ヒーローを目指す少年のアカデミア (ライダーGX)
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雄英入学編
第1話 ヒーロー社会


また新しい作品を書きました。

どうか見てください。


とある朝、朝日の光がその街を照らすかのように明るくなる。

 

そして住宅街の少し外れにある大きな家、そこに15歳の少年が目を覚ます。

 

「……ん、う~~~~~~ん! 朝か…」

 

ベッドから身体を起こし、少しばかり身体を伸ばす少年、彼の名は『天龍寺 凱斗(てんりゅうじ かいと)』、彼は天龍寺家の1人息子であり、大富豪の坊ちゃんでもある。

凱斗はベッドから降りて、クローゼットから学校の制服を取り出す。

そして時計を見る凱斗。

 

「まだ7時半か…? 今日は随分と早く起きたが…まあいいか」

 

彼が着る制服は学ランで、大富豪の息子があまりにも似合わない感じに、世間の大富豪達や、知り合いの者達はそう思うだろう。

だが凱斗はそれを気にしない。

 

何故なら彼は、庶民の生活に好んでおり、自分から望んで進んでいるのだ。

 

 

コンコン!

 

 

すると部屋の扉からノックがして、それに凱斗が答える。

 

「はい?」

 

凱斗が答えると同時に、メイド服を着た女性が入ってくる。

 

「凱斗様、朝食の準備が出来ました。それと凱斗様。“舞様”がお迎えに来ていらっしゃいますが、どうなさいましょうか?」

 

「え?舞が? 一体………あ。やっべ…そう言えば一緒に登校しようって約束したの忘れてた」

 

っと凱斗はなにやら頭を抱えて思い出して、それにメイドの女性は微笑みながら言う。

 

「あらまあ、凱斗様も随分と悪いお人です事、舞様もきっと怒っていらっしゃいますね」

 

「笑い事じゃなねえよ! くっそ…!朝食はすぐに済ませて行かないとな!」

 

そう言ってカバンを持って部屋を出る凱斗、そして階段を降りて、広場の様な玄関に来ると、そこに1人の少女『藤風 舞(ふじかぜ まい)』が振り向いて怒った表情をする。

 

「もう!遅いわよ!いつまで寝ているのよ!」

 

それに申し訳なさそうにする凱斗、舞は凱斗との幼馴染で、幼い頃から共にずっと遊んでいたのだ、大富豪の者が庶民の少女と幼馴染であるのはかなり変ではあるが、別に凱斗はそれを変とも思わなかった。

 

「すまない、それにしても早かったな?」

 

「当然よ!昨日約束下じゃない、明日は一緒に登校しようって、それに今日は帰りに“トニー”の所に行くんでしょう?」

 

するとそれに凱斗は頷く。

 

「ああ、俺は一応親友であるあいつの所に行って、新作が出来たのを見に行くんだ。それと帰ったとは“ブルース”に格闘技を教えてもらうんだ」

 

「そっか、なら早く朝ごはん済ませてね?こっちはとっくに済ませて来たんだから」

 

「分かった分かった」

 

そう言って凱斗は朝食を済ませていく、舞はそれを待つかのように壁にもたれる。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そして朝食を済ませ、凱斗は舞と共に学校へと向かった。

すると凱斗達が向かう途中で、駅の方から何やら“怪人”の様な者が暴れているのが見えた。

 

それに舞が気づいて凱斗に言う。

 

「ねえ凱斗! 駅の方で敵(ヴィラン)が暴れてるよ!」

 

「へえ~、こんな朝っぱらからご苦労だね」

 

ヴィランと呼ばれる者、それは現在の世の中は超人の様な力、『個性』と呼ばれる能力を持って漫画の様な手品が出来る様になっていて、犯罪件数が多発していった。

だがそれを当然の様に阻止する者たちが当然いる。

 

「『キャニオンカノン』!!」

 

すると巨大な女性が敵に対して猛烈な蹴りを与え、それに見ていた者達、そして凱斗と舞もそれを見ていた。

 

その巨人の女性は敵を持ちながら、見ていた人達に言う。

 

「本日デビューと相成りました『マウントレディ』と申します、以後お見『シリ!』おきを♡」

 

っとマウントレディと名乗った女性はお尻を向けながら挨拶し、それにカメラを持った者達は写真を撮って、「キタコレキタコレ」と言いながら撮り続けた。

 

多発する敵犯罪に対抗すべく、勇敢なる者たちは個性を使い、敵に立ち向かっていく。人はそれを『ヒーロー』と呼び、それを警察と協力しながら敵を倒して捕まえる。

 

そして凱斗は少しばかり呆れた目線で見ながらも、舞は凱斗の耳をつまみながら引っ張る。

 

グイッ!!!

 

「ちょっと、何デレデレしてるのよ…?」

 

「いでででで!!! デレデレしてないっての!?!」

 

「嘘、顔はそうでも心は絶対デレデレしてる。ほら行くわよ」

 

「いでででででで!!!だから引っ張るなっての!!」

 

そう言って凱斗は舞に引っ張られながら学校に向かった。

そしてとあるポスターが凱斗の目に映る。

 

金髪の髪で、V字型の前髪を持ち、更に筋骨隆々の身体を持つ男、№1ヒーロー『オールマイト』

ヒーローへの絶大な知名度を持つ彼はここ日本だけなく、全世界に爆発的な人気を持ち、彼がいる街では犯罪件数がかなり減り、もう犯罪が滅多にしか怒らない事から、『平和の象徴』と呼ばれている。

 

そんな国民的ヒーローのポスターを凱斗は呟く。

 

「どの者も頑張るね~…」

 

「何言ってるのよ凱斗?」

 

っと舞が凱斗の方を振り向き、凱斗は顔を横に振りながら言う。

 

「いや、それよりも行こうか。学校に遅れる」

 

「ちょっと!何よ!!」

 

そう言って凱斗は舞より先に行き、それに舞は慌てる様で追いかけていった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

凱斗と舞が通う中学校、『折寺中学校』、とある授業で担任の先生が皆に言う。

 

「え~、お前たちも三年と言う事で、本格的に将来を考えていく時期だ、そこで将来について考えていかなければならない。今から進路希望のプリントを配るが…、皆…多数でヒーロー科志望だよね♪」

 

「「「「「「「「は~~~い!」」」」」」」」

 

っと皆は個性を発動しながら答え、その中で凱斗は机に肘をかけながら手に顔を乗せていた、隣の席の舞が呆れながら見ていた。

 

「うん!皆良い個性だ、でも教室内で個性使うのは原則禁止な?」

 

先生が注意中で一人の生徒が。

 

「先生、皆とか一緒くたにすんなよ、俺はこんな没個性共とはちげぇよ」

 

っと一人の生徒がこう言い、皆からブーイングの嵐が飛んでくる。

 

彼の名は『爆豪 勝己』、気取った態度に見えるが、彼は人々が認める天才であり、彼の個性『爆発』は彼の名にとても合う物だが、そのせいか他人を見下す癖がある。

 

因みに舞の個性は『風』、風を自在に操ることが出来、短期間なら空を飛ぶことも出来る。

 

皆がブーイングする中で先生がこういった。

 

「ええ~、爆豪は確か…“雄英”希望だったな?」

 

それに皆は驚きを隠せなかった。

 

 

雄英高校、それはヒーロー科を目指す国立高であり、そこはかの有名なオールマイトの母校でもある。

それにかの者たちが入学を目指し、それに落ちていく者達もいる。

 

 

先生の言葉を聞いた舞は少しばかり嫌味な表情をする。

 

「うぇ~…、よりによって爆豪君と同じ高校?」

 

「ええ?!舞も同じ雄英なの!?」

 

「マジか!?藤風もすげえな!」

 

っと皆が言うと…。

 

「ああっ!!?なんでモブのてめぇがこっちに来んだよ!! どっか他所に行けや!!」

 

「いいじゃない!別に!」

 

「ああっ!!?よくねえよ!! 俺はな!あのオールマイトを超えて、№1ヒーローになって、高額納税者ランキングに上り詰めてやるんだよ!!」

 

それに凱斗はため息を吐く、すると先生がある者に目を通す。

 

「おい天龍寺、お前だけがまだ進路希望を決めていないぞ」

 

っと皆が凱斗の方を見て、凱斗は顔を上げながら言う。

 

「ええ…、まだ決まって無くて」

 

「なんだよ天龍寺、お前まだ決まってないのか?早くしないと時は過ぎていくぜ?」

 

「そうよ、天龍寺君早く決めた方がいいよ?」

 

そう皆が言う中で、爆豪は何故か凱斗の方を睨みつけていたのは言うまでもない、何故なら凱斗と爆豪は相性最悪であり、顔を合わす度に空気が悪くなる。

 

「天龍寺、期限まであと一週間だ。それまでに進路を決めておかないとダメだぞ?」

 

「はい、分かりました」

 

っと凱斗はそう返事をして、舞は心配そうに見ていて、それを見ていた友達が言う。

 

「あらあら、舞ったら天龍寺君の方ばかり見て。流石幼馴染である上に奥さんみたいな♪」

 

「ちょっと!そんなんじゃ!」

 

それに爆豪を除く皆が大笑いし、それに照れる舞に、少しばかり恥ずかしそうに頭をかく凱斗。

 

「こらこら、ちょっと騒がしいぞ。プリントを配るから後ろに回していけよ?」

 

そう言って先生はプリントを配り、皆は配られたプリントを貰うのであった。

 

 




久々の作品はどうでしたか?

感想と誤字報告はご自由にどうぞ。

それと活動報告に別作の件で書いてありますのでどうぞ。


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第2話 天龍寺凱斗 オリジン 前編

そして学校が終わって、凱斗が帰り支度を勧めている中で、友人の生徒達が凱斗の元に寄る。

 

「おい天龍寺、マジで進路の事を決めておかないと、後がヤバイぜ?」

 

「そうそう、そもそも天龍寺の“個性”も結構良いもんなんだけどな」

 

「おいおい、それは「聞き捨てならねぇなオイ!!」…爆豪」

 

凱斗が振り向くと、何やら怒りをあらわにしている爆豪がゆっくりと近づいてくる。

 

「お前のような没個性を持つ奴が良い個性だとぉ…!? ふざけんじゃねぇぞ!お前のような奴は雑魚に等しい!」

 

「てめぇはいつもいつも絡んでくる奴だな、何が気に入らねえんだ」

 

「アァ!! てめぇのその余裕ぶってる態度だ! どうせもう決まってるんだろ!だから他の連中だけじゃなく、この俺さえもを見下し居てるんだろうが!!そうだろうが!!」

 

爆豪は凱斗がまだ決まっていない進路の事にすでに決まっていると思い込んでおり、それには凱斗は少しばかりため息が出る。

 

「はぁ…マジで俺はまだ決めていないんだが、それにお前を見下してどうすんだよ。いつ見下したんだ?」

 

「シラを切る気か!! そうやっててめぇは!!」

 

怒り散らす爆豪に周りの皆は困りながら固まっていて、何もできなかった。

だが舞が凱斗の腕を引っ張りながら引き離す。

 

「凱斗!ほっとこうよ!いつも相手にしていたらダメだよ!」

 

「分かってるが舞…」

 

「黙ってろ糞が!!!割って入ってくんじゃねぇ!!」

 

舞の突如の乱入に爆豪の怒りが頂点に差し掛かる、それを察した凱斗はもう相手にしないようにと革包を持つ。

 

「もう帰るわ、それに俺は今日寄るところがあるから」

 

「おい逃げんのかコラァ!!!」

 

「さあ、お前の考え次第だな。舞帰るか」

 

「うん」

 

そう言って凱斗と舞は共に教室から出ていき、爆豪は怒りが爆散するするかの様に怒りを撒き散らしていたのは言うまでもない。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

学校帰りの際中、舞が思っている事を凱斗に話しかけてきた。

 

「ねえ凱斗、貴方はあんだけ絡まれて何とも思わないの?」

 

「別に、俺はアイツの事なんか気にもしないし、それにいつも絡んでくるのはあっちだ」

 

「それに答える凱斗も同類だと思うよ?」

 

っと舞の容赦ない言葉に、凱斗の心に思わず「グサッ!!」と突き刺さる感じがする。それに凱斗は手を胸に起き、気まずい様子になる。

その様子をさらっと変えるかのように舞は凱斗の前に立つ。

 

「ねえ、これから行くんでしょう? 例の場所に」

 

「ああ、勿論だ。これからいく『スターク・インダストリーズ』に」

 

「ふ~ん、でも今度は何を作ったんだろうね?あの人、鋼鉄ヒーロー“アイアンマン”さんは」

 

っとさらっと言葉をこぼす舞、これから凱斗が行くのはあの№1ヒーローと同じ人気の高い鋼鉄ヒーロー、アイアンマン事『トニー・スターク』はヒーローでありながらその会社の社長さんである。更に彼の着るスーツはただのスーツじゃなくパワードスーツである。

会社に自分の事務所を構えており、何でもかんでも自由気ままな事をしている、本来ならばアメリカ出身である彼は現在日本に拠点を起き、ヒーロー活動を行っている。

 

しかし何故そんなヒーローが凱斗と知り合いなのか、それは凱斗の両親は『天龍寺ファウンデーション』の社長と副社長だ。

天龍寺ファウンデーションはヒーローサポート用品を扱っている会社であり、同じスターク・インダストリーズも同じようなサポート用品を作っている。最もトニーは自分のしか作らないが…。

 

トニーは凱斗が色んな発明品を見て回っているのを見て、声を掛けて話し合い、いつしか共に心を通わせるよな感じになった。

 

「まあ、俺はあいつのいつも規格外の発明を見る物にはちょっとばかし目がないんだよな」

 

「でも作ってるのって自分のスーツばかりでしょう? どうして?」

 

「さあ、なんでも作るあいつだからじゃないか?」

 

トニーのスーツ作りのは流石に興味がない凱斗。

舞はそれに渋々納得しながらも言う。

 

「まあそうね、それじゃあ私はこれで分かれるわ。今日はちょっと買い物に寄って行く事があるから」

 

「ああ、それじゃあな」

 

「うん」

 

そう言って舞と別れて、凱斗はトニーがいるスターク・インダストリーズへと向かう。

っがその時凱斗が踏んだマンホールから“何か”が出てきた。

 

「小さなシミ…、隠れノミだ!」

 

「っ!!」

 

凱斗は後ろを振り向くと、マンホールからヘドロの様な液体が溢れ出てきて、そして目が出てきて凱斗を見る。

 

「丁度良い感じの奴を見つけたぞ…、隠れるには丁度いい!」

 

するとヘドロの奴…、敵が凱斗に襲いかかってきたのだ。それに凱斗は思わず目を大きく開いて、そして横に飛ぶ。

 

「あぶね!」

 

「避けるなよ!ただその体を貰うだけだよ、そんなに怖がらなくても数秒で終わるだけだ」

 

「冗談じゃねえよ!」

 

っと凱斗は革包を地面に置いて、思わずファイティングポーズを取る。

 

「(使いたくはなかったが、こいつを引かすには俺の“個性”を使うしかない!)」

 

「何だ?やる気か? 上等じゃねえかあ!!」

 

ヘドロが戦う気がある凱斗の様子を見て襲いかかて、凱斗が右拳を降りかかろうとしたその時。

 

 

 

 

──戦う必要はないぞ!少年よ!

 

 

 

 

バンッ!!!!

 

 

突如凱斗の目の前にあるマンホールが飛び出て、それに思わず凱斗とヘドロは止まる。

するとそのマンホールからある人物が出てきた。

 

「少年よ!もう大丈夫だ、何故って?…私が来た!!」

 

っと凱斗の目の前にかの有名な№1ヒーロー、オールマイトが現れたのだ。

それには凱斗は目を大きく開かせ、ヘドロの敵は思わず驚いた。

 

「お!オールマイト!!」

 

「うん!行くぞ!! TEXAS!Smash!!」

 

するとオールマイトは右腕を振りかぶると同時に、強烈な風圧のある拳がヘドロに直撃して、それにはヘドロの敵は耐え切れず爆散…もとい、弾けるかの様に飛び散る。

 

それには凱斗はファイティングポーズを下ろし唖然としてしまう。

 

「……マジかよ」

 

そんな中でオールマイトはヘドロの敵を持ってきたペットボトルの中に入れて、凱斗の方を振り向く。

 

「HEY!HEY!大丈夫だったか少年よ! いやー敵退治に巻き込んでしまって申し訳ない。いつもはこんなミスはしないのだが、慣れない土地で浮かれちゃったかな~?ハーッハッハッハッハッハ!」

 

「……」

 

オールマイトの様子を凱斗はただ唖然とした感じになっていて、オールマイトは何やら思い出したのか、凱斗の方を見てある事を言う。

 

「あっ!そう言えば君、さっき敵退治をしようと思っただろう?ダメだぞ~これは僕らヒーローのお仕事だ。だが丁度その前だったから間に合ってよかった!」

 

「え、あ、ああ…申し訳ない」

 

「うん!素直に謝れる事はいい事だ! あ!そうだ! 折角だから僕のサインを差し上げよ!さあ!遠慮せずに貰ってくれ!!」

 

っといつの間にか凱斗の革包を渡し、オールマイトのサイン入りの物が入っていた。

それには凱斗は慌てて取る。

 

「ええ~~!?いつの間に!?」

 

「ハーッハッハッハッハッハ! まあまあ、どうだ?気に入っただろう!」

 

「いや別に」

 

ガクッ!

 

っと凱斗の即答にオールマイトは思わずズッコケそうになる。

 

「ええっ!!なんでだい!?」

 

「別に俺はサインはいらないし、助けてもらっただけで十分ですわ」

 

サインに興味がない凱斗にオールマイトは愕然としてしまう。

最近の若い子でも、オールマイトのサインを貰えたらどんなに嬉しいのか分からない筈がない。そんなサインを凱斗は何も感じなかったのだ。

 

「そ、そうかい……、で!では!私はこれで失礼するよ! 気をつけて帰るよう「なあ、あんた…オールマイトだよな?」ん?そうだが?」

 

凱斗の質問に突如答えるオールマイト、凱斗はある事をオールマイトに問う。

 

「なあ…、あんたどっか“怪我”してないか?」

 

「っ!! い!いや!!そんな事はないぞ!! では!私は失礼するよ!」

 

っとオールマイトはそう言って思いっきりジャンプして飛んでいった。

凱斗は飛んでいったオールマイトの方を見届け、革包を持って行こうとした時に足に何か“違和感”を感じる。

 

「ん?」

 

凱斗は足を見て違和感を確かめると、足には何故かロープが巻きついていて、それに凱斗は思わず目を細め、そして突然身体が引っ張られ、オールマイトが飛んだ方向に飛ぶ。

 

「ぶわあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」

 

「む?」

 

オールマイトは声がした方を見てみると、何故か凱斗がオールマイトに引っ張られている様子が目に映る。

 

「えええ!!!なんで少年がそこにいるんだい!?」

 

「あんたのせいだろおおおおお!!!」

 

「ええっ!!?」

 

その言葉にオールマイトは驚きを隠せない、すぐに自分の身体を見てみると、買い物袋に丁度ロープが漏れていて、そこに足に引っかかっていて、丁度凱斗の足にも引っかかっていたのだ。

なんとも運悪い感じにオールマイトは驚いた。

 

「oh my God!! これは済まなかった!!すぐに安全な場所に下ろすからね!」

 

っとオールマイトすぐに凱斗を引き寄せ、そばに寄せて安全な場所を探す。

するとこの時、オールマイトは思わず咳が出て、その時“血”を少しばかり吐いた、しかもその血は凱斗の顔をかかった。

 

「(…っ! 血…?!)」

 

凱斗は付いた血を見て、思わずオールマイトを見て、その様子をただジッと見つめるのであった。

 

 




まだ凱斗の個性は出ていませんが、もうじき出ると思います。


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第3話 天龍寺凱斗 オリジン 後編

オールマイトのドジによって連れてこられる羽目になった凱斗、オールマイトはどこか降りられそうな場所を探して、そして近くビルの屋上に向けて着地する。

そして足に巻き付いた紐を解かせて、オールマイトは凱斗に向かって謝る。

 

「いやー済まなかった本当に! まさかこうもミスが連発するとは、僕はまだまだだな!」

 

「別にいいさ、取り敢えずこれでさいならだな?オールマイト」

 

「ああ!では…『ズキュン!!!!!』ッ!!!」

 

凱斗に挨拶しオールマイトが去ろうとした瞬間、彼の身体に異変が起きる。

一方で凱斗は屋上の扉を開けようとドアノブを回すが、なかなか回らなく、開くことができない。

 

「あれ?なんで開かないんだ? 参ったな…『シュ~~~』ん?」

 

何やら煙の様なものが凱斗の周りにあらわれて、それに凱斗は思わず周りを見渡す。

すると先ほどオールマイトが居た場所の所から、煙の発生源が現れていた。

 

それには凱斗は思わず目が釘付けとなる。

 

「何だ…!?」

 

凱斗が驚く中で、その煙が徐々に消えていく。するとそこからガリガリで、何やらやせ細った男性がオールマイトの居た場所にいた。

 

「だ!誰た!!?」

 

「……私は、オールマイトだよ…グホッ」

 

っとやせ細ったオールマイトが口から血を吐き出しながら言い、それを聞いた凱斗は驚きを隠せない。

 

「な!何だってーーーーー!!!!??? いやいやいや!!!有り得ないだろう!!? だってオールマイトはさっきそこに居たあの筋骨隆々な大男の筈だろう!!?」

 

「ああ、学校のプールで腹筋力み続けている人がいるだろう? あれと同じさ」

 

「マジで!!!?」

 

オールマイトの言葉に凱斗は驚きの連発を隠せない。あの無敵で最強のオールマイトがこの様な貧弱で気弱な姿になってしまっている感じに戸惑いを隠せないは当然であったからだ。

 

そしてオールマイトは手すりにもたれながら座り、凱斗の方を向いていう。

 

「……神様のイタズラか、見られてしまったからには私の秘密を少し教えよう。ただ…間違ってもネットには書き込まないでくれ」

 

「何…?どう言う…」

 

オールマイトの言葉に理解する事が出来ない凱斗、そんな中でオールマイトは自分のTシャツを捲って、あるものを凱斗に見せる。

そして凱斗はオールマイトが見せたものに目が釘付けとなり、唖然とする。

 

彼に目に映ったもの、オールマイト左脇腹辺りにとてつもない傷と手術の後がくっきりと残されていたのだ。

 

「これは5年前に負った傷だ。呼吸器官半壊、胃袋全摘、度重なる手術と後遺症で憔悴してしまってね。私のヒーローとしての活動限界は…1日約3時間ほどしか出来なくなってしまったのさ」

 

「…5年前って、確かトニーとブルースがあんたと共にチェーンソーヴィランと戦った時じゃないか」

 

「っ!なんで君が彼らの事を…? どうして?」

 

「ああ、俺の両親との会社と面識があってな、それでトニーとブルースと知り合った。トニーは発明品を見せてもらったり、ブルースは格闘術を教えて貰っているんだ。その時に彼等がアイアンマンや“バットマン”である事を教えてくれた」

 

凱斗はオールマイトに自分の知っている事を全て話した、そして凱斗が話した言葉、“バットマン”、それは凱斗の格闘の師である『ブルース・ウェイン』はトニーと同じ会社を持つ『ウェインテック社』の社長なのである。

ブルースはトニーと同じヒーローであり、ダークナイトヒーロー『バットマン』である。闇の中でヴィランを倒し、そして人々の平和を守るヒーローである。

 

それにオールマイトは納得する。

 

「そうか…そうだったのか…なるほどね、だがさっきの言葉だが私はそんなチンピラに負けるよな真似はしない。これは世間には公表はされていない、公表しないでくれと私が頼んだのだ」

 

オールマイトは下にいる街の人々を見ながらそう言い、そして凱斗の方を見ながら言う。

 

「人々を笑顔で救う。“平和の象徴”は決して悪には屈しない。プロはいつだって命懸けなのだから…」

 

「オールマイト…」

 

凱斗はオールマイトの言葉に重く受け止め、それに見つめる感じになる。

オールマイトは立ち上がって言う。

 

「もし、君がヒーローを目指すと言うのなら、私は推奨しない。プロは命懸け…危険な仕事、警察などが良い感じに見えるさ、まあこれは私の考え方なんだけどね…」

 

っとそう言ってオールマイトはそう言い残して屋上の扉を開けて去っていき、凱斗はその後ろ姿をただ見つめる事しか出来なかった。

 

「……プロは、いつだって命懸け…か」

 

そう呟く凱斗。

そしてオールマイトは先ほどしまったあのペットボトルを調べる。

 

「さて…、こいつを早く警察に…ん?」

 

するとポケットの中身は空っぽで、それに周りを見るオールマイト、すると嫌な予感がしないと顔を青ざめていく。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

そして少し時間が遡り、商店街に買い物に来ていた舞が少しばかり食材を買っていた。

 

「う~ん、一体どれにしようかな~…」

 

「てめぇ!!」

 

っと乱暴な発言の声を聞き、舞は振り向くと、そこには爆豪とその連れ達が居た。

 

「あら爆豪君じゃない」

 

「気安く話しかけんな!!! モブの分際で!!!」

 

「おいおい辞めろって爆豪! なんでいつもいつもそんな感じなんだよ!?」

 

「うるせぇ!!!止めんな!!」

 

クラスの連れに取り押さえられる爆豪、それに舞は呆れてため息を吐きながら再び買い出しを続け、それに連れの者達が舞の買い物かごを見て問う。

 

「おい藤風、その食材は一体何だ?」

 

「これ?これは今日晩ご飯の食材。今日お父さんとお母さんがいないから自分で作るの」

 

「へぇ~そうなのか」

 

爆豪の連れは舞が自分で料理するのだと言う事を聞いて納得し、爆豪はつまらなそうにしている。

 

っがその時だった。

 

 

 

「丁度良いやつを見つけた…! お前、頂くぞ!」

 

 

 

突然不気味な声が聞こえて、それに爆豪は横を見ると、そこにはオールマイトが捕まえたあのヘドロヴィランがペットボトルから抜け出していたのだ。

爆豪が目を大きく開かせ、爆豪の連れ達がそれに思わず大声を出す。

 

「「う!うあああああああああ!!!!」」

 

それには舞も振り向き、ヘドロヴィランを見る。

 

そしてヘドロヴィランは爆豪に向かって襲いかかる。

っがその時、舞が買い物かごを落として、爆豪を突き飛ばして逃がす。それには爆豪が目を大きく開き、そして舞がヘドロヴィランの方を見て、ヘドロヴィランはそのまま舞に襲いかかった。

 

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

そして今に至り、凱斗はビルから降りて来て、スマホを取り出して、トニーに連絡を入れていた。

凱斗の連絡に思わず電話越しのトニー・スタークは首を傾げる。

 

『何だって?今日は来れない?』

 

「ああ、そんな気分じゃなくなった。ヴィランに襲われそうになったしな」

 

『おいおい、ヴィランぐらいならばお前の個性でなんとかなるだろう、お前の個性は──』

 

 

 

ドガアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!

 

 

 

突如爆発音が近くまで聞こえ、それには凱斗の方にも聞こえ、すぐさまトニーに伝える。

 

「何かあったようだ! 見に行ってくる!」

 

『おい待て! 何が!──』

 

そう言って凱斗はスマホを切り、爆発した場所まで向かった。

 

向かった場所に到着すると、すでに周りの者達がわんさかと溢れかえっており、凱斗はその様子を見るため、少し背伸びをする。

 

すると目に映った先はヘドロヴィランが辺り一面暴れまわっていて。あちこち火事が引き起こされていた

それに凱斗は思わず目を疑った。

 

「(あいつは!まさかオールマイトが捕まえたボトルが落として、そこから逃げ出したのか?! マズイ!あいつは誰かに取り付いたりしたら…ん?)」

 

ヘドロヴィランの方に誰かが囚われているのが見え、それに目を細めて見てみると、そこには両腕を縛られ、足も拘束されて、涙をながして捕まっている舞の姿が目に映った。

 

「(舞!!!)」

 

「いいね~!この娘、さっきのガキを庇ったのはイラついたが、風を操る事が出来るのか? これなら俺のヘドロをより自在に遠くまで運ぶ事が出来るぜ!!」

 

ヘドロヴィランは高笑うかの様に舞の個性を利用しようとした。

そしてその時に。

 

「おらあああああああ!!!」

 

バゴン!!!

 

手から爆風を放ち、ヴィランに立ち向かっている爆豪の姿が見えた、ヘドロヴィランはそれに嘲笑うかのようにクネクネと動き回り、更に爆豪の爆風を飲み込む。

それに爆豪は舌打ちをする。

 

「チッ!!クソヴィランが! 調子にのるんじゃねぇえ!!!」

 

っと爆風を再びヴィランの方に向けていく。

だがそれを木の枝が爆豪の身体にまとわりつき、それに爆豪はその場から突き放されるかのように連れて行かれる。

 

爆豪を連れて行ったのは個性『樹木』を自在に操ることが出来るヒーロー、『シンリンカムイ』が他の市民を救助しただけでなく、爆豪も共に救出した。

 

「おい!これ以上は被害を増やすな!! 後はプロに任せろ!!」

 

「うるせぇ!! 俺はヴィランを倒すんだよ!!離しやがれ!!」

 

尚もヴィランを倒そうと暴れる爆豪、それを見た筋骨隆々のプロヒーロー『デステゴロ』が怒鳴る。

 

「おいふざけるな!! あいつは人質をとっているんだぞ! それを巻き込む気か!!」

 

「知るかぁ!!別に助けてもらわなくてもよかったんだ!! 俺は助けてもらった覚えはねえ!!!」

 

っと暴れまわる爆豪、それにデステゴロは更に爆豪に怒鳴ろうとした瞬間。

 

 

 

シュン!!

 

 

「ん?!」

 

「!!?」

 

ヒーロー達は思わず誰かが通ったのを感じて、振り向くと、そこには革包を放り投げて、走り出していく凱斗の姿が見えた。

それに爆豪は凱斗の姿を見て目を見開く。

 

「(っ! あいつ…!!)」

 

「おい待て!!止まるんだ!!!」

 

デステゴロが怒鳴りながら凱斗に叫ぶが、すでに凱斗の耳には入って来なかった。

そして同時にその場にいたやせ細ったオールマイトが見て唖然とする。

 

「(あの少年…!)」

 

皆が見ている中で、凱斗が舞に向かって叫ぶ。

 

「舞いいいいいいいいいいいいい!!!!!」

 

「……か、凱斗」

 

まだ意識がある舞は凱斗の方を見て、ヘドロヴィランは凱斗の方を見ると、目を細めがら睨む。

 

「貴様は…、なんでここにいるか知らないが、俺の邪魔をするな!!!」

 

ヘドロヴィランは凱斗に向けてヘドロの鞭を放つ、それを凱斗はかわして、舞の元にたどり着き、凱斗は舞を見る。

 

「舞!!」

 

「凱斗…、危険だよ、逃げて」

 

「馬鹿野郎…! お前がそんな状態になってるのに、逃げる奴がどこにいるんだよ。それに…」

 

凱斗は右腕を上げると同時に、凱斗自身の“個性”を発動させる。

 

 

 

「捕まっているお前を見捨てる事ができるかーーー!!!」

 

 

 

 

「(っ!!!)」

 

凱斗の言葉にオールマイトは心に思わず何かが走った。

 

っと凱斗の身体の筋肉が少しずつ大きくなっていき、着ている学ランがパンパンになっていく。

それには爆豪や他のプロヒーロー達だけじゃなく、オールマイトも驚きを隠せない。

 

「おりやあああああああああああ!!!!」

 

右拳を振りかぶり、ヘドロヴィランに当たった同時に舞を拘束してあるヘドロが大きく弾けとび、舞がその場から解放され、凱斗が舞を確保する。

ヘドロヴィランは苦しみながらも凱斗の方を見て、怒りが込み上がる。

 

「貴様あああああ!!!」

 

すぐさまヘドロの鞭で凱斗に攻撃を仕掛け、それに凱斗が舞を後ろにかばい、左拳を構えようとする。

っとその時だった。

 

 

バシュン!!!!

 

 

「クッ…!情けない…!」

 

凱斗と他の者達が目にしたのは、凱斗と舞を庇っているオールマイトの姿であった。

あちこち小さい煙が身体から出ているのがあった。

 

「っ!オールマイト!」

 

「プロが…何もしないで! それに君にあれを…言っておいて、己が実行しようとしないなんて…!!」

 

「くぅ!!!オールマイトおおおおおおお!!!!」

 

ヘドロヴィランは怒りが頂点に達し、鞭をオールマイトに向けて振り下ろす。

 

「プロはいつだって命懸け!!! Detroit!Smash!!!」

 

オールマイトの必殺技がヘドロヴィランの攻撃が当たる前に直撃し、その衝撃と同時に吹き飛ばされてしまう。

その衝撃は皆を吹き飛ばしてしまうかの様な風圧で、皆は必死に堪え、凱斗は舞を飛ばされないようにしっかりと抱き寄せていた。

 

そしてその攻撃の余波が辺りの天候を変えてしまい、雨を降らせ、周りの火事を沈下させていった。

 

オールマイトは荒くなった呼吸を少しずつ整え、そしてゆっくりと立ち上がる。

 

すると見ていた思わず声を上げる。

 

「……お、うおおおおおおお!!すげええええええ!!」

 

「オールマイト!!やっぱり№1ヒーロー!!」

 

そして皆の歓声は大きくなり、オールマイトは右腕をあげるのであった。

 

その後、勝手に飛び出していった凱斗と自らの個性を使って戦った爆豪はプロヒーローの2人、デステゴロとシンリンカムイにかなり怒られた、爆豪はイラついていたが、凱斗はこれに後悔は一切していない。

あの場で助けに行かなかったら、舞は今頃どうなっていたか分からなかった。

 

そして舞は間一髪な所を凱斗が助けたことで怪我もなく、大事には至らなかった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

そしてその後、凱斗は舞を家にまで連れて帰る事にした。

家はすぐ近くなので、そんなに遠くはなかった。

 

舞は凱斗の方を見て、少し間を空けて言う。

 

「……凱斗。その……ありがとう、助けてくれて」

 

「…いいよ。俺が助けたかったんだ」

 

っと凱斗はそう舞に言うと、舞は少し俯いて顔を赤くしながら恥ずかしがる。

 

 

「私が来た!!!」

 

 

すると凱斗たちの目の前にオールマイトが現れて、それには凱斗と舞は驚いく。

 

「なっ!オールマイト!?」

 

「ええ?!さっき取材陣に囲まれていたはずでは!?」

 

「ハーハッハッハッハ!!抜けれぬ訳ないさ!何故なら!私はオールマイt『ボン!!!』ゴホッ!!!!」

 

突然オールマイトが筋骨隆々の身体からガリガリのやせ細った身体になり、それには舞が思わず目を疑い、声を上げる。

 

「き!きゃああああああああ!!! オールマイトが!ガリガリに~~~!!!!」

 

「舞、ちょっと落ち着け「いや無理でしょう!!!だってオールマイトが!!!」

 

混乱する舞に凱斗は何とか落ち着かせ、凱斗はオールマイトに向かって話す。

 

「オールマイト…一体どうしたんだ?」

 

「少年よ…、謝罪と提案、そして礼を言いに来たんだ」

 

「え?」

 

オールマイトの言葉に思わず耳を疑う凱斗。

 

「君があの場で行動を起こさなければ、私は…口先だけの偽筋になってしまう所だった…ありがとう、そして…君に…あの様な言葉を言って済まなかった」

 

「オールマイト…」

 

「私は…君が動かされたから私は動いた。トップヒーローは学生時から逸話を残している、彼の多くは話しをこう結ぶ『考えるよりも先に、身体が動いていた』と…、君もその一人なんだと…私はあの時確信したのだ」

 

っとその言葉に凱斗は思わず目を見開き、舞は凱斗の方を見る。

オールマイトは凱斗の方を見つめ、こう言った。

 

「君が…ヒーローになれる逸材、そしてトップヒーローになれる人だと…」

 

その言葉に凱斗は唖然としてオールマイトと見続けた。オールマイトからの言葉はとても重く、そして何よりこの後の言葉が途轍もなく響いた。

 

 

 

 

 

「是非とも、ヒーローになって、皆を救う者になって欲しい」

 

 

 



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第4話 燃えろマッスル!個性の秘密

凱斗の髪型に付いて、彼の髪型は爽やかなツーブロック(ナチュラル束感ショートな感じの髪型)

舞の髪型はツインテールで、ストレートにすれば腰辺りまである長さです。


「俺が…ヒーローに…?」

 

突如オールマイトの言葉に時が止まったかのように唖然としてしまう凱斗、そんな凱斗をオールマイトは頷きながら言う。

 

「そうだ、先ほどの君の拳…個性を使っていた時だ。身体中の筋肉がふくれ上がった様子を見て、筋力増強の個性と見た、違うかい?」

 

「……まあ、ちょっと違うけど…大半は正解かな」

 

「ちょっと? どう言う意味だいそれは」

 

オールマイトは凱斗のその言葉に頭を傾げ、それに凱斗は答える。

 

「俺の個性は…『筋肉操作』だ」

 

「筋肉…操作?」

 

「ああ、俺の筋肉操作の個性は筋肉を自在に操作する事が可能で、出力を調整する事によってパワーとスピードを爆発的に上げる事が出来る。今回出した出力は約20%、舞を助ける際に巻き込まないようにする為ああした」

 

「あれで20%…」

 

オールマイトはその言葉を聞いて目を少し大きく開かせ、凱斗は更に言い続ける。

 

「おまけに上手く調整すれば、1時間か半日は持続する事が出来、そのまま過ごす事が出来る。でも今の俺では15%以上出すと身体中が筋肉痛の様な感じになって、動きが鈍くなるんだ。今こうしているだけで動きづらい」

 

凱斗は右腕を少し上げると、少し反応が鈍い感じになり、それにオールマイトは確信する。

 

どうやら彼はまだその個性を上手く引き出していないことに。

 

そして凱斗が思わずバランスを崩れそうになる時に舞がそれを支える。

 

「大丈夫?」

 

「ああ、ブルースに少し鍛えてもらってはいるんだが、どうも格闘の筋力じゃまだダメみたいだ」

 

そしてその事を聞いたオールマイトは思わず笑みを浮かばせる。

 

「…決めたぞ、君ならば…私の力、受け継ぐに値する!」

 

「「……え?」」

 

っとその事に思わず凱斗と舞は振り向き、オールマイトの方を見る。

 

「力を…受け継ぐ?」

 

「そうさ、そして本番はここからだよ…。いいかい少年よ? 私の力を……受け取ってみないかという話をグハッ!!」

 

オールマイトは吐血しながら凱斗にその事を話し、凱斗と舞はその言葉の意味が分からず、混乱していた。

 

「(な…何を言っているんだ? オールマイト)」

 

「(え?個性を…受け継ぐ?)」

 

混乱しながらオールマイトを見つめ、吐血した血を拭いながらオールマイトは言う。

 

「混乱するのも無理はない、何故なら「オールマイト!」ん?」

 

突然空から声がして、凱斗と舞、そしてオールマイトは空を見ると、空からパワードスーツを着込んだ男が飛んできて、凱斗達の近くに着地する。

 

赤と金の鋼鉄の鎧を身にまとい、胸に光るリアクター『アーク・リアクター』を付けて戦うヒーロー、彼こそが鋼鉄ヒーロー『アイアンマン』。

そのアイアンマンスーツのヘルメットがスーツの内部に収納されて、トニー・スタークの素顔が現れる。

 

「トニー…!」

 

「嘘!どうしてトニー・スタークがここに?!」

 

「トニー…、駆けつけてきたのかい?」

 

「ああ、凱斗が電話越しにヴィランの事件があっと聞いて、すぐに会社を終わらせて駆けつけようとしたが、間に合わなかったようだ」

 

「それは無理もない」

 

っとまた別の男性の声が道の角から聞こえ、それに凱斗達は振り向くと、そこから筋肉質な黒いラバースーツを身に付け、コウモリをイメージした者『バットマン』が現れた。

バットマンはマスクを外し、ブルース・ウェインの素顔を顕にして言う。

 

「今回は君の仕事とリアクターの調整が長引いたんだ、すぐに駆けつけるのは無理な事だ」

 

「なら君が早く駆けつけたらどうだ? 君なら近くだからすぐに行けるだろう?」

 

「今日は東方の方で会議があった、すぐに無理だ。それよりもオールマイト…凱斗に話すのか? 君の個性の秘密を…」

 

「何だって?」

 

ブルースがそう語った言葉にトニーは振り向き、それにオールマイトは頷きながら言う。

 

「ああ、彼なら私の力を受け継いでくれる。それに偶然彼女も居合わせたとは言え、彼女なら黙ってくれるだろう」

 

「おいおいオールマイト、一体何の話なんだ?」

 

「私の力の話だよ、少年、写真週刊誌には幾度のなく怪力やブーストなど書かれ、インタビューでは常に爆笑ジョークで場を濁して来た。“平和の象徴オールマイト”はナチュラルボーンヒーローでなければならないからね、だが今ここで真実を教えよう」

 

オールマイトは両手を大きく広げ、ある事を告げる。

 

 

 

 

「私の個性は聖火のごとく引き継がれて来たものなのだ」

 

 

 

 

「「っ!!?引き継がれて来た…!!」」

 

凱斗は勿論の事、舞もオールマイトが発した衝撃的な真実に驚きを隠せず、トニーとブルースはその言葉にただじっと聞いていた。

 

「そうだ、そして次は君の番と言う事さ…」

 

「ま!待ってくれオールマイト! あんたの個性は今までネットでさえ色々と議論が飛び交っていたが、本当なのかそれは?!」

 

「ああそうだ」

 

オールマイトは頷きながら言い、凱斗はそれに目を大きく開かせる。

そして舞もトニーとブルースの方を見ながら言う。

 

「ふ!2人はこの事を知っているんですか!?」

 

「ああ、まあね。5年前に聞いてね」

 

「あの時は驚きを隠せなかったがね」

 

トニーとブルースは舞にそう言って、舞はそれに思わず荷物を落としてしまうほどった。

 

凱斗はオールマイトの話を聞いて、更にオールマイトはこう言う。

 

「驚くのも無理はないさ、だが私は隠し事は多いけど嘘はつかない。力を譲渡する力、それが私た受け継いだ個性、冠された名は『ワン・フォー・オール』!」

 

「ワン・フォー・オール…」

 

「そう、1人が力を培い、その力を1人へ渡し、また培い、次へ…。そうして救いを求める声と義勇の心が紡いで来た…力の結晶なのだ!」

 

オールマイトは手を握り締めながら凱斗に個性の秘密を語り、それに凱斗は唖然としながら聞いていた。

 

「まさかそんな創大な個性だったのか…、だが何故俺に?」

 

「元々後継者を探していたんだ、だが君ならば…間違いなく引き継いでくれると確信したのだ、あの場で誰よりも、そしてその少女を救い、助けた君が誰よりもヒーローだった!」

 

その言葉に凱斗は心に衝撃が走り、オールマイトを見つめる。

 

「さて…どうするんだい? 決めるのは君次第だけどね」

 

オールマイトは凱斗にそう言い、凱斗は少し考えると、舞が凱斗に言う。

 

「凱斗……ヒーローになって」

 

「え?」

 

「凱斗は…私の誰よりも最高のヒーローだったわ。助けて貰った時…とてもカッコよかった!」

 

「舞…」

 

舞の言葉に凱斗は心に強く響いて、そして手のひらを見て握り締め、顔を上げて言う。

 

「やる! 俺はヒーローになる!そしてあんたの思いも全て引き継いで№1ヒーローになる!!」

 

「フッ!そう来ると思ったぜ…!」

 

オールマイトは笑みを浮かばせ、舞は顔に笑顔がこぼれ、その話を聞いていたトニーとブルースは互いの目を見合い、そして頷きながら凱斗に近づいて言う。

 

「よし、それじゃあ今後僕がお前のスポンサーとなってやろう」

 

「え?」

 

「君が何処かの高校に入学し、ヒーロー科に入った時に専用のコスチュームを僕が作ってやる」

 

「私も協力しよう、デザインは私の会社のウェインテックが提供し、素材も送ろう」

 

トニーとブルースがそう言って、凱斗の為の専用コスチュームを開発すると言って、それに心が高鳴る者はいない。

 

「ありがとう…トニー、ブルース」

 

「構わないさ」

 

「ああ、それと格闘訓練は実践訓練に今後移行するつもりだから、覚悟してくれよ」

 

っとそう言って、凱斗は頷き、舞は凱斗を必ず№1ヒーローになれるとそう信じるのであった。

 

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

 

そして2日後の早朝、凱斗と舞は地元の公園に海が見える場所『海浜公園』に来ていて。そこでオールマイトから不法投棄されてあるゴミを運んでいた。

しかしただのゴミ拾いじゃない。

 

「よっこらっせ!!!」

 

凱斗は巨大な冷蔵庫を個性なしで持ち上げ、その上にオールマイトと舞が同時に乗っていた。

 

「HEY!HEY!なんて座り心地の良い冷蔵庫なんだ! いいかい?個性を使わずにこのゴミを運び出すんだ!」

 

「頑張れ~凱斗!」

 

「(い!意外と重い…!!)」

 

表情を曇らせながらも、凱斗はオールマイトが指定した位置に巨大な冷蔵庫を置いて、それにオールマイトは頷く。

 

「うん!いいぞ! 良い感じじゃないか!」

 

「どうも…。ところでなんで俺は海浜公園でゴミ拾いをしてるんだ…?」

 

「ハッハッハッハ! それは僕のプランなんだよ」

 

「プラン?」

 

凱斗はオールマイトの方を見て、オールマイトは頷きながら言う。

 

「ああ、昨日君の身体を見せてもらった時、なかなか良い体格をしていると見た。今の状態なら私の個性『ワン・フォー・オール』を渡すことが出来るが、少しだけ不十分な所がある。天龍寺少年、君身長はいくつだい?」

 

「178センチ」

 

「体重は?」

 

「110キロ」

 

っとその事を聞いた舞は思わず驚く、意外と体重の重い凱斗、それを考えるとなると、凱斗が与えられる課題は…。

 

「つまりだ!天龍寺少年。君は少しばかり“ぜい肉”が多すぎる!!」

 

オールマイトは何故か少しだけお腹や腕、足にあるぜい肉を指差して言い、それに思わず凱斗の心が傷ついた。

 

「ゲホッ!ま、マジか…つまりぜい肉を落とすために体力トレーニングのついでにゴミ拾いって事か?」

 

「YES! だがそれだけじゃない。昨日ネットで調べてみたら、この海浜公園の一部区画はこの状態、何年も放置されているみたいじゃないか」

 

「ああ、漂流物がここに流れ込んで、その流れで不法投棄が頻繁に起きている。だから地元の人達は全く近寄らない」

 

「前は綺麗な所だったのにね」

 

凱斗と舞は辺りがゴミだらけの海浜公園を見ながら言い、それにオールマイトは凱斗が運んだ巨大冷蔵庫に近寄る。

 

「最近のヒーローは派手さばかり追い求めるが、本来ヒーローは奉仕活動!地味だと思ってもそこはめげちゃあダメなのさ!」

 

っとメキメキと冷蔵庫を潰しながら言い、そして一気に押しつぶすと同時に背後にあったゴミの山が吹き飛んだ。

 

「この区画全ての水平線を蘇らせる。それが君達のヒーローへの第一歩!その序章に繋がるのさ!」

 

「っ!ヒーローへの第一歩…って事か」

 

「? 達って…まさか私も!?」

 

「そう!君もだよ藤風少女! 君もヒーローになる為に必要な行動だ。ところで天龍寺少年は高校はもう決めたのかい?」

 

オールマイトは凱斗に進路の事を聞いて、それに凱斗は頷きながら言う。

 

「ああ、俺は雄英を目指そうと思う。どうせ進むなら、苦難な方を選ぶ」

 

「凱斗…!」

 

「うん!それが良い! 君ならば出来る! そしてこの海浜公園のゴミを全て撤去する期間は、僕の考えで6ヶ月と考える」

 

「ええ?どうして6ヶ月なんですか?」

 

舞はオールマイトの考え方に思わず問い、オールマイトはこう答えた。

 

「何故って、それはだな…先ほどの天龍寺少年の能力を見て確信した。個性なしであの力ならばそうそう10ヶ月程度になる期間にはならないと思ったからね、さあ!頑張って始めようか!!」

 

オールマイトの言葉に凱斗と舞は雄英に合格する為、そして凱斗はオールマイトからワン・フォー・オールを譲渡する為にこの海浜公園でゴミ拾いをしながら、己のぜい肉になっている体脂肪率と戦うのであった。

 

 




凱斗の個性、完全に何処ぞの者のあれと似ていますよねwww

この力を知っている方がいたら凄いですが。


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第5話 託される継承

オールマイトから海浜公園の不法投棄のゴミ拾いをする為、ヒーローになる為の一歩として、清掃とトレーニングをしている凱斗と舞。

 

凱斗は持ち前の力でなんとか多くのゴミを拾い、天龍寺家が手配した大型トラックに積み込んでいた。

その中で舞は小さなゴミをこつこつと拾い、細かい清掃をこなしていた。

 

そして清掃と一緒に力仕事をした後の筋肉回復の為のプロテインを取る。プロテインはタンパク質を多めに含んでおり、激しい運動と筋力トレーニングの後の30分以内に取ると効果的だと言われている。

筋力トレーニングは文字通り重たいウェイトを扱う事によって、筋肉繊維を破壊して、より大きくする為の下準備をする為の事、その筋肉繊維を回復を助ける為にプロテインを取って、タンパク質で傷ついた筋肉を回復を高めやすくするのだ。

 

それを行った行動によって、わずか3ヶ月で体重は減り体脂肪もおちて、約10キロ近く減った。

 

当然筋肉量は落ちておらず、逆に増えており、体格は少しだけ小さくなったものの、身体の筋肉は少しだけ大きくなった。

 

それは凱斗だけじゃなく、舞も同じ変化が起こり、少しばかり体つきが良くなり、スタイルが抜群並みになった。特に胸が…。

 

そして海浜公園の清掃を始めて5ヶ月後、オールマイトは誰か達と車から降りてきて、海浜公園に入ろとした時だった。

 

 

 

「よっしゃあああああああああああああああああああ!!!!」

 

 

 

「ん?」

 

オールマイトはその連れ達が上を見ると、溜め込んだ不法投棄物の上に上半身裸の凱斗が右拳を上げて雄叫びをあげていた。

その下で舞は満面な笑顔で拍手を贈っていた。

 

それにオールマイトはすぐに駆けつけ、そこで彼が目にした光景を見る。

 

「おいおいおい…嘘だろう?」

 

オールマイトが見た光景は、海浜公園の全ての区画の不法投棄物がなくなっており、更に綺麗に整えられていたのが目に映った。

 

「指定した区画以外まで…マジかよ、ちり一つなくなってやがる…!」

 

「オールマイト!1ヶ月早く終わっちまったぜ!」

 

凱斗はオールマイトが来たの見て言い、オールマイトはそれには驚きを隠せない。

 

「は、ははは…まさか。たった5ヶ月以内で終わらせてしまうなんて…、私の想像以上にしてしまうなんて…。Oh my…Oh my…Oh my…Good Ness!!!!」

 

ガリガリのトゥルーフォームから、ムキムキのマッスルフォームへとなり、盛大な喜びの表情になる。

そして凱斗は不法投棄物の上から降りてきて、オールマイトの近くに降りて来る。

 

「くぅ~~! このエンターテイナーめ! 次から次へと驚かせてくれる!」

 

オールマイトの言葉に凱斗は思わず笑みを浮かばせながらオールマイトを見る。

 

「ほぅ~、こいつが“俊典”が言っていた奴か。なかなかいい面構えをしてるじゃねえか」

 

「へぇ~大したもんだね。あんたの言った通りだね」

 

っと聞かれない声がして、凱斗と舞が見ると、そこに初老の男性と女性がいた。

それにオールマイトが凱斗達の様子に気づいて、二人に向かって言う。

 

「天龍寺少年、藤風少女。紹介しよう、私がかつていた雄英の教師で恩師の『グラントリノ』、そして主治医の『リカバリーガール』さ!」

 

「雄英の…?」

 

「リカバリーガールって…今雄英に勤めている筈の、あの!?」

 

「そうさ、あんた達なかなか見ごたえあるね。オールマイトが選んだだけの事はある」

 

リカバリーガールは凱斗の方を見て言い、グラントリノは凱斗を一目見たあと、オールマイトを見て言う。

 

「俊典…、本当に渡すんじゃな?」

 

「はい…、彼ならば…必ずや私の“後継者”となってくれます」

 

「フッ…なら、やるがいいさ」

 

グラントリノはオールマイトにそう言った後、オールマイトは凱斗の方に歩み寄る。

 

「さあ、受け取る日だそ!天龍寺凱斗!」

 

「ああ!」

 

それに凱斗はオールマイトの前に立ち、舞はその様子をグラントリノとリカバリーガールのそばに立ち、見守る。

オールマイトは自分の髪の一本を抜く。

 

「これはグラントリノの受け売りだが、《最初から運良く授かった物と、認められ譲渡された物ではその本質が違う》と、肝に免じておきなよ天龍寺少年、これは君自身が勝ち取ったものだ」

 

「……ああ!」

 

これまで以上に凱斗は決意を露にする表情をし、それに舞は微笑みながら見る。

そしてオールマイトは髪の毛を渡して…

 

 

 

 

「食え!」

 

 

 

 

What()!!!?」

 

思わず凱斗は英語で発音し、それには舞も驚きを隠せなかった。

グラントリノとリカバリーガールは呆れた様子になり、オールマイトは頭を撫でながら言う。

 

「いや~DNAを渡すぐらいならなんでも良いんだけどね?」

 

「良いって!それでいいんかい!」

 

「いいんだよ! ほら!グイっと行きな!グイっと!!」

 

そう言って渡されて、凱斗は一応持ってきたミネラルウォーターを飲んで流し込む。

 

「2時間程すれば体内に溶かされ、身体に馴染んでいくはず、後は──「オールマイト!」ん?」

 

リカバリーガールに声をかけられ、オールマイトはリカバリーガールが指差す方を見ると、再び驚きの光景する。

 

数秒も経たない内に凱斗の身体中に赤い稲妻の物が浮かび上がったのだ、それは間違いなく凱斗の身体がワン・フォー・オールが身体に早くも定着したのだ。

それにはリカバリーガールだけじゃなく、グラントリノも驚きを隠せない。

 

「ほう、すぐにワン・フォー・オールが身体に馴染みやがった、俊典…これは予想外の上物だぞ」

 

「え、ええ…」

 

「(これが…ワン・フォー・オール…、身体中に行き渡ってるのが分かる。よし!試しに…)」

 

凱斗はすぐさまワン・フォー・オールを試す、どこまで身体が付いて行けるか試すため。

徐々に出力を上げていくと同時に身体が限界を達し、凱斗はワン・フォー・オールを止める。

 

「だっ!!はぁ…はぁ…はぁ…」

 

「凱斗!大丈夫!?」

 

汗だくになっている凱斗に近寄る舞、それに凱斗は答えるかの様に頷き、それにオールマイトは唖然とする。

 

「マジかよ…今の君は35%を引き出している…」

 

「受け取ったばかりなのに…」

 

「だがまだコントロールは出来る状態じゃねえな。しかしこいつは一気に化けるぞ?」

 

っとグラントリノは自分の髭をなぞりながら言い、それにオールマイトは頷く。

 

「ほぅ~、やったのか」

 

するとオールマイト達とはまた別の声がして、皆が振り向くと、そこにはスーツ姿のトニーとブルースがやって来た。

 

「トニー、ブルース」

 

「受け継いだか凱斗、これで私がこれまで行った格闘訓練の第一段回は終了だ。後は本格的な実戦に移りたいが…」

 

「それはまだ早いだろうな。まだヒーローにもなってない卵君だからな」

 

トニーは凱斗を見ながらそう言い、それに凱斗はそれに渋々納得するかの様に考える。

 

「(確かに、まだヒーローにもなっていない俺が突然出るわけにも行かない。どうしたら…)」

 

「心配するな小僧、この俺がしっかりと鍛えてやる」

 

「ん?」

 

凱斗はグラントリノの方を振り向くと、杖を置いて、凱斗と間合いを空けながら言う。

 

「お前さんが試験に受ける当日まで、この俺がお前さんの相手をしてやる。勿論お前さんも加わるんじゃろう?バットマン」

 

「お気づきですか。流石はグラントリノ」

 

っと笑いながら言うブルースは凱斗の方を見ていう。

 

「凱斗、これからもっと厳しくなっていくぞ、そして舞君も覚悟してくれ。君も参戦するんだ」

 

「は!はい!」

 

舞は緊張した表情をしながら言い、凱斗は決意を顕にした様子で思う。

 

「(さて…受け継いだワン・フォー・オールを馴染ませる訓練に実戦訓練、乗り越えていくぞ!)」

 

そう心の中でそう決心をしながら、グラントリノと向き合い、入試試験の当日まで特訓をするのであった。

 

 



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第6話 雄英入試試験

ようやく麗日と飯田が登場です。


凱斗と舞は海浜公園での清掃を全て完了し、更にグラントリノとブルースとの訓練を行ってから約5ヶ月、雄英入試試験の当日がやって来た。

 

雄英に向かう中で、舞は少しばかり先に行き、雄英の大きさを見て驚く。

 

「すっご~い…! 凱斗!」

 

舞はすぐさま凱斗を呼び、後から付いてくる凱斗は舞の元にやって来て、雄英を見上げる。

 

「ここがそうか…」

 

「遂に来たね…入試試験」

 

2人は見上げる雄英をそう呟きながらいい、雄英の敷地内へと入っていく。

すると凱斗は舞が何やら緊張した様子である事に気が付き、声をかける。

 

「大丈夫か?」

 

「う、うん…緊張してきた…」

 

「心配するな…って言っても仕方ないか「おいモブ共!!」あ?」

 

凱斗と舞は突如怒鳴ってきた人物の方に振り向くと、爆豪は今にもイラつきを爆発させそうな感じを見せていた。

 

「てめぇ等! 俺の前に歩くんじゃねえ!ぶっ殺すぞ!!」

 

それに対し凱斗は…。

 

「よし!先に進むぞ!」

 

「てめぇ!!!だから進むなって言ってんだろうが!!!!」

 

凱斗は爆豪を誂うかの様に先へと進み、爆豪は怒り狂った表情を顕にしながら凱斗を追いかけるのだった。

それに舞はため息を吐く、そして今の状況に付いて考える。

 

「(それにしても、よく爆豪君は凱斗が雄英に進学する事に対し何もして来なかったわね…?)」

 

っと舞はその事を思い出しながら思う。

 

それはかれこれ舞を助け出したて、訓練を開始した後の10ヶ月前のことだった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

折寺中学校で、担任に自分の進路の事を話して、それに担任やクラスの皆が驚きを隠せなかった。

 

「天龍寺!雄英に行く事にしたのか?!」

 

「はい、雄英にします」

 

それに皆が驚きを隠せず、騒ぐかと思いきや、1人の生徒が当然立ち上がり、手のひらから“爆破”を使いながら凱斗を睨む。

当然のごとく、凱斗に突っかかってきたのは爆豪だった。

 

「てめぇ…なんで雄英に行く事にしたんだ! てめぇみたいなモブが来るところじゃねえ! どっか他所に行きやがれ!」

 

爆豪は睨みながら凱斗に別の場所に移すよう脅しをかける、だが凱斗はそんな爆豪の脅しにビクともせず、逆に鋭い目線で見ていう。

 

「黙れ、俺の進む道は俺が決める。お前の道を邪魔するつもりもないし、関わる気もない」

 

「っ…!」

 

一瞬凱斗の鋭い目線に爆豪は一瞬後ろに下がり、そのまま睨み続けた。

2人の様子にクラス全員息をのみ、舞は立ち上がって凱斗と爆豪の間に割って入る。

 

「やめて凱斗、爆豪君も控えてよ」

 

「チッ!」

 

舞がそう言うと爆豪はそれに舌打ちをしながら自分の席へ戻って行き、凱斗は爆豪を一目見た後、自分の席へ戻った。

その後は爆豪は凱斗に何も突っかかってこず、何事もなかったかのようにしていた。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

「(今思えば、凱斗も爆豪君も仲が悪いって言うか分からないって言うか)」

 

舞は凱斗と爆豪の様子を見て、あの時の事を考えながら思い、舞は今後どうなるか少しばかり心配していた。

 

「くそっ!!いいか!!お前の助けなど要らないからな!! 俺が絶対に№1になる!絶対にだ!」

 

「はいはい」

 

爆豪はイラつきをまき散らしながら入っていき、凱斗はそんな爆豪を手をユラユラ振りながら見届ける。

 

「凱斗、少しは気が済んだ?」

 

「ああ、さあ…行こうか舞、試験に臨む為に」

 

「ええ」

 

っとその時、舞が凱斗の足を踏んでしまって、思わず凱斗はバランスを崩す。

 

「だあ!!」

 

「あ!凱斗!!」

 

舞が思わず手を伸ばそうとした時に、凱斗の身体が途中で浮いて、こけそうになったのが止まったのだ。

 

「ん?」

 

「大丈夫?」

 

「「え?」」

 

すると第三者の問い掛けに凱斗と舞が振り向き、そこにショートボブの髪型をした女の子が凱斗に触れて、何やら“浮かせて”転倒するのを止めたようだ。

彼女は凱斗を立たせると同時に、彼女は両手の指先の肉球を触れさせて解除する。

 

すると凱斗の身体が重力に戻されるかのような感じになり、凱斗と舞はその少女の方を見る。

 

「さっきの、私の個性、ごめんね?勝手な事して」

 

「いや、返って助かった。それよりも君の個性…無重力の個性か?」

 

「うん! そうだよ。それにこけたりしたらカッコ悪いもんね。お互い頑張ろう!」

 

そう言って彼女は手を振り、その場を去っていった。

 

凱斗と舞はそれを見届けたあと、自分たちも試験会場へと向かった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

雄英の最初の試験、筆記試験が始まり、そこで凱斗と舞は難なくこなして回答していき、無事終わらせる。

 

そして雄英の最大の試験、実技試験が行われ、その説明が行われていた。

 

「受験生のリスナー、今日は俺のライブにようこそー!」

 

雄英の教師であるボイスヒーロー『プレゼントマイク』が皆に挨拶をするが、それに答えるものたちは誰ひとりいない。

 

「こいつはシヴィー! では受験生のリスナーに実技試験の内容をガクッとプレゼンするぜ!Are you ready!?」

 

 

シ~~~~ン。

 

 

当然、その返事をする人は誰もいない、そしてそれを聞いていた凱斗は苦笑いをしていて、舞は笑いを堪えていた。

 

そしてプレゼントマイクが実技試験の内容を説明すると、実技試験の内容は10分間の【模擬市街地演習】である。

各自道具の持ち込みは自由で、各自指定のA,B,C,D,E,F,Gの試験場で行われ、演習場には三種類の“仮想敵”が多数配置されている。

 

その説明に爆豪は凱斗の持っているプリント紙を見て言う。

 

「つまり、ダチ同士協力させねえって事か」

 

「その様だな」

 

凱斗は自分のプリント紙を見ながらそう言い、爆豪はそれを見た後自分のプリント紙を見る。

それに舞は渡している自分のプリント紙を見て確認すると。

 

凱斗はB、爆豪はA、舞はCと言う感じで指定されている。

 

そしてその確認をする中で、突然一人の受験生が立ち上がった。

 

「質問よろしいでしょうか!?プリントに記載されている四種類目のヴィランが記載さられています! もし誤載ならば日本最高峰たる雄英の恥ずべき痴態!どうゆう事か説明を求めます!!」

 

「(凄いやつがいたな…、返って五月蝿いけど)」

 

試験会場である場所で同等たる態度で説明を求める受験生にプレゼントマイクはそれに答える。

 

「OK!OK!そこの受験生ナイスなお便りサンキュー!説明すると、この四体目は…“0Pのお邪魔虫”だ。だから倒しても意味がない、リスナーたちには避けて通る事をオススメするぜ?」

 

その話を聞いて、凱斗はより一層気持ちが高ぶる、そしてプレゼントマイクが最後にこう言う。

 

かの英雄ナポレオン=ボナパルトは言った。『真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者』だと。

 

「更に向こうへ!“"PIusUItra”!! それでは皆…よい受難を!」

 

っとプレゼントマイクの説明は終わり、各自指定の場所まで行く。

 

「凱斗!お互い頑張ろうね!」

 

「ああ、舞も頑張れよ」

 

そう言って凱斗と舞は互いに拳をぶつけ合い、健闘を願って向かった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

凱斗たちを乗せた受験生達のバスは試験会場Bに到着し、そこですでに動きやすい服装に皆は着替えていた。

 

当然凱斗はノースリーブのスポーティなシャツで長ズボンにブーツを履いて念入りに準備体操をしていた。

 

皆の方を一目見てみると、皆一通り鍛えられた身体をしており、その中で先ほどの受験生の1人もいた、彼も負けてない身体付きをしており、当然凱斗には及ばない身体付きではある。

 

《さあ~準備は出来てるか皆ぁ!それじゃあ始めるぞ!…ハイ!スタート!》

 

プレゼントマイクが突然スタートを始めて門が開かれた、だが突然始めれた事に戸惑う受験生達。

 

《どうしたぁ!?実戦じゃカウントなんざねぇんだよ!!走れ走れ!!賽は投げられてんぞ! もうすでに向かっている奴らが居るぞぉ!》

 

っとその言葉通り、先に出たのは“青い稲妻”を身体中に走らせ、筋肉がいつもより膨らんで発達している凱斗であった、その後ろに気張っている受験生とその他諸々が付いて来ていた。

 

凱斗はスタートする直前、ワン・フォー・オールを15%にし、筋肉操作を約35%に設定し、更にそれと同時に行っているのが『ワン・フォー・オール マッスルカウル』である。

 

筋肉操作とワン・フォー・オールを同時に行える様になったのは、ブルースとグラントリノの訓練の際に出力調整を行うトレーニングの結果、同時に行えるよう出来たのである。

筋肉の方は5ヶ月の間に15%以上から40%まで上げることが出来、更にワン・フォー・オールは同じ40%まで上げれる事が出来る。

 

 

『ブッコロス!!』

 

 

っと人工音声の様な音が聞こえ、凱斗は振り向くと四足歩行でやって来る仮想敵が3体やって来て、凱斗に襲いかかってきた。

 

「フンッ!!!」

 

バシュン!!!

 

右フック一閃! それと同時に仮想敵3体同時に壊れ、バラバラになっていく、そしてまた四足歩行の仮想敵が1体と3Pの仮想敵が襲ってきて、それを凱斗は…。

 

「ハッ!!!」

 

後ろ回し蹴りでなぎ倒すかの様に蹴り倒す。

 

「は!早っ!!?」

 

「もう倒し始めてる!!」

 

「負けられねえ!!!」

 

っと負けじにと仮想敵を探しに向かった、凱斗は自分の手を見て、頷く。

 

「よし…慣らし運転は良い感じだな。次だ!!」

 

そう言って凱斗は次の仮想敵を探しに向かった。

 

 

そして数分後、別の場所である者たちが受験生達の活躍をしっかりと見ていた。

 

「今年はなかなかの豊作じゃない」

 

「その中でこの少年だけはなかなか良い感じに見える。状況判断や戦闘能力。他の者達を抜いている」

 

「でも、真価を問われるのはこれからさ」

 

っと一人の者があるボタンを押す。

 

 

 

一方で凱斗は仮想敵に飛び蹴りを放ち、仮想敵を倒す。

 

一旦間合いを取って、あたりを確認する。

すると試験会場に自身が起きて変化が現れた。するとビルの隙間からビルと同じの大きさをした仮想敵が現れたのだ。

それはレクチャーされたあの0P巨大仮想敵だった。

 

「で!デカイ!勝てるはずがない!」

 

「避難だ!!」

 

っと巨大仮想敵から逃げる受験生達。その様子を見ていた凱斗、0Pを倒してもメリットはない。

その場を離れようとした時だった。

 

「イッタ!」

 

「っ!!?」

 

凱斗はその悲鳴の言葉を聞いて振り向くと、そこには瓦礫に足を挟まれ、今朝凱斗を転倒から助けたあの少女がいたのだ。

 

それを見た凱斗は思わず見て、身体が何かに反応し走り出したのだ。

 

そして凱斗はワン・フォー・オールの出力を15%から40%に上げて、そして大きくジャンプする。

 

「あっ…!」

 

その少女は思わず飛んだ凱斗の方を見る。

 

同時にその様子をモニターで見ていた者が呟く。

 

「あの仮想敵に挑んでもメリットは一切ない、だからこそ色濃く…眩く…浮かび上がる時がある」

 

そして凱斗は巨大仮想敵に向かって行く際に、先日オールマイトから言われた事を思い出す。

 

『ワン・フォー・オールを使い際にはこう思うのだ。ケツの穴グッと引き締めて、心の中でこう叫べ!』

 

オールマイトの言葉と同時に凱斗は巨大仮想敵に向けて“必殺技”を放つ。

 

 

 

 

 

「スマッシュ!!!!!」

 

 

 

 

 

凱斗が放ったスマッシュが巨大仮想敵に直撃し、それに大きくぶち当たり、頭部がかなり破損し、あちこち爆発していく。

それを見ていた者達は口を大きく開けながら唖然とし、凱斗はビルの屋上に着地し、倒される巨大仮想敵を見下げる。

 

同時にモニターを見ている者は笑みを浮かばせる。

 

「そう。浮かび上がるのだ…ヒーローの大絶賛、自己犠牲の精神って奴が!」

 

そしてそれと同時に。

 

《試験終了~~~~~~~~~~~~~~~!》

 

プレゼントマイクの終了宣言に、実技試験は終わった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そして一週間後、凱斗は自宅の部屋でコーヒーを飲みながら夜空を見ていた。

 

「凱斗!!」

 

っと凱斗の部屋に舞が突如やって来て、それに驚く凱斗。

 

「おおっ!?どうしたんだ舞!? こんな夜中に?しかもわざわざ家までやって来て」

 

「これ!!来てたよ!凱斗のが!」

 

舞は凱斗の合格通知を見せ、それに凱斗は受け取る。

 

「おいおい、なんで舞が受け取ってるんだ?」

 

「さっき私の所に合格通知が来て、それを見た途端驚くことがあったのよ! それを言いに来た時に凱斗のメイドさん達がこれを持ってるの見て私が言いに来たのよ!持って!」

 

「な、なるほどな…、よし開けるか」

 

凱斗は合格通知の封筒を開けると、何やら装置の物が出てきた。

それに凱斗は見てみると、舞がそれを押す。

 

ポチ!

 

「あ!舞勝手に!『私が投影されたあ!!』はいっ!?」

 

「ねえ!驚いたでしょう!?」

 

突然画面に映し出されたのは黄色のピンストライプのスーツを着込んだオールマイトが現れたのだ。

 

「オールマイト!? どうして…!」

 

『いやー諸々手続きに手間取って連絡できなくて申し訳ない。私がこの街に来た理由は雄英に務めることになったからだ!』

 

「はっ?雄英に?」

 

その言葉に凱斗は思わず耳を疑った。

 

『うん…ん?なんだい? え?…巻で? いや、彼には伝えなければならない事が。後がつかえてる…?あ~OK、分かったよ。ああ~筆記の方は合格、そして実技のヴィランポイントは90ポイント!

いや~素晴らしいよ!教員皆驚いた、だが見ていのはヴィランポイントにあらず!』

 

その言葉に凱斗は思わうず耳を傾ける。

 

『我々が見ていたのは基礎能力!それは即ちレスキュー!! 瓦礫に埋もれた少女を助けた事に意味あり! 人助けを…正しい事をする人間を排斥するヒーロー科など、あってたまるかって言う話しさ!

綺麗事?上等さ!綺麗事を知って実行!それをこなすのがヒーロー!因みに!このレスキューポイントの判定は審査性! 天龍寺凱斗!レスキューポイントは60ポイント!!合計150ポイント!堂々たる首席合格だ!!おめでとう!!』

 

それに凱斗は目を大きく開け、舞は満面な表情をする。

 

「凱斗!!」

 

「っ~~~~~よっしゃ!!!」

 

凱斗は首席合格だと言う事に喜び、そしてオールマイトは画面越しで手を差し出す。

 

 

『来いよ!天龍寺少年! ここが、君のヒーローアカデミアだ!』

 

 

その言葉に凱斗は頷き、凱斗のヒーローの道のスタートが始まった。

 

 



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第7話 始まりのスタート

雄英の入試試験に合格し、その事を家族に報告する凱斗、それに父と母である『天龍寺昭仁(てんりゅうじあきひと)』と『天龍寺光子(てんりゅうじみつこ)』は大喜びし、凱斗の合格祝いをした。

そして舞も当然雄英に合格し、2人揃って春には雄英に入学することとなる。

 

勿論の事、この事をあの2人、トニーとブルースにも報告をした。

 

2人は日本に建てているスターク邸にいて、トニーとブルースは通信越しの凱斗の報告を聞いていた。

 

「そうか、無事合格したか」

 

『ああ、中学を卒業したら春から雄英生だ』

 

「そうか…良かったな」

 

ブルースの言葉に凱斗は頷き、トニーは凱斗に言う。

 

「よし、凱斗。コスチュームの件はこっちに任せてくれ。お前のとびっきりの代物にしてやる」

 

『ありがとうトニー。それじゃあ』

 

そう言って凱斗は通信を切り、トニーは椅子に座ってもたれる。

 

「ふぅ…取り敢えずは、第一歩前進だな」

 

「ああ、そして過酷な試練はこれから始まるだろうな」

 

ブルースは窓の外を見ながら言い、そしてトニーは椅子から立ち上がる、自身が所有しているパワードスーツのアーマーブースの所に行き、そこに現在調整中のスーツが置かれていた。

 

「もうじきだ…彼にこれを渡す日が近い」

 

「そうだな。だがまだ完成じゃないんだろう?」

 

「ああ、こいつにはまだ必要なものがあるんだ…フライデー!」

 

トニーはこの邸の全てを管理しているAIである『F.R.I.D.A.Y.』を呼び出し、それに出てくる。

 

「はいボス」

 

「例の物を出してくれ、保管番号995047」

 

「了解」

 

すると床から筒の様なものが出てきて、それをトニーは受け取り、その箱を開ける。

開けた箱の中身は一枚のディスクであり、ブルースはそれを見て問う。

 

「トニー、それはなんだ?」

 

「これは僕が前に使用していたAI、『J.A.R.V.I.S.(ジャーヴィス)』だ」

 

っとその言葉にブルースは思わず目を開かせ、トニーに言う。

 

「おい、それはかつて…」

 

「ああ、僕が例の事件以来…あのジャーヴィスを移して、『ヴィジョン』へと転生させた時に失われたと思われたものだ。だが一部のバックアップデータは残っていんだ、ここに」

 

ディスクを取り出しながら、ブルースに語るトニー、そしてそのディスクを端末に入れて、操作してスーツにインストールする。

それをブルースは問う。

 

「だがトニー、一部のデータでは本来の人格は程遠いと聞くぞ?」

 

「ああ、だからこそジャーヴィスを成長させるべく、凱斗に託すつもりだ。今後の未来に向けて」

 

そうトニーはブルースに言い、ブルースはそれを聞いて、そのスーツを見つめるのだった。

 

「なら私も、万が一の為に用意しておこう」

 

っとブルースはスマホを取り出して、誰かと連絡を取るのであった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そして同時刻、雄英での会議室で、教員兼プロヒーロー達は今年の入試結果を見ていた。

 

「実技総合成績を出します」

 

モニターの前に今年の入試結果を出すと、教師達は改めて今年の受験生達の実力を知る。

 

「今年は勢ぞろいの者達がいますね?」

 

「特にこの少年、他の者達を圧倒的に抜いていますね」

 

っと凱斗のヴィランポイント90とレスキューポイント60、合計150ポイントの成績に教員達は目を引かれていた。

だがその中で1人の教員、首に汚れた包帯を巻いている男性『相澤 消太』が鋭い目線で見ている。

 

「…慣れすぎている」

 

相澤の言葉に教師達は振り向き、相澤は凱斗の成績や映像を見ながら言う。

 

「あまりにも戦闘に慣れている、とても中学とは思えない」

 

「(っ…、鋭いな、相澤君)」

 

っと教員の中にいるオールマイトがその事を思い、それに校長が言う。

 

「うん、その通りだよ相澤君。…実はこの事を内緒にして貰いたんだけど、この少年、天龍寺凱斗君はアイアンマンの親友で、バットマンの格闘の弟子、そして今はここに居るオールマイトの教え子でもあるんだ」

 

『『『っ!!』』』

 

校長の言葉に教員達は驚きを隠せず、オールマイトは慌ててしまう。

 

「こ!校長!それは!」

 

「う~んこの状況を見ると、もう喋っちゃった方が良いと僕は思うんだよね。ずば抜けている彼がこれじゃあ」

 

「HeyHey!アイアンマンやバットマンの知り合いと弟子なら納得じゃん!」

 

プレゼントマイクは興奮しながら納得し、それに他の教員等も納得する。

その様子にオールマイトは思わず黙り込む。

 

「(…天龍寺少年、ちょっとやり過ぎたかな?)」

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

入試から通知が来て約数ヶ月、折寺中学校を卒業し、新しい雄英の制服を身にまとう凱斗、それを見送る為、昭仁と光子、そしてメイド達が集う。

 

「凱斗。似合ってるわ」

 

「ありがとう、母さん」

 

「いよいよだな凱斗、しっかりと学んでいくんだぞ?」

 

「勿論だ、父さん。行ってくる」

 

『『『行ってらっしゃいませ、凱斗様』』』

 

メイド達が頭を深く下げ、凱斗を見送り、凱斗は雄英に向かう。

 

そして途中で同じ雄英の制服を身にまとう舞が凱斗に声をかける。

 

「おはよう凱斗!」

 

「おう舞。早いな」

 

「当然だよ。いよいよ雄英生活の始まりで、ヒーローになる為の最初の一歩!う~ん!ワクワクする!」

 

舞は興奮を抑えられない様子になりながら先に進み、凱斗はそれを見つめて、舞の後を追う。

 

そして凱斗と舞は雄英にたどり着き、自分たちの教室を探す。

 

雄英のヒーローかは推薦入学4名を除く36名の一般入学者、それでもヒーロー科のクラスは2クラスしかなく、1クラスのメンバーは推薦入学者2名に一般入学者18名の20名である。

 

「さてと…俺達はA組だから…」

 

「あっ!あった!」

 

舞が1-Aの札がある教室を見つけ、凱斗と舞がドアの前に立つ。

しかしそのドアは普通のドアじゃなく、4m近くもある大きなドアだった。

 

「でっかい!バリアフリー?」

 

「さて。入るとするか」

 

凱斗がドアを開けた時だった。

 

「机に足をかけるな! 雄英の歴代の先輩方や机の製作者方に申し訳ないと思わないか?」

 

「あぁ?思わねぇよ! てめぇどこ中だよ?端役が!」

 

っと最初の一目にあったのは、同じ入学してきた爆豪と、入試の説明の時に質問をした人がいたのだ。

 

「「((あちゃ~、いきなりのツートップ、かよ/だ~、しかも爆豪/君…いきなり喧嘩売ってるし))」」

 

今年も荒れた1年になりそうだなっと思う凱斗と舞、爆豪にどこの中学か聞かれた者は答える。

 

「お、俺は私立聡明中学出身、飯田天哉だ」

 

「聡明~?糞エリートじゃねぇか! ぶっ殺し甲斐がありそうだな!」

 

「ぬな!ぶっ殺し甲斐!酷いな!本当にヒーロー志望か?!」

 

「爆豪はいつもそんなんだよ」

 

っと凱斗と舞がやって来て、それに爆豪とその者は見る。

すると爆豪は気に入らない風な目をして、そしてその者は凱斗を見る。

 

「君もこのクラスだったか! 俺は私立聡明中学──」

 

「さっき聞こえたよ。俺は天龍寺凱斗。よろしくな、飯田でいいよな?」

 

「ああ!勿論だ! それで君は?」

 

飯田は舞の方を見て、舞は自己紹介する。

 

「藤風舞よ。凱斗と爆豪君は同じ中学よ、よろしくね」

 

「ああ!よろしく!」

 

っと飯田は手を真っ直ぐした状態でブンブンと動かし、まるでロボットの様な動きだった。

それに凱斗は思わず苦笑いし、舞はその様子に笑ってしまう。

 

「プププ!」

 

「何がおかしいのだ!?藤風君!?」

 

それに呆れてしまう凱斗だった、そしてその時、1人の少女が凱斗に声をかける。

 

「天龍寺さん」

 

「ん?」

 

凱斗が振り向くと、長身でポニーテールの髪型をした少女が近づいて来て、凱斗に話しかけてきた。

 

「お久しぶりですわ天龍寺さん、パーティー以来ですか?」

 

「『八百万』、お前も雄英に入学していたのか?」

 

っと話しかけてきた少女、彼女は『八百万 百』、八百万財閥のお嬢様で、凱斗とはパーティーなどでよく会うため、知り合いなのだ。

そして舞が凱斗が八百万と知り合いだと言う事に振り向く。

 

「え?凱斗知ってるの?」

 

「ああ、彼女は八百万百、財閥の嬢様で、天龍寺ファウンデーションの主催パーティーなどでよく会うんだ」

 

「へぇ~そうなんだ。私は藤風舞、よろしくね」

 

「こちらこそですわ」

 

そう舞と八百万は握手をする。

 

「ああ!君は筋肉モリモリの人!」

 

っとまたしても凱斗に声をかけた人物が聞こえ、振り向くと、そこには雄英の制服を来たショートボブの少女がいた。

 

「ああ、君か」

 

「君も雄英に入ったんだね! それとあの時は助けてくれてありがとう!」

 

「いいよ、別に」

 

凱斗はそう言うと同時に舞とその少女の目が合う。

 

「あっ、君、一緒に受かってたんだね?」

 

「うん、私は藤風舞よ」

 

「麗日お茶子です!」

 

そう言って舞と麗日は握手をする。

 

っとその時だった。

 

 

 

 

 

「お友達ごっこしたいなら他所に行け」

 

 

 

 

 

低く、気だるい感じの無精髭男が寝袋に入り、廊下の所で寝転んでいた。

 

「ここはヒーロー科だぞ」

 

『『『『『『何かいる~~~~~!!?』』』』』』

 

っとその思いの感じは今ここ1つとなった時だった。

 

そして静かになってその男性は寝袋から出て、黒板の前に立つ。

 

「はい、静かになるまで8秒かかりました、時間は有限、君達は合理性に欠くね」

 

そう言ってその男性は自分の名を言う。

 

「担任の相澤 消太だ、よろしく。早速だが、体操服を来て、グラウンドに出ろ」

 

相澤はそう言い残して教室から出て行く。

 

「はっ?いきなり?」

 

「意味分かんねぇ」

 

金髪の少年とたらこ唇の少年がそう言い、それに凱斗は少し疑問に思いながらも体操服に着替えて、皆も体操服に着替え、グラウンドに出るのであった。

 

しかしそこで思わぬ事が起きるとは皆は誰も知らなかった。

 

 



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第8話 個性把握テスト

雄英に入学そうそう、担任の相澤に体操服を渡されて、それを着てグラウンドに出た凱斗達、そして彼から最初に聞かされた言葉は…。

 

「「「「「個性把握テスト!!??」」」」」

 

っと全員、もしくはその他除く以外凱斗達は口揃えて言う。

 

「えっ!?入学式は?ガイダンスは!?」

 

麗日が最初に必要な行事がすっ飛ばしている事に問うも、相澤は平然とした顔で言う。

 

「ヒーローになるなら、悠長な行事、出る時間ないよ。雄英は自由が校風が売り文句、それはまた先生側もまた然り」

 

その言葉に皆は思わず声が止まり、舞と麗日は息を飲み、凱斗はその様子をジッと見つめる。

 

「お前らも中学の頃、やった事あるだろう? 個性禁止の体力テスト。あー…首席合格の天龍寺。お前中学のソフトボール投げは何mだった?」

 

「え?80m…?でしたが…」

 

「何言ってるのよ、凱斗は85mだったじゃない」

 

うる覚えだった凱斗に舞がそう言った事で思い出す。

 

「あっ、そうだった」

 

『『『普通に凄っ!?』』』

 

一部のクラスが凱斗のソフトボール投げの記録に思わず驚きを隠せない。一方で爆豪は凱斗の首席の件でかなり怒り満ちた表情をしながら凱斗を睨んでいたが…。

それに相澤は頷いて言う。

 

「よし、なら“個性”を使ってやってみろ。円から出なきゃ何しても良い。早よ、思いっきりな」

 

「…なら」

 

っと凱斗は筋肉操作を使い、出力30%に上げて、身体中の筋肉がもりもりと膨れ上がり、更に体操服がパンパンになる。

それに舞と凱斗と入試の時に見ていた麗日と飯田以外は驚きを隠せない。

 

「なんだ!?」

 

「筋肉が大きくなってくぞ!?」

 

「って言うか発達していってね!?」

 

そんな声が飛び交う中で、凱斗は全力でソフトボールを投げる、凱斗が投げたソフトボールは大きく、より遠くまで飛んで、そして地面へと落ちる。

 

「まず自分の最大限を知る。それがヒーローの道を形成する合理的手段」

 

相澤は皆に凱斗が投げた記録を見せると、記録はなんと1022.1mだった。

それに皆は思わず騒然と声を上げる。

 

「マジ!初っ端から1000mオーバーって!」

 

「個性全力で使えるなんて、流石ヒーロー科!」

 

「なにこれ“面白そう”!!」

 

皆が騒然とする中で、『面白そう』と言った言葉に相澤は言葉をこぼす。

 

「面白そう…ね」

 

相澤の一言に騒然としていた皆の口が止まる。

 

「ヒーローになる為の3年間、そんな腹積もりで過ごすのかい? よし、決めた。じゃあこのテストのトータル成績最下位は、ヒーローになる見込みなしと判断して、“除籍”処分にしよう」

 

その言葉に1-Aは絶句する。

相澤の言葉を聞いた凱斗はそれに質問する。

 

「せ、先生…。マジで言ってるんですか?」

 

「ああ、さっき言ったろう? 自由な校風が売り文句だと。だから君ら生徒の如何もまた俺達の自由だ。ようこそ、これが雄英高校ヒーロー科だ!」

 

相澤は挑発的な笑みを浮かばせながらそう言い、その中にいた舞が抗議の声を上げる。

 

「最下位除籍って…入学初日ですよ!? いや!初日じゃなくても理不尽過ぎます!」

 

「そうですよ!」

 

舞が言った言葉に麗日も同じように続く。

 

「自然災害、大事故、身勝手な敵。いつどこから来るか分からない厄災。日本は理不尽に塗れている。そんなピンチを覆して行くのがヒーロー。

放課後マックで談笑したかったのならお生憎。これから3年間、お前達には絶えず試練が与えられていく。“PIusUItra”全力で乗り越えて来い。デモンストレーションはこれで終わり。これからが本番だ」

 

そう言って相澤は個性把握テストを開始した。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

第1種目:50m走

 

 

 

最初に飯田と『蛙吹 梅雨』と呼ばれる子が最初に走り、飯田が個性である『エンジン』を使って走り、3.04秒と記録を出す。そして蛙吹も5.58秒と記録を出す。

 

そして舞が風を使って浮かせて一気に走り出して、4.01秒と記録を出す。共に走った『尾白 猿夫』は5.49秒であった。

 

次に凱斗と爆豪が並んで、位置につく。

 

「(へっ!軽くぶっちぎってやる!)」

 

「(出力…20%!)」

 

そしてスタートと同時に凱斗と爆豪が同時に走り、爆豪は爆破を使って飛んで行き、凱斗は素早い動きで、飯田以上の脚力を見せる。

 

2人はゴールして、タイムは、凱斗が2.11秒、爆豪が4.13秒だった。

 

「糞が!!!」

 

「な! 超えられてしまった…!」

 

爆豪は悔しがり、飯田も同じように悔しがる。

 

「うわ~…凱斗やるわね」

 

「凄~い!」

 

舞と麗日はクラスの中で高タイムを出した凱斗に関心し、見ていた八百万は凱斗の個性の出力の上昇していることに気づく。

 

「天龍寺さん、個性の扱いが上手くなってますわね」

 

「あいつの事、知ってるんの?」

 

っと耳がイヤホンのプラグの様な少女『耳朗 響香』が聞き、それに八百万は頷く。

 

「ええ、彼とは主催パーティーなどでよく会って、個性の事も教えてもらいましたわ」

 

「パーティーってあいつも金持ち!!?」

 

 

 

第2種目:握力

 

 

ピピッ!

 

最初に握力を測った『障子 目蔵』が個性『複製腕』を使い、540kgを引き出して、共にいる『瀬呂 範太』と『峰田 実』が言う。

 

「すげぇ!540kgってあんたゴリラ!? いやタコか?」

 

「タコって。エロいよな…」

 

っとそう言っていると。

 

 

バキッ!!!

 

 

「あっ、壊れた」

 

「「ん?」」

 

瀬呂と峰田が振り向くと、凱斗が個性を使用、握力測定器を握り潰してしまった光景だった。

彼と共にいた舞と麗日と飯田が慌ててしまう。

 

「あちゃ~…、凱斗やり過ぎ」

 

「うわ~、握り潰れた」

 

「や!やり過ぎだぞ! 天龍寺君!!」

 

っとその様子に相澤が来て、その様子を見て言う。

 

「おいおい、それは3t以上も測れる代物だぞ、個性を使っても普通じゃ壊れん」

 

「「さ!!3t!!?」」

 

瀬呂と峰田は3tも測れる測定器が壊れたと聞かされた事に目が飛び出るように驚き、共にいる障子が関心する。

 

「やるな…」

 

 

 

 

第3種目:立ち幅跳び

 

 

「おらあああああああ!!」

 

爆豪が爆破を使い、長く飛び、麗日が服と靴を無重力にさせ、長い記録を作る。

舞も同じように風を使い、長く飛ぶ。

 

そして凱斗が勢いよくジャンプし、爆豪よりも長いジャンプをする。

 

「よし、良い感じ!」

 

「チッ!!!」

 

爆豪はまたしても気に入らない感じがして、舌打ちする。

 

 

 

 

第4種目:反復横跳び

 

 

峰田がいい成績を残す中で、凱斗と舞は普通。

 

 

 

第5種目:長座体前屈

 

 

これも、至って普通に測った。

 

 

 

第6種目:持久走

 

 

この種目では八百万が自分の個性『創造』を使ってバイクを創造し、それに跨り走る。

だがそれに負けじにと凱斗、爆豪、そして轟が自身の個性を使い追いかける。

 

轟の個性は『半冷半熱』、その氷の個性を使って、地面を滑りながら走る。

 

 

第7種目:二度目のハンドボール投げ

 

 

爆豪が凱斗にこれ以上負けられない上に、差を広げたくない為、ボールを全力投球する。

 

「死ねええええええええええええええええええっ!!!!!!」

 

「「死ね…?」」

 

っとNGワードを言いながら爆破を上手く利用し、ボールを活きよい良く投げる。当然それに凱斗と舞が呟く。

だが測れた記録はと言うと。

 

「爆豪。705.2m」

 

「はああっ?!! なんでだよ!!!クソッ!!!!!」

 

爆豪の怒りが舞い上がる光景に見ていた者達、特に峰田と『葉隠 透』は震えた。

 

舞も風を使い、ボールを風に乗せて飛ばす。

記録は643.8だった。

 

次に麗日がボールを無重力にさせて、投げる。

そのボールは徐々に飛んでいき、最後には相澤の記録では無限の文字が出た。

 

それに皆は麗日の個性に歓声が出る。

 

「すげぇ!無限かよ!!」

 

「初めて見たぜ!無限が出るのって!」

 

そう言う中で、凱斗が麗日と入れ替わるかのように入り、その際に相澤が止める。

 

「天龍寺、ちょっと待て」

 

「はい?」

 

凱斗は相澤に呼ばれて止まり、相澤は目線を細めながら言う。

 

「お前…、()()()()()()()()()()

 

っとその言葉に舞以外の者達が驚きを隠せなかった。

 

「はぁ!!?本気出してないって天龍寺マジか!?」

 

「あれよりも更に上があるって言うの!?」

 

「…ふざけんなねぇぞ…!!!」

 

皆が驚く中で、相澤が凱斗に近づきながら言う。

 

「天龍寺、入試の際に使っていた個性はかなり強い、正直推薦入学者達より上だろう。だがこれは最大限を知るためのテストだ。今度は本気でやれ。じゃないと首席でも除籍処分とするぞ」

 

思わず八百万が反応し、轟は凱斗に目を細めながら見る

そして舞は相澤の言葉に少しばかり言葉が詰まりながら思う。

 

「(うわ~…この先生キツイ所を突く)」

 

「(…随分とカンが鋭いな。これは加減は出来ないな)」

 

っと凱斗はちょっとばかり考えてたら、体育館の物陰からオールマイトが見ていて、それに頷きながら凱斗を見ていた。

 

「(よし…そんじゃあ…)…フッ!」

 

凱斗はワン・フォー・オールを使い、筋肉操作と同時に行う、ワン・フォー・オール・マッスルカウルを行い、出力を今の限界値である40%にする。

そして身体中に青い稲妻が走り、それに皆は目が釘付けとなる。

 

「(スマアアアアアアアアアアアアアッシュ!!!!)」

 

凱斗は1回目よりかなり強くボールを投げて、辺り一面砂埃が一時的に起こった。

皆は目を思わずつぶった。その中で相澤は記録を測っていて、そして皆に見せた。すると二度目の記録はとんでもない数値だった。

 

 

 

 

 

凱斗の記録、8095.7m。

 

 

 

 

 

完全に雄英の敷地内を通り越しており、麗日ほどの無限は出さなかったが、それでも最高記録であった。

 

「うわああああ!1回目より凄い!!」

 

「本気を出すとあんな風になるのか、強大な個性だな」

 

「(凄い…凱斗!)」

 

「(なんだよ少年…、相手が相澤君だから心配して来て見れば。格好いいじゃないか!!)」

 

っとオールマイトが思った事を心の中で叫び、凱斗を褒めた。

 

そして爆豪は口元を大きく開けながら唖然としてしまうも、歯を噛み締めながら心の中で悔しがる。

 

 

 



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第9話 テスト後の放課後

入学早々、相澤からの個性把握テストに強制的に受ける事となった凱斗達。

 

だが凱斗はそこをなんとかしながらも上手くテストをこなして行く。しかし相澤に本気を出していなことに気づかれていて、渋々ワン・フォー・オール・マッスルカウルで本気を出して、ハンドボール投げで麗日程の記録ではないが、過去最高記録を出した。

 

そして最後の種目である上体起こしは普通にして、個性把握テストを終える。

 

「そんじゃあ結果発表する。トータルは単純に各種目を合計した数だ」

 

っとそう言って相澤は端末を取り出して、映像を皆に見せる。

 

 

1位 天龍寺凱斗

2位 八百万百

3位 轟集凍

4位 爆豪勝己

5位 飯田天哉

6位 常闇踏陰

7位 障子目蔵

8位 尾白猿夫

9位 切島鋭児郎

10位 藤風舞

11位 芦戸三奈

12位 麗日お茶子

13位 口田甲司

14位 砂糖力動

15位 蛙吹梅雨

16位 瀬呂範太

17位 上鳴電気

18位 耳朗響香

19位 葉隠透

20位 峰田実

 

 

結果表示は凱斗がトップだった。

凱斗のトップに舞は参った感じになり、飯田は流石だと言う感じな風に、麗日は凱斗の凄さに目を奪われていた。

そして八百万は凱斗がトップなのが不安じゃなく、逆に納得する感じになる。

 

一方その中で、爆豪は自分が4位である事に納得が行かず、更に凱斗が1位である事にかなりの不満を持っていた。

 

そして峰田は自分が最下位で、更に入学したばかりなのに、即除籍と言う感じに真っ白になって、口をポカンと開けながら震えていた。

 

その様子に相澤が言う。

 

「あー、因みに除籍処分の話しは嘘な」

 

「「「はい?」」」

 

舞と麗日と飯田がその言葉に思わず答え、相澤は笑みを浮かばせんが言う。

 

「君等の個性を最大限引い出すための合理的虚偽」

 

「「「はああああああああああああああああああああああああああ!?!?!?!?!?!?」」」

 

っと舞達は思わず驚きを隠せなかった。

 

「あんなの嘘にきまってるじゃない、ちょっと考えれば分かりますわ」

 

「「「(((気付かなかった…)))」」」

 

他の者達は八百万の言葉に気づかされるも、凱斗はその言葉に思わず考え込む。

 

「(合理的虚偽…ね、うまい嘘を考える)」

 

凱斗は相澤が“嘘の嘘”を言っている事に気が付いていた。

初めに凱斗が相澤に本当かと問いかけた時に、相澤の目が嘘を言っていない事に気づいたのだ。

 

「(もしや俺たちを試すため…? ヒーローになる何かを…、聞いても多分答えてくれないからやめておこう)」

 

そう思いながら凱斗は前を向き、相澤は言う。

 

「これで終了だ、教室にカリキュラムの書類があるから、戻ったら目を通しとけ。それが終わったら帰れ」

 

相澤はそう言い残して去っていき、皆は一息する。

 

そして舞が凱斗の元に行き、1位である事を褒める。

 

「すごいね凱斗! 1位なんてやる~!」

 

「…まあな」

 

「あれ?凱斗、どうしたの?」

 

「いや、何でもない」

 

そう凱斗は言い、舞は頭を傾げる。

すると八百万がやって来て言う。

 

「天龍寺さん。やはりあなたは凄いですわね」

 

「そうか? お前の創造の個性も随分と上達してるじゃん」

 

「まだまだですわ、ですがこれからです。私がトップヒーローになる為、更なる磨きをかけますわ」

 

八百万の言葉に舞は頷き言う。

 

「うん!言うね八百万さん!」

 

「まあ、八百万らしいな」

 

そう言って皆が戻っていく中、凱斗は少し違う場所に行き、それに舞が気づいて後をつけると、そこにオールマイトがいた。

 

「オールマイト」

 

「見ていた事は気づいていたさ、心配だったか?」

 

「ああ、相澤君は容赦ないからね。少し心配だったんだ、でも君はやっぱり超えていったね!いいぞ!!」

 

っとオールマイトのgoodサインに、凱斗は苦笑いするしかなかった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そして下校時間、凱斗と舞は一緒に帰りながら今回の件に付いて語っていた。

 

「ねえ凱斗、なんで相澤先生はあんな事をしたのかな?」

 

「さあね、だが意味あった事は確かだ」

 

っと凱斗は舞に言い、帰っていると凱斗の肩に誰かが叩いて、凱斗は振り向くと、後ろには飯田がいた。

 

「あっ、飯田」

 

「途中まで一緒にいいか?」

 

「ああ、いいぞ、舞も良いな?」

 

「うん」

 

そう言うと同時に別の人物からも声が掛かる。

 

「おーい!舞ちゃん!お二人さ~ん!駅まで?待って~!」

 

「あ、麗ちゃん」

 

「ん?麗…ちゃん?」

 

凱斗は舞が麗日の事を麗っと呼ぶ事に耳を傾け、飯田は麗日の方を見る。

 

「君は無限女子」

 

「麗日お茶子です!飯田天哉君に…。天龍寺凱斗君…だよね!」

 

「ああ、別に凱斗でも呼んでもいいぞ、本名は長いからな」

 

「うん!そうする! それにしても凱斗君凄かったね! 1位だったもん!」

 

っと麗日はそう凱斗に言うと、凱斗は少々照れくさそうにする。

 

「…あんまり話しをあげないでくれるか? 聞いているこっちは恥ずかしくなってくる」

 

「何言ってるんだ天龍寺君。1位は首席と同じの様なものだ、胸を張っていいんだ」

 

飯田もその事を言い出して、それには凱斗は渋々納得し、舞はこっそりと笑うのであった。

そして帰り道、飯田が腕を組みながら、今回の個性把握テストの事を思い出す。

 

「しかし担任が俺達に嘘を言い出してくるなんて、騙されてしまった…!」

 

「(単純に飯田が真面目なだけだ…それは)」

 

っと心の中で凱斗は思う。

すると一台のリムジンがやって来て、凱斗達は振り向く。

 

そしてリムジンの窓が開き、中からトニーとブルースが顔を出す。

 

「よう、学生諸君、授業は終わりか?」

 

「トニー」

 

「それにブルースさんも」

 

「やあ、舞君。凱斗、調子はどうだ」

 

「まあまあだ」

 

凱斗がそう言う中で、麗日と飯田はトニーとブルースを見て徐々に驚きを隠せなかった。

 

「と!トニー・スターク! 鋼鉄ヒーローアイアンマン!」

 

「それにブルース・ウェイン! ダークナイトヒーローバットマン! 天龍寺君!君はこの2人とは知り合いなのか!? それに藤風君も!!」

 

「ああ、それよりもどうしたんだ?」

 

「会議は思ったより早く終わってな、今日の特訓を早めよとして君に家に向かっていた所に見かけて声をかけたんだ。良かったらこのまま乗っていくか?」

 

「いいのか?だが今回は高校で新しく出来た友人ともう少し話したいからこのまま帰るよ」

 

そう言って、ブルースは納得する。

 

「そうか、なら君の自宅で待っている、それじゃあ」

 

「またな凱斗」

 

トニーとブルースはそう言い残し、リムジンは再び走っていく。

リムジンを見送った凱斗と舞、そして麗日と飯田は凱斗達の方を向いて、気になっている事を問う。

 

「ねえ凱斗君。一体何処で知り合ったの?」

 

「そうだぞ天龍寺君! プロヒーローといつ知り合ったんだ!」

 

「まあ、それは帰りながら説明していくさ」

 

っと凱斗はそう麗日と飯田に説明し、舞は適当過ぎる凱斗の様子に苦笑いするしかなかった。

 

 



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第10話 戦闘訓練 前編

ようやく凱斗のスーツが出ます。

ではどうぞ。


無事雄英に入学出来た凱斗達だったが、担任の相澤が自分たちがヒーローになるに相応しいか、個性把握テストをする事になった。

一応なんとか通過出来たが、これから更なる厳しい試練が待ち構えている。

 

そして今日家の地下トレーニングルームで、格闘訓練でリングの上その出来事をブルースに話している凱斗。

同時に共にいるトニーがそれにすぐに気づく。

 

「個性把握テスト? っとなると…そいつは多分“イレイザーヘッド”だな」

 

「イレイザーヘッド?」

 

「抹消ヒーロー『イレイザーヘッド』、彼が目にした者の個性を消す『抹消』の個性を持つヒーローだ。ただメディアを嫌っている為アングラヒーローと呼ばれる事が多い」

 

凱斗がそれに問うことをブルースが答え、その後にトニーも答える。

 

「メディア嫌いな奴は目立つのも嫌いな奴だ、だがあれでもヒーローの未来も考えている有能な奴だ」

 

「あ、あれで有能な人物…」

 

そう凱斗はブルースに向けてハイキックを放ちながら呟き、ブルースはそれを避けながら凱斗に言う。

 

「凱斗、彼は無愛想な感じに見えて、次の世代のヒーローを育てる為、あえて鬼にして取り掛かっているんだ。第一印象はともかく、これから彼から学んでいくことは大いに役に立つ。しっかり学んでいけ」

 

「そうさせてもらうよっ!!」

 

っと凱斗はジャンピングニーを放ち、それを前転でかわすブルース、そして回し蹴りを凱斗に向けて放ち、それを凱斗はもろに受ける。

 

「ぐあっ!」

 

まともに受けてしまった凱斗は倒れてしまい、ブルースは倒れた凱斗を見て喝を入れる。

 

「どうした?もうギブアップか? 立ち上がってこい!」

 

「ああ…そうするよ!」

 

凱斗はそう言って飛び跳ねながら起き上がり、回転廻し蹴りをブルースに放つ。

ブルースはそれを予測していたかのようにかわし、凱斗に向けてボディストレートを打つ、凱斗はそれをモロに貰ってしまい、思わずくの字になる。

 

「ぐぅ…!」

 

そしてブルースは強烈な右フックを凱斗に叩きつけ、ローブ際に追いやった。

 

凱斗は飛ばされながらも、なんとが耐えて立ち上がる。

ブルースはその様子に関心しながらも、グローブを取り外しながら言う。

 

「凱斗、終了だ。今日のスパーは終わりだ」

 

「そ、そうか…。っ…」

 

凱斗は打たれた部分を保冷材で冷やしながら水分補給をし、その様子をトニーはブルースに問う。

 

「どうだ?凱斗の調子は」

 

「問題ない、むしろ前よりも動きが良くなっている。オールマイトの体力トレーニングが役に立ってるな」

 

「そうか…。なら“あれ”の調整は本番で試すとしようか」

 

っとトニーは雄英に送った例の物を考えながら凱斗を見るのであった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

翌日、雄英のカリキュラムの午前の必須科目は普通の授業。普通の授業が普通過ぎて返ってつまらなかった凱斗。

 

そして待ちに待った本日のメインイベント、ヒーロー基礎学である。

 

凱斗達が教室で待っていると…。

 

「わ~~~た~~~し~~~が!! 普通にドアから来た!!」

 

雄英の教師として、皆の前にやって来たオールマイト、当然オールマイトの登場に皆は大盛り上がりであった。

 

「お!オールマイトだ!」

 

「すげぇ!本当に先生やってるんだな!」

 

「あれ、シルバーエイジのコスチュームね」

 

皆がオールマイトの事で盛り上がっていた時に、凱斗がポツリと言葉をこぼす。

 

「ドア壊さないようにね」

 

 

 

バキッ!!!

 

 

 

っとドアの取っ手部が壊れて、それに思わず驚くオールマイト。

 

「な~~~~!!! ドアが壊れた!!」

 

「はい、ドアの修理代は給料から差し引いておきます」

 

「なっ!相澤君!!?」

 

いつの間にかいた相澤がメモを取りながらそう呟いて、その場を去っていき、それに慌てて言うオールマイト。

 

「いやいやいや!!相澤君!! わざと壊したんじゃないんだよ!!」

 

『『『『『『『『『カッコ悪…』』』』』』』』』

 

皆はオールマイトの印象に変なイメージが付いてしまった、凱斗はため息を吐き、舞は笑いを堪えていた。

 

気を取り直して、オールマイトは教卓の前に立ち、皆と向き合いながら宣言する。

 

「ゴホン!えー私の担当はヒーロー基礎学、ヒーローの素地を作るため、様々な訓練を行う科目だ! そして早速だがこれ! 戦闘訓練だ!!」

 

「「「おおー!!」」」

 

「戦闘訓練…!」

 

「(フッ、遂にか)」

 

心の中で思う凱斗に対し、何やら闘志むき出しの爆豪が一瞬凱斗の方を見て、笑みを浮かばせる。

 

「そしてそいつに伴ってこちら!」

 

オールマイトが壁に向かって指を指した時に、壁の一角が突き出て出席番号を振ったケースを入れた棚が現る。

 

「入学前に送ってもらった個性届と要望に沿ってあつらえたコスチュームだ! 着替えたら順次グラウンドβに集まるんだ!」

 

「「「はい!!」」」

 

皆はすぐに個性に沿って誂えたコスチュームを受け取って更衣室に向かう。

 

凱斗もコスチュームが入っているケースを受け取って更衣室へと向かい、ロッカーに制服をハンガーに掛けて、コスチュームのケースを開ける。

 

開けたの中身はプロテクターとガントレット、レッグアーマーの様なものがあり、そして丸くて透明のクリスタルの様な物が付いたベルトがあった。

それを取る凱斗は中に紙らしき物も入っていて、それを取っ手読む。

 

『まず最初にベルトを装着し、ベルトのリアクターのボタンを押すんだ。後にプロテクターとガントレットにレッグアーマーを装備すると自動的に装着するようになっている、十分に期待しててくれ。トニー』

 

「(リアクター…? これの事か?)」

 

そう思いつつ、凱斗はベルトを装着して、ベルトの中心部にあるリアクターを押す。

 

 

キュイーン!

 

 

すると凱斗の身体に黒いインナースーツが身にまとい、身体全体、後頭部を覆う形となる。

そしてプロテクターとガントレット、レッグアーマーを装着すると、自動的に装着されていき、そしてプロテクターから頭部を覆うヘルメットが出てきて、凱斗の頭部に装着され、目が光る。

更に背中にはバックパックらしき物も現れて装着されて、凱斗のコスチュームが装着された。

 

それを見た峰田が思わず興奮する。

 

「うわ~~!天龍寺のコスチュームかっけぇぇ!!」

 

「すっげぇぇ!それどこのコス!?」

 

切島もその様子を見て問い、それに凱斗は見ながら答える。

 

「スターク・インダストリーズ製だ。それも社長直々の制作らしいぞ」

 

「マジで!!すげぇえ!! しかもスターク・インダストリーズっていやあ、あのサポート会社で超有名な会社じゃねぇか!」

 

そう興奮する切島に凱斗は自分のスーツを見ていると、ヘルメット内に聞き覚えのAI音声が流れる。

 

『システム、新規ユーザーの登録を確認、ユーザー天龍寺凱斗。認証中』

 

「おお!?」

 

「どうしたの?」

 

尾白が突如声を上げる凱斗に方を見て問い、それに凱斗は慌てて言う。

 

「あ!いや! 何でもない!」

 

そう言う凱斗に尾白は頭を傾げ、その場を去っていくと、凱斗は思わず聞き覚えのAIに問いかける。

 

「これは…ジャーヴィスか?」

 

『システム、認証中…認証確認。アップリンク完了、アップデート完了。思考認識システムアップデート…完了。お久しぶりです』

 

「おいおい、ジャーヴィス。お前は確かトニーの話じゃあ」

 

『はい、私はヴィジョンに託された筈が、残っていたデータがあり。トニー様が組み込み、それのお陰で再構築されました。今後あなたのサポートを行います』

 

「そうなのか…。それにしてもトニーめ、良い置き土産をしてくれて…」

 

凱斗はそう呟きながら更衣室を出て、グラウンドβへと向かった。

そして凱斗の姿を見た舞と麗日が振り向く。

 

「あっ、凱斗」

 

「凱斗君!」

 

「おう、舞に麗…ぶっ!!?」

 

凱斗は思わず麗日の姿を見て、吹き出してしまう。

 

「いや~、要望ちゃんと書いておけばよかった。パツパツスーツになった。恥ずかしい…」

 

っとバイザーとベルト、ブーツ以外の物はボディラインがくっきりと出てしまっているパツパツスーツに麗日は少々恥ずかしがっていた。

 

『心拍数上昇、大丈夫ですか?』

 

「ちょっと凱斗、あんまり見てたらダメよ」

 

そう凱斗に言う舞、因みに舞のコスチュームは、Tシャツに袖なしのジャケット、ミニスカートの下にはスパッツ、そしてロングブーツと両膝と両肘のサポーターを付けていた。

勿論ツインテールにリボンとスポーツバイザーの様な透明な物をかけている。

 

「それにしても凱斗のコスチュームカッコイイじゃない。もしかしてスターク製の?」

 

「ああ、そうだぞ」

 

っと凱斗はヘルメットをスーツの中に収納しながらいい、それに納得する舞。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そして皆がグラウンドβに集合して、オールマイトは頷きながら見る。

 

「うんうん!皆良い感じにだぞ! さあ!戦闘訓練のお時間だ!」

 

「先生!」

 

凱斗の隣でロボットの様なコスチュームの飯田が挙手した。

 

「ここは入試の演習場ですが、また市街地演習を行うのでしょうか?」

 

「いいや、今回はその二歩先に踏み込む。ヴィラン退治は主に屋外で見られるが、合計で言えば、出現率は屋内の方が多い。監禁、軟禁、裏商売。真の賢しいヴィランは闇に潜む。

君らにはこれからヴィラン組、ヒーロー組に分かれて二対二の戦闘訓練を行ってもらう」

 

「基礎訓練も無しに…?」

 

オールマイトの説明に蛙吹が若干心配そうに呟く。

 

「その基礎を知る為の訓練なのだよ。ただし、今回はぶっ壊せばオーケーなロボが相手じゃないのがミソだ」

 

するとオールマイトの説明を聞いた皆が…。

 

「勝敗のシステムはどうなっているのでしょうか?」

 

「ぶっ飛ばしても良いんすか?」

 

「また相澤先生みたいな除籍とかは…?」

 

「別れ方とはどのように決めるのでしょうか?」

 

 

 

「んん~~~聖徳太子ぃぃぃ!!」

 

 

 

皆の説明のラッシュにオールマイトは少しばかり困る。

 

「「((皆質問ラッシュが多い…))」」

 

凱斗と舞はその事に突っ込みを入れる。

 

そしてオールマイトはさりげなく懐からカンペを取り出そうとしたが、すぐその手を引っ込めた。

何気にグラントリノのやり方を思い出そうとしている。

 

「ゴホン!いいかい? 状況設定はヴィランがアジトのどこかに核兵器を隠していてヒーローはそれを処理しようとしている。

ヒーローは制限時間内にヴィランを捕まえるか、核兵器を回収するか、ヴィランはヒーローを捕まえるか時間一杯まで核兵器を守り切れば勝利となる。チームは、厳正なるくじで決める!」

 

「そんな適当な!」

 

「落ち着きな飯田。他の事務所と即興で連携を求められる事もあるって考慮を考えての事だろう」

 

「なるほどそういう事か! 失礼しました!!」

 

「いいよ。それでは早速!」

 

っとチームをくじで決めることとなった。

そしてくじで決まったチームは…。 

 

 

 

Aチーム 天龍寺凱斗 麗日お茶子

 

Bチーム 障子目蔵 轟焦凍

 

Cチーム 峰田実 八百万百

 

Dチーム 爆豪勝己 飯田天哉

 

Eチーム 藤風舞 芦戸三奈

 

Fチーム 口田甲司 砂藤力道

 

Gチーム 上鳴電気 耳郎響香

 

Hチーム 蛙吹梅雨 常闇踏影

 

Iチーム 尾白猿夫 葉隠透

 

Jチーム 瀬呂範太 切島鋭児郎

 

 

 

っと言う感じになった。

麗日は凱斗と同じチームになったことを喜ぶ。

 

「うわ~!縁があるね私たち!よろしくね!」

 

「ああ、こっちもな」

 

そう頷く凱斗、その様子をオールマイトは頷いて言う。

 

「よし!最初の対戦カードはこれだ! ヒーローがAチーム! 敵がDチームだ!」

 

っとその事を聞いて凱斗は爆豪の方を見る、爆豪は残忍な笑みを浮かばせながら凱斗の方を見ていて、その様子に麗日は思わず凱斗の後ろに隠れた。

すると舞が凱斗の方に近づき、耳元で凱斗に言う。

 

「ねえ、爆豪君すっごい怖い顔になってるけど…大丈夫?」

 

「まあなんとかなるだろう。もしもの時は…」

 

凱斗は手をポキポキと鳴らしながら爆豪を見る。

 

「徹底的に潰す、それだけだ」

 

っと舞はその事に思わずため息を出して、凱斗の無事を祈りながらその場を去っていく。

 

そして対決の時が近い…。

 

 




凱斗のスーツは上半身はバットマンのアーカムナイトの上半身にバットマンビヨンド、アーカムナイト版の下半身をベースとなったスーツです。

ヘルメットはアイアンマンのMark45のヘルメットを元にして、カラーリングは赤と金と銀、黒の4色を使っています。


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第11話 戦闘訓練 後編

戦闘訓練でグラウンドβに集合し、トニーからコスチュームを受け取った凱斗、そのスーツにはトニーのかつてのAI、ジャーヴィスがサポートされており、気遣いが感じられる。

そして戦闘訓練で、最初にAチームの凱斗と麗日、Dチームの爆豪と飯田のチームが対戦する事となった。

 

「それではヴィランチームは先に入って準備を、5分後にはヒーローチームが潜入してスタートだ!」

 

「はい!」

 

「……」

 

爆豪はその事に返事もせず、ただ一方的に凱斗の方を見て、凱斗は何やら自分のスーツを触りながら見ている。

 

「いいかい?飯田少年、爆豪少年。ヴィランの思考をよく学ぶように、これはほぼ実戦だ、怪我を恐れず思いっきりな。ただし度が過ぎたら中断する」

 

「はい!」

 

「……」

 

またしても黙り込んでいる爆豪に飯田が注意しに行く。

 

「おい爆豪君!何を黙り込んでいるんだ!」

 

「うるせぇ、黙ってろカスが!」

 

「なっ!」

 

爆豪の発言に思わず言葉が止まり飯田、爆豪はそのまま過ぎていく。

 

「な!待ちたまえ爆豪君!!」

 

飯田は慌てて爆豪の後を追いかけ、それに少しばかり心配するオールマイト。

 

「(う~む、爆豪少年…何やら不穏な空気を漂わせていたが…大丈夫だろうか?)」

 

オールマイトの感はあたっていた、今の爆豪は凱斗に向けて怒りが込上がっているのだ。

俺は雄英の合格通知が送られたときに、自分が1位ではなく2位であること、更にヴィランポイントが自分よりも上である故に、先日の個性把握テストは自分は4位であった事が、納得出来ない事と許せない事だったのだ。

 

「(もうすぐだ…もうすぐあいつをぶっ倒し、俺があいつより上で、あいつが俺より下だと言う事を証明してやる…!!)」

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

凱斗達が戦闘訓練を開始する中で、まだ戦闘訓練がない舞達はオールマイトと共にモニタールームに向かった。

そんな中で舞は少しばかり凱斗の事が心配でいられなかった。

 

そんな様子を隣にいた耳朗が問う。

 

「どうしたの?」

 

「うん…ちょっとね、凱斗…やり過ぎないかなって」

 

「天龍寺さんがですか?」

 

っと丁度聞こえていた八百万がそれを問い、それに頷く。

 

「うん、なんせ凱斗は本気出すときは容赦ないから」

 

「はいぃ!?」

 

耳朗はその事に驚き、八百万はそれには納得する表情をする。

 

「(…確かに、天龍寺さんはちょっとばかしやり過ぎる所がありますからね)」

 

っと心の中でそう思う八百万、そしてそんな中で轟はただ凱斗の様子をじっと見ていたのは誰も気づかなかった。

 

 

5分前、凱斗と麗日はビルの中の見取り図を見ていて、麗日は呟く。

 

「この見取り図、覚えるの大変だな~。でもオールマイト…テレビで見るのとイメージが変わらんね、相澤先生と違って罰とかないから、なんか安心しちゃうね」

 

「その考えは間違いだぜ麗日」

 

「え?」

 

凱斗の言葉に麗日は耳を傾け、凱斗は見取り図をしまいながら言う。

 

「オールマイトも一応教師だ、罰とかないからと言って油断したら減点を貰うぞ。そこだけは覚えておくようにな」

 

「う!うん!」

 

「さてと、後時間は…3分か、よし、その前に…ジャーヴィス。システムの再確認と補助力チェックだ」

 

『了解』

 

すると各部分のパーツが動作確認をして、異常がないかチェックしている。

それを麗日は見ていた。

 

「ねえ、さっきから何やってるん? それにさっきのジャーヴィスって?」

 

「このスーツのチェックだ、それとジャーヴィスはこのスーツのサポートAIだ」

 

「サポートAI! めちゃ凄!」

 

その事にすごく驚く麗日、その様子に凱斗は苦笑いをし、時間ないがやって来る。

 

『それではAチーム対Dチーム、屋内対人戦闘訓練スタート!』

 

訓練時間が来て、凱斗達は正面からでは侵入せずに、窓から侵入する。

そして進みながら警戒する。

 

「侵入成功だね」

 

「油断するな…。ジャーヴィス」

 

『この建物は5階建てのビルで、目標である核弾頭は最上階にあります。そこに1名に、こちらに迫ってくる者が1名です』

 

ヘルメット内でジャーヴィスの索敵の情報に凱斗はすぐに納得する。

 

「なるほど、核のそばに1名。そして迫ってくる奴が1名…おそらくそいつは爆豪か」

 

「え?爆豪君がこっち来んの?!」

 

「ああ、そこでだ。爆豪は俺が相手になる、麗日は先に言って爆弾の確保か俺が到着するまで時間稼ぎをしてくれ」

 

「え、でも…」

 

「大丈夫だ。すぐに追いつく」

 

そう凱斗は麗日に少し黙るも、そして頷き、凱斗が納得した直後に爆豪が死角からやってきた。

 

「うぅらあああああああああ!!」

 

爆豪は爆破を凱斗に向けて放つ、だが凱斗はそれをサイドステップでかわし、爆豪と距離を取る。

 

「チッ!!」

 

避けられた事に舌打ちをする爆豪、麗日は一瞬凱斗の方を見る。

 

「凱斗君!」

 

「行け!麗日!! ここは任せろ!」

 

「うん!」

 

そう言って麗日は先に向かい、最上階へと目指す。

爆豪は麗日の事は目もくれず、凱斗の方ばかり見て、凱斗は爆豪の方を見る。

 

「…今でも攻撃出来たのに、しないんだな」

 

「ハッ! あんな“没個性”なんぞ俺の目でもねえ!」

 

「……相変わらずだな」

 

「んだと?!!」

 

凱斗の言葉に爆豪は更に睨み付き、凱斗は爆豪に対し鋭い目線で見る。

 

「お前は中学の時から変わらない、他者を見下し、自分の事しか見ず、気に入らない物を全て潰しながら進んできた。今まで絡んでこなかったが、ここに来たからにはお前を無視する訳には行かない」

 

「ほざけ!!! いつまでその余裕をかましてやがる!! お前は俺より下だ!!」

 

「なら俺からも言わせてもらおう」

 

「あっ!?」

 

爆豪はその言葉に目つきを鋭くし、凱斗は爆豪に宣言する。

 

 

 

「お前が俺より下なんだ。今までずっとな!」

 

 

 

「っ!!クソが!! 死ねぇえええええええええええ!!!」

 

その言葉に火が付いたのか爆豪は一気に凱斗に迫って、爆破を叩き込む。それを凱斗は最低限の動きで爆破を避け、少しずつ少しずつ後ろに下がる。

 

「どうした!さっきの勢いはどこに行った!!!」

 

爆豪は凱斗にそう挑発するも、凱斗はそれに乗ってこず、更に爆豪の右の爆破をずらした時に、腹部に向けて強烈な肘打ちを放つ。

そのカウンターが入ったのか、爆豪の表情が歪み、更にその追い打ちに回し中段蹴りを放ち、爆豪を吹き飛ばす。

 

「グハッ!」

 

爆豪はそのまま壁に激突し、一度は地面に尻を着くが、すぐに立ち上がり凱斗を睨みつける。

 

「っ…!」

 

「タフだな。まあそれは認めてやるとするか、分かり易いが」

 

そう言うと同時に爆豪の右腕の籠手が一瞬赤く光った。それに凱斗は目線を細くしてみて、爆豪の右手の籠手が凱斗に向けられた。

 

「お前も知っているだろうが、俺の爆破は掌の汗腺からニトロみてぇなもん出して爆発させてる。『要望』通りの設計なら、この籠手はそいつを内部に溜めて…てめぇをぶっ殺す!!」

 

『っ!待つんだ爆豪少年!!彼を殺す気か!!?』

 

「当たんなきゃ死なねえよ!!」

 

オールマイトが制止させるも、爆豪は聞く耳持たず、籠手のピンを抜いてトリガーを引く、すると籠手から強烈な爆破が凱斗に迫り、そのまま凱斗を飲み込んだ。

そしてビル全体が揺れて、死角や壁を破壊するほどの大爆破だった。

 

「へっ!どうだモブが!!

 

っと勝ち気取った爆豪が鼻で笑って、煙が徐々に消えていく。

 

「…っ!!?」

 

すると爆豪は思わず言葉が止まり、そして冷や汗が一気に冷えてしまう。

何故なら、目の前にガントレットからシールドを展開している凱斗が立っているのだ。

 

『“メタル・シールド”展開、間に合いましたね』

 

「ああ、だがこれが訓練で良かったな、他の奴だったら死んでるぞ?」

 

っと凱斗はメタル・シールドを戻し、爆豪と向き合う。

その間爆豪は徐々に怒りが込上がってくる。

 

「っ~~~~!!」

 

だがその時にまたオールマイトが注意勧告が来る。

 

『爆豪少年!次またそれを使った、君らの強制敗北とする!』

 

「あっ!!なんでだよ!」

 

『屋内戦置いて大規模な攻撃は守るべき建物の損害を招く。ヒーローのみならず、ヴィランに対してもこの行動は愚策だ! 大幅減点だからな!』

 

「ぐぅ~~~だ~~~!!!!」

 

オールマイトから厳重注意を受けた爆豪は怒りをまき散らしながら、凱斗の向かって走り出していく。

 

「こうなったら徹底的に叩き潰してぶっ殺す!!」

 

「やれるならな、ヘボちゃんが」

 

っと凱斗はワン・フォー・オール・マッスルカウルを25%にし、瞬時に爆豪に迫る。

凱斗の見えない動きに爆豪は思わず目を見開く。

 

そして凱斗は強烈な膝蹴りを爆豪の腹にぶつけ、それに爆豪は表情を歪む。

 

更に凱斗はアッパーやフック、キックやかかと落とし、多彩な攻撃を爆豪にぶつけ、爆豪はまともに受けてしまう。

それでも爆豪は反撃をしてくる。

 

「ぅ!くそが!!!」

 

爆豪は爆破を凱斗に向けるが、その時に凱斗がガントレットから銃口を出して、爆豪に向ける。

 

キュイーン!バシュン!

 

「グアッ!」

 

突然の攻撃に爆豪は吹き飛ばされ、壁に激突して凱斗の方を見ると、ガントレットから銃口が出ていて、その先にはクリスタルがついていた。

 

『“リパルサー・カノン”正常に作動』

 

「どうした爆豪…まだまだこれからだぞ……フッ!!!」

 

すると瞬時に動く凱斗に爆豪は対応しきれず、アッパーで空中に飛ばし、追加として彼自身が考えた“必殺技”を出す。

 

「次いでだ…受け取りな。《リパルサー・スマッシュ》!!!」

 

凱斗のワン・フォー・オールのスマッシュとスーツのリパルサー・カノンが同時に放つ技、リパルサー・スマッシュが爆豪に直撃し、爆豪は再び壁に激突して気絶する。

 

そして拘束ロープを巻きつけ、確保し、凱斗は上へと向かう。

その様子モニター室で見ていた舞が言葉が出なかった。

 

「(うわ~~…凱斗、やり過ぎ)」

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

凱斗が麗日の元に向かい、最上階に着くと、飯田が核弾頭を持って移動し、麗日がなんとか打開策を取ろうとしていた。

 

「そこまでだヴィラン!」

 

「む!きたなヒーロー!! この核弾頭は渡さんぞ!!」

 

っと完全にヴィラン役になりきってしまっている飯田に凱斗は呆れてしまった。

 

「(おいおい…、飯田のやつ完全になりきってるぞ…。まあいい)そうか、ではヴィランよ。そうと決まれば実力行使とする。麗日、行くぞ?」

 

「え?は!はい!」

 

麗日はその言葉に緊張が高ぶられ、凱斗はワン・フォー・オール・マッスルカウルを30%にし、飯田を追いかける。

 

それに飯田は核を持って逃げようとしたが…。

 

「ほい確保!」

 

いつの間にか飯田の身体に拘束ロープが巻きつけられていて、それに飯田は驚く。

 

「ぬなああああああああああ!!!」

 

飯田が驚いている間に麗日が核弾頭に抱きつく。

 

「回収!」

 

「だあああああああああああああああああっ!!!!」

 

その事に更に飯田が驚き、そしてオールマイトが放送で宣言する。

 

『屋内対人戦闘訓練、ヒーローチーム…WIN!!!』

 

その放送を聞いて、麗日が駆け寄る。

 

「やったね!凱斗君!」

 

「…ああ、そうだな」

 

っと2人は右手を上げてハイタッチをし、勝利したことに喜ぶ。

 

「ぐおおおおおおおおおおおおおっ!!!」

 

若干1名は悔しさのあまりに叫んでいることは言うまでもない。

 

 

 



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第12話 訓練後の言葉

戦闘訓練で爆豪が凱斗に対しての感情が暴走し、戦いを挑んできた爆豪を圧勝してしまった凱斗、そして訓練に勝利し、麗日とハイタッチをした後に訓練後の反省を皆でする。

 

「さあ!AチームとDチームとの評価だ! まずは今回のMVPは誰か当ててみようではないか」

 

オールマイトが凱斗達をモニター室に呼び戻して、今回の評価を皆に聞く。

今回ボロボロにされた爆豪はなんとか意識を取り戻したが、一応保健室へと運ばれていった。

 

「はい!」

 

「うむ!八百万少女!」

 

オールマイトが八百万に指差して指名し、それに八百万が答える。

 

「今回の活躍ぶりは飯田さんです!」

 

「うむ!正解だ! では何故?(天龍寺少年が出されなかったのは予想外だった…)」

 

「飯田さんはこの状況設定に最も順応していたからです。相手の『個性』を理解し、核の争奪を想定していました。麗日さんの場合少し気の緩みがあってか油断している所がありましたのであまり評価は高くありません。

一応、無理に刺激せずに、ヴィランを説得する場面もありましたのでそこは評価します。

 

ですが爆豪さんですが…独断専行、私怨丸出しの戦闘、核兵器があるにも関わらず、室内での大規模攻撃を発動する。正直申し上げて、爆豪さんを褒めるべき点が見当たりません!」

 

八百万の言葉にオールマイトはただ唖然として聞いていた。

 

「(お…、思っていたより言われた…)そ、そうか…。で、天龍寺少年の評価は? 彼だけはまだない様だが…?」

 

「天龍寺さんは……、半分半分でした。建物に損害を考慮して動きを重視し、的確な事は流石と言いたいですが、戦闘に関しては少しやり過ぎた場合があります、いくらヴィランを倒すからと言って、あそこまでの攻撃はやりすぎです。

ですから今回の天龍寺さんの評価は半分半分です。そして常に下学上達、一意専心に励まねば、トップヒーローになどなれませんので」

 

っと八百万の言葉に凱斗は少しばかり頭を抱える、だがしかし凱斗はこの時、言葉を発しなかったものの少しばかり八百万の言葉に引っかかりを感じる。

 

「(う~ん…八百万もいい事を言うけど、これが訓練だったとしても、もし戦闘だったら爆豪の様に大規模戦闘になる可能性だってある。そこはちょっと考えた方がいいぞ)」

 

そう自分の中で思う凱斗、そしてオールマイトが気を取り直して言う。

 

「よ、よし! 一旦場所を変えて、第2戦を始めよう!」

 

オールマイトが第2戦の組み合わせをしている中で、舞が凱斗の元に向かい、耳元で話す。

 

「八百万さんに言われちゃったね。ちゃんと反省してる?」

 

「まあそれはそれでな「ちょっと凱斗!!」落ち着けって、俺だってまあやり過ぎた事は確かだが、今回はあいつにちょっとばかしな…」

 

っと凱斗はここにいない爆豪の事を考えていて、それに舞は凱斗を見つめる。

 

 

そして第2戦、轟と障子のBチームと尾白と葉隠のIチームが対戦、Bがヒーローで、ヴィランがIである。

 

障子が複製腕で索敵をし、居場所を特定したら轟が障子のみ外に出して、個性の半冷半燃の氷を使って、尾白と葉隠の動きを封じ、更に核弾頭を無傷で確保した。

 

同時にモニター室でその寒さがこちらにも伝わり、皆が震えながら見ていた。

 

「仲間に損害を出さず、核兵器にダメージを与えず、尚且つ敵を弱体化…」

 

「すげぇ!天龍寺と同じ最強じゃねぇか!」

 

切島がその事に呟き、その様子を凱斗はジッと見つめながら思う。

 

「(確かにあいつの個性は強いな…、爆豪と同じように。だがあいつの個性…“何かが”違うような…)」

 

っとそう考えつつ凱斗はその戦いを見つめていた。

 

そして舞の出番がやって来て、芦戸と共にヒーロー組として行く。

 

だが…。

 

「ヤッホ~~イ!」

 

芦戸の酸が舞のスカートに直撃し、スラリと落ちてしまう。

 

「うわあ~~~~~~!!!」

 

「あ!ごめん!!藤風!!」

 

慌てて芦戸が謝りスカートを拾い舞に渡し、それにモニターで見ていた峰田が興奮した時に凱斗が峰田の頭を掴み、鋭い目線を与えながら黙らせる。

そしてこの日の訓練が終了する。

 

「皆!お疲れさん!! 爆豪少年以外皆大きな怪我はなし!」

 

「相澤先生の後でこんな真当な授業…、なんか称しぬけと言うか…」

 

「だよね~」

 

蛙吹の言葉に芦戸がそう呟く。

 

「真当な授業もまた私たちの自由さ!! それでは私は爆豪少年に評価を伝えに行かねばならないから!それじゃあ着替えて教室にね!!」

 

っと猛スピードでその場を立ち去るオールマイト、皆が唖然とする中で凱斗と舞が見合って頷き、皆が去っていく時にこっそりとオールマイトの所に向かう。

 

凱斗と舞がオールマイトの所に行くと、オールマイトがムキムキのマッスルフォームからガリガリのトゥルーフォームへとなって息が上がっていた。

 

「あっ、天龍寺少年に藤風少女…」

 

「無理してるじゃないかオールマイト…、やはり長時間のヒーロー基礎学は無理じゃないか?」

 

「ははは…、かもね…でも私が望んだ事だ、次の世代のヒーローを育てるためにも」

 

オールマイトはそう微笑みながら言い、凱斗と舞はただオールマイトの言葉に黙るしかなかった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そして放課後、皆が今日の訓練の反省を話し合っている頃、爆豪は1人だけその場を去って、帰ろうとした時だった。

 

凱斗が門の近くにたっていて、爆豪が来たのを見て振り向く。

爆豪は凱斗がいるのを一瞬見て、そしてその場を通り過ぎていった。

 

すると凱斗が。

 

「ここから去る気か?」

 

「っ!」

 

すると爆豪の足が止まり、凱斗は爆豪の方を見る。

 

「俺に負けたから、他にも強い奴がいるから、自分がここに居る理由がないから…退学届けを書こうとしたのか?」

 

「てめぇ…なんでそれを!」

 

「さっきリカバリーガールが妙な事を言っててな、ポツリと廊下から聞こえた」

 

実は爆豪は目が覚めた時に、退学届けを書こうとして、リカバリーガールに止められたのだ。

爆豪は諦めておらず、またどこかで書こうするのだろう。

 

凱斗はそれを聞いて、爆豪を待っていたのだ。

 

「…てめえには関係ねぇえだろう!」

 

「そうだな。勝者の俺が敗者に言葉を出す権利はない。だがそれはそれ、これはこれだ…」

 

っとそう言って凱斗は爆豪の方を向いてに言う。

 

「爆豪…そんなに悔しかったもっと強くなれ」

 

「っ!!!」

 

「俺はあの時、お前に勝つためにあの挑発言葉を言った、これは俺の汚点の1つだ。だからこそもっと強くなってお前は俺に勝って来い!這い上がってきな!」

 

「っ~!上等だ!!」

 

爆豪はポケットに入っている退学届けの紙を爆破で燃やし、凱斗の方を見て睨みながら言う。

 

「俺は!!こっから№1ヒーローになる為に!!! 全力で這い上がってやる!!! そして!!!お前を徹底的ににぶっ潰してやる!!!」

 

その言葉を聞いた凱斗は笑みを浮かばせんがら言う。

 

「…フッ、そのイキだ。俺はいつでも待ってぜ。全力でかかって来な!」

 

「っ!お前…」

 

「このくらい言わねえとお前は立ち直らねぇだろう。中学から知っている俺だからこそだ」

 

凱斗は多少爆豪の性格を知っているこそあの言葉を言った。

 

本当は言いすぎた言葉でもあるが、全ては爆豪の為だと思ったのだろう。

 

「ケッ!本当に気に入らねぇ奴だ!! てめぇはって奴はよ! ………じゃあな」

 

そう言って爆豪は帰っていき、それを凱斗はその後ろ姿を見つめた。

 

そして舞が凱斗の元にやって来て、凱斗の側に来て言う。

 

「凱斗、さっきのあの言葉…」

 

「聞いてたか…。あれくらいしないとは、言いすぎた点の事を免じるために」

 

「もう…、でもあれで良かったのよね?」

 

「ああ…」

 

そう凱斗は言いつつ、舞と共に教室へと戻っていくのであった。

 

 



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第13話 何かのまいぶれ

午後のヒーロー基礎学、戦闘訓練を終えた凱斗は家に帰った時にトニーとブルースがやってきた。

今回は2人だけじゃなく、トニーの専属秘書である「ヴァージニア・“ペッパー”・ポッツ」もやって来ていた。

 

そしてトニーは今回のスーツの快適を凱斗に聞いてみた。

 

「どうだった凱斗? 僕が作ったスーツの出来栄えは?」

 

「ああ、かなり良かったよ。インナーの方もだけど、武装の方はトニーのスーツの部品を使っているみたいだな?」

 

「そうだ。僕がスーツに使っているリパルサー系の武装を取り入れている。勿論お前のスタイルに合わせた物を入れてるがな。更にバックパックにはリパルサーを搭載してるから、空中や水中でも自由自在に動き回る事も出来るぞ」

 

「なるほど…」

 

凱斗はトニーが自分のコスチュームの武装面の事を詳しく話し、それに納得する。

そしてそれを見ていたペッパーは声をかける。

 

「ねえ少しいいかしら?」

 

「なんだペッパー?」

 

「あなたじゃないのトニー。凱斗君…あなたは本当にこれでよかったの?」

 

「どういう意味だ?」

 

ペッパーの言葉に頭を傾げる凱斗、その事にペッパーは語る。

 

「あなただって知っている筈よ。ヒーローは常に危険と隣り合わせ、一歩間違えれば命を落としかねない。それに凱斗君、1年前はヒーローに興味なかった筈じゃなかった?」

 

「…まあ、気が変わることもあるよ」

 

「凱斗君…「ペッパー」え?」

 

トニーの問いにペッパーはトニーの方を向き、その事に付いて言う。

 

「ペッパー、君が気になるのは分かるが、その事についてはあまり問出さない事をおすすめするよ」

 

「私もだポッツ君。凱斗の進む道を、私たちが問い出すのはダメだ」

 

「でもウェインさん!」

 

ペッパーが言うも、トニーとブルースはそのまま口を閉ざし、それにはペッパーは諦め、凱斗はそれにただ見つめるだけであった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そして翌日、凱斗は舞と共に雄英に登校している途中、なにやら報道陣が雄英の入口辺りで集まっていた。

 

「うわ~、なんだろうあれ?」

 

「さあな」

 

っと凱斗はそのまま進み、舞もその後を追いかけていた、すると報道陣が雄英生を見かけたら、すぐさま近寄り、マイクを向ける。

 

「すいません!一言お願いします! オールマイトが教師としていると聞きましたが!!」

 

「あー、その事についてはお答えできません。ではこれで」

 

そう言って凱斗は舞の腕を掴みながら報道陣を避けて、そのまま通り過ぎていった。

 

その間にも数多くの報道陣がわんさかと集まった。

 

 

 

なんとか報道陣を抜けた凱斗と舞、教室に入ると皆が凱斗と舞の方にやってきた。

 

「おお天龍寺!校門にいた報道陣を見たか!」

 

「ああ、すごい賑やかだったな」

 

「いや賑やかだったじゃねえよあれ」

 

切島が問いかけてきて、その後に瀬呂がつっこむ。

 

「しかしオールマイトの教師就任だけであれだけの騒ぎとはな…」

 

「でも分からなくもないわ、オールマイトは№1ヒーローだけじゃなく、平和の象徴そのものだからね…」

 

常闇の言う言葉に蛙吹が付け加えるかのように言う。

 

その事に凱斗は少しばかり納得する。

 

オールマイト…平和の象徴はどんな所でも目立つ上に存在感が大きい、それ程の人が、この雄英にいるのがより大きく出ていた。

それを考えると、平和の象徴も楽ではない。

 

以前聞いていた凱斗は改めて実感する。

 

すると予鈴が鳴り、ドアから相澤が来る。

 

「予鈴がなったら席に着け」

 

その言葉に皆が席に着き、相澤は教卓の前に立つ。

 

「昨日の戦闘訓練、お疲れ…VTRと成績リストを見させて貰った。…爆豪」

 

っとその事に爆豪は思わず反応する。

 

「お前もうガキみたいな真似するな。能力あるんだから」

 

「…わかってる」

 

「…ならいい、ては訳で今日のHRの本題だが、今日は君らに…」

 

するとその言葉に皆が思わず…。

 

「「「(((ま!また臨時テスト!!)))」」」

 

っと思っていた、しかし相澤が言った言葉は…。

 

「学級委員長を決めてもらう」

 

「「「(((学校ぽいのキタ!)))」」」

 

その言葉に皆が手を上げていく。

 

「はい!委員長やりたいです!」

 

「俺もやりたいっす!」

 

「ウチも」

 

「リーダーやるやる!」

 

「おいらのマニフェストはスカートの丈は膝上30センチ!」

 

「峰田は絶対却下だな」

 

「「「同感」」」

 

「なんで!!!!」

 

峰田が立候補したのも関わらず、凱斗の言葉に他の皆が頷き、それに峰田は涙目で叫ぶ。

 

「静粛にしたまえ!」

 

そんな中で、クラスの喧騒は飯田の一喝で沈下した。

 

「他を牽引する責任重大な仕事だぞ、やりたい者がやれる事ではないだろう!周囲からの信頼があってこそ務まる政務だ、民主主義に則り真のリーダーを皆で決めると言うのなら、これは投票で決めるべき議案!」

 

「「「いや腕そびえ立ってるじゃねぇか!!」」」

 

皆がその事にツッコミが入り、それには凱斗はズッコケていて、舞は笑いを堪えていた。

そしてすぐさま立ち上がって言う。

 

「おいおい飯田!お前がやりたいだけじゃねぇか!」

 

「日も浅いのに信頼も糞もないわ。飯田ちゃん」

 

「そんなんだったら、皆自分に入れてるぞ?」

 

「だからこそ!だからこそ、複数票を取った者こそが真に相応しい人間という事にならないか?どうでしょう先生!?」

 

「時間内に決めれば、なんでもいいよ。それじゃあ俺は寝る」

 

いつの間に寝袋に入った相澤はそのまま皆に投げやりな返事を返して、教卓の横に寝そべった。

 

「寝転がっちゃった…」

 

「寝不足なんかな?」

 

舞と麗日はその事に呟いた。

 

そして投票の結果、凱斗を除くほぼ全員が自分に票を入れる結果となった。ただ唯一票が割れたのはそれぞれ3票と2票に入った凱斗と八百万であった。

自分に3票入っている事に驚いた。

 

「はぁ!?俺かよ!!?」

 

「なんで天龍寺に!!誰が!!!」

 

「爆豪君、いま凱斗の事を苗字で…」

 

舞は爆豪の言葉を聞いて唖然とする。

 

「まあ少なくともお前に入れる馬鹿は居ねぇな」

 

「んだと!てめぇもういっぺん言ってみろ!!」

 

「だからそれが原因の一つじゃねぇか!!」

 

そんな感じに爆豪の暴れん坊が起こる中で、飯田は自分に0票で悔しがっていた。

 

「ぜ…0票…、分かってはいたが……こういう事か」

 

「他にも入れたのね」

 

「お前もやりたがってたのに、何がしたかったんだ?」

 

「それじゃあ、委員長は天龍寺で副委員長は八百万に決まりだな?」

 

投票の結果とは言え、その事に天龍寺はいやいやな感じになりながらため息をする。

八百万の方は悔しさはあるものの、そんなに根に持っていなかった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そして大食堂で、凱斗達は食事を取っていた。

 

凱斗は牛丼の特盛を頼んで、舞は麗日と同じ定食を頼んでいた。

 

「それにしても、大食堂は多いね」

 

「ヒーロー科の他に普通科やサポート科も居る、当然だろうな」

 

凱斗はそう舞に言いながら、牛丼を食べながら思っていることを言う。

 

「はぁ…、委員長はやだね~。面倒な仕事を押し付けられた感じだよ」

 

「いやなん!?」

 

「でも心配はないぞ、天龍寺君。君は他の者達よりも高い能力を発揮する力がある。だから少なくとも“僕”はそう思うさ」

 

「ん?僕?」

 

飯田のその言葉に凱斗達は振り向きながら見る。

 

「飯田…お前」

 

「坊ちゃんなの?」

 

「ぼっ…!?そう言われるのが嫌で一人称を変えていたんだが…。俺の家は代々ヒーロー一家でその次男なんだ。ターボヒーロー『インゲニウム』は知ってるかい?」

 

「ターボヒーロー? 知らないな…」

 

「ええっ?!」

 

凱斗の返答に麗日は思わず驚き、それに舞が答える。

 

「聞いたことあるわ、東京の事務所に65人ものサイドキックを雇っているトップヒーロー。そっか…その人が飯田君の」

 

「そう!俺の兄さ!」

 

「(なんだ~その胸張った態度?)」

 

凱斗はそう思いつつ。飯田は自分の事を話す。

 

「規律を重んじ、人を導くヒーロー。俺はそんな兄に憧れてここに来た!」

 

そんな様子に麗日は微笑みを見せながら言う。

 

「なんか…初めて笑ったかもね。飯田君」

 

「え?そ、そうか…?」

 

「そうよ。ね?凱斗」

 

「そうだな…」

 

そう言って牛丼のどんぶりを食べ尽くし、箸を置く。

 

「ごちさんっと…」

 

「はやっ!!?」

 

その事に麗日は驚く。

っとそんな時であった。突然大音量のサイレン音が大食堂…否、校舎全体に鳴り響いた。

 

『セキリュティ3が突破されました。生徒の皆さんは速やかに屋外へ避難してください』

 

「セキリュティ3?」

 

「なんですか!?セキリュティ3って!」

 

「校舎内に誰か侵入してきたって事だよ! 3年間でこんなこと初めてだ! 君達も早く!」

 

それにすぐさま屋外に退避する皆、すると舞はフっと何かを感じ取り、それに凱斗は振り向く。

 

「どうした?」

 

「何か…嫌な風を感じたの」

 

「嫌な風?」

 

「うん…でも一瞬だけど…。何だったんだろう?」

 

舞も一瞬とは言え、確かな事はどうかわからなかった。

彼女の個性である風は善意のある風と悪意のある風、それ等を感じ取る。

 

だが一瞬だと言う舞が言うが、それでもどんな風なのかは分からない。

 

「(くっ…、だが今は迷ってる暇は…)」

 

「大丈ー夫!!ただのマスコミです! 何もパニックになる事はありません! 大丈ーーー夫!!ここは雄英! 最高峰の人間に相応しい行動を取りましょう!!」

 

「「!!?」」

 

凱斗と舞は飯田の声を聞いて振り向く、非常口のドアを目指す棒人間のポーズを取る飯田が雄英生達に向けて叫んでいた。

 

それには凱斗と舞は思わず唖然とする。

 

「(飯田…すっげ便利だぞそれ…、でもどうやってそこに行った?)」

 

凱斗がそれに思いつつ、飯田の起点のおかげで、生徒達はパニックから収まった。

 

 

 

 

そして教室で凱斗と八百万が教卓の前に立って、HRを始めようとしていた時だった。

 

「委員長、早く始めましょう」

 

「その前にだ、飯田、お前に委員長の座を譲りたい」

 

「っ!!」

 

「ええ?!なんでだよ天龍寺! お前の方が適任じゃあ──」

 

上鳴がそういうが、凱斗は顔を横に振りながら言う。

 

「残念ながら、俺は肝心な所で気づく所に気づく事が出来ない奴だ。申し訳ないが、飯田…今回の生徒達のパニックを抑え込んだお前が適任だ、だから委員長として皆を率いて欲しい」

 

っと凱斗のその言葉に飯田は唖然とし、そして決意を決めて立ち上がる。

 

「分かった!天龍寺君! この飯田天哉!!皆を率いるクラス委員長として!頑張る!!!」

 

「ああ、頼むぜ」

 

「天龍寺がそう言うなら、いいんじゃねえ?」

 

「そうね、頼むわね委員長」

 

クラスの皆が飯田を委員長として認め、それにますます期待が膨らむ飯田。

それに凱斗は目を閉じながら自分の席に戻って行き、今日のHRを終えるのであった。

 

 

 

 

そして明日の…、午後のヒーロー基礎学で、とんでもない事件が起きてしまう事を、この時…凱斗達は全く知る由もなく、これが先の緊急事態の時に関わっていた事も知る由もなかった。

 




アンケート結果ですが。八百万の方が56票で多かったので、サブヒロインは八百万にしますが、耳朗も42票で結構多かったので、勿体ないのでサブヒロインの2にします。
あとはUSJでの戦闘ですね…。


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USJ襲撃編
第14話 USJでの襲撃 前編


昨日のマスコミが雄英に無断で入って来る騒動から翌日、午後のヒーロー基礎学で相澤が説明する。

 

「今日の午後のヒーロー基礎学は、俺とオールマイト、そしてもう1人の3人体制で見る事となった」

 

その事に皆は思わず騒ぎ出す。

 

(ねえ凱斗…なったってどういう事だろう?)

 

(さあな…、もしくは特例なのかもな)

 

「先生!何をするんですか!」

 

凱斗の前に居る瀬呂がそれに問い出すと、相澤が何かを取り出す。

 

「災害、水難、何でもござれ…『レスキュー訓練』だ」

 

っとその事に皆が思わず声が出る。

 

「レスキュー!おいこれは腕が鳴るじゃねぇか!」

 

「でも大変そうだな…」

 

「何言っている。ヒーローは救助が本命だ」

 

「水難ならわたしの独壇場…ケロケロ♪」

 

「おい、まだ話の途中だ」

 

皆がわんさか騒いでいる中、相澤の一言で皆の言葉が止まる。

 

「今回コスチュームの着用は各個人の自由、中には制限が限定とされるコスチュームがあるからな。訓練場はここから少し離れた場所にあるから、バスで移動する、以上…準備開始」

 

それに皆が準備をする中で凱斗の元に舞が来る。

 

「凱斗…レスキューは戦いより大変かも…」

 

「のようだな…、だがヒーローになるにはこれ以上の試練を乗り越える必要がある。さあ…お喋りは終わりにして行くか」

 

そう言って凱斗はコスチュームを取っ手、更衣室に向かい、舞もコスチュームを取っ手向かった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

皆がコスチュームに着替え、凱斗はスーツの状態を見ていた。

 

ジャーヴィスがスーツの他の機能を教えてくれた。

 

『このスーツは耐熱、氷点下は勿論、銃や戦車の砲台の弾でも耐えられる程の耐久値『ヴィブラニウム』が使われています』

 

「ヴィブラニウム?」

 

『ヴィブラニウムはダイヤモンド以上の硬度と強度、更に羽の様な軽量をしております。更にこれらはダメージを受けることによって、そのエネルギーを吸収し、跳ね返す能力を持っています。

主にインナーの方がそのヴィブラニウムが使われ、プロテクター、ガントレット、レッグアーマーにはヴィブラニウムと共に特殊超合金の複合超合金として使われています。

 

これらがこのスーツを作ったトニー様の自身作であります』

 

「なるほど…、昨日はそんな事を聞いてなかったからより分かり易いな」

 

そう凱斗は思いながら凱斗はスーツを見ながら呟く。

 

そして舞と麗日がやって来る。

 

「凱斗~、何気合入ってるの?」

 

「凱斗君、もしかして救助訓練が得意と言うん?」

 

「いや、別にそんなんじゃないんだが…。まあいいか」

 

凱斗がそう言っていると、飯田がホイッスルを鳴らす。

 

 

ピィィィィィィィィィィィッ!!!!

 

 

「1-A集合!! バスの席順でスムーズに行くよう、番号順に2列で並ぼう!!」

 

っとホイッスルを『ピッ!ピッ!』と鳴らしながら言い、それには凱斗と舞、麗日は一滴の汗が流れる。

 

「おいおい…」

 

「飯田君…フルスロットルだね」

 

「うん…そやね」

 

 

そしてバスが出発して…。

 

「くそ!こういうタイプだったか!」

 

「意味なかったね~」

 

飯田が深く落ち込んでいた、彼が落ち込んでいた理由はバスが前向きのシートじゃなく、横向きのロングシートだからだった、これでは意味がないから皆適当に座っている。

凱斗が座っている隣に蛙吹がいて、それに蛙吹はなにやら言ってくる。

 

「私、思った事をなんでも言っちゃうの。天龍寺ちゃん」

 

「ん?どうした?(…って言うかなんでも口にするな…)」

 

「梅雨ちゃんて呼んで」

 

っと自分の事を名前で読んで欲しい蛙吹、だが凱斗はそれを横に振る。

 

「いきなり名前で呼ぶ訳には行かない、これは俺の流儀に反する」

 

「おお!なんか男らしいぜ!」

 

「サンキュ切島、んで蛙吹、どうしたんだ?」

 

「出来れば梅雨ちゃんとよんでほしいんだけど…。まあいいわ、あなたの個性…オールマイトに似てる気がするの」

 

「(っ!!)」

 

蛙吹の言葉に思わず心の中で驚きを隠せない舞、しかし凱斗はそれに表情に出さずに言う。

 

「そう見えるか? 俺の個性は筋肉操作だ。いくらオールマイトに似てるからってそれは有り得ない」

 

っと心の中で驚く凱斗は全く出さずにそう言い、それには舞は心の中でホッとする。

そしてそれに切島が加えて言う。

 

「そうだぜ梅雨ちゃん!天龍寺はオールマイトと違うって! でも増強型のシンプルな“個性”はいいな! 派手で出来る事が多い!俺の『硬化』は対人じゃ強ぇけど、如何せん地味なんだよな~」

 

「そうか?今でもプロに十分通用するぞ」

 

「プロな~。しかしやっぱヒーローも人気商売みてぇなとこあるぜ? まあ派手でつえぇって言ったら、天龍寺を含めて、爆豪と轟だよな!」

 

切島が爆豪と轟の方を見ていい、それに爆豪は「ケッ!」と目線を逸らす。

すると蛙吹が…。

 

「爆豪ちゃんはキレてばっかだから人気出なさそう」

 

「あっ!?!んだとコラッ!!! 天龍寺よりもメッチャ出すわぁッ!!」

 

「ほらね、すぐキレる」

 

爆豪がイジられる光景に舞が凱斗の元にやって来て、隣に座っている砂糖を押しのけて座りながら言う。

 

「ね、ねえ…凱斗、爆豪君がイジられてるんだけど…」

 

「まあ爆豪は中学の時は力ずくで黙らせていたからな、それを知らない者達からすれば軽くイジられるさ」

 

「んだとコラ!!!俺はイジられてねぇぞ!!!」

 

凱斗の言葉に爆豪は更に怒りが爆発するのは言うまでもなかった。

 

そしてバスは目的地に到着して、そこに宇宙服を着た者が立っていた。

 

「皆さん、待ってましたよ?」

 

「うわ~~~!『スペースヒーロー 13号』!! 災害救助で大活躍している!」

 

「13号! 私好きなの13号!」

 

舞と麗日がそう言い、13号は言う。

 

「それじゃあ皆さん、ドームの中に入りましょう」

 

『『『よろしくお願いします!』』』

 

そして13号の案内にドーム内に入ると、そこは遊園地の様な訓練所、様々な災害が用意された場所であった。

 

「すげぇぇ!!本当にUSJかよ!!」

 

っと切島がそれを見て興奮していた。

 

「水難事故、土砂災害、火事、暴風、エトセトラ。あらゆる事故や災害を想定し、僕が作った演習場です。その名もウソの災害や事故ルーム…略して『USJ』!」

 

『『『本当にUSJだった…!』』』

 

皆がその事を思っていると、相澤が13号に近づきながら言う。

 

「13号、オールマイトは?」

 

「先輩、それが…。出勤する際に“制限”ギリギリまで活動しちゃって、仮眠室で休んでます」

 

「おいおい不合理の極みだな…、まあいい始めるぞ」

 

っとなにやら先生のやり取りを凱斗はそれを見逃さなかった、13号が三本指を出した時に、もしやと思った。

そして13号が皆の前に出て話す。

 

「えー、始める前にお小言を1つ2つ…3つ…4つ…5つ」

 

『『『多くなってる…』』』

 

徐々に増えていくお小言に皆がそう思っていると、13号は終えて語り始める。

 

「皆さんご存知だとは思いますが、僕の“個性”は『ブラックホール』。どんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます。簡単に人を殺せる力でもあります、皆の中にもそういう“個性”がいるでしょう」

 

っとその言葉に皆が反応する。

 

「超人社会は『個性』の使用を制限し、厳しく取り締まる事で一見成り立っているように見えます。しかし一歩間違えば容易に人を殺せる容易に死人を出せる能力を個々が持っている事を忘れないでください。

体力テストで自身が秘めている可能性を知り、対人戦闘訓練でそれを人に向ける事の危うさを思い知った筈です、ですので今回はこの場でそれを人命救助にどう活かせるかを知ってもらいます。

君達の力は人を傷つける為ではなく、助ける為にあるのだと心得て帰ってくださいな。以上、ご清聴ありがとうございました」

 

終わりと共に皆から惜しみない拍手と歓声が挙がる。そして凱斗もこのことにしっかりと受け入れる。

 

「(確かに俺の個性、筋肉操作も場合によっては人を殺す。それをしっかり学ぶ為の良い機会だな)」

 

っとそういった時だった。

 

 

《ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!》

 

 

突然凱斗のスーツのガントレットから警報音が鳴り響き、それには皆が見る。

 

「え!?何!?」

 

「凱斗君の腕から音が!」

 

「どうしたジャーヴィス?!」

 

凱斗がすぐさまジャーヴィスに問うと、ジャーヴィスが音声を音にして、スピーカーから話してくる。

 

《警告!!高性能ヴィランセンサーがヴィランの反応をキャッチ!! 場所は正面の噴水! ワープ系ヴィランがゲートアウトして来ます!!》

 

「何!!?」

 

その言葉に相澤はすぐさま振り向く。

 

すると噴水の付近に黒い霧状のモヤ突然出現し、少しづつ大きくなり広がっている。

そして手だらけのヴィランと、複数のヴィラン達が出てきて、その後に大きなヴィラン“2体”が出てくる。

 

その中で黒い霧の男…『黒霧』が目を細めた。

 

「13号にイレイザーヘッドですか。先日頂いた教師側のカリキュラムではオールマイトがここにいる筈なのですが……」

 

「どこだよ、せっかくこんなに大衆引き連れて来たのにさ…平和の象徴、オールマイトがいないなんて。子供を殺せば来るのかな?」

 

途方もない悪意が動き出す。

すると八百万が13号に問う。

 

「先生! 侵入者用のセンサーは!?」

 

「ありますが……反応しない以上、妨害されているのでしょう」

 

「そう言う個性持ちがいんのか。しかも場所・タイミング……馬鹿だがアホじゃねぇぞあいつら」

 

「しかも用意周到。無差別じゃなく、目的ありの奇襲…これはまずいぞ」

 

それを聞いて皆が唖然としている中で、相澤はゴーグルを付けて、13号に言う。

 

「13号!生徒を守れ! ……それと天龍寺」

 

「はい?「ヒュン!」どわっ!!!」

 

いきなり相澤に捕縛武器に捕まって引っ張られ、耳元で話す。

 

「(お前だけに言う…、俺や13号がやられた時、…万が一の時は頼む)」

 

「(っ!!先生…!?)」

 

「(お前の強さは知っている。仮免すら持っていないお前に緊急時の個性の使用を許可する、責任は俺が取る)」

 

「(せ、先生…どうして?)」

 

「(嫌な予感がするんだ。頼んだぞ…)行け!!」

 

そう言って凱斗を離し、凱斗の元に舞が来て、相澤に言う。

 

「待ってください先生!!あなたの個性は消しからの捕縛! この人数相手には!!」

 

「一芸だけではヒーローは務まらん! 頼むぞ!」

 

そう言って相澤はヴィラン集団へと飛び込んでいった。

その名の通り、集団相手に個性を抹消しながら捕縛武器を使って倒していき、更に複数相手にも戦っていた。

 

それを凱斗は舞を見ていう。

 

「行くぞ!」

 

そう言って舞の腕を掴んで、共に出入り口に向かって行き、13号が生徒達を誘導していくが、いつの間にか黒霧が立ち塞がっていた。

 

「させませんよ」

 

それに皆が思わず足を止める。

 

「お初お目にかかります。我々は『ヴィラン連合』、オールマイトを消しに来ました」

 

「っ!!?」

 

その言葉を聞いて凱斗は目を大きく開くのであった。

 

 



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第15話 USJでの襲撃 後編

 場所は変わって、スターク・インダストリーズの日本支社、今日はここで各会社の社長達の大事な会議があり、そこでトニーとブルースが各社長達と対話していた。

 

「それでは皆…、この度のサポート開発の事で提案をまとめた結果、こうなりました」

 

トニーは後ろの画面にサポート開発の案を表示し、それに各社長達は頭を悩めた。

それはどれもこれも役立たないサポート商品の数ばかりだったのだ。

 

伸びる輪とかジェットローラースケートとか、どれも役立たないものばかり。

 

それに1人の社長が手を挙げて言う。

 

「おいおいスターク君。たったこれだけなのか?」

 

「ええ、そうです」

 

「これでは何の役にたたんではないか。オールマイトの様にもっと強くて頑丈で、パワフルなサポートアイテムを開発出来んのか!?」

 

それに他の社長達も声を上げて来て、そこには凱斗の父である昭仁はそれに黙り込み、トニーとブルースはそれに思わず見合うのだった。

 

どの者たちもオールマイトばかりの商品や、それに似たサポートアイテムを作れと言い張る。

これでは有能なヒーローたちに悪いサポートアイテムを渡してしまうようなものだと…。

 

 

 

《ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!》

 

 

 

するとトニーのスマホから緊急メッセージが届き、それにブルースの他に社長達や昭仁が見る。

 

トニーがスマホを取り出して、フライデーに問う。

 

「どうした?」

 

『緊急事態発生!先ほどジャーヴィスからの緊急送信を受け取り、雄英高校でヴィランが出現!』

 

「ヴィラン!しかも雄英だって!?」

 

その事に思わず昭仁が立ち上がって驚き、トニーとブルースは互いの顔を見る。

 

「これは予想外だな?」

 

「だが無視する訳にはいかんな…」

 

そう言い合って頷き、トニーとブルースは皆に言う。

 

「皆、申し訳ないがこっちは行かなければならな」

 

「今日の会議は終わりだ。フライデー、窓を開けてくれ」

 

『了解!』

 

フライデーはスターク・インダストリーズの窓を開けて、室内の空気が一気に外に出て行く。

そしてブルースは左腕の時計を操作し、小型マイクを出して言う。

 

「“バットウィング”起動!」

 

それと共にウェインテックの屋上に止めてある航空機『バットウィング』が飛び立ち、ブルースの元に飛んでいく。

 

そして昭仁はトニーとブルースの元にいく。

 

「トニー、ブルース。息子を…頼む」

 

「任せてくれ」

 

「私の大事な弟子だ、心配するな。それに…用意していた物もあるしな」

 

っとブルースは“ある物”を取り出しながら言い、そしてやって来るバットウィング。

トニーはブルースに言う。

 

「ブルース、そっちの“サイドキックス”を呼んで来い。僕も“ローディ”を呼ぶ」

 

「了解した。先に行っててくれるか?」

 

「任せてくれ」

 

っとトニーはそう言って窓から飛んで、スターク・インダストリーズの壁の一部が開いて、アイアンマンスーツが飛んできて、トニーの身体に装着する。

そしてヘルメットが被って、リパルサーを使い飛んでいく。

 

ブルースはバットウィングに乗り込み、トニーの後を追いかけながらバットウィングを操作して飛んでいった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そして再び場所は変わって雄英での訓練場、USJで凱斗達は黒霧と対面する形で向き合っていた。

 

「失礼、少々言葉が下品でしたね。オールマイト…平和の象徴を亡き者にしにきたのです。ですが妙ですね、先日カリキュラムを調べた所、オールマイトが来ていると見たのですが、何か変更があったのでしょうか──」

 

その時爆豪と切島が先制攻撃を仕掛けてきて、その際に爆豪の爆破が火を吹く。

 

「その前に俺らにやられる事、想定してなかったか?!」

 

「待てお前たち!! 一旦戻れ!13号の個性が使えない!」

 

「2人とも!下がって!」

 

凱斗と13号が叫んだ時、無傷の黒霧が出てくる。

 

「おっと…忘れてましたよ。生徒とは言え、君たちは優秀な金の卵でしたね、私の役目はあなた方を分散させ、殴り殺す!」

 

っと黒霧から黒い雲を放ち、その際に凱斗達数名を飲み込んでいく。

 

飯田達数名はなんとか逃れたものの、飲み込まれた凱斗達に振り向く。

 

「皆!!!」

 

 

 

黒霧の雲から出てきた凱斗は目の前に水難ゾーンが見え、そのまま水へと落ちていく。

その際に凱斗がジャーヴィスに言う。

 

「ジャーヴィス!ヘルメット展開!!」

 

『了解!』

 

咄嗟にヘルメットを展開して、水の中に潜って、なんとか呼吸は問題なしに活動出来た。

 

「(さっきの奴…ワープ系のヴィランはあいつか…、しかしオールマイトを消すだって? どうも冗談じゃなさそうだな!)ん?」

 

凱斗はなにやら横でジタバタ動いてる人物を見つける。

 

そこに居たのは舞が苦しそうに必死に水面に上がろうとしている様子が、凱斗の目に映った。

 

「舞!忘れてた!舞は泳げなかったんだ!」

 

慌ててリパルサーを使い、舞の所まで進んで、舞を掴む。

そして酸素パイプがバックパックから伸びてきて、舞の口にくわえられる。

 

「(ん~~~す~~~は~~~~、……凱斗)」

 

「無事の様だな、このまま水面まで上昇するぞ」

 

リパルサーを使って水面に上昇しようとした時、一体のヴィランが凱斗と舞の元に活きよいよく迫ってきて、凱斗はそれに気づく。

 

「ん!?」

 

「お前に恨みはないが!さいならーーーー!!!」

 

っと口を大きく開けて、凱斗達を攻撃しようとした、だが凱斗はガントレットを向けて、リパルサー・カノンを放つ。

しかも相手の大きな口の中に直撃させ、相手はそれに大ダメージを貰う。

 

「ぐああああああ! く!口!!口の中があああああっ!!!」

 

「お前に構っている余裕はねえよ。それじゃあな」

 

そう言って、凱斗は舞を連れて水面に向かい、水面から出た後、近くに船が見えた、そこに向かおうとした時に、蛙吹と峰田がそこに居て、なにやら峰田は腰を抑えていたのは言うまでもない。

凱斗はすぐに甲板に着地し、蛙吹と峰田は凱斗と舞を見る。

 

「天龍寺!!」

 

「天龍寺ちゃん、それに舞ちゃんも無事だったのね」

 

「ああ、蛙吹も峰田も無事の様だな」

 

「ええ、…しかし、大変な事になったわね」

 

蛙吹が今の状況の事を考えて、それには凱斗も頷く。

 

「ああ、奴らは周到に準備を重ねて来たって事は…、あいつらのあの言葉…オールマイトを殺すって言う事も冗談でもハッタリでもないって事だ、昨日のマスコミの乱入も」

 

「うん…昨日感じたあの不吉な風…、もしかしたら彼らの仕業として考えられるわね」

 

凱斗の言葉に舞も頷きながら言う。

 

「で!でもよでもよ!! オールマイトを殺すなんてそんな事出来っこねぇよ! オールマイトが来たら、あんな奴らケッチョンケッチョンだぜ!」

 

そう峰田はパンチを繰り出しながら言うが、それを蛙吹は峰田に鋭い言葉を放つ。

 

「峰田ちゃん。殺せる算段が整ってるから連中こんな無茶してるんじゃないの?

そこまで出来る連中に私たち殴り殺すって言われたのよ、オールマイトが来るまで持ちこたえられるかしら、オールマイトが来たとして無事で済むかしら」

 

「っ~~~!!! ててて!天龍寺!! 何だよあいつ!?」

 

「(う~ん…蛙吹の言っている事は最もだ。蛙吹の長所はよく分析し、冷静に見る事が出来る、この前の戦闘訓練で良く分かった、だが短所な所は物事をはっきりと言ってしまう所だ…それが仇となって失敗する場合がある。そこをなんとかしないと)」

 

っとそう思っていると船の周りから水中系のヴィランが集まってくる。

 

「あの野郎!!殺してやる!!」

 

「うわあああああああああああああああああ!!!大量だああああああああああああああああああ!!!」

 

峰田がヴィランがやってきた事に悲鳴を上げ、一体のヴィランが仲間に向かっていう。

 

「おい!誰か上がって殺ってこい! それと女がいたら捕まえて後でたっぷりと可愛がってやろうぜ!」

 

「おうよ!おい!」

 

「ああ!!」

 

っと2人のヴィランが飛び上がって、船の上に降りて、凱斗達を見つけて飛びかかる。

 

だがその際に、凱斗の目がヴィランを一切逃していないことに相手の大きなミスだった。

 

筋肉操作を25%、ワン・フォー・オールを20%の状態を維持するマッスルカウルで一気に相手に叩き込む、1人は腹に強烈な膝蹴りを食らわして、もう1体は回転肘打ちを叩き込んで、相手の頭部を船の壁にめり込ませる。

その動きは僅か2秒、凱斗にぶちのめされた2人のヴィランは全く動かず、凱斗は2人のヴィランを湖へと放り返す。

 

湖にいたヴィラン達は仲間が倒されたことに驚く。

 

「な!!おい!!」

 

「意識がない!!死んだのか!?」

 

「いや!辛うじて生きている!! まずいぞ!上にあがると何かが居る!!」

 

「迂闊に近寄るな!!!」

 

ヴィラン達は先ほどの勢いを失くし、警戒しながらその場で浮かび続け、凱斗はそれをこそっと見ながらそして隠れる。

そして凱斗の動きに舞以外の蛙吹と峰田は言葉を無くす。

 

「ケロ…、天龍寺ちゃん、本当に強いのね」

 

「あっという間に終わっちまったよ」

 

「(当然よ、凱斗はあのブルースさんに鍛えられたんだから!)」

 

舞は期待する目で凱斗を見て、凱斗は舞たちに言う。

 

「舞、蛙吹、峰田。オールマイトを殺す算段がある奴らからそれを阻止する良いチャンスだ。ここで奴らを倒す! 徹底的にな!」

 

そう凱斗の言葉に舞や蛙吹は息をのみ、峰田は顔を真っ青になりながら唖然とするのであった。

 

 



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第16話 水難ゾーン一掃戦

遅れてすいません、更新です。


USJでヴィラン連合が襲撃し、凱斗達は黒霧によってUSJの各地に散り散りになってしまった。

その頃、雄英では仮眠室でオールマイトが不吉な予感を抱きつつも電話で相澤や13号に連絡を取っていたが、全く繋がらなかった。

 

「……相澤君や、13号君にも連絡が繋がらない。一体どういう事だ…、普通じゃない…」

 

っとそう思いつつオールマイト相澤達に連絡をするのをやめ、立ち上がって向かおうとする。

 

すると誰かが入ってくる。

 

「待ちなよ」

 

「お!『校長先生』!!」

 

「Yes!ネズミなのかクマなのか! かくしてその正体は…校長さ!」

 

っとネズミの姿をした者「ねず校長」、何故彼が2本足で立てるのか、それは彼の個性『ハイスペック』のおかげである。

ねず校長のハイスペックの個性は人間以上の頭脳を誇るため、2本足でも軽々と立てることが出来る。

 

「一体…どうしたのでしょうか?」

 

「君がすぐに向かいたくなるのは無理ないけど、活動時間が10分しかないんでしょう? 無理はダメだよ。また時間切れになったら君の活動時間は更に短くなるんだから」

 

「そ、そうなんですが…」

 

「ほら、お茶でも飲んでゆっくりしな、そして今から僕のお話を聞いて欲しいな~」

 

っとお茶を入れながら語り始め、それにオールマイトは若干焦りを感じ始めたのであった。

 

「(こ、校長…本当に大丈夫だろうか…?)」

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

凱斗の一言に驚きを隠せない峰田、そんな凱斗に峰田は泣きながら抗議する。

 

「はぁぁああああああっ!!? 何言ってんだよ天龍寺!ヴィランの企みを阻止するって何馬鹿じゃねのか!! 雄英ヒーローが来るまで大人しく助けを待った方が良いって!!!」

 

峰田の猛抗議の様子を凱斗たちは無視しながら、船の上で水面に居るヴィランたちを見ていた。

 

「ねえ凱斗、あなたがさっき追い払った事で、相手はこっちを警戒してるわ」

 

「ああ、一向に上がってこない上にどういう風に来るか分からないんだろうな。まあ無理ないが」

 

「おい!!無視するなよ!!!」

 

峰田は怒鳴りながら言い散らすも、凱斗は少し気になっている事を言う。

 

「そう言えば今考えればちょっとばかりおかしい点があるな。あいつら…ここの地形を想定していての装備をしている」

 

「水中戦の事を?」

 

その事に舞は問い、凱斗は頷く。

 

「ああ、カリキュラムを知っていての想定かもしれないが、もしかしたらあいつらはここに蛙吹が居ることが想定していなかったって事になる」

 

「どう言う事かしら?」

 

「あいつらはこっちの“個性”を把握してないからだ。全くな」

 

っとその言葉に舞たちは目を大きく開かせる。

 

「把握していない…知らないってこと?」

 

「ああ、俺の攻撃が打撃系の個性と奴らは踏んでる以上、鍵となるのは蛙吹の個性の跳躍だ」

 

「ケロ、個性は蛙なんだけど。でも…たしかに…、蛙の私を知っていたら、この水難ゾーンじゃなく、あっちの火災ゾーンに放り込むわね」

 

「…よし、なら一度、個性のお浚いをしよう」

 

凱斗は一度皆の個性を把握する為に話し合う。蛙吹の個性はカエル、カエルみたいな事が出来て、跳躍力も高い。

 

峰田の個性は『もぎもぎ』、頭からボールの様な物質を無限に取ることが出来て、相手に貼り付けると強烈な粘着力で張り付く。

粘着力は峰田の体調に左右され、調子良い時は1日中張り付く事ができる。

 

「ふむふむ、蛙吹の個性は改めて聞くといい感じの物だな、峰田は足止め用に出来る」

 

「ええ、私の個性は風だけど、デメリットは一度水に触れると20分間は風を操る事が出来ないの」

 

「あら、それは大変だわ」

 

「そうなんだ。だから蛙吹、俺が水面に大きな渦巻を一気に引き押して、その後に舞と峰田を掴んで遠くまで飛んでくれ。その時に峰田、お前のもぎもぎを渦に向けてありったけ投げ込め」

 

「はぁ!!?」

 

凱斗の言葉に峰田は驚きの表情を隠せない。

 

「ちょっと待て!なんで俺が!!!」

 

「峰田、お前のその個性はかなり役に立つ、戦闘に向かないって言ってたが、ヴィランを足止めするには持って来いのやつだ、だから覚悟して行けよ?」

 

「いやだ!!!オイラはまだ死にたくないよ!!」

 

っと峰田が叫んだその時だった。

 

 

ズバァァァァン!!!!

 

 

突然船の船体が真っ二つに切り裂かれてしまい、凱斗は振り向き、それに驚く舞たち。

 

凱斗が水面を見ると、1人のヴィランが自身の個性を使って船を切り裂いたのだ。

 

「おい!!何やってんだ!!」

 

「もう我慢出来ねぇ!! このまま水中に引きずり込んで殴り殺しにしてやるんだ!!」

 

「相手は水中も戦えるやつがいるかも知れないんだぞ!」

 

「そうだ!俺なんか口の中をやられかけたんだぞ!!!」

 

「もしかしたらそれだけかも知れねぇだろうが!!」

 

ヴィラン達がそう話し合いながら船が沈んでいくのを待っていた。

凱斗達はヴィラン達の行動を見て、目を細める。

 

「あいつ等、待ちきれずに攻撃を仕掛けてきたか…。仕方ない、決行に移すぞ。良いな峰田?」

 

「っ~~~!!だああああああああああああ!!分かったよ!!やれば良いんだろう!!!やれば!!!!」

 

泣きながら峰田は承知して、凱斗は頷く。

蛙吹は峰田はその様子を見て言う。

 

「峰田ちゃん、本当にヒーロー志望で雄英に来たの?」

 

「うっせーよ!!この状況で怖くない方がおかしいだろ!! この間まで中学生だったんだぞ!!?入学早々殺されそうになるなんて誰が思うかよ!!? あああああああ!!!こうなるんなら八百万のやおよろっぱいに触っときゃ良かったあああ!!そうだ!!藤風!!お前のとくもr───」

 

 

ガシッ!!

 

 

 

すると凱斗は峰田の頭を掴んで、鋭い目線と鬼のような顔で睨む。

 

「貴様…舞や八百万の他にも、麗日や蛙吹達に手を出したりしたらただじゃ置かないぞ……!!」

 

(コクコクコクコクコクコク!!!!!!!!!)

 

峰田は真っ青になりながら高速で頭を上下に振る、振ると言っても頭を掴んいる状態じゃ身体を振る感じになってしまうが。

 

「よし!行くぞお前ら!!」

 

そう言って凱斗はヘルメットを展開し、バックパックのリパルサーを使って飛行し、それにヴィラン達は驚く。

 

「なっ!!」

 

「あいつ!!飛べるのか!?」

 

「聞いてないぞおい!!!」

 

ヴィラン達が驚く中で、ジャーヴィスが問う。

 

『リパルサー・カノンを最大出力で発射しますか?』

 

「いや、そっちは貫通性が強すぎるからダメだ。こっちを使う!」

 

そう言って凱斗はワン・フォー・オールを35%にし、デコピンする様な体制を取りながら言う。

 

「デラフェア・スマッシュ!!!!!」

 

デコピンから弾き出される、風圧の衝撃波がヴィラン達の居る水面へと向かい、そのまま直撃して、巨大な水しぶきと共に巨大な渦を発生させる。

そして凱斗は舞たちに向かって叫ぶ。

 

「今だ!!!蛙吹!峰田!!」

 

「跳ぶわよ!舞ちゃん!峰田ちゃん!」

 

蛙吹は舞を背負い、峰田を脇に抱えたまま飛ぶ。

そして峰田が頭からの出血も厭わずに“もぎもぎ”を投げ続ける。

 

「オイラだって!!オイラだってぇええええ!!!」

 

渦を発生させた場所にもぎもぎを投げ続けた結果、渦に引き込まれる感じにもぎもぎも共に流れていき、ヴィラン達はその渦に飲み込まれて、同時にもぎもぎがくっついていく。

 

「ぐあ!う!渦に! 渦に引き込まれていく…!!」

 

「なんだこの丸いのなんだよ! くっついて!くっついて取れねぇ!」

 

もぎもぎにくっついていくヴィラン達は最終的に全員がもぎもぎにくっついて、完全に制圧が完了した。

 

「やった!」

 

「とりあえず、第一関門突破って感じね。凄いわ2人共!」

 

そして凱斗は飛行しながら蛙吹の空いている手を取って、水難ゾーンを離れていくのだった。

 

 

 

 

 

一方雄英へと向かっているトニーとブルース、そしてトニーとブルースから連絡を受けた仲間が共に向かっている最中に、ブルースは胸の中でなにやら嫌な予感を抱いていた。

 

「(なんだ…この嫌な感じは…、向こうに何かが待っている。とにかく急ごう)」

 

っとブルースはスロットルを前回にして、トニーを追い越していく。

 

「おいおい、僕より早く飛ばすな? なら僕も急ごう、おい!付いてこいよローディ!」

 

「誰に言っているんだ?お前は」

 

彼『ジェームズ・“ローディ”・ローズ』事『ウォーマシン』を着込んでいる彼はトニーの皮肉を切り捨てるかの様に言い、トニーの後を追いかけるのであった。

 

 



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第17話 死闘 前編

水難ゾーンを脱した凱斗達は一度地面へと着地し、峰田のもぎもぎによって水面にまとわり付くヴィラン達を一度見る。

ヴィラン達は苦しみながらもがき、必死に離れようとしていた。

 

「くっそ!!離れろよ!!」

 

「お前が離れろ!」

 

その様子を凱斗は細めで見る。

 

「…峰田。あいつらはしばらくは動けないだろう」

 

「おうよ! それに今日は快便だったから一日中くっついたままだぜ!」

 

峰田は自慢げに言い、それに凱斗はただ見つめながら考えた。

 

それを舞は問う。

 

「どうしたの?」

 

「いや、どうもあっさり行ったのがちょっとな…」

 

「天龍寺ちゃん、今はそんな事良いんじゃない?」

 

蛙吹がその事を凱斗に言い、凱斗は蛙吹の方を見る。

 

「今は無事だった事を思いましょう」

 

「…そうだな、よし、一旦出入り口まで行こう。それから…っ!」

 

っと凱斗は何かを感じと取って振り向き、噴水の方を見ると、一体の大型ヴィランがすぐ近くまでやって来て、凱斗に目掛けて拳を振り下ろしてきたのだった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

大型ヴィランが凱斗に攻撃する1分前の事だ、相澤が複数のヴィランを相手にして戦っているのを、この事件の主犯でもある男『死柄木 弔』が相澤の戦いぶりをじっくりと観察していた。

 

「ふ~ん…なるほどね」

 

死柄木はなにやら納得した様子で前へと出て、それに相澤は気づいてすぐに個性を抹消した。

相澤が死柄木に攻撃した所で死柄木はなにやらブツブツと言いながら、相澤の肘を掴んでいた。

 

「2…1…0、やっぱりな、時間制限があったんだ。でもそれでも戦おうとするなんて、カッコイイじゃないか、イレイザーヘッド」

 

っと個性が解けた途端、相澤の肘が徐々に砕け散って行き、それに相澤は思わず離れる。

 

「(っ!!肘が崩れた…!!? なんだあの個性は!?)」

 

相澤は一旦距離を取りながら再び個性を発動し、相手の個性を消して片腕のみ戦っている。

 

その様子を死柄木は笑いながら見ていた。

 

「やっぱりカッコイイな~、でももういいや…なあ“脳無”?」

 

死柄木が相澤の後ろの方を見て言い、っと相澤が後ろを見ると、大型のヴィラン、脳無が相澤に向かって手を伸ばして、そして目に見えないスピードで地面に叩きつけ、相澤の右腕を粉砕した。

 

 

ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!

 

 

「ゴハッ!!!!」

 

「おっと、痛かったか? でもヒーローだから平気だよな~…ん?」

 

死柄木は何やらもう1体の大型ヴィラン、脳無がある方向を向いており、そこには凱斗達が水難ゾーンから脱した様子であった。

 

「ふ~ん、脳無。お前あっちに興味あんの? でも別にいいか…ヤッちまえ」

 

っとその言葉に脳無はすぐに動き、見えないスピードで凱斗達に迫っていき、そして凱斗達の元に付いて拳を振るうのであった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そして今の状況に戻り、凱斗が大型ヴィラン、脳無が拳を振り下ろしてくるのを見て、凱斗は舞たちを一気に突き飛ばして、筋肉操作を40%、ワン・フォー・オールを40%にしたマッスルカウルになって、脳無の拳を受け止める。

すると受け止めた時に衝撃波が放たれ、突き飛ばされた舞たちは思わずまた少しだけ飛ばされる。

 

舞は突き飛ばされた事に気づかず、凱斗の方を見る。

 

「凱斗!!!」

 

「クッ…!重いパンチだな!」

 

っと凱斗も右ストレートをぶち込み、脳無を吹き飛ばそうとする。

 

だが脳無はそれに全く効かず、更に目線を凱斗の方に向け、更に左拳を凱斗に向けて放つ。

 

それを凱斗は避け、バク転で下がりながら睨み合う。

 

「凱斗!!」

 

舞が駆け寄ろうとするも、凱斗は手を出して止める。

 

「来るな!!」

 

「でも!!」

 

「俺に構わず逃げろ!! このヴィランは俺に興味があるみたいだ!お前たちは先に麗日たちと合流しろ!」

 

そう凱斗は言うが、舞はそれでも頭を横に振る。

 

「でもそれじゃあ凱斗が!!」

 

「俺の言う通りにしろ!!」

 

凱斗の怒鳴り声でそう言いながら、再び脳無へと立ち向かっていく。

その様子を蛙吹が見て言う。

 

「舞ちゃん、天龍寺ちゃんの言う通りにしましょう」

 

「梅雨ちゃん…でも!」

 

「今の私たちが出ても足でまといになるだけだわ、彼の言うとおりにして、ここを離れましょう」

 

その事に舞は悔しい表情をしながらも、蛙吹と峰田と共にその場を去っていき、入り口の所に向かった。

 

一方凱斗は脳無に向けて拳を放つも、脳無は全く効かず、更に凱斗の右腕を掴んで、力一杯ぶん投げた、投げた場所が山岳ゾーンへと飛ばした。

 

 

 

「うわああああ!!!!」

 

上鳴は悲鳴を上げながらヴィランの攻撃を回避し、共にいた八百万と耳朗の元にいく。

 

「やべぇえ!マジ危なかった!」

 

「上鳴!あんた電気マンでしょう!やっちゃって!」

 

「あのな!俺の個性は電気を操る事だけなんだって! 戦闘訓練で知ってるだろう!!」

 

「(男がウジウジと…!)」

 

耳朗がイライラしている中で、ヴィランが攻撃を仕掛けてくると、1体のヴィランに誰かが直撃して、多数のヴィランを巻き込む。

それに他の皆が見ると、そこには凱斗がいた。多数のヴィランが気絶し、凱斗が首を抑えながら立ち上がる。

 

「イテテ…、なんて馬鹿力なんだ」

 

「天龍寺さん!」

 

「ん?八百万、それに耳朗と上鳴」

 

凱斗は山岳ゾーンにいた八百万達を見かけると、そこに先ほど凱斗を投げ飛ばした脳無が再びやって来て、複数のヴィランを吹き飛ばしながらやって来る。

 

それを見た凱斗はすぐさま脳無の攻撃を回避し、更にリパルサー・カノンを撃つ。

 

キュイーン!バシュン!

 

リパルサー・カノンを脳無に撃ち込むも、脳無は平然とした表情、しかも全く効いていない事に凱斗は目を細め、ジャーヴィスは分析しながら言う。

 

『どうやらあのヴィランは、全ての攻撃を無力化するようです!』

 

「見ればわかる!他に武器はないのか!?」

 

『リパルサー系以外の武装はリミッターが掛けられていて、解除するのはトニー様の認証が必要です!』

 

「(チッ!こんな時にトニーの認証が必要なのかよ!)」

 

苛立ちを感じながら凱斗は手持ちの武装のみで脳無と戦う。

 

凱斗はリパルサー・カノンを連射しながら近づき、脳無の豪腕の腕が振り下ろされる。

 

それを凱斗は回避して、強烈な廻し蹴りを打ち、それをまともに貰う、だが脳無はそれをもろともせず、凱斗に向かって拳を放つ、それを凱斗はメタル・シールドを展開して防御する。

だがメタル・シールドをもろともせず、そのまま凱斗ごと吹き飛ばしてしまう。

 

そしてそのまま岩の壁ごと当たって、土ぼこりが立ち誇る。

 

「天龍寺さん!!」

 

「天龍寺!!」

 

「おいおい!!あの天龍寺が押されてるぞ!? 大丈夫なのか!?」

 

上鳴がそう叫ぶ中で、凱斗はなんとか立ち上がりながら腕を抑え、脳無を睨む。

 

「野郎…、良い根性してるじゃねぇか」

 

っと凱斗が立ち上がった途端、脳無が目の前にやって来て、凱斗を掴んでまたどこかへ投げ飛ばしていった。

脳無も飛ばした凱斗を追いかけて飛んでいく。

 

「おい天龍寺!!」

 

「なんかやばい状況だけど!」

 

「今はこの状況をなんとかしなくては!」

 

八百万はまだ残っているヴィランたちと対立し、何とかして凱斗の援護に向かいたいのだった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

噴水の所へ投げ飛ばされた凱斗は転がりながらもうけみをとり、立ち上がろうとした時に目にある光景が映った。

 

それはヴィランに倒された相澤の姿であった。

 

「先生!!!」

 

凱斗はそれに立ち上がり、その場に駆け寄ろうとした時、目の前にまた脳無が立ちふさがる。

 

「チッ!」

 

「おいおい脳無、そんな奴を相手にしてどうするんだよ」

 

っと凱斗は声がした方を見ると、主犯の死柄木がポリポリと肌をかきながらつぶやいていた。

 

「でもお前が気になるやつって言うんなら、それなりの理由なんだろうな? なあ…お前さ…、俺達をもっと楽しませてくれよ」

 

そう言って凱斗に向かっていき、凱斗が構えた。

 

「ザケンじゃねぇぞ!!!!スマッシュ!!!!」

 

っと死柄木にスマッシュを放った、だが凱斗の拳に手応えがないことに気が付き、前を見ると、先ほどの脳無がまた再び立ちふさがった。。

 

「こいつ!何度も俺の前に立ちふさがるな!?」

 

「おいおい、脳無…どうしたんだよ? それにさっきの言葉…オールマイトと似た言葉だったな?」

 

死柄木がそう聞くも、脳無は凱斗に向かって拳を振り下ろし、凱斗はそれを避けて、後退する。

そして死柄木はそれを見てため息を吐く。

 

「はぁ…、もういいや、脳無。殺せ」

 

その言葉を聞いて、脳無は凱斗を殺しに掛かり、凱斗は構えようとした時だった。

 

 

バゴン!!!!!

 

扉の方から爆発音がして、それに凱斗は勿論、入り口近くにいた舞たちは見る。

 

そしてある人物が来た。

 

「ごめんよ生徒達よ。嫌な予感がして校長先生の話を振り切りやって来た所、先ほど飯田少年と会って詳しい状況を聞いた……遅くなってしまったね。そして怖い思いをさせてしまった…。

全く己に腹が立つ…!後輩らがどれだけ頑張ったか!! でも、だからこそ言わせて欲しい! もう大丈夫!私が来た!!

 

ネクタイを引きちぎり、表情が怒り満ちたオールマイトがその場に現れたのだった。

オールマイトの登場に舞は勿論の事、麗日たち女子たちは目に涙が溢れ、芦戸は泣いている。

 

凱斗はオールマイトの登場に笑みを浮かばせる。

 

「へっ、遅いんだよ…オールマイト」

 

『それは僕も含まれるのかな?凱斗』

 

っと聞き覚えのある音声が流れ、それに凱斗は目を開く。

 

そして天井が爆発して、皆がそれを見ると、天井から誰かがやって来て、『リパルサー・レイ』を死柄木に向けて放つ。

 

キュイーン!バシュン!

 

「グア!」

 

死柄木が吹き飛ばされ、誰かが地面に着地して、凱斗の前に立つ。

 

降り立って来たのは、アイアンマンスーツを来たトニーだった、トニーは武装を展開しながら構える。

 

「よーしヴィラン達、そこでジッとしていてくれよ?」

 

「トニー!」

 

「トニーだけじゃないぞ」

 

っと天井から降りてきたのはバットマン事、ブルースだった。

 

バットマンは凱斗の隣に降り立ち、そしてその後ろにバットマンのサイドキックスである、『ロビン』と『ナイトウィング』が共に降り立つ。

同じようにアイアンマンの隣にウォーマシンであるローディも到着し、ヒーローたちが駆けつけてくれた。

 

 



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第18話 死闘 中編

あれから6ヵ月止まってしまって申し訳ございませんでした。

更新を再開いたします。


ヴィラン連合の襲撃によってバラバラになった凱斗達、何とかヴィランを撃退しつつ皆と合流しようとしたが、凱斗のもとに大型ヴィラン『脳無』が襲い掛かり、凱斗はそれを何とかしようと戦った。

 

戦っていく中で凱斗達の顧問である相澤がもう一体の脳無に倒されてしまい、絶体絶命のピンチの時にオールマイトが駆け付け来た。

更にそこにアイアンマンとバットマン、更に相棒たちのウォーマシンやロビンにナイトウィングが駆け付けて、ヴィラン達を対立した。

 

「お!オールマイトーーーーーーーーーーーー!!!」

 

「それにアイアンマン! バットマンも!」

 

「しかもサイドキックスのウォーマシンやロビンにナイトウィングまで! プロヒーローたちがこんなにも!」

 

峰田は泣き顔で声を上げ、佐藤や瀬呂がトニー達が来たのを見て、歓声が沸く。

 

凱斗はトニー達の方を見ながら脳無に向かって構える。

 

「トニー、それにブルース。どうしてここに?」

 

「ジャーヴィスが救難信号を発信した際にこっちにも送信される様に僕が仕込んでおいたのさ、それよりも凱斗、よく耐えたな。後は僕たちに任せてここを離れろ!」

 

「そうしたい所なんだが…」

 

凱斗がそう呟くと、一体の脳無が凱斗の方に向かって飛び掛かってきて、それに凱斗はリパルサーを使い、飛んで回避する。

 

「こいつは俺をどうも逃がしたくないようでな! しつこくて厄介なんだ!」

 

「なるほどな」

 

するとブルースはグラップリングガンを取り出して、脳無に向けて撃つ。

ブルースが撃ったグラップリングガンは脳無の体に巻き付き、脳無の向かって巻き上げ、左拳を握りしめて叩きつける。

 

だがブルースの攻撃にビクともしない、それどころか逆にブルースの方を見て、巻き付けてあるワイヤーを強引に引きちぎり、それを見たブルースは一瞬目を細め、脳無は拳をブルースに向けて振る。

 

それをブルースはよけて、更ににバットラングを投げて、距離を取ろうとする。

 

しかし脳無はそれを受けながらも平然として向かっていき、それに流石のブルースも目を見開いた。

 

だがその時に、横からトニーとローディがリパルサー・レイを放ち、脳無を吹き飛ばす。

トニー達の攻撃を受けながらも平然と立ち上がる脳無に、トニーは言葉をこぼす。

 

「なんて奴だ。こっちの攻撃が全く聞いていない」

 

「心配ない!!!」

 

するとオールマイトがトニー達の前に現れて、その腕に相澤を抱いていた。

 

「天龍寺少年! 相澤君を頼む!意識がない、急いでくれ!」

 

そう言ってオールマイトは凱斗に相澤を渡す、凱斗は受け取ると同時にオールマイトやトニー、そしてブルースたちに話す。

 

「気を付けてくれよ、あのヴィランは一味違う、何か仕掛けのような…」

 

「天龍寺少年!大丈夫!」

 

っとオールマイトは満面なVサインを出し、それに凱斗は見つめた後に相澤を連れて飛んでいく、だがそれをもう一体の脳無が行かせまいと妨害しようとするが、トニーとローディがリパルサー・レイでそれを阻止する。

 

リパルサー・レイで止められた脳無はトニー達の方を見て、トニーはリパルサーを構え、ブルースがトニーの隣に立ち、オールマイトに言う。

 

「オールマイト、ここは私とトニーで抑える、君はもう一体の方を頼む」

 

「分かった、ではヴィラン共…覚悟しろよ!」

 

オールマイトはもう一体の脳無へと向かって行くのであった。

そしてトニーとブルースはローディ達に向かって言う。

 

「ローディ、お前は他の少年少女達の捜索に向かってくれ」

 

「お前たちもだ、捜索を頼む」

 

「おいトニー、大丈夫か?」

 

「俺たちも加勢するぞ?」

 

「大丈夫だ、行け」

 

ブルースの言葉にローディ達は一瞬考えこむが、すぐさま行動に移し、生徒たちの捜索へと向かうのであった。

 

そしてトニーとブルースは脳無と対立し、脳無は走り出してトニーとブルースに拳を振り下ろすのであった。

 

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

相澤を連れて飛ぶ凱斗は舞達がいる場所まで飛んでいき、舞が凱斗がやって来るのを見る。

 

「「凱斗!!/君!!/」」

 

「「「「「天龍寺!!/君!!/ちゃん!!」」」」」

 

皆は慌てて凱斗の元に向かい、凱斗は舞に相澤を渡す。

 

「舞、相澤先生を頼む」

 

「えっ?!凱斗はどうするのよ!?」

 

「俺は…もう一度戻る」

 

っと凱斗はトニー達とオールマイト達が戦っているのを見ながら言い、それに舞たちは。

 

「だ、ダメ…駄目よ凱斗!」

 

「そうだよ!凱斗君! 何も凱斗君自ら行かなくても!?」

 

舞と麗日がそう言う中で凱斗は気になっている事を言う。

 

「だが嫌な予感がするんだ、オールマイトが俺に言ったあの言葉がどうしてもな」

 

そう凱斗はオールマイトが去る際に気になっていた事があった。

 

それはオールマイトの時間制限だ、大丈夫と言っていたにも関わらず、彼があのマッスルフォームを維持できるのはもう数分も持たない。

凱斗はそれを気にしている。いくらトニー達が駆け付けたとは言え、もう少し援軍が向かわなければ不味い状況である。

 

すると。

 

 

 

 

ドゴーーーーーーーーーーン!!!!

 

 

 

 

強烈な地響きの爆音が鳴り、それに凱斗達は振り向く。

 

彼らが見たのは丁度オールマイトが脳無に強烈なジャーマンスープレックスを食らわせた様子だった。

それに佐藤達は歓声が沸く。

 

「お!おっしゃーー!!すげーオールマイト!」

 

「あいつらオールマイトを嘗め過ぎだぜ!」

 

「いつもはドジばかり踏んでるのにね」

 

っとそう言う声が響く中で凱斗は…。

 

「不味い…不味いぞ!!」

 

そういってリパルサージェットを使って飛んでいき、それに舞は慌てて見る。

 

「ちょ!凱斗ーーーー!!」

 

「凱斗君!……っ!!?」

 

麗日の言葉が突然止まった事に舞は見て、前を見ると、土煙からオールマイトがジャーマンスープレックスを食らわせたの対し脳無が体半分、黒霧が個性の『ワープ』を使って、脳無のダメージを和らげたのだ。

それに舞たちは表情が一気に青ざめ、飛んで向かっている凱斗は舌打ちをしながら向かう。

 

「(チッ!不味い展開になって来たぞ!!)やめろおおおおおおおおおおおお!!!」

 

「(っ!?天龍寺少年!?)」

 

オールマイトは凱斗がやって来たのを見て、そして死柄木が凱斗が飛んでくるのを見て、黒霧の方を向き、それに黒霧が頷き、ワープを使って死柄木は腕をワープの中に入れる。

 

すると凱斗の目の前に黒霧の個性のワープが現れ、そこから死柄木の手が出てくる。

その時に凱斗は感じた、あの手に触れるとまずい事になると。

 

「クッ!!」

 

凱斗はリパルサー・カノンを構え、その手を弾き飛ばそうとした、するとその時。

 

「うらあああああああああああああああああああああああ!!!!!」

 

「「「!!?」」」

 

凱斗達は振り向くと、爆豪が手から爆破を使いながら黒霧に向かって行く光景が目にしたのであった。

 

 



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