世界のためなら何度でも (つぼっち)
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#1 ここから始まる異世界転移

ある日、ふとテレビをつけた。

 

そこで大食いや早食いで活躍している『フードファイター』というのを見た。

 

食べるのが大好きだった俺はすぐさまそれに魅力され、気がつけばその夢を追いかけていた。

 

 

 

 

 

 

俺は神成 聖夜かみなり せいや。高校一年生になるはずだったイケメンだ。←ここ大事

 

「聖夜。あなたが小学三年生の頃の事件を思い出してください。

 

「あ、はい。」

 

俺は生まれた時から親か。いなかった。

 

捨て子だった俺を孤児院の母さんに拾われてそこでみんなと一緒に育っていった。

 

小学生三年生になった頃、俺はすでにフードファイターになるための特訓をしていた。

 

学校の給食は誰よりも早く食べ、おかわりは何回だってした。

 

給食のおばちゃんに「聖夜くんのクラスは食べ残しがなくて偉いねぇ。」って褒められたくらいだ。

 

ある日、プリン争奪戦ジャンケンで勝ち取ったことをきっかけにクラスを仕切っていた5人組に目をつけられてしまった。

 

そこから軽い嫌がらせが続いたが正直あまり覚えていなかった。

 

ある日、

 

「こら、ゆうき!!これ以上聖夜をいじめるのはやめるんだ!!」

 

「なんだよ正義。こいつを庇うのかよ。」

 

「当たり前だ!!聖夜は俺の友達だ!!!!」

 

「へっ、『ふーどふぁいたー』なんか変な職業目指してるやつを庇うなんて頭おかしいんじゃねぇの?」

 

「あ?」

 

俺はじんせいで初めてキレた。

 

「俺の夢を笑うんじゃねぇ!!」

 

「うわぁ聖夜がキレた!!」

 

そこから俺は無我夢中にポカポカと子供の力だがいじめっ子たちを叩き続けた。

 

「ご、ごめんって!!謝るから〜!!」

 

「委員長、先生呼んできて!!ゆうきくんが泣いてる!!」

 

「あ、あぁ。待っててくれ。」

 

「聖夜!!暴力はよくない、話せばわかる!!まずは硬い握手からだ!!」

 

「聖夜落ち着いて!!」

 

「うわぁぁん、痛いよ〜!!」

 

数分後、止めに入った先生によってことなきを得たが以来、『聖夜は怒らせたらやばい。』と学年中に広められたのだった。

 

 

「このエビーソードがどうかしたんです?」

 

「あなた、この時の出来事悪いと思ってる?」

 

「全然。」

 

「はい、大罪認定。」

 

「えぇ!?」

 

理不尽すぎだろ。

 

「この女うんこじゃねぇか。」

 

「うんこ!?」

 

女神はショックでよろめくがすぐさま女神モードに切り替える。

 

そしてこの世界について軽く説明を受けた。

 

①この世界はラノベとかで出てくる剣と魔法のファンタジーな世界。

 

 

②この世界は非人に攻められている。←いかにも王道ラノベ感

 

 

③人間と対立している魔族や、魔物などを〈非人〉と呼んでいる。

 

 

④この世界には国(都市国家程度のもの)が複数あり、その半分の国を非人が占拠している。

 

 

⑤この世界の最高神は〈断罪の女神〉である目の前にいるやつ。

 

 

っていうかこの女神、とにかくうざい。

 

喋り方が懐かしい気もするがとにかくうるさい。

 

「で、もうこのまま転生していいんですか?」

 

「あ、ちょっとまってて。まだ渡さないといけないものがあるから」

 



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#2 与えられた飴と鞭

「あ、ちょっとまってね大罪人。まだ渡さないといけないものがあるから」

 

そう言って女神は魔術か何かで空間に穴を開け、何かを取り出した。

 

「あ、あった! はいこれ。この中から好きなのを選んで。」

 

そう言って何枚かのカードを渡される。

 

カードには文字が書かれていている。

 

「何ですかこれ?」

 

「えぇ〜? 言わなくてもわかるでしょ。はぁー、これだから大罪認定されるバカは…」

 

いちいちムカつくやつだな。

 

こいつには今度顔面をグーで殴ってやろう。

 

「これは好きな魔術を1属性だけプレゼントしてあげるカード。ほら、さっさと選んで。次の人がつっかえてんだから。」

 

「なんでこんなものを俺に?」

 

「異世界転移の特典ってやつ。大罪人にも渡さないといけないのよ。ほら、武士の情けってやつよ」

 

「武士って、あんた女神だろ」

 

「……別にいいでしょ!!女神の情け!!!!」

 

俺はあらためてカードを見る。

 

ほんとだ、魔術の属性と詳細みたいなのが書かれている。

 

えーっと、どれどれ?

 

 

火炎魔術・・・灼熱の炎を操る魔術。

 

 

氷結魔術・・・絶対零度の氷を操る魔術。

 

 

猛毒魔術・・・敵を苦しめる猛毒を操る魔術。

 

 

雷鳴魔術・・・轟く雷鳴を操る魔術。

 

 

浄化魔術・・・ものを清め、直すことができる魔術。

 

 

死霊魔術・・・死体や魂を操る魔術。

 

 

ふーむ。

 

こういうところでは間違った選択が生死を分けるからな、慎重に選ばないと。

 

 

30分経過

 

「ねぇまだ? そろそろ次の人たちが詰まってきたから早くしてくれない?」

 

「もうちょっと待ってください!」

 

 

 

1時間経過

 

「チッ」

 

女神がイラついてとうとう舌打ちまでしてきた。

 

だが、ここで下手に選べば死ぬ可能性もある。

 

焦らず、じっくり考えないと

 

 

 

2時間経過

 

「スースー」

 

女神はよほど暇になったのか30分前に寝てしまった。

 

そして肝心な俺はというと

 

「これだ!」

 

試行錯誤を繰り返し、たどり着いた答えは

 

〈火炎魔術〉

 

だ。

 

「おい女神。もう選んだから送ってもらっていいぞ」

 

「あ、まだやることが残ってるわよ」

 

そういうと、女神の手のひらから青黒く、禍々しいオーラのようなものが出る。

 

「あ、あのー女神様? それは一体……」

 

「あら? まさか大罪人をそのまま野放しにすると思った?これは〈大罪スキル〉って言って大罪を犯したものへの罰みたいなものよ。あなたが奪った食事のせいで何人もの人間が空腹だった、その子たちの苦しみを味わうがいいわ」

 

そういうと、禍々しいオーラは俺の体に吸い込まれていった。

 

「グァァァァァァァァ!」

 

全身を突き刺すような痛みが襲う。

 

「ふん、言い様ね罪人。あなたに名前なんてもったいないわ、そうね……あなたは今日から〈グラトニー〉とでも名乗ってなさい。ふふ、罪人にぴったりな名前ね。」

 

女神が何か言っているが痛みで何も聞こえない。

 

だんだん意識が遠のいていく。

 

「さてと、そろそろ時間ね。それじゃあこの世界で自分の罪を償いなさい。さようならグラトニー。」

 

そのまま俺は視界が暗くなっていくのを感じ、目を閉じた。



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