問題児RTA - アジ=ダカーハ討伐チャート (チルドレン)
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YES!ウサギが呼びました!
キャラ選択


初投稿と言い忘れたので初投稿です。


はい、よーいスタート。

死にゲー、リセゲーの権化、そもそも原作の主人公達に任せれば全てが終わる。問題児たちが異世界から来るそうですよ?のRTAはーじまーるよー!

“キャラ作成後と同時に”タイマースタート、アジ=ダカーハを討伐した時のトロフィーを獲得するのと同時にタイマーストップです。

え?どうしてタイマースタートのタイミングがキャラ作成後からか?だって?

ではその理由をキャラ作成中に説明しましょう。なーにタイムはまだ0秒です(時間はまだまだあるさ)

 

ではキャラ作成の順序を説明しましょう。

先ずは種族、次に名前、その次に無神論者かそうでないか、またその次に性別、そして更に次には…と、多種多様のキャラ選択肢が御座います。しかも箆棒に長い、簡単に言うと、“選択だけでリアル1年掛かる程度には”

此処で走る前の私含め、勘の良い兄貴達はこう思う訳です。

 

『別にそれならテンプレ作ってGo!でよくね?』

 

所がどっこい、このゲームはテンプレが全くありませんでした。

は?(憤怒)

それもそのはず、私が調べた中ではホモの兄貴達は全く走っていません。はーつっかえ。

そもそもリアル一年選択肢を選び続けるなんて、ゲームとして全く成立していませんよね?僕はそうは思いませんけど。

という訳で、後は一年間選択肢を選ぶ姿を4096倍速して皆様にお届けするのですが…流石にそれだけだとつまらなくてブラウザバックしますよね?

そんなみなさまのためにぃ~

 

今回使うキャラの設定をお教えしようと思います。

 

先ずは名前、最初は入力速度を考慮してホモとかレズにしたんですが…このゲーム全てのキャラに人工知能搭載してるのか、かなり警戒されるんですよね。(27敗)

…そんな訳で、こんな動画をご用意しました。どうぞ。

 

-case1.名前がホモだった場合。

 

「……春日部耀。以下同文」

「俺はホモだ。これからよろしくな!逆廻十六夜君!」

「うるせぇ!寄るな!」

「あら良いじゃない。私達は私達で友達として仲良くしましょうね?」

「…うん」

 

はい。馬鹿正直に名前を言った瞬間、全員の好感度が下がりました。ホモは正直。

別に本人の性的思考はノーマルなのですが、それでも名前からホモ臭さが出てたのか十六夜君とは仲良くできませんでした。

 

-case2.名前がレズだった場合。

 

「……春日部耀。以下同文」

「私はレズよ。これからよろしくね?」

「私としてはよろしくしたくないのだけど…」

「…私も、ノンケだから」

「奇遇ね。私もノンケよ?」

「……じゃあ、もう一度自己紹介して貰えないかしら?」

「えぇ。私はレズよ。これからよろしく」

「「よろしくしない」わ」

 

はい。こちらも馬鹿正直に名前を言ったら女性の好感度が下がります。

因みに十六夜君は近くで笑っているだけです。どうやらホモじゃ無ければ何でも良いそうですね。(本人はホモじゃないから)当たり前だよなぁ?

 

-case3.名前が神様の名前とかの丸パクリだった場合。

 

「……春日部耀。以下同文」

「僕の名前はフランシスコ・ザビ…」

 

はい。今主人公が消滅しましたが、リセットした訳では御座いません。

どうやらこれは名前を“騙られた”と言う判定になって殺されたか、それとも名前を“名乗った”為本物と言う扱いになってしまったのか…兎に角名乗った名前が悪かったので別の名前にしてみましょう。

 

「……春日部耀。以下同文」

「我の名はオーディ…」

 

はい。

何処からか現れたグングニル君によって主人公は貫かれましたね。

という事で、どうやらこのゲームで名前を騙るのは駄目みたいですね。

なので名前の時間考慮しない為にキャラ作成後からタイマーをスタートする必要があったんですね。

という事で名前は違和感を感じさせない様にしつつ、けれど権能(ギフト)の固定が出来る程度の物にしておきましょう。

…え?レズとかホモはなんだって?

知wらwなwいwよw

と言う冗談はさておき、次に説明するのは種族についてです。

此処は無難に人間…とか思いますが、人間は無難過ぎて余りにも選択肢が多いです。

(何処出身とか色白とかアルビノとか男の娘設定とか考えた事)ないです。

けれど此処で私はアルビノが好きだから!とか、黒人でラップしながら二代目金糸雀目指すぜ!とかやると十六夜君の好感度が下がったり、最悪殺される事になります。

何で?(ラストエンブリオ見てない勢)

 

そして更に、此処である程度の制限掛けないといけません。

何故かというと、極端に強くし過ぎると逆廻十六夜が本来生まれる時間に生まれてしまいカナリアファミリーホームとの接点が消えてしまう為です。(1敗)

何で?(設定を読み込まない勢)

と言ってもちゃんと強くしないと箱庭にすら呼ばれないので、呼ばれる程度の強さにはしておきましょう。(14敗)

でもこのゲーム、自力でリセットするには自殺するしかないんですよね。

という訳で、4096倍速をして選び終えたキャラクターがこの娘になります。

 

名前"苗字 九十九

種族"人間(日本人:色白)

能力(身体能力)"人外

権能(ギフト)"憑依(付喪神)《武具・道具》・神性

嗜好"M寄り・両性愛者(バイ)

信仰"仏教(日本寄り)

性格"温厚・純粋・頑固・善意の塊

 

これは典型的な付喪神(疑似神性)ルートですね。

この場合スタートしたら選択肢が幾つかあります。

1.主人公の九十九ちゃんが付喪神となるルート。

2.付喪神として生きていた九十九ちゃんが能力を制限する為に人間に堕とされたルート。

3.それとも九十九ちゃんが付喪神に憑依されてしまったルート。

神性が付いているのでかなりルートは絞られていますが…恐らくはこの三つの内のどれかで確定でしょう。

 

…そしてこの場合、付喪神と言う存在が温厚であるかそうでないかでリセットするかどうかが決まります。

最悪此処で手に入った情報が全部握りつぶされて、神様用のプレイヤーシート()を渡される場合もあるんですよ。

その場合は…もう一回一年前からやり直す必要がありますね。(無慈悲)

そして性格は善意の塊、そして頑固!これを狙っていました!これのお蔭で九十九ちゃんは自分が傷ついても、例え死ぬ定めとなろうとも自らの身体を掛けます。

しかし神性持ちなのに身体が幾らか低い…これは、ガバじゃな?流石にこれだと箱庭に呼ばれないかもしれないので、これから頑張っていこうね九十九ちゃん!(ニチャア)

 

…さて、それでは…イクゾー!デッデッデデデデ!(カーン)

あ、セーブはしません。この後リセットポイントなので。

…さて、周囲の人間関係はどうでしょうかね?

 

「…だから、今日はこんなゲームを持ってきたよ。お姉ちゃん…こっくりさんって言うんだけど…」

目の前の少女が、優しく喋り掛けてくれる。▽

最近動ける様になったと、嬉しそうに微笑んでいた彼女だ。▽

 

…ん?この表記どっかで見た事ありますね…(チャートガン見)

……あ、そっかぁ(諦め)

 

「お姉ちゃんが歩ける様になったら、もっとちゃんとした遊びとか出来るんだけど……あ!別に責めてる訳じゃないんだよ?!」

そう言いながら私の妹…春日部耀が辛そうな表情を浮かべた▽

 

…これは…再送案件じゃな?

ぬわああああん疲れたもおおおおん!



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十六夜

前回失踪しますと言い忘れたので初投稿です。


はい、よーいスタート。

 

さて…どうしようかと考えていると、私の妹はしゅんとした。▽

貴女は妹が持ってきたゲームを嬉しそうにやっても良いし乗り気じゃない状態でやっても良い▽

 

正直リセットしたいけど、此処でリセットしたらもう一年使うからしないRTA、はーじまーるよー!

…正直見ている兄貴達の中には「再送して♡」と考えている兄貴達も居ますが、此処ではリセットしません。

理由としては、金糸雀の施設に送られなければ万々歳だからですね。

何故かというと…

 

「お姉ちゃん?」

 

ああハイハイ。やりますやります!

やればいいんダルルォ!?

あー、これから色々したいんだけどどうすっかな~?

 

「本当?嬉しい…この為に今日は一番古いお金を用意したんだ」

そう言いながら彼女が取り出したのは、一番作られた年が古い十円玉だった。▽

どうやら今日この日の為に昔の十円玉を用意してくれたらしい▽

 

その労力をもう少し別の所にして欲しかったんですけどね。

…という訳で妹である春日部ちゃんと一緒にこっくりさんごっこで遊んでいるのを倍速している間に、これからの事を説明していきます。

まず初めに、箱庭に呼ばれるまで何をするかなんですが…生憎と何時呼ばれるかわからないんですよね。

はっ?と思った兄貴も居るでしょうが、これには深い訳があるのです。

 

実はこのゲーム、どんな時間軸でも手紙を送られるかランダムなんですよね。

本当は条件がある筈なんですが、(自分一人だけ何で条件がわから)ないです。

…と言うか、今思ったんですけど春日部ちゃん…主人公の事をお姉ちゃん呼びしてませんでした?

……義理の姉である事を願いましょう。流石にギフトでノーフォーマー付いてたら本格的な再送案件ですし。

メガトンコイン!するのはbiim兄貴だけでいいんだ。ガバは嫌だガバは嫌だ…って、

 

「こっくりさんこっくりさん。お姉ちゃんの身体は何時治りますか」

 

どうして等速に戻す必要があるんですかねぇ?

…ああ、今までは九十九ちゃんが動かしていたけど、この質問は余りに重かったんですか。

……と言うか、お姉ちゃんの身体って言っている時点で九十九ちゃんノーフォーマー確定じゃないですか。

こんなん(リセットポイント)毎日続いてたらもう、やめたくなりますよ~RTA。

まぁこれは選択肢の中から選びましょうか。

 

貴女は十円玉を動かし、次の満月にまで治ると答えた▽

「…凄い!それならお父さんと一緒に旅できるね!私も沢山の動物と友達になったんだ!」

その言葉を聞いて、漸く妹が狐狗狸さんを選んだ理由が分かった。▽

友達になった動物達に頼る為にも、色々調べて…そして思いついたのがこの狐狗狸さんだったのだろう▽

 

そんな事考えなくて良いから(諦め)

それよりも、どうやってノーフォーマーを活かすかを考えないといけませんね。

基本的にデメリットなノーフォーマーですが、実はとある権能(ギフト)達と合わせればメリットにもなります。

…例えば、今も春日部ちゃんの首に掛かっている生命の目録(ゲノム・ツリー)もそうですね。

ノーフォーマーである事が幸いして、春日部ちゃんは生命の目録(ゲノム・ツリー)を使えるのですから。

仮にこれを黒うさぎに渡したら兎のキメラが出来上がります。と言うか実際にホモ君でしました。

通しに使ったホモ君には色々して貰いましたね。(小並感)

 

さて。ノーフォーマーを抑える、若しくは治療する方法ですが…ナオキです。

いえ、実際に治療する方法はありますが現実的ではありません。

簡単に言えば、“永久機関の正しい知識を全て持ち”“自分の身体に永久機関を付与し”“自分の存在価値を箱庭に見せつけられれば”ノーフォーマーは消えます。

はい、無理ゲーですね。ですが…この九十九ちゃんおかしいよなぁ?

 

「明日、本当に治るんだよね?」

当たり前。なんて言いながら微笑んだ私は、ゆっくりと立ち上がってマッスルポーズをしだした▽

それを見た妹は嬉しそうに微笑みながら…辛そうな表情を浮かべる▽

 

はい。会話は(RTAに)不要ら!という訳で倍速倍速ゥ!

そうこの九十九ちゃん、ノーフォーマーで霊格損傷している筈なのにかなり動けるんです。春日部ちゃんは(・・・・・・・)来もしない満月を(・・・・・・・・)待っているのに(・・・・・・・)

理由としては幾つかある筈なんですが…全くと言って思いつきませんね。

…はぁーつっかえ。ほんま使えんわ。止めたら?このRTA。

取り敢えず分かっている事は九十九ちゃんはノーフォーマーであるにも関わらず、普通の人間と同じくらい動けるという事です。

 

……まま、ええわ。許したる。

実はノーフォーマーじゃない可能性もあるし、全部間違いだったりする可能性もありますね。

後はノーフォーマーが遺伝してなかったりとか義理のお姉ちゃんだったり色々考えられます。

その場合は病弱の女の子で売っていきましょう。

それでは今日は一緒に満月を見ようという春日部ちゃんの会話を聞きながら終わりにしたいと思います。

 

では諸君、サラダバ!

 

------------------

 

私のお姉ちゃんは、元気で、優しくて…大好きな最高のお姉ちゃんだ。

私の身体が元気な頃は何時も一緒に遊んでくれたし、勉強から逃げてた時も少しだけ苦笑しながら私を逃がしてくれた。

……勿論、後でちゃんと怒られたけど。

そんな毎日幸せな出来事も、お互いが小学校に入ってからは減ってきて…そして、私の身体が悪くなって、その時間は余計減ってしまった。

 

「…ごめんなさい。お姉ちゃん」

「……どうしたの?」

「昔、酷い事言っちゃったから」

「ああ。気にしなくてもいいよ。あの時は耀も辛かっただろうしね」

 

その言葉と同時に私は溜め息を吐いて…ゆっくりと過去を思い出す。

…私が入院した時、お姉ちゃんを一時期怨んでいた。

どうしてお姉ちゃんの身体は動けて、私の身体は動けないんだ。

どうしてお姉ちゃんは遊べるのに、私は遊べないんだ。

どうして、どうして、どうして…何時しか疑問は怨嗟になり、好意は憎悪に変わっていく。

何時しか選んでいた言葉の基準は、どうしたら傷付くかと言う照準に映り変わっていて。

斬れたナイフの様な言葉を喰らっても、お姉ちゃんは笑顔のまま…

 

「そんな言葉覚えちゃったんだね。私以外に使っちゃ駄目だよ?」

「…えーっと……まってもう一回言って?!今度はちゃんと聞き取るから!その後ちゃんと調べるから!」

「……?えっと、それは褒めてる?…あれ?あれ?」

 

時に困った様に、時に焦った様に、そして時に嬉しそうな声で喋るお姉ちゃんを見て、私の苛々はどんどん募らせた。

…お姉ちゃんもこうなればよいのに、そう思って…

 

あの日の事件が起きてしまった。

お姉ちゃんがこうなってしまう、最悪の事件が。

詳細は省くが、三毛猫を助けた時に、お姉ちゃんは今まで動いていた身体が上手く動かなくなってしまったらしい。

それでも私の症状に比べたら軽い物だが…入院はしないといけないと言われる位には、お姉ちゃんの身体は限界を迎えていた。

…そして入院した時、私は初めて神様と言う存在に感謝してしまった。

お姉ちゃんを私と同じ位置に堕としてくれてありがとうございますと。これでお姉ちゃんに暴言を言わなくて良くなりました。

 

だからこれからは、今までの分の暴言を聞こうと張り切っていたのに…お姉ちゃんは変わらなかった。

私の調子が悪くなれば即ナースコールするし、私の嫌いな野菜は勝手に食べるし、偶にくるナースさんに優しくするし…その日は嫌に苛々したからお姉ちゃんを殴ろうとした…。

お姉ちゃんは暴言を吐かなかった。お姉ちゃんは私と同じ所に堕ちたのに…それなのに私とは違って、輝いていた。

それがどうしようもなく嫌で、もしかしたら失望されるのかもしれない…そう考えた私は、お父さんに理不尽なお願いをしてしまった。

 

「…お姉ちゃんの身体、治さなくていいから…私の身体を、治して…」

 

その言葉を聞いたお父さんの反応は、凄く悲しそうで…考え直せと言われたけど、幼い頃の私にはそれが如何しようも無く嫌だった。

…だけど、次の日にはお父さんは覚悟を決めた様な表情でこちらを見つめ…そして、お姉ちゃんが居ない時を見計らっていった。

 

「…あの言葉に、嘘は無いんだな?」

「……うん」

 

その声は、小さかった。

けれどそれを聞いたお父さんは…本当に悲しそうな顔をして…お前は俺にそっくりだなと一言だけ喋った。

…その後に私はお父さんに木彫りのペンダントを貰い……そして歩ける様になった。

その時の優越感は、きっと相当な物だった…今は勿論、罪悪感で一杯だけど…気がする。

私は歩ける。お父さんと一緒に旅できる。それが嬉しくて自慢して…そして…

 

「…耀は……少しだけ、悪い子だね」

 

辛そうな表情で喋ったお姉ちゃんのその言葉が、胸に突き刺さったのを覚えている。

…今まで感じた優越感が全部消え、私は唯お姉ちゃんに怒りを覚え睨み付ける。

だけど…

 

「…ごめん。違うの…」

 

言った張本人のお姉ちゃんは、自分が言った言葉を直ぐ撤回した。

唯ひたすらに泣いて、ごめんなさいと言って。血を吐いても止めなかったお姉ちゃんを見て…私はナースコールを押す事すら出来ず呆然と立ち尽くしていた。

意識を失う最後まで、お姉ちゃんは謝り続け……そして、お姉ちゃんが目を覚ます事は、暫く無かった。

 

「……私、最低だ」

 

お姉ちゃんが居なくなった事によって、一人の時間は増えた。

…そして、私はその時になって漸く…自分の罪を認める事が出来た。

ごめんなさいと言いながら、泣いていても…慰めてくれる人はいない。

……私は気付けば、家族以外の繋がりが消えていた。

…それが如何しようも無く嫌で、どうしようと考えた時に…私はお姉ちゃんが中庭で勝手に飼っている三毛猫に会いに行った。

 

「…それで、どうすれば良いかな…」

『そんなもん、謝ったらいいんちゃう?お嬢は優しいから、きっと許してくれるで?』

「……っ!?」

『何を驚いてるんや?』

 

お姉ちゃんが助けた三毛猫は喋るのか。そんな事を考えながら目の前の三毛猫と会話をしていると……中庭にやってきた先生が何か紙に記入した後に…

 

「…大丈夫ですよ。タイミングが悪かっただけですから、そんなに自分を責めないで下さい」

「……はい」

 

そう言って先生は、私の頭を優しく頭を撫でてくれた。

でも今思えば、あの時の行動は私が現実逃避をして幻聴を聞いている…そんな事を考えていたんだろう。

…だって、あの後見た紙に精神崩壊の兆しありって書いてあったし。

 

…一週間後、お姉ちゃんは目を覚ましたという報告を聞いた。

私は急いでお姉ちゃんの元に向かい、最初に謝ろうとしたが…

 

「ごめん。あの時は少しだけ病んでて…って、言い訳ならないよね。お姉ちゃんなのに暴言を言ってごめんなさい」

 

お姉ちゃんに先に謝られ、ベッドから降りて床の上で土下座までされた。

…それを見たナース達は大慌てでお姉ちゃんをベッドまで運ぶ。

だけど一歩も動かず、困った様にこちらを見るナースを見て…

 

「…うん。大丈夫だよ」

 

私は謝罪の言葉を飲み込んで、小さく頷いてしまった。

…それによって謝罪の言葉は消えてしまい…私の心の中で燻ぶる事になってしまったのだ。

 

「…そうだ!今日お姉ちゃんが助けた三毛猫と会話したの!」

「おー…どんな事話したの?やっぱり猫だから一番美味しい魚の部位とか?それとも日向ぼっこのおすすめの場所?」

「……そんな事は話してない」

「あれっ?!」

 

お姉ちゃんの一言に少しだけむすっとしながら返すと、お姉ちゃんは慌てた様な表情を浮かべて周囲を見渡した。

…そして、お姉ちゃんが個室で入院すると聞いて…私は少しだけ寂しくなってしまった。

 

「…という訳で、ちゃんと嫌いな野菜も食べるんだよ?私はもう食べられないからね?」

「……今までも、ちゃんと食べてた」

 

そう言って目を逸らせば、少しだけ嬉しそうに微笑んだお姉ちゃんが…二枚の紙を差し出した。

…其処には動物園と水族館と言う文字が書かれていて…少しだけ寂しそうに微笑んだお姉ちゃんが私の頭を撫でながら説明をする。

 

「此処が色んな動物が居ると噂の動物園で、こっちがペンギンとかが居る水族館なんだよ?ぜひ、どんな事を話してたか教えて欲しいなって」

 

その言葉を聞いて、私は首を傾げた。

…お姉ちゃんは、一緒に行ってくれないの?そんな思いが伝わったのか、お姉ちゃんは少しだけ申し訳なさそうな表情を浮かべながら喋る。

 

「残念ながら外に出る事すら禁止されちゃってて…今までの無理がバレちゃったんだ。なので…良ければ三毛猫の三毛次郎の世話もお願いできる?」

 

そう言いながら私達の年齢じゃ作れない筈の通帳を渡したお姉ちゃんは、少しだけ辛そうな表情で…気付けば私は、小さく頷いていた。

それを見たお姉ちゃんは嬉しそうに微笑んでから喋り…

 

「…ふふ、目指せ友達百種類!」

「……流石に、数が足りないと思う」

 

私の突っ込みに対してそれもそっかと笑ったお姉ちゃんを見て…私も何時の間にか笑顔になっていた。

だからその時…お姉ちゃんのベッドの横にお姉ちゃんそっくりの小さな人形があったのを…当時の私は見逃していた。

 

「…耀?どうしたの?」

 

昔のお姉ちゃんの事を考えていると、少しだけ首を傾げたお姉ちゃんが今の私を呼んだ。

…思わず目を開いてお姉ちゃんを見て、傍に置いてある人形を見てから…暗くなってしまった空を見つめる。

 

「……何でもないよ?ちょっと今日は…疲れただけ」

「そっか…じゃあ少しくらい休む?私のベッド使っても良いよ?」

「…駄目。今日はお父さんを待つから」

 

そう言いながら空をゆっくりと見ようとして…お姉ちゃんが困った様な表情を浮かべて私を抱きしめた。

…その動きに思わず頬を染めるが…お姉ちゃんは小さく…

 

「…そうだね。今日は綺麗な…満月になる筈だもんね…」

 

その言葉を聞いて、私はお姉ちゃんの肩の向こうに映った月を見つめた。

…其処には…

 

「…お姉ちゃん…」

「……私が、満月にしてあげられたら…良かったのに…」

 

満月なんて程遠い、十六夜の月が宙に浮かんでいた。




RTAよりも過去の方が長くなってしまったので失踪します。


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春日部妻は救世主

閉鎖世界(ディストピア)の情報が殆ど分かってないので初投稿です。

追記。
タイトル書き忘れたので初投稿です。


はい。よーいスタート。

 

(付喪神)が先か(九十九ちゃん)が先かまだ分からないRTA、はーじまーるよー。

今回は春日部ちゃんが十六夜の月を見て絶望している所からスタートです。

 

二年前にお父さんは、今日の満月に迎えに来ると言ってくれた。▽

でも今日は私の予想していた十六夜の月で…それを見た妹は辛そうな表情を浮かべていた▽

 

ああ。そういえば春日部孝明は生命の目録(ゲノム・ツリー)を作った後に消えたんですよね。

それが何だとは言いませんし、特に九十九ちゃんは悲しそうにしてませんから…まま、ええわ。

…え?春日部ちゃんはどうしたって?現在凄く落ち込んでますよ。えぇ。

ですが落ち込んでいてもそうでなくてもタイムは変わりませんので此処は無視…とか考えている早漏ホモ兄貴、甘いですよ。

…此処で無視すると最悪善意の塊が剥がれてトラウマになる可能性もありますので、流石に無視するのは得策ではありません。

九十九ちゃんの精神弱すぎない…?

 

「…」

辛そうな表情で私を抱きしめる耀を見て、私は無性に胸を苦しめる▽

…せめて月を操る力があれば、耀を助ける事が出来たのだろうか…?▽

頼りないお姉ちゃんでごめんね。そう謝った私に対して耀が慌てて首を振った。▽

「そんな事無い!お姉ちゃんは…悪くない」

 

がわ゛い゛い゛な゛ぁ゛よ゛う゛ぢゃ゛ん゛。

…と言うのは置いておくとして、此処で春日部ちゃんが九十九ちゃんに対して暴言を言わなかったのはかなり救われましたね。

今回使っている九十九ちゃん、何故か知りませんがかなり打たれ弱いです。

心無い暴言を一回でも吐かれれば、それを治そうと必死に努力し始めるくらいに精神弱いです。

現代社会生きにくい性格してんなお前な。

さて、これ以上は取り留めのない会話と移動シーンになるので倍速します。

 

それではこれから、九十九ちゃんがする事を皆様に御教えしたいと思います。

先ずは肉体の成長。所謂“改造”を施していきたいと思います。

 

最優先で狙うのは生物学者の春日部のお母さんが一定確率で遺して居るノートです。

閉鎖世界(ディストピア)”で生まれた彼女は、もう既に存在が消え去りましたが…流石に嫁の遺品を持ってない事なんて無いよなぁ?!

…と思っていた時期が、私にもありました。

春日部孝明君、偶に…と言うか高確率で嫁さんの遺品を持っていません。

『こいつ嫁の遺品持たないとか最低じゃん。恥ずかしくないの?』

と思った兄貴も居るでしょうが、これには谷よりも高く山よりも深い訳があるのです。

 

まず初めに、春日部耀と言う存在は何時生まれたかを考察しないといけません。

クイズ!春日部耀と言う存在は何時生まれたでshow!

H.箱庭 M.地球

 

正解は…未だに解明されていません!

はっ?(憤怒)

…と言う冗談は置いておくにしても、本当にどっちか分かりません。

仮に地球で生まれたのだとしたら、どうして“生物学者の母親”はこの世界に飛ばされたんでしょうか?

春日部孝明と言う存在が“箱庭生まれ”か、それとも“地球から呼ばれた人間”なのかにもよりますが…金糸雀達が箱庭から追放された理由はアジ=ダカーハ戦で確定しています。

という事は…春日部孝明の妻も一緒に戦っていたという前提が必要なんですが……そんな訳無いよなぁ?

 

ノーフォーマーは前提として“閉鎖世界(ディストピア)”生まれの人間(家畜)は霊格を削られていき…最終的には消滅します。

ですが春日部耀は箱庭に来る前を含めてずっと生きています。

つまり…“閉鎖世界(ディストピア)”で生まれた人間(家畜)の子供は、消滅しない訳ですね。(ガバ理論)

 

なんて事を、走る前の走者は考えていましたが…そもそも金糸雀は“閉鎖世界(ディストピア)”出身な訳ですよ。

という事は、ノーフォーマーを消去する方法…若しくは霊格を削らない方法がある筈なんです。

春日部孝明が“閉鎖世界(ディストピア)”を倒した影響でノーフォーマーになったのなら、“閉鎖世界(ディストピア)”出身、更には討伐者の金糸雀もノーフォーマーである可能性が高いです。

 

…ノーフォーマーで話がかなりズレましたが、話を戻すとしましょう。

霊格を削るノーフォーマーを持っている春日部耀の母親が春日部耀を生んで消滅する時間が何時か判れば良いんですよ。

生まれてからすぐ消滅した場合、春日部耀の母親は遺言を言う位しか出来ません。

…逆に三歳位でお母さんと言う存在が消えたのなら、母親の知識が残っていても不思議ではありません。

だから今、こうやって家を荒らす必要があったんですね。

 

其処には古びた本が三冊おいてあり、それは丁寧な文字で書かれている。▽

一つは日本語、一つは英語、そして最後に読み取れない文字の本だ。▽

私は英語と日本語の本を取り、流し目で本を眺める。▽

 

おっと、三冊見つかりました。

英語と日本語があるだけ僥倖ですね。最後の一冊は消失祖語(ロスト・ランゲージ)と呼ばれる存在でしょう。

ホモ君が“閉鎖世界(ディストピア)”の生物兵器の設計図を見つけた時にも、同じような文字列でしたからね。

…つまりこれを紐解く事が出来れば…とも考えましたが、残念ながらそれは不可能です。

閉鎖世界(ディストピア)”が存在する頃に使われた文字を解読しようと考えていた()も居たんですが…残念ながら出来なかったんですよね。

…納得する理由としては、“閉鎖世界(ディストピア)”でしか使われない文字だったから…としか言えないですね。

確かあそこは“人種が違っても生活できる世界”ですから。

 

読み終わった内容を覚えなおすべく、自分の頭を回し始める。▽

…耀が居ない間に、全てを覚えられた私は本を全て元あった位置に戻しておく▽

そして泣きながら帰って来た耀を見て…

 

おっとこれは選択肢ですね。

此処は言葉責めよりもボディーランゲージ一択でしょう!

基本的に人肌が寂しい春日部ちゃんは、抱きしめたり撫でたりすると好感度が上がりやすいです。

 

私は優しく言葉を投げかけた。

→私は優しく頭を撫で始めた。

 

私は小さく頭を振ってから、ゆっくりと耀の頭を優しく撫で始めた▽

…それに対して嬉しそうに微笑んだ耀を見ながらも、私は木彫りの首飾りを見つめる▽

それは…先程見ていた本に描いてあった絵にそっくりな図形だった▽

 

おっとこれは予想外、生命の目録(ゲノム・ツリー)について理解を深めていますね。

…という事は…これは割と鍛えるのが楽になった可能性がありますね。

後は付喪神の能力をどれほど発揮できるか、それを考えながらやれば何とかなりそうですね。

では後は延々と可愛い春日部ちゃんを愛でるだけなので、不要ら!

 

----------------------

 

それと同時に、私の奥底の何かが灯る様な気がした。▽

…心臓の隣、もう一つの心臓の様な物が小さく鼓動を始める音が聞こえる。▽

大量に入ってくる、“物”の価値。▽

けれどそれはどんな高価そうな“()”も、そこら辺に転がっていた“(ぺん)”も変わらない。▽

 

私は周囲の“物”を眺め、観察し…そして一つの“(人形)”を見つけた。▽

…古びた小汚い人形。それなのに、私の眼に映る情報は…この家のどんな物よりも高い。▽

それを私は拾って、そして耀にバレない様にしまい込んだ。▽

 

「…お姉ちゃん!」

「どうしたの?」

「お父さん、何処にもいない…どうしよう…」

 

その言葉を聞いて、私は耀の頭を優しく撫でる。▽

…嬉しそうに微笑んだ耀を見て、私も微笑む▽

それと同時に、耀の首に掛かっている首飾りを見て…私は自分先程拾った人形を思い出す▽

 

「…お姉ちゃん?」

 

先程の人形の裏には、耀の首飾りと似た様な図形が描かれていた。




オリジナルの道具を出したので失踪します。


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生命の目録

早送りの筈の戦闘で色々詰め込んだので初投稿です。


はい、よーいスタート。

不思議な図形を見つけた主人公が両親の秘密を知りに行くRTA、はーじまーるよー!

前回は本を覚え、生命の目録(ゲノム・ツリー)に対して造詣を深めた所ですね。(インテリアピール)

これからはなるべく早めに生命の目録(ゲノム・ツリー)の本来の力を発揮できる様、耀ちゃんをちゃーんと導いてあげましょう。(激うまギャグ)

 

「…お姉ちゃん?」

私がじっと見つめながら撫でていると、少しだけ困った様な表情で耀が私を呼んだ▽

…それを見て私は慌てて手を離すと…それを嫌がった耀が驚くべきスピードで私を掴んだ▽

それに対して思わず身体を跳ねさせると…それを見て耀が悲しそうな表情を浮かべる▽

 

おっとこれは美味しいですね。

耀ちゃんが今人間には絶対に出せないスピードで九十九ちゃんを掴むイベントです。

長くも無く短くも無い時間を撫でた影響で、もう少し撫でられたいという気持ちが浮かんだんでしょうね。

…さて、これで生命の目録(ゲノム・ツリー)の本来の力を発揮させる為の条件は揃いました。

後はこの情報を元に耀ちゃんにダークチップを使いなさい(強くなりたいか?)と問いかけるだけなんですが…

 

「…ごめんなさい。最近、私の身体おかしいの…」

そう言いながら泣きそうな表情を浮かべるのを見て、私は小さく息を呑んだ。▽

…副作用でキメラになる可能性があるなんて言ったら…耀はあの生命の目録(ゲノム・ツリー)と言う首飾りを捨ててしまうのだろうか?▽

そうすれば…耀はもう一度身体が動かせない生活に逆戻りしてしまう。▽

そんなのは駄目だと、首を振って…私は…▽

 

此処は無難な選択肢で行きましょう。

好感度上げ過ぎると後半タイムがきつくなりますからね。

 

大丈夫だよ。と伝える。

→今の耀が大好きだよ。と伝える。

 

はい、選択肢ミスりましたね。(ガバ)

どうして二択の選択肢で、ボタンを押すだけなのに間違えるんですか?(電話猫並感)

…まま、これから好感度下げれば良いだけだから、ヨシッ!

 

昔の頃の耀に戻って欲しくない。笑顔が増えたままの耀で居て欲しい。▽

そんな想いを含めながら言えば…耀は小さく頬を赤らめていた。▽

…もしかして、もう既に副作用があるのだろうか?私が読んだ本はそう言った副作用は無かったが…▽

 

おっと。そういえば春日部ちゃんは病弱でしたね。

確か病気イベントは黒死病(ペスト)まで無かった筈ですが…まだこの頃は身体が弱いんですかね?

 

「…おねえちゃ…」

小さく頬を赤らめて、耀が私の身体を抱きしめて匂いを嗅ぎ始める▽

…それと同時に、息を潜めた誰かが歩く音が聞こえ…私は警戒するように耀を抱きしめた▽

 

…おっと?こんなイベント見た事無いぞ?(チャートガン見)

……と思ったら、ランダムイベントの野盗襲来イベントらしいです。箱庭外でも出るとか、ガバガバかよ!

まぁ、人間一人が人外二人に勝てる訳ないでしょうし…此処は生命の目録(ゲノム・ツリー)の実験台に…

 

「此処で良いんだよな?」

「はい。此処に居ると情報が入っています」

「…突然現れた、春日部孝明とかいう奴の所為で…俺の人生は…!」

「いえ!先生の芸術が、あんなぽっと出の奴に負ける訳がありません!」

 

…んー?唯のイベントとは違う様な感じですね。

どうやら相手は、春日部孝明に対して恨みを持っている人物らしいですが…そんな奴聞いた事無いんだよなぁ?

……と言うか、先生?本当にこんなイベント知らないんですけど?

 

「…そうか。なら後は…頼んだぞ?」

「お任せあれ!この先生の一番弟子事…」

-ジャック・ザ・リッパーが、彼女達を(芸術に)してあげますよ。

 

おっと不味いですね、これは本当に不味いです。

相手は“ジャック”と名乗ってしまいました。此処で生きて負けた場合“箱庭のジャック”に出会った瞬間、トラウマが発生する可能性がありますね。

…それなら、此処は耀を逃がす方が先で良いでしょう。

 

その言葉と同時に、私はドアの延長戦から耀を逃がす▽

突然身体が剥がされた事に驚いた耀を見てから、私は扉に向かって走るが…一足遅かった▽

扉が蹴り飛ばされ、私に向かって飛んでくる。▽

 

さて、戦闘開始です。

最初の攻撃はジャックと呼ばれた男からの不意討ちですね。身体能力に物を言わせて避けましょうか。

 

扉を視た私は、飛んでくる扉を避けるべく足に力を入れる。▽

地面が抉れ、その地面からの悲鳴が聞こえるが…一旦無視して攻撃を避ける事に専念した▽

「…おや。まさか避けられるとは思いませんでした。もしかしてですが…声が聞こえてたりしたんですかね?」

「……お姉ちゃん?!」

 

さて、此処からは単純作業の戦闘になりますので、皆様の為にぃ…クッキー☆を流しながらお別れとしましょう。

次回はちゃんと、箱庭に呼ばれる所からスタートです。

これ以上は本当にイベントがないので…もっと箱庭前の生活が見たい兄貴には…すいません許してください。何でもしますから!

では諸君、サラダバ!

 

----------------

 

扉を避け、私は目の前の人間と対峙する。

…ジャック・ザ・リッパー…と言うのは聞いた事があるが…もう捕まった筈だ。

という事は…彼は自分の事をジャック・ザ・リッパーだと考えている頭のおかしい奴か、それとも名前を騙っている人間か。

本物と言う線は無いだろう。まさか本物が生きてるなんて、夢物語じゃあるまいし。

 

「ほう。ほうほう。ほうほうほう!そんな風に見てくるなんて!面白い!」

「…何が、面白いの?」

「簡単ですよ。まさか本当に、“春日部孝明の娘達”が居るとは思わなかったんですよ!」

 

その言葉を聞いて、私は首を傾げた。

…それを見た目の前の男は嬉しそうに笑いながら…狂った様にこちらを見つめる。

 

「私はねぇ…女殺すのが大好きなんですよ。例えば妊婦とか」

「…最低な話をするなら、私は貴方を殺す」

「まぁまぁ。もう少しお話をしましょうよ!それにこれは…貴女達にとっても気になるであろう…お母様のお話ですよ」

 

その言葉を聞いて、私は思わず耀の方を見つめた。

…耀は少しだけ興味を持ったのか、目の前の男の話を聞こうとしている。

口を閉じさせるのが遅かったと、自分で歯噛みをする。

 

「先程も言いましたが、私は妊婦を殺すのが大好きなんですよ」

「…それが何?」

「いえいえ。最近頭角を現した孝明君、殺害依頼が沢山届きましてね?中には私に依頼をする奇特な方もいらっしゃいました」

「……っ?!」

 

その言葉を聞いて、私は思わず口を塞ごうと彼に向かって蹴りを入れようとするが…彼は二歩下がって避け…そのまま気にせずに喋り続ける。

…これ以上は駄目だ。耀に伝えてない情報を、こいつの口から言わせる事になる。

 

「…お姉ちゃん?」

「聞かないで!」

「おや、お姉さんの方は知っていたんですね」

「……お姉ちゃん、何を知ってるの?」

 

その言葉に、私は答える事が出来ず…唯動きを止めるだけだった。

…それを見た彼は嬉しそうに微笑み…ゆっくりと万年筆を取り出して微笑む。

 

「貴女のお母さんはね?この世に存在して無いんですよ」

「…それは、知ってる。お母さんは私達が三歳の時に…」

「違いますねぇ」

 

その言葉と同時に、万年筆を持った彼は狂気の感情を浮かべて小さく微笑んだ。

 

「幾ら調べても、貴方達母親の情報は“一切”無かったんですよ。幾ら調べても、貴方達の母親は…名前すらないっ!これがどういう事か、わ・か・る・か・にゃ?」

「…貴方が名前を調べられない程、愚か者だったって事でしょ?」

「残念外れ!正解はぁ…貴方達のお母さんは、“存在を消された”んですよぉ!いやぁ困りました。私、これでも妊婦殺しとして名を馳せてたんですがね?存在しない物を殺せとは!いやはや…」

 

その言葉を聞いて、私は思わず耀の方を見つめた。

…耀は、小さく目を開き…私の方を見つめて声を出そうとする。

 

「…なので!私が次に目を付けたのは…貴女です。九十九ちゃぁん?」

 

その言葉を聞いて、耀が彼を見つめ…私はそれを見てゆっくりと彼の方に視線を向ける。

彼はそれを見て更に嬉しそうに微笑み…そして今度はこちらに対して万年筆を向けた。

 

「……」

「貴女を犯し、孕ませ、妊婦にして殺せば!私は満たされラッキー!孝明に恨みを持っている仕事人もラッキー!完全にwin-winになるんですよ!」

《…狂った破綻野郎が》

 

小さく呟く様にドイツ語を洩らせば、彼は少しだけ驚いた様な表情を浮かべた後に…くつくつと笑い出す。

それと同時に、私は小さく頭を振って…彼に蹴りを入れる。

 

「…っと?」

 

その言葉と同時に、彼は一歩下がって避ける。

それを見て私は舌打ちをしつつ、急いで耀の方に行こうとするが…その前に彼が私に対して万年筆を一気に振り下ろす。

私は避けようとするが…上手く避けきれず、私の肩に傷が走った。

 

「…イヒヒ!このまま傷付けて、襲って!犯して!生ませて!殺す!良いですねぇ!楽しみですねぇ!」

 

その言葉に対して、私は小さく痛みに耐えながら…私はゆっくりと耀の前に立つ。

…それを見た彼は少しだけ面白そうに微笑みながら、私に対して突っ込んできた。

 

「…っ!?」

「肩、もーらいっ!」

 

その言葉と同時に、私の肩に万年筆が刺さり…私はそれを無理矢理肩に突き刺す。

 

「…これで、貴方の仕事道具は無くなったね。画家野郎」

 

…それを見た彼は少しだけ驚いた様に、ゆっくりとこちらを見つめた。

それを見て私は少しだけ面白そうに微笑んだ後に…万年筆を無理矢理引き抜く。

 

「…ジャック・ザ・リッパーの被疑者として挙げられた、真犯人として一番可能性が高い存在が、ドイツ人のある画家だった筈。

もし貴方がジャック・ザ・リッパーの名前を騙るのなら、本職が画家かなって思った

それなら私を殺す事を芸術と言うのも、武器に万年筆を使うのも納得が出来る。

後、私がドイツ語を喋った時、ニヤッとしたね」

 

その言葉を聞いて、私を急に憎々し気に見つめた彼を見て…私は少しだけ口を緩ませた。

…それを見て苛立たし気にこちらを見つめる彼を見て…私はゆっくりと万年筆を構える。

 

「…っ!?」

「耀?!」

 

それと同時に、耀の周囲に風が吹き荒れる。

…手と足に風が吹き荒れ、私の直ぐ傍に来た耀がジャックを睨み付けた。

それを見て小さく息を呑んだジャックと、それを知っている私が耀を見つめ…

 

「お姉ちゃんを…傷つけるな!」

 

瞬間、風が吹き荒れジャックを一瞬で弾き飛ばす。

…今の彼女には、獅子の脚と鷹の翼が生えた状態で…泣きそうな表情を浮かべる。

それを見たジャックと、もう一人の蚊帳の外になっていた男が逃げ出すのを見て…耀は急いで追いかけようとするが…その前に私が耀の手を掴んだ。

 

「…耀。落ち着いて。息を吸って…目を瞑って?」

「お姉ちゃん?どうして…?」

「……私は大丈夫だから、落ち着いて…」

 

なるべく姿を見せない様に、私は翼の生えている背中を優しく撫でて…感情を抑えさせる。

…耀が生命の目録(ゲノム・ツリー)を使ってグリフォンを選択し、自身の外装にした。

生命の目録(ゲノム・ツリー)の事を知らない耀がそんな選択肢を使ったことが、凄く悲しくて…私はゆっくりと息を吐いた。

 

「…お姉ちゃん。病院に戻ろ?此処、危ないよ…?」

「……ううん。もう少しだけ居させて」

「…どうして?」

 

悲しそうな表情を浮かべ、こちらを見つめるのを見て…

 

「…もっと、強くならなきゃいけないから。…もう、耀に手を汚させない様に…私が強くならなきゃ」

 

…小さく、私の身体の奥底に火が灯り始めた。

身体が軽くなる感触がして、小さく首を動かすと…

 

-チリン

 

鈴が鳴る音が聞こえた。




走者はこれで地球編が終わると考えてるけど、もう少しだけ続くので失踪します。


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付喪神

未だにどうやってタイム短縮しようか考えているので初見です。


はい、よーいスタート。

現実世界のジャックと戦って、再び努力を始めるRTA。はーじまーるよー!

前回の戦いはどうやらイベント終了らしかったらしく…どうやらそれで九十九ちゃんが何かに目覚めたようですね。

…と言っても、鈴の音と身体の奥に火が灯ったという演出的に、付喪神の神性案件ですかね。

 

所で…木下ですけど、(手紙が来るの)まーだ時間がかりそうですかね?

…駄目みたいですね。全然来る気配がありません。

そもそもこの世界、どのタイミングで手紙が降ってくるか未だに分かってないんですよね。

ちゃんと逆算でもしたらリセットタイミングとか分かるんでしょうが…まま、ええわ。

 

今から九十九ちゃんの身体を鍛えつつ、次いでに耀ちゃんも鍛えましょうか。

…と言っても、九十九ちゃんが耀ちゃんを病院に逃がそうとしているので…まぁ余り鍛える事は……ん?

どうして耀ちゃん、戦闘終了した後に翼が生えているんですかね?

んんー…?(戦闘シーン見直し中)…あ、そっかぁ。

どうやら生命の目録(ゲノム・ツリー)を使って鷲獅子(グリフォン)を引き当てたようですね。

鷹とライオンと友達になっていれば確かに出来る事は出来ますが…こうはならんやろ。

 

私の身体に灯った火が、ゆっくりと頭に昇っていく。▽

…そして、私の頭の上にある鈴に灯り…私は思わず首を傾げてしまった▽

私は何時、鈴なんて付けていただろうか?▽

 

どうやら付喪神は目覚めたようですね。

春日部ちゃんは三日月を待っている位の年齢なので、まだ手紙は来ないと思いますが…それでもなるべく急いだ方が良さそうです。

…え?何故急がないといけないの?…と思った其処の兄貴達、そんなんじゃ甘いよ。

先ず初めに、アジ=ダカーハに勝つために必要な事は何かを考えましょう。シンキングタイムは8.10秒。はい、よーいスタート。

 

終わり!正解は人間である事です。人間やめたら“人類”最終試練《ラスト・エンブリオ》に挑めないからね。

だから何処かで神性を捨てなきゃいけないんですよね。何なら最初にペルセウスと戦う時にお荷物になるし、正直神性が必要な場面は…ナオキです。

しかし今捨てるとなると、“それを捨てるなんてとんでもない!”と言われますので…不意の事故で捨てる事にしましょうか。

…じゃあどうして神性を手に入る様な名前にしたのかって?

さぁ、どうしてでしょうね。(すっ呆け)

取り敢えず今から九十九ちゃんにしてもらうのは、人間である事を止めずに力を付けて貰う事です。

なので…んん?

 

鈴が鳴り、私の後ろに有った扉が独りでに開かれる。▽

…それを見た私は小さく首を傾げながらも、ゆっくりと開いた扉に向かって歩き…耀が入ってくる前に扉が勝手に閉じてしまった▽

外から耀の悲鳴が聞こえ、私は急いで扉を開けようとするが…扉は先程とは違いびくともしなかった▽

どうやら、部屋の奥に行かないといけないらしい。▽

 

あっ、これは不味いですね。どうやらイベントが発生したみたいです。(ガバ)

…鈴の音、付喪神…あっ、鈴彦姫?情報無いから、別の神様にチェンジとか…出来ないですか。はい。

鈴彦姫は天照大神の扉を、エロティックな仕草で開けた(語弊)天鈿女命さんと同一視される事もある付喪神ですね。

そんな姫ちゃんが九十九ちゃんに何の用なんですかねぇ…お願いだから、これ以上人間を止めさせないで…。

 

私の頭の上の鈴が、歩く度に音を鳴らし始める。▽

それは何かを導く様な、あるいは何かを呼ぶ様な音で…その音を聞く度、私は足を速めた▽

シャランと、大きく鈴が鳴る音が聞こえる▽

…それと同時に、私の頭の上に乗っていた鈴が…ゆっくりと私の脚元に降りてきた。▽

それを拾い上げ、私はじっと見つめる▽

「…この、鈴。やっぱり見た事無い…何時私、付けたっけ?」

 

多分着けてないので、投げ捨てるのが一番だと思います。

…しかし残念ながら投げ捨てるという選択肢は一切出てこないので…取り敢えずポケットに入れて奥に行きたいと思います。

棄てれるなら捨てたいんだけどなぁ俺もなぁ。

…とか考えている間に、ムービーイベントに入りましたので後は無言タイムとなります。

次回こそ、箱庭スペシャルになる筈です。ガバさえなければな!

 

--------------------

 

コツコツと、部屋を歩く音。シャランシャランと、鈴が鳴る音。…そして、ガンガンと後ろから聞こえる、扉を壊そうとする音。

耀の悲鳴が、雄叫びが、鳴き(泣き)声が木魂するが…それは全て、鈴の音によって掻き消される。

…憑依、神降ろし。何かを引き寄せる鈴。

…熊鈴、鳴子。何かを追い払う為の鈴。

 

「元々はどっちが先?それとも、どっちも先?鈴が生まれた理由は、他にある?」

「…っ!?誰!」

 

その言葉を聞いて、先程の声の主が歩く音が聞こえる。

…けれど、その足音は小さく…聞こえるのは鈴の音の方が大きかった。

頭に鈴を付けた少女が、私の姿を見て少しだけ嬉しそうに微笑んだ。

 

「…こんにちは。九十九…私の名前、分かる?」

「……鈴をつけた少女…妖怪でもあり、付喪神でもある…」

「そう。なら分かるよね。名前」

「鈴の付喪神、鈴彦姫」

 

その言葉を聞いて、目の前の少女は嬉しそうに微笑み…正解と言った。

 

「でもちょっと不正解。“今の”私は付喪神の方が強いけど…でも、元々の私は妖怪」

「…元々?」

「そう。私の生まれは“鈴彦姫”と言う妖怪。だけど…何時しかとある人と雑じってしまった」

「…天鈿女命…」

 

その言葉を聞いて、彼女は少しだけ寂しそうに微笑み…そしてゆっくりと頷いた。

…それを見て私は小さく息を吐いた後に…ゆっくりと彼女に対して喋り始める。

 

「…姿を見せた事は、そういう事で良いの?」

「そういう…?…うん。そうだよ」

「……じゃあ、対価として求める物は何?私の命?魂?信仰心?」

 

その言葉を聞いて、目の前の鈴彦姫は嬉しそうに微笑んだ。

そして小さく…

 

()の魂が求めるのは…生まれた理由。それを探してくれるなら、私は喜んで力を貸すよ」

 

…私の耳元で、小さく呟いた。

それと同時に私のポケットに入っている鈴を取り…それにキスをすると彼女の姿が消える。

…地面に落ちそうになった鈴をキャッチしながら私は小さく周囲を見回すが…其処には先程の少女は居なかった。

…それと同時に、ズドンと大きな音が聞こえ振り返ると…

 

「お姉ちゃん!」

 

耀が私に勢いよく突撃し、私は意識を失った。




使おうと思った奴の情報が思ったより少なかったので失踪します。


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この辺にぃ、うまい箱庭の手紙、来てるらしいんすよ

サラダバと言い忘れたので初投稿です。


…目が覚めると同時に、私の身体がミシミシと言い始める▽

身体が悲鳴を上げてる事に苦笑しつつ、ゆっくりと立ち上がろうとして…私は目の前に居る阿修羅の様な耀が居て…私は思わず身体を横に倒した。▽

 

はい、よーいスタート。

前回黒塗りの高級車(鷲獅子アタック)されて九十九ちゃんが気絶した所からですね。

取り敢えず二度寝をキメようとしている九十九ちゃんには悪いですが、隣に置いてある手紙が凄い気になるんですよね。

…私の勘が正しければ…女王からの紹介状じゃな?(一般推理)

取り敢えずこの手紙の事について耀ちゃんに聞いてみるとしましょう。

この手紙何処から来たん?ちょっとお兄さんに教えてみ?グヘヘ…

 

三毛猫と遊んでいる間に手紙が突然、天から降ってきたらしい。▽

それを見た耀は、私と自分の名前の部分を見て首を傾げ…取り敢えず私の指示を仰ぎに来たらしい▽

「…という訳で、お父さん関係かもしれないから…どうかなって」

その言葉を聞いて、私は少しだけ考える▽

…確かに、その可能性は捨てきれないが…でも唯の迷惑メールや、あの時出会った偽物のジャック・ザ・リッパーの可能性もある。▽

 

そんな事はないので、開けろオラ!

…というか、どうして今回は手紙が届いたんですかね?

付喪神の方で信頼を得られた?それとも妖怪の方面?生き様?…駄目ですね。心当たりが特にありません。

まぁでも手紙が届いたのは良い事です。これからは楽しいRTAが始まるのですから。

 

私達は小さく頷いた後に、手紙を開こうとして…三毛猫が現れた▽

それを見て私達は苦笑しつつ…手紙を同時に開けた。

 

  悩み多し異才を持つ少年少女に告げる

    その才能を試すことを望むなら

己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て.

    我らの"箱庭"に来られたし

 

此処でも判定成功です。実は迷惑メールだったってオチではありませんでした。(三敗)

取り敢えず此処から出来るのは祈る事だけです!

現れた瞬間“壁の中に居る”状態だったり、首と身体が切断マジック(物理)されたりしない様に祈りましょう。

…一体どうして、そうなったんですかね?やっぱり前のループでノックをソーラン節のリズムで叩いたのがいけないんですかね?

それともクイーン・ハロウィンが起きてる時間帯に悪口を言ったからいけないんですかね?

でも若作りBBAは自分で分かってると思ってたんですけどね。

でもやっぱり一番はあれですかね。呼ばれた三日後にチェケラッチョしながら歩いたのが…

 

さて、そんな若作りBBAの事はどうでも良いんです。重要な事じゃない。

今九十九ちゃんが十六夜君達とパーフェクトコミュニケーション(笑)を取っていますが、今回一番成長させなきゃいけないのは久遠飛鳥ちゃんですね。

 

…え?主人公の十六夜君を育てないのか、だって?……そこら辺成長させちゃうと、最終的にタイムが伸びる可能性がありますので。

簡単に言うと、育て過ぎた場合パーフェクト十六夜君と殿下と戦う時間が遅くなります。

彩里鈴がアキレス・ハイを使って十六夜君と千日手を繰り広げるからですね。

その場合アジ=ダカーハとの戦いが伸び、最終的にタイムが伸びる訳です。

 

十六夜君とタイムは勝手に伸びますので、放置で良いんです。

…それで今回、私が考えたのが女性二人ルートです。

春日部ちゃんと久遠さんですね。

因みに春日部ちゃんはもう殆ど準備は終わってますので、一緒に世界の果てに行くだけですね。

ユニコーンと出会えればラッキーですが…まぁ、流石に其処までは望みません。どうせ固定イベントで魃に出遭う事になりますので。

後は生命の目録(ゲノム・ツリー)の秘密を書き込まれたノートを…見せれば…ん?(前回のイベント見直し)

 

-本を全て元あった位置に戻しておく。▽

-本を全て元あった位置に戻しておく。▽

 

本 を 全 て 元 あ っ た 位 置 に 戻 し て お く 。 ▽

 

ぬわああああん疲れたもおおおおん!!

何で?どうして?why?何で親の遺書を持ち歩かないんですか?

……これはチャートを変更してヘッドフォンを壊さない様にしないと駄目ですね。

あっでもこれだと春日部ちゃんがお留守番で巨人族と会うイベントが無くなってコピーが出来なくなる…?

…これは……ガバですね。

 

…考えるのは止めておきましょう。取り敢えず今は久遠ちゃんについてです。

アルマテイアや炎の宝珠がない分序盤の戦闘は引く程弱いですが…しっかりと成長させてあげればその分だけ強くなりますよ。

例えば…貴女のギフトはこういう物だよと言ってあげれば彼女は瞬く間に成長し始めます。

逆に剣術をしっかりと教え込める能力があれば、神霊の肉体を持つフェイス・レスには勝てませんが、それでもかなりの強さになります。

なので通常プレイ、RTA含めず彼女を育てる事にデメリットは有りません。皆も走る時にお勧めなキャラですよ。

因みに“威光”の真の条件は、“ゴーゴンの威光”等の威光を直視する若しくは本で読み解く。

…そしてその知識を持って“一人で”白夜叉に聞きに行く。これだけです。

簡単だな!

因みに一人で聞きに行く理由は、茶々を入れると白夜叉に誤魔化そうとする為ですね。

まぁ主人公が“威光”を持っている訳じゃありませんからね。

次回は楽しそうに笑っている黒ウサギを虐める所からですね。

では諸君、サラダバ!

 

-------------------

 

「…所で、其処で我関せずと言った感じで棒立ちしてるお前は…自己紹介しないのか?」

 

その言葉に私は、漸く目をぱちくりとさせ…周りを見つめた。

…私は先程まで病室にいた筈だ。それが手紙を開けた途端別世界とは…一体どういう事だろう?

……取り敢えず耀が居る事に安堵しつつ、取り敢えず自己紹介はしないといけないだろうと頭をフル回転させた。

 

「…ごめん。割と状況が分からなくて茫然としてた。私は……春日部九十九。向こうの耀とは姉妹だよ」

「……“ツクモ”?漢字を教えてくれないか?」

「ああ、九十九って書いてツクモ。神の方じゃないっていえば良い?」

 

その言葉を聞いて、何かを納得した様な表情を浮かべた。

…それを見て私は小さく首を傾げながらも…取り敢えずポケットの中にある鈴を確認する。

コツンと音を聞いて小さく下を見ると…私の腰にはバッグが巻いてあった。

それを見てゆっくりと耀を見つめるが…耀は小さく首を横に振った。

 

「…鈴彦姫?」

 

鈴を撫でながら呟いてみれば、鈴の音が一回聞こえ…私は思わずため息が出た。

…どうやら今回のこれは、あの付喪神がやったらしい。後で中身を確認しないとと考えつつ、私は小さく息を吐いた。

それを見た彼は小さく目を細めた後に…私に向かって話しかけようとして…

 

「…お姉ちゃんに、それ以上話しかけないで」

 

いつの間にか現れた耀が、私の身体を抱きしめて目の前の彼を睨み付ける。

…それを見た彼は少しだけ面白そうに微笑みながらも、私を取り返そうとして…耀の姿を見て驚いた。

 

「…お前、鳥人だったのか?いや、それにしては…鷲の翼に獅子の脚…グリフォンか?」

「……その事は、後で話す。今は…お姉ちゃんが居るから」

「…成程な。いや、俺も少しばかり興味があっただけだ」

 

さっきの睨み合いから一転、一気に張り詰めた空気が霧散したのを見て…私はゆっくりと息を吐いた。

…これで、耀が孤立する事は無くなっただろう。目の前の十六夜君が、何とかしてくれる筈だ。

それなら…私は彼女と仲良くなる事としよう。

そんな事を考えながら、私はゆっくりと足を延ばして地面に降りてゆっくりと綺麗な彼女の元へ向かっていく。

 

「…何かしら?」

「綺麗な人だから、仲良くなりたいって思って」

「あらありがとう。でも口先だけのおべっかは要らないわよ?」

「……おべっかじゃないよ。本当に思ったから、言ったの」

 

その言葉を聞いて、目の前の彼女は小さく頬を朱く染めた。

…それを見て私は小さく首を傾げるが…それを見た彼女は小さくフンッと言ってから…ゆっくりと私を見つめた。

 

「…後ね。髪が凄く綺麗…私も最初伸ばそうと思ったんだけど、そんなに綺麗に伸びなかった」

「…貴女はそのままの方が良いわ」

「そう?」

「えぇ。今の髪型が一番合って……」

 

言葉を一度切って、ゆっくりと私の顔を見つめ…長髪でも良いわねと小さく呟く。

…それを聞いて少しだけ苦笑するが…

 

「ひぎゃぁ!?」

 

悲鳴が聞こえ、私達は後ろを振り向く。

…其処には兎耳を生やした人間が泣きそうな目でこちらを見ており…そしてその耳を耀が引っ張っていた。

 

「…っ?!耀何してるの?!」

「ん。お姉ちゃんに対して怪しげな視線を向けてたから、引っこ抜いてみた」

「別に、良いんだけど」

 

その言葉を聞いて耀は小さく舌打ちをした後に…ゆっくりと手を離した。

…それを見て私は小さく溜め息を吐いた後に、目の前の兎人間に挨拶をする。

 

「初めまして。私の名前は九十九と言います。えっと…あんまり人参は好きじゃありません」

「…別に黒ウサギは人参が好きな訳じゃないんですが…」

「そうなの?じゃあ今度、何が好きなのか聞きたいな」

 

そう言いながら微笑めば、少しだけ困った様な表情を浮かべた後に…小さく目を伏せた。

それを見て首を傾げるのと同時に、私の頭を優しく撫でた後に…箱庭に関しての説明が始まる。

…そして、売り言葉に買い言葉。最終的には…

 

 ゲーム名

 “スカウティング”

 ・プレイヤー一覧

    逆廻 十六夜

     久遠 飛鳥

      春日部 耀

    春日部 九十九

 ・クリア条件 テーブルに並べられた

 

 カードの中から絵札のカードを選ぶ。

 ・クリア方法

    選べるカードは

    プレイヤーにつき一枚のみ。

  ・敗北条件 降参か、プレイヤーが

 上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

 宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗と,

     ホストマスターの名の下、

     ギフトゲームを開催します。

 

             “サウザンドアイズ”

                       』

 

何故かゲームをやる事になってしまった。私は別にやるとか言ってないんだが。

と言うか皆どうどうと不正をしているんだが…良いのだろうか?

…耀は三毛猫を使った不正、久遠さんは爪を使って傷を付ける不正、十六夜さんは…単純に覚えているだけか。

どいつもこいつもまともな事をしていないが…それを黒ウサギは見ていない、いや…見ようともしていないというべきだろうか?

 

「…おい。後はお前だけだが、確認は良いのか?」

「……じゃあ、一枚だけ貸して?」

「ああ。何が良い?」

「ハートのQ以外の物で」

「…あ?何でだ?」

「何となく。選んだら凄く悪い予感がしたの」

 

その言葉を聞いて少しだけ首を傾げた後に…一枚の絵札を貰う。

…ジョーカーか。それを私に渡すという事は…信頼して貰っているのだろう。

三人が見つめる中、私は視線を黒ウサギに移して質問をし始めた。

 

「…黒ウサギ、一つ質問。このカードって、何時から使われた?」

「およ?…これは確か黒ウサギが子供の頃から使ってましたから…結構長い時期使ってた筈です。それがどうしたんですか?」

「…うーん。黒ウサギって、何歳?」

「…じょ、女性に年齢を聞くのは駄目ですよ?!」

 

その言葉を聞いて、私は少しだけ考えつつ…それでも小さく口を緩めた。

…それを見た黒ウサギは首を傾げるが…私は小さく首を振った後に…

 

「このカードでポーカーやったことある?」

「YES!黒ウサギは200年の歴史の中で、二度ロイヤルストレートフラッシュを決めた事がありますよ!」

「…そっか」

 

私の返事と共に、頭の中に鈴が鳴る。

年齢を洩らした事に小さく苦笑しながら、私はゆっくりとジョーカーを元に戻した。

それを見て小さく首を傾げた十六夜さんを見て…私は小さく微笑み返した。

 

「それじゃあ最初は私から。良い?」

「あ?…ああ、いいぜ」

 

その言葉を聞いて私は小さく微笑み返し、鈴の音に導かれて一枚のカードを裏返す。

…迷いのない動きに黒ウサギの耳と目が小さく動くが…私は特に気にせずにジョーカーを取った。

それを見た黒ウサギは小さく耳を動かし、周囲を見つめた後に…嬉しそうに微笑んだ。

 

「…私はクリアで良い?」

「YES!これで残りは御三方です!」

 

その言葉を聞いて三人が驚いた様な表情を浮かべるが…私は特に気にせずに十六夜さんの後ろに座った。

…私の姿をちらっと見た後に、彼がカードを文字通りひっくり返したりしたが…些細な問題だろう。

どうせ全員、自信満々に不正をしてた。…正確に言えば、不正ではないが。

何故なら契約書類(ギアスロール)には猫に舐めさせてはいけない。傷を付けてはいけないという文面が無いのだから、あれはルールの範囲内だ。

…ならば、今回のルールの下での不正は…机の上からこっそり二枚絵札を選ぶぐらいだろう。

そんな事を考えながらも、目の前で喋っている十六夜さんを見つめ…私は小さく目を閉じた。

 

「……」

 

きっと、此処には両親の手掛かりがあると…私の頭の隅で、誰かが囁いていた。




久々にアニメを見直したので失踪します。


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野獣(の)先輩

九十九ちゃんが強くなれるビジョンが思いつかないので初投稿です。


はい、よーいスタート。

十六夜君と久遠ちゃんに出会って少しだけ仲良くなった所からスタートですね。

そして開始早々、運ゲー挟みます。ウッソだろお前。

先ず開始数分後、黒ウサギが九十九ちゃん達を見ていないか判定です。此処で見ていると水樹の苗が無くなってお風呂に入れません。

今回は…大丈夫ですね。それと同時に十六夜君が九十九ちゃんに対して耳打ちをし…そして九十九ちゃんがゆっくりと耳打ちをし始めました。

 

「…私も、行きたい」

 

はい。此処でもリセットする可能性があります。

此処で十六夜君がしょうがねぇな…とか言って私を連れて行ったらリセットです。

は?(困惑)と思った兄貴達も居るでしょうから、解説したいと思います。

まず此処でやって欲しいのは、春日部ちゃんを十六夜君に付いて行かせる所です。これによって、最初は必死に付いて行こうとするのですが…ユニコーンを見かけると高確率で立ち止まります。

それを見た十六夜君も少しだけ止まりますが…暫く動かない事を確認すると一人で行くんですよね。

でも今はそんな事はどうでもいいんだ 重要な事じゃない。

大事なのは春日部ちゃんが早期にユニコーンに出会うという事です。これによって様々な外装を扱う事が出来る様になります。

 

ではどうして自分で行くという選択肢を出すのかと言うと…一度否定された時に、珍しい動物が居そうだからと言えば勝手に春日部ちゃんが行くからですね。

だからこそ九十九ちゃんが行くと言った訳なんですが…

 

「駄目。絶対駄目」

「おいおい。別にお前は妹なだけで行動を制限させる程偉くは無いだろ」

「…お姉ちゃんの身体は一般人なんだから、駄目」

「……でも、折角こんな不思議な世界に来たんだから…ね?」

「駄目」

「いいじゃねぇか」

 

どうやら行く行かない論争が勃発してますね。

…このままだと黒ウサギにバレる可能性までありますので、此処は…

 

「それだったら耀が行ってきて欲しいな。耀なら友達になれるでしょ?」

「……うん、頑張る」

 

工事完了です…。

これで十六夜君と春日部ちゃんが世界の果てに向かうのが分かりました。これで第二条件達成です。

今回ジン=ラッセルと久遠飛鳥、そして九十九ちゃんの合計三人でガルド=ガスパーのギフトゲームに参加します。

理由は単純で、別にあのゲームは九十九ちゃん一人で戦えるからですね。

因みに本来なら一対一の試合にしたいんですけど、ガルド=ガスパーの悪事をバラさせる為には久遠飛鳥ちゃんが必要なんですね。

 

さて時間は進み、黒ウサギが怒って桃ウサギになって二人を追いかけた所からですね。

…取り敢えずジン=ラッセルには触れません。絡んだ所で面倒なので。

そんな甘えた考えだからガルド君に口論で負けるんじゃないの?(辛辣)

あっ、お姉さん猫まんま一つね!三毛猫置いてかれちゃったから、九十九ちゃんが大事にお世話してあげないとなぁ?!

…と言うか、このメンバー割と会話弾みますね。ガルド=ガスパーが居なくても会話に困らなさそうだし。

…そういえば久遠さんが解除した瞬間、ガルド君が暴れましたよね。

確か九十九ちゃんが居ない時は春日部ちゃんが抑える場面だった筈ですが…まま、えぇわ。

いざとなったら九十九ちゃんが自分の身体を使って抑えれば良いでしょう。(ガバ理論)

 

それじゃあ次回は白夜叉に出遭う所からスタートです。サラダバ!

 

-----------------------

 

「…それでその猫を拾ったのね…」

「うん。結構大きな事件だったけど…知らない?」

「そうね。私の頃にはそのはいぶり…かー…?と言うのも無かったしね」

「…ハイブリットカーが無かったんだ…うーん」

「もしかしたら生まれる時間が違ったのかもしれないわね」

「それはあるかも。それだったら飛鳥の時代に生まれたかったな」

「あら、どうしてかしら?」

「…だって、私の世界には日本で生まれたトキが居なかったから…もしかしたら飛鳥の時代だったら見れるかな…って」

 

その言葉を聞いて、飛鳥が少しだけ困った様な表情を浮かべる。

…それに対して首を傾げていると、飛鳥が少しだけ溜め息を吐いてから喋ろうとして…

 

「おんやぁ?誰かと思えば東区画の最底辺コミュ“名無しの権兵衛”のリーダー、ジン君じゃないですか。今日はオモリ役の黒ウサギは一緒じゃないんですか?」

 

突然現れた男に邪魔され、小さく苛ついた様な声で呟くのと同時に飛鳥が指を動かす。

それを見た私は頭に手を当て、溜め息を吐いた後に…

 

「…失礼ですが、お友達ですか?ジン=ラッセル」

 

自分でも驚くほど、冷たい声が出てしまった。

…それを聞いたジン=ラッセルは首を横に振るのと同時に、私はゆっくりと彼を見つめる。

 

「…という訳なんですけど、貴方は一体何処のどなたですか?」

「おっと失礼。私は箱庭上層に陣取るコミュニティ“六百六十六の獣”の傘下である」

「「フォレス・ガロの(烏合の衆の)」」

 

彼の説明に被せる様に、ジン=ラッセルが喋り出す。

それを聞いて私達は片眉を上げつつも…少しだけ呆れた様な表情でジン=ラッセルの方を見つめた。

…確かに先に吹っ掛けてきたのはあっちだが、あの程度の軽口を流せない程度ではリーダーの器の底が知れる。

 

「ってマテやゴラァ!!誰が烏合の衆だ小僧オォ!!!……口を慎めや小僧ぉ……紳士で通っている俺にも聞き逃せねえ言葉があるんだぜ………?」

「…森の守護者だった頃の貴方であれば相応の礼儀で返していたでしょうが、今の貴方は二一〇五三八〇外門付近を荒らす獣にしか見えません」

 

売り言葉に買い言葉、私は会話を聞きながら紅茶を飲みつつ…ゆっくりと三毛猫を撫でた。

…耀に聞いた情報によれば、此処が一番好きな撫でポイントだった筈。

おお、情報通りコロコロと転がりながら喜んでる…可愛い…

 

「…あの、そちらのレディ?私の話を…」

「……まだいたの?いい加減帰ってたと思ってた」

「…っ!あのですね、私は…」

「貴方が話していた事は聞いてた。つまり私達に来て欲しいって事でしょ?いや…黒ウサギが真の目的なのかな。

正直私としては別にガルド=ガスパーのコミュニティに行っても良かったんだけどね…?」

「おお。本当ですかレディ!」

「っ…」

 

その言葉を聞いて勝ち誇った様なガルド=ガスパーと悔しそうにローブの裾を掴むジン=ラッセル。

…それを見て私は小さく溜め息を吐いた後に、ゆっくりと飛鳥の方を見つめた。

 

「…?ああ、そうね。私も同意見よ」

「本当ですか?!それだったら、今から私のコミュニティに…」

「「質問に答えてくれるならね」」

 

私達が二人で喋った言葉を聞いて、ジン=ラッセルとガルド=ガスパーが首を傾げる。

…それを見て私は小さく息を吐いた後に…もう一度飛鳥の方を見つめた。

それを見た飛鳥は少しだけ嬉しそうに、けれど少しだけ悲しそうに笑った後に喋り出した。

 

「さあて、やりましょうか。貴方は其処に座って(、、、、、、)私の質問に(、、、、、)答え続けなさい(、、、、、、、)

 

その言葉と同時に、ガルド=ガスパーがお行儀よく座り出す。

それを見て私は少しだけ面白そうに飛鳥を見つめながら…ゆっくりと彼の答えを聞き始めた。

……結果は、屑と言われて当然のレベルを仕出かしていた獣だった。

法で裁こうとする飛鳥と、それは難しいと言うジン=ラッセル。二人の言葉を聞きながら、私は小さく息を吐き…

 

「そう。なら仕方がないわ」

 

飛鳥が指を鳴らすのと同時に、何かを叫びながら襲い掛かろうとするガルド=ガスパーを見て、私は少しだけ苦笑した。

…耀が居るなら、無傷で飛鳥を守れるんだろうなと思いつつ…それでも私は彼と飛鳥の間に立ち…勢いよく吹き飛ばされた。

 

「…っ?!九十九さん!…っ!止まれ獣が(、、、、、)!」

 

私が吹き飛ばされるのを見て、心底怒った様な表情を浮かべる飛鳥を見つめ…私は少しだけ苦笑した。

…やっぱり今の私では、あのレベルの攻撃ですら防ぐ事すら出来なかった。

身体が弱ってる事に自覚を持ちながらも、それでも私はゆっくりと立ち上がって微笑んだ。

 

「ごめん。格好良い所見せられなかった」

「……馬鹿。そんなに弱いのなら私の前に出なければよかったじゃない…」

「…それもそうかも?でも、守りたかったの」

 

そう言って小さく微笑めば、飛鳥さんは苦笑しながら私を抱きしめた。

…そして、小さく耳元で優しく…

 

「この事、後でちゃんと九十九さんの妹に報告しておくわ」

 

死刑宣言をされ、私の頭は真っ白になってしまった。

それを見て嬉しそうに微笑んだ飛鳥さんがガルド=ガスパーに話すのと同時に…私は少しだけ溜め息を吐いた。

…強くならなければいけない。その為なら…私は何だってする。

人間を止めたって、死んだって、転生したって、地獄に堕ちたって、十二の試練を受けたって、化け物を殺すのでも、化け物になるのでも良い。

 

「…強くならなゃ。私が…ちゃんを守れる様に」

 

その言葉と同時に、私の耳元に小さく鈴の音が聞こえ…私は小さくポケットの鈴を握った。

……鈴はほんのりと、熱を持っていた。




このままだとアジ=ダカーハ所か弱体化レティシアにも勝てる気がしないので失踪します。


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白夜叉(出番ほぼなし)

しっかりと理不尽な強さを手に入れる方法を思いついたので初投稿です。

(少しだけ話を修正しました。バタフライ効果でバレてないのに伝説を知ってたらおかしいよなぁ?!)


はい、よーいスタート。

前回は理不尽に殴られた挙句ゲームに参加する事になってしまった可哀想な九十九ちゃんで終了ですね。

そして現在は…何と説教されています。このままだと白夜叉に会えず漏れなくリセットする権利が与えられます。

なので此処は急いで貰って欲しいのですが…残念ながら急ぐ筈の黒ウサギが、九十九ちゃんに対してめっちゃ怒ってます。

 

「だから!何度言ったら分かるんですか!九十九さん!」

 

すいませ〜ん、木下ですけど、(説教)ま〜だ時間かかりそうですかね …?

駄目みたいですね。それならさっさと移動できる様に魔法の言葉を言いましょう。

すいません許して下さい!(九十九ちゃんが)何でもしますから!

 

「……本当に?本当に何でもするの?」

 

当たり前だよなぁ!全部九十九ちゃんがやってくれるんだから、何でもして良いんやで?(但しタイムが増えない場合のみに限る)

取り敢えず此処に居る全員に命令権(首輪)を上げた事で説教が収まりましたので、これから急いで白夜叉の下に向かいましょう。

さぁ、さぁさぁさぁ!

 

「まっ」

「待った無しです御客様。うちは時間外営業はやっていません」

 

はい。

このイベントが出たという事は白夜叉確定です。

彼女は此処の店長ですので、普段こんな所で掃除してる訳がありません。

…なので、此処で彼女が外に出るという事はもっと上の人間…つまり白夜叉が居るという訳ですね。

黒ウサギと店長達が話している間に、これからの事についてもう一つ話しておきましょうか。ガルド=ガスパー(野獣先輩)戦です。

今回タイムの短縮を図る為に一対一の試合をするのですが、残念ながら今回の主人公である九十九ちゃんは“力”“体力”“速度”全て弱いです。

初期ステータスでは化け物レベルだったけど、そんなの“ノーフォーマー”の所為で意味ないに決まってるんだよなぁ?

…まぁ、化け物レベルでも無に等しいんですけどね初見さん。

 

という訳で此処から九十九ちゃんには権能(ギフト)と身体を鍛えて貰わないといけません。

このゲームは選択肢が多いので、最終的には権能(ギフト)を賭けたバトル等も出来る様になります。

…但し、それを行うにはかなりの制限と知識量。更には信用が必要です。

例えば、知識を争うゲームに参加したとしましょう。

何度も走った走者である私は、大量の知識系のゲームの内容とその解を全て覚えていますが…それを九十九ちゃんは知りません。

ですが、答えを入力する事は出来るのです。“解”は自分で入力するのですから、当然ですね。

しかしそれをすると、周りの評価が下がってしまいます。

何故なら自分達が知らない“解”を彼女は既に知っていると思われているからですね。

 

例えば…そうですね。みんな大好きな“ジャック”の動画を見てみましょうか。

常に十六夜君と一緒に行動し、“ジャック”について何も知らなかった主人公。そんな主人公が魔王として降臨し、“切り裂きジャック”として現れた“ジャック”がギフトゲームを自分有利に書き換えた所からスタートです。

 

「…さ」

「“解”は得た。貴方は本物の切り裂きジャックじゃない。そうでしょ?“バネ足ジャック”?」

「…なっ…」

「おい!何故そんな事が分かるんだ!ジャックで幾つか候補は上がるが、そいつの見た目から“バネ足ジャック”と判断はできないだろうが!」

「…?浮かんだから言っただけ。別にそれ以外に何があるの?」

 

はい。

不死性を失ったジャック君がフルボッコにされて終了。と言うかこの主人公霊格膨張させたジャックに何もさせないとか強すぎない?

九十九ちゃんも見習って、どうぞ。

因みに周囲の反応もこれと似た様な反応になりますね。因みにこの後普通にアジ=ダカーハに殺されました。

この主人公、別にアジ=ダカーハに単騎で勝てる様な設定じゃないのでしょうがないですね。確か恐怖の感情が足りなくて殺し切れなかった気がします。

残念ですね。(小並感)

 

そんなこんなで、あの主人公の様に全ての解を知らずに答えると…最終的には箱庭上層部から狙われる様になります。

そのお蔭でギフトゲームの知識を深めれるのですが…最終的には、『すまぬの』と言う言葉と同時に白夜叉にパラドックスゲームを挑まれるんですけどね。

そんなこんなで、鷲獅子の手綱をクリアした春日部ちゃんが…どうして九十九ちゃんにくっついているんですかねぇ…?ま、ま、えぇわ。許したる。

ガルド=ガスパー(野獣先輩)戦について何も喋ってない気がしますが、気のせいですね。

取り敢えずガルド=ガスパー(野獣先輩)戦は最弱の肉体でも勝てるくらいには練習してますので、(ガバは)ないです。

では諸君、サラダバ!

 

---------------------------

 

白夜叉と仏教について話し合いたいと誤魔化しを入れ、私と白夜叉は二人で和室に残った。

最初は仏教の事を話していたが…そろそろ本題に行きたいのか無駄な話を打ち切り…

 

「…それでお主は、何をしたいんじゃ?」

 

真剣な表情で、こちらに問いかけた。

 

「肉体と精神、魂と権能(ギフト)…全部を一気に鍛えたい」

「……ほう?それならあ奴らと一緒に鍛えれば良いのではないか」

 

その言葉を聞いて、私は小さく首を横に振った。

…今の私では、彼らに追いつく事なんて夢のまた夢だ。

肉体は飛鳥さん以下、精神は耀以下、ギフトに関しては…きっとあの場の誰よりも…あのガルド=ガスパーにすら勝てないだろう。

仲間としているにしても、最低限度の力は無いと駄目だ。…だけど、その力を得れる程、私のギフトは強くは無かった。

 

「…お願いします。今の私は、耀のバックアップ…予備の備品としてぐらいしか戦えない」

「…それは、どういう事だ?」

生命の目録(ゲノム・ツリー)…あれは生物兵器として使われる筈だった物。ノーフォーマーを持ってるから私達が使っても…」

「……待て、お主は“ノーフォーマー”を持っているのか?」

 

その言葉を聞いて、私は小さく首を縦に振った。

それを見た白夜叉は少しだけ何かを考えた後に…ゆっくりと私の方を見つめた。

 

「…お主は確か、鈴彦姫に()かれていると言っていたな」

「うん」

「……付喪神を切り離す方法として、仏教に帰依するという事も出来る」

「…それは嫌」

「じゃろうな。お主にとっては大事な権能(ギフト)を切り離す訳じゃから。それなら…ふむ…」

 

少しだけ考える様な仕草をしながら、ゆっくりと和室から出ていく白夜叉を見つめる。

…それと同時に鈴の音色が鳴り響き…私が持っていた鞄が開いた。

 

「…わっ、わっ…」

 

其処から大量に溢れた物を、私は拾い始める。

…石とか人形とか、挙句の果てには曇った鏡とか様々な物が入っているのを見て…私は小さく溜め息を吐いた。

 

「…さてはこの鈴。片付け出来ないタイプだな?」

 

そんな事を言いながらゆっくりと片付けると、白夜叉が戻ってきてゆっくりと私の方を見つめた。

…その眼には少しだけ申し訳なさそうな感情が浮かんでいて…私は小さく苦笑した。

 

「…駄目だった?」

「あぁ…お主が何か功績を持っている人間であれば、それ相応の物が出せたのじゃがな…申し訳ないが、唯の人間に渡せる様な物は…」

「……そっか」

 

少しだけ諦めた様に私が言うのと同時に…鞄からもう一度、石が転がり落ちた。

…それを見た白夜叉は触ろうとするが…一瞬で手を引っ込めて、私の手を引っ張った。

 

「…?」

「下がれ。お主、どうしてあんなものを持っていた!」

「…あんなものって、あの石?勝手に入ってた」

「……あれが何か分かるか?」

「石で人気の物と言えば賢者の石だけど…流石に違うか。それだったら……殺生石?」

 

その言葉を聞いて、小さく頷いた彼女を見て…私は小さく首を傾げた。

殺生石と言えば、火山のガスが原因で起こった…事故の様な物だろう。科学的に証明がされている今、私が持っていても唯の石ころだと思うのだが…

 

「…殺生石に纏わる伝説は知っているな?」

「うん。鳥獣が近づけば死ぬって奴だよね?」

「…そちらの方ではない」

 

その言葉を聞き、私は小さく首を傾げた。

…それを見た白夜叉は少しだけ溜め息を吐きつつ、私にゆっくりと教える様に喋り始めた。

 

「…もう一つ、中国の方にも伝説がある。それは本来照魔鏡と呼ばれる鏡を使って暴くのじゃが…」

「……鏡、って…これの事?」

 

私がそう言って入っていた鏡を渡すと、それを見た白夜叉が小さく私の方を見た後に…溜め息を吐いた。

…それを見て私は小さく首を傾げるが、白夜叉は小さく首を振ってから…ゆっくりと私に喋り掛けた。

 

「…良いか。お主は春日部の娘ではない可能性がある」

「……どうして?」

「お主に付喪神が憑き過ぎているからじゃ。もう一人の春日部の方に聞いたが、両親と付喪神には何の関係性も無いからの」

 

その言葉を聞いて、私は少しだけ悲しそうな表情を浮かべた。

…そっか、耀とは家族じゃなくなっちゃうのか。

 

「…一つ覚えておけ。この箱庭で観測できる世界は一つじゃが、それ以外にも沢山の世界が新しい道を辿っておる」

「……」

「そして…お主は分かってるかもしれないが、世界によって歴史はバラバラじゃ」

「…久遠財閥というのが、私達の世界で存在しなかった様に?」

「あぁ。そしてそれは大抵…他の世界で存在しない、その世界でしか居ない者が働いている場合が多い」

 

その言葉と同時に、私に殺生石を渡し…そして小さく扇子を広げた。

…口を隠し何かを考えた後に、真剣な表情でこちらを見つめ…

 

「気を付けろ。お主の“ソレ”は、仏教に帰依する前の存在達じゃぞ?」

 

その言葉と同時に、私の頭の中で鈴が鳴り響いた。




書いてく内に分からなくなっていったので失踪します。

(旧“ノーネーム”のメンバーが、付喪神等に信仰を集める為の実験を行った世界。
本来付喪神は悪さを行い、仏教に帰依をする事になるが…それをさせない様に立ち回った“箱庭から”観測できない世界。
殺生石を祀った神社等は無く、そもそも付喪神等の妖怪を懲らしめる存在を消し去った為に照魔鏡は雲外鏡へと変わったまま。その所為で中国に居た玉藻前の存在がバレなかったというバタフライ効果がある)

即興で書いた為問題児の設定と違う所があるかもしれませんが、(設定ガバは)許して下さい何でもしますから!


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前夜

十六夜君の裏方の作業は全カットなので初投稿です。


はい、よーいスタート。

前回は白夜叉とお話をして何かヒントを得た九十九ちゃんがコミュニティに戻ってくるところからです。

…はい、何故か知りませんが獣人達が周囲に隠れていますね。九十九ちゃん気付けるかなぁ?

駄目みたいですね。何も考えずに歩いている様です。箱庭に呼ばれた人間の屑がこの野郎…

 

「あっ。お帰りなさいお姉ちゃん。お風呂まだだから一緒に居よ?」

 

おっそうだな。

本当の所は図書館で威光の権能(ギフト)を見てから行きたいのですが、どうやら思ったより白夜叉との話で時間を使ってしまったようですね。

春日部ちゃんの部屋に引き摺られる九十九ちゃんを見ながらで良いので、取り敢えず今後の方針を語るとしましょう。

 

まず初めにやるのは、ガルド=ガスパーの早期討伐です。

因みに此処で暗殺とかすると、残念ながらフォレス・ガロが嬉しそうに解散されるので止めましょう。ジン=ラッセルとかいうガキが売れなくなります。後レティシアちゃんにバレるので普通に罪で裁かれます。

という訳で、鬼化されたガルド=ガスパーさんは正規手段で倒さないといけません。それ以外で殺すと普通にバレて殺されます。

なのでどうしても勝てる様にガルド=ガスパーさんの練習が必要だったわけですね。この戦いは皆の救世主十六夜君が居ませんから。

さて、お風呂に入っている間にフリートークでもするとしましょうか。

 

実は今回の走り、ペスト戦が一番の鬼門なんですよね。

何故かというと…主人公の身体が一般火蜥蜴よりも弱弱だからです。そんなんじゃ甘いよ。

更には九十九ちゃん、疫病耐性を持っていません。

なので活躍する場合は火蜥蜴と一緒に偽りの伝承を砕くくらいです。

しかしそれもジン=ラッセルに一歩遅れます。あいつペスト攻略RTA者ってレベルで早いんですよ。

因みに前回走った時は、黒い風にうっかり触れてしまい死んでしまいました。序盤に即死ゲー持ってくるとか糞ゲーの鏡だよなぁ!

 

因みに九十九ちゃん、催眠等も弱弱なので本当にハーメルンが鬼門です。まぁそれを乗り越えても何も無いんですけどね初見さん。

因みに初手でペストに連れ去られ、人質に取られた事もありましたが…今回はそんな事は一切ないでしょう!

もし連れていかれたら、木の下に埋めて貰っても構わないよ!

あ、そうだ。(唐突)

箱庭でそんな事を言うと本当に埋められる事があります。先程の言葉はギフトゲームの商品判定になるからですね。

ギフトゲームで負けると相手に“木の下に埋める権利”と言うのが与えられ、相手の飛鳥ちゃんから物凄い表情で見つめられました。

今となっては良い思い出ですね!

それでは次回、今度こそガルドを殺し切って(21)(ロリ)吸血鬼と会いたいと思います。

では諸君、サラダバ!

 

------------------------

 

「…ふぅ…お風呂、久しぶり…」

「おや?九十九さんの世界ではあんまりお風呂入ってなかったのですか?」

「んーん…私は病院生活が多かったから…基本的に、お風呂に入る機会がなかったんだよねぇ」

「…そ、それは…黒ウサギ、申し訳ない事を聞いちゃいました?」

「そんな事無いよ?」

 

私が小さく首を傾げて微笑めば、少しだけ申し訳なさそうな表情を浮かべた黒ウサギが…私に対して土下座をし、顔をお湯に沈めた。

耳以外がお湯の中に沈み、私は焦って黒ウサギの名を呼ぶ。

 

「黒ウサギ!?」

「ガボボボボ!ゴボボ!ガボガボボボボボ…」

「…ごめん。何を言っているかわからないから顔を上げて貰っていい?」

 

私のその一言を聞いて、顔を上げた黒ウサギを見て…私は小さく苦笑した。

…酷い顔だった。今にも泣きそうだと思うくらいには。

だけどどうして、そんな表情を浮かべているのか理解出来なくて…私は唯、苦笑するだけだった。

それを見て何を思ったのか、正座をしだし…今度は頭をお湯に入れない様に…しっかりと頭を下げた。

 

「…この度は、騙す様な形で私達のコミュニティに連れてきてしまい…申し訳ございませんでした」

「その事を気に揉んでたの?」

「……はい。黒ウサギは…正直に言います。貴女達を疑っていました」

 

その言葉を聞いて、私は小さく首を傾げた。

それを見て黒ウサギが苦笑しながら私の頭を撫で…そしてゆっくりと語り出す。

 

「…本当は、私達が信用して貰う為には、事情を話す他ありません。けれど、もし私達の事情を知ったら何処か別のコミュニティに行ってしまうかもしれない」

「…そんな思いがあったから、貴方は私達に事情を話さなかった?」

「はい。人を騙しておきながら黒ウサギなんて、笑っちゃいますね。…黒ウサギより、因幡の白兎の方がとてもよく似合ってしまいそうです」

 

その言葉を聞いて、私は少しだけ考える。

なんて答えたら良いのか、私には一切分からなかった。

…しっかりと答えるべきか、それとも答えないべきか…

 

→しっかりと考えて答える。

そっと寄り添い、黙り込む。

-一定時間操作されなかった為、ランダムで選択肢を選びます▽

 

「……私は、それでも良いと思うよ」

「…え?」

「だって、今回は私達を助けに来た訳じゃないんでしょ?寧ろ、有効利用する心算だった…違う?」

「えっ……そ、其処までは…」

「でも同じくらいには考えてたんじゃない?後で事情を話せば理解してくれるとか、もしくは…今乗りきっちゃえば、事後承諾で何とかなる…とか?」

「…っ!」

「図星かな」

 

小さく微笑みながら言うのと同時に…黒ウサギが小さく目を逸らした。

…私だって、何も考えてない訳じゃない。

常に本気は出しているし、何時だって本気で戦っている。

…でも、結局はそれ止まりだ。

 

「…私としては、他の人の方が心配だけどね」

「他の方…ですか?」

「…うん。私は唯の一般人だから」

「そんな事…!」

 

その言葉を聞いて、私は小さく首を横に振った。

…私は、弱い。

知識もない、知恵も無い。咄嗟の判断力も無ければ、見てから動ける程の反射神経もない。

 

「…私は、一般人だったから…頼られた事が嬉しかった」

「……いえ!貴女は、強い人の筈なんです!それはあの招待状を送った方から太鼓判を押されましたから!」

 

その言葉を聞いて、私は小さく首を振り…何が強いんだろうと、私は心の中で小さく溜め息を吐く。

…けれど、これ以上否定したら…今度は私を呼んだ人に迷惑が掛かってしまう。

だから…

 

「…ありがとう。黒ウサ…」

「黒ウサギ!貴女抜け駆けしたわね!一緒に入るって約束したじゃない!」

 

私が感謝を言おうとするのと同時に…飛鳥が入ってきて、私の傍に近寄ってきた。

そしてガッチリと抱きしめ…少しだけ怒った様に黒ウサギを見つめる。

 

「あやや?!いえ、黒ウサギは少しだけ謝りたい事が合って…!」

「それは私達が居る時でも出来た。寧ろ私達には個別で謝らないの?」

「それは!なんと言いますか。九十九さんが飴玉一つで騙されそうな見た目だったと言いますか…」

「……私、そんなに危なそうだった?」

「今も黒ウサギに騙されて一緒にお風呂入ってたわよね」

「…はい」

 

私が少しだけ反論しようとするが…笑顔のまま怒っている飛鳥を見て…私は諦めた。

それを見た黒ウサギは少しだけ周囲を眺め、逃げようとするが…その前に耀に捕まり、私は思わず苦笑した。

 

「…ねぇお姉ちゃん。私、怒ってるんだ」

「っ…え、えっと…お姉ちゃん、其処まで悪い事してな」

「じゃあ明日の試合、私が出る」

「…そ、それはルール的に無理じゃない…?」

 

私が苦笑しながら言えば、耀が睨む様に黒ウサギを見つめた。

…それを見て首を横に振った黒ウサギを見て小さく溜め息を吐き…ゆっくりと私を優しく抱きしめた。

…そして、そのままゆっくりと私の腕の中に入ってくる耀を見て、私は少しだけ困った様に眼を伏せた。

 

「…このまま、もう少しだけ甘えさせて」

「……耀?」

 

耀が甘えだしたのを見て、私は小さく首を傾げた。

…どうしたんだろうと思いつつ、優しく頭を撫で…

 

「…お姉ちゃんは、もう…無茶しない?」

 

小さく、私に問いかけた。

その問いを聞いた私は罪悪感を覚え…それでもそれがバレないように喋り出す。

 

「…うん」

「本当に?」

「本当だよ」

 

その言葉を聞いて、耀が嬉しそうに微笑む。

…それを見て、私は少しだけ胸が痛くなり…ゆっくりと息を吐いた。

耀に対して…ううん、人に対して嘘を吐いたという罪悪感が私を襲う。

 

「…そっか。良かった」

 

そう言って嬉しそうに笑った耀に対して、私はこれからも嘘を吐き続けなければならない。

…無茶をしなきゃ、妹に追いつけない駄目なお姉ちゃんだから。

使える物はなんだって使う。無茶を押し通す為なら、人に嘘を吐く。

だけど…

 

「…お姉ちゃん?どうしたの?」

「ん…黒ウサギと一緒に喋ってたから、のぼせたかも」

「……大変。私と一緒に寝よ?」

「それだったら一緒のベッドで寝ないかしら?私、春日部さん達の事をもっと知りたいわ」

「黒ウサギもお供します!ずっとずっと待ち望んでいた女の子の同士、黒ウサギも御三方に興味津々でございます♪」

 

今日くらいは、この甘い甘い…幸せな空間に囚われていたいと、そう願ってしまった。




折角のお風呂シーンだったので失踪します。


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10話

はい、よーいスタート。

前回は九十九ちゃんがお風呂に入り、のんびりした所からですね。

取りあえずこれから急いで図書室に向かい、知識を深めようとしたのですが…これは駄目みたいですね。

全員が九十九ちゃんから手を離してくれませんでした。このままベッドに直行ですね。

此処まで来たらしょうがねぇ!大人しく寝ましょう。

と言うか此処まで好感度が上がってると不味い気がしますね。飛鳥ちゃんに逃げてと指示しても逃げない気がします。

…一緒に戦うと言われるとタイムがロスするので勘弁願いたいのですが…ま、一度上がった好感度何で大事に取っておきましょう。

三毛猫が悪さした時に春日部ちゃんの少し下がりますから、そのフォローをする為に好感度を犠牲にします。

 

女三人寄れば姦しいと言うが、四人の場合は何だろう▽

…逆にうるさくならないのだろうか?▽

 

考え事をしているから実際三人の集まり。三人は、どういう集まりなんだっけ?

…っと、そんな事を考えている間に九十九ちゃんが寝落ちして暗転しましたね。

良く寝れた場合、翌日の朝はすっきりと目覚めます。

余り寝れなかった場合、判定に-補正が掛かります。因みにこのマイナス補正は身体の強さで決まります。

なので一徹した程度の十六夜君では、特に気にしない…と言うより気に出来ないレベルの減りしかないです。

 

…え?九十九ちゃんは?知らん、そんな事は俺の管轄外だ。

という訳で早速やっていきましょう。おう姉ちゃん!戦うから見とけよ見とけよ~?

 

「…あ、あの。あの時はごめんなさい。そしてありがとう…!そんなに弱そうな身体なのに頑張って庇ってくれて…」

 

(貴女を庇っては)無いです。

久遠ちゃんを守る為に庇った筈なんですけど、どうしてそんな曲解に……ああ、成程。

久遠ちゃん自体は自分で守れるから庇ったと判定されなかったんですね。そして位置的にも、店員さんを庇ったと言えなくもない位置だと…

 

「応援してます!でも絶対無理はしないで下さい!もしそんなことしたら…あ、あっつあつの珈琲を飲ませちゃいますからね!」

 

好感度と位置設定ガバガバじゃないか!(憤怒)

…まま、純モブ程度の好感度を上げた所で別に意味ありませんから。

後九十九ちゃんは普通に猫舌なのでダメージを食らいます。止めて下さい。

 

「ふふ。それが嫌なら無理しちゃだめですよ?」

 

そんな応援を聞きながら、フォレス・ガロの本拠地にやってきました。

…はい。想定通り鬼化されてますね。

今まで走った中で一度だけ、(21)吸血鬼が鬼化するのをうっかり忘れ、そのまま力任せの勝負で戦った事があります。

その時は普通に春日部ちゃんにフルボッコにされ、可哀想な目に遭ってました。

さて、ギフトゲームの契約書類(ギアスロール)を一通り読んでから、取り敢えず驚いておきましょう。

ワーシテイノブグデトウバツナンテタイヘンダナァー。

 

…はい。此処までは予想通り、随分チャートに沿った動きしてくれるじゃないか。(困惑)

空前絶後のデレを見せてくれた今回の走りなら、自己ベスト超えられるのでは…?

取り敢えず場所を移動しながら、ガルド=ガスパー君が居る住居に行くとしましょう。

あっ、因みに人数は九十九ちゃん、飛鳥ちゃん、ジン=ラッセルの三人です。

三人に勝てる訳ないだろ!

因みにこのまま行くと三人で戦う事になりますが、これはロスです。

なのでガルド=ガスパーが居る家の前に辿り着いたら、速攻で外と中部隊を編成しましょう。

 

もしかしたら彼は、別の場所に居る可能性がある。▽

だからこそ此処は、私達は一旦分かれて外と中でばらけるべきだ▽

 

さて、飛鳥ちゃんへの説得フェイズです。

此処でミスすると大幅ロスするので…おっ、ジン=ラッセルが賛同した事によって確定成功になりましたね。そんなんだから御チビとか言われるんですよ。(嘲笑)

 

「…そうね。それなら私とジン君で外の…まだ探索していない所を探してみるわ。」

「はい!指定の武具があった場合、直ぐに合流しましょう。合流地点はこの扉の前で良いですよね?」

 

おっそうだな(適当)

取り敢えず説得には成功したので、一直線でガルド=ガスパーに向かいましょう。

…はい。OKです。

後はちょちょいと武器を取って、殺せば終わり!閉廷!解散!

…正直此処のガルド=ガスパーは知能デバフが掛かった野獣先輩なので、楽勝なんですよね。

代わりに速度と力が上がって…あっぶえ?!

今掠って右腕から血が溢れましたね。出来て良かった両手利き。

…はい、所詮こんなもんです。ガルド=ガスパー如きノーミスで倒せるんだよなぁ!

という事で、鬼化したガルド=ガスパー君…工事完了です。

次からペス…の前にペルセウスだった。という訳でペルセウス退治に、イクゾー!

デッ!デッ!デデデデ!(カーン)デデデデ!

 

---------------

 

運が悪いと、私は思う。

…分かれた直後にガルド=ガスパーが現れ、指定武具は彼の前に置いてあった。

取り敢えず片手で振り回し、ゆっくりと彼の方を見つめると…彼は瞬時に床を蹴り、私に一撃を喰らわせようとしてくる。

 

「っ…」

 

それを避け、地面に当てて無理矢理ダメージを入れようとするが、彼は痛み等感じないのかもう一度こちらに突っ込んできた。

恐らくは指定武具以外で傷付ける事が不可能と言う所からだろう。それとも、猫だから落下しても大丈夫と言うオチか。

…それに今の彼に理性は無い。獣の様な雄叫びに、得物を見つけた様な野生の獣の様な眼光。

 

「…」

 

小さく息を吸って、脳に酸素を回す。

二秒息を止め、ゆっくりと彼の行動パターンを読み…そして一撃を入れようと私は剣を振るう。

…それと同時に、彼の顔に小さく傷が付いた。

 

「GEEEEEYAAAAAaaaa!!!」

 

彼の声が、悲鳴の様な物に変わっていく。

…けれど私に対して襲い掛かってくる姿は、此処で私を倒せれば仲間がやってくるからと言う事だろうか?

……させない。私一人で絶対片付けてやる。

そんな事を考えながら、私は彼に着実に傷を与える。

…このペースなら倒せる。そう思いながら剣を振るのと同時に…後ろの扉が開き、其処から二人が現れた。

しまった。と思うのと同時に、先程まで息絶え絶えだった獣が小さく笑った…気がした。

彼は私を飛び越え、扉の方に向かって走る。

…ジン=ラッセルは恐怖に呑まれて動けない、飛鳥は此処から最適な命令が出せない。

 

「…っ!」

 

全力で走りながら、私は左右の壁を見る。

…右の方が少しだけ長い。

二人の前に立ち、私は剣を見せる様に左側に寄せ…それを見た獣が天井を蹴って、フェイントをかけるべく右に飛ぶ。

単純に飛んだら私に斬られるという恐怖が、彼をそうさせたのだろう。

だからこそ私はその数秒の隙を使って二人を思いきり弾き飛ばし、扉を閉める…が、防御が間に合わずに右腕が犠牲になった。

爪が私の右腕を貫通し、それによって力が入らなくなった為剣が落ちる。

それを見た彼が、私に見せつける様にゆっくりと私の右腕から爪を引き抜こうとし…

 

「…そんなんだから、貴方は此処で終わりなんだ。ガルド=ガスパー」

 

左手に持った剣を振り下ろし、彼の首を両断した。

絶命し、灰となって消えた彼を見て…私は少しだけ目を伏せる。

 

「…」

 

手で十字架を切る事は、先程の彼には逆効果だろう。

…なら私に出来るのは…

 

「今度は普通の虎として、短命でありますように」

 

道具でさえ長生きをすれば、面白半分で神が入り込む。

…だから、なるべく短命で居て欲しい。今度こそ…獣としての生を終えて欲しいと…そう願った。

……そして、ゆっくりと扉を開けようとするのと同時に…

 

正座しなさい(、、、、、、)

 

飛鳥の言葉と同時に、私の身体は勝手に正座をしだす。

…それを見てジン=ラッセルが慌てて飛鳥を見るが…飛鳥は気にせずに私に笑いかけた。

 

「私がどうして怒ってるか分かるわよね?」

 

目は一切笑っていない。

それ所か怒りで血管が浮き出ているのを見て…私はしらばっくれようとする。

 

「わ、わから…」

「そう。じゃあ後でたっぷりと分からせてあげるわ。傷を治したら、三人でたっぷりと…ね?」

「え、遠慮…」

 

その言葉と同時に、窓が割れて私達はそちらを見つめる。

…新手かと首を傾げれば…完全に怒った耀がこちらに対して一歩ずつ歩きながらやってきた。

 

「…お姉ちゃん。無茶しないんだよね?」

「あ、あれくらいは無茶じゃ…」

「へぇ。私達を追い出して右腕を貫かれたのは、無茶じゃないのね」

「飛鳥?!」

「……後で黒ウサギも一緒にお話し」

「あや!?どうしてですか?!」

「いや、正確に状況を教えなかったからだろ」

 

そう言いながら十六夜君がジン=ラッセルを連れて何処かに歩いていく。

…それを見て私も立ち上がろうとするが…未だに飛鳥のギフトが聞いているのか身体が動かなかった。

 

「…出血が思ったより多い…取り敢えずお説教は後で今は治療をさせて頂きます」

「……此処で出来るの?」

「いえ。コミュニティの工房に運びます。あそこなら治療器が揃っていますから」

「…じゃあ、私が…」

「いえ。工房に置いてある治療用のギフトは、扱いが難しいので…此処は一つ、黒ウサギにお任せ下さいな!」

 

そう言いながら私を抱きしめ、お姫様抱っこの状態で私を運ぶ。

…優雅に跳んでいる姿は、まさしく兎と言う名に違わなかった。

 

「…早く終わらせすぎちゃったな。…まだ太陽が眩しいから、上に昇るとクラクラしちゃう」

「……っ…なるべく急いで向かいます」

「それは困るよ。腕に風穴があいてるから、涼しくて困っちゃうんだ」

 

痛みを噛み殺しながら、私は苦笑する。

…それを見た黒ウサギは歯噛みしながら…出来るだけ急いで向かった。

私達が歩いた道に、点々と血痕が続いていく。

……けれどその等間隔の距離は、黒ウサギがどれだけ速いかを表していた。

 

「…もう少しで辿り着きます……も…さん?…っ!」

 

ずっと地面を見てたからだろうか。

視界が眩んで、黒ウサギの声が遠くなる。…乗り物酔いみたいだと、少しだけ苦笑した。

 

「ご、め…ん」

 

小さく謝った一言が聞こえているかどうか分からないが…それでも良いと、私は目を瞑って…意識を途切れさせた。



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可愛い子供達

前回油断して全て忘れたので初投稿です。


はい、よーいスタート。

主人公は気絶しましたが勝てたので問題ありませんなRTA、はーじまーるよー!

前回は出血による気絶判定に失敗した所からスタートですね。

因みに“ノーネーム”さんはかなり回復ギフトが多いので、多少の怪我なら誤差です。

完治しない事はほぼ無いからな!(三敗)

という訳でこのままレティシア戦をサラッと流して、次のペルセウス戦までのチャートを皆様の為にぃ…説明しましょうか。

 

まずレティシア戦の前にやっておくイベントは、有名所のコミュニティに挑む条件ですね。

サウザンドアイズは黒ウサギを賭ければ乗りそうだけど、他に黒ウサギを賭ければ乗りそうな所ない?と聞けば黒ウサギは呆れながらも教えてくれます。

その内の一つに、ペルセウスの情報がある訳ですね。

なので先ずその条件を知っておく必要があります。後で十六夜君に教える為ですね。

因みに幾ら知ったからと言って速攻で知識を披露するのは良くありません。普通に疑われます。

 

黒ウサギ、ペルセウスに売られるんだってよ。って話を聞いた時に、そういえばと言ってから情報をあげましょう。

そうする事で要らない誤解をさせない様にしつつ、情報を与えていきましょう。十六夜君の行動が早くなり、結果としてタイムが縮みます。

という訳で目覚めた瞬間に、他のコミュニティに挑むにはどうすれば良いの?自分の身を売れば何処か受けてくれる?教えてくれよ黒ウサギさんよぉ!

 

「……力のあるコミュニティは自分達の伝説を誇示するために、伝説を再現したギフトゲームを用意する事があります。例えばペルセウスがそれに当たりますね。…って、ペルセウスって知ってますか?」

「うん。蛇駆除係でしょ?」

「…ああ、まぁ…それに似た様な物ではありますが…」

 

私のその言葉を聞いて、彼女は少しだけ困った様に苦笑した▽

何か間違っていただろうか▽

 

何も間違ってないな!

取り敢えず黒ウサギから話は聞いたので、後は此処から追い出すだけですね。

…ちょっと上、五月蠅くない?

 

「…確かにそうですね。ちょっと行ってきます…大人しくしててくださいよ?」

 

おう、考えてやるよ。

…よし、行きましたね。さっき飛鳥ちゃんに“威光”を喰らったので、後はペルセウスの“ゴーゴンの威光”を喰らって違いを考えるだけです。

……というか本当にうるさいですね。こんな状態じゃ子供達も不安がるでしょうし……少しぐらい大丈夫だよな…?

という訳で此処からコソコソ作戦開始です。

因みにこれからしようとしている事は、子供たちの好感度上げです。やっぱり子供に好かれるのが立派なホモの秘訣なんだよね、それ一番言われているから。

…という訳で、子供の皆…あーそびま…

 

私がやってくると、震えていた子供達が一斉に私の傍に近寄ってきた▽

どうやら皆怖かったらしい。取り敢えず持ってきたトランプで遊ぼうと言えば、全員が小さく頷いた▽

………▽

ポーカーフェイスと、情報を手に入れた。

 

どうやら一人の子供が外を見ていたらしく、その時に十六夜君と吸血鬼との決闘を見たらしいですね。

その時の話が広がったらしく、もしかしたら十六夜君が死んでしまうかもしれないと皆が思っていたらしいです。

……がわ゛い゛い゛な゛ぁ゛ごども゛だぢ。

まぁ大丈夫大丈夫、あいつ中々死なないから。仮に死ぬとしても世界救った後だから。

…良し!子供達の好感度を上げるのと同時に、恐怖心を消しましたね。

……っと、そろそろ九十九ちゃんの身体が限界ですね。子供達よりも眠そうですし…此処で寝ちゃいましょうか。

リリちゃんの尻尾を枕にして寝ちゃいましょう。

では諸君、サラダバ!

 

--------------------

 

…うとうととしている彼女を見て、私は小さく息を呑んでしまいました。

そのままポフンと、私の尻尾に顔を埋めた少女を見て…心がぽかぽかとしちゃいました。

 

「…綺麗…です」

「リリお姉ちゃん、どうしたの?」

「わっ…何でもないよ。お姉さんが寝ちゃったから私が送り届るね。皆はちゃんと寝るんだよ?」

「「「はーい!」」」

 

皆の元気な声と同時に、私はお姉さんを持ち上げました。

…そして、彼女の身体が想定より軽かった事に驚き…私は思わず息を呑みました。

 

「…え…」

 

私が両手で持てるくらいの軽さ、けれど…頑張れば私が片手で担げてしまいそうな程に…彼女は軽すぎました。

…痩せているから、あの三人の人達よりも小さいからじゃなく…根本的に何かが足りない様な…そんな感じがして…気付けば私は、工房の部屋の前に辿り着いていました。

……誰かが居ない時はちゃんとノックをする、子供である私達に定められたルールを思い出しながらゆっくりと開けると…

 

「はい…って、良かった。子供達の近くに居たんですね」

 

ピンク色髪の黒ウサギのお姉ちゃんが、私の手から優しく彼女を抱き寄せた。

…それを見て私は小さく視線を逸らすと…私の考えている事に気付いたのか、黒ウサギのお姉ちゃんが苦笑してしまいました。

 

「…軽かったでしょう?…触ったら分かりますが、九十九さんは…体の一部が無くなってるんです」

「……一部が、無い?」

「えぇ。工房で怪我の具合等を調べている時に分かったんですが……って、すみません。子供に話す話題じゃありませんね」

 

その言葉と同時に、黒ウサギのお姉ちゃんが彼女を…九十九お姉ちゃんを優しく抱きしめ始めました。

…その違和感に気付いた私は、ゆっくりと答えを探す様に黒ウサギのお姉ちゃんに問いかけようとします。

 

「…黒ウサギのお姉ちゃん、居なくなっちゃうんですか?」

「っ…どうしてそう思ったんですか?」

「……だって、黒ウサギのお姉ちゃん…昔の記憶のお母さんと同じ顔してたから」

 

その言葉を聞いて、黒ウサギのお姉ちゃんが歯噛みしました。

…それを見て私は予想が合っていたのだと思い…私はゆっくりと息を吐きました。

それと同時に、黒ウサギに抱きしめられている九十九お姉ちゃんが小さく身動ぎをします。

 

「本当に…そうなんですね」

「あっ…違うんです!そうじゃなくてこれは…」

「…良いんです。黒ウサギのお姉ちゃんも、何か考えがある筈ですから…でも…」

 

そう言って私はゆっくりと九十九お姉ちゃんを見つめました。

 

「…九十九のお姉ちゃんを助けられるのは、黒ウサギのお姉ちゃんしか居ないんですよ…?」

「…っ……」

「生意気言ってごめんなさい。でも…これだけは伝えたかったから」

 

そう言って私が部屋から出るのを、黒ウサギのお姉ちゃんが止めようと腕を取り…

 

「…二人共、私が寝てる間に随分重い話してたね」

「九十九さん!?何時から…」

「綺麗…です…って所から。黒ウサギ的には全部?」

「私からしても全部です!」

 

あんまりじゃないか。

これじゃあ私が頑張って起こさない様に歩いていたのが全て無駄になった気分です。

…幾らお姉さんでも騙すのは駄目だと思い、私は頬を膨らませて怒ろうとしましたが…

 

「ふふ。何時も人に甘える事が出来なかったから新鮮で…ごめんね?」

「…別に、それならいいんですけど…」

「……後、二人共私の身体が軽い事に疑問抱いてたよね」

 

その言葉と同時に、私達の身体が小さく跳ねてしまいました。

…確かに私達はそんな話をしましたが、それを今掘り返すという事は…話して良い内容なんでしょうか…?

 

「…あれね。新手のダイエット」

「……へ?」

「未来の外では皆してる事なんだよ。耀は病弱だからしなかったけどね」

「…そ、そうなんですか?」

 

その言葉を聞いて、九十九のお姉ちゃんは小さくウインクをしてからベッドに横になりました。

…そして寝息を立てた九十九のお姉ちゃんを見て私達は困った様に笑い合うと…もう一度起き上がった九十九のお姉ちゃんがゆっくりと喋り出しました。

 

「…十六夜君に、ペルセウスの挑める条件、教えたら…?」

「……な、なんでそれを…」

「…子供達から、教えて貰った…」

 

そう言ってもう一度丸くなった九十九のお姉ちゃんを見て…私達は小さく微笑んだ後に…二人で部屋の外に出ました。

 

「…こと…り…ばこ……」

 

九十九のお姉ちゃんが小さく呟いたその一言を、私は唯の寝言だと思って…聞き逃してしまいました。

…私の横に居た、黒ウサギのお姉ちゃんが考えるのも無視して…私は急いで私が住んでいる場所に戻りました。




暗殺教室のRTAが見たいので失踪します。


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幸せな日常

いい加減主人公を強化させたい(強くなるとは言っていない)ので初投稿です。


はい、よーいスタート。

寝て起きたらすぐ隣に阿修羅が居るRTA、はーじまーるよー!

前回はリリちゃんに手厚く保護されてもふもふした所からですね。

…全然進んでないなおい。

 

それもその筈、実はペルセウスイベントは高機動なキャラクターや第二の十六夜君を作らない限りは短縮できないんですね。

今回は生まれも育ちも普通の九十九ちゃんなので、此処の短縮は出来ません。

なので今の内に権能(ギフト)を成長させたいのですが…

 

「………」

黒ウサギが私の身体から片時も目を離さない。▽

その事に苦笑しながら、少しだけ話をしようと起き上がろうとしたが…▽

「何かしたかったら言ってください。私がそれを駄目って言いますから」

 

駄目みたいですね。

因みにこの後は可愛い可愛いリリちゃんが見張りに来るんですが…もし其処で逃げようとすると普通に泣かれ、評価が下がります。

…なので出来れば黒ウサギを説得して逃げたいんですが…流石に九十九ちゃんは説得出来る程口論が強くないんですよね。

 

「…えっと、耀に会いた…」

「それだったら後でリリに行って呼ばせますね。姉妹水入らずで話して下さいね♪」

「……ごめん、何でもない」

 

ほらこんな風に、一方的に丸め込まれます。

…それなら知能を付ける為に大量の本を持ってきて貰いましょう。

 

私は本が欲しいとお願いすると、どんな本が良いかを聞かれた▽

→御伽噺の本

 権能(ギフト)の本

 神話の本

 

この中だと御伽噺の本一択ですね。

…この時点で権能(ギフト)の本…というより走り書きのメモ帳は余り旨味がありません。簡単に言うと九十九ちゃんでは“読めない”ですからね。

どうして読めないか…という事ですが、先ず初めに箱庭にとって権能(ギフト)というのは一種の生命線です。

例えば単独で強い権能(ギフト)を持っている奴……殆ど居ないなこれ。

…あー、例えばペストとかですね。死の風は確かに強力です。

ですが、権能(ギフト)を知り万全に対策をすれば…彼女は其処まで強くありません。

 

という事で、権能(ギフト)は知られても意味がないのです。なので権能(ギフト)の本に乗る事は本人にとってデメリットにしかなり得ないんですよね。

なので完璧な権能(ギフト)の本は若い数字の階層にあるコミュニティ…それも情報系のコミュニティぐらいしか持っていません。

勿論不完全な権能(ギフト)の本は何処にも置いてあります。

しかしそれは、所詮不完全な物です…例えば“意図的に隠蔽”されていたり、逆に読めない文字になっていたり…なので今の九十九ちゃんには読めないんですね。

 

逆に神話の本は、信仰が大事な箱庭にとって重要な物です。

自分の偉大さを広め、少しでも信仰を広げようとする為ですね。…後は人間達が信仰を止めない様に…という目的もありますが。

神話系の本を選ばなかった理由ですが、これから必要になる機会が無いからですね。

それなら目先の目標であるハーメルンの笛吹き…それを先に見ておけば次の次のゲームで謎解きが少しだけ早くなります。

…え?ペルセウス?あれは関係ないんで。英雄(十六夜君)いれば良いでしょ。

 

「それでしたら持ってきますね。少しお待ちください!」

その言葉と同時に、黒ウサギが嬉しそうに扉から出て行った。▽

…今なら出れそうだが、どうする?▽

 出る。

→出ない。

 

実は此処、出ない一択です。

此処で出るのはかなりの悪手です。今後“ノーネーム”のメンバーが九十九ちゃんを監視し始め、タイムが伸びてしまいます。

なので此処は大人しく待つべきですね。後は一つ、ギフトゲームをこなしてペルセウス戦に挑むだけです。

では諸君、サラダバ!

--------------------------

 

…本を読むのと同時に、私は小さく黒ウサギを見つめる。

其処には私をじっと見つめ、そして私の視線に気付くのと同時に微笑む…黒ウサギが其処に居た。

 

「おや。もう読み終わりましたか?」

「…ううん。まだ…」

「そうですか。まだまだありますので、読み終わったら何時でも言ってくださいね♪」

「……」

 

その言葉に答えず、私は小さく本に視線を移した。

…私が今読んでいるお話はハーメルンの笛吹きというお話で、これを選んだ理由は分からない。

 

「…ん」

「どうしたんですか?」

「……私、あんまり御伽噺って見た事が無かったから…新鮮だったの」

「あやや。それだったらこのお話は違ったかもしれませんね」

「…そうなの?」

「えぇ。初心者向けの御伽噺は…シンデレラとか灰かぶり姫とかですかね!」

「…そうなんだ」

「……其処は突っ込む所ですよぅ」

 

勝手に言って勝手に落ち込んだ黒ウサギを見て…私は小さく首を傾げた。

どうやら何か突っ込んで欲しかったらしい。

…というか、御伽噺見た事無いのに突っ込めというのはかなり酷なのではないだろうか?

 

「…まぁ良いです。それだったら読み方とか不安ではありませんか?」

「……読み方に不安…?」

「そうですそうです!もしかしたら間違って読んでるかもしれませんから!」

 

その言葉を聞いて私は小さく首を傾げた。

それを見て苦笑した黒ウサギが私の持っていた御伽噺の本を取り返し…ゆっくりと最初のページを開いた。

 

「…いや、流石に読み方は分かるけ…」

「それでは読み聞かせを開始します♪

題目はグリム童話の『ハーメルンの笛吹き男』。伝承の『ハーメルンの笛吹き』も続けてお話しますので、ゆっくりとお聞きくださいね♪」

「…あ、うん」

 

私が諦めた様に返事をすれば、黒ウサギは嬉しそうな表情を浮かべてから私に対して読み聞かせてくれた。

時にお道化、時に笑顔、そして時に悲しみを滲ませた黒ウサギの読み聞かせは、私をその世界の虜にした。

…だからだろうか。物語が終わった後、少しだけ悲しかった様な気がして…それに気付いた黒ウサギは、意地悪そうな笑みを浮かべ…

 

「あやや。其処まで真剣に喜んでもらえると嬉しいですね」

「…っ…」

「ふふ。私で良ければ何時でも……えぇ。何時でも読み聞かせしますね!」

 

そう言って私の傍に近寄って、嬉しそうに微笑んだ。

…それを見て私が驚いた様に黒ウサギを見つめるのを見た黒ウサギが事情を話そうとして…

 

「あら。その言葉が本当なら“ノーネーム”に残るのね。黒ウサギ」

 

その言葉を聞いて、黒ウサギが驚いた様な表情を浮かべ…ゆっくりと扉を見つめた。

…扉から現れた飛鳥は嬉しそうに微笑み、ゆっくりと私の頬にキスをした。

 

「…体調はどう?」

「元気」

「そう。良かったわ…もし目が覚めなかったら困るから、そろそろギフトを使って起こそうって思ったの」

 

そう言いながら優しく微笑んだ飛鳥を見て…私は思わず飛鳥の膝に頭を乗せた。

…それを見た飛鳥が嬉しそうに微笑み…私の視界の奥で、黒ウサギが頬を膨らませた。

 

「…そんなに飛鳥さんの方が良いのであれば、今後の読み聞かせも飛鳥さんにやってもらいましょうか?」

「あら、読み聞かせ?良いわね」

 

その言葉と同時に、私の近くに置いてあった本を拾って見始める。

…そしてゆっくりと読み終わり…私は小さく拍手をした。

それを見た飛鳥は嬉しそうに微笑んだ後…

 

「…私に妹が出来たら、こんな風に出来たのかしらね」

 

そう言って小さく、私の額にキスをした。

…そしてゆっくりと私の身体の調子を黒ウサギに聞いた後…思いだしたのか一枚の手紙を私に持ってきた。

差出人は無く、私宛の手紙という事しか分からない。

その事に少しだけ首を傾げながらも、私は無印のシールを剥がして中身を見る。

 

「…これって」

「ギフトゲーム…でもどうして九十九さんが…?」

「手紙で送られるギフトゲームなんてあるの?」

「…詳しくは分かりませんが、黒ウサギは一度も聞いた事が無いですね」

「それだったら今から白夜叉に…」

 

その言葉と同時に私は中身を読み解き、二人を部屋の外に追い出した。

…そして完全に扉と鍵を閉め、誰も入ってこれない様にする。

 

「九十九さん?!」

「…ごめんなさい。でも一つだけお願いがある…誰も、近づかせない様にして。特に子供達を」

「どうして?リリが会いたそうに…」

「……このギフトゲームは、私一人でクリアする」

 

 ゲーム名“中身のない(Empty)コトリバコ(BOX)

 ・プレイヤー一覧

  春日部 九十九

 ・クリア条件 現れた箱の中身の存在を紐解け。 

        犠牲にされた子供達の怨嗟を減らし、呪いを復活させろ。

 

 ・クリア方法 回答権は五回まで、一度の回答権が終了すると周囲に居る存在の内、

       未成年の人間の五臓の内一つが失われる。

 

  ・敗北条件 プレイヤーが死亡。

 

  宣誓 上記を尊重し、手紙を受け取ったプレイヤーが未成年に限り、ギフトゲー

     ムを執行します。

 

              “ベッカフイの栄冠 減った喝采” 印

       』 

 




名前を考えるのに時間が掛かったので失踪します。


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はじめての ぎふとげーむ(難易度ハード)

色々考えてパンクしたので初投稿です。


はい、よーいスタート。

時間制限回答制限アリアリのギフトゲーム、はーじまるよー!

取り敢えず中身のない(Empty)コトリバコ(BOX)を攻略するとしましょう。

まず初めに、コトリバコの攻略ですが…今です!

 

「っ!」

何かの違和感を感じるのと同時に、私は全力でその場から逃げる。▽

それと同時に私のお腹があった位置に、大きな木箱が現れた。▽

 

はい。まず初めに発生したコトリバコに挟まれるとゲームオーバーです。

しかし早めに移動してもコトリバコが付いて来てしまうのでギリギリで離れないといけないんですね。

…因みに本来、主人公が密室に居ない場合は成人の人間が木箱を持ってきてくれます。

一応原作重視なんですよね、このギフトゲーム。

因みにこのギフトゲーム、私は余りクリアしたことがないのでちゃんとした答えを出した記憶がありません。

何時も“ノーネーム”の敷地内で発生するからですね。しかも手紙を見ずに捨てようとすると仲間からの好感度が下がりますし。

 

「…」

 

まずこれから走る兄貴達にこのギフトゲームの事を伝えると、先ずこのゲーム。回答権は“最高”五回ありますが“最低”二回は答えないといけません。

そして一度回答権を使った場合、それはランダムで潰されるので心臓を潰されたら死にます。

それを念頭に置いてから挑むと良いでしょう(1敗)

 

現れた箱の中身の存在を紐解け。これの意味するところは、一体何だろうか▽

…このコトリバコを解けば、答えが分かるだろうか▽

 解く

→解かない

 

はい此処リセットポイント。

実はこのコトリバコは“今”解くと何の面白味も無く死にます。

これはお札等を使って呪いを抑えていないのと、“子供の死体”が8よりも多いためですね。

因みにこの時の死に方は発狂をして死にます。

さて、最初の答えですが…正解は子供の霊か呪い、水子の死体か内臓、もしくは何も入ってないかの何れかが正解ですね。因みに此処ノーヒントです。

 

…所で、今気付いたんですが…どうして第二クリア条件があるんですかねぇ?

今までは簡単なクイズをして楽しかったで終わったんですけど…どうやら今回は違うらしいです。

…それでは第二の問題を少しだけ見てみましょうか。

 

-犠牲にされた子供達の怨嗟を減らし、呪いを復活させろ。

 

よぐわがんね(鼻ホジ)

確かこのコトリバコは元々ハッカイだった筈ですが、それよりも呪いが強くなっちゃったから頑張って調整してちょんまげって事でしょうか。

そう…(無関心)

…ああ、それで呪いを抑える方法が必要だったんですか。まぁ、持ってないんですけどね初見さん。

 

 

あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!(目力先輩)

解呪権能(ギフト)がないやん、どうしてくれんのこれ(憤怒)

こんなんじゃゲームにならないよー!契約書類(ギアスロール)を見てもヒントなんて…

…ん?そういえばギフトゲーム名は中身のない(Empty)コトリバコ(BOX)でしたね。

コトリバコなのに、英語名は普通のBOX…?普通なら木箱(wooden)やらコトリバコ

(puzzle)だったりとかするんですが、どうして普通のBOXなんですかねぇ?

…そもそもコトリバコの作る方法的に、“中身のない”はおかしいんですよね。

つまりそれはコトリバコなのに呪いが無いという訳で……ん?

 

犠牲にされた子供達の怨嗟を減らし、呪いを復活させろ。

現れた箱の中身の存在を紐解け。

 

ああなる程、それで数字が書いてなかったんですね。そもそもこれは、片方をクリアしないともう片方もクリア出来ないギフトゲーム。

しかも上から順番に解こうとすれば失敗する…ヘラクレスの十の試練を模したギフトゲームとはまた違った物ですね。あちらは順番に解かないと駄目ですから。

…さてそれだったら、先程の問題は一気に変わっていきます。

 

犠牲にされた子供達の怨嗟を減らし、呪いを復活させろ。

→これは中身のない箱の呪いの数を決める一種の儀式。此処で減らす数を増やせばイッポウの様な簡単に封印出来る状態から、ハッカイと呼ばれる幻の存在まで作れますね。

怨嗟を減らす方法は…人形とかに魂を移し替えるとかですかね?

現れた箱の中身の存在を紐解け。

→こちら文章の切り所を間違えると死にますね。『現れた箱の/中身の存在を紐解け。』ではなく『現れた箱の中身の/存在を紐解け。』です。

つまりこれをクリアする為には本物のコトリバコを作り、そしてその中身を全て知らないといけないんですね。

 

…は?これ五日でクリアとか無理じゃないですか?

つまりこれ、箱に入れた奴の内最低一人、最高八人の全てを知り尽くさないといけません。

そんな事やってる暇なんてねぇんだよ!どうすんのこれ!

待て待て落ち着け落ち着け、そもそも子供八人誘拐するとか十六夜君にバレるわ。後黒ウサギにもバレるわ。

…え、無理ゲーかこれ。

 

私が何かを考えている内に、小さく…私の耳元に鈴の音が鳴る▽

「…あ」

 

あ、そうだ(唐突)

そういえば九十九ちゃん、春日部家の時に人形を幾つか仕入れていましたね。

…じゃあそれを箱に詰め込めばクリアできるでしょう。確かアレに生命の目録(ゲノム・ツリー)と同じ様な紋様が埋め込んでありましたからね。

 

…良し、入れました。あと序でに鈴から押し付けられた大量の粗大ゴミ(付喪神)も入れておきましょう。入れとけ入れとけ風味が出る。(適当)

にーしーろーはー…はい。ちゃんとハッカイになっているので、これで作動する筈です。

後はゆっくりと時間を掛けて直すだけ…

 

-死亡まで残り90秒

 

は?(困惑)

…あーこれ、ステータスで見たら分かりますが回答権二回使ってますね。お陰で九十九ちゃんの内臓が捩じ千切れました。

心臓だったらTHE ENDってね(カチカチ)となってましたので、運が良いですね。

なら急いで組み合わせ…はい。終了、そして最後に雲外鏡でコトリバコを写し…

 

-ゲームクリア

 

プレイヤーだけが見えるシステムメッセージと同時に九十九ちゃんの視界がブラックアウト。

…これは死にましたかね?まぁ暗転後にお墓シーンが出たらRTA終了という事で(無慈悲)

では諸君、サラダバ!

 

----------------------------

 

「…どうですか?九十九さんの様子は」

「内部出血が酷い。外から血が出た訳じゃなくて、内側の内臓がしっちゃかめっちゃかになっている…此処までのゲームだったのか?こいつが挑戦していたのは」

「…そちらに、黒ウサギが覚えてる全ての情報が入っています」

 

その言葉を聞いて、俺は少しだけ肩を竦めた後に黒ウサギのメモを読み始めた。

…急いで書いたからか字が汚い。

 

「…おい。ベッカフイというのは箱庭で有名な奴なのか?」

「いえ。見た事も聞いた事もありません」

「だろうな。俺が前に居た所でもそんな名前の奴は聞いた事はねぇ…それよりコトリバコか。有名な話の一つだな」

「そうなんですか?」

 

その言葉を聞いて、俺は頷いた。

そしてゆっくりとベッドに転がっている九十九を見てから…ゆっくりと話し始めた。

 

「ああ。俺の時は検索してはいけない言葉の代名詞だったんだ。女子供を呪い殺す木箱…それを大学生が持ってきたというお話でな」

「…それは…本当にあった話なんですか?」

「知らん。俺は興味なかったしな。そもそも俺が居た場所はガキが多かったから、そんな物を探してたら不味かった」

 

その言葉を聞いて、少しだけ驚いた様な表情を浮かべる黒ウサギを見て…少しだけイラっとした。

こいつ俺の事唯の自己中心的な人間とか思ってるだろ。

 

「…なんだその目は。俺一人でペルセウス挑戦してきても良いんだぞ?」

「だ、駄目です!分かった謝りますから!十六夜さんの事を周囲を考えずに巻き込むやばい人間だって思ってた事謝りますから!」

「……こいつ…」

 

お互いに話しながらも、俺らは九十九の隣に置いてある箱を見つめた。

…このメモと、先程の惨状…そして契約書類(ギアスロール)が無い事から考えると…あれはコトリバコだろう。

但し俺の知っているコトリバコとは幾つか違う事がある。

…まず大前提として、春日部耀の首飾りに彫られていたあの図形と似た様な形の物が刻まれていた。

本人が刻んだのか、それとも鞄に入ってたどれかをあの箱に仕舞った結果があれなのかは分からないが…それでも普通のコトリバコと違うのは間違いない。

 

「…後は、あれだな」

「……えぇ」

 

俺達が九十九の隣に置いてあるコトリバコを見つめると…

 

「…ん?どうしたの?」

 

コトリバコから声が聞こえ、溜め息を吐いた。

…本来付喪神というのは百年経って漸く現れる。作られたと言われている時代からすれば確かに宿る事はおかしくはない。

……但しそれはちゃんと道具として使われた場合だけだ。

元々呪う為の道具として作られ、最終的に封印される事になったコトリバコが百年も存在する訳が…

 

「…おまえ、ハッカイか?」

「そうだね。そうあれと製作者に作られたから、私はハッカイだよ」

「……どういう事だ?」

「うーん…簡単に言うと、付喪神を無理矢理コトリバコに入れたから、私はコトリバコの付喪神になっちゃった…という感じかな?」

「…じゃあ、元は何なんだ?」

 

その言葉を聞いて…笑い声が聞こえ俺達は警戒する。

それを見たコトリバコが一人でに開き…血が溢れ出した。

 

「…っ…」

「血は後で片付けるねー。それよりも、私の元の身体見れる?」

「……其処に転がっている、血だらけの人形がそれか?」

「そう。元は降霊術用の人形だったんだけどね」

 

そう言いながらポロリと、中身から米が落ちる。

…それを見て小さく溜め息を吐き、もう一度コトリバコを元に戻し…そのまま九十九のギフトカードにコトリバコを仕舞った。

コトリバコ、一人かくれんぼ…あっちは都市伝説だが…一応関連付けられてはいるのか。

…という事は、

 

「…この状態だと、猿夢とかくねくねとか出るかもしれねぇな」

「……?どういう事ですか?」

「…ギフトゲームの開催者、“ベッカフイの栄冠 減った喝采”という言葉。最初は俺も意味があるのかと思っていた」

「違うんですか?」

 

その言葉を聞いて、俺は小さく頷いた。

 

「“ベッカフイの栄冠 減った喝采”、先ずこれをローマ字に変える」

「…?」

 

bekkahui hetta eikan no kassai…これをローマ字の状態で入れ替えると…kensaku shiteha ikenai kotobaになる。

 

「…つまり、今回の開催者は“検索してはいけない言葉”の主になる。それが誰かは分からないが…まぁ、そんな事はどうでも良い」

「……?」

「大事なのは…」

 

そう言って一度、俺は九十九の方を見つめ…そして小さく溜め息を吐いた。

 

「…いや、何でもねぇ」




アナグラム考えるのに二時間位かかったので失踪します。


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唯一のスキップ機能

何も思い浮かばなかったので初投稿です。


はい、よーいスタート。

暇潰しにギフトゲームを挑んだら新しいゲームがやって来たRTA、はーじまーるよー!

前回はコトリバコに挑んで無様に勝った所からですね。

 

…小さく身動ぎをし、沢山の音に囲まれて私は漸く目を開く。▽

どうやら随分と眠っていたようだ。久々に身体が重い。▽

……ゆっくりと伸びをし、私は周囲を眺めた。▽

 

どうやら身体は元に戻ったようですね。ステータスはRTAなので見ませんが、これならお荷物になる事もないでしょう。

…というか今何時です?十六夜君帰って来てます?

ペルセウス戦は唯のお荷物ですが、それでも戦いぐらい参加しないとコミュニティの好感度が下がっちゃんですよね。

なので参加したいんですが…

 

「…」

私の隣で、耀がぐっすりと眠っている▽

動こうとすれば私の手に繋がれた耀の手が動き、起こしてしまうだろう▽

…ずっと、私の為に看病してくれたのだろうか▽

 

はい。看病イベントは春日部ちゃん…おおむね予想通りですね。

看病イベントは好感度が一定量以上のキャラが居る事で発生するイベントで…最も高いキャラが隣で眠っています。今回は最初から家族という事で、春日部ちゃんの好感度がそれに値したようですね。

…本来看病イベントはロスなのですが、今回は十六夜君を待っているのでロスじゃありません(微ロスが無いとは言っていない)

という訳で九十九ちゃんには悪いですが春日部ちゃんを起こしましょう。

…こいつ寝てる奴を起こすだけで罪悪感でストレスが発生するとか、遅刻魔生成器かな?

 

「…んんっ…もう食べられないよぉ…」

なんてベタな…とは思ったが、もう少しだけ強く擦ると…耀が目を開いてこちらを確認した▽

…そして小さく、おはようと言ってきたので…▽

→おはよう。

 (無言でおはようのキスをする)

 (押し倒して微笑む)

 

下二つは好感度が下がる上に時間もロスするので駄目です。

まぁちゃんと好感度がマックスであれば大丈夫なんですけど、RTAで好感度がガバる事なんてあり得ないです(RTA小説先駆者兄貴達を見ながら)

なので取り敢えず無難な挨拶をするとしましょう。

 

「…今、何時?」

その言葉を聞いて、私は周囲の時計を探すが…特に見つからなかった。▽

耀もそれを見て小さく溜め息を吐いた後に…▽

「……無茶しないって、言った」

泣きそうな声で、私にそう言った▽

 

ああ、説教イベント…ロスですね。

面倒なのでスキップしたいんですけど、このゲームスキップ機能が御座いません。

は?と思った兄貴も居るでしょうが、無い物は無いのです。

現実で校長先生の話がボタン一つでスキップ出来ない様に、九十九ちゃんが動かなければスキップは出来ない仕様となっています。

…ですがこのゲーム、需要と供給を兼ね備えた最高のスキップ方法があるんですよね。

 

「…だからもう、これい…んんっ?!」

「……んー…」

 

はい、キスです。

口を塞ぐには自分の口で塞げばよいという短絡回路がある純粋(笑)なので、割と頻繁に彼女はキスをします。させます。(会話を)させません。

因みに其処でキスをされてる春日部ちゃん、突然の事に驚いてる…風に見せかけて普通に舌を入れてきます。割とやり手です。

 

…口を塞ぐ為に口で塞いだら、どうしてか耀の舌が私の口元に入って来た。▽

そのまま追い出す為に甘噛みしてみると…耀の舌が少しだけ抜けたり入ったりして、最終的に止まった▽

……いや、追い出したいのだが。▽

 

追い出すとか言いながらやってる事かなりやばいですね。いや私としてはかなり幸せな状態なので良いんですけど。

 

「…もっ…とぉ…」

「おい変態姉妹。というか妹の方、こっちが準備してるのに何してるんだ」

「……んっ…それでお姉ちゃん。これ以上無茶する様だったら…」

「真面目な話やってた風にしてるんじゃねぇ!キスするならこれからの作戦決め手伝え!」

そう言って引き摺られていく耀を見て、私は思わず苦笑した▽

どうやら作戦会議中だったにも関わらずこちらに来ていた様だ。今度ちゃんと言わないと…▽

 

そうだよ(便乗)

という訳で九十九ちゃんのファーストキスは図らずも妹に差し出した訳ですが、九十九ちゃんは保健体育の授業とか受けてないので大丈夫です。

ヨシ!(現場猫)

取り敢えずこれからの作戦が如何とか言っていたので、取り敢えずペルセウス戦は過ぎて無い事が分かりました。

ならこれから私も作戦を考えるとしましょう。

十六夜君の作戦だと、先ず飛鳥ちゃんは水樹を使って囮役、見えない敵は春日部ちゃんをぶつけて、最後に美味しい所を十六夜君が持っていく…あれ?九十九ちゃん役に立たなくない?

そう思った早漏兄貴、まだ諦めるのは早いですよ。途中でアルゴールが“ゴーゴンの威光”を放つので特に面白味も無く石化されます。やっぱり駄目じゃないか(呆れ)

 

まぁ、このゲーム主人公が居ようがいまいが勝手にクリアされるんですよ。何故かって?十六夜君のお蔭です。

なので面倒なら放置してクリアでも良いんですが…RTAなんでそんな事は出来ませんね。

本来なら最強キャラ作って十六夜君と肩を並べるのが一番のタイム短縮なんですが…其処までしなくても大丈夫というのが走者の意見です。

どうせラストアタックは十六夜君にやって貰わないといけないので。

俺も永久機関保持者だったらなぁー俺もなぁー。…幽霊で永久機関とか出来ませんかね?(外道的発想)

 

さて、そんな事は置いておくとして…ペルセウス戦はどうするか考えないといけませんね。

先ず一番あり得そうな可能性はお留守番です。この場合はどうしようもないので諦めて寝ましょう。

…次に飛鳥と同じ班になった場合ですが…この場合は楽しい残党狩りになります。

基本的に水樹を使っている飛鳥を眺めるだけのお仕事ですし、もし近寄ってきたら普通に殴り飛ばしましょう。

身体の調子が戻ったのでモブ程度なら勝てる筈です。

次にハデスの兜を得る役の場合ですが、それは大丈夫。私の頭の中にハデスの兜持ちの行動パターンが全て入ってますので相手が消えてても支障ありません。

…それで、一番不味いのはペルセウスのお坊ちゃん事ルイオスの編成に組まれる事ですね。

この場合、宙を飛んでいるルイオス君に有効打を与える事が出来ません。出来る事はたった一つ、コトリバコを投げて角でダメージを与える事ぐらいです。

ですがそれで天下のペルセウスさんが殺せる訳じゃありません。アキレス腱とか狙って見たけど駄目でしたね。普通に怒られただけでした。

 

そもそも普通に付喪神を自分の身で背負っているので、ハルパーを持っている彼は天敵でしかないんですよね。

なので出来ればボス編成には入りたくありません。だって死にますから(確定事項)

そしてそれは知らないにしても、九十九ちゃんが貧弱ってのは十六夜君も分かっている筈ですから、流石に露払い役でしょう。寧ろ露払いじゃないと邪魔になるまでありますからね。

 

では諸君、サラダバ!

 

-----------------------------

 

「…体調は平気か?」

「うん」

「何か身体に違和感があったら教えろよ」

「勿論、子供たちに何かあったら大変だからね」

「そうだな」

 

心配そうにこちらを見つめた十六夜君を見て…私は小さく微笑んだ。

…今回のペルセウスは総力戦、三毛猫…はギフトを持っていないので無理だが…の手も借りたいとぼやいていた。

その事に少しだけ苦笑していると、十六夜君が私の方をじっと見ながら…

 

「…お前はどうして、其処まで付喪神に憑かれているんだ?」

 

そっと、その一言を呟いた。

…私はその言葉を聞いて少しだけ首を傾げる。

 

「今日ペルセウスの坊ちゃんに喧嘩を売るついでに、白夜叉の所に行って話した。春日部耀と春日部九十九。二人の違いに対してだな」

「……分かったの?」

「それがさっぱり。使っている系統樹が違うというくらいか」

「…そっか。まぁ、そうだよね」

 

小さく微笑み、私は少しだけ悲しそうに微笑んだ。

…それを見た十六夜君は少しだけ訝し気にこちらを見ているが…私は気にせずにゆっくりと立ち上がった。

 

「まぁ、私はもう元気だから。どんな所にでも配属して」

「……その言葉、信用していいんだな」

「うん。雑用からラストアタック、挙句の果てには泥棒だって出来るよ」

「…なんだそりゃ」

 

少しだけ面白そうに微笑んだ十六夜君が、ゆっくりと私の方に進み…そして耳元で囁いた。

 

「…此処から先は内密で行くぞ」

「いいよ?」

「……まず初めに、お前のギフトの詳細を教えろ。家族の耀ですら全く知らなかったぞ」

「私のギフト…あるのかな…?」

 

私が小さく首を傾げれば、十六夜君は少しだけ困った様な表情を浮かべた。

…そしてゆっくりと私の胸元にあるギフトカードを取り出し…ゆっくりと私の目の前に出した。

 

「…あるにはあるだろ」

「それが使えるかどうかは分からないけどね」

「……まぁ、そうだな」

「ちゃんと自分のギフトを理解して使わないと…駄目だよね?」

 

そう言ってから私が微笑めば…私の耳元で優しく鈴の音が鳴った。

…それと同時に、私は小さく息を吐き…私は鞄から一つ…道具を取り出した。

それを見た彼は少しだけ驚いた様な表情を浮かべ…ゆっくりとこちらを見つめた。

 

「…その剣は、何だ?」

「うーん…偶に入ってる武器かな。手紙を読んだ頃には無かったんだけどね」

「……今度底なし沼を見つけたら埋めて置け」

「それは可哀想じゃない?米粒一つにも神様が宿るんだよ?」

「付喪神に囲まれている奴が言うと信用出来るな」

 

そう言って笑った十六夜君を見ながら、私も小さく笑った。

…それを見た十六夜君は小さく考えた後に…ゆっくりと私の方を見た。

 

「OK。身体の一部も治ってるようだし、最初は露払いで良いと思ったが…止めだ」

「…それだと、二人の負担が酷い事にならない?」

「…へぇ。俺はまだ全部言ってないんだがな」

「まぁ、少しだけ考えたら分かる事だからね」

 

そう言って微笑めば、彼は不敵な笑みを浮かべ…そしてゆっくりと私の手を握って引っ張り出す。

…それと同時に、扉からぎゃふという声が聞こえ…私は思わず苦笑した。

 

「何してるの耀」

「…だって、もしかしたら…もう一度無茶するかもしれないと思ったから」

「十六夜君が居るから大丈夫。だからもし無茶したら十六夜君に怒って」

「はっ?」

「分かった」

「てめ!おいこら待てエロガキ姉妹!さっきやってた事ばらしてやってもいいんだぞ!」

 

その言葉を聞いて、耀は急いで逃げる様に私の手を掴み…そのまま走り出す。

…エロガキという言葉が分からなかったし、後で黒ウサギに聞いてみようかな。




次回はペルセウス戦なので失踪します。


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ガバ無しイージーゲーム(当社比)

ペルセウス戦が思ったより内容薄くなってしまったので初投稿です。


はい、よーいスタート。

ペルセウス戦が面倒だけど、取り敢えず評価を上げる為にやるRTA。はーじまーるよー!

因みにペルセウスのルイオス坊ちゃんとは初対面です。特に評価されるポイントは無いでしょう。

 

「我々“ノーネーム”は、“ペルセウス”に決闘を申し込みます」

「何?」

 

はい。作戦が伝えられてますが私は一切知りません。というのも、仲間同士の話は一部を除き全て休憩時間に使っているからですね。

約年単位のRTAなんだから当たり前だよなぁ!

なのでゲーム開始時に漸く役割が分かるんですが…ま、露払い確定でしょう。

 

「決闘の方式は“ペルセウス”の所持するゲー…」

「こんな人にそれを言ってもしょうがないでしょ。さっさとあれを出したら?」

「おいおい。少しは相手を立てないといけないだろ?」

 

(そんな時間は)無いです。

なのでさっさと九十九ちゃんで会話を止めて、タイムの短縮を狙っていきましょう。

因みに此処でもう一度何かを言おうとすると、ルイオスが喋って返ってロスになるので此処で黙ります。

ショートコント“ノーネーム”は居ない時の一回で良いんです。二回以上は唯のロスですから。

 

「…じゃ、味方に出鼻を挫かれたが…これを見ても同じことが言えるのか?」

 

さて、これで何とかなるでしょう。

後はルイオスのお坊ちゃんに常識を叩きこんで一切反論させない様にするだけですね。

なので適当に契約書類(ギアスロール)を承諾して、パパパっとやって、終わり!

さ、露払いかなぁ。それとも兜集め係かなぁ?

 

『ギフトネーム名 “FAIRYTALE in PERSEUS”

 

・プレイヤー一覧 逆廻 十六夜

         久遠 飛鳥

         春日部 耀

         春日部 九十九

 

・“ノーネーム”ゲームマスター ジン=ラッセル

・“ペルセウス”ゲームマスター ルイオス=ペルセウス

 

・クリア条件 ホスト側のゲームマスターを打倒

・敗北条件  プレイヤー側のゲームマスターによる降伏。

       プレイヤー側のゲームマスターの失格。

       プレイヤー側が上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

 

・舞台詳細・ルール

 *ホスト側のゲームマスターは本拠・白亜の宮殿の最奥から出てはならない。

 *ホスト側の参加者は最奥に入ってはいけない。

 *プレイヤー達はホスト側の(ゲームマスターを除く)人間に姿を見られてはいけない(、、、、、、、、、、、)

 *姿を見られたプレイヤーは失格となり、ゲームマスターへの挑戦権を失う。

 *失格となったプレイヤーは挑戦資格を失うだけでゲームを続行する事が出来る

 

宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、“ノーネーム”はギフトゲームに参加します。

                               “ペルセウス”印』

 

 

「何となく予想はしていたが、姿を見られれば失格、か。つまりペルセウスを暗殺しろって事か?」

「…向こうがメデューサ状態?」

「それならルイオスも伝説に倣って睡眠中だという事になりますよ。流石に其処まで甘くは無いと思いますが」

「YES。そのルイオスは最奥で待ち構えているはずデス。それにまずは宮殿の攻略が先でございます」

「そっか。空飛ぶ靴でズルも出来なければ、兜のギフトも無いもんね」

 

はい。

九十九ちゃんが先に全部説明したことにより黒ウサギがうなだれましたね。

先に作戦は十六夜君が対策して決めているので、ささっとやりましょう。

 

「囮、露払い、お坊ちゃんをぶっ飛ばす役は前に決めた通りだが…一つだけ変更がある」

「あら。そうなの?」

「ああ。九十九の身体が本調子らしいからな」

 

はっ?凄く嫌な予感がするんですけど…不可視、感じるんでしたよね?(記憶頼り)

このままだと普通にボス役…いやまさか、そんな事ある訳…

 

「俺と一緒に来い。但し坊ちゃんはやるが魔王は俺の得物だぞ?」

「…分かった。なるべく引き付けられるようにする」

 

は?(憤怒)

いきなり死の危険に直面するとか聞いてないんですけど。

お兄さん許して!(チャート)壊れちゃーう!

 

「…って!どうして十六夜さんが知っているんですか!?」

 

そんな事はどうでも良いんで、スキップするぞおらぁ!

…面倒な事になりましたね。このままだと最終的に、付喪神が九十九ちゃんから剥がされる可能性も出てきます。

……正直私がやりたかった事は、注意を集めて適当な所で流血沙汰になり、最終的に覚醒イベントでも起きれば良かったんですけど…今回は無理そうですね。

 

何故無理かというと…私ルイオス坊ちゃんと飽きるくらいまで戦ったんですよ。なので行動パターン所か彼がどういう思考に陥っているかすら分かります。

なので普通にぼーっとしていると、ノーダメージで勝っちゃうんですよね。

…ですが逆に破れかぶれの一発…それ所か、ハルパーで掠り傷を喰らえば付喪神が憑いてる九十九ちゃんがかなりきついです。

…というかそもそも、まだ怪我に慣れていないので普通に行動不可に陥る場合もあります。

なので此処は安定を取ってノーダメージ撃破しかないんですよね。操作ガバが起きない限りは、大丈夫でしょう。

では最後は走者である私の神プレーをご覧いただきながら終わるとしましょう。

では諸君、サラダバ!

 

-------------------------

 

…色々あった。本当にそう思う。

始まる前は二人から怒られ、挙句の果てには黒ウサギがニコニコしながらこちらを見るし。

ハデスの兜をドロップする敵が全然来なくて五分程ハデス待ちしたり。

最終的には耀に文句を言われたし。

…そんなこんなが合って、漸く最上階に上がって、さっさと倒そうとした奴が…

 

「ふん。ホントに仕えない奴ら。今回の一件で纏めて粛清だな」

 

そんな事を言ってきた。

その事に少しだけイラっとしつつも、私は彼の方を睨み付ける。

…と言っても今の私は、ハデスの兜があるのでまだバレていない状態だが。

 

「まぁでも、これでこのコミュニティが誰のおかげで存続できているか分かっただろうね。自分達の無能っぷりを省みて貰うにはいい切っ掛けだったかな」

 

その言葉と同時に、ルイオスが風を追い抜いて私達の降り立つ。

 

「何はともあれ、ようこそ白亜の宮殿・最上階へ。ゲームマスターとしてお相手しましょう。………あれ、この台詞言うの初めてかも」

 

その言葉を聞いて、私は思わず舌を巻いた。

…こいつ、此処まで言ってて仲間が無能だと思っていたら、あのフォレス・ガロ(烏合の衆)以下だぞ…と。

そんな事を考えながらじっと見ていると、彼がもう一度空に上がり…カードから燃え盛る炎の弓を取り出した。

 

「………炎の弓?ペルセウスの武器で戦う心算はない、という事でしょうか?」

「当然。空が飛べるのになんで同じ土俵で戦わなきゃいけないのさ」

 

その言葉を聞いて、確かにと思った。

私も貴方が未成年の女の子なら、コトリバコを置いて帰るのに…と。

そんな事を考えながら私は胸ポケットにあるギフトカードを触り…小さく溜め息を吐いた。

私も空を飛ぶ事が出来たら、あいつとかなり楽に戦えるのに…と。

 

「目覚めろ!“アルゴールの魔王”!!」

 

そんな事を考えていると、どうやら彼がアルゴールの魔王とやらの封印を解いていたらしい。

拘束具の姿に、私は思わず竦みそうになるが…

 

-シャラン

 

鈴の音が鳴り、私は思わず苦笑した。

…そうだ。魔王が一体位なんだ、こっちは無断で人を呪い殺す箱とか、捨てても返ってくる妖刀とかが沢山やってくるのだ。

それに比べたら目の前の化け物なんてまだ気が楽だ。こっちの神様は勝手に付いて(憑いて)くるのだから。

 

「ra、GYAAAAAaaaaaa!!」

 

だから、怖くはない。

私は周囲を見回し、彼の影の下に入り込む。

アイツ天飛んでるけど、どうせ日和って自分の近くには撃たないだろうと。

…そして、その予想は当たり…私は石にならずに済んだ。

 

「いやあ、飛べない人間って不便だよねえ。落下してくる雲も避けられないんだから」

 

代わりに彼の言葉を特等席で聞く事にもなった。しかも普通に十六夜君達も石になっていないって事は、別に此処はアンチじゃなかったのだろう。

…少しだけその事に苛々しつつも、私は彼が油断するタイミングを待つ。

別に何時も油断している気がするが、それでも彼は警戒を欠かさない。

…私達が来た時点で、伏兵は一人居ると考えているのだろう。

それでも…だ。人間の姿をしているのなら…いや、知性がある生物なら油断はする。

例えば…

 

「おいおい自惚れるなよ。オマエ如き、うちの坊ちゃんが手を出すまでもねえ」

 

こうやって、見え見えの挑発をされた時とか。

…それによって彼と魔王は空を飛び…アルゴールの陰に隠れて炎の弓を引き絞る。

撃ち出された炎の矢を見た十六夜君は…

 

「…渇ッ!!」

 

気合だけで弾き飛ばした。付喪神よりも化け物だ。

今度寺生まれのIさんとかさせてみようかと考えつつ…彼が鎌の様な物を取り出したのを見て…私は足に力を入れた。

 

「押さえ付けろ、アルゴール!!」

 

それと同時に彼が飛び回り、周囲を観察しながら十六夜の背後に向かう。

…彼が速度に乗る、その瞬間まで待ち…

 

「図に乗るな!」

 

両足の力を一気に放出し、兜と風を置き去りにして十六夜君の背中を守る。

彼が驚愕の表情を浮かべながら突撃する瞬間、私はギフトカードから刀を取り出し…勝手に刀が鞘から出る。

一瞬の攻防、しかし私の頭に悲鳴が伝わり…鎌の様な武器から離すべく妖刀を全力投球した。

 

「ばっ!こいつ武器投げるとか正気かよ!それともこいつ、どっかの奴並みに武器でも持っているのか?!」

「…残念だけど、私が使える武器はあれしかないよ」

「おいおい。ばらしていいのか?今お前、武器が無い状態なんだぞ?」

 

相手の舐める様な視線と声を聞いて、私は小さく微笑んだ。

…そしてゆっくりとファイテングポーズをとると、彼は再び舐められたのかと思い…刀と一直線上に並んだ。

 

「…あ、気を付けて?」

「ふん。新しい商品になるかもしれない女だからな。斬る時は…傷が残っても平気な場所に…」

「……私の事、どうやら皆好きらしいから。そういう言い方すると…」

 

その言葉と同時に、私の方の妖刀が一直線に私の方へ帰ってくる。

…次の瞬間、通っていった道筋に居た彼の頬に血の筋が走り…私はそれを見て溜め息を吐いた。

 

「ほら、危なかったでしょ?」

「…は?」

 

彼が呆けている隙に、十六夜君が彼の背後まで行って蹴り飛ばす。

…それを見て小さく拍手するのと同時に…

 

「ガッ!」

「Gya………!」

 

魔王と彼の悲鳴が背後から聞こえ、私は小さく溜め息を吐いた。

…このままだと普通に勝てそうだ。

そんな油断にも似た感想が湧き上がるのと同時に…

 

「アルゴール!宮殿の悪魔化を許可する!奴を殺せ!」

「RaAAaaa!!LaAAAA!!」

 

その言葉と同時に、アルゴールの声が聞こえ…私は刀を鞘に納めながらゆっくりと首を傾げた。

…その瞬間、私の周囲に大量の蛇が襲い掛かろうとし…

 

「…そういえばゴーゴンにそんなのもあったね。…今度ペガサスとか探しに行こうかな?」

 

その言葉と同時に、私の周囲に大量の血の線が走った。

遅れて風圧が発生し、蛇の死骸が吹き飛ぶ。

周囲には先程鞘に仕舞った剣が踊る様に舞っており、私は思わず溜め息を吐いた。

 

「終わりにしようイペタム。もう血は十分吸ったでしょ?これ以上吸ったら錆びちゃうよ」

 

小さく呟くのと同時に、私の腰に差さっている鞘にイペタムが入る。

…それを好機と見た蛇達が、私の方に襲い掛かってくるが…

 

「…後、私も少しだけ暴れたいから」

 

その言葉と同時に、鞘から私の手にイペタムが舞い戻る。

…それと同時に私は蛇を斬り捨て、小さく微笑んだ。

 

「昔、動けない耀を守る為に始めた刀術。久々にやったけど…うん、ちょっと鈍ったかも」

 

その言葉と同時に、蛇が三枚おろしになる。

…其処から血が出ないのは、未だに私が手に持っている刀が血を吸っているのだろう。

本当に底なし沼に沈めてやろうと思いながらも、私は十六夜君の為に自ら前に進み…

 

「もう生きて帰さないッ!この宮殿はアルゴールの力で生まれた新たな怪物だ!貴様らにはもはや足場一つ許されていない!貴様らの相手は魔王とその宮殿の怪物そのもの!このギフトゲームの舞台に、貴様らの逃げ場は無いものと知れッ!!!」

「……そうかい。つまり、この宮殿ごと(、、、、、、)壊せばいいんだな(、、、、、、、、)?」

 

その言葉と同時に、私が離れた地面に向かって十六夜君が一撃を振り下ろす。

…次の瞬間、闘技場が一気に壊れ…私は自分の足場を見ながら急いで十六夜の方に向かって走った。

 

「……馬鹿な……どういう事なんだ?!奴の拳は、山河を打ち砕く程の力があるのか!?」

「普通にありそう。それ所か世界壊しそうだね」

 

私の感想に少しだけ困った様な表情を浮かべる十六夜君をチラ見しつつ…私はジン=ラッセルを助けてる黒ウサギを見つめた。

…審判が助けるのは果たしてありなんだろうか?

そう思って彼の方を見つめるが、彼は彼で闘技場の惨状を見て驚愕していた。

ゲームマスターである彼が何も言わないなら問題はない。そんな気がする。

…気がするだけだ。

 

「もういい。終わらせろ(、、、、、)アルゴール」

 

その言葉と同時に、アルゴールが光を放つ。

…余り星には詳しくないし、何なら別にペルセウスにも詳しくは無いが…あれを喰らえば何の面白味もなさそうだ。

……なので此処は…

 

「十六夜君。頼んだ」

 

男の人に頼むとしよう。

古今東西、困ったら男の人を呼ぶと言われた事がある。主に父親から。

なので、しょうがないから目の前の彼にお願いするとしよう。幾らイペタムでも、あのビームは斬れない。

そもそもビームは剣から出したり、眼から出したりする物だ。前にやったゲームではそうだった気がする。

 

「…あいよ。…シャラ、くせぇ!」

 

その言葉と同時に、彼の脚は褐色の光を、踏みつぶした。

ガラス細工の様な砕け散り方をした光は瞬時に消え…そのまま彼に困惑を生み出した。

 

「ば、馬鹿な!?」

「せ、“星霊”のギフトを無効化……いえ、破壊した!?」

「あり得ません!あれだけの身体能力を持ちながら、ギフトを破壊するなんて!?」

 

三人が叫んでいるのを見て、私は思わず苦笑する。

 

「…だって。味方からもあり得ないって言われた気分はどう?」

「ああ。最高だな。後でうさ耳を引っこ抜こうと思うくらいには」

「そっか。…で、あれはするの?」

「当たり前だろ。俺らはこの為に来たんだぞ?」

「な、何の話だ?」

 

その言葉を聞いて、私は小さく目を伏せた。

…これから聞く言葉を聞いて、絶望する姿は余り見たくはないのだ。

 

「あ?もしこのままゲームで負けたら………お前達の旗印。どうなるか分かっているんだろうな?」

「な、何?あの吸血鬼を取り戻す為じゃ…」

「そんなのは後でも出来るだろ?そんなことより、旗印を盾にして即座にもう一度ゲームを申し込む。……そうだなぁ。次はお前たちの名前を頂こうか」

 

その言葉と同時に、息を呑む声が聞こえた。

…それは目の前に居た彼か、それとも黒ウサギか、それとも…ジン=ラッセルか。

 

「その二つを手に入れた後“ペルセウス”が箱庭で永遠に活動できない様に名も、旗印も、徹底して貶め続けてやる。例えお前たちが怒ろうが泣こうが喚こうが、コミュニティの存続そのものが出来ない位徹底的に。徹底的にだ(、、、、、)。………まぁ、それでも必死に縋りついちまうのがコミュニティってものらしいけど?だからこそ貶めがいがあるってもんだよな?」

「や、やめろ………!」

「そうか。嫌か……ならもう方法は一つしかないよな?」

 

その言葉と同時に裏腹に、十六夜君が楽しそうな声で喋る。

 

来いよ(、、、)、ペルセウス。命懸けで…俺達を楽しませろ」

 

私を巻き込んだ事に驚いて顔を上げれば、彼は震えながらも…それでも一人の戦士として…覚悟を決めていた。

 

「負けない……負けられない、負けてたまるか!!奴らを倒すぞ、アルゴオォォォル!!」

 

                 *

 

「…あれは、やりすぎだったと思う」

「そうか?でもあそこまでしないと…何時あいつらが復讐にやってくるか不安だったからな」

「……そうかな。そうかも」

 

私の一言を聞いて、少しだけ面白そうに微笑んだ十六夜君が…私の刀を見て苦笑した。

 

「やはりイペタムだったか。伝承では捨てても帰ってくるらしいが、本当なのか?」

「うん。因みに最速は海で、沈めたら二秒で戻ってきた」

「錆びるのが嫌なんかねぇ?」

「血を吸ってるのに錆が怖いんだ」

「何時か血に飢える時があるんじゃねぇか?」

「それだったらあの宮殿が欲しかった。其処ならこいつも楽しそうに血が吸えるから便利かも」

 

そう言いながらギフトカードを取り出せば、一瞬だけ震えた後…小さくかちゃりと音が聞こえた。

私はそれをあえて無視してギフトカードに仕舞い…溜め息を吐く。

 

「…所で、コトリバコって何処で使えば良いと思う?」

「嫌がらせ目的で白夜叉の所に置いたらいいんじゃね?あいつは呪いくらいじゃ死なないだろ」

「あー…寧ろお札とか大量に貼られて帰ってきそうな気がする」

 

そう言いながら微笑めば、十六夜君は私の方を見た後に…小さく首を傾げた。

それを見て私も首を傾げるが…

 

「わりぃ。何でもない」

 

そう言って、彼はレティシアという吸血鬼を担いで歩いていった。

…それと同時に、私のポケットに入っていた石が小さく動く。

 

「…」

 

殺生石を生み出した存在について勉強しようと思いながら、私もゆっくりと歩き…それと同時に鈴の音が聞こえ…小さく笑みを浮かべる。

…何時鈴彦姫が活躍するか聞いてきたが、当分活躍しないだろう。

そんな事を考えれば鈴彦姫は悲しそうにシャランとなり…それを聞いた私は苦笑しながら…コミュニティの住居に入った。




ギフトのルビ振りが間違っていた事に今気付いたので失踪します。


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エピローグ

RTAの要らない全編イベントなので初投稿です。


時は進み、一週間程。

…目が覚めるのと同時に、私の身体は小さく寝返りを打つ。

今日は二度寝をしよう。折角のお休み、二度寝するには丁度良い日だ。

雨が降っていない今日は良い二度寝日和だと、小さく欠伸をしながら目を開け…

 

「ふふ。おはようご主人?」

 

金髪のメイドが居て、私は思わず目を伏せた。

…どうしてこうなった。とも思わなくもないが、そんな事は置いておくとしよう。

今日は二度寝をする日だ、例え誰が来ようとも私は二度寝を遂行しなければならない。

 

「…むぅ。可愛いメイドを放置して、二度寝を決め込むのか?」

「……」

「初日の熱いベーゼをした仲だというのに…寂しい物だ」

「…あれは事故」

 

そう言いながらゆっくりと起き上がれば…彼女は嬉しそうに微笑む。

どうやら二度寝は無理らしい。

折角の休みなんだから少しくらい二度寝したかったのだが…無理そうだ。

 

「ふふ。おはようだご主人。熱いベーゼにするか?それとも、リリが作った美味しい食事にするか?」

「…ご飯…の、前に…顔洗いたい」

「そうか。…キスはしないのか?」

「しない」

 

その事だけをきっぱりと言えば、小さく苦笑した彼女を見て…私は着替え始める。

…それを見た彼女は、小さく溜め息を吐いた後に…

 

「…毎日言っているが、その突然裸になるの、止めないか?」

「なんで?」

「襲われるかもしれんぞ?」

「…襲う?血でも吸うの?」

「……そういう事ではない」

 

その一言を聞きながら、私は彼女の助けを借りてゆっくりと着替える。

…そして着替え終わるのと同時に、彼女は嬉しそうに私の寝間着を持っていった。

 

「…本当にメイド業こなしてる…」

 

そんな事を考えながらも、私はゆっくりと部屋から出ていく。

…今日は確か、日銭を稼ぐ為に飛鳥がゲームをして、耀が黒ウサギと一緒に買い物、十六夜君は…読書だったかな?

そんな事を考えながら、尻尾を振っているリリちゃんを見て…私は小さく微笑んだ。

 

「あっ、九十九のお姉ちゃん!おはようございます!」

「おはよう。ご飯、耀が一杯食べてたら怒ってね?」

「……頑張ります」

 

リリのその言葉を聞いて苦笑しながら、私はご飯を食べ始める。

その間に、今日の狙い目のゲームが無いかとか…はたまた他愛のない話だったりとかしている時に…

 

「…あ、そういえば今日。ギフトゲームが中止になってしまったそうです」

 

そんな事を聞き、私は小さく首を傾げた。

それを見たリリは少しだけ嬉しそうに微笑んだ後…ドヤっとしながら話を続ける。

 

「実はですね?この辺り一帯で干ばつが来るそうです」

「そうなんだ。干ばつが来る…干ばつが来る?!」

「はい!詳しい事は黒ウサギのお姉ちゃんが教えてくれますが…魃って怪鳥が、やってくるそうです!」

 

その言葉を聞きながら、私はご飯を食べ進める。

…魃という怪鳥が襲ってきそうだから、取り敢えずゲームが中止って事だろうか?

それは困った。じゃあもう二度寝するしかないと私は悟りご飯を食べ終わる。

 

「それで、今日はどうするんですか?」

「二度寝しに行く。三人に任せれば何とかなりそうだし」

「…えぇ…魃を倒したりとか、しないんですか!」

 

その言葉を聞いて、私は小さく首を傾げた。

…確かに干ばつを倒す事は可能だろう。でも今から行っても絶対遅い。

 

「もう三人は行っちゃったんでしょ?それならしょうがないかなって」

「…むぅ…それじゃあどうする心算なんですか?」

「二度寝」

「ですからぁ……んむぅ…」

 

私の一言を聞いて少しだけ困った様な声を上げるリリを見て、私は小さく頭を撫でた。

少しだけ恥ずかしそうにするリリを見て小さく微笑みながら…優しく喉を撫でる。

 

「…ぁ…」

「知ってる?昨日は私、結構遅くまでゲームやってたんだよ?だから二度寝して当然だよね?」

「…そ、そうかもしれません…?」

「でしょ?」

 

そう言って私が手を振ると、リリの尻尾がしゅんとする。

…それを見て苦笑しながらも扉を開けようとすると…

 

「おやご主人。これから二度寝かな?」

「…どうして分かったの?」

「ふふ。昨日かなり夜更かしをしていたからな。まだ眠いのかと思ったのだ」

「……知ってたんだ」

「あぁ。メイドだからな」

 

その言葉と同時に、私の身体を彼女が持ち上げた。

…小さく身体が震え、私が彼女の方を見つめると…彼女は小さく溜め息を吐いた後に…

 

「また、そういう事をしたんだな?」

 

小さく、怒る様な表情でこちらを見つめた。

…それを見て私が慌てるのを見て、少しだけ困った様に私を見た彼女は…

 

「さ。自分で身体を傷付けて遊ぶいけない子は、誘拐してしまおうかな?」

「…えっ?!レ、レティシア様、それっていった…」

「ちょ…リリの前で言わないでって…」

「それが嫌なら最初からしなければ良いだろう?それとも、バレなきゃしても良いって理論だったのか?」

 

その一言を聞いて、私は小さく目を閉じる。

…それを見た彼女は小さく私の頬を撫で…そして隠してある傷を優しく撫でた。

 

「…そんなにつらいのか?」

「違う。私が…皆の役に立ちたかったから…」

「……お前は役に立っているさ。ギフトゲームだって何時も勝っている。知識も大量に読み込んでいる…それなのに、お前はどうして其処まで…」

 

その言葉と同時に、私はレティシアの頬を優しく触った。

…それを見た彼女は小さく目を見開くが…私は気にせずにゆっくりと顔を近づけた。

 

「…お説教は嫌だな。御伽噺、聞きたい」

「……全く、御主人は……少し黒ウサギと話があるから、遅くなってしまうぞ?」

「うん」

「…何の話が良いか教えてくれ」

「…ヘラクレスのお話」

「あぁ。沢山持ってきてやろう。…だから…」

 

そう言って微笑んだレティシアが、私の身体を優しくベッドに置いてくれた。

…そして、私の頭を優しく撫でて…

 

「ゆっくり休んでくれ。あまり急ぎ過ぎると、良くないぞ?」

 

そう言ってから、部屋から出て行った。

 

                 *

 

「…という事で、ヘラクレスは12の功業を無事終わらせました」

 

その言葉と同時に、私は小さく拍手をする。

…何というか、昔からやって貰っている事と変わらない気がする。

ベッドの横に居るレティシアが本を閉じ、ゆっくりとこちらを見つめるのを見て…私は小さく微笑んだ。

 

「…ん。御三方が帰って来たな。私は下に行くがどうする?」

「……私はもう少し、こうしてる」

「それが良い。後で耀に伝えておこう」

「…どうして?」

「無茶したら伝えて欲しいって聞いていたからな。それじゃ、行ってくる」

 

その言葉と同時に出て行った彼女を見て…私は小さく溜め息を吐いた後に、イペタムを出す。

…そして、自分の腕に斬り込みを入れ…

 

「…ッ……ふ…ぁ…」

 

イペタムに血を吸わせ、それと同時に頭がくらくらとする。

…貧血状態…そんな事を考えながら私はギフトカードにイペタムを戻し…小さく息を洩らした。

 

「…」

「お姉ちゃん。いる?」

「っ!いるよ?」

 

その言葉と同時に傷口を袖に隠した私は、小さく声を掛けた。

それと同時にゆっくりと入って来た耀を見て…私は小さく苦笑する。

これは、バレているな…と。

 

「…ねぇ。今日はリリが和食を作ってくれるんだって」

「へ、へぇ…そうなんだ」

「それなのに、凄く一瞬、血の匂いがした。なんで」

「…あ、あー…魚じゃない?」

「今日は筍を使った天ぷらだって」

「……」

 

簡単に論破されてしまった。

…それと同時に、私の傷口から血が垂れ…ベッドに赤い染みを作っていく。

それを見た耀が更に視線を鋭くさせるのを見て…私は小さく苦笑した。

 

「…その、イペタムが大飯喰らいで…」

「毎日血を吸う程の?」

「……うん」

「捨てたら?」

「いや、その…捨てたら私が耀を守れなく」

「私が絶対に守る」

「…えっと…」

 

言い訳をしようとしても、出てこない。

…そして、血がダラダラと流れるのを見て…耀が小さく私の傷口を手当てし始めた。

 

「…馬鹿。無茶しないでって言ってるのに…」

「ごめん」

「…どっちがお姉ちゃんかわからない」

「そうだね。耀の方がお姉ちゃんかもね」

「それは嫌」

 

そう言って微笑んだ耀が、私の胸元に優しく飛び込んだ。

…それと同時に汗の匂いが、私を包む。

汗を掻いているのは疲れたからだろうか?

 

「…それで、今日はどんなことをしたの?」

「うん。お姉ちゃんが寝て起きて、女の子を侍らせてたぐらいにはね?」

「…ごめん」

「私達は干ばつの発生源の魃っていう…あ、そこら辺はリリから聞いたんだっけ」

「うん。それの所為で今日はギフトゲームが出来ないって聞いたよ」

「そうそう。黒ウサギはその干ばつを使って水を売りさばこうとしたんだけど…」

「売り捌く…」

 

その言葉に少しだけ苦笑する。

どうやら黒ウサギは割とあくどい商売に手を染めようとしたらしい。

…確かに、干ばつの時に水を売り…水樹の水の万能さに気付かせて定期購入させるのは良い手段だ。

勿論適正価格で販売しても良いし、少し高め位でも売れる物は売れるだろう。

 

「…まぁ、そういう手もあるか」

「……お姉ちゃんは、賛成だった?」

「うん。良い手段だと思うよ」

「…そっか」

 

私の一言に肩を落とした耀を見て、私は小さく首を傾げた。

 

「…えっと、続きを言うね?実はその時に……魃を倒しちゃって…」

 

その言葉を聞いて、少しだけ驚いた。

…倒せた事に驚いた訳じゃない、寧ろ十六夜君が居る時点で勝てる事は分かっていた。

寧ろ勝てなかったらそれこそ白夜叉案件だろう。

だからこそあまり心配はしていなかったが…まさか倒すとは思えなかった。

 

「…誰か、助けたかった?」

「っ?!な、何で分かったの?」

「お姉ちゃんだもん、それ位分かるよ」

「…で、でも…黒ウサギの作戦とか潰しちゃったし…」

「大丈夫。黒ウサギもそうできたらいいなって考えてただけで…それに助けたかったんでしょ?」

 

その言葉と同時に、耀が小さく頷いた。

…ならそれで良いと微笑みながら私は優しく頭を撫で…

 

「うん。人助けを出来る妹が居て私はとても幸せだ」

「…でも、私は魃を倒せなかった…ううん。もし一人だったら助ける事すら出来なかった」

 

その言葉と同時に、少しだけ悲しそうな表情を浮かべた。

…それを見て私は苦笑しながら…

 

「でも、前に比べたら十分成長したよ?」

「…え?」

「だって昔は、人と組む事なんてしなかったでしょ?友達になるのは動物ばっかだったしね?」

「……それ、は…」

 

その言葉を聞いて少しだけ冷や汗を掻く耀。

少しだけ面白そうに微笑みながら私が優しく耀を撫でると…耀は嬉しそうに私の膝に寝転がった。

 

「……」

「お姉ちゃん」

「………」

「お姉ちゃん…?」

「……ぁ、何?」

「…疲れてる」

 

意識が朦朧としてきた。

…血を流しすぎた、少しくらい休まないと…そんな事を考えながらも…それでも耀の前で絶対に弱いところを見せたくない。

 

「…耀…ご飯、食べないと…?」

「あ、そっか。そういえばそれで私が来たんだった…」

「…私は、いいや…ちょっと……ねむくて」

「え?でもリリが…」

 

その言葉を聞いて、私は小さく息を呑んだ。

…そっか、リリが頑張ってるんだ。

それなら少しぐらい食べないと…迷惑になっちゃうね。

 

「まってて。いま…おきるから…」

「大丈夫…?」

「耀。リリが呼んでるぞ」

「あ、待ってお姉ちゃんが…」

 

その言葉を聞いて、私は小さく目を閉じた。

…それと同時にレティシアが少しだけ嬉しそうな声で喋りながら耀を部屋から追い出した。

 

「…匂いが凄いな。何処まで切ったんだ?」

「……ちょっと、つらいくらい」

「輸血は必要か?」

「…いらない。がんばる…コトリバコは、じぶんのちじゃないと……だめ、だから…」

 

その言葉と同時に、ゆっくりとレティシアが私を抱きしめた。

それと同時に、私も抱きしめ返し…そしてゆっくりと微笑んだ。

 

「…コトリバコ、か」

「うん」

「……そんな事、しなくても良いんじゃないか?」

「わたしも、やくにたちたいから…」

「…言っただろう?お前は役に立っているんだ」

「もっと、やくに…たつ…の…」

 

私の一言と共に、意識がふわふわとする。

…それと同時に、レティシアが私の耳元で囁いた。

 

「……何をして欲しい?今なら何でもするぞ?」

「……つよく、つねって…」

「…」

「…わたしが、いきてるってのが…わかるから」

 

その言葉と同時に、私の腕に鋭い痛みが走る。

…そして、ゆっくりと…

 

「…ご主人は、マゾなのか?」

 

その言葉を聞いて…私は小さく微笑んだ。

…痛みは…少しだけ心地よい。

でも…それを言うのは少しだけ嫌だったから…

 

「…ちがう、よ?」

 

抓られながら、笑顔で微笑んだ。

…分かりやすい嘘を吐いた私は、小さく目を閉じた後に…

 

「…ぁ…ひかり、が…」

 

小さく、馬の嘶く声が聞こえた。




走者は一巻と二巻の間眠っているので失踪します。


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あら、魔王襲来のお知らせ?
付喪神(付喪神とは言っていない)


最初見直したら神性って書いてたので初投稿です。


はい、よーいスタート。

一ヶ月の間ずっと血を付喪神に分け与えていたRTA、はーじまーるよー!

ハーメルン戦に向けて空白期間はずっと準備をしていました。今回の此処を乗り越えれば…少しは気が楽になります。

という訳で早速やっていきましょう。

まず初めに…隣から凄いノックの音が聞こえてますね。これは飛鳥を起こそうとしている耀が必死に扉を叩いている音です。

因みに耀の好感度が高いのと、リリとまだ会っていない場合はこちらが優先になり…飛鳥が起きず、窓から入って来た手紙が放置されます。

 

「九十九さん!大変よ!」

その言葉と同時に私の部屋の扉が開かれる。▽

この箱庭という世界に来て、学んだ事が一つだけある。▽

…鍵は役に立たない▽

 

はい。飛鳥ちゃんに呼ばれましたね。この場合は追いかけっこの捕まる側になります。

しかし、仮に逃げるとしたら捕まってはいけません。

もし仮に捕まると、黒ウサギの追いかけっこが延期されマンドラと会う時間が遅くなります。

レティシアに捕まるとクレープ屋で飛鳥ちゃんが“はぐれ”の精霊と会う事が無くなってしまいます。その場合飛鳥ちゃんは強化されず、ディーンが居ないのでペストを倒す事が出来ず、隷属させる事が出来ません。

なので本来なら追いかける側に行きたいのですが…残念ながらそれは無理です。

コミュニティの仲間というだけで皆誘ってくるからですね。

なので逃げる場合、二人から全力で逃げなければいけません。しかも、最初に捕まるのも駄目です。

最初に捕まった場合、春日部ちゃんが逃げ出し白夜叉から“造物達の決闘”の話が聞けず、“ウィル・オ・ウィスプ”と繋がりが持てません。

 

なので本来ならこんな事に乗る必要はないんですが…まま、ええわ。

因みに“造物達の決闘”にはあまり旨味がありません。別に付喪神とは何の関係も無いですからね。

なので逃げる事に対しての旨味は…ナオキです。

とまぁ、そんな事を考えている間に彼らが悪戯を思いついたのか色々とやっている様ですね。

…取り敢えず九十九ちゃんは見なかった事にしておきましょう。なーに中身見てないんですから唯の悪戯だって思うって。

……という訳でジン=ラッセルと一緒に、お気に入りの本を持ってイクゾー!

デッ!デッ!デデデデ!(カーン)デデデデ!

 

北でお祭りをやっている所はかなり遠いらしい。▽

…それなら諦めて帰ろうかと言ったら、三人が首を横に振りながら…白夜叉が居るサウザンド・アイズの下へ向かっていった▽

 

はい。

色々話を続けようとしますが、こちらとしては面倒なのでさっさと終わらせておきましょう。

ほらほら白夜叉、そっちの方が面白いでしょ?だから飛ばしておいてくれよ!

転移、ヨシ!(現場猫)

という訳で此処から暫くは黒ウサギにバレない様にサウザンドアイズ支店に隠れる事とします。

 

「おう?お主はまだ外に出ないのか?外は凄いぞ?」

「…少しだけ、休憩してから」

「そうか?…それだったら後でお茶でも持ってこよう」

その言葉と同時に、去っていった白夜叉を見て…私はゆっくりと立ち上がった▽

→今のは嘘だから出ていこう。

 やっぱり疲れたからもう少し。

 

此処は出る一択です。仮に此処で出ないと黒ウサギに捕捉されて捕まります。

…まぁ、もう耀が捕まっているので大丈夫なんですが…それでも逃げる事には変わりはありません。

何故かって?ウィル・オ・ウィスプの商品の中で欲しい物があったら買う為ですね。

その為に深夜までギフトゲームで稼いでいた訳です。

なのでなるべく声を出さず、但し普通に歩きながらのんびりと買い物をしておきましょうか。

 

私が周囲を眺めると、其処はとても綺麗なガラス細工の街があった。▽

…それを見て私は小さく息を呑み…ゆっくりと周囲を眺める▽

 

さて、これからバレない様にしっかりと移動しましょうか。

次回は無事逃げ切った所からスタートです。では諸君、サラダバ!

 

--------------------

 

「製作・“ウィル・オ・ウィスプ”…凄いなぁ…」

 

様々な作品に目を向けながら、私はゆっくりと展示会場を歩いていく。

…私も何時か、こういう物を作ってみたいが…きっと作る事は無いだろう。

 

「…うーん…」

 

此処に耀が何時も持っている”生命の目録(ゲノム・ツリー)”を置いたらどんな風に評価されるのだろうか。

そんな事を考えながらも、そんな事をしたら耀が歩けなくなってしまうと小さく首を横に振った。

 

「…ん?」

 

それと同時に、私の耳に聞きなじみのない音が聞こえる。

…小さな笛の音、それを聞いて私は小さく考える。

そういえば、ハーメルンの笛吹きの絵本忘れたな…と。

…それと同時に、今度は外の方で大きな爆発音…この音は十六夜君の音だろうか?

 

「行ってみようかな?」

 

小さく呟きながら、私は小さく首を傾げ…そして止めた。

…私が行っても、邪魔にしかならないだろう。

 

「…あ、此処にコトリバコを提出したら、どうなったんだろう?」

 

私のその小さな疑問は、誰にも聞かれる事は無く…そっと闇に溶けていった。

今度は大空洞の方に行って見ると…其処には…巨人が居た。

一度近づいて見てみようとすると…その前に知り合いの顔を見つけ、私はその名前を呼ぶ。

 

「あす…!?」

 

次の瞬間、大空洞が闇に閉ざされた。

私は記憶と声を頼りに、飛鳥の方に向かって歩いていく。

 

『……嗚呼、見ツケタ………!“ラッテンフェンガー”ヲ騙ル不埒者ッ!』

「…鼠は私が殺る!飛鳥はギフトで全員の誘導!」

「わ、分かったわ!|協力し合って(、、、、、、)逃げなさい(、、、、、)!」

 

その言葉と同時に、周りの人達がちゃんと列を組んで走り出す。

それを見て小さく息を呑むのと同時に…私はゆっくりとギフトカードから妖刀を取り出す。

 

「…鼠だけを殺して。もし人間の血が欲しいなら、私を傷付けて」

「ちょ、九十九さん!?」

 

飛鳥の言葉を無視して、私は妖刀を構え鼠に向かって突撃する。

一振りする度に鼠が何匹か死に絶えたが、それでも他の鼠は一目散に飛鳥を狙う。

 

「…っ。腕が足りない!贅沢言わないから後千本くらい欲しい!」

「そ、それはちょっと贅沢じゃない?…っ!巣に戻りなさい(、、、、、、、)!」

 

飛鳥の言葉を聞いても、鼠達は一直線に飛鳥を狙い続ける。

避けようと身体を動かした瞬間、誤って足を縺れさせた飛鳥を見て…私は武器を捨ててから飛鳥の前に立った。

 

「っ!?」

「…っ…何で飛鳥が狙われているのか分からないんだけど…!私の大事な人を傷付けるのは許さない!」

 

その言葉と同時に、私のギフトカードから箱が現れる。

…その瞬間、敵意よりも恐怖が勝ったのか私の方に鼠達が襲い掛かろうとして…

 

「…っぁ…」

 

妖刀と鼠、両方が私の身体に傷を作り…私は妖刀を両手で掴み、周囲の鼠だけを倒す。

…幾らか傷が出来上がり、私が飛鳥の撤退を視野に入れるのと同時に…

 

「……鼠と古の刀風情が、我が同胞に牙を突き立てるとは何事だ!?分際を痴れこの畜生共ッ!!」

「…レティシ…」

 

その言葉と同時に、私の周囲に影が巻き起こる。

…そして瞬間、周囲の鼠が一瞬で肉の塵となり…そして影が呑み込んだ。

それと同時にギフトカードが光り…私の身体が血で塗れた。

 

「…っ…」

「術者は何処にいるッ!?姿を見せろッ!!このような往来の場で強襲した以上、相応の覚悟があってのものだろう!?ならば我らが御旗の威光、私の牙と爪で刻んでやる!コミュニティの名を晒し、姿を見せて口上を述べよ!!!」

「レティシア。もういない…足音も聞こえなければ、声も聞こえなかった」

「そうか。なぁご主人」

 

その言葉と同時に、私の方にレティシアがやってきて…

 

「…っ!」

 

強く頬を叩いた。

それを見た飛鳥が困った様な表情を浮かべ、レティシアを抑えようとする。

 

「ちょ、レティシ…」

「…私は言ったな。もう無茶はしないと」

「してない」

「……してない。だと?」

 

その言葉と同時に、私の頬はもう一度叩かれた。

…そして、私の方を睨み付けたレティシアを見て…私は小さく目を閉じた後…

 

「ご主人。答えろ」

「…」

「答えろ!これ以上自らを傷付けるというのなら!私はご主人のギフトを白夜叉に預けさせるぞ!」

 

その言葉と同時に、私の身体が小さく震えた。

 

「…レティシア。彼女は私を助けて…」

「自分の刀で傷を付ける事が、飛鳥の助けになったのか?自分の血を溜めた箱を取り出し、呪いをまき散らさない様にするのが、自らを傷付けないと言えるのか!」

「……それは…」

「…答えろご主人。……今、御主人の内臓は幾つあるんだ?」

 

その言葉と同時に、私は小さく目を伏せ…首を横に振った。

それを見たレティシアは少しだけ悲しそうに目を伏せた後…ゆっくりと私を抱きしめた。

…そしてそのまま片手で私を御姫様だっこをして…小さく息を吐いた。

 

「ギフトネーム、中身のない(Empty)コトリバコ(BOX)…か」

「…知ってるの?」

「いや、聞いた事がない。そもそも近代の呪術が入ってくる事は無いからな。昔からよくある物と言えば蟲毒とかだが…まぁ、箱庭で呪術という物は殆ど無いな」

「……そう、なんだ」

 

私は小さく呟くのと同時に…ゆっくりとレティシアが私の頭を撫でた。

 

「…疑似神格(付喪神)…か。そもそも付喪神が神格を持つ事があり得ないんだがな」

「……そうなの?」

「そりゃそうさ。そもこういう疑似神格は黒ウサギの持っている……?」

 

私に対して色々教えようとしてくれたレティシアが、急に止まって考えを纏め始めた。

…それを見て私達は小さく首を傾げるが…レティシアは気にせずに考えを纏めていた。

 

「…何故付喪神が生まれた?疑似神格が与えられたという事は、神霊によって神格が与えられた存在が居るという事だ。それなのにも関わらず、付喪神を箱庭で見た事がない。

…箱庭では悪さを働いた後に仏教に帰依をしたからか?

それなら…こいつらは何処から生まれた存在だ?歴史の転換期が起きた?…いや、それだったらもっと問題が起こっていても問題ない筈だ。

…なら、考えられる可能性は二つ。

一つは付喪神が帰依をしなかった世界線。その場合は枝分かれした世界線で生まれた存在が何かをしたのだろう

…もう一つは、何者かが手を引いている?…その場合は……誰が…」

 

その言葉と同時に、私のポケットから石が転がり落ちた。

…それを見たレティシアは視線だけでこちらを見つめた後に…ゆっくりと私のポケットに入れてくれた。

……その瞬間、私の身体が一気に重くなり…それと同時に私の耳元で誰かが話しかけた。

 

『…さぁ。付喪神として、新たな歴史を作りましょう?貴女が依り代となって、歴史を変えましょう?』

 

その言葉と同時に、小さな狐の耳が見えた。




色々適当に書いちゃったので失踪します。


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造物主達の決闘

思ったより早く買えたので初投稿です。


はい、よーいスタート。

面倒なイベントは殆どスキップするRTA、はーじまーるよー!

さて前回は気絶して無理やりサウザンド・アイズのお店に帰ってきた所からですね。

どうやらイベントが起きているようですが、私は特に気にしません。

当たり前だよなぁ。

取り敢えず飛鳥ちゃんを呼んできましょう。飛鳥ちゃんどうかなぁ?

 

「…おはよう。元気だった?」

 

あ、春日部ちゃんオッスオッス。そんなに怒って何かあったん?

…はい。理由はわかっています。イベントですね。

気絶した回数が一定以上になると、所属するコミュニティの誰かから感謝のお叱りを受けます。

本来ならロスになるイベントなんですが、これをイベント待ちの序盤でやる事によって後半にこのイベントを発生させ辛くします。(しないとは言っていない)

 

「…無茶しないって言った」

耀が怒った様な表情でこちらを見つめる。▽

それを見た私は小さく目を伏せながら、小さく謝った。▽

 

すいません許してください。なんでもしますから!

…はい。これは本当にそのままの意味になります。

このイベントが発生すると、主人公はいきなり何でもしますと謝ります。

なのでこれを後半に行うと……高確率でベッドの上でロスが起きるんですね。

 

「…本当に?本当に何でもしてくれるの?」

「うん」

その言葉を聞いた耀は何かを考え…そして何か思い浮かんだのか頬を赤らめた▽

…そして、私の顔を二、三回見た後に…私の傍にやってきた。▽

「…じゃあ、私が明日やるゲームのサポーターになってくれる?」

その言葉を聞いて、私は小さく頷いた▽

 

 

おや、今回は“造物主達の決闘”のサポーターをお願いされましたね。正直もう無茶しないでとか言われると思ったので、これは予想外です。

…さて、このサポーターのイベントは耀の好感度がかなり高くないといけないのと、主人公の恩恵(ギフト)が“弱くない”と発生しません。

好感度の方でいえばかなり楽な部類なんですが、問題は恩恵(ギフト)が強いと発生しない点です。

この頃の春日部ちゃんは自分一人で何とかしようという兆しがあり、弱い子を見ると放っておけない状態なんですね。

なので私と一緒に戦って経験を積ませようとする…一種の母性本能?という物が前に出ます。

…ですが逆に、春日部ちゃんよりも強いと…自分の力で何とかしようという感情が前に出て、頼ってくれなくなりますね。

 

…え?飛鳥ちゃんとかジン=ラッセルはどうだって?

あの二人も二人で強いですが…そうですね、飛鳥ちゃんは友達だからとかでしょうか?

ジン=ラッセル?…リーダーだからじゃないですかね?(適当)

 

さて、ならどうして姉である九十九ちゃんが呼ばれたのかですが…実はこれには秘密があります。

実は春日部ちゃん。自分より家族が弱い場合、絶対に守るという鋼の意思を見せるんですね。

あ、逆に自分より強いとコンプレックスを抱きます。

なので今回のギフトゲームで自分の強さをアピールして、自分に頼ってもらおうと思っているんじゃないんでしょうか?

 

「…じゃあ、白夜叉に言ってくる。此処で待ってて」

 

白夜叉に言う序でに、飛鳥ちゃんを呼んでもらいましょう。

飛鳥ちゃんに会いたいといえば、少しだけ怪訝な顔をしつつもしっかりと会わせてくれます。

では此処で飛鳥ちゃんにギフトのお話をしている間に、こちらでも話をしましょうか。

まず初めに、今回“造物主達の決闘”に出たのは理由があります。

その理由というのは…“ウィル・オ・ウィスプ”にとある道具のお願いをする為ですね。

もし此処で勝てた場合、ジャックにとあるお願いをして飛鳥ちゃんに強化を施す事が出来ます。

…しかし、勝てないと実力がまだ足りないと判断され…残念ながら道具を作ってもらう時間が遅くなってしまうのです。

なのでこの試合でなるべく勝ちつつ、他のコミュニティに舐められない様に実力を見せつけていきましょう。

 

「…わかったわ。正直…あんまりピンとは来てないけど…でも、少しだけ恩恵(ギフト)の事…知れた気がする」

 

おっと成功ですね。

この後は白夜叉に聞いてみるともっとわかりやすい答えが返ってくると教えておきましょう。

本来なら自分で聞いて教える筈だったんですが…成長が阻害されているのか身体能力が思ったより伸びていないんですよね。

なので少しでも差をつける為にガバの転換期(オリチャー)を起こして、少しでも早く目的の能力を発動出来る様に頑張っている訳ですね。

 

「…あの…」

 

ん?これ以上話す事は無いから帰って欲しいのですが…正直帰ってとか言われたら余計帰らなさそうですね。

はいはい。なんです?

 

「守ってくれて、ありがとう」

 

はい。唯のお礼でした。

…このお礼の時間があったらコトリバコに血を入れる事が出来たんだよ!

(今日の分の)血が入ってないやん!どうしてくれんのこれ(憤怒)

……という冗談は置いておきましょう。実際今日の状態で血を流し始めたら、主人公は最悪両手両足目隠しプレイをされながら普通に監禁されます。

此処には黒ウサギと耀とレティシア、序でに白夜叉も居ますからね。

何時もはその三人がいない時を狙って血を流しているんですが…三人がいる状態でそんなことをやれば1000‰の確率でばれます。

なので此処は大人しく眠っておきましょう。

 

因みに外では白夜叉が招集をしていますが、本気で眠ると全く起きない九十九ちゃんには何の関係もありません。

それでは次回はペスト戦でお会いしましょう。

では諸君、サラダバ!

 

----------------------------------

 

「…という訳で、こんな感じの作戦で行こうと思うんだけど…どうかな?」

「うん。凄く良いと思う…でも、良いのかな?」

「反則はしてないから大丈夫だよ」

 

私がそう言いながら微笑めば、耀も嬉しそうに微笑み返した。

…そのまま指を絡めて手を繋ぐ耀を見て、私は小さく微笑みつつ…

 

「じゃあ頑張ろうか。お姉ちゃん?」

「うん。絶対勝とう、耀」

 

小さくお互いの名前を呼んで、黒ウサギの声と同時に歩き始めた。

…瞬間、火の玉が私の目の前を横切り…私は思わず尻もちをついた。

 

「わっ…と…」

「…大丈夫?」

「うん。ありがとう…成程、ちゃんと当てなければ攻撃にならないんだね」

「…私としては、あんまりやって欲しくない行動だけど…」

「…あっははははははははは!見て見て見たぁ、ジャック?“ノーネーム”の女が無様に尻餅ついてる!ふふふ。さあ、素敵に不敵にオモシロオカシク笑ってやろうぜ!」

「……あの女か。後で絶対に泣かせる」

 

耀のその言葉を聞いて、私は優しく耀の手を強く握る。

…それだけで、耀は少しだけ困った様に微笑みながら…優しく私に頬擦りをしてきた。

 

「…何?私達に対する挑発ですかそれ?」

「あっごめん。忘れてた…所で貴女は誰だっけ?」

「……は、はぁ!?さっき月の兎が説明しただろ!私は…」

「ごめん。別に気になってないからいいや」

 

その言葉と同時に、耀が私の手を何度も強く握ったり弱めたりを繰り返す。

…そしてじっと私の方を見つめる彼女を見て…私は小さくため息を吐いた。

 

「…それ以上は駄目だよ“お姉ちゃん”。相手だって一応子供なんだから…そんなに大人げない事をしたら…ね?」

「……それもそうだね。子供の貴女に大人げなくてごめんなさい」

 

その言葉と同時に、場がシーンとなる。

…相手が何かを言おうとする前に、黒ウサギと白夜叉が喋りだす。

そして、全員が柏手を打つのを見ながら…私達の周囲の景色が変わりだした。

 

「…耀。これ…」

「うん。白夜叉の…」

 

その言葉と同時に、私達は目を瞑った。

眩しいプリズムを感じながら、私達は不思議な着地音と共に目を開け…そして耀が私を持ち上げた。

 

「この樹………ううん、地面だけじゃない。ここ、樹の根に囲まれた場所?」

「あらあらそりゃあどうも教えてくれてありがとよ。そっか、ここは根の中なのねー」

「このギフトゲームが終わったらどうする?飛鳥が美味しいクレープがあるって言ってたけど」

「…後で一緒に食べる?」

「うん。耀は少食だからいっぱい食べないと」

 

その言葉だけは納得できないと思いつつ、それでも小さく微笑み返した。

…どうやら普通の日常の話でも演技は出来るらしい。

その事に少しだけ安堵しながらも…ゆっくりと向こうで臨戦態勢を取っている彼女に話しかけた。

 

「まだゲームは始まってないよ」

「はあ?何言って」

「まだ契約書類(ギアスロール)がない。という事はゲームはまだ始まってないんじゃないかな?」

「……まぁ」

 

そういいながら彼女がそっぽを向くのと同時に、空間に亀裂が走る。

亀裂の中から黒ウサギが現れ、私の方を優しく見つめた後に契約書類(ギアスロール)を読み上げた。

 

『ギフトゲーム名“アンダーウッドの迷路”

・勝利条件 一、プレイヤーが大樹の根の迷路より野外に出る。

      二、対戦プレイヤーのギフトを破壊。

      三、対戦プレイヤーが勝利条件を満たせなくなった場合(降参含む)

 

・敗北条件 一、対戦プレイヤーが勝利条件を一つ満たした場合。

      二、上記の勝利条件を満たせなくなった場合。        』

 

黒ウサギが読み上げている間に、私は合図で1を目指す事を伝える。

それを見て最小限の動きで頷いた耀が…ギフトゲームの開始と同時に距離を取った。

…そして、お互いが睨み合う状態になり…彼女は笑みを浮かべながら喋りだした。

 

「睨み合っていても進まねぇし。先手は譲るぜ」

「場所がわからないから教えて下さいって事?それともツアーガイドでも欲しかった?」

「……ハッ…このアーシ…」

 

その言葉と同時に耀が駆け出し、私は必死に縋り付いた。

…そして私がバレない様にとある道具を見せながら…

 

「…お姉ちゃん、左」

「うん」

 

最小限の動きで、火球を炎を誘導させて避けた。

…それを見た彼女はこう思うはずだ。私がこのゲームのプレイヤーであると。

 

「…このままだったら、勝てそうだね」

「油断は禁物だよ」

 

そんなことを言い合いながらも、差はどんどん開いていく。

…それを見た彼女は焦った様に隣のカボチャに話しかける。

 

「…くそ、やべえぞジャック………!このままじゃ逃げられる!」

「Yaho………!」

 

…それと同時に、私は縋り付く手を外して態と離れやすいようにする。

…それを見た耀が小さく首を傾げるが…

 

「……くそったれ。悔しいがあとはアンタに任せるよ。本気でやっちゃって、ジャックさん(、、、、、、)

「…っ!?」

 

その言葉と同時に、私の体は耀から離され…そして転ばされた。

…立ち上がる事が出来ないのが分かったカボチャは、少しだけ困った様な声音で一鳴きしてから…

 

「失礼お嬢さん」

 

その言葉と同時に、私は小さく体で指示を出す。

…それを見た耀が小さく頷いた後に、彼女に向って突撃するが…次の瞬間、ジャックが一気に強く弾き飛ばした。

それと同時にガサガサと音が鳴り…

 

「…お姉ちゃん…!」

「さ、早く行きなさいアーシャ。このお嬢さんは私が足止めします」

「悪いねジャックさん。本当なら私の力で優勝したかったんだけど………」

「それは貴女の怠慢と油断が原因です。猛省し、このお嬢さん達のゲームメイクを少しは見習いなさい」

「う~……了解しました」

 

その言葉と同時に私の方に一瞥もしない彼女を見て…私はイペタムを投げようとするが…そのままカボチャのジャックに抑えられる。

……耀は、行った。後は何処までばれないかだ。

 

「…っ…彼女がゴールする前に貴方を壊せば、私の勝ちになるの?」

「えぇ。試してみますか?……と言っても、貴女には壊す事は出来ないでしょうけどね」

「……それは、何故?」

「私が不死の怪物だからですよ。いくら壊しても、新しいカボチャがニョキッっと生えるだけです」

「…もし、ハルパーがあったら…私は貴方を壊す事が出来た?」

「さぁ?どうでしょうね。私も痛いのは嫌ですし、そもそも壊れたら私は死にますから。…その場合は生死を賭けて戦う事になりますよ?」

 

その言葉と同時に、目の奥に優しい灯が見える。

 

「…じゃあ、今殺さないのは…」

「あの娘と余り年の差が離れていないというのもありますが…そもそも私、罪人以外は殺したくありません!子供なんてまっぴらごめん!」

「……そっか、じゃあ…私とは反対だね」

 

その言葉を言うのと同時に、彼の灯が燃え盛り始める。

…地雷を踏んだ。という認識はかなり遅かった。

 

「…お前は、子供を殺したのか?」

「……っ…どう、かな…」

 

私が誤魔化して言えば、力が更に強く入り始める。

…此処で私が出来る事は、二択だ。それも…どうしようもなく危険な。

 

「答えろ。しかし、その解によっては容赦はしない」

「…っ……あなたは、コトリバコをしって…る?」

「…?」

「…女子供を殺し、子孫を残させない為に作られた呪い…それが私の恩恵(ギフト)だと言ったら…どうする?」

 

その言葉を聞いて、少しだけ彼が訝し気にこちらを見つめた。

…それを見て私は小さく微笑み…ゆっくりとギフトカードからコトリバコを取り出した。

 

「…もう既に、お姉ちゃんは離れた。後はこの森で迷っている彼女に…呪いを掛けてあげるだけ」

「……っ!?貴様ァ!」

「…ねぇ。あの子、幼かったよね。どうする?」

 

最低な一言だと、私は自分で自分を軽蔑した。

…そもそもこのコトリバコの範囲内に、私達しかいない。

そして、このハコには呪いを込められる程…誰かを恨んでいる訳でもない。

だから…この会話自体が嘘なのだ。

それでも…私はこの試合に耀を勝たせてあげたかった。

たとえ、私が悪になっても良い。私が全世界から悪意を向けられても良い。耀が勝てるのなら…私は喜んで悪になろう。

 

「…起動せよ。コトリバコ…イッポウ、ニホウ、サンポウ…」

「させるか!」

 

その言葉と同時に、私の両手が燃え始める。

…コトリバコだけは無理やり守ったが…どうやらこれは本当に不味い。

両手が、全くと言って良いほど動かない。

 

「……それ以上喋るな。もしこれ以上喋るのなら…私はお前を断罪する」

 

その言葉と同時に、私の手からギフトカードが落ちた。

…それを見たジャックは安心する様に一瞬力を緩めるが…私はその隙を見逃さずに…

 

「…っ!?」

 

イペタムにお願いをし、ジャックの両手を狙った。

…しかしそれを間一髪で避けた彼は、私の方を見つめ…そして何かを準備しようとするのと同時に…

 

「っ!?」

「…よかった。おわった…」

 

周囲の景色がガラス細工のように砕け散り、円状の舞台に戻ってきた。

…それを見たジャックが私の方を見つめるのと同時に…

 

『勝者、春日部耀!!』

 

黒ウサギの声が聞こえ…私は満足気に微笑んだ。

…奥から少女と耀が戻ってくるのを見て…私はゆっくりと安堵の息を吐く。

 

「…ごめんジャックさん。勝てなかった…ゴールに一直線に向かうあいつがどうしても怪しかったんだけど…伝える事が出来なくて…」

「…っ!そういう…事でしたか」

「……お姉ちゃん!?」

「えへ…少しだけ無茶しちゃった。でも勝てたのは偉いね」

「ありがとう」

 

その言葉と同時に、耀が私の体を持ち上げ…ゆっくりとジャックを睨み付けた。

それを見た私は慌てて耀に話を切り出す。

 

「待って!この傷は自業自得。勝つ為に私が自ら地雷を踏んだ…だから、彼は悪くない!」

「…本当に?」

「本当だって!」

 

私のその一言を聞いて、耀がじっと彼を見つめる。

しかし彼は少しも動かずに、唯私を見ているだけだ。

…それを見て私は小さく首を傾げるが…彼は特に気にせずに…ゆっくりと少女と直線上に立ってから挨拶をし始めた。

…警戒はされている。か…

 

「…そうでしたか。それはそれは…ヤホホ!とんだ勘違いを…」

「どんな勘違いをしたの?」

「うーんとね。コトリバコを出しに使って子供を殺したって言ったの」

「…お姉ちゃんはそんな事をしない。寧ろ子供を大事に……」

 

私達が喋っているのと同時に、黒い契約書が降り注ぐ。

…それと同時に…

 

「魔王が………魔王が現れたぞオオオォォォォ!」

 

誰かの叫び声と同時に、周囲がパニック状態になった。




風切り笛が手に入った時期がわからないので失踪します。


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戦闘なんて無かった。いいね?

道教に喧嘩を売ったので初投稿です。
…いや本当に、すいません許してください!なんでもしますから!


はい、よーいスタート。

魔王によって降らされた手紙を引きちぎるRTA、はーじまーるよー!

さてまず初めにやる事はペスト達の場所の把握ですね。

最初に一瞬、全プレイヤーの真上で見ているペストを必要最小限の動きで見ておきましょう。

此処で大振りで見ると漏れなく興味を持たれますのでご注意を。(五敗)

 

「白夜叉様!?」

 

さて、次は白夜叉の封印ですね。

こちらは短期で解決できる様に逆に放置しておきます。回答知っていても情報が無いので普通に怪しまれますしね。(三敗)

…という訳で、此処はささっと終わらせておきましょう。

 

「耀は彼女と一緒に逃げて。私は此処で観客が逃げるまで持ち堪える」

「…っ!名無しが私に逃げろって…」

「来る。ジャックは急いで彼女を連れて黒ウサギの下へ」

「…っ!了解しました!」

 

此処で片耳を塞ぎながら、気絶しないように自らで痛みを与えます。

…どうやら気絶判定には成功したらしいですね。

さて、次は上で戦っているレティシアの援護をします。

取り敢えず帰ってくる刀を全力投球で投げましょう。…はい、問答無用で弾かれましたが意識をこちらに向ける事は出来ましたね。

それによって風を受けなかったレティシアは思考を回しながら退避する事が出来ます。

でもシュトルムだけはどうしようもないから、其処は頑張ってね。

 

さてそんな事をしている間に飛鳥ちゃんは一人で立ち向かっていますね。

それでは…こちらの方で色々準備をしましょうか。

最初にやるのはコトリバコを全力で投げつける事ですね。この後すぐに黒ウサギがやってきますので…はい、サンドラがペストから離れたタイミング的に、此処ですね。

 

「っ!?」

「っ…」

 

多少のダメージは与えられましたが、その程度ですかね?

一応神霊だったので其処までの期待はしていませんが…それでもまだマシです。

相手の口元に血が見えましたので、何とかなったでしょう。

 

「…さっきの攻撃と言い…まずは貴女から…」

「“審判権限(ジャッジマスター)”の発動が受理されました!これよりギフトゲーム“The PIED PIPER of HAMELIN”は一時中断し、審議決議を執り行います!プレイヤー側、ホスト側は共に交戦を中止し、速やかに交渉テーブルの準備に移行してください!繰り返します………」

「……チッ。タイミングが悪いわね…まぁいいわ。私達のギフトゲームに不備はないもの」

そう言いながらゆっくりと降り立った彼女は、私の顔を見て…少しだけ面白そうに微笑んだ▽

「…いいわね。同じ呪い…いえ、貴女の方がもっと歪んでるわ。“子供と女性”にしか効果がない呪い…それを持つのが貴女なんて、凄く面白い…だからさっきの一撃は許してあげる」

 

おっと。これはペストちゃんに目を付けられましたね。やめてくれよ…(絶望)

しかし今回の目の付けられ方は余り悪くはない…寧ろ生存確定と考えても良いくらいレベルですね。

今回は特に目立ったガバもしていませんし、此処をすぐに乗り切ったら世界記録になる可能性微レ存?

勝ったな、風呂入ってくる。(慢心)

因みに此処で会議にバックレる事も可能です。というより、此処でバックレないとコトリバコの範囲に入って死ぬ可能性があります。

知ってます?コトリバコって投げたら自分で回収しないといけないんですよ。

 

…無傷で落ちている箱がある。▽

→無言で拾う。

 サンドラに焼き払ってとお願いをする。

 

下の選択肢をすると二人仲良く死んでサラマンドラとの関係が最悪になるので止めておきましょう。

(コトリバコ)暴れんなよ…暴れんなよ……よし無事生きて取れました!お前の事が好きだったんだよ!

後は妖刀を適当に呼んで鞘に入れて…後は適当にのんびりと歩くとしましょう。

因みに、此処で会議に行くのは得策ではありません。黒死病の感染のリスクがあります。

あの気に入り様からして、恐らく九十九ちゃんにも黒死病はあるでしょう。

なので此処は絶対に入らない様にします。無様に入って感染者が増えた事が多々あったので。(二十一敗)

…さて、これからする事は唯の自己満足なんですが…何処かに変な人間…殿下とかいないかなぁ?

 

まぁ居ませんよね。

後は七日間を過ごせる様に適当な所から食事等を持っていくとしましょう。最悪水とか飲んでれば何とかなりますので。

後は適当に七日間過ごすだけですね、因みに此処で血を流したりすると最悪死ぬので止めておきます。自決同士討ちのルールに反してしまうんですよね。別に血を流して呪いを強化するだけなのに、可笑しいよなぁ?!

次回はゲーム再開後にお会いしましょう。

では諸君、サラダバ!

 

-----------------------------

 

「…っ…っ…」

 

体がうまく動かない、どうして此処まで体が鈍いのだろう。

…そんな事を考えながら、私は目を閉じながら体を横にした。

病気如きにやられるなんて、本当に私は…

 

「…弱い…なぁ……呪いとか、病気とか…喰らっちゃうなんて…」

 

 

小さく喋りながら、私は契約書類(ギアスロール)を見る。

最初に見た時と細部が違っており、どうやら向こう側で何かがあった様だ。

その事に少しだけ小さく息を吐きつつ…ゆっくりと全部を読み進めた。

 

『ギフトゲーム名“The PIED PIPER of HAMELIN”

 ・プレイヤー一覧

  ・現時点で三九九九九九九外門・四〇〇〇〇〇〇外門・境界壁の舞台区画

   に存在する参加者・主催者の全コミュニティ(“箱庭の貴族”を含む)。

 

 ・プレイヤー側・ホスト指定ゲームマスター

   ・太陽の運行者・星霊 白夜叉(現在非参戦の為、中断時の接触禁止)。

 

 ・プレイヤー側・禁止事項

  ・自決及び同士討ちによる討ち死に。

  ・休止期間中にゲームテリトリー(舞台区画)からの脱出を禁ず。

  ・休止期間の自由行動範囲は、大祭本陣営より500m四方に限る。

 

 ・ホストマスター側 勝利条件

  ・全プレイヤーの屈服・及び殺害。

  ・八日後の時間制限を迎えると無条件勝利。

 

 ・プレイヤー側 勝利条件

  一、ゲームマスターの打倒。

  二、偽りの伝承を砕き、真実の伝承を掲げよ。

 

 ・休止期間

  ・一週間を、相互不可侵の時間として設ける。

宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗をホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。

                  “グリムグリモワール・ハーメルン”印』

 

人が居ないが、どうやら此処はルールには抵触しない場所らしい。それなら此方も一人で考え事が出来るという事だ。

 

「…先ず初めに、どうして黒死病が発症したか…かな」

 

少しだけ考える。

確かハーメルンの笛吹きのお話は…1284年だった筈。これは黒ウサギから教えて貰ったから間違いない。

じゃあ、黒死病が流行ったのは?……詳しくは覚えていないが14世紀後半だ。

……それを考えれば自ずと分かる。14世紀には確か寒冷期があった筈だ。其処を考えれば白夜叉が封印された理由も納得できる。

更には“契約書類(ギアスロール)”に書いてある白夜叉の名前の部分にも、少しだけ違和感があった。

“東の階層支配者(フロアマスター)”等ではなく“太陽の運行者”と書かれていた。

…という事は、あの言葉は封印に必要なことなんだろう。

 

そして、偽りの伝承と真実の伝承…こちらは前に十六夜君が教えてくれた碑文の内容の事だろう。

曰く、本来の碑文には鼠を操る存在は出ないらしい。それなら飛鳥を襲っていた鼠を操っている存在はフェイク。

……そしてそれは、笛を吹いていた女性だろう。何故か知らないが、飛鳥に対して御執心だったし。

 

…話は逸れたが、確か鼠が描かれていたステンドグラスがあった筈だ。

あれを全て砕き、他のステンドグラスを掲げればクリア…というゲームだろう。

……それを考えれば、誰が犯人かなんてわかる。

あの巨大な泥人形は違うだろう。風を使っていた事からいろいろ推測は出来るが…流石に其処からハーメルンの笛吹きを連想させる事は出来ない。

それなら消去法で、あの時一瞬だけ見えたあの男が正解となる筈だ。

 

「…答えは出た。後はそれを踏まえながら行動するだけ」

 

小さく息を漏らしながら、私は立ち上がる。

…どうやら病気と先程の代償が廻ってきた様だ。

……どうして彼女は、内臓が捩じ切れた筈なのに無事だったんだろうか。

…いや、それを言うなら私もか。

 

「…さて、どうします?私に頼っちゃいますか?」

「……」

 

不味い、余りに血が流れた所為で幻聴まで聞こえた様だ。

本格的に寝るべきか?

 

「あれ?もしかして聞こえてませんか!?…困ったなぁ…コホン…『起きてください!わーたーしーのーよーりーしーろー!』」

 

そんな事を考えていたら、私の目の前に微笑んだ少女がいた。

…狐耳と九本の尻尾。そして私の首にはポケットに入っていた筈の石がはめ込んである首飾り。

 

「…どうして私の傍に居るの?」

「昔の契約ですねー。取り敢えずお前の存在をバラさない様にバックアップするから、将来生まれる貴女に尽くせーって」

「……じゃあ契約解除しよう。今すぐに」

「その場合私は普通に魔王になりますが宜しいですか?今の私の信仰であれば、神霊にはなれますから」

 

その言葉を聞いて、私は小さく首を傾げた。

…信仰も何も…私が居た場所では玉藻前という存在も、付喪神という存在も知られていなかった筈だ。

それなのにどうして信仰があるのだろうか?

 

「おや。不思議に思っていますね。確かに私自身に信仰は多少しか御座いません。それも恐怖によって得られたモノですしね」

「…恐怖?」

「はい。実は知らないと思いますが、私中国でブイブイ言わせてたんです。なので割と殺されそうになっていたんですよ」

 

その言葉を聞いて、私は小さく首を傾げた。

…存在をバラさないと言われて契約したのに、結果的に狙われるなら契約になっていないんじゃないか?

そんな事を考えながら彼女の方を見つめると…彼女は少しだけ面白そうに微笑んだ。

 

「えぇ。考えている通りです」

「…じゃあ、どうして私に尽くすの?」

「ああ、それは“結果的に”契約は達成されたからですね。しかも、かなり良い方向で」

「…どういう事?」

「簡単ですよ。私は討伐されず、しかも道教の信仰を丸々貰っちゃったんです」

 

その言葉を聞いて、私は小さく首を傾げた。

…道教と言えば、“狐を信仰する宗教(、、、、、、、、)”だった筈だ。何か違ったのだろうか?

 

「ふふ。確かに貴女の世界ではそれが正解です。けれどそれは本来の歴史ではありません。だって本来、私は倒されて居るのですから」

「……それって」

「えぇ。私達は歴史を捻じ曲げた。いえ、化かしたと言っても過言ではありません。まぁ、それが真実となる事はありませんがね」

「…どういう事?」

「まぁ一種の自分ルールみたいな物です。なので本物の道教に勝つ事は出来ませんよ?私」

 

そう言いながらペロリと舌を出す彼女を見て…私は疑問に思った事を喋りだした。

 

「本物の道教って、どういう教えなの?」

「教えません。というかそもそも、貴女にはわからないんですよ」

「…?」

「歴史を化かしたと言ったでしょう?それ相応の代償があるという事ですよ」

「…つまり、本物の道教を知る事が出来ないのが代償?」

「えぇ。聞いた限りではこの世界、“知らないほうが悪い”と聞きましたのでかなり質が悪いです。誰ですかこんな代償付けたの」

「貴女」

「……まぁ、という事で…」

 

私の傍に寄った少女が、優しく私を抱きしめる。

…一瞬かるっ!?という言葉が聞こえたが、とりあえず無視をする。

 

「しかしまぁ…随分と貴女は優しいんですね」

「…?」

「私に対して、鏡を見せれば一瞬でも逃げるというのに」

「なんで、逃がすの?」

 

私のその一言を聞いて、彼女が思わずといった表情で首を傾げた。

 

「…えっと…だって私、かなり悪い事しましたよ?今の話聞いててわかると思いますが」

「うん」

「…だから、逃がさないのかなぁ…って」

「…?其処がわからない」

「……えっと、貴女は悪い人と一緒にいて良いんですか?」

 

その言葉を聞いて、私は首を傾げた。

 

「…だって、今は私に尽くしてるから。悪い事、何もしてないんでしょ?」

「え、えぇ。確かに契約した後は、あんまり悪い事したくないなぁ…とか思ったりしましたが…」

「じゃあ大丈夫」

 

私は微笑んだまま、回収した付喪神達を優しく撫でた。

…色々道具の様に扱ってきたから、もしかしたら怒ってるかもしれないと思い、撫で続ける。

そして、最後に優しく彼女を撫で…

 

「…玉藻前は、良い狐さんだよ。私が知ってる限りはね?」

 

そういって、額に優しくキスをした。




色々考えを増やした結果会話が多くなったので失踪します。


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ステンドグラスを叩くだけの単純な作業。30分で、5万(枚)

普通にオリジナル設定を出しまくったので初投稿です。


はい、よーいスタート。

前回のイベントから新しいギフトが生えたRTA。はーじまーるよー!

次回はゲーム再開後といったな?…あれは嘘だ。

すいません許してください!なんでもしますから!

まさか突然玉藻前が現れるとは夢にも思わなかったんです!

 

取り敢えず可愛い玉藻前ちゃんにはギフトカードに戻って貰って…ああ、やっぱり無理ですよね。はい。

今九十九ちゃんが倒れないのは玉藻前のお陰ですし、玉藻前を逃がす事はデメリットにしかなりません。

なので玉藻前を、黒死病になった九十九ちゃんの代わりに酷使するとしましょう。(激うまギャグ)

 

何処からか視線を感じる▽

けれど、周囲を見ても人影は一切無かった▽

 

…っと、視線を感じましたね。

これは一瞬だけペストに見られたという事でしょう。今は休戦中なので狙われる事はありませんが、普通の時にこういうイベントが起きてしまえば…最終的にロスになる可能性があります。

…それはそれとして、かなり面倒な状況になっていますね。

見られたという事は興味を持たれているという事です。今は病気の状態で身体能力が低下しているのに、初手からペストだと…無差別殺戮をされて死ぬ可能性があります。

なのでこちらとしては逃げたいのですが…このまま逃げてもしょうがないです。

…なるべく500mの距離を維持しながら、逃げるように単独行動をしましょう。

後は時間が来るまで倍速しながら日々を過ごしていきましょう。

なので皆様、とても暇だと思います……ので、

 

みなさまのためにぃ~こんな動画を用意しました~!

 

 

あっ、(クッキーじゃ)ないです。

皆様が走る為に、私からキャラの選択肢のおすすめを教えておこうと思いまして(ゲス顔)

 

それでは…動画を見せながらお勧めしたいと思います。

先ず初めに、キャラの選択はブレない方が良いです。但し極端に進みすぎると…最終的に自分の思い描いたキャラシートが握り潰される場合があります。

…そうですね。最初はこんな動画をご用意しました。

 

名前"バース

 

種族"人間(日本人:色白)

 

能力(身体能力)"普通

 

権能ギフト"誕生(birth),(verse)

 

嗜好"両性愛者(バイ)

 

信仰"無し

 

性格"純粋

 

 

此方は誕生に特化したキャラクターです。しかし本来は生産系のギフトを目指していました。

まぁ、こうなってしまってはしょうがない…という事で、キャラのスタートを押します。

 

『こんなんじゃ、私の器に足りえないわ』

『もっともっと、強くなって。誕生()birth()足りえる様に』

『…あら?とても綺麗な魂。私この魂好きだわ』

『なら、器だけ取り換えれば良いわ。そうね…そう、其処に居る適当な詩人に死んでもらいましょうか』

『身体だけ貰って、後は貴女が誕生したと私が認めれば良い(、、、、、、、)

『さぁ。起きて…!私の…私だけの愛しき存在…!』

 

はい。此処で紙が握り潰される様な音が聞こえます。所謂肉体の損失(キャラシデリート)ですね。

そして次の瞬間、新しい身体が用意されます。この場合だと…下三つのみの引継ぎですかね。残りは新しく生まれ変わります。

逆に魂が駄目とか言われると、名前を除いた上三つが引継ぎです。

両方駄目の場合はそもそも何もないです。何処かで選択肢を間違えたんじゃないんですかね?

 

…先程のキャラの説明をしておきますと、彼女の名前は誕生(birth)。同じスキルを持ち、性格が純粋の場合に現れます。

因みに唯純粋なだけでもやってくる事があります(一敗)傍迷惑な野郎だぁ…。

さて、彼女は箱庭に存在はしていますが…残念ながら活躍する事はありません。

そもそも彼女は誕生(birth)という概念ですからね。何処かの神様の様に伝説がある訳ではありません。

“なので”一桁なんですね。最悪神格や伝説を持っている事が足を引っ張るレベルです。

 

一桁で有名所だと退廃の風(エンド・エンプティネス)なんかもそうですね。但し此方はカリ・ユガを発生させる為の舞台装置の役割でもあります。

逆に誕生(birth)の役割は創造論です。彼女が存在しうる限り、創造論は消え去りません。

逆に言えば、“彼女の存在”が創造論足り得るのです。

…しかし彼女に挑むには、同じ一桁に成らなくてはいけません。そしてそれを行うには、人間の体では出来ません。

なのでこのRTAに誕生(birth)を選択する事が出来なかったんですよね。残念ながら誕生(birth)に与えられた肉体は人間では無い別の何かだったので。

 

さて次は…こういうタイプでどうでしょうかね?

 

名前"フンババ

 

種族"巨人

 

能力(身体能力)"人類最終試練(ラスト・エンブリオ)

 

権能ギフト"あらゆる悪(フンババ)7つの光輝(メラム)

 

嗜好"無し

 

信仰"メソポタミア神話

 

性格"---

 

こちらフンババ。悪である事を望む事と、“相手を認めない事”を選択すれば一定確率でなれます。

 

本来なら名前を騙る場合、愚か者として処理をされるのですが…憑代を必要としている存在の場合のみ、騙る事が出来ます。

例えば巨人族はケルト神群や北欧神話出身の者が多いです。なので基本的にメソポタミアの巨人である彼は何処にも入る事が出来なかったんですね。

更には、あらゆる悪(フンババ)絶対悪(アジ=ダカーハ)と争えません。

悪と悪ですからね。もし争えるのなら頑張ってこちらをやったんですが…残念ながら争う事は出来ないんですね。

…何故かというと、あらゆる悪(フンババ)をである者が攻撃する事が出来ないからですね。

そして、人類最終試練(ラスト・エンブリオ)であるアジ=ダカーハを倒す事も出来ない為、お互い千日手となるんですね。

なのでこのアジ=ダカーハを倒すチャートの場合は、種族人間がお勧めです。

 

逆に箱庭破壊RTAとか、魔王RTAとかする場合は…ね?

何も悪を倒す事だけでRTAじゃない。十人十色、人の数だけRTAがあるんです。

その場合は大量の知識を頭の中に入れて置く事をお勧めします。最終的に大量のギフトゲームをしないといけないので。

 

と言った所で、ゲームが再開されましたね。次回はゲーム終了後でお会いしましょう。

…?戦闘シーンはないのかって?どうせ誰とも戦わずにステンドグラスを叩き割るだけなので、見所さんがないんですよね。

という訳で…では諸君、サラダバ!

 

-------------------------

 

ゲーム開始を合図する様に、周囲の建物が変わっていく。

どうやら私はいつの間にか眠っていた様だ。私の頭が勝手に玉藻前の膝に乗っかっていた。

私が目を覚ました事に気付いた玉藻前が、優しく微笑んでから喋りだす。

 

「…さて、どうしますか?」

「先ずは私の体を必死に動かして、大量のステンドグラスを叩き割る」

「それが一番ですね♪ですが…残念ながらお相手はそう考えていないらしいですよ?」

 

その言葉と同時に、私の目の前に誰かが降ってくる。

…でかい人形だ。どうやら私は厄介者として扱われているらしい。

 

「…さぁ、どうしますか?私に頼ります?」

「あれを倒せるの?」

「ご覧あれ!私が一瞬にて、灰燼と化しますよ?」

「駄目じゃん」

 

そんな事言っていると、相手が一気に私達に対して風を放つ。

…それを見た玉藻前は一瞬でカードを尻尾から取り出した後…風が捻じ曲がった様に飛んで行った。

その風は他の人形に当たり…次の瞬間私の身体は空の彼方に飛ばされ…下で玉藻前が周囲の人形を拳で壊し始めた。

そして私が落ちるのと同時に、周囲の人形が消え去り…私は玉藻前にもう一度抱きしめられていた。

 

「…どうです?私、かなり強いでしょう?」

「……どうしてあんなに動けたの?」

「道教に通じてますからね♪」

「………そうなんだ」

 

その言葉と同時に、玉藻前が瞬時に私を強く抱きしめて離れる。

…それと同時に、私達がいた場所に黒い風が現れた。

玉藻前が優しく微笑んだまま私を撫でるのと同時に…目の前に斑模様のワンピースを着た少女が降りる。

 

「ふ…ふふ…ふふふ!私を此処までコケにしたのは初めてよ。さっきまでは狙っていたのに、今度は狙わずステンドグラス狙い?」

「…おや、お知り合いですか?」

「ううん?…寧ろ玉藻前の知り合いなんじゃないの?中国南部でペストって発生したんでしょ?」

 

そう言いながら私は小さく首を傾げると…目の前の彼女が少しだけ驚いた様な表情を浮かべた後…私の方を見つめた。

…そして、ゆっくりと私の方に歩いた彼女を見て…玉藻前が一瞬にして彼女から離れた。

 

「…邪魔よ。貴女、死にたいの?」

「おや?病原菌如きが私に勝てると思うんですか?ああいえ、脳まで病原菌だから腐ってるんでしょうね」

「……決めた。貴女だけは殺す」

「あら、この程度で怒るんですか?挑発も受け流せず怒るなんて、胸と同じで心まで真っ平なんですか?そう、山も谷もないで…」

 

その言葉と同時に、玉藻前が庇って瞬時に黒い風から脱出する。

…そしてゆっくりと嬉しそうに微笑んだ玉藻前が、私を下ろして彼女にぶつかりに行った。

 

「さて、そちらが先に攻撃したので…私からも攻撃しましょうか」

 

喋りながら、玉藻前の身体がブレて…次の瞬間…

 

「…ガっ!」

 

彼女が吹き飛び、体が飛んでいった。

そのまま追撃を加えようとした玉藻前が、瞬時に震脚をしてから彼女を殴りつける。

それと同時に地面が揺れ…私は動かない様にするのが精一杯だった。

そして瞬時に降りた玉藻前が、優しく私を抱きかかえ…嬉しそうに微笑む。

 

「…ふむ。やっぱり道教のカードは使い道がありますね!道教だけに!」

「……?」

「ああいえ、適当に言っただけです。別にそれほど深い意味はありませんよ?」

「そっか。所で今のはなに?」

「ああ。唯の武術ですよ?道教にはそういう物がありますからね」

 

その言葉と同時に、私は小さく首を傾げた。

…その幼い身体の何処にそんな知識があるのだろうか…と。

 

「…さて。お相手は排除した事ですし、私達はここら辺でデートで…」

「あら。誰が排除されたのかしら?」

 

その言葉と同時に、倒れていた私に風が吹き荒れる。

…それを庇った玉藻前が、少しだけ困った様に指を鳴らし…瞬時に風が掻き消えた。

 

「面倒な病原菌ですね。まさかあれだけ強く殴ったのに生きていらっしゃるとは」

「馬鹿ね。貴女は星を砕ける程強くないでしょう?」

「…えぇ。殴りだけでは無理ですね。勿論神格開放すればいけるんですが…」

「へぇ?じゃあそれを見せてくれるのかしら?」

「残念ながらそれをご主人様は望んでいないんですよね」

「…甘いわね。私が生きてればゲームは終わらず、ずっと隷属する事になるのよ?」

「それでも生きるのを、ツクモ様は望んでいるんですよ」

 

その言葉と同時に、尻尾が二本揺れ始める。

…そして、私のギフトカードを優しく触った後…妖刀を取り出した。

それを玉藻前の腰に差した後…ゆっくりと刀を抜きだす。

 

「さ、続けましょうか。それとも、此処で引いてくれますか?」

「馬鹿ね。貴女を殺すって言ったでしょう。だから…」

「…っ!玉藻前、上!」

 

その言葉と同時に、玉藻前が瞬時に私の傍に近寄り…次の瞬間に彼女が黒い風を球状に巻き起こして自身を守った。

…私達はその間に逃げようとするが…その前に巨人が現れる。

 

「玉藻前。まだ戦う事って出来る?」

「お任せあれ!私に掛かれば五日でも六日でも!…でもその前に…私の事は若藻と呼んでくれませんか?」

 

その言葉を聞いて、私は小さく首を傾げる。

玉藻前じゃなくて、若藻。その言葉に何の意味があるかはわからない。

けれど…

 

「…若藻」

「はい。なんでしょうかご主人様♪」

「……このままステンドグラスを割りに行く。手伝って」

 

私の言葉を聞いた若藻が、嬉しそうに微笑みながら撫でる。

…それを聞いた彼女が先程纏っていた黒い風を凝縮させ…

 

「させると思う?貴女だけは殺すわ」

 

それを瞬時に若藻にぶつける。

…それを見た若藻は小さく嗤った後に…瞬時に私を飛ばして妖刀を振り下ろす。

瞬間、彼女が私の傍に近寄ろうとするが…それを上から降り注いだ炎と雷が防いだ。

私は身体に鞭を打ちながら立ち上がり…一つだけ置いてあった鼠のステンドグラスを叩き割る。

 

「流石ご主人様♪油断している相手にはとことん強いですね」

「……っ」

「…若藻、油断は駄目」

「えぇ。わかってますよ?ですから私は、あの風を貴女に近づけないんです」

 

その言葉を聞いた彼女が小さく舌打ちをした。

それを見た私は小さく首を傾げながら問いかける。

 

「……それって?」

「先程の一撃、死の気配がしました。私は道教の信仰によって不老不死が決まっているんですが…」

「…つくづく強いね」

「そうでもありませんよ?私にだって弱点はありますからぁ♪」

 

その言葉を聞いて、私は嬉しそうに微笑んだ。

…それと同時に、彼女がこちらを見てから…舌打ちをして空に飛んで行った。

周囲の不思議な建物を見ながら、私は倒れる様に座った。

 

「…っと、大丈夫ですか?」

「……ねぇ、若藻」

「はい!なんでしょう?」

「…若藻はどれだけのギフトを持っているの?」

 

その言葉と同時に、私は抱きかかえられた。

…そしてゆっくりと、考える様な表情を浮かべた彼女は…

 

「…ふふ。乙女に秘密はあるんですよ?だって私、今は十六歳の少女ですから♪」

「……つまり、そうやって生き残った事が重要って事?」

「ご主人様。感の良いガキは嫌いだよって言われた事ありません?」

「ない」

「じゃあ私が初めてですね」

 

その言葉と同時に私が嬉しそうに微笑んだ後…私の耳に綺麗な音楽が聞こえだした。

それと同時に、何かが激しくぶつかり合う音も聞こえ…私は小さく息を呑む。

 

「…行こう。鼠のステンドグラスを壊さないと」

「……かしこまりました!風水によると、あっちの方が多いと思いますよ?」

「……若藻の力を使いまくったら、後で何か要求されない?」

「いえいえ。ちょろっと道教を潰して歴史の転換期を起こしてくれたら、私はそれで良いんですよ♪」

「…それは無理」

 

その言葉と同時に、空を見つめる。

…それを見た若藻は小さく首を傾げるが…ゆっくりと空を見つめた。

 

「…今日は、月が綺麗だね」

「おや、告白ですか?」

「…?」

「いえ、なんでもないです」

「そっか」

 

不思議な事を言うななんて微笑みながら、私はステンドグラスを割り始める。

見つけた鼠のステンドグラスを割り続けるのを繰り返していると…私の目の前に一人の少年が走っていた。

後ろには黒い風が迫っており、若藻が言っていた事を考えるに…あの風に当たれば死ぬのだろう。

 

「…若藻、お願い」

「了解です♪殺生石を媒体とした私に、今更あんな程度の風が…」

 

その言葉と同時に、若藻が転んだ少年の後ろに立ち…そのまま風を抑え付ける。

…そして、それと同時に風が吹き止み…上に居た彼女が驚いた声を上げた。

 

「ま、“死”という恩恵。更には範囲が動物と人間ですから、私くらいで何とかなりますよね。殺生石も本来は同じ歴史を持っている訳ですから」

「……」

「…ほら、其処でぼーっとしないで下さい。私はご主人様の下に…」

 

その言葉と同時に、若藻の姿がブレて私の真後ろの風を防ぐ。

…それを見た私は全力で息を吸いながら、腰が抜けている少年を担ぎ上げて近くのサラマンドラの人に彼を預ける。

私の傍に来ていた若藻が私を抱き上げ、子供にする様に撫でた後…ゆっくりと彼を見つめた。

此処からだと若藻の表情は見えないが…

 

「…よかったですねぇ?私の大事なご主人様の貴重な時間を無駄にしてまで助けて貰って。本当なら見捨てて良かったのに…本当に…」

「…ヒッ」

「……若藻?」

「はいなんでしょうご主人様♪」

 

私に対して笑顔を浮かべた若藻が、私を尻尾に包む。

…その感触に思わず目をトロンとさせると…それを見た若藻が優しく微笑んだ。

 

「…後は吉報をお待ちください。この若藻、ご主人様の為に身を粉にして働きます♪

…えぇ。今まで働けなかった分しっかり働かせて貰いますよ」

「……わ、かも…」

「…今まで、何も出来ませんでしたから」

 

その言葉と同時に、周囲に大量の道具が浮き上がる。

 

「…行きますよ鈴彦姫。開けれる扉はありませんが、鈴であれば何かを呼ぶ事くらいは出来るでしょう?」

「…shala…la…♪」

「えぇ。声は聞こえませんが、その思いは通じてる筈です…そうですね。この戦いが終わったら、ご主人様にはあのギフトゲームをやって貰って…」

 

若藻と鈴彦姫の声を聴きながら…私はゆっくりと目を閉じ、意識が落ちた。




ペスト戦って割とイベント戦なので失踪します。


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BOX

いつも通り設定を生やしたので初投稿です。


はい、よーいスタート。

無茶しないとか言いながら速攻で気絶して時間を飛ばすRTA。はーじまーるよー!

前回はペストとちょっとイチャイチャした所ですね!え?戦闘…?してないですよやだなぁ。

…はい。まさか戦闘になるとは全く思っていませんでした。でも結果的に主人公が気絶したので結果オーライです。

因みに小ネタですが、ギフトゲームで気絶すると全てを飛ばして勝敗がわかります。なのでこの小ネタを使う事によってどれだけ早くなるかわかるんですね。

逆に一切気絶しないと最終的に面倒な後片付け等を任される可能性があるので要注意です。

という訳で…はい。ゲームクリアしていますね。

今回は特に被害なし(サラマンドラを除く)のでかなり良い方でしょう。

契約書類(ギアスロール)を見ればちゃんと両方のクリアもしているようです。

 

「…それでお姉ちゃん。今回の事、何か言い訳はある?」

 

はい、何時もの説教フェイズですね。

次のドラキュラ戦までは暇なので、取り敢えず甘んじて受けておきましょう。

というか普通に体調が悪そうですね。ずっと眠っていたのにも関わらず、視界がグラグラとしています。

…しかしそれを知られると大変そうなので、取り敢えず黙っておきましょう。

許してください!なんでもしますから!(何時もの)

 

「…へぇ。また私に何でも願いを叶える権利をくれるんだ」

 

ん?…あぁ、そういえばまだ使っていませんでしたっけ?

…あれ?そういえば何か忘れてた気がしますね。……まぁ、そんな日もあるでしょう。

取り敢えずコミュニティの家に帰りましょうか。

おーい白夜叉!送り届けてくれぃ!…え?ギフトゲームの優勝賞品?なんかありましたっけ?

取り敢えず春日部ちゃんに欲しいの聞くだけ聞いといて。

それじゃ、俺は帰るから(協調性無し)。あっ、一週間は帰れない?あっそう。(ガバ)

 

…はい、これは唯協調性が無い訳ではありません。これは好感度を上げない為にしているんですね。

実はこれ、通常プレイでも春日部ちゃんと一緒に行動するのが多い場合…最悪監禁される可能性があるんですね。

そして、この時点ではそれはわかりません。それが分かるのはヘッドフォンを壊された時ですね。

一緒に居ると壊れる→それだったら私が守ればよい→力が強くなるまでは監禁して其処に居させれば安心。という感じですね。

なので此処で冷たい態度をとっておき、好感度を態と下げる事によって監禁イベントを発生させない様にするんですね。

間違っても「この辺にぃ、うまいラーメン屋の屋台、来てるらしいんすよ」とか言っては駄目です。

何故かというと普通に好感度が上がって更に監禁される確率がアップされますからね。

 

まぁでも、此処まで言いましたが大丈夫でしょう。監禁イベントって其処まで頻繁に起こるイベントじゃありませんからね。

春日部ちゃんの監禁イベントは、家族よりも親しくなり、ギフトが一定以上の弱さであり、更には気絶した回数が一定以上です。

因みに黒ウサギとレティシアも同条件ですね。飛鳥ちゃんはもう少しチェック項目が多かった気がします。

まぁでも流石に大丈夫でしょう。今は耀ちゃんよりも強くなりましたからね!この状態でギフト勝負に負けるなんてある筈ありません。

もし駄目だったら木下を埋めます。というか原作第二巻から第三巻までの間は特にやる事…というかミニイベントが無いんですよね。

なので適当に時間を潰しておきたいのですが…その前に幾つか顔合わせをしておきましょう。

という訳で、其処に居たジャックに話でもしましょうか。

 

「…何でしょうか?」

目の奥から警戒の感情が見える。どうやら余り好かれてはいない様だ▽

 

当たり前だよなぁ?

というか彼の前で子供をどうこうすると言った会話をしたのが悪いんです。嫌われるのは当然の事でしょう。

取り敢えずかくかくしかじかで屋上あんだけど…焼いてかない?

 

「成程。貴女が来た時ではなく、コミュニティの他のメンバーに協力をしてほしいという事ですか。…メリットはあるのですか?」

 

とは言っていますが、別にメリットを言わなくても大丈夫です。

唯手伝って欲しいと言っておけば何とかなります。ジャックが優しいのと、アーシャが春日部ちゃんにライバル宣言をしているので“ウィル・オ・ウィスプ”からの交友は基本的に続きます。

 

それならどうしてこんな事を言ったのか?という兄貴が居る筈なので、説明をしておきます。

簡単に言うと、興味を持ってもらう為ですね。仲間思いの愛い奴と思ってくれれば一番ですが、それよりも…ウィラに興味を持たれたいんですよね。

ですが主張するのは駄目です、彼女は過去に高性能ストーカーに襲われそうになっているので例え同性でも嫌われます。

…という事で、此処はジャックに話を振って上に話を持ち上げて貰いつつ、他の所に挨拶回りをしておきましょう。

と言った所で終了です。次回はコミュニティのホームに帰った所からスタート。

では諸君、サラダバ!

 

---------------------------

 

「…それで?どうする心算ですか?」

「……若藻なら分かってるでしょ」

「一応はわかりますね。けれど…それを本当に行うか…と言う所を言っているんです」

「…しないと、私が強くなれないから」

 

そんな事を喋りながら、私は懐に入れたギフトカードからコトリバコを取り出す。

…それを見た若藻は少しだけ困った様にこちらを見つめた後…私の身体を優しく抱きしめた。

 

「…ここら辺に人はいる?」

「いえ。全くの無人です」

「……じゃあ、若藻も離れて。これは一人でやらないと大変な事だから」

「…分かりました」

 

私のその一言を聞いてそっと離れていく若藻を見ながら、私はゆっくりとコトリバコの表面を撫でて…そのまま一つ、木の板を抜き取った。

…次の瞬間、私の口から血が流れだした。

 

「ご主人様!」

「…」

 

今のこの箱だと、女性と子供にしか意味がない。

けれどこの先、そんな箱を持っているだけで戦えるのだろうか?

答えは否だ。そんな事は絶対にない。そんなんじゃ私が戦う事なんてできないだろう。

だから、もっと強大な呪いが必要だった。

 

「…」

 

だから、色々な事を調べまわった。

…その時に、“リョウメンスクナ”という存在があるのを知った。

けれどこの箱庭でそれを知ろうとしても…両面宿儺の事しかわからない。

流石にそれではないだろうと考えながら、私は“リョウメンスクナ”の事を知ろうとして…とある事を知った。

 

「…」

 

元々“リョウメンスクナ”は、箱に入っていた所を発見されたらしい。

…という事は、コトリバコに“リョウメンスクナ”を混ぜる事も可能ではないのかと、私は少しだけ考える。

最初にそれを考えた時、私は白夜叉に相談をした。そして…助力を頼んだ。

仏教に神格を返上している白夜叉なら、何か解決策がある…そんな事を考えながら私は頼みに行ったが…結局私は頬を叩かれ、考え直せと言われただけだった。

それもそうだろう。仏教の仲間である両面宿儺を渡せなんて、それこそ最低な言葉だ。

 

「……」

 

だから、自分で呪いを強化させるしかなかった。

…自分の血を流し、周囲の無関係な人を守る為に…私は唯自分の血を流そうとしたのだが…それを止めるように、私の左手は線が切れた操り人形の様に動かなくなってしまった。

ああ、この子も自分が壊されるのが怖いのだろう。

…大丈夫、絶対に迷惑はかけないから…そんな事を考えながら私は小さくコトリバコを右手で撫でて…そして更に組み替える。

 

「…」

 

グチュグチュと私の身体から音が聞こえ、視界は既に意味をなさない。

最初は聞こえた若藻の声も、私の身体の音も…今はもう何も聞こえない。

けれど私は必死に腕を動かし、記憶を頼りにしながら…私は息の代わりに血を吐いた。

 

「……ぁ…ぁ…」

 

最後の一つを外し、私は自分の身体の一部を其処に入れて…そしてもう一度閉じ始めた。

そして完全にコトリバコが閉じた瞬間…私の頭の中に誰かの声が聞こえた。

 

『気付いてください…もうやめてください…』

「……?」

『もう、そんな風なご主人様を視たくないんです。何時も傷ついてるご主人様から、血を貰ってる私達ですが…それでも嫌なんです!』

「…あなたは、コトリバコ?」

『…中身のない(empty)コトリバコ(box)の付喪神になりかけの存在です。今までは人形の付喪神をやっていました』

 

その言葉を聞いて私は驚いた。

…付喪神って道具を入れ替える事が出来るのだろうか?

 

『勿論普通には難しいです。人間達も20年働いた部署から新しい部署に移るのは難しいでしょう?』

「…そうなの?」

『えぇ。ですが特殊な手段…この箱庭ではギフトゲームに当たりますね。それを用いれば私の様に物質間を移動する事は出来ます』

「……化物だね」

『そうですか?私としてはこちらの箱を無理矢理完成させようとしたご主人様の方が怖いんですけどね』

 

私はその言葉を聞いて少しだけ首を傾げた。

…完成させようとしているとは、少しだけ不思議な言い方だ。

“コトリバコ”は、始まった伝承は既に完成していた物だ。それなのにも関わらず、私が完成させるというのは違うだろう。

だって私は既にギフトゲームでコトリバコを完成させて…

 

「…コトリバコ…?」

『あっ、あのゲームの事気付いたんだ』

「……中身のない(empty)コトリバコ(box)。確かに下の部分はコトリバコだけど、読み方にボックスという指定がある事は…これ自体はコトリバコじゃない?」

 

私の問いに、先程の声は答えなかった。

…けれど、それは何となく察していたので私は必死に考えを纏める。

特定の箱の名前を書かれているのに、実際は箱全般を表すboxという三文字。

そして最初の中身のない…

 

「…シュレディンガーの猫…?」

『外の世界の量子論でそういう呼び方がありましたね。

しかし…この場合はシュレディンガーの箱と呼ぶ方が正解ですね。シュレディンガーの猫であれば、中身は猫しかありません。

ですが、シュレディンガーの箱と称されるこのギフトであれば…“開けるまで中身がわからない”のです』

 

つまりそれは、どんな箱にもなり得る可能性を秘めたギフト…そう考えても良いのだろうか?

…けれど、それは…

 

『そう。それは相応の知識と…それに纏わる伝承が無ければ造れない物。貴女がいくら頑張ったって、モー〇が選んだ箱を作れないんです』

「…でも私、コトリバコに纏わる伝承なんて一個もないよ?」

『ああ、それは簡単ですよ。それはご主人様の祖先が『---』でしたから』

 

その言葉と同時に、私の意識がいきなりプツリと消えていく。

…大量の血を流したからかなと思いつつも、私は小さく意識を手放した。




そろそろ折り返し地点なので失踪します。


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エピローグ-1

忙しかったので初投稿です。


目が覚めると、コミュニティの仲間が勢揃いしていた。

 

「…素晴らしく運が無いな。私は…」

 

考える事をやめて、私は眠ろうとするが…その前に私の身体に重力が掛かり…私に馬乗りになったレティシアが面白そうな表情を浮かべた。

 

「…レティシア?」

「……分かってるな?」

「あ、あんまりわからないかなぁ?」

「…ほう?此処まで全員が居てもわからないか?」

 

その言葉を聞いて小さく頷くと…レティシアが少しだけ困った様にこちらを見つめた。

それを見た私が首を傾げると…近くにいた十六夜君が私に対して話しかけてきた。

 

「お前が突然居なくなって、そして見つけたら血だらけで倒れてたんだぞ?」

「…あ、ごめん」

「…別に、無事なら良い。でも無茶しないでって言った直ぐに倒れたのは……少しだけ悲しかった」

「……耀」

 

耀のその一言を聞いて、私は小さく目を伏せた。

…確かに耀と何度も無茶しないという約束をしたのにも関わらず、私は無茶ばっかりをしていた…気がする。

だけど…そうしないと私が強くなれない。

 

「…今、強くなれないって考えていたでしょ」

 

その言葉を聞いて、私は驚いた。

…どうしてわかったんだろう?そんな事を考えながら首を傾げようとすると…それを優しくレティシアが撫でてくれた。

 

「…あ」

「……一週間外に出る事を禁ずる。これはコミュニティの仲間達…子供達も合わせて全員一致した意見だ」

「……はい」

「…それと、それと同時に一切の自傷行為を禁ずる。こちらは既に契約書類(ギアスロール)の方で縛らせてもらった。命令権の方でな?」

 

私はその言葉に対して小さく頷いた。

それを見たレティシアが少しだけ嬉しそうに微笑んだのを見て…私は小さく目を伏せた。

…それを見て少しだけ苛立ちを覚えたのか…レティシアが私の身体に乗ったまま…

 

「…それはそれとして、後でしっかりとお仕置きはするからな」

 

私の耳元に、優しく囁き掛けてきた。

その事に少しだけピクリと身体を跳ねさせながらも…私はゆっくりと息を呑んだ。

それを見て耀が少しだけ怒ったように私に近づく。

 

「…お姉ちゃん。何メイドさんとイチャイチャしているの?」

「耀?」

 

私が目を開くと…

 

「……私の方が心配したのに。私の方がいっぱい……いっぱい…」

 

疲れから目にハイライトが無かった。

小さく何かを呟き続ける耀を見続けながら、私は小さく首を傾げた。

それを見たレティシアが慌てた様にこちらを見つめ…そしてゆっくりと首を傾げた。

 

「…そういえば、お前の近くにいた狐は何処だ?」

「…狐…若藻の事?」

「若藻?…まて、それって…」

「十六夜君は言っちゃ駄目ですよ?」

 

その言葉と同時に、十六夜君が警戒しながら振り向く。

それを見た若藻が少しだけ面白そうに微笑んだ後に…私の下にゆっくりと歩いてきた。

…十六夜君の警戒の仕方に全員が小さく頷き、若藻の方を見つめ…それを見た若藻は小さく首を傾げた。

 

「おや。私に牙を剥いて良いのですか?ご主人様から嫌われちゃいますよ?」

「馬鹿いえ。お前にご主人様とやらが居るのか?」

「今貴方達が喋っていたでしょう?」

「冗談も休み休み言えよ玉藻前。お前は礼儀は尽くすが忠義は一切ない関係しか作らなかっただろう?」

「それはどうでしょう?私は心を入れ替え、忠義を尽くしているかもしれませんよ?」

 

その言葉を聞いて鼻で笑った十六夜君を見て、私は小さく首を傾げた。

…それを見た十六夜君は少しだけ訝しげにこちらを見た後…小さくため息を吐いた後に若藻の方を見つめた。

 

「…おい」

「何でしょうか?」

「もしお前が本当に忠義の塊の様な狐だとして……もし俺らのコミュニティを抜けたがっていたらどうする心算だったんだ?」

 

その言葉を聞いた若藻の耳が、小さくピクリと揺れる。

…それを見逃さなかった十六夜君が少しだけ笑った後に…

 

「そうですね。そうだったらいっそ、コミュニティ“百鬼夜行”の再来と行きますかね?」

 

若藻の言葉を聞いて、真剣な表情に変えた。

…そして、小さく黒ウサギが辛そうに目を伏せるのを見て…十六夜君が何かを察したのか黒ウサギに喋りかける。

 

「…黒ウサギ、知っているか?」

「知ってるも何も!“百鬼夜行”と言えば悪名高き魔王のコミュニティです!…ですが、今はもうなくなっている筈です」

「そう。だから再来と言ったんです。今度の“百鬼夜行”は違う。あの“仏教(糞ったれ)”共にも負けない。私がそういう風に化かす事が出来るんです」

「どうだかな。案外同じ相手に負けるんじゃねぇか?」

 

その言葉を聞いた若藻が、少しだけ面白そうに微笑んだ。

…それを見た十六夜君が首を傾げるが…若藻は特に気にせずに私の方に寄ってきた。

 

「…ですけど。そんな事はご主人様が望んでないんですよ」

「うん。魔王としても楽しそうだけど、今はやっぱり…こういう風に皆と一緒に居たい」

「…いや、魔王は決して楽しくはないぞ?寧ろ箱庭中から追われるから大変なんだ」

「そうなの?」

 

私の疑問を聞いて仕舞ったという様な表情を見せたレティシアを見て、私は小さく首を傾げる。

それを見た耀が少しだけ呆れた様にレティシアを見た後に…小さく耳打ちで何かを話し始めた。

 

「…まぁ、そうだな。人伝で聞いたんだ」

「そうなんだ。魔王とお友達なんて、レティシアって凄いんだね!」

「ぅ……そ、そうだろ?」

 

私の一言を聞いて少しだけうめき声を出したレティシアが、少しだけ苦しそうに微笑んだ。

…何か違ったのかなと思いながらも、私は小さく身動ぎをしようとして…耀とレティシアに抑え付けられた。どうやらこのまま暫くはこうするらしい。

 

「…なぁ。もし私が…」

「……?」

 

私がxxxxの汚名を被っていたとしても、ご主人はそのままで居てくれるのか?

…そんな声と同時に、私の身体に少しだけ違和感を感じる。

その違和感を見てみると…其処にはレティシアが寂しそうな表情で私の腕を抱きしめていた。

 

「…何でもない」

「本当に?」

「あぁ…本当に何でも…」

「…二人共、私達を無視して楽しそうね?」

 

その言葉と同時に、耀とレティシアが振り返る。

それに倣って私も飛鳥の方を見つめると…飛鳥と黒ウサギが私達の方を笑顔で見つめていた。

…勿論、目は笑っていなかった。

 

「…えぇ。えぇ。耀さんは流石にしょうがないと思っていました。だって家族が気絶してたら誰だって心配になるものです。

…ですがレティシア様。貴女は何時仲良くなったのですか?それもかなり気にかけているご様子ですし?」

「いや黒ウサギ、私はな…」

「メイドでありながら主人を先置いて仲良くお話とは、良いご身分ね?」

「あう…」

 

飛鳥達が話しているのを見ながら、私は視線を若藻と十六夜君の方へ向ける。

二人は未だに煽り合いながらも、それでも情報交換をしているようだ。

 

「…待て。という事は、そっちの世界での付喪神は…」

「其処まで考えられたら、どうしてあの子に教えちゃ駄目か…其処までもわかりますよね?」

「……それを俺に伝えてどうする心算だ?」

「一番最初に情報を手に入れそうなのは貴方でしたから。それだったら先に正解を言っておいて、そして口封じをする…これが私にも貴方にもメリットである…そう考えました」

「…」

 

二人の会話を聞きながら、私は小さく体を動かす。

…私の身体には四種類の熱がじんわりと浸透していき…私は小さく息を吐いた。

それを見た四人が小さく首を傾げるのを見て…私は小さく呟く。

 

「…うん。皆とくっついてるの、傷つけて安心するより…少しだけ良いかも」

 

私の本心からの言葉は、お説教の時間が一日増えるだけだった。




後輩兄貴達が星を使ってて羨ましいので失踪します。


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エピローグ-2

もう少しだけ続くので初投稿です。


一週間が経過し、私は“監視付き”の状態で外に出れる様になった。

気分は極悪犯罪者だなぁ…なんて考えながらも、私はゆっくりと黒ウサギを見つめる。

…今日は審判の依頼だったそうで、それを聞いた私が無理を言って付いてきたのだ。

 

「それでは!第二試合を始めたいと思います♪第二試合の参加者は…」

 

黒ウサギが楽しそうに話しているのを見ながら、私はゆっくりと周囲に視線を向ける。

…最近、何処かから視線を感じる気がする。けれど周囲を見てもそれらしい人は居ない。

本拠地に居る間は視線を感じないので、私が逃げない様に耀が監視してるのか…そう思っては居たのだが、どうにもそうではないらしい。

今日は耀はギフトゲームに参加している筈だ。未だに農場が無いから、ギフトゲームで稼がないといけない。

 

「……むぅ」

 

今まで貯めてきたへそくりを出すべきかどうか。

ギフトゲームをして報酬の一部をへそくりに回している為、私自身はかなり潤っている。

…それを使って境界門(アストラルゲート)に行けば…とも思ったのだが…

 

-「残念ながら、個人での使用は無理ですね」

 

黒ウサギに言われた事を思い出し、思わずがっくりと項垂れた。

けれど黒ウサギに、「白夜叉様に頼ろうとせず、自分の力で行こうとするのは偉いです!」と言われたのは遺憾だ。

私は其処まで我儘な問題児ではない…筈だ。

 

「…?」

 

そんな事を考えていた時、私の視界に綺麗な髪が一瞬だけ映り込んだ。

…それはまるで…

 

「…飛鳥?」

 

小さく口に出しながら、私はチラリと黒ウサギの方を見つめる。

…黒ウサギが小さく頷いたのを確認してから、私は急いでそちらの方に向かい…

 

「…わっ!?」

「……?」

 

仮面の女性とぶつかった。

思わずごめんなさいと謝りつつも…私は周囲を見渡し…飛鳥を見失った事に小さくため息を吐いた。

それを見た彼女が少しだけ首を傾げつつも…何かを思いついた様に、私に問いかけた。

 

「その。ここら辺で魂を視ませんでしたか?」

「…」

 

彼女はとても電波な様だ。

ここら辺で魂を視ませんでしたか?なんて質問、この瞬間以外で絶対に聞かないだろう。

 

「…ど、どういう魂?」

「え…っと……詩人を名乗りながら黒人ラッパーで、しかも名前がホモで金糸雀を目指してそうな魂です」

「………見なかった、かな」

「それじゃあホモと名乗りながら部屋の前でソーラン節を踊ったりとかは…」

「…しらない。かな」

 

その一言に少しだけガックリとしながら、彼女は去ろうとする。

それを見て私は慌てて引き止めつつ…ゆっくりと話を聞き続けた。

 

「えっと、どうしてそんな魂?を探そうとしてるの?」

「…とある御方に頼まれまして…下位のコミュニティ…それも“ジン=ラッセル率いるノーネーム”のみに話を聞きなさいと言われましてね…」

「た、大変だね?」

「……いえ。こちらも失礼しました」

 

その言葉と同時に立ち去っていく彼女を見つめながら…綺麗な銀髪を見つめた。

…とても綺麗な銀髪だが、シャンプーとかは使っているのだろうか?

 

「…また今度、お話してみたいな」

 

今度は不思議な魂の他にも、色々話そうと考えつつ…私は黒ウサギの居る場所に戻っていった。

…それと同時に、白夜叉が小さく頷いてから試合を見つめる。

どうやら試合は順調に進んでいるらしい。それを見て少しだけ安堵しつつ…ゆっくりとため息を吐いた。

 

「…やっぱり、一人で歩きたかったな…」

「あら。どうしてそう思ったのかしら?」

 

その言葉を聞いて、私の身体が跳ねた。

私がゆっくりと後ろを振り向くと…其処には青筋を立てた飛鳥の姿があった。

 

「ふふふ。おかしいと思ったのよ。突然貴女が黒ウサギに付いていきたい!なんて言い出したしね?そしたらほら見なさい!やっぱり一人の方が楽とか考えてた!」

「いや、それは違くて…でも一人の方が楽なのはほんと…」

 

私のその一言を聞いて、飛鳥が不機嫌そうに頬を抓る。

…その痛みに耐えつつも、私はゆっくりと頬を膨らませた。

 

「…飛鳥のばか」

「あら?何が馬鹿だったのかしら?」

「……一緒に居る方が幸せって、言えなかった」

 

その言葉を聞いて、飛鳥が頬から手を放して…少しだけ苦笑する。

そしてそのまま嬉しそうに私の頭を撫でた後に…ごめんなさいと謝ってくれた。

 

「…所で、ならどうして一人で歩いていたのかしら?」

 

私は飛鳥の言葉に喉を詰まらせ…少しだけ周囲を見つめる。

…そして他にコミュニティのメンバーや子供達が居ないのを見た後に…ゆっくりと喋りだした。

 

「……農場、皆でしようとしてるでしょ?」

「えぇ。そうね」

「…私、農場に何も貢献出来てないから」

「そんな事ないわよ?暇な時間、子供達と一緒に土を弄ってるって黒ウサギから愚痴を言われたしね?」

「…だって、子供達が大変そうだったから」

「その子供達にも、仕事を奪われそうだ!なんて言われてたけどね」

 

その言葉を聞いて私は小さく口を歪める。

…確かに子供達は仕事に生きがいを感じる子達だ。それは私だってわかっている。

けれど、私だってそうなのだ。

何かに役立たないと、少しだけ不安に思ってしまう。

 

「…九十九さんは、凄い皆の役に立っているわよ。あの虎を倒して、十六夜君と一緒にボンボンの下に言って、一人で謎を解いてステンドグラスを割って、春日部さんと一緒に“造物主達の決闘”であの“ジャック・オー・ランタン”と戦って…」

 

他にもいっぱいあるわよ?なんて微笑みながら飛鳥が言うのを見て、私は小さく首を横に振った。

…確かにそれは、他の人から見たら功績かもしれない。でも…

 

「…私が居なくても、皆は勝てたから…」

 

そう言いながら微笑めば、飛鳥は少しだけ困った様にこちらを見つめた。

そして優しく私を抱きしめ…ゆっくりと耳元で囁く。

 

「あれは十六夜君が強すぎるのよ。彼が居たら普通のゲーム。楽しむ前に終わっちゃうわ?」

「…そうかも」

 

私がそう言って小さく微笑むと、これは十六夜君には内緒ね?と言って私にもう一度耳打ちをし始める。

 

「…彼、余りにも強すぎてゲームを出禁にされる所が増えてきたらしいのよ」

「……そうなの?」

 

小さく首を傾げながら聞いたが、私も出禁にされているゲームは結構ある。

…其処まで名声は高くないと思っていたが、出禁にされたのは吃驚だ。

 

「えぇ。唯それでも九十九さんよりは少ないけどね」

「…知ってたんだ」

「えぇ。ゲームをするって言いながら毎回“サウザンド・アイズ”に向っていれば嫌でも気付くわ」

「そっか」

 

小さく首を傾げながら、私は少しだけ微笑んだ。

私がやるのは基本的に知識系のギフトゲームだ。何を知っているか、知らないかを判別しながらやる為、其処までちゃんとした事はやっていないが…

 

-「彼女、良いですね。未来予知系のギフトを渡せば、もっと化けそうです」

 

そんな事を姿無き誰かに言われ、少しだけ嬉しかったのを思い出す。

…それを聞いていた白夜叉は少しだけ困っていたが…私は特に気にしなかった記憶がある。

 

「あら?黒ウサギのお仕事がもう終わったみたいね」

「…本当だ。もう勝者が決まってる」

「ふふ、お話してると何時もより早く時間が過ぎちゃうわね」

「うん。やっぱり皆と居る方が幸せ」

 

そう言いながら微笑めば、飛鳥も嬉しそうに微笑み返してくれた。

…そしてゆっくりと、私に一つのご飯を差し出してくる。

 

「?」

 

小さく首を傾げて見れば、飛鳥は少しだけ可笑しそうに微笑んでから…ゆっくりとあーんをしてくれた。

…小さくぱくりと食べて見れば…

 

「…美味しい」

 

思わず感想を漏らすと、少しだけ嬉しそうに微笑んだ飛鳥が喋りだした。

 

「えぇ。そうでしょう?子供達が必死に作ってくれたのよ」

「…そうなの?」

「そうよ?本当はリリが持っていこうとしていたのだけど…その前に黒ウサギに連れていかれちゃったでしょう?」

「うん」

「それでそれを頼まれてね。味の感想とかはリリに言って頂戴?」

 

その言葉を聞いて私は小さく頷く。

それを見た飛鳥は優しく微笑んだ後に…

 

「という訳で、九十九さんはこの後一緒に私と行くわ。其処で物陰に隠れてるウサギさんがどうしても!というなら考えるけど…どう?」

 

私の後ろの物陰に向かって喋りかける。

すると見たことのある黒ウサギの耳が見えて…私は少しだけ目を瞬かせた。

 

「…黒ウサギ、居たの?」

「え、えぇ…まぁ…試合が終わって直ぐに居ましたデスよ?」

「…そうなんだ。ごめん。気付かなかった」

「い、いえ!九十九さんはそのままで居てください!……追跡するとき、大変ですので」

 

ぼそっと聞こえた言葉に首を傾げつつも、私はゆっくりと喋り続ける。

 

「…そうなの?」

「えぇ!ギフトゲームでは確かに察知をする事も大事ですが…それでも今の九十九さんには余り関係ないお話です」

「…?」

「最近は知識を問われるギフトゲームで戦っておられますよね?」

「何で知ってるの?」

「そりゃあもう!色んな所で九十九さんの武勇伝ならぬ知勇伝を聞いてますから!」

「…そう…なんだ」

 

その言葉に少しだけ私は視線を逸らした。

…あまり活躍した記憶もないが、武勇伝が語り継がれる程度には活躍しているらしい。

その事に少しだけ安堵の息を漏らしつつ…私は首を傾げた。

 

「そういえば今日、耀は居ないんだっけ?」

「あ、ああ…そうね。今日は用があるとかないとか言ってた気がするわね」

「そ、そうですね…特に気にされない方が良いと思います!えぇ!」

 

二人が焦りながら喋るのを見て、私はもう一度首を傾げ…そしてコクリと頷いた。

…どうやら何かがあるらしい。

耀に限って犯罪的な事をやらないと思うが、それでも何時かは知らないといけないだろう。

……でももしかしたら内緒にしたい事をしてるのかもしれないし、やっぱり知らなくても良いだろう。

 

「…それじゃ、行きましょうか」

「行くって、何処に?」

「白夜叉様が後で来て欲しいって言ってましたよ。何か用事でもあるんですかね?」

 

二人と話しながら、私は少しだけ微笑む。

白夜叉との会話に心を躍らせながら、私はゆっくりと足を運び…

 

「…?」

「あら、どうかしたの?」

「ううん。誰かに見られた様な気がして……気の所為だったかも」

「らしいけど、黒ウサギはどう?」

「私も特に何も感じなかったですね。誰かに狙われているかもしれませんし、後で白夜叉様に話しましょうか」

 

そんな事を話し合いながら、私達はゆっくりと白夜叉の下に向かって歩き出す。

先程の視線を思い出しながら、私は小さく息を呑んだ。




日常編は基本的に走者が寝てたりご飯食べてたりするので失踪します。


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そう……巨龍召喚
月食


何も思いつかなかった挙句新しいキャラを序でに生やしたので初投稿です。


はい、よーいスタート。

面倒臭い奴に絡まれた時は取り敢えず愛想笑いを浮かべながらコトリバコを取り出すRTA、はーじまーるよー!

取り敢えず情報整理すると、どうやら知らない人に話しかけられて尚且つ自分自身で傷つけるの禁止と言われてますね。

取り敢えず自傷行為は禁止なので間違えて指を切っちゃったとか其処ら辺を試してみましょうか。

 

「九十九お姉さんは手伝っちゃ駄目です!怪我しちゃいます!」

 

はい。リリちゃんに止められましたね。

友好度が高いとどうやらこうなってしまう様です。知りませんでした(ガバ)

という事でこれからは危険なギフトゲームにも挑戦していきましょう。

…そうですね。五桁の魔王に挑戦しましょうか。

一応欲しいギフトがあるんですよね。それを手に入れる為にはとある魔王を捕まえる必要があるんです。

なのでその為には魔王を殴り倒したいんですけど…今は情報も何もないですし、取り敢えず白夜叉に話を聞きますか。

 

「……お主、今なんていった?」

 

魔王のギフトゲーム参加させて下さーい!

 

「駄目に決まっているだろう。魔王が現れる事態なんてそうそうないし、しかも…一人で挑むだと?馬鹿も程々にしておけ」

 

駄目みたいですね。ですけどまだ何とかなります。

一応面倒な手段ですが…魔王に挑戦させてくれるまで此処から動かないといえば参加させて…

 

「ああ、そうしておけ。それならわしも安心できるからの」

 

…あれ?こんなに好感度稼いでましたっけ?

ともかくこれは不味いですね。最終的に欲しいギフトが手に入らなくなってしまう可能性があります。

その場合、私の操作の腕では死ぬ可能性が増えるので…出来れば手に入れておきたいのですが…

 

どうやら白夜叉から魔王の紹介をして貰うのは無理そうだ▽

 

駄目みたいですね。

どうやら今回は縁が無かった様ですし、また明日きましょう。

じゃあ次は図書館にでも行きましょうかね?

 

「はい。駄目ですよ!目に見える所に居てくださいね!」

 

…うん?そういえばこんな会話見た事ありますね。(チャート確認中)

…あぁぁぁ!これ拉致監禁イベント一歩手前じゃないか!どうしてくれんの?(責任転嫁)

ヤバいですね。此処で拉致監禁されたら特大ガバです。最悪再送の危険もありますが…背に腹は代えられません。このままいきましょう。

 

…え?どうしてこのまま進むのか?再送はよ?

残念ですが、次の戦いではどうあがいても九十九ちゃんは成長出来ません。

何故かって?基本的に謎解きは春日部ちゃんが解き、戦闘面では十六夜君が活躍する為ですね。

なら巨人の方と戦えばよいと思う兄貴も居るかもしれませんが…そちらの方では普通に九十九ちゃんが死にます。

勿論強いキャラであれば簡単に生き残れますし、何なら龍に乗り込んで時短する事も可能ですが…今の九十九ちゃんではそれが出来ません。

なのでここら辺で監禁されても“まだ”痛手じゃありません。

少しばかり行動制限があるくらいですが、そちらの方も奥の手を使えば逃げれます。

 

なので今回は普通に進めるしかないんですよね。世界記録目指す兄貴は頑張って、どうぞ。

取り敢えず此処は素直に頷いておきながら自分の部屋に戻って収穫祭の手紙が来るのを待ちましょう。

その間に何をやるのかというと…実は困った事に何もやる事がありません。

というのも、最終的に九十九ちゃんは殺す前提で動かないといけないので…身体を強くしたりするのは避けないといけません。

知識の方も欲しい物は全部持っているので、残りは自己満足で強くさせるくらいしか出来ません。

知識系のギフトゲームに参加して適当に時間を潰しましょうか。

 

-幾つかのギフトゲームに飛び入り参加をした………名声と景品を手に入れた。▽

-知識系のギフトゲームはこれ以上受けられなさそうだ。今日は家に戻ろう。▽

 

OK、何とかなりましたね。

結局部屋で待つとか言いながら外に出ましたが、良いんです。ちょっとガバったくらいですので。

あっそうだ(唐突)所でどうして昼間なのにギフトゲームが受けられないかわかりますか?僕はわかりませんけど。

 

「…ふむ。貴女がかの有名な九十九殿でよろしいのかな?」

…知らない人から話しかけられた。何か用があるのだろうか?▽

「ああ、私は怪しい者ではないよ。少しばかり噂を聞いたものでね。若いのに大量の知識を持っているとか…そういう素晴らしい女の子が居ると聞いて…」

 

はい。乱入者イベントです。

とても面倒ですが今此処でおっぱじめるとかなり大変な事になりますので全力で逃げます。

この場合において、逃げる場所は人気のない場所になります。急いで逃げましょう。

 

私はその言葉を聞いた瞬間、くるりと身体を反対方向に向けて逃げ出した▽

ずっと逃げ続け、私が辿り着いたのは……人気のない場所だった▽

コミュニティに迷惑はかけられないから、その方向だけは避けていたが…どうやら撒けた…▽

 

はい、撒けている訳がありません。

このままだと普通に死にますので、急いで回避しましょう。

 

「お嬢さん。突然逃げるからなんだと思ったけど…どうやら僕と決闘を望んでいるらしいね」

その言葉と同時に、私の影から何かが飛んでくる▽

とっさに身体を捩らせると…飛んで行った何かは浮かび上がる太陽に向かい…先程の男の姿に変わっていった▽

「こんばんはお嬢さん。良いお昼だ。月も喜ぶだろうね」

その言葉と同時に、黒の紙が降り注ぐ▽

 

『ギフトゲーム名“全てを喰らい尽くせ”』

 

タイトルだけを見て、速攻で紙を見ずに捨てます。

ルールは幾つか覚えていますが…確認する方法はありません。もし九十九ちゃんで確認した場合、彼女の目が潰れます。

このゲームはかなり練られたトラップゲームです。簡単に言うと、“回答の仕方を間違えればクリアする方法が無くなります”

かなりグレーゾーンギリギリのゲームですが、倒せばクリアという選択肢が残されている都合上、どうしようもありません。

 

クリア条件は以下の三つです。

 1.全てを喰らい尽くし、それを過去の物とさせよ。

 2.伝承を解き明かし、影をなくせ。

 3.時を過ぎて、全てを過去の物とせよ。

 

一つ目は簡単な問題です。皆既日食を発動させて、目の前の彼を討伐するだけです。

…はい。これが一番難しいです。彼を殺すには文字通り星を砕く一撃が無いといけません。

そして、彼と戦うには太陽の主権は無に帰します。今の白夜叉キラーですね。

二つ目は簡単に言うと、目の前の彼が誰かを当てた後に彼を殺せばクリアです。こちらは本格的に無理です。

“彼”を殺せば“月”が壊れます。箱庭の世界で月の主権がある以上、彼を殺すのはかなり面倒な事になってしまいます。蛟劉の月の主権、新月が壊れますので殺す事は絶対に避けましょう。

 

最後の時を過ぎて全てを過去の物とさせるについては…こちらもかなり面倒です。

簡単に言うと、彼から逃げるには月と太陽から逃げる必要があります。

つまり…このゲームが発動している限り逃げ場は殆どありません。

と言っても、其処まで時間は無いのでかなり楽な部類ですが。

 

…さて、どうしてこんな奴が急に私の下に現れたか…という事ですが、こちらは簡単です。

まだあっても無いのにクイーン・ハロウィンに目をつけられたからですね。

本来彼を動かすには相応の“太陽の主権”が必要なのですが、それがクイーン・ハロウィンによって手に入ったのでしょう。

黒人ラッパーとか仮面の少女とかの時点で怪しかったですが…このゲームは他のデータの上にデータを上書きすると混ざる可能性があるんですよね。確かこの時走者は大量のデータを上書き保存していた気がします。

 

「さ…」

 

喋らせる隙を与えません。取り敢えず全力でダッシュをして刀を握って彼を蹴り飛ばします。

この場合一定確率で反撃をされますが、そんな事は一切させません。逃げ切る為に、瞬時に攻撃をします。

勿論何度も攻撃をしている内に対処されて攻撃される事もあります…が、それだけは絶対にさせません。

仮に一撃受ける場合は…

 

「ふっ…」

私の攻撃に慣れたのか、私にカウンターをしようと彼が私に影を放つ▽

私は身体をくるりと回転させ、右手を犠牲にした▽

 

利き手と反対の腕を犠牲にしましょう。

身体に一つでも当たれば…

 

喰らった身体の部位から尋常じゃない熱量が放たれる。▽

レティシアからの命令を無視して右腕を切り落とし、相手に投げつけた▽

それを受け取った彼が小さく微笑むのと同時に…▽

 

全力で離れ、彼に背中を向けながらジャンプをします。

 

それに違和感を覚えた私は瞬時に後ろを向いて走る▽

その時に石に躓き、身体が浮くのと同時に…爆風によって吹き飛んだ。

 

この様に身体が爆発します。

因みに此処で身体を少しだけ捻った為、右腕の傷口はしっかりと焼けました。

このまま気にせずに左手で攻撃をし続けます。

と言った所でギフトゲームがクリアされましたね。残りは簡単なイベントシーンなのでこの辺で。

では諸君、サラダバ!

 

-------------------

 

「…クリア…ふむ。君は頭の中で色々思考を回していると思ったが…どうやら違ったらしいね」

「……回しているからこそ、今回は回さなかった」

 

その言葉を聞いて、彼が少しだけ驚いた様な表情を浮かべる。

 

「…どういうことだい?」

「今回のギフトゲーム、参加は単純だった。“全てを喰らい尽くせ”というタイトルが、私にとってかなりのヒントだったからね」

「…ほうほう?後学の為に聞いておこう。どうしてそう思ったんだい?」

「“毒を食らわば皿まで”という言葉が、私の知っている言葉の中にある。これは一度毒の入った食事を食べるのなら、皿まで舐めてしまえと言うのが由来らしい」

 

そして、このゲーム“全てを喰らい尽くせ”というのも同じだ。

 

「…情報が一切なかったから、私は思考を回しながらも“ギフトゲーム”をしていなかった。唯時が過ぎるのを待っていた」

「……これを、狙っていたのかい?」

「狙っていた…と言うよりは、これぐらいしか出来なかった。もしこれを解き明かす事があれば…最終的に“パラドックスゲーム”にもなり得るんでしょう?」

 

その言葉を聞いた瞬間、彼が面白そうに笑い出した。

それを見て私が考えていた事が正解だった事がわかり…小さく目を伏せた。

 

「成程な。だから紙を見ずに捨てたのかい?」

「それはまた別のお話。あの紙から尋常じゃない熱量を感じた。…恐らく、私の右手に突き刺さったアレと同じなんでしょう?」

 

この世界では、出来ない方が悪いという前提がある。

例えば太陽の黒点を肉眼で見ろというクリア方法があれば、それが出来ない方が悪い事になる。

今回の様に太陽と同じくらいの光量で書かれた文字を見れない場合、私が悪い事になる。 

但しギフトゲーム名だけは普通の文字で書かれていた為、何とかなった訳だ。

 

「…ああ、成程。最低限の情報から最大限の手札を手に入れた訳だ。俺が何者であるかも分からないまま、単純にクリアをされた訳だ」

 

そう言いながら小さく両手を上げる彼を見ながら、私は小さく息を呑んだ。

…後ろに、尋常じゃない熱量が見える。

それを見て私が警戒をするのと同時に…その熱が私の周囲にくるりと円を描いた。

 

「…これは」

「クイーン・ハロウィンからの招待状だな。断る選択肢は恐らくない。どうする?」

 

その言葉を聞いた瞬間、私は瞬時に彼の真下に向かって…ゆっくりと影を踏んだ。

…それと同時に、彼が首を傾げるが…私はゆっくりと微笑んだ。

 

「……断る方法なら、一つだけある」

「…それはどういうことだ?」

「……後でわかるよ」

 

その言葉と同時に、周囲の熱が私達に向かってやってくる。

…それと同時に、私は瞬時に真後ろにジャンプをし…熱を無理矢理避けた。

その距離は、右腕があればすっぽりと入ってしまうくらいだ。

 

「…ふぅ」

 

私がため息を吐くのと同時に、彼が消えた。

…それを見て私は周囲を警戒しながら…今度は何も無かった事に小さく息を吐いた。

もし、あのままあの熱に入ってしまえば…私はどうしようも無かったかもしれない。

そんな事を考えながら私はゆっくりと歩こうと一歩、踏み込むのと同時に…

 

「…ああ、惜しむらくは貴女と同じように右腕をなくした事ね。ス…」

 

小さく聞こえた声を、私は首を振って振り払った。




境界ってどうやって書けばよいのかわからないので失踪します。


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25話

仕事が忙しかったうえに何も思いつかなかったので初投稿です。


はい、よーいスタート。

大胆なルート変更は女の子の特権!なRTA、はーじまーるよー!

取り敢えず最初は右腕を治す…のは止めておきましょうか。ロスですしね。

顔合わせ(一方的)が済んだという事は最終的に会う事が確定しているでしょうし。

…まぁ、其処までロスにはなりませんので放置で良いでしょう。

それよりも、私が気になっているのは…

 

「…」

 

どうして春日部ちゃんが居るんですかねぇ?

…此処は確かコミュニティからかなり離れた場所だった筈で、しかも最近は春日部ちゃんとは一緒に行動をしていない筈なので探知もされない筈です。

……これ、昔のゲームで見た嫌な予感がしますね。

粛清(C)エンドにならない事だけ祈っておきましょう。

 

「…今のは、誰」

彼女の目のハイライトが消えている。▽

此処で嘘を言えば、それこそ私は終わりなのだろう。どうすればよいか、私は今一度心の中で問いかける。▽

→真実を言う。

 それでも嘘を言う。

 

OK、最悪の可能性が潰れましたね。

どっかの後継者兄貴は速攻ヤンデレエンド直行しましたが、私は違います。(鋼の意思)

一応周囲と顔合わせをしておき、尚且つ同性だと彼女の考えに一瞬の“隙”が入ります。

それがこの選択肢ですね。やっぱりホモとレズは正義だな。

因みに此処、甘い選択肢なだけあってもし此処で嘘を言う事があったら、“よくて”監禁ですね。それ以上は皆の目で確か見て見ろ。

 

「…それは本当?」

 

本当だって信じてくれよ(震え声)

因みに此処、もし仮に真実を言っても受け入れて貰えるとは限りません。

寧ろ信じて貰える可能性はかなり低いと言っても過言ではないでしょう。

 

「……」

 

なのでもし此処で彼女に信じて貰えない場合は大幅なルート変更(ノーネーム虐殺)です。

本当はこっちの方が早いんですが、(十六夜が敵に回るとその時点でアジ=ダカーハ相手に確定で勝てる)そんな効率プレイばっかりやっていると取れないトロフィーがある為今回はそれを取るのも兼ねているんですよねぇ。

私はどっちでも良いですが、此処で血塗れになるのは避けたいです。

 

「…分かった。信じる」

 

残念ですね(ああ良かった)記録更新ならずです(友情の勝利ですね)

さてハラハラな押し問答が終わりましたし、後は仲良く帰りましょうか。

 

「…お姉ちゃん。その前に一つだけ良い?」

耀が少しだけ困った様な表情を浮かべて話しかける▽

「……お姉ちゃんは、どうして私を気に掛けてくれるの?」

 

(気に掛けて)ないです。

…いや、それは冗談としても九十九ちゃんは余り春日部ちゃんを気に掛けたシーンは無かった筈です。

となると昔の話になるんですかね?それだったらまだ納得は出来ますが…

 

「私は、お姉ちゃんの事を嫌ってたんだよ?」

 

さて、彼女が何かを話している間にこれからの事を説明しないといけませんね。

…今回、女王に目を付けられた為チャートが変更になる場合があります。

簡単に言うと、最終的に女王からギフトを押し付けられる可能性がある為ですね。

此処でまず“女王”の好感度の上がり方を説明しましょう。

 

Q=I^S(R*s)

----------

A

 

Qが今の世界に住んでいるクイーンの合計好感度、Iが女王自身の興味です。

Sがスカサハがどれだけ認めているか、Rが転生回数でsが初期好感度ですね。

この計算式を使った場合、初期から認められる場合はかなり低いですね。よく私の指示に従ってたなあの黒人ラッパー。

因みに最後のAは顔亡き者(フェイスレス)への興味ですね。これが高いと幾ら好感度を上げてもしょうがありません。

今回は転生回数がかなり多かったのと、女王の興味が高かったんだと思います。

スカサハが興味を持っている場合好感度もかなり高くなりますが…流石に其処まで高くはない筈です。

 

さて、それがどうなるかというと…最終的に顔亡き者(フェイスレス)が私の方にやってくる可能性があります。

その場合向こうでかなり大変な事になりますので、取り敢えず急いで打てる手は打っておかないといけません。

じゃないと事故でジンが死ぬ可能性がありますしね。

因みにそれなら何故前回向こうに行かなかったのかと言いますと、今向こうに行っても旨味が無いからですね。

しかし二回目からは違います。抗う事すら難しい()と回避困難な転移手段を使ってきます。

最終的には自分からやってきて星の力(だいしゅきホールド)で抑え込んでから転移をします。

勿論今それをやられると普通に死ぬので何処かで折り合いをつける必要があります。

 

そしてそれを円滑に進める為に九十九ちゃんは怪我を負う必要があった訳ですね。

怪我を治して欲しいという願いを叶える事が一番の餌だと誤解させないとお話になりません。

交渉のアドバンテージを私が取らない限り、十中八九欲望に負けますので。

なので怪我を治さない方が一番楽なのですが…それをやっていると今度は女王にそれを読まれる可能性すらあるんですよね。

どうしてコミュニティのメンバーに傷を治せる存在が居るのに治さないのか、もしかしてこれを交渉にしようとしているのか。

彼女がこちらの裏を読む速度と精度はかなり高いです。なんの対策もせずに行ったら普通に死ぬ可能性すらありますので。

一番必要なのは人間の身体、次点で分身体を殺す程度の力が欲しいですね。

代償は何でも良いです。どうせ倒し終わったら自由ですからね。

 

さて、そんな事を話している間にも春日部ちゃんからのお話は終わってしまった様です。

それと少しだけ情報を貰ったのでこれからはそれを目指す事にしましょう。

と言っても、目指す振りをするだけですがね。こちらで引っかかって貰えると助かりますが…其処まで相手は馬鹿ではないでしょうね。

知識勝負では勝ち目がありますが知力の勝負ではあちらの方に分があるでしょうね。

という事で次回はウィル・オー・ウィスプに遊びに行く所からスタートです。

では諸君、サラダバ!

 

 

---------------------

 

「…お姉ちゃんは、何を目指しているの?」

 

その言葉に、私は少しだけ目を見開いた。

何を知っているか、その言葉に少しだけ私の身体が熱を持ち始める。

……小さく視線を横に動かして、私は指示をする。

 

「…何をって、どういう事?」

「お姉ちゃんは自分を全く大事にしなかった」

「そうかな?人並には自分の事を大事にしているけど?」

 

その言葉に少しだけ視線を横に動かした耀が、小さく息を呑んだ。

…今、耀は何処まで進んでいるのだろうか。私は、それだけが気になっていた。

両親が作った生命の目録(ゲノム・ツリー)、原理は完璧でもちゃんとあっているかどうかは分からない。

何かの間違いで耀が怪物になったら…私は全てを投げ捨ててでも耀に寄り添う気だ。

例え暴走しても、私が抑えられる存在として。

 

「…」

 

けれど、最近の耀の周囲を見ればそれが杞憂という事がわかる。

…私の考えはきっと間違っている。それに、もし怪物になっても何とかなってしまいそうだ。

十六夜君が居れば、きっと何とかしてしまう。

耀を“楽に”することも、暴走を抑える鎖になる事も…彼には容易な事なのだろう。

けれど、私は違う。

私がそれをやるには、人間を止めないといけない。

けれど人間を止める事だけはしてはいけないと、私の奥で何かが喋りかけるのだ。

そんな板挟みが私を襲って、私はどうすればよいのかわからなかった。

 

「ねぇ。耀」

 

だから、私の代わりに耀を守ってくれる人が必要だ。

私は何時か死ぬ。けれど耀はきっと生き永らえる、それが生命の目録(ゲノム・ツリー)のお陰じゃないとしても…きっと耀は生き永らえてしまうのだ。

…天寿を全うするかはわからない。でも、一つだけわかる事がある。

きっと私は、天寿を全うする事なく死ぬ。

 

「どうしたの?」

「耀は、私に生きていて欲しい?」

「…どうしてそんな当たり前の質問をするの?ねぇ…」

 

その言葉と同時に、私の近くまで来た耀が私の喉を掴む。

…瞬時に指示を出す事すらできず、私は瞬きをするだけだった。

けれど若藻は見えていたのだろう。私の方を見て小さく首を傾げた。

……きっと、どうするか問いかけているだろう。

だから私は必要最小限の動きで首を横に振った。

それを見た若藻は私に対して苦笑した後に…ゆっくりと此処から離れていった。

 

「お姉ちゃんも、私の前から消えるの?」

 

その言葉は、きっと痛みが伴っていた。

…耀はお父さんが消えた日から、私に依存をし始めていた。

勿論最初はそれを抑える様に行動していた筈だ。

 

「……ううん。一緒に居れる時は居るよ」

 

だけど、何時からか私が依存をしていた。

木乃伊取りが木乃伊になるという奴だ。昔そんな事を言いながら自嘲していた気がする。

 

「…そうだよね。お姉ちゃんはずっと一緒に居てくれるよね」

 

その言葉には答えられない。

きっと私は何時か死んでしまうから、そしてそれを伝えれば耀は私を飼うだろう。

白い部屋(病室)に、暴走防止の手錠を付けてあの時の様に。

…そうすれば、私が耀を守る事が出来ない。

耀は守られなくてもきっと天寿を全う出来る、だから…私はきっと居なくても良い筈だ。

 

「だから…私が傍に居る間は、耀の事を守るよ」

 

何処までも自己満足の言葉が、私達の脳に届く。

-力が欲しい。▽

耀を守れる力が、私の全てを犠牲にしても守る為の力が欲しい。

 

「……本当?」

「本当だよ」

 

けれど、今の私達(付喪神)にそんな都合の良い力はない。

何処までも自己満足で壊し殺す為の力しか私の身体には宿っていない。

だから…

 

「うん。その為にもっと頑張って…力を付けるんだ」

「……そっか…」

 

私は手を伸ばして、耀の頬を撫でた。

…それに微笑んだ耀を見て私も頬を緩ませ…そしてゆっくりと抱きしめられた。

 

「…嘘つき」

 

耳元で囁かれた耀の声を、聞かない振りして…私は小さく目を閉じた。




次回から原作ルートに戻るので失踪します。


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26話

ノムリッシュ翻訳で死ぬ程笑ったので初投稿です。


はい。よーいスタート。

姉より強い妹が活躍するRPG、はーじまーるよー!

前回は春日部ちゃんに絡まれてさっさとコミュニティに戻った所ですね。

 

…さて早速ですが、此処で片腕が切られている事のメリットを説明します。

今回片腕を斬られた理由は、別に走者がガバったからではありません。格上の戦闘で重症化したり、腕や足を斬られると一定期間コミュニティからの外出を禁じられるんですね。

…と、言っても“ノーネーム”では速攻で治りますが…それはそれです。

そもこの世界で治療恩恵(ギフト)と言っても千差万別、確かに“ノーネーム”が持っているのはかなり高位の恩恵(ギフト)ですが、それでも血は増えません。

なので約三日程のコミュニティの外出禁止を命じられるのですが…今回はそれを利用します。

この期間を外出禁止で過ごす為、当然ながら恩恵(ギフト)の徴収等はいけません。

なので必然的に九十九ちゃんは負けてしまいます。当たり前だよなぁ。

勿論本来は十六夜君がこれはフェアじゃねぇとかなんだとか言いますが、それはそれ。格上の相手と戦った事を自慢しましょう。

そうすればこのように…

 

「ほう?つまりお前はめっちゃ強えぇ敵と戦ったのか?しかも、ルール無用で?」

 

となる訳です。

まぁ実際はルールを読まずに捨てたのでルール無用ではないんですがね。

…まぁ、ルールに用が無かったのは認めますけど。

 

「あー、残念だなー?不慮の事故で怪我を負ったのなら兎も角格上の相手と戦って負傷だったらしょうがないなー?」

 

という感じで、勝手に九十九ちゃんが戦えない様なフィールドが出来上がる訳ですね。

…勝ったな(慢心)

 

「…じゃあ、お姉ちゃんと私で一緒に…」

 

は?(憤怒)

ちょっと一緒に組まれると面倒なんですけど?私の完璧で幸福なチャートが崩れるんだが?どうしてくれんの?

取り敢えず此処で春日部ちゃんと一緒になるのは不味いですね。とても面倒です。

なので急いで却下しようと思いましたが…正直何も拒否できないんですよね。

此処でもし春日部ちゃんの意見を拒否しようとすれば、こいつコミュニティに何もしないのかと思われます。

なので此処は受けるしかないんですけど…でも受けると自由時間が減るんですよね。

更にはランダムイベントも重なると更に面倒な事になります。其処までちゃんと春日部ちゃんが“生命の目録(ゲノム・ツリー)”を操れてない以上…高難易度だと最悪死ぬ可能性も出てくるんですよね。

…いやまぁ、ヒロインならちゃんと補正付けろって話ですが、この世界で微小の補正は何の役にも立たないので。

やっぱり世界を救うぐらいの補正が必要ですね。必ず生き残る為には。

 

「それじゃあ九十九さんは耀さんと一緒に組むという事で良いんですか?」

「…負けた時には私達がお留守番?それだと耀が可哀想じゃない?」

「一対一対二なんだから別に良いんじゃないか?」

→少しだけ厳しめに言う。

 何も言わずに受け入れる。

 

此処は少しでも自分の意見を喋りましょう。

自分の意見を言う事で少しでも自己誇示欲を上げて置き、最終的に一人で行動する事が重要です。

じゃないと普通に覇者の光輪(タワルナフ)に焼かれたり、分身体に殺されたりするので(21敗)

と言っても死ぬのはステータス不足による物ですがね。

…一つ言うと、アジ=ダカーハには三種類のルートがあります。

 

先ず一つ目はごく単純、アジ=ダカーハとの戦闘に参加できないルートです。

この場合はコミュニティの防衛(ログの一文が出るだけ)を任され、そのままエンディングに進みます。

此方はあれですね。最弱の分身体を一体でも倒しきれないorそもそもステータスが足りない場合のみに分岐されます。

なので見た事のある兄貴は居ないでしょう。

 

二番目は分身体を倒したりするルート、所謂露払い役になりますね。

こちらの場合は居る場所やキャラによって変わりますが…一番多いのは分身体を倒す仕事ですね。

珍しいのだと黒ウサギを守る仕事、何ならマクスウェルの悪魔と戦うルートもありますがそちらは長いので行きません。

なので基本的に春日部ちゃんや飛鳥ちゃん、ウィラちゃんの傍に居ない事が最適です。

因みにこちらのルート分岐は分身体を五体以上倒すorアジ=ダカーハを傷つけられないになります。

今まで走った感じではこんなルート分岐だった気がします。

 

三番目は皆さんご存知、アジ=ダカーハを倒すルートです。

こちらは自由参加になりますが……ステータス次第では強制になります。

こちらの場合は分身体を倒した数が1体以下である事、ステータスがかなり高い事、更にはアジ=ダカーハに目を付けられている事が分岐条件です。

こちらは検証不足ですが、一応調べた限りはこれであっていると思います。

 

もし間違っていたら報告するか非公式攻略wikiを編集していただけると助かります。

(因みに走り終わってるので今回は変わら)ないです。

 

「…分かった。其処まで言うんだったらいいぜ」

 

という訳で今回は納得して頂けた様ですね。

こいつら納得しやすいな。デレ期か?

私が今まで走ったキャラだと、結構信頼度が低かったのか説得してもあんまり納得しなかったんですよね。

 

と言った所で、今回は此処までにしたいと思います。次回はお留守番・お留守番・女王襲来の三本でお送りしたいと思います!

では諸君、サラダバ!

 

 

Q.ホモ要素が少なくない?A.(久々のRTAだから)当たり前だよなぁ?

 

--------------------------------

 

「……」

 

小さく身体を揺らし、私は治療が完了した腕を動かし始める。

…何時も思うが、この治り方は異常なのではないだろうか?

 

「…全く。今回は白夜叉様がご慈悲で最高位のギフトを貸して下さったからよかった物の…普段の工房では無理難題な傷だったんですよ!?」

「反省してまーす」

「は・ん・せ・い・する気が全くなぁぁぁい!でございますよぉぉ!!」

 

怒ったり泣いたり、忙しい黒ウサギだなぁ…なんて考えながらも私は甘んじてハリセンを受け入れる。

まさか普通にギフトゲーム行った私が返ってきたら片腕失ってたとか吃驚するに違いない。

…今回は何故か白夜叉が力を貸してくれた。凄く苦々しい表情を浮かべながらこちらを見ていたが…まぁ、気にしない事にする。

 

「…むぅ。今回は白夜叉様からも詮索が禁じられているんですよね…本当に聞いちゃ駄目なんですか?」

「うん。…と言っても今は何もわからない状態だけど」

「……此処から、居なくならないですよね?」

 

その言葉に息を詰まらせ、私は目をぱちくりとさせながら彼女を見つめる。

…いなくなる気はない。けれどそうなってしまう可能性はある。

けれどそれを伝えた時……

 

【-私は鎖で繋がれ-小さく誰かが微笑む-幸せな終わり(バッドエンド)は近い。】

 

小さく、ノイズが走った。

警告なのか、それとも何かの可能性か…でも、私が捕まる未来が見えた。

それはこれからの暗示?それとも……女王?

 

「九十九さん?」

「…ごめん。収穫祭についてなんだけど」

「はい!何なりと!」

「……収穫祭の時は、此処って誰が守るの?」

「…あや。いきなり其処を言われてしまいましたか。私的には祭りの中身を聞いてほしかったんですけどね…」

 

小さくウサ耳が垂れ…

 

【-本当に仕方ない方ですね-私が全部教えてあげます-幸せの始まり(バッドエンド)はすぐ近く】

 

もう一度ノイズが走り始めた。

…この一言でも、未来が変わっていった気がした。

かなり鮮明に変わった。先程私の目の前に居た存在も分かってしまった。

私は……もしかしたら……

 

「そうそう。収穫祭は食べ物も美味しいんですよ?レティシア様が言っていましたが…」

「……黒ウサギ?」

「…?どうしました?」

 

小さく、鉄が擦れる音が聞こえてしまった。

…このままいけば私は…捕まるのだろうか?それともそれは早計で、私は見た夢は全く偽物の……

 

 指摘をする

→指摘をしない。

 

「…何でもない。それよりも収穫祭の最中は此処に残らせてくれない?子供達とも遊んでないから…ね?」

「……ふむ」

「…って、子供達は忙しいもんね。それだったら……」

「ああいえ。子供達は暇を見つけては仕事を探すので束の間の息抜きなら…じゃなく、それを伝えた所で皆さんが納得するか…何ですよね」

「…怪我の事をそれとなく伝えて見る?」

「それが一番ですかね?」

 

小さく、目が澄んだ色に染まっていく。

…それと共に、私の脳内のノイズが消えていった。

どうやら危機は去ったらしい。その事に私は少しだけ安堵の息を吐く。

 

「……」

「どうしたんですか?」

「ううん。こっち見て、黒ウサギ」

 

私の言葉に従って、黒ウサギが首を傾げてこちらを見下ろす。

…普段は少しだけ背伸びをしているが…今回はしてないからそのままの視線が楽しめた。

私は優しく黒ウサギの頭を撫で、頬を撫でてから…小さく微笑む。

 

「うん。やっぱり黒ウサギはその目が一番格好良いよ」

「…目、で御座いますか?」

「そう。優しそうで、格好良くて、強くて、でも少しだけ弱くて……不思議でとっても素敵な目」

「あ、あやや…直接褒められると何か照れますね…」

「…そう?」

 

小さく私が首を傾げれば、少しだけ嬉しそうに微笑んだ黒ウサギが私の頭を優しく撫でてから…私を押し倒した。

…そしてじっと私を見つめ…私の両足の間に自分の足を入れる。

そのまま私を上から見つめるのを見て…私は思わず微笑んでしまった。

 

「…ふふ、今の黒ウサギ。狼さんみたいだね」

「…………それも、良いですね」

 

-------(ノイズが走った)

 

今までで一番のノイズが走るのと同時に……小さくノックの音が聞こえた。

…それを聞いた黒ウサギは小さくため息を吐いた後に…今までと変わらない笑顔で微笑む。

 

「はい。どうぞ?」

「耀です。お姉ちゃんの様子と…これから収穫祭に関しての会議をするって」

「…耀さんでしたか。少しお待ちくださいね?今から行きますので」

 

その言葉と同時に、耀が離れていく気配がし…私はゆっくりと起き上がった。

…そして優しく微笑んだままの黒ウサギの手を握って、私は小さく微笑みかける。

 

「いこっ?黒ウサギ」

「…はい。離しませんヨ?」

 

その言葉に違わず…会議中の黒ウサギは、ずっと私の手を握ったままだった。




未だにラスト・エンブリオの7巻が買えないので失踪します。


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クチナシの花

思ったよりも考えるのに時間が掛かったので初投稿です。


はい、よーいスタート。

そろそろ人間の身体だと限界だけど、人間の身体じゃないとラスボスが倒せないRTA。はーじまーるよー!

 

前回はお留守番を任された所からのスタートですね。

一応此処からずっとコミュニティに居る事が確定するのですが…その前にまだやるべき事があります。

コミュニティに一番利益を齎すのは誰だ!チキチキギフトゲームレース(ポロリもあるよ!)ですね。

 

今回はこれをしなくても良いと思ったんですけれども…まぁ全員が利益を求めているのに自分だけやらないのもどうかと思いまして。

…はっきり言いましょう。これをやらないと全体の好感度が下がります。

但し今回だと条件がちょっとだけ厳しいです。

良い物を取り過ぎると禍根が出来ますし、逆にゴミみたいな物を取ると全体からの評価が大変な事になります。

なので本当はやりたくなかったんですが…私がやった限りでは回避方法は無い様です。

もし見つけたら教えて下さい!なんでもしますから!

 

「…」

 

さてそんなこんなで現在九十九ちゃんは座禅をしています。

…ちゃんと意味はありますヨ?まさか放置し過ぎて座禅をしだしたとかではありませんヨ?

まぁ一応座禅すれば精神が鍛えられたりしますし無駄ではないんですが……正直そんな時間は無いんですよね。

何故かというと、一応九十九ちゃんも十六夜君と同じように出禁にされた店が多いので…先ず周囲のギフトゲーム全制覇も余り意味はありません。

そもそも旨味もありませんしね。適当にやった所で意味がありません。

更に大変なのは近くのギフトゲームレベルでは評価が下がる点です。

は?(憤怒)と思った視聴者兄貴もいるでしょうが、実は最下位になると主人公限定で評価が下がるんですよねー。

…あほくさ、辞めたらこのRTA?

 

「…九十九さん?何しているんですか?」

黒ウサギの声が聞こえ、私は思わず振り向いた▽

 

あれ?どうして此処に黒ウサギが居るんですかねぇ?(微ガバ)

本来なら十六夜君と一緒に水蛇の試練を見ている筈なんですが…まさかサボタージュか?

 

私は首を傾げて問いかけた。十六夜君と一緒じゃなかったのだろうか?▽

「…十六夜さん…でございますか?」

そうだ。朝意気揚々と出ていった十六夜君が居ない。▽

何か問題があったのだろうか?と問いかけると、…ああと黒ウサギが微笑んだ▽

「戦歴で言えば俺よりヤバい奴が、俺より不利な条件で戦っているんだ。手伝ってきたらどうだ?って言われまして」

 

…ん?(チャート分岐表確認)……あ、やっべ。

確かに高難易度のギフトゲームを一人でやったり、魔王と撤退戦したり色々やってますねこの娘。

一応戦歴が一定以上になるとこの様に誰か一人付いてくるんですが…今回は十六夜君よりもかなり戦歴が良かったので黒ウサギを渡された様ですね。

 

「…それで、今回は何をする気なんです?」

彼女が小さく首を傾げるのを見て、私は小さく首を横に振って何もしないと伝えた▽

それを見た彼女はもう一度首を傾げる▽

 

そういえばこんな選択肢もありましたね。(ガバ)

先だって何もしない事を伝える事で一応好感度低下を防げる事が出来ます。

という事でささっと今回は参加しませんよーって事を伝えておきましょう。

 

「…そうですか。白夜叉様から良いギフトゲームを紹介して貰えたのですが…」

その言葉を聞いて、私は少しだけ目を瞬かせた。▽

どうしていきなり白夜叉から依頼を貰えるのだろう?▽

 

おっと白夜叉からの依頼イベントですか。

…今回の依頼の件にしてはかなりきな臭い気配がしますね。

というのもこれ、前回に引き続いてクイーンからの依頼の可能性が高いんですよね。

一応このままだと“ノーネームの為に何かをしたい”というあやふやな願いの下、年中無休で女王の奴隷(寵愛の騎士)に変身する事になります。

何処かの白い畜生よりも非道な行いするよなお前な。

それを防ぐ為にも断りたいんですが……

 

「……」

彼女は目を潤ませて悲しそうな顔でこちらを見つめている。▽

断るのは心に来るし、こちらとしてもとても美味しい話だが……▽

→喜んで受ける。

 申し訳ないが断る。

 

此処は心のままに受け取っておきましょう。

…因みに断ると精神にダメージを受けて、最終的に何でもホイホイ受けてしまう駄目人間になってしまいます。

なので此処は可愛い黒ウサギちゃんに免じて依頼を受けてあげましょう。

 

「本当ですか!?良かった……」

黒ウサギは安堵の息を吐いて嬉しそうに微笑んだ。▽

…それを見て私は少しだけ心が温かくなった。▽

 

さて白夜叉からの依頼ですが、この場合原作で十六夜君が挑んでいた水蛇の試練か他の依頼の二択です。

割合で言うと水蛇の方が高いですが…この時間だともう水蛇の方は売れているでしょう。

その場合はランダムな依頼を受ける事になりますので、最悪な依頼を受けたら速攻でリセットしましょう。

RTAでリセットするのは様式美なので…二回までならまだ自己ベスト更新狙えますね。

と言った所で今回は此処まで、次回こそコミュニティで不貞寝する回になります。

では諸君、サラダバ!

 

 

---------------------------------

 

「お主なら……ふむ、この依頼くらいが丁度良いと思うぞ?」

 

そういって手渡されたのは、一つの紙だ。

…と言っても、手渡された紙には何も書かれておらず、私は思わず首を傾げた。

それを見て満足そうに微笑んだ白夜叉が小さく手を叩くと…其処から幾何かの時間が流れだした。

 

 

「…えっと?」

「此処は五桁のサウザンドアイズ支店。確かお主は……魔王を倒したい(自分を強くしたい)という願いを持っていたな?」

「……あれ?そう…だっけ?」

 

何かに違和感を持つ気がするが……特に違うとも言えず、私は唯首を傾げるだけだった。

…そもそもの願いは何だったのだろうか?

何かあった筈なのに、それすら思い出せない。

 

→思い出せないから、仕方ないと諦める。▽

 

そうだ。

思い出せない事は確か重要ではないと誰かが言っていた筈だ。

仮に大事な事だったら後で思い出せる筈だ。

 

「…そうだね。ありがとう白夜叉」

「うむ。お主は常日頃から沢山の依頼を受けて貰っておるからの。これくらいしないと…な?」

 

その言葉と同時に、私は誰かに連れていかれる様に何処かに向かって歩いていく。

…知らない土地、知らない大地。

此処が何処かも分からないのに、制止の声をふり切って走り出す。

 

「…っ」

 

何処か昔を思い出す建物を抜け、周囲の景色は草原へ。

草原から山へ向かい…そして其処から色が一色、抜け落ちた様に消えていく。

私はその事に気付きながらも、唯何かから逃げる様に何処かに辿り着いた。

 

「…ぁ……はぁ…」

 

小さく息を整えながら、私は周囲を見渡す。

…景色は特に代わり映えしなかった。色とりどりの花が咲いているのを見ながら…私は少しだけ首を傾げる。

……此処が、私の目指していたゲームの開催場所なのだろうか?

周囲を眺めても何処にも参加者や主催者は居ない。

…やっぱりあのサウザンドアイズの店主さんからの声を聴くべきだっただろうか?

そんな事を考えながら、私は紙を見つめると…

 

『ガーデニアの少女

 

一つ、貴女は既に狂った存在である。解き明かす事も出来ず、過去を知る事は出来ない。

year2.貴女は何処かで狂った生き物である。それは狂わせた本人達しか知らず、貴女は“白”を好まない。

(ねん)に私達は来た。漸く育てた貴女を、私達は待っていた。

 

二回の屈折を越え、一度の閉鎖を終わらせた貴女は…動く生きる神!

 

そう、貴女こそが……』

 

「…貴女()こそが、愛するべき者()である……?」

 

新しく書かれていた文字を読み進め…私は小さく首を傾げた。

…確かに私は農場に興味を持っているが、だからと言ってガーデニアに手を出す訳では……

 

「…あれ?」

 

そんな事を考えていた時、紙がどんどん黒くなっていくのが分かっていく。

…その事に少しだけ首を傾げながらも、魔王からの挑戦に内心ワクワクが止まらなかった。

前回の魔王戦は結局逃げる事だけで終わってしまったのだ。

……けれど、今回のギフトゲームにはヒントと呼べる物が殆ど無い。

 

「…ガーデニアの少女、……クチナシ?」

 

小さく頭に思い浮かんだ事を喋りながら、私は小さく紙の文字を指で擦っていく。

…それと同時に、私の傍には何人かの少女が立っていた。

 

「…時間は、巻き戻る。此処はそういう場所」

「幻術であれば、時間は掛からない。けれど幻術は幻術。きっと偽物は偽物」

「貴女は過去に戻る?それとも、幻術でありもしない物を見るの?」

 

私の周囲の少女達が、嬉しそうにこちらを見つめながら喋りだす。

…それと同時に、私はゆっくりと一人の少女を見つめ続ける。

 

「…何をしてるの?若藻」

「ふふ……私に気付くとは流石ご主人…ですが今回私は唯の舞台装置。その様に設定しましたので……貴女様は何もせずともクリア出来ますよ」

 

その言葉と同時に、くるくると周囲の少女達が廻りだす。

その少女達は私の身体に優しくキスをすると…翼を生やして私の身体に同化していく。

それを見ながら…私はゆっくりと瞼を閉じ……そして私の頭の中に入っていた記憶が…入れ替わった。

 

【これは天国の植物。これを一年ずっと育て続け、そしてその花弁にキスをしてください】

-一人の貧乏な少女に、一人の天使が現れてそう言いました。

-少女はその言葉を真に受け、一年間水も食べ物も食べずに唯育て続けました。

-けれど、貧乏な少女はその育った花を見ることなく死んでしまい…天使がやって来た頃にはもう…少女の魂は天に昇っていたのです。

 

【どうして?どうしてこうなってしまったんでしょうか!おお、偉大なる神よ!】

-天使は少女の魂を抱きしめながら、ずっとずっと泣き続けていました。

-…その時です。一匹の悪魔が、優しく話しかけてきました。

[おお、天使さん天使さん。純粋そうな魂を持っているね。一つ私に預けて見ないか?代わりにその魂の憑代を授けよう]

-別れを経験した天使は、その言葉に乗ってしまいます。

-悪魔に魂を渡した後、彼女の抜け落ちた羽根は少しだけ黒ずんでいました。

 

その言葉と同時に、私は何もない白い部屋に閉じ込められる。

…そして目の前には、黒ずんだ羽根ペンとニコニコとこちらを嘲る悪魔の影。

 

-少女は蘇り、自分の仕事を理解しました。そして今度こそ花を育て上げます。

-それを見た天使は大喜びで少女の向こうに行きましたが、少女は小さく首を振りました。

「『私の下へ来た天使さんは、そんなに黒くなかった』」

-それを聞いた悪魔は爆笑し、元々の天使の身体に大変身!それを見た少女はにっこりと笑いながら…悪魔の下に行ってしまいました。

【違う!ソレは私のモノだ!返せ!返せぇ!】

-怒った天使さんは、自分の羽根がどんどんどんどん黒くなっていくのも気にせずに地上を駆け巡りました。

-全ては少女を手に入れる為に……所が…

 

『外の人間達は、それ所では御座いませんでした』

 

場面は変わって、私の周囲には人だかり。

空に天使が飛び交い、何処へ行ったあっちへ行ったと大忙しで飛び回る。

…それを見た人達は空に指を差しながら大慌てで喋りだす。

 

-外では民衆が大慌て。だって自ら天使を名乗った存在が空を飛び回っているのですから。

-それを見て、やはりキ〇スト教が正しかっただとか色んな所で宗教戦争!けれど天使さんはそんなの気にせず今日も今日とて大忙し!

-神様のお仕事もせずに、堕天使としての烙印を押されても…天使さんはずっとずーっと彼女を追いかけていました。

-…そして。

「『…そうなんだ…ごめんね天使さん。黒い羽根もとっても格好良いよ?』」

-そう言って微笑んだ少女を見て、天使さんは二度目の恋に落ちました。

-天国で培った技術を応用して、悪魔と一緒に魂の輪廻を弄ってしまった天使さん。

-結果的に貴女の世界には大量の魂が溢れかえる事になってしまいました。

 

視界が揺らめき、人影から小さな灯りが見える。

…それは少年であったり少女であったり…老若男女問わず様々な存在の“記録”が映っていた。

 

-そして天使と悪魔を連れ、外に出た少女は……そう、神として崇められる事になりました!

-それがこの箱庭で言うギフトゲーム“天国で咲く花”をクリアした少女へのご褒美となったのです。

-彼女の為に歴史の転換期(パラダイム・シフト)は起こり、彼女は全ての世界の信仰を一点に引き受ける事になったのです。

-…そう、その時に起きる筈だった出来事を全て無視して。

 

その言葉と同時に、今度は薄汚れた一人の青年が現れる。

…何処かで見覚えがある様な、無いような…不思議な感覚を感じながらも、物語を見続けた。

 

「こんにちはお嬢さん。黒色のクチナシなんて珍しい物を持っているんだね」

『こんにちはお兄さん。此処では普通のクチナシだよ?』

「そうなのかい?所で君は白色が好きなんじゃないのかな?」

『どうして?“私達の天使は黒色なんだから”黒が好きに決まってるじゃない』

-彼は過去に箱庭に飛ばされ、そして箱庭から飛ばされた青年でした。

-だからガーデニアの少女に付いてある程度は知っているでしょう。

-…だからこそ、狂ってしまった少女ととあるアイテムを使えば、歴史の転換期(パラダイム・シフト)を起こす事も、可能だと考えてしまいました。

-彼は知識と行動力があり、そしてコレクターとしても有名な“      ”のメンバーでもありました。

「…そうなのか。所で君は…付喪神を知っているかい?」

『付喪神?』

「そう。神様だ」

『私以外の神様?面白そう!教えて教えて?』

-少女が嬉しそうに聞くのを見て、男は成功したと微笑んだ。

-此処で歴史の転換期(パラダイム・シフト)を起こせば箱庭に検知される可能性が出てくる。他の仲間も気付いて助けてくれるかもしれない…そんな事を考えながら。

 

場面は変わり、其処には一人の少女が……いや、私が嬉しそうに微笑んでいた。

…そして、ゆっくりと私は“自分”を切り分けて様々な物に入れていく。

その度に悲鳴が上がったり、天使さんが様々な事を言う気がするが…私は気にせずに大量の付喪神を作った。

 

-作った付喪神達は、彼女に感謝をしました。

-どんな石ころでも彼女が拾って分け与えればあら不思議。完璧な付喪神の完成です。

-…それを見た男は嬉しそうに微笑み、彼女にとある曲を聞かせました。

-その曲はとある金髪の少女が歌った、世界を変える程の霊格を持った歌。

-彼はそれを世界に轟かせるべく、とあるアイテムを使って山彦を起こしました。

 

『この曲は…とても良い曲」

「そうだろう?」

「最後にこんな曲を聞かせてくれてありがとう」

 

そう言いながら少女()は、小さく男に手を当てて……

 

-------------------【ゲームクリア】----------------------

 

今後ガーデニアの少女“付喪神”の所有権は、“春日部九十九”が所有します。

 

-------------------【ゲームクリア】----------------------

 

閉鎖世界(ディストピア)”“春日部孔明(ノーフォーマー)”の双方によって、ガーデニアの少女“付喪神”の能力は封印されました。

 

-以降この世界は“閉鎖世界(ディストピア)”を乗り越えた世界としてカウントされ、観測不可能の世界に切り替わります。




自分のキャラを掘り下げただけなので失踪します。


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九十九ちゃん0歳0か月2秒

年跨いだので初投稿です。


はい、よーいスタート。

 

世界で一番遅延するRTA、はーじまーるよー!

前回は主人公の九十九ちゃんが本来の姿を思い出して漸く人生スタートと言った所でしたね。

 

という事でさっさと収穫祭イベントを進める事にしておきましょう。此処で考える事は最下位にならずトップにもならない事です。

つまり山羊≦ウィルオーウィスプ製キャンドルホルダー≦自分の戦果<利権書にならないといけないという事ですね。

此処で面白いのはこのゲームはコミュニティの利益にならないと戦果は0になるという事です。

 

例えば此処で提出したのが自分専用のギフトの場合、コミュニティの利益になる可能性はありません。

勿論自分の強化でこれからのコミュニティの利益になる可能性はありますが、残念ながらそれを幾ら押した所で戦果は0なのです。

こういった場面で戦果を持ってこれない奴が自分を強化した所でどうしようもないというのが理由でしょうかね。

逆に利権書を超える物を用意するにはどうするのか?というのがあります。

 

例えば現在は見つかっていないアインシュタイン、若しくはその子供を見つけ出してとあるギフトを貰う。(難易度は滅茶苦茶)

ギフト“千の魔術”を手に入れる為に数多のギフトゲームを制覇する。(時間制限滅茶苦茶)

未知の技術を開発し、質量保存の法則を打ち破って真の永久機関を開発する。(リアル知識と箱庭知識、更には複数のギフトと付与する技術が必要)…等々、私がやった感じではこれぐらいで利権書に勝てますね。

勿論これらのギフトゲームは長年箱庭RTAしてても普通に失敗する可能性がありますので普通なら不可能と思っていただいても構いません。

 

というのを説明をしておきつつ、走者である私の姿を見てみましょう。

現在居るのは白夜叉から案内されたギフトゲームを受ける場所で、此処に居る人間に話しかければ普通の知識ゲームを受ける事が出来ます。

という事でさっさと奥に行きましょう。

 

「……何」

彼女からとても強い気配を感じる。▽

 

因みにとても強いというのはとても強いという事です。

簡単に言うと自分のステータスが全て大幅に負けている状態です。相手も舐め腐るレベルですね。そして此処に居る彼女に対して言える事は三つです。

無抵抗で首を差し出すか、必死に命乞いをして唯死ぬか。

 

「…貴女は真実を知っているか」

「合言葉を。問いに答えを、それ以外は死である」

「……オケアニデス」

「挑戦を受け取ろう」

 

彼女達の名前を言って挑戦をするか。この三つです。

勿論負けても死ぬのでこの挑戦はしっかりと頑張りましょう。因みに目の前の人はオケアノスの娘で後2999人位いるそうです。まぁ何匹かは死んでますけどね。

オケアノスを知らない人は真実の口を見れば分かると思います。あいつです。

 

「…それでは勝負を開始する。知識はどうだ?」

「……」

小さく頷くのと同時に、彼女は上から落ちてきた紙を掴んで私に渡してきた。▽

さて、報酬はどれほどだろうか?▽

 

此処で考えるのは報酬では無いです。何故ならこれは中間地点なので他の奴に渡す事が確定しています。

 

「貴女に与える物は水を自由に扱える加護。どう?」

 

加護は基本的に外れですが今回はあたりです。

という事でここら辺は早送りでやりましょう。何故なら此処は3000人のオケアニデスを言うだけなので。

唯覚えて言うだけなら適当なロボットでも出来ます。此処は余裕ですね。

 

「おめでとう。貴方は我が父を凌駕した」

 

どうやら彼女達の父親は子供を産み過ぎた結果子供の名前を忘れたらしいです。

ばっかじゃねぇの?(嘲笑)(というか三千人も生んでたら)当たり前だよなぁ?

此処で貰える加護は今から速攻で加工しに行きます。

という訳で今から元ペルセウスに会いに行きましょう。此処でやる事は時間の確認です。

実は此処の時間はかなりシビアで、もし此処で時間手前だと不貞腐れたペルセウスに会ってしまい唯の時間のロスになります。

逆に時間後だとジャックに扱かれているので会えません。そしてこの間が僅か30分程度なので早めに行かないとリセットしなきゃいけないんですよね。

という事で白夜叉にウィル・オ・ウィスプに向かいましょう。

 

「……なんで俺がノーネームの道具を作成しなくちゃいけねぇんだ」

「ほら!さっさと作れ!そのギフトが役に立つ時が来たんだぞ!?」

「…糞がぁ!」

前に何処かで見た様な人が私の為に何かを作ってくれている。▽

……コミュニティの利益になるかな。▽

 

そんな事は一切無いので次です。さっさとそれを奪い取って一人の男の下へ向かいます。

ここら辺は本格的に忙しいのと、本来はいけない所ですが…今回は特例で何とかなります。

という事でさっさと道具を取ってウィル・オ・ウィスプから離脱。そのまま急いで五四五四五外門に連れて貰っていき、そのまま火山に近づいて先程作った水の加護を取り付けた道具を取り出します。

 

『…オ…オォ……ダレダ…!ミズヲ…ツカウモノは…!』

「私だよ」

『…そうか。貴様は…ハルワタート?…いえ、貴方は?』

「九十九」

『不思議だ。君とは初めてあった筈なのに、何処かで何度もあった気がするよ。……どうしてだろうか?』

 

何ででしょうね。(すっとぼけ)

勿論セーブデータを何回も上書きした所為です。これから走る皆さんはちゃんとデータを消してからスタートしましょうね。

…さて、この人に会いに来た理由はアジ・ダハーカを倒す為の道具を取りに来た為です。

此処では幾つかの道具と装備、後は知識を詰め込まれた物を用意されます。

 

『……成程。此処で眠った筈の僕の直ぐ横では、宿敵が眠っていたのか』

「…宿敵」

『そう。アジ・ダハーカは僕の宿敵だ……光輪を手に入れられた。あの日まではね』

 

はい。

彼はアジ・ダカーハと光輪を奪い合った宿敵、アータルです。

因みに彼は邪悪を絶対許さないマンな神様で、「もしお前が喰らうなら口の中で燃えて地上に来させない様にして世界壊させない様にしてやるからな」という位の犠牲マンです。

……まぁ、アジ・ダハーカに倒されたんですけどね。

 

『あの日。僕は後世の為に彼を殺す心算だった。……この命を懸けてもね』

「…」

『だが光輪を手に入れたあいつには歯が立たず……結果として一人の少女に頼る事になってしまってね』

「…死んだの?」

『…そうだね。僕はもう死んでしまった……だが、まだ終わってない(・・・・・・・・)

 

はい。此処で一旦ストップ。

此処で贈られる中身について色々説明したいと思います。

先ず初めに贈られるのが、邪悪特攻の稲妻の剣と壺の中で延々と燃えている火ですね。

この火はウィル・オ・ウィスプ用のキャンドルホルダーに入れます。

さて、此処で博識な兄貴達は疑問に思うでしょう。

悪霊と亡霊のコミュニティ(ウィル・オ・ウィスプ)”が作った道具を、闇を払うものとして崇められていた火を拝火教の“火の神(アタール)”が渡した物を使って大丈夫なのか?

 

答えは簡単で、聖人と認定を受けた“ジャック”が作った物なので大量の道具に火を分配させればギリギリで耐える事が出来る。といった所です。

例えばこの火の下にペストちゃんを近づければ普通に焼け死にますが、料理を作ってる間はプスプスとする程度で何とかなると言った所です。

因みにこれはレティシアちゃんにも適用するお話です。といってもアタールは中級神なので火の下に近づけても死にはしません。まぁ多少弱る程度でしょうね。

 

じゃあ何故今回彼はそれを渡してきたのか?という事ですが……これがある事によって分身体が寄らなくなるんですね。

何故なら“ソレ”は本体と互角に戦ったアタールが持っている火だから、敵うはずがないと誤認するんです。……つまりまぁ、戦力を惜しまない様にという救済処置ですね。

次にミスラから託されていた恩恵(ギフト)を贈られますが…こちらは後で確認したいと思います。これもコミュニティに贈るからですね。

 

『…今の僕達ではこれが限界だ。……もし、君があの宿敵を倒すなら…』

「……」

その言葉に私は首を横に振るう。▽

アジ・ダカーハは悪だ。だからこそ人が倒せる存在ではない。▽

もし倒せる存在が居るとしたら、それは本当の善人であって私ではない。▽

『…そうか。そうだね……確かに君は、英雄になるには……』

 

はい、今回は一旦此処で終わらせたいと思います。

後は結果発表を待つだけなのでささっと帰るだけです。

 

では諸君、サラダバ!




次回は九十九ちゃん視点なので失踪します。
後問題児の二次創作更新されてないの悲しい…悲しくない?


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“太陽”-1

2021年に投稿したので初投稿です。


「…んっ……ふぁぁ…」

『眠そうですね。といっても新しい恩恵(ギフト)を手に入れた影響だと思いますが』

「……?そう、なの?」

『えぇ。ギフトカードを見たら分かると思いますよ』

 

姿だけが消えている若藻の声を聴きつつ、私は懐からカードを取り出して確認をした。

恩恵(ギフト)クチナシの黒い少女(ガーデニア)、―――――の寵愛

 

「…神性…というより、神格が消えた?」

『えぇ。あの神格はご主人様の強さを抑える為に付けた物です』

「……?」

 

私が首を傾げるのと同時に、私の身体から幾つかの道具が溢れた。

…それを拾おうとした瞬間、私の身体は大量の狐の尻尾に包まれ…私の身体は一瞬で気持ちよさに囲まれる。

 

「んんっ…」

「お待たせしました。エネルギー充電完了です♪……さて、ご主人様には幾つか言わなければいけない事があります」

「…?」

 

私が首を傾げるのと同時に、若藻は小さく苦笑する。

…それと同時に、私の身体がゆっくりと浮いてから…そのまま私をお姫様抱っこした若藻が嬉しそうに…けれど寂しそうな表情で私を見つめる。

 

「…貴女は私達にとっての神様です。枝分かれした無数の世界の一神教の主…それが今のご主人様です」

「……」

「けれどこの世界では違います。この箱庭で一神教は通用しない。…いえ、そもそも貴女の様な存在を世界は許さない。

何故なら貴女の起源はガーデニアの少女という“人間”だから。人が神になると言うのは観測されている世界ではありえない事なのです」

 

勿論、中国の皇帝という例外もありますが…という言葉を聞きつつも、私は若藻の言葉をしっかりと聞き続ける。

…もしこれを聞き逃したら、私はきっと後悔する筈だから。

 

「…だから。これだけは覚えて下さい」

「……」

「貴女はきっと、満足することなく消滅します。ガーデニアの少女に出会った天使と、本来は存在しない筈の悪魔に出会った貴女は…その身体が本来は耐えきれない量の霊格を持っています。そしてその力を知覚し、行使した時……」

 

その言葉の先を、彼女は言い辛そうにしていた。

…きっと、言ってしまえば何かが壊れてしまうと思ったのだろう。心優しい彼女だから、もしかしたら自分を傷付けると思ってるのかもしれない。

 

「…貴女の身体は己の力に耐えきれず……に、…」

 

優しく、若藻の頭を撫でながらそっか…と呟いた。

……私にそんな力が存在するとは思わなかった。何故なら記憶が無いからだ。

…そしてそれが、知覚していないという事だと理解できていた。

私の身体の奥底には沢山の枷があり、それを解除する度に私の身体はきっと崩壊するだろう。…でも、私の死程度で…人類が救えるのだろうか?

そんな考えを私は抱きながら……ふと、考えてしまった。

 

「…昔の私って、どんな感じだったんだろうね」

「……わからないです。……ねぇ、ご主人様。魔王になりましょう?今なら私の主催者権限も渡せます。私だって一端の玉藻前、魔王になるくらいちょちょいと…」

 

その言葉は、後悔を滲ませた一言だった。

…辛そうな表情を浮かべたまま、私の身体を抱きしめて……次の瞬間、私達の真後ろから少女の足音が聞こえた。

それと同時に私達は身体を反転させて、少女の姿を見つめる。……飛鳥が其処には立っていた。

 

「あら。漸く来たのね」

「……飛鳥?どうして此処に」

「御迎えよ。幾ら待っても来ない貴方達を、私が迎える事になったの」

「…」

 

 

その言葉に苦笑しつつもありがとうと飛鳥に微笑むと…飛鳥が小さく顔を逸らす。

 

「別に…それよりもさっさと行くわよ!」

「あ。まって、もう一個だけゲームしたい」

「…もう……私も付いて行っていい?」

「……長くなるかも?」

「承知の上よ。元々貴女のお姉さんと一緒に提出する予定だったから。ね?」

「…ん。わかった」

 

私の返事に若藻が苦笑しながら、ゆっくりと目的地は何処ですかと背中に指をなぞってくる。

そのくすぐったさに顔を緩めつつも、小さく頷いてから…呟く。

 

「じゃあ白夜叉のところへ、お願いできる?若藻」

「勿論です!この若藻にお任せくださいな!」

 

----------------------

 

 

「おや?今度は何の用かの?」

「……白夜叉に挑みに来た」

「ほう?それは知恵…」

「ううん。力で」

 

その言葉と同時に、冷気が私の身体を突き刺す。

世界が変わった訳じゃないし、白夜叉がギフトを使った訳でもない。

ただ。唯一度だけ私の身体を一度見つめただけだ。

 

「…ほう?それは挑戦か?それとも互いの命を懸けた決闘か?」

「勿論挑戦。命を懸けるのは……互いに難しいでしょ?」

「…ふふ。そうかそうか。……それでは少し、移動しようかの?」

 

そう言って手を叩くのと同時に、私達の身体は一瞬浮遊感を覚える。

…それと同時に私の身体がふらりとし…それを若藻に支えられた。

一応周囲を見渡すと、前回見た冷たい世界ではなく草原と川があり、暖かな太陽が空に昇ると木々が生え始めた。

 

「……今回は私も…」

「ううん。若藻の力は見せちゃ駄目。だから…」

「えぇ。其処で親の仇よりも睨んでるあの人を押さえつけておきますね?」

「……うん」

 

そういいながら去っていく若藻の背中から、目の前の白夜叉の方に目を向ける。

…戦力は十分。この地点のギフトゲームは“すべて頭に叩き込んである”。

どのゲームでも勝利は…

 

「…では、始めようぞ」

「………え?」

 

『ギフトゲーム名“太陽は何処にいる?”

・ホストマスター側 勝利条件

  ・プレイヤーの屈服・及び殺害。

・プレイヤー側 勝利条件

  ・ 伝承をなぞり、太陽を無力化せよ

・ルール概要

一、風は身を固め、太陽は全てを動かす。

二、石を投げた男は、神に出会う。

三、

 

「おや。動かんのか?それならこっちから行くぞ?」

「っ!?」

 

振るわれた拳を、私は避ける余裕もなかった。

そのまま勢いよく吹き飛んだまま、私は頭から地面にたたきつけらた。

 

「…っ…ぎ…」

「これは力の試練だ。力こそが正義として働く。頭だけを回転させている暇はないぞ?」

「…っ…」

 

よろよろと立ち上がるのと同時に、私の身体は宙に浮き……そしてもう一度地面に転がされた。

 

「……っ……ふ……けほ…」

「っ!九十九さん!白夜叉!貴方」

「黙れ。これは彼女が受けた試練だ」

「っ!何が試練よ!こんなの唯の……っ!」

 

立ち上がって、目線だけで契約書類(ギアスロール)を一度だけ眺める。

 

『ギフトゲーム名“太陽は何処にいる?”

・ホストマスター側 勝利条件

  ・プレイヤーの屈服・及び殺害。

・プレイヤー側 勝利条件

  ・伝承をなぞり、太陽を無力化せよ

  ・夜叉の力と競い合い、己が力を証明せよ

・ルール概要

一、風は身を固め、太陽は全てを動かす。

二、石を投げた男は、神に出会う。

三、娘を殺された神は、一度走ることをやめた。

 

・宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの下、ギフトゲームを開催します。

                   “サウザンドアイズ”印』

 

襲い掛かる白夜叉の攻撃を一度受け止め、腕がおかしくなる事がわかりながら考えを加速させる。

“太陽は何処にいる?”という知らないゲームの都合上、試行錯誤で答えを求めるしかない。

まさか知らないゲームに当たるとは思わなかった。箱庭の世界は広い。

まずは勝利条件から考えようとしながら、私は態と体の力を抜いて吹き飛ばされる。

それと同時に私の身体は木に当たり…木は折れず私の身体はそのまま地面にもう一度叩きつけられた。

 

「……ふっ…っ」

 

身体を無理やり動かしながら、私は一歩踏み込みながら頭を回す。

伝承はルール概要に書かれている三つだろう。此処から太陽を無力化する伝承を考えなければいけない。

…一番目、風と太陽で思いつく伝承といえば北風と太陽。コートを着ればいいのだろうか?……違う気がする。帽子を被ればいいのだろうか?

 

「っ!」

「頭だけを回すなと言った筈じゃろう?」

 

拳を振り下ろした白夜叉に対して小さく息を吐きながらも、私は蹴りを入れる。

余裕綽々そうな笑みを浮かべた彼女が私の足を防ごうとした瞬間…

 

「なっ!?」

 

勢いよく吹き飛ばされ、私の目の前から一瞬で遠くの方に着地した。

そして私の姿を見て一瞬ぱちくりと目を瞬かせた後に……獰猛な笑みを浮かべてから呟いた。

 

「その霊格に疑問を覚えていたが……おんしのソレは………ふ、ふふ…ハハハハハハハ!」

「……?」

「“九十九”」

 

白夜叉が名前を呼ぶのと同時に、私の頬に何かが走る。

それが何かも考えず、私は瞬時にこの位置から離れ……私が先程までいた場所に生えていた木に傷が付いた。

 

「戦おうではないか。ギフトゲームも、陰謀も、何も関係なしに。拳と刀を。雷と焱を。互いにぶつけ合い、競い、そして認め合おうぞ」

「……」

「我は“太陽神”!この霊格が例え砕け落ちたとしても、この身は不滅である!」

「…太陽神……そっか」

 

その言葉に、私は回していた頭に浮かんだ解の答え合わせが出来…ゆっくりと笑みを浮かべた。

それと同時に私は白夜叉からの一撃を貰い、先程切られた木に向かって吹き飛ばされた。

そしてそのまま私の身体に馬乗りになった白夜叉がゆっくりと私の顔を覗き込んだ後に……うれしそうな表情を浮かべてからもう一度殴りつける。

 

「…っ!」

 

倒れたまま両手を握ってから右手で白夜叉を殴り、今度は白夜叉が木に対して打ち付けられる。

そのまま私が距離を取ろうと離れた瞬間、白夜叉が私の足を掴んでから一気に投げ飛ばした。

 

「っ!」

 

川に落とされ、私の両腕の力が抜けていく。

血と手から零れた様々な物が私の血と一緒に流れていった。

 

「…っ!白夜叉!これ以上は!九十九が死んじゃう!」

「……ご主人様」

 

ゆっくりと、白夜叉が近寄ろうと立ち上がり、一歩歩くのと同時に……今までの空気が霧散した。

…そしてそのまま白夜叉が笑みを浮かべてから…そのまま私の身体を抱き上げた。

 

「……ふっ。結局知恵で解かれてしまったな」

「…ヒントいっぱい出してきた癖に」

「あれは友がくれたゲームだったからな。是非とも解いてほしいと思ったのだ」

「……じゃあやっぱり、これはイソップのなんだ」

 

私がそう呟くと、白夜叉が少しだけ驚いた様な表情でこちらを見つめた。

 

「ほう?…といっても流石にわかるか。やはり一つ目か?」

「うん。でも二つ目を誤解してた。最初は天岩戸の伝承かと思ったの」

 

小さく思い出すように、私は呟き続ける。

 

「でも、神様は神様としてちゃんと書いてあった。それを考えたら二番目も違うとわかった……斧を石と表現するのはちょっと狡いと思ったけど」

「あれは結構ギリギリとは言ってたな。斧と書いただけで材質は書いてないと立派な主張をしてたがな」

「…まぁ、それは放っておくとして……最後の三番目が正解ってわかったけど伝承が謎だった。イソップの童話で太陽の物を考えても出てこなかったし、私の知らない伝承かなって思ったけど…違った」

「ほう?」

 

白夜叉が嬉しそうな表情で私の頭をなでてくれる。

その暖かな手に微睡ながら、私は必死に口を動かした。

 

「“全部ギリシャ神話の神様が出てくる”という共通点が思い浮かんだ時に、白夜叉の太陽神ってヒントが聞こえたの」

「ほうほう」

「一つ目の物はアポロンとボレアスの物語。二番目は日本だと湖の女神様って書かれる事が多いけど実際はヘルメスだって聞いたの」

「そうじゃな。お主は詳しいの」

「そしたら三番目を考えるだけ。太陽で走るのを止めてしまったという事は思い浮かぶのは一つだけ。ヘリオスの神話」

 

ヘリオスは娘の死を悲しみ、一度太陽の車駕に乗らなかった事がある。そしてそれの神話を辿っていけば、答えは自ずと導ける。

 

「この世界の中にあるのは、あそこに生えているポプラの木と其処に流れている川。ポプラの木に傷が付いたときに、琥珀が出てきたのが分かったから頑張って握って川に流したの」

「……そうか」

 

…意識が朦朧とする。

ちょっと疲れてきちゃったのかもしれない。……でも、先に言わないと。

 

「…しろ、やしゃ」

「ん?なんじゃ?」

「……ないす、げーむ。とっても、たのしか、た」

 

そういいながらゆっくりと目を瞑る。

久しぶりの知らないゲームは本当に楽しかった。出来るなら、またやりたいな。

 

「…すまんの。これはあいつに言われてやった事なんだ」

「……い、つ?」

「飛鳥。頼めるか?」

「えぇ。勿論よ」

 

そう言って私の身体を優しく抱きしめてから、飛鳥がゆっくりと私の頭を撫でる。

そしてそのままゆっくりと歩く振動で眠ろうとした瞬間…

 

「なっ!?」

 

ぎゅっと私の身体が抱きしめられるのと同時に、空気感が変わった気がする。

それと同時に、急に私の身体がふわりと浮いて……そしてもう一度誰かに抱きかかえられた気がした。

そのまま、何かが飛んでくる様な音が聞こえ、私は目を見開いて瞬時に飛鳥を庇う様に身体を動かし…

 

「…あ」

 

私の肩に剣が突き刺さり、そして左腕ごと弾き飛ばされる。

…それと同時に私の視界がガクンと下に向くのと同時に…

 

「だから言ったじゃない。愛弟子なのは知ってるけど、今日連れてくるのは駄目って」

「…えぇ。申し訳…」

「いいわ。それよりも彼女を連れて行きなさい。“話される前に死なれたら生き返せないの”。わかるわよね(・・・・・・)?」

「はい。…フェイス・レス。連れて行って」

「……っ…………く…」

「フェイス・レス。返事は?」

「……はい。わかりました」

 

三人の、見知らぬ声が聞こえた。

 

-注:これより先はセーブ・ロード・リセットが出来ません-




思ったより考えるのが大変だったので失踪します。


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“太陽”-2

自分の適当な設定で首を絞めたので初投稿です


はい、よーいスタート。

セーブデータの消し忘れの所為でクイーンに目を付けられたRTA、はーじまーるよー。

 

前回はクイーンのお城に強制転移させられた所ですね。白夜叉が知ってるのかはわかりませんけど話は通っているでしょうね。

という事でさっさとお話をしに……行く前に何故“呼ばれたか”を考えておきましょうか。

因みに前回書いてあった通りここから先はゲームを落とす事すら禁止されています。クイーンイベントは大体こんな感じ。NPCの屑がこの野郎。(小声)

 

ケース1.セーブデータの消し忘れによる好感度引継ぎの結果

一応前に張り付けておいた計算式をもう一度ご覧いただきましょう。

 

Q=I^S(R*s)

----------

A

 

Qが今の世界に住んでいるクイーンの合計好感度、Iが女王自身の興味です。

Sがスカサハがどれだけ認めているか、Rが転生回数でsが初期好感度でAは顔亡き者(フェイスレス)への興味です。

 

初期好感度はゲーム開始時点で結構変わっていきます。

0(呼ばれない)

10(周りに原作キャラがいたら何とか)

20(何か不慮の事態があり渋々呼ばなければいけない)

30(呼び出し候補)

 

…とまぁ、こんな感じですね。最初の九十九ちゃんの感じで10を狙っていたのですが、手紙は二人分来ていたじゃないですか。

という事は三毛猫転移(10での巻き込まれ)までの可能性は切ります。

 

じゃあ20、不慮の事態ですね。こちらはラストエンブリオを見たらわかると思いますが、“本来なら呼ばないけど事情があって呼ばざるを得なくなった”という物です。

こちらネタバレになるので別の人物で説明しましょうかね。

“アインシュタイン”という人物は皆様ご存じでしょうか?知らないという兄貴は相対性理論の人。もしくはベロ出してる人でも良いです。

 

この“アインシュタイン”こそ不慮の事態の代表的な人間です。

簡単に言うと“アインシュタイン以外の人間”が“相対性理論”を作った場合、世界の滅亡が近づきます。

これを防ぐ為箱庭に召喚されたのが“アインシュタイン”。これは歴史の転換期(パラダイム・シフト)の一つとして数えてもいいのかもしれません。

 

ですがこれも違います。“九十九ちゃん”はあの時点では唯の付喪神に好かれているだけの少女。それは春日部孝明と閉鎖世界(ディストピア)に封印されて……封印された?

 

「…っ!?」

「あ、起きたのね九十九さ……九十九さん?」

 

待て待てしっかり考えろ。“閉鎖世界(ディストピア)”に封印されたとか訳分からない理論に何納得してんだ?

閉鎖世界(ディストピア)は金糸雀達の手によって消滅した。という事は“閉鎖世界(ディストピア)”が九十九ちゃんを封印する方法なんて不可能の筈……いや待て。黒死病はその時発生したのか?

確か“閉鎖世界(ディストピア)”の再発の可能性は……“ガーデニアの少女”の年代は不明だけど天使という単語が出てくる都合上年代自体はかなり前の筈。

つまり大雑把に年代を組み合わせた場合……

 

ガーデニアの少女→九十九覚醒→黒死病→孝明

 

この順番の場合、九十九ちゃんのイベントを見ると天使と悪魔がうろうろする時代に病気が蔓延するとは思えない。………まて、そうなると“九十九の世界は何時枝分かれをした?”

正しき世界線をI、あり得た筈の世界線をA、ある筈だった世界線をY、そして九十九ちゃんがいる世界をtで考えて、世界線Yをtに吸収して……I.A.tの三つで交差する場所を……そうかアインシュタインか!

 

九十九(年代謎)→黒死病(14世紀)→相対性理論誕生(20世紀)≦春日部転移

 

…でも合わない。春日部耀が呼ばれた時は2000年前後。そうすると春日部孝明がアインシュタインより先に産まれてたら耀ちゃんが百才超える事になる。

でも“アインシュタインが箱庭に呼ばれた”という結果がある以上世界が合わないといけない。

…黒死病の発生がなかった事により“閉鎖世界(ディストピア)”の誕生、それによる九十九の封印。それからアインシュタインの誕生で相対性理論の発表から……この結論も微妙。

 

そもそも観測されない世界で黒死病が起こらなかったという事実があったとして“閉鎖世界(ディストピア)”が復活する訳がない。

考えろ。…どれだ?どこを合わせたら呼ばれる可能性がある?

 

「…ねぇ!こっちを向き(・・・・・・)…」

「……あ」

 

天皇の人間宣言か?

天皇が人間宣言をするのは一般相対性理論よりも遅い、其処で交差を合わせ…いや普通九十九ちゃんがいるのに神を名乗る?そんなことあり得る訳…

 

-私は気にせずに大量の付喪神を作った。

 

-今後ガーデニアの少女“付喪神”の所有権は、“春日部九十九”が所有します。

 

-“閉鎖世界(ディストピア)”“春日部孝明(ノーフォーマー)”の双方によって、ガーデニアの少女“付喪神”の能力は封印されました。

 

……これ“春日部九十九”と“ガーデニアの少女”は別物だ。

とするならガーデニアの少女は自分自身を犠牲にして付喪神を作って死亡。それにより天使と悪魔の撤退。

宗教の未発達によって付喪神への対策が出来ず安〇晴明等が生まれず玉藻前が暴れる。

待って。それを考えた場合“春日部九十九”は何時から存在してる?

そもそも“九十九”であって“耀”じゃない理由は?“九十九”が生まれた時代は…?

 

-…これ以上は駄目だ。耀に伝えてない情報を、こいつの口から言わせる事になる。

-「おや、お姉さんの方は知っていたんですね」

-生命の目録(ゲノム・ツリー)の事を知らない耀がそんな選択肢を使ったこと

 

-「……待て、お主は“ノーフォーマー”を持っているのか?」

-その言葉を聞いて、私は小さく首を縦に振った。

-恩恵(ギフト)クチナシの黒い少女(ガーデニア)”、―――――の寵愛

 

 

“-「…良いか。お主は春日部の娘ではない可能性がある」-”

 

“-「…すまんの。これはあいつに言われてやった事なんだ」-”

 

“-「“話される前に死なれたら生き返せないの”」-”

 

-勿論セーブデータを何回も上書きした所為です。

 

 

…いや、いやいやいや。それこそ天文学的確率。ありえない可能性。そんな訳がない。

あり得ない。そんな訳が。あの腐れ女王だぞ?いくらセーブデータを上書きしたからってそんな訳がない。

だってもしそれを可能と考えた場合……

 

-待って今気づいたけどこのRTA女王の匙加減1つじゃねーか!-

 

「……ちょ!?九十九さん!?」

 

こ、こここ今回はここまで!次回はわからないけど再走はできないです(白目)

では諸君、サラダバ!

 

-----------------------------------------

 

小さく息を吐いて、小さくノックを三回。

 

「どうぞ」

 

返事を聞いてから、私はゆっくりと扉を開けて中に入っていく。

そして小さく視線を向けて、私はゆっくりと頭を下げようとした瞬間…目の前の女王から止められる。

 

「あら、良いじゃない。私達の仲でしょ?」

「…」

「それとも、言わないとわからないのかしら?」

「……ううん。大丈夫」

「そ。それじゃあお茶会を楽しみましょうか?」

 

その言葉を聞いてから、私は席につく。

正直お茶を飲む気にはなれない。そんな場合じゃないとわかってるからだ。

 

「…なんで。私を呼んだの」

「あら。言わないとわからないくらいボケちゃったのかしら?」

「私の持ってた恩恵(ギフト)は全部クイーンに渡した。私は一人の少女として死を…」

そんなの(・・・・)許される訳ないじゃない(・・・・・・・・・・・)

 

その言葉と同時に、私の手には一つのギフトカードが渡される。

…見なくてもわかる。これは過去の私の物だ。

 

「ちゃんと残しておいたのよ?偉いと思わない?」

「……」

「貴女の幸せになりそうな物は全て消したの。ねぇ九十九?幸せそうな名前ね」

「…」

「でも貴女に幸せはあり得ないの。同じ門と門を繋げる仲として伝えた筈よ?貴女に“死”はあっても“終わり”はないって」

「…黙って」

 

小さく呟く。でも目の前の女王は何も聞かない。

いや、聞いてて反応を楽しんでるだけで何もする気がない。そうだろう。此処でやることは一つだけだろうから。

 

「さっきは色々考えていた様だけど全部無駄だったわね。人類史から観測出来る事だけじゃ計れないのが私達。そうでしょ?」

 

-百鬼夜行のリーダー?-

 

「っ!」

「全部全部、貴女の恩恵(ギフト)による一人芝居だったってお話よね。鬼門は悪鬼を呼び込み、病気や災害を生み出す。

百鬼夜行が滅んだ理由だってそう。全部貴女の所為。貴女は死ぬ度に転移を繰り返し、その時代に合った災いを送り込んだ。

 

そしてそれを恐れた閉鎖世界(ディストピア)に一度負け、貴女は鬼門を閉じるの力を失った。

そして暴走し魔王の烙印を押し付けられた貴女は春日部孝明に負け、鬼門を開ける事すら出来なくなった。

 

“それが人類史に対してどのような影響を与えるか知らなかった上層部”を見てたら、笑いが止まらなかったわよ?」

 

その言葉と同時に、私の手はクイーンによって掴まれる。

…そして顔を覗き込み、私の目を確認する。そう、すべて暴かれてしまう。

 

「そして殺す事なく追放した結果、貴女がいた世界はどうなったのかしら?

簡単よね。鬼門が無くなった事で陰陽道は狂ってしまった。北東という方角が消えた事により世界はおかしくなってしまった。

あれによる箱庭の混乱は面白かったわよ?えぇ。だから言ったのに。“方角”を守ってる程度じゃ私は“見向きもしない”って

 

結局箱庭から討伐部隊を送り込んだ事により、貴女は事態を把握。あれを天使と言い自らの最後の霊格を使い“ガーデニアの少女”のギフトゲームを開始。

霊格が砕け散り新しく身体を得た貴女は信仰を手に入れて元の世界軸を作ろうとした。

 

“箱庭の世界軸”が欠けていたのを理解しての行動としては最高の一手ね。貴女の力が万全だったら、貴女の世界が核になっていたでしょう。

だけどそれは無理だった。貴女の邪魔をした春日部の一族によって、封印されることになる」

 

その言葉と同時に、私の持っていたギフトカードからコトリバコを取り出し、その裏に書かれているとある紋様。

 

生命の目録(ゲノムツリー)

「そう。それによって貴女の身体は人間に“固定された”。ノーフォーマーと上手く合わせた理想的な封印だと思うわ」

「それが例え、私の死をもって解除されるとしても?」

「えぇ。“人間にしては”良い出来よ。何故なら本来人間では開けられない門を開けさせたのだから。

でも貴女は箱庭の殆どを知っていたから、歴史の転換期(パラダイム・シフト)も知ってた。予測は難しいけど2200年代のラプラスの変化の完成による歴史の転換期(パラダイム・シフト)から箱庭へ。…どう?あってる?」

 

やっぱり女王は鋭い。此処でのんびりお茶を飲みながらコミュニティを纏め上げているとは思えないくらいに情報を纏めている。

 

「だけど此処で一つ問題が発生した。ギフトを殆ど封じられ人間としての生活を送っていた貴女を、今度は春日部孝明が見つけた」

「……うん」

「でも此処で孝明は一つの提案をする。

それは箱庭への道を切り開く代わりに娘を守れという命令。貴女が受諾しそれに従っていた。……ま、あの態度は頂けないけど」

「……それで、私に何をさせる心算」

 

私の言葉を聞いて、女王が笑みを浮かべる。

…そしてそのまま私の身体を掴み、無理やり私の手にギフトカードを握らせる。

更に私の髪を一度撫でた後、ゆっくりとほほ笑んだ。

 

「最高の復讐劇を。見せてくれるわよね?」

 

私の銀髪にキスをしながら、女王は純粋無垢な笑みを浮かべ…押し倒した。




-現春日部九十九(元-----)-

過去に箱庭に存在していた百鬼夜行のリーダー。
力は他の魔王と隔絶しており、一度は人類最終試練なのではないかと言われていた事もある。

彼女は本来、鬼門の開閉により疫病等をばら撒く“舞台装置”であり“人類が打ち勝つ為の試練ではない”、一番近い物としては“退廃の風”だろう。

一度の敗北により鬼門を閉じる力を奪われ、二度目の敗北により鬼門を開ける力を失い、三度目の敗北により箱庭から追放された。
そしてそれにより“黒死病”の発生が起こらず“閉鎖世界”の力が膨張し、箱庭の崩壊の危機に陥る。

そして一度失った鬼門を開ける為“春日部--”“箱庭”“女王”の三者が協力。外界に送られた彼女に対して力を取り戻す様に仕向けていた。
そしてそれを察した彼女も“間違った知識”を教えながらも真実を教え込み、それにより“黒死病”の発生を検知した箱庭が“歴史の転換期”を起こした。

しかし箱庭に戻る時に元の霊格を保持したままでは再び追放されるのがわかっていた彼女は、霊格を分け与え付喪神として保持。それにより記憶を失った唯の九十九となった彼女に警戒を解いた春日部孝明からの提案を受け、この物語が始まる。


┬百鬼夜行のギフトカード-
├月に送られた呪われた男
│└西ヨーロッパに伝わる伝承から月に纏わる男を生み出す。
├鬼門
│└一種の舞台装置。開く事により疫病や鬼等を生み出す。
├満月の主権
│└15個に別れた月の主権の内、百鬼夜行の手持ちで最も凶悪な主権。
│ 現在消失済み。
├-----
│└北と東(アルファ)の伝承を纏め上げた歴史書。彼女がこれを放棄した場合
│└北と東(アルファ)が消失する。
│└「さぁ始めよう。誕生を(バース)詠み解こう」
└他多数


-某女王-

“一つだけ教えてあげるけど、彼女には不死なんて恩恵(ギフト)は存在しないわ”

“唯舞台が終わるまで、延々と憑代を変えながら生きているだけよ”

“終わらない舞台が終わるまで、ずっとね?”

“だからこそあの子に鬼門という雛形が与えられたの。その力を抑えつける為に”

“あら。それで何のアストラを犠牲にしたかって?それを教えるとでも?”

“そうね。一ついうなら……”

“ハロウィン程度の雛形じゃ、あの子を抑えつけられなかったとだけ言っておくわ”

“つまり弱体化に弱体化に弱体化に弱体化を重ねたって訳。じゃないとあの子が気分を害しただけですべてが消えるんだから”

“え?何故かって?…馬鹿ねぇ”

α(はじまり)がなくなったら、パラドクスも何もないじゃない”

“始まりには始まりの雛形を。北東という雛形を与えて初めてあの子は生まれたの”

“今の強さなら私の方が上だけど、もし全力で戦うなら負けるわね”

“え?じゃあ何故彼女は三度の敗北をしたかって?”

“それはあの子が…いいえ。やっぱり教えてあげないわ”

-終わり-


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色々やり切ったので失踪します(遠い目)


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