救えなかった少年 改訂版 (ニック)
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プロローグ

「……ただいま。」

 

俺は学校から帰ると返事は返ってこない

当たり前だ。ここには俺しか住んでいないのだから

俺の家は簡易な被災者支援の為に建てられた仮設住宅であり、そして家の中には布団が敷かれているだけだ。

三門市は2年前に大きな災害ネイバーという生物からの進行を受けた

俺はとある事情で回避していたんだが両親は違い今だに死体も見つかっていない

ボーダーの人曰く俺の両親は連れ去られたことが有力らしい

その担当の人がいうのはトリオン能力が高かったのが災いしたのだろうっということだった

トリオンは俺はその当時はあまり知らなかったのだが、ボーダーから詳しく聞くにはトリオンは俺にも多く持っているらしい

何故だか分からないがそのトリオンを多く持っているものが

そして、祖父や祖母は早死したらしく俺は身寄りがなく、施設に入るかボーダーの用意した仮設住宅でくらす選択しかなかった

お金がない

簡単にいうならば、今まで支援で暮らしていたのもありさらに行方不明ってことで保険が下りなくて、さらに財産の付与すらできなかった。

というよりもこのままだったらガチで餓死してしまうので中学生でもできるバイトを探し、先週。採用通知が届いたのだ。

採用通知には仮入隊期間が設置されていて人数はおよそ50人ほど

ボーダーと呼ばれる組織に入隊することとなる

というよりも中学生の俺が採用をもらえるのはそこしかないのだ

ぐぅと腹の音がなり俺はため息を吐く

腹が減ったのでとりあえずもやし炒めでも作るか

とりあえず、これからは学校よりもバイトだ

学校はボーダー推薦という奴があれば大学まではきちんといけるらしい。学歴は大事だし支援金とB級直後の防衛任務という奴をほとんどの時間入れれば大学までの資金はどうにかなるだろう

そして買ってきたもやしと八百屋のおっちゃんから頂いたキャベツを炒め始める

最近節約を決意してからはもやしと豆腐を繰り返し食べている

こんな日常を送っているとやはり体重も減ってきている

昔はスポーツチャンバラという日本ではマイナーなスポーツをしていたのでボーダーにも活用できるだろう

今は150cmで体重は40kg。昔は55kg近くあったので本格的にまずい

調味料は塩こしょうと醤油。それさえあればなんとかなると思っていたんだが食事に関しても手を加えないと飢餓まっしぐらだ

炒め終えると皿に盛り付け食べる。

というより俺の場合焼く、茹でるくらいしか調理のレパートリーがない

明日からは仕事だからな早く寝るのに越したことないか

家計簿をつけ終え、そして宿題を終えると布団に入る

無駄に体力を減らしたくはないのとお腹が減るのを備える為に寝ることが多くなっていた

そして俺は夢の中に意識を落としていった

 



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入隊式1

ボーダー初日俺は仮入隊に30分前にボーダーの仮入隊の会場に入っていた

この仮訓練はボーダー個人の実力を確かめる為の場らしいのだが

集合場所にポツンと座っているのだが

 

「誰もこねぇ。」

 

一時間前から待っているので俺は待ちぼうけを食らっているのだがやっぱり早く来すぎたのか?

……まぁ、早いか

仕事は初めてだったので俺は妙に緊張したのか、朝早くに起床し飯を食べ風呂に入り集合場所に来たわけだがやっぱり早すぎたらしい

俺は学校の図書館で借りて来た本を読みながら待っている。

俺はぶっちゃけ本とかは好きではない

活字を見るだけで眠くなるのだが暇だから仕方がないのだ

そうして暇つぶしに読んでいると

 

「あれ?もう来たのか?」

 

すると明るい男性の声が聞こえてくる

前を向くとどこかで見たような気がするが気のせいだろう

 

「うす。一応遅すぎるより早い方がいいと思って。」

「しかし、まだ一時間前だけど。」

「えっ?」

 

俺はスケジュールを見ると仮訓練時間と入隊式の時間で時間がずれていることに気づく

……空腹でここまで被害が行くようになったのか

 

「あ〜入隊式の方と間違えてました。すいません。」

「お、おう。」

 

そしてまた本に目線を戻す

集合場所は同じだし別に此処でいいだろう

 

「あら、嵐山くん。どうしたの?」

「加古さん、それが早くに来過ぎた子が居て。」

 

多分俺のことを言っているのであろう。

 

「どうも。」

 

俺は礼をして本に戻るが

……やっぱり面白くないのであくびをしてしまう

本ってどこが面白いんだろうなこれ。

俺はため息を吐くと

……急に目線が変わりいつもの予知を見始める。

物心がついたころから俺は未来が見える

いや。これから自分が起こりえることが見えるというべきだろう

嫌な時には変えることができるし、変えないこともできる

そして見えたものは何故か学校で女子に囲まれている自分の姿だった。

 

「……なんだこれ?」

 

俺が呟く。学校ではぼっちを貫き通しているのにこんなことはあるはずないんだが

 

「ん?どうかしたのか?」

「あっ、何でもありません。」

 

少し苦笑をしながら俺はやり過ごそうとする

 

「そういえば、君って。」

「あっ。加藤巧です。えっと、嵐山さんと加古さんですよね?」

「……加藤?もしかして迅が言っていたのって。この子のことか?」

 

迅っていう人が言っていたってどういうことだ?

俺が首を捻る。そして記憶を探っても見えないのなら未来を見るか

そして目に瞑るそして未来を見る

予知には2種類あり、危険や嫌なことを知らせる時に前もって見ることができる危険予知と、現在のことが分からなくなる分自分から思った通りの未来を見ることができる予知夢がある

そしてじんという人を見ようとすると

 

「ぎゃ。」

 

という声が聞こえお尻を触っている男の人が居た

 

「ちょっとジン君。」

「いや〜サワムラさん今日も美しい。」

 

とお尻を触っている男性がどうやら迅というらしい。

どう見てもセクハラ行為のはずなのに

 

「何で捕まらないんだあの人?」

 

俺はつい口に出してしまった。すると目が覚める

声を出すことが予知の終了となっているので今は便利にこの能力を使っているのだ。

 

「……えっ?」

「…あっ。やば。」

 

人前ってことすっかり忘れてた。

 

「えっと。もしかして迅の知り合い?」

嵐山さんから話し掛けられると俺は少し悩み多分この人

 

「すいません。ちょっと俺にも少し色々ありまして。迅って人は知りませんけど。多分沢村さんと呼ばれる人のお尻を触っている。」

「「迅だな(くんね。)」」

「いや、それなら止めましょうよ。セクハラは犯罪ですよね。しかもその様子から常習犯だし。」

 

俺はため息を吐く

 

「……えっ?迅君のこと知らないの?」

「ただ予知を使って名前を当てはめただけです。俺は自分の見る未来が見えるので。」

 

まぁ、どうせ信じてくれないだろうけど。話しておくか。

実際予知なんて家族でも信じてくれなかったし

……どうせここでも信じてくれないんだろう

そう思っていたのだが二人の笑顔は消えするとただ俺をじっと見ていた

 

「「……」」

 

だが二人は驚いたように俺の方を見る

…本気にしているのかこんな馬鹿げたこと

俺は首をひねっていると

 

「……もしかしてこの子サイドエフェクト持ちなのかしら。」

 

すると聞きなれない単語がでてくる

サイドエフェクト?

俺は首をかしげる。確か日本語で訳すと副作用か?

成績はそこそこいいのですぐに和訳することができたのだが

 

「嵐山さん、どうかしましたか?」

 

すると後ろからあらしやまさんと同じ服を来たきのこ頭の男子が話かけてくる

 

「あれ?その人は?」

「今年から来る入隊生らしい。」

「……どうも。それと受付時間ですよね。もう行きます。」

 

予知や色々のことをしていたので30分前になっていた

 

「あぁ、加藤君の奴はやっておいたわよ。せっかく面白そうな子だし。それに私ももうそろそろチームから離れるから。私の隊に来る時に誘おうかしら」

「チーム?」

「あら知らないのかしら。」

「すいません。ちょっと事情があってうち結構貧しくて。新聞もテレビも見られないんですよ。ボーダーも街中のポスターと予知で入ったみたいなものですから。」

 

実際家族は他界しているから嘘は言っていないし俺の能力を知らせた二人なら信じてくれるだろう

 

「それじゃあ失礼します。」

 

と頭を下げ俺は入隊式の人混みの中に紛れ込む

だけどこの時はまだ気づいてなかった

これからのボーダー生活は生活も全て変えることになることだと

 



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入隊式2

今俺は端っこに居座り説明会を聞いていた

前には本部長という人が話しているの。まぁお世辞と呼ばれるものが多くだろう

ぼっちである以上は俺は観察するしかないのだ

目立たず強くなることは不可能に近いだろう

一人一人が憧れを抱いているのだがそれほど甘くはないはずだ

元々B級隊員は今の所100人程度

C級は200人いるのにも関わらずだ

つまり役半分以上に入らないと給料は入らないってわけか。

そんな甘くはないかな。

ボーダーにはランクというものが存在していてA級B級C級と別れられる。そしてA級となれば固定給が手にはいることになるらしいが。

……本部長曰くチームを組まないといけないらしい。

今のA級は15名。嵐山隊、東隊、沢村隊

個人の成績では太刀川っていう人が圧倒的な強さらしい。

それを決めるのがランク戦という模擬戦闘システム

仮想空間で安全に模擬戦闘ができるというボーダー屈指の技術らしいのだが

聞くにすごく面白い技術だと思う

戦闘システムは大事で隊員が弱ければ意味がない

そしてその隊員の強さのランクが分かりやすいしそれに安全に訓練できる

とりあえずまずはB級か。

B級には4000点が必要らしいのでまずはランク戦や訓練で稼ぐ他はないだろう

 

「それじゃあ。この後は嵐山隊の嵐山隊長に一任する。」

「はい。」

 

すると急にざわざわと騒ぎ始める。どうやら嵐山さんは結構有名な人らしい

 

「さて、これからオリエンテーションを始めるがトリガーについて一通り説明しておこうと思う。」

 

すると大きなモニターにトリガーの特性が分かりやすくかかれたボードを見られる

どうやらトリガーの違いについて説明している

アタッカーのトリガーは2種類

ボーダーで一番使っている人が多いトリガーが弧月。重量がありそして威力防御力ともに一級品

スコーピオンは軽量型のトリガーで速度重視のトリガーらしく耐久性はないが腕や足から生やしたりできるらしい。

そしてシューター、ガンナーのトリガーも1つ

アステロイド、威力と重視のトリガーで直線上に飛ぶ

そしてスナイパーは今の所イーグレットという射程距離が長いトリガー1つらしいが今開発室でライトニングという比較的当たりやすいもできるとのことらしい

メイントリガーか

スポーツチャンバラをやっていた以上スコーピオンならすぐに対応できそうだけど

でも弧月の耐久力も捨てがたいんだよなぁ

……まぁ最初はとりあえずスコーピオンにしようかな

色々B級になってから確かめていけばいいか

 

「それじゃあメイントリガーが決まったらアタッカーとガンナーはここに残り、そしてスナイパーを希望するものはうちの佐鳥について訓練場に移動してくれ。」

 

するとチャラそうな人が手をあげる。赤い隊服をきていることから嵐山隊の一人なんだろう。

すると数人が移動するが大半はここに残る

 

「改めて、アタッカー組とガンナー組を担当する嵐山隊の嵐山准だ。まずは入隊おめでとう。」

 

とその後ボーダーのシステムの説明をはいるのを確認程度で聞いておく

……まぁ一期は多分スカウトされないとA級昇格はまず、ありえないだろう

つまり今回は自力でB級で5000点

新人王を目指すことが第一の目標だろう

それに多分チームは俺が作るしかないだろう

俺の予知能力は自分しか聞かないのでメインアタッカーよりもサポートとして入った方が強い

てか俺の実力がどれほどあるのかも知りたいしな

 

「それじゃあ最初に行う訓練は。」

 

すると数mあった先にある訓練は

 

「対ネイバー戦闘訓練だ。」

 

いきなり戦闘訓練だった。

 

 

「いきなり戦闘訓練。」

 

とざわめきはじめるけど可能性としてはかなり高いものだった

 

「そりゃ、ありえるだろ。俺たちは遊びに来たわけじゃないんだぜ。」

 

俺がため息を吐く。すると数人が俺を睨んできたのだが

 

「ボーダーってなんか人気みたいだけど元々は外敵から身を守るための防衛機関だろ。それならメインの仕事は戦闘だ。説明にもあったランク戦もそうだし効率のよく、トリガー使いを増やそうとしている。去年の大規模侵攻で多くの人が亡くなっているしそれを守るのがボーダーのルールだ。それが普通だろうよ。」

 

ざわざわし始める空気に俺はため息を吐く。一応これは大規模侵攻を備えるってことで呼ばれていたしな。

戦闘訓練が最初なんて予知がなくてもわかることだ

 

「まぁ、確かにそうだよな。」

 

するとクスクス笑いだすクリーム色の髪をした男がいた。

 

「お前結構面白いじゃん。名前は?」

「加藤巧だ。てか名前を聞くんなら最初自分の名前からだろうよ。」

「おれ?俺は出水公平。」

「……てかムカつかないのかよ。結構嫌味たっぷりで言ったつもりなんだけど。」

「あっ。やっぱわざといったのか?」

「当たり前だ。てか気づいていたのかよ。あんまり人を寄せ付けないために言ったんだけど。」

「ほら。そこうるさいぞ。」

「「あっ。すいません。」」

 

すると俺と出水は顔を見合わせる。なんとなくだが、こいつは面白そうな予感がする

そしてトリオン兵のコピーみたいな。物がでてくる

装甲は厚く、そして大きい

そして口の中にある円状の物が少し気になるな

それと隙間

体の研ぎ合わせたような隙間があるのでそこが弱点だろうか

 

「それじゃあ試しにやって見たい人はいるか?」

 

嵐山さんの発言にさすがに臆しているのか俺以外に手をあげる人はいなかった

 

「おっ。加藤君やってくれるのか?」

「は?お前やるの?」

「やるぞ。だいたいの弱点らしきものは想像つくし。すいません。武器はスコーピオンをお願いします。」

 

ぼっちで鍛えた観察眼は多分間違えていることはないだろう

 

「へぇ〜自信あるのか?」

「装甲が厚いと言いながらも全体が硬いわけじゃないしな。まぁトリガーは普通の数倍の力は出せるんだろ?加速で勢いつければ一撃で倒せるだろ。嵐山さん30秒だけ待ってもらっていいですか?」

「30秒?別にいいが。」

 

面白そうに俺を見る嵐山さん。さっき30秒ほどの余地をしたので残りは30秒ほどだろう

そして目を閉じ未来を、見る。そして行動パターンを確認し未来を見る

正隊員の物をみるとすると思った以上にスコーピオンは切れることが判明する

 

「よし行くか。」

「これがトリガーなんだけど、使い方は分かるか?」

「大丈夫です。見ましたから。」

 

俺は受け取り

 

「トリガーオン。」

 

と一声で全身が白い隊服に包まれる

俺は一回跳ねると身体能力はかなりアップしていると思われる

 

「……へぇ。なるほどなぁ。」

 

隊長3m以上ある巨体を切り捨てるのは確かに生身では無理だろうけど。

……機械ごときが人間に勝てるわけないだろ

 

「それじゃあ準備はいいか。」

「大丈夫です。」

「それじゃあ訓練スタートだ。」

 

と言われた瞬間に瞬時に加速し俺は未来予知で見た動きに合わせ大型ネイバーの懐にはいるとスコーピオンをレイピア状にして口の中の円の下部分にあるとされる節目に突き刺す

一番早く威力が高いのは切るよりも刺すことだ、力が一点に集まりさらに加速したぶんだけ威力が出せるしな

一番スピードが早く一点集中の攻撃に力が集まる。勢いもつけていただけあって装甲部を貫通するほどの威力があり手応えを感じると俺ネイバーの甲殻を隙間に沿うように力任せにネイバーの甲殻がち中の円を半壊させると模擬戦の大型ネイバーは機能を止めた

 

「訓練終了記録0.6秒。」

「「「なっ!!!」」」

「……ふぅ。上手くいった。」

 

対人戦や実際のトレーニングではまず使えないけど動きの鈍く、これくらいのものならば貫通できるだろうな。

するとざわめき始める訓練室に対して俺はトリガーを切る。

 

「ちょ、お前マジかよ。」

 

出水が驚いたような顔をしているが

 

「いや、これ対人戦じゃ全く使えないし、ネイバーだからできる策だからな。てかスコーピオン使いやすいな。これだったら両手持ちでもスポーツチャンバラの時と同じくらいか。」

「スポーツチャンバラってなんだ?」

「小学生の時にやっていたんだけどエアー式の剣とアクリルのフェイスガードでやるスポーツのチャンバラだよ。あんまりメジャーじゃなかったけど、それでも剣道みたいに決まったところではなく相手にどこに当てても勝ちだからハマってな。」

「へぇ〜そんのあるのか。」

 

面白そうにしている。

まぁ予知を使って無双していたんだけどな。

そして次々と訓練室に入っていくが基本的に4分から5分の時間がかかっている

武道や剣術は腰を使う技が多いのでそれができなければ多分なん分経っても上手くはいかないだろう。

てかアタッカー希望多いな。今の所アタッカーは天羽って奴が48秒で俺以外のアタッカー希望の中ではトップ。

というよりそんなに難しいか?人を切れとかだったら少しは戸惑うけど機械だぞ。

そして出水は唯一のシューターで、そしてアステロイドで30秒。

観察して真ん中の口を弱点を集中狙いした形だった

そしてその後訓練の全てで予知を利用した俺は有利に進み全種目トップの成績で午前の部を終えたのだった。

 



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同級生1

投稿ミスでここ数日投下してませんでした。すいません


一ヶ月後俺たちは仮訓練期間を最後の訓練を終えると出水と一緒に食堂で飯を食べる

 

「……あ〜また負けた。」

「いや、お前シューターなのになんでここまで隠密訓練の成績高いんだよ。」

 

俺は呆れるように出水をみる

基本的に出水と俺がトップ争いの常連であり、後は天羽が追いかける形になっている

そういうこともあり俺と出水はスカウトの対象として多くの隊長と話しているのだが。俺は防衛任務を多く入れたいため当分はソロで行動することを決めていた

 

「そういや、巧は決めたか?」

「俺はサイドエフェクトが正式に認定されたからチームは自分でつくる予定。」

 

サイドエフェクト。

俺と出水はほぼB級に近いことから説明されたものでどうやらトリオンと呼ばれるトリガー使いの才能みたいな物が多いとでるらしく俺はS級の未来予知というサイドエフェクトだと判定された

だがトリオン量が俺よりも多い出水は持っていないので本当に副産物的なものなんだろう。

 

「へぇ〜チーム作るのか。」

「そっちの方がいいだろ?とりあえず今期中に上がって来季は防衛任務重視かなって。一応アタッカー重視オールラウンダー目指す予定だし。」

「まじか?」

「どうやら今トリガーで追尾する弾丸を開発しているらしくてその実験台をやりたかったんだよ。それに俺シールド入れないつもりだし。」

「お前それノーガード戦法をとるってことか?」

「仕方ないだろ。グラスホッパーとその追尾する弾丸。バックアームにスパイダー。スコーピオン入れたらギリギリなんだよ。これから開発するトリガーで出水と頼んでいただろ?」

「スパイダーってまた渋いトリガー使うなお前。」

 

スパイダーは今は注目度が小さいけど案外便利なんだよなぁ。

 

「そういえば仮入隊の結果で有望株は上位からやらせてくれるんだろ?モールモッドも苦にしないし。」

「それお前もだろうが。」

 

ため息をついてしまう

 

「でも今まで最高で2000点代後半だからそれくらいだろ。そうそううまくはいかないだろ。」

「いやいや。即戦力って言われているお前が何を言っているんだよ。」

「ボーダーは出来たばかりの新しい組織だし、あんまり差別化するような真似はしないだろ。」

「そうか?でもここ実力主義が強くでているからな。」

 

まぁそれもそうなんだが

 

「てか、逆にうまくいきすぎなんだよなぁ。今の所。ただ、ぶっちゃけ今の所コンビ上手くあうのお前くらいだろ。」

 

機動力の俺とパワーの出水。力押しで基本的にお互いをサポートしあっている印象だ

 

「まぁ、チーム組んでもいいけどさすがに他の隊も見たいんだよなぁ。」

「だろうな。てか出水とは俺はチームを組むよりもライバルとしてA級で戦いたいけどな。」

 

最近じゃ学校が終わってすぐにこっちに来て出水とランク戦と呼ばれる1対1の対人戦ばっかりしているし。

 

「まぁ、確かにそっちの方が楽しそうだけどな。」

「だから俺はしばらくはソロかな。」

「まぁ俺も。一月目のソロ隊員は他の隊と合同防衛任務だろ?」

「らしいな。とりあえずは様子見で気になるところがあればって感じだけど。お前それだけでよく生きてられるな。」

「……最近自分でもそう思うようになってきた。」

 

豆腐、もやし、豆腐で一日乗り越えている俺は本当にまずいよな

 

「まぁ、さすがに学費じゃなくてボーダーの金は食費と生活費にあてて補助金を高校の資金にするか。」

「そうした方がいいと思うぞ。」

 

はぁとため息を吐く。これがボーダーに入ってから未だに裕福になっていない理由

C級時は給料は発生しないのだ

 

「固定給がそうすると欲しくなるしなぁ。そうしたら少しずつ貯金できるし。」

「まぁ、それは仕方がないとしかいいようがないな。まぁサイドエフェクト使って最悪ボーダー外から引っこ抜いてくること考えるか。」

「それありなのか?」

「う〜ん。わからないけどオペレーターにしたい奴と少し面白そうな奴なら一人いる。学校で責任感が強くてさらに女子から人気のある奴と、バカがいる。」

「バカ?お前のところって進学校だろ?」

「う〜ん。でもバカとしかいいようがない。食費を全部趣味に費やすような奴だし。毎回先生に怒られて鉄人と呼ばれる先生から逃げ回っていたり全教科赤点をとるような奴なんだけど。」

「……それは陽介以上にバカだな。」

「でも生身で3階から飛び降りたり、荷物点検とかで没収された荷物を取り戻したりしているから行動力は凄いんだよな。」

「それ、マジで?」

「あぁ、吉井くんのことでしょ?それ。」

 

するとラフな格好をした女子が俺の前に来る。その人物に俺は見覚えがあった

 

「あれ?うちの学校の副会長じゃん。ボーダーだったのか。」

「うん。私はオペレーターだけどね。確か出水くんと加藤くんだよね?」

「えっと。だれだ?」

「うちの学校で生徒会副会長の綾辻遥さん。生徒会のマドンナって呼ばれているほどで成績優秀人気が高いんだよなぁ。」

「加藤くんも今やボーダーじゃ知らない人はいないくらいだと思うんだけど。もしかして吉井くんをボーダーに誘うの?」

「あぁ、根は優しい奴だと思うし運動神経も悪くないからな。てか運動部に入ってないのに陸上部のエースに100m走で勝つような奴だし。後は三上って分かるか?」

「歌歩ちゃん?」

「うん。そいつ。あいつ面倒見がいいし、同じクラスなんだけど、前にクラスの行事実行委員会やらされた時でもきちんとまとめているからオペレーターとしては優れているんじゃないかって思ってな。一回頼んでみようかな。」

 

俺は考える。吉井の身体能力はどう見てもアタッカー向きだし単純なあいつのことだかっこいいとか言って多分アタッカー希望を出すだろう

 

「まぁ三上も文化祭の時しか話したことないから変な人だと思われないといいけど。」

「それ無理なパターンだろ。」

 

うん。俺もそう思う

 

「でも、加藤くんって学校じゃ目立たないよね?いつも勉強か本読んでいるイメージがあるんだけど。」

「……ん?珍しいな。学校の俺を知っているなんて。」

「歌歩ちゃんが言っていたんだよ。加藤くん基本誰とも話さないって。」

「……まぁ、大侵攻を予知したにも関わらず結局家族は誰も救えなかったからな俺。少し塞ぎこんでいたんだよ。」

 

先生にも友達にも家族にも誰にも信じてくれなかったからな

いや一人だけ予知できるっていうことを信じてくれたやつが二人いたか。

その当時友達だった奴らは生きているけど大分気まずくなってしまって話さないようになってしまったのもあるけど

 

「ご、ごめん。」

「いや、いい。普通誰も信じてくれないしな。予知なんか。」

 

俺はため息を吐く

 

「とりあえず。出水ランク戦いかね?」

「悪い。今日友達と約束してて。」

「あ〜ならしゃーない。んじゃ今度は入隊式で。」

「どうせ毎日ランク戦こもっているんならバトれるだろ。」

「まぁ、それもそうか。んじゃな」

「あぁ、またな。」

 

出水はそれで去っていく

 

「あれ?そういや副会長。」

「名前でいいよ。」

「あっ悪い。それで綾辻ラーメン伸びてるけど……。」

「あっ。忘れてた!!」

 

するとショックを受けたようにする綾辻になんとなく笑ってしまう。

 

「もう。早く言ってよ。」

「俺が悪い訳じゃないんだけど。まぁ話相手になるから。」

 

膨れる綾辻をなだめながら俺はボーダーの最終日が過ぎていく

ついでに綾辻は嵐山隊の入るのは決定的らしい。ついでにA級で羨ましいとつい口を滑らせてしまった俺はそれなら頑張ってA級を目指さないとねっと言われ苦笑するしかなかった

 



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吉井明久①

一週間がたった土曜日俺たちは入隊式当日を迎えていた。

 

「よう。」

「おう。おはようさん。」

「お前それおっちゃんみたいだぞ。」

「うるせ。ほっとけ。」

 

と俺は不貞腐れる

 

「そういや、今日から入隊式だけど訓練内容って。」

「多分実戦訓練だと思うぞ。」

「だよなぁ。とりあえず新記録更新を狙おうかな?」

「俺はもう縮まりようがないんだが。」

 

俺はため息をつく。今の俺の最速タイムは0.4秒。

なおボーダーの忍田部長と太刀川さんという人くらいしか今のボーダーには超える人がいないらしい

 

「しかし仮訓練受けてなかった人も多いんだな。」

 

仮訓練時は30人と比べて今は50人

20人ほど増えているな

 

「まぁ、スカウト勢がいるからな。」

「スカウト?」

「あぁ、才能がありそうなスカウトするんだよ。そういった奴は試験とか全部免除されるんだよ。」

「ほへ〜。知らなかった。」

 

俺はキョトンとしてしまうがそれは一瞬で変わる

茶髪の少年が女の服を着ていた少年が立っていたからだ

 

「あれ?吉井だ。」

「……えっ?」

「ほら、女子の制服を着ている茶髪のバカっぽいやつ。」

「おい。ちょっと待て。色々とツッコミたいことがあるんだが。」

 

まぁ当たり前だな。俺も初めてみた時は本当に驚いたものだった

 

「あいつ。家では立場がとことん弱く姉さんに女子格好させられているらしい。俺、小学校ではあいつと結構仲よかったんだよ。その時聞いた。」

「マジで?」

「小学校のころは吉井はめちゃくちゃ明るくてクラスのムードメイカーだったし俺もスポーツやっていたからな。自然と仲良くなったんだよ。」

 

よく遊んでいったしな。

……俺は少し悩んでからリスクとリターンを考える。

……まぁトリオンも身体能力はかなり高いしすぐにボーダーに順応するだろうな

 

「ちょっとスカウト行ってくる。」

「お前肝っ玉すげぇな。」

「うん。俺も関わりたくないけどゲットできれば戦力になるからな。」

 

俺はそうやって吉井に近づき思いっきり吉井の頭を叩いた

 

「ちょっと何をするのさ!!」

「明久、お前な何女の服着ているんだよ。」

「えっ?あっ。巧久しぶり。巧もボーダーだったんだ。」

「おう。てか質問は無視か。お前仮入隊いなかったんだけどどうしたんだよ。」

「へ?仮入隊とかあったの?」

「あったわバカ。」

 

俺は呆れてしまうがこういった奴なので話していたら別だ

 

「てか普通にスカートで着ているんんだよ。」

「だって姉さんが着なければ濃厚で濃密なキスをしますっていうから。」

「……はぁ全くお前らの家族は。」

 

俺は呆れる

本題を忘れそうになるのはいつものことなので早めに

 

「まぁいいや。それで早速なんだけど。俺とチーム組まね?」

「へ?」

 

するとザワザワし始める

俺自身ボーダー。それも今季入隊では圧倒的な成績を収めていて今季新入生ではどこも手に入れたいと呼ばれていた

 

「いや、俺大侵攻で家族死んだからな。生活費のためにボーダーに入ったんだけど合ったチームがないんだよ。吉井なら昔から付き合いあるし、多分すぐにB級に上がれるだろうかなな。」

「あっ。もしかして予知使ったの?」

「……お前まだ信じていたんだな。その話。」

 

俺は少し呆れたようにしてしまう。俺が予知を使えることを信じたのはこいつくらいだ。

 

「えっ?嘘だったの?」

「嘘じゃないけどさ。まぁその話は後だ。とりあえず理由は2つ一つ目は行動力。そして二つ目は身体能力だ。どうせお前アタッカー希望なんだろ?カッコいいとかそんな理由で。」

「本当に予知使ってないんだよね?」

「お前が単純すぎるんだよ。俺もアタッカー型オールラウンダー目指すからな。連携重視か機動力を生かした近距離型のチームにしたいんだよ。」

「なるほどね。僕はいいよ。」

「……やけにあっさりだな。」

「うん。友達とやるほうが楽しそうだし。」

「お前一応命がけの仕事ってこと忘れんなよ。」

 

呆れたようにいうとまぁこういう奴だしいいやと何度目か分からないくらいのため息を吐く

 

「とりあえず俺はこれ終わったら開発室行かないといけないから。」

「えっ?訓練受けなくていいの?」

「あぁ、俺はC級じゃないからな。」

「どういうこと?」

 

首を傾げる吉井に俺はため息を吐き

 

「仮訓練の結果俺は先にB級に上がったんだよ。全部ぶっちぎりでトップだったし。」

「……あぁ。まぁ予習できるからね。」

「そういうこと。まぁランク戦みたいに30分くらいの長い時間見なければ普通に問題ないしな。まぁもうそろそろ始まるから学校で話そうぜ。さすがにお前の服装だと話したくないし。」

「うん。明日からは男用の服を着てくるよ。ボーダーで安定したら一人暮らしするつもりだし。」

 

納得。こいつあの姉さんから離れたい為にボーダーに入ったのか

 

「んじゃまた学校でな。」

「うん。またね巧。」

 

俺は手を振る。まぁとりあえずエース候補は確保か

 

「うす。」

「よう。どうだった?」

「アタッカー確保。後はオペレーターだけ。」

「そういえば綾辻ってオペレーター希望だろ?綾辻誘えばよかっただろ?」

「嵐山隊のオペレーターが今期で退社するから代わりに入るらしいぞ。」

 

オペレーターをスカウトして自分のチームに入れてもいいか上層部に確認をとったときに嵐山さんから聞いたことだ

 

「あ〜そりゃ無理だな。」

「でも今オペレーターは人足りてないらしくて入隊したいのであればスカウトしていいらしい。から三上にも声かけるか。これからオペレーターも増え始めたらオペレーターでも階級を決めるらしいし。早めの方がいいな。明日あたりにでも声をかけて誘ってみるか。」

「行動力すげぇな。」

「生憎A級トップ目指したいしな。」

 

それに俺の目もある予想は確定している。それに備えての一歩でもある

もう二度と失いたくないからな

すると忍田本部長が入ってくると全員が静まる

そして入隊式が始まった

……なお余談だがあの後うとうとしている明久を何度も叩き起こしている巧がいて結局ほとんど仮訓練は付き合っていたのだが



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加古望1

入隊式の翌日一足先にB級昇格が決まった俺は開発室へと向かう

相変わらず広いよなぁここ。

今日は予定が立てこもっており早くにB級昇格が決まっていた俺は明日の放課後に防衛任務を入れている

……まさか最初が沢村隊とは思わなかったが

アタッカー二人とスナイパー一人のチームで前年度A級二位のチームだ

沢村さんと今唯一の小学生隊員であるスナイパー件ガンナーの速水が点数を稼いでいるチームで特にコンビネーションに関してはボーダー1のチームと言って過言ではないだろう

なお、ランキングではA級は前年度は6チームあったらしいが三チームがレベルについていけずに脱落。

つまりA級のレベルはかなり高いのだろう

とりあえず今日はサブトリガーを使ったトレーニングで後からランク戦で練習しようか。

そうして歩いていくと

 

「あら?加藤くんじゃない。」

 

するとセレブオーラを振りまいている加古先輩が偶然に遭遇した

 

「久しぶりです。加古先輩。」

「あの件考えてくれたかしら。」

 

すると加古先輩は多分勧誘の件だろう

加古先輩は一番最初に勧誘してきたのもあり、入るなら加古先輩の部隊にすることを考えていたのだが

 

「すいません。自分で部隊つくることにしました。」

「あら、そうなの?」

「はい。正直グラスホッパーを主体とした機動力か連携を重視したチームを作りたかったので。」

 

俺は謝罪の意味を兼ねた本当の意味を語る

 

「……あら残念。ってことはもしかしてグラスホッパー入れるのかしら。」

「はい。えっと今からそのトリガー構成に行くんですけど。」

「えっ?もうB級に上がったの?」

 

驚いたようにしている加古先輩。それもそのはず。まだ初日で上がった人は未だにいないからである

 

「俺全訓練でトップだったので。仮訓練時のランク戦もC級隊員とやってましたし4012点スタートなんで。出水も3500点スタートですし。」

「あぁ、なるほど。」

 

ただでさえ出水も即戦力に近いからどうやら上層部がかなり悩んでいたらしい。だが結局俺はサイドエフェクトの件もあり早めにB級に置いておきたかったこともあるだろう

 

「今年は二人が目立っちゃって他はそれなりね。昨日見てきたけど女装していた吉井くんって子が30秒で倒していたのはちょっと驚いたけど。」

 

吉井初めてで30秒は普通に好成績だ

 

「加古先輩はどうしたんですか?」

「炒飯の準備を買って来てたのよ。これから太刀川くんと堤くんに新作チャーハンを作ってあげようと思って。」

 

そういや買い物袋を持っているしスーパーかどこかから買ってきたのだろう

 

「荷物持ちますよ。」

「あら、いいの?」

「俺今日は暇なんで。今日中に開発室いけばいいですし。」

 

それに太刀川さんとA級一位のチーム見てみたいしな

俺は加古先輩の買い物袋を持つ。

 

「そういえばトリガー構成ってどうするの?」

「一応メインがスコーピオン スパイダー グラスホッパーでサブがスコーピオン、ハウンドっていう開発室が新しく作ったものを後はバックワーム、スパイダーですね。」

「シールドは入れないの?」

「シールド入れるかエスクード入れるか少し迷ってます。俺は危険予知があるので基本は回避できるんですけど。」

「今はそんなにシューターやガンナーの種類は少ないから分からないだろうけどでも多分シールドは入れた方がいいわよ。それとスパイダーはなんでいれるの?」

「これはコンビネーション用ですね。トリオン量が少なくて相手の動きを制限できるし高速移動を使って足場を空中につくることになって空中戦にできるかと。こっちはグラスホッパーもありますし。」

「でも、中途半端だと思うのだけど。」

 

まぁ、そこはランク戦して確かめようと思っていたんだけど。

 

「まぁそうですね。う〜ん。外すとしたらスパイダーかバックワームですね。」

「バックワームはやめといた方がいいわ。チームを組む以上逃げを選択しないといけない時もあるからレーダーに残っていると狙撃される可能性があるわ。それにもしもチームメイトがベイルアウトした時に集中砲火されたらさすがに一溜まりもないわよ。」

「……なるほど。」

 

それはランク戦に入らないと分からないけどタイムアップを狙わないといけない時か。

引き時を見極めるってことも大切なことなんだな

 

「スパイダーを入れたいのならその時はスコーピオンを外したらどうかしら。加藤くんの実力ならスコーピオン一つでも十分通用するはずよ。」

「詳しいですね。」

「あなたとチーム組んだら二宮くんや三輪くん達にも勝てる気がしたのよ。エースの素質を持っているし、どこもゴールデンルーキーの配属地は気になるわよ。」

「純粋に俺を欲しがったのは加古さんのグループだけでしたけどね。他は多分サイドエフェクトだと思いますよ。オペレーターになってほしいって言われたところもありましたし。純粋にエースとしては加古先輩くらいしか評価はされませんでした。」

「その子は見る目ないわよ。あなたはサイドエフェクトよりもトリオン体での反応速度が早いことがあなたの持ち味なのに。」

 

加古さん曰く俺の反応速度は太刀川さん以上であり、機動力と言う形では太刀川さんを上回る可能性があるらしい。

 

「やっぱりうちに来ない?」

「さすがに。それに今年入隊した一人に声かけているので。」

「あら?そうなの。」

「はい。本当にすいません。」

 

俺がそうやって歩いていると

 

「あれ。加古さん。」

「あら、堤くんじゃない。」

 

するとオレンジ色の髪をした先輩と出会い俺の方を見る

 

「あれ?見慣れない顔ですね。」

「私が言っていた加藤くんよ。」

「加藤です。」

「あぁ、噂のゴールデンルーキーですか。諏訪隊に所属している堤です。」

 

俺が一礼すると自己紹介をする堤先輩に俺は優しそうな先輩だと思う

 

「あっ。堤先輩が来たなら俺はお役御免ですね。俺開発室行ってきます。」

「あら、もう少し話したかったんだけど。」

「えっ?加古さん俺に用事あったんですか?」

「えぇ。新作チャーハンを考えたから食べてくれないかしら。」

「えっ?」

 

すると堤先輩の顔が明らかに引きつっている

 

「は、はい。」

「よかったわ。太刀川くんも誘ってくるから少し隊室で待ってくれるかしら。」

「そ、そうだ。加藤もどうだ?」

「すいません。今日の昼飯は出水と食う約束しているので。」

「あら、残念。それじゃあ今度作ってあげるわ。」

「はい。その時は楽しみにしています。それじゃあ失礼します。」

 

そして俺はビニール袋を加古先輩に返すと俺は開発室で歩き出す

サイドエフェクトが反応していたので少し急ぎ足で

……後から加古さん本人から聞いた話だとチョコミント炒飯だったらしく。食べないでよかったと思ったのは俺だけではなかっただろう

だがこの時は知らなかった

この人に弟子になってこれからも幾度も加古さんの炒飯に食べることになることを

 



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