バトルスピリッツ 無題 (ニードフォン)
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1954

第1話

奇妙な出来事に遭遇した。何かあった時のためここに記録を残す事にする

2008年11月23日

その日、会場は盛り上がっていた。とあるドームをを貸し切ってのバトルスピリッツ初の大型大会。

私はマスタークラスのガンスリンガーの列に並び、白速攻でひたすらガンスリを回っていた。ケロケロAの付録、封印獣マルコのおかげで当時最弱だった白属性も多少戦えるようになった。それでも緑や紫相手は厳しい環境だった。改善されたがやはり0コストのスピリットがいないのは大きなハンデがある。

 

 

第2ターン

ダメオトナ

L5 R0 T3 H4

銀燐竜ニーズホッグ c1

対戦相手

L5 R5 T0 H5

「ビートビートル、フライングミラージュをレベル2、ヘラクレスジオを召喚、アタックステップでビートビートルでアタック」

「ニーズホッグでブロック」

「フライングミラージュ、ヘラクレスジオでアタック」

「ライフで受ける」

ダメオトナ L3 R1 T3 H4

相手 L5 R2 T1 H2

第3ターン

「アイスメイデン、姫機マーニ、封印獣マルコ、ガトリングスタンドを召喚、アタックステップ。

姫機マーニでアタック、アタック時効果でトラッシュのコア一個をリザーブに」

「ライフで受ける」

「続けてアイスメイデンでアタック」

「フラッシュタイミング、神速、リーヴォルフを召喚。」

「フラッシュタイミングでドリームチェストを使用、リーヴォルフをデッキ下に」

「再利用はさせてくれないか…対戦ありがとうございました」

「ありがとうございました、でもここを凌がれてたら負けてましたね」

こんな感じで午前中になんとか勝ち星を午前中に9個集める事ができた。目標はもちろん裏Xレアカード、一体どんなカードなのだろうか…と、私は景品交換の時間が楽しみだった。

昼食を食べている途中だっただろうか、私に誰か声をかけてきた。

「楽しんでいらっしゃいますか?」

振り向くと黒いスーツを身に纏った大柄な男がいた。左腕には『BS』と書かれた腕章をつけていた。スタッフの印である。

「カードゲームは一度も遊んだ事なかったんですけど楽しいです。」

今考えると公式のスタッフが一般プレイヤーに話しかけた時点で怪しいと思うべきだった。

「それはよかったです。実は新しく開発したカードの調整に優れたプレイヤーを何人か必要だったのですがいかがでしょうか?白属性代表としてカード調整に協力していただけませんか?」

「本当ですか?、私でよければ是非協力させて下さい。」

「ありがとうございます、では控え室に案内致しますのでついてきてください。」

そう言われると関係者以外立ち入り禁止の扉を潜り、奥に進んでいった。

しばらく奥に進むと控え室らしき場所に案内された。

「ここでお待ち下さい。後ほどお迎えにあがります。」

そう言って彼は来た通路戻っていった。

私は扉を開けて中に入ると真っ黒な空間が広がっていた。

明かりが無いことに疑問を覚えつつ支えになるように壁に触れようとした。

無い、壁がないのである。壁があると思っていた場所に壁がない。私は混乱した。こんなことがあっていいはずがない。あるべき場所にあるのもがないのだから。

私が混乱している間に扉が閉まった。扉の方を見ると扉があった場所には何もなかった。

「何が起こってるんだ…」

ふと部屋の奥を見てみると何か光る物を見つけた。扉が閉まることで見つけやすくなったのだろうか。私は炎に誘われる虫の如くその光に足を進めた。

台に置かれた石、球状のそれは彼には光って見えた。

そこからの記憶は曖昧で、今は上手く思い出せない。

 

 

「おい!おいあんた!大丈夫か!?しっかりしろ!」

私の頬を叩く音と痛みで目を覚ました。

「ここは…」

「海であんたを見つけたんだ、一体何処から来たんだ?」

海?どういう事だ、私は今まで東京にいたはずなどと思いながら目を開けた。

目の前には中学生ほどの少年が立っていた。着物を着た、まるで昭和ドラマのような格好をしていた。

「政治を探しに行ったらあんたも見つかったんだ。でもここの島民じゃねえな、まあ大丈夫だ、とりあえず家で休んで行け。話はそこで聞くだ。」

彼の名前は山田新吉と言った。軽く自己紹介をして彼について島を歩いていくと藁でできた家々が立ち並ぶ古い集落のような場所であった。コンクリートの道も電気もない、こんな田舎がまだ日本にあったのかと思った。

 

 

 

彼の兄、山田政治は私と一緒に発見されたが意識不明だったようだ。彼は「やられただ…船ぐるみ」とだけ言い残して気を失ったらしい。

彼はまだ意識不明だが命に別状はないという。

夕食をご馳走になった後、私は気を失うまでの出来事を山田一家に話した

「…という感じで、いつのまにか海にいたみたいです。」

「そんな事ありえるはずないや!」

そう言って一向に信じてくれそうな気配はないがバトスピのことについては楽しく聞いてくれた。都会にはそんなゲームがあるのか…と

 

その日の夜、雨風の音がうるさかった。私と新吉が気になって外に出ると瞬間家が潰れた。私は何が何やら分からず島の人々に連れられて避難所へ連れられた。新吉の両親を呼ぶ声は耳から離れなかった。

 

翌日、東京から調査団が送られてきた。しかし測定の仕方が何やら古臭い。国から送られてきたには機材が半世紀以上前のものに感じられた。しかし当時そんな事を考えている余裕は少しもなかった。

彼らの行動を野次馬の如く見ているとどうやら放射能の測定をしているらしい。

そんな時村の鐘が鳴った、直後地響きが鳴る、地震か?そう思い村人について山の上まで逃げて行った。ついて行った先に巨大な影を見た。なぜか私は怖いもの見たさで道を外れ、影が見える場所まで草むらを歩き近づいた。

見えたのは巨大な生物、目は下を向き、巨大な爬虫類のそれは見覚えがあった。

「あれはゴジラ、初代ゴジラだ」

ゴジラを見た瞬間、腰につけていたデッキケースから熱を感じた。慌てて中を見てみるといつ入り込んだのか、何も書かれていない白紙のカードが燃え上がっていた。カードを取り出すと赤く、しかし緑に光ったカードはゴジラが姿を消した瞬間に光を失った。



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