原作を半分無視して進めるダンボール戦機 (ノヴゴロト)
しおりを挟む

物語の始まり

 今見ている視聴者諸君初めまして「山野バン」だ。

俺の名前を聞いて大体察した人達も多いと思うがそう、いわゆるラノベとかでよくある転生者だ。

 

 

で、その舞台がLevel5の『ダンボール戦機』っていうゲームの世界だったというわけだ。

 

 

「おーいバン、おせーぞ!」

 

「わりぃ、今週のLマガ読んでたら遅れたわ」

 

 

原作でもバンがお世話になっていた『北島模型店』に入ると同じクラスメイトの『青島カズヤ』と『川村アミ』が店の中で待っていた。

 

「げ、今日発売だったか、忘れとったわ…」

 

「だと思ってもう一冊買ってきたぞ」

 

「まじかサンキューなバン!」

 

 

この騒ぎを聞き付けた北島夫婦がLBXの入った箱を持ってきた。

 

「よっ、みんな集まっているな」

「あっ、店長、こんにちは」

「おおバンか、こっちきてみろ。おもしれぇモノがあるんだ」

 

そう言われ三人が寄ると店長が見せたのは白をメインとしたナイトフレームのLBXのパッケージだった。

 

 

(…ついに始まるのか)

 

 

バンはその時目にしたのは

 

 

─『アキレス』と言う名のLBXだった。

 

 

その時バンの心臓は大きく跳ね上がった。

 

 

「新型のLBXだ」

 

「白いLBXフレームか!イケてんじゃん!」

 

「白を基調とした機体なのね、ステキ!」

 

 

「どうしたんだバン、なんか今日は反応がうすいな」

 

「いや、Lマガの新製品情報になかったなーっておもって」

 

「確かにそうなんだよなー、問屋から新製品だと言って回ってきたんだが、どのカタログにも載ってないんだ…」

 

(まあ主人公が使うものだからな)

 

「ていうことは一点物っていうことなの?」

 

「まあそうなるかもしれんな」

 

「…ちょっと欲しいと思ったけどナイトフレームかぁ…俺はいいかなぁ…」

 

 

バンは自分の手にあるLBXを見つめて言う。この世界である副業をしてお金を稼いで買っていたのだ。しかもスピード重視のストライダーフレームの『ジョーカー(通常カラーの白)』と言う癖の強いLBXだった。

 

「私もちょっと遠慮しておきます…」

 

「俺はちょっと欲しいかも」

 

 

カズがアキレスに興味を持った。

 

 

「でも今はお金が無いんだよなぁ…」

 

「じゃあまた今度だな」

 

 

そうしてしばらくアキレスについて話していたが

 

 

「で、今日もやるんだろ?LBXバトル」

 

「ああ、じゃあ気を取り直してバトルやろうぜ」

 

「「おー!」」

 

 

まず最初はバンとカズの戦いだった。

 

 

「今日はまけないぜ!」

 

「こっちだって負けないぞ!」

 

 

バトルスタート!

 

 

…その後も何回かバトルをしたが、バンがその度ボコボコにしていたのでカズは大分落ち込んでいた

 

 




 俺はモーレツにダンボール戦機がしたい気分だゾー!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

小さなマシンとの出会い

「さっきのバトル、楽しかったなー!」

 

(そいえば今日だったっけ、あの女の人にAX-00を貰うの)

 

バンが河川敷をブラブラ歩いていると白い白衣を着た女の人がやって来た。

 

 

「バン君…山野バン君…」

 

 

バンが声が聞こえた方に振り向くとその人はアタッシュケースを持ってこちらに来て河川敷の物陰につれてこられた。

 

 

「私は貴方にこれを届けに来た」

 

「これは?(知らないフリ)」

 

「これが世界を救う鍵になる」

 

「はぁ…」

 

「この中には希望と絶望の両方が詰まっているの。今は詳しい話は出来ないけども…!」  

 

 

土手の方から声が聞こえてきた。その声に弾かれるようにその女性と共に身を隠す。

 

 

「もう追っ手が…あれは私が引き付けるから貴方はそれを持って逃げなさい」

 

「はぁ…わかりましたこれを守ればいいんですね?」

 

「そうよ、じゃあまた縁が会ったらまた会いましょう」

 

『あ、見つけたっす!』

 

『逃がすんじゃないよ!』 

 

 

女性が身を出して土手へ駆け上がり橋の向こうへ走り出した。そしてそれを追う足音が聞こえ、だんだんその音が遠ざかっていく。

 

 

(確か原作の時はアタッシュケースを抱えていたけどこれの中身知っているから中身だけカバンに詰めて帰ればバレない気が…)

 

 

バンはその場でアタッシュケースを開き、急いでAX-00をカバンに入れてから出来るだけ違和感がないように早歩きで家に帰った。

 

 

 

 

 

 

特に何事もなく家に帰ったが、恐らくあの三人組が家の壁をレーザーで切って入ってくると思うので今のうちにAX-00のコアスケルトンに愛機のジョーカーのアーマーフレームを着けて前にガチャポンで出てく来た『ジョーカーズゾウル』を持たせておく。ついでにCCMもアタッシュケースに入っていた物を使わせてもらう

 

 

(さすがにコアパーツをいじる暇はないかな…)

 

 

その後も部屋でマシンを軽くチューニングしていると下のリビングから「ビー…」という音が聞こえてきた。

 

 

(やべっ、もうイノベーターの刺客がきたのか…!)

 

 

急いで階段を下りるとすでにちゃぶ台の上に三体の『デクー』が立っていた。

 

 

(まじか…来るの早すぎだろ、何でばれたんだ……まさかユーザー認証の時に名前でバレたからか…?)

 

 

「とにかくこいつらを倒さないと…」

 

 

バンは扉の影でバレないようにCCMを起動さた。

 

 

「いけ、ジョーカー!」

 

 

音を立てないように一番手前にいたデクーに近付く。そして一定の距離に近付くと一気に加速し、デクーの首を刈り取った。

 

 

「まず一体目…!」

 

 

仲間がやられたのに気付いた二体のデクーはあわててジョーカーに銃を向ける。

 

しかし、既にもう一体との間合いに入ったジョーカーは鎌を斜めに走らせデクーの正面装甲を真っ二つになった後、爆発した。

 

残り一体になった所でデクーはジョーカーを捉え、銃で攻撃した。当然ジョーカーは跳んで避けるが、運悪くバンの母さんのお気に入りの洋酒が被害を受けた。

 

 

「あいつ…!よくもやったな!」

 

 

後で怒られるのは確実になってしまったバンは更に被害を増やさないために一直線にデクーに向かい、鎌を上から下に振り下ろし、真っ二つにした。

 

 

「ふぅ……とりあえずリビングを何とかするか…」

 

 

バンが一息ついて部屋の証拠隠滅に取りかかろうとしたところでドアの音がなった。母さんが帰ってきたのだ。

 

 

「ただいまー……てバン、あなたまさか……!」

 

「母さん、これには深いわけが……」

 

「黙りなさい!バン、こんなところでLBXを動かして…」

 

 

その後も母さんの説教は続き、夕飯は抜きでデクーに割られたお酒もおこづかいから天引きされるはめになった…

 




 バンがジョーカーを使っている理由はただ単に自分がジョーカーが好きだけです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

偽物のプリペイドカード

 デクーが襲撃してきた次の日、家の前でリュウとバトルした後キタジマに行くと原作どうり郷田ハンゾウと三人衆が店から出てきた。大方アキレスを偽物のプリペイドカードで買いに来たのだろう。 

 

 

「あっ、郷田先輩お久しぶりです」

 

「おお、バンじゃねえか」

 

「リーダー、こいつと知り合いなのかい?」

 

 

郷田の後ろにいた郷田三人衆の一人『矢沢リコ』が郷田に聞いた。

 

 

「お前ら知らねえのか?『白い死神』だぞ?」

 

 

バンはLBXが禁止される時よりも前に初めていたし、前世の知識で知った『アングラビシタス』によく出場しているのでいつ頃かは知らないがジョーカーを使い相手のLBXを破壊する様から『白い死神』の異名をつけられることとなったのだ。

 

 

「えっ、まじで!?」

 

「アングラビシタスの時に何回か郷田君が戦ってただろ?」

 

「リコ殿は覚えてないでごわすか?」

 

「そういえば確かにいた……ていうか前にアタシのクイーンを破壊したヤツか!」

 

「矢沢先輩のクイーンの頭、家で飾らせてもらっています!」

 

「いやかえせよそれ!」

 

 

五人の会話が少し続き、郷田がバンに聞いた。

 

 

「バン、これからスラムでバトルしにいかねえか?」

 

「すいません。これから友達との用事があるので…」

 

「そうか、悪かったな」

 

「いえ、また今度バトルしましょう!」

 

 

そして四人と別れたバンはキタジマにはいる。

 

 

 

──五分後──

 

 

 

バンが暇潰しにコアパーツを弄っていると店のドアが開いた。そこには原作では来ていなかったカズの姿もあった。

 

 

「お、バンいんじゃん!」

 

「バン、今日は早いのね」

 

「ああ、昨日は遅れたからな」

 

「おっ、三人とも集まったのか」

 

 

そこでちょうど店長がカウンターに来た。

 

 

「店長、俺アキレスを買いたいんだけど…」

 

 

そう話かけたのはカズだった。本来はアキレスはバンが郷田と戦う時に手に入れるのだか、当の本人はナイトフレームを使わないのでカズが買おうと思ったのだろう。

 

 

「そうかそうか、紗希、アキレスを持ってきてくれないか?」

 

「え、今朝売れたわよ」

 

「「え?」」

 

「すまんなカズ」

 

「いえ、売れた物は仕方な…」

 

「あー!?これニセモノだー!」

 

(いや、気付くのおそすぎるだろ…)

 

 

そのプリペイドカードは見た瞬間分かるような作りであった。

 

「おいおい!これ一目でニセモノってわかるぞ」

 

「うわ…」

 

 

さすがにノーリアクションは不味いので原作どうりのセリフを言う。

 

 

「紗希さんてば…」

 

「ごめーん。朝早くて眠かったからさ」

 

「これって結局ドロボーよね?」

 

「まったく……。持ってったのはどんなヤツだった?」

 

「えっと……確か……四人組だったかな(多分郷田先輩だな)」

 

「…もしかして店の前ですれ違った連中ですか?」

 

「そう、それと……一人は『郷田君』って呼ばれてた」

 

(はいビンゴー!原作どうり!まじで先輩いつか少年院行きになりそう…)

 

 

ほぼわかりきっていたバンを除いて二人は驚いていた。

 

 

「郷田!?」

 

「うちの学校の番長じゃねえか!」

 

「ばんちょお?」

 

「……今時、番長かよ……」

 

「…取り戻そう。買い取ったならともかく、相手はニセモノのプリペイドカードを使ったんだ。そんなことは許されない」

 

「……バン、相手が悪い、今回ばかりは諦めろ……」

 

 

バンは取り戻そうと提案したが、カズは原作どうり反対した。

 

 

「カズはアキレスを買いたかったのでしょ?それなのにニセモノのプリペイドカードを使って持ってかれてくやしくないの!?」

 

 

アミが結構心を抉ってくる言葉をカズに投げ掛ける。

 

 

(アミの言葉って結構傷つくんだよなぁ……あれわざとだったら天才だよ……)

 

「……ヤツの機体は『地獄の破壊神』って言われている」

 

「アイツに睨まれたら持っているLBXは必ず破壊される……って有名だ」

 

 

実際そのとうりでミソラ中の中だけでもかなりの数が破壊されているらしいが、バンはよく郷田とバトルしているし、そもそもバンも裏ではそこそこのLBXを破壊しているから人のことはあまり言えない。

 

 

「……いつの時代になってもそういうヤツはいるのか……」

 

 

店長が一人黄昏ているがみんな無視してそれぞれ頭を悩ませている。

 

 

「地獄の破壊神、郷田ハンゾウか…」

 

「郷田は、学校にもあまり来ないらしい…」

 

「カズも一緒に探そうよ」

 

「だから相手が悪い。諦めろバン」

 

 

そう言い、カズは悔しい顔をしながら店を出ていった。

 

 

「カズ…」

 

 

バンは店を出ていったカズの影を見ているが、アミはCCMを取り出して目を見開いた。

 

 

「バン!もうすぐ学校が始まるわよ!」

 

「え!?なら早くいかないと!……まさかカズ、わかってて出てったな!」

 

 

さっきは同情したが、今はカズを恨みジョーカーをカバンにしまう。

 

 

「バン!先にいくわ。間違って一階の三年生の教室に行かないようにね!」

 

「ちょっ、もう間違えないって!」

 

 

二人が店から飛び出したあと店長は独り言を言った。

 

 

「バン、お前そんなことやってたのか……」

 

 




 なんか異名をつけたくなった。
『白い死神』って率直すぎるかな?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

物静かな女戦士

 


「ハァ、ハァ…何とか間に合った……」

 

「あの時CCMを確認した私に感謝しなさい…ハァ、ハァ」

 

 

何とか予鈴ギリギリで教室に入ることができた二人が入ってきた後に担任の先生が入ってきた。

 

 

「みんな!鐘の音が聞こえないの?早く席に着きなさーい!」

 

「先生、怒るとシワが増えちゃいますよ。お嫁にいけなくなっちゃ……」

 

「リュウくーん?君だけ宿題を倍にしてあげようか?」

 

「そ、それだけはやめて~」

 

 

リュウが調子に乗って先生に話すが、先生の権限には屈した。

 

余談だが、このような会話をほぼ毎日HRの度している。

 

 

「フフフ……さあ!授業を始めるわよ!みんな、席について!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……悪いな、バン。アイツはホントにヤバイんだって。俺は関われねえよ……」

 

 

 

 

 

 

◆放課後

 

 

 

「さーっ、郷田を探すわよ!」

 

「でも、探すといっても…」

 

 

アミは元気よく言うが、手がかりがないとそう簡単には見つからない。まあ、バンはどこにいるか大方検討がついているが。

 

 

「うーん、そうね郷田は三年生だから…」

 

「知り合いの小木先輩に聞いてみたら何か分かるかも…」

 

 

 

 

 三年生一組の教室に行ったが、肝心の小木先輩は見つからなかった。しかし、そのクラスのうちの一人がLBX関係の被害に遭ったらしく、話を聞いてみたらが…

 

 

「うちの弟ね……LBX壊されてすっかり落ち込んで……それでしばらく部屋から出てこないの。表に出るのも怖いらしくて……部屋の壁を見るたびに震えているの……私、郷田のこと許せない……!だからって、私がいってもやっぱりLBX壊されるだかだろうし。…はあ……どうしたらいいかな……」

 

「あの……ちなみに何で部屋の壁なんですか?」

 

「部屋の壁っていうか『白色』に反応するの……見るたびに死神が襲ってくるって……」

 

「」

 

(それ絶対俺のことやん……そういえば日曜日に俺と同じくらいのヤツのズールを粉々にしたなぁ……)

 

 

その郷田(バン)の被害に遭った先輩の弟の話を聞いていたアミが憤慨していた。

 

 

(あの弟のLBX壊した犯人が俺だなんて口が裂けても言えない……)

 

 

その後、小木先輩にあったが、恐らく既に郷田(本物)に破壊されたことを知り、アミの怒りのゲージは更に上がっていった。

 

 

「そう言えば『地獄の破壊神』って『ミカ』がそんなヤツの話をしてたっけ」

 

 

とつぶやいた。アミはそれに反応して迫るように聞いた。

 

 

「ミカって……うちのクラスのミカのこと!?あの子今どこにいるか知ってる?」

 

「ゲ、ゲームセンターかな……この時間ならミカはいつもそこだと思うけど……デヘヘへ。」

 

 

少し気味が悪い気がするが、しっかり何処にいるか教えてくれた。

 

 

「バン行きましょ!」

 

 

 

──ゲームセンター──

 

 

ゲームセンターに入ると少し人がいたが、元々中学生で背が低いのですぐに何処にいるかわかった。

 

ミカはゲームと同じような青と黒のシマシマのパーカーで胸にドクロのワンポイントがついており、ツインテールの髪を青のリボンで結んでいた。

 

 

「何か、用?」

 

「ミカ、郷田って何処にいるか知らない?」

 

 

原作ではバンが聞いていたが、今回はアミが聞いた。

 

 

「……知ってるよ」

 

「ええっ!?」

 

「ほら!俺のいったとうりだろ!?ねっ、アミちゃん!」

 

「静かに!郷田って、何処にいるの?」

 

(うわキッツー、何でアミってリュウには厳しいんだろう?)

 

 

二人の後ろでリュウは少し涙目になっているが、アミは気にしていない様子だ。

 

 

「LBXバトル、勝てたら、教えてあげる」

 

 

原作のセリフどうりにミカが言ってくる。

 

 

(これは流れ的にアミが戦う事になるな……)

 

「バン、絶対勝ってね!」

 

「え!?流れ的にアミが戦うんじゃないの!?」

 

 

何か強制的に俺がミカと戦う事になってしまった。

 

 

「…準備はいい?」

 

「ああ、もちろん」

 

「じゃあ、始めるよ」

 

 

 

 バトルスタート!

 

 

 

草原のフィールドで最初に動いたのはジョーカーだった。

 

まずは鎌の間合いに近づくために『クイーンズハート』で牽制しながら走って近づく。

 

 

「……貴方の動き方は知っている……」

 

 

しかし、アマゾネスはジョーカーに近づかないように後ろを向きながらオートマチックガンを撃つ。

 

 

(コイツ……何で俺のプレイスタイルを知っているんだ!?)

 

 

ミカはどうやら俺の動き方を知っているらいので、急遽変更してリボルバーから鎌にも持ちかけて全力で接近する。

 

 

「しまっ……」

 

 

ミカが衝撃を受けている間に既にジョーカーは間合いに迫っていた。

 

 

「これてどうだ!」

 

「くっ!」

 

 

しかし、アマゾネスは槍に持ちかけており、『ハードバックラー』に持ちかけて盾で防御した。

 

しかし、二連発に耐えるほどのバランスは持ってないようであり、ガードが崩れてダメージをくらってしまい、そのまま流れるように攻められ、ブレイクオーバーし、バンが勝った。

 

 

「…負けちゃった……」

 

「…体育館裏、あそこ、たまり場」

 

 

ミカの言葉に反応したのはリュウだった。

 

 

「ゲッ!まさか、スラムの事かよ!?」 

 

「スラム?」

 

「アミちゃん知らないのかよ。ミソラ二中の体育館裏は無法地帯……一歩足を踏み入れたら最後無事に帰ってこれないことで有名なんだぜ……」

 

 

しかし、アミはリュウの言葉にたじろがず、平然としたようすだった。

 

 

「ふーん、番長の居場所にはピッタリね。」

 

 

「なら、行こうかアミ、リュウ」

 

「ええ!」

 

「オ、オウ」

 

「ちょっと待って」

 

「えっ?」

 

 

原作にはないはずのミカの言葉が続いた。

 

 

「バン君、と少し、話したいことが、ある」

 

「バンと?いいけど…」

 

「なら、来てバン君…」

 

「えっ、ちょっと…」

 

 

ミカに手を引かれてゲームセンターの奥の方に連れていかれる。そこでミカから驚きの言葉が出た。

 

 

「貴方…『白い死神』よね?何で郷田さんと知り合いなのに二人と一緒に探しているの?」

 

 




 戦闘シーンって言葉にするの難しい……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

スラムの死神

 バンは驚いた。基本的にバンはミソラタウンで活動しているのではなく、アキバの裏通りで活動している。

 

『白い死神』という少し恥ずかしい異名は郷田の『地獄の破壊神』やこれから先に出てくる仙道の『箱の中の魔術師』とかと比べるとアキバやアングラビシダスを除いてマイナーな名前だからだ。

 

だからまさかミカが知ってるとは思っていなかったからだ。

 

 

「……どうして俺の事が『白い死神』ってわかったんだい?」

 

「前々から『白い死神』が貴方だっていうことは分かっていたけど、その一見普通のジョーカーだけどをその動きを見て確信したの…」

 

「俺って、そこまで有名だったっけ?」

 

「学校ではそこまでだけど……マニアには郷田さんよりも有名……『白い死神』の素顔を知っているのはごく一部だけだから……」

 

「そ、そうだったんだ……」

 

 

衝撃の事実を知ってしまった…

 

 

「それで貴方に頼みたい事があるの……」

 

「な、何かな?」

 

「今度、ハンマーの取り回し方を教えて欲しいのと……」

 

 

ミカがバンに正方形の厚紙とサインペンをバンに渡した。

 

 

「ここにサインを書いて欲しいの」

 

「まさか……『白い死神』って……!?」

 

 

バンの言葉に対し、首を縦に振った。

 

 

(まじで!?そんなの書いたら間違いなく黒歴史化まちがいなしなんだが!?)

 

「だめ……なの……?」

 

(断り煩い……)

 

 

ミカの目がうるうるしているのを見て余計に断り煩くなってしまったバンは仕方なくサインを書いた。

 

 

「はい……絶対他の人には俺のこと言うんじゃないよ……」

 

「ん、わかった…」

 

 

ミカが紙とペンをしまった。俺の黒歴史が……

 

 

「じゃあ、戻ろうか…」

 

 

 

 

 

 アミとリュウと合流してからゲームセンターを出たところでリュウがアミに話した。

 

 

「なあ、マジで行くのかよ。ちょっと今日はLBXのコンディションが悪くてよ……」

 

(コイツ……今さらチキりやがったな……)

 

「何いってるんだよ。授業中に追尾機能が五倍になったって言ってたじゃないか」

 

「う…、そ、それは……」

 

「まったくもう……」

 

(うちのチームの紅一点があきれているぞ……それでいいのかリュウ……)

 

「でもバン、リュウみたいにちょっと戦力が不安だったらキタジマ模型店でバトルの準備をしていきましょう」

 

「…確かにそうだな」

 

「な、なんだよ…俺が役にたたないっていうのか…」

 

「いや、そういうことじゃないけど……」

 

 

 

 

 

 

 

──スラム入り口──

 

 

「……なんでミカもいるの?」

 

 

なぜか本来同行していないはずのミカがバンの隣にいた。

 

 

「何か問題でも?」

 

「いや、そういう訳では…」

 

「いいじゃない。今は一人でも仲間が欲しいし」

 

 

そう言い、アミはすたすたと門に向かって歩きだした。それに続いてバン、ミカと続くがリュウは少し躊躇っていた。相変わらずの男勝りな女の子である。

 

 

「早くしないとおいてくわよー!」

 

「ちょ、ちょっとまってくれよー!」

 

 

 

 

 

──五分後──

 

「全然人がいないわね……聞いていたのと違うわね……」

 

「な、何か不気味だよな…」

 

 

スラムに入ってから少し時間がたったが、全くバトルを挑まれない。噂では速攻でバトルをさせられてLBXを破壊させられるのだが、その相手すら来ないのだ。

 

アミの後ろでこっそりとミカが耳打ちしてきた。

 

 

「…もしかして貴方がいるから勝負を挑んで来ないのでは…?」

 

「…間違いなくそうだろうね」

 

 

あれからミカとはかなり打ち解け、バンとだけは普通に話しかけてくるようになった。アミは少し不服そうな表情をしていたが。

 

少し進んだところで道の奥の方で普通なら聞き逃すほどの小さな声が聞こえた。

 

 

「おい、あいつら『白い死神』と一緒にいるぞ!?」

 

「ヤバい、早く隠れろ!」

 

 

…俺ってそんなに恐れられていたんだな

 

 

「…?今人の声がしたような…」

 

「き、気のせいじゃない?」

 

アミがあの小さな声を拾ったことに少し焦ったが、何とか誤魔化す事に成功した。

 

 

そのまま先に進むと少し広い空間に出た所で郷田三人衆が待ち構えていた。

 

 

「ここはアンタ達みたいな優等生が来るところじゃ……ってなんで……」

 

「お前たち、郷田の仲間だな!?」

 

 

バンは異名がばれないようにごり押ししてバトルをすることに決めた。バレたら一生バカにされる自信があるからだ

 

 

「俺達とバトルするためにここで待ってたんだろ!?俺達がこのバトルに勝ったら郷田の居場所を教えて貰うからな!」

 

「ちょっ、まだ自己紹介が…」

 

「レギュレーションはアンリミテッドだ!」

 

「わ、わかったからそんなに急がせるな!は、早くギンジこい!」

 

「はいはい、わかっ……って何でし……」

 

「お前も敵か!よし、バトル開始だ!」

 

 

とにかくごり押してさっさと終わらせることに決めた。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

郷田三人衆との戦い

 俺は話を反らし、バトルを始めるためにポケットからDキューブを取り出した。中身は原作と同じ沼地のジオラマだ。

 

 

「さあ、バトル開始だ!」

 

 

 

 バトルスタート!

 

 

「俺はクイーンを相手するからアミとミカはナズー、リュウはマッドドッグをお願い!」

 

「「「わかった(わ)(おう、)」」」

 

「ちっ、あいつなに急いでいるんだい!テツオ、ギンジいくよ!」

 

「おうでごわす!」

 

「俺達と戦かったのを後悔させてやるよ、クヒヒヒ!」

 

 

まず矛を交えたのはクノイチ、アマゾネスとナズーだった。

 

 

「いくわよ、クノイチ!」

 

「無駄でごわす!」

 

 

クノイチが連続攻撃を仕掛けるが、そのすべてを避けられる。

 

 

「そこ…!」

 

「それも想定内でごわす!」

 

 

アマゾネスの槍の攻撃も避けるを繰り返しがしばらく続いたが、ナズーからの反撃が始まった。

 

 

「行くでごわす!」

 

 

ナズーの重い両腕の攻撃がクノイチを襲う。しかし、クノイチもそれをしっかり避けていく。

 

しばらくこの攻防戦が続いたが、ナズーは二人から離れていった。

 

 

 

バンとクイーンは三人が戦ってからすぐあとに戦闘になった。

 

 

「く、すばしっこいやつめ……」

 

「ほらほら!そんなんじゃ当たらないよ!」

 

 

三人の熾烈な攻防戦が繰り広げられているが、こちらはジョーカーが優勢だった。

 

 

「くらえ!」

 

 

ジョーカーが一気にクイーンに接近し、銃をリロードしている間を狙った。

 

クイーンは右腕の間接部に鎌の重い一撃をもろにくらい、動きが鈍くなった。

 

 

「まず一人目!」

 

 

ジョーカーはクイーンを完全に仕留めるために鎌の柄の部分でクイーンを浮かせてから必殺ファンクションを使った。

 

 

「必殺ファンクション!」

 

 

 アタックファンクション!

   

   ボルトスパイク!

  

 

クイーンは電気の釘を打ち込まれ、地面に叩き付けられたのと同時に破壊された。

 

 

「アタシのクイーンが!」

 

 

バンとリコの戦いはほぼ秒殺といっていいほどあっさり終わったが、原作どうり、リュウのLBXはかなり追いやられていた……

 

 

「オレのブルドがー!」

 

 

姿が見えないマッドドッグに振り回されて上手く斧を使えずに後ろから爪で背中を切られてブルドのパーツが爆発と共にバラバラに散らばった。

 

 

「……おれ、もうかえる」

 

「リュウ!」

 

「こんで痛み分けと言ったところか」

 

「ギンジ、すまねぇ。あのジョーカーめっちゃ強いから気をつけて…!」

 

「ああ、わかってるさ……」

 

 

ギンジはバンを睨み付ける。

 

 

「オレのマッドドッグを見つけることは出来るかなぁ!?」

 

 

そうしてマッドドッグは森の中に身を潜めるように姿を消したが……

 

 

「バレバレだよ、いけ、ジョーカー!」

 

 

バンは速攻で見つけ出し、マッドドッグを森から叩き出した。

 

 

「くそっ、やっぱつえぇな!」

 

「そんなこといってる場合か!?」

 

 

マッドドッグとの距離をすぐに縮めてそのまま鎌を振り下ろすが避けられた。 しかし、その後の蹴りでマッドドッグはバランスを崩すことになった。

 

バンはそれを逃すはずもなく、そのまま鎌を横に振りマッドドッグの胴体を切り裂き、そのまま爆発した。

 

 

「あとはおいらだけでごわすか……」

 

 

テツオはもうほぼ諦めモードになっていて、そのまま普通にアミが『旋風』でファイナルブレイクして終った。 

 

 

「ちっ、やられた!」

 

「やったわね!」

 

 

三人衆はかなりショックを受けているようだった。

 

 

「まさか俺達が負けるなんて…」

 

「郷田君に知られたらただじゃすまないでごわす…」

 

「いや、あれのことを言ったら許してくれると思うけどな……多分」

 

「と、とにかく、引き上げるよ!」

 

 

三人衆は奥へ走って行こうとしたが、アミが止めた。

 

 

「待って!郷田の居場所を教えてよ!」

 

「やだね、地獄の破壊神にやられちゃえばいいんだ!」

 

 

そう吐き捨ててリコも遅れて走っていった。

 

 

「追いかけるわよ!」

 

「ああ!」

 

「わかった…」

 

 

リュウが抜けて残りの三人は更に奥へ進むことになった。

 

 




 戦闘シーンって結構考えるんだよなぁ…


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

原作との分岐点

 バン達が郷田がいる部屋へ向かっている間に後ろから「タンッ、タンッ」と足音が聞こえた。

 

 

「二人とも、後ろから誰かが来る…」

 

「リュウが戻ってきたんじゃない?」

 

 

しかし、アミの予想とは裏腹にやって来たのはカズだった。

 

 

「さっきリュウがスラムから走って出てきたけど…お前らマジで郷田に会いに行くのか…」

 

「カズ!」

 

「来てくれたのね!」

 

「アキレスを買いたい俺は行かずにお前らが郷田と戦いにいくって言うのは変だろ?」

 

「なら、一緒に行こう!」

 

「そいえば何でミカがいるんだ?」

 

「…少し、心配だから」

  

「カズも来たことだし、郷田からアキレスを取り返すぞ!」

 

「「「おー!」」」

 

 

 

 

 

 

 カズが合流してから階段を昇ってすぐに郷田がいるらしきアジトの前にたどり着いた。原作通り扉に「我道」と赤いスプレーでかかれていたのですぐにわかった。

 

 

「ここがヤツらのアジトか…」

 

「おそらく、そう…」

 

「いかにもボス部屋って感じね…」

 

 

鍵は閉まっておらず、中に何人かの人の気配がする。

 

 

「じゃあ、開けるぞ…!」

 

 

バンが扉を開けると郷田が木刀を片手に持ち、肩に『ハカイオー』を乗せ、仁王立ちして立っていて、郷田のまわりにはさっき戦った郷田三人衆の姿もあった。

 

 

「お前達か…」

 

「ッ!!」

 

 

アミとカズが身構えたので空気を読んでバンも取り敢えず身構える。

 

 

「俺のことをかぎまわっているっていう……一年は!」

 

 

郷田がこちらに振り向くとその手にはアキレスの箱を持っていた。

 

 

「まさか……」

 

「バン、ヤツだ。ヤツが……」

 

「そうだ。俺が郷田だ!!」

 

 

バンは時々郷田に会っているので馴れているが、こうして見るとなかなかインパクトがある。

 

 

(て言うか郷田…まさか俺達が来るまでずっとあの姿勢でまってたのか…!?)

 

「あいつが…郷田ハンゾウか…」

 

「…とりあえずアキレスを返してくれないか?」

 

「そうよ!キタジマ模型から盗んだアキレスを返しなさいよ!」

 

 

バンとそれに便乗したアミがアキレスを返してもらうように言う。

 

 

「人聞きの悪いことを言うんじゃねぇよ。俺達はこいつを守ったのさ」

 

(…前々から思っていたんだけど、何でプラチナカプセルを守るためにアキレスのアーマーフレームを守る必要があるんだろう。LBXの性能はコアスケルトンとCPUやモーターと操作している人の技量で決まるものなのに……)

 

 

まああの天才技術者のことだからフレームも父ート級のものだろう。

 

 

「守っただって…?」

 

 

もうバンが話さなくてもアミやカズが勝手に進めていく。

 

 

「ある人から頼まれたんだよ。悪い大人達やお前みたいなガキに使われる前に回収しろってな」

 

「……郷田さんも中学生……」

 

「そのある人っていうのは誰なの…?」

 

「フフフ、レックス……あの人の言うことに間違いはない」

 

 

郷田の言葉に反応したのはカズとミカだった。それを知らないアミは聞く。

 

 

「…誰?」

 

「レックスは……ネット世界で噂……の伝説のプレイヤー……」

 

「でもどうして伝説のプレイヤーがアキレスを欲しがっているんだ?」

 

 

確かにそれは思った。俺は別にナイトフレームのLBXは使ってないし、正直郷田から渡されてもカズに流すし。

 

 

(正直父ートはコアスケルトンだけで十分だよ……)

 

「さあな、俺が言えるのはここまでだ」

 

「…とりあえずそのフレームはカズが買うはずのものだったから返してもらうぞ」

 

「…ほらよ」

 

 

原作どうり、バンにアキレスを渡されるがあいにくバンが使うわけでもないのでカズに渡した。

 

 

「俺のハカイオーにそのアーマーフレームは合わなかった……ってお前が使うんじゃないのか!?」

 

「別にわざわざ使いなれているストライダーフレームからナイトフレームに変えるメリットってないだろ」

 

「サンキュー、バン!」

 

「…まあいい、お前ら四人がかりで俺と戦え!俺のハカイオーと!!」

 

 

 

 

 

 

 

──地中海遺跡──

 

アーマーフレームをウォーリアーからアキレスに交換したカズとアミのクノイチとミカのアマゾネスとバンのジョーカーが戦場に降り立った。

 

そしてその反対にはハカイオーがどっしりと構えていた。

 

 

「俺とミカで前衛をするからカズは後ろから援護、アミは遊撃してくれ!」

 

「「「わかった(わ)(ぜ)!!」」」

 

 

まずジョーカーとアマゾネスは横一列になってハカイオーに攻撃を仕掛けた。

 

 

「おらっ、一撃が軽いなぁ!」

 

 

しかしジョーカーとアマゾネスはハカイオーに比べて重量が軽い…更にバンのジョーカーは大鎌を使い高速で動くので通常の市販のジョーカーよりも軽く作られているのでパワー勝負には負けてしまうのだ。

 

 

「後ろが空いているわよ!」

 

 

ハカイオーが破岩刃を振り切った所でクノイチが突撃してハカイオーの背中に傷をつけた。

 

 

「くそっ!チマチマと……!」

 

「1対4でいいっていったのはそっちの方だからな!」

 

 

こうしてハカイオーを少しずつ削っていったが、ほんの少しの瞬間にジョーカーとアマゾネスがハカイオーとの間合いを離してしまった。

 

 

「くらえ!必殺ファンクション!」

 

 

 アタックファンクション!

 

     ガオーキャノン

     牙王砲!

 

 

ハカイオーの強烈な技を食らった四人は体制を崩してしまった。

 

 

「始まるよ……リーダーの破壊のショーが…!」

 

 

隣にいたリコが呟く。そしてそれは現実になろうとしていた。

 

 

「おら!」

 

 

ハカイオーの重い一撃を食らったのはクノイチだった。

 

 

「吹っ飛べ!」

 

 

上に打つあげられたクノイチのハカイオーがジャンプし、破壊しようとしていた。

 

 

「砕け散れ!!」

 

 

ハカイオーの攻撃が当たろうとした瞬間、アミは目をつむった。しかし、クノイチが爆発する音は聞こえなかった。

 

 

「アミ、大丈夫か!?」

 

 

ジョーカーの大鎌がハカイオーの破岩刃の持ち手を大鎌の先端を器用に使って破岩刃を食い止めた。

 

 

(さっきまではアミとカズがいるから手加減していたが、本気を出さないと原作のカズみたいに破壊される…!)

 

 

そこからの展開は早かった。ジョーカーが重量で負けているはずのハカイオーを一方的に攻撃し、大鎌を使ってハカイオーを転倒させることに成功した。

 

 

「三人とも、離れるんだ!」

 

「っ、しまった!」

 

 

郷田の額に汗が流れた。今まで何回もバンと戦っているのでこのあと何をされるのかがわかってしまったのだ。

 

 

「必殺ファンクション!」

 

 

 

 アタックファンクション!

 

 

 デスサイズハリケーン!

 

 

黒い竜巻が倒れているハカイオーに直撃し、爆発した。

 

 

「…信じられねえぜ」

 

 

郷田の後ろにいたギンジが呟いた。

 

 

「まさかリーダーが負けるなんて…」

 

 

リコが呟くが郷田は諦めた様にため息をついた。

 

 

「…そのアキレスフレームはお前らのものだ」

 

「いいのかいリーダー、そんなあっさり引き下がって」

 

「…俺らは敗北者だ。そんなに勝負を引きずってちゃ男がすたる」

 

 

そう言うとリコは引き下がった。

 

 

「縁があったらまた会おうぜ、バン」

 

「さて、レックスに頭下げに行くとするか!行くぞ!」

 

「「「ウィーース!」」」

 

 

こうして原作の様にLBXを破壊されることなくアキレスは返してもらうことができた。

 

しかし、ここからバンが知っている原作と違っていくことをまだバンは知らない……

 

 




私生活の方が忙しかったのでかなり遅れてしまいました。次からの話は早めに出しますのでお許しを……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

黒い戦士と白い死神

 

郷田と戦ってから次の日、学校でアミ達と話をしていたらカズが隣のクラスから来た。

 

 

「あ、カズ」

 

「ようバン、今日の放課後キタジマに行かないか?」

 

「いいけど…アキレスの調整は終ったの?」

 

「もちろんバッチリだぜ、俺のアキレスを見せてやるよ」

 

 

そう言い、カズがポケットからアキレスを出した。

 

そのアキレスは白いカラーが黒に染められ、赤色はそのままだったが、青かった所も灰色に変えられていた。

 

 

(て言うかまんまアキレスディードじゃん)

 

「へ、へえ、思いきったカラーリングに変えたんだね」

 

「それだけじゃねえぜ」

 

 

カズがアキレスの後ろ側を見せる。デフォルトのアキレスは赤いマントを付けていたが、この黒いアキレスはマントが取り外された代わりに背中にホバーを付けていた。

 

 

「クイーンのホバーをアキレスの背中に付けて浮くことも出来るようになったんだ!これならお前のジョーカーにも勝てる自信があるんだぜ」

 

(マジか…ていうかこれワンチャンハンターやフェンリルの出番無しになるんじゃ…)

 

 

少なくともハンターが登場する可能性はかなり下がってしまう。

 

 

そう考えている間にチャイムがなってしまった。

 

 

「バン、先生が来たわよ!」

 

「ごめん、すぐ戻るから!」

 

 

(取り敢えずは宇崎拓也とレックスとファーストコンタクトするのが当分の優先か…)

 

 

授業中、よく考えたら原作ではまだカズがエジプトと出会っていた日だと思い出したが、額に先生のチョークの一撃をくらってしまった。

 

 

 

 

 

──放課後──

 

学校が終わってからそのままキタジマに行き、店の中にあるジオラマで最初にカズと戦う事となった。    

 

ジオラマはいつも使っている『草原』だ。

 

 

 

   バトルスタート!

 

 

始まったのと同時にアキレスがホバーで浮くと思っていたらそのまま飛んできた。

 

 

「うおっ、カズホバーの出力を弄ったな!?」

 

(でもあのホバーかなりバッテリーを食うはず……ここは銃で持久戦をするか……)

 

 

そこから二人は銃弾をお互いに当てることが出来ないまま戦闘をしていたが、とうとうアキレスが宙から降りてきた。

 

ジョーカーはそこを狙い、着地したアキレスの隙を狙って大鎌で攻撃し、アキレスはブレイクオーバーした。

 

 

「やっぱホバーはバッテリーを食うなぁ…」

 

「あくまでホバーは緊急用に取っておいてバッテリーを温存した方がいいんじゃない?」

 

「まぁ、結局そうなっちまうんだよなぁ…」

 

 

その後も三人で遊んでいたが、入り口から青みがかかった髪の男が入ってきた。

 

 

(レックス!?まだ一日早い筈だぞ!?)

 

 

バンはレックスをバレない程度に様子を見ていたが、どうやら俺達に用があるらしく、こちらに近付いてきた。

 

 

「バン、久しぶりだな」

 

「あ、檜山さんこんにちは」

 

「えっと…どなたですか?」

 

「あ、檜山さんじゃないですか!」

 

 

カウンターにいた店長が反応した。

 

 

「相変わらずここは賑やかですね」

 

 

レックスが微笑ましそうに周りを見る。

 

 

「店長、この人って誰ですか?」

 

「あれ、アミ知らないの?最近できた喫茶店のマスターだよ」

 

「へぇ…って何でバンがそんなこと知ってるんだよ」

 

 

半年位前にできたお店で、看板に『ブルーキャッツ』と書かれていたからたまにコーヒーを飲みに行くし、アングラビシダスの会場にもなっているからよくお世話になっているのだ。

 

 

「バンはたまにうちでコーヒーや軽食をに頼んでいるからな」

 

 

前世でよくコーヒーを飲んでいたので今でもたまに飲みたくなるのだ。

 

 

「よかったらうちに来ないか?良いものがあるんだ」

 

 

恐らくハンターの事だろう。

 

 

「そうなんですか?なら行きます」

 

 

「たまにはそういう所に行くのも良いかもね」

 

 

そういうことでバン俺達はレックスと一緒にブルーキャッツに向かった。

 

 

 

──ブルーキャッツ──

 

 

「ようこそ、ブルーキャッツへ…といってもバンは違うがな」

 

 

するとカウンター席に座っていた金髪のスーツを着た男がバン達に話しかけてきた。

 

 

「君が山野バン君だね」

 

「そうですけど……どなたですか?」

 

「俺は宇崎拓也だ。優秀なLBXプレイヤーの君達にぜひ見てもらいたいものがあるんだ」

 

「宇崎……もしかしてタイニーオービットの人ですか?」

 

「!……そうだ。俺の兄が社長だ」

 

 

宇崎の言葉に二人が反応した。

 

 

「「えー!?」」

 

 

二人はあまりの驚きに目を見開いていたが、カウンターに立っているレックスが原作どうり三人に聞いてきた。

 

 

「すまないが君達のLBXを見せてくれないか?」

 

「えっ、いいですけど…」

 

 

そして三人がレックスにLBXを見せると小さな声で呟いた。

 

 

「これは……すごいコアスケルトンだ……」

 

「触ってもいいか?」

 

「いいですけど……」

 

 

レックスがジョーカーを手に取ると驚いた顔をしていた。

 

 

「こいつはすげえLBXだな……コアスケルトンはもちろんのこと、このアーマーフレームも恐らく二つの素材をくっつけて装甲は普通のより硬く作られているのにしっかり粘り強さも兼ね備えている……しかも今までのLBXの中でもトップクラスの軽さだ……」

 

 

正直驚いた。コアスケルトンはもとろん、アーマーフレームも見ただけで理解したのだ。アーマーフレームに関しては今までで気付かれたのは店長とバトルした時ぐらいでアミやカズは全く気付いていた様子はない。それくらいレックスは細かい所までよく見ていたのだ。

 

 

「えっ、見ただけでわかるんですか?」

 

「もちろんだ。このジョーカーは市販のカラーリングではあるが、塗装も綺麗だ……外見は普通だが、中身はバケモノクラスのLBXだな」

 

 

レックスはそのあとすぐにLBXをバンに返した。

 

 

「LBXは好きか?」

 

「好きだよ。じゃなければこんなことしませんよ」

 

「そうか…」

 

 

レックスは微笑んだ。

 

 

(だってせっかくこんな面白い世界に来たんだ……楽しまなきゃ損だよ……)

 

 




私は個人的にはアキレスよりアキレスディードの方が好きなんですけど、皆さんはどっちが好きですか?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

暗殺を阻止せよ

 レックスと宇崎さんに大統領の暗殺の阻止を頼まれた次の日、バン達は駅から『パレードストリート』に行った。

 

 

「本当に俺達が財前総理の暗殺を阻止できるのかな…」

 

「ここまで来たからやるしかないでしょ?まったくカズったら……」

 

 

いつもどうりカズがヘタレだが、何とかパレードが始まる一時間前に来れた。

 

 

「にしても駅がいつもよりかなり混雑してたな…」

 

「まあ、大統領が出てくるからね…」

 

 

そう会話をしているとバンのCCMが鳴った。CCMをみると、そこには『宇崎拓也』と出ていた。

 

 

「バン君達はパレードストリートに着いたか?」

 

「はい、無事につきました」

 

「そうか、ならこちらから暗殺者がいると思われる場所の情報をCCMに転送するからそれを見てうごいてくれ」

 

「はい、わかりました」

 

 

その後すぐに位置情報が送られてきた。場所は原作どうりビルの三階の所にいるらしい。

 

 

(まあ、本当はその反対のビルにいるんだけどね……)

 

「なら早速行きましょう!」

 

 

その時バンはたかを括っていたが、この後痛い目を見ることになった……

 

 

 

──五分後──

 

「なんなんだよこの数は!?」

 

「つべこべ言わずに一秒でも早く敵を倒しなさいよ!」

 

「わかってるって!」

 

 

ビルの中に入った瞬間に大量のデクーに出迎えられたのだ。しかもまだ出てこないはずのデクー改の姿もある。

 

 

「流石にやべーよ、これは!」

 

「とにかく、全部倒すんじゃなくてある程度倒して隙があったら先に進もう!」

 

 

その後も三人でデクー達を倒していくが、流石にしびれを切らしたのかバンが纏めて倒そうとした。

 

 

「必殺ファンクション!」

 

 

 

  アタックファンクション!

 

 

  デスサイズハリケーン!

 

 

黒い竜巻がデクー達を纏めてなぎ倒した。そこでかなりデクーを倒すことができた。

 

 

「アミ、カズ!一気に走るぞ!」

 

「おう!」

 

「わかったわ!」

 

 

そうして後ろからデクー達に追いかけられながら階段を登って三階のフロアにある部屋に着いた。

 

そしてドアを開けると黒服三人組……ではなく、普通に

暗殺者が煙草を吸いながら『アサシン』を整備していた。

 

 

(あれ、お前なの!?これすぐに終わるやつじゃ……)

 

「…お前が暗殺者か?」

 

 

バンが聞くが例の暗殺者は無言でアサシンのライフルを構えた。

 

 

「っ!バトルをしろっていうのか…!」

 

 

三人はそれぞれのLBXを取り出した。

 

その瞬間、アサシンがジョーカーに向かって射った。

 

 

「!?、アミ、カズ!いくぞ!」

 

 

そしてそのままジョーカーが動きだし、アサシンに向かって走り出した。

 

それに対処するためにアサシンはスナイパーライフルを連射するが、ステップで避けられた。

 

それでスナイパーライフルでジョーカーを止めるのは無理だと思ったのか、剣に持ち変えたが既にジョーカーは目の前に来ていて、大鎌でその剣ごと切り裂いた。

 

「えっ……もう終わり……?」

 

「やったな、バン!財前総理の暗殺を止められたぞ!」

 

 

おかしい、本当は反対側のビルにいるはずなのに。それに入り口に大量のデクーがいたが、速攻で暗殺を阻止することが出来た。ここまで簡単に終わると逆に気味が悪く感じる。

 

そう考えているとCCMが鳴った。

 

 

「バン、例の暗殺者は見つけたか?」

 

「あっ、もう既にそのLBXも倒しましたよ」

 

「そうか……だがそいつが暗殺者が複数いる可能性もあるから引き続き警戒を頼む」

 

「あ、はい。わかりました」

 

 

なおその後も暗殺者らしき人物は誰も来ずに、あまりにも何にもすることがなかったのでその場でLBXバトルをして暇を潰していた。

 

いや、本当にコイツだけなのかよ……

 

 




今回の話は大分短くなってしまいました……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

天使の星

 

──次の日──

 

 

大統領暗殺阻止をした後、原作どうり拓也さんからプラチナカプセルの事と父ートが実は生きていると教えられた次の日、アミとカズにスラムの入り口に連れてかれた。

 

 

「二人ともどうしたんだよ。突然呼び出して」

 

 

多分原作どうり父ートの居場所を盗み聞きしたのだろう。

 

 

「バン、これを聞いて…」

 

 

その音声にはレックスと拓也さんの声が出てきた。

 

 

『良いのか?あんなことを言って』

 

(あぁ…エンジェルスターの話ね……)

 

 

その後も黙って聞く。原作どうりカズの機嫌が悪かったが、現実ではかなり嫌悪感を顔に出していた。

 

 

「『天使の星』……何かの暗号か?」

 

「わからないわ。でも少なくともバンのお父さんがいる場所のヒントは手に入れる事が出来たわ」

 

 

そう二人が話しているが、正直『神谷』の名前が出てきた時点で何となく察しがつくが……

 

 

(まぁ、中1の子供が財閥の名前とか知るわけないよな……)

 

「…『神谷』ってもしかして神谷財閥の事じゃないか…?」

 

 

前世でのいわゆる3つの菱形の財閥並に有名な財閥だ。実際に神谷重工だけではなく、『神谷自動車」』や『神谷電気』や『神谷エネルギー』と様々な分野で活躍している企業の一つだ。

 

ようは前世で言うと『3つの菱形』の名前を聞いたときパッと思い付く名前なのだ。

 

 

「確かにそうだな、ナイスだバン!」

 

「でも『天使の星』が何なのかはわからないわね……」

 

「流石にそこはネットで調べるしかないね…でも『神谷』の意味がわかっているだけ楽じゃないのかな」

 

「そうね……じゃあ早く教室に行きましょう!」

 

 

その後、ネットで調べたら一発でヒットした。その後アミが放課後エンジェルスターに侵入しようというとても年頃の女の子とは思えないような発言をしたが、流石にそれはまずいのでせめて明日にしようと言った。(ちなみに今週の日曜日にアングラビシダスの大会があるのでそれ以上は伸ばせない)

 

 

 

──次の日──

 

 

 パレードストリートの時と同じように電車でエンジェルスターに行ったが、生憎入り口には警備員が立っていた。

 

 

「…取り敢えず正面突破は無理そうね」

 

「…当たり前だろ」

 

 

パンドラを動かしていた人を当てる事が出来るほど賢いアミが馬鹿な事を言っていたので突っ込みを入れたバンの頭に衝撃がかかった。

 

その後、原作どうり入り口の右側の通路の先に自動ドアがあるが、ロックがかかっていた。

 

 

(ここって裏口っていうこと?)

 

「ロックがかかってるな…」

 

 

カズが半分諦めた様な顔をしている。もっと頑張れよ

 

 

「待って、あそこのダクトをLBXで侵入してロックを解除すれば先に行けるんじゃない?」

 

 

そういうことで、俺達は大事なLBXをダクトの中へ侵入させる。

 

もちろんダクト内にはデクーが待ち構えていたが、瞬殺してそのままロックを解除した。

 

 

(糞ガバガバな警備だな…)

 

「さてと、この調子でうくぜ!」

 

 

その後も連れて着々と敵を倒していくが、ダクトの出口の先で『霧島平治』が独り言を話していた。

 

 

「全自動で稼働する生産ラインで人間様のするべきことは…ふっ、なにもしないってことだな」

 

「なーんか冴えないオッサンがいるぜ?」

 

 

霧島の言葉にカズがコメントをした。

 

 

「しっ!誰か来るわよ!」

 

 

三人が静かに待っているとその部屋に入ってきたのは『八神』『神谷藤吾郎』……神谷財閥の会長が来た。

 

 

「神谷さん!?……いえ、神谷会長、それに八神さんまで、どうして?」

 

「会長はやめてください、霧島さん。強化ダンボールの開発者として私は貴方を尊敬しているのですから」

 

「はぁ…」

 

 

それを聞いていたアミとカズは衝撃を受けていた。

 

 

「あの人が強化ダンボールを開発したの!?」

 

「あのオッサンが!?」

 

 

そして神谷藤吾郎は霧島を慰める様に言った。

 

 

「辛いお気持ちはわかりますよ。優秀な技術者であった貴方が開発したもの、開発の場……全てを奪われた訳ですから」

 

「神谷会長……」

 

「思い出しますなぁ……貴方が強化ダンボールを開発するまでLBXは危険なオモチャだったことを……。あの頃は毎日子供達が怪我をしたというニュースで持ちきりでしたね……。あれではLBXが販売中止になるのも時間の問題だった」

 

「だが、貴方が強化ダンボールという舞台を生み出したお陰でLBXは安全なオモチャとして甦ったのです」

 

 

その後も二人は話をした後、別の部屋に移動していった。

 

 

(……あれは間違いなく俺達の存在に気付いていたな。よく考えてみれば普通に監視カメラにバッチリ映ってたし当たり前か……)

 

「今の話ってマジなのかよ」

 

「確かに……Dキューブはタイニーオービットから発売されているけど……」

 

「多分本当だと思うよ。インターネット百科事典にはそう書いてあるし」

 

「えっ!?……マジでそう書いてあるじゃん」

 

「で、多分それをタイニーオービットが買収したんだろうね」

 

 

アミとカズは難しそうな顔をした。

 

 

「まぁ、でもそんなことは社会では日常茶飯事だし、そんなに気にする事ではないよ。」

 

「それにここの最下層に父さんがいるって言ってたし、早く向かおうよ」

 

 

そう言い、扉を開けた先には砲塔を載せた戦車(?)のようなものを作っていた。

 

 

「おい!兵器だぜこりゃ」

 

「神谷重工って兵器を作ってたっけ……?」

 

「バンのオヤジさんに兵器製造……こりゃ大当たりだな」

 

「バン!お父さんの所に行きましょ!」

 

「あぁ、そうだな!」

 

 

まぁ、十中八九会えないと思うが

 

 

 

 

──最下層 エレベーター前──

 

 

その後、エレベーターで下に降りたのですぐに行けた。

 

 

「何かスッゲエ所に出たな…」

 

「待って、あそこの隙間から入れそうだわ」 

 

 

原作のイベントどうりシャッター(?)の様な所に少し隙間があった。

 

 

(これめっちゃわざとらしいな…)

 

「まぁ、ここ以外に移動できそうな所ないしここから行こうか」

 

 

   ガシャン!

 

 

三人が部屋に入った瞬間にシャッターが閉まってしまった。

 

そしてその中にいたのはイジテウス……ではなく、金髪の青年が立っていたのだ……

 

 

「ここに入ってきた鼠達は君達かい?」

 

 

詰んだ……。この時バンは感じた……

 




イジテウスと戦うの書くのめんどくさいから変えちゃいましたf(^ー^;


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

明けの明星

 詰んだ……バンは思った。よりによって終盤に出てくる奴が出てくるなんて思いもしなかった。

 

 

「全く、こんなコソコソと鼠の様にやって来るなんて……美しくない」

 

「誰だよお前!」

 

「僕は『神谷コウスケ』選ばれし人間さ」

 

 

ナルシストが変なことを言っている。

 

 

「……痛い人ね」

 

 

流石のアミも引いた。

 

 

「神谷って言うことはあの会長の孫っていうことか?」

 

「ちょっと惜しいけど違うねぇ。孫じゃなくて息子さ。まぁ、年齢差はほぼ孫と言われても可笑しくはないね」

 

 

神谷コウスケがこちらに近づいてきた。

 

 

「そんなことよりも君のパパの居場所を知りたいんだろう?」

 

「っ!そうだ、父さんはどこにいるんだ?」

 

 

すると神谷コウスケはポケットからDキューブを取り出した。

 

 

「僕と勝負しろ、山野バン。君が勝ったら教えてあげる。でも君が負けたらプラチナカプセルを貰うよ」

 

 

神谷コウスケが『ルシファー』を取り出してとんでもないことを言ってきた。いや、普通に勝てるわけがない。傷一つ与えられずにボコボコにされて終わりだ。

 

だけどこれを受けないと物語が進まないし、最悪不法侵入でお縄だ。受ける選択肢以外ない。

 

 

「わかった……受けてやる。その戦い」

 

 

そしてここから地獄の戦いが始まった

 

 

 

 

 

──月面──

 

「アミ、カズ、全力でいくぞ」

 

「わかったわ!」

 

「おう!」

 

 

俺達の陣形は前衛が俺とアミ、そして後ろからホバーで飛びながらカズが銃でじわじわとダメージを与える事だった。

 

俺とアミがルシファーとの間合いを詰めている間、ルシファーは一歩も動いていなかった。

 

そしてクノイチが攻撃を仕掛けるが、『ヘブンズエッジ』というゲームクリア後にしか入手できない剣を使ってクナイをいなす。

 

しかし、後ろには大鎌を振り下ろすジョーカーがいた。

 

 

「小賢しい手は効かないよ」

 

 

後ろから大鎌を振り下ろすジョーカーの懐に入ろうとした。

 

 

「ッ!?ヤバい!」

 

 

俺はすぐに攻撃をやめ、柄の部分を使って守りに入った。

 

 

「ふっ、君達では僕のルシファーに傷一つ与えられずに終わるね」

 

 

そこからルシファーの攻撃が始まった。

 

 

ルシファーとのスペックの差と何よりも個人の技量で完全に負けている三人はどんどんダメージを積んでいき、遂にジョーカーとクノイチ……特にジョーカーはクノイチを庇ったりしていたのでアーマーフレームは限界を迎えていた。

 

 

「これで終わりだ!」

 

 

ルシファーに切られる瞬間、もう終わりかと思った。

 

しかし、そこにはジョーカーの姿はなかった。

 

そして俺のCCMがまるで本来の姿を取り戻したかの様に変化した。

 

 

 

ピュィーーン!!

 

 

 

(これは……Vモードか!)

 

「どうしたんだバン!?」

 

「余所見とは良くないなぁ!」

 

 

カズが余所見をしているときにルシファーがアキレスに攻撃を仕掛けた。

 

 

「しまっ……」

 

「ッ!」

 

 

しかし、ジョーカーがアキレスを守り、更にルシファーを大鎌で地面に叩きつけた。

 

 

(だけどCCMを操作出来ないからかなり動きにムラがある……!)

 

「よくわからないが、さっきよりも動きにムラが出てるぞ!」

 

 

そのまま剣で大鎌を止めているルシファーに蹴りを入れられ、後ろに飛ばされた。

 

 

「くそっ、操作できない!マジでなんだよこれ!!」

 

 

たしかVモードのオート操作から制御件を返してもらうコマンドがあったはずだ。だが、最後にダンボール戦機をやってからかなりの月日が経っているので流石に覚えていない。

 

 

「これで終わりだ!」

 

 

ルシファーがジョーカーを破壊され、プラチナカプセルをとられる──!

 

自分のLBXが破壊される瞬間、目を瞑ったが爆発音は来なかった。

 

ジョーカーとルシファーの間に白い謎のLBXが割り込み、ジョーカーを守ってくれたのだ。

 

そしてパンドラから謎のメッセージが送られてきた。

 

 

『これはパンドラからの贈り物だ』

 

 

そしてそこにはプログラムが入っていた。これでジョーカーを操作することが出来る。

 

俺は迷わずプログラムを起動させた

 

 

「プログラム実行!」

 

 

 

 デストロイファンクション解除

   コントロール可能

 

 

そしてそれを見たパンドラは安心したかのようにDキューブから去っていった。

 

 

そして俺はルシファーを倒す為、ジョーカーを再び動かした。

 

 

「ぐっ!?格段に動きがよくなっていやがる!」

 

 

ルシファーに一撃だけ傷を与えることが出来たが、そこからは激しいぶつかり合いが続いた。

  

そしてその末にジョーカーはボロボロになりながらも初めてルシファーの姿勢を崩すことができた。

 

 

「今だ!バン、一緒に必殺ファンクションを使うぞ!」

 

「わかった、必殺ファンクション!!」

 

 

バンはこのラストチャンスとも言える一撃に全てをかけ、デスサイズハリケーンよりも更に強力で、LBXにかなりの負荷をかける技を繰り出した。

 

 

 

  アタックファンクション!

 

  Ωエクスプロージョン!

 

 

  

 

  アタックファンクション!

 

   ブラックストーム!

 

 

 

二人が使う必殺技に対抗するために神谷コウスケも必殺技を繰り出した

 

 

「必殺ファンクション!」

 

 

 

  アタックファンクション!

 

   テンペストブレイド!

 

 

地面から勢いよく吹き出したマグマと黒い嵐と大量のエネルギーで出来た巨大な剣がぶつかった。

 

両者の技は拮抗し、お互いに相殺された。

 

 

 その衝撃のせいか、ジョーカーは至るところのパーツがひび割れ、コアパーツから黒い煙が出ていて、コアスケルトンにもかなりのダメージが入っていた。

 

それはルシファーも同じだった。ジョーカー程ではないが、ある程度の亀裂がいくつか走って、頭の角は片方が折れていた。

 

 そしてCPUにも負荷をかけすぎたのか、ジョーカーと相手のルシファーの目がチカチカしてCCMから音声が鳴った

 

 

『『システムエラー……』』

 

 

それを聞いて神谷コウスケはCCMを下ろしてこう言った。

 

 

 

「ここにはもう君のパパはもういない。「君のパパを返して欲しければ次の『アングラビシダス』に出場して優勝しろ」って伝言さ」

 

「なによそれ!バンのお父さんを返してくれるんじゃなかったの!?」

 

「LBXの性能で劣っている君達が僕に傷……いや、至るところに損傷を与えた君達は尊敬する……けど君のパパの件については僕には何も出来ないよ」

 

「そんな……」

 

 

どうしてVモードが発動されたときに操作を出来ないようにしたのか聞きたかったのに

 

 

「……もうすぐここに警備員が来る。あそこの非常通路から出るといい」

 

 

神谷コウスケがこの部屋の端っこにある扉を指した。彼なりの好意の表しなのだろう。

 

 

「ありがとう。神谷コウスケ君」

 

「ふっ、コウスケでいいよ。君は特別さ」

 

 

何やコイツ、ツンデレか

 

 

「……なら、ありがとう、コウスケ!二人とも、早くここから脱出するよ!」

 

「ええ!急がないと捕まっちゃうわ!」

 

 

そして俺達は途中何人か警備員に会ったが、全て何とか振り切ってエンジェルスターから脱出する事が出来た。

 

因みに次の日、拓也さんとレックスにくっそ怒られたのはまたそれは別の話……

 

 

 




 ルシファーとの戦いは敵のNPCが全く『デビルソード』使わずに『テンペストブレイド』使ってきた思い出が……

次回は半壊したジョーカーの改修&改装の話しにする予定です



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

新たなる機体

エンジェルスターに侵入した次の日、バンはベッドに寝転がっていた。

 

 

「足が痛い……」

 

 

結局エンジェルスターから脱出する時、原作の様にレックスや拓也さんが来なかったので自力で脱出したのだが、その時に走りすぎて筋肉痛になったのだ。

 

バンは机に置いてあるジョーカーを見た。

 

その姿は無惨な姿で、もうルシファーのセラフィックモードを通り越したレベルでボロボロになっている。

 

 

(幸いコアスケルトンにある傷は少ないけど……流石にこのアーマーフレームはもう駄目だな)

 

 

バンはベッドから立ち上がり、机に向かい、引き出しから工具一式とアーマーフレームを製作する素材を取り出した。

 

そして半壊したジョーカーのアーマーフレームを外しながら考えていた。

 

 

「さてっと、今回のジョーカーはどう作ろうか……」

 

 

半壊したジョーカーの素材は主にエポキシ樹脂とフェノール樹脂、今回の場合はガラス繊維を複合させた一般的には『FRP』と呼ばれている繊維強化プラスチックを使用していた。(市販で売られているアーマーフレームは基本的にABS)正直それだけで耐熱性や衝撃性は十分にあると思っていたが、ルシファーとの戦いでそれだけでは防御性能や加速度や移動速度が不足していた事がわかった。

 

 

「加速度と移動速度はモーターで補えば取り敢えず何とかなるけど……防御性能……特にあのエネルギーブレードが結構キツかったなぁ……」

 

 

実際それを食らっていたアミのクノイチも基本無改造なので装甲が溶けていたし、あれは完全には防げない。

 

 

「そいえばアミのアーマーフレームを取るの大変そうだなぁ……あれ絶対中のABS溶けてくっついてるだろ……」

 

 

後でアミの所に様子を見に行った方がいいかな、と思ったが、取り敢えず自分のアーマーフレームを作る事に集中することにした。

 

「ウーン、ルール的に金属パーツは禁止だからなぁ……ていうかジンのジ·エンペラーと金属パーツのアーマーフレームは間違いなく相性最悪だからなぁ……」

 

 

原作には説明がなかったがLBXの大会等に出るとき、きちんとルールがあってそれを守らないと大会に出られない。

 

大きく分けて4つある。

 

一つ目はさっき話した通りアーマーフレームの素材は金属を使ってはいけない(武器は例外)

 

二つ目は出力変換装置の装着で、これはストリートレギュレーションとアンリミテッドレギュレーションの時に出力を切り替える為の装置が必要なのだ。これは主にCPUに内臓されている。

 

三つ目はここはあまり俺には関係ないが、LBXの高さと重量の制限と武器の長さの制限等もある。因みにジョーカーが使っている『ジョーカーズソウル』はアックスの部類に入る、ジョーカーズソウルは全体として見ては重い武器だが、アックスの中では恐らく一番と言ってもいいほど軽い。因みにティターニアはジョーカーズソウルの二倍の重量がある。

 

最後にWでも登場する制御装置のMチップの搭載の義務だ。LBXが人間に危害を加えるのを防ぐための装置を必ず着けないといけないのだ。要はロボット三原則みたいなものだ。

 

 

「まぁ、こんなルールなんて改造してもそう簡単にルール違反にならないから特に心配しなくてもいいけど……」

 

 

結局バンはベッドに寝転がりながらCCMでテレビを見始めた。

 

 

「……貨物用の飛行機が墜落したのか……飛行機か……ん?そうか飛行機か!!」

 

 

バンは跳び跳ねる様にベッドから飛び起き、机に向かい、CCMからとある知り合いの会社に連絡した。

 

 

「すいません!山野バンともうしますけど、〇〇さんっていらっしゃいますんか!?」

 

「はい、そうなんです。LBXのアーマーフレームに其方で開発している縦横300mm、高さ5mmの炭素繊維強化炭素複合材料を相場の十倍の15万クレジット出すので出来れば明日までに頂けないでしょうか!!」

 

「あっ、既に沢山株を投資して貰っているので大丈夫なのですか?ありがとうございます!それでは…」ピッ

 

 

バンが電話していた相手は元々はとある小企業で、炭素繊維強化炭素複合材料(次からは略してカーボン)の弱点である450度以上の高温に晒すと燃焼してしまうデメリットがある材料なのだが、噂でそれを克服することが出来るかもしれないと噂で聞いて、それまで他の副業で増やしてきた金を全ての所持金の内の半分以上をこの企業に詰め込んだら見事企業が成功した所である。

 

バンはそこの社長と知り合いで丁度3ヶ月前にこの材料が完成したと情報が入ってきてそのままにいていたが、今思い出したのだ。

 

そしてその日の内はキタジマ模型に行ってカーボンを削る為の工具のグリスやルシファーと戦っているうちに焼けたモーターを買ったり等をしてその日は終わった。

 

 

 

──次の日──

 

「ただいまー…」

 

 

バンは家に帰るが、いつもどうり母さんは仕事でいない。ポストの中にちゃんと300×300×5mmのカーボン板が届いていたので早速それを自分の部屋に持っていく。

 

 

「これは長い戦いになりそうだ……」

 

 

そしてまだ塗装はしていないが、形が完成したのは12時間後になり、机の上がカーボンの粉まみれになっていた……

 

 

「あ~やっと終わった……疲れた……」

 

 

正直こんなに加工が大変だとは思わなかった。特に曲げるのが至難の技で、余分な場所を追加しておいて良かったと思った。

 

その後掃除をするのだが、この粉はカーボン同士を接着させたり、削れた所に付けて補強するのに重要なのでしっかりと取っておく。

 

 

「んじゃ、塗装しますかー…」

 

 

バンは押し入れに入れてあった塗料(今回はエメナル塗料)と溶剤、コンプレッサーを取り出した。

 

 

「えーっと塗料は下地にホワイトのサーフェーサーホワイトとグレーを半々で混ぜて……後はフラットシルバーとクリヤーイエローを吹けばいいかな……」

 

 

流石に前世よりも技術が進んでいる様で、塗料は一日で完全に乾くらしいのでコンプレッサー等を片付けたバンは起きている頃には朝の5時になったので仮眠をして休憩していたのだった……

 

 




 前世の記憶があるって物語を書くのに結構便利やな……設定に後付けできるからみんなが異世界転生物を書く理由がわかる気がする……



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ジェット機からの来校

 丁度ジョーカーができる日に教室で先生の話があった。

 

因みにリュウが転校生がいるっていう情報は一部にしか流れていない。流石に学習したのだろう

 

 

「まず言わなくちゃいけないのだけどこのクラスに転校生が来ます」

 

「ただちょっと遅れているみたいで……」

 

 

その時、外から「ヴォォォォ…!」というジェット機特有の音がした。

 

「うわっ!」

 

(てかクッソうるせえな!)

 

「何、何なのこの音?」

 

 

隣にいたアミも同様に驚いていた。因みにリュウは原作どうりくそビビっていた

 

 

「あれって窓の方から聞こえない……?段々音が大きくなっているんだけど……!」

 

 

ちらっと窓の方に目を向けたら黒い豆粒のようなものがこっちに来ていた。

 

それに気付いた俺達はみんなこぞって窓に近付いていた

 

 

「あれは……ジェット機!?」

 

 

そしてそれは校舎にぶつかる直前で宙返りをしてウチのクラスの教室の前でホバリングを始めた。

 

そしてそのジェット機の後ろのコックピットから出てきたのは海道ジン……ではなく女の子が出てきた。

 

 

「……誰?」

 

 

何となくだが、俺のことをじっと見ている気がした。

 

 

 

 

 

 

──放課後──

 

その後、何事もなく授業が終わり、放課後になった。

 

 

「へー、『海道リン』っていうのかあの転校生」

 

「……それがクールっていうか、ちょっと変わっているのよね……」

 

「先生が自己紹介しろって言っても「別に話すことはありません」だし、先生も困っちゃったみたい」

 

「話のきっかけに「LBXやるの?」って声をかけてもさっぱり……」

 

「あれ……でも昼休みにバン君……リンさんに呼ばれてた……」

 

「え、そうなの?」

 

 

実は原作とは違い、昼休みにリンに屋上に来るように呼ばれていた。

 

 

(ミカ……お前余計なことを言うんじゃねぇよ……)

 

「まあ……リンに呼ばれたけど……」

 

「『リン』って……あなた達知り合いだったの?」

 

「そんで、何の話をしていたんだ?」 

 

「いや、屋上に呼ばれた後リンに「私の事覚えている?」って……」

 

 

ぶっちゃけ全く覚えていない。そもそもあんな一部白髪で目に茶色のカラコン(?)入れている奴は今まで見たことがない。

 

 

「……私には興味ないだけなのかしら」

 

「それで今日はブルーキャッツに行くのか?」

 

「ええ、アングラビシダスの情報を聞かないといけないもんね」

 

「ああ、そうだな……」

 

 

チラッと窓側を見るが、リンがこちらをジーッと見ている。

 

 

(めっちゃこっち見てる……)

 

 

何となくちょっと怖いので早めにブルーキャッツに行くことにした

 

 

 

 

──ブルーキャッツ──

 

「それでアングラビシダスのことだな?」

 

「はい、そうです」

 

 

アミがレックスに聞くが、なんでエンジェルスターの時は調べていたのにこういう時は調べないんだと思う。

 

 

「…アンリミテッドレギュレーション」

 

「!それってつまり……」

 

「どんな攻撃方法も許されるルール無用のLBX大会、それがアングラビシダスだ」

 

「この大会に参加するのは情け容赦のない強者ばかりの生きるか死ぬかの戦いだ」

 

 

更に今回の大会は何故か特別だ。

 

 

「しかも次の大会はちょっと特別でアルテミスへの特別出場枠が与えられるんだ」

 

「アルテミスの特別枠!?」

 

「そうだ。その特別出場枠を狙って更に激しいバトルが行われるだろう」

 

「恐らく、イノベーターの目的はバンをそこに参加させてどさくさに紛れてバンのLBXを破壊する事だ」

 

「罠ってことか…」

 

 

アミとカズはバンがアングラビシダスの常連とは知らない。

 

 

(まぁ、多分大丈夫だと思うけどな……)

 

 

アルテミスの時とは違ってイノベーターの刺客は一人だけだし、既に過去にアングラビシダスを優勝したりしているし、何より三対一だがエンジェルスターで神谷コウスケとの戦いを生き抜いたので何とかなると思っている。

 

 

「きっと奴らも強いLBXを送り込んでくるに違いないわ」

 

「……これが神谷コウスケレベルのプレイヤーだと勝てる自信がないんだけど」

 

 

その言葉に敏感に反応したのはレックスだった。

 

 

「何!?お前らエンジェルスターでそんなことをしていたのか!?」

 

「え、そうだけど……どうかしたんですか?」

 

「神谷コウスケは神谷財閥の神谷藤五郎の子供で天才LBXプレイヤーとして有名なんだ」

 

「神谷コウスケと良い勝負が出来るんだったら意外と何とかなるかもな」

 

「次のアングラビシダスは一週間後だからキチンと練習しとけよ」

 

 

今週の日曜日に開催されるという事になる。

 

 

「一週間後!?なら早速キタジマで練習しに行かないと!」

 

「そうだな、バン、早く行くぞ!」

 

「え、ちょっと、もういくの!?」

 

 

そのまま三人はブルーキャッツから出ていってしまった。

 

 

「……あいつらはどこで開催するのか知っているのか?」 

 

 

そしてバンを除く二人は大人の話を最後まで聞かなかった事で当日、痛い目を見ることになるのはこの時二人は知らない……

 

 




 最初は普通にジン君でいくつもりでしたが、何かリンになっていたのでそのままいこうとなってこうなりました。


後悔はしていない


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

仙道兄弟の関係

 仙道ってよくシスコンでいじられてるけど、実際に小さい時のキヨカを出してるのってなかなかないよね?


 ジョーカー(命名·ジョーカーMk2)を作ってからアングラビシダスが始まるこの日までアーマーフレームの特性に慣れるように練習をしていた。今日はそのアングラビシダス当日だ。

 

ちなみに今は郷田先輩と仙道先輩のゲーセンの縄張りの取り合いがあるはずなのでゲーセンの中でスタンバイしている。

 

……本来いないはずのミカと仙道先輩の妹「仙道キヨカ」と一緒に喫煙所で座っているが

 

 

「バン君……タバコは吸っちゃダメ……」

 

 

ミカについては偶々ゲーセンに寄ったらバンがタバコを吸っていたので注意しに行ったらいつの間にかそこに居座っていた。

 

しかし、バンは前世ではよくご飯代わりにタバコを吸っているくらい好き(その時は一日の平均5~6本)なので生まれ変わってもなかなか辞めようと思わない。

 

 

「でもバンお兄ちゃん果物の匂いがしていい匂いだよ~?」

 

 

バンの膝の上にいたキヨカちゃんがミカに言った。まぁ、バンが今吸っているのはお気に入りのラズベリーの香りがするタバコなのである意味間違ってないが 

 

 

「……でも何でキヨカちゃんはバン君と一緒に喫煙所にいるの?」

 

「バンお兄ちゃんがお兄ちゃんが今日ここに来るって言ったからなの!」

 

「お、お兄ちゃんか……」

 

 

ミカがさっきから犯罪者を見るような目で見てきた気がするが気のせいだろう。

 

 

「あっ、そうだ。キヨカちゃんはもうすぐ誕生日だろ?誕生日プレゼントを持ってきたんだよ」

 

「ほんとぉ~?ほしいほしい!」

 

 

キヨカちゃんはバンからキヨカちゃんの髪の色をテーマにした紫色のレースで繰るんである箱をその場で開けるとキリカちゃんは驚いていた。

 

 

「わぁ~、お兄ちゃんのとお揃いのだ!」

 

 

その中身は仙道とお揃いのCCMとLBXだ。(仙道のジョーカーはABSだが、これはFRP素材)

 

 

「……これ『箱の中の魔術師』のLBXと一緒なの……?」

 

「そうだよ。中身はちょっと違うけどね」

 

 

主にCPUやらの特性とかも違う。仙道のジョーカーに入っているCPUは小回りが効くタイプだが、キヨカちゃんに渡したジョーカーはバンと同じCPUを使っているのだ。

 

 

「~♪」

 

 

キヨカちゃんはタバコを吸っているバンの膝の上から立ち上がり、ジョーカーを動かそうとしていた。

 

 

「バンお兄ちゃん、これどうやって動かすの?」

 

「これはね、ここをこうやって……」

 

 

暫くキヨカちゃんと戯れているとゲーセンの自動ドアから仙道先輩が入ってきた。

 

 

「あれって……箱の中の魔術師……なんでここに?」

 

 

その後すぐにまた自動ドアが開いた。今度は郷田先輩とその三人衆がやって来た。

 

 

「郷田さんも……」

 

「今日はゲーセンの縄張りを決める日なんだってさ。こんな大会当日によくこんなことをするねぇ」

 

 

因みに仙道先輩と郷田先輩の喧嘩の声は喫煙所まで聞こえてくる。

 

 

「あ、お兄ちゃんだ!」

 

 

さっきまでずっとCCMを操作していたキヨカちゃんは仙道先輩の事に気付いたらしく、CCMとジョーカーを持って先輩の元に走り出した。

 

 

「おにーちゃーん!」

 

「お前らの……ってキリカ!?どうしてここに!?てかなんで喫煙所から!?」

 

 

仙道先輩が驚いていたが、キヨカは手に持っているジョーカーを自慢したかったらしく、向かいながら話している。

 

 

「見てみて!これバンお兄ちゃんから……痛!!」

 

 

そのまま両手に持ちながら走ってきたので、床にあったコードに足を引っ掛けて転んでしまった。

 

 

「キリカ!大丈夫か!?」

 

 

仙道先輩は喧嘩の事など忘れ去り、キヨカの所へ走った。

 

 

「お兄ちゃん!これバンお兄ちゃんに誕生日プレゼントで貰ったの!」

 

 

幸いキヨカちゃんには怪我は無いようで安心していた。

 

 

「キヨカちゃん、大丈夫?」

 

「バンお兄ちゃん、キリカは大丈夫です」

 

「山野バン!?お前またキヨカに変なことしたのか!?てゆうかタバコ臭!」

 

 

実は結構前から知り合いで、仙道先輩は何故か俺に対して警戒をしている。

 

 

「違うのお兄ちゃん!バンお兄ちゃんに誕生日プレゼント貰ったの。みて!」

 

 

キヨカちゃんはバンから貰ったジョーカーを仙道先輩に見せた。

 

 

「……俺とお揃いじゃねえか」

 

 

それを見た仙道先輩は少し嬉しそうな顔をしていた。それを見ている郷田先輩達は少し意外そうに見ていた。

 

 

「バン、お前コイツと知り合いだったのか……」

 

 

そうこうしているうちにアミとカズがゲーセンに入ってきた。

 

 

「バン!?あなたここにいたの!?もうすぐ大会が始まっちゃうわよ!」

 

「ああ、ごめん。すぐ行くよ。じゃあまたねキヨカちゃん」

 

「うん!こんどバンお兄ちゃんから貰ったLBXてバトルする!」

 

「ははは、そう言ってくれると嬉しいよ」

 

 

まあ、また会場で会うことになるが。そう言って仙道先輩と郷田先輩達と別れてブルーキャッツに向かった

 

 

「そいえば聞きたいことがあるんだけど、バン、あの子は誰だ?」

 

「カズは知らなかったね。仙道ダイキの妹だよ」

 

「仙道ダイキだって!?」

 

「カズ、知ってるの?」

 

「ああ、ミソラ一中を仕切っているヤツだ。郷田とはずっと張り合っているんだ」

 

「そして別名『箱の中の魔術師』!変幻自在なバトルを仕掛けることで有名なヤツだ」

 

「ただのシスコンに見えるけど……」

 

「流石にそこまでは知らねえよ……」

 

(まあシスコンだからな)

 

 

本人の目の前で話すと間違いなく怒られるが

 

 

(でもキリカちゃんもお兄ちゃんのことが好きだから良い関係だと思うけどなぁ……)

 

 

実際現実では兄弟の仲が悪いっていうのが多いと思うのでこっちの方が全然マシだと思うが……

 

そうこうしているうちに時間はやって来て、レックスの最初の話が始まり、アングラビシダスが開幕した。

 

 




やっぱこのくらいの年までは可愛いんだよなあ……中学生になると途端にクソガキになるからこのままでいてくれ……(切実


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第一回戦、戦首狩りガトーとその他

前回の回ではとんでもないくらいやらかしてしまったので、今回はきちんと誤字脱字をいちよう確認したので大丈夫なはず……


 アングラビシダスが始まって一回戦、相手は原作どうりブルド使いの『首狩りガトー』だ。

 

 

「ほぉ、最初に『白い死神』が相手か」

 

 

バンは原作と違いアングラビシダスには何度も出場しているので首狩りガトーとは顔見知りだ。

 

 

「お互い良いショーを見せようぜ」

 

「そうだなぁ。その生け贄になるのは今度こそお前だからなぁ!」

 

 

実はバンは首狩りガトーには一回も負けたことがない。初出場の時にちょっと危なかったことがあるぐらいだ。

 

 

『皆さん、お待たせしました。ただ今から第一回戦を開始します』

 

 

「いくぞ白い死神、バトルスタートだぁ!」

 

 

 

   バトルスタート!

 

 

 

戦場は地中海遺跡、立ち位置はバンが上にいた。

 

 

ガトーは現状、地の利においては不利な立ち位置にいるため、階段をかけ上がる。

 

しかし、そんなことはバンは予想しており、わざわざ階段の上で戦わずにじっと待ち構えていた。

 

 

「オラァ!くらえぇ!!」

 

 

ガトーのブルド改は階段をかけ上がったらすぐに斧を振りかざしバンの元に走った。

 

 

「このブルド改、前回よりも加速力が上がってるね」

 

 

そうバンは少し褒めたが、その攻撃はあっさり避けてそのまま遺跡の柱を使って忍者の様に柱と柱を伝って行く。

 

 

「相変わらず動きがすばしっこいなぁ!」

 

 

ジョーカーはブルド改を少しずつ大鎌で削っていく。もちろんブルド改もそれに対抗するためにカウンターをするが、かなりの重量があるブルド改の攻撃はジョーカーにとっては避けやすいのだ。

 

 

「装甲を増やすのは確かに大切だが、俺のジョーカーには有効じゃなかったね」

 

 

ジョーカーはその時攻撃をするかと思いきや、LBXの手の平サイズのカプセルを投げつけた。

 

 

「ッ!!スモークグレネードか!」

 

 

ブルド改を中心に白い煙はどんどん範囲を広げていく。

 

 

「さぁ、ショーの始まりだ!!」

 

 

ジョーカーは煙の中に入り、その中でジョーカーを探しているブルド改の姿を見つけた。

 

 

(いた……!)

 

 

そしてブルド改が追い付くことの出来ないスピードで大鎌を振る。

 

その一振り目は斧を持っている右腕を根元から切り下ろした。

 

二振り目はその反対の腕を切り下ろし、そのまま居合い斬りをするように今度は右足を装甲の薄い根元を切り下ろし、最後に、倒れようとしていたブルド改の胴体は当てない様に首を刈り取った。

 

 

そして煙が晴れるとそこにはバラバラになったブルド改と片足で体を踏みつけ、左手にブルド改の首を持っている姿があった。

 

 

『うおおおぉぉぉお!!!』

 

 

この光景に観客は大きく感興していた。

 

 

『第一回戦の勝者は山野バンのジョーカーMk2、煙に紛れて首狩りガトーをあの大鎌で切り裂きました。正に『白い死神』の名に相応しいプレイを見せてくれました』

 

 

 

なお、二回戦は原作どうり不戦勝だった。 

 

 

 

 

(俺はリン以外は大丈夫だからいいけど……そいえばカズが三回戦の相手がリンだったっけ?見に行かないとないとな……)

 

 

 

バンがバトルを終えて戻ってきた頃には既にカズとリンがバトルをしていた。

 

 

(あれ!?ジ·エンペラーじゃない!!)

 

 

リンが使っていたのはゲームではパスワードでしか入手できない『赤のジ·エンプレス』を使っていたのだ。

 

カズは背中のブースターを上手く使いながら銃を射つが、リンはそのすべてを最小限の動きで避けながら近づいている。

 

 

「くそっ!コイツ上手い……!」

 

「……終わりです」

 

 

ジ·エンプレスは一気に攻勢をし、ジャンプしてアキレスを叩き落とした後、アキレスの頭をティターニアで叩き潰した。

 

 

「……13秒46」ボソッ

 

「!?」

 

マジか……カズとはいえ、あのアキレスを瞬殺するなんて……

 

更に、MCの言葉に驚いた。

 

 

『第二回戦の勝者は海道リンのジ·エンプレス、『瞬殺の女帝』の名に恥じないようなバトルを見せてくれました。次も期待しましょう』

 

(瞬殺の女帝!?)

 

 

秒殺の皇帝も瞬殺の女帝に変わっていた。

 

女帝はリンは女の子なのでわかるが、『瞬殺』と言うならばもっと強くなっているのではないだろうか……

 

瞬殺は瞬きをする間に殺されるという意味で、瞬きが0.1秒で、秒殺は1秒を指すので瞬殺の方が圧倒的に強い。

 

 

「悪いバン……とんでもないくらい強かったぜ」

 

「知ってる。瞬殺だったね」 

 

「……まあ、アミなんかはバトル開始から10秒以内でやられてたからな……」

 

 

学校でもそうだったが、リンはアミのことが本当に気に入らないのか……そのアミは柵に肘をかけて拗ねていた

 

 

「全く失礼しちゃうわ……ってバン!?」

 

「お疲れアミ、どうしたの?そんなに拗ねて」

 

 

アミは反論しようとしたが、口を閉じた。

 

 

「いや、何となく腑に落ちないだけよ……」

 

「……リンとのバトルか?」

 

「そうよ!あの女、カズとかはちょっと手加減してたみたいだけど、私には本気で潰しに来たのよ!全く動かずにやられたわ!」

 

「ああ……」

 

 

まあ、クノイチではジ·エンプレスには勝てないだろう……せめてパンドラを使わないと勝てない。

 

 

「ごめん、とょっと一人にさせて……」

 

「そうか……悪かったなアミ」

 

 

そのままアミは地下から出てってしまった……

 

 

「……心配だからまた後で様子を見に行くか」

 

 

アミが地下から出てった後、入れ替わるように肩をチョンチョンッとつつかれた。

 

 

「バン君……ちょっと一緒に来てほしいんだけどいい?」

 

「え、いいけど……」

 

 

そのままリンに腕を引っ張られて会場の端っこに移動させられた。

 

 




 実は最初はリンのLBXは普通にジ·エンペラーにするつもりでしたが

「よく考えたら女帝なのに皇帝のLBXを使うって変じゃない?」

という理由で女性型のジ·エンプレスに変えました。


次回はバンとリンの関係性についてです


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

病院での記憶

今回はバトルとかは全くなく、ただただバンとリンとの思い出を話す回です


「……本当に私の事憶えてないの?」

 

 

会場の端に連れ去られてからめっちゃさっきからこのようにグイグイ攻めてくる。

 

 

「ごめん、本当に憶えていないんだ。写真を見せてくれたら思い出すかもしれないけど……」

 

 

実際にバンはトキオブリッジの事件に巻き込まれていなかったし、リンのような特徴的な髪の子も見たことがない。

 

 

「じゃあ……これは憶えている?」

 

 

リンがグイッとCCMを寄せて見せてきた。

 

 

「ちょっと近いって………えっ……」

 

 

そこにはバンが見覚えのある白い部屋と白いベッドに幼稚園の頃のバンとリンとは違う真っ黒な髪の毛をした短髪の女の子が写っていた。

 

 

「どうして君がそれを!?」

 

 

バンの冷や汗が止まらず、顎にまで滴った。なんだか悪い予感がした……

 

 

「……バン君はあの時した『約束』憶えている?」

 

「……さあ?何のことだったか」

 

「そういう所もあの頃のバン君とそっくり……」

 

 

実際バンの口調や口癖はその頃からある程度形になっていたので実際変わっていない。そんなことは幼馴染みのアミで気付く位なのでリンは当時からずっとバンのことをよく観察していたんじゃないかと思う。

 

 

「へえ、よく俺の事を観察しているんだね」

 

「気になる人はどうしても目で追ってしまうでしょ……?」

 

 

何でこんな性格に変わってしまったんだ………

 

 

 

 

 

──九年前──

 

俺はその時、車に引かれて病院に入院してた。

 

あの時の記憶は今でも憶えている……

 

 

その時、非常階段の所で自分と同じ病院服を着た黒髪の短髪の女の子が泣いていた。

 

 

「ぐすっ、ぐすっ……」

 

「どうしたの?こんな所で泣いて」

 

 

何となくその時興味が湧き、女の子が座っていた所の横に座った。

 

 

「よかったら君の悩み事聞かせてくれないかな。一人で溜め込むのはよくないと思うよ」

 

「……本当に?聞いても私の事イジメたりしない?」

 

「しないよ。僕はそんな偏見は持っていない」

 

 

それからポツポツと彼女が話してくれた。両親が事故でなくなってしまってある大人の人の所にいるが、その時に大怪我をして至る所に包帯を巻いているので、転校したその先でいじめを受けているとのことだった。

 

「そっか……」

 

「どうせあなたも私の事をイジメたりするんでしょ……」

 

 

その時、俺と同じくらいの身長の彼女の背中がすごく小さく見えた。

 

そしていつの間にか彼女を抱き締めていた

 

 

「そんなことはない!僕は君のことはあまり知らないけど、君にだって良いところはいっぱいある筈だよ!」

 

 

勢いで彼女を抱き締めたが、俺はその時四歳だったのでセクハラとかは大丈夫な筈だ。

 

 

「それにそんなに自分に自信が無いなら、僕が自信をつける練習相手になる」

 

「……」

 

 

かはその時顔は見えなかったが、多分驚いていたのだろう

 

 

「……本当にいいの?」

 

 

その時、僕の肩が少し濡れた気がした。

 

 

「勿論。僕が病院にいる間、ずっと一緒にいてあげる」

 

 

彼女から離れようとすると今度は逆に背中に腕を回された。

 

 

「……もうちょっとこうさせて……」

 

 

そのままその姿勢でずっといたら非常階段から上がってきた看護婦に見つかり、怒られたがそこから彼女と病院内で過ごしていく。

 

 

それからいろいろあった。大きい病院だったので二人で病院を探索したり、こっそりアミから貰ったゲームやトランプで遊んだり、彼女が一人は寂しいと言って俺の病室のベッドに来て一緒に寝たり、彼女の誕生日を祝り、当然の俺が渡す事が出来る金額の物をプレゼントしたりもした。

 

そうした日々を送っていくうちに段々と彼女は明るくなっていった。

 

しかし、始まりがあるように終わりもある。俺の退院の日が決まったのだ。

 

それを彼女が知ると恐らく号泣して俺がいなくなったらまた元に戻ってしまうだろう。だから退院することは前日まで隠すことにした。

 

 

 

 

 遂にその時は来た。退院する前日の夕食が出る前に彼女を俺の病室に連れていき、辛いが、俺が明日退院する事を伝えた。

 

 

「いや!ずっと一緒にいたい!お願い、私の前から居なくならないで、ずっと側にいて!!」

 

 

予想どうり彼女は病室で泣きわめいた。まだ幼い彼女にはこの別れは辛かったのだろう。そこで俺は彼女とある約束をした。

 

 

「……じゃあこう約束するよ『僕が退院した後、君とまた出会えたらまたこうして病院で過ごしたように一緒に遊んだりする』って」

 

 

彼女はこれを聞いたとたん、ピタリと泣き止んだ。

 

そして彼女からも約束を提案してきた

 

 

「じゃあ私からもお願い事。『バン君と勝負して勝ったらずっと側にいてくれる』って約束して……」

 

 

俺は彼女から約束事をしてきた事に驚いたが、彼女もこの病院生活で自信がついたのだろうと思った。

 

 

「いいよ、じゃあ小指を出して」

 

「うん……」

 

 

ゆーびきりげんまん、うそついたらはーりせんぼんのーます!ゆびきった!

 

前世でも小さい頃約束をするときのおまじないみたいなことをこの時した。

 

 

「じゃあ約束だよ!」

 

 

そして沢山泣いたからか彼女はお腹が空いたようで、一度自分の病室に行った後、また俺の病室に来た。

 

 

「あれ、もう食べ終わったの?」

 

 

そしたら彼女はトランプを出した。

 

 

「バン君、トランプしよ!勿論、私が勝ったらずっと側にいてよね!」

 

 

その後、何回もトランプをしたが、そのたびに俺が勝っていた。

 

 

「もうそろそろ寝たら?」

 

「まだ……バン君に勝つまで諦めないもん……」

 

 

よっぽど俺が側にいて欲しかったらしく、トランプのカードを手に持ちながら寝てしまった。

 

 

「全く……そんなに離れたくなかったんだな……」

 

 

俺は小さい体で同じくらいの体の彼女を背中に背負って彼女の病室に行き、ベッドにおろした。

 

 

「……ごめんな。退院したらまた会える事を願うよ……」

 

 

俺は寝ている彼女の頭を撫で、布団を被して自分の病室に戻った。

 

 

 

 

退院当然、母さんは仕事が始まる前に迎えに来た。

 

昨日、俺とずっとトランプをしていた彼女は夜更かしをした反動でずっと寝ているらしく、俺が病院から出ても彼女は来なかった。

 

そして俺は元の生活に戻ったが、暫くは彼女のことが気になっていたが、時間が経つにつれてその事はあまり考えなくなっていった………

 

 

 

 

 

 

 

そして現在に至る。

 

 

「『また出会ったら病院で過ごしたように一緒に遊んだりする』と『私が勝負で勝ったらずっと側にいてくれる』って約束やっぱり憶えているみたいね」

 

「……」

 

「私ね、実はあの時、髪の毛を黒に染めていたの……」

 

 

リンはバンと瞳孔がくっきりと見える所まで近付き、右手にCCMを持ったまま腕を腰に回した。

 

彼女は9年前とは違い、中学生とまだまだ幼いが、女性として魅力的になっていた。

 

 

「バン君、決勝戦で貴方とプラチナカプセルの両方を戴くわ……」

 

 

そう言いリンは腕を放し、人混みの中に消えていった……

 

 

「……とりあえず、三回戦は何とか勝たないとな」

 

 

成長したリンに会わせる顔がない。決勝戦まで実力は隠しながら上手く戦おうと思った。

 

 




 やべぇ……中学生なのにリンがめっちゃセクシーでカッコええ……!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

モノクロの道化師

リンと別れた後、そのままバンはステージに上がった。

 

 

「バン……お前、キヨカに変な事はしてないよなぁ?」

 

 

仙道先輩はステージの上でも相変わらずのシスコンっぷりを出している。

 

 

「いや、キヨカちゃんこの前誕生日でしたんでプレゼントを渡しただけですよ」

 

「しかも先輩とお揃いのCCMとLBXですよ。キヨカちゃん凄く喜んでいましたよ」

 

「じゃあ何で一緒に喫煙所にいたんだぁ!?」

 

 

先輩はめっちゃ怒ってた

 

 

「とにかく!このバトルが終わったらキッチリ一から十まで聞かせてもらうからなぁ!!」

 

 

 

 

    バトルスタート!

 

 

まず最初に動いたのは仙道先輩の黒いジョーカーだった。

 

仙道先輩のは市販のLBXだが、それでも素早い動きで岩山から跳んできた

 

しかし、それは単調的な攻撃だったので、白いジョーカーはあっさり避けて回し蹴りで黒いジョーカーを蹴り飛ばした

 

 

「クッ、相変わらず化け物じみた動きだな!」

 

 

先輩は毒づくといつもの三体に分身(全部本物)した。

 

 

「さぁ、今度こそ刻みきってやる!」

 

「それいつも言ってますよね……」

 

 

仙道先輩とバトルするのは初めてではない。むしろ郷田先輩並みにバトルしている。なおバンが全勝している

 

 

「『スターの逆位置』お前の未来は暗いと出ている……」

 

 

バンはタロットカードはよく知らないので良く分からないが、どうやら随分と自信があるようだ。

 

そしていつもどうり三体同時に動き始めた。

 

 

「これでもくらえ!」

 

 

黒いジョーカーが三芳香で一斉に大鎌を振り下ろした。

 

しかし、そこには白いジョーカーの姿はなかった

 

 

「なに!?どこにいった!?」

 

 

三体のジョーカーが周りを探しているが、一向に見つからない。

 

 

「……ここにいるよ」

 

 

三体の内、一つのジョーカーの頭に四つ目のジョーカーズゾウルが振り下ろされる。

 

それは頭から股間の部分まで一気にコアスケルトンごと切り裂いた。

 

 

「クソ、しまった!」

 

「さっきのタロットカードの占いは自分を占ったんじゃないのかな?」

 

「キサマ……!」

 

 

先輩は完全にキレてそれから動きが荒くなった。それに隙を漬け込み、少しずつアーマーフレームに傷をつけ続けた。

 

 

「……お遊びはこれで終わりだよ」

 

 

バンが飽きたのか、遂に動きを見せた。

 

それまでダンスをするような動きから一転して普通のLBXでは出来ないようなスピードで動き始めた。

 

 

「まず一体目……」

 

 

高速で移動していた白いジョーカーは一体の黒いジョーカーの横に現れ、首を切り、また高速移動してもう片方の黒いジョーカーも攻撃をしに行った。

 

しかし、最後の一体はなんとか耐えきったが、高速移動の衝突するときの衝撃で飛ばされた。

 

 

「クソ、また負けるのか……」

 

 

仙道が諦めかけた時、外野から応援の声が飛んできた。

 

 

「おにーちゃーん、がんばってー!」

 

 

応援したのはキヨカちゃんだった。

 

 

「キヨカ……!」

 

 

仙道先輩はそれを見て調子を取り戻したのか、さっきよりも動きが良くなった。

 

 

「そこか!」

 

 

先輩はやっと白いジョーカーの姿を捉えることが出来た

 

 

 

「これでもくらえ!必殺ファンクション!」

 

 

 

   アタックファンクション!

 

   デスサイズハリケーン!

 

 

黒い竜巻が白いジョーカーを襲おうとするが、バンも必殺技を繰り出した

 

 

「……必殺ファンクション」

 

 

 

   アタックファンクション!

 

   デスサイズハリケーン!

 

 

二つの黒い竜巻がぶつかり合う

 

最初は拮抗していたが、黒いジョーカーが放った黒い竜巻は徐々に押されていき、最後は勢いに負け、もう一つの黒い竜巻に押し潰されそのまま黒いジョーカーに直撃して、

 

ドオォォォォン!と勢い良く爆発した。

 

 

「おにいちゃん!」

 

 

バトルが終わり、ステージに上がって来たのはキヨカちゃんだった。

 

 

「キヨカ……ごめんな、お兄ちゃん負けちゃったよ……」

 

 

仙道先輩はとても悲しそうな顔をするが、キヨカちゃんは仙道先輩の予想とは全く違う事を言った。

 

 

「ううん、お兄ちゃん負けちゃったけど、凄いカッコよかったよ!」

 

「キヨカ……」

 

「だからそんなに落ち込まずに家に帰ったら一杯練習しよ!キヨカも付き合うよ!」

 

 

その時、仙道先輩の目に涙が流れた

 

 

「キヨカ……!」

 

「えへへ……バンおにいちゃんが教えてくれたの。『負けた時、そこで泣いたり悔しんだりしてもいいけど、そこから何を学んで次に活かしていくのが大切なんだ』って!」

 

「バン……お前……」

 

 

仙道先輩は俺の目を見た。

 

 

「……疑って悪かったな。次の決勝戦は瞬殺の女帝だ、俺と今度バトルするまで絶対に負けるんじゃねえぞ」

 

「バンおにいちゃん、頑張ってね!」

 

 

そしてそのまま二人はそのまま会場を後にした。

 

 

 

後に仙道先輩の異名は『箱の中のシスコン魔術師』と変わることになるのはそう遅くなかった……

 

 




やっぱキヨカちゃん天使や……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

秒殺の女帝

 いよいよアングラビシダスも最後の試合が始まろうとしていた。

 

相手は瞬殺の女帝のリンだ、全力でいかないと絶対に負ける……これは絶対に負けられない戦いだ

 

 

『これより決勝戦を行います。選手はステージに上がって下さい』

 

 

遂にアナウンスがなった。俺は一緒にいたカズと別れ、ステージに上がる

 

 

『これよりアングラビシダス決勝戦を行う!戦うのはこの二人だ!!』

 

『白いジョーカーを使い、あの大鎌で敵を切り裂く白い死神、山野バン!!』

 

『そして全てのバトルを瞬殺で終わらせた超絶テクニックのLBXプレイヤー、海道リン!!』

 

『この戦いの勝者にはLBX世界大会、『アルテミス』の特別出場枠が与えられる』

 

『さあ、果たして勝つのはどっちだ!』

 

 

レックスと司会の言葉で会場は今日一番盛り上がった。

 

 

「……バン君、約束どうり私が勝ったら君とプラチナカプセルの二つを貰う」

 

「分かってるさ……9年前に約束したもんな」

 

「でも、もし君が勝ったら君の父親の居場所を教えよう」

 

 

原作どうり、勝ったら父ートの居場所を教えてくれるみたいだ。……負けた時の損失は大きいが

 

 

「本当だね?いくぞ!」

 

 

『それではこれより決勝戦を行います!』

 

 

 

   バトルスタート!

 

 

 

決勝戦のジオラマは原作どうり『城砦』だ。ただし、LBXは全く違うが

 

 

「いくよ、バン君!」

 

 

ジ·エンプレスは武器をティターニアからマシンガンに切り替えて攻撃してきた。

 

 

「いきなり銃撃戦かよ!」

 

 

これに応戦するようにジョーカーも大鎌からこの時の為に取っておいたオートマシンガンに変えた。

 

 

両者とも一発も銃弾が当たらないまま銃撃戦は続いたが、ジョーカーとジ·エンプレスのマシンガンの銃弾は空になったので、再びそれぞれのメイン装備に持ち変えて、城砦内で接近戦を始めた。

 

 

「なかなかやるね……」

 

 

パワー勝負では勝ち目がないので、ジョーカーは高速移動しながら戦う……しかし、ジ·エンプレスはジョーカーのスピードほど出ないもの、それに近いスピードでついていく。

 

 

「どう?もう諦めない?」

 

「ここで諦めたら男が廃るよ……」

 

 

そこから更に戦闘は激しくなり、第三者の目では追い付けないくらいのスピードになっていた。

 

だが、ジョーカーが城砦の上に止まったとき、ジ·エンプレスは動いた。

 

 

「いくわよ、必殺ファンクション!」

 

 

 

   アタックファンクション!

 

    インパクトカイザー!

 

 

ジ·エンプレスはティターニアを地面に振り下ろし、地面から出たマグマがジョーカーを襲う。

 

しかし、それを得意のスピードで上に飛んで避けた

 

 

「お返しだ、必殺ファンクション!」

 

 

 

   アタックファンクション!

 

     ボルトスパイク!

 

 

ジョーカーは上空から電気の釘をジ·エンプレスのに向かって打ち込むが、ジャンプして避けられてしまった。

 

 

「避けられた!?」

 

 

この技はこれまで一回も避けられたことがなかったのに

 

 

「バン君の使うアタックファンクションは全部知っているわ……」

 

「……これは長い戦いになりそうだな」

 

 

そうしてまた戦闘は再開する。だが、そろは更にヒートアップしており、遂にバンのCCMの入力速度が今までで一番高性能のジョーカーのCPUに追い付かなくなっていた。

 

しかし、それはリンも同じだった。僅かにだがジ·エンプレスの反応が鈍くなっている気がした

 

 

(それに賭けるしかない……!)

 

 

ジョーカーはCPUが追い付かなくなるくらいに細かくステップすることでジ·エンプレスを撹乱させることに成功した

 

 

「今だ!」

 

 

ジョーカーの大鎌の先端がジ·エンプレスの装甲を捉えた

 

そしてそのまま僅かにだが、ジ·エンプレスの右肩の装甲にダメージを与えることが出来た。

 

しかし、それはジ·エンプレスも同じだった。ティターニアがジョーカーの左肩をかすった。

 

 

「これでおあいこね……」

 

「……まだそうとは決まった訳じゃないよ」

 

 

しかし、バンの言葉とは裏腹に両者ともダメージを与えながら受けるのを繰り返し、二機ともゲージは危険地帯に入った。

 

既に両者とも装甲は傷がいくつもついており、カーボンの装甲を使っているジョーカーの装甲も傷だらけで、コアパーツからはルシファーと戦った時ほどではないが、二機とも微かに煙が出ていた。

 

それを瓦解しようとジ·エンプレスが必殺ファンクションを繰り出そうとした

 

 

「この一撃で終わらせるわ、必殺ファンクション!」

 

 

ジ·エンプレスがインパクトカイザーを繰り出そうとする。しかし、ジ·エンプレスの右腕がバチバチと火花がとんだ。

 

バンはこの時を狙っていたのだ。このときまでずっとしつこくリンにばれない程度に右腕を集中攻撃していたのが結果として帰ってきた。

 

 

そしてジ·エンプレスは膝をつき、動かなくなった

 

 

「どうして?、なんで動かないの!?」

 

 

そしてリンのCCMから音声が鳴った

 

 

『System Error……』

 

 

それを見た司会者が決断を下した

 

 

『ジ·エンプレス機能停止、バトル続行不可能とみなします!』

 

『よって勝者……』

 

『山野バン!』

 

 

司会者からの決断で俺の勝利が決定された

 

 

「……何とかなったか……」

 

 

原作を知っていたらこその一か八かの勝負に出たが、原作を知らなかったら多分負けていただろう……

 

 

「どうやら決着のようだな……」

 

 

俺とリンの間にいたレックスが二人を二人を見て言った

 

 

「アングラビシダスの優勝者は山野バン!アルテミスの出場権は彼の手に!!」

 

 

その時、会場はワアァァア!と歓迎の声が響き渡った。

 

そしてリンがステージから降りようとしたときにバンの前で止まった

 

 

「ポイント579-934」ボソッ

 

「それは……」

 

「バン君が欲しがっていた情報よ……」

 

 

リンはバンの横を通り過ぎるが、その時にズボンのポケットに折り畳まれた紙をねじ込まれた

 

 

「これは私の気持ち……」

 

 

去り際にこう話していた気がした……

 

 

その後、入れ替わるようにカズがやってきた

 

 

「バン、すげぇバトルだったぜ!」

 

「ありがとうカズ……」

 

 

しかし、その隣にはアミの姿はなかった……

 

 

 

 

 

 

 

その後原作どうりレックス達にリンが言ってた暗号を言い、とりあえず今日は疲れたのでそのまま家に帰った。

 

 

「そうだ、そいえばリンに紙をねじ込まれたっけ……」

 

 

その紙を開くとそこにはリンのCCMのアドレスと短い文章が書かれていた。

 

             

『病院で 初めて抱いた 君の身を 今も思えば 身が焦がれる』

 

 

……まさか和歌で口説かれるとは思わなかった

 

 




地味に和歌を思い付くの大変だった……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

堕ちた女忍者

ネタバレだけど今回の事件はディテクターは何も関係ないゾ


──アングラビシダス当日の夜──

 

人だかりが減ったが、まだ街灯は光っている駅前で一人少女が歩いていた。

 

 

「はぁ、こんなに悩んでいるなんて私らしくない……」

 

 

周りは誰もいなく、アミは独り呟いた。そしてポケットからズタズタにされたクノイチを取り出す

 

右足と左腕は破損していてフレームはひび割れ、コアスケルトンは修理不可能な所まで壊れていた。

 

 

その時、アミはクノイチが何も出来ないまま破壊されていく記憶が蘇った

 

 

「……っ!」

 

 

体から大量の冷や汗が流れ、急いでポケットにクノイチをしまって足を動かす

 

 

少し歩くと露店がポツンとあった

 

 

「お、そこの嬢ちゃんどうしたんだい?こんな時間に、もう帰らないとお母さんに起こられるんじゃないの?」

 

「いえ、ちょっと少し……」

 

 

アミが気まずそうにゴニョゴニョ話すと察したのか露店主が話を切り替えた。

 

 

「ところでお嬢ちゃんはLBXやるんだろ?」

 

「ええ、……まぁ」

 

「だったらうちのを見ていかない?買いたくなったら安くしてあげるからさ」

 

「まあ、見るだけなら……」

 

 

そう言い、アミはじーっとLBXを見つめた。

 

 

「ムシャにズール、アマゾネスね……あまりピンとこないわね……」

 

「言ってくれるじゃない、これでも最新モデルのを集めたつもりなのに」

 

「でも気に入らないのは仕方ない……だったらこういうのはどうかな」

 

 

露店商が屋台の後ろに行き、ゴソゴソと何かを動かした後、戻ってきた。

 

そしてそれを屋台のテーブルに乗せた

 

 

「え、そのLBX初めて見たわ!」

 

「どっちとも一点物の激レアLBX『エジプト』と『鬼クノイチ』だ」

 

「エジプトに……鬼クノイチ?エジプトは知らないけど、そのクノイチは何か違うの?」

 

 

アミは悩むが、お金が余りないのでどうするか悩んでいる

 

 

「一度鬼クノイチを手に取ってみるかい?」

 

「いいんですか?」

 

 

そう言うとアミは鬼クノイチを手に取る。すると鬼クノイチを見ると一瞬くらっとふらついたが、その後何事もなかったかのようにそのまま何処かへ行ってしまった。

 

 

 

 

 

「毎度ありー!………へっへっへっ」

 

 

 

 

 

 

──キタジマ模型店──

 

 

 アングラビシダスの翌日、拓也さんから昼からブルーキャッツに集まってくれとCCMでメールをもらったので恐らく今日はシーカー本部に行って明日海道邸に侵入するだろうと思い、キタジマでジョーカーのメンテナンスをしていた。

 

暫くすると入り口が乱暴に開けられた

 

 

「バーン!」

 

 

やってきたのはリュウだった

 

 

「どうしたの?そんな涙目になって……」

 

「オレのブルドが……」

 

「?ブルドがどうかしたの?また壊された?」

 

 

俺が冗談半分で聞くとまさかの答えが帰ってきた

 

 

「そうなんだよぉ!河川敷に行くんじゃなかった!」

 

「え!?リュウ、誰にやられたの!?」

 

 

そんなはずはない。恐らく『エジプト』にやられたのだと思うが、原作でそれを操作していたのはカズだったし、彼に特にそんな雰囲気はなかった筈だ……

 

しかし、そんな予想はあっさりと裏切られた

 

 

「ア、アミちゃんだ……」

 

「え!?アミが!?」

 

 

まさか、アミがそんなことをするはずがない。……よっぽどのことがない限り……

 

それにアミのLBXはリンのティターニアによってコアスケルトンを直す事が出来ないレベルで破壊されていた筈だ。

 

 

「そうなんだ、アミちゃんのLBXにやられたんだぁ!」

 

「……取り敢えず直ぐに河川敷に向かおう」

 

 

それから河川敷に向かったが、この時はまさかこんなことになるなんて思いもしなかった……

 

 

 

 

 

 

──河川敷──

 

 

河川敷に行くと下でアミがDキューブを展開して立っていた

 

 

「アミ、どうしてリュウのブルドを破壊なんてしたんだ?」

 

「……」

 

 

しかし、アミは何も反応してくれなかった

 

しかし、この時初めてアミが口を開いた

 

 

「……勝負よ、バン」

 

 

そうして取り出したのは黒く染められていて、いつもは緑の部分が黄色になっていた。

 

 

「もしかして新しいLBXを買ったのか……?」

 

 

しかし、アミは何も反応してくれなかった。この時怪しいと思い、アミの目を見たらハイライトが消えていた。

 

間違いなくこれは操られているに違いない

 

 

(でもこのアーマーフレーム、どっかで見たことがあるような気が………)

 

 

まあ、そんなことは考えてもどうしようもないので、さっさとあのクノイチを破壊してアミを元に戻すことにした。

 

 

 

   バトルスタート!

 

舞台は恐らく原作では『砂漠』だったが、今回は『地中海遺跡』に変わっていた。恐らく単純なスピード勝負では負けるから遺跡の柱などで隠れて攻撃したりするのだろう

 

 

「……鬼クノイチで切り刻んであげるわ」

 

(鬼クノイチ!?そんな、まだディテクターはまだ出てこない筈だぞ!?)

 

 

バンが衝撃を受けている間に鬼クノイチが上から降りてきてジョーカーに襲ってきた

 

 

「っ!速い!」

 

 

今までのクノイチなんかよりも格段に速くなっていた

 

ジョーカーも対抗するが、クノイチに細かい攻撃にたじろぎ、どうしてもなかなか攻撃が出来ない

 

しょうがないので一旦遺跡の柱に身を隠す事にした

 

 

「……あの洗脳はもしかして普段よりも思考回路が回らないのか」

 

 

ジョーカーが少し探したらわかる場所にいるのにクノイチはウロウロと探していた。

 

 

(このチャンスを上手く使えれば……!)

 

 

ジョーカーは行動に移った。 

 

 

クノイチにバレないように柱を足場として使って上から攻撃を仕掛けた。

 

それは見事に成功してクノイチの頭を大鎌で攻撃すると、クノイチのヘッドパーツが半分に割れて片方が外れた

 

それを食らったクノイチは間合いを取るために一歩後ろに行った

 

 

「今だ、必殺ファンクション!」

 

 

 

   アタックファンクション!

 

   デスサイズハリケーン!

 

 

 

黒い竜巻が鬼クノイチを襲い、クノイチから青い光が出て動きが止まった

 

 

「うぅ……」

 

 

アミが一瞬唸るとそのまま倒れてしまった。

 

 

「アミ!?大丈夫か!」

 

 

その後、俺はアミを背負って流石にこのままアミの家に運ぶのは不味いので一旦俺の部屋に運ぶ事にした

 

 




次回はバンの部屋でだらだら話をする予定です


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

病院での記憶(アミside)

正直これ書いていて心が痛くなったわ……


「ここは……バンの部屋……?」

 

「アミ!起きたか……」

 

 

アミが目覚めるとバンは安心し、息を吐いた。

 

 

「良かった……何事も無くて……」

 

「え……私何かした?何も覚えてないんだけど……」

 

「え、そうなの!?」

 

「うん……」

 

「そっか……拓也さんには連絡から昼からはアミが無理そうだから夜にしてくれって言っておいたから……」

 

 

バンがアミを安心させる言葉を言うとアミは肩の力が抜けたのか、お腹からクゥーという音がした。

 

 

「ハハハ、お腹空いていたんだね、これからお昼ご飯を作ってくるからゆっくりしてってね」

 

 

そう言ってバンは部屋から出てった

 

 

「……久しぶりにバンの部屋に来たわね」

 

 

特にすることもなく、アミが独り言を呟く

 

 

「最後に来たのは何年前かな……」

 

 

アミはバンとは幼なじみでLBXを切っ掛けに仲良くはなっているが、実は9年前の出来事が切っ掛けで余り話さなくなったのだ……

 

 

 

 

 

 

 

──9年前──

 

その時はバンは車に引かれて病院で生活をしていた頃だ。

 

それでかなり遅くなるが、バンが病院に行ってから1ヶ月半後に私がお母さんと一緒にお見舞いしに行った時からだ……

 

 

「バン、大丈夫?」

 

「大丈夫だよ、ちょっと骨を折っただけだって」

 

 

バンは昔からよく事故や事件に巻き込まれやすいようで、この時は右手首と左足を骨折していた。

 

 

「それに子供は大人と違って骨が柔らかいからちゃんとカルシウムを取っていれば直ぐに直るからね」

 

 

その時はバンの言っていることがよくわかっていなくて凄く心配していた。そのお陰で今のような性格になったのだが

 

 

その日はバンに学校でわからなかった算数の勉強を教えてもらっていた。

 

今もそうだけど、彼の教え方はとても分かりやすくて今でも教えてもらっている

 

その日も彼の病室で勉強をしていたのだが、ドアからバンッと私と同い年くらいの病院服の女の子が入ってきた

 

 

「バン君、今日も遊ぼ!……あ……」

 

 

その子は私の事を見るとササッとバンの背中に隠れてしまった

 

 

「リン、ダメだよ人見知りするのは……」

 

「バン、その子はだれ?」

 

「紹介するよ。同い年のリンだよ」

 

「……よろしく」

 

 

よく考えればこの子がアングラビシダスで私のクノイチを破壊したのだと思い出す

 

 

「私は川村アミっていうの、よろしくね」

 

「アミとは幼なじみなんだ」

 

 

その時、一瞬この子の顔が暗くなった気がした

 

 

「それでバン君は遊ばないの?」

 

「ごめんね、今はアミに勉強を教えているんだ」

 

 

バンがリンの頭を撫でる。撫でられてたリンは機嫌を良くしていた

 

 

「じゃあ私も一緒に勉強する!」

 

 

そう言ってリンは病室から飛び出し、何処かへ行ってしまった

 

 

五分くらい勉強をバンに教えてもらっているとまたドアが勢いよく開いた

 

 

「勉強道具持ってきたよ!」

 

 

そのままバンのいるベッドに上がり、バンの横で教科書とノートを開いた。私が使っている教科書と同じものだ

 

そしてしばらく個々で勉強をしているとリンがバンが使っている教科書が違うことに気づいた。

 

 

「あれ、バン君は算数やらないの?」

 

「ああ、もう宿題はもう終わったから今は英語を勉強しているんだ」

 

「えいご?」

 

「世界中で通じる言葉の事だよ」

 

「へえー世界中の人と話せるようになるの?スゴーい!」

 

 

この時から既にバンは周りの人とはちょっと違う人だった。

 

 

その後夕方になり、私は彼の病室を出たが、筆記用具を忘れ物をしてしまったので病室に戻り、ドアを開けようとすると声が聞こえた

 

 

『ねえバン君』

 

『……』

 

 

私はそれが気になり、少しドアを開けてコッソリとなかを見た

 

そこには横になって寝ているバンと彼に馬乗りになって座っているリンの姿があった

 

 

『私のこと好き?』

 

『……』

 

 

バンは全く反応しない。恐らく寝ているのだろう

 

 

『ひどいよねバン君は、私の気持ちに気付いているのに分かっていながらこうやって遊んでくれるもんね……』

 

 

アミが入る隙がなく、それをずっと見ているとリンはバンの服に手をかけた

 

 

(何をするの──!)

 

 

リンがバンの服のボタンを一個ずつはずし始めたのだ

 

 

『私、バン君の事が好き……』

 

『だからさ、友達じゃなくてもっと上の関係になりないな……』

 

 

そして全てのボタンを外した後、中に着ていたシャツも

脇まで捲った

 

そしてリンはバンの髪を触ったりして最後はバンの首筋を舐めた

 

それを見ていて頭の中で段々と私とバンの思い出が黒く塗りつぶされていった

 

その時リンはバンの首筋を舐めながらドアの方を見てきた

 

 

『……ねぇ、そこに誰かいるんでしょう?』

 

(ッ!)

 

 

その時、私はその場から逃げ出した。怖かったのだ、あの茶色に近い瞳が……そして何よりも幼なじみのバンが同い年の子に馬乗りにされて、体を舐め回されている姿を見るのが辛かった

 

別にバンの事が好きだったとかそういうことではない。ただ、幼なじみで仲が良いだけだ。それでもあの焼き付くような光景は見たくなかった

 

 

その後病院を出てお母さんの車に乗って帰った。その後自分の部屋に入ると私はすすり泣きをしていた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それ以降、バンとは話さなくなったが、LBXが切っ掛けでまた仲良くなって現在に至る。

 

 

「………い…丈夫……大丈夫?」

 

 

私がボーッとしていたらバンが心配してくれていた。よっぽどずっと考えていたのだろう

 

 

「ううん、大丈夫だよ」

 

「そっか……お昼ご飯を作ったからこれを食べてゆっくりしようか」

 

 

バンはサンドイッチをアミに渡してベッドに腰をかけた彼をついじっと見てしまった

 

 

「?どうかしたの?」

 

「いっ、いや何でもない!」

 

 

何だか彼の隣にいると何となく今まで考えていたことが馬鹿馬鹿しくなってきた

 

何となくだが、彼といると落ち着く。

 

 

「ずっとこのまま時が止まればいいのに」

 

そう思っていたがそんなロマンチックなことは起きない。

 

時間はあっという間に過ぎて拓也さんと待ち合わせの時間がやって来たのだった

 

 




ドラマでありそうなドロドロな三角関係になってしまった……
これ収集がつかないかもしれない……
ていうかリンがめっちゃ変態になった……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

海道邸潜入

 昨日は原作と全く同じ感じで展開が進み、今日はグレーズヒルズから地下水路を使って潜入しようとしていた。

 

……実はリンから招待状を貰っているなんて言えないが

 

 

「うわー、うわー!ここがセレブの町『グレーズヒルズ』かぁ!初めてきたぜ!」

 

「ちょっとリュウ!大きな声を出さないでよ、遊びに来たんじゃないんだからね!」

 

 

まあリュウが興奮するのも無理はない。ここには有名人やお金持ちが多く住んでいるからだ。その分物価は他よりも高い

 

 

「しっかしどこを見てもただの広場だよなぁ」

 

「そうね、でもあの下に隠し通路があるはずよ」

 

 

里奈さんが噴水下の隠しスイッチを押す。すると噴水の下の床が「ゴゴゴ……」と動いて下に続く階段が現れた

 

 

「凄いな……」

 

 

わざわざこんな装置を作る必要があるか疑問に思うが

 

 

「よしいいな、予定どうりここからは別行動だ」

 

「俺と里奈とレックスは電気系統の制圧を行う。バン達は地下通路から海道邸へ向かってくれ。くれぐれも無茶するなよ」

 

「わかりましたじゃあ行ってきます」

 

 

こうして原作どうりのメンバーで地下水路を歩くこととなった

 

 

 

 

 

 

 

 

──地下水路──

 

「うわっ、気味が悪い所ね。何か出そうだわ……」

 

 

アミが呟く。確かに所々苔が生えていたりして気持ちが悪い。ネズミとかの住み処がありそうだ

 

 

「アミちゃん、俺がついているよ」

 

 

いつもどうりリュウがワケわからんことを言い出した。お前原作ではネズミでめっちゃビビってたのに

 

すると拓也さんから電話が来た

 

 

『バン、聞こえるか?』

 

『はい、聞こえますよ』

 

『君達は2チームに別れて目的の部屋へ行動するんだ。』

 

『チームはどうするんですか?』

 

『バンとアミとカズで北の地下水道を進むルートを、郷田とリュウとミカで南側の地下水道を進むルートだ』

 

『ガイドデータを送るからそれに沿って進んでね』

 

 

どうやらそこも原作どうりらしい

 

 「わかりました。アミ、カズいくぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

──十分後──

 

『侵入者排除、侵入者排除!』

 

『バン!わりぃ、ドジって警備ポッドに見つかっちまった!』

 

 

 

やはり原作どうりに郷田達は見つかってしまった。会話越しからリュウが泣き叫んでいる声が聞こえる。

 

 

「分かった。今拓也さん達から解除装置の場所を送ってもらったからそれまでは何とか耐えてくれ」

 

『おう!分かった、リュウ!グスグスしてねえで敵を倒すぞ!』

 

 

そこで通話は終了し、俺達は解除装置に向かった……

 

 

 

 

 

  

 

 

──五分後──

 

「バン、後ろ!」

 

「チッ、まだいるのか!」

 

 

おかしい……郷田達が警備ポットに見つかってから警備用のLBXとのエンカウントがどんどん増えている。

 

幸いな事はまだデクーやインビット辺りしかいないことだが、それにしても数が多過ぎる

 

 

「くそ!次から次へときりがないぞ!」

 

 

カズに遠距離から狙撃してもらっているが、俺達は少し離れた位置で戦っていたので、いつの間にか一体のインビットに回り込まれてしまった

 

 

「カズ、後ろ!」

 

「なに!?くそ、間に合わない……!」

 

 

インビットの武器腕がアキレスに振り下ろされる所でジョーカーは大鎌を投げて腕を切り下ろした

 

 

「ナイスだバン!」

 

 

アキレスは片手銃に持ち替え、インビットに銃弾を打ち込んで倒した

 

しかし、カズを援護した間に今度はアミが臨時でキタジマ模型から借りている『クノイチ弐式』が五体近くの敵に取り囲まれていた

 

 

「アミ!今向かうからな!」

 

 

ジョーカーは腰から『ブロードソード』を取り出しアクロバットで敵のLBXの頭上を越え、クノイチ弐式の前に立った。

 

 

「必殺ファンクション!」

 

 

 

   アタックファンクション!

 

    ソードサイクロン!

 

 

ジョーカーの攻撃でキレイに取り囲んでいた一掃することが出来た

 

 

「ありがとう、バン!」

 

「ああ、それよりも先を急ごう!」

 

 

こちらでここまで敵の数が多いのなら郷田達の方はもっと多いだろう。早く解除しないと収集がつかないことになる

 

 

「見て!解除装置があったわ!」

 

 

隣にいたアミが指を指したところに黒い装置があった

 

 

「よし、急ごう!」

 

 

三人はそこへ向かって走り出したが、そこにも大量の敵がいた

 

 

「くっ、まだいやがったのか!」

 

「グスグス言ってないでさっさと倒すわよ!」

 

 

先に飛び出したのはクノイチ弐式だった。

 

 

「まとめていくわよ、必殺ファンクション!」

 

 

 

   アタックファンクション!

 

      気功弾!

 

 

腕から出るエネルギー弾が地面にぶつかった衝撃をもろに食らった敵が一斉に倒れた

 

 

「アミ何か今日調子良くないか!?俺も負けてらんねぇ、必殺ファンクション!」

 

 

 

   アタックファンクション!

 

    ブラックストーム!

 

 

二人の必殺技であらかた倒しきったので、バンは銃弾が飛んでいる中に入り、そのまま解除装置のレバーを引いた。

 

すると赤く光っていた照明とアラートが消えた

 

 

「警報はもう止んだ、後はコイツらを倒すだけだ!必殺ファンクション!」

 

 

 

   アタックファンクション!

 

   デスサイズハリケーン!

 

 

そして周りにいた全ての敵を黒い竜巻で殲滅することが出来た

 

それを確認した三人は一息ついた

 

 

「何とかなったな……」

 

「本当ね……疲れたわ……」

 

「ていうか今さらだけどさ、クノイチはどうなったんだ?それにバンは今まで剣を使っていると所なんて初めて見たぞ」

 

 

今は再起不能にまでやられたクノイチはキタジマ模型に一旦預けていて、今はサキさんのLBXを借りているのだ

 

因みに闇落ちしたことは二人だけの秘密だ

 

 

「実はジ·エンプレスにやられてから今は修理中なの……」

 

「……そうなのか、早く治るといいな」

 

 

意外とカズは察したのかアミにそれ以降質問してくることはなかった……

 

 

「それでバンは何で剣を?」

 

「いや、俺はただ単に決勝戦で銃の銃身が焼けて使えなくなったからこれを使ってるだけだよ」

 

 

実際、剣はあって困ることは今のところない

 

 

「あー、確かにあれはスゴかったもんなぁ……」

 

「二人とも動きがクノイチより速いし、ハンマーだから威力があるもんね」

 

 

それからも少し雑談をしていたが、直ぐにまた海道邸へ歩き出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後は特に何事もなく海道邸へ侵入できた。

 

 

「わーん、アミちゃん!」

 

 

相変わらずリュウが泣きっ面でこっちに来た

 

そんなことはもう慣れたような郷田とミカがいた

 

 

「レックス、無事合流出来ましたよ!」

 

『そうか、だが本番はここからだ』

 

『海道邸内部は地下水道よりも厳重な警備が敷かれている。そこらじゅうに警備ポッドがいるぞ』

 

「……それは嫌だな」

 

 

郷田先輩は電話越しで露骨に嫌そうな顔をした。多分だけどその時リュウがクッソうるさかったのだろう

 

 

『ならCCMに位置情報を送るからそれをたどって行ってくれ』

 

「分かりました」

 

 

まあ、原作ではこの場所はリンの部屋だがそんなことは全員知らないので黙っておいた

 

 

「じゃあ開けるぞ……」

 

 

郷田先輩が扉を開けるとそこには予想どうりジオラマの隣にリンが立っていた

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

二度目のバトル

私生活が忙しくなってきてなかなか書く時間がなかったから結構遅れてしまいました


豪華な大部屋で待っていたのはリンだった

 

 

「待っていたよ、バン君」

 

「海道リン!?ここはアイツの部屋だったのか!?」

 

 

更にこの部屋にいたのはリンだけではなかった

 

 

「さよう、ここはリンお嬢様のお部屋でございます」

 

 

後ろから執事が来たのだ

 

 

「よりによってこんな所に来ちゃうなんて、どうりで警備が厳重なはずね……」

 

 

「やっぱり来たんだねバン君、せっかく招待状を渡したのに」

 

 

リンがよりによって大勢の前で暴露した

 

 

「バン、どういう事だ……!?」

 

 

郷田先輩がメンチをきるように聞いてきた。流石に郷田先輩のそれは怖いから辞めてくれ……因みに横でミカは見とれていた

 

 

「いや……まあその、何て言うか……アングラビシダスでちょっとね……」

 

 

何とかその場を乗り切ろうとしているのを察してくれたのか、リンが話題を切り替えてくれた   

 

 

「……決着をつけよう、アングラビシダスの続きだ」

 

 

リンがジ·エンプレスを取り出した

 

 

「LBXバトルだと!?」

 

「バン、罠だ!アイツは時間を稼いで仲間を呼び寄せるつもりだ、逃げるぞ!」

 

 

普通ならカズの言うとうりそうしているだろう

 

 

「お待ちください!」

 

 

後ろにいた執事が静止した

 

 

「通報すればたちまち人が駆けつけるでしょう」

 

「バトルに応じれば通報しない。戦うしかないのよ、この強化した『ジ·エンプレス』と」

 

 

原作どうりバトルを申し込まれた(強制)

 

 

「やらなきゃつき出すって言うわけかよ……」

 

「まさか貴方、バンと戦いたくて山野博士がここにいるって教えたの?」

 

 

アミとカズは怪しそうにリンを見ている

 

 

「……いいよ、その勝負受けるよ」

 

「ちょっとバン!?」

 

「流石に無茶だぜ!?」

 

 

二人は止めようとしたがリンの事だ、何かしら海道義光に言っておいたのだろう

 

 

「ジオラマは前回と同じで良いのか?」

 

「うん、じゃないとリベンジ続きにならないからね」

 

 

バンはCCMを取り出し、深呼吸をした

 

 

「……それじゃあいくぞ」

 

 

 

   バトルスタート!

 

まず最初に動いたのはジ·エンプレスだった。アングラビシダスのようにマシンガンで銃撃するかと思っていたが、武器はティターニアからエンペラーランチャーに変わっていて、ハンマーの先から小型ミサイルが出てきた

 

 

「え!?ミサイル!?」

 

 

ジョーカーはそれを避けようとするが、ずっと追いかけてきた

 

 

「君のLBXは動きが良いからね、普通のミサイルよりも追尾機能を底上げしたんだ」

 

「そんな情報を相手に教えても良いのかい?」

 

 

ジョーカーはジ·エンプレスと近接戦闘をしながら上手くミサイルを避ける

 

そしてミサイルの群れが一ヶ所に集中したところを大鎌で纏めて破壊した

 

誘導ミサイルが破壊されて黒煙が晴れた先には無傷のジョーカーが立っていた

 

 

「どうやらこのミサイルは小型化しすぎて殺傷力が減っているようだね。大型化をすることをお勧めするよ」

 

 

しかし、リンはそれにびくともせず、予想どうりと言った反応をしていた

 

 

「流石バン君だね、これなら勝てると思っていたのに……」

 

「嘘つけ、顔はそうは言ってないぞ」

 

「あはは、バレちゃったか」

 

「全く……誰に似たんだか……」

 

「それは間違いなく君だね」

 

「間違いない。確かにその口調は俺のだな!」

 

 

ジョーカーが会話を区切らせ、ジ·エンプレスを攻撃した

 

それはアッサリと防御された。しかし、攻撃は一回だけで終わることは無く、攻防戦が繰り広げられた

 

 

「君は気付いていないと思うけど、君は私にとって凄く大きな存在だったんだよ」

 

 

今度はジ·エンプレスがジョーカーに攻撃を仕掛けた

 

 

「もし、あの時病院に君がいなかったら今ここで君とバトルはしていなかったと思う……」

 

「リン……」

 

 

二人は話ながらも、アングラビシダスの時と同じような激しい戦いを繰り広げていた

 

 

「だからもう二度と君を失いたくないんだ。ここで負けてくれ……」

 

 

ジ·エンプレスとジョーカーはお互いに弾き飛ばされた。そして勝負は決まろうとした

 

 

「これが私の新しい必殺ファンクション!」

 

 

 

   アタックファンクション!

 

    グランドウォール!

 

 

「……それがリンの気持ちか……でもな、残念だけど今はリンの気持ちを受け入れる事は出来ないんだ。必殺ファンクション!」

 

 

 

   アタックファンクション!

 

   デスサイズハリケーン!

 

 

ほぼ同時に必殺技が繰り出された。お互いにほぼ互角の性能なので、地面からの衝撃波を黒い竜巻が吸収し、同時に消滅した

 

その後もハンマーと大鎌がぶつかり合ったが、ジョーカーの動きに遅れが出てきた

 

 

「流石バン君、CPUの性能差で負けていながらここまで戦えるのは君しかいないと思うよ」

 

「くっ……」

 

 

だが、少しずつだが段々とジョーカーはジ·エンプレスに押されていった

 

しかし、途中でジョーカーのCPUの調子が良くなり、戦局はまた振り出しに戻った

 

お互いに身を削りながらバトルを進めていくうちに左腕のパーツに違和感を感じた。

 

そしてバトルを進めていと左腕から黒い煙が出始めた

 

だが、そんな中でバンはチャンスをつかみ取った

 

 

「しまった!」

 

 

リンのジ·エンプレスがジョーカーの大鎌の先端で足を持ち上げられる攻撃を仕掛けられ、バランスを崩してしまったのだ

 

 

「今だ!ひっさ……」

 

 

バンが必殺技を打とうとしていたときに警備員が来てしまった

 

 

「見つけたぞ!」

 

「くそっ、みんな逃げるぞ!」

 

 

俺は観戦していた皆に呼び掛けた、その時僅かにリンが舌打ちをしているような気がした

 

その時、ジョーカーの左腕に限界が来たようで腕がボトリと落ちてしまった

 

その時、リンが近寄ってきてあるものをバンに渡した

 

 

「バン君、これを使って……」

 

 

それはジ·エンプレスの左腕だった

 

 

「これは……!リン、良いのか?」

 

「この後、戦闘が起きるかも知れないでしょ?」

 

「……悪いなリン、ありがとう」

 

 

その後、俺達はリンの部屋から飛び出していき、原作と同じようにもうひとつの部屋に向かった

 

 




毎回戦闘シーンを書くのに苦労するんだけど誰か教えてくれ~!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

月影の侍

この前久しぶりに装甲娘を開いたけど、みんなはまだやっているのかな……


俺達はリンの部屋から飛び出して、もうひとつの部屋に向かった

 

 

「はぁ……何で俺達は走らないといけないんだ……」

 

「お前が招待状を貰っているのにわざわざ地下水路から侵入したからだろ……」

 

「ていうかいつの間にバンはリンと仲良くなったんだよ……」

 

 

郷田先輩やリュウから質問されるが、何とかはぐらかした。

 

 

「この先だな、もうひとつの部屋は」

 

 

そこは豪邸どころか宮廷のような感じであった

 

 

「ここにバンのお父さんがいるのね……」

 

 

リンがいた部屋よりも無駄に大きな扉に皆はポカンとしていた

 

「じゃあ、開けるぞ……」

 

 

俺は皆が突っ立っている中、動いて扉を開けた

 

 

(ここに海道義光が……)

 

 

扉を開けるとそこは元々廊下が少し暗かったので真っ暗で何も見えなかった

 

 

少し部屋の中に入ると突然部屋の照明がついた

 

そしてその先の階段の上に海道義光はいた

 

 

「……待ちかねたぞ、プラチナカプセルを持つ少年よ」

 

「海道義光!?今日はいないんじゃなかったの!?」

 

 

しかし、アミの言葉にはアンドロイドだからなのか反応しなかった

 

 

「コイツがバンのオヤジさんを誘拐したヤツか……」

 

 

俺達は身構える。海道義光は先進開発省大臣でお偉いさんなのでアンドロイドといえどそれなりの数の警備員はいるはずだ

 

しかし海道義光の周りには人の気配は無かった

 

 

「……父親に会いたいか?」

 

 

突然海道義光が口を開いた

 

 

「ああ、勿論だ……」

 

「……良いだろう。ただし、この月光丸に勝てればな」

 

 

海道義光がLBXを出してきた

 

 

「山野博士の息子よ、君達の得意なLBXバトルで勝てば返してやろうと言っているのだ。異論はあるまい……」

 

「……ああ、やってやるさ」

 

「ちょっとバン!?」

 

 

隣にいるアミが驚いた声を出した

 

 

「恐らくここもリンとバトルしたようにここでバトルしないと通報されると思う。ならヤツの言葉に乗っかるしかないんだ……」

 

 

俺はポケットからジョーカーを取り出した

 

 

「来い、相手になってやる!」

 

「ふっふっふっ……」

 

 

海道義光が笑い出した

 

 

「三人一緒にかかってこい……」

 

「なにぃ……?」

 

「随分と自信があるようね……」

 

 

そしてアミとカズも取り出した

 

 

「見るがよい、我が『月光丸』の実力を!!」

 

 

そう言い、海道義光は月光丸を投げて下のテーブルに降り立った。どうやらここが戦場になるらしい

 

 

俺達もテーブルに降り立たせてバトルは始まった

 

 

「バン!一緒にいくわよ!」

 

「わかった!」

 

 

今回はアミが全体を仕切ることになった。作戦としては俺とアミで月光丸と接近戦をしてカズはアキレスを飛ばして上から攻撃と援護をするものだった

 

 

「ふっ……舐められたものだな」

 

 

海道義光は三対一でも余裕そうな表情をしていた。

 

そして月光丸が攻撃を仕掛けた。

 

 

「くっ!」

 

「君達はLBXバトルが得意なのではなかったのかね?」

 

 

海道義光が挑発してくる

 

速度はジ·エンプレスの方が速いが、一撃ごとのパワーが桁違いに強い。武器の中で見ると重い大鎌を使っていて尚且つ左腕がジ·エンプレスのになって火力が上がっているジョーカーは何とかなっているが、問題はクノイチ弐式の方だった。

 

武器がぶつかる度にクノイチ弐式ほ押し負け、やられそうになるところをアキレスが射撃して牽制をするの繰り返しだ

 

しかし、今度はクノイチ弐式から上を飛んでいるアキレスに照準を変えて月光丸はジャンプして一気にアキレスの側まで行った

 

 

「しまった!」

 

 

アキレスは叩き落され、たった一撃でアキレスはかなりダメージを受けた所を月光丸は突いた

 

 

「まずは一体目だ、必殺ファンクション」

 

 

 

   アタックファンクション!

 

      明鏡止水!

 

 

月光丸がアキレスを切り刻もうとするところにひとつの影が入った

 

 

「アミ!?どうして!?」

 

「……バンやカズに助けられっぱなしなのは癪だったのよ」

 

 

そうし話している内にも月光丸はガードしているクノイチ弐式を攻撃する

 

一撃食らう度にクノイチ弐式のダメージは蓄積され、四発目には左肩の装甲が剥がされた

 

 

「これで終わりだ」

 

 

月光丸の刀がクノイチ弐式に振り下ろされる瞬間だった。

 

 

 キィィイン!

 

 

そこにはクノイチ弐式と月光丸の間に割り込んだジョーカーがいた

 

 

「バン!?どうして!?」

 

「俺は仲間が目の前でやられるのを黙って見るつもりはないんだ」

 

そしてジ·エンプレスの左腕のパワーを使い、月光丸を弾き飛ばした

 

 

「アミ、カズ、一緒に全力で攻撃するぞ」

 

 

そしてジョーカーは月光丸に向かって走りだし、それに続くようにクノイチ弐式とアキレスは走り出した

 

 

「ふっ、何人纏めて来ようが無駄なことを……」

 

 

それからアキレスも剣に持ち替えて三人で攻撃を続けた

 

しかし、それでも月光丸に攻撃がかすったりする程度で逆にこちらは不意を突かれたりしてどんどんダメージが蓄積した

 

 

「そろそろお遊びは終わりだ、必殺ファンクション」

 

 

 

   アタックファンクション!

 

     月華乱舞!  

 

 

三方向から一斉に攻撃しようとした三体を纏めて攻撃し、バン達のLBXは一緒に倒されてしまった

 

 

「くそっ……」

 

「ふふっ……これでプラチナカプセルは私のモノ……」

 

「悔しいわね……」

 

「やっぱりムリだったんだよ、あんなヤツらと戦うなんて……」

 

 

またカズがヘタレだした

 

 

「諦めるのはまだ早いわ、きっとレックス達が助けに来てくれる……」

 

 

そのレックスは黒幕だがな

 

案の定レックス達も俺達と同じように捕まっていた

 

 

そして原作どうりの話が進み、後ろから父さんが来て何か海道邸にある物を使った爆弾を起動した。マジ有能すぎ

 

案の定ここも爆発されて俺は近くにあった階段の所に避難した

 

 

「バン君……」

 

 

俺の側にリンがいた。恐らく俺達の話をコソコソ聞いていたのだろう

 

 

「リン……?どうしてここに……」

  

「……これを渡しに来た」

 

 

そう言うとリンは俺のジョーカーの左腕を渡した

 

 

「俺のジョーカーの左腕?直してくれたんだ……」

 

 

原作の郷田先輩もそうだが破壊されたパーツの修理するの早すぎる

 

 

「本当は学校で渡したかったけど……」

 

「いいんだよ、それで明日は学校に来るの?」

 

「……来ても大丈夫?」

 

 

少しだけリンが心配そうな顔をした

 

 

「そうやってコソコソするより堂々としていた方が絶対にいいと思うよ。仮に何かあったら俺がリンを守るよ」

 

 

そう言ったらリンは少しだけ照れ臭そうにしていた

 

そして気づいたら抱きつかれていた

 

 

「……わかったよ、明日からは学校に行く……でも絶対守ってね?約束だよ」

 

「ああ、勿論だ……」

 

 

近くで原作と同じやり取りをしていた拓也さんが里奈さんと別れる所まで進んでいたのでリンと別れて俺達はまた地下水路に入って脱出した

 

 

 

 

 

 

 

次の日、ちゃんと約束どうりリンは学校に来ていた。アミとカズは何であんなことがあったのに来ているんだろうと感じているようだったが、周りに知られてはいけないので特に何もしなかった

 

それからリンは休み時間に毎回俺の所に来るようになり、あの時のようによく一緒に時間を過ごすようになったが、同じクラスのアミは顔をしかめていた

 

 

しかし、昨日のリンとのやり取りが見られていたようで次の日に郷田先輩達に問い詰められた事は言うまでもなかった

 

 




これからは週一くらいで投稿していく予定です。



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。