エターナルメモリを受け継ぐ者 改 (tatuo)
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悪魔の目には何が写る?

どうもお久しぶりです。自分が初めて書いた作品を新しく書き直しました。


「……ここは?」

 

何もない真っ白世界。そこで一人の男が目を覚ました。

 

「……俺は……。」

 

男の名は大道克己。かつてNEVERという傭兵集団のリーダーだった。そして克己は風都と呼ばれる自分が生まれ育った街で事件をおこした。克己は風都の住人を全てNEVERに変えようとしたのだった。だがその街の英雄、仮面ライダーWにそれを阻止され、克己は倒されてしまった。そして現在に至る。

 

「目が覚めましたね。大道克己。」

 

すると、克己の前に突然ドレスを纏った女性が現れた。

 

「誰だお前?それにここはどこだ?地獄にしては随分綺麗すぎねえか?」

 

「あなたは確かに死にました。そしてここは死んだ人間の魂を転生させ別の世界に送る場所なのです。」

 

「何言ってるかさっぱり分からねえよ。」

 

克己は女性の言葉の意味があまり分かってなかった。

 

「あなたは今から新しい世界で生きる事が出来るのです。そして、その世界に行ったら一人の少年を助けてもらいたいのです。」

 

「おいおいちょっと待て。俺の名前を知ってるなら俺が生きてた時に何をやってたか分かるはずだ。俺はてめえの故郷である風都を地獄に変えようとした極悪人だぞ?」

 

克己は女性に転生された世界で一人の少年を助けてほしいと頼み込まれるも、自分が生前やってきた事を話したが。

 

「なら、言い方を変えましょう。その少年はあなたが味わった以上の地獄を味わってます。今も。そしてこれからも。」

 

「何だと…?」

 

克己は顔色を変えてしまう。違う世界とはいえ、自分より歳下の少年が自分以上の地獄を味わってると聞き、考えこんでしまう。

 

「…分かった。そいつを助けてやるよ。この俺に何が出来るかは分からねえが。」

 

克己は考え、悩んだ末に答えを言った。少年を助けてやると。

 

「ありがとうございます。やはり本当のあなたはとても優しい人間です。」

 

「昔の話だろうが。それじゃあ早速行きますか。」

 

「それならその少年に出会えたらこれを渡してほしいのです。」

 

女性はそう言うと、手に光を集めて光は球体から形になった。

 

「こいつは、エターナルメモリにロストドライバー。何でこれが?」

 

形は克己が変身してた仮面ライダー、「エターナル」になるためのエターナルメモリ、ロストドライバーだった。

 

「これはあなたの記憶から作った物です。メモリはT2でオリジナルの力があります。」

 

「オリジナルの力?」

 

「今からあなたが行く世界はインフィニット・ストラトス。通称、ISと呼ばれる兵器があるのです。ですが、その兵器には欠点があるのです。」

 

「欠点?」

 

「ISは女性だけしか使えないのです。だからそのメモリの力が必要なのです。」

 

「まるで小説のような話だな。…まさかオリジナルの力とはISの機能を停止させる力か?」

 

克己はISと呼ばれる兵器の欠点を疑うも、エターナルメモリの力の事をすぐに聞いた。

 

「はい。あの世界はISによって変わってしまいました。だから少しでも元に戻すにはそのメモリが必要なのです。」

 

「破壊を止められるのは永遠。皮肉だな。…じゃあそろそろ行かしてもらおうか?そのISとやら兵器がある世界に。」

 

「分かりました。」

 

女性は克己の問いに答え、手を翳すと克己の前に光の入口が現れた。

 

「ここを通ればISの世界に行けます。着いたらまずは。」

 

「少年を助ければいいんだろ?それでその少年の名前は?」

 

「少年の名前は織斑一夏。」

 

「織斑一夏か。」

 

克己はエターナルメモリとロストドライバーを手に取り、光の入口に入ろうとした。

 

「大道克己。しばらくは私と交信出来るようにします。何か必要な物があったらすぐに言ってください。それとあなたには後でT1のエターナルメモリを送ります。」

 

「面倒見のいい奴だ。…そういや、お前の名前をまだ聞いてなかったな。名前は何だ?」

 

克己は女性に名前を聞くが。

 

「私に名前はありません。好きなように呼んでください。」

 

女性に名前は無く、克己の好きなように呼んでくれと言った。

 

「なら、死神って呼ばせてもらう。俺にはその方がしっくりくるからな。」

 

克己は女性を死神と呼ぶと決めて、光の入口に入った。

 

 



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出会い。

「ここは?」

 

光の入口を抜けた克己はいつの間にかどこかの街に立っていた。

 

「服装はNEVERの革ジャン。それ以外は。」

 

克己は持ち物を調べると死神から貰ったエターナルメモリ、ロストドライバー。さらに財布とナイフを所持していた。

 

「かなりの額があるな。」

 

財布には札がぎっしり詰まっており、克己は唖然としていた。

 

「…とりあえず、ここはISの世界で間違いないんだよな?ここはどこなんだ?」

 

克己は街を見渡していると、ビルに取り付けられている大型テレビに目が行った。

 

「さあ!第二回モンド・グロッソ!決勝に進出したのは織斑千冬!このままV2を取れるのか!」

 

「織斑?確か助けて欲しいって言われた少年も織斑だったな。…まあいい。とりあえずは探すか。」

 

克己はテレビの内容は気にせず織斑一夏を探そうとしたが。

 

「…どこにいるんだ?それにこの街。書いてある文からしてドイツっぽいな。観光で来てるのか?」

 

克己は織斑一夏をどう捜せばいいのか悩んでいると、エターナルメモリが突然輝き出した。

 

「何だ?」

 

克己はエターナルメモリが突然輝き出した事に驚くも、エターナルメモリの向いている場所を変えるとメモリの輝きはさらに増した。

 

「成る程。メモリは引き合う物。織斑一夏と引き合っているのか。」

 

克己はエターナルメモリが織斑一夏に引き寄せられていると気づき、輝きが強い方向に向かって歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソ!ここはどこなんだよ!」

 

ある廃倉庫に一人の少年が監禁されていた。彼の名前は織斑一夏。克己が捜している少年だった。

 

「あんたには悪いけど。織斑千冬にこれ以上いい思いはさせない。だからお前を誘拐したのよ。」

 

一夏の前にISを纏った二人の女が来て、一夏を誘拐した理由を話した。

 

「俺を誘拐しても千冬姉は来ないよ。」

 

「何言ってるのお前?」

 

「俺は出来損ないだからな。」

 

一夏は女たちに千冬は自分を助けに来ないと言った。それと同時に昔の事を思い出していた。自分は常に千冬と比べられていた事、どんなに頑張っても千冬の弟だから出来て当たり前と言われ、誰も自分を認めてくれなかった事を。

 

「…いや、弾たちは俺を友達として見てくれてたな。」

 

だが、それでも自分を認めてくれた人は居た。親友の弾、幼なじみの箒に鈴と。

 

「何だろう?懐かしいからか涙が出てきたよ…。」

 

一夏は懐かしさからか目から涙が出ていた。

 

「これだから男は気持ち悪いのよ。さっさと全員くたばればいいのに!」

 

女たちは一夏の今の姿を見てイラつきを覚え、今にも一夏を殺しそうな雰囲気だった。

 

「ちょっと!織斑千冬が決勝戦に出てるわよ!?」

 

もう一人の女はISに搭載されている通信システムの映像をテレビに変えて見ていたが、千冬が決勝戦に出てるのを知り、驚愕していた。

 

「何でよ!?弟を誘拐したのに!」

 

「だから言っただろ?俺は出来損ないなんだから。」

 

一夏は諦めた表情で女たちに伝えた。

 

「…ならお前はもう用済み。ここで死んでもらうわよ。」

 

女はISのライフルの銃口を一夏に向けた。

 

「ごめん…弾、箒、鈴…。」

 

一夏は死を覚悟して、弾たちに謝った。だがその時、倉庫の固い扉が物凄い音を立てて破壊された。

 

「何!?」

 

女たちはその爆音に驚き後ろを向くと、破壊され倒れてる扉の周りは土煙が上がっており、その煙の中から誰かが歩いて出てきた。

 

「誰だ!?」

 

女たちはライフルをその誰かに向けた。

 

「それがISか。間近で見るとザ・機械の鎧だな。」

 

出てきたのは克己だった。克己はISを見た後、すぐに一夏を見た。

 

「お前が織斑一夏か?」

 

一夏は突然現れた男に質問されたが、男が扉を破壊した事に驚愕していたため言葉が出ず、首を縦に振って質問に答えた。

 

「やっと見つけたぜ。誘拐されてちゃ街中をいくら捜しても見つかる訳ねえか。」

 

「あんた!さっきから何一人でブツブツ喋ってるのよ!あいつらはどうしたのよ!?」

 

「あいつら?ああ、あれの事か?」

 

克己は親指を後ろに指しながら女に外の様子を見せた。

 

「なあ…」

 

外には一夏の誘拐を実行した男たちがボコボコにされた状態で倒れていた。

 

「素人に銃を持たせても使えねえよ。もう少しマシな奴らを雇うんだな。」

 

克己はナイフを取り出した。

 

「俺は織斑一夏にしか用はない。さっさとそこをどけ。」

 

「あんた、今の状況を分かって言ってるの!生身でISに挑むなんてどんなバカでもやらないわよ!」

 

「なら、俺がISを生身で破壊した人間、第一号になってやろうか?」

 

「やれるものならやってみなさいよ!」

 

女たちは克己の挑発に乗り、ブレードを構えた。

 

「こんなのに時間をかけるつもりはねえ。さっさと終わらせてもらう!」

 

克己もナイフを構えて戦闘態勢に入った。



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家族

「時間はかけるつもりはない…ふざけるなッ!」

 

克己の言葉にキレた女は瞬時加速を展開させて克己に襲いかかった。

 

「!?」

 

克己は避けれずにISにまともに殴られて吹き飛ばされ瓦礫の山に激突してしまい、再び土煙が起きた。

 

「何よ!偉そうな事言っておいてたいした事ないじゃん!」

 

女は克己が激突した場所を見ながら笑っていた。

 

「…この程度か?」

 

「え…?」

 

だが、土煙の中から無傷でピンピンしている克己が出てきて、女たちは顔を真っ青にし、一夏も同じように真っ青にしていた。

 

「死神の野郎。体はNEVERのままにしてたのかよ。まあ熱はあるし、記憶も全部ある。ホントに神様はスゲエ奴だな。」

 

克己はジャケットに付いた汚れを叩きながら、死神が自分をNEVERの肉体にしていた事に驚きながらも感謝していた。

 

「何で…何でよ!?何でISの攻撃を受けて無事なのよ!?」

 

「そんなの簡単だ。…俺は不死身だからな…!」

 

克己はナイフを再び向けて女たちに言った。自分は不死身だと。

 

「この…バケモノがッ!」

 

女は再び攻撃しようとするため克己に近づくが。

 

「え…」

 

ISの手は克己の目の前で止まってしまい、女は動かそうとしてもびくともしなかった。

 

「まだあいつらの方が強かったぜ。」

 

克己はナイフの先端だけでISの手を止めており、さらにISよりも強い奴が居ると話した。

 

「見せてやるよ…死神の恐ろしさをなッ!」

 

克己は女の腹部にパンチを放つと、女は嘔吐してさらにISが解除されそのまま地面に倒れた。

 

「残りはお前だけだ。」

 

克己は残った女を睨んだ。

 

「!!」

 

すると、女は何を考えたのか克己ではなく、一夏に狙いを定めた。

 

「てめえッ!」

 

克己の女の行動に気づき、すぐに走り出したが距離があるため間に合わないと考え、あらかじめエターナルメモリを挿していたロストドライバーを一夏に向かって投げた。

 

「エターナル!」

 

ロストドライバーは一夏の腹部に装着され、一夏は変身した。純白のボディに黒いマントを羽織り、Eを模した角に♾を思わす複眼に両腕、両足に青い炎のグラデーション「ブルーフレア」が入った仮面ライダー、仮面ライダーエターナルに。

 

「な、何だよこの姿!?」

 

「何で男がISを!?」

 

一夏と女はエターナルに驚いていた。

 

「エターナルをガラクタと一緒にするな。…織斑一夏。その女に地獄を味わさせてやれ!」

 

一夏は克己に言われるも手は震えていた。

 

「ふざけた事言うなッ!」

 

女は克己の言葉にブチ切れ、ブレードをエターナルにめがけて振った。

 

「死ねえよッ!」

 

「…うわあぁぁーーーー!!」

 

一夏はもう逃げれないと悟り、拳を振った。

 

「うぐ…」

 

エターナルの拳はカウンターで女の腹部に命中しており、女のISは解除され、女は気絶した。

 

「はあ…はあ…」

 

エターナルは自分の両手を見て息を切らしていた。

 

「大丈夫か?」

 

克己はエターナルに近づき声をかけた。

 

「はい…ありがとうございます…。助けてくれて…けど…。」

 

「どうした?」

 

「俺はもう家族がいません…。たった一人の家族に見捨てられたんで…。」

 

「なら、俺が今日からお前の家族になってやるよ。」

 

「え!?」

 

一夏は克己の言葉に驚いてしまう。

 

「元々そのメモリとドライバーはお前にやる物だからな。それに俺と一緒に居る方がメモリの使い方を教えてやれるからな。どうだ?俺と家族になる気はないか?」

 

「…はい!よろしくお願いします!」

 

一夏は克己と家族になると迷わず答えた。

 

「よろしく頼むな。けど、俺は父親というものを知らねえからな。兄弟でも大丈夫か?」

 

「大丈夫です!兄さん!」

 

「よろしくな。弟。」

 

克己は一夏と兄弟になり、克己は笑顔を見せた。

 

「じゃあ早速やりますか。」

 

「何を?」

 

「お前は生まれ変わった。なら織斑一夏という存在に消えてもらう。だから殺すんだよ。」

 

「殺す!?」

 

一夏は克己の言葉にびびってしまうが。

 

「勘違いするな。この倉庫を消すだけだ。そのメモリを使ってな。」

 

克己はエターナルの手を見ると、エターナルはいつの間にか「ゾーン」のメモリを持っていた。

 

「これは?」

 

「すぐに教えてやる。けど、その前に。」

 

克己は外に行くと、ボコボコにした誘拐犯の男たちを倉庫に投げ込むように入れた。

 

「準備は出来た。こっちに来い!」

 

「はい!」

 

エターナルは克己に呼ばれて外に出た。

 

「じゃあ始めますか。まずは羽織ってるマントを脱げ。」

 

「は、はい!」

 

エターナルはマントを脱いだ。

 

「次はそのゾーンメモリを起動させて腰のスロットに装填させろ。」

 

エターナルはゾーンメモリを起動させた。

 

「ゾーン!」

 

そしてすぐに腰のスロットに装填させた。

 

「ゾーン・マキシマムドライブ!」

 

ゾーンメモリのマキシマムドライブを発動させた事によりエターナル、ゾーンを除くAからYまでのT2ガイアメモリが現れ、エターナルの右腕、左足、胸のマキシマムスロットに装填された。

 

「これって…」

 

メモリのマキシマムドライブが全て発動した事によりエターナルの体は緑色のオーラ「エターナルウェーブ」を纏った。

 

「意識を前に集中させろ!」

 

エターナルは克己に言われた通り、意識を集中させた。

 

「今だ!」

 

「!!」

 

エターナルは緑色の巨大な光弾「ネバーエンディングヘル」を倉庫に向かって放ち、倉庫は跡形もなく消えた。

 

「よかったんですか?俺を誘拐した人たちまで…」

 

「犯罪者はロクな死に方をしねえ。それだけだ。さて、お前の新しい名前を決めねえとな。」

 

「名前?」

 

「そうだ。織斑一夏は死んだんだからな。…よし、お前の新しい名前は…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大道夏己だ。」

 

織斑一夏は克己から新しい名前、「大道夏己」の名前を貰い、そして新しい人生が始まった。



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家、エターナルの力

倉庫を消した後、克己と夏己は街の路地裏に居た。

 

「さてとこれから家を探しますか。」

 

「え!兄さんって、家ないの!?」

 

「ああ。けどアテがあるから大丈夫だ。」

 

そう言うと克己は目を閉じた。

 

「死神。早速頼みがある。」

 

「何でしょうか?」

 

克己は死神と交信し、頼みがあると言った。

 

「俺たちの家を用意してくれ。」

 

「分かりました。ではそちらにこれを送ります。」

 

克己は目を開けると、目の前にWのガイアメモリが現れた。

 

「ワープ?」

 

「それは移動用のガイアメモリです。行きたい場所を念じて起動させればその場所に行けます。」

 

メモリはワープメモリという移動するためだけのメモリだった。

 

「早速やるか。」

 

克己はワープメモリの起動ボタンを押した。

 

「ワープ・マキシマムドライブ!」

 

その瞬間、二人は光に包まれてそこから消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは?」

 

気がつくと克己たちはリビングに居た。

 

「ここ、高層マンションだよ!兄さん。」

 

夏己はリビングの窓から外の景色を見て、すぐに高層マンションだと分かった。

 

「随分いい場所を用意してくれたな。まあいい。早速中を見て回るか。俺は他の部屋を見てくる。夏己はキッチンの冷蔵庫の中を見てくれ。何もなかったら買い物に行かないといけないからな。」

 

「分かった。」

 

克己はリビングの方を夏己に任せて、克己は他の部屋を回り始めた。

 

「トイレと風呂は別。それ以外にも寝室や他の部屋、…ここは?」

 

克己はある部屋を見てドアを開けた。

 

「何だこの部屋?」

 

ドアを開けた克己だが、中は真っ白な広い空間だった。

 

「死神。この部屋は何だ?」

 

「この部屋はあなたたちのトレーニングルームです。」

 

「トレーニングルーム?」

 

「あなたの弟、大道夏己はエターナルに変身しました。けど、エターナルの力に全てのメモリの特性を知ってる訳ではありません。だからこの部屋を作ったんです。」

 

「確かにな。あの時も俺が教えてやったからな。なら早速トレーニングと行きますか。」

 

「では、あなたにT1エターナルメモリに五つのメモリとロストドライバーを渡しておきます。」

 

克己の目の前にエターナルメモリ、ジョーカー、ヒート、メタル、ルナ、トリガーのメモリにロストドライバーが現れ、克己はそれを手に取った。

 

「今の俺は永遠なんか求めてはいない。今の俺が求めるのはあいつを育ててやる事。それだけだ。」

 

克己はもう永遠を求める気はなく、夏己をしっかり育てる事だけだった。

 

「それと大道克己。あなたにもう一つやってもらいたい事があるのです。」

 

「やってもらいたい事?」

 

「はい。あなたには大企業の社長をなってもらいます。」

 

「はあ!俺が社長だと!何寝ぼけた事言ってるんだ。俺が元傭兵だという事を忘れたのか?」

 

克己は死神から大企業の社長になってもらうと言われ、すぐにかつての自分の事を話した。

 

「それは前の世界の話。今のあなたは新しく生まれ変わったのですよ。それにあなたの頭脳もそれに見合うようにやっておいたので大丈夫ですよ。」

 

「随分サービスがいいな。体もNEVERにしておいたみたいだしな。」

 

「転生者へのアフターケアだと思ってください。」

 

「…分かった。社長をやってやる。けど何か訳があるんだろ?」

 

克己は死神に自分が社長をやる理由を聞いた。

 

「エターナルの存在です。」

 

「エターナルの?」

 

「あなたも見ましたが、この世界はI Sという兵器があります。そして、エターナルの存在が世間に知られてしまえばあなたの弟はI S学園に入学されてしまいます。」

 

「I S学園?」

 

「I S操縦者を育成する学校です。高校進学の女の子たちはほとんどI S学園を希望するのです。中には代表候補生という国を背負って入学する子も居ます。」

 

「女子校に男が入学とか地獄だろ。俺は耐えられねえな。」

 

「彼がもしI S学園に入ってしまえばたくさんの企業が彼を自分の企業に所属させようとします。その時にあなたの企業に所属していれば大丈夫なのです。」

 

「メモリの秘密を守るためか。面白そうだな。」

 

克己はI S学園の事を聞いて、社長をやる決意を決めた。

 

「けど今はあいつを強くさせる事だ。」

 

克己はトレーニングルームから出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ!兄さん、冷蔵庫の中たくさん食材があったよ!」

 

克己がリビングに行くと、夏己はテーブルにパスタとサラダを並べていた。

 

「夏己。これ全部お前が?」

 

「うん。家事全般は出来るから、これくらいどうって事ないよ。」

 

「プロ並の腕だな。先に食うか。」

 

克己は夏己が作った手料理を食べ、食後の二人はトレーニングルームに居た。

 

 

 

「兄さん。この部屋は?」

 

「ここでお前にエターナルの力、他のメモリの力をものにするためのトレーニングルームだ。夏己、早速変身しろ。」

 

「分かった。」

 

夏己は克己に言われ、ロストドライバーを装着しエターナルメモリを起動させた。

 

「エターナル!」

 

「変身!」

 

夏己はメモリをロストドライバーに挿入させた。

 

「エターナル!」

 

夏己はエターナルに変身した。

 

「まずはメモリの説明だ。夏己。お前はエターナルメモリを入れて、計26個のメモリを持っている。メモリの力は実戦で覚えるしかないが、エターナルは今説明する。」

 

「うん。」

 

「エターナルは全てのメモリの頂点に立つメモリだ。エターナルの武器はナイフ型武器のエターナルエッジ、一本だけ。そして必殺技はエッジにエターナルメモリを差し込む事で発動するが、その技はかなりヤバい。」

 

「ヤバいって?」

 

「本来はメモリを永続に機能停止だけだが、オリジナルの力が組み込まれてメモリだけじゃなくI Sの機能まで永続に停止出来るようになったんだ。」

 

「え!?」

 

夏己は克己からエターナルの力がI Sの機能を永続に停止させられると聞かされ驚いてしまう。

 

「だから相当な事がない限りエターナルのマキシマムは使うな。それを使ったら世界は大混乱からの戦争になる。いきがってた女が豚のように扱われる明日が見えちまうからな。」

 

「分かった。エターナルの必殺技は使わないようにするよ。」

 

「よし。早速特訓だ。遠慮せずにかかってこい。」

 

克己はナイフを構えた。

 

「じゃあ、行くよ。兄さん。」

 

「ああ。かかって来い。」

 

エターナルは走り出し、克己と特訓を始めた。



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かつての仲間との再会

「確かこの辺りだよな?」

 

克己は今、スーツを着て歩いていた。死神が克己のために作ったという会社に向かうために。

 

「…けど、俺たちが日本に住んでたとはな。ドイツから日本まで一瞬とは、こいつもある意味大したメモリだ。」

 

克己は死神からもらったメモリ、ワープメモリを見た。

 

「夏己には住み慣れた土地がいいのかもな…。」

 

克己はふと、ゴミ捨て場を見ると、そこに一枚の新聞紙が捨てられていたが新聞紙の一面にはこう書かれていた。

 

「ブリュンヒルデの弟、ドイツで死亡!」

 

「ご丁寧に写真まで載せやがって。何も知らねえ奴らがデケエ口叩くな。」

 

克己は記事の内容に虫唾が走りながらも会社に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「死神の奴。ここまでの企業を作ったのかよ。」

 

会社に着いた克己だが、会社の大きさに呆気を取られていた。

 

「会社名は、NEVER。俺にはしっくり来る名前だからいいか。」

 

克己は会社に入ると。

 

「克己ちゃんーー!」

 

「!?」

 

克己にとって聞き覚えのある声が聞こえ、声が聞こえてきた方を見ると。

 

「あいつが居るのかよ。」

 

それはかつてNEVERの一員でサブリーダーだった男?泉京水だった。泉に瓜二つの男は克己の元に向かって走っていたが。

 

「あん!痛い!」

 

男は見事にコケるもすぐに起き上がって、克己の前に来た。

 

「克己ちゃん!長期休暇中に浮気なんかしてないわよね!?」

 

「…そういう設定か。さっさと仕事に戻れ。」

 

「克己ちゃんがそう言うなら。でも秘書には気をつけてよね!あの女、克己を誘惑する気なんだから!」

 

「誰が誘惑するって?」

 

「…全員集合か。」

 

男の後ろから女性の声が聞こえ、克己はそこを見ると一人の女性に二人の男が居た。

 

「羽原レイカに堂本剛三、芦原賢。お前らまで転生していたとはな。」

 

女性たちもNEVERのメンバーだった羽原レイカ、堂本剛三、芦原賢だった。

 

「…社長。何のお話しですか?長期休暇で少しボケてしまいましたか?私は秘書の羽原玲香。二人は社長の護衛の堂本に芦原、それでそこにいる変な人は。」

 

「変な人!?ムッキーーー!!レディに対して何言ってるの!私も秘書でしょうが!」

 

「少し黙れ。周りがドン引きしているだろうが。」

 

羽原は泉の口を抑えた。

 

「朝からテンションが高い奴らだ。さっさと仕事に行くぞ。」

 

克己の一声で羽原たちは収まり、克己たちは社長室に向かった。

 

 

「それで今の状況は?」

 

エレベーターの中で克己は会社の状況を羽原に聞いた。

 

「問題ありません。社長の手腕で売上、株ともに好調です。」

 

羽原は売上表、株のグラフを克己に見せた。

 

「…それと俺に弟が出来た。」

 

「弟?」

 

「ドイツに旅行に行った時に出会った奴だ。家族に見捨てられちまってな。俺が家族になったんだ。弟は下手すればI S学園に入学する可能性が高い。その時は手配を色々頼むかもな。…後深い話はあまり聞くな。」

 

「分かりました。その時になったらしっかりと手配をいたします。」

 

羽原は深く聞かずに克己の命に従った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、夏己はトレーニングルームでエターナルメモリ以外のメモリの力を体感していた。

 

「どのメモリもかなり強いな。まあ、エターナルメモリは群を抜いて強いけど。」

 

夏己は26個のメモリの力に唖然としながらもすぐにマスターしていた。

 

「…?誰だろう?」

 

すると玄関が開く音がし、変身を解いてトレーニングルームから出た。

 

「兄さん!仕事は!」

 

玄関には克己がおり、夏己は克己がもう帰ってきた事に驚いていた。

 

「普通にやってたら今週分の仕事を終わらせちまってな。せっかく時間が出来たんだ。今日は俺のナイフ技術を教えてやる。」

 

「本当!じゃあ早速やろうよ!」

 

「ああ。」

 

二人はトレーニングルームに入り、克己は夏己に自分のナイフ技術を教えた。夏己はセンスもよく、飲み込みも早いためすぐにマスターしてしまった。

 

「この短時間でもう物にするのに出来損ないなんて言われるとは。本当に俺以上の地獄を味わったのか…。」

 

克己は夏己を改めて見て、自分以上の地獄を味わったと知った。

 

「夏己。一つ聞いていいか?」

 

「何?」

 

「夏己が織斑一夏だった時、友と呼べる奴はいたか?」

 

「…少ないけど居たよ。」

 

夏己は克己の質問に辛い過去を思い出しながら答えた。

 

「…すまねえな。辛い事も思い出させちまって。…よし、この詫びに明日、外に飯でも食いに行くか。」

 

「いいの!」

 

「ああ。この短期間でメモリの力にナイフ技術までマスターしたご褒美だ。好きなもんを好きなだけ食わしてやるよ。」

 

「ありがとう兄さん!よし、もう少し特訓だ!」

 

夏己は克己に食事に連れて行ってもらえると言われ喜び、トレーニングにさらに力が入った。



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親友との再会

夏己と克己は食事をするために外に居た。

 

「夏己。何が食いたい?遠慮せずに言え。」

 

「何にしようかな?」

 

夏己は何を食べようか考えていると。

 

「一夏!」

 

「一夏さん!」

 

「?」

 

誰かに一夏の名前を呼ばれて二人は振り向くと、後ろに赤髪の兄妹が居た。

 

「弾、蘭ちゃん…。」

 

夏己は二人の顔を見て驚きの顔を見せていた。

 

「一夏、お前生きてたのか…よかった…本当によかったよ…」

 

「一夏さん、どうして連絡してくれなかったんですか!」

 

二人は泣きながら夏己の手を握った。

 

「おい、お前たちは夏己の親友か?」

 

半分、話についていけなかった克己が間に割って出た。

 

「え?あの、あなたは?それに夏己って?」

 

「ここじゃあなんだから家で話す。夏己、メシはまた今度だ。」

 

克己たちは弾と蘭を連れて自宅のマンションに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マンションに着いた克己たちは弾と蘭をリビングの椅子に座らせた。

 

「どこから話すべきか。いや、まずお前たちは何をどこまで知ってるんだ?」

 

克己は弾と蘭にどこまで知っているのかを聞いた。

 

「俺たちが知ってるのは一夏が誘拐されて死んだ事だけです。ニュースでもそれぐらいしかやっていなかったので。」

 

「普通はそうだな。次は俺の番だ。はっきり言う、俺の弟、夏己は織斑一夏だ。」

 

克己の言葉に弾と蘭は納得するが。

 

「だが、元”織斑一夏″だ。」

 

「それどういう意味ですか?」

 

蘭は克己の言葉の意味が分からず聞き返した。

 

「織斑一夏は誘拐されたが、俺が助けた。そして俺はこいつに力をやり、織斑一夏を殺した。」

 

「殺した!?でも今、目の前に!」

 

弾たちは克己の言葉に驚愕してしまう。

 

「口で説明するより見せた方が早いな。夏己。変身しろ。」

 

「分かった。」

 

夏己は克己に言われ、ロストドライバーを着けた。

 

「エターナル!」

 

「変身!」

 

「エターナル!」

 

夏己はエターナルに変身し、弾と蘭はエターナルを見て言葉を失ってしまう。

 

「これが夏己に与えた力だ。これで夏己は織斑一夏を殺した。まあ殺したと言っても監禁されていた倉庫を消しただけだ。」

 

「……。」

 

弾と蘭は真実を知り、何も言葉が出なかった。

 

「どうするんだ?真実を知り、それでも織斑一夏として連れ戻そうとするのか?」

 

「…いえ、そんな事はしません。俺は一夏が幸せならそれでいいんです。けど…」

 

「?」

 

「俺と友達だったって言うことは変わらないだろ、夏己!」

 

「当たり前だ!」

 

エターナルは変身を解き、夏己は弾と握手した。

 

「でも、本当に良かったです。名前を変えても生きていてくれて…。」

 

蘭も泣きながら二人を見ていた。

 

「今日は夏己が親友たちと久しぶりの再会を果たせた祝いでご馳走だな。」

 

「なら、俺が腕を奮って作るよ!」

 

夏己はキッチンに行き、料理を作り始めた。

 

「五反田弾。お前は夏己と一緒に戦う覚悟はあるか?」

 

「戦う覚悟?」

 

「一つ言っておく、夏己が変身したエターナルはI Sではない。」

 

「え!?夏己さんのあれってI Sじゃないんですか!?」

 

「エターナルをI Sというガラクタと一緒にされちゃ困る。けど、エターナルの存在が世間にバレたらあいつはI S学園にぶち込まれる。だから、弾、お前がそばにいてほしい。」

 

「でも、俺には…。」

 

「メモリとドライバーはこっちで用意する。後はお前の答え次第だ。明日、またここに来い。」

 

克己は弾のために力を用意すると言い、弾の答えを待った。

 

「お待たせ!…どうしたの?」

 

「何でもない。ほら、早く食うぞ。」

 

克己たちは夏己の料理を食べ始めた。



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アクセルへの変身

「死神。頼みがある。」

 

克己は自分の寝室で死神と交信していた。

 

「はい。何でしょうか?」

 

「この五反田弾って奴と適合するメモリを用意してくれ。T2でな。後ドライバーも。」

 

克己は弾の写真を出し、弾に適合するメモリを用意してくれと死神に頼んでいた。

 

「彼に適合するメモリですね。分かりました。明日までに用意します。」

 

「頼むな。」

 

克己は死神との交信を切り、就寝した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝、克己は目を覚ますと、テーブルにアタッシュケースと細長いケースが置かれており、克己はケースを開けた。

 

「ここまで用意するとは。気前がいいな。」

 

アタッシュケースケースの中にはT2アクセルメモリ、アクセルドライバー、エンジンメモリ、トライアルメモリ、強化アダプターが入っており、細長いケースにはエンジンブレードが入っていた。

 

「後は五反田弾の答えだけだな。」

 

克己は五反田弾の返事を待つ事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前日の夜、弾は部屋で考えていた。

 

「俺は、どうしたいんだ?」

 

弾は夏己が織斑一夏だった時の事を知っていた。どんなに頑張っても周りは認めていなかった事、そして、ドイツで誘拐され死んでしまった事にひどくショックを受けていたが、生きていた事を知り嬉しかった。それと同時にもう辛い目にはあってほしくない。

 

「俺は…!」

 

弾は拳を握りしめて決意を決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「答えを出したみたいだな。」

 

昼頃、弾は克己たちのマンションに居た。

 

「はい。俺は夏己と一緒に戦います。」

 

弾は決意を言い、克己はフッと笑みを見せた。

 

「なら受け取れ。これがお前の力だ。」

 

克己はアクセルメモリ、ドライバーを出した。

 

「これが俺の。」

 

「そうだ。おい夏己、ちょっと来い。」

 

「何、兄さん?」

 

「今日から弾もトレーニングルームに連れて行く。」

 

「え…何でメモリとドライバーが!?」

 

夏己はテーブルに置かれてるアクセルメモリとドライバーを見て驚きを見せた。

 

「弾の覚悟は本物だ。それに仲間は一人でも多い方がいいだろ?」

 

「でも、何で弾を!?」

 

「夏己。俺はもう覚悟を決めてるんだ。それにお前が大道夏己として生きている事を受け入れた。だから、今度はお前が俺の覚悟を受け入れる番だ。」

 

「…そう言われたら何も言い返せないな。分かった。弾の覚悟を受け入れるよ。」

 

「そうこなくちゃ!」

 

「よし、早速行くぞ。」

 

克己たちはトレーニングルームに向かった。

 

「弾、変身してみろ。」

 

「はい。」

 

トレーニングルームに入った克己は弾に変身しろと言い、弾はアクセルドライバーを着けた。

 

「確か、このボタンを。」

 

弾はアクセルメモリの起動ボタンを押した。

 

「アクセル!」

 

「変身!」

 

弾はメモリをアクセルドライバーに挿入させ、右手側のパワースロットルをひねった。

 

「アクセル!」

 

弾は変身した。赤いボディに青い複眼で頭部に大きなAの文字のような角がある仮面ライダー、仮面ライダーアクセルに。

 

「これが仮面ライダーか。物凄い力が溢れてくるな。」

 

「こいつがアクセル専用の武器、エンジンブレードだ。」

 

克己はアクセル専用の武器、エンジンブレードをアクセルに渡した。

 

「ここでの特訓は実戦式だ。夏己のエターナルと戦ってもらう。」

 

「夏己。よろしくな。」

 

「ああ、けど手加減はしないからな!」

 

夏己もエターナルに変身し、エッジを構えた。

 

「こっちだってそのつもりだッ!」

 

エターナルとアクセル走り出し、エッジとブレードをぶつけあった。

 

 



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二人の仮面ライダー

「夏己はともかく、弾もここまで筋がいいとは驚きだな。」

 

「うかうかしてたら追い抜かれそうだよ!」

 

「何言ってるんだよ!夏己や克己さんの教えがいいからだろ!」

 

弾がアクセルの力を手に入れて数ヶ月が立った。弾は学校帰りに毎日夏己たちのマンションに行き、特訓を重ねてアクセルの力を物にしていた。今は弾が特訓を頑張ってるという事で克己の奢りで外で食事を取ろうという事になっていた。

 

「そうだ克己さん!この服ありがとうございます!」

 

弾は今自分が着てるNEVERのジャケットを見ながら克己にお礼を言った。

 

「俺や夏己だけじゃ寂しいからな。まあ喜んでくれてなによりだ。」

 

「ズボンにブーツ、ネックレスにウォレットチェーンまでプレゼントしてくれるなんて本当に感謝です!一生ついていきます!」

 

「大げさな奴だ。着いたな。何を食う?」

 

話している間に克己たちは大型デパートに着いた。

 

「やっぱりガッツリ食べたいから揚げ物はどうかな?」

 

「俺は定食だ!何せ実家がそうなんだから!」

 

夏己と弾は入口付近の案内図と一緒に貼ってあるレストランコーナーの店を見ながら話していた。

 

「決めるのは上に着いてからでも遅くない。行くぞ。」

 

克己たちはデパートに入った。三人はエレベーターで行かず、あえてエスカレーターで行った。途中の階のコーナーに必要な物があり買いたかったから。

 

「……。」

 

途中、夏己はとある店のショーウィンドーを見て動きを止めた。

 

「夏己?」

 

克己と弾もそれに気づき、ショーウィンドウを見ると、そこには二機の打鉄が置かれていた。

 

「夏己。お前は俺の弟、大道夏己だろ?」

 

「!!」

 

夏己は克己の言葉を聞いて、ハッとした。そうだ。自分はもう織斑一夏じゃない!織斑千冬の付属品でもない!自分は大道克己の弟、大道夏己だ!

 

「ありがとう。兄さん。」

 

「気にするな。ほら早く行くぞ。」

 

三人はレストランコーナーに行くために上の階に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「男なんて…」

 

「そうよ…男なんて…」

 

克己たちが行った後、打鉄が陳列されてる店に二人の女が来たが、女たちは様子がおかしかった。

 

「全員…消えろッ!」

 

女たちはガラスを割り、打鉄に触れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガシャーン!!

 

「何の音だ?」

 

何かが割れる音に気づいた克己たちはすぐに下の階に向かった。

 

「なあ!?」

 

音がした階に着くと、打鉄を纏った女たちがその階に居た人たちを一か所に集めていた。

 

「てめえらッ!死にたくなかったらそこに座れッ!」

 

「そこに居る貴様らもだッ!」

 

女はブレードを克己たちに向けて言い放ち、克己はやれやれという顔をしながら両手を上げ大人しく座った。

 

「I Sを使って堂々と犯罪するとか、バカなのか?」

 

「兄さん!」

 

「ちょ!何言ってるんですか!?この状況はまずいですよ!」

 

夏己と弾は慌てて克己に言うが。

 

「お前らな、もう忘れたのか?二人はI Sより強い力を持ってる事を?」

 

「あ!」

 

「そういえばそうでしたね。」

 

夏己と弾は克己にエターナルとアクセルの事を言われ、思い出すような顔をした。

 

「けど、ここで変身したら…」

 

だが、夏己たちは迷っていた。ここで変身すれば大騒ぎになってしまい、見せ物にされる可能性があったから。

 

「あの女たちは完全にイカれてる。このままじゃ死人が出るぞ。それでもいいのか?」

 

克己は前を見ると一番前には小さい子供が泣いており、その子供を水色髪の女の子が必死であやしていた。

 

「……!!」

 

夏己はそれを見て、拳を握りしめた。自分には守る力がある。このまま見てるだけでいいのか考えてしまう。

 

「チ!うるせえガキだなッ!てめえから殺してやるよッ!」

 

女の一人が泣いていた子供にイラつき、殺す気でブレードを振り下ろした。

 

「やめろッ!」

 

夏己は声を荒げながら叫び立ち上がった。

 

「何だッ!」

 

「あんたたちに何があったかは知らないけど、関係ない人たちを巻き込むなッ!」

 

「黙れッ!男なんか…男なんか…!」

 

女たちは夏己の言葉に聞く耳を持たず、夏己はもう無理だと感じ、前に進み出した。

 

「弾。」

 

夏己が歩いていると、弾も付いて来た。

 

「言っただろ?俺は戦う覚悟があるって!さっさと終わらせようぜ!」

 

「ああ!兄さん。俺、やっぱり黙って見てる事は出来ない。だから、変身するね!」

 

「構わねえよ。後の事は俺に任せて、二人は好きなだけ暴れろ。それとしっかりとその女たちに地獄を味合わせてやりな!」

 

「当たり前だッ!」

 

二人は女たちの元に着いた。

 

「なあ!まさかI Sに挑む気か!?」

 

「そのまさかだッ!」

 

夏己と弾はロストドライバー、アクセルドライバーを着けてエターナルメモリ、アクセルメモリを出して起動させた。

 

「エターナル!」

 

「アクセル!」

 

「「変身ッ!」」

 

二人はドライバーにメモリを挿入させた。

 

「エターナル!」

 

「アクセル!」

 

二人は仮面ライダーエターナル、アクセルに変身し、エッジ、ブレードを構えて決め台詞を言った。

 

「さあ、地獄を楽しみな!」

 

「さあ、振り切るぜッ!」



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ガイアメモリVS I S

″私は夢を見ているような気分だった。その日は私の好きなヒーローアニメのショーがあるからデパートに来ていた。でも楽しみのあまりに早く着いたから、ショーの時間までショッピングを楽しもうとしようとしたけど、突然二人の女性がI Sを纏って暴れて、私たちを一ヶ所に集めた。私はたまたま近くにいたから一番前に来てしまった。私の隣には小さい男の子が居た。私と同じショーを見に来た子だと思う。けど、男の子は恐怖のあまり泣いていて、私は必死に男の子をあやしていたけど、女性たちは男の子の泣き声が耳障りに感じたのか男の子にブレードを振り下ろそうとし、私は男の子を庇った。

 

「やめろッ!」

 

けど、男の人の声が聞こえた瞬間、女性はブレードを振るのをやめて、声の方を見た。私も釣られて見ると後ろに私と同い年ぐらいの男の人が立っていた。男の人はこっちに向かって歩き出すともう一人男の人が一緒に来ていた。そして二人は私たちの前に立つと、お腹の辺りに何かを持ってくるとそれはベルトになって、今度はUSBメモリのような物を出した。そして、二人はメモリをベルトに挿した。

 

「ヒーロー…?」

 

私はそれ以外言葉が出なかった。メモリを挿した二人は姿を変えたから。ピンチの時に駆けつけるヒーローの姿に。〝

 

 

 

 

 

 

「何で男がI Sを!?」

 

「これをI Sと一緒にされたら困る。弾、行くぞッ!」

 

「おうよ!」

 

「く、クソがッ!」

 

女たちはエターナルとアクセルに襲い掛かった。

 

 

「どうした、どうした?そんなものか?」

 

エターナルはエッジをクルクル回しながらブレードの攻撃を避け、パンチやキックを放っていた。

 

「ハア!」

 

エターナルはエッジでI Sを斬り、シールドエネルギーを一気にゼロ近くまで減らした。

 

「もう少しマシな攻撃は出来ないのか?」

 

「黙れッ!」

 

アクセルと戦ってる女はただブレードを叩きつけるだけの単調な攻撃しかしておらず、それは全てエンジンブレードでガードされていた。

 

「俺にダメージを負わせたいなら、もっと強い技を出せ!」

 

アクセルはエンジンメモリをブレードに装填させた。

 

「エンジン!」

 

エンジンメモリが起動し、アクセルはブレードのトリガーを引いた。

 

「スチーム!」

 

アクセルはエンジンブレードから高温の蒸気を放ち、女は怯んだ。

 

「エレキトリック!」

 

エンジンブレードに電撃が纏われ、アクセルはブレードでI Sを何度も斬る。

 

「な、何でよ…何で男に!?」

 

「お前らはその程度って事だ。終わりにさせてもらう。」

 

エターナルはジョーカーメモリを出した。

 

「ジョーカー!」

 

ジョーカーメモリを起動させ、マキシマムスロットに挿した。

 

「ジョーカー・マキシマムドライブ!」

 

「俺も行くか。」

 

アクセルもパワースロットルを回し、マキシマムドライブを発動させた。

 

「アクセル・マキシマムドライブ!」

 

「ライダーキック!」

 

「オラ!」

 

エターナルはライダーキック、アクセルはアクセルグランツァーをI Sに放った。

 

「地獄は楽しめたか?」

 

「絶望がお前たちのゴールだ。」

 

エターナルとアクセルは決め台詞をI Sが解除され倒れてる女たちに言った。

 

「あ…あ」

 

「どうして…」

 

女は自分たちが負けた事に納得いかないまま気を失った。

 

「…来やがったか。」

 

克己は後ろを振り向くと警官隊とI S部隊が突入してきた。

 

「え?何あれ、I S?」

 

I S部隊はエターナルとアクセルを見て、目を丸くしていた。

 

「やっぱりこうなるのか。」

 

「仕方ねえよ。」

 

エターナルとアクセルは何かを諦めたのか変身を解いた。

 

「え!?男がI Sを!?」

 

I S部隊は男がI Sを動かしていたと勘違いし大騒ぎしてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、夏己と弾は克己の会社の社長室に居た。

 

「まさか、ここまでの騒ぎになるとは。」

 

「ホントだよ。これから俺たちどうなるんだ?」

 

夏己と弾は不安な顔をしていた。

 

「これからの事だが、二人にはI S学園に入学してもらう。」

 

「I S学園に入学って、どういう事!?」

 

「言葉通りだ。国からも通達が来たからな。」

 

克己は引き出しを開けて書類を出した。書類にはこう書かれていた。

 

「大道夏己及び五反田弾のI S学園入学の手続きについて。」

 

「二人の入学は確定。試験もパスだそうだ。」

 

「マジっすか?」

 

「マジだ。けど安心しろ。こっちも条件を叩きつけてやったからな。」

 

「条件?」

 

「まず、二人の所属はこのNEVER。そして二人の護衛に堂本剛三、芦原賢をつけさせる事。そして、どんな手を使ってでもお前たちを手に入れようとしている企業や組織の存在を知ったら疑いの時点で潰して構わねえ事。」

 

最後にサラッと怖い事を言ってる克己だが、二人はあえてスルーした。

 

「ああそれと二人は二輪の免許も取っていいようにしておいたぜ。」

 

「それマジっすか!」

 

「仮面ライダーって名乗ってるんだからバイクは必需品だろ?金は俺が出すから入学までの間に取ってこい。」

 

「克己さん!兄貴と呼ばせてもらいます!」

 

弾はあまりの嬉しさから克己の事を兄貴と呼ぶと言ってきた。

 

「ご自由に。夏己。I S学園には織斑千冬が居る。」

 

「……。」

 

夏己は織斑千冬という名前を聞いて顔色を変えた。

 

「普通はその顔になるよな。二度と会いたくねえ野郎と会うんだから。大丈夫だ。護衛の二人にしつこい奴が居たら病院送りにしろと言っておいたからな。」

 

「え!じゃあ女の子と一緒にいちゃダメなんですか!?」

 

「俺もそこまでバカじゃない。普通の盛り上がりなら問題ない。命を狙う程のしつこさの場合だ。堂本たちもそれくらいは分かる。」

 

「ホッ。」

 

弾は一安心した。

 

「織斑千冬は生身でも強いよ。」

 

「二人にはメタルとトリガーのメモリにそれ専用の武器を渡してある。I Sでもぶっ壊せねえ武器を。まあぶっ壊されたらエターナルで制圧しろ。」

 

「かなり本気ですね。」

 

弾は克己の織斑千冬対策がかなり本気だという事に少しびびっていた。

 

「最悪は俺がでしゃばる。まあ向こうから来る可能性もあるからな。」

 

克己はいざとなったら自分が出ると言って、夏己を安心させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一夏…。」

 

″私は嬉しかった。弟が、一夏が生きていてくれた事に。あの時私は決勝戦後に一夏が誘拐された事を知り、すぐに監禁されている倉庫に向かったが、そこには何もなかった。倉庫も誘拐犯も、一夏も…。だけど生きていた。一夏、すぐに会える。待っててくれ。〝

 

テレビを見ていた千冬は一夏が生きていた事を知り、涙を流していたが。千冬はまだ知らなかった。過酷な現実が待っている事を。



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I S学園入学

「これは予想以上に辛いな…。」

 

「……。」

 

夏己と弾は学校の教室に居たが、夏己は辛そうな顔をしており、弾に至っては固まっていた。

 

「まあ堂本さんと芦原さんが居るから何とか…」

 

夏己は後ろを見ると、一番後ろには堂本と芦原が居たが、二人はただ立っていた。

 

「皆さん、今日から皆さんの副担任になる山田真耶です。」

 

教室に子供っぽい人が入ってきて自己紹介をした。

 

「では、皆さんも自己紹介してください。最初はあ行の人から行きます。」

 

真耶は生徒たちに指示を出し、生徒たちは自己紹介を始めた。

 

「……。」

 

弾は生徒たちの自己紹介も耳に入らずまだ固まっていた。

 

「くん…五反田君!」

 

「は、はい!」

 

弾は名前を呼ばれ、前を見ると真耶が居た。

 

「五反田君。今「こ」の人が自己紹介をしてるの。次は五反田君の番なのよ。」

 

「はひ!」

 

弾は緊張したまま勢いよく立ち上がってしまい、膝を机にぶつけてしまった。

 

「痛って!痛ててて…」

 

「だ、大丈夫!?」

 

「はい…何とか…。えっと、五反田弾です。何かI Sを動かしてこの学園に来ました。一年間よろしくお願いします。」

 

弾は自己紹介をすると。

 

「きゃあぁぁーー!男子よ!今年はついてる!」

 

クラスの女子たちは男子が居る事に興奮し大騒ぎだった。

 

「俺、大丈夫かな?」

 

弾は不安になりながらも席につき、再び自己紹介は始まった。

 

「そろそろ俺の番か。」

 

夏己は自分の番がそろそろ来ると感じていると、教室のドアが開いた。

 

「山田先生。HRを任せてすまない。」

 

「来たか。」

 

教室に夏己にとって一番会いたくない人物が入ってきて、夏己は顔色を変えた。

 

「大丈夫です。あ、次は大道君ですね。」

 

自己紹介が夏己の番になり、席から立ち上がった。

 

「!?」

 

人物は夏己の顔を見て表情を変えた。だが夏己はそんな事を気にせずに自己紹介を始めた。

 

「大道夏己です。自分もI Sを動かしてこの学園に来ました。これから一年間よろしくお願いします。」

 

「きゃあぁぁぁーー!!今年は本当についてる!男子が二人もいるのよ!」

 

夏己の自己紹介でクラスはまた盛り上がっていた。

 

「何を言ってる?お前は一夏じゃないのか?」

 

人物は夏己の元に行き、質問した。

 

「何の話ですか?俺は大道夏己。あなたとは何の関係もありませんよ。織斑先生。」

 

夏己に話しかけたのは千冬だった。だが夏己は何も関係がないと言い返した。

 

「何を言ってる!?お前は!」

 

千冬が言おうとしたら堂本と芦原が千冬に近づきロッドとマシンピストルを千冬に向けた。

 

「誰だ、貴様らは?」

 

「護衛だ。ちゃんと通達しただろうがッ!これを見ないと分かんないのか!」

 

堂本は夏己たちの護衛の証拠である書類を出して見せた。

 

「護衛…だと…?」

 

「しつこい奴は病院送りにしろって社長に言われてんだ!入院したくなかったらさっさと教壇に行けッ!」

 

「……!」

 

千冬は拳を握りしめて堂本と芦原を睨んだ。

 

「堂本さん!芦原さん!みんなびびってますよ!山田先生に至っては泣きそうな顔ですよ!」

 

弾は慌てて堂本と芦原の止めに入った。三人の威圧感に生徒たちは怯え、真耶に至っては今にも泣きそうだったから。

 

「堂本さん、芦原さん。初日から俺たちのイメージを崩さないでください。みんな、ごめんね。このお詫びに何でもするから。」

 

夏己は怯えてる生徒たちに怖がらせてしまったお詫びに何でもすると言ってしまった。

 

「夏己。その言葉はまずくないか?」

 

「……ゲーム・オーバー。」

 

弾は夏己の言葉に唖然とし、芦原はただ一言だけ呟いた。

 

「織斑先生も早く戻ってください。」

 

「……。」

 

千冬は引き下がり、堂本と芦原も得物を下げて後ろに下がった。

 

「初日から来るとかバカな女だ。」

 

夏己は千冬をただ睨んでいた。そしてHRは終わり休み時間に入った。

 

「ちょっといいか?」

 

夏己はポニーテールの少女に声をかけられて顔を上げるも、すぐに弾たちの方を見ると、弾は堂本と芦原の方を見ながら頷き、堂本と芦原は上に向かって指を指した。

 

「屋上で話そう。」

 

夏己は少女を連れて屋上に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

屋上に着いた夏己は少女の方に振り向いた。

 

「久しぶりだな。箒。」

 

夏己に話しかけてきたのは織斑一夏だった時の幼なじみ、篠ノ之箒だった。

 

「ああ、5年ぶりだ。それよりお前は一夏じゃないのか?」

 

「その名前は捨てた。いや、織斑一夏は死んだ存在。死んだ人間の話はするな。」

 

「なあ!?何を言ってるんだ!一夏は今、私の目の前に!」

 

「俺は大道夏己。それが今の俺だ。…それでも忌々しい過去は消せないけどな。」

 

夏己は屋上から出ようとした。

 

「待て!話はまだ!」

 

「休み時間はもう終わる。早く戻らないと織斑先生がうるさいぞ。」

 

夏己は屋上から出た。

 

「一夏…お前に何があったんだ…。」

 

一人残された箒はただ立ち尽くしていた。

 

 

 

 

 

 

 

「……。」

 

階段を降りてる夏己は途中で足を止めてポケットからエターナルメモリを出した。

 

「夏己。お前はガイアメモリとI Sの頂点に居る存在だ。お前の行動一つで世界が地獄になる事を忘れるなよ。」

 

夏己は入学前に克己が言っていた言葉を思い出しながらエターナルメモリを見ていた。

 

「女しか使えないガラクタの頂点に居る存在か。I Sで最悪な想いをした俺には皮肉にしか聞こえないよ。兄さん。」

 

夏己は皮肉を感じながらもエターナルメモリをポケットに入れて教室に戻った。

 

 

 

 

 

「I Sの基礎は叩き込まれたから何とか授業には着いていけるな。」

 

授業が始まり、夏己はついていけたが、弾の方はイマイチだった。

 

 

 

「あ〜全然分かんねえよ。アクセルならマスターしてるのに。」

 

「すぐに分かるよ。」

 

次の休み時間、夏己と弾は雑談をしていると。

 

「ちょっとよろしくて?」

 

「?」

 

二人は金髪の女子生徒に声をかけられて女子生徒の方に顔を向けた。

 

「誰?」

 

弾は女子生徒に聞くと。

 

「まあ!このセシリア・オルコットを知らないのですか!イギリス代表候補生のわたくしを!」

 

「知らないものは知らない。それで用件はなんだ?」

 

夏己はセシリアに用件を聞くが、タイミング悪くチャイムが鳴ってしまった。

 

「うぐ…また来ますわ!」

 

セシリアは悔しそうな顔をして席に戻った。

 

「何だったんだ?」

 

「さあ?」

 

夏己と弾は唖然としていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、クラス代表を決めたいと思う。誰かやりたい者はいるか?」

 

次の時間では夏己たちのクラスはクラス代表を決める時間だった。

 

「はい!私は大道君がいいです!」

 

「あたしは五反田君で!」

 

クラスメイトたちは次々に夏己と弾を推薦していった。

 

「ちょっと待ってくれ!何で俺たちばかり!」

 

「こういうのはジャンケンとかくじ引きで!」

 

夏己と弾はクラスメイトを止めるようにあれこれ言ったが。

 

「納得いきませんわ!」

 

セシリアは間に入ってきて夏己と弾がクラス代表をやるのは納得いかないと言ってきた。

 

「何故男性に従わなければいけないのですか!わたくしに一年間屈辱を味わえというのですか!?」

 

「なら、俺たちを倒せばいいだけだろ。」

 

「どういう意味ですか?」

 

「言葉通りだ。俺と弾と戦って勝てばいいんだよ。」

 

「このわたくしに挑む気ですか?面白いですわ。なら負けたらあなた方はわたくしの召使いにさせてあげましょう。」

 

「召使いじゃなくて犬にでもなってやるよ。弾、いいか?」

 

「構わねえ。それにこの子の強さも知れるからいい機会だから、俺も戦うに一票だ。」

 

夏己たちは勝手に話を進めてしまい、千冬は少し呆れた顔をしていた。

 

「お前たち勝手に話を進めるな。まあいい、第三アリーナが来週の所で開いている。そこでクラス代表を決める試合をしてもらう。それと大道、五反田、お前たち二人には専用機が…」

 

「いりませんよ。書類に目を通してないんですか?俺たちはNEVERの所属で専用機は既に持ってますよ。」

 

夏己と弾はエターナルメモリとアクセルメモリ、ロストドライバーにアクセルドライバーを千冬に見せた。

 

「お前たちいつ専用機を!?」

 

「聞きたいなら会社に聞いてください。まあ克己さんが素直に話すとは思わないですけど。」

 

「…セシリア・オルコット。てめえにはじっくり地獄を味合わせてやる。覚悟しろ。」

 

「覚悟するのはあなた方ですわ。」

 

夏己、弾、セシリアは火花を散らしながら睨んでいた。

 

「若いね。」

 

「……。」

 

その様子を見ていた堂本と芦原だが、芦原は何も喋らなかった。

 

「お前も何か言えよ!京水みたいにうるせえのもやだけどお前みたいに何も喋んねえ奴も嫌なんだよッ!」

 

堂本は芦原に怒鳴ってしまい、それを見た真耶がまた泣きそうになったのは言うまでもない。



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学園生活

「山田先生。話とは?」

 

夏己と弾は山田に呼ばれ、生徒相談室にいた。

 

「はい。二人の部屋の事です。」

 

「部屋?」

 

「I S学園は全寮制の学園で3年間、ここで過ごしてもらうのです。あ、週末や夏休みとかは実家に帰れるんで安心してください。」

 

真耶は夏己に部屋の鍵を渡した。

 

「堂本さんたちは?」

 

「お二人は織斑先生から既に受け取ってます…。」

 

真耶は堂本たちの事を聞いた途端に顔色を変えた。

 

「山田先生。まだ堂本さんが怖いんですか?」

 

「はい…。」

 

「まあ芦原さんはともかく、堂本さんガタイもいいし声もデカいからな。でも夏己、泉さんよりはマシだよな?」

 

「ああ。あの人は堂本さんより強烈だからな。止め役の羽原さんがいなかったら何をするやら…」

 

夏己と弾は色気付いてる京水を想い浮かべて背筋がゾッとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は、は、ハックション!」

 

「汚えな。手で抑えろ!」

 

秘書の仕事をしていた羽原と京水だが、京水はくしゃみをして羽原に怒られてしまった。

 

「ハ!もしかしてイケメンが私の噂を!」

 

京水は嬉しそうに両手で頬に触れた。

 

「んな訳あるか!真面目にやれ!」

 

羽原は京水の頭を叩いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ今日から寮生活です。色々と大変だと思いますが。」

 

「大丈夫ですよ。弾、行こうぜ。」

 

「ああ。」

 

「大道君。織斑先生がお話しがあるみたいなのですぐに進路相談室に行ってもらっても大丈夫ですか?」

 

真耶は千冬が夏己に話があるため夏己にすぐ進路相談室に行っても大丈夫か聞いてきた。

 

「大丈夫ですよ。弾は先に部屋に行っててくれ。」

 

夏己は弾に部屋の鍵を渡し、二人は教室から出た。

 

「織斑千冬に呼ばれたか?」

 

廊下に堂本と芦原がおり、芦原は気付いていたように話した。

 

「俺一人で行きます。二人も部屋に行ってて大丈夫です。」

 

「何かされたらすぐに言えよ。織斑千冬を容赦なく病院送りにしてやっから!」

 

「頼もしい限りです。」

 

夏己は堂本たちが頼れる兄貴分の器を感じ、進路相談室に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

進路相談室に着いた夏己はノックをした。

 

「入れ。」

 

「失礼します。」

 

相談室に入ると千冬が椅子に座って待っていた。

 

「それで話とは何ですか?織斑先生。」

 

「二人きりの時ぐらいは呼んでもいいんだ。一夏。」

 

「一夏?誰ですか?俺は大道夏己です。人違いですよ。」

 

「何を言ってる!お前は私の弟の織斑一夏だろうが!」

 

「織斑一夏。ああ、ドイツで誘拐されて死んだ。」

 

夏己は知らんぷりをしつつ思い出したような顔で話した。

 

「死んでない!今、私の目の前にいるじゃないか!」

 

千冬は必死になって目の前にいるのは大道夏己ではなく織斑一夏だと言うが。

 

「一つ聞いていいですか?俺があなたの弟の織斑一夏だったらどうするんですか?」

 

「あの時の事を謝りたい。そして、もう一度私と一緒に…」

 

「それ以上言うな…」

 

「え…?」

 

夏己は千冬が言おうとした言葉を言わせず睨み返した。

 

「謝れば全部チャラか?とんでもない甘えだな。」

 

「一夏…?」

 

「あんたが今さら謝ったって遅いんだよ。死んだ人間はもう戻ってこない。織斑一夏はあの場所で骨も残らずに死んだ。いい加減に現実を受け入れろ。」

 

夏己はこれ以上ここに居るのは無駄だと感じ教室から出ようとする。

 

「待ってくれ!一夏!」

 

千冬は夏己の腕を掴み止めたが。

 

「触るなッ!」

 

夏己は千冬の手を振り解き、さらに克己から貰ったコンバットナイフを千冬の喉に突きつけた。

 

「!?」

 

「あんたがどうしても真実を知りたいなら兄さんに聞け。けど、兄さんも素直に話すとは思わないけど。」

 

夏己はナイフを下げて教室から出た。

 

「一夏…。」

 

教室に一人残された千冬はただ立ち尽くすしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここか。」

 

夏己は自分の部屋を見つけ、部屋に入った。

 

「よお。」

 

部屋に入ると弾がベッドに座りながらアクセルメモリを見ていた。

 

「どうだった?」

 

「案の定聞いてきたよ。けど何をしても無駄だけど。」

 

夏己は自分のバッグと一緒に置かれていたアタッシュケースを手に取り、机の上に置いてアタッシュケースを開けた。

 

「AからZまでのメモリをマジで持ってるのか。マキシマムの使い放題だな。」

 

アタッシュケースの中身はT2ガイアメモリでエターナルの「E」を除く、AからZまであり、夏己は「G」のメモリを取った。

 

「DNA検査しても無駄なんだよ。」

 

夏己が手に取ったのはジーンメモリだった。夏己は千冬にDNA検査を頼まれてもジーンメモリの力で遺伝子を組み替えられるから。千冬は何をしても無駄だったのだ。

 

「腹減ったな。弾、飯でも食いに行こうぜ。」

 

「そうだな!」

 

夏己と弾は食事を食べに行くために食堂に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

「何を食べようかな?」

 

「いっそ全部頼んじまおうぜ!」

 

「そうだな!」

 

二人は定食、丼、ラーメンなどかなり頼み、二人が座った席はそれらで埋まってしまった。

 

「え!二人ともこんなに食べるの!?」

 

近くに居た女子たちは二人の食べる量に唖然としていた。

 

「これくらい食べないともたないんだよ。」

 

「克己さんの特訓かなりハードだったからな。これでも足りないくらいだな。」

 

「そういえば弾、生身でエンジンブレード振り回せとか無茶振りされてたもんな!」

 

「ありゃマジで死ぬかと思ったぜ。」

 

弾は克己の特訓のハードさを思い出すも、今では懐かしい思い出のように話していた。

 

「おい。」

 

するとそこに箒が来た。

 

「箒、何か用か?」

 

「今すぐ私と勝負しろ。」

 

「勝負?」

 

「私が勝ったらお前が名前を捨てた理由を話してもらう。けど、お前が勝ったら、私は今後一切詮索はしない。お前が大道夏己として生きている事を受け入れる。」

 

箒は夏己に勝負を挑み、自分が勝ったら織斑一夏の名前を捨てた理由を話してもらうと言うも、逆に夏己が勝ったら今後一切詮索はせずに大道夏己として生きている事を受け入れると言った。

 

「そこまでの事を言うじゃやるしかないな。」

 

夏己は箒の勝負に乗り、すぐに食べ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏己と弾は剣道場におり、箒は胴着と袴を着ていた。そして、男性操縦者の実力を見てみたいと野次馬もたくさん居た。

 

「腕は落ちてないか?」

 

「さあな?けど、俺は負ける気はしない。」

 

夏己は箒に竹刀を向けた。

 

「口では何とでも言える。防具を付けろ。」

 

「必要ない。このままでいい。」

 

「なあ!?」

 

箒は夏己の言葉に驚愕してしまう。

 

「聞こえなかったか?このままでいい。」

 

夏己は竹刀だけを持って構えた。

 

「なら私も竹刀だけにする。」

 

箒も防具を着けずに竹刀だけを持って構えた。

 

「じゃあ、行くぞ…!」

 

夏己は足を少し動かした。

 

「!?」

 

「え?何が起きたの?」

 

箒と野次馬は唖然としていた。箒の竹刀は折れており、胴着と袴もボロボロにされていた。そして、夏己は箒の後ろにいつの間にか立っていた。

 

「五反田君。今の見えた?」

 

「ああ。夏己はまず竹刀を折って、何度も攻撃したんだ。」

 

弾だけには夏己の動きは見えており、野次馬たちに説明した。

 

「弾、やろうぜ。」

 

夏己は竹刀を剣道部員に返し、エターナルエッジを出した。

 

「おう!」

 

弾もケースからエンジンブレードを出した。

 

「重そうな剣だね。」

 

部員たちはエンジンブレードに注目していた。

 

「持ってみますか?」

 

弾はエンジンブレードを部員たちに出して、部員の一人がエンジンブレードを握り、弾が離した瞬間。

 

「!?」

 

部員はエンジンブレードの重さに耐えきれず、エンジンブレードの剣先は床を破壊してめり込んだ。

 

「何これ!?重いなんてレベルじゃないんだけど!」

 

部員はエンジンブレードを抜こうとするも、エンジンブレードはビクともしなかった。

 

「五反田君。これ片手で持ってたよね…?」

 

「これくらい出来なきゃ夏己には勝てないですよ。」

 

弾はエンジンブレードを普通に抜き、肩にかけた。

 

「弾、本気で来い!」

 

「当たり前だ!」

 

二人はエッジとブレードをぶつけた。二人の戦いは凄かった。夏己は見事なエッジ捌きから蹴りを放つも、弾はブレードをうまく使ってエッジをガードし、蹴りも拳でガードしていた。夏己は弾のバランスを崩して狙おうとするも弾はエンジンブレードを刺して柄を掴んだまま空中回転して夏己に本気で斬りかかるも、それを夏己は避けた。

 

「ストップ!ストップ!」

 

「まだケリは着いてないですよ。」

 

剣道部の部長が二人の戦いを強引に止め、夏己はまだ決着がついてないと言うも。

 

「決着の前に道場が壊れるの!」

 

「あ。」

 

二人は周りを見ると、床はエンジンブレードを刺したためぐちゃぐちゃになってしまったのだった。

 

「床だけじゃないのよ!壁もよ!」

 

部長は壁も指すと、壁もエッジとブレードの切り傷でズタズタになっていた。

 

「部費だけじゃとてもじゃないけど足りないわよ…」

 

部長は今にも泣きそうな顔をしていた。そして、この日以降、夏己と弾はエッジとブレードを持って道場には入らないという誓約書を書かされてしまった。



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エターナルVSブルー・ティアーズ

クラス代表決定戦当日、夏己と弾はアリーナの待合室に居た。

 

「最初は俺とセシリアで、次が弾とセシリアかよ。」

 

「最後は俺と夏己って。高みの見物をする気か?」

 

「あの性格じゃあそうだろ。どっちが弱いか鼻で笑って見るのかもな。」

 

「言えてるな。」

 

試合の形式は最初は夏己とセシリア、次に弾とセシリア、最後は夏己と弾の組み合わせだった。

 

「そういや克己さんには代表候補生と戦う事は話したんだろ?」

 

「ああ、名前まで言ったら調べてくれたよ。セシリア・オルコット。名門貴族のお嬢様で小さい頃に両親を亡くして、親の遺産を守るために必死に頑張ってたんだとよ。けどそれがあいつを女尊男卑に染めた原因でもあるって兄さんは言ってたよ。」

 

「どういう意味だ?」

 

「汚え大人、特にそういう男たちを見てきたから、そんな奴らに遺産は渡さない。セシリアが代表候補生になったのはそれも理由だ。」

 

「I Sの力に頼る程か。」

 

弾は克己が調べてくれたセシリアの情報を知り、少しだけ複雑な顔をしていた。

 

「でも、今のあいつは足掻く事をやめた。」

 

「?」

 

「今を足掻く事をやめた人間に俺は負ける気はない。」

 

夏己は拳を握りしめた。

 

「大道君。準備はいいですか?」

 

待合室に真耶が来て、準備はいいかと聞いてきた。

 

「いつでも行けます。じゃあ行ってくるな。」

 

「あいつの鼻をへし折ってやれ。」

 

夏己と弾はハイタッチをし、夏己はアリーナに向かった。

 

「あれ?大道君。I Sは展開しないんですか?」

 

「アリーナでやります。どんな姿は見てのお楽しみですよ。」

 

夏己は真耶にそれだけ言い残した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリーナに着くと、空中に第3世代I S「ブルー・ティアーズ」に搭乗したセシリアが待っていた。

 

「来ましたわね。」

 

「言い残した事はあるか?」

 

「そんなものは必要ありません。それよりI Sを展開しないのですか?」

 

「俺のはI Sなんかじゃない…俺のは、仮面ライダーだ…!」

 

夏己はロストドライバーを着けて、エターナルメモリを起動させた。

 

「エターナル!」

 

「変身!」

 

「エターナル!」

 

夏己はエターナルに変身し、エターナルはエッジを構えた。そしてそれと同時に試合開始のブザーが鳴った。

 

「ふ、フルスキンのIS!?ですがこのブルー・ティアーズの前では!」

 

セシリアはブルー・ティアーズの装備で高出力のレーザーを撃てるレーザーライフル「スターライトmk I I I」を構えてレーザーを撃つが。

 

「無駄だ。」

 

エターナルはエターナルローブでレーザーを防いだ。ローブには一切の傷がついてなかった。

 

「な、なんなんですかそのマントは!?」

 

「その程度の攻撃は効かないって事だ。これで終わりか?」

 

「ク、あなたの事を侮っていたようですわね。いいですわ。こちらも本気で行かせてもらいます!」

 

ブルー・ティアーズから4機のピットタイプの誘導兵器が展開され、ピットはエターナルに向かってレーザーを撃ち始めた。

 

「あの I S、装備はあのナイフ一本だけみたいですわね。わたくしに近づけない以上勝ち目はありませんわ!」

 

「ナイフでも遠距離攻撃は出来るんだよ。」

 

エターナルはレーザーを避けながらトリガーメモリを起動させた。

 

「トリガー!」

 

エターナルはエッジにトリガーメモリを挿れた。

 

「トリガー・マキシマムドライブ!」

 

エターナルはエッジから青い光弾を撃ち、ピットを全て撃ち落とした。

 

「ピットが!?ですがそのISは飛行能力がないみたいですわね!」

 

「誰が飛べないって言った!」

 

エターナルはバードのメモリを起動させた。

 

「バード!」

 

エターナルは腰のマキシマムスロットにバードのメモリを挿れた。

 

「バード・マキシマムドライブ!」

 

バードのメモリ、始祖鳥の力でエターナルは飛行能力を得て空を飛び、ブルー・ティアーズに近づいた。

 

「かかりましたわね!ピットは後2機あるのですわよ!」

 

ブルー・ティアーズからピットの残りの2機が展開され、ミサイルを撃ったが。

 

「だからそれが何なんだよ!」

 

エターナルはエッジから真空刃を放ちミサイルを斬った。

 

「今度はこっちから行くぜ!」

 

エターナルはさらに高く飛行し、ブルー・ティアーズの真上に出た。

 

「!?」

 

「ユニコーン!」

 

エターナルはユニコーンメモリを起動させて、マキシマムスロットに挿れた。

 

「ユニコーン・マキシマムドライブ!」

 

「落ちやがれッ!」

 

エターナルはユニコーンメモリで強化されたパンチをブルー・ティアーズに叩き込み、ブルー・ティアーズはその1発で地面に叩きつけられた。

 

「何なのですか…あの強さは…」

 

セシリアはエターナルの感じた事もない圧倒的な強さに威圧感さえ感じていた。それもそのはずだった。ブルー・ティアーズはユニコーンメモリによってかなり破損していたから。

 

「このエターナルの力はこんなものじゃない。」

 

着地したエターナルは次にナスカのメモリを起動させた。

 

「ナスカ!」

 

「本当の高速、いや音速を見せてやる。」

 

「ナスカ・マキシマムドライブ!」

 

ナスカのマキシマムドライブが発動した事でエターナルは超高速が使え、エターナルは超高速でセシリアに攻撃を入れた。

 

「は、速い…いえこれはもはや…」

 

セシリアは自分はエターナルに対して何も出来ない。いや自分は負けるとさえ悟った。

 

「どうだ?散々馬鹿にした男に手も足も出ない気分は?」

 

超高速を解いたエターナルはエッジをセシリアに向けながら聞いた。

 

「教えてやる。お前が俺に勝てない理由を。」

 

「何ですか…」

 

「お前はな、足掻く事をやめた。それが敗因だ。」

 

「足掻く…?」

 

「お前は親の遺産を守るために必死だった。そして専用機を手に入れた。けどその瞬間からお前は足掻くのをやめた。自分にはもう明日があると思ってな。」

 

「明日…?」

 

「だけど俺は違う。力を得たって足掻く事はやめない。自分が求めた明日が欲しいからな。…明日どうなるかなんて誰にも分からない。明日と過去は違う。過去は変える事も取り返す事も出来ない。けど明日は違う。誰にも分からない未来だからこそ、足掻いて自分が求めた明日が欲しいんだよッ!」

 

「……。」

 

セシリアは夏己の言葉に何も言い返せなかった。

 

「無駄話はここまでだ。終わりにする。」

 

エターナルはジョーカーメモリを起動させた。

 

「ジョーカー!」

 

「セシリア・オルコット。いつまでもバカげた考えを持つと、明日には足元をすくわれるぜ。」

 

夏己はセシリアに忠告をし、マキシマムドライブを発動させた。

 

「ジョーカー・マキシマムドライブ!」

 

「ライダーキック!」

 

エターナルの右足に紫色の炎が纏われて、エターナルは走り出してブルー・ティアーズにライダーキックを放った。そして、その一撃でブルー・ティアーズは解除され、エターナルは勝利した。



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エターナルVSアクセル

「凄かったですね。大道君。」

 

管制室からエターナルとブルー・ティアーズの試合を見ていた千冬と真耶だが、エターナルの強さ、夏己の言葉に感動していた。

 

「あ…ああ。」

 

(お前が求める明日には私はもういないのか?一夏。)

 

千冬は心の中で一夏が求める明日には自分はいないのかと考えてしまい、寂しい表情をしていた。

 

「織斑先生?」

 

「…大丈夫だ。それより山田先生。大道のISについて何か分かりましたか?」

 

千冬はすぐに表情を変え、真耶にエターナルの事を聞いた。

 

「大道君のISはUSBメモリみたいなのを使ってるみたいなのですが…。」

 

「?」

 

「大道君のISにはシールドエネルギーどころかコアすらないんです。いえISの性能という性能さえありません。」

 

「なあ!?」

 

千冬は真耶からエターナルにはISの性能が何もない事を聞き、驚愕してしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリーナでは夏己と弾が立っていた。本当は次の試合は弾とセシリアだったが、ブルー・ティアーズのダメージが予想以上に酷くてセシリアが棄権したために夏己と弾の試合になったのだった。

 

「やっと決着がつけられるな。」

 

「道場じゃぶっ壊す寸前だったしな。ここなら遠慮なく出来るな!」

 

夏己と弾はロストドライバー、アクセルドライバーを着けて、メモリを起動させた。

 

「エターナル!」

 

「アクセル!」

 

「「変身ッ!」」

 

「エターナル!」

 

「アクセル!」

 

二人はエターナル、アクセルに変身し、エッジとブレードを構えた。

 

「行くぜ!弾!」

 

エターナルとアクセルはエッジとブレードをぶつけさせ、激しい金属音が出ていた。

 

「これでも喰らえッ!」

 

アクセルはエンジンメモリをブレードに挿した。

 

「エンジン!」

 

「オラッ!」

 

「ジェット!」

 

ブレードの切っ先から高速のエネルギー弾が撃たれた。

 

「甘い!」

 

エターナルもトリガーメモリを出した。

 

「トリガー・マキシマムドライブ!」

 

エターナルもエッジの切っ先から青い光弾を撃ち、光弾とエネルギー弾はぶつかって爆発を起こした。

 

「サイクロン!」

 

「エレキトリック!」

 

爆煙の中から風を纏ったエッジを持ったエターナル、雷撃を纏ったブレードを持ったアクセルが出てきて、二人はエッジとブレードをぶつけ合い辺りに風と雷が巻き起こった。

 

「風と雷を起こすとか、二人のは何なんですか?織斑先生。」

 

「私にも分かりません。普通に考えて二人のやってる事はありえません。」

 

管制室から見ていた真耶はエターナルとアクセルの戦いを千冬に聞いたが、千冬にも分からなかった。エターナルとアクセルの攻撃は普通に考えても出来ない事だったから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり、お前を倒すにはこれしかないな。」

 

アクセルはトライアルメモリを出した。

 

「速さで勝負か。乗った。」

 

エターナルもナスカメモリを出して、エターナルとアクセルはメモリを挿した。

 

「ナスカ・マキシマムドライブ!」

 

「トライアル!」

 

トライアルメモリを挿したアクセルは黄色になってすぐに青い姿のアクセル、トライアルになり、エターナルとアクセルは走り出す構えを取った。

 

「地獄まで…」

 

「限界まで…」

 

「「振り切るぜッ!」」

 

エターナルとアクセルは走り出した瞬間、姿を消した。

 

「え!消えちゃった!?」

 

観客席から見ていた生徒たちはエターナルとアクセルが消えた事に驚き、辺りを見た。

 

「織斑先生…今度は消えちゃいました…。」

 

「いや流石にレーダーには写ってますよ。」

 

「いえ、何も写ってません…。」

 

「はあ?」

 

千冬は真耶の言葉が一瞬信じられなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

アリーナの方ではあちこちから何かがぶつかる音がし、生徒たちはそこを見ても何が起きてるのか分からなかった。

 

「あ!」

 

生徒たちはアリーナの真ん中を見るといつの間にかエターナルとアクセルが立っていたのに気づいた。

 

「ハア、ハア…流石だな。弾。」

 

「ハア…お前もな。夏己、そろそろ決着つけようぜ。」

 

アクセルは元の姿に戻り、スロットルを回した。

 

「アクセル・マキシマムドライブ!」

 

「ああ。」

 

エターナルもジョーカーメモリを起動させ、マキシマムスロットに挿れた。

 

「ジョーカー・マキシマムドライブ!」

 

エターナルとアクセルはマキシマムを発動させて空中に飛んでキックを放った。

 

「ウオォォォォーーー!!」

 

「ハアァァァァーーー!!」

 

エターナルとアクセルのキックはぶつかりあって互角の力だったが、威力が強すぎたために大爆発が起きた。

 

「痛ってッ!」

 

「痛たた…」

 

爆発と共に変身が解けた二人が転がるように地面に倒れ、生徒たちは唖然として見ていた。

 

「…山田先生!二人をすぐに医務室に!」

 

「は、はい!」

 

呆気に取られていた千冬はすぐに我に返って、真耶に二人を医務室に運ぶように指示を出して真耶は焦って管制室から出た。

 

「二人が使ってるのは何なんだ…?」

 

千冬はエターナルとアクセルが今まで自分が見てきたISとは根本的に何かが違う。その考えだけが頭を過っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

医務室に運ばれた夏己と弾はあちこち傷だらけで話していた。

 

「まさか引き分けとはな。」

 

「ホントだよ。決着がつけられると思ったのに。」

 

二人は体の痛みより決着がつかなかった事に嘆いていると、医務室のドアが勢いよく開いた。

 

「夏己!」

 

「夏己さん!」

 

入ってきたのは箒とセシリアで二人は夏己の元に行った。

 

「さっきの試合はなんだ!あそこまでの無茶をするとは!」

 

「本当ですわ!心配するこちらの身にもなってください!」

 

「いきなり何だよ?それにセシリア、さっきまでと態度が違くないか?」

 

夏己はセシリアの態度が試合前とは全然違う事に違和感を感じた。

 

「そんな事は今はどうでもいいですわ!それよりお怪我の具合は!」

 

「これくらいどうって事はない。まあ弾と決着がつけられなかった事が悔しいけど。」

 

「夏己のおかげで180度人が変わっちまったか。」

 

弾はセシリアの態度が変わったのが夏己のおかげだと思っていると。

 

「お〜い〜!二人とも大丈夫〜?」

 

医務室にのほほんとした女子が入ってきた。

 

「君は、確か同じクラスの?」

 

「布仏本音だよ〜でものほほんさんと呼んで〜。」

 

「凄えゆったりペースな子だな。それで何か用?」

 

弾は本音に用件を聞くと。

 

「二人に会わせたい子がいるの〜」

 

本音は後ろを向くと、本音の後ろから恥ずかしがるように水色髪の女子が出てきた。

 

「君は?」

 

「かんちゃんだよ〜」

 

「かんちゃん?」

 

「四組の更織簪です。あの…あの時はありがとう。助けてくれて。」

 

「あの時?」

 

「デパートで女性がISを纏って暴れた時。」

 

「あ!思い出した!君、どこかで見た事あるなって思ったら、子供をあやしてた!」

 

夏己は簪の話を聞いて、自分と弾が初めてISと戦った時に一番前に居たのが簪だと思い出した。

 

「うん。本当にありがとう。それにあの時の二人はヒーローみたいだったよ。」

 

「ヒーローね。地獄を楽しみな。って言ってるヒーローもどうかと思うけど。」

 

「かんちゃん〜帰ってからずっと二人の話ばっかしてたよ〜本物のヒーローが来てくれたって〜」

 

「本音!」

 

本音の言葉に簪は顔を真っ赤にしてしまう。

 

「皆さん。大道君と五反田君は安静にしてないといけないんです。これ以上用がないなら医務室から出ましょう。」

 

医務室に真耶が来て、真耶は箒たちに医務室から出るように指示をした。

 

「大道君、五反田君。二人のISを調べたいのでこちらに預けてもいいですか?」

 

真耶は夏己と弾にメモリとドライバーを預けてもいいか聞いた。

 

「大丈夫ですよ。早く返してくれるなら。」

 

「明日までには返しますから大丈夫です。」

 

「ならいいですよ。」

 

夏己と弾はメモリとドライバーを真耶に預けた。

 

「では二人は今日はここで安静にしててください。食事は…」

 

「飯なら持ってきたぞ!」

 

また医務室が開き、堂本と芦原が二人の食事を持ってきた。

 

「ひい!」

 

真耶は堂本を見て顔を真っ青にしてしまう。

 

「お!ステーキですか!」

 

堂本と芦原が持ってきたのは鉄板焼きのステーキだった。

 

「マジな試合をしたんだ。ガッツリ食うべきだ!」

 

「美味そう!いただきます!」

 

二人はステーキを食べ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜、千冬と山田は夏己と弾から預かったメモリとドライバーを調べていた。

 

「山田先生。これらについて何か分かりましたか?」

 

千冬はアクセルメモリを手に取って、真耶に何か分かったか聞いてきた。

 

「…二人のISにはコアがありません。」

 

「…やはりか。」

 

千冬は真耶の言葉を聞いて、納得しているような顔だった。

 

「でも、USBメモリですからパソコンに挿せば中のデータが!」

 

真耶はエターナルメモリをパソコンのアダプターに挿したが。

 

「!?」

 

パソコンに挿した瞬間、パソコン、パソコンに繋がってる機械が全てショートして火花を出した。

 

「何なんだ…?このメモリは…?」

 

千冬は挿しただけでパソコンを破壊したメモリを未知との遭遇をしたかのような顔で見ていた。

 

 



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IS授業

次の日、夏己と弾は普通に教室におり、クラス代表が発表された。

 

「では1組のクラス代表はオルコットさんに決まりました!」

 

真耶がクラス代表を発表するが、セシリアはポカーンという顔をしていた。

 

「あの、何故わたくしが?」

 

「俺と弾が辞退したからだ。」

 

「何故ですか!?」

 

「昨日の試合を見て何とも思わないのか?俺とセシリアの試合は俺が一方的だった。そして俺と弾の試合は互角で、大爆発まで起きたんだ。俺か弾がクラス代表になったら他のクラスとのバランスが合わないだろ。だから辞退したんだ。」

 

夏己と弾は他のクラスのクラス代表とのバランスを合わせるためにクラス代表を辞退したのだった。

 

「…それに俺が本気だったら、お前はISごと死んでたからな。」

 

「?」

 

夏己は最後の言葉は小声で言い、セシリアはそれを聞き取れなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、夏己と弾は真耶からメモリとドライバーを返してもらい、今はセシリアに呼ばれて屋上に居た。

 

「それで話って何だ?セシリア。」

 

「はい。昨日の事でお二人に謝りたいのです。」

 

「昨日の事?」

 

「昨日はお二人に失礼な事を言ってしまい、本当に申し訳ありません。夏己さんのお言葉で目が覚めましたわ。」

 

「俺の言葉で?」

 

「はい。わたくしは小さい頃に両親を事故で亡くし、それからはずっと必死でした。ですが夏己さんの言う通り、わたくしは専用機を手に入れた事で足掻くのをやめてしまいました。けど、夏己さんは違いました。力を得てもなお足掻く事をやめてないという想いを昨日の試合で感じました。ですからわたくしもこれからも足掻く事を決めました。」

 

「まさか、ふんぞり返るためとか?」

 

弾は不安な声でセシリアに聞くと。

 

「いえ、皆様と明日も笑顔で過ごしたい。それを叶えるために足掻くのです。」

 

「いい明日だな。」

 

「それともう一つ聞きたい事があるのですが、よろしいですか?」

 

「別にいいけど。」

 

「お二人のIS操作の技術。とても昨日今日触れただけではとても出来ません。それにお二人の強さは一体?」

 

セシリアは夏己と弾にエターナルの事や強さの事を聞いてきた。

 

「あのISは兄さんが俺たちに合うように作ってくれたんだ。」

 

「夏己さんのお兄様が?」

 

「そうそう!それに克己さんに鍛えられたから!」

 

二人はガイアメモリの事は言わずにエターナルとアクセルは克己が作ったISだと言った。

 

「お二人をあれだけの強さにして、ISまで作る。とても優秀な方なのですわね。わたくしも一度お会いしてみたいです。」

 

セシリアは夏己と弾を強くした克己に尊敬の眼差しをしながら会ってみたいと話した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏己たちはISの訓練でアリーナにおり、皆がIS専用のスーツを着てる中、夏己と弾は制服だった。

 

「ではこれより訓練を開始する。専用機持ちは前に出ろ。」

 

アリーナには千冬と真耶もおり、千冬は専用機持ちは前に出ろと指示を出して、夏己、弾、セシリアは前に出た。

 

「今からお前たちにはISの基礎である飛行をしてもらう。ISを展開しろ。」

 

「はい!」

 

セシリアはブルー・ティアーズを展開し、夏己と弾もエターナル、アクセルに変身した。

 

「大道は昨日見たが、五反田。お前のISの飛行は?」

 

「これを使えば出来ます。」

 

アクセルは強化アダプターを出してアクセルに挿した。

 

「アクセル!アップグレード・ブースター!」

 

アクセルは強化アダプターを挿して、ブースターになった。

 

「昨日は青くなったのに今度は黄色か。」

 

生徒たちはアクセルブースターをマジマジと見ていた。

 

「では飛行しろ!」

 

セシリアは飛行し、エターナルもバードメモリを使って飛行し、アクセルも続くように飛行した。

 

「お二人ともとてもお上手ですわね。」

 

「専用機持ちが何言ってるんだか。」

 

飛行が終わり、エターナルたちは次の訓練指示を受けていた。

 

「では次は装備を展開しろ。」

 

「分かりました。」

 

エターナルとアクセルはエッジ、ブレードを出した。

 

「お前たちの装備はそれだけか?」

 

「これだけですよ。」

 

エターナルはエッジをクルクル回しながらセシリアを見た。セシリアは近距離武器を展開するのに手間取っていた。

 

「オルコット。まだ展開出来ないのか?」

 

「すぐですわ!あー!インターセプター!」

 

ようやくセシリアの近距離武器が展開された。

 

「遅い。もっと早く展開しろ。」

 

「芦原さんに特訓つけてもらうか?あの人もセシリアと同じ銃火器タイプだけどムエタイの達人だから、いい特訓になるぞ。」

 

アクセルはセシリアに芦原に特訓をつけてもらう事を勧めた。

 

「銃火器ばっかに頼らない事も必要だからな。」

 

「うう…お二人がそう言うなら。」

 

セシリアはエターナルとアクセルに言われ、芦原の特訓を受ける事を決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、夏己、弾、箒にセシリア、堂本と芦原はアリーナに居た。

 

「ではご教授お願いします。」

 

「……。」

 

セシリアは芦原に挨拶するが、芦原は何も答えなかった。

 

「あの?」

 

「気にしなくていいよ。芦原さん、基本無口で何も喋らない人だから。でも実力は保証するよ。」

 

「そうなのですか?」

 

「そう。じゃあこっちも始めましょうか。」

 

「おうよ!」

 

弾は堂本に言い、堂本はロッドを構えた。

 

「ではわたくしたちも。」

 

セシリアはブルー・ティアーズを展開した。

 

「ゲーム・スタート。」

 

芦原はT1トリガーメモリを出して、メモリ専用のマシンピストルに挿れた。

 

「トリガー!」

 

芦原はマシンピストルをブルー・ティアーズに撃ち始めた。

 

「的確な射撃。実力は夏己さんたちの言う通りですわね。」

 

セシリアは避けながらレーザーを撃つが、芦原もそれを避けて、撃ちながらセシリアに近づいた。

 

 

 

 

「オラ!」

 

一方、夏己と弾は変身せずに生身で堂本に挑んでいた。

 

「堂本さん。容赦なさすぎですよ!」

 

「稽古に加減するバカがどこにいる!」

 

堂本は容赦なくロッドを振っては蹴りを放った。

 

 

「武器は落としましたわ!」

 

セシリアの方も芦原のマシンピストルを弾き飛ばし、芦原に近づいたが。

 

「!!」

 

芦原はムエタイの技を放った。

 

「本当に近距離攻撃もお得意なのですね。」

 

「ゲーム・オーバー。」

 

芦原はマシンピストルを拾い、トリガーメモリを抜いてすぐにハンドガンに挿れた。

 

「トリガー・マキシマムドライブ!」

 

ハンドガンから青い光弾が撃たれて、ブルー・ティアーズはまともに喰らってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハア…ハア…」

 

夏己、弾、セシリアは息を切らして地面に転がっていた。

 

「今日はここまでだ。これからクラス代表就任を祝ってパーティーがあるんだろ?」

 

「そうですね。シャワーを浴びて行きますか。」

 

夏己たちはセシリアのクラス代表就任を祝ったパーティーに行くためアリーナから出た。

 

 

 

 

 

 

 

夜、食堂ではセシリアのクラス代表就任を祝ってパーティーが開かれていた。

 

「セシリア!クラス代表頑張ってよ!」

 

セシリアはクラスメイトから声援を受けていた。

 

「わたくしがクラス代表になった以上、決して他のクラスの代表には負けませんわ。」

 

セシリアは決意を言い、クラスメイトたちは盛り上がっていた。

 

「はいは〜い!盛り上がってるところ悪いけど、今から新聞部のインタビューです!」

 

「誰ですか?」

 

「私、新聞部の副部長、黛薫子。今日は三人にインタビューしにきたの。」

 

夏己たちに新聞部の黛薫子がインタビューをしにきた。

 

「じゃあまずはセシリアちゃんから。クラス代表になった気分はどう?」

 

「先程も言いましたが、わたくしは誰にも負けるつもりはありません。」

 

「って言って昨日は大道君にボコボコにされてたじゃん。」

 

「う…、夏己さんはわたくしの想定を遥かに超えた強さでしたから。」

 

「イギリス代表候補生にそこまで言わせる。これは記事に出来るね!」

 

薫子はメモ帳を出して、インタビューの内容をメモに取った。

 

「じゃあ次は本命の二人ね!」

 

「俺たちが?」

 

「本命?」

 

「そう!I S学園初の男子だもん!色々聞かなきゃ損だしね!」

 

「はあ〜」

 

「ではズバリ質問!二人の好みの女性は!タイプは!」

 

薫子は二人にグイグイ質問してきた。

 

「何ですか!その質問は!?」

 

「あのね、I S学園といえど女子校。年頃の女の子たちがたくさん居るの。だからI S学園に今居る二人の好みは聞いておきたいの!」

 

薫子の言葉に他の生徒たちも頷いていた。

 

「はあ〜分かりましたよ。まあ俺の理想は地獄の果てまで一緒に行ける人ですかね?」

 

「どういう意味?」

 

「俺と一緒ならどんな過酷な現実にも立ち向かえる人です。」

 

「俺はどんな時も一緒に振り切ってくれる人です。」

 

「二人は一途な人がいいのね。成程。」

 

夏己と弾の好みのタイプを聞き、生徒たちは燃え上がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここがI S学園ね。」

 

I S学園の入口にボストンバッグを背負った小柄でツインテールの少女が立っていた。

 

「待ってなさいよ。一夏!」

 

少女は夏己のかつての名前である一夏の名前を叫んでいた。



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セカンド幼なじみ

「クラス対抗戦?」

 

「そう!クラス代表が他のクラス代表と試合するの!」

 

次の日、夏己たちはクラス対抗戦の事をクラスメイトから聞いていた。

 

「そう!それに勝てば食堂のスイーツ券が貰えるのよ!セシリア!頑張ってよ!」

 

クラスメイトたちはクラス対抗戦に勝てば、食堂のスイーツ券が手に入るため燃えていた。

 

「それに専用機を持ってるのはウチのクラスと四組だけだしね!」

 

「その情報古いわよ!二組も今日から専用機持ちがクラス代表になったのよ!あたしは凰鈴音。あたしがクラス代表になったからには負けないからね!」

 

 

「ゲッ!」

 

「マジかよ!?」

 

入口に小柄な生徒がカッコつけながら言ってきたが、夏己と弾はその生徒を見て、慌てて机の下に隠れてしまった。

 

「何で鈴が!」

 

「分かんねえよ!それにあいつ、お前が一夏の名前を捨てた事を!」

 

生徒の名前は凰鈴音。夏己が一夏だった時のセカンド幼なじみだったが、鈴は真実を知らなかった。そして、鈴は二人が隠れてる場所を見た。

 

「何隠れてるのよ!いt…え!?」

 

生徒は名前を言おうとした瞬間、宙に浮いた。

 

「誰よ!あんたたち!」

 

鈴の後ろには堂本と芦原がおり、鈴は堂本のロッドで浮かされていた。

 

「ナイス!堂本さん!」

 

夏己と弾はすぐに机の下から出て、鈴の元に行き、すぐに鈴を連れてどこかに行った。

 

「何だったんだ?」

 

「さあ…?」

 

箒とセシリアは四人の行動を唖然と見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴は屋上まで連れてこられて、そこでロッドから降ろされた。

 

「痛ったいッ!何よいきなり!」

 

「うるせえッ!ウリ坊チビッ!」

 

「チビ…チビって言ったわねッ!」

 

堂本と鈴は一触即発状態だった。

 

「ストップ!ストップ!堂本さん、ここからは俺と弾だけで話します。」

 

夏己が堂本たちを止めて間に入った。

 

「一夏!このおっさんたちは誰よ!何で二人以外に男性が居るのよ!」

 

「俺と夏己の護衛だ。」

 

「護衛?」

 

「俺たちは初の男子入学者。だから護衛がついたんだ。それと鈴、久しぶりって言いたいところだけど、俺はもう一夏じゃない。」

 

弾が堂本と芦原の事を凛に話し、夏己が続くように説明して、さらに自分は一夏じゃないと話した。

 

「はあ?何言ってんのよ!あんたは!」

 

「鈴。それ以上言わないでくれ。夏己のためにも。」

 

「弾!あんたまで何言ってるのよ!それに夏己って!」

 

「色々あった。それだけだ。もうすぐ授業が始まるから戻るぞ。」

 

夏己と弾は屋上から出ようとする。

 

「待ちなさいよッ!まだ話は!」

 

「さっさと教室に戻れ!」

 

堂本は再び鈴の制服の襟にロッドを入れて鈴を浮かした。

 

「こら!降ろしなさいよ!」

 

「後で果物やるからよ。芸はしなくていいからな。」

 

「あたしは猿じゃないわよッ!」

 

「…猿女。」

 

堂本と鈴はコントみたいなやり取りをし、芦原は一言だけ呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼食時、夏己と弾は食堂に向かうと。

 

「待ってたわよ!」

 

そこには仁王立ちした鈴が待っていた。

 

「懲りない奴だな。」

 

夏己は困り顔をしながら注文した料理を取り、テーブル席に座った。

 

「さっきはあのおっさんたちに邪魔されたけど、今度はちゃんと話せるわね!」

 

鈴は別のテーブル席に座ってる堂本たちを睨んだ。

 

「聞かれても何も答える気はない。それは弾も同じだ。」

 

「はあ!弾も!?」

 

「ああ。俺も答える気はないからな。」

 

二人は昼食を食べながら、何を聞かれても答える気はないと返した。

 

「まあ、どうしても知りたいなら、今度行われるクラス対抗戦に勝ったら話してやってもいいぞ。」

 

「…言ったわね?上等よ!クラス対抗戦、楽しみにしてなさい!」

 

「一つ言っておくが、クラス代表は俺でも弾でもない。後ろに居るセシリアだ。」

 

夏己は後ろのテーブル席に座っていたセシリアの方を見た。

 

「あんたが。…首洗って待ってなさいよ!」

 

「随分と威勢がいいですわね。イギリス代表候補生であるわたくしに勝とうと言うのですか?首を洗って待ってるのはそちらですわ!」

 

セシリアと鈴は火花を散らしながら睨み合っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ〜やっと週末だよ!」

 

束の間の週末、夏己と弾はバイクを走らせていた。

 

「夏己!このまま高速にGoだ!」

 

「おう!」

 

二人は高速道路に入り、さらにスピードを上げた。

 

 

 

「やっぱ走るのはいいな。」

 

途中、二人は SAに寄り休憩していた。

 

「俺は赤のバイクだけど、夏己はエターナルの色に寄ってるな。」

 

弾のバイクは赤のスポーツバイクで、夏己も同じスポーツバイクだが、色はエターナルの白にブルーフレアのカラーが入ったバイクだった。

 

「じゃあ、もうひとっ走り行こうぜ!」

 

二人は休憩を終えてバイクに乗って再び走らせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ガイアメモリが本来なら無いはずの世界に来てしまった。この世界がどうなるのかは誰にも分からない。」

 

夏己と弾が走っていった後、二人の事を一人の女性が見ていた。だが、女性は全身が黒い服で、顔はサングラスと包帯で隠していた。

 

「けど、私が干渉出来るのは少しの事だけ。…何故これを作ったのかしらね?神様。」

 

そして、女性はアタッシュケースを持っていた。

 

「この世界に荘吉の覚悟と意思を継ぐ者でも現れるのかしら?」

 

女性はアタッシュケースを開くと、アタッシュケースの中にはロストドライバー、鳴海荘吉が使っていたメモリ、スカルメモリがあった。

 




今回は彼女を序盤で出しました。ただ、彼女が持ってる物が手に入るのはかなり先です。


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クラス対抗戦

クラス対抗戦当日、夏己と弾はアリーナ席に座っていた。

 

「夏己。お前、本当に鈴に全部話すのか?」

 

「勝ったらな。けど、セシリアもマジだからな。ここで負けたら特訓してくれた芦原さんの顔に泥を塗るって言ってたからな。」

 

「確かに芦原さんのおかげでセシリアも接近戦もかなり強くなってきたからな。」

 

二人はアリーナを見ると、既にブルー・ティアーズ、鈴の専用機、第3世代I S「甲龍」が居た。

 

「悪いけど、勝たせてもらうわ!」

 

「それはこちらの台詞ですわ!」

 

セシリアと鈴は未だに睨みあっており、そして、試合開始のブザーが鳴った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日はクラス対抗戦か。夏己の奴、どうするのか?」

 

社長室に居た克己は鈴の事を夏己から聞いていて、夏己はどうするのかと考えていた。

 

「まあ、あいつは自分がどうにかするって言ってたしな。…けど。」

 

克己はパソコンの画面を変えると、画面はレーダーになった。

 

「どこの誰かは知らねえが、I S学園に殴り込みとはいい度胸だな。…いや、この世界を地獄に変えたバカ兎ならやりかねえな。」

 

克己は表情を変えた。その顔はかつて風都を地獄に変えようとした時の。

 

「てめえがその気ならこっちも出しゃばらせてもらうからな…!篠ノ之束…!」

 

克己はI Sの生みの親、篠ノ之束の名前を言いながら、机にナイフを刺した。

 

「てめえもだからな。織斑千冬。」

 

ナイフは千冬の写真に刺さっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セシリアと鈴は一歩も引かない試合を繰り広げていた。

 

「あんた、中々やるじゃない!」

 

「そちらこそ、中国代表候補生は嘘ではありませんわね!」

 

 

「鈴の奴、やるな。」

 

「ああ、衝撃を撃つなんて。ガイアメモリにも無いよな?」

 

アリーナ席から試合を見ていた夏己と弾は鈴の実力に驚いていた。

 

「夏己。このままじゃヤバいんじゃねえか?」

 

「その時はその時だ。…?何だあれ?」

 

「どうした?」

 

「何か来るッ!」

 

夏己はふと、空を見ると何かがアリーナめがけて降ってきた。そして、何かはアリーナに張られているシールドバリアを破壊してアリーナに降り立った。

 

 

「ゲホ!ゲホ!何よいきなり!」

 

「ゲホ!何なんですの!」

 

アリーナは土煙に包まれて、アリーナ席の生徒たちも混乱していた。

 

「何だあのI S!?」

 

土煙が晴れると、アリーナにはI Sがあった。そして、I Sはセシリアと鈴に攻撃し始めた。

 

 

 

 

 

「山田先生。すぐに生徒たちを避難させます。ゲートを。」

 

管制室から試合を見ていた千冬と真耶だが、千冬は非常事態が発生したと考え、生徒たちを避難させるために真耶に指示を出すが。

 

「織斑先生!システムが何者かにハッキングされてゲートが開きません!」

 

「何だと!?」

 

システムが何者かにハッキングされてしまったため、アリーナ席の出入口は全て封鎖されてしまっていた。

 

「ク…大道!五反田!聞こえるか!システムをハッキングされて出入口が開かない!貴様たちのI Sで出入口を破壊しろ!私もすぐにそっちに行く!」

 

千冬はマイクを使って、夏己と弾に指示を出した。

 

 

 

「確かに状況はまずいからな。弾、扉を破壊する!変身だ!」

 

「けど、セシリアと鈴が!」

 

「あの二人は代表候補生だろ?そう簡単にやられるか!」

 

「…だよな!」

 

夏己と弾は謎のI Sを一旦セシリアと鈴に任せて、二人は生徒たちの避難のために変身した。

 

「エターナル!」

 

「アクセル!」

 

 

変身した二人は別れて避難を始めた。

 

 

「ユニコーン・マキシマムドライブ!」

 

「エンジン・マキシマムドライブ!」

 

エターナルとアクセルは出入口を殴る、斬るで破壊していき生徒たちを避難させていった。

 

「弾!そっちはどうだ!」

 

「こっちは全部破壊した!後は堂本さんたちに任せて大丈夫だ!」

 

「なら、アリーナに行くぞ!」

 

出入口を全て破壊したエターナルとアクセルはそれ以降の避難は堂本と芦原に任せて、アリーナに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「セシリア!鈴!」

 

「夏己さん!弾さん!」

 

「え…二人のI Sってフルスキン!?」

 

アリーナに着いたエターナルとアクセルだが、鈴はエターナルとアクセルの姿を見て驚いてしまう。

 

「今はそんな事どうでもいいだろうが。それより二人ともボロボロだな。」

 

アクセルはセシリアと鈴のI Sを見ると、二機のI Sはかなりダメージが酷かった。

 

「代表候補生をここまで追い詰めるとか、どんな奴が操縦してんだ?」

 

エターナルはエッジを構えながら謎のI Sを見た。

 

「このI Sは無人機よ。」

 

「無人機って、誰も乗ってないのか!?」

 

「はい。このI Sは人では出来ないような動きでした。それが気になって調べたら。」

 

「生体反応がなかったわけか。」

 

エターナルの言葉にセシリアと鈴は頷いた。

 

「なら、遠慮なく破壊出来るな。」

 

エターナルはローブを脱ぎ、セシリアに渡した。

 

「これは夏己さんの。」

 

「これをどうしろって言うの?」

 

「今からあの無人機に大技を放つ。けど、それは爆発も免れないからな。二人のI Sはもうかなりヤバい。恐らく爆発の威力には耐えきれない。でも、そのマントを被ってれば大丈夫だ。」

 

「こんな物で爆発の衝撃が防げるの?」

 

「防げるさ。セシリアの攻撃を全部無効化した代物なんだから。」

 

「このマントが!?」

 

鈴はエターナルローブがセシリアの攻撃を全て無効化したと聞いて驚き、セシリアの方を見ると、セシリアも静かに頷いた。

 

「みんな、下がってろ。」

 

エターナルはゾーンメモリを出した。

 

「ゾーン!」

 

ゾーンメモリを起動させ、エターナルは腰のマキシマムスロットにゾーンメモリを挿した。

 

「ゾーン・マキシマムドライブ!」

 

ゾーンのマキシマムドライブが発動した事によりエターナルの周りに24個のメモリが出現した。

 

「夏己さん、まだメモリを持ってらっしゃたのですか!?」

 

「ちょっと!何よこれ!?」

 

セシリアと鈴は突如現れたメモリに驚く中、24個のメモリはエターナルの胸、右腕、左脚のマキシマムスロットに挿されていき、マキシマムドライブを発動していった。

 

「仕上げだッ!」

 

そしてエターナルはエターナルメモリをエッジに挿した。

 

「エターナル・マキシマムドライブ!」

 

AからZ、計26個のメモリのマキシマムドライブが発動した事でエターナルはエターナルウェーブを体に纏った。

 

「終わりだッ!」

 

エターナルはエッジから緑色の刃の技「ブラッディヘルブレイド」を無人機に放ち、無人機は斬り裂かれ爆発した。セシリアと鈴はローブのおかげでダメージを負わず無事に済んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、あのI Sは無人機だったという訳か。」

 

「はい。ですが、誰が何の目的で送ったかは分かりません。」

 

無人機騒動の後、夏己と弾は負傷したセシリアと鈴の代わりに千冬に無人機の事を報告していた。

 

「話は分かった。お前たちも今日はもう休め。」

 

「分かりました。」

 

「…五反田。お前には話があるから残ってくれ。」

 

「…分かりました。」

 

弾は千冬に話があるから残ってくれと言われ、何を聞かれるかはすぐに分かった。

 

「弾、また後でな。」

 

夏己は部屋から出て、弾と千冬だけが残った。

 

「それで話とは?」

 

「教えてくれ…」

 

「はい?」

 

「あいつが何故一夏の名を捨てたのか!あの後どこかで何をしていたのか教えてくれ!」

 

千冬は弾に真実を教えてくれと頭を下げて頼み込んだ。

 

「…俺に質問をするな。」

 

「え…?」

 

千冬は弾の返ってきた言葉に耳を疑ってしまう。

 

「聞こえなかったのか?俺に質問をするなッ!真実を知りたいならコソコソしないで直接夏己や克己さんに聞けッ!」

 

「あいつにはもう聞いた!けど、何も答えてくれなかった…。」

 

「まだ克己さんがいるじゃねえかッ!俺はあいつがどんな地獄を見てきたかよく知ってる…!だからこそ、俺はあんたに協力する義理はねえんだよッ!」

 

弾は夏己が一夏だった時、どれだけ辛い想いをしたか分かっていた。だから、千冬に協力する気はこれっぽちもなかった。

 

「真実を知りたいなら、あんたも地獄を見ろよッ!」

 

「地獄なら既に見ている!」

 

「…笑わせんなよ。あいつとあんたじゃ違いすぎんだろうが。あんたがI Sでチヤホヤされてる時もあいつはずっと地獄を見てたんだ。あんたはあいつを苦しめていた悪魔なんだよッ!」

 

「私が…悪魔…。」

 

千冬は弾に悪魔と言われ、膝を着いてしまった。

 

「これ以上俺や夏己の周りをコソコソするなよ?そんな事したら、俺があんたを絶望に送ってやる。」

 

弾はこれ以上探れば容赦はしないという思いを込めた言葉を千冬に言い、教室から出た。

 

「私は…ただ一夏のために…」

 

一人残された千冬は泣くしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「世の中はね、辛い現実程受け入れないといけないようになってるのよ。」

 

どこからか夏己と弾を見ていた謎の女性が携帯のような物で弾と千冬のやりとりを見ていた。

 

「荘吉に来人、そして彼も受け入れて戦ったのよ。そうじゃなきゃこれから何が起きるか分からない世界では生きていけないわよ。」

 

女性は千冬に辛い現実を受け入れてほしいという考えで千冬を見ていた。

 

「あの時の過ちを繰り返さないためにも今は誰にも渡さない方がいいわね。」

 

女性はスカルメモリとロストドライバーは過ちを繰り返さないためにも今は誰にも渡さないという考えだった。

 



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鈴の願い

「……。」

 

セシリアと鈴は治療のために医務室に居たが、セシリアは疲れのため眠っており、鈴は窓から見える夕日を見ていた。

 

「怪我は大丈夫か?」

 

医務室に夏己が入ってきて具合を聞いてきた。

 

「一夏…。」

 

「だから、夏己だって言ってるだろ。…残念だったな。試合が中止になって。」

 

「そうよ…。勝てばあんたが名前を捨てた理由を聞けたのに…どうしてよ…。」

 

鈴は悔しさから涙を流し始めた。

 

「鈴。今の俺が言える事は一つだけだ。過去じゃなくて明日を求めろ。」

 

「明日…?」

 

「そうだ。弾も過去をもう振り返ってない。あいつは覚悟して俺と一緒に明日を求めて戦ってくれてる。鈴、時間は全然あるんだ。少しずつ受け入れていってくれ。」

 

「じゃあ約束は…?」

 

「約束?」

 

「私の酢豚を毎日食べてくれるって約束したでしょ…?その約束はどうなるの…?」

 

鈴は昔、一夏にした約束の事を一夏に聞いた。

 

「……。鈴。その約束は織斑ー夏にした約束であって、俺にはしてないだろ。」

 

「…何でよ…何でそんな事言えるのよ…!」

 

鈴は夏己の言葉で大泣きしてしまう。

 

「辛いけど、これが現実だ。織斑ー夏はもう死んだ人間。いつまでも亡霊に囚われるな。」

 

夏己は織斑ー夏はもう死んだ人間と言って、医務室から出た。

 

「何でよ…何でこんな事に…あたしはただ一夏に会いたかっただけなのに…」

 

鈴はどう受け入れていいか分からなかった。自分は親の離婚で中国に帰る事になり、一夏と離れ離れになってしまったが、一夏がI Sを動かしたと知り、必死になって中国代表候補生になりI S学園に来たが、一夏は一夏じゃないと言われ、挙句に一夏は死んだ人間とまで言われたから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「コソコソしなくていいですよ。居るのは分かってるんですから。」

 

廊下を歩いていた夏己は突き当たり部分の場所を見ながら言った。

 

「気付いてたなんて凄いね。」

 

突き当たり廊下から水色髪の生徒が出てきた。

 

「…誰ですか?」

 

「私はこの学園で最強って呼ばれてる生徒会長の更織楯無よ。よろしくね。大道夏己君。」

 

生徒はI S学園の生徒会長、更織楯無だった。

 

「更織。簪と関係があるんですか?」

 

「簪ちゃんは私の妹。ありがとうね、簪ちゃんを助けてくれて。」

 

「あの時の。あの女どもに腹が立っただけですよ。それで、用件はそれだけですか?」

 

「用件というか、さっきの事で物申すわ。女の子を泣かせるなんてひどいわよ。」

 

「盗み見してたんですか。趣味の悪い人だ。」

 

夏己は楯無を睨みつけた。

 

「ちょっと、いきなりひどい事言うわね。」

 

「なら余計な干渉はしないでください。俺は鈴のためを思ってああいう風に言ったんです。」

 

「いやいや、言い方があるでしょ。例えば、俺がずっとそばに居るとか。」

 

「考えが甘いんですよ。ましてや今の時代、ちょっとした事で女は偉そうになる。鈴にはそんな奴になってほしくない。だから辛い現実を突きつけたんですよ。」

 

「……。」

 

「人は死ぬよりも辛い地獄を見なきゃ変わる事は出来ない。ただそれだけですよ。」

 

夏己は楯無にそう言い残して歩き出した。

 

「私も一応地獄は見てるんだけどね。」

 

楯無も一言呟いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よお。鈴の所に行ってたのか。」

 

部屋に戻ると、弾がエンジンブレードの手入れをしながら聞いてきた。

 

「ああ。あいつには辛いけど、織斑一夏は死んだって言ってきたよ。」

 

「…仕方ねえよ。これが現実なんだから。」

 

弾は夏己の言葉に納得していると、部屋のドアがノックされた。

 

「誰だ?」

 

夏己はドアまで行き、ドアを開けた。

 

「鈴。」

 

ドアを開けると、そこには鈴が居た。

 

「何の用だ?」

 

「話したい事があるのよ。」

 

鈴はズカズカと部屋に入った。

 

「鈴。怪我は大丈夫なのかよ?」

 

「大丈夫よ。それより弾、聞きたい事があるの。」

 

「聞きたい事?」

 

「何で弾は受け入れられたの?一夏が名前を変えた事を。」

 

鈴は弾が何故、一夏が名前を変えて生きている事を受け入れられたのかを聞いてきた。

 

「俺はな、こいつが幸せならそれでいいと思ったからな。」

 

「幸せ?」

 

「鈴も知ってるよな。一夏がどんな酷い目にあってきたか?」

 

「まあ…」

 

「だからこそ、俺は一夏がもう辛い目に遭わないなら名前を変えて死んだ事になってもいいと思ったんだ。俺はあいつの友達だったからな。」

 

「弾…」

 

「今すぐ受け入れろ。何て言われて受け入れられる奴は早々いねえよ。」

 

弾は立ち上がった。

 

「夏己。メシ食いに行こうぜ。鈴も一緒でな。」

 

「ああ。鈴、俺と弾が奢る。好きな物を好きなだけ食え。」

 

「食事でチャラとか、変わらない部分もあるのね。」

 

「?」

 

「何でもない。ほら早く行くよ。食べないとやってられないし、それにあのおっさんにチビって言われるのも嫌だから!」

 

「そういや、堂本さんと鈴が並ぶと猿回しに見えるよな!」

 

「そうだな!この間も鈴、堂本さんに猿扱いされてたし!」

 

「あんたたち…あたしは猿じゃないわよッ!」

 

鈴は二人の言葉に激怒した。

 

「ヤッベ!」

 

二人は逃げ、鈴も二人を追いかけながらも三人は食堂に向かった。その姿は中学の頃のような光景だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「山田先生。この無人機について何か分かりましたか?」

 

「いえ、コアも未登録のが使用されていたみたいです。けど、大道君が原型も分からないくらい破壊してしまったのでこれ以上は…」

 

ある部屋で無人機の事を調べていた千冬と真耶だが、エターナルが原型も留めないくらい破壊してしまったためコアが未登録以外の事が何も分からなかった。

 

「大道の奴。派手にやってくれたな。」

 

「…織斑先生。大道君の事で一つ気になる事があるんです。」

 

「気になる事?」

 

「これを見てください。」

 

真耶は映像を出すと、映像はエターナルがローブを脱ぎ捨てゾーンメモリを起動させる映像だった。

 

「何が起きるんだ?」

 

千冬はエターナルを見ていると、エターナルはゾーンメモリを腰のマキシマムスロットに挿れた。

 

「ゾーン・マキシマムドライブ!」

 

「これは!?」

 

エターナルがゾーンのマキシマムを発動させた事でエターナルの周りに24個のメモリが現れ、エターナルの胸、右腕、左足に挿入された。

 

「あのベルトに挿さってるのを入れて計26個あります。」

 

「26個。あいつ、そんなに隠し持ってたのか?」

 

千冬は真耶から夏己が26個のメモリを持ってると聞かされ驚きを隠せなかった。

 

「それで、大道君が使ってるエターナルメモリなんですが、エターナルは日本語にすると「永遠」という意味なんですが…」

 

「永遠。何を意味してるんだ?」

 

「私にも…大道君や五反田君に聞いても、二人揃って社長に聞いてくれとしか答えてくれませんでした。」

 

「大道克己か。一体何者なんだ?いや、会わなければ分かるはずないか。」

 

千冬はスマホを出して、どこかに電話をかけた。



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転校生

次の日、夏己たちのクラスではある発表があった。

 

「皆さん。今日このクラスに転校生が来ます。」

 

「転校生?」

 

真耶から転校生が来ると発表され、ドアが開き、一人の生徒が入ってきた。

 

「え…男…?」

 

入ってきたのは夏己と弾と同じ制服を着た男子生徒だった。

 

「初めまして。フランスから来たシャルル・デュノアです。」

 

生徒は自己紹介をし、教室はしばらく沈黙が続いたが。

 

「きゃあああぁーーーー!!三人目の男子…今年は本当についてるーーーー!」

 

クラスは大騒ぎして、夏己と弾はしばらく耳を塞いでいた。

 

「皆さん、静かに!ではデュノア君。大道君の隣の席に座ってください。」

 

「はい。」

 

シャルルは夏己の隣の席に向かい、席に着いた。

 

「よろしくね。」

 

「ああ。」

 

(何か怪しいな。兄さんに頼んで調べてもらうか。)

 

夏己はシャルルに違和感を感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏己たちは二組との合同授業でI S訓練の授業のためアリーナにおり、シャルルは男性専用のI Sスーツを着ていた。

 

「ねえ、二人はどうしてI Sスーツを着てないの?」

 

シャルルは夏己と弾が制服のままなのを聞いてきた。

 

「俺と弾は必要ないからな。」

 

「そうなんだ。」

 

 

「今日はタッグ形式の練習試合をしてもらう。デュノア以外の専用機持ちはI Sを展開しろ。」

 

「タッグ形式か。」

 

夏己と弾はロストドライバー、アクセルドライバーを着けた。

 

「エターナル!」

 

「アクセル!」

 

二人はエターナル、アクセルに変身し、セシリアと鈴もブルー・ティアーズ、甲龍を展開した。

 

「二人のI Sってフルスキンなんだ。」

 

シャルルもエターナルとアクセルをマジマジと見ていた。

 

「織斑先生。タッグ形式という事は夏己さんか弾さんとペアを組むのですか?」

 

「いや、大道は五反田と。オルコットは凰と組んで試合をしてもらう。」

 

「はあ!?」

 

「無理ですわ!夏己さんにはクラス代表決定戦の時には手も足も出ずに負けてしまい、弾さんは夏己さんと互角に戦っていたのですよ!」

 

「それにこの間の無人機だって、夏己一人で倒したのよ!」

 

セシリアと鈴は夏己と弾の強さを知ってるためあれこれ駄々をこねるが。

 

「安心しろ。お前たちの相手はもう決まってる。」

 

千冬は上を見て、エターナルたちも続くように見ると空から何かが落ちてきた。

 

「きゃあああぁぁーーーーー!どいてください!」

 

落ちてきたのはI Sを纏った真耶だった。真耶はパニックになってるのか、I Sの操縦が全く出来てなかった。

 

「あれでI S学園の教師がよく務まるな。」

 

エターナルは真耶を見て、やれやれと思いながらもサイクロンのメモリをマキシマムスロットに挿れた。

 

「サイクロン・マキシマムドライブ!」

 

エターナルは疾風を発生させ、I Sの落ちてくる勢いを止めて、真耶はゆっくり地面に着いた。

 

「あ、ありがとう。大道君。」

 

「しっかりしてくださいよ。先生がこんなんじゃ生徒に示しがつきませんよ。」

 

「はい…。」

 

「大道。山田先生はこれでも以前は日本の代表候補生だ。ナメてかかると痛い目に遭うぞ。」

 

「うわ、意外だ。」

 

アクセルは真耶の経歴に唖然とした。

 

「では早速試合をする。最初はオルコット、凰からだ。」

 

「鈴さん。足を引っ張らないでくださいね。」

 

「それはこっちの台詞よ!」

 

セシリアと鈴は譲らないという姿勢だった。

 

「おいおい、これタッグだぞ。」

 

「こりゃ勝てねえかもな。」

 

エターナルとアクセルはセシリアと鈴のやりとりを見て、負けると確信した。そして、その確信は見事に当たった。二人は全く連携が取れておらず、挙句に挟み撃ちを狙った攻撃を利用され、二人はぶつかってそこに真耶がグレネードランチャーを撃ち、二人は見事に負けた。

 

「これがI S学園の教師の実力だ。次は大道、五反田。前に出ろ。」

 

千冬に指示され、エターナルとアクセルは歩き始めた。

 

「夏己。どう動く?」

 

「この二つを使って、山田先生をびびらすか?」

 

エターナルはパペティアー、ウェザーのメモリをアクセルに見せた。

 

「ウェザーはマズいだろ?絶対にみんな混乱するだろうが。パペティアーもな。それに迂闊にメモリはたくさん使わない方がいいぞ。」

 

「じゃあユニコーンだけで我慢するか。」

 

エターナルはアクセルに言われ、ユニコーンだけで我慢すると言った。そして、試合は始まり、まずアクセルがエンジンのジェットを使って真耶を攻撃するが、真耶はそれを簡単に避けるも。

 

「さっきの試合と同じ感覚でやるのは大間違いですよ。」

 

エターナルもすかさずエッジからエネルギー刃を飛ばし、真耶は避けるので精一杯になって隙が出来てしまった。

 

「トリガー・マキシマムドライブ!」

 

エターナルはその隙を逃さず、トリガーのメモリを使ってエッジから光弾を撃ち、光弾は真耶のI Sのスラスターに当たり、真耶は地面に落ちていった。

 

「山田先生。相手が悪かったですね。」

 

「ナスカ・マキシマムドライブ!」

 

「トライアル!」

 

エターナルとアクセルは超高速を発動させ、真耶のI Sを破壊する勢いで攻撃していった。

 

「もう少し特訓を積む事をお勧めします。」

 

エターナルは超高速を解いて、ユニコーンメモリを挿れた。

 

「ユニコーン・マキシマムドライブ!」

 

「トライアル・マキシマムドライブ!」

 

真耶はアクセルの連続スピードキックを喰らった後、エターナルの一撃必殺のパンチを喰らって吹き飛ばされ壁に激突した。

 

「9.5秒。それが山田先生のある意味ゴールまでのタイムですね。」

 

アクセルは壁に激突して気絶した真耶にそう言い残した。

 

「なあ…」

 

「お二人の強さは身に染みて分かってはいましたが…」

 

「いや、ありえないでしょ!」

 

エターナル、アクセルの試合を見ていた千冬は真耶が負けた事に言葉を失い。セシリアと鈴も最早何を言ったらいいのか分からなかった。

 

「織斑先生。山田先生をお願いします。」

 

エターナルは運んできた真耶を千冬に任せて変身を解いた。

 

「それと目を覚ましたら言っておいてください。慣れない事はするものじゃないと。」

 

「…分かった。山田先生に伝えておく。」

 

千冬は夏己の伝言を真耶に伝えておくと言い、再び授業は再開された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「二人とも凄いね。先生に勝っちゃうんだから。」

 

更衣室で夏己、弾、シャルルは授業の話で盛り上がっていた。

 

「じゃあ俺たちは先に戻ってるからな。」

 

「うん。また後でね。」

 

夏己と弾は先に更衣室から出て、ある程度更衣室から離れるとそこで夏己は足を止めた。

 

「夏己。どうした?」

 

「弾。シャルルの事だけど、何かおかしくないか?」

 

夏己はシャルルから感じた違和感を弾に話し始めた。

 

「夏己も感じてたのか?いや、俺も何か変だなって思ってたんだ。」

 

違和感は弾も感じており、二人はシャルルに対して不審感を抱いていた。

 

「なら、早速兄さんに頼まないとな。」

 

夏己とスマホを出して克己に電話をかけた。

 

「夏己か。どうした?」

 

「兄さん、忙しいところごめん。ちょっと調べて欲しい事があるんだけど。」

 

「何だ?」

 

「今日、俺たちのクラスにシャルル・デュノアっていう転校生が来たんだ。男子だけど。」

 

「…妙だな。お前たちの事が発覚してから世界中ではI Sを動かせる男を探していたはず。手続きに時間がかかっただけならいいんだが。分かった。シャルル・デュノアの事を調べておく。」

 

「ありがとう。兄さん。」

 

「弟の頼みを聞くのは兄として当然だ。そうだ。転校生だが、ドイツからも来るみたいだ。」

 

「また来るの?」

 

夏己は克己からシャルル以外にも転校生が来ると聞かされ、また男子かと思ってしまうが。

 

「しかもそいつは織斑千冬が指導してた奴だ。織斑千冬のためなら何するか分からねえから気をつけろよ。」

 

「…大丈夫だよ。こっちは切札を持ってるんだから。」

 

「そうだったな。そろそろ授業が始まるはずだ。もう切るからな。」

 

「分かった。」

 

夏己は電話を切った。

 

「克己さん。何だって?」

 

「シャルルの事を調べてくれるし、それにドイツから転校生が来る事も教えてくれたよ。」

 

「流石は情報網が広い克己さんだ。やっぱ凄え人だ。」

 

「…ヤッベ!もう授業が始まる!」

 

「あ!」

 

二人は慌てて教室に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ドイツの裏を調べてたら、まさか俺たちのような実験が行われていたとはな。」

 

克己は何枚かの書類に目を通しながら愚痴っていた。

 

「この世界にも科学や実験のバケモノが存在するとは。他人事には思えねえな。」

 

そして、克己は銀髪で眼帯を着けた少女の写真が貼ってある書類を見た。

 



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銀髪の転校生

また次の日、夏己たちのクラスに転校生が来た。

 

「皆さん。今日も転校生を紹介します…。」

 

真耶は少し引いていた。

 

「ドイツのシュヴァルツ・ハーゲン所属のラウラ・ボーデヴィッヒだ。」

 

「ボーデヴィッヒ。ここは軍ではない。」

 

「ハッ!教官!」

 

「教官ではなく織斑先生だ。さっさと席に着け。」

 

ラウラは千冬の指示に従って席に向かうが、その途中、夏己の席の前で止まった。

 

「貴様が…!」

 

ラウラは夏己にビンタをしようとしたが。

 

「随分な挨拶だな。これがドイツ流の挨拶なのか?」

 

だが、夏己はラウラの手首を掴んでいた。

 

「ク…私は認めんぞ!貴様が教官の弟だという事を!」

 

「何の話だ?早く席に行け。」

 

夏己はラウラの手首を離した。

 

「クッ!」

 

ラウラは悔しそうな顔で席に向かった。

 

「あいつが兄さんの言ってたドイツの代表候補生か。面倒な奴が来たもんだ。」

 

夏己はラウラを見て、少しイラつきを覚えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

夏己たちのクラスはI S授業でアリーナに居たが、今回は専用機持ちたちが斑を持ち、I Sの事を教えていた。

 

「大道君!メモリを見せて!」

 

だが、夏己と弾の所はI Sよりメモリの事で質問攻めだった。

 

「今はそんなに持ってないよ。基本使ってるのはこの二本がメインだから。」

 

エターナルはトリガーとユニコーンのメモリを担当の斑の生徒たちに見せた。

 

「これを使うと何が起きるの?」

 

「トリガーは遠距離攻撃。ユニコーンは一撃必殺のパンチを打てる。ちなみにセシリアと山田先生の試合の時にも使ったよ。」

 

「じゃあ今見せて!」

 

「いや、今は使う必要はないよ。今日はI Sの事を教えてるんだから。ほら、話はここまでで操縦しよう。」

 

エターナルは生徒たちに指示を出していると。

 

「大道。少しいいか?」

 

「何ですか?織斑先生。」

 

「ボーデヴィッヒの斑がかなり遅れている。サポートに入ってくれるか?」

 

エターナルはラウラの斑を見ると、他の斑とは違い、かなり空気が重くこっちに伝わってくる程だった。

 

「空気が重いな。分かりました。サポートに入ります。」

 

「頼む。」

 

エターナルは遅れてるラウラの斑に行った。

 

「貴様、何の用だ?」

 

「織斑先生に頼まれたんだよ。お前の斑のサポートに入ってくれって。」

 

「そんなのは必要ない。遅れた奴が悪いんだからな。ここが戦場ならそいつはとっくに死んでる。」

 

「ここは戦場じゃなくて学園だ。お前が冷たい雰囲気放つせいでこっちまで空気が重くなる。」

 

「軍人とはそういう存在だ。余計な感情などいらん。」

 

「ダメだ。埒があかねえな。ボーデヴィッヒの斑のみんな!俺の斑で教えるからみんな来てくれ!」

 

「いいの!」

 

ラウラの斑の生徒たちは夏己が教えてくれると言って、顔色が一気に明るくなった。

 

「教官の汚点め…!」

 

ラウラはエターナルの事を睨みつけていたが、エターナルはそんなのは気にせずに生徒たちと一緒に自分の斑の所に向かっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1日の授業が終わり、夏己と弾は寮に帰ってた。

 

「そういや夏己。シャルルと同部屋になったんだよな?」

 

「ああ。今は警戒してメモリとドライバーは常に隠してるけど。…あれは?」

 

「どうした?」

 

「ボーデヴィッヒと織斑先生だ。揉めてるのか?」

 

二人はその途中でラウラと千冬が話しているのが見えて、二人は隠れながら見ているとラウラは走っていった。

 

「…何かあったんですか?」

 

「大道たちか。いや、ボーデヴィッヒにドイツ軍に戻ってきてくれと言われてな。」

 

「ドイツ軍に?」

 

「私は前にドイツ軍で指導していた。あいつは軍の落ちこぼれだったが、私のおかげで再び軍に返り咲く事が出来てな。あいつはそれ以来、私に心酔してる。」

 

「なら、あの行動にも納得だな。」

 

夏己はラウラがいきなり自分を叩こうとした理由が分かった。ラウラは千冬に心酔してるからこそ織斑一夏という存在が邪魔だった。

 

「…それより大道。お前はメモリを26個も持ってるみたいだな。」

 

「調べたんですか?」

 

「無人機襲撃の映像を見てたら、お前のI Sにメモリが挿さるシーンがあったからな。一体何なんだ?お前たちが使ってるメモリは?パソコンに挿しただけでパソコンにそれと繋がってた機械を全て破壊する程の。」

 

「知りたかったら兄さんに聞いてください。」

 

夏己は千冬にガイアメモリの事を聞かれるも何も答えず、克己に聞いてくれとしか返さなかった。

 

「それがお前たちの返答か。…今週の金曜日の夜、大道社長と会う約束をした。メモリの事はその時に聞く。」

 

「克己さんと会う約束をした!?」

 

二人は千冬が克己と会う約束をしたと聞かされ驚愕してしまう。

 

「ダメ元で電話したら快くOKを貰えた。それにお前たちの担任である以上、お前たちが何を使ってるのかは知っておかないといけないからな。もう暗くなる。早く寮に帰れ。」

 

千冬は早く帰れと言ってその場を後にした。

 

「克己さん。何か考えがあるんだよな?」

 

「そうじゃなきゃ会う約束はしない人だからな。」

 

二人が克己の千冬に会う目的を考えていると、夏己のスマホに着信が入った。

 

「兄さんからだ!」

 

夏己はすぐに電話に出た。

 

「もしもし!兄さん!」

 

「いきなりデカい声を出すな。どうした?そんなに慌てて。」

 

「兄さん。織斑千冬と会う約束をしたって本当?」

 

「本人から聞いたのか?いや、向こうから喋った方がしっくりくるな。ああ今週の金曜日の夜にな。」

 

克己も千冬と会う約束は否定せずに予定も千冬が話してた曜日と一致していた。

 

「安心しろ。俺もそこまでバカじゃないからベラベラ喋らねえよ。それより調べモンはカタがついた。」

 

「シャルルの事だね。」

 

「ああ。まずはデュノアの線から調べたら簡単だったからな。奴の実家は量産型I S「ラファール・リヴァイブ」を作ってる有名企業、デュノア社。けど、今のデュノア社は相当ヤバい状態だ。」

 

「ヤバい?」

 

「デュノア社のは第2世代型。世界は第3世代に入ってるけど、デュノア社には第3世代に行くための情報に技術、資金も足りない。水面下はかなりガタガタだ。」

 

「倒産間近ってやつなんだね。」

 

「ああ。そしてここからが本題だ。…シャルル・デュノアなんて人物は存在しない。」

 

「え!?」

 

夏己は克己からシャルル・デュノアという人物が存在しないという声を聞かされ驚きを隠せなかった。

 

「けど、近い人物が一人だけ該当した。名前はシャルロット・デュノア。デュノア社長と愛人の娘だ。そこに弾は居るか?」

 

「いるけど。」

 

「弾の携帯にシャルロット・デュノアの写真を送る。それを見てシャルル・デュノアと見比べてみてくれ。」

 

弾のスマホにすぐにメールの通知が来て、弾はメールを開くと写真が添付されていた。

 

「夏己!」

 

弾はすぐに写真を夏己に見せた。

 

「シャルル…。」

 

写真にはシャルルと瓜二つの少女が写っていて、二人はただ唖然としていた。

 

「でも、何で男のフリを…?」

 

「簡単な事だ。デュノア社がスポンサーを得るため、そしてお前たちのメモリのデータが欲しいからだ。シャルロット・デュノアの母親は既に亡くなってる。生きるために酷い扱いを受けて、生きていくために地獄を見るしかなかったんだよ。」

 

「シャルル…お前…」

 

夏己はシャルルがやってる事は生きていくために、他に選択がなかったからやるしかなかったと克己に言われて、拳を握りしめた。

 

「それで夏己。これからどうするんだ?」

 

「どうするって?」

 

「シャルロット・デュノアに再び地獄を楽しませるか、デュノア社に地獄を楽しませる。お前はどっちを選ぶ?」

 

「それはシャルルの意思を聞いてから決めるよ。」

 

「分かった。」

 

克己は電話を切り、夏己は通話が切れたスマホを見ていた。

 

「夏己。どうするんだ?」

 

「シャルルから直接話を聞く。」

 

夏己は歩き出して、寮に帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、夏己。お疲れ様。」

 

夏己が部屋に戻ると、既にシャルルが居た。

 

「お疲れ。いや〜今日も疲れた。メシはシャワーを浴びてからでもいいか?」

 

「大丈夫だよ。僕はもう浴びたからゆっくり浴びてきなよ。」

 

「ああ。そうさせてもらうよ。」

 

夏己はワザとエターナルメモリとロストドライバーを机に置き、シャワールームに入った。

 

「……。」

 

シャルルは夏己がシャワールームに入ったのを見計らい、すぐにバックからノートパソコンを出して、机に置いてあるエターナルメモリを手に取った。

 

「ごめんね。夏己…。」

 

シャルルは夏己に謝り、エターナルメモリをパソコンに挿そうとした瞬間。

 

「そこまでだ。」

 

いつの間にか夏己はシャルルの後ろにおり、夏己はコンバットナイフをシャルルの首に向けた。

 

 

 

 



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デュノア社消滅

「!?」

 

シャルルは気配も無く、いつの間にか後ろに居た夏己に対して動く事が出来なかった。

 

「それを持ったままこっちに向くんだ。」

 

夏己はシャルルが持ってるエターナルメモリを見ながらシャルルに言った。

 

「うん…」

 

夏己はコンバットナイフを収めて、シャルルは夏己の方に向いた。

 

「まさかこうも簡単に引っかかるとは。デュノア社はマジで焦ってるんだな。」

 

「どうしてそれを!?」

 

「色々気になって調べたんだよ。無論、シャルルの事も。」

 

「それって僕が女だって事を知ってるんだよね?」

 

「ああ。」

 

「ねえ、いつ分かったの?」

 

「初めて来た時から違和感があったんだ。それで兄さんに頼んで色々調べてもらったんだ。まあ、女って分かったのはついさっきだけど。」

 

「ハハ、夏己のお兄さんって凄いね…。」

 

「…これからどうするんだ?」

 

「女だってバレちゃったし、本国に強制送還されて挙句に牢に入れられちゃうね。」

 

シャルルは少し泣きそうになりながら今後の事を夏己に話した。

 

「お前の本心はどうなんだ?」

 

「え…?」

 

「お前はどうしたいんだ!お前はこれでいいのか!俺はお前の本当の意思が知りたいんだよ!」

 

「僕は…」

 

夏己に怒鳴られるように本心を聞かれたシャルルはその瞬間大泣きした。

 

「僕だって本当はこんな事したくないよ!でも…お母さんが亡くなって…他に頼る人が…。でも帰った所であんな地獄を見るなら、僕は投獄される方を選ぶよ!」

 

シャルルは泣きながら自身の本音を夏己に伝えた。

 

「実家に帰るくらいなら投獄の方がマシ。それがシャルルの本音か。」

 

「うん。ありがとう。僕の本音を聞いてくれて。やっとスッキリしたよ。これで僕は…」

 

「俺の話はまだ終わってない。」

 

「え…?」

 

「シャルル。俺はお前を地獄から救ってやる。だがそのためには最悪、デュノア社を、お前の父親を殺すかもしれない。それでも大丈夫か?」

 

夏己はシャルルを救う代わりにシャルルの父親を殺すかもしれないと言い、その覚悟はあるかどうか聞いてきた。

 

「僕の家族はお母さんだけだよ。あの人は僕をI Sのためだけに生かしてた人だから、大丈夫だよ。」

 

「そうか。…兄さん、これがシャルルの意思だ。」

 

「え?」

 

夏己はシャルルに手を見せると、夏己はスマホを持っていたが、スマホは通話中のスピーカーモードになっていた。

 

「確かに聞かせてもらった。今そっちに行く。」

 

スマホから克己の声が聞こえると、突然、部屋の中に強い光が現れた。

 

「え!?」

 

強い光にシャルルは目を閉じるも、すぐに開けるとそこにはいつの間にか克己が居た。

 

「この人、どこから入ったの!?」

 

「それは企業秘密だ。初めましてだな。シャルル・デュノア君。いや、シャルロット・デュノアちゃん。俺は夏己の兄の大道克己だ。」

 

克己はシャルルに挨拶をした。

 

「夏己のお兄さん。」

 

「お前の意思は聞かせてもらった。これからデュノア社に行って取り引きをする。」

 

「取り引き?」

 

「ああ。お前を自由の身にするための。」

 

「僕の?」

 

「向こうが欲しがってる物とな。けど拒んだら地獄を味合わせる。だから夏己、お前も来い。」

 

「俺も?」

 

「エターナルのマキシマムで無力化させた方が相当な地獄を楽しませられるだろ…!」

 

「エターナルのマキシマムを使うの!?」

 

「最悪の場合な。」

 

「あの、エターナルのマキシマムとかって何ですか?エターナルは夏己が使ってるI Sの名前ですけど。」

 

話についていけなくなったシャルルは克己に質問をした。

 

「…話すにはいい頃合いかもな。夏己、弾を呼べ。あいつにもエターナルのマキシマムの事を話さないといけないからな。」

 

「分かった。すぐに呼ぶよ。」

 

夏己は弾を呼ぶため電話をかけた。

 

 

 

 

 

夏己が弾に電話をして数分、弾はすぐに夏己たちの部屋に来た。

 

「シャルル、お前も辛かったんだな。それで克己さん。話って?」

 

「ああ、お前にもそろそろエターナルのマキシマムの事について話そうと思ってな。」

 

「エターナルのマキシマムってパンチとかキックじゃないんですか?」

 

「それくらいならジョーカーメモリで充分だ。じゃあまずはエターナルの意味は何だ?」

 

「エターナルの意味?」

 

弾は克己にエターナルの意味を聞かれて考えこんでしまう。

 

「エターナル。永遠ですよね?」

 

だがシャルルはすぐに意味を答えられた。

 

「ならその永遠は何を意味すると思う?」

 

「何って言われましても、分かんないす!」

 

「永遠に何かが出来るとか、止められるとかですか?」

 

「近い答えだ。それじゃあネタバレを言う。夏己のエターナルメモリにはな、全てのI Sの機能を永遠に停止させられる力があるんだ。」

 

「え!?」

 

「マジですか!?」

 

シャルルと弾は克己からエターナルメモリには全てのI Sの機能を永遠に停止させられる力があると聞かされ驚愕してしまう。

 

「エターナルはガイアメモリだけではなくI Sの頂点にも立つ存在だ。まあ夏己にはエターナルのマキシマムは余程の事が無い限り使うなと言ってる。」

 

「夏己のI Sってとんでもない力があるんですね。」

 

「一つ言っておくが、夏己と弾のはI Sではない。」

 

「え?」

 

「二人のは仮面ライダーと呼ばれる存在だ。」

 

「仮面ライダー?」

 

「それについてはまた今度話す。夏己、行くぞ。」

 

「ああ。そうだシャルル。本当の名前を教えてくれ。今度はシャルルの口から知りたい。」

 

「僕の名前はシャルロット・デュノア。お母さんが名づけてくれた名前だよ。」

 

「いい名前だ。」

 

克己と弾はワープメモリを使って部屋から消えた。デュノア社と取り引きをするために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フランス、デュノア社社長室。

 

「何としてでも男性操縦者のI Sデータを手に入れなければ我が社は…。」

 

「随分と焦っていますね。デュノア社長。」

 

「誰だ!?」

 

デュノア社の社長、デュノア社長はもう後が無いという顔をしていると、どこからか声が聞こえてきて、デュノア社長は辺りを見渡すと目の前に強い光が現れた。

 

「お前たち…どこから入った?」

 

光がやむと、デュノア社長の前には克己と夏己が居た。

 

「初めましてデュノア社長。私、こういう者です。」

 

克己は胸ポケットから名刺を出して机に置いた。

 

「NEVER。大道克己。大企業の若手社長が何の用だ?」

 

「シャルロット・デュノア。」

 

「!?」

 

デュノア社長は克己の口から出た名前を聞いて驚きを見せた。

 

「デュノア社長。彼女の身柄をこちらに渡していただきたい。勿論、タダとは言いません。デュノア社が欲しがってる情報と技術を提供します。」

 

「取り引きしろというのか?」

 

「そうです。それに今のデュノア社はかなりまずい状況。娘一人こちらに渡していただくだけで最新の情報と技術が手に入るのです。悪くない話ですが。どうしますか?」

 

「……。」

 

デュノア社長は克己が提案した取り引きを受けるかどうか考えた。

 

「悪いが、私にもプライドがある。貴様のような若造の話には乗らん!」

 

「てめえの娘を男に偽ってI S学園に送り込んだ野郎にプライドもクソもねえだろうが。」

 

「黙れッ!それに私があの娘を貴様に渡すという事は、貴様は私の弱みを握る気か!この会社を乗っ取るつもりか!」

 

「明日も未来もない会社なんか乗っ取る価値もねえよ。最後にもう一度聞く。取り引きには応じないのか?」

 

克己はデュノア社長のバカらしい言い分に呆れながらも、最後のチャンスを与えた。

 

「当たり前だッ!」

 

「そうか。なら地獄を楽しんでもらおうか。夏己。」

 

「分かってる。」

 

夏己はロストドライバーを着けて、エターナルメモリを起動させた。

 

「エターナル!」

 

夏己はエターナルに変身した。

 

「その姿は!」

 

「我が社に所属している男性操縦者、大道夏己です。夏己、やれ。」

 

克己はエターナルに指示を出すと、エターナルはエターナルメモリをエッジに挿れた。

 

「エターナル・マキシマムドライブ!」

 

エターナルはマキシマムドライブを発動させた。

 

「何をした?」

 

「すぐに分かる。」

 

克己はデュノア社長に不気味な笑みを見せながら言うと、机に置かれてる電話のコールが鳴った。

 

「ちょうどいい。そのI Sがどれ程の物か見せてもらおう。」

 

デュノア社長は電話を取った。

 

「いいタイミングだ。今すぐ…」

 

「社長!大変です!I Sが突然原因不明の機能停止に陥りました!」

 

「どういう事だ!?」

 

デュノア社長は社員の言葉に耳を疑った。

 

「無事なI Sはないのか!?」

 

「ダメです!全てのI Sが動きません!どうしたらいいんですか社長!」

 

もはや社員は混乱していた。今まで起きた事がない事が起きてしまったのだから。

 

「クソッ!」

 

デュノア社長は怒り任せに受話器を叩きつけて電話を切った。

 

「貴様らッ!何をした!?」

 

「さあ?」

 

デュノア社長の怒鳴り声にもエターナルはびびらず、何も答えようとしなかった。

 

「こんな事をしてタダで済むと思ってるのかッ!」

 

「…それはこっちの台詞だッ!」

 

エターナルはエッジを向けて怒鳴り返した。

 

「あんたはシャルロットにどれだけの地獄を見せたか分かってないようだな。いや、愛人の娘だから地獄を見せても何ともおもわねえんだよな。」

 

エターナルはゾーンメモリを出した。

 

「兄さん。俺は今までは明日、地獄を見ないために足掻いてきたけど、誰かを守って地獄を見るなら、それくらいの地獄なんか見てやるよ!」

 

「お前が決めた事に俺は何も言わない。」

 

「ありがとう。兄さん。」

 

エターナルは克己にお礼を言い、ローブを脱ぎ捨て、ゾーンメモリを起動させた。

 

「ゾーン!」

 

エターナルはゾーンメモリを腰のマキシマムスロットに挿れた。

 

「ゾーン・マキシマムドライブ!」

 

エターナルの周りに24個のメモリが出現し、エターナルの胸、右腕、左足のマキシマムスロットに挿入され、エターナルはエターナルウェーブを纏った。

 

「貴様!何をする気だ!?」

 

「あんたもろともこの会社を消すんだよ!」

 

「なあ!?」

 

デュノア社長はエターナルの言葉に耳を疑った。そして、エターナルはネバーエンディングヘルを放つ構えを取った。

 

「大道克己!止めさせろッ!」

 

「はあ?今俺が言った事を忘れたのか?俺はこいつが決めた事に何も言わねえよ。」

 

「何だと!?」

 

克己はデュノア社長にエターナルを止めろと言われるも、克己は止める気はなかった。

 

「けど、俺が言える事は。デュノア社長。今のお前にこの会社は相応しくない。本当に相応しい場所は地獄だ…!」

 

「なあ…」

 

「だから、先に行って遊んできな。」

 

克己はサムズダウンし、エターナルはネバーエンディングヘルの放った。

 

「消えろッ!」

 

「や、やめてくれッーーーーー!!」

 

デュノア社長の叫びも虚しく、ネバーエンディングヘルは社長室を飲み込み、そのまま一気にデュノア社のビルを飲み込んだ。



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新しい力

克己と夏己がデュノア社に行ってる間、弾とシャルルは話していた。

 

「ねえ、弾。二人は大丈夫なのかな?」

 

「大丈夫だ。俺は克己さんと夏己と一緒に特訓してきたから二人の強さはよく知ってる。特に克己さんの強さはバケモンじみてるからな。I Sと戦う事になっても、克己さんが勝つな。」

 

「夏己のお兄さんって相当強いんだね。」

 

「ああ!」

 

二人が話していると部屋の中に光が現れた。

 

「あ!」

 

光がやむと、そこには克己と夏己がいた。

 

「克己さん。取り引きはどうでしたか?」

 

弾は克己に質問すると。

 

「交渉は決裂。デュノア社長は俺の話を最初から聞く気はなかった。だから会社もろとも消した。」

 

「そうですか…。」

 

「けどこれでシャルロット・デュノアはもう地獄を見る事はない。」

 

「でも克己さん、シャルルはフランス代表候補生です。国に帰される可能性が。」

 

「なら、俺の会社に所属すればいい話だ。」

 

「え?」

 

「兄さん、それって?」

 

「シャルロット・デュノアはフランス代表候補生から外れちまうが、NEVERに所属すれば問題ない話だ。シャルロット・デュノア。どうだ?俺の会社に所属する気はないか?」

 

克己はシャルルの身の安全を守るために自分の会社に所属しないかと提案してきた。

 

「いいんですか?」

 

「何の問題もない。今使ってる専用機もそのまま使えるように手続きする。まあ改良はするが。」

 

「お願いします。僕を克己さんの会社に所属させてください。」

 

シャルルは頭を下げて克己にお願いした。

 

「頭を上げろ。今からお前はNEVERの所属になるが、俺にとっては妹みたいな存在になるんだ。家族に遠慮なんかするな。」

 

克己はシャルルの頭に優しく手を置いた。

 

「…ありがとうございます…!」

 

シャルルは克己の言葉を聞いて、嬉しさのあまり泣いてしまった。

 

「よかったな。シャルル。」

 

夏己と弾は笑顔でシャルルを見ていた。

 

「じゃあフランス政府と話をつけてきますか。」

 

「え?もう行くの?」

 

「明日は織斑千冬と会う約束をしてる。今日でカタをつけた方がいいんだ。お前たちはもう休め。」

 

克己はワープメモリを使って部屋から出た。

 

「凄い人だね。夏己のお兄さん。」

 

「ああ、兄さんがいなかったら俺はもう死んでた。兄さんには感謝してもしきれないよ。」

 

夏己は改めて克己の凄さを実感していた。自分だけではなくシャルルも救ったのだから。

 

「俺も部屋に戻るな。」

 

弾も自分の部屋に戻って行った。

 

「シャルル。正体はいつ頃明かすんだ?」

 

「まだ早いかな。今明かしちゃうとみんな混乱するからね。」

 

「そうか。まあタイミングが合えばそこでだな。」

 

シャルルは今はまだ正体を明かさずにしばらくはこのままで行く考えだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、夏己たちのクラスではデュノア社が消えた話題で持ちきりだった。

 

「ねえねえ知ってる?デュノア社が昨日突然消えたんだって!」

 

「知ってる!何でも緑色の大きな球体が包み込んだんだよ!」

 

「宇宙人の仕業なのかな?」

 

 

 

「やっぱり話題になってるな。」

 

「うん。」

 

「消した張本人がここにいるんだけどな。」

 

「夏己!」

 

「お前、バカか!」

 

その話題を聞いていた夏己たちだが、夏己が普通に消した事を言ったため弾とシャルルは慌ててしまう。

 

 

 

 

 

 

 

「既に知っているとは思うが、昨夜、デュノア社が原因不明の消滅をした。その事についてデュノア。フランス政府から通達があった。」

 

「通達ですか?」

 

「お前は今後、大道、五反田が所属する会社、NEVERに所属しろとの通達だ。」

 

「分かりました。」

 

「流石だよ。兄さん。」

 

夏己は克己の仕事の早さに納得していた。

 

「それと来週はタッグトーナメントがある。パートナーは自由に決めて構わんが、決まったらすぐに書類を提出しろ。いいな?」

 

千冬は来週行われるタッグトーナメントの事を話し、クラスは誰と組むかもう決まっているような顔だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、夏己、弾、箒、セシリア、鈴、シャルルはアリーナで訓練していた。

 

「いつ見てもお二人の強さには目を丸くするしかありませんわ。」

 

「私たちの教えが必要ないくらいにな。」

 

「それにあんたたちの護衛も強いけど…堂本のおっさんは何とかならないの!あたしの事を見るたびチビとか猿とか、さっきなんか猪って呼ばれたのよ!」

 

「芦原さんもお強いのですが、あまり喋らないので何を考えてるかさっぱり分かりませんわ。」

 

鈴とセシリアは堂本と芦原の事を言ってきた。鈴は堂本と顔を合わせるたびにバカにされ、セシリアは芦原がほとんど喋らないため何を考えてるかさっぱり分からないと。

 

「おい、貴様。」

 

「お前、ボーデヴィッヒか。何の用だ?」

 

アリーナにドイツの第3世代I S「シュヴァルツェア・レーゲン」を展開させたラウラが来た。

 

「私と戦え。」

 

「お前と?」

 

「教官の汚点でもある貴様を潰さなくてはいけないからな。」

 

「またそれかよ。俺はあの女と何の関係もない。勘違いもほどほどにしろ。まあいい、お前がどれだけの強さか知るいい機会だしな。」

 

エターナルはエッジをラウラに向けた。

 

「行くぞ。」

 

エターナルは走り出してシュヴァルツェア・レーゲンに向かうが、ラウラはレールカノンを撃ち、エターナルはそれを避けていった。

 

「取ったッ!」

 

エターナルはラウラに近づけたが。

 

「無駄だ。」

 

「!?」

 

エターナルの動きはラウラの目の前で突然止まった。

 

「何だこれ!」

 

「AIC。停止結界とでも言おう。これがある限り貴様は私に触れる事は出来ない!」

 

ラウラはエターナルを吹き飛ばした。

 

「あの野郎!…いや待てよ。やってみる価値はあるな!」

 

エターナルは何かを思いついたのか、ルナとトリガーのメモリを出し、トリガーメモリをエッジ、ルナメモリを腰のマキシマムスロットに挿れた。

 

「トリガー・マキシマムドライブ!」

 

「ルナ・マキシマムドライブ!」

 

エターナルはエッジから光弾を撃った。

 

「何をしても無駄だ!」

 

ラウラは再びAICを発動させるが。

 

「!?」

 

光弾の軌道が突然変わり、光弾はラウラの後ろに行き、背中に命中した。

 

「え!何今の!?」

 

「弾道が突然変わりましたわ!」

 

「弾。今のって?」

 

突然、光弾の軌道が変わった事に驚きを隠せない箒たちだが、シャルルは弾に聞いていた。

 

「夏己はルナメモリを使って光弾の軌道を変えたんだ。」

 

「メモリって色々な使い方があるんだね。」

 

シャルルは弾の言葉を聞いて納得していた。

 

 

 

 

「貴様!何をした!?」

 

「思った通りだ。そのAICは前からの攻撃には強いけど、その分後ろがガラ空きになるな。」

 

エターナルはAICの欠点を見抜き、ツインマキシマムでラウラを攻撃したのだった。

 

「貴様ッ!」

 

ラウラはエターナルの言葉に怒りを覚えた。

 

「何をしているお前たち!」

 

そこに千冬が来た。

 

「教官…。」

 

「勝手な私闘は禁じられている。どうしても戦いたいなら来週のトーナメントで決着をつけるんだな。」

 

「分かりましたよ。みんな、今日はここまでにしようぜ。」

 

エターナルは変身を解いて、更衣室に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあシャルル。トーナメントだけど俺と組まないか?」

 

「夏己と?」

 

部屋に帰る途中、夏己はシャルルにトーナメントのパートナーにならないかどうか聞いてきた。

 

「ああ、弾と組むと他のペアとバランスが合わないからな。それにシャルルの事を考えると。」

 

「確かに二人は強すぎるからね、組まれるとほとんどのペアに勝ち目がないからね。いいよ。」

 

「ありがとうな!」

 

二人はペアを組む事になり、気がつくと部屋に着いており夏己はドアを開けた。

 

「あれ、兄さん?」

 

ドアを開けると、部屋には克己が居た。

 

「お疲れ。」

 

「克己さん。どうしたんですか?」

 

「シャルロット。お前の専用機をこちらで預かりたい。」

 

「僕の?」

 

「こっちで改良するって言っただろ。週末には渡せるようにするから。」

 

「分かりました。」

 

シャルルは自身の専用機「ラファール・リヴァイブ」を克己に預けた。

 

「確かにお預かりしました。」

 

克己はシャルルの専用機を預かって会社に戻った。

 

「シャルル。メシ食いに行こうか。」

 

「うん。」

 

二人は着替えて食堂に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「死神。頼みがある。」

 

「何でしょうか?」

 

「このI Sに適合値が高いガイアメモリを組み込んでくれ。」

 

会社に戻った克己は死神にシャルルから預かった専用機にガイアメモリを組み込んでくれと頼んだ。

 

「分かりました。すぐにやります。」

 

「それともう一ついいか?」

 

「はい。何なりと。」

 

「俺に、地球の本棚だっけ?その能力をくれないか?」

 

さらに克己はダブルの世界でフィリップが持ってた能力「地球の本棚」を自分に与えてくれと言ってきた。

 

「分かりました。そちらはすぐに与えられます。」

 

すると、克己の周りに大量のデータが現れ、克己に吸収された。

 

 

「これが地球の本棚か。」

 

克己は大量の本棚がある場所にいつの間にか立っていた。

 

「克己。この本棚はこの世界だけではなく、ダブルの世界の本棚もあります。」

 

「そいつはありがたいな。」

 

克己は目を閉じると、元の社長室に立っていた。

 

「…そろそろ待ち合わせの時間か。」

 

克己は腕時計を見ると、千冬との待ち合わせ時間が近づいていた。

 

「行くか。」

 

克己は社長室から出て、待ち合わせの場所に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この辺りのはずだが。」

 

千冬も克己との待ち合わせ場所に向かっており、克己に指定された場所まで向かっていた。

 

「あれか?」

 

千冬はガード下を見ると、そこには屋台のおでん屋があり、中には既に男性が居た。

 

「あの、大道社長ですか?」

 

千冬は暖簾をくぐり、男性に聞いた。

 

「そうですよ。初めましてですね、織斑千冬さん。」

 

男性は克己だった。克己は千冬に挨拶をした。

 

「どうぞ座ってください。」

 

「はい。」

 

千冬は席に座った。

 

「すいませんね。こんな小さな屋台で。自分はどうも高級レストランは好きになれなくて。」

 

「構いません。私もこういう店の方が好きなので。」

 

克己の招待した店は千冬も好きな店だから、千冬に不満はなかった。

 

「それで何か聞きたい事があって私を呼んだんですよね?」

 

「はい。大道夏己、五反田弾が使ってるI Sの事について聞きたいのですが。」

 

「それだけですか?」

 

「え?」

 

「あなたが一番知りたいのは織斑ー夏について、じゃないんですか?」

 

克己は千冬が一番聞きたい事は織斑ー夏についてではないかと聞いた。すると、千冬の前に日本酒が入ったコップにおでんのネタがいくつか入った皿が置かれた。

 

「どうぞ。自分が出すので遠慮しなくていいですよ。」

 

「…ありがとうございます。」

 

千冬は日本酒を飲み始めた。

 

「まあ、これから長い付き合いになりますから、一つは無償で教えてあげましょう。」

 

「一つ?」

 

「私は三つの秘密を持ってます。一つは2人が使ってるメモリの秘密。もう一つは織斑ー夏の真実。そして最後は、デュノア社消滅の真実です。」

 

「!?」

 

千冬は克己からデュノア社が消滅した真実を知ってると知り、顔色を変えた。

 

「どれにします?一つは今言った通り無償で教えます。けど残りの二つはそれに見合う対価を支払ってもらいます。」

 

「お金ですか…?」

 

「そんな物じゃ無理ですよ。例えば、…人の命とか。」

 

「なあ!?」

 

千冬は克己が求めてる対価が人の命と聞き、顔を真っ青にする。

 

「あなたなら簡単ですよね?ましてやブリュンヒルデなんですから、女どもは簡単に心をあなたに許します。」

 

「私に…人殺しになれと仰ってるのですか…?」

 

「それぐらいの価値があると言う事です。それで、どれにするんですか?」

 

「…止めておきます。急に飲みたい気分になってしまったので。」

 

「そうですか。自分の方にツケておくので好きなだけ食べてください。」

 

克己は屋台から離れて帰って行った。

 

「あの人は…何者なんだ…?」

 

千冬は克己から何か得体の知れないものを感じ、それを忘れるためか日本酒を一気飲みした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

週末。夏己、弾、シャルルは克己の会社のNEVERに居た。

 

「ここが二人の所属してる会社なんだね。」

 

社長室で克己を待っていた夏己たちだが、シャルルは社長室の中を見渡していた。

 

「待たせたな。シャルロットのI Sの手入れが終わった。地下に来てくれ。」

 

社長室に克己が来て、シャルルのI Sが出来たから地下に来てくれと言われ、三人は克己についていき、地下室に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ夏己。さっきから僕を睨んでる男の人って?」

 

地下室に着いた夏己たちだが、地下室には羽原や京水も居るが、京水はシャルルを睨んでいた。

 

「気にしなくていいよ。京水さんいつもああだし。それにもうすぐ鉄拳制裁が入るから。」

 

「え?」

 

「おっさんよ!女の子をびびらしてんじゃねえよ!」

 

京水の隣に居た羽原が京水に裏拳をかました。

 

「痛いー!乙女の顔を殴るなんて何考えてるのよッ!」

 

「どこが乙女の顔だ?おっさんの顔そのものじゃねえか!」

 

羽原は京水に踵落としを決めて、京水の顔は床にめり込んだ。

 

「何だか、キャラの濃い人たちだね…。」

 

シャルルは羽原と京水のやりとりに唖然としていた。

 

「シャルロット。今日はそいつらのコントじゃなくて、これを取りにきたんだろ?」

 

克己はゲートを開けると、中にはI Sが置かれていた。

 

「これが僕の新しい専用機ですか?」

 

「そうだ。ベースはお前から預かったやつだが、ガイアメモリを組み込んだ事でこういう姿になった。」

 

シャルルの新しい専用機はかなり軽量化されており、ロングマフラーが着けられていて、所々にナスカの地上絵が刻まれていた。

 

「ガイアメモリって、夏己と弾が使ってるやつですよね。」

 

「そうだ。お前のにはT2のナスカメモリが組み込まれてる。」

 

「ナスカ?」

 

「説明するより使った方が早い。夏己、相手をしろ。」

 

「分かった。」

 

夏己はエターナルに変身し、シャルルも新しいI Sを纏った。

 

「これが新しい装備ですね。」

 

シャルルは近距離装備を展開すると、マキシマムスロットが付いたナスカブレードが展開された。

 

「その装備ならマキシマムを使える。後瞬時加速を使ってみろ。」

 

「はい。」

 

シャルルは瞬時加速を使うと、姿を消した。

 

「ナスカは超高速…!!」

 

エターナルはナスカの特性を知っているためすぐに後ろに振り向いた。

 

「やっぱり夏己じゃ後ろも取れないか。」

 

後ろにはナスカブレードをエターナルに向けたシャルルが居た。

 

「どうだ?瞬時加速より断然速い超高速は。」

 

「全然違います。これがガイアメモリの力なんですね。」

 

「せっかくだ。新しく生まれ変わったI Sに名前をつけてみないか?名前はなんでもいいぞ。」

 

「そうですね。ならメモリの名前を使います。今日からよろしくね。ナスカ。」

 

シャルルは新しいI S「ナスカ」に挨拶をした。



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タッグトーナメント

タッグトーナメント当日、夏己とシャルルは対戦相手が発表されるまで待合室で待機していた。

 

「けどこのタッグトーナメントは凄いな。各国の企業の人たちが来てるんだから。」

 

「この試合でスカウトされる事もあるからね。」

 

「でもまさか、兄さんまで来てるとは。」

 

タッグトーナメントを観に来た来賓の中には克己も居た。

 

「克己さんは夏己や僕が所属してる会社の社長だからね。立場上は来ないといけないんだよ。」

 

「そういや、弾。簪と組んでたんだな。」

 

待合室には弾と簪もおり、弾のペアは簪だった。

 

「いや大変だった。みんな、ペア組んで!って頼み込んできて。簪が通りかからなかったらどうなってたか。」

 

「私、弾の足を引っ張らないように頑張るね!」

 

「頼りにしてるぞ!」

 

弾と簪が話してる中、トーナメントの対戦相手が発表された。

 

「マジか。」

 

「いきなり当たるなんてね。しかもペアは篠ノ之さんか。」

 

夏己たちの一回戦の相手はラウラと箒のペアだった。

 

「ちょうどいい。あいつは少し痛めつけないと気が済まなかったからな!」

 

夏己はラウラと当たった事にむしろ喜びを感じていた。

 

「夏己、シャルル。頑張れよ!」

 

「ああ!」

 

「うん!」

 

夏己とシャルルはラウラとの対戦のためアリーナに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大道社長。男性操縦者を一人くらい我が社に所属させても。」

 

「いいや!私の企業だ!大道社長。望んだ額の倍出します。是非我が社に男性操縦者を一人だけでも!」

 

来賓用の観客席に居た克己は他の企業の代表たちから夏己たちを自分の会社に所属させてくれと頼まれていた。

 

「お断りします。それに彼らが使ってるI Sは我が社特製のI S。他の企業では扱う事は出来ませんよ。どうしてもと言うならお宅らの企業に所属しているI S使いと試合させます。勝ったら全員連れて行っても構いません。」

 

「本当か!なら早速!」

 

「だからこそ。これから始まる試合をしっかり観ていてください。我が社自慢の操縦者の実力を。」

 

克己はアリーナを見ると、エターナル、ナスカを展開したシャルル。シュヴァルツァ・レーゲンを展開したラウラに打鉄を展開した箒が居た。

 

「まさか一回戦から当たるとはな。」

 

「それはこちらの台詞だ。貴様を潰すッ!」

 

「やれるもんなら…やってみろッ!」

 

エターナルがエッジを構えたのと同時に試合開始のブザーが鳴った。

 

「シャルル!箒は任せたぞ!」

 

「任せて!」

 

エターナルはラウラに向かって一直線に走り出した。

 

「私を忘れるなッ!」

 

箒は瞬時加速を使って打鉄のブレードをエターナルに振るが。

 

「僕がいるのを忘れたの?」

 

シャルルは超高速を使って箒の前に現れ、ナスカブレードでガードした。

 

「ボーデヴィッヒ。地獄を楽しみな!」

 

エターナルはトリガーメモリを起動させた。

 

「トリガー・マキシマムドライブ!」

 

エターナルはエッジから光弾を撃ち、光弾はラウラの周りの地面に当たって土煙を起こした。

 

「こんな事をしてどうするつもりだ!」

 

「言っただろ!地獄を楽しみなってッ!」

 

「サイクロン!」

 

土煙の中から疾風がラウラに襲いかかり、シュヴァルツァー・レーゲンは疾風の刃でダメージを負っていく。

 

「な、何だこの速さは!?」

 

シャルルと戦ってる箒だが、ナスカの超高速に翻弄されダメージを負っていた。

 

「夏己と弾の特訓の成果はこんなものじゃないよ!」

 

シャルルは箒の前に現れ、ナスカブレードを大きく振った。

 

 

 

 

 

 

 

「何なんだ?デュノアのI Sが出すあの異常な速さは?」

 

管制室から試合を見ていた千冬と真耶はナスカの超高速に唖然としていた。

 

「NEVERで改良したという報告は受けてますが…。」

 

「だが、あれだけの速さならエネルギーの消費も早いはずだ。山田先生、デュノアのI Sのエネルギー消費率は?」

 

「全く消費されていません…。」

 

「はあ?」

 

千冬は真耶の言葉に最早何を言ったらいいのか分からなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「どうですか?あれが私の元で訓練を重ねた成果です。他の企業であれ以上伸ばす事は出来ますか?」

 

試合を見ていた克己は他の企業の代表たちにエターナルの強さを見せつけて、代表たちは言葉が出なかった。

 

「シャルロットもメモリの力をあそこまで引き出すとは、やはりナスカとはかなり相性がいいみたいだな。」

 

克己はシャルルがナスカメモリの力を最大限に発揮している事に感心していた。

 

 

 

 

 

「そろそろ終わりにするね!」

 

シャルルはナスカメモリをナスカブレードに挿した。

 

「ナスカ・マキシマムドライブ!」

 

ナスカブレードにオレンジ色の雷撃が纏われ、さらにナスカのスラスターにハチドリの地上絵を模した翼「ナスカウイング」が纏われた。

 

「!!」

 

ナスカは超高速から繰り出される斬撃を打鉄に放ち、打鉄は戦闘不能に陥った。

 

「ここまでか…」

 

 

 

 

「ユニコーン・マキシマムドライブ!」

 

「喰らいやがれッ!」

 

ラウラと戦ってるエターナルもユニコーンのマキシマムでシュヴァルツァー・レーゲンを殴り、シールドエネルギーをゼロ近くまで減らした。

 

「私が…負けるのか…?」

 

ラウラはエターナルに手も足も出ずに負けるのかと考えてしまう。

 

「いや…私は、負ける訳にはいかないのだッ!」

 

それでもラウラは認めなかった。自分がエターナルに負けるなどあってはならないと。

 

″ドックン“

 

「!?」

 

その瞬間、ラウラの頭の中から声が聞こえてきた。

 

「力が欲しいか?」

 

「誰だ…?」

 

ラウラは突然問いかけてきた声に質問した。

 

「貴様は力が欲しいか?」

 

「誰だっていい…あの男を倒せるなら…力を寄越せッ!」

 

ラウラはエターナルを倒すために決めた。力を得る事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

「何だ!?」

 

その瞬間、ラウラに異変が起き、エターナルはすぐに離れた。

 

「うわぁぁぁーーーー!!」

 

シュバルツァー・レーゲンから突然電流が起きて、ラウラはドス黒い液状の物に包み込まれていった。

 

「あの姿は!?」

 

そして、ドス黒い液状の物は形になった。その姿は雪片を持った織斑千冬の姿だった。

 

「何でボーデヴィッヒがあの女の姿に!?」

 

「夏己!」

 

来賓席から試合を見ていた克己が来賓席から飛び降りてきてアリーナに来た。

 

「兄さん!」

 

「まさかあの黒兎の嬢ちゃんのI Sにあんなモンが仕組まれていたとはな。」

 

「あれを知ってるの!?」

 

「VTシステム。ヴァルキリー・トレース・システムの略でモンド・グロッソ優勝者の動きをまんまコピーしちまう最悪のシステムだ。条約で使用も開発も禁止されてるシステムをここで見るとはな。」

 

「そんな物がボーデヴィッヒのI Sに。」

 

「けど、あれを使ってる時は使ってる奴にかなり負担がかかる。下手すれば黒兎の嬢ちゃんは死ぬ。」

 

「!?」

 

エターナルは克己からこのままだとラウラは死ぬと聞かされ、一瞬迷いが生じるが。

 

「いや、あいつは織斑千冬に心酔してる。なら…!」

 

エターナルは何を考えたのかゾーンメモリを出したが。

 

「兄さん?」

 

克己がゾーンメモリを持った手の腕を掴み、エターナルを止めた。

 

「夏己。よく聞け。黒兎の嬢ちゃんはな、俺やお前と同じなんだ。」

 

「同じ?」

 

「あいつも自分が求めた明日が欲しくて今を足掻いているんだ。けど、求めてる明日が間違ってるだけだ。」

 

克己は黒い千冬を見た。

 

「あいつは織斑千冬になりたい。そんな明日が欲しいんだ。でも無理な話だ。自分は自分。他の誰でもないんだからな。お前が目を覚まさせてやれ。」

 

「兄さん。どうしてそこまで?」

 

エターナルは克己が何故ラウラに肩を持つのか聞いた。

 

「似た者同士。だからかな。」

 

克己は少し濁すような言い方で答えを言った。

 

「何か分からないけど、あいつを助ければいいんだろ?」

 

「ああ。今のお前なら出来るさ。それと生徒たちの避難は俺と弾たちに任せろ。弾は既に行っている。夏己、過去と決着をつけてこい。」

 

「…分かった!」

 

克己は被害の事を考え、弾たちと一緒に生徒たちの避難をしに行き、エターナルはエッジを構えた。

 

「シャルル。ボーデヴィッヒを救うために力を貸してくれ。」

 

「分かってる。それで作戦は?」

 

「超高速で奴を無力化させる。無力化した所で俺がボーデヴィッヒを引っ張り出す。行くぞ!」

 

エターナルはナスカメモリを出した。

 

「ナスカ・マキシマムドライブ!」

 

エターナルたちは超高速を使い、黒い塊を斬っていく。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒ。お前がどうしてそんな明日を求めてるかは知らねえけど、お前は織斑千冬にはなれねえんだよッ!」

 

エターナルは拳に青い炎を纏わせて塊を殴った。

 

「シャルル!下がれッ!」

 

塊が怯んだ隙を逃さずにエターナルはジョーカーメモリを挿した。

 

「ジョーカー・マキシマムドライブ!」

 

エターナルは塊にライダーキックを放ち、塊は液状化して中からラウラが出てきた。

 

「!!」

 

エターナルはすぐにラウラの手を引っ張り助けだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは…?」

 

ラウラはどこかの精神世界におり、目の前にはエターナルが居た。

 

「お前は…何故強いのだ…?」

 

ラウラはエターナルに聞いた。何故強いのかと。

 

「俺は強くねえよ。俺はただ足掻いているだけだ。」

 

「足掻いている、だと…?」

 

「自分が求めた明日が欲しい。そのためだけに足掻いてるんだ。」

 

「それは私も同じだ!私も!」

 

「お前は織斑千冬になりたい。けどそんなのは無理な話だ。」

 

「何だと!」

 

「自分は自分。他の誰でもない。お前は過去を消したいから織斑千冬になりたいんだろ?でもな、人はみんな消せない過去を持ってるんだ。だからもう織斑千冬になるなんて明日は求めるな。」

 

「今更私にどんな明日を求めて足掻けと言うんだ!」

 

ラウラはエターナルに言い返した。自分が織斑千冬になるという明日を求めて足掻くのをやめたら、どんな明日を求めて足掻けばいいのか分からなかったから。

 

「そんなの簡単だ。お前がお前として生きるための明日を求めて足掻け。」

 

「私が私として…だと?」

 

「そうだ。他の誰でもない。ラウラ・ボーデヴィッヒという一人の人間として生きるための明日を。俺も一緒に足掻いてやるから大丈夫だ。」

 

「私が私として生きるための…明日か…。」

 

ラウラは何か安心したような気持ちになり、ラウラの意識はそこで途絶えた。

 

 



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過去の懺悔

「…ここは?」

 

ラウラは目を覚ますと、医務室のベッドに居た。

 

「目が覚めたか。」

 

「教官…。」

 

ラウラは横を見ると、千冬がいた。

 

「何が起きたんですか…?」

 

ラウラはVTシステムに乗っ取られていた時の記憶がなく、何が起きたのか聞いた。

 

「これは重要案件及び機密事項だ。VTシステムは知ってるか?」

 

「ヴァルキリー・トレース・システムですか?」

 

「そうだ。…しかし、貴様のI Sに搭載されていたとはな。…私は一夏だけじゃなく、お前まで追い込んでいたとはな。私は本当に愚かな人間だ。」

 

千冬は一夏だけじゃなくラウラまで追い込んでいたと知り、戒めるような言い方で自分を愚かな人間と言った。

 

「そんな事はありません。教官のおかげで私は再び軍に返り咲く事が出来たんですから。」

 

「…その結果が今回の騒動だ。今日はもう休め。」

 

千冬は立ち上がり、医務室から出ようとした。

 

「教官、教えてください。あの男は本当に教官の弟なのですか?」

 

ラウラは千冬を止めて聞いた。夏己は千冬の弟なのかと。

 

「…ああ。だがあいつはどういう訳か、名前を変えて生きている。この間ようやくあいつの兄の大道克己に会えたが、何も聞けなかった。いや、私自身聞くのが怖かったのかもな。」

 

「教官がそこまで言うとは。」

 

「無駄話はここまでだ。」

 

千冬は医務室から出た。

 

「大道夏己…。」

 

ラウラは夕焼けを見ながら、夏己の名前を呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

「愚かな人間か。」

 

「大道社長。」

 

医務室から出ると、医務室の隣の壁に克己が寄りかかっていた。

 

「ドイツで指導していた部下が道を踏み外しかけるとは、あなたも随分と災難なお方だ。」

 

「…私を笑いにでも来たのですか?」

 

「いえいえ、来た理由はちゃんとあります。この間の話、夏己と弾が使ってる物について話しましょう。」

 

克己は夏己と弾が使ってるメモリの事を話すために千冬の元に来たのだった。

 

「そういえば、一つは無償で教えてくれるんでしたよね?」

 

「そうです。まああなたが知りたい真実はこんな事ではないでしょうが。ですが、織斑一夏については私も何も話す気はありません。知りたいのなら全てを失う覚悟を持ってもらわなければ。」

 

「全てを失う覚悟。」

 

「おっと、話が脱線する所でした。話しましょう。まず、二人が使ってるメモリはガイアメモリと言います。」

 

「ガイアメモリ?」

 

「地球の記憶が内包されたメモリ。いわば二人は地球に選ばれた存在なんですよ。」

 

「待ってください。話の内容が全く。」

 

千冬は克己がガイアメモリは地球の記憶が内包されており、夏己と弾は地球に選ばれた存在だと言われるも千冬は全くついていけなかった。

 

「このご時世、女どもの中には自分は神に選ばれた存在と言う輩も居ます。なら地球に選ばれた人間が居たって何の不思議もありません。」

 

「……。」

 

「それに二人はI Sではありません。それはもうお気づきですよね?」

 

「…はい。二人のはI Sでは出来ないような動きをしていたので。」

 

「まあガイアメモリの事についてはこれくらいでしょう。では、私はこれで。」

 

克己は振り向き、歩き始めたがすぐに足を止めた。

 

「あ、そうだ。一つ面白い事を教えてあげましょう。」

 

「面白い事?」

 

「夏己が使ってるエターナルは全てのI Sの機能を停止させる能力を持ってます。エターナルの意味通り、永遠に。」

 

克己は顔を振り向かせながらエターナルのマキシマムドライブの事を千冬に明かした。

 

「!?」

 

千冬は克己からエターナルの能力がI Sの機能を永遠に停止出来ると聞かされ驚愕する。

 

「永遠ってその事だったんですか!」

 

「どうやら永遠の意味を色々探ってたようですね。I Sを永遠に無力化させる。これが答えです。良かったですね。夏己が優しい奴で。あいつがI Sを完全に憎んでたら、この学園は今頃どうなってたか。」

 

克己は笑い様に言って、再び歩き出した。

 

「あの!…!?」

 

千冬は克己を止めようと声をかけたが、その瞬間、後ろから誰かの気配を感じ、後ろを振り向いた。

 

「いない…?」

 

後ろには誰もおらず、千冬はただ立ち尽くして居た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの子はいつになったら、辛い現実を受け入れるのかしら?」

 

違う場所に黒ずくめの女性がおり、女性は千冬に辛い現実を受け入れて欲しかった。

 

「…既にこの世界に居るのよ。ガイアメモリとは違う存在が。いずれあなたたちは巻き込まれる。早くした方が身のためよ。」

 

女性はガイアメモリとは違う存在が既にこの世界に居る事を知っているかのように語った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…尾けられてるな。」

 

廊下を歩いていた克己だが、克己は誰かにつけられていた。

 

「少し遊んでやるか。」

 

克己はそのまま歩き、克己の後を追っていた人物も後を追い、克己は曲がり角に入り人物も曲がり角に入ったが。

 

「いない!?」

 

そこに克己はいなかった。しかもそこは行き止まりの場所だった。

 

「一体どこに!?」

 

「俺をお探しか?」

 

「!?」

 

後ろから克己の声と同時に殺気を感じ、人物はすぐに振りむこうとするが。

 

「させるかッ!」

 

克己は人物の手を抑えて、さらに壁に叩きつけて腕で首を抑えた。

 

「いつから気づいていたの…?」

 

「織斑千冬と話している時からだ。」

 

「そこから気づいていたなんて、あなた只者じゃないわね…。」

 

「それはお前もだろ。」

 

「私はここの生徒よ。か弱い女の子をいつまで拘束するのかしら?」

 

「寝言をほざくな。お前はか弱いじゃない。危険と言うんだ。更織の暗部の現当主、更織楯無さんよッ!」

 

克己を着けていたのは楯無だった。

 

「何の用だ?」

 

「用と言うより、あなたの事を調べてたのよ。」

 

「俺の事を?サインが欲しいなら直接来い。」

 

克己は冗談を言いながらも、拘束する力を強めた。

 

「あなた、デュノア社の消滅に何か関わってるのよね?」

 

「どうしてそう思う?」

 

「あなたの弟、大道夏己が使ってるI Sよ。無人機が襲撃してきた時、あなたの弟が一人で無人機を破壊したけど、その時大道夏己のI Sからは緑色のオーラが出ていた。デュノア社は緑色の球体に包まれて消えた。オーラと球体は何か関係があるんでしょ!」

 

楯無はデュノア社消滅の謎を追うために克己の事を調べていたのだった。

 

「お前の想像に任せる。」

 

「そう。…だけど今はこの話よりさっきの話の方が気になるわ。」

 

「さっきの話?」

 

「大道夏己のI SがI Sじゃないのに、全てのI Sの機能を永遠に無力化出来るなんてどういう意味よッ!」

 

「そのまんまの意味だ。けどよ…これ以上詮索するなら、お前も地獄を見るぞ…」

 

克己は不気味な笑みを楯無に見せた。

 

「!?」

 

楯無はその顔を見て悪寒が走った。今の克己の表情は悪魔の顔と言っても過言ではないから。

 

「死ぬ方がまだマシな地獄を楽しませてやってもいいんだぜ…」

 

「あ…あ…」

 

そして、楯無は直感した。この男が言ってる言葉は嘘じゃない、本当だという事を。それだけじゃない、この男には勝てない。自分の体が恐怖で震えている事でそれに気付かされた。

 

「話は終わりか?なら俺は帰らせてもらう。」

 

「ハア…ハア…」

 

克己は拘束を解き、楯無は緊張が解けたためか酷い汗をかき、息を切らしながらその場に座り込んでしまう。

 

「更織。これだけは覚えておけ。この学園の明日は夏己の手の中にある事を。お前のバカな行動一つでI S学園は地獄に変わる。忘れるなよ。」

 

克己は楯無に警告をし、その場から立ち去った。

 

「大道克己…あなたは、何者なの…?」

 

残された楯無は克己に対して威圧感と恐怖を感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、夏己たちのクラスではある意味、騒動が起きていた。

 

「えー、今日も転校生を紹介します。」

 

歯切れの悪い真耶。それもそのはずだった。何故なら転校生は。

 

「シャルロット・デュノアです。皆さん、改めましてよろしくお願いします。」

 

「はあ?」

 

箒の一言と共にクラスは沈黙していた。

 

「まあ普通はこうだよな。」

 

夏己はクラスメイトのリアクションに納得していると。

 

「おい。」

 

「ボーデヴィッヒか。傷は大丈夫なのか?」

 

夏己の目の前にいつの間にかラウラがいた。

 

「傷は大した事はない。それより私の事はラウラと呼べ。」

 

「じゃあ、遠慮なく呼ばせてもら…!?」

 

その瞬間、夏己はラウラに制服を引っ張られた挙句にキスをされてしまう。

 

「お前は私の嫁だ!異論は認めん!」

 

「はあ?」

 

「うわぁ、また騒動が起きるな。」

 

夏己は何が起きたのか分からず、弾は周りを見ていた。

 

「夏己!これはどういう事だッ!」

 

「そうですわ!ちゃんと説明してください!」

 

夏己は箒たちから質問攻めに遭ってしまう。

 

 

「青春だねー!」

 

「…ゲーム・オーバー。」

 

堂本は笑いながら見ていたが、芦原はまた一言だけしか言わなかった。

 

 

 



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臨海学校前日

「……」

 

夜、箒は誰かに電話をかけていた。

 

「もすもすー!ひでもすー!みんなのアイドル篠ノ之束さんだよ!」

 

電話に出たのは箒の姉であり、I Sの生みの親、篠ノ之束だった。

 

「……!!」

 

箒はイラつきを覚え、電話を切ろうとする。

 

「あー!待ってよ!切らないで!箒ちゃん!」

 

「…姉さん、相変わらずですね…!」

 

「分かってるよ箒ちゃん。君だけの専用機が欲しいんだよね?それで大道克己からいっ君を取り返す事も!」

 

「…専用機が欲しいのは事実です。けど、それとこれは別です。」

 

箒はあくまでも専用機が欲しいだけで、夏己を一夏として連れ戻す気はなかった。

 

「そうなんだ。まあ箒ちゃんの専用機はもう完成してるよ!世界に一機しかない第4世代型I S、その名も「紅椿」!」

 

束は箒のために第4世代型I S「紅椿」を完成させていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏己はシャルロットと一緒に買い物に行くためにモノレールに乗っていた。

 

「ねえ夏己。どうして僕を誘ってくれたの?」

 

シャルロットはドキドキしながら夏己に聞いた。

 

「シャルロット、女性用の水着を持ってないだろ。俺も新しいのが欲しかったからついでにって思って。」

 

「つ…ついでに…」

 

シャルロットはついでにという言葉を聞いてショックを受けた。

 

「…あれ?そういえば弾は?」

 

「弾なら妹の蘭と一緒に買い物を行くって約束してたから、今日は朝一で実家に帰ったんだ。」

 

弾は蘭の買い物に付き合うために朝一で実家に帰っていたのだった。

 

「弾って、家族想いなんだね。」

 

「まあ荷物持ちが役割だけどな。」

 

夏己とシャルロットは楽しそうに話していた。

 

 

 

 

夏己とシャルロットは駅に着き、ショピングモールに向かってる途中。

 

「シャルロット。考えたんだけど、これからはシャルって呼んでいいか?」

 

「え!」

 

シャルロットは夏己から自分の事をシャルと呼んでいいか聞かれて顔を真っ赤にする。

 

「ど、どうして?」

 

「こっちの方が親しみがあるからな。嫌ならいいけど。」

 

「嫌じゃないよ!僕もその方が嬉しいよ!」

 

シャルロットは必死に嫌じゃないと言い、むしろそう呼んでと思っていた。

 

「じゃあ、シャル。行こうか。」

 

「うん!」

 

夏己とシャルはショピングモールに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ、あれってデートだよね?」

 

「そうですわね。」

 

物陰からセシリアと鈴が夏己とシャルの行動を見ていたが、二人の目はヤンデレ化していた。

 

「ようし…!ころ…」

 

「ムッキーーー!何なのよあの小娘!克己ちゃんだけじゃなく夏己ちゃんにまで手を出すなんて!」

 

「!?」

 

「おっさん誰!?」

 

セシリアと鈴の後ろに何故か京水までおり、京水はハンカチを噛みながら夏己たちを見ていた。

 

「こんな所に居たのかよ。勝手に動くな!」

 

さらに羽原、堂本、芦原も来て、羽原は京水に説教をかました。

 

「芦原さん、どうしてここに?」

 

「うげ!おっさんもいるの!」

 

「いい加減名前を覚えろ!俺は堂本剛三だ!」

 

堂本は片手で鈴の服の襟を掴み、持ち上げた。

 

「ちょっと!離しなさいよ!」

 

「これぞ人間UFOキャッチャーってやつか!」

 

「あたしは景品じゃないわよ!」

 

「あの芦原さん、夏己さんと弾さんの護衛は?」

 

「今日は私たち4人とも社長から休暇を取れって言われて休みになったの。二人もたまにはゆっくりしてくださいって彼らに言われたのよ。」

 

羽原たちは克己から休暇を言い渡され、仕事が休みのためショピングに来ていたのだった。

 

「もう夏よ!克己ちゃん好みのビキニを買わないと!」

 

「ドン引きするような事言うな!」

 

羽原は京水に肘打ちをかました。

 

「それより君たちのライバルの一人がグイグイ行ってるけど、いいの?」

 

「え?」

 

「あ!」

 

セシリアと鈴は前を見ると、ラウラが夏己たちの元に向かおうとしていた。

 

「早く行かねえと、取られちまうぞ。」

 

堂本は鈴を離し、セシリアと鈴はラウラの元に向かった。

 

「さてと、オッさん。変な物は買うなよ?」

 

「何言ってるの!私は克己ちゃんの好みのビキニを買いに来たのよ!克己ちゃん!待っててね!今行くからねェェェェェェーーーー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!?」

 

社長室で書類を処理していた克己は何かを感じ取った。

 

「何だこの寒気は?NEVERの時には感じなかったよな?死の感覚とも違う。…何なんだ?」

 

克己はある意味今まで感じた事がなかったものを感じてもそれが何なのかはよく分からなかった。

 

「克己。克己、聞こえますか?」

 

「…その声は死神か。どうした?お前から声をかけてくるとは珍しいな。」

 

「克己、まずい事になりました。」

 

「まずい事?」

 

「何者かがその世界にミュージアムが作っていたガイアメモリを持ち込みました。」

 

「ミュージアム。財団Xが投資してた組織か。」

 

死神は何者かがミュージアムが作っていたガイアメモリをI Sの世界に持ち込んだと克己に話した。

 

「それで、いくつ持ち込まれたんだ?」

 

「申し訳ありません。私にも数までは。…それだけではないのです。その世界にはあなたが行く前から別の敵勢力が入っていたのです。」

 

「どういう事だ?俺以外にも転生した奴がいたのか?」

 

さらに死神は克己がI Sの世界に来る前に別の存在が既に来ていた事も話した。

 

「今、その世界にはドーパント、ロイミュードと呼ばれる存在が隠れているのです。」

 

「ロイミュード?ドーパントとは別物か?」

 

「はい。大道克己。私はロイミュードに詳しい仮面ライダーをその世界に連れて行きます。彼ならきっと力になってくれるはずです。」

 

死神はロイミュードたちを倒すためにもロイミュードに詳しい仮面ライダーを連れて来ると克己に話した。

 

「アテがあるようだな。それと一つ聞くけど、I Sじゃドーパントやロイミュードってのは倒せねえよな?」

 

「はい。今の段階でドーパントたちを倒せるのはエターナル、アクセル、シャルロット・デュノアのI Sだけです。」

 

「シャルロットの?」

 

「忘れたのですか?シャルロット・デュノアのI SにはT2ナスカメモリが組み込まれているのを?そのおかげでシャルロット・デュノアもドーパントやロイミュードと戦えます。」

 

死神がロイミュードに詳しいライダーを連れて来るまでの間、ドーパント、ロイミュードに対抗出来るのは克己と夏己のエターナル、弾のアクセル、そして、シャルのナスカだけだった。

 

「まあ羽原たちもメモリは持ってるけど、あくまでも対I S用にしてるからな。まあ起きちまった事は仕方がない。しばらくは俺たちだけで何とかする。お前は早めにライダーを連れて来てくれ。」

 

「分かりました。」

 

死神は交信を切り、克己は書類を置いた。

 

「夏己たちはもうすぐ臨海学校。そこで何も起きなきゃいいが。」

 

克己は不安な気持ちになりながらスマホを出して、誰かに電話をかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとうございます。あなたが調べてくれたおかげで何とか克己に伝える事が出来ました。」

 

「ただでさえエターナルなんて厄介な存在が居るのに、また持って行かれるなんて。しかもドーパントとは別の存在まで行くなんて。…この世界は風都以上にまずい事になるわよ。」

 

死神が居る世界に千冬を見ていた女性がおり、女性は死神と話していた。

 

「それでそのメモリの適合者は見つかりましたか?」

 

死神は女性が持ってるメモリを見ながら聞いた。

 

「これは荘吉が使ってたメモリ。そんじょそこらの人には渡したくない。それにもう井坂みたいな過ちは繰り返したくないのよ。…私はもう復讐なんかしない。これを渡す人はちゃんと見定めるわ。自分の罪を背負える覚悟がある人に。」

 

女性はメモリを渡す人間は罪を背負える覚悟がある人間に渡すと決めていたのだった。

 

「園咲文音。あなたは随分織斑千冬を気にかけていますが。」

 

「今はシュラウドって呼んでちょうだい。…娘みたいな存在だからかしらね。私は一旦戻るわ。」

 

「はい。引き続き調査の方をお願いします。」

 

シュラウドはガイアメモリを持ち込んだ存在とロイミュードを追うために再びI Sの世界に戻った。

 



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臨海学校

臨海学校当日、夏己たちは泊まる旅館に来ていた。

 

「ここが泊まる旅館か。」

 

「デケエな。」

 

夏己と弾は泊まる旅館の大きさに圧倒されていた。

 

「夕方までは自由行動だ。それとこの旅館に1組だけだが一般客も泊まっている。迷惑をかけないようにな。」

 

「はーい!」

 

生徒たちは自分たちの部屋に荷物を置きに行った。

 

 

 

 

 

 

「部屋も広いな。」

 

夏己と弾も部屋に入り、荷物を置いた。

 

「夏己!海に行こうぜ!」

 

「だな!」

 

「海に行く前に俺から大事な話があるけどいいか?」

 

「え?」

 

「克己さん!?」

 

二人は克己が居る事に驚き唖然としていた。

 

「もしかして泊まってる1組の一般客って?」

 

「俺の事だ。まあ仕事もしなきゃいけねえから羽原と泉も来てるがな。」

 

「え…京水さん。女風呂に入らなきゃいいんだけど…。」

 

夏己と弾は羽原と京水も来てると聞き、京水が間違って女風呂に入らないか不安だった。

 

「それなら大丈夫だ。あいつは女には興味ない。迷いなく男湯に入るからな。」

 

「いやそれって俺たちが危険じゃないですか!」

 

結局のところ、京水が男湯に入ろうが女湯に入ろうが危ない事には変わりなかった。

 

「って、あいつの話はもういいだろ。それより大事な話があるからまずは座れ。」

 

「分かった。」

 

夏己と弾は畳に座り、克己も座り三人は対面で向かいあった。

 

「早速だが夏己。T2ガイアメモリを出してくれ。」

 

「うん。」

 

夏己は克己に言われ、T2ガイアメモリが入ったアタッシュケースを出して、ケースを開けた。

 

「おい、嫁が持ってるあれは何だ?」

 

「夏己さんが使ってるメモリです。夏己さんのI Sはあのメモリを使ってたたかうのですわ。」

 

夏己たちの部屋を箒たちが盗み見しており、ラウラは周りにガイアメモリの事を聞いてきた。

 

「それにあの男は?」

 

「あの人は大道克己。夏己のお兄さんだよ。ラウラ。」

 

「あのお方が夏己さんのお兄様。」

 

セシリアとラウラは克己の事をジッと見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…趣味の悪い事するな。」

 

克己は立ち上がると入口の襖まで行き、襖を開けた。

 

「きゃああぁー!」

 

箒たちは雪崩れの如く倒れてしまった。

 

「みんな!」

 

「何やってんだ?」

 

「俺たちの事を見てたんだ。これの事が知りたいのか?」

 

克己はアタッシュケースの元まで行き、T2ジョーカーメモリを取り、箒たちに見せた。

 

「見せてくれるなら全て見させてください。兄上。」

 

「はあ?お前何言ってるんだ?」

 

「私の嫁の兄なら、私にとっても兄上です。日本ではそういう言い方をすると聞いております。」

 

「…誰だよ。お前に間違った日本の知識を植え付けた奴は。」

 

克己はラウラの間違った日本の知識に唖然としていると、その隙に箒たちはアタッシュケースのT2ガイアメモリを見ていた。

 

「無人機の襲撃の時も見ましたが、こうして見ると色々違うのですね。」

 

「こんなにあるなら一個くらい分けてよ!」

 

「無理な話だ。そのメモリは専用のスロットがないと使えない代物だ。ほらほらせっかく海に来たんだから先に行って遊んでこい。」

 

「え!ちょっと!」

 

克己はさっさと箒たちを部屋から追い出したが、シャルだけは残した。

 

「あれ兄さん。何でシャルは?」

 

「…お前ら、奴らが。ドーパントがいずれお前たちの前に現れる。」

 

克己は真剣な表情をして、夏己たちにドーパントの事を話し始めた。

 

「ドーパント?何すかそれ?」

 

「そのメモリ、ガイアメモリの怪人だ。」

 

「怪人!?」

 

「そのメモリはな、お前たちはロストドライバーやアクセルドライバー、シャルロットの場合はI Sがドライバー代わりになってる。そのおかげで仮面ライダーの姿やI Sに近い姿だが、そのメモリを体に直接挿せばドーパントって怪人になるんだ。」

 

「このメモリが…。」

 

夏己たちは自分たちが使ってるメモリが怪人の姿にもなれると克己から聞かされ、メモリを見てしまう。

 

「もしドーパントが現れてみろ。マジでI Sとの大規模な戦争が起きちまう。だから、ドーパントが現れたらお前たちに倒していってもらいたい。メモリを破壊出来るのはメモリの力かもしくはそれと同等の力だけだ。」

 

「つまり、仮面ライダーの力だけが頼りって事?」

 

「ああ。これからはさらにキツイ特訓が待ってる。覚悟はいいか?」

 

克己はドーパントに対抗するために夏己たちをさらに強くさせるため特訓はよりハードになる。その覚悟はあるかどうか聞いてきた。

 

「あるに決まってるよ!兄さん!」

 

「俺もっすよ!」

 

「僕も!」

 

三人は迷わず答えた。覚悟はあると。

 

「よし、なら今日は思いっきり遊べ。ここからは俺もプライベートだ。」

 

克己はネクタイを取り、楽な格好になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏己たちは海に来て楽しんでいた。

 

「大道君!五反田君!ビーチバレーしようよ!」

 

クラスメイトの何人かが夏己たちをビーチバレーに誘った。

 

「そうだな、人数は。」

 

「なら俺たちと勝負するか?夏己。」

 

ビーチにはアロハシャツを着て短パンを履いた克己が来ており、克己は夏己たちに勝負を挑んできた。

 

「あれ、京水さんは?」

 

克己たちと一緒に羽原、堂本、芦原はいたが、京水だけはいなかった。

 

「ただいま縛り中です。」

 

「そうっすか…。」

 

弾は羽原の言葉を聞いて、京水が今何をされてるか想像出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んーー!んーー!」

 

京水は縛られた状態で旅館に置いていかれていた。

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ始めるか。」

 

チームは克己、弾、芦原の、夏己、羽原、堂本のチームで試合になった。

 

「行くよ。兄さん!」

 

夏己はサーブを打ち、試合は始まった。

 

「凄いね…。」

 

試合を見ていたクラスメイトたちは唖然としていた。夏己たちの試合は下手なプロより凄い試合になってたから。

 

「中々勝負がつかないね。」

 

「一旦ここまでにする。休憩だ。」

 

勝負は一旦お預けになり、夏己たちは休憩に入った。

 

「はいよ!焼きそばにカキ氷だ!」

 

「うわ〜美味しそう〜!」

 

 

 

「堂本さん。海の家の店主が似合うね。」

 

「ノリが体育会系だからな。」

 

ラムネを飲んでいた夏己たちは堂本の違和感のない姿に納得していた。

 

「…こんなに楽しい気持ちはいつ以来だ?」

 

克己は誰かと遊ぶという事に忘れていた気持ちを思い出していたが、最後に楽しかったのはいつ以来だったのかも考えていた。

 

「ドーパントが来るまでは楽しむとするか。」

 

克己はラムネを飲んで、瓶を置いた。

 

「夏己。ビーチバレー以外の勝負もするぞ。」

 

「うん!」

 

夏己は克己とビーチバレー以外の勝負をすることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつけば時間は夕方になっており、生徒たちは皆、旅館に戻っていた。

 

「……。」

 

克己は夕日が見える崖におり、そこで夕日を見ていた。

 

「大道さん。」

 

そこに千冬が来て、克己に声をかけた。

 

「織斑先生ですか。何か御用ですか?」

 

「生徒たちの面倒を見てくれてありがとうございます。私や山田先生より先生らしかったです。」

 

「年頃の子ですから、目を離すと何をしでかすか。…織斑さん。一つ聞いてもいいですか?」

 

「何でしょうか?」

 

「もし、この世界にI Sが全く通用しない。いや、I Sをガラクタ同然に出来る存在が現れたらどうしますか?」

 

克己はドーパントの事は言わずにI Sでは倒せない存在が現れたらどうするのか、千冬に聞いた。

 

「…突拍子もない事を聞きますね。そんな存在が居るなら会ってみたいですね。」

 

「流石はブリュンヒルデ。言う事が違いますね。」

 

克己は旅館に戻るのか、千冬の方に向かって歩き出した。

 

「奴らはいずれ俺たちの前に姿を現す。あんたも死を覚悟した方がいいかもな。」

 

「!?」

 

千冬は克己が耳元で囁いた″死″という言葉に顔色を変えてしまいその場から動けなかった。

 

「ドーパントの事を洗いざらい調べてみるか。ロイミュードに関しては詳しいライダーが来たら、そいつに聞くか。」

 

 

克己は旅館に戻ったらドーパントの事を調べ、ロイミュードに関しては死神が送ってくれるライダーから聞くと決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜、夏己たちは旅館で出された料理を食べていた。

 

「美味い!」

 

「流石は一流旅館。こんな美味いモンが食えるなんてな!」

 

夏己と弾は料理を堪能していた。

 

「?」

 

夏己はふと見ると、箒が自分の方をジッと見ていた。

 

「何だ?」

 

だが、箒はすぐに目を逸らしてしまい、夏己は気にせず食事を食べた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ミュージアムのガイアメモリ。」

 

部屋に居る克己は地球の本棚でガイアメモリの事を調べていた。

 

「こんなにあるのか。絞り込んでみるか。」

 

ガイアメモリに関する情報はあまりに多く、克己は絞り込んで検索を始めた。

 

「仮面ライダーダブルを苦しめたガイアメモリ。」

 

克己がそう検索すると、本棚が動き出し克己の前に4冊の本だけが残った。

 

「エターナルがあるのか。まあ当然か。メモリの機能を停止させたんだからな。後は…財団Xの野郎が使ってたメモリもか。まあいきなりこれが来るとは考えにくいな。」

 

克己は本を閉じて、違うのを検索し始めた。

 

「I Sのコアのカラクリ。」

 

克己はI Sの事を検索し始め、コアについて調べたが。

 

「ロックがかかってやがる。篠ノ之束でさえ分からない事も本棚なら分かると思ったが無理だったのか。」

 

コアに関する本はロックがかかっており、閲覧する事は出来なかった。

 

「まあいい。いずれは滅びる物だからな。」

 

克己は本を投げ捨て、現実世界に戻った。

 

 



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銀の福音

次の日、夏己と弾は専用機持ちと一緒にテスト稼働のために集まっていたが、その中には克己と箒も居た。

 

「専用機持ちの諸君。集まったな。」

 

「先生。どうして箒さんと夏己さんのお兄様まで?」

 

「大道社長は大道、五反田、デュノアのI Sのデータ収集のため。篠ノ之に関しては…」

 

「ちーーちゃんーーー!」

 

突然、誰かの大声が聞こえると崖から物凄い勢いで誰かが降りてきて、千冬に抱きつこうとした。

 

「ちーちゃん会いたかったよ!さあハグハグしよう!」

 

「お前は相変わらずだな。束。」

 

千冬に抱きつこうとしたのは束だった。だが千冬は束の頭を掴んでそれを阻止した。

 

「ちーちゃんも相変わらずだね!」

 

 

「兄さん。あの人が篠ノ之束。I Sの開発者だよ。」

 

「この世界を地獄に変えた張本人。あんなガキに振り回されるとか堕ちたもんだな。」

 

夏己は克己に束の事を話し、克己は少し虫唾が走るような顔で束を見ていた。

 

「箒ちゃん!言われてた物を持ってきたよ!」

 

束がそう言うと上から何かが降ってきた。

 

「あのガキ、てめえの妹に。」

 

降ってきたのはクリスタルの形をした物で、克己はそれが何なのか理解出来た。そして、クリスタルは開き中にはI Sが入っていた。

 

「これが箒ちゃんの専用機、第4世代型I S「紅椿」!」

 

「これが、私の専用機。」

 

箒は紅椿をジッと見ていた。

 

「あのガキはまた世界に地獄を見せる気か?」

 

克己は頭を悩ませるような表情で呟いていた。

 

「どういう意味?」

 

「世界はやっと第3世代の試験機に入れたんだ。その苦労をあのガキが全部水の泡にしたんだ。これじゃあドーパント以外の敵まで現れるだろうが。」

 

「まあ、それは言えてるかもね。」

 

夏己は克己の言葉に苦笑いを見せていた。

 

「じゃあ箒ちゃん!早速ファーストシフトを始めようか!」

 

「篠ノ之。」

 

千冬に言われて、箒は紅椿の元に行き、紅椿に乗った。

 

「じゃあ飛んでみよう!」

 

「はい。」

 

箒は紅椿を飛行させると、紅椿はとてつもない速さで飛行していた。

 

「流石は第4世代。今あるI Sのスペックを遥かに上回ってるな。けどエターナルの前じゃあただのガラクタなんだよ。」

 

専用機持ちたちは紅椿のスペックの高さに圧倒されるも、克己から見ればそれも所詮はガラクタだった。

 

「おいお前、この天才の篠ノ之束さんが作った紅椿に文句があるの?」

 

克己の声が聞こえた束は克己を睨んだ。

 

「別に。ただお前が作った物のせいでお前の妹の死ぬ確率が上がった事を知ってて作ったんだよな?バカ兎。」

 

「バカとは何だバカとは!お前!」

 

「相手になるならいいぜ。さっきから腹が立つ行動ばかりしててイラついてたところだから…!」

 

克己は拳を鳴らして、克己と束は一触即発状態になってしまった。

 

「あの二人、ヤバくない…?」

 

「兄上の恐ろしさが肌で感じる…。」

 

「夏己さん、弾さん。克己さんを!」

 

「いや、織斑先生が止めるみたいだな。」

 

夏己は克己たちを見ていると、克己と束の間に千冬が割って出た。

 

「束、やめろ。大道社長も…!?」

 

克己と束を止めに入った千冬は束を落ち着かせ、すぐに克己を見るが、克己の顔を見て固まってしまった。

 

「出たか。克己さんの悪魔の顔が。」

 

夏己と弾には今、克己がどんな顔をしているのか分かっていた。

 

「分かりました。ここはあなたの顔を立ててあげます。」

 

克己は引き下がるが、千冬は未だに固まっていた。

 

「織斑先生!」

 

「!!」

 

真耶の声が聞こえてきて千冬はその声でハッとし、真耶の方を見た。

 

「織斑先生!これを!」

 

真耶は千冬に端末機を渡し、千冬は端末機の内容を見た。

 

「特命任務レベルA。現時刻より対策を始めたりし。…テスト稼働は中止だ。これより専用機持ちたちには任務に入ってもらう!」

 

千冬は内容を読んだ後、夏己たちには任務に入ってもらうと告げた。

 

「…ただの任務で済めばいいが。」

 

克己は吹いてくる風を浴びながら、嫌な予感を感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何だよこの設備?」

 

旅館の一室に居た夏己たちだが、その部屋の設備に呆気を取られていた。

 

「2時間前、ハワイ沖で試験稼働を行なっていたアメリカとイスラエルの共同開発された第3世代I Sシルバリオ・ゴスペル。通称銀の福音が謎の暴走を起こし、監視区域から抜けた。情報によれば無人のI Sだそうだ。」

 

「無人のI S。」

 

「衛星の追跡ではここから2キロ先の海域を通る。時間にして50分後。それでI S学園上層部から撃墜命令が下り、我々がそれを行う。I S学園の教員たちが近くの海域を封鎖し、専用機持ちたちが福音を撃墜させる。何か質問はあるか?」

 

「はい。そのI Sの詳しいスペックデータを要求します。」

 

セシリアが銀の福音のスペックを質問した。

 

「銀の福音は特殊射撃による高域殲滅を目的とした軍用I Sだ。」

 

「高域殲滅か。エターナルの力なら無力化出来ますよ。」

 

夏己は立ち上がり、エターナルなら銀の福音を無力化出来ると伝えた。

 

「確かに夏己さんのエターナルなら。無人機の時に見せた技を使えば。」

 

「無人機なら手加減は必要ない。織斑先生。俺が行きます。」

 

「最初からそのつもりだ。大道、五反田。お前たちが銀の福音を…」

 

「ちょっと待った!」

 

屋根裏から束が現れ、ストップをかけた。

 

「束か。何の用だ?」

 

「ここは断然紅椿の出番だよ!紅椿のスペックならあんなI S、ちょちょいのちょいだよ!」

 

「お前な…仕方ない。大道、五反田、篠ノ之も同行させるが構わないか?」

 

「構いませんよ。ただ箒は後ろで見学させてくれるなら。」

 

「私の腕では不満なのか?」

 

箒は夏己の言葉を聞いて不満を漏らすが。

 

「そうじゃない。お前は実戦経験がない。そんなお前がいきなりあんなのと戦えば即お陀仏だ。分かるか?」

 

「……。」

 

「だからまずは見るのがお前の実戦だ。分かったか?」

 

「…分かった。」

 

箒は納得がいかないも夏己の言葉に了承した。

 

「よろしい。弾、行くぞ。」

 

「おう!」

 

夏己と弾はエターナル、アクセルのメモリを出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「気をつけろよ夏己。普通に破壊出来ればいいが。」

 

「昨日、兄さんが言ってたドーパントの事?大丈夫だよ。すぐに終わらせるから!」

 

廊下に居た克己は外に向かう途中の夏己に油断するなという思いで話し、夏己は外に出た。

 

「何も起きなきゃいいが…。」

 

それでも克己は不安を取り除けなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エターナルはバードメモリ、アクセルはブースターで海域を飛んでおり、銀の福音が通過するポイントの海域に着いた。

 

「あれか!」

 

エターナルたちはとてつもない速さで来る銀の福音に気づいた。

 

「さっさと終わらせるぜ!」

 

エターナルとアクセルはエッジとブレードを構え、福音を迎え撃とうとしたが。

 

「雨?」

 

突然雨が降り出したが、その雨は妙だった。

 

「夏己。この雨雲、俺たちだけの上にあるぜ!?」

 

アクセルの言う通り、周りは晴れていて雨雲はエターナルたちの上空だけにあった。だが、それも束の間、次は雷に竜巻、しまいには吹雪まで起き始めた。

 

「何だよこれ!?」

 

「夏己!お前ウェザーのメモリ使ってんのかよ!」

 

「使ってねえよ!よく見ろ!エッジには入れてねえし、腰の方もバードで埋まってるよ!」

 

「じゃあ誰がやってんだよ!?」

 

「まさか、あのI Sが!?」

 

箒はこの気象の変わりは銀の福音がやってるものだと勘違いしてしまうが、それを考えさせる暇も与えないのか、今度は銀の福音の上空に暗雲が立ち込めてきて、その暗雲から何かが出てきた。

 

「何だよ…あれ…?」

 

「竜…?」

 

エターナルたちは暗雲から出てきたものを見て言葉を失ってしまった。それもそのはずだった。暗雲から出てきたのは巨大な青い竜のような生き物だったから。そして、竜は銀の福音に襲いかかった。

 

「効いてないのか…?」

 

銀の福音の攻撃は竜には全く効いておらず、竜は口を大きく開けて銀の福音に噛みついた。

 

「あの竜、銀の福音を破壊するのか!?」

 

銀の福音は抵抗を見せるも、それさえ無意味だった。そして、竜は噛む力を強めた。

 

「マジかよ…。」

 

銀の福音は竜の口の中で粉々に砕け、残骸が無残に海の藻屑になった。

 

「……!!」

 

竜は再び口を大きく開けてエターナルたちを見た。

 

「弾、箒!気をつけろ!」

 

「分かってる!」

 

エターナルたちは武器を構えるが、竜は青い煙のようなものを吐いた。

 

「!?」

 

「痛っで!痛てて…何だ今の攻撃?」

 

「さあ、目眩しか?」

 

煙をもろに浴びたエターナルたちだが、エターナルとアクセルは体に少し電流が流れた程度で済んだ。

 

「あ…ああ…」

 

「箒?」

 

だが、箒だけは様子がおかしかった。

 

「い…いやあぁぁぁーーーーー!!」

 

突然箒は悲鳴を上げた。その表情は恐怖に怯えたような表情だった。

 

「どうしたんだよ!箒!」

 

エターナルは箒に必死になって呼びかけていると、紅椿に通信が入った。

 

「夏己!弾!篠ノ之を連れて早くそこから離脱しろッ!」

 

「兄さん!」

 

通信は克己からだった。克己はエターナルたちに箒を連れて早く逃げろと言った。

 

「でもあの竜みたいのを!」

 

「説明はする!いいから早くしろッ!」

 

「でも…」

 

すると、竜は暗雲に戻って行き暗雲も消えた。

 

「消えた!夏己!離脱するぞ!」

 

「…ああ!」

 

エターナルとアクセルは箒を連れて離脱した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「少し改良しただけであそこまで出来る。いいデータが取れました。」

 

どこかで銀の福音の戦いを見ていた人物がおり、その人物は三つのガイアメモリを持っていた。

 

「ですが、一人一人で使った方が効率がよい。あなたがたも一緒に挨拶に行きますか?今使ったこれを再び試すために。」

 

だが、人物が持っていたガイアメモリは夏己や弾が使ってるメモリとは違い禍々しい形をしており、メモリにはU、T、Wの文字が刻まれていた。

 



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ドーパント

箒を連れて旅館に戻った夏己と弾だが、箒は何かに怯えるように部屋に引きこもってしまった。

 

「何だったんだあの竜は?」

 

「分かんねえよ。けどかなりヤバいってのは分かる。」

 

夏己と弾は襲いかかってきた竜がかなり恐ろしい存在だと感じていた。

 

「みんな。」

 

そこに克己たちが来た。

 

「夏己さん、弾さん、お怪我はありませんか?」

 

「俺たちは大丈夫だ。でも箒が…。」

 

「何だったのよあの竜は?」

 

「軍用I Sをああも簡単に破壊するとは…。」

 

「大道さん。何かご存知ですか?」

 

「知っています。それについてお話があるので来てもらえますか?織斑先生。出来れば篠ノ之束も一緒に。」

 

克己は千冬に銀の福音を破壊した竜について話があるので来てくれと言い、さらに束も連れて来てくれと言った。

 

「束もですか。分かりました。」

 

克己と千冬は海岸まで行き、束は後から来た。

 

 

 

「さてと、銀の福音を破壊した竜ですが、あの竜はドーパントと呼ばれる存在が操ってる物です。」

 

「ドーパント?」

 

「夏己や弾が使ってるメモリの怪人です。」

 

「なあ!?」

 

「あのメモリって怪人にもなれるんだ!」

 

千冬は夏己たちが使ってるメモリが怪人にもなれると聞き驚きを見せるが束は興味を示していた。

 

「残念だったな篠ノ之束。せっかくてめえが作った第4世代のI Sのスペックを世界に見せる舞台がドーパントのヤバさを見せつける舞台になったんだからな。天才が利用される。いい笑いモンだな。」

 

「ぐぬぬ…!」

 

「大道さん、何の話ですか?」

 

「お前も気付いているだろうが。そいつの妹が専用機を手に入れた途端に軍用I Sが謎の暴走。こんな都合の良い話があるか?そのバカがシステムを乗っ取ってこっちに来るように仕向けたんだよ。」

 

「……。」

 

「全部知ってたお前は猿芝居に付き合った。そうだろ?白騎士。」

 

「!?」

 

千冬は克己が言い放った言葉に顔色を変えてしまう。

 

「この世界も本当に哀れだよな。たった二人のガキに振り回されて今に至るんだからな。けど、ここからはもうてめえらだけでどうする事も出来ない。ここから先は俺たちだけでやる。織斑千冬、お前は学園の連中に首輪を着けて大人しくしてろ。」

 

克己はドーパントに関して首を突っ込むなと言い、千冬には学園の人間を抑えろと言った。

 

「お前…言いたい放題言いやがって!それにいっ君を返せッ!」

 

「バカか?あいつは自分から織斑ー夏の名前を捨てたんだ。もうてめえらの道具じゃねえだよ…!」

 

「お前ッ!」

 

束は克己の言葉にキレてしまい、克己に殴りかかった。

 

「束!」

 

千冬が止めるも遅く、束の拳は克己に当たる直前だった。

 

「やっぱりガキの躾にはこれがいいのか?」

 

「!?」

 

だが、克己は束の拳を受け止めていた。

 

「クソガキ…てめえにも地獄を楽しんでもらおうか…!」

 

克己は束の拳を強く握り、束の拳から何かが折れる音がした。

 

「本当にバカなガキだなッ!」

 

克己は束の腹部に蹴りを入れ、束は吹き飛ばされた。

 

「束!」

 

千冬はすぐに束の元に行った。

 

「束、大丈夫か!」

 

「ゲホ!ちーちゃん…あいつ…何かヤバいよ。」

 

「大道さん!いくらなんでもやりすぎです!」

 

千冬はこっちに向かってくる克己に言うが。

 

「やりすぎ?これくらいでか…!」

 

克己は千冬も殴り、千冬は砂浜に転がった。

 

「大道さん…何を…?」

 

千冬は突然殴られた事で訳が分からなくなった。

 

「てめえの弟が味わった痛みはこんなモンじゃねえよッ!」

 

克己は千冬の服を引っ張って無理矢理立たせてまた殴っては蹴り飛ばした。

 

「一夏の痛み…」

 

波打ち際に倒れた千冬はこの痛みよりも一夏はもっと酷い痛みを味わっていたと克己に言われ、千冬は泣きそうになってしまう。

 

「どんな気分だ?今まで地に伏せた事がない奴が地に倒れる気分は?」

 

克己は砂に汚れ、海水でビショビショになった千冬を笑いながら見ていた。

 

「哀れな奴だな。地獄を見た途端にそんなツラをするとはな。…てめえの弟はずっとそんなツラをしてたんだよッ!」

 

克己はトドメの一撃のように千冬の腹部に蹴りを入れた。

 

「バカと関わるのも疲れる。俺はあいつらにドーパントの事を説明するから戻る。」

 

克己はこれ以上千冬たちに関わるのはバカらしいと感じ、旅館に戻ろうとする。

 

「織斑千冬。てめえは死ぬまで地獄を見ないと、あいつの苦しみや痛みは理解出来ねえよ。いやこれから先はその考えがなきゃ生きていけねえよ。」

 

克己はドーパントとの戦いには苦しみや痛みが必要だと千冬に言い残して旅館に戻った。

 

「苦しみや痛みか…。いやあの人の言う通りだ…一夏、すまない…。今までお前の苦しみに気づいてやれなくて…。」

 

千冬は泣きながら一夏に謝罪した。

 

 

 

 

 

 

 

「辛い現実は受け入れたわね。でもまだあなたには覚悟が足りないわよ。全てを敵に回す覚悟。それがこれから始まる地獄を耐え抜く力になるのよ。」

 

シュラウドが千冬の事を見ており、シュラウドは千冬に更なる覚悟を持って欲しいと願っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

旅館に戻った克己は夏己、弾、専用機持ちたちに竜が出した攻撃の事を説明していた。

 

「精神干渉波?」

 

「何それ?」

 

「相手の体ではなく精神を攻撃する特殊な攻撃だ。そして、あの竜が使ったのは相手の恐怖を増幅させるテラーフィールドと呼ばれている。」

 

「恐怖だと!?」

 

専用機持ちたちは竜の放った攻撃が恐怖を増幅させる攻撃だと知り、顔色を変えてしまう。

 

「篠ノ之箒はその恐怖に負けてあんな風になったんだ。」

 

「ですが、夏己さんと弾さんは何も起きなかったですわ!」

 

「それはあの二人が精神干渉波の耐性を持ってたから何ともなかったんだ。ごく稀にいるんだ。精神系の攻撃が全く効かない人間が。」

 

「耐性って何よ?」

 

「簡単に言えばウイルスの抗体だ。それにあの竜を操ってた奴がどこかにいたはずだ。」

 

「あんなのを操ってるのがいるの!?」

 

「あの竜は操ってる奴の体の一部だからな。奴の名はドーパント。ガイアメモリの怪人だ。」

 

「ガイアメモリって夏己さんと弾さんが使ってるメモリですよね!?」

 

「そうだ。しかもあの場所周辺には二体のドーパントが居たはずだ。竜を操ってたテラー・ドーパント、天気を操ってたウェザー・ドーパントが。」

 

「天気って、あれも操ってたの!?」

 

専用機持ちたちは天気も操って作られたものだと克己から聞かされさらに驚愕してしまう。

 

「まさかこんなに早く来るなんて。」

 

「いきなり奴らとの実戦だ。夏己、弾、シャルロット。いつでも行ける準備をしておけ。」

 

「分かってるよ。兄さん。」

 

「ちょっと!あたしたちは!」

 

「奴らにI Sは効かない。忘れたのか?軍用I Sをガラクタ同然に破壊したんだ。お前らじゃ即殺される。ましてや相手は恐怖と気象を操る奴だ。I Sの絶対防御が効くか?だからお前たちは手を出すな。」

 

克己は鈴たちにドーパントにはI Sは通用しない。まして相手は恐怖と気象を操る敵、尚更効くわけないから手を出すなと警告した。

 

「確かに恐怖や自然現象を防ぐ術はありません。ですがそれでも!」

 

「我々にも出来る事があるはずです!兄上!」

 

「それにシャルロットは何で弾たちと一緒なのよ!」

 

「シャルロットのI Sには夏己たちと同じタイプのT2ガイアメモリが組み込まれている。そのおかげでシャルロットはドーパントと戦える。」

 

「ならわたくしたちのI Sにもメモリを組み込めば!」

 

「兄上!我々のI Sにもメモリを!」

 

セシリアたちはドーパントには戦えるようにするためにガイアメモリを自分たちの専用機に組み込んでくれと頼み込むが。

 

「それは無理な話だ。」

 

「何でよ!」

 

「シャルロットは俺の会社に所属してるから出来たんだ。お前たちは国に所属してるだろ。国が支給した装備以外は取り付けられない決まりになってる。勝手な事をやったらお前らは代表候補生から外れるぞ。」

 

「しかし、あの怪物と戦うのに国など関係ありません!」

 

「上の連中はドーパントの存在は公にもしない、認めもしないだろ。I Sより強い存在が居てたまるかって事で。」

 

「何よ…それ…」

 

鈴たちは克己の言葉で悔しさを覚えると、雷が落ちたような大きな音がした。

 

「今のは!?」

 

「来やがったか。」

 

克己はすぐに外に向かい、夏己たちも外に向かった。

 

 



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襲来

「……」

 

箒は布団に包まり怯えていた。テラードラゴンが放った精神干渉波によって恐怖が増幅し、恐怖に飲み込まれてしまったから。

 

「怖いのかしら?」

 

「え…?」

 

箒は顔を上げるとそこにはいつの間にかシュラウドが居た。

 

「あなたは恐怖に負けて逃げた。けど、逃げれば逃げる程、最後には自分に返ってくるのよ。」

 

「私は…もう…。」

 

「そのまま行けば、あなたは最後何も出来ずに絶望感を持って死ぬわよ。それでもいいの?」

 

シュラウドは箒にこのままだと絶望感を持って死んでしまう事を伝えた。

 

「嫌だ…私は…死にたくない…。」

 

箒はシュラウドに言われた言葉で泣いてしまう。

 

「なら、逃げずに戦いなさい。そうすれば明日を生きれる可能性は上がる。今のあなたに出来る事はそれだけよ。奴らはもう来ている。いつここに来るのか分からない。…恐怖を克服するのは過酷よ。けど、それが人の運命なのよ。あなたはいずれ大切な人と敵になる。今からでも遅くない。彼らの元に早く行きなさい。」

 

シュラウドはそれだけ言い残して部屋から出た。

 

「私は…」

 

残された箒は震えている自分の手をただ見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あそこか!」

 

雷らしきものが落ちた場所に着くとそこは海岸で砂浜から煙が出ていた。

 

「…誰か出てくるな。」

 

煙の中から足音が聞こえてきて克己たちは警戒した。

 

「久しぶりですね。大道克己。」

 

「お前は…財団Xの!?」

 

煙の中から一人の男が出てきたが、克己はその男を知っていた。その男は克己に倒され、仮面ライダーダブルに倒された男、加頭順だった。

 

「お前だったのか、この世界にガイアメモリを持ち込んだのは。」

 

「それはあなたも同じじゃないですか。しかしあなたとまた戦うとは、これも運命なのですかね。」

 

加頭はユートピアのメモリを出した。

 

「あのメモリは!」

 

「気をつけろ!あのメモリはヤバい!」

 

夏己たちは加頭の出したユートピアメモリに驚く中、加頭はガイアドライバーを着けて、メモリを起動させた。

 

「ユートピア!」

 

その瞬間メモリは意思を持ってるかのように勝手にガイアドライバーまで行き、ガイアドライバーに挿さった。

 

「!?」

 

ユートピアメモリがガイアドライバーに挿さったのと同時に夏己たちの体が勝手に浮き始めた。

 

「何よこれ!?」

 

「体が勝手に!」

 

セシリアたちは何が起きたのか分からず、ユートピアメモリは完全に挿さり、加頭の体から青炎、雷が放たれ加頭は姿を変えた。

 

「あれが…ドーパント…?」

 

加頭はユートピア・ドーパントに変身し、理想郷の杖を振った。

 

「やはり私はユートピアとは適合値が高い。久々に使わせてもらいますよ。」

 

「やるしかない。弾!シャル!」

 

「おう!」

 

「うん!」

 

夏己と弾はエターナル、アクセルに変身し、シャルもナスカを展開した。

 

「エターナルにアクセル。その姿をまた見るとは。…ですが、私一人で来た訳ではありませんよ。」

 

ユートピア・ドーパントは指パッチンすると、ユートピアの後ろからテラードラゴン、左右から雨と突風が起こった。

 

「!?」

 

「私は既にこの世界で協力者を手に入れたのですよ。」

 

「あいつらは!?」

 

ユートピア・ドーパントの左右からテラー・ドーパント、ウェザー・ドーパントが歩いてきて、二体はユートピアの左右に並び、テラードラゴンはテラー・ドーパントの頭部に戻っていった。

 

「よりにもよってこいつらが同時襲撃か…。」

 

「何なのよ…この怪物ども…」

 

「怪物とは失礼ですね。我々は地球に選ばれた存在なのですよ。」

 

「地球に…選ばれた存在だと…?」

 

ラウラはウェザー・ドーパントが言った言葉の意味が理解出来なかった。

 

「あなた方女性はI Sを使える事で自分は神になったと思いでしょうが、私たちは違う。進化した存在なのです!」

 

テラー・ドーパントは再びテラードラゴンを出し、ウェザー・ドーパントも雷や吹雪を起こした。

 

「ウェザーの多彩な力を思い知れッ!」

 

ウェザーはアクセルの周りに雷雲を発生させた。

 

「何だこれ…!?」

 

雷雲から雷が放たれアクセルは雷をまともに喰らってしまう。

 

「弾!」

 

「あなたの相手は私です。」

 

アクセルを助けに行こうとしたエターナルの前にユートピア・ドーパントが乱入した。

 

「邪魔するな!」

 

エターナルはユートピア・ドーパントに殴りかかるが、ユートピア・ドーパントの重力を操る力で触れる事が出来なかった。

 

「大道克己より全然ですね。」

 

「だから何だ!」

 

エターナルはエッジを巧みに使うも、理想郷の杖に上手く捌かれ、ユートピア・ドーパントは炎を纏った蹴りを放った。

 

「クソ!」

 

エターナルも負けじと腕に青い炎を纏わせてパンチとキックはぶつかりあった。

 

「あれがドーパントの力なのか…?」

 

「夏己さんが苦戦する程の存在…わたくしたちでどうにか出来るのですか…?」

 

「うわあぁぁぁぁーー!!」

 

「弾!?」

 

アクセルの悲鳴が聞こえると、アクセルは雷を食らった挙句にテラードラゴンに噛まれていた。

 

「早くしないと友達が死にますよ。」

 

「シャル!」

 

エターナルはテラー・ドーパントと戦ってるシャルロットを見るが、シャルロットもテラー・ドーパントに苦戦していた。

 

「大道克己。そろそろあなたも首を突っ込んだ方がいいのではないですか?」

 

「…かもな。」

 

克己はT1エターナルメモリ、ロストドライバーを出した。

 

「おや?また面白いものが見れますよ。加頭さん。」

 

テラー・ドーパントは何かを見ると攻撃をやめて、テラードラゴンもアクセルを離し、テラーの頭部に戻っていった。

 

「弾!」

 

アクセルは地面に放り出され変身が解除されてしまった。

 

「あの竜…マジで噛み砕こうと…」

 

弾の制服は血で真っ赤に染まっており、セシリアたちは弾の姿を見て、顔を真っ青にしてしまう。弾でさえこの状態。I Sを使ってるとはいえ、生身の肉体を出してる自分たちがテラードラゴンに噛まれれば間違いなく死は免れないと悟ったから。

 

「分かりましたか?世界最強と言われてるI Sも我々の前ではタダのガラクタ。いやこのウェザーの多彩な力の前にI Sなど意味がない!」

 

ウェザー・ドーパントは高笑いしながらセシリアたちに言い放った。

 

「やはり最後に頼れるのは己ですかね?」

 

ウェザー・ドーパントもテラー・ドーパントが興味を示したものを見た。

 

「ほう、恐怖に打ち勝ちましたか。」

 

ユートピアもテラーが見てるものを見て、それに興味を示していた。

 

「箒!?」

 

そこには箒がおり、箒はゆっくりとこっちに近づいた。

 

「怖い…死にたくない…けど、けど…!」

 

箒は喝を入れたかのような顔になり紅椿を展開した。

 

「私は…もう逃げない…!」

 

箒は刀を構えたが、その手はまだ震えていた。

 

「あんたに喝を入れられるなんてね…!」

 

鈴は何を考えたか、突然、両手で自分の頬を叩いた。

 

「セシリア!ラウラ!あたしたちも行くよ!」

 

「…はい!」

 

「ああ!」

 

鈴に言われ、セシリア、ラウラも喝を入れ、三人も専用機を展開した。

 

「…今日はこれくらいにしましょう。私たちは挨拶に来た程度ですから。」

 

「ウェザーの多彩な力を見て、少しは効果がありましたからね。」

 

「だが、いずれはここでの恐怖がまともに感じるくらいの恐怖が襲いかかる。その顔を拝むためにも。」

 

テラーとウェザーもユートピアの左右に並び、テラーはテラーフィールドを放ち、三体はテラーフィールドの中に消えて行った。

 

「一旦引いたみたいだな。夏己。弾を運ぶぞ。」

 

「…弾!!」

 

エターナルはすぐに変身を解き、夏己たちは弾を旅館まで運んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの野郎、次は倒す。」

 

「弾、動くな。傷が結構ヤバいんだから。」

 

布団に横になっていた弾は次こそはドーパントを倒すと決意していた。

 

「普通なら死んでてもおかしくないのに、みんなビックリしてたわよ。弾の体の頑丈さに。」

 

「俺を殺せるのは夏己か克己さんだけだ。」

 

「それは自慢なのでしょうか?」

 

セシリアたちは弾の言葉に唖然としていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別室で克己は襲撃してきた加頭たちの事を千冬と真耶に説明していた。

 

「では、その加頭という男が銀の福音を破壊した。」

 

「そうです。そしてついさっきも奴は襲撃してきました。テラー・ドーパント、ウェザー・ドーパントを引き連れて。」

 

「まさか、本当に怪物の仕業なんて…信じられません。」

 

真耶は克己の言葉が未だに信じられなかった。本当に怪物が存在する事に。

 

「奴は既にメモリを渡していた。これから先奴はメモリを売る可能性があります。」

 

「売るって、怪物になるって分かって買う人がいるんですか!」

 

「今のご時世はカモで溢れてますよ。I Sのせいで人生を滅茶苦茶にされた男がわんさかいるんですから。いいですか?絶対にドーパントに関しては首を突っ込まないでくださいよ。」

 

「…分かりました。」

 

「織斑先生!」

 

「山田先生。大道さんの言う通りだ。我々でどうにか出来る存在ではない。大道さんたちを襲撃した奴らは気象に恐怖、重力まで操ったという報告を聞いてるからな。ただ多少の協力はいいですか?」

 

「構いません。では、自分はこれで。」

 

克己は別室から出て、別室には千冬と真耶だけが残った。

 

「織斑先生。その顔の傷はどうしたんですか?大道さんは何も聞かなかったのですが。」

 

真耶は千冬の顔にある克己に殴られて出来た傷や腫れの事を聞いた。

 

「…クラゲと野良猫にやられただけです。」

 

千冬は克己に殴られたとは言わずにクラゲと野良猫にやられたと嘘をついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当に素晴らしい物だ。これは。」

 

どこかの豪華な部屋に加頭たちがおり、ウェザー・ドーパントに変身していた研究者の男はウェザーメモリをまじまじと見ていた。

 

「ここからは実働部隊に動いてもらいます。あなたでは無駄に殺しかねませんから。」

 

 

「ですが、彼のおかげで私たちの事は揉み消される。とんでもないスポンサーをゲットしましたね。」

 

もう一人の研究者の男が目を向けた場所には机とプレートがあり、プレートには国家防衛局長官という文字が書かれていた。

 

「あなたには感謝してます。参議院でありながら国家防衛局長官まで務める真影壮一さん。」

 

加頭がそう言うと椅子が動いて、紳士的な男性が座っていた。

 

「私はね。君が来る10年前からこの世界に居たんだ。君の言う理想郷とやらに興味を持った。そして、あの短時間で篠ノ之束まで攫った。だからスポンサーになったんだよ。」

 

「では引き続きあなたには影から色々と動いてもらいます。真影さん、いえ、ロイミュード001。」

 

加頭が真影にそう言うと真影の体が機械人形みたいな姿になり、胸のプレートには001という数字が刻まれていた。

 



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新たなライダー

この二人を出しました。残り一人を出そうか今考え中です。


「たくよ、全然会えねえじゃねえか。どこにいるんだよ大道克己は?」

 

「焦るな剛。俺たちは仮面ライダーとしての使命を果たすためにこの世界に来たんだ。仮面ライダーとして戦っていればいずれ会える。」

 

「けど、人間として生まれ変わったお前と一緒に戦えるなんて、神様に感謝だな。チェイス。」

 

「俺も感謝してる。ロイミュードだった俺が人間になれたんだから。」

 

川の上の橋の上に二人の青年が居た。二人の名は詩島剛、チェイス。二人も別の世界の人間だが、ある理由があってこの世界に来ていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間前、剛は愛用のバイク、ライドマッハーを止めて空を眺めていた。

 

「チェイス。必ずお前を復活させるからな。お前は俺の大事なダチなんだからな。」

 

剛は形見でもあるチェイスの免許証を見ながら決意していた。必ずチェイスを復活させると。

 

「剛…詩島剛。」

 

「?」

 

剛は突然聞こえてきた声を聞き、辺りを見渡した。

 

「!?」

 

その瞬間、剛は強い光に飲み込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…どこだここ?」

 

剛は気がつくと真っ白な世界に居て、辺りを見渡した。

 

「…チェイス!?」

 

剛が前を見ると、そこにはチェイスが居た。

 

「剛。何故ここに?」

 

チェイスは剛の声を聞いて振り向いた。

 

「それはこっちの台詞だ。それよりここはどこなんだよ!」

 

「それはこいつに聞け。」

 

チェイスは前を見ると、そこには克己をI Sの世界に送った死神が居た。

 

「誰だよあんた?」

 

「私はチェイスに肉体と人の命を与えた存在です。チェイスはこれから人間として生きる事が出来るのです。」

 

「はあ?それって…」

 

「剛。俺は生まれ変わった。人間として生きていけるんだ。」

 

「マジかよ…じゃあ…」

 

剛は死神とチェイスの言葉を聞いて嬉しさのあまり膝を崩してしまう。

 

「だが、俺にはやらなければいけない事が出来た。」

 

「やらなければいけない事?何だよそれ?」

 

「ある世界にあなたたちの因縁の敵であるロイミュードが行ってしまったんです。その世界に行ったロイミュードは001。001は再び復活したのです。」

 

「!?」

 

剛は死神から001が再び復活したと聞き、顔色を変えた。

 

「それだけじゃない。その世界にはドーパントと呼ばれる怪人どもも居るらしい。俺はこれからその世界に行き、その世界で戦ってる仮面ライダーに協力する。」

 

「仮面ライダーは既に居るのか。後、俺を呼んだ理由は何だ?」

 

剛は死神に自分をここに呼んだ理由を一応聞いた。

 

「あなたはチェイスを復活させるために頑張っていました。だからこそ、あなたにはチェイスと共に戦ってもらいたいのです。ですが…」

 

「何だ?」

 

「私は死んだ存在を送る事が出来るだけ。生きた人間を別の世界に送れば、あなたは二度と元の世界には帰れなくなってしまうのです。」

 

「……。」

 

剛は自分が別の世界に行けば、二度と元の世界に帰れなくなってしまうと死神から聞かされ、一瞬考えてしまうが。

 

「構わねえよ。ダチと一緒なら右も左も分からねえ世界なんか怖くねえ。それにあんたはチェイスを復活させただけじゃなく人間にまでしてくれた。ある意味俺の頼みを聞いてくれた。ギブアンドテイクだろ。俺はチェイスと共に戦う。覚悟はあるぜ。」

 

剛はすぐに答えた。自分はチェイスと共に戦うと、元の世界に二度と戻れなくてもその覚悟はあると。

 

「流石ですね。あなたの親友は。」

 

「これが詩島剛だ。剛、行くぞ。」

 

剛とチェイスの前に光が現れた。

 

「それじゃあ行きますか。別の世界に。」

 

二人は光の中に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで来たはいいが、3日は探してるぞ。」

 

「けど、それ以外の情報収集は出来たんだろ?」

 

「ああ。この世界はインフィニット・ストラトス。通称I Sって呼ばれる兵器がある。でもこの兵器は女にしか使えない欠点がある。そのせいでこの世界は女尊男卑に染まっちまった。そのせいで女はすぐにデカい態度に出る。」

 

「なら、ガイアメモリに手を出す確率が上がるのか。」

 

「無理もねえ話だ。女に復讐するって言って手を出す輩がとんでもない数だからな。」

 

「クリムが居たら何て言うか。」

 

剛とチェイスはI Sの世界を調べた事でクリム、ベルトさんが居たら何を言うか考えてしまう。

 

「剛。俺たちはあの子たちの事は守れるのか?」

 

チェイスは橋の下の川で遊んでいる三人の男子児童を見た。

 

「それくらい出来なきゃ仮面ライダー失格だ。」

 

剛は笑顔で答えて、チェイスは不器用な笑顔で返した。

 

「せっかく人間になったんだ。人間の感情をもっと勉強しろ。笑顔はこうだ!」

 

「こうか?」

 

剛は笑顔の見本を見せて、チェイスはそれを真似した。

 

 

 

 

 

 

 

 

川の水面、何かが男児たちを見ていた。

 

 

「すげえな!」

 

川で遊んでいた男児たちは川の生き物を取るのに夢中になっていた。そして、水面から何か出てきた。

 

 

 

 

 

 

 

「うわあぁぁぁーーー!!」

 

「!?」

 

男児の悲鳴を聞いた剛とチェイスはすぐに下を見た。

 

「何だあれ!?」

 

男児がタコの脚のようなものに足を引っ張られて川に引きずり込まれそうになっていた。

 

「!!」

 

チェイスはすぐに橋から飛び男児の元に駆けつけた。

 

「チェイス!」

 

剛もすぐに後を追った。

 

「すぐに助けてやる!」

 

チェイスは男児の手を握り必死に引っ張った。

 

「お前たちは早く逃げろ!」

 

剛は二人の男児に言い、男児たちは逃げた。

 

「助けて!助けて!」

 

男児は必死にチェイスの手を握った。

 

「必ず、必ず助ける!」

 

チェイスは絶対に助けるという想いで引っ張るが。

 

「!?」

 

川から別の脚が現れてチェイスを叩き、チェイスはその一撃で手を離してしまった。

 

「なあ!」

 

男児はそのまま川の中に引きずり込まれてしまった。

 

「ロイミュードなのか!」

 

剛はマッハドライバーを出して着けた。

 

「シグナルバイク!」

 

剛はマッハドライバーにシグナルバイクを入れて装填させた。

 

「レッツ…変身!」

 

「ライダー・マッハ!」

 

剛は仮面ライダーマッハに変身し、ゼンリンシューターを構えた。

 

「やめろ!剛!」

 

「!?」

 

チェイスに言われ、マッハは撃つのをやめた。

 

「まだこの中に子供がいる。捜すぞ!」

 

「その必要はない。」

 

「?」

 

「…ロイミュードではない。ドーパントか?」

 

マッハとチェイスの前にユニコーンの姿を模し、槍を持った怪人、3つの犬の顔を持ちケルベロスを模した怪人が現れた。だが二体にはロイミュードの特徴である数字が書かれたプレートは胸になかった。

 

「俺たちはガイアメモリに選ばれた存在。今のガキもガイアメモリにいずれ選ばれる。」

 

「あんなちびっ子にまで使うとかかなり腐った連中だな!」

 

「俺も同感だ。」

 

チェイスもマッハドライバー炎を着けた。

 

「シグナルバイク!」

 

「変身!」

 

「ライダー・チェイサー!」

 

チェイスも仮面ライダーチェイサーに変身し、シンゴウアックスを構えた。

 

「ガイアメモリの力、思い知れッ!」

 

ユニコーン・ドーパントは槍を構え、ケルベロス・ドーパントは爪を向けた。

 

「行くぞ。」

 

チェイサーはシンゴウアックスを振り、ユニコーンは槍を巧みに使い、互角の戦いを繰り広げた。

 

「マッハで片付けてやるぜ!」

 

マッハはシグナルカクサーンのシグナルバイクを装填させた。

 

「シグナルコウカン・カクサーン!」

 

ゼンリンシューターから撃たれた光弾が拡散してユニコーンとケルベロスに当たりかけるが。

 

「無駄だ!」

 

ユニコーンは巧みな槍捌き、ケルベロスは三つの頭から炎、雷、風を放ち、光弾を全てガードした。

 

「げえ、こいつら何気に強いな。」

 

「ロイミュードとは全く違う強さか。」

 

「貴様らが仮面ライダー。いや、聞いてた姿と違うな。」

 

「この世界に既にいる仮面ライダーか。で、お前たちの本当の目的は何だ?あんな子供にガイアメモリを本気で使用するのか?」

 

マッハはゼンリンシューターを向けながらユニコーンたちに本当の目的を聞いた。

 

「俺たちは加頭さんが作る理想郷に協力しているだけだ。」

 

「理想郷だと?」

 

「この世界は地獄だ。加頭さんは全ての男どもの救世主。加頭さんのためなら何人でも攫い、殺す!」

 

ケルベロスは火炎弾を撃ち、マッハとチェイサーの目の前に当たって爆発した。

 

「逃げたか…。」

 

チェイサーは前を見ると、ユニコーンとケルベロスは既にいなかった。

 

「まさか俺たちの目の前で誘拐するとは。」

 

マッハは変身を解き、川を見た。

 

「どうする、剛?」

 

チェイサーも変身を解き、剛に聞いた。

 

「今は大道克己の会社を張っておくしかない。大道克己に出会わねえと話が進まないからな。」

 

「それしかないのか。」

 

チェイスも川を見た。

 

「誘拐ならまだ生きてる可能性はある。必ず、必ず助ける。」

 

チェイスは攫われた子供を必ず助けると決意し、二人はライドマッハー、ライドチェイサーに乗り、克己の会社に向かって走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうですか。仮面ライダーが現れましたか。」

 

「ですが、奴らは聞いてた奴らとは違いました。奴らは一体?」

 

廃倉庫には加頭、ユニコーン、ケルベロスがおり、加頭はユニコーンたちの報告を聞いていた。

 

「彼らはいずれ大道克己の前に現れます。彼らの方は我々に任せて、あなたたちは今まで通りにお願いします。」

 

加頭はガイアメモリをユニコーンたちに差し出した。

 

「これは?」

 

「このガイアメモリをある人物に渡してもらいたいのです。これがその人物の情報です。」

 

さらに加頭は渡す人物の情報が書かれた書類をユニコーンたちに渡した。

 

「いじめられっ子か?」

 

「そうです。彼はI Sによって学校でもしまいには家族から酷い扱いを受けてます。彼にこのガイアメモリを必ず渡してください。それと邪魔な奴が居たらそいつらは殺して構いません。」

 

「気前がいいですね。では。」

 

ユニコーンとケルベロスはガイアメモリを持って廃倉庫から出た。

 

「…ガラクタを作るあなたでも価値はあります。我々に協力してもらいますよ。篠ノ之博士。」

 

加頭は屋根を見ながら呟いたが、そこには血まみれで鎖に縛られた束が居た。

 



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魔の力

この話は加頭sideの話が中心です。


「結局ドーパントたちの足取りは掴めなかったか。」

 

I S学園に居る夏己と弾だが、今学園は夏休みで生徒たちは実家に帰ったりと、学園は少し静かだった。

 

「そういや弾、傷がもう完治するとかどんだけ回復が早いんだよ?」

 

テラードラゴンにやられた弾の傷は完全に完治していたのだった。

 

「医者もビックリする程の回復だとさ。それでこれからどうする?克己さんも海外出張でしばらくはいないんだろ?」

 

「ああ、ならアリーナで特訓をするか?」

 

「だな!」

 

二人はユートピアたちに少しでも対抗するためにアリーナで特訓する事を決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何だよ!社長は海外出張で1か月は居ませんって!これじゃいつ会えるんだよ!」

 

「だが、大道克己はI S学園に関わっている。そこも見ておけば問題ないだろ。」

 

NEVERに行った剛とチェイスだが、克己には会えず剛は嘆いていたが、チェイスは冷静に考えていた。

 

「じゃあ見張っててもらうか。」

 

剛はシグナルバイクにNEVERとI S学園を見張らせるため、シグナルバイクはNEVERとI S学園に向かった。

 

「俺たちはドーパントを捜すぞ。それに001も見つけなくてはいけない。」

 

「ああ、あいつの能力は厄介だ。面倒な事が起きる前に破壊しないとな。」

 

剛とチェイスはドーパントを捜すのと一緒に001も見つけなくてはいけなかった。001が持つ能力、記憶操作が厄介なために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいからさっさと出せよ!」

 

どこかの路地裏で男子中学生が女子生徒に絡まれていた。

 

「いや、もう持ってないです…」

 

「はあ?あたしたちに逆らうの?逆らえばどうなるか分かってるわよね!」

 

「私たちは来年I S学園に入学が決まってるの!入学祝いを早く出せよッ!」

 

三人の女子生徒たちは男子生徒に無茶苦茶な理由でカツアゲしていた。

 

「本当にもうないんです…」

 

「いいからさっさと出せよ!」

 

一人の女子生徒が胸ぐらを掴んだ。

 

「なら、俺たちが入学祝いを出してやろうか?」

 

「はあ…!?」

 

女子生徒たちは聞こえてきた声の方を見ると、そこにはユニコーン、ケルベロスが居た。

 

「きゃあぁぁぁーーー!!」

 

女子生徒たちはユニコーン、ケルベロスを見て悲鳴を上げてしまう。

 

「遠慮するな。受け取れッ!」

 

ユニコーンは槍を投げると、一人の女子生徒の心臓に命中し、女子生徒はその勢いで壁まで飛び貼り付けにされた。

 

「俺も出すぜ!」

 

ケルベロスは火炎弾を撃ち、また女子生徒に当たり、女子生徒は黒こげになった。

 

「あ…ああ…」

 

残った女子生徒は声も出なかった。そして、ユニコーンとケルベロスは男子生徒の元に来た。

 

「俺たちは君を救いに来た。君にこれを渡すために。」

 

ユニコーンはガイアメモリを男子生徒に差し出した。

 

「これって…」

 

「これでお前も進化出来る。もうこんなゴミどもにペコペコする必要はない。さあ受け取れッ!」

 

「……。」

 

男子生徒はガイアメモリを手に取ると、ガイアメモリは強く輝き出した。

 

「フェニックス!」

 

男子生徒は首にガイアメモリを挿し、男子生徒はフェニックス・ドーパントに変身した。

 

「何ですか…これ…?凄い力が…!」

 

フェニックスの体からとてつもない炎が放たれ、フェニックスはその力に驚いていた。

 

「デビュー戦だ。そのガキを灰にしな!」

 

ケルベロスは腰を抜かして見ている女子生徒を見ながら言った。フェニックスは女子生徒に近づいた。

 

「いや…やめて…」

 

女子生徒は泣きながら命乞いをしたが、フェニックスは聞く耳を持たなかった。

 

「立場が逆転する気分はどうだ?お前もさっきまでは俺たちの立場だったんだ。もう後悔も懺悔も手遅れだからな。」

 

ユニコーンは今更何をやっても手遅れだと言い、そしてフェニックスは女子生徒に掌を翳した。

 

「消えろ…」

 

フェニックスの掌から炎が放たれ、女子生徒は一瞬にして灰になった。

 

「見事だ。今日から君も俺たちの仲間だ。これからよろしく頼むな。」

 

「はい。」

 

フェニックスはユニコーンの言葉に返事をし、三体のドーパントはそこから消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユニコーンたちは加頭の元に戻っていた。

 

「やはりメモリと適合しましたか。」

 

加頭はフェニックス・ドーパントを見ながら言っていた。

 

「それで次は?」

 

ユニコーンたちはドーパント化を解き、人の姿に戻って聞いた。

 

「これまで通りです。ただすぐにI S学園に行ってもらうかもしれません。」

 

加頭はユニコーンたちに次の仕事でI S学園に行ってもらうと伝えた。

 

「I S学園。確かにそこを襲撃すれば大騒ぎになる。それでいつ頃に?」

 

「今は夏休み中で生徒たちはあまり居ません。明けに行ってください。原田さん。後、土方さんも一緒に。」

 

「今居るメンバーで殴り込みですか。腕がなります。」

 

「これは宣戦布告ですから。そして邪魔なんですよ。理想郷を作る上であの学園は。」

 

加頭にとってI S学園は理想郷を作る上で邪魔な存在らしく潰す考えだったが。

 

「やめたまえ。I S学園を潰されたら流石の私でもキツイ。精々壊滅寸前にしてくれ。」

 

真影がストップをかけ、壊滅寸前にしてくれと伝えてきた。

 

「そういえば加頭さんは来ないのですか?」

 

「私は近藤さんと一緒に世界中の新型I Sにもう一つやる事があるのです。まあ材料集めですかね。」

 

加頭は自分にはやる事があると言って夏休み明けのI S学園襲撃には行かないと原田たちに伝えた。

 

「そうですか。では俺たちは飯でも食いに行きます。ガイアメモリを渡す仕事があるならすぐに連絡してください。」

 

原田たちは部屋から出て食事に出た。

 



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襲撃

夏休みが終わり、I S学園には日常が戻っていた。

 

「そうか。ドーパントの足取りは掴めなかったか。」

 

「うん。兄さんの方は?」

 

夏己は克己に電話で夏休み中の出来事を報告していた。加頭たちの足取りが掴めなかった事を。

 

「俺も加頭が海外に来てないか調べたが足取りは掴めなかった。まあ、ユートピアの力で移動してんだろ。…だが、世界各国の新型I Sが怪物に盗られたって情報は掴んだ。」

 

「怪物…加頭たちが!?」

 

夏己は克己から世界各国の新型I Sが怪物に盗られたという事件を聞き、加頭たちの仕業だと考えた。

 

「特にイギリスは酷かったらしい。襲ってきた怪物にI S部隊の人間が全員殺された。ドラゴンに噛み殺されたとか、掴まれたと思ったら怪物が離したら顔がなかったとか色々ある。」

 

「ドラゴン。テラードラゴンか。でも顔がないのは?」

 

「ユートピアの能力だ。奴は人の希望を奪ってそれを自分の力に変換出来る。希望を奪われた奴は皆、顔が無くなる。」

 

「重力を操る力以外にもそんな能力が…」

 

夏己はユートピア・ドーパントの能力が重力を操る以外にも人の希望を奪って自分の力に変換すると克己から聞かされて、頭を悩ませてしまう。

 

「俺もこれから日本に帰る。着くのは明日だが、気を付けろ。奴らはどこから来るか分からないからな。」

 

「うん。兄さんの方も気をつけてね。」

 

「ああ。」

 

克己は電話を切った。

 

「さてと弾、授業に行くか。」

 

「おう!」

 

二人は部屋から出て、教室に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ですから、業者なんか頼んでません。お引き取りください!」

 

「おかしいですね。確かに学園の水道管が破裂したから修理に来てくださいと連絡を頂いたのですが。」

 

I S学園の関係者入口の所で学園の教員が業者らしい男と揉めていた。頼んでもないのに来たからと。

 

「いい加減にしてください!これ以上しつこいなら通報しますよ!」

 

「通報?どこにですか?」

 

「警察ですよ。それが嫌ならI Sで追い返しますよ。」

 

教員は脅すように業者の男に言った。

 

「…構いませんよ。代わりにこっちも強硬手段に入らせてもらいますから。」

 

そう言うと、男はポケットから何かを出した。

 

「何よそれ?」

 

「I Sなんかより強い物ですよ!」

 

「ウェザー!」

 

男はガイアメモリを耳に挿して、ウェザー・ドーパントに変身した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「という事でタッグで試合をする時にはフォーメーションがいくつもあり、パートナーと使い分けてやると勝率が上がります。」

 

夏己たちのクラスではI Sの学科授業をやっており、夏己たちは真面目に聞いていたが。

 

「あれ?雨なんか降ってたっけ?」

 

夏己はふと外を見ると、外はいつの間にか土砂降りの雨だった。

 

「でも天気予報じゃ一日中晴れって、ゲリラ豪雨かな?」

 

「無駄話をするな。大人しく授業を聞け。」

 

千冬の一声でクラスは静かになるが。

 

「何だ?」

 

突然、サイレンが鳴りながら千冬の前にデジタル画面が現れた。

 

「緊急事態?」

 

千冬は画面を開いた。

 

「どうした?何かあったのか?」

 

「織斑先生!謎の怪物が学園を…いやああぁぁーーーー!!」

 

連絡は教員からだったが、教員は慌てた様子で千冬に事を伝えようとしたが、その前に教員の悲鳴が聞こえたのと同時に激しい雷撃音が聞こえ、通信は切れた。

 

「おい!どうした!」

 

千冬は呼びかけるが応答はなかった。

 

「織斑先生、何かあったのですか?」

 

「いや、私にも…」

 

 

「きゃあぁぁぁーーーー!!」

 

「!?」

 

今度は廊下から悲鳴が聞こえ、夏己と弾はすぐに廊下に出た。

 

「おい!お前たち、勝手に動くな!」

 

千冬はすぐに二人の後を追った。

 

 

「オラ!どこにいやがる仮面ライダー!出てきやがれッ!」

 

廊下にはケルベロス・ドーパント、バイオレンス・ドーパント、ビースト・ドーパントが暴れながら進んでいた。

 

「やめろッ!」

 

「あいつらか。」

 

ドーパントたちは前を見ると、そこには夏己たちが居た。

 

「マジで学園に来やがったか。」

 

「あれが…ドーパント…」

 

千冬は初めて見るドーパントの姿に驚愕していた。

 

「加頭からメモリを貰ったのか!!」

 

「貰ったさ。スゲエメモリだぜ。こいつのおかげでI Sなんか簡単に潰せる。しかもこの学園をぶっ壊してこいなんて最高な事まで言ってくれたからよ!」

 

バイオレンス・ドーパントは壁を叩き、壁は崩れた。

 

「弾!行くぞ!」

 

「おう!」

 

二人はドライバーを着けてメモリを起動させようとしたら。

 

「あなたたち、何をしてるの!」

 

「楯無さん!?」

 

夏己たちの後ろに楯無がおり、楯無は二人を止めた。

 

「あの姿はなんなの?いや今はそんな事はどうでもいいわ。二人は下がってて。あいつらは私がどうにかするから。」

 

「どうにかするって!奴らにI Sは効きません!楯無さんの方こそ下がってください!」

 

夏己は楯無を説得するが。

 

「私はこの学園の生徒会長よ。やるべき事はやらないとね。」

 

楯無は聞く耳を持たずにミステリアス・レイディを展開させてドーパントたちを見た。

 

「俺たちに構っていいのか?アリーナには土方さんが使ってるウェザーが教員たちとやりあってるぜ。」

 

「ウェザー・ドーパントも来てるのか!?」

 

「今頃何人死んでるのか見ものだな!」

 

「学園の教員の実力をナメない方がいいわよ。」

 

「なら、行って見てきた方がいいんじゃないか?」

 

ケルベロスは言うより見た方が早いと考え、楯無にアリーナに行く事を勧めた。

 

「夏己!ここは俺が引き受ける!お前は早くアリーナに行けッ!」

 

弾はここは自分に任せて、アリーナの方に行けと夏己に言った。

 

「けど、いくら弾でも三体は!」

 

「僕もいるよ!」

 

そこにシャルロットも来た。

 

「シャルもメモリを使える。早く行けッ!」

 

「分かったッ!」

 

夏己はケルベロスたちを弾とシャルロットに任せてアリーナに向かった。

 

「あ!待ちなさい!」

 

楯無も夏己を追いかけてアリーナに向かった。

 

「さあ、振り切るぜ!」

 

「アクセル!」

 

「ナスカ!」

 

弾はアクセルに変身し、シャルロットもナスカを展開した。

 

「それじゃあこっちも楽しもうぜッ!」

 

三体のドーパントは突進の勢いでアクセルたちに向かって走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やれやれ、デカい態度の割には対したことありませんね。」

 

アリーナにはウェザー・ドーパントが居たが、ウェザーの周りには黒こげになった教員や氷漬けにされた教員たちが倒れていた。

 

「あなたたちも分かりましたか?自分がどれだけの愚か者だったか?」

 

さらにウェザーの両手は教員たちの首を掴んでいた。

 

「おいッ!」

 

「来ましたか。」

 

アリーナに夏己と楯無が来て、ウェザーは二人を見た。

 

「何よ…これ…」

 

楯無はウェザーの周りに倒れてる教員たちを見て顔を真っ青にしてしまう。

 

「やっぱりこの雨はお前の仕業だったか。何の目的で学園に来たッ!」

 

夏己はウェザーに学園を襲撃した理由を問い詰めた。

 

「簡単ですよ。宣戦布告です。」

 

「宣戦布告?」

 

「これからはI Sではなくガイアメモリが主流の時代。今日はガイアメモリの素晴らしさを教えるためにこの学園に来たのですよ!」

 

ウェザーは右手から高熱、左手からは冷気を放ち、首を掴まれていた教員は体の水分を奪われてミイラのような姿になり、片方は氷漬けにされた。

 

「ウェザーの多彩な能力の前ではI Sは世界最強ではない。ただのガラクタです!」

 

ウェザーは手を離し、氷漬けにされた教員は粉々に砕けた。

 

「人を粉々に…」

 

「楯無さん。下がっててください。」

 

夏己は前に出て、ロストドライバーを着けた。

 

「エターナル!」

 

「変身ッ!」

 

夏己はエターナルに変身し、エッジを構えた。

 

「ガイアメモリの頂点に立つ存在。エターナル。見せてもらいましょうか!」

 

ウェザーは手を上げると、エターナルの横からユニコーン・ドーパントが現れた。

 

「!?」

 

エターナルはユニコーンの槍を避けて、距離を取った。

 

「もう一体いたのか…」

 

「いえ、6体ですよ!」

 

ウェザーは空を覆ってた雨雲を楯無の方に限定させ、楯無は雨で出来た水牢に閉じ込められてしまった。

 

「楯無さん!?」

 

「よそ見をするな!」

 

ユニコーンは槍を突き、楯無を助けに行こうとしたエターナルを妨害した。

 

「クソ!これじゃあ楯無さんが!」

 

「I S学園の生徒会長が溺死する。いい笑い者ですね!」

 

ウェザーは水の中で苦しんでる楯無を見て笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オラ!」

 

アクセルはエンジンメモリを使って三体のドーパントたちと距離を取りながら戦っていた。

 

「この三体。パワーが普通じゃない…。」

 

ナスカブレードを使って戦っているシャルロットは三体のパワーに頑丈さや再生能力、ケルベロスの三属性の技に苦戦してしまう。

 

「そのI S、ガイアメモリと戦えるのか?」

 

「僕のI Sにはメモリが組み込まれてるからね!」

 

シャルは超高速を使い始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千冬たちは生徒を避難させていたが。

 

「おい。」

 

「!?」

 

生徒を避難させていた千冬の前にフェニックス・ドーパントが現れ、フェニックスは大剣を千冬に向けた。

 

「お前が…織斑千冬か…!人殺しの…!」

 

フェニックスは体から炎を放ち、周りの壁はその熱で溶け始めた。

 

「何て熱だ…あれに触れたら…」

 

千冬はフェニックスが放つ炎が危険だと本能で悟った。

 

「自分の家族を殺しておいてよく悠々と居られるな。全部お前が悪い…!お前が居るから俺は…!」

 

フェニックスは怒りと憎しみを込めた声で叫び、千冬に向かって走り出した。

 

「死ねッ!」

 

フェニックスは大剣を千冬にめがけ振り落とそうとした。

 

「ボム・マキシマムドライブ!」

 

「!?」

 

フェニックスに赤い光弾が当たり、千冬は光弾が来た方向を見た。

 

「あなたは…?」

 

そこにはシュラウドマグナムを構えたシュラウドが居た。

 

「あのドーパントの狙いはあなた。こっちに来なさい。」

 

「……。」

 

千冬はタイミングがタイミングのためシュラウドを警戒するが。

 

「警戒するのも分かる。けど、あなたに死なれたら色々と困るのよ。」

 

シュラウドは再びマグナムを撃ち、フェニックスを怯ませた。

 

「早く来なさい。生徒たちを死なせたくないなら。」

 

「……!!」

 

千冬はシュラウドの言葉に従い、シュラウドが居る方に向かって走り出した。

 

「待てッ!」

 

フェニックスは火炎弾を撃ちながら、千冬とシュラウドを追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうします?早くしないと彼女は死んでしまいますよ。」

 

エターナルは楯無を助けに行きたくともユニコーンの妨害で助けに行けなかった。

 

「このままじゃ…楯無さんが。」

 

「君は何故エターナルのマキシマムを使わないのですか?使えば我々を簡単に制圧出来ますよ。」

 

ウェザーの言う通り、エターナルのマキシマムを使えばウェザーたちのメモリは無力化出来る。だが、それは同時に学園のI Sまで無力化させてしまうので、エターナルは使いたくても使えなかったのだ。

 

「どれだけ素晴らしいメモリを持っていても使い手が酷ければ性能は充分発揮出来ませんね。」

 

ウェザーはエターナルの周りに雷雲を発生させた。

 

「消えなさい。」

 

雷雲から雷が放たれようとした瞬間。

 

「!?」

 

突然、ウェザーとユニコーンに弾丸が当たり、その怯みでウェザーの技は解けた。

 

「あの人は…?」

 

エターナルは弾丸が来た方向を見ると、そこにはチェイスが居た。

 

「お前は。」

 

「見つけたぞ。ドーパント。子供を誘拐したドーパントの事を話してもらう!」

 

チェイスはマッハドライバー炎を着けた。

 

「シグナルバイク!」

 

「変身!」

 

「ライダー・チェイサー!」

 

チェイスは仮面ライダーチェイサーに変身した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソ!マジでヤバイな…。」

 

ケルベロスたちにアクセルたちは徐々に追い込まれていった。

 

「仮面ライダーもこの程度か。ガッカリだな!」

 

ケルベロスは火球をアクセルたちに向かって放とうとしたら。

 

「!?」

 

ケルベロスたちの周りにミニカーサイズのバイクが現れてケルベロスたちを攻撃した。

 

「何だ…?」

 

アクセルたちは何が起きたのか分からなかった。

 

「秘密の花園に土足で踏み込むとか趣味が悪いな。」

 

「あの人は…?」

 

アクセルたちは後ろに振り向くと、そこには剛が居た。

 

「助太刀に来たぜ。仮面ライダー。」

 

剛もマッハドライバーを着けた。

 

「シグナルバイク!」

 

「レッツ…変身!」

 

「ライダー・マッハ!」

 

剛もマッハに変身した。

 

「追跡、撲滅、いずれも…マッハ!!仮面ライダー〜〜〜マッハ!!」

 

マッハは決め台詞と決めポーズを決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フェニックス・ドーパントからシュラウドと共に逃げた千冬はシュラウドと一緒に物陰に隠れていた。

 

「やはりこっちに来たわね。」

 

シュラウドは少し顔を出すと、フェニックス・ドーパントは炎をまき散らしながら来ていた。

 

「あなたは一体…?」

 

「説明は後よ。今言える事はさっき言った通りあなたには死なれたら困るのよ。あなたにはやるべき事があるのよ。」

 

「やるべき事?」

 

「けど、あなたにはその覚悟がまだない。…篠ノ之束が加頭の手に落ちたわ。」

 

「!?」

 

千冬がシュラウドから束が加頭の手に落ちたと聞かされ顔色を変えた。

 

「あの男はこの世界を地獄に変えようとしている。そのために篠ノ之束の力が必要なのよ。加頭はドーパントの力で篠ノ之束を抑えつけてる。いずれあなたの敵になるわよ。」

 

「束が…」

 

「加頭はその証拠をいずれ見せつける。あなたも早く覚悟を決めなさい。」

 

シュラウドは再びボムメモリのマキシマムを発動しようとしたら。

 

「…私の出番はここまでみたいね。」

 

シュラウドは何を考えたのか、突然マグナムを下げた。

 

「そこかッ!」

 

フェニックスは火炎弾を千冬たちが居る場所に向かって撃った。

 

「!?」

 

だが、火炎弾は突如壁を突き破って出てきた一台の赤い車によって妨害された。

 

「まさか、他にも呼んでたなんて。」

 

シュラウドは車を見ると、車の運転席から赤いロングコートを羽織った青年が降りてきた。




やはり彼も出しました。それと彼が変身するライダーですが、アンケートを取りますが、感想の方からでも受け付けます。期限は今週の土曜日をめどにします。


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001

アンケートありがとうございました。また彼に関するアンケートを取るかもしれません。


「あなたは?」

 

エターナルは突如現れたチェイサーに聞いた。

 

「質問は後で受け付ける。今はドーパントを倒すぞ。」

 

チェイサーはシンゴウアックスを構えた。

 

「信号機?」

 

エターナルはチェイサーが持ってるシンゴウアックスに唖然としていた。

 

「再び出会うとはな。いいだろう、相手になってやる!」

 

ユニコーンも槍を構えて、チェイサーとユニコーンは戦い始めた。

 

「…楯無さん!!」

 

エターナルは楯無の事を思い出し、すぐに楯無の元に向かった。

 

「楯無さん!大丈夫ですか!?」

 

「ゲホ!ゲホ!」

 

エターナルは楯無に呼びかけると、楯無は水を吐いた。

 

「よかった。」

 

エターナルは楯無が生きていて安心していた。

 

「何なの…あいつ…?水をあんな風に操るなんて…」

 

楯無はウェザーを見ていた。

 

「奴は気象を操る怪物です。先生たちはみんな奴が操る自然現象で殺されたんですよ。」

 

「普通ならありえないわよ…。けど…今は信じるせざる負えないわね…。」

 

楯無はエターナルの言葉を素直に信じた。

 

「人の心配より自分の心配をした方がいいのでは?」

 

ウェザーはエターナルにゆっくりと近づいた。

 

「許さねえ…学園を攻めにきた挙句に…先生たちや楯無さんを…!」

 

エターナルはローブを脱ぎ捨てた。

 

「ウェザー・ドーパント!今ここで倒すッ!」

 

エターナルはゾーンメモリを起動させた。

 

「ゾーン・マキシマムドライブ!」

 

エターナルは26個のメモリのマキシマムを発動させてエターナルウェーブを纏った。

 

「それが君の本気ですか?」

 

「当たり前だッ!」

 

エターナルはエッジに緑色の長大な刃を纏わせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何か…」

 

「軽い感じの人だね…。」

 

アクセルたちはマッハの決め台詞と決めポーズにドン引きしていた。

 

「これが俺流だ。ほらマッハで片付けるぞ!」

 

マッハはゼンリンシューターをケルベロスたちに撃った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前は…?」

 

千冬は車から降りてきた青年に聞いた。

 

「話は後だ。…クリム。俺に力を貸してもらうぞ。」

 

「まさか、君と共に戦う日が来るとは…しかも私を殺した張本人と。」

 

青年は着けているベルトに向かって話していた。

 

「過去の話を持ってくるか。…仕方ないよな。けど、人間とロイミュードの戦いは泊進ノ介たち人間が勝った。そして俺は人間として生まれ変わった。なら俺が今やるべき事は、泊進ノ介たちの誇り、あいつらが守ってきた存在を守る事だ!」

 

「君がそんな台詞を言うとは。進ノ介が居たらどれだけ喜んだ事か。…ああ!ハート!行くぞ!」

 

ハートはシフトブレスにシフトハートロンをセットした。

 

「スタート!ユア・エンジン!」

 

「変身!」

 

「ファイヤー!オールエンジン!」

 

ハートは変身した。かつてロイミュードだった時の姿に似ている仮面ライダー、仮面ライダーハートに。

 

「何だ貴様はッ!」

 

フェニックスはハートを見てさらに炎の火力を上げた。

 

「何て炎だ。まるでデッドヒートやかつての君。いや、君たち以上だ!」

 

「負の感情の炎。だが、そんな炎では泊進ノ介や俺を止める事は出来ないッ!」

 

ハートは走り出してフェニックスにパンチを放った。

 

「!?」

 

フェニックスはその一撃で後退りをしてしまう。

 

「…怒りや憎しみは友達を辛い目に遭わすだけだ。何故そんなものを使う?」

 

ハートはフェニックスから強い怒りや憎しみを感じており、何故そんな感情を使って戦うのかフェニックスに聞いた。

 

「黙れッ!お前に俺の何が分かる…何が分かるんだッーーーー!!」

 

フェニックスは体に熱を溜め始めた。

 

「爆発させる気か!?あれ程のエネルギーではこの学園全てが吹き飛ぶ!」

 

クリムはフェニックスを分析し、フェニックスが自分もろとも学園を吹き飛ばそうとしている事に気づいた。

 

「やめたまえ。君はまだ若い、命を無駄にしない方がいい。」

 

「!?」

 

誰かの声が聞こえた瞬間、突然、時間の流れが変わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何だこれ!?」

 

異変はI S学園全てに起きており、それはエターナルたちも感じていた。

 

「重加速。やはり。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「001は近くに居るな。」

 

「001?」

 

「何ですかそれ?」

 

マッハの言葉にシャルロットは質問した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「加頭!!」

 

アリーナにユートピア・ドーパントが現れ、ウェザーたちを止めた。

 

「土方さん、ここまでですよ。これ以上やれば真影さんからお叱りを喰らってしまいますよ。」

 

「真影さんが来てるって事ですよね?」

 

「加頭さん。そちらは?」

 

「8割方終わりました。だからこちらにきたのですよ。1か月ぶりですね。大道夏己君。」

 

「まさか、てめえまで来るとは、いや都合がいい。ここで倒すッ!」

 

エターナルはブラッディヘルブレイドをユートピアに放つが。

 

「無駄ですよ。」

 

ユートピアは理想郷の杖を振っただけでブラッディヘルブレイドの方向を変え、ブラッディヘルブレイドは観客席に当たった。

 

「!?」

 

「今の、重力を操ったのか?」

 

「私はこの学園に来るまでの間I S部隊の人間たちの希望を奪ってきたのですよ。奪った数だけユートピアは強くなる。今の君では私には勝てません。」

 

「加頭…!」

 

エターナルは再びブラッディヘルブレイドを放とうとしたが。

 

「私は戦いにきたのではありません。君と大道克己に見せたい物があるから来たのです。」

 

「見せたい物…?」

 

「太平洋のど真ん中に地図にも乗ってない島があります。その島ではある事が行われています。ここに島までの行き方が載ってます。」

 

ユートピアはエターナルに向かってUSBメモリを投げて、エターナルはそれをキャッチした。

 

「行くか行かないかは自由です。けど面白い物が見れる保証はします。では、私たちはこれで。」

 

ユートピアは理想郷の杖で地面を割り、地面は地割れを起こした。

 

「逃げたか。」

 

チェイサーは変身を解いた。

 

「ありがとうございます。助けてくれて。」

 

エターナルも変身を解いて、チェイスにお礼を言った。

 

「お前や俺の仲間はまだ戦っている。俺はそっちに行く。お前は彼女を頼む。」

 

「はい。」

 

チェイスは剛の元に向かい、夏己は楯無を安全な所まで運んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「テラー・ドーパント。てめえが来るとはなッ!」

 

アクセルたちの元にはテラーが居た。

 

「充分暴れただろ。これでこの学園の人間たちは恐怖に飲まれる。これ以上やれば報酬が減るぞ。」

 

「そいつは勘弁だ。帰りますか。」

 

ケルベロスたちはテラーの言葉に素直に従って暴れるのをやめた。

 

「次会う時はこの世界がどうなってるか楽しみだな。」

 

テラーはテラーフィールドを発生させて、ケルベロスたちと一緒に消えていった。

 

「引いたみたいだな。」

 

マッハは変身を解いた。

 

「助かりました。本当にありがとうございます。」

 

アクセルたちも剛にお礼を言った。

 

「いいって事よ。じゃあ早速君たちから話を聞こうか。」

 

「はい?」

 

二人は剛の話の流れが分からなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当に居たのか、001。」

 

ハートたちの元にはロイミュード001が現れていたが。

 

「まさか、既に進化態までに…。」

 

001は既にフリーズ・ロイミュードに進化しており、クリムは絶句していた。

 

「この世界では嫌でも屈辱を味わう。だからすぐにここまでなれたのだよ。」

 

さらに001は超進化態にまで姿を変えてしまった。

 

「超進化。そこまで。」

 

ハートは構えた。

 

「今は戦う気はない。君も君だ。不死鳥のドーパントといえど、それを使ったら命はない。少し頭を冷やしなさい。」

 

001はフェニックスに触れると、フェニックスの姿ではなくなった。

 

「子供…だと…?」

 

「子供にまで怪人の力を!」

 

フェニックスは中学生の藤堂に戻っており、ハートとクリムはフェニックスに変身していたのが子供だと知り絶句してしまう。

 

「はあ…はあ…邪魔をするなッ!」

 

「君の力は織斑千冬なんてちっぽけな存在を殺すための力じゃないんだ。それにもうすぐI Sの時代は終わる。これからは君の時代なんだ。その力はこれからのために使うんだ。」

 

「……。」

 

「けど、まさか王にふさわしいと思っていた君が人間の味方をするなんてね。」

 

001はハートの方に振り向いた。

 

「俺はもうロイミュードではない。人間、そして仮面ライダーだッ!」

 

ハートは構えながら答えた。自分は人間で仮面ライダーだと。

 

「001、お前の目的は何だ?この世界で何をしようとするのだ?」

 

クリムは001に目的を聞いた。

 

「加頭という男が作る理想郷に行くためだ。ただそれだけだ。」

 

001は吹雪を放ち、辺りは瞬く間に凍った。

 

「逃げたか…。」

 

ハートも変身を解いた。

 

「おい、生きているか?」

 

ハートは千冬の方に振り向き聞いた。

 

「何とか、あなたは一体?」

 

「…それよりお前と一緒に居た黒ずくめの女はどこに行った?」

 

「え…!?」

 

千冬はハートに言われて周りを見るとシュラウドはいなくなっていた。

 

「まあいい。とりあえずは…」

 

「織斑先生!」

 

そこに真耶や夏己たちが来たが。

 

「ハート!?」

 

「ハート、お前も。それにクリムまで。」

 

「久しぶりだな。剛、チェイス。またこうやって共に戦う日が来るとは。」

 

夏己たちと一緒に剛とチェイスも一緒におり、剛とチェイスはハートとクリムまでいる事に驚いていたが。

 

「二人の知り合いですか、…それよりベルトが喋るんですか!?」

 

夏己たちはベルトが喋っている事に驚いていた。

 

「これまでの経緯を全て話す。どこか空いている部屋を貸してくれないか?」

 

ハートは千冬に部屋を貸してくれと頼んだ。

 

「無事な教室はある。好きな場所を使え。私は上層部に今回の襲撃の事を報告してくる。」

 

「上の連中が素直に信じればいいけどな。それに激しい混乱に見舞われるぜ。世界で唯一の学園が怪物に襲撃されて壊滅状態に陥った。これからどうなるか。」

 

剛は嫌味っぽく言うと。

 

「ここまで派手に破壊されたんだ。嫌でも信じさせるさ。」

 

千冬は上層部の報告のためにその場を後にした。

 

「ハート、聞かせてもらおうか。」

 

「ああ。」

 

「適当な教室は俺たちが案内します。」

 

「頼むぜ。」

 

夏己たちは剛たちを連れて適当な教室に案内した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「以上が今回の襲撃の報告です。教員のI S部隊は全滅。生き残りはいません。」

 

千冬は無事だった教員を集めて緊急会議を開き、襲撃の事を報告していた。

 

「ありえないわ…I Sが敵わないなんて…」

 

何人かの教員は千冬の報告が信じられなかった。

 

「これを見れば嫌でも信じるさ。」

 

千冬はスクリーンを出して映像を映した。映像にはウェザー・ドーパントに挑んでる教員のI S部隊が映っていたが、ウェザーの落雷や吹雪、竜巻でI Sを破壊され、教員たちが雨で溺死、落雷での感電死、高熱による脱水死、冷気による凍死で殺される映像だった。

 

「何よ…これ…」

 

「こいつは気象を操っている。どんな兵器も自然現象には勝てないって事だ。…他にも重力や恐怖を操る怪物もいるという報告を聞いている。I Sでどうにか出来る存在じゃない。」

 

「じゃあどうして抑えこめたんですか!?」

 

「それは彼らのおかげだ。」

 

千冬は映像を変えると、映像はエターナル、アクセル、マッハ、チェイサー、ハートがドーパントたちと戦ってる映像になった。

 

「彼らが居たから生徒たちの被害はほとんどなかった。」

 

「彼ら…まさか男!?」

 

「そうだ。それに彼らのはI Sではない。奴らと戦えるシステムを兼ね備えた存在だ。奴らに関しては彼らに任せるしかない。それで学園長、頼みたい事があるのですが。」

 

「何でしょうか?」

 

「彼らに学園の設備を提供させてください。そして、彼らにこの学園を拠点として提供する事を願います。」

 

千冬は学園長に剛たちのために学園を拠点として使わせ、設備も提供させたいと頼み込んだ。

 

「織斑先生!正気ですか!?」

 

教員たちは千冬の言葉を疑ってしまう。

 

「彼らがいなかったらここにいる全員奴らに殺されていた。命の恩人に恩を返さないでどうする。」

 

「しかし!」

 

「学園長。責任は全て私が取ります。そして、彼らのリーダー的存在である人を推薦したいのです。」

 

「ある人。」

 

「彼の名は大道克己。大道夏己の兄で、襲撃してきた怪物に詳しい人物です。彼ならいい采配をしてくれます。」

 

さらに千冬は克己を対策部隊のリーダーとして学園長に推薦した。

 

「あなたがそこまで言う程のお方。いいでしょう。学園を拠点、及び整備の提供。そして、大道克己をこの怪物たちの対策部隊のリーダーとして任命します。」

 

「ありがとうございます。」

 

千冬は学園長に頭を下げてお礼を言った。

 

「納得が行かないわ!男に頭を下げろって言うのッ!」

 

やはり納得の行かない教員はおり、教員は冗談じゃないという顔をしていた。

 

「なら、大道さんと戦えばいい。けどその時は貴様があの人に必死になって命乞いをしてる姿が目に見えるがな…!」

 

千冬は教員を今にも殺しそうな目で睨んでいた。

 

「だが、文句等があるなら私に直接言え。あの人たちはいなくてはならない存在だからな。」

 

千冬は会議室から出た。

 

「あの女性が言ってた事は本当かもな。束、お前は道を踏み外したのか?」

 

千冬はようやくシュラウドが言っていた言葉に現実味を覚えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうやら全てを敵に回す覚悟も出来てきたみたいね。次で最後かもね。」

 

シュラウドは物陰から千冬を見ており、千冬が全てを敵に回す覚悟が出来たと確信した。



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邂逅

夏己たちは剛たちと一緒に教室にいたが、テレビ電話を使って克己も通話状態で居た。

 

「なら、ハートとクリムも同じ目的で。」

 

「ああ、今度人間として仮面ライダーとして戦ってみないかって言われた。だから俺はこの世界に来たんだ。」

 

「私もビックリしたさ。まさか私を呼びかけるとは、神が本当に実在していたとは。私の場合は科学で人間同士が争ってしまう、だからそれを止めるため、001がこの世界に来てしまった。奴を倒すためにも力を貸してくれと頼まれてしまったのだよ。」

 

ハートとクリムはI Sの世界に来た経緯を剛たちに話した。

 

「しかしまあ三人も連れてくるとは。気前が良すぎるな。」

 

「いやそれよりも兄さんたちが別の世界の人間とかビックリだよ。」

 

夏己たちは克己たちが別の世界の人間だという事を一緒に知り、驚いていた。

 

「でもパラレルワールドって言うのは研究されてるから納得は出来るよ。」

 

「それより、何で鈴たちまで居るんだよ!」

 

教室には何故か鈴たちも居た。

 

「あたしたちだって弾たちに協力するって決めてるのよ!だから隠し事はなしよ。」

 

「じゃあこれもか?」

 

夏己はユートピアから貰ったUSBを見せた。

 

「俺と夏己に見せたいものか。行かねえ事には分からねえ。行くしかなさそうだな。夏己、お前はどうする?」

 

克己は夏己にユートピアの誘いに乗るかどうか聞いた。

 

「行くに決まってる!」

 

夏己は迷わずに行くと答えた。

 

「分かった。お前たちはどうする?」

 

克己は剛たちに聞いた。

 

「俺は001の情報を集める。ドーパントたちは真影とか言ってやがったからな。大物で真影を調べればすぐに足が着く。」

 

「俺は子供を誘拐したドーパントを捜す。また現れる可能性があるからな。」

 

剛は001の足取り、チェイスは子供を誘拐したドーパントを追うと答えた。

 

「ハート、お前は?」

 

「俺は…」

 

「あなたたちの今後ですが、この学園を使ってください。」

 

教室に千冬が入ってきて、剛たちは今後I S学園を使っていいと言ってきた。

 

「おいおい、本気で言ってるのか?気に食わない奴らが居るはずだろ?」

 

「それについては大丈夫だ。ドーパントの恐ろしさを目の当たりにした。それに文句があるなら私に直接言えと脅しておいたから問題ない。」

 

「ブリュンヒルデに言われたら逆らえないな。いやあんたはブリュンヒルデと同時にもう一つ呼び名がある。」

 

「もう一つの呼び名?」

 

「弟殺し。それがこの女のもう一つの呼び名だ。だから俺はお前を信用出来ねえ。俺は俺でやらせてもらう。」

 

剛は千冬が弟殺しという異名を持っているため信用出来ず教室から出た。

 

「…剛が言った事は本当か?」

 

チェイスは千冬に聞いた。剛が言った事が事実なのか。

 

「事実だ。それが原因で私は悪魔、死神とも陰で言われていた。」

 

「死神…。」

 

チェイスはかつての自分とは違う意味で千冬が同じ異名で呼ばれていたのを知り、複雑な気持ちになった。自分はロイミュードを処刑していた。千冬は弟を殺して、形は違くても同じ異名で呼ばれる事はあるのだと知った。

 

「今からあなたたちだけでも地下の整備室に案内します。いつまでも校舎に車があると邪魔ですから。」

 

「トライドロンを校舎に突っ込んだままだったな。地下にトライドロンを置く場所はあるのか?」

 

「このベルト、どんな仕組みなの?」

 

クリムが千冬に地下にトライドロンを置く場所があるのか聞くが、鈴たちがクリムに注目をし始めた。

 

「ベルトが喋るなんて驚きですわ。」

 

「ドイツでもこんな科学はないぞ。」

 

鈴はベルトを取ってあちこち見始めた。

 

「君たち!私は一応精密機械だから丁寧に扱ってくれ!」

 

「え?」

 

鈴はうっかりベルトを落としてしまった。

 

「あ痛!」

 

「あ、ごめん。」

 

「クリム、あまり喋らない方がいい。下手をすればこの学園の人間に何をされるか。」

 

ハートはベルトを拾って、千冬の元に向かう。

 

「行くぞチェイス。」

 

「ああ。」

 

チェイスとハートは千冬に着いていき、トライドロンを取りに行くついでに地下に向かった。

 

「そういや学園はどうなるんだ?ドーパントたちの襲撃で滅茶苦茶になったし。」

 

夏己はドーパントの襲撃で学園はどうなるのか考えた。

 

「休校になるんじゃねえか?」

 

「かもね。被害はかなり酷かったから。」

 

夏己たちはドーパントの襲撃で学園はしばらく休校になると考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ〜学園は休校、怪物と戦ってた戦士も撮れなかった。あー!せっかくの大スクープが!」

 

黛薫子はスクープとしてドーパントたちと戦っていた剛たちを撮ろうとしていたが、結局撮れずに嘆きながら自分の部屋に戻っていた。

 

「?」

 

部屋を開けて中に入ると、机に大きな茶封筒が置いてあるのに気づいた。

 

「何これ?」

 

薫子は茶封筒を取って中身を出した。

 

「何かの設計図に、手紙?」

 

中身は何かの設計図と手紙で、薫子は手紙を開けると手紙にはこう書かれていた。

 

「それが完成したら、クリムたちに渡しなさい。」

 

「クリム?誰の事?けど、この設計図、かなりの物ね。こうなったら整備科2年生のエースの名にかけてこれを完成させますか!」

 

設計図は薫子の整備魂に火をつける程の物で薫子は気合が入っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドーパント襲撃の翌日、I S学園は案の定休校になったが、夏己たちは地下におり、そこには帰国した克己も居た。

 

「ここがお前たちの拠点か。けど驚いたな、あんたがこの学園を提供するなんて。」

 

克己は千冬の行動に少し驚いた様子を見せていた。

 

「彼らがいなかったら学園は壊滅どころか死体の山になってました。だから彼らにはこの学園を使ってもらおうと。」

 

「こいつらを学園の犬にさせる気か?」

 

「そんな馬鹿げた事はしません。それにそんな事をする愚か者がいたら私が潰します。信用出来ないのなら、女尊男卑の疑いがある教員をここに連れてきて処刑しますが。」

 

千冬は信用出来ないのなら女尊男卑の疑いがある教員をここに連れてきて血祭りにする気もあった。

 

「やめたまえ。それにそこまでする必要はない。全く、進ノ介が居たら逮捕されるぞ。」

 

クリムは千冬を止めに入った。そこまでしなくていいと。

 

「それで大道克己。ドーパントが言っていた島にはお前とお前の弟、他に誰を連れて行くんだ?」

 

チェイスは島に他に誰を連れて行くのかを聞いた。

 

「戦力はうまく分散させた方がいい。後情報収集もな。まあ情報は詩島に任せて、お前たちもやる事があるんだろ?」

 

「ああ、俺は子供を誘拐したドーパントを捜す。ハート、お前は?」

 

「…俺は昨日戦ったドーパントを捜す。彼はまだ子供だった。俺は彼を救いたい。怒りと憎しみの炎から。」

 

チェイスは子供を誘拐したドーパント、ハートはフェニックスに変身してた藤堂を捜すと言った。

 

「なら、俺たちの方は2、3人の専用機持ちのガキを連れて行くか。夏己、それでいいか?」

 

「大丈夫だよ。」

 

こうして夏己たちの次の行動は決まり、専用機持ちたちも話し合いの結果、学園の守りも考えて、弾とシャルロットは残ってもらい、島には鈴、セシリア、ラウラたちが同行する事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん、大丈夫?」

 

「大丈夫よ。傷もそんなに酷くないから。」

 

楯無の見舞いに来ていた簪と本音の姉、虚は楯無を心配そうにしていた。

 

「けど、信じられません。気象を操る怪物なんて。」

 

「私もよ。けど、襲撃した怪物の仲間には人の恐怖を増幅させたり、重力を操るわ、人の希望を奪って力に変換させる怪物まで居るみたいよ。」

 

虚は信じられなかった。気象を操って学園の教員たちを殺したドーパントの事が。

 

「でも、ヒーローも来てくれたんだよね!」

 

「ええ、しかも三人も。まあ一人はかなりのお調子者だって五反田君は言ってたけど。…そういえば虚ちゃん、薫子ちゃんに呼ばれてたわよね?」

 

「はい。凄い設計図があったからそれを作るのを手伝ってくれと言われました。」

 

「私の方は大丈夫だからそっちに行ってあげて。」

 

「分かりました。」

 

虚は医務室から出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

2日後、克己たちはユートピアが言っていた島に向かい、チェイスとハートは街を散策していた。

 

「ここには何もないか。」

 

チェイスは目の前で子供が引きずり込まれた川に来ていたが手がかりになりそうな物は何もなかった。

 

「それに剛と大道克己が掴んだ情報によれば世界各国で男達が謎の失踪。年齢も職業もバラバラ、…ドーパントの仕業に間違いないが…。まさか理想郷とやらに?」

 

チェイスは剛と克己が掴んだ情報で世界各国で男性が謎の失踪をしていると聞かされ、ユニコーンたちが言っていた理想郷の事を思い出していた。

 

「…だが今は…!」

 

チェイスはブレイクガンナーを持って振り向くと、川からタコの足が襲いかかってきた。

 

「!!」

 

チェイスは足の攻撃を避けて、ブレイクガンナーで足を撃った。

 

「不意打ちを避けたかー!あーあ、つまんねえ奴だな。」

 

川からタコを模したドーパント、オクトパス・ドーパントが現れた。

 

「貴様か。誘拐をしたのは。」

 

チェイスはブレイクガンナーをオクトパスに向けながら聞いた。

 

「正解!でも、俺は誘拐したガキを指定した場所まで連れて来いとしか言われてないよ。だから、それ以降は何も知りませんー!」

 

「だが、貴様の雇い主ぐらいは知っているはずだ。知っている事を全て吐いてもらう!」

 

チェイスはチェイサーに変身し、走りながらブレイクガンナーを撃った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハア…ハア…オータム…。」

 

「これが亡国機業の力ですか?大した事ありませんね。」

 

どこかのアジトにユートピアが居たが、ユートピアの近くの壁には女性がもたれかかっていたが、女性は負傷しており。さらにユートピアは別の女性の首を掴んでいたが、女性を離して女性は床に転がるも顔がなかった。

 

「お前は…何者なんだ…?」

 

「まさか瓜二つの人間に出会えるとは。やはりこの世界の科学は凄いものですね。財団があれば投資する組織があってもおかしくない。」

 

さらにそこには千冬と瓜二つの少女も居た。

 

「では本題に入りましょうか。あなたたちにはこれからI S学園に行ってもらいます。」

 

「I S学園に…?」

 

「そうです。今なら私の協力者たちが襲撃したおかげで警備はかなり緩いです。どうしますか?行ってくれた暁にはこれを差し上げます。」

 

ユートピアは二つのガイアメモリを女性に見せた。

 

「…それが貴様の。」

 

「ええ、これを使えばI Sなんかただのガラクタ。あなた方は今までにない力を得るのです。ただしもう一つ条件があります。」

 

「条件…?」

 

「あなた方が今まで奪ってきたI Sを全て私にコアごと提供してください。断れば、どうなるか分かりますよね?」

 

ユートピアは理想郷の杖を女性に向けると、女性の体は浮き始めた。

 

「希望を私に奪われるか、絶望を持って死ぬか。それはあなたが決めてください。」

 

「…分かったわ。I S学園に行こうじゃないの…。」

 

「話が早くて助かります。」

 

ユートピアは理想郷の杖を下げると、女性は床に着いた。

 

「では、早速行ってください。妙な事をすれば、あなたの恋人のオータムさんは死にますよ。スコールさん。」

 

「……。M、行くわよ。」

 

スコールはユートピアの言葉に黙って従い、Mと呼んだ少女を連れて部屋から出た。

 

「さて、私も今の段階で集めたI Sを篠ノ之博士に届けますか。」

 

ユートピアはオータムの襟を掴んでアジトから消えた。

 



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不死鳥

「やっとひと段落か。今年は凄い事が起きすぎね。あれだけの専用機持ちに無人機襲撃、挙句には怪物の襲撃まで起きるなんて。」

 

街に真耶がおり、真耶は学園で起きた事を振り返りながら歩いていた。

 

「この先どうなっちゃうのかな?」

 

真耶はこれからの事に不安を覚えていた。

 

「?…あの人は?」

 

真耶はふと前を見ると、距離はあるがハートが藤堂と一緒に公園に入っていくのが見えた。

 

「確か、織斑先生を助けた、ハートさんだったような。」

 

真耶は二人の後を追って公園に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間前、ハートは藤堂を捜して街を歩いていた。

 

「ハート、君は何故あの少年にこだわる?」

 

クリムはハートが何故藤堂にこだわっているのかを聞いた。

 

「彼を救いたいだけだ。彼はまだ子供、それがガイアメモリで怪人になった。泊進ノ介なら迷わず救うだろ?」

 

「確かに進ノ介なら救うために必死になるな。」

 

ハートは進ノ介ならどうするかをクリムに伝え、クリムもそれに納得していた。

 

「おい。」

 

「…君の方から来るとはな。」

 

ハートは誰かに呼ばれて後ろを向くと、そこには藤堂が居た。

 

「ここでは他の人に迷惑だ。暴れられる場所にまで連れて行ってやる。」

 

ハートは歩き出し、藤堂も後を着いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし…もう少しで完成ね…!」

 

整備室に篭っていた薫子は設計図の物が完成に近く、気合いを入れていた。

 

「薫子、少し休みなさい。もう3日も徹夜してるのよ。」

 

そこには整備科のメンバーである虚も居たが、虚は薫子をかなり心配していた。それもそのはずだった。薫子は完成させるために3日間徹夜していたから。

 

「何言ってるの…後少し…後少しなんだから…!」

 

だが、薫子は聞く耳を持たずに作っていた。

 

「でも、これ何なんだろ?見た感じは大きな剣に、銃よね?」

 

「これは大鉾型の槍よ。それに銃は大口径タイプ、しかもこの二丁は合体させる事も出来るのよ…!」

 

設計図の物は大鉾状の槍に二丁の大口径銃だった。

 

「けど、完成したら誰に渡すの?」

 

「手紙にはクリムたちに渡してとしか書いてなかったわ。まあ完成したら捜すけど。」

 

「なら、私が捜すわ。それに五反田さんなら何か知っているはずだから。」

 

虚はクリムたちを捜すために弾の元に向かい、整備室から出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!!」

 

オクトパスと戦っているチェイサーはブレイクガンナーを撃ってオクトパスの脚の攻撃をガードしていた。

 

「何故子供を誘拐した?」

 

「ガキなら誰でもいいって言われたんだよ!楽な仕事だぜ!一人誘拐する度に大金が手に入るんだからよ!」

 

オクトパスは墨を吐き、墨は当たった地面を爆発させていった。

 

「爆発能力。」

 

「どうだ!俺には近づけまい!」

 

「なら、俺も入るぜ!」

 

オクトパスの背中に光弾が当たり、オクトパスは怯んだ。

 

「剛。」

 

オクトパスの後ろにはマッハがおり、マッハはゼンリンシューターを構えていた。

 

「チェイス。このドーパント、あちこちで誘拐をしてたみたいだ。この1ヶ月で3桁もやりがってる。」

 

「なら、何故警察は動かない?ドーパントでも誘拐事件として動いているはずだ。」

 

チェイサーはオクトパスがかなりの人数を誘拐しているのをマッハから聞き、警察が何故動いてないのか疑問に思うが。

 

「そこに001が関わってるんだ。001は警察の人間の記憶を操作して誘拐事件は起こってないって記憶にした。記憶操作が効かない人間は消せば早い話だ。」

 

「それなら納得だ。剛!行くぞ!」

 

「おうよ!」

 

マッハとチェイサーはゼンリンシューター、ブレイクガンナーをオクトパスに撃ちまくった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前は何故織斑千冬を守った?」

 

公園に入った藤堂はハートに千冬を守った理由を聞いた。

 

「仮面ライダーなら当たり前の事だ。なら、俺も聞く。何故ガイアメモリに手を出した?」

 

「決まってるだろ…I Sを破壊して…織斑千冬を殺すためだッ!」

 

藤堂はフェニックスメモリを出して首に挿した。

 

「フェニックス!」

 

藤堂はフェニックス・ドーパントに変身して、大剣を持った。

 

「そんな…子供まで怪物に…」

 

隠れて見ていた真耶だが、真耶は子供まで怪物になってしまった事にショックを隠せなかった。

 

「ハート、彼は完全にメモリの毒素に蝕まれている。早くメモリを破壊しなければ命に関わる!」

 

「分かっている。彼は必ず救う!」

 

ハートはシフトブレスにシフトハートロンを入れた。

 

「変身!」

 

ハートも変身して仮面ライダーハートになり二体は構えた。

 

「!!」

 

フェニックスは火球を放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「五反田さん!」

 

「?」

 

廊下を歩いていた弾は虚に呼ばれて足を止めた。

 

「えっと、誰ですか?」

 

「私、布仏虚と申します。あの、五反田さん。クリムという人をご存知ですか?」

 

「クリム、ああベルトさんの事か。」

 

「ベルトさん?」

 

「説明より見た方が早いんですよね。ただ今はハートさんと一緒に外に出ていますよ。用があるなら俺が伝えましょうか?」

 

弾は虚にクリムに用があるなら代わりに自分が伝えると言うが。

 

「いえ、クリムという人に渡さないといけない物があるのです。一緒に捜してもらえないでしょうか?」

 

「え!」

 

虚に見つめられながら頼まれ、弾は顔を赤くしてしまう。

 

「えっと…」

 

弾が顔を真っ赤にして困っていると、後ろの壁が突如破壊された。

 

「!?」

 

二人はすぐに後ろを向いた。

 

「お前は?」

 

破壊された穴からスコールが出てきたが、スコールは既にボロボロの状態だった。

 

「あの男…この状態で学園に行って来いとかかなり無茶を言うじゃない…まあいいわ…。これを貰えたからね。」

 

そう言ってスコールはガイアメモリを出した。

 

「お前!どこでメモリを!?」

 

「加頭という男から貰ったのよ。これで仮面ライダーを殺してこいとか…本当に気に食わない男ねッ!」

 

スコールはガイアメモリを太ももに挿した。

 

「タブー!」

 

スコールはタブー・ドーパントに変身し、タブーは宙に浮いた。

 

「これが…怪物…。」

 

「最初からやる気か。虚さん、下がっていてください!」

 

弾はタブー・ドーパントを見て固まっている虚に下がるように伝えた。

 

「…は、はい!」

 

虚は後ろに下がり、弾はアクセルドライバーを着けた。

 

「アクセル!」

 

「変身ッ!」

 

「アクセル!」

 

弾はアクセルメモリをドライバーに挿れて、アクセルに変身した。

 

「さあ、振り切るぜ!」

 

アクセルはエンジンブレードを構えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「出来たッーーーー!」

 

槍と二丁拳銃がようやく完成し、薫子は喜んでいた。

 

「後はこれを…?」

 

すると、薫子の前にシフトカーが現れた。

 

「何、このミニカー?」

 

薫子はシフトカーを取ろうとすると、シフトカーは薫子の手を避けて走り出した。

 

「もしかして、着いて来いとか?…なら、ちょっと待って!」

 

薫子は慌てて大きなケースを用意した。

 

「ほら!みんなも手伝って!」

 

薫子は整備科の仲間たちに手伝うように煽った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!!」

 

ハートはフェニックスに豪快なパンチや蹴りを放ち、フェニックスを後退りさせる。

 

「効かねえよ、そんなチンケなのはッ!」

 

ハートのパンチとキックが当たった部分から炎が放たれ、フェニックスの体はさらに強い熱を帯びた。

 

「やはりメモリを破壊する以外方法はないな。」

 

ハートはフェニックスの体から放たれる熱を見て、メモリブレイク以外藤堂を救う方法はないと感じ、必殺技を発動させた。

 

「ヒッサツ!フルスロットル!」

 

「ハアッ!」

 

ハートは高く跳び、フェニックスに必殺技のハートドロップを放ち、ハートドロップと熱で出来た圧がぶつかりあった。

 

「!?」

 

だが、熱で出来た圧は想像以上に厚く、ハートドロップは跳ね返されてしまい、ハートは地面に転がった。

 

「まさか、君のパワーを跳ね返すとは…」

 

「俺の炎はこんなもんじゃないッ!」

 

フェニックスは背中から不死鳥の翼を現せて空中に飛行し、飛行しながら火球を放った。

 

「これでは一方的だ。クリム!ドライブの装備は!」

 

ハートはフェニックスに対抗するためにドライブが使っていた装備をクリムに頼むが。

 

「すまない。それらの装備がいつの間にかトライドロンから消えていたんだ。」

 

「何だと!?」

 

ハンドル剣やドア銃、トレーラー砲などドライブが使っていた主流の装備がいつの間にかトライドロンから消えていた事をクリムはハートに伝え、ハートは驚愕してしまう。

 

「装備がなければ奴には対抗出来ない!」

 

「そうは言われても、この世界にはりんなはいない。いやりんなと同等の人間が居ても…」

 

「クリムさんはどこですかー!」

 

「?」

 

「彼女たちは?」

 

すると、突然、クリムを呼ぶ声が聞こえてハートは辺りを見ると、大きなアタッシュケースを持った薫子、簪、本音が居た。

 

「何であの子たちが!?」

 

隠れていた真耶も薫子たちに驚いてしまう。

 

「その制服…I S学園のッ!」

 

フェニックスは火球を薫子たちにめがけて放った。

 

「!?」

 

だが、薫子たちの上空にトライドロンが現れて火球をガードした。

 

「何故トライドロンが?」

 

クリムが考えていると、ハートの周りにシフトカーが集まった。

 

「何?彼女がハート専用の装備を作っただと!」

 

シフトカーたちはクリムに薫子がハート専用の装備を作ったと教えた。

 

「それが本当ならありがたい!」

 

ハートはすぐに薫子たちの元に向かった。

 

「えっと、クリムさん?」

 

「クリムは私だ。それより本当か?ハート専用の装備を作ったというのは?」

 

「うわ〜このベルト喋ってるよ〜かんちゃん〜!」

 

「凄い…」

 

「え、クリムってこのベルトの事だったの!?」

 

薫子たちはクリムがベルトだと知り唖然とする。

 

「それより俺専用の装備を作ったってのは本当か!」

 

「は、はい。」

 

薫子たちはアタッシュケースを置いて、ケースを開いた。

 

「これが。」

 

「ハート専用の装備か。」

 

ハートは槍と銃を手に取った。

 

「パワータイプの君にはお似合いだな。」

 

「早速使ってみるか。」

 

ハートは銃を構えた。

 

「後ろのハンマー部分がクラッチになってるので、そのクラッチを切ってからトリガーを引いてください。」

 

「分かった。」

 

ハートはクラッチをすぐに切ってトリガーを引いたが。

 

「エンスト!」

 

「はあ?」

 

「え?」

 

銃からエンストと音声が流れてトリガーも引けなかった。

 

「何だ?撃てないぞ!?」

 

ハートはトリガーを引けずにあたふたしてしまう。

 

「ふざけてるのかッ!」

 

フェニックスはハートがふざけていると勘違いをして再び火球を放った。

 

「!?」

 

ハートは慌ててトライドロンの後ろに隠れた。

 

「おい!撃てないぞ!」

 

ハートは銃が撃てないと薫子に文句を言うが。

 

「いきなり切るとそうなるんです!半クラッチの状態で数発撃たなきゃ!」

 

「は、半クラッチ?」

 

「…センスが完全にりんなと同じだ…。」

 

クリムは薫子がりんなと同じセンスだと感じ唖然としてしまう。

 

「いいですか!クラッチを半分切ってからトリガーを引いてください!」

 

「わ、分かった。」

 

ハートは再び出て、またクラッチボタンを押した。

 

「半分に切る…!」

 

ハートは半クラッチにしてトリガーを引いた。

 

「!?」

 

銃から赤い光弾が撃たれるも、フェニックスはそれを避けた。

 

「ギアを上げて下さい!」

 

「ギア、これか。」

 

さらに薫子に言われ、ハートは銃の安全装置部分にあるギアを上げた。

 

「ニソク!」

 

ギアを上げた事で光弾の発射速度が上がり、ハートはどんどんギアを上げていった。

 

「ギアを上げれば連射も可能。彼女たちがこれ程の物を。」

 

クリムは銃を見て、薫子たちの技術に唖然としていた。

 

「!?」

 

フェニックスの翼に光弾が当たり、フェニックスは地面に落ちた。

 

「クソッ!」

 

フェニックスは大剣を構えた。

 

「こいつを使うか。」

 

ハートは槍を構えた。

 

「これもクラッチが着いているのか?」

 

クリムは薫子に聞いた。

 

「刀身の下に。後、下の方にギアが着いてます。この槍はギアを上げれば刀身の斬れ味が増す仕組みになっています。」

 

「やってみるか。」

 

ハートは槍のクラッチを半クラッチにすると、刀身から雷撃が放たれた。

 

「ハート、この装備の名前は?」

 

クリムはハートに装備の名前を聞いた。

 

「…クラッチランスにクラッチガンはどうだ?」

 

「……。ハート、君も進ノ介と同じセンスか…。」

 

クリムは一瞬でもハートのセンスに期待した自分がバカだと感じた。ハートのセンスも進ノ介と同じセンスだったから。

 

「友達と同じなら悪くない。行くぞ、フェニックス!」

 

ハートはランスの柄の先端を持ち走り出した。

 

「ナメるなッ!」

 

フェニックスも大剣を構えて走り出し、ランスと大剣はぶつかり合った。

 

「!!」

 

ハートはランスのギアを上げ、ランスはさらに炎を纏った。

 

「ハアッ!」

 

ランスはフェニックスの胸を斬り、フェニックスは怯んだ。

 

「俺の炎を上回っているのか…?」

 

ランスから放たれた炎はフェニックスの炎と互角の炎だった。

 

「ハート、中央にはシフトカーを装着出来るシフトブレスがある。マックスフレアを使うんだ。」

 

「炎をさらに強める。あの炎を飲み込むにはより強い炎が必要か。」

 

ハートはマックスフレアのシフトカーを呼び、マックスフレアのシフトカーをシフトブレスに装填させた。

 

「マックスフレア!」

 

マックスフレアを装填させた事でランスの炎と雷撃はさらに威力を増し、ハートはランスを片手で回した。

 

「フェニックス、お前を必ず救う!」

 

ハートの周りに炎の渦が発生し、ハートはフェニックスは必ず救うと誓った。



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クオークス

「ここか。」

 

加頭から貰ったUSBの地図を使って夏己たちは無人島らしき島に来ていた。

 

「あの野郎が招待しやがったんだ。ヤベえ場所には違いない。お前ら、ここからは別れて島を探索する。今のお前らの服装なら動きやすいからな。」

 

克己は鈴たちを見た。鈴たちはI S学園の制服ではなく、NEVERのジャケットに黒ズボンにブーツ姿だった。

 

「兄上、我々のためにありがとうございます。」

 

「だからその呼び名はやめろ。夏己、お前にこれを渡しておく。」

 

克己は夏己に無線機を渡した。

 

「何か見つけたらすぐに連絡をしろ。俺も連絡はする。」

 

「分かった。」

 

「よし、行くぞ。」

 

夏己たちは別れて行動をし始めた。夏己は鈴、セシリアと、克己はラウラと行動を一緒にした。

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ、加頭って男は何がしたいの?」

 

道中、鈴は加頭の目的を夏己に聞いた。

 

「チェイスさんや剛さんが戦ったドーパントの話だと、加頭は理想郷を作るとか言ってたらしいんだ。」

 

「理想郷?」

 

「その理想郷が何なのかは分からない。けど、加頭が現れてからこの1ヶ月でI Sは奪われる、男性が失踪するって事件が起きていたんだ。チェイスさんたちの目の前でも子供がドーパントに誘拐されたしな。」

 

「ですが、I Sが奪われた事件も失踪事件も公にはなっていません。」

 

「I S強奪は国の名誉に関わるからそれぞれの国が隠してるんだ。失踪事件はロイミュードが関わってる可能性があるらしいって、剛さんは言っていたよ。」

 

夏己は加頭が起こしてるI S強奪事件は国が隠し、失踪事件はロイミュードが関わっていると剛から聞いていたのだった。

 

「確か、そのロイミュードだっけ?そいつもヤバい能力があるんでしょ?」

 

「記憶を操作する能力。自分に都合の悪い事は操作してなかった事に出来るからな。」

 

「重力に恐怖、気象まで操るのに、そこに人の記憶まで操作出来る存在が居たなんて…」

 

セシリアは最早何て言ったらいいのか分からなかった。ドーパントは重力や恐怖、気象を操り、ロイミュードは記憶を操作出来る能力があるから。

 

「けど、記憶操作が効かない人間も居るらしい。剛さんは記憶操作が効かないのを利用して敵の内部に潜入してた事があったんだ。」

 

「ねえ、もしもの話だけど記憶操作で敵はI S学園だ。なんて操作されたらどうなるのよ…?」

 

鈴は001の記憶操作で敵はI S学園と操作されたらどうなるのか夏己に聞いた。

 

「そしたら学園の人間の何人かはI Sで戦うかもな。そうなったら加頭たちの思う壺だ。…ここは?」

 

夏己たちは話していると、ボロボロになった村らしき場所に着いた。

 

「何これ?」

 

「争ったような痕がありますが…。」

 

村は激しく争ったような痕があり、夏己たちは村を見渡した。

 

「…誰だ!?」

 

夏己は誰かに見られてる気配を感じ、叫びながら辺りを見た。

 

「え…?」

 

「目…ですか…?」

 

空中に目のような物が浮かんでおり、目は夏己たちをジッと見ていたが、次の瞬間光線を撃ってきた。

 

「避けろッ!」

 

夏己たちは光線を避け、地面に転がった。

 

「お前は!?」

 

さらに民家の物陰からドーパントが出てきた。

 

「加頭が言ってたからドーパント絡みとは思ってたけど、本当に居るとはな。」

 

夏己はロストドライバーを着けて、メモリを起動させようとしたら。

 

「…!!」

 

ドーパントは突然走り出して逃げた。

 

「待てッ!」

 

夏己は追いかけるも、ドーパントを見失ってしまった。

 

「逃げられたか…。」

 

夏己は悔しながら嘆いていると、無線機に連絡が入った。

 

「夏己、何か見つかったか?」

 

「ドーパントが居たよ。でも逃げられた。」

 

「そうか。それとこっちもかなりヤバいのを見つけた。こっちに来れるか?」

 

「分かった。すぐに行くよ。」

 

夏己は無線を切り、克己たちの元に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏己たちが克己たちが居る場所に着くと、そこは鉱山で克己とラウラは大きな穴を見ていた。

 

「兄さん!」

 

「来たか。」

 

「それでヤバい物って?」

 

「あれだ。」

 

克己は穴の中を見ながら言い、夏己たちも穴の中を見た。

 

「!?」

 

「これって…」

 

「まさか…」

 

夏己たちは穴の中にあった物を見て、顔を真っ青にしてしまう。

 

「人間の死体だ。しかもこれだけの数とは。」

 

穴の中には大量の死体があり、鈴とセシリアは吐き気を覚えてしまう。

 

「俺たち…さっき村らしい場所に居たから…。」

 

「おそらくはこの島の住人たちだな。」

 

「だからって…子供まで殺す理由がどこにあるのよ!」

 

「何で…幼い子供まで…」

 

死体の中には小学生ぐらいの子供や小学生にも満たない子供も居た。

 

「私も見つけた時は言葉を失った。まさかドイツ以外でこのような事が起きてたのだからな。」

 

「そして、この死体だが、あそこに行けば何か分かるかもな。」

 

克己は森の方を見た。森の中にはこの島には似つかないコンクリート製の大きな建物があった。

 

「…行こう。兄さん。」

 

「ああ。」

 

夏己たちは建物の正体を知るために森に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

森に入ってしばらく歩いた夏己たちは建物の入口らしき場所に着いたが、木々を使って隠れながら入口を見ていた。

 

「見張りはおろか監視カメラらしい物もないな。」

 

「もし、お前が見たドーパントが持ち主なら下げたのかもな。向こうは俺たちが来てる事を知ってるんだからな。」

 

入口には見張りや監視カメラもなく、普通に入れる状態だった。

 

「どうするのですか?罠かもしれません。」

 

「罠だとしても行くしかない。」

 

夏己は罠だとしても行くしかないと考え、入口に向かった。

 

「…何なんだ?この胸騒ぎは?」

 

克己も入口に向かうが、何か嫌な予感がしていた。

 

 

 

 

 

 

 

「長い通路だな。どこまで続くんだ?」

 

「複雑なルートより全然マシでしょ。」

 

建物に入った夏己たちだが、外から見た構造と違い、上に続く階段はなく、一本道の通路だけだった。その途中にも扉などは一切なかった。

 

「夏己さん、鈴さん、あまり喋らないでください。」

 

「敵がどこから出てくるか分からないからな。」

 

「…着いたみたいだぞ。」

 

克己は足を止めると、一番奥に鉄で出来た頑丈な扉があった。

 

「開けるぞ。」

 

克己の言葉に夏己たちは頷き、克己は扉を開けた。

 

「これって?」

 

扉を開けるとそこは広い空間だったが、左右には並ぶように五つの鉄扉が並んでいた。

 

「この扉は?」

 

克己は扉に近づくと、扉には格子戸が付けられていて、克己は格子戸を開き中を覗いた。

 

「!?」

 

中を覗いた克己は中にあるものを見て顔色を変えた。

 

「兄さん、どうしたの?」

 

「…中に人が居る。しかもかなりの人数が。」

 

「え!?」

 

夏己もすぐに中を見ると、中には大勢の男性が居た。

 

「何でこんな所に…。…大丈夫ですか!!」

 

「あんた!誰だよ!?」

 

夏己に声をかけられた男性たちは驚いてしまう。

 

「説明はちゃんとします。それよりどうしてこの中に?」

 

「分からねえよ。気がついたらここに居たんだ。」

 

「俺もだ!」

 

「僕もです!」

 

夏己は男性たちにどうしてこんな場所に居るのかを聞くが、男性たちは

気がついたらここに居たという。

 

「おい、あんたは最後の行動は覚えているか?」

 

克己は男性たちに最後の行動を聞いた。

 

「確か仕事終わりだったな。道端で変な男に会って、それで…」

 

男性は最後の行動を思い出そうとするが、あまり思い出せてなかった。

 

「俺は彼女に振られてヤケ酒をしてる時だったな。変な男にいいバイトがあるからやってみないかって誘われて。」

 

「僕は会社をクビになって路頭に彷徨ってた時です。君をクビにしたバカな女上司どもがいる会社よりいい会社を紹介してあげると言われました。」

 

何人かの男性はハッキリと覚えており、克己たちに説明した。

 

「お前ら、ここにある扉を全部調べろ。そして中に誰か居るなら片っ端から聞け。」

 

「分かった。」

 

夏己たちは手分けして扉に近づいては中を見た。その結果、扉の中には5人、計50人の男性が監禁されていた。

 

「兄さん、みんな同じだ。変な男に声をかけられたって言ってる。」

 

「それと皆さんの額に目のような模様があります。」

 

「他には女性に酷い扱いをされた者も居ます。理不尽に殴られたとか、気に食わないから明日から来るなと言われ会社をクビになった人間も居ます。」

 

「それに小学生ぐらいの子供も居たわ!」

 

「共通点は男。…ここに居るのは失踪事件でいなくなった被害者だな。」

 

克己は監禁されている男性たちは世界各国で起きていた失踪事件の被害者だと考えた。

 

「だが、失踪した奴はもっといる。別の場所に監禁されているのか?」

 

克己は失踪した男性はかなりの人数がいるため他の男性が別の場所に監禁されていると考えていると。

 

「ようこそ。我が研究所へ!」

 

「!?」

 

突然、どこからか男の声が聞こえてきて夏己たちは辺りを見た。

 

「誰だ!?」

 

「ここでは私があるものを作っている。彼らはそのための材料だ。」

 

「材料…ふざけた事言ってるんじゃないわよッ!人を材料呼ばわりするんじゃないわよッ!」

 

鈴は男の言葉に怒声を上げた。

 

「君たちがIS学園の専用機持ちだね。君たちも今まで男を道具としてしか見てこなかっただろうが。いや世の中の女が全てそうだ!ISがある限りこの世界には安らぎはない。」

 

「安らぎか。理想郷と言い、お前たちは何が目的なんだ?」

 

克己は男に目的を聞くが。

 

「その話をするには君は邪魔だ。」

 

男がそう言った瞬間、克己の足元の床が開いた。

 

「!?」

 

「兄さん!」

 

克己は下に落ちていき、夏己も後を追い、床は閉じた。

 

「夏己さん!?」

 

「兄上!!」

 

「まさか弟まで行くとは都合がいい。」

 

「二人をどこにやったのよ!」

 

「安心したまえ、地下に落としただけだ。まあ地上に出るにはかなり時間がかかるがな。ここからは君たちだけでどうにかするしかない。その前に私の話を聞いときたまえ。」

 

「誰があんたの話なんか聞くと思ってるのよ!セシリア!ラウラ!ここに居る人をみんな助けるわよ!」

 

「ええ!」

 

「ああ!」

 

鈴たちは男の話に聞く耳を持たず専用機を展開して、扉を破壊し始めた。

 

「愚かな小娘たちだ。」

 

男は鈴たちに対してそう呟いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「痛てて…」

 

「…ここは?」

 

地下に落ちた夏己と克己だが、辺りは真っ暗で何も見えない状態だった。

 

「夏己、早く出口を探すぞ。ガキどもと合流するためにも。」

 

「分かった。」

 

二人は立ち上がったが、立ち上がった瞬間明かりが着いた。

 

「あいつは!」

 

さらに上を見ると、上には三面窓があり、向こう側には一人の男が居た。

 

「お前!さっきの声の男か!」

 

夏己は男に怒鳴りながら聞くが、窓越しのため男には聞こえていないように思えたが。

 

「そうだ。私はこの研究所を任されているドクターだ。大道夏己君。そして、大道克己。ここではお前にとって因縁深いものを作っている場所でもある。」

 

「因縁深いもの?」

 

「私が作ってるのは、超能力兵士クオークスだ!」

 

「クオークスだと!?」

 

「兄さん、クオークスって?」

 

克己は男が作ってるのがクオークスと聞かされ表情を変え、夏己は克己にクオークスは何なのかを聞いた。

 

「クオークス。超能力を使う人間の事だ。だが、何故お前がそれを!?」

 

「加頭という男から教えてもらったのさ。」

 

「あの野郎、クオークスを作るつもりか…。」

 

「それだけではない。彼はゾンビ兵士NEVERも作る気だ!」

 

「NEVERまでも!?」

 

克己は加頭がクオークスだけではなくNEVERまでも作ると知り驚愕してしまう。

 

「ゾンビ兵士…?」

 

「どんな攻撃を受けても死なない肉体を持った兵士だ。クオークス、NEVERを使って私は復讐するのだよッ!」

 

「復讐だと?」

 

「私はねISが出来るまでは名の知れた科学者だった。だが、ISによって私は全てを失った。そんな時に加頭と出会い、彼は私にクオークス、NEVERの事だけではなく、これまでくれたのだよ。」

 

男はガイアメモリを夏己たちに見せて、メモリを喉仏に挿した。

 

「その姿は!?」

 

克己は男が変身したドーパントを見て過去の記憶を思い出した。男が変身したドーパントはアイズ・ドーパント、克己が人間性を失う原因を作ったドーパントだったから。

 

「私は女どもに復讐するのだッ!クオークス、NEVER、そしてガイアメモリを使ってなッ!…だが、その前に専用機持ちの小娘たちには地獄に落ちてもらうが。」

 

「鈴たちの命が狙いか!?」

 

「私が手を下さなくとも、小娘たちは絶望する。大道克己、貴様なら分かってるはずだ。このアイズの力を。」

 

「…ここはビレッジじゃねえ。てめえの力は…」

 

「変えただけだ。ここは陽の光も当たらないジメジメした場所。陽の光を浴びてない奴らが強い太陽の光を浴びたらどうなるかな?」

 

「まさか、お前!?」

 

克己はアイズの考えをすぐに理解した。

 

「専用機持ちの小娘たちは全員牢から出したみたいだな。見ものだな。貴様らが足掻く場面が。」

 

アイズがそう言うと、夏己たちの後ろの壁が開いた。

 

「夏己!早く行くぞッ!捕まってる連中を外に出さないために!」

 

「え!何で!?」

 

「説明は走りながらするッ!いいから行くぞッ!」

 

克己は走り出し、夏己も後を着いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「目の模様が見張り!?」

 

「そうだ。それがあのドーパントの力の一つだ。あの模様がある限りどこにも逃げられねえんだよ。」

 

「だから入口に見張りも監視カメラもなかったのか。」

 

「あの野郎は模様に細工をしてる。強い太陽の光を浴びれば死ぬ細工を!」

 

「まさか!?」

 

「ガキどもは知らずに全員助けてるはずだ。もしガキどもが捕まってる連中を外に出せば、全員死ぬ。早くしねえとガキどもの前で死体の山が出来るぞッ!」

 

「急がないとッ!」

 

二人は全速力で出口に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんな!こっちよ!」

 

「急いでください!」

 

「ここを出れば自由だ!」

 

何も知らない鈴たちは捕まってた男性たちを連れて出口に向かっていた。

 

「出口よ!」

 

鈴たちは出口に着き、男性たちは一斉に外に出た。

 

「やったーー!!」

 

男性たちは外に出れて大喜びをしていた。

 

「よかった。」

 

「本当ですわ。」

 

鈴たちは太陽を見て喜び男性たちを見て安心していたが。

 

「「「うわあぁぁぁーーーーーー!!」」」

 

突然、男性たちは頭を抑えてもがき苦しみ始めた。

 

「え?何!」

 

鈴たちは何が起きたのか分からなかった。だが男性たちは次々と糸が切れた人形のように倒れていった。

 

「みんな!どうしちゃったのよ!?」

 

「皆さん!どうしたのですか!?」

 

「おい!しっかりしろ!」

 

鈴たちは男性たちに呼びかけるが反応はなかった。

 

「遅かったか…」

 

「そんな…」

 

克己たちも出口から出てきたが、惨劇を見て言葉を失ってしまう。

 

「あの子は立ってるわよ!」

 

鈴は一人だけ立っていた子供に気づき、すぐに子供の元に向かった。

 

「たす…けて…おねえ…ちゃん…」

 

子供は手を伸ばして鈴たちに助けを求めたが。

 

「!?」

 

子供の額の模様が光り、子供は倒れそうになるが、鈴が受け止めた。

 

「しっかりして!」

 

鈴は子供に必死になって呼びかけるが反応はなく、ラウラはすぐに脈を測った。

 

「…死んでいる…」

 

「…何で…?」

 

「…まさか、ここに居る人全員…?」

 

鈴たちは子供が死んでいる事を知り、他の男性たちも死んでしまったと分かるが、何故死んだのかは分からなかった。

 

「これが貴様らがやった事だ。」

 

「お前は!?」

 

そこにアイズ・ドーパントが来た。

 

「専用機持ちの小娘ども、貴様らはだれも助けてはいない。貴様らは殺したのだ。貴様らがやった事はただの人殺しだ!どんな気分だ?大量殺人犯になった気分は!」

 

アイズは鈴たちを地獄に落とすかのように罵声を浴びせた。

 

「貴様らが私の話を聞いていれば彼らは死なずに済んだ。本当にバカな奴らだ。」

 

「黙れッ!鈴たちのせいじゃない…お前のせいだろうがッ!」

 

「専用機持ちを庇うか。なら私を殺せるか?まあ私を殺せるのは人間を捨てた悪魔だけだが。」

 

「てめえを殺せるなら、俺は悪魔にでも何にでもなってやってやるよッ!」

 

夏己はロストドライバーを着けて、メモリを起動させた。

 

「エターナル!」

 

「変身ッ!」

 

「エターナル!」

 

夏己はエターナルに変身し、エターナルはアイズ・ドーパントを見た。

 

「さあ…地獄を楽しみなッ!」

 

 



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暴徒

「クソッ!」

 

フェニクッスはハートに苦戦し始めて圧されていた。

 

「君は破壊のために力を使っている。そんな想いでは俺を倒すことは出来ない!」

 

ハートはランスの切っ先から雷撃を放ち、フェニクッスはダメージを負った。

 

「うわあぁぁーーー!!」

 

フェニクッスは転がると、ドーパント化が解けてメモリが転がった。

 

「何故、君はガイアメモリに手を出したのだ?」

 

クリムは藤堂に聞いた。ガイアメモリに手を出した理由を。

 

「黙れ…ISのせいで…!」

 

藤堂は悔しそうに拳を握った。

 

「ISが憎いのですね。」

 

「君は?」

 

「確か、山田真耶君だったな。」

 

ハートたちの後ろから真耶が来て、真耶は藤堂に近づいた。

 

「え?山田先生、居たんですか?」

 

「ハートさんたちがこの公園に入ったのが見えて、それで。」

 

真耶は藤堂の元に来ると、膝を地面に着けた。

 

「ISが憎いなら、私を殺してもいいですよ。それで君の想いが晴れるなら。」

 

「!?」

 

「山田君!君は自分が何を言っているのか分かっているのか!?」

 

ハートとクリムは真耶の言葉に驚愕してしまう。

 

「だって、ISのせいでこんなメモリに手を出したんですよね?なら、私がこの子の憎しみを受け止めます。」

 

真耶はフェニクッスメモリを拾い、それを藤堂に差し出した。

 

「……。」

 

藤堂は真耶を睨んでいた。

 

「少年。全ての女性が酷い人間ではない。彼女たちもそうだ。彼女たちはハートのために危険を犯してまで装備を届けに来たんだ。」

 

クリムは装備を届けに来てくれた薫子たちの事を話した。

 

「そのメモリをこちらに渡すんだ。君はまだ戻れるからな。」

 

ハートも藤堂に近づき、ハートも膝を地面に着けた。

 

「…ハートさん。」

 

「このメモリは俺が…」

 

ハートは真耶からメモリを受け取ろうとしたら。

 

「彼はもう戻れないのだよ。」

 

「!?」

 

「この声は…001!?」

 

突如001の声が聞こえると、辺りはいきなり氷漬けの世界になった。

 

「何これ!?まだ夏よね!?」

 

「かんちゃん〜寒いよ〜!」

 

薫子たちは突然気象が変わった事に驚き、寒さに体を震わせていた。

 

「!?」

 

藤堂の後ろに001が現れてハートと真耶を吹き飛ばし、ガイアメモリもその衝撃で落としてしまった。

 

「001…。」

 

「彼は既に人の命を奪っている。それだけではない、彼はもう人ではないのだよ。」

 

001は緑色の液体のような物が入った銃型の注射器を出した。

 

「全く。勝手に動くのはまずいだろ。君はこれがないとダメな体になったのだから。」

 

001は注射器を藤堂の腕に刺すと、藤堂の体が一瞬だが緑色になった。

 

「001、彼に何をした!?」

 

「これについては大道克己に聞け。奴がよく知ってるのだから。」

 

001は藤堂を担いだ。

 

「IS学園の教員、貴様は邪魔な存在だ。記憶を書き換える。」

 

001は真耶にめがけて氷の針を飛ばした。

 

「!?」

 

針は真耶の首に刺さり、真耶は痛みで首を抑えた。

 

「しまった!」

 

ハートはすぐに真耶の元に向かった。

 

「この針で面白い事が起きる。まあその女をどうにかするか、向こうをどうするか、見ものだな。」

 

001は再び吹雪を放ち、姿を消した。

 

「おい!しっかりしろ!」

 

ハートは真耶に呼びかけると。

 

「痛た…今の何だったのですか?」

 

真耶には何事もなく、真耶は何が起きたのかハートに聞いた。

 

「…まさか?」

 

「彼女は001の記憶操作が効かない特異体質の人間か!?まさか精神耐性がある人間が居るとは。」

 

「ならガイアメモリの精神攻撃も効かない人間でもあるな。」

 

真耶は001の記憶操作が効かない特異体質の人間であり、同時にドーパントの精神攻撃が効かない人間だという事も分かった。

 

「あの、山田先生は何されたんですか?」

 

薫子たちがハートに近づき、状況を聞いた。

 

「彼女はとてつもない強さを持った人間だという事だ。」

 

ハートは変身を解いた。

 

「クリム、001が言っていた記憶操作で面白い事が起きるとは一体?」

 

「奴の事だ。何かとんでもない事を…」

 

「来るんじゃねえよッ!」

 

「!?」

 

突然、誰かの叫び声が聞こえ、ハートたちは辺りを見た。

 

「向こうか!」

 

ハートはすぐに声がした方に向かい、薫子たちも後を追った。

 

「え!待ってください!」

 

真耶も起き上がり、すぐに後を追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オラッ!」

 

アクセルはエネルギー弾をタブーに撃ち、タブーは床に落ちた。

 

「ク…体が思うように動かない…。あの男、不良品を渡したのかしら…?」

 

タブーは思うように体を動かせず、加頭から貰ったメモリが不良品だと考え出した。

 

「どうした?襲撃してきた割には大した事ないな。」

 

アクセルはエンジンブレードをタブーに向けた。

 

「…これは準備運動よ。本番は…!」

 

「それ以上やっても、今のあなたは彼には勝てませんよ。」

 

「!?」

 

突然、加頭の声が聞こえるとタブーは吹き飛ばされ、壁に叩きつけられドーパント化が解けた。

 

「加頭!!」

 

スコールが入ってきた場所からユートピアが入ってきて、スコールを見た。

 

「あなたに渡したメモリには少し毒素を多く入れていたのですよ。」

 

「毒素…?」

 

「所謂、諸刃の剣ってやつですよ。強い力を得る代わりにあなたの体が蝕まれる。私が素直に普通のガイアメモリを渡すと思いですか?」

 

ユートピアはスコールの首を掴み、スコールは宙に浮かされた。

 

「最初からあなたには期待などしていません。本当なら目障りなあなたに仮面ライダーを潰してもらう予定でしたが、変更します。あなたにはまだ利用価値があるので。彼女を地球の巫女にするための。」

 

「Mを、マドカをどうするつもりなの…?」

 

「理想郷を作るための礎と言ったところでしょうね。」

 

ユートピアはスコールの腹部を殴り、スコールは気を失った。

 

「しかし、国が干渉出来ないIS学園がドーパントやロイミュードにこうも簡単に壊滅状態に追い込まれる。いい笑い者ですね。」

 

ユートピアはアクセルを見た。

 

「加頭…!!」

 

「私は君たちに手土産を持ってきたのです。手ぶらでは来れませんからね。」

 

ユートピアは理想郷の杖を上に上げてすぐに下げた。すると、アクセルの前に何かが落ちた。

 

「!?」

 

「そんな…」

 

アクセルはそれを見て言葉を失い。虚も顔を真っ青にしてしまった。落ちてきたのはチェイスの目の前でオクトパスに誘拐された子供の死体だったから。

 

「これは警告でもあるのですよ。あなた方が邪魔をするなら我々は子供の死体をこの学園に送り続けます。」

 

ユートピアは理想郷の杖で床を破壊して姿を消した。

 

「惨すぎる…。」

 

アクセルは変身を解き、子供の死体に近づいた。

 

「……。」

 

虚も子供の死体の元に向かい、子供に触れた。

 

「五反田さん…。この子が、この子が何をしたんですか…?」

 

虚は既に冷たくなっている子供の手を握りしめ、泣きながら聞いた。

 

「……。」

 

弾は何も答えられなかった。

 

「弾!」

 

そこに騒ぎを聞きつけたシャル、箒、千冬が来た。

 

「…その子供は…?」

 

千冬たちも子供を見て顔を真っ青にして聞いた。

 

「もう死んでる…。加頭の警告だとさ。自分たちの邪魔をする限り、子供の死体を送りつけるって。」

 

「何だと…」

 

「…私たちを徹底的に追い詰めるつもりか。」

 

「かもしれませんね。」

 

「…五反田さん。この子は私が一旦預かります。」

 

虚は子供を抱えて歩き出したが、その後ろ姿はまるで抜け殻のような感じだった。

 

「織斑先生。どうするんですか?このままだと毎日死体が送られてきます。このままじゃ学園の人間が誘拐して殺してるってレッテルを張られますよ。」

 

「…流石に私でもどうすればいいのか分からないな。」

 

千冬は目頭を抑えて壁に寄り掛かった。

 

「束…。殺しにお前が関わっているなら、私は…!」

 

千冬は拳を握りしめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「タコ野郎!さっさと加頭たちの場所を言えッ!」

 

オクトパスと戦っているマッハとチェイサーはオクトパスを追い詰めていた。

 

「だから!俺は何も知らねえよ!」

 

オクトパスは脚でマッハを攻撃するが。

 

「お前の脚の動きは見切ってるんだよ!」

 

マッハはシグナルトマーレのシグナルバイクを装填させた。

 

「イマスグトマーレ!」

 

ゼンリンシューターからスタン効果を持った防御壁が撃たれ、オクトパスの動きが止まった。

 

「トドメだ。」

 

「ヒッサツー!フルスロットル!」

 

チェイサーは必殺技のキックをオクトパスに放った。

 

「ハアァァァーーー!」

 

「ギャアァァァーーー!」

 

キックはオクトパスに命中してオクトパスは爆発した。

 

「ク…クソ…」

 

爆炎の中からチンピラのような男が転がってきた。

 

「さあ、加頭たちの事を教えてもらおうか。」

 

マッハたちは男に近づき、加頭たちの事を聞こうとしたらメモリがブレイクされた。

 

「うぎゃあぁぁーーーー!!」

 

「!?」

 

メモリが破壊された瞬間、男に異変が起きた。

 

「おい!どうした!?」

 

男は胸を抑えながら苦しみ出し、男の体が黒い塵になり始めた。

 

「まさか!口封じか!?」

 

「ガイアメモリが破壊されたら死ぬ仕組みってか!」

 

マッハたちはオクトパスメモリが破壊された事で男が死ぬように仕組まれたと気づくも既に遅く、男は完全に塵となり服も残さずに消えた。

 

「…情報を外部に漏らさないためにここまでするのか…。」

 

「これじゃあ今ガイアメモリを使ってる奴を倒したら…。」

 

マッハは最悪な展開を考えた。学園を襲撃したドーパントたちを倒せば、変身してる人間は全て今みたいな事が起きると。

 

「触るなッ!このバケモンがッ!」

 

「今度は何だ?」

 

マッハたちも叫び声を聞き、変身を解いてすぐに叫び声の方に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何だ…これは…?」

 

叫び声を聞いて駆けつけたハートたちは住宅街に来たが。

 

「みんな、どうしちゃったの…?」

 

ハートたちが見た光景は男性たちが暴徒化し、女性たちと揉めていた。

 

「あなた!一体どうしちゃったのよ!?」

 

「うるせえッ!てめえのせいで会社をクビになったんだッ!どうしてくれるんだッ!」

 

夫婦らしき男女の夫は一方的に妻を責めていた。

 

「おとうさん!やめてよ!」

 

夫婦の子供らしい男の子は父親を止めるが。

 

「黙れッ!」

 

父親は子供を突き飛ばし、子供は大泣きしてしまう。

 

「おい!やめろッ!」

 

ハートは父親を止めるために間に入り、真耶が子供の側に来た。

 

「子供の前で何をしてるんですか!」

 

「うるせえッ!」

 

父親は真耶の言葉に聞く耳を持たずただ叫んでいた。

 

「001が言ってたのはこの事か…。ハート!ここに居る男性たちは皆、001の針を打たれた人たちだ!」

 

「記憶操作で女性は怪物なり悪魔とか書き換えたのか…!」

 

ハートは男を抑えるが、男は抵抗した。

 

「ハート!」

 

そこに剛とチェイスも合流した。

 

「何だこれは…?」

 

「説明は後だ!彼らを止めるんだ!」

 

「これじゃあ、050がやってた絵と同じじゃねえか!」

 

剛はこの光景を見て050がやってた事を思い出しながらも男性たちを止めた。

 

「おとうさん…」

 

子供はただ泣くしかなかった。

 

「大丈夫よ。お父さんはすぐに元に戻るから。黛さんたちは子供たちを保護してください!」

 

「は、はい!」

 

薫子たちは真耶の指示に従って子供を保護し始めた。

 

「やめろッ!」

 

剛とチェイスも必死で男性たちを止めるが、男性たちは誰も聞く耳を持たなかった。

 

「皆さん、暴れるのはここまでですよ。」

 

「お前は…?」

 

「大道克己が言っていた加頭か。」

 

だが、この暴徒化した男性たちの前に加頭、テラー、ウェザーが現れた。

 

「あれが怪物…。カメラ持ってくればよかった。」

 

「夏己や弾はあんな怪物と…。」

 

薫子たちは初めて見るドーパントを見て顔色を変えてしまう。

 

「お前が加頭順だな。あいつらからは話は聞いてる。てめえと001の目的は何だ!!」

 

剛はゼンリンシューターを加頭に向けたが。

 

「…やりなさい。」

 

加頭がそう呟いた途端、男性たちの動きが止まった。

 

「何だ…?」

 

ハートたちは男性たちを警戒すると、男性たちは一斉にハートたちに襲い掛かった。

 

「おいおいマジかよ!?」

 

「剛!手は出すなッ!」

 

ハートたちは相手が普通の人間であるために抵抗出来ずに抑え込まれてしまう。

 

「彼らをこちらに渡してください。」

 

その間に加頭たちは真耶たちに近づき、男の子たちを渡すように言った。

 

「…この子たちをどうするつもりですか?」

 

「我々の理想郷に連れて行くのです。命が惜しいなら我々に渡してください。」

 

加頭は真耶に命が惜しいなら男の子たちを渡せと言うも。

 

「嫌です!この子たちは絶対に渡しませんッ!」

 

真耶は迷わずに言った。男の子たちは渡さないと。

 

「…死ぬのが怖くないのですか?」

 

加頭はユートピアメモリを出した。

 

「ユートピア!」

 

加頭はユートピア・ドーパントになり、理想郷の杖を真耶に向けた。

 

「何やってんだッ!?早く逃げろッ!」

 

剛は真耶に逃げろと言うが。

 

「私が逃げたら、この子たちは連れて行かれてしまいます。私は絶対に逃げませんッ!」

 

「…まさかIS学園の教師にもまともな部類が居たとは。いいでしょう。ここはあなたに免じて子供の方は連れて行きません。ですが。」

 

ユートピアはテラーを見ると、テラーはテラーフィールドを放った。

 

「!?」

 

テラーフィールドは男性たちの方に行き、ハートたちはテラーフィールドを浴びてしまうが、剛はともかく、ハートとチェイスも精神耐性があるのか、三人の体からは電流が少し流れた程度だったが、男性たちはテラーフィールドの中に消えていった。

 

「彼らの方は貰います。…あなたの選択がどんな結果になるか楽しみですね。」

 

ウェザーは強風を起こして、その風でハートたちは顔を覆い、再び見ると。

 

「…逃げられたか。」

 

ユートピアたちの姿はなく、その場にはハートたち以外に居たのはは泣き崩れている女性たちに子供だけだった。

 

「ハート。今はこの場を処理しなくては。」

 

「分かってる。」

 

ハートはクリムに言われ、事後処理をし始めた。

 

「…このままでは全ての男が加頭の手に収まってしまう…。」

 

「そうなったらマジでヤバイぜ。下手すれば人類が滅んじまう…。」

 

剛とチェイスはこの先で起きる事で人類が滅んでしまう考えを持ってしまう。

 

「大道克己。お前たちの方は大丈夫なのか?」

 

チェイスは島に向かった克己たちが気がかりだった。向こうでは何が起きているのか分からないために。

 

 



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人間性

お待たせしました。少し放置気味にしてすいません。これからもしかしたらこんなペースで書くかもしれません。


「楽しませられるなら、楽しませてみろ。」

 

アイズは左右に目を出現させて、目はエターナルに光線を撃った。

 

「ウオォォォォォーーー!!」

 

エターナルは光線を喰らうもそのダメージを無視してひたすら走り、アイズにエッジを振った。

 

「グッ!」

 

アイズはエッジのダメージをまともに喰らい倒れた。

 

「おい、一つ聞かせろ…!」

 

「何だ?」

 

「何でこの島の人たちを殺したんだッ!」

 

エターナルは島の住人を殺した理由を聞いた。

 

「そんなのは簡単だ。住人たちはテストのための実験台になってもらっただけだ。クオークスたちのな!」

 

「テメェ…!」

 

エターナルはアイズの言葉にブチ切れ、アイズを無理矢理立たせてひたすら殴った。

 

「…やはりガイアメモリは素晴らしい。使用者の感情で適合値が上がる。今のこいつは私を殺す。その感情だけで戦っている。ISなど最早過去の遺産。加頭順、貴様はやはり救世主だ。」

 

アイズはエターナルの攻撃を見て、感情で適合値が上がるガイアメモリに感激し、加頭を救世主として崇めていた。

 

「一つ言っておく。私を殺しても加頭の計画は止まらない。」

 

「加頭も殺せば早い話だろうがッ!」

 

エターナルはアイズに一撃を放ち、アイズは再び地面に転がった。

 

「加頭の計画にはなお前がよく知っている人間が関わっているんだ。」

 

「なら、そいつも殺すッ!」

 

「いいのか?関わっているのは篠ノ之束だ。」

 

「何だと!?」

 

エターナルはアイズから加頭の計画に束も関わっていると聞かされ驚愕する。

 

「あのガキも関わっていたのか…。」

 

「まああの小娘は無理矢理だがな。」

 

「…知るかそんな事ッ!加頭に関わってるならあの女も敵だッ!」

 

だがエターナルは相手が誰だろうが、加頭に関わっているなら全て敵だった。

 

「恐ろしい男だ。お前は。」

 

「黙れッ!」

 

エターナルはアイズを蹴り飛ばし、ジョーカーメモリを起動させた。

 

「ジョーカー!」

 

「消えろッ!」

 

「ジョーカー・マキシマムドライブ!」

 

エターナルは走り出してアイズにライダーキックを放った。

 

「うぎゃああぁぁぁーーーー!!」

 

アイズはキックをまともに喰らって爆発した。

 

「はあ…はあ…」

 

「忘れたのか…?私を殺しても加頭の計画は止まらない…。」

 

アイズが倒れた場所にドーパント化が解けたドクターがおり、自分を殺しても加頭の計画は止まらないと再びエターナルに言い放った。

 

「加頭の計画は着々と進んでいる。世界各国のISの強奪、全ての男をNEVERにする計画を…。そしてロイミュードの力でISを使う女は悪魔だという記憶に…」

 

「加頭は何故ISを奪っている!答えろッ!」

 

克己はドクターに加頭がISを奪っている訳を聞くが。

 

「深い理由は私にも分からない。だが最強のガイアメモリを作るのにISが必要だと加頭は言っていた…。」

 

「最強のガイアメモリ?」

 

「これから先…この世界は地獄になる…私は先にあの世から見て…いるさ…!?」

 

その瞬間、ドクターの額に目の模様が現れて光だし、ドクターは倒れた。

 

「地獄だと…!ふざけるなッ!」

 

エターナルはドクターに向かって叫ぶも、ドクターは既に死んでいるため声は届かなかった。

 

「…ガキども大丈夫か?」

 

「……」

 

克己は鈴たちに声をかけるも、鈴は子供の死体を抱き、セシリアとラウラは死体を見ながら、三人とも放心状態だった。

 

「…これが普通なんだよな。これが人間なんだ。」

 

克己は鈴たちを見て、これが当たり前なんだと感じた。かつての自分はこの光景がトドメとなり人間性を完全に失ってしまったから。

 

「…弾たちに迎えに来てもらうか。」

 

克己は弾たちに迎えに来てもらうために連絡を入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…何だよこれ…」

 

「これがドーパントの計画…。」

 

連絡を貰って島に来た弾たちだが、剛とチェイスは死体を見て顔を真っ青にしていた。

 

 

 

 

「超能力兵士にゾンビ兵士…。加頭は全ての男をそうするつもりなのか。」

 

「そんなのは許されない!人を怪物にさせるつもりなのか!」

 

ドクターの研究所の一室で克己に千冬、ハートとクリムが居たが、ハートとクリムは克己から加頭の計画を聞かされ驚愕していた。

 

「束はこれにも関わっていたのか…。…あいつは完全に人の道を外してしまったようだな…。」

 

千冬は死体に束も関わっていたと知り、信じたくない顔をしていたが。

 

「加頭は篠ノ之束を抑えこんでる。いや加頭はバカ兎の性格を知った上で利用してるんだ。」

 

「束の性格…。」

 

「篠ノ之束はISを作った天才。だがそのISはガイアメモリの前では無力な存在。あのガキからすれば気に食わない事、だからあいつは加頭を潰すために協力しているんだろうな。」

 

「そんな理由のためにあいつは…。」

 

「受け入れられねえかもしれねえが現実だ。…それよりお前たちの方もかなりヤバかったらしいな。」

 

「ああ。001が記憶操作で男たちを暴徒化させた。チェイスたちが戦ったドーパントは証拠隠滅のために消される仕組みになっていたらしい。そして、学園には…チェイスの目の前でドーパントに誘拐された子供が死体になって戻って来た…。」

 

「…そこまでするとかよっぽど俺たちが邪魔なんだな。」

 

「大道克己!早く加頭と001をどうにかしなければ世界は取り返しのつかない事が起きる!一刻も早く!」

 

クリムは取り返しのつかない事が起きる前に加頭たちを何とかしなければと克己に言った。

 

「…いやその前にやる事がある。」

 

「やる事?」

 

「この島の住人たちにドーパントに殺された男たちを葬ってやらないとな。」

 

「分かった。彼らをしっかり葬ってやらないとな。」

 

ハートは克己の言葉に賛成して死んだ男性たちを葬る事にした。

 

「大道さん、私も手伝います。」

 

「お願いします。」

 

克己たちは早速準備に取り掛かり、夏己たちも手伝った。

 

 

 

 

 

 

夜、夏己たちは死体を燃やしてる大きな炎をジッと見ていた。

 

「……。」

 

「剛、どうした?」

 

炎を見て何か考え事をしていた剛にチェイスは話しかけた。

 

「…ここに進兄さんが居たら、進兄さんはどうするか考えちまってよ。」

 

剛は泊進ノ介だったらどう動くのか考えていたのだった。

 

「俺も同じ事を考えていた。進ノ介のギアはどう入るのかを。」

 

チェイスも剛と同じで進ノ介の事を考えていた。

 

「それは俺も同じだ。」

 

「ハート。」

 

「私もだ。進ノ介がこんな悲惨な光景を見てしまったら、彼ならどうするのか。」

 

進ノ介の事を考えていたのは剛、チェイスだけではなくハートとクリムもだった。

 

「だが、泊進ノ介はここにはいない。どうするかは俺たちで考えるしかない。泊進ノ介は止まる事はなかった。だからこそ俺たちも止まる訳には行かないんだ。」

 

ハートは剛たちに言った。泊進ノ介は止まらなかった。だからこそ自分たちも止まる訳には行かないと。

 

「…まさか、かつては敵だったロイミュードにそんな事を言われるなんてな。」

 

「ある意味、敵に塩を送るというやつだね。」

 

「…俺たちに止まる事が無くても、……。」

 

チェイスは違う場所から炎を見ている夏己たちを見たが、その中で鈴は泣き崩れていた。

 

「何で…何でなのよ…」

 

「鈴…。」

 

シャルは泣いている鈴の側に寄り添った。

 

「ただ…ただ助けてあげたかっただけなのに…どうして…」

 

「鈴は何も悪くないよ。」

 

「でも…でも…」

 

「誰が何と言おうと私たちが殺した事に変わりはないんだ…。」

 

「ラウラ!」

 

「あの時、ドーパントの話をちゃんと聞いてれば誰も死なずに済んだのですわ…。」

 

「セシリアまで…」

 

「軍人としていつかは人の命を奪う覚悟はしていた…。だが助けたつもりが殺した…。私は…」

 

ラウラたちは形はどうあれ人を殺してしまった事でその罪に押し潰されそうになっていた。

 

「いつまでも落ち込んでるんじゃねえッ!早く加頭たちを!」

 

「夏己、今の状況を見ろ。鈴たちはこの様。それに俺たちは加頭の居場所を知らない。だから今は加頭たちの情報を集めるしかないんだよ。」

 

弾は夏己を落ち着かせるために鈴たちの事を話すも。

 

「弾、お前は加頭に殺された子供を見たはずだ。何を弱気な事言ってんだッ!情報を集めるだと!その間に何人殺されるか分かってんのかよッ!」

 

だが、今の夏己には下手な言葉は逆効果で返って怒りに火をつけてしまった。夏己は怒り任せに弾の服の胸ぐらを掴んだ。

 

「言われなくても分かってるッ!けど探している間にも殺される事には変わりないんだよッ!」

 

弾も夏己にキレ始めた。

 

「二人とも!落ち着いてッ!」

 

シャルはすぐに二人の間に入った。

 

「辛いのは夏己や弾だけじゃないんだよ…ラウラたちも…僕たちもそうなんだよ!ましてや箒はお姉さんが敵になった…。辛いのはみんな一緒なんだよ!」

 

「…チッ!」

 

夏己はぶつけようのない怒りを抱えながら手を離した。

 

 

「一夏…。」

 

夏己たちのやり取りを見ていた千冬は夏己の元に向かおうとしたが。

 

「大道さん。」

 

「あんたじゃ無理だ。今のあいつは悪魔になりかけてるからな。ここは俺に任せてくれ。」

 

克己は千冬が行くのを止めて、今の夏己は自分に任せてくれと言って、夏己の元に向かった。

 

「…今の私に必要なのは束と戦う覚悟。もう逃げる事はゆるされないんだ…!」

 

だが千冬はすぐに切り替えて、今の自分に必要なのは束と戦う覚悟だと。

 

 

「夏己。少し俺に付き合え。」

 

「…分かった。」

 

夏己の元に向かった克己は夏己に声をかけて、夏己も一応だが従った。

 

「…あの時の俺はこんな目をしてたのか。」

 

克己は今の夏己の目を見て、かつての自分もこんな目をしていたのかと考えてしまう。そして、克己は夏己を連れて海岸に向かった。

 

 

 

 

 

海岸に着いた二人だが、克己は海を眺め始めた。

 

「夏己。今のお前はあの時の俺になりかけている。」

 

「あの時の俺?」

 

「俺も昔、助け出した奴らを死なせてしまってな。それが原因で俺は人間性を失った。」

 

「人間性を失った…。」

 

「そして、今のお前はまさに人間性を失いかけている。このままじゃお前は仮面ライダーでもなんでもないただのバケモンになる。」

 

克己は夏己の方に顔を向けて、このまま行けば夏己は化け物になってしまうと語った。

 

「俺はその覚悟はある…!加頭を殺すためにもッ!」

 

「やっぱり今のお前は聞く耳を持たないか。なら。」

 

克己はT1エターナルメモリ、ロストドライバーを出した。

 

「今のお前は口じゃなくて拳で止める方が早い。お前が勝ったら人間性を捨てて悪魔にでもバケモンにでもなって加頭を倒せ。けど、俺が勝ったら人間性を捨てずにあいつらと共に戦え。いいな?」

 

「分かった。」

 

二人はロストドライバーを着けて、エターナルメモリを起動させた。

 

「「エターナル!」」

 

「「変身ッ!」」

 

二人はエターナルに変身したが、克己のエターナルはレッドフレアだった。それは克己が永遠を求めていなかったから。

 

「!!」

 

先に動いたのは夏己が変身したエターナルだった。エターナルBFは連続攻撃を仕掛けるが克己が変身したエターナルは全て巧みに避けていた。

 

「夏己。どれだけ強い力を持っていても使用者のスペックで引き出せるか決まる。T1はT2より性能は劣るが、使用者のスペックで充分埋まるんだッ!」

 

エターナルRFは一撃を放ち、BFを後退りさせた。

 

「…まだだッ!」

 

BFはすぐに走り出し、RFに攻撃した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「篠ノ之。私は束と戦う。」

 

「え…?」

 

千冬は箒に束と戦うと言い始めた。

 

「私はもうこれ以上辛い現実から目を背けるわけには行かないんだ。例え、束を殺す事になってしまっても…!」

 

「千冬さん…。」

 

「篠ノ之。お前も早く覚悟を決めろ。時間はないんだからな。」

 

千冬は箒にも覚悟を決めろと言い放った。

 

「私は怪物と呼ばれる覚悟はある。いや悪魔だろうが死神と呼ばれる覚悟もな…!」

 

さらに千冬は何と呼ばれる覚悟も持っていた。それは千冬が全てを敵に回す覚悟が出来たという証でもあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「流石は兄さんだね。」

 

「お前もな…!」

 

海岸で戦ってる二人だが、互いに譲らない激しい戦いをしていた。

 

「これ以上は埒があかない。そろそろ決着と行くぞ。」

 

「ああ!」

 

二体のエターナルはジョーカーメモリを起動させた。

 

「「ジョーカー!」」

 

「来いッ!夏己、お前の全てをぶつけてこいッ!」

 

「言われなくてもッ!」

 

「「ジョーカー・マキシマムドライブ!」」

 

ジョーカーのマキシマムを発動させ、BFはライダーキック、RFはライダーパンチを放ち、二体の必殺技はぶつかり激しい爆発が起きた。

 

「うわあぁぁーー!!」

 

爆発の衝撃でBFは吹き飛び、砂浜を転がりながら変身が解けた。

 

「…俺の勝ちだな。」

 

夏己は前を見ると、そこにはRFが立っていた。

 

「ハハ…やっぱり兄さんには勝てないか…。」

 

夏己は自分は負け、改めて克己には勝てない事を実感していた。

 

「…いや、ギリギリだ。」

 

「え…?」

 

夏己は克己の言葉を聞き返すと、RFの変身も解けて、克己は膝を着いた。

 

「俺の想像以上だ…。夏己、本当に強くなったな。」

 

克己は何とか立ち上がり、夏己の元に行き夏己に手を差し伸べた。

 

「それでも兄さんには負けた。約束通りみんなと一緒に戦うよ!」

 

夏己は克己の手を掴み立ち上がった。

 

「それでいい。お前にはあの時の俺みたいにはなってほしくないからな。」

 

二人は笑みを見せた。そして、夏己の表情は先程とは違いどこかスッキリした表情だった。

 

「何だ!今の音!?」

 

そこに爆発音を聞いて、弾たちが駆けつけた。

 

「夏己に克己さん!ボロボロじゃないですか!何があったんですか!?」

 

「ちょっとした兄弟喧嘩だ。」

 

克己はシャルの質問に笑いながら返した。

 

「大道夏己。君はやるべきことを見つけたみたいだな。」

 

ハートは夏己の表情を見て、やるべきことを見つけた表情だと悟った。

 

「はい!」

 

「じゃあ遺体を弔ってマッハで帰るか!」

 

剛の言葉に夏己たちは頷き、遺体を弔うために戻って行った。

 

「克己さん。お話しがあるのですがよろしいでしょうか?」

 

「?」

 

克己はセシリアに話があると呼び止められて、セシリアの方に顔を向けた。



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千冬の覚悟

「どういう事だ?何故交信出来ない?」

 

社長室にいた克己だが、克己は焦った顔をしていた。

 

「死神、何があった?」

 

克己が焦っていた理由は死神と交信出来なくなってしまったからだった。何故克己は死神と交信しようとしたのかには訳があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日前、セシリアに呼び止められた克己はセシリアに呼び止めた理由を聞いていた。

 

「ガイアメモリを組み込ませてくれだと?」

 

「はい。わたくしはもうこんな悲劇を起こしたくはありません!ですからお願いします!わたくしのISにもメモリを!」

 

セシリアはもう悲劇を起こしたくないからこそ、克己に頭を下げて頼んだ。自分の専用機にもガイアメモリを組み込ませてくれと。

 

「銀の福音の時に俺が言った事を忘れたのか?」

 

「忘れてはおりません。それにわたくしは国を捨てる覚悟もあります。」

 

セシリアは克己に言われた事は忘れておらず、むしろ国を捨てる覚悟もあった。

 

「…たった一個のガイアメモリのために今まで守ってきた親の遺産、築き上げてきた地位や名誉を捨てるつもりなのか。」

 

「そんな物に執着してたら守れる命もありません!…それにわたくしは誓ったのです…」

 

そう言うとセシリアは何かの破片、焦げた写真を克己に見せた。

 

「これは、死んだ男の誰かの骨の一部にこの写真は…家族写真か。」

 

破片は死んだ男性を火葬してる時にこぼれ落ちた骨に、写真は夫婦が産まれたばかりの赤ん坊と撮った写真だが、夫の顔だけ燃えてしまっていた。

 

「これ以上人の幸せが奪われるのは嫌なのです…ですから…。」

 

「セシリア・オルコット。お前は顔も名前も知らない奴のために戦うのか?これからISを使う女は悪魔だ。と言われる。何を言われても耐える事は出来るのか?」

 

「何もかも捨てる覚悟、どんな罵声を浴びせられる覚悟はございます。ですからお願いします!」

 

セシリアは再び克己に頭を下げた。

 

「…かつてはプライドの高いお嬢様が元傭兵の俺に頭を下げる。…分かった。ガイアメモリは何とかする。お前は今まで通りにしておけ。」

 

「ありがとうございます!」

 

セシリアは克己にお礼を言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あいつの覚悟は知れたのに。…けど、何故だ?何故死神は?」

 

「彼女たちに関しては私が決めると言ったのよ。」

 

「!?」

 

克己は突然聞こえた声に驚いて後ろを振り向くと、ソファーにシュラウドがいつの間にか座っていた。

 

「お前、いつの間に。それに今の言葉は?」

 

「言った通りよ。あの子たちの覚悟は私が見定める。だからあなたと交信はしないでと私が頼んだのよ。」

 

「…死神を知ってるって事は、貴様も俺と同じ。」

 

「そうよ。私はあなたと同じ世界の人間。そして、あなたを倒したフィリップの母親よ。」

 

「お前が。まあ今はそんな事はどうでもいい。それでお前はガキどもの覚悟を見定めるために何をする気だ?」

 

克己はシュラウドに専用機持ちの覚悟を知るために何をするのかを聞いた。

 

「簡単な事よ。あなたの弟と戦わせればいいのよ。そして、エターナルのマキシマムを発動させなさい。」

 

「…本気で言っているのか?」

 

シュラウドは専用機持ちを夏己と戦わせるだけではなく、エターナルのマキシマムまでも使えと克己に言ってきた。

 

「本気よ。自分が本当に無力になってしまった時、彼女たちはどうするのかを知りたいからね。それに彼女たちはあなたの弟と嫌でも戦う日が来るからね。」

 

シュラウドは言うだけ言うと、社長室から出ようとした。

 

「それともう一つ言っておくわ。…織斑千冬も私が見るわ。」

 

「織斑千冬を?」

 

「同じ世界から来た二人の人間が、姉弟を別々に面倒を見る。あなたはこれまで通り織斑一夏の面倒を見てなさい。」

 

シュラウドは千冬の面倒は自分が見るから、克己は今まで通り織斑一夏の面倒を見ろと言って社長室から出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……。」

 

チェイスは学園に送られていた子供が埋められた墓に来ていた。

 

「…本当にすまない。君を救う事が出来なくて。」

 

チェイスは謝った。助けられなくてすまなかったと。

 

「チェイス。」

 

「剛。」

 

墓に剛とハートも来て、二人も墓に手を合わせた。

 

「…この花は?」

 

ハートは墓に置かれた花を見た。

 

「俺が来る前に更織姉妹が来ていた。特に妹は酷く泣いていた。自分より歳下の子供が何故死ななくてはいけないんだって。」

 

花は楯無と簪が手向けた物で簪は泣いていたとチェイスは言っていた。

 

「無理もねえ。…けどマジでこの世界はどうなるのか。」

 

「早く001たちを見つけないとな。」

 

ハートたちは墓を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここでいいはずだが。」

 

千冬はひと気のない森を一人で歩いていた。

 

「手紙で呼び出すのはともかく、どうやって学園に入ったんだ?」

 

千冬は手紙で何者かに呼び出されて森に来ていたのだった。

 

「?」

 

千冬は何かに気づき足を止めた。

 

「…霧?」

 

突如、辺りは霧に包まれ始め、あっという間に真っ白な世界になった。

 

「!?」

 

だが次の瞬間、前方から何かが飛んできて千冬はそれを避け、何かは木に刺さった。

 

「刀…?」

 

刺さったのは刀だったが、その刀は機械で作られた刀だった。

 

「流石に今のは避けてもらわないとね。」

 

「あなたは!?」

 

さらに前方の霧の中からシュラウドが出てきた。

 

「あなたが彼の意思を受け継ぐにふさわしいか試させてもらうわ。」

 

シュラウドはマグナムを構えた。

 

「彼の意思?」

 

「かつて愛する人を守るために友を殺した男。彼がその罪を背負って戦った。あなたにもその罪を背負う覚悟があるかどうか見せてみなさい。」

 

シュラウドは刀を見た。

 

「使いなさい。あなたの覚悟が本物なのかは口では分からないでしょ?」

 

「……。」

 

千冬はシュラウドに言われ、刀を木から抜いて構えた。

 

「…行くわよ。」

 

シュラウドはマグナムにボムメモリを挿した。

 

「ボム・マキシマムドライブ!」

 

シュラウドはマグナムを撃ち、千冬も走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オラッ!」

 

エターナルとアクセルはアリーナで訓練をしていた。

 

「弾、腕を上げたな!」

 

エッジとブレードがぶつかりあい、火花が散る中、エターナルはアクセルが腕を上げた事を実感していた。

 

「当たり前だッ!」

 

エターナルとアクセルはさらにぶつかりあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クッ!」

 

シュラウドに試されている千冬だが、地面に転がってしまう。

 

「…これがブリュンヒルデと呼ばれた実力なのかしら?ドーパントの前では赤子も同然ね。」

 

シュラウドは千冬の実力にがっかりしていた。

 

「確かに、私では勝てる存在ではありません…。」

 

「…素直に認めるのね。ブリュンヒルデなんて呼ばれてるからプライドの高い傲慢な人間だと思ってたけど、実際は違うのね。…弟が死んだ事が原因かしらね?」

 

シュラウドは千冬にあれこれ言いながらも容赦なくマキシマムを放った。

 

「!!」

 

だが千冬も負けるまいと、光弾を刀でガードするもガードするたびに倒れてしまう。

 

「そんな単調な攻撃では私に近づけないわよ。今行われてるのはISの試合じゃないの。命のやり取りなのよ。その刀は零落白夜なんか使える訳ない、あなたが今までやってきた事を全部捨てないと使いこなせないわよ。」

 

「…今までやってきた事を捨てる…。」

 

「何かを得るには何かを捨てる。あなたは弟を殺して地位や名誉を手に入れたんでしょ?」

 

「…違う。」

 

「?」

 

「私はただ一夏のために…!」

 

千冬は目つきを変えて再び走り出した。

 

「少しは学習出来ないの?」

 

シュラウドはマグナムを撃つが。

 

「!!」

 

千冬は光弾を一刀両断に斬り裂いた。

 

「さっきとは動きが違うわね。」

 

千冬の動きは先程とは変わっており、避けれる光弾は避け、避けられない光弾は斬っていたが、怯む事はなかった。

 

「私は一夏の苦しみを何一つ分かってやれなかったッ!その結果がこれだ!ならこの罪を背負う…死ぬまでッ!」

 

千冬は己の覚悟をシュラウドに言い、最後の光弾を斬り裂いた。

 

「!!」

 

シュラウドはマグナムの銃口を千冬の顔に向け、千冬は刀を横にしてシュラウドの喉に刀を向けた。

 

「…覚悟は本物ね。」

 

シュラウドは千冬の目を見て、覚悟は本物だと悟り、マグナムを下げた。

 

「あなたの覚悟は分かったわ。受け取りなさい。」

 

シュラウドは横に向かって指を指し、千冬はその方向を見た。

 

「…あれは?」

 

千冬が見た方にはアタッシュケースに刀の鞘らしき物が置かれており、さらに両の先端に刃が着いた薙刀が刺さっていた。

 

「あれはあなたの力。」

 

「私の…。」

 

千冬も刀を下げ、アタッシュケースの元まで行きケースを開けた。

 

「これは!?」

 

千冬はケースの中身を見て驚愕してしまう。ケースの中にはスカルメモリ、ロストドライバーが入っていたから。

 

「何故あなたがこれを!…え?」

 

千冬は何故ガイアメモリとロストドライバーを持っていたのか聞くために振り向いたが、シュラウドは既にいなかった。

 

「…あの人は何者なんだ…?」

 

千冬はシュラウドが何者なのか考えるが。

 

「いや、今の私がやるべき事は…!」

 

だが、千冬はすぐにその考えを振り払い、メモリとロストドライバーを手に取った。



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受け継いだ意思

「さてと、この辺でいいですかね。」

 

加頭はヘリに乗り、外の景色を見ていた。

 

「彼らの襲撃で警備が弱くなっても油断は出来ませんからね。」

 

加頭は持っていたアタッシュケースを開くと、中には大量のガイアメモリが入っていた。

 

「では、理想郷への一歩へ。」

 

「ユートピア!」

 

加頭はユートピアになり、スイッチのような物を押した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「始まったか。」

 

ビルの屋上にテラー、ウェザー、ユニコーン、ケルベロス、フェニクッスがおり、テラーたちは加頭が乗っていたヘリを見ていたが、ヘリは爆発し、爆炎の中からユートピアが出てきて、さらにメモリは街のあちこちに飛んで行った。

 

「さて、予定通り二手に別れます。原田さんたちは街で暴れてください。学園には我々が行きます。」

 

ユートピアはテラーたちが居る場所に着地し、次の指示を出した。

 

「メモリをばら撒いたのにですか?」

 

「あのメモリはドーパントではなく、意識を奪うだけのメモリ。男性限定の。」

 

「ISは女にしか使えないようにあのメモリは男だけにしか反応しない代物か!あんた本当に凄えな!」

 

ユートピアがばら撒いたメモリは男性だけに反応し、そして男性の意識を奪うメモリだった。

 

「無駄話はここまでです。…あなたも一緒に来てもらいましょう。篠ノ之博士。」

 

ユートピアはユニコーンとケルベロスが抑えてる束に向かって言った。

 

「お前!絶対にこの束さんが潰してやるッ!」

 

「だからあなたを進化させたんです。命はいずれ尽きる物。その間に私を潰せるとは限りませんからね。それとこれを渡しておきます。」

 

ユートピアは束にガイアメモリを差し出した。そのメモリには「S」の文字が書かれていた。

 

「この小娘にメモリを使わせるんですか?」

 

ウェザーは束にガイアメモリを使わせる気なのかとユートピアに聞いた。

 

「大道夏己と五反田弾は我々が足止めします。彼女は織斑千冬の相手をしてもらいます。…では、行きましょうか。IS学園に。地下にある織斑千冬が使ってた専用機「暮桜」を手に入れるために。」

 

ユートピアは千冬が使ってた専用機「暮桜」を手に入れるためIS学園に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……。」

 

IS学園では夏己たちは授業を受けていたが、千冬は上の空だった。

 

「織斑先生?織斑先生!」

 

「え…?あ、山田先生どうかしましたか?」

 

「どうかしましたかじゃないですよ。何度も呼んでいますよ。」

 

「あ、すいません。」

 

千冬は真耶に謝り、授業を再開させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……。」

 

公園のベンチに座っているチェイスは考え事をしていた。

 

「001に加頭の目的はなんなんだ?奴らは一体?」

 

「ねえ!どうしちゃったの!?」

 

「?」

 

チェイスは突如聞こえてきた叫び声を聞き、すぐにその場所に向かった。

 

「これは!?」

 

チェイスが叫び声を聞いた場所に着くと、辺りには男性や男の子たちが倒れており、チェイスは近くの学生らしき女性に近づいた。

 

「おい、何があったんだ?」

 

「それが、弟がメモリみたいな物を拾って、そのメモリが弟の体に…」

 

「メモリ、ガイアメモリか!?」

 

「埋め込まれたのは意識を奪うだけのメモリだ。」

 

「ユニコーン!?」

 

チェイスの前にユニコーン・ドーパントが現れ、子供の体内に入ったメモリのことを話した。

 

「意識を奪うだけだと?」

 

「起こせるのは加頭さんだけだ。いよいよ始まったのだ。理想郷に行くという計画が!!」

 

ユニコーンは槍を振り回して走り出した。

 

「逃げろ!!」

 

チェイスは女性にそう言い放って、マッハドライバー炎を着けた。

 

「シグナルバイク!」

 

「変身!」

 

チェイスはチェイサーに変身しブレイクガンナーを撃ちながらユニコーンに近づいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだよこれ!?」

 

剛とハートも異変に気づき、辺りを見ていた。

 

「加頭さんの計画がついに動き出したんだよ!!」

 

「ケルベロス!?」

 

「フェニックスまで居るのか。」

 

剛とハートの後ろにケルベロスとフェニックスが現れ、ケルベロスは火球を放った。

 

「「変身!!」」

 

火球によって出来た煙の中からマッハとハートが出てきて、マッハはゼンリンシューターをケルベロスに撃ち、ハートはクラッチランスを振り、フェニックスの大剣とぶつかりあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日の教官はどこか様子が変だったな。」

 

「織斑先生のこと?」

 

「確かに今日の織斑先生はどこか上の空でしたわね。」

 

昼休み、夏己たちは昼食を取っていたが、千冬の様子がおかしいことの話をしていた。

 

「何だありゃ?」

 

「弾、どうした?」

 

「空から何か降ってくるぜ。」

 

弾は空から何か降ってくるのに気付き、夏己たちもつられて空を見た。

 

「ちょっとあれ!?」

 

「学園に落ちてきますわ!!」

 

降ってきたのは隕石のような物で隕石はIS学園めがけ落ち、そして、隕石は学園内に落ちた。

 

「落ちた!!」

 

夏己たちはすぐに隕石が落ちた場所に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

隕石が落ちた場所には既にたくさんの生徒が集まっており、夏己たちは他の生徒たちを避けて前に来た。

 

「お前たち、何をしてる。早く下がれ。」

 

そこに千冬も来て、千冬は生徒たちに指示を出していた。

 

「とんだ野次馬の数ですね。」

 

「加頭!!」

 

落ちて煙が出てる場所から加頭が出てきて、夏己たちはすぐに構えた。

 

「何しに来た!!」

 

「今日はこの学園の地下にあるISを貰いに来たのですよ。織斑千冬さん。あなたが使っていた暮桜を。」

 

「暮桜を!?」

 

「この学園の地下に教官が使ってたISが。」

 

「渡してくれるなら、私はすぐに帰りますよ。」

 

「誰がそんな話に乗るか!弾!!」

 

「おう!!」

 

夏己と弾はロストドライバー、アクセルドライバーを着けた。

 

「エターナル!」

 

「アクセル!」

 

「「変身!!」」

 

二人はエターナル、アクセルに変身し、エッジとブレードを構えた。

 

「いいでしょう。余興として少しばかり付き合ってあげます。」

 

「ユートピア!」

 

加頭はユートピア・ドーパントに変身して理想郷の杖をエターナルたちに向けた。

 

「加頭!今日こそ決着を着けてやる!!」

 

エターナルとアクセルはユートピアと戦い始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちーちゃん!」

 

「!?」

 

生徒たちを避難させていた千冬の前に束が現れ、千冬は一瞬動揺するもすぐに表情を変えて束に聞いた。

 

「束。一つ聞かせてくれ。お前は加頭順という男の計画に協力してるのか?」

 

束に聞いたのは加頭の計画に協力しているかどうかだった。

 

「あいつは束さんより天才みたいだからね。だから潰すために一緒に居るんだよ!」

 

「なら、何の罪もない人々を躊躇いなく殺したのか?」

 

「殺したよ。あいつを…」

 

「教官!避難は終わりました!」

 

そこに専用機持ちたちが来てしまった。

 

「姉さん!?」

 

「何で篠ノ之博士がここに!?」

 

「今の束は加頭と関わってるからな。…堕ちたな束。いや、それは私も同じか。」

 

「そんなことないよ!そうだ!ちーちゃんも束さんと一緒にあいつを潰そうよ!それと大道克己も!そうすればいっくんも!」

 

「もういい。…束。お前は今自分がどれだけ罪を背負ってるのか分かってるのか?」

 

「罪?何言ってるの?…ちーちゃんが嫌って言っても無理矢理でも連れて行くから。」

 

そう言って束は懐から加頭から貰ったメモリを出した。

 

「あれは!?」

 

「…やはり貰っていたのか…。」

 

「そうだよ。ホントは使いたくなかったけど!」

 

「スパイダー!」

 

束はメモリを手の甲に挿し、スパイダー・ドーパントに変身した。

 

「…姉さん…」

 

箒は束がドーパントに変身したことにショックを受けて膝を着いてしまう。

 

「大道と五反田は加頭。彼らも街で足止めされてるのか?」

 

「そうだよ!向こうでも暴れてるみたいだから!」

 

「そんな…」

 

「いくら教官とはいえ…相手が…」

 

専用機持ちたちは夏己、弾、さらに剛、チェイス、ハートたちがそれぞれドーパントの相手をしてるためここに来れないこと聞かされ動揺してしまうが。

 

「お前たちは下がってろ。束の相手は私がする。」

 

「教官!本気ですか!?」

 

「今、篠ノ之博士と戦えるのは夏己たちぐらいですよ!」

 

「安心しろ。今の私なら大丈夫だ。」

 

専用機持ちたちにそう伝えた千冬は懐からスカルメモリ、ロストドライバーを取り出した。

 

「教官!それは!?」

 

「夏己が使ってるメモリにドライバー!?」

 

「何で!?」

 

「どこでそれを!?」

 

「説明は後だ。…束。お前は自分の罪を数えたことがあるか?」

 

千冬はロストドライバーを装着させた。

 

「ちーちゃん?」

 

「一つ。私はたった一人の家族の苦しみに気づくことが出来なかった。」

 

千冬は一夏の顔を思い浮かべながら自身の罪を数え始めた。

 

「二つ。私はその家族と向き合おうともしなかった。」

 

顔に後悔の念を含ませた表情の千冬は二つ目の罪を数えた。

 

「三つ。私は家族を死なせた。」

 

そして、千冬は拳を握りしめて三つ目の罪を数えた。

 

「私は自分の罪を数えた。束。今度はお前が数える番だ。」

 

「スカル!」

 

「!?」

 

千冬がメモリを起動させた時、千冬の隣に白いスーツを着て、白いソフト帽を被った男性が千冬の横に現れたが、その姿はスパイダーだけにしか見えてなかった。

 

「覚悟は出来たか。レディ。」

 

男性はスパイダーにその言葉だけを言い、千冬はスカルメモリをロストドライバーに挿した。

 

「変身!」

 

「スカル!」

 

再び音声が流れると千冬の周りに風が巻き起こり、千冬は姿を変えた。ドクロの顔をした仮面ライダー、仮面ライダースカルに。そして、スカルの額にSの文字が刻まれ、さらにスカルの左手に白いソフト帽が現れ、スカルはそれを被った。

 

 

 

「さぁ、お前の罪を数えろ!」

 

そして、スカルはスパイダー・ドーパントに向かってその一言を言い放った。



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友の最期

「罪って、この束さんにそんなのないよ!!」

 

スカルの言葉に頭にきたスパイダーはスカルに向かって走り出した。

 

「…これがこのメモリの最後の装備か。」

 

スカルはシュラウドから受け取った装備「スカルブレード」、「スカルハルバート」以外にもスカルマグナムという銃を持っていた。

 

「銃は使ったことはないがやるしかない!」

 

千冬は過去との決別なのか接近武器を使わずにスパイダーを倒すつもりでいたのだった。

 

「束。友としてお前を倒す!!」

 

千冬がそう決意した瞬間、千冬の意識はどこかに飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは…」

 

気がついたら千冬は真っ白な世界に立っていた。

 

「また会えたわね。」

 

「あなたは!?」

 

後ろから声をかけられ、千冬は後ろに振り向くと後ろにはシュラウドがおり、さらにシュラウドの隣には白いスーツを着て白いソフト帽を被った男性が立っていた。

 

「友を倒す覚悟を決めたようだな。」

 

「…はい。」

 

「でもそれはあなたが最も愛する人に二度触れることが出来ないことも意味してるのよ。その覚悟もあるの?」

 

千冬が束を倒す。それは二度愛する人に触れることが出来ないとシュラウドは千冬に伝えた。

 

「……。」

 

千冬は一夏の顔を思い浮かべながら寂しさが混じった笑顔を零した。

 

「私はもう愛する人に触れることは出来ません。でも、近くに居る。それだけで幸せです。」

 

千冬はシュラウドと男性に自身の想いを伝えると男性も笑みを溢した。

 

「そうか。お前の覚悟確かに受け取った。」

 

そう言うと男性は腕を伸ばして掌を千冬に見せた。

 

「?」

 

「お前の手を置け。」

 

「はい。」

 

男性に言われ、千冬は男性の手に触れた途端、千冬の中に何かが流れてきた。

 

「今のは…?」

 

「俺からの餞別だ。お前の覚悟、これから生き様を見せてもらう。」

 

「ありがとうございます。」

 

「そろそろ行け。いつまでもここに居るわけにはいかないだろ。」

 

「なら、最後にあなたたちの名前を教えてください。」

 

「鳴海荘吉。」

 

「私はシュラウドよ。」

 

千冬に名前を教えてくれと言われ、二人は名を名乗った。

 

「シュラウドさん。鳴海さん。本当にありがとうございます。」

 

千冬は改めて二人にお礼を言った瞬間、千冬の意識はそこで途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!?」

 

気づくとすぐ目の前にスパイダーが迫っており、スパイダーは拳をスカルに振りかざした。

 

「!!」

 

だが、スカルはその拳を受け止めてスパイダーの腹部にスカルマグナムを撃った。

 

「!?」

 

スパイダーはスカルマグナムの攻撃に怯んで後退りしてしまう。

 

「束。これが私の答えだ!!」

 

スカルはマグナムから光弾を撃ち、光弾は全弾全てスパイダーに命中した。

 

「何で!?ちーちゃんは銃は使えないはずじゃ!?」

 

「私を信じて力を託してくれた人たちが居た。この力にはその人たちの想いもある。お前に攻撃したのは私だけじゃない。その人たちの想いと一緒に攻撃したんだ!!」

 

「何言ってるか分からないよ!!」

 

スカルの言葉を理解出来ないスパイダーは再び攻撃しようとした。

 

「!?」

 

だが、スパイダーの拳はスカルの手に受け止められ、スパイダーは拳を掴まれたまま動けなかった。

 

「!!」

 

次の瞬間、スカルの肋骨部分が展開され、そこから紫色の髑髏の形をしたオーラが放たれ、スパイダーはそれに驚いてしまう。

 

「!!」

 

スカルはその隙を逃さずにスカルメモリを抜いて高く跳んだ。

 

「スカル・マキシマムドライブ!」

 

スカルはスカルメモリをマキシマムスロットに装填させて髑髏を蹴った。

 

「いやあぁぁぁぁッーーー!!」

 

髑髏はスパイダーに命中して爆発し、スカルは着地したが着地と同時に爆炎の中でスパイダーメモリが地面に落ちていくが、地面に付く前にスパイダーメモリはブレイクした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「姉さん…」

 

「ちー…ちゃん…」

 

箒は壁に寄りかかってる束の側に居たが、束はスカルを見ていた。

 

「…どうして…」

 

「さらばだ。友よ。」

 

束はスカルに向かって虫の息状態で問いかけたが、スカルからはその答えしか返ってこなかった。

 

「?」

 

すると、スカルメモリから電撃が走り、スカルはそれに気づいてスカルメモリに触れた。

 

「何!?」

 

触れた途端、スカルメモリから強い閃光が放たれ、閃光はスカル、その場に居た全員を飲み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは?」

 

気がつくとスカルは変身が解けて千冬の姿に戻っており、さらに千冬たちはどこかの街に居た。

 

「あのお方は?」

 

「あの人、様子がおかしいよ。」

 

「鳴海さん…。」

 

千冬たちの目の前には荘吉。そして座り込んで壁に寄りかかっている男性が居たが。

 

「荘…吉…」

 

「眠れ。相棒。」

 

荘吉は男性にそう言うと男性は笑顔になるも目を閉じてしまった。

 

「…どうして…止めてくれるって約束したのに!!」

 

そして、荘吉と男性の側に居た女性が大声を上げた。

 

「荘吉なら…マツを元のマツに戻してくれるって信じてたのに!!」

 

「マツは人間を捨てた。」

 

「あなたもでしょ!!自分までバケモノになって!!」

 

「……。」

 

荘吉は女性の言葉に対して何も言わずにその場を去ろうとする。

 

「え!こっちに来る!!」

 

専用機持ちたちは荘吉が歩いてこっちに来てるのに対して慌ててしまう。

 

「…すり抜けただと…?」

 

だが、荘吉は千冬の体をすり抜けて、足を止めた。

 

「俺はもう二度娘に会えない。」

 

荘吉は自身の腕を見ながら女性にそう言った。

 

「だからメリッサ。娘が結婚する時は歌を歌ってくれないか。」

 

荘吉は女性、メリッサに自身の娘が結婚する時は側に居てくれという想いでメリッサにその言葉を伝えた。

 

「鳴海さん。あなたは私の覚悟を受け取ってくれました。なら、私もあなたの覚悟を受け取ります。けど、こんな小娘風情にその覚悟がどこまで背負えるか分かりませんが。」

 

千冬は振り向かずに荘吉に覚悟を受け取ったと伝えた。そして、それと同時に鳴海荘吉という男がどれほどの覚悟を持って戦っていたのか身をもって知った。そして、再び辺りは光に包まれ千冬たちは元の場所に居た。

 

 

 

 

 

「…このメモリには鳴海さんの記憶も内包されていたんだな。」

 

スカルはスカルメモリに触れてメモリには荘吉の記憶も内包されていたことを知った。

 

「…教官、今のは…?」

 

ラウラは何が起きたのかをスカルに恐る恐る聞いた。

 

「常人では背負いきれない覚悟と罪を背負った男の生き様だ。」

 

「どういう意味でしょうか…?」

 

スカルの言葉に専用機持ちたちは理解出来ていなかった。

 

「篠ノ之博士が!?」

 

すると、束の体が塵になり始めた。

 

「姉さん…嫌だ…嫌だ!!」

 

箒は束の消滅に戸惑いを見せるももう既にどうしようもなく、束は完全に塵となって消滅した。

 

「…私もいずれそっちに行く。それまで待っていてくれ。」

 

スカルは消滅した束が寄りかかっていた場所に向かってそう呟いていた。

 



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蟻地獄

「何だ今の爆発!?」

 

外でユートピアと戦っていたエターナルとアクセルは学園から聞こえた爆発音に驚いていた。

 

「向こうは終わったようですね。余興はここまでです。」

 

理想郷の杖で地面を破壊したユートピアは地中の中に消えていった。

 

「加頭!!」

 

「夏己!地下に行くぞ!」

 

エターナルとアクセルはユートピアを追うために学園の地下へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんな…誰だよあいつ!?」

 

ユートピアを追っていたエターナルとアクセルは途中で専用機持ちたちと出くわすがスカルの姿を見て驚いてしまう。

 

「夏己さん、弾さん。あのお方は織斑先生ですわ。」

 

「嘘だろ!?いつメモリとドライバーを!」

 

セシリアからスカルの正体が千冬だと聞かされエターナルたちは信じられない様子だったが、そんな中でスカルは変身を解いた。

 

「マジかよ…。」

 

変身を解いたスカルが千冬になり、二人は驚愕していた。

 

「大道、五反田。ここは私に任せて二人は加頭を追え。」

 

千冬は振り向かずにエターナルたちに指示を出した。

 

「分かりましたよ!けど、説明はしてもらいますから!」

 

エターナルはどこか納得がいかない声で指示を聞き、その場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これですか。織斑千冬をブリュンヒルデに導いた初期型でありながら最強とも呼べるIS「暮桜」。」

 

地下にたどり着いたユートピアは暮桜を見つけて周りを覆ってる装置を破壊して暮桜を強奪した。

 

「加頭!!」

 

そこにエターナルとアクセルが来て、二人は武器を構えた。

 

「一足遅かったようですね。では、私はこれで。」

 

ユートピアは重力を発生させて辺りにある破壊された装置をエターナルたちに向かって投げた。

 

「!?」

 

エターナルたちはそれに怯んでしまい、隙を作ってしまった。

 

「逃げたか…。」

 

エターナルたちが再び顔を上げるとそこにはユートピアはいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆さん。頃合いですから引いてください。」

 

IS学園から逃げたユートピアは街で暴れてるユニコーンたちに通信機で伝えた。

 

 

「分かりました。決着はまだ先になりそうだな。」

 

ユニコーンはチェイサーにそう伝えると建物の屋上に跳んで逃げた。

 

「待てッ!!」

 

チェイサーは後を追うも、ユニコーンの姿は既に見えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「命拾いしたな!あばよ!!」

 

「!?」

 

ケルベロスは火球を放ち、辺りは煙で覆われた。

 

「逃げやがったか。」

 

変身を解いたマッハとハートは嘆いていた。

 

「奴らが来たってことは学園でも何か起きているはずだ。」

 

「だな。」

 

剛とハートは学園でも何か起きていると考え、学園に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、連絡を受けた克己も学園に来ており、学園の一室で千冬と話していた。

 

「まさか、あんたが仮面ライダーになるなんてな。」

 

「しかも、篠ノ之束を殺すとは。」

 

千冬がスカルに変身して束を殺したことを知った剛は少しばかり驚いていた。

 

「私は覚悟を決めて束を手にかけました。…それとこれは大道さんに預けた方がよろしいでしょうか?」

 

千冬は机にスカルメモリとロストドライバーを置いた。

 

「これはあんたが持つのがふさわしい。」

 

だが、克己はスカルメモリとロストドライバーは千冬が持っているのがふさわしいと伝えて受け取らなかった。

 

「それと加頭がばら撒いたメモリの被害者たちはどうなんだ?」

 

「子供だけは学園に運んだ。クリムに診てもらうために。」

 

意識を奪われるメモリの被害に遭った子供たちはハートたちによって学園に運ばれており現在はクリムが様子を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クリムさん。何か分かりました?」

 

学園の一室で眠ってる子供たちを見ていたクリムはシフトカーの一台であるマッドドクターと共に原因を探っていた。

 

「ガイアメモリの力を使ってるなら私は専門外かもしれない。せめてそのメモリが手元にあれば…」

 

真耶に聞かれるも、ガイアメモリに関しては専門外のためクリムは困り果てていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「加頭さん。どういうつもりですか?何故子供を学園に黙って連れて行かせたんですか?」

 

暮桜を回収した加頭はハートたちが意識を失った子供たちを保護したことに対して問い詰めていた。

 

「学園の人間は無力。というのを世間に知らしめるためです。実はあるドーパントが学園のある場所に潜んでいるのです。」

 

「俺たちも知らねえ奴が居るのか?」

 

「はい。そのドーパントのことを知っているのは私以外には近藤さん、土方さん、真影さんだけです。このドーパントは特殊な存在でしてね。名はキメラ・ドーパント。」

 

加頭はそのドーパントの名を言うとリモコン式のスイッチを押した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ここ…どこ…?」

 

「!?」

 

意識を失っていた子供たちは目を覚まし、辺りを見渡していた。

 

「みんな、目が覚めたのね!」

 

「どういうことだ?」

 

子供たちが目を覚ましたことに真耶は喜んでいたが、クリムは疑問に感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは?」

 

克己たちと話した後、部屋に戻った千冬は机にガラケー、カメラ、ナイフが置かれていたのに気づくが、一緒にメモリも置かれていた。

 

「シュラウドさんからの贈り物か。」

 

だが、それがシュラウドからの贈り物だとすぐに気づき千冬はメモリをそれぞれに装填させた。

 

「ウルフ!」

 

「イーグル!」

 

「シャーク!」

 

ガラケーは狼、カメラは鷲、ナイフは鮫の形をした自律型メカになり3機は千冬の周りを走ったり飛んだりしていた。

 

「これからの戦いには役に立ちそうだな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんな、外は危ないから出ちゃダメですよ!」

 

目を覚ました子供たちに真耶はそう伝えていたが、子供たちは言うことを聞かずに外に出ようとしていた。

 

「みんな、俺たちがこの学園を案内するよ!楯無さん、それくらいは大丈夫ですよね?」

 

「構わないわ。みんな、ここにはカッコいいメカがいっぱいあるわよ!ほら、お姉さんたちと一緒に見よう!」

 

夏己は楯無に子供たちを学園を見学させようと許可を取ると、楯無もそれに了承したが。

 

「女にしか使えない機械を見てもつまんないよ。遊びに行こうぜ!」

 

「こら!」

 

それでも何人かは勝手に出てしまい、楯無は子供を追いかけた。

 

「夏己。仮面ライダーを見せた方がよかったんじゃねえか?」

 

「けど、それでメモリに手は出してほしくないからな。」

 

弾はライダーを見せた方がよかったんじゃないかと夏己に言うも、夏己は複雑な顔をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当にどういう事なんだ?何故子供たちは?」

 

クリムは子供たちが目を覚ましたことに未だに疑問を持っていると。

 

「加頭が次の段階を仕掛けてきたのよ。」

 

「君は?」

 

クリムの後ろにいつの間にかシュラウドがおり、シュラウドは子供たちが目を覚ましたのは加頭の次の一手だとクリムに伝えた。

 

「今の話はどういう意味だね?」

 

「すぐに分かるわ。それと私がガイアメモリの開発者よ。それにあなたの車から装備を拝借した存在よ。新しい装備を作るために。」

 

「君がガイアメモリの…。なら薫子にハートの装備の設計図を渡したのは。」

 

「私よ。彼女の技術力はかなり高いからね。既に彼女は新しいメカの開発に取り掛かってるわ。」

 

「そういえば、フォーミュラーを貸してくれと頼まれたな。剛とチェイスの新しいシフトカーを作りたいと言われて。」

 

シュラウドは薫子の技術力を高く評価しており、剛とチェイスの新しいシフトカーの設計図を既に渡していたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが俺とチェイスの新しいシフトカーか?」

 

「はい。五反田君のトライアルメモリとクリムさんの一番速いシフトカーのデータを元に作ってます。ただ…」

 

「どうした?」

 

「暴走するデメリットはないですけど、スピードに特化した分攻撃力が落ちちゃうんです。だから敵を倒すには何百発も攻撃しないと倒せないんですよ。」

 

新しいシフトカーを開発してる薫子はそのシフトカーのデメリットを剛とチェイスに説明していた。

 

「暴走しなきゃ問題ねえよ。敵を倒すまで攻撃を入れるだけ。何の心配もねえ。」

 

剛は暴走しなければ何の問題もないと伝えて、薫子の不安を取り除いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そろそろか。」

 

だが、この時学園のある場所に潜んでいたキメラ・ドーパントが動き出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…え?」

 

「何だこりゃあ!?」

 

突如、夏己と弾の足元が砂になり、二人は砂に下半身を引きずりこまれ動けなくなってしまった。

 

 

 

 

 

 

「何だ!?」

 

異変は剛とチェイスが居る場所にも起きていた。

 

「何で砂が!?」

 

薫子も巻き込まれて三人も身動きが取れなくなってしまった。

 

 

 

 

「ドーパントか!」

 

「ハートさん!」

 

ハートも砂に引きずりこまれ、助けようとした真耶も砂に入ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こら、勝手に出ちゃダメ…」

 

子供たちを追っていた楯無は子供たちを見つけたが、子供たちは何かを見ていた。

 

「何これ?」

 

子供たちが見ていたのは木の枝にも見える物体だった。

 

「地面から突然生えてきたんだ。」

 

枝が出てくる瞬間を見ていた子供たちは楯無に説明したが、その時、揺れが起き始めた。

 

「みんな!離れて!」

 

楯無は子供たちに指示を出して、その場から離れさせると枝の周りの地面が崩れていき、枝が生えていた場所には大きな穴が出来た。

 

「うわああぁぁーー!!」

 

その時、穴から一本の触手が出てきて子供の足を縛り、引っ張って子供を地中に引きずりこもうとした。

 

「助けて!助けてッ!」

 

「!?」

 

楯無はすぐに子供の元に行き、子供の手を握った。

 

「守!」

 

引きずりこまれそうになってる子供の友達も来て、必死に引っ張った。

 

「大丈夫よ。お姉さんが必ず助けてあげるから!」

 

「頑張れ!」

 

楯無はもう片方の手で服を掴み、引っ張るも触手の力は強かった。そして、地中からもう一本の触手が出てきて楯無を叩いた。

 

「ああ!」

 

「ダメ!!」

 

その一撃で楯無は手を離してしまい、子供は地中へと引きずりこまれてしまった。



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キメラ

触手が子供を引きずり込んだことで学園はパニックになっていた。

 

「何なのこの騒ぎ…?」

 

外に出た鈴たちは騒ぎに少し混乱していた。

 

「うわあぁー!!」

 

触手は逃げ惑う人間でも的確に少年ばかり狙って捕まえていた。

 

「私たちを一切無視して子供ばかり狙ってるの…」

 

「お姉ちゃん!夏己たちは!?」

 

「…恐らくあの触手の本体が罠に嵌めたのよ…。だからここに来れないのよ…」

 

夏己たちがいないことに簪は慌てているが、触手の本体が罠に嵌めたと楯無はすぐに分かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここね!」

 

触手が出ている穴の場所に来た鈴たちはISを展開しようとした。

 

「子供が!?」

 

触手に引っ張られてる子供を見つけ、シャルロットはナスカを展開してブレードで触手を斬った。

 

「大丈夫!?」

 

子供を抱き抱えたシャルロットは隙を見せてしまう。

 

「シャルロットさん!?」

 

別の触手がシャルロットが攻撃しようとしたが、セシリアが二人を庇った。

 

「セシリア!?」

 

触手の一撃でブルー・ティアーズは解除され、セシリアは地面に転がってしまう。

 

「ク!ならあの穴ごと!」

 

ラウラは触手を消すためにレールカノンを穴に放とうとしたが。

 

「ラウラ!引きずりこまれた子たちがどこにいるのか分からないのよ!」

 

だが、鈴が止めに入り、ラウラは攻撃出来なかった。

 

「!?」

 

その隙を突かれ、ラウラと鈴も触手の攻撃を喰らい、ISは解除されてしまった。

 

「シャルロット!その子を連れて逃げて!」

 

助けた子だけでも逃がすために鈴はシャルロットに逃げてと言い放った。

 

「どこに逃げる気だ?てめえらは誰も助けられねえクズだろうが。」

 

地中から片腕は二本の触手、もう片方は鋏のような腕を持ち、昆虫を模したドーパント、キメラ・ドーパントが現れた。

 

「貴様が本体か…。」

 

「この学園の奴らは襲撃された時何してた?逃げてただけだろうが!今もそうじゃねえか!ガキどもを助けずに逃げてばかりじゃねえか!」

 

キメラは嘲笑いながら学園の現実を突きつけた。

 

「…もうあんな想いはしたくないのよ…」

 

「?」

 

「もうあたしの目の前で誰も死なせたくないのよ!!刺し違えてでもあんたを倒すわよ!!」

 

キメラを睨みながら鈴はそう言い放った。

 

「ごちゃごちゃうるせえガキだ。さっさとくたばりやがれ!!」

 

キメラは鋏を鈴に向かって刺そうとした。

 

「!?」

 

すると、キメラは何かに攻撃され怯んでしまった。

 

「よく吠えたな。凰。」

 

「教官…。」

 

「てめえは、織斑千冬だな。」

 

キメラたちの元に千冬が来て、さらに千冬の周りにウルフフォン、イーグルショット、シャークナイフが飛んで走っていた。先程キメラを攻撃したのはこの3機だった。

 

「私よりガキどもの方がよほど覚悟を持ってるな。礼を言う。まさに穴があったら入りたい気分だったからな。」

 

千冬はロストドライバーを着けた。

 

「貴様もISを憎んでる奴かもしれんが、ISがもう増えることはない。馬鹿げた考えを持つ輩も増えることはない。だが。」

 

「?」

 

「メモリの力に魅了されて人を捨てたのなら、私は容赦はしない!私自身の手がどれだけ血に染まっても!」

 

スカルメモリを取り出した千冬はメモリを起動させた。

 

「スカル!」

 

「変身!」

 

「スカル!」

 

千冬はスカルに変身し、左手に現れた白いソフト帽を被った。

 

「さあ、お前の罪を数えろ!」

 

その言葉を言い放ったスカルはスカルマグナムをキメラに撃った。

 

「てめえ!仮面ライダーか!?ライダーは全員ここに来れないようにしたはずだ!!」

 

「私がこの力を得たのはついさっきだ。加頭も知らなくて当然だ!!」

 

スカルはスカルブレードを手に取り、真空刃を飛ばした。

 

「!?」

 

キメラはまともに喰らって穴に落ちた。

 

「貴様が攫った子たちはどこだ?」

 

スカルも穴に入り、引きずりこまれた子供たちはどこに居るかを聞いた。

 

「さあ?どこだろうな!!」

 

キメラは地中に潜り、素早い動きで地中から何度もスカルを攻撃した。

 

「答える気はないようだな。」

 

「当たり前だ!!」

 

地中から出たキメラは鋏の先端をスカルの首に刺した。

 

「俺の能力はな!捕まえた獲物の体液や生気を吸えんだよ!いい女が気持ち悪りぃミイラになるな!!」

 

キメラの鋏は捕らえた動物の体液等を吸えることが出来る能力を兼ね備えておりスカルの体液を吸おうとした。

 

「教官!!」

 

ラウラたちはスカルが捕まったことに慌ててしまうが。

 

「はあ?何で何も吸えねんだ…?てか、こいつの体…何でこんなに冷てえんだ…?」

 

スカルからは何も吸えず、むしろスカルの体温が冷たいことにキメラは驚愕していた。

 

「スカルの意味は何だ?」

 

「はあ…?」

 

スカルの突然の問いにキメラは答えられなかった。

 

「スカルは骸骨。つまり骨だけ。そして、変身してる間は私は死んでるも同然。骨だけの死体から吸える物なんか何もないだけだ!!」

 

スカルは自身の特性をキメラに言い放ち、スカルメモリをマキシマムスロットに装填させた。

 

「スカル・マキシマムドライブ!」

 

スカルの胸部の肋骨部分が展開され、そこから紫色の骸骨のオーラが現れ、キメラはそれに怯んでしまい鋏がスカルから離れてしまった。

 

「!!」

 

スカルは高く跳んで骸骨をキメラに目掛けて蹴り飛ばした。

 

「ぎゃあぁぁぁぁッーー!!」

 

骸骨はキメラに命中して爆発し、男が転がってきた。

 

「あが…あ…」

 

「もう一度聞く。攫った子供たちはどこだ?」

 

スカルは倒れてるキメラに変身してた男の胸ぐらを掴んで無理矢理起こして再び攫った子供たちのことを聞いた。

 

「知らねえよ…地中に引きずりこんだら…後は勝手にどっかに行くんだよ…」

 

男は引きずり込んだ後の事は知らないと言うと、息絶えてしまう。

 

「ユートピアの力か。…人を捨てたことをあの世で後悔してろ。」

 

スカルは手を離すと、男の死体は塵となって消滅した。

 

「大道たちもそろそろ動けるはずだ。」

 

ジャンプして穴から出たスカルは変身を解いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「砂が!?」

 

キメラを倒したことで夏己たちの体を埋めていた砂は消えて、夏己たちは動けるようになっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか、織斑千冬がメモリを手に入れていたとは想定外でしたね。」

 

「ですが、IS学園の人間はほぼ何も出来なかった。加頭さんの目的は果たせたのでは?」

 

千冬がスカルに変身してキメラを倒したことは流石に加頭にとっても想定外だったが目的は果たせていた。

 

「暮桜を手に入れたことでようやく完成しました。理想郷の前に私がこの世界の男性たちの最後の希望になりましょう。これを使って。」

 

そう言って、加頭はロストドライバーを着けて夏己たちが使ってる同じタイプのガイアメモリを起動させた。

 

「オメガ!」

 

 



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仮面ライダーオメガ

「…こいつは酷えな。」

 

キメラの襲撃後、IS学園の現状を見た克己は絶句していた。

 

「…ごめん。夏己。守ることが出来なくて…。」

 

「気にしないでくれ。俺たちも何も出来なかったんだから。」

 

シャルロットは子供たちを守ることが出来なかったことを夏己たちに謝るが、夏己たちもキメラの罠で動けなかったためシャルロットたちを責めることはなかった。

 

「奴らの策略にハマんねえためにもバラバラに動くぞ。織斑千冬。あんたはこれまで通りに学園に居ろ。外は俺たちがどうにかする。」

 

「分かりました。学園に攻めてくるドーパントは私が対応します。」

 

「教官!自分も教官と共に!」

 

「…ガラクタで何が出来る?ボーデヴィッヒ。貴様は奴らの力を既に見ているはずだ。それにたった一体のドーパントに教員のIS部隊は壊滅させられた。海外でも似たようなことが起きていたからな。」

 

千冬は克己に言われ、今まで通り学園に居ることになりその際に攻めてくるドーパントは対応すると言うが、ラウラも自分も手伝うと言い出すも逆に冷たい言葉を言って突き返した。

 

「…一旦解散だ。あんたも学園の今後のこととかを生徒に話しておきな。」

 

一旦解散し、克己たちはその場を後にした。

 

 

 

 

「?」

 

すると、夏己のスマホに着信が入った。

 

「非通知?」

 

だが、電話は非通知でかかってきていたが、夏己は電話に出た。

 

「もしもし?」

 

「大道夏己君ですね。加頭順です。」

 

「!?」

 

電話の相手は加頭だった。名前を聞いた瞬間、夏己は顔色を変えた。

 

「見せたい物があるので街外れの廃倉庫まで来てください。来なければ今度こそ学園を生徒もろとも消しますので。」

 

夏己たちに街外れの廃倉庫まで来いと伝えた加頭は電話を切った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、大道はどうした?」

 

夏己たちのクラスは今後の学園のことをどうするか千冬から聞かされそうになるが、夏己の姿はなかった。

 

「大道君なら、さっき誰かと電話してましたけど…」

 

「どうした?」

 

「電話を切った瞬間、凄い怖い顔をしてどこかに行きました…」

 

クラスメイトの一人が夏己を見ていたが、怖い顔をしてどこかに行ったと伝えた。

 

「加頭か!?」

 

クラスメイトの話を聞いた瞬間、弾は顔色を変えて教室から出た。

 

「…いきなり大道を狙うとはな…。お前たち、自習していろ!それと教室からは絶対に出るな!」

 

千冬は生徒たちにそう伝え、弾の後を追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「加頭!!」

 

廃倉庫に着いた夏己は加頭を見て大声を上げた。

 

「来ましたか。せっかくですから雑談をしませんか?」

 

「何だと!?」

 

加頭の言葉に怒りを覚え、夏己はロストドライバーを取り出した。

 

「私はこの世界を見た時、激しく絶望したのです。ISのせいで男性たちは酷い思いをしてる。男性ってだけで何故迫害を受けなければならないのか。あなたならその気持ちがよく分かりますよね?織斑一夏君。」

 

「!?」

 

加頭が自身の本当の名を口にしたことに夏己は驚愕してしまう。

 

「何も知らないと思いましたか?篠ノ之束に口を割らしたら色々な真実が分かりましたから。ただ、ISのコアについては本人でさえカラクリを知らなかったようですが。…だからこそ、私は男性たちに希望を与えるんです。」

 

「それがドーパントにさせることか。てめえもドーパントだからな。」

 

「…今の私は違います。今の私は、仮面ライダーです。」

 

そう言うと、加頭はロストドライバーを取り出して着けた。

 

「何でロストドライバーを!?」

 

「ガイアメモリの組織に援助していた組織に私は所属していたのです。作り方は全てここにあるのですよ。」

 

指で自身の頭を指し、加頭はメモリを出した。

 

「オメガ!」

 

加頭はオメガメモリをドライバーに挿入させた。

 

「変身。」

 

「オメガ!」

 

加頭の周りに黒い霧が発生して、加頭は姿を変えた。マントを羽織り、鎧武者と騎士が融合したような姿を思わせる仮面ライダー、オメガに。

 

「このメモリの意味通り、私がこの世界の男性たちにとって最後の希望になるのです。」

 

オメガは日本刀型大剣「雪片」を構えた。

 

「ふざけるな!!仮面ライダーはお前みたいな奴が名乗っていい名前じゃない!!」

 

夏己もロストドライバーを着けてエターナルメモリを起動させた。

 

「エターナル!」

 

「変身!!」

 

「エターナル!」

 

夏己はエターナルに変身し、エッジを構えた。

 

「!!」

 

先に動き出したのはエターナルだった。エターナルはエッジを振るが。

 

「!!」

 

オメガも雪片を振り、ナイフと刀は激しくぶつかりあって金属音を発生させていた。

 

「このオメガは近距離戦だけではありません。」

 

オメガは左手にアサルトライフルを展開させ、エターナルにライフルを撃った。

 

「!?」

 

まともに喰らったエターナルは転がってしまう。

 

「オメガには今まで奪ったISの力も内包されているのです。今使ってるこのブレードも織斑千冬が使っていた暮桜の武器、雪片です。」

 

「なら…そのメモリがお前が言う最強の…」

 

「そうです。ですがISとは決定的な違いもあります。」

 

「!!」

 

オメガは再びライフルを撃ち、エターナルはトリガーメモリを起動させた。

 

「トリガー・マキシマムドライブ!」

 

エッジから青い光弾を撃ち、ライフルの弾とぶつかりあった。

 

「織斑千冬をブリュンヒルデに導いた零落白夜。本来なら自身のISのシールドエネルギーも消費する諸刃の剣。ですが、ライダーやドーパントにはそんなのは存在しません。つまり。」

 

「オメガ・マキシマムドライブ!」

 

オメガはオメガメモリを雪片のマキシマムスロットに装填させると雪片から光刃が発せられた。

 

「一撃必殺の技を何度も使えるのです。」

 

「!?」

 

瞬時加速を使い、間合いを詰めたオメガは雪片でエターナルを何度も斬った。

 

「うあわぁぁぁッーーー!!」

 

エターナルのダメージはかなり酷く、爆発して変身が解けてしまった。

 

「あ…クソ…」

 

「いいテストになりました。では、私はこれで。」

 

変身が解けて倒れてる夏己を見てオメガはいいデータが取れたような言い方をしてその場を立ち去ろうとした。

 

「それともう一つ。我々はスカイツリーを占拠します。そこで全てを行います。来たかったらどうぞご自由に。ですが、私の元に着くには所々に配置したドーパントたちを倒さなければいけませんがね。」

 

変身を解き、加頭は夏己にそう伝えて、その場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見つけたのか?」

 

ウルフフォンたちを使って夏己を探している千冬たちはウルフたちが何かを見つけたかのように鳴き出して、走り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

「夏己!?」

 

弾は倒れてる夏己を見つけてすぐに駆け寄った。

 

「五反田。すぐに学園に運ぶぞ。」

 

弾は夏己を担ぎ、千冬は辺りを警戒しながら二人は学園に戻った。



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鎮魂歌

「…ここは?」

 

「気がついたか。」

 

「兄さん…?」

 

夏己は気がつくと学園の医務室に運ばれており、側には克己や弾たちがいた。

 

「夏己。何があったんだ?お前がボロボロにされるとか。」

 

「加頭の奴、仮面ライダーに変身したんだ…。」

 

「あの男が!?」

 

夏己から加頭がライダーに変身したと聞かされ、剛は驚愕していた。

 

「ライダーの名はオメガ。しかも奪ったISの能力まで内包してるらしい。」

 

「成程な。」

 

「奴は自分をこの世界の男性たちの最後の希望とか言ってた…。兄さん、加頭はスカイツリーで俺たちを待ってるみたいだ。…早く行かないとこの世界は…」

 

加頭の計画を阻止するためにも夏己はベッドから出て立ち上がろうとするが。

 

「その傷じゃ無理だ。お前に挑戦状を叩きつけたなら万全の状態じゃなきゃ話にならねえ。今は完治が優先だ。」

 

「……。」

 

克己に傷の完治が優先と言われ、夏己は言い返せなかったが。

 

「なら、せめて他のみんなには黙っててほしい。加頭は織斑千冬が使ってた零落白夜を何度も使えるから。」

 

「零落白夜?」

 

「織斑千冬が使ってた専用機、暮桜の単一仕様能力だ。こいつは相手のシールドエネルギーを一気にゼロに出来る。まあ自分のISのシールドエネルギーを使うからここぞって所でしか使えねえが。織斑千冬はそれでモンド・グロッソのV2になれたんだ。」

 

零落白夜が分からなかったチェイスだが、剛がその説明をした。

 

「ライダーでその力が使えるなら、加頭はISごと操縦者を斬り殺せるな。俺たちでもまともに喰らえば強制的に変身解除は免れないな。」

 

ハートはライダーでその力が使えるならISごと人を殺せると知り、自分たちでも変身解除は免れないと悟った。

 

「でも、加頭の元に行くには途中に居るドーパントたちを倒さないといけないんだ…。」

 

「あいつらとの決着もそろそろか。」

 

夏己の話を聞き、剛たちはケルベロスたちが立ち塞がると考えていると。

 

「あんたたちだけに行かせないわよ!あたしたちも行くからね!!」

 

医務室のドアが開くと鈴たちが入ってきた。

 

「やはり聞かれてたか。」

 

鈴たちの行動を理解していたかのように克己は頭を抱えた。

 

「私も行くわ。目の前で子供を攫われて黙ってることなんて出来ないからね。あの子たちを助けるためにも。」

 

子供を助けられなかったことに深い後悔と罪悪感を持ってる楯無も行くつもりでいた。

 

「大人しく待ってろ。って言っても聞かねえな。大道克己、どうするんだ?」

 

今の鈴たちは口で言っても絶対に聞かないと剛は分かっていたが、敢えて克己に聞いた。

 

「なら、俺と戦え。俺に勝てたら鈴たちも連れて行く。」

 

「……。」

 

すると夏己がどうしても行きたいなら自分と戦えと言い、克己は黙っていた。

 

「いいわよ。その話に乗ったわ!でもあたしたちだってあの島での出来事以来必死に訓練してきたんだからね!」

 

「そしたら、俺は夏己につく。こいつとは最後まで一緒に戦うって約束したからな。」

 

「僕も夏己や克己さんには恩があるから。その恩を仇で返すわけにはいかないよ。」

 

弾とシャルロットは約束や恩のため夏己につく事になった。

 

「なら、俺は中立の立場にいさせてもらう。お前たちはどうするんだ?」

 

「俺も中立で行くぜ。こういうのは大人が口出しすることじゃねえし。」

 

「俺も剛と同じ立場にいさせてもらう。ハート、お前は?」

 

「俺もそうする。時には本気でぶつかり合う事も大事な事だ。」

 

克己は中立の立場に立つと言い、それに続くように剛、チェイス、ハートも中立の立場になった。

 

「決まりか。この試合は私が受け持つ。大道の怪我が治りしだい試合を行う。それと同時に私もどちらかに着く気はないからな。」

 

こうして夏己たちと鈴たちの試合が行われることになったが。

 

「…あの女の思惑通りになったな。」

 

克己は今の展開がシュラウドの思惑通りになってると悟り、少しばかり頭を抱えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二日後、夏己の傷は完治し、今はアリーナに居た。

 

「あいつはどうするつもりだ?専用機を破壊する気か?」

 

観客席から試合を見ていた剛、チェイス、ハートだが、剛は夏己が箒たちのISを破壊するという考えも持っていた。

 

「試合形式は大道VS更織楯無、篠ノ之。五反田VSオルコット、ボーデヴィッヒ。デュノアVS凰、更織簪。一対三形式の試合を行う。異論はないな?」

 

「ありません。俺たちの誰か一人にでも勝ったら連れて行ってやる。…行くぞ、弾!シャル!」

 

「おう!」

 

「うん!」

 

『エターナル!』

 

『アクセル!』

 

『ナスカ!』

 

三人は変身、展開し、それぞれ武器を構えた。

 

「あたしたちも行くよ!」

 

箒たちも専用機を展開し、武器を構えた。

 

 

 

 

 

 

数時間、夏己は克己にある事を伝えた。

 

「兄さん、悪いけどエターナルのマキシマムを使う。俺はみんなを死なせたくないんだ。」

 

「…そうか。けど、それでも素直に引き下がる連中ではないと思うがな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「織斑先生。夏己はエターナルのマキシマムを使うつもりだ。その時は学園のISもダメになる。覚悟はしておけ。」

 

「…構いません。このメモリでISなんか既に過去の遺物と化してますから。」

 

克己はこの戦いで夏己がエターナルのマキシマムを使うと聞かされていたためそれを千冬に伝えたが千冬はスカルメモリを見ながらISは過去の遺物だと逆に返した。

 

 

 

「IS同士の試合ならまだ見応えがあるけど。」

 

「相手がガイアメモリでは一方的すぎる。」

 

「だが、彼女たちは引き下がらないだろ。俺たちは黙って見てるしかない。」

 

観客席から試合を見ていた剛たちはエターナルたちが圧倒的に有利だと分かってはいたが、中立の立場に居ると言った以上は見てることしか出来なかった。

 

「学園最強って言われてる私を追い詰めるなんてやるわね。お姉さんもびっくりよ。」

 

「学園内の話ですよね?ドーパントの前じゃ楯無さんも弱いって事ですよ!」

 

エターナルはエッジでミステリアス・レイディを斬ろうとしたが。

 

「私を居るのを忘れるな!!」

 

箒が立ち塞がり、箒は刀を構えるも。

 

『ユニコーン!』

 

「!?」

 

『ユニコーン・マキシマムドライブ!』

 

エターナルは強力なパンチを放ち、紅椿は吹き飛ばされて壁に激突した。

 

『エンジン!』

 

「!?」

 

『スチーム!』

 

「ク!目眩しか!」

 

アクセルはエンジンブレードから高温の煙を放ち、セシリアとラウラを怯ませた。

 

「ジェット!」

 

さらに煙の中から光弾が飛んできて命中してしまう。

 

 

 

「速すぎるわよ!!」

 

「これじゃどこにいるのか分からない!」

 

シャルロットと戦ってる鈴と簪だが、ナスカの超高速に翻弄されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…結果は火を見るより明らかだな。夏己、もういい。終わらせろ。」

 

これ以上は見ていられないと悟った克己は通信機でエターナルにそう伝えた。

 

「分かった。」

 

エターナルは返事をすると、エターナルメモリを抜いた。

 

「終わりだ。」

 

エターナルはメモリをエッジに挿入させてマキシマムドライブを発動させた。

 

『エターナル・マキシマムドライブ!』

 

「!?」

 

「何だ!?」

 

エターナルのマキシマムドライブが発動したことにより箒たちのISから電流が流れ始めた。

 

「何ですの!?」

 

「うぐ…!」

 

「何…これ…」

 

「体が…」

 

鈴たちは突然のことに何が起きたのか分からなかった。

 

「何だ!?」

 

「何が起きてるんだ?」

 

だが、それは剛たちも同じだった。

 

「永遠に眠りな。過去の遺物。」 

 

エターナルは振り向きながらサムズダウンしてそう言葉を言い放った。そして、箒たちのISは解除された。

 

「大道君…あなた…何をしたの…?」

 

「キャアァァーー!!」

 

そして、セシリアたちが投げ飛ばされるように箒たちの元に来た。

 

「どうしてだ…?何故解除されたんだ!?」

 

ラウラはISを展開しようとするが待機状態のISは反応しなかった。

 

「このエターナルは全てのISの機能を停止させる力を持ってる。世代関係なくエターナルの意味通り永遠に。」

 

「大道克己の言葉は本当だったのね…」

 

ISの機能が停止したことで楯無はようやく克己の言葉に信憑性を持てたが既に手遅れだった。

 

「おいおい、マジかよ。」

 

「エターナルにそんな力があるとは。」

 

観客席から聞いていた剛たちはエターナルの力に驚きを隠せてなかった。

 

「彼の言ってることは本当のようだ。学園のシステムにアクセスしたら学園のISまで機能停止している。」

 

「彼女たちだけではなく学園のまで。」

 

クリムは学園のシステムにアクセスし、エターナルのマキシマムドライブ、エターナルレクイエムが学園のISまで機能停止させたことを知り、三人はその範囲の広さに驚いていた。

 

「ISの機能が停止するなら…何故シャルロットのは停止されてないのだ!?」

 

「シャルロットのISにはメモリが組み込まれてる。そのおかげで影響はないんだ。…これでもうみんなは戦うことは出来ない。行くぞ。」

 

エターナルはアクセルたちにそう言い、アリーナを後にしようとする。

 

「待ちなさいよッ!」

 

それでも鈴は諦めようとはせずエターナルを追うも。

 

「…!!」

 

エターナルはすぐに振り向き、鈴の腹部に一撃を入れて気絶させた。

 

「鈴さん!?」

 

「俺はみんなを死なせたくないんだ。だから待っててくれ。」

 

エターナルは箒たちにそう伝えてアリーナから出た。

 

「ガキどもを見張っておけ。」

 

「分かりました。」

 

克己も千冬に伝えてアリーナから出た。

 

「俺たちも行くか。」

 

剛たちも観客席から出た。そして、その日から学園のISは全て使えなくなってしまった。

 



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切り札

学園のISが機能停止したその日の夜、スカイツリー前では緊張感が走っていた。

 

「第1、第2部隊突入!」

 

スカイツリーに向かってIS部隊が飛んでいたが。

 

「え…?」

 

突如、IS部隊の上空に雷雲が現れ、落雷が放たれた。

 

「なあ!?」

 

雷が命中した操縦者はISもろとも黒こげになり落下した。

 

「いやあぁぁぁぁッーーー!!」

 

さらに別の場所では青い竜に噛まれており、竜は操縦者もろともISを噛み砕き、竜の口から血と機械の残骸が垂れていた。

 

「どうして竜巻が!?」

 

さらに竜巻も発生し、それにより突入部隊は壊滅状態に陥った。

 

「しかしまあ、世界最強と言われたISがこうも簡単に破壊されるのを見てると私が受けた屈辱はなんだったのかと思ってしまうよ。」

 

スカイツリーの展望台には加頭と真影がおり、IS部隊の壊滅を見た真影は自分が受けた屈辱がなんだったのかと思っていた。

 

「栄える存在はいつか滅びる。そうやっていくつもの文明が滅んできたのではありませんか。」

 

真影にどんな文明もいつかは滅びると話した加頭は展望台から下を見ていたが、そこにはウェザー・ドーパントがいた。

 

 

 

 

 

 

 

「早くIS学園に要請を…」

 

「無駄ですよ。IS学園は我々の襲撃でかなり脆くなってますから。とてもこちらに来れる状況ではないのですよ。」

 

ISが解除された隊員の首を掴んだウェザーは掴んだ手から高熱を放った。

 

「いやあぁぁぁぁぁッーーー!!」

 

隊員は瞬く間に水分が蒸発してミイラ化してしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ク…やはり反応しないのか…」

 

「織斑先生。知ってたのですか?夏己さんのISにこんな力があると。」

 

次の日、今だに一時的な停止だと思っていたラウラたちだが、専用機は一切反応せず、セシリアは千冬にエターナルの力のことを知っていたのかを聞いた。

 

「知っていた。いや、最初は私も信じられなかった。だが、ドーパントの力を目の当たりにしたのなら信じざるおえない。」

 

「織斑先生!国からスカイツリーを占拠したテロリストを制圧しろと要請が来てます!」

 

そこに真耶が来て国からスカイツリーを占拠した存在を制圧しろとの要請が来たと報告した。

 

「学園の状況は話したのですか?」

 

「説明しました!でも信じてくれないんです!」

 

「普通はそうだな。」

 

千冬はモニターを出して、スカイツリーの状況を知ろうとしたら。

 

「こいつは?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆さん。初めまして。私は仮面ライダーオメガ。この世界の男性たちの最後の希望です。」

 

加頭はオメガに変身しており、後ろにはテラーたちもおり、さらに世界中に中継を流していた。

 

「この世界は腐っています。ISのせいで男性たちは酷い扱いを受けています。ですが、ご安心ください。私があなた方を理想郷へと連れて行きます。私の元に来てくれた暁にはこれを差し上げます。」

 

そう言うとテラーが持っていたアタッシュケースを開けてガイアメモリを見せた。

 

「これはガイアメモリ。これを使えばISをガラクタに出来ます。後ろに居る彼らは皆、ガイアメモリに選ばれた人間です。」

 

そして、テラーたちはドーパント化を解いて人間の姿に戻った。

 

 

 

「孝太郎…」

 

中継を見ていた学生の姉妹は人の姿を見て、その名を呟いていた。

 

 

 

「私の元に来なければあなた方はいずれ悪魔に殺されます。こんな風に。」

 

そして、オメガは映像を変えた。

 

 

 

 

 

 

 

「なあ!?」

 

「何よ…これ…」

 

「そんな…」

 

映像を見て、鈴たちは顔を真っ青にしてしまう。映像には鈴、セシリア、ラウラが逃げ惑う男性たちを皆殺しにしてる姿が映っていたから。

 

「彼女たちはIS学園の専用機持ち。専用機を持ってるだけでこのような非道を平気で行うのです。こうなる前に早く私の元に来てください。私は男性なら誰も拒みません。老人も産まれたばかりの赤子さえ。」

 

オメガは変身を解き、加頭の姿に戻った。

 

「ISでいい思いをしてた女性たちへ。地獄を見なさい。」

 

いつもは表情が変わらない加頭は笑いながらそう言って中継を切った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あの野郎、俺と同じことをしてやがる。時間がない行くぞ。」

 

同じく中継を見ていた克己たちは時間がないと悟り、スカイツリーに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ク!あの男は私たちを徹底的に追い詰める気か…!」

 

ラウラたちは加頭が徹底的に追い詰める気だと知り、怒りと悔しさで拳を握りしめた。

 

「織斑先生…どうしましょう…」

 

「今の中継で男たちは暴徒と化すな。ガイアメモリの魅力に惹かれて。恐らくは学園にもデモみたいに来るだろう。お前たち、今から地下に避難しろ。」

 

中継を見ていた男性たちが暴徒化すると考えた千冬は生徒たちを地下に避難させることにした。

 

「教官は?」

 

「私は地上に残る。今、この学園でまともに戦えるのは私だけだからな。」

 

「いくら教官でも一人では無茶です!自分も一緒に!」

 

「貴様のISは使えないだろうが。使えたとしてもドーパントの前じゃ無力だ。それに生身の人間が来て、貴様が下手なことをすればさらにまずいことになるぞ。」

 

「……。」

 

「分かったなら早く地下に行け。」

 

千冬は他の生徒たちにも呼びかけて避難させ始めた。

 

「…私は何も出来ないのか?嫁や兄上の力にもなれず…教官の力にさえ…」

 

ラウラはISが機能停止して千冬に言われたことで自分が本当に無力になってると実感していたが。

 

「いや、私にも何か出来ることがあるはずだ…!絶対に!」

 

だが、それでもラウラは諦めてはいなかった。何か出来ると信じて。

 

「それがあなたの答えね。」

 

「え…?」

 

すると、突如、時間の流れが変わったかのように周りはゆっくりになり、さらにラウラの目の前にはシュラウドが居た。だが、周りの人にはシュラウドの姿は見えていなかった。

 

「あなたは…?」

 

シュラウドはラウラの問いには答えずに近くの机に小さな箱を置いた。そしてシュラウドは教室から出た。

 

「今のは一体…」

 

ラウラは何が起きたのか分からなかったが、シュラウドが置いた箱を取ろうとした。

 

「!?」

 

だが、その手は横から出てきた手に掴まれて止められてしまった。

 

「よう、殺人鬼のお嬢さん。」

 

その手を掴んだのはガラの悪い男だった。

 

「貴様、どこから入った!?」

 

それに千冬も気付き、男に向かって叫んだ。

 

「正面から普通に入ったぜ!」

 

男が指パッチンすると教室にかなりの数マスカレイド・ドーパントが押し寄せてきた。

 

「!?」

 

千冬はマスカレイドに生身で応戦した。

 

「じゃあこっちも楽しもうぜ!!」

 

男はメモリを出して頬に挿した。

 

『ヒート!』

 

男はヒート・ドーパントに変身し炎を纏った蹴りをラウラに放つ。

 

「ク!」

 

ラウラは蹴りを避けるがヒートの蹴りで辺りの物が破壊され小箱はその隙間に入ってしまった。

 

「ホントに凄えメモリだな!人とメモリは惹かれ合う!あいつの言った通り、俺はこのメモリと相性がいいな!」

 

「メモリと惹かれ合うだと…」

 

「そうだ!ISにはねえから分からねえよな!!」

 

ヒートはラウラを壁際に追い詰めて足でラウラの体を抑えた。

 

「死にやがれ!!」

 

ヒートは体に炎を纏わせた。

 

「うぐ…」

 

「ラウラさん!?」

 

「私は…ここで死ぬのか…?」

 

ラウラは自分はここで死ぬと悟った。そして、ふと、ヒートによって出来た瓦礫を見た。

 

「あれは!?」

 

その時、何かが落ちているのがラウラの目に入った。ヒートはトドメを刺そうと再び足を上げたが、ラウラはそれを避けて瓦礫の元に行き、落ちていた物を手に取った。

 

「これは…嫁が使ってるメモリか…。」

 

それは夏己が使ってるのと同じタイプのメモリだった。近くに小箱もあり、小箱の中身はメモリだったのだ。

 

「そのメモリを使いなさい。大丈夫。メモリとISを信じなさい。」

 

その時、シュラウドの声が聞こえ、メモリを使えと言ってきた。

 

「誰だか知らないが感謝する。」

 

「何ごちゃごちゃ言ってんだ!!」

 

「どうやら、切り札はまだ私を見捨てていなかったようだな!!」

 

『ジョーカー!』

 

ラウラが手に入れたメモリはジョーカーメモリだった。ジョーカーメモリを起動させたことでラウラの周りに風が巻き起こった。

 

「!?」

 

「なあ!?」

 

風が止むと、ラウラは機能停止したはずのシュヴァルツェア・レーゲンを展開していたがラウラの腹部にはベルトが巻かれ、腰にはマキシマムスロットが付けられていた。

 

「行くぞ!ドーパント!」

 

「!!」

 

ラウラとヒートは表に出て戦い始めた。

 

 

 

 

 

 

「ガラクタが俺に勝てると思ってんのかッ!」

 

ヒートは格闘でラウラを攻撃しようとした。

 

「!!」

 

だが、その前にラウラはブレードでヒートを攻撃した。

 

「何でだ!?ISの攻撃は効かねえはずじゃ!?」

 

ブレードの一撃はヒートに効いており、ヒートは動揺していた。

 

「人の姿に近い分、機動力は向こうの方が上。…いや、だから何だ!!勝たなければ嫁や兄上の元に行けるはずがない!」

 

「小娘がッ!!」

 

ヒートは再びラウラに襲いかかるが、ラウラはAICを発動させてヒートの動きを止めた。

 

「終わりだッ!」

 

ラウラは腰のマキシマムスロットにジョーカーメモリを挿入させた。

 

『ジョーカー・マキシマムドライブ!』

 

マキシマムドライブを発動させたことでレールカノンに紫色のエネルギーがチャージされた。

 

「吹き飛べ!!」

 

レールカノンから紫色の光弾が発射され、光弾はヒートに命中した。

 

「うぎゃああぁぁーーー!!」

 

ヒートは爆発して男が転がってきたが、ヒートメモリはブレイクし、男も塵となって消滅した。

 

 

「ラウラさん!!」

 

そこに箒たちにマスカレイドを倒した千冬が来た。

 

「教官、ドーパントは倒しました。」

 

「どういうことだ?それに何故ISが?」

 

「それが自分にもよく分からないんです。このメモリを起動させたらISを展開出来たのです。」

 

ラウラは千冬たちにジョーカーメモリを見せた。

 

「お前!いつメモリを手に入れた!?」

 

「ドーパントが来る前に妙な女性がくれたのです。顔は包帯とサングラスで隠してたので分からなかったのですが。」

 

「シュラウドさんか!」

 

「教官、知ってるのですか?」

 

「私にメモリとドライバーをくれた人だ。まさかお前にメモリを渡すとはな。…それでこれからどうするつもりだ?」

 

「私はこれからスカイツリーに向かいます。」

 

「なら、あたしたちも行くわよ!」

 

「それなら私たちもね。」

 

そこに楯無と簪も来た。

 

「…あれこれ言った所で聞く耳は持たないようだな。分かった。行ってこい。ただ、これは訓練でもなんでもない。れっきとした命のやりとりだ。死んでも文句は言えないからな。」

 

「「了解!」」

 

千冬の言葉に箒たちは了承し、スカイツリーに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと、次の段階ね。」

 

物陰から千冬たちのやりとりをシュラウドが見ていたが、シュラウドの周りには5つの光の球体が浮かんでいた。

 

「行きなさい。あなたたちと運命を共にする者の元に。」

 

球体にそう伝えると球体は空に飛んでいった。



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幻想、銃撃手

「押すな!押すな!メモリは山ほどあんだ!けど一人一個までだ!」

 

スカイツリーの入口付近では大勢の男性たちがメモリ欲しさに押し寄せており、二人の男がそれに対応していた。

 

「原田!お前も手伝え!」

 

ギャング風の男は槍を持った長髪の男にそう言うもの。

 

「…対応する相手が変わるぞ。」

 

「?」

 

すると、バイクと車のエンジン音が聞こえてきて、前を見ると5台のバイクに1台の車が走って、バイクと車は少し離れた所に止まった。

 

「加頭はどこに居るんだ?」

 

バイクと車から降りてきたのは夏己たちにハートだった。剛は男たちに加頭の居場所を聞いた。

 

「ツリーの一番上に居る。だが、行くには俺たちを倒してからだ!」

 

『ユニコーン!』

 

『ケルベロス!』

 

男たちはユニコーン、ケルベロスになり、槍と爪を向けた。

 

「地獄の番犬ならぬスカイツリーの番犬か。」

 

「奴らの相手は俺たちがする。お前たちは先に行け。」

 

剛とチェイスが2体の相手をすると言って前に出た。

 

「剛さん、チェイスさん。分かりました!」

 

2体の相手を二人に任せて、夏己たちはスカイツリーに向かった。

 

「じゃあ始めようか。」

 

二人はマッハドライバーを着けた。

 

『シグナルバイク!』

 

「「変身ッ!」」

 

二人はマッハ、チェイサーに変身して戦い始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!?」

 

ケルベロスたちの相手を剛たちに任せてスカイツリー内部に入った夏己たちだが、突如、炎が襲いかかってきた。

 

「君が相手か。」

 

炎の中から藤堂が現れて、藤堂はメモリを首に挿した。

 

『フェニクッス!』

 

藤堂はフェニクッスに変身し、大剣を構えた。

 

「彼が相手は俺がする。先に行くんだ。」

 

ハートが前に出て、フェニクッスの相手は自分がすると言った。

 

「気をつけろ。あのガキ、生身でもメモリの力を使えた。ドーパントの力はかなり進化してるはずだ。」

 

「気をつけてください。ハートさん。」

 

克己はハートに忠告し、弾は心配そうな表情だったがハートを信じて先に進んだ。

 

「…行くぞ。クリム!」

 

「ああ!」

 

『スタート!ユア・エンジン!』

 

「変身!」

 

『ファイヤー!オールエンジン!』

 

ハートは仮面ライダーハートに変身し、クラッチランスを構えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「着いたわね!」

 

それから数時間後、箒たちもスカイツリーに着いたが、周りには誰もいなかった。

 

「ここからどうします…!?」

 

セシリアが言おうとしたら足元の地面に何かが当たった。

 

「やっぱり待ち伏せしてたのね…。」

 

箒たちの前にビースト、アームズ、アノマロカリス、マスカレイドの軍団が現れた。

 

「専用機のガキどもか!てめえらにも懸賞金がかかってんだよ!」

 

ビーストは突進してきて箒たちは避けようとするが。

 

「箒さん!?」

 

「私に構うな!!行け!!」

 

箒が捕まり、ビーストはそのまま走っていった。

 

「殺れッ!」

 

アノマロカリスがマスカレイドに指示を出すと、マスカレイドたちは襲いかかってきた。

 

「!!」

 

だが、ラウラがすぐに前に出て、ブレードを展開した。

 

「ここは私が引き受ける!!早く行け!!」

 

「みんな、行くわよ!!」

 

楯無の言葉に従って鈴たちは前に進もうとするも。

 

「誰が行かせるかよッ!」

 

アームズが妨害し、簪に向かって機関銃を撃った。

 

「簪ちゃん!」

 

楯無は簪を守りながら簪を連れて走り始めた。

 

「逃すかよッ!」

 

アームズは機関銃を乱射しながら二人を追いかけた。

 

「どうするのよ!?みんなバラバラに!」

 

「ごちゃごちゃうるせえッ!」

 

アノマロカリスは残った鈴とセシリアの足元に弾丸として撃てる歯を撃った。

 

「キャアァァァッーーーー!!」

 

弾丸によって二人は地面に転がってしまう。

 

「なんだよ、専用機持ちって言ってもISが使えなきゃただのガキじゃねえか。俺はこんなのに今まで頭を下げてたのかよ…虫唾が走るなッ!」

 

「…あんたの言う通りよ…ISが使えない私たちはただのガキよ!!でもISが使えないって分かっててあたしたちはここにいるのよ!!」

 

「そうですわ…もうあんな想いはしたくない…誰も死なせたくないのです…」

 

鈴とセシリアはアイズに嵌められ、助けた男性たちを殺してしまい、そして、鈴に至っては人の温もりが無くなる感覚を今でもハッキリ覚えていた。

 

「殺した罪は消せない…。だからあたしたちはその罪を背負って生きる覚悟はあるのよッ!あたしたちがここに来たのもその罪と向き合うためよ!!」

 

「じゃあ地獄で反省してろよッ!!」

 

アノマロカリスは再び弾丸を放った。

 

「!?」

 

だが、その弾丸は空から降ってきた二つの球体が弾き、球体は鈴とセシリアの元に来た。

 

「何、これ…?」

 

すると球体は形になった。

 

「これって!?」

 

「メモリですか!?」

 

球体はメモリになり、メモリは二人の手に着いた。

 

「…行くわよ…セシリアッ!!」

 

「はい!」

 

『ルナ!』

 

『トリガー!』

 

鈴はルナメモリ。セシリアはトリガーメモリを起動させた。メモリを起動させたことで二人の周りに風が吹き、甲龍、ブルー・ティアーズが展開された。

 

「本当に展開出来た…。」

 

「ISが使えるからってなんなんだよ!!」

 

アノマロカリスは弾丸を放つも。

 

「!!」

 

セシリアがスターライト・markⅡから光弾を撃ち、光弾は弾丸を破壊してアノマロカリスにダメージを与えた。

 

「!?」

 

アノマロカリスはそれに怯んで後退りしてしまう。

 

「ならあたしも!」

 

鈴は接近武器である双天月牙を展開し、振ると鞭のようにしなり、アノマロカリスを攻撃した。

 

「嘘!?鞭みたいになったし!」

 

「これがガイアメモリの力…。」

 

「それにかなり強化されてない?」

 

メモリの力によってISは相当な強化をしており、二人はそれを実感していた。

 

「クソ!!何でだ!?何でISに!?」

 

アノマロカリスはISからダメージを受けたことに腹を立てていた。

 

「悪いけど、前に進むためにもあんたを倒すから!!」

 

『ルナ・マキシマムドライブ!』

 

『トリガー・マキシマムドライブ!』

 

二人はそれぞれの武器のマキシマムスロットにメモリを装填させて、鈴は金色の輪を作ってそれをアノマロカリスに放ち、セシリアは銃口から一撃必殺の光弾を撃った。

 

「ああ…クソが…」

 

アノマロカリスは爆発し、その場所には男が倒れていたが男は悔しさと怒りが篭った顔のまま塵となって消滅した。



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