HUGっと!プリキュア ROAD TO MAESTRO (シロX)
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第1話 ハーモニカ少年

初めましての方も!「またこいつか…」と思ったそこの貴方ももどうもです!過去作のプリキュア を書こうかと悩んでいましたが、とあるチャンネルで放送していたのを観て決めた作者です。

ではでは!新たな物語をどうぞ!


気持ちの良い朝。まだ肌寒いそよ風が吹く今日この頃。

そして何処からともなく聴こえて来る音色

 

その綺麗な音色は公園から聴こえていた

 

「この音…もしかして!」

 

1人の少女がその音の正体を探る為に走り出す。

そこで目にしたのは、ブランコに座ってハーモニカを吹く少年。首に掛けてある赤のワイヤレスヘッドホンがよく目立つ

 

「──っ?」

 

勿論、その少年も少女に気が付いた。

そして声を掛ける

 

「おはよう。えみるちゃん」

 

「おはようございますなのです!」

 

「相変わらず元気いっぱいだね」

 

「えへへ!」

 

少女の名前はえみる──愛崎えみる

 

えみるは褒められたのが嬉しかったのか、無邪気な笑顔で返す

 

「拓人お兄さんは…ハーモニカ」

 

「うん、まぁ…何となくかな」

 

少年の名前は拓人──音宮拓人

 

「今日はラッキーなのです。拓人お兄さんのハーモニカが聴けて」

 

「ハーモニカ吹いただけだよ?でも、ありがとう…」

 

お礼の言葉を言うが、拓人の目は少し寂しげな色をしていた

 

「学校行こうか。お話もいいけど遅刻したら元も子も無いからね」

 

「なのです!」

 

2人が通う学校『ラヴェニール学園』。拓人は中等部3年生で、えみるは小等部6年生

 

「それにしても珍しいね。えみるちゃんが歩きだなんて」

 

「今日はそうゆう気分でしたので。拓人お兄さんにも会えたので、歩きも悪くないのです!」

 

「クラスメイトとは上手くやっている?」

 

「が、頑張って皆さんの安全を守っているのです!」

 

学年が違う事もあり、お互いの学園生活での話や日常的な会話で盛り上がる

 

「あっ!待って下さいのです!」

 

「どうしたの?」

 

「石が…石が転がっているのです!危ないのです!」

 

えみるが指指す所に確かに石はあった。でも、そこまで危険視する程でも無かった

 

「小石だよ」

 

「それでも危険なのです!」

 

「心配性だね」

 

拓人は小石を拾い、大騒ぎするえみるを可愛いと思いながら道の側へと投げると

 

 

 

 

 

『はぎゅ〜!はぎゅ〜!』

 

 

 

 

 

その瞬間、何処からともなく赤ん坊の泣き声が聞こえた

 

「えっ…?」

 

同時に周りの景色がモノクロへと変わり、投げた小石が宙で静止していた

 

「浮いてる?いや違う、止まっているのか?」

 

改めて周りに目をやる。走る車や、風に靡く木がまでも同じ現象に。勿論道行く人達も

 

この場にいる2人だけを除いて

 

「止まっているのです」

 

拓人は宙で静止してる小石に触れようとする時

 

「あっ…」

 

小石は重力に逆らえず地面へと落ちた。小石だけではなく、止まってた周りの景色も動き始める

 

「もしかして…宇宙人の仕業なのです!間違いありません!」

 

「宇宙人かどうかはさておき、不気味だったね」

 

先程の現象に不思議の念を隠せなかった

 

その事を考えながら歩いてるとラヴェニール学園へと着いた

 

「俺はこっちだから」

 

「はい!拓人さん(・・・・)、また放課後なのです!」

 

手を振って校門前で別れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが不思議な現象はこれで終わりでは無かった。寧ろ始まったばかりなのだ

 

それに気付くのはもう少し先の事である




いきなりですが、オリ主の詳細データです

音宮 拓人(おとみや たくと)
7月9日生まれ/15歳/163cm

容姿
赤色のワイヤレスヘッドホンを常に首から掛けている。長袖のTシャツに紺色のカーディガンを羽織り、黒のチノパンを着てる

性格
物大人しく謙虚な性格で、誰に対しても呼び捨ては出来ない人(敵は除く)。


元吹奏楽部で指揮者を担当していた。楽器は大抵の物なら扱える。
特に小さい頃から指揮に力を入れており、名指揮者の意を持つ『マエストロ』とまで言われている。

とある事がきっかけで、音楽そのものから離れている。しかし、えみるとの付き合いもあり渋々触る事も。
ハーモニカだけは特別で、いつも持ち歩いては吹く事もある
得意とする楽器はトランペット。好きな楽器はハーモニカ

正人とは同級生。愛崎家とは古い付き合い。

昔からえみるとは仲良くしている。えみるの事は妹の様に可愛がり、甘やかしている。
えみるにギターを勧めたのは拓人自身で、「ギュイーンとソウルがシャウトする」も拓人からの受け売り


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第2話 始まりのハーモニー!応援と元気のキュアエール!

ハリーの口調が難しいんや

ではスタートです!


音宮拓人は頭を抱えていた。その原因となったのは今朝の出来事だった

 

(気にならないと思っていたけど、ここまでとは)

 

謎の現象。あれの印象が強過ぎて、色々と手が付けられない状態だった

 

拓人は校庭のベンチで一旦座る。只今、休み時間なので1人でゆっくり考え込んでいた

 

(何でこうも気になるんだろう…。仕方ないな。屋上にでも行って気分転換でも)

 

拓人が立ち上がろうとする時、またも天から赤ん坊の声がした

 

「また?」

 

 

 

 

 

何となくだ。何となく学園の屋上へと足を運ぶと、女の子が2人居た

 

1人は青髪のロングヘアの子、もう1人は黄色のショートヘヤの子だ

 

「君達は…?」

 

更に拓人の後ろからもう1人現れる

 

「すみません、ちょっと良いですか」

 

「え?あ、ごめんね」

 

濃いピンク色した髪の少女だ

 

「野乃さん、探してたんだよ。学校を案内したかったんだ」

 

「本当!」

 

「君は転校生?」

 

「うん!」

 

「ここで会ったのも何かの縁」

 

拓人は野乃という少女に自己紹介をする

 

「3年の音宮拓人。宜しく」

 

「せ、先輩でしたの!?よ、宜しくです!」

 

「そんなに畏まらなくても良いよ」

 

「初めまして。わたし、薬師寺さあやです」

 

3人それぞれの自己紹介を終えた。そして野乃が黄色い子に何か言おうとする

 

「あ、あの!」

 

声に気付きこちらへと振り返ると、野乃は肌が良く見えるおでこを両手で隠す

 

「その前髪イケてる。よく似合ってんじゃん」

 

「…っ!ありがとう!」

 

何か2人の間であったのだろう。さあやも、今思い付いた感じでその子も学校案内に誘う

 

「ほまれさん!学校案内一緒にどうかな?」

 

「うんうん!」

 

だが彼女、ほまれはただ空を見上げるだけで学校案内には参加しなかった

 

そしてその代わりと拓人が一緒に付いて行く事にした

 

「へぇ〜、野乃ちゃんは今日初めて学校に来たんだね」

 

「はい!」

 

「学校生活楽しんでいってね」

 

拓人とさあやで1日使っての学校案内で今日が終わった

 

 

 

 

 

////////

 

次の日のお昼休み

 

「あれ?さあやちゃん?」

 

「音宮さん?」

 

お昼ご飯を食べようと屋上へと行く途中、さあやとばったり出会した

 

「さあやちゃんもお昼?」

 

「そうですけど、ちょっと気になる事が」

 

「気になる?」

 

さあやと屋上に行くと、何やら浮かない顔をしてる野乃を見つけた。そして拓人は、さあやが言っていた気になる原因も察した

 

「音宮さん」

 

「そうだね」

 

2人は野乃を挟むように座り込む

 

「隣良いかな?」

 

「お弁当一緒に食べよう」

 

さあやはお弁当を開けてると、おかずをひとつ野乃にあげる

 

「野乃さんって素敵だね」

 

「えっ?」

 

「自己紹介の時、転んでもすぐ立ち上がって夢話して、カッコいいなって思ったよ!」

 

「ありがとう」

 

さあやのその言葉で、野乃の顔が明るくなっていく

 

「野乃ちゃんも少し元気になったところで、早いとこ食べようか。お昼休み終わっちゃうよ」

 

「そうだった!」

 

野乃のその姿を見て、拓人とさあやも顔を見合わせて笑顔になった

 

それから少しして、教室に戻ろうと廊下を歩いてると異変が起きた

 

学校に居る人達が次々とその場に崩れていくのを

 

その異変に気付いて駆け寄る

 

「どうしたの!?」

 

「心がトゲトゲして…」

 

「何もやる気が出ない…」

 

「何が起こっているの?」

 

「外に行ってみよう」

 

 

 

 

 

生徒2人の手を引いて外に出ると大きな怪物が居た

 

「逃げよう!」

 

さあやが先頭になって逃げようとする時、拓人と野乃は声を聞いた

 

「はぎゅ〜!」

 

「待って拓人さん!」

 

「えっ?」

 

野乃の目を向ける先には、怪物相手に立ち向かおうとする赤ん坊が居た

 

「危ない!」

 

「野乃ちゃん!」

 

赤ん坊の側へ駆け寄ろうとするが、怪物が踏み出した衝撃で地面の塊が野乃へと降って来る

 

「伏せて!」

 

拓人が引き止めて直撃は免れた。だが目の前の地面に大きな穴が出来ていた

 

「はぐたん……。フレフレわたし」

 

目の前に大きな怪物居る。それでも赤ん坊が泣き始める声を聞いて、野乃は立ち上がる

 

「オレちゃん、赤ん坊の泣き声って苦手なんだよね〜。いけ!」

 

「オシマイダー!」

 

「駄目ーー!!」

 

野乃が赤ん坊の前に庇う様に出て両手を大きく広げる

 

それを見た怪物の動きが止まる

 

「退いて〜」

 

「退かない!」

 

「退け!」

 

「絶対に退かない!!」

 

野乃の退かない気持ちにイラだったのか、怪物を使役する青年が指示を出して潰そうと仕掛けて来る

 

赤ん坊の近くに居たネズミが、野乃の身を案じて逃がそうと叫ぶ

 

「何してんねん!お前潰されるぞ!」

 

「お前じゃないもん。『はな』だもん!」

 

「野乃ちゃん…」

 

「はぎゅ〜…」

 

「ここで逃げたらカッコ悪い。そんなの……わたしのなりたい野乃はなじゃない!!」

 

はなに感化されてか、拓人もその思いに応えてはなの手を握る

 

「拓人さん?」

 

「子供を守るのが親の務め。なら俺も…一緒に守ろう!野乃ちゃん、いや…はな(・・)ちゃん!」

 

「はい!」

 

その瞬間野乃の──はなの体がピンク色に輝く

 

「アスパワワが!?」

 

「オシマイダー!?」

 

急激な光でオシマイダーが大きく後ろへと仰反る

 

「はなちゃん…。あっ…」

 

はなは拓人の手を更に力強く握る。そしてお互いに見つめ合い、頷く

 

「「心が溢れる!」」

 

そしてはなの体からひとつの光が飛び出る。それが形取り、ピンク色のハートの形をしたクリスタルが生まれた。同時にピンク色に光るトランペットも現れる

 

「ミライクリスタルが生まれた!それにあの楽器は…」

 

拓人はトランペットを、はなはミライクリスタルを手に取る

 

さらに

 

「プリハートが反応した!」

 

はながミライクリスタルを手にした時、ネズミの荷物と思しきバックから何かが飛び出てはなの手の中へ

 

「はな!お前の気持ちかましたれ!!」

 

「拓人さん!いっくよーー!!」

 

 

 

「ミライクリスタル!ハートキラっと!」

 

プリハートを電話モードからハートモードへと変形させて、ミライクリスタル・ピンクをはめ込む

 

「輝く未来を抱きしめて!」

 

「みんなを応援!元気のプリキュア !キュアエール!」

 

 

 

「プリキュア 、ほんまになりおった!」

 

「キュアエール」

 

はなはミライクリスタルとプリハートでプリキュア として変身を遂げた

 

「新しいプリキュア !?まさかクリスタルが増えたのか!?」

 

「ね、ねぇネズミさん。俺どうすれば良いの?これトランペットだよね?」

 

「いや前前!」

 

「オシマイダー!」

 

エールとは違い、トランペットを手にした拓人は使い方が分からず困惑する。そんな悠長な事をしてる間にも、怪物であるオシマイダーは攻撃を仕掛ける

 

「拓人さん!…ハッ!」

 

エールはオシマイダーの攻撃を片手で受け止めた

 

「拓人さん!」

 

「え、でもこれトランペットで…」

 

その時、拓人の体を後ろから何か暖かいものが包み込んだ。体から力が溢れ、そして手に持つトランペットの使い方も何故か分かった

 

「『ブーケトランペット』。それがこの楽器の名前で使い方も…。良し!」

 

拓人はブーケトランペットを構えて思いっきり音を鳴らすと、ベルからピンクの光弾が発射された

 

「オシマイ!?」

 

「な、何か出たよ!?」

 

「今や!キュアエール!」

 

 

 

「フレフレ!ハート・フォー・ユー!」

 

掛け声と共に、両手首に付いてる装飾がポンポンに変わりピンク色のハート型のエネルギーを放った

 

「ヤメサセテモライマ〜ス」

 

直撃したオシマイダーは浄化された

 

 

 

「これは始末書もの…!」

 

使役していた男はその場から立ち去り消えた

 

 

 

 

 

「はぐたん!ハリー!」

 

オシマイダーの浄化を終えて、エールは赤ん坊のはぐたんとハリーと言う名前のネズミに駆け寄る

 

「はぎゅ!はぎゅ!」

 

エールに抱き抱えられるはぐたんは無傷だった

 

またもハリーのバックから、今度はスプーンが出て来た。そのスプーンにミライクリスタル・ピンクを乗せる

 

「ミライクリスタルはアスパワワの結晶。ミライクリスタルからはぐたんにパワーをあげるんは、プリキュア にしか出来へん大切なお仕事や」

 

そのスプーンをはぐたんに近付けると、おでこに装飾してあるハートにアスパワワが注ぎ込まれる

 

「拓人さん!ありがとうございます!」

 

「いや、俺は何も。エールこそ凄いよ」

 

「そう言えば、わたしの事を名前で呼んでくれましたね!」

 

「あ、ごめん。気に障った?」

 

「ううん。嬉しい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女の笑顔はとても眩しくて可愛いかった

 

そしてこの日から全てが始まった。未来を守る為の戦いが




割と強引な入り方。でも、最初さえ乗り越えれば後は何とかなりますよ

後、今までプリキュア とかの容姿を書いていましたが「アニメ観てるよね?」の感覚で書いてるので今回からはカットしました。だって書くのがシンドイ…

1週間に1本投稿を目標に頑張っていきます

ここまでの拝読ありがとうございました!


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第3話 天使のような癒し!知恵のキュアアンジュ!

毎回書くたんびに内容のクオリティが下がるのは何故?

後、何気にヒロインのタグを書き直しました。始めから晒していくスタイル

ではスタート!


まだ、昨日の出来事が夢みたいと思い老けている拓人

 

「拓人さん」

 

(そういえば今日も集まるんだっけ?)

 

「拓人さん」

 

(はぐたんにハリーか。楽しい事が始まりそうな予感)

 

「拓人さん!!」

 

惚ける拓人の耳元で大声で叫んだえみる。それにビックリして、拓人はベンチから転げ落ちる

 

「呼んでも上の空なのです!どうしたのです?」

 

「ご、ごめんね。今日一緒に帰れなくなったの。ちょっと用事が」

 

「そ、そうですか…」

 

目に見て明らかに落ち込んだ。申し訳なく思った拓人はひとつ提案する

 

「今度一緒に遊ぼうか。家においでよ」

 

それを聞いたえみるの表情は一気に明るくなった

 

「では一緒に演奏も!」

 

無邪気にせがむえみるが可愛く思い甘やかしてしまう

 

(本当はあまり楽器は触りたくないけど、えみるちゃんが言うならしょうがないか)

 

学校ではえみるを可愛がって終わる

 

そして放課後

 

 

 

 

 

////////

 

拓人とはなはとある大きな木の下に集まった。そこで待っていたのは、はぐたんとハリーだった

 

「それにしても何で此処なの?」

 

「それはな!俺らの家や〜!」

 

「家?」

 

「ちょっと衛生的にどうかな…」

 

「てな訳ではな、ミライクリスタル出し」

 

はなは、言われるがままにミライクリスタルを取り出す。ハリーもバックから何やらミニチュアハウスを出すと、ミライクリスタルと反応して人が住めるくらいの大きさに変化した

 

「ミライクリスタルがあったらこんな事も出来るんや!」

 

「「凄い…」」

 

「驚くのはまだ早いで〜」

 

他にも何か隠してるハリーに更に注目する

 

「ハリー!イケメンチェ〜ンジ!」

 

ハリーの姿が変化する。大きな煙りを立てると高身長の赤髪の青年に早変わりした

 

「驚きの連続だ」

 

「何かもう驚き疲れたよ」

 

連続のカルチャーショックに疲れてると、はぐたんが急に泣き始めた

 

「何々!?」

 

「これはオムツやな」

 

急いで家の中に入り、はぐたんのオムツを替える事に

 

オムツを替えてはぐたんは泣き止んでくれた

 

一旦落ち着いた所で、先日学校に現れた怪物についてハリーに問い掛ける

 

「ハリー、あの怪物は何だったの?」

 

「あれは『オシマイダー』。クライアス社が生み出した化けもんや」

 

「「クライアス社?」」

 

「奴らはミライクリスタルを狙うてる。皆んなの元気パワー、明日への希望のパワーが『アスパワワ』。その結晶がミライクリスタルなんや。それが奪われたら、世界から未来が無くなる」

 

そのクライアス社に対抗出来るのがプリキュア

 

「プリハートは後3つある。先ずは一緒に戦ってくれる仲間探しやな」

 

「俺もその意見に賛成だよ」

 

「う〜ん。プリキュア はわたし1人でやる。はぐたんはわたしが守る!」

 

「はなちゃん、それは無理があるよ」

 

「そんな事ないよ!それに、1人の方がカッコいいじゃん!拓人さんだって居ますし」

 

根拠はないが自信に満ち溢れてるはなの事を見て苦笑いを浮かべる

 

 

 

 

 

////////

 

次の日。拓人は同じように、ハリー達が住む家に行く途中でさあやと偶然出会う

 

「さあやちゃん?偶然だね、学校以外で会うなんて」

 

「拓人はどうしてこちらへ?」

 

「えっ!?あ、それはだね…」

 

拓人がどう答えようか迷ってると、はぐたんの泣き声が聞こえた

 

「まぁ、そういう事です…」

 

結局、さあやも一緒にハリー達が待つ家に行く事になった

 

家に入ってみると、泣くはぐたんを頑張ってあやしてるはなの姿が居た

 

「野乃さん?」

 

「えっ?何で?」

 

「ごめんね。途中でばったり会ったから連れて来ちゃった」

 

「抱いてもいいかな?」

 

さあやがはなの代わりにはぐたんを抱くと、泣くのをやめて明るく元気な表情へと変わった

 

「こんにちは。え〜と…」

 

「はぐたんっていうの」

 

「はぐたんね!」

 

はなが抱いてた時と違い、何故さあやが抱っこした時に機嫌が良くなったのか疑問をもつ

 

「わたしだって!は〜ぐたん!」

 

はなも負けじとはぐたんを抱っこするも泣き喚くばかりだった

 

「もしかしてミルク?」

 

中々泣き止まないはぐたんにご飯ではと思い出す

 

「あかん!何とかせんと…よっと!」

 

ハリーもさあやの言葉を聞いてバックから急いで哺乳瓶とミルクの粉を出す

 

流石にさあやも声を聞いて振り返る。だがハリーも俊敏な動きで物陰に隠れてやり過ごしす

 

「ミルク?でも誰か居たような…」

 

「ネズミグッジョブ!」

 

「ネズミ!?」

 

「き、気のせいだよ。物は俺が出したから後は作り方だけ。誰か分かる?」

 

はなのうっかりを拓人が何とか誤魔化した。そして次が問題。誰もミルクの作り方を知らない。

拓人も人肌程度に冷ますの知識しか持ち合わせておらず、細かいところはまだまだ

 

「分からない時は調べよう!」

 

「「おぉ!」」

 

さあやは自分のノートPCを開いて作り方を調べる

 

調べたお陰で作業は順調。そんな中、はなはある質問を投げる

 

「はぐたんの事驚かないの?てか、何で此処に?」

 

「前に不思議な事があったね。空から赤ちゃんの声が聴こえたの。信じてもらえないかも知れないけど──」

 

さあやも同じ現象に遭っていた。しかも起きた時期も全く同じ。周りの時間が止まり、自分のみが動けれたと言う

 

((同じだ))

 

「よく分からないけど、赤ちゃんの声の方に行くといつも野乃さんや拓人さんに会うの」

 

「確かに不思議な事だね」

 

そんなこんなで出来たミルク。さあやがはぐたんに飲ませて、拓人とはなはその様子を見守る。夕陽も相まってミルクを飲ませるさあやの姿は綺麗なものだった

 

「この子や!こういう子がプリキュアにええんや!頭もいいし、優しいし、可愛いし」

 

「理想の三要素?」

 

「ぐぬぬ…でも薬師寺さんは凄いよ。色々丁寧だし、賢いし。わたしには出来ないや」

 

ハリーに言われたが、確かにその通りだとはなは話す。自分に出来ない事をさあやが出来る事に

 

でも逆にさあやも

 

「わたしに出来無い事が貴女には出来ます。貴女に出来無い事がわたしには出来ます。力を合わせれば、素晴らしい事がきっと出来るでしょう」

 

「力を合わせれば…」

 

「マザー・テレサの言葉だよね?」

 

「はい。尊敬してるんです。それに野乃さんの方がずっと凄い。自由な発想があって、なりたい自分の未来があって…わたしには何も無いから」

 

自信が無い。只その一言に尽きる。でもはなはそうは思ってはいなかった

 

「皆んなに優しく出来るじゃない」

 

「それくらいしか出来ないの。野乃さんみたいな勇気が無い」

 

「薬師寺さん。いや、う〜ん…」

 

「委員長でいいよ」

 

はなが名字呼びに違和感を感じて悩んでると、さあやが普通に「委員長」と呼んでくれても構わないと言うのだが

 

「委員長と話してるんじゃないもん。さあやちゃん(・・・・・・)と話してるの」

 

はなが初めて名前を呼んだ

 

「さあやちゃん勇気あるよ。だって、誰かに優しくするってすっごく勇気がいる事だもん!」

 

「そんなわたし…」

 

「褒められたら『ありがとう』だよ!未来は無限大!何でも出来る!何でもなれる!フレーフレーさあやちゃん!!」

 

少しずつ変わる2人の関係に拓人は嬉しく思い、ハリーはというとさあやの事を見て涙を流していた

 

お互いに距離が近付き、はなは本題を切り出す

 

「さあやちゃん、お願いがあるんだ。あのね、わたしと──」

 

はなが話そうとする時、外から物凄い地響きが鳴る

 

「急に何だ!?」

 

拓人達は音が鳴った方へ急いだ

 

 

 

 

 

////////

 

「オシマイダー!」

 

音のなった場所は工事現場だった。そしてオシマイダーが現れた事により、はぐたんの頭に装飾されてるハートが赤く点滅しだす

 

「アカン!アスパワワがドンドン無くなっとる!」

 

「えっ!?喋って…」

 

「はな!拓人!任せたで!」

 

2人してオシマイダーに立ち向かうのをさあやが心配して止める

 

「駄目!危ないよ!」

 

「さあやちゃん、わたしプリキュアなんだ!」

 

「俺は違うよ」

 

 

 

「ミライクリスタル!ハートキラっと!」

 

「輝く未来を抱きしめて!」

 

「みんなを応援!元気のプリキュア !キュアエール!」

 

 

 

「来たなプリキュア!ミライクリスタルを奪え!」

 

「オシマイダー!」

 

オシマイダーの攻撃をひとつ、ふたつと丁寧に避ける

 

「貴方達に未来は渡さない!」

 

動きが止まったオシマイダーに、エールがアスパワワを込めた一撃を繰り出そうとするも

 

「えっ!?」

 

オシマイダーの腕が長く伸びて、その巨体を上へと持ち上げてエールの攻撃をかわした

 

「いくら強くても当たらなければ意味無いじゃん!」

 

今度はそこから腕を縮ませ、落下の勢いと合わせてエールを踏み付けようと落ちて来る

 

「え〜!」

 

何とか避けて危機を脱したが、背中を見せたエールに両腕が振り下ろされる

 

「ブーケトランペット!」

 

だが拓人が透かさずエールのフォローに入る。ブーケトランペットを吹いて、連射される光弾でオシマイダーの攻撃を弾いてみせた

 

「攻撃が重い。エール気を付けて!そう何回もは弾き返せないから!」

 

「はい!」

 

そんな2人の戦う姿を見てさあやは

 

 

『──未来は無限大!何でも出来る!何でもなれる!フレーフレーさあやちゃん!』

 

 

「何でも出来る、何でもなれる!」

 

さあやの体が青く輝き出す

 

「心が溢れる!」

 

さあやの思いが反応して新たなミライクリスタルが生まれた

 

「これは…?」

 

さあやが持つミライクリスタル・ブルーは青く輝いていた

 

「ミライクリスタルが生まれよった!プリキュアになるんや!」

 

「わたしがプリキュアに?そんな事出来るのかな…。ううん、出来るよね。わたしの中にもきっと勇気が!」

 

さあやはプリハートを持ち、強い思いから生まれたミライクリスタル・ブルーで変身する

 

 

 

「ミライクリスタル!ハートキラっと!」

 

「輝く未来を抱きしめて!」

 

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

 

 

 

さあやが変身が終わると同時に、今度は拓人の手元には青く輝くシンバルが現れる

 

「今度はシンバル?…『プリズムシンバル』。いや、それよりも」

 

「キュアアンジュ?」

 

「ふざけんな!やれオシマイダー!!」

 

オシマイダーは落ちてる鉄骨を拾い、力任せにエールへと投げ付ける

 

「フレフレ!ハート・フェザー!」

 

エールとは違い、水色のハートを描き強力なバリアを作り、それを相手へと放ち攻撃を防いだ

 

「盾なんだ!」

 

「凄い!」

 

「キュアエール!拓人さん!クレーンは重心が高いから、足元を狙えばバランスを崩すわ」

 

「分かった。俺がバランスを崩すからエールが最後を!」

 

各々の役割りがハッキリしたところで再びオシマイダーに立ち向かう

 

「何をしようが距離を取ればお前らの攻撃は届かない!」

 

オシマイダーも一度距離を取ってから両腕を伸ばしての攻撃

 

「ハァッ!」

 

しかし、アンジュのバリアが攻撃を遮断する。そして拓人が、ブーケトランペットで攻撃しようとするがある事に気付いた

 

「これで…何これ?ミライクリスタルをはめれるって事?」

 

バルブケージングの所に小さな凹みを見つけた

 

「だったら…エール!ミライクリスタルを!」

 

「ミライクリスタルをですか!?は、はいどうぞ!」

 

突然だったが、エールはミライクリスタル・ピンクを拓人に渡す

 

 

「ミライクリスタル!」

 

ミライクリスタル・ピンクをバルブケージングにセットする

 

ブーケトランペットを構えると、拓人の周りに大量の花の蕾が現れる

 

「アグレッシブ・エスプレッシーヴォ!」

 

吹くと、蕾が花開き高速の光弾が放たれる

 

 

「オシマイ、ダー…!?」

 

足元中心に狙いを定めていたので、大きく土煙りが舞い上がる

 

 

 

「フレフレ!ハート・フォー・ユー!」

 

 

「ヤメサセテモライマ〜ス」

 

 

 

「1人や2人じゃ出来無い事でも、3人なら出来る!」

 

「うん!」

 

「さっきのお願いの続き!さあやちゃん、わたし達と一緒にプリキュアやろう!」

 

改めてのお願い。アンジュの心はもう既に決まっていた

 

「宜しくね!はなちゃん!拓人さん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

薬師寺さあやとの新しい絆を作り、プリキュアとして一緒に戦ってくれる今日この頃だった




実はオリ主が使う武器は全部ミライクリスタルがセット出来るんだった!

次回から、他の方の小説を再開しますので更に投稿スピードが落ちるかもです

ここまでの拝読ありがとうございました


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第4話 拓人とえみるの休日の過ごし方

今回はえみるとの会話が中心の為内容は薄っぺらです

ではどうぞ!


「こんにちはなのです!」

 

「あら!えみるちゃんじゃないの!いらっしゃい!」

 

「お邪魔しますのです!」

 

今えみるが居る場所は音宮家。この前の約束を忘れていなかったえみるは、音宮家に遊びに来たのだ

 

拓人の部屋は2階の一室。少し広めの防音が加工された部屋

 

「拓人お兄さん!約束通りセッションなのです!」

 

「うわっ!?」

 

ノックも無しの勢い良く開かれた扉。拓人も不意を突かれたので声を上げて驚き、えみるもその声にビックリする

 

「ビックリしました。大きな声を上げないで下さいのです」

 

「お、俺が悪いの?」

 

「それより今日は何をするのです?わたしは…やっぱりこれなのです!」

 

えみるが手にしたのはエレキギター

 

「やっぱりギターは最高なのです!」

 

何故ここまでギターに入れ込むのは、拓人が原因だった。

ピアノやヴァイオリンなどを弾くえみるを見て、「他の楽器も持たせてみよう」という興味本位でギターを持たせると

 

「ギュイーンとソウルがシャウトするのです!!」

 

大変お気に召した。この言葉も面白半分で言ったらこれも気に入った

 

「チューニングは出来るよね?俺は何かお菓子でも持って来るよ」

 

「ありがとうなのです!」

 

「何かあったかな?」

 

パタリと扉が閉まるとえみるは徐に拓人の部屋を見渡す。

特に目を向けたのは棚に飾ってある写真。拓人が小学生の時の写真だ

 

そこには楽しく指揮棒を振るう拓人の姿が写っていた

 

(何故拓人お兄さんは、オーケストラピットを降りたのでしょう…?)

 

えみるは拓人が辞めた理由を知らない。只その時、拓人の表情を見たえみるの記憶は焼き付いている。とても悲しく、寂しく、暗い表情を

 

「ッ…!」

 

「えみるちゃんお菓子持ってえぇぇぇぇぇ!??」

 

拓人が部屋に戻って来たら、えみるが目に涙を浮かべていた

 

「どどどどどうしたの!!?」

 

「い、いえ。何でもないの…ッ…です!」

 

「でも涙…えぇ!?」

 

「慌て過ぎなのです」

 

動揺する拓人の手は震えていて、手に持つお盆まで振動が伝わっていた

 

「えみるちゃん本当に何があったの?拓人お兄さんに言ってごらん」

 

「拓人お兄さんに言っても意味無いのです」

 

プイって顔を背ける

 

「え〜み〜る〜ちゃ〜ん?」

 

拓人もめげずにアタックする。だけどえみるは顔を見ようとせずにいる

 

「えみるちゃんがその気なら!」

 

「ひゃ!?」

 

拓人はえみるを抱き抱えてベットへ放り投げる

 

「悪い子にはお仕置きだよ」

 

「拓人お兄さん…まさかアレを!」

 

「今日のえみるちゃんが何秒保つか楽しみだよ」

 

「ゆ、許して──」

 

言い終わる前に襲う

 

そしてその一部始終を拓人の母が見ていた

 

「ま〜た始まった。飽きないね〜」

 

ベットでイチャイチャ…もとい、くすぐり合ってる2人を微笑ましく見て退場する

 

「はぁ…はぁ…た、拓人お兄さん…」

 

「何?」

 

「拓人お兄さんは何故音楽を辞めたのです?」

 

「……そんなに知りたい?知ったとして、えみるちゃんに何が出来る?」

 

いつもより冷たい返事。そしてそれを口にした拓人の目は光を失っていた。

えみるは、これ以上踏み込んだらいけないと察して口を閉じた

 

「ごめんね。でもいつか話してあげるから」

 

拓人はえみるの口にさくらんぼを食べさせる

 

「ん!」

 

「さくらんぼ大好きでしょ?食べて食べて」

 

もきゅもきゅと音を立てて完食

 

「始めよっか。セッション」

 

 

 

 

 

それから少して、えみるは疲れたのかベットに横になって眠り始めた

 

拓人はそんなえみるを見ながら、先程言われた言葉を思い出す

 

 

『── 拓人お兄さんは何故音楽を辞めたのです?』

 

 

「そんなの決まってる。音楽が嫌いになったからだよ」

 

すると拓人の母親が部屋に入って来る

 

「拓人電話」

 

「誰から?」

 

「野乃はなっていう子からよ」

 

拓人は1階へ降りて受話器を取る

 

「もしもしどうしたの?」

 

『拓人さん大変!のびのびタワーでオシマイダーが出たの!』

 

「分かった。すぐに行くよ」

 

はなからオシマイダーが出た連絡を受けて急いで家を飛び出す

 

「ちょっと拓人!えみるちゃんは?」

 

「寝かせておいて!ちゃんと見送るから!」

 

 

 

 

 

////////

 

のびのびタワーに着くと、プリキュアに変身したエールとアンジュがオシマイダーと戦っていた。急いで合流する

 

「遅れてごめん!」

 

「オシマイダー!」

 

拓人はプリズムシンバルを持つ

 

「アンジュ!ミライクリスタルを!」

 

「はい!」

 

拓人はプリズムシンバルのカップ部分にミライクリスタル・ブルーをセットする

 

 

「ミライクリスタル!」

 

「アクア・グランツィオーソ!」

 

 

シンバルを鳴らすと、円形をした水色のバリア2枚が突進してくるオシマイダーを跳ね返した

 

「オシ!?」

 

「エールお願い!」

 

 

 

「フレフレ!ハート・フォー・ユー!」

 

 

「ヤメサセテモライマ〜ス」

 

 

 

「やってらんねぇ。今日は会社に戻らず直帰しよ」

 

 

 

 

 

////////

 

「ママ~!」

 

「はな!心配したんだから」

 

戦闘が終わりのびのびタワーから降りてきた、はなの母親の『すみれ』と妹の『ことり』が待っていた

 

「あ~」

 

「ん?今度は何や?」

 

はぐたんが物欲しげにハリーの顔を見る

 

「それはね──」

 

 

 

 

 

すみれは、はぐたんの表情を見て何か分かり野乃家に連れて行く

 

「はいどうぞ」

 

「おおきに」

 

「いい飲みっぷりだ」

 

はぐたんはお腹が空いていたようだった。それを、すみれはいち早く気付いていた

 

はなの父親の『森太郎』も混ざりハリーと一緒に談笑していた

 

「輝木ほまれさん、一緒に来れば良かったのになぁ~」

 

「そうだね」

 

「うん…あっ!」

 

さあやは手に持つミライパッドに変化があった事に気が付く。三つの光る点の他にもう一つ新しく増えた表示に

 

「光が増えた?」

 

「これって…?」

 

3人揃って考えるも分からずじまい

 

「う〜ん…あ、時間!」

 

「拓人さん?」

 

「ごめんね。用事を後にして来たからそろそろ帰らなくちゃ」

 

「そうなんですか!?すみません!」

 

「気にしないで。じゃ、俺はこれで」

 

はな達と手を振って笑顔で別れて急いで自宅へと戻る

 

 

 

 

 

////////

 

「おかえりなさいなのです」

 

自宅へ着くと玄関で不機嫌なえみるが待ち構えていた

 

「何処へ行ってたのですか?」

 

「急な用事で…」

 

「わたしを置いてですか!?」

 

「だってえみるちゃんお昼寝していたんだよ。起こす訳にはいかないよ」

 

「わたしは赤ちゃんですか!?」

 

ノリの良い事に返す言葉全部にツッコんでくれる

 

「ごめんね。寂しかったね。いっぱい優しくしてあげるから」

 

「それでわたしの機嫌が直ると思っているのです?」

 

「これまでの経験上、笑顔のえみるちゃんを見てるよ」

 

「…ぐぅの音も出ないのです」

 

「それよりも」

 

拓人はえみるの手を引いて部屋へと誘い出す

 

「残りの時間はえみるちゃんの為にあげるから機嫌直してよ。遊ぼ!」

 

「何か釈然としないのです。でも賛成なのです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日も拓人はえみるに甘く、えみるは拓人と共に過ごす時間を楽しくしていた




えみるの前だとオリ主のキャラがブレブレ

序盤ははな達とえみるとの接触があまり無いので、今回の様に強引に絡ませたりします……かな?

ではここまでの拝読ありがとうございました


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第5話 飛べる?飛べない?ほまれ、運命のジャンプ!

この回の作画が好き

ではどうぞ〜


「…何やっているの?」

 

廊下を歩いてると、曲がり角の影に隠れているはなとさあやを発見した

 

「スカウト!」

 

「もしかしてプリキュアの?」

 

「そう!因みに相手は」

 

はなが覗く先を見てみるとほまれの姿を目にした

 

「輝木ほまれね…うわっ!?」

 

1人で呟いていると、音もなく背後から2人の女子生徒に声を掛けられた

 

ゆっくり話を聞く為に場所を変えて外の椅子に腰を下ろす

 

「輝木ほまれに気を付けろ?…って何で?」

 

「不良だからよ」

 

結構安直な理由に苦笑いを溢してしまう。実際、はな曰く今日が初めて教室で顔を合わせたらしい

 

「ほまれさん、今年スポーツ特進クラスから移って来たの」

 

「フィギュアスケートをやっていたのよ」

 

「結構急な方向転換だね」

 

突然のクラスの移り変わりからの辞めに、学校にも来ずじまい。更には良からぬ噂もチラホラと騒がれている

 

「そんな人には見えないけど」

 

 

 

 

 

そして放課後

 

はぐたんを連れての買い出し。ついでに、ハリーにもあれやこれやと相談しながら考える

 

「ほまれさん、プリキュア似合うと思うんだけど」

 

「う~ん」

 

「あれ?さあやちゃん反対なの?」

 

「そうじゃないけど。プリキュアって、誘われてなるようなものかなって…」

 

「確かに。よく考えてみたらそうだよね」

 

更に頭を悩ませてしまう。すると、偶々通り掛かったアニマルクリニックから、ほまれと一匹の犬が出て来た

 

「あっ、ほまれちゃんだ」

 

「輝木ほまれさん!?」

 

拓人が最初にほまれの存在に気が付いて、ほまれも拓人達に気付いた

 

「何でこんな所に…」

 

「買い出しの途中や」

 

「はぎゅ~!」

 

「っ!きゃ…きゃわたん!」

 

何やかんや、はぐたんに心を奪われて抱っこする代わりに話をする事にした。尚、ほまれが連れて犬の『もぐもぐ』ははなが代わりにリードを持ってあげた

 

「犬飼ってたんだ」

 

「拾っただけ。迷い犬なんだ。飼い主を探してる間だけ、あの病院で預かってもらってるの」

 

「名前まで付けて結構愛着湧いてるとかかな?」

 

「と、取り敢えず今だけの名前!」

 

「もぐもぐは何処で拾ったの?」

 

「不思議な出会いっていうか…」

 

ほまれはその日事を思い返す。

道の真ん中に居るもぐもぐを車から助けようとする時、赤ん坊の声と共に時間が止まったと語る

 

「同じだ!」

 

「?」

 

ほまれも拓人達と同じ共通点を持っていた。ほまれは、何の事だか疑問に思ってると下から声がした。

声のする方へ顔を覗くとバスケットコートで何やら揉め事を起こしていた

 

「全く最近の子は…。念の為に言うけど、はなちゃん突っ走ったら駄目…ってあれ?」

 

拓人が振り向くとはなの姿が何処にも見当たらない。何処かと探してると、はなは既にコートに居て注意していた。やれやれと思いつつ拓人達もコートへと入る

 

「どうしたの?」

 

「バスケしたいのにこの人達が出てけって…」

 

小さい子相手に3人の男達が占領しようとしていた

 

「まぁ、公園の独り占めは良くないよ」

 

さあやも優しく注意して穏便に済まそうとするが

 

「じゃあ、オレ達に勝てたら代わってやるよ」

 

「それなら3on3でいいの?」

 

一緒に付いて来たほまれも参戦。バスケでの勝負にボールを投げ渡して挑戦を受ける事になった

 

「それならはなちゃんは下がって俺が入るね」

 

「駄目!わたし絶対に出る!」

 

「ならわたしが代わりに。球技は得意ではないので」

 

メンバーは拓人、はな、ほまれの3人編成となった

 

「さあやちゃんヘッドホン預かってくれるかな?後これも」

 

「いいですよ」

 

拓人はヘッドホンとハーモニカをさあやに預けてコートへと入る

 

「ディーフェンス!ディーフェンス!」

 

「ほっ!」

 

「渡さないよ!…あ!」

 

「も〜らい!」

 

明らかに素人の動きをするはなは呆気なく抜かされ、拓人もスティールするがボールは相手側へとバウンドしていく

 

「男はともかく、女はやっぱり話にならねぇな!」

 

男がシュート体勢に入る。だがそこへほまれがシュートカット

 

「クッ…まぐれだ!」

 

攻守交代。今度は拓人達の攻撃でほまれからのスタート

 

「どうかな?」

 

1人目はあっさりと抜き去り、続いて2人目は華麗にフェイントを掛ける

 

「話にならねぇな」

 

さっきのお返しと言わんばかりに怒涛に2人抜き去って言い返す。そしてフリーとなったほまれ。レイアップの体勢に入り、片足を踏み込んだ瞬間

 

「ッ!」

 

何故かジャンプするのを辞めて拓人へとバックパスする

 

「え、何で?」

 

「拓人さん!」

 

「ん?あ!…ほい」

 

拓人はスリーポイントエリアから片手で投げて、そのまま綺麗にリングへと入る

 

「意外と入るもんだね」

 

拓人が得点した事により拓人達の勝ちとなった。そしてはなは大喜び

 

「やった〜!ぎゃ!…じゃなかった。めちょっく!」

 

はしゃぎ過ぎたはなは躓いて盛大に転んだ

 

「大丈夫?てか、めちょっく?」

 

「『めちょっく』は『めちゃショック』の略なの!イケてるでしよ?」

 

「さてと、これで約束通りコートは…」

 

「思い出した!」

 

男が拓人の言葉を遮って大声をあげる

 

「お前、天才スケート選手の輝木ほまれだろ!」

 

「何!?有名人か!」

 

「天才で有名人だと!?」

 

「逃げろ!有名人には敵わねぇ!」

 

そう言って捨て台詞を吐きながら男達は退散して行った。

そしてお礼を言われながらその場を後にする

 

時刻も夕方。ほまれも、もぐもぐを連れて1人帰ろうとする時はなが呼び止める

 

「ほまれちゃん!」

 

「ちゃん?」

 

「わたし、ほまれちゃんと仲良くなりたい!またね!」

 

 

 

 

 

////////

 

クライアス社

 

「データの分析が完了しました」

 

「サンキューで〜す。ルールーちゃん残業メンゴね〜」

 

クライアス社のとある場所で、いつもオシマイダーを連れて襲って来るチャラリートと、用事を頼まれていたルールーと呼ばれる少女が居た

 

「対策はバッチリ。ハプニングでも無い限り大勝利!」

 

「ハプニング?」

 

「例えば、また新しいプリキュアが現れるとか?まさかね〜」

 

ルールーからUSBメモリを受け取って帰ろうと思ったが

 

「そういえばルールーちゃん、いつも思うけどそれ何?」

 

チャラリートはルールーの腰に着けてあるハーモニカを指差す

 

「ハーモニカ…と呼ばれる物です」

 

「そうじゃなくてさ、何でいつも身に着けてるって事。それ邪魔じゃん!」

 

「はい確かに邪魔です。…ですが、何故か処分しようとは思えません」

 

「はぁ?意味不明。ルールーちゃんって変わってるね。いや、元々変わってるか」

 

チャラリートは高笑いしながら出て行った。

ルールーはというと

 

「……」

 

1人、そのハーモニカをずっと眺めていた

 

 

 

 

 

////////

 

「宙とぶ期待の星。天才輝木ほまれ」

 

「どうして辞めちゃったんだろうってずっと気になっていたんだけど…」

 

さあやは昨日帰ってからほまれの事を調べていた。それを拓人とはなにミライパッドで原因となった記事を見せる

 

「ジャンプ失敗。怪我による長期休養へ…か」

 

「怪我してたんだ。バスケはあんなに凄かったのに」

 

「でも最後のシュートは飛んでいなかった」

 

「本当はまだ足が痛いのかな?」

 

「痛いのはきっと足じゃなくて…」

 

「ジャンプする時、その時のトラウマが飛ばないようしてるのか…」

 

拓人もほまれについて考える。只心配して考えるのでは無く、拓人は自分の事のように真剣に考える

 

「拓人さん?」

 

「あ、何かな?さあやちゃん」

 

「顔、少し怖いですよ」

 

「か、考え過ぎたね!あはは!はは…」

 

ぎこちないやり取りとしてると遠くの方でオシマイダーの姿を見た

 

「オシマイダーや!」

 

 

 

 

 

////////

 

急いでオシマイダーが出た現場へ急行するとほまれと出会した

 

「ほまれちゃん!?何で此処に?」

 

「そんな事より先生が!」

 

オシマイダーは梅橋先生のトゲパワワで生まれた

 

「大丈夫。拓人さん!さあやちゃん!」

 

「うん!」

 

「うん!…って此処で変身するんだ」

 

 

 

「「ミライクリスタル!ハートキラっと!」」

 

「「輝く未来を抱きしめて!」」

 

「みんなを応援!元気のプリキュア !キュアエール!」

 

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

 

 

 

「プリキュア?」

 

「ふ、2人共。たまには隠す努力をしてね?」

 

「来たなプリキュア!やっちゃって!」

 

チャラリートの指示でオシマイダーの攻撃が始まる

 

だが、オシマイダーの攻撃をエールとアンジュは片手で受け止めた

 

「ハァァァ!!」

 

後退したオシマイダーにエールが右拳を打ち付ける。けれど受け止められてしまう。

そのフォローにアンジュが入るが、エールがそのまま投げ飛ばされ、アンジュは裏拳で弾かれた

 

「援護は任せて!」

 

拓人はブーケトランペットを吹く

 

「オシマイダー!」

 

だが、ブーケトランペットから放つ光弾に対してオシマイダーは、巨大なボールを投げて相殺する

 

「クッ!」

 

息が続く限り吹き続けるも限界が来る

 

(息が…もう!)

「はぁ…はぁ…」

 

「オシマイダー!」

 

限界まで吐き出した酸素が足りなく、動く事さえも出来なくボールの下敷きになる

 

「拓人さん!」

 

「データはバッチリなんだよ!」

 

「プリキュア!拓人!」

 

ようやくしてハリーも追い付いた

 

「アンタ、何か知ってるの?あの2人がプリキュアって」

 

「はぁ!?何でバレとんねん!!」

 

ハリーとほまれが喋る間も拓人達のピンチはまだ続いてる

 

「ダァァ!」

 

「フレフレ!ハート・フェザー!」

 

アンジュのバリアーでオシマイダーの拳を受け止めるも、それだけで精一杯だった

 

「エール押さえて!」

 

「ふんぬ!」

 

アンジュを支えるように2人が背中を押さえる

 

「オシマイダー!!」

 

拳を引っ込めたと思ったら、今度はバットを取り出してバリアー事打って拓人達を遠くまで吹き飛ばした

 

「もう終わりかよ。じゃあ、さっさとギブアップしてミライクリスタルを頂戴!」

 

「そんなの、駄目!」

 

「諦め…ない!」

 

「どんな事があっても!」

 

「プリキュアは!諦めない!!」

 

その言葉にほまれが感化されて手を伸ばす

 

「わたしも…わたしも…もう一度!」

 

「は〜ぎゅ〜!!」

 

ほまれとはぐたんが黄色く輝く。そして、ほまれから一筋の光が飛び出す

 

その光はエールやアンジュが持つ、ミライクリスタルへと形取った

 

「あれってミライクリスタル?」

 

「出やがった!」

 

「何アレ?」

 

「走れ!」

 

未だに状況が掴めないほまれにハリーは叫ぶ

 

「あれはお前の未来や!」

 

ほまれはミライクリスタルの元へと走り出す。でもそれを、オシマイダーが邪魔をする

 

「オシマイ!」

 

「拓人さん!」

 

エールからミライクリスタル・ピンクを借りて、ブーケトランペットにセットする

 

 

「ミライクリスタル!」

 

「アグレッシブ・エスプレッシーヴォ!」

 

 

高速の光弾がオシマイダーを撃ち抜き怯ませた

 

「行け!ほまれちゃん!」

 

「もう一度…!」

 

後少し、ジャンプすれば届く距離まで近付いたのだが

 

「──ッ!」

 

怪我をしたあの日の事をフラッシュバックで思い出してしまう。ミライクリスタルは届かず、そのままジャンプも出来ずに転がる

 

「消えた?やったぜ!」

 

「ほまれちゃん!」

 

「無理、わたし…飛べない」

 

「やっぱり痛いのは心」

 

過去のトラウマを克服出来ず、とうとうそれすらも諦めてしまった

 

「やれオシマイダー!」

 

「オシマイダー!」

 

「させないィィィ!」

 

エールが両手でオシマイダーの攻撃を押さえる

 

「んあぁぁぁぁ!!」

 

更に気合いでオシマイダーを押し返した

 

「フレフレ!ほまれちゃん!」

 

「オシマイダー!」

 

エールは一度距離を置いて再度オシマイダーへ向かって飛ぶ

 

「ほまれちゃん、わたしまだ何だか良く分からないけど!」

 

エールはオシマイダーの体を使って上へと駆け上がり

 

「負けないで。負けちゃダメーー!!」

 

両手を握り、腕の装飾がポンポンとなり勢い付けて叩き付ける

 

 

 

「フレフレ!ハート・フォー・ユー!」

 

 

「ヤメサセテモライマ〜ス」

 

 

 

 

 

////////

 

浄化が終わり、梅橋先生も元に戻った

 

「先生を助けてくれてありがとう。それじゃあここで」

 

ほまれの悲しい背中見てはなは

 

「フレフレ!ほまれちゃん!」

 

「辞めて!」

 

ほまれの声ではなは黙ってしまう

 

「ごめん。今のわたしには…」

 

それだけ言うと、今度こそほまれは振り返らず帰る

 

「今はそっとしておくのが、ほまれちゃんにいい」

 

「…また明日。また明日ね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

拓人達が思う以上に、ほまれの心の傷は相当深かった




ちょっとずつでも頑張ろ

ここまでの拝読ありがとうございました!


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第6話 空へ飛べ!力のキュアエトワール!

オリ主が目立たない第6話!

ではどうぞ〜


「約束の時間に遅れてる。早く行かないと!」

 

拓人は今日から開店する店「ビューティーハリー」の手伝いで呼ばれていたのだが、えみるとの話が盛り上がって別れるタイミングを逃した。その為、約束していた時間より遅れて大遅刻の真っ最中

 

「遅れてごめんね!」

 

「遅かったな。もう終わったで」

 

どうやら一足遅かったようだ。今日はもう閉店時間になっていた

 

「大丈夫!丁度記念写真を撮ろうとしていたから!ご一緒!」

 

「何か気まずいね」

 

「いいのいいの!」

 

「あれ?ハリーは良いの?」

 

「遠慮しとくわ。俺が入るとお前らが霞んでしまうやろ」

 

ハリーが断るので4人寄り添って写真を撮ったが

 

「ホンマにハブにすんなや~!」

 

ハリーもまさか本当に撮ってくれないと思わず、つい妖精態になる。勿論、ほまれは見えては無かったが、聞きなれない声に反応した

 

ほまれが振り返ると

 

「今、変な生き物が!」

 

「あはは…んなアホな」

 

何とか直前で人間態に戻り誤魔化す

 

「そいえば、何でほまれちゃんが此処に?来るとは聞いて無かったけど」

 

拓人は思い出したように尋ねた

 

「誘われた。…でも確かに何で誘ってくれたの?わたし、プリキュアになれなかったんだよ」

 

ほまれ自身も、今日何で自分が誘われたのかが分からなかった。でも、誘った理由は単純な事だった

 

「プリキュアとかプリキュアじゃないとか関係ないよ。わたし、ほまれちゃんが好きだし仲良くなりたいんだ!」

 

仲良くなりたい。そんな単純な気持ちで、はなはほまれを誘ったのだ

 

「…ごめん。ちょっとはぐたんと散歩して来る」

 

ほまれはそう言ってビューティーハリーから出ていった

 

「待ってほまれちゃん!」

 

「そっとしておいた方がいいよ。頑張っている子に、まだ頑張れと言うのは逆効果だよ」

 

「拓人さんの言う通りだけど…」

 

自分でも分かっている。だけど、何かに悩んで苦しんでいる人を応援したい。そんな気持ちもある

 

「人を応援するって凄く難しい事だと思う。でもこのままじゃ…」

 

さあやもほまれの背中を見て心配している

 

「行こうはなちゃん!」

 

「さあやちゃん…。うん!あんなほまれちゃん、やっぱり放っては置けない

 

それでも、はなとさあやは気になる。それがお節介でも2人は急いで後を追って行く

 

「それにしても意外やな。拓人があんな風に言うなんて。てっきり、はなと同じかと思ったわ」

 

「…別に。只当たり前の事を言っただけ。何か間違っていた?」

 

拓人の瞳が暗く、ハリーを映していた。それはえみるに見せた目と同じ

 

「──ッ!?」

 

ハリーもそんな拓人を見た事も無く一歩、思わず後ろに下がる

 

「応援は人によっては毒となる。ねぇ、何か間違っていたかな?」

 

「そ、そんな事あらへんけど…。そ、それより早よう俺らも行かんと!」

 

恐怖に近い何かを感じとり、ハリーは急いではな達を追い掛けて行った

 

「応援ね……。吉と出るか凶と出るか」

 

拓人も静かにビューティーハリーを後にした

 

 

 

 

 

////////

 

ほまれは公園のブランコで黄昏ていた

 

「皆わたしの事心配してくれてる。分かってるのに…。あの頃のわたしに、戻りたいな…」

 

「ごめん来ちゃった」

 

心配をしてはなとさあやが隣へ

 

「ごめんね」

 

急に謝られた事に2人は困惑する

 

「応援してくれたのにキツイ事言っちゃった」

 

ほまれは、この間のやり取りの事を申し訳無いと思い謝った。でもそれは、はなも同じ事を思っていた

 

「わたしの方こそごめん!何て声を掛けていいか正直分かんなかった。もっとイケてる言葉言いたかったけど…心がうーってなって、フレフレしか出来なかったの」

 

はなもあの時、自分に何が出来て、何をしたらいいのか分かってなかった

 

「わたし、ほまれちゃんみたいになりたい。美人でカッコ良くて大人で、なのにわたしお子ちゃまだよね~」

 

「変なの。わたしはアンタみたいになりたいのに。明るくて素直で、皆んなアンタみたいな子好きでしょ?」

 

「そんな事ないよ」

 

お互いがお互いをなりたい対象として見ていた。ほまれがそう思っていたのは、はなにも意外と思い少しビックリした

 

「全然そんな好かれるような子じゃないから。だけど、わたしなりたい野乃はながあるの。だから頑張るの」

 

「わたし、ほまれさんの事好き。前より好きになった。わたしやはなちゃんに出来ない事が、ほまれさんには出来る。ほまれさんに出来ない事がわたし達には出来る。わたし達、きっと凄く仲良くなれる」

 

なりた自分になる為色んな事を頑張り、自分に出来ない事が相手には出来、また逆も然り

 

「ほまれちゃんは、どんな自分になりたいの?」

 

それを知ったほまれは

 

「やめてよね。その『ほまれちゃん』って言うの恥ずかしい!やめて!」

 

「そこ!?」

 

ちょっと思ってたのと違う答えが返って来た

 

少しずつだけど、ほまれとの距離が縮みはじめた所へ

 

「輝木ほまれちゃんだよね?」

 

チャラリートが堂々と現れた

 

「ナンパしに来ました」

 

チャラリートはほまれを拘束して何処かへと連れ去って行く

 

 

 

 

 

連れて行かれた場所は建物の壁際

 

「そこからここまでジャンプしてみれば?やっぱり無理?君は一度だけの失敗と思っているけど、身長が伸びてから一度もジャンプに成功してない」

 

今一番ほまれが気にしている事に、掘り返して煽りかける

 

「わたしは、もう飛べない…」

 

「そう、もう二度と輝けない。お前に未来は無いんじゃん!」

 

最後の言葉で、ほまれから大量のトゲパワワが増幅する

 

 

「明日への希望よ消えろ!ネガティブウェーブ!」

 

「発注!オシマイダー!」

 

 

ほまれから溢れ出るトゲパワワが巨大な怪物のオシマイダーが生まれた

 

「思った通り。デッカイ夢程、失った時の絶望がデッカイじゃん」

 

オシマイダーの出現と共に拓人達もようやく追い着いた

 

「助けなくちゃ!」

 

「「うん!」

 

 

 

「「ミライクリスタル!ハートキラっと!」」

 

「「輝く未来を抱きしめて!」」

 

「みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

 

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

 

 

 

「来る!」

 

「オシマイダー!」

 

「フレフレ!ハート・フェザー!」

 

ハート・フェザーで防御するが容易く破壊される

 

「エール!」

 

「拓人さん!」

 

「「ハァーッ!」」

 

だが2人してオシマイダーの攻撃防ぎ捕まえる

 

「「せーのっ!」」

 

そしてそのまま、息を合わせて地面へと叩き付ける

 

「まだまだこれから!オシマイダー!ミライクリスタルをプリキュアから奪うじゃん!」

 

「オシマイダー!」

 

オシマイダーの足裏からスケートシューズに付いてるブレードが装備された

 

ブレードが付いた事により、オシマイダーはその場で大きく回転する。建物を破壊しながら

 

「駄目ェェ!」

 

エールとアンジュ2人で、回転するオシマイダーの軸足を止めようと踏ん張る

 

「ほまれちゃんの未来は!」

 

「プリキュアが取り戻す!」

 

回転が止まろうとする

 

「ブーケトランペット!」

 

拓人も止まった瞬間に一気に勝負を決めようと狙いを定めようとするが

 

「オシマイダー!」

 

止まる寸前でさらに回転をつけてエールとアンジュを吹き飛ばす

 

「クゥ…」

 

「プリズムシンバル!」

 

「拓人さん!」

 

「強引だけど止めるよ!」

 

拓人はブーケトランペットからプリズムシンバルにチェンジして、アンジュからミライクリスタル・ブルーを受け取りセットする

 

「アクア・グランツィオーソ!」

 

円形のバリアー2枚がオシマイダーを挟み込み回転を止めようとする

 

「止まれぇぇ!」

 

けれど、アクア・グランツィオーソのバリアーでもオシマイダーを止める事は出来なかった

 

『モウトベナインダー…モウカガヤケナインダー…』

 

オシマイダーから声が聞こえる。その声は、今のほまれの心を表すみたいなもの

 

『モウミライハナインダー』

 

「もう未来は無い…もう飛べない…」

 

「わたし達は絶対に!」

 

「絶対に諦めない!」

 

それでもオシマイダーを止める事がどうしても出来ない。拓人とエールの攻撃を全て弾き、アンジュの防御も通用しない

 

「怖い、でも…」

 

 

『──わたしやはなちゃんに出来ない事が、ほまれさんには出来る』

 

『──ほまれちゃんは、どんな自分になりたいの?』

 

 

2人の言葉を思い出す

 

「わたしは…もう一度飛びたい!もう一度輝きたい!」

 

ほまれの体から、眩い黄色い光が溢れる。その輝きが、自分を覆っていたトゲパワワをかき消した

 

「心が溢れる!」

 

「ば~ぶ~!」

 

その光はミライクリスタル・イエローと形で現れた

 

(飛ぶのが怖い、応援される事も…。けど、もう自分から逃げない。わたしはわたしの心に勝つ。未来へ輝く!)

 

 

 

「ミライクリスタル!ハートキラっと!」

 

「輝く未来を抱きしめて!」

 

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

 

 

遂にほまれもキュアエトワールとしてプリキュアに変身した

 

「お待たせ!」

 

「あっ…」

 

また拓人の手元に新たな楽器が生まれる

 

(クラリネット)

 

黄色く輝く「デュアルクラリネット」

 

「フレフレ!ハート・スター!」

 

エトワールの繰り出す、星の鎖が回転するオシマイダーの動きを止めて拘束する

 

「この怪物はわたしが倒す!」

 

「わたし達仲間でしょ」

 

「ここからは一緒に」

 

「力を合わせて」

 

オシマイダーは両腕に翼を生やして拘束を解いて向かって来る

 

「エール!」

 

拓人は低空飛行で向かって来るオシマイダーの下へと潜り込み、ブーケトランペットを向ける

 

「アグレッシブ・エスプレッシーヴォ!」

 

下から突き上げられる光弾でオシマイダーが宙に飛ぶ

 

「道は作ったよ」

 

エール達も高くジャンプする

 

「「飛べ!エトワール!」」

 

エールとアンジュが足場を作り、エトワールはそこから落下の勢いも付けてオシマイダーに上から蹴りを叩き付ける

 

「今よ!」

 

 

 

「フレフレ!ハート・フォー・ユー!」

 

 

「ヤメサセテモライマ〜ス」

 

 

 

 

 

////////

 

「それじゃあまた明日ね、ほまれちゃん…じゃなくて──また明日ね、ほまれ!さあや!拓人さん!」

 

ほまれとの距離はもう無くなった。ちゃん付けから呼び捨てへと、さあやも含めてはなはそう呼んだ

 

「わたしも!これからも宜しくね、はな!ほまれ!拓人さん!」

 

「あはは!呼び方なんて何でもいいのに」

 

それでも満更では無い笑顔

 

「一緒に居てくれてありがとう。さあや、はな。それに拓人も」

 

「呼び捨て…。うん、距離が縮まった感じだよ」

 

「それでも2人には相変わらず『さん』付けやな」

 

「「年上だから」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

陽が沈むビューティーハリーで笑い合う声が奏でる




次回はよくある振り返りです

ここまでの拝読ありがとうございます


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第1回!はぐっとチャンネル!

はい、雑の極みです

では振り返りです


「第1回!はぐっとチャンネルへようこそ!!」

 

何処かのスタジオで大きく「はぐっとチャンネル」と描かれた看板は飾ってある。そこには拓人が居た

 

「どうもこんにちは、司会進行役の音宮拓人です。この番組は、今までの話をゲストと共に振り返る番組です」

 

ゲスト共に。拓人の前にはひとつの椅子が置かれてある

 

「説明は省いて、栄えある最初のゲストを登場させましょう!今回のゲストはこちらの方!」

 

「はいは〜い!わたし、野乃はな13歳!」

 

煙幕と共に現れたのははなだった

 

「キュアエールこと野乃はなちゃんに登場してもらいました〜!」

 

「ところで拓人さん、今日は妙に声が高いっていうか」

 

「多少声を張らないと司会は務まらない」

 

「なるほど!」

 

軽く挨拶と自己紹介を終えて本題へと移る

 

 

 

 

 

「では第1話からお話を聞こうと思いますが」

 

「そういえばわたし、1話はまだ出て来てないんだよね〜」

 

この小説の第1話では、まだ拓人とえみるしか登場してない

 

「仕方ないよ。なら飛ばして2話の感想をお伝えお願い出来るかな?」

 

「初めて拓人さん達と顔を合わしたのは、屋上だったね!思えばあれは運命的な出会い!」

 

「初変身も2話が初めて。凄かったね」

 

「はぐたんを守る為だから!それになりたい自分に一歩でも近付ける!」

 

「これからも頑張ってね!次は3話」

 

拓人は台本と映し出される画面を切り替える

 

「次はさあやちゃんが、キュアアンジュとして覚醒するお話だね」

 

「さあやって天使だと思わない?拓人さん!」

 

「うんうん。それに、さあやちゃんって結構面倒見がいいよね!」

 

「じゃあ次は4話だね!」

 

はなが急にサクサクと進み始めたので、拓人もそれに追い付く様にモニターを映す

 

「あっ…」

 

映し出された場面は、拓人とえみるがベッドでイチャイチャしてる最中の映像

 

「さてと、5話だね」

 

すぐさま拓人は映像を停止して何事も無かった様に進める

 

「あ、あの拓人さん。4話は…」

 

「4話?もう終わったよ」

 

笑顔で語りかける拓人。はなはそれ以上何も言う事はしなかった

 

「5話は、ほまれちゃんをスカウトだったね」

 

「プリキュアになれると思ったけど、それは次の6話でしたね!」

 

「色々助かったよね。ビューティーハリーも無事開店出来たし」

 

そんな時、スタジオからチャイムが鳴る

 

「おっともうこんな時間ですか。そろそろお別れのお時間ですね」

 

「えっ!?早くないですか!」

 

「次回にもゲストは登場予定となっております。でははなちゃん、最後に一言」

 

急に振られて困った様子だったが、気を取り直して一言

 

「これからもフレフレ!皆んなを応援するよ!」

 

「あの〜はなちゃん、応援されるのは俺達の方何だけど…」

 

「あれ?」

 

「で、ではこれにて第1回!はぐっとチャンネルは終了!また次回お会いしましょう!」




もうちょっと話を広げれる様に頑張ります!

ではでは〜


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第7話 2人でお買い物!ホームセンターへ突入!

2、3話に1回は登場させないとヒロインとしてどうなのか?と考えてしまう


「明日の土曜日皆んなでデートしよ!」

 

「デート。男女のペア又は、愛し合う2人が会う事を言う。何か少し違う気も…」

 

「いいのいいの!」

 

ビューティーハリーで集まり話していたところ、はながデートと表してお出掛けの誘いを掛ける

 

「プリキュア 3人揃った記念!」

 

「コラコラ!プリキュア は4人おる筈なんやで!」

 

「ちゃんと揃ったらその時またお祝いするよ。それより皆んなで出掛けよう!」

 

急な誘いで3人は困り果てる

 

「はぎゅ?」

 

「はぐたんと一緒なら!」

 

「何処へでも参ります〜!」

 

と思っていた矢先ですぐこれだ。はぐたんの顔を見ただけで、さあやとほまれは心変わりして行く事にした

 

「お前らそんなノリが軽いとは知らんかったで!」

 

「わたしも、アンタがネズミだとは知らなかった」

 

「ネズミちゃうっちゅうねん!ハリハム・ハリーさんや!」

 

ほまれもプリキュア となって、ハリーのちゃんとした姿を見たのは最近。見た感想としては皆同じでネズミと言う

 

「拓人からも何か言ってやってくれへんか!」

 

「う〜ん…ハムスター?」

 

「それはもういいねん!!」

 

「まあ、それは置いといて」

 

「置いとくやな!重要な事やぞ!」

 

ハリーが何か言っているが拓人は気にせず話を続ける

 

「明日は予定が合って行けないんだ!ごめんね」

 

「そうですか…。ではまた今度拓人さんも一緒に行こう!」

 

 

 

 

 

////////

 

「それで、何でホームセンターなんや?」

 

はな達がやって来たのは、去年から改装して大きくなった「ホームセンターHUGMAN」

 

行く場所は決まってたらしいが、その場所についてはさあや達は知らないかった様子

 

「いざ店へゴー!」

 

はなに連れられてさあや達も店へと足を運ぶ

 

 

 

「此処だね。ホームセンターHUGMANは」

 

「ホームセンターで何を買うのです?」

 

まさかの入れ違いで、拓人とえみるがHUGMANに到着した

 

「父さんがまた物作りをするのに、グルースティックが必要って言ってたからね」

 

「拓人お兄さんのお父様は相変わらず多趣味なのです」

 

「そうだね。でも、何でえみるちゃんも来るの?」

 

「えっ!?それは…そ、そんな事より早くグルースティックとやらを買いに行くのです!」

 

店に入って早々に驚く

 

「ホームセンターって割には、充実なラインナップだね。何でも揃ってる感じがするよ」

 

「服やスポーツ用品まで置いてあるのです」

 

「折角だし全部見て回る?」

 

「はいなのです!」

 

店の下から上まで、端から端まで探検する。その中でも2人が注目したのは

 

「ピアノだ」

 

「ピアノなのです」

 

もはや何でもアリのホームセンターHUGMAN

 

「えみるちゃん弾いてみる?」

 

「た、拓人お兄さんと一緒なら…」

 

えみるは拓人との連弾を希望していた。上目遣いで頼んで来るえみる。

えみるに対して甘々な拓人の返事は勿論

 

「えみるちゃんが望むなら俺はこの身を捧げるよ!」

 

「思ってた返事と少し違うのです…」

 

2人はピアノ椅子に座ろうとするのだが、小さくてとても一緒に座る事が難しい

 

「う〜ん…あっ」

 

拓人は何か閃いた。その閃きは

 

「えみるちゃんどうぞ!」

 

拓人の膝上に座る事だった

 

「は、恥ずかしいのです!」

 

「そんな事言わないで」

 

結局、えみるは拓人の膝上に座りそのまま連弾する事になった

 

「しまった。この体勢では鍵盤が見えない!」

 

そんな事を言いつつも、ちゃんとピアノは弾けており音を奏でていた

 

(そういえば昔はよくこんな風に…)

 

今より小さい頃、よくえみるは拓人の膝の上に座って楽器を演奏していた。上手い、下手に限らず何でも演奏するえみるを褒めていた。

大好きな人が一番の近くで、沢山褒めて貰える事がとにかく楽しく嬉しかった

 

「えみるちゃんどうしたの?ニヤけて」

 

「ふにゃ!?」

 

どうやら顔に出ていたようだ

 

「えみるちゃん可愛い」

 

「拓人お兄さん!!//」

 

あまりの恥ずかしさに思わず叫んでしまった。それを機に連弾を辞めて、最初の目的である買い物をする事に

 

「確かこの辺りだったような……ん?」

 

拓人はとある花屋に目を移した。別に気にする事でも無いのだが、明らかに見覚えのある人物達が居た

 

「あの子ってはなちゃん?」

 

「拓人お兄さん?」

 

「ごめんね、よそ見してたよ。早く行こうか」

 

はなの姿が見えた気はしたのだが見ないフリをした。何故なら、はなと思わしき人物が店での仕事をしていたからだ。

中学生が仕事はおろか、アルバイトですら出来ないのだ。他人の空似、目の錯覚と判断して見なかった事にした

 

ようやくして買い物を済ましたのだが

 

「今の声って…」

 

拓人は窓から裏口の方へ目を移すと、オシマイダーが居る事に気が付いた

 

「やっぱり」

 

「拓人お兄さん!飲み物買って来たなのです!」

 

「えみるちゃん!俺お手洗いに行って来る!」

 

「え、あ、ちょ!」

 

簡潔に素早くえみると別れた

 

「あんなに張り切ってお手洗いに行くなんて、拓人お兄さんはいつから我慢したのです?」

 

 

 

 

 

////////

 

「居た!オシマイダー!良し、デュアル──」

 

「拓人さん!?」

 

「はなちゃん!?」

 

ほぼ同時にオシマイダーの居る現場に到着し、おまけに拓人とはな達がばったりと出会った

 

「「何で此処に?」」

 

「2人共話は後で!」

 

「今はあっち!」

 

 

 

「「「ミライクリスタル!ハートキラっと!」」」

 

「「輝く未来を抱きしめて!」」

 

「みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

 

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

 

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

 

 

「ちょっとストッピ!一瞬いい?」

 

「え、はいどうぞ」

 

クライアス社の一員と思われる女性からストップを掛ける

 

「アンタ誰?」

 

「プリキュア だって」

 

「えぇ〜!?何でプリキュア また増えてんの?」

 

女性はエトワールが居る事は初耳らしく、1人増えてる事に驚いていた

 

「貴方こそ誰なの?」

 

こちらも同じく、チャラリートとは違う人が今回襲って来たので誰かと問う

 

「パップル様よ!」

 

女性の名はパップル

 

「知らないの?」

 

「「「「知らない」」」」

 

知ってるかと訊かれたので素直な答えを言ったのだが、それが気に入らないと思いパップルは怒りを露わにする

 

「おのれプリキュア !ぶっとびな!」

 

「オシマイダー!」

 

「プリズムシンバル!」

 

鞭のような攻撃を拓人が受け止め

 

「「「ハァァァッ!」」」

 

そして、その影からエール達が同時攻撃でオシマイダーを倒した

 

「ったく!ホワイト以外にドンドンミライクリスタルが増えてんじゃないの?チャラリートの奴『ホウレンソウ』がなってない」

 

「何で報連相?」

 

「報告・連絡・相談で『ホウレンソウ』。仕事で1番大事な事でしょ?」

 

「仕事ですって?」

 

「そうよ。ミライクリスタル・ホワイトを手に入れる事、明るい未来を消す事。それが私らクライアス社のお・し・ご・と!」

 

クライアス社は自分達がする事を仕事と自負した。それを仕事と言われて、ますますエール達は許せなくなった

 

もう一度ジャンプして同時攻撃を仕掛けようとするも

 

「「「キャーッ!」」」

 

「皆んな!」

 

ハエトリソウを模した腕でエール達を食べて動きを封じた。

食虫植物は虫を溶かして食べてしまう。このままだと時期に溶かされる危険性がある

 

「3人纏めて溶けちゃいな!」

 

勝利の確信を得たのかパップルは喜ぶ

 

でも

 

「甘いね!3人…4人一緒ならこんな物!」

 

オシマイダーの体を伝って拓人が走る

 

「デュアルクラリネット!」

 

拓人の手に黄色に光るクラリネットが握られていた。そして、そのクラリネットのマウスピースとベルから光剣が出現し、デュアルクラリネットは槍となった

 

「ハッ!」

 

槍となったデュアルクラリネットでオシマイダーの腕を切断した

 

「おまけにもう一つ!エトワール!」

 

エトワールからミライクリスタル・イエローを受け取り、バレル部分にセットする

 

「スパーキング・ブリランテ!」

 

振りかざす二連撃の刃が、オシマイダーの手足を全て切断して動きを封じ込めた

 

「エール!」

 

 

 

「フレフレ!ハート・フォー・ユー!」

 

 

「ヤメサセテモライマ〜ス」

 

 

 

「3人…いや4人じゃなきゃ倒せたのに〜!」

 

パップルは捨て台詞を吐いて退散した

 

「そういえば何で拓人さんが此処に?」

 

「俺は知り合いの子と買い物に……あーーー!!」

 

普段大声を出さない拓人にエール達が驚く

 

「お手洗いで誤魔化してたの忘れてた!ごめんね!また今度!」

 

すぐさま拓人は店へと戻って行った

 

「行っちゃった…」

 

 

 

 

 

////////

 

「随分と長いお手洗いなのです」

 

「ご、ごめんね」

 

「もういいのです。それよりも折角ですし、もっと色んな所へ出掛けるのです!」

 

えみるは元気良く、拓人の手を引いてHUGMANを後にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日もえみるに振り回されながらも楽しい1日を過ごした拓人だった




オリ主、終始謝ってばっかだな

ここまでの拝読ありがとうございました!


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第8話 迷えるさあや!自分のしたい事とは?

ひっさしぶりのはぐプリや!
前回の内容とか忘れちまった!

ではスタート!


「にんじん兄さん、ネギ姉さん♪野菜はわたしの家族なの♪」

 

今はなが歌ってるのは「野菜少女」という昔CMで流れていた歌を口ずさんでいた

 

そのCMに、幼い時さあやが出演していてこの話題になっているのだ

 

「まさか、あの野菜少女がこんな身近に居たなんて!」

 

「何で教えてくれなかったの?」

 

「言う程じゃ無かったと思って」

 

そんな何気ない話をしていると、何処からともなく高笑いする声が聞こえて来た

 

「薬師寺さあや!ここで会ったが100年目!」

 

そして草むらから出て来たのは1人の女の子だった。見る限りでは、はな達と同世代と見た

 

「『一条蘭世』でございます」

 

蘭世と言う子はどうやら、さあやと同じCMに出ていたと言うのだが

 

「そんな子居た?」

 

「わたし覚えてない」

 

「出てたっけ?」

 

「出てますわよ!」

 

拓人達は全く記憶に無い。一応出てる証拠として、あのCMを動画で流してくれて確認したところ

 

「ネギ?」

 

「ネギだね」

 

ネギとして出演していた事が明らかになった

 

「あのCMで、貴女は野菜少女としてお茶の前に親しまれた。なのにわたしはネギ!只のネギ!」

 

蘭世はネギという役に未だに根に持っていたのだ

 

「悔しかった、惨めだった。あの時誓ったの、いつか貴女をギャフンと言わせてやると!」

 

「ギャフンって。面白い子だね」

 

「そうゆう問題じゃないと思うけど…」

 

「貴女には分からないでしょうね!大女優の母という後ろ盾を持った貴女には!!」

 

「大女優?」

 

ガミガミと突っ掛かる蘭世の会話の中で、大女優というワードを耳にした

 

「あらご存知ありませんでしたの?この子の母は、あの『薬師寺れいら』ですわよ」

 

「知ってる知ってる!あのCMの綺麗な人!サイン頂戴!」

 

超有名人な人の名前が出て興奮し、はなはさあやにサインをせがむ様に頼む

 

「一方わたしは、何のバックも持たないで、どんなに小さな役でも地道にやって来ました」

 

「凄い努力家。尊敬するよ」

 

「ありがとうございます。それよりも貴女、今度舞台のヒロイン役のオーディションを受けるのでしょう?」

 

「一応そうゆう話はあるけど…」

 

「わたしも、同じオーディションを受ける事になっていますの。必ずや、貴女を蹴落とし役をゲットして見せますわ!」

 

「でもわたしは──」

 

「問答無用!」

 

何か言い掛けたさあやだったが、蘭世は全く聞く耳を持たずだった

 

「叩き上げの底力見せ付けてやりますわ!」

 

そうして、また高笑いをしながら去って行った

 

「でも、オーディションなんてすっごいね!フレフレさあや!」

 

はなからエールを貰うのだが、少々さあやの表情が曇っていた

 

 

 

 

 

////////

 

次の日

 

ビューティーハリーで、はぐたんのお世話をしながらもさあやの事を話していた

 

「しかし、さあやがオーディション受け取るとは驚きやな。アイツ、今もTVに出てるんか?」

 

「昨日少し調べたけど全然出ていない。何かあったのかな?ところで、はぐたんは何を作っているの?」

 

はぐたんは、何やら機械を使って作っていた

 

「これええやろ!可愛いハートのアクセが作れるんや!」

 

「そうだこれ…!」

 

はなが何か思い付いた

 

 

 

 

 

学校でさあやに会っても本人はまだ浮かない顔。拓人達は、そんなさあやを心配をして跡をつける事にした

 

そして着いたのはちょっとした池

 

「こんな所で何を?」

 

「あ、池に入るよ」

 

様子を見ていたら、何やら1人で話し出した。オーディションの練習中だ

 

3人は、そんな練習中のさあやの姿を見て思った

 

「天使様?」

 

「はな!?ほまれ!?拓人さんまで!?」

 

はなが思わず溢した声で気付いてしまった

 

「ご、ごめん。覗き見するつもりじゃ…」

 

「今のは何!?天使が本当に居るのかと思ったらさあやだったの!天使がさあやで、さあやが天使で!」

 

「はなちゃん興奮し過ぎてだよ。でも、本当にそう見えたよ」

 

「そうそう、背中に羽が見えたってゆうか!」

 

ちょっとした演技だったのだが、拓人達から見たらそれはとても美しいものだった

 

「ありがとう。今度のオーディション、地上に降りた天使の役なの」

 

「マジ凄い!役に入りきってる感じだった。スケートの演技の参考になる」

 

「ねえ!もう一回やって!ワンモア!ワンモア!」

 

はなが期待の目で見つめる。さあやもそれに応えてもう一度するのだが

 

「ココハ何処?ワタシハ誰?分カラナイ、暗クテ何モ見エマセン!」

 

「「「…えっ?」」」

 

急なカタコトに3人は首を傾げてしまう

 

「人に見られてるとこうなの。オーディションは特に駄目」

 

「緊張するって事?」

 

「色々考え過ぎちゃうのかな。『この人はわたしに何を求めてるんだろう?』、『何が正解なんだろ?』って」

 

「でも、野菜少女のCMを見る限りではそんな事は」

 

「確かに、昔は何も考えず役になり切る事が出来たの。でも──」

 

周りの大人達が昔、勝手な期待をさあやに押し付けていたせいもあり、上手く出来無くなっていた。

要はプレッシャーが原因だったのだ

 

「わたしは、母の様になりたいのか?それとも…。だんだん、色んな事が分からなくなっていって、女優になりたいかどうか自分の気持ちも分からなくなっちゃった」

 

「「……」」

 

「…えい!」

 

「冷たっ!?何?」

 

周りの空気が重たく感じ始めたはなは、さあやに水を掛ける

 

「さあやがこ〜んな顔をしてたからさ」

 

「そんな顔してない」

 

「してたよ。ほら、2人もおいで!」

 

「今行くよ」

 

「それ!」

 

拓人達も参加してさあやに水を掛ける

 

「ちょっと2人まで!」

 

「ねぇ、さあやはどうしてオーディションを受け続けてるの?」

 

「何かを求めてるからじゃないかな?」

 

迷うさあやに、拓人とほまれはそう質問する

 

「きっと、自分の気持ちが知りたいからだと思う。答えが分からないまま諦めたく無い。でも、結局は今みたいに悩んでるままだし…」

 

「いっぱい悩めば良いんじゃないかな?悩む事は恥では無いよ」

 

「それに、わたし達がいつも側にいるし」

 

「はな、ほまれ、拓人さん!ありがとう」

 

 

 

 

 

「ルールーちゃ〜ん。今日暇だったりする?」

 

「マスターの御用命であれば何なりと」

 

クライアス社では、パップルがルールーに何か仕事を持って来た

 

「実は、シーカレに誘われちゃってさ〜。今日の仕事代わってくんない?」

 

「シーカレ、登録情報に無い言葉です」

 

「彼氏よ彼氏。仕事も大切だけどLOVEも大切じゃない?」

 

パップルは強引に仕事を押し付け、彼氏の元へと帰って行ってしまった

 

「プリキュアの分析は完了済み。排除成功確率99%。そして」

 

ルールーはひとつの映像を映し出す

 

「この男の分析も完了済み」

 

映し出されてるのは拓人。ルールーは拓人の映像を観ながら、自分が持ってるハーモニカを強く握り締めていた

 

 

 

 

 

////////

 

そしてオーディション当日

 

「此処からは1人で大丈夫」

 

「頑張ってね」

 

「は〜ぎゅ〜!」

 

「コレ、はぐたんと皆んなで作ったの」

 

はなが渡したのは、先日はぐたんが作っていたアクセをはな、さあや、ほまれのイメージカラーを基にして作ったブレスレット

 

「お揃い」

 

「ありがとう」

 

さあやがオーディション会場に入ったのを確認すると、はなはミライパッドを取り出してミライクリスタルをセットする

 

「ミライパッドオープン!お仕事スイッチオン!」

 

「お〜!服が変わった!」

 

はなとほまれの服はCAの服装に早変わりした

 

拓人は、この様なミライパッドの使い方を見るのは初めてだった

 

「お前ら、何するつもりなんや?」

 

はなは何やら悪い顔をして企んでいた

 

「それはね──」

 

はなの計画では、緊張するさあやの為に会場に乗り込んでほぐしてあげるという、何とも言えない計画だった

 

「それ、下手したら追い出される様な…」

 

「大丈夫です!…多分!」

 

「はぁ…じゃあ俺は遠目で見守っておくよ。さあやちゃんに宜しくね」

 

それからは計画通り、さあやの出番の直前で乱入して行った。遠目です見る限りでは、何とかさあやの緊張はほぐせれたとみた

 

「お疲れ様。正直、見てるコッチが恥ずかしかったよ」

 

「付き合わされた俺も恥ずかしいわ…」

 

そんな事を話してると外から大きな音が聞こえた

 

「オシマイダーや!」

 

「急いでさあやと合流するよ!」

 

拓人達はさあやと合流して変身した

 

 

 

「「「ミライクリスタル!ハートキラっと!」」」

 

「「輝く未来を抱きしめて!」」

 

「みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

 

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

 

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

 

 

『現れましたねプリキュア』

 

オシマイダーの近くに、一機のUFOが飛んで女の子の声響いていた

 

「えぇ〜!?UFO!」

 

『貴方達のデータは分析済みです。行きなさいオシマイダー』

 

UFOに乗ってるのはルールーだった。そしてルールーの指示によりオシマイダーが攻撃を開始する

 

「ハァァ!」

 

先に仕掛けたのはエール。だけど、攻撃が届く前にカウンターを食らい建物に叩き付けられた

 

「「ハァッ!」」

 

今度はアンジュとエトワールが加勢するも簡単にあしらわれる

 

「デュアルクラリネット!」

 

拓人も隙を突いて突き刺そうとするも容易く防御された

 

「何のこれしき!」

 

エールが再度突っ込んで行く

 

「オシ!」

 

「それがどうした!」

 

「オシ!」

 

何度も攻撃するが、エールの動きを読んで全て避けた

 

『キュアエール。貴女の動きは直線的で読みやすい』

 

「エトワール行くよ」

 

エトワールが先頭を走り、拓人が後ろから援護しようする

 

けれどもそれも予測済みだった。

オシマイダーが大きく土煙りを立てた事により、エトワールは困惑して動きを止めてしまった

 

「キュアエトワール。貴女の身体能力は群を抜いてる。だけど…』

 

「あぁーっ!」

 

『思い掛けない出来事に対して非常に脆い』

 

「ブーケトランペット!」

 

拓人はオシマイダーの視角に潜り込み、遠距離で攻撃しようとするも

 

『音宮拓人。貴方はプリキュアの動きに合わせてサポートをする戦い方』

 

「うわっ!」

 

『しかし火力が無い上、これといった決め手が無い』

 

「拓人さん!」

 

オシマイダーは次にアンジュに狙いを定めた

 

『キュアアンジュ。貴女の戦闘能力は最も低く…』

 

「フレフレ!ハート・フェザー!」

 

ハート・フェザーで傷付く仲間を守ろうとするも、簡単に破壊されてしまった

 

『得意とするバリアーも、わたしのオシマイダーめ破壊可能』

 

「オシマイダー!」

 

オシマイダーは止めに入る。連続で繰り出される攻撃に、なす術も無く地に伏せてしまう

 

「プリキュア排除完了…?」

 

「まだ…」

 

しかしアンジュだけは立っていた

 

『キュアアンジュ、もう諦めたらどうですか?』

 

「わたしは諦めない。何故なら……3人を守りたい気持ちは誰にも負けない!!」

 

そんなアンジュの気持ちに新たなミライクリスタルが生まれた。ブルーよりも深い青色の「ミライクリスタル・ネイビー」が

 

「オシマイダー!」

 

「フレフレ!ハート・フェザー!」

 

今までより更にパワーが上がったハート・フェザー

 

「天使の中には強さもあるの!」

 

アンジュはそのまま、バリアーを投げ付けてオシマイダーに攻撃した

 

 

 

「フレフレ!ハート・フォー・ユー!」

 

 

「ヤメサセテモライマ〜ス」

 

 

 

隙を突いたエールの技でオシマイダーを浄化した

 

 

 

 

 

////////

 

「折角応援してくれたのにごめんね。合格出来なくて」

 

結局オーディションの方は落ちてしまった

 

「どうして謝るの?」

 

「さあやの自分の気持ち言えたんでしょ?」

 

さあやの表情は前より清々しかった

 

「オーディション受けて良かった。女優になりたいかはまだ分からないけど、自分の心をきちんと見つめて頑張ろうって思えたから」

 

さあやの手には先程新たに生まれた、ミライクリスタル・ネイビーがあった

 

「一つ目のミライクリスタルより色が深くなっとるな」

 

「わたしよ心の…もっと深い所から出て来たからかも」

 

まだ迷ってる部分もあるが、少しずつ前に進み始めてる

 

そして皆んな前に1人の男の子が現れる

 

「ほまれ」

 

その子は金髪で、女の子にも引けを取らない顔立ちの子

 

「やっと会えた!」

 

その子はいきなりほまれに抱き付くのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ほまれとその子の関係は果たして──




もっと書くぞ〜!しかし一旦寝る!

ここまでの拝読ありがとうございました


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第9話 アンリ登場!ほまれ脱退の危機!?

ブーストかけるぜ!

ではスタート!


「アンリ、ちょっと離れて」

 

「ハグなんて子供の頃からよくしてるじゃない?」

 

「何なのよ急に来て!」

 

「迎えに来たんだよ。ほまれ、僕と一緒にモスクワに行こう」

 

突如現れた「アンリ」と言う男性が、ほまれをモスクワに行こうと誘った

 

ちゃんと話し合う為に、ビューティーハリーに入る事にした

 

そしてアンリについてどんな人物か調べる

 

「『若宮アンリ』君、中学3年。凄い!フィギュアスケートで出場した大会は全部1位だ!」

 

「アンリは子供の頃から、スケートのレッスンを一緒にしてた仲間なの」

 

どうやら幼い頃からの馴染み関係だった

 

「どう?似合うでしょ」

 

アンリについて調べてると、ビューティーハリーにある服を試着していた

 

「ちょ、それレディースやで?」

 

「似合ってれば問題無いでしょ」

 

「うん、凄く素敵!女神様みたい!」

 

はな達はアンリの姿に見惚れるが、男である拓人からすれば違和感を感じてしまう

 

「それに、アンリ君の瞳綺麗!」

 

「瞳は父親から譲り受けたもの。母親は日本人で、父親は、フランス人だから」

 

「じゃあ、アンリ君はハーフなんだね!」

 

「半分じゃない。大和撫子とパリジャンのダブルだからね」

 

ここまで自分に自信を持って言うとなると、思わず拍手してしまいそうになる

 

「はなちゃん、褒めるのはいいけどまだ本題が残ってるよ。アンリ君、君は何をしに来たのかな?」

 

「…ほまれを、ここに縛るのは辞めてくれないか?」

 

「縛る?わたし達がほまれを?」

 

言葉の意味が分からなかった

 

「君達とほまれは、住んでる世界が違うって分かってる?」

 

「ちょっと!」

 

少し嫌味な言い方にほまれは怒り拓人達を庇う

 

「…ジャンプ、まだ跳べてないんでしょ?」

 

「ッ!?」

 

「僕達には時間が無い。シニアデビュー、僕達が大人と肩を並べて本格的にスケートを始める大事な時期はもうすぐだ……よく考えて」

 

それからほまれは考えるようになってしまった

 

 

 

 

 

////////

 

そして次の日

 

はなから連絡があり、一緒に皆んなで出掛けようとい事になり、今はそれを楽しんでる最中だ

 

「悩むよね。アンリ君ちょっと強引だけど、凄くほまれの事を考えてるって分かるから」

 

「皆んな優しくて困っちゃう」

 

「優しいのはほまれでしょ。はなとほまれと拓人さんと一緒に居ると、初めての思い出がキラキラと増えていく。きっと今、アスパワワがいっぱいだよ!」

 

自分が悩んでいた事もあり今度はほまれを元気付ける

 

「ホンマ、3人共よう似てるわ。誰かを思ってその為に動く、けど人の事を優先し過ぎとちゃうか。自分の心に素直になるんが大事な時もあるで。イケメンアドバイス」

 

「流石、ハリーは人生に余裕があって羨ましいよ」

 

そんな時、はぐたんがはなの脚を使って立とうとしていた

 

「はぐたんが掴まり立ちしそう!」

 

「頑張ってはぐたん!」

 

「フレフレ!」

 

皆んなの声援の中ではぐたんは、初めての掴まり立ちを成功させた

 

 

 

それから少しして、ほまれは風に当たりに行った。けれど中々帰って来なかった

 

「ほまれ遅いね」

 

「もぐもぐの散歩ついでに様子でも見に行く?」

 

「うん!」

 

拓人とはな、2人でもぐもぐの散歩をしながらほまれを探して

 

「あ!ほまれ居た!」

 

ほまれはクライミングの上に立っていた

 

拓人とはなは登ってほまれの所へ行こうとすると、誰かと会話する声を聞いた

 

「あの子達には無理だ。赤ちゃんのお世話をしたり、お店屋さんの真似をしたり、それって今の僕達に必要な事?」

 

「アンリ!」

 

話をしていた相手はアンリだった

 

「一緒に行こう。友達と遊ぶのは引退してからでも出来る」

 

アンリはほまれに手を差し伸べる

 

「そんな…」

 

「あ、はなちゃん!」

 

口に手をやるがもう遅い。2人に気付かれてしまった

 

「立ち聞き?良い趣味してるね」

 

「ごめんなさい!思わず…」

 

「邪魔しないでって言ったよね」

 

「うん…邪魔したくない。でも、ほまれ凄く困った顔をしてるから。そんな顔を見たら放って置けない」

 

友達として、はなとしてそれは見過ごせなかった

 

「じゃあ君、ほまれの為に何が出来るの?」

 

「…ある。出来る事ある!わたし、夢応援するよ!」

 

「えっ?」

 

「フレフレほまれ!頑張れ頑張れオーッ!」

 

はならしい答えだった

 

でも

 

「君って無責任だね」

 

「ちょっとアンリいい加減に──」

 

「頑張れって言われなくてもほまれは頑張るよ。応援なんて誰にでも出来る。その無責任な頑張れが、彼女の重荷になってるんだよ」

 

これには流石の拓人も聞き逃せなかった

 

「何で君はそんな言い方をするの?」

 

「君ってあの『マエストロ』の音宮拓人だよね?」

 

「何でそれを?家族や吹奏楽の皆んなにしか知らない筈なのに…」

 

「調べれば色々と分かるもんさ。住む世界は違うけど、同じ才能の持ち主なら僕の言ってる事は分かるよね?」

 

拓人は何故か黙ってしまった。一部の人間にしか知らない情報をこの男は知っている。

それもあるが、結局は図星を突かれてしまったのだ

 

「さぁ行こう」

 

差し出す手をほまれは悩んでいた

 

その手を取るか、取らざるべきか

 

悩んだ結果、ほまれはアンリの手を取った

 

「──ッ!」

 

だが手に取ったのはアンリの手だけでは無く、はなの手も取った

 

「ごめん!わたし、アンリとは一緒に行けない。見て欲しいものがあるんだ」

 

 

 

 

 

ほまれに連れられて来た場所は、いつも練習してるスケートリンクだった

 

「アンリの言う事は間違ってないよ。ジャンプが跳べなくなったショックで、わたし、頑張れって言われる度に凄く辛かった」

 

今だから言える本当の事

 

「皆んなから応援される度に、そんな資格無いって、心がギュッとなって…わたしは一度逃げた」

 

「分かるよ。そんなほまれを救えるのは僕だけだ」

 

「確かにアンリとわたしは、同じ世界を生きてるのかも知れない。…けど、わたしに新しい世界を見せてくれたのは皆んななの」

 

そうしてほまれはリンク中心へと滑り

 

「はな、フレフレして」

 

「うん!フレフレほまれ!頑張れ頑張れオーッ!」

 

「わたしはもう一度、皆んなの頑張れを背負って跳びたい!」

 

滑りだす。今の自分を見て欲しいから

 

リンクを駆け抜ける度にほまれの輝きは増していく。その姿はまるで

 

「まるで流れ星みたい!」

 

「もう一度空に!」

 

「頑張れほまれ〜!」

 

はなの応援と共にジャンプする

 

見事着地を成功させた。遂にジャンプが出来る様になったのだ

 

「「ほまれ〜!」」

 

「良かった、良かったねぇ〜!」

 

「素敵だったよ!」

 

はなは泣く程ほまれのジャンプの成功に喜んだ

 

「ほまれ…」

 

だが、そんな喜びの最中にもオシマイダーが現れた

 

急いでオシマイダーが居る場所へと走る

 

 

 

「「「ミライクリスタル!ハートキラっと!」」」

 

「「「輝く未来を抱きしめて!」」」

 

「みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

 

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

 

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

 

 

「来たわねプリキュア」

 

「オシマイダー!」

 

オシマイダーは頭にある信号機から光線を放射する

 

4人はジャンプで避けて、そのまま攻撃へと転じた

 

「「「「ハァァッ!」」」」

 

「オシマイ!?」

 

「良し怯んだ!一気に攻めるよ!デュアルクラリネット!」

 

怯んだ隙にエール、アンジュ、拓人の3人が仕掛けるも

 

「キャッ!」

 

「うわぁっ!」

 

「だはっ!」

 

振り回す腕に弾かれてしまった

 

「エール!アンジュ!拓人!」

 

エトワールはオシマイダーの股をすり抜けて、後ろから蹴りを食らわせてダウンさせた

 

「私に無駄な時間は許されないのよ!」

 

「無駄な時間?…人生に、無駄な時間なんか無い!」

 

「はぁ?無駄話は時間の無駄よ!」

 

「オシマイダー!」

 

光線が放射されるがまたジャンプして躱す

 

「仲間と過ごす時間がとても愛おしい!」

 

空中に逃げたエトワールだが、それを狙って連射する

 

「エトワール!」

 

それをエールが、エトワールの手を取り一緒に避けた

 

「アンジュ!」

 

「フレフレ!ハート・フェザー!」

 

「ハッ!」

 

今度はハート・フェザーを足場にして、エトワールは更に空へ飛んだ

 

「友達と一緒に学校に行ける時間が好き。可愛い赤ちゃんの温もりを感じれる時間が好き。皆んなと過ごす時間が、わたしの心を輝かすんだ!」

 

エトワールの胸の内が光り輝く。それはアンジュと同じ現象

 

「2つ目のミライクリスタル!」

 

新たなミライクリスタル「ミライクリスタル・オレンジ」が生まれたのだ

 

「フレフレ!ハート・スター!」

 

星の鎖がオシマイダーの体に巻き付き封じ込める

 

 

 

「フレフレ!ハート・フォー・ユー!」

 

 

「ヤメサセテモライマ〜ス」

 

 

 

 

 

////////

 

「アンリ、わたし…」

 

「はぁ…負けたよ。さっきのほまれのスケート素晴らしいかった。昔の無駄の無い滑りも好きだったけど、今のほまれの気持ち溢れる演技も悪くない」

 

ほまれの想いがアンリに届いた。そしてそれは、拓人達の事を認めたと言っても過言では無かった

 

「僕も負けていられないね」

 

アンリは手を出す。今度はちゃんと、競い合う仲間として

 

勿論ほまれもその手を握った

 

 

 

 

 

次の日

 

「今日からラヴェニール学園、スポーツ特進クラス3年の若宮アンリです。宜しくね」

 

アンリがラヴェニール学園へに転校して来た。急な事に4人はビックリする

 

「何で!?」

 

「僕もほまれみたいに、心の広がりを探したかったんだよね」

 

「はぁ…?」

 

アンリはほまれに近付き耳打ちする

 

「僕もやってみようかなプリキュア」

 

「えっ!?」

 

アンリにどうやら見られてしまったようだ

 

「な〜んてね!人の為に頑張るなんて僕には向かないかな。それに」

 

今度は拓人に目を向ける

 

「拓人に関してはもうちょっと隠す努力した方が良いよ」

 

「あはは…はぁ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アンリにほまれの気持ちが伝わりモスクワ行きの話は無くなった

 

これから、また更に騒がしい日常が始まる




ピャアアア!!次はえみるちゃんだ!!!

ここまでの拝読ありがとうございました


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第10話 楽しいハイキング!可愛いよえみるちゃん!

おっと、サブタイに私情を持ち出してしまった



「え〜みるちゃん!」

 

「ど、どうしたのです?」

 

いつもよりウキウキな拓人が学校でえみるを呼び掛ける

 

「今度2人でハイキング行かない?」

 

「ハイキングです?」

 

「これ見て」

 

拓人が見せた紙は、はぐくみ市で行われるのびのびハイキングというプリントの案内だった

 

「一緒に──」

 

「遠慮するのです」

 

断られた。たったその一言で、拓人はその場に崩れ落ちこの世の終わりの様な絶望の表情をする

 

「そ、そこまで落ち込みますのですか!?」

 

「落ち込む…」

 

三角座りでそう答える。完全に意気消沈してしまってる

 

そんな2人の会話にとある人物が聞いて介入する

 

「えみるちゃんは行かないの?」

 

「あ、ことりちゃん!」

 

はなの妹のことりだった。拓人はいつもの優しいお兄さんに戻った

 

(拓人お兄さん、切り替えが早すぎるのです…)

 

「ことりちゃんはハイキング行くの?」

 

「はい、クラスの友達と。えみるちゃんも誘うと思って来たけど…」

 

ことりもえみるを誘ってハイキングに行こうとしたのだが

 

「えみるちゃんは行かないって。俺も行きたかったけど、代わりにお供していいかな?」

 

「はい、クラスの友達にも言っときますね」

 

2人でハイキングの話が進む中で、完全にえみるは蚊帳の外になってしまった

 

「ま、待つのです!」

 

これはマズいと思い2人を引き止める

 

「わ、わたしもハイキングに参加しますのです!」

 

「でもえみるちゃんは…」

 

「行きます!!」

 

 

 

 

 

////////

 

のびのびヶ原に着いて出発…の筈だったが

 

「えみるちゃんが居ない…」

 

先程まで一緒に居たのだが、急にえみるだけ居なくなったのだ

 

「ことりちゃん!一緒に探すよ!」

 

「は、はい!」

 

他の友達を一旦待ってもらい、2人は分かれてえみるを探す事に

 

「えみるちゃ〜ん!ど〜こ〜?」

 

叫びながら探してると、それは忘れもしない後ろ姿を目にした

 

「えみるちゃん発見!!」

 

拓人は全力疾走でえみるを後ろから抱き付く

 

「えみるちゃん!!」

 

「のわぁ〜!?」

 

「えみるちゃんダメだよ?勝手に居なくなったら。この拓人お兄さんは、えみるちゃんが何処居ても探し出してみせるよ!まぁでも、もうえみるちゃんから離れないけどね!好き好き!」

 

えみるを持ち上げ、そのまま振り回して最大級の愛情をアピールする

 

「た、拓人お兄さん!?い、今他の人が見ているのです!」

 

「そうだった!どうもありがとうございます。可愛くて!天使なえみるちゃんを見つけて頂い…て……」

 

一緒に居てくれた人達にお礼を言おうと、振り返りながら感謝の言葉は言おうとするのだがその人達が

 

「「「……」」」

 

「拓人お前……」

 

はな達だった。普段から物大人しく拓人の姿しか見ていなかったはな達からすれば、絶句する程のキャラの変わり様に何も言えなかった

 

「……」

 

「あ、あの拓人さんだよね?」

 

はなが恐る恐る聞くが、拓人はヘッドホンを両眼に当てて見ないフリをした

 

「「「隠れた!?」」」

 

「いやもうあかんと思うけど…」

 

「えみるちゃ〜ん!拓人さ〜ん!」

 

ベストなタイミングで一緒に探していたことりがやって来た

 

「ことり?」

 

「見つかったんですね!」

 

「ああ、この通り保護したよ」

 

(((何この切り替え…)))

 

何事も無かった様に、拓人はいつもの様に皆んなに接する

 

「それにしても、2人はこの子の知り合い?」

 

「うん、同じクラスの…」

 

「6年1組、愛崎えみるなのです!」

 

「クラスでハイキング行く事になって。拓人さんも一緒に付いて来てくれたの」

 

「本当に行くのですか?ハイキングはとっても危険なのに…」

 

ここまで来ても尚、えみるはハイキングする事に渋っていた

 

「えみるちゃんは行きたくないの?」

 

「その割には大きいリュックだけど」

 

「これは危険に備えているのです」

 

えみるはリュックの中を開き、拓人達に中身を物を出す

 

「緊急用のパラシュート、何かを叩く為のハンマー、迷子になった時に皆んなで遊ぶ用のトランプ。それからそれから…」

 

そんな感じで、えみるのリュックからは色んな物が沢山詰め込まれていた

 

「無理しなくても大丈夫だよ」

 

えみるは気を遣わせてしまったと思い、少し凹んでしまった

 

「相変わらず用心深いね。でもそんなえみるちゃんも好きだよ」

 

「な〜んか、さっきから拓人おかしくない?」

 

「ほまれ、俺はいつもの拓人だよ。何もおかしい所なんて無いよ」

 

「本当?」

 

「本当だよ」

 

謎の圧に押されてほまれは一歩下がった

 

「絶対楽しいと思うんだけどなぁ」

 

「貴女、信用ならないのです!」

 

「わたし?」

 

「発言に根拠の無い人は信用出来ま…」

 

はなに対して意見を言おうとする時、えみるの手をはぐたんが握る

 

「はぎゅ〜」

 

「えへへ〜なのです!」

 

はぐたんの無邪気な笑顔に惹かれて、結局えみるも行く事になった

 

 

 

 

 

川沿いまで歩いて休憩しながら遊んでいた

 

「えみるちゃんも一緒に遊ばない?」

 

「目を配ってないと何が起こるか分からないのです!」

 

そんな時、はなの腹の虫が鳴り響く

 

「仕方ない、おやつタ〜イム!」

 

「え、もう?」

 

「だって、おやつのバナナ楽しみなんだも〜ん」

 

「はなちゃん、バナナはおやつに入らないよ」

 

「…ってキュウリ!?何で!?」

 

はなが取り出したのはバナナでは無くキュウリだった

 

「河童の呪いなのです!」

 

「河童?」

 

「のびのびヶ原には河童伝説があるのです!ここにいると、河童の里に連れ去れ河童にされてしまうのです!」

 

えみるの心配性もここまで来ればちょっと心配になる

 

「とにかくここから早く逃げるのです!」

 

「もうちょっとここで遊ばな──」

 

「河童になりたいのですか!!」

 

こうなったえみるは拓人でさえ止める事は難しい

 

(まぁ、誰も河童になるなんて信じないよね…)

 

そう思っていた拓人なのだが

 

「河童なりたくな〜い!!」

 

それを信じてしまうのが野乃はなである

 

「わあぁっ!?何するのですか!?」

 

はなはえみるを抱えて川の方へ走って行く

 

「河童は嫌だ!河童は嫌だ!」

 

川の岩を跳び越えて行くが

 

「わぁ〜!?」

 

案の定、はなが滑り川へと落ちてずぶ濡れになってしまった。勿論、抱き抱えられていたえみるも巻き添い

 

「めちょっく!」

 

 

 

 

 

「ずぶ濡れになるなんて、やっぱりハイキングは危険なのです…」

 

「拓人さんありがとう!」

 

「いえいえ。えみるちゃん1人で拭ける?」

 

「拓人さんはわたしを何だと思っているのです」

 

拓人はずぶ濡れになった2人にタオルを渡していた

 

「次はこの石橋を渡るみたい」

 

気を取り直して、拓人達はルートに従って石橋の前に着いたのだが

 

「ストーップなのです!」

 

「今度は何?」

 

「皆んなで渡ったら、重さに耐え切れず崩れ落ちてしまうのです!」

 

「えみるちゃん、いくら何でもそれは無いと…」

 

「きちんと渡れるか確かめる必要があるのです!」

 

えみるはハンマーを取り出して、トントン石橋を叩いて確認した

 

「ん?…何この看板。『渡るな危険!』?」

 

拓人が足下に落ちてる看板を拾ってると、石橋が崩れ落ちた

 

「「「「えぇ〜!?」」」」

 

これには全員が驚いた

 

「凄い用心深さ!『石橋を叩いて渡る』ってこういう事だったのね!」

 

「本当だ凄い…って壊しちゃ駄目でしょ!」

 

しかし、えみるが石橋を壊してしまった事によりこれ以上先は行けなくなってしまった

 

「他のルートを調べてあるのです。安全に進むのです」

 

「あっ…」

 

「はなちゃんどうしたの?置いて行かれるよ」

 

「ま、待ってよ〜!」

 

 

 

 

 

次に着いた場所は綺麗な花が咲き誇るお花畑

 

えみるも、ここまで来るのに何事も無く来れて一安心する

 

「このお花可愛いね」

 

ことりのクラスメイトも、花を見て触ろうと手を伸ばすも

 

「ストーップなのです!お花に触っちゃ駄目なのです!」

 

「可愛いのに何で?」

 

花には触らず離れて行ったが、文句を言う友達にえみるは顔を暗くしてしまう

 

「は〜ぎゅ〜、は〜ぎゅ〜」

 

「駄目だよはぐたん」

 

「どうしたの?」

 

「アザミの花は棘があるから危ないの」

 

「アザミ?それって、さっきことりちゃんの友達が触ろうとした花」

 

「あっ…!」

 

拓人の言葉ではなはようやく気付いた

 

「そっか、えみるが友達の事良く見てるのって…」

 

 

 

花畑を抜けて広い場所へと出ると、トランペットの音が聴こえる

 

「ひなせ君!」

 

「野乃さん来てたんだ」

 

トランペットを吹いていたのは、はな達のクラスメイトである『阿万野ひなせ』だった

 

「ひなせ君もハイキング?」

 

「うん。こういう開けた所で演奏するの気持ちいいからね」

 

「吹奏楽部だもんね」

 

「去年より良い音出してるね」

 

「拓人先輩!」

 

「2人知り合いなの?」

 

拓人とひなせがあまりにも仲が良いのを気付いて疑問に思った

 

「拓人先輩は元吹奏楽部。指揮者をしていたんだよ」

 

「えぇ!?知らなかった!」

 

「それに色んな楽器も使えるから、僕達後輩皆んなに指導もしてくれてたんだよ」

 

「でも、それだけ中途半端って事なんだけどね」

 

頬をポリポリと掻いて照れ隠す

 

「ん?でも、何で吹奏楽部を辞めたの?」

 

「……」

 

「あ、あれ?」

 

「それより、折角だし歌でも歌う?ひなせはトランペット、俺はいつも持ち歩いてるハーモニカがあるから演奏しながら歌えるよ」

 

拓人ははなの質問に逃げるように提案した

 

「丘を越え行こうよ♪口笛吹きつつ♪」

 

皆んなでピクニックを歌い奏でる

 

そんな中、えみるだけが歌わずに木陰に隠れていた

 

「えみるも歌おう」

 

そんな様子に拓人とはなは一緒に歌おうと誘いを掛ける

 

「歌わないのです。歌うと河童が来るのです」

 

「えみるちゃんここは山の中だよ。流石に河童は…」

 

その時、木の上から猿が降ってきた

 

「「「うわっ!?」」」

 

拓人はビックリしてハーモニカを手放してしまい、猿がハーモニカを手に取って遊び始める

 

「さ、猿?」

 

そして猿は、ハーモニカを持ったまま森の奥へと帰ってしまった

 

「あっ!そのハーモニカだけは駄目なのです!返して下さいのです!」

 

「えみる待って!」

 

「ふ、2人共!?」

 

えみるは、ハーモニカを持った猿を追いかけ、はなはそのえみるを追い掛けて行ってしまった

 

「2人共危ないよ!」

 

拓人達もその跡を追い掛けるのだが見失ってしまった

 

 

 

 

 

////////

 

「いないのです」

 

追い掛けてたはな達も猿を見失ってしまった

 

「しょうがないよ。皆んなの所に帰ろっ…あれ?ここ何処?」

 

「も、もしかして迷子なのです〜〜!!」

 

猿を追い掛けるあまりに、自分達が道に迷ってしまった事に気付いた

 

「愛崎えみる一生の不覚なのです。大切なハーモニカに夢中になって、自分が迷子になるなんて…」

 

「大切なハーモニカ?」

 

「は〜ぎゅ」

 

「「あっ!」」

 

目を離してる間に、はぐたんは穴が空いてる近くの花を取ろうと近付いていた

 

「はぐたん!…危なかった」

 

えみるがはぐたんを抱き抱えて落ちずに済んだけど

 

「危な〜い!」

 

後ろからはなが勢い良くぶつかり、3人仲良く穴の中へと滑り落ちていった

 

 

 

 

 

一方で拓人達は、逸れたはな達を捜索していた

 

「何処行っちゃったんだろう?」

 

「まぁ、これくらいいつもの事です」

 

「はなは分かるけどえみるが?」

 

「プールの授業の日に溺れるからって水を抜いたり」

 

「キャンプファイヤーした時も、火事になるからって消してたよね」

 

学校でもえみるの心配性は激しかった

 

「大変だね」

 

「えみるちゃんは、いつでも何かに必死です」

 

「そういう一生懸命なとこ、何だかはなと似てるね」

 

考えてみれば、はなと同じようにえみるも人の為に何かをしてあげる、心優しい性格の持ち主だった

 

しかし、それが空回りする事もあり疲れる人も

 

「身近にそんな人が2人も居て、わたしが1番大変です」

 

「はは…さあやちゃん達が思うより、確かにえみるちゃんの相手も少し大変だよね。実際、ハーモニカの為に突っ走って行っちゃったからね」

 

「そういえばえみるちゃん、『そのハーモニカだけは』って言ってだけどあのハーモニカに何かあるのですか?」

 

「それはね────」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんえみる…」

 

「馴れ馴れしいのです!呼び捨てにしないで下さい!」

 

思ってた以上に穴は深く、到底登って出られる高さでは無かった。そんな事もあり、えみるは不安な気持ちになり始める

 

「やっぱり来なければ良かった。皆んなに迷惑を掛けてしまったのです。わたしはダメダメ人間なのです」

 

自分を責めるえみるだが、はなはそんな事は思っていなかった

 

「皆んなの為に頑張ってたじゃん。あの花に棘があるって知ってたから、友達が怪我しないように守ってあげてたんだよね?友達の為に頑張れるえみるは凄いよ」

 

「頭の中でハイキングのシュミレーションをする時、次から次へと危険が襲い掛かって来るのです。クラス皆んなのハイキングを、最高の思い出にしたくて……皆んなを守りたかったのです」

 

只それだけの理由だった。しかし、言葉足らずのせいもあり中々上手くいかずにいる。更には、現在進行形で迷惑を掛けている

 

心の中で渦巻く感情がえみるを押し潰そうとしている

 

「カッコいいね!えみるは、隠れて皆んなを守るヒーローなんだね」

 

「わたしが、ヒーロー?」

 

自虐的になるえみるに、はなはカッコいいと言う。人を助けるヒーローと評して

 

「〜〜っ!///」

 

「照れてる、可愛い!」

 

ヒーローと言われるのが嬉しかったのか思わず顔を隠してしまう

 

「て、照れてなんかないのです!」

 

「ヒーローってのは、誰にも知られず人を助けるもんだからね〜」

 

「貴女、ヒーローの気持ちが分かるのですか?」

 

「貴女じゃないよ、『はな』だよ」

 

「はな…」

 

「ひとつ気になってる事言っても良いかな?拓人さんが持っていたハーモニカ、何であれが大切な物なの?」

 

さっきえみるが何気無く言った言葉に不思議に感じていた。あれは拓人の物だ。えみるが「大切」と言うには少し変なのだ

 

「あのハーモニカは、拓人さん…拓人お兄さんとの大切な思い出の楽器なのです」

 

 

 

/////

 

それは、えみるがハーモニカを知らないくらい幼い時

 

『──たくとお兄さん、それは何なのです?』

 

『──これ?ハーモニカ。穴に向かって息を吹き掛けると音が鳴る楽器なの』

 

まだ幼いえみるに、ハーモニカについて教えてあげる

 

『──きれいな音がなったのです!』

 

『──やってみる?』

 

拓人はえみるにハーモニカを貸してあげた。えみるは、わくわくしながら息を吹き掛けるも上手に吹けなかった

 

『──たくとお兄さんみたいにふけないのです…』

 

『──なら一緒に練習しようか』

 

『──はいなのです!』

 

 

 

/////

 

「それから、そのハーモニカでずっと練習をしました。勿論、それ以外にも思い出ではあるのです。嬉しかったり、楽しかったり、悲しかったり、凹んだりした時は、いつも拓人お兄さんが隣で吹いてくれたのです」

 

拓人と話をするえみるの表情は嬉しそうだった

 

「あのハーモニカは、わたしと拓人お兄さんを繋げてくれた大切な楽器なのです」

 

「えみるは拓人さんの事が大好きなんだね」

 

「だ、大好きって!?べ、別にそういう訳では…」

 

「違うの?」

 

「い、いえ……大好き、なのです///」

 

先程照れた時より顔に熱を持ち赤く染まる

 

「本当に大好きで、胸が張り裂けそうなくらい」

 

「恋しちゃってる?」

 

「恋、ですか?そう、かも知れません。わたしは、拓人お兄さんに恋してるのです///」

 

拓人の事で盛り上がる中で、はぐたんがぐずり始める

 

「もうすぐミルクの時間!ヤバい、ミルク今無い!」

 

「は〜ぎゅ〜!」

 

とうとう泣き出してしまった

 

「あわわわ!」

 

「ストーップなのです!わたし達が慌てると余計はぐたんが不安になるのです」

 

泣くはぐたんに、えみるは笑顔を向けてリズム取り出す

 

「丘を越え行こうよ♪口笛吹きつつ♪」

 

えみるがその綺麗な声で歌い出した

 

それを聴いたはぐたんは、泣くのが収まり笑顔が戻り始める

 

その歌声は穴の外へと響き

 

 

 

 

 

「この声…えみるちゃんだ!」

 

「行こう!」

 

拓人がいち早く気付き、声のする方へと走って行く

 

そこでようやく、はな達が落ちた穴に到達出来た。えみるが用心として持っていたロープを使って、引き上げてはな達が無事脱出する事が出来た

 

「ふぅ〜!助かった〜」

 

一安心…とも思ったが地面が突然地面が揺れ動いたのだ

 

「オシマイダーや!」

 

「危ないから2人はここで待ってて!」

 

えみるにはぐたんを任せて、拓人達はオシマイダーの所へ向かって行く

 

 

 

「「「ミライクリスタル!ハートキラっと!」」」

 

「「「輝く未来を抱きしめて!」」」

 

「みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

 

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

 

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

 

 

今度のオシマイダーは、キュウリを片手に持った河童の姿だった

 

「オシマイダー!」

 

「ウッ!」

 

一般人に向けてキュウリが振り下ろされる直前で、エールがそれを受け止める

 

「プリキュア!?どうしてここに!?」

 

「ヒーローは皆んなを守る為に、何処でも駆け付ける…の!」

 

そして押し上げてオシマイダーを後退させる

 

「オシマイダー!」

 

今度はキュウリを投げ付けて攻撃する

 

「拓人さん!」

 

「ありがとうアンジュ!」

 

拓人は、アンジュからミライクリスタル・ネイビーを受け取る。

そして胸の内から新たな楽器が生まれた

 

「クリスタルグロッケン!」

 

拓人の周りに、幾つもの鍵盤が現れて浮遊する。そして、両手に持つマレットの1つにミライクリスタル・ネイビーをセットする

 

「ウィング・キャロル!」

 

鍵盤が幾つも並列に並び攻撃を受け止めた

 

「せ〜のっ!」

 

そして、その状態からマレットで鍵盤を叩くと反射してオシマイダーに返す

 

「オシマイ!?」

 

返したキュウリがオシマイダーを倒す

 

「拓人!」

 

今度は、エトワールからミライクリスタル・オレンジを受け取る

 

「マックスティンパニ!」

 

更に楽器も生まれた

 

「ハッ!」

 

拓人は、ティンパニのヘッドを投げ付けてオシマイダーのお腹にくっ付けた。

そして、桴を両手に構えながらヘッドを付けたお腹へと走る

 

「アストラル・アラベスク!」

 

両の桴を思いっ切り叩き付けて、オレンジ色の衝撃がオシマイダーの身体中を走り湖へと吹き飛ばした

 

「エール今だよ!」

 

 

 

「フレフレ!ハート・フォー・ユー!」

 

 

「ヤメサセテモライマ〜ス」

 

 

 

「プリキュアカッコいいのです!…ヒーロー!」

 

えみるは木陰に隠れてプリキュアの活躍を覗いていた

 

「でも、何で拓人お兄さんも?」

 

だが、見ていた場所が悪かったのか拓人の活躍は視界に入っていなかった

 

 

 

 

 

////////

 

オシマイダーも無事浄化出来、何とかスタート地点に戻って来られた

 

「えみるちゃ〜ん!」

 

そこで待っていたのは、ことりとクラスの友達達だった

 

「皆んな無事なのですか」

 

「迷子になってたのはえみるちゃんだから…」

 

「…迷惑かけてごめんなさい」

 

色々と皆んなに言っておいて自分は迷子。流石に申し訳無いと思うばかり

 

「でも、えみるちゃんの歌で見つけれたんだよ」

 

「そうだったんだ。えみるのお陰で助かった〜」

 

皆んなから、歌声の事を褒められた。でも、その中でも1番反応したのが

 

「やっぱりえみるはヒーローだね!」

 

はなが言った「ヒーロー」の単語だった

 

「ハイキングはハプニングの連続でしたが、ありがとうございました…はな先輩(・・)

 

「えっ!」

 

「はな先輩に会えて良かったのです!」

 

「はな…先輩!はぐっと!」

 

先輩呼びに嬉しかったのか、えみるに抱き付く

 

「さてと、そろそろ帰ろうか。俺は小学生組と一緒に帰るよ」

 

「うん!また明日!」

 

 

 

 

 

////////

 

「拓人お兄さんごめんなさい…」

 

「急にどうしたの?」

 

帰り道、えみるが拓人に謝ったのだ。只、謝られる理由が見つからず困惑するばかり

 

「大切なハーモニカを結局…」

 

「そんな事気にしなくても良いのに。それよりも」

 

拓人はえみるの頭を優しく撫でる

 

「えみるちゃんが無事で良かった。それだけで充分だよ」

 

「あ、拓人さん」

 

ことりが拓人を呼んだ。何かと思い近付くと

 

「「あっ!」」

 

ハーモニカを奪って行った猿が戻って来たのだ

 

そして猿は、ハーモニカを拓人に返して山へと帰って行った

 

「無事に戻って来ましたね」

 

「やけに器用な猿だね」

 

「「…フフッ」」

 

2人は互いに見合って笑いが溢れる

 

「帰ろっか」

 

「はいなのです!」

 

拓人とえみる、2人は仲良く手を繋いで家と帰るのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

色々とハプニングのあったハイキングだったが、えみるにとって大切な思い出となった




2個目のミライクリスタルからも、新武器に新技!
えみるの登場=拓人キャラ崩壊
後、意外と内容が多くなった!何気に、えみるも皆んなの前でお兄さん呼びをしていた!

そしてハーモニカに関しても触れていきました。全体通して触れていきますので、実はお飾りアイテムではないです!

ここまでの拝読ありがとうございました


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第11話 何も出来無い!?はなの試練!

今回はめちゃ雑です。寧ろ飛ばそうかと考えましたけど、その後の辻褄
合わせが面倒なので…

ではスタート!


「ほわ〜盛況やな」

 

「流石、フードフェスティバル」

 

「はぎゅ!はぎゅ!」

 

今日ははぐくみ市でフードフェスティバル。

はな達は先行して店の手伝い。拓人とハリーとはぐたんは、露店を回りながらはな達の様子を見に来ていた

 

「えみるちゃんと来たかったなぁ〜…」

 

「この前一緒にハイキングしたばっかりやろ?」

 

「はは…、それより皆んなはっと」

 

周りを見渡すと、さあやとほまれが上手い具合に接客をしていた

 

「流石やな〜。あれ?はなは?」

 

「う〜ん……ハリー居たよ」

 

はなは、たこ焼き屋の横で売り子をしていた

 

「「はぐたん!」」

 

最後にはなを見つけると同時に、さあやとほまれはこちらの存在に気が付いた

 

「お〜い、イケメン店長もおるで」

 

「な〜んだ、ネズミも来てたの」

 

「誰がネズミや!ハリハム・ハリーさんや!」

 

「飲食店の周りでネズミ連呼したら駄目だよ」

 

さあやに注意されてしまった。だが最もな意見

 

一度、はなも呼んで皆んな集まる事に

 

 

 

「ふ〜ん、はなだけが違う格好に」

 

「そうなの。この格好だから、自動的にたこ焼き屋担当されちゃって」

 

どうやら、ミライパッドを使って衣装チェンジしたのだが、さあやとほまれはウエイトレスに対して、はなだけはハッピみたいな物を着ていた

 

「あそこのたこ焼き、この前ハリーと一緒に食べたよ」

 

「そうそう、あの店のたこ焼きめっちゃ美味いんやけどな…」

 

「毎年出店してるけど、他のお店の人気に押されていまひとつ何だって」

 

「あそこのオヤジさん愛想無いもんなぁ。たこ焼き一筋50年って感じや」

 

上手い事客引きが出来ず、少々勿体気がするたこ焼き屋。はなはそこを担当を任されていたのだ

 

「どうしてはなだけ、違う制服になったのかな?」

 

「わたしのクリスタルで、ウエイトレスの制服になるって言ってたのに」

 

「ハリー何でなの?」

 

ミライパッドに詳しいハリーに聞くも

 

「そら、何かミライパッドはんの考えがあるんかも知れへんな」

 

「そんなのある訳?」

 

「ああ見えてもミライパッドはんは深いんや。深過ぎて俺も…」

 

「結局分からないんだね…」

 

一番詳しいハリーでさえも謎みたいだ

 

「けど、はなと2人の何か違いみたいなもんを感じてるんかもな」

 

謎のままだが、これには何か意味があるとそう思う

 

「さて、俺もそろそろ行かないと」

 

「え、何処か行くの?」

 

「吹奏楽部で有志があるから。今日はその手伝いに来たんだ」

 

「拓人も気張って行きや!」

 

ここで拓人と別れる事となった

 

何事も無くフェスは順調に進んで行った

 

だけど、はなの悩みだけは解決出来ずズルズルと引きずったままだった

 

 

 

 

 

////////

 

夕方になりフェスも終わりを迎えようとする

 

「ふぅ〜、片付けも終わったし…あれ?」

 

皆んなと合流しようと拓人は歩いてると、はなとハリーが一緒になってベンチに座ってる姿を見かけた

 

「どうかしたの?」

 

「実はな…」

 

「はぐたんわたしね、大きくなったら何でも出来る、何にでもなれるって思ってたの」

 

はなは、未だに1人悩んでいた

 

「はなちゃん、まだ大人の階段を登り始めてばっかりだよ。今決める事じゃ…」

 

「なのに…何にも出来無いよ…」

 

拓人の話を聞いていなかった。それ程まで、自分の事に悩んでいた。自分の価値について

 

そんな時

 

「オシマイダー!」

 

会場にオシマイダーが現れた

 

「クライアス社や!はな!拓人!」

 

「「うん!」」

 

 

 

 

「ミライクリスタル!」

 

「ハートキラっと!」

 

 

 

「あ…」

 

だが、はなは変身出来なかった

 

「ハートキラっと!」

 

もう一度試すが何も起きない

 

「どうして!?」

 

「しっかりしや!集中や!」

 

「はなちゃんもう一度だよ!」

 

「ハートキラっと!、ハートキラっと!、ハートキラっと!」

 

何度試しても変身する事は叶わなかった

 

「わたしプリキュアに、なれなくなっちゃったよ…」

 

とうとうプリキュアまでもなれなくなってしまった。今のはなにそれが応えて、涙を流してしまう

 

「もう一回や!まだやれるてはな!」

 

「なれない…なれないよ……」

 

しかし悠長に待ってはいられない。その間にも、オシマイダーは暴れて会場を滅茶苦茶にしている

 

「「はな!」」

 

騒ぎを聞き付けて、遅れてさあやとほまれが到着した

 

「さあや、ほまれ。わたし、わたし…」

 

今の状態のはなの姿を見て2人は察した

 

「2人共、ここは頼むで!」

 

 

 

「「ミライクリスタル!ハートキラっと!」」

 

「「輝く未来を抱きしめて!」」

 

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

 

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

 

 

「出たわねプリキュア…って1人足りないみたいだけど?まぁいいわ、やりなさいオシマイダー!」

 

「オシマイダー!」

 

「「ハッ!」」

 

アンジュ、エトワールの2人で蹴りを食らわすも、多少後退するくらいで大したダメージにはならなかった

 

「ひょ〜っとして、プリキュア1人有給取ってんの?」

 

いつもなら3人で倒せる敵も、2人となっては威力が半減

 

「デュアルクラリネット!」

 

拓人はデュアルクラリネットを片手に飛び出す

 

「俺が前に出る!2人は援護を!」

 

拓人は、オシマイダーの攻撃を避けつつ身体を駆け上がりデュアルクラリネットで切り付けていく

 

「これで…!」

 

だがオシマイダーには効いていなかった

 

「オシマイダー!」

 

「うわっ!」

 

拓人はオシマイダーに吹き飛ばされてアンジュ達の近くに転がる

 

「オシマイ…ダー!」

 

「フレフレ!ハート・フェザー!」

 

腕から放たれる黒球をアンジュが上へと跳ね上げ

 

「フレフレ!ハート・スター!」

 

最後にエトワールが、ハート・スターをぶつけてオシマイダーに返した

 

「良し!」

 

しかし

 

「「キャア!」」

 

「クッ…!」

 

攻撃によって起きた土煙りを利用して、視えない状態から攻撃を仕掛け拓人達は直撃した

 

「ごめん…やっぱり何も出来無いよ…」

 

変身したくても出来無い。今のはなには謝る事しか無かった

 

「はな、大丈夫だよ」

 

「はな、顔を上げて」

 

「はなちゃん、謝らないで」

 

3人は立ち上がった

 

「オシマイダー!」

 

「プリズムシンバル!」

 

「ハァ!」

 

「タァ!」

 

拓人はプリズムシンバルで、アンジュはハート・フェザーで、エトワールはハート・スターを自分の周りに螺旋回転させながら防御する

 

「何も出来無いんじゃない」

 

「何をやるかだよ」

 

「その答えをもう知っている筈だよ」

 

オシマイダーの攻撃を弾き返し、アンジュとエトワールは飛び出す

 

「オシマイ…」

 

「ブーケトランペット!」

 

2人の攻撃に拓人が援護してオシマイダーの動きを少しだけ止めた

 

「オシ!?」

 

「「ハァーッ!」」

 

それでも、2人の息の合った攻撃を受け止めてしまった

 

「何をやるか…」

 

そしてはなは自分の今出来る事を見つけた

 

「フレフレアンジュ!フレフレエトワール!フレフレ拓人さん!」

 

それは3人を応援する事だった

 

「「はな!」」

 

はなの応援で一気に決めようとする

 

「しもしも〜、耳障りなんですけど〜。やっちゃいな!」

 

「オシマイダー!」

 

オシマイダーは今まで以上のエネルギーを溜め込み始めた

 

「アンジュ!エトワール!」

 

「はい!」

 

「止める!」

 

大きくなったエネルギーの塊を拓人達に向けて投げ飛ばした

 

「「「ウゥッ!ウゥ…!」」」

 

3人で防御するも、勢いに負けて押される。そしてそれは、後ろに居るはな達にも危険が及ぶ事を意味する

 

「アカン!逃げろはな!」

 

逃げようとするが、はなが途中で転んでしまった

 

「駄目だ!止められない!!」

 

拓人達も背一杯力を込めるも押し返される

 

「あぁ…」

 

もう駄目かと誰もが思ったその時、大きな光りがオシマイダーの攻撃を受け止めた

 

「止まった?」

 

そしてその光りの正体を探る為、はなが後ろへ振り返ると

 

「はぐたん!」

 

はぐたんが光りの正体で、皆んなを守っていた。でも、それはいけない事だった

 

「はぎゃ〜!!」

 

「アカン!はぐたんやめ!」

 

それでもはぐたんはやめない。それどころか、光りは大きく輝く一方だった

 

「はぐたんアカン!そる以上やったらもう…」

 

「ぎゅ〜〜〜っ!!」

 

はぐたんは一気に力を解放して、光りの光線を放った。それはオシマイダーの攻撃を打ち消し、そのまま浄化した

 

「ヤメサセテモライマ〜ス」

 

しかしそれはあまりの代償だった

 

「はぐたん!はぐたん!」

 

「どうしたの?」

 

「はぐたんが目ぇ覚ませへん!」

 

「えっ?はぐたん?」

 

何度呼び掛けてもはぐたんの返事は返って来なかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この出来事に、はなは重く、辛い出来事に苛まれる




次回も今回みたいになりそうな予感

ここまでの拝読ありがとうございました


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第12話 なりたいわたし!奇跡のメロディソード!

この回のエール無茶好き!!

ではスタート!


あれから急いで、はぐたんをビューティーハリーで休ませた。

熱は下がったが、体調は未だに良くはならなかった

 

「はぐたんのアスパワワを、あの時全部使てしもたんやな」

 

「ごめんねはぐたん!わたしのアスパワワ全部あげるから!だから目を覚ましてお願い!」

 

そんなはなの願いも無情

 

「今、俺らに出来る事は何も無い」

 

「…わたしのせいだ。わたし、プリキュアもう出来無い!」

 

はなはプリハートを置いて、その場から逃げるように飛び出そうとするが、ほまれが腕を掴み止める

 

「待ってよ、マジ意味分かんないんだけど」

 

「だって、わたしのせいだもん。はぐたんにこんな苦しい思いをさせて、プリキュア失格だよ!」

 

「失格って、大袈裟な」

 

「わたしには…」

 

 

『──応援なんて誰にでも出来る』

 

 

はなの脳裏によぎったのは、アンリに言われた言葉。その言葉の意味が、もっと今のはなを苦しめさせている

 

「わたしには何にも無い」

 

「そんな事無いよ!」

 

「そんな事ある!わたしはさあやとほまれとは違うもん!だからプリキュアにもなれなくなっちゃったんだ!……きっと、もっとプリキュアにピッタリな子が他にもいるんだよ。はぐたんをきちんと守れる子が…」

 

ほまれの手を振り解き退出しようとする時

 

「おい!それがお前のなりたい野乃はななんか?」

 

「…ごめんね」

 

ハリーの最後の説得も届かず出て行ってしまった

 

「さあやちゃん、ほまれちゃん。あとは2人に任せても良いかな?俺やハリーが下手に言うより2人なら…」

 

「はい、ここは任せて下さい!」

 

「言われなくてもそうする」

 

 

 

 

 

 

 

////////

 

次の日の朝

 

拓人は1人ではぐたんの様子を見に来ていた

 

「ハリー、はぐたんの具合いは?」

 

「まだ…」

 

「そうか」

 

拓人はミライパッドを持って操作し始める

 

「何かはぐたんが元気になるヒントでもあれば…なんて」

 

そんな冗談を口にしてると、ミライパッドの画面が急に変わった

 

「ハリーこれ…」

 

 

 

「どうしたの?」

 

急いで皆んなを呼び説明する

 

「実はミライパッドが急に。これ、のびのびタワーだよね?」

 

「はぐたんを元気にするヒントがあるかも!」

 

「はぐたん…」

 

「どうするはなちゃん?」

 

はなは、はぐたんを抱き抱えて皆んなでのびのびタワーに行く事にした

 

 

 

 

 

タワーでは、吹奏楽部が演奏会をしていた。恐らく、ミライパッドが示していたのはこの演奏会

 

「ひなせ君言ってた。楽器一つ一つの個性が合わさって、想像を超えた素敵な音が奏でられるんだって…」

 

はなは静かに、はぐたんに心音を聴かせて1人話し掛ける

 

そしてさあや、ほまれも加わり3人一緒にしてると

 

「はぎゅ…」

 

「「「「「っ!?」」」」」

 

はぐたんが目を覚ました

 

「は〜ぎゅ〜、は〜ぎゅ〜!」

 

「はぐたん、ミルク欲しいんだね」

 

「わたし、準備して来る!」

 

起きた早々にはぐたんはミルクを求める。そしてそれをはなが準備をしに行った

 

「あとは、はなちゃんが変身出来れば全て解決だね」

 

残る問題も一つ、そうひと段落ついていたら

 

「オシマイダー!」

 

外からオシマイダーの声がした

 

 

 

 

 

////////

 

「守らなきゃ!」

 

しかし、はなの頭に変身出来なかった時の映像がフラッシュバックする

 

「あっ…」

 

「出来るよ!」

 

「フレフレはな!」

 

「自分を信じて!」

 

不安を抱えるはなに、3人はそれを吹き飛ばす言葉を掛ける

 

その言葉に押されてはなは、その想いを胸に変身する

 

「何でも出来る!何でもなれる!」

 

 

 

「「「ミライクリスタル!ハートキラっと!」」」

 

「「「輝く未来を抱きしめて!」」」

 

「みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

 

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

 

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

 

 

「プリキュアになれた!やっぱめっちゃイケてる!」

 

トラウマを乗り越えキュアエールに変身出来た

 

「プリキュアァァ…オシマイダー!」

 

そんな喜びも束の間、オシマイダーの攻撃が襲い掛かるが4人は散らばり避ける

 

「フレフレ!ハート・スター!」

 

エトワールが牽制で技を放つが、それを片足だけで受け止め押し返して来た

 

「ミライクリスタル寄越せェェェ!!」

 

そのまま地面を抉りながら攻撃へと移す

 

間一髪の所で避けるも次の攻撃が来る

 

「フレフレ!ハート・フェザー!」

 

アンジュもバリアーで防御するも容易く打ち砕かれた

 

「ブーケトランペット!」

 

「拓人さんお願い!」

 

「アグレッシブ・エスプレッシーヴォ!」

 

今度は拓人の連続光弾

 

「プリキュアァァァ!!」

 

しかし、それすらも蹴りで全て彼方へ弾き返された

 

「俺達の技が通用しない!」

 

「パワーも桁違いです!」

 

「クリスタル寄越せェェェ!」

 

オシマイダーの足技に翻弄され防戦一歩

 

「デュアルクラリネット!」

 

拓人が上から叩き付け

 

「「「ハァァッ!!」」」

 

エール達が息を合わせて蹴りを入れるも

 

「うわァァ!!」

 

「「「キャアァァ!!」」」

 

それをもろともせず、逆に反動を付けて壁に叩き付けた

 

オシマイダーの力は4人を圧倒し、攻撃すらままならない程苦戦する

 

そして被害は街から一般市民へ

 

「危ない!」

 

崩れる建物が一般市民へ落ちていく。それを拓人がブーケトランペットで砕くも、一部取りこぼした

 

「しまった!!」

 

そしてその下には、偶々その場に居たことりとえみるへ

 

だが、ひとつの影が落ちる建物を受け止めた

 

「大丈夫だよ、わたしが守るから。早く逃げて」

 

「貴女は!」

 

「わたしは逃げない。わたしは…プリキュアだから!!」

 

エールは天高くジャンプする。ピンク色の輝きを纏いながら

 

「やぁぁぁああ!!」

 

襲って来るオシマイダーに、直接崩れた建物をぶつける

 

「皆んなの笑顔が好き。皆んなを元気にしたい!フレフレ皆んな、フレフレわたしーー!!」

 

エールの想いが強く高まり、胸の内から新たなミライクリスタル「ミライクリスタル・ローズ」が生まれた

 

そして、ミライクリスタル・ローズは姿を変えて剣の形となった

 

「あれは!プリキュアの剣や!」

 

「「エール!」」

 

「その剣は?」

 

虹色に輝く刀身の剣はエールに力を与えていた

 

「ウワァァァ!!」

 

オシマイダーが距離を詰めて来た。エールは剣を前に翳すと、虹色のオーラがオシマイダーを押し返して動きを封じた

 

そしてチャンスだと思い、エールは剣を大きく振りかざしてオシマイダーに斬りかかろうとする

 

「ハァァァッ!」

 

しかしその直前

 

「…ッ!?駄目!」

 

振り下ろす動作を強引に止めて、オシマイダーにぶつかった

 

「エール!どないしたんや!?」

 

エールは見てしまったのだ。オシマイダーとなって、何かに恐怖するチャラリートの姿を

 

「違う…これは、わたしのなりたいプリキュアじゃない!」

 

「アアァァァ!!クルシイィ!苦シイィ!心がァァァ!!」

 

苦しみ始めるチャラリート。その姿は、先程まで悩んでいたエールと重なってみえた

 

「オレいつも中途半端ァ!ナンにも出来無イ、ナンニモナレナイ、ナンニモガンバレナイ!オシマイダー!!」

 

チャラリートの身体は小さく縮こまり、前の姿と同じ大きさくらいに戻った

 

「オレには何の才能も無い、何で俺は何も持って無いんだ…。オシマイダー……」

 

そんな姿を見てエールは、剣を捨ててチャラリートの元へと走って行く

 

そして優しく包み込む様に抱き付いた

 

「心が苦しむの分かるよ」

 

「オイ、ハナセェ!」

 

「わたしもそうだもん。わたしも頑張れない時もある。宿題サボっちゃった事もあるし、人参とグリンピースよけちゃった時もあるし」

 

「ヤメロオォォォ!!」

 

エールから溢れ出るアスパワワがチャラリートを癒していく

 

「大丈夫だよ。その気持ち、わたしが抱きしめるから!」

 

そんなエールの前にプリキュアの剣が浮遊する

 

「違うよ。必要なのは剣じゃない」

 

エールが欲したのは「倒す」力じゃない。「笑顔にする」「元気にする」、そんなありふれた優しい力だった

 

プリキュアの剣は、形を変えて新たな姿「メロディソード」が現した。それはアンジュ、エトワールにも現れた

 

「これがわたしの応援。わたしのなりたいプリキュアだ!」

 

 

 

「「「ミライクリスタル!」」」

 

「エールタクト!」

 

「アンジュハープ!」

 

「エトワールフルート!」

 

3人が奏でるメロディがアスパワワを増幅させる。それぞれ違う音色を出し、3人でひとつのハーモニーを奏でる

 

「「「心のトゲトゲ飛んで行け〜!」」」

 

「「「プリキュア・トリニティコンサート!」」」

 

 

「心が温けぇ…俺にも、未来が…」

 

「「「HUGっとプリキュア!エール・フォー・ユー!」」」

 

虹色のエネルギーがチャラリートを浄化した

 

 

 

「あれが、3人のハーモニー…」

 

拓人は、腰にぶら下げてるハーモニカを強く握り締めた

 

 

 

 

 

////////

 

「わたし、はぐたんがとってもとっ〜ても大切だよ!はぐたんが笑ってくれると嬉しい!はぐたんの笑顔の為なら頑張れる!はぐたん大好きだよ」

 

「ま〜」

 

「?」

 

「ま〜ま〜」

 

「えぇぇぇ!?」

 

はぐたんが喋った事にはなは驚いた

 

「ママ言うたで!?」

 

「確かにママって言ってる」

 

「はな良かったね」

 

「これも記念だね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕陽の中、新しい記念を見つけ未来へ進んで行く




オリ主、今回も目立たず!

次回のパジャマ回は飛ばします
理由は聞かないで!!

ここまでの拝読ありがとうございました


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第2回!はぐっとチャンネル!

ふぇ〜

ふぇ〜…へ?


「第2回!はぐっとチャンネルへようこそ!」

 

今回も始まった拓人主催の番組

 

「こんにちは、前回に引き続き司会進行役の音宮拓人。そして!」

 

「わたし、野乃はなだよ!」

 

「今回から、はなちゃんと共にこの番組をやって行きます。宜しくね」

 

新しくはなが進行役に加わり、拓人が話す負担も減った

 

「今回はわたしがゲストを呼ぶね!今回のゲストはこちら!」

 

煙幕と共に現れたのは

 

「どうも、薬師寺さあやです」

 

「キュアアンジュのさあやだよ!」

 

「今日は宜しくお願いします」

 

 

 

 

 

////////

 

「では、前回の続きの第7話からさあやちゃんと語りましょう」

 

第7話はホームセンターでの出来事だった

 

「この話では、拓人さんとえみるちゃんが中心だったね」

 

「拓人さん、えみるに甘々じゃん〜」

 

「だってえみるちゃんは可愛い」

 

可愛いと真顔で言う拓人に、2人は苦笑いした浮かばなかった

 

「はぁ…えみるちゃん可愛くてもう…」

 

「ほまれもプリキュアになって、初めて3人で変身したのもこれが初めてだね!」

 

「うんうん!」

 

「えみるちゃんの笑顔は大切にしたい!」

 

「あ…つ、次のお話の感想を行ってみよう!」

 

 

 

 

 

「次はさあやが活躍した第8話!」

 

「野菜少女さあやちゃん!」

 

「本当に凄いよねさあやは」

 

拓人とはなは、また野菜少女のCMを観て感心していた

 

「蘭世ちゃんは良きライバルになるね」

 

「まだ女優になるかは決めていませんが、これから良く考えていきます!」

 

「新しいミライクリスタルも増えて万歳だよ!」

 

 

 

 

 

「第9話!アンリ君がほまれを連れて行っちゃう話でしたね」

 

「あの時はハラハラしたよ〜」

 

「はなちゃんはなちゃん、ゲストのさあやちゃんが進行しちゃってるよ」

 

いつの間にか、はなとさあやのポジションが入れ替わってる事に注意をする

 

「アンリ君といざこざはあったけど、最後は分かってくれて良かったよ〜!」

 

「ほまれも、2つ目のミライクリスタルを手に入れたしね!」

 

 

 

 

 

「第10話は…」

 

「えみるちゃん!!」

 

突然の大声で、はなとさあやはビックリした

 

「えみるちゃんは可愛かったよね!ちょっと心配性な性格だけど、それは全部皆んなの事を思って行動してる事。それが皆んなに、中々伝わらなかったのは心が痛かったけど」

 

「「あ、ありましたね」」

 

「でも、はなちゃんのお陰でえみるちゃんは!はぁ…」

 

拓人のマシンガントークに2人は苦笑いをするしかなかった

 

「何か全部言われた気が…めちょっく」

 

「し、仕方ないよ。拓人さんは、えみるちゃんの事になると一生懸命だから」

 

 

 

 

 

「次は11話…あれ?何で12話もセット?」

 

「あぁ、それはですね。さっきスタッフの人が『まとめて感想をしてくれ』って言ってましたよ」

 

そのスタッフと思わしき人を見ると笑顔で手を振っていた。ていうか、そのスタッフはハリーだった

 

「あまり掘り下げなかったけど、確かはなちゃんは2人とは違う事に悩んでいたんだよね?」

 

「うん、そのせいもあって変身も出来なった。でも12話で、さあやとほまれに気付かされたよ!わたしにも出来る事はあるって!」

 

「はなははなだよ!」

 

「新たなミライクリスタルも生まれ、新しい力も手に入れた。百人力だね!」

 

 

 

 

 

そして終了の時間のチャイムが鳴り響く

 

「もうこんな時間!?早いね〜」

 

「それだけ沢山話したんだよ」

 

「楽しい時間はあっという間。じゃあ、これにて第2回はぐっとチャンネルを終わります!」

 

「次回もお楽しみ!」

 

「「「またね〜!」」」




5話構成でやるつもりだったけど、間違えて1話多く出してから振り返りをしてしまった!

次回から物凄い勢いで物語が進みます


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第13話 もっと縮めたい!クールなあの子は謎の転校生!

やっと本格的にルールーが動く。
でも今回、はなが中心でごわす

ではスタート


「転校生?」

 

「うん!この前、家にホームステイして来たの!」

 

「ホームステイ?外国人って事かな?」

 

突然の転校生。はな達のクラスに外国人の転校生がやって来たという。しかも野乃家にホームステイ

 

「どんな子?」

 

「ほらあそこ!」

 

はなが指指す方向には、紫色の髪色をした女の子が男子生徒に囲まれていた

 

「ルールー・アムールって名前なの!」

 

「ルールーちゃんかぁ。初日からモテモテだね」

 

拓人は、そんな転校生であるルールーの事を微笑ましく見ていた

 

 

 

 

 

「えっ?サプライズで?」

 

いつも通り、ビューティーハリーで集まっていた時、はながルールーの為にサプライズをしようと提案した

 

「うん。ルールーって何でも出来ちゃうから、中々おもてなし出来なくってさ。それにさ、いつもわたしと居るでしょ?折角違う国に来たんだから、皆んな仲良くした方がもっと楽しいと思うんだよね」

 

おもてなしや、周りとのコミニケーションを図るのも含めてのサプライズ

 

「良いじゃん。分かった協力する」

 

「ルールーに気付かれない様に、クラスの皆んなにはわたしが声を掛けておくね」

 

「は〜ぎゅ!」

 

「はぐたんも乗り気みたいやし、飾り付けの材料は調達しといたるわ!」

 

「う〜ん、何か芸でも考えておこうか…」

 

 

 

 

 

それから1週間がたった

 

場所は野乃家でいよいよサプライズ当日

 

「「「「ようこそ!はぐくみ市へ!」」」」

 

野乃姉妹がルールーを連れて来てクラッカーを皆んなで鳴らす

 

「これは何ですか?」

 

「ルールーのサプライズ歓迎会だよ!」

 

「食事の用意も出来たよ!」

 

「それは…」

 

「手巻き寿司よ」

 

未だ状況に飲み込めずにいるルールーをはなが積極的にする

 

「ほらほら、ルールーもどうぞ」

 

「さぁさぁ、皆さんご注目やで!ハリーとはぐたんの二人羽織や!尚、発案者は拓人」

 

「可愛らしいはぐたんに振り回されるハリーが見たくてね」

 

「なんや嫌なもん聞いたで…」

 

二人羽織をやり切った2人は満足そうにし、ルールーにも誘いを掛けるが

 

「お断りします」

 

「ルールー?」

 

「どうして食べるのに、未成熟な赤ん坊の手を借りる必要があるのです?効率が悪過ぎます。理解不能です」

 

「「めちょっく!」」

 

まさかの断りを入れてからの正論。拓人とハリーも思わずめちょっくを口にする

 

しかしこれだけでは収まらなかった

 

「それにこの料理。未完成な物を出された上に、調理を食べる側にさせるなど非効率極まりないです」

 

「「「めちょっく!」」」

 

ルールーは理解不能とばかり口にして止まらない

 

「そもそも、何故歓迎会を?挨拶なら初日に済ませた筈です」

 

最終的には、この歓迎会にすら意味を問うまでに

 

「そんな言い方ないんじゃないの?」

 

「わたしは分かりやすく伝えてるつもりです」

 

「そうじゃなくて気持ちの話なんだけど」

 

「気持ちですか…」

 

「は〜ぎゅ〜」

 

はぐたんは、二人羽織で使ったおでんをルールーに食べさそうとするが

 

「理解不能です」

 

一刀両断した。流石のはぐたんもショックだった

 

頼みの綱でもあるはぐたんも通用せず、皆戸惑い、重苦しい空気となる

 

「ごめんね、言い出しっぺはわたしなんだ」

 

悪い事をしたと思いはなは謝る

 

「謝る必要はありません。わたしは、わたしの意見を述べたまでですから。失礼します」

 

少し感じの悪くなった歓迎会となってしまった

 

 

 

 

 

////////

 

次の日

 

学校の屋上で、昨日のルールーについて4人は話していた

 

「そりゃ、勝手に歓迎会したのはこっちだけど…」

 

「皆んなでわいわいしたくない人もいるよね」

 

「はなちゃん、あれから上手く出来てる?」

 

「まぁ、う〜ん…なんとかなるよ!」

 

はならしいといえばそうだが、根拠の無い自信に少し心配も感じる

 

 

 

 

 

////////

 

「買い物はこれで終わりと…あの子」

 

拓人は買い物帰りの途中、繁華街へ行くルールーを目にした

 

「ルールーちゃん!」

 

拓人はルールーの事が少し興味を持っているので、この機会にお話と思い追い掛けるが

 

「居ない。見間違えかな?」

 

「オシマイダー!」

 

諦めて帰らうとする時、オシマイダーが出現した。その同時に携帯から着信から入る

 

「もしもし」

 

電話の相手ははなだった

 

『拓人さん!今オシマイダーが出たってハリーが!』

 

「オシマイダーなら…」

 

「オシマイダー!」

 

「目の前で暴れてる」

 

『えぇ!?』

 

驚くのも無理はない。急いではなは合流すると言い残し、拓人はそれまでオシマイダーの足止めをする

 

「デュアルクラリネット!」

 

「オシ!?」

 

背後から不意を突かれた攻撃に、反応出来ずオシマイダーはよろける

 

「ブーケトランペット!」

 

一般人をオシマイダーから遠ざける為、あれやこれやと多彩な武器を使いオシマイダーの気を引く

 

「プリズムシンバル!」

 

オシマイダーの攻撃を受け流すもそれが精一杯。拓人もこれまでの経験や新しい力を手に入れてきたが、根本的に解決していない

 

使う武器はミライクリスタルが無ければ力を発揮出来無い上、そもそも身体能力はプリキュアに一歩劣る

 

「オシマイダー!」

 

「ぐあっ!」

 

「拓人さん!」

 

そこへエールが駆け付けて、吹き飛ぶ拓人をキャッチした

 

「ごめんエール!」

 

「いえ!拓人さん、ルールー見ませんでしたか?」

 

「ルールーちゃん?それなら、オシマイダーが現れる前に目にしたけど見失って…もしかしてここに?」

 

拓人はようやく気付いた。しかも拓人が見たのは、やはりルールーに間違いは無かった

 

「それなら早くオシマイダーを!」

 

拓人はブーケトランペットを構え、エールはジャンプしてメロディソードを構える

 

「アグレッシブ・エスプレッシーヴォ!」

 

「フラワー・シュート!」

 

蕾の光弾、薔薇の光線がオシマイダーに直撃する

 

「オシ、マイダー…」

 

堪らずオシマイダーは倒れた

 

「エール!」

 

「拓人!大丈夫?」

 

後から、アンジュとエトワールとハリーが合流した

 

「まだや!」

 

ハリーの言う通りまだ戦いは終わってない。オシマイダーは立ち上がりながら、その身体を変形させてベイゴマに似た形になった

 

そして回転しながら拓人達に襲い掛かって来る

 

「うわぁ!」

 

回転するオシマイダーを止められない。避け続けてると、エールの姿が見えなくなってた

 

「エールがいないよ!」

 

「え、何処に…あ!」

 

拓人が見つけた。エールは高速回転するオシマイダーにしがみ付いていた

 

「貴方の相手をしてる暇は無いの〜!ルールーを探さなきゃいけないからんだから〜!」

 

オシマイダーはしがみ付くエールを振り解きたいが為に、空中を縦横無尽に飛び回る

 

そしてとうとう、振り落とされて庭園の方へ落ちて行った

 

 

 

「キュアエール…いえ、野乃はな」

 

エールが気が付くと目の前にルールーが立っていた

 

「ルールー…あっしまった正体!でも無事で良かった」

 

やっと探していたルールー。正体を恐らく知られてしまったが、ルールーが無事なら関係無いと笑顔で返した

 

「何故わたしを探しに来たのです?」

 

「来たばかりで、こんな騒ぎに巻き込まれたんだもん。心配するよ」

 

「そんな気持ちのせいで非効率な戦いをして、無駄に傷を負ったのかですか?」

 

こんな状況でもルールーは、効率の話をエールにする。他人の為に自分が危険な目に遭っても良いのかと

 

「無駄じゃないって。こうして話が出来たんだから」

 

「…」

 

「わたしさ、折角来てくれたルールーを喜ばせたかったの。変な感じになっちゃったね。余計な気を回し過ぎて、逆に貴女に壁を作っちゃってた」

 

その壁を壊したく、エールはもうルールーに気を遣わない様にする。歓迎する側とされる側の関係はもう終わり

 

「ルールー、家族になろう」

 

同じ目線での関係、これからは「家族」になろうとそう決めた

 

「もっと気楽にさ、当たり前の事何でも一緒にしてみようよ。わたし達タイプ全然違うし、ぶつかる時もあるかもだけど…なんとかなるって!」

 

「なんとかなる根拠があるのですか?無いなら無理です」

 

「タンマタンマ!ルールーが好きだから!」

 

「…ッ!」

 

「それじゃダメ?」

 

何か「好き」という言葉に反応した。ルールーは胸を押さえ

 

 

 

「あれ?居ない。夢でも見てたのかな?」

 

その答えを聞く前に、エールの前からいつの間にか消えていた。一瞬の事なので、エール自身夢かと勘違いしていた

 

「夢って、あまり心配させないでよ」

 

「は〜い」

 

「オシマイダー!」

 

「3人共来るよ!」

 

 

 

「「「ミライクリスタル!」」」

 

「エールタクト!」

 

「アンジュハープ!」

 

「エトワールフルート!」

 

「「「心のトゲトゲ飛んで行け〜!」」」

 

「「「プリキュア・トリニティコンサート!」」」

 

 

「ヤメサセテモライマ〜ス」

 

「「「HUGっとプリキュア!エール・フォー・ユー!」」」

 

 

 

 

 

////////

 

「ルールーを探さなきゃ!」

 

「ここにいます」

 

クライアス社との戦いを終えて、すぐさまルールーを探しに行こうとすると後ろからルールーの声がした

 

「用事は済みました。帰りましょう」

 

「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

多少のいざこざはあったものの、はなとルールーの距離は一気に縮まった




あまり掘り下げなかった

次回も飛ばします。アニメの14話は普通に面白いんだけどね
この小説では切り詰めていきます

ここまでの拝読ありがとうございました


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第14話 凸凹コンビえみルー!心通わすメロディ!

やっとこの3人が出会いましたよ

ではスタート


「HUGMANで卵が安くなってる!拓人!!」

 

「何母さん?またストレスでニキビが出来たの?」

 

「違うわよ!…それもあるけど。それよりこれを見なさい!」

 

拓人の目の前に1枚のチラシを突き付ける

 

「1パック20円の卵、先着20名限定……うん頑張って、これから部屋の掃除をするから」

 

拓人は勝手に理由を付けて、部屋に篭ろうとするが素直に返してはくれなかった

 

「行きなさい。どうせ、部屋に篭って勉強なんでしょ?偶には出歩いてみたら?」

 

「はぁ…分かったよ」

 

音宮家では、一番の権力者は母親。少し騒がしいく、キャピキャピした普通の主婦なのだが、ああ見えて力は強い。片手でクルミを砕く程の握力を持っているのだから

 

 

 

 

 

////////

 

開店する前に何とか店の前に着いて待機してると、騒がしい2人組がのしのしと近付いて来るのが見えた

 

その2人組は、拓人も良く知る人物達だった

 

「ルールーちゃん、おはよう」

 

「貴方は確か…」

 

「見た事はあるけど自己紹介がまだだったね。俺は3年の音宮拓人。宜しくね」

 

「宜しくお願いします」

 

1人はルールー。そして、そのルールーの腰にしがみ付いてるもう1人が

 

「何してるのえみるちゃん?新しい遊びか何かかな?」

 

「拓人お兄さん!?違うのです!今のわたしは、『キュアえみ〜る』なのです!」

 

「そ、そうなんだ…」

 

わざとボケてみたものの、違う返しが来てしまったので困惑してしまう

 

「俺は卵を買いに来たけど2人は?…ってえみるちゃんは違うよね」

 

「わたしも任務で卵を買いに来ました」

 

「一緒だね。あっとそろそろ時間だ。えみるちゃん、ルールーちゃんの邪魔をしたら駄目だよ」

 

そして開店の時間。扉が開くと同時に大量の人が走り出す

 

「これだから行きたくなかったんだよね…ってルールーちゃん速!?」

 

拓人が人混みに揉まれながら苦労してる間、ルールーは涼しい顔をして既に卵をゲットしていた

 

「任務完了」

 

「凄いよルールーちゃん、はなちゃん達から聞いてた通りの人」

 

拓人も早い者勝ちの死闘を潜り抜けて、ようやく卵をゲットした

 

その頃えみるは

 

「このキュアえみ〜るがお手伝いします!」

 

「ありがとね〜」

 

「…ちょれい!あっ…」

 

缶詰めの下敷きになっていた

 

他にも

 

 

「あっ、大根忘れてた」

 

「キュアえみ〜るにお任せ!」

 

「これはレンコンだね」

 

「間違えました!」

 

だったり

 

 

「キュアえみ〜るがお持ちします!」

 

「お気持ちだけで十分よ」

 

 

荷物が持てなかったりと、色々と情け無い姿を晒していた

 

「キュアえみ〜るは、皆さんのお役に立てませんでした…」

 

「まぁまぁ」

 

そのせいで完全に凹んでしまった

 

「そうでしょうか?貴女が声を掛けた人は皆、笑顔になっていました。それが何故なのかは理解出来ませんが…」

 

「ルールーはこのまま帰るんだよね?」

 

「はい」

 

「あの!」

 

えみるはルールーの前に立ち、もじもじしながら何か言う

 

「あ、貴女ともっとお話してみたいのです。なので、もし宜しければ…わたしの家に遊びに来ませんか?」

 

「いいですよ」

 

「えぇ!?」

 

意外にもその誘いをルールーは断らなかった。そしてえみるは、自分が誘ったのに何故か驚いている

 

「拓人お兄さんもどうぞ〜」

 

「いいの…かな?」

 

(不可解な点は多い。しかし、あの時のアスパワワ…プリキュアの可能性はゼロでは無い)

 

ルールーは密かに監視の意も込めて付いて行くのだった

 

 

 

 

 

着いた場所は何故か公園

 

「これが貴女の家ですか?」

 

「違います!」

 

「もしかして……何も思いつかなかったよ」

 

「時々、拓人お兄さんが良く分からないのです」

 

そしてえみるは、ドーム型の滑り台の方へ足を運んび中で何やらガサゴソしていた

 

中で着替えをしている様だ

 

「わたしの秘密をお教えします。キュアえみ〜るは世を忍ぶ仮の姿…実はわたしはプリキュアではないのです!」

 

「いや『衝撃の事実!』みたいな事を言われても…」

 

「そうですね…」

 

「わたしは愛崎えみるといいます」

 

「わたしはルールー・アムールです。敬称はありません」

 

「あれ?2人共、まだお互いの名前把握してなかったんだ…」

 

名前すら把握してなかったのに、あれだけの絡みよう見て最近の子はコミュニケーション能力が凄いなと関心していた

 

「お願いがあります。わたしの家族には、秘密にしてくれませんか?」

 

「何故ですか?」

 

「ヒーローとは正体を隠すものなのです。特に拓人お兄さん!」

 

ビシッと拓人の方へ指を向けられる

 

「拓人お兄さんが一番心配なのです!お願いしますよ?」

 

「は、はいぃ……」

 

「それに…家族に心配を掛けたく無いので…」

 

 

 

 

 

////////

 

「此処がわたしのお家なのです」

 

えみるの家は、少し山の中にあり城の様に立派な家なのだ

 

「お城の様だとよく驚かれますが…」

 

「行きましょう」

 

「え?」

 

ルールーはそそくさ愛崎家にお邪魔する

 

「お客様をお招きしました!」

 

大きいのは外観だけでは無く、中も同じくらい広かった。えみるが声を上げると

 

「ラララ〜!ようこそ〜!」

 

「わが家へ〜!」

 

「「どうぞごゆっくり〜!」」

 

と、えみるのご両親が独特の挨拶でおもてなしをする

 

「相変わらずえみるのご両親は面白いね」

 

「変わった両親だとお思いでしょうがあまり…」

 

「お邪魔致します」

 

「えっ!ノーリアクション?」

 

更に奥からもう1人

 

「お友達かい?兄の『正人』です。宜しく」

 

兄の正人だった。正人とは拓人と同じクラスメイト

 

「学校以外で会うのは久し振りかな?拓人」

 

「そうだね」

 

「ところでえみる、さっき街でお前を見掛けたのだが…」

 

「ルールーを案内しますのでこれにてなのです!」

 

えみるは2人の手を引いて自室へと駆け込んだ

 

「此処がわたしの部屋なのです」

 

周りを見渡すと、えみるらしいものが沢山置いてある

 

「あれは何ですか?」

 

その中でもルールーが気になったのは

 

「ピアノとヴァイオリンですけど?」

 

「何をする物なのですか?」

 

「えっ?そりゃ楽器なので音楽を奏でるものですが」

 

「音楽…とは何ですか?」

 

「「音楽を知らない!?」」

 

拓人とえみるは2人でヒソヒソと話す

 

「ルールーちゃんは外国人だけど、音楽を知らないって…」

 

「でしたら、ここはわたしに任せて下さいなのです。拓人お兄さんに教えてもらった音楽の極意を、ルールーに教えてあげるのです!」

 

2人はルールーへ向き直る

 

「ではお教えしましょう。わたしの最大の秘密と共に!」

 

えみるが指を鳴らすと、一部の家具が床下へと移動して、新たな床が這い出た

 

「これは?」

 

「わたしが最も愛する楽器……ギターなのです!!」

 

えみるはギターを使ってルールーに音楽の極意というものを教える…らしい

 

「ギターは自由なのです!乗れるのです!カッコイイのです!ギュイーンとソウルがシャウトするのです!!」

 

荒々しくルールーに説明して、えみるは疲れ果てて肩で息をしていた

 

「よく分かりません」

 

しかし、全くルールーは理解していなかった。実際、拓人もよく意味を理解しておらず困惑していた

 

「えみるちゃん、実際に弾いてみたらどうかな?」

 

「そうですね、なら」

 

えみるはまだ未完成な曲だが、それをルールーに聴かせる

 

それでも、その音は心地良く温かいものを感じた

 

「何ですか…その、不思議な音と声の組み合わせは?」

 

「これが音楽…歌なのです!どうですか?」

 

「苦しいです…」

 

「「えっ?」」

 

ルールーは胸を押さえて悶える

 

「その歌というものが、わたしの中で響き続けていて…もっと聴きたい」

 

ルールーの顔は紅潮していた。初めて聴く音楽に触れて「もっと聴きたい」と思う程に胸を撃ち抜いたのだ

 

「しょ、しょうがないですね!特別ですよ!」

 

ルールーのアンコールに応えて、えみるはもう一度音楽を奏でる

 

しかしその途中で

 

「えみる」

 

「お兄様!?ま、待って下さい!」

 

えみるは大慌ててギターをとある所に隠した。これで良しと思い正人を部屋の中に入れる

 

「ギターの音が聴こえなかったかい?」

 

「き、気のせいなのです!」

 

だが、お慌ててで隠したせいか、クローゼットに隠していたギターがズリ落ちて見つかってしまう

 

「「あ゛!」」

 

「やっぱり…辞めたまえ。女の子がギターなんて。女の子は女の子らしく、ピアノやヴァイオリンの方が似合っていると思う」

 

「何故ですか?何故ギターは駄目なのですか?」

 

その言葉に怒ったルールーが文句を言う

 

「可愛いえみるには似合わないからさ」

 

「基準が不明瞭です」

 

「由緒ある愛崎家の令嬢にらギターは不釣り合いだと言っています」

 

「正人君それは違うよ」

 

堪らず拓人も前に出る

 

「はぁ…そもそもギターを勧めたのは拓人と耳にしてる。えみるが懐いてるとはいえ、少し勝手が過ぎるよ」

 

「俺は只、えみるちゃんに音楽の楽しさを知ってもらいたいだけだよ」

 

「君はもう音楽を捨てた身。いい加減えみるを弄ばないでくれるかな?落ちたマエストロ…音宮拓人」

 

(落ちたマエストロ…?)

 

拓人と正人の睨み合いが続く

 

「只の助言だ。邪魔したね」

 

一触即発になる前に、正人の方から部屋を退出してくれた。そして、その場の緊張の空気が無くなり深い溜息をする

 

「何なのですか?あの人は!」

 

「正人君とこんな風に衝突するなんて初めてだったよ」

 

しかし、ルールーの気は収まらなかった

 

「ギターは自由だと、カッコいいのだと、最も愛するものだと。それをあのように否定するなんて!」

 

「ありがとうルールー。怒ってくれて」

 

「怒った?わたしが?」

 

自分で言えない事を代わりとはいえ、ハッキリと言って怒ってくれたのだ。それが嬉しくてしょうがなかった

 

「…あれ?ルールーちゃんその腰に付けてるのって」

 

拓人はルールーが腰にぶら下げてある物に目がいった

 

「ルールーも楽器を持ってるじゃないですか!ハーモニカを!」

 

「ハーモニカ…これも楽器なのですか?」

 

拓人とえみるは肩からこけてしまう

 

「知らずに持っているのね。ついでだからハーモニカも教えてあげるよ」

 

拓人は自分の腰に下げてるハーモニカを取り、それを口にする

 

「こうやって、息を吹き掛けると──」

 

「──ッ!」

 

静かな音。でもギターとは違った音を奏で、心を落ち着かせ、癒す音色が溢れ出る

 

「こんな感じで、吹き掛ける強弱によって音も変わる。面白いでしょ?」

 

「…」

 

ルールーも試しに自分ので吹いてみるが

 

「上手く鳴りません」

 

「簡単そうに見えて、意外と難しいからね。…それにしても、ルールーちゃんの持ってるハーモニカ俺と同じに見えるけど」

 

よく見ると、拓人とルールーが持つハーモニカは殆ど同じ造形をしていた。

ルールーのはかなり使い込んだ跡があり古びてはいたが、それでもメンテナンスはしっかりされていた

 

「ルールーちゃん、そのハーモニカって誰に貰ったの?」

 

「何故貰ったと?」

 

「失礼な事言うけど、今日まで楽器が何なのか知らないまま持っていたから、誰かに貰ったと勝手に予想したんだ。差し支えなければ」

 

「それは──」

 

何か言い掛けた時物凄い振動がした

 

外を覗くと街の方でオシマイダーが暴れていた

 

「あれは…!」

 

えみるは別の部屋に駆け込み

 

「えみ〜る!」

 

その言葉と同時にキュアえみ〜るの格好をしたえみるが外へ出て行った

 

 

 

 

 

駆け付けると、エール達がオシマイダーに苦戦を強いられていた

 

えみるも行こうと決心する時

 

「危険です」

 

ルールーに呼び止められた

 

「何故来たのですか?」

 

「キュアえみ〜るは人々の平和を…」

 

「貴女は本物のプリキュアでは無いでしょう?」

 

どんなに見た目をそれらしくしても、今のえみるは只の一般人。そんな厳しい現実を突き付けられるが、えみる自身はそう思ってはいなかった

 

「確かにわたしは偽物なのです。でも…でも!偽物でも、街の危機を放っては置けないのです!」

 

「何故そこまで…」

 

「あれが愛崎えみるって子なの」

 

拓人はルールーにそう伝える。彼女がどんな子なのかを

 

「あっ!」

 

拓人はオシマイダーの近くに泣く小さな男の子を発見した

 

それはえみるも気付いていた

 

「オシマイ…」

 

えみるは逃げるどころか、その男の子を助けるべく走った

 

「「えみる!」」

 

「ダーー!」

 

巻き起こす音波がえみると男の子を吹き飛ばした

 

「フラワー・シュート!」

 

しかし、エールが横槍で技を放ちオシマイダーを倒す

 

吹き飛んだえみるは、エトワールのハート・スターがクッションになり傷も無く無事だった

 

「見てたよ」

 

「ありがとう」

 

「貴女もヒーローだね!」

 

「えみるちゃん大丈夫!?」

 

「後は任せて!」

 

エール達の後ろ姿を見てえみるは感極まっていた

 

「えみるちゃん?」

 

「わたしも…ヒーロー!」

 

 

 

「「「ミライクリスタル!」」」

 

「エールタクト!」

 

「アンジュハープ!」

 

「エトワールフルート!」

 

「「「心のトゲトゲ飛んで行け〜!」」」

 

「「「プリキュア・トリニティコンサート!」」」

 

 

「ヤメサセテモライマ〜ス」

 

「「「HUGっとプリキュア!エール・フォー・ユー!」」」

 

 

 

 

 

////////

 

「わたし…なんて危険な事を…」

 

えみるは咄嗟といえど、改めて自分が如何に危険な事をしたのか身の程を知った

 

「わたしも同じ事をしました。わたしは何故、あんな事を…」

 

そう呟くルールーにえみるは、幸せそうな笑顔を向けて手を握る

 

「やはり、わたしと貴女は通じ合っているのです!運命なのです!ルールー、わたしと一緒にプリキュアになりましょう!」

 

えみるは、ルールーと何かシンパシーを感じてプリキュアになろうと言い出す

 

「わたしがプリキュア…プリ…」

 

「ルールーちゃんがプリキュア…」

 

拓人とルールーは想像してみる。2人がプリキュアになる姿を

 

「プ…ッ」

 

「お断りします」

 

2人が想像して、拓人は何か面白そうに笑い、ルールーは機嫌が悪そうに断る

 

「貴女は今日から、キュアらりるれルールーなのです!」

 

「お断りします」

 

話を聞かないえみるに、少々苛ついたのか目元が一瞬ヒクついた

 

「お〜い!えみる〜!」

 

そこへはな達が拓人達を見つけて合流した

 

「ルールーお使いは?」

 

「問題ありません」

 

「卵は家で預かっているのです」

 

「えみるの家に?2人はどういう関係なの?」

 

いつの間にか仲良くなっている2人を見て気になっていた

 

「え?そ、それは!お、お、お友達なのです!」

 

「他人です」

 

「えっ!?」

 

「もう友達ですよね?」

 

「他人です」

 

「友──」

 

「他人です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなやり取りが暫く続いたのであった




今回は真面目に書きましたよ!色々と伏線も貼りましたし!
感の良い人は気付いてしまうけど!

ここまでの拝読ありがとうございました


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第15話 光と闇の狭間、ルールーが選んだ選択

今回はオリ主とルールーが殆ど

ではスタート


「あ!ルールーちゃん!」

 

「拓人」

 

朝登校するルールーの姿を見て、拓人はルールーの隣にかけ急ぐ

 

「おはよう」

 

「おはようございます」

 

しかし、その挨拶の会話から全く喋らなくなってしまった

 

「「……」」

 

無言の空間がしんどい

 

「あっ!ルールーちゃん、音楽は好きになれた?」

 

最近あった出来事で、一番ルールーと話題が広がりそうなのを選んだつもりなのだが

 

「分かりません」

 

(やっぱりなのね〜…)

 

予想はしていたが、いざその言葉を聞くと凹んでしまう。何せ、これ以上の話題が無いのだから

 

「ねぇルールーちゃん。俺は君ともっと話して、もっと仲良くなりたいと思っているの」

 

「それで、わたしに何をさせるつもりですか?」

 

「させるって…。俺は只、君とお喋りをしたいなと」

 

ルールーは足を止めて、こちらを睨む

 

「何故そんなに構うのですか?」

 

「何でだろう。俺だってこんなに人と話すのは初めてだし、もっと知りたいと思うのも初めて。何でだろうね?」

 

「理解不能」

 

「だよね。学校に行こうか」

 

 

 

 

 

そして学校に居ても、拓人は何かと時間を見つけてはルールーに話し掛けていた

 

見つからなければ探すという手段

 

「ルールーちゃん何処に居るのかな?」

 

キョロキョロと探してると、階段を上がって行くルールーを発見した

 

「あ!ルールーちゃ…」

 

「パップル様…」

 

呼び掛けようとした時、聞き覚えのある名前した。拓人は見つからない様に下の階段で盗み聞きする

 

「プリキュア、この学校に居るのね」

 

「詳しい報告は調査が終了してから…」

 

「正体が分かったなら早く倒しちゃえば?」

 

「あくまでデータ収集が目的です」

 

「データなら先に集めるものがあるでしょ?プリキュアってのは、変身するのにアイテムを使う。先ずは、その力の正体を調べないとね」

 

その会話を最後に話し声がしなくなった

 

「……」

 

そこで拓人はある決断をする

 

「ルールーちゃん、お話出来るかな?」

 

「貴方とはもう喋りました」

 

「パップル様ね」

 

「ッ!」

 

「お話…しよ?」

 

 

 

 

 

////////

 

夕陽が差し込む橋。そこでは、エールとアンジュがオシマイダーと交戦していた。しかし、1人だけ姿が見えない

 

「そんな筈ない!絶対にここにあったのに!」

 

ほまれはプリハートを無くして変身出来ずにいた

 

その無くなったプリハートは

 

「何ですぐにプリハートを渡さなかったの?」

 

「貴方には関係ありません」

 

ルールーが持っていた。そしてルールーと話してるのは拓人だった

 

2人は橋の下でエール達が戦っている姿を見ていた

 

「拓人こそ、何故助けに行かないのですか?それにコレを奪う事も出来ますし、報告する事も出来るのに何故?」

 

「ルールーはいい子だと信じている…いや、知っているから」

 

「理解不能です」

 

「ここ最近のルールーちゃんを見ていれば分かるよ。本当は優しい子だと」

 

プリハートを握る手が強くなる

 

「わたしはクライアス社」

 

「?」

 

「それを知っても尚、わたしを『優しい子』だと言えますか?」

 

「うん」

 

「本当に理解不能です」

 

ルールーは理解に苦しんでいた。自分が、倒すべき敵なのにそれを「優しい子」と言って信じる彼を

 

「だったら、可能になるまで悩んで悩んで悩めばいい。只それだけの事だよ」

 

そう言って拓人はルールーの背中を押す

 

「…」

 

ルールは静かにほまれの所へ歩いて行った

 

 

 

 

 

////////

 

それから、エトワールが加わりオシマイダーを浄化した

 

でも、それだけでは終わらなかった

 

「で、どういうこっちゃ?」

 

「どうして貴女が?」

 

プリハートをエトワールに返した事により、ルールーに疑いの目が向けられる

 

「それに何で拓人も?」

 

拓人もルールーの側に居た

 

「ほら、ルールーちゃん」

 

拓人はルールーの手を引いて皆んなの所へ行かせようとすると

 

「──ッ!」

 

拓人の手を振り払いエール達の方へ突き飛ばした

 

そして次の瞬間、赤黒い光線がルールーを呑み込んだ

 

「なっ!?」

 

「ルールー?」

 

「出来損ないの機械人形。私の邪魔するなんて調整し直しね」

 

パップルがルールーを小突くと力無く倒れた。パップルの言う通り人形のように

 

「ルールーちゃん!」

 

助けようと近付こうとするが、パップルは倒れたルールーと共に消え去った

 

「ルールーちゃん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ呆然と、ルールーが消えた場所を眺める事しか出来なかった




見事に戦闘シーン全てカットイン!

読んでる人少ないしまあいっか!

ここまでの拝読ありがとうございます


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第16話 触れる優しさ、これが心というもの

今回からはちゃんと書くよ!…多分!

ではスタート


早速だが、ビューティーハリーでは言い合いが繰り広げられていた

 

ルールーが未来の技術で造り上げられたアンドロイド、スパイだった事、騙した、騙されてないなどはなとハリーがムキになっていた

 

「てか、何で拓人は一緒に居てはったん?まさか、スパイだと知っていたんちゃうか!」

 

「うん、偶々あの日に知ってね。でもハリー、いつまでも過去ばかり振り返るばかりじゃなく、未来に向かって進まなきゃ」

 

「確かに最初狙いが合ったのかも知れないけど、あの子わたしにプリハート返した時『行きなさいプリキュア』って言ってたんだ」

 

「確かにそうやけど」

 

「最後まで騙す気なら、わたし達を庇ったりしない筈だよね」

 

「自分らお人好し過ぎるやろ」

 

敵であるルールーにそこまで心配する拓人達に、ハリーも何も言えなくなった

 

「俺達と触れ合って心変わりしたんじゃないかな?」

 

「万が一そうやとしても、クライアス社は裏切り者を許すような組織やないで」

 

「ハリー随分詳しいね」

 

「わ、悪もんってのはそういうもんや!」

 

「まぁ、先ずは話し合う事から始めようか」

 

 

 

 

 

一先ずは、ルールーを探す事にした

 

「何処から探すか…」

 

「手当たりしだい探そう!」

 

とにかく走り続けた。そして広く空いた場所にルールーが立っていた

 

「ルールーだ!何処行ってたの?探したよ!」

 

はなが、ルールーの手を掴もうとするが振り払われた

 

ルールーの見る目がいつもと違う

 

「プリキュア…倒す!」

 

その言葉と共に上空から巨大なロボット型のパワードスーツが降って来た

 

ルールーはそのパワードスーツを装着してこちらへ襲って来た

 

「プリズムシンバル!」

 

一瞬の判断で拓人が防御して皆んなを守った

 

「でも…!」

 

「ダァーッ!」

 

「危ない!」

 

ハリーが身体を張ってはな達を突き飛ばしが、拓人は防御するのに手一杯で避ける事が出来ず吹き飛ばされた

 

「拓人さん!」

 

「大丈夫!けど…」

 

「プリキュア…倒す!」

 

「変身するよ」

 

「でも…」

 

「このままじゃ話も出来ないでしょ!」

 

戦いたくは無いが、この状況ではそんな事言っていられない。はな達は変身する事を余儀無くされる

 

 

 

「「「ミライクリスタル!ハートキラっと!」」」

 

「「「輝く未来を抱きしめて!」」」

 

「みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

 

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

 

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

 

 

今のルールーの強さは拓人を見て理解した。とにかく攻撃に注意しながら避けるも、拳以外にも頭部からの光線も放たれ一層激しくなる

 

そこへ、様子を見に来たパップルが現れる

 

「パップル!」

 

「貴女がルールーを操っているの?」

 

「操る?違うわよ、私は只アンタ達と遊んでたルールーの記憶を消してだけ」

 

「記憶を消した?じゃあ今のルールーちゃんは…」

 

「アンタらと出会う前の機械人形よ」

 

なら無理もない。記憶が消されて覚えていないのなら、拓人達の事も知らず敵と判断して襲い掛かるのも納得が出来る

 

「返して!消したの返して!」

 

「一度ゴミ箱にポイしたデータは戻りま〜ん!でも、消して無いのもあるわよ。アンタ達の戦闘データ」

 

ルールーがその巨体を活かして突進して来た

 

「フッ!」

 

エトワールはそれをジャンプして避けるが、ルールーの分析により追撃を食らう事になる

 

「キャア!」

 

「エトワール!」

 

アンジュがエトワールを助けようとするが、その助けようとする行動も予測済みで背後からの攻撃に対応出来ず殴られる

 

「エールは…特に取り柄は無い」

 

ルールーはその圧倒的なスペックでエールを力で捻じ伏せにいく

 

「本当にこれでいいの?ルールーちゃん!」

 

しかし、拓人がプリズムシンバルで防御してエールを守った

 

「最初は俺達チグハグだったよ。でも!それでも楽しかった思い出は沢山ある筈だよ!思い出して!」

 

「無理よ無理、聞いて無かったの?一度ゴミ箱に捨てたデータは戻らないのよ」

 

「ゴミ箱に捨てたのだったら漁って見つければいいだけだよ!どんなに汚くても、臭くても、腐っていても!大事なものがそこにあるなら俺は……意地でも見つけて笑顔になりたい!」

 

拓人はルールーに手を伸ばすが裏拳で簡単に飛ばされる

 

「だから…!」

 

「ウァ…アァ…アアァァァ!!」

 

ルールーは何かに苦しみながらも、装備されていたミサイルを放つ

 

「拓人さん!」

 

「クリスタルグロッケン!」

 

拓人はアンジュからミライクリスタル・ネイビーを受け取り、ミサイルの攻撃を避けるどころか逆に迎え撃つ

 

「ウィング・キャロル!」

 

無数に飛び交う鍵盤でミサイルの軌道をずらして跳ね返した

 

「拓人!」

 

「デュアルクラリネット!」

 

今度はエトワールからミライクリスタル・イエローを受け取り、ルールーの股をスライディングで掻い潜りながら

 

「スパーキング・ブリランテ!」

 

攻撃してパワードスーツ全体にひびを入れる

 

「拓人さんお願い!」

 

最後にエールから、ミライクリスタル・ローズを受け取る

 

「チューバズーカ!」

 

ローズ色のチューバを抱えてルールーへと向ける

 

そしてバルブケースにセットする

 

「フェアリーズ・オラトリオ!」

 

ベルから巨大な砲撃が放たれた。ルールーに直撃し、大きく火花を散らしながらパワードスーツは砕け散った

 

「ルールーちゃん。少し強引だったけど戻った?」

 

「はい…」

 

スーツが砕けた拍子で何もかも思い出した

 

拓人はルールーに歩み寄ろうとすると

 

「──ッ!アアァァァッ!!」

 

ルールーが突然胸を押さえて苦しみだす

 

「痛い…胸が…痛い…っ!」

 

「ルールーちゃん!」

 

「何…これ…っ?本体の破損箇所は無い…のにっ!胸がっ…張り裂けそう!」

 

「「「ルールー!」」」

 

心配してエール達が駆け寄るも

 

「わたしに近付かないで!」

 

「「「キャアッ!」」」

 

ルールーは腕のパーツを分解・再構築してエール達を近付かせぬよう吹き飛ばした

 

「クッ…ルールーちゃん!」

 

「くどい!」

 

今度は縦横無尽に撒き散らして被害を拡大させる

 

「エール!ミライクリスタルを!」

 

次はブーケトランペットにミライクリスタル・ピンクをセットする

 

「アグレッシブ・エスプレッシーボ!」

 

拓人の無数に放った蕾の光弾が全て相殺して撃ち落とした

 

「ルールーちゃん!」

 

「来るなと言っている!」

 

「この分からず屋!」

 

「く、来るなァァァ!!」

 

ルールーは、自分を中心に風を巻き起こして閉じ籠ろうとする

 

「フラワー・シュート!」

 

エールの技が、風によって出来た檻に穴を開けた

 

「今だ!」

 

拓人は、また穴が塞がる前に中へと飛び込んだ

 

ルールーは今まで溜め込んでいた事を全てぶつける。この痛みから解放されたい一心で

 

「もう分かっているのでしょう?わたしは、クライアス社製のアンドロイド・RURー9500、ルールー・アムール!貴方達の未来を奪いに来た!邪魔なプリキュアの力を調べる為に、はなの母に偽物の記憶を植え付けて潜入した!嘘をついて皆んなに近付いた!わたしは、家族を!学校の皆んなを!町の人々を!皆んな騙した!!」

 

「そんなの知らない!!」

 

拓人はルールーに近付き思いっきり頭突きをした

 

「俺やはな達皆んなそんな事思っていない!だから騙されてない!」

 

「やめて…。本当に、痛いの……。もう優しくしないで。これ以上貴方と…貴方達と触れ合うと、この痛みがわたしの中の正しい世界を…壊していく…」

 

「やめないよ。だってルールーちゃんは逃げているんだよ。その痛みから…心からちゃんと向き合えば痛くない筈だよ」

 

どんなに否定されようと拓人はルールーにちゃんと寄り添い、その胸に秘める事を全て受け止めて返す

 

「無理です。貴方達の力の源は心。その心がわたしの回路にバグを作った……こんな痛みに苦しむくらいなら、記憶は消されたままが良かった…」

 

「…ねぇルールーちゃん、何でそんなに苦しいのか…痛いのか教えてあげる。それはね、ルールーちゃんが優しいから…俺達の事が好きだから罪悪感を覚えて痛いんだよ」

 

「優しい…から…、罪悪感?」

 

「ルールーちゃんだけじゃない。はなちゃん達だって今すっごく心が痛いんだよ。ルールーちゃんともうこんな事はしたくないって」

 

「何故…?」

 

「何故って、さっきも言ったでしょう?」

 

拓人はルールーの手を自分の胸に当てる

 

「皆んなルールーちゃんの事が好きだから」

 

「あ…」

 

ルールーはその場に膝を突いて崩れた。そして風のバリアーも消え失せた

 

そして、いつの間にかルールーの側にははぐたんが居た

 

「よちよち」

 

はぐたんはただ、ルールーの頭を撫でるだけ。それでも今のルールーにはとても必要なものだった

 

ルールーは感情を爆発させて大声で泣き叫んだ

 

「何泣いてんのよ!さっさと命令を果たしなさいよ!」

 

いつまでも手こずるルールーに、痺れを切らして命令するが頬を光線が掠める

 

「去りなさい、わたしのプログラムは上書きされました。もう従順な機械人形ではありません」

 

初めての犯行。それはクライアス社との決別を意味する

 

パップルは堪らず立ち去って行った

 

 

 

 

 

////////

 

「まだ痛いか?」

 

「いいえ、寧ろ温かいです。ですがバグを抱えてたままでは支障があります。何処か修理出来る所はありませんか?」

 

「その必要は無いと思うよ」

 

「それはきっとバグじゃないから」

 

「わたし達と同じ心だよ」

 

ルールーは今初めて「心」というものを知った。けれども、知ったばかりか少しばかり困惑もしていた

 

「お帰りルールー!」

 

「ただいま」

 

はなはルールーを抱きしめてそう告げた。これまで通りに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はな先輩達が…!」

 

近くでえみるがその様子を見ていたのだが

 

またひとつ、波乱がありそうな出来事になる




はなのポジションをオリ主が奪った!こうでもしないとね…その…うん……



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第17話 きみとともだち!えみるとルールー!

我は宣戦布告をする!

誰に?

知らない

ではスタート!


「色んな事があったけど、ルールーちゃんが帰って来てくれて良かったね」

 

「うん!今日の晩ご飯は何かな〜?」

 

全ての事が終わりルールーを連れて帰ろう。そう思っていたのだが

 

「やはり、わたしは帰れません」

 

「何で?」

 

「わたしは、貴女の母・野乃すみれの記憶を操作して家に潜入しました。勿論記憶は元に戻します。しかし、その結果わたしは100%野乃家を追い出されるでしょう」

 

「そんな事…」

 

はなが否定する時、少々タイミングが悪く野乃家全員がはな達を迎えに来た

 

「無事だったのね!良かった!」

 

どうやらルールーとの戦闘で大騒ぎしたらしく、それを心配して探しに来てくれていた

 

「行くよルールー」

 

独り輪の中に入ろうとしないルールーの手を引っ張り連れ出す

 

そしてすみれと相対したルールーは

 

「──っ」

 

操作していた記憶を元に戻した

 

「そっか、全部思い出した」

 

「ごめんなさい。本当にわたしは…」

 

「ママ、ルールーは!」

 

「ぎゅ〜!」

 

すみれは2人をハグした。これに何の意味があるのかは分からない。けれどもそれは暖かく、優しいものだった

 

「帰りましょう」

 

ルールーは拓人の方へ目を向けた

 

拓人は只、手を振って「また明日」。その一言だけ言って野乃家は仲良く帰って行った

 

「後の事は、はなちゃんに任せて俺達も帰ろうか」

 

「そうやな。流石に今日は疲れたわ」

 

「ハリー何かしたっけ?」

 

「何言うてんねん!?お前らを助けたやろ!」

 

「そうだった?」

 

ほまれとハリーのやり取りを見ながら、残った皆んなも帰宅した

 

 

 

 

 

////////

 

そして次の日の学校

 

「何これ?俺宛?」

 

拓人の机の上に1枚の置き手紙があった

 

「『お昼休み、中庭にて待つのです。』?」

 

そんな手紙を持って中庭に行くと、そこにははな達4人も一緒に居た

 

「あれ?はなちゃんどうしたの?」

 

「拓人さん。あの実はこれ…」

 

どうやらはな達も同じようにで中庭に呼び出されていた

 

差出人不明の人物はまだ見当たらない。探すように周りを見渡していたら

 

「いらっしゃいましたね!」

 

「えぇ〜!」

 

現れた。その人物は、キュアえみ〜るの格好をしたえみるだった

 

「えみる…」

 

「やっぱりえみるちゃんだったんだ」

 

「わたしは見てしまったのです!皆さんの秘密を!」

 

「秘密ってまさか…言っちゃ駄目〜!」

 

はなは青筋を立てながら叫ぶもえみるの口は止まらない

 

「貴女達がプリ──」

 

「──ッ!」

 

しかし、それをルールーが直前でえみるの口を塞いで取り押さえた

 

「し、失礼しました〜!!」

 

拓人達は急いでこの場から離れる為、えみるをビューティーハリーへと連行した

 

 

 

「本当に見ちゃったの?」

 

「見たのです!3人がプリキュアから戻る所!後、このネズミがベラベラと喋るところも!」

 

本当に全部見られていた。しかもプリキュアだけではなく、ハリーの事も全て。ここまで知られては誤魔化し切れない

 

「絶対言うたらアカンで!正体隠して皆んなの為に戦う。それが──

 

「ヒーローなのです!」

 

「わ、分かっとるやないか」

 

取り敢えず秘密は守ってくれるの事。そこに関してはハリーはホッとした

 

「でも、拓人お兄さんまで一緒に行動していたなんて少し意外なのです」

 

「ま、まぁ成り行きで…」

 

「あの!皆さんにお願いがあるのです!」

 

 

 

 

 

えみるのお願いというのは、プリキュアとして活躍する皆んなの日常風景を目にしたいとの事

 

ほまれはスケートで練習する所、さあやは演技の練習とえみるとルールーの2人で見学させてもらっていた

 

「しかし驚いたのです。ルールーが先にプリキュア修行を始めていたとは」

 

「何の事です?」

 

「ルールーの事は全てお見通しなのです。隠しても無駄なのです。な・ぜ・な・ら、わたしはルールーの親友なのです!」

 

「そうなんですか?」

 

えみるの思い込みで勝手に話がトントン拍子で進んでいた。ルールーも訳が分からず真顔で返答してしまう始末

 

そんな時、草むらからはなが泣きながらやって来た

 

「皆んな手伝って〜!」

 

 

 

 

 

はなのお願い事は、来週にある歌のテストの練習に付き合って欲しいとの事。一度学校に戻ってえみるが伴奏をする事になった

 

「音が外れてます」

 

しかし、えみるのダメ出しは厳しいもの。多少のズレも許さないといったところだ

 

「どうやらえみるは絶対音感があるようです」

 

「じゃあじゃあ拓人さん!」

 

「う、うん」

 

拓人は後ろに向いて適当にハーモニカを吹く

 

「『レ』ですね。拓人お兄さん少し意地悪しませんでした?」

 

「バレちゃった?確かに『レ』を吹いたけど半音ズラしたんだ」

 

「えみるって小さい時から音楽やってたの?」

 

「はい!音楽は心を自由に羽ばたかせる事が出来ると、拓人お兄さんが言っていましたのです!」

 

絶対音感も拓人が音楽を進めて、それがえみるの隠れた才能を引き出した

 

「ねぇ、ルールーも一緒に練習しよう」

 

「わたしがですか?」

 

ルールー的にはあまり気の乗らないまま歌を歌う事になった

 

 

「どう…でしょうか?」

 

「音程はとても正確です。ですがその…心に響かないというか…」

 

ルールーの歌はとても機械的なものだった。それ故に、「音程しか合っていない」の印象で終わった

 

「ごめんなさい…やっぱりわたしには無理です。分からない…心、分からない、分からない…」

 

「ルールーちゃん?」

 

ルールーの様子がおかしくなる。心を理解しようとする程、自分自身を苦しめて最後は

 

「システムエラー」

 

パンクしてしまった

 

ルールーは機能停止になり倒れてしまった

 

「ルールーちゃん!?ルールーちゃん!」

 

「拓人さん、急いで保健室に!」

 

拓人はルールーを抱えて保健室まで走った

 

 

 

「ルールーちゃん…」

 

目覚めぬルールーを心配しながら、拓人は保健室から出ようとすると入れ違いでえみるが入る。そのえみるも何やら暗い様子だった

 

「えみるちゃんも心配か」

 

「それもあるけど…喋っちゃった」

 

「え?何を?」

 

「ルールーについて。全部」

 

拓人が席を外してる間に、えみるにルールーの事全て話したのだ。未来の事、アンドロイドである事を

 

「余計な事だったかな?」

 

「そんな事は無いよ。どちらにしろ、これからルールーと付き合って行くならいつか知る真実だよ。それが早いか遅いかだけ」

 

 

 

 

 

////////

 

次の日、ルールーは拓人とさあやと一緒に今日も歌の練習をしていた

 

「駄目です。心が篭らない」

 

いくら練習しても思う通りにいかない

 

「わたしも考え過ぎて、いいお芝居が出来なくなるの。でも上手く出来た時は、何も考えなくても胸の奥から想いが湧き出る。きっと、それが心」

 

「焦らなくてもいいんだよ。ゆっくりとやっていけば」

 

2人はルールーを励ましていると

 

「あれは!」

 

遠くでオシマイダーの姿を見つけた。急いで変身して現場へと駆け付ける

 

 

 

 

 

「すっかりヒーローぶっちゃってルールーちゃん」

 

「オシマイダー!」

 

4人は正面からオシマイダーと激突する

 

「うりゃ〜!」

 

エールがオシマイダーを投げ飛ばしてアンジュとエトワールが追撃を仕掛ける

 

「フェザー・ブラスト!」

 

「スター・スラッシュ!」

 

「お着替えよ!」

 

オシマイダーに2人の技が当たる直前で姿を変えた

 

しかし、何事の無く技は直撃した

 

「目標温度上昇中…マズい!避けて!」

 

ルールーが分析して危険信号を呼び掛けるが、それと同時にオシマイダーは先程放った2人の技に加えて自分の力も上乗せして跳ね返して来た

 

「ッ!」

 

咄嗟に拓人がプリズムシンバルで防御するのだが

 

「グッ…ウゥ…ッ」

 

跳ね返った攻撃を受け流す事も出来ずに破られてしまった

 

エールも3人の所へ駆け寄ろうとするも、上から襲って来るオシマイダーに気付けずに4人纏めて踏み潰されてしまった

 

「残念ね〜、仲間を守らなくて…ってか仲間って何?笑わせないで!本気でヒーローになれるとでも?心の無い機械人形のくせに」

 

今まさに気にしてるそれをパップルはズカズカと言い放つ。何も言い返せない。それは本当の事だと決め付けようと思っていた

 

「あるのです!ルールーには心のがあるのです!心があるから悩んでいるのです!心があるから音楽を素敵だと言って下さいました!心があるから……わたし達は親友なのです!」

 

決め付けようとしていた。けれど、それをえみるが許さなかった。言葉ひとつひとつに想いを込めて、ルールーの内に秘める心に響かせる

 

「「「「ハァァァッ!!」」」」

 

潰されたと思われた拓人達が踏ん張ってオシマイダーを持ち上げる

 

「友情の邪魔するなぁぁぁぁ!!」

 

エールの気合いの入ったアッパーがオシマイダーを天高く飛ばした

 

「いくよ!」

 

 

 

「「「ミライクリスタル!」」」

 

「エールタクト!」

 

「アンジュハープ!」

 

「エトワールフルート!」

 

「「「心のトゲトゲ飛んで行け〜!」」」

 

「「「プリキュア・トリニティコンサート!」」」

 

 

「ヤメサセテモライマ〜ス」

 

「「「HUGっとプリキュア!エール・フォー・ユー!」」」

 

 

 

「やっぱり、プリキュアはカッコいいのです!」

 

「えみるも…」

 

「えっ?」

 

「何でもありません」

 

 

 

 

 

////////

 

「これは…?」

 

「前に聴かせた曲に歌詞を付けてみたのです。一緒に歌いませんか?」

 

後日、えみるはルールーと一緒に自分が作詞作曲した曲を歌おうと誘う

 

「ルールーと歌いたいのです」

 

そして、えみるがリードしながらルールーと共に歌う。その音楽はどこまでも広がり

 

「2人の心が溢れ出す」

 

「えみるちゃん、ルールーちゃん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

音楽が2人を繋ぎ合わせた




次回も簡素で終わっちゃう可能性大ですわんわん

ここまでの拝読ありがとうございました


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第3回!はぐっとチャンネル!

猛スピードです

ではスタート


「第3回!はぐっとチャンネルへようこそ!」

 

「ドンドンパフパフ!」

 

「司会進行役の音宮拓人と」

 

「野乃はなで今日もお送りしま〜す!」

 

今回も拓人とはなと2人で進行していくようだ

 

「では早速ゲストの方を呼びましょう!」

 

第3回目のゲストは

 

「キュアエトワールのほまれ。宜しく」

 

 

 

 

 

////////

 

「前の続きの13話から!え〜と…どんな話だっけ?」

 

「そこからなのね…」

 

「はな、ちゃんと出来てる?」

 

「大丈夫!大丈夫!」

 

はなは頬を叩いて気を入れ直す

 

「ルールーが転校して来たんだよね!」

 

「今思うとルールーがアンドロイドだったなんて気付かなかったよ。少しおかしいとは思ったけど」

 

「ルールーちゃん、最初は馴染めなかったね」

 

「でもでも、そこはこのはなさんが家族として受け入れたのです!」

 

 

 

 

 

「次は拓人さんとルールーにえみるの3人の話だね」

 

「意外だよね。この3人の組み合わせ」

 

「えみるはルールーちゃんとかなり仲良くなったよ。最近の子は凄いね」

 

それぞれ、珍しい組み合わせに加えて仲良くなっていた事に感心を持っていた

 

「この時、初めてルールーは音楽に触れたんだよね?1番近くで見ていた拓人はどう思った?」

 

「えみるちゃんはいつも通りだったけど、ルールーにはやっぱり初めての経験だったから色々と感じる事はあったと思うよ」

 

 

 

 

 

「第15話だけど、この話しはルールーと拓人さんがメインでしたね。何話してたの?」

 

「そうだね。ほまれのプリハートを返すかどうかかな」

 

「知ってて黙ってたの!?」

 

実はもっと言うと、ほまれ達はその時拓人とルールーが一緒に居る事は知らなかったのだ

 

「そういえば、拓人さんオシマイダーとの戦いにも参加しませんでしたね」

 

「うん。ずっとルールーの側に居たからね」

 

 

 

 

 

「第16話は、そんなルールーを取り戻す辛い戦いだったね」

 

「本来ならはなが目立つ回だったよね?」

 

「この小説のヒロインはえみるちゃんとルールーだからね。登場する時間的に、俺との絡みが少ないから一気に稼がないと」

 

「おかしいな?他にも絡める回はあったような…」

 

「つ、次行こうか!次」

 

真実に辿り着く前に、拓人は話を切り上げて強制的に次へと進めた

 

 

 

 

 

「17話目。我が野乃家とも分かり合えてひと段落だったけど…」

 

「まさか、えみるがわたし達の正体を知っていまうなんて」

 

「えみるちゃん、侮り難い」

 

相変わらずえみるは凄いと思い知らされた

 

「ルールーちゃんは、音楽の本当の楽しみを知った。えみるちゃんの歌も良かったよ」

 

「最後にアンリも出て来てどうなるか」

 

 

 

 

 

「それにしても……見事に何話か飛ばしたね」

 

ほまれは気付いてしまった。その真実に

 

「それは…ですね……」

 

「ドンマイ拓人さん」

 

終了のチャイムが鳴る

 

「つ、次からはちゃんと物語は進むからね!」

 

「次回はゲストが多いと聞いたのですが…」

 

「それと次回はなはお休みって聞いたよ。それ本当?

 

「めちょっく!」

 

「では、第3回!はぐっとチャンネルを終わります」




もうすぐ2人の変身パーリーだ!



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第18話 新しい発掘!ラララランウェイ!

今回も簡素!
最近そればっかしか言ってない気がする…

ではスタート!


「ファッションショーに出演してほしい?」

 

えみるとルールーが歌い終わった後、アンリが訪ねて来てそうお願いされた

 

「僕も今回から特別にモデルとして出演するんだ」

 

「へぇ〜、でも何でまた急に?」

 

「僕が出るだけじゃ当たり前過ぎるでしょ?もっと面白くする為に、ちょっとノイズを立てたいと思ってね」

 

「ノイズ?」

 

「新しい才能」

 

アンリは目星を付けて此処へやって来た様だ。その相手というのが

 

「君と君、えみるとルールーだっけ?」

 

「えっ!?」

 

「わたし達ですか?」

 

「なん…だと…!?」

 

「何で君まで驚くの?」

 

えみるとルールーなら分かるが拓人まで驚く

 

「アンリ君、良く考えてみて。天使に更に着飾る行為をするという事は、大天使になるって事なんだよ!」

 

「は、はぁ…」

 

「ルールーちゃんだって顔立ちは良し、スタイルは抜群。こんな2人が掛け合わさったらどうなると思う?」

 

「どうなるの?」

 

「俺が死ぬ」

 

1人、頭がお花畑になる様子を引き攣りながらほまれに聞く

 

「拓人ってこんな感じだったっけ?」

 

「えみるに関するといつもこう。混ぜるな危険って事」

 

「でも拓人お兄さん、わたしはちょっと…」

 

少し不安気味なえみるだが、拓人は両肩を掴み顔を近付ける

 

「俺はえみるちゃんの可愛い姿が見たいんだ」

 

「ですからわたしは…」

 

「見たい」

 

「あの…」

 

「見たい!」

 

そんな熱心な目に向けられて断れる筈もなく

 

「…分かりました」

 

渋々えみるは出演する事になり、拓人は大きくガッツポーズを取る

 

「あれは重症だね」

 

「重症で済めばいいけど」

 

この日、アンリは拓人の知られざる一面を知った

 

 

 

 

 

////////

 

そしてそれぞれの準備を終えてショー当日

 

ショーのタイトルも今の2人にとても似合っていた。「女の子もヒーローになれる!」そんなタイトル

 

「2人共可愛い過ぎる…」

 

「ありがとうございます」

 

「俺、今日を生きていけるかな」

 

「この状態に慣れてしまった自分が恐ろしいのです…」

 

2人の可愛さ溢れる姿に悶えてると1人の男性が近付く

 

「えみる何してるの?」

 

「お、お兄様…」

 

どうやって嗅ぎつけたのか知らないが、正人が3人の前に現れた

 

「帰ろうえみる。何これ?『女の子もヒーローになれる!』おかしいよね?ヒーローって男の為の言葉だよ。女の子は守られる側だろ。言葉は正しく使わなきゃ」

 

急な事でえみるはたじろいでしまう

 

「女の子はヒーローにはなれない。前も言っただろ。さぁ帰るよ」

 

強引にえみるの手を引いて帰らそうとする

 

「正人君いい加減にしなよ」

 

拓人がその手を離させたタイミングで

 

「待て〜い!」

 

準備をしていたはながやって来た

 

「あのはなちゃん?」

 

「誰の心にだってヒーローはいるんだよ!人の心を縛るな!」

 

はなは正人の前に出て豪語した。けれども、それだけでは正人を動かすには足りなかった

 

「相変わらず君、つまらない事言うね」

 

だからアンリが出て来た。先程の会話を聞いて、アンリも感化されドレスに身を包み正人の前に現れる

 

「若宮君…ハハッ!何その格好?」

 

「ドレスだよ」

 

「それは分かるよ。何でそれを、君が着てるのかって聞いてるんだよ」

 

「凄く素敵だって思ったからだ」

 

「君男だろ?」

 

「だから何?」

 

正人の言う通り、アンリが着てるのは男性が着るよりは女性の方が合ってるものだ。しかし、だからと言ってアンリはそんな常識に囚われる人ではなかった

 

「僕は自分のしたい格好をする。自分で自分の心に制約を掛ける。それこそ時間…人生の無駄」

 

そう言い切った

 

「さぁ行くよ」

 

正人は何も言い返す事が出来ず、唖然と背中を見る事しか出来なかった

 

「アンリ君、少し言い過ぎじゃないの?」

 

「君は君で、もう少しハッキリ言った良いよ。他人に対して甘いし、その方が楽だと思う」

 

「俺、そういうの苦手だし嫌なんだよね」

 

 

 

 

 

拓人は客席方へ移動し、ハリーとはぐたんと合流する

 

「お待たせ」

 

「楽しみやな」

 

「えみゆ!るー!」

 

ショーも始まり、トップバッターはえみるとルールーの2人だったが

 

「オシマイダー!」

 

オシマイダーが現れてショーどころじゃなくなった

 

「嘘やろ!?」

 

「嘘じゃないよ。ハリー達は避難していて!」

 

 

 

「「「ミライクリスタル!ハートキラっと!」」」

 

「「「輝く未来を抱きしめて!」」」

 

「みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

 

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

 

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

 

 

「危ない!」

 

オシマイダーがぶち抜いて来た天井が崩れ落ち、えみる達へ降って来るがアンリが2人をその場から助け出した

 

「オシマイダー」

 

しかし、アンリがオシマイダーに捕まってしまった

 

「これ、僕お姫様ポジションになっちゃってない?」

 

「良いんだよ!男の子だってお姫様になれる!」

 

エールは、オシマイダーの目の前に高くジャンプしてメロディソードを手にする

 

「フラワー・シュート!」

 

エールの渾身の技も片手で防御される。トゲパワワの量が多く、オシマイダーの力も強いのだ

 

「あれは…」

 

アンリは上を見上げると、オシマイダーの素体となっている正人を目にする

 

「そうか、君も苦しいのか」

 

アンリは自力でオシマイダーの手から抜け出して自らハグする

 

「ごめんね。けど、僕は君の為に僕を変える事は出来ない」

 

鬱陶しく思うオシマイダーは、すぐに引き剥がして握り潰そうとする

 

「誰に言われたって構わない。僕の人生は僕のものだ!」

 

「オシマイ…」

 

「僕は僕の心を大切にする。だって、これが僕『若宮アンリ』だから!君も君の心をもっと愛して」

 

「ダー!」

 

オシマイダーは苦しむようにアンリを手放した

 

「おっと」

 

落ちるアンリを拓人がキャッチする

 

「あとは頼むよヒーロー」

 

「エール!アンジュ!エトワール!」

 

 

 

「「「ミライクリスタル!」」」

 

「エールタクト!」

 

「アンジュハープ!」

 

「エトワールフルート!」

 

「「「心のトゲトゲ飛んで行け〜!」」」

 

「「「プリキュア・トリニティコンサート!」」」

 

 

「ヤメサセテモライマ〜ス」

 

「「「HUGっとプリキュア!エール・フォー・ユー!」」」

 

 

 

「OK!ナイスファイトよ」

 

オシマイダーを浄化したと思ったら見た事も無い人物が現れた

 

「マイネームイズ『ジェロス』。通りがかりよ。友情とか愛情とかそういうの、吐き気がする程嫌いなだけのね」

 

「ジェロス…ですか」

 

「そう。本番はまだまだこれから。グッバイ、素敵な悪夢を見てね」

 

それだけ言ってジェロスは消えて行った

 

「ジェロス?クライアス社にそんな社員は…」

 

 

 

 

 

////////

 

ショーも無事に終わり、ビューティーハリーにも色々とお裾分けで洋服も沢山貰えて万歳な気分

 

「はな先輩、わたし達決めました!」

 

「わたし達、2人でプリキュアになれるように頑張ります」

 

突然のえみるとルールーの大発表だった

 

「2人で?」

 

「はい!」

 

「「2人はプリキュア!」」

 

皆んなが盛り上がる中、拓人とハリーは何か気不味そうな表情をしていた

 

「ハリー、確か残りのプリハートって…」

 

「その通りや…プリハートは残り1個しかあらへん」

 

机に置かれるはたった1つしかないプリハート

 

「ええぇぇ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この状況で2人はどう選択するのか




次回は!なんと!

ここまでの拝読ありがとうございました


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第19話 愛のプリキュア!キュアマシェリ&アムール!

サブタイ通り初変身!

ではスタート!


「残り…」

 

「1個…」

 

忘れていたがプリハートは全部で4つ。その内の3つははな達が所持している。その為、どう考えてもえみるとルールーのどちらかにしか使えない

 

2人は唖然とするしかなかった

 

「なんとか2つになんないの〜!」

 

「何しとるんや!?」

 

はなは物理的にプリハートを折ろうとするが、ハリーがすぐさまひったくり取り返す

 

「プリハートはんはごっつ大切なんや!」

 

「実は予備があったり…とか?」

 

「そんなもんあったらとっくに出しとるわ。奇跡でも起きん限り無理や」

 

「奇跡…」

 

えみるとルールーは一度家に帰る事にして、拓人達はプリハートについて色々と調べる

 

「プリハート増やせそう?」

 

「う〜ん分からない…」

 

「あっ!どっかに売ってあるのか?」

 

「はなちゃん、売ってあったとしてもハリー達は未来から来たんだよ。そうなるとプリハートも未来の産物。この時代には無いよ」

 

「そっか〜めちょっく…」

 

結局、何も策が出ないまま時間だけが過ぎて行く

 

 

 

 

 

////////

 

「わたしはどうすれば…」

 

「え〜みるちゃん!」

 

「どうかされたのですか?」

 

学校でもモヤモヤしてるえみるを見て、拓人は声を掛けてみる

 

「それはこっちの台詞だよ。…やっぱりプリハートはどうする事も出来なかったよ」

 

「だと思いました…」

 

「残りの1個。自分を選ぶか、友達を選ぶか。迷うよね」

 

拓人は独り言のように呟く

 

「拓人お兄さん、わたしはどうすれば…」

 

えみるは拓人に助けを求める様に目を向ける

 

「選択肢はまだひとつある。それは、えみるちゃんがルールーちゃんにいつも言ってる事だよ」

 

「わたしがルールーに…」

 

「そうだ、放課後ほまれが付き合ってだって」

 

 

 

 

 

////////

 

別の日、今度はルールーの元へやって来た

 

「探したよルールーちゃん」

 

「何か?」

 

拓人はルールーも心配して様子を見に来ただけなのだが

 

「…杞憂だったね」

 

「え?」

 

「顔が良くなっている。もう決めたの?」

 

「顔…アンドロイドは体調を崩しません」

 

「良い表情になっているって意味だよ」

 

ルールーの両頬に手を添えた後、軽く両肩を叩いた

 

「此処で待っているって事はえみるちゃんでしょ?2人仲良くね」

 

「待って下さい!」

 

その場を去ろうとする拓人をルールーが止めた

 

「何故拓人はそんなにも、他人の為に動けるのですか?前々から気になっていました。えみるはならともかく、わたしまで…」

 

「2人にはもっと仲良くなって欲しい。えみるちゃんとルールーちゃん、2人が一緒に居る事で良い音が奏でられている。俺なんかじゃあ到底…」

 

少し拓人の表情が暗くなる。でもすぐにいつもの様に戻る

 

「大切だから。2人が一緒に笑ってる姿が好きだから後押ししたくなる」

 

 

「ル〜ル〜!」

 

 

離れた所からえみるの声が聞こえた

 

「そろそろ行くよ」

 

「拓人も一緒に」

 

「ありがとう。でもいいの。俺が居たって邪魔なだけだから」

 

 

 

 

 

////////

 

「応援行きたかったなぁ…」

 

1人家でそう呟く。さあやはオーディション、ほまれはスケート、えみるとルールーはライブを観に行った

 

はなは、熱が出ていた事もあり療養中。下がってはいるものの、まだ安静にしなければならないので自宅待機なのだ

 

そんなはなの世話をするのが拓人とハリーの2人

 

「熱が下がったばかりだからまだ安静にしてなきゃ」

 

「は〜い」

 

「ほ〜れはぐたん、お口開けてや〜」

 

「あ〜ん」

 

「暇だなぁ…」

 

家ではやる事が無く、何か面白いのがあるのかと探しながらテレビのチャンネルを変えていると

 

『ライブ会場に突然モンスターが現れました!』

 

突然割り込んで来たニュース映像が全員を注目させた

 

「「「オシマイダー!」」」

 

モンスターというのがオシマイダーだったのだ。更に、オシマイダーと一緒に映っている人物にも目がいった

 

「えみるちゃん!ルールーちゃん!」

 

「早くライブ会場に行かなくちゃ!」

 

はなは急いで着替えて、拓人達とライブ会場へと向かった

 

 

 

 

 

「いた!はな変身や!」

 

「それだと間に合わない!はなちゃん!」

 

はなは拓人にミライクリスタル・ローズを受け取りセットする

 

「フェアリーズ・オラトリオ!」

 

巨砲がオシマイダーの攻撃を打ち消した

 

 

 

「みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

 

 

 

えみるとルールーの前に、拓人とエールが立ちオシマイダーから2人を守る

 

「オシマイダー!」

 

オシマイダーは武器であるギターから、武器の形を切り替えて炎を纏う棒で2人に襲い掛かる

 

「デュアルクラリネット!」

 

「やぁぁ!」

 

「オシマイダー!」

 

拓人が撹乱してエールが大きく攻めるも、オシマイダーの力が強く形勢をひっくり返せない

 

「お仲間ちゃんはお休み?薄情ねぇ」

 

「2人は、夢に向かって頑張っているのー!友達の夢応援するのがプリキュアだ!!」

 

「ブーケトランペット!これで!」

 

拓人の攻撃が直撃するも全く意に介さない

 

「プリキュアは諦めない」

 

人数が足りない中で戦う2人を応援する。するしかないのだ

 

「頑張れ!頑張れ!」

 

「フレフレエール!拓人!」

 

その時、2人から溢れんばかりの光が灯る

 

「「心が溢れる!」」

 

その輝きは最高潮に達して、新たなミライクリスタルが誕生した

 

「ミライクリスタルが2つも!?」

 

えみるからは「ミライクリスタル・レッド」、ルールーからは「ミライクリスタル・パープル」

 

しかし

 

「えみる早くプリキュアに!」

 

最後の1個のプリハートを持ち、えみるは変身するのかと思いきやルールーに差し出した

 

「さぁルーループリキュアになるのです!」

 

「何を言っているんですか?えみるの夢は…」

 

「それはルールーの夢も同じなのです!今、はな先輩と拓人お兄さんを助けられるのはルールーなのです!」

 

お互いを思いやる仲だからこそ譲り合う。それが2人が出した決断

 

でも本当はそうは思ってはいなかった

 

「プリキュアは諦めない。どれだけ計算しても答えが出ない。分析不能。でも信じる。奇跡を……わたしはえみると一緒にプリキュアになりたい!」

 

「わたしもルールーと一緒にプリキュアになりたい!」

 

「「お願い!」」

 

本当は2人一緒にプリキュアになりたいのだ。どちらかに選ぶなんて最初から無理だったのだ。答えは最初から出ていた

 

「アンドロイドが神頼み?」

 

パップルはそんな哀れな姿を見て楽しんでいた

 

しかし、そんなパップルの思惑とは裏腹にプリハートが光る。1つから2つへと増えたのだ

 

「奇跡が起こった」

 

そしてルールーは5つ目のプリハートを持ち、えみると一緒に変身する

 

「「貴女を愛し、わたしを愛する」」

 

 

 

「「ミライクリスタル!ハートキラっと!」」

 

「「「輝く未来を抱きしめて!」」

 

「「みんな大好き!愛のプリキュア!」」

 

「キュアマシェリ!」

 

「キュアアムール!」

 

 

 

「マシェリにアムール?」

 

「何々、どういう事!?」

 

遂に変身した。ヒーローを夢見て憧れたえみる、色んな体験して心を知ったルールー

 

2人の息の合った連携がオシマイダーを追い込んでいく

 

「拓人お兄さん!」

 

マシェリからミライクリスタル・レッドを受け取ると同時に、拓人は新たな武器「ウェディングギター」を構える

 

「ミライクリスタル!」

 

ピックアップの隣のボディにミライクリスタル・レッドをセットする

 

「ギュイーンとソウルがシャウトするのです!」

 

 

「グロリアス・コン・アニマ!」

 

 

ピックで弦を弾くと、多種の音符がオシマイダーに絡み付き撃ち抜く

 

「拓人!」

 

今度はアムールからミライクリスタル・パープルを受け取り、またも新たな武器「ブライドヴァイオリン」のテールピースにセットする

 

「ミライクリスタル!」

 

「お願いします!」

 

 

「リベリオン・アマービレ!」

 

 

ヴァイオリンの弓を使って斬りつけた。その威力は、今まで受けたダメージを返すかの如く凄まじかった

 

「最後頼んだよ!」

 

ミライクリスタルを2人に返した

 

 

 

「Are you ready?」

 

「行きます!」

 

「フレフレ!ハート・ソング!」

 

「フレフレ!ハート・ダンス!」

 

赤と紫のハートが掛け合わさりオシマイダーを浄化した

 

「ヤメサセテモライマ〜ス」

 

 

 

「よっしゃ〜!」

 

「キュアマシェリ!」

 

「キュアアムール!」

 

「「ふたりはプリキュア!」」

 

 

 

 

 

////////

 

「良かった…やったね!2人共!」

 

念願のプリキュアになれた事に、本人達よりもエールが喜び2人に抱き付く

 

「マシェリ!アムール!これから宜しくね!」

 

「「はい!」」

 

「うんうん良かっ…ハックション!」

 

「ハックション!」

 

「「あれ?」」

 

エールの風邪がどうやら拓人にも移ってしまったようだ

 

「風邪が振り返さしたな。ほな2人共、また暫く安静しとかな」

 

「「ええぇぇ〜!?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2人が信じ続けた奇跡

 

これからも皆んなで、クライアス社から未来を守る為に奮闘する




次回から、自分がしたかった話の始まり

ここまでの拝読ありがとうございました


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第20話 えみる大暴走!?ルールーはとても心配しています

すぐさま投稿!

あと、今回の話の終盤でスペシャルなゲストが参戦します!

ではスタート!


「改めまして、キュアマシェリになりました愛崎えみるなのです!先輩の皆様、ご指導宜しくお願い致します!」

 

「やったね!」

 

「頑張ろうね」

 

「宜しく」

 

「えみゆ〜!」

 

プリキュアになった事を報告し皆それを喜ぶ

 

「ほらルールーも!」

 

「キュアアムールのルールーです。宜しくお願いします」

 

「……」

 

何かその後に一言あるかと思いきや何も言わなかった。えみるもこれには口を挟む

 

「それだけ!?」

 

「駄目ですか?」

 

「第一印象が肝心なのです!もっとこうプリキュアとしての決意表明とか、わたし達2人の溢れるやる気とヒーロー魂が止まらない!ときうアピールをしないと!」

 

「えみるちゃん、それは皆んな知っている事だから大丈夫だよ。それと何か面接みたいな感じになっているよ」

 

えみるの熱を抑えて落ち着かせる

 

「先輩!プリキュアとして大切なものは何なのでしょうか?」

 

「やっぱり…ガシッ!ビシッ!ポワ〜んって事かな」

 

「意味分からないのです」

 

「解析不能です」

 

はなも精一杯説明したのだが、擬音だと分かりにくかったらしく理解に苦しんでいた

 

「拓人お兄さんはどうですか?」

 

「俺?」

 

「はい!拓人お兄さんはプリキュアではないですけど、一緒に戦って来たヒーローなのです!ですので、拓人お兄さんの意見も聞きたいのです!」

 

「そうだね。やっぱり信頼関係が大事かな。どんなに強くなっても、身勝手に動いていたらそれだけで周りにも迷惑を掛ける恐れもあるし、下手をしたら一般人にまで被害が及ぶ。1人は皆んなの為に、皆んなは1人の為に」

 

「流石拓人やな。良く出来た模範解答や」

 

結構当たり前な答えを言ったのが良かったのか、ハリーは満足した顔をしていた

 

 

 

 

 

朝のお喋りはここまで。現在は、ビューティーハリーで商売中。皆んなこぞって大忙しだ

 

ただ1人を除いては

 

「どうしたのえみるちゃん?怖い顔をして」

 

「わ、わたしは何か異常がないかと!」

 

「フフ、えみるちゃんらしいね。でも、そんな顔をしてたらお客さんが逃げちゃうよ」

 

「す、すみません…」

 

「うんうん、いつもの可愛いえみるちゃんに戻った」

 

拓人も自分の仕事に戻ろうとした時、1人の女性から悲鳴が上がった

 

「どうした…」

 

「早く逃げて〜!!」

 

えみるはその女性の鞄を引ったくったのだ

 

「さぁ来なさい!怪しい鞄!」

 

「ちょっと!」

 

えみるはプリハートを構えて変身しようとするが、ここは人混みの中。ほまれは咄嗟にえみるのプリハートを手で覆って隠した

 

「どうされました?」

 

「鞄の中に、入れた筈の財布が無くて…」

 

「財布?」

 

悲鳴を上げたのはある筈の財布が無い事に驚いたからであった

 

「ルールーちゃん、あの人のポケットの中見てくれないかな?」

 

「はい」

 

ルールーは、内蔵されてあるサーモグラフィーで財布のあるを確認した

 

「スカートのポケットにあるのでは?」

 

女性はポケットの中を弄ると、ルールーの言った通り財布を見つけた

 

「ドンマイえみる」

 

そんな失敗したえみるに気を遣わせて、ハリーはえみるに買い出しをお願いした

 

「買い出し頼むわ」

 

「やはり、わたしが騒ぎを起こしたからお邪魔なのですね」

 

「ちゃうて」

 

ハリーはえみるに耳打ちする

 

「これは街中のパトロールも兼ねてるんや」

 

「ぱ!?パトロール!」

 

「頼むでプリキュア」

 

「了解です!行ってきま〜〜す!!」

 

えみるは先程の落ち込みなど彼方に置いて、元気良く買い出しに出掛けて行った

 

「あのわたしも…」

 

「うん、ここは任せて」

 

「ありがとうございます。拓人行きますよ」

 

「ルールーちゃん!?」

 

ルールーは拓人の腕を引っ張ってえみるの跡を追って行った

 

 

 

 

 

「えみる!」

 

「ルールー!拓人お兄さん!」

 

「わたし達も一緒に行きます」

 

ルールーは走ってえみるへと追い付いた。半端引き摺った拓人を片手に

 

「プリキュアとして初任務なのです!頑張りましょう!」

 

「はい!」

 

「その前にこの手を解いてくれませんかルールーちゃん…?」

 

何事も無く平和に3人で街中を歩いてると

 

「あっ!お婆ちゃん危な〜い!」

 

横断歩道を渡ろうとするお婆さんに、大声で叫びながらプリハートを構えて走るが

 

「えみるちゃん!青だよ青!」

 

えみるの見間違いか、青信号で渡ろうとした所を引き止めてしまった

 

「ルールーちゃんお願い」

 

ルールーはお婆さんの隣に付いて一緒に横断歩道を渡った

 

「ドンマイえみるちゃん」

 

 

 

ようやくして辿り着いたが、目的の物を買い出し中でも

 

「お終いだ!」

 

「オシマイダーですルールー!拓人お兄さん!」

 

「はい!」

 

「声はあったからだね」

 

声のする方へ隠れて様子を見ると

 

「お終いだ!お終いだ!本日限りの大安売りもうお終いだよ!」

 

オシマイダーかと思いきや、ただのスタッフの声出しだったのだ

 

 

 

「今日のギターは随分も暗いですね」

 

買い物を終えた3人は休憩をしていた。えみるも気晴らしにギターを弾くが、いつもより覇気が無かった

 

「ギターの音色は心を表すのです」

 

「どうして心が暗いのです?」

 

「えみるちゃん」

 

心配する2人に押されてえみるは、今の自分の気持ちを溢す

 

「わたしの夢はプリキュアになる事でした。だから夢を叶えたわたしが、夢に向かって頑張ってる先輩達の分までプリキュアとして頑張ろうって思ったんです」

 

「素敵です」

 

「えみるちゃんは頑張っているよ」

 

しかし、えみるは大切なギターを置いて飛び出して行ってしまった

 

「来ないで下さ〜〜い!!」

 

取り残された2人は、荷物を持ってビューティーハリーに帰るしかなかった

 

 

 

「そっか、えみるが…」

 

ビューティーハリーに戻った2人は、はなとさあやに先程の出来事を話した。ほまれとハリーはと言うと、はぐたんを連れて散歩に出掛けている

 

「張り切ってた分、自分が不甲斐無く思えちゃったのね」

 

「わたしは、えみると一緒にプリキュアになった事が嬉しかった。なのに…」

 

「大丈夫だよ。えみるちゃんの空回りはいつもの事だから」

 

「わたしは混乱して悲しくて、えみるに少し怒りを覚えました」

 

「怒り?」

 

怒り。今までのルールーには無かった感情だ

 

「何故でしょう。えみるは敵では無い、わたしの親友の筈なのに。えみるの事を考えると悲しいのに怒りが…でも、戦いとかそういう事ではないんです」

 

この怒りの原因が何なのか困惑していた。嫌ではないのに湧き上がるこの思い

 

「それはね、ルールーちゃんがえみるちゃんの事を好きだからだよ」

 

「だからこそ腹も立ってるんだよ」

 

「分かりません」

 

拓人達はその怒りについて知っている。けれど、ルールーにしては初めての感情であり理解は出来ていなかった

 

「相手の事を本当に大好きだからこその心だよ」

 

「大好きだからこその…心…」

 

「行くよルールーちゃん」

 

拓人は手を差し伸べる。ルールーはその手を取ろうかと迷っていたが

 

「ほら」

 

今度は拓人が強引にルールーの手を引いて行った

 

そして、拓人が連れて来た場所は先程えみると別れた場所

 

「まだ、えみるちゃんは帰って来てないようだね」

 

「はい…」

 

「ギターでも弾いて待とうか」

 

こっそり持ち出した、えみるのギターをルールーに持たせて弾かせてみる

 

けれど、ルールーは殆ど弾いた事無く拙い音が流れてた

 

「下手ですね」

 

そこへ、えみるが帰って来た

 

「ギターは心を表すんです」

 

「今度拓人お兄さんと一緒に練習したらいいのです」

 

ルールーは、ギターをえみるに返した

 

軽くギターを弾いて2人に笑顔を戻って来た

 

「2人共、良い笑顔だよ」

 

3人が和んでいると

 

「オシマイダー!」

 

「あれはオシマイダー!」

 

「ルールーちゃん、はなちゃん達に連絡を!」

 

ルールーはプリハートで、はな達に連絡して急いで合流するよう頼んだ

 

「ルールー!拓人お兄さん!」

 

 

 

「「ミライクリスタル!ハートキラっと!」」

 

「「「輝く未来を抱きしめて!」」

 

「「みんな大好き!愛のプリキュア!」」

 

「キュアマシェリ!」

 

「キュアアムール!」

 

 

 

「「ハァッ!」」

 

マシェリとアムールの拳がオシマイダーに直撃し、大きく吹き飛ばした

 

「ハーッ!」

 

更にマシェリが転がるオシマイダーに、走って追い付き追撃で地面に叩き付ける

 

「オシ…」

 

そこへアムールが駆け走る

 

「オシマイダー!」

 

「クッ!」

 

「アムールそのまま!」

 

オシマイダーの攻撃動作に一瞬、走るスピードを緩めたが後ろから拓人の声が聞こえ、それを信じて加速する

 

「ブーケトランペット!」

 

「オシ!?」

 

「ハッ!」

 

振り下ろす攻撃を拓人が弾き、その隙を突いてアムールの攻撃が通る

 

「良し!」

 

しかし、突如立ち上がるオシマイダーのトゲパワワが増幅した

 

「オシマイダー!!」

 

「「キャア!?」」

 

「マシェリ!」

 

マシェリが吹き飛ばされ先に拓人が立っていたので、上手く地面に激突せずに済んだが

 

「マシェリ大丈夫?」

 

「な、なんとか…でもアムールが!」

 

「オシマイダー!」

 

アムールに目を向けると、衝撃で転がったマシェリのギターを拾うと手を伸ばしていた。そしてオシマイダーもアムールの方へと

 

「拓人お兄さん!」

 

「行くよ!せーのっ!」

 

マシェリの腕を掴んで大きく投げ飛ばしアムールの元へ

 

「アムール!」

 

何とかアムールを助ける事が出来たが

 

「「あぁ…!」」

 

ギターが真っ二つに折れてしまった

 

「3人共!」

 

「皆んな!」

 

「「「ハァーッ!」」」

 

エール、アンジュ、エトワールも合流して一気に形勢逆転まで追い込んだ

 

 

「Are you ready?」

 

「フレフレ!ハート・ソング!」

 

「行きます!」

 

「フレフレ!ハート・ダンス!」

 

 

2人の技が直撃しオシマイダーの動きを止めた

 

「エール、アンジュ、エトワール!」

 

 

 

「「「ミライクリスタル!」」」

 

「エールタクト!」

 

「アンジュハープ!」

 

「エトワールフルート!」

 

「「「心のトゲトゲ飛んで行け〜!」」」

 

「「「プリキュア・トリニティコンサート!」」」

 

 

「ヤメサセテモライマ〜ス」

 

「「「HUGっとプリキュア!エール・フォー・ユー!」」」

 

 

 

 

 

////////

 

「わたしの…わたしのせいで、えみるの大切なギターが…」

 

オシマイダーは浄化は出来たが、大切なギターだけは修復不可能な程の有り様だった

 

「いいのです。アムールを守れたのですから気にしないのです」

 

そう言ってはいるが、アムールは申し訳ない気持ちでいっぱいだった

 

「先輩!」

 

「はい?」

 

「もうギターはありません。でも、わたし達にメロディソードがあればまたピンチの時にアムールを守れます!えいえい!やぁ!とにかく下さい!」

 

マシェリは、エール達のメロディソードを欲しいと言い出した

 

「いや〜、でもアレわたし達のだしなぁ〜…」

 

「それなら俺のを2人にあげるよ。何が欲しいかな?ブーケトランペット?プリズムシンバル?やっぱり2人から生まれた、ウェディングギターとブライドヴァイオリンかな?」

 

「コラコラ拓人、そんな事したらあんさんの武器が無くなってしまうで」

 

はぐたんはそんなやり取りを見て

 

「は〜ぎゅ〜〜!」

 

ピンク色の光りが空へと飛び、虹色の穴を作り出した

 

 

 

 

 

////////

 

とある一室

 

その部屋では、1人の男性と数人の女性達が居た

 

「お先に失礼します!」

 

「バイバイモモち!」

 

モモちと呼ばれる少女はその部屋から出た

 

「フーさんや、あたしゃもう疲れたよ…」

 

「変な事言ってないで早く着替えて下さい!外で待っていますから」

 

「あ〜ん!師匠を置いて行かないで〜!」

 

フーと呼ばれる少女も出て行った

 

「今日も流石でしたよ師匠!助かりました!」

 

「弟子をフォローするもの師匠の役目。てか、姫の場合は前に出過ぎだ。次からは気を付けろよ」

 

「は〜い!あ、外で楓と待ってるね〜!」

 

「では私も待っていますね」

 

「はい五恵ちゃん」

 

姫と五恵という2人も部屋から出て行った。残っているのは、師匠と呼ばれる3人のみ

 

「う〜ん…アイテムの補充でもしようか」

 

「あ、じゃあメイも〜!」

 

「2人共、皆さんを待たせているのだから駄目ですよ」

 

「少しだけ!少しだけ……あれ?」

 

1人が部屋の異変に気が付いた

 

「ねぇ初さん、あれも何かの発明品?」

 

指差す方向には空間に穴が開いていた。虹色の歪な形をした穴は、彼らを誘うように音も無く出現したのだ

 

「敵組織による攻撃かな?」

 

「いえ、それにしては色々と不可思議です」

 

「もしかしたら母さんの仕業だったり?この穴の先には大量の天使が待ち受けていたり?」

 

「ですが、今更争う理由が分かりません。とにかく調べてみましょう」

 

1人、恐る恐るその謎の穴に手を入れる

 

「う〜ん…顔も覗かせましょう!」

 

調子に乗って頭も入れようとした瞬間

 

「初芽!」

 

突然何かに強く引っ張られる感じがした。それに気付いた1人が腰にしがみ付き、もう1人が片方の手を掴み、穴から引き剥がそうとする

 

(なんて…!)

 

(力…!)

 

2人が全力で引っ張ってもビクともしない。それどころが更に引っ張られる

 

「こうなったらスパイスを使う!踏ん張れよ!」

 

腰にしがみ付いてる1人が、自分の腰に着けてるケースから小さな木ノ実を取り出して齧ろうとする時

 

「あっ…」

 

腕を掴んでいた1人が足を滑らせてしまった

 

「嘘だろ!?」

 

急いでその人も支えて、1人で2人を抱える状態になってしまった

 

「ヤバいヤバいヤバい!」

 

「馬鹿か!?ヤバいのは俺の方だよ!今そんなボケは要らないよ!」

 

「ボケじゃないもん!本当に滑ったんだから!……ボケだけに?」

 

「さよなら命。君の事は忘れないよ」

 

「うわ〜ん!可愛い女子高校生のジョークだって!」

 

そんなしょうもないやり取りもここまでだ

 

「ごめんねフー。メイはここまでのようだ☆」

 

「何諦めてんだよ!てか、何最後サラッとカッコつけてるんだよ!?」

 

「最後に一言……あ、まだ冷蔵庫の中に食べかけのハーゲンがあったの忘れてた!」

 

「私も、昨日のお惣菜がまだ残っていたの忘れていました」

 

「ボケにボケを重ねんでいい!」

 

この状況で、余裕があるのか無いのか最早よく分からなくなって来た

 

「思い付いた!アd──」

 

さよならの意味をする「アデュー」と口にしたかったが、言葉を遮るように吸い込まれてしまった

 

残ったのは静寂な空間だけだった

 

 

 

 

 

////////

 

「は〜ぎゅ〜〜!」

 

空に出現した虹色の穴から3人の人影が見えた

 

「「「うわあぁぁぁ!?」」」

 

大きく土煙りを上げて地面へと落ちた

 

それを見た拓人達は唖然とする

 

無理も無い。その3人は忍装束の様な格好をしていたのだから

 

「あの人達は一体?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出会う筈も無い人達が、時空を超えて目の前に現れた

 

それがどう転ぶかはまだ分からない




本来なら、ブラックとホワイトが登場だったのですが、そうならないのが私の小説です。
そんな訳で、突然に始まった別作品とのコラボです。一応このコラボ企画は、この小説を書く段階で最初から決まっていました

そのお相手は……次回の前書きに発表します。コラボって言っても自分の作品同士なので、恐らく簡単に分かると思われます。

では、ここまでの拝読ありがとうございました!


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第21話 オリジナルカレー!愛情ましましで!

今回は現在進行形でマルチ投稿しております「RELEASE THE SPYCE lnherited soul」という作品とのコラボです

分からない方の為に小説内でも簡単に説明をします

少しでも興味を持ってもらえたら下記のURLから小説が読めます

https://syosetu.org/novel/216819/


「駄目だ。基地との通信が取れない」

 

「おかしいですね。スマホも圏外です…あ、通信機は大丈夫の様ですね」

 

「初さんお手製のスマホでも駄目なら、メイ達は人生終わりだよ〜!」

 

突如として現れた3人組、男1人、女2人といった組み合わせだ。その全員が忍者の様な格好をしていた

 

女性陣に至ってたは、露出度が高いものの忍装束を身につけ、赤いマフラーを靡かせ、スカートを翻していた

 

それぞれの容姿も男が黒髪短髪、他女性の方がサイドテールでオレンジの髪色をした子、赤い眼鏡を掛ける金の長髪

 

「それよりもアレ」

 

男性は向こう側に居る拓人達へ目を向ける

 

「何だあの集団?コスプレか何かか?」

 

「此処が何処なのか聞いてみましょう」

 

「賛成〜!」

 

「一応、顔を隠してコードネームで呼び合おう」

 

「「了解」」

 

パーカー付きのマフラーで顔を隠して、拓人達の元へ歩きだした

 

 

 

 

 

「何やアイツら?ヒソヒソと話して」

 

「あの服装忍者?」

 

「1人だけ、蘭世ちゃんと同じ様な声が…」

 

様子を伺っていると、謎の3人組が近付いて来た

 

「あ、近付いて来たよ。どうする?」

 

「もしやあの方達は!」

 

マシェリ1人が3人組に駆け寄った

 

「もしかして、貴方方はメロディソードを授けに来てくれた天の使いですね!ください」

 

「天の?」

 

「使い?」

 

いきなり詰め寄られて困惑する相手2人。だが1人は

 

「天の使い…フッフッフ、君は中々良い目をしてる。そう!我こそは天の使いである!」

 

「ではください!」

 

「お、おう…」

 

口からデマかせをしたつもりが本当に信じてしまった。そんなキラキラとした瞳を見て、言った本人が1番困り果ててしまった

 

「どうしよう信さん、あの子本当に信じちゃったよ」

 

「命が勝手に言い出した事だろ?何とかしろよ。メロディソード?ていうやつをあげれば?」

 

「自分でいっておいてなんだけど、こういう純粋な子を騙すのは心が痛む」

 

「前科がある人が何を今更」

 

「あの〜…」

 

目の前でヒソヒソ話する2人にマシェリは覗き込む

 

「貴女の名前を教えてくれますか?」

 

話す2人を置いて、もう1人の人がマシェリに名前を尋ねる

 

「わたしはキュアマシェリ!プリキュア なのです!」

 

「プリキュア …聞いた事の無い組織ですね」

 

「組織?それよりもプリキュア をご存知ではないのですか!?」

 

「…信長、千代女ちょっと」

 

その人も加わり3人で話し出す

 

「お2人はどう見ますか?」

 

「俺は…少し怪しい気もするが一般人の可能性に一票」

 

「メイも、そういう類の人間じゃない。う〜ん、こういう時にモモちがいればイチコロなんだけどね〜」

 

「では、正体をバラすという事で。何かあればその時に対処として。宜しいですか?」

 

「「了解」」

 

3人は改めて向き直りフードを取る

 

「申し遅れました。私は『青葉初芽』です」

 

「メイは、『八千代命』。メイって呼んでね!」

 

「『緒方信二』。まぁ、適当に」

 

金髪の子が初芽、サイドテールの子が命、そして黒髪の男性が信二。彼らはそう名乗った

 

 

 

 

 

////////

 

「いや〜、任務帰りで何も食べて無かったから美味しさが身に染みる〜!」

 

信二達はビューティーハリーに誘われ、それぞれの事情や説明をしてお互いに信頼を深めていた

 

「それにしても皆さんが『スパイ』だなんて!是非、今後のお芝居の為にもお話を!」

 

「私もビックリです。こんな小さな機械であんなに姿が変われるなんて!嗚呼、分解したい」

 

「アカンわ!」

 

「皆さんのお話を聞く限り、あの謎の空間から飛ばされた事になりますね」

 

この3人はどうやら、別の時間軸から飛ばされたものと推察する。

そして3人は、自分達の世界では「ツキカゲ」と言う私設諜報機関の人達だ。いわゆるスパイ

 

先程まで本命とは別にお互いを呼んでいた「信長」、「千代女」はコードネームらしい。初芽は「局」と呼ばれてる

 

「スパイって3人以外にもいるの?」

 

「いるよ。ツキカゲは基本的に、自分達の技術を後世に伝授させて受け継ぐの。師弟制度って感じ」

 

「因みに俺達3人は全員が師匠。それぞれ1人ずつ弟子を連れてる」

 

打ち解けてるが、その輪に入らずえみるとルールーは、先程壊れたギターについて話ていた

 

「わたしのせいで…すみません」

 

「ルールーが無事ならいいのです。全然平気なのです!」

 

「大切なギターが壊れたのに…」

 

「もう終わった事ですから」

 

「壊れたから終わりなのですか?ギターを諦めなくて良かったと喜んでいたのは、えみるではなかったですか?…理解不能です。わたしにも分かるように説明を…」

 

「ルールーには言いたくないのです!」

 

そんな2人のいざこざの様子を信二達は遠目で見ていた

 

「あちゃ〜、絶賛喧嘩中な所にお邪魔しちゃったね〜」

 

「そこまでや!」

 

ハリーが強引に喧嘩を辞めさせる

 

「はぐたん、そろそろオムツ変えとこか」

 

「あ、わたしがやるのです!はぐたん行きましょう!」

 

えみるがその場から逃げるように、はぐたんを抱えて2階へ行った

 

「何故、えみるは嘘をつくのでしょう…」

 

「優しい嘘じゃないかな」

 

「優しい嘘?」

 

「ルールーが気にしないように平気だって言ってるんだよ」

 

「でも気になります。わたしはどうすれば…」

 

「難しい事ですけど、悩む必要はありません」

 

悩むルールーに初芽が少しお節介をする

 

「私の夢は世界中の人とお友達になる事」

 

「エラいスケールのデカい夢やな…」

 

「皆さんとお友達になれるなら努力は惜しみません。悩むだけが全てではありません。ルールーちゃん自身がどうしたいか、だと思いますの」

 

「これでも初さんは凄いんだぞ!敵だったテレっちとだって仲良くなれたんだから!」

 

「あれは誤解が生んだ事だろ?例を上げるとするなら白虎だろ。あんなに嫌々言ってた奴が少し経ったら打ち解けてる」

 

「わたしは…」

 

初芽の言葉を聞いて何か思ったらしい

 

「さてと、あっちのえみるちゃんはメイに任せて!」

 

 

 

「えみゆ、よちよち」

 

「平気なのです!平気でいないとルールーを傷付けてしまうのです」

 

「心の中で 繰り返していた 事を言えばいい〜」

 

歌声が聴こえる。振り返ると命が勝手に部屋に入っていた

 

「命さん…」

 

「皆んなから聞いたよ。えみるちゃんもギター弾くんだって?メイも良く駅前で弾いてる」

 

「…ルールーは親友なのです。傷付けたくないし、喧嘩したくないので…」

 

「分かる!分かるよその気持ち!メイもさぁ、弟子のフーって子に見つかって怒られないように、隠れてハーゲン食べるの苦労してるんだよ」

 

「そういう意味では──」

 

命はえみるの口を人差し指で閉ざす

 

「喧嘩は嫌な事もあるけど、自分の本音をぶつけれていいよ。ギクシャクもしてしまうけど、最後にはお互い分かって笑い合える。メイもそうだった」

 

「命さんも、その…お弟子さんと喧嘩はするのですか?」

 

「しょっちゅうだよ。でも、一番辛かった時はフーの気持ちを全然考えていなかった時かな。いつまでも半人前扱いして、自分が怪我して、そのせいでコンビ解消するようにまで言われた事もある。でもね──」

 

フーはえみるの頭を豪快に掴んで撫でる

 

「最後は結局仲直り出来た。それで良いんじゃないかな?終わり良ければ全て良しってね」

 

メイはまたリズムを取って歌い出す

 

「すれ違ったとしても また君に向かう まんまるの 夜をすり抜けてゆく」

 

えみるは1階へ駆け走って行った

 

「若いっていいね〜」

 

命もはぐたんを抱いて降りると、えみるははな達と同じブレスレットを作っていた

 

「ルールーにプレゼントしたいのです」

 

えみるはずっと思っていた

 

「ずっと思っていたのです。お揃いでいいなぁって」

 

はな、さあや、ほまれのブレスレットを見ていつも思ってた

 

「皆んなと同じように、わたしとルールーも」

 

「ねぇところで、初さん達知らない?」

 

「それなら、こぞって出て行ったで」

 

「あ〜なるほどね。うんうん、大体分かった……初さん大丈夫かな。一応連絡しとこ」

 

 

 

 

 

「壊れた物は元通りになりません。でも、なんとかこの手でえみるのギターを…」

 

さあや、ルールー、初芽の3人で新しくギターの製作に取り掛かっていた

 

「やはりアンドロイドですね。ルールーちゃん、今指で材料を加工しています!一度中身を見てみたいものです!」

 

「それはお断りします」

 

「まぁ、それは皆さんから言われてますし慣れています。それよりもギター作りを頑張りましょう!これでも、発明が趣味なのでギター作りは朝飯前です!」

 

「ありがとうございます」

 

和やかになってると、初芽の通信機から連絡が入る

 

「すみません、今手が離せないのでさあやちゃん代わりにお願い出来ますか?」

 

「はい」

 

さあやが通話に出ると相手は命からだった

 

「はい、はい…え、そうなんですか。気を付けます。では」

 

「命ちゃんからですか?」

 

「はい、『初さんは何か発明する時、爆破物が無くても爆発するから気を付けてね』と。どういう意味何で──」

 

さあやは意味を尋ねようとすると、初芽から爆発が起こった

 

「あはは、失敗しちゃいました」

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

「今は爆破物を一切使っていません、何故?」

 

 

 

 

 

「はぁ…」

 

「よっす、拓人だっけ?」

 

近くの池で、拓人が少し思い悩んでいた。そんな彼に信二は声を掛ける

 

「俺は、あの2人に何をしたら良いんでしょうか?」

 

「別に何もやらなくて良くないか?」

 

何かしらアドバイスを貰えるかと期待していたのか、拓人は少し驚いた表情をする

 

「あの2人の間に何で強引に入ろうとする?」

 

「それは、えみるちゃんとルールーちゃんは大切な友達だから」

 

「君があの2人の事を大切に思っているのは分かる。でも、だからと言ってヅケヅケと入り込むのは良くない」

 

少し図星を突かれる。信二の言う通り、拓人は過保護過ぎる時は多い

 

「本当に心配だと思っているのなら静かに見守る事だ。要は『信じて待て』だ!」

 

「信じて…待つ…」

 

話の区切りがついたところで、命と初芽から連絡が入る

 

『お2人さん、仲直りする準備は出来ましたや』

 

『私の方でも整いました』

 

「急いでそっちに行く」

 

 

 

 

 

////////

 

拓人達は、呼ばれた場所に集まってえみるとルールーの様子を見守って居た

 

「『ルールーには言いたくないのです』。あれはどう言う意味ですか?」

 

「それは言い難いと言う事です」

 

「理解不能です」

 

「ルールーはすぐそう言うのです。分かってもらえないんだって、嫌な気持ちになるのです!」

 

 

 

「いいねいいね!青春してるよ!」

 

「命邪魔。見えないよ」

 

「信二さん、命さん。静かにして貰えるとありがたいのですが…」

 

前のめりになる命を信二が退けようとするが、拓人がそれを抑えて注意していた。

その間にもえみるとルールーの喧嘩は続いていた

 

 

「ギターが壊れて全然平気じゃないくせに」

 

「本当に後悔はしていません。だって……ギターの代わりはあってもルールーの代わりはいないでしょう?」

 

それを言われて初めて気付いた。ギターよりも何故自分にばかり気を遣うのかを

 

「わたしは何度だって貴女を助けます!大切な親友なのですから!」

 

「わたしも、えみるが大切だからです!えみるの悲しい事も、辛い事も教えて欲しい。きちんと知って…えみるの力になりたいのです!」

 

えみるもだ。ルールーは、えみるの気持ちを理解した上で何かしてあげたいと思っていたのだ

 

そしてルールーは、仲直りの印としてえみるにギターを手渡した

 

「さあやと初芽さんに手伝ってもらって、わたしが作ったギターです」

 

「ルールーが?」

 

「心の中で密かに思っていました。えみるの好きなギターを、わたしも一緒に弾いてみたいと」

 

「わたしも心の中で思っていました。ルールーと、もっともっと仲良くなりたいって」

 

今度は、えみるが作ったブレスレットをルールーの手首に着けて上げる

 

お互いがお互いの物でお揃い。これ程素晴らしい絆は心温まるものだ

 

「愛だねぇ〜命さんや」

 

「そうですなぁ〜はなさんや」

 

そう和んでいると、のびのびタワーからオシマイダーが出現した

 

「オシマイダー!!」

 

「何アレ何アレ!!」

 

「『オシマイダー』って叫んでるね。アレがはな達が説明してた」

 

「オシマイダーって言う怪物ですね」

 

命は初めて見るオシマイダーに目を輝かせ、信二と初芽は冷静に観察していた

 

 

 

「「「「「ミライクリスタル!ハートキラっと!」」」」」

 

「「「輝く未来を抱きしめて!」」」

 

「みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

 

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

 

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

「「みんな大好き!愛のプリキュア!」」

 

「キュアマシェリ!」

 

「キュアアムール!」

 

 

「「「「「HUGっとプリキュア!」」」」」

 

 

 

「やあ!…キャッ!」

 

「フェザー・ブラスト!」

 

「スター・スラッシュ!」

 

オシマイダー相手に遠慮無く攻撃するも返り討ちされ、アンジュとエトワールの技も容易く受け切っていた

 

「グロリアス…グワッ!?」

 

「拓人お兄さん!…キャア!」

 

「マシェリ!拓人!…あぁ!?」

 

技の体勢に入ろうとした拓人も吹き飛ばし、それを受け止めたマシェリとアムールも一緒に飛ばされる

 

「オオォォ!!」

 

更に、オシマイダーは口から連弾で光弾を飛ばした

 

「ウゥ…」

 

「オオォォォ……」

 

追撃をかまそうとするオシマイダーは、エネルギーを溜め始める

 

「見てられない!」

 

「だよね!」

 

「ハリーさん、はぐたんをお願いします!」

 

信二達が見かねて走り出した

 

「待てや!いくら何でも無茶過ぎる!」

 

「心配するな!」

 

「はい、私達からしたら日常茶飯事ですので」

 

「大丈夫大丈夫!女子高校生は無敵ってね!」

 

信二は腰から小さな木ノ実、命と初芽は左太腿から一枚の葉っぱと小粒の種を口にした

 

「オオオォォ!!」

 

 

 

「──Ready Go!」

 

「──刺激的な体験するよ!」

 

「──スパイスを効かせます!」

 

 

 

3つの影が拓人達の前に現れたが、オシマイダーの攻撃は止まらず直撃する

 

「プリキュア !」

 

「は〜ぎゅ〜!」

 

ハリーとはぐたんが心配の声を上げる。土煙が晴れると

 

「こっわ〜〜!!」

 

「アイテムを補充しといて正解だったな」

 

「ですが、傘がボロボロでもう使えません」

 

命、信二、初芽が言葉を溢しながら傘を前へと開いていた。どうやらその傘がオシマイダーの光線を防いだみたいだ

 

「信二さん…!」

 

「拓人ボロボロだな。まぁ任せろ。『スパイス』を含んだ俺達なら楽勝だよ」

 

スパイス──それは、ツキカゲなら誰でも持っているアイテム。ひとつ齧るだけで、超人的な身体能力を有する事が出来る

 

そしてスパイスを服用した者は、その証拠として瞳の色がそれぞれ変わる

 

信二はソラサキオールスパイスを使用で青、命はソラサキローレル使用で赤、初芽はソラサキスイートフェンネル使用で緑と変色した

 

「行くよ2人共。ツキカゲ──」

 

「「「ミッションスタート!」」」

 

その合図で一斉に飛び出した

 

「オシマイダー!」

 

「ハァァ!!」

 

オシマイダーと信二の拳がぶつかり合う

 

「スパイス込みの俺と同等かよ!?」

 

「信さ〜ん!メイのクナイじゃ絶対ビクともしないよ〜!」

 

命はオシマイダーの周辺を走りながら様子を見ていた

 

「命ちゃん足元を狙いましょう!」

 

初芽は仕込み槍を駆使してオシマイダーの光線を払い除け、命に呼び掛ける

 

「了解!行くよ初さん!」

 

「「せーのっ!!」」

 

2人が勢い付けてスライディングし、オシマイダーはよろけて四つん這いになる

 

「このまま一気に畳み掛ける!」

 

「ならメイも本気出すよ!」

 

信二と命は新しいスパイスを取り出す

 

ツキカゲオールスパイス、ツキカゲローレルを齧る

 

「──リリース・ザ・スパイス!」

 

「──混沌(カオス)な体験しようか!」

 

2人の目は先程よりも輝きを増し、瞳にツキカゲのシンボルである三日月が浮かび上がる

 

「オシマイダー!」

 

オシマイダーは立ち上がり、拳を信二に向けて振るうが

 

「ほっ!」

 

最も容易く、片手で払い除けてた

 

「せい!」

 

「オシ!?」

 

今度は命が張り手でオシマイダーを遠ざけた

 

「凄い!さっきよりも強くなってるよ!」

 

「明らかにわたし達プリキュア や、オシマイダーの戦闘力を遥かに上回っています」

 

「『ツキカゲスパイス』は簡単に説明しますと、通常のスパイスより5倍の効力があるアイテムです。普通の人が使いますと、精神に異常をきたします」

 

「なんちゅうもん使ってんねん…」

 

初芽が説明してる間にも、信二と命は高速で飛び回っていた

 

「へいへいオシマイダー。身体をよ〜く見てご覧!」

 

オシマイダーの身体中に、命が引っ付けたリップクリームが大量にあった

 

「3、2、1……ボン!」

 

命が大きく両手を広げるて合図すると、オシマイダーは頭から足先に掛けて派手に爆発した

 

命が仕掛けたのは、リップクリーム型の爆弾だったのだ

 

「オシ…」

 

「ちょいちょい」

 

堪らず膝から崩れるオシマイダーの目の前に、命は和やかな笑みを溢して近付くと

 

「ハァッ!」

 

「オシマイ!?」

 

オシマイダーの顎を、たったのひと蹴りでかち上げて空へと飛ばす

 

「スマートにキマったな」

 

「どうせなら最後までお任せしたいね!」

 

かち上げたオシマイダーより天高く、信二がジャンプで飛んで待ち構えていた

 

信二は、腰のバックからアタッチメントを取り出してスマホと組み合わせる。そして頑丈なワイヤーをオシマイダー向けて射出し、器用に身体を巻き付けた

 

「フンッ!!」

 

強靭な腕力でオシマイダーを引き寄せ、信二は全身を極限まで捻り拳を構える

 

「これでどうだ!鎧通し!!」

 

捻りを解放した凶器的な拳がオシマイダーの腹に突き刺さり、衝撃は全身へと走り高い水飛沫を上げて海へと叩き付けた

 

「ちょっと!そんな派手にキメられたらこっちの立場ってもんがさぁ!」

 

「良かったですよ」

 

「凄い…!」

 

信二達からしたらいつも通りだが、エールから見たら完全に別次元。その強さに言葉を漏らす程

 

「オシマイダ…オシマイダー!!」

 

けれど、あれだけのダメージを与えたにも関わらずオシマイダーは立ち上がった

 

「えぇマジで…。信さんの鎧通し食らったのにピンピンしてるよ。絶対死んだかと思ったのに」

 

「いや普通なら死んでるよ。内部に衝撃を与える技に加えて、踏ん張りの無い空中だったから威力は100%伝わってる筈だよ」

 

「弱らせる事は出来ても、やはりプリキュア でないと倒す事は難しいみたいですね」

 

3人が話す中で、アムールはオシマイダーとなった人物を知った

 

「パップル…」

 

「誰それ?」

 

「あのオシマイダーはわたしの上司だった人です」

 

オシマイダーは何か泣き叫ぶ様な感じで苦しんでいた

 

「胸に響いて来るのです。痛い程の嘆きが……わたしに行かせて下さい!」

 

「…わたし達に行かせて下さい!」

 

アムールに続きマシェリが言った

 

「良いんじゃないの。俺たちでは倒せないし」

 

「何より今のお2人なら、パップルさんって方とお友達にもなれます」

 

「女子高校生…じゃなくて女子小中学生は無敵だよ!」

 

マシェリとアムールは3人の言葉に押されて、お互いの手を取り合ってパップルが待つオシマイダーの奥深い場所へと潜り込んだ

 

 

 

 

暫くすると、大きな光りを放ちながら2人が出て来た。それに加えて、新しいミライクリスタルが2つ。マシェリから「ミライクリスタル・ルージュ」、アムールからは「ミライクリスタル・バイオレット」と、2人だけの新しい武器「ツインラブギター」も出現した

 

「一緒に弾いてくれますか?」

 

「勿論なのです!」

 

 

 

「「ツインラブギター!」」

 

「「ミライクリスタル!」」

 

「Are you ready?」

 

「行くのです!」

 

ツインラブギターにそれぞれミライクリスタルをセットして、魂まで響くロックな音楽を掻き鳴らす

 

「「届け!わたし達の愛の歌!」」

 

「心のトゲトゲ」

 

「ズッキュン打ち抜く!」

 

「「ツインラブ・ロックビート!」」

 

マシェリバズーカとアムールアローがオシマイダーを打ち抜いた

 

「愛してる♡」

 

「Thank you!」

 

 

 

 

 

////////

 

「2人共、めちゃめちゃイケてたよ!」

 

「流石親友同士だね」

 

「そんな事…ありますけど!」

 

「色々とありがとうございました」

 

オシマイダーの浄化も済んだところで、拓人ある事に気付く

 

「そう言えば、皆さんはどうやって帰るつもり何ですか?」

 

「それを知ってるなら早く帰ってるよ〜!」

 

「初芽、次元を超える乗り物とか発明出来ない?」

 

「流石の私でも無理です」

 

信二達は後は帰れれば終わりだが、その帰り方が分からずどうしようかと困っていると

 

「は〜ぎゅ〜!」

 

はぐたんから光りが発し、それに信二達が潜って来た虹色の空間が出現した。そして、3人の身体は宙へ浮かび自然とその空間へと向かって行く

 

「どうやらお別れの時間みたいですね」

 

「短い間だったけど楽しかったぜ!」

 

「今度はツキカゲ全員で会いに行くね〜!」

 

全員、手を振って別れを告げた

 

「行ったな」

 

「3人を呼んだのはぐたんだったの?」

 

「はぎゅ!」

 

ここでようやく、さあやが3人を呼んだはぐたんに気付いた

 

「また会えるといいな」

 

「会えるよきっと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

信二達の協力もあり、えみるとルールーの間に更に深い固い絆が結ばれる

 

そして拓人の言う通り、そう遠くない未来でまた信二達会える事になる。しかもツキカゲ勢揃いで

 

それを願ってはなは胸に期待を膨らませた




3人が参戦したコラボ回。
マシェリとアムールのパップル和解は尺の都合よりカットしました。
更に言うと、今回程オリ主が目立たない回があっただろうか…。多分、この小説のオリ主が1番扱いが雑い気がする。
一応物語の後半である次回から、オリ主をもっと目立たせる予定です。正直、今回まで目立たなかったのは予想外でした。


あちらのオリ主の「緒方信二」は作品の看板役として。「八千代命」はギターと音楽繋がり。「青葉初芽」は、友達繋がりで登場させました。

最初、命はオマケ程度と思っていましたが、よくよく考えればちゃんと繋がりは合ったという。それに中の人で蘭世とも繋がりがある

やりたい事をやり切った感じなので、暫くは他の小説にも力を入れる為また投稿頻度が下がります。

では長くなりましたが、ここまでの拝読ありがとうございました!


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第22話 止まる時間、止まらない明日の未来へ!

久し振りの投稿です。本当に久し振りや

ではスタート!


「あちゃ〜」

 

拓人は、目の前で降り続ける雨に困っていた

 

傘を忘れてしまったのだ。此処はラヴェニール学園。走って帰るにしても家だと少し遠い

 

「やっぱりえみるちゃん達と帰れば良かったな」

 

図書室で借りていた本がもう少しで読み終わりそうだったので、放課後を使って読んでいたのだ。しかしそれが招いた災難

 

「走って帰るしか……?」

 

鞄を傘代わりにして帰ろうとしたのだが、不意に目の前から来る人に目が行ってしまい踏み出す足を止めた

 

ロングコートにシルクハットを被った傘をさした初老だ

 

拓人は誰かの親か祖父かと思い、止めた足を動かそうとすると影が差し掛かる

 

「え?」

 

「そのままだと風邪を引いてしまうよ?」

 

初老は拓人に傘を差し出すのだ

 

「ですが…」

 

「人の親切は素直に受け取るものだ」

 

「そういう意味では無く。誰かを迎えに来たのでは?それにその傘を貰ったら貴方が風邪を引きますよ」

 

初老は目をパチクリさせた後、何かを懐かしむ様に優しく微笑んだ

 

「君はいつになっても優しいね」

 

「あの…誰かと勘違いしていませんか?」

 

初老の言葉に違和感を感じて、誰かと見間違えるだろうと思っていたのだが

 

「間違いなんて有り得ない。君はあのマエストロの音宮拓人君だろう?」

 

「え、は、はぁ…。でもマエストロなんて呼ばれる資格も無いですけどね」

 

昔の事を掘り返されて苦笑いしか浮かばない

 

「相合い傘しながら少しお話しを良いかね?」

 

「良いんですか?」

 

「私の方こそ」

 

拓人はその初老と傘を共有しながら適当に道なりに歩き進む

 

「拓人君の奏でる音楽はどれも心に響いて心地良かったよ。私の娘も分からないなりに聴いていたよ。何か思うところがあったんだろう」

 

「そんな大層な事でも…」

 

「いいや。君は私達家族を救っただけじゃ無く、娘の心の支えになってくれていたんだよ」

 

「お、オーバーですよ!」

 

「だけど君は突然私達の目の前から消えた。とても残念だったよ」

 

拓人は歩みを止めてしまった

 

理由までは知らないが、そこまで自分を思ってくれてる人の期待を裏切ったのだ

 

しかし、それと同時にある疑問も浮かび上がる

 

「俺って…俺って必要な存在だったのですかね?」

 

「少なくとも私達家族はそう思ってる。今も」

 

そんな事を言われたのは初めてだった。

嬉しい気持ちもあったが、それに比例してその気持ちに応えられなかった自分に対しての怒りも湧いて来る

 

「…何か好きだった曲はありますか?もしくは思い出のある曲でも。貴方達家族の為に弾きますよ」

 

罪悪感を感じて自分からそう言った。普段なら絶対に言わないのだが、この家族だけはと罪滅ぼしのつもりで言葉に出たのだ

 

「そうかい?曲は任せるとして…そうだなぁ…」

 

初老は顎に手を当てて考えた。そして拓人を一度見た

 

「楽器はハーモニカで」

 

「ハーモニカ?あ、良いですよ」

 

一瞬、何故自分がハーモニカを持ってる事を知っているのかと思ったが、普段から持ち歩いているのだった

 

腰から下げてるのに気付いたのだろうと自分で勝手に納得した

 

毎日聴いていた(・・・・・・・)あの頃を思い出すよ」

 

「え、毎日?」

 

「どうやら雨は上がったみたいだ。見てご覧なさい」

 

拓人は空を見上げると、確かに雨雲無く太陽が見えて晴れていた

 

「あ、そうだ。さっきのはどういう──」

 

話を逸らされてしまって聞こうと初老の方に目を移すも、いつの間にか影も形も居なくなっていた

 

「居ない」

 

周りを見渡してもやっぱり居ない

 

「不思議な人だ」

 

拓人は、道端にある水溜りを覗き込む

 

「もう一度…もう一度音楽始めようかな…?」

 

水面に映った自分を見ながら、ハーモニカに口を当てようとする時地響きを感じた

 

「あれは!」

 

遠くからでもハッキリと見える。プリキュアに変身して戦う友達の姿が

 

「急いで行かなくちゃ!」

 

 

 

 

 

////////

 

「なっ!?」

 

オシマイダーが現れた場所に着いたのだが、見渡せばエール達皆んなが倒れていた

 

「猛オシマイダー!!」

 

そして目の前にはいつもと様子の違うオシマイダー

 

「拓人気を付けて下さい…!そのオシマイダーはパワーアップしています!」

 

「分かった!──デュアルクラリネット!」

 

武器を召喚して攻撃しようと脚に力を込めるのだが

 

「君も来たんだ」

 

「え…な、何で貴方が?」

 

オシマイダーの隣には、先程まで話し合っていた初老の姿があった

 

「自己紹介がまだだったね。私は『ドクター・トラウム』。宜しくね」

 

「さっきまであんなに楽しくお話ししてた人が何で!?」

 

「何でだろうねぇ〜?」

 

「ちゃんと答えて下さい!!」

 

「それは…おや?遅いぞ社長」

 

トラウムの視線が拓人より後ろへと向けられた

 

振り返れば1人の男性が本を持って立っていた

 

「何でこんな所に人が?」

 

「違う拓人!ソイツはクライアス社の社長『ジョージ・クライ』や!」

 

クライアス社の社長といえば敵のボスだ

 

ジョージの持つ本が光ると、エール達が持っていたミライクリスタルにプリハート全てを奪われてしまった

 

「この時を待っていた」

 

変身アイテムを全て奪われて皆んなの変身が解けてしまった

 

「君達がミライクリスタルを生み出し、アスパワワを集めてくれると信じていたよ」

 

「返して!」

 

拓人はデュアルクラリネットを投げるも、ジョージの目の前で静止し灰となって崩れ落ちた

 

「ドクター!」

 

トラウムは何かの装置をジョージに渡した

 

「明日への希望よ消えろ!」

 

その装置で、ミライクリスタルとプリハートの輝きを無くしてしまった

 

「想定通りだ。大きな希望程敗れた時に発する負の力が凄まじい」

 

「どうして?夢があるって…皆んなが笑顔になる国を造るって、話して…」

 

「新たな苦しみが無ければ、皆笑顔で居られるだろう?だから時間を止める。共に終わらぬ永遠を!」

 

発した黒いオーラが全ての時間を止めてしまった

 

人の声、小鳥の囀り、靡く風の音も何もかも止められてしまった

 

世界は静かなモノクロの世界へと変わってしまった

 

「もう何も生まれない。永遠の幸せの始まりだ」

 

「は〜ぎゅ〜!は〜ぎゅ〜!」

 

「はくだん!」

 

これから新たな世界の始まりを予感していたのだが、予想外な事に拓人とはぐたんの2人だけは動けていた

 

「時が止まった中で動けるとは?…む?」

 

ジョージは拓人に何か異変を感じた。目を凝らして見ると、誰かに背中から抱かれている様に見えた。

その事に拓人は気付いていない

 

「君は面白い。しかし」

 

地面から出て来た鎖に拓人は縛られてしまう

 

「君の事は後でじっくりと相手をしよう。今は」

 

ジョージははぐたんを優しく引き寄せる

 

「おいで」

 

「やめて…」

 

「ほまえ〜!しゃあや〜!えみゆ〜!る〜!る〜!ま〜ま〜!」

 

「やめてって…」

 

「たあ〜と〜!」

 

「やめてって言ってるだろ!!」

 

ジョージの手がはぐたんに触れようとする直前で、拓人の胸の内から小さい緑色の光と膨大なアスパワワが溢れ出した

 

「これは…?」

 

拓人は鎖を引き千切り、一瞬でジョージの前まで跳躍してはぐたんを抱き抱えて取り返した

 

そして不思議な事に止まった時間が動き始め、それぞれのミライクリスタルとプリハートが持ち主の元へと戻って行く

 

そしてはな達は再度プリキュアへと変身したのだ

 

「はぐたん!拓人さんありがとうございます!」

 

エールははぐたんを抱き締めて安堵した

 

「本当に君は…いや、君も面白い」

 

ジョージは拓人の瞳の中の光を見た

 

「どうやら視えた(・・・)みたいだね。幾千幾万とある無限の可能性──未来を」

 

けれど拓人は何を言っているのかさっぱりだった

 

「何となくだけど、何故君が止まった時の中で動けたかも予想はついた。けれど、それに君自身が気付いていない」

 

「気付いていない?」

 

「ドクター後は任せるよ」

 

「待って!」

 

「また会えるよ」

 

エールの声は届かず、その場をトラウムに任せて何処へと消えて行った

 

「さてと、行け!猛オシマイダー!」

 

進化した猛オシマイダーが突撃して来たが、アンジュとエトワールの2人が牽制を混じえつつ一瞬だけ動きを止めた

 

そして今度はエール、マシェリ、アムールの3人での同時攻撃

 

「猛オシ!?」

 

堪らず地面へと倒れた

 

「猛オシマイダー!!」

 

立ち上がり雄叫びを上げて襲い掛かって来る

 

「ミライクリスタル来て!」

 

拓人の元に、ミライクリスタル・ローズ、ネイビー、オレンジ、ルージュ、バイオレットが集まる

 

そしてそれに合わせて、それぞれの武器を展開してミライクリスタルをセットした

 

「行け!」

 

五つの楽器から放たれる技を直撃し、猛オシマイダーの身に纏っていた鎧を全て打ち砕いた

 

「マシェリ!アムール!頼んだよ!」

 

「「はい!」」

 

ミライクリスタル・ルージュとバイオレットを受け取る

 

 

 

「「ツインラブギター!」」

 

「「ミライクリスタル!」」

 

「Are you ready?」

 

「行くのです!」

 

「「届け!わたし達の愛の歌!」」

 

「心のトゲトゲ」

 

「ズッキュン打ち抜く!」

 

「「ツインラブ・ロックビート!」」

 

 

「モウヤメサセテモライマ〜ス」

 

「愛してる♡」

 

「Thank you!」

 

 

「年寄りを労る気持ちは無いんかね!?」

 

猛オシマイダーが浄化されてトラウムは退散したのだった

 

 

 

 

 

////////

 

「クライアス社はこれからもミライクリスタルを狙い、この世界のアスパワワを奪い来ると思われます」

 

「きっとドンドン敵も強くなる…」

 

「わたし達はどうすれば…」

 

「…」

 

今回の戦いで改めて力の差を思い知らせ、暗い雰囲気に呑み込まそうな時

 

「これまで通りだよ!」

 

はながそう言ってくれた

 

「わたしの13歳の夏休みは一回だけだもん。はぐたんと一緒に楽しい事いっぱいする!クライアス社に負けない!わたし達のアスパワワは無限大だぁ!!」

 

「そうだね」

 

「暗くなり過ぎたみたいだね」

 

「ルール、えみるギター弾いて!」

 

「OKなのです!」

 

「練習の成果お見せします!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奏でられる音楽と共に、明るい笑顔とアスパワワが溢れ出していた




結構重要な事を言っていた今回。なのに何故そんな大事な話を後回しにしていたのか。私にも分かりません!

ここまでの拝読ありがとうございました!


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第23話 悩める時間、隠したがる理由は?

すいやせん。
これ以降の話の構成を全く考えて無かったので、極めて雑になっています

まぁスタートです


「拓人お兄さん、ナイトプールのチラシが貼られてますよ」

 

「そうみたいだね」

 

ビューティーハリーへと向かう途中、2人は夏休み序盤にあるナイトプールの宣伝ポスターを見掛けた

 

「どうしたのです?いつもなら『えみるちゃんの水着だ!』ってはしゃいだりする筈。何か変なのです」

 

「何となく、えみるちゃんが俺をどういう風に見てるか最近分かって来たよ…」

 

「何かお悩み事でも…?」

 

「ううん全然!寧ろ色々と頑張ろうって思って!」

 

「何を?」

 

「先ずは一歩前に出る……音楽を再開しようと思ってるの」

 

音楽をまたやり始める。それにえみるは目を輝かせて興奮する

 

「ほ、本当なのですか!?」

 

「うん、ホントホント。今、勘を取り戻す為にあれやこれやと準備してる」

 

「これはルールーにも知らせるべきなのです!!」

 

「何でルールーちゃん?」

 

「ルールーはまだ本当の拓人お兄さんの音楽を知らないのです。如何に素晴らしいか分かって貰えるチャンスなのです!!」

 

そこまでは求めては無いが、そう言って貰えると嬉しいし頑張れる気がして堪らない

 

 

 

 

 

/////////

 

そして始まった夏休み初日のナイトプール。どんな風になっているのか気になり、下見で早くに来てみたのだが

 

「違う…違う、違〜〜う!!こんなのナイトプールじゃない!!」

 

最初の第一印象でこの通り

 

少し失礼な言い方だったはなの発言。注意したいところだが正直その通りなので介護の余地すらない

 

中央のステージからちょうちんでの明かり、全体を覆う大量の鯉のぼり、極め付けは大漁と描かれた大きな看板

 

「お〜、ビューチィーハリーのご主人!」

 

そこへ、主催者と思われる町内会長の人がやって来た

 

「準備は大変だよ。ナイトプールちゅうもんはセンスが試されるからね〜」

 

「センス?センス?センスぅぅ!?」

 

はなは詰め寄り、センスの欠片も無い有り様に指を指して訴え掛ける

 

「はな先輩!」

 

「はなちゃん失礼だよ」

 

「じゃあ2人はこれを見てどう思う?」

 

拓人とえみるは少し周りに視線を移した

 

「えみるちゃんあっちへ行ってみようか」

 

「なのです!」

 

「えみると拓人もセンスが無い。と、受け取って宜しいのですね?」

 

2人して両耳を塞ぎ何も聞こえないフリをする

 

「そ、そうだ!チミ達にもアドバイスを頂こうかな。主役はチミ達ヤングだからね!」

 

「アドバイス?」

 

「予算はたっぷりあるから思いっきりやろう」

 

町内会長から好きに準備して良い許可が下りた

 

はなを筆頭にしてそれぞれ準備に取り掛かる

 

 

 

 

 

////////

 

何とか時間までに会場の準備が出来た

 

「時間ギリギリだったね」

 

「セーフセーフですね!それじゃあナイトプール…」

 

「「「「「盛り上がって行こう!」」」」」

 

体操服の下に着てあった水着に早着替えし、プールへとはな達は飛び込んで行った

 

「俺は出店でガッポガッポ売りに行くけど、拓人はどうするんや?」

 

「俺は…少しプールサイドを歩いて来るよ?」

 

「泳がへんのか?」

 

「フフ」

 

拓人は和かに笑ってプールサイドを何周も周る

 

 

 

野乃家や、はなのクラス担任の内富士、更には元クライアス社のチャラリートとパップルまで楽しんでいた

 

不意にプールの中へ目を向けると、はなが1人で佇んで居るのが見えた

 

「はなちゃん…いや」

 

心配して声を掛け様かと思ったが止める

 

(ごめんねはなちゃん。俺も、今は自分の事で精一杯なんだ)

 

そうして出口の方へと歩き出す

 

「拓人!」

 

声のする後ろへ振り返るとルールーが居た

 

「どうしたのルールーちゃん?」

 

「何処へ行くのですか?」

 

「何処って…家に帰る」

 

「泳がないのですか?」

 

「うん」

 

これ以上の会話を続けても平行線。拓人は勝手に話を切り上げようとして立ち去るのだが、ルールーが手首を掴んで帰さなかった

 

「一緒に遊びましょう」

 

「…ごめんね。今日は疲れたから帰るよ」

 

「でしたら側に居るだけでも!」

 

「ルールーちゃん」

 

「んっ」

 

拓人は優しくルールーの頭を撫で始める

 

「何かえみるちゃんみたいだね」

 

「わたしがえみる?」

 

「そうやって時々だけど我儘を言うのが似てる」

 

「むぅ…我儘なんて言ってないです」

 

「ほっぺまで膨らませて。ルールーちゃんったら…あ痛た」

 

調子に乗り過ぎたか、お腹に一発拳が入る

 

「分かりました。今日は拓人の気持ちを優先にします」

 

「ありがとうルールーちゃん。この埋め合わせは後日でね」

 

拓人が帰ると、入れ替わりでえみるがやって来た

 

「ルールー拓人お兄さんは?」

 

「たった今帰りました」

 

「えぇ!?これからライブもあったのに!?何故なのです?」

 

「分かりません。ですが、何か少し思い詰めた表情をしていました…」

 

今まではあまり無かったのだが、ここ最近になってそんな事が多くなっている

 

心当たりは幾つかある。この前のクライアス社もそのひとつだろう

 

「…そういえばルールー、拓人お兄さんが音楽をまたやり始めるのをご存知ですか?」

 

「え、いえ」

 

「今度一緒に拓人お兄さんの家に遊びに行くのです!何か力になれる事があるかも知れないのです」

 

「そうですね……そういえば気になっている事が」

 

ルールーが気になっている事。それは誰もが疑問に思う事だ

 

「拓人は何故音楽を辞めたのですか?」

 

「あ〜その事ですか…わたしも気になって聞こうとしたのですが怒られちゃいました」

 

「怒られた!?えみるが?」

 

「なのです。なので、あまりそういう事を拓人お兄さんに言うのは辞めた方が宜しいかと…」

 

「いえ聞きます。拓人は少し背負い込み過ぎだと思います。だから、一つずつそれを下ろしていけば拓人ももっと笑顔になれると思います」

 

ルールーの目は決意の炎で燃え上がっていた

 

「今度はわたしが拓人を笑顔にさせてみせます。あの時、わたしを救ってくれた様に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなルールーの姿を見てえみるは思った

 

(嗚呼、もしかしてルールーも拓人お兄さんの事…)




とにかくルールーとお話し出来る口実を作りたかった作者です

てか、主人公の性格少し変わってないか?

ごごまでの拝読ありがとうございました


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第24話 貴方の事がもっと知りたい!ルールーが知りたい拓人

よいしょよいしょで書いてましたから、結構な……うん

ではスタート


「こんにちは」

 

「…ルールーちゃん。何で俺の家に?」

 

夏休み、優雅にエアコンの効いた部屋で呑んびりと寛いでいたら、家のインターホンが鳴り響き玄関へ行くとルールーが来ていた

 

「埋め合わせの約束」

 

「そ、そうなんだ…」

 

昨日約束したばかりなのにと思う拓人。ルールーの行動力を少々みくびっていた

 

「と、取り敢えず入りなよ。お茶出すから」

 

「では失礼します」

 

自分の部屋へと招き入れようと階段を登る時、拓人の母親が呼び止めた

 

「ちょっとちょっと」

 

「ごめんルールーちゃん、先に部屋で待ってて」

 

「はい」

 

部屋の場所だけ教え、拓人は手招きする母親の元へと行く

 

「何?」

 

「何々彼女?綺麗な子ね〜!」

 

「ルールーちゃんは友達だよ」

 

「でも、えみるちゃんも良い子よね…ハッ、浮気!?それは駄目よ!!浮気なんて母さん許しません!」

 

人の話を碌に聞かず、更には勝手に妄想を立てて話し出す始末

 

「あ、そうよ。もう2人纏めて籍入れちゃいなさい!これで万事解決!」

 

「何も解決してないし、勝手に話を作らないでよ…」

 

「2人もお嫁さんが来たら母さんどうしよう〜!」

 

そんな母親を無視して、お茶菓子を適当に持って自分の部屋へと移動する

 

「お待たせ」

 

「拓人の部屋防音ですね」

 

「流石ルールーちゃん良く気付いたね。ほらあれ、音楽やってたからさ」

 

「えみるから聞きました。音楽をまたやるそうですね」

 

「え、うん」

 

「それなら」

 

ルールーは拓人に壁ドンをし、逃げられない様にした

 

「る、ルールーちゃん?」

 

「付き合って下さい」

 

「え!?つ、付き合う!?」

 

「2人共付き合う──」

 

聞き耳立てていた母親が乱入して来たが、すぐさま閉め出した

 

「ルールーちゃん!そういうのはもっと順序というものがあって、友達から……友達でしたね。もうちょっと相手の事を知った上で言わないと後々後悔するよ?」

 

「ハーモニカを教えて貰うのに順序…拓人の事を知らなければならないのですか?」

 

「…今の話は忘れて下さい」

 

何を勘違いしてたのか。少し恥ずかしくなる思いばかりだ

 

咳払いをして気持ちを切り替え、ルールーがハーモニカを教えて欲しいと言うのでハーモニカを構える

 

軽く息を吹き掛けて、丁寧に単音を鳴らす

 

「先ずは単音を出せる様に練習しよう」

 

「単音?」

 

「唇を窄めてひとつの穴に息を吹き掛けるんだよ。息を吸ったり吐いたりする事で、音も変わって来るから」

 

「こんな感じでしょうか?」

 

ルールーは適当に吹音のドを鳴らす

 

「上手上手!やっぱりギターを弾けるだけあって呑み込みは早い!」

 

「そうなのですか?自分自身ではあまり分からないものです」

 

「それだけ吹ければ充分だよ!ルールーちゃんは音楽に愛されているね」

 

「……」

 

「どうしたの?」

 

「…拓人は何故音楽を辞めたのですか?」

 

えみるから触れない様に言われたが、ルールーは言うべきだと判断して質問した

 

「嫌になったからだよ」

 

「その理由を教えて下さい」

 

「それを聞いてどうするの?」

 

「分かりません。ですが、今のわたしは上部だけの拓人しか知りません。わたしはもっと拓人自身の事を知りたいのです!例えそれが嫌われたとしても」

 

「…そういう事か」

 

ルールーが今日拓人の元へと訪れた理由が分かった

 

ハーモニカを習う為もあるがそれは半分建前。本当の理由は拓人の過去──音楽を辞めた理由を探る為だ

 

「…別に大した理由では無いよ。他の人から聞くと割としょうもない事。でも、俺からしたら重要で辞める理由になる事」

 

「話してくれるのですね?」

 

拓人は話す決心をした

 

「…去年の全国大会の吹奏楽部の成績知ってる?」

 

「はい。過去最高のメンバーでありながら入賞すら取れなかったと聞きました。何でも、原因は2年生の指揮者のミスと……まさか!」

 

「そう、その指揮者っていうのが俺なんだ」

 

「信じられません。拓人がミスをするなんて」

 

「只のミスなら気にはしなかったんだ。けれど、入賞すら無かったミスっていうのは…」

 

拓人は棚に飾ってある写真を手にする

 

「演奏途中、俺はタクトを落としてしまった。そこからは大体予想がつくでしょう?先導者を失った旅人達は、迷い、戸惑い、行き場を失う」

 

「ですが、拓人なら立て直せれた筈です!」

 

「…現実はそう甘く無いんだよ」

 

手に取った写真を置き、ルールーへと悲しげな表情で向き直る

 

「これが俺が音楽を辞めた理由だ」

 

「……」

 

ルールーは話を全部聞いて俯くだけだった

 

「…ですが、拓人はこうして向き合おうとしています」

 

「ルールーちゃん?」

 

「ちゃんと、また音楽をやろうとしています。それはとても素晴らしい事だと思います。ちゃんと自分と向き合って」

 

「自分と向き合う…」

 

ルールーは拓人の手を取り笑顔を向けてくれた

 

「拓人には笑顔で居て欲しいのです。あの時の言葉をお返しします──貴方が大切だから!貴方が笑ってる姿が好きだからわたしは!!」

 

ルールーの透き通る様な瞳には拓人を映していた

 

優しく包み込んでくれそうな、慈愛に満ちた瞳で

 

「始めるなら、もう一度始めからやり直しましょう。わたしも手伝います」

 

「始めから、ね。うん、一緒に始めから始めよう」

 

 

 

 

 

「話ばかりしてごめんね。練習全然出来なくて」

 

「いえ、時間はまだ沢山あります。明日も来て良いですか?」

 

「勿論。いつでも歓迎するよ」

 

「ありがとうございます!」

 

 

 

 

 

////////

 

「で、ルールーちゃん。これ何?」

 

拓人は玄関前に居る人達を見て口元が引き攣る

 

「拓人お兄さん!お手伝いしに来たのです!」

 

「拓人の家に来たのは久し振りだな」

 

「やっほ〜、僕も居るよ?」

 

えみる、正人、アンリまで家に押し掛けて来た

 

「部屋に入り切れるかなぁ…?」

 

「拓人、早速始めましょう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、ルールー達による拓人復活の練習が始まった




話が脱線したりしなかったりでした

ここまでの拝読ありがとうございました


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第25話 思わぬ再開に花火が打ち上がる

全然投稿してないな〜と思ったけど、先月の頭に投稿していた

テンポ重視で進めて行きます。ではスタート


今日は夏祭り

 

夕方、はぐくみ神社前で待ち合わせをしていた

 

「遅いな」

 

しかし、まだ集まりきってない。遅れているのはほまれだ

 

ハリーが時間を確認していると、丁度ほまれが到着した

 

「やっと全員集合やな。何油売っとんたん?」

 

「言ったでしょ?家にあるの着て来るから少し遅れるって」

 

「冗談や。にしても、ごっつぅええ感じやん!髪飾りもよぅ似おとる。中々のコーディネートやで」

 

「な、何それ!皆んな行くよ!」

 

ハリーにそう言われて照れ隠しのつもりか、突っ張った言い方をして神社へと歩いて行く

 

「そういえば拓人さん」

 

「何はなちゃん?」

 

「何で拓人さんだけ私服なの?」

 

今更気付いたのか。はなは、拓人だけ私服なのに疑問を持っていた

 

「結構苦労したの」

 

「説得…無理でしたので実力行使と試したのですが」

 

「巧みなフェイントで逃げられたなのです」

 

さあや、ルールー、えみるが遠い目をしてそう語る

 

「ほらあれ、浴衣って少し着心地がね。昔から着てないよ」

 

「拓人って時々ズレているよね」

 

ほまれの辛辣な言葉に、胸にグサリと槍が突き刺さる

 

 

 

 

 

////////

 

神社では沢山の出店が建っていた

 

記念すべき最初の出店は

 

「お嬢さん達くじ引きやってかない?」

 

「パップルさん?」

 

パップルが出してるくじ引き屋だった

 

「狙うは一等のクマさん人形!」

 

先頭バッターははな。はぐたんにねだられて、一等の景品であるクマの人形を狙う

 

「おりゃ!」

 

挑戦し続けて早くも5回目。全てハズレを引いてしまう

 

「もういっちょ…」

 

「お小遣い使い切る気?」

 

「いっ!?」

 

はぐたんの為とはいえ、祭りに来て早々にお小遣いを使い切るのは痛い

 

「えみるとルールーがウチの事務所に所属してくれたら、幾らでもあげちゃうんだけどな〜」

 

パップルもパップルで、子供相手に大人気ないやり方で2人をスカウトしようとしている

 

「ぼくにやらせて下さい!」

 

「お前、それ全財産!」

 

そこへ、ひなせとふみとがやって来て、ひなせは全財産である500円を賭ける

 

「来い…」

 

皆んなが見守る中、見事一等を引き当てた

 

「お、大当たり!?」

 

パップルもこれには涙目だった

 

「どうぞ!」

 

「え、でもコレひなせ君が…」

 

ひなせは当てた人形をはなにあげる

 

「ぼくの気持ち、だから」

 

「ありがとう」

 

はなはその言葉に甘えて受け取る事にした。

ひなせは心なしか嬉しそうになるが、それとは裏腹にはなははぐたんに手渡す

 

「ほら、お兄ちゃんがはぐたんが欲しかった人形取ってくれたよ」

 

「ドンマイ!」

 

「次の出店へ行ってみよう!」

 

 

 

次はダイガンの所の射的屋だった

 

「景品を当てられるものなら当ててみろ!」

 

それに挑戦するのは、さあやとルールーのコンビだった

 

「弾の威力と空気抵抗を踏まえて最適な発射角度を算出」

 

「35度ね」

 

計算された数字に合わせて2人同時に撃つ

 

「なんと!?」

 

大きい景品だったが、息の合った強力プレイでゲットした

 

 

 

「かたぬきどうすか〜?」

 

「皆んなで競争するのです!」

 

今度はチャラリートの出店のかたぬき屋

 

コツコツと音を立てて切り抜こうとするが

 

「あっ!割れちゃったのです…」

 

「わたしもです」

 

「「わたしも〜」」

 

えみるに続き、ルールーとはなとさあやも失敗した様だ

 

「拓人お兄さんはどうなのです?」

 

「器用さには少し自信があるの」

 

スッと見せたのは3種類

 

「え゛!?」

 

皆んなが手こずってる間に次へ次へと挑戦していたのだ

 

「「むむむ…」」

 

さあやとルールーに関しては、完成したかたぬきをジッと見つめていた

 

一方で、ほまれとハリーは一騎討ちの途中だった

 

「後ちょっと…」

 

「負けへんで!」

 

「……!」

 

ほまれは夢中になってると、思わずハリーの腕に当たりつい手を引っ込めてしまう

 

その事にさあやは気付いた

 

「よっしゃ!俺の勝ちや!」

 

「い、今のは無し!」

 

 

 

「出店で遊ぶのも良いけど、やっぱり何か食べたいよね〜」

 

次は、拓人が冷たい物欲しさにかき氷を食べていた

 

「あの、ルールーちゃん…」

 

「はい」

 

「そんなに見られると食べづらい…」

 

口に運ぶ氷を、隣でジッと見つめるルールーに反応せざるを得なかった

 

「た、食べる?」

 

「良いのですか?」

 

「顔にそう書いてあった」

 

拓人はスプーンをルールーの目の前にやり、ルールーはそれを食する

 

「美味しい?」

 

「はい、とても美味しいです!」

 

スプーン越しでの間接キス。それを見たえみるは、あわあわとしていた

 

「た、拓人お兄さん!わたしも食べさせて欲しいのです!」

 

「う、うん。あ〜ん」

 

差し出すスプーンを可愛く齧り付き食べる

 

 

 

それから時間も経ち、落ち着いて花火を観る場所を探そうと話し合う

 

「そろそろ花火の場所取りする?」

 

「困りました…」

 

「どうしたのルールーちゃん?」

 

「わたし、まだまだ出店を楽しんでいません」

 

そんな事を言うが、両腕で抱え込んでる大量の食べ物を持って言う台詞では無いと思う一同

 

「わたしも同感ですルールー」

 

「わたしももっと食べたい〜!」

 

「んじゃあ、俺とはぐたんで場所取っておくわ」

 

「わたしもお腹一杯だから一緒に行くよ」

 

はなとルールーとえみるは出店。ほまれとハリーとはぐたんは場所取りになった

 

残ったのは

 

「さあやと拓人は?」

 

「そうだな…散歩かな?」

 

「わたしは…拓人さんと一緒に」

 

3組に別れてしまう

 

 

 

 

 

場所取りの為、神社の上へと目指すほまれ達の様子を、木々の影から2人の事を観察する不審な人影があった

 

「ハリー…」

 

「どうしたのビシン。ハリーって人に会う為に来たんじゃないの?」

 

「うるさい。どうしようがボクの勝手だろ?」

 

「そうだけど」

 

「そっちこそどうなの?お前だってアイツに会う為に来たんじゃないのか?」

 

ビシンと呼ばれる人以外にも他に居た

 

その人物ははな達、中学生くらいの男の子だった

 

「僕だって先生に会って話したいよ。でも邪魔者が居るからね。今日はビシンの動きを見てから後日にするよ」

 

「そんな事だと、すぐに他の人に取られるよ?例えば…あのプリキュア にとか?」

 

「何でそう喧嘩腰なの?僕としては、同じ境遇だからこそ仲良くしたいのに…」

 

男の子はいじけてしまう

 

「まあ見てなよ。ボクがハリーを連れて帰る所をね!」

 

そう言ってビシンは、ほまれとハリーの目の前に飛び出した

 

「どうなるかな〜?」

 

 

 

 

 

////////

 

「やってるね」

 

男の子は、ビシンと騒ぎを聞き付けた拓人達の事を木陰に隠れて見ていた

 

「ハリー、何でプリキュア 何かと一緒に居るのさ?こんな奴らさっさと倒しちゃえばいいのに」

 

「誰が、そないな事を…!」

 

「そしたらクライアス社も、裏切ったハリーを許してくれるかもよ?」

 

「クライアス社?」

 

「いいよ教えてあげる。僕とハリーは、未来で一緒に暮らしていた仲間なんだ」

 

拓人達は顔色を変え、ほまれは何かビシンの事を知っていた

 

「そして僕らは、プレジデント・クライにスカウトされた!」

 

ビシンの言葉の通り、ハリーはクライアス社の社員だった

 

ビシンはうっとりとした表情でハリーを見つめてると、ある物に気付いた

 

「…その首輪。未来じゃしてなかったよね?」

 

ビシンが強引にその首輪を壊すと、ハリーが悲鳴をあげて苦しみ始める

 

体からトゲパワワが溢れ出し、怪物かの如く変貌した

 

「ハリーに何をしたの!?」

 

「本当の姿に戻しただけさ。クライアス社は凄いんだ。一回手術受けただけで、食べる物も住む所も凄い力も全部くれたんだよ!」

 

「まさかその手術って…」

 

「そう、君の想像通りだよ」

 

恐らく手術というのは改造の事。クライアス社の技術力は計り知れない事を目の当たりにする

 

「さぁハリー、手土産にプリキュア を倒して帰ろう」

 

「グアァァァァ!!」

 

 

 

「「「「「ミライクリスタル!ハートキラっと!」」」」」

 

 

「「「輝く未来を抱きしめて!」」」

 

「みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

 

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

 

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

 

「「みんな大好き!愛のプリキュア!」」

 

「キュアマシェリ!」

 

「キュアアムール!」

 

 

「「「「「HUGっとプリキュア!」」」」」

 

 

 

意識の無いハリーが襲うも、全員が木の上に避けて事を成す

 

「ブライドヴァイオリン!」

 

弓で斬り付ける為拓人は、ハリーの懐に潜り込むが

 

「ハリー……ッ!」

 

攻撃する寸前で拓人手が止まる。いくら意識が無いとはいえ、友達を傷付ける訳にはいかないと思い踏み止まった

 

「ガアァァ!!」

 

「ぐっ…あぁ!!」

 

ヴァイオリンを盾にして振り翳す攻撃を受け止めるも、力の差が激しく簡単に吹き飛ばされてしまった

 

「拓人さん!」

 

「ウアァァ!!」

 

「「「「キャァァ!」」」」

 

拓人を心配して油断が生じ、ハリーの薙ぎ払った木々がエール達を襲う

 

「その調子だよハリー!やっぱり、クライアス社を裏切ったのは一時の気の迷いだよね?だって君は、僕と一緒に居た方がいいに決まってるんだもん」

 

「アァァアア!!」

 

止めをさそうと拓人達に襲い掛かる時、エトワールが前に出て、メロディソードでハリーの鋭い爪を受け止めた

 

「何してんの?これがアンタが隠して来た事なの?クライアス社の社員だったから?改造されたから?その程度で、わたし達が離れると思ったの!?」

 

メロディソードから出るアスパワワが更に高まり、ハリーの爪を受け流した

 

「黙れお前!!」

 

ビシンの怒りと共に、ハリーは口からエネルギー砲を放つも、エトワールから溢れ出るアスパワワがそれを打ち消す

 

エトワールはハリーに語り掛けながら近付き手を差し出す。

戸惑いながらもハリーは手を取ると、エトワールのアスパワワとハリーのトゲパワワがぶつかり合う

 

「エール!アンジュ!」

 

「分かった!」

 

「わたし達の想いを届けよう!」

 

 

 

「「「ミライクリスタル!」」」

 

「エールタクト!」

 

「アンジュハープ!」

 

「エトワールフルート!」

 

「「「心のトゲトゲ飛んで行け〜!」」」

 

「「「プリキュア・トリニティコンサート!」」」

 

 

「「「HUGっとプリキュア!エール・フォー・ユー!」」」

 

 

 

浄化されたハリーは元に戻り、エトワールの両手に収まった

 

「ハリーから離れろよ!!」

 

ビシンがトゲパワワを込めた刃でエトワールに向けるが、ハリーはすぐさま立ち上がり自分のアスパワワで跳ね返した

 

「どうしてハリー!?僕と一緒にクライアス社に…!!」

 

「帰らへん!」

 

「…?」

 

「ビシン俺な、プリキュア と一緒にクライアス社と戦うって決めたんや!」

 

「フ…アハハハ!」

 

ハリーから言う言葉にビシンは突然笑い出した

 

「…僕は君を諦めないよ。また来るからねハリー」

 

フラリとビシンが去って行った

 

「う…!」

 

「大丈夫ですかハリー?」

 

「大丈夫や…ごめんな皆んな」

 

「何で謝るの?」

 

「ハリーは何も悪くないよ」

 

気を遣うハリーを励ましてると空から大きな音が鳴り響く。

いつの間にか花火の打ち上げ時間になっていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見上げる夜空の花火はとても美しく綺麗なものだった




次回はオリストです。主人公とルールーに関するもの

ここまでの拝読ありがとうございました


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第26話 最低最悪の未来、罪深き罪人の末路

ダブルヒロインとしてやってるこの小説、今のところルールーに偏りがある。

ではスタート!


「〜♪」

 

「拓人さ〜ん!」

 

とある放課後。拓人は上機嫌で学校から出ようとしてると、下駄箱からはなが呼んでいた

 

「やぁはなちゃん。今から帰りなの?」

 

「はい!さあやもほまれも用事があって一緒に帰れなくて〜。1人でビューティーハリーに行こうかなと考えてたら、偶々拓人さんを見かけたので!」

 

「あれでも、ルールーちゃんは?」

 

「ルールーはえみるを迎えに行きました」

 

「相変わらずルールーちゃんはえみるちゃんが好きだね」

 

こうしてはなと会ったのだ。折角だから2人でビューティーハリーへ歩き出すのであった

 

「少し前まで悩んでたらしいけど解決したの?」

 

「はい!拓人さんも音楽の調子はどうですか?」

 

「少しずつ勘が戻って来てる。そうだ、良かったら寄り道しない?川近くでお散歩しながら一曲吹いて行くつもりだったけど……どうかな?」

 

「良いんですか!?やったー!!」

 

はな自身も拓人の吹くハーモニカは好きだった

 

 

 

川近くの土手で腰を掛けて、心地良い音色を響き渡せる

 

「拓人さんのハーモニカは落ち着きます〜」

 

「皆んな口揃って言うね。本当に良いの?」

 

「本当ですよ!わたしが保証します!」

 

はなの笑顔を見てハーモニカを吹こうとした時、遠くで少年がこっちを見てる事に気付いた

 

拓人は笑顔で手を振ると、少年はテクテクとこちらへ歩いて来た

 

「こんにちは」

 

「こんにちは、良い音ですね。僕も隣で聴かせて貰って良いですか?」

 

「俺は良いけどはなちゃんは?」

 

「わたしも気にしないよ!それよりも、拓人さんの音楽を好きになってくれる人が居て安心したな〜」

 

「だそうだよ。隣へおいで」

 

少年は拓人の隣へ座り込んで拓人のハーモニカに聴き入っていた

 

「先生の吹くハーモニカは良いですね」

 

「先生?」

 

「あれ?俺って君の前でハーモニカ吹いた事あったかな?」

 

「先生の吹く場所に僕が居たんですよ。それに『先生』って言うのは……先生は先生だから」

 

少年が何を言ってるのか分からなかった。けれど、拓人の隠れファンみたいなものだと勝手に認識した

 

「先生かぁ〜。確かに拓人さんって楽器とか教えるの得意ですし、将来は音楽の先生も夢じゃないですよ!」

 

「僕も先生にもう一度教えて貰いですね。ピアノ、打楽器、先生が得意なトランペットも良いですし、勿論ハーモニカも。ですがやっぱり、指揮のご指導をお願いしたいかな?」

 

「ちょ、ちょっと待って!今『もう一度』って……俺、君に教えてあげた記憶が無いのだけど。そもそも俺が音楽を教えた人は、吹奏楽の後輩に、ルールーちゃんとえみるちゃんしか…」

 

少年の会話に違和感を感じて来た。その違和感はまるで、今まで拓人に音楽を学んで来た様な感覚

 

「いいえ教えて貰いました。僕達はいつもの公園で学びました」

 

「君は一体何者なんだ?」

 

「未来人」

 

「猛オシマイダー!!」

 

少年の背後から猛オシマイダーが突然現れた

 

「僕はクライアス社の新入社員『神童奏音(しんどうかなね)』。先生、会いたかったです」

 

 

 

 

 

////////

 

「先生」

 

「は、はなちゃん!」

 

「は、はい!」

 

猛オシマイダーを引き連れる奏音の姿に恐怖した拓人は、はなにプリキュア に変身する様に促した

 

 

 

「ミライクリスタル!ハートキラっと!」

 

 

「輝く未来を抱きしめて!」

 

「みんなを応援!元気のプリキュア !キュアエール!」

 

 

 

「猛オシマイダー!」

 

「プリズムシンバル!」

 

猛オシマイダーの拳をシンバル二つで防御するが、想定より遥かに攻撃力が高くプリズムシンバルに亀裂が入る

 

「たった一撃で!?」

 

「拓人さん!やぁ!」

 

危険を感じたエールが、拓人の後ろから出て猛オシマイダーに蹴りを放ち転ばせた

 

「猛…オシマイダー!!」

 

倒れた状態で地面を抉りながら足を掛けて、拓人とエールも転ばされる

 

「この猛オシマイダー強い…!」

 

「猛オシマイダー!!」

 

「拓人さん危ない、キャア!」

 

拓人を庇った事でエールだけが土手に吹き飛ばされた

 

「猛オシマイダー!」

 

動かなくなったエールを確認すると、狙いを定めて拓人に向けてもう一度拳を振り下げる

 

避ける暇が無い。ダメージ覚悟で防御体勢に入って目を瞑ると

 

「止めろ猛オシマイダー!!」

 

攻撃が当たる直前で、奏音の指示で猛オシマイダーが止まった

 

「先生には手を出すな。もし次に手を出そうとするならば…分かってるな?」

 

奏音の鋭い眼光に猛オシマイダーがたじろぎ、仕方なく動けないエールに切り替える

 

「どういう事?」

 

「先生は無傷で出迎える。そう、先生は僕が連れて行く」

 

「一体何がしたいのか分からないけど、今しなければならない事はエールを助ける事だ!」

 

奏音の横を通り抜け様とするが回り込まれて阻止される

 

「退いて!」

 

「先生がクライアス社に来てくれたら退きますよ」

 

(こうなったら力強くで)

 

プリズムシンバルで抜け道を作ろうとしたが、構える前に手を掴まれて止められた

 

「何をやっても無駄ですよ先生。僕には全部視えてるのですから」

 

振り解こうにも出来ない。そうしてる間にもエールに危機が迫る

 

「エール!!」

 

 

 

 

 

「フェザー・ブラスト!」

 

何処からともなく現れた攻撃が猛オシマイダーを襲った

 

「「エール!」」

 

エールの元へとアンジュとエトワールが駆け付ける

 

「他のプリキュア か」

 

「マシェリポップン!」

 

「アムールロックンロール!」

 

そして奏音にも上空からハートが降り注ぐ

 

やむを得ない為、拓人から手を離す。

そして拓人の元にはマシェリとアムールが寄り添う

 

「拓人お兄さん大丈夫ですか!?」

 

「あ、ああ。俺は大丈夫だけどエールが」

 

「それはアンジュ達に任せや。拓人は拓人でこっちに気張らんと」

 

ハリーの言う様に目の前の相手に集中しなければならない

 

「クライアス社の裏切り者のハリーさんか。そして残りのプリ、キュア……」

 

奏音は、拓人を心配するアムールに目を向けていた

 

「お前まさか、ルールー・アムールなのか?」

 

「拓人に手出しさせません!」

 

「そう、そうか……やっと見つけた」

 

「拓人は下がって──」

 

拓人を下がらせようとした時、アムールはいつの間にか川の反対側まで吹っ飛ばされて土に埋もれていた

 

「え、あ?」

 

隣に居た拓人とマシェリも理解が追い付かなかった

 

「…」

 

そして間を置いてようやく気付いたのだ。奏音が一瞬でアムールに接近して攻撃した事に

 

「「アムール!!」」

 

呼び掛けるもアムールからの返事が無い

 

「先生、先生はそこで待っててね。もうすぐ仇を取るから」

 

「ま、待って!」

 

待つ筈も無く、奏音はひとっ飛びで反対側の土手まで移動した

 

「マシェリ追い掛けるよ!」

 

「は、はいなのです!」

 

 

 

 

 

「う、うぅ…ん……」

 

何とか目を覚ましたアムール。被る土を掻き分けて立ち上がろうとするも、体に力が入らず起き上がれない

 

「汚い姿。でもその姿の方がお似合いだ。ルールー」

 

「わた、しは…貴方の事を、知りません…誰ですか…?」

 

「僕の事はどうでもいい。重要なのは先生だ」

 

「先生…拓人の事ですか?」

 

奏音はアムールの顔を踏み付けて、ゴミを見る様な目で見下す

 

「鉄屑が先生の名を口にするな」

 

「アムール!」

 

そこへ、マシェリに抱き抱えながら拓人が駆け付けた

 

「アムールから離れるんだ!」

 

「先生、待っててって言ったのに」

 

「たく、と…あぅ…」

 

更に足に力を入れてアムールを苦しめる

 

「マシェリ行くよ!」

 

「拓人お兄さん!」

 

2人が地面を踏みしめると、突然現れた紫色の触手に捕らえて拘束される

 

「もう少しだけ、ね」

 

「振り解けない!」

 

「このままではアムールが!」

 

「じっくり痛ぶって……へぇ、立つんだ」

 

アムールは力を振り絞り、奏音の足を退かそうとして立ち上がる

 

「くぅ…!」

 

しかし体力など殆ど無い。たった一撃でこの有り様。勝てる見込みは客観的に見ても無いに等しい

 

「マシェリと拓人を、離して!!」

 

「プリキュア になって罪滅ぼしのつもり?そんなんでお前の罪が消える訳じゃない」

 

「罪?何を言っているんです?」

 

「惚けるな!!お前のせいで先生が……先生が!!」

 

奏音は何か話してるらしいが、アムールはそれについて全く身に覚えが無い。

首を傾げるアムールに、イライラは積み上がる

 

「お前…何だこれは?」

 

奏音は、アムールがいつも持ち歩いてるハーモニカに目が移り奪う

 

「か、返して下さい!それは大事な!」

 

「何で、何でこのハーモニカをお前が持っている!!これは先生の物だぞ!!」

 

「拓人の…?」

 

「お前、一体何処まで惚ける気なの?」

 

「アムール!」

 

丁度そこへハリーも追い付いて来た

 

「…丁度いい。ハリーさんも来た事だし思い出せてやる。聞く人が沢山いればお前を責める奴もいるだろからね」

 

奏音は、拓人へ哀しげな目で見つめた後決心して語り出す

 

「ルールーアムール、お前は先生を……未来の音宮拓人を────殺した人殺しだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

////////

 

言っている意味が分からなかった。彼の言う事、自分が未来の拓人を殺した人殺しだった事

 

 

 

 

 

頭の回路をフル稼働させて、メモリー内の中を漁る

 

 

 

 

 

見つからない

 

 

 

 

 

分からない

 

 

 

 

 

知らない

 

 

 

 

 

覚えてない

 

 

 

 

 

思い出せない

 

 

 

 

 

全てが理解不能

 

 

 

 

 

どんなに頑張って記憶を辿っても、自分が未来の拓人を殺した記憶が見つからない

 

 

 

 

 

もしかすると作り話かも知れない

 

 

 

 

 

けれど彼の表情や感情の表し方、自分に対する怒りや憎しみの悪意

 

 

 

 

 

それが作り話にしても本気過ぎる。言ってる事はどうやら本当だろう

 

 

 

 

 

嘘偽り無しの悪意

 

 

 

 

 

何が正義のヒーローだ

 

 

 

 

 

何がプリキュア だ

 

 

 

 

 

何が愛だ

 

 

 

 

 

何が心だ

 

 

 

 

 

所詮はそんなものだ

 

 

 

 

 

最初から自分はこんなものだ

 

 

 

 

 

愚かで

 

 

 

 

 

滑稽で

 

 

 

 

 

冷酷で

 

 

 

 

 

冷徹で

 

 

 

 

 

残忍で

 

 

 

 

 

残酷で

 

 

 

 

無慈悲で

 

 

 

 

 

無愛想で

 

 

 

 

 

空虚で

 

 

 

 

 

存在しなくて

 

 

 

 

 

何も無くて

 

 

 

 

 

特別でも無い空っぽな存在

 

 

 

 

 

何も変わってない

 

 

 

 

 

知ったかだったのだ

 

 

 

 

 

どんなに頑張っても所詮はアンドロイド

 

 

 

 

 

血も涙も無いアンドロイド

 

 

 

 

 

どんなにていよく取り繕っても無駄な努力

 

 

 

 

 

もう一度改めて考える

 

 

 

 

 

わたしは、クライアス社製のアンドロイド・RURー9500

 

 

 

 

 

ルールー・アムール

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人殺しのアンドロイドだ




ルールーが未来人設定だからわりかしら色々と出来る

ここまでの拝読ありがとうございました


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第27話 過去と未来を操りし指揮者の力

お気に入りも増えたり、有難いことに高評価まで頂きました。とてもありがとうございます!

この調子で増えたらいいなと願っております

ではスタートです!


「未来の先生は素晴らしかった。分け隔ても無く、困っていたら手を差し伸べる聖人の様な人だ。こんな僕でも音楽の道を作ってくれた恩人なんだ。それを!!」

 

アムールの首を掴み上げて苦しめる

 

「お前と出会って先生は心なしか笑顔な日々が続いていた。音楽を知らないお前を教えがいがあると。けれどある日を境に表情が曇っていくのをみた。そして最後には」

 

アムールを地面に叩き付け、蹴り飛ばす

 

「部屋の中で首を吊って自殺をしていた。それだけならまだ納得のしようがあったのに……何でお前がその時その場に居た?先生に何か自殺する様に促したのか?追い詰めたのか?何をしたんだ?」

 

しかしアムールは答えない。答えられないのだ。未来で一体何が起きたのか頭の整理が追い付かない

 

「名前や姿は知っていた。だからクライアス社に入って復讐しようと思った。なのに、入社したと思ったらプリキュア に変身していた」

 

もうアムールに喋る力は残っていない。変身は解けてしまい元の姿に戻る

 

「ルールー!あ…」

 

ルールーの変身が解けたせいでマシェリも変身が解けてしまった

 

「けれど好都合だった。これで思う存分叩き潰せるからね」

 

「ルールーちゃん!この!」

 

触手を引き千切り拓人はルールーの元へ走る

 

「ルールーちゃん!」

 

「わたしは……わたしが、拓人を……」

 

「ルールーちゃん!ルールーちゃん!!」

 

呼び掛けても揺さぶっても全く反応が無い。

目から光が消えており、拓人の事を視認できて無い。

そしてうわ言ばかり呟く

 

「ルールーしっかりするのです!」

 

「おいルールー!」

 

「るー!」

 

えみるやハリー、はぐたんも呼び掛けるも無反応

 

「たくと、たくとぉ…ごめんなさい…」

 

「ルールーちゃん俺を見て!」

 

「ごめんなさい…ごめんなさい!」

 

「クッ──俺を見ろ!ルールー・アムール!!」

 

「あ…たく、とぉ…?」

 

拓人が大声で名前を呼んで気付いてくれた。しかし、瞳はまだ死んでいる。拓人を視認し切れていない

 

「──ッ!!」

 

ルールーは拓人の胸に顔を埋めて泣きながら謝り続ける

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!拓人ぉ…わたし、ごめんなさい…!」

 

「ルールーちゃん謝らなくてもいいんだよ」

 

「だけど!!」

 

「耳を貸すことなんて無いよ。未来の俺がどうなっているのか知らないけど、俺達は"今"を生きてるんだ。その事実だけは変わらない。未来の事、明日の事なんて明日の自分にしか分からないのだから」

 

背中をゆっくりと叩いて落ち着かせる。それは赤子をあやすのと同じだ

 

「でもわたしが、未来の拓人を殺したと言っています。嘘だと思いたいです。ですが、嘘と言うにはあまりにも……ごめんな──痛ッ」

 

また謝ろうとするルールーの額にデコピンをする

 

「言ったでしょう?ルールーちゃんは何も悪くない。明日の事はまた考えればいいさ。その時が来たら一緒に考えよ?ね?」

 

「はい…!」

 

ルールーが自分を見失いそうになりかけたが、それを拓人がちゃんとした道へと導いてあげた

 

ルールーも、その言葉を信じてみよう思った

 

だが、この結果に奏音は納得しなかった

 

「こんなの…納得しない!!」

 

奏音がルールーを殴ろうとするが拓人がすかさず止めに入ろうとする

 

「先生は邪魔しないで下さい!!」

 

しかし、最初から知っていたかの様に拓人の手を弾いて吹き飛ばす

 

「拓人!あぅ…!」

 

今度はルールーの頬を叩く。

その拍子で、ミライクリスタル・バイオレットが落としてしまう

 

「ルールーちゃんの時間を終わせない…大切なルールーちゃんとの時間を守りたいんだ!!」

 

その時、拓人の胸の内と地面に転がるミライクリスタル・バイオレットが輝いた

 

その輝きは辺り一面を覆い尽くし、金色の女神が現れ拓人を包み込んだ

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「終わりだ!」

 

奏音の腕がルールーの心臓に位置する場所を貫いた

 

「ルールーちゃん!!!」

 

引き抜くとその場に崩れて動かなくなってしまった

 

「そんは…ルールー!!」

 

「ルールーちゃん!そんな駄目だよ!!」

 

すぐにルールーを抱き起こすも、時既に遅し。貫いた場所から機械的な部品が破損し、欠落していた

 

修復は不可能

 

「たく…と…えみる……」

 

「嫌なのです…っ!」

 

「…ありがと、う……」

 

2人に微笑むと力を無くして機能停止してしまった

 

機械の停止は死を意味する

 

悲しみの叫びは休む事なく鳴り響いていた

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「終わりだ!」

 

奏音の腕がルールーの心臓に位置する場所を貫く────筈だった

 

奏音は、逆再生するかの様に腕を引っ込め、後ろ向きでルールーから少し離れた距離まで戻った

 

「え…何が起こった?」

 

奏音自身、自分の身に起きた出来事に違和感を感じた

 

「俺が戻したんだよ」

 

「拓人?」

 

「俺がルールーちゃんが死ぬ未来を視た後(・・・・・・・・)、それを変える為に少しだけ時間を巻き戻したんだ(・・・・・・・・・・)

 

全員が言葉を失う

 

それもそうだ。そんな世に反した芸当出来る筈ないと

 

「これ以上ルールーちゃんに手出しさせない」

 

「…なら仕方ないですね。先生だけにはしたくなかったですよ!!」

 

奏音がエネルギーを放出するが、拓人は最小限の動きだけで避けた

 

「俺が死ぬのはいい。だけど──他の人が死ぬ未来なんて俺は認めない!!」

 

そして拓人の両手には、メロディソードに似たアイテムと緑色のミライクリスタルが

 

全ての者に輝く最高の未来を、その瞬間を大切にする現在、美しく色褪せない過去を与えるアイテム。

それが拓人のメロディソード『クロノスタクト』

 

ルールーを守りたい。その一心の思いから生まれた緑色の『ミライクリスタル・ハーモニー』

 

「だから俺が変える。過去も、現在も、未来も笑い合えるものにする為に」

 

クロノスタクトにミライクリスタル・ハーモニーと

 

「それはわたしの!」

 

セットの裏側に、先程拾ったミライクリスタル・バイオレットを一緒にはめ込む

 

「俺の心は今、ルールーちゃんと共にある」

 

「そんな心取り除いてやる!!」

 

「ッ!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「────ッ!」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「視えたよ。奏音の未来が!」

 

怒りの籠ったエネルギー弾、そして拳を全て受け流す

 

「なら、ルールーを殺すまでだ!!」

 

狙いを切り替えてルールーへと走り出す

 

「時間よ戻れ!」

 

走り出した奏音は逆再生の如く、先程攻撃して来た拓人の目の前まで時間を巻き戻された

 

「え、先生?」

 

「捕まえた!」

 

奏音を拘束する事に成功した

 

「ルールーちゃん変身して!プリキュア になって!」

 

「だけど、わたしには……」

 

プリハートとミライクリスタルを持つ手が震える。

この手は血に染まている。洗っても洗っても決して綺麗には流せない

 

「ルールー…」

 

そんな手に、えみるが優しく握り寄り添う

 

「拓人お兄さんは絶対にルールーの事を嫌いになりません。ルールーの事を信じているのです。ルールーはどう思っています?」

 

「わたしは…拓人の事を信じています。今までも、これからも。えみる!」

 

「変身するのです!」

 

 

 

「「ミライクリスタル!ハートキラっと!」」

 

「「「輝く未来を抱きしめて!」」

 

「「みんな大好き!愛のプリキュア!」」

 

「キュアマシェリ!」

 

「キュアアムール!」

 

 

 

「よし変身したね!」

 

奏音の背中を蹴り飛ばして、すぐさまマシェリとアムールと合流する

 

「2人は自由に動いて。俺が指揮する」

 

「「はい!」」

 

拓人は指揮者の様にクロノスタクトを構える

 

「走って!」

 

「「ッ!」」

 

「先生がそういう力を持ったからって、調子に乗るなよプリキュア !」

 

2人に連続してエネルギー弾が降り注ぐ

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「────ッ!」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「2人共ストップ!」

 

急ブレーキすると目の前にエネルギー弾が撃ち込まれた

 

「危なかったのです…」

 

「拓人ありがとうございます!」

 

攻撃は全て、拓人の未来視で視た光景を伝えて避けている

 

それでも回避が難しい攻撃には

 

「時間戻れ!」

 

クロノスタクトに、ミライクリスタル・ハーモニーと共にセットしているミライクリスタル・バイオレットの力で時間を遡行して回避してる

 

「2人共、5歩進んだ後に左右に散って!そして踏み込んで思いっきり突っ込んで!」

 

指示通りに動くと、奏音の懐に潜り込んでいた

 

「「やぁぁ!!」」

 

「当たるか!」

 

バックステップ避ける

 

「マシェリポップン!」

 

「アムールロックンロール!」

 

「チッ!」

 

バックステップで避けた直後に放たれる。だが冷静に対処して相殺させる

 

「時間よ戻れ!」

 

しかしそれも拓人が視た未来のひとつの出来事。

打ち消されたマシェリポップンとアムールロックンロールを、相殺される直前までの時間まで巻き戻す

 

「何…うぐぁ!?」

 

突然の出来事に反応出来ず攻撃を食らってしまう

 

「アムール!」

 

ミライクリスタル・バイオレットをアムールに返す

 

「アムール行くのです!」

 

「はい!」

 

 

 

「「ツインラブギター!」」

 

「「ミライクリスタル!」」

 

「Are you ready?」

 

「行くのです!」

 

「「届け!わたし達の愛の歌!」」

 

「心のトゲトゲ」

 

「ズッキュン打ち抜く!」

 

「「ツインラブ・ロックビート!」」

 

 

「そんなモノが当たるか!」

 

奏音は2人の浄化技を避けてしまった

 

「残念だけど、それももう既に見た未来のひとつだ!」

 

「まさか…!」

 

放たれたマシェリバズーカとアムールアローの行く先には、アンジェとエトワールが戦ってる猛オシマイダーへと向かう

 

当然、不意打ちを避けれる筈もなく浄化された

 

 

「モウヤメサセテモライマ〜ス」

 

 

 

「僕の猛オシマイダーを……少しみくびっていたよルールー・アムール。いや、今はキュアアムールが正しいかな?」

 

「……」

 

「これで今度は本気を出して叩き潰せる」

 

奏音は拓人の方へ向いて笑顔で

 

「じゃあね先生」

 

去って行った

 

「ぁ…」

 

「アムール!」

 

流石に疲れ果ててしまい、アムールがその場で崩れ様となったが、拓人がキャッチする

 

「ありがとうございます拓人…」

 

「お礼なんていいよ。それより怪我は無い?」

 

「はい、拓人のお陰です」

 

「良かった」

 

 

 

 

 

////////

 

「あの子、未来の拓人さんと知り合いだったんだ」

 

「うん。しかも話を聞く限り、かなり親しい仲だと思う」

 

土手で休んでる間に、拓人とルールーと奏音について知っている事を話した

 

「それにしてもルールーが未来の拓人ね…」

 

「……」

 

「あ、ごめん!」

 

ほまれの何気ない一言がルールーの表情を暗くさせた。慌てて謝る

 

「でも、きっと理由があるよ。じゃなきゃ、ルールーがそんな事する筈もないもの」

 

「さあや…」

 

「俺やて過去がある。ルールーもそんな一つや二つあってもええやろ?」

 

「るー、よちよち」

 

「ハリー、はぐたん…」

 

皆んなにそう言われて少し泣きそうにもなる

 

「ルールーは、ルールーの思う様に未来に進んで行けば良いよ」

 

「それで誰か文句を言うのなら、親友であるわたしが許しません!」

 

「はな、えみる……あっ」

 

拓人はルールーを優しく抱きしめて、安心させる

 

「ルールー、過去も未来も現在も。君の時間は俺が守る。だから安心して一緒にいよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルールーの持つハーモニカの事が少し分かった。

しかしそれはまだ半分に過ぎない

 

何で未来の拓人とそうなったのか?2人との関係はどうなのか?

 

それが分かるのはまだ先の話である




そんな訳で今まで派生で頑張ってた主人公に強化が与えられました〜。
バチくそ強キャラに成り上がりです。
とは言いましても、基本的にミライクリスタル依存ですけどね

ここまでの拝読ありがとうございました!

以下からアイテム説明です

クロノスタクト
見た目はメロディソードと酷使した拓人専用のアイテム。違うと言うなら、ミライクリスタルをセットする場所が裏側にもある事。
基本ミライクリスタル・ハーモニーとのセットで使う事が多い。
更に、特定のミライクリスタルをセットする事で、そのミライクリスタルに秘められてる力を引き出せる。
所有者の時間を圧縮する事で、身体能力をプリキュア と同等まで底上げする力を持っている


ミライクリスタル・ハーモニー 未来視
ルールーを守りたいという思いから生まれた緑色のミライクリスタル。これを用いて、1分後までの完全なる未来を視る事が出来る。
クロノタクトにセットしなくても所持さえしていれば、日常生活でも能力は使える

ミライクリスタル・バイオレット 時間遡行
ルールーとの時間を大切にしたいという意味で時間遡行。
1分前までなら時間を巻き戻せる。効果範囲は特に制限は無い為、宇宙規模までの時間ですら巻き戻せる
クロノスタクトとミライクリスタル・ハーモニーとセットで使う事によってこの力を使う事が出来る


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第28話 気付いた気持ちと気付きたくなかった気持ち

平日はヤバい。ベットに寝転んだら即就寝しちゃう

ではスタート!


今日も良い夏休みが続く

 

拓人とえみるはビューティーハリーへ向かう途中、前を歩いていたはなとルールーに会う

 

「はな先輩!ルールーおはようなのです!」

 

「おはよう!」

 

「おはようございます」

 

「おはよう…ってぇぇぇ!?」

 

はなとルールーに挨拶しようとしたら、何故かルールーだけが走って逃げて行った

 

「どうしたのかな?」

 

「拓人お兄さん、ルールーに何かしたのです?」

 

「全く持って何もしてないよ」

 

 

 

 

 

その後も何か様子がおかしかった

 

 

「ルールーちゃんちょっと…」

 

「ッ!」

 

 

「ルールーちゃん、さっきハリーが言っていてたのってどれ……あれ?」

 

 

「ルールー鶴の折り方教えて!」

 

「いいですよ」

 

「鶴なら俺も折れるよ。一緒に──」

 

「はな、二階で折り紙しましょう」

 

 

といった具合に、拓人が話し掛けようとする度にルールーはわざと避けていた

 

「たあーと?」

 

「お前ホンマに心当たり無いんか?」

 

落ち込む拓人にはぐたんとハリーが聞いてくる

 

「俺、ルールーちゃんに嫌われたんだ……」

 

フラフラとおぼつかない足取りでビューティーハリーを出て行ってしまった

 

「えみるから見てあの拓人どう思う?」

 

「重症なのです。これはあの時と同じ前兆なのかもです」

 

「どんな前兆や?」

 

「一度エイプリルフールで『嫌い』と言った事があるのです。そしたら、その日体調を崩してしまったのです」

 

「体調崩しの前兆かいな!?」

 

しかしエイプリルフールの嘘とは言え、それだけで体調を崩す程のショック。

何か訳があるとは思うが、このまま何も無く避け続けていたら、拓人に一体何があるか分からない

 

「えみるは何か聞いたりしたか?」

 

「見事にスルーされました」

 

「このまま長引いて変な空気になるのもアカンけんな……そや!こういう時は話しやすい人と相談するのが一番ええ」

 

「それは誰なのです?」

 

「そんなん決まってるやろ?」

 

 

 

 

 

////////

 

夕方、ビューティーハリーで解散する皆んな

 

「ねぇルールーちょっといいかな?」

 

はなと帰ろうとするルールーを呼び止めたのは

 

「は、はい。何ですかさあや?」

 

さあやだった

 

ハリーの言っていた話しやすい相談相手となる様に頼んだのだ

 

「今日何か様子が変だったよ。何かあったの?」

 

「別に何も無いです。いつも通りです」

 

「…ルールー嘘はダメだよ。拓人さんの事避けているの皆んな知ってるよ」

 

「それ、は……」

 

「拓人さん理由は分からないって言っていたよ。何も言わず避けているから拓人さんが心配してる。それはわたし達も同じだよ。何か力になれる事あるなら言ってみて」

 

ルールーは少し困ったが、さあやに話してみる事にした

 

「あの…聞いてくれますか?」

 

「うん」

 

「拓人の事を避けていたのはごめんなさい。でも最近、拓人の事を見るとおかしくなるんです」

 

「そうかな?特にルールーに変化は無い様に見えるけど」

 

「拓人を目の前にすると、体の体温が急上昇するのです。目も合わせられないですし、言葉も中々出て来ない。思考もままらないのです」

 

「あ〜それって…」

 

さあやはルールーが何で拓人を避けていたのか、段々と分かってきた

 

「わたしは一体どうなってしまったんでしょうか…?」

 

「ルールー、それはね『恋』だと思うの」

 

「恋…ですか?」

 

「拓人さんの事を男性として意識して見てるのだと思う」

 

「意識して…ますか?」

 

「うん、充分に」

 

そこからルールーの表情に照れが出る様になり、頬を紅くする

 

「恋は…人を好きになるっていうのは良い事だよ。その心に気付いたルールーは、これからどうしたいの?」

 

「あの、その…」

 

「頑張ってね」

 

もう充分に頼まれた仕事は出来たと思い、さあやは笑顔でルールーと分かれた

 

1人残されたルールーは、手を自分の胸に当てて考える

 

「ッ!」

 

そして決めた。この内に秘める想いを伝えようと駆け出した

 

 

 

 

 

少しでも早く伝えたい。ルールーは無我夢中で拓人の家まで走り

 

「はぁ…はぁ…」

 

庭扉の前

 

今日の態度に対する謝罪、そしてこの想いを告げる為、呼吸を整えて準備する

 

そして庭扉に手を掛けた時、裏庭から声がした

 

勝手にお邪魔する事に躊躇しながらも、声のする方へ歩いて覗く

 

やっぱり彼が居た。声の主は拓人だった

 

「たく──」

 

声を掛けようとしたのだが、ルールーが見た光景に思わず言葉を飲み込んでしまう

 

 

「もう七輪は熱くなって来たよ。そっちはどうえみるちゃん?」

 

「こちらも準備万端なのです!お肉もお野菜もいつでもウェルカムなのです!」

 

「…本当はルールーちゃんも誘いたかったけど、あそこまで避けられていたらね…」

 

「明日もう一度謝ってみるのです」

 

「そうだね」

 

 

楽しく聞こえる声にルールーは出にくくなっていた。

いつの間にか、踏み出そうとしていた足も止まって壁に寄り掛かっている

 

(そういえば拓人とえみるは小さい頃からの付き合いでしたね……やはり拓人は…)

 

恐らく付き合いの長い、えみるが好きなのであろうと勝手に想像する

 

例えそれが恋愛感情抜きだったとしても、えみるもどう思っているか

考えるまでもない。えみるはきっと拓人の事が好きなのだろう

 

それを思うと急に怖くなった。自分がこの想いを告げたら、えみるとの関係が壊れるという恐怖に

 

仮に上手くいったとしても、えみるから拓人を奪い取ったという事への罪悪感が襲う

 

拓人にこの想いを伝えたい。けれど、えみるに嫌な思いはさせたくない。ずっと仲の良い親友でいたい

 

次第にその気持ちは葛藤する。何が正しくて、何が間違いなのか

 

今自分が思う、最善の選択は────

 

「……」

 

その場から立ち去る事だった

 

何もしないのがルールーの選んだ選択だった

 

こうすれば、えみるに嫌な思いをさせずに済む

 

後は拓人に今日の事を謝罪すれば全て上手くいく

 

この選択しか無いのだから

 

 

 

 

 

////////

 

次の日

 

「拓人」

 

「あ、ルールーちゃん…」

 

朝早くからルールーは音宮家を訪ねたのだ

 

「あの、たく──」

 

「ルールーちゃんごめんね!!」

 

ルールーに被せる様に拓人が勢い良く頭を下げて謝った

 

「昨日の様子からしてルールーちゃん絶対怒ってるよね。俺全然心当たり無くて、どうにかして仲直りしたいんだ。何か嫌な事あったなら言っても構わないよ。今度が気を付けるから。だから──」

 

「待って下さい拓人!……謝るのはわたしの方です」

 

「え?」

 

「わたしが勝手に避けていただけなので、拓人は何も悪くないです。悪いのは寧ろわたしの方なので……」

 

俯くルールー。

拓人は何も言わずに笑いかけた

 

「そっか。ならお互いに問題ないね」

 

「……え?」

 

「だって、ルールーが特に理由も無く俺を避けていただけでしょう?それなら何も問題無いよ。ルールーが謝る必要は無いじゃないか」

 

「いや、それはおかしいです!だって、貴方を避けていた。それを『何も悪く無い』だけで済ますのは」

 

「おかしくなんてないよ。だって、ルールーちゃんの事大好きだから」

 

「ッ!」

 

ルールーにとってその言葉はどれ程嬉しい事か。それと同時に、胸がチクリともする

 

言わないと決めたばかりなのに、そう言われてしまうと揺らいでしまう

 

だから

 

「ッ///」

 

不意打ちだが拓人にキスをした

 

それも唇に

 

ルールーはキスを終えた後、一礼してその場から逃げる様に帰って行った

 

「……ハッ!」

 

当の本人である拓人は、何をされたか頭の整理が追い付くのに時間が掛かった

 

その後拓人は、呻き声を上げながらその場に渦まくるのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「〜〜ッ///」

 

ルールー自身も、自分が起こした行動に赤面しながらも、えみるに悪い事をしたと思う罪悪感でいっぱいだった




これでルールーのターンは終了ですね。
内容的に強引でしたかな?

ここまでの拝読ありがとうございました


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第29話 夢と目標、さあやの目指す女優とは?

はぐプリって本当に全体を通して物語書くの難しい。

マシェリとマシュリ、アンジュとアンジェをよく間違えて頭抱える

ではスタートです


まだ夏真っ盛りの中、拓人達皆んなはHUGMANに遊びに来ていた

 

そして注目すべき事は、何処を見渡してもさあやが映るCMで溢れ返っていた

 

「オーディション頑張った甲斐があったからね」

 

「応援したわたし達も嬉しいね」

 

「さあやと一緒にシュワシュワしようと思ったのですが」

 

「ルールーちゃんお帰り」

 

「……っ」

 

飲み物を買って帰ったルールーに拓人は声を掛けたのだが、あからさまに顔を背けられてしまった

 

「ところでさあやは?」

 

「あそこや」

 

少し離れた場所で人混みが出来てるのだが、その中心にさあやが居る

 

CMの影響もあってか、爆発的な人気で街行く人達に取り囲まれているのだ

 

 

 

 

 

////////

外に出ればさあやが疲れてしまうので、一度ビューティーハリーへ戻る事にした

 

「ふぅ〜…」

 

「さあやさん有名人なのです」

 

「いいな〜」

 

えみるの言葉に反応してか、はなが愚痴を溢す

 

「遂に女優へと一歩進んださあや、ほまれはスケート、えみるはギター、ルールーはアンドロイド、拓人さんは音楽。わたしだけ何も決まってない」

 

少し気は早いが、それぞれやりたい事を見つけ始める事に遅れを感じて落胆する

 

「そんな事ないよ。何も決まってないって事は、まだまだ選びたい放題って事だよ」

 

「拓人が言うとエライ納得いくなぁ」

 

「それはどういう事かな??」

 

心なしか、ハリーに向ける拓人の笑顔が怖いと感じた

 

「でも、わたし女優になるって決めた訳じゃないよ」

 

「何で?」

 

「何か悩む理由があるの?」

 

「お母さんがどう思うかなって。子供が自分の同じ道を進むのってどうなんだろう…」

 

さあやの考えとしては、同じ道を進むに至って困らせてたらと感じてる。そう感じさせているとしたら、さあや自身も嫌だと言う

 

「多分大丈夫だと思うのです」

 

「ほ〜えみる、ごっつぅ言いはるな」

 

「だって、すぐ目の前にお手本となる人物が居るのです」

 

えみるは拓人の方へと顔を向ける

 

「え、俺?」

 

「拓人お兄さんの家の皆さんやっている事は違えど、音楽という共通のお仕事をしているのです」

 

「あ〜確かにそうだったね」

 

「ですので、気にする必要は無いと思うのです」

 

えっへんと胸を張るえみるを、拓人は膝の上に乗せて頭を撫で始める

 

「ではこうするのはどうでしょうか。直接聞きに行くと言うのは?」

 

「良い考え!不安ならわたし達も行くからさ!」

 

「…うん」

 

ルールーの提案により、さあやのお母さんに聞きに行く事にした

 

 

 

 

 

////////

 

別の日

 

「で、何故ドラマの撮影場に?」

 

えみるが疑問に持つのも無理はない。

拓人達が居る場所は、日本でも有名な某撮影場に来ているのだ

 

「知らなかったっけ?あの人がさあやのお母さんだよ」

 

大きく看板に出てるポスターに指差してえみるに教える

 

「薬師寺れいら。連続ドラマの女王のキッチンの主人公を務めてる方ですね」

 

「ルールーちゃんがドラマ観てるなんて意外だったな」

 

「……っ」

 

「あれ?」

 

拓人が話し掛ければすぐに顔を背ける。

拓人自身、そんな態度を取られる様な事はしてはいないが

 

「やあお待たせ。さあやの父です」

 

拓人達が待っていたのは、さあやの父の「薬師寺 修司」。修司の元で案内してもらう事になっていた

 

「ごめんね急に」

 

「いやいや、丁度れいらさんのお弁当が出来た頃だったから」

 

「え?パパさんがお弁当を?」

 

「うん、僕料理が大好きなんだ。それに今日は用事もあってね。それじゃあ行こうか」

 

 

 

案内された場所はとある撮影現場

 

一応見学という名目で入らせてもらった

 

「色んなスタッフが居るね……あれ?さあやちゃん、確かあの子って」

 

拓人の言うあの子と目が合うなり、その子は駆け足で目の前まで寄って来た

 

「気付いて下さりありがとうございます!一条蘭世で御座います!」

 

「蘭世ちゃん久し振り。凄いね、このドラマに出るんでしょう?」

 

「そうですわ。ゲストだけど存在感ある役よ。更に成長したわたしを見せて差し上げますわ!オーホッホッホ!」

 

高笑いする蘭世だが、大きな声にビックリしたか

 

「はぎゅ〜〜!!」

 

はぐたんが大泣きしてしまった

 

「はぐたん大丈夫やで!」

 

ハリーがあやしたりするが、一向に泣き止まない

 

戸惑っていると、さあやのお母さんのれいらが歩み寄った

 

「大丈夫、大丈夫よ。怖くないわ」

 

「はぎゅ…」

 

れいらが笑顔で声を掛けると、はぐたんはいつの間にか泣き止んでいた

 

「えらいスンマへん。お散歩行ってきますわ」

 

「おしゃんぽ!おしゃんぽ!」

 

ハリーははぐたんを連れて外へお散歩に出掛けた

 

「すみません!」

 

「騒がしくてすみません!」

 

「子供は泣いて当たり前。貴女達が謝る必要は無いわ」

 

そのままクールに立ち去り現場へと戻った

 

そしていよいよリハーサル、本番が始まった

 

 

 

撮影も昼休憩に入り、さあやは当初の目的である事を質問していた

 

しかし、遠目で見る限りでは良い返事では無かった様子

 

さあや自身、もう一度考えを整理する為外へに出る事となった

 

すると数分程で、監督やスタッフの方達と帰って来た

 

次いでと、さあややれいらについての昔の話も聞かされた

 

まだ赤ん坊だったさあやを、現場の皆んな総出でお世話した事。

その甲斐もあって、今の薬師寺れいらという人間がある事も

 

そうやって互いに支え合って今がある事も

 

そしてそれは今も変わらない

 

れいらの努力は今も尚続けている

 

話を聞かされた後、とある場所まで案内された

 

れいらが役作りに努力する様子を、外の窓から観察する

 

それを見たさあやは、そこで初めて気付いた

 

不器用でも頑張り屋で、一緒に居る時間は少なくともその分居られる時は思う存分居てあげる。

そんなれいらをTVを観ながら応援していた

 

「そっか。わたし、お母さんの居る向こう側に行ってみたくて…だから」

 

改めて自分が女優をやってる理由を見つけ出せれた

 

しかし、それに水を差すように撮影場から猛オシマイダーが現れた

 

当然、拓人達は現場に駆け付けると

 

「お母さん!!」

 

れいらも含めてスタッフの方達が巻き込まれていた

 

 

 

「「「「「ミライクリスタル!ハートキラっと!」」」」」

 

 

「「「輝く未来を抱きしめて!」」」

 

「みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

 

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

 

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

 

「「みんな大好き!愛のプリキュア!」」

 

「キュアマシェリ!」

 

「キュアアムール!」

 

 

「「「「「HUGっとプリキュア!」」」」」

 

 

 

「ハァァァァッ!!」

 

変身してエールが先制攻撃を仕掛ける

 

防御する猛オシマイダーだが、遥か後方へと押される

 

「ウェディングギター──行くよエトワール!」

 

「分かってる!」

 

拓人はギターのボディで叩き割る様に、エトワールは踵落としで攻撃するのだが

 

「猛オシマイダー!」

 

猛オシマイダーの両手で防がれた

 

「うわっ!」

 

「キャッ!」

 

「えぇぇ!?めちょっく!」

 

一瞬動きの止まった2人を弾いて、エールが居る場所へと吹き飛ばした

 

当然ながらエールは受け止めようとしたが、2人分を支え切れず下敷きになる

 

「やぁ!」

 

「ハァ!」

 

今度は挟んで上下から仕掛けるマシェリとアムール

 

「猛オシマイダー!!」

 

「「ッ!?」」

 

しかし、猛オシマイダーの上半身のみが回転してカウンターを貰い撮影場の方へと弾き飛ばされた

 

「皆んな!」

 

「ダーッ!」

 

飛ばされた皆んなを心配して追い掛けるアンジュに、猛オシマイダーが後ろから仕掛ける

 

だが背後からとはいえ、大振りの攻撃はバックステップで避け切れた

 

「此処は、お母さん達の大切な場所。帰って!!」

 

アンジュの言葉にエールが飛び出した

 

「フラワー・シュート!」

 

放つ技だが、猛オシマイダーはギリギリのところで後ろに回避した

 

「視た通りだ。マシェリ!」

 

猛オシマイダーが後ろへ回避する事は拓人は分かっていた。

クロノスタクトとミライクリスタル・ハーモニーで、未来を見通して回避する様誘導したのだ

 

「マシェリポップン!」

 

誘導した先にはマシェリポップンのクッションがあり、空中へと跳ね飛ばした

 

「オシマイダッ!?」

 

体勢を整えようとするも、アンジュがメロディソードの縄で捕まえる

 

「此処には、沢山の人の想いが詰まってる。わたしもそれを応援したい!そして──」

 

「オシ!?」

 

「いつかわたしも…此処に来たい!!」

 

何本も束ねた縄で、勢い付けて地面へと叩き付けた

 

「今よ!」

 

「「はい!」」

 

 

 

「「ツインラブギター!」」

 

「「ミライクリスタル!」」

 

「Are you ready?」

 

「行くのです!」

 

「「届け!わたし達の愛の歌!」」

 

「心のトゲトゲ」

 

「ズッキュン打ち抜く!」

 

「「ツインラブ・ロックビート!」」

 

 

「モウヤメサセテモライマ〜ス」

 

「愛してる♡」

 

「Thank you!」

 

 

 

 

 

////////

 

その後は無事撮影も終了して、さあやは今の自分の気持ちをれいらに口にする

 

「ねぇお母さん」

 

「どうしたの?」

 

「あのね、わたし本当に女優になりたいのかはまだ分からない。でも、ひとつ目標が出来たの────いつか、お母さんと共演してみたい。それが今のわたしの夢」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まだどうなるかは決まってないが、目の前にある夢に向かって歩き出した




一応重要な部分だけは抑えて書いたつもりです!マジ、はぐプリって個人回が多い様な気もする

次の話は頑張れば今週には出せそうな予感。無理なら来週ですね

ここまでの拝読ありがとうございました


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第30話 恥ずかしがる気持ち、それでも伝えたい

今回の話は正直作者自身も何がしたかったのかよく分かりませんでした!!

ではスタート


ビューティーハリーでいつもの様に集まっていたのだが、はなとルールーが昨日の出来後を何やら皆んなに話していた

 

はな達の担任の内富士に子供が出来るらしい

 

しかし、父親となる心の準備がまだ出来ておらずプレッシャーとなっている。

そんな時に偶々居合わせた、はなの父親の森太郎が自信を付けされる修行に協力する事になったのだ

 

「一体何をするんや?」

 

「そりゃあ修行だから……滝に打たれるとか?」

 

「何でやねん!」

 

「もっと実用的な事じゃない?」

 

「オムツ変えるとか、ミルクのあげかたとか」

 

「を、しながら滝?」

 

「付け足すなや!滝から離れちゅうねん!」

 

はなが中々滝行から離れない。そういうイメージがあるのは仕方ないが

 

「それでね今日、内富士先生が一日HUGMANに行くから奥さん大変かなぁと思って、先生の家に手伝いに行く事になったんだけど…」

 

「だったらわたしも行くよ」

 

「わたしも!」

 

ほまれもさあやも、はなに同行する事で組が分かれた

 

残りの拓人達はビューティーハリーで店番をする事になった

 

 

 

 

 

「それじゃあ頑張って行こう!」

 

「「お〜!」」

 

「お〜…」

 

えみるとハリーは気合い充分なのだが、ルールーは少し元気が無かった

 

「ルールーちゃん元気無いけど大丈夫?」

 

「……」

 

しかし拓人の声には反応しない

 

「…ルールーちゃんちょっと来て」

 

「拓人…!」

 

拓人はルールーを一度外へ連れ出して2人だけで話をする

 

「ルールーちゃん、この際だからハッキリ言うね」

 

「……」

 

最近の自分に対しての説教でもするのだろう。

そんな原因を作ってしまったのは自分だが、怒られるのを覚悟して強く目を閉じると

 

「悩みがあるならなんでも言って。相談に乗るから」

 

優しく頭を撫でて聞いた

 

「…き、気にならないのですか?」

 

「何が?」

 

「せん、じつの……です」

 

「?」

 

モニョモニョ言って聞き取れない。耳を近づけて良く聴こうとすると、ルールーは突然大声で叫んだ

 

「せ、先日のキスの件気にならないのですか!?」

 

流石の拓人もこれにはポカンとする。

ルールーも腹を括って言った為赤面していた

 

「ルールーちゃん」

 

「はい」

 

「早く中に入ろっか」

 

「待って下さい」

 

拓人も触れたくなかったのか、何も無かった様に中へ戻ろうとしたのだがルールーに肩を掴まれた

 

「わたしだけ恥ずかしい思いするのはダメかと…///」

 

「それはごめんね。俺は何をすれば良いのかな?」

 

「それは…」

 

ルールーは考えた

 

拓人に羞恥心を晒す為にキスをせがませるか。しかしそれでは、えみるとの関係に亀裂が走るかも

 

または自分からキスをして、改めて羞恥心を知ってもらうか

 

(ダメです。どれもえみるを裏切る事になってしまう。いえ、そもそも何故『キス』の選択しか出ない?)

 

頭の中でフル回転させるルールーは、眉を寄せて拓人を凝視してる

 

考えるルールーに拓人は少し引き気味だった

 

「…どうしましょう」

 

「それは俺の方なんだけどね…」

 

よく分からない空間が漂ってると、窓が大きく開いた

 

「ルールー、拓人お兄さん!いつまで話をしているのですか?早く手伝って下さい!」

 

えみるが痺れを切らしていた

 

「今から行くよ!」

 

拓人はルールーの手を引く

 

「とにかく、もう避けるのは勘弁してね。流石に2回目は傷ついたよ」

 

「…拓人って話を逸らすのが上手ですね」

 

「偶々だよ」

 

「2人共!!」

 

えみるの怒号にビクつきながら店の中へ入る事になった

 

 

 

 

 

「ほな、お昼買って来るから頼むで〜」

 

ハリーははぐたんを連れて、お昼を買うついでに内富士の様子を見にHUGMANへ出掛けた

 

「「「……」」」

 

しかし頼まれたとは言え、今日は異常な程お客が来ない

 

(((暇だ…)))

 

口に出さずとも考える事は3人一緒

 

「ふわぁ〜…」

 

最初に沈黙を破ったのはえみる…というより欠伸をしただけ。

少し眠気があるのか目元まで擦る

 

「眠たいの?」

 

「うぇ…?そ、そんな訳無いのです!起きていますよ!!」

 

だがすぐにウトウトし始め、体は拓人へと倒れようとしていた

 

「少し寝た方が良いよ。おいで」

 

「ぅ…で、ではお言葉に甘えます」

 

えみるは拓人の膝に頭を乗せて目を瞑ると、ものの数秒で寝息を立て始めた

 

「拓人はその…えみるの事を好きなのですか?」

 

「え、ああ好きだよ。昔から面倒を見てるからって理由もあるけど、それ以上にえみるちゃんが可愛くてしょうがないから」

 

「そうですか…やっぱり余計な事をしましたね」

 

「余計な事って?」

 

「いえ、拓人はそのままでいて下さい」

 

 

 

 

 

「ふわぁ〜!」

 

「えみるちゃん良く眠れた?」

 

「はいなのです。ところで今何時ですか?」

 

ようやくえみるが起き、時計へ目を移すと時間は既に一時をを過ぎていた

 

「わたしの目の錯覚でしょうか?お昼は過ぎてるのに、ネズミが帰って来てないのです」

 

「錯覚じゃないよ」

 

拓人は苦笑いをしてるが、かなりお腹を減ったルールーが絶望した表情をしていた

 

「ルールー、物凄い顔なのです」

 

「お昼、早く、食べたいです…」

 

「あはは…迎えに行くか」

 

 

 

 

 

////////

 

しかし迎えに行って早々緊急事態が発生した

 

内富士の奥さんの体調に異変があると連絡があった

 

赤ちゃんが産まれてくるという報告だった

 

奥さんのゆかにはさあやが付いて、拓人やはな達はそれぞれ病院で合流する事となった

 

子供を産むというのは想像以上に難しく、時間が掛かるものだった。

いつの間にか日が落ちて夕方になっていた

 

そして遂に、赤ん坊の泣き声が聴こえた

 

新しい生命が誕生した瞬間に、皆嬉し涙を流していた

 

特にさあやは付き添っていた事もあり、これから母親となる覚悟と強さを直に感じたのだ。

感じるものも他の人とはまた違っていた

 

そこへ、ゆかの担当医をしていた人がさあやに声を掛ける

 

「生命が生まれるって凄いでしょう?」

 

「はい!」

 

「それじゃあ」

 

「あの、大変ですね」

 

「大変だよ。でも、この仕事最高だよ!」

 

その後は内富士も生まれてきた息子を抱っこして、その重みを感じた

 

だがその感動も束の間、病院の外から猛オシマイダーが出現した。

猛オシマイダーを発注したのはトラウム

 

はな達は急いでプリキュア へと変身するのであった

 

 

 

「「「「「ミライクリスタル!ハートキラっと!」」」」」

 

 

「「「輝く未来を抱きしめて!」」」

 

「みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

 

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

 

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

 

「「みんな大好き!愛のプリキュア!」」

 

「キュアマシェリ!」

 

「キュアアムール!」

 

 

「「「「「HUGっとプリキュア!」」」」」

 

 

 

「来たねプリキュア 、年甲斐もなく気持ちが高揚しているよ!」

 

「猛オシマイダー!」

 

「静かにして」

 

「オ、オシ?」

 

騒ぐトラウム達を、アンジュが病院で寝ている赤ちゃん達を気遣って静かに怒り注意する

 

「赤ちゃん達がいるの!」

 

「赤ちゃん達の人生は始まったばかりなの!」

 

「「邪魔はさせません!」」

 

「ここから先は通さないよ!」

 

「皆んなも静かに!!」

 

しかしながら、拓人達も怒られる始末。アンジュは敵味方問わず騒がしくする人を注意する気でいる

 

「行ってらっしゃい!」

 

「猛オシマイダー!」

 

「させるか!ブーケトランペ……っ!?」

 

拓人は、ブーケトランペットで牽制しようとマウスピースに口に当てようとしたら、背後から物凄い視線を感じた

 

恐る恐る振り返るとアンジュが無言の圧力で訴えていた

 

「はい…じゃあ静かにエール達お願い」

 

「わ、分かった!」

 

渋々だが拓人は身を引いて、エール達に突っ込んで来る猛オシマイダーの迎撃を任せる事にした

 

「「「「やぁっ!」」」」

 

小さい掛け声と共に静かに猛オシマイダーを後退させる

 

「ハハハ〜!その程度の攻撃…」

 

「静かに!」

 

「調子狂っちゃうなもう…」

 

トラウムは指を鳴らして次の攻撃に移る様に合図を出す

 

カラーコーン型の猛オシマイダーは、両手を掛け合わせて巨大なドリルを構える

 

この時、トラウムも気を遣って回転する筈のドリルも無回転で発射させる様指示も出していた

 

「発射!」

 

「アムール!」

 

拓人はアムールからミライクリスタル・バイオレットを受け取り、ミライクリスタル・ハーモニーと共にクロノスタクトにセットする

 

「ミライクリスタルを静かにセット!時間よ戻れ!」

 

クロノスタクトの力で、発射されたドリルは猛オシマイダーの手元に戻るまで時間を巻き戻された

 

「やっ!」

 

更にエールが追撃を仕掛ける

 

「マシェリ、アムール」

 

「赤ちゃん達が寝ていますが」

 

「やるしかないのです」

 

 

 

「「ツインラブギター!」」

 

「「ミライクリスタル!」」

 

「Are you ready?」

 

「行くのです!」

 

「「届け!わたし達の愛の歌!」」

 

「心のトゲトゲ」

 

「ズッキュン打ち抜く!」

 

「「ツインラブ・ロックビート!」」

 

 

「モウヤメサセテモライマ〜ス」

 

「愛してる♡」

 

「Thank you!」

 

 

 

猛オシマイダーは浄化出来たものの、マシェリとアムールのツインラブ・ロックビートで病院に居る赤ちゃん達が大泣きし始めた

 

「ズルいな〜自分達だけ」

 

 

 

 

 

////////

 

「赤ん坊を気遣って負けるとか。どうなの?」

 

クライアス社に帰って来たトラウムは、早々に奏音にそう言われてしまった

 

「これでも少しは親の気持ちは分かるんだ」

 

トラウムは一枚の写真を取り出して微笑む

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その写真にはトラウム自身と他2人、かつてクライアス社に居た時のルールーと、また別の青年が映っていた




流石に過去作のプリキュア だから読んでる方少ないな〜と常々思っております

ここまでの拝読ありがとうございました


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第31話 現在(いま)があって、過去と未来がある

どう宣伝すればこの小説が認知されるのか…

ではスタート!


「演奏会ですか?」

 

「そうそう!チミなら大丈夫だよね?」

 

拓人は今、町内会長の人に今度街で行われる演奏会の準備を頼まれていた

 

「大丈夫だと思いますが、いつあるんですか?」

 

「1週間後」

 

 

 

 

 

////////

 

「と言う訳なんだ」

 

ビューティーハリーではな達に説明して、気が落ちてる拓人

 

「結構大変な事になりましたね拓人さん」

 

「昨日から手当たり次第に後輩に呼び掛けてはみたものの…」

 

「撃沈なんか?」

 

「うぅ…!」

 

別段、拓人に協力しない訳でも無い。本当に唐突で、予定を変えてまで呼び掛けに応えられないのだ

 

「取り敢えず集まってくれるのは正人君とアンリ君なんだ」

 

「何でアンリまで?」

 

「悪いけど、暫くは此処には来れそうにないから」

 

拓人が席を立とうすると

 

「拓人さん!」

 

「は、はなちゃん?」

 

「安心して下さい。わたしも手伝い──」

 

「拓人お兄さん!!わたしもその演奏会に参加するのです!」

 

「わたしの台詞なのに…めちょっく!」

 

はなの台詞に割り込んでえみるが参加宣言をした

 

「拓人、わたしも協力します」

 

「しょうがないね。わたしも協力するよ」

 

「うんわたしも」

 

「わたしも忘れないで!」

 

それに続きルールー達も協力してくれと言ってくれた

 

「でも悪いよ」

 

「そんなの気にしない!わたし、拓人さんの指揮で楽器吹いてみたかったんだよね!」

 

はなの姿を見て、もう断れないと思い皆んなに協力してもらう事にした

 

「ところで何を演奏するのです?」

 

「キラキラ星だよ」

 

「それなら簡単なのです!」

 

「楽器の割り振りは俺が勝手に決めるけど、何か要望があったら遠慮無く言ってね」

 

「は〜い!」

 

 

 

 

 

////////

 

次の日

 

学校と連絡して、音楽室を一時的に貸し出して貰いそこで練習する事に

 

「皆んな楽器は持った?」

 

拓人は勿論指揮棒

 

はなはトライアングル、さあやはリコーダー、ほまれは鉄琴、えみるはハーモニカ、ルールーはギター、正人はピアノ、アンリはマイク

 

結局皆んな、自分のやりたい楽器を使っての演奏になった

 

「拓人から見てどう感じなんや?」

 

「ま、まぁなんとかなると思う…」

 

「はぎゅ!」

 

ハリーははぐたんをお世話という事もあり、今回の参加は遠慮するとの事だ

 

「それにしても、えみるちゃんは何でハーモニカ?てっきり俺は、ルールーちゃんと同じギターにするかと思ったけど」

 

「わたしも最初にギターにしようかと思いました。けれど、折角拓人お兄さんが指揮するのです。ハーモニカで挑戦してみたいと思ったのです」

 

「そうなんだ。良いチャレンジ精神だよ」

 

「なのでハーモニカを貸して下さいのです!」

 

「あ、そこは俺のハーモニカを使うのね。別に良いけど」

 

拓人は自分のハーモニカをえみるに渡した。

えみるも大事にそうに受け取る

 

「じゃあ早速だけど練習始めるね。各自お願いします。町内会の演奏会だから気楽に行こう」

 

その合図で、全員それぞれの楽譜を見て練習を始めた

 

「さて、ほまれちゃん頑張ろっか」

 

「宜しく」

 

鉄琴であるほまれに教える為、拓人はほまれと一緒に練習する

 

 

 

 

 

「良い感じに弾けてるね」

 

「弾くのは久し振りで不安だったけど、これなら何とかなりそうだ。アンリこそ大丈夫?」

 

「僕?愚問だよ」

 

正人とアンリの2人は問題無く進めれていた

 

 

「う〜ん…」

 

「どうしたのさあや?」

 

「上手く指を使えなくて。あと少し何だけどね。はなは?」

 

「わたしは」

 

チーンとトライアングルを鳴らす

 

「リズムに合わせて鳴らしてるだけかな」

 

はなの隣には、メトロノームがゆっくりと左右に振られている。

それに合わせて鳴らすだけの簡単な事だ

 

 

「こうやってこう…」

 

ルールーはコードを確認しつつ着実に弾いている

 

一方でえみるは少々苦戦している様だ

 

「半音ズレてるいるのです…」

 

「えみる、半音くらないなら大丈夫なのでは?」

 

「そうなのですが…今回はキッチリしたいのです」

 

もう一度拭いてみるも

 

「…半音の半音」

 

一体何処まで突き詰める気かは、ルールーでさえも分からなかった

 

 

 

そして小一時間経った辺りで、練習を止めさせる

 

「よし注目、一度合わせてみようか」

 

アンリを中心にそれぞれ並んで演奏する事にした

 

 

 

 

 

夕方、あらかた練習し終わり帰る準備をする

 

「また明日!」

 

はなが元気良く手を振ってルールーと一緒に帰って行った。

はなに便乗してさあや、ほまれ、ハリー達も見送った

 

「さて、俺達も帰ろうか」

 

「あの拓人お兄さん」

 

「?」

 

「暫くハーモニカを貸して貰えないでしょうか?」

 

「それは構わないけど」

 

えみるは真剣な表情で頼み込む姿を見て、拓人もそれを了承する

 

 

 

 

 

////////

 

それから毎日、コツコツと練習して上達していく

 

そして演奏会前日の夕方

 

最後の練習も終わり、明日に備えて帰宅しようとするのだが、えみるだけが音楽室に残った

 

「……」

(まだ、まだ完璧では無いのです。もっと頑張らなくてはならないのです)

 

1人音楽室で佇むえみるを見て、拓人は心配になり不意に声を掛ける

 

「え〜みるっちゃん!」

 

「ッ!ビックリしたのです!」

 

「どうしたの浮かない顔をして?」

 

「上手くハーモニカを吹けなくて…」

 

「そうかな?俺が聴いてる限りではちゃんと出来ていたけど」

 

「偶にズレてしまうのです」

 

えみるは簡単に吹いてみる

 

「このくらい」

 

「?」

 

しかし、絶対音感を持たない拓人からするとサッパリなのだ

 

「でもでも、皆んなの中ではえみるちゃんが一番良く出来てるよ。そんなに詰めなくても大丈夫なんだよ」

 

「そういう訳にもいかないのです!!」

 

大きな声を出したえみるに、ビックリして肩をビクつかせる

 

「あ…すみません急に大きな声を出して…」

 

「何かあったの?俺に出来る事ならなんでもするよ」

 

「……ルールーから拓人お兄さんの事は全部知りました。だからこそ、拓人お兄さんの為に失敗は出来ません」

 

もう二度と、拓人にあんな辛い思いはさせたくないという気持ちからの張り切り。

しかし、その気持ちが今のえみるを崩してる

 

崩してる…の言い方は少し違う。正しくは壊してる

 

ここまで根を詰めてしまうと、えみるの体調が悪くなるだけ

 

だから拓人は、えみるが一番楽になる方法をしてあげる

 

「ぎゅ〜!」

 

「にょえ!?拓人お兄さん何を!?」

 

ふわりと包み込む様に正面からハグをしたのだ

 

「えみるちゃんは小さい頃は、これで良く落ち着いていたからね」

 

「わ、わたしはも子供ではないのです!!」

 

「俺からみたら、えみるちゃんはまだまだ可愛い子供だよ」

 

「離すのです〜!」

 

ジタバタするえみるを解放して軽く笑う

 

えみるは少し息切れををして疲れてはいるが、肩の荷が少しは降りただろう

 

「はぁ…拓人お兄さんはいつも強引なのです」

 

「別にえみるちゃんひとりで抱え込む必要は無いんだよ。実際問題、俺が抱える問題だし」

 

「拓人お兄さんならそう言うと思っていましたから、その分わたしが持とうとしたのです」

 

「よくご存知で」

 

話に夢中になっていると、いつの間にか日が落ち始めている。

本当に帰る頃合いだと確認し、えみると手を繋いで教室を出る事にした

 

「明日上手く行くといいね」

 

「大船に乗ったつもりで任せるのです!」

 

「フ、任せたよ」

 

 

 

 

 

////////

 

演奏会当日

 

街の中心でその舞台の準備に取り掛かっていた。

マイクのテスト、音の確認、位置の確認などスタッフの方達と最後の仕上げをしていた

 

「正人君、あの後えみるちゃんはどうだった?」

 

「いつも通りに戻ったよ」

 

「良かった〜」

 

「拓人はいつもえみるの事を見てるな。っとそろそろ時間だ拓人」

 

正人に言われて開演10分前だった

 

「拓人さん頑張りましょう!次いでに掛け声も!」

 

「き、気合い入ってるねはなちゃん…」

 

「フレフレ拓人さん!フレフレ皆んな!いっくよ〜──」

 

『おおぉ〜!!』

 

と同時に大きな地響きが鳴り、拓人達の体が少し浮かび上がった

 

何事かと思い、舞台袖から外の様子を見ると猛オシマイダーが暴れていた

 

 

「猛オシマイダー!!」

 

 

「はな、クライアス社や!」

 

「ハリーとはぐたんは皆んなと一緒に!」

 

「分かった!」

 

ハリーははぐたんを抱えて、アンリと正人を連れて正体がバレない所まで遠ざけた

 

「これで思う存分変身が──」

 

「やあ、また会えましたね先生」

 

拓人の言葉を遮ったのたは奏音だった。

どうやら、今回の猛オシマイダーを発注した人物は奏音だ

 

「それと、ルールー・アムール。良かったよ、君がいないと何も始まらないから」

 

「ルールーちゃん安心して。絶対守ってみせるから」

 

「これ以上拓人さんの晴れ舞台を邪魔はさせない!」

 

 

 

「「「「「ミライクリスタル!ハートキラっと!」」」」」

 

 

「「「輝く未来を抱きしめて!」」」

 

「みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

 

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

 

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

 

「「みんな大好き!愛のプリキュア!」」

 

「キュアマシェリ!」

 

「キュアアムール!」

 

 

「「「「「HUGっとプリキュア!」」」」」

 

 

 

「猛オシマイダー!!」

 

「たぁぁぁ!!」

 

「フェザー・ブラスト!」

 

「スター・スラッシュ!」

 

猛オシマイダーにエールが特攻し、それを援護する様にアンジュとエトワールが攻撃する

 

「俺達も──」

 

「そうはいかないよ先生」

 

ユラりと拓人達3人の前には奏音が立ちはだかる

 

「こうなった以上、僕は力強くで先生を取る。我慢してね先生、痛いのは少しだけだから」

 

「どんなに強くても、未来を見たら君の動きなんて──」

 

拓人が言い切る前に顔面に強い衝撃が走り、そのまま数メートル後方までぶっ飛ばされる

 

「「拓人(お兄さん)!?」」

 

反応する間も無くモロに食らった拓人は、そのまま気絶して動かない

 

「アムールは拓人お兄さんの所へ行って下さい!」

 

「ですが、マシェリひとりでは──」

 

「早く行くのです!!」

 

剣幕した表情にアムールは困惑しながらも、マシェリの言う様に拓人の安否を確認しに向かう

 

そしてマシェリの前には奏音

 

「まさかひとりで立ち向かう気なのかい?」

 

エール、アンジュ、エトワールは猛オシマイダー。アムールは負傷した拓人の元へ

 

この前の奏音の技量からして、3人以上で相手をしないとほぼ勝ち目など無い。

ましてやひとりなのだ。到底時間稼ぎにもならない

 

それでもやるしかない

 

何故なら

 

「わたしはヒーローなのです。どんな相手にも立ち向かわなければいけないのです!」

 

「ひとつだけ教えてあげる。それは勇気じゃない──"無謀"ってやつだよ」

 

その瞬間、マシェリは頭を掴まれ腹に膝蹴りが炸裂する

 

「あ…がはっ!」

 

「安心しなよ。君には微塵も興味は無いから。そこで這い蹲っていれば何もしないからさ」

 

蹴られた腹を押さえるマシェリを通り抜け、奏音は拓人とアムールへ歩み寄る

 

「ま、待つのです…!」

 

手を膝について無理矢理体を起こして立ち上がる

 

「はぁ…まだ分からないの?この前の戦い、そして今の状況。先生がいなければ何も出来ない君に何が出来るの?」

 

「それがどうしたのです…それでわたしが挫けるとでも思っているのです?残念なのです。わたしは絶対諦めません!!」

 

マシェリは拳を握り、背中を向けてる奏音に攻撃しようとする

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「────ッ!」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

振り返りもせず、マシェリの拳を容易く受け止める

 

「未来を視る事が出来るのが、先生だけだと思わないで。僕だって視る事は出来るの。先生よりも精度の高い未来を、ね」

 

「──ッ」

 

マシェリの拳から手を離し、即座に振り返り一瞬で顔面を掴み地面へと叩き付けた

 

「マシェリ!!」

 

「ぁ…ぅ……」

 

アムールの呼び掛けには反応はしてる。しかしたった一撃でこの有り様だ

 

「その頑丈さに免じてこれくらいにしておくよ。さて」

 

降り掛かった火の粉を払い終えたの如く、目の前に映る復讐すべき相手へと近付く

 

「だ…め…ぇ……」

 

薄れゆく意識の中で手を伸ばし、奏音の足首を掴んだ

 

「…君も随分としつこいなぁ!!」

 

手を振り払い蹴り飛ばす

 

「拓人お兄さんは……」

 

「あぁ?」

 

「拓人お兄さんは"現在(いま)"を生きてるのです…その"現在(いま)"をわたしは守りたいのです…っ……大切で、大事なこの瞬間は今しか無いのです!!」

 

「そう君の言う通り。だから僕は先生を連れて行く。先生の未来の為に!!」

 

「違うのです!!」

 

奏音の言う事に反論するべく、もう一度立ち上がる。

だが脚は震え、もはや立っているのもやっとだ

 

「そんなのは間違ってるのです。今があるから未来が輝くのです。未来しか視てない貴方に、拓人お兄さんは渡せません!!」

 

「そんな今があるから、先にある悲惨な未来が待っているんだ!何も知らない子供が、知った風な口をするな!!」

 

マシェリを黙らせようと手を出す時、後ろから誰かに腕を掴まれ寸前で止まる

 

「先生…!?」

 

「やぁ!」

 

そこへアムールの牽制の蹴りが加わり、マシェリから距離を離した

 

「マシェリ大丈夫?」

 

「平気なのです。拓人お兄さんが来てくれたのですから」

 

「どいつもこいつも何故邪魔をする!?」

 

「邪魔をしてるのはどっちですか!」

 

マシェリは拓人の手を取り奏音を叱る

 

「拓人お兄さんは未来に行く為に、今を歩いているのです。その道の邪魔をするのでしたら、わたしが許しません!!」

 

その時、ミライクリスタル・ルージュが光り輝き、背後から金色の女神を現れた

 

「拓人お兄さん!」

 

「分かった!」

 

「その力を使うなァァ!!」

 

クロノスタクトにセットすると同時に、それを阻止しようと奏音も駆け出した

 

拓人とマシェリは手を合わさて前へと向ける

 

「止まるのです!!」

 

小さなアスパワワの波が出され、それを受けた奏音の動きをじんわりと遅くし、最終的にその行動を完璧に止めた

 

(な、に!?動けん、バカな!?)

 

「2人共行くよ!──ドリームマイク!」

 

「「はい!」」

 

 

 

「Are you ready?」

 

「行きます!」

 

「ミライクリスタルセット!」

 

 

「フレフレ!ハート・ソング!」

 

「フレフレ!ハート・ダンス!」

 

「デビルズ・ラプソディー!」

 

 

 

3人の息の合った合わせ技で、奏音を大きく吹き飛ばした。

動きを封じられ、無防備にその身で受けたのだ

 

「よ〜し!わたし達もやるよ!アンジュ、エトワール!」

 

「「うん!」」

 

 

 

「「「ミライクリスタル!」」」

 

「エールタクト!」

 

「アンジュハープ!」

 

「エトワールフルート!」

 

「「「心のトゲトゲ飛んで行け〜!」」」

 

「「「プリキュア・トリニティコンサート!」」」

 

 

「「「HUGっとプリキュア!エール・フォー・ユー!」」」

 

 

 

少し離れた場所で猛オシマイダーが浄化されていた

 

「──まただクソォォ!!」

 

猛オシマイダーが浄化されて、自分の思い通りにならない事に腹を立てて怒りの咆哮を吐き出した

 

「何故こうも上手く行かないんだ!!本気出して未来視だって使ってるというのに!!」

 

ジワジワと体から滲み出るトゲパワワが奏音を包もうとしてる

 

「もう…ユルサナイ!」

 

トゲパワワが奏音に集中し、凝縮されたエネルギーを解放しようとした時

 

「はいそこまで」

 

突如として現れたトラウム

 

「悪いけどそれ以上は駄目」

 

トラウムは奏音の肩を掴んでそのまま撤退して行った

 

 

 

 

 

////////

 

「えみるちゃん大丈夫?気分悪くない?欲しい物はある?」

 

「そこまでしなくても大丈夫なのです。この通りピンピンしているので!」

 

プリキュアに変身していたからか、目立った怪我は無く元気そうにしていた

 

「さぁ!演奏会の続きをするのです!」

 

「あ〜それなんだけど…」

 

はなが言いにくそうに伝える

 

「オシマイダーが出て来たから中止になっちゃったの」

 

「そうですか中止に……えぇぇぇ!?」

 

笑顔から一転して、えみるの叫びが街中に響き渡る

 

「え、えみるちゃん凄い声量だね」

 

「呑気な事言っている場合ではないのです!折角皆さん頑張って練習したのに〜!!」

 

「大丈夫だよえみる。日程がズレるだけだから!」

 

はながフォローして沈静させようとする

 

「でも…」

 

「ありがとう、えみるちゃん」

 

拓人はえみるを抱き上げる

 

「俺、えみるちゃんがここまで頑張ってくれただけでも嬉しいよ。本当にありがとう」

 

「え、あの…どう、致しまして///」

 

抱き上げられてるせいもあり、拓人の顔の距離が近くて恥ずかしく赤面してしまう

 

「フフッ…やっぱりえみるちゃんは可愛いな〜」

 

「な!?それは今関係無いのです!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

////////

 

クライアス社

 

「トラウムさん、先生が使ってるあの力の正体が分かりましたよ」

 

「それなら社長も気付いてるよ」

 

「『マザーの加護』。プリキュアより劣る力だけど、同じ力を持って行使してる。だけど…」

 

「この前のミライクリスタルとそのアイテム。想像以上に力を増してる」

 

「これ以上穢れる訳にはいかない────愛崎えみる、彼女も要注意人物。本気を出すと言ったけど、先生を傷付ける迷いがある。だけどそんな事言ってる状況じゃない」

 

奏音は拳で壁を殴り壊した

 

「もう手段は選ばない。ルールーを倒すのは後にしよう。優先すべきは先生だけだ」

 

そんな奏音をトラウムは哀しそうな目で見ていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不穏な空気が、これからも拓人に降り注ぐ




普通にプリキュア側が使ってはいけない力を使っていますが、そこはあれですよ…野暮ってもんですよ

現在物語が強引でGO!状態になってるね(苦笑)

ミライクリスタル・ルージュ 時間停止
1分間なら対象の時間を止める事が出来る。
効果範囲は、バイオレットと同様に宇宙規模の超広範囲まである


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第32話 GOGO!最後の夏休み旅行!

2ヶ月振りだ

ではスタート


夏休み最後の思い出作り。それに伴い拓人達は、愛崎家の所有するプライベートジェットに乗って世界一周旅行の最中だった

 

「これをどうぞ」

 

最初の目的地に着く前、さあやから皆んなに旅のしおりを手渡される

 

「『愛崎家プライベートジェットでめぐる世界7都市の旅』?」

 

「残りの夏休み思いっきり楽しもう!」

 

「旅のしおりか。さあやちゃんらしく計画的だね」

 

「最初の旅へレッツゴー!!」

 

 

 

 

 

最初に降り立った場所は

 

「ア〜ロ〜ハ〜!ハ〜ワ〜イ〜!」

 

世界でも有名な島国のハワイだ

 

「先ずは記念の一枚!」

 

上陸した記念として写真を一枚撮り、これからどうするか考えていた

 

「ハワイと言えばパンケーキ、ロコモコ…えへへ!」

 

「しおり見ながら計画的に食べ歩きしようねルールーちゃん……あれ?」

 

「どうしたんや拓人?」

 

さあやから渡された、しおりの内容を確認したところ眉を顰めるスケジュールになっていた

 

「では、そろそろ出発します。世界を満喫する為にはそろそろ出発しないと!」

 

「ちょっと待っていくらなんでも早くない!?」

 

「ほまれ、時間は有限だよ!」

 

そんな滅茶苦茶な理由で、上陸して僅か数分足らずで次の国へと空を駆け抜ける

 

ハワイ、ハリウッド、アフリカ大陸、パリ、ローマ、万里の長城と渡り、限られた時間を使っての超弾丸ツアーとなったのだ

 

そしてそんな旅を締め括る最後の目的地は

 

 

 

 

 

////////

 

「温泉宿です!」

 

「まさか、最後が熱海とは…」

 

「ルールーたっての希望なのです」

 

予め、ルールーはさあやに相談して此処へ来る様にお願いしたのだろう

 

「一度来てみたかったのです。温泉の硫黄成分が、アンドロイドには良くないと止められていたので」

 

「アンドロイドに硫黄ってそんなに駄目なの?」

 

「いえ、後で判明しました。わたしの代わりに、温泉出張に行きたい社員がでっち上げた嘘だったと」

 

「あ〜確かに」

 

「あの人達ならやりかねそうなのです」

 

はなとえみるは、何処と無く納得していた

 

「あ!あそこに足湯があるよ!試しにルールー入ってみようよ!」

 

はなが、ルールーの手を引いて初めての足湯に浸からせる事にした

 

「温泉、これが…疲労毎分8.5%で減少。素晴らしい!!」

 

「良かったのです。温泉で心も身体もリラック──」

 

その時、えみるの会話に遮る様にカラスが飛び立った

 

「何か気味が悪いのです…!」

 

少し失礼な気もするがえみるの言う様に、カラスが出て来た事もあり不気味さを醸し出してしまっていた

 

「確かに妖怪でも出て来そうな…」

 

「はなちゃん、流石に失礼だよ」

 

「そ、そそそそうだよ!居る訳──」

 

そんな時、茂みの方から唐傘をさした人影が此方にやって来た

 

「で、出たーー!!唐傘お化け!!」

 

「いらっしゃいませ」

 

唐傘お化け?からそう歓迎の言葉が返って来た

 

ゆっくり近付く人影に、日の光が当たるとその姿を現した

 

「温泉宿の主人で御座います」

 

「えみるちゃん…」

 

「ご、ごめんなさいなのです!!!」

 

 

 

 

 

主人の元で部屋まで案内してもらって、やっと気持ちが落ち着いた

 

「唐傘お化けですか。天狗なら居なくもないですけど」

 

「ですよね!天狗なら……て、天狗!?」

 

「「出るんですか!?」」

 

主人の話によると、その昔この温泉宿に天狗が現れたらしい。

更には、此処の温泉に入った事で天狗が紅いっていう伝説も聞かされた

 

「あくまで伝説です。私も見た事はありません」

 

「「「な、な〜んだ…」」」

 

少し怖がりな、はな、ほまれ、えみるはそれを聞いてひと安心だった

 

「さてどうなさいます?先ずお食事に──」

 

「温泉で!」

 

主人に食い付く様に、珍しくもルールーが食べ物より温泉を選んだ

 

 

 

「ふぅ…いい湯だ」

 

「そうやな…にしても拓人お前…」

 

「何?」

 

ハリーは湯船に浸かる拓人をジッと見つめる

 

「もっと身体鍛えたらええんちゃいまっか?そんな華奢な身体でえみるとルールーは守れへんで?」

 

ハリーはビルダーみたくポーズを取りながら、そうアドバイスをくれる

 

「俺みたいにイケメンにもなれるで!」

 

 

「拓人お兄さんは充分かっこいいのです〜!」

 

 

隣の女湯から、えみるの声が大きく聴こえた

 

「…何やえみるは地獄耳か?」

 

「ハリーも面白い冗談言えるんだね」

 

「そんな面白い事言うてへんけど…」

 

 

 

温泉から出ると、外では女性陣達が待っていた

 

「ハリー、拓人さん遅いですよ〜!」

 

「そういうはな達は早いな。ちゃんと百まで数えたんか?」

 

「わたしそこまで子供じゃないよ!」

 

皆スッキリした表情になっていたが、一人えみるだけが不審に辺りを見渡していた

 

「どうしたのえみるちゃん?」

 

「あ、拓人お兄さん。実は何か視線を感じたので…もしや天狗!?」

 

「天狗は伝説の生き物だよ。居る訳ないよ」

 

 

 

 

 

部屋に帰れば次はお食事の時間だ

 

「ん〜美味しい!」

 

「見た目を綺麗で食べるのが勿体無い気もしますよ」

 

「それはありがとうございます」

 

「…しかし、エラい広いな」

 

出された食事も美味しいが、用意された部屋が少し広い気がしてハリーが気になっていた

 

「近頃はプールがあるホテルにお客を取られましてね。なんでも『キュアスタ映え』するとかで…」

 

「それでも、この旅館でもいっぱいいい写真撮れてます!」

 

「…喜んで頂けて良かった!」

 

はなの言う様に、この旅館に着いてからいい写真がいっぱい撮れている。

主人が謙遜する以上にこの旅館は本当に良い所なのだ

 

「それもルールーのお陰だね」

 

「わたしこそ夢が叶いました」

 

「わたしも、こんなに楽しい夏休みは初めてなのです。いつも拓人お兄さんと過ごしていましたから」

 

「ガガーン!それって俺の事…」

 

「あ、別にそう言う意味では無いのです!沢山の人達に囲まれて過ごす夏休みは、今回が初めてなので」

 

「拓人っていちいち過剰反応するよね?」

 

「よ〜し!キュアスタで、いっぱい夏休みの思い出を作ろう!」

 

「その前に俺は御手洗いに行ってくるよ」

 

 

 

拓人は御手洗いを済まし、部屋に戻ろうとする途中。娯楽室の方から卓球で遊ぶトラウムを発見した

 

「…何やってるんですか?」

 

「やあ拓人君じゃないか。一緒にしないかい?」

 

ラケットを差し出され、拓人は渋々それを受け取り卓球するのであった

 

「まだ俺の質問に答えてませんよね?」

 

拓人はラリーをしながらも会話をする

 

「簡単な事だよ。君達を追って、次いでにのんびりと私も旅行気分を味わっていたのだよ〜!」

 

「俺としては、このまま旅行気分を味わって帰宅する事を願います、よっ!」

 

「おっと!確かに先程から聴こえる音楽と共に感じるアスパワワ。トゲパワワは無さそうに思うけ、どっ!」

 

「あっ!」

 

拓人のラケットがボールを捉えた時、僅かながら回転が掛かっており弾かれてアウトになってしまった

 

「痛!?」

 

その時、弾かれたボールは隣のお客に当たってしまった

 

「いったいな〜!」

 

「おやおや、おあつらえ向きなトゲパワワがありますね〜」

 

「なっ!?」

 

トゲパワワを感じて猛オシマイダーが発注される事を察知して、拓人は急いで部屋へと戻ってこの事を伝えに行く

 

 

 

 

 

////////

 

「皆んな大変だよ!」

 

引き戸を勢いよく開けた拓人にはな達はビックリした

 

「どうしたんですか!?」

 

「トラウムさんが猛オシマイダーを発注したんだよ!」

 

「何やて!?」

 

「何でそれを拓人が?」

 

「さっきまで一緒に卓球してたから」

 

その時、外から地響きが鳴った

 

 

 

全員が外へ出ると、天狗の姿をした猛オシマイダーが発注されていた

 

「やっぱり遅かったか」

 

「拓人さん、時には発注される前に敵を叩くのも戦術の内ですよ!」

 

「さあやさん、中々バイオレンスな発想するのです…」

 

「あはは…皆んな変身するよ!」

 

 

 

「「「「「ミライクリスタル!ハートキラっと!」」」」」

 

 

「「「輝く未来を抱きしめて!」」」

 

「みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

 

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

 

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

 

「「みんな大好き!愛のプリキュア!」」

 

「キュアマシェリ!」

 

「キュアアムール!」

 

 

「「「「「HUGっとプリキュア!」」」」」

 

 

 

「楽しい夏休みをこれ以上邪魔させない!」

 

「「「ハァァァ!」」」

 

エール、アンジュ、エトワールの3人が突っ込んで行くも、羽団扇が起こす風で吹き飛ばされてしまう

 

「ブーケトランペット!」

 

それにフォローして拓人が攻撃を仕掛けたが、猛オシマイダーの持つ桶で防御される

 

「読み通り」

 

しかし防がれるのは計算済み。マシェリとアムールが防いだ直後を狙って攻撃する

 

「「やぁぁ!」」

 

「オシ!」

 

だがそれでも、両腕をクロスして追撃すらも受け止めた

 

「こうなったら一斉攻撃だ!デュアルクラリネット!」

 

拓人は楽器を変えてエール達と一緒に突撃する

 

四方八方からの同時攻撃。これなら行けると思ったが、その考えが甘かった

 

「猛オシマイダー!」

 

猛オシマイダーはその場で回転し、羽団扇で自分中心に風を巻き起こして逆に弾き返した

 

「夏休みが楽しいなら永遠の夏休みなんてどう?時間を止めれば、永遠に楽しい時間が続くよ?」

 

「続くのです、ずっと!エールが言ったのです。キュアスタには沢山の思い出があるのです!」

 

「思い出こそが永遠。写真は、楽しい事を一瞬一瞬切り取ったもの!」

 

「そうなのです!写真を見る度に、皆んなとの楽しい夏休みを思い出す事でしょう。どんなに時が過ぎても、思い出はずっと心の中にあるのです!永遠に!」

 

マシェリがそう強く言ったが、トラウムは嘲笑う

 

「そう来たか。でもそれってさ、お前さんらが居てこそでしょ?お前さん達が居なくなれば、思い出もな〜んも消えちゃうでしょう!」

 

「猛オシマイダー!」

 

「少々残念だったけど、温泉宿ごと吹き飛んじゃえ!」

 

トラウムは思い出の詰まった温泉宿ごと壊そうと図る

 

「止めるのです!!」

 

「マシェリ!」

 

エールが呼び止めるも、マシェリは一人飛び出してしまった

 

「アムール、ミライクリスタルを!」

 

「はい!」

 

クロノスタクトにミライクリスタルをセットして、猛オシマイダーの動きを少しでも止めようとする

 

「時間よ戻──」

 

その時だった

 

突然竜巻きが発生し、偶然にも竜巻きが猛オシマイダーに直撃したのだ

 

「猛オシマイダー!?」

 

「何だ!?」

 

「2人共今だよ!」

 

「「はい!」」

 

 

 

「「ツインラブギター!」」

 

「「ミライクリスタル!」」

 

「Are you ready?」

 

「行くのです!」

 

「「届け!わたし達の愛の歌!」」

 

「心のトゲトゲ」

 

「ズッキュン打ち抜く!」

 

「「ツインラブ・ロックビート!」」

 

 

「モウヤメサセテモライマ〜ス」

 

「愛してる♡」

 

「Thank you!」

 

 

 

「ま、今回は温泉を楽しんだから良しとしますかな」

 

 

 

 

////////

 

「キュアスタ、夏休みの思い出でいっぱいだ〜!」

 

「さあ、家に帰るまでが旅行。早く帰って、明日から始まる新学期の準備しないと!」

 

「え!?明日から学校なの!?」

 

温泉宿を後にし、楽しい雰囲気で帰れると思ったが、約一名明日から学校がある事に今更ながら気付いた

 

「まだ夏休みの宿題が終わってない!!」

 

「夏休みのご利用は計画的にね。はなちゃん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、プリキュア 達の楽しい夏休みが終わるのであった




お盆の間にガン回し

ここまでの拝読ありがとうございました


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第33話 絆芽吹く時!チアフルスタイル!

進むよ〜鈴村さん〜

ではスタート!


夏休み明けで学校帰り

 

夏休みの思い出を話しながらの道中で、拓人達の前に一人の女の子が尋ねて来た

 

「のの…のの……」

 

その女の子ははなに用事があるらしあのだが、イマイチ歯切れが悪い感じだった

 

「知り合い?」

 

「うん、前の学校の…」

 

しかし、はなもその女の子を前にして歯切れが悪かった

 

「〜っ!」

 

「あ、待ってえりちゃん!」

 

何故か突然、その女の子「えりちゃん」と言う人物は逃げ出す様にしてはなの前から去って行った

 

「追い掛けますか?」

 

「……大丈夫!さあ、ビューティーハリーに行こう!」

 

「はなちゃん方向逆だよ」

 

「めちょっく!」

 

何か動揺して先程までとは違う様子のはな

 

結局、その日から境にはなの様子が目に見えて変化していった

 

 

 

 

 

////////

 

とある日、ビューティーハリーで偶々拓人とはなだけになった時

 

「はなちゃんちょっと良いかな?」

 

「何ですか?」

 

「えりちゃんって言う子と何かあったの?」

 

「……」

 

その子の名前を出した途端に、はなの口が閉じた

 

「もし良かったらだけど、悩みがあるなら聞くよ?」

 

これは只のお節介

 

だからといって、安易に人のプライベートに足を踏み込んでは行けない。

様子を見れば、過去に何か辛い事があったのは明白だ

 

しかし、本当に彼女の為に思うなら時には踏み込む事も大事だ

 

「…拓人さん、過ぎて行った時間をどう思いますか?

 

「過ぎた時間?そうだなぁ…」

 

少し質問された内容に難しくく思うが、すぐさまその質問に拓人なりに答えてみせた

 

「過ぎた時間は振り返る事は出来ても元に戻らない。どれだけ後悔してもね。だからこそ今を大切にしないといけない」

 

「うん…」

 

「でも、だからといって過去の出来事を忘れたら駄目だ。どんな事があっても、それを受け入れて人は前に明日へ進むの。辛くても、苦しくても、悲しくても、その中で生まれた新しい発見が必ずある」

 

「新しい発見…?」

 

「さあやちゃん、ほまれちゃん、えみるちゃん、ルールーちゃん。それにハリーやはぐたんも。その中で生まれた新しい発見…出会いだよ」

 

「……拓人さん、わたしのお話を聞いてくれますか?」

 

はなは全てを話してくれた。えりと言う人物と、過去に何があったのかを

 

虐められてるえりを助けたはなだが、それが虐められる対象が自分へと移り変わる

 

しかし、今のはなの悩みはそこでは無い

 

「わたしがした事お節介だったんじゃなのかなって思って」

 

「そんな事は無いよ。友達を助けるのに、お節介も何も無い。今だってそうだよ。俺がこうやって、はなちゃんについて悩みを聞いてあげてるのってお節介かな?」

 

「…いえ、なんていうか、ありがたいと思ってます」

 

「ならそれで良いんじゃないのかな?」

 

「え…?」

 

「何も悩む必要なんて無い。お節介上等!お節介で友達が助けれるなら安いもんだよ」

 

今のはなに必要なのは温もり

 

「はなちゃんは恵まれているよ。周りからも、自分の気持ちにも。ほら」

 

拓人が扉の方へ目を向けると、さあやとほまれが待っていた

 

 

 

 

 

////////

 

丁度シャインヒル学園のチヤ部の発表会がはぐくみ市で行われようとしていた

 

この機を逃せば、お互いに想いを伝える事は今後厳しくなる。

はなはそれを狙って発表後に一度話をしようと、会場へと足を運んでいた

 

「先ずチアの舞台を観て、挨拶する心の準備をして『えりちゃん久し振り!』…よし!」

 

会場へ入ろうとした時、とある会話を耳にした

 

 

「えぇ〜!?車が止まって会場に来れない!?」

 

 

「トラブル?」

 

聞き耳立てて内容から、メイクを担当する人達が何かトラブルに巻き込まれて会場に来れないというものだった

 

「はなちゃん、今がチャンスだよ。今しか出来ないことをして、気持ち良く出送る」

 

「はい!」

 

「俺とハリーとはぐたんは先に行ってるから。頑張ってね」

 

 

 

 

 

////////

 

「あんな事言ったけど、はなちゃん大丈夫かな?」

 

「はななら絶対大丈夫や」

 

「はぎゅ!」

 

「そうだね。俺達は座して待って──」

 

その時、会場の観客席全体に不気味な光が降り注いだ

 

「はぐたん!ハリー!」

 

拓人は2人に覆い被さる様にして庇う。そして、拓人の持つミライクリスタル・ハーモニーが不気味な光を打ち消した

 

「何が起きたの?」

 

「拓人!」

 

ハリーの言葉で辺りを見渡すと、一般市民の人達の時間が止まっていた

 

「「クライアス社!?」」

 

「拓人さん!」

 

「あ、はなちゃん!」

 

「行くよ皆んな!!」

 

 

 

「「「「「ミライクリスタル!ハートキラっと!」」」」」

 

 

「「「輝く未来を抱きしめて!」」」

 

「みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

 

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

 

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

 

「「みんな大好き!愛のプリキュア!」」

 

「キュアマシェリ!」

 

「キュアアムール!」

 

 

「「「「「HUGっとプリキュア!」」」」」

 

 

 

「来たかプリキュア !」

 

「この力が有れば!」

 

この有り様にしたのはジンジン、タクミの2人だった。

手には何か装置を持っており、それが原因で会場に居る皆んなの時が止まったと推測する

 

2人は更に、その力を行使しようとするのだが

 

「「うわぁぁ!!?」」

 

装置から急激にトゲパワワの出力が上がり、2人を呑み込んだ

 

そして現れたのは、トゲパワワの力で合体したジンジン、タクミだった

 

4本の腕に前頭部と後頭部に顔がある、猛オシマイダーと化してしまったのだ

 

「残念だったわね。それはまだ、パーフェクトじゃないのよ」

 

そこへジェロスも現れた。

ジェロスの言葉を察するに、2人が持っていた装置が暴走したに違いないと思った

 

『『ジェロスサン、タスケテ!クルシイィ!!』』

 

「勝手な事をした罰よ!」

 

『『オレタチ、ナカマジャ…?』』

 

「そうよ、私達は仲間。カンパニー。だから最後に、私の役に立ちなさい!!」

 

助けを求める2人を、残酷にも突き放すだけでは飽き足らず最後まで駒として扱わなかった

 

「拓人さん、はぐたんとハリーをお願い!」

 

エール達は飛び出して、暴れる猛オシマイダーを全員で抑え込んだ

 

「仲間ってそういうものじゃないでしょ!」

 

「友達ってそうじゃない!」

 

「皆んな一緒だから!」

 

「強くなれる!」

 

「お決まり文句ね」

 

ジェロスは、その様な戯言を右から左へと聞き流した

 

「そうかもね。でも、これがわたし達なの!皆んなが居てくれたから、わたしは今日前に進めたのだから!!」

 

「「「「「これが!わたし達の今!!」」」」」

 

そしてエール達、プリキュア 達皆んなの想いが新たなミライクリスタルを誕生させた

 

「ちあふる〜!」

 

新たなミライクリスタルと同時にミライパッドが虹色に輝き、エールの手元へと飛んで行く

 

「「「「「ミライクリスタル・チアフル!」」」」」

 

チアフルをミライパッドにセットすると、更に輝きは増してアスパワワが最高潮に高まる

 

「本当の仲間とは何かを教えてくれたこと!」

 

「限界なんて無いと思わせてくれたこと!」

 

「ありのままのわたしを見てくれること!」

 

「自分でも知らなかった自分に気付かせてくれたこと!」

 

「一緒に過ごした時間が今を作る!今を頑張って輝く未来を!」

 

 

 

「「「「「メモリアルキュアクロック!チアフル!」」」」」

 

「「「「「ミライパッド・オープン!」」」」」

 

「「「「「プリキュア !チアフルスタイル!」」」」」

 

「「「「「メモリアルパワー!フルチャージ!」」」」」

 

「「「「「プリキュア!チアフル・アタック!」」」」」

 

 

「「モウヤメサセテモライマ〜ス」」

 

 

 

「あれが皆んなの新しい力。チヤフルスタイル」

 

「何ちゅう奇跡をお前らは見せてくれるんや!」

 

 

 

 

////////

 

チヤ部の発表会も無事終わり、はなとえりの仲も昔の様に取り戻す事が出来た

 

「チアフルは、これまでお前らが育んだ友情が生み出した絆のミライクリスタルやな」

 

「ねえ、皆んなで写真撮らない?何でもない写真。けど、今この瞬間はもう二度と無いから!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この瞬間を切り取った写真は、この先も消えること無く残り続く




ちょっと今回主人公目立たなかったYO!

ここまでの拝読ありがとうございます


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第34話 自分とは何か?クライアス社のスカウト

今回は何気に主人公にも触れて行きます

ではスタート


とある日

 

ビューティーハリーでTVで、人気上昇中であるツインラブの特集を皆んな揃って観ていた

 

「TVで紹介なんてすご〜い!」

 

「大勢の人に歌を聴いて貰えるなんて嬉しいものですね」

 

「もっと頑張って、色々な人に曲を──」

 

『ツインラブ?そんなに良いですか?』

 

折角気分の良い雰囲気に、水を差すコメントがTVから聴こえた

 

勿論、それを聞いたはな、えみる、ルールーの三人はTVの前で固まってしまった

 

『彼女達の曲はアイドルかロックなのか、な〜んか中途半端ですよね〜』

 

「そんな事ないと思うけど」

 

「うん」

 

「末代まで祟り呪ってやる…!」

 

「「待って待って!?」」

 

拓人が藁人形と釘にハンマーを持って出ようとする所を、さあやとほまれが必死になって止める

 

「わたしの曲は中途半端…」

 

えみるが気にしてる時、扉からパップルが飛び出した

 

「ツインラブに、若宮アンリ密着取材のお仕事よ〜!」

 

 

 

 

 

////////

 

そして密着取材の日

 

「ミライパッド・オープン!」

 

「「お仕事スイッチオン!」」

 

しかしスイッチが入っても、えみるはまだTVでの事を引き摺っておりテンションはダダ下がりだった

 

「めちょっく!このテンションでアナウンサー出来る!?」

 

「笑って〜スマイルよ〜!」

 

パップルも何とか励まそうとするのだがイマイチ効果は薄かった

 

「アイドルはスマイルなのです…!」

 

無理して笑顔を作ろうするえみるに、拓人を一言声を掛ける

 

「えみるちゃん、無理して笑わなくても良いんだよ。そういうのは、見てて辛いから」

 

「……」

 

 

 

結局、取材のアナウンサーはえみる達の代わりにはなとさあやが受け持つ事になった

 

「はな、さあや、ごめんなさい…」

 

「本当はわたし達のお仕事なのに…」

 

「良いんだよ。こういう時は助け合い」

 

「そうそう、それにやってみたかったんだよね。アナウンサーって、知的なわたしにピッタリだと思いませんこと?」

 

「はなちゃんは何でも似合うね。それに、なんでもやってみるチャレンジ精神。俺は好きだよ」

 

「えへへ、ありがとうございます!よ〜し、ノリノリでいっくぞ〜!」

 

 

 

取材は密着という事なので、練習風景も密着して、その後にほまれと共にインタビューを受けていた

 

「今後の目標は何ですか?」

 

「先ずは、フィギュアスケートワールドジュニアカップ。そしてその後も、僕は勝ち続けたい!」

 

 

「勝ち、続ける…」

 

 

「自分を貫く為には、勝ち続けなければならない」

 

アンリのインタビューでの受け答えに、えみるは自分と重ね合わせて益々不安の沼にハマっていく

 

そんな時、パップルが一言掛ける

 

「アンタの気持ちは分かるわ。けどね、人気者になるっていう事はそういう事なのよ」

 

「わたしは、ツインラブとしてもっと歌を届けたい。自分を貫く為に…」

 

えみるは両頬を叩いて気合いを入れ直した

 

「決めたのです!愛崎えみるは強くなるのです!」

 

インタビューの区切りもついた所で、えみるははな達と交代してアナウンサーをする事を決意した

 

「まあこれが大人の世界ってやつよ」

 

「ですね、確かに大人の世界は厳しい。まして、えみるちゃんはまだ小学生。有名になるのは少し早過ぎる様にも思えますが…」

 

えみるとルールーがアナウンサーとしてしてる間、拓人はパップルと話し合っていた

 

「そうかしら?今時の子供なら、子役として売れる子も沢山居るわよ?」

 

「パップルさんは面倒見が良いですね」

 

「アンタの過保護には負けるわ。まあ今は」

 

「そうですね、今は」

 

「「えみる(ちゃん)が心配」」

 

お仕事をするえみるを2人が見守っているが、目に見えて表情が硬く、またも無理して笑顔を作っていた

 

隣に居るルールーも、横目でだが心配の色をしていた

 

 

 

 

 

インタビューも終わり一息ついた所で、アンリは一人になりたいと言って表へ出て行った

 

そして何故だか、えみるはアンリの事を心配してこっそりと跡をつけて行った

 

一方でルールーもルールーで、えみるの事で悩んでいた

 

「ルールーちゃんどうしたの?えみるちゃんみたいにやっぱり気にしてる?」

 

「いえわたしは……わたしは、えみるの様に曲を作れない。才能ある彼女の悩みに寄り添うにはどうすれば……」

 

「えみるちゃんの事は、お兄さんである正人君以上に知っているつもりだよ。でもね、全部が全部知っている訳じゃないんだよ。悩みというのは相談すれば解決する事もある。だけど友達が、親友が側に居るだけ気持ちが吹っ切れて解決する事もあるんだよ」

 

「側に、居る…」

 

 

 

 

 

夕焼けの空の下

 

えみるとアンリは2人だけで話していた

 

それは、アンリがクライアス社へスカウトされた事をえみるが立ち聞きした事で、えみるはそれを必死に断る様説得していた

 

「クライアス社の言葉に耳を傾けてはダメなのです!悩みがあるなら、愛崎えみるに相談するのです!」

 

「じゃあ相談。僕って何者?」

 

「え…?」

 

「色々な噂、カテゴライズ、そこに真実があれば良いのに。全てを超越した存在。でも、声も低くなったし、背もドンドン伸びてる」

 

アンリの悩みは自身の身体に対するコンプレックス

 

しかし、話はこれだけに留まらなかった

 

「きっと拓人も同じだよ」

 

「拓人お兄さんも…?」

 

「僕の知ってる彼は少し前まで、抜け殻の様にしてるって風の噂で聞いたよ。そんな時、君達という存在が現れた。けれどきっと、そんな君達のお陰で拓人は気持ちを落ち着かせれたんだと思う」

 

急に話の話題を拓人へとすり替えた。これに何の意味があるのかえみるには分からなかった

 

「だけどね、拓人にとってそれが重荷になってるの気付いて無いの?」

 

「え、それってどういう…?」

 

「拓人も僕と同じだよ。訪れるその日をやり過ごそうと自分を追い込んでいる。彼は君達のお陰で辛うじて崩れてないだけ。だけどそれが彼を追い込んでいる。特にえみる、君から」

 

これ以上はマズイと思うがアンリの口は止まらない

 

「その期待する瞳、信頼を寄せる感情。そのプレッシャーが逆に彼を苦しませてる。そしていつか、愛想をつかれて君のことを───ッ!!」

 

流石にその先の言葉は口を閉じた。と言うよりは、無理矢理自分の手で閉じさせた

 

「…生きづらい時代だね。皆んな他人の事を気にしてる。一人になれば、何も気にしないで済むのかな?」

 

「わたしは、お兄様を抱きしめてくれたアンリさんにとても感謝しています」

 

「正人?」

 

「皆んなに期待されると、心がぎゅ〜となる事があります。けれどわたしは、誰かと一緒に居たいのです。誰かの為に歌を…『フレフレ!皆んな!フレフレ!わたし!』」

 

暗くなる空に向かってそう大声で叫ぶ

 

「わたしは、はな先輩のこの言葉が大好きなのです!」

 

「皆んな頑張れ、僕も頑張れ、か…」

 

「アンリさんにも教えて貰った事があります。それは、自分を愛することです!」

 

「…僕のじゃなくて自分の悩み解決してない?」

 

「え、あ!?」

 

いつの間か、アンリの悩み相談では無く自分の悩みを自己解決してる事に気付いた

 

「アンリ!えみる!」

 

そこへ、2人を迎えに来たルールーと正人が走って駆け寄る

 

「のわっ!?もうルールービックリしましたよ〜」

 

「表情が柔らかくなりましたね」

 

「わたし、大切な事を忘れてました。ルールーが好きと言ってくれれば、それだけで無敵なのですね」

 

 

 

 

 

////////

 

アンリのアイスショー当日

 

その日は、はなとさあやがアナウンサー、ほまれが解説役を担当とし、残った拓人達は観客席でアンリのショーを見守っていた

 

「綺麗ですね…!」

 

「そうだね。えみるちゃんとの話で何か変われたのかも」

 

拓人が隣に座るえみるに微笑むと、えみるもそれに返して笑ってくれた

 

ショーは順調……とは行かないものだった

 

途中、何かしらのトラブルで音楽が止まってしまったのだ

 

「どないしたんや!?」

 

「音響トラブル…どうするアンリ君」

 

音楽が無い状態でどう続けるか考えたが、答えはすぐ隣にあった

 

えみるがその場に立ち、ギターを弾いて歌い出した。続く様にルールーも寄り添う様にえみると共に音楽を掻き鳴らす

 

それを聴いたアンリも滑り出した

 

「ツインラブとアンリ君のコラボ。会場に良いハーモニーが奏でられている」

 

アンリは、このピンチを瞬く間にチャンスへと変えた。

ショーは先程まで以上に盛り上がりを見せる

 

曲が終わると同時にアンリが最後を決めて終わりかと思われたが、その直後に猛オシマイダーが乱入して来たのだ

 

「猛オシマイダー!」

 

猛オシマイダーはアンリを連れ去って会場の外へ逃げて行った

 

 

 

「「「「「ミライクリスタル!ハートキラっと!」」」」」

 

 

「「「輝く未来を抱きしめて!」」」

 

「みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

 

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

 

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

 

「「みんな大好き!愛のプリキュア!」」

 

「キュアマシェリ!」

 

「キュアアムール!」

 

 

「「「「「HUGっとプリキュア!」」」」」

 

 

 

「ハァァ!!」

 

エールが飛ぶ猛オシマイダーを蹴りつけて、体勢を崩させる

 

「アンリ君!」

 

「僕、またこのポジション何だけど…」

 

「意外と余裕そうだね!──ミライクリスタルセット!」

 

拓人はクロノスタクトに、ミライクリスタル・ルージュをセットした

 

「止まれ!」

 

猛オシマイダーの動きが完全に止まり

 

「「やぁぁ!!」」

 

そこへマシェリとアムールの同時攻撃で、猛オシマイダーを地面に叩き付けた

 

「意外と乱暴なんだね……っ!?」

 

猛オシマイダーが地面に叩き付けられた拍子に、アンリが抜け出す事が出来たがそれも束の間。

アンリを取り囲む様に鉄棍が幾つも地面に突き刺さり、逃げ場を無くした

 

「アンリさん!!」

 

「アイツは…リストル!」

 

鉄棍を投げた人物はリストルだった

 

「スカウトの件考えて頂けましたか?我々には時間が無い。君と同じ様にね。返事は?」

 

「……断る。確かに、生きる事が辛い時もある。僕は捻くれてるし、誰かの為に頑張るなんて出来ない。でも、フレフレ!プリキュア !輝く未来を僕達に!」

 

どうやらリストルはアンリをスカウトしようと現れたが、アンリがそれを断り失敗に終わった

 

そして自分達の未来をプリキュア 達皆んなに託した

 

「アムールロックンロール!」

 

アムールの技がリストルを遠ざけ、猛オシマイダーを撹乱させる

 

「マシェリポップン!」

 

マシェリがアンリの周りにある鉄棍を打ち消した

 

「今です!」

 

 

 

「「「「「メモリアルキュアクロック!チアフル!」」」」」

 

「「「「「ミライパッド・オープン!」」」」」

 

「「「「「プリキュア !チアフルスタイル!」」」」」

 

「「「「「メモリアルパワー!フルチャージ!」」」」」

 

「「「「「プリキュア!チアフル・アタック!」」」」」

 

 

「モウヤメサセテモライマ〜ス」

 

 

 

 

 

////////

 

ショーも全て最後まで無事終わり、夕焼けの空の下での帰り道

 

「わたし分かりました。わたしはわたしの未来を信じ、愛するのです!」

 

「うんうん、アイドルでもロックでも無い。それがツインラブでしょ!」

 

「ツインラブの音楽で、世界を目指すのです!ルールー!」

 

えみるはルールーの手を握り笑顔でこう言った

 

「いつまでも一緒ですよ!」

 

「はい!ずっとえみるの側に居ます!」

 

「良かったねえみるちゃん!」

 

「はい!拓人お兄さんも──」

 

 

『──だけどそれが彼を追い込んでいる。特にえみる、君から』

 

『──そのプレッシャーが逆に彼を苦しませてる。そしていつか、愛想をつかれて君のことを』

 

 

「えみるちゃん?」

 

「え?あ、何でもないのです!」

 

えみるはアンリから言われた言葉を思い出すがすぐに振り払い、もう片方の手で拓人の手を握る

 

(もし、例えそうだとしても…わたしは最後まで拓人お兄さんの隣に居たいのです)

 

 

 

 

 

////////

 

「人材確保は失敗か…」

 

「はい。プリキュア と彼との間には、絆が芽生えている様です」

 

「自身に満ちる王子の瞳、輝きが曇る前に救いたかった…」

 

アンリをクライアス社に引き込む事が叶わず、ジョージは落胆としていた

 

「ですがまだ候補はいます」

 

「彼か」

 

「はい、彼に関しては全て奏音に任せています。ですが、未だに準備に手間が掛かっている様です」

 

「構わないよ。彼には彼なりのやり方があるから」

 

ジョージは分厚い本を開く

 

「彼もまた、この時代において救わなければならない人物。彼女と同じく、未来が彼を壊す前に────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──音宮拓人」




休みの間に物語進めなくちゃ!

ここまでの拝読ありがとうございました


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第35話 輝く命、産まれる命

読んでくださる人には分かると思いますが、ここ最近割愛しがちが多くなっています。
理由としては、前までのペースで書き上げるとなりますと絶対終わらないと思ったからです。
ですので、今この小説の方向性としては何が何でも完結まで持って行こうと考えでおります。
そこまで物語に影響しないだろうという部分だけ割愛してる所存です。

長々となりましたスタートです


「到着!」

 

今日は、さあやの役作り向上の為にいつの日か訪れた病院へと来ていた

 

「あの時の先生にもう一度お話を聞いてみたくて」

 

あの時の先生というのは、内富士の出産の担当医をしていたマキという人物にだ

 

話の準備が出来るまで、拓人達は産婦人科前で喋りながら待っていると、そこへ一人の幼い女の子が此方へ来た

 

「病院は静かにして下さい」

 

「はい、ごめんなさい」

 

はなが謝ったのを確認すると、女の子は何処かへ歩いて行った

 

「…」

 

「さあやちゃん、あの子気になるの?」

 

「え、あはい…」

 

「あ、先生が呼んでるよ」

 

さあやは気になってその子の背中を見ていたが、丁度マキの用事が終わったらしく他の先生から呼び出されて案内して貰った

 

「すみれさんから伺っているよ。話を聞きたい、それだけで良いのかい?」

 

「え?」

 

「命が産まれる場所に、遊び半分で来た訳じゃないでしょう?」

 

「も、勿論です!」

 

「なら皆んな着替えて来て。産婦人科以外の診療所にも、研修出来る様話を通してあげるから」

 

マキの計らいにより、さあやとルールーは産婦人科、はなとえみるは小児科、ほまれは整形外科と三手に分かれた

 

拓人も産婦人科だが、厳密には2人のフォローをするという名目で勉強もしつつ見守る事となった

 

 

 

 

 

研修は話を聞いただけでは知らない体験が多く、学べる事が多くあった

 

「産科のお仕事って、産まれる時だけじゃないんですね」

 

「お腹に赤ちゃんが出来た時からお母さんは始まってる。お母さん達には分からない事が沢山あるの。だから、10ヶ月掛けてお母さんになる準備をして行く」

 

「よく分かりません。赤ちゃんを愛しいと思う気持ちは分かります。でも、まだ見えない赤ちゃんを愛しく思えるのが…」

 

ルールーには、目の前に存在しないモノにどうしてそこまでの気持ちが湧くのか不思議でいた

 

「お母さんはね、赤ちゃんをいつも全身で感じているのよ」

 

「やはり、現場に立ち会っている人から聞く話は勉強になります。相手の気持ちに寄り添いながらは大変ですが、気持ち良いです」

 

マキの話をメモをしながら拓人は感心していた

 

「そう、君だっていつかはこういう日が来るから学べる事はしっかり学ぶ事ね」

 

「え?俺が?」

 

女性でも無い拓人からすればほぼ無縁なのだが

 

「君だって将来結婚して、奥さんに赤ちゃんが産まれるとなったら、今日の知識が役に立つと思うけど?」

 

「なるほど結婚か…」

 

拓人はふとルールーの方へと顔を向ける

 

「「ッ!」」

 

その時、偶々ルールーと目が合い2人して顔を背けた

 

「さぁ、見送りするから付いて来て」

 

マキに言われて正面出入り口まで、ついて行く

 

そこで見送りした後、さあやは少し前に注意をした女の子を発見した

 

「拓人さん、ちょっとお願いしてもいいですか?」

 

「うん、行っておいで」

 

さあやはその女の子の所に行って声を掛けた

 

「こんにちは、わたしは薬師寺さあや。お医者さんのお手伝いをしてるの」

 

「川上あや…」

 

「あやちゃんって言うんだ!」

 

お互いに自己紹介が終わった所で、あやはマキの存在に気付いて駆け寄る

 

「あやちゃん?」

 

「今日はお母さん宜しくお願いします」

 

マキが軽く受け答えした後、入れ違いであやのお父さんの姿が見えた

 

「マキ先生にお願いしたの。ママの部屋に行ってくるね」

 

あやもお母さんの部屋に行った後を見計らって、ルールーはあやが頼んだ内容を聞いてみた

 

「彼女のお母さん、今日何かあるのですか?」

 

「帝王切開で赤ちゃんを産むんです。あやちゃんの弟を」

 

「帝王切開って言えば手術ですね」

 

 

 

場所は変わり、さあや達はあやのお母さんの赤ちゃんの様子を伺う為にエコー検査を見学していた

 

その際、さあやはあやの背中が気になり、また声を掛ける事にした

 

「赤ちゃん楽しみだね」

 

「うん…」

 

「ママを応援したあげようね」

 

「うん…あや、お姉ちゃんになるから…」

 

しかしまだ浮かない表情。そしてさあやはある事に気付いた。

あやが手に持つ絵本が逆さまの事に

 

そのまま覗こうとしると

 

「本、逆さまです」

 

「え、あ痛!?」

 

後ろからルールーが突然声を掛けたせいで、さあやは覗こうとした体制から崩れてベンチに顔をぶつけた

 

「あはは、失礼しました〜!」

 

「大丈夫?」

 

 

 

 

 

////////

 

その後も皆んな、それぞれ研修で上手く行く人もいれば行かない人と奮闘していた

 

そして休憩時間の時、さあやは溜め息をついていた

 

「はぁ…」

 

「溜め息はダメだよ」

 

「ひゃう!?」

 

さあやの頬に冷たい缶ジュースを押し当てる

 

「あやちゃんのかな?」

 

「はい…」

 

「う〜ん…俺が言って余計困らすのも悪いけど、俺の推測話でも一応聞く?」

 

「是非!」

 

「俺が思うに、あやちゃんはお母さんを盗られると思ってるんじゃないかな?」

 

拓人の言葉にさあやは不思議に思う。自分の母親なのに、何故産まれて来る赤ちゃんに盗られるのか

 

「分かんないって顔だね。どの親も、産まれて来る赤ちゃんに皆全力で愛情を注ぐ。しかし、それが二人目、三人目と産まれて来たら一番年上の子はどう思うかな?」

 

「自分に来る愛情が他の子に移って…っ!」

 

「それもあるけど、あやちゃんの場合は違う。あやちゃんと良く話していたのはさあやちゃんだけ」

 

 

『──あや、お姉ちゃんになるから…』

 

 

「だからあやちゃんはあの時…」

 

何か答えが分かったさあやは、一人ブツブツと口を動かす

 

そしてさあやは立ち上がり、拓人に一礼する

 

「拓人さんありがとうございます!」

 

さあやは何処かへと走って行った。恐らくはあやちゃんの所へ向かって行ったのだろう

 

「あ、拓人さん!」

 

さあやと入れ違いではながやって来た

 

「お疲れ様。休憩?」

 

「はい!もう困りましたよ〜。皆んなわたしの事を『はな、はな』って呼ぶんですよ〜」

 

「なら、いっぱい頑張ったはなちゃんに飲み物買って来るよ。何が良い?」

 

「本当ですか!?でしたら一緒に行きます!」

 

 

 

 

 

////////

 

その後、さあやはあやと手を繋いで戻って来た

 

その後、手術の為あやのお母さんの病室で行く途中

 

「「ッ!!」」

 

さあやとルールーは何か感じ取り振り返る

 

「2人共?」

 

「拓人さん来ます!」

 

「拓人来ますよ!」

 

 

 

 

 

「「「「「ミライクリスタル!ハートキラっと!」」」」」

 

 

「「「輝く未来を抱きしめて!」」」

 

「みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

 

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

 

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

 

「「みんな大好き!愛のプリキュア!」」

 

「キュアマシェリ!」

 

「キュアアムール!」

 

 

「「「「「HUGっとプリキュア!」」」」」

 

 

 

猛オシマイダーを発注した人物は、トラウムだった。

そして猛オシマイダーも以前と酷似した奴だ

 

「また騒ぎを起こしに来たのね!」

 

「君達こそ何で居るの!?てゆ〜か今回、私ちゃんと考えてきてる」

 

トラウムはボタンを押すと

 

「猛オシマイダー」

 

先程まで機械音でうるさかった猛オシマイダーが、急に静かになったのだ

 

「猛オシマイダー騒音対策仕様です。折角こういうメカ用意したのに、こんなに離れちゃ意味が無いじゃないですか!!」

 

トラウムの言う様に、折角騒音対策をしたのにも関わらず、病院との距離が遠くて騒音対策が意味をなさなくなった

 

「猛オシマイダー!!」

 

「「「「「ハァァ!!」」」」」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「────ッ!」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「よし視えた!」

 

拓人はミライクリスタル・ハーモニーの力で、猛オシマイダーの未来を読み取った

 

「アンジュ!」

 

拓人の指示で、猛オシマイダーのドリル攻撃を避けつつ、アスパワワが籠った一撃を叩き込んだ

 

「何のこれしき!」

 

「猛オシマイダー!!」

 

吹き飛ばされる空中で体制を立て直し、ドリルをひとつにして突撃して来る

 

「フェザー・ブラスト!」

 

しかしそれを、アンジュは真正面から受けて立った

 

「あやちゃん達の邪魔はさせない!!」

 

アンジュの気合いの入った攻撃が、猛オシマイダーを力で押し返した

 

「皆んな!」

 

 

 

「「「「「メモリアルキュアクロック!チアフル!」」」」」

 

「「「「「ミライパッド・オープン!」」」」」

 

「「「「「プリキュア !チアフルスタイル!」」」」」

 

「「「「「メモリアルパワー!フルチャージ!」」」」」

 

「「「「「プリキュア!チアフル・アタック!」」」」」

 

 

「モウヤメサセテモライマ〜ス」

 

 

 

「はぁ〜強いね。全く、私にも時間を操る力が有れば……あ、閃いちゃった!」

 

 

 

 

 

////////

 

その後、帝王切開での出産は成功した

 

「勉強になりました。医者は、お母さんや患者さんに寄り添う事が大切だって。愛情や想いが、家族からお母さんに伝わって、その子供から新しい命にずっと伝わって行くんですね」

 

「ええ、貴女があやちゃんに向けた思いやりもね」

 

その時、マキの背後の自動扉が開いたと思ったら、あやがそこに立っていた

 

「さあや先生!」

 

「え、先生?違うの違うの!わたしはね──」

 

「さあや先生!遊んでくれてありがとう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さあやは役としての勉強だけでは無く、医者という仕事について素晴らしいものだと感じ取った、そんな日だった




次回はオリ回です

ここまでの拝読ありがとうございました


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第36話 明日へ進む為の時間

ではスタート


「ここを止めてっと…!」

 

「ありがとうございます」

 

はな達は今、いつも身に付けているブレスレットの修理をしていた

 

「拓人さんもどうですか?一緒にお揃い!」

 

「遠慮しておくよ。それは君達5人の友情の証みたいな物だから」

 

拓人は窓の外を眺めて深呼吸する

 

「うん、今日も平和だ。今日は一体どんな輝く未来に出会うかな?」

 

そう口した時、ビューティーハリーの近くで大きな物音がした

 

皆んな慌てて外へ出ると、そこには巨大なパワードスーツを装着したトラウムが佇んでいた

 

「ドクター・トラウム」

 

「今日はこのパワードスーツを着て、私自身が相手をするよ〜!」

 

「姿が変わっても俺達は負けない!皆んな!」

 

 

 

「「「「「ミライクリスタル!ハートキラっと!」」」」」

 

 

「「「輝く未来を抱きしめて!」」」

 

「みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

 

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

 

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

 

「「みんな大好き!愛のプリキュア!」」

 

「キュアマシェリ!」

 

「キュアアムール!」

 

 

「「「「「HUGっとプリキュア!」」」」」

 

 

 

「「「ハァァ!!」」」

 

エール、アンジュ、エトワールが同時に仕掛けたが、体制を崩した程度で大したダメージが入らなかった

 

「痛った〜い!」

 

「ふふん、結構頑丈に作ったからね。そう簡単に壊れはしないよ」

 

「デュアルクラリネット!ハァ!」

 

背後から近付き、デュアルクラリネットで突き刺すが簡単に槍先が折れてしまった

 

「硬い!」

 

「今度はこっちから行くよ!」

 

パワードスーツの銃口が向けられ乱射する

 

「ハート・フェザー!」

 

「プリズムシンバル!」

 

アンジュがエール、拓人はエトワールの盾になったが糸も容易く破られる

 

「キャア!」

 

「うぐっ!」

 

「がはははのは〜!」

 

「マシェリ!」

 

「はい!」

 

ビームの嵐の中を、マシェリとアムールが掻い潜りながら懐へ潜り込んだ

 

「「やあぁ!!」」

 

2人でスーツの銃口を跳ね上げて攻撃の嵐を止めた

 

「拓人さん!」

 

エールからミライクリスタル・ローズを受け取る

 

「同時に行くよ!」

 

エール達もメロディソードを構える

 

「チューバズーカ!──フェアリーズ・オラトリオ!」

 

「フラワーシュート!」

 

「フェザーブラスト!」

 

「スタースラッシュ!」

 

4人の同時攻撃が直撃し、流石のパワードスーツに亀裂が走る

 

「今だよ皆んな!」

 

 

 

「「「「「メモリアルキュアクロック!チアフル!」」」」」

 

「「「「「プリキュア!チアフル・アタック!」」」」」

 

 

 

「スーツが無ければ退職していた!!」

 

浄化までとはいかなかったが、パワードスーツは完全にボロボロと化した

 

「スーツの機動力−99%。戦闘不能。もうやめましょうドクタートラウム」

 

「とんだ計算ミスだなルールー」

 

トラウムは自ら銃口を向けて、スーツに放った

 

「リバース・ザ・タイム!」

 

特殊なビームを浴びたパワードスーツは、瞬く間に元の形へと戻っていく

 

「どんなに壊れようと完全回復。時を操るこの装置があれば無敵!!」

 

トラウムのパワードスーツを、少し前の時間まで戻して完全復活を遂げた

 

「時間を操るなんて…」

 

「このアイディアは拓人、君から頂いたものだよ。君が使う時を戻す、止める能力をこのスーツに搭載したんだよ」

 

「ですが、強力な力を使うにはそれ相応のエネルギーが必要とします。何度でも壊せば──」

 

「ルールー甘いな。このスーツの動力源はトゲパワワ。そしてそのトゲパワワは、周囲のアスパワワを変化させて補給してるんだよ」

 

つまり、トゲパワワを補充し続ければ理論上、トラウムのパワードスーツを壊せない

 

そしてそのトゲパワワは半永久機関としての役割りをしている

 

「よって、私を倒す事は不可能!」

 

スーツの足裏から火が噴く。ブーストでスピードに乗ったトラウムは、そのまま突撃して来る

 

「「キャア!!」」

 

「アンジュ!エトワール!」

 

攻撃を食らったアンジュとエトワールは、倒れ変身まで解けてしまった

 

「止めるのです…キャア!」

 

「マシェリ!」

 

トラウムは一直線に向かって拓人へと突き進む

 

「クロノス──」

 

「拓人!」

 

「アムール!?」

 

拓人が迎え撃とうとする時、アムールが拓人の前に出る

 

だがそれが隙を作る原因となり、突撃するパワードスーツの餌食となってしまった

 

地面を抉りながら引き倒した2人は、気絶してお互いに抱きしめる様に倒れていた

 

「さてと、今回用事があるのは拓人だけなの」

 

トラウムは、器用にアムールを引き剥がして拓人を捕らえた

 

「んじゃね〜!」

 

「待って!」

 

連れ去って行くトラウムをエールが、ジャンプして掴もうとするも手が届かず逃してしまった

 

「拓人さん…あ、そうだ皆んな!」

 

 

 

 

 

////////

 

「さ〜て」

 

拓人を掴んだ手は固定しままで、トラウムは一時的にスーツから外へ出た

 

「くぅ…ぅ…」

 

「おや、もう気付いたのかね?流石若者だね〜羨ましいよ」

 

「俺を連れ去って何が目的何ですか…?」

 

トラウムは軽い足取りで拓人へと近付き、シルクハットを深く被り直す

 

「むかしむかしある所に、女の子のアンドロイドと一人の青年が居ました」

 

突然の昔話を聞かされる羽目に拓人は唖然としてしまう

 

「そのアンドロイドはどうしようもなく手に負えない子だったが、その青年がアンドロイドの女の子と近付きたくて音楽を聴かせることにしたのです。音楽を聴いたアンドロイドは、なんとその青年に心を許して始めるのです」

 

「そのアンドロイドと青年ってもしかして…」

 

「しかし、その青年は以前から音楽に悩まされて、内に秘めていたものが抑え切れず自ら命を絶ったのです。取り残されたアンドロイドは、只々その様子を見る事しか叶わなかったのでした。お終い」

 

「意外と短いお話でしたね…」

 

「細かく話してると時間掛かっちゃうからね〜。そこは割愛させて貰ったよ。そのお陰ほら、話の途中で邪魔者が乱入する事態は無くなった」

 

トラウムは横目で見ると、追い付いて来たエール達の姿があった

 

「皆んな…」

 

「ドクタートラウム!拓人を離して下さい!!」

 

「それを素直に聞く悪党が何処にいるのかな?」

 

「でしたら!」

 

アムール一人が飛び出して、拓人を拘束する腕を蹴り飛ばして解放させた

 

「拓人!」

 

アムールは拓人を抱っこして着地した

 

「あ、ありがとう」

 

トラウムは急いでパワードスーツを装着して戦闘体勢へと変える

 

「随分としつこいね!」

 

時間を戻す光線を今度はエール達へと向けて発射するが、拓人が庇う様にしてクロノスタクトで受け止めた

 

「くぅ…時間を戻せたらどんなにいいことかよく分かるよ。失敗しても、後悔してもやり直せるから。でも!それから逃げたら意味が無い!それを受け止めて、より良い明日を作る!輝く未来を!!」

 

クロノスタクトから溢れ出るアスパワワで、トラウムの光線を打ち消した

 

そして拓人はエール達へと振り返る

 

「俺は想いを言う事しか出来ない。だから、俺の分まで皆んなに託す!」

 

クロノスタクトを掲げると、アスパワワは皆んなに降り注ぐ

 

そして、エール達皆んなの右手首にあるブレスレットが変化をもたらした

 

それはミライクリスタルと同形状のブレスレット「プリキュア ミライブレス」へとなった

 

「押し付ける様になったけど任せても良いかな?」

 

「はい、任せて下さい!皆んな!」

 

「「「「「ハァッ!」」」」」

 

エール達ミライブレスを前へ突き出すと、アスパワワが放出され銃口を破壊した

 

これでもう時間を巻き戻す事は出来なくなった

 

 

 

「「「「「メモリアルキュアクロック!チアフル!」」」」」

 

「「「「「ミライパッド・オープン!」」」」」

 

「「「「「プリキュア !チアフルスタイル!」」」」」

 

「「「「「メモリアルパワー!フルチャージ!」」」」」

 

「「「「「プリキュア!チアフル・アタック!」」」」」

 

 

 

今度こそパワードスーツは完全に破壊に成功した

 

そして

 

 

 

「此処は…?」

 

プリキュア の浄化技を受けたトラウムは、ある記憶の映像が目の前に映し出される

 

「これは過ぎ去った時間」

 

映像に映るのはトラウム自身、そして今とは少し違うルールー、そしてルールーの隣で手を繋ぐ青年の姿が

 

「戻りたいものだ…」

 

「時は戻りません」

 

トラウムの後ろにルールーが立っていた

 

「ですが、明日は来ます」

 

「そうだな。すまなかった…」

 

「いつかまた、お会いしましょう」

 

 

 

 

 

////////

 

「大変だったね」

 

「全くです。拓人が連れ去られた時はどうなるかと思いました」

 

「あはは、ごめんなさい…」

 

「ですが、無事で良かったです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

拓人に向けるルールーの笑顔は、一際輝いて見えた




ここまでの拝読ありがとうございました


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第37話 突然の招待、みんなでトゥモロー!

パンパカパン!

ではスタート!


「たんたん!」

 

「はぐたん上手上手〜!」

 

ビューティーハリーでいつもの様に集まる拓人達

 

そこでは、はぐたんがタンバリンを持ってリズムに乗ってダンスをしていた

 

「てんきゅ〜!」

 

「毎日、はぐたんは大きくなっとる。皆んなのお陰や」

 

「どうしたの?急に改まって」

 

「……」

 

ハリーが押し黙ってる時、そこへえみるとルールーがパンケーキを焼いて持って来た

 

「おやつの時間なのです!」

 

「ホットケーキです!」

 

ホットケーキという割に、少しボリューミーな量だった

 

「じゃあいただきま〜す!」

 

はなが先に戴くが

 

「メガめちょっく!!」

 

「レシピ通り作ったのですが」

 

「もうはなちゃん大袈裟だね。はむっ」

 

今度は拓人が食してみるが、みるみる内に顔色を悪くしていく

 

「た、拓人さん?」

 

「お、美味しいよ…も、もっと食べたい……」

 

そして机に突っ伏して動かなくなってしまった

 

「拓人お兄さん!?」

 

その時だった。

急に周りの空間にノイズが走り出したのだ

 

「異常発生!」

 

「なんちゅもん作っとんや!」

 

「そんな筈ないのです!」

 

ノイズは激しくなり、最終的に目の前が真っ暗になった

 

 

 

 

 

////////

 

「此処は何処なんだろう?」

 

気がつくと、何処かの空き地へと放り出されていた

 

「どういう事や…?」

 

「ハリーどうしましたか?」

 

「此処は俺の故郷ハリハリ地区や…」

 

 

 

取り敢えず状況を整理する為にハリーから詳しく聞く事になった

 

「ハリーって未来から来たんだよね?」

 

「という事は此処は未来?」

 

「分析が必要。未来は、クライアス社によって時間を停止されてる筈」

 

「も、もしかしてクライアス社の手から逃れたとか?」

 

「拓人さん本当に大丈夫ですか?」

 

「うん…あ、待って」

 

拓人は、さあやの手を借りて別の場所で落ち着く事となった

 

「いや、それは考えられへん…」

 

ハリーはこの光景に不信感を否めないでいた

 

もう少しこの世界での情報が欲しいと考えてると、何処からとも無く風が巻き起こった

 

「めちょっく!」

 

「凄い力を感じる…皆んな変身するんだ!」

 

「は、はい!」

 

 

 

「「「「「ミライクリスタル!ハートキラっと!」」」」」

 

 

「「「輝く未来を抱きしめて!」」」

 

「みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

 

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

 

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

 

「「みんな大好き!愛のプリキュア!」」

 

「キュアマシェリ!」

 

「キュアアムール!」

 

 

「「「「「HUGっとプリキュア!」」」」」

 

 

 

「この風不自然なのです!」

 

「気を付けて!何か来るわ!」

 

風は更に強くなり、竜巻きとなって皆んなを呑み込んでしまった

 

「何や!?」

 

風が収まると、残ったのはハリーとはぐたんのみ。

そして目の前には

 

「リストル!?プリキュア 達は!?」

 

「ドクタートラウム特製の無限迷路。少々ファンシーになってしまったのは彼の趣味です」

 

プリキュア や拓人は今別の空間へと飛ばされてる。そこから脱出するのも難しいと考える

 

「ハリー、これ以上クライアス社に逆らうのはやめなさい。強大な力に抗っても無意味。お前もよく知っているだろ。ミライクリスタル・ホワイトを寄越せ」

 

「嫌や!俺は諦めへん!」

 

「あきらめない!」

 

ハリーとリストル。2人の意地のぶつかり合いが始まった

 

 

 

 

 

一方で拓人やプリキュア 達は、無限迷路に脱出を図ろうとするも出口が分からず苦悩していた

 

 

「此処何処!?めちょっく!」

 

 

「エトワールこっち!」

 

「あれ?アンジュ何処?」

 

 

「マシェリ待っていて下さい!」

 

「わたしも動きます!その方が早いのです!」

 

「「あれ?」」

 

 

「駄目だ、壁らしい壁が無い。これじゃあ出ようにも…」

 

何をしようとしても無駄。帰る手段が無い

 

それでも必死に抗い続け、その先にある光りを見た

 

何処からともなくタンバリンの音が聴こえる

 

「タンバリン?」

 

「このリズムはぐたん?」

 

「発生場所分析……あそこです!」

 

アムールが指し示す場所は、この空間の一番天辺に位置する場所

 

「はぐたーーん!!」

 

エールがそこへ拳を振るうと空間に壁がある事が分かった

 

「エールに続くんだ!」

 

一人、また一人と空間へと拳を打ち付けると亀裂が入り、遂に砕く事が出来た

 

 

 

 

 

「はぐたーーーん!!」

 

「何故!?」

 

リストルがもう一歩の所で、何とか間に合った

 

「壁があるなら壊す。ハリーをいじめるな。はぐたんを泣かせるな!」

 

「それは誤解ですね。私は真実を伝えようとしただけ」

 

リストルが指を鳴らすと、辺りの風景が一転する

 

色鮮やかだったものが一瞬でモノクロへと変わり、荒廃した世界へと化ける

 

「これが、貴女達が守ろうとしてるいる未来ですよ」

 

「これが、わたし達の未来…?」

 

荒廃してみるも無惨になってはいるが、確かにそこは皆が住んでいるはぐくみ市

 

街だけでは無い。人も、空も、大地も、海も何もかも時間が止められている

 

そして充満するのはアスパワワでは無くトゲパワワ

 

 

「発注!猛オシマイダー!」

 

 

「猛オシマイダー!」

 

「やぁ!」

 

リストルが猛オシマイダーを生み出したが、即座にエールは蹴りを入れる

 

しかし、エールの攻撃が全く効いていなかった

 

「パワーが増しています!」

 

「それなら連携で行くまで!」

 

拓人はクロノスタクトにミライクリスタルをセットする

 

どんなにパワーが上がっても、未来視で対応すれば勝てると踏み込む

 

「これで未来が…がっ!?」

 

未来視の力を使った時、拓人の目の前にノイズが走り、激しい頭痛が襲う

 

「な、何だ!?」

 

「トゲパワワが充満するこの場所で、未来視は通用しません」

 

力を阻害してるのはトゲパワワ。

そのせいで逆に拓人を苦しめる事となった

 

「拓人ばかり頼ってたらダメ!行くよ皆んな!」

 

エトワールの掛け声で、エール含め一斉に攻撃を仕掛ける

 

「猛オシマイダー!!」

 

「「「「「キャアッ!」」」」」

 

だが、いつも以上に強くなってる猛オシマイダーに跳ね除けられる

 

「まだ分からないのかハリー?強大な力の前では我々は無力なのだ!」

 

「ッ!」

 

「お前は本当は知ってる筈だ!小さな力を必死に合わせたとしても、強大な力に勝つ事は出来ない!!」

 

ハリーやリストルとの過去。それは誰にも想像がつかないもの

 

弱者は無力と化し、強者が何もかも奪っていく

 

その先に未来など、明日など無い

 

「そんな夢が叶うなら、俺達の故郷は滅びる事は無かった」

 

「ウワァァァァァッッ!!」

 

思い出したくも無いモノを呼び戻され、そしてその傷を抉る言葉にハリーの精神はもう

 

「フレフレ!ハリー!」

 

「…拓人?」

 

「俺達は、プリキュア は諦めない!」

 

「っ!」

 

「この先どんな未来が待ち受けようと、俺達の未来は俺達が掴んで描くんだ!」

 

「猛オシマイダー!!」

 

水を差す様に、猛オシマイダーが仕掛けるがエールがガードする

 

それに続きアンジュ、エトワールと連携して動きを封じ込める

 

「ハリー、例えクライアス社に力を貸した過去があったとしても未来は変わる!」

 

「大切なのは今のハリーの心なのです!」

 

トドメにマシェリとアムールの同時攻撃が決まり、強力な猛オシマイダーを地面に沈める事が出来た

 

「そや、俺は未来を信じるって決めたんや。仲間を信じて手を取り合えば奇跡は起きる。それを、お前らが教えてくれた!フレフレ!プリキュア !」

 

「その思い受け止めた!」

 

猛オシマイダーの背後、拓人が大きくジャンプして上を陣取った

 

「拓人お兄さん!」

 

マシェリからミライクリスタル・ルージュを受け取り、そのままクロノスタクトにセットした

 

「止まれ!」

 

クロノスタクトから出されたオーラの波が、猛オシマイダーの動きを止めた

 

 

 

「フレフレ!ハート・フォー・ユー!」

 

 

「モウヤメサセテモライマ〜ス」

 

 

 

「戯言を」

 

猛オシマイダーを浄化して終わったかと思いきや、リストルがハリーの背後に接近してはぐたんも一緒にのびのびタワーまで連れ去った

 

「「エール!」」

 

「うん!」

 

「フェザーブラスト!」

 

「スタースラッシュ!」

 

フェザーブラストとスタースラッシュが合体し、その上にエールが飛び乗ってタワーまで接近した

 

「お前が望む様な未来は叶わない」

 

「それはやってみなくちゃ分からない!」

 

「子供が分かった様な事を言うな!!」

 

リストルは鉄棍の長さを上手く使って攻撃するも、エールはそれをアクロバットに避ける

 

「大人とか子供とか関係無い!貴方にも明日はある!」

 

「俺は、明日など要らない!!」

 

 

 

「エール!受け取って!!」

 

 

 

「ッ!」

 

地上からクロノスタクトがエール目掛けて飛んでいき、それをキャッチして鍔迫り合いに持ち込んだ

 

「グゥ…!」

 

「舐めるな!!」

 

「うわっ!?」

 

だがリストルは、それを力で押し除けて壁際まで吹き飛ばした

 

「ただ絶望する為の未来など要らない」

 

「そうだね。だから、未来は素敵なモノにしなくちゃね」

 

「はぎゅ…!」

 

「はぐたんがダンス出来る様になったり、大きくなってお喋りする事が増えたり。それが未来!だから、未来はとっても愛おしいものなんだ!」

 

「ば〜ぶ〜!!」

 

はぐたんの持つミライクリスタル・ホワイトが極限にまで光り輝き、煌びやかな巨大な女神が顕現した

 

「あれは…マザー!?」

 

そしてホワイトは、新たなるミライクリスタル「ミライクリスタル・マザーハート」へと生まれ変わった

 

「ミライクリスタルが!」

 

 

 

「「「「「メモリアルキュアクロック!マザーハート!」」」」」

 

「「「「「ミライパッド・オープン!」」」」」

 

「「「「「HUGっとプリキュア!今ここに!」」」」」

 

 

「ワン・フォー・オール!」

 

「オール・フォー・ワン!」

 

「ウィーアー!」

 

「プリーキュアー!」

 

「明日にエールを!」

 

「「「「「ゴーファイ!みんなでトゥモロー!」」」」」

 

 

「明日…俺の願う明日……」

 

 

 

 

 

////////

 

「戻って来られたのです!」

 

浄化が終わると、いつの間にかビューティーハリーに戻っていた

 

「ハリー大丈夫?」

 

「…俺は、お前らに話さんといかん事がある。あのな──」

 

ハリーが何か喋ろうとした時、ビューティーハリーの扉が開いた

 

「いらっしゃいませ……あっ!」

 

「呼ばれてないけどジャジャジャジャ〜ン!皆んなお待たせ、噂の天才科学者ドクタートラウムだよ〜!」

 

訪ねて来た人は意外にもドクタートラウムだった

 

皆んな何事かと思いキョトンとする中、ルールーだけは少々不機嫌だった

 

「何の用です?」

 

「ルールー君に会いに来たんだ。ルールーちゃん、お父さんだよ〜!」

 

飛び付くトラウムだが、ルールーはそれを拒絶して軽く頭を殴って突き放した

 

「ルールーちゃんダメだよ!」

 

「ですが…」

 

「ドクタートラウムがルールーのお父さん?」

 

「確かにルールーを開発したんわ…」

 

ルールーの開発者はトラウム。

お父さんと言えばお父さんなのだ

 

「理解不能です。何故?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トラウムは何故ルールーを尋ねに来たのか

 

それは




次の回で、未来の主人公とルールーの関係を全て晒す予定です

ここまでの拝読ありがとうございました


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第38話 ルールーのお父さん!?愛娘に愛を込めて

今まであやふやだったのをこれで固めたってところかな?

ではスタート


「俺らを未来に飛ばしたんはアンタか?」

 

「テストは合格だ。戻って来られたなら話そうと思っていた。未来で起こった悲劇の全てを」

 

トラウムは懐から小さな機械を取り出した

 

「何それ可愛い!」

 

「もしかしてプロジェクターですか?」

 

「正解だよ拓人!流石マエストロ!」

 

「久し振りに聞いたよ…」

 

「では始めよう!3分で分かる未来劇場!」

 

掻い摘んで話の内容としては、未来にも4人のプリキュア が存在してクライアス社と対抗していた

 

同じプリキュア とはいえ、未来ではクライアス社が劣勢になる程強力な力で奮闘していた

 

そして、クライアス社の社長であるジョージ・クライはあるプリキュア に着目する

 

それは、未来を育むマザーの力を宿す少女「キュアトゥモロー」

 

キュアトゥモローを消し去る事が出来れば、時間を止める事は叶うこと

 

「しかしまた、番狂わせが起きる」

 

「こっからは俺が話す!あれは、ハリハリ地区が滅びてすぐの事やった」

 

話の続きとしてハリーが代わりに語る

 

ハリハリ地区が滅んだ後、ハリーは未来に絶望して暴走して暴れていた

 

その後クライアス社に拘束されたが、凶悪となってしまったハリーの前にキュアトゥモローが現れた

 

キュアトゥモローの力のお陰で、ハリーは元の姿に戻る事が出来た

 

けれども、全てが思い通りに行くとは限らない。

未来のプリキュア 達は敗北し、キュアトゥモローは籠の中のお姫様もなってしまう

 

そんなキュアトゥモローに手を差し伸べたのがハリーだった。

トゥモローの言葉を信じて一緒に脱走を図ったのだ

 

脱走の最中追い込まれる事となり、最後の力を振り絞ってトゥモローとハリーは過去の世界。つまりは、現代に生きるはぐくみ市へとタイムトラベルを果たした

 

その時代のプリキュア に役目を託す為に

 

しかしタイムトラベルには成功したものの、キュアトゥモローはその影響で赤ん坊へと幼児化してしまった

 

その赤ん坊というのが

 

「「「「「えぇ〜!?」」」」」

 

「という事は、はぐたんがキュアトゥモローなの!?」

 

それからの出来事は拓人、はな達が知っての通りだ

 

「すまんかった。マザーが力を取り戻すまで言わんように決めとったんや…」

 

「いいよ。ハリーは、はぐたんを守るって約束したんだもんね」

 

「これからの戦いは少々手厳しくなるかも知れない。この子にマザーの力があると分かった以上、クライアス社は容赦無く襲って来るだろうね」

 

「はぐたんは絶対守る。はぐたんはわたし達の未来だから!」

 

改めて一致団結してクライアス社に臨もうと決意する

 

これで話はひと段落ついたのだが、ルールーはまだ少し納得していなかった

 

「質問があります。何故、今になってその話をわたし達に伝えに来たのですか?」

 

「マザーの力を目覚めさせた君達なら、クライを止められると思ったんだ」

 

「分からない。貴方も時を止めたいと願っていたのでしょう?」

 

「あぁ…」

 

「なのに何故…何故です?」

 

「人間とは、そういう矛盾した生き物なんだよ」

 

「矛盾?わたしの父と名乗るのもその矛盾からですか?」

 

ルールーの気持ちはこの場に居る全員理解してる

 

だが逆もまた然り

 

トラウムの言う矛盾がルールーには分からず、只々モヤモヤする気持ちが溢れるばかり

 

「何故今更…貴方はわたしを不要物とみなし捨てたと判断します!理解不能…!」

 

「待ってルールーちゃん!」

 

ルールーは外へと逃げ出してしまった

 

拓人も急いで後を追って行く

 

 

 

 

 

////////

 

「ッ捕まえた!」

 

走るルールーをやっとの思いで拓人は捕まえた

 

「ハァ…ハァ…速いよルールーちゃん…ふぅ」

 

「拓人…ごめんなさい。ですが、あのままトラウムと向き合ってるとシステムエラーを起こしそうで…」

 

「前から言ってるでしょう?それはシステムじゃなくて心だって」

 

「わたしはずっと分からなかった。開発者が何故、わたしに高性能のAIを付けたのか?楽しい事があったら笑ったり、泣いたり、愛おしい気持ち。アンドロイドとして自分には不要なものだと。この痛みも心があるから」

 

「…アムールの意味、『愛』ってしってるでしょう?親が適当に子供の名前を決めない」

 

話の途中、大きな振動が起きる。

それは、遠くからメカに乗ってルールーの事を探してるトラウムからだった

 

「何やってるんですか…」

 

「そうだね。でもそれは……いやそれよりも、アムールの本当の意味聞いて来るといいよ」

 

「はい…」

 

 

 

 

 

大きな木の下。そこでルールーとトラウムが話す事になったのだが、そこにはもう一人の姿がある

 

「あの〜俺って何で此処に居るんでしょうか?」

 

何故か拓人まで同席していた。

それもトラウムが呼んだのだ

 

「…そう矛盾。君を造ったのもそういう矛盾した気持ちの中だった。君は中々やんちゃなアンドロイドでね──」

 

トラウムから昔のルールーの話を聞かされる

 

掃除と言って部屋の中を破壊したり、怒ってるトラウムを宥めようとして投げ飛ばしたりと

 

覚えてないとはいえ、ルールーは恥ずかしさのあまり赤面する

 

「身体は今のままだが、中身はまるで子供だった。何も知らない──」

 

聞かされる内容にもまだ続きがある

 

トラウムはそれでも人と話すのに、最低限のコミニケーション能力を付けて貰おうと努力はした

 

したのだが、思う様にルールーが育ってはくれなかった

 

故に失敗と言う程

 

「そして、君のデータを全て消去し君の元から離れた」

 

「わたしが失敗作だからですね…」

 

「違う、君が失敗作なのではない。真っ直ぐ君と向き合えなかった私の失敗。これでは君に心を芽生えさせれないと悟ったからなんだ」

 

「心を…」

 

「プリキュア に最初は嫉妬したよ。何故、天才の私には出来なくて彼女達に出来たのか…が、今なら分かる」

 

自分とプリキュア との違い。それは至極当たり前の事だった

 

「彼女達とって君は、ただ一人の"ルールー・アムール"だったんだね」

 

トラウムは天を見上げて更に付け加える

 

「そして彼も……未来の音宮拓人もその一人だった」

 

「未来の俺?」

 

「そう。データを消去する前、実は未来の拓人とルールーは出会っていたんだよ」

 

「そうなのですか!?」

 

その事に食い付いたのは拓人ではなくルールーだった

 

「彼の評判は知っていてね。試しに音楽を聴かせるだけでもとお願いしたんだよ」

 

トラウムは何かきっかけがあれば変われる。それだけは分かっていた

 

「最初こそは全く持って興味など微塵も持たなかった」

 

「そうなんですね…」

 

「だけどね、その度に彼は足を運んでは曲を弾いてくれるんだよ。毎日毎日ハーモニカで欠かさず」

 

「…もしかして、あの日の会話の内容って!」

 

トラウムと初めて出会した日、トラウムは言っていた。「毎日聴いていた」と

 

それは今の拓人ではなく、未来の拓人に向けた言葉だったのだ

 

「少しずつだがルールーも変わっていた。わざわざ音楽に関する知識を検索したりね」

 

「では何故なのですか?」

 

「何かね?」

 

「未来の拓人は自殺したと聞きました。そこまでして、何故未来の拓人はその様な行動をしたのか疑問です」

 

「確かに。そこは俺も同じです」

 

トラウムは少々言いにくそうな表情をしたが、すぐに話してくれた

 

「彼もまた私と同じく、ルールーと最後まで向き合えなかったんだ」

 

「「え?」」

 

「興味は持ってくれた。しかしそこから先へは進まなかったんだ。彼は言っていたよ『彼女の笑顔が見たい』と。必死になって工夫をこなしたが結局…」

 

「だけどそれで未来の俺が自殺だなんて…」

 

「彼には幼い頃から『落ちたマエストロ』なんて言われてたからね。その汚名を背負いながら生きていたんだ。恐らくそれを気にして、自分自身を追い詰めて、こんな自分ではルールーを笑顔に出来ないと判断しての事だろう」

 

ルールーは徐に腰に下げていた、古びたハーモニカを見つめる

 

「そのハーモニカはね、未来の拓人の物だったんだよ」

 

「これがですが!?」

 

「だから同じだったのか!」

 

「自殺の理由の手紙と共にハーモニカが添えられてたらしい」

 

「らしいって?」

 

「いくら待っても来ない君をルールーが迎えに行ったのだよ。そして部屋を開けると。ルールーが手紙とハーモニカを見つけ、そしてその直後に奏音と鉢合わせしたみたい」

 

「それ、奏音には説明してないんですか?」

 

「ああ。それに言っても信じてくれないだろう」

 

トラウムは優しく2人を包み込む

 

「本当は2人共幸せになって欲しかった。ルールー、手紙にはハーモニカをルールーに譲る事について記されていた。そしてその内容には君に対する愛が込められていた」

 

「それは一体?」

 

「彼は君の事を愛していた。愛する君にへと、彼が贈った最初にして最後の贈り物」

 

謂わばルールーの持つハーモニカは、未来の拓人の形見であり、ルールーに対する愛の形

 

 

 

『──トラウムさん俺、ルールーちゃんの事好きみたいなんです』

 

『──ほほう!』

 

『──変ですかね?恋した相手がアンドロイドだなんて』

 

『──いやいや、充分素晴らしいと思うよ』

 

 

 

「〜〜ッ///」

 

それを聞いたルールーは益々顔を赤くして、横目で拓人を見つめる

 

「こうやって巡り会えたのも運命なのかな。だとしたら私は嬉しいよ」

 

丁度話の区切りがついたところで、えみるが走って来るのが見えた

 

「ルールー!わたしが来たからにはもう安心なのです!言葉で分かり合えなくてもギターがあれば──」

 

「それならもう済んだところだけど」

 

「30秒程来るのが遅かったです」

 

「い、一生の不覚なのです…」

 

「フフ、フフフッ!」

 

「え、えへへ!」

 

ルールーが笑うと、釣られてえみるにも笑いが伝染した

 

そう和やかになっていたのも束の間

 

「「「ッ!?」」」

 

大きな振動を感じたのだ。振り返れば猛オシマイダーが暴れていた

 

「えみる!ルールー!拓人さん!」

 

はな達も聞きつけて合流し変身する

 

 

 

「「「「「ミライクリスタル!ハートキラっと!」」」」」

 

 

「「「輝く未来を抱きしめて!」」」

 

「みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

 

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

 

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

 

「「みんな大好き!愛のプリキュア!」」

 

「キュアマシェリ!」

 

「キュアアムール!」

 

 

「「「「「HUGっとプリキュア!」」」」」

 

 

 

バルブアトマイザーの猛オシマイダーは、街へと侵攻していた

 

「やめなさい!!」

 

「来たわねプリキュア 。あと…」

 

ジェロスも何やら姿を変えて、はぐたんを狙おうとしていた

 

「はぐたんの事はわたし達が守る!」

 

エール達の腕にミライブレスを装着し、アスパワワを纏った攻撃で仕掛ける

 

「ハァッ!」

 

「「やぁッ!!」」

 

エールが下から打ち上げ、アンジュとエトワールで両足をスライディングで転倒させる

 

「俺達も行くよ!」

 

「「はい!」」

 

拓人もクロノスタクトを構えて、3人で連携を駆使して猛オシマイダーとの距離を縮めようとする

 

「あと少し…!」

 

「ッ!避けて!」

 

猛オシマイダーが香水を噴射するのを見て、拓人は避ける様に指示を出した

 

指示を出した拓人は勿論マシェリは避けたが、無理に前へ出ようとしてたアムールだけが避け遅れてしまい、まともに香水を吸い込んでしまう

 

「身体が痺れる…!」

 

猛オシマイダーは大量のバルブと増やしては、アムールを取り囲んだ

 

「「アムール!」」

 

「猛オシマイダー!!」

 

しかしその間に、メカに乗ったトラウムが割って入りアムールを庇う

 

「うぐぐぅ…!」

 

「トラウム!!」

 

「ドクタートラウム!なんてクレイジーな事をしてるの!?」

 

「娘を守って何が悪い!?」

 

しかし、いくらトラウム特製のメカであっても猛オシマイダー相手では力負けする

 

「拓人!」

 

トラウムの危機を感じて、アムールは拓人にミライクリスタル・バイオレットを投げ渡す

 

「ミライクリスタルセット!──これならどう?」

 

クロノスタクトで猛オシマイダーを少し前まで時間を戻した

 

「オシ??」

 

これでトラウムは猛オシマイダーの攻撃から解放され、アムールが前に出る

 

「アムールロックンロール!」

 

至近距離からの技を貰い、猛オシマイダーは大きく吹っ飛んだ

 

 

 

「「「「「メモリアルキュアクロック!マザーハート!」」」」」

 

「「「「「ミライパッド・オープン!」」」」」

 

「「「「「HUGっとプリキュア!今ここに!」」」」」

 

 

「ワン・フォー・オール!」

 

「オール・フォー・ワン!」

 

「ウィーアー!」

 

「プリーキュアー!」

 

「明日にエールを!」

 

「「「「「ゴーファイ!みんなでトゥモロー!」」」」」

 

 

「モウヤメサセテモライマ〜ス」

 

 

 

 

 

////////

 

「それでは私はこれで…」

 

「ええんか?」

 

「伝えたい事は伝えたからね」

 

「…待って!」

 

少し寂しい背中で帰るトラウムをルールーが引き止めた

 

「貴方の全てを受け入れた訳じゃない。だけど──今度、一緒にご飯を食べましょう!きっとそうすれば、またいつか」

 

その言葉を聞いてトラウムは和かになる

 

「ルールーちゃんありがとう!やっぱり"お父さん"って呼んでも──」

 

「お断りします」

 

「お父さんと──」

 

「お断りします」

 

そんなやり取りをするのを、拓人達は微笑みながら見ていた

 

「なんとか一件落着だね。それに、クライアス社をなんとかする以外にも目的が出来たね」

 

「そうですね。はぐたんを未来に帰してあげなきゃ」

 

「未来、そうか。はぐたん、未来に帰っちゃうのか…」

 

はぐたんを未来に帰すと言う事はハリーも帰ることになる。

それをほまれは少し心配する

 

しかし、他にもはぐたんとハリー以外にも帰らなきゃ行けない人をえみるは気付いた

 

「あ゛ーッ!!」

 

「どうしたのえみるちゃん?」

 

「はぐたんが未来に帰っちゃうって事はルールーも!?」

 

ルールーも元を辿れば未来から来た一人の内

 

「ルールーが…ルールーが未来へ────にょえぇぇェェェ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最高の親友との別れを知ってしまったえみるは────




次回はえみる回。どんな風に書こうか…

ここまでの拝読ありがとうございました


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第39話 えみるの気持ち、ルールーの夢

ではスタート


「当たり前だけど、ルールーちゃん達は未来に帰らないと行けないんだったね…」

 

先日のトラウムの会話で、現実を突き付けられる

 

「で、でも!時々此方に遊びに来ればいいのです!!」

 

「それは難しいやろな。こっちに来るにはごっつうアスパワワが必要や。何度も出来る様なあらへん」

 

「じ、じゃあ未来へ帰らないと言うのはどうですか?」

 

何としてでもルールーを帰さない様に食い下がるが、そんなルールーから一声掛けられる

 

「えみる」

 

ルールーもこればかりは仕方のない事だと思ってる。

だから何も言わずただ、えみるの顔を寂しくもあるが平静を保って彼女を見る

 

そんなルールーを見てえみるは

 

「仕方ありませんね!プリキュア として未来の人々を救い、時間を動かす!それはやらないといけない事なのです!わたし達はヒーローなのですから!」

 

そう笑って誤魔化したえみるだが、何処となく笑えてない部分もみえた

 

 

 

 

 

////////

 

「拓人さん大変なんです!!」

 

突然目の前まで走って来たことりに驚く拓人

 

「あ、ルールーも」

 

「それで何が大変なの?」

 

「そうです!えみるちゃんの様子がおかしいんです!!」

 

慌てることりと話してると、噂をする本人が登場した

 

「ご機嫌様拓人お兄さん、ルールー」

 

表情もおかしければ、その喋り方にもいつもと違う

 

「あれ?語尾の"なのです"はどうしたの?」

 

「あ、それお姉ちゃんも同じ事言っていました」

 

「そうなの」

 

「では、ご機嫌様」

 

えみるは一礼をしてそのまま自分の教室へと帰って行った

 

「……」

 

ルールーはそのえみるの背中を見て心配の色を伺っていた

 

 

 

 

 

////////

 

「ご機嫌様、はぐたんさん」

 

「えみゆ、へん」

 

放課後になってもえみるの様子が戻る事はなかった

 

「何やあれ?」

 

「いつもと違うね」

 

「いつの間に!?」

 

「えみる…」

 

「えみる兄までおるんかい!」

 

心配して、アンリや正人もビューティーハリーへと来ていた

 

「ルールーちゃんとの別れが相当ショックなんだろうね」

 

「ほな、拓人がどうにかしたらどうや?」

 

「俺?それは難しいかも。だってほら」

 

えみるの前ではな、さあや、ほまれが俯いていた。

三人は何とかして元のえみるに戻そうと試行錯誤するも、敢えなく撃沈したのだ

 

「となるとやっぱり…」

 

アンリは正人の方へ振り向いた

 

「え、僕?」

 

流れて正人にも向くが

 

「えっと…布団が、吹っ飛んだ!」

 

しかし一瞬で周りの空気が凍り付いた

 

「そっか、正人の中ではそれが面白いんだね」

 

「プッ…!」

 

「やめろ!それと拓人も笑うな!」

 

「皆さんどうしたんですか?おかしな──」

 

「おかしいのは君でしょう?どうして心の扉を閉じてるの?」

 

この際だからアンリはハッキリと言った

 

するとルールーがそこへ入って来た

 

「えみる…えみるの心を見せてください」

 

「……わたしの、心?」

 

「わたし達は親友!隠し事は無しと決めたじゃないですか!?」

 

「わたし、わたしは──!」

 

えみるが喋ろうとした時、何故か声を出さなくなった

 

「えみる?」

 

何か必死に伝えようとするも全く声に出てはいなかった

 

(ダメです、皆んな我慢してるのだから。わたしも…わたしも我慢、しなきゃ…)

 

その時、えみるとルールーのミライクリスタルが泡の様に消えてしまった

 

えみるの気持ちが、ミライクリスタルにまで影響を及ぼしたのだ

 

「え、ミライクリスタルが」

 

「消えちゃった?」

 

その場の空気に耐え切れず、とうとうえみるは倒れてしまった。

床に崩れる前にルールーが助けたが

 

「────。────」

 

「えみる声が!」

 

「出ないの?」

 

 

 

 

 

////////

 

一度えみるを家に戻して寝かせる事にした

 

「多分、精神的ストレスで一時的に声が出なくなってるんだよ。暫く落ち着かせれば治る…と思う」

 

「えみる…」

 

ルールーが手を握ると、えみるが目を覚ました

 

「えみる!」

 

「──。──」

 

えみるは声が出なくても、口を動かしてルールーに伝えようとしていた

 

「『ご、め、ん、さ、な、い』。いえ、謝るのはわたしです。わたしのせいで!」

 

自分を責めつつあるルールーをえみるは「そうではない」と首を横に振って意思表示させる

 

丁度そこへ部屋の扉が勢いよく開かれた

 

「えみる!」

 

「えみるのお爺さん」

 

えみると正人の祖父の「愛崎 獏発」が突如乱入して来た

 

正人も止めようと必死に抵抗するも振り解かれる

 

「嗚呼、可哀想なえみる。ずっと心配していたのだ」

 

えみるの体調を心配した後、毛嫌いする様な目付きでこちらを睨んで来る

 

「お前達のせいだぞ。何だコレは!?」

 

獏発が取り出したのは、ツインラブのポスターだった

 

「あ、バレた!」

 

「えみるがツインラブしてるの知らなかったの?」

 

拓人の独り言に反応したほまれは問いただす

 

「実は、えみるのお爺さんもえみるがギターをする事に反対してたんだ」

 

ここへ来て、獏発に秘密を知られてしまい状況が最悪へとなる

 

「えみる、もうよく分かったね?お前はずっと愛崎家の中で暮らしてればいいんだ。そうすれば、こんな目に遭わずに済むんだよ」

 

「そんなのおかしいです!!」

 

「えみる、ワシを困らせないでおくれ。早く素直なえみるに戻っておくれ」

 

「──!────!!」

 

えみるも言おうと必死になるが、声が出なくても何も伝わらない

 

はなが反論してヒートアップしてく中、それに割って正人が出た

 

「家族だからって人の心を縛らないで下さい!」

 

「──ッ!」

 

「自分ではない誰かの心に触れて、新しい世界の扉を開く事、それは家族にも誰にも止められない。だって、僕達の未来は僕達のものだから!」

 

正人は獏発に飛び込んで押さえ付ける

 

「えみる!声を出していいんだ。自分の思った事を叫んで良いんだ!!」

 

「──!」

 

「ギュイーンとソウルがシャウトするのです!!」

 

迸る声がえみるの喉から溢れ、その叫びが部屋中を響かせた

 

えみるはルールーの手を取り、外の世界へと飛び出した

 

 

 

 

 

////////

 

二人が走って来た場所は、色々と思い出深い大きな大樹の場所

 

「るー、るー」

 

「ゆっくりでいいから、えみるの気持ちを聞かせて下さい」

 

ようやく落ち着いて話せると思いきや、二人の前に猛オシマイダーが現れた

 

「猛オシマイダー!!」

 

大きな家を背負ってタコみたいな猛オシマイダーは、変身してない二人に襲い掛かろうとする

 

「二人共伏せて!!」

 

拓人声がした

 

二人は頭を下げ、猛オシマイダーの攻撃をエール達が受け止めた

 

「だぁぁぁ!!」

 

そのまま持ち上げては地面へと投げ飛ばした

 

「駄目じゃないか。お爺さまの言う事を聞かないと!」

 

大樹の上、ビシンの声がした

 

「お爺さま?もしかして!」

 

猛オシマイダーとなったのは、獏発と愛崎家がひとつになった姿だった

 

「早くアイツを捕まえろ!」

 

ビシンの言うアイツとはえみるの事だった

 

「フラワーシュート!」

 

エールが妨害するも、それすら効いておらず尚もえみる達に迫る

 

「──ッ!」

 

「えみる!?」

 

逃げる途中、えみるが石につまづいて転倒してしまった

 

「にげ、て!」

 

「逃げません!わたしはまだ、えみるの気持ちを聞いてません!」

 

容赦無く襲い掛かる攻撃に、ルールーが庇ってその身で受けて大きく飛ばされた

 

「あ…あ…」

 

「大丈夫、です。わたしはアンドロイドですから」

 

とは言うものの、猛オシマイダーの攻撃を食らってはアンドロイドでもダメージはある

 

「猛オシマイ──」

 

「くっ!エール、アンジュ、エトワール!」

 

エール達は、自分達の持つミライクリスタルを全て拓人へと投げ渡した

 

受け取ったミライクリスタルを全てセットし、クロノスタクトを振り上げる

 

「いけ!」

 

拓人が合図を出すと、ミライクリスタルの力を得た楽器達は一斉攻撃を放った

 

「ダー!?」

 

「えみるちゃん!ルールーちゃんに伝えるんだ!自分の本当の気持ちを!」

 

拓人の攻撃で怯んだ今こそ、えみるはルールーに自分の気持ちを、その口で、言葉で伝える

 

「ルールー、困らせてもいいですか?」

 

「はい」

 

「ヒーロー失格だと言われるかも知れないけど、けど…けど、わたしはルールーと一緒に居たい!ずっと一緒に居たいのです!!」

 

「一緒に居たい」只それだけをえみるは伝えたかった。

伝えて今も、これからも、ずっとその先も、ただ側に居て欲しいのがえみるの望みだった

 

「未来に帰って欲しく無いのです!ずっと一緒に居たい!ずっとずっとずっと!!」

 

「えみる、わたしはえみると出会ったから未来を信じようと思ったんです」

 

「なら、ずっと一緒に!」

 

ルールーは哀しげな表情を一瞬したが、でもまた笑顔をえみるに向ける

 

「わたしは、未来の人達にわたし達の歌を、わたし達の愛を届けたい」

 

「未来に…愛を?」

 

「誰かを愛する心、大切にする気持ち、素晴らしい事なんだと伝えたい。これが、貴女と出会えた奇跡がわたしにくれた"夢"です!」

 

「ルールーの夢…」

 

「そしてこの愛を、未来の彼にも伝えたい。貴女と同じ様に、わたしに音楽を教えてくれた彼にも」

 

ルールーは今も尚、二人のために奮闘する拓人へと視線を移す

 

「…わたしも一つだけ困らせても宜しいですか?」

 

「…はい」

 

「わたしも、えみるとは離れたくはありません。未来に帰ると聞いてより深くそう思います。だからこそ、ふともう一つの夢を考えたのです」

 

「それは…?」

 

「えみると拓人とわたし達三人で夢を届けたい」

 

「それって…!」

 

「もしその時が来ましたら、笑顔でお願いします。どちらかの夢を選んでも間違いでは無い。その時えみるは、笑顔でわたしの事をフレフレして下さい。どんなに離れていても、わたし達はずっと親友」

 

「はい…!」

 

そして二人の心から、またミライクリスタルが蘇る

 

「「あなたを愛し、わたしを愛する!」」

 

 

 

「「ミライクリスタル!ハートキラっと!」」

 

「「「輝く未来を抱きしめて!」」

 

「「みんな大好き!愛のプリキュア!」」

 

「キュアマシェリ!」

 

「キュアアムール!」

 

 

 

「ご心配お掛けしました!」

 

「わたし達の愛を届けます!えみるのお爺様にも」

 

二人はツインラブギターを構えて、同時攻撃する

 

「マシェリポップン!」

 

「アムールロックンロール!」

 

二人の技で猛オシマイダーの動きが完全に止まった

 

 

 

「「「「「メモリアルキュアクロック!マザーハート!」」」」」

 

「「「「「ミライパッド・オープン!」」」」」

 

「「「「「HUGっとプリキュア!今ここに!」」」」」

 

 

「ワン・フォー・オール!」

 

「オール・フォー・ワン!」

 

「ウィーアー!」

 

「プリーキュアー!」

 

「明日にエールを!」

 

「「「「「ゴーファイ!みんなでトゥモロー!」」」」」

 

 

「モウヤメサセテモライマ〜ス」

 

 

 

 

 

////////

 

後日、ルールーはえみるとの会話の内容を拓人にも伝えた

 

未来へ帰るか、それともこのまま此処へ残って夢を未来に届けるか

 

「結局、答えを濁してしまいました」

 

「時間はまだある。じっくり考えれば良いと思うよ」

 

「拓人も、その時は笑顔でお願いします」

 

「うん」

 

そしてルールーは思う

 

どんな事があっても二人はずっと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ずっと親友だと




えみるとルールーとのやり取りを少し改変しただけになってしまい申し訳ありません。作者の力量不足ですね

ルールーが未来へ帰るか問題は少し強引に過ぎましたが濁しました。終盤で色々とやりたいので

ここまでの拝読ありがとうございました


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第40話 秘めた想い今伝える!輝く星の気持ち!

とうとうアニメの42?くらいまでやって来ました。小説の方が話数的に少ない!?

ほまれ回って他の個人回と比べて良作画が殆どだからめちゃ好き

ではスタート


もうすぐ、ほまれが出場するスケートの大会が開催される

 

その日に向けて拓人達は、横断幕の製作をビューティーハリーで作業していた

 

「嬉しいけど……何で虎?」

 

製作途中の横断幕を広げてみると、大きく虎のデザインが入った形となっていた

 

「めちょっく!何か違った?」

 

「そうじゃないけど…」

 

「…ハリーがそのデザインが良いって言ってたよ」

 

「あ!拓人裏切りよったな!?」

 

ほまれはお仕置きとしてハリーの頬を引っ張り上げる

 

「変な入れ知恵しないでよ」

 

「にゃ、にゃんにゃと!?」

 

「「「「「目指せ優勝!(なのです!)」」」」」

 

「ありがとね、みんにゃ…」

 

今度はほまれの頬がハリーに引っ張られ返された

 

「な、ななななっ!?」

 

「お返しや。頑張れよ、客席で応援するからな」

 

「…ネズミの癖に生意気!」

 

「せやからネズミちゃうて!」

 

「っ!!」

 

不意にハリーの顔が近付いて、ほまれは赤面してその場から逃げ出した

 

「何やアイツ?」

 

 

 

 

 

////////

 

「それは"恋"ね」

 

「「「恋!?」」」

 

材料の買い出し途中、はなとえみるとルールーの三人はパップルと出会していた

 

ここ最近のほまれの様子をパップルに相談してみたところ、「恋」という診断が下された

 

「お子ちゃまなアンタ達じゃ分からないかもね」

 

「ほまれが恋?」

 

「ネズミさんに恋…」

 

「理解不能…」

 

「恋はするものじゃない。堕ちてしまうものだから。自分じゃどうにも出来ないのよ……てか二人もそうでしょう?」

 

パップルが言うのはえみるとルールーの事。しかし二人は何を言っているのか分からない様子だった

 

「はぁ…もういいわ」

 

「「??」」

 

「とにかく恋に種族は関係無い!愛する気持ちが有れば成立するのよ!!」

 

「「「は、はぁ…」」」

 

 

 

 

 

////////

 

今度は場所が打って変わって

 

海が見える場所で、ほまれとさあやは何か話していた

 

「ミライクリスタルはわたし達の心。ほまれの心はキラキラと輝いてる」

 

「どうかな?普通にしようと思うのに、ハリーにはいつもキツくなっちゃう。イケてない…」

 

「好きな人の事を考えて、いつも心配してるほまれは可愛いよ……ごめんね。ほまれ最近悩んでるから」

 

「ううん、ありがとう」

 

「告白しないの?」

 

「アイツ未来に帰っちゃうじゃん…」

 

やはりと言うべきか、ほまれはハリーの事を想っている。

しかし、未来に帰ってしまう現実は変わらない。それが壁となってイマイチ素直にさせてくれない

 

「それに……」

 

「何話しとんや?」

 

「「ッ!?」」

 

急に、噂をしていたハリーが会話に割って入って来た

 

「な、何で此処に居るの!?」

 

「そんなん決まっとるやろ?拓人と買い出し中や」

 

ハリーの後ろで小さく手を振って応えていた

 

「あ、そうだ!わたし、拓人さんとこの後用事があるの忘れてた!」

 

「え、何か用事してたっけ?」

 

「っ!っ!」

 

さあやはウインクで必死に拓人に伝えようとしていた

 

「…あ〜そういえばあったね用事」

 

拓人も意図が伝わった

 

「じゃあわたし達はこれで〜!」

 

さあやは拓人と共にその場を離れたのだった

 

 

 

「何とか誤魔化せたね」

 

「はい。それにしても中々上手く行きませんね」

 

ほまれの恋路は時間が経つ程、相手を知る程その壁は厚く、大きくなっていく

 

「上手く行って欲しいね」

 

「そうですね。でもそれは、拓人さん達もですよ」

 

「…え?」

 

さあやは密かに知っていた。えみるとルールーの恋路のことも

 

しかし当の本人が全く駄目だった

 

「…何かわたし頭が痛くなってきた」

 

「え、大丈夫!?」

 

「えみるちゃんとルールーが可哀想…」

 

「んん??」

 

 

 

 

 

////////

 

色々とハリーについて悩みつつも、とうとう大会当日になった

 

はなとさあやはほまれの様子、残りの拓人達はハリーの様子を見ることとなったのだ

 

ほまれはともかく、何故ハリーもかと言うとさあやからの指示なのである

 

ほまれが一歩踏み出す為に、色々相談しながらした計画がある。

それにはハリーが必要不可欠

 

(後は指示があるのだけど)

 

拓人は時間を確認する。もう少しで開演の時間

 

ソワソワしてると、ルールーのプリハートから連絡が入った

 

「はい、了解です。ハリー!」

 

「さあ行くのです!」

 

「何処へ〜?」

 

「いいからいいから!」

 

 

 

 

 

リンク会場からハリーを追い出して、とある廊下までハリーを置いて三人は帰って行った

 

「何やったんや一体……あ」

 

そして打ち合わせ通りハリーの前にほまれがやって来た

 

「どうしたんや?もうすぐ本番やろ」

 

しかしほまれは何も答えず、ハリーに近付く

 

そんな沈黙が続く中でハリーから声を掛けて来た

 

「俺、お前に謝らんといかんな。真剣に頑張ってる時に茶化す様な事言って悪かった。けどな、俺はお前を応援しとる。それはホンマの気持ちで──」

 

「本当に鈍感…」

 

こうしていても意味が無い。だからほまれは、遠回りしてでもそれを伝えようとする

 

「ギャグつまんないし、すぐふざけるし、大事な事隠すし、ネズミだし」

 

「だから、ネズミちゃう言うてるやろ」

 

「本当に優しいんだから……何でだろう、アンタと居ると全然上手く喋れないし、喧嘩しちゃったりそんなんばっか。でも────アンタが好き」

 

その言葉を言うのにどれだけ時間が掛かったか。

それを今、爆発させてありったけを伝える。自分の素直なその好きな気持ちを

 

「輝木ほまれはハリーの事が大好きです!!」

 

俯いて涙を流すほまれに手を伸ばそうとするも、その手を引っ込めた

 

「…すまん。俺はお前の気持ちに応えられへん」

 

「未来に帰っちゃうから?」

 

「そやない。俺も、気持ちを伝えたいと思ってる奴がおる。それを有耶無耶にしたまま気持ちには応えられへん。ごめんな」

 

ハリーは謝りつつも丁重に断った。けれど、ほまれからしたら当然の結果だと納得した

 

「ありがとう。スッキリした!正直言ってサンキュー!最高のスケート滑るから!」

 

だけど、だからこそ嘘偽り無く言ってくれた事に感謝して笑顔でいられた

 

「はぁ…」

 

「溜め息なんてどうかしたの?」

 

タイミング良く拓人が話し掛けて来た

 

「聞いてたんか?」

 

「そんな野暮な事はしないよ」

 

「…ほまれには悪い事したな」

 

「でもそれが、今の彼女に力と勇気になってくれる。ハリーの本心を聞いたからね」

 

「ならええけど…」

 

「ハリーは悪くないよ。でもそう思うなら、全力で応援してあげなきゃ。ほまれちゃんの未来の為に」

 

「あぁ、言われんでも!」

 

 

 

 

 

開演となりほまれの出番

 

リンク中央でほまれは、何処と無くスッキリとした表情をして滑り始めた

 

(不思議、凄く集中出来る。バラバラになってた心が一つになったみたいに。ずっと想ってたこと、片想い、叶わない恋に意味はあるのかって……でも──)

 

ふと、応援席を見るとハリーが大きく応援旗を広げて叫んでいた

 

 

「フレフレ!ほまれ!!」

 

 

(きっとあった。ドキドキした気持ちも、胸がきゅーとなって流した涙も。今、わたしの心で輝いてる!フレフレわたし!!)

 

最後、フィニッシュである四回転ジャンプを綺麗に決めて演技は終了した

 

(ありがとう皆んな、ありがとうハリー…!)

 

全てに満足したほまれだったが、会場が大きく揺れる

 

猛オシマイダーの登場で、ほまれ達は外へ出て変身する

 

 

 

「「「「「ミライクリスタル!ハートキラっと!」」」」」

 

 

「「「輝く未来を抱きしめて!」」」

 

「みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

 

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

 

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

 

「「みんな大好き!愛のプリキュア!」」

 

「キュアマシェリ!」

 

「キュアアムール!」

 

 

「「「「「HUGっとプリキュア!」」」」」

 

 

 

「来たねハリー。行けぇ!!」

 

ハリーを奪う為に、ビシンが猛オシマイダーを連れて会場を襲い始めた

 

「猛オシマイダー!!」

 

猛オシマイダーは飛び上がり、手の届かない空から攻撃する

 

拓人達は手も足も出来ず防御しか出来ないが、一人だけ空に居る猛オシマイダーに飛んで行く者が居た

 

「スタースラッシュ!」

 

猛オシマイダーとの激しいぶつかり合い。

お互いの攻撃が相殺して煙を上げる

 

「お前イラつく!!」

 

「きゃあ!」

 

立ち込める煙から出て来たエトワールを、不意打ちで背後から蹴り付ける

 

そしてその先には猛オシマイダーが待ち構えており、飛ばされたエトワールは捕まってしまう

 

「ハリーはお前の事なんか──」

 

「知ってるよ。もう伝えたから」

 

「アッハハハハ!あれだけ教えてやったのに馬鹿な奴!」

 

振られた事をいい気味だと高笑いするビシンだったが、下からエール達の声が聞こえてくる

 

「そんな事は無い!勇気を出して行動した人を」

 

「馬鹿にする権利なんて」

 

「「「「誰にも無い!」」」」

 

エール達四人のミライブレスが光り輝く

 

「強がるなよ!お前はもう明日なんて要らないと思ってるのだろ!?」

 

「わたしは自分の大好きな人の幸せを、輝く未来を願ってる。だから、時間を止めたい何てイケてない事思わない!!」

 

エトワールのミライブレスが瞬く間に輝き、ビシンはそれを見て前線から離脱した

 

「「「「プリキュア の絆!」」」」

 

「だあぁぁぁ!!」

 

エトワールは皆んなから受け取ったエールを、気持ちを力に変えて猛オシマイダーの拘束から自力で抜け出した

 

「スタースラッシュ!!」

 

そして真上からの攻撃で、猛オシマイダーは地面へ叩き付けられた

 

「皆んな!」

 

 

 

「「「「「メモリアルキュアクロック!マザーハート!」」」」」

 

「「「「「ミライパッド・オープン!」」」」」

 

「「「「「HUGっとプリキュア!今ここに!」」」」」

 

 

「ワン・フォー・オール!」

 

「オール・フォー・ワン!」

 

「ウィーアー!」

 

「プリーキュアー!」

 

「明日にエールを!」

 

「「「「「ゴーファイ!みんなでトゥモロー!」」」」」

 

 

「モウヤメサセテモライマ〜ス」

 

 

 

 

 

////////

 

「じゃん!」

 

ほまれは優勝する事が出来、首には金メダルが掛けられていた

 

「「「「おめでとう!」」」」

 

「ありがとう」

 

皆んなに囲まれて祝福される中を見てハリーも

 

「おめでとう」

 

そう優しく呟いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ほまれは、新たな輝きと共に未来へ飛んで行く




一週間に二つ投稿したかった作者です

ここまでの拝読ありがとうございます


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第41話 見つけた夢、新しい未来へ!

終盤の個人回、主人公の出番はマジで少な目です

ではスタート


「拓人お兄さん起きるのです!」

 

「──ッ!?」

 

えみるに体を揺さぶられてハッと目が覚める

 

「えみるちゃん!?え、何その格好?」

 

「拓人お兄さんもですよ」

 

拓人は自分の体を見ると、私服から旅人の服へと何故か変わっていた

 

「確か──」

 

この状況はどうして起こったのかよく思い出してみる

 

今日はさあやのドラマの撮影を皆んなで見学しに撮影場に行っていた。

そのドラマでは、さあやの母親のれいらも一緒だった

 

初めての親子共演もあり、場は盛り上がっていた

 

けれどその途中、周りの景色にノイズが走りいつの間にか

 

「拓人お兄さんは旅芸人なのです!」

 

「そういうえみるちゃんは魔法使い…」

 

周りを見渡すと変わったのは拓人達だけではなく、はな達皆んなも変わっていた

 

はなは勇者、さあやはお姫様、ほまれは武道家、ルールーは黒猫、ハリーははぐたんを連れての子連れ侍となっていた

 

「おぉ〜!ファンタジ〜!」

 

「なんて言うか、さあやちゃんがやるドラマの世界観と似てる様な」

 

「似てると言うよりそのまんまです」

 

さあやがそう言っているので、本当にそうなのだろう

 

「にゃるほど〜、これはVR空間の様だにゃ〜」

 

「と言う事はクライアス社の仕業か!?」

 

ルールーの分析でクライアス社の仕業だと判明はしたが、未だそれだけしか情報が無い

 

「そういえば他のスタッフの人達は?」

 

「わたしも気になってた」

 

「このままじゃ撮影が…」

 

((心配するところそこなんだ…))

 

確かに撮影も大事だが、今この状況でそれを思うさあやに苦笑いしか出ない拓人とほまれだった

 

「どうすればいい?魔王、ラスボス倒せばいいの?」

 

はなは鞘から剣を抜刀したが、刀身部分が何故か何故かカチンコになっていた

 

「「「「伝説のカチンコ!?」」」」

 

「貴女が監督の様ね」

 

「あ、れいらさん」

 

「さぁ撮影を始めましょう!」

 

カチンコを持ってるのがはなだがら、監督ははなと言って撮影を始めようとする

 

「私は本気である!セットを超えた非日常!最高の映画を撮ろうぞ!」

 

心の準備もままならいまま、撮影は開始するのであった

 

「ぶっ飛んでるけど、アンタのお母さん本当に女優なんだね〜」

 

関心の声を上げたのは、共に見学をしていたマキだった

 

「マキ先生も!?」

 

「近くに居た皆んな巻き込まれたみたいだね」

 

「と、とにかく!撮影が終わったら出られるかも知れない!何でも出来る、何にでもなれる!監督頑張るぞ〜!!」

 

 

 

 

 

撮影は順調……かと思いきや

 

平民役である一条蘭世がいきなり登場したのだ

 

「うおっ、蘭世ちゃん!」

 

 

「貴女は姫、ライバルのわたしは名も無き平民とはこれ如何に!しかし、わたしの方が女優としては上!だと分からせてやりますわ〜!はいコレどうぞ」

 

 

いきなり登場からの、さあやに渡されたのはひのきの棒となべのふた

 

両者構えてからの姫と平民のバトルが勃発した

 

「よし良いよ〜!」

 

「え、良いの!?」

 

「アクション!」

 

 

監督であるはなの意向を尊重して撮影は再開した

 

演技にしてはかなり激しいぶつかり合いをし、お互いに本気でやってるのだと思っていた

 

けれど間近で見てる蘭世は違って見えていた

 

 

「お姫様は結局お姫様ですね!」

 

「そんな事…ありませんわ…」

 

「貴女、これで本気ですの?スキあり!」

 

 

「カット!一回止めよう!」

 

蘭世がさあやの棒をはたき落として、はながカットを入れる

 

「蘭世ちゃんごめん、もう一回宜しく──」

 

握手をしようとしたが、その手を叩いて拒否した

 

「何ですの今の演技は?他の事に気を取られて芝居に入り込めてない!握手は、ライバルとするものでしょう?」

 

「さあや、芝居に心が感じられない。これでは、只の親子共演として芸能ニュースに載るだけよ」

 

れいらからの厳しい言葉もあり、益々落ち込んでしまった

 

 

 

「わたしは上手にお芝居出来てると思ったけどな。厳しいね」

 

「ううん。お母さんの言う通り、心を込めないと失礼だもん」

 

「何か引っ掛かってるの?」

 

「いつも不器用で嫌になる……あのね、わたし──」

 

大事な事を話そうとした時、大きな音が鳴り響いた

 

「にょえぇぇぇぇ!!」

 

「ヤブを突っついていたら巨大生物出現だにゃん。計算通りだし」

 

可愛いが、巨大な怪獣に拓人、えみる、ルールーの三人が追い掛けられていた

 

拓人達はそのままはな達の所へ猛ダッシュ

 

「何でこっちに来るんですか〜!?」

 

「ほら勇者行け行け〜!」

 

「色々楽しいね〜!」

 

「そんな事言ってる場合ですか〜!?」

 

一心不乱に逃げるが、さあやだけヒールを履いており追い付かれる

 

「姫〜!お守り致す!」

 

「ダイガンさん!」

 

「私が来たからには五分で──」

 

何処からともなく現れたダイガンがさあやを助けた様と抵抗しようと構えた時、怪獣は無慈悲にダイガンを踏み潰した

 

「3秒で終わりましたにゃん。新記録だにゃん」

 

「それより早く手当てを!」

 

 

 

 

 

「これで良し」

 

「医師をかたじけない」

 

「ゲームだったら、回復魔法でバーンって治るんだけどね」

 

「そういうオマケは無いみたいですね」

 

さあやはマキと共にダイガンの治療をしていた

 

「しかし、五分で心は癒された。あの時と同じだ。君は私に新しい夢をくれた。ありがとう」

 

ダイガンの治療を終えた後、さあやはマキにとある事を質問した

 

「マキ先生、先生はずっと産婦人科のお医者さんになるのが夢だったのですか?」

 

「ううん、最初は親と同じ外科を目指してんだよ。研修医の時、内科、外科色んなとこを回って経験を積む内に出会っちゃたんだよね」

 

「先生は強いですね。そうやってハッキリ道を決めたら後悔する事は…」

 

「あるよ、人生そんなものだよどんな人生選んでも後悔はする。だからさ、その時その時心に正直に生きようって私は思ってる」

 

選ぶ道は一つでは無い。選んだとしても困難はある。

しかしそれでも、前を向いて未来に生きようって事をマキに教えられた

 

そして、さあやは決めたのだった

 

 

 

 

 

////////

 

休憩明け後、さあやの表情は変わっていた

 

それは、芝居にも大きく影響してより良いものへとなった

 

「良い芝居だったわ。この調子で頑張りなさい」

 

「わたし、お母さんに話さないといけない事がある。わたし、この撮影が終わったら女優を辞める」

 

「何で…何でですの!?」

 

れいらよりも、蘭世がさあやの女優を辞めると言う言葉に必死になっていた

 

「何故女優を辞めるなんて言いますの?結局貴女にとって、お芝居の世界は遊びだったのね?

 

「遊びじゃない!だからずっと…迷ってた」

 

「女優を辞めて何を目指しますの?」

 

「お医者さん」

 

マキと同じ様に、これまでさあやが経験した中で見つけた夢の証明

 

「……両方出来ませんの?」

 

「わたしは器用じゃないから、きっと両方中途半端になってしまう。そんな気持ちで蘭世ちゃんの前に立てないよ」

 

さあやの瞳は真剣だった。

蘭世も、それを察してもう引き留める事を諦める

 

「嫌になりますわ本当に。貴女が自分の夢を叶えお医者さんになった頃、わたしは日本いや、世界を代表する女優になっていると思うけど精々悔しがりなさい!」

 

「確かに悔しいって思うだろうな……けどだからこそ未来で、蘭世ちゃんの前に立った時なりたい自分になったって言える様に頑張る!」

 

その決意でさあやの衣装は、お姫様からマキと同じ僧侶への衣装へと変わった

 

その姿こそが、さあやのなりたい自分なのだと

 

 

 

 

 

娘の成長は嬉しい。だけど何処か寂しさがあった

 

「……」

 

「流石は名女優、心を隠すのが上手い。けれど、私の前では全てを曝け出していいのです」

 

れいらの背後、リストルが現れてれいら自身を使って猛オシマイダーを発注させた

 

 

 

「猛オシマイダー!!」

 

「猛オシマイダ!?」

 

猛オシマイダーははな達の前に現れ、はぐたんを攫って行った

 

「はぐたん!!」

 

 

 

「「「「「ミライクリスタル!ハートキラっと!」」」」」

 

 

「「「輝く未来を抱きしめて!」」」

 

「みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

 

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

 

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

 

「「みんな大好き!愛のプリキュア!」」

 

「キュアマシェリ!」

 

「キュアアムール!」

 

 

「「「「「HUGっとプリキュア!」」」」」

 

 

 

連れ去れたはぐたんは、猛オシマイダーの中へ閉じ込められてしまった

 

「プリキュア ミライブレス!」

 

「チューバズーカ!── フェアリーズ・オラトリオ!」

 

拓人とエールの力が合わさった攻撃でも、猛オシマイダーはいとも容易く受け止めた

 

「フッ!」

 

「「ハッ!」」

 

続いてエトワールとマシェリ、アムールの同時攻撃をするも、猛オシマイダーに弾かれてしまう

 

「ッ!」

 

アンジュもどうにかしようと高くジャンプした時、猛オシマイダーの瞳の中にれいらの姿を見た

 

「お母さん!」

 

一度距離を置いて、エールとエトワールの元へ着地する

 

「エール、エトワールわたしの背中を押して。お母さんと話して来る」

 

「OK!」

 

「フレフレ!」

 

「「さあや!!」」

 

 

 

 

 

猛オシマイダーの中へ自ら飛び込み、その中の空間をさあやは静かに歩いていた

 

周りには、さあやと共に歩んで来た思い出の中の映像が浮かんでいた。

その中心にはれいらが

 

この空間は、れいらの中の思い出で出来た特別な場所だった

 

「さあや…さあや。初めて抱きしめた時の小ささ、この子の為なら何でも出来ると思ってた。愛おしい娘の巣立ち、なのにどうして私応援出来ないの?さあやが、お母さんが憧れだって言ったこと嬉しかった……」

 

「お母さん!」

 

「さあ…や…?」

 

「わたしの今までの夢は、お母さんが見てる世界を見てみたいだった。その世界に触れる事が出来たから新しい夢が見つかりました。わたしはお医者さんになって、皆んなを癒したい、笑顔にしたい!お母さんが、お芝居で大勢の人を幸せにしてる様に」

 

「大きく、なったわね」

 

「お母さん、産んでくれてありがとう!」

 

憧れから始まった夢はいつしか、自分の夢へと変わり、育っていく

 

最大級の感謝を込めてさあやはハグした

 

 

 

 

 

「皆んな!」

 

れいらとちゃんと向き合って、はぐたんを助け出したアンジュは猛オシマイダーの中から出て来た

 

「行くよ!未来へ!」

 

 

 

「「「「「メモリアルキュアクロック!マザーハート!」」」」」

 

「「「「「ミライパッド・オープン!」」」」」

 

「「「「「HUGっとプリキュア!今ここに!」」」」」

 

 

「ワン・フォー・オール!」

 

「オール・フォー・ワン!」

 

「ウィーアー!」

 

「プリーキュアー!」

 

「明日にエールを!」

 

「「「「「ゴーファイ!みんなでトゥモロー!」」」」」

 

 

 

 

 

////////

 

猛オシマイダーを浄化し終わると、いつの間にか元の世界へと帰って来れた

 

そしてちゃんとした撮影が再開されるのであった

 

「わたくしは貴女の強さに憧れる…」

 

「姫」

 

「広い世界に旅立ち、同じ目線に立った時」

 

「これからも、貴女の前には困難が待ち受けるでしょう」

 

本来とは違うアドリブの台詞

 

けれどそれは、お互いへ向けての言葉にも聞こえた

 

「けれど今の気持ちを忘れないで。夢を、明日を、真っ直ぐ見る瞳が貴女の強さです」

 

「はい、わたくしは新たな道を進みます。夜明けは今!」

 

これにて撮影は終了したのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今までの経験を活かして、さあやは医者への道を進んで行くのだった




次回はオリ回です

ここまでの拝読ありがとうございました


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第42話 音楽が繋いでくれた数々

予定3000文字、多くて4000文字くらいと思ってたのに、いざ書き終わると7600文字……

ではスタート


「ふぅ…なんとか間に合いそうだね」

 

「そうだね」

 

会話をするのは拓人と正人の二人だった

 

愛崎家で拓人の指揮の練習の手伝いをしていた

 

「発表は明々後日。何も問題は無そうだからこれなら──」

 

「お兄様、拓人お兄さん、お茶菓子を持って来たのです」

 

区切りも良いところで、えみるが入室した

 

「ところで何をしていたのですか?少し前から色々しておりますが…」

 

「ああ実は、拓人が海外のオーケストラに入れるかどうかの試験練習をしてたんだよ」

 

「えぇ!?」

 

「正人君勝手に…」

 

横目でえみるを見ると、キラキラとした瞳で拓人を見ていた

 

拓人は諦めて全て話す事にした

 

「…実は日本の有力者を集めて育ててみたいっていう人が居るんだ。その内の一人として招待されたって訳なの」

 

「でも人数にも限りがあるから、ひとりひとりの腕前を見て判断するって」

 

「それで試験なのですね」

 

「俺は別に世界にまで進出する気は無いんだけど、その時一緒に居た正人君のせいで…」

 

恨むような目で正人を見る

 

「ま、まぁ拓人はああ言うけど世界で活躍出来るかも知れないんだ。えみるならどう思う?」

 

「わたしもお兄様と同じ気持ちです!」

 

(駄目だこの兄妹…)

 

この二人のどちらかに耳に入ってしまうと、もう何やっても無駄だと改めて思い知った

 

 

 

 

 

////////

 

「そこで応援団を準備して来ましたのです!!」

 

と、えみるの背後にははな達いつものメンバーに加えて、トラウムまで居たのだ

 

「何で貴方まで…」

 

「もうルールーちゃん酷いな〜。お父さんも仲間に入れてよ〜!」

 

「その喋り方やめて下さい。不愉快です」

 

「あはは…」

 

拓人が苦笑いしてると、そこへ拓人と同い年であろう一人の少年が此方へ歩いて来た

 

「おやおや、そこに居るのは天才少年の音宮拓人さんじゃ〜ないか〜い?」

 

「拓人さんの友達ですか?」

 

「友達って言うより目の敵…」

 

「お初にお目にかかります。僕は"凡人"!の指揮者の『音間』と申します」

 

ニコニコとした笑顔で愛想良くする音間。

しかし、その様子にさあやとほまれはヒソヒソと後ろで話していた

 

 

「な〜んか嫌味な言い方」

 

「あまり歓迎してないね」

 

 

「それでどうしたの音間君?何か用事がある?」

 

「い〜や〜別に。ただ天才!の音宮拓人の調子はどうかと思ってね」

 

「…」

 

先程から「天才」とばかりわざと強調して、拓人の機嫌を損ねようとさせてる音間だが、拓人はそれを無視する

 

「練習通りするってところかな。練習にも付き合ってくれた友人の為にも最善は尽くすつもりだよ」

 

「友人、ね」

 

音間は物珍しくはな達を見回していた

 

「わたし野乃はなです!音間さんも一緒に──」

 

「やっぱり天才は大層な自信がありますね〜」

 

「え?」

 

はなが元気良く挨拶してるのを、わざと大きな声で遮っては皮肉めいた発言をする

 

「凡人である僕は、そんな女の子侍らせて指揮する事なんて出来ないな〜。いや〜本当、天才な音宮拓人は凄いな〜!」

 

「わたし達は──」

 

応援に来ただけだと言い返そうとするが、それを拓人が止める

 

「お互いに頑張りましょうね天才君」

 

そう言って彼はその場を後にした

 

「なんや感じ悪い奴やな」

 

「…別にいいさ。とにかく俺は準備があるからまた後で!」

 

拓人も準備をする為はな達とは分かれた

 

 

 

 

 

////////

 

はな達は会場ホールで席に座ってその時を待っていた

 

「拓人やつ大丈夫かいな?」

 

「拓人なら何も問題は無い筈です」

 

それから、プロの人達と共に集められた指揮者達が試験を開始した

 

 

 

 

 

四人目の人が終わり、次は拓人の順番が回って来る

 

舞台袖で少し緊張気味で震えていた

 

(大丈夫、大丈夫。あんなに練習したんだ。いつも通り平常心で…平常心で……)

 

拓人は手の平に「人」の文字を三回書いてそれを飲み込んだ

 

「よし」

 

両頰を軽く叩いて舞台へと歩き出した

 

指揮台へ向かう途中、観客席へふと視線を移すと、声は出しては無いが手を振って応援する姿が見られた

 

(うん…頑張る)

 

そんなはな達の姿を見て心が少し落ち着いた

 

(練習通りタクトを振ればいいだけ!)

 

 

 

始まった試験

 

拓人は順調に事を進めていた

 

「やっぱり拓人さんは凄いな〜」

 

「この調子なら大丈夫の様ですね……えみる?」

 

「……」

 

誰がどう見ても申し分無い動きなのだが、えみるだけは妙に難しい表情をしていた

 

 

 

(よしこのまま行けば大丈──ッ!)

 

舞台上、指揮棒を振る拓人は突然体調に変化が起こした

 

(何だ、急に…目眩が…それに……!)

 

急な目眩が襲い、そして呼吸困難に陥る

 

「ハァ…ハァ…」

(俺、分からない…分からない!何で…)

 

頭の中に古く、そして苦い映像が流れる

 

タクトを落とし、下を向くことしか出来ない先導者の───哀れなマエストロの姿を

 

「もう…げん、かい……」

 

そして拓人はその場に崩れ落ちてしまった

 

「お、おい君!?」

 

「どうしたんだ!?」

 

演奏者達もようやく異変に気付いて、介抱する為群がり始めた

 

観客席ではな達もそれを見て絶句していた

 

「拓人さん!」

 

「わたし達も行きましょう!」

 

「はい!」

 

全員が拓人の心配をして、急いで観客席を後にしようするのだが一人だけ、えみるだけは呆然となっていた

 

「えみる」

 

「ルールー、た、拓人お兄さんが倒れ──」

 

「ですから一刻も早く拓人の所へ行きましょう!」

 

 

 

 

 

////////

 

目が覚めると白い天井が見える

 

体を起こすと周りにははな達が囲む様にして、心配の目で拓人を見ていた

 

「拓人さん大丈夫ですか?」

 

「何とかね…そうだあの後結局どうなったの?突然息が苦しくなってそこで…」

 

「……」

 

はなは目を背けて何も話そうとしなかった。

拓人もそれで何となくだが理解はした

 

「そう…か、そうだよね。あんな醜態を晒したのだから…」

 

俯く拓人だが、すぐに皆んなに笑顔を向ける

 

「でもいいさ!元々あまり興味無かったし」

 

「あの拓人──」

 

「悪いけど着替えをするから一度出てってくれない?後、ハリーちょっと手伝って。まだ体に怠さがあるから」

 

「それはかまへんけど…」

 

 

 

 

拓人に言われて一同は一度退出する

 

「拓人さん、かなり落ち込んでるね」

 

「暫く一人にさせて置いた方がいいかも」

 

「でもでも!こんな時にこそ励ました方が!

 

さあやとほまれはそっとしといた方が良いと言うが、逆にはなは元気付けた方が良いと意見が分かれてしまった

 

「ルールーはどう思う?」

 

「…わたしにも分かりません」

 

「えみるちゃんは?一番長くいるえみるちゃんなら元気付けられるかも!」

 

はな達は話してる途中、廊下奥から音間が上機嫌で歩いて来た

 

「おや?おやおやお〜や?そこに居る人達は、天才の音宮拓人のご友人ではないですか〜?」

 

「何の様ですか…?」

 

「何ってそんなの決まってるじゃないか──あの凡人以下まで成り下がったマエストロを嘲笑いに来たんだ〜」

 

それを聞いたルールーは、音間に掴みかかり壁に追い込んだ

 

「何やってるんや!?」

 

「ルールー離れなさい!」

 

「離してください!!」

 

ハリーとトラウムでルールーを引き剥がすが、それでも力負けして徐々に引き摺られる

 

「…取り……す…のです」

 

そんなルールーとは反対に、えみるはゆっくりと音間に近付き何か呟いていた

 

「今の言葉取り消すのです!!」

 

「えみる…」

 

「拓人お兄さんは沢山練習して、それが認められたからあの場に居たのです!!」

 

「あ〜、俗に言う努力の天才ってやつ?どちらにしろ、天才から凡人以下に落ちたけど」

 

「そう言う意味ではありません!拓人お兄さんは確かに凄い人です!ですが、天才でも何でもない、ただ普通に音楽好きでやっている人なのです!!」

 

「さっきからうるさいなぁ。何言ってるかよく分からないんだけど〜?」

 

「わたしが言いたいのは──」

 

えみるの肩に手が置かれる

 

「拓人お兄さん…」

 

着替えを済ませた拓人が、えみると音間との口論を止めに入った

 

「えみるちゃん、周りの人に迷惑だよ」

 

「だけど──」

 

「ほらほら、音宮拓人もそう言ってるんだから。少しは静かにしたら?」

 

拓人は笑顔で手を伸ばして音間に握手を求めた

 

「音間君おめでとう。これから頑張ってね」

 

音間は拓人の手をジッと見つめ

 

「音宮拓人にアドバイスしてあげるよ────もう指揮…いや、音楽辞めた方が良いよ〜!」

 

高笑いしながら翻して去って行った

 

差し出した手は悔しくも、悲しくも一人で力強く握る

 

「さぁ皆んな帰ろっか」

 

「待つのです!!」

 

「えみるちゃん?」

 

「何で…何で何も言い返さなかったのですか!?あんな風に言われて悔しくないのですか!?わたしは悔しいのです…!」

 

拓人はえみると同じ視線まで腰を落として言った

 

「彼の言う通り俺は音楽を辞めるよ」

 

「ッ!?」

 

「拓人、いくら今日の結果がダメでも!」

 

「潮時って言うのかなこういうの」

 

「まだ…まだわたしは貴方に音楽の楽しさを全て教えてもらっていません!」

 

「そんなのえみるちゃんでも、正人君でも、誰にでも教えられる」

 

拓人がそんな言葉を言うの初めてだった。これまで一度もそんな事

 

「ダメなのです!」

 

「えみるちゃん」

 

「嫌です!辞めないで下さい!!」

 

「えみるちゃん!!」

 

いつまでも駄々をこねるえみるに、拓人は大声で出して止めた

 

「…ごめんね」

 

「拓人!」

 

「ルールー待ちなさい」

 

ルールーは引き留めようとしたがトラウムが止めたのた。

ルールーは独り去っていく拓人をの背中を眺める事しか出来なかった

 

 

 

 

 

////////

 

会場の外、拓人は風に当たってこれからの事を考えていた

 

(俺ももうここまでか…)

 

ここまで来て、自分のメンタル面での弱さに気付かされた。

普通ならここから這い上がるのが筋、しかし拓人にはそれは遅過ぎたこと

 

(もうお終い、か…)

 

「ていう顔をしてますね先生」

 

背後から声がした

 

振り返ると奏音が立っていた。

急いでクロノスタクトを構えようとするが、その手を止められる

 

「これで分かったでしょう先生。所詮明日なんてこんなもんです」

 

「それでも、明日を…未来を信じれば──」

 

「音楽、辞めちゃうんですね」

 

「ッ!?」

 

「僕としては先生には続けて貰いたい。けれど、これ以上は先生自身を苦しめる。ならばいっそ、自分が苦しまない様に時間を止めて自分だけの世界に閉じ篭っちゃえばいいんですよ」

 

奏音はクライアス社の名刺を差し出す

 

「受け取って下さい。そして、二人だけで音楽を楽しましょう。二人だけで」

 

いくら甘い声に唆されてもダメな事くらいの判断はすぐつく。

しかし今の拓人には、その正常な判断が出来なくなっていた

 

「はぁ…はぁ…!」

 

皆んなの期待を裏切ってしまった

 

自分自身の未来を閉じて閉まった

 

好きなものが嫌になっている

 

受け取れば、そんなプレッシャーから全て解放される。

その手を取れば一体どれだけ楽になるだろう

 

震える手が名刺に届きそうな時

 

「拓人お兄さん!!」

 

今、一番会いたくない人の声がした

 

「貴方は…拓人お兄さんから離れるのです!!」

 

「まぁ、そうなるよね」

 

えみるだけではない。はな達皆んな駆け付けた

 

「悪いけどもう遅い!」

 

奏音は強引に拓人の腕を取り、トゲパワワを増幅させる

 

「先生のアスパワワをトゲパワワに変換させ、その力で最強の猛オシマイダーを発注させる!!」

 

「拓人お兄さん!?」

 

奏音は、今まで以上のトゲパワワで猛オシマイダーを発注させた

 

「猛オシマイダー!!!」

 

アスパワワを完全にトゲパワワに変換された拓人はその場に崩れ落ちる

 

「拓人お兄さん!!」

 

「待ってえみる!」

 

「離して下さいはな先輩!」

 

「変身!…しないと」

 

「あ…」

 

拓人ばかりに目が入ってしまい、変身する事さえ忘れていた

 

「えみる」

 

「ルールー…」

 

「拓人に直接聞きましょう。わたしも手伝います」

 

えみるは両頬を叩いて気持ちを切り替える

 

「ごめんなさいなのです!はな先輩もありがとうございます!」

 

「じゃあ行くよえみる!」

 

「はい!」

 

 

 

「「「「ミライクリスタル!ハートキラっと!」」」」」

 

 

「「「輝く未来を抱きしめて!」」」

 

「みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

 

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

 

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

 

「「みんな大好き!愛のプリキュア!」」

 

「キュアマシェリ!」

 

「キュアアムール!」

 

 

「「「「「HUGっとプリキュア!」」」」」

 

 

 

「誰にも先生を奪わせない!!」

 

「猛オシマイダー!!」

 

「ッ!」

 

拳を振るうのをアンジュが前に出てシールドで防御する

 

「エトワール!」

 

 

「フレフレ!ハート・スター!」

 

 

星の鎖が猛オシマイダーの体を拘束し動けなくする。

それに合わせるのはエール

 

 

「フレフレ!ハート・フォー・ユー!」

 

 

エールの技を直接食らったが、少し後ずさる程度しかダメージがなかった

 

「この猛オシマイダー強い!」

 

「当たり前だよ!この猛オシマイダーは、僕と先生のトゲパワワを使ったからね!」

 

それでも一歩も引かず走り出す

 

「猛オシマイダー!」

 

猛オシマイダーがビームを放つもエール達は避ける。

そしてマシェリとアムールは、それを掻い潜りながら近付いて行く

 

「「ハァッ!」」

 

二人はミライブレスを装着して、アスパワワを込めたエネルギーをぶつける

 

けれど全くビクともしない

 

「攻撃が全部効きません…」

 

「そろそろ仕上げだよ!猛オシマイダー!」

 

「猛…オシマイダー!!」

 

反撃と言わんばかりに猛オシマイダーは咆哮を上げ、ミライブレスの攻撃を掻き消した

 

「猛オシマイダー!」

 

「マシェリ…きゃあ!!」

 

「アムール!!」

 

薙ぎ払う腕がマシェリに当たる直前、アムールが庇ってその身に受ける

 

「猛オシマイダー!!」

 

猛オシマイダーはその場でジタバタと暴れ出して、あたり構わず攻撃し始めた

 

「「ああっ!!」」

 

「アンジュ!エトワール!」

 

暴れる猛オシマイダーを止めようとした二人も返り討ちに合ってしまう

 

「これじゃあ近付けない!」

 

「どうすれば…拓人お兄さん!?」

 

猛オシマイダーが暴れる近く、拓人が未だに立ち上がれてない事にマシェリは気付き走り出した

 

「マシェリ待って!!」

 

「待てないのです!だって、拓人お兄さんが!」

 

猛オシマイダーの足が拓人を踏み潰そうとする

 

「拓人お兄さん!!」

 

マシェリは飛び込んで、間一髪のところで拓人を救い出した

 

「うぅ…拓人お兄さん大丈夫ですか?」

 

「………てよ」

 

「拓人お兄さん?」

 

「もう、もう放って置いてよ……」

 

「それは無理なのです」

 

「だったら、そんな目で見ないでくれ…鬱陶しい…」

 

いつも可愛がってくれた拓人に言われ、少し後ずさる

 

「どうしてそんな期待した目で見るの?俺は只、音楽が好きなだけだったのに……」

 

そんな弱気な姿を見せたのは初めてだった。今まで明るく振る舞っていただけで、本当は周りの目を気にして音楽をしていた

 

今日それが耐え切れず爆発した

 

「いつもそうだ。期待するだけして、いざ失敗すると手のひら返す。天才だから、マエストロだから、有望だからって人の未来を勝手に決めるなよ……」

 

「……」

 

なんて声を掛ければ分からない

 

確かに正人もそうだったが、今回の事もマシェリも勝手に賛同して拓人の意見など全く聞いてなど無かった

 

拓人がより良い実績を残せれば、それが拓人の未来の為になると決め込んでいた

 

いつの間にか、マシェリもそういう考えになっていた

 

だから

 

「でしたら、やっぱり音楽は辞めるべきなのです」

 

「…」

 

「苦しい思いまでして続ける必要は無いのです───その気持ちが本当でしたら」

 

マシェリは拓人と同じ目線に座り優しく見つめる

 

「本当に嫌でしたら、もうとっくに辞めているのです。ですが拓人お兄さんは、今日この日まで音楽を続けていたじゃないですか。それは、まだ拓人お兄さんが音楽を大好きでいるからじゃないですか?」

 

「何で…そんな事が分かるの?」

 

「拓人お兄さんの音楽、わたしは好きなのです。聴いていて良く分かるのです。奏でる音一つ一つに心がとても暖かくなる、そうわたしは思います」

 

「そんな──」

 

「だからわたしは、まだ音楽を捨ててほしくは無いのです」

 

「それでも俺は何も…」

 

「拓人お兄さんから始まって、色んな先輩方、友達、それに大切な親友にも出会えました。拓人お兄さんが作ってくれたのです。今のわたしを」

 

マシェリは、拓人のハーモニカを手に取って渡す

 

「きっと君は後悔する。今の俺は、天才でもなんでもないただの人」

 

「ただの貴方がいいのです」

 

「いつまでも過去の事ばかり囚われて、壁にぶつかって未来に進めない人」

 

「壁にぶつかってるって事は、着実に前に進んでいるのです」

 

「…なら俺は──」

 

話す最中に猛オシマイダーが乱入し、二人を叩き潰した

 

「マシェリ!拓人さん!」

 

「少し手荒だって認めるよ。でも、こうでもしないと先生の周りに居る奴らは面倒だか…ら……」

 

様子でも見ようかと近づこうとして異変に気付いた

 

猛オシマイダーの動きがおかしいと

 

「まさかそんなこと……クッ!」

 

動きの止まってる猛オシマイダーに、奏音は察して歯を噛み締める

 

「なら俺は、そんな君の為にもう一度立ち上がるよ。俺の未来を掴む為に」

 

猛オシマイダーが止まってる隙に、マシェリは懐に飛び込んだ

 

「マシェリポップン!」

 

ほぼ零距離での攻撃に回避など出来ず受けてしまう

 

「ッ!」

 

そしてダメ押しに、ルージュをセットしたクロノスタクトで猛オシマイダーの動きまで封じる

 

「アムール!」

 

「はい!」

 

 

 

「「ツインラブギター!」」

 

「「ミライクリスタル!」」

 

「Are you ready?」

 

「行くのです!」

 

「「届け!わたし達の愛の歌!」」

 

「心のトゲトゲ」

 

「ズッキュン打ち抜く!」

 

「「ツインラブ・ロックビート!」」

 

 

「モウヤメサセテモライマ〜ス」

 

 

「愛してる♡」

 

「Thank you!」

 

 

 

 

 

////////

 

拓人とえみるはお互いに見合って立っていた

 

細かく言えば、えみるは腰に両手を当てて怒ってるアピール。

拓人は居心地が悪いのか、手遊びをしながら目を逸らしていた

 

「拓人お兄さん」

 

「な、何かなえみるちゃん…」

 

「ハーモニカ、吹いてくれますか?」

 

「…いいよ」

 

拓人はハーモニカで即興で奏でる

 

軽く吹いて終わった後、拓人は口につけた部分を軽く拭いてからえみる差し出す

 

「俺には必要は無いから」

 

「…やっぱり辞めてしまうのですね」

 

「違うよ。続けるから」

 

「え?」

 

「このハーモニカは知ってる通り、俺とえみるちゃんとの思い出の様な物。未来の俺がルールーちゃんに託した様に、えみるちゃんにもこのハーモニカを受け取って欲しいんだ。続けるからこそ、えみるちゃんをもっと近くで応援したい。君が励ましてくれた様に、いつか挫けそうになった時、このハーモニカを見て励みにして欲しい」

 

「本当に良いのですか?」

 

「そうしたら続けるよ」

 

「何かズルい様な気も…分かりました。大切にするのです!」

 

そうしてえみるはハーモニカを受け取り、拓人は音楽を続けるという約束をした

 

「そういえばもうすぐクリスマスだね。えみるちゃんは何か欲しい物とかある?」

 

「え、急になんですの??」

 

「あの、クリスマスとは何ですか?」

 

クリスマスに聞き覚えの無いルールーは何のことかさっぱりだった

 

「さあや教えて下さい」

 

「え!?急に言われても…」

 

さあやはほまれの方へ目を向ける

 

「クリスマスはクリスマス…」

 

簡単な様で難しく、説明に戸惑ってると空から人が落ちて来た

 

「「「えぇ〜!?」」」

 

その人物は、知らない人は居ないくらい有名な人

 

それは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「サンタさん!?」」」」」

 

「サンタ、とは何でしょう?」




オリ回書くのに後半からグダるのはいつもの事ですはい

ここまでの拝読ありがとうございました


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第43話 待ちに待ったクリスマス!そして次はお正月!

ではスタート


突如として拓人達の目の前に現れたサンタクロース。

急に空から降って来た事に何か事情があるのだろうと思い、拓人達はビューティーハリーへと招き入れた

 

「サンタさんが降って来るなんて何かトラブルでもあったのですか?」

 

「トラブルだと思いますが、それで済ませようとする拓人お兄さんは凄いですね…」

 

「トナカイの看病をしてるうちに、ワシもトナカイ風邪に…」

 

要するに風邪を引いてしまったらしい。

ただ、トナカイの風邪が人に感染るなんて事があるのだろうかと一同疑問に思う

 

「このままでは…」

 

「やだやだ!わたし達に出来る事手伝わせて下さい!」

 

「しかし、トナカイはまだ寝込んでおるしワシも…」

 

「それなら歩いて配る?それとも自転車?」

 

「それでは朝になってしまうのです!」

 

「どうすれば…」

 

皆が案を出そうとするも、中々良いものが浮かばなく悩んでるとある男が現れた

 

「呼ばれて無いけどジャジャジャジャ〜ン!」

 

「あ、トラウムさん。こんにちは」

 

「帰って下さい」

 

「待って待って!良い物持って来たから!」

 

 

 

 

 

「これは…」

 

外へ出るとトラウムが用意した、ソリとトナカイが居た

 

「メカトナカイ!四人乗り〜!」

 

『メリクリ…!』

 

拓人、はな、えみるは少しメカトナカイを見て表情を引き攣らせる

 

「という訳で、サンタ見習いとして宜しくお願いします」

 

「うむ、皆で子供達に夢を届けよう」

 

流れに乗って、トラウムもサンタに協力する事となった

 

「先ずは、プレゼントのラッピングだね!」

 

 

「ミライパッドオープン!お仕事スイッチオン!

 

 

早速全員が作業に取り掛かる

 

勿論プレゼントだけではなく、その日のクリスマスに向けての準備も同時進行

 

そんな時、ふとトラウムはルールーに話し掛ける

 

「ルールーちゃん!クリスマスに欲しいプレゼントはあるかな?」

 

「ありません」

 

「いやいやあるでしょう!?」

 

「ありません。あったとしても貴方には言いません」

 

そんな強烈な断り方にトラウムの胸にグサリと刺さる

 

「今のはダメージが大きい…」

 

完全に凹んでしまって、外の方へお手伝いに行った

 

「ルールー」

 

「あとちょっとだけ素直になってみたら?」

 

「拓人、えみる、わたし…」

 

二人はそれ以上は何も言わず、ただ笑みを浮かべるだけだった

 

今までみたいにアドバイスしなくても大丈夫の信頼から

 

「…頑張ってみます!」

 

 

 

 

 

全ての準備が整った夜

 

これからプレゼントを配るのだが、四人乗りもあって人数が限られる

 

サンタは勿論、何かあった時のトラウム。そのお手伝いをするのは、はなとえみるとはぐたん

 

残りの人達はお留守番という形になった

 

しかし、その場にルールーの姿だけはなかった。

それを気にしたトラウムは拓人に聞いてみる

 

「あの、ルールーちゃんは?」

 

「それなら」

 

「秘密なのです!」

 

「ルールーちゃんなら心配要りません。はなちゃん達と一緒にプレゼントお願いしますね」

 

こうして拓人達は、空へ旅立つはな達を見送り、帰って来るまでビューティーハリーで夜を過ごすこととなった

 

 

 

 

 

////////

 

次の日クリスマス当日

 

パップル達がとある会場を抑え込んでクリスマスパーティーを開いていた

 

準備は、サンタの手伝いと同時進行にしていたので簡単に飾り付けをするだけで済み、後は人が集まるのを待つのみとなっていた

 

「ライブの準備も出来ました」

 

「いつでも行けますのです!」

 

わいわいと騒ぐ中で、会場の扉が密かに開いた

 

(あれは…!)

 

それに気付いたのはトラウムだけ

 

入って来たのはジェロス。そしてその手に持つのは、いつの日かタクミとジンジンが使っていたトラウムの発明品

 

そのエネルギーをルールーに向けて放たれた

 

「ルールー……うわぁぁ!!」

 

即座にトラウムは身代わりとなるべく、自分からそのエネルギーに当たっていく

 

「…避けられたか」

 

直撃したトラウムは、時が止まり全く動かなかった

 

「なんて事を…!」

 

ジェロスは再度発明品を使おうとする

 

「やめなさい!それは未完成!危険です!」

 

「私には時間が無いの。時よ止まれ!!」

 

ジェロスは、その発明品に蓄えられていたトゲパワワを直接体内へと飲み込んで、己を猛オシマイダーへと変貌させた

 

「皆んな!」

 

はなのアイコンタクトで全員変身する

 

 

 

「「「「「ミライクリスタル!ハートキラっと!」」」」」

 

 

「「「輝く未来を抱きしめて!」」」

 

「みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

 

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

 

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

 

「「みんな大好き!愛のプリキュア!」」

 

「キュアマシェリ!」

 

「キュアアムール!」

 

 

「「「「「HUGっとプリキュア!」」」」」

 

 

 

ジェロスは街へと飛び出して、無造作に攻撃を仕掛ける。

その攻撃は建物を壊す破壊能力は無いものの、人々の時間を止めていった

 

「これ以上は!」

 

「時間を止めさせない!」

 

ミライブレスを装着したアンジュとエトワールが、ジェロスの両手を抑え込んで一時的に動きを封じた

 

「フラワーシュート!」

 

「グワァァァァ!!」

 

エールの攻撃が決まり大きく吹き飛ばされて倒れるが、それでも尚立ち上がる

 

「ぷりきゅあ〜!」

 

「Babyは嫌い!!」

 

側に居たはぐたんに嫌気がさしたのか、狙いをはぐたんへと変える

 

ハリーもはぐたんを守ろうとするも、体格の時点で劣勢なのは見ての通りだ

 

そんな二人の前にマシェリとアムールが飛び出した

 

「マシェリポップン!」

 

「アムールロックンロール!」

 

二人の攻撃でジェロスは大きく後退して危機は凌いだ

 

「悲しい…貴女はとても悲しい」

 

「何故はぐたんを、未来を否定するのですか?」

 

「小娘が説教するな!時間よ止まれェェ!!」

 

時間を止めようとするが、二人の前に更に拓人が立ちはだかり、クロノスタクトにセットしたミライクリスタル・ハーモニーで相殺させる

 

「どうして未来を拒む?誰にだって輝かしい未来はある!」

 

「アンタ達は知らないの。どれだけ頑張っても、可愛がられるのは若い内だけって事を!!」

 

「拓人さん…ぐっ!」

 

エールもミライブレスで相殺しようと加わるも、予想以上にジェロスの力が強く押される

 

「年を取る度世界が色褪せていく!そんな未来……モウオシマイダー!!」

 

「「ッ!!」」

 

更にパワーが増幅され完全に力押しで負けてしまい、敢えなく弾き飛ばされた

 

「凄い力…」

 

「でも、それでも止めないと…あっ」

 

そんな時、ジェロスの目の前にタクミとジンジンが止めに入った

 

「タクミ…ジンジン…今更何しに来た!私には未来が無いと見限った癖に…」

 

「違います!俺達はジェロスさんの足を引っ張るといけないと思って。でも!」

 

「Shut up!アンタ達は私にくっ付いて、仕事が欲しかっただけなのよ!!」

 

「違う!」

 

「俺達は、貴女の笑顔が大好きなんだ!」

 

その言葉で、ジェロスは古い記憶を思い出す。

どんな場所で、困難があっても、いつも側に居てくれた。ジェロスにしかない暖かい居場所

 

「飯なんて何でも良いんです。三人一緒に居られれば」

 

「楽しい気持ちは当社比二倍!」

 

「爺ちゃん婆ちゃんになっても、ず〜っと一緒にいましょう」

 

タクミとジンジンの想いが届き、ジェロスは涙を流して分かってくれた

 

「「プリキュア !頼む!」」

 

「かしこまり!」

 

 

 

「「「「「メモリアルキュアクロック!マザーハート!」」」」」

 

「「「「「ミライパッド・オープン!」」」」」

 

「「「「「HUGっとプリキュア!今ここに!」」」」」

 

 

「ワン・フォー・オール!」

 

「オール・フォー・ワン!」

 

「ウィーアー!」

 

「プリーキュアー!」

 

「明日にエールを!」

 

「「「「「ゴーファイ!みんなでトゥモロー!」」」」」

 

 

「私も、もう一度…!」

 

 

 

 

 

////////

 

無事にクリスマスパーティーは開催され、続々と人が集まって来た

 

そんな中で、ルールーはトラウムにある物を差し出した

 

「これは…?」

 

「カレーです。見て分かりませんか?」

 

「いや、その…」

 

「ルールーが作ったんですよ」

 

ルールーからのプレゼント。ましてや手作りのカレーに驚く

 

今までの接し方とは違う事もあって少したじろいでしまった

 

「はなから教わりました。温かいご飯、食卓、皆んなで囲めば家族になれる。メリークリスマス───お父さん」

 

「…たっは〜!ありがとう!ありがとうルールーちゃん!」

 

初めて「お父さん」と呼ばれ、嬉しさのあまりにルールーに抱き付く

 

いつもなら離れるルールーだが、何処か少し嬉しそうな表情をしていた

 

「私からもプレゼントがあるんだよ」

 

「要りません」

 

「えっ!?」

 

「そういう意味ではありません。プレゼントはもう貰いました。でも、もう一回」

 

今度はルールーからトラウムにハグをした

 

このハグこそが、ルールーにとって大切なクリスマスプレゼントとなっていた

 

「素直になって良かったでしょ?ルールーちゃん」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後は記念撮影をした

 

こうして今年最後の楽しみが終わり、新しい一年が始まろうとしていた




次回から最終決戦が始まるかなといった感じです

ここまでの拝読ありがとうございました


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第44話 ゆく年くる年、最後の大勝負

ふぅ…!やっとここまで漕ぎ着けました!

ではスタート!


まだ雪降り積もる街中だが、もうお正月

 

神社に集まっては、晴れ着を着た拓人達がお餅を食べていた

 

「はぁ〜お餅美味しい」

 

「拓人お兄さん、きな粉ばかりではなく餡子も美味しいのです」

 

「あ、餡子が苦手なの知ってて言ってるのえみるちゃん?」

 

「そうなのですか拓人…もぐもぐ…好き嫌いは……もぐ…駄目ですよ…ごくんっ!」

 

意外な好き嫌いにルールーは食べる様に促す

 

「拓人、はい、あ〜ん」

 

「え、遠慮しておくよ…」

 

「拓人、好き嫌いはアカンで」

 

「もう逃げられないのです!」

 

えみるとハリーが羽交締めで拓人を抑えて、その隙にルールーが口の中にお餅を詰め込んでいく

 

「コラそこ、食べ物で遊ばない!」

 

「いいじゃないほまれ。ほまれもほら、超激辛デッドアライブソースもあるから食べて!」

 

「さあやもだよ…」

 

「わたしも!?」

 

お餅作りには、パップル達もお手伝いで参加しており、小さな子供達にも配っていた

 

「お正月って最高!けれど、これからも更に楽しい事いっぱいだね!」

 

「節分、バレンタイン、ひな祭りと暫くは楽しい行事が続くね」

 

「はい。恵方巻き、チョコレート、雛あられ。とても楽しみです!」

 

「ルールーは花より団子なのです…」

 

「わたし達の未来は楽しい事いっぱい!皆んなの未来輝いてる!」

 

 

 

 

 

////////

 

「どうぞなのです!!」

 

「お、お〜今年はやけに豪華だね…」

 

初詣から帰った後、それぞれ家でお節を食べる事になったのだが、拓人だけは愛崎家で戴く事となっていた

 

「数の子、かまぼこ、タイ、その他いっぱいあるのです!」

 

箸で摘んでは自分で食べずに、拓人の口に近付けて食べさせようとする

 

「えみるちゃんも食べないと…」

 

「さあさあ!」

 

渋々拓人はえみるに食べさせてもらう事となった

 

 

 

 

 

「ちょっと食べ過ぎた…」

 

「拓人お兄さんは男の子。少し情け無いのです」

 

「うっ!」

 

少しだけだが、最近えみるが拓人に対して厳し目の言葉を投げる様になった。

それは嬉しい事だが、少し悲しい事もしばしば

 

「やっぱり音楽も良いけど、体も鍛えないといけないか…ほまれちゃんやアンリ君に相談してみよう」

 

そんな団欒をして愛崎家の玄関を通ってると、急に周りの風景の雰囲気が変わった

 

「え、え?」

 

「一体何が…」

 

「やぁ先生」

 

「「ッ!?」」

 

少し離れた先で、いつの間にか奏音が立っていた

 

「えみるちゃん下がってて」

 

クロノスタクトを構えて警戒体制へと移行する

 

「待って先生、今回はお話をしに来ただけ。本当だよ」

 

両手を軽く振り、敵意が無いことを証明する

 

それを見て拓人は警戒を解く

 

「お話ってなんなのです!」

 

「…君には聞いてない。どっか行ってくれない?」

 

「ぅ…」

 

奏音に少し怯えたのか拓人の背中に隠れる

 

「えみるちゃんと一緒じゃなきゃ話は聞かない」

 

「先生がそう言うなら仕方ないか。まぁ本当に世間話って言うか、そんな感じの事だからいいけど……先生はクライアス社の理念をどう思いますか?」

 

「どうって言われても…時間を止めること、未来を失くす事はどんなに考えてもダメだと思う」

 

「フッ、フフフ…」

 

何が可笑しいのか、拓人とえみるは理解出来なかった

 

「良く考えて下さい。先生は未来で死んでしまうのですよ。赤の他人…ましてやアンドロイドの何かの為に。それの何処が良いって言うんですか?」

 

「それは君がその未来しか見てないからだ。人には無限の未来がある、選択する力がある!今が変わればきっと──」

 

「そのせいでどうなりました?その結果どうなりました!?散々夢見た未来がこの有り様!本当に未来に価値はあるんですか!?」

 

「奏音は悪い世界しか見てないからそんな事が言えるんだ。目を開いて周りを見れば、それと同じくらい輝く未来がある!辛い事があるなんて当たり前だ!」

 

激しく言い争いをする拓人と奏音。えみるも、ここまで荒げて口論する拓人の姿は初めてだった

 

それ程、彼の事も救いたいと思っているのだ

 

「君が本当に未来の俺から音楽を学んだと言うのなら、きっと分かる筈だ」

 

「……それでも僕は、未来を…明日を信じれない」

 

話は済んだのか、奏音は雲の様に消えていった

 

そして周りの雰囲気も元に戻った

 

 

 

 

 

その日の夜

 

ビューティーハリーで集まってはその事を話した

 

しかも拓人の前にだけではなく、はなの前ににもジョージが現れた事も話してくれた

 

はなは心身共に疲れて、拓人は考え込んでいた

 

「二人共大丈夫か?」

 

「うん…」

 

「まぁ、ね…」

 

「げんきないない?」

 

元気の無い二人にはぐたんが心配してくれた

 

「ううん、元気あるある!はぐたんを抱きしめた時の温かさ、友達と居る時の幸せ。わたしはそういうものを守りたいの。それは、わたし達が大きくなっても変わらないものでしょ?」

 

「…ねぇ、今日皆んなでお泊まりしようか?」

 

ほまれはそう言い出した。はなの話を聞いて何か思うことがあったのだろう

 

それに皆んなは賛成する。

何より皆んな、友達の側に居たいから

 

「よし、皆んな家族に電話だ!」

 

 

 

 

 

////////

 

そして迎えた朝

 

時間はまだ5時前。朝日はまだ昇っていない

 

一同は朝早くから出掛けて、のびのびタワーで吹奏楽部の新春コンサートを観に行く

 

「うん、良い音色」

 

「はい!」

 

演奏に心を奪われてると朝日が昇り上がる

 

「街が色付いてく!」

 

そう思ったのも束の間、空に暗雲が立ち込める

 

そして雲の中から、巨大なビルが降って海の方へと落ちて行った

 

「一体何が…」

 

だが考える間もなく、ビルから途方も無いエネルギー砲が放出され街へと降り掛かった

 

それを受けた場所は次々と時間が止まり、最終的に全ての時間、世界の時間が完全に停止してしまった

 

昇る朝日も全てが止まった

 

これに対処すべく、拓人達は急いでビルがある浜辺へと走り出した

 

 

 

 

 

「何を焦ってるの?」

 

浜辺へ着くと、空中に佇んでこちらを見据えるジョージが立っていた

 

「もう時は止まった。君達がどう足掻こうと未来は来ない」

 

「そんなのまだ、分からないでしょう!?」

 

「プリキュア の瞳はまだ輝いとる!」

 

この場に居る者全員はまだ諦めてなどない。その証拠にアスパワワが滲み出る

 

「確かに、君達を説得する必要がある」

 

ジョージの持つ本が開き、邪悪に輝く時、海面から大量の猛オシマイダーが現れる

 

「猛オシマイダーが!」

 

「いっぱいなのです!」

 

「だからって引き下がれないよ!」

 

「拓人さんの言う通り!行くよ皆んな!」

 

 

 

「「「「「ミライクリスタル!ハートキラっと!」」」」」

 

 

「「「輝く未来を抱きしめて!」」」

 

「みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

 

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

 

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

 

「「みんな大好き!愛のプリキュア!」」

 

「キュアマシェリ!」

 

「キュアアムール!」

 

 

「「「「「HUGっとプリキュア!」」」」」

 

 

 

「アンジュ防ぐよ!」

 

「はい!」

 

拓人はプリズムシンバル、アンジュはシールドで正面から来る猛オシマイダーの大群を堰き止める

 

「数が多い…!」

 

「フラワーシュート!」

 

エトワールが薙ぎ払い、その隙を突いてエールが浄化する

 

「クッ!」

 

「キリがないのです!」

 

だがそれ以上に数での不利で苦しめられる

 

二人一組の背中合わせで連携するも状況は一向に変わらない

 

「君達がどれだけ明日への希望の力、アスパワワを増やしても、際限なく人々はトゲパワワを増やす」

 

ジョージはその様子を傍観者の如く見ていた

 

「少女が目指すのは、花咲き乱れる理想の王国、夢は叶い、人々は笑顔に満ちた。だが、人々の望みは尽きなかった。一つの夢が叶えばまた次へと…明日への希望は欲望へと変わり王国を狂わせていった。だから決めたんだ。時間を止めよう、皆が笑顔のまま暮らせる様に。共に終わらぬ永遠を!」

 

ジョージに呼応する様に、猛オシマイダーからもトゲパワワが溢れ、更に大きさを増していく

 

「「「「猛オシマイダー!!」」」」

 

「お終いじゃない!トゲパワワがどんなに増えても、アスパワワは消えない!」

 

対して希望を抱くエール…がしかし、ジョージは呆れる様に溜め息を吐く

 

「わたしは皆んなとクリスマスも、お正月も、節分も、バレンタインも、ひな祭りを過ごしたい!!」

 

「ぷりきゅあ〜!ふれふれ〜!」

 

「わたし達は負けない!皆んなの未来を取り戻す!」

 

「「「「猛オシマイダー!!」」」」

 

残る猛オシマイダー達が一斉にエール達へと襲い掛かる

 

「マシェリ!」

 

「はい!拓人お兄さんお願いします!!」

 

マシェリからミライクリスタル・ルージュを受け取り、クロノスタクトへとセットする

 

「ハッ!」

 

クロノスタクトから放たれるアスパワワが、猛オシマイダーの時間を止めて封じた

 

「エール!皆んな!」

 

 

 

「「「「「メモリアルキュアクロック!マザーハート!」」」」」

 

「「「「「ミライパッド・オープン!」」」」」

 

「「「「「HUGっとプリキュア!今ここに!」」」」」

 

 

「ワン・フォー・オール!」

 

「オール・フォー・ワン!」

 

「ウィーアー!」

 

「プリーキュアー!」

 

「明日にエールを!」

 

「「「「「ゴーファイ!みんなでトゥモロー!」」」」」

 

 

 

プリキュア 達が放った浄化技で、猛オシマイダーを一掃する事が出来た

 

「君には現実を見せないといけないな」

 

またもジョージの本が勝手に開かれる

 

「現実?」

 

ジョージから発せられるトゲパワワが、ビルへと向けられその形を変えていく

 

「何あれ!?」

 

「凄いトゲパワワ…!」

 

ビルは巨大な人型の怪物へと姿を変貌させた

 

『時ヲ止メル!完全ナ安ラギ!!ウォォォォ!!』

 

怪物が手を伸ばす。そしてその先には、はぐたんを抱えて逃げるハリー

 

「はぐたん!ハリー!」

 

怪物はハリーを払い除け、はぐたんを連れ去って行く

 

「まま〜!!」

 

「はぐたーーん!!」

 

エールがジャンプして手を伸ばすも僅かに届かず、はぐたんはその体内へと呑み込まれた

 

「そんな…」

 

「フフ、またね」

 

ジョージは用を終えると、入れ違いでリストルとビシンが目の前に現れる

 

「ここは決死って通さない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして未来を、明日を懸けた戦いが始まったのだ




ここまでの拝読ありがとうございました


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第45話 プリキュア に集いし者達

ではスタート


「凄いでしょ?社長も考えたよね〜。今時を止めてしまえば未来も無くなる。アッハハハ!!」

 

「はぐたんを、皆んなの未来を取り戻さないと…」

 

力を振り絞りエールは立ち上がるが、思うように体が動かない。

まだ、先程まで猛オシマイダーと戦ったダメージが抜け切って無いのだ

 

「そんなボロボロじゃ何も出来ない!!」

 

ビシンはエールを倒そうと拳を振るうが、そんなビシンをエトワールが両腕で防御した

 

「またお前かぁ!!」

 

「お前達の前向きな心、危険だ!」

 

今度はリストルが戦前へと出る。

それを迎え撃つのはマシェリとアムール

 

「「させません!」」

 

マシェリバズーカとアムールアローを連続で放つも、鉄棍で全て弾き飛ばす

 

「フッ!」

 

「「きゃああ!!」」

 

マシェリとアムールが吹き飛ばされたが、その一瞬を突いて拓人はリストルの背後を取った

 

「ウェディングギター!」

 

ギターのボディ部分を斧の様にして振り下ろすも、横に回避されて当たらなかった

 

「ミライクリスタル・ハーモニーセット!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「────ッ!」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

拓人はウェディングギターを振り回すも掠りもしなかった

 

「無駄ですよ」

 

リストルは瞬時に消え、お返しと言わんばかりに拓人の背後を取った。

この動きに拓人はついて行けず反応が出来なかった

 

と、ここまでが拓人が見た未来

 

(そう来ると思ったよ。だからわざと隙を作らせ、この瞬間を待ってた!)

 

拓人はウェディングギターからブライドヴァイオリンに持ち替え、振り返ると同時に弓で斬り付ける

 

「なっ!?」

 

だがそれすれもリストルは鉄棍で受け止めた

 

「だから無駄だと、言ったでしょう!!」

 

弓をはたき落とし、拓人の腕を掴んでマシェリとアムールの居る場所へと投げる

 

「うわっ!」

 

「クッ…」

 

「あっ…」

 

立ち上がろうとした二人は拓人の下敷きにとなる

 

「ごめん二人共大丈夫?」

 

「大丈夫なのです…」

 

「拓人の力が通用しないなんて…」

 

周りに邪魔者が居ないと確認後、リストルは本気を出すべくトゲパワワを増幅させた

 

「俺はもう考えない。全ての苦しみから解放された存在!」

 

 

「発注!猛オシマイダー!」

 

 

リストルは猛オシマイダーを発注した。

しかもその数は先程よりも多い

 

その数、優に百を超えている

 

「猛オシマイダー!!」

 

「行け!猛オシマイダー!!」

 

猛オシマイダーの軍団がアンジュへと走る

 

「フレフレ!ハート・フェザー!」

 

けれど、いくらアンジュとはいえ一人でほぼ全ての猛オシマイダーを押し返すなど不可能

 

「あっ…!!」

 

折角のシールドも容易く破られる

 

「猛オシマイダー!!」

 

 

 

 

 

「お終いじゃないわ!」

 

その時、三つの影がアンジュの目の前に現れ、群がる猛オシマイダーを吹き飛ばし浄化した

 

「まだまだこれから!」

 

この場の戦いに参戦したのは、パップル、チャラリート、ダイガン達だった

 

「助太刀致すってやつです!」

 

「ありがとうございます!」

 

「礼を言うのは私達の方だ。君達プリキュア が、私達に再び夢をくれた。私が出れば五分で終わる!」

 

「一度失敗した人間に何が出来る?」

 

それでも猛オシマイダーの攻撃の手は緩めない

 

「猛オシマイダー!!」

 

「二人共、お仕事の時間よ!」

 

パップルはジュリ扇を地面に突き立てると、猛オシマイダーの足元からエネルギー波が放たれ

 

「あらよっと!」

 

「フンッ!!」

 

チャラリートは持ち前の身軽さを活かし、ダイガンはパワーで周りの猛オシマイダーを蹴散らしてく

 

それに勢い付いて、拓人、プリキュア 達の反撃が始まる

 

「何度膝をついても立ち上がるわ。大人だってなんでも出来る、なんでもなれるんだから!」

 

「ダッサ、いい歳した大人が何夢見てんだよ!!」

 

パップルが気に入らず、ビシンは攻撃しようとした時、その間に割って入る者がまた居た

 

『あれれ〜知らないの?大人も夢を見るんだよ!』

 

「ドクタートラウム…!」

 

巨大ロボに乗ったトラウムも加勢に来てくれた

 

『久し振りだねビシン』

 

「ふざけるなぁぁ!!」

 

ビシンは巨大猛オシマイダーの肩に乗り、巨大ロボと戦わせる

 

「何でアンタが今更明日を夢見る!?」

 

『愛に気づいたからだ』

 

「そんなもの幻想だ!」

 

『そうだ。だからこそ、信じなければ愛は見えない』

 

「一度闇を見た人間が愛?意味分かんないんだよ!!」

 

巨大ロボと猛オシマイダーの拳が激突する。力は互角に見えたが、僅かながらトラウムの方が押される

 

それを見越してか、猛オシマイダーを捕まえて自爆して相打ちの形となった

 

「あはは〜…ちょっと劣勢になって来てるね」

 

「笑い事ですか…?」

 

自爆して空中に放り出されたところを、アムールに受け止めて貰い着地する

 

ビシンもそのチャンスを逃さない様に、着地と同時にエネルギーの塊を投げ付ける

 

「消えろぉぉ!!」

 

「ッ!」

 

アムールとトラウムを守る為、拓人が前に立ってクロノスタクトで受け流した

 

「クッ…!」

 

「拓人!」

 

「だ、大丈夫だよ…」

 

そうは言うが、思った以上に疲れが出始めてる

 

「強がるな」

 

「結局弱い奴が群れたって弱いままなんだ!」

 

トドメをさそうとリストルとビシンが同時に拳を振るう

 

「がはっ…!」

 

だがそれを正面から受け止めたのは、他でもないハリーだった

 

「ハリーどうして…?」

 

「何やお前ら、こんな気合いの入ってない拳効かんで!!」

 

ハリーは元の妖精の姿になり、封印していたその鎖に手を掛ける

 

「約束守れへんですまん…」

 

ハリーは自らその鎖を破り、いつの日かの凶暴な姿へとその意思でなった

 

「ウォォォアァァ!!」

 

「理解不能。どうして自分から…」

 

「止めないと!」

 

止めようとするが、エトワールがそれを止める。

きっと乗り越えられると信じてるからだ

 

「ビシン、リストルもうやめようや。俺の体はもう戻らへん。けど、俺は自分を受け入れて未来へ行く!リストル、もう自分を責めるのはやめよう」

 

「やめろ、考えたく無い…お前の言葉を聞いていると……俺は、もう心など…」

 

「アンタは俺らの兄貴やろ!仲間が、家族が心無くして苦しんでるのにほっとけるか!」

 

「仲間…」

 

「一緒ならやり直せる。俺達の未来を作ろう!!」

 

ハリーがハグする胸の内で、秘めていた感情が溢れて涙を流した

 

リストルが泣き止むと、ハリーは疲れ果てて元の妖精の姿へと戻った

 

だがそれでも、納得のいかない者が居た

 

「そんなの全然納得出来ないんだよォォォォ!!」

 

そんなリストルの姿を見て、ビシンは失望しトゲパワワを大量に吸収したせいで怪物へと変貌した

 

「リストルの嘘吐き…ずっと一緒に居てくれるって言ったじゃないか!未来なんて大嫌いだ!!」

 

ビシンはリストルを捕まえ、握り潰そうとする

 

「ハリー、見みろよ。これが僕達が辿り着いた未来だ!未来を夢見る事なんて間違っていたって言えよ!今なら許して──」

 

だがハリーは、ビシンを悲しげな目で見つめていた

 

「何だよ…何なんだよその目は!裏切り者!命乞いでもしてみろよ!」

 

「そんな事はしない。俺はお前達を愛してるからだ」

 

「嘘だ…嘘だ!」

 

「不甲斐ない兄貴で済まなかった」

 

優しく頬に手を伸ばして寄り添う。今のリストルにはこれしか出来ない

 

「お前の寂しさに俺は寄り添う事が出来なかった。ビシン、俺はお前の心を受け止める」

 

「ウ…ウゥ…!!」

 

リストルの言葉が届き、嗚咽しながらその場に崩れ落ちる

 

そしてエトワールも、そんなビシンを抱きしめる

 

「お前なんか嫌いなんだよぉ…!」

 

「わたしはアンタの事嫌いじゃないよ」

 

「泣くなビシン…いや、泣いて良い」

 

涙を流して叫ぶビシンに敵意はもう無い

 

「プリキュア !」

 

 

 

「「「「「メモリアルキュアクロック!マザーハート!」」」」」

 

「「「「「ミライパッド・オープン!」」」」」

 

「「「「「HUGっとプリキュア!今ここに!」」」」」

 

 

「ワン・フォー・オール!」

 

「オール・フォー・ワン!」

 

「ウィーアー!」

 

「プリーキュアー!」

 

「明日にエールを!」

 

「「「「「ゴーファイ!みんなでトゥモロー!」」」」」

 

 

「僕も、もう一度…」

 

 

 

 

 

ビシンの心も浄化され解決された

 

これで大半のクライアス社のメンバーは落ち着きを取り戻した

 

「後はクライアス社に乗り込むのみですが、あそこまで行くにはどうしたら良いのです?」

 

「巨大ロボも壊れてしまいましたし」

 

「それは仕方ないと思うけどなぁ…」

 

困り果てる拓人達の前に、海から水上バイクでこちらに向かって来る人達が居た

 

「悩んでる時間は無いんじゃない?」

 

「そんなの関係無い!」

 

「お急ぎ下さ〜い!」

 

それはジェロスとタクミ、ジンジンの三人組だった

 

「これで乗り込んで全部終わりにしよう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まだだ…まだ終わってなどいない!!」

 

遥か上空から一筋の閃光が拓人達の目の前に落ちた

 

「理想の世界はもう目の前なのにどうして!?リストル!ビシン!」

 

「奏音…!」

 

現れたのは奏音

 

奏音自身もリストルとビシンが、プリキュア の側に付くとは思いも寄らなかった

 

「だったら僕一人でもやる…やってやる!!」

 

「…」

 

これ以上の足止めは非常に危険と感じた拓人は、ある決断をする

 

「皆んな聞いて。奏音は僕が止める。だから先に進んで!」

 

「無茶です!いくら拓人さんでも一人では──」

 

「おいおい、一人って勘違いしたらあかんでエール」

 

エールが振り返ると、周りにはクライアス社の面々が協力すると言った表情をしていた

 

「俺達の未来は、俺達皆んなで取り戻す。そうやろ拓人?」

 

「うん」

 

「でもやっぱり心配…」

 

そんなエールに、マシェリとアムールは肩に手を置く

 

「大丈夫なのです。拓人お兄さんなら」

 

「マシェリの言う通りです。それに心配でしたら──」

 

二人は拓人にミライクリスタル・ルージュとバイオレットを渡す

 

「想いだけでも」

 

「……」

 

「大丈夫だよエール。エールはジョージを、俺は奏音。終わったら皆んなで大団円だ」

 

拓人の気持ちが伝わったのか、エールの心配が振り払われる

 

「分かりました。ではわたしのも」

 

エールはミライクリスタル・ローズを手渡した

 

「わたし達も忘れちゃ困るよ」

 

「拓人さんも頑張って下さい」

 

そしてエトワールからオレンジ、アンジュからネイビーのミライクリスタルも渡された

 

五つのミライクリスタルを受け取り、強く握りしめる

 

「皆んな気を付けて」

 

「拓人さんも」

 

エール達は奏音の横を通り抜け、ジェロスが準備するボートに乗り込んで行った

 

「まさか、皆んなを行かすなんて」

 

「確かにそうですね。前までの僕なら行かせませんでした。特にルールーとえみるは……ですが、ここで先生を止めれば全てが終わります」

 

「終わらないよ。未来は無限に続いて行く」

 

「終わらせる。先生の為に時間を止める!」

 

「「ッ!」」

 

そして両者飛び出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

拓人は奏音、エールはジョージと、それぞれの想いに終止符を打つため最後の火蓋が幕を開けた




次回からオリストな感じです

ここまでの拝読ありがとうございました


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第46話 未来を懸けたラストバトル

色々あって一回消しましたのさ…

再投稿です


「頼んだよ皆んな!」

 

拓人の両側からチャラリートとダイガンが走り出した

 

「オレっちに任せるっしょ!」

 

「五分で終わらせる!」

 

「…何人居ようと関係ない!!」

 

奏音が目を見開くと、膨大なトゲパワワが溢れ出しチャラリートとダイガンを吹き飛ばした

 

「拓人来るで!」

 

「分かってる!」

 

すぐさまドリームマイクを手に取り、ミライクリスタルをセットする

 

「ミライクリスタルセット!──デビルズ・ラプソディー!」

 

マイクに向かって大きく声を出すと、拓人の周りに音符が現れて、それがトゲパワワを打ち消す攻撃、皆んなを守る防御の矛と盾の役割を果たす

 

「マックスティンパニ!ミライクリスタルセット!」

 

トゲパワワを打ち消した後は攻めあるのみ

 

マックスティンパニを構えて、ミライクリスタル・オレンジをセットする

 

「アストラル・アラベスク!」

 

ティンパニのヘッドを地面に付け、桴で渾身の力で叩くと地面が衝撃で揺れ動いた

 

「クッ」

 

奏音の体勢が崩れた

 

その隙を狙って一斉に飛びかかった

 

「子供騙しだって!!」

 

全方位にトゲパワワを放出し、近付けさせないようさせる。

更に、トゲパワワが凝縮して巨大な腕と化した

 

「グッ!!」

 

「ハァ!!」

 

残るメカを使ってのトラウムとパップルが受け止めに行くが、更にそれの上をいく倍化をして容易く二人を叩き潰した

 

「「ッ!!」」

 

今度は拓人はウェディングギターで、ハリーが直接殴り付けようとするが、奏音はアクロバットに避けて二人の頭を掴んで倒立の状態

 

そこからゆっくりと倒れ、その勢いで拓人とハリーを膝で蹴り飛ばす

 

「よくもハリーを!!」

 

挟み撃ちでビシンとリストルが仕掛けるも、最小限の動きだけで避けては腕を掴み、放り投げる

 

「ミライクリスタルセット!」

 

倒れながらも拓人は、チューバズーカを構えて強力な一撃を放つ

 

「フェアリーズ・オラトリオ!」

 

奏音は避ける事もせず直撃した

 

けれど

 

「甘いですよ先生」

 

チューバズーカで放った攻撃は、両手で受け止めていた

 

「お返ししますよ先生!」

 

そしてそのまま跳ね返した。

トゲパワワもプラスされて威力は格段に上がっていた

 

「クリスタルグロッケン!ミライクリスタルセット!」

 

無数の鍵盤が盾となり目の前に反り立つ

 

「ウィング・キャロル!」

 

そして、跳ね返された攻撃を更に反射して返した

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「────ッ!」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「フッ」

 

しかし、返すまで読んでいた奏音は最小限の動きだけでかわした

 

「だったら!!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「────ッ!」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「ワンダフルピアノ!ミライクリスタルセット!」

 

クロノスタクトで未来を直視し、次の攻撃を続ける

 

拓人を中心に鍵盤が螺旋状に現れ、ミライクリスタル・ルージュをセットする

 

「ヘブンズ・ディヴェルティメント!」

 

ピアノを鳴らした瞬間、奏音の足元から光のエネルギーが噴き出した

 

(未来での光景では直撃していた。このまま決まってくれれば)

 

ミライクリスタル・ハーモニーでを使っての未来視では、当たる事は確定していた。

しかし、何も保険を掛けずに仕掛けた事に不安を感じてると

 

「まだまだですよ先生」

 

無傷の奏音が優しく声を掛けてきた

 

「先生に手加減はしてくれないかな?」

 

「それは無理な話ですよ先生」

 

(流石に困った。もう全ての手札は切った。エール達が居れば…)

 

そう一瞬頭に浮かんだが、それを首を振って振り払う

 

(それじゃあダメだ!皆んなが託してくれたミライクリスタル…想いを託して行ったんだ。ここで挫けたら、奏音を止める事なんて出来ない!)

 

クロノスタクトを構えて、ミライクリスタル・ルージュとバイオレットを手に持つ

 

「やっぱり先生ですね。どんな時でも諦めない、後世に語り継がれても良い素晴らしい人。でも──」

 

その瞬間、クライアス社のビルから大量のトゲパワワが放出された

 

「僕には勝てない!ジョージ・クライの力を取り込んで、僕がこの世界の時間を止める!」

 

放出されたトゲパワワはジョージのもの。恐らくはエール達が勝利して、溜め込んでいた物を悪足掻きで出したものと推測される

 

しかし、奏音はそれを吸収し始めて己の力と変える

 

「もう二度と、日の出を見る事は無い」

 

「そんな事はさせない!ミライクリスタルセット!」

 

ミライクリスタル・バイオレットをセットし、時間を戻して吸収したトゲパワワを取り除こうとするも

 

「無駄ですよ!!」

 

それを上回るトゲパワワで、時間操作の力を打ち消した

 

「ハァァァ!!」

 

奏音を中心に、トゲパワワを使っての爆発が起きた

 

「うわっ!!」

 

全員が吹き飛ばされて一瞬で薙ぎ倒した

 

「諦めない…!」

 

「諦めて下さい」

 

奏音はこちらに手を向ける

 

トドメをさすつもりだ

 

「拓人!」

 

「ハリー!?」

 

拓人を守ろうとハリーが前に立ち庇う

 

「ハリー駄目だ逃げて!」

 

「そんなん出来る訳ないやろ!」

 

「く、来る!」

 

エネルギーの球が投げられた

 

クロノスタクトを使う間もなく直撃……かと思った。

その直前で、五つの影が奏音の攻撃を打ち消した

 

「拓人さん!ハリー!」

 

「おぉ、お前ら!」

 

それは、はぐたんを抱いたエール達だった

 

「ごめん、奏音を止められたら良かったけど」

 

「大丈夫ですよ!ここからは皆んなで!」

 

拓人を起き上がらせ、ハリーにはぐたんを任せた

 

「皆んなの未来は俺達が守る!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「プリキュア とクライアス社……ファイナルバトルだ!!」




ここまでの拝読ありがとうございました


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第47話 それぞれが持つ無限の未来

今回で決着

ではスタート!


「ミライクリスタルセット!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「────ッ!」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「エール!エトワール!」

 

ミライブレスを装着し二人で仕掛ける

 

「「ハァァッ!!」」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「────ッ!」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「プリキュア 如き、僕の未来を変える事は出来ない!!」

 

二人の拳を受け止め、そのままぶつけさせ投げ捨てた

 

「フェザーブラスト!」

 

「甘いんだよ!」

 

手を翳すと、打った攻撃が全て空中で静止した

 

「時間を止めたの!?」

 

奏音が軽く手を翻すと、静止したフェザーブラストの方向が代わりアンジュへと向きが変わる

 

「お返しだ」

 

人差し指で合図を送ると、止まった時間が動き出しアンジュへと攻撃が襲い掛かった

 

「マシェリ!アムール!」

 

今度は拓人達三方向からの同時攻撃

 

「フッ!」

 

「「「なっ!?」」」

 

だがそれすらも全て受け止められた

 

すぐさま距離を置き、皆んな一塊する

 

「誰になんて言われようと時間を止める。先生を救うにはこれしか無いんだ!!」

 

「我儘を言うな!!」

 

「ッ!」

 

「君のやってる事は、上手くいかない事に駄々を捏ねて皆んなに迷惑を掛けているだけ」

 

その時、拓人の胸の奥から緑に輝く光が生まれる

 

「未来は誰のものでも無い。その人、人それぞれが持つ大切なものだ。君の我儘にこれ以上皆んなを振り回す訳にはいかない!」

 

光が弾け、そこから現れたのは新たなミライクリスタルだった

 

「ミライクリスタル・マエストロ」。それが拓人の想いの結晶のミライクリスタル

 

「ミライクリスタル・マエストロセット!」

 

クロノスタクトを高らかに掲げると、アスパワワが溢れ出してエール達に降り注ぐ

 

「未来は無限!!」

 

エール達が一斉に飛び出した

 

「今更新しいミライクリスタルを使ったところで、僕のトゲパワワには通用しない!!」

 

拓人とエール、アムールと目が合う。

それを受けて二人は左右に散らばり仕掛ける

 

「「ハァァァ!!」」

 

「はぁ…」

 

奏音は呆れる様に二人の攻撃を両手で受け止める

 

「「「──ッ!」」」

 

今度は拓人とアンジュ、エトワールと目が合う

 

「フェザーブラスト!」

 

「スタースラッシュ!」

 

二人が同時に放った技が合わさり鳥の如く羽ばたくが、奏音はそれをトゲパワワの壁を造り上げ相殺した

 

「こっちなのです!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「────ッ!」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

更に背後、マシェリがツインラブギターを構えて放つ

 

「マシェリポップン!」

 

「それを僕が読んでないとでも?」

 

しかしそれもトゲパワワの壁で阻害する

 

「クッ…!」

 

「君達の未来は手に取る様に分かる。勝ち目なんて無い!」

 

普通なら絶望に打ちひがれるが、マシェリは口角を上げていた

 

「えぇ──それはわたし達も同じ(・・・・・・・)なのです!」

 

マシェリの背後、もう一人の影が潜んでいた

 

「なっ!?」

 

奏音は驚きを隠せなかった

 

(何で貴方がそこに居る?何で僕の見た未来と違う動きを…先生!)

 

それは、奏音が見た未来とは異なる光景

 

拓人が前線に出ていた事だ

 

奏音が見た未来は、マシェリの攻撃をするまでの映像。

そこに拓人が介入する未来など有ってはならない

 

「うおぉぉ!!」

 

マシェリを下がらせ、拓人は直接その拳で奏音の頬を殴り飛ばした

 

「くそぉ…ッ!?」

 

拓人はエール達全員と目を合わせる

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「────ッ!」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

(ダメだ…未来視で先を見てる筈なのに対応出来ない!一体何が起きてるんだ…?)

 

エール達の連携が奏音の未来視を上回りつつある

 

というより、エール達も奏音の動きが分かってる様にも見える

 

(もしかしてコイツら…!)

 

奏音は見抜いた。プリキュア 達が如何にして奏音に対応し、何の力を持ってしてるのか

 

「皆んなと共に、未来へ行くんだ!!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「「「「「「────ッ!」」」」」」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

拓人、エール達の瞳が輝き、それぞれが持つ未来への光景が映し出される

 

ミライクリスタル・マエストロの力は、プリキュア 皆んなに無限とも言える未来の光景を見せる

 

即ち未来視

 

拓人だけではなく、エール達も異なる未来の光景を見て対応していたのだ

 

「グッ…だ、ガハッ!」

 

アンジュとエトワールの手から放たれる衝撃波で吹き飛び、そこへマシェリとアムールが足を払い、エールが顎をかち上げた

 

(この連携…いくら未来を見通せるからと言ってもここまで無駄の無い動きは……)

 

そして決め手は拓人の指示だった

 

指示と言っても声には出してはない。

出す必要が無いのだ

 

一歩手前で皆んなの動きを未来視で読み取り、そこから最善の割合を出す

 

それは全て"アイコンタクト"一つで成り立つ

 

一瞬とも言える時間の中で、たったそれだけで相手と通じ合える

 

普通ではそんな事不可能。だが、拓人達ならそれが可能なのだ。

過ごした時間は一年近くという短い間だが、その一年はとても色濃いもの

 

信頼関係を築くのには充分過ぎる程の沢山の時間

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「「「「「「────ッ!」」」」」」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

拓人達が一斉に未来を見た後、すぐさま拓人を中心にアイコンタクトを取る

 

圧倒的信頼の前に奏音は防戦一方以上に苦戦する

 

拓人の指示は的確に奏音の動きを読み、更にその先の未来を見ている

 

どんなに個性の強いものでも、その個性を壊さず活かす指示

 

それは昔、拓人が指揮者として活躍していたあの頃の様に

 

(これが先生の…マエストロと謳われていた本当の実力……)

 

「ハァッ!」

 

拓人の拳を奏音は両腕で受け止めるが、足に限界が来ており立つのもやっととなっている

 

「ファンファーレ行くよ!」

 

 

「「「心のトゲトゲ飛んで行け〜!」」」

 

「「「プリキュア・トリニティコンサート!」」」

 

 

「うぐぁ!?」

 

エール、アンジュ、エトワールの三人の攻撃を、トゲパワワで防ごうとするも絶大なるアスパワワがそれを最も容易く突き破る

 

 

「心のトゲトゲ」

 

「ズッキュン打ち抜く!」

 

「「ツインラブ・ロックビート!」」

 

 

怯んだその隙に、間髪入れずマシェリとアムールの攻撃も直撃する

 

「僕は、先生の未来を……!」

 

「最後にフィナーレを飾るのは、未来を、明日を、アスパワワを信じる彼女達皆んなだ!!」

 

 

 

「「「「「メモリアルキュアクロック!マザーハート!」」」」」

 

「「「「「ミライパッド・オープン!」」」」」

 

「「「「「HUGっとプリキュア!今ここに!」」」」」

 

 

「ワン・フォー・オール!」

 

「オール・フォー・ワン!」

 

「ウィーアー!」

 

「プリーキュアー!」

 

「明日にエールを!」

 

「「「「「ゴーファイ!みんなでトゥモロー!」」」」」

 

 

 

「僕はまだ!!」

 

全てのトゲパワワで対抗して、プリキュア の浄化技を打ち消そうとする

 

「まだ、わたし達プリキュア は…!」

 

「「「「プリキュア は!」」」」

 

「「「「「諦めない!!」」」」」

 

空からアスパワワが降り、それがプリキュア 達を更に強くさせる

 

プリキュア 達の後方、拓人がクロノスタクトでアスパワワを生み出してそれをプリキュア 達の力に変えているのだ

 

「このアスパワワは…!」

 

そして奏音は攻撃の手を緩め、小さく笑った

 

(嗚呼、これが先生が望んだ事なんだね────僕の負けです)

 

そして奏音はマザーに包まれて、トゲパワワを全て浄化された

 

 

 

 

 

////////

 

倒れる奏音の元へ、拓人は歩んで手を差し伸べる

 

「先生僕は…」

 

言いかけたが、拓人がそれより早くハグした

 

「君は俺の事が大好き。その気持ちだけで充分だったんだよ。きっと、未来の俺も」

 

「先生……ごめんなさい」

 

奏音を起き上がらせ、振り返ると手を振って笑顔に溢れるエール達が待っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝日が昇り、止まった時間が動き出した

 

いつも通りの今日が始まる

 

こうして、クライアス社との長かった戦いに幕を閉じるのであった




ミライクリスタル・マエストロ 未来視共有
ハーモニーと同様未来視の能力が使える上、はぐプリメンバーのみだが未来視の能力をプリキュア 全員が使える様になる。
更に未来視で見える光景は人それぞれ異なる。


小説内でアイコンタクトがどうのこうのって言ってましたが、あれに関しては築き上げた信頼関係で出来た事なので、ミライクリスタルを使わなくても出来る設定にしております

まぁ、この小説ももうすぐ完結するんで言っても意味無いかもですが(苦笑)

次回はバトンタッチ回です


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第48話 最後の思い出、ワクワクな出会いの未来!

バトンタッチ回です。

ではスタート!


全てを終えたプリキュア 達は、平和な日々に戻って生活をしていた

 

「平和ですな〜」

 

「そうね」

 

「なんかこう、久し振りにゆっくり出来る感じ」

 

はな達が学校の屋上のベンチで座るその隣のベンチでは、えみるとルールーに挟まって拓人は唸っていた

 

「う〜…」

 

「拓人お兄さん何してるのです?」

 

「これは…参考書の様ですね」

 

唸っていた原因は、手に持っていた参考書だった

 

「そういえば拓人さんは三年生。そろそろ受験でしたよね」

 

さあやがそう言うと拓人は参考書を閉じて、立ち上がり背伸びをした

 

「俺の未来はきっと明るいと思う。うん」

 

「現実逃避してる場合?勉強だよ拓人」

 

「拓人さんってそんなに成績悪かったかな?」

 

「少なくともはなよりは出来ています」

 

「めちょっく!ルールーさん、そこでわたしを出さないで下さい」

 

「お兄様から聞く限り、何も問題は無いと思うのです!」

 

 

 

 

 

そして学校が終わると、未来へ帰る為の準備をする為ビューティーハリーで身支度をしていた

 

もう殆ど整理はされており、ビューティーハリーの中はもの毛の殻となっている

 

現代に留まるのも残り一日

 

そこではなは思い付いた

 

「よし、皆んな明日はデートしよ!」

 

 

 

 

 

////////

 

次の日の朝早くから、色んな場所へと渡り歩いた

 

洋服を見たり、ライブを見たり、美味しい物を食べたりと笑顔が絶えない最後を過ごしていた

 

「ねぇねぇ!次は何処行くはぐたん?」

 

はながはぐたんを抱えてクルクルと回り、次の目的地を考える途中

 

「はなちゃん後ろ!」

 

「えっ───」

 

はしゃぐはなが通行中の人とぶつかり、背中で押し倒す様に倒れてしまった

 

「痛っ!?」

 

「ご、ごめんなさい!!」

 

すぐに起き上がり、はぐたんをハリーに預けてから起き上がらせる

 

「危ないだろ…それに赤ん坊も」

 

ぶつかった相手は、はなと同じ年頃の少年だった

 

「あの、怪我は…?」

 

「無い。そっちこそ大丈夫なのかよ?赤ん坊も含めて」

 

「はい…ごめんなさい」

 

反省もあり、少年はそれを受け止めてそれ以上は何も言わなかった

 

「まぁこれ以上は何も言わないが……代わりにちょっと聞いてもいいか?」

 

「うん!」

 

「実は人を捜してるんだ。俺やお前と同じくらいの女子。見なかったか?」

 

「特徴を教えてくれるかな?はなちゃんと同じ年頃の女の子はいっぱい居るから」

 

そこへ拓人達も会話に入って、人探しの手伝いをする

 

「無愛想、無駄にプライドが高い、それに偉そう。後は……堅物学級委員長みたいな奴だな」

 

「な、仲良しの友達だよね?」

 

「知るかあんな奴。俺は好かん」

 

その女の子を捜すくらいだから、てっきり友達かと思ったが聞く限りでは、かなりその子の事を毛嫌いしてる様だ

 

「で、知ってるか?」

 

「だ、誰かそれらしい人知ってるかな?」

 

はなが周りに視線を向けるが、全員揃って首を横に振る

 

「ごめんね。押し倒した上に力になれなくて…」

 

「別に気にしてない。迷子になったアイツが悪い」

 

少年は手を腰に当てて溜め息を吐く

 

「手間取らせて悪かったな。じゃ」

 

「本当にごめんね!」

 

去って行く少年は、振り返らずに手を振ってその場を後にした

 

「で、はなちゃん。さっきのは本当に危なかったよ」

 

「はい、深く反省しております…」

 

「うん。それならいいよ」

 

拓人は優しく頭を撫でて終わらせた

 

その時だった

 

「猛オシマイダー!!」

 

「え゛っ!?」

 

突然カエルの猛オシマイダーが現れたのだ

 

「誰が発注したんや!?」

 

それを追い掛けて、トラウムに奏音、それにくっ付いてリストルとビシンがやって来た

 

「待って!私の『未来へカエル君』が!」

 

「また貴方ですか。何やってるんですか」

 

「まぁでもそこは、先生やルールー達が対処してくれるし内心大丈夫かなと」

 

「わたし達に丸投げされたのです!?」

 

「やはり、世界からトゲパワワは消えないと言うことか…」

 

「そりゃそうだよね。けど、皆んなの心にアスパワワは満ちてるんだから!」

 

 

 

「「「「「ミライクリスタル!ハートキラっと!」」」」」

 

 

「「「輝く未来を抱きしめて!」」」

 

「みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!」

 

「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!」

 

「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

 

「「みんな大好き!愛のプリキュア!」」

 

「キュアマシェリ!」

 

「キュアアムール!」

 

 

「「「「「HUGっとプリキュア!」」」」」

 

 

 

「ミライクリスタル・マエストロセット!」

 

プリキュア に変身すると同時に、拓人はクロノスタクトにマエストロをセットした

 

「行くよ皆んな!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「「「「「「────ッ!」」」」」」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

全員に未来視の能力を与え、そして拓人とエール達はアイコンタクトを取る

 

「「「心のトゲトゲ!」」」

 

「「ズッキュン打ち抜く!」」

 

エールとアンジュが足を攻撃して怯んだところへエトワールが蹴り上げて、マシェリとアムールが高くジャンプして地面へと叩き付けた

 

「猛…オシマイダー!!」

 

猛オシマイダーも負けじに、舌を伸ばして攻撃する

 

皆んな避けて当たりはしなかったものの、その衝撃ではぐたんが転がって行く

 

それを狙って猛オシマイダーがはぐたんに襲い掛かった

 

「はぐたーん!!」

 

エールが追いついて抱き寄せるも避ける暇が無い

 

だがしかし、そんなエールの横から黒い斬撃が飛んで猛オシマイダーを吹き飛ばした

 

「一体何が…?」

 

「ったく、騒ぎがあって戻ってみれば」

 

「貴方はさっきの!」

 

振り返ると先程ぶつかった少年が居たのだ

 

「祭りなら俺も混ぜろよ」

 

しかし雰囲気が全く違っていた

 

手には漆黒の刀を持ち、右腕から肩まで服の上から黒いアザが覆い尽くし、右半身のみだがボロボロの翼が生えていた

 

「オ、オシマイ…」

 

「オイオイ、あれだけでへばってるのかよ。これなら15…いや、10%で充分だったな」

 

「ありがとう!」

 

「あ〜気にすんなよ。でも今日は最悪だな。未だにアイツ見つかんねぇし──」

 

「き、君!後ろ!」

 

拓人の言葉で少年は振り返るも遅い。猛オシマイダーの舌が、すぐそこまで迫って来ていた

 

 

「「やあぁぁぁ!!」」

 

 

その寸前で、上空から猛オシマイダーの頭に蹴りを入れる少女二人組が乱入した

 

「今度は何!?」

 

少女二人はエール達プリキュア と似た格好していた

 

猛オシマイダーから降りると二人は名乗りを上げた

 

 

 

「ふたりの奇跡!キュアミラクル!」

 

「ふたりの魔法!キュアマジカル!」

 

 

「「魔法つかいプリキュア !」」

 

 

 

「プリキュア !?」

 

「キュアミラクル、キュアマジカル……エール達以外にも居たんだ」

 

ミラクルとマジカルの元へ少年は歩み寄る

 

「悪いな助かった……な〜んて言うと思ったかこの迷子野郎!!」

 

そう言ってマジカルの頭を叩いた

 

「一体誰のせいでこんな目に遭ってんだよ!」

 

「迷子は貴方でしょう!」

 

「な訳あるか!俺とミラクルでずっと捜してたんだぞ!」

 

「……け、計算通りだし!」

 

「何だとこの迷子野郎。テメェのケツの穴に杖をぶっ刺すぞ!」

 

「やれるものならやってみなさいよ!」

 

少年の言っていた捜し人はキュアマジカルと言うプリキュア だったらしい。

けれど、出会って早々なんとも騒がしい喧嘩が始まった

 

ミラクルはというと、いつも通りなのか苦笑いしていた

 

「ごめんねお取り込み中のところ。わたし達の事は気にしないで」

 

「みたいだね。エール、俺達は俺達で猛オシマイダーをなんとかしようか」

 

「そ、そうですね〜…」

 

エールは気持ちを切り替えて皆んなに呼び掛ける

 

「行くよ皆んな!」

 

 

 

「「「「「メモリアルキュアクロック!マザーハート!」」」」」

 

「「「「「ミライパッド・オープン!」」」」」

 

「「「「「HUGっとプリキュア!今ここに!」」」」」

 

 

「ワン・フォー・オール!」

 

「オール・フォー・ワン!」

 

「ウィーアー!」

 

「プリーキュアー!」

 

「明日にエールを!」

 

「「「「「ゴーファイ!みんなでトゥモロー!」」」」」

 

 

「モウヤメサセテモライマ〜ス」

 

 

 

 

 

////////

 

「さっきはありがとう!」

 

変身を解除して、お互いに元の姿で話し合っていた

 

「あ、わたし野乃はな!宜しくね!」

 

「わたしは『朝日奈みらい』!それで…」

 

未だに口喧嘩をし続ける二人に視線を送る

 

「二人共挨拶しないと!」

 

「『リコ』よ!」

 

「『翼』だ!」

 

投げかける様に名前を教えると、またも口喧嘩をする

 

「あはは…また機会があったら会おうね!行くよ二人共」

 

「みらいが言うなら仕方ない。ほら行くぞリコ」

 

「だから!何で貴方はいつもいつもみらいには素直なのよ!?」

 

そう言って三人は去って行った

 

「なんて言うか、嵐の様な子達だったね」

 

「また会おうね、か。その時が楽しみだね!」

 

夕方のチャイムが街中に響き渡った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別れの時間がやってきた




本来ならスターが登場でしたが、作者の場合は次の作品を書くシリーズの子を登場させる方針です。
まぁなので次書くのは……つ、次は一から百まで物語の構成考えたらから大丈夫だし!

次回で未来組が帰るっといったところです。

ここまでの拝読ありがとうございました


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第49話 そしてわたしたちは、未来へ進む

別れのシーン、まさか朝から泣くとは思わなかった

ではスタート


別れの時

 

いつでも出発準備が完了して、後は別れの挨拶をするだけとなった

 

「皆さん、未来に帰ってもお元気で」

 

「サンキューで〜す!」

 

「えみる、絶対ビックなスターになりなさいよ」

 

「はい…」

 

「行くわよルールー」

 

「はい」

 

未来組が未来へカエル君に乗り始める中で、ルールーは最後の別れを告げる

 

「わたし、もっともっとギターと歌も上手くなりますから……ツインラブは…っ、これからも、ずっと、ずっとぉ…いつまでも…っ!」

 

ルールーはえみるを優しくハグをする

 

「ルールー元気でね」

 

「甘いものばっか食べちゃダメだよ」

 

「ルールーはご飯も食べるから大丈夫」

 

「何ですかそれ?」

 

最後の会話に笑って終わり、ハリーがはぐたんを預かろうとする

 

「そろそろ時間や。行こかはぐたん」

 

「どこへ?」

 

「未来や。未来に帰るんや」

 

「みらい?みらい!みんないっしょ!」

 

はぐたんはまだ赤ん坊。これがお別れになるという事は知らない

 

「ハリー、笑顔で」

 

「ああ、そうやな」

 

目に涙を浮かべながら、ルールーとハリーは乗り込んで行く

 

しかしはなは振り向けない。

まだ笑顔ではないから

 

そしてやっと決心がついて振り返ると、汽車の扉は閉じてしまった

 

アスパワワで出来た線路を作り上げ、大きな汽笛を鳴らして動き始めた

 

それと同時に拓人達は走り出した

 

「ほんまおおきに!ありがとう!」

 

「わたしこそ、ありがとうハリー!ありがとうはぐたん!」

 

「まぁ〜まぁ〜!」

 

「はぐたん絶対また会えるよ!だからいっぱい食べて、いっぱい遊んで大きくなるんだよ!」

 

汽車のスピードが少しずつ速くなり、走って追い掛けるのもやっとになって来た

 

「はぐたん!!」

 

「まぁ〜まぁ〜!!」

 

はなとはぐたん、お互いに手を精一杯伸ばして一瞬だがその手を掴んだ

 

そして思い返すは初めてはぐたんと出会った日

 

汽車は浮かび始め、そして

 

「はぐたーーーーん!!!」

 

未来へと帰って行った

 

はなはその場で只々、悲しみの涙を流すしか出来なかった

 

「行っちゃったね…」

 

「はい」

 

「わたし達も未来へ進もう」

 

泣くはなをさあやとほまれが手を貸し、拓人はえみるの手を繋いで歩き始める

 

「さぁ、帰ろうか」

 

「はい…!」

 

「そうですね」

 

何事も無く帰ろうとしたのだが、全員違和感に気付いて足を止める

 

「「「「「……えっ?」」」」」

 

「はな、今日のご飯は何でしょうか?」

 

「おかしいな。わたしの目の前にルールーが居るんだけど…」

 

「大丈夫ですはな先輩。わたしにもしっかりと見えてるのです」

 

未来へカエル君に乗って、ハリーやはぐたん達と一緒に帰った筈のルールーは何故か残っていたのだ

 

「え、ルールーちゃん帰ったんじゃ…」

 

「最後の最後まで本当に迷いました。でも決めたのです。現代に残って、未来に音楽を届けると」

 

「ル、ルールー!!」

 

えみるは泣きじゃくりながらルールーに抱き付いた

 

「もう、わたし達の涙返してよ!」

 

「トラウムさんはよかったの?」

 

「お父さんが言いました。『ルールーの好きなように。何処に居ても愛してる』と」

 

「そっか!」

 

はな達も納得してルールーにハグした

 

「ルールーちゃん」

 

「拓人」

 

「これから大変だよ」

 

「大丈夫です。皆さんが側に居てくださるので」

 

「フフ、じゃあ今度こそ帰ろうか!」

 

「なのです!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハリーやはぐたん達との別れは終わった

 

そして次の別れの季節がやって来ようとしていた




若干強引さもありましたが、ルールーだけでも引き止めました

次回は卒業式です。主人公が三年生設定なので書きたかった

ではここまでの拝読ありがとうございました


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第50話 桜舞うこの日、少女たちの愛が届くとき

超欲張りセット。これ以外思いつかないんよ

ではスタート


桜が舞う春の季節。曇り一つない晴れ渡れた青空

 

卒業式には打って付けの日となった

 

「そろそろ時間だな」

 

中学最後の登校である拓人。

その身支度を済ませると同時に、家のインターホンが鳴った

 

家を出ると、正人とアンリが待っていた

 

「おはよう拓人」

 

「おはよう。二人共行こうか」

 

 

 

 

 

「拓人は将来何をするか考えてるの?」

 

「考えてるよ。俺は教師になろうと思ってる」

 

「え!?」

 

「何そんなに驚くの?」

 

「いやだって…」

 

正人が驚くも無理はない。何かしら音楽関係に就くのだろうと考えていたのだから

 

今までそんな事は一度も口にはしてなかった

 

「あ、勘違いしないで。教師は教師でも、音楽教師だから」

 

「でも、音楽の道を進むのは諦めたんでしょう?」

 

「うんまぁ……結局のところダメなのは分かってたから。でもね、えみるちゃんやルールーちゃんに音楽を教えて分かったの。俺には教える側が合ってるって」

 

「凄いな拓人は」

 

 

 

 

 

三人で話してると、ようやくラヴェニール学園へと着いた

 

卒業生は少し時間をズラしての登校。その為、既に学園は在校生で溢れており卒業式の準備で慌ただしかった

 

いつも通り玄関へ行くと、在校生の二年生が卒業生達に花を付けていた

 

勿論拓人達にも。その在校生というのがよく見知った人

 

「お〜い!拓人さ〜ん!」

 

はな、ほまれ、ルールーが花を持って寄って来た

 

「ご卒業おめでとうございます!」

 

「ありがとうはなちゃん。ところで、さあやちゃんは?」

 

「さあやなら学級委員での仕事でいない」

 

「式の前に皆んなに一目見たかったけど、さあやだけが無理だったか〜。残念」

 

「それよりも拓人、卒業生にも準備がありますのでお話はまた後で」

 

準備を急ぐ為、胸に花を付けてもらう

 

拓人にはルールー、アンリにはほまれ、正人にははな

 

花を付けて貰う途中、ルールーは拓人と少し話し出す

 

「拓人、式の後いつもの屋上に来て貰えませんか?」

 

「式の後?今じゃダメなの?」

 

「ダメです」

 

「そうなんだ…分かった」

 

付け終わり、はな達とはここで別れた

 

「ほうほうルールーさんや、大胆な事を言いましたの〜」

 

「はいはい、はなは茶化さない。まぁ…頑張りな」

 

ほまれは優しく微笑んでルールーを応援するのであった

 

 

 

 

 

////////

 

無事に卒業式が終わり、校庭では保護者も含めて大勢の人達で混み合っていた

 

ただ一人、拓人だけは屋上に呼び出されていた為その場には居ない

 

そして拓人は屋上へ続く扉を開けた

 

そこで待っていたのは、ルールーだがもう一人、えみるも居たのだ

 

「待ってましたよ拓人」

 

「えっと、えみるちゃんが何で居るの?」

 

「わたしも拓人お兄さんにお話があるのです」

 

「そうなんだ。ところで話って言うのは?」

 

えみるとルールーはお互いに顔を見合わせて、小さく「せ〜の」と息を合わせて言った

 

「「ご卒業おめでとうございます!」」

 

二人で祝福の言葉を送って貰えた

 

「で、ここからが本題です」

 

「え、そうなの!?」

 

「まさか拓人お兄さん、これだけだと思ったのですか?」

 

「違うの!?」

 

えみるとルールーは二人して溜め息を吐く

 

「わたし達は貴方から大切なものを沢山教わりました」

 

「音楽、愛と色んなものを。ですからわたし達はこの想いを伝えようと思うのです」

 

二人は大きく息を吸い声に出した

 

「「拓人(お兄さん)貴方の事が大好きです。わたしの愛を受け取ってくれませんか?」」

 

そう二人同時に切り出された

 

これは俗に言う告白なのだ

 

しかし困った事に二人同時なのだ。どちらか片方を選ばないといけない。

そうすればどうなるかは容易に想像出来る

 

だから

 

「二人共ごめんね。俺も二人の事が好きだよ。でも、そういうのは無理なんだ」

 

断る

 

「仲良く笑う二人が好き。だけど、それでどちらかを傷付けてしまうなら、最初からそんな選択なんて断った方が良い」

 

「「……」」

 

「だからごめんね」

 

えみるとルールーが口を開く。しかし聞いた言葉は予想外なものだった

 

「だと思いました」

 

「ここまでルールーの予想通りの展開になるなんて少し怖いのです」

 

「……ん?」

 

拓人は理解するのに少し間があった。自分の発する言葉が予想通りと言われたのだ

 

「拓人がそういう発言をする事は既に把握済みです」

 

「ですからわたし達は次の手を考えているのです!」

 

「待って待って!頭の整理がまだ──」

 

「「拓人(お兄さん)!」」

 

「は、はい!」

 

突然の呼ばれて思わず返事をしてしまった

 

「では言い直します」

 

「拓人お兄さんきっとびっくりするのです!」

 

二人は拓人にダイブする様に抱き付いて

 

「「わたし達(・・・・)と共に、これからいつまでも愛を育んではくれませんか?」」

 

先程とは少し違う言い回し。勿論拓人はそれに気付いた

 

「え……それは〜良いのか、な?二人的に?」

 

「寧ろこれくらいしないと、拓人お兄さんは付き合ってくれないと思うのです」

 

「ルールーちゃんは?」

 

「これなら拓人は、100%の確率で逃げる事は不可能と判断しましたので。それに、前もって話し合って決めた事なので問題は無いです」

 

思った以上に好かれてるのは理解した

 

ここまでするくらい好かれてると思うと、少しゾッとする反面、この上無い幸せを感じた

 

「では……俺からもお願いします」

 

「なのです!」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして新たな愛が、未来へと繋がっていく




どちらかを選ぶなんて最初から無理でした!

次回で最終回です

ここまでの拝読ありがとうございました


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最終話 輝く未来を抱きしめて!HUGっと!プリキュア

これで最終回です

ではスタート!


2030年

 

ラヴェニール学園の職員室で、二人の教師が何やら話していた

 

「音宮先生。さっきお姉ちゃんから電話があって、今日来て欲しいとの事です」

 

「ありがとうことりちゃん」

 

音宮拓人はラヴェニール学園で音楽教師として働いていた。

話し相手ははなの妹のことり。彼女も教師として一緒に働いていた

 

更には拓人は吹奏楽部の顧問、ことりはチアリーディング部の顧問となっている

 

「あの、学校では『ことりちゃん』なんて呼ばないで下さい!いつも言ってるじゃないですか!」

 

「あ〜ごめんね。ついいつもの癖で」

 

「しっかりして下さい」

 

「はなちゃんからの連絡となると、例の件かな?」

 

「はい」

 

「分かった。今日の部活は自主練という事でしてるから、今から向かいに行くよ」

 

拓人が帰りの支度をしてるの、職員室の扉が勢いよく開き、大きな声が聞こえた

 

「失礼します!音宮先生に用事があって来ました!!」

 

「あ、やばい…」

 

一人の生徒がウキウキしながら拓人の前に寄って来た

 

「音宮先生!今日も指揮の練習お願いします!!」

 

「あの奏音君、たった今急な用事が入って先生帰らなくちゃいけないんだ」

 

「えぇ〜!?」

 

「ごめん!」

 

「…はぁ、分かりました。先生はいつもぼくと居るので今日は許します。では!」

 

奏音は職員室から出て行った

 

それを見て拓人は深い溜め息を吐いた

 

「本当、音宮先生って人気者ですね」

 

「それはことりちゃんもでしょう?」

 

「……また『ことりちゃん』って呼びましたね?」

 

「あ…」

 

 

 

 

 

場所を移動して、アカルイアス社という社長室に拓人は来ていた

 

「はなちゃん」

 

「あ、拓人さん!」

 

手を振って出迎えてくれたのは、社長である野乃はなだった

 

「例の件だよね?」

 

「はい。アカルイアス社主催の演奏会!拓人さんに指揮をお願いしてたことの件です!」

 

はなは何枚かの用紙を拓人に手渡した

 

「こっちが日程やプログラム。これがリストメンバーだよ!」

 

「ありがとう」

 

「問題無いかな?」

 

「…うん、特に無いよ」

 

「良かった〜!」

 

椅子にもたれかかり、楽にした

 

「そうだはなちゃん。はぐみは元気?」

 

はぐみとは、はなが身籠った大切な愛娘。今年に産まれたばかりの子

 

「元気も元気!拓人さんの方は如何ですか?」

 

「うん、元気に振り回されております」

 

「お互い育児は大変ですな〜」

 

「けれど中学生の時、はぐたんの面倒を見ていたお陰で苦労はしてないよ」

 

「はぐたん…トゥモローは元気にしてるかな?」

 

「絶対元気にしてるよ」

 

「そうだよね!」

 

「それじゃあこれで失礼するよ」

 

拓人はまた会う約束をして帰って行った

 

 

 

 

 

////////

 

やっと我が家に帰って来た拓人

 

「ただいま〜」

 

扉を開けてそう挨拶すると、奥からパタパタと音がして拓人の妻が出迎える

 

「お帰りなさい拓人」

 

「ただいまルールーちゃん」

 

「あれ、あの子は?」

 

「それなら今二階で──」

 

そこへタイミングよく、もう一人の妻が降りて来る

 

「ルールー、何とか寝てくれました。今の内にご飯をパパッと作るのです!」

 

「えみるちゃんただいま」

 

「あ!お帰りなさいのです拓人さん!」

 

えみるとルールー。この二人は今では拓人の妻として暮らしている

 

あれから法律も大きく変わり、一夫多妻が認められていた

 

そして今年、はぐみが産まれた数ヶ月後に、拓人達の間にも一人の愛娘を授かった

 

「ご飯はもうすぐ出来ますので待って下さい」

 

「いつもありがとうね。それと今日、はなちゃんと演奏会の事話して来たよ」

 

二人にはなから渡された用紙を見せる

 

「ツインラブのライブも期待してるよ」

 

「ンフフ!拓人さ〜ん!」

 

急にえみるが胸の中へと飛び込んで来た

 

「あ、えみるズルいです!わたしも!」

 

「え──」

 

ルールーも飛び込んでしまい、三人はそのまま床へと倒れてしまった

 

「あ、危ないよ…」

 

「フフ、すみません!」

 

「全く……あ」

 

二人がえみるとルールーが起き上がろうとする時、二人の腰に下げるハーモニカに目を付ける

 

「ねぇ二人共、ちょっとだけ時間いいかな?」

 

そう言って拓人は、腰からハーモニカを取り出した

 

拓人の持つハーモニカは昔えみるに譲ったが、同じ物を購入してまた自分の物を持つようにしていた

 

「久し振りにハーモニカ吹かない?」

 

えみるとルールーは顔を見合わせて

 

「「はい(なのです)!」」

 

笑顔でそう応えてくれた

 

三人が持つハーモニカは全て同じ物

 

拓人は新たな未来へと進む為と新調した

 

えみるは拓人との沢山の思い出の詰まった物

 

ルールーは未来の拓人から譲り受けた物

 

それぞれ手にした事情は違うが、それでもこのハーモニカが全てを繋いでくれた

 

音楽も、愛も、友達も

 

そして今日も、また大切な人達と共に幸せの音楽を奏でる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ!ギュイーンとソウルがシャウトするのです!」

 

「ハーモニカもギターと同じ感覚で吹くの!?」

 

「拓人、頑張って心滾らせましょう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜Fin〜〜




これにてこの小説は完結となりました。
色々とご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした。

不定期の更新、話のカット。本当ならもっと日常回も書きたかったのが本音です。

今日まで読んだくれた皆様に感謝致します。

小説自体は終了と言いましたが、後のシリーズではコラボするのでまた再度はぐプリ組は登場する予定です

ではまた機会があればお会いしましょう

これまでの拝読、誠にありがとうございました!


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