切ちゃんとフシちゃん (クロトダン)
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切ちゃんと【フシギ】な生き物

 突然の新作でスミマセン。

 ポケモン剣盾に鎧の孤島が追加されてそ、剣版でゼニガメ盾版でフシギダネを選んだ時に久しぶりに見たフシギダネが凄く可愛く見えて書きました。

 アニポケ基準で設定がガバガバですが楽しんでいただければ嬉しいです。


――日本のとある森林地帯――

 

 

――切歌視点――

 

 

「この辺りも異常なしデス!」

 

 周りが木々に囲まれた森の中、三日前この森の中で謎の反応が起こったデス。それを感知したS.O.N.G.から装者であるアタシが派遣されたのデス。

 本当なら調やマリア、クリス先輩達と一緒に調査する予定だったんデスが、調はクリス先輩と一緒に海外の任務に行って、マリアは翼さんと歌手の仕事で不在。響さんと未来さんは二日前修学旅行に行っていて、みんな明後日まで戻ってこれないデス。

 そこで、たまたま待機していたアタシがここに派遣されたのデス!

 

 ……でも。

 

「うぅ……まだ昼間とはいえ、森の中は暗いデスね……。こう暗いと何か出そうで怖いデス……」

 

 ハッ!ぜ、全然怖くないデスよ!先週、調と観たホラー映画と比べれば全然怖くないのデ―― 

 

―ガサッ―

 

キャアァァァァッ!?ごめんなさい!やっぱり怖いデスっ!?」

 

 突然、背後から聞こえた物音にビックリしてしまった私はギアを纏っているのを忘れてしゃがみこんで頭を抱えて誰にもいないのに遂謝ってしまったデス。

 

「ダーネ?」

 

「およ?」

 

 その場に似合わないかわいい声が聞こえて思わず首を傾げてしまったデス。

 

 おそるおそる声が聞こえた方向に顔を向けると――。

 

「ダネダネ?」

 

 ―――そこにいたのは、少し濡れた状態の全身緑色の背中に大きな種を背負ったカエルみたいな見た目の生き物が首を傾げながらアタシをみていたデス。

 

「……カエル……みたいデスけど、少し違うデスね?」

 

 カエルみたいな生き物を見たアタシは立ち上がって、その子の近くまでゆっくりと近くまで歩いて1m位の距離を空けて立ち止まって様子を見てみたデス。

 

「………ダネダネッ!」

 

「オヨヨっ!」

 

 調みたいにジーッと見ているとその生き物はアタシの顔を見て、笑顔になって近寄ってきて私の足に顔を擦り寄せてきたデス!

 

「ダーネ?」

 

「……よく見てみると結構かわいいデスねこの子。―キラッ―デス?」

 

 しゃがんで目線を合わせながら、頭を撫でてみると不思議な生き物は「ダネ~」と気持ちよさそうな声を出すのを見て思わずアタシもクスリと笑っていると、視界の端にキラリと何かが光ったのを見たデス。

 アタシは何だと思い、光った場所まで歩いていくとそこには、蓋が開かれた透明なケースとケースの登頂部に付いている赤と白のカプセルみたいなボールが落ちていたデス。

 

「なんデスこれ?透明なケースと赤と白のカプセル……いや、ボールデスかね?それにこの大きな欠片はもしかして……」

 

 チラリと視線を横にずらすとケースの直ぐ側に落ちていたのは――。

 

「――卵デスよね?」

 

 さっきの不思議な生き物と同じ色合いの二つに割れた大きな卵が落ちていたデス。

 

「ダーネフシ?」

 

「もしかして……この卵からこの子が孵ったのデスか?」

 

 

 

 

―― S.O.N.G.本部――

 

 

「「わーー!かわいい!」」

 

「ダネ?」

 

 それから調査を終えて、任務先で保護した生き物を本部に連れていってエルフナインがそのカエルっぽい生き物を調べてから二日後、一緒にいけなかったみんなが本部に戻ってきたデス。

 みんなと話しているとエルフナインが不思議なカエルを連れて司令室に入ると、不思議なカエルがアタシの足元に駆け寄って来るのを見た響さんと未来さんが黄色い声を上げた。

 

「ほう、これが暁の報告にあった生物か」

 

「確かにカエルみたいにみえるけど、植物にも見えるし不思議ね……」

 

「てか、その背中に付いてるデカイ種みたいのはなんだ?」

 

 少し離れた場所で不思議なカエルの姿を翼さんとマリアが不思議そうに見て、クリス先輩が不思議なカエルの背中に背負った大きな種を指で突っついて首を傾げているデス。

 

「調べた結果、この生物は生物と植物の二つの特徴を併せ持った生物であると解りました」

 

「む、生物と植物の特徴を?それはあり得るのか?エルフナイン君」

 

「はい。詳しくはこちらを御覧ください」

 

 司令が疑問の声を上げるとエルフナインが手元のタブレットを操作すると司令室の巨大モニターに不思議なカエルの画像を映し出したデス。

 

「一見カエルのような姿をしていますが身体をスキャンしてみると、生物と植物の遺伝子が一体化していました。本来なら相容れない筈の二つの遺伝子が一つの生命体として成立しているのはあり得ないんです。そもそも遺伝子には動物細胞と植物細胞の二つに別れていて―――」

 

 その後、エルフナインから遺伝子や細胞についての説明をしたのデスがアタシには難し過ぎて、ちんぷんかんぷんデス……。

 

「――つまり、この地球上に存在しない未知の生命体なんです!」

 

「な、なんデスとぉ!」

 

 頭から煙を上げているアタシや響さんを見たエルフナインが簡潔に言ってくれたおかげでようやく理解した私は思わず驚愕の声を上げてしまったデス。

 

「ダネダネ~」

 

「オヨ?どうしたのデスか?」

 

 驚いていると不思議なカエルがアタシの足に顔を擦りつけてきたデス。

 

「この子、切ちゃんに凄く懐いてるね」(ジーッ)

 

 それを見た調がしゃがんで不思議なカエルをジーッと見ながらそう言ってきたデス。

 

「そうなんデスよ。何故か初めて会った時からアタシにベッタリで、エルフナインに調べてもらう時も背中から出した蔓でアタシの足に巻き付いてきて大変だったデス」

 

「フフ……その様子だと切歌をお母さんと思っているかもね」

 

「ほえ?」

 

 マリアが言った言葉を聞いて気が抜けた声を出してしまったデス。

 

「お母さんデスか?アタシが?アハハ……な、なんか照れくさいデスね~」

 

「いえ、マリアさんの言葉はあながち間違ってないですよ」

 

「どういう事なの?エルフナイン」

 

 マリアの言葉を肯定したエルフナインの答えに調が質問すると再びタブレットを操作して画面を変えると、モニターには二つに割れた大きな卵が映っていたデス。

 

(これってこの子と一緒に見つけた卵デスよね?)

 

 首を傾げているとエルフナインから卵の事について説明を初めたデス。

 

「この卵の成分を調べるとその生物が孵った卵であると解りました。Imprinting (刷り込み)――その卵から孵った生物が、仮に地球上の鳥類と同じような習性を持つのなら、 初めてその目で視認した切歌さんを親と認識してしまわれたんだと思います」

 

 ……な、なんデスとぉぉっ!?

 

「ア、アタシこの年でお母さんになったデス……?」

 

「あわわわ……こういう時はおめでとうって言うんだっけクリスちゃん!」

 

「落ち着けこのバカ!お前もパニクってないで落ち着けよ。お前が不安になっていると、そいつが不安そうな顔をしてるぞ」

 

 クリス先輩の言葉を聞いて下を向くと、不思議なカエルが不安そうな表情でアタシの顔を見上げてたデス。

 その子の顔を見たアタシは気持ちを落ち着けて、しゃがんで頭を撫でてあげると、安心したのか嬉しそうな声を上げた。それを見たアタシも嬉しくなって笑顔を浮かべたデス。

 

「それともう一つ、皆さんにお伝えしたい事があります」

 

 エルフナインが発した最後の言葉を聞いて今日一番の驚きの声が司令室に響き渡ったデス。

 

 

 

 

――調&切歌の自宅――

 

 

「ふぅー……色々驚きがいっぱい起きすぎて今日は疲れたデス」

 

「お疲れ様、切ちゃん」

 

「はいデス。調もお疲れ様デス」

 

 本部から自宅に帰宅してリビングのソファーに座り込んだアタシに調が労いの言葉をくれながら、ホットココアを渡してくれたデス。

 

 ズズッ……あ~調が入れてくれたホットココアは美味しいデスね~。

 

「でも、驚いたね。この子が別の世界からきた生物なんて」

 

「そうデスね。まさかギャラルホルンの反応がないのにどうやってこの世界にきたのデスかね?」

 

 調の言った言葉に首を傾げつつ、床で帰りに買ったペット皿に盛った茹でたじゃがいもを食べているカエルみたいな生き物に視線を向ける。

 

 S.O.N.G.本部で不思議なカエルの側に落ちていた透明なケースと赤と白のボールを調べた結果、どちらもこの世界にはない未知の技術で造られていたそうデス。

 特にボールの方はボタンを押すと小さくなったり大きくなったりと大きさが変わるそうでエルフナインはどういう構造なのか首を傾げていたデス。

 

 あの後、この子がいた世界を見つけるまで本部で保護しようとしたのデスが、この子が背中から出した蔓でアタシの身体を巻き付き、まるでアタシから離れたくないと言わんばかりに鳴き叫んで大変だったデス。

 その様子を見ていた司令から――

 

『切歌君を母親と認識しているから、無理に引き剥がすのはこの子には酷だろう。切歌君、すまないがこの子の世界が見つけるまでこの子の世話を頼めるか?勿論、こちらもできる限りの支援をする』

 

 ――と、頼まれたのでこうして家に連れてきたのデス。

 

「……でも、アタシがこの子のお母さん代わりになれるか不安デス」

 

「……どうして?切ちゃん?」

 

 アタシが表情を暗くして呟いた言葉の意味を察した調が隣に座って質問する。

 

「この子にとって本当のお母さんじゃないアタシがこの子を育ていいのかな?この子は昔のアタシ達と同じ本当の親を知らないうちに知らない世界に放り出されたのデスよ。それなのに親を知らないアタシがその子を育てていいのかわからないデス」

 

「……それは違うよ切ちゃん」

 

「調?」

 

 ギュッと制服のスカートを握りしめて悲しくなって涙を流していると調がハンカチで泣いているアタシの顔を拭きながら、優しい表情を浮かべて口を開いた。

 

「確かに私達は本当の親の顔を知らない。でもね、そんな私達をマムは本当の親のように育ててくれたんだよ?」

 

「あ……」

 

 調の言葉を聞いてアタシは馬鹿な事を言ってしまったと気付き後悔した。

 

(アタシは馬鹿デス。調の言うとおり、マムは本当の親のようにアタシ達を育ててくれた。厳しく接していたけど、アタシ達をマムは大切に想って育ててくれた。そんな大切な事を忘れるなんてアタシは本当に大馬鹿デス!)

 

「調の言うとおりデスね。こんな大切な事を忘れるなんてアタシが馬鹿デシタ」

 

 私がそう言うと調は首を横に振って、優しい言葉を言ってくれた。

 

「そんなことない、切ちゃんの気持ちは私にもわかるよ。でもその気持ちを知っているから切ちゃんだから、この子を大切に育てる事が出来るんだよ」

 

「し、調ぇ……ありがとうデース!」

 

「切ちゃん待って……わあっ!」

 

 嬉しくなって調に抱きつくと、二人共ソファーの上に倒れ込んでしまったデス。

 

「ダーネフシッ!」

 

 それを見た不思議なカエル――【フシちゃん】が笑顔で鳴いていたデス。

 

 

――切歌視点、終了――

 

 

 

 

 

【No.001】

 

 ・フシギダネ

 

 ・たねポケモン

 

 ・タイプ:草、毒

 

 ・高さ:0.7m

 

 ・重さ:6.9kg

 

 ・ 生まれたときから 背中に 不思議な タネが 植えてあって 体と ともに 育つと 言われて いる。

 ・背中に 背負っている 種には 栄養が 詰まって いる。 身体が 成長すると 背中の種も 大きくなる。

 

 




 どうも、先週ファーストキッチンのスタンプカードを落としたクロトダンです。あと少しでハンバーガー無料で手に入るのに……ッ!

 さて、ポケモン剣盾にようやく鎧の孤島が配信されましたね。
 私クロトダンはソフトを両方持っているので出費が大変でしたが、追加キャラのクララとセボリーが面白くて好きになりました(*´∇`*)

 さて、なんでシンフォギアとクロスしたのかというと……深い意味はないです。ただお母さんになった切ちゃんのイラストを以前見たのを思い出して、切ちゃんにお母さん。なってもらおうと書きました。(色的にもピッタリだし)
 この続きを書くとしたら、タイトルを変更するかもしれません。


 さてと、自分はこれから孤島でしばらくキノコ狩りに出ますので更新がまた遅れます。
 それでは皆さんまた会いましょう。


キノコ狩りじゃぁぁぁぁぁぁっ(銀魂風)


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切ちゃんママと寂しがりフシちゃん

 皆さんの声に答えて連載します。

 一話に大体、三千~五千文字前後を目安に投稿しようと思います。

 短いですが、楽しんでいただければ嬉しいです。
 では、どうぞ。


 アニポケでコルニ出た時嬉しかったが一つだけいいか?





 …………サトシ、XY&Zより背縮んだ?(絵柄が変わったからかも知れないが……)



―― S.O.N.G.本部――

 

 

――三人称視点――

 

 

「まさか、こうなるとはな……」

 

「最初にここに来た時より、更にひどくなってますね……」

 

 モニターに司令室正面にある巨大モニターに映る画面を観ていた風鳴 弦十郎と緒川 慎二がその光景に抱いた感想を素直に呟いていた。

 

 彼らが観ているモニターの画面にはとある光景が映し出されていた。それは―――

 

 

 

『フシちゃーん!ママはこれから訓練(お仕事)の時間だから一緒にいると危ないデス!お願いだから、その蔓を放して欲しいデース!』

 

『ダーネダ!ダネダネ、ダネダネフシーッ!』

 

 

 

 ――モニターには訓練室で困った表情で叫んでいる金髪の少女、【獄鎌・イガリマ】のシンフォギア装者である暁 切歌が不思議な生き物――とある世界でフシギダネと呼ばれるポケモン――フシちゃんに背中から伸ばしている自身の腰に巻き付いた蔓を外そうとしている光景が映っていたからだ。

 

 

 

 あれから、切歌がフシちゃんを育てる事になってから数日が経過して、フシちゃんが周りの環境に慣れてきたと思われたがここ数日の間にとある問題に直面している最中にあった。

 それは……フシちゃんが切歌の側から頑なに離れない事だった。

 

「これで何回目だっけ?フシちゃんが切歌ちゃんの側から離れないのは?あれのおかげで学校にもあまり行けてないようだし……」

 

「そんなこと言わないの。フシちゃんは生まれたばかりの赤ちゃんなのよ?大好きなお母さんの側から離れたくないのは赤ちゃんにとって当たり前の事なんだから」

 

 そう言ったのは、S.O.N.G.のオペレーターである藤尭 朔也と友里 あおいがモニターに映る蔓を外そうと奮闘している切歌と離れたくないと鳴き叫んでいるフシちゃんを観ていた。

 

「しかし、これ以上親離れに慣れないと訓練は疎か、これからの任務や切歌君の日常に支障が出る事になる。それに、仮にフシ君が彼女の側から離れなかったら、あの子が危険に巻き込まれてしまう。何か解決策はないだろうか……いい案はあるか?」

 

 モニターに映る彼女達を観ていた弦十郎は腕を組んで、司令室にいる部下に何か解決策がないか質問する。

 彼の言葉を聞いた他の職員も考えるが皆いい案は上がらず、時間だけが経過していた。

 

「……む?そういえば、エルフナイン君はどこだ?」

 

「エルフナインちゃんなら、フシちゃんの側にあった機械を調べる為に研究室に戻りました。卵を保護するケースならともかく、どうしてボールがついていたのかもう一度フシちゃんと一緒に調べるそうです」

 

 難しい顔で考えている中、弦十郎が司令室にエルフナインがいない事に気付くと友里がそれに答えた。

 

「なるほど……確かに、ただの大きさを変えるだけの為ならケースに付ける筈もないな」

 

 それを聞いた弦十郎は顎に手を当て、なるほどと頷いていると――。

 

 

 

『ダネダネーッ!』

 

『ああっ!?フシちゃん駄目!いい子だからそれをママに返してデース!』

 

 

 

 ――モニターの向こうで何か起こったようだ。

 

「む?どうした!何かあったのか!」

 

 弦十郎がモニターの向こうに装者達に何が起きたのか声をかけると装者達を代表してマリアがそれに答える。

 

『すみません司令。フシちゃんが切歌のイガリマのペンダントを奪って逃走しました!』

 

なんだとォ!

 

 フシちゃんがイガリマのペンダントを盗った事に声をあげた。

 

『今、切歌と調が追いかけてる!私達もあの子を追いかけに向かいます!』

 

「わかった。だが、未知の生物とはいえあの子はまだ赤ん坊だ。恐らく切歌君に構って欲しくて取った行動だ。あの子にとって切歌君はたった一人の母親だから、寂しかったんだろうな。……あまり褒められた行動ではないが、生まれたばかりのあの子は甘え方がわからかった故にあの行動に出たんだろうな……」

 

『(そうか。だからあの子……)了解しました。切歌にもそう伝えておきます』

 

「ああ、こちらも探しに行く。頼んだぞ」

 

 弦十郎の言葉を聞いたマリアは頷いた後、先にフシちゃんを追いかけに向かった装者達に続こうと訓練室を跡にした。

 

 

 

 

 

 一方その頃、研究室を出たエルフナインが赤と白のボール――モンスターボール――とフシちゃんについてのデータをまとめた資料とタブレットを手に、先ほどの騒ぎを知らず一人訓練室に向かっていた。

 

 エルフナインが持つモンスターボールはフシギダネが住むポケモンの世界でポケモンを捕まえる為の道具であり、凶暴なポケモンやゴーストポケモン、どんな大きさのポケモンであろうと捕まえる事が出来、捕まえたポケモンを使役する事が出来るポケモンの世界では当たり前の存在である。

 

 空っぽのモンスターボールを野生ポケモンの体に投げ当てると、赤い光と共に当てた野生のポケモンをボール内収納させ、収納したボールが地面に落ちた後に揺れが止まると捕獲が完了となる。

 だが、必ず捕獲出来るとはいかず、揺れの途中でボールから脱出されてしまう事があり、その場合は捕獲失敗となる。

 

「うーん……これはなんの為にあるんだろう?もうひとつのケースは卵を保護するのはわかるけど、大きさを変える事以外に使うんだろ?」

 

 その性能を知らないエルフナインは、ブツブツと独り言を呟きながら、通路を歩いて曲がり角に差し掛かろうとしたその時――。

 

「フシちゃーーんっ!いい加減止まるのデースッ!」

 

「ダネダネッ!ダネダネフシャーーッ!」

 

「えっ?」「デスッ!?」

 

―ゴッチーンッ!―

 

 曲がり角から逃げたフシちゃんを追いかけている切歌と切歌のイガリマのペンダントを咥えて走っているフシちゃんが向かってきて、曲がり角から顔を出したエルフナインと正面からぶつかってしまい、エルフナインが持っていた資料とモンスターボールが宙に舞った後辺りに散らばった。

 

「切ちゃん、エルフナイン、大丈夫!?」

 

 彼女達が少し遅れてやってきた調がひっくり返った二人に駆け寄り、声をかけると二人は目を回しながらもゆっくり起き上がる。

 

「アイタタ……だ、大丈夫デスよ調。そっちは大丈夫デスか?エルフナイン」

 

「は、はい。なんとか……どうしたんですかフシちゃんを追いかけてましたけど、何かあったんですか?」

 

「あっ!そうデシタ、フシちゃんは!」

 

「ダ~ネ?」

 

 切歌の問いに大丈夫と答えたエルフナインは床から立ち上がり、どうしてこうなった経緯を切歌に質問すると彼女はハッと思い出して、ぶつかる直前まで追いかけていたフシちゃんの姿を探しているとエルフナインの背後から聞き覚えのある声が聞こえた。

 三人が声が聞こえた方に顔を向けると今回の騒ぎの中心であるフシちゃんが切歌達から少し離れた位置でジーッと彼女達を見ていた。

 

「もう、フシちゃん。どうしてこんなことしたのデスか?人の物を盗ったら駄目――」

 

 先ほどまでの事がなかったかのようにこちらを見ているフシちゃんを見た切歌は腰に手を当てて、小言を言いながら近付こうと足を踏み出そうとした瞬間――。

 

―ツルッ!―

 

「――デースッ!?」

 

「切ちゃんっ!」

 

 モンスターボールが踏み出した切歌の足下に転がってきて、それに気付かなかった切歌は躊躇なく踏んでしまい、勢いよくひっくり返り再び通路の床に後頭部を強打してしまった。

 そして、後頭部を押さえる原因となったモンスターボールは切歌がひっくり返ったと同時に宙を舞い、綺麗な弧を描いてそのままフシちゃんの額に当たった瞬間――。

 

―カチッ―

 

「ダネッ?」

 

「デスッ!?」

 

「「えっ!」」

 

 フシちゃんの額に当たったモンスターボールが二つに割れ、赤い光がフシちゃんの身体に降り注ぐと、その光に吸い込まれるようにフシちゃんの身体が光に包まれると次の瞬間、フシちゃんがモンスターボールの中に格納された。

 

―カタカタッ、カタカタッ……ポォーンッ!―

 

 床に落ちたモンスターボールが数度横に揺れた後、捕獲が完了した証である白い光の輪が出るとボールの揺れが収まった。

 

――【やったー!フシギダネを捕まえたぞ!】――

 

 ――と、ゲームなら上のようなテキストが出るが、モンスターボールの事を知らない切歌達にとっては一大事であり、心配の声を上げながら先ほどの騒動を忘れてボールに吸い込まれたフシちゃんを出そうと大慌てで床に落ちてあるモンスターボールに駆け寄った。

 

 

――三人称視点、終了――

 

 




 どうもクロトダンです。

 今回はフシちゃんがモンスターボールに収納される話になりました。まあ、捕獲する過程がちょっとアレですが………。


 ところで話は変わりますが、マックスレイドでようやく夢特性のフシギバナゲットできました!
 これで夢フシギダネを孵化できる!(60連続周回辛かった……)


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切ちゃんママと甘えん坊フシちゃん

「このガラルの地に新たな英雄伝説を作る男。その名は……



 ドクタァァァァァァ…………ウェェェルゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!


 もし、ウェル博士が剣盾にいたら……と妄想してみたら意外と違和感がないなーと思いました。
 違和感がないウェル博士がすごいのか違和感を感じなくなった自分が感覚が鈍いのかわかりませんが、本編をどうぞ。


 ※半分寝ぼけながら書いたので文章がおかしくなってると思います。後々直しますが、もし見つけたら教えてくれると助かります。


 前回の簡単なあらすじ、切歌が蹴りあげた(正確にはひっくり返った時に舞った)モンスターボールがフシちゃんに当たり、モンスターボールの中に入ってしまった。

 

 

――三人称視点――

 

 

 フシちゃんがモンスターボールに収納された報告を受け、捜索していた装者達が司令室に集まりモンスターボールを調べているエルフナインからの報告を待っている中、難しい顔をした切歌がフシちゃんの身を案じていた。

 

「うう~~っ!」

 

「大丈夫だよ切ちゃん。今エルフナインが調べてくれてるから」

 

「でもデスヨ!アタシのせいでフシちゃんが閉じ込められたのデス!もしそれが原因でフシちゃんの身に何かあったら心配デス!」

 

「落ち着きなさい切歌」

 

 やりきれない気持ちを調に伝えるとそれを見守っていたマリアが彼女に声をかけた。

 

「でもマリア…!」

 

「切歌、貴女が何かをしようとしても、この状況は変わらないわ。今はフシちゃんを出す方法を調べているエルフナインを信じて待ちましょう。ね?」

 

「……そうですね。ありがとうデス、マリア」

 

「ええ」

 

 マリアの言葉に頷いた切歌は笑みを彼女に向け、彼女の笑みを見たマリアも笑みを浮かべて切歌の頭を撫でた。

 

 

 

 

「お待たせしました!」

 

 それから数十分が経ち、モンスターボールを調べていたエルフナインが件のボールをその手に持って司令室に入ってきた。

 

「エルフナイン!フシちゃんをボールから出す方法が解ったのデスか!」

 

「はい。それについて皆さんに報告があります」

 

 エルフナインの姿を見た切歌は真っ先に彼女に駆け寄り、フシちゃんを出せる方法を聞き出そうとするがそれの前にエルフナインの口からモンスターボールについての調査結果が告げられた。

 

「ボクの推測ですが、このボールはフシちゃんのような生物を保護する為に造られたのではないかと思われます」

 

「保護する為……それは本当なのか?エルフナイン君」

 

「はい。おそらくですが、このボールは本来はフシちゃんのような生物を保護する目的に造られ、ボールの中に格納し手軽に持ち運べるようにしたのではないかと思われます。そして、フシちゃんが中に入ったボールを調べるとボールからフシちゃんの生体反応が発せられてました」

 

「それってつまり…ボールに入っていてもフシちゃんの命に何の影響もなく、一緒にいられやすくなるってこと?」

 

「そういうことです」

 

 一通りエルフナインからの解説を聞いた後、装者達を代表して響が質問するその問いにエルフナインが頷き、それを見た装者達は安堵の表情を浮かべ喜びあい、特に閉じ込めてしまった当事者である切歌は安心したのか思わず座り込みそうになったが、両隣に立っていた調とマリアが彼女を支えてあげた。

 

「ん?ちょっとまて、ソイツが無事なのは解ってもそのボールから出す方法はどうするんだ?」

 

 一人早くその疑問を口にしたクリスの言葉に装者達も気付き、彼女達の視線が一斉にエルフナインに集まった。

 

「はい。他にも解ったことを解説したいのですが、まずはボクの仮説を実践したいと思います。切歌さんちょっとこちらに来てもらえませんか?」

 

「?いいデスよ」

 

 装者達の視線に物怖じせず、エルフナインはモンスターボールを手に持ちながら切歌を空いた手で手招きするとそれを見た切歌は首を傾げつつエルフナインの側に近寄った。

 

「では切歌さん。ボクが合図したらボールを上に投げてみてください」

 

「ほえ?どういう事デスか?」

 

 切歌が側まで近寄ったのを確認したエルフナインは切歌にフシちゃんが入ったモンスターボールを切歌に渡した後、彼女から数歩後ろに下がりながらボールを投げるように指示送るとそれを聞いた切歌は(ハテナ)と首を傾げる。

 そんな彼女にエルフナインはその理由を説明した。

 

「ボクの仮説が正しければ、そのボールは生物を収納するために造られたのなら、それとは逆に生物を外に出す事が出来る筈です」

 

 エルフナインのその仮説は大きく的を得ていた。

 

 彼女の言う通り、モンスターボールはボール中央ののボタンを一度押すと縮小状態から手の平サイズに大きくなり、その状態でポケモンを出したい方向へボールを投げるとポケモンが出ることができる。他にも手に持ったままボールを開けてポケモンを出す事も可能である。

 何の事前情報もない状態でここまでたどり着くとは……さすがはエルフナイン、素晴らしい洞察力だ。

 

「なるほど!それなら早速やってみるデス!出てくるデスヨ……フシちゃーんッ!」

 

 その説明を聞いた切歌は頷いた後、右腕をグルグル回してモンスターボールを上に放り投げた。

 切歌の手により放り投げられたモンスターボールが数mまで上がるとボールが上下に開き、光が切歌の目の前の床に降り注いだ。

 

「……ダーネ?」

 

 しばらくして光が治まると切歌の目の前に先ほどボールに収納されたフシちゃんが不思議そうに首を傾げながらその姿を現した。

 

「フシちゃん!」

 

「ダネ?ダネダネ!」

 

 姿を現したフシちゃんを見た切歌は名前を呼びながらその小さな体を抱きしめようとフシちゃんの下へ駆け寄り、切歌の姿を見たフシちゃんも笑顔を浮かべて切歌の下へ駆け寄り彼女に抱きしめられた。

 

「ごめんねフシちゃん!狭い所に閉じ込めちゃって!怖かったデスか!?」

 

「ダネ?ダーネ、ダネダネフシー!」

 

 切歌は事故とはいえモンスターボールに閉じ込めてしまったことを謝罪するが、当のフシちゃんは全然違うよと言わんばかりに短い前足を振りながら鳴き声を出した。

 

「……もしかして意外と快適だったのかな?」

 

「ダネ!ダネフッシー!」

 

 フシちゃんの体全体を使ったジェスチャーを見た未来が口にすると正解と喜びながら大きく鳴いた。

 

「エルフナインの仮説はある意味当たっていたみたいだな」

 

「そうね。あの様子ならボールの中に入れておけば安心して学校に行けるかもしれないけど……甘えん坊を直さなきゃ大きくなった時大変かもしれないわね」

 

「うーん……あ!こういうのはどうかな?」

 

 翼とマリアが喜びあっている切歌達を眺めながら今後の事を話しているとそれを聞いた響が思い付いた内容をみんなに伝えた。

 

 

 

 

 

――三日後――

 

 

「はい。フシちゃん私達からプレゼントだよ」

 

「寂しい時はこれを持っておけばアタシが側にいると感じるれるデスヨ」

 

「ダネ?……ダネッ!ダネダネ、ダネダネフシー!」

 

 調と切歌がフシちゃんに渡した物を見たフシちゃんは何なのか首を傾げ、ジーッと観察したが直ぐに笑顔になり、背中から出した蔓を伸ばして渡された物――切歌を模した小さなぬいぐるみを持って喜んだ。

 

 響が出した案というのは切歌を模したぬいぐるみを送れば安心するのではないかと事だった。

 動物は嗅ぎ慣れた匂いや見覚えがある物を見ると本能的に落ち着く事がある。ポケモンであるフシちゃんにも通じるかどうか不安だったが、どうやら大丈夫のようだ。

 

「気に入ってくれてよかったね切ちゃん」

 

「はいデス。フシちゃんが喜んでくれて嬉しいデス!ね?フシちゃん」

 

「ダネ!」

 

 

――三人称視点、終了――

 

 

 

 名前:フシギダネ

 

 NN:フシちゃん

 

 タイプ:草、毒

 

 親:キリカ(暁 切歌)

 

 持ち物:切歌のぬいぐるみ

 ・効果:切歌を 模した ぬいぐるみ。持たせると 安心して 落ち着く ようだ。

 




 うーん、さすがに御都合主義過ぎたかな?
 どうもクロトダンです。
 アニポケでついにキバナが出て来ましたね。剣盾の序盤にもあったあのバトルを観れて嬉しかったです!後、ソニアかわいい。

 次回はフシちゃんが持つ能力を調べる話になります。ポケモンの能力を知った装者達はどんな反応をするのか楽しみにしてください。


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フシちゃんの力と驚く切ちゃんママ

お待たせしました。
フシちゃんの能力測定です。

今回はフシちゃんが出す技の威力描写に色々と疑問が浮かぶと思いますが、『はかいこうせん』とか『ようかいえき』や『絶対零度』等々ポケモン世界では普通と受け取られますが、現実世界からしたらかなり危険な技になります。



――三人称視点――

 

 

――S.O.N.G.本部、休憩スペース――

 

「すみません、少しフシちゃんの体を調べてもいいですか?」

 

 フシギダネことフシちゃんが切歌にゲットされてから二週間が経ったある日、エルフナインがフシちゃんを調べたいとベンチに座ってフシちゃんと戯れている調と切歌に話しかけた。

 

「ほえ?フシちゃんをデスか?」

 

「別にいいけど……でも、どうして急に?」

 

「ダーネダネ?」

 

 話しかけられた二人は一度顔を見合わせた後、エルフナインに大丈夫と伝え、何故調べるのか質問するとエルフナインはフシちゃんの様子を二人からの報告を聞いて、大分この世界での生活に慣れてきたと判断し、本格的にフシちゃんについて調べようとこうして話しかけてきたのだ。

 

「という訳でご協力お願いできますか?」

 

「んー私達はいいけど……フシちゃんはどうかな?」

 

「そうデスねー。フシちゃんちょっと協力してくれるデスか?」

 

「ダネ?ダネ!ダネダネ!」

 

 理解しているのかどうか切歌達には判断出来ないが、わかった!と笑顔で頷くフシちゃんの反応を見て大丈夫そうだなと受け取った切歌はエルフナインに大丈夫と言うとそれを聞いたエルフナインは司令室にいる弦十郎にその事を伝えた後、場所を訓練室に向かっていった。

 

 

◇◇◇

 

 

――訓練室――

 

 

 訓練室に移動した面々は扉を潜ると中に弦十郎の他に響、未来、クリス、翼、マリアが待っていた。

 

「来たな。切歌君、フシ君の機嫌は大丈夫そうか?」

 

「はいデス!今日も今朝から上機嫌デス!」

 

「ダネダネ!」

 

 弦十郎の問いかけに切歌は手を上げて報告すると彼女の足元でフシちゃんも切歌の真似なのかツルを伸ばして元気よく返事をした。

 

「よし!ならこれからフシ君の能力調査を開始する」

 

「あの、その前に何故マリア達がいるのか質問してもいいですか?」

 

 弦十郎に待ったをかけた調はどうしてマリア達が訓練室(ここ)にいるのか質問するとそれを聞いた弦十郎は謝罪しながら理由を話した。

 

「ああ、すまん。大げさかもしれんが相手は異世界の生物だ。あり得ないと思うがフシ君の能力が暴走したら危険になる可能性を含んでいるから、念のため待機してもらった」

 

 大げさかもしれんが弦十郎の懸念はあながち間違っていない。彼の言う通りフシちゃんはまだ子供でもポケモンである。生まれて数週間の赤子でも簡単に人間を傷つける事ができる生き物だ。

 フシちゃんの故郷であるポケモンの世界でも何度か生まれたばかりのポケモンの技をくらって怪我をした事例は少なくない。(尚、かすり傷一つ負わない某マサラ人は例外であるが……)

 

「なるほどそういう事ならわかりました。ありがとうございます」

 

「いや、こちらも黙ってした事だ。気にするな。では気を取り直して……切歌君、フシ君を中央に連れて行ってくれ」

 

「それとフシちゃんが不安にならないように切歌さんはフシちゃんから少し離れた場所に待機して下さい」

 

「了解デス!さ、フシちゃんついて来て」

 

「ダーネダネ!」

 

 

◇◇◇

 

 

 元気よく返事をしたフシちゃんは切歌の跡をトコトコと着いていき、指定された場所にたどり着くと切歌はフシちゃんから数歩離れた場所で待機する。

 

「それではシミュレーションを起動します」

 

「ダネっ!?」

 

 エルフナインが手元のタブレットを操作すると訓練室の風景が都会の風景に変わり、それを初めて見たフシちゃんは驚いて回りをキョロキョロ見渡した。

 

「ではフシちゃん、今から的を出現させますのでそれに向けて何かしてみてください」

 

「ダーネ?」

 

「フシちゃん。今から大きな的が出てくるデス。その的に向けて自由に何かしてみるデヨ」

 

「ダネ!ダネダネフシャー!」

 

 『何かってなーに?』とフシちゃんが首を傾げていると切歌が側にしゃがみ頭を撫でながら説明をすると、フシちゃんは『え!遊んでいいの!』と声をあげながら笑顔になると、切歌から背を向け楽しそうに体を左右に揺らし、的が出てくるのを待つ。

 その微笑ましい光景を装者達と見たエルフナインはクスリと笑った後、手元のパネルを操作してフシちゃんの前にシミュレーターで構成された1.5mの4枚の黒い的が現れるとフシちゃんは早速自分の得意な技を繰り出した。

 

「ダーネ、フシーッ!」

 

 フシちゃんは真剣な目をすると、最初に選択したのはその背中の大きな種の根元から2本の蔓が伸ばした攻撃技『つるのむち』を繰り出すと蔓をしならせながら的に向けて勢いよく振り下ろすとまるで鞭のように鋭い音を出しながら、一つの的をボールのように軽々と叩き飛ばした。

 

「ダネフシャー!」

 

 次に繰り出した技は同じく背中の大きな種の根元から複数枚の葉っぱを飛ばす『はっぱカッター』だ。フシちゃんから繰り出されたはっぱカッターは回転しながら空中に弧を描き、二枚の的に命中した(突き刺さった)

 

「ダーネダネダネダネ!ダネェッ!」

 

そしてフシちゃんは最後の的に向けて、走り出すと走り出した勢いを利用して体全体で相手にぶつける技『たいあたり』を繰り出し、最後の的を大きく突き飛ばした。

 

「お、おおーっ!す、すごいデスヨ!フシちゃん!そんな小さい体であんな大きな的を飛ばせるなんてママビックリしたデス!」

 

「ダネ、ダーネダネ~!」

 

「切ちゃん。フシちゃん」

 

「あ、調!フシちゃん凄かったデスね!」

 

 切歌に褒められ、嬉しくなってフシちゃんは笑顔になるとそれにつられて切歌も笑顔になる。笑いあっている二人の下に調が駆け寄り、彼女に遅れて残りの装者達も彼女達の下へ向かって行った。

 

「あれがフシ君の力……いや、正しくはフシ君のような生物が持つ力と言うべきか」

 

 そう言った弦十郎の視線の先には最初に『つるのむち』で叩き飛ばされ、『はっぱカッター』の葉が突き刺さり、最後に『たいあたり』によって大きな凹みを作った4枚の()()()()()に向けると、装者達に聞かれないように小声でエルフナインに声をかける。

 

「……エルフナイン君、あの的の強度は指示した通りにしたんだな?」

 

「は、はい。確かに指示された通りに通常より硬い強度の設定にしました。ですが、フシちゃんが出した技の威力はボクが想定していた威力を超えていました」

 

 弦十郎の問いに答えたエルフナインはこの測定を始める前に弦十郎に()()()()()()()()()()()()()指示を受けシミュレーターの的を細工したが、フシちゃんの繰り出した技の威力に的は形を変えられたことに二人は驚きを隠せないでいた。

 

 

◇◇◇

 

 

――寂れた墓場――

 

 人の入りが途切れた廃棄された墓場。

 

 その場所の一部の空間が歪み、空間に子供が通れる程の穴が開くと、その穴から紫色のガス状の煙を纏った丸いナニカが現れた。

 

ゴースゴッスゴスゴスゴス………………』

 

 ガス状のナニカはキョロキョロと見覚えのない周りを見渡し、不気味な笑い声を上げた後スーッ……と徐々に姿を薄くさせ、数秒も経たずにガス状のナニカは最初から存在しなかったかのようにその姿を消した…………。

 

 

――三人称視点、終了――




どうも、クロトダンです。

フシちゃんが覚えている技は『つるのむち』、『はっぱカッター』、『たいあたり』でしたー!

はい、生まれたばかりなのにあり得ない技だなとツッコミが来ると思いますがそこは眼を瞑ってください。
それと話の最後にチラッと出てきたポケモンは皆さんのお察しの通りあのポケモンです。

はい!次回は皆さんお待ちかね、シンフォギア世界初のポケモンバトルです!

アローラナッシーのように首を長くしてお待ち下さい!
それでは!


誤字脱字がありましたら、遠慮なく教えてください。


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