邪神だってヒーローになりたい。 (キツネくん)
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第一話
ある所に女の子が居た、その娘の個性は超人社会においても、余りにも異常であった。
外見には何ら変化が見られないにも関わらず、異型系の個性にも勝るその細腕からは想像することのできない怪力、発動系の個性のように触れた動物や人間、生物なら種を問わず全て、触れたものの体と個性に自身を作り変える事を可能とする、更には、強い想像力を必要とするが架空の物にも自身を変えることができる、それに少しだけイタズラ好きになった。
両親の個性との関係性は、母が発動系で、父が異型型であるという点のみ、関係性は全く無い、にも関わらず強大で、危険で、異常な、力を授かってしまった。
彼女の個性を診断した担当医は異常であると言った、DNAの上では間違いなく両親はいわゆる没個性なのに、間に生まれた娘の個性は、調べれば調べるほど何の因果関係の無い、突然変異としか考えられない上、超が付くほどに強力な個性であったからだ、しかも、彼女が母親と偶々入った書店でクトゥルフ神話に登場する神をまとめた、『クトゥルー大全集』とか言う、四歳児には刺激の強すぎる本を呼ばれるように手にし、邪神・ニャルラトホテプのページで手を止め、漢字など読めるはずもないのに食い入るように見つめていた。
それを受け両親と担当医の下した決断は、「旧支配者、外なる神・ニャルラトホテプに酷似している」という物、娘自身はそれが事実であるという妙な確信を持っていた、更に、いきなり、個性を暴走させ自身も知らぬ間に絵本の中のお姫様になっていたり日曜朝に変身したりするようなことが無くなり医者の判断でも、ほぼ間違いく邪神サマである、と判明されてしまった、しかし両親は優しかった、強大で危険な個性を宿していても娘を、変わりなく愛していた、しかし問題はあった。
それは、親戚と娘の友人たちである、生まれ持ってきた個性、そこに本人の意志など無いにも関わらず周囲にそんな事は関係ない、異型系を超える怪力と発動系のような擬態、強すぎる個性により、家族は親戚と疎遠になり、彼女は小学生の頃は仲間はずれにされ、中学に上がったときには、ニャルラトホテプや、クトゥルフ神話がどういった物かを知った彼ら彼女らは、彼女を危険視し、軽いイジメへと発展してしまう、と言っても、個性とはいえ、彼女の中にいるのは邪神サマであったため、いくら体格の良い男でも、いくら強力な個性を持っていようとも本能的な部分で直接的な攻撃や直接的な嫌がらせは避けてしまう、危害を加えようとするものは皆、何もしていない彼女の個性を恐れることとなるのだ、これにより、彼女と相対した血気盛んな者達がヒーロー科への進学を諦めるほどの恐怖を味わう事となり、更に陰口が加速するのだった。
しかし彼女は腐らなかった、そして彼女は決意した、自身の個性から来る負のイメージを払拭するべく、ヒーローになると。
「雄英高校、相変わらずでか過ぎませんかね」
そう呟いた彼女の前には、此処は本当に日本なのか?というほどに巨大な校舎、此処は国立雄英高等学校、地元にこんな馬鹿げた大きさの物が建てられるだけの土地をどうやって用意したのかと、どうでもいい事を考えながら緊張を紛らわせている、絹糸のような銀髪の髪をたなびかせる少女がその巨大すぎる校舎に向かっていく同士、受験生たちの背を見ている。
今日は雄英高校の受験当日、少女、神無月 星海(かんなずき そら)は他の受験生に比べて余裕がある。
「おい、デクゥ、どけよ、俺の前に立つなよ」
「か、かっちゃん、ごめん」
ああ、これはまた、絵に書いたようなイジメっ子とイジメられっ子ですね、押し退けてるじゃないですか、もう殆ど暴力ですよね、ああいうの見るとチョット、イラッとするんですよね、私はあそこまでの事はされなかったにしても、ああいう下手に出ている相手には何でもやっていいと思ってるんですかね、そのくせ少し睨んだだけで謝って来るんですよね、何なんですかねアイツラ、何か嫌な物見ちゃいましたね、早く会場行っちゃいますかね。
『受験生のリスナー!!!、今日は俺のライブへようこそ!!!!エヴィバデイセイヘイ!』
シーン
『リスナーの皆にはこれから10分間の模擬市街地演習を行ってもらうぜ!』
シーーン
『これから皆には指定された演習場に移動してもらうぜ!』
シーーーン
いやぁ、誰も返事しませんね、まあ皆ガッチガチに緊張してるから当たり前といえば当たり前なんですけどね、ていうか、プレゼントマイク心臓に毛でも生えてるんですかね。
まあ、そんな事より説明も筆記試験もサクッと飛ばして、面白いところだけ、文章にしましょうかね、え?メタい?ナンノコトカナーワカンナイナー。
さあやって参りました、演習会場!
先ほど説明された通り、これから訓練用のロボットと戦うわけですが、どうしたもんかと悩んでおります、何処で変身したもんですかね、あまり人に見られたくないんですよね、大分、命を冒涜するような変身の仕方をするもんですから、なれてる両親以外は、体の一部の変身中を見ただけで吐き気、グロ耐性の無い人だと恐慌状態に陥る可能性すらある、全身だと両親も耐えられないのだからなおさらだ、これだと、私を見た人を妨害したとみなされる可能性がある、こんな事で失格にされては堪った物じゃない、どうしたものか。
こういう遮蔽物の多い市街地戦は、森の中のエルフのように隠れながら高所を取り続け、アウトレンジで戦う戦法がよく刺さるだろう、とりわけ今回は、空を飛ぶ敵ロボットは居ないだろうし空を飛べるとなお良い、例えば、天狗なんかが良いかな、空を飛べて、影薄そうで、能力が風をあらつる程度、これならトップ狙える、でも団扇か何かが欲しい、私が持ち込んだ物といえば、数年前家の、倉庫から掘り出した、バール一本、これでは天狗も厳しいだろう、仕方ない、私の無駄に有り余ってる、身体能力でパルクールでもしながら、宇宙CQCで殲滅ですかね補助として、羽根でも生やしておけば何とでも成るでしょう、まずはスタートしたら他の方々を見送って、皆さんの背後で羽根を生やしましょう、これなら妨害には成らないでしょう、後ろに先生が控えてますが、まあ、全身変えるわけでも無いし、プロの方ですから猟奇殺人なんかで、見慣れてるでしょうから、問題ないですね、あとはその場の判断で、最善を、いい感じに、まあ、なんとか成るでしょう。
『ハイ!スタート!!』
お、始まりましたね、では皆さんいってらっしゃ~い
「「「え???」」」
『ホラホラ!何ボサッとしてるの!実践に合図は無いのよ!!』
そう言われた一同は演習に走り出した
「あら、貴女は行かなくて良いのかしら」
おや、話しかけられちゃいましたね、これ、やる気が見えないとかで減点とかされませんよね?
「いやー実はですね、私の個性って大分ビジュアルが良くないので、他の誰にも見られない此処で発動しようと思いましてね、出来れば先生もあまり見ないほうがよろしいですよ」
これなら、分かってくれないだろうか、SAN値を削って妨害扱いされたくなかったんだって。
「私のことは気にしなくて大丈夫だから、個性を使って早く試験を始めて」
「はい」
伝わった?かな?
まあ、良いでしょう、きっと、プロの方ですから、猟奇殺人ぐらい見たこと有るでしょうし大丈夫でしょう、ヤりますか、イメージするのは、巨大なコウモリの羽根、鷹なんかが格好良くて良いんですが、何分羽根がたくさんでイメージしづらいのでコウモリでいきましょう。
想像する、自身の背中に大きな羽根、コウモリの羽を生やした私を、ジャージの背中に羽根の為に穴を
グチャグチャと冒涜的な音を発しながら背中の肩甲骨のあたりがの皮膚がえぐれ、筋肉が蠢き出した、直後、ゴキゴキ、メキメキと、到底人体から発せられた音とは思えない音を立て、蠢く肉を貫き羽根を型どった骨が姿を表した、更にそれらを覆うように皮膚が伸び、黒く染まった羽根が出来上がった、その姿は悪魔を彷彿とさせ、近くに居た者を戦慄させた。
だいぶ怖がらせてしまったみたいですけど、私、気にしません!
そういえば少し前にデビューした巨大化の個性を持ったヒーローさんに握手してもらいましたし、鷹と触れ合ったことありますし、それでも良かったかもしれないですね。
じゃあイキますか、まず全体を確認するために有り余る脚力で高く飛び少し羽根を羽ばたかせ、ビルの上に乗ッてみたは良いが密集過ぎてよく見えないので壁走りで走りながら戦っていないロボットを「名状しがたくはないバールで間違いない」でサーチ・アンド・デストロイしていきますか。
特に問題なく、走り回りながらロボットを見つけては、ぶっ叩き、破壊する、そうしてもう少しで、100ポイントに届こうかという頃、やつが動き出した、そいつは今までどうやって隠れていたんだというほどの巨体に物言わせ、ビルをなぎ倒しながら逃げ惑う受験生たちを追い回している。
「いや~でかいですね、所狭しと動き回るってこういうことでしたか、試験としては無視しても問題ないでしょうけど、ヒーローとしては街をメチャクチャにする敵に対して逃げるだけでいいのか?ってとこを見るための装置ってとこですかね?まあ、私は立ち向かわなくともポイント的に問題ないでしょうし、皆さん逃げてますし、傍観ですかね」
逃げ惑う受験生たちの中逃げずに留まっている女子二人を発見した、これは受験生たちをを俯瞰で眺めていたからこそ気付けたことで、他の受験者達は自身のことで手一杯の中、瓦礫の下敷きとなった少女と救出しようとして腕力が足りていない少女を発見することができた。
「無策で助けに行った感じですかね、このままだと踏まれちゃいそうですよ、チョットこれは見過ごせませんね、助けに行きますか」
路地裏に入り、先程生やした羽根以外を全て作り変える、
足と手を特に筋肉質にし、他の部分も満遍なく、顔は、自身の物をより中性的にし、性別を男に変え、服装は、ジャージのまま、上の下着だけシャツに変更、個性を、オールマイトの物に変更、これは中1の頃余りにも友だちが出来なくて不貞腐れて夜で歩いていた時声を掛けられた、つまり補導された、その時に握手して貰い、変身可能とした。ちなみにこの時サインも貰った、人並みにはファンなのだ、そのオールマイトの正体不明な超パワーに指定、変身開始。
皮膚が爆ぜ、肉が蠢き、骨が暴れ、一度、肉塊になってから全てをグチャァグチャァと作り変える、ただ時間はかけられないのでできるだけ急ぐ、10秒後には銀髪の細身で筋肉質のコウモリの羽を持った青年に早変わり。
「急いで、彼女たちの元へ行きますか」
彼女たちとその奥にいる巨大ロボットに向けて走り出す、変身に時間がかかってしまったため急がなくでは、これは私の個性の数少ない弱点ですかね、変身のビジュアルが良く無いのは、煙幕でも焚けば良いでしょうけど、無駄にグチャグチャとやるものだから時間がかかってしまう、一分ならまだしも、一秒を争う現場であれば、間に合わなくなってしまうだろう、おっと、そんなとそんな事を考えて居られないほどにロボットに近づいていた、蛙の子と耳ジャックの子が驚いているのを尻目に、ニャルラトホテプの耐久力にたより両足に超パワーを込め加速し、ホップ・ステップ・ジャンプでロボットの胸元まで飛び、右腕に超パワーを込め殴り飛ばす、この時ちょっとカッコつけて技名を唱えちゃったりする。
「厚顔無恥ナル拳」
距離的に直接当たったわけでもないのに拳の風圧だけで装甲を貫き、吹き飛ばす、それなりに力を込めたためか、少し腕が痛むが、恐ろしい威力で飛んでいったのを見送る。巨大ロボが街を破壊しながら飛んでいってる、これは減点されませんよね、守るべき街を壊しっちゃってますけど、大丈夫ですよね?ていうか、この個性ヤバいですね、今の一撃で、ロボットを貫通した上で吹き飛ばし、後ろのビル群まで吹き飛ばしてようやく止まった、これは確かに練習して、本気で撃てば天気ぐらい変えられそうですね、これは適当に使えませんね。
『試験終了後!!!』
あ、100ポイント取れなかった、まあ、合格は出来るでしょうし、羽根で落下の勢いを殺して、下の子達を助けますかね。
「えーと、大丈夫ですか?」
「ええ、ありがとう、助かったわ」
「い、いえいえ、瓦礫退けちゃいましょう」
私よくよく考えたら、同い年の人と話すのって何年ぶりですかね、あれ、私ってヤバい?
お読み頂きありがとうございました。
気の向くままに書いたものですので、矛盾点などが有るでしょうが目を瞑って頂きたく思います。
本作は続くかどうかわかりませんが、気長に、記憶の隅っこにでも置いていただければ幸いです。
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第二話
私は今、スマホ片手に鏡の前で満面の浮かべている。
姿見に対して満面の笑みを向けている私を両親が不思議そうに、心配そうに見ているが気にしない。
何故私がこんな奇行に走ったかと言えば原因は昨日、雄英高校の合格通知がやってくる所まで遡る。
ある日、ポストを見に行ったお母さんが慌てた様子でリビングに走ってくる、この時点で何となく察しはついた、ココ暫く、ソワソワしているお母さんがこんなに慌てているのはきっと、雄英高校の試験結果が届いたからだろう。
「星海ちゃん!こ、これ!雄英から!」
「ようやく来たんだ、では早速」
「ちょっと!部屋で一人で見なくていいの!?」
「まあ、大丈夫でしょ」
印篭で蓋をされた異様に薄いくせに重量のある封筒の栓を開けて、出てきた円盤を机に置くと、仮想スクリーンが起動して動画が始まった。
『私が投影された!』
「おお、オールマイト!」
「星海ちゃん?!ほんとに良いの?!」
お母さんは心配性だなぁ
「大丈夫だって、合格してるから、たぶん」
あの最後の一撃がどう響くかで結構危うかったりするが、まあ、余計に心配させる必要はないだろう。
『何故私が居るかって?今年の春から雄英で教師をする事になったからさ!』
おお!それは楽しみですね!
『さて、神無月少女の試験結果だが、色々言いたい事はあるが、取り敢えず合格だ!』
いや~良かった、こちとらお母さんと見てるんだから落ちれませんよ、取り敢えず一安心ですね、でも言いたいことですか、いやー心当たりがあり過ぎますね!
『筆記試験は言うこと無しだ、しかし!問題は実技試験だ、まず、敵ポイント、92ポイント!全生徒の中で1番!しかし、ヒーローは敵を倒すだけが仕事じゃないだろう、人々を窮地から救い出すのも立派な仕事だ、つまり我々が見ていたのはレスキューポイントだ、神無月少女で言えば最後に巨大ロボットに立ち向かい、二人助けていたね、それにより50ポイント!合計142ポイント!主席で合格!,,,と言いたい所だが、神無月少女、最後の巨大ロボットを倒した一撃で、ビルをいくつ倒したと思う?15棟だよ、これが試験ではなかったら君の手で何人もの人の命を奪ってしまうことに成ったんだよ、良いかい、大きな力には、大きな責任が付いて回る、力を振るうときはもっと気をつけないといけないよ,,,まあ、お説教はこの辺にして結果だね、入試でこんなに大規模に破壊したのは君が初めてでね、教員全員が話し合った結果、ポイントの半数を減点し71ポイント!まあこれでも、問題なく合格だ、凄すぎるね、ホントに中学生?まあ兎に角、おめでとう!雄英高校で待ってるぜ!!』
一人で聞いときゃよかった、オールマイトにお説教されちゃいましたよ、お母さんのお説教は勘弁したいんですけど。
「ぅ、ぅぅう、ぅああん 星海ちゃーん!!」
あ、この感じ大丈夫そうですね。
そんな事があったのが、昨日のことである、話を戻して、私が何故、姿見に向かって満面の笑みを浮かべているかといえば、雄英高校への入学が決まったからだ、詩的に言えばヒーローへの第一歩、だからヒーローに必要であろう笑顔の練習である、これはプロに成った時に人気を出すための訓練、そう、これは訓練であって、高校もボッチのままで過ごしたく無いとかではけしてない、無いのだ!
ベッ別に友達なんていっ要らないんだから!,,,泣きそう。
とまあ、入学まで練習すれば友達の一人くらい私にも作れるはずだ、多分、きっと。
そういえば、友達の「達」という字は複数のことを指す字なので本来数えるものじゃないって、誰かが言ってた気がする、やる気が引っ込んだ、友達とかマジ無理、練習やめようかな。
ついにこの日が来てしまいました、登校初日です、やたらとデカイ教室のドアから威圧感を感じます、第一印象は大事らしいので、これを開けた時に今後友達が出来るかが決まる!,,,ってネットで見た、今こそあの日から毎日欠かさず続けてきた笑顔の練習の成果を発揮する時です!
さあ、開けます、いや、一回笑顔の確認を、えーと、口角を少し上げて、えーと、
「あなた、大丈夫かしら?」
「ひゃい!」
変な声出た、これは第一印象悪いのでは?
「あら、貴女身内に巨大ロボットを一撃で破壊できる人は居ないかしら?」
「えーと、試験のロボットなら私が壊しましたが」
この方、見たことあると思いましたがあの時、瓦礫の下の女の子を助け用としてた蛙の方ですね。
「貴女?確かに似ているけど、あの人は男の人よ」
筋肉量の関係で性別を変えたせいで信じて貰えてませんね、どう説明したものか、正直にニャルラトホテプ=デスって言うのは嫌だけど、嘘をつくのは気が引けます、どうしましょう。
「えーと、私の個性がですね、変身する個性でして」
「あらそうなの、まあ銀髪の人なんてそんなに居ないわよね、自己紹介がまだったわね、私は蛙吹梅雨、つゆちゃんって呼んで」
そう言って右手を差し出してきた、,,,あ!握手ですね!
「つゆちゃんですね、わかりました、私は神無月星海、神の無い月で、かんなずき、星の海と書いて、そら、ソラちゃんって呼んでください!」
私上手く話せましたかね、これで大丈夫ですよね?
「分かったわ、ソラちゃん、あの時は助かったわ、ありがとう」
「い、いえいえ」
お礼、言われちゃいました!それに私ソラちゃんって呼ばれちゃいました?!
「カッコ良かったわよ、それに、強力な個性なのね、羨ましいわ」
「イヤイヤ、良いことばかりじゃないですよ、あの時は、ビルを壊しちゃって、やり過ぎだってオールマイトにお説教されちゃいましたから」
「オールマイトのお説教って自慢かしら?」
「へ?いやいや、そんなつもりじゃありませんよ」
「ケロケロ、分かってるわよ」
あれ、私誂われてました?これって凄く友達っぽくないですか!?
「と、兎に角、教室入りましょう、ね!」
「あら、耳郎ちゃん、おはよう」
次郎ちゃんと呼ばれた方は、クールな男性のような印象だが、女の子の制服を着ている、名前は完全に男でしたよね、えーと女装、でもちゃん付けで呼ばれてますしあ、でも女装ならそれで正解?顔は中性的で判別できないし、声ぐらいでしか判別できないのでは?、でも次郎ですもんね、女装男子の線が濃厚ですかね?
「うん?ああ、つゆちゃんか、隣の銀髪さんは?」
おーと、これは余計解らなくなって参りました、声は高めの男性と低い女性どっちでも行ける声してます、どっちかサッパリ分からわなくなってきました。
「この子はソラちゃん、試験の時に助けてくれた人よ、変身の個性を持ってるらしいわ」
「ああ、あの時の、確かに似てるな、私は耳郎響香よろしくね」
ゑ!次郎は名前じゃないの?!「きょうか」、これは間違いなく女の子ですよ、取り敢えず謝っときますか?ていうかよく見たらこの子、あの時のイヤホンジャックの子でしたか。
それにこの方もすごく自然に握手求めてきましたよ、これが、今後のコミュニケーションを円滑に進めるためのテクニックなんですかね?私も覚えときましょう。
「えっと、ごめんなさいでした」
「へ?」
これは、本人に言わないほうが、平和に終わるのでは?
「い、いえ、私、神無月星海です、じろうさんってどんな字を書くんですか?」
「えっと、耳に、一郎とか、三郎とかの郎で耳郎だよ、ああでも、出来れば響香って呼んで欲しいかな、耳郎だとほら、男っぽいでしょ」
気にしてらっしゃる、はじめ男性だと思ったなんて言えない。
「は、はい、響香ちゃんですね、良いですね、そのほうがお友達っぽいです!私のことも星海って呼んでください!」
あれ、なんでテンション上がってるのは私だけなんですかね、それに、なんでそんな微妙な顔してるんですか?
私が完全に失敗したみたいだけど、何がいけなかったのか、分かり倦ねてると
『お友達ごっこがしたいなら他所でやれ,,,,,此処はヒーロー科だぞ』
途中でゼリー飲料を飲み干すというよくわからない登場したが、私からしたらそれより、友達ごっこと言われたのが気に食わない、お?喧嘩売ってんのか???
耳郎ファンの人には申し訳ないが初見では完全に男だと思ってた。
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第三話
『お友達ごっこがしたいなら他所でやれ....此処はヒーロー科だぞ』
寝袋から這い出し、途中でゼリー飲料を飲み干すというよくわからない登場したが、私からしたらそれより、友達ごっこと言われたのが気に食わない、お?喧嘩売ってんのか???
個性が発現してからというもの、全く友達の出来ない私にとって今の会話がどれだけ貴重か、貴方には分からんでしょうね。
まあ、いきなり此処で声を上げる程の度胸は無いのですがね。
「はい、皆さんが静に成るまで8秒掛かりました、時間は有限、合理性に欠けるね」
その数秒に拘るのなら、もう少し食事や睡眠何かにも拘ったほうが色々効率的に事が運ぶのでは?
まあ此処で声を上げられるほどの度胸もコミュ力もないので黙ってますが。
「俺は担任の相澤消太だ、早速だがお前たちには体操着に着替えて、グランドに集合だ」
そう言って、寝袋から取り出した青に白のラインの体操着を取り出した、えーと、確かこの学校、グラウンドいくつかあるし、更衣室の場所知らないしでどうしたら良いのか分からんのですが?
「それじゃ、急げよ」
行ってしまった...どうしましょう
「じゃあ、更衣室、行きましょうか」
「知ってるんですか?つゆちゃん」
「届いた資料の中に校内地図が入ってたでしょ」
「響香ちゃんまで」
そういえば有りましたけど、しっかり見てませんでしたね、でも確か持ってきたかも
「三人ともちょっとエエかな?ウチも連れてって!」
幼い雰囲気を残す声の女の子が話しかけてきた。
これは!私が鏡に向かって練習した笑顔と自己紹介を試す絶好の機会なのでは?つゆちゃんと響香ちゃんにはしっかり出来ましたし問題ないはずです!そうです!私はやればできる子なんです!
「は、はじめまして!神無月星海と申します!よろしくお願いしましゅ!」
やらかした、噛んだ、かみまみた
「えと、ウチ麗日お茶子よろしくね!」
はっ!こんなところで躓いていては、人気者なヒーローなんて夢のまた夢、最初は失敗しましたがまだです、さっき二人がしたように私からも握手を求めるのです!友達初心者の私にはよく分かりませんがきっと重要な事の筈なのです、なるべく自然に、右手、あれ?左?と言うかなにか違うんですかね?分からん、もうどっちでも良いですかね、なるべく自然に、当然のように差し出す、これがベストな筈です!
「...?」
不思議そうな顔されちゃいましたよ、また私何かやっちゃいました?
やって参りましたグラウンド、この学校広すぎますね、あのあと、お茶子さんが察してくれて、握手はしてもらいました、初めてにしてはよくやったって事でいいですかね?良いですよね。
「全員揃ったな、じゃあ今からお前らにやって貰うのは、個性把握テストだ」
「「個性把握テスト?」」
誰からともなく疑問の声が上がった
「入学式は?ガイダンスは?」
この人に意見するとかお茶子ちゃん肝が据わってますね、私ったら小心者ですからこういう時声が出ないんですよね。
「ヒーローに成るならそんなの出てる暇ないよ、雄英は自由な校風が売りの高校、それは教師側もまた然り」
正気か?それでは教師の一存で、生徒の進級やら留年どころか、強制退学、何なら飛び級すらも出来てしまう可能性がある、此処、国立高校ですよね?
「お前たちもやっただろう、個性禁止の体力テスト、今の超人社会において、個性禁止では大した意味がないがな、実技トップ成績は...まじかよ、俺のクラスに纏めやがったか」
これ完全に私のこと言ってますね、異例の減点者って言ってましたしね、なんか、ご迷惑をお掛けします?
「あー、爆豪、中学の時のボール投げの記録何メートルだった?」
「67m」
え、あの野蛮そうで乱暴そうで、凶悪な顔した人がトップ?まあ、たしかに強そうですが、でも、レスキューポイントがっけこう大きな配点のテストであの人がトップ?何体倒したんですかね?あれ?私も人のこと言えない?
そんな事を考えていると爆豪さんが、配置についてウォーミングアップを始めている。
「ホントに何してもいいんすか?」
「円から出なければ何してくれても構わない、とっととしろ」
「ほんじゃまぁ、死ね!!」
死ね?やっぱあの人やばい人だ近寄らんとこ。
「700m超えって、マジかよ」
「個性思い切り使えるのか!」
「なにこれ!面白そう!」
「流石ヒーロー科!」
誰からともなく、爆豪さんの記録や、ヒーロー科への歓声が上がった
「面白そう、か、ヒーローになるための三年間、そんな腹づもりで居るつもりか?」
普通であれば、初めはこれくらいから始めるものだろうに、と言うかそのためにガイダンスって物があるのですが、此処はホントに自由が売りなんですね...卒業出来るかな?
「よし、総合成績最下位の者は除籍処分とする」
お、早速出ましたね、自由な校風、しかもこれ本気ですね、私のこの道十年の熟練した人間観察眼を舐めてもらっちゃ困りますよ、この人の目、声のトーン、完全に本気ですね。
「最下位除籍?そんな!初日から、いや、初日じゃなくても理不尽すぎます!」
やっぱり、お茶子ちゃんの肝の座り方半端じゃないですね。
「自然災害、大事故、身勝手に暴れる敵達、日本は理不尽にまみれている、そんな物を跳ね除けるヒーローに成ろうって言うんだ、放課後マックで談笑するような高校生活を考えていたなら諦めろ、これから三年間、雄英はお前たちに苦難を与え続ける、Plus Ultra、全力で乗り越えてこい」
測定が始まってそうそう私は今困っています、なぜかって?それは今の体操服が半袖半ズボンだからです、これが結構困ったことを招いてまして、というのも、私の個性における、唯一と言っていい欠点が、変身の際の見た目、音ともにグロ耐性のない人が見れば即リバースな演出のせいだ、コレのせいで個性を大ぴらに使うことが出来ないため、素の身体能力でしか測定できていない、とはいえ、上位に食い込んで入る、居るのだが、先程から凄く、相澤先生が怖い、すごい睨まれてる、手を抜いてるって思われてるのだろうか、個性の工夫が足りないって思われてるのだろうか、最悪、最下位ではなく私が除籍なんて可能性も、流石にそれは避けたい、でも皆の前で変身すれば、せっかく友達が出来そうなのに、小中に逆戻りだ、何とかしなくては...
ボール投げ
そろそろなにか、個性を使わなくては、50m走や、握力、力立ち幅跳びなんかも結局、個性の変身無しで来ている、あとボール投げと持久走と長座体前屈、これもう使えそうな所はボール投げ、此処しか無い、そんな事を考えている時、お茶子ちゃんが無限という大記録を打ち立てた、どうしましょう。
「ソラちゃん?どうかしたの、あんなに大記録を出したのに浮かない顔して」
「つゆちゃん、私まだ個性の半分を使えてないんですよ、このまま行っても最下位は無くても、見込みなしと判断されたら、どうなるか」
「ソラちゃん、つゆちゃん、見ててくれた!」
お茶子ちゃん帰ってきましたね、どんな個性かぐらい聞いときますか。
「お疲れさまです、すごい記録ですね、どんな個性なんですか?」
「手で触れたものに掛かる引力を無くす個性だよ!」
あっさり答えてくれましたね、手で、ですか、掌だけなら隠せる、でもこれから変身は確実に必要でしょうし、全身を隠す方法も考えとく必要ありそうですね。
そんなこんなで私の番、円の中に入って、両掌を合わせ、そこだ変身を開始する、必要なのはボールを投げる右手に丈夫な皮膚、個性は出鱈目な謎パワーを扱えるオールマイトのもの、掌だけなら問題ないだろう、それに、天候なんて変える必要はない、遠くにある雲を蹴散らすぐらいの感覚でやればいい。
掌の革が爆ぜ、質量保存も何のそので再構成、明らかに、固く、分厚い皮膚ができた、これで、掌は耐えられる、あとは、肩を回して準備運動、普通に投げては活かしきれない、だから、投げる構えを取り、腰を捻って、斜め上45°程度を狙って、掌で、ボールを押し出すようにして飛ばす、狙いは遠くに見える雲!
「おらあ!」
ちょっと掛け声は気の抜ける感じだったが、よく飛んだようだ、証拠に雲が散っていった。
「記録3m」
相澤先生が告げる、え、だってあそこの雲が居なくなりましたよ、3m?嘘でしょ?kmじゃなくて?
不思議に思い、三メートル付近を見れば、ボールだった物が力なく横たわっていた。
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