遊☆戯☆王〜方舟の騎士達〜 (千銀)
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遊☆戯☆王〜方舟の騎士達〜

遊☆戯☆王アークナイツ は絶対に流行らせろ。


 

 私はエイヤフィヤトラ。新しくロドスに雇用されたオペレーター兼天災研究者です。この度、ロドスでの治療を受けられるという事で、リターニア王国からロドスへ移りました。これから研究と危険地帯の航行保障等の関連業務をこなします。

 

 ロドスはとても巨大な移動都市で、医療設備も最新のものであり、圧倒的な科学力と技術力が伺えます。

 

 

「こんにちは、エイヤフィヤトラさん。私はロドス・アイランド製薬CEOのアーミヤです。これからよろしくお願いします。」

 

「よろしくお願いします!」

 

「早速ですが、ドクターに会っていただけたらと思います。」

 

 アーミヤさんの口から出た『ドクター』という人物に、私は胸を躍らせます。

 

 私と同じ天災研究者であり、鉱石病(オリパシー)の治療を第一に務める方で、言わばけんきゅうしゃとしての私の『先輩』とも言えます。

 

 

「ドクターはどのような方なのですか?」

 

「え…ええと…一言で言うなら独特な人ですね。」

 

「独特な人とは?」

 

「ドクターは以前ある手術を受けたのですが…記憶喪失になってしまった上に、人格、言動や行動が以前と変わってしまいました…。」

 

「それは…鉱石病(オリパシー)なんですか?いままでに鉱石病(オリパシー)に人格の変化という事例はありませんが…。」

 

 鉱石病(オリパシー)とは、身体が源石(オリジニウム)に冒されることで発症する疾病です。鉱石病(オリパシー)は不治の病とされており、様々な研究がなされているが未だに顕著な成果は上がっていません。

 

 鉱石病(オリパシー)を患った人は感染者と呼ばれ、差別、隔離の対象になります。かく言う私もその一人で、補聴器をつけていないと音が聞こえません。

 

 しかし源石(オリジニウム)は、現在のエネルギー源でもあり、切っても切り離せない関係なのです。

 

 

「いえ…ドクターに鉱石病(オリパシー)の症状はありませんし、脳にも影響は見られないのですが…。主な行動は私達のコードネームを独特な呼び方にするなどがあります。あとは…凄く声が大きかったり…熱血と言うか…。」

 

「それは…言い表し難いですね…。」

 

「エイヤフィヤトラさんの雇用もドクターの人格の変化の秘密に迫りたいと言うのもありまして…何より、ドクターが会いたがっていたと言うのもありますが…。」

 

「先輩が…私に?」

 

 ドクターが私を必要としてくれている。そんなにも私を必要としてくれているのなら、私も全力で応えよう。そう心に誓いました。

 

 

「失礼します。ドクター、エイヤフィヤトラさんをお連れしました。」

 

 まずは挨拶から!

 

「本日よりロドスに着任しました!エイヤフィヤトラです!鉱石病の影響で耳が悪いので、ご迷惑を掛けるかもしれませんが、よろしくお願いします!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「来たぜぇーーーーッ‼︎(プライドの咆哮)ブラックマジシャンガールッ‼︎ッやったぜぇーーッ‼︎」

 

 入った途端、大声が部屋中に反響して響きました。その声の主は、アーミヤさんがドクターと呼んでいた人。

 

 私は驚きで放心しました。声が、テンションが、何よりその風貌が、自分の想像を遥かに超えていたからです。

 

 その姿は、黒いシャツに青い上着、青いズボンを履いていて、トゲトゲしい髪を模した段ボールを頭につけ、眼鏡には鋭い目つきを模した段ボールをつけていました。金色の変な模様が描かれている三角錐を首から下げ、中腰で左腕に何かの装置をつけていた、どう見ても『変人』の類の人だったからです。

 

 

「ッハーン!これが!ブラックマジシャンとの結束の力だッ‼︎」

 

「私はアーミヤです。ドクター。」

 

「えっ?えっ?」

 

「ッハーン‼︎ブラックマジシャンガール‼︎これから宜しく頼むぜ‼︎ブラックマジシャンと共に、俺の力になって欲しいぜッ‼︎ッハーン!」

 

「えっ?あっ、はい?」

 

 イメージしてた人と違う…。ブラックマジシャンガールって何?

 

 

「慣れますよ。そのうち。」

 

「えぇ…?」

 

 そう言ったアーミヤさんの目は遠くを見つめていました。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッハーン!さぁいくぜ‼︎ブラックマジシャンガールッ進化‼︎」

 

 その後、先輩に連れていかれた私はすぐに昇進を果たし強くなることができました。先輩は右腕を高く挙げて昇進を宣言します。

 

 

(こんな簡単に…。あっ、後ろから地毛見えてる…。)

 

 なんだか複雑な気持ちになりました。

 

 

『ドクター。レユニオンの襲撃が発生した。対応を頼む。』

 

 ロドスの最高責任者の一人であるケルシーさんから通信が入った。

 

 レユニオンは感染者達で形成された組織であり、ロドスと違うところは、感染者であれば種族を問わず受け入れるが、非感染者に対しては極端に排他的な姿勢を見せる感染者組織です。彼らは「感染者は自らの立場に誇りを持ち、積極的に力をつけ、そしてそれを行使すべきだ」と宣言し、暴力という最も原始的な手段を用いて感染者の権利を奪い返そうとしています。

 

 

「なにッ⁉︎モンスターが現れただとッ⁉︎許さないぜペガサスッ‼︎」

 

(ペガサスって誰だろう…?)

 

「ブラックマジシャンガールッ‼︎」

 

「は…はい!」

 

「ッハーン!お前の力、試させてもらうぜ‼︎」

 

「は…はい!了解しました!」

 

 先輩に期待されたからには、頑張らないと!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッハーン!最強のデッキが組み上がったぜッ‼︎さぁ行くぜッ‼︎デュエルッ‼︎」

 

 カン☆コーン!(幻聴)

 

 耳の補聴器は壊れていないはずなのに、変な音が聞こえてきました。

 

 今回はかなり強力な敵が多い上に、重装備の敵も多く、私達術師の実力が試されます。

 

 

「俺の先行‼︎ルイーズ!(フェン)攻撃表示で召喚‼︎」

 

 

「私のコードネームとだいぶかけ離れているんですが…。」

 

 先鋒であるフェンさんが配置につきました。遠い目をしながら。

 

 

「更に、ルイーズの特殊効果‼︎コストを6回復するッ‼︎そしてそのコストを使い、暗黒騎士ガイア(グラニ)を召喚!」

 

「なんか強そう。(小並感)」

 

「暗黒騎士ガイアは敵を倒すたび、コストを1回復する‼︎シルバーフォング(シルバーアッシュ)召喚‼︎」

 

「シルバーフォング…盟友がそう呼ぶならそれも良いだろう…。」

 

 グラニさんとシルバーフォングさんが配置につきました。遠い目をしながら。

 

「フルムーンの効果で凶暴化ッ‼︎」

 

「すまない盟友。それはない。」

 

 シルバーアッシュさんに正面から否定されてるじゃないですか。

 

 

「さらに…こいッ‼︎ガンダァァムッ‼(エクシア)︎」(例のBGM)

 

「私だけジャンル違くない⁉︎」

 

「行くぜッ‼︎俺が、俺達がッ‼︎ガンダムだッ‼︎」

 

 エクシアさんはツッコミながらも配置につき、仕事をこなします。

 

 ガンダムって何だろう…。

 

 

「じいちゃん(ヘラグ)召喚‼︎」

 

「じいちゃん…やぶさかではないな…。」

 

 なんでヘラグさんは嬉しそうなんですか。

 

 

「じいちゃんの効果発動!カオスブレード‼︎(ヘラグのスキル)モンスター全滅ッ‼︎」

 

「さらに、出でよッ‼︎カース・オブ・ドラゴンッ‼︎(イフリータ)敵を焼き尽くせッ!ヘルフレイムッ‼︎」

 

「よっしゃあッ!行くぜぇッ!」

 

 イフリータさんの厨二心をくすぐらないで下さい。

 

 

「燃え盛る大地!(イフリータのスキル)燃え盛る大地!(チャージ分)モンスター撃破ッ‼︎」

 

「ははっ!もっと声上げろ!」

 

 イフリータさんもう完全におバカキャラじゃないですか…。

 

 

「アルカナフォースIーTHE MAGICIAN(ギターノ)を召喚。」(斎王)

 

「確かに私のアーツはタロット繋がりだけど…。」

 

 ギターノさんが苦笑いをしています…。先輩もなんか声変わったし…。

 

 

「更に、天使のサイコロ(ナイチンゲール)を召喚!味方を回復するぜッ‼︎」

 

「確かに私のコードネームは『白衣の天使』と呼ばれた人でしたが…。」

 

 ナイチンゲールさんが回復に回り、更に防御力も強化します。

 

 

「ッハーン!敵の数が増えてきたぜッ‼︎ここは暗黒騎士ガイアを手札に戻し、グレムリン(ホシグマ)を守備表示‼︎」

 

「ホシグマと入れ替わりで撤退するね!」

 

 どうやら「手札に戻す」と言うのが撤退の合図らしいです。普通に言ってください。

 

 

「更に、光の護符剣‼︎(シャイニング)」

 

「光だけで良いと思うのですが…。医療専門ですし…。」

 

「さぁ行くぜッ‼︎トランザムッ‼︎(エクシアのスキル)」(例のBGM)

 

「当然正位置ィ‼︎運命力の高まりを感じるッ‼︎(ギターノのスキル)」(斎王)

 

 エクシアさんとギターノさんのスキルで、どんどん敵が倒れていきます。

 

 しかしその遠くから、重装備の敵が現れました。

 

 

「あれはメタルガーディアン‼︎高い攻撃力と防御力を誇るモンスターだぜッ‼︎」

 

「だがッ!俺の手札にはブラックマジシャンとブラックマジシャンガールがいるッ‼︎メタルガーディアンなど、恐るるに足らないぜ‼︎ッハーン!」

 

 ……あっ、私の出番ですか?

 

 

「さぁ‼︎現れろ!最上級魔術師から魔力を受け継いだ、たった一人の弟子‼︎ブラックマジシャンガールッ‼︎(エイヤフィヤトラ)」

 

「ブラックマジシャンガールでメタルガーディアンに攻撃ッ‼︎黒・魔・導・爆・裂・波(ブラック・バーニング)ッ‼︎」

 

 もう何がなんだか分からなくなってきたので、取り敢えず敵を攻撃します。

 

「さらに…出でよ!ブラックマジシャン‼︎(アーミヤ)黒・魔・導(ブラック・マジック)ッ‼︎」

 

「了解しました、ドクター。」

 

 アーミヤさんが遠い目で淡々と敵を攻撃しています。

 

「ブラックマジシャンガールとブラックマジシャン。二人の結束の力は!無限のパワーをつくり出すッ‼︎さぁ行くぜッ‼︎ダブル・マジシャンズ・アタック‼︎」

 

 私達初対面ですし、ただのスキルなんですけど…。あっ、倒した。

 

 

『状況終了だ。ドクター、良くやった。』

 

「俺の勝ちだ。」

 

 ケルシーさんからの通信が入り、先輩が勝ちを宣言して作戦は終了しました。

 

 

 

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「ッハーン!強力だぜブラックマジシャンガールッ‼︎これからも、力になって欲しいぜッ!」

 

「あ、はい。」

 

 先輩の指揮は凄かった。凄かったけど、普通に指示は出来ないのだろうか?

 

 

「ドクター。新しい求人が来ています。」

 

「ッハーン。新しい仲間ということだな。」

 

 アーミヤさんが、求人情報を持ってきました。先輩がそれに目を通していると、2人の人物に目をつけました。

 

 

「こ…これは…!」

 

「ああ…セイロンさんとシュヴァルツさんですね。2人は子供の頃から仲が良かったそうですよ。」

 

「限界竜シュヴァルツシュルト‼︎究極時械神セフィロン‼︎」

 

「あっ…(察し)」

 

「2人の結束の力で、俺達に力を貸して欲しいぜ‼︎」

 

「……………。」

 

 

 

 

 

 …今度は私が教える番ですか…。

 

 

 

 

 




「ッハーン」の数が足りんかったかもしれない。


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遊☆戯☆王〜方舟の騎士達〜

 

 

 

 

私はスワイヤー。ウェイ長官の命令により、本日付で龍門近衛局からロドスに派遣される事となった。

 

 私がウェイ長官より与えられた任務はロドスへの戦力提供とロドスの監視、及び調査。

 

 ロドス・アイランド製薬会社が最近になって戦力、技術力を急速に伸ばしている組織だ。鉱石病患者を中心に集め戦力を強化し、鉱石病の治療の研究に取り組んでいる。しかしその裏側には、ドクターという人物が関わっているそうだ。

 

 ロドスのCEOであるアーミヤ氏が敬語を使うような人物、つまり表向きのロドス代表はアーミヤ氏であるが、それを操っているのがドクターと呼ばれる人物。

 

 現在、ロドスと龍門は協力関係にある。しかしそれはあくまで敵が共通しているからであり、少しでもロドスに敵対する意思が見られたら、いつでも抗争になる。

 

だからこそ、私が送られた。現在のロドスの行動、ドクターの人物像、ロドスが龍門に敵対する可能性をウェイ長官に報告するため。

 

 

「ご足労ありがとうございます。それではドクターに着任の報告をお願いします。」

 

 アーミヤ氏に連れられて、ドクターのいる執務室へ。ここにはすでにチェンやホシグマがいたはずだ。あの二人から送られてきたドクターの人物像は、まるで複数人もいるかのようにバラバラだった。しかし共通して入っていたワードは『変人』である事。

 

 正直なところ、仲良くしたいというのが本音だ。私自身、情が移りやすいと言うのもあるが…。まあ堅苦しいことはよして…。要は挨拶が重要ということ。バシッと決めなくちゃ!

 

 

「本日よりロドスに派遣されることになった龍門上級警視のスワイヤーです。新人訓練の顧問としてロドスに着任しました。龍門とロドスのためにも友好的な関係を築いていけたらと…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッハーン!…(考え中)…タイガー・アックス‼︎(迫真)お前はなかなか強力なモンスターだと聞いているぜッ!これから、俺たちの力になってほしいぜッ!」

 

「…えっ?」

 

 ダンボールでできた刺々しい髪、左腕につけた何かの装置、中腰の青い服を着た男。

 

 

「あ…あなたがドクター⁉︎」

 

「我が名は…アテム‼︎(自己紹介)」

 

 ウェイ長官…。ロドスのドクターは、思った以上に変人です。

 

 

 

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 何よあれ!見てくれの通り変人じゃない!あれがロドスの中核を担うドクターなの⁉︎イメージと違った…チェンやホシグマの言う変人って物理的な意味だったの⁉︎

 

 ま…まあいいわ。ドクターだと言うのならそうなのだろうし…。チェンやホシグマが説明できないのにも納得がいったしね。

 

 

「あら、新しく入った人?」

 

「え…ええ…。こんにち…わ⁉︎」

 

 スカジ⁉︎『厄星』と呼ばれた賞金稼ぎ⁉︎最近めっきり噂を聞かなかったけどロドスにいるなんて…!

 

 

「あなた、名前は?」

 

「え?ああ…スワイヤーよ。」

 

「ああ…そうじゃなくて…ドクターがつけた名前…。」

 

「ドクターが…?」

 

 そういえば言ってたわね…。ええと…確か…。

 

 

「たしか…タ…タイガーアックスだったかしら…?」

 

「そう…。じゃあまだマシな方ね…。」

 

「マシな方?」

 

「ええ…ドクターは私達を特殊な呼び方で呼ぶのよ。あなたはまだマシな方。酷い人は骨ネズミとか疫病狼とか…。」

 

「ただの悪口じゃない!」

 

「ま、これから頑張ってね。タイガーアックスさん。」

 

 これからドクターにずっとそう呼ばれ続けるの…?…ん?みんなって事は、じゃあスカジにも?

 

 

「あなたは!…なんて呼ばれてるの…?」

 

「…暗黒大要塞鯱よ。」

 

「え?」

 

「暗黒大要塞鯱よ。」

 

 そう言って手を振りスカジは何処かへ去っていった。

 

 

「…………え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【近状報告:チェン】

 

 

「む、スワイヤー。お前もきたのか。」

 

 

「ええ…。ロドスって独特なところね。」

 

「あれでもドクターの指揮は優秀だからな。龍門にも欲しい人材だ。」

 

 頭の硬いチェンがあのドクターをそこまで褒めるなんて…実力は本物らしいけど…。

 

 

「お前が頭を抱えているところを見れば、変なあだ名をつけられたようだな。」

 

「付けられたわよ…。あれはなんなの?」

 

「ドクターが私達を呼ぶときの呼び方だ。ドクターは日頃使っているが、呼び出しは基本アーミヤがやるから頭の片隅にでも留めておけ。」

 

「意外ね。アンタがそれで納得するなんて。」

 

「それがロドスの規則ならば、従うまでだ。」

 

「アンタにもあだ名があるの?そんなの許さないみたいな性格してるけど。」

 

「人に名前を聞くときは自分からですよ。“スーお嬢様”。」

 

 コイツ…‼︎揚げ足とるような真似を…‼︎だから嫌いなのよ!

 

 

「……タ…タイガー・アックスよ!文句あんの⁉︎」

 

「見たまんまだな。」

 

「うっさいわね!そう言うアンタこそ、まともな名前なんでしょうね⁉︎」

 

「私はレッドアイズ・ブラックドラゴンだ。」

 

「アンタこそ見たまんまじゃない!」

 

「ドクターが言うには“ジョウノウチ”という男の魂のカードだそうだ。」

 

「…もう訳わかんないわよ…。」

 

「まあ、あだ名云々はもういいだろう。そろそろ夕食の時刻になる。ドクターの信頼を得たいなら、じゃじゃ馬になって働く事だな。」

 

「あんた普通に言ってるけど感覚麻痺してるからね⁉︎」

 

 …夕飯か…そういえば朝から何も食べていないし…。調査は置いといて何か口にしようかしら。

 

 

 

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【近状報告:ホシグマ】

 

 

 

「隣、よろしいですか?」

 

「ホシグマ…。貴女の報告書読んだわよ。本当にロドスのドクターは変人ね。変な格好していたり、変なあだ名をつけていたり。チェンの報告書を見たときはふざけているのかと思ったけど…。」

 

 頭がどうにかなりそうよ…。なんでみんなこの状況に慣れているのかしら…。

 

「申し訳ありません。なにぶん、どう報告していいのやらとチェン隊長と悩みまして…。しかし、あだ名の件は伝えておくべきでした。」

 

「いいのよ。報告したってあのドクターは止められなさそうだし…。」

 

 ロドスってこんなに人がいたのね…。結構大規模だし、大きな組織からの回し者もちらほらいる。賞金稼ぎといい傭兵といい…製薬会社とは思えないわね…。

 

 

「…あら?」

 

「どうされました?」

 

「いや…あの席3つ分空いているから…。座る場所を探している人もいるのに、あそこ3つだけ空いているからどうしたのかと思って。」

 

「ああ…あそこはドクターが座る場所ですから。」

 

「ドクターが?他に誰か連れてくるの?」

 

「いえ、あそこはドクター1人の席です。」

 

「それって一体…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ホォ゛〜〜〜〜ン」(BGM:神の怒り)

 

 「どう言う事?」と聞く前にドクターが食堂に入ってきた。ただし、今度の格好は『変人』と言うより『怪物』だったけど。

 

 水色のダンボールの鎧で身を包み、顎のデカいお面をつけて、肩幅が異常に大きい。そして上半身に対し、あまりにも貧弱で不吊り合いな下半身。言い表すとすれば…

 

顔:強靭!

 

体:無敵!

 

下半身:最弱!

 

 

「ホォ゛↑〜〜〜〜〜〜〜ン↓」(着席)

 

 私が放心している間に、ドクターは指定の席に座った。ドクターの両隣の椅子が肩の装備で埋まる。

 

「あのように、ドクターの両隣に座ると肩の装備が邪魔で仕方ないのです。」

 

「ただの迷惑じゃない!何なのあれは⁉︎」

 

「ドクターですよ。オベリスクの巨神兵の姿の。」

 

「当たり前のように名前を言うなぁ!そう言う事じゃなくて!周りの迷惑じゃない!」

 

「ロドスの方々は慣れてしまっているようですけど…。それに、ドクターの奇行は今に始まった事じゃありませんから。」

 

  それを言われるとぐうの音も出ないのだけど…。

 

 

「ホォ゛〜〜ン。(牽制)さて…ホォ↑〜ン日の献立はなにかな…?(ネットリ)」

 

「今日は回鍋肉ですよ。ドクター。」

 

 アーミヤが回鍋肉が盛られた皿とご飯とジョッキとストローを持ってきた。

 

「完璧だぞブラックマジシャン…だがしかし!ここでカオスソルジャー(ビール:金○)を召喚!コイツをジョッキに注ぐ事によって…無限のパワーを得る!アハハッ!、アァッハハハハッ!(高笑い)」

 

 ビール泡だらけじゃない!半分以上泡じゃない!回鍋肉菜箸で顎から食べてるし!ストローでビール飲んでるし!

 

 

「……………ズズッ……ズズッ………コフ-…。」(食事)

 

 あんだけ騒いでいたのに食べるときは無言なの⁉︎

 

 

「ホォ↑〜〜〜ン腹いっぱい食ったぞ…。ソウルエナジーMAX‼︎」(コピーン)

 

「ドクター。人参もちゃんと食べて下さい。」

 

「ンなにぃッ⁉︎」(苦手)

 

「わがまま言ってもダメです。ちゃんと食べて下さい。」

 

「ホォ↑〜〜ン(牽制)今日はホォ↓〜〜ンちょっとあれだぞ…硬いぞホォ↑〜〜ン。ちゃんと…ホォ↑〜ン火が通っていない感じだぞホォ〜ン。」(反論)

 

「ドクター?」

 

「ホォ↓〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン(落胆)フゥ……。(ため息)」

 

 そう言ってドクターは渋々人参を食べ始めた。

 

 

「ねぇホシグマ…いつからあんな事やってるの?」

 

「さぁ…小官がロドスへ着任した頃には既にあの姿で…他の方々も馴染んでいたようですが…。」

 

「ホォ↑〜〜〜〜ン↓」(片付け)

 

 ドクターはカニ歩きをして席を立ち、食器を片付けに行った。ドクターに声をかける暇は無かった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【近状報告:ラヴァ】

 

 

「む…誰だ…あんた…?」

 

「あなたは…確かロドスのA4の…」

 

「ラヴァだ。なんだ?新しくロドスに入ったのか?」

 

「まぁ…そんなところよ…。ここに来て驚かされることばっかりだわ…。」

 

 主にドクターにだけど。

 

 

「そうか…。あんたもあだ名つけられたんだろ?その顔を見ればわかる。新入りはほとんどそんな顔をするからな。」

 

「そりゃこんな顔もしたくなるわよ。」

 

 驚かなかったほとんどを知りたいわ…。あぁ…まぁチェンなら…。

 

 

「……それで?あんたは誰につけられたんだ?」

 

「…何が?」

 

「あだ名だよ。あたしはマリクって奴につけられたんだ。」

 

「えっ⁉︎あの変なあだ名つけるのってドクターだけじゃないの⁉︎」

 

「いや、ドクターだ。」

 

「やっぱりドクターじゃない‼︎」

 

 もう頭がどうにかなりそうなんだけど‼︎

 

 

「いや、見ただろ?ドクターのあのカッコ。あれにもいろいろ種類があるんだ。青シャツのが遊戯って名前で、食堂に出てくるのがオベリスク。で、あたしのあだ名をつけたのがマリクって奴だ。プリュムは特別クロウって奴が出てきた。私としてはあのオベリスクってのはなかなかカッコいいと思うんだが…。」

 

「へ…へぇ…。」

 

 どうしよう…何の興味もない…。

 

 

 

 

 

「溶岩魔神ラヴァゴーレム!」

 

「げっ…しまった!ドクターだ!」

 

 振り向いてドクターの姿を見て項垂れた。もう突っ込む気力もないわ…。

 

 

「ガハハハハ!こんなところにいたんだねぇ〜!探したぜぇ!」

 

「ああっ!クソッ!離せ!」

 

「そいつは遊戯のセリフだぜぇ!さぁ早く仕事に戻りなぁ。」

 

 ……何でドクターはそんな窒息しかけみたいな声を出すんだろ…。

 

 

「あそこにいるとアイツが料理を持ってくるんだよ!得体の知れないヤツ!」

 

「お前の姉だからねぇ〜!さっさと諦めなぁ!あぁ闇は飢えている…。」(無情)

 

 ドクターはラヴァを持ち上げると来た道を戻っていった。背中につけたマントを何度か踏ん付けていきながら。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

その後も…。

 

 

 

 

 

 

 

【貿易所にて】

 

 

『エルフの剣士!俺に力を貸せ‼︎貿易所の純金の運搬を頼むぜッ‼︎』

 

と放送が入ると…

 

「ホア゛ア゛ァ゛ッ!フオ゛オ゛ォ゛ッ‼︎」(運搬)

 

「やっぱりドクターじゃない‼︎」

 

 

ーーーー

 

 

【戦闘】

 

「いくぜッ‼︎魔導獣マスターケルベロス‼︎」(ケオべ)

 

「行ってきまーす!」

 

「フ〜ン…イテキマ-ス!」

 

(戦場でもあの格好なの⁉︎)

 

 

 

【人材発掘】

 

 

『俺のライフを2000払い!4枚目ドロー‼︎』

 

『うぉあああああッ‼︎』(青演出)

 

(面接室から奇声が聞こえてくるんだけど⁉︎)

 

 

 

 

【危機契約】

 

「ッハーン!危機契約が来ているぜッ!ルールは一見複雑そうだけど、複雑だぜッ‼︎」

 

「ドクター…よく考えてから契約項目を…。」

 

「取り敢えず全部入れるぜッ‼︎」

 

「人の話を聞きなさい‼︎」

 

 

 

 

【戦闘】

 

 

「うぉあああああッ‼︎」(作戦失敗)

 

「そりゃそうなるわよ!」

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

「俺の勝ちだッ!ハァン‼︎等級18クリアだッ!これが結束の力だ!ッハーン!」

 

 

(朝の4時前…もう寝たい…。)

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

『…と、ロドスは組織の分け隔て関係なく結託しており、危機契約の最高等級である18等級を遂行したことからドクターの指揮能力は傑出していることが窺えます。』

 

『しかしながらドクターは……。』

 

「あ〜!もう!こっから先ドクターのことなんて伝えればいいのよ!どう言い繕っても『変人』以外思い浮かばない!」

 

(チェンとホシグマの報告書から苦労が滲み出ていたのがよく分かったわ…。)

 

 

「(カン☆コーン!)I☆TA☆ZE!タイガー・アックス!ッハーン!随分と探したぜッ!」

 

「ドクター。何かご用ですか?」

 

「料理の動画を撮りたいから俺に力を貸して欲しいぜッ!」

 

 まぁ…変人だけど悪い人では無いようだし、しばらくは龍門との関係も心配しなくて良さそうね。

 

 

「分かりました。お手伝いできることがあれば力を貸します。」

 

 これから信頼しあっていくためにも、こう言うドクターからのお誘いは積極的に受けていかないとね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドクターと料理は二度とやらない。

 

 

 

 

 



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