ファンキルコメディ集 (荒ぶる異族)
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キル姫フォートナイト!

フェイルノートがアルマス、ティファレト、カシウスを率いて、雑賀チームとサバゲーをする話です。

建築や復活などはないですが、基本はフォートナイト要素を含んでいます。




 

雑賀「カチ、カチカチッ」

 

オティヌス「雑賀、パソコンとにらめっこして何をしてるんだい?」

 

雑賀「フォートナイトっすよ。ざっくりと説明するとサバゲーっす」

 

オティヌス「サバゲーかぁ…、戦争好きの君には堪らないだろうけど……。本当に血生臭いのが好きなんだね」

 

雑賀「アハハ、ネットで戦争の真似事をしてもウチは到底満足できないっす。リアルでサバゲーがしたいんすけど、オティヌスの力でどうにかできないすか?」

 

オティヌス「できるよ」

 

雑賀「そっすよねー…。流石のオティヌスでも……」

 

雑賀「……」

 

オティヌス「……どしたの?」

 

雑賀「オティヌス、もう一度答えてほしいす。リアルで戦争ができるんすか……?」

 

オティヌス「さり気なくサバゲーから戦争にランクアップさせないでくれるかな?……まぁ、リアルでの真似事でいいなら、できなくはないよ」

 

雑賀「ほ、ほんとっすか?トマトジュースを飲んで自分を落ち着ける日々からウチは解放されていいんすか!?」

注)雑賀は血生臭いの大好き。でもトマトジュースで我慢してます。

 

オティヌス「拗らせてるなぁ…。ま、安心してよ!神器が実装されてる今の私にできないショーはないよ」

 

雑賀「それなら…!」

 

オティヌス「でもさ、雑賀。君の相手をしてくれる人なんているの?軍師として恐れられてる君に戦をするヤツなんて居ないと思うけど」

 

雑賀「その点は心配ないっすよ。ウチなんか目じゃないとびっきりの策士がこの国の頂点にはいるじゃないすか」

 

オティヌス「……え、本気?」

 

雑賀「ジャイアントキリング。実力主義の皇帝の好きな言葉っす。……ウチはウチの流儀で戦争を楽しませて貰いますよ」

 

雑賀「下剋上といきますか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雑賀「そういうワケで皇帝達には今からウチらと戦争をして貰うっす」

 

カシウス「……」

 

ティファレト「……あの」

 

アルマス「いや、なんでよ!」

 

アルマス、ティファレト、カシウスはフェイルノートからケイオスリオンへの招集を受けていた。

 

雑賀「何か問題がありました?」

 

アルマス「問題ない要素がどこにも見つからないわ。どういう経緯でこんなことに……」

 

フェイルノート「雑賀からの戦の申し出を受けた。それだけよ」

 

アルマス「戦なら二人でやってなさいよ」

 

雑賀「そんなつれないことを言わないでほしいすね。戦争はタイマンと全然別物。軍と軍がぶつかって、その末に流れる血の匂いが堪らないんすけど、分かって貰えませんかね?」

 

ティファレト「分かりたくありません」

 

雑賀「残念っす。でもまぁ安心してください。ウチらがやるのは本物の戦争じゃなくてあくまでもゲーム。戦争ごっこっす」

 

アルマス「え、ゲーム?それって、一体……?」

 

雑賀「そんなの決まってますよ」

 

不敵な笑みを浮かべる雑賀に、アルマスはごくりと唾を呑む。

 

雑賀「フォートナイトっす!!」

 

一同「…………」

 

静寂。

 

全員お互いの様子を伺った後、信じられないものを見るかのような視線を雑賀に向けた。

 

雑賀「……フォートナイト。知らないすか?」

 

フェイルノート「そんな遊戯は見たことも聞いたこともないわ。雑賀、さっさとルールを説明しなさい」

 

雑賀「あっ…、そうっすか…。ルールの方はゲームの用意をしてくれるオティヌスから聞いてください」

 

ショボンと肩を落とした雑賀の隣に、ドロン!と煙と共にオティヌスが登場した。

 

アルマス「わ!……ビックリした」

 

オティヌス「やっほー!それじゃフォートナイトのルールを簡単に説明するね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フォートナイトとは。

 

・無人島に投げ出されての過酷なサバイバルゲーム。

 

・無人島には銃器等のアイテムが隠されている。

 

・アイテムを駆使して相手パーティーを殲滅しよう!

 

オティヌス「ルールはこんな感じかな。ストームとか救援とか色々あるけど、それは今回は無しでいいんだよね?」

 

雑賀「ええ、ルールは公平を期すためにシンプルに。……っと、そうそう。少しだけルールを追加させてほしいっす」

 

雑賀「銃器以外の攻撃は禁止、それとかすり傷でも負わされた時点でその人はリタイアってことにしましょう。皇帝達に自前の力を使われたら、ひとたまりもないっすから」

 

フェイルノート「なるほど。相応のハンデね」

 

雑賀「皇帝達、質問の方は?」

 

アルマス「質問も何も…、私は殺し合いに参加するつもりなんてないし、そもそもさせない。雑賀、私はアナタを止め…」

 

雑賀「ちょっとタンマ!それは誤解っす。今からするのはあくまでもゲーム。オティヌスが見せる幻覚の中でのごっこ遊びなんで、現実には傷一つつかないので安心してください」

 

アルマス「まぁ、それなら…」

 

ティファレト「……雑賀のパーティーメンバーは?」

 

雑賀「秘密っす」

 

アルマス「いや、教えなさいよ」

 

雑賀「ダメっすよ。皇帝のパーティーメンバーに口を出さない代わりに、ウチのパーティーメンバーの秘匿とゲー厶のルールを決めさせて貰うようになってたんで」

 

アルマス「……フェイルノート」

 

フェイルノート「何かしら?言っておくけど文句なら受け付けないわよ」

 

アルマス「いや、文句じゃなくて…、私達を頼ってくれたってことでいいのよね?」

 

アルマスの言葉にフェイルノートは目を丸くし硬直する。

 

その後フェイルノートは額に手をあてて、大きく溜息をついた。

 

フェイルノート「……ふん。使えるだけの力を持っているから利用するだけよ。今後は分かりきったことを言わせないことね」

 

雑賀「頬が若干赤くなってる…。ツンデレっすね」

 

オティヌス「ツンデレだね」

 

フェイルノート「何か言ったかしら?」

 

雑賀「アハハ、何でもないっす。質問は他にないってことでいいですかね?」

 

アルマス達は皆コクリと頷いた。

 

オティヌス「準備はオーケーかな?私の合図でゲームを開始するからね」

 

雑賀「それじゃ戦争を始めましょうか」

 

フェイルノート「たまには私の威光を見せないとね。オティヌス」

 

オティヌス「よしきた!イッツ、ショータイム!」

 

オティヌスの指がパチンと鳴らされた瞬間、その場にいる全員の意識が暗転した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー1、2、3、ハイ!

 

アルマス「ん……、ここは…」

 

再びパチンと指を鳴らす音をがしてアルマスの目が覚める。

 

アルマスの視界に広がるのはサバイバルゲームで良く見るような廃墟でも無人島でもなく……、

 

アルマス「………なんでケイオスリオン!?」

 

……外に出ただけだし、無人島じゃないし、とボヤくアルマス。

 

ーーーごめんごめん。無人島ってリクエスト受けてたんだけど、行ったことないしイマイチ分かんなくてさ。自分のよく知る場所の方が幻覚を見せるのも簡単だし。

 

アルマス「オティヌス?なんか声が頭に直接響いてくる……」

 

ーーー味方がリタイアした時やゲームセットのアナウンスはこんな感じで私がするから。まずは味方と合流することをオススメするよ。それじゃ!

 

アルマス「あっ、ちょっと!オティヌス!」

 

アルマス「……オティヌスさん」

 

アルマス「…………………聞こえてないの?」

 

アルマス「……オティヌスノバーカ」

 

ーーーうるさいよ!?

 

アルマス「聞こえてるじゃない。皆の場所を教えて欲しいんだけど」

 

ーーーえ、察して欲しいんだけどなぁ…。視界の端にレーダーを映してるでしょ。

 

アルマス「あ、ホントだ。……便利だけど、邪魔くさいわね」

 

ーーーまぁ、そこは我慢して貰うしかないね。もう…、片側にあんまり肩入れしたくないから、あんまり話しかけないでよ?

 

アルマス「ん、ごめん。オティヌス、ありがとね」

 

ーーーはいはい、じゃーね!

 

アルマス「さてと、どうしようかしら……。レーダーを見る限り、カシウスとティファレトはフェイルノートの所に向かってる。……うん。一番賢いし、地の利があるフェイルノートと合流すべきよね」

 

フェイルノートのいる方角へ視線を向けると、銃や弾薬がそこかしこに地面へ散らばっていた。

 

アルマス「なんかシュールね。っと、銃持たないと」

 

アルマス「…………うーん。色々あるけど、かさばるし拳銃でいっか。ん?」

 

拳銃を拾おうとして屈んだアルマスの足首を、地面から出てきた骨の手がガシっと掴んだ。

 

骸骨「ハロー」

 

アルマス「………」

 

もう一度周りを見渡すと、そこら中の地面から次々と骸骨が這い出てきた。

 

アルマス「ちょ……!せいっ!」

 

足首を掴まれた骸骨の手を切伏せると、骸骨達が一斉にグリンとアルマスの方を向いた。

 

骸骨達「があああぁァァァ!」

 

アルマス「うわあぁぁぁ!!」

 

骸骨の総勢がアルマス目掛けて一直線に駆け出した。

 

アルマスも脱兎の如く駆け出した。

 

アルマス「ちょっとちょっと!サバイバルゲームじゃなかったの!?これだとホラーゲームじゃない!」パンパンパン!

 

アルマス「のわっ!あっぶない!」

 

轟いた銃声に対し、咄嗟に身を屈めたアルマス。

 

アルマスが後ろを向くと、骸骨達が銃を拾ってこちらに向けてるのが見えた。

 

アルマス「ちょっとオティヌス!これ、どうなってるの!?」

 

骸骨達「ナンダナンダ?」

 

アルマス「………」

 

アルマス「返事しなさいよ!」

 

骸骨達「ワァー」パンパンパンパンパンパン

 

アルマス「あぁもぉ!こんなの逃げるしか…、うわっ!」

 

アルマス「か、囲まれた……。もう、逃げ場が……、ッ!?」

 

次の瞬間、銃声が一帯に鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雑賀「今頃、皆どうしてますかね……。初動の作戦で皇帝達の合流を阻止できれば上々、皇帝さえ討取ってしまえばほぼ勝ちみたいなモンすけど…」

 

骸骨「ヤッホー」

 

「待たせたみたいだね」

 

雑賀「おっ、ウチの方はもう合流ですか。それじゃ本腰入れて攻めますかね…」

 

雑賀「それじゃ作戦通りに。宜しくお願いしますよ、御三方」

 

雑賀の指示にグリダヴォル、セファー、ブリューナクの3名は頷きを返した。

 

雑賀「まずは武器を揃えますか。戦いは数っす。掘り出し物を見つけて順次展開していきましょう」

 

グリダヴォル「そこまでする必要があるのかい?皇帝とティファレトはともかく、カシウスとアルマスなんて数に入らないも同然だと思うけど」

 

セファー「私の本にも、二人は銃の扱いが素人だと書いてあるわ」

 

雑賀「すごいっすねー。セファーのその……、過去・現在・未来におけるあらゆる知識を書き記した本、でしたっけ?確かに二人は数合わせかもしれないっすけど……」

 

雑賀「それでもやっぱり皇帝を侮っちゃいけませんよ。対等の条件だと、ウチなんかじゃ到底あの人を出し抜くことなんてできないっす」

 

雑賀「だから、駒の強さやこのルールにしたアドバンテージを捨てる訳にはいきません。皇帝の凄さはケイオスリオンにいるウチ達が一番知ってるでしょう?」

 

グリダヴォル「……それもそうか」

 

セファー「であれば、私も全力を尽くしましょう」

 

雑賀「ええ、ウチらはチャレンジャーですよ」

 

ブリューナク「フッ…、下剋上か。ロマンだな」

 

雑賀「グリダヴォルは引き続き骸骨達に皇帝、ティファレトの分断と足止めの指示を。ブリューナクは掘り出し物をどんどん見つけていってください」

 

セファー「私は?」

 

雑賀「セファーは、カシウスかアルマスが孤立したらそっちを追ってほしいっす。ダンタリオンの力で思考を読み取って相手の策をこちらに教えてください」

 

雑賀「さぁて、仕掛けていきますか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルマス「……死ぬかと思った」

 

骸骨達に囲まれ一斉射撃を受けたアルマスは、上空に飛んで逃げ延びていた。

 

アルマス「これだけ高度を上げておけば大丈夫でしょ。皆の位置は……、カシウスとフェイルノートはもう合流してる。ティファレトが孤立してるけど……」

 

アルマス「まずはフェイルノートね」

 

十分後、岩陰に身を潜めるフェイルノートの元へと、アルマスは降下した。

 

アルマス「二人とも無事……ってカシウスは?」

 

フェイルノート「カシウスとはつい先程別行動をとったわ。ティファレトの方は雑賀の策で足止めされてるわね」

 

アルマス「あ、それたら多分…」

 

骸骨達が、とアルマスが言いかけた所で、フェイルノートが続く言葉を遮る。

 

フェイルノート「分かってる。アルマス、時間がないから端的に言うわ。お前はーーー……、」

 

ドオン!と耳をつんざく爆音が響いた。

 

アルマス「うわ、何!?」

 

フェイルノート「始まったみたいね」

 

岩陰の向こうには、車を爆走させながらこちらにロケットランチャーを構える骸骨達の姿があった。

 

アルマス「いや、いやいやいや!色々とダメでしょそれは!?」

 

フェイルノート「こっちに割かれた骸骨の数が思ったより少ないわね。雑賀はよっぽどティファレトを警戒してると見えるわ」

 

アルマス「ちょっと!感心してる場合じゃないから!絶対にアレ無免許運転よ!」

 

フェイルノート「騒がないで。それよりもアルマス、お前は私がさっきした指示を全うしなさい」

 

アルマス「けど、フェイルノートは…!」

 

フェイルノート「平気よ、私達の勝利は既に確定してるわ。だから早く行きなさい」

 

アルマス「……分かったわ」

 

ティファレトの元へと飛んだアルマスを見送り、フェイルノートは確認事項を述べた。

 

フェイルノート「オティヌス。このゲームで禁止されているのは、銃器以外によるプレイヤーへの攻撃で間違いないわね?」

 

ーーーうん。プレイヤー以外に対する攻撃に制限はないよ。

ただ、プレイヤーを銃器以外で攻撃してしまった時点でリタイアになるからね。

 

フェイルノート「ルールに反撃の糸口を残すなんて甘いわね、雑賀。存分に利用させて貰うわよ」

 

フェイルノートが骸に向けて手をかざす。

 

どこからともなく顕現された矢がゴッ!!と骸骨達を貫き、車を爆散させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雑賀「当然皇帝なら、このルールの穴に気付いてるっすよね」

 

ドオン…、と遠くの爆発音を雑賀の耳が捉える。

 

雑賀「でも、ウチがその穴を看破される前提で策を立ててることには気付けなかったみたいっすね。戦闘音で居場所が丸分かりっと」

 

次々と凪払われていく骸骨の先に人影はない。

 

雑賀「上手く身を隠しながら闘っているところを見るに、ここに居るのは皇帝で間違いなさそうっすね」

 

雑賀「本命のアタリはつけました。ブリューナク、B.R.U.T.Eの方は?」

 

ブリューナク「既に6機集めた」

 

雑賀「その財宝を察知する能力、トレジャーハンターが泣いて羨みそうっすね。王さえとってしまえば後は掃討戦、出し惜しみはなしっす」

 

ブリューナク「了解した。全機出撃させよう」

 

雑賀「その前に、ちょいと小細工を弄しておきましょうかね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フェイルノート「……キリがないわね」

 

向かってくる骸骨を砕いても、暫くするとバラバラに砕いた骨がカタカタと動き出し、すぐに復活してしまう。

 

フェイルノート「それでも数を間引かないと囲まれて袋叩き。骸骨で各々を足止めして各個撃破に持ち込むといった筋書きかしら。……やるわね、雑賀」

 

フェイルノート「!!。アレは……!」

 

フェイルノートが部下の有能さに感心していると、無骨な巨躯が上空からドズンと次々に降ってきた。

 

フェイルノート「仕掛けてきたわね…!」

 

フォートナイトを知らないフェイルノートの知る由もないが、地上へ降り立った6機の巨大なソレはB.R.U.T.Eと呼ばれる対人制圧用のロボットだった。

 

B.R.U.T.Eが一斉に骸骨達が目指す方、フェイルノートが身を隠す岩陰にミサイルを一斉射した。

 

フェイルノート「ちっ…、きゃあ!」

 

フェイルノートは一瞬で複数の矢を放ちミサイルを迎撃するが、爆風で身体が吹き飛んでしまう。

 

フェイルノート「この…!くっ…!」

 

B.R.U.T.Eを跡形もなく吹き飛ばそうとしたフェイルノートの手がピタリと止まる。

 

フェイルノート「本当にやってくれるわ…!」

 

フェイルノートは身を翻し、再び岩陰に隠れながらB.R.U.T.Eから逃げ惑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フェイルノートとB.R.U.T.Eの戦闘を遠くから眺めている雑賀が不敵に笑った。

 

雑賀「そうっすよねー。皇帝なら気づきますよね。このルールのキモに」

 

ブリューナク「……どういうことだ?」

 

雑賀「ウチが決めたルールは銃器以外によるプレイヤーへの攻撃の禁止、それを破ったら反則負けになるんす」

 

雑賀「B.R.U.T.Eは強力ですけど、皇帝なら倒せないシロモノじゃない。それなのに反撃できないのは何故か?それは…」

 

ブリューナク「……そうか、さっきコックピットに細工をしていたのは」

 

雑賀「ええ、コックピットの中が見えないようにミラーフィルムを張っておきました。プレイヤーが乗っているかもしれないB.R.U.T.Eに皇帝は攻撃できない」

 

雑賀「重ねて言いますけど、B.R.U.T.Eは強力です。その辺に転がっている銃器で倒すことも、ましてや6機も相手取るなんて不可能っす」

 

ブリューナク「割り切って全滅させようものなら、B.R.U.T.Eに搭乗したグリダヴォルへの攻撃でリタイアか。策士だな」

 

雑賀「さ、フィナーレっす」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

骸骨とB.R.U.T.E達の銃撃に対し、フェイルノートは岩陰を盾にし、駆けながら内心で舌打ちする。

 

銃撃によるかすり傷でリタイアになる以上、一切の被弾が許されない。

 

対してB.R.U.T.Eは誘導ミサイルとショットガンを乱発し、骸骨達は逃げ場を無くす様にガトリングを斉射してくる。

 

フェイルノート「やっかいね。統率された軍隊並みに骸を制御する腕は流石グリダヴォルといったところかしら」

 

そう、やっかいなだけだ。

 

フェイルノートはこの程度の窮地を何度だって乗り越えてきた。

 

フェイルノート「正攻法でいかせて貰うわ……!」

 

銃を手に取り、フェイルノートが岩陰から飛び出す。

 

ミサイルとショットガンの猛威に晒されながらも、的確にコックピットを撃ち抜いた。

 

ひび割れた強化ガラスからは、骸骨の姿があった。

 

フェイルノート「分かってはいたけど、これで遠慮なく潰せる!ふっ!」

 

巨大な矢を召喚し、コックピットを晒したB.R.U.T.Eを刺し貫く。

 

フェイルノート「これで…!」

 

B.R.U.T.Eの攻略にフェイルノートは勝利を確信しながら、再び岩陰へと身を隠しーーー、

 

雑賀「流石皇帝、でもチェックメイトっす」

 

ブリューナク「ジャイアントキリング、いや雑賀風に言うなら下剋上か。いつの世も逆襲劇はロマンだ」

 

身を隠した先には、雑賀とブリューナクが銃を構えて待ち構えていた。

 

フェイルノート「……敵の前に姿を出すのは愚策よ」

 

雑賀が手を上げてB.R.U.T.Eと骸骨達を待機させる。

 

雑賀「そういう訳にもいかないんすよ。キル姫の身体能力だと、どれだけ銃撃に晒されても余裕で躱しきってしまう。こうして今まで皇帝が生き延びてられたように」

 

雑賀「でも、この距離でコイツは躱せないっすよね?」

 

雑賀達が構えているのは自分のキラーズに起因する銃。

 

彼我の距離は数十メートル。

 

雑賀「そこらに転がってる銃なんかより、ウチらの銃を使った方が遥かに強いし確実っす。ま、B.R.U.T.Eまで攻略されかけたのには焦りましたけど」

 

フェイルノート「……最初からこうするつもりだったわね」

 

雑賀「当たり前っすよ。相手をリタイアさせるには数の暴力に訴えるか、相手を捉えて被弾させるか」

 

ブリューナク「高性能な銃で確実に仕留めるか、だ」

 

フェイルノート「……それで、銃器による攻撃以外を禁止したのね。私達の攻撃手段を取り上げた上で、自分達が力を存分に使える環境を整えた」

 

雑賀「その通りっす。王さえ討ち取ってしまえば後は容易い。皇帝、その首頂きまーーー」

 

ーーーハイ、連絡事項!カシウスがリタイアだよ!

 

雑賀「おっとお仲間がリタイアしたみたいっすね」

 

フェイルノート「……カシウスはよくやってくれたわ」

 

雑賀「そっすね。ズブの素人の割には長く保った方っす。さしもの皇帝も、もはや風前の灯。ゲームオーバーっす」

 

フェイルノート「……」

 

フェイルノートの顔には、雑賀の想像していた表情が浮かんでいなかった。

 

雑賀の勝利宣言に対して、フェイルノートは不敵に微笑む。

 

フェイルノート「面白いことを言うわね。私が灯火?」

 

フェイルノート「いいわ。本物の輝きというモノを見せてあげる。明けの明星の輝き、その目に焼き付けるがいい!」

 

雑賀達が引き金を指にかけた瞬間、ズドォン!と凄まじい轟音と爆風に身体を煽られた。

 

雑賀「なっ!?ちょ、何が!?」

 

振り向くと、全てのB.R.U.T.Eと骸骨達が一掃されていた。

 

ーーーグリダヴォルがリタイアだよ!

 

雑賀「はい!?今の攻撃、皇帝の反則じゃないんすか!?」

 

フェイルノート「私じゃないわ。いるでしょう?私のチームにもリタイアを取られずに全力を出せるキル姫が」

 

雑賀「あ、あれは…!」

 

雑賀の視界に入ったのは、こちらに手をかざしているティファレトを抱えて飛ぶアルマスの姿。

 

アルマス「重いし疲れるんだけど!?」

 

ティファレト「ごめんなさい、アルマス。もう少しだけ頑張ってください…」

 

宙に浮かぶ6挺の銃が雑賀とブリューナクを捉えている。

 

B.R.U.T.Eの居た場所には、6つの巨大なクレーターができていた。

 

雑賀「どうしてティファレトがここに!?骸骨達にティファレトを足止めさせてた筈じゃ」

 

ブリューナク「アルマスにティファレトを回収させたのか…!」

 

フェイルノート「このルールの穴には気付いていたわ。この勝負、最初からティファレトが機能すれば勝てるのだから当然の選択でしょう?」

 

雑賀とブリューナクでは、ティファレトの圧倒的な力の前に当然敵わない。

 

雑賀も徹底してティファレトは足止めさせていたが…、

 

フェイルノート「カシウスがここではない遠くでリタイアしたということは、ここにもうお前の伏兵はいない。……アバリスの存在を警戒していたのだけど、どうやら思い過ごしだったみたいね」

 

雑賀「……それで、カシウスのリタイアを聞いてから動いたんすね」

 

アルマス「ねぇ!まだなの!?腕がつりそう!」プルプル

 

ティファレト「いいところなので我慢してください」

 

フェイルノート「王さえ討ち取ってしまえば後は容易い。その通りね。チェックメイトよ、雑賀」

 

雑賀「……それでも腑に落ちないっす」

 

そう、フェイルノートは最強のカード(ティファレト)が存分に力を振るえる場を、身を呈して整えた。

 

だが、フェイルノートがそこまで持ち堪えなければ、なし崩し的に雑賀の勝ちは確定していた筈なのだ。

 

雑賀「皇帝ならもっと手堅い方法を他にも思いついてた筈っす。何故、こんなハイリスクな手を…!」

 

フェイルノート「業腹だけど、私達が勝つ未来がこれしかなかったからよ」

 

雑賀「……はい?」

 

フェイルノート「私が考えついた他の手は全てお前に潰されていたわ。本当に優秀ね、お前は」

 

雑賀「何を、言って…」

 

こちらが用意した罠や対策をまるで経験済みだと言わんばかりのフェイルノートの様子が、雑賀には理解できなかった。

 

フェイルノート「私の取ろうとした策の未来(結果)をカシウスに見て貰った。それだけよ」

 

雑賀「……はは」

 

フェイルノートが取った策は、未来で成功が保証されていたもの。

 

故にハイリスクでも何でもなく、カシウスと合流していた時点でフェイルノートは最初から勝ちを確信していたのだ。

 

雑賀「……はぁぁ〜。やっぱり皇帝には敵わないっすね」

 

雑賀は仕方ないと言いたげに大きく溜息をつき、ともすれば清々しい表情で。

 

雑賀「降参っすよ。完敗っす」

 

雑賀の白旗にフェイルノートは勝利を収めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後

 

雑賀とフェイルノートは向き合って座り、チェスをしていた。

 

フェイルノート「珍しいわね、雑賀。お前の方から私を誘うなんて」

 

雑賀「前回の勝負で思い知りましたからね。自分の未熟さというか、甘さみたいなものを」

 

雑賀「ウチはあの手この手を尽くした訳ですけど、真っ向から潰されて参りました。でも、お陰でウチのやるべきことが見えてきたんすよ」

 

フェイルノート「ふぅん……?」

 

雑賀「搦手に頼った時点でウチは皇帝に策士としての負けを認めていたんすよ。今のウチの目標は、皇帝に少しでも近づくことっす」

 

笑顔で語る雑賀に、フェイルノートは少し頬を緩ませた。

 

フェイルノート「そう。私はお前の有用性をそれなりに認めているつもりよ。少なくとも将棋の腕はパラシュ以上ね」

 

雑賀「やだなぁ皇帝、当たり前じゃないっすか!」

 

フェイルノート「チェックメイト」

 

雑賀「うぇ!?」

 

…ほんと敵わないっす。と肩を落としてうなだれる雑賀に、フェイルノートは楽しそうに告げた。

 

フェイルノート「いつでも相手になるわ、また私を楽しませて」

 

雑賀「……はいっす!」

 

新たな目標を胸に、雑賀は鬱屈とした日常に別れを告げた。

 

 

 

fin

 

 

 

 

 

 






・その後

フェイルノート「そういえば、雑賀。何故アバリスを起用しなかったの?アバリスなら私達に気取られずにこめかみに銃を突きつけることができた筈よ」

雑賀「いやぁ、それが……、ウチも真っ先に考えたんすけど、そもそも見つからなくて…」

アバリス「あの、目の前にいます」

フェイルノート「……愚問だったわね。忘れなさい、雑賀」

アバリス「いえ、皇帝。ここに、ここに私はいます。いますよ?」


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ヒョウハの日常

※キャラ崩壊ありです。ご注意!




 

 

 

あたしにとってスイハは憧れだ。

 

狙いを外さない正確さも。

 

見る者を震わせるほど流麗なその佇まいも。

 

そして、仲間を守る為に得た新たな力も。

 

全部あたしには無いものだ。

 

あたしはあたしだ。アイツと自分を比べなくてもいいっていうのは分かってる。

 

あたしがヒョウハでアイツがスイハだからとか、そういうのは関係ないんだ。

 

上手く言えないけどさ、アイツはアイツだからすごいんだよ。

 

仮にあたしが同じ力を得たとしても、スイハの足元にも及ばない。

 

誰かの為に勇気を振り絞って一歩を踏み出して、誰かの為にと不屈の精神で立ち上がるスイハの姿は、私の思い描くヒーローそのものだ。

 

持ち上げすぎ?

 

そう言うなよ、ヒーローに憧れるのは仕方ないだろ?

 

「見てろよ、絶対にアンタを超えてやる!」

 

アイツがスイハだからじゃない、アイツがアイツだからこそ、あたしはアイツを目指して突っ走るんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・追いつく為に

 

スイハに追いつく為には、今までと同じ鍛え方じゃダメだ。

 

勿論今までしてきた事がムダだったと思ってる訳じゃない。

 

でも、アイツはあたしと同じかそれ以上の決意と覚悟で鍛錬に臨んでいる。

 

この差を一気にひっくり返すには何が必要なんだ?

 

スイハと私の力量を隔てているもの。

 

そっか、手っ取り早いのは…、

 

「なぁ、ラグナロク。あたしも擬装出来ないのかな?」

 

「ムリ」

 

ラグナロクはスタスタと去って行った。

 

「そうか。そうだよな。強くなるのに近道なんてない…。ラグナロク、ありがとな」

 

だから、ラグナロクが凄くイヤそうな顔をしたのは気のせいだ。

 

本編でスイハと敵対してたけど、今ここでそれを持ち出すなんて反則だろ?

 

二次創作でくらい許してくれよ。

 

ラグナロクに「ヤダ」と一蹴された気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・賢さは強さ

 

別のアプローチで鍛える必要がある。

 

がむしゃらに走って、筋トレして、矢を射るだけじゃダメなんだ。

 

「なぁミュルグレス、あたしが強くなる為に必要なものを教えてくれないか」

 

「なんでミュルがヒョウハにそこまでしなくちゃいけないの?どうしても知りたいなら、そうだなぁ…。街を10周走ったら教えてあげる」

 

「10周?100周じゃなくてか?」

 

「…………」

 

ミュルグレスが「この脳筋……」とでも言いたげな目で私を見てくる。

 

「ヒョウハはまず頭を鍛えるべきだよ」

 

「強さと賢さは別だろ」

 

「ミュルはそう思わないけどなぁ…。戦況も分からないおバカさんが強いってヒョウハは言い切れるの?」

 

「む…、確かに…」

 

「まずはカステラを百個買い占めてきて。千円で」

 

「いやいや、普通に考えてムリだろ。どう考えても千円じゃ…」

 

「やっぱりヒョウハは頭が固いなぁ…。そんなんじゃスイハに追いつけないよ?」

 

「……分かった。あたしはやり遂げてみせる!」

 

結局どんなに頑張っても千円じゃカステラは百個も買えなかった。

 

帰ってくるとミュルグレスが正座をさせられていた。

 

あたしを玩具にしてからかったことをニョイ子さんにこっぴどく怒られたみたいだ。

 

「そうか。そうだよな。本当に大切なことは自分で考えるべきなんだ…。ミュルグレス、ありがとな」

 

だから、ミュルグレスが恨めしげな視線を向けてるのは気のせいだ。

 

あたしの方が被害者な筈なのに、罪悪感が湧いてくるよ。

 

おじさんにまけて貰って千円で手に入れた97個のカステラを、ソッとミュルグレスの前に置いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・憧れ

 

アイツの強さに近づくために何が必要なのか。

 

今でもそれは分からないけど、答えを知る方法は考えてみれば簡単だった。

 

スイハに特訓を付き合って貰って直接学べばいい。

 

「スイハ、少しいいか?」

 

「……どうしましたか」(わっ、わわっ、ヒョウハから話しかけてくれるの初めてだ…、嬉しい…)

 

「あたしは、アンタの傍に居てもいいか?」

 

「……」(ふぇ!?)

 

「あたしにとってアンタは憧れでさ。勘違いするなよ!私がヒョウハでアンタがスイハだからじゃない。アンタがアンタだから、もっと近付きたいと思ったんだ」

 

「…私でなくとも良いのではないですか?」(ど、どうしよう!?こ、告白?告白なのかな?)

 

「隊の中にも尊敬すべきすごい奴がいるのは分かってる。でも、あたしにはアンタ以外考えられないよ」

 

「そう、ですか…」(ふぁーー!!!)

 

「あたしに、付き合ってくれるか?」

 

「いいですよ、ヒョウハになら」(きゃーーっ!!)

 

そうして私とスイハは同じ時間を共にした。

 

同じ鍛錬をして、同じ飯を食べる。

 

アイツのことが少し分かった気がする。

 

お風呂で「結婚…、指輪…、いや、まだ…」とブツブツ呟くスイハは少しだけ怖かった。

 

擬装したスイハの特訓は、弓しか使えない私にはぶっちゃけ役に立たない。

 

翌日、「今まで付き合ってくれてありがとな。(アンタの特訓は)私の役に立ちそうにないから、もういいよ」とスイハに告げておいた。

 

「そうだよな。結局あたしはスイハに甘えていたんだ。あたしはあたしだ。あたしだけの力を手に入れて見せる!ありがとな、スイハ」

 

だから、スイハが悲しげな視線を向けてるのは気のせいだ。

 

ラグナロクが親の仇と言わんばかりに睨んできてるのも気のせいだ。

 

気のせいだって言ってくれ。

 

頼むから本編での確執は二次創作(ここ)では無しにしてくれよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・擬装《イミテイト》

 

スイハが「ヒョウハも擬装させてみては?」とラグナロクに頼み込み、渋々といった様子で了承してくれた。

 

ラグナロクの剣幕がすごくて、擬装できたのかよとは言えなかった。

 

剣、剣以外ありえない…、とブツブツ呟くスイハを尻目に、自分の中の強さを思い描いて叫んだ。

 

「擬装《イミテイト》!!」

 

擬装は武具の本質を知り、武具種という枠を超えて想いを形にする力だ。

 

結論から言うと、結局あたしは弓のままだ。

 

「やっぱり、こうなるよな…」

 

あたしの弓は、スイハの弓に変化していた。

 

擬装したからといって、武具種の枠を超えれるというだけで、必ずしも武具種が変わる訳じゃない。

 

これがあたしの願った力。

 

「ごめんな、スイハ。あたしはまだアンタに未練があるみたいだ」

 

「わ、私の弓のことは私が一番知っています。私との関係を考え直してみませんか?」

 

「スイハ……」

 

自分だけの力を手に入れると言った傍からカッコつかないけど…、それでもスイハの気持ちが嬉しかった。

 

私は再びスイハと特訓することにした。

 

スイハは擬装を解き、弓の特訓に付き合ってくれた。

 

距離が近過ぎるような気がしたけど気のせいだ。

 

「なぁ、スイハ…。これは私のワガママだけど、アンタは私の目標だ。アンタさえ良ければ、ずっと今の関係(ライバル)でいてくれるか?」

 

「勿論です」(やったー!恋人同士だーっ!)

 

決定的な認識の齟齬があった様な気がしなくもない。

 

ま、細かいことは気にしてもしょうがないよな!

 

「これからも宜しくな!」

 

「ええ」

 

ラグナロクが歯軋りしながらあたしを見ているのは気のせいだ。

 

気のせいに違いない。

 

雑念を振り払うべくスイハとの特訓を楽しんだ。

 

 

 

おしまい。

 

 

 



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ロジェスティラの恋模様

頭カラッポにして書きました。
駄文ですが良ければ楽しんでください。





私には大好きな人がいます。

 

カッコ良くて、凛々しくて、素敵な人。

 

ーーーどうしたんだい?ロジェ。

 

その人の声を聞くだけで幸せでした。

 

ーーーロジェ、おいで。

 

その人の傍に居られるだけで幸せでした。

 

ーーーロジェは可愛いね。

 

その人に褒められることが何よりも幸せでした。

 

ーーーイチイバルさん、わたし……。

 

少しずつですけど、私は悪い娘になってしまいました。

 

最初は声を聞けるだけで良かったのに、イチイバルさんの傍に居たくて、もっと褒められたくなって…。

 

わたしは、本当に浅ましいです……。

 

イチイバル「イチイバルさんは魔性のオンナだからね。ロジェが惚れてしまうのも仕方ないよ。キラン☆」

 

ロジェ「ほ、惚れてるなんてっ!えと、その!」

 

イチイバル「ーーーいいんだよ、ロジェ。自分を偽る必要なんてない。ありのままのキミが、ボクは大好きだよ」

 

ロジェ「ーーー」

 

イチイバルさんはズルいです。

 

その優しい声で、柔らかな笑みで、いつもわたしをドキドキさせてきます。

 

「イチイバルさん、わたし……」

 

続く言葉は言えませんでした。でも……。

 

もっとイチイバルさんと仲良くなりたいな……。

 

やっぱりわたしは悪い娘みたいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・お近づきになる為に

 

ーーーイチイバルさんともっと仲良くなりたいです!

 

そんなことを直球で言う訳にもいかず、悶々とした毎日を過ごしていました。

 

ロジェ「イチイバルさんと仲良くなるにはどうすればいいと思いますか……?」

 

ニョイ子「ロジェちゃんは充分気に入られてると思うけど……。多分、素直に気持ちを打ち明けたら解決するんじゃないかな?」

 

ロジェ「それが…、ここ一ヶ月の間チャンスを伺ってましたけど、中々言えなくて……」

 

ニョイ子「あれ?ロジェちゃんずっと一緒に居た様な気がしたけど……」

 

ロジェ「イチイバルさんが素敵過ぎて、見惚れてる間にチャンスを逃しちゃってしまうんです、です!」

 

ニョイ子「そ、そうなんだ。じゃあこういうのはどうかな?」

 

ロジェ「これは……」

 

ニョイ子さんは可愛らしい便箋を私に手渡してくれました。

 

ニョイ子「これなら直接言わなくても想いを伝えることができるでしょ?」

 

ロジェ「あ、ありがとうございます!」

 

翌日。

 

イチイバル「ん……、ポストにロジェからの手紙が入ってる。随分と可愛らしい感じの封筒だけど、もしかしてラブレターだったりするのかな?ドヤッ☆………どれどれ」

 

ーーーイチイバルさんのことは尊敬してますけど、その口調はマヂでムリ。

 

イチイバル「…………」

 

ミュルグレスがイタズラでニセの手紙を擦り変えていたことに気付かないまま、イチイバルは手紙を封筒の中にソッと戻した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・失恋

 

ロジェ「はぁ……」

 

ヒョウハ「おーい、どうしたんだロジェ?なんかヤケにヘコんでるけど」

 

ロジェ「それが……」

 

〜〜回想〜〜

 

ロジェ「い、イチイバルさんっ!あの、あのっ、昨日の手紙のことなんですけど…」

 

イチイバル「や、やあ…、ロジェ。イチイバルさんだよ、どゃ……、………。……何でもない。……ボクのこと、嫌いにならないで」

 

そう小さく言い残して去っていくイチイバルさんの背中は、なんだか物悲しげでした……。

 

〜〜回想終了〜〜

 

ヒョウハ「うはぁ…」

 

ロジェ「それからずっと、イチイバルさんから微妙に距離を置かれている気がします……。手紙にイチイバルさんの素敵なところを百個以上書いたのは、もしかしたらやり過ぎだったのかも……」

 

ヒョウハ「ロジェ……、それはあたしでもドン引きだぞ」

 

ロジェ「うぅ…、ヒョウハちゃん、どうにかなりませんか……?」

 

ヒョウハ「任せとけっ!……って言いたいけどさ。あたしもイチイバルとはそんなに仲が良くないからなぁ……」

 

ロジェ「そ、そんなことありません!イチイバルさんとヒョウハちゃんの気のおけない関係が、正直羨ましいぐらいです……」

 

ヒョウハ「そうかなあ?アイツ、いつもあたしのこと犬っころって呼んでくるんだぞ?」

 

ロジェ「それでもっ、距離を置かれるよりはずっと……」

 

ヒョウハ「ああぁ、もう!」

 

シュンとうなだれる私を見かねたのか、ヒョウハちゃんはガシガシと頭を掻いた後、私の手を取りました。

 

ヒョウハ「ロジェ、イチイバルに会いに行こう!」

 

ロジェ「えっ、ええぇ!?」

 

ヒョウハ「ちゃんと言葉にして想いを伝えよう!逃げてばっかじゃ何も変わらない。ロジェ、精一杯当たって行くんだ!」

 

ロジェ「あ、当たって砕けちゃったら……」

 

ヒョウハ「砕けないさ。あたしが知ってるアイツなら、きっとロジェのことを受け止めてくれる!イチイバルを信じようぜ」

 

ロジェ「……はい!」

 

数分後。

 

ロジェ「い、イチイバルさん!」

 

ヒョウハちゃんに傍で見守って貰いながら、私はイチイバルさんに声を掛けました。

 

イチイバル「ロジェ、どどっ、どうしたんだい?」

 

ロジェ「ご、ごめんなさい!私なんかがイチイバルさんに手紙を出して、そのっ…」

 

イチイバル「……ロジェは悪くないよ。悪いのは、オーディンの影響を受けてしまったボクの方さ」

 

ロジェ「ち、違うんです!そういう事が言いたいんじゃなくて……」

 

ヒョウハ「おーい、ロジェ」

 

振り向くとヒョウハちゃんが小さくガッツポーズをしていました。

 

ーーーあたしが知ってるアイツなら、きっとロジェのことを受け止めてくれる!イチイバルを信じようぜ。

 

ヒョウハちゃんが掛けてくれた言葉を思い出して、頭が落ち着いてきました。

 

ロジェ「私はただ…、イチイバルさんとヒョウハちゃんのように、もっと仲良くなりたかったんです……」

 

イチイバル「……ロジェ」

 

キチンと向き合って歩み寄ることが大事だと、ヒョウハちゃんが教えてくれました。

 

ロジェ「だから、お願いです。もしイチイバルさんさえ良ければ…、」

 

私も、ヒョウハちゃんみたいに……

 

ロジェ「私をイチイバルさんの犬にしてくださいっ!!」

 

イチイバル「………」

 

ヒョウハ「……………は?」

 

イチイバル「ロジェ、ちょっと待っててくれるかい?……おい、犬っころ」

 

ヒョウハ「いや、これはあたしのせいじゃないだろ!」

 

そうして何故かヒョウハちゃんがイチイバルさんに折檻されてしまいました。

 

あんなに仲良くして素敵……。

 

ヒョウハちゃんが凄く羨ましいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・因果応報

 

ロジェ「はぁぁ……」

 

ミュルグレス「ミュルの前でこれみよがしに溜息なんて吐かないでよ。陰鬱な気分がが移っちゃうでしょ」

 

ロジェ「ご、ごめんなさい。イチイバルさんと色々あって……」

 

ミュルグレス「ふぅーん?何があったの?」ニマニマ

 

ロジェ「実はイチイバルさんに手紙を渡したんですけど、何故か偽物とすり替わってたんです…」

 

ミュルグレス「へ、へぇー……」

 

ロジェ「あの寛容なイチイバルさんが絶対に許さないって怒ってました」

 

ミュルグレス「」ビクッ

 

ロジェ「私は誰だか検討がつかないんですけど、イチイバルさんはもう犯人の検討がついてるみたいで…」

 

ミュルグレス「」ダラダラ

 

事のあらましを説明し終えると、ミュルグレスちゃんは何故かダラダラと汗を流していました。

 

ミュルグレス「ろ、ロジェ。ミュルがイチイバルと仲を取り持ってあげる!」

 

ロジェ「え?い、いいんですか!?」

 

1時間後。

 

ロジェ「い、イチイバルさん!」

 

ミュルグレスちゃんに傍で見守って貰いながら、私はイチイバルさんに声を掛けました。

 

イチイバル「ロジェ、どうしたんだい?……おい、にゃんころ」

 

ミュルグレス「何があったかミュルには皆目検討つかないけどフォローはキチンとしたから!何があったか知らないけど!」

 

ロジェ「あのっ、わたし!イチイバルさんともっと仲良くなりたいです!」

 

イチイバル「……ロジェ」

 

ーーーロジェは難しく考え過ぎ。イチイバルが一番気に入ってるのはロジェなんだから、難しいこと考えずに気持ちを伝えればいいの。

 

ロジェ「イチイバルさんが猫派だって知らなくて、だからそのっ!私…」

 

ロジェ「イチイバルさんとニャンニャンしたいです!」

 

ミュルグレス「」

 

イチイバル「…………おい、にゃんころ」

 

ミュルグレス「いや、これはミュルのせいじゃない!」

 

そうして何故かミュルグレスちゃんもイチイバルさんに激しいスキンシップを受けていました。

 

あんなに仲良くして羨ましい……。

 

ミュルグレスちゃんもズルいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・その後

 

ロジェ「はぁぁ……」

 

イチイバルさんに近づく為に色々と頑張ってはみたものの、全部失敗してしまいました。

 

もっとイチイバルさんと仲良くしたいです……。

 

イチイバル「ロジェ、どうしたんだい?」

 

ロジェ「それが……、イチイバルさんと仲良くなりたいのに上手くいかなくて……」

 

イチイバル「ふぅん?」

 

ロジェ「………あれ?」

 

イチイバル「やあ、麗しの令嬢イチイバルさんだよ。キラン☆」

 

ロジェ「ふぇぇ!い、イチイバルさん!?あ、あのあのっ、今のは違くて!」

 

イチイバル「ロジェ、これを」

 

ロジェ「これは……」

 

イチイバルさんはわたしにチケットを手渡しました。

 

イチイバル「イチイバルさんからのお誘いだよ。ロジェ、デートしよう」

 

ロジェ「え、えぇ!?こ、これって…」

 

手渡されたのは遊園地のペアチケットでした。

 

突然のことに心臓がバクバクして頭がぐるぐるします。

 

ロジェ「わ、わたしなんかで、いいんですか……?」

 

イチイバル「勿論だよ。ロジェは可愛いからね。ボクに釣り合う娘はそうはいないよ」

 

ロジェ「あ、ありがとうございます!」

 

そうして私達は遊園地へ遊びに行きました。

 

わたしの欲しい時に欲しい言葉をかけてくれる、とっても素敵な人。

 

やっぱりイチイバルさんはズルいです。

 

 

fin

 

 

 



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教えて!リサナウトせんせー! 軍団戦編

3/13に実装された軍団戦のSSです。
本文の途中でimgurという画像投稿サイトのURLを貼って、ゲーム中の画像を見れる様にしています。
第一回軍団戦のネタバレが多分にありますので、それでも良ければ見てやってください。




 

 

○軍団戦、始動

 

リサナウト「レーヴァ、大変よ!ファンキルに新しいエンドコンテンツが追加されたわ!」

 

リサが私の部屋に押し入り、騒ぎ出した。

 

つい先程まで二度寝を堪能していたのに、その騒々しさで起こされてしまった。

 

レーヴァ「……そう。それよりまだ朝だから寝かせて欲しいんだけど…」

 

リサナウト「あら、私としてはぐーたらなレーヴァを起こしてあげたお礼を受けてあげてもいいくらいなのに」

 

私を起こした本人は、悪びれることなく毛布を取り上げてきた。

 

レーヴァ「……リサ、返して」

 

リサナウト「早起きは三文の徳、という言葉があるわ」

 

レーヴァ「早起きをしても三文しか得がないって意味でしょ…」

 

本当はまだ寝たかったけど、リサは強引な所がある上、口論している内に段々と意識が冴えてきたので話を聞く事にした。

 

レーヴァ「はぁ…、おっけ。それで今日は何しに来たの?」

 

リサナウト「やっとその気になったわね!軍団戦をどっちが先にクリアするか勝負よ!」

 

リサは指をこちらにビシッと指して、不敵に微笑んだ。 

 

レーヴァ「いいけど、軍団戦ってそもそも何…?」

 

リサナウト「ふふっ、軍団戦っていうのはね…、カクカクシカジカよ!(下記参照)」

 

 

 

 

 

○新コンテンツ 軍団戦

・複数あるステージを、決まった数のユニットをあらかじめ選別して挑むクエスト。

・一度使ったキャラは、それ以後のステージで使用不可

・キャラを選び直したり、ステージの最初からやり直せる「リセット」機能有り。軍団戦開催期間内ならいつでも可能。

 

 

 

レーヴァ「リサ、軍団戦って途中からやり直せないの?」

 

リサナウト「そんな機能、私には必要ないわ。時を巻き戻せるもの」

 

レーヴァ「…………やり直せないってことね」

 

面倒事の匂いに、私は深く溜息をついた。

 

 

 

 

 

○暴走ゲバイムシュリフト 1-1 斥候部隊

 

リサナウト「さあ、勝負開始よ!まずはキャラの選抜ね。今回は6ステージ・60キャラで光・風属性がオススメだから、その辺りを考えないといけないわ」

 

レーヴァ「風と光かあ…。ヘレナとソロモンを頼ることになるとして…、60キャラも用意出来ないんだけど…」

 

リサナウト「ふふっ、抜かったわねレーヴァ!私はこの日に備えて銃ティルを10人用意したわ!」

 

レーヴァ「……それ、イノセント足りるの?」

 

リサナウト「愚問ね。私の力に掛かれば15STEPで150人のティルフィングを引くことなんてお茶の子さいさいよ!」※時間操作があっても、実際はできません。

 

レーヴァ「……リサ」

 

なりふり構わないリサを思わず憐れんだ。

 

リサナウト「ど、どうしてそんな視線を向けるのかしら?早く勝負よ!勝負!」

 

レーヴァ「はいはい…」

 

リサにせがまれるままに、私達の闘い(?)の火蓋は切って落とされた。

 

レーヴァ「編成はどうしたらいいんだろ…。……。ねぇ、リサ」

 

リサナウト「ん、どうしたの?真剣勝負の最中に話しかけるなんて随分余裕ね」

 

レーヴァ「エネミー情報とステージ情報、見れないんだけど…」

 

リサナウト「仕様よ!」※一度でも挑戦したステージはリセットするまでの間だけ見れる様になります。

 

レーヴァ「……まぁ、撤退すればいいか」

 

リサナウト「撤退したキャラは「リセット」するまで使用不可になるわ!」

 

レーヴァ「…………」

 

やり直すのは面倒くさいので、リサ(通常★4)を一人で編成して出撃させた。

 

敵のステータスを確認した後、速やかに撤退。

 

特に難しそうでも無かったし手持ちが少ないので、カリスをメインにした雷属性のパーティでクリアした。

 

既に嫌な予感はしていたけど、私もリサもこの後理不尽に直面することになる。

 

 

 

 

 

○暴走ゲバイムシュリフト 2-1.2.3 その1

 

レーヴァ「システム面はともかく、初めのステージの難易度はそうでもないわね…」

 

リサナウト「あら、まだ初めのステージをクリアしたばかりなの?残念だけど、私の一歩リードね!」

 

レーヴァ「……あんまりのんびりもしてられないか。次は、……」

 

ステージは3つ開放されていた。

 

2-1 左翼部隊

 

2-2 中央部隊

 

2-3 右翼部隊

 

レーヴァ「例によってエネミー情報は見れない、か…」

 

リサナウト「あああああああっ!?」

 

どれから攻略するかなやんでいると、隣でリサが悲痛な声をあげた。

 

本気でヘコんでいるリサがあまりにもいたたまれなかった。

 

レーヴァ「リサ、何があったの?」

 

リサナウト「私の光銃パーティが…」

 

リサのスマホを覗くと、ステージは2-3右翼部隊。

 

エネミー情報を見て、リサが項垂れた理由を悟った。

 

https://imgur.com/lNpuASW

 

リサナウト「魔法封殺って、…何でよ!?」

 

レーヴァ(銃・杖のダメージ100%カットって…、エグい…)

 

レーヴァ「まぁ、この先物理封殺があるかもしれないし、取り敢えず物理キャラでクリアしたら?」

 

リサナウト「……ないの」

 

レーヴァ「?」

 

リサナウト「物理キャラ、育ててないの…」

 

レーヴァ「……下見って大切ね」

 

そんなリサに少しだけ同情しつつ、私は「2-2中央部隊」を選択し、リサ(Xmas★4)を一人で編成して出撃させた。

 

 

 

 

 

○暴走ゲバイムシュリフト 2-1.2.3 その2

 

リサナウト「よし、やったわ!クリアしたわよ、レーヴァ!」

 

私が2-2と2-3をクリアし終えた頃に、リサが嬉しそうに報告してきた。

 

レーヴァ「リセットした?」

 

リサナウト「ふふん、私の力に掛かれば小細工なんて必要ないの。銃ティルの戦闘後の追加ダメージ(50)で全員倒したわ!」

 

レーヴァ「……敵の体力、8000位なかった?何回やったの…」

 

リサナウト「……一匹あたり160回」

 

目を伏せて報告するリサが心底可哀相だった。

 

リサナウト「でっ、でも!銃ティルを二人積んでたから半分位の時間で終わったわ!」

 

レーヴァ「ボスの体力は?」

 

リサナウト「30000」

 

レーヴァ「…………」

 

リサナウト「し、心配ないわ!雑魚を殺してから時を速めてオート放置したから!むしろ一瞬だったわ!」

 

必死に虚勢を張るリサの為にも速く勝負を終わらせようと心に誓い、私は「2-1左翼部隊」を選択し、リサ(海上★4)を一人で編成して出撃させた。

 

リサナウト「次は2-1ね。同じ轍は踏まないわ!光物理パで鏖殺よ!」

 

レーヴァ(「魔法封殺」がトラウマになってる…)

 

ちなみに「2-1左翼部隊」ステージのエネミーの大半が「迅雷の障壁(風属性以外からのダメージ0)」持ちであることを、この時のリサは知る由も無い。

 

https://imgur.com/r28Jkyk

 

https://imgur.com/099WRu8

 

 

 

 

 

○暴走ゲバイムシュリフト 3-1 本隊

 

レーヴァ(あと2ステージか…。手持ちのリサ(ユニットの方)はもういないし、どうしようかな…)

 

残り2ステージまで迫った私は、エネミー情報の下見を誰にするかで悩んでいた。

 

ヘレナ(風)やソロモン(光)は有利属性なので元より、カリス(雷)を独りで戦場に放り出すのは忍びないので、仕方なく自分(闇)を単騎で出撃させた。

 

ちなみにリサは学習したのか、攻略に行き詰まったら出撃前に編成を巻き戻してリトライする様になった。が。

 

リサナウト「うっ…ぅ…」

 

リサは涙目で時を操作しながら、懸命に端末と戦っていた。

 

レーヴァ「リサ、大丈夫…?」

 

リサナウト「2-1、2-2、2-3…。何で3ステージ全部、エネミーが「魔法封殺」持ちなのよ!?」

 

レーヴァ「…………そうね」

 

レーヴァ(3-1も全員「魔法封殺」持ちなんて、言い辛い……)※最終ステージまで全員「魔法封殺☆」持ちです。

 

この不毛な勝負をいち早く終わらせる為にも、気持ちを切り替える。

 

レーヴァ(このステージは「迅雷の障壁」持ちと「冥闇の障壁持ち」がそれぞれいる…。光パで闇エネミーを掃討した後で、風パを出すか…)

 

とは言いつつ手持ちは限られているので、他属性の「ニンジャ」持ちや「サルビア」持ちを妨害役として採用した混成パーティで挑んだ。

 

レーヴァ「最終ステージ手前、流石に結構難しい、か…」

 

時間をかけながらも、何とかボスである「カオスリーパー」を残して敵を排除した。

 

レーヴァ「何気に「脆剣の障壁(剣ユニット以外からのダメージ0)」持ちね…」

 

しかも「迅雷の障壁」との掛け合わせなので、風・剣ユニットしかダメージが通らない。

 

レーヴァ(アロンダイトの覚醒キャラ、持ってて良かった…)

 

最終ステージのボスは十中八九アロンダイト・暴走と予想できる。

 

アロンダイト・暴走の属性は風、弱点属性は炎なので、風・剣ユニットをここで使っても問題無い筈。

 

そんな事を考えていたが…、

 

レーヴァ「…ん?」

 

https://imgur.com/Gy8MX7a

 

※神器と共にアニバーサリーリンクを持たせていたので、スクショのタイミングで装飾品の方が表示されていますが、キチンと神器を持たせています。

 

 

 

レーヴァ「………………」

 

https://imgur.com/uWDy7wE

 

アロンダイトの攻撃力 だいたい600

 

カオスリーパーの防御力 1000 OVER

 

レーヴァ「……リセットしよ」

 

結局、その日の内に私とリサの勝負はつかなかった。

 

 

 

 

 

○暴走ゲバイムシュリフト 4-1 終結の地

 

レーヴァ「これで、やっと……!」

 

リセット後、再びカオスリーパーに挑み、擬装ミネルヴァ(2体)で物功を4倍にしたありったけの風・剣ユニット達でカオスリーパーを葬った。

 

リサナウト「や、やった!流石私のライバルね!」

 

レーヴァ「えぇ、これで…。あと少しでやり遂げられる…!」

 

数々の理不尽に苦しめられてきたリサと私は勝負という垣根を超え、最後の決戦に臨む。

 

レーヴァ「残るユニット数は19…。風、光属性が8ずつ。そして、☆4ミネルヴァが3体…」

 

最終ステージのエネミー情報の下見を前に、胸騒ぎがした。

 

とてつもなく、嫌な予感。

 

レーヴァ(もしも。もしも、また「障壁」スキル持ちが現れたら…)

 

リサナウト「大丈夫よ、レーヴァ」

 

言いようの無い不安に震える私の手を、リサがギュッと包んでくれた。

 

リサナウト「この時の為に、光と風、それぞれに物理・魔弾キャラを残したでしょ?レーヴァと私のコンビに不可能なんて文字は無い。数十分後、私達は勝利の栄光をこの手にするわ」 

 

カオスリーパーとの戦闘で頼りだった風・剣キャラはもういないが、私達はまだ19人もの仲間がいる。 

 

自信に満ちたリサの表情は心強くて、何より握られた手から伝わる温もりが不安を攫っていった。

 

リサナウト「ーーーこれは予言ではない。確定事象の報告に過ぎないの」

 

だから、もう大丈夫。

 

 

 

 

 

アロンダイト・暴走 ステータス↓

 

https://imgur.com/XG7BFE2

 

 

 

 

 

アロンダイト・暴走

 

「脆剣の障壁(剣ユニット以外からのダメージ0)」

 

「迅雷の障壁(風ユニット以外からのダメージ0)」

 

風・剣ユニット以外からのダメージ0。

 

レーヴァ・リサナウト「……………」

 

大きく息を吸い、二人で仲良く天を仰ぐ。

 

レーヴァ・リサナウト「リセットしよ…」

 

エネミー情報は最初から見れる様にして欲しいと、私達は強く願った。

 

 

 

 

 

○闘いの後

 

ヘレナ「おーい、レーヴァ。もう朝だぞ……、とリサナウトも一緒だったか」

 

カリス「朝御飯できたよー!リサちーも一緒に食べよ!」

 

リサナウト「ありがとうカリス。ご相伴に預かるわ」

 

ソロモン「それよりもまずは朝の体操を…」

 

ヘレナ達が一斉に私の部屋に押しかけてきたので、端末から顔を上げる。

 

すると、3人の物珍しげな物を見る視線が私に向けられていた。

 

より正確には、私の手元にあった端末の画面へと。

 

カリス「あれ!レーヴァが育成厳選してる!?」

 

ヘレナ「……レーヴァは基本ログイン勢じゃなかったか?時々やっててもリリボンがめちゃくちゃ余ってた様な…」

 

ソロモン「大丈夫?体調が悪いのなら遠慮なくハッキリと言って」

 

レーヴァ「いや、そういうのじゃないから…。ただ、軍団戦をクリアして以来、少し頑張ろうかなって思っただけ」

 

からかわれると思い、視線を逸らしてぶっきらぼうに言ってしまう。

 

でも、3人の反応は私が想像していた様なリアクションではなく。

 

カリス「えぇ〜!?レーヴァすごい!軍団戦クリアしてたの!?」

 

ソロモン「えぇ、それでこそ私達のリー」リサナウト「それでこれ私のライバルね!」…被せないで!」

 

ヘレナ「ヘレナは3-1で詰まってるんだが、誰か親切な人はいないのかなぁ…。…くふっ」

 

皆が私を暖かく迎えてくれたことに口元が緩んだ。

 

レーヴァ「………はぁ、おっけ。皆の手持ち見せて」

 

仕様がどうだと言っても、皆でするファンキルはやっぱり楽しい。

 

多分、この先も色々な新コンテンツを実装して、その度により良くしていくのだろう。

 

だから、これからも続けていこう。

 

ヘレナ「おっ。レーヴァはヘレナ(バレンタイン)を厳選してたのか。☆がたくさん付いてて嬉しい限りだ」

 

リサナウト「私はもうすぐ学園キャラが実装されるから、その時は全☆をつけてね」

 

カリス「ねぇ、レーヴァ!私も最近新ユニット出たの!」

 

レーヴァ「はいはい、分かったから…」

 

皆にもみくちゃにされながら、その日は皆で一日中ファンキルを楽しんだ。 

 

 

 

fin

 

 

 

 

 

おまけ その後の一幕

 

レーヴァ「そういえばカリスに新ユニット実装ってことは、ヘレナ達も…」

 

ヘレナ・ソロモン「…………」

 

リサナウト「あら、皆どうしたの?」

 

レーヴァ「……ヘレナ?」

 

ヘレナ「あ、あぁ…。ヘレナはもうすぐ出ることに決まったよ。ソロモンとレーヴァはまだわからないが…」

 

ソロモン「そ、そうね!まだ全員実装が決まった訳じゃないかr」カリス「ヘレナの後はソロモンとグラ姉が実装される予定だよ!」カリス!!」

 

レーヴァ「グラ姉…?誰、その女…」

 

リサナウト「えいっ!」

 

一悶着になる前にリサナウトが時を巻き戻しました。

 

 

 

おしまい

 

 




軍団戦実装記念でSSにしました!
特定属性の大多数のユニットを揃えないといけないということで、普段使ってないキャラを育成・活躍させるのが楽しかったです!
皆様もこれを機に色んなファンキルキャラの新しい魅力を探して頂けたら嬉しいです!
最後まで見て頂きありがとうございました!


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