仕掛けていた道を通ってくれるのであった。

 

 

 そして思った。

 

 

 

 フェイトちゃんも私と同じように考えてくれてたんだね……と。

 

 

 今度は私が仕掛けたバインドにフェイトちゃんが引っかかってしまう。

 

 

 本当の意味の()()()はまだ使用しない。なぜなら切り札を使ってしまうとレイジングハートが普通に耐え切ることが難しいのである。

 修復に時間がかかってしまうため、まだ使用するには早いと考えていた。

 

 そして本当は更にその上を準備してから切り札を使用すべきとお兄ちゃんに教わっている。

 とはいえ使う時は躊躇わずにという事も教えられているので、もっともっと特訓する必要があると思うのであった。

 

 

 そう考えつつも自身から湧き立つ魔力をレイジングハートへ伝えて砲撃の準備が完了する。

 そしてフェイトちゃんに撃ち込むのだ。

 

 

 

 これが私の全力のディバインバスターだと。

 

 

 

 __

 

 



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34話

 

 ちゃんと節約出来ていたのだろうか……。というかそもそも大丈夫だろうか……。

 

 

 フェイトがなのはの攻撃を受けて気絶したかのように無防備な姿で空に放り出される。

 なのはの攻撃はそのピンク色の砲撃でフェイトの姿が一瞬かき消えたようにも感じられてしまった。

 それほどの魔力の量や勢いがあった。ユーノなんてそれを見て怯えるようにガクガクと震えているようにしている。

 確かにあれは喰らいたくない……。と思ってしまった。

 

 

 恐らく魔力を外からかき集める動作をしていなかったので、彼女の全力全開最強の一撃ではなかったのであろう。

 それでもこの威力である。天才というのは成長速度はどこまでも速い。やはり比べられるものではないなと改めて感じてしまった。

 

 

 フェイトが無防備になっている状態を見て慌てたかのようになのはがフェイトへと近づく。

 そして優しくフェイトを抱え込むのであった。

 

 

 意識が飛んでいたのは一瞬だったのだろう。程なくフェイトも意識が戻ったかのようになのはに抱えられつつも体を動かしはじめる。

 そして伝えていた通り、バルディッシュからジュエルシードをアウトプットする。

 

 

 フェイトが集めていたジュエルシードが空に舞う。

 それを見つつフェイトもなのはから体を離すのであった。

 

 

 そしてそのジュエルシードがなのは側に回収されそうになった瞬間、空から雷が落ちてくる。

 プレシアが介入してきたことを告げるかのようにその紫色の雷はフェイトへ直撃してしまう。

 

 雷の直撃を受けたフェイトはバルディッシュも破損させるくらいの強い攻撃を受け再度、なのはに寄り掛かる。

 その隙に宙に舞っていたジュエルシードはプレシアの元に回収されていくのであった。

 

 

 

 アースラへ帰還を行う。

 フェイトは武装解除されている状態である。バルディッシュなどは持っているがプレシアの攻撃で破損しているだろうから、まだ使えない状態であるはず。

 

 

 そしてみんなでリンディさんの元へ向かう。

 リンディさんの所に到着するとリンディさんがモニターを見つめていた。

 

 そこには先ほどジュエルシード回収時に座標を割り出したのであろう。

 時の庭園と言う名前の移動庭園。プレシアの所へ武装局員が突入している画面が表示されていた。

 リンディさんからはなのはとフェイトが行う戦闘の際にプレシアの居場所を割り出す予定は個人的に聞いていたが、それぞれの展開の速さはさすがだと思わざるを得ない。

 しかしその画面を見て武装局員って結構居たんだなと場違いな感想を持ってしまった……。

 

 そんな心境は関係無く展開は進む。武装局員がプレシアに容疑を伝えて捕縛へ向かっていると、ある場所に気づいたらしい。

 その場所に武装局員が突入を行う。そこにあったのはフェイトと瓜二つの少女の姿があった。

 少女は大きなカプセルのようなものに入っており、中には液体が充填されている。その中で眠るように漂っている。

 

 

 

 アリシア・テスタロッサ。

 

 

 

 フェイトと瓜二つと言ったが、本家はアリシアの方である。

 アリシアの遺伝子を使い作成された少女。それがフェイトであった。

 

 武装局員はそんな事は知らずアリシアの元に近づこうとする。

 だがプレシア・テスタロッサはその行動を許さず、近づく武装局員を吹き飛ばす。

 

 武装局員達はプレシアのその行動を見て臨戦態勢に入った。

 そして射撃攻撃を行うのだが、その攻撃はプレシアに一切ダメージを与えられない。

 むしろプレシアはその攻撃が邪魔だと言わんばかりに魔法を使うのであった。

 

 紫色の雷撃が空間を支配する。一瞬にも感じられたその雷撃が終わった時には、武装局員は全て倒れ伏していた。

 

 リンディさんは慌てて武装局員の回収転送の指示を出す。エイミィ達はそれに従い武装局員の回収を行いはじめる。

 

 そんな様子を全く気にしないまま、プレシアの独白が始まったのだ。

 

 

 

 

 時間がない。だから終わりにする。

 今あるジュエルシードの数でアルハザードへ行けるのか分からないけど構わない。

 

 この子を亡くしてからの暗鬱な時間を終わりにする。

 この子の身代わりの人形を娘扱いするのも。

 

 

 その言葉を聞いたフェイトはビクッと身を竦ませる。

 しかしプレシアの独白は続くのであった。

 

 

 聞いていて……? あなたの事よ。フェイト。

 せっかくアリシアの記憶をあげたのにそっくりなのは見た目だけ。

 役立たずでちっとも使えない。私のお人形。

 

 

 

 

 エイミィがプレシアの実の娘。アリシア・テスタロッサが事故で亡くなっていた事実をみんなに伝える。

 そしてプレシアが行っていた研究。それは人造生命の生成。死者蘇生の秘術。プロジェクトコード「F.A.T.E」と呼ばれるものであったと。

 

 エイミィのその声に応えるかの如く、よく調べたわね。と伝え話を続ける。

 

 

 

 

 だけど、駄目だった……。ちっとも上手くいかなかった。

 作り物の命は所詮作り物。失ったものの代わりとはならないわ。

 

 

 

 

 そしてフェイトの胸をえぐるような言葉が伝えられた。

 

 

 

 アリシアはもっと優しく笑ってくれたわ。

 アリシアは時々わがままも言ったけど私の言うことをとてもよく聞いてくれた。

 

 アリシアはいつでも私に優しかった。

 

 フェイト……。やっぱりあなたはアリシアの偽物よ。

 記憶も与えたけどあなたでは駄目だった。

 アリシアを蘇らせるまでの間、私が慰みに使うだけの人形。

 

 ……だからあなたはもう要らないわ。どこへなりと消えなさい! 

 

 最後に良いことを教えてあげるわ。フェイト。

 あなたを作り出してからずっとね。私はあなたが大嫌いだったのよ。

 

 

 

 

 最後の言葉を聞きフェイトの身体はその言葉を受け入れられないように崩れ落ちた。

 慌てて倒れそうになるフェイトをみんなで支える。

 

 だが、そんな事は関係無いとばかりにプレシアは行動を開始する。

 

 観測班から時の庭園に魔力反応が複数出現したことが伝えられる。

 これからの行動を邪魔されたく無いようにその数はどんどん増していくのであった。

 

 そしてプレシアは眠ったままのアリシアを魔力で持ち上げた。

 プレシアが最初に居た玉座のような場所に戻りジュエルシードを展開する。

 

 

 

 忘れられた都。アルハザードへ行くとこちらに伝えて。

 

 

 

 次元震の観測が伝えられる。アースラ内のアラートは鳴りっぱなしだ。

 

 倒れそうなフェイトを抱え、改めて考えていた。

 

 プレシア・テスタロッサが救えるのかどうか。

 救うと言う言葉は語弊があるかも知れない。要するに今後使()()()かどうかである。

 元々、崩壊へ一直線に向かう彼女である。それ自体はストーリー的にもそうなっている為、恐らくはその通りになるであろう。

 

 ただ、そう言う存在だからしょうがない。で終わらせるのは勿体無い。

 どんな時でも念のため可能性は検討すべきだと思っている。結果は変わらないかも知れないが、検討した内容は自分の心に経験を蓄積させる。

 

 しかし、今回は何度検討をしても処置無しという結論になっていた。

 プレシアの侵されている病気の解消方法。またそれをクリアしたとしても催眠の設定及び時空管理局との立ち回り。どれを取っても解決方法が自分では見えなかった。

 

 なればこそ、彼女は悪役としてその役目を全うしてもらうべきだと考えた。

 では何故、検討を複数回重ねていたかと言うと個人的にはプレシアの気持ちは理解出来なくもなかったからであった。

 先ほどのプレシアの言葉にも人によっては解釈は分かれるかも知れない。プレシア自体に未来は無いのは自分自身理解しているであろう。

 だから突き放した言葉をフェイトに掛け、その未練を断ち切って欲しいという裏側の感情の解釈も受け取り方によってはあるかもと思うのだ。

 

 そしてプレシア自身の行動自体も理解出来なくも無い。

 自分に子供が居たという記憶は無いが、イメージだけでも最愛の子供が亡くなり蘇らせられる力や道筋があったのなら縋り付くかも知れない。

 そして本人はもはやそれしか道は無いと信じているので、彼女の幸せを求める感情の行為は理論では止める事はできないだろう。

 

 ただ、確証無くその行動を行うのは愚策であり、その結果世界を巻き込むのであれば勿論こちらは死にたく無いので止めるべきである。

 

 そして何よりも当事者であるフェイトの気持ちを考えないその行為は彼女の裏の意図があったとしても、どうあっても分かり合えないだろうなと思っていた。

 

 検討結果でもありそしてストーリー上でも問題無い悪役としての役割を全うをして貰おうと改めて結論を出し、これ以上の検討をストップさせて心を割り切る。

 

 ともかく個人的感情はおいておいて、それぞれの対応を見守る。

 正直、現段階では悲しいことに自分に出来る事はほぼ無いのだ。

 フェイトを倒れないように支えるだけであった。

 

 クロノは最初にプレシアを止めるべく時の庭園に向かう行動を進めている。

 リンディさんはアースラを次元震からの影響を抑えるべく各員に指示を飛ばしていた。

 

 なのはを見てみる。一緒にフェイトを支えていたが、雰囲気がいつもと違っているようにも感じられた。

 あの詠唱のように不屈の魂を胸に秘め、何よりもその瞳には許せない怒りと言うべき感情が現れているようにも見える。

 なのははこちらを見てきた。その真っ直ぐな瞳を見て、「分かっているよ」と言う視線で返す。

 その時に見せたなのはの笑顔はどこまでも真っ直ぐで凛々しくも綺麗であり本人の魅力を伝えるのであった。

 

 フェイトを支える役をアルフに変更して、なのはは行動を開始する。クロノと合流してプレシアを止めるべく時の庭園へ乗るこむのであろう。

 ユーノにもなのはをフォローしてあげて欲しいと伝える。ユーノは勿論!! と言わんばかりになのはと一緒にクロノと合流すべく移動するのであった。

 

 そしてこちらはアルフと一緒にフェイトを落ち着かせるように別室へ移動を開始する。

 こちらはこちらで準備を進める必要がある為、準備を行う。

 

 

 

 別室にフェイトとアルフで待機してもらい、自分の部屋に戻る。

 そして対プレシア用に準備していた機器や戦闘用の服を装着する。

 

 この辺りはリンディさんと相談しつつ何よりも優先して作ってもらった機器や戦闘用の服である。

 正直、それらが役に立つかはまだ未知数であるが、最初に魔法に触れるイベントをこなす時と同じように準備をしておく。

 

 ちなみに戦闘服はあくまで武装局員のものを流用しており、魔力が無い自分が装着しても紙よりもマシ程度のものであるが……。

 まぁ、無いよりはマシと思いつつ、気持ちの問題であると思っている。

 

 そしてピルケースから使いたく無い薬を取り出す。薬と言っても唾液とかで溶けたりしないので、それを飴を舐めるかのように口に放り込む。

 緊急事にすぐ飲み込めるように頬へそれを溜めておくのだ。

 

 どんな影響が出るかは分からないがそれでも準備は少しでも多く重ねておく。

 そしてこちらの準備が終わり、改めてフェイトとアルフの元へと向かう。

 いよいよ最終局面で最も事故の可能性が高い場所。プレシアと対峙する為に行動を開始するのであった。

 



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35話

 

 __

 

 

 

 正直に言うと私は怒っている。

 

 フェイトちゃんの想いを否定したあの言葉に憤りを感じてしまう。

 確かにあの時の勝負は私が勝利した。

 だけどフェイトちゃんが見せたあの想いの力はどこまでも純粋に突き詰めていった願いの強さであったはずだ。

 直接受けていた私は勿論のこと、私よりも魔法が詳しいであろうあの女性が分からない事は無いはずである。

 

 だけど、あの女性はフェイトちゃんを偽物と言う。娘とは別人だと伝える。

 確かにあの女性の近くで眠っているようにも見えたあの少女は、あの女性が言う娘である事は理解出来る。

 だからこそ別人と言う言葉自体は最悪理解は出来るかもしれない。

 

 しかし、私が憤っているのはフェイトちゃんが持っていた純粋な想いを否定する内容だ。

 アリシアちゃんの記憶を移植されたからと言って、フェイトちゃんのあの持っている想いが偽物である訳ではない。

 それこそフェイトちゃんが持っていて生まれている想いなのだ。

 それを簡単に嫌いと言って切り捨てるあの女性は許せることが出来ない。

 

 あり得ない仮定だとして私がもしも奏くんから嫌いなどと言われた時には……認めない。

 それこそ世界を何もかも破壊してでもそれを言わせるようにした原因を潰したくなる。

 

 ……心の奥底で冷静な部分が指摘してくる。もしもその原因が私だったら? と。

 

 

 それこそ()()()()()。と断言出来てしまう。

 

 

 これだけの時間、一緒に二人きりで居てお互いが幸せに感じる時間を過ごしているのだ。

 二人きりで完結している世界である。そこに何かあるとすれば外部的要因しかありえない。

 だからこそ、その原因を迷いなく潰すのだ。

 

 どちらにせよありえない仮定を突き詰めていくのは時間の無駄であるとして、フェイトちゃんの話に戻る。

 

 フェイトちゃんの想いの強さを分からせる為、あの女性へとお話しに行こうと行動している。

 クロノくん、ユーノくんと一緒にあの女性の拠点へと到着してその入り口の前に立っていた。

 

 目の前にはロボットみたいなものが沢山いる。

 クロノくんが言うには近くにいる相手を攻撃するだけの機械だと言う。

 

 そう言いながらクロノくんはそのロボットたちに攻撃を行う。

 クロノくんもやはり魔法戦の経験としては私よりも上なのであろう。

 その流れるような動きは経験に基づいているようにも感じられ、入り口にいるロボット達を次々と粉砕していくのであった。

 

 クロノくんから感じる魔法の想い。本人から出ている青の魔力色のせいかもしれないが、冷淡にも冷静にも感じられる。

 ただ無理にも感情を抑えつけているようにも感じられた。その想いは私とはまた違った強さを見せてくる。

 

 その強さを糧にしたい欲求に駆られるが、クロノくんは男性である。

 ユーノくん同様、変に誤解させたく無いので彼らとは心の距離をしっかりと一線引く必要があった。

 私はきちんと学習出来る女でもあるのだ。その辺りは私の信念に基づく行動を行うつもりである。

 何かしらの模擬戦闘が出来るのならその時の機会にしようと考えて粉砕されたロボット達を後にして、入り口から中に入りこむ。

 

 入り口から中に入ると部屋の地面に所々、穴が開いていた。

 それを見てみると、どこまでも深く底が存在しないように見える。

 クロノくんが言うにはその穴は虚数空間と言うものらしい。

 

 そこに入るとあらゆる魔法が一切発動しなくなる空間であり、もしも落ちたら重力に従って底まで落下して二度と上がってこれないらしい。

 だから決して近づいてはいけないと注意してくれるのであった。

 

 虚数空間に注意しつつさらに奥へと進む。奥の部屋にはさらにロボットの集団が待ち構えていた。

 その状況を見たクロノくんは二手に分かれる提案をしてきてくれた。

 

 クロノくんはプレシアの元へ、私たちはジュエルシードがくべられている駆動炉の封印へと。

 お互いそれに従おうとした際にエイミィさんから通信が入った。

 

 通信内容としてはプレシアさんが移動を開始したとのこと。

 その移動先は私達が移動しようとしていた駆動炉の場所であった。

 

 

 それだったらみんなで一緒に向かおうと言う話になり、そのままみんなで駆動炉に向けて行動を開始する。

 

 

 私は改めてちゃんとお話ししようと、むんっという感じで腕に力を込めるのであった。

 

 

 

 

 だけど、そこで私は思い知ることになる。

 

 

 

 

 自分の信念を貫き通す。想いを理解させるためにはそれに見合う力が必要であると。

 力無き言葉はただの戯言であると思い知らされるのであった。

 

 

 

 __

 

 

 

 

 __

 

 

 

 母さんが私に言ってきた言葉を反芻する。

 

 私はアリシアの偽物であり人形であると。

 そして母さんは私のことが大嫌いであったと。

 

 

 私の中にあった母さんへの愛情の心がひび割れる。

 記憶の中では優しかった母さんの笑顔。

 私もそれを見て嬉しい気持ちがあった記憶が残っている。

 

 ただこれはアリシアの記憶なのだ。

 それを除いた時、私の心は空白になってしまう。

 

 目は開いているがその目に映る光景は何も見えない。

 まるで光を失ったかのように周りの光景は何も見えなかった。

 そして体の気力が失われたかのように何も力を伝えることが出来ない。

 

 そのまま茫然とした姿でいるとふと誰かが近寄ってくる気配が感じられた。

 ただ体を動かせる気力が私には無い。母さんの言葉がまだ頭の中で響いている。

 

 

 私は何も無い人形だ。

 このまま朽ち果てても誰も困らないだろうと言う投げやりな気持ちも湧き上がる。

 

 そんな気持ちは知られないまま私に近づいてきた人は更に私に近づく。

 接触しそうな距離まで来た時に、あることが感じられた。

 

 

 

 それは彼の匂い。

 

 

 

 それを認識した瞬間、私の心は別次元の安心感に包まれる。

 先ほどの感じている大きな悲壮感も少しずつ削られ薄れていくのが感じられた。

 少しずつではあるが気力が戻ってくる。そうすると少しずつではあるが目に入ってくる光景が認識でき始める。

 

 改めて私の瞳に飛び込んできた光景は、彼の心配そうな顔であった。

 その顔を見て私も心が再度痛んでしまう。

 彼にそんな顔をして欲しかった訳では無い。私は彼の笑っている優しい笑顔を見たかった。

 それが私の心を幸せに包んでくれる。けど、今はそれが無い。心に後悔が湧き上がる。

 

 

 しかし、彼はそんな私の心の葛藤に気づかず言葉をかけてくれた。

 

 

「大丈夫。フェイト。君は人形では無いよ」

「だってこんなにも悲しい顔をしている。それはフェイト自身が思い感じている感情だ」

「だけど、フェイトには悲しい顔をして欲しく無い。君の可愛い笑顔を見たいんだ」

 

 

 

 

「だから僕とプレシア……フェイトのお母さんとの未練を断ち切るため一緒に行動して欲しい」

 

 

 

 彼の言葉が私の心に染み込む。優しい声で励ましの言葉は消えかっていた私の勇気の心を震わせる。

 そして彼からのお願いは私の心を幸福で満たしてくる。その期待に応えたいと体の気力が漲り、心が強さを求めてくるのだ。

 

 

 私はそれらを身体で心で受けて感じてしまう。

 

 

 この想いこそアリシアにない()()()が持つ想いなのだと。

 そしてそれは誰にも侵食する事なく持つことができる、私が私であるための証であると。

 

 奏と最初にあったときから今までの記憶は私だけのもの。それは誰にも奪う事は出来ない。

 だからこそ私はそれを礎にして、フェイトとしての存在を確立するのだ。

 

 私はフェイト。奏だけの想いを叶えるべく行動する少女である。

 ここから私の人生は始まり、どこまでも奏と一緒に居て何もかも叶えていく。

 

 

 そう心に誓う。そして身体を起こし改めてバルディッシュを手にとった。

 

 

 手に持っているバルディッシュはひび割れて故障しているようにも見える。

 けど私は問いかけた。

 

 私は何でも叶える強い力が欲しい。バルディッシュは付いてきてくれる? と。

 

 

 

 Yes sir

 

 

 

 といつもの事のように、そしてそんな事は聞くまでも無いと言わんばわりに伝えてくる短くも頼もしい言葉。

 私はバルディッシュに魔力を込める。その魔力に応えバルティッシュの修復機能が動き本来の姿を取り戻す。

 

 そうして私はバリアジャケットに着替え、彼に改めて向き直る。

 彼の好んでいる笑顔を浮かべ、これから私のするべきことを教えて貰うのだ。

 

 

 __

 

 

 

 

 フェイトの居る部屋に戻る。そして部屋に入りフェイトの様子を確認してみた。

 やはり先ほどのプレシアの言葉は心に響いているのであろう。

 瞳に力はなく体も力が入っていない茫然自失の状態である。

 

 

 まずはアルフに先行してなのはたちと合流して欲しいと伝える。

 強い戦闘要員は一人でも多い方が良い。そして消耗を少しでも避けるには集団でいた方が良いだろうと考えていた。

 アルフは了解の旨を伝えてきていたが、それでもフェイトの事は心配なのであろう。

 チラチラと伺ってくる様子だったので、フェイトの事は僕が何とかすると伝えて改めて送り出す。

 

 

 そうしてフェイトと二人きりになる。多少恥ずかしい言葉でも何とか言えそうかなと思いつつフェイトへ励ましの言葉を伝えるのであった。

 

 

 フェイトと話をして様子を見る。先ほどとは違い気力も戻りつつあるその姿はいつもの調子を取り戻したかのように見えた。

 まずは復調したことに一安心しつつ次へ向けて行動を開始する。

 

 フェイトの方もバリアジャケットに着替えが完了しており、いつでも出撃準備が出来ていた。

 まずは一緒に時の庭園へ向かうように話を行う。

 

 最初から自分が参加する事は反対される可能性が高いため、ここで参戦するのだ。

 要するに流れで一緒に来ちゃいました的なやつである。

 

 勿論、後で怒られるであろう。そしてクロノとかは嫌味をさりげなく言うに違いない。

 その辺りはリンディさんと一緒に適当にこなせるレベルだと思っている。

 まぁ、クロノにはちゃんと謝って蟠りは無いようにする予定だ。

 

 エイミィさん達に何か言われたらリンディさんの指示のもとでと伝える感じだ。

 まぁ、実際、リンディさんには事前に乗り込む予定は伝えてあるので、上手くこなしてくれると思う。

 

 

 

 

 そうしてフェイトと一緒に時の庭園に潜り込むのであった。

 

 

 

 

 

 現在、自分はフェイトに抱えられたままどんどん部屋の奥に進んでいる。

 歩くより飛んだ方が速いとの事なので、それに従っているが今の体勢は自分としては微妙な気持ちである。

 

 今、自分の体勢は逆お姫様抱っこの状態である。男としての敗北感に苛まれている真っ最中であった。

 まぁ……こればっかりは自分は役に立たないのは理解しているので……甘んじて受け入れるしかないと心を落ち着けさせる。

 

 フェイトはプレシアの居場所を探ってもらいつつ進んでいる。

 話を聞く限り、今は最上階の駆動炉にいるみたいだ。

 

 

 

 駆動炉……? 彼女ってそこが最後に居た場所だったか……? 

 

 

 

 時の庭園の内部なんて流石に分かるはずもなくさっぱりな状況であるが、彼女が最後虚数空間に落ちた時はそこであったかはいまいち判断しづらい。

 少し嫌な予感が頭を掠める。しかしそこに居るのであれば向かうしかないと判断して最上階目指して進み続ける。

 

 

 

 そして最上階の駆動炉についた時に衝撃展開を目にしてしまう。

 

 

 

 

 そこには一方的に蹂躙を開始しているプレシアの姿があった……。

 

 

 



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36話

 __

 

 

 プレシア・テスタロッサは愛しの愛娘アリシアと共に現在、駆動炉に来ていた。

 

 彼女はここに来る予定はなかった。だが、頭の中に声が聞こえたような気がしたのだ。

 

「願いを叶えたければ、ジュエルシードの所に来い」と。

 

 その声は少女のような声でもあり老成している女性の声のようでもあり更に男性にも聞こえるかも知れない。その声は様々な音が重なりあっているように感じられた。

 病気の進行により幻聴が聞こえたのかも知れない。ただ、次元の狭間にあると言われているアルハザードへ行ける可能性はゼロでは無いが限りなく薄い。

 藁にも掴む思いで、彼女はここジュエルシードが共鳴稼働している駆動炉へ足を運んでいたのだ。

 

 プレシア・テスタロッサは駆動炉の状態を確認している。それぞれが力を発揮して無差別に力を溢れさせ次元震を引き起こしているが、やはり個数が不足していることもありまだパワーが足りていない。

 もどかしい気持ちが彼女を支配する。後、もう少し開放の力が強ければ達成出来るかも知れないと。アルハザードに行ければアリシアを蘇させることも可能であるはずだ。

 

 彼女はその鋭い眼差しで駆動炉を見続けている。

 すると頭の中に声が再度聞こえてくるのであった。

 

 

「あなたの願いはなに?」

 

 

 その質問に彼女はこう応えた。

 

 

「アリシアを蘇らせて欲しい」と。

 

 

 

 ジュエルシード。「願いが叶う宝石」と呼ばれる石。

 

 古今東西、願いを叶える伝説などあり触れているであろう。

 そしてその叶え方も様々であった。

 

 例えば、

 

 所有者の望む通りに願いを叶えたり

 

 所有者の望む展開では無いが、結果として願いを叶えたり

 

 所有者を代価として願いを叶えたり

 

 望みの意味を悪意に変え実現させたり

 

 等、語り継がれる話はそれこそ千差万別である。

 

 ジュエルシードはどんな形で願いを叶えるのか、それはジュエルシードのみが知る事実でもあるはず。

 しかし、そこに手を入れる存在が居た。

 

 

 世界は基本的に異物を許さない。

 

 世界を存続させていくにあたり構築された意思とも呼べるシステム。

 それは世界の存続に影響を及ぼす存在を間引くために力を発揮することもある。

 何か歴史を変えようとして手を入れても、まるで辻褄を合わせるかのように本来の道筋に戻す力が働いたりする場合もあったりするのだ。

 

 しかし、それは新、旧両方の歴史を観測出来る存在が居てこそ分かる内容でもあるので、それを実感出来る人間は存在しないであろう。

 

 

 ただ、世界の意志を超える存在が居た。

 本来逆らうことすら許さない星の意思、宇宙の意思すら子供のような気持ちで弄び屈服させる存在。

 

 今この世界にある宇宙。そして星を創造している存在。

 この世界において神と呼ばれてもおかしくないその存在は気まぐれのように見えない手でプレシアの願いを叶えるため力を与えるのであった。

 

 ジュエルシードの力に手を入れる。本来の力と合わせて願いの方向性をコントロールされる。

 次元干渉型のエネルギー結晶体はその外部の強制を得てプレシアの願い叶えるために彼女へ力を与えるのであった。

 

 

 それは死人を蘇らせられるために必要な魔力。

 

 

 しかし、それを使う魔法技術が存在しない。ただ、ジュエルシードはそれにあたって必要な魔力を与え続けるのだ。

 その願いを持つ限りこの力を与えて、それを突き詰めていけば叶うと言わんばかりに。

 

 そしてプレシアの頭の中に声が響く。

 

 

 

「それじゃ、頑張ってねー」と。

 

 

 

 先ほどとはうってかわり、気軽にも聞こえるその声に戸惑ってしまう。

 しかし、その声の後、プレシアが今まで感じたことが無いような魔力に包まれる。

 そしてその魔力から感じるのだ。これを使って己の願いを叶えろと。

 

 

 確かにこの魔力の量をもってすれば様々な試行をすることが出来るであろう。

 自ら次元震を引き起こせそうなその膨大な魔力はアルハザードを探知して発見することすら可能かもしれない。

 

 

 歓喜がプレシアの身を包む。己の病気すら乗り越える可能性すら見えてくるその力はプレシアの身を酔わすのであった。

 

 

 しばらく魔力に酔いしれていると高町なのは、クロノ・ハラオウン達がここへ乗り込んでくる。

 そしてプレシア・テスタロッサは散々邪魔をしてくれた人物を見てこう思うのだ。

 

 まずはこの魔力を試すと同時に落ち着く環境を作るため、彼らには居なくなってもらおうと。

 

 

 

 __

 

 

 

 

 フェイトと一緒に中の様子を伺う。

 こちらが大きな動きをしていない為、こちらにはまだ気づいていない。

 

 なのは、クロノ、ユーノ、アルフの相手をしている状態だ。

 

 その人数を相手にしていてもプレシアは余裕の表情に見える。

 プレシアから湧き上がる魔力は空間全部を侵食させようとするくらい溢れ続けている。

 

 フェイトにプレシアはあそこまで魔力を持っていたか念のため確認する。

 答えは否であった。あんな魔力は見たことも無いという返答である。

 そして魔力の元を手繰ると駆動炉にあるジュエルシードと繋がっているかもしれないとのことであった。

 

 それを聞いて考えを進める。

 

 プレシアは何故だか分からないがジュエルシードを使いこなせており、それを使ってなのは達と対峙していると。

 

 インチキ! インチキ! そんなんチートだ! と突っ込みを入れたくなる。

 何が世界がヤバイ時に失敗するだ。ある意味、制御成功しているじゃないかと叫びたい。

 

 ジュエルシードの制御が成功しているからなのは達の行動が失敗して世界が滅ぶ? という考えたくない状況はあの存在に文句を言いたくなる。

 

 とは言え、状況が状況なのでこれをクリアする必要があるのも事実であった。

 口の中に含んでいる薬を舌で感じて思う。

 

 

 実際、何度か考えていたけど、この薬は力が強すぎると思っていた。

 多少の失敗ならこれで十分カバー出来て問題無くクリア出来てしまうと楽観的に感じられてしまう。

 

 ただこうも考えていた。本当にこの薬だけで()()()()()()()()? と。

 あの存在のことである。これだけで容易にクリアさせてくれないようにしてくるのは確信に近い感情を持っていた。

 与えられる力のみで解決出来るようにするのなら、失敗するという道を作る必要がない。

 ただ単に力に酔わせたいなら別だがそれだったらいくらでも違う方法がある。

 

 あくまであの存在は己が出した結論によって感情を揺らしたいと思っているはずである。

 考えた行為で成功させる感情。または失敗したときの後悔を埋め込むのが目的であれば、この薬だけで解決させることは出来ないだろうと思っていた。

 

 とは言え、ここまで行われると手段が中々ない状況である。

 この力が使えるのも1回だけなので、使い所が限られてしまうのも事実であった。

 

 楽な考えでは相手と同じ力をコピーして相殺し、他の人達で攻撃やカバーを行うことで解決するという方法。

 

 これは今の状況下だと難しい。

 例えば今のプレシアの最大の魔力砲をコピーして、プレシアの力を相殺したとする。

 なのは達の攻撃で一回で終わらせることが出来るかは不明だ。

 もし、防御魔法も同時展開出来ていたらそれだけで相手に攻撃は届かないであろう。

 そしてお互いの極大な攻撃の余波はどう考えても時の庭園が持ちそうにない。

 

 恐らく制御出来る前の影響はまだ残っており、地面に穴は開いたままである。

 耐久度的には下がっているであろう。そしてそんな中であの膨大な魔力の全開を行うのは全員終了する可能性が高い。

 

 どう見てもプレシアは攻撃に全力を出している感じはない。プレシアもそれは分かっているはずである。

 ただなのは達の攻撃は一切通らないので、チマチマと攻撃して楽しんでいる感じだ。

 

 

 そうなるとやっぱりこの方法しか無いかなぁ……と考える。

 

 

 実際、これから行おうとする行為は側から見ると自殺行為に見えるだろう。

 成功した後も言い訳が色々と面倒だなと思いつつ、楽な方向だったとしても言い訳は面倒なのは変わりないなと思い直して行動を開始した。

 

 

 まずはフェイトに抱えられながら、なのは達に合流を行う。

 

 なのははフェイトの姿を見て「フェイトちゃん!!」と声を上げ、嬉しそうな表情を浮かべる。

 こんな状況でも立ち直ったフェイトを見て嬉しかったのだろう。

 笑顔を浮かべてこちらに飛んで近づいてくる。そして改めてこちらの状況を見てある場所に視線が向くと、その笑顔がピシッと言うように固まってしまった。

 

 フェイトに抱えられている自分を見て。

 

 

 何でお前がここに居るんだよ! と言わんばかりで伝えてくる驚きの表情である。

 確かに非戦闘要員でもある自分が流れで合流しているので、多少の説明が必要だろうと思い口を開こうとする。

 しかし、なのはは先ほどの笑顔から無表情に切り替わり静かに怒気を伝えるかのようなオーラを感じさせてきた。

 危険なところに来ている自分に怒りを感じてしまっている状況は支障が出るので慌てて説明しようとする。

 だけど、フェイトがそのなのはの様子を見て抱えている自分を守るかのようにギュッと強く抱きしめてきた。

 

 なのはが無表情からより冷たい無表情に切り替わる。

 自分でも何を言っているかよく分からないが、怒りのゲージが更に溜まったようにも感じられてしまう。

 

 いや。色々とまずいから。言い訳がさらに混迷しちゃうから。とフェイトにおろして欲しいと視線を向けてもフェイトはこちらを見てこない……。

 しょうがなく「ありがとう。フェイト。一旦おろして欲しい」と伝える。

 フェイトはその言葉を聞いてようやくこちらを下ろしてくれるのであった。

 

 下ろしてもらっている最中もなのははずっと無表情のままである。

 

 流石になのはに謝っておこうと考えて「ごめん。こんな危険なところまで来ちゃって……」と伝える。

 

 なのはは無表情のまま両手をこちらに広げる。その仕草は抱っこ! と言わんばかりの仕草だ。

 

 え……抱っこするの? この場面で? と言う感情が湧き上がるが、ひとまずなのはを落ち着けようとしてハグする形でその両手に応えた。

 するとなのははこちらの胸に顔を埋める。まだ怒っているのだろう。一瞬ギリッと言うような何かを耐える仕草を見せてきたが、段々とこちらの匂いを嗅いだのか落ち着いてくるのが分かった。

 

 多少、無表情から戻り始めたなのはを見て改めて「ごめん……」と伝える。

 なのはは、その言葉を聞いて首をフルフルと振ってこう伝えてくるのであった。

 

 

「ううん。それは()()()()()。けど後で聞きたいことがあるから、ちゃんとお話ししようね」

 

 

 先ほどのフェイトの様子を説明して欲しいと言うことであろう……ずっと話しかけて立ち直る様子を見ていたから多少仲良くなった旨を後で説明しようと考え了解の意を伝える。

 けど、先ほどの様子といい、なのはさん意外とまだ余裕っすね。と思ってしまった。

 

 

 そしてクロノ、ユーノの様子を見る。まぁ……二人とも呆れた視線を向けてきていた。

 

 向けられる感情はともかく、君たちも余裕だね。と心で思ってしまった。

 とりあえず二人にもフェイトに付き従ってこちらに来てしまったことを説明する。

 

 クロノはその説明を聞いて段々と表情が曇っている。「君は死にたいのか? 危険なんだよここは!」と言わんばかりの表情であった。

 もちろん二人にも勝手についてきてしまったことを謝罪する。ただ、リンディさんから頼まれごとをされていることもさりげなく伝えておいた。

 

 プレシアはそんな様子は気にして無く、フェイトの方をずっと見ているのであった。

 

 

「フェイト。あなたも来たのね」

 

「……」

 

 

 フェイトはそれに対して無言である。そのままプレシアへ対応出来るようにデバイスを構える。

 プレシアはその動きを見て、何かを悟ったのかそこからフェイトに語りかける言葉は無かった。

 

 

 一度、仕切り直しと言う場面から戦闘が開始されそうになる。

 

 開始される前に行動を起こす為、自分はなのはの所に改めて近づき語りかけた。

 

 

 

「なのは。お願いがあるんだけど、聞いて欲しい」と。

 

 

 











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37話

 

 プレシア戦へ臨むにあたりずっと検討を重ねていた。

 

 

 何かしらの要因でジュエルシードの暴走する力が強化されていた場合

 登場人物の誰かが予期しない怪我などで離脱した場合

 そしてプレシア自身が何かしらの要因で強化されていた場合   等

 

 

 今回のパターンは一応、想定内ではあるのだ。

 しかし、当たって欲しくない一つの可能性ではあったのだが……。

 要因がジュエルシードの制御が出来てしまっていることで、プレシアが大幅なパワーアップに繋がっている。

 

 その力は本来よりも育成のスピードが速かったなのはを上回っていた。

 こちらの攻撃が全く通すことが出来ない以上、打破出来る可能性がグッと減ってしまうのは事実として認識しなければならない。

 

 そして自分の手の内を検討している。

 自分の能力を検討すればするほど現状、どう考えても持久戦には向かないのは分かっていた。

 そして与えられている報酬能力もコピー出来る力は一度きりであり、これも持久戦としては向いていない。

 

 出てくる結論としては、一撃で致命的なものを与えることが出来るのかを突き詰めていくしか無かった。

 

 なので、それが出来るように準備を揃えていく必要がある。

 なのはにお願いする内容もそれに伴う一環であった。

 

 

「なのは。いつも僕にしてくれていた防御魔法を貰っても大丈夫かな?」

 

 

 なのはは、勿論なの! と言わんばかりに防御魔法を自分に与えてくれる。

 ピンク色の魔力はこれでもう大丈夫と言わんばかりに、こちらに安心を与えるかのような強さを感じさせてくれた。

 しかし、まだ自分の不安は隠せない。そしてさらにこう伝えるのであった。

 

 

「出来れば、更に重ねて防御をかけるって事は可能?」

 

 

 その質問になのはは怪訝な表情を浮かべる。その困惑にも似た表情はこちらの意図を図り損ねているのだ。

 しかし、馬鹿正直にこちらの内容を伝えるとなのははそんな事は絶対にさせないと言うであろう。

 その誰にでも分け隔て無く与える優しさはなのはの魅力でもあるが、今は残念ながらそれに溺れている暇が無い。

 だから、それを利用するかのように自分自身の都合として内容を伝えるのである。

 

 

「ここまで来ておいて言うのも何だけど、正直まだ不安なんだ……」

「なのはの魔法の力は勿論心配していないんだけど、それでもあの彼女……プレシアさんの力を目の前にして自分が()()()()しまうんじゃ無いかと」

「だから無茶を言っているのは分かっている。けど、何人たりとも僕に触れさせる事は出来ないぐらい……彼女の攻撃を届かせられないように魔法で更に強化出来る事は出来るかな?」

 

 

 まぁ……自分でも言っている事は情けなく自分勝手な内容なのは理解している。己の身の可愛さに彼女に力を貸して欲しいと泣きついているのだ。

 間違いなくなのはからの好感度は下がるであろう。それ自体は覚悟している。

 しかし、作戦が失敗すればそもそも世界が崩壊するし、少しでも作戦の成功をアップさせるためにはそう言ったものは惜しむ必要は無いと思っている。

 勿論、成功出来れば後のフォローは沢山行う必要があるが……それは後で考えようと思っていた。

 

 なのははその言葉を聞き、まるで後悔でもしてそうな表情を浮かべている。

 ギッと歯を食いしばる音すら聞こえてきそうなくらい真剣にそして重い空気をこちらに感じさせてくる。

 

 自分の泣き言のような言葉に怒りを覚えたのか、それとも情けない自分に呆れを覚えたのか分からない。

 ただただ真剣にこちらに視線を向けてくるのだ。

 

 

 その一瞬は永遠にも似た時間にも感じられる。しかし、その時を破ったのは第三者からの介入であった。

 

 

 ピンク色の魔力とは別に金色の魔力が更に自分を包む。

 

 

 なのはがそれを見て、慌てたかのように視線を自分からその魔法を掛けたフェイトへ勢いよく向けるのが分かった。

 まるで先ほどの空気を受け継いているかのようにその視線はまるで睨むようにも感じられる。

 

 しかし、フェイトはそのなのはの視線を軽く受け流す。そしてこう伝えるのであった。

 

「大丈夫。私も()を守るために防御魔法を重ねるから」と。

 

 

 

 正直、フェイトからの援護は少し予想外の展開だったが、落ち着いて考えるとあるに越した事は無いかなと改めて考え直した。

 フェイトへありがとうと伝える。フェイトは満更でもない表情でその言葉を受け入れてくれた。

 

 すると、自分が包んでくれていたピンク色の魔力が更に厚みを増したかのように見える。

 しかし少しずつそれは圧縮され厚みは元に戻る。だけど、強さを増した状況を伝えるようにその色はピンクよりも少し赤く濃く感じられた。

 

 なのはが更に強化してくれたのだと感じ、改めてなのはに視線を向ける。

 そしてなのはへありがとう。と伝える。なのはは先ほどとは違い少し俯いた顔を見せて顔を横にフルフルと振るわせて構わないと言った言葉を無言で伝えてくる。

 

 なのはが俯いているので細かく顔の表情を見る事は出来なかったが、恐らくは先ほどの自分の言葉を何とか消化して力を貸してくれたのであろう。

 ひとまずは目標に達せられるぐらいの防御を得たことで、次に速く移行しようと考え行動を進めてしまうのであった。

 

 

 この段階で作戦を優先するにあたり色々と焦りすぎていたのかもしれない。もう少しこの時点でフォローを重ねておけばと後悔していた。

 

 

 

 自分はまだ知らなかったのだ……。なのはがこちらの体力、気力を満遍なく搾り取って来る今までのあの行動は()()()されていたのだと……。

 

 

 

 防御魔法を得たことで他を邪魔しないように存在が悟られないように少しずつ隅の方へ向かう。

 なのはとフェイトは自分が移動するのを見て改めてプレシアの方に向き直り攻撃を再開するのであった。

 

 

 しかしその二人が加わってもプレシアの防御を抜く事はやはり出来ていない。

 プレシアはあくまで一方的にこちらに攻撃するだけであった。

 

 次元震は制御状態になったせいなのか、影響を広げていない。

 これならばと考え、誰もがプレシアに向いていることを確認しつつ、まずは一つ機器をこそこそと準備をして使い始める。

 

 

 そしてそれが完了した後、次に仕込むべく準備を行う。

 

 

 さりげなく腰部分に縛り付けていた機器。ある一つの目的を行うためのデバイスである。

 それは大きく重くは無い。単一機能しかないそれは魔力を与えることである効果を発揮するように設計されていた。

 

 

 それを背中の腰部分にセットする。

 あとは、タイミングを見計らうため、プレシアの戦いを見続けるのであった。

 

 

 コピー能力をどう使うのか考えていた。

 巨大な魔法の力……先ほど考えた通り拮抗状態からの余波で終了するであろう。

 強靭な戦士の力……例えば高町家における剣術の力。暗殺にも使えそうなその技は確かに嵌れば有効である。しかし、物理防御魔法がもしあればその技すら届かない。

 

 ならばどうすべきか……自分はそれを突き詰めていくしか無かった。

 

 

 初見必殺。言うは簡単だが破られた時点で自分に為す術は無い。だからこそ念入りに少しでも成功率を上げるための労力を惜しむつもりは無かった。

 

 そしてそのタイミングが訪れる。

 

 プレシアの方も細かい攻撃ではなのは達が倒れないのを理解したのであろう。

 少しずつ攻撃の強さが上がってきていた。そして意識は彼女らにより集中していく。

 

 

 攻撃の強さに応じてプレシアの動きは大きくなりそして集中する時間も長くなる。

 そしてタイミングを見計らって自分は行動を行うのであった。

 

 

 腰のデバイスに魔力を込めるため持っていた機器を腰のデバイスに嵌め込む。

 

 カートリッジシステム。A's編から主力になるシステムでもある。

 これはそのプロトタイプのプロトタイプと言ったところか。リンディさんと相談しつつ作ってもらった一品である

 元々、デバイスが壊れる原因となりうるそれは現在ではあまり採用されている技術ではなかったが魔力がほぼ無い自分には助かるアイテムでもある。

 勿論、魔力を込めて貰ったのはリンディさんである。

 そして今回、単一機能に絞りつつ自動発動させるようにしてある。使用したあとは壊れても構わないのであくまで今回の作戦のみに使用出来るデバイスであった。

 

 

 その機能は目標に向かって真っ直ぐ速く飛ぶだけである。

 要するにロケットだ。腰から爆発的な魔力を噴出させて飛ぶ。腰の位置を変えれば飛ぶ方向は変えられるが細かい制御は出来ない。

 勿論、それに伴う体への負荷は軽減出来るように設計はされているがあくまでおまけ程度である。

 目標に向かって特攻するを主目的としているので、無駄な機能はほとんど無い。

 

 自分が行おうとしているのは人間ロケットである。

 側から見れば魔力のない自分がそれを行うのは自殺にしか見えないであろう。

 

 

 ただ、そうでもしないと自分は太刀打ちすら出来ないと考えていた。

 だからこそ、気力を改めて体に挿入して行動を行う。

 

 

 魔力を込められたデバイスはその力を発揮させた。

 自分の体が浮き上がるのが分かる。そしてカウントダウンは無く身体を勢いよく真っ直ぐ推進させていく。

 

 

 そして自分が真っ直ぐ向かう先は、プレシアが傍で大事に防御しているアリシアのカプセルであった。

 

 







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38話

 

 意識外の一撃はきちんと決まると意外と精神に隙を生むものである。

 

 

 何故、プレシアへ意識外の一撃を直接一直線に伝えるのではなく、アリシアに向かっているかと言うと自分に出来る範囲内で成功の確率を少しでも上げるためでもある。

 

 

 意表をついてアリシアを人質に取る……どう考えても無理筋である。

 アリシアを消滅させてプレシアを諦めさせる……これも先ほどと同様、アリシアの元にたどり着いても手を出す方法が全く無い。

 アリシアに向かうことでプレシアの怒りを誘発させる……この辺りが出来る範囲として妥当だろうと考えていた。

 

 

 要するにプレシアの意識を一気にこちらへ向けるようにしようと考えた。

 意識を向けるにしても冷静に向けられると対処される可能性が上がってしまう。

 

 プレシアが大事にしている愛娘のアリシアに向けて()()()()()()()()()()と言う状況下を一気に作ることで彼女の思考を誘導しようと考えていた。

 恐らくアリシアに一直線に向かっていることが理解されれば、プレシアの逆鱗に触れるであろう事は想像に難しくない。

 

 意識外から行われる行動は対処を反射的に行わせ、その内容を理解させる事で怒りの感情を埋め込む。

 そうすると相手の対応が理性ではなく、感情での行動が大きくなるはずと考えていた。

 

 感情の行動が全て悪いと言う訳ではない。ただ理性で考えた行動よりも感情で行う行動はどうしても最短を走ってしまうため短絡がちになってしまう。

 その隙を狙いたい。と考えて今回の行動を実施していた。

 

 最初から口上でプレシアの怒りを買う内容も考えたりしたのだが、それだと近接距離に近づくには程遠い。

 強い攻撃だけが一方的にこちらに飛んでくるだけだろうし、それを回避しつつ近づく行為はそれこそ自殺行為だ。

 

 近距離でこちらに意識をしっかりと向けさせ、対処されないように冷静さを奪う。そして感情を溢れさせることで心の隙を極力作る。

 そこまでの状況を作ることでようやく自分が一撃当てられる可能性が出てくると考えていた。

 

 

 どんどんスピードを上げながら、真っ直ぐアリシアに向けて自分という弾丸が走る。

 誰もがその行為に戸惑った表情を一瞬浮かべていた。ただプレシアがその射線の先がアリシアにあると理解した瞬間、それを反射的に止めるかの如くこちらへと攻撃を行ってきた。

 

 プレシアの攻撃は強力に展開されていたなのは達の防御魔法で防ぐことが出来ていた。

 プレシアとの戦闘を隅から見ていた時に弱い攻撃が多かったとは言え、なのは自身の防御を抜ける事は無かったのは確認していたので、大丈夫だと思っていた。

 それでもやはり実際防ぐ事を体感できたことでそのまま作戦が進行出来ると思い一安心しつつも気を抜かず対応を進める。

 

 どんどんとアリシアに近づくにつれてプレシアの表情が怒りの表情を表しこちらへの攻撃の行動が激しくなる。

 しかし、それでもこちらの防御を抜く事は無かった。そしてどんどんとプレシアはこちらを止めるべく意識を集中させていく。

 

 他に何も見えないと言わんばかりに自分へと意識を集中させていく。

 恐らく「このクソガキ! アリシアに何かしたら殺してやる!」と言わんばかりに怒りを溜めてこちらに集中させているはずだ。

 

 そしてアリシアの距離がもう少しで到着しようとする瞬間、アリシアに展開されていた防御魔法が更に大きく展開される。

 それはどんな攻撃も通さないという意思表示にも感じられた。恐らくそれは実際叶えられるだろう。何故なら自分はこの防御を通す手段を持ち得ていないからだ。

 

 防御魔法が更に展開される様子を見て自分は腰を一気に捻るように飛ぶ方向を大まかに調整する。

 急に方向を変更させる事で多少軽減されているとは言え、体にグッと負荷がかかるがそれは特攻しているテンションで体を誤魔化す。

 

 変更して向かう先は本命であるプレシア本人だ。

 

 

 急遽射出されている弾がプレシア本人に変更されたことでプレシアは、なっ! という感じで驚きの表情を見せてきた。

 その一瞬の空白が欲しく、それを狙ったかのように自分の身体はプレシアにぶつかるように勢いよく接触を行うのであった。

 

 ただ、身体的接触は出来るはずもない。お互いの防御魔法がぶつかる形で体勢が拮抗している状態であった。

 それはイメージ的には鍔迫り合いを行っているかの如く一瞬の停滞時間を生み出す。

 

 ギギッ! と言う感じでお互いの防御魔法が擦り合い悲鳴を上げたような音が発生する。

 そしてお互いの視線が近距離で交わし合うのであった。狙い通りプレシアは()()()()()しか見えないように。

 プレシアがその驚きの表情から回復する前に使いたい能力を頭の中でイメージして薬を飲み込んだ。

 

 

 

 そのイメージした力とは……

 

 

 

 薬を飲み込んだ瞬間、体に異変を感じする。

 それは時間的には一瞬ではあったが、体感的には物凄く長くも感じられた。

 その能力を使用する為、細胞の一つ一つが実現させるかのように変化する感覚になる。

 実際、変更されているのかも知れない。自分が使うのは人間としての能力ではないのだから。

 

 その準備が完了したかのように自分の中にある異変を感じてしまった。

 プレシアを見て、その口から乾いているその跡を見て、とある衝動が生まれてしまう

 

 

 血が飲みたい……。

 

 

 血など本来は美味しくないものであるのは頭で理解しているのだが、身体がそれを欲するのがわかる。

 それは砂漠で乾き、飢えた人が水を目の前にして欲する衝動にも感じられた。

 その衝動はどこまでも強く貪欲に飢えの解消を身体に要求するのである。

 これがフィードバックの効果なのかと思ったが能力はまだ使用していないので、恐らくはあくまで能力を使うための下準備なのかも知れないと考えた。

 

 

 

 しかし、その衝動を感じて思ってしまう……()()()はこんな強い衝動を抱え封じていたのかと……。

 

 

 

 自分が使用を考えていた能力とは夜の一族の能力である。

 

 

 魔法少女リリカルなのはとしての設定では無く、俗に言う裏設定と呼ばれる所を使う。

 すずかには以前から夜の一族に関しての情報を色々と聞いていた。

 そして自分は画期的アイディアなどが急に浮かぶ天才的な人物では無い。そこにあるものを合わせ考え出来うる道を探り続けるだけである。

 

 能力を使う内容はすずか自身の能力でない。その上の存在を確認して使う意志を固めたのであった。

 それはすずかの姉でもある忍の能力でもない。年齢的にも力的にも現段階において、更にその上だと思っている忍の叔母、綺堂さくらの能力。

 

 裏設定から更に裏設定を引き出す。リリカルなのはとしての正史ではそもそも彼女自身が存在するか記憶は曖昧であるが、この世界では存在する事をすずかから聞いている。

 そしてその発揮出来る力はすずか達よりも上であることも。

 

 その能力を使う。

 

 この世界において心を操る力、ある種の催眠能力をプレシアに使用するのだ。

 

 そして自分の頭の中にその能力が使えると言う感覚が浮かび上がる。

 本来であれば吸血をすれば完璧であるかも知れない。しかし、この薬はその仮定を省いたように能力だけをしっかり発揮出来る力を与えてくれる。

 瞳から発するその力で持ってプレシアの瞳を重ねて植え付けるのだ。

 

 

 

 アリシア・テスタロッサの記憶を忘れろと。

 

 

 

 心……記憶を操作すると言うのは長く深いものであればあるほど、その効果は弱くなる。

 実際、これで完璧に忘れる事は不可能であると思っていた。

 しかし、暗示程度でも良いのだ。それは一瞬の隙を更に大きくさせて、更にその()()()()を少しの時間であっても断ち切れる。

 

 この世界における魔法の力と言うのは物理干渉の比重が高く、精神に直接影響を与えるものは少ないと思っている。

 だからこそこの力を感じる術は魔法の力で存在しないだろうし、効果を発揮出来る自信があった。

 

 そしてその力は想定通りにプレシアへ発揮出来た。

 プレシアが先ほどの驚きの表情から困惑した表情を浮かべる。それは「何故、私はこんな行動をしていたのだろう」と言う感じであった。

 

 そして自分はすぐ腰に取り付けていたロケット噴射を止め、別途、腰に取り付けていた別の機器を取り出してスイッチを押し空中へ放り投げる。

 自分はその効果を知っているので放り投げた後、目を閉じるのであった。

 

 効果を発揮したその機器は眩い光を強く発する。閃光弾にも近いそれは目を閉じていても目蓋の裏へ強く光を感じさせる。

 ただそれは一瞬ですぐ収まり、すぐ目を開いて周りを確認する。

 

 これは本当に一瞬光を発するだけである。隙を大きくすると言う目的もあるが主目的は後の言い訳を埋めるためのものであった。

 何か機器を使用して、プレシアの隙を引き出したと言う結論を作るためである。

 催眠能力を隠しつつ、これをリンディさんの作戦だったとするために準備しておいた対策でもあった。

 

 そして辺りを見渡す。アリシアを蘇らせたいと言う願いの根本が途切れたせいだと思うが、ジュエルシードからプレシアに流れている魔力が途切れていた。

 プレシアの防御魔法は全て消えており、プレシアは先ほどの光で目を焼かれたのか、それとも記憶の齟齬がおきているのか目を閉じて苦悶の表情を浮かべている。

 

 その隙を見逃さない。ここからの攻撃手段は自分は持っていないので、隙を作った事実を元に脱出するだけなのだが、念には念を入れる。

 自分はアリシアのカプセルに近づき両手に抱え、そのままロケットを再作動させてその場から遠ざかる。

 防御魔法が消えていた為、浮いているアリシアのカプセルに近づくのは容易であったし、プレシアの邪魔も心が隙だらけな今だけは入らない。

 

 何故、アリシアのカプセルを強奪したかと言うと、フェイトの為では無い。あくまで自分自身の作戦遂行の成功確率を上げる為である。

 とはいえ、これは本当に本当の最終手段の一つである。もしプレシアが記憶を完全に取り戻し、完全に勝利の目がなくなった場合、これを交渉材料でプレシアと二人になると言う対応である。

 ただ、完全に自殺行為以外の何ものでも無いので……本当の最終手段の確保でもあった。

 

 そして早急にプレシアの元から離れる事にも成功して、改めて様子を見る。

 

 

 

 ここで思う事は……

 

 

 願いの方向性の力を失ったジュエルシードはどう言う暴走をするかである。

 

 

 案の定、プレシアへ与えていた力はジュエルシード内に留まり膨れ始める。

 そして再度、次元震が巻き起こり始めた。その規模は最初に行われたよりも規模が大きく進行が速い。

 

 自分はジュエルシードが暴走している駆動炉を指差し大声で叫ぶ。

 

 

「フェイト! 頑張れ!! 君自身の手で決着をつけるんだ!」

 

 と。

 

 フェイトに命令していた()()を伝える。

 自分が指差して「フェイト。頑張れ」と伝えた場合、己の全ての力を行使して指を指した対象を攻撃するようにと。

 励ましの言葉で気持ちを底上げさせ限界以上の力を出せられるように期待する。そして出来うる限り自然に対象を命令させるために仕込んでいた。

 

 アルフにも別に仕込んでいたが、アルフは近距離メインのため、今は近づく行為自体危険である。

 そちらは指示がなくても自由意志でフェイトに協力するだろうと思うので、今回は控えようと考えた。

 

 フェイトはその命令を聞き、今まで極力控えていた魔力を爆発させたかのように金色の美しい魔力を噴出させる。

 

 そして魔法陣が浮き上がり、彼女の現段階において最高の一撃を繰り出すのであった。

 射線上にプレシアが居たとしても彼女は戸惑う事なくその攻撃を実施する。

 

 

 しかし……

 

 

 ジュエルシードの方が進行が速かったのだ。フェイトが射出する魔法よりも先に虚数空間が広がる進行が速い。

 それはジュエルシードの間近に居たプレシアを巻き込むのに時間は掛からなかった。

 

 本当に本当にあっさりとプレシアは苦悶の表情のまま虚数空間へと取り込まれてしまう。

 何も分からないまま落ちていくプレシアは何を思っていたのだろう。

 そしてそれを成してしまった自分は湧き上がる感情を飲み込む。

 謝る事は論外であり、同情も出来ない。自分が出した結論をしっかりと目に焼き付けそれを飲み込む。

 悪役のまま退場させると決めたのは自分であるのだから。誰に縋り付くことすら出来ない。

 ストーリー的にそうであったとしても先を知っているのは自分だけであり、その結果を受け止め進むしか無いのだ。

 

 そんな葛藤は誰も知らずフェイトの攻撃が暴走しているジュエルシードへと向かう。

 ただただ無差別に力を吐き出しているそれは先ほどとは違い確実にジュエルシードを押し込むのであった。

 それを見たのか続いてクロノ、ユーノ、アルフが魔力砲を射出して手助けを行おうとする。

 

 少しずつではあるが、ジュエルシードの力を削り押し込んでいく。

 しかし次元震の影響がまだ強く続く。このままでは時間が足りないと思ったその時に連絡していた彼女が現れるのであった。

 

 

「ディストーションシールド」

 

 

 その艶やかな薄緑の髪を靡かせて背中から同じ色の羽を4枚身につけているその姿は成長した妖精のようにも見える。

 そしてその力は本物である。ジュエルシードの暴走による進行は更に遅くなりこちらへ更に有利な状況を生み出すのであった。

 

 一応、来ないとは思っていなかったが、状況が悪ければ頭だけは緊急脱出する可能性もあり得たので、念のために連絡していた。

 上長のみが逃げ出すと言う言葉は見た目は悪いかもしれないが、責任を取るため、そして感情の矛先を向けるため、またその状況を後に説明するためにもその存在が必要になる場合がある。

 ある意味命が助かると言うわけでは無いのだ。惨事が酷ければ酷いほど、精神が先に殺される可能性の方が高いであろう。

 それはさておき、連絡の甲斐があったかは分からないがリンディさんがここにちゃんと来てくれたことで戦力がアップした事は事実であった。

 

 

 これで自分が想定していた舞台にはなった。後は本当に力と力の勝負だと思っている。

 

 

 本来ならここでコピー能力を使いたかったがそれはもう無い。先ほど仕込んでいた部分がそれぞれ発揮してくれるのを祈るのみである。

 しかし……ジュエルシードの力はまだ衰えない。

 これでもまだ足りないのかと思ってしまう……進行が遅くなったとはいえ、流石に限度はあるだろうと焦りが生まれた。

 

 全員分でも足りないのかと思ったが……一つ足りないと感じてしまった。

 

 それはなのはの存在である。

 

 なのははまだ攻撃に参加していない。じっとジュエルシードの暴走している場所を見つめているのだ。

 そういえば……なのはに応援はしていなかったな。と考えたが、なのは自身にその設定は行なっていない。

 先ほどの自分の言動や行動があるので、自分からなのはへの応援に効果があるのか? と消極的にも考えてしまうが、無いよりはマシかもと言う気持ちでなのはへも声を掛けようと考えた。

 

 

 しかし、その声よりも速くなのはは行動を実施する。

 

 

「あああああああああああっ!!!」

 

 

 と叫ぶ声は、いつもの優しいなのはの面影は無く、その身に纏う桜色の魔力は暴走しているかのように渦を巻いて身体から溢れさせていくのであった。

 

 



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39話

 __

 

 

 

 色々と心が限界だった……。

 

 フェイトのお母さんには想いを弾かれてしまい伝えることが出来ない。

 いかに自分の力に自惚れていたのか理解させられてしまう。

 

 自分のこの想いを伝えられないもどかしさは勿論のこと私が抱えているこの想いはこんなものではないと言うジレンマを抱えてしまう。

 

 そしてそれを成すことが出来ないのはただ単純に私が未熟なせいだと思ってしまう。

 伝えることが出来ない言葉は相手に届く事はない。それはただ独り言を喋っているのと変わらない。

 想いを見せる事が出来ないのは見せたい相手にそんなものかと侮られてしまう。

 

 それらは何もかも私の力が足りないからだ。

 

 そしてフェイトちゃんの匂いを付けられた彼の匂い。

 どうしてもその匂いを私は許せないでいた。彼からその匂いを感じた瞬間、苛立ちと共に歯軋りしてしまう。

 すぐ彼の匂いを私の匂いと共に上書きして保存したい衝動に駆られてしまったが、それは流石に自重した。

 あくまであれは二人っきりで行う神聖なものだ。誰にも邪魔される事はされたくない。

 

 だからこそ私の心はまだ晴れる事はなかった。

 そして奏くんのあの言葉は私の心に突き刺さる。

 

 私が護っている力が不安であると……。

 

 確かにその通りであると思う。だって私は彼に何も見せる事は出来なかったのだから。

 そしてそれは二人の世界に罅を入れた。

 

 フェイトちゃんも奏くんに包み込むような魔法をかけてあげた事。

 

 私がもっとしっかりとしていれば、そんな事はないはずであった。

 ちゃんと彼が安心出来る空間を作り私の想いを見てもらうことが出来たはずである。

 

 それを受け取った奏くんがフェイトちゃんへお礼を言う。

 ズキリと心が痛む。それは奏くんが悪い訳ではない。全て私が未熟なせいであった。

 

 そして更にそこから行われた展開は更に心に痛感させてくる。

 

 奏くんがフェイトちゃんのお母さんの元に向かっていったのだ。

 

 魔法が使えたの!? と言う驚きはあったが、それよりも危険な場所へ向かうその行動は私の心を完膚なきまでに恐怖を叩き込む。

 

 彼を失ってしまうかも知れない恐怖。

 

 絶対にどんなことがあってもそんな事があってはいけないのに可能性が生まれただけで私の心は恐怖に支配される。

 そしてそれをさせてしまったのは何よりも私の力が足りないせいであった。

 私にもっと力があればそんな危険な事はせずとも、安心して彼を包み込めて私を見せることが出来たのだから。

 

 しかし彼はそんな私の想いに気づかないままフェイトちゃんのお母さんへ向かっていく。

 

 そして成功させてしまうのだ。彼が放った光は彼女の防御に穴を開ける。

 それは私には力が足りなくて出来なかった成果であった。

 

 私が本来護るべき人が危険な場所に向かい私が出来なかったことを達成する。

 それは称賛すべきことなのかも知れない。その姿はカッコいいと感じてしまったのも事実であった。

 

 だけど、私の心は更に蝕まれてしまう。力の弱い私は彼にとって要らないのでは無いかと気分が更に塞ぎ込む。

 

 

 そして彼の一言が私の心を抉ってしまうのだ。

 

 

「フェイト! 頑張れ!」と。

 

 

 

 どうして? 

 

 どうして? どうして? どうして? どうして? 

 

 どうして? どうして? どうして? どうして? どうして? どうして? どうして? どうして? 

 

 

 

 ねぇ……。どうして? 私じゃないの? 

 

 

 

 心が叫ぶ。彼の優しく語りかけてくれる言葉を求めて身体が渇望してしまう。

 

 

 

 そしてやはり出てくる答えは一つであった。

 

 

 そっか……。私の()()が足りないからだ。

 想いの力がまだまだ足りない。だから彼は私に不安を抱いてしまうのだ。

 

 

 だからこそ私は証明しないといけない。

 

 彼を想う心。彼と一緒の世界を過ごしたいこの想い。

 過去を積み重ねただけでは無い。未来永劫。それこそ死の概念すら超越して一緒に時を過ごしたい。

 

 心に根付いている決して枯れることのなく溢れ続けるこの想いを私は何もかも表現して彼に伝えないといけないのだ。

 そうでないと彼を安心させる事は出来ない。

 だからこそ求める。私の想いを表現出来る力。魔法の力の強さを求め続ける。

 

 この想いに果ては無い。だからこそ、この私の魔法の力の限界も無い。

 今それを出せないのであればそれは私の力不足である。

 

 しかし、まだ私はとっておきを残してある。

 使用すればレイジングハートは修復モードに移行してしまうが、まだ全然私の想いを見せられてない彼には伝えないといけない。

 

 これから撃つ想いですら私はまだ満足していない。もっともっと強くなる。そして安心して一緒にいようねと。

 

 

 レイジングハート。私はこの燃え上がる心が折れる事は絶対にあり得ない。

 だからこそ今よりも、もっともっと護れる力が欲しい。協力してくれる? 

 

 返ってくる言葉はいつも通りの信頼出来る言葉であった。

 

 

 

「マスターの望みのままに」

 

 

 

 そしてレイジングハートはこれからの行動を理解したかのようにシューティングモードを維持してくれる。

 

 これから撃つ魔法は私の想いを表す。

 足りない想いは周囲から集める。本来は私個人での想いを表現をしたいのだけど、力不足を痛感していることもあり個人的感傷はこの際割り切るしかない。

 

 だけど、それでも私の想いはまだまだ足りていない。

 少しでも多く表現出来るように自身に気合を入れる。大声を出し限界まで魔力を振り絞るのだ。

 

 そしてレイジングハートへ魔力をどんどん圧縮させていく。

 強力に圧縮された魔力は器のギリギリまで溢れ今か今かと飛び出しそうなくらい硬くなる。

 

 そして目標に向かって全力全開で放つのだ。

 

 私のこの想いは幾多の星にも届き、その光は彼を安心させるように何もかも打ち砕くのだと。

 

 

 そして撃ち終わった後にこう思うのだ。

 

 フェイトちゃんとの関係をしっかりと彼にお話して貰わなければと。

 

 

 __

 

 

 

 

 スターライトブレイカー。

 

 

 なのはが大声を叫んだ後に撃ち込んだ魔法である。

 桜色の魔力と周辺に散らばっていた魔力がそれぞれ収束され圧縮される。

 レイジングハートから放たれるその光はどこまでも一直線に突き進むのであった。

 

 

 その強さは主人公高町なのはの代名詞と誰もが言えるくらい折り紙付きの威力である。

 撃ち込まれる光は桁違いの強さを誇っていた。

 

 

 それは暴走していたジュエルシードの魔力に風穴を開ける。

 恐らくそれだけで何個かは普通にあれで消滅しただろう。一気にジュエルシードの魔力が縮小され落ちてくるのが分かった。

 

 しかしその余波で更に時の庭園は崩壊を進める。

 だが、なのは以外のメンバーもそれに続き更に吹き飛ばすようにそれぞれ魔力を撃ち続けるのであった。

 

 そこから暴走した魔力が完全に霧散するまで時間はそう必要無く終わりを告げる。

 

 消滅した魔力を確認した後、崩壊に巻き込まれるのを防ぐため、早々に脱出を開始する。

 そして自分もそれに続こうと思った瞬間、ふと先ほどの消滅されたジュエルシードがあった所に目を向けた。

 

 

 

 そこには1個のジュエルシードが静かに浮かんで佇んでいた。

 

 

 何故? どうして? という思いが浮かび上がる。先ほどは()()()()。まるで蘇ったかのように静かにジュエルシードが静かに浮かんで佇んでいる。

 そして何故か見えてしまう。そのジュエルシードに黒いモヤのようなものが纏わり付くのが。

 

 イヤな予感が膨れ上がる。その予感を他に伝える前にジュエルシードは行動を開始した。

 ジュエルシードからレーザーのような魔力が圧縮された攻撃が走る。

 それはどこまでも速く一直線にまっすぐ自分の元に到着してしまう。

 

 まだ彼女らの防御魔法が活きていたので、そこで一瞬の停滞が生じていた。

 しかしその光は少しずつ削るようにあのプレシアの攻撃すら防いだ防御魔法を突破しようとしてくるのだ。

 まるでそれはプレシアが記憶を無くす前に最後に思っていただろう「あのクソガキ。殺してやる」といった想いを引き継いでいるようにも感じられる。

 

 その削られるような音に他の人も異変に気づく。

 攻撃されている自分を防ぐため、助けに入ろうとするがそれでもこちらに来るまでのタイムラグは致命的であった。

 

 倒したときの油断を誘い一撃入れてくる。

 ある意味定番でもあり、心の隙をついたそれは実際に行われるとどこまでも厄介である攻撃である。

 その手腕は意地悪を煮詰めたあの存在を彷彿とさせる。

 

 どんどん防御魔法が削られていく。そして自分に到達するまでもはや時間は無い。

 しかし、やはり彼女らの防御魔法は優秀であったのだろう。自分に届く頃には威力も大分減衰しているのが分かった。

 

 そしてその攻撃が身体に触れる前に自身の体を守る最後の切り札を起動させる。

 それはリンディさんの魔力を使用した防御機構である。

 この攻撃は想定外であったが、元々事前に備えるべきところは出来る限り備えようとしていた性分が活かされる。

 

 これは受けるをメインにしていない。受け止められる耐久さを捨てどちらかと言えば致命傷を避けるために逸らすを重点に置いてあった。

 本当に切り札の一つであった為、対プレシア用で緊急避難用として準備していたものである。

 大きく開いた傘のように円錐のような形で防御が展開され先ほどの攻撃の光を逸らすように機能を発揮してくれた。

 

 だがそれも一瞬で破壊されるが、弱まったその攻撃を逸らす目的は達成出来てくれた。

 しかしその砕かれた衝撃はこちらの体をふき飛ばしてくる。

 

 吹き飛ばされた体は宙に浮き上がり、勢いよくどこかの壁にぶつかった。

 カハッとぶつかった衝撃で自分の体から空気が漏れる。そして衝撃の痛みに耐え切る事は出来なく、そのまま地面に倒れてしまう。

 

 

 

 あいつ……殺意高すぎだろ……と思いながら少しずつ意識が薄れていくのを感じ、駆け寄ってくる足音が大きくなってくると同時に意識を落とすのであった。

 

 

 



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40話 □エロ フェイト(VS大人?シチュ①

 ゆっくりと目蓋を開く

 

 

 目の前に飛び込んできた光景は天井である。

 そしてこう思う。

 

 

 

 見慣れない天井だ……。

 

 

 

 まぁ……勿論嘘であるのだが、少し言ってみたかっただけである。

 これは寝ぼけているなと思い……完全に覚醒しきれてない頭を回しつつ、何度も見た天井を見つめる。

 

 ここはアースラ内の自分の自室であろう。そして恐らく自分はベッドで寝かされている状態だと思う。

 あの攻撃の後、気絶した自分を誰かが運んでくれたのか、意識が戻り自身の心身を無事確認することが出来た。

 

 色々とゴタゴタはあったが、何とか乗り切れたことに一安心する。

 次のことはしばらく考えたくない気持ちが一杯になるが、ひとまず現状を確認する為、身体を起き上がらせようとする。

 

 上半身が起き上がると共に掛けられている布団が少し捲れる。

 

 そして捲れた布団の部分を見てみると、金色の髪のような一部分が見えた。

 

 

 

 ? 

 

 

 

 疑問符が頭の中を通り過ぎる。その答えを求めるように更に布団を更に開いていく。

 自分の身体から掛けられている布団が全て捲れ、金色の髪の正体が完全に露わになる。

 

 そこにはまるで安心しているかのように薄らと笑顔を浮かべながら、すーすーと寝息を立てているフェイトの姿があった。

 

 

 

 ?? 

 

 

 

 再度、それを見て疑問符が頭の中を通り過ぎる。とりあえずもう一度布団をフェイトに被り直させて再度捲ってみた。しかしフェイトの姿は変わることはない。

 自分何かやっちゃいました? と言う訳の分からない言葉が頭の中を駆け巡った。

 思考を冷静に戻す為、深く息を吸い込み深呼吸を実施する。そしてひとまずこの状況は後に回そうと棚に上げて、結局は冷静になりきれないまま、周囲の状況を確認する。

 

 やはりここはアースラ内の割り当てられた自室であった。ロック付き。完全防音。探知魔法防御。ある意味完全な密室である。

 もし、ここで何が起きても基本的にバレることはない……。何故か知っている事実ではあったが頭の中にその言葉が念を入れるかのように告げてくる。

 

 

 ……やはりあの戦闘で色々と疲れているのかも知れない……特に前線に出る事は、見えない緊張を身体に伝え疲労をより誘発させてしまったのではないかと考えてしまう。

 フェイトはまだ横で寝ている状態である。それならばと次は自分の身体の状態を確認しようと目を向けた。

 

 

 そこで先ほどから視線を回していた時に感じた違和感の正体に気づく。

 

 いつも見ていた景色の高さが違う。

 ずっと昔に見ていたであろう。ある意味見慣れた高さだ。

 

 

 そして身体が大きい。元々、年齢よりも成長しているであろう身体よりも更に大きくなっている。

 

 

 これはまるで少年から青年に急成長したようでは無いか……。

 自分の掌を見る。少年の掌では無い。骨格が成長し作られるガッチリとした掌。

 小指の指輪はその身体のサイズにあっているかのようにキラリと光ったままである。

 元々これらのアイテムはサイズが自由に変わるのだろう。特に窮屈さは感じないのであった。

 

 そして自分の身体を改めて確認する。着ている服は病人を介護するためのものなのか生地は厚くなく、肌触りは良い。

 恐らくは子供であれば、ゆったりとサイズに余裕があったと推測されるが、今は大人の身体である。

 上半身はそれに耐えきれなかったのか、それとも元々開きやすい構造をしていたのか中央の服を閉じる部分は開かれ自身の肌が露わになっている。

 露わになっている肌に肩から胸にかけて包帯が巻かれているのが分かる。ただそれも成長されている身体のせいなのか、限界まで伸ばされキツく感じられてしまう。

 

 身体自体は引き締まっている。流石にマッチョというレベルでは無いがそれぞれ筋肉はしっかりとついており、力を込めればその硬さを実感出来そうであった。

 下半身にも目を向ける。こちらは成長した身体から逃げるすべは無かったのか、もうパンパンである。

 

 ちょっと力を込めれば、子供の頃に夢見ていたような、服がはじけ飛ぶシーンが見れるかも知れない。

 しかし下半身である。それは色々とまずいだろうと無駄なことを考えてしまった。

 

 何故、この身体になった? という感情が浮かぶ。

 そしてふと思い出すのだ。

 

 

 使った能力に応じての身体へのフィードバック……。

 

 

 吸血衝動自体はあの能力を使用した時点で治っていた。なので、あれはあくまで下準備の反映だろうと改めて推測される。

 恐らくこの現象は、能力の反動。身体へのフィードバッグであると考えてしまう。

 

 でも何故、成長することが必要? 

 それともこれが対価なのか? 

 

 そうなると色々言い訳というか後の処理がかなり面倒である。

 頭の中で色々思考を重ねるが、超常現象の説明は中々良い案が浮かばない。

 

 

 

 しかし、成長する必要があった理由はすぐ判明する。あの悪質な手腕を再認識させられてしまうのであった。

 

 

 

 うーん。と思考していると横で寝ていたフェイトが布団を剥がされ暖かさが無くなったせいなのか、無意識な中で何かを求めるように手で探り始める。

 その手が自分の着ている服に到着すると、それを離さないかのようにギュッと握るように手を動かしてくる。

 そしてそれに近づくかのようにフェイトの身体が自然に動いてくるのであった。

 

 身体に密着するようにフェイトの顔が触れる。そして再度、安心したかのように眠りながらも笑顔を浮かべてくるのだ。

 無防備な笑顔は庇護の感情を強くする。その感情に従うように優しくフェイトの頭を撫でてあげるのであった。

 

 しかし、その触れる刺激に気付いてしまったのか、フェイトの意識が少しずつ覚醒してくるのを感じる。

 寝息の呼吸が止まり、その可愛い表情から少しずつ目が開かれ、そのルビーのような透明感のある少し赤色の瞳が見えてくるのであった。

 

 そしてクシクシと音が聞こえそうな感じで己の目を手で拭う。意識がそれで完全に覚醒した後、こちらへ瞳を向けるのである。

 

 フェイトはこちらを見てあれ? と言う感じで瞳を揺らしながら問いかけてくる。

 

 

「奏……なの?」

 

 

 それを聞いて背に汗が伝う。確認してくると言うことはフェイトが寝る前まではいつもの姿だったと言うことだ。

 だけど、まだ修正がきく範囲内だと結論を付け、フェイトのその質問にそうだよ。奏だよ。と答える。

 

 

 その答えた声に自分が驚いてしまう。声を出した時に響く音がいつもよりも低いのだ。

 本来なら成長と共に声も変化していくため感じることは出来ないが、この違和感は自身も驚いてしまう。

 まぁ、すぐに慣れると思うので、表情には出さないように注意しつつ話を進めようと思った。

 

 

 フェイトはうーん? とでも言うように目を細めこちらを見てくる。

 そして、身体に顔を近づけスンスンという音が聞こえそうな感じで匂いを嗅いできた。

 

 

 それで答えが出たのか「奏だ!!」と嬉しそうにこちらに抱きついてくるのであった。

 

 犬か君は!? と少し突っ込みを入れたくなってしまった……。そして匂いで人を判別することが可能なのか……と何とも言えない微妙な気持ちになる。

 

 

 しかし、そんな気持ちは知らずフェイトは言葉を発する。

 

 

「けど、どうして今の姿なの? 何かあったの?」

 

 

 その疑問にはこちらも知りたいと思いつつ「分からない……だからまだ誰にも話さないでね」と伝える。

 フェイトは「うん!!」と笑顔で伝えてきた後、こちらの身体をペタペタと触り「無事で本当に良かった……」と瞳を潤ませてこちらに改めて抱きついてくるのであった。

 

 身体がより密着される。今までよりも体格差を意識してしまうが、その心配を払拭するためその体格差を活かしフェイトを包み込むようにこちらも抱きしめる。

 

 そうすると感じてしまうのだ。

 

 

 フェイトの身体の匂い。

 

 

 清潔感のある石鹸の匂いと共に感じられる、少女特有の甘い蜜のような香り。そして寝ていたためであろうか薄らと感じられるフェイト自身が発する汗の匂い。

 それらが混じり合う香りは一つの力のようであると、魅力を伝えてしまう。

 

 

 それで意識してしまったせいなのか不明だが、奇襲をかけられたように急にある衝動が身体へと襲ってくる。

 

 

 

 

 貪りたい。

 

 

 その無垢な身体を快楽に染め上げ貪りたい。

 

 

 そして己の快楽をどこまでも満たしたい。

 

 

 

 

 その感情が急速に膨れ上がり、ヤバイ!! と残った理性が悲鳴を上げる。

 しかし身体は求め続ける。自分の心が侵食されるような感覚に陥る。

 

 少し強引にフェイトを自分の身体から引き離す。

 その行動にフェイトは「奏?」と心配そうな声をあげてくるが、そちらを見ることすら出来ない。

 

 

 見てしまえば、襲ってしまいそうだからだ。

 あの可憐で無垢な少女を汚したくなる。どこまでも愛して上げたくなる。そしてお互い溶け合うのだ。

 

 

 思考がおかしな方にブレ始める。それを防ぐかのように自身の身体を抱き込むように腕を回す。

 そして蹲るように身体を倒して心を無理やり抑えようと努力する。

 

 

 しかし、それを嘲笑うように湧き上がる少女の身体を求める欲求は止まらない。

 

 

 

 汚したい。

 

 

 どこまでも自分色に染め上げたい。

 

 

 泣き叫ぶであろうその表情を快楽で染め屈服させたい。

 

 

 

 快楽、執着、愛情、支配、優越 様々な欲求がこちらの心を染め上げてくる。

 歯止めが効かない。止め方が分からない。だから今はそれに耐えるしか無かった。

 

 欲求というよりも欲望。そしてそれはどこまでも黒くこちらを染め上げてくる。

 

 

 

 これがフィードバックか……とわずかに残っている理性を回し思考する。

 確かにこれで身体が死んだりはしない。しかし、その衝動的行動に伴う結果、恨まれ殺されても文句は言われないだろうと考えてしまう。

 そして心臓が激しく動き、熱くたぎる欲望を回すように血液が身体を回し続ける。

 この熱は子供の身体では耐えきれないだろう。暴走どころかそれだけで器が破裂しそうだ。だからこの身体を準備したのだと理解させられる。

 

 

 

 そして頭で悪魔が囁くのだ。

 

 

 その衝動に従っちゃえば良いじゃん。今だったら彼女を自由に出来るんだよ。

 なら戸惑う理由はないでしょ? 

 

 

 

 確かにその通りだ。催眠状態にいつでも掛けられるこの現状。

 そして何もかも少女を自由に出来る力が今は自分にある。

 証拠隠滅すら容易に出来るこの環境はそれを戸惑う理由は無い……。

 

 

 

 

 

 だが却下する。

 

 

 

 

 この衝動自体もあいつに作られている感情であるはずだ。だからこそ反逆する。衝動には従えないとなけなしの理性を用いて耐え忍ぶのだ。

 しかしそれすら無駄な努力なのであろう……。欲望は心に溢れ続けるのであった。

 

 

 どちらにせよ近くに彼女が居てはどうしようもないと判断して、彼女を引き離そうと考えた。

 声も出したら命令しそうなので出せることは出来ない。

 そして視線も見せられない現状下で難しいが身体を震わせながらも彼女へ意図を伝えようと努力する。

 

 指で部屋の扉を指差す。ここから離れてくれと伝えるように。

 

 フェイトは恐らく心配しているのであろう。それを見ても動く様子は見られなかった。

 再度強く力を振り絞るように部屋の扉を指差す。頼むと言わんばかりに意図を伝える。

 

 そうしてフェイトはようやく意図を理解したかのように動き始めてくれた。その動きを感じて助かった……という思いが浮かんでしまう。

 

 

 フェイトが部屋の扉の前に立った。そして彼女は……

 

 

 ピッと電子的な音が響き扉のロックを実施するのであった。

 

 

 

 違う、そうじゃない……。どこかで聞いたような言葉が頭に浮かんでしまう。

 そんな思いは勿論フェイトに伝わらず、再度こちらへ近づいてくるのであった。

 

 そして震えているこちらの身体を包み込むようにこちらを抱きしめる。

 

「あのね。奏が何に耐えて苦しんでいるかは分からないけど」

 

「それは私に何かしないように耐えて心配してくれたんだよね」

 

 そして包み込む手をさらに強くしてくるのが分かった。

 そして彼女は耳元で呟いてくる。

 

「私はね。奏にだったら何をされても構わないんだよ」

「むしろ嬉しい。だから私の全てを使ってその苦しさを直して欲しい……」

 

 

 それが私の望みだから……

 

 

 あぁ……ダメだ。これは良くない……。

 フェイトから感じさせてくれるこの想いは、自分の理性を何もかも溶かしてしてその優しさに溺れてしまう。

 その理性が崩壊する音が聞こえてしまった……。溢れる感情が止められない。ならせめて最後の己の意思で心の覚悟を決める。

 

 

 

 自分が選択して彼女を汚すと。

 

 

 

 ゆっくりと伏せていた身体を起こす。そしてフェイトと改めて向き合った。

 

 今はベッドの上でお互い座っている状況だ。それでも体格差が分かるくらいフェイトが小さく見えてしまう。

 フェイトは慈愛に満ちた表情でこちらを見てきてくれる。それらを汚す背徳感が背筋をゾクゾクと駆け上がるのがわかった。

 

 しかし最後の残っている理性が彼女へ言葉を伝える。もしこれから行う行為でイヤなものがあったら必ずそれを伝えて欲しいと。

 フェイトは素直にその言葉を聞いてコクリと頷く。正直、その時に止められるか自信は微塵も無いが、それでも知らないよりはマシだろうと考えた。

 

 

 フェイトの腕を取り強引にこちらの身体に引き寄せる。フェイトは抵抗することなくポフンという感じで自分の胸の中に収まった。

 そしてフェイトの顎を掴みこちらの顔と向き合うようにクイッと引き上げる。

 

 瑞々しい果実のようにも感じられる薄らと赤い艶やかなフェイトの唇が見える。

 それに強引にこちらの唇を重ねた。フェイトはこれにも抵抗することなく目を閉じて行為を受け入れてくれる。

 

 

 さらにその閉じていた唇をこじ開けるようにこちらの舌を入れ込む。

 それはフェイトにとっては勿論初めての行為だろう。自分の舌が己の口内にねじ込まれた瞬間、目を見開き驚きを伝えてくる。

 

 ねじ込んだ舌で、フェイトの舌を絡ませた。フェイトはどうして良いか分からないまま一方的に舌を蹂躙されてしまう。

 しばらく一方的にフェイトの舌を堪能しているとフェイトの方も少しずつ慣れてきたのかおずおずとした感じで舌をこちらに絡ませてきた。

 

 少しずつそして確実にお互いの舌での摩擦をお互い感じあう。

 だがそれだけではない。フェイトの背中側に手を回し背骨にそうように上から下へと指を這わせる。

 

 その指の刺激にフェイトはびくっと反応してしまうが、舌を絡めている動きは止まらない。

 その深い口付けに夢中になっているかのようにこちらへどんどんと舌を積極的に絡ませてくる。

 

 背中に指を這わせる目的は性感帯を高めるのと同時にその発掘。そして下着の位置の確認。その取り外しの確認とか様々とあるが、要するに快楽へ落ちやすくする為である。

 まだ未成熟なその果実は解れるまで時間が掛かる。だからこそ丁寧に丁寧に染め上げていくことが必要であった。

 

 口付けを交わしつつも彼女の性感帯を探る。背中の指を軽いマッサージを行うように押し込み緊張の筋肉を解す。

 さらに首、腰の位置にも手を滑らすように回し意図をどんどんと相手に伝えるのだ。フェイトの身体は己が自由にするという形で。

 

 

 フェイトはその手を時折身体を震わせながらも受け入れる。

 そして段々とフェイトの顔が紅潮してくるのが分かった。フェイトもこれからされる意図を少しずつ理解してきたのであろう。

 しかし、彼女は嫌がる素振りを見せる気配はない。そのまま口付けを重ね行為を受け入れる。

 

 お互い息継ぎをするように唇が離れる。その時お互いの舌の唾液が伝いねっとりとした細い唾液の橋が出来る。

 それはすぐに消えてしまったが、フェイトは先ほどの続きを求めるように口を大きく開けた。まるで雛鳥が餌を待つその姿に嗜虐したい思考が加速する。

 

 体格差を活かし、フェイトの顔の真上に顔を重ねるそして口を開けているフェイトへこちらの舌を伸ばしゆっくりと唾液を伝わらせる。

 その唾液は重力に従い下へと落下する。その先は開いているフェイトの口であった。

 

 フェイトはそれを喜んだように口に収める。そしてまるで美味しそうなジュースを飲んでいるような表情でこちらの唾液を飲み込んだ。

 飲み込んだ後はもっともっとと言わんばかりに再度口を開くのであった。

 

 それを見てフェイトを押し倒すようにベッドへ一緒に倒れ込む。

 そして覆いかぶさっている自分の顔をフェイトへ再度近づけるのであった。

 

 今度はフェイトの口内に舌をねじ込まない。お互いの唇の辺りで舌を遊ぶように絡め合うのだ。

 滑りのあるお互いの舌だけがそこで絡み合う。舌先で反応を確かめ合うその行動は溶け合うようにも感じられる。

 

 フェイトはそれが意外と気に入ってしまったのか、瞳を潤ませてまるで酔ったかのようにその行為に没頭していく。

 そして時折唇同士が重なり、ちゅっちゅとキスをする音が部屋の中に響いた。

 

 

 しかしそれでこちらは終わらない。今度は指を寝ているフェイトの耳に這わせる。

 その柔らかくも弾力がある耳の感触そして耳裏の性感帯を優しく撫であげる。

 

 その刺激は重ねていたフェイトの口から熱い吐息が漏れてしまう。

 吐息は熱を伴いこちらの口へ伝えられ、それすら興奮の材料となって快感を伴った。

 

 指を更に首筋そして前胸部。胸の中心部分に手を這わせる。

 胸の部分で感度が最も高い乳房。まだ慎ましやかで自己主張が少ないその部分にはまだ触れない。

 

 服の上から胸の中心部分をゆっくりと下に這わせていくのだ。

 そしてお腹の部分まで手を這わせる。

 

 そこは特に少女的な肌の柔らかさを特に感じさせてくれる。

 手の触覚でフェイトのその柔らかな肌を堪能しつつヘソの窪みの部分や横腹へと手を移動させて反応を確かめていった。

 

 

 フェイトの呼吸が少しずつ荒くなってくるのが分かる。

 これは快楽を伴う行為であることが知識よりも本能が理解しているのであろう。

 こちらを見つめるその潤んだ瞳はもっと触って欲しいという欲求にも聞こえてしまった。

 

 しかしこちらは焦らしてもっと高めさせたいと思っている。

 身体の性感を極力高めていくと同時に心の感度も高めていかないとフェイトの身体が最終的に持たないと思っているからだ。

 

 手をフェイトの太腿部分に向ける。女性的柔らかさと共にしっかりと鍛えているであろうハリのある感触を与えてくれる。

 それを堪能するかのように手で揉み込むように触り続ける。鍛えてあってもフェイトの太腿はまだ細くその愛撫を強く受け入れる。

 まだ開発されていないその場所はくすぐったい感覚も引き起こされるのだろう。フェイトの身体が時折捩るように身体を震わせた。

 だが、決してフェイトは嫌がるそぶりは微塵も見せない。それどころか次を要求してきそうなくらいに興奮した瞳を見せてくる。

 

 

 こちらも更に欲望が溢れ続ける。そしていい加減に着ている服の圧迫感から開放されたいと考え、上半身、下半身共に来ている服を無理やり脱ぐ。

 流石にまだ下着はまだ脱がなかったが、改めてそこを確認すると自己主張は半端無かった。

 

 ……昔の記憶以上の業物であるかも知れない……。それを見て謎の敗北感が襲ってくるがそれは無視する。

 身体全体は先ほど確認した通り引き締まっており、無駄な贅肉を感じさせない。

 恐らく順当に成長すればこの身体になるだろうと想像させてくれるが、その考察は後に回す。

 

 そして、フェイトの方をその姿で改めて見る。

 フェイトは顔を更に真っ赤にさせたようにして、目を自分の手で隠すようにしていた。

 しかし、その指の隙間からチラチラとこちらの裸を見ているその仕草は興味津々ですと伝えてくるのであった。

 

 まぁ……彼女にはもっとこれから分かってもらう必要があるのだが……。

 

 裸のままフェイトへ更に近づくフェイトはアワアワと更に顔を真っ赤に染めるが、逃げる事はない。

 微妙に期待感も込められたその瞳にはどうすればいいの? とこちらに伝えてくるように感じられる。

 

 

 そしてゆっくりとフェイトの服も一枚一枚脱がせていく。

 まずは上半身の服を脱がせて、恐らくスポーツブラのような下着を更に取り払う。

 そこには真っ白な肌と共に慎ましやかにも柔らかさを感じさせる胸。そしてピンと張っている桜色の突起が見えた。

 

 フェイトは顔を真っ赤にしっぱなしである。

 恥ずかしいけど、それでも手でそれを隠さず全てを露わにしてこちらに見せてくれる。

 それはこちらが望んでいることを理解しているかのように……そしてその状況にフェイトは興奮しているかのように顔を赤く染め瞳を潤ませてこちらを見てくる。

 

 下半身にも手を広げる。

 スカートを脱がし、彼女が守るものが下着一枚だけになった。

 そして下着の両端を両手で掴みゆっくりとスライドさせていくのだ。

 

 それを行いつつフェイトの様子を見てみる。

 フェイトは先ほどと違ってこちらを見てなく、顔を赤くしながら横を向いている。

 そして人差し指を折り曲げ、第一関節と第二関節の間の部分を口に咥えていた。

 

 恐らく羞恥の感情が強いのであろう。しかし、それはこちらの興奮を誘ってしまう表情でもあった。

 ゆっくりとスライドさせて下着がずれていくに辺り、目をギュッと瞑ってしまう。

 

 

 そしてフェイトの大事な部分が露わになる。

 

 

 下着とその大事な部分が密着されていた場所から離された時、粘度の高い液体が糸を引くようにつたってしまう。

 それはフェイトの興奮している気持ちをこちらへ理解させてしまうのだ。

 

 完全に下着を脱がせ、改めてフェイトの身体を見てみる。

 まだ幼くもそれぞれが女性を感じさせるその身体。そして興奮を表すかのように真っ白な肌でも血色が良い感じを伝えさせてくれた。

 そして控えめで慎ましやかな胸とは別に自己主張が激しさを伝えてくる突起部分。

 

 それぞれがそれぞれの魅力を放ちこちらの興奮を誘ってくる。

 蹂躙したい気持ちが膨れ上がる。そして綺麗な身体を汚したい嗜虐心も加速する。

 

 それに抗う勢力は残っていなかった。

 

 更に興奮出来るようにフェイトに言葉を発する。「足をもっと開いて」と。

 

 

 フェイトはそれに従うかのようにそしてこちらを焦らすかのようにゆっくりとその足を開いてくれる。

 そして彼女のその大事な部分が更に露わになるのだ。

 

 中心部分は先ほど下着へ伝えていたように粘度の高い液体で湿っていた。

 それは開くことで更に溢れさせているようにも見える。

 そこから発する扇状的な匂いは女であることを表しているように感じられた。

 

 はぁはぁ……とフェイトが指をくわえながらも興奮を伝えるように荒い息を繰り返す。

 それに呼応するかのように大事な部分は更に新しい蜜を生み出すのであった。

 

 自分はそれを見て直接その部分にはまだ触らない。

 まだまだ興奮して染まってもらおうと考えてしまう。

 

 まずはその露わになっている横部分、内腿の所に両手をそれぞれ触れさせる。

 その手が触れた瞬間、より強くフェイトの身体が震えたが、それは気にせずに少しずつ鼠蹊部、足の付け根の部分に向かってゆっくりと手を這わしていった。

 恐らくこの刺激自体も初めてであろう。大きな手で肌としては敏感な部分が擦れる摩擦の刺激はビクビクと彼女の反応を引き出す。

 

 指を咥えジッとその刺激に耐えていたがそれでも時々喘ぐような声が漏れる。

 しかし、その声でこちらの攻めは止まらない。むしろ加速していく。

 

 足の付け根部分を更に指先で触っていく。

 大事な部分に近いがそれでも直接その部分に触られた時のような強力な刺激ではない。

 だけど、その大事な部分に近くなればなるほど、むずむずするような刺激をフェイトの身体に与える。

 

 その身体の刺激は更に受け入れるための準備を行う。先ほどよりも更にねっとりと粘度の高い白く濁った液体を彼女は生み出してしまう。

 もはや足を開いている状況は彼女に羞恥を感じさせない。快楽を更に求めるように足を更に開いてくれるのであった。

 

 とうとうその指をフェイトの大事な所へ運ぶ。

 割れているその綺麗な筋を溢れている蜜で滑らすように優しく刺激を伝えるのであった。

 

 その直接的で強力な刺激はフェイトに喘ぎ声を与えてしまう。

 あっ……あっ……と指の動きと合わせ断続的に声を漏らす。

 

 指を動かして更に摩擦を強めていく。段々とフェイトの声も伝えられる刺激と共に大きくなってきた。

 咥えていた指は口から離して、ベッドのシーツをギュッと握るようにしつつも、腰はその快感を受け入れるため少しずつその指の動きと合わせて動いていた。

 

 そしてゆっくりとその大事な所を指で開いていく。その柔らかさはまるでお餅のように柔らかく、ささやかながらも厚みを感じる。

 そして肌の温もりを熱く感じさせてくれており、開いていくと共にその女性としての匂いを強くこちらへと伝えてくるのであった。

 

 中はとても綺麗で肌のくすみなど存在しなく、その真っ白綺麗な肌と同様の滑らかさを感じさせてくれる。

 そして大事な所も綺麗な薄いピンク色を発色させてこちらの興奮を誘う。

 更に女性としての一番直接的な刺激が強く感じられる部分。陰核部分はまだ埋もれてはいるが興奮を表している様に固くなっている様に見えた。

 

 この部分は本当に優しく触ってあげないと開発されてない現段階では苦痛にしかならないはず。

 そう考え周りから丁寧に優しく指を滑らせていく。

 

 

 

 あっあっ……これっ……すごっ…………あっ……

 

 

 

 フェイトの喘ぐ声が快楽を享受出来ていることを実感させてくれる。

 どんどんと溢れさせるその愛液。そしてその指が与える快楽を彼女は覚えていく。

 

 

 陰核を刺激しつつその溢れてくる蜜の大元へ小指を少しずつ挿入していく。

 大人になった今は小指でもそこそこの大きさのため、傷を付けない様に注意をしつつゆっくりとそこに浅く出入りをするのであった。

 

 ヌルヌルとした感触と共に柔らかく全体を包むその壁の感触が指へ伝えられる。

 時折、快感を伝えるかの様に中の壁がギュッと小指を握り込む、そして何かを絞り込むその動作は淫靡な想像を掻き立てられてしまうのだ。

 

 段々とフェイトの足が更に開いていくと同時にピンと伸ばす様に張ってくる。

 それはこれからくるであろうその波へ身体が受け入れようとしていた。

 ただ彼女の頭の中は未知数なのであろう。左右にフルフルと頭を振りその快楽を耐え忍ぼうとする。

 

 しかし、こちらの指の動きは止まらない。

 陰核の周りを刺激するその指は直接、陰核を触れるか触れないかのギリギリの位置まで動かして強い快楽をフェイトへ伝える。

 

 膣口を刺激している小指は大量に溢れてくる愛液と合わせ痛みを感じさせることなく、優しく彼女へ快楽を伝える。

 

 

 

 ダメっ……ダメっ…………いやっ……あっ……あっ……

 

 

 

 これはダメという意思表示なのだろうか……? と思うのはどう考えても早計であろう。

 しっかりと身体は拒否を示していない。もっとと言うべきにこちらに身体を曝け出してくれる。

 だからその声は無視しつつフェイトへ快楽を与えるのだ。

 

 そしてフェイトに大きな快楽の波が押し寄せる。

 

 

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ……あっ……ぁ……

 

 

 

 足先すら真っ直ぐ更に伸ばされもっとも強い快楽が彼女を包み込ませる。

 声にならない様な長く小さな嬌声を上げ、絶頂へと達してしまったことを伝えてくれる。

 

 膣口に入れていた小指が今までよりも強く締め上げられる。そして絞り込まれるのだ。

 奥に奥にと吸い込む様に振動するその動きは指であっても快楽を持たせてくれる。

 

 そして長い絶頂が終わったのであろう。フェイトの身体がぐったりと弛緩した様に力が抜かれる。

 はぁはぁ……と荒い息と共にその快楽の余韻に浸っている様にも感じられた。

 

 小指をゆっくりと抜き出す。滑りのある液体に濡れたそれはすぐに抜き出せたが、先ほどの締まりあげるその強さを感じさせるように抜いた時にぬぽっと音を発生させた。

 そしてそれと共にんっ……とフェイトが声を小さく上げる。

 

 ただ、まだ夢心地なのだろうぐったりとした様子で、フェイトは息を落ち着けさせようとしている。

 

 抜いた小指を改めて見てみた。テラテラと濡れて光るその液体と匂いはこちらの興奮を誘う。

 その小指をペロっと舐め、フェイトの女の味を味わう。

 

 そして滾るこの欲望を持ってこう考えてしまうのだ。

 

 

 

 これからが本番だと……。

 

 

 












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41話 □エロ フェイト(VS大人?シチュ②

 はぁはぁ……と息がまだ荒いままのフェイトへ顔を近づける。

 

 

 フェイトの顔はまだ目の焦点が合っていないようにぼやけたままであり、口も身体の熱を逃すかのように開いたままだ。

 快感の余韻を感じながら見せてくる惚けた表情は彼女の冷静な思考を奪っていることを感じさせてくれる。

 

 だからこそ、更に彼女を快楽へ蕩かしていくのだ。

 

 フェイトの顔に近づく。そしてその開いた唇を口付けで塞いでいった。

 惚けた表情のままフェイトはその口付けを受け入れてくれる。

 そして先ほどのように舌を軽く絡めるとフェイトも無意識のように舌で応えてくれる。

 

 先ほどよりも唾液の滑りがねっとりと更に濃くなっているようにも感じられる。

 舌の熱さも火照った身体の体温を感じさせ、ヌルヌルとした感触を堪能する。

 

 こちらから唾液を送りこむ。舌を伝いどんどんとフェイトの口の中に己の体液が送り込まれていく。

 それをフェイトはまるで水を飲むようにコクコクと喉を鳴らし飲み込んでいく。

 

 彼女は無意識に与えられる熱を逃すため、更に熱い吐息をこちらに伝えてきた。

 だが彼女を更に新しい刺激を襲うようにしていく。その慎ましやかな胸に指を優しく這わせていくのだ。

 膨らみ始めているその柔らかい部分をグルグルと言う感じで指を押し込みつつ撫であげる。

 そして時折、その敏感な突起部分を指の道筋が通るようにしていった。

 

 敏感な部分が一瞬通り過ぎるその刺激は彼女をビクリビクリと身体を震わせる。

 そして口付けによって、その熱を吐き出すことは許されず、思考を戻すまでの十分な空気を与えない。

 彼女は無意識に身体の快楽をどんどん刻み込まれてしまうのであった。

 

 しかし少しずつ受け入れていたその刺激に慣れ始めたのを感じ、更に強い刺激を与えていく。

 クリクリと指の腹でその敏感な突起を優しく捏ねるように刺激を与える。

 

 その刺激は口を塞いでいても彼女から声が漏れてしまう。

 んっ……んっ……と身体を震わせてその快楽を享受する。

 

 

 そういえば……乳首の部分を軽く潰されるように弄られるのも好きそうだったな……と思い出した。

 

 

 指で突起を摘む。すると先ほどから快楽を受け入れてトロンとしていたフェイトの瞳が、何かを期待しているように瞳を震わせ潤ませてくる。

 

 口付けている状態からこちらの舌を抜く。舌が離れることでその唾液の橋が再度作られる。

 それを名残惜しそうに見てくるフェイトを見つつ……キュッと言う感じで軽く指に圧力を込めた。

 

 

 

 んきゅ……!? 

 

 

 

 フェイトはその刺激に身体を震わせ声を発してしまう。しかしこちらは更にキュッキュッと断続的に摘んでいる指を動かしていく。

 

 

 

 んっ……んっ……っ!? んっ……

 

 

 

 与える圧力と同じ感覚でフェイトが声を漏らしていった。時折、頭を左右に震わせその大きすぎる快楽が溢れるような動きを見せる。

 しかし、決して彼女は抵抗を示さない。むしろ胸をもっとそらしてこちらに触れやすいようにしてくる感じでもあった。

 

 その突起のコリコリした触感を楽しみつつ、フェイトの首筋に顔を近づける。

 そして舌先をフェイトの首筋の肌に滑らす。

 

 少ししょっぱくも感じるフェイトの汗の味が感じられた。フェイトはその舌がつたう感触がゾクゾクしたかのように身体を細かく震えさせる。

 今度はハムっと言う感じで首筋に甘噛みを行う。フェイトの柔らかい肌の感触と汗の味が更に口の中に広がっていく。

 

 フェイトはその刺激を、あぁ……と言う儚くもあり感じている声のような小さな喘ぎ声を上げる。

 段々とこちらの口の動きはフェイトの身体の下の方へスライドしていく。

 

 鎖骨、肩、そして胸へと到着していく。そして本当は首筋から付けたかった行為だったが色々と後に問題になる為、胸の辺りからある刺激を追加する。

 

 

 チュッ。

 

 

 少し強めにフェイトの胸の部分。その柔らかい肌を口で小さく吸い込む。それはフェイトの綺麗な肌に赤く染みを残すのであった。

 キスマーク。その女性は自分のものであると言う所有物の証。まぁ……実際、日にちと共に消えるので気持ちの問題ではあるのだが……こう言う色事において興奮を誘うのも事実である。

 本来なら恋人同士でしか出来ないその行為。それは溢れてしまっている支配欲を少しずつ満たしてくれた。しかしまだ全然足りない。

 

 フェイトはその刺激と共に小さく赤くなっている所を確認する。本人はまだその意図を理解出来ないはずだが、何故かそれを嬉しそうな表情で見つめてしまっている。

 そしてもっと印をつけて欲しいと言わんばかりに瞳はじっとこちらを見つめ期待に満ちた表情を改めて見せてくれる。

 

 左右の胸。そしてお腹。下腹部にも少しずつその証をつけていく。

 

 その少し赤い印を肌に付けていく度にフェイトは、アッ……と喘ぎ声を出してしまう。

 下腹部についた時には、再度興奮が高まってきたことを伝えるかのように、フェイトの女性としての匂いが改めて強く感じられた。

 

 フェイトの身体がこれからの刺激を期待しているかのように腰を軽く浮かしてくる。

 濡れた瞳は期待が満ち、ここにも付けてと言わんばかりの表情を見せてくる。

 

 

 

 それは……情欲に濡れ、快楽に溺れた女の表情であった。

 

 

 

 自分はそのフェイトの無言の要望に…………今は応えない。

 そして行っている愛撫をストップさせる。

 

 こちらが動きを止めたことで、フェイトがなんで!? と絶望にも似た表情を浮かべてしまう。

 その表情はこちらの加虐心をゾクゾクと加速させていくのであった。

 

 ゆっくりとフェイトの上半身を起こして上げる。フェイトはそれに素直に従うが、顔には疑問が浮かんでいるのがわかった。

 その疑問を解消させるかのように上半身を起こして向かい合った後、こちらは膝立ちでフェイトの真正面に立つ。

 

 そうすると体格差もありフェイトの真正面に、こちらの腰の部分が丁度よく見えるのであった。

 下着は伸縮性が大きいとはいえ、成長した姿だとパツパツである。

 まるでビキニパンツのようにぴったりと肌に吸い付いている、その下着の中央に自己主張が激しい存在がくっきりと見えてしまう。

 

 フェイトがそれを見てゴクリと唾を飲む動きを見せる。

 下着の上からとは言え、その自己主張の激しいそれは男性特有の匂いを、ムワッと強く発しているようにも感じられる。

 

 そしてフェイトの頭を撫でるのだ。フェイトがあの続き……ご褒美をして欲しいのなら分かるよね。と目で伝える。

 フェイトはあの先の快感を知っている。刻み込まれている。今疼いているその身体は欲してしまうだろう。

 

 だからこそ心の調教を行う。君はこちらに奉仕を行う存在だと。よく出来たらご褒美を上げると言う形を見せて。

 

 フェイトはじっと下着の上の存在を見ている。吐息も、はぁはぁはぁ……と短く浅く呼吸を行う。

 そして下半身をモジモジとしたように、その小さな身体を震わせる。

 

 

 

 知識は無くても身体が分かっているのだ……。この腰にあるものがどう言うものであるかと。

 

 フェイトの手が少しずつ下着の方へ向かってくる。

 

 そして触れるのだ。今までよりも大きなその存在にゆっくりとフェイトの指先が這わさる。

 

 ……正直、こちらも我慢を重ねていた分、それだけで気持ち良い。先端の部分はその柔らかい手の刺激を受け快感の証を分泌させていった。

 それはヌラヌラと下着を濡らして透けさせていく。フェイトはその液体を確かめるように指先を重点的に大事そうに這わしていく。

 

 ……解放したい。どんどんと大きくなるそれは圧迫感を更に強めてしまう。そして直接その刺激を堪能したいと言わんばかりに筋肉を収縮させて跳ねさせてしまう。

 そのビクビクとした動きをフェイトはおずおずとしかし戸惑うことなく触り上げてくる。

 

 下着を脱がして欲しいとフェイトに伝える。素直にフェイトはそれに従いパツパツだった下着を脱がそうとするが、中々上手くいかない。

 えいっ! と聞こえそうなぐらい大きく力を入れてフェイトは下着を下ろす。その動きでフェイトの顔が更に腰へと近づくのであった。

 

 するとそこからブルン!! と言う擬音が聞こえそうなくらいで我が息子が飛び出してきた。

 そして先ほどのフェイトの動きにカウンターを合わせるかのようにバチンと言う形でフェイトの頬にぶつかってしまう。

 

 頬の柔らかい肌にぶつかる刺激だけでもこちらに快感を伝えてしまうが、フェイトはそのビンタを受けて惚けた表情を浮かべた。

 

 

 改めて解放された業物を見てみる。その名称は子供の時の可愛らしい呼び名から凶悪なフォルムへの呼び名へと進化してしまうだろう。

 ウィンナーからフランクフルトである。そしてある意味こちらとしては見慣れた存在が自己主張を天へ向けて強くアピールしていた。

 

 大きさはやはり記憶よりも大きい……。イメージ的には太刀から大太刀くらいに成長してしまっている。

 ……脇差や小刀じゃないよ。ホントだよ。と謎の言い訳が頭に流れてしまうが……何度も言うけど本当である。

 

 確かにこのサイズは男性的にはそれなりに満足出来るかも知れない……。謎の敗北感が心に風を吹かしてくるがこれが将来の自分だ! と割り切ることにした。

 

 

 フェイトはまだ惚けたままこちらの腰部分を見つめている。その隙に先ほど足まで下ろされている下着を完全に脱いでおいた。

 

 そしてフェイトの目の前に改めて腰を突き出す。そうするとその膨張された存在は、フェイトの顔に触れるか触れないかと言う距離まで接近することになる。

 

 子供の時よりも大きい男性器。それは大きさだけで無く性的な匂いも上回る。

 そして溢れている先走りの液体は匂いをより強く放つのであった。

 

 フェイトはそれを目の前で直接鼻で嗅がされてしまう。下着の中で蒸れた熱を解放するように男性器からは見えない湯気を溢れさせて匂いと共にフェイトへ伝えるのだ。

 

 

 

 これが男性の匂いだと。

 

 

 

 

 スン……

 

 

 フェイトの鼻が鳴る。惚けていた表情からその匂いを吸い込むことで、まるで媚薬を使ったかのように頬が紅潮して瞳はトロンと潤み身体に電流が走ったかのように小さく震える。

 

 催眠設定では匂いで欲情するようには設定していないので、恐らくは今の身体の火照りや快感と合わせた相乗効果であろうと推測出来る。

 しかし、その表情は明らかにこちらに欲情していた。それは自分が彼女を染め上げていることを確認出来て更に支配欲が高まってしまう。

 

 

 手っ取り早く催眠で欲情するようにすれば良いのでは? と考えは確かにあった。

 まぁ……この辺りは各々が持っているであろう心の方針次第だと思っている。

 

 勿論、切っ掛けは催眠を行っていることで間違いない。

 だからこそ自分はその環境を活かし楽しみたいのである。あくまで現段階においてその少女が持っている無垢な意志を自主的に染め、汚し、服従させ支配したい。

 彼女が揺れ動く心の色を染め上げ、自主的に快楽に浸り、官能的な甘さに蕩けさせ、そして自身へと溺れていく……その行為が湧き上がり続ける数々の欲望を満たしてくれると考えていた。

 自分はその欲望を満たすべく行動を行うのだ。

 

 

 

 すぅーっ……はぁっ……スンスン……

 

 

 

 フェイトはその大きな男性器を両手に掴み少しずつ場所を変え匂いを嗅いでくる。

 特に亀頭部分。先走り液に濡れている先端部分や膨らんでいる亀頭の周辺。カリの部分は特に念入りに匂いを嗅いでいる。

 その嗅いでいる吐息はこちらへ小さくも確実に快楽を与えてくれた。

 

 

 そして以前の命令を覚えていたのであろう。その小さな舌を使ってぺろっと言う感じで亀頭に触れてきた。

 舌の刺激は快楽を生んでそれを喜んだようにこちらの男性器がビクビクと跳ねてしまう。

 

 しかしその動きはフェイトの両手の中で止められている。その動きすら摩擦となって快楽を生んでしまうのであった。

 フェイトの舌がどんどん広がってくる。亀頭部分から裏筋、そしてフェイトの腕の大きさと同じくらいのその竿の部分へと舌を這わしてくるのだ。

 竿の部分を舐めると同時にフェイトの顔へ男性器全体が密着される。

 フェイトはそんな状況でも気にすることなく、むしろ顔に匂いを擦り付けるようにスリスリと男性器に顔の肌の感触を楽しませてくれた。

 

 そしてフェイトは姿勢を変え四つん這いの姿勢となって顔を男性器の根本の方へ向かうように動き始める。

 ピタッと吸い付くように根本に顔を密着させてフェイトはすぅ……っと息を吸い込み、その濃い部分の匂いを嗅ぐ仕草を見せてきた。

 そして舌は袋の方にも向かう。ビー玉からピンポン球まで成長したその中身を舌先で確かめるようにレロレロと這わしてくる。

 

 舌の快感は男性器の動きを更にビクっと大きく動かしてしまう。顔の上に密着された状態から動くそれはフェイトの顔へビタッと小さく何度も打ち付ける。

 しかしフェイトはそれを避けることはしないし止めることもしない。まるでその刺激を楽しんでいるように喜んだ感情を見せてくる。

 そしてもっとして欲しいかのように舌を這わせて快楽を与えてくるのだ。

 

 大きなその男性器がフェイトの唾液で濡れていく。

 本当に美味しそうに舐め上げてくるそのフェイトを見て、虐めたい欲が浮かび上がってしまう。

 

 男性器を舐めているフェイトの顎の部分を掴みこちらの顔へと近づけさせる。

 フェイトはえっ……?どうしたの? と言う戸惑った表情を浮かべたままその行為に従ってくれた。

 

 そして近づいた顔を見る。瞳と瞳を合わせこうフェイトに問いを行った。

 

 

「フェイト。僕のチンポ美味しい?」

 

 

 フェイトは最初その質問の意味が分からないようにキョトンとしたが、恐らく言わせたいことを少しずつ理解したのであろう。

 段々と意味が分かってきたかのように頬を真っ赤に染め上げてきた。そして瞳を横に向きながら、恥ずかしそうにコクリと頷いてくる。

 いつもならここで満足してしまうかも知れない。だけど、この虐めたい感情は止まることはなかった。

 

「フェイト。ちゃんとこちらを見て、言葉で伝えるんだ」

 

 顎を掴んでいる手の力を少し強める。フェイトはその言葉に従い顔を真っ赤にしたままこちらに瞳を合わせる。

 そして恥ずかしそうな小さな声で、

 

 

「奏の……おちんちん……すごく美味しいです」

 

 

 と伝えてくれた。味覚がそのままなフェイトに意図を理解させてこのセリフを言わせるのは正直興奮してしまう。

 だけど、本当に聞きたいセリフはそれじゃない。

 

「違う。おちんちんじゃない。チンポだ」

 

 そして、もう一度、僕のチンポ美味しい? とフェイトに伝える。

 この言葉自体恐らくフェイトは初めて聞くかも知れない。けど言葉の前後を考えればそれを示す言葉の意味は容易に出来るだろう。

 更にその言葉はより恥ずかしい言葉であることも理解出来るはずだ。

 

 

 フェイトの顔が更に真っ赤に染まる。涙で溢れそうなくらい瞳を潤ませつつもその目を逸らさず訂正された言葉を伝えてくれる。

 

 

 

「奏の……おチンポ……ずっと舐めていたい位にすごく美味しいです」

 

 

 

 そしてその潤んだ瞳でだから舐める許可をくださいと哀願した表情を見せてくるのだ。

 

 

 

 …………正直に言いましょう。小さな声でもはっきりと伝えてくるこのセリフと表情はチンポにきてしまう。

 まさか「お」まで付けてくるとは……そして言わせたい言葉を上回ってくるとは思わなかった。

 天才と言うのはやはり格が違うんだな……と何故か諦めにも似た感情が溢れてしまう……しかし、フェイトのその言葉は間違いなくこちらの興奮を高めてくれるのであった。

 

 

 興奮のままにフェイトを掴んでいた顎を離して改めて男性器をフェイトの前に突きつける。

 

 フェイトは許可を貰ったと受け止めて嬉しそうな表情のまま先端部分に再度舌を這わせ始めた。

 そしてちゅっちゅっと先端から溢れる液体を美味しそうな表情で飲み込む。

 口が吸い付く快楽は着実にこちらの気分を高めていくのであった。

 

 

 フェイトの口が大きく開く。限界まで大きく開かれたその口で先端部分を包み込もうとしていた。

 しかし以前とはサイズが違いすぎる。亀頭の半分位までしか咥えることが出来なかった。

 

 全部包めなかったことに泣きそうな表情をフェイトが見せてくる。

 流石に無理やり突っ込むと窒息の可能性もあり得るので、フェイトの頭を撫でてそれで良いから続けてと伝えた。

 

 舌が以前と同じように尿道部分を舐め上げてくる。口の中でモゴモゴと動き執拗にその部分を攻めてきた。

 舌の刺激に応えるようにどんどんと液体が溢れ続けてしまう。

 その溢れる液体を今度は強力に口を窄めて吸い込む。じゅっちゅ……と言う感じで激しく水音を立てながらその液体を口に収めていく。

 

 吸い込むその刺激はまるで弱い射精感の快楽を感じさせる。

 どんどんフェイトはそれを吸い込みつつ、時々コクリと喉を鳴らして先走り液を胃に収めていく。

 そして舌で亀頭部分を丹念に磨いてくれた。先端部分だけとは言え快楽をしっかりと与えてくる行動は興奮を高めてくれる。

 

 しかし、やはりこれだけではイクことは難しい。

 さて、どうしたものかと考えてしまう。

 

 最初の一発目だ。フェイトを直接汚してしまいたい欲求はもはや溢れてしまっている。

 常に凛としたその表情がありつつも優しさを持ち儚くも感じさせる。その魅力的で綺麗な顔を己の欲望で塗り潰してしまいたい。

 

 

 ちゅっちゅっとミルクを飲むように吸い付いて来ているフェイト。

 その動作で揺れているツインテールの髪をこちらへ無理やり引っ張り、その勢いで口の奥までこれをねじ込みたい衝動が沸き起こる。

 喉奥まで押し込み全体の快楽を味わいたい。それはフェイトをモノとして扱うその行為はとても支配欲が満たされそうであった。

 

 しかし、それはまだ早い!! もう少し年月を重ねて彼女の身体を仕上げてからするんだ!! と天使なのか悪魔なのかよく分からない声が頭の中で叫んでいた。

 確かにその通りであろう。先ほど考えた通り、息が出来なくて気絶する可能性もあり、下手をしたら色々と事故にも繋がりかねない……。

 そうしたらそこで終了になってしまう。残念ながら今はその案を外すしかないのであった。

 

 

 

 だから今回はお試しプレイで我慢しようと思う。

 

 

 

 こちらに吸い付いてきているフェイトの頭を両手で固定する。

 その手の動きにフェイトはどうしたの? と吸い付きながらも目で訴えて来たので、歯は絶対に立てないようにと伝えた。

 

 フェイトの返答を待たず、そのまま両手に少しずつ力を込めつつ腰を突き出していく。

 口に入りきらなかった亀頭はその力によって少しずつ少しずつフェイトの口内へと無理やりねじ込まれていった。

 

 フェイトはその動きに驚いたように目を大きく見開く。そして少しずつ口に入ってくる存在を理解して、こちらがやりたいことの意図を理解し始めた。

 瞳を閉じて限界以上に口を開かせようとしている。その努力の甲斐もあって更に亀頭部分がフェイトの口内へ取り込まれていくのである。

 

 

 ぐぷっと大きい水音と共にフェイトの口内へ完全に亀頭が入り込んだ。

 フェイトは口の部分が完全に塞がり顔を真っ赤にして、ふーふーと言うように鼻で息をしている。

 その呼吸の振動はぴったりと口内に入っている亀頭にも快楽を伝えてきた。

 

 

 だがここからスタートである。

 

 

 引き続き両手へ力を込め続けた。少しずつ奥へ奥へと侵入が行われ亀頭がずぶずぶと口内を蹂躙していく。

 そしてすぐに最奥へと到着する。コツンと言う感じでフェイトのその小さな喉奥に亀頭が到着する。

 

 大体口内に入った部分は全体の3分の1位であろうか。それでも口内に入った密着感と合わせて暖かさと唾液の滑りが快楽を感じさせた。

 フェイトは時折苦しそうに口からも空気を漏らす。ぶぶっと言う音と共に口の端から唾液が溢れ落ちる。

 しかし決してフェイトは抵抗しない。口を大きく開けたままヨダレを垂らしてもこちらの男性器を喉奥まで受け入れ続けた。

 

 更に快楽を求めるため、フェイトへ命令を行う。

 

 

「フェイト。口の中にチンポが入った時には舌でちゃんと裏筋を丁寧に舐めろ」

「そして、チンポが口から引き抜かれる時には逃さないようにしっかりと吸い付くように」

 

 

 フェイトはその言葉に従順に従う。今は入り込んでいる状態のため、大きく口を開いたまま舌を震わせて裏筋部分を舐め上げてくれる。

 時には舌先に力を入れて筋に沿う形で器用につたってくる。亀頭の下部分のくびれにはより丁寧に舌先が這うのがわかった。

 

 口は開きっぱなしなのでフェイトの唾液のお風呂は溢れ続ける。

 口の端からポタポタと唾液を零しつつも、慣れてきたのか段々とうっとりとした表情を見せて舐めあげてくるのであった。

 

 ずっとその快楽に浸っていたい気持ちもあるが、今度は両手の力を反転させて、少しずつフェイトの口から引き抜いていく。

 フェイトは先ほどの命令に従って、男性器を逃さないように強く吸い付いてくるのであった。

 それは口内を真空状態にさせフェイトの頬にぴったりと男性器が包み込まれる。

 先端から溢れ続ける我慢汁がフェイトの吸い付く動きによって小さく射精感のような快感を生み出していた。

 

 ちゅぽん! と言う音と共にフェイトの口から男性器が離れた。

 しかし、唾液や我慢汁などが混じり粘度を上げた液体は、フェイトの唇と男性器の間に複数の橋を作り出す。

 

 男性器はその口内の粘度を伝えるようにテラテラと光っていた。

 そして口内の温度を伝えるように湯気が出そうな位に熱を放っているようにも感じられる。

 

 改めて腰を動かし、フェイトの口の前に男性器を持ってくる。フェイトは理解したかのように再び大きく口を開けてくれた。

 口の中はヌラヌラと唾液の光が放ち、舌はその柔らかさを想像させる。

 それらを堪能するため、腕に力を込めてフェイトの口の中に侵入するのであった。

 

 

 

 喉奥に到着する。舌が裏筋をなめてくれる。抜かないように引き抜く。逃さないように吸い付いてくる。そして再度喉奥に入れる。

 

 これらを繰り返す。そして繰り返すスピードを少しずつ早くしてフェイトの身体にその行為を覚えさせていく。

 ぐぷっぐぷっ……と言うフェイトの口から音が漏れ、その音すら快楽を次から次へと生み出していくのであった。

 

 時折、喉奥に到着した後、更に快楽を感じようとして、亀頭を膨らませ更にフェイトの頭に力を込める。

 グリグリと喉を刺激する行為。それは女性に挿入した後、その奥を堪能するかのようにも感じられ性交の快楽を感じさせた。

 

 亀頭が更に大きく膨らむ。フェイトはその喉奥にむせる動作を時折見せるが、舌を動かす行為は止まらない。

 奥に侵入する快楽と意志を持って裏筋を刺激される快楽は、ひょっとすれば男性の立場だけではあるが性交よりも上回ってしまうのでは無いかと考えるぐらいであった。

 

 それらを繰り返していくと段々と射精したい快感が膨れ上がっていくのがわかる。

 欲求に素直に従い、更に繰り返すスピードを上げていく。

 

 

 

 ぐぶっ……ごぷっ……んぶっ!? はぁ……ぐぶっ……

 

 

 

 恐らくは苦しいのであろう。フェイトはだらりと腕を下ろして、口を開けたままその行為を受け入れ続ける。

 だけど、命令に従順に舌を動かし、そして吸い込む動きは止まらない。

 

 それらはこちらの快楽を止めることなく、射精へとしっかりと導いてくれるのであった。

 

 

 精液が登ってくる感覚が分かる。その快感を得るためにラストスパートを行った。

 腕の力を強め、フェイトの口をズポズポと前後に強く移動させる。

 

 頭が真っ白になる射精の快楽が訪れた。

 精液が伝うスピードは快楽の強さを伝える。そして精液が噴出する時間は快楽の長さを得る。

 

 フェイトの口から離し、精液をフェイトの顔にぶっかける。

 強い射精感の快楽と共に噴出される量は、その成長した時間を貯めたかのように長く飛び出すのであった。

 まるで魂が抜かれるような感覚そして快楽。それは一旦味わうと戻れないような強い快楽にも感じられる。

 

 フェイトのその綺麗な顔へ精液が飛びかかる。

 最初掛かった瞬間、きゃっ!? と驚いた声が聞こえたが、その後は精液が降りかかる間、まるでシャワーを浴びるかのように目を閉じてその液体を顔に受け入れる。

 

 長い射精の時間が終わりを告げ、はぁはぁ……と射精に伴って使った体力を取り戻すように息を荒く呼吸してしまう。

 

 そしてフェイトの顔を見る。フェイトはまだ目を閉じたままであるが、顔にはべったりと精液が付着しているのが分かる。

 まるで粘度の高い液体ノリのようなそれはフェイトの綺麗な顔を白く汚すのであった。

 

 それを見た瞬間、本来なら落ち着く思考が落ち着くことがなく、すぐ興奮を上げてくる。

 我が息子もそれにすぐ応える。小さく萎むことは無く、硬さはそのまま維持してむしろまだまだと伝えるかのように雄々しく天に向けて立っている。

 

 

 

 その雄々しい姿を見て……君は無敵なのですか? と敬語を使って我が息子に問いかけてしまうのであった。

 

 



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42話 □エロ フェイト(VS大人?シチュ③

 興奮は継続している……。下半身の状況は引き続き硬度を高く保っていた。

 

 だが……先ほどから溢れ続けていた欲望たちは一回目を放出したせいなのか、多少弱まっているようにも感じられる。

 何故それが分かるかと言うと、先ほどよりも冷静な思考が回せるようになってきたからだ。

 

 

 その冷静な思考を改めて回す……。そしてあることに気づいてしまい背中に寒気が生み出され冷や汗が伝うのが分かった。

 

 

 自分はどう言う判断を下したかと言うことを。

 

 

 汚すと決めた時はまだ自身が色々な状況でもあったが最終的に判断したと言える。射精への興奮度が高まった時。要するに欲望が溢れ続けてしまっている時の判断だ。

 自分は……彼女に対して一方的に欲望を叩きつける行為を判断した。その前段階で抑制しようと考えてた内容が、まるで思考の()()が組み替えられたかのように、それが当たり前の如く、相手の身体を考慮せずにそのまま欲望を叩きつける判断を行った。

 

 考えれば考えるほど、その内容が恐ろしい……。要するに自身の考える方向性がこちらに気づかれる事なく組み替えられたのだ。

 それを行った人物は容易に判別出来るだろう。自身を簡単に転生させられる存在……リリーと呼んでいるあの存在である。

 

 催眠能力も簡単に与えるあの存在は、自身の思考なども余裕に変更出来るのは想像に難しくない。

 そうなると今、考えている思考が()()()()()()()()()()()と疑うことすら必要になる。

 自身の意志の否定は、己と同一化していた在り方そのものを否定する。それは……自我が崩壊してしまう可能性すらあり得るだろう。

 

 

 しかし……それは早計である事も理解してしまう。要するにその事実にこちらが気づいた事である。

 と言うことは、この意識を組み替えること自体、あの存在の重要度は高くないのであろう。

 必須であれば絶対にあの存在は気づかせないはずだからだ。

 

 それならば……これを行った意図を気づかせたいはずである。

 その伝えたい意図を考えようとすると……

 

 

 

 んっ……これ…………んっ……すごく……こぃ……

 

 

 

 コクリとフェイトの喉が鳴る音が聞こえた。

 先ほど大量に射精した精液がフェイトの顔にべったりとかかっている。

 その精液のせいで瞳は閉じたままであり、恐らく息も中々上手くいかないのであろう。はぁはぁ……と口で空気を取り込んだり、時折ふーふーと言う感じで鼻息が荒く行っているのが分かる。

 しかし、フェイトはその顔に掛かっている濃厚な精液を指で少しずつ掬い口に取り込んでいた。

 

 精液がフェイトの指を伝い、フェイトの口へ取り込まれる。ちゅっと指を口から離す音が聞こえ、その後、取り込んだ精液を味わうかのように口の中をクチュクチュとさせている。

 そして……うっとりと紅潮した表情を見せて、その味を確かめた後、コクリと喉を鳴らして飲み込んで行くのだ。

 

 

 淫靡に感じられるフェイトの姿を見て、心臓がドクンと強く跳ねたように感じられた。そして心に欲望が強く湧き上がってしまう。

 その湧き上がった欲望を知ることで、あの存在の伝えたい意図を理解することが出来てしまうのであった……。

 

 

 要するに自分がフェイトに考えていたことを逆にあの存在が自分に対して行われたのである。

 

 

 己の力によって一方的に汚し、支配し、服従させる。その暴力的な欲望と快楽を自分に刻みこんだのだ。

 一旦踏み出してしまうと、そこで起こった事が経験として蓄積される。

 本来、様々な経験は成功、失敗を問わず糧となりそれらが力となる。それを使うか使わないかは人それぞれであるが、それらは思考の幅を広げるだろう。

 

 しかし、今回その快感を経験として身体に刻み込まれてしまう。その味わった快楽は忘れることが出来ない。

 更に道を外せば、もっともっとと言わんばかりにその快楽をより強く求めてしまうだろう。

 欲望がそれを求めて湧き上がってくるのが分かってしまったのだ。

 

 

 フェイトを一方的に凌辱して快感を得たいと。

 

 

 しかし、その欲望はこちらの意識を染め尽くす訳ではなかった。

 それらの欲望はまるで楔のように心に打ち込まれ、その選択肢が選べるイメージが湧き上がる。

 

 

 いつでもその選択肢を選べば、快楽に溺れることが出来るよと伝えられているようであった。

 

 

 嫌らしい手法だと感じてしまう。山場を超えた安心感と言う心の隙をつき、快楽に溺れさせる。

 更に最後の一押しはあくまで自分の意思で行えと言うような作りであった。

 何故、染まるほどではなかったのかは謎であるが……それでもこの作りであれば快楽へ溺れる意志に向けて流れることはそう難しくないだろう。

 

 ただ今回の仕込みには流されるわけには行かない。これに流れてしまうと後はあの存在に作られた快楽の道を粛々と進むことになるはずだ。

 そして……どこかで更に溺れて失敗するのだ。あの存在はあくまで程々を目指しているはずなので、溺れすぎると自滅するのは目に見えている。

 しかし、安全弁は存在しないので、破滅に向かっていることも理解出来ない。ただただ快楽を享受してどこかで破滅するだけだろう。

 

 まぁ……それが幸せか不幸せかは人それぞれかも知れない。自分の消滅があったとしても、どこまでも快楽を楽しむ。それも一興だと思う人はいるだろう。

 

 ただ自分はそうではない。生き残れる道があるのであればその道を進みたい。そうでないと……あの気持ちを持ったまま消滅してしまう……ただの負け犬だ。

 

 

 とは言え、その意図が分かったとしても対処方法は……現段階では思いつかないのも事実であった。

 恐らくはあの薬の影響が終われば……欲望は落ち着くと思うが、それに向かう道が分からない。

 

 

 

 んっ……んっ…………ちゅっ……んっ……こいよぉ……

 

 

 

 まだまだ顔に付着している精液を少しずつ飲み込んでいるフェイト。

 ずっと見ていたい気持ちも湧き上がるが……そのまま一方的に押し倒してしまいそうなので、せめてもの抵抗としてフェイトの顔を綺麗にしようと考えた。

 

 部屋にあるティッシュ等でフェイトの顔を拭う。こちらがフェイトの顔に触れて拭い始めると黙って受け入れたが何故か寂しそうな表情を浮かべてしまう。

 目を瞑りながらも、これで終わりなの? と言う寂しげな表情を見せてくるフェイトに、これからが本番だ! と伝えてしまいそうになる。

 

 

 だが……それが本当のことになるのは時間が掛からないのであった……。

 

 

 フェイトの顔を一先ず綺麗に拭った。勿論、まだ細かいところは残っているだろう……この辺りはお風呂に行くしかないかなと言う状況なので、一旦後に回す。

 そうしてフェイトの目が開かれる。そしてこちらを見て呟くのであった。

 

 

「奏……? さっきよりも若くなった……?」

 

 

 その言葉を聞いてバッっと自分の手を見てみる。言われてみれば確かに少し小さくなった……? かも知れない。

 ただフェイトの顔を拭いている時にも特に違和感は感じなかったので、イマイチ自分ではよく分からない……が、フェイトから見てそう感じたのならそうなのであろう。

 

 そして色々と理解することになってしまった。何故、湧き上がる欲望が染まりきらなかった点とそれの解消方法である。

 

 恐らくあのフィードバックに耐え切れるように身体が大きく成長させて行った。

 そして欲望を解消。つまりは射精したことによってそれが弱まると同時に身体も調整される。

 

 と言うことは、何回かは分からないが射精することで元に戻ることが可能なのであろう……。

 

 ホント嫌らしい手法だと改めて思ってしまう……。特に感情のままに流されても解消させてくる所が悪質であった。

 だからこそ快楽へ溺れることに抵抗が無くなる。道を踏み外すその時まで流れ続けるだろう。

 そして、これに気づいたとしても結局は解消するにあたり欲望を開放していかないといけない。

 自家発電でも良いのかと考えるが恐らくそれは道筋から見てもあの存在は認めないだろう。ただ単に体力を無駄遣いするだけの予感しかしない……。

 

 

 

 ちゅ……ん……ちゅっちゅ……

 

 

 

 どうしたものか……と考えていた時……股間に甘い痺れたような感触が走る。

 不意に伝えられてしまったその快感は……くぐもった声を漏らしてしまう。

 

 

 その声に気をよくしたかのように更にゆっくりと舌が這うのが分かる。

 まるで汚れた部分を舌で丁寧にお掃除をしてくれるその動きは硬くなっている男性器をビクビクと喜ばせるのであった。

 

 

 フェイトの顔を見る。その視線に気づいたのかフェイトは舐めちゃダメだった……? と伝えるように少し寂しげな表情を見せてきた。

 いや……ダメじゃ……ないんだけど…………くっ……。なんとも言えない感情がそれぞれせめぎ合う……とりあえずフェイトにダメじゃないよと伝えるように優しく頭や頬を手で撫であげる。

 

 手の感触を受けて、フェイトは、ぱぁっとした明るい表情を浮かべた。そしてやった!! と嬉しさを表現するかのようにそのまま男性器に吸い付く。

 尿道に残っていた精子をちゅっちゅっと鈴口に吸い付き吸い出されていく。そしてそれをコクリコクリと喉を鳴らして飲み込んで行った。

 そして小さく柔らかい舌が亀頭部分の全体を這っていく。ぐるぐると回される舌は丁寧にピカピカと亀頭を磨き上げていく。

 

 

 

 ちゅぱ……ちゅ……んっ……もっと…………こぃ……ほしいよぉ……ぺろぺろ……

 

 

 

 体温で体液が乾き始めていた男性器が再度フェイトの舌で濡れていく。

 ぬるぬると舌が這い快楽がどんどんと生み出される。そして男性器の先端から再度液体が溢れ始めるのであった。

 

 

 亀頭部分全体を再度フェイトが口に含もうとする。慣れたのかそれとも若返り少しサイズが小さくなったのか分からないが……口に入りきらなかったそれが全て口に含まれてしまう。

 見事にぴったりと言うか密着感がすごい……そしてその状態で、じゅるじゅると音が聞こえそうなくらいに吸い上げてくる。

 先端からどんどん先走り液が吸い取られるのが感じられ、敏感な亀頭部分が擦られる快感と共に興奮が埋め尽くす。

 

 段々と冷静な思考が剥がれていくのが分かる。ある意味フェイトに籠絡されてしまっている状況は……欲望が膨れていってしまう。

 

 どちらにせよ……更に射精しないといけないのだ……このまま欲望に身を任せても……と心が囁く。

 

 しかし、これだけはどうしても譲れない。流れるように弱い心のまま進むのは心に言い訳を生んでしまう。

 それは逃避となり心の隙を広げる。それは自分的には許せない。

 

 どんなクズな行動であっても自分が選択したと言う心だけは譲れない。

 だからこそ言い訳も出来ないし謝ることも出来ない。自分が出した結果を飲み込み心をどこまでも追い込める。

 まぁ……どんなことを言ったとしても今まで行っていた行動、そしてこれから行うこともクズである。

 己の欲を満たし快楽にふける行為であり、側から全て見られたら存在が抹消されることは間違いないであろう。

 

 だからと言って止めるはずがない。先へと進むために自分で意志を固め判断していく。

 

 そして当初決めた行為を再開するのであった……。フェイトを自分に溺れさせるために。

 

 

 フェイトはまだ男性器に吸い付いている。子牛が乳を飲むように亀頭を口に含み吸い込まれる快感は本当に気持ち良い。

 しかし、こちらの行動を行うため、フェイトの顔の両端を手で挟み優しく引き剥がすように力を入れる。

 

 フェイトは先ほどの命令に従うかのように、抜かれていくその動作に合わせて逃さないように強く吸い込む。

 そして……ちゅぽん! と大きな音を立ててフェイトの口から亀頭が外される。

 

 亀頭部分はフェイトの口の中で綺麗に磨かれて艶々と怪しげに光っている。

 舌の快楽で大きく膨れたそれは熱量を持ってその存在をアピールしていた。

 

 フェイトはそれを頬を染めうっとりとした表情で見つめている。まるで自分が育てた愛し子のように頬擦りまでしそうな雰囲気である。

 

 その行動にも魅力を感じてしまうが……ひとまず後に回す。

 フェイトのその小さな身体を抱き上げ、ベッドに座り込んでいる自分の両太ももの上に背中側をこちら側につくようにして座らせた。

 いわゆる背面座位の体勢である。両足がフェイトの股間部分の間に入り、軽くフェイトは足を開いた状態でこちらの上に座っている。

 

 勿論、お互い裸のままである。身体全体が密着されるそのフェイトの柔らかいお尻の部分が足に感じられた。体温が心地よさを感じさせてフェイトの匂いも強く感じさせてくれる。

 まずは、少し水分補給をさせておいた方が良いと思い、ベッドの近くにあった飲み物を手にとった。

 それをその体勢のままフェイトに飲ませていく。フェイトはそれに抵抗はなく、身体を動かして水分も欲しかったのだろうコクコクと素直に飲んでくれた。

 

 飲み物を飲ませて一息つかせる。そして後ろから両腕を正面に回して優しく抱きしめる。

 その動きにフェイトは安心したかのように身体の体重をこちらの胸にあずけてくれた。そして頭をグリグリと動かして、柔らかくサラサラとした髪の感触をこちらに伝えつつ、こちらの胸の感触を楽しんでいるようにも感じてしまう。

 それは年相応の甘え方なのかも知れない……。しかし、お互い裸である。これから行う行為は、ある意味甘えると言うか……溺れる行為であろう。

 

 

 

 フェイトの耳の位置に顔を近づける。そして問いかけた。

 

 

 さっきは苦しかった? 

 

 

 そう問いかけると、フェイトは先ほど行っていた行為を思い出したように頬を赤く染めて素直に「少しだけ……」と俯きながら伝えてくれる。

「けど……幸せだったよ?」とフォローにも聞こえる言葉を伝えてきた。

 

 

 そっか……と耳元で応えつつ、次の言葉を囁く。

 

 それじゃ……ご褒美をあげるね

 

 

 言葉を囁くと同時に正面に回していた両腕を動かしフェイトの両胸の部分に手をそれぞれ密着させる。

 そして指先に力を少しずつ込めて優しく胸の愛撫を開始した。

 

 

 んっ……!? 

 

 

 その急に行われた刺激にフェイトは驚いたような声を小さく漏らす。

 そして次々に行われる指の刺激に更に喘ぐ声を漏らしていくのであった。

 

 

 んっ……あっ……あっ……んぁっ……

 

 

 断続的に動く指の動きに合わせてフェイトの声が漏れる。

 小さくも柔らかく……そしてまだこれから成長を予感させるようにまだ胸の奥に芯が残る乳房はこちらも堪能させてくれるのだ。

 

 強く揉むのは避ける。まだ解しきれないその胸は強すぎると刺激が苦痛になる。溺れさせるには優しく丁寧に剥いていく必要があった。

 指先を突起部分にも向ける。乳房の刺激を受けて尖り始めたその部分に指を軽くこするように愛撫を行なう。

 

 

 あっ! んっ……あっ……んっ……

 

 

 乳首に触れた瞬間、ビクリと大きく身体が震えると同時に喘ぎ声が大きく漏れてしまう。

 時折尖った部分をクリクリと優しく捏ねくり回し、フェイトの感度を高めていく。

 

 段々とフェイトの身体の力が、与えられた刺激の快楽を享受すべく力が抜けていった。

 そしてその力が抜けていくのに合わせて、両足に力を込めて少しずつ足を開いていく。

 

 密着されていたフェイトの足もそれに合わせて一緒に開いていった……。

 

 戦闘訓練も行っていたフェイトの身体は関節も柔らかいのであろう。抵抗なく、お互いの足が開脚されてその大事な部分が大きく露わになっていくのであった。

 

 

 あぁ……んっ……いやぁ……んぁっ……はずかしぃ……

 

 

 フェイトは胸を刺激されながらも開脚されていく行為が恥ずかしいように顔を左右に軽く振る。

 そして開かれていく足と共に、両手を自身の顔につけてその恥ずかしい表情を見られないように隠していた。

 しかし、身体は抵抗を示さない。むしろ期待感を込めるように大事なところから体液が溢れて、こちらの肌に伝う感触が分かってしまう。

 

 

 そして足が完全に開かれた。

 

 

 あぁ……と絶望にも期待にも聞こえる小さな声がフェイトから漏れる。両手で恥ずかしそうに顔を隠しつつも開かれたその部分は想像だけでもこちらを興奮させてくれる。

 正直に言うと……正面に鏡が欲しいと思ってしまうくらいに……フェイトのその姿には女としての魅力を感じてしまう。

 

 

 そして開かれた足……股間の中央に天に向けてそそり立つ男性の象徴が出現する。

 フェイトから見ると、ある意味それがフェイト自身から生えているようにも感じられるかも知れない。

 

 硬くそそり立つそれをフェイトの大事な部分へと密着させる。

 フェイトのその部分へぴったりと男性器が密着されると冷たいような暖かいような体液に濡れる感触が伝わってきた。

 

 先ほどの唾液と更に粘度が高いその液体と混じりあい密着された部分は滑らかになる。

 その滑らかさを堪能するため、腰を動かすのであった。

 

 

 

 っ!? あっあっ……これぇ……あっ…………すごっ……あっ…………いぃ……

 

 

 

 にゅるにゅるとお互いの性器が擦れ合う。体液に濡れつつも摩擦をしっかりと生み出して快感をお互いに伝えあった。

 そして胸を弄る手も止めない。乳首を更に強く摘むように力を込める。

 フェイトは顔を覆っていた手を力が抜け始めたかのように少しずつ下ろし始める。

 更にその快感を受け入れようと胸を逸らし摘みやすいように、そして少しずつ腰を浮き上がらせ男性器により密着させようとしてくる。

 

 

 

 あっ……あっ……かなでぇ……もっと…………もっとぉ……わたしを……

 

 

 

 そう呟きフェイトは喘ぎ声を断続的に上げてくる。もっと感じさせて欲しいと言うことだろうか。

 ならもう少し力を強くしても良いかも知れないと考え、その敏感な乳首の部分を捻るように絞り上げる。

 

 

 んあぁ!? んっきゅっ…………もっと……もっとぉ……

 

 

 刺激を強くした瞬間、下半身の滑りが更に増したように感じた。擦り付けている腰の動きのギアを更に上げていく。

 

 時折、大事な部分でも特に一番敏感な部分がコリッと亀頭に感じられそれがこちらに快感を伝えてくる。

 そしてフェイトも敏感な部分を擦られることで、更に大きく声を上げてしまうのであった。

 

 

 あっ……あっ……あっ……あっ……あっ……あっ……

 

 

 腰の動きを少しずつ規則的にしていく。安定した動きは不意に感じる快楽は少ないが、段々と着実に快楽の階段を上げていくのだ。

 

 このまま……フェイトをイかせても良いのだが、こちらも回数が必要な為、出してしまいたい気持ちはあった。

 そして擦り付ける快感は気持ち良いのは間違いないのだが、絶頂までいくには物足りないのも事実である。

 

 どうしたものか……と腰を振りつつフェイトの喘ぐ声をBGMにして考えていると……不意に男性器の刺激が強くなる。

 何事!? と思いその部分を確認すると……フェイトが下ろしていた手を股間の部分に手を回しているのが分かった。

 

 もっと彼女は快楽を求めていたのであろう。その手はこちらの男性器を優しく包むようにしつつフェイトの股間により密着されるように補佐するのであった。

 そして体液に濡れた男性器と手が擦れて、男性器全体が挿入しているかのように快感が湧き上がる。

 

 本当に上手い素股はその手の動きで性交の挿入感を演出する。

 そこまでは行かなくてもフェイトの手は着実にこちらを射精へと導く快感を与えてくれた。

 

 ギュッと手の力が強くなる。それはフェイトの柔らかい部分の密着を強め、その大事な存在を感触として堪能させる。

 指は裏筋部分を摩擦で刺激して強い快楽を次々と生み出す。

 

 これならばこちらも……達することが可能だと考え、その快楽を貪る。

 更に腰の動きをあげ、フェイトの胸を堪能し、お互いが動くことで高い体温を交じらせ溶け合うようにその快楽に耽っていく。

 そしてフェイトの頸に顔を埋める。そこから感じる汗と少女と女の匂いがフェイトに集中する意識をより高めるのだ。

 

 するとフェイトは首をひねり、顔をこちらに向けるようにしてくる。

 顔を真っ赤にさせつつ、喘ぐ声の吐息と潤んだ瞳をこちらに向けてきた。

 

 口は半開きの状態で喘ぐ声と共に少し唾液が口から漏れているようにも見える。

 潤んだ瞳は何かを訴えるかのように、こちらをじっと見つめてくるのだ。

 

 その瞳に応えるようにこちらの顔をフェイトに近づける。

 そしてその喘ぎ声を塞ぐかのように半開きの唇を奪うのであった。

 

 お互いの舌も絡み合う。フェイトはもはやそのキスは慣れたかのようにこちらの舌を貪るように絡みついてくる。

 二人が紡ぎ出す快感は、全てが一緒に溶け合うような錯覚を引き起こす。

 

 それをどこまでも貪る。熱は高まり続けその最終地点へと向けて進んでいった。

 

 

 んっ〜〜っ〜〜ん〜〜〜〜っ

 

 

 フェイトが身体を一瞬拘束されたかのように硬直した後、塞がれている口から声を大きく漏らした。

 ビクビクと身体が痙攣して、その強い快楽を味わってしまう。

 

 そしてその硬直された瞬間にフェイトの握っていた手の力も強くなる。

 絞り上げるような快感が男性器に伝えられ、それがトリガーとなり、こちらも射精を行うのであった。

 

 

 びゅっびゅーと言う音が本当に聞こえそうな位な勢いで精液が噴出される。

 頭が真っ白になる快楽と共に心臓の鼓動が激しくなる。

 

 

 そして今回は感じてしまうのだ……。身体が先ほどよりも小さくなっていく瞬間を。

 

 

 精液は勢いよく、フェイトの身体に降りかかる。痙攣を行っていたフェイトの綺麗な身体へと欲望が降り注いで行った。

 フェイトはそのかかる精液を浴びて更に身体を大きく震わせていく。

 

 

 快感の余韻に浸る。お互いの唇が離れた後、はぁはぁ……と息を荒げお互いを見つめ合う。

 そして、再度顔が近づき……軽くちゅっとキスを行うのであった。

 

 

 

 

 改めて自分の身体を確認する。先ほどよりも小さくなった身体は大凡、青年と少年の間だろうか。

 思春期と呼べるところなのかも知れない。筋肉も柔らかくなり鍛え上げた身体と言うよりかは、これから鍛えられる下地としてある感じだろうか。

 恐らくはクロノより少し年上ぐらいの状態だろうと考えた。

 湧き上がる欲望も先ほどよりも少なくなっている。この戻り方を考えれば恐らくは後、1〜2回程度で戻るのでは……? と思ってしまうのであった。

 

 

 フェイトの様子を確認する。ベッドに横になり先ほど身体に掛かった精液を指で掬い口に含んだりしている。

 やっぱり……こぃ……と呟きつつ口に含むその動作は再度劣情を感じてしまう。

 

 勿論、まだこちらは回復と言う時間が必要ないことを伝えるように硬度を保ったままである。

 無敵モードはまだ継続していたのであった。

 

 そして、新しく湧き上がる感情が身体を襲う。その感情は年代によって様々であるが通ったことがある人は誰もが覚えのある感情。

 

 思春期特有の無限に湧き上がる性的探究心だ。

 

 まるでいつまでも無限に湧き上がる体力と共に限界にチャレンジしたくなる好奇心。

 そして大体後々後悔するのだが、どこまでも出来てしまうと言う無敵感が感情として湧き上がる。

 

 それらは欲望を相乗効果を生み出してしまう。まだまだ貪りきれてない身体を埋めるべく行動させようとしてくるのだ。

 

 

 何でこれはここまで丁寧にバランスを調整しているんだと……文句を言いたくなる。

 それぞれの年代に合わせた欲望の溺れ方は……悪辣さを痛感してしまう。

 

 しかし、どちらにせよまだ必要なのは確かである。

 精液を味わっているフェイトに向けて再度、身体を近づけていくのであった。

 

 フェイトは近づくこちらに気づくと更に若くなった自分を見て、こう呟く。

 

「さっきまではお兄さんみたいだったけど、今はお兄ちゃんだね」

 

 と笑顔でこちらに伝えてきた。

 しかし、精液を味わっていた姿、そしてお互い裸の状態でその言葉を伝えてくるのは、興奮を誘ってしまう。

 ホント……わざとやっているのでは? と考えてしまうくらいにフェイトの無垢な行動はこちらの心を酔わすのであった。

 

 

 改めて我が息子を確認してみる。硬度は保ったままだが、身体のサイズが先ほどよりも小さくなり段々と本来の大きさへと近づいている。

 少し寂しい気持ちもあるが……それはさておきこの辺りの大きさだったらいけるのでは……と邪な感情が浮かび上がる。

 

 柔らかい穴を掘り進めたい無限の欲望である。ただ……上手く快楽に溺れさせるところも合わせないといけないので、それは反応を見つつ対処を変えようと考えた。

 

 フェイトの大事な部分は先ほどの絶頂の余韻もあり、かなり濡れた状態を維持している。

 そして指でも解したその部分はまるで準備が出来ているかのように小さく開いて見せてくる。

 

 ドキドキとそれを観察しつつもこちらも改めて濡らさないといけないと考え、フェイトの顔付近に改めて男性器を近づける。

 

 先ほどのようにフェイトはそれを理解したかのように近づけた男性器を戸惑いなく口へと含みはじめる。

 大きさは先ほどよりも小さくなっているので、男性器全体がフェイトの口へと取り込まれる。

 

 フェイトはそれを口に含めてちゅうちゅうと吸い込んできてくれるが、本当に一瞬……本当に一瞬ではあるが、何故かあれっ……という感じで寂しい表情を浮かべた。

 いや……いや……何でこんな敗北感を抱かないといけないんだろう……えっ? 未来の自分と比較されたの!? と理不尽に感じる衝動が巻き起こるが……大きさでは無い。心だ! と改めて気合を入れた。

 

 とはいえ、吸ってくる力は丁寧に優しくこちらを包み込んでくれた。そして残っている精液を吸い上げ飲み込む。

 それらをうっとりとした表情で行ってくるフェイトは、先ほどの気持ちを置き去りにしてくれる。

 

 

 そうして、改めて男性器にぬるぬるとした唾液がコーティングされた。

 男性器をフェイトの口から離し、今度は正常位の体勢でお互いの身体を正面に重ねる。

 

 そこで改めてフェイトの裸を観察するのだ。

 フェイトは胸の部分で手を合わせその視線を恥ずかしそうに受け止める。

 しかし、ピンと突き上げているその乳首はまだまだ期待をしている感情を伝えさせてきた。

 

 期待で心臓の鼓動が更に高まるのがわかる。

 そして更に辱めるようにフェイトの両足を手で掴みガバッと大きく開かせた。

 フェイトのその綺麗な部分が開かれ、こちらへと大きくそれを視界に入れる。

 

 あっ……という小さな声を上げてフェイトはその大きく開かれた場所の視線を受け入れる。

 こちらの顔が段々とそこに近づくにつれて恥ずかしそうに顔を横に背け目をギュッと閉じてその行為を受け入れる。

 

 改めてその場所をじっと見つめた。その強い視線に応えるかのように、掘り進めたい穴からどんどんと潤滑油を溢れさせてくる。

 両手の力を抜いてもフェイトはその足を閉じることはなかったので、そのまま指を大事な部分へと触れるように動かした。

 指が触れた瞬間、あっ!? と言う喘ぎと共に身体が震え、フェイトはその快楽を受け入れる。

 

 そして一つ一つ調べるように指の動きは蹂躙を開始するのであった。

 ヌルヌルと這うその指に、ダメっ……あっ……あっ……と声を少しずつ大きくさせて喘ぐ。

 穴の部分に触れその入り口を更に解していく。その指と合わせ更にフェイトは大きく身体を震わせていった。

 

 いけそうかな……と考え、指での愛撫を止めてフェイトの股間部分とこちらの股間部分を近づける。

 そしてフェイトに「本当に無理と思ったら必ず言うように」と伝える。

 

 

 まずは先っちょだけだから……と絶対にそこで終わらないセリフを頭の中で思ってしまう。

 そして少しずつ合わさった股間部分からフェイトのその小さく柔らかい穴への侵入を行いはじめた。

 

 穴の通り方は本当に様々である。一気に入れた方が痛みが少ないと言うパターンもあれば、慣れさせてからゆっくりと入れるパターンもあるだろう。

 本当に人それぞれであるため、一概にこれだと言う対処は中々存在しない……と思う。

 

 まず入るかどうかを調べるために最大の難関でもあり、最初の入り口をこじ開ける亀頭部分を少しずつ埋め込んでいく。

 柔らかい感触、体温よりも暖かく感じられるその温度を感じつつも潤滑油を頼りに少しずつその存在を押し込んでいった。

 

 フェイトはその掘り進める感覚に苦痛なのかギュッと目を閉じてその痛みを受け入れる。

 大丈夫? と聞くと、コクリと頷いてくれたので更に亀頭部分の侵入を進めていく。

 

 そうして半分くらい入っただろうか……あと、最大の大きさを誇る亀頭の周辺部分を入れれば……という段階になった。

 フェイトは身体を震わせつつもそれを受け入れ続けてくれる。

 

 その健気にも感じられるフェイトの姿を見て、その状態で一旦フェイトの身体を抱きしめるようにこちらの身体を覆いかぶせる。

 抱きしめながら「あと少しだから……一気に行くので耐えてほしい」と伝える。

 

 フェイトは抱きしめられつつもその言葉にコクリと頷いてくれた。それを確認して腰に力を込めて一気に亀頭部分を埋め込むのであった。

 

 

 イギッ!? ……アッ……クァッ……

 

 

 一気にそれが埋め込まれフェイトは苦痛な声を上げた。我慢するかのようにこちらの体に強くしがみつきその侵入に耐える。

 そしてフェイトの膣内へ侵入することが出来たのであった。

 

 とはいえ、まだ亀頭部分のみである。勿論この状態でもフェイトのその中の感触は味わうことが出来ており、快感を伝えてくれるのだが……やはりもっと奥に進みたい欲求は出てしまう。

 しばらくその状態に慣れるように動きを止める。そして痛みのせいかフェイトの溢れる瞳の水を拭い落ち着くまで待つ。

 

 大分、その状態に慣れてきたのかフェイトがこちらをじっと見つめてくる。

 それを受けて少しずつ更に男性器を埋めこんで行くのであった。

 

 ずっずっと言う感じで中へと侵入を行う。その擦れる感触はこちらに快感をフェイトには苦痛を与えてしまう。

 しかし、段々と掘り進めていくその穴はすぐに終点につくのであった。

 

 おおよそ現段階で半分よりも少し深めに入った感じであろう。しかしそれに包まれる感触はまるで意思を持っているかのようにこちらを優しく締め上げてくれる。

 

 フェイトは身体をジッとしつつ耐えている。終点につくことによってこちらの動きが止まったことを理解したのかこちらに視線を向けてくる。

 

 きつい? と聞くと、フェイトは少し悩んだ後、コクリと頷く。

 けどその後に「けどね……よく分からないけど……すごく嬉しいの」「この辺りがすごく幸せに感じる……」とお腹の下部分に両手を当ててこちらに伝えてきた。

 

 ……本当に人をダメにする才能は天元突破してる……と考えてしまう。その言葉はこちらの興奮を間違いなく引き上げてしまう。

 そしてそれを歓迎するかのように蠢くその内部はもっと感じてしまいたいと言う欲求を持ってしまう。

 

 更にしばらく慣れるまで待った後、少しずつ腰を前後に動かして行った。

 全部埋め込まれないもどかしさはありつつも、快楽は確実に生み出していく。

 

 

 あっ……あっ……んっ! もっと……わたしっ…………つかってぇ……

 

 

 フェイトは腰の動きと共に声を漏らしていく。恐らくは自分でも何言っているのかもはや分からないであろう。

 がしかし、少しずつそれを受け入れるかのように潤滑油の体液が更に増し、より滑らかに動くことが出来はじめた。

 

 

 本当に少しずつ少しずつではあるが、出し入れする動きに合わせて上げるフェイトの声に艶が混じりはじめる。

 開拓している喜び。染め上げていくその行為、そして感じる快楽はどんどんとこちらを夢中にさせていく。

 

 

 んっ!? あっ……あっ……もっとぉ…………もっとぉ……

 

 

 奥をつく衝撃に合わせフェイトが声を上げる。そこには苦痛と言うよりも段々と開かれていく快感を伝えてくるようにも感じられた。

 そして次を求めるかのように聞こえてくる喘ぎ声。それらはこちらの心を蕩けさせていく。

 

 身体と身体が交わるその行為。本当に溶け合うようなその感覚。男性器がまるで溶けるように快楽を生み出していく。

 

 段々と強い快楽を求めるため、亀頭が更に大きく膨らんでしまう。

 身体が常に快楽を求め、その最大の快感を取り入れようと動きを早くして行った。

 

 

 そして……今まで感じた以上の快感が訪れる。

 

 

 精液が溢れる感覚がわかる。それが限界まで大きくなった亀頭から外に射精する快感が頭を焦がす。

 フェイトのその膣内に自身の欲望をぶちまけるのであった。

 

 

 パチパチとした火花が頭の中ではじける。そして溶けるような快感が己を包み込む。

 

 

 んっ〜〜〜〜〜〜〜〜っっ

 

 

 フェイトはその射精の感覚を感じたのか、より背筋を後ろに伸ばし、くぐもった声を長くあげてその衝撃を受け入れた。

 

 その射精の快楽と共にフェイトの内部が取り込むように内壁が蠢く。

 指で感じていたあの強く絞り上げるようなその動きは射精時の快感を増幅させてしまうのであった。

 

 長くその快楽を享受してしまう。心臓がドクドクと激しく動くのが分かった。

 それは激しい運動を超えた疲労を生み出してしまうが、快感は止まらない。

 

 

 

 そして……ようやく大きな快楽の波が過ぎ、上がった息をお互い落ち着けるように深呼吸を少しずつ行いはじめた。

 

 

 息がお互い交わし合いつつ、瞳が合わさる。そうするとフェイトがこちらを見て呟く。

 

 

「いつもの奏に戻ったね」

 

 

 と笑顔を見せてくれるのであった。

 

 



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43話~無印編終了

遠足は家に帰るまでが遠足である。

 

 

よくある言葉の一つではあるが、改めてそれを思い知らされた。

確かに無印編における山場は超えた……だが、色々と後に反省するべき所が多いのも事実である。

 

時の庭園における最後の攻撃もそうだが、アースラにいる現段階でも軽率な行動を起こしすぎである。

 

 

お互いの体についている汗と様々な液体。そして男女が絡み合った濃密な匂いが充満した部屋をどうにかしないといけなかった。

フェイトはそもそも知識が不足している以上、後始末をしないといけないと言う所の意識は強くないだろう。

いまだに笑顔を浮かべて裸のままぴったりとくっついてきている。

お互いの体温の温もりは安らぎを与えてくれるがそう言う事態ではないのも頭では理解している。

 

 

色々と死活問題である。

確かに部屋自体は密室として安全かも知れない。だが、あくまで部屋だけであり、そこから先はある意味で敵陣地である。

下手に人と遭遇すると色々と怪しまれ終了する可能性が高い。

 

最低でも人が来ても怪しまれない程度まで片付けを行わないといけないのが色々と厄介である……。

 

特に怪我で意識を失っていた自分が目覚めたとなると……人が絶対に来るはずである……。

 

この惨状をなんとかすべく対応を行うのであった。

 

 

部屋の換気を行いつつ、お互いの体についている様々な体液を拭っていく。

フェイトはその拭う対応で何故か少し不満の表情を見せてきたが……終わりの合図を告げると共に今回過ごした時間のことは絶対に誰にも話さないようにお願いする。

 

体液を拭ったゴミなどに関しては、別途の袋に詰めて自分の荷物の中にしまいこむ。

そして、ベッドのシーツなども替えを行い、それらも荷物の中にしまう。

 

まぁ……シーツなどはこちらで洗濯した後、戻すのも忘れないようにしないといけない。

この辺りはどちらにせよリンディさんに調整を行う必要があると考えた。

 

……どちらにせよこれからリンディさんに調整をお願いすることになるのだが。

 

ひとまずお互い服を着て、フェイトに自分が倒れた後のことを伺う。

 

自分が気絶した後、全員無事に時の庭園から脱出を行うことが出来ており、そのまま自分は容体の確認をされたみたいである。

診察結果としては打撲などの怪我程度であり、意識もそのうち戻るだろうと言うことで自室にて休ませることになったらしい。

 

しかし、なのはとフェイトはそのまま自分のそばにずっといる状態であったため、流石に戦闘の後と言うこともあり各自休ませないといけないと判断したのかリンディさんが交代交代で看病するように話を行ったらしい。

それでも反発しそうな雰囲気があったみたいだけど、そこは彼女の手腕でうまく取りなしたらしい。

 

そうして自分が目覚めた時はフェイトの看病の時間だったみたいだ。

 

となると、そのうち交代の時間が来る……?

 

焦りが心に生まれてしまうのを隠しつつ、フェイトに交代時間の確認をする。

だが、交代の時間は朝まで無いので、現状はまだ余裕であるらしい。

 

それを聞いて一安心しつつ、今は深夜であると言うことに改めて気がついた。

 

部屋の空気は換気のおかげで大分落ち着いてはきたが、体に染みついている匂いはまだまだ消えないだろう。

これは洗い流す必要があるので、その辺りの対処をしないといけない。

 

だが、深夜でもあるため、こっそりと浴びるように対応を進めて行った。

深夜帯でも出撃は24時間ありえるため、シャワー等は普通に使える。

フェイトにも身体を洗うように伝えて、自分の身体を洗い流すためにシャワー室へと進んだ。

 

そして、一人になった時にリンディさんとの通信を起動させて連絡をとる。

 

無事目が覚めたこと。そして今は戦闘もあったため、寝汗も含め洗い流すためにシャワーを浴びている旨を伝える。

目が覚めた話をした時には凄く安心した声でリンディさんが応えてくれたのだが、シャワーの話の時には何故かリンディさんから返事は無く、無言の状態であった。

 

何か気まずい空気が生まれそうな時に、リンディさんから「後できちんと二人っきりで説明をお願いね♪」と言われてしまった……。

 

……流石に色々と言い訳が厳しかったか……それともリンディさんの勘なのか何か引っかかってしまったのかは分からないが何か察知されたことは確実である。

フォロー案も考えつつ、いざとなれば命令でなんとかしないといけないなと考えて取り敢えず身体を洗い部屋に戻った。

 

部屋に戻り、中の匂いを確認して完全に落ち着いたのを確認してから一息ついていると急に扉が開いてなのはが中に飛び込んで来た。

そしてこちらを確認して「よかったの〜!!」と涙目になりつつこちらの胸へ飛び込んでくるのであった。

 

胸に飛び込んで来たなのはの頭をよしよしと撫でてあげて離れないことを確認しつつ、なのはの気持ちを落ち着けさせる。

なのはは最初、頭を撫でられたまま胸に顔を擦り付けてきたのだが、スリスリとしつつも何か違ったのか「……?お風呂入ったの?」と聞いてくるのであった。

 

一応、戦闘の後でもあったので、さっぱりしたかったんだと伝える。

その言葉にむーとした表情を浮かべたなのはは、そのまま自分の匂いを擦り付けるかのように更に強く顔を胸に押し付けてくるのであった。

 

しばらく時間が経過した後、顔を擦り付けていたなのははようやく満足出来たのか、少し顔を離して辺りを見渡す。

そしてすんすんと鼻が動く動きを見せた後、「そういえば……フェイトちゃんは?」と聞いてくるのであった。

 

君は犬並みの嗅覚を持っているのかと言わんばかりのその仕草に戦々恐々しつつも一先ず目が覚めたから落ち着くために席を外してもらったと伝える。

その言葉に改めて気がついたのか「……体は大丈夫なの?」と心配した声がなのはから聞こえてきた。

 

本当は全然大丈夫では無い出来事があったのだが……「うん。大丈夫だよ。少し整理したかっただけだから」と伝えてその出来事は何も無かったかのように振る舞う。

なのははその言葉を聞き、「本当によかったの!!」と改めて無事に喜びまた顔を胸に埋めてくる。

 

そうしてなんとかやり過ごしつつその日は過ぎていくのであった。

 

 

 

プレシア・テスタロッサが起こした事件は解決され事態は一先ずの終息を迎える。

 

フェイトは今回おこした事件の重要参考人。そして……アリシア・テスタロッサは証拠品として状態を維持させるようにしっかりと保管されている。

フェイト自身は主導で無いのは関係者には分かっているが、手続きは踏む必要があるので、それに向けて準備を進行させていく。

 

リンディさんとはあの件とは別にフェイト達の待遇も含め色々と相談しつつ進めていく。

そしてミッドチルダに戻る期間も含め色々と調整していく。

 

山場をクリアしたことにより、改めてある推測への確信が深まるが、その辺りも含め別途に纏めるとしても……それらが正しければ絶対にある行動が差し込まれてくるはず。

とはいえ、それに頼るだけでは無く、外れたとしてもセーフティは必要なのでその辺りの調整はリンディさんと念入りに行っていった。

 

そうしてリンディさん達が帰還のために自分達がアースラから下船する時が近づく。

一旦離れることについて、フェイト達と話を行う。

リンディさんの話には従うようにすること等、それぞれ注意すべき内容をぼかしつつ改めて伝えておく。

 

自分とフェイトが何故仲良くなったのかに関しても、フェイトが心折れた時に付き従っていた時に仲良くなった状況を布教するのも忘れていない。

 

そうしてそれぞれ話が終わった後、なのはとフェイトの二人の会話がこちらから離れて行われる。

ここで二人が友達になる関係を築き上げていくのだ。

 

さすがにこの辺りの言葉を拾っていくのは無粋であろう。

元々知っていることでもあるし、そのまま他の人たちと一緒に見守る姿勢で二人を見る。

 

 

そうして二人は何回か言葉を交わした後、握手をしてなのはとフェイトは別れたのであった。

 

 

 

__

 

 

「フェイトちゃん……」

 

「フェイトちゃんのお母さんのことに関しては……私に言えることは何も無いかもしれない」

 

「だけど、フェイトちゃんがそれを乗り越えて前を見てくれたことは凄く嬉しかった」

 

「フェイトちゃんは何故前を向けることが出来たの?」

 

 

 

「なのは。私は何も変わっていないかも知れない」

 

「母さんに見捨てられた時、彼が私を励ましてくれた」

 

「こんな私でも必要としてくれる人がいる」

 

「だから私はそれに応えたい」

 

 

 

「そっか……」

 

 

 

 

 

 

「フェイトちゃん。友達の作り方って知ってる?」

 

 

「…………分からない……友達は居なかったから……」

 

 

「フェイトちゃん。手を出して」

 

「なのは?」

 

「フェイトちゃん。友達ってね。お互いの名前を呼べば友達になれるんだよ」

 

 

だからこれでフェイトちゃんと私は友達だね。

 

そうなのはは告げ二人の手が重なり合う。

 

 

 

フェイトはなのはと重なった手をじっと見ている。

そのフェイトの様子を見ながらなのはは本来の目的であった言葉を伝えるのだ。

 

 

 

「そして、友達だから本当に言いたいことも言えるよね」

 

「なのは……?」

 

 

 

「教えて欲しいの」

 

「なんでそんなにもフェイトちゃんから奏くんの匂いがするのか教えて欲しいの」

 

 

 

__

 

 

 

 

 

 

アースラが航海を開始して、自分達はいつもの街に戻る。

なのはとは約束した特訓?の日程のことも話をしつつ別れて自分の家へと戻った。

 

 

少し離れて居ただけだけど、こうやって戻ってくると無事終えた感が改めて心へと染み渡る。

無事かどうかはさておき、クリア出来たという事実は心の安寧を持たせてくれる。

 

玄関から居間に移動して、ソファに腰をかける。

ふー。と今までに感じていた疲れを言葉に出しつつ目を閉じた。

 

何とか最初の話をクリアすることが出来た。本当に一人になったことで、改めて達成感が体を包み込んでくれる。

しかし、これからのことを考えると問題は山積みである。そしてクリアできる見込みもまだ立っていない。

考えも整理しないといけないし、することは沢山あるな……と思って改めて気を持つ必要がある。

 

だが、少しは休憩したいと思って気を抜いてソファへ体を深く預ける。

 

 

そして、体の力を抜き目を開けると……。

 

 

 

何も無かったはずの今のテーブルの上に白い紙が置かれていたのだった。

 

いや……少しぐらい気を抜かせてよ。とそれを見なかったことにしたい誘惑に駆られるが、そういうことをするともっと面倒な展開にしてきそうな気配も感じられてしまうため、泣く泣くその紙を取る。

 

 

そして目に飛び込んできた紙にはこう書いてあった。

 

 

 

▼▼

 

 

ではでは『中間評価』はっじめるよ〜〜!!!

 

 

▲▲

 

 




無印編はこれにて終了となります。


ここまで読んで頂き本当にありがとうございます。
色々と考えた結果、更新頻度は少し落としつつ掲載を続ける予定です。
無印編後に関して、少し幕間と言う形で短編を記載したいと考えておりましたが、ニーズが分からない為、アンケートを取れればと思っています。


もし、興味があれば回答のご協力をお願い致します。
7/23追記:アンケートのご協力本当にありがとうございました。色々と参考に致します。


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幕間(~短編など)
すずかのドキドキご奉仕メイド編 (表) (朝) □エロ


 ちゅ……ちゅぱ……ちゅちゅう……

 

 

 

 

 はぁ……すごいよぉ……すきぃ……ちゅ……

 

 

 

 

 こっちも……ふふっ……柔らかい……ちゅ……ちゅ……

 

 

 

 

 あっ……ピクピクしてる……これって気持ちいいってことなんだよね……ふふっなんか可愛いかも……れろっ……

 

 

 

 

 

 …………

 

 

 

 意識が少しずつ浮上していく感覚がわかる。

 夢と現実の境界付近。朝特有の布団の温もりがもっとも恋しい時間帯だ。

 

 起きなきゃという現実的な意識とまだまだ寝ていたいという欲望の意識の狭間の中で味わう温もりはある種の心地よさを伝えてくるはずであった。

 

 

 

 はむっ……ちゅうちゅう……あっ……すこし膨んできた……これが良いのかなぁ…………れーっ……ちゅ……

 

 

 

 段々と現実の意識が強くなっていくと共に本来味わうはずの温もりが無いことに気が付く。

 体温で暖められた布団の柔らかい心地よさは無く、むしろ肌寒いような感覚を引き起こす。

 

 

 

 こんどは……お口全体で……あっためてあげないと…………むぐっ……にゅ……

 

 

 

 肌寒さはありつつもある一部はものすごく熱く感じる。まるで硬くなった筋肉を熱いお風呂でほぐすような感覚であった。

 

 

 

 

 んっ……んっ……ぷはっ……ここが……いちばん気持ちいいんだよね? ……れろっ……ちゅうちゅう……

 

 

 

 

 ……もの凄く気持ちが良い。朝の回復された体力を表現するかのように男性特有の生理現象は本来下着の中で窮屈になり……その中でむず痒いような快感を伝えてくるのだが……。

 

 

 

 ……やっぱり……お口にいれるのがすきかも……むぐむぐっ……

 

 

 熱く溶けるような感覚がその部分へと伝えられる。その蕩けるような快感の喜びを表すかのように反射的に筋肉の収縮を無意識に行ってしまう。

 

 

 

 ……んっ!? ……んっ……んっ……ちゅぅぅぅ……

 

 

 

 その筋肉の収縮が切っ掛けだったのだろうか……優しい刺激からまるで回復していた体力をその部分から吸い取るかのような刺激が伝えられる。

 

 

 

 ちゅぅぅぅぅ……んっ……ぷあっ……いっぱいでてくるよぅ……んっ……ぺろっ……おいしぃ……ちゅっ……

 

 

 

 まるで硬くなったそれにぴったりと合うような鞘のイメージだ。熱くそして柔らかい密着感が優しくそれに包みこまれる。

 その気持ち良さは本当に溶けるような快感の錯覚を引き起こす。

 そして、もっと感じてしまいたいという感情を表すようにぎゅっと何度もそこへ力を込めてしまう。

 

 

 

 んっ……れろれろっ……もごもごっ……あはっ……もっとぉ……きれいにしないとぉ……んっ……

 

 

 

 ぴったりと吸い付いている鞘は丹念に磨く。まるで汚れた剣を天の光で反射させることが出来るように。そしてどこまでも透き通るように丁寧に優しく磨いてくる。

 まるで自動洗浄のようにぐるぐると回してくる動きは、滑りと粒々とした柔らかい摩擦で汚れが落とされていくような気がした。

 

 そして、敏感な先端部分はその丹念な動作の刺激でどんどん大きくなってしまう。

 

 

 

 んっ……んっ……あぁ……んんっ……しあわせだよぉ……ちゅっ……

 

 

 

 それはこちらのセリフだと伝えてあげたい。

 さすがに刺激を受け続けてくれば微睡から現実への意識が完全に覚醒してしまう。

 

 何とも悩ましげにも聞こえてしまうそのすずかの声を聴きながらゆっくりと目を開いた。

 そこに飛び込んでいた光景は

 

 

 ……んっ……はむはむっ……ちゅっ……ちゅぅぅぅぅ……

 

 

 朝の元気を主張している己の象徴にご奉仕しているメイド姿のすずかであった。

 

 

 自分の状態を確認してみる。布団は潜り込まれたすずかの上にあり、何故か上半身の服すら半脱ぎ状態である。

 肌寒い訳だと妙に納得すると同時に……何かされちゃったの? と少し焦りも生まれるが、すずかの今の熱中ぶりを見る限り重大なことはされてないだろうとも考えた。

 

 そして下半身に至ってはほぼ全脱ぎである。寝ていたとは言え覚醒させずにここまで脱がせる手腕はある意味戦慄と感嘆を呼び起こした。

 

 しかし、すずかはそんなことを考えていたことなど知らずにご奉仕を継続している。

 

 

 ちゅ……ちゅう……ちゅ……

 

 

 亀頭部分に丁寧にキスの雨を降らせる。柔らかでもちもちとした唇の感触が心地いい。唇の体温がその刺激を現実だと告げているように包み込んでくるのだ。

 その刺激でつい更に力を込めてしまい亀頭部分がより膨れてしまう。

 

 すずかの動きに連動するように反応を示したため、すずかはこちらの目が覚めたことに気づく。

 優しく咥えながらも決して離さずこちらへじっと視線を向けてきた。

 

 視線と視線が交差する。

 

 すずかのその姿に鼓動がドキリとしたような強い感覚に陥る。

 

 可憐でもあり儚い少女が己の下賎な欲望を嬉しそうに咥えている。

 それはどこまでも溺れてしまいたい欲望が膨れてしまうのだ。

 すずかの瞳は優しくこちらを見てくる。時折動くその舌は微弱ながらも快感を与えてくれた。

 

 口に咥えられているその心地良さの快感につい軽く腰を動かしてしまう。

 その動きはすずかの口奥へにゅるっというように進んでしまうのであった。

 

 

 んっ!? 

 

 

 すずかはその動きに少しびっくりしたような声をあげる。そして改めてこちらにその綺麗な瞳を向けてきた。

 

 

 何か言葉をかけるべきだろうか……

 

 続けるにしても……止めるにしてもどちらにせよ声をかける必要があるだろうと考えたその瞬間。

 すずかはこちらに瞳を細めニッコリとした表情を見せてくる。

 

 えっ? まだ何も言っていないんだけど……

 

 と思ったその時

 

 

 

 ガシッ! 

 

 

 

 すずかの両手がこちらの腰の後ろに回されロックされる。

 その行動に驚く間も無く……

 

 

 

 ずぶぶっ……ずぶぶぶぶっっっ

 

 

 

 男性器がすずかの口へどんどんと飲み込まれていく。

 それは深い。どこまでも深い。まるで底無し沼だ。

 

 

 

 ぐぶぷぷぷっ……んっ……

 

 

 

 グッと更にすずかの両手に力が入る。その力はこちらの腰を浮かすようにしながらもすずかの口の沼へどんどんと吸い込まれていった。

 

 

 

 んっ……ふーっ……ふぅ……

 

 

 

 すずかの鼻息がこちらの肌にあたる。そして唇の感触が肌へ伝えられた。

 それらは息のくすぐったさを感じると共に一つの事象をこちらに伝えてくるのだ。

 男性器の全てが彼女の口内に納められてしまったことを教えてくれる。

 

 

 

 んっ……ぐっ……ぐぷっ……

 

 

 

 すずかの喉の動きに合わせて下品にも聞こえる水音が漏れる。

 しかし、それらは萎えるどころか快感と興奮を促進させてくる。

 

 全て口内に納められた快感は筆舌に尽くし難い。

 

 粘膜同士の接触は性交を彷彿とさせるが更にこれに関しては意思を持って快感を与えてくる。

 動いてくる喉。そして口内で動く舌それぞれが意思を持ってこちらに快楽を生み出してくれるのだ。

 

 更にその快楽は逃げられないように手でしっかりとロックされている。

 彼女の行動は確実にこちらを快楽へ溺れさせていくのだった。

 

 そしてすずかはその状態でゆっくりと顔を左右に振り始めた。

 濃い唾液のぬめりと共に彼女の喉奥の感触がコリコリと亀頭へ伝えられる。

 

 まるで膣内の奥に攻めているような感覚。

 しかし、竿の辺りで動くその舌が彼女の口内に居るということを知らせてくるのだ。

 

 ぺったりと竿にくっつく舌もまるで竿の血管を一つ一つを舌でなぞりあげるような動きは鈍くはありつつも快感を確実に与えてくれた。

 その快感はこちらが一切動かなくても自動的にすずかへ溺れるようにしてくる。

 

 溺れるような快感を更に伸ばすかの如く、すずかの動きが変わる。

 

 

 ぬぶっ……ぬるるるっ……ぬぶっっ……

 

 

 少しずつ少しずつ口内が密着されたまま喉奥から口元まで引き抜かれていく。

 その時にぐるぐると舌が周り男性器の全体を舐め上げてきた。

 

 そして亀頭部分だけが口内に納められる位置まで戻る。

 竿の部分を見るとまるで湯気が出てきそうなくらいに暖かい唾液に濡れているのが分かった。

 

 

 んっ……ちゅ……はぁ…………んっ……ちゅぱっちゅ……

 

 

 亀頭部分だけでも彼女の舌の動きは止まらない。どんどん彼女の舌で亀頭が磨かれていくのがわかる。

 それらを手助けするかのように亀頭が快楽で大きく更に膨らんでしまうのだった。

 

 

 あはっ……んっ……ちゅぅぅぅ……

 

 

 亀頭の膨らみにすずかの嬉しそうな声を出した後、強く口内で吸い込まれる。

 

 そして……

 

 

 

 ぐぷぷぷぷぷっ……

 

 

 

 再度、彼女の喉奥へ吸い込まれていくのであった。

 

 

 

 ぬろるるるっ……ぐぷぷぷっ……ぬるるるっ……んっ……ちゅぅぅぅ……

 

 

 

 彼女から発せられる水音が部屋の中に響く。

 喉奥、口内、そして吸い込み。最初はゆっくりとそして慣れてきたのか少しずつその速度が上がってくる。

 

 速度の向上と共に道に沿うようにして射精への快感を辿ってしまう。

 それを早く味わってしまいたいと姿勢的に足の筋肉が硬直してピンっと足を伸ばしてしまうのだ。

 

 そうするとより男性器の部分が反り返り、彼女へまるで快楽を与えて欲しいと差し出してしまう行為でもあった。

 彼女はそれをまるで理解しているかのように男性器を味わい尽くす。

 

 刺激に慣れてしまわないように緩急を更につけて、男性器を攻め立ててくる。

 その熟練された動きは本能なのかそれとも彼女の知識にあるのか分からないが、確実に射精に導いてきた。

 

 

 

 出るっ!(射精するっ)

 

 

 

 頭にそれが浮かんだ瞬間、亀頭が最大に膨らみ男性器の中で精液が伝う。

 それらは開放の快楽を伴ってすずかの口内へ射精を行うのであった。

 

 

 んんっっ!? …………んっ……じゅっ……ちゅぅぅぅぅぅ……

 

 

 

 射精の快楽と共に口内で強く吸い込まれる動き。すずかはもはやこれに慣れているのか射精のタイミングをしっかりと合わせ吸い込んでくる。

 筋肉だけの動きで出される快楽と合わせた精液が伝う快楽のスピードは別格に与えられ頭を真っ白に染め上げる。

 

 

 

 んっ……ちゅぅ……ちゅ……ちゅぅぅぅ……んっ……

 

 

 

 そして残りすらも丁寧に吸い取るその動き。余韻ですら逃さないと言わんばかりに尽くすその動きは無抵抗な自分へ快楽を刻み込まれるのだ。

 

 

 

 ちゅぅぅぅぅ……んっ……

 

 

 

 ちゅぽんと音が聞こえそうな密着状態から亀頭が開放される。

 射精後の余韻で流石に朝の元気はなくなり萎み始めているのがわかる。

 

 

 

 んっ……もごもご……んっ……

 

 

 

 すずかは出された精液を口内でもごもごと動かしている。

 口から時折漏れるクチュクチュとした音は淫靡さを感じさせてしまうので。

 

 時には噛むように口を動かし、そして目を閉じ舌を動かす。

 その姿は萎えてきた部分に更に血液を集めてしまう感覚を引き起こす。

 

 そして……瞳を開いてこちらに口を開く。口の中に自分が出した精液が溜まっているのが分かった。

 

 すずかの顔を見ると頬を染めて、こちらをじっと見ている。

 段々と瞳も潤ませ始めて精液をためた口をこちらに見せながらある言葉を待っているのだ。

 

 

 ……最初以降、すずかは必ずこの動作を行う。そしてこちらの言葉をかけない限り絶対に動かないのだ。

 

 口の中を改めて見ているとすずかの舌がその中で動き精液と唾液を混ぜ合わせるようにしているのを見せてくれる。

 それは改めて興奮を誘ってしまうのだ。

 

 頬を染めつつ、瞳を潤ませつつもこちらの視線を楽しませるようにして、その言葉をじっと待つ。

 それらは支配欲は半端なく満たされてしまうのが分かってしまう。

 

 そして……言葉を発して上げた。

 

 

「飲め」

 

 

 すずかはコクリと頷き。口を閉じる。そしてこちらに近づき横向きになって彼女の喉を見せてくるのだ。

 

 

 

 んっ……

 

 

 

 コクリコクリと喉が動く動きが分かる。大事そうに少しずつ精液を飲むすずかの姿はいつ見ても興奮してしまう。

 

 

 

 んんっ……

 

 

 

 そして全て飲み込んだのであろう。すずかは改めて正面に向き直りその可憐なメイド姿を見せつつ笑顔でこう言ってきたのだ。

 もちろん瞳は彼女の魅力を最大限に発揮していると感じられてしまう真紅の瞳である。

 

 

 

「ご主人さま。おはようございます」

 

 

 

 すずかが、どうしてもと要望してきたメイドすずかとしての長い一日の始まりであった。

 

 

 

 

 

 







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すずかのドキドキご奉仕メイド編 (裏) (朝) □エロ

 

 

 __

 

 

 

 

 鏡に映ったメイド姿を改めて確認する。

 

 

 服装に乱れはないか。髪型に乱れはないか。肌は綺麗に映っているか。

 

 

 その場でくるりと回り、それでも全体が乱れないかを確認する。

 これからの期待に溢れる鼓動を隠しつつも身嗜みをしっかりと整え、準備を進めるのだ。

 恐らく……いや必ず必要になるであろう様々な替えの準備もしっかりと行っている。

 

 

 それらの想像するだけでも頬の熱くなり、顔が緩んでしまうのが分かってしまう。

 しかし、気を引き締めなければならない。何故なら私は彼の手であり足であり、心も体も私の全て捧げるべき存在なのだ。

 彼の言うことは全て叶えないといけない。彼の命令に従うことが私の喜びであり悦びでもあるのだから。

 

 

 ただ……もちろんご褒美をもらうことは決して忘れない。甘美でもあり魅力的に舌を満足させてくれるあの味……。

 それらは私をどこまでも幸福にしてくれて高みに導いてくれた。

 今までの悩みがなんだったのかと言わんばかりに私の心を常に満たしてくれる。

 

 

 彼に尽くす。ご褒美を貰う。そして私の心が満たされる。

 

 

 そのループみたいに行われる一連の流れはもはや私にとって生きる上で必要なことでもある。

 彼に命令されそれに尽くすだけでも心がドキドキと高鳴り全てを差し出してしまいたい。

 

 

 しかし彼は優しい……。分け隔てなく誰にも気遣う心は優しさを感じられ、行動的には私も魅力的にも感じてしまうのだが……私にだけは……と想いの心もあるのが悩みどころだ。

 

 

 彼の行いたいことを叶えていくことが、私の行いたいことであるのは間違いないのだけれど、ついつい妄想してしまうのだ。

 

 

 ……頭の中の妄想が少しずつ加速する。もしも彼が私にだけ命令を施して私がその全てを叶える。そして私だけが得られるご褒美の時間。

 

 

 

 

 ……

 

 

 

 …………

 

 

 

 ……あっ……ダメですよぅ……ご主人さまっ……そんなところまでっ…………

 

 

 

 ……でも……ご主人さまが……お望みならっ……

 

 

 

 

 ……はい……私は…………淫乱な……メイドです……ですので…………ご主人さまの……お情けを……

 

 

 

 

 ………………

 

 

 

 

 

 はっ!? いけないいけない……色々と妄想が加速しすぎてしまった。

 

 時間を確認する。うん……大丈夫! と安心する。

 

 時計の針は長針短針共にもう少しで天辺を指すぐらいである。

 これからご主人さまのもとへ向かいご奉仕するお楽しみタイムなのだ。これでも時間が足りないかもと焦るくらいである。

 

 本当は0時からスタートしたい気持ちが満載であったが、さすがにそれだとご主人さまが寝れないかもしれない。

 それはご主人さまの本意ではないので自重する。

 さすができるメイドだ! とうんうんと頷きつつ心の中で自分を賞賛してしまうが、そんな時間も僅かにすませる。

 

 

 そして準備を進めなきゃ! と引き続き私は行動をするのであった。

 

 

 

 

 

 奏くん……ご主人さまのお家の目の前に到着する。

 辺りはまだまだ真っ暗だ。これから段々と日が昇り明るくなっていくのだろう。

 

 改めて今回の内容を思い出す。

 

 今日一日、彼の望むことを何もかもご奉仕するのだ。

 彼からきちんと「今日一日俺に尽くせ」と言う命令も受けている。

 

 …………若干、そこまでたどり着いた話の流れと言われたご命令は違うかもしれない……そこは私の頭の中で補佐をするのだけれど、事実は変わらないので気にしない。

 彼との無言のご命令すらドキドキしながら遂行するのはとてもすごくよろこびを感じてしまうのだ。

 

 

 

 

 

 大丈夫ですよ。ご主人さま。あなたのすずかは全てわかっています。

 

 

 ちゃんとあなたのご命令に全て従いご奉仕いたします!! 

 

 

 

 

 

 音を立てないようにゆっくりと家の鍵を開け、ご主人さまの家に入りこむ。

 この日のために鍵を一時的に借り受けていた。

 

 この鍵は魔性の物質だ。これさえあれば24時間彼のそばにずっと居られる。

 ずっと彼の望みを叶え続けられるのだ。その想像しただけでも心がどんどんと潤って溢れてしまう。

 いつかそれを実現するためにも、ご褒美で頂けるように頑張るつもりである。

 

 むんっ! と改めて静かに気合を入れ直す。

 時間的にご主人さまはまだまだ夢の中であるはずである。それを阻害するのはメイドとしてあるまじき行為だ。

 決してご主人さまに気づかれずに何かを成したい訳ではない……のだ。多分。

 

 

 

 ……ご主人さまが寝ていてもご命令されたら服従すべきなので、それは例外である。

 

 

 

 うん! とその言葉が出てくることで頭の中でピースがハマった感覚になる。

 

 それでは早速、彼の部屋へと向かうように足を進めていくのだった。

 夜の一族の能力を最大限に発揮し、足音は一切立てない。

 

 ご主人さまの安眠を妨害することなど出来る訳がないのだ。

 決してご主人さまを起こすことなくご奉仕をしていく。これがメイドの鏡である。

 

 

 

 ご主人さまの部屋の前に到着する。

 

 この扉を開ければご主人さまが寝ているのだろう。その魅力的な空間に入る誘惑を無理やり抑えつつ私は準備を始めた。

 

 部屋の前でお香を静かに焚く。

 これは……夜の一族に伝わる一つのお香である。本来の目的は暗示を掛けやすいように心をリラックスさせて心の隙間を作るのだ。

 何かしらで発生する心の隙間は暗示を掛けやすくする。それを目的として作られたこれは相手に気づかれることなくその効果を発揮してくれるものだ。

 勿論、力ある一族であれば、大した意味もないものであるけど……。

 

 何故これを使うのかと言うと、ご主人さまに暗示を使う……訳ではない。

 お香の効果としてのリラックス効果を使いたいのである。

 

 ご主人さまにはしっかりと安眠して疲れを取ってもらわないといけないのだから。

 ご奉仕する以上、快適な空間を提供するのもメイドのお仕事である。

 

 多少のご奉仕……行動では目が覚めないようにしておかないとご主人さまも安心して深く寝れないはずだから、私はそれに応えるため心を弾ませながら実施していくのだ。

 

 そう考えつつ、扉の隙間からそのお香を少しずつご主人さまの元へ届けていく。

 

 

 

 …………

 

 

 

 それなりな時間を使い、お香を焚きご主人さまの部屋へ送り続けていたが、そろそろ大丈夫かなと思い、聴力を最大に発揮して部屋の様子を伺う。

 部屋の中からすーすーと寝息のような呼吸が安定して聞こえてきた。

 

 うん。ご主人さまは深く眠っている。そう考えて少しずつ部屋のドアを開けていく。

 音は立てないように細心の注意は怠らない。

 

 そして部屋の中に入り、ご主人さまの元へと向かう。

 枕元の近くに移動して様子を伺う。

 

 

 ご主人さまの寝顔を確認する。

 安心して深く寝ているその寝顔はご主人さまの『寝る』という行動をしっかりと補佐した結果を感じさせ、より心がキュンキュンとよろこんでしまう。

 

 

 しばらくその寝ている様子をじっくりと観察していく。

 年齢は同じのはずなのに、常に落ち着いて大人びた雰囲気は今は無く、年相応にも感じる無防備なその顔は……今、私だけが見れる特権として嬉しく感じられてしまう。

 ずっと見ていたい衝動のままご主人さまの寝顔を見続けていく。

 

 

 

 ……

 

 

 …………

 

 

 ……………………

 

 

 

 じーっと見続けていたが、あることに気が付く。

 

 ご主人さまが少し汗をかいているように見えるのだ。

 寝ているときは汗をかきやすい。健康でも生理的に発汗してしまうのは何かの本で読んだことがある。

 しかし、汗は不快感を生み出しやすい。

 これでは安心した睡眠を行うことが出来ないと思って対処を開始するのであった。

 

 

 

 ご主人さまの布団を少しずつ剥ぐ。発揮出来る力を隠密として全力に使い細心の注意を払って布団を剥がしていく。

 

 そうして上半身部分を露わにした。ご主人さまの体温が空気を通して暖かさを感じさせ、薄らとした湿気のような感覚はその汗を感じさせてくる。

 

 それらを感じたときゴクリと喉がなりそうになる。

 

 ひとまずは寝汗を取り除く必要があると考え、パジャマの上着のボタンを開いていく。

 そうするとご主人さまの上半身の肌が露わになっていった。

 

 より体温の温度が感じられてしまい心臓の鼓動が高鳴ってしまうのがわかる。

 期待感でどんどんと高鳴るその鼓動は寝ていても伝わってしまうのではないかと感じてしまうほどであった。

 

 昂る気持ちを抑えつつ、汗を拭こうと考える。

 

 汗を拭くにあたり必要なものは……タオルなどが考えられるが、それだと布地の摩擦が大きく目が覚めてしまうだろうと考えてしまう。

 深く眠ってもらっている現状、それでも大丈夫だと思っているがやはり極力避けるべきだと頭が告げてきた。

 

 

 

 そうなると…………やっぱり私自身で拭う必要があると結論を出す。

 

 

 顔をご主人さまの肌に近づけさせる。ご主人さまの温もりそして匂い。それらはその後を想像してしまい心が幸せに震えてしまうのが分かった。

 気持ちが再度昂り抑えが効かなくなり、そのスピードはどんどんと速くなる。

 

 

 まずは……舌でご主人さまの汗を拭っていく。

 

 

 

 ……ぺろっ

 

 

 

 ……あぁっ……凄く美味しい。

 

 汗というのは塩分が含まれ本来しょっぱいものという認識があったけど、ご主人さまの味は全く違う。

 

 ……夜の一族として美味しく感じてしまうのは何か? と聞かれた時に答えられる言葉としては血液だろう。

 人間として考えるとそれは美味しいとは言えないだろう。しかし、夜の一族としては健康的に生きていくにあたり必要なものであり、摂取することで美味しさと共にまるで酔ったような感覚を引き起こす。

 私はこの行為は正直好きではない。人間とかけ離れてしまうこの行為は自分を異常だと感じさせてしまうのだから。

 

 しかし、気のある異性の血は別格であると聞いたことがあった。

 

 汗は血液を基に作られていると本で読んだことがある。その影響なのかご主人さまの汗はどこまでも甘美であり、美味しさを舌に頭に伝えてくる。

 その美味しさは決して飽きる事はない。舐めれば舐めるほどその美味しさを感じさせてくれるだ。

 そしていつもその行為を行った後に続くご主人さまへのご奉仕を想像してしまう事で、心がいっぱいの幸せで満たされてくる。

 幸せの器には大きさが無い。行為を行い続ければ続けるほどどこまでも満たされていく。

 私はついついその行為に夢中になっていく。

 

 舌から感じるご主人さまの体温。そして張りがあり滑らかな肌の感触。味覚と頭に直接叩き込まれるような甘美な味。

 それらと合わせ、ご奉仕に対するよろこび。そして心が満たされていく感覚。全てが私の理性をどんどんと蕩かしてくる。

 

 

 それでもご主人さまを目覚めさせないようにゆっくりとそして味わうように舌で拭っていく。

 最初は胸元。そしてお腹。更に首筋へと舌でなぞっていく。

 

 その舌の刺激はご主人さまに取ってくすぐったいのか気持ちいいのか分からないけど、ピクッと時折動く仕草は心をドキドキとさせてしまう。

 しかし、眠りは深い。その刺激だけでは目覚める事はなかった。

 

 首筋に唇が近づいていった時にある衝動が身体の中で膨れてしまうのがわかる。

 歯がうずきその柔らかな部分へ突き刺してしまいたい衝動が膨れてくる。

 

 さぞそれは甘美なのであろう。ご主人さまの血液を舐める事は……おそらく血に酔うというよりも、更に彼に陶酔して依存しまうのが想像に難しくない。

 しかし、私はメイドである。ご主人さまに依存ではなくご奉仕。私の心と身体を全て使って尽くすべき存在なのだ。

 

 ご褒美としてもらう事はあったとしても、私が一方的に欲を満たす事は許されるべきではないと考える。

 では……今行っているこの行為は違うのか? と聞かれたら私は自信を持って答える事が出来る。

 

 

 

 違います。これは彼の眠るという無言の命令に従い、安眠を行うためのご奉仕であると。

 

 

 

 だからこそ私は戸惑いなく、行為を進めていくのだった。

 首筋から耳に舌が移動していく。耳穴は流石に強い音が発生すると思うので、そこは避けるようにして、耳裏部分に舌を移動させていった。

 

 この部分は味が濃いのが分かっている。汗もかきやすいその部分を汚れを落とすようにして舌を動かしていく。

 

 くちゅ……くちゅり……と舌が動く音が小さく響く。その音で更に私は心がドキドキと鼓動が速くなっていった。

 けど、そこから感じるこの味は私を魅了していく。止める事はなく、舌を動かし続けていった。

 

 

 

 寝ながらもご主人さまの寝息が少し荒くなっていく。苦しいというよりもご奉仕によって発生する心地良さの興奮を表しているように感じてしまう。

 それは私の幸せな感情を誘うのだった。

 

 ひょっとすると……いけない夢を見ているのかも……相手が私だったら……ああっ……

 

 一瞬、意識が白く飛びかける。ご主人さまの夢の中でもご奉仕している想像だけで心や身体が高まってしまった。

 しかし、現実においてご奉仕を中断する訳には絶対にしてはならない。

 だからこそその夢が継続出来るように私はご奉仕を続けていく。

 

 

 

 舌が再度、胸に向かい乳首の部分に舌が向かう。

 その部分を丹念に舐め上げていくとだんだんと硬くなっていくのが分かった。

 ご主人さまにご奉仕している結果が見えるのはとても嬉しく思ってしまう。ついつい念入りに舌と唇をくっつけていくのだった。

 

 そして、お腹の方に向かい今度はお臍の部分に舌を近づける。ここも味が濃いのが分かっていた。

 綺麗に身体を洗っていたとしてもどうしても汚れが溜まりやすい。だからこそ私が綺麗にしてあげないとと言うご奉仕の意思が生まれてしまう。

 

 ゆっくりと唾液を溜め、少しずつ汚れを落としていくように舌でなぞりあげていく。

 舌に感じる刺激。汗の味。彼の身体の味。混じりあったそれらを私は口で堪能していくのだ。

 

 身体がどんどんと熱くなってくる。喉や身体が覚えてしまっているのだ。この結果による昂りを得たいと言う衝動が身体を包みこむ。

 舌の動きが止まらない。舌先が汚れをこそげ落とすように動く。ご主人さまの身体の中の熱い体温が伝わってくるのが分かった。

 

 はぁ……はぁっ……と自分の息が少しずつ荒くなっていく。しかしまだ目覚めるには早い時間。

 だからこそ気付かれないように強い刺激は避けつつ丁寧に舌を這わしていく。

 

 ご主人さまに密着したい衝動も溢れてくる。体温と体温の交換はすごく安心するのだ。

 彼の体温に包まれるその時間は身も心も一緒に溶け合うように感じてしまうので、私的には凄く好きな行為の一つである。

 

 だけど、今はまだそれを我慢する。我慢した分だけその反動が凄いのも分かっているのだけれど、それはまだご奉仕の段階までたどり着いていない。

 彼が望み、そして私がよろこんで応えるその時まではまだ我慢すべきであった。

 

 ご主人さまには負担にならないように重なり合っても、こちらの体重はかけないように注意する。

 幸い力はあるので、この辺りは苦もなく実践出来ていた。

 

 しかし、ご主人さまの身体はそうではなかったらしい。

 

 舌で引き続きお腹の辺りの汗を拭っていくと、お腹の辺りに熱く硬い感触が分かる。

 ……その熱さは私の身体を更に熱くさせてしまうのだ。舌を動かすと時折ピクピクと動くその感触は心を幸せでトロトロと蕩かしていく。

 

 逸る気持ちをおさえて、時間を確認する。

 日が昇りつつあるその時間はそろそろ目覚めたとしてもおかしくは無い時間帯であった。

 

 それならば……多少、遠慮を外しても大丈夫だろう。眠りをサポートするのも目覚めをサポートするのもメイドの務めである。

 だからこそ、私はご主人さまを優しく目覚めさせるイメージを持って取り組むのであった。

 

 ご主人さまの布団の中に潜り込む。全て布団をはだけてしまうと寒いかなと判断してのことであった。

 彼の体温に包まれる幸せだけを堪能する訳では無い。何度でも言うが彼を気遣ってのことである。

 

 そうして布団の中でも夜目が効く力をしっかりと活用して下半身部分に手を向けていく。

 ご主人さまに負担をかけないようにするのは当たり前で、急に起こさないように注意しつつズボンを下ろして体から外していく。

 

 そうして顕になったのは彼の下着部分だ。

 下着の上からでも分かるその硬くなった形。そしてそこから発生する熱や匂いは布団の中で篭り私の脳内へと侵食してくる。

 

 はぁ……はぁ……と更に呼吸が荒く激しくなっていく。心がトロトロと言うかドロドロにまで溶けてくる。

 そして喉がなってしまうのだ。『あの味』を舌で、喉で、心で味わいたい欲求が出てきてしまう。

 

 心がドキドキと滾り続ける。それらを解消するため、ご主人さまの下着部分もおろしていく。

 これもしっかりと繊細な行動を行い、注意しつつ進めて行った。

 

 そして……下着からご主人さまの大切な部分。私に取っては光り輝くようにも感じるそれを瞳に入れる。

 

 大きく硬くなった大切な部分は、下着から開放された瞬間、ブルンッと言わんばかりに飛び出して天を向いている。

 その元気な部分はそれを表すかのように発生する熱がこちらの肌に直接感じさせる。

 

 下着の中で溜められていたご主人さまの濃い匂い。

 私に取っては目の前でクローシュ……西洋料理などで出てくる銀色の蓋を開けられた時にご馳走が飛び込んできたイメージでもあった。

 ご主人さまの汗と男性的なその匂いは、一般的に決して良い匂いとは言えないかもしれない。

 しかし、私はそれをずっと嗅いで堪能したい。お口の中に唾液が溜まり続ける。そして心が更に溢れ、身体がどんどんと熱くなってくる。

 

 自分の下着の中が大変になってくるのが分かる。この調子だと替えが足りなくなるかも……と一瞬頭によぎるが、まだまだ在庫は豊富である。

 まだ大丈夫と考えて、次へと進むのであった。

 

 

 

 

 それでは、ご主人さま。目覚めのご奉仕をさせて頂きますね。

 

 

 

 と頭の中で語りかけた。

 少しずつ顔をご主人さまの大切な部分へと近づけていく。近づくにあたって匂いが更に濃く感じられてきた。

 口が半開きとなり、唾液が溢れるくらい湧き上がってくる。

 

 そしてその唾液に塗れた舌をぴったりとくっ付けるのだ。

 

 

 

 ちゅっ……

 

 

 

 舌で天辺の濡れた部分を拭い唇で吸い込むようにくっつける。

 汗と先行して溢れていた体液。それは先ほど身体を味わっていた時よりも濃く舌を堪能させていく。

 

 まだ完全に剥けきっていないクビレの部分にも舌を差し込んでいった。

 捲れていくに辺り匂いが更に強くなり、舌にピリピリとした刺激を伝えてくる。

 味はとても濃い。濃い汗の味。それは私をどんどん虜にしていく。

 

 

 

 ちゅ……ちゅぱ……ちゅちゅう……

 

 

 

 どんどんとその味を身体に取り込んでいく。

 溢れる体液もご馳走だ。感情が溢れ、舌に感じるその刺激は、段々と私の思考が霞み、その味へ没頭していく。

 

 ご主人さまへの気持ちが更に溢れてくる。

 大切な部分がもっと気持ち良くしろと命令してくるようにピクリピクリと動くその仕草は、何もかも差し出してしまう感情が膨れてしまう。

 

 そしてそのご主人さまはこう命令されているようにも感じられた。

 ピクッと大きく動いたそれは「俺のことが好きか?」と言っているように思えたのだ。

 

 

 

 はぁ……すごいよぉ……すきぃ……ちゅ……

 

 

 

 私はまるで服従するかのようにご主人さまに答えてしまう。その言葉に満足したかのようにピクッピクッと動くその仕草には満足感と共に可愛らしさを感じてしまった。

 もっと感じて欲しいと思い更に口を舌を動かしていく。

 

 

 

 こっちも……ふふっ……柔らかい……ちゅ……ちゅ……

 

 

 

 ご主人さまの大切なところでももっとも無防備な部分にも唇を向ける。

 柔らかさと共に私がもっとも味わいたいその中身の想像が膨れてしまう。

 早く速く喉で、口で味わいたいと心が求めてしまった。

 

 

 

 こんどは……お口全体で……あっためてあげないと…………むぐっ……にゅ……

 

 

 

 心の欲求に従い、身体が動きを行う。ご主人さまを口全体に頬張り口いっぱいに取り込んだ。

 すると口の中に広がるその味や匂いは私をどこまでも幸せに導いてくれる。

 

 ずっとお口に含めていたい……と思ってしまう。

 舌がクビレの部分を擦り、味を強く感じさせる。もっと欲しいと言わんばかりに舌を動かして行った。

 しかし、これは目覚めのご奉仕である。目覚めさせていくにはご主人さまへ優しく刺激を伝えていかないといけないのだ。

 

 

 

 んっ……んっ……ぷはっ……ここが……いちばん気持ちいいんだよね? ……れろっ……ちゅうちゅう……

 

 

 

 ご主人さまの反応が一番良い部分。クビレにある筋の部分を念入りに舌でなぞる。

 クニクニとした感触、そして時折上の部分から漏れてくる液体は私をどんどんと酔わしていく。

 筋を念入りに刺激していくと天辺の部分がご主人さまの液体で包まれてしまった。

 それを綺麗にしないといけないと言う気持ち。そしてあの幸せの感覚を求めるため口を再度大きく開いて取り込んでいく。

 

 

 

 ……やっぱり……お口にいれるのがすきかも……むぐむぐっ……

 

 

 

 口の中で幸せが広がる。喉が収縮して、ちゅっ……ちゅぅ……と身体に取り込んでいく。

 するとご主人さまがピクッと動き命令を伝えてきた。

 

 

 

 ……んっ!? ……んっ……んっ……ちゅぅぅぅ……

 

 

 

 出てくる液体をしっかりと飲み込め。味わえ。と言う感じでピクッピクッと動いて液体が溢れてくる。

 私は命令に応えるため、頬を窄めるようにしつつ吸い込む力を強めて、ご主人さまの液体を味わっていく。

 

 

 

 ちゅぅぅぅぅ……んっ……ぷあっ……いっぱいでてくるよぅ……んっ……ぺろっ……おいしぃ……ちゅっ……

 

 

 

 美味しい。物凄く美味しい。もうこれ無しでは生きれないと思えてしまう。

 そして心が悦ぶ。こんなに幸せで良いのかと思えるくらいに心は昂る。私はどんどんと行為にのめり込んでいった。

 

 

 

 んっ……れろれろっ……もごもごっ……あはっ……もっとぉ……きれいにしないとぉ……んっ……

 

 

 

 唾液が口から溢れて汚れてしまった根本部分。そして袋部分を再度舌で拭っていく。

 舌や口で感じるその熱さで心が理性がどんどんと欲求へと傾いていく。

 

 

 しかし、私のその欲求に傾く心を許さないと言わんばかりにビクッビクッっと強く動いてきた。

 私はその動きも含めて心を調教されてしまう。ご主人さまにご主人さまの大切な部分に……私の意思ではなくご主人さまの意思で快楽を得ないといけない。としっかりと躾されてしまうのだ。

 

 

 

 畏まりました。ご主人さまぁ……。

 

 

 

 と昂った心を維持したまま、更に大切な部分へとご奉仕を継続していく。

 飽きさせないように刺激を変え、目覚めのその時に向けて味を堪能しつつも次々へとご奉仕を行なっていった。

 

 

 ……そうして、ご主人さまが目を覚まし始めたことに気がついた。ご奉仕の舌に合わせてもっとと言わんばかりに示してくれる回数が多くなってきたからだ。

 勿論その命令に応えつつも、ご主人さまの反応を伺う。しっかりと頬張りながらもご主人さまの方に目を向けて指示を仰ぐ。

 

 

 ご主人さまはジッと頬張っている私を見てきた。その見られている視線。それは行なっているこの行為の羞恥心を煽り、行為を自覚させてくる。

 私は急に恥ずかしい感情が湧き上がってしまうが行為は止められない。止めろと言う命令はないから、続けろと言うことである。

 体温が更に上昇する。恥ずかしさと言う感情が更に私の心を震わせてしまうのだが、従うことで幸せの相乗効果が身体と心をご主人さまに直接躾けられてしまうのだ。

 

 お前は俺のものだと言わんばかりに伝えてくるその視線。はい。その通りです。と応えるその心は私をどこまでも高く突き上げる。

 そして落ちない。心が落ちることはない。高みにずっと高みに昇らせ続けて、私に理解させられてしまう。

 

 

 ご主人さまの視線が変化する。何かこちらに伝えようとしている。その意図を考えるよりも速く理解してしまった。

 ご主人さまの大切な部分がビクビクと動いているのだ。

 

 これはもっとちゃんとご奉仕せよと言うことであろう。だからこそ私はそれに全力で応える必要があった。

 

 少しずつ隠れて練習していたその成果を見せる時がきた。

 大切な部分を歯で傷つけないようにしっかりと注意して、全体を口内に含んでいく。

 今までなら途中で止まってしまったであろう。しかし、その状況は私に取っては許せるものではなかった。

 

 ご主人さまを満足させることが、私の存在である。だからこそ命令をきちんと遂行できることを伝えないといけなかったのだ。

 いつもよりも深く深く更に口内へと取り込んでいく。

 

 喉が動き、ご主人さまのその太い部分を飲み込むようにして更に体内へ入れていくのだった。

 

 

 

 ……そうして私の唇が根本の部分に触れる。

 口の中。身体の中。頭の中。すべてにご主人さまの味が刷り込まれる。

 そして命令を遂行した感情が私の頭を蕩かしてくるのだ。

 

 舌が喉が歓喜に打ち震えて更にその味を取り込んでいく。

 息が鼻でしか出来ないため、ご主人さまの様々な匂いが私の頭の中を焼いていった。

 

 

 心が真っ白になり始める。身体が『あの味』を強く欲しがる。

 ご主人さまも目覚めたので、私はそれに向けて動くことに戸惑いはなかった。

 

 顔を動かし、深い場所から浅い場所。そして舌や喉を動かしてご主人さまにご奉仕していく。

 最終的なやり方は学んでいるので、それに向けてご主人さまに満足頂けるようにどんどんと動きを激しくしていった。

 

 

 そうしてしばらくすると、最大のご褒美が与えられる時間がやってきた。

 

 ご主人さまの言葉と共に口の中に新しい液体が広がる。

 その味。そしてその液体を一滴も逃さないように口の中でしっかりと溜めつつも出てくる部分も最後まで出せられるように強く吸い込んだ。

 

 こうするとご主人さまの満足度が上がっているように感じられるのと逃すことなくすべて吸い込めるのでこの動きは必須だと思っている。

 

 そうして吸い込んでいるとご主人さまが満足したかのように段々と硬くなっていた部分が柔らかくなってくるのが口内でわかる。

 その動きは可愛らしく感じられ、お疲れ様でした。ご主人さま。と伝えるように舌で優しく撫で上げてから離す。

 

 そして、口のなかにご主人さまの精液を溜めたまま向き直る。

 

 

 

 これは……ご主人さまが最初に私へと躾けられた行為だ。心と身体がご主人さまに従うために行動を行う。

 

 口の中に溜まっているご主人さまの精液を確認してもらう。

 直接出された直後の味。そして口内で唾液と混じり合った味。更にこうして空気を含ませて変化した味をそれぞれ私に堪能させていく。

 

 その様子をしっかりとご主人さまに確認してもらうのだ。恥ずかしさと共にそこから発生する身体の興奮。そして心の昂りはもはやこれ無しではもはや満足出来ないくらいにご主人さまに躾けられている。

 ご主人さまは私の口内の様子をしっかりと確認する。その視線だけでも恥ずかしさで頬の温度が上がりすぎて隠れてしまいたくなる。

 だけど、ご主人さまの命令である。反抗することなど微塵もあり得ない。だから私は心を身体をご主人さまに差し出すのだ。

 

 そうして改めて得られるその幸福感を私は逃さない。余すことなく感じてしまう。

 更にこれから続く、ご主人さまの言葉を堪能しながら待つのだ。

 

 

 

「飲め」

 

 

 

 ご主人さまのその言葉に身体が震える。心が歓喜に打ち震える。私の下着の中はもはや溢れてしまっているのが分かってしまう。

 

 しかし、ここからが一瞬でもあり永遠にも感じる時間なのだ。私のすべてを差し出す行為。それを行なっていく。

 

 しっかりとご主人さまに見えるように、喉を曝け出す。

 喉の動きをちゃんと見せないと飲んだことを見せられないので、飲み込む瞬間を確認してもらうのだ。

 

 口内に広がっている味を堪能する。とても甘美であり行儀が悪いかもしれないけど、ずっと口内に含めていたい。

 最初はプリプリとした粘度の高い感じから唾液と混じり段々と粘度が下がってくる。

 粘度が下がることで更に飲みやすくなってきたことを口内で確認して飲み込んでいく。

 

 コクリと喉を鳴らして少しずつ飲んでいく。精液が喉を通り、胃に通るその感覚。それは幸せである。

 命令を遂行している幸せ。そして精液を飲む幸せ。それらは高まっているこの心を更に急激に天元突破していくのだ。

 そのスピードは意識することすら出来ない。感情が爆発的に溢れ出し、それをひきづるようにして身体も幸せの反応を示す。

 

 

 どこまでも溺れるような震えた快楽が身体と心を走り抜ける。飲み込む度に時間が引き延ばされたようにも感じられ、その状況を感じさせ続けてくる。

 

 

 んっ……と口から声が漏れて身体が自然に反応を示す。

 本で色々と読んでいたので知識としては知っていたけど、あの最初の時に感じた快感は絶頂と言う感じだったのだろう。

 その後、自分で試して見た時に似たようなことは感じたのだけれど……ご主人さまとのこの行為は別格である。

 

 完全にご主人さまに躾けられている事実を改めて実感するこの時間はとても至福である。

 永遠にも感じられる時間を使ってご主人さまに飲み込んだことを確認してもらうのであった。

 

 精液を飲み込んでいると身体にある衝動が加速してしまう。

 ご主人さまとの逢瀬を想像してしまうのだ。それは夜の一族としての感情すら昂らせてしまい、ついつい瞳に表してしまった。

 

 興奮を示すように瞳が変化するのがわかる。心が興奮し続け、その後を期待する心が溢れる。

 ご主人さまから命令を受ければ喜んで次々とステップアップしていくだろう。

 

 想像が加速するのだ。ご主人さまの意思として命令を出した後、この身体を味わってくれればそれは……とんでもないことになるだろうとも。

 

 お姉ちゃんから発情期に関して、色々と教えられている。好きな人が居なければ、まだ大丈夫だろうとお姉ちゃんは言っていたけど……。

 恐らくもう難しいのは身体が理解している。

 

 だからこそ、今日と言う一日は私にとって覚悟完了の一日でもあるのだ。

 勿論、ご主人さまの命令をしっかりと受領出来るように準備も完了している。

 

 だからこそ、それをひっそりと伝えるためにも溢れ出る感情の瞳を見せたまま私は笑顔で挨拶をするのだ。

 

 

 

「ご主人さま。おはようございます」

 

 

 

 今日一日、私の身体を沢山堪能してくださいね。と。

 

 

 

 __

 

 

 

 



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すずかのドキドキご奉仕メイド編 (表) (朝~昼に向けて) □エロ

「すずか……何故一緒についてくるの?」

 

 

「?」

 

 

 

 こてんと首を傾げこちらを見てくる。その仕草も可愛いのはしょうがないとしても……今欲しい答えはその仕草では無い。

 

 

 

「いや……今、僕トイレに行ってくるって言ったよね?」

 

 

「はい。ですから、ご主人さまのお手伝いを……」

 

 

 

 何かおかしいことを言いました? と言わんばかりの表情だ。

 

 

 

 いやいやいや。何のお手伝いなの? 

 怪我しているわけでもないのに……さすがに色々とお断りしたい気持ちが満載になる。

 

 

 

「いや……さすがに一人で大丈夫だよ」

 

 

 

「でも……今日一日は私がご奉仕するって……」

 

 

 

 その言葉を出されると何とも断りづらい……。だけど、さすがに排泄時まで一緒に居ると言うのはそう言う高度な嗜好は無い。

 まぁ……プレイとしては流れによっては一考の余地はあるかも知れないけど…………本当にあるのか……? 

 どちらにせよ、さすがに当たり前として行われる行為では無いので今はご遠慮したい所である。

 

 

 

「今回は一人で行く」

 

 

 

 なので少し強めに言って何とかしのごうと考えた。

 

 

 

「……畏まりました。ご主人さま」

 

 

 

 すずかは静々とお辞儀をして、こちらを見てくる。

 その視線を受けながら何とか一人でトイレに駆け込むのであった。

 

 

 トイレの中で一旦考えを纏めようと座る。

 すずかが何故メイド姿で今日一日過ごすのかについて、やり取りを思い出すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「すずか。本当に色々と手伝ってくれてありがとう」

 

 

「ううん。全然大丈夫だよ! あっ……です。ご主人さま」

 

 

 先ほどまで皆でいたこともあり、制服の姿だったすずかはいつもの調子で受け答えしてくれたのだったのだけど、二人っきりを意識したのかプレイモードに入ってしまった。

 まぁ……これがすずかのお好みのシチュみたいなので、多少のイタズラはあってもしっかりとこちらには支障は出ないようにしてくるのは何度もやり取りをした上で理解していた。

 なので、すずかには今後も手伝ってもらうことは多いので、目くじらを立てる必要もないだろうと考えている。

 

 催眠で調整することも可能だが……正直、極力変更や追加消去等、現存の形を変えたくない。

 フェイトの時は別次元の思考が働いてしまった所もあったが、この考えは今後の可能性を一通り考慮して出している結論の一つである。

 勿論、緊急事とか手詰まりの状況を打破するときにはそう言ったことは一旦棚に上げる必要があるが、恐らくは催眠を使用し過ぎると色々と足かせになってくると考えている。

 この辺りも含めそのうち考察を纏めたいと考えていた。しかし、無印編における終盤戦に向けて動くことが多かったため、中々その時間を取ることが出来なかったのも事実である。

 だが、そろそろ考える時間が一旦取れそうなので、自分の考えも改めて整理しておくべきだろうと思っていた。

 

 

 それはともかく今はすずかとの会話である。

 

 

「それでね。何かお礼をしたいと思うんだけど……」

 

 

「えっ!? ホント! あっ……でも……」

 

 

 最初は驚きと喜びの表情からもじもじと悩んでいる表情に変化する。

 何か遠慮するようなことはないはずだけど、恐らくはすずかの性格的に慎み深いのは分かっているので、その辺りで悩んでいるのだろうと考えた。

 

 

「僕で出来ることなら何でも言って大丈夫だよ」

 

 

 それならばと後押しを続ける言葉をすずかに伝える。

 ちなみに何故、ご褒美と言うか褒賞を与えたいと言うかと言うと、今後の無茶振りも含めすずかの心象を稼いでおきたいのだ。

 催眠効果が続く限り、命令には忠実に従ってくれるだろう。しかし、人の心は何度も行われると刺激に慣れるし、移ろいやすい。

 いつ何時こちらが当たり前と思っていたことが向こうにとって不満として思われることはあり得るのだ。

 それが一つのミスを生むと後に負債として莫大に支払う可能性もあり得る。

 だからその可能性は極力少なくしておくに越したことは無い。関係は良好のままで進めていくに越したことは無いのだ。

 わかりやすい形での報酬。これは一つの楔になるので、それを今回行っておきたいのである。

 

 まぁ……要するに心のフォローをしたかったのだ。心に色々と溜め込みすぎないよう発散させていくために今回の話を進めているのであった。

 

 

「……えっと……あっけど…………でも……」

 

 

 すずかはまだ悩んでいる。何故か時々頬に手をあてて身体をくねらせているようにも見えるけど、希望を伝えるのが恥ずかしいのだろうか。

 ならば多少強引でも言うしか無いかと思うのであった。

 

 

「すずか。希望を言いなさい」

 

 

 命令口調ですずかに言葉をかける。すずかはその言葉に身体を一瞬震わせた後、顔を真っ赤にしながらも素直に要望を伝えてきた。

 

 

「……あのね。最初は一日で良いからずっとご主人さまにご奉仕したいの」

 

 

 ……ご奉仕? 要するにすずかが、かなり好んでいるであろうこのシチュエーションプレイを丸一日行いたいと言うことなのだろうか……? 

 

 

 確かに品物とかだと、すずかの家であれば一般的に買えるものはすずかでも余裕で買えるだろう。

 だからこそ、それらが関係ないような形にするために自分に伴う内容としてすずかが考えたのだろうとは思うのだけど……。

 

 

 正直、身体が持つのだろうか……。

 

 

 要するに彼女はこう言っているのだろう「あなたを一日中貪りたい」と。

 恐らくは……催眠設定の影響によって、自分の精液を欲しているのでは無いかと推測される。

 確かに継続対応ですずかとは色々と行っているが、丸一日というのはさすがに行っていない。

 そして、設定上も歯止めの設定は自分からであり、すずか側から止めるものは無いので、欲求として上がってきたのだろう。

 

 

 美味しいものをたくさん飲みたいという欲求。

 それを満たしたいと思ったのだろうと考える。どちらかと言えば、嫌にならないように設定していた面が今回プラスに繋がったのだろう。

 

 

 ならば一先ずそれを活かしてみようと考えた。

 

 

 すずかはダメですか? と言わんばかりに瞳を軽く潤ませながらこちらを見てくる。

 いちいち仕草が可愛いなと心の中で思いつつ、すずかに言葉を伝えるのであった。

 

 

 

「分かった。なら、一日僕にご奉仕をお願い出来るかな?」

 

 

 

 その言葉を聞いた瞬間、すずかの顔がパァっと嬉しそうに変化して

 

 

 

「はいっ!!」

 

 

 

 と元気に返事をしてくれるのであった。

 

 

 

 

 

 

 で、現在、トイレにて立てこもり中である。

 一日ということで、朝からご奉仕を行いたいから鍵を貸して欲しいという所もあったので、朝の出来事はある意味予測は出来た。

 勿論、なのはの突撃訪問に関しては、今日はダメということはしっかりと伝えてある。

 

 予測出来たとは言え、こちらに勘付かれることなくしてきたのはさすが夜の一族というべきなのだろうか。

 まぁ……こちらも楽しんでしまったので、ご奉仕メイドの力は半端ない。

 

 

 そして、その出来事の後でも朝食の準備など普通のメイドとしての動作も完璧だ。

 本当にメイドのご奉仕を受けている気持ちになる。

 確かに言葉通りに遂行してくれているので、問題は無いのだけど……先ほどの通り少し気合が入り過ぎにも思えてしまう。

 

 とは言え、ここに居続ける訳にもいかない。少し時間を置く事で向こうも落ち着くだろうと思い、手を洗ってトイレから出る。

 すると開けた扉のすぐ側にすずかが待ち受けていた。

 

 すずかは笑顔で濡れたタオルで更にこちらの手を丁寧に拭きつつ「ご主人さま朝食の準備が整いました」と伝えてくれる。

 そして居間へと誘導してくれるのだ。それらを受けつつ、ご主人さまとはこういうものを当たり前だと思ってしまうものなんだろうか……とよく分からない気持ちを持ってしまう。

 

 しかし、その考えは相手には伝わらず引き続きすずかは行動を継続する。

 

 居間のテーブルの上にはすずかが準備したであろう朝食が置かれている。

 まぁ、さすがに朝食自体はトーストなど、洋風ではあるが一般的な朝食である。

 

 さすがに重い食べ物は無いので、一安心した。

 朝からステーキとか出されてしまったら、どこまで体力を絞り取られてしまうかが分からない……。

 

 とりあえず、席に座るとすずかは正面に移動せずそのままこちらの傍らに控えている。

 そしてじっとこちらを見てくる。

 

 いや……そこに居てずっと見られるともの凄く食べづらいのですが……。

 せめてもう少し……と言うか正面に移動してくれませんか? と視線をすずかに向ける。

 

 

 するとすずかは心得ました! と言わんばかりに笑顔を向けてくれた。

 そして彼女の手が動き、準備されている朝食へと向かうのだった。

 

 あれ? 理解してくれたんじゃ無いの? それとも何か朝食に不備があったの? と困惑しているとすずかは改めてこちらに身体を向き直して……

 

「ご主人さま。あーん」

 

 と少し恥ずかしそうに顔を赤らめ手に持った朝食の一部をこちらに差し出してきた。

 

 

 

 ……

 

 

 …………

 

 

 ………………もぐもぐ。

 

 

 

 はっ!? あまりの光景でポカーンとしてしまった口へ丁寧に入れられてしまった。

 さすがに食べ物を無下にすることは出来ないので、食べさせて貰うなんてどこの王様なんだよと思いつつも、もぐもぐと口を動かしてすずかに食べさせてもらった朝食を咀嚼する。

 

 そして飲み込んだ後、さすがに次はご遠慮したいと思い、すずかに違う違うと首を振り、そうではないと言う意図を伝えようとする。

 するとその動きを見たすずかはハッとした表情を見せ、先ほどの行為が恥ずかしかったのだろう。

 更に顔を赤く染めてコクリと頷くのであった。

 

 

 ふぅ……伝わった……これで大丈夫だろう。と一安心して、すずかの様子を伺う。

 すると、すずかは何故かその場から動かず、顔を赤らめたまま朝食をずっと見ていた。

 

 その様子を見て、おや? と疑問に思う。しかし、すずかはムンッと言わんばかりに小さな動きで気合を入れて改めて朝食へ手を伸ばすのであった。

 

 

 

 ……おやおやおや? 

 

 

 

 意図が伝わったのでは無かったのか? えっ……? 先ほどの続きなの……? 

 

 

 止める間も無くすずかはそのまま動き続ける。朝食の一部分を切り分けてそれを自らの口へと運んでいった。

 

 

 

 

 ????? あれ? ……すずかも食べたかったのか? 

 

 

 

 

 疑問符が頭の中にいっぱいとなりつつも、どうして良いかよく分からず、そのまますずかの様子を見続けてしまった。

 すずかは自ら運んだ朝食を口に含み、モグモグと口を動かして咀嚼している。

 そしてある程度口を動かした後に瞳に強い意志を込めたかのようにキリッとした眼差しをこちらに向けて顔を近づけてくるのであった。

 

 

 

 えっ……? ちょっと待って待って。

 

 

 

 慌ててすずかの動きを止めようとするも時すでに遅し。すずかはこちらの顔をがっしりと両手で固定して顔を近づけてくる。

 待って! の「まっ……」と口を開けた時には、すずかの唇がこちらの口と密着してしまうのであった。

 

 

 そして……

 

 

 

「んっ……」

 

 

 

 すずかの艶かしい吐息が聞こえると共に、こちらの口内へ侵入を行ってくるのであった。

 

 

 

 

 !?!?!?!?!? 

 

 

 

 

 もはやどうしてこうなった状態である。

 こちらの口内へすずかの舌と一緒に食べ物が口移しされてくる。

 混乱する思考のまますずかの行動を受け入れてしまうのであった。

 

 すずかの口の中で咀嚼されていた食べ物。もはや食べ物と言うかただ単に栄養の塊である。

 そしてすずかの舌がこちらの口内にある以上、歯を動かす訳にもいかずそのまま飲み込むしか手がなかった。

 

 すずかの中で十分なくらい咀嚼されていたそれはある意味なんの苦労もなく飲み込むことが出来た。

 しかし、すずかの舌は引っ込むことがなく、そのままこちらの舌と合わさるように絡め始めてくる。

 

 

 んっ……。

 

 

 すずかから艶のある吐息が再度漏れた。すずかの顔を見ると口を合わせた状態で瞳は閉じ頬を赤く染めている。

 そして、にゅるにゅるといった感じで舌を絡めてくるのであった。

 

 

 

 ……もうこれ。口移しというよりも口吸いだよね。

 

 

 

 絡めている舌の熱さを感じつつも脳内でツッコミを入れる。が、すずかはそんなことはお構いなしでそのまま舌を絡め続けてくる。

 舌が絡め合うことで唾液による水音が聞こえる。そして、もっとそれを発生させるかのようにすずかはこちらに唾液をどんどんと送り込んでくるのであった。

 

 

 ちゅ……ちゅっちゅぱ……んっ……

 

 

 ジュースを飲むかのように送り込まれた唾液を飲み込む。先ほどの食べ物をきちんと胃に届けるための潤滑油としてそれを送り込まれているようにも感じられてしまう。

 

 だが、すずかの舌の動きは止まらない。口が合わさって絡め合う舌は更に動きを替えてくる。舌と舌が完全に密着されるように、そしてこちらの舌に対して愛撫を行うかのようにグルグルと舌全体を密着しながら絡めてくるその動きは、キスをしている実感をこちらにしっかりと伝えてくる。

 キスをしている実感は興奮を促し、混乱から情欲へと変化し始めた。

 

 

 まぁ……色々とあるけど……とりあえずもう良いかな。

 

 

 すずかの舌を堪能しつつ、気持ち良さで思考を放棄し始める。クチュクチュと音を立て絡め合う舌。そしてすずかの清潔感を感じさせる女の子の匂い。

 肉体的接触による体温の実感は、自然と下半身に血を送り込む。

 

 段々と下半身の一部が元気になってくるのがわかった。大きくなり始めたそれはズボンの中で窮屈な感触を与えてくる。

 まるでそれを見透かしたようにすずかは口を合わせたまま身体を更にこちらへと預けてきた。

 

 更にお互いの身体が密着された状況は、主従関係というよりも恋人同士が行う睦み合いである。

 すずかの柔らかい身体の感触は確実にこちらの興奮を促してくるのであった。

 

 そして、下半身に刺激が走る。柔らかな手の感触。口付けしている状況であるので直接は見ることが出来ないが、恐らくこの感触はすずかの手だと推測される。

 手でさわさわとその硬くなった部分を服の上から撫で上げられる。手の摩擦の刺激は服の上からでも優しく甘いような気持ち良さを発生させる。

 

 どんどんと更に硬くなってくるのが分かる。もっとその気持ち良さを堪能したいと思ってしまう。

 それを見抜いたかのようにすずかの手の動きは更に変化を行う。

 裏の筋の辺りをしっかりと定めて指先でカリカリと強い刺激を送ってきた。

 そしてさわさわと手のひらで根本に向けて優しく擦ってくる。

 

 深い口付けをしながら股間を刺激される。その行為はなんとも言えない気持ち良さとして身体を包み込まれてしまう。

 ずっと堪能していたい気持ち。更にもっと気持ち良さを求めてしまう気持ち。いろんな感情が身体を興奮させていく。

 

 すると口付けの状態からすずかの顔が少し離れた。絡み合っていた舌が離れる時にお互いの唾液が伝うのも視覚的に興奮させてくる。

 少し離れたすずかの顔を見る。キスの影響なのか頬は紅潮したままで瞳は先ほどよりも潤んでいるように見える。

 

 はぁ……はぁ……とお互いの吐息が肌に感じる距離ですずかは下半身に置いている手を止めず動かしたままこう告げてくるのであった。

 

 

 

「旦那さまぁ……。私にお情け……旦那さまの朝食を頂いてもよろしいでしょうかぁ……」

 

 

 

 朝食のセリフの時に、その意図を告げるかのようにすずかの指先が男性器の部分をカリカリと強く刺激してくる。

 

 すずかのセリフ。そしてその動き。それらはこいつデキるっ! と思ってしまうのに十分な行動であった。

 すずかの中でシチュが変化したのかご主人さまから旦那さまに変化しているのもポイントが高い。

 

 脳内で無駄な採点を繰り広げつつも、もはや迷いなどなかった。

 

 

 

「……ふむ……では許可しよう。すずかの望むままにやってみなさい」

 

 

 

 すずかのテンションに合わせるように、若干楽しくなりながら、とりあえず偉そうに言ってみた。

 すずかはその言葉を聞いて「あぁっ……」と身体を震わせ涙ぐみながら「ありがとうございます……」と言葉を続けてきた。

 

 少し過剰に反応してくるすずかを見てこれで合っているよね? と心配になったが、すずかは身体を動かし、こちらの足の方へ潜り込むように移動してくる。

 恐らく大丈夫だったのだろう。と考えているとすずかが「失礼します……」と告げてこちらのズボンを下ろし始めた。

 

 すずかがやりやすいようにこちらも軽く腰を浮かす。あっという間にズボンは下され下半身は下着一枚の状態になった。

 下着も下ろすのかな? と思ったのだが、すずかの動きはそこでストップしてしまう。

 すずかの好きにして良いと言った以上、催促をする訳にもいかず、とりあえず様子をみるしかないと考えていると……

 

 

 

 ちゅっ……

 

 

 足先にくすぐったいような感触が走った。えっ? 何をしているんですか? と思いテーブルの下を軽くみてみる。

 するとそこにはある意味見たことがある光景が目に入ってきた。

 

 すずかが土下座のような姿で、足元にキスを降らせているシーンである。

 …………そこからスタートとかマジっすか!? すずかさん。と突っ込みを入れたくなるが……まぁ……好きにさせてみようと思うしかなかった。

 

 視線をテーブルの上に戻し、とりあえず感触だけ受けられる状態になる。

 足先に感じる柔らかい感触。すずかの唇の感触がくすぐったくもあったが、見えない分想像することでより身体の感度が増しているようにも感じられてしまう。

 

 そして……ヌルッと生暖かい感触が足元に這う。うおぅ……と背筋がゾクゾクとしてしまい思わず声が漏れそうになるが、ひとまず我慢する。

 すると段々と遠慮が無くなったように動きが大きくなり始めてきた。

 

 

 

 ちゅっ……

 

 

 

 足の甲からスタートして、脛、膝、そして内腿と段々とすずかの唇の感触が上がってくるのが分かった。

 時には舌を使いくすぐるように、そして優しく手でマッサージをするかのように抱え込むと同時にキスをしてくる。

 

 内腿の辺りは特に敏感に反応してしまう。くすぐったさと気持ちよさ。それぞれが感情を高めてくる。

 もっと直にという欲望が溢れ、つい足を大きく開いてしまう。

 

 中央部分には先ほどよりも更に元気になったそれが鎮座している。

 下着の上からとは言え、恐らくすずかにはそれがしっかりと見えているだろう。

 

 ある意味の見せつけた行為に何故か征服感が満たされてしまうが、それよりも直に刺激してほしい欲求の方が強い。

 すずかに向けて更に腰を近づけてしまうのもしょうがないと思ってしまった。

 

 

 

 しかし……すずかはまだ直接そこに触らない。顔を内腿の所からゆっくりと根本近くまで移動させつつ舌でぐるぐると舐め上げてくる。

 根本に近づくにつれて、普段誰にも触れられてない部分は敏感に反応する。

 よりくすぐったさを感じさせてくるが、気持ち良さもしっかりと与えてくれるその行為。

 そして、まるで焦らすかのようにゆっくりとしたその動きに更に我慢が効かなくなりそうであった。

 

 もう下着を自分で下ろしてしまい、そのまま襲いかかってしまいたい欲求にも駆られてしまうが、なんとか踏みとどまり我慢する。

 もはやこれはご主人さまというロールを守らないといけないという意地である。

 どうしようもなく、くだらない所であることは理解しているが、シチュプレイをしているならそれはしっかりと守る。それがデキる男だとテンションを上げるのであった。

 

 ふと目の前にある朝食が目に入る。

 まだ全然食べられてないそれはまるで寂しそうにこちらを見ているような気分にさせられてしまった。

 

 

 ……せっかくすずかに準備してもらったものである。今の状況はあるがちゃんと食べてあげたい気持ちはあった。

 

 

 そして……あるシチュエーションが頭の中で閃いてしまう。

 これは…………かなりクズな行為だと思う。現段階でもクズな行いをしていることは間違いないが、更に下衆な行為を重ねてしまうシチュが閃いてしまう。

 

 けど……これを行うと考えると……ちょっと終わった後に後悔しそうな気配があるが、何故か気持ちのテンションは高い。

 やっちゃえ。やっちゃえ。と心が後押ししてくれたようにも感じてそのまま流れるように開始してしまうのであった。

 

 

「すずか」

 

 

 名前を呼ぶと内腿部分に顔を埋めていたすずかの動きが止まり「……はい」と小さく返事が聞こえてきた。

 

 

「僕はこのまま朝食を頂く。すずかはそのまま奉仕を続けなさい」

 

 

 すずかから息を呑むような声が聞こえた気がした。

 そう……これはある種のプレイ。

 

 

 ……食事をしつつ己の下半身を相手に舐らせる。

 

 

 男なら一度は考えたことがありそうなシチュエーションである。

 食欲と性欲。よく言われる三大欲求としての二つを満たすその行為。

 そしてすずかをあくまで性欲処理というかのようにモノとして扱うその行動。

 

 

 まさしくクズである。

 

 

 が……少しやってみたかったのも正直な気持ちとしてあった。可愛いそして性格的にもお淑やかな少女がこちらに尽くしてくれるのだ。

 少しばかりハメを外して楽しんだとしてもしょうがないだろうと言いたい。

 

 そんな心の言い訳はともかく、すずかはその言葉に「畏まりました。ご主人さま。ご奉仕を続けさせていただきます……」と伝えてきた後、引き続き足の部分に顔を埋め始めた。

 そしてペロペロと音が聞こえるくらいに舌の動きが激しくなってくる。

 

 おぉぉ……とくすぐったさに声が漏れそうになるのを堪えつつも、冷静なふりをして食事に手をつける。

 恐らく激しくなってきたのは、すずかがこっちに集中して欲しいという嘆願にも感じてしまうが、シチュエーション上の駆け引きである。

 それには気づかないふりをして、あくまでご主人さまが上であると言う意識を伝えるのだ。

 

 果たしてそんな意図がすずかに伝わったのかは分からないが、段々とすずかの息が荒くなってきているのが分かる。

 はぁ……はぁっ……っと熱く漏れる吐息がこちらの肌をくすぐる。

 

 それらを感じつつも朝食に手を伸ばし食べ始める。少し時間が経過したため、冷めてはいるがそれでもしっかりと準備されたそれらは美味しく食べることが出来た。

 パンをちぎり口に放り込む。モグモグと口を動かして咀嚼をしつつ味を堪能する。

 

 意識をこちらに向けることで少し心が落ち着いたかなと思った……その時に股間に生暖かい刺激が身体を走り始めた。

 

 

 んぐっ……と慌てて口に含んでいるものを飲み込みすずかの様子を伺うと。

 硬くなっているその部分へ、下着の上から顔を埋めているすずかが居た。

 

 密着された顔からふぅーふぅーと言う感じで荒く熱い息が股間に伝わる。

 熱と息の刺激はいきなりだった所もあり、ビグビクと男性器を動かしてしまう。

 

 その動きをすずかは顔で受け止める。その柔らかい頬や唇。下着の上からでも擦れる快感をしっかりと伝えてくれた。

 

 

 はむっ……

 

 

 下着の上からちょうど亀頭の部分へ合わせるように唇の感触があたる。

 はむはむとまるで啄むように唇で愛撫を行い、そして時折キスをする音が聞こえてくる。

 

 意識が次第にすずかの行動に集中し始める。次に行われる行動に期待して更に股間をビクビクと動かしてしまうのであった。

 その動きを見てまるで満足したかのように、すずかの動きが優しく変化する。

 手を袋の方に持っていき優しく揉み込むように包み込んでくる。

 更に舌先を亀頭部分に擦るように丁寧に舐め始めた。

 

 

 んっ……旦那さまぁ……美味しいですぅ……

 

 

 すずかの小さくも呟くその声はしっかりとこちら届く。まるでお酒の匂いに酔ったような酩酊感を感じさせるその声。

 そして、淫にも聞こえるその声は刺激と合わせ興奮を誘うのであった。

 

 

 ……あっ……匂いも……濃くなってきましたよぉ……

 

 

 気持ち良さでどんどん硬くなっていくのが分かる。舌先の刺激に合わせて更に股間を動かしてしまう。

 すずかはそれに合わせるようにして、更にペタっと舌を密着させてくるのであった。

 

 

 んっ……ご主人さまぁ……もっと……もっとぉ……

 

 

 下着はすずかの唾液で濡れ、密着された舌はぐるぐると亀頭部分を念入りに舐めあげてくる。

 擦れる刺激そして心地良さすら感じるその快感はずっと堪能したいと思ってしまう。

 

 

 そして……まるでお互いの我慢が効かない状態を理解したかのように、すずかは下着に手をかけるのであった。

 

 

 下着という枷から解放されたそれはどこまでも天に向けて主張する。

 

 すずかの唾液と快感によって引き起こされた先走りの液体によってテラテラとコーティングされている。

 そして先ほどのすずかのセリフの通りかのように強いオスの匂いを発しているようにも感じられた。

 

 すずかは自己主張しているそれを優しく手のひらで包み込む。そして先端部分を自らの頬に擦り付けるのであった。

 

 頬の柔らかい感触……そして擦り付けられるきめ細やかな肌の摩擦。

 先走りに濡れているそれをまるで愛おしそうにそして嬉しそうに擦り付けているすずかの姿。

 全てが快感を興奮をそして欲望を誘ってしまう。

 

 包まれている掌の中で暴れてしまう。もっともっと気持ちよくして欲しいと動かしてしまうのであった。

 その暴れん坊の動きを可愛いと言わんばかりに優しい笑顔ですずかは見つめてくる。

 

 そしてこちらに視線を向けてニコッと笑顔を見せて告げてくるのであった。

 

 

 

「それでは……いただきます。ご主人さま」

 

 

 

 あーんと、すずかは口を大きく開けて男性器に近づいていく。そして亀頭部分がすずかの口に入っていくのが見えた。

 それを見て、彼女の口に入った時の快感を想像してしまうのだが、亀頭が入っていてもその快楽は訪れてこない。

 

 感じる感触はなま暖かい風だ。彼女の息は湿り気を帯びて暖かい風の感触を伝えてくる。

 

 どういうことだ? と改めてすずかの様子を見る。確かに亀頭部分は彼女の口の中に入り込んでいる。

 そして現段階も更に奥へ進んでくる様子が見て取れる。

 

 まさか……口内に全く触れないまま取り込んでいるというのか……。

 すずかの口を見る。時折見える舌が触れずともその快感を想像させる。

 そして大きく口を開いているすずかの姿はとてもいやらしく感じられてしまう。

 

 触れずに口内に侵入する。それは新しい快感を与えてくれた。想像という頭で理解させてくる快感は、思考をどんどんと溶かしてくるのであった。

 

 そして半分くらいであろうか、流石にこれ以上だとすずかの喉に触れるだろうと思われるので、そこで侵入していく動きは止まった。

 暖かい吐息の感触はこれからの快感を更に高めてくれる。

 

 すずかがこちらをチラッっと見てきた。そして目を細めまるで笑っているようにも見える。

 それを見た瞬間……

 

 

 ……ずぞぞぞぞぞぞっ! 

 

 

 おおっ!? っと声が漏れてしまった。いきなり発生した、まるで何もかも吸い込むその動作はこちらへ強力な快楽を生み出す。

 

 

 ずずっ……んっ……こくり……

 

 

 そして吸い込んだ液体を飲み込むような形で喉が動く。

 口内で密着されている状態で行われるそれは弱くも更に吸い込まれる快感を伝えてくる。

 

 

 ずずっ……ずずずっ……

 

 

 更に吸い込む動きが行われてきた。そこから伝わる快感はまるで、精気を彼女に吸い取られてしまう錯覚すら感じてしまう。

 

 

 んっ……んっ……ずずっ……んーっ……

 

 

 じゅっぷじゅっぷと音が聞こえそうなくらいで激しく顔が動き始める。

 今まで行われてきた優しさを感じた動きではなく、絞り込まれていくような強い動きである。

 

 もはやそれは高められ続けていた興奮と合わせて、こちらがコントロール出来ることなく一気に快感の波を駆け上がっていく。

 

 

 更にちゅーっ! と強く吸い込まれる動きが更に加えられてしまい、抗うことなく一気に絶頂へと達してしまうのであった。

 

 

 

 んっ!? ……んっ……んっ……ずずっ……

 

 

 

 精液を出す快感で頭が真っ白になるが、更にすずかは吸い込む動作をやめない。

 強い快感。弱い快感それぞれが混じりあい、虚脱感と共にぐったりと椅子に身体を預けてしまう。

 

 

 

 ちゅーっ

 

 

 

 その状態でもすずかはしっかりと吸い付いてくる。残りを全て吸い込むその動作は精液と言うか、魂すら彼女に吸い込まれていくみたいに感じてしまった。

 しかし、その口の動きは快感を余すことなく伝えてくる。

 イッた後の敏感なその部分を念入りに吸い込む。くすぐったさが増しつつあるその快感に身体を震わせてしまうのであった。

 

 

 んっ……ちゅっ……

 

 

 そして柔らかくなってきたそれを口付けと共に解放してくれる。

 すずかは口に溜め込んでいる精液を味わうのであった。

 

 

 クチュクチュという感じで口を動かしている。そして……いつもの通りに彼女はこちらに全てをみせ、そして身体へと取り込んでいく。

 

 

 そして彼女は朝食の最初の位置に戻る。ぐったりとしている自分に向けて残りの朝食を食べさせてくれるのであった。

 もはや、彼女の動きに逆らう気力は湧いてこない。今は体力を回復させるために、すずかのあーんと言う言葉と共に朝食を口に取り込んでいく。

 

 

 モグモグと口を動かしながらこう思った。

 

 

 

 ……色々と汗だくになったし……シャワーでも浴びてさっぱりしたいなと。

 

 

 

 









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すずかのドキドキご奉仕メイド編 (裏) (昼~夕方に向けて) □エロ

 

 

 

 昼食の準備を進め始める。

 

 

 朝食が結局遅くなっちゃったので、少し遅めにお昼ご飯を出せられるように準備を進めなきゃと考えて時間を調整しようと考えた。

 

 朝食の件を思い出す。やはりご主人さまに尽くすのは至福の一時なのは変わらないのだけど……。

 

 

 ちょっと失敗しちゃったかな……。

 

 

 少ししょんぼりな気持ちになってしまう。

 朝はやっぱり精力的に活動出来るようにほんの少しだけ特製のあれを使用したのがいけなかったのだろうか……。

 

 

 夜の一族特製のお薬の一つ。

 

 

 無味無臭でありながらも効果が発揮できるお薬である。

 夜の一族特有の発情期に対して、相手側も対応出来るように開発されたそれ。

 

 一部分はもっとも元気になる効果を出すが、それ以外にも気力も向上できる面もあるため、元気に動けるようにと少しだけ使おうと思っていた。

 いわゆる一つの精力剤である。

 

 

 それを少しだけ朝食に入れていたのだ。

 けど、失敗しちゃったのが、私もその効果に入ってしまっていたこと。

 そして少しだけでも子供の体では効果がそれなりに発揮してしまったことである。

 

 ご主人さまが私に襲ってくれる分には全然構わない。むしろ望むところであった。

 しかし、私から嘆願してしまうことはダメなのだ。ダメダメである。

 

 

 私の全てはご主人さまに尽くすべきものであるのだから。

 

 

 けど……まさかご主人さまからの命令で口移しでお食事をしたいと言われるのは想定外であった。

 命令は勿論、喜ばしいことであったのでウキウキで開始したのだけれど……先ほどの効果が私にも発揮してしまうとは思わなかった。

 

 ついつい求めてしまったこともそうであるが、未来の旦那さまの夢まで頭の中が沸騰してしまったのである。

 

 冷静に考えれば分かったのかも知れない。発情期に対応出来るように開発されていたのだ。

 私はまだ……多分……恐らくは発情期は来ていないはずなので、その感覚は未知数なのだがお姉ちゃんの話を聞く限り、かなり強い衝動であることは理解できる。

 

 それに見合うように……と作られたそれはやはり強い効果なのだろう。

 まだ年齢的にも、耐性的に強くないはずである私が効果に入ってしまうのは、あり得てしまうのでは? と予測出来そうであった。

 

 だから私は学習する。失敗を後悔するのではなく、糧にすべきと前向きに考えて、次の時にはご主人さまによくやったなと誉めてもらうのだ。

 そしてご主人さまがご褒美として私の身体を自由に使ってもらう。

 それはとても幸せなひと時……未来永劫ずっと行っていたい行為である。

 

 それに向けてやはり色々と準備をしなければならない。

 改めて自分の身体を見る。やはり……お姉ちゃんやノエルみたいに胸も大きくないし……まだまだ成長が必要だと実感してしまうのだった。

 だけど……言ってしまえば、まだまだこれからなのである。

 そして、プラスに考えれば私の成長途中も全てご主人さまに味わってもらうことも可能なのだ。

 

 それを思った瞬間……私の身体がズクンッと疼いたように感じた。

 そうなのだ。未成熟な身体、そして成長途中の身体、更に成長した身体。それら全てご主人さまに見てもらう。

 それらをご主人さまに欲して貰いつつ堪能して頂く。私の人生をご主人さまに全て捧げる行為。それはなんとも甘美で悦ばしい気持ちになってしまう。

 

 想像だけでも身体が疼いてしょうがない。なればこそ、夢物語ではなく、それを現実にしようと気合を入れる。

 ご主人さまの喜んでもらえるように色々と内緒で本を集めて読んでいた。

 そろそろ……隠し場所も本格的に準備しないといけないくらいなボリュームになってきているのだけれど……どうしてもまだ時間が必要だ。

 この辺りはタイミングを見て行うべきだろうと考えて、昼食の準備を進め続けるのであった。

 

 

 

 昼食の準備もほぼ終わり、時間を確認する。

 

 

 そろそろだろうか……。

 

 

 そう考えて、気持ちがドキドキし始めた。

 いそいそと心が逸るのを押さえつけ、慎みを持って静かにそして素早く行動を開始する。

 

 現在、ご主人さまは……お風呂場に居る。

 私もご一緒出来る準備は万全だったのだけれど、そこでお話しがあって最終的には「最初は一人で入る」と言われたのだ。

 

 

 そう。最初は一人で。なのである。と言うことは「途中から入ってこい」と言うご命令なのだ。

 何故、途中から? と言う疑問があったけど、この段階になった今だからこそ分かってしまう。

 私の心に対して躾けを行っているのだ。恐らくは顔に出ていたのかも知れない。あの時、私は続きも期待してしまったのだ。

 だけど、それは先ほど私も思った通り、ダメダメな行動である。

 私から求める行為ではない。ご主人さまから溺れてくれなければ意味がないのだ。

 

 だからこそ、それはご主人さまの求める考えではないと言うことで躾けをされたのだろう。

 心を冷静にさせて、改めて私の存在を私自身に理解させるのだ。

 

 おトイレの時も同様であろう。私の知識不足でご主人さまにご迷惑をかける可能性があったと予測出来る。

 あの時は簡単に汚れはお口でも良いから大丈夫かなと思っていたのだけれど、恐らくはその安易な考えをダメ出しされたのだ。

 確かに男の人のおトイレの仕方はあまり良く分からない。そしてご主人さま以外のおトイレの事情なんてものは知りたくもない。

 ご主人さま専用として動かないといけないので、その辺りも要学習という意味で次回に回されたに違いないだろう。

 

 私はそれを受けて改めて気合を入れる。次はご主人さまに褒めてもらうと動き出すのだ。

 

 

 

 ご主人さま。すずかは理解しております。だから……待っていてくださいね。今、ご奉仕に向かいます! 

 

 

 

 

 シャァァァァァ…………

 

 

 

 扉の向こうから水の流れる音が聞こえる。

 恐らくは今、ご主人さまはシャワーを浴びているのだろう。

 

 

 

 ドキドキ……ドキドキ……

 

 

 

 心臓がどんどんと高くなってくるのがわかる。

 気を落ち着けさせようとして今の自分の身体を確認した。髪の毛は一纏めにしてあるし、バスタオル一枚を身体に巻きつけて準備は万全である。

 

 特注品の耐水用メイド服もあったのだけれど、今回はこちらにした。

 何故? と聞かれるとこれは私の考えた結論であった。

 

 途中からだと、メイド服は脱ぐにも、脱がして頂くにも時間がかかってしまう。

 お風呂の最初からだとメイド服も楽しんで頂けると考えていたのだけれど、途中からだと時間が長くなってしまうと考えた。

 

 もしそれでご主人さまが上せてしまっては、またダメメイドの印象を持ってしまうだろう。

 命令には即座に実行出来るように、準備を行っておくのは当然である。だから、私は出来るメイドとして行動を行うのだ。

 

 シャワーの音が小さくなる。そして磨りガラスから小さく動くご主人さまの姿が見える。

 座っている状態で手を頭に持っていて動かしている行為は恐らく頭を洗っているのかな? と想像してしまう。

 

 ご主人さまを洗うのはメイドの務め。だからこそ今しかないと考えて、お風呂場へ突貫するのであった。

 

 

 

 ガチャ…………

 

 

 

 当然、鍵などは掛かっていない。お風呂場には容易に入ることが出来た。

 そのドアを開けた音が聞こえたのか、ご主人さまは頭を洗っていた手を止めた。

 

 そして泡が顔にあるためか、目を閉じながらこちらの様子を伺っている。

 恐らくは誰かまだ分からないかも知れないので、ちゃんと私の存在を見てもらうために声をかける。

 

 

「ご主人さま……」

 

「っ!? ……すずかなの?」

 

「はい……」

 

 

 あなたのすずかです。と続けたくなる心を抑える。先ほどの経験を活かさなければと考えて、逸る心を抑えるのだ。

 成長出来る姿をご主人さまに理解して頂かないとご褒美が貰えない。だから私は改めて気合を入れる。

 そしてご主人さまの姿を改めて確認した。

 

 

 ご主人さまの裸。

 

 

 最近は、中々ご主人さまの裸をお目にかかることは出来なかった。

 ズボンを下ろすことは多かったけど、全体的に裸になったことは少ない。

 だからこそご主人さまの裸の姿をこの瞳に焼き付ける。

 

 

 

 ドキドキ……ドキドキ……

 

 

 

 心が更に弾んでしまうのが自分でも分かる。刺激的な光景は頭の中をドロドロに溶かしつつ、顔に血液が集まる感覚を伝えてくる。

 そして衝動が身体を包むのだ。

 

 

 

 触れたい。

 

 

 舐めたい。

 

 

 嗅ぎたい。

 

 

 

 そして…………

 

 その綺麗で瑞々しい肌に吸い付きたい。

 

 

 本能が頭に訴えかける。裸を見たことで更に欲求が膨れてしまう。ドロドロになっていく頭の中が、色々と想像させていく。

 想像の先にある光景が、心を強く震わせる。幸せの感情をどこまでも高めてくれるのが分かる。

 つい求めるようにフラフラと手がご主人さまの身体へと向かってしまった。

 

 

「……すずか? どうしたの?」

 

 

 ご主人さまの声でハッと頭の中に冷静な部分を取り戻す。

 危ない……。また同じ失敗を繰り返すところであった。これは後の頭の中で行われる反省会で追求すべき事案だろう。

 

 頭の中で複数の私が言い訳をする。

 

 久しぶりに見るご主人さまの全裸が魅力的なのが悪いんですっ!! 

 

 あっ……悪いと言うのは語弊がありますね。魅力的過ぎなんですっ!! 

 

 

 しょうがないよ……。だって想像しちゃうよ……。お話ではなく、現実で体感したくなっちゃうよ……。

 

 

 裸のご主人さまと言うご馳走が目の前にあったら……行っちゃうよね!! 

 

 

 

 最後は……まだクスリの影響が残っているのだろうか……やけにノリノリの私も居たが……それらを頭の中で一蹴する。

 今、この瞬間も含めて私はご主人さまにご奉仕をしないといけないのだ。

 

 

 

「ご主人さまの身体を洗いに参りました」

 

 

「えっ!? ……さっき一人で入るって…………言ったよね」

 

 

「はい。ですので、こうして今、身体を洗うためにご奉仕に参りました」

 

 

「えっ!? いや……? えっ!?」

 

 

 

 ご主人さまが戸惑った声をあげている。何か私がおかしなことを言ったのだろうか……。

 改めて先ほど言った言葉を思い出しても特におかしなことはないはずである。

 

 ご命令通りに最初に入っていたご主人さまを見てから、ご奉仕するために入ったのだから。

 

 

 それでは、ご主人さまの髪を洗うのをお手伝いしますね。と伝えてご主人さまの頭に優しく手を置く。

 

 そしてゆっくりとご主人さまの髪を洗い始めた。

 

 

 ご主人さまは洗い始めた最初はまだ不思議そうな声を上げていたけど、段々と静かになり私のご奉仕を受け入れてくれた。

 その様子を見てやっぱりご命令通りで間違ってなかったと考えて喜びの感情が湧き上がる。

 

 けど、決してウキウキ気分のまま動作を強くすることは絶対にダメである。

 優しく丁寧にそして気持ちを込めてきちんと洗うのだ。

 

 先ほどご主人さまが髪を洗っている動作を見ていたけど、やっぱり男の子と言う感じで少し雑に洗っているような印象を受けてしまった。

 この辺りは本で学習済みである。

 

 ご主人さまの頭を指のお腹で丁寧に洗う。爪を立てることなく頭皮の部分をマッサージをするかのように優しくそしてきちんと汚れを落とすように揉み込む。

 そして髪の部分は両手で包み込むようにして洗っていく。

 

 洗いながらご主人さまの髪を両手で感じてしまう。一本一本がピンとしていて、まるでご主人さまの元気を感じさせるような張りがある髪を手で感じる。

 それらを洗う動作は少し楽しい。そしてちょっと……メイドの感覚よりもまるで夫婦のような充実感が身体を包み込む。

 

 旦那さまに尽くすお嫁さん……朝の夢のような感覚が心に湧き上がってしまうが、流石に何度も溺れるわけには行かない。

 これはじっくりと後で考える事項として頭の隅に追いやり、ご主人さまへの奉仕に集中し続ける。

 

 そしてしっかりとご主人さまの頭を一通り洗い終えた。

 頭の水気をしっかりとタオルで優しく拭いご主人さまの様子を確認する。

 

 水気を取っている時にもご主人さまは目を瞑ったままであった。

 落ち着いた様子でむしろ気持ちよさげな表情を見せてくれるその姿に心が満足感を覚えてしまう。

 

 しかし……これからがご奉仕の真骨頂である。

 私の心はそれを想像するだけで、期待と恥ずかしさが混じりあい続けてドキドキとずっと高鳴り続けている。

 

 

「それではご主人さま。次はお身体を洗いますね」

 

 

 そう告げて私は準備を始めた。

 

 

 身体に纏っているバスタオルを取る。これで私も生まれたままの姿である。

 まだご主人さまにも見られていない私の全てがこの瞬間露わになった。

 ご主人さまの姿勢は変わらず背中を見せている状態であるため、まだこの状態を見られていないけど、振り向けばもう私の裸は見ることが出来てしまう。

 

 男性に肌を見せる行為。ご主人さま以外には、どんなことがあっても見せたくない、もし見せるくらいなら舌を噛むくらいの方がマシであるその行為。

 

 ご主人さまにはしっかりと観察して頂きたい心。そして肌を見せる恥ずかしさの心が私の乙女心をずっと刺激してしまう。

 

 ドキドキからバクバクへと変化しそうなその鼓動の速さを感じて身体中に熱い血液が回り続ける。

 だけど、これから行うご奉仕はもっと心を弾ませることになるだろう。

 

 私はご主人さまの身体を洗う用のボディソープを泡立てて、自分の身体にその泡を纏う。

 

 バクバクと心が暴れている中、ムンッ! と覚悟を決めてご主人さまへの背中に飛び込む気持ちで抱きついたのであった。

 

 

 これぞ本で学んだ知識の一つ。男女間で身体を洗う時に使う必殺技らしい。

 泡のヌルヌルとした感触と共に彼の……ご主人さまの背中の感触が肌に伝わる。

 あったかい彼の体温。そして肌に伝わる背中は私と違って筋肉を感じられる硬さを伝えてくれて、やっぱり男の人なんだ……と思わせてくれる。

 

 肌と肌が密着した状態で、私は身体を動かす。ピタッとまるで磁石のようにくっついている身体をそのまま上下にスライドさせて行った。

 

 最初、身体と身体がくっついた瞬間、ビクッとご主人さまが動いた後はそのままちゃんと私のご奉仕を受け入れてくれる。

 私はそれに応えるため、しっかりとご主人さまの身体を洗うのであった。

 

 ヌルヌルとヌルヌルと泡が肌を滑らせる。私自身、勿論初めての行為であり肌の感触がだんだんと思考を麻痺させていくようにも感じてしまった。

 恥ずかしい……。けど、楽しい。そして悦び。さらに幸せ。ご主人さまと一緒にいるこの行為は様々な心の震えを生み出して、私をどんどん高みに連れて行ってくれる。

 

 肌の感触が気持ち良い。硬さもあり、弾力を感じさせるご主人さまの身体。

 私の肌をどんどんと優しく撫でるような刺激をしてくれるようにも感じられた。

 

 そして……だんだんと私の息も荒くなってくる。身体を動かしているけど、息は上がるほど大変な行為ではない。

 だけど、身体の熱はどんどんと高くなっているように感じてしまい、その熱を逃すように、はぁ……と何度も息を荒く吐いていった。

 

 ご主人さまと肌を重ねる行為。やはり本で読んだ通り、必殺技であったのだ。ご主人さまもしっかりと私の身体を堪能して頂いているように見える。そして私もとても気持ちが良い。

 ご主人さまの匂いも石鹸の香りと合わせて直に感じられ、どんどんと胸が切なくなってくる。

 

 私の身体に変化が訪れてくるのが分かる。肌の刺激に応えるかのように段々と胸の先端が硬くなってきているのが分かった。

 何故ならそこの部分が肌に擦れて声が漏れそうになるくらいに身体が痺れて気持ち良いからだ。

 

 ついついそれを味わうかのようにさらに強くご主人さまに抱きついてしまう。

 そしてもっと密着感の面積を広げつつも擦れる感触を楽しむのであった。

 

 自分でも理性の部分が少しずつ剥がれ興奮してしまうのが分かる。お腹の部分も切なくなってきた。

 痺れるようなむず痒いような感覚が身体全体を支配していく。

 

 しかし……これはご奉仕なのだ。私が溺れすぎないようにご主人さまへ尽くさないといけない。

 このままでは再度ダメダメの行為へ移ってしまう。

 

 まるで何かを断ち切るような断腸の思いを持ちながらも行動を次へ移していくのであった。

 

 

 

「それでは……はぁ……ご主人さま…………はぁっ…………次は正面の身体を洗いますね……」

 

 

 

 とうとうご主人さまに裸を見てもらうことになる。期待は存分に、そして恥ずかしさも存分に重ねた気持ちが身体を真っ赤にするかのように鼓動を速くさせる。

 興奮と期待。そして羞恥の感情がないまぜになりつつも私はご主人さまの正面に回りこむのであった。

 

 

 

 ご主人さまの視線を感じる……。

 

 

 

 その強い視線は私の身体を敏感に反応させてしまう。顔、胸、お腹、足、そして……最も恥ずかしい部分。全てがご主人さまに観察される。

 恥ずかしさで真正面でご主人さまの視線が見れない。少し視線を伏せてしまうけど、ご主人さまの視線は更に強くなってくるのを感じてしまった。

 はぁ……はぁ……はぁっ……まるで私の身体は別物になったかのように、視線でそれぞれ肌を舐められた感覚を伝えてくる。

 その感覚は身体を正直に反応させていく。胸の先端はさらに硬くなり、お腹の切なさも爆発しそうなくらいにキュンキュンと震えてきた。

 

 

 

 このまま……ご主人さまに懇願したい……。私の身体を貪って下さいと跪いて嘆願したい。私を悦びと快楽と幸福へ溺れるように導いて下さいと足元に縋り付きたい。

 

 

 

 だけど……それらは私が求めてしまっている行為だ。躾けられた心が理解してしまう。それだと決して私の心が満足しないだろうと告げてくるのだ。

 そう……私が心も身体も何もかも捧げているご主人さまから望まない限り、得ることは出来ないと心が理解している。

 だから私はご主人さまからご褒美として求められるために、心をさらに奮起させて臨んでいくのだった。

 

 両手で泡立てた泡を持って、ご主人さまの足を手で洗っていく。

 足先、足首、かかと、そして脹脛と少しずつ足元から丁寧に両手で洗っていった。

 

 両手で円を描くように回しながら、そして時折汚れをしっかりと落とすように優しく揉み込むように手を動かしていく。

 ご主人さまの筋肉を一本一本優しく解すようにマッサージを行っていくのも忘れない。

 しっかりとご主人さまにはリフレッシュして貰わないといけないのだ。

 

 そして、ご主人さまの足元が泡で包まれるのを確認して、次に太ももの方に視線を向ける。

 ……そこで私は両足の太ももの間にある大事なその部分が改めて視線に飛び込んでくるのだった。

 

 

 ご主人さまのご主人さま。

 

 

 ご主人さまの……おちん……ちん…………さま。

 

 

 何度も見ているけど、やはり名前を言うのはとても恥ずかしい……。けど、大事なその部分は私の視線を捉えてしまう。

 朝にも感じられた元気なその部分は私のご奉仕に応えてくれているようにしっかりと大きくなってくれていた。

 

 それを見て私の気持ちが更に加速してしまう。このまま舐めてしまいたい。あの美味しさをご褒美として与えて欲しくなってしまう。

 だけど、まだまだ身体を洗っている途中である。次のことを考えるとそれはそれで更に恥ずかしさも上がりつつあるので、名残惜しさを感じつつも準備を進めるのであった。

 

 次はご主人さまの太ももを洗う必要がある。

 私は再度、泡を自分の身体に纏うように塗りつける。

 

 そして……大事なその部分を念入りに泡で纏うのであった。

 自身の指先が大事な部分に触れる。その瞬間、微弱な電気が身体を走ったようにも感じられ、少し声が漏れてしまった。

 

 すると、ご主人さまの視線が強くなったのを感じる。特に私のその大事な部分へ向けているように感じてしまった。

 冷静な思考が今の状況を伝えてくれる。

 

 まるで己が慰めているシーンをご主人さまに見られているな……と。

 

 それを思った瞬間身体に震えが走った。物凄く恥ずかしい。けど、物凄くそれが気持ち良い……。顔が真っ赤に染まっていくのを感じてしまう。

 だけど、その手は止められない。ご主人さまに見ていただいているのだ。

 ご主人さまが望むように私は動かなければならない。そしてそれが私を上り詰めていくのだ。

 

 本当は更に中を見てもらいたい。だけど……泡で包まれてしまった現時点では難しいだろう。

 そしてご奉仕を行わなければならないので、いろんな感情を持ちつつもご奉仕を行うのであった。

 

 

 

「……ご主人さまっ……失礼致しますっ……」

 

 

 

 そう告げて私は座っているご主人さまの太ももに跨るようにして腰を落とした。

 

 ご主人さまの太ももと私の身体……敏感なその大事な部分が合わさる。その瞬間……身体にものすごい電流が流れた。

 

 

 

 あっ……凄いっ……すごいっ……ダメっ、ダメっ…………ああっ……ダメっ……

 

 

 

 少しだけ触れた時に発生した擦れる刺激。それだけで私は快楽に溺れてしまった。

 身体の熱が急激に膨れ上がったように爆発する。その熱を少しでも逃すかのようにどんどんと大事な部分から溢れてくる感覚が生み出されて行った。

 

 幸福感が身体を包み込む。幸せという感情。この人と一緒にいて良かったと思える安心感。そしてどこまでもそれに浸っていたい。

 合わさるように快感が身体が走り続ける。そうして私はまた理解させられてしまうのだ。幸福と言う印を魂に刻み込まれ、快感を鍵として更にそれを高めよと刷り込まれる。

 

 合わせただけでこれなのだ。もし……ここから動いたらどうなるだろうと……考えてしまう。

 ゴクリッと喉を鳴らしてしまう。はしたないのは分かっているけど、身体が期待を求めてしまうのが分かる。

 心も反対するどころか推奨している。だって……これはご奉仕なのだから止める理由が全く無い。

 

 

 ドキドキとドキドキと鼓動が速くなりつつも身体を動かしていく。

 泡のせいなのか、それとも……自身から湧き上がったもののおかげなのか動きを補佐する滑りはお互いの身体を抵抗無く滑らせていく。

 

 

 身体を滑らせた瞬間……先ほどよりも強い快感が身体を包み込む。

 

 

 

 これは…………ほんとうに……ダメだよ…………止まらない……気持ちいいっ……きもちいいっ……

 

 

 

 溺れる。溺れてしまう。そして止められない。止めたく無い。気持ち良すぎる。ほんとうに嬉しい。

 

 

 

 そして……理性がどんどんと剥がれ私が最も秘めていた心の奥底の気持ちが表面に溢れてしまう。

 

 

 

 

 好きっ……好きっ……ご主人さま大好きっ……どこまでも尽くしたい……私に溺れて欲しいっ……

 

 

 

 

 心の中で強く強く好意を叫ぶ。

 ……メイドとご主人さまの関係に恋愛感情はある意味禁忌な行為だ。

 だけど……感情が止まらない。こんなに幸せにしてくれる人を好き! と思わないことはあり得ない。

 私はあの日から憧れて溺れていたのだ。ご主人さまに恋する人として。

 

 そしてその感情は萎むことはなく、ずっと膨れ続けている。そしてご主人さまにもずっと刻み込まれてしまうのだ。

 すずかは俺のものだとずっと心と身体で刻み込まれ続けている。

 

 だから私は応える。彼の全てをよろこんで受け入れる。そこに障害は何もない。私は心の赴くままに素直に従ってそれに向かって邁進する。

 

 だけど……さすがに好意を私から伝えるのは恥ずかしすぎる。やっぱりそこは本でもあるようなシチュエーションに憧れてしまう。

 ご主人さまから求めて頂ければ、拒否は絶対ない。だからずっと夢を持ってしまうのだ。

 

 ご主人さまと未来永劫一緒に過ごす時間を。

 

 

 身体の動きは止まらない。私が洗っているのか、私が洗われているのか……もはやよく分からない。

 分かるのは気持ち良いこと。そしてとてもこの時間が幸せだと言うことである。

 

 だから私はそれをずっと体感していたいと思い、身体を動かし続ける。

 

 

 あっ……あっ……あっ……

 

 

 擦れる度に声がどうしても漏れてしまう。気持ち良すぎるのだ。身体から溢れる液体が止まらない。

 時折、足の部分だけではなくご主人さまの身体と正面で軽く触れ合うその時に抱きつきたくなる。

 更に身体全体を舐め回してしまいたくなる。溢れる感情が私をどこまでも飛ばしていくのであった。

 

 

 そして勢いよく身体が滑ったその時に大事なその部分の特に敏感な部分が強く擦れてしまう。

 それが伝える快楽の信号が私の頭を強く焼き切るのであった。

 

 

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜っつ!? ……あぁっ……あっ……あぁあぁぁぁっ……

 

 

 

 高い……どこまでも高い……溶ける……蕩ける……すごいよぉ……ごしゅじんさまぁ……。

 

 

 私は連れて行かれてしまった。身体がよろこんで反応を示す。強い絶頂感は私をドロドロからグチョグチョと言うかのように蕩していった。

 

 そして快楽の余韻を伝えるかのようにビクッビクッと痙攣を小さく起こす。その痙攣とともに肌が擦れる感覚が再度快楽を生み出していく。

 あっ……とその快感に声を漏らしつつもご主人さまの顔を見る。ご主人さまはこちらの顔をじっと見つめていた。

 

 絶頂しているその姿をじっと見らていた。それを理解した瞬間……もの凄い勢いで顔が熱くなるのが分かった。

 

 

 恥ずかしい……とても恥ずかしい……隠れてしまいたいぐらいに恥ずかしい……けど、嬉しい。

 

 

 ご主人さまの視線を遮るわけにもいかない。私はそのままご主人さまの視線で躾けられてしまうのだ。

 快楽に溺れたダメなメイドの所有者が誰であるかをきちんと理解させてくれる。

 

 

 ご主人さまぁ……分かっておりますぅ……すずかはあなたの所有物です……

 

 自然と瞳が潤むのが分かる。そのまま許しを乞うようにしてご主人さまの瞳を見続ける。

 するとご主人さまがピクッと反応を示してくれた。

 

 その反応した場所を見ると意図が理解出来てしまった。

 そう反応した場所は……ご主人さまのおちんちんだったのだから。

 

 

 ご主人さまはこう言ったのだ「ここはまだ洗っていないだろう?」と。

 確かにその通りである。そして命令してきたのだ。ちゃんとご奉仕しろと。

 

 

 私はご主人さまを見たままコクリと頷き、命令を実践する為に行動を開始する。

 敏感な身体を動かして、ゆっくりとご主人さまの足の間に身体を動かす。

 そして両手で優しくご主人さまのおちんちんを包み込むのであった。

 

 

 熱い……

 

 

 最初に手に感じた感覚である。いつも思ってしまうのだけれど、この熱は私を興奮させてしまう。

 そして先端から溢れているその液体はまるでご主人さまの気持ちを表しているようにも感じられてしまう。

 

 

 舐めたい……

 

 

 衝動が身体を襲った。だけど、今は洗うことが優先である。ふと……舐めても洗ったことになるのでは? と考えたりしたけど、躾けられた直後なので今回はまず命令をしっかりとこなすようにしなければと思い普通に洗うことを優先した。

 舐めるやり方は……次回までに勉強しておこうと思う。

 

 ゆっくりと両手でおちんちんを洗っていく。特に先端部分は念入りに。ヌルヌルとした感触は手のひらであっても敏感になった身体へ快感を伝えてくる。

 そして、次は袋の方である。こちらは柔らかい不思議な感触だ。中の部分はコリコリと硬いけど、敏感な部分でもあるので決して強くしてはいけないと学んでいる。

 優しく揉み込むように袋全体を洗っていく。その刺激のせいなのか時折動くおちんちんがとても愛おしく思えてしまう。

 

 そして私はふと思いついた。必殺技でもある身体で洗う行為。それをここでも使用することが出来るのではないかと。

 

 身体をご主人さまの方へ更に近づける。そのまま座っているご主人さまに抱きつくような位置迄近づくと、ご主人さまの胸辺りに私の顔が埋もれる形になる。

 そしてご主人さまのおちんちんは……ちょうど私のお腹の少し下。下腹部の所に密着できそうであった。

 

 近づいてきた私にご主人さまは意図を理解してくれたのか座っていた足の部分を更に大きく開いてくれてこちらの手助けをしてくれる。

 私はその仕草に一緒に行っている感覚が強くなり、嬉しくなりつつご奉仕を行うのであった。

 

 お腹の部分に熱く硬い感触が伝わる。密着することで更にその硬さを感じさせてまるでお腹の柔らかいところを突いているようにも感じられてしまった。

 私はその感覚を感じながら身体を動かす。体勢的に少ししか動かせないが、それでもご主人さまは喜んでくれているのかピクピクとおちんちんが動く感触がお腹に伝わる。

 

 すると私の身体にも変化が訪れた。お腹の奥が疼くのだ。おちんちんの熱さと硬さをもっとそこで感じたいと奥がむずむずと疼く。

 

 

 

 せつないよぉ……ご主人さまぁ……

 

 

 

 はぁっ……と熱い息が漏れてしまう。その吐息はご主人さまの胸に伝わっているようにも感じられた。

 そして自然に両腕がご主人さまの背中に回り、まるで本当に抱き合っているような姿勢になっていく。

 

 更に身体を動かす。ぬちゅぬちゅとした音も興奮を誘ってきた。更に私の大事なところから興奮を示す液体が溢れているように感じてしまう。

 

 

 

 ぬちゃぬちゃ……ぬちゅぬちゃ……

 

 

 

 肌と肌がすれ合う感触が気持ち良い。先ほどの余韻から抜けきらないその身体は引き続き敏感な反応を示してしまう。

 私も少しずつ声が漏れ始めてしまうが、動作は止めない。少しずつ早め細かく動いていく。

 

 そして少し勢いよく身体を動かした時に、ちょうどおちんちんが私の下腹部の下、大事なところへ滑り込むように潜り込んでしまった。

 滑りこんだ感触に一瞬身体が緊張を示したようにキュッと太ももに力を入れてしまう。

 そうすると滑り込んだおちんちんが丁度私の大事なところへとぴったり吸い付いてしまうのであった。

 

 その密着された感触は……私の快感を莫大に引き上げてしまう。

 

 性器と性器を合わせることがここまで快感になるとは知らなかった……。

 男女の営みについて、勉強はしているので色々と知っているけど……合わせるだけでもこんな快感を与えてくれるのは知らなかったのである。

 この快感は私を軽く捻りまた快楽へ溺れさせてくる。

 

 自然と腰が前後に動く。密着されたそれが熱さと共に快楽を伝えてくる。そしてそれの最後を考えれば考えるほど幸せに包まれていくのだ。

 

 

 

 クチュクチュ……んっ……はあぁぁぁっっ…………クチュクチュ……

 

 

 

 本能の所為なのか腰の動きをどんどんと速くしてしまう。

 

 

 

 切ないよぉ……気持ち良いよぉ……また溺れてしまうダメなメイドを許してください……ご主人さまぁ……

 

 

 

 頭の中が沸騰し続けてしまう。身体が溶け合うような行為。おちんちんの熱が私の理性を溶かしていく。

 お互いの息が荒くなってくる。ご主人さまの息が私の身体に掛かり、それすら気持ちがよくて幸せだ。

 私は引き続き身体が求めてしまっている行動を続けてしまう。

 

 

 

 しあわせ……とてもしあわせだよぉ……ご主人さま……旦那さまぁ……

 

 

 

 お互いの顔を見ながら腰を動かし続ける。時折動くご主人さまのおちんちんは私の感度を更に引き上げていった。

 そして……私は更に感情を昂らせていく。

 

 

 視線が絡み合ったまま、段々とお互いの顔が近づいていく。

 分かっているのだ。もうそろそろお互いの快楽の終わりが見えていることがお互い理解している。

 

 そして顔の距離がゼロになったその時、私の心が大きく告げてしまう。

 

 

 好き……です……ご主人さま……

 

 

 頭の中のそのセリフとともに唇が合わさる。そして私は身体と心を異次元の彼方へ飛ばすように快感と幸福、そして歓喜を強く魂に刻み込まれる。

 

 ご主人さまも強く身体を震わせてくる。そして暖かい感触があそこへ伝わってきた。ビクッビクッと強く何度も震えるおちんちんと共に熱いその液体が私の身体へと刻まれていく。

 そうして私はまたはるか高みへと連れて行かれてしまうのであった。

 

 

 

「ご主人さま。お疲れ様でした」

 

 

 ご主人さまの身体をバスタオルで丁寧に拭いた後、声をかける。

 あの後、身体にかけられたご主人さまの精液を飲むか悩んでしまったけど、泡と混じり合ってしまった結果、泣く泣く諦める事しか出来なかった。

 けど、身体にその精液を擦り付けるとご主人さまに包まれているかのように幸せな気持ちになったので、これは今後活用しようと思う。

 

 後、まだご主人さまに残っていた精液はちゃんと吸い上げ済みである。少し味が薄く感じてしまったので……やはり夕方のメインディッシュはもっと精力をつけてもらう必要があると考えた。

 もちろん、ご主人さまの気力を充実してもらうためである。他の狙いはあんまりないかな……。

 

 そう考えつつもまずはお昼ご飯をしっかり食べてもらおうと考えて、ご主人さまを昼食へ向かって頂くように話をするのであった。

 

 

 

 

 

 夜に向けて……本当のメインディッシュに向けて、私の想いは更に加速していく。

 

 ご主人さま! すずかはいつでもオーケーですからね!! 

 

 



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すずかのドキドキご奉仕メイド編(表)(夕方〜夜……)①

 

 自室にて机に向かいつつ考えを行う。

 

 

 現在、すずかには勉強すると言って席を一旦外してもらっている。

 

 

 何も言わなければ勉強している時もじっと見つめているので……集中させて欲しいと伝えて席を外して貰った。

 勉強しているフリをする為、机に向かい教科書やノートは開いているが……頭の中は別なことを考えている。

 

 

 

 本当に吸い付くされてしまいそうだ……。

 

 

 

 まぁ……気持ち良いし……ご奉仕というシチュエーションは色々と男心をくすぐってくれるのは間違いない。

 時々、もう好きにしてと考えを放棄した時もある。……ほとんどの場合、色々と事が進めば進むほどそうなるのだけど……認めると敗北感に苛まれるのであくまで時々であると心に言い訳をする。

 

 

 しかし……色々と検討すべき事項も出たのも確かであった。

 そう…………すずかによるお風呂突入の乱である。

 

 

 すずかに色々と事が終わって…………まぁ……放棄した思考を取り戻した後、突入してきたすずかの考えを伺ってみた。

 すずかの考えを聞くと最初に一人で入ると仰っていたので、途中で入ってきました。と言われた時の衝撃を思い出す。

 

 確かに……言葉の正否はどうあれ内容的に『最初は一人で入る』と言った覚えはある……。ただこれの意図は途中で入ってきて良いよと言う意味では勿論無い。

 今後、一緒に入ることはあり得るだろうな……と煩悩が導き出した結論があったので……その場で言葉を濁しただけで、あくまであの時は少し休憩と思い一人で入ろうと思っただけである。

 そこまで深い意味は無かったのは確かであるし、言葉が拙かった事は確かにその通りである。

 

 しかし、言葉と言うものは相手にそのまま伝わってしまう。

 その言葉の意味を考え導き出された動き。相手は命令に忠実に従う機械では無い。当たり前の話であるが、人間なのだ。言葉と言う相手に伝えるその手法はこちらの意図が全て伝わる訳では無いと言うことを改めて理解させてくれる。

 とはいえ、全て命令に意図を伝えるのか? と聞かれるとそれほど面倒なことはない。

 一つの動いて欲しい命令に関して、事細かに動く内容を伝え、成功、失敗それぞれを考え伝える。

 勿論、重要度によってはそれも必要であろう。ただ、日常においても全て網羅して伝えると言うのは、もはや自分で行った方が速いまである。

 

 

 しかも先ほど自分で言った通り、これは己の言葉不足から始まったことであり、相手に怒るのは筋違いだ。

 

 

 要するに失敗をしても問題ないような言葉を伝えるべきであるし、意図をきちんと誘導してあげることが必要なのだ。

 とはいえ、そのハードルは高い。会話の中で一瞬で相手の性格を見抜きつつ考え相手に伝える。それはある意味での才能の塊であろう。

 

 自分はこの事例を持って改めて学ぶ。次は失敗しないように意識しようと考えた。今はそれが精一杯の所であろう。

 人間は意識し続けないとそのうち忘れる。忘却の生き物でもあるので、必ずしも全て出来ると言えない所は自分の力不足を感じてしまうが、今はそれを強く意識することが出来る。

 なればこそ今のうちに少しでも手法自体を身体に覚えさせるのだ。無意識の時に少しでもその効果が出ればそれは成長した証でもある。

 一歩ずつでもきちんと進めることが重要だと思っていた。停滞は……時と言う化物によって、自然と停滞と言う維持ではなく、ゆっくりとではあるが着実に崩壊への道へ導かされてしまう。

 

 だからこそ、自分は進まなければならない。死にたい訳では無いのだから、次は成功出来るように努力し続けなければならない。

 まぁ……こんなことを考えていても失敗するのが人間と言う生き物であるのだけど……ね。と自虐的なツッコミを入れつつ気を引き締め直した。

 

 ひとまず、お風呂突入の乱に関しての考えを結論付けて、今後のことを改めて思い出して考える。

 

 

 

 そう……一日ご奉仕の件である。

 

 

 

 いや……別にイヤな訳では決してない。むしろ最初に言った通り、男として特典すぎるご褒美だと思う。

 しかもさらに可憐な美少女から清楚な美女へ成長することも分かっている少女だ。

 性格的にも物腰柔らかくお淑やかであり、仕草仕草に可愛らしさをそして……艶やかな印象をこちらへ植えつけてくるのもまた良い。

 こうしてご奉仕をしてくれて色々と致してしまう状況自体に文句などあるはずが無いし、どんと来いと言いたい。

 

 しかし……体力が持つかと思うと……自信が微妙だ……。

 相手は夜の一族である。『夜』の一族である。大事なことなので二度言ったが、要するに『夜』こそ真骨頂なのだ。

 こちらも身体は色々と元気な形で頑丈に作られていると思うが、現段階でそれなりに吸い取られた状況で、これから彼女の真価が発揮される時間帯が近づいてくる。

 

 二度三度なら全然大丈夫……なはずだけど、もし……二桁を超すのなら、これ死んじゃう死んじゃうよぉ……と泣き言を言う可能性はゼロでは無い。

 だからこそ慎重になってしまうのもしょうがないと戦略的撤退な考えを持ってしまっていることを許して欲しい。

 ……誰に謝っているのかは疑問だが、とりあえず少しでも体力を温存するために今はこうして一人で冷静になることで消費を抑えるのである。

 

 

 一緒にいるだけで、その良い匂いでも揺さぶってくるから……大変なのだ……。

 

 

 もう、そのまま行っちゃえば良いじゃんと考えたりもした。と言うか流されかけた。

 確かに……気持ち良いし……さらに身体を求めて行きたい。抱きたいと言う気持ちにウソはないだろう。

 

 しかし……これはあくまですずかのご褒美に対する対応である。

 命令によって出来るのは間違いないだろうが、こちらが満足しても意味がない。

 そして当初の目的からズレると共に先ほどのように意味が取り違えられると、もはや本末転倒の結果となり得るだろうとも考えてしまう。

 

 まぁ……もしどの道に進んだとしても、絞り取られるのは間違いないはずと思うのだけれど……それだったらちゃんと当初の目的通りにしておくべきだ。

 

 取り敢えず……夕食後であろう。それに向けて対応を考えていくのであった……。

 

 

 

 

 しばらくうんうんと考えていると……ドアがノックされる音が聞こえた。「入って良いよ」と声を掛けると扉がゆっくりと開いてすずかが入ってくる。

 

 

「ご主人さま。お茶をお持ち致しました」

 

 

 そう言って両手に持っているトレーの上に、家にはなかったはずの紅茶のティーセット一式を載せていた。

 すずかの家のお茶会で何度か見たことがあるその形はおそらく持ってきたのであろう。準備万端なその少女の行動に感動してしまう。

 

 そのまますずかはゆっくりとこちらに近づき、紅茶を入れてくれる。

 琥珀色で暖かさを伝える湯気と共にまるですずかの心を表すような優しい香りがこちらの気分を落ち着けさせてくれた。

 

 注がれた紅茶をそのままストレートの状態でゆっくりと顔に近づける。

 匂いを嗅ぎ、口に含んだ。

 

 

 

 うん……紅茶だね。

 

 

 

 まぁ……正直に言いますと、優劣なんて判断出来るような舌には育っていない。

 雑味というか、なんとなく雑に入れたなぁ……という感じではなく、なんとなくスッキリするような、そしてハッキリと紅茶の味が感じ取れるそれは高級品なのだろうと言うことを容易に想像させてくれる。

 

 すずかに「美味しいよ」と笑顔で告げる。するとすずかはその言葉に嬉しそうに笑顔で「ありがとうございます」と応えてくれた。

 

 そうして紅茶を飲み進めながらまったりとした時間を過ごす。

 

 

「ご主人さま。もしよろしければ息抜きに一つ簡単なゲームでもしませんか?」

 

 

 紅茶をゆっくりと味わっていた時にすずかが声をかけてくる。

 

 

「ゲーム?」

 

「はい。勉強も集中しすぎるとお疲れになりますでしょうし……少し息抜きもした方が……と考えました」

 

「どんなゲームなのかな?」

 

「はい。では……」

 

 

 すずかの手のひらにいつ持ったのか分からないが、コインが一枚ある。

 それをピンと言う形で、親指で上に軽く弾く。

 

 衝撃を受けたコインはクルクルと回るように上空に浮き上がった後、重力の力によってスピードを上げて回りながら落下していく。

 

 すずかの胸元辺りに来た瞬間に、そのコインは消えた。

 

 

 そう……文字通り消えたのだ。

 

 

 目はしっかりとコインを捉えていたと思う。しかし、魔法のように存在を一瞬で消失させた。

 驚きと共にすずかを見ると、すずかは両手をグーの状態にしてこちらに見せつけてくる。

 

「どちらに入っているでしょうか?」

 

 その言葉にこのゲームの内容を理解する。まぁ……一種のコイン当てのゲームなのだけれど、その動きが段違いである。

 夜の一族の身体能力をまざまざと見せつけられた気分だ。全く見えなかった……。

 

 

「一応、このゲームのルールとして質問は無しにして頂けるとありがたいです」

 

「ご主人さまの質問に正直に答えないのは失礼にあたりますし……」

 

 

 最後にボソッと呟く声に、こちらも同意する思考を持った。

 まぁ……色々と妥当なラインだと思った。確かにこちらの言葉はある意味絶対性を持つ。ゲームとしては破綻してしまうだろう。

 本人は催眠の設定は分からないが、正直に答えるべきと言う意識はあるはず。なので、これはそれを先に防ぐ形なのだろうと考えた。

 

 けど……それは……そう。勝ちに行く時の思考だ。別に負けても良い勝負なのであれば、そう言ったことは無くても乗ってくるかどうかだけで気分転換になるはず。

 勿論、ゲームである以上、勝利を目指すべきだとは思っているが、それでもすずかの性格を考えれば、少し違和感を拭えない。

 

 

「そして……これはご提案なのですが、勝利した人には……何か一つ相手に要望を伝えることをよしとして頂けませんでしょうか」

 

 

 見えた……。要するに負けた人は罰ゲームとして「言うことを一つ聞け」だ。

 おそらくは何かすずかは要望を通したいのだろう。控えめで優しい性格のすずかである。いきなり要望を伝えるのは彼女の心が痛むのだろう、

 だからこのゲームを行うことで、彼女は何かを通そうと思っているのだ。

 

 まぁ……そんなことをしなくても今はすずかのご褒美の日なので、よっぽどのもので無ければ受け入れるつもりだし……。

 

 やってもやらなくても恐らくは結果は変わらないが、それでもすずかに喜んで貰う事は悪いことではないので、その勝負に乗ることにした。

 

 

「分かった。それで行こう」とすずかに伝えると、すずかは更に笑顔を輝かせた。ぱぁぁと広がるその笑顔のキラキラを見てなんとなく良いことをしたようにも感じられてしまう。

 だけど、勝負は勝負だ。恐らくは最初から不利な状況であることは理解しているとは言え、負けるつもりは無い。

 

 すずかの両手を見る。先ほどの動きを見せたとは思えない、その柔らかそうな手はギュッと握られてこちらに見せてくれる。

 

 ぱっと見で考えれば、両手なので確率は2分の1だろう。しかし、ここでよくある手としては両手以外に持っている可能性である。

 まぁ……その可能性を考えてしまうともはやこちらに勝ち目は無い。何故ならもはや見えなかった時点でどうにでも出来る。

 

 質問は出来ないので、その可能性を聞くことが出来ない。まぁ、聞ければそれで終了なので、致し方ない所ではあるのだが、もどかしいのも事実である。

 ならばせめてもの抵抗として、こちらの指をこっちかな〜と言う感じで握っているすずかの手にそれぞれ差していく。

 

 しかし、すずかは笑顔のままピクリとも反応を示さない。普通にポーカーフェイスを維持してくれている。

 

 

 誘導も無しっと……

 

 

 駆け引きとは様々である。勿論、言葉によるやり取りが一番効果が見えるのだけれど、視線や動きでもそれは可能だ。

 特に注視している今は判断の材料として相手をコントロールできる方法だと考えている。

 

 結果としては、動き無し。と言うことだ。

 

 動きが無い。と言うことは一般的に相手に考えを読み取られたく無い行動の一つである。

 ただそれもやり慣れていなければ、動きが自然と硬くなる。しかし、すずかはずっと自然に笑顔をこちらに向けてくる。

 

 まぁ……すずかはやり慣れてそう……と思っていた。他の人でも自然とシチュに持ち込む手腕は、空気を読み受け流す手腕が優れているのだろう。

 今回に対してもそれが活きているのだろうなと言うことは想像に難しく無い。

 

 と言うことはやはりすずかには絶対の必勝があると思って間違いない。

 自然と落ち着き、こちらの様子を見て取れるさまは賭けと言う要素に縋っていない。

 落ち着けば落ち着くほど、彼女の必勝の気配を感じとれてしまう。

 

 やはり……両手には無さそうだな。と考える。

 さらにその裏をかいて両手にと言うこともあり得るが、まだそこまでの精神は成熟していないと思いたい。

 

 

 となると次はすずかの身体だ。あの一瞬でどこまで隠せるかは分からないが、恐らくはすずかの身体のどこかにあるはずだ。

 

 

 少し姿勢を正して、視線をすずかの身体全体を視界に入れるようにする。

 そしてすずかの身体全体を見て隠せそうなポイントを探す。

 

 しかし……メイド服はどこに何があるかパッと見だけでは正直よく分からなかった……。

 

 どうしたものかなぁ……とジッとそのまますずかの身体を見つめているとすずかの動きに変化があった。

 おっ!? と思ってすずかの顔を見ると何故か顔を赤らめてモジモジとした動きを見せてくる。

 

 

 ……いや……あの……すずかさん……その顔は色々と卑怯っすよ……

 

 

 今、ゲーム中だよねと突っ込みを入れたいのを我慢して、長引かせるとろくなことにならなさそうな予感を覚えたので、結論を出す。

 

「よしっ!」と声を出して、すずかに伝える。

 

 

「コインの場所はすずかの右の袖の中だ」

 

 

 そう伝えた。

 まぁ、多少の根拠はあるが、賭けの要素は大である。

 まず、すずかの利き腕は今までの仕草を見る限り右だろう。コインを一瞬で手から他に隠す場合、繊細に動かせる利腕の方に自然に寄るはず。

 そして隠し場所として、あくまですずかは両手を提示している。と言うことは最終的に両手のどちらかに戻すことはあり得ると思った。

 

 それを簡単に行えるのは袖の中が一般的にあり得そうかなと判断する。

 

 けど、それを立証できる証拠は全く無い。全て憶測にチップを張った賭けであった。

 

 すずかはその答えに両手でなかった為なのか多少驚いた表情を見せてくる。

 その顔を見てちょっとは引っかかる所があったのかなと思い、ニヤリと悪巧みをするような顔をつい見せてしまうのだが……。

 

 開いたすずかの右手にコインがあったのだった……。

 

 

 

 ……やだ……恥ずかしい……

 

 

 

 右手にあるコインを見て恥ずかしさで顔の温度が上昇する。

 裏の裏なのかそれとも純粋に2分の1ですずかが行ってくれたのかは分からないが……見事に負けた。

 悪巧みの顔で分かっているんだぞと言うような表情までしたのに、この結果は恥ずかしい。

 

 

「ご主人さま……ありがとうございます」

 

 

 そう笑顔で告げてくるすずかに、追い討ちはやめてよぉ……とさらに顔が赤くなってくるのが分かる。

 それを誤魔化すようにすずかの視線から外れるように顔を動かすのであった。

 

 

 そうして午後の一時は過ぎていく……

 

 

 

 




難しいことは分かりませんが、コインは右手だけだったのでしょうか。


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すずかのドキドキご奉仕メイド編(表)(夕方〜夜……)② □エロ

 

 

 夕食も無事終わり、後は就寝に向けて準備をする。

 

 

 歯磨きなどもすずかの手伝いの元……無事? ……に終了して、本来ならばまったりと時間を過ごして眠気が現れればそれに身を任せ眠りにつく。

 そう言った時間帯である。

 

 

 しかし……今日は違う。

 

 

 ドアがノックされる音が聞こえる。許可を出すとゆっくりと扉が開いていった。

 部屋の中は薄暗い。明かりは落とし、光はカーテンの隙間から見える月明かりだけである。

 

 完全なる闇では無い。その小さな明かりを元に瞳の瞳孔は動き、周りの景色を少しずつ見えるようにしてくれる。

 ベッドで横たわっていた自分の身体を起こす。そして扉の所を見るとすずかが立っているのが分かった。

 

 

「ご主人さま……夜のご奉仕……夜伽に参りました……」

 

 

 光が薄いこの部屋の中でもすずかの顔が恥ずかしさで真っ赤になっているのが分かる。

 夜伽っていう年齢ではお互い無いだろうと言う無粋な突っ込みは置いておいて、すずかの様子を見る。

 

 すずかは部屋に入った後、音を立てないように扉を閉める。

 そうすると部屋の明かりは完全に隙間から漏れる月明かりだけになった。

 

 しかし……その光が幻想的な雰囲気を醸し出す。夜と言う時間が彼女本来の魅力が発揮されるのだ。

 月明かりで浮かび上がるすずかの姿は年齢以上の魅惑的な印象をこちらに植えつけてくる。

 

 すずかがゆっくりとこちらの方に近づいてくる。

 

 そしてベッドの側まで来た時に、声をかける。

 

 

「すずか……そこで止まれ」

 

 

 すずかはビクッと身体を震わせた後、そこで進みを止める。

 そしてその場で立ち尽くす、すずかの姿を見た。

 

 服装はメイド姿のままである。まだ少し距離はあるがすずかが何か香水をつけているのか良い匂いがこちらの嗅覚を刺激する。

 顔を真っ赤に染めつつも何かに期待している潤んだ瞳。月明かりに照らされて浮かび上がる身体。

 すずかの全てがこちらの心を高めてくれる。

 

 すずかは……夕食の後にこう要望を伝えてきた。

 

 

「私に気遣うことなく、ご主人さまの心のままに振る舞って欲しい」

 

 

 例えば社長はどんな形であれ、多少は偉そうにするそぶりを行う。何故それをするかと言うとそう言うロールだからだ。

 時にはそれで勘違いしてしまうものもそれなりに存在するが……偉く振る舞うと言うものは意外と重要な意味がある。

 人は自然と「こう言うものだ」と言うものが頭の中にある。それが外れてしまうと人は「違う」と勝手に失望して離れる。

 時にはそれがいいと言う人も存在するが、どうしても万人に向けてメッセージを届ける場合、ロールにそった方が伝わりやすい。

 ハッタリでも相手がそれを認識すれば力に変わる。まぁ、詐欺とかもそう言うものであるが……。

 

 それらはともかく、要するに「もっとご主人さまのロール」をしっかりと行って欲しいと言うことだ。

 すずかお気に入りのシチュエーションである。もっとのめり込みたいのであろうなのは想像に難しく無い。

 そして、確かに自分に甘いところはあった。どうしても偉そうに演技し続けることに戸惑いもあったのは事実である。

 

 だが……これは必要な練習でもある。やはりハッタリも時に使用することはある。その時にいかにそれっぽく振る舞うかは想像だけでは経験が足りない。

 1回の実戦経験は遥かに経験値を積ませてくれる。だからロールをしっかり全うしようと今回気合を入れるのであった。

 

 

 

「エロご主人さまと健気に従うメイド」このシチュエーションを全うしようと思う。

 

 

 

 やけに逸る心を抑えつつもすずかに命令を行う。

 

 

 

「すずか。その場で下着を脱げ」

 

 

 

 その言葉にすずかは恥ずかしそうにギュッと瞳を閉じる。健気なメイドをしっかりと表現してくれた。自分もその域に達せなければならないと思いつつすずかの動きを見守る。

 少しずつではあるがすずかの手が動く。スカートの中に手を入れてゆっくりとゆっくりと下着を下ろしていくのが見えた。

 

 下ろしていくその動作ですら彼女の動きは完璧だ。恥ずかしそうにけど決して拒絶ではなく見せつけてくるように下着を下ろしていく。

 心が更に滾っていくのが分かる。

 

 そうして下ろしていく下着と少女の股間と接触していた部分と思われる箇所との間に透明な粘度のある液体がツゥ……と言うように長く糸を引いていた。

 

 お風呂場でも思っていたが、すずかの身体は男を受け入れる身体に成長している。

 その事実は昂りっぱなしのこの興奮をどんどんと押し上げていく。

 

 すずかは下着を脱いで、そのまま下着を手に持っている。

 恥ずかしそうに下着を持っているすずかを見てピンと閃いた。

 

 

 

「その下着を開いてこちらにしっかりと見せろ」

 

 

 

 その言葉を聞いたすずかは顔を更に真っ赤に染め上げる。それを見て愉悦に染まる自分はまさしくエロご主人さまだ。

 しかし、すずかは命令に着実に従う。手に持っていた下着をこちらに開いて見せつけてくる。

 

 ちゃんと裏側……履いて密着していた部分を見せてくれるすずかの姿はきちんとその意味を理解していたことを教えてくれる。

 羞恥心に染まるその姿はとても嗜虐心を煽ってしまう。

 

 下着をマジマジと見つめる。

 中央部分……クロッチの部分はしっとりと濡れており、先ほどのつたっていた液体をしっかりと教えてくれる。

 それを見られているすずかはもはや泣きそうにも見える。

 

 だけど、その姿に自分はどんどん興奮して滾ってくる。もっともっとすずかをいじめたいと言う欲求が高まる。

 

 

「ふん……。ご奉仕と言いながら期待満々だな」

 

 

 その言葉にすずかは涙が溢れる。頬を伝う涙。顔は更に真っ赤になりつつ、そしてそれでも決して下着を隠すことなく見せてくる。

 

 

「どうなんだ? 期待していたんだろう? この淫乱メイドっ!」

 

 

 そのまま無言で見せてくるすずかへ更に畳み掛ける。

 

 

「はいぃ……すずかは淫乱なメイドですぅ……ぐすっ……んっ……ご主人さまのお情けに期待してしまいましたぁ……んっ……」

 

 

 ゾクゾクと背筋に快感が走る。鼻を鳴らしつつもしっかりと伝えてくるその姿に興奮する。これは本当によくない。勘違いしてしまう。

 そう思いながらも行動は止められなかった。

 

 

「ふんっ。やはりか……。なら改めてお前の期待を見てやる。ゆっくりとスカートをあげろ」

 

 

 はいぃ……ありがとうございますぅ……とすずかはロールを崩さないまま、スカートを上げていく。

 ゆっくりとその白い肌の太ももが露わとなり、少しずつ少しずつその柔らかい肌をこちらに見せていく。

 

 

 そしてもっともその期待を表す部分を見せる直前で動きが止まる。

 プルプルと手が震えて、見せることに恥じらいを覚え、そして見せる覚悟を決めるその顔はとても興奮する。

 

 そうしてすずかは瞳をギュッと閉じて手を再度動かし下半身を露わにした。

 

 スカートを上げて女の子の大事な部分を見せる。そのシチュエーションだけでも興奮してしまうのに、すずかのその部分からまるで止まらない泉のように液体が溢れ続けている。

 それはすべすべな太ももの肌を伝い、すずか自身の興奮をしっかりと見せつけてくるのだ。

 高まっていた心も更に震えてしまう。ドクドクと下半身に血液が集まるのがわかった。

 

 月明かりに照らされキラキラと言うようにその液体は反射してこちらの目を楽しませる。

 顔を赤く染め上げても腰を突き出すようにそして何もかも晒してくれるその献身的な仕草はとても唆ってしまうのだ。

 

 

「その格好のまま、こっちにこい」

 

 

 手をひらひらとさせて、言葉をかける。

 恐らくはそれで彼女はこちらの意図を察したのであろう。身体が小刻みに震えつつもゆっくりと一歩ずつこちらに近づいてくる。

 

 近づいてくるにつれて、すずかの女の匂いが強くなっているようにも感じる。

 そして見ただけでも分かる。太ももを伝う液体の量が増えてきているのだ。

 

 そのすずかの期待を裏切らないように、こちらもしっかりと対応しなければならないと考えた。

 すずかはこちらに近づき、ひらひらとしていた手の位置に移動してくる。

 その大事な部分を手で触りやすいようにきちんと動いてくれた。

 

 やはりすずかはこれから自分が何をするのかをちゃんと理解してくれている。

 性行為と言うのをある意味きちんと理解しているのだ。

 だからすずかの身体もしっかりと反応してしまうのだろう。期待で溢れ続けるその蜜がこちらを興奮させることを分かっているのだ。

 

 手をその部分へ近づける。

 

 

 クチュリ……

 

 

 粘度の高い水音が鼓膜を震わせる。そして触った瞬間、「あっ……あぁっ!?」と言うすずかの喘ぐ声も伝えてくれた。

 

 

「そのままスカートを掴んでいろ」

 

 

 その声をBGMにしつつ、指先を動かしていく。

 まだ……毛も無いその部分。しかし身体は女の反応を示す。

 柔らかいその部分を触れる度にすずかの太ももが震える。ビクッビクッと震え、声が上がった。

 そして……更に液体は溢れてくる。滑りを伴いそして興奮を誘う匂い。それはどんどんと指にコーティングされていく。

 

 筋の間に指を滑り込ませる。挟まれた指は暖かい体温伝えると共にその柔らかさを堪能させてくれる。

 そして濡れ続けるその大事な穴を刺激してみた。

 

 

 

 あっ!? あっ……あっ……ダメっ……ご主人さまぁ……

 

 

 

 深く指を入れることはしない。あくまでその穴の周りそして解すように指先で刺激する。

 滑りを伴う液体によって指は簡単に動かすことが出来る。

 

 

 

 あっ……あぁっ……すごいぃ……これぇ……すごいよぉ……

 

 

 

 喘ぎ声は更に興奮を加速させてしまう。次は指でその筋をゆっくりと開いていった。

 

 

 くぱぁ……

 

 

 まるでそんな音が聞こえそうな感じで、大事な所が開かれていく。

 肌と肌で粘度のある液体が水の橋を作り、その大事な部分の興奮を見せてくれるのであった。

 

 

 あぁ……あぁっ……ダメっ……はずかしいっ……ご主人さまぁ……んっ……はずかしいですぅ……

 

 

 指の動きでどうなっているのか分かったのだろう。こちらの視線を感じたのか、恥ずかしさを伝えてくる。

 しかし……足は閉じることはない。そしてスカートを落とすこともない。すずかは恥ずかしさを伝えると共に身体が興奮していることも伝えてくるのだ。

 

 恥ずかしさで濡れるその瞳。けど、どこか期待しているその瞳。まるで光に誘われてしまう昆虫のようにどんどんすずかに夢中になっていくのだった。

 

 そして、指に固い感触が当たるのが分かる。女性で高い感度を持つその部分。陰核の感触がこちらの指に伝わる。

 それは触れるだけでも強い快感を発生させる。感度が高すぎるため、開発させていくことがある程度必要なのだけれど……。

 

 

 

 ああっ!? そこっ……ビリビリっ……すごいぃ……ご主人さまぁ……

 

 

 

 思った以上に普通に感じているな……。感じているならそれはそれでよしっ!! と深くは考えずにそこも刺激していく。

 

 

 

 あぁぁ……つよいぃ……これぇ……あっっ……ぅぅ…………あっ……いぃ……すっごぃぃょぅ……

 

 

 

 ガクガクと震える足を見つつ刺激を続ける。そして……少し押しつぶすように軽くその部分へ指の力を込めた。

 

 

 

 ああっ!? ああああぁぁぁぁっっっ〜〜

 

 

 震えていた足はビンッと強張った後、すずかの嬌声が強く響く。

 そしてその快感に耐えきれなくなったのか、ぺたんと座り込んでしまった。

 

 はぁ……はぁっ……と荒く息をついているすずかを見つつこちらの手を見る。

 その部分を触っていた手は液体でヌルヌルにコーティングされている。

 

 ぺろっと指先を少し舐めてすずかの味を堪能した後、エロご主人さまの言葉を発する。

 

 

 

「ふんっ……。すずか。お前のもので手が汚れてしまったぞ。お前の口で綺麗にしろ」

 

 

 

 まだ荒く息を吐いているすずかに命令を行う。

 すずかの瞳の焦点はまだあってないようにも見える。だけど、その言葉に忠実に身体は動いていった。

 

 

 

 んっ……ちゅっ……

 

 

 

 自分の指がすずかの口に含まれる。一本一本を丁寧に舌で磨かれていく感触があった。

 そしてちゅうちゅうと指先を吸う動きは、色々と想像を加速させてしまう。

 

 段々とすずかもそれを意識し始めたのか、まるで口淫を意識させるように指を口で前後に動かす。

 じゅぽじゅっぽ……と言う水音、そして時折先端を舌でなぞるその動きはあの快感を想像させてしまう。

 

 そして時折喉を鳴らして飲み込む仕草。吸引の快感すら彼女に教えられてしまう。

 指を咥えながら期待を込めた視線を向けてくる。「舐めさせてください」と言うその仕草はこちらの心を締め上げるような衝動をドスンと伝えてくる。

 

 しかし……そのまま舐めさせるのも芸が無い。エロご主人さまはこんなものでは無いと湧き上がる心の感情が伝えてきた。

 ならば、それに応えると言うのが男というものであろう。

 

 

 ちゅうちゅうと指に吸い付いているすずかの顔を見て告げた。

 

 

 

「淫乱メイド。一つゲームをしようじゃないか」

 

 

 

 お互い裸の状態になり、すずかが上に被さるようにベッドで横になる。

 裸になる時にまぁ……色々とシチュプレイはあったがそれはさておき、今はお互い裸で身体を重ね合っている。

 

 ただこちらから見える光景はすずかの足とお尻である。

 ……そう。いわゆるシックスナインの体勢である。

 

 瞳に映る光景はすずかの可愛らしい……そして柔らかそうなお尻や太もも。そして大事な部分。全てが見えるレジェンドな光景だ。

 

 すずか側から見える光景は物凄く強く自己主張している存在が目の前にあるだろう。

 その見せつける光景を想像するだけでも興奮を高めてしまうのだが、あくまでこれから行うのはゲームである。

 

 

 

 先にイかせた方が勝利。

 

 

 まぁ……よくある内容と言えばその通りではあるのだけど、このシチュエーションで行えることがまた良いと思ってしまった。

 健気なメイドが……救いを求めるため、エロご主人さまに無謀な勝負に挑む。

 

 そして、勝負の結果……更に健気なメイドが追い込まれていくのだ。なんともシチュ的に興奮してしまう。

 イメージプレイはこう言う想像を加速させる所が堪らない。しかし、あくまでお互いそのシチュエーションに入れ込んでいくことが重要だ。

 なので、エロご主人さまの動きをしっかりとやっていこうと思う。

 

 すずかには勝利条件を伝えてある。そして勝利した場合は、先ほどと同様「勝利した人の言うことに従う」と言うことも伝えてあった。

 そして……ある意味、特に何かを仕込んでいる訳では無い。ある種の対等ではあるが、自分は勝利を確信している。

 

 まぁ……これはもはや快感を受容できる男女的なものだ。

 確かに気持ち良い行為はその最終地点である絶頂へと導いてくれるだろう。

 しかし……よっぽど溜まっているか、強い快楽が続かないとある程度はコントロール出来ると思っている。

 

 そして……今自分は確かに精神は興奮している。だが、溜まっているかと言うとまぁ……普通だ。

 朝……昼……まぁ……色々と吸い取られている現状、興奮のみで行けるほど溜まりきってはいない。

 

 勿論、強い快感を受け続ければ、強制的な絶頂を体験できるかもしれない。

 だけど、それはかなりの手腕が必要だと思うし、快感を逃そうと思えばなんとかなると思っている。

 

 しかし……それは一方的に快感を受けた場合だ。こちらから攻めることが可能であれば問題無いと思っている。

 強い快感は自然と相手の行動を制限させる。すずかに対して一方的に攻めることが出来れば、優位に立ち続けられるだろう。

 

 すずかは先ほどの条件を聞いてやる気満々の状態ではあるが、負けることは無いと考えてそのまま勝負をスタートさせるのであった。

 

 

 開始の声は無い。こちらがすずかに攻めを行うことで開始の合図となる。

 今はお互いの性器を見つめあっている状態である。

 

 そう……勝負はもう始まっているのだ。

 

 すずかはまだ気付いていないかも知れない。お互いの性器を見つめあっている状況。それは自然と興奮を促してくれる。

 陰茎に息があたる感触がわかる。少しずつではあるが着実に荒くなっていくその暖かい吐息の感触が伝わってくるのだ。

 

 まぁ……精液が好みである以上、想像でも興奮してしまうのはこちらも理解出来てしまう。

 なので、少し焦らすようなこの時間はもはや攻めている状態だと考えている。

 

 そしてすずかはこちらに己の恥ずかしい部分を見せている。

 その状況は先ほどと同様に興奮するのだろう。溢れてくる液体が彼女の心を物語ってくれるのだ。

 

 しばらく、その状態を維持する……。お互いの肌の感触を味わいながらも焦らす。

 

 そしてすずかの喉が鳴るような音が聞こえたような気がした。

 飲み込むその動作は触れ合っている身体にしっかりと伝達される。

 

 

 頃合いだろう……。

 

 

 そう判断して攻めを開始した。

 手が動いて、まだ開ききっていないその柔らかい筋の部分を開く。

 

 その開かれる刺激。そして感触と共に見られていると言う想像が彼女の興奮を一気に加速させる。

 あっ……と小さな声が聞こえると、同時にその開かれた部分で最も敏感なその場所へ指を這わせた。

 

 

 

 あっ!? あっっっ……〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 そこからは一方的な蹂躙である。

 陰核の周りを優しく撫でるように刺激を行う。そして溢れる蜜を利用してコリコリと強すぎない刺激で擦る。

 時には指で挟み圧迫するように刺激を伝え、女性器全体を指でなぞり上げていった。

 

 すずかはその刺激に耐えるようにこちらのお腹の部分に顔を埋めている。

 時折漏れる声が快楽を得ていることをしっかりと伝えてくれた。

 そして、こちらへの攻めはほぼ無い。両手でそれを握った状態ではあるが動かすことなく、こちらの与える快感に耐え続ける。

 

 一気に勝負を決めるため、指で擦りながらも少しずつ身体を動かしてすずかの股間部分へ顔を近づけていく。

 顔が近づくにつれて、すずかの匂いが強くなっていく。その女の匂いは自然と嗜虐的思考を加速させて行った。

 

 指を動かしつつ声をかける。

 

 

 

「すずか。そのまま顔をあげろ」

 

 

 その言葉に従いゆっくりと顔を上げてくる。指で刺激している状態なので、こちらの身体に埋めていた声は、喘ぐ声として開放される。

 

 あっ……ああっ……と聞こえる声を聞きつつ、更に言葉を伝えた。

 

 

「そのままチンポを見続けろ」

 

 

 そして、その言葉をかけて顔をすずかのその大事な部分へ埋めるのであった。

 

 

 ちゅっ……ちゅぅぅぅぅぅぅぅ……

 

 

 

 あっ……!? ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜

 

 

 

 強く、だけど強すぎない刺激で敏感な部分を口で吸い込む。

 すずかはその刺激にこちらの口に押し付けるように腰を落とし、声を高くあげる。

 

 そして……身体がガクガクと震えて、液体が一気に溢れた。

 

 最も飲みたいであろう精液を目の前にしつつ、ゲームに負けると言う敗北感を植え付ける。

 エロご主人さまとして、かなり良いシチュエーションで仕事が出来たと思った。

 

 ガクガクと震え続けるすずかに更に口で吸い続ける。そして舌先でレロレロと刺激を重ねて行った。

 先ほど絶頂に達したであろうすずかであったが、その快楽は更に彼女の身体を震わせ続けていく。

 

 

 

 ご主人さまぁ……負けですぅ……愚かで間抜けな私の負けですぅ……あっ……ダメっ…………またぁ……きちゃうぅぅ…………

 

 

 

 これでもすずかのロールは崩れない。先ほどの達成感は鳴りを潜め、自分はまだまだだなと思いつつも、学習するためにすずかに刺激を続けて行った。

 

 

 

 きちゃうぅ……きちゃう……おっきいのがきちゃうよぉ……ご主人さまぁ……

 

 

 

 すずかはずっと見続ける。命令に沿ってこちらのその部分を見続ける。そして、こちらが与える快楽を受け続けて再度達するのであった。

 

 

 

 アッ…………あぁっ……さまぁ……ぃ……きぃ……ぁあぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜っ……

 

 

 

 ビクッビクッとすずかの身体が強く震えて、こちらに体重がかかる感触が伝わる。

 完全勝利!! と言う思いと共にすずかの様子を伺った。

 

 すずかはぐったりとこちらに身体を預けた状態で動かない。時折ピクッと小さく身体を痙攣させて、呼吸は全力疾走をした後のように、はあっ……はあっ……と荒くしている。

 少しやりすぎた? と思いつつ、そのままの状態だと埋もれかねないと思い、すずかの身体を動かす。

 仰向けで寝かして、荒くなった息を落ち着かせるまで待ちつつも、口の周りをすずかが用意していたタオルで拭いていく。

 そしてすずかの身体も拭いて行った。タオルの擦れる感触で、声が「んっ……」と漏れるがそのままこちらの行為を受け入れてくれる。

 

 

 一通り拭き終わった後、すずかの息が落ち着くまで待つのであった。

 

 

 



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すずかのドキドキご奉仕メイド編(表)(夕方〜夜……)③ 終了 □エロ

 先ほどの完全勝利の余韻から、ふっ……虚しい勝利だった……と黄昏る妄想をしているとすずかが落ち着いたのかゆっくりと目が開いていくのが分かった。

 

 

「すずか……。大丈夫かい?」

 

 

 ゆっくりと近づき声をかける。すずかの瞳を見て声をかけたのだが、反応が鈍い。

 表情はまるで酔ったように、ぽーっと紅潮したままで焦点の合わない瞳はこちらを見ているかよく分からない。

 

 そしてこちらの声に反応したかのように、すずかの身体が動いた。

 

 

 

 ごしゅじんさまぁ〜〜〜〜

 

 

 

 まるで甘えるような声で、こちらの身体に抱きつく。そしてスリスリと顔を擦り付けてきた。

 

 

 

 えへへぇ……

 

 

 

 柔かな笑顔と共に顔を擦り続けてくる。まるで気まぐれな猫が急に甘えてくるような新鮮さを覚えてしまう。

 猫すずかだ。これはこれで破壊力がある。

 

 

 ゴロゴロと言うように引き続き甘えてくるすずかの頭を優しく撫でてあげる。

 すずかはそれを嬉しそうに笑顔で受け入れ続けた。

 

 

 そうして頭を撫で続けていると……段々とすずかの焦点が戻ってきたように感じる。

 改めて視線と視線が交差すると、

 

 

 

 っっっっっっっっ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 本当にボンッと音が聞こえそうなくらい一瞬ですずかの顔が真っ赤に染まった。

 あ……あ…………あ……と言葉にならない声を上げて見てくるその様子を見て、更に優しい笑顔を向けてよしよしと頭を撫でてあげる。

 

 

 すると……更にボンっと言う感じで、顔が紅潮し続ける。そのまま撫で続けてあげたかったが、流石に自重すべきだと思い、すずかの体勢を元に戻してあげる。

 涙目になっているすずかは、それでも「ありがとうございますぅ……ご主人さまっ……」とお礼を告げてくれた。

 

 そして、すずかの落ち着きを取り戻していく姿を見て、これからどうしようかと考える。

 気持ちがそれなりに冷静になってしまったので、これで終了ならそれでもいっかーと思える面持ちだ。

 

 しかし……すずかはそうでなかったみたいである。

 先ほどの行為に恥ずかしさを覚え続けているのか、顔は真っ赤なままだが、姿勢を但しベッドの上で土下座のように頭を下ろしてきた。

 

 

 

「ご主人さま。どうかこの愚かで淫乱なメイドにご命令をお願い致します……」

 

 

 

 セリフ的に……ロールは継続中なので、先ほどの勝負の報酬であろうと推測する。まぁ……勝利した人の言うことを聞くと言う内容だ。

 うーん……あくまでシチュエーション的に考えただけなので……どうしたものか……。

 

 どう言う内容が良いかと考えていると、すずかが、その悩んでいる仕草を見たのか行動を行ってきた。

 座り込んでいた体勢から、足をこちらに出して大きく開脚を行う……勿論、まだお互い裸の状態であるため、すずかのその大事な部分は再度露わになった。

 

 気持ちが落ち着いていた部分に再度火が点火されはじめる。

 漏れてくる月明かりの光と共に見せてくるその身体は幻想的でもあり、そしてとてつもなく淫らな姿にも見えてしまう。

 

 しかし……すずかの行動はこれで終わらない。

 

 

 

 クチュ……

 

 

 

 そんな淫靡な音が聞こえそうな感じで、すずかは己の手でその大事な所を更に開いて見せてくる。

 女の子が最も秘めすべきその部分。それを己の手で開きこちらに見せる。それはかなりの羞恥心であろう。

 顔がどこまでも紅潮しており、そして涙を瞳に溜め込みながら、その開いた姿勢を維持して、すずかはこう告げてきた。

 

 

 

「ご主人さまぁ……もし……っ……お悩みになられているのなら……この淫乱なぁっ……メイドにぃ……んっ……」

 

「ご主人さまの……っっ……その逞しいオチンポさまでぇ……んっ……この愚かな穴に……うぅ……分からさせていただけませんかぁ……あぁっ……」

 

 

 

 セリフを言うたびに更に顔が赤くなりつつ、慈悲を乞うような……すがるようなその濡れた瞳。

 そして……健気なメイドを淫らに表現するその内容……。

 

 心が撃ち抜かれる。そのすずかのすべての行動が一つ一正確にこちらの心を打ち抜いてくる。

 

 マジで……いや……そんなセリフというか……色んな意味でその高度過ぎる知識はどこから学んだんだろうか……。

 すずかのその姿に心の鼓動が速くなるのを実感しつつも、冷静な思考の一部がそれを告げてくるが……すぐに塗りつぶされる。

 

 

 

 うぅっ……

 

 

 涙目になりつつも、こちらに恥ずかしい場所を晒し続ける行為。自然と羞恥で漏れてくるその声は虐めたい欲望にも再度点火を行わせる。

 すずかがまだシチュエーションを継続しているのだ。ここはエロご主人さまの力を見せつけるべきである。

 昂り続ける心を持って、すずかに近づいていくのだった。

 

 

 真っ赤な顔のすずかを見続けて、身体を近づけていく。

 段々と近づいていくこちらを見て、すずかはこちらの顔を懇願するような……切ないような……そして期待するように潤んだ瞳で見つめてくる。

 

 そしてこちらの手を動かし、すずかの顔に触れる。

 すずかの顎の部分を掴み……少しだけ力を込めてクイッという感じで少しだけ上向きに向ける。

 

 そうするとすずかが更にこちらを見上げるような体勢になる。その状態で言葉を告げるのであった。

 

 

 

「すずか。勘違いするなよ?」

 

「お前が懇願出来る立場では無い。お前を抱くかどうかは俺が決める」

 

「俺の意思でお前を抱くんだ。お前の意思はどうでも良い。それを忘れるな」

 

 

 

 そう。懇願するメイドを分からせる。お前の考えはどうでも良い。抱きたいと思ったから抱く。そこにお前の意思は必要ない。

 なんともクズなエロご主人さまである。

 一人称のセリフは儂と悩んでしまったが流石にそれは見た目の年齢と削ぐわないだろうと思ったのでこちらを採用した。

 

 すずかはそのセリフに驚いたように目を大きく開かせる。

 しかし……彼女に攻めの機会は与えない。こちらが主だと分からせるためにそのまま強引に口付けを行った。

 

 お互いの唇と唇が触れ合う。すずかは驚いたままであるが、抵抗は全くない。

 そのまま口付けを受け入れ続けていく。

 

 

 んっ……

 

 

 舌をすずかの口内に捻り込ませる。そしてすずかの舌に絡ませていった。

 すずかは驚いた表情から段々と今の状況を理解してきたのか、少しずつ瞳が蕩けるような……うっとりとした顔に変化し始める。

 そしてすずかの方からも積極的にこちらの舌に絡めてくる。

 

 

 んっ……はぁっ……

 

 

 クチュクチュ……レロレロ……といった水音。そして時折漏れる吐息だけが部屋の中に響く。

 お互いの唾液を交換し、お互いの口や舌の温度を堪能する。

 ヌルヌルとしたその感触は口付けの快感を心と身体にしっかりと味合わせてくれるのであった。

 

 

 ちゅっ……

 

 

 しばらく口付けを堪能した後、自然と音を出した軽い口付けで唇を離す。

 すずかはこちらを見上げた状態であるが、その顔は完全に蕩けきっているようにも見える。

 唾液というお酒に酔ったようにも見えるその表情はとても妖艶に思えてしまうのであった。

 

 すずかの身体を動かし、座っている状態からベッドに寝かせる姿勢にさせる。

 そしてそれに覆いかぶさるように、こちらの身体を重ねた。

 

 お互いの顔が近距離で見つめ合う。そして本当に念のためではあるが……ある質問を行った。

 

 

 

「すずか。念のために聞くが……来ているのか?」

 

 

 

 早ければもう来ていてもおかしくはない。お赤飯を炊くという身体の成長の証。

 すずかの身体の感じ方を見る限り……割と色んな意味で早熟にも感じられてしまうので、確認しておこうと思った。

 

 すずかはその質問の意味を理解したのか顔を赤らめて、少しだけ視線を外した後、コクリとゆっくりと頷いてきた。

 

 

 

 ……おおぅ

 

 

 

 この答えで色々と考えることが倍増した。さすがに避妊用の道具はまだ持っていない。

 シチュエーション的に唆るのは間違いないけど……今後のことを考えれば戸惑ってしまうのも事実であった。

 

 その一瞬悩んでいる仕草を悟ったのか、すずかは言葉を発する。

 

 

 

「だけど……大丈夫だから……このままして下さい……ご主人さまっ」

 

 

 

 大丈夫? 大丈夫と言うことは安全な日と言うことなのだろうか。

 そこまでも視野に入れていた知識や準備万端のすずかに戦慄を覚えてしまうが……心が弾んでしまったのも事実だ。

 

 勿論、リスクがゼロと言う訳ではないと言うことは理解している。

 とは言え、ここで終了したくはない気持ちの方が高い。

 

 最後はきちんと外に出すことを意識すればいける。

 

 なんとも男のワガママである。次はちゃんと避妊具を用意しておこうと思いつつ、少しずつ悲しそうに切ない表情へと変化するすずかを安心させる為、すずかの顔に手を触れさせる。

 

 

 

「無理だと思ったら言え」

 

 

 

 抱くぞ! と言う意味の言葉を伝える。すずかはその言葉の意味を理解したのか先ほどの悲しい表情から「はいっ!!」と嬉しそうな表情を浮かべてこちらに答えてくれるのだった。

 決めたのなら、きちんとシチュを継続すべきだ。エロご主人さまの存在を再度浮上させていく。

 

 すずかの両足を手で掴み広げる。そしてすずかのその場所に強く主張しているモノをあてがう。

 

 まだ挿入はしない。

 

 ここで健気なメイドに絶望を刻みこむ時間を与えるのだ。

 いつ来る? と言う恐怖。それはこちらに主導権を持っていることを理解させるだろう。

 

 その状態のまま、更に意識付けさせるように言葉を発する。

 

 

「いいか。これから分からせてやる。お前が誰のモノかと言うことをな」

 

 

 この分かれせ棒で。と心の中で付け足しつつ、ニヤリと悪いような笑顔を浮かべる。

 すずかはこちらの言葉にシチュが継続していることを理解したのか、顔を更に赤らめ視線をずらした後、ギュッと目を瞑りコクッと頷くのであった。

 

 そしてそのまま目を瞑り耐えている表情を見せてくる。

 破瓜の痛みの恐怖。そして……健気に耐え身体を差し出すメイドと言う姿は更にこちらを興奮させてくれる。

 

 しかし……まだ足りない。

 

 顔を逸らし、目を瞑っているすずかの顔を手で無理矢理こちらへ向けさせる。勿論、力は込めすぎないように注意しつつだ。

 そしてすずかに再度口付けを行う。するとすずかはその感触に驚いたように瞑っていた目を大きく開かせる。

 

 

 

 いまだっ!! 

 

 

 

 あてがっていた腰の部分を一気に突く。濡れ続けていたその部分は、抵抗無くそれを受け入れ……そして何か小さく抵抗していた壁を打ち破っていった。

 

 

 

 んんっ!? んっ……んんんっ!? 

 

 

 

 口を塞がれていたすずかはその突き破る痛みにくぐもった声を上げた。そして……その痛みのせいだろう。すずかの口に入れていた舌が少し噛まれるのが分かった。

 

 

 っ!? 

 

 

 舌に鋭い痛みが走るが、気にせずそのまま舌を絡ませ続ける。すずかは恐らくもっと痛い思いをしているだろうと考えれば大したことではない。

 絡めている舌に鉄の味が少し混じるのが分かった。少しだけ切ったのだろう。

 

 すずかは、絡めている舌にその味が混じり始めたのが分かったのか、こちらの舌を大きく吸い込むように口が動いた。

 そして優しく恐らくはその傷がついた部分を丁寧に舐め上げてくる。

 

 吸血衝動か……確かにあれは耐えがたい欲求なのは体感してしまった今ならよくわかる。

 これで……少しでも痛みと衝動が和らいでくれればと思い……そのまま一体となったまま舌を絡み続ける。

 

 一気に突き抜いた後は、落ち着くまで腰は動かさない。そのまま口付けを継続し続ける。

 

 

 

 はぁぁ……はぁっ……あぁっ……ふぅふぅっ……んっ……

 

 

 

 酸素を時々求める吐息がお互いの口から漏れるが、お互い夢中で口内を貪り続ける。

 動いていないのに、すずかの内部はまるで……何かを求めるように敏感な部分を絞り始めてきた。

 少しずつ蠢いているような感触と快感。それはそのまま欲望のままに動きたい衝動を跳ね上げる。

 

 そして……落ち着くまでと考えていた、その腰を欲望のままに動かし始める。

 

 

 

 んんっ!? んんっ……んっ……んあぁ……

 

 

 

 こちらが動き始めたのが分かったのか、すずかは口付けつつも声を出し始める。

 最後に残っている理性が、痛みに苦しんでいないかを確認させるが、すずかは快楽を感じているように蕩けた声を出し始めていた。

 

 

 

 んあっ……すごぃい……ごしゅじんさまぁ……もっとぉ……んっ……すごぃぃ!! 

 

 

 

 ひとまずは、苦痛を感じていないことに一安心しつつ更に腰のスピードは上がっていく。

 パンパンッとお互いの腰がぶつかる音が部屋の中に響き渡った。

 

 

 

 んんんっ……しらないぃぃ……こんなぁ……ぃい……んあっ…………んっ……もっとぉ……

 

 

 初めてでここまで感じることは正直稀だと思うが、今はそれを幸運にも思い、そして満足感をこちらに与えてくる。

 

 

 

 んあぁぁ……ふかぃぃ……これぇ…………んっ……ぃぃよぉ……

 

 

 

 奥まで全て入れた後、グリグリと回すように腰を動かす。

 粘度の高い液体が混ぜ込まれるように淫靡な音を発するが、その気持ち良さはまた別格である。

 

 柔らかい膣の感触。そして亀頭部分に刷り込まれる粒々としたような突起の刺激は更にこちらの感度を上げていく。

 そして更に前後に動かす刺激は、強い快楽を生み出す。

 

 どんどんとすずかの身体に溺れていくのがわかる。それを持っと貪り堪能したいと心が叫び続けた。

 

 

 

 んあああぁ……ごしゅじんさぁぁ……んあっ……んっ…………きぃ……あっ……すごぃぃ……

 

 

 

 すずかの喘ぐ声はもはや興奮を高めるBGMだ。もっとその声を聞きたいと激しく打ち付けていった。

 

 

 

 んあっ……つよぃぃ……これぇ……つよぃょぉっ……とけちゃぅぉ……もっとぉ……

 

 

 

 パンッ!! パンッ!! と深く深く彼女の膣内を打ち付けていく。柔らかくそして暖かく包まれるその感触。

 そして一体となり身体全体が溶け合うような幸福感と快感は、あっという間に頂上に上り詰めてくる。

 

 

 最後は外に……

 

 その考えはちゃんと持ち続けていた。しかし、すずかの身体は離し難い魅力と快楽を与え続けてくれる。

 限界まで……限界まで……と思いつつギリギリまでそれを堪能しようと身体を動かし続けるのであった。

 

 

 そうして……だんだんと更にスピードが上がっていく。自分でも快楽で大きく亀頭を膨らませて、隙間無くその内部を味わい続けた。

 

 

 

 あっぉぉ……んっ……あぁっ……おぉきい……んあっ……ごしゅじんさまぁぁぁ……

 

 

 

 もうそろそろ限界だっ! と思った瞬間、すずかがこちらの顔を掴む。

 そして勢いよく口付けを行ってきたのだった。

 

 

 んっ!? 

 

 

 その驚きとともに身体がギュッと締め付けられる。まるで絶対に逃さないと言うように腰の部分に足を回して抜けないように固定されてしまった。

 

 その力は……全くこちらが動いてもビクともしない……。

 しかし……快楽は与え続けられる。口付けをしてくるすずかの瞳はまるで酔ったように焦点がブレているようにも見える。

 

 

 

 んっ……んっ……こくんっ……こくりっ……

 

 

 

 舌が再度すずかの口の中に勢いよく吸い込まれ唾液ごとすずかの中に取り込まれていく。

 その快感はギリギリまで行っていた絶頂の快楽への階段を容易に上げてしまう。

 

 

 くっっっっっ! 

 

 

 本能が喜びながら、快楽の証明となる体液を発射させる。抜くことが出来なったそれはすずかの体内へ勢いよく飛び込んでいくのであった。

 

 

 んあっ……んんんんんあぁぁぁぁぁぁ!! 

 

 

 すずかはこちらが達したのが分かったのか、体内に感じるそれを大きな声とともに受け入れる。

 そして、更に彼女の中は絞り込むように動き、こちらは膣内に発射する快楽の波を大きく感じてしまう。

 

 

 ドクッドクッっと精液が発射されるたびに強すぎる快楽が頭の中を焼く。

 ビクッと大きく動いても発生する快楽。膣内に包まれる快楽は更に心を溺れさせてくる。

 

 

 

 ちゅ……ちゅっ……

 

 

 

 その快楽の渦に震えていると、すずかは口付けから少しずつ顔を下に動かし、頬、顎、そして首筋へ口付けの雨を降らせてくる。

 敏感になっている身体はそれすら快感を与えてくれた。

 

 

 そうして……ひとまずの射精の快感は終わる。

 

 はぁ……はぁ……と荒い息を吐きつつも快楽の余韻に浸る。脳髄を快感で焼かれるような快感を堪能させられ、落ち着くにはもう少し時間が必要であった。

 

 少し……落ち着こうと考え、改めてすずかに入っていたそれを抜こうと考えるが、すずかの足はそのままがっしりとこちらの腰に巻き付いたままである。

 

 えっ!? と思い、すずかの顔に視線を向けると、すずかは潤んだ瞳のままイヤイヤと言うように顔をフルフルと震わせていた。

 その可愛い仕草に、ピクンッと下の部分が反応を示してしまう。

 

 すずかはその反応が嬉しかったのか少しずつ腰を動かしてきた。

 イッた直後で超敏感になっているその部分を柔らかく優しく刺激をしてくる。

 

 そして、ギュッと身体に手を回して来て、抱きつくようにお互いの身体を重ねるのだった。

 

 

 こうして……次は彼女主導の元、2回戦が始まる……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 死んじゃう……死んじゃうよぉ……

 

 心の中でそう泣き言を叫ぶ。

 

 

 

 あぁ……んあっ…………いいっ!! ごしゅじんさまぁ……あぁ……

 

 

 

 仰向けで寝ている自分の上にすずかが跨って腰を動かしている。

 あれから……何回めになるだろう……もはや数えることは放棄してしまった。

 

 しかし……何故か身体はずっと興奮し続けてしまう。

 射精の度に感じる快感は衰えることなく、むしろどんどんと強度を増しているようにも感じられた。

 

 

 

 ああっ……ごしゅじんさまぁ……おっきぃ……んあぁぁ……

 

 

 

 しかし……もはやその強度もよく分からない……どんどんと何かを吸い取られ続け今は完全に何もかも受け入れている状態である。

 

 そしてすずかが更に腰を深く落とす。もはやお互いの体液に塗れ続け解されたそれはネットリとした柔らかさと共に全体を包み込んで様々な快楽を生み出して来た。

 

 

 

 んっ……これぇ……すきぃ…………んあっ……ふかぃぃ

 

 

 

 深く腰を落とした状態で回すようにグリグリと先端を刺激する。何度も突かれ奥も柔らかく感じられるその快感は本来なら素晴らしいものだろう。

 

 

 

 んあっ……んああっ……ああっ……

 

 

 

 すずかの腰の動かすスピードが上がって来た。必然にこちらの快感のスピードも上がり段々と頭が真っ白になり始めてくる。

 

 そして……何度目なのか分からない強い快楽の渦に飲み込まれるのだった。

 

 

 

 ああぃぃっっっっっっっっ!! 

 

 

 すずかの大きなその声を聞きつつ……強い快楽が身体の中を走り抜ける。そしてその後、何かが吸い取られるように疲労感も追随してくるのだ。

 それはある種の心地よさすら感じさせる。更にその疲労感は眠りを誘い少しずつ意識を薄くしていく。

 眠りに向かう心地よさを感じつつも、頭の中でこう思いながら……意識を離していくのだった。

 

 

 

 

 次こそエロご主人さまの本随を見せてやるっ!! と。

 

 

 

 




……来ているのか?(発情期が)



一先ず、すずか短編はこれで終了です。




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2章(A's前~A's編)
43話(無印編終了)迄-現段階のメモ


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 催眠対象者:

 高町なのは(メイン)

 フェイト・テスタロッサ(メイン)

 アルフ(サブ)

 月村すずか(サブ)

 リンディ・ハラオウン(サブ)

 

 

 催眠内容:

 

 □高町なのは

 ・鏡音奏の体の匂いを嗅ぐと安心する。

 ・鏡音奏の男性器の匂いを嗅ぐ事について抵抗はない。好きな匂いである。

 ・鏡音奏と会うと3日毎には二人っきりになりたくなる。

 ・二人っきりの時には鏡音奏の男性器に特に注目してしてしまい匂いを嗅ぎたくなる。

 ・鏡音奏の男性器を嗅ぎ続けると男性器をずっと舐めていたくなる衝動にかられる。

 ・鏡音奏の体を舐める行為はすごく幸せである。

 ・鏡音奏の体に汚いところは無く、全てが最高のお菓子のように美味しく感じる。

 ・鏡音奏から舐める場所を指定されると、そこを丁寧に舐めることが必要である。

 ・男性器の匂いを嗅ぐこと、体を舐めることはアブノーマルであり他の人がいる前ではする行為では無いと認識する

 ・鏡音奏が「終わり。終わり」と告げられたら舐める衝動は一時的に抑えられる。

 ・鏡音奏から「高町なのは」とフルネームを呼ばれると「はい」と返事をする

 ・鏡音奏と二人っきりで会う時にはレイジングハート等も含めデバイスを持ち込まないように意識する。

 ・鏡音奏と二人っきりで会っている時に、もしレイジングハート等のデバイスを持っている場合は二人っきりではない事を認識する。

 ・鏡音奏と二人っきりで会っている時に、もしレイジングハート等のデバイスを持っている場合、鏡音奏から頭を撫でられると嬉し恥ずかしくなり優しく鏡音奏から離れる。

 ・ユーノ・スクライアに対し、友達ではあるが異性である事を認識し、好意を持たれないように行動を慎む事を意識する。

 

 男性器及びアブノーマルの知識を織り込み済み。

 

 

 □フェイト・テスタロッサ

 ・鏡音奏は家族のような絶対的信頼感を持つ相手である。

 ・鏡音奏の命令に関しては何よりも優先し喜んで命令を遂行する。

 ・鏡音奏から励ましの言葉を掛けられると心を奮い立たせ、自分の気持ちが向上する。

 ・鏡音奏からの質問には全て素直に答える。

 ・鏡音奏の体の匂いを嗅ぐと安心する。

 ・鏡音奏の匂いを嗅ぐ事について抵抗はない。好きな匂いである。

 ・男性の体の匂いを嗅ぐ行為は他の人の前で行う行為では無いと認識する。

 ・鏡音奏が「終わり。終わり」と告げられたら匂いを嗅ぎたい衝動は一時的に抑えられる。

 ・鏡音奏から「フェイト・テスタロッサ」とフルネームを呼ばれると「はい」と返事をする

 ・鏡音奏と二人っきりで会う時にはバルディッシュ等も含めデバイスを持ち込まないように意識する。

 ・鏡音奏と二人っきりで会っている時に、もしバルディッシュ等のデバイスを持っている場合は二人っきりではない事を認識する。

 ・鏡音奏と二人っきりで会っている時に、もしバルディッシュ等のデバイスを持っている場合、鏡音奏から頭を撫でられると嬉し恥ずかしくなり優しく鏡音奏から離れる。

 

 

 □アルフ

 ・鏡音奏の男性器を舐めることは幸せである。(催眠固定枠)

 ・鏡音奏に対して、自分が全てを尽くし服従すべき存在である事を理解する。

 ・鏡音奏の命令に関しては何よりも優先し喜んで命令を遂行する。

 ・鏡音奏の体を舐める行為に抵抗はなく好きな行為である。

 ・鏡音奏の男性器を舐める行為、それに伴う行為は鏡音奏と二人きりで無いとやってはいけないと認識する。

 ・鏡音奏から手を握り名前を言われると「はい」と返事する。

 ・鏡音奏が「終わり。終わり」と告げられたら男性器を舐める衝動は一時的に抑えられる。

 

 

 □月村すずか

 ・鏡音奏から「月村すずか」とフルネームを呼ばれると「はい」と返事をする

 ・鏡音奏からの質問には全て素直に答える

 ・鏡音奏からの命令に関しては全てよろこんで引き受ける

 ・鏡音奏の精液は美味しく幸せに感じる

 ・鏡音奏の精液を飲むために行う鏡音奏との行為は全て幸せで、体を舐める行為も抵抗無く美味しく感じる

 ・4日に1回は鏡音奏の精液を飲まないと落ち着かない

 ・精液を飲む行為は、人前では恥ずかしい行為だと認識する

 ・鏡音奏が「終わり。終わり」と告げられたら精液を飲みたい衝動は一時的に抑えられる。

 

 

 □リンディ・ハラオウン

 ・鏡音奏は家族以上の強い絆で結ばれている存在であり、決して自ら裏切ることも無く親愛を持って接すべき存在である。

 ・鏡音奏に対して彼の存在が不利にならないように常に気にかけその他の存在に怪しまれずにフォローすることが使命であり幸福である。

 ・鏡音奏からの命令は己の能力、権限全てを使い達成させることが至上の喜びである。

 ・鏡音奏からの命令は全て鏡音奏の存在は見せない上に感じさせないように細心の注意を行う。

 ・鏡音奏からの命令を含め鏡音奏の存在が露見する可能性や遂行する上で不都合がある場合は必ず鏡音奏に相談を行う。

 ・鏡音奏からの質問には全て素直に答える。

 ・鏡音奏の体を舐める行為はすごく幸せである。

 ・鏡音奏の体に汚いところは無く、全てが最高のお菓子のように美味しく感じる。

 ・鏡音奏から舐める場所を指定されるとそこを丁寧に舐めることが必要である。

 ・体を舐める行為は人前でする行為では無いと認識する。

 ・鏡音奏が「終わり。終わり」と告げられたら舐める衝動は一時的に抑えられる。

 ・鏡音奏から「リンディ・ハラオウン」と呼ばれると「はい」と返事を行う。

 

 

 

 □催眠能力について

 左掌をかざすとメインストーリー対象者か否を判断できる。

 赤色……メイン対象者

 青色……サブ対象者

 それ以外にも催眠能力を使用することは可能らしい。(実行していない為、まだ未知数)

 男性には能力が使用できない。(現実ではまだ未実行)

 

 現段階において、サブ対象者の傾向を検討すると『原作においての登場人物』で『主役』とは別に『名前』が存在していた人員がサブ対象者になるのではないかと推測される。

 その為、レイジング・ハート、バルディッシュに対してサブ対象者の光が発生しなかった為、デバイスに対して利用不可であると推測される。

 ※A’s編に向けて、今後要検討事項

 

 

 

 □継続対応に対して

 催眠を継続させるためにはサイコロを振って継続させる行動パターンを付ける必要がある。

 

 1……不明

 2……1週間に1回。催眠実行者の匂いを嗅がせる。(フェイト、なのは※ペナルティにより1段階進行「催眠実行者の男性器」の匂いに変更される)

 3……1週間に1回。催眠実行者の体を舐めさせる。(リンディ)

 4……不明

 5……1週間に1回。催眠実行者の精液を飲ませる(すずか)

 6……催眠実行者の男性器または性交に対する命令を好きに設定する。それを1週間に1回実行する。※1番最初の設定にこれを行う。それが固定され継続の設定となる。(アルフ)

 

 

 

 □ペナルティについて

 下記行動が見られるまたは発覚するとペナルティが発生する。

 ・催眠状態を見られる。

 ・催眠を仕込んだ後で、その人が催眠がかかっている事がバレる。

 ・自分が催眠をかけていることと催眠手順がバレる。

 

 あと、継続対応を放置した場合もペナルティが発生する。

 

 ペナルティ発生時は蝶の羽で通知対応される。

 最大4段階あるらしい。

 1段回目……手首に燃えるような激痛が発生し続ける。

 2段回目以降は不明。

 

 ペナルティが発生すると催眠者は催眠から復帰する。

 ペナルティ復帰は再度その対象者を催眠にかける必要がある。

 再度催眠をかけると、継続対応のハードルがあがる。

 

 

 

 □報酬について

 催眠メンバーを増やせば報酬がある。(5名で貰った)

 その後は不明だが、恐らくは5名区切りと推測される。

 

 サブ対象者をメンバーにすると報酬がある。

 

 現段階で貰っている報酬は以下

 ・コピーお薬(催眠5名報酬)※使用済の為、現在未所持

 今いる世界にて、現段階において存在している能力、魔法、力など何か一つ同様の力をコピーして1回だけ使用することができる。

 ただし、使用した力の大きさによって体にフィードバックが発生する。

 そして、過去に失われている力や未来の力は利用出来ない。

 フィードバックに関して:

 体が大人に変化。そして淫欲の欲望が極大化された。射精を行うごとに、元に戻っていく。

 

 ・視線チェックウォッチ。(サブ報酬)※使用済の為、現在未所持

 効果は「今、自分を見ている人」の人数が表示される。

 使用回数は合計5回、現段階で残り3回 合計5回を超えると消える。

 

 ・指輪タイマー(サブ報酬)※現在、装着中

 催眠をかける時にこの指輪をしていれば、対象を指した後に1分経過すると指輪が振動して知らせてくる。

 壊れやすいみたいなのだが……強度は現段階では不明。

 

 ・名前教えてペンダント(サブ報酬)※現在、装着中

 ペンダントの宝石部分を触って相手を見るとその相手のフルネームが頭の中に浮かぶらしい。

 使用回数は1回。使用すると消えるらしい。

 

 

 重要:中間評価に関しての事項は、別途更に検討対策が必要である。

 

 

 ▲▲

 

 



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43話(無印編終了)迄-メモからの考察

ひとまずA's編に突入出来るように準備します。


 

 

 

トントントン

 

 

 

状況をメモに書き出しつつ、思考を回していく。

 

 

 

トントントン

 

 

 

メモを見つめ、他に何か必要なものが無いかを考える。

 

 

 

トントントッ……

 

 

 

一先ずはこれで検討を進めようと考え、無意識にペンを机に叩いていた手を止めて考察を開始するのであった。

 

 

 

中間評価に関しては、更に別途考察や対応検討をする必要があるので、頭の中が混乱してしまわないように、まずは無印編の終了した段階での考えを整理する為、無印編で行った内容等を書き出している。

 

 

以前にも考えたことであるが、これから行うことは自身の心を保つために考えを整理していく。そして相手の考えを出来る限り推測する。

そして、相手の目的を探り出しだして発見出来れば僥倖であった。

 

しかし、これも最初に結論を述べるが現段階でも「最終的な目的は不明」であり「行動するしかない」である。

ただ、行動を行うに辺り、自分が動く方針も考える必要があるため、検討や考察は纏めたいと思っていた。

 

なので、これはあくまで自身が頭の中を整理するために検討を重ねる行為である。

 

 

 

それでは、検討を始めよう。

 

 

 

□催眠対象者、催眠について

 

現段階で5名。今後は更に増える可能性が高いだろう。

実際、A’s編、StS編と進むに連れて、間違いなく必要な人員が出てくる。

そして増えすぎると間違いなく、継続対応及びペナルティのリスクが上がり過ぎて破綻してしまうのも分かってしまう。

これは当初の方針通り、そのストーリーを攻略するに辺り必要な人員を最低限まで絞りつつ対応を行っていくべきだと思っている。

……まぁ……男であるし……魅力的な人が多いので……多少…………ちょっと……多分に……残念と感じる所も出るかも知れないが、これに溺れると取り返しが付かないので自制するしかない。

 

そして、アルフの催眠設定で分かった事項であるが、『催眠内容』が固定されるという事実は重要だと思っている。

 

何故、これが重要かというと『催眠固定』という事象を相手が使って来ている為である。

今回は、あくまで継続内容を自由に設定して良いよと言う表現であり、それに対しては面倒であるが、そこまでのものではない。

懸念しているのは、それをペナルティ等に利用された場合だ。

 

今、提示されているペナルティ自体も受けたらほぼ終了するので、回避は必須なのだが、今後、更に追加された場合である。

例えば、報酬で貰ったコピーする薬みたいなもので、強い力と引き換えに何かペナルティが発生する場合、それを行う可能性が出てくることが否定出来ない。

催眠固定と言う事象を使ったと言う事実。それはその事象自体を彼女の考えに折り込まれていると言う意味でもある。

だとすると、今回だけではなく、いつ使われても可笑しくはないと考えられた。更に性格が悪質であればあるほど、発展させられる可能性もあると推測される。

 

自分で考えてみても「何番目の催眠を固定する」「消した催眠内容がランダムで復活して固定する」とか思いつくので、不必要な催眠設定が固定または忘れていた催眠が復活されると非常に厄介なのは目に見えている。

なので、極力必要なもの意外は追加しないように注意すべきだし、今、行っている催眠内容から変化させるのも危険にも思えてしまうので、極力弄らない方が自分の混乱を防ぐにも必要だと思っていた。

 

そして……欲に流されて行った催眠部分もあるので……それも自身の業として認識すべきであった。

まぁ……それが無くてもどちらにせよ我慢出来ないのは分かってしまうので……クズである。

 

さておき、これからは注意すべき事項としてこれは頭の中に持っておくべきである。

勿論、それに囚われ過ぎても意味が無い、省き過ぎてリスクが増す可能性もあるし、緊急事などで手が遅れてしまうと本末転倒だ。

あくまで基本的方針として持っておくべきと意識付けするぐらいで丁度良いかも知れないと思っている。

 

元々、多少頭の中の整理はしやすく出来るように設定の流用は使っていたので、それを更に意識しておくべきと結論付けた。

 

 

 

 

□難易度に関して

 

これはメモには無い内容であるが、考えておくべき内容である。

無印編が終わって自分が生きていた。世界が崩壊しなかったと言う事。

要するにクリア出来たと言う事実は、重要であると思っていた。

 

何故なら以前考えていた相手の目的でもある「英雄感に浸らせる」と言う所に大きな間違いはなさそうと言う事が考えられる。

大目的は不明だが、これを行わせると言う目的に大きな齟齬が無いのはクリア出来たと言う事実で分かってしまう。

 

もし、相手にその意思があれば、あの段階でも容易にクリア不可にすることは可能である為、相手にとってみればクリアして欲しいと言う要望が見えてくる。

ここで調子に乗らせて後で心を折ると言う展開も考えられなくは無いが、それだったら相手を嵌めるために、最初の難易度はもっと軽くすべきだし、もっと欲望に溺れさせる設定を追加しておくべきである。

 

 

あくまで筋道は立てられているということ。それは相手にとってその道を進むことが望ましいということでもある。

勿論、その道が勘違いしている可能性もある。ただ、それだと相手の思惑から外れてクリアは出来ないはずだ。

ひとまず、クリア出来たということは現段階ではまだ外れていないと推測出来る。そして相手の思惑通り……手の中であるということも分かってしまう。

 

なので道を外れ過ぎなければクリア出来るということはほぼ間違いないであろう。

となると考えることは、次へのストーリーだけでは無く、その次のストーリーも視野に入れて行う必要がある。

 

 

無印編だけに集中していたのは、そもそもクリア出来るのか未知数であったため、あの段階ではそれ以降考えてもリソースの無駄遣いになる可能性が高かったため、置いておいたが、今回の件でそれ以降も考えて行動することが必要になる。

この辺りは、別途A's編の動く方針を考えたいと思っている。

 

更に今回の件で思ったこととしては、プレシアとの戦闘で受けた最後の攻撃である。

あれだけは、プレシアの意思では無く、そしてジュエルシードの意思でも無く他の意思を感じられた。

 

事が終わり脱出するという焦りはありつつも、事が済んだという安堵感の隙を縫う攻撃。

そしてその攻撃対象は自分である。

 

 

偶然に偶然を重ねれば偶然の出来事として片付けられるかもしれないが、そんな偶然はもはや狙ってやったとしか思えない。

となると、あの攻撃はある意味、彼女の挨拶なのだろう。

 

 

「安心した?残念!!常に気を抜いちゃダメだよ〜」

 

 

と彼女的には軽い感じの挨拶。そして……

 

 

「世界がヤバイときに失敗すると言う事象は私が起こしている」

 

 

という事実を伝える為だ。

 

 

そう。これは推測であるが、恐らく間違いないと思っている。

正直、自分以外にあの攻撃を行っても非常に意味が無い。自分に当てる事で意味を成すのだ。

そして……見事に自分にその攻撃が来た。ならばそれはもはや狙っていたとしか思えないのである。

 

 

その意図は、考えたくはないが、世界が崩壊すると言うことを事前に止められないと言うことだ。

例えばジュエルシードを問題が発生する前に全て回収したとする。

そして問題なくアースラに回収してもらい、プレシアは病魔に犯され結局自滅してしまうと言うシナリオを行った場合、何かしらで世界がヤバイ自体を無理やり作り出す。

ジュエルシードが勝手に暴走するのか、プレシアに何かしら超常現象の力が発揮して無理やりジュエルシードを手に置くのか分からないが、絶対に世界が崩壊する事象を作り出すはずである。

 

 

そしてそれは完全に後手に回ることも意味する。

 

 

元々どこで失敗するのか不明だった為、ストーリーに沿うと言うことは考えて行動していたのだけれど、改めて今回の件でその進め方に寄っていく必要がある。

今のところではあるが、ちゃんとストーリー通りに進めた場合、ちゃんとクライマックスでそれを行ってくれたのだから、次も恐らくはその通りにするであろうと推測出来た。

多分……その裏を誘うのであれば、その次が効果的であると考えられる。しかし、別にその裏も考える必要はないかも知れない。

何故なら、彼女はクリアして貰う事が目的の一つだと仮定するとそこで裏をかく事に意味は無いからだ。

 

ただ単に心を折って苦痛を楽しみたいのであれば、別なのだけれど、それだったら他でいくらでもやりようがある。

重要なのは『世界が崩壊する事象をなんとかして救う』と言うことが目的であり、それ以外は他で代用が効く。

 

問題と思われるのは、別にそこで失敗しても相手は困らないってことだけである。

崩壊する事象をクリアして欲しい。けどそれは自力で行え。その環境の下準備は整える。と言った所だろうか。

 

 

自力でクリアさせると言うことは恐らく達成感もそうなのだけれど、そこに至るまでの行動が重要にも思えてくる。

まぁ、何度も思っている所ではあるが、要するに彼女から見て「それなりに使える人材」と言う試験だ。

 

 

そこから外れてしまえば切り捨てることに彼女の罪の意識は無いだろう。ある意味の成果主義とも言えなくはない。

切り捨てられたものの末路は想像したくもない。今はどちらにせよ縋り付くしか道はないのだ。

 

 

だからこそ、今のところはA’s編においてもストーリー通りには進めようと考えている。

ただ、あくまでストーリーをなぞると言う事が必要であり、過程は問わなくても良さそうなのが救いだと思う。

 

 

無印編においても自分が居る以上、本筋とは逸れることは間違い無かったが、それでもクライマックスへの道は沿ったつもりである。

そしてその結果が、今自分がここに居る。

 

 

クライマックスの事象を引き起こせればちゃんとそれに乗ってくれるはずなので、それをきちんと行わせていく事が必要だと思っていた。

なので、合間合間で調整はしておこうと考えている。

 

 

この辺りもA’s編の行動指針に組み込むべきだと思うので、後に回そうと判断した。

 

 

 

□継続対応に関して

 

現在、5名に対して催眠を行っているが、地球、ミッドチルダの人員に分かれることにより継続対応の難易度が変わってくる。

地球にて事件が起きている間はまだ問題は無かったが、これからしばらくA’sまで間隔が開くことにより、難易度が跳ね上がってくることも確実である。

と言うか、それだけで対応に追われてしまうかも知れないくらいに問題である。

 

しかし、これに関しては心配はあまりしていなかった。

これは彼女が行いたい指針を考えた場合に、その問題は彼女自身が許さないだろうと思ったからである。

 

「適度に快楽に溺れさせ欲望を満たし、適度に功名心を刺激させて自尊心を持たせつつ、先に進めさせる」

 

そもそもメイン人員を催眠して行った場合、地球、ミッドチルダ、それぞれに分かれる時間帯が絶対に存在する。

そして目的を達成させるに辺り、先の流れを読まずに組むことは稚拙だと思われる。

更にコケる事が分かるのに、メイン人員を定義すると言うことは、そもそもの設定にミスがあったと言うこととも考えられるだろう。

自分ですら辿り着くのだ。彼女にそれが分からないはずがない。

そして、彼女は今までの傾向から見るにあの口調とは裏腹にそう言ったことに抜かりはない。

 

ここで勝手にコケると言うことは彼女の舞台にミスがあったと思われてもしょうがない。

物理的に無理じゃん。と言うところが事前にあるのであれば、彼女はそれを回避するようにしてくるだろうと言うある意味の信頼でもある。

 

とは言え、最初に提示すると言うことは無いだろう。そもそもクリア出来るかは分からないからだ。

行けるかどうか分からない所で労力を掛けるよりも、ちゃんと行けた時に行えれば手間が少ないと考えられる。

 

なので、この辺りは勝手に解決されるだろうとも思っていた。ただ、勿論それに依存して失敗したら目も当てられない。

リンディさんには一度、戻ったあとは、フェイト・アルフ含め1週間以内に再度戻ってもらうことについて相談はしっかりと行っている。

 

ただこれも長く続けば破綻するのは分かるので、それまでに何も無ければ別の手を打つ必要があると考えていた。

 

まぁ……予測通り、色々と問題はあったが中間評価の時にクリアされたのだけれど……一先ず早く解決できた点はホッとした。

 

 

 

□報酬に関して

 

これは中間評価時に色々と判明したので後で纏めようと思う。

 

 

 

 

 

一先ず、一旦、息を入れて回していた思考をゆっくりとさせる。

そしてゆっくりとなってきた思考は、その後、脳が糖分を求めてくるのであった。

 

側においておいた温い温度に変化したコーヒーを手に取る。ブラックではない。糖分たっぷりの甘々なコーヒーだ。

本当は淹れたてを飲みたいが、そんな贅沢は言ってもしょうがないと考え、そのまま口に含む。

口の中にコーヒーの酸味と薄い苦味が舌を刺激するが、その後に砂糖特有の強い甘さが舌を包み込んだ。

 

その甘さを感じて、どうせならこのくらい甘くして楽に転生人生を楽しませてくれないかなと現実逃避したい気持ちが湧き上がる。

色々と良い思いをして何言っているんだ。と言う考えも頭に浮かぶが、人生楽に過ごせるならそれに越したことはない!とダメ人間の思考で討論を重ねる。

 

そして出る結論は……人生とは儘ならぬものである。と言う訳の分からない所に着地するのであった。

 

 

無駄な考えを持った後、コーヒーのカフェインの効果が発揮されたのか分からないが、少し気力を取り戻して、さて続きをしようと考えた。

 

 

 

 

……あの問題が多かった中間評価の内容を思い出すのである。

 

 

 

 



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44話

 

 

 ▼▼

 

 

 ではでは『中間評価』はっじめるよ〜〜!!! 

 

 

 これはね。なんとっ()()()()()ごとに評価をしちゃいます!! 

 

 

 評価が良ければご褒美もあるから、ラッキーだね!! (やったね♪)

 

 

 

 それでは……

 

 

 

 

 ドコドコドコドコドコドコ!! 

 

 

 

 

 バンッ! 

 

 

 

 

 ハーレム評価 メイン 2めい いえーいやったね!! サブ 3めい もうちょいハメをはずしてもいいかな〜(意味深)

 えいゆう評価 もっと盛り上がってもよかったね!! 次に期待!! 

 こうどう評価 う〜ん。無難かなぁ〜。

 ムフフ♡評価 もうちょいハメをはずしてもいいかな〜(意味深※2回目)

 

 

 そうごう評価:普通!! 

 

 

 と言うわけで、今回の評価は『普通』でしたっ!! 

 

 

 ありゃー普通だったかと残念がる必要はないよ♪ ()()()()()()たのし……ゲフン。すごいと思って良いかな♪ 

 評価内容は次も()()項目で行うのでファイト!! 

 

 

 

 では、今回は普通と言うことで、ポイント『1』ゲットだよー! (やったね!!)

 

 

 なんとっ!! このポイントは評価時に素晴らしい贈り物が貰えるんだっ!!! (すごーい!!!!)

 

 

 

 

※次ページに続く♪ 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それでは下記から贈り物を選んでね♪ (項目を指でなぞれば選択されます!!)

 

 

 身体能力向上

 

 特殊能力向上

 

 武器付与

 

 設備拡張←おすすめ♪ 

 

 

 ▲▲

 

 

 

 

 ………………

 

 

 色々と思うところは多いが、結論は出ている為、ほぼノータイムで選択を行う。

 指でその項目をなぞると新しく紙が目の前に現れた。

 

 

 

 

 

 ▼▼

 

 

 オッケー!! 『設備拡張』だね! 

 

 では、今住んでいるその家を拡張しちゃいます♪ 

 なんとっ! 『別荘』が出来ちゃうよ!! 

 

 2階に新しく扉を作っちゃったので、その扉を開けると『別荘』に行けちゃいます。

 これで愛の巣が増えちゃった♡(ムフフ)

 

 

 別荘の場所は、()()()の通りに行けると思うよ〜♪ 

 後、しっかりとおすすめを選んでくれた、ご褒美としておまけもつけちゃう(太っ腹!!)

 

 君の愛の巣を、無くならないように無敵にして上げるね。

 知覚、探知、攻撃、何が来ても防いじゃう!! (やっぱり私は出来る子♫)

 

 これで何も気にせずしっぽりと酒池肉林を楽しめるね! (いやんっ♡)

 

 そして区切りまで来たご褒美としてこれも上げるね〜♪ 

 

 

 ではでは、頑張ってね〜♪ 

 

 

 ▲▲

 

 

 

 

 手に持っていた紙が燃えて消える。

 そして更に目の前に一枚のチケットのような小さく細めな紙がヒラヒラと目の前に現れた。

 

 それを手に持って見てみる。

 

 

 

 

 ▼▼

 

 

 交換チケット♪ 

 

 報酬を3つ使って、今までに貰った報酬の中でどれでも好きなものに交換出来るよ!! 

 1回使ったらチケットは消えちゃいます。

 

 使いますか? 

 

 はい

 

 

 ▲▲

 

 

 

 

 なるほど。と思った。だが、何もかも『嫌らしすぎる』とも感じてしまう。

 そして……隔絶とした力の差と言うのをハッキリ理解させられる。

 

 まぁ……力の差は分かり切っていたことなので、それはともかく他の内容に関してだ。

 

 書かれていた内容を分解していく。

 

 

 

 まずは中間評価に関してだ。

 

 

 恐らく書かれている区切りというのは無印、A’s、StSとシリーズ毎の狭間であろうと推測出来る。

 ある意味のクエストリザルト画面だろうか。

 

 そしてその評価内容。

 ……評価のこと自体はさておき、評価項目は以前から感じている推測を強く裏付けされているように思える。

 

 

『適度に快楽に溺れさせ欲望を満たし、適度に功名心を刺激させて自尊心を持たせたい』

 

 

 そして彼女が言っていた「ハーレムを築き英雄になる」という所もブレていない。

 ならば、評価項目を見ても、恐らく推測は被っている所は多いのだろうと考えられる。

 

 

 

 後、これは喜ばしいのかよく分からないが、材料が増えた点。

 だが、その材料……評価項目を見た時に非常に残念に感じてしまったことが一つある。

 

 ペナルティに関してだ。

 

 ペナルティを受けたことで、それがマイナスになる項目が無い。

「こうどう評価」があり得そうだが、一度ペナルティを受けているのにそれがマイナスになっていないのは恐らくこれは違う項目なのだろうと思われる。

 

 勿論、何か他の行動で評価を稼いだ可能性もあり得るが、向こうが行いたいことを考えると、プラスになる動きに対して思い当たる節が無いのも事実であった。

 

 そして次も同じ評価と言うことを念押しされている。

 

 なら現状として考えるなら、ペナルティ自体はそこに入っていないということがあり得ると考えた。

 

 となるとどうなるかと言うと、ペナルティはペナルティでしっかりと発揮されることに意味があると言うことだ。

 実際、催眠に対するペナルティは発動すれば、ほぼ詰みに一直線に向かう為、絶対に避けるべき事項なのは変わらないのだが、もし発動してカバーを行えたとしても、それは想定内(向こうにとって当たり前)であると言うこと。

 そして……発揮されると言うことに意味があるとすれば、対象に何があってもルールに則ってペナルティが発揮される可能性が高い。

 

 本当の最終兵器。人としての論理感、感情、善意、慈愛、好意の心も何もかも投げ捨て、目的だけを達成させるための方策『催眠を行い、大量の人員の使い捨てを行う』と言うことが利用出来ない可能性が高いと言うことだ。

 何故なら『継続対応』が出来ない。その期間が過ぎれば恐らくはペナルティが発動する。

 

 そうなるとそこでカバーも出来ないので、終了である。

 彼女の下衆な言いかたをマネするのであれば「釣ったお魚に餌を与えない」と言うことは何があっても許されないと言うことだ。

 

 そして彼女がその言葉を言っている以上、抜かりは無いはず。

 現段階では考えすぎなのかもしれない。ただ、考えてしまうと、どんなにピンチでも方策として据えることに戸惑うことは間違いなかった。

 

 StS編で使用すれば良いのではと思わなくは無いが、StS編が本当に最後ならそれも考慮に上がるだろう。

 だが、決して彼女はどこが最後かを明示していない。話は終わっても世界は続いているのだ。

 

 

 彼女の基準に見合わなければ、続きもあり得る。

 

 

 何よりこれを実験することも出来ない。もし発動してしまえば終了なので、結局手を封印しておくしか今は出来ない。

 まぁ、元々使用するつもりは無かったが、カードとしては間違いなく消え去ってしまうだろう。

 

 このまま考え続けても色々と心の線引きの話になるので、ひとまず頭を切り替え次の項目に検討を進めた。

 

 

 

 評価内容に関しては、言い方は悪いかもしれないが、正直どうでも良かった。

『彼女の設定している道からそこまでズレていない』と言うことが分かれば十分だと思っている。

 

 評価内容自体で思うことは『もう少し爛れた関係を持て』と言うことだけど、これはあくまで要望レベルだろう。

 人数が多ければ多いほど破綻するこの状況下で、自分が思う限りの最低人数で進めているので、それを低評価してくるのは正直、ある意味の高評価だと自分では思っている。

 

 勿論、マイナスに傾きすぎないで良かったと思うが、最終結果が普通に落ち着くと言うことはそれも考慮されていると思われる。

 だから要望レベルだろうと思っていたのだ。

 

 そして、これは次に繋げるためのあくまでフリであると思っていた。

 

 

 

 ポイント報酬である。

 

 

 

 この報酬自体は思っていないことであったが、恐らくは何かしらの手が介入してくると思っていた。

 以前から考えていた場所問題である。

 

 これも彼女から与えると言うシナリオでなく、自分から選ばせると言うことも嫌らしさを感じた。

 まるで自分で掴み取ったかのように思考を誘導させる。

 

 ただ与えると言う事項を選ばせると言う過程を踏ませるだけで、こちら側に優越感を与える。

 恐らくは違うのを選んだとしてもその通りの力を授けてくれるだろう。

 そして詰む速度も速まってしまうと思われる。

 

 勿論、自分だけが正解しているとは思わない。ただ、自分の頭の中ではどうしても打破できず詰んでしまう未来しか見えないからだ。

 

 まぁ、仮定の話はともかく、優越感を与えることでどうなるかと言うと、自主的な動きを行ってくれるからだ。

 人間というのは、非常に複雑であるのは間違い無いが、それでも自然な形で楽しいという感情を持てば、誰に指図されなくてものめり込んでいくことが多い。

 そして優越感と言う感情、相手を読み切れたと言う心情は非常に心を惑わせる。

 

 ある意味の勝利に近い感情。それは甘美である。意識していなくても自然と求めてしまう。自主的に踊ってくれるのだ。

 もし行動が強すぎて失敗しても彼女にとってみれば、それはそれで良いのであろう。

 今までの傾向からすれば、別に失敗しても構わないのが透けて見えているのは間違いないのだから。

 

 人が持つ感情は強く、優しく、そしてブレやすい。そのままに従うと道を間違いやすくなる事例も多いだろう。

 そしてその感情で、思い通りにならなくなった時に糾弾するのだ。

 

 

「そうじゃない。自分の思い通りじゃない」と最終的な勘違いに発展していく。

 

 

 しかし、それは彼女の思い通りなのだ。結局はこれも一つの通る道の試験の一部であり、彼女の手の中であると言うことを意識しなければならない。

 

 では、そこまで思った自分はどうなのか? と言うことだけど、彼女からして見れば、

 

 

「別にそこまで考えられても問題は全く無い」

 

 

 だろう。結局辿り着くのは彼女へのヘイトだけで、それ以外は道を進むしか無いのだから。

 ヘイトが更に向かえば、それはそれで僥倖であると思っているはずだ。

 怒りと言う感情はそれはそれで行動力の原動力になる。

 

 

 むしろ彼女はそこまで行って欲しいのでは? と考えている。

 

 

 そもそもその考慮できる材料をばら撒いているのは彼女自身である。

 本来なら上記を意識させないのが「当たり前」だと思っていた。

 

 

 しかし、彼女はわざとにも思えるくらいに材料を残す。

 本当に隠したいのであれば……例えば自分なら評価は数値化をハッキリさせておく。

 そうすることで、ゲームっぽく演出させて評価に「何かの意味」を持たせたフリをする。

 そちらに意識を向けて、ポイント評価を行うのだ。

 ポイント報酬におすすめは書かない。更にチケットを普通に渡す。

 

 

 まぁ、よく考えていくとそれでも辿り着くのは容易であるが、要するに考えの矛先を逸らし、出来る限り本命の匂いを消す。

 そして選ばせたと言うことをきちんと意識付けることで、そこで考えを終了させるように道筋を立てる。

 すると、選んだ結果が「自分が考えていたものと同じだった」と言う事実で終了するので、そこで満足してしまう可能性が高い。

 考えの内面なんて、共感を求めることはあったとしても、それこそ他人に分かる訳がない。

 深く考えても相手の思考は結局分からないので、無駄な思考を重ねる必要も無いと判断することは間違いではないと思う。

 舞い踊ると言う目的が本命ならそう言った選択肢もあり得たはずだ。

 

 

 そう。それが本命ならばの話である。

 ただ彼女の楽しみであれば、こう言った隙を見せても不思議ではないと思えるが、仕事としてみた場合、彼女の行う内容としては違和感に感じられる。

 ならば恐らくはこれ自体は本命でない。その先を見せつけることで発奮を促す所までが彼女の手なのだろう。

 

 

 圧倒的立場、力があればこその選択肢でもある。

 しかもここで心が折れても良いし、発奮をしてくれても構わない。

 

 

 結局は、彼女の向かいたい方向へ加速させるための措置でしかない。

 

 

 だから、嫌らしいと思ったのだ。

 

 

 ともかく自分は結論は出ていたので、普通に『設備拡張』を選択した。

 ノータイムで選んだおかげなのかは分からないが、おまけもついてきたのは予想外であった。

 

 おまけにしてはかなり強力なものであるが、これは色々と後で検証しようと思う。

 

 

 そして繋がる先は、ミッドチルダのどこかに行くはず。

『想像通り』と彼女が告げてきたのは、結局、上記の考えも分かっていると伝えたかったのだろう。

 力の差と言うことを理解させると言う所はそう言う面もあった。

 

 

 ただ与えると言うことをせずに、こう言った手間を踏むと言う所はやはり言動はともかくとして、仕事はきっちりと行う主義だと感じた。

 今は何も出来ないがこう言った積み重ねの一つ一つで相手を剥いでいくしかない。

 

 

 

 あとは……交換チケット。

 

 これも悪質だ。何故微妙な報酬があるのかこれで意味が理解出来る。

 割と最初の部分で強い効果がある報酬を与える。

 そして微妙の報酬を続かせることで、最初の報酬を欲しがるようにして、この対応だ。

 

 間違いなく微妙な報酬を交換に回したいと思うだろう。

 そして、報酬を使用する機会を戸惑わせるのだ。

 

 

 そんな状況下で、もし、微妙な報酬とは言え、保険にもなるそのアイテムを使用する機会が発生したら考えてしまうだろう。

 勿体無い。だけど使用しないといけないかもしれないと言う思考は感情をブレさせる。

 それだけで、恐らく彼女の意味があるはずだ。

 

 その心の隙の中に何か入れたいのか、そもそも感情をブレさせることが目的なのかは分からないが、何かしらの目的があるのだろう。

 

 更にその報酬を得るために、催眠人数を増やす。そうなると破綻の確率も上がるが、彼女の目的も更に加速される。

 

 これも別にそれを見抜いたとしても、使用するかは否かは結局は自分なのだ。

 使う時にはどうしても判断する必要があるし、それに対して感情は絶対に生まれてしまうだろう。

 そして必要とあれば人員も増やすことも検討しなければならない。

 

 

 本当に目的のためには、手をちゃんと回すなと言う印象である。

 

 

 とりあえずはこれらを考えてA’s編に臨まなければならない。

 

 

 検証事項も多いため、それらを確認してからA's編の方針を纏めようと考えたのだった。

 

 



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45話 □エロ リンディ(お姉さんシチュ?

 

 

 はぁっ……クチュ……クチュ……

 

 

 

 お互いの衣類を通しつつも、人肌の温もりを感じた。

 柔らかい身体の感触とじんわりと広がる体温の安心感。そして抱き合うことで、相手の匂いが鼻を擽る。

 身体を重ねて、一緒にいるということを強く頭の中に意識付けさせてくれた。

 

 

 グッと自分の背中に回されていた手の力が強くなる。

 力を込められた動きは、身体と身体との距離が更に密着され、包み込まれてしまうような安堵感を生ませてくる。

 

 

 

 んっ……

 

 

 

 現在、顔と顔との距離はゼロである。相手から漏れる吐息が、まるで撫でるようにこちらの口付近を通り過ぎた。

 吐息が重なっていても決してお互い顔の距離は離れることはない。

 むしろもっと彼女は何かを求めるように舌を突き出し距離をゼロよりも深く……交差するように混じり合うのだ。

 

 

 

 クチッ……ずずっ……んっ……

 

 

 

 口内に何かものが入ると、自然と唾液が溢れ続けてしまう。

 しかし、その溢れてくる唾液は、お互いの口内を通して彼女の中に水音と共に取り込まれる。

 そして向こうの熱い粘度の高い唾液が舌を伝い滑り込まれてくるのだ。

 

 ほのかにも甘く感じる唾液は口の中を通り喉を伝って潤していく。

 

 

 

 クチュ……クチュ……んっ……

 

 

 

 唾液と唾液が何度も何度も交換され、それでも飽きることなく舌を絡ませ続ける。

 時には歯や歯茎をなぞるように動く相手の舌の感触は、首筋を擽られるようにゾワゾワとした気持ち良さを感じてしまうのだった。

 

 こちらの身体に回されている相手の手が、背中から少しずつ上がってくる。

 現段階では少年と大人でもあり、どうしても体格差が生じてしまう。

 背の高さが違いすぎる状態でお互い立っている現状だと、相手も中腰を維持し続けなければならなくなり、辛くなってきたのだろうと推測する。

 

 相手の手が上がってくると共に足を屈んでくる。そうなるとお互いの顔と顔の角度が平行になっていく。

 それに伴って相手の手が背中からこちらの首、そして後頭部へと回された。

 

 姿勢が動いている間もお互いの口はついたままである。

 距離を離すことは許されないというばかりに、ずっと身体の後ろに回されている手は、優しくも強くこちらの身体へと巻きついているのだった。

 

 

 そして後頭部に回されている相手の手の指が、優しくこちらの髪を撫でるように動かしてくる。

 

 

 指で髪を梳くように頭を撫でられる行為。

 それは性的快感というよりも、不思議と安心感を感じさせて、緊張を解き全体の力を抜けさせるような気持ち良さを感じる。

 リラックス感によって自然と相手に体重を預けるように身体の力が弛緩する。それによってお互いの密着感が更に高まったようにも思えてしまうのだった。

 

 

 そして前面で与えられるものは口付けという性的快感を与えてくれる。

 口付けは幸せの感情を、そしてお互いの舌が絡め合う刺激や唾液の交換は興奮を、お互い舌で口内をなぞりあげる動作は快感をそれぞれ身体を通して交換していく。

 

 

 しかし、身体が酸素を求めて、口の隙間から取り込むように大きく息を吸い込む。

 はあっ……と漏れる息はお互いの興奮を伝えるように相手の肌をくすぐるのだ。

 

 そして至近距離で抱き合っている為、相手の匂いを強く鼻でも吸い込まれる。

 その匂いは何故か安心させるようにも感じられるし、女としてこちらを興奮を誘うような劣情を催す香りにも感じられた。

 少しアブノーマルにも思えるが、彼女の匂いを嗅いでいるだけでも身体は正直に反応を示してしまうだろう。

 

 

 しかしながらも、抱き合いながらの口付けはそれを更に凌駕した。口付けを行っている段階で、こちらの身体の一部は強く張り詰めている状態だ。

 そのまま腰の部分を相手の肌に擦り付け快感を得たいと思うくらいに、頭の中はかき乱されている。

 

 

 しかし、相手の表情はまだ余裕があるようにも感じられた。

 顔の頬は艶やかにも見える肌色から、桃色を更に少し濃くしたように赤く紅潮しており興奮を示しているようにも感じられる。

 更に瞳も情欲に濡れたように潤んでいる。……が理性の光も見えるのも確かであった。

 

 

 慈愛に満ちた表情を見せつつも、まるで誘うようにも感じられる妖艶な雰囲気は、まだまだ相手の余裕を感じさせるように見えてしまう。

 

 しかし……包容力の清純さと、淫乱にも見えるその仕草。ギャップ的要素は、間違いなくこちらの心を震わせてくる。

 

 何もかも包まれてしまいたいという欲求、だけど、全てを汚したいという欲望。

 それぞれがこちらの頭の中をゆっくりと溶かすように締め上げるのだ。

 

 

 

 そして……その葛藤の心情すら見抜かれているように……彼女は口付けを止めて、顔を移動させ、こちらの耳に口元を近づけこう囁くのだった。

 

 

 

 

 今日は……教えたい? 

 

 

 

 

 その声は小さく囁くように、しかしはっきりと言葉をこちら側へと伝えてくる。

 言葉と暖かい吐息が共に鼓膜を震わせてくる。それはまるで背筋を指でなぞり上げるようなゾクッとした快感を感じてしまうのだった。

 

 

 

 

 それとも……()()()()? 

 

 

 

 

 次の言葉と共に相手の舌先がこちらの耳穴をくすぐってくる。

 ひあぁぁとした声が自分の頭の中で響き渡るが、口付けで蕩かされた敏感な身体は快感しか伝えてこない。

 

 

 

 ちゅっ……

 

 

 

 そのまま耳にキスをされた後、彼女は顔を移動させてこちらの正面と向き合った。

 その瞳はまるで妖のような不思議な艶を感じさせて、完全にこちらを誘っているようにも見えてしまう。

 

 

 

 視線を交わしている中で生まれる甘い空気は、興奮と欲望を次々と溢れさせ、心がたぎり続けてしまう。

 

 

 もし……本当に思春期の少年だったら、これを体感してしまうと間違いなく性癖が書き換えられてしまうだろう。

 

 

 視線ですら蕩してくるその行為を受けて、そのうち掻き消えるであろう、わずかに残っていた思考はそう結論付けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 口付けをする前の状況だが、場所的問題の解決前に仕込んでいたリンディさんの再訪問である。

 

 継続対応と家の検証を確認しておきたいのもあり、リンディさんを家に招待したのだが、家の中に入った瞬間にこうなってしまった。

 

 

 

 リンディさんは自然に身体を動かしてきて流れるように口付けをしてきた。

 そしてその口付けはあっという間にこちらの理性を溶かし心を塗り替える。

 ……検証は後でも良いかな。と思えてしまうくらいに相手の手腕は敏腕であった。

 

 

 しかし……その手慣れたようにも感じられるその仕草は、ある種の嫉妬心を掻き立てられる。

 この女性を手に入れた男性がいるという事実。そしてその愛の結晶があるという事実。

 

 勿論、本気でそう思っている訳ではない。あくまで心のスパイスとしての嫉妬心である。

 しかし、そのスパイスは心を熱く染まらせる。この女性を自分色に書き換えてしまいたいという欲望だ。

 

 慈愛にも思えるその包容力を全て自分に向かせたい。そして家族愛と言う感情を塗りつぶし女という感情で染め上げたい。

 黒い欲望は興奮を誘い続けてくる。そして彼女に見える潤んだ瞳で行われる誘いの仕草は……まるでそれをして欲しいというようにも感じられてしまうのだ。

 

 

 しかし……こうも思ってしまう。

 その感情の誘導すらされているようにも感じられるその手腕。それで、快楽を得たらどんなものであろうという感情も否定出来ない。

 勿論、以前も含め……色々と体感はしているのだが……更に新しい快感を得ることが出来そうな誘惑は魅力的であった。

 

 

 その……こちらの一瞬の迷いを見抜いたかのように、リンディさんはクスッと笑うような仕草を見せ、再度口元を耳に近づけ囁いてくる。

 

 

 

 

 

 こういう時はねぇ……

 

 

 

 

 両方……って言って良いのよ

 

 

 

 

 

 言葉と共に、また耳を舌で舐められた。唾液の水音が大きく聞こえ、ゾクゾクとした快感が頭の中をかき混ぜられてしまう。

 正しく進行形で、完全に仕込まれている状態であるのだが、もはや思考は快楽を得たいという気持ちでいっぱいであった。

 

 

 

 そして…………自分の家であるにも関わらずリンディさんに手を引かれ自室のベッドへと向かう。

 

 

 

 ぽふんっというようにベッドへと身体を預けた。いつも使用しているそのベッドは優しく包み込んでくれるが、気持ちは別なことで埋め尽くされている。

 

 最初は自室に入った後、服を脱ごうとしたのだけれど、リンディさんにそれは静止させられた。

 リンディさんに何かこだわりがあるのだろうか……と考えつつもそれに素直に従い、ベッドに仰向けで横になる。

 

 

 横になっている状態のまま、期待で心臓の鼓動が激しくなっていく。

 それを見透かすように、リンディさんもゆっくりとベッドに身体を移動させてこちらに覆いかぶさるように身体を重ねてきた。

 

 

 

 完全に自分は仕込まれる側である。

 

 

 

 ドキドキ、うずうずとした気持ちでリンディさんを見ていると行動が開始された。

 彼女の細い手がゆっくりと動き、上半身の服と肌の間に入り込んでくる。

 

 服の中で温められていた肌は、侵入してきた手の温度の差異で、少しひんやりとした冷たい刺激を伝えてくるが、すぐに手本来の暖かい温度を感じさせてくれる。

 そしてその手は肌の表面を滑らせつつ、時には肌の感触を楽しむように表面を揉み込んでくる。

 

 まるで筋肉を確かめられるような指の動きは、少しくすぐったさも感じてしまう。

 しかし、じゃれ合うような動きはこちらに安心感を与え、身体の強張りを解きほぐすのだった。

 

 

 そうして……彼女の指はこちらの乳首の部分へ到達する。

 

 

 肌をくすぐられて敏感になっている身体は、指の刺激を快感に変えてくれる。

 クリクリと乳頭部分を指の腹で優しくこねくり回すように動かし、時折乳首の周りを回すように指で滑らせてきた。

 

 刺激が強くもあり、鈍くもある乳首への愛撫。

 優しくも丹念にそして時折意外性を持って指を動かしてくる。その刺激してくる快感は、自然と小さく声が漏れてしまうのだった。

 

 しかし、リンディさんの攻めは始まったばかりである。

 

 柔らかい手でそのままこちらの乳首を攻めつつも、もう片方の手はこちらの下半身へ向けてくる。

 そして……ズボンの上から硬く主張し続ける部分へ手を重ねて優しくなぞりあげてきた。

 

 

 

 おちんちん……おっきくなってる

 

 

 

 その手の感触を伝える形で、リンディさんは顔を耳元に近づきそのセリフを言ってくる。

 何故かその言葉は羞恥を煽り、恥ずかしさを覚えてしまう。

 自分の顔の温度が上がったようにも感じてしまった。

 

 リンディさんの手の動きは止まらない。

 最初は手のひらで、さわさわと全体的になぞるように触っていたが、次第と動きが変化して、指先で少しずつこちらの形を確かめるように摘んでいく。

 竿の部分、そしてカリ首、亀頭と敏感な部分を優しく挟み込まれる指で快感を与えてくれるのだ。

 

 そして乳首も攻める手も止めていない。指でこねくり回される刺激は、ずっと感じてしまいたいと感じさせてしまう。

 本能で快感を欲しがり、つい身体が指が動きやすいように姿勢を合わせて続きを求めてしまう。

 

 リンディさんはそれに機嫌を良くしたのか、手を動かしながらも更に顔をこちらに近づけてキスをしてくる。

 最初は唇と唇を触れさせて、その肌の柔らかさを堪能させてくれた。

 

 そして唇と唇の挟み合いから、少しずつぴったりと口が合わさって、キスをしているという実感を頭に刻み込ませる。

 口付けの幸せの感情を埋め込ませたまま、舌を絡めてくるのであった。

 

 

 

 キスをしながら……リンディさんの手が動きが変化する。下半身を撫でていた手で、ズボンのチャックが開かれてくのを感じた。

 その内部で硬くなっている部分は、開くことでズボンの中で窮屈な状態から、少し開放される。

 

 だけど、まだ下着の中で窮屈な状態だ。リンディさんはその状態を愛おしそうな指遣いで確認して、更に下着の上から愛撫を行ってきた。

 

 指先がカリカリと裏筋の部分を擦り上げる。

 性感帯が多数存在する中でも特に強い部分を刺激される。その快楽はもう……気持ち良いとしか言いようがない。

 

 鈍くも優しかった刺激から、強く気持ち良い快感に書き換えられる。その刺激は彼女の手の中で、ビクビクと動作を行ってしまい喜びを表現してしまう。

 彼女はその喜びを高めるかのように、指先で陰茎を摘むようにして、上下にゆっくりとしごくように動かしてきた。

 

 その射精を促すその動作の快感は、頭の中で快楽と共に発生する光のような発光する感覚を更に強くしてしまう。

 自分の意思で動き得る快感とは違い、他人が動き快感を得る状況。常に与えられる新鮮な快感の波は、思考を溶かし耐えるだけで精一杯だった。

 

 

 

 そして……リンディさんはこちらの服を脱がせ始める。

 

 

 

 様々な快楽によって、息も絶え絶えになりつつあった状態であった為、リンディさんのその動きに素直に従う。

 リンディさんの手腕によりあっという間に裸になった後、リンディさんの本格的な攻めが始まるのだった。

 

 

 リンディさんはこちらが仰向けで寝ている状態の両足を手に取る。そしてこちらの足をガバッと音が聞こえそうな感じで開いてしまった。

 

 両足が開かれたその中央部分にビンビンに主張しているものが、リンディさんの視界に入り込んでいるはず。

 その部分に空気とは別に熱い刺激が入っているようにも思え、じっくりと見られているような視線を感じてしまう。

 

 

 

 ……この体勢は自分がやられるとよくわかる。

 

 

 

 物凄く……恥ずかしいぃぃぃ。

 自分が発情している状態をじっくりと一方的に観察されるのは羞恥心を煽られる。

 散々やってしまったが、それぞれ顔を逸らしてしまうのも納得である。自分も両手で顔を隠してイヤイヤしたい。

 

 

 

 しかし……その羞恥心によって興奮してしまうのも事実だった。

 

 

 

 いきり立っているそれは更にビクンッビクンッと動いてしまう上に、亀頭部分に力を入れて大きくしてしまう。

 恥ずかしいけど見せたい。快楽を得たいと主張して、リンディさんにお願いしてしまうのだ。

 

 そして……リンディさんはその姿を見て妖艶な笑顔を浮かべて顔を股間に近づいていく。

 

 顔が股間部分へ到着した後、リンディさんは鼻先を袋の部分にピタッと密着させた。

 

 

 

 

 すぅーーーー

 

 

 

 

 敏感になってしまった肌が、空気の流れを感じてしまう。

 その空気の流れを感じた時に、何を行っているのかの意味をこちらに教えてくれた。

 

 

 意味を理解するにつれて羞恥と興奮が加速する。

 リンディさんは、鼻を肌にぴったりとくっつけながら、袋部分から竿の根元へ上がってくる……そして、まだ完全に剥け切っていない亀頭部分へとスライドさせていくのだった。

 

 亀頭部分は、もはや先ほどの快感によって全体的に我慢汁でぬめるようなコーティングがされている。

 しかし、リンディさんはそんなことを気にしないように鼻先をそのまま亀頭部分にペタッとくっつけていた。

 

 鼻の少し硬めにも感じられる独特の肌の感触とともに空気が動いている感覚が亀頭へ伝えられる。

 空気による弱い快感も頭をジリジリと焼いていくのだが、それよりもそのシチュエーション。行われている内容自体が頭の中で理解することで、強く心を興奮に誘ってくるのであった。

 

 そしてリンディさんは亀頭部分を特に念入りに嗅ぐ。

 スンスンとした動き。ヒクヒクと鼻が震えるような感触は、男性として最も強く感じられる匂いを嗅がれているという事実を強く意識してしまう。

 

 しばらく羞恥心に煽られながら匂いを嗅がれた後、リンディさんは顔を上げてこう告げてくる。

 

 

 

 

 ふふっ。ちゃんと男の子の匂いね。

 

 

 

 

 言葉と共に見せてくるリンディさんの笑顔。それは何か色んなものが渦巻いている心が吸い込まれるような感覚に陥る。そして……何か心が歪み新しい何かへと書き換えられてしまうようにも感じてしまった。

 目覚めちゃいけない扉がかすかに開いた状況で、リンディさんは再度、顔を股間部分へと近づいていく。

 

 

 

 いよいよ……と快楽への期待感が昂り、その快感を得ようと頭の中が想像でいっぱいになったが、リンディさんは股間部分に顔を近づけた後、更に手に力を込めてこちらの腰を更に浮き上がらせるように体勢を変更させた。

 

 そして顔が股間部分……よりも下の部分へ密着される。

 

 

 

 えっ、あっ……待って……またなの? ……だから……そこは……と思った時にはリンディさんの舌が動いていた。

 ヌルッと生暖かい感触が、アナルの中央部分に走る。

 

 その生暖かい刺激は掴まれている腰をビクッビクッと反射的に動かしてしまう。

 しかしリンディさんはその見た目よりも強い力で、しっかりとこちらの腰を固定しており体勢は崩れることはなかった。

 

 そのままリンディさんは攻め続ける。

 アナルの中央部分を舌先でなぞるように滑らせる。そして周囲の皺……隙間隙間部分も余すことなく舌が這って行く感触が感じられてしまった。

 

 その快感を得てしまうと、もはや自分は、あっ……あっ……と女の子のように声を上げることしか出来ない。

 ある意味筋肉の塊でもあり、神経が集中しているその部分を丹念に舌でなぞり上げる刺激は快楽神経を直接触れられているようにも感じてしまう。

 そして……何よりも尻穴を舐められているというシチュエーションは、征服感をどこまでも突き上げてくるのだ。

 

 心と身体の快感と合わせ、反射的にキュッと窄めるように収縮してしまうのだが、それも舌先の快楽で再度少しずつ緊張が緩められてしまう。

 そして舌先のグリグリと行われる摩擦によって強い刺激を得ることで再度、窄めてしまうのを繰り返して行く。

 

 リンディさんは、飽きること無くそのままずっとアナルを舐め続けてくる。

 顔とお尻の部分が密着している状態なので、時折息による空気がぶぶっと漏れる。その空気の刺激と下品にも聞こえる音は、こちらの恥ずかしさと快楽を更に向上させてしまうのだ。

 

 最初はチロチロと細かく動いていた舌が段々と……にゅるにゅるんという感じで動きが大胆になってくる。

 舌の動きが大きくなるにつれて、こちらの快感は更に強くなってしまうのだ。

 

 それは……ずっと感じてしまいたい溺れるような快楽。浸っていたいと思わせてしまう彼女の舌の動きは、着実に欲望をため込んでいく。

 

 そしてリンディさんの舌がある場所でストップする。

 アナルの中央部分。穴のど真ん中だ。

 

 舌の筋肉が弾力を伴って少しずつ硬くなってくるように感じられた。

 それを感じてしまった瞬間、次に何が起こるのかも理解してしまう。

 

 

 

 ちゅぷ……ずっ……ずっ……ずずっ……ずずずっ……

 

 

 

 少しずつ少しずつその硬くなった舌は唾液を潤滑油として穴の奥に潜り込もうとする。

 その刺激と快楽は、キュッと窄むようにこちらの筋肉を収縮させてしまうが、リンディさんはそんな動作は無意味だと言わんばかりに更に舌に力を込めて潜り込んでくる。

 

 

 

 ひぁ……ひぁぁぁ……ぁぁぁぁぁ……

 

 

 

 ベッドシーツを手で握りその快感を耐える。頭の中で発生する悲鳴はもはや意味をなさない。

 快楽中枢がこれでもかとあるその部分。排泄に似た快楽を意図的に発生してくるその愛撫。

 そしてそれを行ってくるのが舌先という事実は、様々な欲望を満たし快感を興奮する心を加速させてしまう。

 

 

 

 ずずっ……ちゅ……ずずずっ……

 

 

 

 ゾクゾクとしたアナル部分の刺激は、こちらの身体の抵抗が完全になくしてしまう。もはや何もかも受け入れる状態でしかない。

 その雰囲気を察したのか、リンディさんは足を両手で掴んでいた状態から、片手をこちらの腰を抱き込み、顔をより密着する状態を作り出す。

 そしてもう片方の手は、快楽で震えている陰茎を手に取るのであった。

 

 

 

 おちんちんも……シコシコしてあげるわね。とリンディさんの心の声が聞こえたような気がした。

 陰茎を触っていた手は、更にゆっくりと亀頭部分に指を回して、完全に露出するように動かすのだった。

 

 その刺激だけでも正直、射精に近い強い快感が発生した。快感の喜びを示すように男性器を常に震わせてしまう。

 

 

 

 そして……彼女の手が優しく上下に動く。

 

 しこしこ……しこしこ……とリンディさんの声が聞こえるように優しく動くその動作は蕩けるような快感を生み出した。

 更に彼女の舌がアナルを刺激し続ける。

 

 

 正直……このままやられ続ければ間違いなく、以前と同様に容易に達してしまうだろう。

 

 指が裏筋をこねくり回し、肌を擦るように動かして、強い快楽を生み出す。

 亀頭部分に力を込め大きく膨らまして、その快感をもっと享受しようとしてしまうのだが、リンディさんはそれを見抜いたように竿の方へと刺激を移動させてくる。

 

 蕩かされている頭の中は、終着へ向けて強い快楽を受けたいのだけれど、まるでコントロールされているかのようにそこまで達せない。

 アナルへの刺激、そして男根に感じる刺激は間違いなく強い快楽なのだが、射精への道筋までたどり着けない。

 

 

 もっともっと弄って欲しいと自然に少しずつ身体に力が入り始めて体勢を動かそうとする。だが、どこにそんな力があるのかと思わせられるくらい、リンディさんに抱え込まれている状況から抜け出すことはできなかった。

 

 

 ……ここで心や身体が理解してしまう。リンディさんに覚えさせられているのだと。

 心を欲望で浸し、身体を快楽に溺れさせる。まるで、それはリンディさんへ身も心も依存させて行くように感じてしまうのだ。

 

 

 いかせて下さいとお願いすれば、あっさりとそれは成し遂げられるだろう。

 しかし……それは回避したい。なけなしの男のプライドを投げ出して、彼女の手腕に屈しましたというのは、それこそ本当に新しい扉が開いてしまう。

 

 だが、この快楽攻めに対して現段階で何かできることも正直無い。そして……心と身体も溺れる状態で良いと思ってしまっている所があるのが悔しい所だ……。

 だからこそ、今は我慢の時と言い訳をしつつ快楽に浸ろうと思う。

 

 

 

 そんなどうでも良いことを考えていたせいなのか、先ほどよりも気持ちが少し落ち着いてきたので改めてリンディさんの攻めを受け入れる。

 

 

 

 しかし、リンディさんの手腕が衰えることはない。アナルをねっとりと丹念に舐められながらシコシコと陰茎をシゴいてくる。

 更に裏筋もこねくり回すように擦られてしまうと、落ち着いた気分もあっさりと流され、快楽に完全に溺れてしまい思考能力が再度掻き消えるのだった。

 

 

 

 ヘコヘコと腰を動かしてしまいたい。もっと強い刺激を亀頭に感じて、精液を迸りたいと言う思いが強くなってしまう。

 

 

 しかし、リンディさんは許可をしてくれない。むしろ更に舐めてくる舌の動きを変化しはじめる。

 

 顔をずらすように動かしてアナル部分から袋の根元部分までゆっくりと舌を移動させる。

 俗に言う蟻の門渡りの部分に舌が這って行くのだ。

 

 

 

 いぃぃぃぃぃぃっ…………

 

 

 

 袋の部分にゾクゾクとした感覚が走り、快感の声が頭の中で響きわたる。実際にもその声が少し漏れたかも思えるぐらいに、その刺激は敏感に身体に刻み込まれるのだ。

 そして今度は袋の根元部分を集中的に舐め上げてくる。

 

 

 

 れろっ……ちゅ……ちゅ……れろっ……

 

 

 

 まるで袋の柔らかさを唇や舌で楽しむように啄みつつ舐め上げてくる。

 根本部分を舌先でマッサージするかのように押し込んだ後、ぐるりと袋全体を舐め回すように舌を移動させ舐め続ける。

 

 柔らかいその部分さえも解きほぐされるその動き。ドクドクと身体が脈動して新しい何かが袋の中に装填されるようにも感じられた。

 

 袋の部分を舐め上げられている間、男性器はずっとビクビクしっぱなしである。

 しかし、リンディさんの手の中でおさえられており、かつその間もずっと手で愛撫され続けている。

 もはや、我慢汁で全体が濡れわたり、ローションでシゴがれているようにヌルッとした快感は色々と限界を近くする。

 

 そうしてリンディさんの気がすむまで玉舐めが行われるのだった。

 

 

 しばらくその状況下で悶えていたのだが、舌で丁寧に磨かれた袋を見て満足したのかリンディさんの舌の動きが止まり、最後にちゅっと袋へキスをして、こちらに顔を向ける。

 

 

 

 ……汗の味。とっても甘くて美味しい。

 

 

 

 妖艶な雰囲気から発せられるその言葉に心がゾクゾクとしてしまう。そして、ほぅと軽くはあるが熱い吐息を吐くそのリンディさんの仕草に脳が勃起する。

 リンディさんは、そんなこちらの興奮を知ってか知らずか姿勢を変化させてきた。

 

 抱え込んでいたこちらの腰を下ろして、男性器を弄っていた手を確認する。

 手には溢れた我慢汁がヌルヌルと付着しているのだが、リンディさんはそれを、ちゅっちゅっと音を立てて、こちらに見せつけるように舌で舐めていた。

 それは……これから更に行われる行為を連想させてしまう。

 

 綺麗に指を舐め終わった後、改めて仰向けになっているこちらの股間部分に顔を下ろす。

 そうして近づくのは何もかも期待に満ち溢れている我が息子である。

 

 顔が近づくにつれて、ピクピクと小刻みに震えるそれを確認して口をあーんと開くのであった。

 

 

 

 そして……

 

 

 

 にゅるん

 

 

 

 まるでそんな感じの表現がぴったりと言うくらいの吸引力でリンディさんの口の中に吸い込まれる。

 男性器全体が体温の暖かさに包まれるのを感じた瞬間、更に何かを突き破るような快楽が発生して脳髄を焼き始めた。

 

 

 

 ちゅるちゅるちゅる……んっ……じゅっ……

 

 

 

 ストローで飲み物を吸うかのような強い吸引の力と共に舌が陰茎全体に纏わりつく。

 纏わりつく舌の摩擦は陰茎全体を溶かされるような錯覚を引き起こし快感を発生させる。

 

 

 

 うぁっ……と刺激に声を出してしまうのだが、相手の舐めるスピードは止まらない。

 全体を舐められた後、今度は舌先でカリ首の窪み部分、特に裏筋部分を強く念入りに擦り始めてくる。

 

 くっちゅくっちゅと口を動かす音が聞こえ、頬の動きと共に蕩けるような快感が陰茎を伝わり脳を犯す。

 そのまま上下に動かすこと無く……男性器全体が咥えられている状態だけで、限界が訪れることが分かってしまった。

 

 足をピンと伸ばすようにして腰を突き出し、更に強い快楽を求め口内の奥に潜り込もうとする。

 しかしリンディさんの口内はどこまで進行しても底が無い。その深さはまるでリンディさんの包容力を感じさせてくれた。

 

 腰を突き出している状態で、先端部分に力を込める。口内で亀頭が更に大きく膨らみ摩擦の影響が更に強くなった。

 リンディさんはその大きくなった亀頭部分を舌先で刺激し続ける。

 

 裏筋を上下に細かく舌が伝う。蕩けるようにずっと浸りたい気持ち良い感触は、あっという間に限界を突破するのであった。

 

 頭の中がスパークする。白い光が頭を焼き尽くすと同時に様々な刺激によって溜め続けたものを解放する。

 体液が身体の中を伝う快楽。欲望を解放する快感を味わいながらも、更に快感を得る為、リンディさんの頭を腰に強く押さえつけて奥に入れようとする。

 

 ポンプのように筋肉が収縮して、精液を放出し続ける。その快楽の時間は一瞬でもあり永遠にも感じてしまう。放出の快感に浸ることだけで、他に何も考える事は出来なかった。

 リンディさんはその状態で更に喉を動かす。放出する動きを更に手助けするように、そして放出したものを取り込むように喉を鳴らして射精の快楽を強めてくれた。

 

 それは……今後、自分だけでは絶対に満足出来ないと思えるくらいの快楽が身体に魂に刻み込まれるように感じてしまった。

 身体全体が快感で震え、脳髄が焼き尽くされるような感覚がしばらく続き、波に溺れ続けるのだった。

 

 

 

 そうして……その強い快楽から少しずつ少しずつ波が引いていき、脱力感が身体を包み始めた。

 自然とリンディさんを抑えていた手を緩めると、リンディさんは口を動かし更に残っている精液を吸い取るかのようにゆっくりと口内で啜り上げてくる。

 

 そしてリンディさんの手が袋を優しく包み込み指で揉み込まれる。

 柔らかい手による優しい快感は自然と竿の筋肉を収縮させて残っている精液を放出させていくのだった。

 

 全て出し終わってもリンディさんの舌の動きは止まらない。

 まるで残っているカウパーなどの汚れを落とすかのようにカリ首を念入りに舐め上げてちゅうちゅうと吸い込むのであった。

 

 イッた直後の敏感なその部分を優しく擦り上げる。くすぐったさと気持ち良さが半々となるくらいの快感。

 時折くすぐったさが勝り、身体がビクッと反応してしまうのだが、唾液と舌の優しいお風呂はずっと浸っていたいと思ってしまう。

 

 そうして……リンディさんのお掃除時間が終わった後、彼女の口内から解放された。

 

 開放した後、リンディさんは口内に残っているものを全て飲み込むようにコクリと喉を鳴らした。

 

 そして……口内から開放され、まるで湯気が立っているような熱い男性器を見つつ、絶頂の余韻で息が上がっている状態を落ち着けようと深呼吸する。

 そうして少しずつ冷静な思考を戻そうとしていると……

 

 リンディさんはその落ち着く時間を利用するかようにして、服を全部脱いでいた。

 

 豊満にも思える胸。そしてむっちりと肉付きが良いその身体を見て、落ち着きそうだった思考が逆ベクトルへすっ飛ばされる。

 

 そして裸のままこちらに近づいてこう囁くのであった。

 

 

 

 次はぁ……

 

 

 

 裸と裸の身体が重なった後、リンディさんの顔がまた耳の付近に近づいて、フゥーと息を吹きかけられる。

 

 

 

 私に教えてくれる? 

 

 

 

 魅惑的なボイスによって、心が再度火が灯る。

 重なった身体の中で、その要望に応えようとピクンと息子が反応するのであった。

 

 





書き終わった後、これは何のシチュにあたるんだろう……と思ってしまいタイトルに疑問符をつけてしまいました……。


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46話 □エロ リンディ(オスガキVS未亡人① 匂い嗅ぎプレイ?

少しだけハードかなぁ…と思う内容なのでタイトルのプレイ内容的に苦手な方はスルーして頂ければと。


 

 身体を重ねる行為。

 

 

 

 体温を分け合う行為。

 

 

 

 それは一つの側面として例えば寒い中、お互いの熱を共有すると言った癒し等の神聖的なイメージを持つが、今感じているものはその真逆。

 何処までも堕落させるように、魅惑的な熱を相手に与えてくる感情だ。

 

 熱を持っている肌は重なり合うことで、視覚には、はっきりと映らないがお互いの水分。

 恐らくは汗をしっとりと感じることが出来る。

 それは肌が擦れ合うことで、触感として脳に情報を伝えてくれるのだ。

 

 

 

 そして…………その汗が空気と混合されることで、まるでフェロモンのような形で、自分の鼻腔へと相手の匂いが吸い込まれる。

 

 

 それは……こちらの世界に来てからは体験していない記憶━━━━上質で豊潤な香りを醸し出す。高級なアルコールを摂取したような気分を蘇らせる。

 

 

 

 ━━━━正直に言うと、お酒は特段好みという訳では無い。自分の記憶の中にあるのは、お酒と言うのはあくまでツールの一つで収まっている。

 

 

 

 平常的には飲まないが、必要に応じて飲むことも戸惑わない。

 

 

 飲むことで、酩酊感を持って、ある種の鎖から心が解き放たれるような気持ちが湧き上がり、脳が覚醒するような感覚。

 そしてアルコールが抜けると平常に戻るようにする為、身体が解毒するように負担が掛かる。

 

 結局は覚醒している時間とその後に控えている解毒時間を考慮した場合、平常の活動時間をきちんと持っていた方がパフォーマンスがあると思っている。

 何よりも酔いから覚める時の時間が面倒に思えてしまうのだ。

 

 

 とはいえ、社会を生きていく上ではそれだけでは事が通じないことなど理解している。

 

 

 

 営業職という役割は、それも一つのツールとして利用しなければならない事も多い。

 そして営業職だけではなく、技術職、そして管理職なども利用しなければならないことは全然あるだろう。

 

 心の鎖を外し語らう行為は、相手の懐を知る事も出来る。

 

 

 内部であれ、外部であれ、事を進めるのに古くから利用されている立派な活用方法である。

 

 

 

 まぁ……元からお酒を好きな人も多いのは事実なので、別にこの考えに囚われる必要はないのだけれどね。

 

 

 

 考えが逸れてしまったが、要するに彼女の匂いはこちらの理性を徹底的に酔わして、欲望の獣を開放させようとしてくるのだ。

 少しでも理性を持たせようとする為に、なけなしの意志を持って思考を重ねたのだが……焼石に水であろうということが、彼女がぴったりと身体を密着しつつ肌の快楽を与えてくることで理解してしまう。

 

 

 

 高級で上質な酒は、嗜んだ相手を舌で匂いで……そして意識の中枢に入り込んで、綺麗に酔わせてくれる。

 

 

 

 刺激的な感覚と共に無理やり意識を解放させてくるのではない。

 ゆっくりと舌で転がすことで……酒として仕込まれた素材の風味を味覚として味わえるように、そしてアルコールとしての効果を出してくる。

 自然と意識を解放させていくのが、そのお酒としての品位を感じさせてくるのだ。

 

 

 

 リンディさんは…………それはもう超一級品であった。

 

 

 

 抱き合いながら彼女の顔を至近距離で見つめ合う。

 

 彼女の瞳。今現在もその艶やかな毛先で身体を擽ってくれるライトグリーンのような髪と一緒の色を携えている。

 潤んだ瞳は光沢を放ち、エメラルドのような宝石としての価値観すら持ってしまう。

 

 そして優しげな表情を持ちこちらを見つめてくる。

 瞳から映し出される感情は、慈愛……そして欲望。

 

 

 自分が望んでいる行為をこちら側に求めていることは明白であった。

 

 

 はっきりと表には出してこないのは、彼女の性格ゆえなのだろうか。

 しかしはっきりとこちらへ意図を伝えてくる、その姿は獲物を狙う獣のようにも感じられてしまう。

 

 

 

 弱肉強食。

 

 

 

 自然界における一つの真理である。

 弱きものは肉となり、強きものへと貢がれる。

 

 今の状況は、正しく自分は弱きものにあたるだろう。

 

 彼女の手腕に魅せられて快楽を仕込まれ、欲望を消化される。

 そして……彼女の望むような形で、更に彼女の欲望を貪るのだ。

 

 

 

 ……まぁ……それは流石に大袈裟だとは自分でも分かっているが、ベッドの主導権は間違いなく彼女が握っている。

 

 

 

 それを許容して、快楽を受け入れるのもまた一つの行動であろう。

 

 何故なら、最終的には害は無いのは分かっているし、気持ち良さで溺れさせてくれるのは目に見えている。

 

 何より弱肉強食を○肉○食という形のように、そもそもを変えることすら出来るのだ。

 

 その○に焼と肉を加えれば、あら不思議。こちらが美味しく食べる環境の完成だ。

 それをすれば尻みたいな口の仮想動物……。「ω」がそんなーと言いそうだなと余計なツッコミが脳内で走る。

 

 

 

 だから結局は安心事項なのは間違いないということなのである。

 

 

 

 とはいえ、ここでその手札を切るかと言われれば切るつもりは勿論無い。

 その行動で……言い方は悪いかも知れないが、リソースが変化することは愚行であると判断している。

 

 

 ならば、このまま彼女の手に落ちるのか? と言われれば……

 

 

 

 

 ━━━━否である。

 

 

 

 

 

 彼女が準備した道を進む。それはとても楽だろう。そして快楽の恩恵もある。

 だがそれは彼女の手で転がされるということ。

 

 

 ある意味、それは意思の主は彼女になる。

 

 

 

 それは許容出来ない。

 

 

 

 己が判断して、己の責任を持つべきである。

 クズはクズとしての責任を負うべきで、意思を持たねばならない。

 

 

 まぁ……そんな強い言葉を言ってはいるが、要するに個人的な男としての意地である。

 

 やっぱり……こういう行為は……男として優位に進めたいのが男心だ。

 

 

 

 

 だからリンディさんには、分からせて上げないといけない。

 

 

 

 どちらが……上であるかを。

 

 

 

 更に━━……ご主人さま(マスター)は誰であるかを。

 

 

 

 

 瞳と瞳が見つめあっている状態から、顔をリンディさんに近づけていく。

 

 

 その動きはリンディさんに意図を容易に理解させる。

 ずっと見ていたい翡翠のような瞳をゆっくりと閉じて、唇を自然な形で突き出してくれる。

 

 

 そうして顔と顔の距離がゼロになることで、お互いの唇がしっかりと触れ合うのだ。

 

 

 ちゅ。ちゅっ。と水音が鼓膜を震わせた。

 柔らかい唇の感触と共に口付けによる幸福な気持ちが脳内で湧き上がる。

 

 

 

 そんな快楽中枢が刺激される中で、これからどうしたものかと悩む。

 

 

 

 今、ある手札でリンディさんを分からせ無いといけない。

 どういう流れを組むべきかを頭の中で構築する。

 

 

 

 そして……

 

 

 

 頭の中で浮かんだ内容は……

 

 

 

 自分でもこれはクズだなと思ってしまった。

 

 

 

 しかし……これは自分的にかなり興奮してしまうことは、間違い無いだろうと思ってしまうのも事実である。

 

 

 

 そして恐らくは…………結果としてリンディさんを分からせることが出来る。

 

 

 

 

 ならば……

 

 

 やるべきだろう!!!! 

 

 

 

 

 ……無駄にテンションが上がりつつ身体を動かしていった。

 

 口付けしているリンディさんの顎部分に指を掛け、こちらの顔へと強く誘導させる。

 そうなることで更に深くこちらの唇との圧迫を強めた。

 

 

 むちゅっと音が聞こえそうなぐらいに唇と唇が重ねられて、唇の独特の柔らかさが意識を刺激する。

 

 

 リンディさんはこちらへ顔を動かす動作をした時に、ピクッと肌を震わせたが、深く口付けをする為だと理解すると、頬を染めてそのままこちらの強い口付けを受け入れてくれた。

 

 

 

 

 くちゅくちゅ……。

 

 

 

 

 唾液と唾液が混じり合う。舌の体温をお互いに擦り合うことで、心を淫に煽っていく。

 

 

 

 んっ……。

 

 

 

 唇から溢れ落ちる液体はお互いの顔を伝う。それが互いの顔を密着する潤滑油にもなり、動物のように顔を擦り合うことで淫靡に心を震わせるのだ。

 

 

 互いの息の温度。そして湿度も高くなっているようにも感じられる。

 はぁっ……と交わし合う吐息は、一つの愛撫のようにも思え、心の鼓動をより激しくさせていく。

 

 

 

 

 もうこのまま進んでしまえば、一直線に快楽へと溺れてしまうだろう。

 

 なので…………溺れてしまう前に行動を起こす。

 

 

 

 

 

 ━━━━……リンディさん。

 

 

 

 自分は事を進める言葉を発するのであった。

 

 

 

 

 

 

 __

 

 

 

 

 あまい。おいしい。

 

 

 

 心が浸され続ける。

 

 

 

 人間はある一定のラインを超えると出てくる想いがシンプルになると言う事を改めて実感してしまう。

 

 まるでどこまでも魅了する絵画に出会った時のように。

 

 巧みな演技で行われる舞台が、実際に存在する世界として引き込まれる感覚のように。

 

 そして……今まで味わった事のない美味しい料理を口にした時のように……。

 

 

 

 

 砂糖を弱火でドロドロに優しく煮詰ていき、甘さをどこまでも凝縮され続けたシロップように、ねっとりとした甘味の海へ心が浸される。

 そして……その美味しさは、心をどこまでも蕩けるように……ずぶずぶと深く沈み込んだ。

 

 

 

 

 …………彼から一時、離れた後は身体が……気持ちが……ずっと飢え続けていた。

 

 

 

 

 満たされない気持ちは飢餓感を脳へ呼び続ける。その感情は彼と会うまでずっと満たされないままだった。

 

 それが……今、空っぽの身体へどんどんと注ぎ込まれてくるのだ。

 

 

 

 

 私は今、とても幸福な時間を過ごしていた。

 

 

 

 舌が幸せを脳に伝えてくる。

 

 

 

 どこまでも甘美で美味という味覚。

 

 

 

 甘い美味しさは慣れ親しんだ好みの味覚でもある。

 だが、今味わっているその味は……今まで味わったことのない美味として昇華され、舌を通し脳へ信号を伝えてくる。

 

 

 

 味えば味わうほど……最高が更新されていくのだ。

 

 

 

 そして…………頭の奥底から幸せという感情が爆発する。

 

 

 

 

 自分でも……こんなに強い感情を持っていたのかと思うくらい、莫大な幸福の奔流が身体を包み込んでくれた。

 

 

 

 

 もっと……もっと……あじわいたい

 

 

 

 心の叫びは収まる事は無い。

 

 

 

 脳が……身体が……本能が……彼との強い絆を求めてしまう。

 

 

 

 身体を蕩し、脳を蕩し、細胞の一つ一つまでが喜んでいるようにも感じられた。

 

 

 

 興味本位を除いたとして、知らないものを我慢することは、そう難しいことではない。

 だけど…………知っているもの……身体で体験したことを我慢することは……依存しているものが強ければ強いほど難しいだろう。

 

 

 

 客観的に見て……今の私は、はしたない獣だと思う。

 

 

 

 けれど……彼と二人っきりという状況は己の欲望を自然と出してしまうのだ。

 

 

 

 

 彼に私の心身全てを歓喜を持って差し出し、彼へ何もかも尽くし続けたい。

 

 

 

 彼の心を尽きることがない……沸き続ける愛を持って優しく包み込みたい。

 

 

 

 

 そしてこの私の心に感じる素直な気持ちを………………

 

 

 

 ……彼とキスをし続けて、それらの気持ちがどんどんと高まりつつあった時に彼から言葉が告げられた。

 

 

 

 

 

「お芝居の練習?」

 

 

 

 私は彼が言ってきた言葉を反復する。

 

 すると、彼はその言葉に肯定の頷きを示してくれた。

 

 彼と至近距離で見つめ合っている状態は、ずっと幸せで思考が蕩けているのは自覚している。

 しかし、彼が意図を持って伝えてくる言葉は、勿論私が全て叶えるべきものであり、私の喜びでもある。

 

 

 その想像だけで歓喜の感情が駆け巡り、ブルりと身体を震わせた。

 

 

 

 …………彼の伝えてきた言葉の意図を考える。

 

 

 

 お芝居……演技が求められていることは想像に難しくない。

 

 

 けれど…………何故演技が必要なのか? と当然の疑問が浮かぶ。

 

 

 

 ━━━━偽装のため……? 

 

 

 

 けれど……周りに誰か存在するかは、家に入る時に探知している。

 

 更に……誰かが入ってきた場合の対処もしてあるのは当たり前。

 

 だからこそ、こうやって彼との時間を楽しめているのだから。

 

 

 

 

 そして……これは今の考えとは別件なのだけれど、あらゆる意味で私自身の()()はちゃんと行ってある。

 

 

 

 そうなると……

 

 

 

 と、更に他の可能性を考え始めた時に彼から補足があった。

 

 

 

 ━━━━ちょっと表情に表れたかしら……

 

 

 

 彼に余計な気を使わせてしまった……と反省しつつ後の糧にする為の材料を頭の片隅にメモして、彼の説明を聞く。

 

 

 

 

 ……………………

 

 

 

 

 彼が語った内容は、要するに……ちょっとした()()()()()を付けたいという事だった。

 

 

 このままお互いに身も心も溶け合うようにドロドロと甘い空間に浸って私を使ってもらうのも、勿論悪くは無かったのだけれど、彼から語られた内容にドキッと心が惹かれてしまった。

 

 

 彼の前だけでは露わになるこの少女心が……大きく震え続け、切なすぎるこの想いが…………器を壊し溢れ続ける。

 

 

 

 ━━どちらにせよ受諾すれば彼の要望に叶うはずだから……と裏の意図があったとしても、それを読むことの時間すら惜しいと思えてしまい、その提案に飛びついてしまった。

 

 

 

 この心の絆を持って私の全ては彼のものであると言う事を形にしてくれるのだ。

 

 

 感謝の気持ちで、更に胸を抱きしめられる。

 

 

 

 こうして彼との()()()()()の演目が開演した。

 

 

 

 __

 

 

 

 

 

 

「あなた♡」

 

 

 

 

 はやいっ!? 

 

 

 

 

 まさか説明している途中で、リンディさんが身体をこちらへ預けながら、今のセリフを発してくるとは思わなかった。

 変わり身の速さは、目の前に居なければ見逃しちゃうほどの速さである。

 

 

 

 とはいえ、説明の途中でも意図を理解して貰えるのは、さすがリンディさんだ。

 

 この辺りの疎通の信頼度の高さは、ある種の安心感を生み出す。

 

 

 

 リンディさんは顔をこちらの胸板あたりに、スリスリと擦り付けてくる。

 すべすべの肌が擦れ合う感覚が心地良い。

 

 

 

 傍目で見るとお互いが裸の状態であり、大人が子供に寄り添う構図。

 

 

 

 倒錯的な光景にも思えるだろう。色んな意味で犯罪的なのもまたその雰囲気を高めてしまう。

 

 

 

 

 

 ……それがいい!! 

 

 

 

 

 

 時代的に体験するにはあり得ない内容。そのアブノーマルな感覚が精神を興奮させるのだ。

 

 

 

 

 ━━━さぁ、はじめよう。

 

 

 

 息子よりも若い主人へ嫁ぎ、恥ずかしい初めてを捧げる悲しき女の物語を。

 

 

 

 

 

 

「リンディさん……」

 

 

 

 

 身体をスリスリしているリンディさんを呼び、顔を見る。

 

 

 名を呼ぶとリンディさんは擦り付けていた顔の動きを止め、こちらを見上げるような形で覗き込んできた。

 

 

 顔を見ると、先ほど話をしていた時よりも瞳が潤み、もう一息で泣きそうにも見えてしまう。

 しかし、その表情は何か逼迫したような切なさと、これから何かが行われる内容の期待感がないまぜになっている複雑な表情を見せる。

 

 

 

 それは一つの魅了であった。

 

 

 

 表情だけこちらの劣情を催す。経験の差がそれを自然に見せるのか良くわからないが、確実にその表情はこちらの興奮を誘った。

 

 

 つい見惚れてドギマギしていると、リンディさんはこちらの唇に人差し指を重ねる。

 

 

 そうしてゆっくりこちらにわかるようにフルフルと首を左右に振るのだ。

 そして先ほどよりも優しさに満ちた表情をこちらに見せてくる。

 

 

「違いますよ」と言うかのようなその仕草。可愛さと綺麗さを経験によって磨かれた動作は更に心を震わせてくる。

 

 

 

 そう。もう舞台は始まっているのだ。

 

 

 

 舞台で演じる役者はその世界の一部でもある。脚本に従うだけでは役者の色は付かない。

 その世界で生きるからこそ、役者の光が見える。

 

 

 役者をやった事の無い人間が何を偉そうにと言う感じではあるが、自身はこれから何度も経験しなければならない。

 演技は自身を騙し、自信を付ける。煌びやかであれ、陰鬱であれ、作られた世界での役割を演じると言う経験は今後、何度も必要になるからだ。

 

 

 そう言った意味で、リンディさんの演技は自然に溶け込んでいる。

 先ほどの仕草は甘えているようにも、何かをお願いするようにも見え、咎める事を前面に押し出すことはしない。

 

 

 そしてこちらへ意図をしっかりと伝えてくる。「そうじゃありません」と優しく注意をしてくれた。

 自分で言っておきながら、いきなり躓いた自分を台本へと優しく引っ張り上げる。

 

 

 

 遊びと言う精神の隙を埋める。

 

 

 

 観客は居ないがこれは舞台。ならば自身の全力で挑むべきである。

 

 

 これは本番。役者同士の本気の鍔迫り合いである。

 

 

 一の練習の経験ではなく、一の本番の経験を積む。

 

 

 

 ならば遠慮は不要なのだ。想像した自分になりきり、良心や善意を一旦棚に上げる。

 

 

 

 今の自分は、物知らない幼子では無い。

 

 

 

 モノ知ってる()()()()である。

 

 

 

 世間を知らない幼いオスが、自尊心をたっぷり満足させられる従順な相手を手に入れた。

 そして、持て余すほどの性欲が溢れる心を誰にも咎められることなく、更に遠慮なくぶつける相手がいれば、その言葉遣いも自然に決まってくる。

 

 

 

 そうして……想像の装飾を己の身に纏い、女に告げた。

 

 

 

「おい」

 

 

 

 こちらの唇に付けていた女の指を気にせず、手を動かして女の前髪をくしゃりと握る。

 

 

 触っただけでも分かる。そのさらさらとした艶やかな深緑の髪は入念に手入れされていると言う事を実感させた。

 

 

 だがオスガキはそんなことは一切気にしないのが当たり前だ。

 その掴んだ前髪に力を入れて女の顔をこちらに近づける。

 

 

 その動きはリンディさんを驚かせたが、所詮、子供の力である。

 引っ張る力も相手に怪我を発生させるものではなく、顔を近づけさせると言う行動を理解すると抵抗なく、引っ張られるままに顔を近づける。

 

 

 そうして自分が見下ろす形で、顔がキスする直前まで密になる。

 

 

 演技の本気度をリンディさんも理解したのだろう。表情も更に熱を帯びるように頬を紅潮させこちらを見つめ続ける。

 

 

 お互いの吐息が頬に感じ、リンディさんの芳香が鼻腔を擽る。

 劣情が更に増している感覚を持ちながらも、言葉を更に続けた。

 

 

 

「お前は、誰のモノだ?」

 

 

「私は……あなた様のモノです」

 

 

 

 リンディさんは、紅潮した頬を見せるようにしつつすぐに返答を行ってくる。

 

 

 

 しかし……オスガキはそんな言葉では満足出来ない。

 

 

 ちっと舌打ちをして、首を振る。

 

 

 そして再度問うのだ。

 

 

 

「きちんと全て言葉にして伝えろ」

 

 

 

 そう言うとリンディさんは一瞬、思案した後、言葉を発した。

 

 

 

 

「私……リンディ・ハラオウンの心と身体の全ては……あなた様、鏡音奏さまのモノでございます」

 

 

 

 

 顔を先ほどよりも真っ赤にして一つ一つ言葉にさせる。

 

 

 こうすることで、羞恥を煽るのだ。絶対に断れないと言う環境。それに従うと言う状況下は幼い心の自尊心を刺激する。

 何をしても良いと言う絶対王政は年齢に関わらず男の夢を満たしてくれた。

 

 

 そして……ここで終わらないのがオスガキでもある。相手のことは考慮しない。

 自分が満足するために行動するのだ。

 

 

 

「ふん。それじゃ……()()()()()()に誓ってその言葉を言えるか?」

 

 

 

 ここでギュッと少し握っている髪に力を入れるのがポイントだ。

 外道に落ちれば、息子も加えるべきなのだが……オスガキレベルと考えれば、夫婦と言う絆を自分にだけ向けると言う所が妥当と考えた。

 

 

 リンディさんは未亡人と言うことは知識で知っていたし、流石に身体を重ねる上でリンディさん側の事情は聞いている。

 とはいえ、二人っきりの時はそう言った話は意識せずにこちらから話をすることは無かったが、今は別である。

 

 

 

 演技とはいえ、こちらは本気である。オスガキの思考はこの女が誰のモノであるかをしっかり理解させて躾ける必要があると判断していた。

 そしてその回答に間違いなく、興奮を誘ってしまうのも本能が理解していた。

 

 

 

 亡き夫の存在を口に出したことで、リンディさんは瞳を大きく開く。

 まさか演技でもこう言った話を出してくるとは思わなかったようにも感じられた。

 

 

 

 そして瞳を閉じる。その時間は一瞬のようでもあり、永久にも感じられた。

 

 

 

 潤み続けていた瞳から涙が一筋溢れる。その涙が頬を通過する時に女は瞳をゆっくりと開けて告げるのだ。

 

 

 

「はい……。以前の夫……クライド・ハラオウンに対しても誓えます」

 

「例え彼が存命であったとしても……私、リンディ・ハラオウンは……あなた様、鏡音奏さまのモノ……で…………ござい……ます」

 

 

 

 そう言いながら綺麗な緑の瞳から涙が再度溢れ出す。

 

 

 

 だけど、瞳は決して閉じず、こちらを見続けた。

 そう。先ほどの宣誓の通り、閉じる許可はこちらから出さなければ行わないと言う意思を感じた。

 

 

 

 

 ククッ……。

 

 

 

 ククククッ……。

 

 

 

 完璧では無いですか。リンディさん……。

 

 

 

 オスガキの思考ですら、今の回答で自尊心がたっぷりと満たされる。

 精神が……股間が興奮するのが分かる。

 

 

 

 やっていることは最低だ。どんな言葉を繕ったとしても間違いなく人として最低の行為である。

 

 

 

 しかし……これは嗜虐心が唆られてしまう。

 

 略奪行為。原始の世界では当たり前にあった行動。

 動物としての本能として遺伝子に刷り込まれているんじゃ無いかと思えるくらいの原始的行動でもある。

 

 理性ある人として、人間がが行うべき行為では無い。しかし、心の奥底にある本能が今の言葉を刺激するのだ。

 

 

 それは原始的興奮を誘う。未熟な幼きオスは、この言葉で脳を焼かれるのだ。

 絶対無敵の心を持つオスガキは、その未熟な青き精神を今の態度を見ることで満足心を上げるだろう。

 

 

 

 しかし……ここで満腹にならないのもオスガキである。

 

 

 

 言葉だけではいくらでも言える。身体に心にその言葉の嘘は無いと分からせる必要がある。

 

 一旦、その言葉の返礼をするかのように、涙で溢れている女の唇を自分勝手に奪う。

 

 

 

 んっ……!? 

 

 

 

 相手に構わず、そのまま唇を吸い続ける。お前も動かせと言う感じで掴んでいる髪を更にこちらへと強く引き寄せた。

 

 

 

 

 んっ……んんっ…………ちゅぱ………………はぁ……

 

 

 

 

 一方的なキスとは言え続けている内に慣れてきたのだろう。少しずつこちらの動きに合わせ唇を動かしてきた。

 

 

 

 

 んるっ……んくっんくっ……っは……んっ……

 

 

 

 

 一方的に送り込む唾液を飲ませる。そうして女の体を書き換えるような快楽を自身の脳に伝えるのだ。

 

 

 

 

 ぷあっ……はぁ……はぁ……

 

 

 

 

 そうして唇を一方的に離す。女は息継ぎもあまり出来なかったのであろう。

 新鮮な空気を体に取り込むように息を取り込んでいた。

 

 

 キスをする事で欲望を少し解放する事で、多少冷静になった思考を使い頭の片隅にメモする。

 

 

 

 

 この感覚は危険だと。

 

 

 

 

 その気になればこれ以上の事を容易に出来てしまう催眠能力は、改めてその凶悪さを実感させてしまう。

 更にそれは心の弱さによって全ての道を容易に外させるのだ。

 

 外れた道に待っているものは絶望的に深い快楽と己の存在の消滅……世界の崩壊である。

 

 

 正しく毒である。と認識しなければ無かった。

 使い方が正しければ薬にもなり得るが、間違うと死ぬ。

 

 

 まぁ……正しく使えているのかは全く自信が無いのだけれど……ね……。

 

 

 とりあえず、ここでそれの一端を経験出来たのは僥倖であると思いたい。

 

 

 

 とはいえ、ここで終わりとする訳ではなかった。

 そもそものアレとしてリンディさんと体を重ねるのであれば、しっかりと分からせてやると言うものだから、男の意地として遂行すべきである。

 

 

 

 なので……オスガキは行動を続けるのであった。

 

 

 

 掴んでいた髪を離し、座っていた状態から起立の状態へ身体を動かす。

 

 リンディさんは先ほどの一方的な口付けの余韻から回復する為に息を整えているが、そんな状態は無視する。

 

 リンディさんは座っている状態なので、こちらが起立する状態になると……

 

 

 ちょうどリンディさんの目の前に自己主張し始めている愚息が現れる。

 

 

 

 

 はぁ……はぁっ……すぅっ…………はあぁぁっ……

 

 

 

 

 呼吸を整えていたはずのリンディさんの息遣いが少しずつ荒くなる。

 目の前に現れた男性器を視界に入れ、見つめながら呼吸をする。

 

 

 少し離れていても性の匂いは感じてしまうのだろう。

 匂いを感じてしまう事で、彼女の表情が興奮を感じさせるように紅潮し始めた。

 

 

 その様子を見ながらオスガキは命令する。

 

 

 

 

「ほら、旦那様のチンポをしっかりと嗅げ」

 

 

 

 

 

 

 マーキングはやっぱり王道だよね。

 

 

 

 

 とオスガキの思考を考えつつ、幼きオスによる蹂躙を行う。

 まずは嗅覚から色を染め上げると言う行為を女へ実践させた。

 

 

 

 先ほどの行為もあり、様々な液体に塗れたペニスは強すぎると言っても過言では無いくらいの淫臭を放っているはずだ。

 そして興奮による先走り液による粘っこい液体が自身の匂いを上書きしつつ、女へと伝えていく。

 

 

 

 それを嗅がせる。

 

 

 嗅がせるだけだ。

 

 

 

 

 すぅぅぅぅぅぅっ……………………んっ…………はぁぁぁぁぁっ………………

 

 

 

 

 女は「はい……」と返事した後、その綺麗で白い鼻を亀頭部分へ密着させた。

 そうしてゆっくりと息を吸い込み、その匂いを堪能するように息を止めた後、ゆっくりと吐き出す。

 

 

 

 こうして女の肺の中に、オスガキでもあり幼い旦那の匂いが取り込まれた。

 

 

 

 

 すぅ……すん…………すんっ…………すぅぅっ…………はぁっ…………

 

 

 

 

 粘度の高い液体に濡れた尿道の先っぽから亀頭のクビレ、そして裏筋から根本まで細かく息を吸い込みながら女は顔を動かす。

 

 触れる鼻先がまるで手で愛撫されているような滑らかな刺激をこちらに伝えてくれた。

 

 

 

 

 すんっ……すんっ……すんっ……

 

 

 

 

 小さな鼻をヒクヒクッと動かしつつ匂いの強い部分を嗅いでいく。

 性器を嗅がせる行為と言うのは、やられるのとやらせると言うので感情が異なる。

 

 

 

 

 すんすんっ……はぁぁぁぁぁっ…………すんっ……はぁっ……

 

 

 

 

 やられるのは羞恥を煽られるが、やらせると言う行為は嗜虐心を煽る。

 今は間違いなく、嗜虐心が煽られていた。

 

 オスガキが好奇心のままに女を自由にする。その倒錯的行為が目の前で行っているのだ。

 冷静を維持しようとしても、興奮の歯車は決して止まることはない。

 

 

 

 

 んっ……んふぅ……すぅぅっ……

 

 

 

 

 そうして女の顔は陰嚢の部分まで手を広げてきた。

 柔らかいその部分へ、柔らかくしこりもある鼻が埋め込まれる。

 

 玉の部分に鼻先が深く埋め込まれ、ぺちっと音が聞こえるぐらい陰嚢が女の顔にあたる。

 そうして……呼吸が行われる。

 

 

 

 

 んぅぅぅ…………ぷぁっ……んんぅっ…………すぅっ…………

 

 

 

 

 深く密着された呼吸は空気が肌を通して漏れてくる。

 しかし……漏れる息は決して下品な音を立てず、淑女を意識させるように女は上手く空気を逃げさせていた。

 

 だが、それでも呼吸の音はこちらへ刺激を柔く伝える。

 それが心地良くてつい女の頭を押さえて、より強く匂いを嗅がせるのであった。

 

 

 

 

 んっ……!? …………すぅっ…………んぷっ…………ぅ…………ぶっ…………んんっ……んぷっ……

 

 

 

 

 さすがに強くこちらが押さえつければ彼女も上手く空気が逃せられないのか、肌を通し空気の破裂音が聞こえる。

 それはそれで、嗅がせていると言う行為を強く意識してしまうので、より興奮してしまう。

 

 

 

 

 んんっ…………すぅぅずっ…………はぁぷぁっ…………

 

 

 

 

 陰嚢部分はどちらかと言えば自分の匂い……特に汗の部分の匂いが強いであろう。

 そのオスの匂いをどんどん取り込ませ続けて行った。

 

 

 

 

 そして……

 

 

 

「どうだい? 僕のチンポの匂いは?」

 

 

 

 羞恥を煽る質問を投げかける。

 

 

 女は股間に顔を埋めながら答える。

 

 

 

「……とってもぉ……濃くてぇっ…………あなた様のぉ…………ステキな……匂いがぁ……しますぅ……」

 

 

 

 途切れ途切れになりつつも返答を返してくれた。

 しかし……興奮はするが、オスガキ的な満足度が足りない気がするので、再度質問を変える。

 

 

 

 

「くっさい僕のチンポの匂いがステキ?」

 

 

 

 

 リンディさんの嗅覚は特に変更していないはず……。

 なので、実際、嗅いでいる匂いはそのままオスの淫臭である為、言葉的にこれでも羞恥を煽るはず。

 

 

 

 

「はぃぃ……すんっ……だんな様のおちんぽ様はとてもぉ…………はぁっ……ステキでぇ……いつまでもぉ……っ嗅いでいたいぃ……良い匂いですぅ……」

 

 

 

 

 顔は股間に埋れているので、表情は見えないが、その返答をしていると、女の耳が真っ赤になっていった。

 恐らく意識させた事で恥ずかしいのであろう。その羞恥の仕草は支配欲を満たしてくれた。

 

 

 だが、オスガキの行動は止まらない。

 

 

 

 

「それじゃ、もっと良い匂いを嗅がせてあげるよ」

 

 

 

 

 そう言いながら、女の顔を股間の下に強引に移動させる。

 

 そして女の顔に跨るようにして股間を擦り付けた。

 

 

 

 

 そうして女の鼻先に密着されるのは、自分の尻の穴である。

 

 

 

 

 んんっっ!? 

 

 

 

 

 くぐもった女の声が聞こえる。

 それを無視して、言葉を発した。

 

 

 

「僕のお尻の穴の匂いを嗅げ」

 

 

 

 人間の身体的に最も汚れているであろうその部分を嗅がせる。

 しかも意識を集中して嗅がせるのだ。

 女の自尊心も蹂躙して、己のモノであると理解させる行為。

 

 

 小さな子供が罪の意識なく、羽虫を蹴散らすように……立場的にも年齢的にも全て上に立つはずであろう女を組み敷く。

 そして、人としてのプライドを貶める行為を強要する。

 しかし……オスガキ的な思考はそれをやって当たり前である。だって何をしても良いのだから。

 幼き心は蹂躙する喜びはあっても相手に気を使うと言う理性的行為はまだ持ち合わせてない。

 

 

 道徳は人としての要素を学ぶ上であった方がいいよね。と脳内でツッコミを入れつつもそれを学ばないオスガキは本能のままに女を蹂躙する。

 

 

 

 

 ふぅぅぅっ…………ふーっ……ふぅぅっ……ぷぷぁっ…………

 

 

 

 

 色んな意味で敏感なその部分に女の呼吸する振動が伝わる。

 それは肛門を女に嗅がせていると言う行為を強く実感してしまうのだ。

 

 女を染め上げる行為は……オスガキの心を満たす。

 イヤイヤでも従うと言うその行動は、幼い征服欲を歓喜で満たすのだ。

 

 そして微弱ながらも発生する快楽は、興奮で脳を少しずつ焼き始める。

 

 

 

 

 んんっっぁ…………んふーっ…………んふぅ…………すぅっんっ…………あぁっぷぅ…………

 

 

 

 

 しばらくすると、さすがにお互いの姿勢的に疲れてきたのか少しずつリンディさんの身体が横へ崩れ始める。

 

 顔に跨っている状態なので、密着させている以上、こちらも身体を動かしてリンディさんの体制に合わせていく。

 

 そうすると、最終的には寝ているリンディさんの顔に跨る形で座り込んでしまった。

 

 まぁ……いわゆる和風便器座りと言えばいいのか……しかし足を踏ん張る必要はなくリンディさんの顔がクッションとなり座り込んでいる形である。

 

 さすがに子供の体重とは言え、全体重を預けては圧迫度が強いだろうと思い、足に体重を逃してはいるが……ものすごい体制であることは間違いない。

 

 

 

 

 すぅぅぅぅぅぅぅっ…………んっはぁっ…………はぁぁぁぁぁぁっ…………

 

 

 

 

 体制的に楽になったのだろう。無理やり圧迫された状態とは違い呼吸が安定しているのが空気の流れで感じてしまう。

 あれはあれで興奮を誘ったが、これはこれでより嗅がせていると言うことを強く意識出来るので精神的な興奮は上だと思ってしまった。

 

 

 

 

 あぁっ…………だんなぁさぁっ…………はぁぁぁっ…………んくっ…………すぅぅぅぅぅっ…………

 

 

 

 

 こちらを呼ぶような声と共に唾液を飲み込む音が聞こえる。

 独り言なのか……何かを懇願しているのか……判断がつかないが、今はどちらにせよ女に嗅がせることがオスガキの使命である。

 

 

 

 

 あっ……あっ……んっくっ……すぅぅぅぅぅうっ…………はぁぁあぁっ…………あっ……あっ……

 

 

 

 

 

 うーん……

 

 ━━━━少しひまだな……。

 

 

 

 確かにこの行為は身体的にも気持ち良いが、あくまで精神的しつけの興奮メインなのでどうしても冷静な部分が残る。

 まぁ……こちらは一切動かないので、手は持て余し気味なのだ。

 

 何かしようかなと考えて、体勢を維持したまま身体を動かして、リンディさんの身体を見れるように移動した。

 視界に飛び込むのは、綺麗な大人の女性を正しく表現されたように思える裸体。それは一種の芸術さえ思えてしまう。

 

 身体的にも精神的にも成長を重ね熟されたその裸体は、柔らかさを重点においているが、しっとりと潤いを持った肌は健康的なイメージを持たせてくれる。

 しかも……これが子供を産んだ身体でもあるのだ。ある意味、完了された実績はこちらの想像を豊かにさせてしまうのだ。

 

 

 

 母乳プレイもアリなのだろうか……。

 

 

 

 オスガキの思考と相談する。脳内の激論はさておき、とりあえず出た結論としては「まだ早い」と言う結論になった。

 少し残念に思いつつも、未練的行動としてつい……リンディさんの乳首を指で軽く弾いてしまった。

 

 

 

 

 ━━んんんっっぅ!? 

 

 

 

 

 乳首を弾いた瞬間、想像以上の反応でリンディさんが身体を震わせてきた。

 ビクッッ!! と大きく揺れた後、その余韻を感じるように更に細かく身体が震えている。

 

 

 それを見た瞬間……オスガキが新しいおもちゃを貰ったかのように笑顔を浮かべたのが分かった。

 

 

 

 

 ピンッ! 

 

 

 んんんんっっぁ……!! …………すぅぅぅっ……あぁっ……

 

 

 

 

 ピンッッ! 

 

 

 あぁあっんんんんっ……ぁ…………すぅぅぅぁぁ……んはぁっ……

 

 

 

 

 

 ビンッッッ!!! 

 

 

 ああっああああっあぁっ……!? っっっぁすぅぅぅっ……ぁぁぁっ…………ぅんぁはぁっ…………

 

 

 

 

 

 

 これは……いいものだ。

 

 

 

 

 シチュエーション的にも脳が勃起してしまう。

 尻の穴の匂いを無理やり嗅がせて、快楽を女に刻み込む。

 

 

 色んな意味で脳内がバグりそうなこのシチュエーションはオスガキの嗜虐心をどこまでも煽り続ける。

 

 

 そしてバグった脳内は……さすがにそれは無理だろう……と思えるようなことを閃いて実践させようとするのだ。

 オスガキはそれが出来る!! っと何も根拠のない自信で押してくるので、行動に移してみる。

 

 

 

「いいか。そのままケツの穴の匂いを嗅いで乳首の刺激でイケっ」

 

 

 

 無茶振りである。

 自分でも分かっているが無茶振りである。

 

 

 しかし脳内がこう告げるのだ。

 

 

 

 自分の肛門の匂いが……女のイカせるためのトリガーになったら素敵やん? 

 

 

 

 

 パブロフの犬効果を女に仕込みたいと脳内が告げるのである。

 一回で仕込めるならその効果名は違うだろうと、そこ突っ込む? と言うズレた感情も湧いてしまうが……要するにアブノーマルな意識を躾けたいのだ。

 

 

 オスガキ的にはあり得ないシチュエーションで淫乱に女を染め上げることが出来ると大喜びである。

 

 確かに……改めて人として、蔑まれて最低である事は理解しているが……男として興奮してしまうのも否定出来ない。

 

 なので……ちょっとだけチャレンジしてみた。

 

 

 

 先ほど伝えた言葉の返答を待たず、一方的に女の乳首を指で摘む。

 

 

 

 

 んんんんっっあぁ…………!? 

 

 

 

 

 快楽を重点に置いた触り方ではない。こちらが感触を楽しむための一方的な攻撃だ。

 コリコリとした芯のある感触は指を満足させる。

 

 

 

 

 コリコリッ

 

 

 ああああぁっ…………んんっふっぅ……ぅぁ……すぅぅぅぁっ……

 

 

 

 

 コリコリコリッ

 

 

 あっあっあっ……あっぁぁっ……ぅん…………すぅぁはぁぁぁぁぁっ…………

 

 

 

 

 触り続けるにつれて、女の身体がどんどんと大きくなっていく。そして小刻みに震え、もっと強い快楽を望むように……耐えらるよう白い太腿が張ってくるのが見て取れた。

 

 

 

 

 

 コリコリコリコリッ!! 

 

 

 

 あああああっ!? ……だっ……ぁあぁっ……んっつ…………なぁ…………だぁ……ぁ……めぇ…………すぅっはぁぁぁあぁっ…………

 

 

 

 

 艶が更に帯びて熱の籠もった女の喘ぐ声は、自分の下半身へ息の暖かさと共に刺激として伝えてくる。

 それが今行っている行為としての興奮する滑車を激しく回してしまうのだ。

 

 

 

 

 んあっ!! あぁっ……あっ…………ぅひぐっ…………んふぅ…………すぁっっ…………はぁぁっ…………もぅ…………

 

 

 

 

 はたして乳首の刺激だけでもイケるのか……? 

 その辺りも懸念事項であったのだけれど、刺激し続ける事でリンディさんの体は素直に反応してくれる。

 そしてその快楽は段々と足をすり合わせるように動き始める、より強い快楽を享受しようとしているのを見てなんとかなるかも知れないと思ってしまった。

 

 

 

 なら…………

 

 

 

 

 ギュッッッッッッゥゥゥ!!!! 

 

 

 

 

 相手を考慮しないまま乳首を捻りあげるように強く握る。

 強すぎるその刺激は女の身体をどこまでも大きく震わせた。

 

 

 

 ━━━━んぎゅっっつっっぁぁぁぁぁあああぁぁああっっっ!!!!! 

 

 

 

 

 ぷしゅっっぁ……

 

 

 

 

 大きな喘ぎ声が聞こえた後、太腿がピーンと突っ張り女の身体が大きく痙攣する。

 そして……女の下半身から何かが溢れた水音が聞こえた。

 

 

 

 イッたのかな……。

 

 

 女の匂い……何か性衝動を突き上げるような芳香が頭を酔わせる。

 そして……まだ小刻みに震えるリンディさんの身体を見た。

 余韻に浸っている状態なのか、大きく息をする吐息が自身の下半身に感じられる。

 

 

 

 これならとりあえず大丈夫かな。

 

 

 ひとまず状況的にイッた事にして、話を進めようと思い行動を行う。

 

 

 

 

 

「いいか。この僕のくっさいケツの穴の匂いと味わった快感を覚えておけよ」

 

 

「今後は僕のケツの穴の匂いで、僕の子供を産むために身体を準備するんだぞ」

 

 

 

 

 セリフを言ってから思う。オスガキはしばかれるべきだなと。

 

 

 まぁ……意識付けのセリフを言ってはいるが、勿論体は毎日洗っているし……そこまで匂いはしていないはずと思いたい。

 

 

 

 さて……まだ演目は続いているのだ。ちょっと道筋がズレてしまったのはアドリブだと思うことにしよう。

 脳内ではしゃいでいるオスガキの断罪も後でやるとして、本来の道へ向けて進もうと行動を再開した。

 

 

 

 そう。オスガキ……若く幼い主人に対して、女の恥ずかしい初めてを貢がせるのだ。

 

 

 

 



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47話 □エロ リンディ(オスガキVS未亡人② 男性器ビンタ? フェラ

引き続き少しだけハードかなぁ…と思う内容なので……(略


 さて……恥ずかしい初めてとは何か? 

 

 

 

 正直、予想はあっても確実ではないので、現段階では何を貰えるのかはまだ分からない。

 

 

 

 

 別に……これは投げ出した思考ではない。あくまで精神的な躾けをするのだ。

 

 

 

『夫婦の契りにおいて、女の未知な部分を主人に新しく曝け出す』

 

 

 

 既存の道ではない。女の新規の未知なる道を自らで手解きさせるのだ。

 

 

 

 相思相愛であったはずの前の主人にすらさせたことの無い事を、欲望に満ち溢れた若い雄に己から進んで無垢で汚れのない心を晒しだす。

 

 

 

 何とも雄を刺激されるシチュエーションではないか。

 

 

 

 シチュエーション的に、強制力があり断ることが出来ない……退路がない状況下で、己が経験もしたことが無く……恥じらいがあるものを、息子よりも幼い子供へ望んで差し出す。

 

 

 

 屈辱とも言えるくらいの精神の楔を喰らうことで、どちらが上かを身体で……本能に理解させるのだ。

 

 

 

 

 …………あくまで演技ですよ? 

 

 

 

 

 こちらも男の子なんだぞ! 負けないぞ!! って所をリンディさんに教えるためなのだ。

 リンディさんは非常に理性的でもあるので、最初の内容を話してあるし……大丈夫だと思ってはいるけど……念のためアフターフォローと言うか……誤解がないように舞台終了後は、ちゃんとオスガキ行動がこちらの本心では無いことをしっかりお話をしようと思う。

 

 

 とは言えそれらは、すべて終わった後である。今は本気でオスガキを全力で演じるのだ!

 

 

 

 カチッ

 

 

 

 スイッチをイメージして意識を舞台の世界に溶け込ませる。

 

 

 

 ━━━━さぁ、もっともっと楽しさを……心と身体の気持ちよさを貪ろう。

 

 

 

 女の顔に埋めていた下半身を動かして起立する姿勢をとる。

 

 

 

 そしてまだ横になっている女の顔を覗き込んだ。

 

 

 

 先ほどの余韻がまだ続いているのだろうか……はぁはぁっと息を荒げている。

 瞳はまだ現実に戻ってきていないのか虚空を見ているように焦点があっていない。

 

 

 

 ふん……気に入らないな。

 

 

 

 女は満足したかも知れないが、まだこちらは全然である。

 しかも、こちらが動いているのに何にも反応を示さないのも不満な心を上げてしまう。

 

 

 その不満は理性を働けることなく、幼い本能の衝動に従い身体を突き動かした。

 

 

 

 パンッッ!! 

 

 

 

 その惚けている女の頬を掌でぶつ。所詮、子供の力なので、大人相手に強い痛みは出ないと思うが、それでも怪我しないように力の調整はしている。

 どちらかと言えば大きな音を出すようにして、意識の覚醒を促すように行動していた。

 

 

 

「おいっ!!いつまで惚けているんだ。僕はまだ全然満足していないぞ」

 

 

 声を荒げるようにして言葉を発する。

 

 

 すると……今の声と先ほどの刺激が意識を浮上させることに成功したのか、女の瞳の焦点が戻り、こちらを認識することに成功した。

 

 

 

 

 もうしっ……わけ……ございまっ……せんっ……

 

 

 

 意識が覚醒した後、女は先ほどの言葉を理解したのか謝罪の言葉を述べつつ、ノロノロと身体を動かし上半身を起こそうとする。

 

 

 

「ふんっ」

 

 

 

 動きが遅いっ! と不満を伝えるかのように鼻を鳴らして声を出す。

 そして……女が上半身を起こす事で、身体の上に乗りかかる前の体勢。

 

 

 自分の下半身の目の前に、女の顔があると言う状況になる。

 

 

 

 女の目の前にあるのは、先ほどよりも天に向けて成長した我が息子だ。

 

 

 

 思考を重ねていたとは言え、興奮していたことは間違いない。

 それを表すように自身の男性器は女に強く主張を見せつける。

 

 

 女はその愚息の状態を見て、頬を赤らめつつ切なそうに眉を寄せてこちらを見上げた。

 

 

 

 恐らくは……舐めたいのであろう。

 設定している催眠状態を考えれば、その欲求は妥当と考える。

 

 

 

 味覚を設定してある為、多分、美味しいお菓子を味わう為に舌を伸ばしたいはずだ。

 

 

 

 しかし……こちらの許可がない為、それが出来ない。

 

 

 

 だから女は視線で懇願するのだ。『舐めたいです』と。

 

 

 

 ……正直、舐めて貰いたい。吸われる快楽を味わいたい。

 そして溜まり続けている下卑た欲望で、口腔を凌辱して一旦解放したい。

 

 

 

 だが……その道に進むには、まだ早い……。

 

 

 阿吽の呼吸で答えたらダメなのだ。オスガキとして行動するためには、幼き自尊心を持って、相手の精神を踏みにじるように優位に立ち、己が自分勝手に満足する。

 

 

 

 だからこそ、相手には『言葉』で懇願させる。

 

 

 

 視線の会話ではない。幼い人間でもやりたい事を理解出来るように言葉で懇願させることが必要なのだ。

 

 

 なので、憧れの視線を受けているかのように見続けられている、我が愚息を女の鼻先にくっ付ける。

 

 

 興奮度が増され……強くなった男性器は、先ほどよりも強くオスの淫臭を放っているはずだ。

 

 

 

 そしてヌルヌルと先走り続けている体液を女の鼻先に塗る。

 

 

 

 ……先端に生まれる摩擦は、正直気持ちいい。ぬるっとした体液の潤滑油と女の肌のなめらかさは快感を生み出すには十分すぎる相乗効果である。

 

 

 

 鼻先、頬、そして唇の周りと……ゆっくりと化粧の下地を行う為の化粧液を塗るように先端を擦り付けていった。

 

 

 

 あっ……んっ……んくっ……あああっ…………ああっ…………あああっ……

 

 

 

 擦り付ける度に女の声が漏れる。想像してしまうのだろう。美味しいお菓子の味を。

 そして……それは淫の空気も誘う。淫らな知識がその行動はどう言うものであるかを意識するのだ。

 

 

 

 んっ……ゴクッ……

 

 

 

 女の白い喉が動く。唾液を飲み込む音が響いて、欲望の音が聞こえる。

 

 その仕草を見て、こちらは……わざとニヤリっと下卑た笑みを浮かべこちらの意図を悟らせるように見せつけた。

 

 

 

 そう……。相手は女の自尊心を砕きたいと。

 

 

 

 

 強制的な命令に従うのではない。奉仕でもない。自らの欲望を嘆願させるのだ。

 そうする事で……理解してしまう。淑女の殻を脱ぎ捨てた若いオスを貪る淫らな女という事を自身に理解させる。

 

 

 

 女の心を躾ける。それを一方的に出来るからこそ、どちらが上かを常に意識させる。

 

 

 それが、まだ幼稚な心を持つ若い主人へ嫁がされた女の宿命だと言うように。

 

 

 意図を理解させられた女の行動は速やかにも見えた。

 

 

 顔に塗り付けられた液体を気にする事なく、姿勢を正し三つ指を立てて頭をこちらに下げる。

 新緑の髪がすらりと動き、彼女の甘く芳しい香りがこちらにも伝わってきた。

 

 

 

 そして……

 

 

 

 お……お願い致します。だんな様のオチンポさまを私に舐めさせて頂けませんでしょうか。

 

 

 

 

 攻めて来て、こちらを翻弄した時とは異なるその姿。

 そして土下座もそうだが、三つ指の知識……その辺りも知識として事前に持っていると言う事が女の有能な片鱗を語ってくれる。

 

 

 それを駆使してお願いするのが、フェラチオをしたいと言う下品な内容なのだ。

 

 

 

 女の自尊心は傷つけられるだろう。

 

 

 

 だが……そんなことは関係ない。

 

 

 

「えー。そんなに僕の汗くさいおちんちん舐めたいの?」

 

 

 

 どうしようかな〜。と、とぼけるような言葉も付け足した。

 

 

 

 清純な心を土で汚す行為。

 汚いモノを……その白く綺麗な唇……。

 

 

 

 美意識によって時間をかけ磨かれたその唇で……強い性臭が漂い、血管が浮き出て脈動し続けるグロテスクとも思える存在を進んで舐めたいと言うのか。

 

 

 

 と言う内容を女へ意識させる。

 

 

 

 なんて……下品で卑しい女だ。

 

 

 

 そう言う視線を女に投げかける。女は嘆願している状態なので、視線を見ることは出来ないだろうが、空気を通して雰囲気を感じることは出来るだろう。

 

 

 

 雰囲気は想像力を生み、女は勝手に墜ちるのだ。

 

 

 

 逆らえないと言う状況は理解しているが、それでも欲望のままに懇願している自身を見つめる事で自身を責める。

 そうする事で道の選択肢を狭める。こちらへ行きたい方向へと誘導させるのだ。

 

 

 

 ……まぁ、オスガキ的には好意を持っている女性にイタズラ心で見せた事が無い反応を感じたい考えしかないのだけれど、状況と合わせてそれが結果としてある……と言う感じである。

 

 そして女は言葉……再度嘆願を発する。

 

 

 

 はぃ……卑しくも求めてしまう……私にぃ……御慈悲を……おっ……きゃっ……!? 

 

 

 

 

 ━━しかし、その嘆願は最後まで言わせない。

 

 

 

 最後まで言わせると「はい」か「いいえ」の結論に持っていかれやすいので、この楽しみは終わってしまう。

 

 まだまだ女を追い詰めたいのだ。オスガキは常に優越感で浸りたいのである。

 

 

 

 手入れを怠らないであろう、肌触りが良く紡がれた絹のような、その髪を無造作に掴む。

 そして、それを戸惑い無く引っ張り女の顔を上げた。

 

 

 先ほどと同様に侮蔑の表情を維持する。

 しかし瞳の表情はランランとして楽しむと言う形を表現させる。

 

 

 急に引っ張られた事で、女は少し悲鳴を上げたが、こちらの表情を見る事で、改めて想像から視覚を得て理解してしまう。

 

 

 女の表情は、逆らえない絶望による哀願の表情にも……淫を求めている艶がある表情にも……見える。

 その複雑な表情が、未熟な自尊心を満足させるのだ。

 

 

 

 興奮する。

 

 

 

 どうしようもなく興奮してしまう。

 

 

 

 高まる衝動は、こちらの身体にもしっかりと現れる。

 先ほどから下半身の硬度はマシマシだ。

 

 

 それを女にも伝えようと……

 

 

 

 ぺちっぺちっ!! 

 

 

 

 女の頬に、欲望の塊をぶつける。

 

 そう……所謂……おちんちんビンタである。

 …………語呂も悪いし……可愛く言っても酷い事をやっている状況は変わらないのだけれど……とりあえず女にビンタで分からせ続ける。

 

 

 

 むんっ!

 

 ああっ……

 

 

 

 

 ぺちっ!! 

 

 あああっ……

 

 

 

 

 ぺちっっぺちっ!! 

 

 んっ……ああっ……はぁぁぁぁっ……

 

 

 

 意外と難しいな……。

 

 

 これが欲しいんだろう!! と強く伝えたいのだが中々上手くいかない。

 

 

 

 やはり……もう少しサイズが…………。

 

 

 

 年齢的にはそぐわないモノを持っているはずだけれど、それでもやはり身体の成長はまだ浅い。

 もう少し距離感を縮める事が出来れば……とは思うけれど、そうすると身体が強くぶつかってしまう可能性も上がってしまう。

 

 

 

 そして……こう腰を切るようにと言った……腰の回転の仕方も慣れないと難しいな……。

 

 

 

 勢いよくと言う所が難しい。左右反復による腰の回転は意外と負荷がかかる。

 しかし、ビンタをしていると言う事を分からせるには弱すぎると意味を為さない。

 

 

 

 うん。これは次回の課題だな。

 

 

 

 そもそもこのプレイ自体、次回があるかどうかも分からないが……とりあえず経験は成ったと言う事で程々で楽しんで終了させた。

 

 

 

 ぅぅうっ……はぁっ……はぁっっ…………

 

 

 

 今のプレイによって、女の方も息を少し荒げてはいたが、痛さは殆どないはずなので、大丈夫だろうと判断して次に進む。

 

 

 

「口を大きく開けて」

 

 

 

 再度、女の髪を掴み顔を見ながらそう告げた。

 女はこちらの要求に素直に従い、ピンク色で艶やかに輝いている小さな唇を大きく開いて、その内部をこちらに見せつける。

 

 

 女の口の中は、そこから生まれる吐息によって体温よりも高い印象を受けた。

 そしてその口の中は……舐める時の想像によって唾液が増していたのか、粘度が高い液体が溢れ続け中をコーティングし続けている。

 

 

 その状態を見れば……恐らく想像してしまったのだろう。

 お菓子のように甘い液体……こちらの体液を舌で摂取出来る期待が溢れてしまっている事が、想像がついてしまう。

 女の方は、こちらが口の中を伺う様子で、その欲望の意図が容易に分かってしまうためか、更に頬が艶やかに紅潮しているのがわかる。

 だが、その状態を無視して、次の言葉を発した。

 

 

 

「舌を限界まで伸ばして」

 

 

 

 更なる要求に従い、女は舌を伸ばす。

 口腔で暖められ続け、赤く蕩けるような唾液に包まれたその舌が露わになる。

 

 

 赤い舌が女の意思により、空へ向かうかのように突き出された。

 

 

 どんどんと突き出されていく舌は……近づいてくる。

 

 

 こちらの男性器へと近づいてくる。

 

 

 

 しかし、人間の構造には限界があった。

 

 

 限界まで伸ばされた女の舌は届かない。

 

 

 男性器まで後、少しで届かない。

 

 

 

 こちらで女の頭を固定している為、あとすこしを埋める事が出来ない。

 

 

 ふーふっーと開けていた口から熱が篭った吐息が男性器にかかる。

 少しだけ離れている舌から体温の熱が空気を通し感じられる。

 

 

 そして許可を求めるように女の瞳は上目使いで、見つめてくるのだ。

 

 

 

 この光景は心の鼓動を速め、嗜虐心を煽り続ける。

 

 

 

 そして……心。本能が急かすのだ。

 

 

 

 早く舐めさせたい。

 

 

 熱が篭って湿っているあの口で快楽を堪能したい。

 

 

 そして……飲ませて射精の解放と服従の愉悦を得たい。

 

 

 

 オスガキの本能はカンガンと脳へ訴え続ける。

 

 

 

 勿論、それに従うことに是非はない。

 

 

 だが……ここは一つの攻防であると考える。

 

 

 要するに、この衝動のまま行動してしまうと…………予想がついてしまうのだ。

 

 

 

『吸い取られてしまう』

 

 

 

 何をバカなと一蹴したい所だが、忘れてはいけない。

 これは舞台であり、相手とは身体で語り、言葉の応酬が行われる鍔迫り合いである。

 

 

 相手が、もし本気で本能に負けてしまったのであれば、この手で止めている力など問題ではない。

 余裕で振り切られて、まな板の上にのせられた魚のように艶やかに調理され美味しく貪られる。

 

 

 ある意味それは……思い出したくはないけれど、過去で得た経験が……身体へ伝えてしまうのだ。

 

 

 その誘惑は蜜壺に誘われる昆虫である。と。

 

 

 

 だが……しかし。

 

 

 

 ここで引くとかありえないだろう!! 

 とオスガキはイキっている。

 

 

 

 まぁ、その通りだ。

 

 

 

 この上昇し続けている興奮の歯車は止まらない。

 

 気持ちよくなりたいと言うのも正直な気持ちである。

 

 

 

 今の興奮を表すように、男性器の先端から雫が溢れ続ける。

 

 器から溢れる水が溢れ、粘度のある液体が一雫となり女の舌へこぼれ落ちた。

 

 

 

 雫が舌に触れた瞬間、女の身体が震える。

 はぁっと大きく息が漏れ、雫の味が舌を通し脳に伝わったのだろう。

 

 

 ドッという音が聞こえそうなぐらいに開いた口の中が唾液が湧き出していた。

 

 

 その口内にある唾液のお風呂に浸れば……恐ろしいぐらいの快感に浸れるだろうと言う想像が更に心を逸らせる。

 

 

 ふらふらと腰を動かし、その温泉の湖へ飛び込もうとした。

 

 

 女は口を開いたまま、それを待ち構える。

 伸ばされた舌が期待で小刻みに震え、美味しい食事が来るのを待ち続ける。

 

 

 

 だから自分は……

 

 

 

 おもいっきり勢いを着けて女の口に男性器を捻じ込んだ。

 

 

 

 

 

 にゅぷぶっっ!! 

 

 

 んんんっっ!? 

 

 

 

 

 自身が我慢していた分もあるが、勢いよく口内へ捻じ込み唾液の浴槽に浸る行為は敏感なあそこを通して快楽中枢を刺激する。

 伸ばされていた舌の上をウォータースライダーのように勢いを持って男性器が滑る。

 唾液で滑った舌は肌を優しく摩擦してくれた。それが更なる快楽を生み出す。

 

 

 

 そして腰が女の顔へぶつかり終点に到着する。

 しかし、遊戯はこれで終わりではない。腰を押し付けたまま女の喉を犯すように、円を描くように腰を動かした。

 

 

 

 ちゅぷぅっ! じゅぷっ! ちゅぐっ!! 

 

 

 んんっー!? んふっ! んぶぶっ!! 

 

 

 

 喉のコリコリ感が亀頭をくすぐる。

 そして幹の部分は、あたたかい唾液によってどんどんとコーティングされていった。

 

 

 女は喉を突かれる衝撃に、驚くと共に生理的に空気を吐き出そうとする。

 しかしその空気は溜まった唾液によって、口内を水音で満たしてしまう。

 

 

 水音は女の意図とは関係無しに、こちらの敏感な部分を愛撫する。

 

 

 

 ぶぶぅっっ!! はぶぶうぅっ!! ぢゅっ!! 

 

 

 

 引き続き、腰を動かして、口腔による愛撫を受けつつ、快楽を享受しながら自身の理性は問いかけてきた。

 

 

 

 何故、相手の土俵にそのまま乗っかったのか? 

 

 

 

 それは誤解だと理性に伝える。

 

 

 快楽だけを求める場合、間違いなくゆっくりとリンディさんの口に入れれば天国へ連れて行ってくれるだろう。

 

 

 しかし、それでは『吸われて終了』である。

 攻守は逆転されて、底無し沼へご招待。

 

 

 まぁ……そういうシチュも魅力的ではあるのだが……それでは当初の目的は一切達成されない。

 

 

 

 分からせないといけないのだ!! 

 

 

 

 だから……『吸われる』のでは無く『一方的に吐き出す』

 

 その意図がしっかりと相手に伝われば、攻の姿勢が維持されている事を理解してくれるだろう。

 

 だから女の反応は待たず一方的に腰を振る。

 

 自身の快楽を突き詰めて、この熱を一方的にぶつけるのだ。

 

 

 

 そう意気込んで理性に語っていると、その一瞬の隙すら逃さないようにリンディさんの舌が動いてきた。

 

 

 

 んっ……んりゅ…………ちゅっ……んくんっくぅ……

 

 

 

 伸ばされていた舌を利用して、舌腹で竿の部分を舌先で根本を包み込む。

 そして喉を動かし更に奥へ奥へと進むように誘導してくる。

 

 半端ない気持ち良さが、脳髄を焼く。

 にゅるにゅると動く舌が、ペニスの芯をより硬く、熱くさせた。

 

 

 そう。意図を理解させたからと言って、目的に対して素直に従う訳ではない。

 このやり取り自体は、どちらにせよ相手的に快楽を自然に与えてくる行動に繋がるのだ。

 

 結果……それが『吸う』という形に落ち着くだけである。

 

 

 溺れちゃいたい欲と鬩ぎ合いながら、くっ!! 負けない!! と鼓舞しつつ鈍っていた腰の動きを再開させる。

 

 

 リンディさんの頭を固定して、まるでバックで性交を行うかのように、強く突くようにして腰を前後に動かし続ける。

 

 

 

 ぱんっ!! パンッッ!!!! 

 

 

 

 腰と顔がぶつかる度に肌を叩く音が鳴る。

 しかし、それでもそそり立っている男性器の進行は、何も邪魔されない。

 むしろ快楽が増していく。くすぐるように這い回っている舌の感触が肉棒を痺れさせる。

 

 

 

 ぐちゅっ……にじゅっ……ちゅぐっ……

 

 

 

 腰の動きを変え、リンディさんの頬の裏を攻める。

 餅のような柔らかさを持つ、その部分は亀頭をしっかりと包み込んで磨いてくれる。

 

 その状態でリンディさんの顔を見ると、頬が膨らみ自身の男性器の存在がしっかりと見える。

 ゾクゾクとした刺激が背筋を通るが、更にそれを上回る快楽がペニスを通して伝えられた。

 

 

 

 ちゅる……ちゅる……

 

 

 

 頬で包み込まれた亀頭を、飴を舐めるかのように舌が擦り立てる。

 括れの部分は特に念入りに舌先で刺激されてくるのが分かった。

 

 

 

 くぷっ……ちゅぅぅ……

 

 

 

 特に敏感な裏筋の部分も更に丁寧に舐められる。

 チロチロと舌先の筋肉によって、磨かれる行為は射精感を急速に速めるのであった。

 

 

 

 ……正直、長くは持たないだろう。

 と判断するくらいに、射精欲が高まり続けどんどんと心が動いていく。

 

 

 だから、その欲には逆らわずに一旦、高まり続ける熱の解放へと動いた。

 

 

 再び腰を前後に動かし、女の口内を凌辱していく。

 

 

 

 ぱんっ! ぱんっっ!! 

 

 

 

 こちらが達したいのが分かったのだろう。

 女の方も腰の動きに合わせ唇を窄めて、密着感を更に強めてくる。

 

 

 

 んんっ……んんんっ……んぢゅっ……っは…………んぅぅ……

 

 

 

 唇の輪を何度も潜りぬけ、快楽を階段を上がり続ける。

 女の方も何度も動きに合わせて、喉に飲み込み吐き出すといった行為を潤滑する動きを加速させてくる。

 

 

 

 そうして…………脳に白い光が走ったかのような強い刺激が発生する。

 

 更にそれを求めるため、女の顔をより強く掴み喉の奥の奥まで侵入する。

 

 その強い刺激がトリガーとなり、男性器が強く膨らみ精液が通る。

 

 そして…………強い快楽が身を焦がした。

 

 

 

 いくっっ!!!! 

 

 

 

 溜まりに溜まった熱が解放される。脈打つ血管が熱を出し続けていた。

 

 

 

 びゅっっる!! びゅるるっ!! 

 

 

 

 熱が解放される度に、脳が気持ちよさで浸される。

 深く深く押し込んだその喉へ吐精する喜びは腰をブルりと震わせるのであった。

 

 

 

 んんんんんっ!? …………んっ……んくんくっ…………んくっ……

 

 

 

 熱を吐き出す動きに合わせて、リンディさんの喉が動く。

 それは……射精の快楽を更に高めてくれて、最後の最後まで熱を吐き出していく。

 

 

 

 そうして…………強い脱力感が身を包んだ。

 

 

 

 一旦、放出された熱によって我が息子も伸縮が行われる。

 しかし……それを逃さないかのようにリンディさんは小さくなりつつある男性器を口に含み続けた。

 

 

 

 ちゅぅっ……ちゅぅ……

 

 

 

 哺乳瓶を吸うかのようなその動きは、達した直後の敏感になりすぎたその部分を攻め続ける。

 むず痒いくすぐったさが腰をガクガクと震わせてしまう。

 

 しかし……こちらが動かない限り解放されなさそうなので……息を落ち着けながらゆっくりとリンディさんの口から脱出する。

 

 

 

 ━━ちゅぽんっ

 

 

 

 音と共に無事、我が息子を救出した。

 リンディさんは……我が息子を切なそうに眉を寄せて見続けながらも口をモゴモゴと動かしている。

 

 そして……

 

 

 

 ━━━━ごくりっ

 

 

 

 リンディさんの喉が鳴り、子種が嚥下される行為を目の前で見せられる。

 そうして、一旦の攻防は終了した。

 

 

 

 くっ……引き分けだったか……

 

 

 

 そう考えた時、理性は冷静に『マジで?』と突っ込んできた。

 

 

 



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48話 □エロ リンディ(オスガキVS未亡人③? A責め AF

引き続き少しだけハード+マニアックかなぁ…と思う内容なので……(略②



 

 理性は……いや、劣勢じゃね? と突っ込むがオスガキはそんな細かいことは気にしない。

 

 

 しかも引き分けは……攻めの立場である以上、負けを表していると思っているので、次こそはと意気込む。

 

 

 

 だけど……まだまだ余裕なんだよなぁ……。

 

 

 相手が攻めにまわられた時に改めて理解してしまうが、まだまだリンディさんには余裕がありそうな感じが強い。

 

 

 

 ならばもっと強い攻勢が必要だろうと考えてしまうのも当然の結論であった。

 

 

 

 

 だが……分からせ侵攻作戦をどうすべきか。

 

 

 

 

 今の状況は、主砲を打ち尽くした砲台で敵主戦力を攻略せよという状況だろうか……。

 

 主砲へ弾を装填……補給部隊を待つにしても必要なのは時間である。

 

 だが、相手は無限の弾薬と無限の残機を持って優しく……そして確実な侵攻をしてくるのだ。

 

 

 

 そんなん……チートやん。チートや!! と突っ込みたくなるが、そもそも男性として……連続性という点では、こういう時に不利であるのを実感する。

 

 

 極論的にはなってしまうが……ある意味、相手は身体に支障がなければ体力が続く限り攻めることが出来る。

 

 だが、こちらは一瞬の快楽を得た後は、どうしても回復に時間がかかる。

 

 1回だけならまだ……次装填も速いだろうが……2回……3回……と回を重ねれば重ねるほど、ジリ貧になるだろう。

 

 

 現段階で数回……そして更に主砲を打ち尽くした後の補給部隊が後何回必要になるか……どうかは未知数である。

 勿論、幼き心はそれを認めたくはない。男の甲斐性……というか意地だ。

 

 

 ならばどうすべきか。

 

 

 

 主砲を使わずに遅滞作戦を行う。そして補給部隊で復活後、再度挑むのだ。

 

 

 

 しかし……そんな主砲で大丈夫か? と理性は訴えかけるが、それには……勿論『大丈夫じゃない』と即答させてもらおう。

 

 

 

 何故? 

 

 

 

 リンディさんの様子を見た。

 

 彼女の瞳は周りの光を反射させ……研磨された緑の宝石のように透明感のある色で彩って、こちらを見つめてくる。

 

 涙で潤み艶を帯びた瞳は、次の内容を期待しているようにもみえた。

 

 そして……ちらりと見せてくる赤い舌は劣情を煽ってくるのだ。

 

 

 

 そう……。考えたくはないが……どう見ても……リンディさんは回復している。

 

 

 

 これが相手の無限の残機の秘密である。

 

 

 

 お互いの体力を消耗させたとしても、最後にリンディさんは美味しいお食事が待っている。

 美味な食べ物というのは、それだけで自然と活力へ変換されていくのだ。

 

 

 

 勿論、お腹一杯になれば逆に活力を減らすことも可能であるが、そんなに放出することが出来るのであれば……ある種人間の枠を超えているだろう。

 

 

 

 一回の射精量など……たかが知れている。数mlで相手がお腹一杯まで……限度一杯までとすれば、それこそ狂気の沙汰であるし、精も根も尽きて干からびるだろう。

 

 

 

 だからこそ……こちらの攻勢は緩めてはいけない。攻めても引いても待っているのは、自身にとって悲しい結末なのであれば、爪痕を残す……自身のベストを尽くすべきだ。

 

 

 

 それが、男の意地である。

 

 

 

「夫婦の契りってさ」

 

 

 ふと出した言葉に、リンディさんはピクッと身体を動かし反応する。

 

 

 

「お互いの心を合わせて、硬く結びつけるための神聖なものだと思うんだよね」

 

 

 もっともらしくヤレヤレと言う感じで、演技をする。

 

 

 

「だけどさ」

 

 

「お互いの心……身体を硬く結びつけるのは、やっぱり()()()の無垢な部分でないと神聖じゃなくない?」

 

 

 ニヤニヤとイヤらしい表情を浮かべ言葉を発した。

 

 

 

 

 契り。俗にいう肉体的情交を含む言葉。

 

 しかし、それは人の歴史を紡ぐために必要な神聖な行為でもある。

 

 だが、本能というのは別である。貞操という言葉が価値観を持ち、人の感覚を感情を段々と変化させていった。

 

 

 

 穢れ無き乙女を欲する(処女信仰)

 

 

 

 尽きぬ男の欲望の心に存在する言葉。

 

 まぁ……実際は公言することは出来ない、クソな価値観の一つではあるのは間違いないだろう。

 

 

 初めてって……色々と大変だし……。

 

 

 しかし、何事においても「初めて」と言うのは特別な感情が生まれてしまうのも事実であった。

 

 

 それは一つの価値として人類の歴史に深く根付いている。

 だからそれは男性だけではなく、女性も自然と学んでしまうのだ。

 

 

 勿論、そう言ったことは差別、人権を蝕む内容であることも学ぶであろう。

 

 

 

 ただ、今はそう言う状況を利用する。

 

 

 

 恐らく発した言葉を理解すれば、リンディさんは責められているような気持ちになるだろう。

 

 

 

 時間は戻せない。

 

 

 

 現段階において、それは覆すことが出来ない事象だ。

 

 

 

 そして、リンディさんは子を産んでいる未亡人である。

 

 

 

 と言うことは、それが神聖なものであれなんであれ、結果として一般的な言葉の処女と言う所からは卒業している。

 

 

 

 だから普通の情交では『初めて』ではない。

 

 

 

 何を『初めて』で捧げてくれるのかな? 

 

 

 

 と言う意図を暗に伝えるのだ。

 

 

 

 遅延作戦を行いながら、装填を行い作戦目標の「分からせる」を遂行させる。

 その道を作るための布石を進めていった。

 

 

 

 さて、相手の反応はどう出てくるだろうか。

 

 

 

 演技とは言え、台本は存在しない。

 お互い相手の言葉を利用してストーリーを作る。

 エチュードと呼ばれる即興劇のようにやり繰りする為、相手の言葉を待つ必要がある。

 

 

 

 ワクワクとした気持ち。ドキドキとした気持ちが心を逸らせる。

 丹念に成長したその身体を貪る行為は、自然と嗜虐心を加速させてくる。

 

 

 

 ニヤニヤとした表情を維持しつつリンディさんの反応を待つ。

 ちなみにあくまでこちら側は経験はどうあれ『初めて』である。

 

 

 

 これは特にこちら側が申告しないと分からない事項であるし、リンディさんとは、とことん吸われるとしても最後まで致していないはず……。

 と言うか……吸われ続けた後、意識がなくなる事が多いので…………そこまで辿りつかないのが…………実情である。

 

 

 

 リンディさんは……こちらの発した言葉を聞き、表情を見て意図を理解する。

 

 

 

 最初は言葉によって絶望にも似た表情に変化する。だけど、こちらの表情を見ることでその意図を理解した表情を見せた。

 すると今度は求められている内容を理解したのか、次は顔を真っ赤にして照れているような表情を見せてくる。

 

 

 瞳は左右に泳ぎ、出す答えを考えてるのだろう。

 

 更に赤く紅潮し続ける肌は、耳まで真っ赤に染め上がっていった。

 

 

 

 そして……一瞬目を閉じた後、決意した表情を浮かべ、彼女は行動に移した。

 

 

 

 ゆっくりとその裸体を動かして、うつ伏せになって四つん這いになる。

 そしてお尻の部分を更に上げて、しっかりとこちらへ見せつけてきた。

 

 

 リンディさんのお尻部分が、ドアップで視界を占領する。

 

 

 大事な部分は丸見えであり、整えられた緑色の陰毛が興奮を誘ってくる。

 そして……潤いすぎた蜜壺が開いており、挿入した時の気持ち良さを想像させてしまう。

 

 

 しかし、リンディさんは導く所は、そこではないと言うかのように、手でお尻のお肉を広げてある箇所を露わにさせる。

 

 

 露わになった箇所は…………菊のような放射状に広がり窄まったシワが映る穴。

 

 

 

 菊門……アナルである。

 

 

 

 弱々しく恥ずかしさが伝わるような女の声が響いた。

 

 

 

「こちらはぁっ……誰にも触れさせたことがないぃ……穴でございますぅぅ……旦那さまっ……私の初めてぇっ……をっ……お奪いくだぁっ……さいっ……」

 

 

 

 

 ほぅ……アナルですか……。

 

 

 

 これで口淫が初めてでしたと言われていたら、後で説教ものであっただろう。

 

 だけど、女は超えて来た。

 

 予想の範囲内とは言え、流石にそこまで経験が無かったと言うことも、ある種の清楚な女であると言う感情を引き起こす。

 

 

 

 淑女の未知なる場所を汚す感覚……それは興奮の歯車は機能し始める。装填部隊が歓声をあげた。

 

 

 

 だけど、まだまだ装填完了までは、まだまだ時間がかかるが、オスガキは復活した。

 

 

 

 ならば動くべきであろう。

 

 

 

 女が広げた手を引き継ぎ、こちらで力強く尻の肉を開く。

 より開かれたお尻は、窄まったアナルをよりこちらに見せつける。

 

 

 

 そして……顔を近づける。

 

 

 スンッ

 

 

 

 その鼻息が女の耳に入った瞬間。身体がビクッと硬直する。

 掴んでいた手からも筋肉が緊張しているのが良く分かる。

 

 

 

 スンッ……スンッッ! 

 

 

 

 鼻息が響くたびに女の身体は緊張し続ける。

 だけど、その羞恥の感情は彼女を淫として責めるのか、身体の肌は紅潮し続けて、真下にある泉からは粘っこい液体が溢れ続けていた。

 

 

 

 うーん。フローラル。

 

 

 

 女の手入れは完璧なのか、不快な臭いは全く感じず、まずは石鹸の匂いがこちらの鼻をくすぐる。

 そして続いていた行為によって生まれた汗の臭いは興奮の材料として、こちらを刺激してきた。

 

 

 ただやはり場所的に汗の強い臭いは残る。

 それは下賤な欲望を加速させていった。

 

 

 匂いを嗅ぎ続ける。これはやられた身(やらせた身)からすると、かなり恥ずかしい。

 羞恥を煽りすぎる行動は、自然と頭が回り続けて想像が膨らみ快楽を生み出してしまうのだ。

 

 

 女はそのままでは羞恥に耐えきれなかったのか、四つん這いだった状態から、顔の部分がベッドへ沈み込む。

 そうなると、お尻だけが上がっている状態になって、よりその部分が強調されてしまった。

 

 しかし恵の水は溢れ続けているのが、彼女の興奮を示してしまう。

 

 

 

 その姿は、羞恥と快楽を仕込む喜びを感じてしまった。

 

 

 

 更に……オスガキの悪戯心はどこまでも上がり続ける。

 

 

 

 そして…………一旦、嗅ぐプレイをやめて、ベッドに蹲っている女の顔へ近づく。

 

 

 

 女は顔を伏せている為、こちらが近づいているのがまだ理解していない。

 それを見つつ、女の耳に顔を近づけて、こう囁いた。

 

 

 

「くっさ♡」

 

 

 

 反応は劇的であった。

 

 

 その言葉を囁いた瞬間……女の身体がピーンと大きく仰反る。

 お尻の部分は更に天空へ突き上げられ、岸へ上げられた魚のようにビクビクと身体を震わせた。

 

 

 そして、言葉の続きは聞きたくないかのように、顔をイヤイヤと左右に振ってこちらから離れようとした。

 

 

 

「動くな」

 

 

 

 その言葉を聞いた瞬間、再度、女の身体が大きく震えた。

 しかし……ちゃんとその命令に素直に従い、こちらから逃げることは無くなった。

 

 

 顔をベッドに伏せたまま、顔を小刻みに左右に振り続ける。

 その姿は……ドキドキ感という嗜虐心を更に発奮させてしまった。

 

 

 再度、女の尻へ移動する。

 そして……また尻肉を広げ、アナルの臭いを嗅ぐ行為を感じさせる。

 

 

 

 

 くっさ♡

 

 

 ビクッ!!!! 

 

 

 

 

 くっさいなぁ♡♡

 

 

 ビクッビクッッッ!!!!!! 

 

 

 

 

 こんなくっさい穴を捧げようとしてたのかよー♡

 

 

 ビクッビクッッ!! ビクッッッッッッッッッッ!!!!!!!! 

 

 

 

 

 言葉を発する度に、女の身体が強く震える。

 女としての尊厳を踏み躙る行為。美意識が高ければ高いほど……その効果は高い。

 

 

 そしてそれは……オスガキをどこまでも興奮の高みへ連れていった。

 

 

 

 

 しばらく……その言葉攻めと嗅ぐプレイを楽しんでいると…………女の行動に変化が訪れる。

 

 

 

 こちらの言葉に反応しなくなり、小刻みに身体が震え続ける。

 

 

 そして……うずくまっている顔から小さく声が聞こえてきた。

 

 

 

 

 うぅっ……ぐずっ……ぐずっ…………えっぅ……ぐずっ……

 

 

 

 

 っ!? ヤババババッ!? やり過ぎたっ! 

 

 

 

 慌ててリンディさんの顔へ移動する。

 そして優しくあやすように顔を抱き込んで頭を撫でる。

 

 

 

 そして……臭いなんて嘘だよ。とても興奮したんだ。と頭を撫で続けて、歯の浮くようなセリフを優しく連呼してなだめ続ける。

 

 

 

 そうしてしばらく優しく撫で続けていると……段々と嗚咽が少なくなり身体の震えが落ち着いてきた。

 

 

 

 ゆっくりとリンディさんは顔を起こし、こちらを見つめてくる。

 綺麗な顔は涙によってぐしゃぐしゃになり、迷子になった幼子のように悲壮感が漂うような表情を浮かべたままこちらを見続ける。

 

 

 

 そして……「私……くさくない?」とまるで少女のような声音でこちらに聞いてくる。

 

 

 色をまだ知らぬ乙女のような声音と表情はギャップを生みだす。

 ……それは物凄く可愛くキュンと感じてしまったが、それは相手に伝わらせないように返答はすぐに行う。

 

 

 

「勿論。リンディさんの匂いはとても良い匂いで興奮したよ」とゆっくりと諭すように伝えつつ、頭を再度抱え込んで優しく髪を撫であげる。

 

 

 そうしているとリンディさんはこちらの胸の部分に顔を擦り付けて「よかったぁ……」と呟く声が聞こえた。

 その少女のような雰囲気はこちらを改めてドキッと鼓動を速めてしまう。

 

 

 

 落ち着くまで引き続き抱きしめ続けていると、程なくリンディさんも落ち着いたのか顔をこちらへ再度上げてくる。

 

 

 

 上げてきたその綺麗な顔へキスを降らせる。泣き止んだとは言え……その涙を唇で拭うように頬へ……そして唇へと優しくキスを行った。

 

 

 リンディさんはそれを受け入れる。段々と血色も戻り、こちらへ向かう瞳の色に光が戻ったような気がした。

 

 

 そして……「ごめんなさい」と小さく謝罪の言葉を呟いて来た。

 それに対して「どうする? 止めるかい?」と伝えると、リンディさんは左右に顔を振る。

 

 

「続きをして欲しいの」と少しずつ紅潮した肌が艶を持ってこちらに伝えてきた。

 そして……彼女の細い手が動き……優しくこちらの陰茎を握ってしごき上げてくる。

 

 

 くにくにと動くその手によって、息子は素直に快楽の反応を示す。

 内に収められた火は再度、彼女の手と言う息を与えられて燃やし始める。

 

 

 彼女の手で扱われ、大きくなり続ける我が息子を感じつつ言葉を発した。

 

 

 

「それじゃ……再度お願いが……出来るかい?」

 

 

 

 クズだ。間違いなくクズ男的行動である。

 オスガキ根性が復活してしまったのか、先ほどとは打って変わってゲスなお願いを伝えてしまった。

 

 

 けれど、リンディさんはその言葉に瞳を逸らしつつもコクリと頷いて、行動をはじめた。

 

 

 先ほどと同じように四つん這いの状態になり、こちらにお尻を向ける。

 その大きくもプリプリのお尻は……顔を再度埋めたい欲求に駆られてしまう。

 

 

 

 その誘惑にグッと耐えていると、リンディさんは手を使ってお尻の割れ目を開いていく。

 

 

 

 そして…………現われたのは……先ほどの泣き顔が嘘かのような、興奮を示す水が溢れ続け、洪水になっている秘所の入り口と、窄まっている素晴らしき未知の出口である。

 

 

 

 その二つの穴を露わにして、リンディさんは嘆願する。

 

 

 

「あなた……この不浄な穴を……あなたの……その逞しいペニスで犯して……欲しいのっ……」

 

 

 

 色々と設定が飛ばされてしまったが……これはこれでヨシ!! と心の鼓動を速める。

 

 

 そのお願いに従うようにして、身体は行動を開始した。

 

 

 再度リンディさんの手の動きを引き継いで、こちらでお尻のお肉を開帳させていく。

 改めて尻肉が開かれると……ぬぱぁっというかのような粘度の高い愛液が迎えてくる。

 

 

 その体液に塗れた柔らかい柔肉を指でなぞりあげる。

 体温に温められ続けた肌は餅よりも柔らかく、プニプニとした感触は興奮を誘う。

 

 

 

 んっ……あぁっ……

 

 

 

 指で敏感な秘所を触ることで、喘ぐ声がリンディさんから漏れる。

 まずは……もう少し緊張を解さないといけないなと考えて、溢れる蜜壺の攻略に勤しむ。

 

 

 

 にゅる……にゅぷっ……

 

 

 

 粘っこい液体は湿った淫音を伴いつつ指の動きを手助けする。そして指の感触によって更なる蜜を生み出すのだ。

 時折漏れる甘い吐息が、楽器の演奏のようにリズミカルに行動を加速させていく。

 

 

 

 くちゅ……くちゃっ……にゅっぷ……

 

 

 

 あっ!? んんっっ……はぁぁっ……っは……

 

 

 

 少しずつ少しずつ……リンディさんの力が抜けていく。

 上半身は再びベッドに埋もれ、下半身だけが触りやすいようにこちらへ突き出し続ける。

 更に……ゆっくりと花弁が開いて周りに主張するような花の香り……リンディさんの芳香が強くなっていく。

 

 

 その様子を見て、指の動きをメインに変えていく。

 

 

 

 秘所から少し上。未知の世界を感じる為に小さな窄みに向かって指を滑らせる。

 

 

 

 んんっっ!? 

 

 

 

 その部分に触れた瞬間、リンディさんから驚きの声が漏れる。

 だけど、身体は逃げることはなく、お尻をそのまま突き出してくれている。

 

 

 ゆっくりと窄みの形の通り円を描くように指を滑らせていく。

 指から伝わる感触……普通の肌よりも硬い感触……発達した筋肉の感触を感じた。

 

 

 

 あぅっ……んんんぅっ……んんっ……

 

 

 

 そのコリコリとした硬い筋肉をマッサージで解すように……指で優しく押しながら触り続けた。

 また指にコーティングされている液体もうまく活用して、未知な探検洞窟を深堀できるように準備を整えようとした。

 

 

 そして……ゆっくりと指を奥へ進行させていく。

 

 

 

 ああっ!? あくっ……ぅぅ……

 

 

 

 きゅっ……と音がしそうな感じで指の先端が潜り込む。

 中に入った時に感じるのは……肌と肌が触れ合った以上に感じる熱い内部。更に中のフワッとした柔らかさ。

 そして……指をギュッと締め付ける輪っかの強さであった。

 

 

 

 それらを感じながら、指を内部へと押し進めていく。

 

 

 

 あっ……あぅぅ……あぅぅぅぅぅ……

 

 

 

 指を締め上げる輪っかが、第一関節から第二……そして指の根本までスライドしていく。

 体内の熱さが、指全体で感じられ蕩けるような柔らかが指の肌を通し脳へ伝えられる。

 

 

 

 そして…………指をゆっくりと引き抜いていった。

 

 

 

 はぁぁー…………はぁぁぁぁっ…………んぅ……

 

 

 

 引き抜くにつれて……リンディさんの気が抜けるような……空気を吐き出す声が聞こえる。

 それが……想像させてしまう……誰に見せることもない、あられもない姿を想像させてしまうのだ。

 

 

 

 そうして指の先端まで引き抜いた後、再度指を押し込んでいく。

 

 

 

 んんんっ…………あぅぅっ…………あぁぁぅっ…………

 

 

 

 そして引き抜く。

 

 

 はぁぁぁぁぁぁぁっ…………んんっはぁぁっ…………

 

 

 

 またまた入れ込む。

 

 

 んんんんんんっっっっぁ………………

 

 

 

 だんだんと……だんだんと蕾が開いてくる。開花……受け入れられる為に身体の準備が進んでいった。

 ちなみに前の花は……満開状態で今すぐにでも受粉できる準備が万端である。

 

 前方の美味しい蜜の香りに惹かれながらも……採掘の道は続く。

 

 

 

 入れる。

 

 にゅにゅるっ……ぢゅじゅぅっ…………

 

 

 

 出す。

 

 にゅぷゅ……ちゅちゅっぷぅ…………

 

 

 

 

 そして……

 

 

 

 

 ━━━━ちゅっ……ぽんっっ…………

 

 

 

 出入りする指のスピードを速めつつ、身体が弛緩してくるのを感じたので、指を一旦引き抜いた。

 引き抜いた場所を見てみると……

 

 

 そこには小さいながらも……ぽっかりとピンク色で咲いている穴の中心が見えていた。

 

 

 ゴクリと生唾を飲み込んでしまう。

 想像してしまったのだ……あの柔らかそうな穴へ突き入れた時の気持ちよさを。

 

 

 

 色々とあったが……我が軍隊の主砲の装填は完了している。

 今か今かと発射の号令を待ち侘びている状態だ。

 

 

 そうなってくると……どうしても味わいたくなってしまう。

 性交による快楽の期待……そして初めてを奪う征服感の心の煽りは……身体は自然と行動してしまう。

 

 

 身体を起こし…………再装填された……勃起している男性器の先端をアナルの部分へ押しつける。

 

 

 そして、伝えた。

 

 

 

「リンディさん……。力を抜いて」

 

 

 

 指と違う感触にリンディさんも気づいたのであろう。

 亀頭が触れた瞬間、身体を強張らせた後……

 

 

 

「……あなたの……モノにぃ……してくださぃぃ……」

 

 

 

 最後は消え入りそうな声になりつつも、ゆっくりと強張りが弛緩していく。

 

 

 ヨシッ!! っとちょっと成長して判断がガバになっているオスガキが、引き続き指差し確認をする。

 

 

 ……とりあえずゆっくりと亀頭部分を押し込もうとする。

 

 

 

 

 ━━グググッッ……ググッ……

 

 

 

 

 あぅ……ぐぅっ!? ……ぁうぅうぅぅ……

 

 

 

 多少広げたとはいえ……まだその小さくも淫靡なその花は、まだまだその進行を拒絶する。

 ミチミチッと言うくらいキツすぎる輪っかの密着感。それを……少しずつ広がっていく感触が敏感な亀頭を通して感じられた。

 

 

 

 キツイッッ……キツイがっ…………それが興奮するっ!! 

 

 

 

 ぬぬっっ!! ぬぬぬぷっっ!! ぬぢゅっ!!! 

 

 

 

 あがっっ……んむぅぅ…………だめぇ……あうぅ……だめぇっ!? 

 

 

 

 オスガキは冷静に何がダメなのかね? と突っ込んではいけない。

 下卑た笑みを浮かべながら、更に侵入していくのだ!! 

 

 

 

 ぬぶっ……ぬぶぶっ……ぶっ……ちゅぽっ!? 

 

 

 ……あ゛っあ゛ぐっ!? 

 

 

 

 一番、太い部分のカリの部分が、リンディさんの体内に入り込んだ。

 

 

 体内の中は、指を入れた時よりも熱く温もりを感じる。

 更にきゅうきゅうと締め付ける括約筋が竿を締め上げ……それによって大きくなった亀頭が、体内の壁で包み込まれる。

 

 

 ふわふわと……つるつると……そしてトロトロとした感触が、ペニスの芯に快楽を生み出す。

 

 

 

 もっと……もっと……欲しい。

 

 

 

 これが……亀頭だけではなく、ペニス全体が包まれた時の想像が加速してしまう。

 はやくはやく全部味わいたいと本能は急かすが、それでもゆっくりと進行させていく。

 

 

 最初は……やっぱりすみずみまで味わうのが礼儀だよね。と心が加速して征服欲を取り込もうとする。

 

 

 吐息の変化も味わい深いスパイスだ。

 

 一番の難所をクリアしたことによって、リンディさんは息を荒げながらも少しずつ感触に慣れてきたように落ち着いてくる。

 しかし……再度こちらが進行することによって……空気を取り込むような吐息が漏れてきた。

 

 

 

 はぅ……ああぅ……ぃあああっ…………んんっぁ……

 

 

 

 熱い……熱い内部で、男性器全体が包み込まれていく。

 リンディさんが初めて感じるその姿を自分だけが……記憶の中に取り込んでいくのだ。

 

 

 

 いぐっ……いぁぁっ……ああっ……んむぅっ……

 

 

 

 ぬぷぬぷと突き入れていく。恐らくは体内に入る圧迫感が増していくのだろう。

 浅く酸素を取り込むその仕草はとても……淫らに見えた。

 

 

 

 ━━━━ずぷぅぅぅぅぅ! 

 

 

 

 そうして……リンディさんの体内の中にペニスが全て入り込み……リンディさんのお尻とこちらの腰がぶつかる。

 

 

 

 やっぱり……キツイッ!! 

 

 

 

 肉棒の根本が輪っかの圧力で締め上げられる。

 きゅっと窄み絞られるその動きは、まるで手で男性器の根本を引き伸ばされるような強い感覚を引き起こす。

 

 根本が引き伸ばされてしまうと、その快楽によって自然と竿の部分の血液が脈動して、亀頭部分がより大きく膨らむ。

 そして……より敏感になったそれをリンディさんの優しい体内で包み込まれるのだ。

 

 

 捻るように動くようにも感じるその体内は、動かなくても射精に導きそうなくらいに気持ちが良かった。

 

 だが……やっぱり本能はより強い快楽を求めてしまう。

 

 

 

 ゆっくりと最後まで入れたペニスを引き抜いていく。

 

 

 

 ……ぬぷっっ……ぬぶぶっっ……ぷぶぅっ……

 

 

 はぁっっ!? はぁぁぁっあぁぁ…………んぁっはぁぁぁぁっ…………んぅぁっ…………

 

 

 

 入れる時よりも抜く方が楽なのか……リンディさんから漏れる吐息は、気が抜けるような感じで口から漏れてくる。

 そして……苦しそうな感じではなく…………少し快楽の音が混じるのが分かった。

 

 

 

 はぁぁぁぁあぁぁぁっ…………あんっ……ぅあぅ……んむぅぅ……はぁぁっ…………

 

 

 

 人間であれば、この世に生まれた時から付き添う感覚……排泄時と似た感覚はお腹を蕩かすだろう。

 ……リンディさんに舌で仕込まれた感覚を思い出して、想像でお尻がむずむすしてしまった。

 

 

 しかし……今は自分が仕込む側。分からせる側である。

 その快楽をしっかりとリンディさんに教え込むのだ。

 

 

 

 そうして、亀頭部分は埋もれた状態で、竿全体が体内から引き抜かれる。

 暖かい体内から脱出した竿を見てみると……お風呂から上がった時に、発生する湯気が見えそうなくらいにホッカホッカに見えた。

 

 

 そして色々と粘液が纏ったそれは前後の移動をスムーズに出来るだろうと想像させる。

 その想像が……色々と成長しそうだったオスガキの心に火をつけてしまう。

 

 

 

 遠慮なくいったらどうなるだろう……。

 

 

 

 若い好奇心は無駄な行動力を発揮する。

 ついその結果を求めて、浅はかな行動をしてしまうのだ。

 

 ただ……孤軍奮闘している理性が、心構えをリンディさんに伝える。

 

 

 

「リンディさん……耐えてね?」

 

 

 

 ……えっ!? っと声が漏れたような気がするが、好奇心に塗れたオスガキは細かいことを気にしない。

 その気の向くままに腰を一気にリンディさんのお尻にぶつけた。

 

 

 

 パンッッッッッッ!!!!!!! 

 

 

 お゛っっっぁぁあ゛っっっっっっっっ!?!? 

 

 

 

 腰をぶつけた瞬間……背筋が弓なりに張り、淑女のリンディさんから考えられないような声が漏れる。

 その獣のように喘ぐ声は……嗜虐心にも火が灯ってしまう。

 

 

 

 ずにゅぅぅうぅっー!! パンッッッッッッ!!!! 

 

 

 あ゛ぁっはぁあぁ……ぅぁっっ!! ん゛ぎゅぅぅぅっっぅ!!!! 

 

 

 

 激しく前後に動くことで、リンディさんの締め上げる括約筋も伸びる。

 捲られる肛門を……初めて人に見られてしまう。その優越感がより脳の温度を高めてしまった。

 

 

 ぱんっ!! ぱんっ!! と腰がぶつかる音を響かせながら、快楽を享受する。

 あったかくヌルヌルでフワフワの体内で、ペニスがどんどん磨かれていった。

 更に……お゛っ!! お゛っ!! と唸るように漏れるリンディさんの声が、恥辱させているんだと言う快感を脳へ伝えてしまう。

 

 

 腰の抽送を繰り広げ、段々とお互いの熱が高まり汗が生まれてくる。

 それが空気を通して、淫靡な芳香として鼻腔へと取り込まれていった。

 

 

 そして、生まれてくる快楽は雪だるま式に膨らみ……巨大な快楽を発する。

 

 

 

「いいかっ……くっ……しっかりと体内で()()()んだぞっっ」

 

 

 

 もはや設定は二転三転しており、演技? 何それ美味しいの? 状態だが快楽に染まっている脳は気にしない。

 更に主砲部隊からはもう火付けちゃいました。と伝達が脳に来ているので、止めようがない。

 そして……発した言葉に頷くように頭を振っているリンディさんのアナルを、更にグッと欲望のまま深く抉る。

 

 

 そうして限界まで引き伸ばされたペニスは精液の発射を開始した。

 

 

 

 ああっ!? あああああああああああぁっっっっぁぅ!?!?!? 

 

 

 

 ビュクビュクとペニスが脈動して子種を発射した。

 それをリンディさんは、肛門から体内で受け取ることで喘ぐ叫声を響きわたらせる。

 

 あらゆる快楽が強く混じり合い、脳が白く焼かれていった……。

 

 

 

 ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ……ぅぁ…………んっ……

 

 

 

 残弾打ち尽くしました!! と脳へ伝令が伝えられた後、急激に疲労感が押し寄せる。

 我が主砲も溜まりに溜まった熱を逃すため、その存在が縮小されていった。

 

 

 

 そして……

 

 

 

 ちゅっ……ぽんっ! 

 

 ぅんあっ!! 

 

 

 

 リンディさんのお風呂から完全撤退した音が響く。

 そして、息を荒げながらお互い身体を重ねるようにベッドへ寝転んだ。

 

 

 はぁはぁと息を整えながらお互いの顔を見やる。

 リンディさんを見ると、再度その瞳に涙が溢れていたので、唇でちゅっと拭うようにキスをした。

 

 

 それに返礼するような感じでリンディさんも口付けを返してくる。

 

 

 ちゅっちゅっと事後の余韻を楽しんでいながら、最後に深い口付けを交わした。

 

 

 

 ……これで……なんとか分からせられたはずだ。

 

 

 

 本当に? と理性は突っ込み続けるが、そんな意見は無視してやったぞーと両手を上げて勝鬨を脳内で展開させる。

 

 そうして、深い口付けの後、お互いの舌で生まれる唾液の橋を見て、改めてドヤッっとした顔でリンディさんを伺う。

 

 すると……リンディさんは……とっても可愛くもあり美しくもあり、そしてとっても淫らで艶がある笑顔を浮かべてこう言ってきた。

 

 

 

「ねぇ……あなた。……一回で終わりってことはぁ……無いわよねぇ……?」

 

 

 

 いえ……一回のみです。しかも、これは一回目ではありません。と即答したい。

 

 

 

 クリクリと指先で胸……乳首を捏ねられる。その刺激にビクッと反応してしまうが、脳内ではパニックに陥っていた。

 脳内で勝鬨を上げていた主砲部隊は完全撤退。残っていたのは……ガクガクと震えているオスガキが一人残っているだけであった。

 

 

 

 そうして、次からは完全に一方的な侵攻が開始される……。

 

 

 

 

 太陽が黄色いって本当なんだなぁぁぁっと、実感するまで時間はそう掛からなかった。

 

 

 

 

 



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49話

 

 寝起きの微睡は、ある種特別なものだと思っている。

 

 

 

 意識が覚醒するに合わせて思考が少しずつ加速していく感覚。

 

 

 シーツから感じる温もりの幸福感。そして、何故かどの季節であっても、朝特有の澄んで冷えたような空気を顔に感じさせてくる。

 

 

 冷ややかな感覚と暖かい感覚。

 何故かその温度感は幸福を呼び、いつまでも無限に感じてしまいたいと錯覚させてしまうほどだ。

 

 

 

 しかし、脳内に鞭を打ち、思考は覚醒を促して、頭の歯車を回していく。

 

 

 だが、耐え難い魅力の環境下の威力は強力であった。

 

 

 

 それらの葛藤は……この後に二通りの道が見えてくる。

 

 

 

 要するに

 

 

 早く起きたいのか

 

 それとも起きることを拒絶したいのか

 

 

 

 この二つの道はその後の未来を想定することで大体決まるだろう。

 

 

 良いことがあるのなら起きる。

 悪いことがあるのなら逃避する。

 

 

 前者ならむしろ誘惑を振り切る力も強く、起床するのだが、

 後者だと、最終的には逃げられないことを悟り、覚醒することを決断する迄、至福に感じる時間をギリギリまで堪能するであろう。

 

 まぁ……どちらにせよ起床と言う事象からは逃れられない。

 

 

 勿論、怠惰の悪魔に唆されることで道を外すことは簡単であることも理解しているが、それを行うほど自身は幸せの環境下に居ない。

 

 

 怠惰を貪った結果は、敗北感をイヤでも植え付けられた上で、肉体のみならず魂すら消滅されるであろう。

 

 

<<アレ>>は転生すら容易に出来る存在である。それが目的を持って行動しているのだ。その事実だけで、怠惰を貪った後に訪れる終末は容易に想像出来る。

 

 

 目的にそぐわなければ別にいらない。

 目的に近づくのであれば道は準備をしてあげる。

 

 

 この別にいらないと言うのは、相手の価値観にのみに活きる内容だろう。

 

 要するに自分だけなのか、そもそもこの世界すらなのか。

 

 その大事な価値観は相手だけによって決められる。

 

 

 

 まぁ、対象の世界すら騙せるであろうことを考えれば、自然と辿り着いてしまう。

 相手にとってみれば、世界すら一つのボードゲームであろうと言うことを。

 

 

 トランプというカード(世界)を利用してポーカーというルールを縛り、ゲームを行う。

 

 

 そのくらいの感覚だと思っている。

 

 

 なら飽きたら(目的にそぐわない場合)は、手仕舞うことも簡単だ。

 カード(世界)を纏めて箱に詰めればいい。

 

 

 勿論、トランプならばその後、再度利用される可能性は高いだろう。

 それはカードの中身が、【それぞれが数字と絵柄によって役割を作ること出来る】という一定の効果を持っているからだ。

 

 それを元にポーカーなりブラックジャックなり、再度プレイすることは当たり前であろう。

 

 

 だが、次に開封したとしても、役割が無いカードしか無い。そして開いたとしても何のゲームにも使えないカードなら、開封は決してされないであろうことも容易に想像がつく。

 

 

 カードの中身(人というコマ)が役割を持って、プレイしたいゲーム(目的)が出来ると言う、状況下が作れない限り、再度開いてもやる意味がないと判断されているからだ。

 

 

 ある意味使えないと言う烙印を押されたとすれば、当人は否定したいだろう。

 必ず正解を引き続ける人なんてものは、ある種の人智を超えた存在と言っても差し支えないかも知れない。

 なら、尚の事、人である存在であるならば、2度目のチャンスが欲しいと言いたいのも当たり前である。

 

 

 だが、ある意味では、全てを見通せる上位の存在は基本的にそれを認めないはずだ。

 

 

 2度目でその意図を達することが出来るのであれば、1度目を何故ベスト……限界までやり切らなかったのか? と。

 

 

 そう。結果がどうやっても見えないものであれば、やる意味なんぞ皆無であろうと。

 

 

『頑張る』と言う見えない保証は、行動を伴って初めて具現化する。

 

 

 そこで、怠惰の悪魔の存在が浮き彫りになるのだ。

 

 

 怠惰は常に脳に働きかける。魅惑的で甘美でもある。そしてそれを身で味わっている時は悩みも無く至福であろう。

 だからこそ、それに溺れてはいけない。

 

 

 

 溺れて良いのは、寿命を全う出来るその日まで、何もかも心配することが無い幸せの環境を得た特権である。

 

 

 少なくとも己はその環境下にはない。だから、常に溺れないように精神を律していくのだ。

 

 

 段々と頭の歯車に潤滑油が入り、回転されて暖まり始めた思考を回し続ける。

 

 

 

 考え始めた内容は、今後のことである。

 

 

 

 すなわち2作目。A's編のことだ。

 

 

 リリカルなのはA's編

 

 

 なのは達がプレシア・テスタロッサ事件(P.T事件)を経て、精神的、肉体的に少し成長した後に発生する事件を描く物語。

 

 

 そこで紡ぎ出される物語は恐らくシリーズTOPの人気を誇り、根付いているファンも多いであろう。

 キャラクターの魅力も上昇を続け、色んな意味で歴史に名を入れてしまう程でもあった。

 

 

 簡単に物語を頭に描く。

 

 

 八神はやてという足に障害を持っている少女が、闇の書と呼ばれるロストロギアを覚醒させヴォルケンリッターと呼ばれる守護騎士を呼び出す。

 そして、足の障害が身体全体に影響を及ぼしていくのを察知した守護騎士達が、はやてを救うために闇の書に力を蓄えるために事件を起こす。

 

 

 そうしてなのはとフェイトがその事件に参加していくのだ。

 

 

 最終的にプレシア事件と同様で全てが全て救われるということはないのだが、それぞれが更なる大人へと成長を遂げていくお話でもある。

 

 

 

 実際のストーリーの流れは、流石に人気の作品でもあるため頭に入っている内容は多い。

 それらを元にしつつ動く行動指針を纏めていく。

 

 

 

 まずは相手の行動を想定した。

 

 恐らくはストーリーを破綻させなければ、あの存在が手を入れてくるのは闇の書の暴走時だろうと予測する。

 それを考えると結局は手を入れるポイントを想定できるようにストーリーを破綻させないことは必須であろう。

 そして、仮定ではあるがリリカルなのはシリーズを無印〜A's〜StSと言う形で三部作としてみた場合、作る側はどういう内容を考え作っていくだろうか。

 

 よくある構図としては、

 

 1作目 オーソドックス(その作品の基礎となるもの)

 2作目 オーソドックスを進化させたもの

 3作目 進化されたオーソドックスの中に新たな機能を取り入れて更に進化をさせる

 

 そして4作目にあたる所で、経営する側が既存ユーザーの数の限界が見えたように感じてしまい、新規を取り込もうとして、その作品のオーソドックスを取り払い新たな道を取り入れようとする。

 それが大体、失敗してしまうのも、よくある出来事と言われるくらいにざらにある。

 

 4作目までいける大作と呼んでもいいくらいのものであれば、長い期間もあるはずで作る人も変わっているだろう。

 

 最初の製作している人の意図がどんどんとずれることもあるだろうし、もっともっとと高い売り上げを望む大人の柵が、つまづく石ころを大きくさせてしまうのだ。

 

 

 勿論4作目以降も成功している事例も多い。その事例が夢を生み出すのだ。

 

 

 その結果、夢破れるか、それとも成就するかは、どちらにせよ手腕次第であろう。

 

 

 これらはあくまで積み上げていく作品の内容であって、勿論違う気風の内容もあるだろう。

 例えば……

 

 1作目 オーソドックス(その作品の基礎)

 2作目 そこから風呂敷を広げる

 3作目 さらに風呂敷を広げる

 4作目 宇宙に行く(畳めない風呂敷を気にせず別世界へ)

 

 ぐらいに細かいことは気にすんな的にシリーズを拡大していくのもあるはずだ。

 これは生まれ育った文化的思考もあるだろうし、その気風がそれぞれに影響しているんじゃないかなと思ってはいるが、どれが好みかは人によって違うだろう。

 

 

 少し話が外れてしまったが、要するにどんな形であっても普通に考えれば、二作目に突入するA’s編では難易度が上がるはずなのだ。

 

 

 それが相手の力の増量なのか環境なのかは現段階で判断は出来ないのだが、間違いなく無印編より低いことはあり得ないと想定する。

 

 

 それらを加味して大枠な指針を決めて行く必要がある。

 

 

 そして……リンディさんと共に検証した強化された【家】の状況も加味する。

 

 

 検証して得た内容を簡単に頭の中で纏めてみた。

 

 

 ①家の強度がとんでもない強度になっていた(リンディさんの全力攻撃ですら傷一つ付かない)

 ②新しく作られた扉はミッドチルダの新しい家に繋がっていた

 ③そして、家の存在が恐らくではあるが、かなり希薄な存在となっている

 

 

 ①は単純である。家の強度がとんでもない位に上がっていた。

 恐らくは地球が崩壊しても家だけは残りそうな感じである。

 勿論、地球が崩壊すれば重力や空気も無くなり、中に居ても助からないことは確実ではあるだろう……取り敢えずはそんな感じである。

 

 ②は想像通りと言うか分かっていた結論ではあった。

 新しく作られた扉を開くとミッドチルダ(リンディさん曰く)に移動することが出来た。

 扉の先の部屋は今の住んでいる家と同様に誰も居ない一室であった為、これも恐らくはあの存在が新しく作り出したものであろうと言うのが想像に難しくなかった。

 

 ③これはまだあくまで仮説レベルではあるが、恐らくこうなっているだろうと言う想定である。

 何故これに気づけたかというと、リンディさんのあの長い長い一日のひととき……によって理解したのが……ちょっと悲しいのだけれど……。

 要するに邪魔が全く無かったのだ。

 

 

 リンディさんはアースラ艦の艦長であり提督でもある。有能な手腕を発揮した上で、1日アースラ艦の人員をこの家に近寄らせる事無くする……ということも可能ではあると思うが、

 それでも有事の際における定期連絡等を取らないと普通に問題になるであろう。

 もし、それらがない状態でも問題が無いような形でリンディさんが手をうったとしても、軽く探りを入れられることもあり得る。

 

 特に鋼鉄な頭を持っている息子が居るのだ。リンディさん本人の意図とは別に何かしらのアクションがあっても可笑しくは無いはずである。

 

 

 だが、それらの心配は全く要らない位の状態であったのだ。

 

 

 要するにリンディさんが【この家】に居たと言うことが、彼らの頭の中で深く意識を行うことがされていなかった。

 

 

 それらの状況を加味すると、似たような状況を得た時を思い出す。

 

 

 そう。【両親が居なくても問題ないという認識】だ。

 

 

 自分という子供が、大人が必要となる手続きをしたとしても問題認識をすり抜ける。

 

 

 恐らくそれに近い状況が【家】に与えられているのだと思っている。

 

 

 何故これが与えられたのかということは、恐らくではあるがストーリーの先を考えると仮説が成り立つ。

 

 

 とは言え、これはまだ検証時間が短いので、ある程度更に深堀りしておくことが必要だろうということを頭の中にメモしておく。

 

 

 それと手元の所持品を確認する。

 

 

 持っているものは3点

 

 指輪式タイマー

 名前を確認するペンダント

 

 そして交換券である。

 

 

 指輪とペンダントは正直、合ってもなくてもどうにかなりそうだと思ってはいるが、それでも裏を考えれば持っていたい気持ちもある。

 ただ、後一つで交換券を利用出来ると思うと、選択肢が狭まるのも避けたいのも事実であった。

 

 色々と考えたが、取り敢えずは必要に応じてと言う臨機応変な対応と言う結論に至るしかなかったので、保留事項として頭の中を整理する。

 

 

 

 そんなことを材料にしつつ、動いていく行動の指針を頭の中で描いていった。

 

 

 

 八神はやて

 

 A'sストーリの根幹でもある少女。間違いなくメイン対象であることは間違いないであろう。

 ということは、彼女を手の中に置くことは必須であろう。

 だが、事件前に彼女と一緒にいることは色々と問題も多い可能性が高い。

 まず、彼女はある人物から監視対象に入っているはずである。

 はやてと繋がっていて、なのは達と繋がっていることがバレると、こちらに制限がかかる可能性が高い。

 

 

 事件後半、大体の問題が露わになっている時に合流することで違和感を無くすようにしたい。

 しかし、彼女との接点は事件前に持っておく必要がある。

 

 

 その辺りの行動方法を考えていった。

 

 

 そして……ヴォルケンリッターの存在。

 果たして、催眠能力が対象なのかが試してみないことには分からない。

 デバイスとして見ればかなり怪しく思えてしまうが、色んな意味で考えると継続対応であったりと能力対応自体は恐らく可能なので出来るだろうという予測も経つ。

 他のデバイスで試そうにも、もし成功してしまった場合、継続対応が出来ないため終了である。

 ある意味そんな危ない橋は渡ることは出来ない。

 まぁ、仮に出来たら出来たで問題は無い。出来なかったら出来なかったで一歩進んだとしてポジティブに考えようと思う。

 

 

 だが成功する可能性があり得る以上、細心の注意で望もうと思う。

 守護騎士の中には男性も1名いるので……色んな意味で下地を整えないと危険だろう。

 

 

 ストーリーの組み立て方と試す順序は念入りに検討していく。

 

 

 そしてまだまだ問題はある。

 

 

 はやてを監視している人物の対処。

 なのは、フェイトの動きかたの誘導。

 リンディさん達の立ち回りの相談。

 

 そして……

 

 

 StS編の布石対応。

 

 

 無印編では正直そこまで考えるより、そもそもクリア自体出来るのかが分からなかった為、そこは欄外に置いていたが、クリア出来た以上、A's以降の今後を考える必要がある。

 あのマッド……もとい天才科学者さまを含めStSの下地を整えないといけない。

 

 

 それと、基本ストーリーから外れた内容。

 

 

 アリシア・テスタロッサの対応も考えないといけない。

 

 

 結果的にこちら側に保管することが出来たが、そのまま時空管理局に置いておくと大体歪なことになりそうなことは想像がつく。

 魔改造の可能性もあり、色々と面倒なことが起こる前にこちらで手を打たなければならない。

 

 

 恐らくこの辺りにおいて【家】の存在が重要になってくるだろう。と考えていた。

 

 

 やることを想像すればするほど、気が重くなってくる。

 

 

 段々とこのまま再度寝てしまおうかと逃避したくなってしまう。

 

 

 だが、無情にも時の流れは万人に訪れて、起床の時間が近づいていった……。

 

 

 ゆっくりと部屋のドアノブが回る音が聞こえる。

 

 

 頭は思考中で目覚めてはいるが、姿勢はベッドの中にそして瞼はずっと閉じたままだ。

 

 要するに寝ている状態と変わりがない。

 

 しかし、部屋のドアノブが回る音が聞こえた時に一瞬、心臓の鼓動が早くなる。

 

 

 起床の時間が来たと告げられたのだ。

 

 

 だが、すぐ起きることは出来ない。

 

 

 

 人体の不思議として、よくある話で、視覚という大情報を防いていると他の感覚が敏感になると言う。

 

 

 

 それを今、実体験していた。

 

 

 音を極力立てないようにして開いていく扉。

 そして身体は小さくも内部に大きく秘めていることを伝えるような体温の熱量を肌で感じる。

 

 

 その熱量が段々こちらへ近づいていくのを肌で鋭敏に感じ取っていった。

 

 

 視線が顔に感じる。

 

 

 瞳を開くことはしていないが、近づいて来た人物から発せられる視線の力が肌を通して感じられた。

 

 

 まるで達人になったようにも思えてしまうが、そうではない。

 

 

 

 視線が強すぎるのだ。

 

 

 

 鼓膜を震わせて聞こえてくる吐息の音。そして肌で感じるその風の力は相手との距離を想像させる。

 

 間違いなくこのまま顔を動かせばお互いの顔と顔がぶつかる距離である。

 

 それだけ近づいていると色んな香りが鼻腔に吸い込まれれくる。

 

 少女の身体から発せられている、甘く蕩けるような香りと石鹸の清潔さを感じられるような香り。

 吐息は温かい感覚と、軽く指先で愛撫するような刺激を皮膚に伝える。

 

 

 最近は入ってきてからまず顔を見られることが多くなった。

 そしてその時間は段々長くなっているようにも感じられる。

 

 

 しばらく見ていたことで彼女は満足していたのか、行動を再開させた。

 

 

 布団の中にスッと入り込む感覚が伝えられる。

 その行動を想像することで自然と期待に満ちて鼓動がドキドキと高鳴っていった。

 

 そして……不意に敏感な部分を通して快感を脳に伝えてくる。

 

 

「あ……♡今日はまだちっちゃいままなの♡」

 

 

 ボソっと聞こえたそのセリフに『小さい言うな』と脳内に突っ込みを入れた。

 

 

 そんな突っ込みはいざ知らず……彼女……なのはの朝の日課が始まる。

 

 

 ……この問題もそろそろ何とかしないといけないなぁ……と思いつつも先端からの刺激によって頭に快楽の信号が走り、気持ち良さが身体を染め上げていくのだった。

 

 






活動報告の方にA's編の予告編(多分)を描いてみましたので、もし興味がありましたら見て頂ければ幸いです。


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50話

 __

 

 

 

 

 

「50……60…………70っ」

 

 

 金属がぶつかる音が晴天の青空に響きわたる。

 

 場所的には公園の高台の一区間であり、そういった音が頻繁に響くには不自然な場所でもある。

 

 だが早朝の今であれば、場所的にも人通りも無く大きな問題はなかった。

 

 

 

「80……90…………100…………」

 

 

 

 指先に意識を集中し続ける。

 

 意識が集中した指先から空間を伝って現れているのは私自身が生み出したピンク色の魔力。

 

 

 

 大きさは私の握りこぶし1個分よりも少し大きいくらいで、形はまあるいボール状である。

 

 

 

 それが私が思い浮かべているイメージに沿って宙に舞い、練習目標に対してぶつかり続けている。

 

 

 

 練習目標は落ちていた空き缶である。

 

 

 ごみのポイ捨てはご法度なのと憤りを感じつつも……リサイクルと言う名を借りて練習相手として活用している。

 

 

 それがボール状の魔力がぶつかり、衝撃を生み出していった。

 

 

 

 結果として、空き缶は宙に舞い続けている。

 

 

 

 その光景は普通で考えれば、実行出来るはずのない事象。

 

 

 

 

 すなわち魔法の実現である。

 

 

 

 

 私、高町なのはは、少し前は普通の少女であった。

 

 未来を妄想で固め、夢を膨らませ、望んだ将来を渇望する……欲しがる子供だった。

 

 

 

 

 それがある日を境に変わったのだ。

 

 

 

 魔法との出会い。

 

 

 

 それとの出会い自体はとても大きな出来事であるのは間違いではないが、私自身の心としては()()()()()()()()

 

 

 

 それはあくまで()()なのである。

 

 

 

 だけど、ずっともやもやしていた道がそれで開けるのが分かったのだ。

 

 

 

 

「奏くんとの二人きりの世界」

 

 

 

 

 彼と出会い芽吹いたその心。そしてそれはすくすくと成長しており、どこまでも湧き続けていくこの気持ち。

 それを改めて自身の口で発言する事で、私の脳内が更に活性化されていくのだった。

 

 

 

 どんどんと血液が熱くなるように感じられ、顔に熱が上がっていくのがわかる。

 

 そして心もドクドクと弾むのだ。その心地良さは想像だけでも私の身をどこまでも焦がし続ける。

 

 更に……お姉ちゃんから聞いた丹田と呼ばれる位置。お腹の辺りもムズムズとしたような感じで疼いてしまう。

 

 

 お姉ちゃんが言うには、ここで力……氣と呼ばれる精神的な力を溜めるという術理? のようなことを教えてもらった。

 ただ、その教えの言葉は、まるでお兄ちゃんのような言葉で教えてもらったので……多分、お兄ちゃんの受け売りなの……と思っている。

 

 

 そして……私の場合は教えて貰った場所よりも少しだけ場所が違うのだ。

 

 

 熱を持ち疼き続ける場所は、丹田よりも更に下の部分である……。

 

 

 とは言え、場所的にそんな相違は無いため、細かい位置は誰にも相談はしていない。

 恐らくは、そこが私の『丹田』と呼べる位置だったのだろうと思っている。

 

 

 実際……その疼きは、私に溢れ続ける想いの力を増し続けているのだから。

 

 

 ……奏くんが近くに居ると……その力が激しく溢れ続けて暴走しちゃいそうになるのはたまにキズである。

 

 

 

 

 しかし……私は世界の強さと言うのを教えられた。

 

 

 

 ほんの少しの力だけでは、私の思い通りの世界は簡単に破壊されてしまう。

 

 

 

 力無き自分が破れ、彼が他の誰かと一緒の世界を作られてしまう。と言う想像しただけで、私の脳内は恐怖と憤怒で塗りつぶされてしまう。

 

 

 

 だけど、それは自分の未熟が招いてしまう出来事なのだ。

 

 

 

 

 技が足りない。

 

 知識が足りない。

 

 財が足りない。

 

 

 

 

 全てを退けられる力が足りない。

 

 

 

 

 それらは、決して心だけでは乗り越えられないものであるということを経験してしまった。

 

 

 

 

 だからこそ私は、

 

 

 技術を学ぶ。

 

 知識を学ぶ。

 

 お金の稼ぎ方を経験する。

 

 

 

 それらも含めて……私と彼の道を作る力を身につけるのだ。

 

 

 

 

 そして私は今、魔法の練習をしている。

 

 

 

 心がもっともっとと貪欲に求め続けていた。

 

 

 

 想像を力に変え、指先よりも先端のイメージを絆ぐ。

 そして細やかな糸を紡ぎ、沢山の針の穴を通すようなイメージを持って、その動きを一分違わずに実現出来るように腕を磨く。

 

 

 

 

 

 

 

 まぁ…………けどぉ……もっとずっと永遠に磨きたいものはぁ…………やっぱりお口でぇ……

 

 

 

 

 一瞬過ぎった光景は、想像によって補強され、お腹から感じる疼きの力を一気に強くなってしまう……。

 

 

 

 

 

 

 

 ぽっ♡

 

 

 

 

 

 

 

 あっ。いけない。そう思った時には遅かった。

 

 

 空中に浮かび続けていた空き缶は重力に従い、地面へと落下する。

 

 

 カランと鉄が地面とぶつかる音が響き、未熟な自分を知らしめるかのような気がした。

 

 

 

 

「レイジングハート。何回目だった?」

 

 

「312回です」

 

 

 

 

 むー。圧倒的に足りない……。

 

 

 

 アクセルシュートの精密射撃の練習が、たった300回程度で集中力を乱してしまうのはまだまだ未熟すぎる。

 

 

 

 目指すは「永遠」。インフィニティ? である。意識せずとも反射的に「打ちたい所へ」どんな道も素通りして「ピンポイントに狙い撃つ」

 

 

 

 それが出来て、初めて()()()()……()()()()()()となるのだ。

 

 

 

 それを考えていた時、ふと思ってしまう。

 永遠と言う言葉は、やっぱりとても素晴らしい。

 

 

 

 永遠。

 

 

 

 ずっと。いつまでも。どこまでも。恒久的にある果ての果て。

 

 

 

 入口も出口も無い、ずっとそこにある世界。

 

 

 

 そこで()()だけ一緒に居る。 いつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでも………………()()()二人きりでいるのだ。

 

 

 

 彼も私もお互いに甘美だろう。幸福だろう。と私の心は弾み続ける。

 

 

 

 

 だから私はそれが実現出来る力をつけるため、むん。と心を引き締めて練習を続けていった。

 

 

 

 

 

 ……

 

 

 …………

 

 

 ………………

 

 

 

 ………………………………

 

 

 

 

 

 そろそろお時間が近づいてきているの。

 

 

 丹田から生まれたキュンと感じた疼きの力。

 ある意味で私のお腹時計が次の行動のお時間を告げてくれた。

 

 

 

 世間のお時間的には早朝と呼べる時間である。

 

 

 

 

 いそいそと身体についている汗を拭う。

 そして、レイジングハートにお願いして簡易的風を生み出して貰い全体を乾かしていく。

 

 更にアリサちゃんやすずかちゃんに教えて貰い、最近興味が生まれた石鹸の良い匂いがするボディミスト? を軽くつけた。

 

 これもバランスが重要であるとアリサちゃんとすずかちゃんが熱弁していたので、注意しながら行っていく。

 

 

 

 これらの行為は絶対に行わないといけないことである。

 

 

 

 もし……匂いを嗅がれたときに汗臭いと言われたら……本気で宇宙まで魂が飛んで卒倒しちゃうので、きちんと身なりを整えるのだ。

 

 

 そして匂いでも彼に私のイメージ……印象を持ってもらうことも重要である。

 

 

 そうして準備が完了して、私は次の行動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 私、高町なのはは、小学3年生。

 

 

 これから、とてもお楽しみのお時間なの。

 

 

 ()()の至福のお時間。くんくん♡タイムに突入します!! 

 

 

 気持ちの高ぶりを抑えきれず、私は彼のお家へと駆け出して行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 もしも……

 

 

 まだこの時点では、二人きりの世界は永遠で完璧ではないけれど、未完成ながらも()()()が幸せである二人きりの時間を無くすような事態があるとすれば……

 

 

 

 

 

 私は……

 

 

 

()()()()()を使っても全身全霊でそれを打ち砕き、相手がどんな無謀な事をしたのかを()()()()()()

 

 

 

 

 

 __

 

 

 

 

 

 

「おはよう!! 奏くん♪」

 

 

 

 

 

 …………終わった……

 

 

 

 

 ようやく終わってくれた……

 

 

 

 

 最近思うことがある。

 

 

 

 段々と時間が長くなっているような気がするのだ。

 

 

 

 

 

 ……何が? とは聞かないで欲しい。

 

 

 

 

 朝なのに、精も根も尽き果てたくない。

 

 

 

 

「おはよう。なのは」

 

 

 

 朝の挨拶はマナーである。

 

 

 

 どんな状態でも一日の始まりとしては、やはりあるべきであろう。

 

 

 

 自分の身はもはや彼女に吸われ尽くされ、食い尽くされた亡骸であろうとも、それはそれ。

 

 それこそ干からびた挨拶などしようものなら、その後が更に大変だ。

 

 

 

 

 看病と言う名の天国……いや……苦悶? が待っている。

 

 

 

 

 干からびた状態から砂になりそうなくらいに献身的に尽くしてくれるのだ。

 

 

 

 まぁ……それはさておき彼女の朝の挨拶は普通に行わないといけない。

 

 

 こっちは朝の彼女の行為は知らない状態を維持しているのだ。

 

 

 

 

 何故? ってこれも聞かないで欲しい。

 

 

 

 

 開き直れらるとそれはそれで非常に厄介なのだ。

 

 羞恥と言う理性のストッパーが無くなれば、無限回廊で転がりはじめた球体のように、ずっと転がるだけになる。

 

 

 

 

 ……

 

 

 

 

 やめよう。この辺りは自分で結論を出している話だ。

 

 

 A's編のストーリーが開始されれば上手く調整していく予定なので、それまで耐える……堪能? すべきである。

 

 

 

 最終的に行為事態は止めようとすれば止められるし、自身が快楽の引き際を見間違えなければ大丈夫なのだ。

 

 時々、身体が欲望に正直になりすぎて、溺れる位はご愛嬌である。

 

 

 

 

 なのはは、朝の挨拶を終えて、朝食の準備をするためにキッチンへ向かっていった。

 

 

 

 

 少しずつではあるが、桃子さんから習っているのであろう。

 朝食のレパートリーも増えてきている。

 

 

 だけど、時折、桃子さんの悪戯なのか、それとも彼女の料理を学びはじめた人特有の色々とお試ししたい好奇心なのか分からないが……

 

 

 

 微妙に精が付くものが混じっているので注意が必要だ。

 

 

 娘の教育方針を考え直して欲しいと思わんばかりである。

 

 

 

 ちょっと多めのお肉とか朝としては重い程度のものであれば、まだ安心なのだけれど、

 

 

「これね。高町家秘伝の調味料なの!!」

 

 

 とか言って謎の粉をかけられたりする。

 

 

 

 どっち側の秘伝? と問い詰めたくなってしまう。

 パティシエ側であればマシかもしれない。

 戦闘民族側の秘伝であれば……怪しさが爆発である。

 

 

 

 何故か食べ終わった後、非常に身体がポカポカを通り越してテンションまで高くなりそうな位に、体全体が熱くなる時もあった。

 

 

 時にはある一部分だけ集中的に熱を持った時もある。

 

 

 

 その時はその時で大変だった。

 

 

 

 チラチラと顔を真赤にしつつも視線がそこに集中してくるのだ。

 

 その彼女の仕草がまた劣情を煽ってくる。

 

 

 

 しかし……そこに溺れると一方的に絡め取られる。

 

 更に効果があったという実績が、彼女の行動を加速されるのだ。

 

 

 

 次の日にも必ず同じものを入れてくる。

 

 

 

 量は4倍位で。

 

 

 

 それは流石に窘めたが、彼女の行動理念は変わることはない。

 

 

 実際、健康的には違いないのだ。

 食事によって身体の血液の循環をきちんと促し、身体全体へ栄養を届ける。

 それは食事によって行われる身体のメンテナンスと言っていいかもしれない。

 

 

 

 あわよくばワンチャン何かを狙っているレベルの所なので、子供らしいといえばらしいかもしれない。

 

 

 

 ……狙っている内容は子供らしくはないけど、と注釈はつくが……。

 

 

 まぁ……これも朝の事象が離れれば、自然と離れるはずなので、取り敢えず今は凌ごうと思っている。

 

 

 

「今日の朝食は何かな?」

 

 

 

 んーっとね。となのはの無邪気で無垢のような声を聞いた後、

 

 

「今日は南のお島で取れたお肉を焼いてみたの!!」

 

 

 お母さんがね。お父さんに食べてもらったときに物凄くお父さんがパワーアップしたんだってと語ってくれた。

 

 そう言われて、テーブルにあったお皿を見てみると、

 

 

 

 

 

 どう見ても……ヘビ系のお肉? にしか見えない……。

 

 

 ワンチャン、鰻系統かもしれないと希望を持ちつつも席に座った。

 

 

 なのはは、じーっとこちらを伺って、はやく食べて♪ はやく食べてなの♪ と視線で訴えかける。

 

 

 

 そうして朝食の時間が始まって……終わった。

 

 

 

 その後のやり取りは……まぁ……自分の意志の勝利としよう。

 

 

 

 そんなこんなもありつつ、お互い学校へ向かう準備を進めていったのだった。

 

 

 

 こうして何気ない1日でもあり、これからを見据え下準備も込めた1日がスタートする。

 

 



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51話

 

 

 うーん……うーん…………

 

 

 

「…………俺より弱いヤツに会いに行きたい」

 

 

 

「ご主人さま……? 何か言いましたか?」

 

 

 

 

 爽やかな朝? から続く一日はそれはもう爽やかであるはずだった。

 

 

 しかし、自分の頭の中は考えすぎた結果、バターみたいにトロケてしまっている。

 

 

 最終的に出てきた内容が先程の言葉であった。

 

 

 

 ボソっと呟いた言葉にもきっちり反応してくれるすずかさんはとても淑女であるのだけれど、そこはスルーしてくれればありがたい。

 

 

 戯言を説明する恥ずかしさは、何時の時代も変わらないからだ。

 

 

 

 

 

 

 さて。不審げに見てくるすずかを笑顔で躱しつつ、動く内容を頭に浮かべる。

 

 

 まず動くべき内容としては、やはり『はやて対策』だろう。

 

 

 恐らくもう少しすれば夜天の書の覚醒が始まりヴォルケンリッターの復活が始まるはずだ。

 

 もう、復活しているのであれば……色んな意味で難易度も上がってしまうが、まだ無印編が終わったばかりなので、多少は猶予があると思っている。

 

 

 

 ヴォルケンリッターの復活後の展開を想定する。

 

 

 最初は問題無く、家族間の意識が強まるだろう。

 

 

 はやて自身、家族愛に対して渇望しているため、順調に各人を取り込み不慣れながらも家族の一員として溶け込んでいくはずであった。

 

 

 だが、その後、はやての病状が悪化する。

 その解決策として、悪名高き闇の書としての覚醒を行うのだ。

 

 

 覚醒するためには、魔法の源である「リンカーコア」の魔力が必要となる。

 だが、リンカーコアの魔力を蒐集出来るのは、魔道士一人に対して一回のみであり、そのためヴォルケンリッター達は、奇襲と呼べる形で魔道士を手当たり次第、蒐集を掛けていった。

 

 

 勿論、捕まっては意味がないので、時空管理局を極力欺く形で進めていく。

 

 

 だが、とある魔道士と交戦することで、物語がスタートするのであった。

 

 

 そのとある魔道士が「高町なのは」である。

 

 

 

 ひとまずストーリー的にそのままであれば、最初の流れはこんな感じになるはずである。

 

 

 

 ストーリー的にも、はやては無印編のフェイトと同様に、本人はどうあれ敵側のポジションとして存在している。

 

 その為、ストーリーが開始されると非常に絡みづらいのも事実であった。

 

 

 

 なので、接点を持つならばヴォルケンリッターが出現する前が無難であろう。

 

 だが、ここで問題点がある。

 

 

 はやては足に障害がありながらも身寄りの存在が無く一人で暮らしている。

 何故、そのような状態でも生活が出来るのか? 

 

 

 

 それは『父の友人』と名乗る存在が支援していたからだ。

 

 その父の友人と名乗る存在は、過去にあった「闇の書」の事件に携わっている人物。

 

 

 

 時空管理局提督『ギル・グレアム』

 

 

 クロノの父親でもあるクライド・ハラオウン。彼は過去にあった闇の書の事件において犠牲となり亡くなっている。

 クライド・ハラオウンの上官でもあったギル・グレアムは、闇の書に対して終止符を打つために、はやてを監視……自身の管轄内に入れているのだ。

 

 

 という訳で、はやてに気軽に接触を行うと間違いなく、その人物も調べられるだろう。

 で、もし調査された結果、自分がリンディさんの管轄内、要するに時空管理局側の内側となるため、彼のそぐわない内容であれば間違いなく邪魔が入る。

 

 

 そして、はやてと接触した目的を探られるだろう。

 

 

 そうなってくると恐ろしく面倒でもあり、催眠と言うか『何かしている』と怪しまれるだけでも、こちらが一気に不利になる。

 

 

 相手側はある意味でもエリートであるはずだ。物語的に彼の動きは単調になっていたのかもしれないが、それでもやはりその地位まで行くことが出来るのは基本的能力が高い証拠であろう。

 

 その存在に対して、こちらの事を考えさせる切っ掛けを与えるのは有効な策ではないと考えていた。

 

 とは言え、逆に行動しないと言うのも失策だと思っている。

 

 

 

 何故ならただ単に普通にストーリーが進んで行ったら、破綻してしまうからだ。

 

 

 

 基本のストーリーを進めつつも、選択肢と言う名の可能性を広めておく必要がある。

 

 そのバランスが非常に面倒であった。

 

 

 

 さて、どちらにせよ彼女には間違い無く、催眠下に入ってもらう事が必要だ。

 

 後は、そのタイミングの調整である。

 

 

 

 

 

 

 ______________

 

 

 

 

「ねぇ……すずか。お願いがあるんだ」

 

 

 授業と授業の合間の休憩時間。

 人によっては準備等でドタバタするであろう時間の隙間を縫って、さり気なくすずかへ話かける。

 

 

 二人で軽く会話をしても不自然じゃない感じで、今後の予定を詰めるのだ。

 

 

 こくりっ。

 

 

 すずかは、こちらが小さく発した声に対しての返事として軽く頷いてくれる。

 そして優しい笑顔をこちらへ見せてくれた。

 

 

 

「もぅ〜宿題は自分でやらないと駄目だよ〜」

 

 

 

 先程の会話から()()()本筋とは違う会話をしてくれる。

 

 当たり障りの無い内容として、会話を消化してくれており、誰かが会話を伺ったとしても影響の無い範囲内まで落とし込んでくれているのだ。

 

 

 正直、年齢的に考えても脱帽すべき思考であり、かつ本人の素質の優秀さが垣間見れる瞬間でもあった。

 

 

 そう言った空気が読めてそれに合わせた動きを見せてくれるだけでも、色んな意味で計算が立ってしまう。

 

 勿論、本人の幼さによる経験不足はあるだろう。ただ、元々性格的にも慎重に考えて行動するタイプであり、周りの配慮へ気を配れるというのは実に素晴らしいと思う。

 

 ただ、これが行き過ぎると何でも抱え込み、責務と言う名の鎖に縛られて身動きが取れないと言うことも多々ある。

 

 その辺りは本人が悪いと言う話ではなく、環境も大きく影響するだろう。

 

 なので、彼女自身が抱え込み過ぎないようにフォロー出来るよう立ち回りが必要であった。

 

 

 それらはともかくとして、すずがが視線で訴えかける。

 

 

 

 いつお伺いすればいいの? 

 

 

 

 と、もはや家に来るのは確定事項ばりの視線の強さである。

 

 

 いや。まぁ、内容的に家に来て欲しい間違いはないんだけど……どうしてもその後を考えると……若干尻込みしてしまう。

 

 

 要するに……ご褒美のお話である。

 

 

 最近…………ほんの少しだけではあるが、すずかの希望するパターンの種類……ジャンル? が増えてきた感じがある。

 

 

 まぁ……決してこちらに支障が出て負担をかける内容では無いので、すずかのストレス発散も兼ねて要望には出来る限り応えてはいるのだけれど。

 

 

 

 あぁ……無限の精力が欲しい。

 

 

 

 何言っているんだお前は? と言いたくなるような欲を持ってしまう。

 

 ……こちらの充填速度自体も確かに半端ないけど……それでも体力は一時的にごっそり持っていかれるので……思考する時間が減ってしまうのは、残念に感じてしまう。

 

 ただ……もしも無限の精力があったら、それこそ快楽のお時間がインフィニティになりそうなので……結局は意味が無いか……と考えを破棄した。

 

 

 そんな無駄な思考を行いながらも、すずかに返答を行う。

 

 

 

「そうだよね。昨日の()()でやろうと思ったんだけど……いつの間にか寝ちゃってね……」

 

「だから、()()ですれば速く終わるかなぁ〜と思ったんだけど、やっぱりダメだったか」

 

 

 トホホ的に残念な感じな仕草を見せつつも

 夜、家、二人の発言の時にお互いの視線を重ねるように合わせて、本来伝えたい意図を強調させる。

 

 

 すずかはその言葉にウンウンと頷くような仕草を見せてくれたので、こちらの内容は伝わっただろうと考える。

 

 

 何時という制限は掛けない。時間の制限をかける時は、どうしてもその時間に来てほしいと言う事態のみにしていた。

 

 何故なら命令に忠実に従った場合、こちらがイレギュラーの事態があったとき等、事態が混迷する可能性がある。

 

 

 ようするに「二人きりで、内容を相談するために夜、家に来てほしい」と言う若干ふんわりした内容にさせることで、相手側に隙間を作るのだ。

 

 

 こうすることで、すずか的に夜こちらの家に訪れた際、自分以外の人の気配があればまず入ってこない。

 

 自分のみの時間をきちんと狙ってやってくるのである。

 

 

 まぁ、この辺りが調整出来るのは、すずかの人並みはずれた察知能力+機敏が読める性格があって対応可能となる訳なので、誰にとっても有効であるとは限らないのが、残念であった。

 

 

 そうして、お互いの確認を済ませた後、あはは〜と会話を笑いで終了させようとした時。

 

 

「なに? 奏、宿題忘れちゃったの?」

 

 

 先程の会話を聞いていたのか、アリサが会話の割り込むように入ってきた。

 

 

「そうなんだよね。だからどうしようかなと……」

 

 

 取り敢えず、これで会話を終わらせる訳には行かなくなった為、そのままアリサを加えて会話を継続する。

 

 

「しょうがないわねぇ。それじゃ……私が手伝ってあげるわ!!」

 

 

「たまにはっ……ふっ……ふた……」

 

 

 ぽんっ。

 

 

 最初の小気味の良い威勢の良さから、後半にかけるにつれて小さく口ごもるようになりながら言葉を伝えてきてくれるアリサ。

 

 ただ、その小さな言葉を遮るように、すずかが軽い感じでアリサの肩を軽く触ってきた。

 

 

「アリサちゃん」

 

 

「なっ……なにっ……?」

 

 

 

「ダメだよ。宿題は()()でするから意味があるんだよ」

 

 

 

「ひぅ!? ……っ……そっ……そうね」

 

 

 すずかとアリサで視線が交差しているため、お互いの表情がこちらから見えない。

 

 とは言え、実際、内容が無い会話を終わらせる為か、すずかは多少強引ではあるが、会話に切り込んでくれた。

 

 

 実際、現段階である宿題なんてものは、簡単なものであるため、すぐ終わっている。

 

 これでアリサが手伝うと言う事態になったらなったで、何かしら対応が必要だったので、若干助かったのも事実であった。

 

 

 とは言え、アリサの心遣いを無碍にするわけにも行かないので、フォローするべきだろう。

 

 

「アリサ。手伝うって言ってくれてありがとう。ただ、やっぱりすずかの言う通り自分でやらないとダメだよね」

 

「だけど……もし分からない所があったら、その時は相談していいかな?」

 

 

 とアリサに向けて、優しい語り口調でフォローを行う。

 

 

 まぁ……分からない所は無いので、これで話自体は終わりになる。

 

 

 

「しょうがないわね!! それじゃ、分からない所があったら真っ先に私に聞きなさいよ!」

 

 

 フンスフンスと自身を誇張するような感じで、アリサは言葉を発してきた。

 

 

「うん。分かったよ」と相づちを打つ形で話を終了させて、すずかの席から離れて自分の席に戻る。

 

 

 そんなこんながありつつ、チャイムがなり次の授業が開始されていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 __

 

 

 

 休憩時間は終わりに近づいてはいるが、まだ騒がしい教室の中で座っている少女が呟くような声が漏れる。

 

 

「むー。やっぱり……お勉強も頑張らないとダメなの……」

 

 

 

 __

 



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52話

 __

 

 

 

 とある日の出来事。

 

 

 

「あかんなぁ……あの本に届かへん……」

 

 

 ぼやくような声が小さく呟かれる。

 

 

 傍目から見ると車椅子に座っている少女が、一所懸命に手を本棚へ伸ばし、本を取ろうとしている姿が見える。

 

 だが……残念なことに伸ばされれている手は、欲している本には届かないであろう。

 

 

 しかも、現段階において周りに人影は見当たらない。

 手助けが入ることも期待出来なかった。

 

 

 

 少女は孤独であった。

 

 

 

 しかし……ある意味、少女は孤独を許容していた。

 

 

 

 両親が亡くなり、足に障害がある自分が一人で暮らす。

 

 

 

 ある種、将来の夢とかの希望は持てない。それが実感してしまったのは何時頃だったのだろうか。

 

 彼女を治療してくれるお医者さんは絶対に良くなると言ってくれるが、それでも意思を持って足が動いてくれないのは彼女の心を蝕んで行く。

 

 未来と言う希望的思考が失われるにつれて現実主義と言う名の割り切り的思考が頭の中を埋め尽くしていく。

 

 

 

 夕方、家族連れで歩く親子を見ると、心が締め付けられる日もあった。

 

 しかし……割り切りの思考が現実を諭してくる。

 

 段々と段々と希望的思考が希薄になっていくのだ。

 

 そうして彼女は無理矢理にでも精神的に大人になっていく。

 

 

 

 だがしかし、少女はまだ無垢で心優しき少女でもあった。

 

 いま本に手が届かないと言う状況であって、もし……他の人が手助けが出来る状況下にあったとしても、少女はすぐには要望しないであろう。

 

 足に障害があっても、自らで出来る限りの行動を行い周りの迷惑を掛けないようにする。

 

 誰かの負担になることを恐れ、自身に負担がかかる事、自己犠牲を恐れない。

 

 

 それが「八神はやて」と呼ばれる少女であった。

 

 

 

 だから、今現段階において、八神はやては、他の人による手助けを希望すると言う選択肢を排除して、なんとか自身で取ろうと努力する。

 

 

 

 しかし……現実は厳しい。

 

 

 

 該当の本に対して、手が届かない以上、どうやっても手に取ることは出来ない。

 

 どんなに気合の声を上げたとしても手は魔法のように伸びず、届かなければ物理的に動かすことは出来ないのだ。

 

 

 ある意味そんなリアルを突きつけられながらも少女は手を伸ばし続ける。

 

 

 そのままであれば、時間だけが過ぎ、打ちひしがれるだけであろう現実があるのだが……

 

 

 ここでなにかの意思なのだろうか。第三者の手が入る。

 

 

 

「この本かな?」

 

 

 

 はやての頭上から小さな鈴の音が鳴るような透明感のある声が聞こえた。

 

 

 どんなに手を伸ばしても届かなかった本は、立って手が届けば簡単に動かすことが出来る。

 それを示すかのように声を掛けてきた人物は、問題なく手を伸ばし、声を掛けた人物の手に収まるのだった。

 

 

 はやては、その本の行方を追うように視線を動かしていくと、その本を抱え込んだ人物を見ることになる。

 

 

 ここで、八神はやてと言う少女と月村すずかと言う<<少女>>が邂逅するのだ。

 

 

 

 __

 

 

 

「この本の作者。私も好きなんだ」

 

「そうなん!?」

 

 

 切っ掛けは手にとった本であった。

 

 そして、年齢が近い……恐らくは同年代の少女と少女。

 

 

「私は月村すずか」

 

「八神はやてや。よろしゅう」

 

 

 自然と自己紹介においてもスムーズに交わし、引き続き会話が繰り広げられる。

 

 趣味においても好みが近い話題になると、自然とお互いの言葉が交わされ、お互いの心が打ち解けるのも、さほど時間はかかることは無かった。

 

 

 

 そして、交わされる言葉の応酬。はずんだ会話は次第にお互いの身の上にも及んでいく。

 

 

 

「一人暮らししているの!?」

 

 

「そうなんや。お父さんの知り合いが支援してくれているけどな」

 

 

 

 恐らくはやては、久方ぶりに同年代の人と話すのであろう。

 話す内容は様々に変化を続け、話題が尽きることは無く、進んで行くのだった。

 

 

 

「今度、遊びに行ってもいいかな?」

 

「勿論や! 何時でも大歓迎やで!! 何なら今日でもオーケーや!!」

 

 

 友達の作り方の一つとして、お互い友達だよね? と確認しなくても自然となっていくパターンもある。

 どちらかと言えばこちらのパターンの方が普通であろう。

 今回はそれにあたるのだろう。お互い会話することで自然と趣味、嗜好等が合致することで、価値観の共有が行われ、自然と仲良くなっていくのであった。

 

 

 一人で過ごすと言う環境は、心の奥底では寂しさと言う感情もあったのかもしれない。

 そして、こうしてお互いが馴染み合うことで、自然と次回に向けての遊ぶ約束も結んでいた。

 

 さすがに今日いきなり遊びに行くのは大変だろうと言うすずかの心遣いの話に若干はやてが寂しさを覚えたシーンもあったが、最終的にはお互い笑顔で次回の約束に行くのは、お互いの性格の優しさが垣間見えるのであった。

 

 

 そして……少女達の楽しい時間は一瞬に過ぎ去り、一先ず、はやての家に遊びに行く日程をきちんと決めていく。

 

 

 

「それじゃ、またね」

 

「ほなな〜」

 

 

 

 二人の少女は笑顔で、別れていったのだった。

 

 

 

 

 __

 

 

 

 

 

 

 ……

 

 …………

 

 

 ……………………

 

 

 

「と言う訳です。ご主人さま」

 

 

 

()()()のメイドモードに入ったすずかは、彼女……()()()()()との接触した詳細を聞く。

 

 

 

 実際、ストーリー上でも一番最初に親睦を深めていた関係でもあったので、取り込み自体に関してはそこまで心配してはいなかった。

 

 

 

 ただ、ストーリー上よりも速く、そこの繋がりを持った為、すずかとの接触も極力こちらの存在の匂いは消すように動く必要がある。

 

 

 

 実際、この会合自体も二人が合った後、一人になった後、すぐ家に帰るのでは無く、すずか自身を一旦回り道と言う名の散歩をしてから、家に戻るように伝えていた。

 

 

 その段階で、物理的監視者がいるかどうか……確か相手側は猫の姿をしていて監視をしていたはずなので、その辺りの事項も伝えつつ、帰る時の気配の注意をさせる。

 そして、家に戻った後も、すずかの敷地内で調査をさり気なく行うように話を行っていた。

 

 

 見知らぬ動物が留まっていないかを確認させている。

 

 

 現状、すずかの家に行くまでに尾行されていた可能性はあるが、すずかの敷地内に留まって監視していると言う存在は特に見当たらなかった。

 

 とは言え、これ自体は物理対応であるので、魔法を利用されるとすずか自身では対応が出来ない。

 

 

 ただ、状況的にただ困っている人を手助けした上で、仲良くなるといった雰囲気なので、いきなり相手も魔法関係者であると疑うことは少ないだろうとも思っている。

 

 しかし、油断は禁物である。これから幾度となく、接触を図るため、あくまで少女同士の会合と言う所を常に意識させておく必要がある。

 

 

「あくまで普通に心優しき少女達が偶然に出会い、仲良くなっているだけ」の状況下を疑われないようにするための対応をするのだ。

 

 

 基本的にはすずかは一般的少女の装いをしてもらうし、あくまで自分もすずかと仲が良いクラスメートの立ち位置を維持する。

 

「夜の一族」と言う所は、元々隠匿されている所ではあるので、ずっと内部まで監視しなければ分からないであろう。

 

 そして、向こうは調査人員を出せるほど、余力人員は抱えてないはずである。なので、よほどの猜疑心に囚われない限り、放置されるはずだ。

 

 

 

 闇の書存在自体、此方側が知っていると思っていないはずだからね。

 

 

 

 ただ、疑われないようにしておくことは当たり前に行うべきである。

「偶然の一日」で向こう側が結論を出させるように、日常的に過ごしているようにしておく。

 

 

 すずかは、普通に次の日も登校して、今は学校内……放課後の図書室でお互いの勉強を見る形の雰囲気を作りつつ、すり合わせをしているのだ。

 

 

 ただ……小声で他に聞こえないとは言え、どうしても会話の節々でメイドモードになってしまうのは……どうしようも無いと割り切ることにする。

 

 

 実際、すずかはその超人的と呼べるに相応しい形で身体能力を駆使して、気配は敏感に感じ取れるし、こういった話の時には、人の気配は特に注意を払っている。

 

 基本的には安心なのだけれど、同年代からご主人さまと呼ばれると言うアブノーマルな内容はどうしても気恥ずかしさは残ってしまうのだ。

 

 

 

「それで、次はどうしますか?」

 

 

 

 しかし、すずかはこちらのそんな心情はお構いなしである。

 まぁ、すずか自身の要望なのだから、彼女自体は気恥ずかしい気持ちは無いのだろう。

 

 ただ、こちらが年端も行かぬ可憐な少女に「ご主人さま」と平常的に呼ばれることに、『慣れちゃいけない……慣れちゃいけない……』と自制を効かせているだけである。

 

 

 すずかから聞いた内容を加味して、次のアクションを決める。

 

 実際、内容を聞いて安堵していた。

 ヴォルケンリッターが出ていれば、そちらの攻略からスタートしないといけなかったので、その辺りの時期のずれが無くてホッとしていた。

 

 

 召喚前と召喚後では正直難易度の桁が違う。まだ対処が容易な時点で、気持ちが少し落ち着くのだった。

 

 

 とは言え、結構、時間的には差し迫っているはずだ。

 プレシア事件が終わってからほぼ同年で発生する闇の書事件である。

 

 

 用心に越したことは無いが、機がありそうならそれはそれで組み込まないと事後対応となってしまう。

 

 

 なので、すずかがきちんとやり遂げてくれた『はやてのお家へご訪問イベント』を利用するのであった。

 

 

 

 

 

 まずは…………

 

 

 何でも出来る経験豊富な大人の女性。リンディさんに相談だな!! 

 

 

 

 

 

 

 __

 

 

 

「失礼します」

 

 

 

 整理整頓されている部屋は、真面目で几帳面な部屋主の性格を想像させる。

 

 部屋の雰囲気はその性格を表すように、静謐な空気を生み出している。

 それに溶け込むような形で、落ち着き払った声が部屋の中へ発せられた。

 

 発せられた声の音域の高さは、女性特有の高音を相手側の鼓膜へ届ける。だが、決して鼓膜を強く刺激するような声では無い。

 

 精神的な成熟をイメージさせるかのように声の乱れは無く、そして意思の強さを感じさせるように声は相手側にしっかりと伝達されるような音量を維持していた。

 

 

 

「来たかね」

 

 

 

 対する相手側も発せられる声は、様々なイメージを彷彿とさせてきた。

 

 積み重ねてきた経験を表すような落ち着いた低い声。

 

 

 様々な経験は、誰もが羨むような成功も苦渋を飲まされる失敗もあったのだろう。

 だが、それらを経て年輪を重ねてきた人物は、ある種のカリスマが宿る。

 

 

 それが自然と感じさせるような形で、その男性のオーラが声に乗ってくるのだ。

 

 

 落ち着きつつも芯のある声。

 

 

 お互いがお互いに積み重なった想いを声に乗せて、会合がスタートする。

 

 

 

「クロノは?」

 

 

「先程、リーゼロッテ、アリアロッテの方に捕まって成長を確かめられてますわ」

 

 

 クスクスと笑う仕草。

 一種の色気すら漂わせながら、本人の魅力を伝えてくるが、決して不快感は無く、動に入った動きはむしろ似合っていると言う印象を強く与えてくるだろう。

 

 

「そうか」

 

 

 対する男性も笑みを浮かべる。

 クロノがあの両名に扱かれている想像でもしたのであろう。

 

 浮かんだ笑みは、息子を労るような親心を感じさせるような優しい笑みであった。

 

 

 だが、

 

 

「それで、今日はどういった要件かな?」

 

 

 ある意味、お互いが知っている仲であるため、世間話は必要ない。

 本筋と行こうじゃないか。と言わんばかりの言葉は、経験を感じさせ相手側にやり取りの鋭さ……精神的負荷を自然と感じさせてくる。

 

 

 だが、それは想定内と言わんばかりに女性の方は、どこ吹く風と落ち着き払ったものであった。

 

 

 

「世間話ですよ」

 

 

 話の本筋をズラす言葉を発しているが、女性の笑顔は崩れない。

 むしろ笑顔と言う魅力を増した形で、相手側へニコニコと愛嬌を伝えてくる。

 

 

 その仕草はある意味、焦っている相手であれば、精神が乱されるだろう。

 そして、何も考えない相手であれば、その笑顔の魅力の虜になったかもしれない。

 

 

 だが、男性は一瞬、片眉を動かしただけで終わった。

 

 女性は続きの言葉を発する。

 

 

「世間話。最近、私達が遭遇した事件。プレシア・テスタロッサ事件」

 

 

「そう。私達の間では、P.T事件と呼ばれるお話」

 

 

 リンディ・ハラオウンはここで更に笑顔を輝かせる。

 

 まるで子供が親に対して、おねだりをするような純粋な意思を感じさせる表情が相手に意図を諭させる。

 

 

 恐らくはこの話の内容で男性側にお願いしたいことがあるのだろう。

 

 

 それを感じた男性は、相手側の今回の訪問内容を大体察することが出来たのか、やれやれと言う感じで相手側が話しやすいように誘導する。

 

 少し長めで深めの話になるだろうと言う形で、座って話そうと言う流れで部屋の応接出来るテーブルを挟んでお互いに座った。

 

 

 そうして、ギル・グレアムは、リンディ・ハラオウンに対して話の続きを促していくのだった。

 

 

 

 ギル・グレアムは気づかない。

 

 

 リンディ・ハラオウンの目的として、今回の話は話で進めたい内容で合ったことは間違い無いが、それよりも、もっと重大で大切なことが存在する。

 

 そしてこれから話す内容は、重要ではあるが、あくまで()()()である。

 

 

 とは言えこれも失敗するわけには行かない。とリンディ・ハラオウンは心の中に浮かび続けている少年の姿を思いながら話を続けていった。

 

 

 

 フェイト・テスタロッサの保護観察官のお願い。そしてアリシア・テスタロッサの確保支援の協力。

 

 

 

 これはこれで絶対に達成すべき内容ではあるが、優先度的にはそれよりも重要なこと。それは……

 

 

 

 __

 

 

 



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53話

 __

 

 

「いらっしゃい〜」

 

「お邪魔します」

 

 

 幼さを感じさせる声。まだまだ成長を感じさせられる少女の小さな声が、お互いから発せられる。

 

 

 片方は足に不自由がありながも、それを感じさせないような陽気な雰囲気を持つ人物。

 もう片方は、その幼さを感じさせないような精神的成長が高さを感じさせて礼節を持ってしっかりとした雰囲気を感じさせる人物であった。

 

 

 ある意味では、年齢通りの言葉を発する子供と呼ばれる存在は、この空間には居ないのであった。

 

 

「今日は何をして遊ぼうか〜」

 

 

 だが、話す内容は年齢相応であった。

 お互いがお互いに親睦を深める行為。

 お部屋の中でコミュニケーションを図る行為は、まだまだ未成熟な幼さを印象付けさせている。

 

 

「はやてちゃんの持っている本を見てみたいな」

 

 

 目元もにこやかな感じで、お互いの共通する趣味の話題を出す。

 そして、その少女が発する雰囲気は「興味津々です」と言った感じで、相手側に純粋な好意を伝えるのであった。

 

 

 勿論、その好意は相手側の少女にとって、とても嬉しい出来事である。

 共通する話題をお互いに遠慮なく話せる。

 

 

 それだけでも満足してしまうくらいに、少女は触れ合いに飢えていたのだ。

 

 

 だから……率先して少女は行動する。

 

 

「ええで! こっちや」

 

 

 そう言っていそいそと部屋の奥へ移動を行う。

 

 それに付いていくようにしつつも、深紫の髪を持つ少女は玄関である行動をさり気なく行った。

 

 

 カチャ

 

 

 訪問した時に、頑張ってはやてがロックしていた玄関の鍵を解除する。

 

 

 そうして……月村すずかは、笑顔を浮かべたまま「待ってよー」と呟きながら、はやての後を追い部屋の中へ入って行ったのだった……。

 

 

 

 __

 

 

 

 __

 

 

 

 

 ……

 

 …………

 

 

 ……………………

 

 

 

 共通する話題に花が咲く。

 

 

 

「その本面白いよね」

 

 

「そうなんや!! この作者の本は全部持っているで!」

 

 

 

 ……

 

 …………

 

 

 

「このお話って……」

 

「あかん。あかん。それは最後まで言わんのがお約束や」

 

 

 自然と自然と会話をすることで、友達としての心のハードルが低くなっていく。

 

 お互い心底楽しい笑顔を浮かべて、読書していた本の感想を言い合う。

 

 一見、言い方は悪いかもしれないが、年齢的に考えると地味にも見えてしまうその行為。

 本人達にとっては心底楽しい内容であるし、そして夢中になれる遊びの一つである。

 

 

 

 そして……話題は、はやてのさらなる趣味。

 料理関係にも発展する。

 

 

「はやてちゃん料理得意なんだ!?」

 

 

「そうやで!! 作ってあげるから……夕食食べていかへん?」

 

 

 楽しく会話をしているが、一瞬、縋り付くような目線がはやてに浮かぶ。

 

 

 

 ずっと、友達と過ごすこの楽しい時間を経験していたい。

 

 

 

 そんな欲求は誰しもあるだろう。特に経験が浅い子が、その楽しさを覚えると時間も忘れるぐらいに、のめり込むことなどよくある話である。

 はやて自身、抑え込んでいた欲求が、自然と出てしまうことは無理も無い話であった。

 

 

 だが、ここで相手側の少女。月村すずかは別の話題に移そうとしていた。

 

 

「実はね。私も得意なものがあるんだ」

 

 

 一瞬、話題を逸らされた事によって、はやては少しだけ悲しそうな表情を浮かべたが、それを見せないようにすずかの振ってきた話題に乗る。

 

 

「なんなん?」

 

 

「私、いろんな声を出すことが出来るんだ」

 

 

 

 声帯模写

 

 

 俗に言う声のモノマネである。

 芸能人であったり、有名所の声真似だったり、時には動物のモノマネのような形も合ったりするのだが……。

 

 

 すずかはそれが出来ると言ってきたのだ。

 

 

「ほえぇ〜。どんな声が出来るんや?」

 

 

「えっとね……」

 

 

 恐らくは誰にとってもすずかが声真似が出来る等、初耳であろう。

 だが、すずかは精神的余裕を持った形で本当に声のモノマネが得意だよ! と言う体を持って話始める。

 

 

「例えば……男性的な声とか」

 

 

「どんな感じなん?」

 

 

「えっとね。クラスメイトの男の子の声に似せれるの」

 

 

「クラスメイト?」

 

 

「そうだよ。ちょっと待ってね」って言ってすずかはバックの中から1枚の写真を出す。

 

 

 

 その写真には自分が写っていた。

 

 

「<<鏡音奏>>くんって言うんだ〜」

 

 

 ほーん。と言いながら、はやてはその写真を見つめる。

 

 

 爽やかな笑顔を見せるその男の子を見て「男前やな〜」と感想を呟く。

 

 そしてはっと築いて悪戯な笑顔を浮かべる。

 

 

「こんな写真を持ち歩いているってことは……ずばりすずかの想い人やなっ!!」

 

 

 すずかはそんな悪戯な質問を軽くあしらうように

 

 

「違うよ〜。仲が良い友達なんだよ」

 

 

 そういって次は「高町なのは」「アリサ・バニングス」の写真も取り出す。

 

 

「仲の良い友だちの写真を撮るのも好きなんだよ」

 

 

「だから、はやてちゃんの写真も撮らせてね♪」

 

 

 そう言って無垢な笑顔をはやてに向ける。

 

 

「……そんな……照れるわ」

 

 

 悪戯したバツが悪かったのか、純真無垢な笑顔はそれを彼女に実感させたのか、それとも仲が良い友達と言うワードに照れてしまったのか分からないが、はやては純粋に照れたような声音で返事を行う。

 

 

 

 

 

 それじゃ、試してみるから部屋のドアの向こう側から喋っていい? 

 

 

 

 

 実は……声真似すると変な顔になっちゃうので……喋る時の顔はあんまり見せたくないんだ。

 

 

 テヘッっと軽くおちゃめに舌を出す仕草を見せながら話してくる。

 

 実際、声を似せる為に喉を動かしたりと準備が必要なパターンも多い。

 勿論……その有名人とかに似せる為に、顔芸も入れているパターンもあったりするので……何とも言えないのが実情であった。

 

 が、恐らくはテレビとかで見ていて簡単にイメージがついたのだろう。

 

 はやては、ぷーくすくすと言う表現がぴったりのような感じで、すずかが変顔と言うギャップに笑いが抑えられなかった。

 

 

 もう〜。とすずかはそのはやての笑い転がる姿を見て、照れたような可愛らしく怒ったような姿を見せる。

 

 それが、またはやての心を擽るのであった。

 

 

 そして……

 

 

「それじゃ、やってみるね」

 

 

 そう言って、すずかは部屋から出て空いているドアの後ろ側に隠れる。

 

 ドアはそのまま半分は開いているので、声ははやてに十分届く形であった。

 

 

「それじゃ、男の子の声で、はやてちゃんって呼ぶから返事してね」

 

「わかったで〜」

 

 

 さてどんな声が聞こえてくるのだろうと、はやてはドキドキしていると

 

 

「八神はやて」

 

 

 本当に男の子の声のようなものが聞こえてきた。

 

 その声は男性と言うよりもまさしく男の子の声である。

 しかし、はやてはその声に驚いてしまった。

 

 何故なら、まるで<<別人>>と言われてもおかしくない声だったのだから。

 

 

 俗に言う声真似の難易度は、同じ音域や声質が近ければ近いほどやりやすい。

 

 そして別な領域であればあるほど、その難易度は難しいであろう。

 

 

 いくら同年代に近いとは言え、男声と女声なのだ。

 それの難易度はかなり高いと言わざるを得ないだろう。

 

 

 なので、はやてはびっくりして相手の言葉に対して返事が出来なかった。

 

 

「八神はやてちゃん?」

 

 

 続いて男の子の声のまま続いて声が掛けられる。

 

 そこでやっと先程「返事をしてね」と言う内容を思い出した。

 

 

 掛けられた声に反応するために、はやては声を上げる。

 

 

「せやでっ!」

 

 

 後で、すずかを沢山称賛したいという想いをのせながら、ウキウキした気持ちで返答するのであった……。

 

 

 __

 

 

 

 

 ▽

 

 指輪が振動による設定時間が、告げた後、行動を実施する。

 

 左手による色も『赤』……メイン対象者として確認済みだ。

 

 

 ……

 

 

 取り敢えずは、いけただろうか。

 

 

 半開きのドア越しから人差し指をかざして、「八神はやて」の名前を呼んだ。

 

 

 2回目の呼びかけで彼女が返事をしてくれた後、念の為、少し様子を見ていると目の前にサイコロが現れたので、催眠が完了したのだろう。

 

 

 

 無事に完了したことに、ふぅ……と一息いれた所で先程の会話の内容を思い出す。

 

 

 会話を聞いて……自分は思ってしまった。

 

 

 

『女は怖い』と。

 

 

 

 あの会話自体は自分の写真を見せるのが主目的であり、更に言い訳の材料として彼女らの写真を使っていることは間違いない。

 その辺りを上手くきちんとすずかは捌いてくれた。素晴らしいと言いたいぐらいである。

 

 

 

 ただ、匂いの消し方だ。

 

 

 

 はやての悪戯心を完全に叩き潰すその純真無垢な温度。

 これは一朝一夕で出せられるものではない。

 

 勿論、すずかはお淑やかな性格でもあり、他人を思いやれる気持ちも強い。

 普通に淑女と言っても差し支えない少女であることは間違い無いのだが、だからこそ思う。

 

 

 嘘を混ぜ込んだ話をあそこまで純真に話せる事実。

 

 

 そう。淑女であるからこそ嘘を付くことにズレが出ても可笑しくはない。

 だからこそ、もし更に突っ込まれたら照れ笑いで最悪逃げることすら伝えていたのに、そこまで行くこと無く完封である。

 

 

 まだ子狸状態で羽化していないとは言え、はやてを理論ではなく感情で完封出来るすずかの力量はある種の恐ろしさを感じさせる。

 

 

 そんな戦慄を覚えながらも、次への行動をおこしていく。

 

 

 

 一先ず第一段階のハードルはクリア出来た。

 

 

 リンディさん側では、監視者全員の行動抑止。

 擦り合わせを行った結果、やはり注意すべき人員としては三名であった。

 

 ギル・グレアム

 

 その使い魔である

 リーゼロッテ

 アリアロッテ

 

 彼自身が内密で行える人員達である。

 

 それらをリンディさんに抑えて貰うように動いてもらった。

 

 

 そして……すずかによる手助けによって、はやて家の内部の侵入に成功。

 こうして、自身の存在を隠しながら催眠を実行出来ている。

 

 

 

 一応、喜ばしい内容ではあるが、懸念点も勿論あった。

 

 

 

「月村すずか」の存在である。

 

 

 

 これで彼女の記憶の中に「名前を呼ぶ」と言うキーワードが入り込んでいる。

 

 

 ドアの後ろに回った時に、すずかはこちらを確認しないようにさせており、更に現段階においては別途の場所で待機させていた。

 

 

 催眠を実施している現場は見られていないし、最終的な催眠の手順までは見せてはいないので、今の所大きな問題では無い。

 

 

 懸念しているのは、「月村すずか」が何かの兼ね合いで『催眠』が解除された場合である。

 

 

 勿論、ペナルティになったら<<基本終了>>である為、彼女の継続対応も含め催眠状況下を無くす事は絶対にしないのだが、以前の検討事項において、かの御方の気まぐれによって、何が起こるかは分からないのも事実である。

 

 ……催眠内容を弄ってきた事実は、その辺りを変更される可能性を否定出来ない。

 

 

 なので、もし、催眠されたと言う事実を彼女に認識された場合、「名前を呼ぶ」ということに対して警戒感を生む可能性がある。

 

 

 警戒感だけならまだマシであろう。そこから最悪に転がり込む可能性は山程生まれてしまうことも想定出来てしまう。

 

 

 可能性の想像は……チクチク心を蝕みと精神を追い詰めていく。

 

 

 疑われればそれだけで、ある意味終了でもあるため、実際、彼女の重要性はこれによって一段回上がったと言っても過言ではない。

 

 魔法があると言う世界。それを使わない欄外の世界において、超常的に活動出来る彼女は、元々重用すべき存在である。

 しかしこれらの状況を含めると、更に重要度が上がったと言っても良いだろう。

 

 

 まぁ……ただ基本的に催眠対象者は誰もが破綻させることは出来ないので、対応的には大きな変化はない。

 

 

 自身の心によるマップの位置づけを策定しているだけだ。

 

 基本的に心構えの問題ということである。

 

 

 イレギュラー時において、冷静さを少しでも維持させるための動きを持つための思考でもあった。

 

 

 さて、思考を元に戻して、はやての部屋に入り込む。

 

 

 部屋の中で、視線が宙に浮いたまま、はやてはぽつんと佇んでいた。

 

 

 実際に見ることで、はやてがきちんと催眠状態に入っていることを確認する。

 そして……継続対応による催眠内容を決める為、サイコロを振るのだった。

 

 

 

 




閲覧頂き本当にありがとうございます。

下記、アンケートはお試しでやってみました。
ご参加頂ければ幸いです。

※12/9追記:続きを書くため締め切りたいと思います。ご協力ありがとうございました。


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54話

 サイコロの出た目は……

 

 

「4」であった。

 

 

「4」の継続内容は

 

『1週間に1回。催眠実行者の精液を飲ませる』

 

 

 である。

 

 

 すずかと同じか……。

 

 

 少しだけほんの少しだけ、すずかに吸い続けられた体験を思い出してしまう。

 

 一瞬、背筋に悪寒が走ったので、それ以上考えるのを辞め、対応方法に関して検討する。

 

 

 正直、出目的にはもう少し軽い方がやりやすかったのだけれど、出てしまった目は変えられない為、それに向けて調整する。

 

 すずかと一緒の形であるため、そちらの設定流用を考えつつも、はやて的に今後、不自然にならない程度の動作を考えなければならない。

 

 ただ、ヴォルケンリッターが出現前であるため、催眠内容によって動く『はやて』が『はやて』であると言う前段階が可能な為、<<原作としてのはやて>>を知っている状況で無ければ、不自然さにはそうそう気づかないであろう。

 

 

 監視者を除いてと言う注釈がつくが。

 

 

 どこまで彼らが「八神はやて」に対して、分析をしているのかは分からないが、それでもある程度の期間を確認していれば、おおよその性格や行動パターンは頭の中にあるだろう。

 そしてそれが急遽逸脱した場合、何に原因があるのかを探ってくるぐらいの行動は起こすのも自然の流れで想像がつく。

 

 

 間近でいつもと違った変化があった出来事。

 

 

 すずかとの会合である。

 

 

 恐らく不可解な出来事があれば、そこをより深く調べるに違いない。

 

 そうなると、なのはとの結びつき、そして引いてはリンディさんとの繋がりによって『何か不可解』と言う違和感が生まれるかもしれない。

 

 

 すると、どうするか? なのは達の監視が生まれ、それによって自身も可能性として調べられる可能性が高い。

 

 この能力までは辿り着くこと自体、難しい環境にしているけど、それでも注視される深く調べられると言うのは後にどういった爆弾になるか分からない。

 なので、極力……絶対に避けるべき事項であろう。

 

 では、どうすれば良いのか? 

 

 

 まずは、リンディさん含むなのは陣営の対応である。

 

 

 こちらに関しては、最終的に『闇の書』と呼ばれるロストロギアの存在が現存していると言う情報が無ければ、彼女らの行動に理由が生まれない。

 そして、すずか自身はなのは達との関連はあるが、魔法は知っていないと言う環境下も利用し続ける。

 

 なので、なのは陣営に対して、現段階では『八神はやて』の紹介は控える。

 あくまで友達の友達の延長線上を、事件発生まで維持しないといけない。

 

 

 そして……すずかは()()()()()に過ごしてもらう。

 

 

 結局、その人員を深く調べても何も出てこないと言う実績を認識させる。

 

 向こうも下手に藪をつついて、逆に『闇の書』の関係者……リンディさんとクロノの勘ぐりを避けたいはずである。

 

 

 すずかの会合は、偶然であると言う状況下を維持出来ていれば、深く動いてくることも無いだろう。

 

 

 

 ただ、自分は、はやてと接触をある程度持たないといけない。

 

 

『継続対応』がある以上、何かしらの方法で『八神はやて』に自身の精液を飲ませないといけないのだ。

 

 

 言葉にすると誰かさんに「変態! 変態っ!! ド変態っっ!!!」と叫びながら殴られてもしょうがないのだけれど、死活問題であるから……こればっかりはしょうがないと割り切る。

 

 

 とは言え、催眠を行うと決めた時点で対応は考えないといけなかったのも現実であった。

 

 

 そうして……自分的に考えた内容としては、

 

 

「不自然に見えるかもしれない行動は、はやて自身が考えたことによって生まれている」

 

 

 である。

 

 要するに、はやてが不自然な行動を行ったとしても、はやてにその不自然な()()()()()が見えれば、一旦の結論が出る。

 

 

 では、その理由をどうするか? 

 

 

 それを催眠内容として組み込む

 

 

 ・鏡音奏に好意的感情を持ち、鏡音奏の姿を見ると恋愛的感情が溢れる

 ・鏡音奏のお願いを叶える為の努力を怠らないようにする

 ・鏡音奏から渡された飲み物に対して、抵抗無く飲むことが出来る。そして、その飲み物を飲むと、とても美味しく幸せに感じる

 ・鏡音奏の精液は美味しく幸せに感じる

 ・鏡音奏の精液を飲むために行う鏡音奏との行為は全て幸せで、体を舐める行為も抵抗無く美味しく感じる

 ・精液を飲む行為は、人前では恥ずかしい行為だと認識する

 ・鏡音奏が「終わり。終わり」と告げられたら精液を飲みたい衝動は一時的に抑えられる。

 ・鏡音奏から「八神はやて」と呼ばれると「はい」と返事を行う。

 

 

 

 

 

 何故? 写真を見せる必要があったのか? と言う所だけれど、要するに自分を『鏡音奏』と言う事実を認識させた上で催眠設定を行いたかったのだ。

 

 

 勿論、この認識を催眠で設定する方法もある。

 ただ、一つの懸念としてペナルティが発生した場合、名前の認識からスタートしなければならない。

 

 ペナルティでは無くても何かの効果で消えてしまった時の想定もしなければならない。

 

 いきなり名前の認識からスタートすると周りの空気も変わるし、難易度が跳ね上がる。

 その上、設定的に積み上げたパズルは下が崩れると脆いだろう。容易に崩れ去る可能性が高くなるのだ。

 

 

 実際……その時になった場合、どこまで催眠で設定した影響が出るのかも考える必要があるため、実際パズルの高さは低く設計するに越したことは無いのだ。

 

 

 だから多少不自然でも手順として最初に行いたかった。

 

 

 

 そして……はやてに設定した内容。

 

 

「八神はやて」にこちらから接触した場合、何か怪しい理由があるかも知れないという意識。

 これを消す為の下準備である。

 

 

 

 要するに「八神はやて」側に理由をつけさせるのだ。

 

 

 その理由付け……。

 

 

 正直色々と考えたのだけれど、やはり自然な形で組み込めるようにするには、自分の小さな頭ではこれが妥当かと言う結論になった。

 

 

 

『一目惚れ』

 

 

 と言う理由付け。

 

 

「八神はやて」は少女。言葉を言い換えれば女性である。

 

 異性。男の子に強い興味を持つなんて年頃の少女ならそうパターンが多くはない。

 

 

 好意

 

 

 恋に恋するお年頃も多い年代である。幸いなことに自身の顔立ちも悪くはないのだ。

 だからこそ、なんとなく気になる。気に入ったと言う好意が向こうから近づいてくる理由付けになってくる。

 

 興味があるという行動は、周りに対してもそこまで不自然な理由にもならない……はずである。

 

 

 そして八神はやては薄幸の美少女なのである。

 監視者も、主目的である【執行】に対する罪悪感もあるはずだ。

 

 その時までは、多少は幸せに過ごすと言う環境を崩す事はしないだろうし、最悪、それを用いることすら計算するはずだろう。

 なので、行動理由に対して、邪推するということまではそうないはずだ。

 

 

 この人ええやん!!と興味を持って会ってみたら、あかん。惚れてもうた……!

 

 

 そういう形で『一目惚れ』のシーンを作るのである。

 

 

 惚れた方は女性からなので、こちらに理由が無い。

 

 

 監視者がそう言ったシーンを見てくれれば万々歳である。

 

 

 だからこそ、その後、相手側と接触しても、不自然な行動に見えづらくなり、違和感の匂いは消せるはずである。

 

 

 後、現段階で顔を合わせておけば催眠もより容易に行えたのだが……顔を合わせてしまうと、彼女に出会った事実がこの段階で生まれてしまう。

 もし、内緒のお願いをしたとしても、はやて自体が、その後の行動で自然な動きが鈍る可能性もある。

 

 誰もがすずかのように出来るわけではない。各々のスキルを把握して活かさないと選択肢がどんどん狭まってしまうので、常に注意を払うべきだと考えていた。

 

 そして、はやてに出会ったことを忘れる催眠を設定したとしても、それはそれで後の爆弾になりえそうな懸念が生まれてしまうので、それはそれで避けたかった。

 

 

 なので、現段階では合わないに越したことは無いと判断して、今回の行動を起こしている。

 

 

 そして、彼女に行ってもらうことはあくまで『努力目標』として動いてもらおうと思っている。

 

 これは結局会話出来る内容も限られると思うので、こちらの話す意図の匂いをさり気なく拾ってもらうようにする為であった。

 

 

 とは言え、この辺りは正直、保険の設定であり、実際、彼女に動いてもらうパターンはあまり無いと考えている。

 

 

 後はすずかの流用を使いつつ纏めていく。

 

 精液と言う知識……は……もし……無い場合、最悪、すずかさんに仕込んで頂こうと考えていた。

 

 それと、少しだけすずかと違うパターンを仕込んでいる。この辺りは遠距離対応を考慮して入れていた。

 

 

 そうして、設定を行った後、再度壁の方に隠れて催眠を解除する。

 

 

 恐らくはまだ意識はまだ曖昧であろうはやてを置き、隠れていたすずかを戻して、はやての部屋に移動させる。

 

 

 そして自分はこっそりと彼女の家から立ち去るのであった。

 

 

 

 

 

 __

 

 

 

 鼓動が速い。

 

 

 今はベッドの中に居る。

 体温によって温められたフトンを感じながらも、体中を駆け巡る血液はそれよりも熱を発しているようにも感じられた。

 

 

 ドキドキ

 

 

 ドキドキドキドキ

 

 

 鼓動が速い……。

 

 

 何故だろう。

 

 

 何故こんなにもドキドキしているんだろう。

 

 

 そう。友達から改めて()()()を聞いたときからであった。

 

 

 

 そして写真を再度確認した時に心が締め付けられた。

 

 

 

 鏡音奏くん……

 

 

 その名を思い浮かべた瞬間……心臓が跳ねる。

 

 

 じわじわと心が暖かくなり、まるで失われた家族と一緒にいるような安心感すら感じさせてくれた。

 

 

 この心からずっと湧き続ける感情は何だろう。

 

 

 まだ……()()()()()()()()()()でもあるにも関わらず、親近感を感じさせてくれた。

 

 

 そして……『この人とずっといることが当たり前である』と言う感情が心にずっとよぎっている。

 

 

 父のような感じでもあり、兄のような感じでもあり、そして恋人……

 

 

 その単語が出た瞬間……心臓が更に高まる。

 

 

 顔に熱が集まってくるのが分かる。フトンから出てもその熱は止まることは無さそうな位に膨大な熱が身体を駆け巡るのであった。

 

 

 男性と呼べる人物と接する機会はほとんど無かった。

 父親の友達……今の生活を手助けしてくれるおじさんぐらいだし……それも数えるぐらいである。

 

 

 なので、私が知っている男性と言うのは、ほぼ『本の世界』であった。

 

 

 本には様々な人物が登場する。

 

 

 少年から青年。そして壮年の男性。

 

 

 それぞれがそれぞれの物語を奏でて、本の世界を盛り上げる。

 

 

 冒険譚も多く存在して、自由に気ままに風の吹くまま行動が出来ない私にとっては羨ましくも感じられた。

 

 

 ただ、私も年頃の乙女である。

 

 男女における恋愛話は、とても興味を奪われ、心を震わせてくれた。

 

 

 想像する。

 

 

 彼と一緒にいる時を想像する。

 

 

 

「あかん……幸せすぎる」

 

 

 

 心が暖かい膜に包まれ、蕩けるような幸せな気持ちが身体を染め上げる。

 

 だけど……鼓動は速く高鳴り、異性と言う存在であることを強く意識づけさせてくれた。

 

 

 

 

 ……この感情はなんなんだろう。

 

 

 

 彼のために何でもしてあげたい気持ちもあるし、何でもして欲しいという気持ちも湧き出てくる。

 

 

 ふと『無償の愛』と呼べる単語が頭を過ぎった。

 

 

 だけれど、感情は『愛』と呼べる感情なのだろうか。

 

 

『恋』? 

 

 

『好き』

 

 

 この言葉が過ぎった瞬間、身体が震えた。

 

 

 好きという感情。慎ましやかに言えば『好意』である。

 

 

「そっか……私……大好きなんだ……」

 

 

 言葉にすることで心がハマったように感じられた。

 

 

『一目惚れ』

 

 

 そして頭がようやく事態を認識する。

 

 

 すると、身体が更に正直に反応を示してくれた。

 

 

 

 ドキドキドキドキ

 

 

 きゅんきゅんとした逸る感情が身体を侵食する。

 

 だけれど、不快ではない。むしろ幸せな感情が頭を駆け巡るのだ。

 

 

 こういった事象……「一目惚れ」と言う語句は、本で学んでいる。

 

 

 電流が身体中にピピピ!! っと迸ると言う表現があったのだけれど、私の場合は好きという気持ちが溢れすぎて幸せに溺れると言う状況である。

 

 

 しかし……実体験してみると激流のようなこの感情の波は、人によっては電流かもしれないと思ってしまうのも納得してしまった。

 

 

 

 

 会って顔をずっとみてみたい。

 

 声を聞いてみたい。

 

 そして……触れてみたい。

 

 

 

 ドキッと心臓が跳ねる。

 

 

 

 勿論、実際に恋愛したことなんて全く無いので、恋愛に纏わることは話は本でしか知らない。

 

 

 

 だから……本の中であった恋愛を想像してしまうのだ。

 

 

 

 

 二人は周りの祝福に彩られながら幸せなキス……口付けを交わす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな子供騙しなものではない。

 

 

 

 ……サンタさんは実在していても、煙突から入ってくる訳ではない。それは御伽の存在である事実を知っている。

 

 

 ……スイカの種を飲んでもお腹から芽が出てくることなんてない。

 

 

 

 

 そしてっ!!!! 

 

 

 

 ……子供はコウノトリさんが運んでくれる訳ではないんや!! 

 

 

 

 残念というべきなのだろうか、それとも現実と言う名のリアルを知ってしまっていることを喜ぶべきというのだろうか。

 

 

 

 要するに……世継ぎを作るやり方を本で学んでいた。

 

 

 

 知りたいと言う知識欲は罪深いものである。

 

 

 そしてその結果、夢見る処女(オトメ)じゃいられなくなったのだ。

 

 

 どんなに教育制限をされていても、興味と言う名はそれをぶち破る。

 

 

 

 特に私のように親というストッパーが無ければ、それはもう知る機会などは沢山ある。

 

 

 

 最初見た時は……色んな意味でショックではあったけれど……今ではある意味感謝したい。

 

 

 想像は身体を熱くする。

 

 

 

 もしも……彼と…………肌を触れ合うとすれば……

 

 

 

 

「あかん……あかんっ……」

 

 

 

 どきどきが止まらない。ロマンティックが溢れる。

 

 

 

 恐らくはこれが『好き』と言う感情なのだろう。

 

 

 溢れ続けて止まらないこの感情。

 

 更に……『家族としての想像』がスパイスとなり、幸せな感情が脳内を浸していく。

 

 

 

 そんな感情に支配され……

 

 

 

 私は初めてこの日……知識だけ先行しすぎた、己の身体を慰めると言う行為を行う……

 

 

 

 

 そして……

 

 

 知識だけで先走ると碌なことが無いと言う実体験を学んだのであった。

 

 

 

 __

 

 

 

 



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55話 □エロ はやて(自慰

 __

 

 

 んっ……ぁぅ…………

 

 

 ゾクゾクとした感覚が背筋を這う。

 

 くすぐったいような……けど、それが気持ちよく、ずっと続けていたいような感覚に陥った。

 

 

 

 きゅーっとお腹の部分が切なくなり、下着の中が水っぽく感じられたように思える。

 

 

 これが『身体が正直だな……』という感覚なのだろうか。

 

 

 そんな身体の自然な欲求により、私は自然と下着の上から、その水っぽい部分を指で押さえるように蓋をする。

 

 

 

 んっ……くぅぁ…………んくぅ……

 

 

 

 ピリピリとした感覚が頭の中に響く。

 まるで小さな火花が身体に響き断続的な気持ちよさを生み出してくれた。

 

 

 

「やっぱりぃ……この位の刺激がええよぉ……」

 

 

 

 勢いに任せて直接触った時は、それはもう大変やった……。

 

 

 刺激が強すぎて、痛みと快感がごっちゃになりすぎてしまった。

 

 

 結果として……その日は消化不良のまま悶々とした夜を過ごしてしまう。

 

 

 

 そんな失敗を重ねつつ、良い落とし所を探す旅がはじまったのだ。

 

 

 

 んぅぅっ……くぅっぁっ……

 

 

 

 しかし、落とし所はすぐ見つかった為、旅路はすぐに終わったのだけれど。

 

 

 

 

 ──くちゅくちゅくちゅ

 

 

 

 誰も居ない部屋で粘着質な水の音が響く……。

 

 

 

「ええよぉ……んぁぁ……」

 

 

 

 布一枚と言う小さな壁を挟むことで、擦り続けている指の摩擦刺激が優しく感じられる。

 

 

 パジャマの上だと優しすぎる。

 

 直接だと刺激が強すぎる。

 

 丁度下着一枚挟むと言うのが、私にとって丁度いい塩梅であった。

 

 

 そしてなにより……このぐらいの刺激であれば、理性が少しだけ残るのが一番良かった。

 

 

 

 何故なら……

 

 

 

 その理性を総動員して、彼の顔を想像出来るのだから。

 

 

 

 彼の名を想う。

 

 

 

 んんんっっっ!? ぁぁっ……! 

 

 

 

 好きという感情が溢れ、ジリジリと胸を焦がすように焼く感覚。

 

 心がブルブルと細かく震え、それが身体へ小さな快感を生み出し続ける。

 そして指の快感と合わさり続けて脳をスパークさせてくるのだ。

 

 

 こうなるともう駄目である。

 

 

 

 ──くちゅくちっ……くちゅくちゅ……

 

 

 

 もう周りの風景すら感じない。

 

 体内で生まれる熱だけを受けるように、行為に没頭する。

 

 

 刺激によって生まれる声は、客観的に恥ずかしさを意識させるが、それが更に私を興奮へ導いていってしまう。

 

 

 

「あぁっ……気持ちええよぉ……♡」

 

 

 

 更に興奮が高まって、想像が脳内を焼き始める。

 

 

 この心に湧き上がる気持ちよさ。

 それを彼から与えられると言う想像が増してくるのだ。

 

 

 

 最初はぎゅっとお互いが抱きつくような小さな想像でも心が満足していた。

 

 

 

 だが……今は……

 

 

 

「あかんよぉっ……そないなモノを擦り付けんといてぇ……」

 

 

 裸で抱き合っている二人の想像である。

 

 

 彼の大事な部分……想像によって生まれたソレは白く光り輝いていた。

 しかし、私にとってはそれが限界の想像であるのも事実である。

 

 

 それが、私の大事な部分に擦り付けられているのだ。

 

 

 しかし、想像という名の妄想(リアル)は、拙くても私の心をトロトロと優しい蜜へ浸される。

 

 

 甘酸っぱいような感覚。きゅんきゅんとドキドキが混じり合い……それが快楽によって身体を刻み込んでくれた。

 

 

 

「ええよぉ……うん……気持ちええよぉ……♡」

 

 

 

 想像の彼が私へ囁きかける。

 

 

 

「これが欲しかったんだろ!」

 

 

 

 荒々しい彼は私を組み敷きながら、一方的に私の大事な所へ擦り付けて囁いてくるのだ。

 

 

「そうなんやぁ……欲しいのぉ♡……もっともっとぉ……」

 

 

 妄想が加速する……。それに合わせて指の動きもより激しくなっていった。

 

 

 ──スリスリ……スリスリ

 

 ────くちゅくちっ……くちゃくちゅ……

 

 

 んぅぅぅっ……ぁぁぅぅぅっ…………

 

 

 

 荒い息が漏れ出る。

 だけど、妄想の彼は、私をモノのように扱い、楽器を奏でるような感じで息を出すように愛撫してくる。

 

 

「ホラ!! ホラ!!」

 

 

「あぅっぅぅっ……つよいぃぃぃ……堪忍してぇっ……♡」

 

 

 許しの言葉は彼に通じない。一方的に私を貪っていくのだ。

 

 

 

 そしてその環境が……彼が好きと言う実感を生み出す。

 ……その想像が私にとって強い快楽を生み出すのであった。

 

 

 

 私をじっと見てくれる。

 

 

 私の身体に夢中になってくれている。

 

 

 彼の意識の中は私で埋め尽くされている。

 

 

 

『好き好き大好き』と言うこの感情。

 

 

 その感情を一方的にぶつけるのは、本ではNGと書いてあった。

 

 

 お互いの心を理解して尊重し合う関係。

 

 

 それが、お互いの好きと言う心を育んでいく為の良好な関係である。と言う内容だったと覚えている。

 

 

 

 そう。

 

 

 今、行っている想像は一方的な感情をぶつける場ではないんや。

 

 

 お互いの心が、お互いの事で埋め尽くされる。

 

 心を認識し合う行為でもあったのだ。

 

 

 それが頭の中で理解されてくるにつれて、私の心は更に膨れ続ける。

 

 彼が私を見てくれると言う事実(もうそう)が、私の好意を受け止めてくれていると言う状況へ進化する。

 

 

 これはもう彼に調教されてしまっていると言っても過言では無いと思っていた。

 

 

 彼に求められる? 違う。求めてくれるようにするための道を準備しておくのが妻の努めである。

 

 

 そのための努力を惜しんではいられないんや。と行為の正当性を主張するのであった。

 

 

 

 頭の中の想像が加速する。

 

 

 実際に子供を作る行為……これは正直まだ怖い……直接的刺激であれなのだ。

 これが本当に入るのだろうかという不安を感じてしまい、どうしても想像の壁が生まれてしまう。

 

 

 

 だけれど、心と心を交わす行為は別である。

 

 

 

 後ろから大事な部分を擦り付けながらぎゅっと抱きしめられる。

 

 

 幸せな感情が頭を占める。

 身体のぬくもりが安心感を。裸で抱き合っていると言う実感が恥ずかしさと言う羞恥心を生み出して、身体を刺激する。

 

 

 

 そして……

 

 

 

 急に彼は私の両手の自由を奪うのだ。

 

 

 

「ぃやぁぁぁぁぁっ……」

 

 

 

 快楽に溺れかけていた私は弱々しい声しか出せない。

 そんな溺れていた私を許さないかのように強く両手を締め上げ、どこからか出してきたロープで両手を縛り上げてくる。

 

 

 足が満足に動けない私はそれだけで身体の自由を奪われてしまった。

 

 

 そしてそんな自由の利かない足を開かされる。

 

 

 

「やぁぁぁっ……みんといてぇぇっ……ぅぅ……」

 

 

 彼に濡れているその部分をじっくりと見られてしまう。

 

 興奮を示してうっすらと開いているその部分をじっくりと見られているのだ。

 

 

 その状況は……とても興奮を誘ってしまう。

 

 

 ──これはしゅごぃぃ……

 

 ──見られてはあかん所を……じっくりと見られているんやぁ……

 

 

 リアルな指は更に指を動かして……想像上の私とリンクさせ実際の快感するスパークを発生させる。

 

 

「なんだ。しっかりと濡れて感じてるじゃないか。この淫乱め」

 

 

 じっくりと見られている彼の侮蔑的な表情。

 

 

 何も抵抗出来ず、私は「うぅぅぅっ……」と呻くだけで……その視線を受け入れるしかない。

 

 しかし、身体は素直に反応する。視線の力を感じてより愛撫を受けているかのように反応を示すのだった。

 

 

「なんだぁ。もっと溢れてきたぞ」

 

 

「ちがうんやぁ……ちがうんゃぁぁ……ぁっあっ!!」

 

 

 必死に否定する言葉を彼は全く無視してその部分に指を這わせる。

 

 今の私の指の動きとリンクさせて、想像から生まれる快感と現実で感じる快感が合わさってくる。

 

 

 そうすることで更に想像がよりリアルになっていくのだ。

 

 

 ……溺れる。彼が私に夢中になってくれている事実(想像)に溺れる。

 

 私の好意を受け止めてくれる彼により夢中になっていくのも必然であった。

 

 

 

 ──くちゃくちゃくちゃ……

 

 

 はあっ……はぁっ……んぁっ!? 

 

 

 耳に響く音は、もはや溢れすぎた水の力によって小さな音ではなく大きく部屋の中に響いていた。

 

 それが私の興奮を実感させて、更に快感を受け入れるために行為に耽っていく。

 

 

「ここなんて、ピンと張り詰めすぎているぜ」

 

 

 敏感な箇所でも最も敏感に感じるその部分を指で触る。

 

 湿っているとは言え、布越しの上からでも強すぎる刺激は私の脳内をビリっと焦がしてくるのだ。

 

 

 ──くちっ……

 

「いやぁぁ♡そこはぁあかんよぉぉぉ……っ♡」

 

 

 クチクチと指で優しく……けど遠慮なしに小さく硬く突起していた敏感な部分を捏ね上げていく。

 ……ピリピリと頭の奥が電気信号を発しているような感じで快感を生み出す。

 

 そして想像が増していく……。彼の行動を受け入れる為だろうか。お腹の部分がより熱を持っていくのが分かった。

 

 

「気持ちいいんだろ?」

 

 

「いやぁぁ……♡」

 

 

「ちゃんと気持ちよければ返事をしろっ!!」

 

 

「はいぃぃぃぃっ……♡気持ちええですぅぅぅっ……♡」

 

 

 

 調教される。

 

 彼に調教される。

 

 

 

 こんなにも好きが溢れているのだ。彼も好きならこれくらいも余裕でするだろうと言う想像が更に欲求を加速していく。

 

 

 それが幸せの道筋になるかのように私は努力してしまうのは()()()()と言う意識すら生まれていた。

 

 

 何故なら彼はこんなにも私を求めているのだから。

 

 

 

 だから私は努力する。

 

 

 

 彼から与えられるモノ全てを享受出来るように鍛錬をしなければならない。

 

 

 クリクリと捏ねましている指の力が自然と強い快楽を求めて、どんどんと力を増していく。

 

 

 快楽によってだらしなく口が開き、声が漏れて唾液が溢れていくのが分かる。

 

 

 だが、今は彼の愛撫を受け入れる方が最優先である為、それは構わずに指を動かし続けた。

 

 

 そうすると……だんだんと身体がふわふわと浮いていく感覚が生まれてくるのだ。

 

 

 少しずつ階段を上るような……でもジェットコースターのように急激に風景が切り替わるような感じで頭の中がぐちゃぐちゃになってしまう。

 

 

 そして……彼の顔が脳内に浮かんだ……。

 

 溢れすぎる感情は限界を知らず、更に勢いを増す。

 

 そうして膨れた感情を受け止める為、体全体がピンと張り詰め……ぎゅっと心が絞り上げられる。

 

 

 

 あっあっ……あっあっ……ふーっ……ふぅーっんぅっ!! 

 

 

 

 声は規則的に漏れて、現実なのか夢なのかよく分からない状態に陥った時、

 

 

 

「イケ!! この淫乱!!」

 

 

 

 んきゅぅぅぅぅうぅぅぅぅっぅぅぅ!?!? 

 

 

 

 彼にそう告げられギュッと敏感なその部分を締め上げられた瞬間、私は意識を高い高い白い空へ飛ばしていったのだった。

 

 

 

 ……

 

 …………

 

 

 ……………………

 

 

 

 はぁっ……はあっ……はぁっ……ふぅーっ……ふぅーっ……

 

 

 

 余韻を感じながらも、身体の熱を出すため息を荒く呼吸する。

 

 

 しかし、快楽の余韻はまだ冷めず時折、火花が走り身体を震わせるのであった。

 

 

 

 んっ……はぁっ……はあっっ…………んぁ……

 

 

 

 それでも何も刺激を行わなければ少しずつ波が収まってくる。

 

 

 そうすると……段々と理性が戻り、周りの状態が分かるようになってきた。

 

 

 

 

 そして……大分落ち着いた後、ぐっしょりと濡れた両手を見て呟く。

 

 

「私って最低や……」

 

 

 理性は自己嫌悪を推奨してくるのだった。

 

 

 ……今日一日中……行為に耽ってしまったからや……。

 

 

 

 

 

 

 

 …………この時の私はまだ知らなかった……。

 

 

 本当の『恋』や『愛』の感情を知らなかったのだ。

 

 

 湖と言う大きな器から溢れる水のように溢れた感情はまだまだ穏やかである。

 

 私が想像していたことは未熟であり、それはまだまだ『恋に恋する乙女』だったのだ。

 

 

 本当の愛は……

 

 

 太陽のように激しく燃え盛り、周りを光で覆い尽くすものであり、無限に湧き出る熱が身体を焼き尽くす。

 

 

 そして……脳天から足元まで激しい電流が、ぴぴぴっと流れるのだ。

 

 

 

 経験という名の実践は、本の知識で学んだ理解と言うものを正確な形で修正してくれた。

 

 

 体験すること……身を持って学ぶ事で、魂が理解してしまうんや。

 

 

 

『これが本当の愛の力』だ。と言うことを。

 

 

 そして『幸せ』と言う感情は己の心をどこまでも高みに連れてってくれることを……。

 

 

 

 __

 






想像による調教の為、実質ゼロカロリー。








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56話

 

「かなで〜」

 

 

 

 手を振り笑顔を綻ばせながら、小走りでこちらに近づいてくる少女。

 

 

 こちらに近づいてくるにつれて……少しずつ走ってくるスピートが上がってきているような気がした。

 

 

 

「かなで〜っ!!」

 

 

 

 もはや、目の前に来たときには全力疾走なんじゃないかと言わんばかりのスピードである。

 

 

 そしてそれは距離がゼロになっても落ちることはなく、そのまま自身の身体へぶつかって来るのであった。

 

 

 

 ぎゅ────っ!! 

 

 

 

 スピードが乗っていた体当たり……情熱的抱擁は、こちらの体内にあった息を喉から無理やり排出させられる。

 

 そして、体当たりによる強い衝撃でノックバックも発生していたが、後方に吹き飛ぶ前に彼女の抱擁によって脱出不可……身体を補佐され、無事に転ぶ事無く彼女との抱擁が交わされた。

 

 

 少しだけ大人びた表情や彼女の儚げな印象とは、別次元に感じるような圧倒的なスピードを持ちそれを活かしたパワーを伝える少女。

 

 

 金色の麗人……フェイトであった。

 

 

 

「かなで〜かなで〜っ!!!!」

 

 

 

 こうして胸に顔を擦り付けてくる彼女は、幼さを見せ年相応に感じさせる。

 

 

 ギリギリギリ……ぎゅぅぅぅぅっ……

 

 

 しかし、身体を締め上げてくる力は年相応では無かった。

 

 

 だが、ここで『苦しい』などと言える訳はない。周りの目もあるのだ。

 

 

『男の子が女の子に負けた』と思われる。……男子としてのちっぽけなプライドはもう砕かれているが……更にズタズタにされたくはない。

 

 

 だからこの位、何でもないさと言わんばかりの強がりを見せて、フェイトの頭を優しく撫でようとする。

 

 

 なけなしの力を動員して動かしている手が震えてることなんて、誰が見ても明らかかも知れない。

 

 

 だが……それを優しく見守ってくれるのが大人だろう!! と自分も知らないフリをしながらフェイトの頭を撫でるのであった……。

 

 

 今回は、フェイト達の【継続対応】を実施するため、彼女らにミッドチルダへ訪問を実施していた。

 

 

 リンディさんに連れられて、今の会合を果たしている。

 

 

 

 フェイトはまだプレシア事件の重要参考人であり、本人の行動的自由はまだ得ることは出来ていない。

 

 

 

 事件自体は本人の意思は無く、プレシアにより引き起こされた事件である為、最終的には管理局へ奉仕を行う形になるが、フェイトの行動自体はある程度自由になるはずである。

 

 

 その辺りは、温度感も含めリンディさんに逐次状況の報告を貰っているのと実際に動いてもらっているで、大丈夫だと思っていた。

 

 

 

 それとは別にこの【継続対応】は必要なため、こうして定期的に会うことを調整して貰っている。

 

 まだフェイトは年齢的に言えば、保護されるべき存在である。なので、精神的な安定を保つ為、彼女が懐いている自分がこうして会うと言う名目を立てて上手く利用していた。

 

 しかしその幼い彼女は、この後、管理局で使われる。

 幼い少女を利用するという点では、自分も管理局もそう変わらないなと自虐的な思考が過ぎるが、どちらも結局は【足りない】と言う所を補うためのパーツであった。

 

 まだ、管理局は彼らの成人的な価値観……クロノも含め年齢的に多少幼くてもその意思を尊重すると言う所はある意味で言えばマシなのかも知れない。

 

 

 そういった点も考慮すれば、自分のクズ度は理解してしまうだろう。

 

 

 世界を救いたいと言う大それた使命は持っていない。

 

 自分が生き残りたいが故に世界を救わなければならないだけである。

 

 

 だから自分が生き残る上で必要なものは利用する。

 

 

 ただ、決して自分が生き残りたい為だけに、誰も彼もを不幸にはしたくないだけである。

 

 

 自身から生まれる怒り等の負の感情は全て()()にぶつけるのが筋であるからだ。

 

 

 そんなことを考えつつも、フェイトをしっかりと指であやしつける。

 

 

 ふんわりと柔らかく指通りが良い金色の髪を堪能する。

 

 段々と……彼女の方も落ち着いてきたのか、こちらを締め上げてくる力も弱まってくるのを感じた。

 

 

 

 現実(痛み)からの逃避は、別思考で逃げることが最善だったなと感じながら、そのまま彼女の髪を撫で続けるのであった。

 

 

 

 そうしてフェイトの擦り付けている顔を見て、【継続対応】が完了したことを確認する。

 

 

 と言うか……見なくてもずっと擦り付けている間……すーはーの息が服を通して感じていたので…………まぁ、取り敢えず無事に終了したことと言うことで一息付く。

 

 

 だが、まだ【継続対応】をする人が……1匹残っている。

 

 

 さすがに別室……と言うか何かしらで二人になる必要があるので、タイミングが必要だ。

 

 

 フェイトの近況を伺い、特に大きな支障が無いことを確認しながら機会を伺っていた。

 

 

 そして……その時が訪れる。

 

 

 

「ちょっとおトイレに行ってきます」

 

 

 その言葉を発しながらさり気なく移動を開始するが、フェイトも付いてこようとする。

 

 いや、おトイレ行くだけだから。大丈夫だからと説得を行い、部屋から出る時にアルフへ視線を向けて瞳をバシバシと閉じながら合図を送る。

 

 

 すると、こちらの動きを見てアルフは……ビクッ!! と大きく身体を反応させた後、ソワソワとした動きを見せる。

 

 

 取り敢えずこちらの意図は通じただろうと思い部屋から移動する。

 そして……頼む……自然な形で来て欲しい……と念じながらトイレがある場所へ向かうのであった。

 

 

 トイレの入り口の所で、軽く待機する。

 

 すると……「ご主人さまぁ……」と普段の姿から想像も付かないぐらい弱々しい声で、もじもじと身体を小さく捻じらせながら、こちらの様子を伺うアルフの姿があった。

 

 

 それを見て、嗜虐心が加速してしまう。

 

 

 

 

 さぁ…………アルフさんの躾のお時間です。

 

 

 おトイレタイムのぉ……始まりだぁ!!!! 

 

 

 ……

 

 …………

 

 

 ……………………

 

 

 

 そうして、【継続対応】を無事完了させたのであった。

 

 

 

 

 

 そして……帰り道……自分はリンディさんにずっと強く肩を掴まれていたのは……誰に対してかは分からないが内緒である。

 

 

 

 

 

 ……

 

 

 

 そんなこんなもありつつ、そろそろはやての出会いを演出しないといけない。

 

 

 現段階では強い接触は持てない。だけど、【精液】を飲ませることが必要であった。

 

 それを自然に演出出来る事はなにか。

 

 

 

 そう…………

 

 

 

 

 

 

 お茶会である。

 

 

 

 

 

 すずかを中継点としてお茶会をする。

 そこに自分も入り込み、さり気なく顔を合わせることで対応を行うのだ。

 

 

 

 そうしてすずかと話し合ってその準備を進めていく。

 

 

 まず参加者はすずか。はやて。そしてアリサ。最後に自分である。

 

 

 アリサを加えたのは、これは自然なメンバーであるという認識を持たせるためだ。

 

 アリサはご令嬢であるが、魔法と言う特殊な世界における状況下には、まだ存在していない。

 

 彼女を追ったとしても何も出てこないことが分かるはずである。

 

 そして、自分にも目が向けられるだろう。

 

 そうなると高町なのはの情報に辿り着いて、フェイト、そしてプレシアの事件に容易にたどり着くはずだ。

 

 

 となってくると怪しく感じてしまうのは自分である。

 

 

 だが、自分は見た目は子供だ。すると考えられるのはそのチームの上層部……リンディさんやクロノにあたりをつけるはず。

 

 

 しかし、その目的は見えない。

 

 

 そうなると、まず行うのは情報収集。

 判断するための材料集めである。

 

 

 そうなると調べれば調べるほど、お茶会のメンバーが不自然に見えるだろう。

 

 

 もし、()()があるのなら、このメンバーだと意味が無いのでは? と思うはずだ。

 

 

 何も怪しい情報が出てこないご令嬢が二人。

 

 そして、こちらの世界と繋がりはあるが、なんの戦闘力も無いヤツが一人。である。

 

 

 もし、彼女の手駒として考えるなら、これでは何も事を起こすことなど出来ないであろう。

 

 例えば最初から高町なのはやフェイトが居るとどうしても怪しい匂いが強くなってしまう。

 

 戦闘能力がある彼女達が居ると警戒度が自然と高くなってしまいがちである。

 

 

 これは第一印象が良くない。

 

 

 怪しく無い空気を作りながら談笑を行うことで、それを繰り返し継続する。

 そしてなのは。フェイト達の動きを見てもこのお茶会との連動性はない。

 

 

 そうなってくると慎重に見ても警戒度は下がる。

 

 更に彼女が闇の書と繋がりを知っているのは彼らだけである。

 

 

 そして……仕込まれた動きではあるが、はやてが乗り気になるのだ。

 継続して行っても特に不思議な理由は生まれない。

 

 

 そうすれば、これに注視するより他に注意を払ったほうが効率が良いと判断するであろう。

 

 

 これで一先ずは「はやて」への窓口を持ちながら、継続対応をある程度まで続けられる対応であると考えた。

 

 

 とは言えこれは八神はやてが悪化するまでのひと繋ぎである。

 

 その後はまた別途考慮すべきであった。

 

 

 取り敢えずは、お茶会開始に向けて動いていく。

 

 

 

 ──そしてお茶会の当日

 

 

 

「はじめまして。鏡音奏です」

 

 

「……」

 

 

 

 ? 

 

 

 おや。はやての反応が…………

 

 

 

「……っぁ『ぴぴぴ』やっ…………………………」

 

 

 

 ぴぴぴ……? 何の話なんだろうか? 

 

 

 言葉は発したが、こちらを見る視線は驚きに満ち溢れており、先程の挨拶の言葉すら届いていないようにみえる。

 

 

 そして……先程の言葉だ。恐らくは……()()した内容が発動したのであろうと推測するのだが、言葉の意味がまるで分からない。

 

 

 

 後ろから「ちょっと……彼女大丈夫なの!? すずか?」聞こえる声。

 

 

 そして「大丈夫だよ〜。はやてちゃんってちょっとお茶目なんだから」とのんびりと間延びした声で、アリサを落ち着かせるすずかの声。

 

 

 そんな微妙な空気感の中、最初のお茶会がスタートするのであった。

 

 

 

 

「八神はやてでしゅ!? よろぅしゅうぅぅぅっ!?」

 

 

 少しだけ落ち着いたはやては自己紹介をする。

 しかし、カミカミの挨拶となり、名前以外は何となくしか相手に伝えられなかった。

 

 しかし、

 

「アリサ・バニングスよっ!!」

「改めてよろしくね〜」

 

 とさすがご令嬢のお二人。相手の焦りを問題にしない。

 こういった経験も多かったのだろうか。普通に対応している様はある種の経験豊富さを感じさせた。

 

 

 取り敢えず、彼女らの会話が少しずつ行われていく。

 

 すずかが会話を優しく誘導して、はやての言葉を導く。

 

 そしてアリサの圧をさり気なく緩めながら会話を繋げていった。

 

 はやても元々は活発な性格である。

 

 順調に会話が進んでいけば、お互い打ち解けるのも時間が掛からなかった。

 

 

 自分は相槌ぐらいしかしてない……けどね。

 

 

 それでも、言葉を発する度にはやてはビクッと身体を震わせてこちらを見てくる。

 

 

 まぁ……この年代において初恋なんてものは、気恥ずかしいものであるはずだ。

 そんな不自然な動きを華麗にスルーしてあげるのが大人なのである。

 

 

 とは言え、彼女の視線は怯えているのなら、スルー等出来ず、ショックを受けてしまうのだけれど……。

 

 彼女の視線は、こちらにも伝わるぐらいマジマジと『私、興味津々デス!!』と言わんばかりの熱視線である。

 

 

 恐らくは、彼女の中に何かが生まれたという状況が周りにも見えるであろう。

 

 それを監視者が見てくれれば、次も様子を伺っていくはずだ。

 

 

 すると……分かってくるであろう。彼女の中に『恋』が生まれたということが。

 

 

 それが結論として出てくれば、一先ずは大丈夫であるはずだ。

 

 

 そんな事を考えながらも、はやてを含めて全員と会話を繋げていくのであった。

 

 

 

 ────お茶の準備が出来ましたよ〜

 

 

 

 少しだけ無邪気さを感じさせる少女の声が聞こえた。

 

 しかし作法はしっかりとお姉さまに仕込まれているのであろう。

 しずしずと丁寧に運び込む動作はメイドの鏡であると言わんばかりに優雅であった。

 

 ただ、時々お茶目過ぎるドジっ子を発揮させる時はあるけど……今回は問題無さそうであった。

 

 

 そして、すずかがすっと立ち上がり、ファリンさんを部屋から下げさせる。

 

 

「今回は私が紅茶を入れるね〜♪」

 

 

 と先ほどのファリンさんのように丁寧な動きをしながら紅茶をカップに注いでいった。

 

 

 そして……

 

 

「奏くん。運ぶの手伝って欲しいな♪」と伝えてくる。

 

 

 自分もすずかの元へ向かいティーが注がれたカップを見る。

 

 するとすずかは可愛らしい笑顔で、ウンウンと頷きながらこれを運んでねと伝えてきた。

 

 

 紅茶が置かれているトレンチを見やると置かれているカップは『3つ』であった。

 

 

 おや? と思ってすずかを見やると……

 

 

「奏くんのはちょっと待っててね。甘いの苦手だと思うからこっちを入れるね♪」

 

 そう言いながらフンフン♪ と音を口ずさむように紅茶を入れていく。

 

 

 いや……それの疑問はあるんだけど、どれが『当たり』なの? 

 

 

 勿論、そんなことは素直に口には出せる訳が無い。

 

 すずかにヘルプ!! と視線を向けるが、にっこりと笑顔で返されてくる。

 

 

「大丈夫だよ〜♪ マナーなんか氣にしないで『全部』ちゃんと配膳してくれれば……ね♪」

 

 

 その瞬間全てを理解する。

 

 

 口調は優しいが中身はとても優しくない。

 ニッコリとその笑顔に潜むその悪戯な小悪魔の行動に戦慄を隠しきれなかった。

 

 

 すずかさん……全部『当たり』って…………。

 

 

 しかし、口に出すことは不可である。

 

 

「速くしなさいよー!!」と急かすアリサの声を聞きつつ……ええいままよと行動へ移すのであった。

 

 

 

「アリサお嬢様。こちらをどうぞ」

 

 

 配膳する時は執事になりきる。その言葉にアリサは満足げにしながらカップを受け取るのであった。

 

 

 そして

 

 

「はやてお嬢様。どうぞ」

 

 

 とはやてにもカップを配置していく。

 

 

「あっ。あっっ……。ありはぁとなぁっ!?」

 

 

 取り敢えずお礼の言葉を受け取りつつ、最後にすずかの位置へカップを置こうとすると……

 

 お茶を入れていたはずのすずかがそこに座っていた。

 

 

 何が起こったのかよく分からない。

 

 

 あれ? あれ? 入れていたお茶は? と疑問に思って自席を見てみるとそこには綺麗に入れられた紅茶が湯気を立てて置かれていた。

 

 

 え? あれ? 時間が加速した? 

 

 そんなことはある訳無いだろうと冷静な思考は伝えてくるが、それでも起こった現実は中々頭に入ってこなかった。

 

 

 しかし、すずかは笑顔をこちらに向けてお茶を待っている。

 

 

 なので……自分は頭を空っぽと言う名の現実逃避をしながら

 

 

「すずかお嬢様。お茶でございます」

 

 

 丁寧に丁寧に彼女の目の前にカップを配置していくのであった。

 

 

「あら今日はいつもと違うのね?」

 

「そうなの。今日は趣向を凝らして見たんだ」

 

 

 そんな会話を耳に入りつつ自席にあった紅茶を口に含む。

 

 

 すっきりとした味わいと共に爽やかな風味を感じる。

 

 恐らくはミント的な清涼的な葉も使われているのだろう。

 細かい種類は良く分からないが、色々と細かく調整しているのがよく分かる味わいであった。

 

 

「うん! これはこれで美味しいわね。この()()()ティー」

 

 

 ────ぞくっ

 

 

「ほんま美味しいわ……なんでこんな美味しいやろ?」

 

 

 ──────ぞくっぞくっ

 

 

「ふふっ♪ ちょっとだけ『特別』な入れ方をしたんだ〜♪」

 

 

 とっても美味しいよね♪ とカップに口をつけるすずかを見る。

 

 

 喉が動くその様を見て、背筋が震える。

 

 

 罪悪感と精神的興奮は背筋を擽るようにゾクゾクとした感覚を引き起こす。

 

 そして頭の中で『今、起こっている事実』を認識する。

 

 

 自然と脳内を熱で焦がす。

 身体はその事実で素直に反応を示すのであった。

 

 

「特別ってどんな入れ方をしたのよ?」

 

 

 カップに口をつけ喉を潤わせた後、アリサはすずかに問い始める。

 

 

「それは秘密だよ〜。ちょっとだけ工夫して入れるようにしたんだ♪」

 

 

「ふ〜ん」

 

 

 そんな会話の中でも彼女らはカップに口を付けて喉を鳴らす。

 

 

 急に……なんか恥ずかしくなってきた……。

 

 

 そんな興奮と冷静を上下する感覚を味わいながらお茶会は進んでいく。

 

 

 

 

「ほんまぁ……これぇ……美味しいわぁ♡」

 

 

 

 

 そうして、本日の【継続対応】は完了したのであった。

 

 

 

 …………どうやって? はご想像にお任せしたいです。先生。

 

 

 

 

 



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57話(New!!) □微エロ すずか(フェラ はやて(自慰

 

 ……

 

 

 …………うーん。

 

 

 ………………これは死んじゃうな。

 

 

 まぁ……死んじゃうという言葉は比喩なのだが、その言葉を発したい位に色々とキツイ状況が続いている。

 

 

 

 キツイと言っても……何か悪いことがあったのか? と聞かれれば……否と答えるしかないのだけれど……。

 

 

 

 早朝 なのはに絞られる

 

 朝 訓練……と言う名の肉体改造を仕込まれる

 

 授業中 唯一の休息時間

 

 昼 すずかに絞られる

 

 夕 お茶会

 

 夜 リンディさんに絞られる

 

 

 これに時々フェイトとアルフの対応が重なる。

 

 

 現状、まだ毎日では無いのが、救いではある。

 しかし、最近、夕と夜の頻度が爆上がりしているのが、疲労を加速している現状であった。

 

 すずかが言うには、はやてがかなりお茶会に乗り気になっているというお話である。

 

 それは状況的に理解は出来るのだが……アリサも自分の執事的行動が気に入ったとのことであった。

 

 恐らくテストとかで負けたストレスをここで発奮しているのではないか? と推測している。

 

 

 なので……毎回自身が運ぶことは勿論のこと、最近は着替えすらされる時もあるのだ……。

 

 まぁ……別に良いんだけど……時々……すずかの瞳が獲物を狙うような感じがして怖いんだよなぁ……。

 

 

 そのような状況の為、夕方のイベントが行われる時は、必ず昼の対応もセットになっている現状である。

 本来……毎日は必要は無いのだが、彼女はソレを許さない。

 

 

 と言うか、継続対応自体も説明する訳にもいかないので、【お茶会=そういった出来事】を行うと言う形になってしまっている。

 そのため、彼女はあくまで任務に忠実であると言えばそうなのであろう。

 

 

 しかし……完全に目的はそれだけではない時もある。

 

 

 可愛らしくも少しだけ妖艶に喋る彼女の声。

 それが耳元で囁かれた時のシーンが蘇る。

 

 

 

 

 ……

 

 

 …………

 

 

 

 

『ご主人さまぁ……♡まだまだお元気ですよ♡』

 

 

 

 正直、準備する量は『微量』で十分である。それだけでも『事実』は出来上がり対応は完了するのだが……。

 

 

 

 ─────ちゅっ……ちゅうぅぅ……もむもむっ♡

 

 

 

 彼女はご褒美が欲しいと言わんばかりに、再度吸い付いてくる。

 

 

 いや……ここ(男子トイレ)は長く居れば居るほど怪しくなってしまうので……速めに終わりにしたいのだけれど……。

 

 

『ごしゅじぃん……はまぁのぉ……おちんぃちぃんっ……とってもおいしいでふぅ……』

 

 

 口にアレを含みながら言葉が発せられる。音の振動が腔内を伝わり想像出来ない動きが強い快感を生み出すのだ。

 

 その快楽の中で……

 

 

 

 ──────れろれろれろっ♡

 

 

 

 裏のスジを念入りに舐められたらもう終わってしまう。

 

 

 硬度は勢いを取り戻して一瞬で復帰させられるのだ。

 

 

 そしてそんなご立派に育ったモノを見て彼女はうっとりと呟くのだ。

 

 

『ご主人さまぁ……♡とっても素敵です♡』

 

 

 そして先端を改めて咥えこんでストローを吸うように強い吸引を行うのであった。

 

 

 個室に籠もっているとは言え……彼女から生まれる水音はどうしても周りに漏れ出す。

 

 

 

 ──────じゅちゅぅぅ……ちゅぅ……ちゅうっ♡

 

 

 

 本来ありえない場所で、ありえない行為を行う。

 

 ……インモラルな感情が更に興奮を煽ってくる。

 

 そしてより自分の快楽……感じやすい場所を念入りに攻撃してくる彼女の慣れてくる動きは……征服感という心の快感を身体へ焼き込んでくるのだ。

 

 

 だが……これは周りに人が()()()時である。

 

 彼女はそういった行為の最中でも敏感に人の気配を察知していた。

 

 

 

 ────はむっ…………むぐぅっ…………もむもむっ♡

 

 

 

 気配を察知すると亀頭部分をぱくっと暖かい口内へ収める。

 

 

 そしてじっとこちらの顔を見ながら…………もぐもぐとゆっくりと丹念に口が動き……その柔らかい舌でキャンディを食べるかのように磨いてくる。

 

 

 ゆっくりと動く頬の裏と舌は、周りに音を漏らさない。しかし、むず痒いような快感が先端を伝わり、こちらを溺れさせようとする。

 

 そして時折、舌先が先端の裂け目を優しくなで上げる。その感触は彼女の舌へ味を覚えさせている感覚を引き起こす。

 

 更にじっとこちらを見つめてくるその瞳。清楚と呼べるべき彼女が卑猥なモノを咥え、陶酔した表情を見せてくれる……。

 

 ……それをもっと汚したい。もっとその頭を押さえ喉奥を堪能したいという欲求がゾクゾクと心を加速させてしまうのだった。

 

 

 

 しかし……状況はそれを許さない。

 

 

 

 だからそんな欲求と格闘しながらも、彼女からのゆっくりと味わうような口内のお風呂へ浸るしかなかった。

 

 

 そして、人が居なくなれば、彼女の動きは一気に加速する。

 

 

 

 ──────ずっちゅっっ……ちゅうぅうっぅっ……ぅん……んふーっ♡

 

 

 

 彼女の白い喉は、一気に奥まで動く。そして舌先は先端を舐めほじるように強く刺激を生み出す。

 

 

 唾液という蜜に浸され、敏感なその箇所へ弱い刺激与え続けられた快感。

 ……我慢させ続けられた欲求は、強い刺激によって一気に昇華されていく。

 

 

 ふんわりとした女性の匂い。

 

 

 彼女は身体を動き続けた為、自然と汗が生まれる。それが彼女の普段の芳香と合わさり性としての匂いを感じさせてきた。

 

 

 欲望が加速する。そのピンクに濡れ光る唇を醜いオスの象徴でもっと蹂躙したいと、心が加速してしまう。

 

 

 だけれど、彼女はその欲求すら理解しているかのように……

 

 

 

 ───────ぬぬぬぬっ……んぅっ…………ごぷっぅ……んぅぅ……んくっ……

 

 

 

 ぴったりと竿の周りに唇を合わせて、ゆっくりとその小さく白い喉奥へ導く。

 

 

 全体が暖かい肌に包まれる感覚。そして彼女の喉を犯しているというビジョンが、脳内を焦がし続ける。

 

 

 更に喉奥が小さく痙攣することで、敏感な先端を刺激し続ける。

 

 ぬめった舌がモノをマッサージするかのように包み込み、芯へ快楽を生み出していった。

 

 

 こうなるともう限界である。

 

 

 脳内の信号がハジケ、頭の中に点滅するかのような白い映像と共に下半身に力が入る。

 

 

 脳内の指令を受けた身体は意識せずとも先端に力を込める。

 亀頭部分が膨らみ、竿がポンプのように収縮し始めるのが分かった。

 

 そして彼女はそんな動きを()()()()()()かのように舌でサポートする。

 

 収縮する動きに合わせて柔らかな舌が竿を包む。そして前後に擦ってきた。

 

 

 それはまるで射精を誘導するような感じで、下半身に快感を更に生み出すのだ。

 

 

 そして……舌は更に裏の筋をコリコリとスイッチを押すように刺激される。

 

 

 

 その……摩擦の刺激は、最後の扉の決壊を押すのに十分であった。

 

 

 

 ───────びゅるるるるるっっ!!!! 

 

 

 

 快感が脳を焼く。2回目であってもその射精は長く長く脳内を焼き続けた。

 

 更に射精の動きに合わせて彼女の吸い上げる動作が行われる。

 

 

 

 ──────ぢゅぢゅぢゅ!! くぷっ……ちゅぐっ……ぢゅちゅっ……

 

 

 

 強制的に排出される快感。これは何度経験しても慣れることは無い強い快楽を生み出す。

 

 更に全て出しつくして欲しいと言うかのように、小さな手が、溜まり続けていた袋を優しく揉みほぐすのだ。

 

 

 

 ……んふっ♡んぐっぅ♡んふー♡

 

 

 

 長い長い射精を感じながら彼女の鼻息を下半身に感じる。

 

 それは彼女に欲望を吐き出したという事実を認識させ、最後の一滴まで排出してしまうような感覚を引き起こす。

 

 

 そして……快楽が少しずつ引き……倦怠感が身体を包むが……

 

 

 

 ───────んっ♡ちゅぅぅっ……ちゅちゅちゅちゅちゅ♡

 

 

 

 出し終わったソレを労るように唇と舌で優しく拭われる。

 

 それこそ本当に最後の一滴まで吸い取られるように丹念に舐めあげてくるのだった。

 

 

 そして吐き出した欲望は……彼女の口内へすべて収まる。

 

 

 膨らんだ頬を見せてくる彼女は、それはそれで一種の愛らしさを見せてくれる。

 だが、それに含まれている液体は、卑猥な感覚を頭に認識させるのだ。

 

 そんな感情が生まれている自分に対して、更に彼女は見せつけてきた。

 

 

 

 ─────くちゅっ……もむっ♡……くちゅぅぅ……もむもむっ♡

 

 

 

 咀嚼している。

 

 

 精液を咀嚼しているという行為をこちらへ見せつけてくる。

 

 

 下卑た欲望を彼女は味わっているという事実を意識させてきた。

 

 

 そして……こちらの顔へ近づき……

 

 

 

 ────んぅっ♡こくっ……ごくっ……ごくっっ……

 

 

 

 小さな喉が動く。喉を鳴らして汚れた欲望を体内へ飲み込んだという行為をこちらに見せてくれる。

 

 そして……あーんと言う形で口を開き『全て頂きました』と言う姿を教えてくれるのだった。

 

 

『とっても……とっても美味しかったです♡ご主人さまの精液♡』

 

 

 

 そう言って、少しだけ精液の匂いを感じさせながら、彼女は耳元で囁いてくるのだった。

 

 

 

 ……

 

 …………

 

 

 ……………………

 

 

 

 そんなことを日々やられていれば、理解してしまうだろう。

 

 このままでは死んでしまうと……。

 

 

 

()()()でこれなのである。

 本当に忙しい時は空気を呼んでくれるのは救いであるが……逆に余裕があると見れば吸いつくされる。

 

 

 まるで活かさず殺さずを実践されているようだ……。

 まぁ、さすがにそこまでは考えすぎだろうと思っているが、それでも回数が多くなってきている現状は憂いの一つである。

 

 

 何故なら……まだここから()()()のだ。

 

 

 A's編をクリアするにあたって必要な戦力を確保しなければならない。

 

 

 そうなってくると現状では、まだまだ不足であろう。

 

 そして監視者に対して……()を取らなければならない。

 

 

 アイツは恐らくは()()()()を一方的に強化するはずと推測していた。

 

 そうなってくると両方対処出来るように組まなければならない。

 

 

 そうなると……現状では各所へ回せる人員も含め戦力が少ないことは理解している。

 

 

 

 ───────そろそろ時期だろうな。

 

 

 

 まずは……第1段階のスタートを行うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 __

 

 

 

 

「んっぁ♡あっっ……♡そないなトコ……ひらかんといてぇ♡」

 

 

 

 小さくも強大な快感を生み出す突起部分をクリクリと指先で弄る。

 

 

 

 頭の中に浮かんでいるイメージは……彼が私の大事な所をくぱぁぁ♡と指で開かれているシーンが浮かんでいる。

 

 めっちゃ恥ずかしい……けど……みて♡欲しい……その綯い交ぜな感情が私の興奮を煽ってしまうのだ。

 

 

 それが指先にも感情が現れる。いつもよりも荒々しく……けど、彼の優しさを感じる指の動き。

 

 想像が現実になるかのように夢心地な気分を持って指先でクリクリと刺激する。

 

 

 

 ────んぁぁっ……くみゅぅぅっ……んぎゅっっ……

 

 

 

 下半身から発生する快感が、頭の中を蕩かせる。

 

 そして……彼を想う度に、その快感が増幅して身体に刻み込まれるのだ。

 

 

 更に……彼にあった時の衝撃を思い出す。

 

 

 

 ──────んんんんにゅっぅぅぅっぅ!? ……んぁぁぁぁぁぁぁぁっ♡

 

 

 

 身体中に電撃が走る。心がどこまでも彼の事を貪欲に求めてしまう。

 湧き上がり続ける感情は……寂しかった孤独を無くし……彼への想い……特別な感情が心を埋め尽くしていく。

 

 しかし心を埋め尽くしても溢れ続ける感情の波は収まらない。

 

 慈しみや情愛の心が更に溢れ続け、それが炎のような熱で身体を焦がしていくのだ。

 

 

 愛情が溢れる

 

 

 

 ─────んんぁぁぁっ♡ぃいぃぃぃぁっ♡

 

 

 

 恋心が溢れる

 

 

 

 ──────んっぁっ!? んぐっっ……ぁぁぁあぁっ♡

 

 

 

 心が『彼への愛』で焼き尽くされる

 

 

 

 ──────んきゅぅぅぅ……ふゅぁわぁぁっ♡

 

 

 

 何でもしてあげたいと言う気持ちが膨れた、その時……頭の中のシーンが切り替わった。

 

 

 

 目の前に浮かんだのは……彼の大事な……大事なその部分。

 

 

 彼はそれを私の目の前に見せるように鎮座していた。

 

 

 

 ─────彼を気持ちよくさせて上げたい。

 

 

 

 湧き上がる感情は彼に尽くしたい愛情を湧き上がらせる。

 

 抵抗は勿論必要無い。

 

 この空さえ埋め尽くすような感情を持って彼に愛情を伝えるのだ。

 

 

 

 ──────ちゅっ♡

 

 

 

 己の指を彼の大事な部分へ見立てて愛情を示すキスを行う。

 

 そして更に想像するのだ。

 

 

 私のファーストキスを彼に捧げたという。事実を頭に認識させる。

 

 

 その瞬間……心臓が強く跳ね上がる。そして身体中が光に包まれたように感じられ、心の熱が身体に溶け合い新しく『灼熱の想い』が身体を焦がしていく。

 

 

 

 だけど……私は()()()()()

 

 

 現実という名のリアルは想像を軽く超えてくる。

 

 もし、想像のことが行われたとすれば……恐らく今以上の想いで埋め尽くされるであろうと思ってしまった。

 

 

 だから、私は少しでもその時の熱を感じ取りたい。

 

 

 

 だって……彼のことが好きやから。

 

 

 

 何もかも受け止めて上げたいし、何もかも捧げたい。

 そして……彼と想いを共有したい。

 

 

 一緒に居るという幸せ。

 

 

 それは孤独で埋め尽くされていたはずのワタシをどこまでも……どこまでも幸福に上書きしてくれる。

 

 

 もっと彼の熱を感じたい。

 

 

 そう想いながら彼の事を想い指を舐め続ける。

 

 

 

 ─────ちゅっ……くぷっ……れろれろ

 

 

 

 想像が彼の匂いを感じさせる。

 

 

 本によれば……男臭い匂い……相手に女の感情を芽生えさせるような匂い……

 

 正直……まだ良く分からないのだけれど、それでも頭はソレをイメージさせるように努力する。

 

 

 

 ────スンスン……あぁぁぁっ……臭いわぁ♡

 

 

 

 例えはイカのような匂いらしい……。

 ただ、私のイメージは彼の匂いであれば……それはとても心を震わせて興奮する匂いへと変換されていく。

 

 

 

 ──────スンスン……スンスン……スンスン……ちゅ♡

 

 

 

 彼の味はどんな味がするんだろう。

 

 彼の身体の味を想像する。

 

 

 汗の味……。

 

 

 普通に考えればしょっぱいと言うイメージが先行するはず。

 

 だけど……私が感じたイメージ……。

 

 彼の身体を舐めたシーンと共に想像された【味】は今まで味わったことが無いような甘美な味が感じられた。

 

 

 

 ……おちんちんの味……美味しいわぁ♡

 

 

 

 心の声がそのまま身体を通して発せられる。

 

 何時までも……何時までも舐めていたい美味しい味。

 

 それが舌を通して頭の中に入り込む。

 

 

 

 ──────ちゅぅぅぅぅぅっぅ

 

 

 

 吸い込む。

 

 

 どこまでも吸い込む。

 

 

 彼の体液をその身体に取り込もうと躍起になっていった。

 

 

 そして……そのシーンの想像が身体を焼き続ける。

 

 

 空いた指は……引き続き溢れ続けている下着の中に入り込み快感を貪ろうと行動する。

 

 

 

 ────んっ♡んっ♡……ちゅぅ! っちゅうぅぅ♡

 

 

 

 指で感じる快感と舐めることが段々と結びついていく。

 

 

 彼のモノを愛撫すると言う行為によって……私も快感を得るように身体に刻み付けていった。

 

 

 

 

 ……味わう快感も……一緒が良いんや。

 

 

 

 彼もその方が嬉しいはずである。だって……本には男は女を躾けたいと書いてあったものもあったからだ。

 だから私はそれに応えるために努力をしようと考えた。

 

 

 そうして……想像の中で、私は彼の大事なその部分を味わい続けていくのであった。

 

 

 

 

 

 ……

 

 …………

 

 

 ……………………

 

 

 

 

 

 ────ちゅちゅっ♡ちゅぱぁっ……くぷくぷっ♡

 

 

 

 どのくらい時間が経過したのか分からない……。

 

 

 もはや自身の指は唾液に塗れ続けてふやけている。

 けど……私はその行為……【彼のモノを舐め続けている】行為に飽きることはない。

 

 

 

 ずっと……ずっと……ずっと……この幸せな行為を行っていたい。

 

 

 

 決して枯れることが無い感情。今でも身体を暖め続けているその熱い想い。

 

 私は完全に夢中になっていた。

 

 

 

 だけれど……それは急に終焉が訪れる。

 

 

 

 ──────んきゅっ!? ……あっ♡あっ♡あかんぅっ……ダメやっ♡……これダメやっっ♡

 

 

 

 自身の下半身を慰めていた指が、自然と強い快感を求める。

 

 止めようと思っても発生し続けていた波は、大波へ変化し理性では止めることが出来なかった。

 

 

 もっと……もっと……味わってぇ……ぉぉぉ♡

 

 

 もう天へ向かう波は収まらない。指をヌルヌルと動かし続けて頭の中をどんどん溶かし続けていった。

 

 

 そうして私は……

 

 

 

 いきゅっっっっっっっっっっっぅぅぅぅぅぅぅっ♡

 

 

 

 魂を大空へ溶かしていくような空白の後、……お腹の中に発生していた熱が、身体全体を焼き尽くすような感じで快感が爆発的に生まれていった。

 

 

 

 んんんんんんんんんんんっっぁぁぁぁっ♡

 

 

 

 心が蕩ける。

 

 身体全体が蕩ける。

 

 魂が蕩ける。

 

 

 私の全てが彼によって全て蕩けていくのであった。

 

 

 

 

 

 ……

 

 …………

 

 

 ……………………

 

 

 

 

 

 はぁー♡……はぁっ♡……はぁーっ♡

 

 

 

 少しずつ息を整えていく。

 

 

 そうしてしばらく深呼吸していた後、ふと……『今、何時なんやろ?』と思い時計を確認した。

 

 

 時間を確認すると、丁度時計は『12:00』を指している。

 

 

 それを確認した瞬間……

 

 

 

『封印を解除します』

 

 

 そんな言葉が頭の中に入り込んでくるのであった。

 

 

 

 

 

 そして……

 

 

 …………

 

 

 

「闇の書の起動を確認しました」

 

「我ら闇の書の収集を行い主を守る守護騎士で御座います」

 

「夜天の主に集いし雲」

 

「ヴォルケンリッター。何なりと命令を」

 

 

 

 私がちょっと不自由な普通の少女から、ちょっとだけ不可思議な世界に関わる少女へ変わった瞬間であった。

 

 

 

 

 

 

 彼女らの出現は……驚愕はしたけれど……()()()()も重要なこと……【今】の状態を思い出してしまい……頭が急に冷静になる。

 

 

 

「とりあえず……よぅ……わからんけど……どうか……そのまま目を伏せたまま……」

 

 

 

 さり気なく……だけど……しっかりと身体はフトンで隠すことは忘れなかった。

 ……乙女の柔肌は絶対に何があっても【彼以外】には見せたくない。

 

 

 

「お部屋の外で一旦待機してくれまへん……くれませんでひょうか……?」

 

 

 

 



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■EX章(外伝) あったかもしれない。なかったかもしれない。そんな物語シリーズ
EX_なのはと喫茶店で……(ちょいエロ有)※挿絵有


※本文中に挿絵を入れておりますのでご注意ください。


頭を空っぽにして読んで頂ければ幸いです。




 直感という確率外にも感じられる選択肢。

 

 

 様々な意見があり、所説も色々と存在すると思うが、その直感に従った場合の成功率は大体7割ぐらいの的中率と言われている。

 

 

 

 何故、ある種、50%を超える確率となるのか。

 

 

 

 シックス・センス、予知、未来視……幻想的に言えばそんな感じだろうか。

 しかし、自分は直感というのは、根源と特殊な接続を持つ……所謂、人の枠組みから外れた存在がいれば除外はするが、誰もが持っているものだと思っている。

 

 

 今まで生きていた経験、見聞、学問、さまざまな知識という財産を元にして、計算を行い、最も確率が高いものを幻視する。

 それが脳の煌きとなり、選択肢を示すのだ。

 

 

 だがそれが全て正解であるとは限らない。

 

 

 その人の歩んできた道が、短ければ様々な知識が不足、抜けが存在してしまう。

 しかし、脳の幻視は『今の知識を元に』計算をするため、結果として選択肢の内容が自然と劣化してしまう。

 

 

 なので、結果失敗になることも多いが、それも経験という糧になる。

 次回の計算の餌になり、それが精度を高めていくのだ。

 

 

 成功体験だけ学んでも意味がない。失敗する状況ということの想定が段々と甘くなり、想像の計算が出来なくなる。

 成功を続けていくということもまたある種の『経験不足』に陥るのだ。

 

 

 また逆もしかりである。

 

 

 

 人は成長する。

 

 

 

 だからこそ何事においても知識は別け隔てなく、そしていつでも吸収出来るように自分は心を持ち続けようと思っていた。

 

 

 

 そして、その直感が警鐘を鳴らし続けている。

 

 

 

 そこから先の道は……危険だぞと。

 

 

 

 しかし、直感に従ってその選択肢は取るということは出来ない。

 

 

 もっと危険になってしまうからだ。

 

 

 今日はお誘いを受けていた。

 

 

 ……

 

 …………

 

 

「あのね……今日はこの後、翠屋に来てほしいの!!」

 

 

 何事かと話を聞くと、なにか新しいサービス? を思いついたらしい。

 

 

 朝に恒例の特訓をこれでもかと仕込まれた後、息は乱れ身体中が汗まみれの状態であるにも掛からわず、満面の笑顔でミッションを追加してくる鬼教官がそこにいた。

 

 

 ノーと言うことは簡単だろう。

 

 

 だが、しかし、その結果の予測は想像に難しくない。

 

 

 八つ当たりと言う理不尽な倍返しが待っているだけである。

 

 

 人は成長する生き物だ。

 ……同じ轍は踏まないように注意するのは当たり前である。

 

 

 鬼教官からの問いには「はい」か「イエス」しか選択肢が存在しない。

 

 

 新兵育成の常套句だ。

 

 

 なので、その選択肢をしぶしぶ脳内でクリックする。

 

 

 その命令が身体に伝えられて、喉を震わせて肯定の言葉を発するのであった。

 

 

 

 肯定の言葉を受けた鬼教官……高町なのはは、満面の笑みをより輝かせて、顔の赤みが増した笑顔をこちらに見せてくれたのだった。

 

 

 

 日差しの暑さが身体の火照りを中々冷ましてくれない。

 

 

 鬼教官は準備が必要とのことで、先に翠屋に直行している。

 

 ならばという事で、ある意味汚れてしまったこの身体を綺麗にしようと家でシャワーを浴びた後、向かおうかと考えていたのだが……。

 

 鬼教官はその考えを読んだかの如く、その行動が却下されてしまった。

 

 曰く、そこまでの時間は必要じゃない。

 

 

 

 との事なので、小休憩した後、すぐ翠屋に向かって欲しいと告げられてしまった。

 

 この時点で、疲れた頭の中でも容易に計算が行われ、サービスと言う内容が一気にピンク色の怪しさを纏ってしまう。

 

 過去の出来事の映像が走馬灯のように脳内を駆け巡る。

 

 

 

 時々あるのだ……。

 

 

 

 彼女の中で何が切欠としてのトリガーになっているのかは、まだ分からないが、時折、これでもかというくらいに訓練の内容がハードになることがある。

 そして……その後、いじめ抜かれた身体の回復を速めようとするため、やたら献身的に……優しさに溺れるくらいに尽くしてくれるのだ。

 

 その内容はまぁ…………勿論、淫らな行為も含まれる。

 

 身体は回復するが、精は底なしの沼に嵌るが如く、とことん沈みこんで吸い取られる為、結果としては悪化してしまうことも多かった。

 

 …………多かったと言うか……確実にそうなってしまうと言うのが結果である。

 

 

 

 男性としては夢のような自体であることは間違い無いのは頭で理解している、

 だが…………尽き果てるときに見る夢見はあまりにも良くなかった。

 そして、起きても気力が中々沸かない。

 

 まぁ……まだまだ成長途中の身体はすぐ装填してしまうんだけれど……ね。

 

 そんなことを考えながら、ゆっくり道を歩き、翠屋の前まで到着する。

 

 ふと、周りを見るといつも繁盛している翠屋はお客様でいっぱいなのだが、今日は人が一人もいない。

 

 

 

 ……というか、そもそも周りに人が居ない? 

 

 

 

 人が居ない空間は静謐にも感じられるが、先程とは違う危険信号が頭の中で灯り始める。

 

 とはいえ、この原因を調査するにしても、安全にことを進めるためには最大戦力でもある、なのはと合流することが最善であろうと考えた。

 

 

 

 ……丁度、翠屋にも到着しているからね。

 

 

 

 そう思って、翠屋の入り口の扉を開いて、中に入ると…………

 

 今まで考えていたことが全て吹っ飛ぶ光景が、瞳に焼き付けられる。

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

「いらっしゃい……ませ…………バニー喫茶……翠屋に、ようこそ……なの……」

 

 

 

 顔を赤らめそう告げてきた店員さんの姿は……いろんな意味で衝撃を生み出しており、頭の中を掻き混ぜられていた。

 

 

 

 バニー喫茶って……

 

 

 って言うか、それって所謂「逆バニー」と呼ばれる姿だよね。

 

 

 いろんな意味でアウトですよ。高町さん。

 

 

 いや……そもそもこれ……ご家族……特に父上と兄さんから……念入りに殺されますがな。

 

 

 

 様々な言葉は頭の中に走り抜ける。

 

 そして最終的に頭の中に出てきた言葉は

 

 

 

 …………それで良いのか? ……レイジングハートさん? 

 

 

 

 少女の大事な場所をひっそりと守りつつ、この格好を生み出している元凶へ問いかけてしまう。

 

 

 こちらの混乱した頭の中を知ってか知らずか、高町さんは言葉を更に続けてきた。

 

 

「あのね……どうかな? ……この格好」

 

 

 開放感に満ち溢れたその姿は、なのはの羞恥心をどんどん煽ってくるのだろう。

 

 内股を恥ずかしさでもじもじとするようにしながら、視線による羞恥で顔を真っ赤にしつつも、ちゃんと視線をこちらに向けてそう問いかけてくる。

 

 

 …………ヤバい。正解の選択肢が何も見えない。

 

 

 真っ暗である。

 反射が生み出す直感の選択肢すら、全てを放棄するぐらいに漆黒である。

 

 正直、このまま気絶したいぐらいに逃げ出したい。

 

 だが……返答の時間も待たせると言う愚行は、更に事態を悪化させる。

 

 瞬時に結果を出さないと行けないのだ。

 

 発する言葉は肯定であることは必須である。

 だが、肯定する言葉の種類をどうすべきなのか……が難しい。

 

 

 年頃のお嬢さんにエロいと言うのは逆に傷がつくかも知れないし、似合うと言うと下品さが似合うと言うことにも取りかねない。

 

 

 要するに褒め言葉は褒め言葉で否定に繋がりかねないのだ。

 

 そんなことを瞬時に考えつつも、頭の中で出た結論を元に反射で行動する。

 

 うんうんと頷きながら、少しこちらも恥ずかしそうにしつつも、にこやかな笑顔を浮かべてサムズアップした。

 

 

 要するに、言葉で褒めることは放棄してジェスチャーで相手に印象を叩き込む。

 言葉は彼女の中で変換して欲しいと言う苦肉の策であった。

 

 それが最終的に合っていたかは不明だが、高町さんは両手を真っ赤な頬にあてて「はにゃ〜」と言う謎の言語を発してフリフリと身体を左右に揺らしていた。

 

 おそらく照れた動作だと思うので、まぁ……なんとなく満足出来る結果だったのだろうと胸をなでおろす。

 

 しかし……なのはの身体を左右に振る動きは目の毒であった。

 

 身体を守る中心部は全く存在しない為、瑞々しく可愛らしい肌は露出しており劣情を煽ってくる。

 そして大事な部分はビキニアーマーがびっくりするぐらいに、攻めモードであった。

 その薄い防御で微妙に守っているとはいえ、身体の動きでチラチラと見えそうな感じも視覚を刺激してしまう。

 

 

 

 見えちゃう。見えちゃうよ!! 

 

 

 

 と思わずツッコミを入れたくなるぐらいの状況下である。

 

 その視線に気づいてしまったのか、なのははフリフリしていた動きを止めて、こちらに改めて顔を向ける。

 身体を見られてしまった視線が彼女を煽ってしまったのか、「にゃぁ……」と謎の言語とともに照れたような表情を浮かべ、上目遣いでこちらの様子を伺う。

 

 

 あかん。相手は完全にこちらを萌え殺す気のようだ。

 

 

 動けばヤラれると言う状況下は、一瞬の無言空間を生み出したはずだった。

 しかし、そんな空気をまるで意に介さない、なのはさんは恥ずかしい表情のままこちらの手を取り、「こちらなの」と席に案内をする。

 

 席に行くときにも、また視覚を煽ってくれるのだ。

 なのはの後ろ姿……背中は丸見えであり、艷やかな張りがあるお尻も完全に露わである。

 

 歩く動作で自然に小さく左右に揺れるお尻は、健康的でもありエロスを生み出す。

 視線を釘付けにする……まさに魔性のお尻であった。

 

 

 そうして、こちらの劣情を常に煽りながら席に辿り着く。

 席に座り、これから何が起きるのか戦々恐々とするが、その前にいろんな意味で大事なことを、高町なのはさんに伺っていく。

 

 

 

 ……ご家族さんは? 

 →結界を張っているから大丈夫なの! 

 

 そうだったんだ。だから人が居なかったんだね。

 →そうなの! 誰にも入れないように()()()()結界を張っているから安心なの!! 

 

 その格好は……

 →本で読んだの!! こういう格好だと、とても男の人は喜んでくれると言う本だったの!!!! 

 

 

 そうだよね? と上目遣いで視線を向けてくるなのはさんは淫靡な小悪魔を想像させる。

 照れているという空気を伝える為、素早くウンウンとそうだねと言う肯定のジェスチャーを見せて、ツッコミを脳内で行う。

 

 

 

 誰の本だよ!? いろんな意味で最先端を歩みすぎだろう! 

 

 レイジングハートさん止めろよ!? 

 

 とりあえず即死は免れたか……と言う様々な感情を混ぜつつ考えていると、なのはは「それじゃ、ちょっと待っててなの」と言って、厨房の方に向かっていった。

 

 お尻をプリプリ振りながら遠ざかっていく姿を見て考える。

 

 

 

 

 ……逆バニーと言う姿は、人によって好みが分かれるかも知れない。

 

 本来バニーと言う姿はチラリズムと言う見えそうで見えないギリギリの路線を楽しむものであって、ある意味その隠す場所が露わになるその姿はその魅力が失われるだろうと考えられてしまう。

 しかし、逆バニーには違う魅力が存在する。

 

 身体を露出すると言う秘匿快感である。

 

 勿論、この快感にも様々な派生が存在するが。

 

 本来、愛すべき人以外がみることが出来ない生まれたままの姿を見も知らず第三者に見られる。

 

 これが基本路線であり、そのレベルがそれぞれ存在する。

 

 

 見られるかも知れない。

 

 

 見られた。

 

 

 見て。

 

 

 更に細かくすればキリが無いが、大枠にするとこんな感じだろうか。

 

 それぞれがそれぞれにおいて、精神的快感を生み出すシチュエーションであるが、個人的な好みとしては最初の「見られるかも知れない」と言うシチュエーションが最も好みである。

 

 そして、それが逆バニーと言う衣装を通すことで、魅力を発揮させるのだ。

 

 

 

 こんな姿、誰かに見られるかも知れないと言うドキドキ感を味わえる衣装。

 それは彼女の精神的意識を無意識で興奮を生み出す。と言う想像が劣情を煽る。

 

 その露出するドキドキ感を無意識から意識する瞬間、恥ずかしいと言う羞恥の感情と興奮の感情の綯い交ぜが生み出す精神的調教が最高なのだ。

 

 真面目な顔で、お前は何を言っているんだ? と言うことを考えていると、なのはが厨房から戻ってくる。

 

 

 

 両手に持っているサービストレーの上に乗っているものは、恐らくケーキだろうか。

 それと飲み物のグラスも見える。

 

 落とさないように注意してこちらに持ってくる姿を見ていると、こちらの視線を感じたのか、そしてその見られている箇所を感じたのか近づくにつれて段々と顔が赤くなってくるのがわかる。

 

 

 そうそう。これだよこれ。

 

 

 頭の中の自重するトリガーが発動しない。

 

 現段階は無意識で、見られると言うことの羞恥を体感する。

 そして、ふと気づくのだ。第三者に見られるかも知れない可能性を。

 その時に羞恥の感情が大爆発する。

 けど、その見られるかも知れないと言う可能性が今まで通ってきた興奮のロードと合わさることで、脳が見られることも『快感』と結びつける。

 

 そのドキドキ感をさりげなく味わおうとする瞬間が最も食べごろである。

 

 脳内でそれをパクパクと味わっていると、なのはは無事に到着して自身の目の前に持ってきた食べ物を並べる。

 

 遠目で見ていた通り、並べられたものは、ケーキとアイスティーである。

 

 

 アイスティー……だよね? 

 

 

 まさか……と、最先端を行き過ぎた可能性を一瞬頭を過ぎるが、ふんわり香るティーの匂いが冷静さを呼び起こす。

 

 

()()()関連は自分にはまだまだ修行が足りない……。

 

 

 そうでなかったことに一安心して、並べられたものに対してお礼をなのはへ伝える。

 

 

 そして、食べるための動作を行おうとすると、あることに気がついた。

 

 

 ……食べるためのフォークやスプーンが無い。

 

 その結論に辿り着くころには、なのははこちらの隣に座って、恥ずかしそうにこちらへ視線を向ける。

 

 視線を合わせると、彼女の意図が理解出来た。

 

 彼女の手には探していた食べるためのフォークを持っている。

 

 そこから導き出せる答えは容易であろう。

 

 

 定番イベント『あ〜ん』ミッションである。

 

 

 恋人的空気を味わえる、このプレイの興奮度は想像がつくであろう。

 尽くしてくれる感情を味わえる環境は、自然と懐のハードルを下げるのだ。

 

 だが、第三者に見られながらすると言う環境になると一気にハードルが高くなるのだが、二人きりであればそこまで難易度は高く無い。

 

 なので、これは素直に受け取って行くべきだろうなと考えて、なのはの行動を待つ。

 

 なのはは、こちらの予想通りに目の前に置かれたケーキの一部分をフォークで切り分ける。

 そしてそのフォークに乗った白い生クリームを…………

 

 

 

 油断していたのだろう。

 

 所詮、まだ小娘と侮っていたのかも知れない。

 

 

 だが、高町なのはは、最先端を全力全開で突き進む女性である。

 

 最先端を突き進む彼女の行動は……

 

 

 生クリームをこちらに向ける事なく、なのは自身の身体へ近づける。

 

 そして……

 

 

「んっ…………」

 

 

 

 レイジングハートさんに守られていた胸の一部分をずらし、淡いさくらんぼのようなピンク色をした小さな乳首を露わにする。

 そしてそこに生クリームをつけたのだ。

 

 

 唖然としながら、その光景を視界におさめていると、

 

 

「どうぞ……お召し上がりください……なのっ……」

 

 

 両手で乳房を掴み、生クリームを塗った乳首を強調するようにこちらに身体を近づけてきた。

 

 なのはの表情はもうりんごも驚嘆するぐらいの真っ赤である。

 

 そして、自分の思考もりんごが驚嘆するぐらいに中身が真っ白になった。

 

 

 なのはミルクですか!? 

 最先端を行き過ぎて、その先端もつかうとは、さすがです。なのはさん!! 

 

 

 

 もはや自分でも意味不明である。思考は完全に停止してしまった状況だ。

 

 だが思考は止まっても時間は流れ続ける。

 

 なのはの身体が時間の経過と共に近づいてくる。

 

 距離が近くなると少女特有のミルクのような甘い香りと、生クリームの甘い匂いが混じり合い、こちらの脳内を蕩かしてくる。

 

 そして……唇に触れた。

 

 

 

「んんっ……」

 

 

 

 敏感な箇所が触れる感覚になのはは、一瞬呻く声を小さくあげたが、戻る動作はしないそのまま更に唇に密着するように身体を優しく押し付けてくる。

 

 そしてもはやこれまでと考えて、素直にそのクリームに舌を伸ばした。

 

 

 

「んんんっ!? あっ……」

 

 

 舌に伝わるのは冷たい生クリームの味。そして少し冷やされたなのはの乳首の暖かさ。

 舌で生クリームを掬い取ると、同時に乳首のコリコリとした感触が舌を楽しませる。

 

 

「あああっ……!? んんっ……」

 

 

 コリコリとした感触はつい舌を動かし続けてしまう。

 生クリームが潤滑油になっているとは言え、舌の摩擦的刺激は、なのはに声を喘がせてしまうのだった。

 

 

 

 レロレロ

 

「んんぁ……はぁ……」

 

 

 

 レロレロレロレロ

 

「あっ……つよぉ……ぃぃっ……んあっ」

 

 

 レロレロレロレロレロレロ…………ちゅっ

 

「あっ、あっ、あっ…………んんっ…………いぁっ……!?」

 

 

 

 はっ……つい楽しんでしまった。

 もはや生クリームはなのはの身体に存在しなく、完全に乳首の愛撫になってしまっていた。

 

 唾液に濡れた乳首は小さいながらもピンと自己主張を行わせて、更にこちらへ舐めさせたいと言う魅了を発揮させてくる。

 その魅力につい再度むしゃぶりつきたくなるが、先程の行為で少し満足したので自重の精神が働いてくれた。

 

 なのはの表情を見ると、少し涙目で真っ赤な表情出しながらも刺激に懸命に耐えている仕草を見せている。

 

 それが更に攻撃したい欲に駆られてしまうのだが、なんとか持ち直しして唇を乳首からゆっくりと離していった。

 

 

 そして顔がゆっくりと離れると、なのははポツリとつぶやく。

 

 

「赤ちゃんみたいだったの……」

 

 

 テレテレとしながら呟くその仕草は、更に攻撃性の思考を煽ってしまうが、我慢する。

 大体、これで攻めに回ると返り討ちに合うことも少なくなかったからだ。

 

 人間は成長する生き物なのだ。

 

 そうウンウンと脳内で納得していると、なのはは続いて飲み物に手をのばす。

 

 最先端を行くなのはさんの行動にドキドキしていると、飲み物は普通に手に持ってストローをこちらに向ける形で差し出してきた。

 

 

 ストローに何か仕掛けでもあるのか……? 

 

 と思いながら、ゆっくりと口を近づけて中身を吸う。

 すると冷たい液体が口内に入り込み、紅茶の味を舌が認識する。

 

 

 普通に紅茶だよね……

 

 そう思いながら飲み物を吸う。そして一息ついてストローから口を離すとなのはは満足したかのようにゆっくりとグラスをテーブルに置いた。

 

 さすがに飲み物のところは、無かったのかな? 

 

 残念なような良かったような、微妙な感情が胸に過ぎるが、まぁ普通に終わってくれればそれはそれで良いと思い、なのはへ改めて向きなおる。

 

 

 そしてなのはは笑顔を浮かべて、問いを発する。

 

 

「美味しかったの?」

 

「とても美味しかったよ」

 

 

 その問いにすぐ答えを行うことで「よかったの」と無垢な笑顔を向けてくる。

 格好は無垢では無いため、そのアンバランスさはドキッとした感情を生み出してくるが、それらを見せず「ありがとう」と感謝の言葉を繋げていった。

 

 

 すると、なのはは急にもじもじと身体を揺する。

 

 改めて恥ずかしくなったのかな? 

 

 とそう思いながらもなのはの行動を見守っていると、なのはは小さいながらもはっきりと言葉を紡いでいった。

 

 

「あのね……頑張ったうさぎさん……なのはに……ご褒美は欲しいなって……」

 

 

 ご褒美? 

 

 

「奏くんの人参……食べたいなぁ……」

 

 

 上目遣いでそのセリフは反則だろう。

 そして最先端を行くなのはさんは、こっちのストローを使いたいというお話でしたか。なるほどなるほど。

 

 

 …………もはや冷静な思考は放棄である。

 そのままなのはに請われるまま、なのはのご奉仕ミッションが始まるのであった。

 

 

 



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EX_なのはと喫茶店で……② (エロ有)

 すん♡

 

 

 

 すんすん♡

 

 

 

 すぅ〜〜〜〜っっ…………ぅ♡

 

 

 

『くぅっ……ちきしょうっ……』

 

 

 

 すぅっ……すん……ちゅ♡

 

 

 

『くっ……ぅぅ……っ』

 

 

 

 なのはの呼吸が生み出す吐息の愛撫は、優しく撫でるような暖かい刺激を身体に伝える。

 

 

 

 すぅぅぅぅぅ……すんすん♡

 

 

 

『ぅぅ……ぁぁぁっ』

 

 

 

 

 空気が生み出す快楽はわずかである。

 しかしそれでもそのわずかな刺激で敏感な部分は期待で膨れてしまうのだ。

 

 

 だが、なのははそれ以上の快楽を与えてこない。

 

 

 なのはのご褒美ミッションが開始されてからどの位経過したのだろう。

 

 

 ある程度の時間は経過しているはずなのだが……

 

 

 

 すぅぅぅぅぅぅぅぅっ………………んんっっぅ♡

 

 

 

 

 まだ……人参さんは……食べられてない……。

 

 

 

 

 んふぅーっ……すんすん♡すんすん♡

 

 

 

 ずっと…………食べる前の下調べみたいに身体中の匂いを嗅がれているのだ。

 

 

 

 んふーっ♡んむっーふぅ♡

 

 

 

 大気の振動が敏感な部分を擦る。

 その刺激はか細くも確実にこちらに快感を伝えてくるため、自然と刺激によって膨らんでくるのだが……

 

 

 

 すんすんすんすん♡

 

 

 

 彼女は、まるで大きくなった部分を確認したかのように、膨らみはじめたそれから鼻先をずらし太ももの付け根等、違う箇所へ鼻先を向けてしまうのだ。

 

 するとどうなるか……

 

 

 

 ぅん……すぅぅ……んぁっはぁぁぁぁ♡

 

 

 

 気持ちは良いが、微弱な刺激が分散されてしまい、自然と膨らみと言う熱が萎んでしまうのだ。

 

 

 だが、彼女はその状態になると……それを察知したかのように再度敏感な部分へ小さな鼻を向けてくる。

 

 

 その結果……

 

 

 

 すっぅぅぅぅぅ♡っはぁぁすんすん♡

 

 

 

 

 生殺しの状態が永遠と続くのである。

 

 

 

 今日は…………嗅ぎ分けの時間が特に長い。

 催眠によってなのはは匂いに敏感な少女となっているので、状況的には理解出来るのだが、今日は一段と時間が長い。

 

 

 

 すぅぅ♡はぁぁぁ♡しゅごぃよぉ♡

 

 

 

 いつもならスイッチが更に強化されて次のステップにいってしまうのだが……

 

 

 

 

 すぅぅっ……んあぁぁ♡んっぅ……はぁ♡すんすん♡

 

 

 

 次のスイッチが入らないのか……ずっと身体へ少女の鼻先が撫で回るのだ。

 

 実際、誰もが微笑みを向けられる可愛らしい少女が、男性の濃い匂いを嗅ぐプレイは、光景として想像するだけでも脳内を興奮の熱で焦がすのだが、やはり直接的刺激をもっと求めてしまうのも事実であった。

 

 

 

 すんすん♡すぅぅぅっ……はぁはぁぁっ♡

 

 

 

 お願いすれば、簡単に次のステップに行くことは容易だろう。

 

 だが……

 

 

 

「赤ちゃんみたいだったの(はーと」クスクス

 

 

 

 先程のなのはの言葉が脳裏をよぎる。

 

 

 

 そう。

 

 

 

 言葉に出したお願いなんて、誰にでも出来る。

 口を開けているだけの雛鳥ではない。

 

 いつ何時であっても成長出来る万物の霊長であるべきなのだ。

 

 

 

 そして、自分は赤ちゃんでは断じてない!! 

 

 それはシチュプレイだけで十分である! 

 

 

 

 だが……じゃあ対応策はあるのかい? と聞かれれば、悩みどころである。

 

 対案が無い意見など意見じゃないよと、その言葉の真意をまるで理解していない詐欺色強めのインフルエンサーが頭の中の映像でよぎったが、なんであれ対応方法が必要である。

 

 そうなると発揮するのがインスピレーションと呼ばれる刹那の閃きであった。

 

 

 

 言葉では無く、態度……ジェスチャーで示す。

 

 では、そのジェスチャーをどう表現するか。

 

 勿論、我が成長途中の人参である。

 

 萎んでしまうのが、良くない。ここは常に栄養を送り込んで美味しさをアピールすべきであろう。

 

 

 

 となると刺激という直接的感覚では難しい。

 

 

 

 人間には無限の夢がある。そして、あらゆる想像は現実に反映させる可能性があるのだ。

 だからこそ、人間は夢を追い求めるべきであろう。

 

 そんな高潔で高尚な考えを、無駄に自分に落とし込む。

 

 それを淫らな行為に利用するのだ。最低さはぶっちぎりであろう。

 

 

 

 

 風の振動を身体に受けながら、瞳を閉じて想像する。

 

 

 

 

 逆バニーが似合う女の子を。

 

 

 ──

 

 

 ────

 

 

 ……フェイトさん。その食い込み攻めすぎじゃないですかね。いや……角度がですね……それ直角ですか? アルフさん止めましょうよ。え? アルフさん……

 

 

 ………………すずかさん。せめて大事な所は隠しましょうよ。もう少しなんていうか、すずかさんの持ち味である慎みさを表して欲しいっていうか……あ、けど瞳の色綺麗ですね。ぇ? ちょっと……どこに連れて行くんですか? 

 

 

 ……………………リンディさん。いやいけますって!! 良い! その照れた表情が良い!! ほーら。着てみましょう! バ・ニ・ィ!! バ・ニ・ィ!! (パンパン

 

 

 ──

 

 

 ありえないだろうとは思いつつも、欲望のアンテナを広げ、怪しい電波に身を任せて妄想を重ねていると……

 

 

 ……

 

 

 来るっ。

 

 

 …………

 

 

 きらめきが来るっ!! 

 

 

 瞼を閉じた暗い世界で、カッと光が見えたような気がした。

 

 その光の中に見えたのは……

 

 ものすごく顔を真っ赤にしつつ、こちらの無理な要望を受け入れてくれる逆バニーアリサだった。

 

 

 

 

 良い!! 

 

 

 

 

 グイグイとくる強気精神の持ち主であり、だがその強気姿勢が、実は薄氷の防御であったツンのバランス。

 そして、素直に褒められることを受け入れて、照れてしまうデレの混じり合い。

 逆バニーと言う色んな意味で無理な要望を受け入れる慈愛、そして羞恥の感情が爆発しつつ屈辱がスパイスとなった魅惑のバニー少女。

 

 

 

 想像が膨らむ。

 

 

 

 そしてその期待が下半身に集結するのが分かった。

 

 どんどん熱がこもりはじめ……

 

 

 

 イケると思った瞬間。

 

 

 

 

 イダダダダダダダダダダァァぁぁぁ!! 

 

 

 

 

 ギュッと強烈に敏感な箇所が締め上げられる感覚が走った。

 

 

 慌てて瞼を開け、虹彩を通して光を取り込み、網膜を通して痛みが発生している場所を見てみると……

 

 

 

 とてもお冠な表情を見せている、なのはさまがこちらを見ていた。

 

 

 ……怒っていてもかわいいなんてずるいですよ。なのはさん。

 

 

 と、多少現実から逃げた感じで思っていると、

 

 

 

 

『いま……まさか他の娘の事、考えていたの?』

 

 

 

 

 言葉を発していたのかもしれない。

 表情からその言葉を連想したのかもしれない。

 

 

 

 だが、どちらにせよこちらの行動は一緒であった。

 

 

 

 ブンブンブンブン!! 

 

 

 

 勢いよく首を左右に振る。

 

 

 

 まさか!? 

 

 そんなことある訳ないじゃないですか!?!? 

 

 なのはさん一筋は当たり前ですよ。

 

 だから、瞳にハイライトを戻してください。なのはさま。

 

 

 言葉には決して出してはいけない内容ではあるので、一生懸命状況をジェスチャーで否定する。

 

 

 その熱意が通じたのか、なのはさんはゆっくりと怒りのボルテージが下がったように感じ、痛みが発生した箇所が和らいでいった。

 

 ただ、瞳は告げている。

 

 

 

『次はきついお仕置きなの』

 

 

 

 

 イエス! マム!! と瞳で教官に返答するのであった。

 

 

 

 ……確かに完全に色んな意味で先程の行為は最低である。

 反省すべき事項であることは間違いないので、素直に受け取らないといけない。

 決して、何故、分かったの? とは絶対に考えてはいけないのだ。

 

 女性は常識外でもある思考を読めることが、時折可能と言う。そういう存在であるのだと結果を自分に叩き込むだけである。

 

 

 そんなことを考えていると、痛みが走っていたその部分が今度は柔らかい肌の感触に切り替わっていく。

 

 

 その感触に視線をなのはに向けると、先程の表情とは全く異なり今度はその柔らかい人参さんを頬に熱を持ち潤み始めた瞳で見つめているのが見えた。

 

 

 ……切り替えのスイッチの速さも先頭を行くなのはに驚きを感じつつも、刺激によって無理やりコッチのスイッチも切り替えられる。

 

 緩やかに触れられる指の感触。

 少し空気によって表面は冷たい感触から段々と少女の高い体温によってじんわりと熱を伴ってくる感覚がわかる。

 そして、指先の力による刺激。優しく手によって扱かれる感覚が、恐怖に怯えていた棒の部分に砂糖をこれでもかと言うくらいに濃密に甘く浸されてくる。

 

 段々と血流が集結し始めていくのがよく分かる。

 体全体も段々ムズムズとした熱が溜まっていくのを感じてくる。

 

「もうっ……しょうがない暴れん坊ちゃんなの」

 

 

 どれに対して言っているのか……は置いておいて、なのははそんな台詞を発しながらゆっくりと熱を持ち始めた敏感な部分へ桜色の小さな唇を近づけていく。

 

 

 

 ちゅっ♡はぁっ♡

 

 

 

 湿り気を帯びた刺激が敏感な部分に伝わる。その刺激はある意味待ち望んでいたものでもあった為、腰の部分にゾクゾクとした感覚が走りブルっと震わせてしまう。

 

 その姿に、なのはは機嫌を良くしたのか、まだまだ芽を出し始めたその部分へ、口を大きく開けて中に取り込み始めた。

 

 

 はぷっ♡

 

 

 一気に根本まで腔内に取り込まれてしまう。体内の暖かさと唾液の湿り気が、より強力に刺激として伝達されてくるのだった。

 

 

 んぅぅ♡ ちゅぷっ……くぷっ……

 

 

 まだ熱が完全に集まりきっていない状態のまま、なのはのお風呂に浸った為、根本に入ってもまだ余裕がある感じにも感じられる。

 それをこちらに伝えてくるように、咥えている状態でもなのはの小さな熱い舌が伸びて、柔らかい種を持っている袋まで伸ばされてくる。

 

 

 ちゅるちゅ……はぶっ♡

 

 

 陰嚢に伝わる刺激は強烈ではない。だが、その刺激によって行われている行為の想像が熱を上げる。

 棒だけでは無く、その刺激を受けている袋にもドクドクとした血液のようなものが集まってくる感覚が身体を焦がしていった。

 

 

 そしてその熱が急速に集結していく。唾液のお風呂で栄養を蓄えどんどんと成長していく。

 段々と余裕があったスペースが埋まっていくのがわかる。そしてそれが敏感な部分へ快楽を刻み込むのだ。

 

 

 んんんっぁ……あはぁ♡

 

 

 なのはも人参さんが大きくなっていくのが分かったのだろう。

 まるで成長を喜ぶような嬉しげな声。そして……それを淫らに食すような艶を帯びた吐息が混じり合う。

 

 このまま成長を続けていけば、喉奥に到着してしまう。

 だが、なのはは、顔の位置を修正せず、根本に埋め込んだまま舌で丁寧に袋を攻め続けてくる。

 

 

 ぅん……んぢゅ……くぷっ……はぁっ……

 

 

 どんどんと血流によって腔内を侵略していく行為。

 先端に集まる刺激がとても心地良い。

 その快感を求めてもっともっと奥へと大きく膨らんでいった。

 

 

 だが、それも限界が訪れる。

 

 

 ぐぐっと伸び続けていた幹が最高峰になり、膨らみ続けていた先端は喉の粘膜と密着する。

 喉奥の輪が、呼吸の振動と共に緩めたり締め上げたりする感覚が想像と快楽を生み出し続ける。

 

 上下に動かさない形でもこのまま射精したい欲がどんどんと上がってくるのが感じられた。

 

 念の為、苦しくなっていないか、なのはの様子を伺うと……

 

 

 潤ませ続けた瞳で、こちらを見上げているなのはの顔が映る。

 

 

 その表情を見た瞬間、ドキッとした鼓動を身体に伝えてくるが、それが脳を認識する前に彼女は次の行動をおこす。

 

 

 

 ちゅぷっ……ずずずずずずっ…………

 

 

 

 吸引の音が脳髄を焼く。位置は動かなくても口全体の動きと舌の旋律が、蕩けるような快感を生み出していく。

 

 

 

 んっ♡ぐぷっ……んっ♡

 

 

 

 喉がなる音が更に興奮を高める。そしてその行為の意味が下卑た欲望を膨らませていった。

 

 色んな意味で我慢し続けられ装填させ続けられた欲望は、このままでも解放のトリガーを押してしまいそうである。

 

 しかし……彼女がそれを許さない。

 

 

 ぎゅっと指で輪を作り、根本を絞るように締め付ける。

 その行為によって血流は留まり続け大きさは維持出来るが、根本の奥の欲望の解放が止められてしまう。

 

 その輪の包囲から逃れようと、つい下腹部に力を込めてしまうが、なのははまるでそれを逃さないように、口の中で動いている舌を蠢かしてくる。

 震える舌が快感の中枢である裏の筋を通り、蕩ける気持ちよさによって、集中する意識が先端に向かってしまうのだ。

 

 

 出したい。気持ち良い。出したい。気持ちいい。

 

 

 そんな意識がぐるぐると頭の中でループする。

 

 咽頭によるヌメりコリコリとした刺激。舌によって丁寧に生まれる溶けるような快感。

 口内の律動によって様々な快感が生まれ続け、意識を快楽に染め上げていく。

 

 だが、なのはの攻勢は止まらない。

 

 

 今まで止まっていたなのはの上半身による滑車が動き始める。

 

 

 

 ずずっずずずずっ……ちゅぅ♡

 

 

 

 ゆっくりとゆっくりと吸引したまま亀頭部分まで顔を移動させていく。

 密着されている口内の粘膜は、しっとりと摩擦によって強く快楽を生み出していった。

 

 そして亀頭部分が口内での中心部に収まると……

 

 

 ぢゅっ……じゅっ……ちゅぅぅぅぅぅぅぅぅ♡

 

 

 吸い取られる。これは魂を吸い取られる行為だ。

 

 溜まり続けている欲望を、なのはは身体の中に取り込むような勢いで強く亀頭を吸い上げる。

 

 そして……

 

 

 れるっ……んむっ♡くぷっ……れるっ♡

 

 

 固くも柔らかいその亀頭部分をまるで美味しいグミを舐めるかのように舌でグルグルと回してくる。

 舌の上のざらざら感。舌裏のつるっとした感触とザラつき。そして、頬の裏のつるつるとした感触がそれぞれ強烈に頭の中に快楽を叩き込まれる。

 

 そして……舌と言う感覚を通して、彼女に男性器の味を覚えさせていると言う環境が、頭の天辺をチリチリと欲望で煽るのだ。

 

 

 だが、なのはは、まだ解放を許さない。

 

 指の輪っかの力はまだ緩まず、ゆっくりとゆっくりと喉奥に陰茎を取り込んでいく。

 そして、根本に舌を這わせていった。

 

 根本で這う小さな舌はくすぐったさの快感を竿に伝える。

 それがまた気持ち良いのだ。自然と男性器をピクピクと動かし快楽に喜んでいる様をなのはに見せてしまう。

 

 

 ずずっずずずずずっ……んあっ♡

 

 

 ちゅぷぷぷっ……れうっ……にぢゅっ♡

 

 

 

 決して激しい動きではないし、激しく動いた時の強制的な排出快感は味わえない。

 だが、そのゆっくりとしたその動きは、究極的な心地よさと言う内部に貯まる快感を生み出す。

 それは、噴出したい快感の渦を身体に刻み、脳を蕩かして、どこまでも溺れさせてくるのだ。

 

 

 なのはの攻勢はそのまま続き、快楽の階段は上り詰めていった後……さすがにもう限界という所で、なのはにその意図を伝える為、顔を向けると……

 

 まるで待ち構えていたように、咥えたままこちらの瞳を見つめているなのはと目があった。

 

 そして……なのはの瞳が喜びを表現するかのように少し細められる。

 

 

 

 出したいの? しょうがないなぁ♡(クスクス

 

 

 

 ……完全敗北である。

 もはやこちらに余裕は無い。熱い欲望を吐き出したい。それだけが頭を埋め尽くしている状態では何があっても勝てないだろう。

 だからこれは一時撤退である。

 

 

 コクコク

 

 

 その表情を見つつ、つい焦って首を縦に素早く振ってしまう。

 すると……なのはは、更に満足そうな表情を浮かべて指の輪っかの力を抜いた。

 

 そして……

 

 

 

 じゅるぅぅぅぅぅぅぅ! ちゅぅぅぅぅぅぅ♡

 

 

 

 脳が焦がされる。快感の炎が心を燃焼させる。

 強烈な吸引によって生み出される快感が、ペニスの芯をどこまでも硬くさせていった。

 

 

 それはあっという間に溜まり続けていた灼熱のマグマを解放させる。

 

 

 イクッッ!!!!! 

 

 

 ペニスが振動して、精液が管を通り外気に排出させようと動き出す。

 精液を通る快感が、更に脳奥を刺激して、意識すら白く染め上げていく。

 

 吸引され続けている口内によって、射精の快感が引き上げられる。

 筋肉の律動で通る快感に合わせて、ペニス全体が溶けるような快感を脳髄に叩き込んでくるのだ。

 

 

 快楽によって意識が真っ白になった瞬間に最後の快感が脳細胞まで浸透する。

 

 

 

 びゅっ!! びゅぅぅぅぅぅぅびゅぅぅぅぅ!!!! 

 

 

 んんっぁ!? ちゅぅぅぅぅぅっぅぅぅ♡

 

 

 

 しゅごいぃぃぃ。と射精の快感によって脳内はバカになってしまっている。

 そしてなのはの口内に出していると言う事実は、脳奥のむず痒い快感を生み出し続ける。

 

 

 そうして……熱を出し切った。

 

 

 

 ちゅるっ……ちゅぅちゅぅ……

 

 

 身体が一気に倦怠感に包まれる。それを労るかのように……そして食べ残しが無いように、なのはの喉は動き続けてくれた。

 強烈な熱を開放して段々と小さくなっていく人参さんを逃さないように吸い続けられる快感はまた違った心地よさが生まれるのであった。

 

 

 ちゅっ……ちゅう……はぁぁぁ♡

 

 

 どのくらいそうしていたのだろうか。ようやくなのはの方も一息ついたのか、人参さんを口内から解放してくれて、切なそうな吐息を漏らす。

 

 

 そしてこちらの顔を見て、笑顔でこう告げてくるのであった。

 

 

「奏くんの人参ケーキ。ごちそうさまでしたの♡」

 

 

 そうそう。クリームが出たからキャロットケーキになったのね。とバカな思考を破棄して、次の行動を考えた時に鈍色の頭は閃きを発する。

 

 

 

 

 

 

 なのはは、まだ逆バニーの良さを分かっていない。

 

 

 ならば……

 

 

 その良さを体感させてやろうではないか!! と。

 

 

 

 




(・∀・)逆バニー!!



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EX_なのはと喫茶店で……③(ちょいエロ有)※挿絵有

※本文中に挿絵を入れておりますのでご注意ください。




 高町なのはは、何度でも言うが間違いなく主人公である。

 

 

 

 困っている人を助けたいと願う心優しき少女は、悪を決して許さない。

 そして、その正義感の強い意思は、どんな苦痛の道があっても曲がらない。折れない。そして朽ちることがない。

 

 

 更にその意思に応えるように身体が応えている。膨大な魔力という才能は、彼女の意思を通す大きな武器となっていた。

 

 

 勿論、失敗や挫折しそうな時もあった。だが、育っている地盤……強すぎる意思は諦めを決して行わない。

 最終的には、どんな道も全力全開の力で開き押し通るのだ。

 

 

 

 だからこそ。思ってしまう。

 

 

 

 この少女を()()()()()()()

 

 

 

 まぁ、大層なことを言っているが、要するにただ一矢報いたいだけであった。

 

 最先端を行くなのはの行動力を見せられてしまい、つい心や身体が反応して乱されてしまったが、このまま彼女の思惑という手のひらの上で、終わる訳には行かない。

 

 都合の良いこと? に彼女の装備は無防備なのだ。

 

 であるのなら、それを利用するのは吝かではない。

 

 

 決して『ちきしょう。ダメダメ。エッチすぎます。乗ってしまうじゃないか』とは思っていないのである。

 

 

 さて。話を戻すが、彼女の今の姿は『逆バニー』と言われる姿で存在している。

 

 先程、考えていた内容ではあるが、この姿はバニーと言う定義で考えれば、好みは正直分かれるであろう。

 ただ、悔しいが個人的にはシチュエーションのパターンで考えると、バニーより好みである。

 

 バニーのシチュであるのは、見えそうで見えないチラリズム的な要素を活かした誘惑パターン。

 そして年中発情するウサギの特性を活かした淫らな行動を強要する。

 更にキツイ食い込みの角度は、色んな意味で経験が浅ければ浅いほど、羞恥を感じさせる。

 

 

 それらが合わさる爆発力は並では無いだろう。勿論、興奮してしまうのは理解出来る。

 

 

 だが……逆バニーは何がとは言わないが見えちゃっているのだ。

 本来隠すべき場所はオープンである。

 

 だから恥ずかしいという次元は飛び越えてしまい、淫乱と言う下品な印象の方にシフトしやすい。

 

 勿論、そっちに転んだ魅力もあるだろう。

 

 

 だが、違うのだ。

 

 

 先程も述べたが、露出プレイと考えれば、この衣装はとても素晴らしいものである。

 

 

 見えそうで見えないと言う盾ではない。見せていると言う事実の槍が心に突き刺さるのだ。

 

 

 その槍は初心であればあるほど、強力に作用する。

 ただ、それだけだと羞恥の感情が爆発するだけである。

 

 

 それは……それで……うーむ。捨てがたき魅力である。と間違いなく思うのだが、やはりそこから一歩進めた状態が一番魅力を発揮すると思っている。

 

 

 羞恥=快楽と言う脳のシナプスの結びつきである。

 

 

 見せちゃだめなのに……恥ずかしい。でも誰かに見られちゃうかも。このドキドキ感が脳を通し快楽の反応を身体に示す。

 羞恥が興奮を促し、心を溶かす。それが初心であればあるほど、こちらの興奮度はMAXであるのだ(個人的見解)

 

 心も身体も幼いと言う点で言えば、ある意味、今のなのはは満点であるのだが……やはり先程考えた内容で考えると幼すぎる。

 

 要するに性の知識である。

 

 勿論、恥ずかしいと言う感情はあるだろう。ただ、絶望的に恥ずかしいかと言われるとまだそこまで心が成長しきっていないのも事実であろう。

 

 女性の身体は、大事なものであり。みだりに他人に見せるべきものではない。と言う貞操感がまだ育ちきっていないのだ。

 

 

 だからこそ、まずはその意識の植え付けからスタートする。

 

 

 それは……それで楽しみの一つなのだと。脳内の悪魔が囁きながら告げてくれたのだった。

 

 

 キャロットケーキ……を食べたなのはさんは、少しだけ落ち着いているようにも見える。

 なので、さり気なくお願いをする。

 

 

 その衣装をもっと見せてほしいと。

 

 

 一瞬、なのははその言葉にきょとんとした表情を見せる。

 そして……その言葉の意味が頭の中に届いたのであろう。

 

 

 今、自分はどんな格好をしているのかと言うことを頭が理解する。

 そうすると、顔がどんどんと真っ赤になっていくのが分かる。

 

 

 だが、最先端を歩み続けているなのはさんは戸惑わない。

 

 

 真っ赤でかすかに震える身体を立ち上げ、全身の姿をこちらにちゃんと見せてくれるのだった。

 

 チラチラと様子を伺うとってもエッチななのはさんを見て考える。

 

 そう。これだと恥ずかしいは恥ずかしいんだけれど、繋がりが弱い。

 

 ゆっくりと糸を紡ぐ行為が必要なのだ。

 

 

 

 そこで、さらなるお願いをする。

 

 

 

「なのは。目が覆えるぐらいの黒い布ってあるかな?」と。

 

 

 なのはは、その言葉の真意はまるで理解していない顔を浮かべる。

 そうだろう。何故ならこれから行おうとする行為は、まだ幼すぎる彼女には理解の外であるのだから。

 

 

 だが、なのはは、こちらの言葉の要望に素直に従ってくれる。

 腰に纏っていた防具? が桜色の光を纏い、光が収まると黒い布へと変換させていた。

 

 

 そんな事出来るの? 魔法ってすげえ。レイジングハートさんぱねえ。と感嘆な言葉が浮かんだが、なのはにとっては当たり前の事象なのであろう。

 特に不思議に思わない表情を浮かべたまま、その黒い布をこちらに手渡してくれる。

 

 

 それを手に持って辺りを見渡す。

 

 

 場所的には……そのソファの所で大丈夫か。

 

 

 魔法で作られた結界は、現実世界とずれた世界である。

 ならば、多少、手荒にしても問題ないであろうと考え、なのはの手を引き、ソファの上に立たせるように誘導した。

 

 なのはは、疑問符満載なはてな顔を浮かべたまま素直に従ってくれる。

 

 そしてその黒い布を持ちつつ、なのはの耳元に顔を近づけてこう囁いた。

 

 

 もっと可愛いなのはの姿を見たいんだ。

 

 

 だけど……じっくり見ちゃうとなのはも僕も恥ずかしいかなと思って……

 

 

 こうすれば、なのはも恥ずかしくないと思うんだ。

 

 

 と、その黒い布で目隠しをするべく、なのはの目元を覆った。

 

 

 勿論……先程の内容は嘘である。

 

 

 視覚を遮ると言う行為。要するに今の姿を目で確認することが出来ない。

 想像と言う脳内で補完するしか無いのだ。

 

 

 その姿が見られているということも想像で補うしか無い。

 

 

 恥ずかしさが倍増することが、間違いなしであった。

 

 

 先程の言葉になのはは、テレテレした萌え殺しの表情を見せつつも提案を受け入れてくれた。

 

 

 そうして……目隠し逆バニーなのはと言う新機軸が完成するのである。

 

 あんたの背中が見えたぜ。と謎の優越感が心をくすぐってくれるが、ここからが腕の見せどころである。

 

 

 なのはをゆっくりとしゃがませるように誘導する。

 

 

 そしてしゃがんだなのはの……両足を焦らすかのように少しずつ開脚するように手の力を入れていった。

 

 

 

 完成する姿は、うさぎなのにワンコの一つのポーズ。

 

 

 

『ちんちん』のポーズの完成である。

 

 

 

 最近、肉体面的な特訓もどんどんと激しくなっている。

 その成果なのだろうか。

 なのはの太ももの周りの肉付きも、むっちりとした圧力を持ち始めていた。

 

 

 それはとても頬ずりをしたくなる悪魔的魅力が感じられてしまう。

 

 

 更に鍛えられ始めた両足の隙間の中には、本来隠さなければいけない少女の秘境が露わになってしまうのだった。

 

 

 

 色んな意味でカオスになったこの姿。

 

 

 

 これでっ……先頭を進み続けるあんたを抜くっ…………!! 

 

 

 

 そうして恥ずかしさ満載の格好を完成させると……

 

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 ……

 

 

 

 ………………

 

 

 

 ? 

 

 

 

 ??????? 

 

 

 

 

 !?!?!?!?!?!?!?!? 

 

 

 

 

 ……この姿でダブルピースを行わせれば、更にブースト倍増だと思っていた自分を恥じる。

 

 

 

 卑猥な格好を見つつも浮かんできた言葉は……

 

 

 

 レイジングハートぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!! 

 

 

 

 前に進み続ける主人公と言う名は伊達ではない。

 自分が作ってきたその道はもはや彼女達にしてみれば通過したポイントなのだ。

 

 

 それは、ある日の模擬戦の光景を思い出す。

 

 

 圧倒的物量の魔力で遠慮なしにぶちかましていく主人公の姿。

 

 それに対して、半泣きになりながら半死半生の状態で対応していく我が友ユーノさんの姿。

 

 元々攻撃タイプではない……対人戦闘であればあるほど相性が悪いユーノさんは最初から最後まで徹頭徹尾にヤラれることになるのだが……

 

 鬼教官に『命短し。たたかえ。ユーノ』を強制されながらも、彼は絶望の中、立ち向かい続けることで、一矢報いることが出来そうな瞬間があった。

 

 だが…………ユーノの攻撃が、鬼教官なのはさんに触れそうなその瞬間、なのはの姿がかき消える。

 

 

『それは残像なの』

 

 

 絶望の言葉がユーノを襲う。そして残像は置き土産を残しており、拘束魔法がユーノを締め上げる。

 

 バインドに縛られ絶望したユーノの視点には、遠目に見える形で桜色で絶望のオーラが見えるのだ。

 

 

 ここで、重要なのは、視線でその姿が見えることである。

 

 

 バインドを解除するまでの時間。相手の収束魔法の砲撃がくるまでの時間。

 

 

 

 ユーノの優秀さを誇る頭脳が両方を計算してしまい、絶望が……心が折られるのだ。

 

 諦めと言う名の脱力が身体を襲う。だが、桜色の絶望はそれを許さない。

 

 収束していく魔力が威力を想像させるのだ。

 

 非殺生魔法とは言え、魔力の奔流に飲まれることは楽なことではない。

 

 いやだぁ!!!! と声が聞こえそうなぐらいに身体を震わせる。

 

 だが、そのレバガチャは功を奏さない。

 

 

「あっ……」

 

 

 そんな言葉が聞こえて彼は怒涛の流れに飲み込まれていった。

 

 

 

 そうして地に伏せたユーノを見て、鬼教官はこう告げたのであった。

 

「ユーノくん。よわよわなの(ガチ」

 

 ユーノさんは完全に心を折られ踏み潰されたのである。

 

 

 

 ……あれは……身も震える光景であった。

 

 

 やめてっ!? ユーノも一生懸命なんですよ!! とフォローしたかったが、降り注ぐ光景はそれすら黙殺される。

 

 一生懸命、特訓メニューである筋トレと言う名ではあるが、実際は……訓練と言う名も裸足で逃げ出す高町流鍛錬メニューを黙々とこなすのであった。

 

 魔力が無いからね。鬼教官(兄君時々父上)に身体を一方的に虐められてしまうんですよ……

 

 

 

 ……

 

 

 …………

 

 

 

 思い出した光景によってブルリと身体を震わせる。

 

 そして、現在の光景によって実感させられるのだ。

 

 お前が見ていた背中は残像であり、もはや周回遅れの一員として、なのはさんに逆に背中に迫られている状態だと。

 

 そう。相手はなのはだけでは無かった。レイジングハートと言う相棒を持ったチームである。

 

 

 

 いや……レイジングハートさん機能豊富過ぎないっすか? ……もう改造されてましたっけ? 

 

 

 

 実際、光景的には望んでいたエッチな姿である。

 なのはも今している姿を想像しているのであろう。頬は紅潮し続けて、精神の状態を表すかのように吐息が熱を伴って荒い。

 

 

 それ自体は、想定通りであるのは間違い無い。

 

 

 想定外なのは……その……なのはの乙女で大事な場所を保護している部分である。

 

 

 守っている部分は朱色の宝石であり、透明感がある綺麗な宝石は、うっすらと奥まで透けており色々見えそうである。

 それは一種のチラリズムを生み出しており興奮を生み出してしまうのだが、問題はその宝石の中身であった。

 

 

 

『5』

 

 

 

 何かを意味するハート表示はなんなのだ。

 そして、その数字はなんなのか? 

 

 

 説明書を出せ!! と言いたくなるぐらいの機能である。

 そしてこれが怖い所は、正解が全く見えないことである。

 

 

 増えるの? 減るの? 

 

 

 この数字が変化されるとどうなるの? 消えるの? 

 

 

 混乱する思考が頭を占める。そして何よりも

 

 

 その部分を押してみたい。

 

 

 とスイッチがあれば取り敢えず押してみたい男の子精神が膨れる。

 

 好奇心が色んな意味で止まらないのだ。

 

 

 だが、直感が告げる。

 

 

 最先端を見ようとすれば、最先端の位置にたどり着かないといけない。

 お前はその最先端に対する知識の所有は十分なのか? と。

 

 周回遅れを実感された直後である。慎重になるべきだろうと告げているのだ。

 

 

 

 だが……

 

 

 しかし…………

 

 

 これで押さないやつがあるかっ!!!! 

 

 

 ……ポチッ

 

 

 

 くちゅ……っ……

 

 

 

 

 んあっっ♡

 

 

 

 

 指による直接的刺激は、彼女の喘ぎをもたらされる。

 嬌声は男の心を刺激するが、今は男の子の心も響いている為、まずは結果を見るため宝石を凝視する。

 

 

 見ると数値が変化していた。

 

 

『7』

 

 

 上がった!! と言うか2段階!? ガバガバすぎじゃないのレイハさん!? 

 

 少しだけ冷静な思考が、上がったという事は、何かが上昇することを示すメーターであるのだろうと推測する。

 しかし、なんのメーターであるのかは不明であった。

 

 ただ、推測は出来る。ピンク色のハートマークが示すこれは興奮を示しているのではないか? 

 だが、興奮を示すのであれば、今までの状況を考えると上限は10ぐらいでないだろうか。

 

 そうなってくると、好奇心はどんどん膨れ上がり10にしてみたくなる欲求が強くなっていった。

 しかし、こういったギミックは常に男の子の心を唆ってくるのだけれど……少しだけ冷静な思考は、見た時に5なら、なのはさん……どんだけ余裕があったの!? ……と戦慄しているのだった。

 

 

 取り敢えず……

 

 

 ぷにっ

 

 

 ひぁ!? 

 

 

 

 

 ぷにっぷにっ

 

 

 ひぁぁぁ♡んぁっんんっ♡

 

 

 

 

 ぷにっぷにっぷにっ♡

 

 

 あぁっ♡だめぁだよぉ♡んぁぁぁっ♡

 

 

 

 

 押すごとに数値が上がると思っていた。続いてのプッシュで『8』に進化したのだけれど、その後は予想は裏切り何度か押しても数値の変化がない。

 

 興奮度で合っていると思うが、プッシュだけでは彼女は物足りなくなってしまったのだろうか……

 

 そう思ってなのはの様子を見ると……

 

 

 

 はぁ……♡はぁ♡

 

 

 とろっ……ぽたっ……

 

 

 隠れている乙女の花弁から蜜が溢れ続けている。

 それは小柄な彼女の身体を伝ってソファを濡らしていくのが見えていた。

 

 

 

 ごくっ。

 

 

 

 その光景は、彼女の体液の味の想像が唾液を生み出してしまう。大量に発生する唾液が喉に飲み込まれ音が発生する。

 つい想像してしまうのだ。その蜜を使って舌で彼女の花を咲かせてしまうプレイを思い浮かべてしまうのだ。

 

 

 だが、数値は『8』のままでストップしている。

 

 

 ある意味、どちらに転べばワタクシは幸せになれるのだろうか……と考えていると……

 

 

 

 奏くんっ……ぁ……

 

 

 そんなにぃっ……なのはのここぉ……♡

 

 

 触りたぃのぉっ……? 

 

 

 視線は遮られているため、彼女の小さなつぶやきは、会話というよりもうわ言のような呟きにも聞こえる。

 

 だが彼女は想像しているのだろう。彼女の目の前にいる自分に向かって腰を小さくよじらせながら更に言葉を重ねてきたのだった。

 

 

 

 ぅん……♡

 

 

 いぃょぉ……♡

 

 

 なのはのぉ……ここぉ♡

 

 

 もっと触ってぇ♡♡

 

 

 

 

 そう言葉を伝えてきた後、腰を更にこちらへ突き出してくる。

 

 

 そして見えたのだ。

 

 

 

 体液に濡れて更に輝きを増した赤色の宝石が……

 

 

『9』に変化する瞬間を

 

 

 

 その数字を見た瞬間、頭の中に一筋の閃光が走るのであった。

 

 

 

 



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EX_なのはと喫茶店で……④ (エロ有)

 上がった数字を見て、やはり自分の想像に間違いがないと、ある種の確信が頭を過ぎる。

 

 

 興奮を示すメーター。

 

 

 リビドーとも呼ばれるかもしれないそれは、直接的刺激での上がっていくだろうし、精神的なものでも上がっていく。

 

 

 先程の自分に足りていなかったのは、精神的興奮による性欲のビルドアップなのだ。

 

 

 スイッチと言う先入観に囚われてしまった。確かにメーターの意味を考えれば、そういう方向性でも上がるのは間違いないだろうと思ってしまう。

 

 

 であるのであれば……当初の予定が活かせるかも知れない。

 

 

 そう。先程はなのはチームの成長スピードが速すぎて周回遅れと言う事実に打ちのめされてしまったが、まだまだ慌てる時間ではなかったのだ。

 

 

 

 まだだ。まだ終わりでは無いぞと心を奮い立たせて、当初の行動を再開するのであった。

 

 

 

 奏くんっ……? 

 

 

 

 小さな腰を前面に押し出している彼女の横へ移動する。

 なのはは、こちらの身体の移動を肌で察したのだろうか。彼女が期待していたはずであろう、こちらの行動が違ったため疑問符を浮かべた言葉を発してくる。

 

 

 だが、すぐに彼女は安心するであろう。

 意図は彼女の耳元で囁かれるのであるから。

 

 

 

「なのは」

 

 

 

 彼女の耳元で優しくささやく。言葉の吐息は優しく彼女の耳を愛撫して、小さく彼女は身体を震わせるのであった。

 

 

 だが、ここからが本番である。

 

 

 

「ねぇ……想像して欲しいんだ」

 

 

「いま、なのははどんな服装で居て、どんな姿で僕の目の前にいるのかを」

 

 

 

 彼女は興奮で忘れているかも知れないので、ここで改めて思い出させる。

 

 逆バニーと言う痴女の姿で、彼女の大事な所を見えやすい……触りやすい格好をしながら、恥ずかしい所を弄って欲しいと嘆願しているという事実を認識させる。

 

 

 恋に恋する処女(おとめ)であればあるほど、いまの状況はありえないことをしている事は理解してしまうだろう。

 それは羞恥と言う感情を爆発させる。

 

 

 改めて言葉によって状況を認識してしまう彼女は顔を紅潮させてしまう。

 その瞬間を見計らい指を彼女が隠している胸の防具? の隙間に滑り込ませていく。

 

 

 そして小さくも硬く主張しつつある、さくらんぼ色の突起を摘むのであった。

 

 

 

 かなぇ……くぅ……ちがぁ…………んんっぁぁぁぁ!? 

 

 

 

 先程の言葉に対する返事は待たないまま摘む。

 

 

 いきなり行われる行為は、目が見えない彼女にとっていきなり過ぎる刺激であろう。

 返事の言葉は途切れ、嬌声が強制的に喉から発出されるのであった。

 

 

 ふにふにとまだまだ成長途中である柔らかい乳房の感触。そして興奮を示すように硬くなっている乳首の感触は、指に肌の気持ちよさを認識させる。

 気持ちは向上しつつも、次の行動を開始させる。

 

 

 

「あれ……? なのは」

 

 

「こんなあられも無い格好をしているのに……こんなに硬くしちゃって……」

 

 

「もしかして……」

 

 

 

 

「はしたない姿で興奮しちゃってるの?」

 

 

 

 

 クリクリと胸の先端を弄りながら言葉を伝える。

 その刺激は彼女に返信の言葉を紡がせない。漏れるのはその刺激による快感の喘ぐ声である。

 

 ただ、彼女は否定したかったのだろう。せめてもの抵抗として首を振る動作を行い、先程の言葉を一生懸命否定しようとする。

 

 指の動きは止めない。隙間に入り込んだ指は、彼女の温かい体温と密着された空間によって自然と汗が生まれる。

 それは指の動きを滑らかにさせ、彼女の快楽を更に高めてしまうのだった。

 

 

 

 ああぁぁっ……くぅんっ…………あぅっぅぅ……

 

 

 

 漏れる彼女の声がこちらの脳を溶かし始めてくるが、まだまだ序章である。

 彼女の魅力を振りほどき、更に行動を進めた。

 

 

「違わないよ……だって……」

 

 

 もう一つの手を動かして、なのはの身体に指を這わせて行く。

 

 胸のしたから柔らかいお腹。そしておへその窪みを通り、段々と指が下腹部に向かうように滑らしていく。

 

 目が隠れている彼女に意識させるのだ。指がどこに向けて動かしているのかを身体を持って体感させる。

 

 そうして指は目的の所にたどりついた。

 

 

 

 くちゅ……ちゅぐっ……

 

 

 んんんんっぁ!? ……つぁぁんうぅ♡

 

 

 

「なんで、ここがこんなに濡れているの?」

 

 

 

 声のトーンには注意だ。本当の疑問符ではない。知っているんだよと言う少し意地悪気味のトーンで彼女の耳に囁くのである。

 彼女の身体から溢れている蜜は、とても粘度が高い液体であった。

 それを指に纏わせつつ、その割れ目にそってなぞりあげて行くのだ。

 

 

 

 にゅるっ……ぬちゅっ……

 

 

 んぅぅ♡あぅっ……んぁっ……んふぅぅ♡

 

 

 

 嬌声に快楽の艶が交じる。それはずっと触っていたい魅力を常に発揮してしまうのだが、誘惑に溺れずにことを進めることが重要である。

 

 局部を触っていた指をなのはの身体から離す。テラテラと光る指は彼女の恵みの水の存在を強く示すのであった。

 

 

 そうして、その指を彼女の耳元で口に含む。

 

 

 

 ちゅるっ……

 

 

 

 本来は汗に近い成分も多いため、味覚的にはしょっぱいはずである。

 だが、まだまだ小柄でもある可愛い彼女の身体から湧き出していた蜜は、とても甘いような感覚として味覚を感じさせていたのだった。

 

 

 指を舐める水音は彼女の鼓膜を刺激する。

 そして想像させるのだ。

 

 あられもない格好をしている自分を見られている事実。

 

 恥ずかしい部分を遠慮なく弄られしまった事実。

 

 そして……なによりも自身が興奮してしまっている事実を強く意識させる。

 

 

 

 その証拠としての音を彼女の鼓膜に伝えるのだ。

 

 

 

 なのはは、その音を無理矢理に聞かされてしまう。

 その結果……先程から左右に振って否定しようとしていた顔の動きが弱まって行き……恥ずかしさで顔が更に紅潮するのが分かった。

 そしてまるで舐める感覚を自身で体感するような感じで、ピンク色の小さな舌が自然と宙に少しだけ浮かび上がった。

 

 

 そう……。恥ずかしさと興奮を頭の中で結びつける。……想像はリアルを超え、彼女の脳内で結論付けさせていく。

 そうして、更に興奮と快楽を結びつける。

 

 

 羞恥=興奮=快楽と言う数式を彼女の脳内へ埋め込んでいくのだ。

 

 

 完全に完璧な勝利の方程式である。

 

 

 

 

 だが、更に連動を産まなければならない。

 

 

 

 羞恥と言う感情。恥ずかしいという感情は色んな状況で発生する。

 ただ恥ずかしいと言う感情だけで、興奮することは難しいだろう。

 だから、それを方向性として導くことが必要なのだ。

 

 どういった方向性なのか? それは勿論、逆バニーの魅力でもある見せる恥ずかしさである。

 

 

 だからそれに向けて想像させていくのだ。

 

 

 

「ねぇ……なのは」

 

 

 

 舐め終わった指を口から離し言葉を紡ぐ。

 

 

 

「なのははこんなはしたない格好を僕に見せて興奮しちゃったんだね」

 

 

「僕に恥ずかしい格好を見られて興奮している姿を友だちに見られちゃったら幻滅されちゃうかも知れないよ」

 

 

 

 会話にシチュエーションのスパイスを混ぜ込む。

 他人と言う言葉は、彼女に想像を生む出すはずだ。

 

 完全に第三者と言う観点をイメージさせるのが理想ではあるが、流石に色んな意味でハードルが高すぎると思ったので、まずは身近な人と言う所をイメージさせる。

 そうすることでリアリティを想像させるのだ。

 

 

 

 彼女の反応は劇的であった。

 

 

 

 ブンブンと首を振り、「違うのっ!?」と言葉を強く発してくる。

 恐らくは想像しているのだろう。自分が裸に近い格好で人に見られていると言うシーンをイメージしているはずである。

 

 

 

 だから自分はそれを補佐する。

 

 

 

「違わないよ」

 

 

「だって……」

 

 

 

「さっきよりもなのは……濡れているよ」

 

 

 

 と指をいきなり彼女の秘部へ滑り込ませる。

 もはや彼女の泉は溢れ続けており、温かくヌルヌルした感触は指を遠慮なく動かすには支障が無かった。

 

 

 

 にゅるっ……にゅぷぅ……

 

 

 いぁぁぁぁっ!? ちがぁっ……んんぁぁぁっ♡

 

 

 ふわふわとした膣肉は理性を溶かし続ける。

 もっともっと楽しみたいと言う嗜虐的欲求が止まらないのが分かった。

 

 正直、先程の言葉の信憑性は全く無い。要するに濡れていると言う事実を彼女の中に叩き込む為の行動であった。

 どちらにせよ濡れている事は間違い無いので、彼女が否定しても感じていると言う身体の事実は脳を誤解させるはずである。

 

 

「ほら。こんなに濡れている」

 

 

「みんなに恥ずかしいところを僕にイジられている姿を想像しちゃったんだね」

 

 

 

「なのはは、なんてはしたないんだ」

 

 

 

 そう囁きながら指で泉を撹拌していく。

 

 指の刺激は快楽を更に生み出して、彼女が想像しているイメージと快感を結びつけるのだ。

 

 

 

 あああぁっ♡めっぇぇっ♡っんきゅぅぅぅ♡

 

 

 

 強い快感は彼女の身を震わせる。

 ふわふわの柔らかい感触から、きゅうきゅうとした伸縮が発生して彼女の快感をこちらにも想像させてくれるのだった。

 

 なので、ここで取り敢えず頂点としての刷り込みを行う。

 

 

 

 くちゅくちゅ……くにゅじゅじゅ……ぢゅくちゅぁ……

 

 

 

 あぅっ♡だめぇ♡だめぇぇっ♡いぃぃ!? ちゃうぅぅきちゃぅぅぅぅぅぉぉ♡

 

 

 

 

 いけっ!! イケっ!!!! 

 

 

 

 

 撹拌し続けている指が、柔らかい中にあった突起物に触れた瞬間……

 

 

 

 あああっっ………………んきゅううっぅぅぅぅぅぅぅっ♡♡

 

 

 

 ビクッと大きく彼女の身体が震えた。

 ビクッビクッと震え続けた硬直は一瞬ではあるが、それでも長く感じられた、そして空白が生まれた後、まるで魂が抜けたかのようになのはの身体の力が抜けていく。

 

 慌てて力が抜けていく彼女の身体を受け止める。

 彼女はまるで全力疾走の後のような感じで、頬は紅潮したまま発する吐息は荒く、意識が飛んでいるようにも見えた。

 

 取り敢えず、一応大丈夫かどうかを確認するため、彼女の頬に手のひらを重ねる。

 

 すると意識はあったのかその手のひらにスリスリと頬を擦り付けてきたので、ひとまずは問題無いことを確認する。

 

 

 そうなるとひとまず現状の確認でる。

 

 

 これで『10』になったかな? 

 

 

 少しだけドキドキと高鳴る鼓動を感じつつ、彼女の隠された乙女の場所に視線を見やると…………

 

 

 

 

 

『15』

 

 

 

 

 と数字が表示されていた。

 

 

 

 

 なん……だと……まさか……そんな……

 

 

 

 

 絶望の数字がこちらの頭に衝撃を生み出す。

 まさかの『10』超えである。

 

 

 

 え?? 

 

 

 という事は……???? 

 

 

『99』まで存在するの?????? 

 

 

 その可能性はこちらを打ちのめすには十分であった。

 

 

 なら、なのはさんは今のプレイすら余裕と言うことだったのか……

 

 絶望である。最先端を突き進むなのはさんは今の内容ですら許容範囲であるということだったのだ。

 

 仕込んでやるとスピードを上げても、ただ遊ばれていたと言う事実。

 

 それは……心を折るには十分過ぎる内容であった。

 

 

 

 

 ……次はロケットエンジンを積んでおこう。

 

 

 

 

 そんな謎の決意が胸に過ぎるのであった。

 

 

 だが……

 

 

「奏くん……あのねぇ……お願いがあるの♡」

 

 

 

 瞳が塞がれているはずなのに……どういう仕組なのだろうか。

 しっかりとこちらを見て言葉を紡ぐ、なのはさんの姿があった。

 

 

 それは私のターンは終わってしまったこと(攻守交代)を告げる言葉でもある。

 

 

 脳内の選択肢が示される。

 

 

 

『はい』

 

『イエス』

 

 

 

 ……選択肢に従い、息を荒げながらもまだまだ体力に余力がありそうな鬼教官へ言葉を伝えるのであった。

 

 

 

 

 

 

 ____

 

 

 

 

 とける

 

 

 ぐつぐつ。とろとろ。ふわふわ。

 

 

 

 とけちゃう

 

 

 グツグツ。トロトロ。フワフワ。

 

 

 

 

 頭の中。体全体が幸せでとけちゃうの!! 

 

 

 

 

 しゅごぃぃぃぃぃぃ♡しゅごぃぃよぉぉぉぉぉぉ♡

 

 

 

 彼の匂い。目を隠してもよく分かる。

 むしろ目を閉ざしているからこそもっと鋭く感じてしまった。

 匂いは彼との距離を想像させ、密着している状況によって鼓動がドキドキドキと速まる。

 

 点火された火はどんどん大きくなっていく。

 熱が身を頭の中を茹であげていく。

 

 そうして発生するのが彼がわたしの……液体を舐める音である。

 

 音によって舌がどんどんとあの幸せを想像させる。

 

 彼の身体を舐めているときの何時までも舐めていたい味。

 さらにどこまでも膨れ続ける幸福感。ずっと一緒に居たいと言う感情が煮詰められていくのだ。

 

 そして……いま彼から受けているこの行為。

 

 彼の指が私の身体を焦がしてしまい、ふわふわとした感覚によって意識がどんどんと白く塗りつぶされていく。

 

 

 そんな煮詰められていくジャムのような感覚を引き起こしていった時に彼は告げたのだ。

 

 

 ……彼の言葉に対してひらめきが走り、開かれた情景を見て、今日の行動は正解だったと思った。

 

 

 私の頭の中に情景が浮かびこむ。

 

 

 彼に近づく猫ちゃん達に対して、『彼と私の愛の営み』を見せつける情景。

 

 

 

 なんと素晴らしいのだろうか。

 

 

 

 将来的に二人きりの世界に入ることは確定しているのだけれど、それでもやはり前準備として『お話』をしないといけない人たちは多いと思っていた。

 

 

 

 だって……かっこいいし…………他の女の人といっしょに居るときも多いの……

 

 

 

 本当は四六時中、一緒に居たいのだけれど、それだと二人だけの生活が出来ないのも分かっている。

 だから、今は魔法の修行も目一杯行っているのだ。

 

 

 二人きりの世界に向けた将来のお金を貯める為に。

 

 

 勿論、身体の基礎力も上げることを忘れない。

 

 だって……幸せのお時間を沢山過ごすためには体力も必要だし……

 

 

 それらはさておき今はこの快感に身を任せたい。

 

 溢れ続ける幸せが彼の指でずっと弄って欲しい気持ちよさにも変換される。

 

 

 こんな経験しちゃうと……もう彼に触られただけでも頭が……身体が幸せすぎて反応しちゃうの……

 

 そんな刻印のようなイメージが身体に焼き付く。

 

 

 彼の愛が私の身体に焼きついてしまうのだ。

 

 

 その事実も私の頭の中をぐちゃぐちゃにする。

 

 

 快感がイメージをどんどんと形付くるのが分かった。

 

 

 ……彼が私を見てくれる。そして私は彼から与えられるご褒美を満喫する二人きりの世界。

 

 

『とても素晴らしい世界なの』と胸を張って言える。

 

 

 イメージが頭を幸福で溶かしてくれる。

 そう……『お話』以外で伝える方法があったのだ。

 

 それも『お話よりも分かりやすくて何よりも事実を伝えられる』方法である。

 

 

 彼に愛されていると言う行為を目の前で知ってもらうのだ。

 

 

 ゾクゾクと背筋に快感が走る。

 

 そして今動かしてくれる彼の指がとても気持ちよさを私に与えてくれる。

 

 彼の行動が私に伝えてくるのだ。

 

 

『愛しているよ』と。

 

 

 それをみんなに見せつける。それだけでみんなは分かってくれるはずだ。

 

 

『私と彼は愛し合っているの。だから邪魔しないでなの』と。

 

 

 頭の中がどこまでも溢れ続ける幸福で包まれた時、とても鋭い刺激の快感が発生して、頭の奥の奥にチリッと火花が見えた。

 そうして、滝のような激しい波が生まれ、頭の中に白い景色を生み出していったのだった。

 

 

 

 ____

 

 




こちらで今回の外伝的短編は終了となります。

もし、気に入りましたら感想、評価を頂ければ幸いです。
とても励みになります。




※下記に蛇足ではありますが、おまけ的な補足内容を記載しています。
 もしご興味があれば読んで頂ければと……
















_____蛇足的要素



■レイハさんのあの機能って?

→好意を表すことが下手なふがいない主を救うため、分かりやすく相手に伝える機能(あなたにラブラブ♡を伝えます)を搭載してみました(ホンニンハマジメ



■数字の意味は?

→1(大好き♡)……5(私の身も心も食べて♡)……10(あなたがいない世界?あはは。そんなことありえないなの(ガチ))……100(1億と2000万前から私たちずっと愛し合っているの♡(ガチガチ))


■なんでそんなにガバガバな数値なの?

→数値を構築出来る対象がなのは一人な為。



……本作品の本編で実装されているのかは不明です。



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