彼と彼女らとちょっぴり俺の物語 (俳人 )
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そうして、彼と彼女らと、ちょっぴり俺の物語が動き出す。
俺はどうやら、『俺ガイル』もとい『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』の世界に転生したらしい。
今までは、「なんか知らんけど、前世のこと、なんとなくやけど覚えてるなー」と思ってはいたが、ここが俺ガイルの世界だと気付いたのは、中3の冬、ある商店街でのことだった。
「さーちゃん?さーちゃん、どこ?」
青みがかった髪がフリフリと揺れた幼女が商店街で迷子になっていた。別にロリコンとか、そんなんじゃない、……ホントだよ?ホントだかんね!
一人で来ていた俺は、そのまま見過ごすのも、なんとなく寝覚めが悪そうなので、いっしょに、さーちゃんを探した。
「どーした?さーちゃん、いないのか?」
「……うん、いないの」
「いっしょに、さーちゃん探してやろうか?」
「え、ほんと!」
嬉しそうにピョンピョン飛び跳ね、喜んでいる。
「ああ、さーちゃんと最後にどこいったんだ?」
「えっとねー、豆腐屋!」
「豆腐屋かー」
そんなことを言いながら、商店街を周った。聞くに、さーちゃんとは姉らしく、もう一人、ゲンくんという兄がいるらしい。
「さーちゃんはねー、こーこーじゅけんなんだよ!」
「お、じゃあ、俺と同級生なんだな、さーちゃん」
そんなことを言っていると、後ろからすごい足音とともに、強烈な衝撃が頭に走る。……いってぇ。
「け、けーちゃん!?大丈夫?変なことされなかった!?」
どうやら、全力で蹴られたようだ。さーちゃん怖いな、おい。
「さーちゃん!!このおにーちゃんは、いっしょにさーちゃんを探してくれたんだよ!」
「え!?ご、ごめん!その、つい……」
「あー、いや、気持ちは分かるから、別にいい」
そう言って、、頭を擦りながら起き上がり件の『さーちゃん』の方を見ると、つい息を飲んでしまった。
「……か、川崎沙希?」
つい、口から、目の前の少女の名前が漏れてしま
った。
すると、さーちゃん、というか川崎は警戒するような目でこちらを見た。
「……なんで、私の名前知ってんの?」
「っあ、あー、いや、ほら小学校のとき、ちょっとだけ一緒だったろ、すぐ転校したけど」
もちろん、嘘である。しかし、もう一度あの蹴りをくらうのも御免である。
「……ふーん、とにかく悪かったよ、えっと」
「き、気にすんなよ!じゃあ、俺はこれで!」
そう言って、俺はその場から走って消えた。
同性同名の可能性もあったが、妹のけーちゃん、川崎京華がいて、ゲンちゃん、川崎元気がいる。
なにより、何度も読んだ『俺ガイル』の川崎沙希のイラストと、彼女が完全に同じだった。
本能が告げていた。ここは俺ガイルの世界だと。
「……じゃあ、この世界で俺がなにするかは決まってるだろ」
そう言って、空を見上げる。気づけば、辺りはもうすっかり夕暮れのオレンジ色に染まっていた。
そう、もうやるべきことは決まっているのだ。
病院で短い一生を迎えた俺は、本の中に一人のヒーローを見つけたのだ。ひとりぼっちで、意地っ張りで、妹好きの、男の子を。本物を見つけると、情けなく、かっこよく高らかに宣言したヒーローを。彼の物語を見届けたい、とそう思った。
「俺は!!比企谷の青春を見届ける!!」
夕陽に向かって高らかに宣言した。
今日は総武高校の入学式、ではあるがそれと同時に『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』の物語の始まりの日と言っても過言ではないだろう。この日、由比ヶ浜結衣が、愛犬サブレと散歩に来たが、途中サブレが車道に走ってしまう。そこを比企谷八幡が助ける。
そして、その車は雪ノ下雪乃の家の車。この三人が後の奉仕部として活動する。
この瞬間は、なんとしても見届けたい。
そう、俺は物語の本筋を変えるようなことはしたくない。俺は物語の部外者だ。部外者の俺は物語を壊すような真似はしたくないのだ。
しかし、当然といえば当然なのだが作品には原作には「早く家を出た」とあるが何時に出たとは書いていない。つまり……。
「3時間前からはスタンバらないといけないんだよなぁ」
春とはいえ、朝はまだまだ冷える。歯をガタガタ揺らしながら、おそらく事故現場であろう場所で待っていた。……これで、ここじゃなかったら今日は学校休もう。
「サブレー!今日は、やけに元気だねー!」
くまさんの柄のパジャマを着た、女の子。原作ではノーメイクと言っていたが、かなりかわいいと言えるだろう。髪色は大人しめだ。
「で、あれが……比企谷八幡か」
自転車を全力で漕いでいるアホ毛が特徴的な目の腐った青年。……まだ学校始まるまで一時間あるが。めちゃめちゃ学校早く行ってんじゃねえか。
「あ!!サブレ!!」
サブレと呼ばれたダックスフンドは飼い主の持っていたリードから首をくぐり抜け、車道の方へ走っていった。
「なっ!おいおい!」
比企谷は、小さな声でそう漏らした。
前方より、黒塗りの高級車が向かってきている。
このままだと、どうなるかは考えなくても分かることだ。
「クソッ、うおおおおおおおおおおお!!!!」
比企谷は奇声を上げて自転車から飛び跳ね、犬を間一髪のところで抱き上げた。
ゴッと鈍い音が鳴り、車は止まった。どうやら失神したようだ。足は曲がるはずのない方向へ曲がっている。
「なっ!き、きみ!大丈夫かね?!」
車から男性が血相を変えて出てきた。由比ヶ浜は呆然として比企谷に歩み寄っている。
意図せず交通事故を起こした場合、加害者も被害者もパニックを起こしてしまう。この場合、加害者も被害者もないのだが。
現在、ここにいる全員俺を含めて冷静さを失っていた。
……俺は物語の本筋には関わらない。しかし、救急車に電話するくらいでは変わらないだろう。
…これを見過ごして、学校に行くことを少し夢見が悪い。
「もしもし!交通事故で、高校生が!」
俺が救急車に電話すると、二人が我に帰ったのか。比企谷を安全なところに運び、応急手当をしていた。
この後、比企谷は救急車に運ばれた。由比ヶ浜やドライバーは病院で警察に話を聞かれ、俺も目撃者として、少し話を聞かれることとなった。
「あの、救急車を呼んでくれた方ですか?」
病院を出て自転車を乗ると、後ろから、そう声を掛けられた。振り返ると、アホ毛が特徴的なセーラー服を着た女の子がいた。
「兄を助けて頂いてありがとうございました!
足を折っただけで命に別状はないそうです!」
ふと嫌な汗が流れる。比企谷の妹、比企谷小町。
兄と同様、頭がとてもよく、物語でも比企谷にいつも助言を与えていた。
今、知られることで物語にどう影響するか分からない人物だ。
「その制服、総武校なんですね!一ヶ月ほどすへば兄も学校に戻りますので、兄と仲良くしてやってください!」
「ああ、そうするよ、じゃ、俺はこれで」
「あ!ちょっと!名前だけでも!」
その言葉を聞く前に俺は自転車を漕ぎ出した。
こうして、彼と彼女らとちょっぴり俺の物語の歯車は動き出したのだ。
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つまり、けっきょく『とつかわいい』
「以上だ、ではこれから一年間よろしく頼む」
そう言って、クラスの担任、平塚静先生は締めくくった。
どうやら、比企谷とも同じクラス、だが当分は学校に来れないだろう。ちなみに原作に出ていた人物もまた同じクラスにいるいる。
例えば、あの女子よりかわいい男の子、戸塚彩加であったり。
例えば、来年の文化祭の実行委員長になるであろう相模南など、まぁいろいろだ。
「じゃあ、自己紹介を始める、私はもう職員室に戻るから、あとは君たちで適当にやるといい」
そう言って平塚先生は出ていった。……自由だなー。あと人は。でも、もう名前覚えてそうだが。
さて、そうも呑気なことを考えている場合ではなかった。小中学校でイマイチ馴染めずに来ている。
当たり前だ。前世の記憶だけあるが、コミュニケーションは家族以外ないんだから。
……ここで、友だちを作りたくもあるが。
そんなことを考えるとすぐに、自分の番が来てしまった。
「えー、あっと上野英輝です、趣味は読書、えー仲良くしたいです、はい」
終わった。別に噛むわけでもなく、面白いことを言うこともなく終わった。『趣味は、読書』って言うやつの絡み方分かんねえだろうな……。俺も分かんねえ……。もうちょい絞れ。
拍手がまばらに起こり、その後も自己紹介は問題なく進んでいった。
学校最初の日は、軽い学校の説明や自己紹介があっただけで終わった。その後は、部活体験などに行くらしい。
クラスを観察してみると、ぼちぼちとグループができつつあった。特に相模南は、女子の中ではかなりのトップカーストに属している。
怖いな……、マジで猿山みたい。
しかし、もちろんのことだが孤立している者もいる。一番目立つのは、戸塚彩加だろう。
女子よりかわいい容姿をもっているが男。どちらの目線から見ても異質なのだろう。
異質なものは、集団からは孤立させられる。きっと、それは人間がまだ言葉を扱えない獣だったころからの名残なのかもしれない。
戸塚は一人、テニスのラケットを持ち、部活へ行こうとしていた。学校紹介のときから行くことを決めていたのだろう。
少し、その心細そうな横顔は頂けなかった。
ふと、前世の幼少期を思い出した。病院から出て初めて学校へ行ったとき。いきなり来た異物の俺は子供の王国には入れなかった。
……勝手に自分と重ね、その人物を押し計ろうなんて、傲慢な行為だ。ソイツと自分は別の人間なのだから。理解しようだなんて、分かろうだなんて、できるはずがない。
それはソイツの自己満足でしかない。
だから、これは俺の自己満足だ。
気まぐれだ。なんの意味もない。ただ、友だちを作るだけの一歩だ。
「……もう部活決まってんのか」
戸塚が俺の席の後ろを通りかかるとき、聞こえるか聞こえないかの声で呟いた。
「え、あ、うん!ずっとテニスやってたから…!えっと…」
「上野だ、ずっと帰宅部でな、……テニス部、いっしょに見にいっていいか?」
戸塚は、花が咲くような顔で笑い、にこやかに細い首を縦に振った。
「うん!よろしくね!上野くん!」
……なるほど、これは可愛いな。可愛い。いや、うーん可愛い……。
「うえええぇぇぇぇ、もう無理だ、吐きそう」
「だ、大丈夫……?上野くん?」
残念ながら、前の人生の名残か知らないが運動は全く出来ないのだ。じゃあ、勉強はできるのか?と言われるとそういう訳でもないのだが。
見学の新入生は、ランニングをさせられていたが、少し走ったあとバテてしまった。
「戸塚……、俺、これ走り終わったら結婚するんだ」
「え!?どうしたの!?ほんと!?」
まあ、分からんよな。こいつ、素直だなー。心配になるわ。むしろ、戸塚と結婚したいまであるな。
「冗談だ、俺のことはいいから先走ってろ、大丈夫だ」
「でも……」
戸塚は、心配げに顔を俯けた。
「いいから、いった、いった」
そう言ってドンと背中を押した。……軽いなぁ。
春の、暖かな昼下り。青空はキラキラと光っている。前の人生ではほとんど、無機質な天井を見て過ごしていた。
しかし、吐きそうになりながらもクラスメートと、青空の下で汗を流すのも悪くは……、悪くは……。
いや、もういいな。一回流したらいいや。
学校に残っている生徒が帰り始めたころ、辺りはすっかり夕陽に染まり、夕暮れに染まった桜の花びらがハラハラと散っていった。
「今日は楽しかった!?どう?上野くん、テニス部入ろうよ!」
「いや、俺途中からのびてたじゃねえか」
苦笑いでそう告げる。確かに楽しくないわけではないのだが、体力がないのだ。
「けど、フォームとかタイミングとか、すごい上手いけどなぁ」
「あー…まあ、ちょっとな」
原作で、戸塚と比企谷がやっていたのを見てテニスの試合見まくってた、とは言えないか。
ふと、足を止める。深い鐘の音色が時刻を知らせていた。
白銀の流れるような髪がサラサラと、夕陽に光っている。
玉のような汗がツーと、細く白い首筋に流れた。
「うん?どうしたの?」
戸塚彩加は、燃えるような夕日を背に、こちらを振り返った。
こういう景色を、比企谷は見ていたのだろう。いや、見るのだろう。これが彼の守りたかった日常なのかもしれない。
もちろん、そんな推測にはなんの意味もないのだが。
「いや、俺本当に総武高校に来たんだなって」
戸塚は、少し不思議そうな顔をしたあと、はにかんだ。
「もー!今更?上野くん!……ひ、ひできくん」
まぁ、いろいろあったが、結局分かったことは『とつかわいい』。これが究極。異論は認めない。
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彼らと彼女らと、ちょぴり俺のカラオケ大会が始まる。
「ねーねー、上田くん」
入学式から約2週間。まだ比企谷は帰っておらず、しかしそんなことも気が付かず、クラスは青春を謳歌していた。
「ねー!上田くんってば!」
「……それ、俺のこと?」
声の方を見ると、相模南は嘲笑うような目で俺を見下ろしていた。
「あれっ?名前違うかったー?ごめんねー!」
相模南。彼女は作中では、とても人間らしいキャラクターだと言える。雪ノ下雪乃という女の子と
相模南という正反対といっても過言ではない女の子。その対比は、原作六巻を大いに盛り上げた。
が、彼女を特別好きだという人物は、少ないだろう。
男性が苦手な女子。というか、あまり近寄りがたい女子なのだ。
「ねえ、うちの話聞いてる?」
「ああ、聞いてなかったわ」
「だからぁ、他のクラスの子といっしょにカラオケ行くんやけどぉ、いっしょに行かん?」
……ちなみに、俺は相模南が嫌いではない。とても人間らしく、とても身近な人物に感じられた。つまり、こいつの考えていることは、なんとなく分かる。
「……戸塚か」
「そーそー!向こうのクラスの子が戸塚くんと喋りたいって言ってさー!ちょっと頼んでくれない?」
あの日の後、俺もまたテニス部に入ることになったのだ。
……マネージャーとして。
いや、テニスってキツイんだって。まだ、テーブルテニスやったらいけたと思う。
そういう訳で、俺と戸塚はクラスでもいっしょにいる機会が多く『戸塚の横の人』と認知されるようになった。…やったね、有名人だ。
「……答えはNOだ、そろそろ試合も近いしな」
「えー、高校三年間全部部活に使っちゃうのー」
おそらく、この後こいつは『テニスはいつでもできるけど、皆でカラオケは今しかいけないんだよ!』という。
「テニスはいつでもできるけど、皆でカラオケは今しかいけないんだよ!」
このままだと、相模横断ウルトラクイズが出来てしまう。
実際、試合も近いし、マネージャーとしても、と友達としても行かせたくない。……というか、俺と戸塚って友達なのかな。ちょっと不安になってきたわ。
「ひできくん、どうしたの?」
戸塚がひょこりと俺の後ろから顔を出した。
「あー、いや別に」
「ね!戸塚くん!いっしょにカラオケ行かない?!」
俺を回り込み戸塚の手をとって、そうお願いした。…こいつ、男子やったらぶん殴ってたな。
戸塚は、戸惑ったような顔をして俺に助けを求めるような顔をした。
「えっと……部活の大会が近いしなぁ…ひできくんは?」
「カラオケなぁ……」
そういえば、今まで一回も行ったことがない。もちろん存在は知っていたし、近くにはあるのだが一人で行くのはなんとなく躊躇われて行ったことがなかった。
「ひできくん、行きたいの?」
「あー、いやそう言えば行ったことなかったなって」
「じゃあ、行こうよー!友だちのお母さんの店だから、安くしてもらえるんだよ!」
相模は、ここぞとばかりに推してくる。これ、何が嫌かって『戸塚を連れてきた相模』っていう肩書きのために戸塚が使われる、みたいな気がして嫌なんだよなぁ…。
「そっか……、大会終わったあとだったら…いいよ!ひできくんも来るの…ならだけど」
上目遣いで見るな。かわいいな。おい。いや、戸塚と二人だったら、どんなに良かったか……。
ちなみに相模は「いや、来るよな?来ないとかねぇからな?」という目で俺を見ている。
「……わかった、6時半には家に帰るのよ」
「お母さん!?」
「じゃあ、二人ともまた連絡するね!」
そう言って、相模はどこかへ行った。……悪は去ったぜ。
「…ねえ、もしかして、ひできくんって相模さんのことすき?」
「ブフッ!!!」
つい飲もうとしていたお茶を吹き出してしまった。
「ちげーよ、別に……なんでそう思ったんだよ」
「なんか、授業中とか、相模さん見てること多いからそうなのかなって」
「お前……よく見てるな」
素直に感心してしまった。戸塚彩加はよく人を見ている。観察しているのだ。
しかし、それは俺が相模を見ているような、興味と似て異なるものなのだろう。
人の良いところを、キレイなものを見ているようなそんな感覚なのかもしれない。
「い、いや!別にずっとひできくんを見ているわけではないんだよ!?」
「お、おう、照れるな照れるな、俺も恥ずかしいだろうが……別に好きじゃないさ、ただ…」
「ただ?」
相模の人間らしさ、誰もがもつ要素なのだが、その醜くく、浅ましい人間らしさは、俺が欠如していたものだ。なので、どこか美しく見えるのさもしれない。
彼女のどこかに、もしかすると『本物』とやらを見出そうとしていたのかもしれない。
もっとも相模から見つかる『本物』など、『本物』ではないだろうが。
「まあ、とにかく好きとかじゃねえよ」
そう言って頭をポンポンと撫でる。小動物のような少し嬉しいそうな顔をして、笑った。
「でも、いつか二人でカラオケ行こっか!」
「……おう」
こいつが、作中で最もかわいいと謳われる理由が
分かった気がする。
「やっぱ、俺帰るわ」
「ひ、ひできくん!待ってよ!!」
2週間後、大会も終わり一段階したころに相模主催カラオケ会に誘われた。イクト約束した以上、戸塚も断りきれずに行くことになり、俺も付いていくことになったのだ。
放課後、教えられたカラオケ店に行くと、そこにいたのは俺も知っている男が一人いた。
「やあ!戸塚!それと、上田くん?」
「上野くんだよ!葉山くん!」
葉山隼人。俺ガイルを彩る数少ない男性キャラクターの一人だ。いや、もちろん戸塚も男性キャラクターだよ?
その整った容姿と、卓越したコミュニケーション能力、抜群の運動神経、でクラスいや学校の代表生徒といっても過言ではない。
嫌だぁぁぁぁ!完璧イケメン野郎と美少年(女の可能性もアリ)の隣に俺が座るなんて、嫌すぎるぅぅぅ!!
しかし、戸塚に近づく女をなぎ倒すという使命も……。
「よろしく!上野くん!」
「お、おう、よろしく」
なんだこいつ……。なにもかっこいいこと言ってないのにキラキラしてやがる……。これが、イケメン…!
「来たみたいだよ、俺もカラオケ久しぶりだな」
「おう、俺は最初で最後にしようかな…」
「だめだよ!今度一緒に行くんでしょ?」
そうして、彼らと彼女らと、ちょぴり俺のカラオケ大会が始まった。
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