新テニスの王子様最速RTA U-17日本代表中学主将ルート (どぐう)
しおりを挟む

Get sparks√.mp1

(テニプリでRTAを書くのは初めてなので)初投稿です。


ㅤ超次元テニスで日本代表を目指すRTA、はーじまーるよー!

 

 

 

ㅤ今回プレイするゲームは、『新テニスの王子様 Golden age』。

ㅤ原作漫画、アニメ、ミュージカルと様々な媒体に広がっている「テニスの王子様」。その20周年を記念して発売されたキャラ育成ゲームです。

 

ㅤ計測開始はキャラ選択から

ㅤ計測終了は代表選出時、そこで中学生日本代表の主将に選出されることです。

 

ㅤ最初に簡単な説明をしておきましょう。このゲームの下敷きになっているのは、ジャ○プSQで現在も連載中の「新テニスの王子様」の合宿編。過去、週刊少年ジャ○プで掲載されていた「テニスの王子様」の続編です。

ㅤちなみに「新テニ」名義で出ている他のゲームは、音楽ゲーム(こちらはソシャゲ)と乙女ゲームです。どういうこと?

 

ㅤ全国大会では互いに鎬を削った選手たち。そんな彼らが一堂に集い、合宿所で共同生活をすることに。元々合宿所にいた高校生達とのバトルなどを経て成長し、最終的に十数名が「中学生日本代表」として選出されるという感じです。

ㅤ実際はもっと細かい事情などがありますが、その辺は省略しましょう。原作読んでください(露骨な宣伝)

ㅤとはいえ、視聴者兄貴の多くが無印はともかく新テニは未履修だとは思いますので、追々小ネタ含め説明はしていきます。

 

ㅤこの作品で主人公として選択できるのは原作キャラの中学生か、ランダム生成のオリジナルキャラ(こちらも中学生限定)です。高校生が選べないのは、多分ストーリーが混乱するからだと思います。

 

ㅤ今回の最速RTAでは原作キャラを操作していきます。

ㅤ選ぶのは、四天宝寺2年の「財前光」。彼はクリア後に解放される隠しキャラです。原作では殆ど出番はなく、なんならモブ程度。出場した試合は全国大会四天宝寺戦D-1ですが、あれは実質手塚vs千歳の変則シングルスなので、試合らしい試合はしておりません。S-2の試合時、彼は青学のタカさん(河村隆)のことを「お荷物」と揶揄していたのに……自分もまた戦力外とは。悲しいなぁ。

 

ㅤとはいえ、彼は何故か人気キャラでもあります。出番が少ないにも関わらず、人気投票では大体上位。白石蔵之介に次ぐ、四天宝寺の稼ぎ頭です。

ㅤそれに、財前を選ぶ利点はいくつかあるのです。その中でも、最大の利点は「序盤のイベントをすべて省略できる」こと。彼は合宿に途中参加する設定なので、最初のイベントは全部スキップ。それ故に隠しキャラなんですね。

 

ㅤ同じ効果を持つキャラに一氏ユウジがいますが、RTAにおいてはあまりお勧めできません。財前よりもロスが増えてしまうからです。

ㅤそれは、操作キャラと関係が深いキャラとの間で、特殊会話・イベントが頻繁に発生する仕組みが原因です。要は、原作において人との絡みが多いキャラほど、ゲーム内での自由度が下がってくるのです。実際に主人公の越前リョーマなどを操作してみると分かりますが、まぁ自由な行動はほぼ不可能です。普通にプレイする分には楽しいのですが……最初から強いですしね。

 

ㅤつまり、原作登場回数が少ないキャラほど玄人向けということです。よほど上手く育成しないと、日本代表に選抜されるレベルまで辿りつきません。リョーマ、真田、幸村あたりだと適当に育成しても、日本代表に食い込みますけどね。

 

ㅤ長々とした説明が続いてしまいましたが、そろそろスタートしましょう。「選択」にカーソルを合わせて……イクゾー! デッデッデデデデ!(カーン)デデデデ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ㅤこのルート、最初のシーンは崖です。序盤ストーリーで試合に負け、哀れにも合宿所を追い出された「負け組」との合流イベントから始まります。

 

ㅤそもそも「負け組」って何? 「勝ち組」もあるの? そのような疑問が出そうなので、ここで注釈。

ㅤ今回スキップしたイベントの中に「同士討ちマッチ」というイベントがあります。それは、ペアを組んだ相手と試合をして勝てば残留、負ければ脱落というものです。勝った側を「勝ち組」、負けた側を「負け組」と呼びます。負け組は合宿所を追い出されますが、敗者復活の手段が残っています。

ㅤそれこそが、「崖登り」なのです。

 

――おや? 誰かが近づいてきた。

 

ㅤこの時点で財前に声を掛けるのはチームメイトしかいません。なので遠山金太郎、忍足謙也、金色小春のうちの誰か。この時、金太郎が話しかけてくるのが一番望ましいです。理由は後述。

 

「財前やん! 来ぉへん、って聞いたのに! なぁ、何でなん?」

「アホのユウジ先輩が小春先輩のケツ追っかけるのに巻き込まれたんや。ホンマありえへん……」

 

ㅤ金太郎でしたね! 良かったです。

ㅤというのも、謙也と小春は会話がめちゃくちゃ長いんです。彼らはHHEM村の住人みたいなギャグをかましてきたりしますが、金太郎の場合は財前の返事を聞くとすぐに去っていきます。

 

ㅤそれでは、崖を登っていきましょう。

ㅤ原作者は「崖登りをミュージカルで観たい(意訳)」と言っていたくらい、このシーンがお気に入りですからねぇ。やはり、崖登り映像にも気合が入っています。でも、画面に変化がないので倍速にします(無慈悲)

 

ㅤ崖登り終盤には、注意しなければいけないことがあります。

ㅤそれは上から落ちてくるテニスボールです、返し損ねると崖から落ちます。別に死にはしませんが、イベントが発生し大幅なロスを生みます。

ㅤテクニックが高ければ、ほぼ確実に打ち返してくれます。財前はテクニックの初期値が平均的ですが、まぁそんなに心配はないでしょう(3敗)

ㅤ成功すれば、パワー・スタミナ・知力・協調性が上がる激うまなイベントでもあります。バランス問題ゲーに颯爽と現れた、バランス崩壊道具ですね。負け組ルートにはよくあることで、上手く使えば育成を有利に進めることができます。

 

ㅤ登り終えると、足場の悪そうなテニスコートとコテージが見えます。そして、酔っ払いのおっさんの姿が。

 

「負け組諸君ヒック……、地獄へようこそ。ワシはここのコーチの三船じゃ!」

 

ㅤ昼間っから酒飲んでるなんてロクなおっさんじゃない。しかし……実はこの三船コーチは日本代表の監督です。人は見かけによらないもんですね。

 

「逆らう奴は容赦なく崖から突き落とす! 分かったかクズども! まずは服を替えろ! クズ共にジャージは要らん! 無地で十分じゃ!」

 

ㅤ服を着替えたのち、ミニゲーム「穴掘り」が始まります(意味深)

ㅤ内容はリズムゲームでチュ○ニズムに近い感じですね。飛んできたノーツをタイミングに合わせてタップすることで、効率よく土を退けることができます。リズミカルな穴掘りってやっぱり……

 

ㅤフルコンボを決めると、パワー・メンタル・協調性がかなり上昇します。まだ育成パートに入ってないのにこれです。だから負け組ルートはやめられないんだな。前に手塚をわざと負け組にしてステータスをゴリラ化している兄貴も見かけましたし。

ㅤですがこのミニゲーム、ノーツの数が結構多くて割と難易度は高いです。だが一発でフルコンボを決めてやるぜ!って、あぁ……目も指も追いつかない(15敗)

 

ㅤミニゲーム後のイベントはスキップできるので省略します。

ㅤそして、負け組高校生との邂逅およびサドンデスマッチ。中学生と高校生全員がコート内に入って試合します。選択肢が出るので選びましょう。

 

・ボールを打ち返す

・仲間にボールの場所を教える

・何もしない

 

ㅤ今回は「何もしない」を選びます。崖登り、穴掘りに比べ、ステータス上昇にうまあじが少ないからです。何故かというと、サドンデスマッチは負けイベだからです。さっさと終わらせてスキップした方が良いんですね。

ㅤ棒立ちのままでいると、コートから出て行くよう三船コーチから宣告されます。素直に出ていきましょう。もう無益な争いは、必要ありません。

 

ㅤ高校生の試合が終わったところで、三船コーチから寝床の場所を告げられます。ホテル! ホテル! おういい部屋空いてっかー?

 

ㅤ……残念なことに寝床は洞窟です。試合に勝つとコテージで寝れますが、負けると洞窟なんですね。しばらく眠ると三船コーチに叩き起こされます。

 

「起きんか、中学生(ガキ共)! 夜練じゃ!」

 

ㅤここからが育成パートのスタートです。まず前提として、キャラのステータスはパワー・スタミナ・メンタル・テクニック・スピード・カリスマ・知力・協調性の8つに分けられています。

 

財前の初期ステータスは

・パワー:2

・スタミナ:3

・メンタル:4

・テクニック:3

・スピード:3

・カリスマ:1

・知力:3

・協調性:1

 

ㅤこのように比較的平均値の設定です。ただ協調性とカリスマが低いんですよね。

 

ㅤ協調性はまぁ……招待された合宿を「めんどいし」とサボろうとする人物ですしおすし。でも、これからずっと合宿での共同生活ですから、嫌でもあがるんで何とかなります。知力がチンパン並よりはマシです。遠山金太郎とか切原赤也ルートだと、それで一番苦労します。せっかくの練習時間を潰して、教室で勉強しないといけなくなるんですよね。

 

ㅤカリスマはもう仕方ないです。初期値でカリスマが高いキャラは跡部くらい。彼で4スタートだったと思います。だけど、これを上げない限りは主将に選出されません。これをどうやって上げていくのか。これがこのRTAではとても重要になってきます。

 

「ちょっとそこの3人、待たんかい。重要な任務を与える!」

 

ㅤおっ、三船コーチから特別任務が出されるようです。誰を選ぶのでしょうか。

 

「越前・真田・財前! お前ら、合宿所に忍び込んで色々盗んでこい!」

 

ㅤやりました! 特別任務メンバーに選ばれました。これ基本リョーマがデフォルトで、残り2人はランダムのはずなんですよ。それなのに、試走中に財前は殆ど選ばれませんでした(49敗) ですが、今回は豪運で引き当てたので非常にラッキーです。イクゾー!

 

ㅤ彼らが合宿所へ向かう様子を倍速で流しつつ、特別任務の重要性についてお話しします。この任務、スピード・メンタル・知力・協調性が上昇するのは勿論のこと、あるアイテムが手に入るんですね。それこそが「乾汁」です。

ㅤ原作で「クソマズくて飲むと倒れる」という最悪の汁。このゲームでもそれはそうなのですが、これを服用するメリットに「状態を上げる」があります。

ㅤそもそも、キャラの状態は良・可・不可の三段階に分けられています。基本は可なのですが、前日に乾汁を飲んで寝る(気絶する)と、朝には良になっています。この状態で練習をすると、ステータスが上がりやすくなる訳ですね。

 

ㅤおっ、そうこうしているうちに3人が合宿所に到着しました。これは失敗なしのイベントなので気楽ですね。卍走者の休息卍ってところでしょうか。

ㅤその辺をドーベルマンがウロウロしています。おうワンワン泣いてみろよ。

ㅤボールやネットなどを倉庫から拝借した後は、レストラン横のバーラウンジから酒を盗まなくてはなりません。

 

「財前さん、もうちょっと右っす。あぁ、左足はあと3センチくらい上……」

「無理やって。体硬いねん、俺」

「こらぁ、財前! 気合を入れんか! キェーッ!」

 

ㅤ赤外線スコープを見ながら、リョーマが財前に指示を出してますね。なんで合宿所のレストランに赤外線センサーが張り巡らされてるんですかねぇ……。そして、真田は横でキレてるだけです。仕事しろ。

ㅤ酒を無事にゲットしたところで、彼らは食料を見つけてはしゃぎはじめます。ここで、持てるだけの乾汁を回収します。

 

『ジリリリリリリリ!』

 

ㅤ警報システムがようやく仕事をしたようです。見つかる前にサッサとズラかりましょう。

 

「逃げるぞ、お前たち!」

「……ったくもう!」

「走るん、しんど……」

 

ㅤまぁ、ここもプレイヤーが操作する場面じゃないので、逃げていくシーンを眺めるだけですが。

ㅤ何とか帰ってくることが出来たので、三船コーチにブツを渡しましょう。コーチは手渡した酒をすぐさまグビグビ飲みます。もうちょっと大事に飲んで欲しいですね。頑張って取ってきたんだから。でも、文句が言える訳でもなし。挨拶して早く寝ましょう。

 

「――……ふん、それは見逃してやる」

 

ㅤゆ、許された。このように、ハムやソーセージなどの食料だと取り上げられますが、乾汁は見逃されます。流石にコーチもいらないんでしょうね。

ㅤ今回はここまで。乾汁を飲んで寝ることにします。では、おやすみなさい。

 

 

 

 




書きたくなって書いた。ちなみに、音ゲーと乙女ゲーは本当に存在します。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Get sparks√.mp2

ㅤ明らかなテニス要員でテニヌ界の頂点を目指すRTA、はーじまーるよー!

 

 

ㅤはい、という訳でおはようございます。

ㅤスゲーッ爽やかな気分だぜ。目覚めがジメジメした洞窟内なのはご愛嬌。洞窟で寝ようが、状態が下がることはほぼ無いです。ごく稀に不可になる場合がありますが、乾汁を使用してるので問題ありません。

 

「おらっ、ノロノロすんじゃねぇ! とっとと練習せんかい!」

 

ㅤ三船コーチが檄を飛ばします。ついでに唾も飛んでます。きたない。

 

ㅤでは、育成パート:早朝練のスタートです。

ㅤカリスマを上げていくことが第一目的なので、それを上げることができる練習「走り込み」をしていきましょう。カリスマを上げる練習とは(哲学) ……まぁ、跡部なんかは割と長時間粘り続ける試合が多いです。カリスマには地道な努力が重要なのでしょう。

ㅤとはいえ、「走り込み」は当たり前ですが、スタミナ上昇が主です。カリスマはスタミナ上昇分の半分程度しか経験値が入ってきません。ですから、乾汁によるブーストは大事なんですね。

 

ㅤあと、もう一つ忘れてはいけないことがあります。ペアで練習することです。効率が上がるので、絶対に誘いましょう。断られることはまずありません(0敗)

ㅤ財前って、実を言うと周りからの好感度は言うほど低くはないんですよ。正確には、嫌われるほど関心を向けられてないが正しいんですけれども。四天宝寺メンバーで30から30台後半程度、他で25前後です。例外として、白菜(亜久津)からは3とかですけど、あれは別の問題ですから。

ㅤよーし、急いで誘いましょう。オイお前、一緒に練習すっぞ!

 

「一緒に練習? 別に構わないが……」

 

ㅤ誘う相手は乾です。そういえば、なんで乾は負け組なのに、バーカウンターに乾汁があったんでしょうねぇ……? レシピ流出か?

ㅤそれはともかく、乾の「博士」というアビリティはとても有効なのです。

 

ㅤまず、アビリティの説明からしましょうか。これはキャラが固有に持つスキルで、会話により入手することもできます。

ㅤ例えば、財前だと「ブログネタゲット!」というアビリティを持っています。まぁ、これは「メンタル上昇・スタミナ低下」というクソアビリティなので、全くもって必要ないんですけどね。

 

ㅤ逆に乾のスキルは重要です。それは「連続練習を可能にする」からです。

ㅤそもそも、このゲームでは基本「三回以上は連続で同じ練習ができない」という仕様です。要は、キャラが飽きてきちゃうんですね。しかし、今回は育成パートで走り込みしかしません。よって、乾と練習することで同じ練習をループしようという訳です。他のステータスは、イベントによる上昇だけで十分です。

 

ㅤ柳の「教授」というアビリティも同じ効果があるんですが、特に信条的な理由でも無ければ乾を選びます。というのも、乾の好感度を上げておくと「乾汁」をくれるようになるからです。作成者本人から貰える方が楽ですし。

ㅤという訳で乾と一緒に走り込みをしましょう。ここで選択肢が出てきます。

 

・会話をする

・黙って走る

 

ㅤ後者を選びます。会話をすると、練習がスキップできないからです。ホラ、黙って走りな!

ㅤ練習結果は……流石にまだどのステータスも上がりせんね。これは仕方ない。

 

「一緒に練習出来て良かったよ、財前。またやろう」

 

ㅤ社交辞令感満載のセリフを言う乾。お前それ、全員に同じこと言ってんだろ。それを真に受けて、この先ずっと誘うとしましょう。ヘッ、後悔すんなよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ㅤ早朝練を終えたら、コテージ前に集まります。高校生も揃ってますね。次のイベントは決まってるんで、特に何もありません。

 

「――今日は天気も、ワシの気分も良い。よって……『スポーツマン狩り』じゃ!」

 

ㅤはい、スポーツマン狩りです。これは腰につけた風船を割られないようにしながら、森の中を逃げ続けるという練習です。風船には鷲の好きな匂いが付けてある為、どこまで逃げても追ってきます。

 

ㅤこれは逃げるだけでは、何も解決しません。いえ、一応時間内逃げ切ればクリアではあるのですが。それでは、経験値のうまあじが少なすぎます。これはスピード・メンタル・知力を上げるのに有用ですから、せっかくなら上手く経験値をゲットしたいものです。

ㅤそれには、鷲を迎撃することが重要です。これによって、技「5球打ち」を入手できます。解放しなくても先に進めはしますが、鬼十次郎・徳川カズヤなど上位高校生との対戦で詰みます。後でも入手可能ですが、手間が掛かるのでRTA的にポイント低いです。

 

ㅤしかし、この5球打ちの成功には条件が存在します。「2人以上で協力、テクニックの合計値は9以上」です。合計値の値が中途半端なのは、原作ではリョーマと金太郎の2人だったからでしょう。彼らのテクニック合計値は9ですから。

 

ㅤ経験値は仲間で山分けなので、本当は2人の方が望ましいです。ですが、財前のテクニックは3。どう頑張っても、2人での組み合わせは不可能です。

ㅤテクニックが6のキャラには、手塚・跡部・幸村が存在しますが、生憎彼らは全員勝ち組。諦めて3人で挑みましょう。

ㅤそして誰を選ぶかですが、この辺は誰でも良いです。まずうちさぁ、作戦……あんだけど

 

「ほう、作戦があると? ……ふむ、いいだろう。手伝ってやる」

 

ㅤそして、今回選んだのは真田です。なんかその辺に居たんで。

 

「――財前! 何話してるんや?」

 

ㅤえ? ……あぁ、謙也が話に入って来たんですか。彼は財前の関係者の中でも、好感度が38とトップです。なので、偶に話しかけてくるんですね。ちょうど良いです、彼を誘っちゃいましょう。オッスお願いしまーす!

 

「ええで! なんかよぉ分からんけど!」

 

ㅤ了承を得たところで、「スポーツマン狩り」開始です。はい、よーいスタート(棒)

ㅤまず、すぐに森の中に入りましょう。森に入る前に、大人気ない高校生に狙い撃ちにされる場合があります。そうなるとリセットです(6敗)

 

ㅤ森に入って初めにやることは、地面に落ちた毬栗を集めることです。後でこれをテニスボールの代わりに使うことになります。ちゃんとボール使えや!って思わなくもないですが、これはテニスじゃなくてテニヌなんで……ま、多少はね?

 

ㅤ栗を集め終えたら、森を出ます。崖近くを走り回り、鷲をギリギリまで引き付けます。しばらくすると、協力者が栗を打ってきてくれるので、鷲にぶつけてやりましょう。

 

「「財前!」」

 

ㅤおっ、来てくれましたね。真田が3個、謙也が2個で合計5個……ってファ!? 両方5個打ってきやがった! アイエエエ! ゴコ!? ゴコナンデ!?

ㅤそうか、謙也は意外とテクニック値高いんだった! 真田が5で謙也が4だから、財前入れてテクニック値合計12! しまった、こうなると「10球打ち」の入手条件に変更になるんです。

 

ㅤ文字通り「10球打ち」は「5球打ち」の上位互換です。試合などで5球打ちを使いまくることで、10球打ちを覚えることができます。それによって、ようやく上位高校生との試合で互角に戦えるという訳です。なので、10球打ちがこの時点で手に入っていれば非常に進めやすいのは確かです。

ㅤでは、何故5球打ちを狙っていたのか。理由は10球打ちは「全くと言っていいほど」成功しないからです。試走中も一度もお目に掛かったことはございません。wikiで情報を見ただけです。

 

ㅤ原作のリョーマですら、この時点で10球は打てません。なので、他のキャラの成功確率なんか著しく低いに決まってるんですね。どーすっかなぁ、リセ案件かなコレは

 

 

 

 

 

 

――10球打ち成功!

 

ㅤウッソだろお前。

 

 

 

 

 

 

ㅤえー驚いたことに……打ち返してしまいました。なんだこれは……たまげたなぁ

ㅤ財前も流石にビックリしてます。そらそうよ。

 

「ほぅ、ちっとはマシな動きになってきたな」

 

ㅤ三船コーチがこっちを見てなんか言ってますが、気にしてなんかいられません。未だに心臓がバクバクしてますから。

 

「……すっ、凄え! あの中学生、同時に10個の栗を打ちやがった!」

 

ㅤまたオレ何かやっちゃいましたか?

ㅤまぁ、冗談はさておき。これで周りとの関係性がどう変わってくるかは気になりますね……。5球打ち成功でもイベントそこそこ増えるのに、10球だとどうなることやら。とはいえ、10球打ちを入手する作業をしなくて済むのは魅力ですし……。少々ロスが増えても、何とかなるでしょう! このまま進めたいと思います。

 

「今日はもうやめだ。解散せい!」

 

ㅤあっ、終わりましたね。この後はまた練習です。乾を誘って、走り込みをしましょう。また無言で走り続けてスキップ……ってあれ? できない。

 

「――財前ー! なぁ、さっきのアレ凄かったわぁ! いつ出来るようになったん!?」

 

ㅤ金太郎が話しかけてきました。そんなん聞かれたってこっちも知らんわ。適当に誤魔化しましょう。さっさと切り上げてスキップじゃい!

 

ㅤここでステータスをみてみましょう。おっ、パワーが3に上がっていますね。良かったです。

ㅤ試合も普通にやるよりKOの方が早いので、基本はKOで決めたいですから。パワーが3あれば、直接攻撃技も覚えやすくなります。これで心置きなく、スタミナ+カリスマを上げまくれますよ。やったぜ。

 

ㅤ本当なら寝床に戻って乾汁を飲み干し、死んだように眠りたいところですが……今回はそれが出来ません。今夜はイベント「革命の狼煙」があるので、乾汁で気絶しても意味が無いのです。

 

ㅤイベント「革命の狼煙」は、負け組中学生と三船コーチとの間で信頼関係が生まれるイベントです。

ㅤ真田が発起人となり、負け組全員で合宿所に再び酒を盗みに行きます。特別任務にも真田が参加していたせいで、窃盗の快感に目覚めてしまった人みたいになってますが……(目そらし)

ㅤとにかく、この行動(犯罪)によって「人に言われずとも動ける」ことを示し、コーチの特訓に付いていく覚悟を見せつけます。そして、キャンプファイヤーを皆で囲み、「U-17合宿メンバーへの革命」決起集会をするのです。

 

ㅤですが、これスキップ出来るので全カットです。これ、RTAだからね。当たり前だよなぁ?

 

ㅤそれでは、今回はここまで。ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:忍足謙也

 

 

ㅤ四天宝寺のお約束。

ㅤ笑かしたモン勝ち、勝ったモン勝ち。

ㅤ途中でどれだけ泣くようなことがあっても、最後に笑えたらそれでチャラ。勝ってしまえば、過程にあった全ての問題は解決してしまうということだ。

ㅤしかし、勝てなかったら……何も解決しない。「あの夏」の後、謙也は時折そのようなことを考えてしまうのだった。

 

 

 

ㅤ全国大会準決勝D-1で、謙也は出場権を千歳に譲り渡した。理由は簡単だ。彼が出る方が勝ちそうだったから。強いものがコートに立つ。それは、単純明快な論理だ。

ㅤ後輩の財前には、オーダーの変更を事前に話さなかった。言ってしまえば、彼は「俺出ぇへんでもええです。謙也さんが出たらええやないですか」と言っただろう。気を遣ってではなく、単に面倒がってそう言うのだ。だから、教えなかった。

 

ㅤ結局、四天宝寺は勝てずに終わってしまう。去年と同じ、ベスト4止まりで。

ㅤ勝てなければ、全ての問題が残ったままだ。

ㅤ財前がポーチに出て失敗し、無様を晒してしまったことも。「あん時のお前、オモロかったなぁ」という笑い話に昇華するには、まだまだ多くの時間を必要としていた。

 

ㅤU-17合宿の招集。

ㅤ財前は「面倒なので行かない」とだけ言った。それを聞いて、白石は「嫌やのに無理強いすんのもなぁ」と言い、その後は彼に話を振らなかった。普段なら粘りに粘って、彼が根を上げるまでつまらないギャグを言い続けただろうに。

ㅤ要は、彼が全国大会で得てしまったトラウマを刺激しないようにしたという訳だ。「こういうのは日にち薬やで」とも、白石は述べた。

 

ㅤレギュラーの多くは、概ね白石の意見に賛成だった。唯一、ユウジだけは「あんな小生意気なスカポンタン、甘やかすだけ付け上がるわ」と批判的だったが。

ㅤだからこそ、ユウジは財前を連れて合宿所までやってきたのだ。小春云々もあるだろうが、資格があるのに行こうとしない姿に、心底むかついていたのだろう。彼は合宿に呼ばれなかったから。

 

ㅤそして、今。

ㅤ負け組合宿に合流した財前はただ淡々と練習をし続けている。口数も前以上に少ない。別に、拗ねて無口になっている訳ではない。話しかけたら、普通に返事もする。だが、どこか今までと違うのだ。何者かに追われているような、そんな目をしている。まるで、生き急いでいるような……。

 

ㅤ謙也は「ノースピード、ノーライフ」が信条だ。だから、食事でも着替えでも素早く済ませてしまおうという気持ちなら分かる。

ㅤけれども、何かがおかしい。スピード第一で生きてきた人間だから分かる。あれは異常だ。

 

「財前、どうしたんや?」

 

ㅤそう聞けたら、どれだけ気が楽だろうか。しかし、どうしても躊躇してしまうのだ。聞いたが最後、後戻り出来なくなる。そんな予感がしてならない。

ㅤ故に、謙也は財前にいつも通りに話しかけ続ける。それだけが、彼に出来ることだと信じて。




テニヌのゲームなので、当たり前ですがKOはあります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Get sparks√.mp3

ㅤ3年生を差し置いて2年生ながら主将を目指すRTA、はーじまーるよー!

 

 

 

ㅤ昨日は乾汁を飲めなかったので、状態によるブーストは掛けられません。勿体無い気もしますが、こればっかりはどうしようもない。

ㅤここからは練習・試合・練習というスケジュールが3日続きます。三船コーチがおすすめ練習メニューを提示してきますが、それは無視しても大丈夫です。男は黙って乾と走りましょう。ハイ、ヨロシクゥ!

 

「なぁ、気になることがあるんだが」

 

ㅤ乾が話し掛けてきましたね。向こうから話し掛けてきたら仕方ありません。無視すると好感度が下がるので、相手してやりましょう。

 

「この崖の上での合宿、これは選手の潜在能力を大幅に引き出すことにとても優れている。ここに来てから、皆実力がメキメキと上がっているのは確か。しかし、財前……君だけは伸び具合が誰よりも飛び抜けている」

 

ㅤまぁ……そうだろうねぇ。明らか変だし。

ㅤ乾からすれば、あの準決勝で「手塚や千歳には付いていけない」って感じの奴が10球打ち急にキメてきた訳ですから。

ㅤとはいえ、ここは「知wらwなwいwよw」と言い張りましょう。だってホントに知らないんだからさ。終わりっ! 閉廷! 以上! 皆解散!

 

「そうか……何か心当たりがあったら教えてくれ。データを取りたいからな」

 

ㅤ一応引き下がってくれました。また聞いてきそうだな……コレ。でも、乾汁1本くれました。ありがとうございますー! こんなんなんぼあってもいいですからね!

 

ㅤそして、ようやくの試合パートです。が、その前に。今作における技習得についての説明をば。

ㅤこの前の「スポーツマン狩り」のように、イベントで獲得できる場合もありますが、基本は試合で得たポイントを使用して技を覚えていきます。

 

ㅤ強い技ほど、多くのポイント消費を必要とします。それに、技を覚えるにはステ値が一定を超えていないと成功しません。この数値は、技によって様々です。

ㅤ例えば、「零式ドロップ」や「手塚ゾーン」などは結構消費ポイントが重たい上、要求されるステ値も高いです。そのぶん、非常に強力ではありますが。

 

ㅤ技習得画面では、消費ポイントのみが表示されています。ステータス条件については書かれておりません。ですので、発売当初は大量のポイントを消費したのに、あえなく失敗という事例が多くありました。しかし、今では有志の検証により、全ての技において成功条件が見つかっております。有志ニキ、ありがとナス!

 

ㅤ倒すキャラが強ければ強いほど、ポイントは多くゲットできます。逆に弱いキャラ(負け組高校生など)だとよわよわポインヨしか貰えません。

ㅤですが、初試合です。KOを確実に取る為にも、雑魚を狩りましょう。パパパッとやって終わり!

 

――金太郎が試合に誘ってきた!

 

「財前ー! ワイと試合しよ! 試合!」

 

ㅤやめてくれよ……。というのも、試合に誘われると断れないんですね。リョーマとか手塚、幸村でプレイするとメチャメチャ誘われるんで、自分の意思では相手を選べないレベルです。

ㅤだからこそ、キャラ同士の交流が少ない財前を選んでたのに……。5球打ちの時は誰にも誘われなかったのですが。やっぱ、10球だとみんな熱い手のひら返ししてくるんですね。手首モーター式なんか?

 

ㅤまぁこれくらいなら大丈夫大丈夫。十分リカバリー可能です。

ㅤ試合パートは3Dモデルを操作します。なので、バグって怖いことになることがあるらしいです。今のところ、見たことないんですけどね。

 

ㅤ先攻・後攻はランダムに決まります。千石なんかだと無条件に先攻になります。……今回は後攻のようです。普段なら先攻の方が望ましいですが、今から取る方法だと、相手から先に攻撃して欲しいので良かったです。

 

ㅤ画面には自分と対戦相手の体力ゲージ・技ゲージが出ます。体力はスタミナ値が反映されており、高いほど長くなっています。技はテクニック値の反映で、高いほど貯まるスピードが速いです。

ㅤ勝利条件はテニスのルール通りに勝つか、あるいは体力ゲージを全部削ってしまうかです。後者は皆さんご存知の通り、KOですね。テニスにKOって無いと思うんだけど(名推理)

 

ㅤとにかく操作していきましょう。

ㅤでも、今回はずっと棒立ちです。ただ、コートチェンジの時間がもったいない為、ワンゲームが終わらないようにはします。デュースに持ち込むよう調整する訳ですね。

ㅤここからは画面に変化もないので、しばらく倍速。……はい、向こうの技ゲージが貯まりましたね。ゲージが貯まると、技を撃ってきます。

 

「いくでぇ! (スーパー)ウルトラグレートデリシャス……――」

 

ㅤ金太郎の必殺技、「超ウルトラグレートデリシャス大車輪山嵐」です。頭の悪そうな名前だな(正論)

ㅤ返せなかったら、大体終わります。……もうお分かりでしょうか。相手をKOできないなら、自分がKOされれば良いじゃない理論です。負けなので経験値は渋くなりますが、雑魚キャラ倒すのと同じくらいだし良いことにします。

 

「――大車輪山嵐ッ!」

 

ㅤ来た! 後はぶつかりに行くだけです!

 

 

 

 

KO……じゃない? あれ?

 

 

 

 

ㅤコイツ、ギリギリで耐えやがった! 妖怪いち残しにこんなところで……ラストダンスじゃないんだから。どうしよう。落ち着け、素数を数えて落ち着くんだ。

ㅤ……えっと、大丈夫です。向こうがボールを打ってくるのを打ち返せば、体力ゲージが削れてくれる筈です。パワーが上回る相手だと、打撃が重いんで打ち返すだけで体力持ってかれます。スタミナを伸ばしておく必要があるのは、やっぱりそれが大きいんで。

ㅤというわけ、ボールを打ち返して……ヨシ!(現場猫)

 

 

 

 

KO!

 

 

 

 

 

ㅤアーッ! ひっ、ひどい……。どうしてこんなことに……。

 

ㅤいや、自分でやったんですが。やっぱ最高だなこのゲーム。だからテニスはやめらんねぇ。

ㅤLOSEの文字の向こうで、財前が担がれてコートの外に出されていく様子が映ります。こういうとこ、結構凝ってるんですよね。そして、半々くらいの確率で次の練習に出られるかが決まります。……あっ、出れるみたいです。あれだけ飛ばされたのに、意外と大したことないんですね(困惑)

 

 

 

 ――はい、という訳で練習しましょう。

ㅤ時間は有限ですからね。ちょっとKOされたくらいで、おちおちしてられません。イヌイ=サン、今日も練習付き合って貰ってもいいっすか?

 

「……流石にやめた方が良いんじゃないか?」

 

ㅤうるせぇ! 自分の体のことは一番自分が分かってるんだよ!(半ギレ)

ㅤここは食い下がりましょう。好感度が多少下がりますが、そう大したことはありません。お願いします! なんでもしますから!(なんでもするとは言ってない)

 

「仕方ないな……そこまで言うなら」

 

ㅤ根負けして、練習に付き合ってくれます。良い人ですね。

 

ㅤ練習が終了したら、技習得の画面を開いてみましょう。所持ポイントは右下に表示されています。

ㅤ覚えられる技には、原作キャラ所持の技とゲームオリジナル技の2種類が存在します。ゲームオリジナル技は消費ポイントは少ないですが、威力は原作キャラ技に比べて弱いです。しかし、ここではオリジナル技「ナパーム」を覚えたいと思います。

 

ㅤこの「ナパーム」。ご存知の方は、ご存知だと思います。名作と名高い過去作品「最強チーム」にて、KOを決める際に重用されていた技です。

ㅤですが、残念なことに今作では弱体化されており、強キャラ相手には役に立ちません……そのままでは。ナパームの活用方法については、もう少しプレイを進めた後で説明したいと思います。暫しお待ちを。

 

ㅤでは、ポイントを消費して……成功しました! これの成功条件は「パワー2」とハードルが低いので、殆どのキャラが覚えられます。序盤には便利ですので、どんどん使っていきましょう。

 

ㅤそして、最後は忘れずに乾汁を飲まないといけません。試合に負けた場合、次の日の状態が不可になりやすいですからね。では、おやすみなさい。ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:乾貞治

 

 

ㅤデータマンとして、数多くの選手のデータを収集している乾。

ㅤとはいえ、そんな彼でも「財前光」について持っている情報は「全国の準決勝で対戦したことになっている」程度である。残念なことに、ダブルスだったはずのあの試合はシングルスの様相を為してしまった。無我の境地――その向こう側のレベルで戦う手塚と千歳の間には、乾も財前も割り込むことが出来なかったのだ。

 

ㅤ財前はそれを理解できないまま、ただ前へと走り出して……失敗してしまう。実力差というものは、あまりにも残酷なものだ。

ㅤだが、乾は財前を「身の程知らず」と嗤いはしなかった。データの更新は、経験にある。今の自分には届かない存在に触れることで、広がる世界があるだろう。全国大会の厳しさを知り、奮起することがあるだろう。

ㅤ試合に出る、ということはそういう意味でも重要なのである。特に彼はまだ2年生。悔しさを知って、成長出来る良い時期だ。来年が楽しみな選手だな、そんな風にも乾は考えていた。けれど、それだけだ。有望な選手は他にも沢山いる。例えば、自分の後輩とか。だから、彼のことは記憶からすぐに消えてしまった。

 

 

ㅤ全国大会後、乾含め多くの中学生テニスプレーヤーはU-17合宿に招集された。

ㅤそして、そこですぐに「メンタルを鍛える」という名目で行われた同士討ちマッチ。試合前に腹痛の憂き目に合い、不幸にも彼は不戦敗に。そのまま合宿所を追い出され、よく分からぬまま崖を登らされた。他にも、理不尽な目に散々遭った。挙句、洞窟に放り出されて一夜を過ごす羽目にも。

ㅤそんな最悪の目覚めから始まった朝……「彼」は話しかけてきたのだ。

 

「良かったら、練習しません? ちょっと、アドバイスとか欲しいんすけど」

 

ㅤそう言って、財前は乾にアドバイスを求めてきた。

ㅤ知り合いでもない自分に? 何故? 内心困惑したが、自身が集めたデータを活用するのはやぶさかではない。

 

「一緒に練習? 別に構わないが……」

 

ㅤデータマンとしての矜持もあることだし、彼の練習を見てやることにした。

 

「――うん、全体的なバランスは悪くないね。ただ、パワーが少し見劣りするかな。筋力増強のトレーニングを増やした方が良い。それから……」

 

ㅤ乾汁も飲んだ方が良い。そんな風に言葉を続けてから、はたと気付く。彼はあの自作栄養ドリンクのことを知らない筈だ。乾汁というのは……そう説明しようとした時、彼は手でそれを制した。

 

「知ってます。結構、知れ渡ってるっすよ。その汁」

 

ㅤそう言いながら、彼はポケットから水筒を取り出した。水筒には丸に囲まれた「乾」の文字が大きく書かれていた。

 

「それは……」

「乾汁っすね。昨日、あのオッサンに言われて酒盗んで来た時に、一緒にパチってきたんすわ」

 

ㅤなんと、財前は既に乾汁を所持していた。それどころか、昨晩も飲んで寝たのだという。それはもう、ファンではないか。

 

「これ、味に問題しかないですやん。もうちょっと何とかした方がええんとちゃいます?」

 

ㅤ彼は汁への文句も言ってきたが、そんなことは気にならない。他校の人間がわざわざ入手して飲んでくれているという事実が嬉しかったから。

 

「……検討しておこう」

「それ絶対やらんやつですやん」

 

ㅤ呆れ顔をする彼に、乾は「まぁそうかもな」と言って笑った。

 

「一緒に練習出来て良かったよ、財前。またやろう」

 

ㅤこれは、本心からの言葉だった。

ㅤ彼が今後どのようなテニスプレイヤーに成長していくのか。少し興味が湧いてきたのだ。

 

 

 

ㅤしかし……乾は後で思い知ることになる。

ㅤ全国大会準決勝D-1のあの時、青学は知らぬうちに敵に塩を送ってしまったのだと。悔しさによって、「彼」は恐ろしい程に成長を遂げてしまった。

 

ㅤ四天宝寺の天才、財前光。

 

ㅤ向上心を持てずに燻っていた少年は、餓狼の心を獲得した。勝利の日まで、もう彼は走ることをやめないだろう。

 

ㅤもはや、誰が彼を止められる?

ㅤ乾はその答えを出そうとして……言葉に詰まってしまった。




ナパーム、良いですよね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Get sparks√.mp4

ㅤテニスしてるシーンほぼ無いのに四天宝寺次期部長が確定してる男で走るRTA、はーじまーるよー!

 

 

 

ㅤ今日も特に変化のない練習なので、倍速で進めましょう。向こうからの会話もなかったので、スムーズに進みますね。

ㅤそして、ステータスは……どうなってるかな。

 

・パワー:3

・スタミナ:4

・メンタル:4

・テクニック:3

・スピード:3

・カリスマ:2

・知力:3

・協調性:2

 

ㅤ良い感じになってきました。カリスマが5にならないと主将になれないので、それだけがキツいですが。

ㅤ試合パートはシングルスとダブルスが1日ずつ交互にやってきます。今日はダブルスですね。誰を誘っても良いので、ここは2年生の誰かにしましょう。特に理由はありませんが、せっかくなのでね。

 

ㅤ負け組で2年生は桃城、海堂、伊武、不二弟、樺地、日吉がいますが……。ここは伊武にします。割と好きだし。お前のことが好きだったんだよ!(大胆な告白はホモの特権)

 

「困るんだよね……人の都合も知らずにさ、気分で話しかけてくるの。特に接点も無いのに、前からの知り合い感出してくる感じもさぁ。自分の距離感が間違ってたのかな、とか思えてくる訳。その辺、どう?」

 

ㅤこんなこと言いながらも、ペアにはなってくれます。このめんどくさい感じ、一周回って笑えてきちゃいますよ。ちなみに、彼はSNSだと明るい人格を演じるタイプらしいです。そういうとこも嫌いじゃないですね。

ㅤ対戦相手は向日・日吉ペアにします。というのも、このゲームでは原作でダブルスを組んだことのあるペアと対戦すると、試合後獲得ポイントが少し増えるんです。彼らは全国氷帝戦D-2で組んでいました。

 

ㅤ先攻・後攻については……先攻ですね。幸先良い。では、試合開始。

ㅤ狙いは……向日です。彼はスタミナが2と少なく、「ナパーム」を3発も打てば沈みます。

ㅤ倫理が無いって、それ一番言われてるから。速さと引き換えに人の心が失われてはいますが……試合中のことは好感度に影響しないです。大丈夫だって安心しろよ! ヘーキヘーキ、ヘーキだから。

 

ㅤコートチェンジしないよう、上手くデュースに持ち込みます。ボールを返さなくても、ラケットを振ってれば技ゲージは溜まっていくのでずっと空振りさせておきましょう。こちらがリードしている状態の時、もし伊武が打ち返そうとしていたら、前に出て身体を張って止めましょう。これくらいで死にません。

 

ㅤ技ゲージが貯まれば、向日目掛けて「ナパーム」を打ちましょう。見とけよ見とけよ〜

ㅤ……見事に吹っ飛ばされていきます。あっ、日吉がメッチャそっちを見ましたね。よく出来てるなぁ。

ㅤここからは倍速で映します。面白いとこも特に無いんで。2回ナパーム打って……ハイ勝ちました。哀れ、担架で向日が運ばれていきます。ホラ、散れ散れ! 見世物じゃねぇんだ!

 

ㅤえー不幸な事故は起きてしまいましたが、練習に移りましょう。スポーツをやる以上、怪我はつきものですからね(棒読み)

ㅤ練習後は乾汁を飲んで眠ることを忘れずに。そして、また起きたら練習です。この日で、負け組合宿はラストとなります。最後となると、何だか感慨深いですね。殆どロクな目に遭いませんでしたが。

 

ㅤ……って、嘘だろ。また会話イベント? 誰だよ。

 

「――財前くん、すごく頑張ってるね。なんか俺も刺激を受けてるよ。見習わなくちゃって」

 

ㅤファッ!?

ㅤ河村が話し掛けてきました。なんだこの男!?(驚愕) 全国の舞台で暴言吐いてきた奴に親切にも話し掛けてくるとは只者じゃないですね。これが王者の風格ですか……(適当)

ㅤとはいえ、ファンブックでは崖登り中に財前が「河村に落石から助けてもらい、お礼を言った」という記述があるので、和解らしきものはしてるんですよね。創造神たしけのキャラ愛を感じさせられます。テニプリっていいな。

 

「良ければさ、一緒に練習しない?」

 

ㅤでもまぁ、断るんですけどね! 効率悪いんで。

 

「……残念だな。じゃあ、いつでもいいからまた声かけて欲しいな」

 

ㅤおう、考えてやるよ。(声をかけるとは言ってない)

ㅤそんなことすると、チャートがガバガバになるのでダメです。タカさんは寿司握っといてください。貴重な寿司枠()なので。

 

 

 

ㅤ練習は今日も今日とて、走り込みです。なんかもうこっちが飽きてきましたが、スキップできるので心を無にしてやっていきたいと思います。

ㅤ謙也が練習に混ざってきましたが、混ざる分には問題ないので入れてあげましょう。協調性が高くなってくると、こういう風に練習に入ってくる人が出てきます。会話の発生確率はそんなに変わらない上、ステの伸び率が結構上がるので良しとします。

 

「――さっきから、ずっと考えとった爆笑ギャグあるんやけど。財前、お前見たいやろ?」

 

ㅤ114514回にも及ぶ試走の段階で、何回かこのセリフを見ましたが、彼が爆笑ギャグを繰り出したことは一度も無かったことをここでお伝えしておきます。

ㅤ練習後はまた試合です。前は金太郎に勝負を挑まれてガバりそうになりましたが……次こそは大丈夫でしょう!

 

――海堂が試合に誘ってきた!

 

ㅤあああああああ!(発狂) もうやめて!とっくに走者のライフはゼロよ!

ㅤしかも、海堂なのが痛い。これならリョーマの方がまだマシです。何故かと言えば、海堂は負け組中学生でスタミナが高い方だからです。ジャッカルには及ばないものの(彼は5)、4.5という高さを誇ります。KOするのも時間が掛かり、逆にこちらもKOされにくい。

ㅤハッキリ言って、彼とは戦いたくありませんでした。やべぇよやべぇよ……。

 

ㅤなので、今回はKOを狙いません! 真面目にテニスをします。6-0のストレート勝ちするくらいの時間程度のロスならば目を瞑りましょう。こちらには「10球打ち」があります。これは対上位高校生だとカウンター技としての活用になりますが、10球を返せない選手相手には攻撃技にもなりますから。

ㅤそれでは、出来るだけ早く試合を終わらせましょう。本当にただ普通のテニスをするだけなので、倍速でお見せします。失敗したら完全にリセットです。

 

 

 

――WIN!

 

ㅤ……何とか勝てました。ブーメランスネイクの軌道が最初読めず、見当違いの場所に移動してしまったりしましたが……ワンゲーム中に順応できて良かったです。いやぁ、予定に入れてないキャラとの試合も想定しておくべきでしたね。今後の参考にします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ㅤ負け組合宿パートも終わりということで、イベント「革命軍の証」のスタートです。もちろんスキップしますが、大まかなストーリーは説明しておこうと思います。

 

ㅤ無地のペラペラTシャツから、革命軍ジャージと呼ばれる黒ジャージに皆着替えています。これは個人的な意見なのですが、テニプリに出てくるジャージの中で一番かっこいいデザインだと思っています(鋼のムーンサルト)

 

「野郎共……ワシの特訓によう付いてきた」

 

ㅤ三船コーチの言葉が身に染みます。短い間でしたが、濃い時間を過ごしたように思いますからね。

 

「――革命じゃ! 奴らをぶっ倒せ!」

「「「おおっ!」」」

 

ㅤ彼の激励を受け、負け組メンバーは崖の合宿所を去ります。目的はU-17合宿所内コートの占拠。

ㅤコートは基本のものが16面あり、レベルごとに分けられています。上のコートに上がるには、試合に勝たなければなりません。強い相手を倒せば倒すほど、トップに上がっていけるという訳です。

ㅤ彼らは2番コートを狙い、占拠することに成功。見事、合宿の正規ルートに舞い戻るという訳です。

 

「――俺達が、新しい2番コートってことで!」

 

ㅤリョーマのそのセリフが流れ、スチルが映ります。それにて、イベントは終了です。

 

 

 

ㅤそのまま、合流後のシーンに切り替わります。このシーンもスキップ可能なのですが、ここは飛ばしません。というのも、ある人物と話してアビリティを入手しなければならないんですね。一度で手に入らなくても大丈夫なので、何度か挑戦するつもりではありますが、4日目までが限度です。それ以上になると、スケジュール的に間に合わず詰みます(8敗)

 

「キミが、『四天宝寺の天才』の財前だね。ボクも、一度話してみたいと思っていたんだ」

 

ㅤ声をかけるのは、テニプリ四大宗教の一角を担う不二周助です。一応同じ「天才」枠ということで、特殊会話が発生します。

 

「君も何か技を持っているのかい? 良ければ、教えてほしいな」

 

ㅤここで選択肢が現れます。

 

1:Get sparks

2:財前ワンダホー

3:Stay hungry. Stay foolish.

 

ㅤ何故かは知りませんが、会話中にクイズが入ってるんですよね。正解しないと「それは違うよね?」と、何度も聞かれてロスが生まれます。ふざけずにすぐ正解を答えましょう。テニプリ入試一次程度の難易度なので、そう難しくもありません。

 

ㅤ正解は2番です。1番は財前のキャラソンタイトル、3番は最新版での彼の座右の銘です。前は「能ある鷹は爪を隠す」でした。

ㅤ財前ワンダホーについても、特に詳細は分かりません。原作者が技の名前を何処かで出しただけで、活躍したシーンは一度も無いですからね。追加情報あくしろよ(ホモはせっかち)

 

「……僕とはまた違うアプローチだね。やっぱり君も、大阪人ってことかな」

 

ㅤお前、ちょっと引いてるだろ!

ㅤ向こうも厨二センスなので、あんまり人のことは言えないと思います。……っと、今回はアビリティが貰えませんでしたね。まぁいいでしょう。

 

 

 

 

 

ㅤ崖の上では雑魚寝でしたが、U-17合宿所は数人ごとに部屋分けされます。財前の同室メンバーは、日吉・海堂・切原と全員2年生です。部屋番号から「205号室」と呼ばれるんですが、今のテニプリ界隈ではかなりの人気です。ちなみに、切原以外テニスしません。

ㅤ最近、4人でキャラソンを出しました。やりますねぇ!

 

「なぁ〜お前ら、崖の上でどんな練習してたんだよ? だって、俺だけワカンねぇじゃん。教えろよ〜!」

 

ㅤ切原は無視して大丈夫です。何故なら、日吉と海堂も無視するからです。かわいそう。

ㅤさっさと乾汁を飲んで寝てしまいましょう。このまま起きてると、「枕投げ」イベントに突入してしまい、大幅にロスを生み出してしまいます。

 

ㅤそれでは、今日もおやすみなさい。ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:忍足謙也

 

 

ㅤ幸運にも、U-17合宿に復帰できた日。

ㅤチームメイトや従兄弟とも数日ぶりに再会を果たし、彼は崖の上で起こった出来事を「大変やったんやで!」と面白おかしく伝えた。

ㅤそして、話し疲れ自分の部屋(久しぶりのマトモなベッドである!)に戻ったのち、彼は財前が魅せたあの「10球打ち」のことを思い出していた。

 

 

 

ㅤそれは間違いなく、奇跡としか言いようがなかった。

ㅤ財前から放たれる「10個の栗」は、完璧なコントロールで鷲へと当たる。それによって、遠くへと飛び去っていく鷲達。

 

「嘘やろ……」

 

ㅤ思わず、謙也はそう呟いた。一拍置いて、ふいに足腰の限界を自覚した。思わず、地面に膝をつく。

ㅤ謙也はふと我に返り、財前に目を向けた。彼は崖に一人たたずみ、立ち尽くしている。自身がしたことに対して、戸惑っているようにも見えた。その表情を見て、開きかけていた謙也の口も閉じてしまう。なんと声を掛けていいか、分からなくなってしまったのだ。

ㅤどうするか迷っているうちに、三船コーチが練習の終了を告げた。もういいかと思い、腰に結びつけていた風船の紐を引き千切る。

 

「――財前ー! なぁ、さっきのアレ凄かったわぁ! いつ出来るようになったん!?」

 

ㅤ少し遠くで、聞き覚えのある声が聞こえる。

ㅤそちらを見れば、金太郎が財前に飛び付いていた。どうやら、先程のことについて尋ねているらしい。財前はもういつも通りの無表情で、ぞんざいに金太郎の相手をしていた。

 

「金ちゃんは流石やなぁ……」

「ほんまやね」

 

ㅤ独り言のつもりが、後ろから返答が。振り返ると、小春とユウジが仲良く肩を組んで立っていた。

 

「どないしたんや、ケンヤ。えらい最近シケた面しよって、死なすど」

「まっ! そんな汚い言葉使う男は嫌いよっ! オラ去ねっ、一氏! いっつもベタベタベタベタして! キモいのよ!」

「……そんな、小春〜! それはないで〜!」

 

ㅤ小春に突き飛ばされ、滂沱の涙を流すユウジ。その様子を見て、謙也は何だか無性に笑えてきた。

ㅤユウジが涙をポロポロ流しながら、謙也の方へと顔を向ける。

 

「ようやくマシな顔になったやないか」

「お前の顔はヤバイで。……ま、おかげさまでな」

 

ㅤそう言うと、ユウジと小春は揃ってニヤリと笑う。そのまま、彼らはピッタリと互いの体をくっつけ直した。どうやら、今のは台本通りのようだ。

 

「……少なくとも、アイツは強うなってる。それでええやないか。強うなったら、勝てる。勝てたら、笑える。おかしいとこあるか?」

「まぁ……それはそうや」

「せやけど、光きゅんのこと心配なんも分かるわ〜。あの子、ずっと怖い顔してるやん? せやから、みんなで笑かしたりましょ!」

 

ㅤ小春がクネクネと体を捻りながら言う。それにユウジが「おい、浮気かっ!」とセリフを返す。四天宝寺のいつもの空気感が、崖の上でも形成されつつあった。

 

「……せやな。俺もなんかオモロいギャグ考えよ!」

 

ㅤ彼は頭をフル回転させる。何がいいだろう。一発ギャグがいいかもしれない。財前が腹を抱えて笑ってしまうような……――

 

 

 

ㅤ――そして、謙也渾身のギャグは見事なまでに滑り、財前に「ホンマおもんない」と酷評されてしまうのであった。

 




○向日岳人
ㅤセリフが「跳んでみそ!」の人。欲しいものを挙げた際に「背中に羽が欲しい!」と言ってて、とてもかわいい。今は身長が欲しいに変わっている。

おすすめキャラソン:「DA・DA・DA」…羽が欲しいはずなのに、「羽とれちゃうぞ」って歌ってる。羽はもう手に入れたのかもしれない。



○河村隆
ㅤ過小評価されがちだが、青学唯一のパワー系なので貴重。(見た目の割に、桃城はパワー系でない)
ㅤそもそも、青学は特にパワーファイターを無力化する手段を持たないので、パワーにはパワーをぶつけがちである。彼がいなければ、他の誰かが怪我していた。本当にありがとう。君がいてよかった!

おすすめキャラソン:「一富士、二タカ、三茄子」…不二周助とのユニット「茄子」の曲。ちょっとレトロな歌謡曲。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Get sparks√.mp5

ㅤ意外にもお笑いコンビ「光KENYA」を組んでいる財前で走るRTA、はーじまーるよー!

 

 

ㅤオッハー! U-17合宿所での目覚めは非常に爽やかですね。いえ、今までが最悪過ぎたのですが。

ㅤ今日の朝食イベントも飛ばしません。もちろん、不二と会話をする為です。ついでに乾汁も回収して帰りましょう。そろそろ数が少なくなってきてますし。

 

ㅤ不二は幸村・白石と食事していますね。椅子が一つ空いてるんで、勝手に座ります。3人はどういう集まりなんだっけ? アメフト部です(大嘘)

ㅤ実際は、同室メンバーの集まりで、部屋番号は「201号室」。でも、基本は「植物組」と括られます。なんか全員植物育ててるんで。

 

「これは特別に作ってもらった唐辛子たっぷりのスープなんだ」

 

ㅤぐつぐつと煮立った唐辛子スープを不二は見せてきます。うへぇ……将来、彼は絶対身体悪くすると思いますね。心配です。

 

「このレストラン……大体の料理は揃ってるけれど、流石にボクの好きな激辛料理はなかったからね。相談したら、作ってくれることになったんだ!――ところで、キミの好きな食べ物は?」

 

1.白玉善哉

2.おでんのすじ肉

3.チーズリゾット

 

ㅤ正解は1番。ギャグなんか?

ㅤテニプリにおいて、キャラの好物は「適当に決めただろ」ってのが割と多いです。例えば、ユウジなんか「オクラ」ですからね。投げやりにも程があります。

ㅤあと2番は謙也の、3番は白石の好物です。この辺はマトモですね。

 

「へぇ、そうなんだ。甘いものが好きなら、裕太とも気が合いそうだね」

 

ㅤおっ、アビリティが貰えましたね。

ㅤ不二周助のアビリティ「ボクに勝つのはまだ早いよ」は、「一度負けた相手と再戦するとき、ステータスに1.3倍の上昇補正が掛かる」効果を持ちます。彼は原作でも同じ相手に2度負けないですから。

 

ㅤさぁ、もう用はありません。アビリティを付けたら、乾汁を回収して帰りましょう。

ㅤ乾を練習時に誘うことは変わりません。ただ、カリスマを上げる練習に走り込みでは無く、「ベンチプレス」をこの先は行います。何故これがカリスマを生むのかは分かりません。筋肉は裏切らないからかもしれませんね。

 

 

 

ㅤ練習後は、自由時間になります。合宿所の外へと出かけましょう。

ㅤ向かうのは、近くの「スポーツショップ」。そこで、ある少年がシューズを見ているので声をかけましょう。

 

「わっ、ダダダダーン! えっと貴方、四天宝寺の……人?」

 

ㅤ壇太一きゅんです。亜久津と会う為に、合宿所近くまで来てたんですね。がわ゛い゛い゛な゛ぁ゛だい゛ぢぐん゛(野獣の眼光)

ㅤ太一きゅんが見ているシューズは「DUNLOP PRS-479」。これは亜久津が履いている靴ですね。

 

「亜久津先輩とお揃いにしたくって。だから、一生懸命お小遣いを貯めてるところなんです!」

 

ㅤ目がキラキラしてて……やっぱりかわいいですねぇ。おじさん何でも買っちゃうよぉ。……おじさんだと!ふざけんじゃねえよお前!お兄さんだろぉ!?(情緒不安定)

ㅤという訳で、なんかプレゼントしましょう。グリップテープなんか良いですね。

 

「いいんですか!? 大事に使うです!」

 

ㅤとても喜んでもらえました。ああ^~たまらねぇぜ

ㅤ自分の後輩がゴンタクレなので、素直な太一きゅんは新鮮です。亜久津、後輩交換してくんねぇかな。そんな感じのことを言うと、照れたような顔をします

 

「……でも、遠山くんは僕と同じ年なのに強くって凄いです。越前くんもそうですけど……僕なんかじゃ追いつけないんじゃないかって、時々思っちゃいます」

 

ㅤあんなもん例外中の例外です。まま、そう焦んないでよ。テニス歴2年の堀尾とか、全然芽が出てませんし。それに比べれば、壇きゅんは頑張ってる方だと思います。人気投票72位ですからね、堀尾は134位ですし。

 

「そうですね! 頑張ります! もっともっと強くなるです! ――あっ、そうだ! 良かったら……これ」

 

ㅤ壇きゅんが御守りを渡してくれます。まぁ、最初からこれ狙いで話し掛けたので。このイベントは、合流1日目しか起こりません。

ㅤこの御守り、「オリジナル技を全てクリティカルにする」というトンデモ効果が付いています。一体どんな神社行ったんだ。

 

「亜久津先輩に渡そうと思ったんですけど……『二個もいらねぇ』と言われちゃったんです」

 

ㅤありがとナス! これで「ナパーム」活用に光明が見えてきました。これに加えて、もう一工夫したらほぼ安定します。

ㅤ本当のところは、試合の操作がメチャメチャ下手な人の為に用意された救済措置なんですけれどね。でも原作技縛りプレイで便利!みたいな立ち位置になってます。みんな原作技使いたいからね、仕方ないね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ㅤ戻ってきたら、建物ではなく一軍専用のセンターコートへと向かいます。そこには、徳川カズヤがいるからです。見つけたら、試合を挑みましょう。想定チャートではもう少し先で挑む予定にしていたのですが、「10球打ち」を手にしているので今で構いません。

 

ㅤ上位レベルの高校生に勝つと、U-17代表入りは確定します。ただ、その線引きというのは中々に複雑です。

ㅤまず、鬼十次郎。そして、徳川カズヤに入江奏多、種ヶ島修二です。あとは一軍のGenius10。一軍は、11番以降の下位メンバーを倒しても意味ないので注意しましょう。

 

ㅤ徳川カズヤは行動パターンがかなり固まっているので、こういう風に野良試合を挑みやすいんです。鬼や入江、種ヶ島だとコーチがランダムで組むマッチしか狙えず、運ゲーになってしまいますからね。

 

「……無様に負けて、帰りたいのか?」

 

ㅤこの時点で、粘れば勝てないことはありません。しかし、これはRTAです。そんな呑気なことしてられません。なので、まずは一度本当に無様な感じで負けます――つまり、皆さんお待ちかねのKOタイムです!

 

 

 

ㅤこちらが先攻でのスタートですが、まぁ良いでしょう。今回もデュースを維持し、攻撃技に当たりに行くというパターンです。ただ、たまに10球打ちしてくるので、タイミングを合わせてカウンターして下さい。

ㅤ向こうの技ゲージが貯まれば、「光る打球(デストラクション)」を打ってきます。これの面白いところは、彼固有の技では全然無いところです。

 

ㅤどうやら、この「光る打球」。原作でリョーマがリョーガに「あの光る打球の打ち方、教えてくんない?」と問うくらい、プロセスが定まっている技のようです。光るのに。スーパースイートスポットを見極めれば、普通に打てるようになるらしいです(超理論)

 

ㅤさぁ、もうラケットなんかいらねぇな! 体一つでお前の球を受け止めてみせるぜ!

 

 

 

 

 

KO!

 

 

 

 

 

ㅤあー飛ばされた! 酷い……やっぱとんでもないですね。光る打球は壁も破壊しますから。人に当たったら、まず無事では済まないです。

ㅤ観客なんかいなかった筈なのに、財前が担架で運ばれていきます。どこから湧いてきた。医務室では、「明日は激しい運動をしないように」と言われてしまいました。こうなると乾汁を飲もうが、状態は「不可」で固定です。まぁ、仕方ありません。

 

ㅤ205号室へと戻りましょう。げっ、3人全員いますね。こうなると、会話イベントが確実に回避出来ないんですよねぇ。絶対誰かが話しかけてきますから。基本は赤也が多いです。一番明るい性格のでね。

 

「お前、あの徳川サンと戦ってボコボコに負けたんだってな!」

 

ㅤ赤也がデリカシーないこと言ってきますが、負けたのは事実なので……。言い返せないのが悔しいところですね。

 

「多分さぁ、お前に足りねーのはジゼンチョーサなんだよ。だからさ……俺らで柳センパイんとこ行って、あの人のデータ教えて貰おうぜ!」

 

ㅤこれは誘われる形ですが、強制イベントです。なので、今から4人で柳のいる部屋……202号室へと向かいましょう。

ㅤめちゃくちゃロスです……まだゲームに誘われるイベントとかだったらマシだったのに。ミニゲームを適当にやって、ゲームオーバーになるという手が取れたのですが。

 

「――やぁ、お前たち。ちょうど良かった。今、貞治と栄養ドリンクを開発中でな。その名も『シンジャエール』。どうだ、飲んでみるか?」

 

ㅤあっ、おい待てい(江戸っ子)

ㅤもしかして、このイベントは!? 非常にラッキーじゃないですか!

 

ㅤ乾と柳の共同開発で生み出された新たなる汁――それこそが「シンジャエール」。今作では、乾汁の上位互換に位置付けられております。要は、この汁を飲めば「明日の状態は『可』まで持ってこれる」訳です。ついでに気絶するので、イベントは短縮できます。

 

ㅤ柳の手から、シンジャエールを引ったくります。いいから早く、それを飲ませてくれ。

ㅤ喉渇いた……喉渇かない? あっ!(大声) こんなところにジンジャエールが! 飲もうっと!

 

「やめろ、財前!」

「お前死にてぇのか!」

「思いとどまれ!」

 

ㅤ一息に飲み干しましょう! うん、まずい!

ㅤという訳で、今回はここまで。ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:白石蔵之介

 

 

ㅤ財前は「どうも」と適当極まりない会釈をして、白石の居るテーブルにしれっと混ざってきた。このテーブルには幸村・不二と他校の先輩がいるのに、全くお構いなしである。とはいえ、二人はとやかく言う性格でもないし構わないのだが。

 

「……おはようさん、財前。なんや、えらい久しぶりやな」

「偶に会うくらいでちょうどええ、ってことが分かりました。部長、オカン並みにうるさいし」

「相変わらずやな〜。ちょっとは素直に『白石部長に会えて嬉しいです』くらい言うたらええのに」

「早よくたばってください、ってのが今の素直な気持ちですわ」

 

ㅤ毒舌は変わりないようだった。

ㅤそして、財前は不二と一言二言会話をしたのち、「あざっした」と言いのこして、さっさと去っていった。

 

「……不二クン、うちの財前と接点あったんやな」

「いや? 昨日、声掛けられたのが初めてだけどね。技の話とか少ししたくらい」

 

ㅤそれを聞いて、白石は腑に落ちず首を傾げる。財前がテニスの話を積極的にするなんて珍しい。やはり、彼はどこか変わったのか。

 

「ところで……柳から聞いたんだけど、財前って急に強くなったらしいね。僕も手合わせしてみたいなぁ」

 

ㅤ幸村がそんなことを言い出した。また、白石は疑問に思う。崖の上から帰ってきたチームメイトらも、揃って財前の進化について述べていた。

ㅤしかし、彼の変化はいつからなのか。少なくとも全国後からU-17の招集までは、明らかやる気を失っていた。なんなら、テニスだって辞めそうな勢いだったのだ。

 

「ま、まぁ……今度聞いてみるわ。せやけど、幸村クンと試合さすのは怖いなぁ。ウチの金ちゃんもエラい目遭うたワケやし」

「ははは、大丈夫大丈夫。五感奪うだけだよ」

「怖すぎるわ!」

 

ㅤ少なくとも、前向きになったのは良いことだ。しばらくは様子見をしておこう。白石はそう結論付け、残っていた朝食をかき込んだ。

 

 

 

ㅤその後、財前が高校生に勝負を挑みに行ったという情報を耳にしてしまう。

ㅤチームメイトなどを引き連れ、慌てて現場へと向かう白石。だが、もう遅かった。既に財前はボロ雑巾のような姿でコートに倒れ臥していたのだ。担架で医務室まで運び込み、怪我の具合などを診てもらう。幸い大したことは無かった為、彼は胸を撫で下ろした。

 

ㅤそして、もう騒ぎは起こらないだろうと、部屋で飼っているカブトムシの「カブリエル」との対話を一人楽しんでいた時。マナーもへったくれもない乱暴なノックの音が、白石とカブリエルの平穏を引き裂いた。

 

「――白石サン! 大変っす!」

 

ㅤ血相変えた顔で部屋に飛び込んできたのは、切原赤也。

ㅤ立海の柳にどうしてだか、面倒を見ることを押しつけられて以降、白石も一応何かと目を掛けている2年生である。金太郎のように駄々を捏ねるでもなく、財前のように生意気でもない。とても素直に尊敬の念をぶつけてくるので、こちらとしてもまぁ満更ではなかった。

 

「なんや、切原クン? どうしたんや?」

「あの、財前が……。柳センパイ達が開発した変な汁ガブガブ飲んで……ぶっ倒れたんすよ!」

「エェ!?」

 

ㅤ次から次へと、面倒ごとが。一体、何がどうなっているというのか。白石は天を仰ぎ、自身に降り掛かる苦難を呪った。

 




○不二周助
青学の天才。味覚が終わってて、乾汁を美味しく飲める男。だが、酸っぱいものは嫌いなので「青酢」は無効化できない。また、あくと飯も美味しく食べたものの、その後にぶっ倒れた。

おすすめキャラソン:「バレンタイン・キッス with不二姉弟」…他にもたくさん良い曲があるのだが、これが出るまで数年待ったので。「今年のバレキス、不二先輩らしいよ!」と聞いた日、泣いて喜んだ。


○白石蔵之介
作中一番のイケメン。原作者曰く「顔が整っているのは、白石と大石の2人」という話である。大阪人だが、面白いことは全然言えないそう。とにかく話が長くて、オチがないらしい。

おすすめキャラソン:「カブリエル白書」…飼っているカブトムシ「カブリエル」への愛を歌った一曲。冬を越えられるよう、お前を守るという内容。

白石だと、ミュージカルの「エクスタシー」という曲もおすすめ。個人的には3rdが好き。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Get sparks√.mp6

ㅤテニミュ配信みて感動したりしてたので、執筆どころじゃなかった。にちかリョーマ、めちゃくちゃキラキラして良かったです。




ㅤ真田と甥っ子自慢をし合ったりする財前光で行くRTA、はーじまーるよー!

 

 

ㅤおはようございます。おや、「入れ替え戦」の発表が。

ㅤこの「入れ替え戦」。これは上位コートと下位コートの人間が、自分の地位を懸けて戦うテニスバトルです。原作では毎朝あるのですが、ゲーム内ではランダムに起きます。多分、毎回決められては楽しめないからでしょう。

 

2番コート:財前光 vs 3番コート:幸村精市

 

ㅤなるほど、これは幸先が良いです。

ㅤというのも、対幸村戦は「短期決戦」が攻略法だからです。本来、彼の「イップス」は五感を奪う効果があります。しかし、今作では試合が一定時間を超えると強制的にこちらが負ける、という時間制限の能力になっています。つまり、最速の倒し方――KOこそが勝利の秘訣。そういう訳ですね。

 

「まぁ、よろしくね」

 

ㅤ幸村、むかつくくらい余裕綽々の表情です。

ㅤ馬鹿野郎お前絶対勝つぞお前。やーい、お前越前リョーマに負けたんだろ!

 

ㅤという訳で試合開始です。病み上がりの幸村は強キャラの割に、スタミナが少ないのでとても良いです。クリティカル掛かった「ナパーム」なら、2発か3発でKOできますから。

ㅤ今回は先攻みたいです。ラケットを振ってゲージを貯めつつ、コートチェンジしないように調整しましょう。ただ、幸村の方がテクニック値が高いので、向こうの方が先にゲージが貯まって「イップス」を仕掛けてきます。

 

「……夢の続きは、1人でゆっくり見るといい」

 

ㅤけれども、先述したように問題はありません。なぜなら、五感を奪われるまでに倒せばいいからです。

ㅤゲージが貯まれば、ナパームを打ちます。ただ、幸村の場合は3回に2回くらい打ち返してくるんですよね。めちゃくちゃイラッとしますが、何度もぶつけ続ければ当たります。継続は力なりってやつですね(格言)

 

ㅤ……10発当てて、ようやく倒せました。流石は神の子、強かったです。担架で運ばれてますけど。

ㅤ幸村を倒すと、ポイントが多く貰えるので美味しいです。徳川カズヤとの再戦に向け、「ある技」を入手する必要があるので、試合で貰えるポイントはしっかり貯めていきましょう。では、この後は練習パートです。

 

ㅤ現在のステータスはこのような感じです。

 

・パワー:3

・スタミナ:4

・メンタル:4

・テクニック:3

・スピード:3

・カリスマ:3

・知力:3

・協調性:2

 

ㅤカリスマを5まで伸ばすことが目標です。この分だと、ほぼ問題ないと思います。

 

 

 

「――財前、お前にピッタリの乾汁があるんだ。どうだろう?」

 

ㅤ(いら)ないです。想定していた中で、一番最悪のイベントが起こってしまいました……。このゲーム、同じ行動をし過ぎると、結構な確率で「称号イベント」が起きるんですね。

 

ㅤ乾汁の飲み過ぎで貰える称号は、「乾汁愛好家」なのですが……称号をゲットしてしまうと乾汁で気絶しなくなります。今まで、気絶で済ましてきたスキップが効かなくなってしまうんです。試走中、称号を貰わずに走れた時があったのですが……中々そうはいかなかったみたいです。

 

「その名も『善罪』。糖分を効率よく補給できるんだ」

 

ㅤこのイベント妙に気合入っていて、キャラ一人一人に対応する汁が用意されています。例えば、手塚だと「唸茶」で「ケガへの効用がある」と乾は述べます。捻挫の字と似ているからでしょうか。

 

「さぁ、飲んで飲んで」

 

――財前は気を失った……

 

ㅤとにかく、ここからは汁で気絶という手は使えません。しかも、財前は夜型なので中々寝ないんですね。そのせいで、205号室内のイベントが増えます。

 

ㅤただ、寝るだけなら方法はありますので、ご安心を。それは大浴場に赴き、熱湯風呂に浸からせることです。

ㅤ原作は、白石や六角の黒羽などが浸かっていました。あと、真田と乾も。乾はノボせて尻出して倒れてましたからね。つまり、熱湯風呂に居座ると気を失うので、一応寝たことになります。乾汁よりは時間が掛かりますが、そのまま寝るよりはマシです。

 

――称号:乾汁愛好家 をゲット!

 

ㅤほんとに要りません。アビリティと違って、称号は外せないのが痛いところです。まぁ、RTA以外なら乾汁耐性は付くに越したことないですからね。気絶しない分、見れるイベントの数も増えますし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――焼肉大食い対決だぜ!」

 

ㅤ……ツイてないとき、どうしてこんなに不幸が続くのでしょうか。

 

ㅤいえ、イベントによるロス時間はチャートでも計算に入れてはいます。夕食時間に起きるイベントには、橘が手作り料理を披露する食事会や、跡部が主催する立食パーティーなどがあります。これらは、乾汁なんかないので飛ばせません。

ㅤしかし、このイベント「新焼肉の王子様」は乾汁でのスキップが可能だったんですよね……。本来出来たことを出来ない時ほど悔しいものはないです。

 

ㅤ仕方ないので、このまま進みましょう。あーあもう滅茶苦茶だよ。

ㅤ大食い対決、元は無印の全国立海前日のエピソードです。そして、ファンブックの記述によると財前はこの対決を見学してました。あのさぁ……。美味しいとこ出て行かんで、何が大阪人や!と言いたいですね。

 

ㅤこの「新焼肉の王子様」、バトルロイヤル形式のミニゲームです。焼肉を食べながら敵を妨害して、最後に残った人間が優勝です。でも、勝っても別に特典はないです。「焼肉バトル優勝!」という称号は貰えます。けれども、この称号は何の付与効果もありません。

 

「焼肉大食い対決 in U-17合宿! 司会は私、メンタルコーチの斎藤が行います!」

 

ㅤ司会は何故か、合宿所メンタルコーチの斎藤至コーチがしてくれます。彼は、戦略コーチの黒部由紀夫コーチのことを「黒ベェ」と呼んだりするなど、割とノリの良い人です。ですが、コンビの同士討ちをやらせたのも彼です。許せね〜!

 

「それでは、スタート!!!」

 

ㅤそういえば、ルール説明を忘れていました。簡単にですが、説明をしておきましょう。

 

ㅤ焼肉を食べると「満腹度」が上がります。塩で食べると満腹度は大きく上がり、タレで食べると満腹度はそこまで上がりません。しかし、タレには一定確率で辛いソースが混入することがあり、そうなると少しの間は肉を食べられません。ただ、不二だけは辛いソースでも大丈夫です。

 

ㅤそして、満腹度がいっぱいになると、肉を食べられなくなります。最大値は、人それぞれです。田仁志はゲーム終了ギリギリくらいまで、満腹度が保ちます。逆に少食のキャラ――例えば、仁王ならすぐにいっぱいになってしまうんですね。その満腹度は、ウォーターサーバーで水を飲むことで解消できます。

 

 

 

ㅤなので、まずはウォーターサーバーに乾汁を混入させます。みんな肉に夢中なので、バレやしません。それにバレても、特に支障はないです。

ㅤ入れれば入れるほど、乾汁に当たる人間が増えます。ですから、有る分全部入れてしまいましょう! もう要らないですし。

ㅤそして、肉は食べずにしばらく待ちます。……おぉ、どんどん人が倒れていきますね。この辺は変わり映えしないので、倍速にします。

 

「何故か、多くの人間が謎にリタイアしてしまいましたね〜。食中毒の疑いが出た場合は監督責任が出そうなので嫌ですが、そんな感じじゃないので良しとしましょう!」

 

ㅤ乾汁の洗礼を乗り越え、残ったのは……不二・大石・田仁志・樺地・千石の5人です。

ㅤ不二は言わずもがな。大石は「肉奉行」として大騒ぎしてるだけで食べてない。田仁志・樺地は満腹度にまだゆとりがある。千石は幸運ゆえ乾汁に当たらなかった。大方、そんなところでしょうか。

 

ㅤ後は、テーブルに残ってる網をブン投げるだけです。これはミニゲームの説明文にも「網を投げて妨害しよう!」と書かれているので……。公式ルールです、大丈夫大丈夫。50名弱も網で倒せませんが、5人ならば網で全員気絶させられます。

 

「……優勝は中2、財前光くん〜! おめでとうございます! でも、肉食べてないですよね?」

 

ㅤこれで肉を一枚も食べずに、クリアすることが出来ました。逆に肉を食べたりしてると、乾汁でどれくらいの人がやられたかを見れなくてロスが生まれますからね。多分、これが最適解です。是非、参考にしてください。

 

――称号:焼肉バトル優勝! をゲット!

 

ㅤ優勝したところで部屋へ戻り、風呂へと向かいましょう。今日はもうすっげぇキツかったゾー。

ㅤそれでは、また今度。ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:斎藤至

 

 

ㅤ選手データが綴じられたファイルを捲っていた斎藤は、ある少年のページで手を止めた。

 

ㅤ財前光。負け組合宿から合流してきた選手だ。三船監督から提供されたデータによると、上位コートの高校生でも使い手が数少ない「10球打ち」を成功させたという。これが本当なら、彼は紛れもない天才である。

 

「……彼が頭角を表すとは意外でしたねぇ。同じ四天宝寺なら、遠山くんなんかの方が進化の伸びが大きいと思っていましたよ。どうです、黒ベェ?」

 

ㅤ斎藤の問いかけに、紅茶の香りを楽しんでいた黒部はティーカップをテーブルに置いた。

 

「その呼び名については、いささか不満がありますが……。それは置いておいて。確かに、私も驚きでした。彼はとても『四天宝寺』らしい選手ですから」

「四天宝寺らしい、というのは一軍の原くんや平くんのようなことを言いそうな気がしますが」

 

ㅤ一軍No.18の原哲也にNo.19の平義之。四天宝寺中OBで、お笑いテニスに磨きをかけている選手らだ。

ㅤ彼らとは流石に同じじゃないだろう。そんな斎藤の指摘に、黒部は首を横に振ることで答えた。

 

「いえ……。お笑いで誤解されがちですが、『勝ったモン勝ち』でやりたい放題の四天宝寺の精神は、立海の『勝利至上主義』のソレと非常に似通っています。何なら、彼らの方が損切りが上手いだけに非情でしょう」

 

ㅤ黒部はデータファイルを幾つか提示する。彼が出した選手データには「忍足謙也」の名前が書かれていた。

 

「例えば、この彼とか。スペシャリストへの敬意が大きく、自分の領分を超えたと思うと一歩退く悪癖があります。とはいえ、全体の勝利の為に出場しないなんて思い切りが良すぎますよ。――立海ならまずあり得ないと思います。死力を尽くして、自分の勝利へと駆けていく筈です」

 

ㅤでも、四天宝寺生は終わり良ければ全て良しなのです。――黒部はそう続けた。

 

「そのような発想が、財前くんにもあると? ……あっ、当初は合宿に参加しなかった理由も!?」

 

ㅤハッと、斎藤は解に思い至る。「世界で通用するテニスの腕なんか必要なかった」からだ。何故なら――

 

「「――来年の全国に、手塚国光は居ない……」」

 

ㅤ2人は顔を見合わせて唸る。何ともひどい答えだ、けれども間違いなく真実。

ㅤ手塚は、来年高校1年生だ。中学の全国大会に出場することはない。それどころか、プロに転向することだってあり得る。

 

「多分、悔しかったとは思います。けれども、彼には勝たなくたっていい。居ない相手には負けません」

「うーん……真理っちゃ、真理ですよねぇ。それ」

「だからこそ、私は驚いているんです。彼は何故、ここまでするのかをね」

 

ㅤそれは斎藤も疑問に思うことだった。

ㅤ合宿所に来てから、財前は非常にアクティブだ。他人と積極的に交流を図ろうともしている。先日は、徳川に試合を申し込んでいた。

 

「理由は……直接聞いても教えてくれないでしょうねぇ。性格から考えても」

「……なんとなくの仮説は立ててみましたが。恐らく、せっかく合宿に来たので、自分はどこまで行けるか試してみたくなったのでしょう。ですが、上に行けなければ行けないで別に良い」

「生きていくのに、別に支障はないからか……」

 

ㅤテニスは出来るからやっている。出来なくたって、別に困りはしない。それこそが、財前光のスタンスなのだ。

 

「実に勿体ない選手ですよ。向上心を持てないのは、不幸なことですから」

「世界の舞台で戦わせるには、難しいですかね。――いや、だからこそ……表舞台に引っ張り出したい気もします。世界はお前が考えるほど、小さなものではないのだとね」

 

ㅤ未来はどこまでも広がり、前へと続いている。こんな早くから、道を閉ざしてはいけないのだ。

ㅤ監督に一応の打診をしよう、そう斎藤は考えた。彼は世界の広さを、知らねばならない。

 

「そうですね。飛躍したら、良い選手になると思います」

 

ㅤ黒部も頷く。そして、「U-17中学生日本代表候補者リスト」の欄にペンで「財前光」と書き入れた。

 




○幸村精市
神の子。テニミュの影響で「魔王」的イメージが付いているが、基本的にはお茶目な少年。身を綺麗に取った後の魚の骨を、リョーマに見せつけてきたりする。また、人の五感を奪うことができる(技ではない)。

おすすめキャラソン:「夢の続きⅡ」…幸村の声優さんが作詞を手掛けた。どんな苦境に置かれても、帰る場所はコートしかないという悲壮さが表れている。夢の続き、というフレーズは新テニで逆輸入され、「夢の続きはゆっくり見るといいよ……1人でね」というセリフが生まれた。


○乾貞治
クッソまずい汁を作ることがライフワーク。最新刊までで、一番最新の乾汁はおそらく「コカ・コアラ」である。今現在、手塚vs幸村を本編でやっているのだが、乾は幸村に3年分の手塚のデータを渡した。渡すんだ、ってちょっと思った。

おすすめキャラソン:「Go! Go! 眼鏡's」…手塚・乾・忍足による眼鏡3人組ユニット「眼鏡's」の楽曲。無駄に良い歌。
 




さっき書いた通り、新テニでは手塚と幸村が戦い出しました! みんな読もうな! 勝負の行方を見届けよう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Get sparks√.mp7

ㅤ千歳にG○ogleHomeみたいな扱いされてる財前で走るRTA、はーじまーるよー!

 

 

ㅤ昨日は風呂で気を失っていますが、目覚めは205号室です。多分、親切な誰かが運んでくれたのでしょう。そこ、ゲームシステム上の問題とか言わない!

 

「あんまり、先輩を困らせるなよな」

 

ㅤ海堂が話しかけてきました。風呂で寝ると、朝に会話イベントが出るんですよねぇ。赤也がまだ寝てるのは幸いです。彼も混ざると、めちゃくちゃ長くなりそうですから。

ㅤ乾汁では起こらないので、称号はほんと迷惑ですね。とはいえ、記録としては良い流れなので走り続けますが。やっぱ、5球打ちを進化させなくて良かったのは大きかったです。

ㅤ試合数がそのままでは足りないので、時々抜け出して野良試合を仕掛けまくらないといけないところを、今のところスキップできていますから。

 

「風呂で倒れたお前を、白石さんが連れてきたんだ。お礼言っとけよ」

 

ㅤおっ、そうだな。適当に生返事すると、彼はため息をついて筋トレを始めました。

ㅤそういえば、部屋内でも筋トレが出来ることを話していませんでしたね。出来ることには出来るんですが、これステ上昇に全く意味はありません。逆に「一緒に筋トレしようぜ!」みたいなイベントが増えて鬱陶しいだけです。同じ理由で、パワーリストやパワーアンクルも付けていません。

 

「……お前の先輩、パンイチで宿舎内歩くんだな。ヤバイなアレ」

 

ㅤ次は日吉……お前か。

ㅤ確かに、白石は寝る前にパンイチでヨガをしてそのまま寝るという、やべールーティンで生きてます。つまり、寝巻きがパンツなんですね。きっと、同室の幸村と不二も迷惑してることだろうと思います。深く同意できるので、頷いておきましょう。

 

「――何言ってんだよ! 白石サン、超かっけーじゃん!」

 

ㅤアアアアアアア!(発狂)

ㅤ赤也、なんで起きてきたんだ! 話が長くなるんだよぉ! YO! どうする、一番話を短く出来そうな選択肢……あったぁ!

 

・(一発ギャグを披露する)

 

ㅤもう、これしかないです。よし! 見とけよ、見とけよ〜! んんーっ、絶頂(エクスタシー)

ㅤ財前のエクスタシーな一発ギャグに、3人が虚を衝かれたような表情になりました。今だ! 部屋から逃げ出しましょう! 相手の反応を見るのは気まずいですし。そして、朝食をスキップして試合パートに入ります。

 

ㅤ今日は赤也を倒しましょう(やつ当たりです)。

ㅤ彼は体力ゲージが三分の一以下になると「悪魔化」して、ステータスが変化するんですね。非常に攻撃的になり、「ナックルサーブ」および「ナパーム」を発動します。ただ彼の動きは単調になり、こちらも「ナパーム」を当てやすくなります。

 

「テメェも赤く染めてやるよ! ヒャーッハハハハァッ!」

 

ㅤおっ、赤也のゲージが規定値まで削れ、「悪魔(デビル)化」しましたね。柳は「悪魔化は赤也の身体に大きなダメージを与えている」と言っていましたが、何が危険なのかは未だ良くわかりません。頭の血管とかに悪いんですかね。

 

「アンタ潰すよ!」

 

ㅤおう打ってこい打ってこい。ナックルサーブは打ち返せるので、届きそうなら返しましょう。

ㅤナパームは、避けた方が無難です。スタミナに余裕はありますが、打つのが赤也本人なのでバフが掛かっています。「クリティカル」が出れば、ちょっと危ないですし。リスクは回避するに限ります。

 

「でも天才ってさぁ……一度潰れると案外モロいんだよなぁ」

 

ㅤゲッ、こいつ目潰しかましてきました。自分の血を飛ばしてくるんですね。衛生的によろしくないですよ、コレ。

ㅤ画面上に赤い靄が出てきて、コートの様子が見えにくくなります。解決方法を色々考えたのですが、結局上から赤シートを被せるのが一番と分かりました。よく見えます。文房具屋で買ってきてください。

 

ㅤやっと「ナパーム」を2発当てられました。これでKOです。綺麗に吹っ飛ぶのでやっぱ爽快感ありますね。とはいえ、本編はもっとすごいですから安心してほしいと思います。テニスボールじゃなくて仁王をデュークホームランしてたので。野球か何か?

 

 

 

「――『えっ、俺とっすか?』とお前は言う」

 

ㅤ練習前に柳からの会話イベントが。要約すると「一緒に練習しないか」ということでした。せっかくだし、乗り換えましょう。彼のアビリティは乾と同じですからね。

ㅤ今回も「ベンチプレス」をやります。おや、赤也が混ざってきましたね。さっき倒されたのに普通に来るなんて、結構スポーツマンシップあるじゃないですか。

 

「そういえば、2人とも学校の課題はやってるか?」

「エェ〜! 課題、あるんすか???」

 

ㅤ赤也は驚いていますが、当たり前です。合宿って11月頃に行われているので、2学期にはもう突入しています。学校に行く代わりに、合宿に来て単位取得しているんですね。それなのに、負け組を崖の上に放り出して良かったのか。絶対ダメだろ。

 

「……その様子だと、2人ともやっていないようだな」

 

ㅤあっ、四天宝寺は大丈夫です。宿題しなくても、面白い持ちネタがあれば多分許して貰えます。それを財前がするかは別として。

 

「今日からでも少しずつ始めた方が良いと思うぞ」

 

ㅤかしこまり! でも、多分赤也はギリギリまでやらないと思います。柳蓮二というデータマンがそれを予想していない訳ないので、一応言っとくかくらいの気持ちなんでしょう。先輩ってやつも大変ですね、後輩の心配もしなきゃいけなくて。

 

 

 

ㅤ夕食イベントはスキップできたので、また205号室のシーンからです。風呂には食堂から直接行けないので、部屋でイベントが起きるとしばらく移動できません。

 

「――お前ら……気づいてるか? この部屋で霊の気配がすることに」

 

ㅤそんな訳ないだろうが!

ㅤ日吉はオカルトオタクなので、急にこういうこと言い出します。新テニアニメでは「合宿所には落ち武者の霊がいる」とか言ってました。

 

「そう……。部屋の窓は閉まっているのに、カーテンが揺れている……これこそが証拠だ」

「やべー! マジかよ、俺もうこの部屋で怖くて寝れね〜! 柳センパイの部屋行こ!」

 

ㅤ正直に「怖いぜ!」と宣言した赤也は、部屋を去って行きました。こういう時、素直なのは良いですね。申告できない人はとても気の毒です――

 

「――ばっ、馬鹿らしい! そんなくだらない話聞くなんて無駄だ! ちょっと走ってくる!」

 

ㅤこうなるからです。あーあ、今日はもう海堂眠れませんね。面白いので、あとでブログのネタにしましょう。

ㅤドアが閉まったあと、日吉がこちらの方を見てきます。

 

「実はな……まだ、俺は自分の目で幽霊を見たことがないんだ」

 

ㅤそうです。この男、林間学校などでも他の人達が座敷童子を目撃する中、彼一人だけ目にすることができなかったりする可哀想な男なんですね。なんか、頑張って欲しいと思います。

 

ㅤこれで、今日の205会話イベントは終わりです。短くて良かったですね。

ㅤ一番引き当てちゃいけないのは、「UFOを探そう!」という会話イベントです。これは合宿所を抜け出して、みんなでUFOを探しに行きます。これが始まると絶対リセットです。めちゃくちゃ長いんで。

 

ㅤこの「新テニスの王子様 Golden age」でRTA走者がいなかった理由、おそらく会話イベント主体のゲームだからですね。テニスあんま関係ないですし。とはいえ、それ故に財前を無理やり日本代表主将にさせる荒技が可能な訳ですけれども。

 

ㅤでは、今回はここまで。

ㅤ熱湯風呂で逆上せて死にかけの財前を背景に、今日はお別れです。ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:柳蓮二

 

 

ㅤ柳が財前に声を掛けた理由は、乾に頼まれたからである。新作乾汁を飲ませたせいで少し心の距離が遠ざかってしまったので、代わりにデータを取ってくれと頼まれたのだ。

 

ㅤ彼としても、財前のデータを収集することはやぶさかでは無かった。来年の立海大附属中テニス部の為にも、現1・2年の情報は集めておくべきだ。なんと言ったって、赤也にそんな情報収集のスキルは望むべくもない。

 

「一緒に練習をしないか?」

 

ㅤ財前が口を開きそうになるのを制して、柳はこう言葉を続けた。

 

「――『えっ、俺とっすか?』とお前は言う」

 

ㅤ嫌そうな顔をした財前が、再び口を開こうとする。柳はまたそれを手で制し、次の言葉を言う。

 

「『そんなん誰でも思いつくやろ、アホ』と次にお前は言う」

 

ㅤ目を丸くする財前。その反応を見て、柳は満足気に頷く。現時点でのデータは、正確だと。

 

「……めんどくさい人っすね。俺の先輩らとはちょっとちゃうけど」

「ほぉ」

「ウチの先輩ら、もうアホしかいませんし。ボケたら、全部OKや思うてますから」

 

ㅤ柳はそうだろうか、と考える。

ㅤ今のところ、奇行が多いのは財前の方だ。シンジャエールを飲んで気を失ったり、風呂で逆上せて倒れたりと毎日のように騒ぎを生み出している。四天宝寺勢は「合宿で財前おかしなったんちゃうか!」と騒いでいた。

 

「――センパイ、何話してんすか! 俺も混ぜて下さいよ!」

 

ㅤそこに赤也がひょっこりと顔を出す。

ㅤ先程、彼は財前と試合していたな――柳はそれを思い出した。

 

「なに、練習を一緒にしようかという話をしてただけだ。赤也、お前も一緒にどうだ?」

「やる! やるっす!」

「いや、俺まだやる言うてませんけど」

「ハァ〜? お前、ノリ悪っ! やれよ! 柳センパイが誘ってんだぞ!」

「……ま、しゃーないわ」

「嫌々じゃねーかよ!」

 

ㅤ紆余曲折はあったが、3人で練習を始める。途中で、ふと柳はあることを思い出した。

 

「そういえば、2人とも学校の課題はやってるか?」

「そういや……」

「エェ〜! 課題、あるんすか???」

 

ㅤ案の定、やっていなかったらしい。合宿を退去するまでに時間がなく、白石には「面倒をみてやってくれ」としかいえなかった。いや、ほぼ面識がないのに「宿題もみてくれ」とは流石に言えなかったか。

 

「……その様子だと、2人ともやっていないようだな」

「いや、最悪宿題せんでもなんとかなるんで。オモロいこと言えば、許してもらえるし……」

「マジで!? 四天宝寺すげー!」

 

ㅤ柳は頭を抱えたくなった。

ㅤ四天宝寺のルールが斜め上過ぎて、赤也が危機感を抱かなくなりそうだ。

 

「今日からでも少しずつ始めた方が良いと思うぞ」

 

ㅤ無駄かもしれないが、一応助言することにした。どうせ、自分が宿題を見てやる羽目になることは分かっていたけれども。

 

「――なぁ、オモロいことって何だよ? 朝やってた、白石サンのモノマネか? あれ、面白かったぜ!」

 

ㅤ柳は赤也の言葉を耳にし、ギョッと目を剥く。そんなこと、データ上はあり得ない! 今までのデータとは、何かが違う!

 

「いや、アレはモノマネやし。あんなんがウケまくるんやったら、白石部長は毎日オモロいこと言えることになるで」

「え〜。面白かったけどなぁ」

 

ㅤ全く訳が分からない。乾が財前のデータを取っていた理由――それは不確定要素が多くて、不可解だったからだろう。柳はようやく腑に落ちた。

 

ㅤとにかく、とりあえずデータを取ろう。

 

ㅤそれこそが、答えを導き出す最適解だと知っているから。情報が多ければ多いほど、正しい答えを出せるのだ。

 




○切原赤也
ラフプレーで人をボコボコにしたりするが、勝気で負けず嫌いなところもある。唯一の2年レギュラーなので次期部長だと思われていたが、次期部長編で「玉川よしお」なる男が部長になることが分かった。腐らずに頑張って欲しい。

おすすめキャラソン:「Summer high」…赤也・仁王・柳生・丸井からなるユニット「立海ヤング漢」の最新シングル。とても爽やかで、アイドルソング感がある。


○日吉若
猫駆除で有名な人。テニプリパーティーに掲載された人気投票順では、9位で2年生トップ。ぬれ煎餅が好きなのだが、向日から「濡れた煎餅」を渡されて喧嘩したことがある。

おすすめキャラソン:「やれ! Do it!!」…筋トレのし過ぎで宍戸さんの幻覚をみてしまい、幻覚の宍戸さんと筋トレをしまくる歌。なにが何だかわからない。


○柳蓮二
立海三強の一人で、「参謀」。昔はおかっぱで可愛かった。髪を切った理由は、目にかかる髪がプレーに影響を与えていると気付いたから。あと、苔玉を育てている。

おすすめキャラソン:「俺の日本海」…このキャラソン、演歌である。何故? ちなみに、立海大附属中のある神奈川県は日本海には面していない。ますます日本海である理由が分からないが、結構いい感じの曲ではある。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Get sparks√.mp8

カナダレモンを聴きながら書きました。


ㅤ趣味は動画編集で特技はハッキング(笑)の男、財前光で走るRTA、はーじまーるよー!

 

 

ㅤ今回死にかけて部屋に戻ってきたのは、財前と夜通しランニングしてた海堂のようでした。一日中走り続けられるスタミナって。やべぇよ……やべぇよ……。

 

「……俺は馬鹿3人に囲まれて生活せねばならないのか」

 

ㅤ洗濯物を畳みながら、日吉が嫌味を言ってきます。まぁ、気持ちは分からなくもないです。だから、もっとウザ絡みしてやりましょう(鬼畜)。ねねねね~、古武術って楽しい?

 

「うるさい! クソ……部屋割りを変更しては貰えないものか……」

 

ㅤ(部屋変更は)ないです。このまま4人で変わりません。ほんと、彼らはめちゃくちゃ大人気ですからね。音ゲーの2周年イベ、205号室がフィーチャーされまくってました。

 

「ま、多少の我慢は必要か。共同生活も鍛錬のうちだ」

 

ㅤ日吉が肩を竦めて会話終了です。

ㅤ拍子抜けするくらい短かったですが、基本はこれくらいの長さですから。時折、長い話があるだけです。

 

ㅤいつも通り、朝食イベントはスキップ可能ですので今日もスキップです。

ㅤおや、銀がこちらへやってきました。何の用でしょうか。

 

「――財前はん、良かったら一緒にペアくまへんか。たまには、ダブルスやるんもええやろ」

 

ㅤやだよ(即答)

ㅤU-17合宿パートでは、シングルスばっかできますけど、バランスの問題からか「ダブルスもしよう」と言ってくるんですね。でも、ダブルスはガバが起こりやすいので。断りましょう。

 

「さよか。気が進まんなら、仕方あらへんわな」

 

ㅤすごくガッカリした顔されました。なんか、こっちが悪いみたいで嫌ですね。

 

ㅤでは、気を取り直して。今日は木手を倒します。彼のことは、ご存知の方も多いでしょう。「強い方につくのがモットー」と宣い、ダブルスに裏切りという概念を生み出した男――木手永四郎です。部長クラスは獲得ポイントも多いので、倒し甲斐があります。

 

「うちなーの力、お見せしますよ」

 

ㅤ話し方に癖はあれど標準語っぽくて、なに言ってるのか分かりやすくて良いですね。ちょっと他の比嘉メンバーは言葉が難解ですから。

ㅤ今回の試合はこちらが先攻でした。ランダムとは言え、中々引きが良いです。

 

ㅤ彼はゲージが貯まると「大飯匙倩(おおはぶ)」を打ってきます。これは追尾系の技なので、必ず球が自分の方に来ます。打ち返せたら、打ち返しましょう。もしクリティカルが当たっても、一発や二発では死にませんから安心して下さい。

 

「しみてぃちゅんどー!」

 

ㅤやっぱり、なに言ってんだか分かりませんでした。気合を入れてるんでしょうか。

 

ㅤ木手はスタミナが4と高めですが、「全方位縮地法」持ちなので、絶対に球の方へと移動してきます。ですが、あんまり的外れな場所だと、彼も打ち返す確率が著しく下がります。つまり、結果的に「自分からナパームに当たりに行く」のと同じことになるんですね。ありがたい。

 

ㅤという訳で、遠慮なくナパームを打ちましょう。クロスさせるのがコツです。上手く逆側に打てれば、ストレートで倒せます。3回くらいで死にます。3回だよ、3回。……倒せましたね。なんだお前根性無しだな(叱咤激励)。

 

ㅤ結構な実力者ばかりを倒し続けたことで、ポインヨだいぶ溜まってんじゃんアゼルバイジャン。

ㅤですから、そろそろ「イリュージョン」の習得に入りましょう。これは仁王の技で、カリスマ4で覚えられます。この条件は恐らく、跡部にイリュージョンして樺地を従えていたからでしょう。

 

ㅤ原作では「イリュージョン」は他人の技や精神性までコピーしてしまう恐ろしい技です。しかし、ゲーム内では技スロットを一つ占有して「全ての技を本人補正で計上する」効果を持ちます。まぁ、「イリュージョン」覚えるだけで手塚の技とかポンポン出されても困りますから。妥当な弱体化だと思います。

ㅤなので、今回だと「ナパーム」は「切原補正+クリティカル」でバケモンみたいな強さになる訳です。

 

ㅤ技を覚えることに成功したので、柳を誘って練習に入りましょう。

 

「――良かったら、これを受け取ってくれ。成分を少し調整してみた」

 

ㅤちょっと待って!何これ? シンジャエールじゃないですか! 貰えることあるんですね。wikiには載ってますが、レアな会話で乾汁よりも確率は低いんですが。

ㅤこれで生死の境に彷徨わせなくても、ちゃんと寝ることが出来ます。嬉しいですね。別にしたくてしてるんじゃないんで。

 

ㅤ練習には乾が混ざってきました。多分柳の方が周囲の好感度があるんで、財前の関係者よりも混ざってくる確率が高いんですね。財前、人望ねぇな。来年、部長をちゃんとできるのかとても気になります。

 

 

 

ㅤ夕食……の前に、一軍コートに向かいましょう。そこには徳川カズヤがいるので、再戦を挑みます。ここで、明日にしたら良いんじゃ?と思った人もいると思います。ですが、それはできないのです。

ㅤ明日は一軍帰還日なので、朝に「入れ替え戦」が確実にあるんですね。徳川を引き当てられる確証はないので、この野良試合で倒し切ります。

 

「……本気でやるが、後悔するなよ」

 

ㅤ負けフラグみたいなこと言ってきましたね。じゃあ、今までのちかえしをたっぷりとさせてもらおうじゃないか。

ㅤでは、ボコボコにしてやりましょう。とはいえ、彼は上位高校生です。光る打球に当たるとこちらが死にますし、気をつけなければなりません。

 

ㅤまた、徳川は「ブラックホール」という技を操ります。これは空間をねじ曲げることによって、どんな球でも止めてしまうというもの。ナパームどころか、光る打球も止めてくる厄介な技です。返球はともかく、ブラックホールで止められるとあちらの点になりますからね。

 

ㅤけれども、「ナパーム」が当たってくれれば大丈夫です。エグいほど体力ゲージ削れるので、ちゃんと倒せます。まぁ、都合よくナパームが当たるとは言ってません。「この戦い、終わるのかな……」と毎回思います。でも、いずれは当たりますから。

 

 

 

KO!

 

 

 

ㅤもちろん、徳川もちゃんと美しく吹っ飛びます。ああ^~いいっすね~。これこそがテニスなんだと、心の底から思えてきます。テニス、楽しんでる?

ㅤなんかもう最終回みたいな気持ちですが、まだ続きます。カリスマを5まで上げきらないといけないので……。一応、それが目標ですからね。

ㅤ今日はシンジャエールを飲んで寝ましょう。おやすみなさい。ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:白石蔵之介

 

 

ㅤ話し合いをせねばならない、彼はそう思った。

ㅤ銀が財前をダブルスに誘って断られた日のことだ。夕食前に白石は、合宿所ロビーのテーブルに四天宝寺の3年生を全員集合させた。

ㅤそう――彼らは、財前の様子が最近おかしいことを心配しているのだ。テニスに対する向き合い方は、以前とは明らかに異なる。何かに取り憑かれたように、上だけを見つめているのだ。その姿は、どこか異質だった。

 

「すまん。やっぱ、アカンかったわ」

 

ㅤ銀がやるせない顔で肩を落とす。自分の力不足を悔いているのだ。

 

「ええんよ。銀さんでもあかんねやったら、他の誰でも厳しいわ……」

 

ㅤ小春がそのように慰める。そもそも、様子見をする人間に銀が選ばれたのは、謙也や白石よりは舐められてないのでマシだろうという理由だった。それでダメなら、もう全員ダメだ。

 

「強うなってるのは分かるし、それは心配ないんやけどな……」

 

ㅤこの合宿中、メキメキと実力を伸ばしている財前。白星続きとはいかないものの、幸村や切原をあっさり下す今の彼は、紛れもなく「天才」の名をほしいままにしていた。

 

「もう、直接言うべきちゃう? せめて、『熱湯風呂で毎回死にかけるんはやめん?』くらいは」

 

ㅤユウジの真っ当な提案に、否を返すのは白石だった。

 

「せやけど……財前ブログ書いとるからな。熱湯風呂でなんかネタ書きたいんやろか……もし、そうやったら邪魔しにくいやん?」

「アホ! 死んだらネタどころちゃうやろ!」

 

ㅤ白石の弱気な発言に、間髪入れずツッコミを繰り出す謙也。

 

「それはそうや……」

「せやったら、何か言わなあかんやろ。何かええ案は……」

 

ㅤ単に、内容が一周するだけの会話。議論は全く前に進んでいない。今までも全員ではないけれども、数人では意見交換しているが、少しも解決に近づいた試しは無かった。

 

「千歳、お前なんかあらへんの? 『才気煥発』でええアイデア出してぇや」

 

ㅤユウジが、初の話し合い参加者――千歳にそう尋ねる。しかし、彼はかぶりを振った。

 

「『才気煥発の極み』にお婆ちゃんの知恵袋みたいな力、無いに決まっとるばい……」

「チッ。意外と使えんのやな、才気煥発」

 

ㅤ無我の先にある扉に対して、失礼なことを言うユウジ。千歳はそれを不満に思ったようで、珍しく彼にしっかり反論する。

 

「何も考えとらん訳やなか。新作ドリンクば作って欲しか、って乾と柳に頼んだばい」

 

ㅤ千歳の部屋は202号室。データマン達とは同室なのであった。

 

「それ、どう言うことや?」

「飲んだら気絶するけん。大浴場まで行かんね。だから、安全ばい」

 

ㅤ財前は、何故か乾汁などに奇妙な執着を示している。「今の時代、シェアが大事やないすか」というメチャクチャな理由で、ウォーターサーバーに汁を混入させた過去もあるほどだ。

ㅤ新作ドリンクを貰えば、絶対に飲もうとするだろう。熱湯風呂で気を失えば飲めなくなってしまうから、シャワーで済ますことは十分考えられる。

 

「まぁ……熱湯風呂よりは安全やな。『人体には害はない』らしいし。あの汁」

「信じられへんわ、あんなマズいのに」

 

ㅤ一応、話がひと段落した時。急に「なぁ〜! スゴいことなっとんで〜!」という声が聞こえてくる。金太郎の声だ。

 

「金太郎さん、どないしたの? スゴいイケメンでもおった?」

 

ㅤ小春が金太郎に尋ねると、隣のユウジが殺気立つ。他の男に小春を取られるのではないか、という危機感を覚えたのだ。

 

「ちゃうちゃう! ホンマスゴいでぇ! 財前、また徳川の兄チャンと試合しとった!」

 

ㅤ一瞬、場が静寂に包まれる。理解できる脳のキャパシティを超えてしまったのだ。

 

「「「えっ……えぇ〜っ!」」」

 

ㅤ彼らは、揃って叫び声を上げる。

ㅤ金太郎の案内で、試合場所へと向かう。そこで皆が目にしたのは――

 

 

 

「――試合やったら、もう終わりましたよ」

 

ㅤコート横のベンチでのんびりとスポーツドリンクを飲んでいる財前だった。

 

「……お前、徳川さんを倒したんか?」

「まぁ、何とか。せやけど、アレ手ぇ抜いとる感じでしたね。でも、勝ちは勝ちですから」

 

ㅤ勝ったモン勝ち、そう言いますもんね。財前は薄く微笑んだ。

 

「ほな、お先に失礼しますわ。打ち合いたかったら、勝手にやっといて下さい。俺、今日は疲れたし」

 

ㅤポカンとする面々に軽く礼をし、彼はさっさとこの場を去っていった。勝利の余韻に浸ってる訳でも無さそうな、あっさりとした態度。

ㅤ財前光は一体どこへ向かおうとしているのか――白石はそんなことを考える。けれども、その答えはまだ誰にも分からない。

 




○木手永四郎
通称、殺し屋。2年時は変なリーゼントをしておらず、前髪をおろしていた。なんで髪型が迷走してしまったのか。ゴーヤを部員に食べさせがち。ブン太からは「キテレツ」と呼ばれている。

おすすめキャラソン:「Side by Side」…木手とブン太のデュエット曲。かなり悩んだが、「スパイダー」ではなくこっちを。あの君島・遠野ペアとの試合時についての曲。裏切りのこととかは無かったことになっていて、熱い少年同士の友情だけが描かれている。


○石田銀
師範、と呼ばれるほどの貫禄がある。108式波動球で、「テニヌ」の恐ろしさを世に知らしめた。特技は般若心経の暗唱。実家は寺でもなく、普通に大工である。

おすすめキャラソン:「浪速のソーラン節」…四天宝寺全員で歌ってる曲。明るくて多幸感があるので、元気になりたいときに聞いて欲しい。謙也・財前よりも小石川のパートが多い。


○徳川カズヤ
1日のスケジュールを細かく決めるほどに自分に厳しいが、弟が欲しかったのでリョーマのことを結構気に入ってる人。リョーガが登場してから、リョーマを取られたみたいでちょっと複雑らしい。

おすすめキャラソン:「SURVIVAL DESTINY」…もちろん、高校生にもキャラソンがある。ストイックな性格が歌詞にも表れている。とてもかっこいい。


○千歳千里
元「九州二翼」の一人。事故で右目の視力が低下してしまった後、四天宝寺に転校してきた。無我の研究をしているらしいが、その詳細は特にわからない。恐らくだが、この先も明かされない気がする。

おすすめキャラソン:「恋だなう」…お前はいつアイドルになったん?と聞きたくなるくらい、まっすぐな恋愛ソング。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Get sparks√.mp9

ㅤ最終回です。そのため、後書きがクッソ長いです。要約すると「新テニ読んで♡」ですので、物好き以外は読まなくていいです。


ㅤ金太郎から譲り受けた子犬を飼い始めた財前光で走るRTA、はーじまーるよー!

 

 

ㅤオッハー!!!!! 寝る前にシンジャエールを飲んだので、目覚めも心なしか最高です。元気よく行きましょう。

ㅤ画面に「入れ替え戦」の相手が出るので確認します。……うわ、ダブルスですね。シングルスばっかやってたからでしょう。こっちの事情も考えてよ。

 

2番コート:財前光・金色小春 vs 3番コート:真田弦一郎・海堂薫

 

ㅤうーん、この謎采配。不二と河村を組ませまくった、スミレちゃんのトンチキオーダーを思い出します(暴言)。

ㅤあと内部演算の問題なんでしょうが、真田と海堂のコート階級下がってますね。かわいそう。

 

「――おい、財前! ちょっと小春と組めるからって調子乗るんやないぞ! あと、単純に羨ましい! いてこます!」

 

ㅤユウジがなんか叫んでも全部無視です。ムカつくので、小春の肩でも抱いてやりましょうか。大丈夫やで、俺がどんな時も守ったる。

 

「ひっ、光きゅん……♡」

「コラ、誑かすな言うたやろ!」

 

 はい、試合突入です。

ㅤ今回は、こちらが後攻です。真田と海堂、どちらを狙っても良いんですが……真田を狙いましょう。これは木手と同じような理由で、真田には「雷」があるのでボールに追いついてくれるんですね。

 

「敗北の淵へ案内してやろう!」

 

ㅤあっ、このセリフ言ってる時にKOしちゃった……。まぁ、良いでしょう。自問自答の可能性もありますし。

ㅤなんか、図らずも立海メンバーを3人も倒してしまいましたね。強いからポイント多く貰えるし、癖があるから倒しやすいという理由はありますが、この偏り具合は反省したいです。

 

ㅤ気を取り直して、練習をすることにしましょうか。これでラストなので、一つ一つの動作に心を込めましょう(なおスキップ)

ㅤようやく、カリスマが5に辿り着きました。伸び率を計算していたとはいえ、やはりドキドキしましたね。失敗してたら終わりなので。

 

ㅤこの後、一軍帰還イベントがありますけれども、全部スキップです。試合パートもやりたくなければ、スキップ可なのでもちろん飛ばします。ここが省略できる為、少々苦労して徳川を倒した訳ですから。

 

ㅤそのまま飛ばせるだけ飛ばすと、ラストのイベント――代表発表が開始します。

ㅤ急に合宿所上空にセスナが飛来し、テニスボールが降ってきます。その後、機体はこ↑こ↓に着陸します。中から登場するのは三船コーチ。

 

「……久しぶりだな、中学生ども――ワシがU-17日本代表監督、三船入道じゃい!」

 

ㅤ急な自己紹介に中学生達は皆ザワつきはじめます。

 

「何や、あの汚いおっちゃん監督やったんかぁーっ!」

「あかん! アタシ、失礼な口きいてもうたわ〜!」

 

ㅤ普通、あんな呑んだくれのオッサンが監督だとは思いません。

 

「そんなお前らに、伝えたいことがある!! 国際テニス協会の若手育成の目的のもと……今回のU-17W杯は特例として――各国中学生チームの参加が認められた!」

 

ㅤこれもうわかんねぇな。

ㅤルール変更なら、もっと早く告知すべきだと思いますが……そんなことは気にしてはいけません。テニスで世界と戦える。大事なことはそれだけなのです。

 

「ワシは裏山のモニターで、お前らの能力!精神力!伸び代を見ておったんじゃ。そして、コーチとの相談のもと、世界と戦う中学生日本代表を決めた……今から、その14人を発表する――」

 

ㅤ三船コーチは、折り畳んだ紙を取り出します。

 

「キャプテンは――」

 

 

 

 

 

 

 

「――財前光!」

 

ㅤ計測終了です!!!!

ㅤタイムは「1時間2分33秒15」! 新記録を打ち出しました! ここまでお付き合い下さった皆様、ありがとうございます!

ㅤこのあと、以下13人の代表も発表されていきます。

 

「代表は強い奴から選ぶのみ……それが日本の夜明けじゃ!」

 

ㅤいや〜走り切りました。本編では有り得ないゆえに、非常に感動しております。財前が今後見せるであろう勇姿を見ることが出来ないのは残念ですね。ここでゲームは終わってしまうので。

 

ㅤエンディング曲もあるのですが、この曲あんまり好きじゃないので「テニプリっていいな」に差し替えておきますね。原作者の創造神たしけが歌っています。聴いてください(ダイマ)。

 

ㅤ総括すると……このゲーム、やっぱりRTA向きじゃなかったのだろうなって思います。テニプリで一番大事な「エピソード」を殆どすっ飛ばしてますからね。あと、乾汁が便利でした。

 

ㅤそして、財前光……散々な扱いしてゴメンね。

ㅤとはいえ、「テニプリ三大何だったのかキャラ」だの「イキリ倒した挙句手塚に負けた男」だの「腐女子人気で生き残った」だの……もう既にメチャクチャな言われようですからね。この実況を通して、彼のことを好きになってくれる人が、1人でも居てくれたら良いなと思います。

 

ㅤ財前にあって、手塚にはもう無いもの――それは「来年の全国」です。

ㅤ彼はまだ2年生で、次代を担っていくことが出来る。金太郎と一緒に四天宝寺を背負って戦い、先輩が掴むことが出来なかった優勝を果たして欲しいと思います。来年はてっぺん取ったる四天宝寺!

 

ㅤそれでは、本当にこれで最後です。改めて、皆様ご視聴本当にありがとうございました! また、いつかのシリーズでお会いしましょう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜エピローグ〜

 

 

ㅤ代表選出終了後、財前は白石達の方へ振り向く。キャプテンに選ばれるのは予想外だったが、代表に選ばれることは分かっていた。何故なら、それだけのことをしたからである。

 

「……どうでした? 結構、マジメやったでしょ」

「へ?」

 

ㅤ財前はポケットからスマホを取り出し、急に大音量で音声を流しはじめた。「ドッキリ大成功!」の言葉とともに、軽快な音楽が流れる。

 

「……?」

 

ㅤどう反応を返せばいいか戸惑う四天宝寺レギュラー達。一体、何がドッキリだったのかもよくわからない。

 

「ユウジ先輩にこの合宿、連れてこられて……流石に『めんどい』が理由でサボったんは、やっぱアカンかったかな思うて。反省したんすよ、俺は。そしたら――」

 

ㅤ真面目に取り組んでみたはいいものの、明らかに皆が心配そうな素振りをしている。最初は理由が分からなかったが、途中で答えに辿り着いた。

 

――先輩ら、俺がテニスでトラウマになった思うとる……!

 

ㅤその事実に気づいたとき、彼は決意したのだ。もっと、ビビらせてやろうと。その為だけに、夢中でテニスに取り組んだ。

 

「えっ……財前は別に全国で悲しなったりしてなかったん?」

 

ㅤおずおずと、謙也が財前にそう尋ねる。

 

「してませんけど? もし、悲しんでたとしたら……まぁ、先輩らの不甲斐なさにっすわ」

「うわ、腹立つぅ」

「いつも通りやん、心配して損した!」

 

ㅤギャイギャイと騒ぐのは、謙也とユウジ。彼らが一番最初に「財前のこと心配や!」と言い出したので、何だか恥ずかしくなってきたのだ。

 

「……えっ、じゃあ。あの熱湯風呂も実は死にかけたフリなん?」

 

ㅤ財前を部屋まで担いで帰った時、実は起きていたのだろうか――白石はそんな疑問を抱き、直接彼にぶつける。

 

「いや、あれは普通にブログのネタで入ったんすよ。せやけど、1回目普通にすぐ逆上せて。おもんないから、もう一回挑戦したんすけど……普通に無理やった」

「ホンマにブログのネタやったんかい!」

「すごい! 蔵リン、バッチリ当ててもうてるやないの!」

 

ㅤ小春も驚いた声を上げる。無理もない、あの時点で白石は完全に的を射ていたのだから。

 

「アホやなぁ〜! アレ入り方、コツあんねん! 勢いよく入ったらアカン、今度入り方教えたるわ!」

「いや、もう入りたないです。二度死にかけたんで、それでネタなりましたし」

 

ㅤ合宿終わったら、熱湯風呂はブログにしますわ。財前はそう続けた。

 

「せやけど……無茶したら流石にワイらも心配するんやで、財前はん」

 

ㅤ銀の言葉には、彼も素直に「すいません」と謝った。

 

「ばってん、良かったばい。テニス、好きじゃなくなっとらんで。なぁ、金ちゃん?」

 

ㅤ千歳が金太郎にそう話を振ると、彼はパッと顔を輝かせた。

 

「財前、また試合しよな! 強うなっとるから、メッチャ楽しみや!」

「……ま、考えとくわ」

 

ㅤふい、と顔を逸らして、そう答える財前。

 

「……それで、これもブログのネタにするん? アタシのことは、すっごくキュートに書いてくれへんと。お願いやで♡」

 

ㅤしなを作りながら、小春が財前に擦り寄る。ユウジが血相を変え、急いで2人を引き剥がした。

 

「別に……しませんけど。流石に合宿のこと細かくネットに上げられんでしょ」

 

ㅤ金太郎以外の面々が顔を見合わせる。アクセス数の為でもなく、こんなことをしでかしたということは……単に財前は皆と思い出作りをしたかったということである!

 

「なんや、かわええとこあるやん!」

「お前のそういうとこ、嫌いやないで!」

「先輩驚かせよって!」

「来年は頼むで!」

 

ㅤ皆は口々に好き勝手話し続ける。うるさくて言葉通りに伝わらなくても、気持ちは伝わる筈だから。

 

「なんやよう分からんけど……えぃやっ!」

 

ㅤ金太郎も高く跳びあがり、財前の肩に掴まりよじ登る。「ちょ、やめぇや!」と言いながらも、肩車させたまま彼は笑っていた。

 

 

 

 

 

 

「……ほな、これからの四天宝寺はお前に任せたで。よろしくな、財前」

 

ㅤその日の夜。白石は次世代へのバトンを渡すべく、外に財前を呼び出した――。

 

 

 

「――は? なに気安く『財前』って呼んどるんですか。これからは、『キャプテン』って呼んでくれんと」

「お前はそういう奴やったわ」

 

ㅤ肩を竦めて、白石はそっと苦笑した。

ㅤ初めて出会った時から、財前光は何も変わらない。生意気で、口が悪くて、誤解されやすい少年。でも、それも彼の個性だ。

 

「せやけどな、お前のそのキャラ……やっぱオモロかったで」

 

ㅤ来年の四天宝寺は、どのようなチームになるのだろうか。きっと、今とは何もかも変わってくるだろう。それを見る日が楽しみだった。

 

「じゃあ、また明日な。……財前『部長』」

 

ㅤそう言い残し、返事も待たずに白石は立ち去る。

ㅤ後ろから、小さく「今までありがとうございました」という声がした。

 

「……こちらこそ、おおきにな」

 

ㅤ一度振り返って、彼は大きく頷く。向こうもまた、こちらを真っ直ぐ見つめて頷き返す。

 

ㅤこの瞬間、新しい時代へとバトンは受け渡されたのだった。

 




ㅤ行き当たりばったりで考えはじめたのですが、何とか形になってホッとしています。一話の時点では、ラストのことはあんまり考えていませんでした。瞬瞬必生というやつですね。醜いな……。
ㅤ財前光を走者に選んだ理由は、新テニをRTAに落とし込む時に一番上手くいきそうだったからです。走者としては財前推しっぽい言動でしたが、私の推しは忍足謙也です。でも、書くのが一番楽しかったのは、ユウジ・小春のラブルスコンビでした。

ㅤ忍足謙也は新テニでは、ほぼ活躍しません。
ㅤ従兄弟である侑士は日本代表に昇格しましたが、謙也の出番はあり得ないでしょう。なぜなら、高校生に加治風多(かじかぜな)という完全なる上位互換キャラが存在するからです。
ㅤまた中学生内でも、人智を超えたスピードでの移動を可能とする「雷」を持つ真田弦一郎、神経伝達のスピードを限界まで速める技「光風」を持つ不二周助などがいます。スピードだけの彼に、出番は望むべくもありません。
ㅤけれども、白石蔵之介の持つ「星の聖書(スターバイブル)」は、ステータスを一時的に偏らせて、最大レベル7相当の能力を発揮させる技です。
ㅤそこには、全てがあります。謙也のスピードも、銀のパワーも、千歳のテクニックも……全てが。「一番強いヤツが皆の期待を背負って戦い、最後には勝つ」という四天宝寺らしさこそが、新テニで出された答えなのだと思います。

ㅤテニプリ作品は、Pixivで幾つか書いていました。今回RTA風小説に挑戦するのでハーメルンを選びましたが、新テニは1作品もなくて少し心配でした。ですが、結果的に多くの方に見て頂けて良かったです。ありがとうございます。
ㅤそして、結構色々なキャラをKOしまくりました。普通に申し訳ないなと思います。跡部様もKOしたいな……と一瞬思ったりもしましたが、怖いのでやめました。あと、跡部様のおすすめキャラソンは「チャームポイントは泣きボクロ」です。間奏で氷帝コールが出来ます。
ㅤ悔やむべきは、作品の構成の問題で高校生キャラの魅力を伝えきれなかったことです。しかし、彼らは登場して歴史も浅いので、よく知る為にも原作を読んで欲しいとも思います。私のお気に入りは、キミ様(君島育斗)で、おすすめキャラソンは「キミとParty night」です。

ㅤ新テニスの王子様――この作品は、技の一部分だけを切り取られて「作者もウケ狙いで書きはじめたのでは?」と言われることもあります。ですが、流れで読むと「熱いテニスの試合を突き詰めているだけ」だと分かるのです。中学生も高校生も純粋に「勝ちたい!」と願って、世界への戦いに身を投じています。
ㅤ新テニ、本当に面白いです。機会があれば、是非お手にとって欲しいと思います。

ㅤ最後に。拙作「新テニスの王子様最速RTA U-17日本代表中学主将ルート」を読んで頂いた全ての皆様にお礼申し上げます。少しでも楽しんで下さったのならば幸いです。ありがとうございました!



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。