ガンダムビルドダイバーズ 不殺の天使 (リン・オルタナティブ)
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初めてのGBNへ...!!
どちらかと言えば、ビルドダイバーズに狼や鉄血キャラ達をぶちこみたかった次第です!
(ハルハさん許して(泣))
家庭用筐体も存在し、自宅からのログイン及びプレイも可能な為、人気に火がついた........そんな中、GBHへと羽ばたこうとする少女が一人いた。
◇
-とある家の一室-
「.....やっと完成した」
そう呟くと彼女は部屋の壁に立て掛けられている姿見の前に立つ。
ボサボサな黒髪に一本だけ伸びるクセ毛に色白の肌。茶色の瞳に右目の下には深い切り傷の痕がクッキリと残っている。
ラフな服装の上から黒いパーカーを羽織るとボタンを留めて一旦姿見から離れ、近くにあったデスクへと向かい前に立つ。
朝日が差し込み照らされたそのデスクの上には黒の眼帯と開いたままの大型のケース.........そして通常のガンプラよりも鳥型で大型のガンプラ.....鉄血のオルフェンズに出てきた
そのガンプラをケースにしまい蓋を閉じてロックすると左手で持ち上げ部屋を出る。
静かな家の中にトントンと小走り程度のスピードの足音が響き_____彼女は玄関に到着する。
手慣れた手付きで靴を履くと立ち上がり、ドアの取っ手に手をかける。
そのまま開こうとした直後、何かを思い出したかと思うと後ろ____家の中へ顔を向けると
「.........行ってきます」
そう言葉を紡ぐ。彼女以外誰も居ないため返事はない。だが彼女は満足げに頷くとドアを押し開きそとへ出る。
扉が閉まりガチャリと
◇
自宅を出て少し歩いたところに狼がいつも使っている喫茶店がある。
去年の夏頃にその店の奥にGBNの機材を数台導入したらしく、内一台は初GBNデビューの狼のためにと誰も使っていない、新品の状態で保管しているらしい。大丈夫なのにと心で思いながら苦笑した狼は目的の喫茶店で足を止める。
[鉄血喫茶 鉄華]と書かれ掲げられた看板を見上げ一度頷くと、ドアを引いて開き店の中へと入る。
カランカランとドアについているベルが鳴り、客が来た事を知らせる。
店の外観は一般の喫茶店とかわりないが、中に入ると雰囲気が一変、壁は鉄のような質感で少し錆び付き、木製のカウンターや席に椅子、棚などが固定が施されてから設置され、その内装はさながら強襲装甲艦イサリビを彷彿とされるものだった。
そんな店内のバーカウンターに白のワイシャツに黒のタキシードを着た中年の男性が立っており、その男性が狼へと視線を向けると、
「よう嬢ちゃん。ついにデビューか?」
そう呼び掛けると狼がそこへと向かい、席に座るタイミングで男性がカフェラテを狼の前に出す。そのカフェラテにはガンダムバルバトスルプスのラテアートが描かれており、達人の域に達している程の精密さだった。
「ん、そうだね。そうじゃなきゃこれ、持ってこないから」
席に座るとじっと左目だけで男性........鉄血喫茶鉄華のマスター、羅甲を見つめるとカウンターの上に持ってきたケースを慎重に乗せる。
「お?随分とデカイガンプラになったなぁ......。ナラティブガンダムか?」
「ハズレ。正解はこれ」
羅甲の回答に即答すると狼はケースを開ける。その中には昨日の真夜中に完成したハシュマルベースのガンプラが劇中のような形でしまわれていた。
「おぉ。ハシュマルをベースに選んだのか。こりゃまたGBNが荒れるなぁ.....」
そんな羅甲の独り言を他所に、ラテを飲み干した狼は羅甲がダイバー登録だけを済ませた三角形のデバイス、ダイバーギアと蓋を閉めたケースを持って椅子から立ち上がる。
「んじゃあ、行ってくる」
「おう、一番奥の機材だからな。楽しんでこいよ!」
羅甲の言葉にコクりと頷くと店の奥にはいる。
GBNの機材が置かれた部屋は、スカイブルーのライトで照らされ、数台のGBNの機材が壁に向かって並んでいた。
その一番奥に.......まだ一度も使われていない台が一台、そこに鎮座していた。
狼はその台に座ると眼帯を着けたままゴーグルを目にかけると、ダイバーギアを中央の窪みにセットする。
システム音声が流れて指示が出る。狼はケースからガンプラを取り出すとギアにに乗せる。
若干翼がギアからはみ出してしまったがスキャンは開始される。スキャンされた部分は金色の粒子に包まれる。
やがてスキャンでのガンプラのデータ化が完了したのか、システム音声が流れた直後、パキーン!という音と共に粒子が四散する。
再びシステム音声が流れ、ゴーグル越しにも文字が浮かび上がると、狼は初めてのGBNへと、飛翔した。
本格的にGBNに入るのは次ですかね.....。
と言うわけでいかがでしたか?
良ければお気に入り登録、感想、お待ちしています!!
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初戦闘
あっ、アンケート始まります!(予告)
無事GBNにログインしたロウは辺りを見回し、ミッションの受付場所へと足を向ける。道中いろんなダイバーが興味津々に
受付に到着すると、ミッションを選び、受注する。今回のミッションは
ヘルメットを被り直し、受付を後にしようとした時だった。
「あら~?もしかしてこの前のニュービーさん?」
特徴的な声とおネエ口調に反応し、その方向へ顔を向ける。
そこにはGBNで最初に出会ったダイバー......マギーがそこに立っていた。傍らには二人の少年ダイバーが二人立っている。
「......新手の誘拐ですか?」
マギーにヘルメットから視線を向け、そう聞く。
「違うわよ~。貴方と同じ時期にGBNを始めた子達よ」
「俺はリク」
「僕はユッキーです」
そう言うと二人の少年____リクとユッキーが挨拶する。
「.....ロウ。よろしく」
ロウも軽く挨拶を返す。
「親睦を深めるためにも、一回ミッション行ってみたらどうかしら」
マギーがそう提案するが、
「.......遠慮しておきます。今からミッション行くので」
柔らかく断り、ではと言葉を付け足し軽く会釈するとロウはその場を立ち去った。
ーリクsideー
「ごめんねぇ。あの子、私と会ったときもあんな感じだったのよ~」
「いえ、僕たちは気にしてないので」
マギーさんとユッキーが話しているのを聞きながら、俺は去って行くロウさんの後ろ姿を見送った。
「変わった子だね、リク」
「...そうだね」
リク?とユッキーが聞いてきて、何でもないと言って、ユッキーとマギーさん、三人で格納庫に向かうことにした。
ーリクside outー
「....ターゲットはNPDリーオー三体討伐。武器の使用制限は無し」
コックピットに乗り、ミッション内容を改めて確認する。間違えていたら受注し直すつもりだったが、間違えていないことを確認し、はぁと息を吐く。
カタパルトに黒いハシュマルベースの
「.....いよいよだね、
ロウが握る操作レバーを介し意思が伝わったのか、キュルルルと短く鳴く。
鳴き声が聞こえてくるとロウは微笑み、深呼吸をする。深呼吸が終わると、いつも纏っている冷酷で冷静な雰囲気に戻る。
「.....ロウ。サマキエル・アイン、出る」
そう言いレバーを倒しブースターを全開にする。カタパルトが射出され、
〔ギュラララルゥゥゥゥゥゥゥ!!〕
その
あれは天使じゃない....殺戮の限りを尽くす悪魔だと。
-■■■side-
「......ん?」
「どうした?■■」
「ううん、何でもないよ、■■■」
「そうか。具合とか悪くなったら早めに言えよ?」
GBNの中、ダイバー達が寄りつかない裏路地に、彼らは居た。
「分かってるよ、そんなこと.....でも」
そう言って右手を握るのは、ボサボサ
「でも?」
少年に聞くのは190cmはある高身長に褐色の肌。前髪のインパクトがすごい男。
「なんか凄い奴に会える...そんな気がするんだ。俺」
そう言って少年は男の目を見る。
「....ったく、お前って奴は」
男は頭をかき、悩み始める。少しすると、
「とりあえずは.....その凄い奴に会うって事と、彼奴らを見つけねぇとな。それでいいか?■■」
「うん。大丈夫。■■■の命令なら、俺は何でもやるよ」
男の言葉に少年はそう肯定すると、男と共に裏路地から大通りに出る。
二人の背中には白い華のようなロゴ....かつての組織のマークがあしらわれた緑のジャケットを羽織り。歩き出す。同じ過ちを...繰り返さないように、そう誓って。
その二人の背中を押すように、遠くで何かの鳴き声が響いた。
-■■■side out-
NPDが操るリーオーが三体、草原を巡回している。警戒して且つ、確実に襲撃に対応するために、だが天使にはそんなことは通用しなかった....。
空から三体のリーオーを捕捉すると、コックピット内で彼女...ロウはニヤリと笑みを浮かべる。その笑みは楽しい笑みではなく、獲物を見つけ、どうやって倒そうか、そんな笑みをしていた。
やがて旋回を続けていた黒き鳥は、一体のリーオーをターゲットにすると文字通り急降下し着地する。
轟音と共に大量の砂煙が辺りを占領し、リーオー達の視界を奪う。
一息に一体のリーオーを確実に倒した天使は、未だ狙いが定まらず混乱を続ける二体のうち一体に向け、尻尾として改装したのテイルブレードを放ち、リーオーのコックピットを確実に貫く。リーオーは機能を停止し、一体目同様スパークを散らす。
テイルブレードの音と仲間の機械音で位置を掴むと、最後の一体となったリーオーはそこへライフルを連射する。
だが抵抗空しく、背後から踵落としを食らい、機体が真っ二つに裂かれる。
三体同時に爆発し、ケバケバしいファンファーレと共にミッションが終わったことを告げる。
「案外あっさり....だったね」
そう言うとサマキエルの向きを変え帰還しようとするが....
「....サマキエル?」
動かないのだ。サマキエルが、帰ることを頑なに拒否している。そう感じたロウは一度レバーの力を緩め、サマキエルの行きたいところを聞く。
ロウが力を緩めるとサマキエルは向きを変え、森の方に体を向ける。
「....そっちに行きたいの....?」
キュルルルと鳴くと、自動的にブースターが吹き始め、青く輝き始める。
「....ふふ、そう。じゃあ、行こうか!」
そう言うとレバーを倒し、サマキエルの行きたい方向へブースターを吹かし、その方向へ向かう。
その選択が、今後のロウの運命を大きく左右することになるなど知らずに_______。
ミッションの途中にキラーガのカスタム機に襲撃されたリクとユッキー。
だがそのピンチを救ったのは、黒き天使、
次回【戦慄の天使 サマキエル】
次回もお楽しみに!!
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戦慄の天使 サマキエル
という訳で第三話、どうぞ!
サマキエルの意志に任せて道無き道を進むこと数分。搭載されている
「熱源3。
ロウが淡々とそう言い再びサマキエルを進める。
進めると見えてきたのは吹き飛ばされたオレンジ色のジムの
「……あれね」
ロウがそう呟いた直後、自動的にギラーガへと照準が入り、遠距離武器のコマンドがアンロックされる。
『リクくん!』
オープンチャンネルだったのか、通信が開かれる。
帽子を被り、眼鏡をかけた少年だった。
“あの子何処かで”とロウは思ったが、思考から放り出しておく事にした。戦闘に支障が出るからだ。
「………テイルブレード、射出」
ボソリと告げ、テイルブレードを尻尾から射出し、ギラーガへと接近させる。
テイルブレードは槍を持つギラーガの右腕を貫き、ワイヤーを絡ませ引きちぎった。
◇
リクside
『な、なんすかお前は!?』
煌・ギラーガに乗る男のダイバーが通信でそんな声を上げ、
その直後、ギラーガの居た地点に大きな影が降り立ち、砂埃が立ち上がる。
砂埃が収まり始め、シルエットが現れ始め、やがて正体が明らかになる。
黒に白のコントラストが特徴的、そして羽のように見える部分には何かしらの武装があるのが見て取れた。
『あれってハシュマル....だよね』
ユッキーが通信でそう言ってきた時だった
ギュララルルルルウゥゥゥゥゥゥぅ!!
俺とユッキーを庇うように立ち塞がる
「黒い....ハシュマル」
俺がそう言った時だった。
『....そこの
音声のみのプライベート通信が入ってくる。声質は女性寄りに聞こえる。
「え、あ、はい」
少し慌てながらそう返すと、
『なら良かった。私が奴を始末する。二人は安全な所へ避難を』
彼女からそんな指示を受ける。
「でも!」
俺達が倒します、と続けようとしたが、
『二人の機体は明らかに動かすことはできない。機体を大事にしたいなら、今は逃げなさい』
彼女はそう言って機体を煌・ギラーガへと向ける。
「コイツは....
俺は彼女にそう叫ぶ。
『....ふっ、そう』
音声画面からそう聞こえると鳥のような頭がこちらを向き、キュルルと短く鳴いた。
『私とこの子が隙を作るから、一発かましなさい』
「は、はい!」
そう返事すると俺は
『.....サマキエル・アイン。ロウ。出るよ』
彼女からその声が聞こえてきた瞬間、黒いハシュマル___サマキエル・アインが煌・ギラーガへと突撃を始めた。
リクside out
◇
“何で助けたんだろうなぁ”と思いながらもロウはギラーガへサマキエルを突進させて行く。
『は、はん!この煌・ギラーガが負けるわけがないっすよ!』
目の前の鬼の格好をしたダイバーはそう言うとギラーガの改造機体、煌・ギラーガの左手から黄色いビームを連射し、ビームの束がサマキエルに殺到する。
だがビームはサマキエルの手前でパシャンと弾けるだけでサマキエルへのダメージは皆無だった。
突然ピロンと軽い電子音と共にサブウインドウが表示される。その内容は、
<E-D
という内容だった。
「丁度いい。性能テストをしようか」
<YES>を押し発動を承認すると、続けてサブウインドウが切り替わり、
その鳥のようなシルエットから、グレイズアインに酷似した
『ひぃ!』
煌・ギラーガのパイロットが悲鳴を上げるも束の間、サマキエルの右膝で蹴りをくらい、吹き飛ばされ、宙に放られる。
その直後、煌・ギラーガの両足にバトルアックスが投擲され、突き刺さる。
そして左足裏をコックピットハッチへ添えると、
バシュン!
自動射出のパイルバンカーが射出され、ギラーガの残った左腕を貫き、穿った。
『こ、こんなの....ありえないっす......!』
パイロットがそう言い残した直後、煌・ギラーガは
「......自分のやったことを後悔しなさい」
再びサマキエルを
途中、少年からの通信があったが強制終了し、ホームへと帰還した。
何故か、
はい、結構投げやりな感じで終わっちゃいました。
戦闘描写、難しいですね。
感想お待ちしています!
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新たな仲間
感想随時お待ちしています!
さて、新しいキャラが出てくるよー!
ダイブを終え、店内に戻ってきた狼に、
「随分と気難しい顔してるね」
聞き慣れた声が投げ掛けられる。
ふとカウンター席をみると、両手に大事そうにカフェラテの入ったマグカップを持ち、笑みを浮かべる一人の少女がいた。
褐色の肌に白髪の混ざった黒髪のぼさぼさのショートカット、赤いジャケットに白いカーディガンをを羽織り、狼よりも細い四肢と体を持つ少女だった。
「...世奈」
狼は少女の名前を呟いた。
彼女の名は
「おやっさんから聞いたよ。GBN、狼も始めたんだってね」
「簡単なミッションをこなしただけだけどね」
世奈はガンプラコンテストで毎度優秀賞に選ばれるほどの
「ふーん.......そんなに楽しい?」
「まぁ、楽しいと言えば楽しいな。愛着が湧くしね」
狼の返事に少し考えた世奈は、
「明日
“カフェラテ、美味だったよ”と羅甲に告げると鉄華を去り、冷めたカフェラテを飲む狼とそれを無言で見守る羅甲のみが残ったのだった。
◇
世奈side
淡い白色の光を放つランプに照らされながら、
これらのガンプラ達は、私が初めてガンプラに触り、組み立てた機体であり、私の最古参の
『愛着が湧くからね』
私の脳裏にふと狼の言葉が掠める。
「....貴方達は、どうしたい?」
私は、目の前に陳列するガンプラ達を見つめ、そう問う。
勿論、ガンプラからの返事はない、だが、
「うん....そうよね....わかった」
今だけ背中を押す言葉が聞こえた気がした。私の幻聴なのか、はたまた.....
意を決し机から離れると、ちょうど真後ろにあるクローゼットの扉を引き開ける。
そこには整理され、山積みにされた大量のガンプラの箱があった。
破損したり組み立て途中で投げ出したガンプラや、未だに組み立てられたり箱を開けてすらいないガンプラ等を押し込めていた。“ガンプラの墓場”と呼んでいたこのクローゼットに眠るガンプラ達を見て、
「.....貴方達にもしっかり働いてもらうからね」
そっとそう言うとクローゼットへと手を伸ばし、手前に放置され、長らく使われていなかったガンプラ用の工具箱を取り出し机の隅に置き、ベットに飛びこみ故横になる。
明日、狼と一緒にGBNをする。そう思うと少し複雑な気持ちになるが、同時に嬉しいとも感じられた。
ふと横に顔を向けると棚があり、初めてガンプラコンテストで優勝した時のトロフィーと賞状、ガンプラが置かれていた。二箱買い、やっちゃったと焦りながら初ビルドを行ったハルートベースのガンプラだった。
でも、劇中に出てきたガンダムハルートは違い、胸部装甲が足されていたり、ハルートの主武装であるGNソードライフルも改造され、二本を連結し一本の大剣にできるように細工されていたりと取り回しと火力、
「明日はよろしくね......アルビディエル」
世奈はそう言うと目を閉じ、意識を闇の中へと手放した。
深淵の意味をもつアビスと、なんの因果か狼も使っている霞を司る天使、バルディエル、その二つの名を冠したガンダム_____ガンダムアルビディエル。
その日の夜、世奈は夢を見た。
◇
片や死を振り撒く
片や深淵より現れし
この2機が対面するとき、何が起こるかは、未だ誰も知らない_____だが
戦場より舞い降りし忌み子が降りる
その日は近い
はい、なにか不穏な感じですね。
感想、ご意見、アイデア等あればコメント欄orメッセージまで!
お待ちしています!
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というわけで第五話«前»、どうぞ!
翌日、世奈と鉄華で合流した狼は店の奥にある筐体でGBNにダイブしていた。
「うわーお。これがGBNの中ねー。思ったより綺麗だし何より、“The・ゲームの中”って感じね」
「そりゃ....次世代型ガンプラバトルシュミレーションゲームだから、ね」
受け付け兼ロビーとして機能する広場でキョロキョロとあちこちに目を向けながらそういうセナにロウはぼそりと答えた。
彼女は肌の色と顔立ち、背の高さはリアルから引き継ぎ、瞳の色や模様、髪質、服などを調整した結果………、
「にしてもこの体、動きやすくて良いわね」
他から見れば動きにくそうな格好の世奈がその場でくるりと一回転し、そう言った。
褐色の肌に凛々しく感じられる顔立ちにその目を覆う深紅のバイザー。上半身は二枚の布がたなびく紅色のショーツを着て、下半身はバイザーと同じカラーのズボンに黒のコンバットブーツ……そして目元から頬にかけてタトゥーのような傷痕があり、ガンダム作品に出てきそうな不思議な雰囲気を漂わせる少女になっていた。
「まぁ…..何でそんな格好にしたのは問いただしたりはしないけど...。ロールプレイ、出来る?」
ロウはヘルメットの中からセナにそう声をかける。
「大丈夫だよ。むしろめっちゃ得意!任せて!」
そういうと喉元に左手を添え「あー、あー」と軽く発音する。
「………こんな感じで、良いのか?」
女口調からより荒い男口調にし、ソプラノから一オクターブ低いアルトの音質でセナはロウに答えた(想像しにくいと思いますが、ロールプレイ時のセナはアルトリア似の声です!)。
「ん、大丈夫」
ロウもGBNでの調子に戻し、セナにそう返す。
「じゃあ、早速ミッション…行く?」
「あぁ、行くとしよう」
ロウの提案にセナがそう答えると二人は受付へと足を運ぶ。
受付の女性NPDが提示してきたクエストリストをスクロールしつつ目を通すセナを見ながら、ロウは体を軽く伸びをして回りの声に耳を傾ける。
「なぁ聞いたか?荒野フィールドに現れる悪魔」
「ああ?なんだそいつ」
「なんでも、機体はデフォルトのバルバトスルプスみたいなんだけどな。けど……」
「けど?」
「……可笑しいんだよ機体の反応速度が」
「……マジか」
「……ウ……ロウ!」
ハッと驚き隣を見ると、
「全く、何をボーッとしていたんだ」
「………何でもない」
呆れるセナにロウはそう答えると、セナはロウの方にクエスト画面を飛ばしてくる。
ー滅亡へのカウントダウンー
・全機体を撃破し、アクシズ落下を阻止せよ*大連戦ミッションー全三ステージー*
クリアダイバー:0
「これ…。難易度超高いけど……大丈夫?」
「私は行くと決めた。機体が心配だけど」
セナはロウにそう返すと足早にハンガーへと向かってしまう。
追いかけようとしたロウはふとクエスト画面の端に書いてあるのを見つけ、少しだけ目を見開くと、
「……面白い」
ニヤリと笑みを浮かべ、ロウもハンガーへと向かう。
ー尚、このミッションは中継、モニターに公開されますー
次回は中盤か後半戦。出来れば三話でミッションを終わらせたいと思っています!
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大連戦ミッション-滅亡へのカウントダウン-
第五話《其の弐》どうぞ!
ハンガーに着くと二人は各々の機体に乗り込みカタパルトまで移動させ、出撃前の
「........とにかくは、相手のパターンと出現機体の把握.....第一に、ね」
「あぁ。全三ステージで構成されていて、最終ステージにあるはずのアクシズの落下が始まるのは全敵機を撃破してからだろうだからな。焦らずアクシズのブースターを全て破壊すれば、勝機はある」
ロウが搭乗するサマキエル・アインの右隣、一番端のカタパルトレールには飛行形態に変形したままのMSが一機、固定されていた。
ワインレッドとグレーを基調としたカラーリングに前方へ突出した二門のGNキャノン、ガンダムハルートを色変えしただけの素組機体かとロウは初めはそう思っていたが、改めてみるとハルートの主武装である“GNソードライフル”の形状が原作と異なっていたりと攻撃を優先せず、機動性と取り回しやすさに重点を置いた機体設計がなされていると感じた。恐らくガンプラを形作る
ビルダーとしての実力は高いが、バトルで機体に振り回されてしまったら本来の性能より格段にスペックダウンしてしまう。だが、大連戦ミッションという誰も達成したことのないクエストを選んだということは、多少期待してもいいのかな。ロウはそう思った。
「何かある...?言っておきたいこととか」
「...........」
あたかも遺言を考えるみたいに黙り込んでしまったセナにロウは首を傾げたが、
「....我儘に付き合ってくれて、感謝するぞ」
セナの一言で緊張がほぐれたロウだが、深呼吸し愛用している赤いメッシュが入った黒いヘルメットを被り、素顔を覆い隠すと、
「......時間。そろそろ出るよ」
セナにそう伝え、手本になるようにサマキエルをカタパルトから射出台へセットする。セナもそれに見習い、射出台にセットする。
ロウは今回、サマキエルに追加ブースターと他のプラモデルから拝借した10連装マニューバーミサイル、そして
閑話休題。
「.....ロウ。サマキエル・アイン」
「セナ。ガンダムアルビディエル」
「「出るよ/行くぞ!!」」
瞬時にレールを駆け抜け、2機(?)の
◇
-リクside-
「すまなかった、リク君。騙すような真似をして」
「いえ、気にしないでください」
俺は頭を下げたキョウヤさんにそういった。
俺達___リク、ユッキー、モモカ、そしてキョウヤさんとサラはGBNのミッションを受注するホームに来ていた。
キョウヤさんが俺達から身を翻したときに、
『ハーイ!皆さん!これから大連戦ミッションの中継を行いまーす!!勿論!見れなかった人用に後で中継映像をG-tubuにアップしておきますよ!』
「大連戦ミッション....?」
俺が首を傾げているとキョウヤさんが説明してくれた。
「人数制限は6人。制限時間は10分。全部で三フェーズ。僕のフォース“
「え!キョウヤさんでも無理だったんですか!?」
キョウヤさんの説明にユッキーが聞き返してると、ホームの画面が宇宙フィールドに切り替わり、挑戦する人達の機体が出てきた。
黒と紺のツートンカラーの
「二機だけでやるの!?難しいって聞くのに」
モモカは猫耳をぱたぱたさせながらそういう。
俺は画面に映るガンプラの片方____先行する黒い鳥型の
“頑張ってください......。ロウさん”
俺は心の中で
◇
勢い良く飛び出したサマキエル・アインとガンタムアルビディエルは既に、敵部隊を複数補足していた。
『部隊を確認した。あれは.......シナンジュか。ギラ・ドーガと袖つきザクも確認。数は30。ロウ、後ろはどうだ?』
前方から向かってくる部隊をカメラアイで視認し戦力を確認したセナはロウに尋ねる。
「.........後方からν。連れはジェガンとジムカス*1。こっちも30」
ロウは後方から接近する部隊を見てセナにそう報告したロウは勢いを止めずに武装のチャージを開始し臨戦態勢に入る。
「セナは
「了解した」
ロウから指示を受けたセナもアルビディエルを戦闘体勢にする。
アルビディエルを
「.......やっぱり、プレイヤーよりは動きが単調ね...。NPD機体って」
四方八方から迫り、ビームや実弾の雨を降らせてくるジェガンらを見てそう呟いていたロウの目に映ったサブウインドウにはチャージ完了の文字が浮かんでいた。はたから見ればピンチに見える光景だが、ロウからしてみればこれほどの好機はなかった。
「........尤も、どんなに打ち込んでもサマキエルには通じないけど、ね」
ロウの笑みは彼女を知っている誰もが、一番近くに居たセナですら見たことのなかった狂気に満ちた笑みだった。
ロウは背部にある見慣れない三対六本の砲台にあるラインに淡いピンク色の光が灯り、サマキエルの周囲にジェガンらを包み込むようにして特殊な重力フィールドが展開される。全くなかったパターンに認識できなかったのか、停止したジェガンらに六筋のビームが襲う。瞬時に半数が撃墜されるが黙って墜ちたりしないのがNPD。すぐに最善の手を打つためにビームの嵐を掻い潜りサマキエルに突撃を仕掛けるが、
「逃げないでよ。楽にできないだけじゃない......フフフ」
時に足で掴みビーム砲兼パイルバンカーでコックピットを破壊し、テイルブレードで三機を一気に貫通させて撃墜したりと単機で大量の
「.......フフフ、アハハハハハハハハハハ!!」
パイロットが狂気のままに機体を操縦しているか否かだった。
NPD機体の残骸を掻き分けながらフィールドを解除すると何百にも拡散されたビームの束が全方位に放出される。
ビームは飛び回っていた六基のファンネルを貫き破壊し、νガンダムとシナンジュを木端微塵にし撃墜した。
アルビディエルは飛び回って回避するとビームを飛んできた方を見ると爆炎を背景に前進してくる
「.........さっさと行くよ。時間、ないから」
ロウは平常に戻りつつセナにそう言うとサマキエルを加速させる。
「..........敵に回したら厄介だな。ロウは」
セナは独り言ちるとアルビディエルを
-残り時間:08:00-
◇
『........クランク二尉。俺は、どこで間違ってしまったのですか........』
サマキエルの中で新たな命が誕生したが、気づく者は、まだいない________。
はい、勘のいいガキは嫌いだよ(芝居並感)
というわけで第二フェーズは飛ばす予定です(フルコーン&バンシィ・ノルンとサザビーが相手ですが、許して)
次回はラスボス、そしてアクシズは止められるのか
次回:覚醒のサマキエル-滅亡へのカウントダウン《弐》-
お楽しみに!!
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